衆議院

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第12号 平成15年4月1日(火曜日)

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平成十五年四月一日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      原田 義昭君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    森田  一君
      山本 公一君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      高木 陽介君    土田 龍司君
      大森  猛君    瀬古由起子君
      原  陽子君    日森 文尋君
      松浪健四郎君    後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   参考人
   (本州四国連絡橋公団総裁
   )            藤川 寛之君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十七日
 辞任         補欠選任
  小里 貞利君     森田  一君
同日
 委員鉢呂吉雄君が退職された。
四月一日
 辞任         補欠選任
  二階 俊博君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  松浪健四郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 公共事業関係費の量的縮減に関する臨時措置法案(第百五十一回国会衆法第三七号)の提出者「前原誠司君外三名」は「前原誠司君外二名」に訂正された。
 公共事業一括交付金法案(第百五十一回国会衆法第三八号)の提出者「前原誠司君外三名」は「前原誠司君外二名」に訂正された。
 ダム事業の抜本的な見直し及び治水のための森林の整備の推進等のための緊急措置法案(第百五十一回国会衆法第三九号)の提出者「前原誠司君外三名」は「前原誠司君外二名」に訂正された。
四月一日
 名古屋空港存続に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一二七六号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第一二七七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出第一七号)
 高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長佐藤信秋君、政策統括官鷲頭誠君及び財務省主計局次長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伴野豊君。
伴野委員 民主党の伴野豊でございます。
 本日は、議題となっております二法案につきまして、一時間程度、大臣を初め関係各位に質問をさせていただければ、そんなふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 非常にいい季節になってまいりまして、東京での桜の見ごろもきょう、あすということでございまして、大臣、お花見に行っていらっしゃるかどうか存じ上げませんが、大臣のお召し物も桜に決して負けない、すばらしい、大臣自身も多分桜に負けていないんだと思うんですが、きょうは四月一日でございますので、エイプリル何とかというふうな……。
 では、本案に入らせていただきます。ちょっと私も緊張しておりまして、いろいろ口が滑っておりますが、お許しいただきたいわけでございます。
 今回出ました二法案、私自身は、いいことはどんどんやっていけばいいんだという考え方の持ち主でございますので、あえて鶏が先か卵が先かということを言うつもりはないんですけれども、ただ、やはり道路関係四公団の民営化のあり方等々、委員会でいろいろ御議論されて、いろいろな答申が出された。それで、今後それに合わせたスケルトンづくりといいますかフレームづくりがなされていくんだろうなと思っているわけでございます。多分国民の方もそう思っていらっしゃる。
 その中で、今回の二法案、確かに、仕組みを先につくっておかないと、そのスケルトンがかけないんじゃないか。いわゆる道具もそろえておかないと、設計図もかけないんじゃないか。赤ペンが欲しいといっても、赤ペンがない。赤ペンを先に買ってくるのか、赤ペンでかくことを決めてから買ってくるのかというようなこともやっても仕方ないわけでございまして、だから、そこのところを余り言うわけではございませんけれども、あえて、なぜ今回この時期に、全体のスケルトンがまだ十分見えてこない時期にこの法案が提出されてきたのかなと、多分国民の皆さん方も少し疑問に思っていらっしゃるところもあるかと思いますので、ぜひとも大臣の方からお聞かせいただければ、こんなふうに思っています。
扇国務大臣 今、伴野議員から言われましたように、できるものから先にやっていけばいいんじゃないかというお話がございましたけれども、まさにそのとおりで、四公団含めて四十兆というものをどうするか。もう待ったなしのところへ来ている。今までこのことに対して明快にやってこなかったということの反省も含めて、この二十一世紀の初頭に、二十一世紀、今後どうするのか、日本の国の道路はどうしていくのか。
 大きな問題に差しかかってきたときに、こういう民営化推進委員会というものをおつくりになって、そして民間の皆さん方の御提言をいただいたということが、いろいろな方法はあると思いますよ、けれども、総理としては、そういう意味で七人の侍をお選びになって、そして、知恵を出してくださいということで御答申、意見書をいただいたと私は思っております。
 その意見書によって、少なくとも民営化推進委員会の意見書が提出されまして、その経緯は、もう伴野議員、私が重ねて言うまでもなくよく御存じのことでございますけれども、この意見書に基づいて幾つかのものを言わなきゃいけない、しなきゃいけないということの中で、本四公団の債務の一部を切り離した上で処理しなさい、こう明記してありますね。
 それからまた二つ目には、高速道路については、国と地方の負担による新たな方式を導入すること、こう明示もしてあります。
 そういう提言を踏まえて、本四の有利子負債というものをどうするかということで、一部、私たちは、この一・三兆円というものを一般会計に承継しながら、そして道路特定財源も利用しながら、高速道路の建設については、国と地方の負担による直轄方式、これも新たに考えてきた。考え出したというか、この提言に基づいたということでございます。
 私は、その中で、余りこの委員会では議論されなかった中で一番大きなことは、民営化推進委員会にもかかわらず、一般民間会社がつくっております、いわゆる会計検査といいますか、いわゆる財務諸表、これがほとんど一回しか議論されていないんですけれども、民営化する一番最初のことはこの財務諸表だと思うんですね。
 ですから、これも提言には、委員会の状況を見ておりましても一回しか御論議されておりませんでしたけれども、私は、まず民営化ということには公団の財務諸表がないと、しかも、今まで日本の特殊法人で財務諸表というのはほとんどなかった。あるのは、今言っていると長くなるからやめますけれども、とにかく、これがないということで、これを本来は、私が聞きましたら、翌年の九月、昨年ですから、来年の九月ごろには提出できるでしょうとおっしゃったので、これは間に合わない。それは、総理に、この意見書を重視しながら与党とも話し合ってそしてこれをやりなさいと、私、任命されたんですけれども、まずもとがないんです。
 それで、それを何とか前倒しにできないか、しかも、平成十六年度に法案化しようということも思っておりましたので、九月に出されたんじゃとても間に合わないと言いましたら、これも公団等々努力してくれまして、この通常国会中にこの財務諸表を出しましょうということまで前倒しをしてくれました。
 そういうことで、私は、まずこの国会中に公表することができるというのは大きな一歩前進であろうと思います。ですから、それも私はよいことだな、また、国会の開会中に皆さんにもお示しできれば、より透明性が増すと思っております。
 それから、建設コストの縮減と言われましたけれども、これは当然のことで、何とかできないかということで、これはあらゆるものを発表していますので、私は今細かく言いません。おいおい御質問があろうと思いますけれども、少なくとも、インターチェンジ等々、今までのトランペット方式ではなくて、ETCを使えばダイヤモンド方式でいい、これも図を見れば一目瞭然で、こういうことも削減していこうということで、これも建設工事等々約二割、総額で約四兆円超の削減ができるということもしております。
 ファミリー企業、関連企業、これも明記してあります。これも私はこの委員会で皆さんの御質問に何度もお答えしておりますけれども、四公団でファミリー企業百二十一社、そして天下りの社長九十七名を、民間だから口出しはできないというものの、今の社会情勢の中で、これは随時株式総会等々で、できればやめていただきたいということも、これは本当を言えば越権行為ですよ、けれども私はあえて口にしているという現状でございます。
伴野委員 もう申し上げるまでもなく、大臣はよく課題を把握していらっしゃると思いますので、あえて繰り返しはいたしませんが、私自身も民営化推進委員会の議論なり意見書なんかを拝見させていただきまして、そこで見る感じと、それが少しマスコミを通して国民の方に伝わるときには、どうしても今の劇場的な、いわゆるワイドショーの取り上げ方というんですか、すぐ善玉と悪玉をわかりやすくしようというか、それは、つまりは送り手の方がそういう感覚でやっていらっしゃるからああいうことになるのかなと思うんです。
 どうも本質の議論、国民の皆さん方にとってどういう組織が道づくり、まちづくりに一番いいかというところからちょっとずれちゃって、どなたがやめるかとか、どなたが過激なことを言っているかとか、そういうところに焦点がいってしまって、ワイドショーなんかを拝見すると、どうも議論がずれているなと思ってしまうところがあるんです。
 その中でも、ちょっと先ほど大臣御指摘されましたけれども、答申の中でもコスト削減計画というのをつくるというお約束もありましたし、委員会の中でも問題になりました、いわゆる将来交通需要予測をどうするか。
 これは、私自身も学生時代需要予測をやっておりましたので、大学の先生とよく議論をしたときに、先生、これだけ、もう私が知っているだけでも二十年間需要予測のモデルがつくられていますが、一つも当たりませんねと申し上げたら、いや、君、ばかなことを言うな、当たるモデルができちゃったらおれたちは全部食いっぱぐれるんだというようなことを先生が言われました。
 それは冗談としましても、上限、下限の中でどの数字をとっていくかというのは、これは多少、最終的には政治的判断とかそのときの責任者の判断でやるべきことなのかなと思うわけでございますが、ただ、やはりどなたが見ても、うん、まあこのラインで入っているだろうなという数字が出てこないと、全体のフレームをつくったりスケルトン等をつくったときに皆さん方の認識がずれてしまいますので、そのあたりは本当に大丈夫なのかなと思うわけでございます。
 コスト削減計画や将来交通需要予測推計、今どんなふうになっているか、お答えいただければと思います。
中馬副大臣 御指摘のように、将来交通需要推計、これは、道路網の計画だとか、あるいは有料道路の採算性、環境アセスメント、費用対効果、こういったことを決める重要な基礎的な資料であります。これまでも、GDPや人口の将来動向を踏まえまして、道路整備五カ年計画に合わせて五年ごとに見直しを行ってきております。
 しかし、今御指摘のように、やはり役人というのは非常にまじめでございまして、決めたとおり、そのとおりやっていく。少しずれても、この五年間だけはかっちりとそれを守っていく、そういう傾向もこれまでございました。
 そういうことで、民営化推進委員会意見書におきましては、将来交通需要推計については、「今後は、最新のデータ、知見、科学的な根拠等に基づき、社会経済動向等の変化に対応して逐次見直しを行い、より信頼性や精度の高いものとする必要がある。」こういうことを指摘しているわけでございます。
 見直しの手法や時期につきましては、より信頼性や精度の高いものにするように、平成十五年の二月、この二月から将来交通量予測のあり方に関する検討委員会を立ち上げまして、ここで審議していただいているところであります。この審議結果を踏まえまして、今後、社会経済動向等の変化に対応して逐次見直しを行ってまいりたい、このように考えております。
 私の方からも、やはりもう少し柔軟に時代の変化に合わせて、これだけ中国が大きな生産基地として立ち上がってきている中で、従来のとおりの形じゃなくて、相当、時によっては毎年ぐらい変わっていくぞ、そうする中でもっと柔軟に対応していこうじゃないかということを役人にも指示しているところでございます。
伴野委員 いずれにしましても、これもお約束事でございますので、きっちりと国民の皆さん方に理解されやすい形で公表していただければな、こんなふうに思います。
 では、ちょっと次の細部の方に入らせていただきたいと思うわけでございますが、まず、本州四国連絡橋云々の方へ入らせていただきたいと思います。
 まず、本州四国連絡橋の必要性と評価、このあたりのところ、当時のことをひもといていただいて、その必要性の論拠、当時、今と随分社会環境、情勢が変わりましたので、そのとおりにならないという前提のもとで、当時どんなお考えだったのか、原点に返ってお話しいただければと思います。
佐藤政府参考人 本四架橋につきましては、昭和三十年に国鉄の宇高連絡船紫雲丸が瀬戸内海で第三宇高丸と衝突して沈没いたしました。小中学生を含めまして百六十八人が死亡したことなどを受けまして、本格的に当時の建設省が調査を実施したわけであります。
 昭和四十四年に策定されました新全国総合開発計画におきまして、中国及び四国を一体化して、近畿圏及び九州地方とも結ぶ有機的な交通体系を構築するために三ルートの整備が位置づけられ、昭和四十五年には本四公団法が衆参両院ともに全会一致で議決されまして、本四架橋の建設、管理の体制が確立したわけであります。
 昭和四十七年の十一月に本四公団が建設大臣及び運輸大臣に提出した本州四国連絡橋調査報告書では、神戸―鳴門ルートと児島―坂出ルートを鉄道併用として、道路単独の尾道―今治ルートと合わせた三ルートにつきまして、昭和六十年までに完成した場合、昭和六十五年時点の本州―四国間の一日当たりの推定輸送量は、三ルート合計で七万八千七百台、完成後おおむね三十年以内に償還し得るもの、こういうふうにされたわけであります。
 しかしながら、御存じのように、その後の交通量の推移、こういう観点から申し上げますと、なかなか厳しいということで、建設し料金認可を行いますときに、適宜償還計画を見直してきたところであります。平成十三年度の三ルート県境断面の交通量は合計で三万五千七百台となっておりますので、平成九年の十二月、料金認可時点で見込んでいた推計値五万二千八百台の約七割の達成状況、こういうような推移をたどっておるところでございます。
伴野委員 そういう経緯で新全総から始まって今に至るわけでございますが、ここへ来て、いろいろな見通し等々少しずつ狂いが来たんでしょうか、過大な債務が現在あるわけですね。
 ただ、私自身、冷静に見ますと、料金を取って、それで採算を合わせようとしたそもそもの仕組みが、これは今、たらればというか、そのときにということになるわけですけれども、そのときはなかなかそこまで考えが及ばなかったといえば、その当時はそのやり方が一番よかったのかもしれませんが、今となって振り返ってみますと、はっきり言って、四国の方やその周辺の方にとってみれば、もう水道、下水と同じシビルミニマムなわけです。それを使った人の料金で返していく、あるいは採算をとるということ自体が無理だったんじゃないかなと私は個人的には思うわけなんですよ。
 ただ、そうはいっても、今振り返ってみて、三・八兆円にも及ぶ過大な債務がどうして発生してしまったのか、今どういうお考えをお持ちになっているか。
 料金だけの効果ではないはずなんですよ。多分、例えば技術開発効果、御案内のように、一九四〇年には大きなつり橋が、風で、つくって四カ月で大きく崩れたという事件があった。そういうような中で、明石海峡をつくるときには、いわゆる風速八十メーター毎秒にも耐えられる仕組み、それを百分の一模型で風洞実験をやったというような、これも本当に世界的な技術がそこに蓄積されている。そういった蓄積されている技術、いわゆるパテント料なんというのは多分見込まれていないでしょうしね。だから、本当はシビルミニマムでやるものであったものを、料金でプールしてという仕組みをとってしまったゆえのことなのかなと個人的には思うんですが、どう思っていらっしゃいますか。
佐藤政府参考人 まず、シビルミニマムという観点から、ああいう橋梁が三ルートかかっておるわけでございますが、少なくとも必要ではなかったであろうかという先生のお考え、その観点から一つ申し上げます。
 中国、四国、三つに分けますと、山陰と山陽と四国、こう分けていただいて、現状、山陰側の人口、おおむねでございますが、百六十万人弱、こう思っていただいてよろしいんだと思います、二県と、それぞれの、山口、兵庫の山陰側の人口を足していただくと。それから、山陽側がそういう意味では約一千万人、それから四国側が四百二十万人弱、こういうウエートだと思います。
 山陰と山陽の間、県境を横断している交通、これが、全部合計いたしますと、四十一車線で一日大体七万台弱、それに対しまして、山陽と四国、これが現状十二車線で、フェリーも入れまして四万台弱、こういう形でございます。
 そういう意味では、四百万人と一千万人の交流が四万台弱で、一千万人と百六十万人弱の交流が七万台ということは、先生御指摘のように、自由に行き来しながらそれぞれの地域の共生と連携を図る、こういう観点から申し上げますと、中国地方と四国の間、あるいは近畿、関東も含めて、あるいは九州も含めて、もっと交流があったらな、こういう思いが、国全体の国土のあり方、こういう面で申し上げるとできようかと思います。そういう意味では、まさしく先生御指摘のシビルミニマムという観点からぜひ必要なもの、こういうふうにも位置づけていただけることができるだろうと思います。
 次に、こんなにたくさんの債務ができましたね、こういう御指摘がありました。なぜか、こういうような御議論でありました。
 これにつきましては、現状をまず申し上げますと、平成十三年度の収支状況、これで申し上げますと、管理費が二百四十九億円であります。これに対しまして、収入といたしましては八百四十三億円でございますので、十分管理費は賄って余りある。しかしながら、利払いが千二百五十億円、こういうことでございますので、当期の損失金が六百五十五億円発生しております。まさしく先生も御指摘のように、これが無利子で、あるいはもっと安い金利でつくることができたのであれば、実は十分ペイしている、こういう状況だと理解しております。
 そういう意味で、建設の当初、昭和四十年代後半、六%コスト時代、六分コスト時代ということがございまして、これは本四だけではなくて高速自動車国道もそうでございますが、六分金利、六分コスト、こう言っておりました。当時の金利は、御記憶かもしれませんが、実際の定期の金利なんかは八%ぐらいというような状況でもございました。したがいまして、それを二%ぐらい薄めてあげると何とか投資採算という面ではもつのではないかというようなことも予想はしたわけでございます。
 しかしながら、右肩上がりの時代を背景としてそういうふうに考えたわけでございますが、御存じのように、経済成長率もマイナスが続くというような状況の中で、償還計画の基礎となる交通需要の予測が、結果としては、現状におきましては過大であったかな、そういうことで、償還計画の都度、そこを見直しながらやってきておるということでございます。
 具体的な開発効果もあったではないか、こういう先生の御指摘でございましたが、二点申し上げたいと思います。開発効果とそれから技術開発、この両面でございます。
 具体的な開発効果といたしまして二、三数字を挙げさせていただきますと、本州―四国間の交通量は、先ほど申し上げましたように、山陰―山陽に比べますとわずかである、こういう面はございますが、架橋前の昭和五十九年度と三ルートが概成しました平成十三年度の比較で申し上げますと、本四間の交流というのは二・五倍になっております。これは全国平均が約一・八倍でございますので、そういう意味では交流が随分活発化してきている、こう評価できるのだと思います。
 さらに、これは計算上の問題という面はございますが、本四架橋がなかった場合に比べますと、GDPの押し上げ効果、こうしたものを計算してみますと、関係八府県で約八千九百億円、全国では一兆二千億円、こういう経済効果というものが出ているのであります。
 それからさらに、個別産業分野の効果、こういう面から見せていただくと、四国地域内の工場立地件数は、瀬戸大橋の開通前後で比較いたしますと、架橋前五年間の四百七十一件から、架橋後五年間は八百七十二件、一・九倍に増加しております。全国平均がこの期間で一・五倍でございますから、これもまたはるかに上回っている、こういう評価ができようかと思います。
 最後に、技術開発の効果でございます。
 例えば、建設中段階におきまして、つり橋の高強度ワイヤの開発であるとか、それから先生御指摘のように、防錆方法であるとかいろいろな装置であるとか、こういう面で実は世界で一番の技術力を持っている、こういうことが言えようかと思います。
 アメリカは、先生先ほど御指摘のタコマ・ナローズ橋が落ちましたが、その後、つり橋の技術を開発してやってまいりました。しかしながら、言ってみれば、この近年、四、五十年はほとんどつり橋をかけておりません。つり橋の技術が、設計の側にも、施工する側にも、実ははっきり申し上げると、残念ながらなくなっているというのが実態でございます。
 そういう意味で、日本の場合、この本四架橋を基礎にして世界一のつり橋技術、架橋技術というものが実際には今存在しているということが現実ではあるわけでございまして、こうした技術を生かして、これから本四公団におきましては、連絡橋の管理だけではなくて、国内外からの長大橋に関する業務の御相談にあずかる、こうしたことも大事な仕事だ、こういうふうに思っております。
伴野委員 よく採算性のことをおっしゃる方の中で、工場でつくった商品と社会資本整備を一緒にされて、違った切り口で申し上げられている方も散見されるわけでございますが、申し上げるまでもなく、我が国の社会資本というのは、工場内でつくる、いわゆる非常に管理された中での商品とはちょっと違っております。
 ですから、今申し上げられたさまざまな間接効果や技術開発効果のほかにも、例えば私なんかも、たしか二十数年前だったと思いますが、初めて見たときに、いや、これはすごいものをつくる技術で、日本人というのはすごいな、いわゆるシンボリックな気持ち、多分その近辺の方は、外国から久しぶりに帰られた方はその大橋を見てふるさとに帰ってきたなという、そういった精神的に高揚をさせる効果もあるわけです。そういうことまでいきますと、だからといって過大な債務をつくってもいいというわけじゃないんですが、単純にはなかなかいかないということだったなと思うわけでございます。
 ただ、最近何か借金を返さなくてもいいというような本が売れているそうでございますけれども、そんなことがあってはやはりモラルハザードになるわけでございまして、いろいろな理由があったにしても、つくった借金は返すのが、これは日本人の美徳じゃないかと思うわけでございます。
 そんな中で、今回、一・三兆円を切り離してやっていこうというお話ですが、ちょっとその根拠というものがよくわからないというのと、ちょっと大胆な発言で恐縮なんですが、もともと全部国費でやるぐらいのつもりでやっておけば、今借金云々なんということは余り考えなくてよかった。だけれども、今の料金で、本当に先ほどおっしゃっていたような需要予測に合ったこれからの行き来ができるか。もっと言うならば、二分の一なんて言わずに、どんと、これは債務処理ができればですよ、債務処理ができるのだったら、シビルミニマムだから、もう本当に料金をただにしてしまってもいいぐらい、そうすればどんどんまた交流も活発になるわけでございますのでね。
 そんな中で、今回一・三兆円を切り離した根拠、それから、残債務二・五兆を今後通行料金との兼ね合いでどうされていくのか、お考えをお聞かせいただければと思います。
中馬副大臣 委員の御指摘のとおり、私も、道路といいましょうか国の基本的なインフラ、太古の時代から、一つの国が運営される以上、道路は国が責任を持ってつくるということは当然のことでございます。しかし、戦後非常におくれた中で急激なモータリゼーション化、その中で、金がないのにどうして整備していこうかという中での有料道路方式であるわけでございますが、今御指摘のように、民営化をこれからしていこうという形でございます。
 民営化というのは、株式会社であれば株主から出資をしてもらって、それにちゃんとした配当をしていく、もちろん利益を上げなければいけないわけでございまして、委員も国鉄民営化の中の経過をずっとごらんになっておられまして、どうしてもあの国鉄の状況の中で、大きな借金を背負った中でそれをそのまま民営化しても、到底これは民営化にならない。ですから、清算事業団というところに一部債務を切り離しまして、それを別にして、努力すれば利益が上がる形をつくって、そしてJRとして発足した。その努力の結果、今では東海や西日本などは、東日本はもちろんのこと、利益が出始めておるわけでございまして、こうした民営化の事業体が努力をすれば利益が出るという体制をつくらなかったら、民営化というのは絵にかいたもちになってしまうと私は思います。
 そういうことから、その意向も受けまして、先ほど局長も説明しましたように、現在は、管理費は二百四十九億円ですけれども、収入は八百四十三億円あるわけですよ。しかし、利払いが千二百五十億という大変な金額でございまして、大きな損失が出ているわけございますから、この累積債務の一部をこうして利子負担から外して、何とか努力すれば利益が出るという形をつくっていく必要がある。
 その逆算した結果、後で申し述べますけれども、ある程度の条件をつければ返せる範囲というのが二・五兆円。そうしますと、現在の三・八兆円から二・五兆円を引きますと一・三兆円、これだけはやはり国の方で責任を持って、残ったもので努力すれば民営化の効果が出ていくという前提でございます。
 どういう形でやりましたかといいますと、これは十二月十二日の政府・与党申し合わせで決められておりますけれども、将来交通量におきましても、これは基本的な伸びは現在見込んでおりません、そして将来の調達金利は四%、このように非常に安全サイドを見た形での前提にはしておりますけれども、そうした形でこの一・三兆円を切り離して、しかも、国及び地方による出資の期間を平成三十四年度まで十年間延長することを地方の方にも御理解いただくならば、これが民営化した事業体として成り立っていく、こういう前提からこの一・三兆円を算出した次第でございます。
伴野委員 そういった少しでも債務を切り離して、新しい経営陣なり組織なりが一生懸命やっていく、一生懸命やっていける仕組みづくりというのは非常に重要だと思います。そのさじかげんというのは甘過ぎても辛過ぎてもいけないんだと思うんですが、その哲学あるいは精神みたいなものは新しい経営陣の方にきちっと植えつけて、その精神も一緒に継承してもらうように、これは、一生懸命やったけれどもできなかった、あんたたちが勝手に決めたことでしょうと新しい人に言われてしまっても非常につらいものがございますので、ぜひ、そのあたりのところを徹底していただければ、そう思います。
 では、時間もどんどん参っておりますので、通告していた質問をくくって質問させていただくことになろうかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。
 続きまして、高速自動車国道法云々の方へ行かせていただきたいと思うわけでございます。
 今回、高速道路の建設の、あらゆるつくり方の可能性を探った上での一つの方法なのかなと理解するわけでございます。そうした中で、必要な高速道路という言葉が出てくるんですが、この必要なというのが、やはりとる人によって多分まちまち、地域によっては、自分たちが欲しいのが必要な道路だと勘違いされている方がいらっしゃったり、あるいは自分たちに有利なものがというふうにお考えの方も、多少はしようがないんだと思うんですけれども。
 また、数字などもいろいろひとり歩きしておりまして、一万四千という数字が出てきたり、一万一千五百二十という数字が出てきたり、また債務についても、今回議論されている、多分、今後非常に採算性の悪いであろう、だけれどもつくらなければいけないものは、国が地方とよく話をして、四分の三と四分の一ずつ出し合ってきっちりと、管理費も含めて、国が本来やるべきものはやっていきましょう、こういう仕組みの提案ということなんですが、そうした中で、いろいろ路線を色分けしていかないと、なかなかこういうのはできていかないんだろうと思うわけですね。
 だから、一つは、必要な高速道路の定義というのはどうお考えでいらっしゃるのかということと、今後、その定義に従っていろいろ色分けをしていくとした場合に、今までつくったものとこれからつくるもので、例えばA地点からB地点、同じ交通量で同じ沿線環境で仮にあったとしたときに、一方は前につくったから、今まで非常に交通量も悪くて、だけれども前の仕組みでつくったから料金を取らなければいけませんねと、同じ環境下でそういう道路が一方にある。もう一方で、これからつくる道路は、採算性が悪いから国が全部面倒を見ますからここはただなんです。そうすると、単純に考えただけでも、ただの方はどんどん交通量が多くなってその地域は発展していくでしょうね、逆に土地代が上がっていく、それは税金で回収するんだということも一つの考え方かもしれませんが。
 同じような環境で、以前のやり方とこれからのやり方ということで、これは不公平感が出てこないものなのかなということを単純に思うわけですが、このあたりのところを大臣はどうお考えか、お聞かせいただければと思います。
扇国務大臣 路線問題については、今伴野議員がおっしゃったように、それぞれの地域では、ないところはつくれ、そしてもうでき上がっているところは要らないと。
 よく、国民の六割がもう要らないと言っているじゃないか、こうおっしゃるんですけれども、それは、一万一千五百二十キロ、今約六割できていますから、でき上がっているところの人はもう要らないんじゃないか、むだじゃないか。これはアンケートですから、私も、どの程度の人たちにアンケートをなすったかわかりませんから、もう六割は要らないよと言っているよということと、でき上がっているところが六割だということがぴったりするんじゃないかな、これは推測です。
 けれども、私のところにいらっしゃる方は、二十世紀に挙げた均衡ある国土の発展、これを皆さんで目標にして二十世紀頑張ってまいりました。ところが、地方によっては、均衡ある国土の発展の恩恵に我々は浴していない、まだまだおくれているではないかという御意見もあることも伴野議員は御理解されていると思います。
 ですけれども、法的にきちんと、一万一千五百二十キロというものを国幹審できちんと決めたということ自体は皆さん御存じなんですね、これは国会でも承認していますから。ですから、そういう意味では、昭和六十二年、御存じのとおり全会一致で国土開発幹線自動車道建設法に位置づけられておりますので、みんなは一一五二〇というものを見た以上は、これはうちには来るとそのときに思っていらっしゃるわけですね、もう地図を全部発表してありますから。
 ですから、まだ来ないじゃないかという御意見があるのは、結婚するよするよ、うちはこれだけ財産があるんだと見せておいて、まだなかなか結婚してくれないというのと同じで、やはり見た以上はみんな希望が出てきますよ。地方によっては、これは通るはずだと思ってそこの都市計画もつくっているんです。工場誘致もしよう、工業団地もここへつくろうと、それはやはり地方自治体はお考えになって当然だと私は思います。
 それが現段階では、整備計画が策定されました九三四二、九千三百四十二キロというものが国民経済的に見てまだ整備が必要であるというふうに言われているところですけれども、少なくとも法律の手続を踏んで決定された以上は、みんな期待するのが当然なんで、私、それをいけないとか、それを無視すべきであるという考えは今持っておりません。
 これをやめるのであれば、もう一度国幹審にかけて、これは経済状況でということはあり得ると思いますけれども、現段階では、私は、それはまだ廃止していない、お見せした図案どおりのものは生きています。けれども、経済状況そして今後つくるものが採算性がとれないということがわかっているところを、改めて、今の経済状況の中でどれほど投資するゆとりがあるんだろうか、採算性のとれない部分はだれがどう返していくのかということを考えれば、今、もう一度とまって考えて、どういう方法が考えられるかということで直轄方式ということも出てきたわけです。
 基本的に、交通量が少ない、今後採算性がとれないということがわかっているところにどうしても欲しいとおっしゃるのであれば、先ほど申しましたような新たな、料金の割高感というものを皆さんに与えない程度で直轄方式で、その地方の皆さんの御理解も得ながら、どうしてもとおっしゃるところはやはり方法を考え、なおかつ、冒頭に申しましたコストダウンを考えながらやっていくべきだと私は思っておりますけれども、少なくとも、道路公団の民営化によって新規投資の一定の歯どめをかける、これは大事なことだと思います。
 ですから、民営化委員会でいただいたものに関しても、歯どめをかけるということとコスト意識の徹底、つくるときにはこれだけのコストがかかるんだということが今まで随分おざなりにされてきたというか、とにかくつくるということが先行してしまって、そういうことがお互いの認識の中になかったという点も、これは私たちの政治家として国民にアピールする弁が少なかったのかもわかりません。
 先ほども本四のことをおっしゃいましたけれども、本四だって、皆さんの通行料の中からあの航海する皆さん方に補償を交付金で払っているわけですね。そういうものも一般には余り知られていないということも私たちは考えながら、国と地方による直轄方式というものを新たに考えて、新たな直轄方式により整備されたものというのは、あるいはその区間は、借入金によらない、借金によらないというようなことも含めて国費と地方費によって整備、管理するという、それはもう基本的には無料になるというのは原則ですから、普通の国道並みということになりますから。その辺のところは、私は、地方の皆さんの御希望で、話し合いによって直轄方式の導入が図られるべきである、そういうふうに考えております。
伴野委員 我が家もそうなんですが、結婚する前と結婚した後というのは随分いろいろな環境が違っておりまして、私も、女房にいつもしかられるというか、そんなはずではなかったと言われるんですけれども、できるだけそれは常に話し合いで見直しをしていくと、何とかうちも十年もっておりますので、やはり話し合って見直しをどんどんかけていっていただきたい。いずれにしましても、不公平感のない、地域によって不公平感を感じさせない姿というのをぜひお願いしたいなと思うわけでございます。
 それと関連いたしまして、今回、これも一歩前進といえばそうなんですが、ただ、やはり時代を先取りしていただくんだったら、地方の意見を聞くというところでとめておかず、対等とまではいかないまでも、六、四ぐらいまではいってほしかったな。だから、四分の三と四分の一だからといいますと、またこれを結婚に例えますと、持参金の多い方の意見を聞けという話になっちゃうと、うちなんかも大変なことになっちゃうわけでございますけれども、やはり、これからの時代、地方と国がイーブンであっていいんじゃないかな。
 例えば、ある地域に関しましては、高速道路をつくっても通過されるだけだから、もっと街路、まちづくりに関連した道路づくりをさせてくれというところもあるんじゃないかと思うんですね。最終的に国の意見とその地域の意見が対立したときにどうするんだという仕組みはつくらなきゃいけないと思うんですが、やはり国が地方の、お上が下々の意見を聞くというようなニュアンスから、せっかく積極的な大臣ですから、もう少し踏み込んでいただけないか。
 あと、四分の三と四分の一というのは、まあ、えいやといえばえいやなのかもしれませんが、何かやはり根拠みたいなものが必要なんじゃないかなと思うんですが、そのあたり、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、整備計画の策定に当たっては地方の意見を聞くというのは、先ほど申しましたように、直轄にするにしても、これは一番大事な根本であることはもう言うに及ばずということで、私たちは、その地方の意見を尊重していこうという姿勢は変わりありません。
 ただ、国というものから考えたら、地方の御意見はごもっともだけれども、国際的な視野で見れば日本の国としてはこうしなければいけないということも、やはり国としては全体的なグローバルな考え方をしなきゃいけないということも、それは地方の皆さんにおわかりいただけると思うんですね。
 ですから、地方の皆さん方は、自分の地方からはこういう発信をするとおっしゃいますけれども、その発信したものを国が受けとめて、どうそれを国際社会の物流コスト、あるいは社会資本整備に乗っけていくか、この兼ね合いの問題だろうと私は思いますから、そういう意味では、地方の御意見を聞くということを今回は基本的にスタンスは持っていますけれども、国としては、それだけではなくて、加味しなきゃいけない、また、それを考えることが地方のプラスにもなる、その辺のところは、意見の交換で必ず克服できる。また、二十一世紀の初頭であるという考え方からも、今の国際情勢、そしてその地方の生きる行き方、それが国際の物流の波に乗らなければ、コストアップになってとても競争可能にならないということからも、意見の交換というもので、情勢を踏まえた、日本国の地方にふさわしい、だから私は個性ある地域の発展と言っておりますけれども、それが可能になる可能性は、お互いの話し合いだと思っています。
佐藤政府参考人 国と地方の費用負担割合の根拠はどういうことか、こういうお尋ねがございました。
 現在、一般の国道、直轄国道の新設とか改築の場合には、一般の地域、北海道と沖縄を除きまして、基本的には三分の二が国の負担、三分の一が地方の負担、こういうことになっているわけであります。
 大臣がただいま御答弁申し上げましたように、高速国道、こういうことになりますと、地域の利害、それから国全体の社会資本として国民経済的に広くあまねく効果を及ぼす、こういうような観点から申し上げますと、一般の国道よりはもう少し国の負担が逆に申し上げますと大きくてもいいかな、こういうことは納得していただけることかと思います。そういう意味で、三分の二よりも四分の三、こういう形にしたわけでございます。
 もう一つ申し上げますと、四分の三以上ということでございまして、特別地域、北海道十分の八・五、沖縄十分の九・五、こういう形にしておるわけでございますが、あと、それぞれの地域の地方の財政力によりまして、負担率のかさ上げというものもすることにしております。これは最高二四、五%のかさ上げ、こういうこともございまして、見かけ上四分の三の負担でございますが、これが最高は十分の八・五ぐらいまでは実は結果としてはいき得る、十分の九ぐらいまではいき得る、こういう形にもなってございますので、そうした配慮もしながら負担割合を定めさせていただいた、こういうことでございます。
伴野委員 改めて申し上げるまでもなく、先ほど大臣もお触れになりましたが、二十一世紀はまさに地域主権の、もう本当に地域が自分たちからの意思を積み上げていく時代になっていると思います。それをいかに国が吸い上げていただいて、意思疎通をしていただくか。多分、その方が絶対に国もやりやすいと思います。ぜひとも地域の意見を尊重していただいて、仕組みづくり、あるいは施行をしていただければ、そう思うわけでございます。
 続きまして、数字にこだわるわけではありませんが、今回、政府・与党申し合わせの三兆円という額が出てきているわけでございます。私も余り細かいことを申し上げるつもりもないんですが、多分、二なのか三なのか四なのかということで、三だというような、まずそういう数字を決めないとなかなか話が進まないというのもよく理解しています。ただ、一応三と決めたならば、その根拠はつくっておかないと、後々いろいろなところで問題が出てくるんじゃないかな、歯どめもきかなくなりますし。そういった意味で、この三兆円の根拠というのはどんなことをお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。
佐藤政府参考人 この新しい直轄方式の事業規模、おおむね目安として三兆円、こう申し上げておりますが、これについてのお尋ねでございます。
 直轄方式によります高速自動車国道整備全体の事業費につきましては、新しい会社が債務を確実に返済しながらどこまで建設することができるか、公団と新しい会社でですね、こういうことに依存してくるわけでございますが、まず手順を申し上げますと、整備計画の策定済みの区間、これの平成十五年度以降の残事業費、大体、延長で二千百キロ、事業費でおおむね二十兆円、こう見込まれておりました。建設コストの縮減、こういう形で約二割、いろいろな規格の見直しをしたりしながら努力する、こういうことでまいりますと、これが約十六兆円ぐらいで何とか建設できるんではないか、こう踏んだわけであります。
 一方で、道路関係四公団の民営化推進委員会の審議過程で、いろいろな推計を事務局の方でもやっていただいております。新しい交通需要フレーム、そういう意味では、中位推計と高位推計、真ん中の標準、低位、中位、高位、こういう形で、いろいろなフレームでやっていただいているわけでございますが、これでまいりますと、大体十三兆円から十五兆円の、低位推計で見積もりましても、外部流出がごくわずかであれば十三兆円ぐらいの投資というものは可能ではないか、こんな御議論をなさっていただいているところでございます。
 それからさらに、整備の効果、こういう面から申し上げると、いずれの路線、区間も、費用対便益、こういう面でいえば一・五以上、こういうことで整備計画を出させていただいているわけでございますが、しかしながら、料金収入で管理費が賄えない、こういう路線、区間などにつきましては、新しい会社が実際に整備や管理をするか、こういう面からいきますと、なかなか想定しづらいということがございます。新しい会社で整備、管理することが想定しづらい、こういうことがございますので、もろもろ総合して考えますと、現時点で、新しい直轄事業、こういうものの目安は約三兆円というふうに考えたわけでございます。
 もう一点、別の角度から申し上げますと、実際問題として、現在の道路整備事業の総枠の体力の中でどのぐらいの年間の投資が可能であろうか、こういう角度から申し上げますと、平成十五年度には国費一千億円、事業費で一千三百億円程度、こういうふうにお願い申し上げているわけでございますが、二年、三年たつ間に、ほかの一般道路の事業にそれほど厳しいしわ寄せを持っていかずに、平準化した事業費が大体二千億円ぐらいは何とか確保できるのではないか、こういう観点もございます。そうしますと、実質十五、六年ということを考えますと、三兆円ぐらいはそういう意味でスピードを落とさずに投資ができる、こういう面もあろうかということであります。
 したがいまして、三兆円という目安は、幾つかの観点から見て妥当なものではないかなということで提案させていただいているわけでございます。
 ただし、個別の路線や区間につきましては、これからいろいろな整備効果や交通量の見通しとか収支の見通し、こういうものを精査しながら、それこそ関係地方公共団体の意見もよくよく伺って、そして国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て決定する、こういうことになることになっております。
伴野委員 くれぐれも絵にかいたもちにならないように、公平、公正、厳正にお願いしたいと思うわけでございます。
 時間がどんどんなくなってきましたが、あと二つだけは何とか質問させていただければと思うわけでございます。
 一つは、先般参考人で来ていただいた森地先生の御意見もありましたように、やはり道路整備にもうそろそろ時間管理概念を導入して、ある程度、A地点とB地点、重点的に金を投資して開通させた方が、トータルでそちらの方が地域益が増すというような判断をされた場合には重点投資をするという大きな決断をしていただくような時間管理概念を導入していただく。
 さらに、もう一つお聞きしたいのは、今回、建設のお話が非常に前に出てきているんですが、とりわけ高度成長期時代につくった道路、高速道路、技術もその当時のものでございますし、あえて言えば非常に化粧に化粧、化粧を重ねているところもあります。ですから、やはりはっきり言って新設より維持の方が難しいのですね、技術的には。そのあたりのところを今後どうお金に換算して、新会社にそれは全部ぶち込めばいいのだという粗っぽい考え方もあるかもしれませんが、任せておいたらどこかとどこかの区間が一週間とまっちゃったというようなことになれば、これは非常に日本の経済効果はどんと落ちてしまうわけでございまして、このあたり、時間管理の概念とメンテナンスに関してはどういうふうにお考えか。
中馬副大臣 工事しているのに道路がなかなか進まないとか、これはいろいろの理由があります。遺跡が出てきたとか、あるいはまたなかなか用地買収が進まない等もありますが、しかし、スピードはおっしゃるとおり経済そのものでございますので、道路事業におきましても、事業の効率性や時間管理の徹底及びその実施過程における透明性の一層の向上を図るために、事業採択時から五年を経過して未着工の事業、また十年を経過して継続中の事業についての評価を行いまして、必要に応じてその都度見直しを行うほか、事業の継続が適当と認められない場合には事業を中止するという再評価制度を平成十年度から導入いたしております。
 また、平成十四年度から、直轄国道事業の実施に当たりまして、むだなくスピーディーに道路サービスを提供するために、供用目標など五年後の姿を提示した上で、毎年進捗状況を確認することによりまして、事業の進捗管理を徹底する、五年で見える道づくり、こういうキャッチフレーズをつくりまして、着手しているところであります。その際、整備効果の早期発現や整備コストの縮減とともに地域になじむ道づくりを進めるため、地域の特性に合ったルート、道路構造の採用にも努力しているところであります。
 それから、この三月に策定いたしましたが、国土交通省の公共事業コスト構造改革プログラム、これにおきましても、スピードということを非常に重視いたしまして、時間管理を徹底し、効果的かつ効率的な道路事業を実施するように努めてまいるところであります。
 また、既存道路の維持、設備更新についての御質問でございますが、これまで着実な道路整備を進めてきた結果、道路のストックが大変ふえてきております。これに要する費用も大変でございますが、危機管理のことも含めまして、構造物のメンテナンスは非常に大事だと思っています。
 このような状況におきまして、道路ストックの機能を維持するために、既存道路を適切に維持管理、更新していくことが今後一層重要になる、このように認識しておりまして、このため、既存道路の構造物につきまして点検、評価手法の充実を図りまして、予防的に補修するアセットマネジメントの考え方を導入するとともに、新設道路の構造物についてメンテナンスフリー、なるべく補修がかからない、その経費が少なくなるような技術開発を行うなどの取り組みを行って、計画的にこれを進めているところでございます。
伴野委員 ぜひ時間管理の概念それからメンテナンス、お忘れなきようよろしくお願いいたします。
 最後に、時間もなくなってまいりましたが、きょう冒頭に少し桜のお話をしましたが、きのうたまたま車で千鳥ケ淵をずっと通っておりましたが、その景色のすばらしさと戦火に倒れられた先輩方の思いを感じたわけでございますけれども、平和にそういう桜をめでる今の日本の状況と今イラクの状況をかんがみますと、やはり平和のすばらしさといいますか、ありがたいと思うわけでございます。
 しかし、ただ単に、どなたも戦争は反対だと思います、戦争なんてない方がいいに決まっています。ただ、声高に戦争反対と言っていればすべてが解決するか、これも違うのであろうと思うんですね。
 例えば、国内の輸送、それから空港から空港までの輸送、私は、今、日本は非常に危険にさらされているのではないかと思います。日本だけではなく、例えば密閉した空間の移動ということからすれば、交通における安全の保障というのは、私は、政府が経済原理を超えたものに関してはやはり持つべきじゃないかなと思うわけでございます。
 例えば、今回といいますか前回のアメリカのテロ以降、日本のいわゆる警備も非常に大きくなってまいりました。それから、税関を通る、あるいは入り口のところなんかも非常にいろいろな物々しい機械がたくさんあって、この設備まで全部民間会社が持ったらこれは大変なものだな、それで完璧にやれといっても、これも酷だなというようなことも思ったりいたします。
 もう時間がありませんので、ぜひともこういった状況下において、やはり私は、積極的に国民あるいは外から来たお客様を守るんだという決意を大臣にしていただければ、そんなふうに思うわけでございます。
扇国務大臣 今、伴野議員がおっしゃいましたように、桜をめでる心も必要ですけれども、めでられる状況というものがもっとありがたいと思わなきゃいけない。本当におっしゃるとおりで、幸せだな、平和だなと思えることというのがこんなに大事であるというのは、毎日のテレビの映像を見るたびにそう感じざるを得ない状況ですけれども、他方、では、すべて日本は安全なのか。これは、残念ながら、まだクエスチョンマークをつけなければいけない、日本の安全は本当に一〇〇%と言い切れない。
 なれば、国土交通省として、今の現状の中でどのような対策がとれるかということが私は一番大事だと思いまして、これは、今回は特に、三月の二十日でございますけれども、国土交通省内に国土交通省イラク問題対策本部というものを設置いたしまして、緊急に第一回会合を開き、それぞれのところででき得る限りの対策を練ろうということで、ペルシャ湾岸の日本の関係の船舶、これがどの程度あるのかということの動静の把握、そしてまた、航行の警戒即時伝達をその船にどうするのか、乗組員が何名いるのかということを早急に調査しました。
 また、イラクの周辺国における旅行者の安全、これを確保しなければいけないというので、近隣にどの程度日本人の旅行者がいるかということもすぐ把握してほしいということも申しました。
 また、空港と新幹線の交通機関のテロへの警戒、そして、港湾、道路、ダム、あらゆるところで我々は厳戒態勢をしなければいけない。また、海上保安庁といたしましては、御存じのとおり、原子力発電所は大体海岸にございます。そして、米軍の基地が日本にありますので、そういうところに対するテロ対策というものを、海上保安庁のできる限りの警戒態勢をとるということ等々、以上の三点を中心に、これから国民の安全を確保できるようにということで、この第一回の会合で指令をいたしました。
 今把握し得る数については、またお尋ねがあろうと思いますので、それぞれの通航している船舶、乗員等々は全部今把握しているというのが現状でございます。
伴野委員 本当に、まさに国民の命を守るのが国の最大の責務だと思いますので、積極的によろしくお願いしたいと思います。
 残りの時間は、同僚の津川議員にバトンタッチしたいと思います。本日はありがとうございました。
河合委員長 津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 先日本会議で質問させていただいたことを、もう一度ちょっと確認で質問をさせていただきます。
 まず、民営化推進委員会から最終意見が出された後、基本的に尊重する、与党とも協議をするというような閣議決定がなされましたが、政府として、今、結局、高速道路をどうするのか、つくるのかつくらないのか、民営化推進委員会の言ったとおりになるのかならないのか、はっきりよくわからない段階です。
 恐らく、各委員の先生方も地元に帰られて、結局ここの道路はつくるのかつくらないのか、どっちなんだというような話が出てきても、なかなかはっきりと答えられない。恐らく、ここは必要だからつくるんじゃないかというような反応はできるかもしれませんが、政府としてはまだ確たるものはない。その中で、委員会の意見というものが結局どういう位置づけなのかがよくわかりません。
 そこで、意見を尊重するという決定、これは最初からあったんだという話ですが、最終意見が出たときから政府としてはこう思っていたんだという話がありましたが、その後、政府・与党間で申し合わせというのをやっております。その段階で、もう既に意見の中身と若干違うものが申し合わせとして出てきて、その後で、正式には閣議決定で基本的に尊重するという話になっておりますが、この間、政府として意見を、政府としての方針をどのように協議したのか。あるいは、この政府と与党との間の申し合わせというのがどういう位置づけになるのか。その辺をお答えいただければと思います。
扇国務大臣 津川議員から本会議でも御質問がございましたので、重ねて、ダブるところもございますけれども、再度答弁をさせていただきたいと思います。
 この民営化委員会の答申というもの、意見書ですけれども、これが出されまして、十日の閣議、これは御存じのとおり、今津川議員がおっしゃいましたけれども、総理から、この意見書を根本的に尊重するという方針のもとに、必要に応じて与党とも協議しながら改革の具体的な、責任を持って取り組みなさいという御下命を言われたわけです。
 それで、私は、十二日の政府・与党協議会において申し合わせをし、十七日の閣議決定を行っておりますけれども、いずれも民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針は一貫して、これは変更しておりません。
 ただ、即できるものと、あるいは時間をかけて整理しなきゃいけないものとに私は分けさせていただきました。短期、中期、長期。一番最後の長期は、来年の通常国会に法案として出すというのが長期でございます。短期というものは何か。それは、すぐできるものという中に、いわゆる子会社、関連会社、その数を整理統合しなさい、しかも民間人を登用しなさいというふうに書いてございます。
 そういうものは即できる。けれども、時間をかけなきゃいけないものもあるというので、国土交通省と与党とで、短期、中期、長期という分け方で、意見書の実現方のスピードアップが図れるもの、あるいはスピードが少しスローだけれども、もっと精査しなければいけないものというふうに分けさせていただいて、その方針で、意見を尊重しながら、今すぐできること、また、本四のように、先ほど少し意見がありましたけれども、料金二分の一にしろと言われて、二分の一にして、では、赤字になった場合はだれが今度その二分の一を負担するんだというと、また論議になります。また一から出直し。そういうことも、すぐ二分の一にはできないということも、それは一部、料金を二割削減という、実行しています、本四。けれども、二割削減したときに、交通量は一割しかふえなかったんです。結局、二割下げた一割分は、また負担になったんですね。
 そういうことも経験をしておりますので、意見書の中で、即できるものと少し手を加えなけりゃいけないもの、先ほども私は伴野議員に少し言いました、財務諸表等々も、これは出てこなければ議論になりません。そういうことも、短期、中期、長期という分け方で、与党とも連絡しながら、私たちはより多くの意見書の実現方に向けて今苦労しているというのが現実でございます。
津川委員 政府の方針が変わったとか一貫しているかどうかということを伺っているんじゃなくて、民営化推進委員会の最終意見の中で、短期、中期、長期を分けたというような分類もされたのかもしれませんが、そういうことと今回出された法案、二つの話をいたしますと、そういう話とはまた別に、民営化推進委員会の出したものとは違う決定がなされているのではないかという話です。
 例えば、料金を半額にするべきではないかというところが、一割、二割の値引きである。それから、国及び地方の出資金の延長も、意見では十五年になっておりますが、今回の案では十年という形になります。それから、管理費の縮減に関しましても、三割縮減するべきだという意見に対して、二割だ。これも、現実、三割ぐらい減らすべきだという目標に対して、現場の方々が細かく計算したら、とりあえずは二割ぐらいしかなかなか圧縮できないという結論なのかもしれませんが。つまり、意見が出されてから、実際に検討をして、これは半額はできないんだ、あるいは、十五年はだめで、十年しかできないんだという議論を、これはいつの段階でしたのか。
扇国務大臣 地方の負担は、十の府県、市町村が負担していただいています。そこへ全部、意見書を出しまして、そしてこれに対しての御返答もいただきました。これは、全部、地方の自治体の御意見をいただいております。
 その意見で、皆さん方は、本来は十年延長も嫌だ、今後は出したくないと。これは、おっしゃるとおり。けれども、それでは困る。そして、十五年と書いてあるけれども、皆さん方、相手のあることですから、先ほど申しましたように、まあ十年は少なくとも我慢してください。これも、府県、市町村にお願いをして、十年というものは、それは予定どおり、相手があるんですから、全部、検討委員会でこう言っていますから、あなたたち、しなさい、こんなことは言えません。御意見を聞いて、やっと十年、皆さんに御了解をいただいたというのが十年でございます。
 それから、今、料金を二分の一と書いてあるじゃないか、何で半額にしないんだとおっしゃいますけれども、できるんだったら、私、ただにしたいです、半額と言わないで。けれども、そうできないというのは、皆さん御存じだと思いますし、本四をつくって、今の本四の総工費二兆八千七百億円、これだけかけてつくった技術というものは、これは確かですし、この本四をつくるには、三回、国会で全会一致でオーケーを出しています。国会の承認を得て、三度もこれは国会で全会一致でされています。
 それと、皆さん余り御存じないんですけれども、この橋をかけるについて、今までそこにお客様の連絡船が、旅客船が走っていました。その人たちは、橋ができたおかげで、民間の企業ですけれども、旅客船がこれは減るからといって、その対策費を出さなきゃいけなかったんですね。これも御存じのとおりです。
 では、どれぐらい出したか。これは、二〇〇一年までで、少なくとも、交通料の中からその旅客船の皆さん方に出したお金というのは、七百四十四億円払っているんですよ。それも一般の皆さんは御存じないんですよね、通ってしまえば。けれども、二〇〇一年まで七百四十四億円というものを、今まで通っていた連絡船の旅客の会社に交付金として払ってきた。それは、交通料金から、上がりの中から払っているんですよ。
 そういうことも、私は、苦しくなっている、また、橋をかけた、皆さん方に、民間だからほうっておけばいいということじゃなくて、それだけ手厚く皆さん方の御意見を聞きながらやったということで、この七百四十四億円だって、なければないにこしたことはことはない、私はそう思いますよ。
 けれども、交通料の、取った料金から払っているということが、橋ができてしまったらほとんど皆さん方に覚えられていないということも私は残念だと思いますし、今、津川議員がおっしゃった、意見書の中で二分の一と書いてあるのは、本当は私、ただにしたいと思っています、基本的には。けれども、万やむなく、今そういう事情であるというのは、先ほども伴野議員に申し上げた数字のとおりでございますので、私は、すべて意見書どおり、一〇〇%できるとは、今は無理である、時期を見なければということでございます。
津川委員 一〇〇%できないというのは、当然、決断としてはあり得ると思うんですが、無料にしろという話が書いてあるわけじゃなくて、半額にしろと書いてあるんです。だから、無料にはできないという話をいきなりされても、七百何億円の話ではなくて、半額にするべきではないかということが書いてある、それはこうすればできるのではないかということが書いてある。
 それが、では、意見書が出た後で、政府・与党申し合わせの十二月十二日の五日間の間に、地方の方々の御意見も聞いて、これはできないという決断をされたということでよろしいですか。
扇国務大臣 それで結構です。
 それと、もう一つ申し上げますことは、結論が出てから動いたのではなくて、民営化推進委員会はすべてオープンになっていましたので、その時々の御意見が出たことを、これはこうできるな、これはこうできないなということを、国土交通省では、最終答申まで全部手を広げて何もしなかったのではありません。全部、そのたびにオープンになっていましたから、オープンになるたびに、ああ、この問題は、きょうは出たけれども、これは対応できるな、これは地方の皆さんには耳に入れなきゃいけないなということで、その都度、会が開かれるたびのあれはすべてオープンになり、なおかつインターネットに載せて、地方の皆さんにも御理解をいただいたというのが現状でございますから、全部の答申が出終わるまで動かなかったのではないということは御認識賜りたいと思います。
津川委員 わかりました。確かにオープンでされていましたから、その都度、マスコミにも報道されていましたし、地方の方々の反応というのもありましたから、事前にいろいろと事情はお話しの上で、最終意見が出た後で、最終的な政府と与党間の申し合わせがなされたというふうに認識をさせていただきます。
 ちょっと確認をさせていただきたいことが一つあるんですが、大臣が、今、本州四国連絡橋公団に関しては、全会一致で、国会で三回も決議があったと。私、ちょっと調べたんですが、よくわからなかったんですが、この三回の内容と時期、何年のいつの決議であるのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。
佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたが、本四公団法、昭和四十五年にでき上がりましたときに、既に全会一致で御了解いただいた。それから、新全総の中でも、これは閣議決定でございますが、閣議で御了解いただいている、こういうことでございます。
 個別には、きちっと日付を調べて、また御報告いたしたいと思います。
扇国務大臣 これは、昭和四十四年に策定されました新全国総合開発計画において本四、三ルートの整備が位置づけられて、それを前提として、昭和四十五年、本四公団法が衆参両院とも全会一致で可決されたというのが、今、ここの資料の一つにございます。
 それから、三本の橋の事業については、料金認可の各段階で、その時々の経済情勢を踏まえて、これまで、六回、交通需要の予測を見直して採算性の検討を行い、必要に応じて、公的助成の拡充等採算性を確保するための取り組みを行うなどの措置により、採算性は確保できるというところで、ほかのことでもいろいろ、余りにもたくさんあるので、ちょっと、私の手元では、今、四十八年のオイルショック以来ということも書いてございますけれども、数字的には、今局長が言いましたように、四十五年がまず基本だと思います。
津川委員 何でそれを聞いたかといいますと、三回全会一致だという話で、その中身をちょっと確認したかったものですから、また後日で結構ですし、あるいは別の委員の方が質問されるのであれば、そのときお答えいただければ結構なんですが、なぜそれを伺ったかといいますと、その中身がどこまで踏み込んでいたことかということです。
 それからもう一つは、今回、一兆円を超すお金を、税金を投入することで借金を返そうとするということは、これまでの長い計画から考えますと、全く違うスキームです。それに関しては、やはり、十分な説明責任が果たされなければならないと思うんです。
 それからもう一つは、実は、この問題、私もいろいろと勉強してくる中では、これまでどういう経緯であったかということよりも、これからどうすることかということが問題だというふうに思っております。
 ですから、民主党の中の改革で、実は私は本州四国の担当でしたから、その中で、いろいろと議論する中で、いや、本州四国連絡橋公団だけは、これはもうどうしようもない、ほか、道路公団とか首都公、阪公は、これは何とかなるかもしれない、いろいろなスキームが考えられるけれども、本四に関してはこれはちょっと別のスキームに組んでいかなきゃいけないな、つまり、税金の投入も相当考えなければならないなというのが私の印象でした。
 その中で、では、それをする以上は、これまでとは全く違うものにしなきゃいけない、これまでと同じような問題点を含んだような改革をしては私はいけないと思っています。それがこれからの問題です。
 それについてはまた後でお話をしますが、責任はだれにあるかという話を皆さん避けて通られますが、やはりするべきだと思うんですね。全会一致だから、国会議員全員だという意見もあるかもしれません。当時民主党がなかったから、民主党は関係ないとは申しません。それは、国会議員全員ということは、当然あるんだと思います。あるいは、その中で、反対をしたとしても、やはり政治家の責任というのは当然問われると思いますが。
 責任ある人間に責任をとれということを言うのではなくて、これと同じ轍を踏まないようにしなければならないという意味で、なぜこういうことが起こってしまったのかということをやはりしっかりとチェックする必要があると思っております。
 それで、例えば、私がおととし、二〇〇一年の十一月にやはりこの委員会で質問をさせていただきました。そのとき、佐藤副大臣でありますが、本州四国に関しては、平成十二年度の財務状況は大変厳しい、そのため、平成十三年度政府予算において、これまでの出資金八百億円に加えて、新たに無利子貸し付け八百億円を措置した、これにより有利子債務が減少して償還が可能になるとの見通しを得ているということを二〇〇一年に副大臣がおっしゃっていたんです。
 それが今急に、やはり一兆円を入れなければならなくなるんだということであれば、これまで言ってきたことは何なのかということになると思います。逆に言いますと、これから言っていることも本当に信用していいのかどうかということになると思います。
 この件について、私がさらに質問をする中で、行政改革推進事務局の西村局長が、確かに本四に関してはそういう厳しい状況であって、そして、各法人の見直しの中で、本州四国連絡橋公団については、極めて長い償還計画を置くことは不安定である、だから償還計画を抜本的に見直すべきではないかという指摘を行っているという話なんです。
 つまり、このときの話としては、今の政府のやり方でも何とかなるけれども、しかし、余り長い計画というのは将来のいろいろな社会的な変動というものが不安定要素になるから、これを前倒しでやらなければならないのではないかというのが一昨年の段階での政府の意見だったと思います。
 それで、今、前倒しをするために一兆三千四百億円を投入するという考えであるということでよろしいですか。
扇国務大臣 いろいろ津川議員がおっしゃいましたので、責任問題等々、そして予測が違ったもの、どのくらい違ったかは先ほどもお話が出ました。何年には幾らの交通量の予測をしたというのは、この委員会でも既に出ていますから、再度私から今申し上げません、長くなりますので。
 ただ、私は、少なくとも、この職についてから、一昨年の十二月、これを何とかしなきゃいけないというので、四公団の問題の話が出ましたときに、民間の皆さん方にこの委員会をつくっていただきまして、諸井さんという方に座長をお願いして、延々と勉強会をいたしました。それが一昨年でございます。
 一昨年の十二月にその答えを出して、そのときには、三公団は統合できるけれども、本四だけは別にしなければ、これはもうでき上がっちゃっているんですから、本四は。あとの公団は、まだつくらなきゃいけなかったり、別途交通量の数が多かったりしますけれども、本四だけは別途これは何らかの手だてをしなきゃいけないといって、それを総理にお渡ししたのが一昨年の十二月でございました、諸井委員会の答申。
 そのときに、総理からは、大変いいものをもらった、これが民営化推進委員会で検討材料になるなと言って、その諸井委員会の結論を取り上げてくだすって、民営化委員会にお渡しになったかどうかは存じませんけれども、一昨年の十二月に既に国土交通省としては、本四だけは別途考えなければならないということは、今津川議員がおっしゃったことと私はかなり同じことなんだろうと思います。
 けれども、民営化委員会というものができて、七人の侍で御論議いただいたら、やはり本四は別にしなきゃできないよと。四公団民営化という、民営化に向けては、本四の荷物を早く処理しなければ、民営化なんてだれも引き受け手がないです、民間なんというのは採算性がとれないものを受けるわけがない。だったら、やはり本四のことは早く処理しなさいと。
 今ここで民営化委員会の意見書を読んでも時間があれですけれども、私、二つだけ言いますと、本四公団の債務の一部を切り離した上で処理を進めるべきこと、また二つ目には、高速道路については、国と地方の負担による新たな方式を導入すること。これは答申でも本四は別に処理しなさいよと書いてあるから、では、どうするか、どこからお金を持ってくるかということで、道路特定財源も視野に入れて、これも道路のことなんだから御了解いただこうという、いろいろ知恵を出して。
 今まで三本つくってしまったことが政治的な責任であることは、おっしゃるとおりです。私も言っています。けれども、でき上がったものをいかに大事に使って、そして、よりこの周辺の経済効果を上げていくかということで私たちは頭をひねり、また国民の皆さんの御理解をいただくために、こうして法案にして皆さんの議論に供するということになっているわけでございまして、私は、本四だけは万やむを得ないなという思いに駆られていますし、先ほど申しましたように、本来は無料でできれば一番の理想だけれども、そこのところは二分の一というのも、地方自治体がこれ以上の負担はできないともおっしゃったので、今回こういう苦しい選択の中で、本四の生きる道を二十一世紀に考えようという、その生かす策だということを御理解いただきたいと思います。
津川委員 時間がたっぷりあるものですから、議論があっちこっち行ってしまいがちなんですが、少しもとに戻します。
 その前に一点だけ言うと、私は無料にするのがベストだとは思いません。関門トンネルは有料ですし、トンネルですとか特殊な橋に関しては、通行、利用される方々に通行料を一部負担していただくというのは当然あっていい考え方だと私は思いますから、それはいいと思いますが、ただ、建設費なり、あるいはそれにかかった資金コストまですべて御負担いただくというのはいかがなものかということと、少なくともそれでは賄い切れないという現実があるわけですから、それではない別のスキームが必要である。
 民営化推進委員会も、債務を一部切り離すべきだと、これは全くそのとおり言っています。言っていますが、幾らにするべきだとは言っていないんです。それよりも、通行料金をこのぐらいにするべきだ、それから、政府と地方の負担はこのぐらいにするべきだということだけ言っているんです。ですから、むしろそちら側を優先するならば、政府が今切り離してとらなければならない債務がもっと大きくなるという結論になるんです。ですから、それができないということを説明していただく必要があると思います。
 そこで、今ちょっと責任問題についてもう一回触れます。事実かどうかは別として、一般的に言われることは、やはりこれは本州四国の間に三つの橋をかけてしまったことがかけ過ぎであったのではないか。それがなぜそうなったかという経緯を見ると、地域に有力な政治家がいて、なかなか調整がつかなくて、結果的に三つともになってしまったんだというような話がございます。
 その最初の段階のスキームから直轄でやるというような話であれば、借金が借金を生むというような形にはならなかったかもしれませんが、そうであるにもかかわらず、つまり、必要性の議論がなされる中では三本はつくり過ぎかもしれないと言われる議論がいろいろある中で、なおかつ一本に絞れなくて三本ともになってしまった。その中で、需要の議論というものを、逆にそれに後づけするような形のものをやってしまったから、当然のごとく外れてしまったという形ではないかということが言われております。
 それで、経緯を私の方で確認した分だけでもお話ししますが、例えば、個人名をお出しするのがいいかどうかわかりませんが、明石―鳴門ルートに関しては三木元首相がいらっしゃったとか、あるいは原健三郎元衆議院議長がいらっしゃったとか、あるいは坂出ルートに関しては大平元総理がいらっしゃったとか、あるいは江田三郎元社会党書記長がいらっしゃったとか、お名前だけ聞けば、確かにそうそうたるメンバーです。それだけ聞くと、これはすごい方々がいらっしゃるんだなというのはわかりますが、そういうすばらしい政治家の方々がいるとむだな公共事業ができてしまうというのでは、これはまた先輩に対して大変失礼な話でありまして、当然、全国を見て、ここは必要だから必要だと言っているはずなのに、いや、あの先生がいたからこれができたんだ、よかったよかったと思ったけれどもむだだったなんて話になると、これはやはり論理的な話ではない。
 そこで、三本にルートが絞られた。最初は五本あったそうでありますが、そこから三本に絞るところまではできた。その中で、私は、いろいろ調べた中では、そこから一本に絞ろうとしていた経緯を読み取っております。
 ところが、六九年の二月に、保利建設大臣が予算委員会で二ルートぐらい必要であるとおっしゃった、それが初めて政府として複数架橋の意向を示したことになるというような記述がございます。つまり、それまでは一本に絞ろうとしていたけれども絞り切れなかった。絞り切れなかったけれども、二本ぐらいは必要かなという建設大臣の当時のお話。それで、三ルートをそのまま残した新全総という形につながっていった。
 その後も、例えば七三年のオイルショックのときに一回凍結をされた。これはすべて凍結でありますが、その後で、低成長に入って、三ルート建設という計画自体の見直しという議論が高まってきた。その中で、しかし、一つはやはり必要であろうというところから、七五年、関係三大臣による三者会談の合意で、当面一ルートの早期完成を図る。これは三全総で決める。他の二ルートは別の議論で決めていく。他の二ルートはやらないとは言わないけれども、まず一ルートをやりましょうという話です。その中で、三全総では、いわゆる坂出ルートというところが当面の一ルートとして決定をされた。
 その当時、金丸国土庁長官が建設委員会で発言をされたのは、三本かけてもいいという希望はあるだろう、希望までつぶす必要はない、しかし、我々の時代の十年、十五年には到底考えられないという答弁を金丸国土庁長官がおっしゃっています。
 つまり、このときの議論からしても、需要に対して、つまり通行料金で建設費を賄うというやり方を前提にするならば、三本ともかけるというのは非常に困難だというのは、これは政府側の考え方として私は見てとれます。それがなし崩し的に四橋目が着工されてしまう。
 その後で、八三年の臨時行政調査会で、本州四国連絡橋は一ルート四橋に限定するという決定をしています。これが八三年です。その後、これは新聞の報道でありますが、建設推進派の反撃が非常にすさまじかった。それで二年後、八五年に凍結が解除されて、全ルート建設という形に進んでおります。
 ですから、私は、最初の段階では三本とも必要だという需要予測が出て三本つくろうと思ったけれども、時代が変わったから三本つくったらつくり過ぎだったという話ではなくて、最初の段階から、三本はちょっと幾ら何でもつくり過ぎじゃないか、少なくとも一本ずつ始めていこうというような結論が、かつて、もう建設が始まる前に出ていたにもかかわらず、それが何らかの理由で突破されてしまった、それが今につながっているという流れで読み取りますと、だれがそこを突破したのかというのはやはり非常に重要な問題なんです。
 その結果、予定どおり償還されたというのならいいんですが、結果が一兆三千四百億円の国民負担ということにつながるのであるならば、これはやはり無視して通れない。一時的に、最初一本に絞ろうとしたのが三本になったというところもそうですが、その後もとめるところは何カ所もあった。一度とめるべきだということも、これは政府側から何度も出てきているんです。それがとめ切れなかった。
 そこでお伺いをいたしますけれども、最初から三本かけたら採算がとれないということはわかっていたんじゃないですか。いかがですか。
扇国務大臣 本四の橋の歴史、今いろいろとおっしゃいました。私の手元にも本四架橋の三ルート建設までの経緯というものもございます。
 けれども、私は、それぞれの経緯を経ておりますけれども、今おっしゃった中で一つ抜けている部分があるのは、昭和四十五年に本四公団法ができているんですね。本州四国公団法ができたときに、いろいろ今経緯をおっしゃいましたから改めては言いませんけれども、本四の公団法が四十五年の四月、衆議院で全会一致、また衆議院の本会議、それから参議院では五月になって、一カ月おくれでしたけれども、これも全会一致、委員会も全会一致ということで、本四の公団がつくられたときから、今の経緯を見ておりましても、少なくとも議論が始まっております。
 それから、さかのぼって三十四年には、今おっしゃったようにAルート、Cルート、Dルート、Eルートと四つあったわけですけれども、これが、今おっしゃいましたように、三ルートの建設明示というのが昭和四十四年に行われております。そして、四十五年というお話も今なさいました。そして、オイルショックがあったので、昭和四十八年には着工を延期しております。
 ところが、二年後の五十年に、今おっしゃったように、関係大臣でこれを協議して、そして当面の整備方針を決定しております。これが、オイルショックの二年後の昭和五十年です。そういう意味では、当時は、当面一ルート、他の二ルートは当面着工すべき橋は関係省庁間で協議の上決定と、わざわざそのときに、昭和五十年に言っているわけですね、一九七五年ですけれども。
 そのように第一ルートのみが早期完成ということが決まって、あとは、当面はということが書いてありますけれども、着工すべき橋は関係省庁間、それがされて、再び、同じ年の八月なんですけれども、関係省庁の協議によって三橋というものが、大三島橋、大鳴門橋、因島大橋、これが決定されちゃっているんですね。
 私が国会議員になったのはその後ですけれども、この五十年の三橋が決まった後に、私、五十二年に当選して、これはおかしいんじゃないかと言った記憶がありますけれども、私が当選して、おかしいんじゃないですかと言ったときには、既に二年前に三橋が決定しているというのが経緯でございますから、だれの責任だといえば、私は、三橋とも必要だと言った、その当時の交通量、これも言っていると時間が長くなりますのでやめますけれども、もう御存じだろうと思います。交通量はこれだけあると予測したものが外れたということも大きな間違いで、それじゃ外れたときに途中で中止すればよかったかというと、そうでもないので、私は、できてしまったことに関しては、今は日本の財産であるということも言えるということであれば、大きな勉強もさせていただいたし、国の財産としても残っている。借金は残っているけれども、大きな財産になっているということも一方で言える、世界じゅうで褒められるんですから。そういう意味でも、果たしてこの借金が高いか安いかということはまた違った面からも見えると思います。
津川委員 ですから、最初から三本にするということではなくて、一本を優先して二本は別にしようと言った段階で、それは採算というやり方ではなかなか難しいんじゃないかという認識が当時の政府にもあったのではないですかという話です。
 ですから、そうであって、なおかつ、つくるべきだという関係者の議論があったんなら、それに合わせた需要予測をくっつけるんじゃなくて、そうであるならば、このスキームではなくやるとか、例えば、西側のルートなんかは一般道路としての、生活道路としての役割も大きいわけですから、あれは今のような有料道路方式ではなくやるということも十分に考えられたと私は思います。
 それから、本四公団法に関しては、本州―四国の間に橋をかけてはいけないというのではなくて、橋をかける必要はあるであろう。しかし、一本であるか三本であるかというのは、これは公団をつくるかつくらないかというような話とちょっと別な話でありまして、これは、公団法に賛成したから、三本に全員賛成したんだということではないと思います。
 それで、当時の政治家のいわゆる大物議員という方々がいろいろな判断なり主張をされたと思います。それから、大臣今もおっしゃったとおりで、今あるものを、だからむだなんだとか、だからこれはつくるべきではなかったということを今さら言ってもしようがないので、これは今後の問題としては、もちろん大いに活用していかなければならないと思います。それは全く同感でありますが、しかし、建設されてきた経緯を見ると、やはり国会議員、政治家が少なからずかかわってきたかかわり方が問題があったのではないかと言われても仕方がないと思います。
 今のお話では、そういった需要予測が間違っていたのが責任だというと、需要予測が悪くて、つくるという決定をした人間は悪くないというような話になってしまいますが、私はそうではないと思います。この決定をする段階で、そのとき大変厳しい状況が指摘をされていたにもかかわらず、それに耳をかさずに、こういうやり方に突入をして、最後のしりぬぐいは何十年か後の国民にやってもらうというのは、やはり大きな間違いだ。私は、それを排除するためには、やはりこういった公共事業に関して国会議員がかかわるというやり方が実は根本的に問題があるんじゃないかと思っています。
 例えば、今回、民営化推進委員会というものを政府がつくられました。つまり、その心は、本来であれば政治家がこの場で議論する、あるいは国幹審で議論するものでありましょうが、そうではなくて改めて別の方々にやっていただいたというのは、政治家がかかわると、どうしても、利益誘導じゃないかと言われたり、あるいはそれをしなかったとしてもそういう目で見られてしまうところもあるから、それとは全く独立の方で、そして経営のセンスが特別にある方々にやっていただこうということだと思います。我々が考えたやり方とはちょっと違ったものですから、必ずしもすべて評価できるわけではありませんが、そういう第三者委員会が必要だというのは、私どもも考え方としては同じでありました。
 つまり、政治家がかかわることで政治的な判断というものは本来できるはずでありますが、結果的に責任すらわからないままでは、何か政治家の責任がどこかにいって、ただただつくったということだけが残ってしまう。これでは歯どめには結局ならないし、非常に、ある意味でいい例といいましょうか悪い例といいましょうか、本州四国連絡橋が三つできてしまったということの一つの反省からすれば、この間私どもが御提案申し上げた公共事業基本法のように、基本的には公共事業というのは地域の皆さんにお願いをする、権限も財源もお渡しをする中でやっていただく。その中で、例えば、今のような有料道路方式でやってうまくいかなかった、その責任が国民に返ってくるということはあり得ない、その地域の方々がやるしかない、そういうようなスキームのつくり方というものが、まず私は今後としては必要なんではないかなと思います。
 それではちょっと先に進みますが、民営化推進委員会が出している処理の方法の中で、債務免除をするわけですね、ある意味で。本州四国連絡橋公団の債務の免除をする。それに対して、ただただ借金は棒引きにしていいよということではなくて、モラルハザードを発生させないように、ある程度別の措置というものがセットになっているはずであります。その措置の中身について御説明いただけますでしょうか。
扇国務大臣 大変大事なことで、ただただ借金ができたものを、国民の税金を使ったり、あるいは道路を利用する利益者負担と言われている道路特定財源で穴埋めすればいいということではありません。
 そういう意味では、きょうは総裁が来ていますから総裁から言っていただいた方がいいかもわかりませんけれども、本四自体がいかに縮減をしていくか、経営の見直しをしていくか、私はそれが大変大事だと思っておりまして、今回は、少なくとも、経営者の、民間の人を入れる、そしてコスト縮減を図る、そしてスリム化を図る、そういうことも本四としてできる限りのことを出してほしいというふうに言っております。
 また、給与についても今総裁から言ってもらった方がいいと思いますけれども、それぞれの役員給与というものも削減していくということ。
 ただ、一つ、私は、これ、かばうわけじゃありませんけれども、今回、民営化推進委員会から言われたことで、今私は民間人をこの四公団に入れようと思っておりますけれども、民間の皆さん方、本当に大変です。なぜ火中のクリを拾うのかというような気持ち、どうせ民営化されることがわかっているのに、頭を下げて切り刻んでいく悪役になるわけですから。民間の皆さん方にみんなお願いしていますけれども、特に本四なんというのは、これは借金の棒引きでよろしくお願いしますと各地方に回らなきゃいけないし、とにかく、お願いします、お願いしますと頭下げる役ですから、民間の皆さん方は大変なんです。
 それで、専門家に来ていただきたいと言ったら、それこそ年間二千万弱のところで、今の給料より下がって、頭下げる役になぜ行くんだって、なかなか民間の皆さんに御了承いただけない。そういう苦しさの中からも、やはり、では参与としてでもいい、顧問としてでもいい、来てくださいということで、四公団の民間人の導入ということを苦労しながらやっておりますので、細かい四公団の今後のあり方については総裁自身から私は言っていただいた方がいいと思いますけれども、そういうことも少しはわかってあげていただきたい。最大限の努力をしているということも、私はぜひ御理解いただきたいと思います。
藤川参考人 私ども本四公団といたしましても、大臣の御指示等に基づきまして、大変私どもの経営というのは厳しい状況にございますので、これまでも役職員一体となりまして経営の合理化というのに取り組んできたところでございます。
 これまでやってきたことを、ちょっと二、三、例示させていただきますと、一つは、職員の数、定員でございますが、平成八年には七百二十二名おったんですけれども、それをやはりできるだけ早く削減していこうということで、平成十四年度には二百五十名ぐらいを減らしまして四百七十二名というような体制にしております。
 それから、いわゆる維持管理コストにつきましても、いろいろな工夫をいたしまして、できるだけ削減するという努力をいたしておりまして、平成九年のキロ当たりの管理費と比較いたしまして、平成十四年度では三四%の削減をするなどの努力をやってきたところでございます。
 今般、債務の切り離しの予算措置というのがなされることになりましたので、私どもとしてもこれを大変重く感じておりまして、国土交通省、財務省の御指導も得ながら、さらに引き続き一層の経営合理化に努めていかなきゃいけないというふうに考えております。
 具体的に申し上げますと、一つは、先ほど大臣からもお話がございましたように、民間のノウハウをできるだけ早く導入しようということで、民間の経営の経験のある方に、この四月一日から、顧問という形で、いろいろな形のアドバイス、御指導をいただくことになっております。
 それから、役員の給与等につきまして、これも一層の経営改善に取り組む姿勢を明らかにしていく上でぜひやるべきだと思いまして、私どもの役員の給与を一五%から五%自主返納いたしております。また、幹部職員の役職手当につきましても一五%から一〇%削減することにいたしております。また、職員の数、定員につきましても、さらに削減していこうということで、平成十七年度まで五十二名の削減をいたすことにいたしております。
 それから、管理費につきましても、かなり減らしてはきていて、これから先、橋そのものがかなり老朽化してくるという意味で、いろいろな費用が必要になってくるというふうには考えておりますが、やはりできる限り努力しようということで、平成十七年度までに約二割を削減しようということにいたしております。
 そういう経営合理化に向けた計画を策定いたしまして、私どもとしても、これの達成にこれから全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
津川委員 民営化推進委員会の意見の中では、管理費を三割縮減することを目指すべきだというふうに言われております。これだけ厳しい経営状況なんですから、もう削減することはできないぐらい削減していますというのが、本来普通だと思うんです。それをやってこなかったのは、これだけ赤字が膨らんできたけれどもどうしましょうといったときに、政府が、じゃ、しようがないから、八百億ことしも出してやるよ、出資金のほかに無利子融資してやるよなんということが簡単に通ってしまうから、結局、みずからの経営努力はなかなかしなくても済んだという話じゃないですか。
 総裁にお伺いいたします。
 推進委員会の意見ですが、役員の退職金の廃止、見直しを含む総額人件費抑制計画を盛り込んだ計画を二〇〇二年度内に作成するべきだというふうにあります。
 このコスト削減計画をつい先日つくって委員会の方に提出されたそうで、一方で委員会は全くそれについて対応できていないようでありますが、意見書の中ではっきりと書かれています役員の退職金の廃止、見直しに関しては、全く触れていないですね。
 今、給料の話を言っていただきました、五%から一五%を自主返納。それからもう一つは、管理職手当の一〇%から一五%。しかもこの措置は当面一年。意見書に比べれば相当甘いと思うんですが、総裁、どのようにこの辺はお考えになりますか。
藤川参考人 まず、管理費のカットの三割削減という目標が確かに意見書に盛られているわけでございますが、私どももこの管理費の中身についてはすべてチェックいたしました。そういう中で、やはりいろいろな削減をいたしますと問題が出てくるところというのは、これは削減することができませんので、私どもチェックして、利用者サービス面でかなりサービスを落とすようなことをせざるを得ないとか、それからあとは、今の管理水準等から見てやはり先送りなんかが可能なものもございます。そういうものを先送りするなどいたしまして、ようやく平成十七年度までに二割カットという目標を立てたところでございます。かなり厳しい中で、私どもとしては最大限の努力をしたつもりでございます。
 それから、退職金の問題でございますが、御承知のとおり、本四架橋三ルートというのは一般国道でございまして、公団が国の指示に基づきまして、国にかわって国道である連絡橋の建設、管理をやっているところでございます。そういう意味で大変公的性格が強い、そういう事業を私どもは担当しているわけでございまして、私ども公団の給与とか退職金などにつきましては、政府の方針に基づきましてこれまで対処しているところでございます。
 役員退職金の見直しにつきましても、これまで何回か政府の方針が出されておりまして、私ども公団としても、こうした政府の方針に基づきまして措置してきたところでございます。最近では、平成十四年度、昨年の三月十五日に閣議決定された方針に従いまして、平成十五年度からその支給率を引き下げたところでございまして、今後とも政府の方針に基づきまして適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから、役員給与の自主返上等、それから幹部管理職の管理職手当の削減でございますが、一応当面一年という措置としたところでございますが、これは、大変厳しい状況にあるのを重く受けとめまして、経営改善に取り組む姿勢をとにかく明らかにしようということで当面一年ということの措置で考えたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、民営化に向けていろいろな議論がなされるだろうというふうに考えております。私どもとしては、そういう議論を踏まえまして、しかるべき時点で再度判断したいというふうに考えているところでございます。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
津川委員 役員の退職金をなくす、廃止する、見直しをするというのはサービスを落とすことには関係ありませんよね、総裁。総裁、いいですね。関係ないですね、まず、これは。
 それから、これは公的なものであるから国の指示に従うんだという話です。
 大臣に伺います。
 国の民営化推進委員会は、廃止または見直しを含めてやって管理費全体で三割削減をするべきだと言っています。公団から出てきたものは、二割です。役員に関する退職金の廃止、見直しは含まれておりません。それは政府の方針でいいんですか。
扇国務大臣 今は、津川議員、たまたま本四だけのことをお取り上げになりましたけれども、私は四公団全部一括で考えております。特に本四は財政的に厳しいと思っておりますけれども、本四のみならず四公団含めて私は答申があったものと思っておりますので、四公団全部に民間人を入れるとか、あるいはコスト縮減とか、役員の数を減らすとか、そういうことは、逐一できるものは言っております。
 退職金というものは、今まで少なくともそのつもりで働いてきた人もいますし、ただ順番に、二度目の就職とか三度目の就職、いわゆる渡りという、それではいけないと思いますけれども、純粋にプロパーとしてそこで仕事をしてそれだけのものという人は、後続の職員の士気にもかかわることですから、一概にあしたから退職する人全部カットよというのは、余りにも仕事をする意思がそがれるという意味では、徐々に認識として私は認知してもらいたい、そういうふうに考えております。
 あしたから全部首を切って、全部退職金もなしよ、だからあなたたちは今までどおり働きなさいということは、私はある意味では多くの人に対しては恐縮だと思っておりますし、今の本四の維持というのは物すごく大事だと思っています。
 今、総裁は遠慮しながら言っておりましたけれども、私も現地を見に行きまして、この潮風の中であれだけの橋梁を維持することの難しさ、世界一の技術を必要とされるのは当然のことだと思っておりますから、役員のことよりも、あの技術集団をどのように保持できるかということの方が私はとても気を砕いております。役員の給料は下げてもいいけれども、あの技術者をもっと、別途それこそ何か特殊法人をつくってさしあげたいと思うくらい私は、今怒られますけれども、特殊法人はやめろと言われているのに、おまえ、何だと言われますけれども、それくらい、今の技術者の保持を新たに考えなきゃいけないという、今壁にぶち当たっていますから、でき得れば、なるべく、退職金もそれぞれの認識の中で判断していって、徐々にこれは警告をしていきたいと思っています。
津川委員 大臣、今おっしゃったことに私は拍手をしました。いや、そうなんですよ、現場で働いている技術者の皆さんには、やはりそのポテンシャルを維持していただかなきゃならないんです。長大橋の技術に関しては、長大橋技術センターでしたか、そういうところもありますから、そういったところと統合していただければいいのかもしれませんが、役員の退職金はそのままにして人員削減するというのは、今大臣の言われたことと反対なはずですよ。あれだけ厳しい仕事をしていて、役員はそのままで自分たちは首を切られるというのはおかしいじゃないですか。
 役員は首を切れと言っているのじゃないですよ、退職金も全部ゼロにしろと言っているわけじゃないです。むしろ、廃止、見直しを含む総額人件費の抑制計画を盛り込んだものをつくりなさい。それが二〇〇二年なんです。ほかのことも含むんだというならほかのことも含んで二〇〇二年度末にやらなきゃいけないんですよ。これは委員会の最終意見です。
 ですから、それが政府の方針だというのならばそれはやっていただかなければなりませんし、それはまだ政府の方針として固まっていないというのであるならば、今総裁がお答えいただいたように、今後の課題としてやっていただきたいんです。
 やはりこれは、今大臣がいみじくもおっしゃったように、あの厳しい環境の中で働いていらっしゃる方々、そういった方々が仕事ができなくなるようになって、橋の安全性が損なわれるなんということのないようにやっていただかなければなりませんし、そして、こんな一兆三千四百億円も投入するのに、役職員の、極端な言い方をすれば渡りの方も含めて、そのままの退職金は手をつけないで、管理費はできる限り削減しましたという答申を受けて、はい、そうですかというのはおかしいと思います。そこはしっかりやっていただきたいと思います。
 それから、債務の返済スキームについて質問いたしますが、きょう冒頭、質問いたす中で、一兆三千四百億円税金を投入することで、要するに超長期の返済計画というものは不安定だからそれをもっと前倒しするんだという話でよろしかったかと思いますが、しかし、今回のスキームでいっても、有利子債務を完済するのが平成五十七年。その段階で、国と地方からの出資金が二・五兆円残っております。出資金だけじゃないですが、無利子融資も含まれますが、二・五兆円残っております。
 この出資金も、今のところ返すものだというふうに想定をしているそうでありますが、そうなると、これもその後、ずっとやはり有料で今の計画のままでいくのか、それとも、この二・五兆円もその段階で税金を投入するのか、それはどちらなんでしょうか。
佐藤政府参考人 先生の御指摘は、平成五十七年時点、計算上の問題ではありますが、残っている出資金二・五兆円をどのように処理するか、こういうことかと思います。
 出資金でございますので、その取り扱いの仕方については、いろいろなやり方があるんだろうとは思ってはおります。特に、これから民営化に向けて制度設計をいろいろ考えていく、そういう中で御議論をさせていただくべき問題、そういうふうには思っております。
 ただ、事実の問題といたしまして、見込みで申し上げれば、平成五十七年時点で二・五兆円、地方の出資も合わせてでございますから、約三分の一が地方の出資分、出資金、こうなるわけでございますが、これが残っているということは、現状では見通しとして事実でございます。
 そうだとしますと、いろいろなやり方がある。そのまま料金収入から管理費を引いて、そして出資を延べ払いで返していくということになりますと、その後また五十年近くかかる。それでいいかどうかという問題は、基本的には、民営化の制度設計をする中で、いろいろな議論をしながら取り扱いの仕方について検討してまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。いろいろなやり方はあろうかと思ってはおります。
津川委員 要するに今答弁されたとおりで、今回こうやって法案を出してきて、平成五十七年時点で有利子債務を完済させるという計画をつくっておりますが、これから民営化されるから、民営化のスキームがどうなるかわからないから、その後どうなるかわからないという話なんですよ。
 つまり、まだ全体的にできる前にこういったところだけ出してきて、一兆三千四百億円だけとりあえず国に負担してもらいましょうというようなやり方をするのは、私はやはり順序としておかしい。全体的な議論をして、その中で、国民にどのぐらい負担をしていただくのか、その理由は何なのかというところまでしっかり説明しないと、これは全く説明責任が果たされていないと思います。これは一兆円が多いか少ないかという議論以前の問題として、それはやはりしっかりさせていただきたい。
 例えば、残りの二・五兆円をその後も同じスキームでやっていくとしたら、完済するのは平成百四年ですよ。何か前倒しをするとか言っておきながら、百四年までやるような計画を今出してくるというのはおかしいですし、それから、もし、それはやはりその段階で国民負担にするんだ、住民負担にするんだというと、税金が全部投入されるのは三兆八千四百億円ですよ。橋をつくるのに三・六兆円。三・六兆円の橋をつくるのに、これだけさんざん通行料金を取っておきながら、実は建設費以上の税金を使うという話になっちゃいます。
 これは大きな設計ミスなんですよ。ですから、このミスを認めて、また、平成五十七年に有利子がなくなりますとか平成百四年に完済しますなんというふうな話を出すのではなくて、やはりこれは抜本的な見直し、つまり、本州四国連絡橋に関しては、ほかの高速道路とは全く別のスキームで、破綻処理に近いような処理をしなければだめだと私は思います。
 今回のは税金を投入するということに関しては破綻処理に近いんですが、その後また、これまでと同じように、平成五十七年までの計画を立てて何とかする、その間また変動が起こるとどうなるかわからない。例えば、これから人口がどんどん減っていく中で、減るかどうかわかりませんが、減って、ひょっとしたらこの計画でもうまくいかなくなるかもしれない。大臣は先ほど、半額にしてやれといっても今後またうまくいかなくなったらどうするんでしょうかと言いましたけれども、それでは、今回の計画でまたうまくいかなくなったらどうするんですか。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
扇国務大臣 通行量の予測が違ったということも大きなことです、時代の変化とともに。また、バブルが崩壊するということもこれは予測し得なかったことです。けれども、逆にふえることもあり得るという、マイナス面ばかりではなくて、いかに今あるものを二十一世紀保持し、なおかつ四国の人あるいは周辺の県民の皆さんの経済効果に資するようにしようというのが我々の計画で、私たちは、マイナス面ばかりではなくて、いかに経済効果を上げるか。
 変な話ですけれども、全国の高速道路で、つくるときだけは、皆さん、つくってくれ、つくってくれとおっしゃいます。けれども、でき上がって、ここをつくっていただいたおかげでこれだけ経済効果が上がって、工場を誘致して事業税がふえた、あるいは道路をつくったおかげで固定資産税がふえて、本当にありがとうございましたと一度も言われたことがないんですよ。
 ですから、私は言われなくてもいいけれども、近隣にこの三本の橋を、そして四国の疲弊したものを活性化させようということが本意なんですから、本四だけの赤字は残っても、周りの経済効果が上がったら、全体には地域浮揚になって、もっとよくなるという希望を持った話をさせていただきたい。
 マイナス面、最低面のことはもちろんとらえなきゃいけません。うんと悪いことが、今、五十七年度までと言っていますけれども、そうではなくて、なるべく、平成五十七年、今局長が返済するのにかかるという話をしましたけれども、あるいは、本四の返済はこれだけかかっても、周りがうんと活性化できて、そして活気ができて、より交通量が予測よりもふえてよかったなと言えるように我々は細心の努力をしているということだけは、津川議員がおっしゃったように、マイナス面だけではなくて、少しは希望が持てるような施策を今しているということだけは、私は御理解いただきたいと思います。
津川委員 大臣の今の発想のとおり、この借金をいかにして返済するかということを軸に考えるのではなくて、地域社会にとってどういうものが必要であるか、そして、ひょっとしたら二本でよかったかもしれないけれども、今三本あるわけですから、それを最大限利用しようというような考え方、そして地域の皆さんにも十分に使っていただく、地域社会にも経済効果がなるべく高くなるようにするべきなわけですよ。
 ところが、通行料金が二割か三割か減るか減らないかというような程度では、これはやはり不十分ということになると思いますし、もし本当に完済にこれからまた百年近くかかるような話になってしまいますと、私は、前回、大石道路局長に確認をいたしましたが、この橋の寿命というのは、これはもちろん条件にもよりますが、超過確率の考え方からいくと百年という御答弁でした。
 百年で橋が落ちることにはならないでしょうけれども、その間、相当の管理費が上がることは予想されるんですよ。こんな長い計画を立てて、もう一度何か国民に負担をお願いしますとか、地域の皆さんにもう一度お願いしますということを言うのであるならば、これはやはりこれまでと何も変わっていないじゃないかという話ですよ。
 出資金延長だって、これまで何回もしているじゃないですか。出資金延長は、九一年と九七年ですよ。地元の方々に言わせると、またやるのかという話です。今回が初めてじゃないんです。
 それで、地域の皆さんに、地域の皆さんにと言いながら、こんなまた長い計画を立てて、それは需要がどんどんふえて、もっと早く完済されればいいですよ。そういうただただ余り根拠のない希望を持つのではなくて、もっとシビアに考えなければなりません。
 そして、この地域に関しては、残念ながら、余り長い計画を立てるよりも、今の段階で、これはこれまでのやり方が間違っていたということで、今の管理費を、もちろん下げるにしても、管理費を十分補う程度に、例えば通行料金を下げてそれで皆さんには利用していただく。最大限それは地域にとってプラスになるでしょう。それは税収のアップにもなるでしょう。ですから、その分は出資金という形で地域にも負担をしていただくというような考え方は、私は成り立つと思うんです。
 ところが、ほんのちょっと下がって、どのくらい効果があるのかわからないのに、ただただ、出資金延長、十年お願いしますというのでは、これは地域の方々だってなかなかうんとは言えない。いいえとも言えないかもしれないけれども、うんとも言えない状況ですよね。ですから、今の地方の方々の反応というのはそういうニュアンスなんだと思います。
 ですから、今回これをやって、じゃ、もう一回十年延長するけれども、もう二度とやらない、もう二度と国の負担にはさせないということは保証できますか。私は、それは保証できないと思いますし、むしろしない方がいいと思います、しない方がいいと思いますから。
 それは今後どうなるかわからないところですから、その場合の危機管理をしっかりとやっていただかないとならない。それは、今までと同じような、平成五十七年だとか平成百四年だとか、今後民営化がどうなるかわからないからわからないなんというようないいかげんなやり方ではなくて、ここですぱっとやるか、もしくは民営化全体の枠組みをしっかりした中で組みかえていかなければならないんだと思います。
 もう一つの法案についてはほとんど質問する時間がなくなりましたから、一点だけ確認させていただきますが、国幹審で九三四二整備計画に関しては施行主体まで決定をしているはずです。今の直轄、新たな直轄と言っても、これまでも直轄はあったわけですけれども、地方にも負担していただくという直轄をやる場合、九三四二の中を前提にしているという話ですが、その場合は、今度施行主体がかわるわけですけれども、それは国幹会議をもう一度開いて施行主体変更の手続というものをとるということで考えていいんでしょうか。
佐藤政府参考人 先生御指摘のとおりであります。
 現在は、九千三百四十二キロの整備計画、これにつきましては日本道路公団が有料道路制度でやるということになっておるわけでございまして、新しく直轄方式でやる、こういう場合には、国が施行主体になるわけでございますから、そこの変更は国幹会議でお願いをする、こういうことになります。
 具体的に、実際、現地でどういう仕事ぶりにするか、だれがやるか、この点につきましては、適材適所といいますか、今既に用地買収なり工事なりやっている部分もあるわけでございますから、そこの現場現場で実際に施行に携わる人間、これはまた適材適所で分担し合う、こういうことだと思っております。
津川委員 終わります。ありがとうございました。
河合委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。一川保夫君。
一川委員 では、政府提案の法案につきまして質問をさせていただきたいと思うんですけれども、午前中の津川委員からも、これからの公団の民営化についての基本的なところのやりとりがございまして、私も、そのことについてもう少し、政府が現段階で考えている民営化に対する基本的な姿勢みたいなところをちょっと確かめたいというふうに思っております。
 大臣の先ほどの答弁によりましても、民営化推進委員会の意見書につきましては、基本的には尊重していくという姿勢の中で取り組んでいきたいけれども、一〇〇%実現するのは難しいだろう、それを具体的にどう実現するかという面で今大変苦労しているというような趣旨の御答弁があったというふうに思っております。意見書どおりやるやらないというのは、それは政府の判断でございますけれども、これだけ道路公団民営化についていろいろと国民の関心を呼び起こして、そして議論してきたテーマでもございますので、やはりできるだけ早目にその方向づけを明確にされる方がよろしいのではないかというふうに思っているわけです。
 そこで、この意見書の中で幾つか提案されている中で、ところどころ、我々にはマスコミを通じて聞こえてくるいろいろな話がありますけれども、幾つかの点で確かめたいというふうに思っております。
 まず第一点は、高速道路というものを新しい会社方式でやるという一つの方向が出されております。具体的には、今、新直轄方式というのを別途また提案されておりますけれども、道路公団民営化という中で、これからの高速道路というのはどれだけやっていこうとされておるのか。今、九千三百四十二ですか、その中で、基本的には、その整備計画なるものを、残されたものを新直轄方式とあわせて一〇〇%やるんだというような基本的な考え方なのか、そのあたりをまずお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 一川議員のお尋ねですけれども、国幹会議で決めたものは決めたものとして、今、厳然と生きております、これは死んでおりません。それが一点。
 そして、生きているものをどのように生かしていくか。例えば手順等々、これは今後の論議にまちたいと思っておりますけれども、午前中るるお話し申し上げましたように、今後つくるべきところは、交通量、交通料金等々ともに、これは、ある程度採算性がとれないものという評価のために今日までおくれてきたところもありますので、そういう意味で、採算性というものを重視しろと書いてございますけれども、それで今の九三四二というようなものが果たしてできるかどうか。これは、どこをどうということも国幹会議で決めなければなりませんけれども、私は、少なくとも同じ八条委員会の決定したもので、前に八条委員会が一つ結論を出しているものですから、後から出ていく八条のものがどうそれと対応していくか。前の列車に後ろから追突してもいけませんので、そのありようというものをるる勘案しているというのが現状でございます。
一川委員 それと、今回の意見書の中で、もう一つは、新しい組織についての柱立てがございます。五つの区域に分割して新会社をスタートさせるというような趣旨のことがうたわれておりますけれども、五つに分割をして、それで民営化を図っていく、そういった基本的な組織のあり方については大臣はどのようにお考えなのでしょうか。
扇国務大臣 これも私、以前にもこの委員会でお答えしたかもしれませんけれども、分割しろとは書いてあるんですけれども、その分割の方法というものが、体に例えれば、手と足と胴体とに分けろと言われても、では、どこがどう作用するかという基本的なものがないといけません。
 そういう意味で、単なる五つに分けることがいいことなのか。では、五つはそれぞれ採算性がとれるという可能性があるのかどうか。すべて私は、今だけ国民の前に、分割したらいかにも競争力があるというふうに認識されておりますけれども、果たして五つに分けることによって五つ以上の、例えば十倍の競争力が出るよ、そういう保証は、だれがどこでどう計算するのかということに私はかかわってくると思うんです。
 ですから、私が例を挙げましたけれども、国鉄民営化のときと違って、今回の場合は、道路公団一つとってみても総従業員もこんなにも違うし、また、国鉄のときに、民営化しまして、十七人の役員が百三十二名になっています、四名でしたかになっています。そういうことも含めて、分割すればするほど社長の数もふえるわけですから。
 私は、今後、まず財務諸表と先ほども申し上げました。本体の財務諸表がどのようにあるのか。その会社の財産自体がわからないのに、ただ手足を切って分割すればいいということにはならないということを私は先ほどもお答えしまして、そういう意味も込めて、財務諸表を全部出してくださいということで、今国会中に皆さんの目に触れて御論議いただけるような財務諸表が出れば、その財務諸表の中で、これだけの財産があるからこれだけに分けようとか、これを分けても将来採算性がとれるなという、その見当をつける一番の基本が、民営化の基本は、民間がしていると同じ財務諸表がまず出なければならないということで、私はその上で考えるべきで、五つに分けろとか六つに分けろとかあるいは三つでいいとかということは、それは意見書等は出ておりますけれども、もともと財務諸表を添えていないというところは私は欠陥であると思って、それを今補っているところでございます。
一川委員 それから次に、先ほども議論に出ておりましたように、通行料金を引き下げる、この意見書ではおおむね一割ですかを目標に引き下げるというような答申でございますけれども、こういった通行料金を引き下げる方向というのは、大臣もいろいろと答弁されておるような感じはいたしますけれども、目標としてはやはり一割程度をめどに引き下げをしたいというようなお考えなんでしょうか。そのあたり、お聞きしたいと思います。
扇国務大臣 料金の引き下げ、これはもう理想で、私も何度もこの委員会で、私自身もだまされたと言いました。最初百円で入って、やがてただになると言われたのが、首都高速一つとっても今七百円で、ユーザーの一人として、ただになると言われたのがだまされているなと私自身も思っておりますけれども、私は、下げるのが当然だ、最初に言ったとおり、公約どおり下げていく努力をするのは当然だと思います。
 だけれども、今全国で、道路、四十路線あります。四十路線の中で採算性がとれているのはどうだといいますと、二十七路線は赤字を相変わらず上積みしています。それで、この四十路線の中で採算性がとれているのは五路線なんです。ですから、では、値段を下げるけれども、採算性のとれているその五路線から下げるのか、あるいはこれからつくるところもコスト削減して、ある程度直轄方式で地方にも負担してもらうからただにするのか、その辺の兼ね合いがある。古くから今日まで、四十路線の中で採算性の一番とれている五路線の人たちは、僕たちが一番通っているんだから、一番採算性がとれているところから下げろ、私はこういう一般の御意見があって当然だろうと思います。私もそう思います。採算性がとれているところから下げてあげるのが当たり前だ。
 けれども、それを、採算性のとれない部分も道路をつくろうということでプール制にしたというこの方式自体が、私は今までの建設をしてきたという意味がありますので、どこをどう下げるかということ、一律に二割削減できればそれにこしたことはありません。けれども、そういう意味で、現段階の四十路線の中の五路線だけにするのか、あるいは赤字を上積みしている二十七路線はそのまま下げないでいくのか、これも今後の検討、国民の皆さんの一人でも多くの理解を得なければいけない大論議の課題だと私は思っております。
一川委員 それから、これもある程度話題がもう出ているといえば出ているわけですけれども、具体的な新会社がスタートする民営化までの間に努力すれば実現できることが幾つもあるだろうということで、大臣もさきの答弁でもおっしゃっておりましたように、いろいろな改革、できるものから順番に実行するんだということで、特に道路公団として、特色のある、ファミリー企業と称する部分ですね。ここのところについても、道路公団が高コストになっている大きな原因がこのファミリー企業という組織にあるんだ、ここのところをメスを入れないとだめだというような趣旨のことも意見書の中に書かれております。それはごもっともだと思いますし、早急に着手すべきだと思います。
 それからまた、あわせまして、建設コストの削減、これも今それなりの、トップの判断で実行しようと思えば実行できるものもたくさんあるというふうに私も思います。
 そういう面で、今の段階から改革できる、そして国民にも理解され、なおかつ利用者にも還元されるような、そういう当面すぐ実行できる改革ということについては、大臣のお考えはどのようになっていますか。
扇国務大臣 今、一川議員が御質問になったことが私にとっては一番大事なことでありまして、この民営化委員会から出されました、すぐできることという中に、今おっしゃったことを私は入れております。すぐできることの中で、今どのように国土交通省として、また、総理からおまえがやれと言われたことに対してやっているかということを、今、一川議員から御指摘いただきました。
 それは建設コストの縮減ということですけれども、これは、二割縮減して少なくとも四兆円の削減をしていこう、さらに、新入札方式で五千億円の削減ができるということを今やっております。
 それから、コストの縮減で何ができるかということで、皆さんも御存じのところですけれども、高速道路に非常電話がございます、あの非常電話が特製のもので、ジュラルミンで頑強にできていまして、一基二百五十七万円かかっておりました。けれども、それを携帯電話等々に変えようということで、二百五十七万円を四十二万円に非常電話は変えます。そのことによって、現在の非常電話、全国で二万二千六百九十一カ所ございます、これを今後は約六千八百カ所設置しなきゃいけないということですので、少なくとも二千カ所は携帯電話方式としよう。これだけで約四十億円の削減ができます。
 それから、第二東名の六車線、これをするのであれば四車線に減らそうではないか、トンネルも六車線じゃなくてそれを小さくしようということで、例えば第二東名の六車線を四車線にすること、また、トンネルの工事費を六割削減するということを今計画もしております。
 それから、先ほどもお答えいたしましたけれども、高速道路のインターチェンジのトランペット方式を、ETCを利用してダイヤモンド方式に小さくしようということで、これも三割、高速道路の建設の削減になります。
 それから、関係法人の抜本的見直しを今おっしゃいました。
 四公団で、子会社、関連会社が約百二十一社ございます。そして、そこの役員が、百二十一社ですから百二十一人いるわけです、社長だけでも。そして、そのうちに公団のOBが、百二十一社の社長の中で九十七人社長をしております。これも私はおかしいということで、次の株主総会で、それぞれ皆さん方、退路を考えていただきたい。これも民間ですから、私にとっては越権行為だと訴訟を起こされそうですけれども、今の情勢の中で、子会社、関連会社とこれだけ言われているんですから、九十七名は株主総会のときにそれぞれの進退を考えていただきたい、はっきり言えばやめていただきたいということを、越権行為ですけれども、私は宣言してございます。これは社会の常識として今の社会情勢の中で御判断いただき、なおかつ、株主総会が済んでも社長をしていれば恥ずかしい思いをされるであろうと思います。
 それからもう一つ、これは平成十年ですけれども、サービスエリアとかパーキングエリア、これが、今、道路サービス機構とハイウェイ交流センターの二つになっております。それで、私が調べましても、昭和四十年設立どきに、これは二つとも財団でございます。三十億で財団を設立しております。それで、全部調べまして、私が平成十年になぜ二つに分かれたのかと言ったら、それは、一社だけでは競争原理が働かないから二つの財団に分けた、こう報告がありました。では、二つの財団に分けてどれほど競争原理が起きたのか、持ってきてくださいと言ったら、競争原理が起きていない。だったら、これは二ついる必要ない。
 しかも、財団法人で三十億円で設立したものが、今この二つの財団で一千百何十億あります。三十億の財団が、本来は財団というのは公益事業しかしてはいけないはずなのに、なぜこんなに財産がふえるのか。これは不思議です。それは、サービスエリア、パーキングエリアの言ってみれば使用料を財団に入れているからでございます。寄附しているわけです。
 そういう意味で、私は、競争原理が起きないで職員が千人近い者がいるのであれば、これは一つにするべきであるということで、今この方法論をしていただいています。これも大変抵抗が多いところだろうと思いますけれども、財団設立の趣旨からすれば、財団設立の三十億の趣旨は、交通遺児の育英資金でつくった財団でございます。交通事故の育英資金に発しているなら、厚生労働省も文部科学省も全部ある。こういうむだはなくしましょうといって、今これをしております。
 それから、民間人の適用、これも今すぐできることというので、先ほどもお話しになりましたように、役員には、なかなか民間の会社をやめて来てくださる方は給料的にも束縛的にもありませんけれども、せめて参与、顧問ということでお入りいただきたいというので、この四公団に民間の血を入れる、そして改革に果敢に挑戦するという意味で、民間の皆さん方に御参加いただくということ。
 以上が、今、この答申によって、国土交通省として早急にできることに手をつけている現状でございます。
一川委員 この意見書の最後の方に、改革の推進体制を整備してほしいという一項目が入っておるわけです。
 ここは、政府の窓口省であります国土交通省の中にこういった改革の推進体制というようなものが今スタートしているんでしょうか。そのあたり、ちょっと確認したいんです。
佐藤政府参考人 まず、国土交通省の中の動きの方を申し上げますと、現在は、道路局の中に道路関係の四公団の民営化に対応するプロジェクトチームというものをつくりまして、室長二人を併任として置きまして、補佐や係長たちが十名余り、毎日いろいろな検討をしておるところでございます。
 それからまた、道路関係の四公団それぞれは、十五年度より、組織として民営化の推進を図るための組織検討というものをやっていただいておるところでございまして、またそれぞれ体制を充実させる、こういうことになっておるところでございます。
一川委員 ここでもう一回大臣にお聞きするんですけれども。
 先ほど、この意見書の幾つかの主要な柱につきまして大臣のお考えを確認させてもらったわけですけれども、先ほど来、財務諸表を今国会中に公表してもらえれば、それを受けて具体的な新組織のあり方等についても検討していきたいというような趣旨のお話とか、あるいは通行料金等についても、もっといろいろな検討を加えなければ最終的には決まっていかないというようなお話もございました。それから、これからの整備計画の見直しについても、国幹会議等に諮って最終的にまた確認していきたいというような趣旨のお話もございました。
 そこで、この意見書では、民営化は二〇〇五年の四月一日に実施するということを言っておりますけれども、大臣の意気込みからすると、私はもっと早くやってもいいような気もします。
 こういう改革には抵抗が伴うのは当然でございますし、政治のリーダーシップでしっかりとした方向を定めながら引っ張っていくということがない限りは、こういう改革は私はできないと思います。
 また、こういう道路公団民営化、要するに道路行政でございますので、こういった民営化推進委員会の意見は意見として大いに尊重するのは、それは当然でございますけれども、ずっと長年我が国の道路行政をそれなりに実施してきて、いろいろな蓄積が国土交通省にあるわけですから、だから、道路行政のプロとしてしっかりとした考え方を持って、道路行政なり道路公団の民営化の話は、しっかりとした方向づけは余り時間もかけないでできるんじゃないかなという感じもするわけでございますけれども、大臣の、スケジュール的なものも念頭に入れた一つの意気込みをお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 一川議員に叱咤激励していただいて大変ありがたいところですけれども、私も、この間も民営化の推進会議というものを開きまして政府・与党で会議をいたしまして、今、一川議員に申し上げました直ちに取り組むこと、いわゆるコストの削減ですとか、あるいは関連法人の抜本的な改革でありますとか、または公益法人等々、私が政府・与党に諮りましたときに、政府・与党から、ちょっとやり過ぎじゃないかという声をいただくくらい、今進んでいる段階でございます。
 ただ、一言、私は一川議員に申し上げたいのは、私がやっておりますことで、民間企業と同じような財務諸表というのも、少なくとも三カ月前倒しで、九月と言ったものが六月、五月末に出るということですから、これも大きな前進だと思います。私は大変強引だと思いましたけれども、そういうこともやっていただけるということ。
 ただ、民営化推進委員会が、その最終段階において幾つかの、委員会で合意ができなかった部分で、課題だけ提案されたものもございます。
 それは、一川議員、御存じだと思いますけれども、道路資産というものの保有を、だれがどう持つのか、国なのか民間会社なのかということも、これはこの委員会で結論が出ませんでした。それから新会社の株式上場、これもまだ明快に意見が食い違っております。それから新規の建設の資金支出のスキーム、新しいところはどうするかというスキームも、これはこの委員会では意見が割れました。また、貸付料の設定方法、これも、どこがどうということがもめました。そして交通料の値下げ、これも、大事だけれども、どこをどうということも七人の委員会の中では合意を得られずに、最終段階で会長がおやめになったり、あるいは七人の中で最終は五人だけ残って答申を持っていらっしゃるというような、意見の食い違いとまではいきませんけれども、七人そろっての合意事項として総理に提出できなかった。
 そして、会長がおおりになられたということも、委員としては残られていますけれども、会長がおりられたということも私は大変残念だと思っております。せっかく総理がお選びになった方ですから、最後まで、意見が合わないものは合わないままに、合意を見ていただきたかったな、こことここが合いませんよということでも私はよかったと思うんです。
 そういう点では、最終の答申をお出しになるときの委員会のありようは、私は、公開されているだけに大変残念だなという気持ちを持っておりますけれども、いただいたものに対しては最大限に活用し、なおかつ国民の目に見えるような改革方法をとっていこうと私は思っております。
一川委員 今回、こういった意見書なるものの趣旨を生かしながら、それを一応先取りしたような形で今回の二つの法案が出されておるということだと思いますけれども、ただ、我々がいろいろと判断しようとした場合に、道路公団民営化の姿というものが、まだ骨組みがはっきり見えてこないというところが非常に残念だなというふうに思っております。
 恐らく国民の皆さん方も、道路公団が民営化されていった場合にどういう形になるのかというところをやはり早く知りたがっているというふうに思いますので、国土交通省としても、今、大臣からもいろいろな課題がたくさんあるんだというお話は、それはそれなりに理解できますけれども、しっかりとしたリーダーシップを発揮されて、やはり国民に早く骨組みを示すということが非常に大事ではないか、そのように思っております。
 さて、今回の法案の中の一つの項目になっておりますけれども、新直轄方式による高速道路のことについてもうちょっとお聞きするわけです。
 午前中もちょっとやりとりがあった中に、新直轄方式でどの程度カバーするかというところが、金額的には約三兆円の投資額を予定するんだと。平常の年でも、約二千億ですか、ぐらいの予算措置がされれば、ほかの道路事業にもそう大した影響もないから十分見通しが立つんだという局長の答弁もございましたけれども、ただ、現実問題、高速道路となるものを、新直轄方式で、事業量的に、例えば総延長ほぼ何千キロをカバーするんだとか、そういうものがあってもよさそうなものだと思いますけれども、そこはいかがですか。
佐藤政府参考人 二、三の観点からお話し申し上げたいと思います。
 一つは、性格的なものでございますが、新しい直轄方式で整備する、これの性格づけみたいなところから申し上げますと、整備の必要性は高いけれども、料金収入によって管理費を賄えないなど、新しい会社による整備、管理が難しいと見込まれる路線、区間が基本的には対象となるのかな、これが一つでございます。
 では、どういう形でそういう評価をしていくのか、こういう議論が次にあるわけでございますが、これにつきましては、道路関係の四公団の民営化推進委員会におきまして、中村委員から、物の考え方の標準みたいなものが出されております。
 基本的には、採算性と残事業費に対しての費用便益の比率、それから外部効果、大きくはこの三点を、また、この外部効果については幾つかの細項目があるわけでございますが、こういうものを評価していったらどうか、こういう御提案がなされております。
 それを具体的に適用するという形で申し上げますと、具体的なそういう項目とその要因をどうウエートづけするか、その辺を、今、国土交通省で、先生方の御指導をいただきながら詰めている段階であります。
 二つ目は、そういうことで、そういう標準をある程度適用しながら具体的な路線、区間を選んでいく、こういうことになろうかと思います。
 そこで、次に、どのぐらいの量か今出せないか、こういう御議論でございます。
 それぞれおおむね三兆円、こういうふうに考えますと、二千百キロ残っておりまして、これでコスト縮減するとおおむね十六兆円の建設費が残っている、こういう形を申し上げました。そうだとしますと、全く平均的に申し上げますと一キロ当たりが大体七十億余り、こうなるわけであります。しかしながら、その平均の単価で三兆円を割る、これも乱暴な議論でございまして、具体の路線、区間を見ないことにはどの程度かということがわからないところではあるわけであります。
 ばさっとした御議論を申し上げますと、そういう平均的な単価も含めて考えて、二千百キロの中でございますから、いずれにしましても、二千キロ選ばれるということもないでしょうし、要は、ある程度の、何百キロ単位、あるいは千キロに近づくかというような形での積み上げになるんじゃないかと思っております。
 ただ、これは具体の区間を選んでいかないことには積み上げることができませんので、大変恐縮でございますが、以上三点、定性的なもの、それから、標準といいますか評価の基準、こういうものを設けながらそこから選んでいく、最終的な答えはこれから検討する中でいろいろ調整が図られる、恐縮でございますが、現時点ではそういうことでございます。
一川委員 時間が参りましたので、質問をこれで終わらせていただきますけれども、非常に、また政治路線になりやすいようなファクターをいろいろと抱えておるんだという感じがするわけです。それはそれでまた、地域のいろいろな実情に詳しい政治家がたくさんいらっしゃいますから、いろいろなことを説明されながら運動されるのは、それは当然でございますけれども、しかし、採算性がとりづらくても非常に必要性がある、地域の要望が強い、あるいは結束力があるというようなことになれば非常に選択が難しいなという感じもいたしますし、そこのところはできるだけわかりやすい考え方で整理された方がよろしいのではないかというふうに思います。
 それからまた、私の危惧しておるのは、新直轄、事業主体が直轄でやるのがいいのかどうかというところもちょっと気になるんですけれども、そこはまた後日、時間があれば質問させていただきたい、そのように思っております。
 どうもありがとうございました。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 私は、先日の参考人質疑の中で幾つかポイントとなった点について、きょうは質問させていただきたいと思います。
 小泉総理は、債務の確実な返済、建設コストの削減、ファミリー企業のあり方の見直しなど、改革の具体化に向けて大きな成果を上げてこられたと、民営化推進委員会の成果を評価したと言われています。
 一方、先日の参考人として来られた二名の委員の方お二人とも、民営化に向けて一歩進んだということを評価しておられました。
 まず、民営化推進委員会として、「直ちに取り組むべき措置」として四点が挙げられました。その四点について、ちょっと細かくなりますが、政府にお聞きをしたいと思います。
 まず一点目が、現行の建設計画の見直しという点なんですが、この点について、私は、この見直しというのは、この点が最も先に来るべきものではないかと思っているんですが、この現行の建設計画の見直しについて、いつまで、どのように行うと考えておられるのか、まず御説明をお願いします。
佐藤政府参考人 現行の建設計画の見直し、こういう面で申し上げますと、高速自動車国道の予定路線、全体計画が一万一千五百二十キロ、この中で、既に整備計画が出されておりますのが九千三百四十二キロでございます。課題となりましたのが、この九千三百四十二キロについて、公団あるいは新会社がどういう建設を行っていくか、こういうことであったろうかと思います。
 この点につきまして申し上げますと、まず、予定路線一万一千五百二十キロにつきましては、昭和六十二年に、国土開発幹線自動車道建設法等で、全会一致で改正で位置づけられた、こういう経緯がございます。そしてまた、この一万一千五百二十キロ全体については、整備計画の出ているものがそのうちの九千三百四十二キロでございますから、当面どう建設するか、急いで建設すべし、こういうことでやっております九千三百四十二キロについて、では、どういうことになるか、こういうのが御議論かと思います。
 この九千三百四十二キロにつきましては、法律の手続も経まして決定されて、地元にも具体的な計画として提示されております。そして、地元では、いろいろな開発計画、アクセス道路の計画、工業団地の計画等を一緒になって準備しながら、あるいは既に事業を進めながら、整備が進むのを待っている、こういう状態であるわけであります。
 今後の整備のあり方については、そうした状況も踏まえながら、本日御議論いただいているような新しい直轄方式というものを導入することにいたしましたので、まず、この九千三百四十二キロの中で、どういう路線、区間が新しい直轄方式になじんでいるのか、こういうようなことを、この法律を通していただいて、速やかに私どもとしては検討してまいりたい、こう思っております。
 そうしますと、九千三百四十二キロの中で建設で残っているもの約二千百キロについて、その中で新しい直轄方式でやっていくというものを、この法律を通していただいた後、速やかに分類する、こういう作業が必要になってこようかと思います。残りのものにつきましては、できるだけ公団あるいは新会社によってまた建設が続行し得るように、私どもは、その後引き続き制度設計をいろいろな観点で詰めさせていただく、それで来年の通常国会までにいろいろな御議論をしていただきながらまとめていく、こういうことが必要になっているというふうに理解しているところでございます。
原委員 次に、二点目として、重点的予算配分ということが挙げられています。この点については、何にどう重点を置くのか、また、平成十五年度はどう重点化するのかということの御説明をお願いします。
佐藤政府参考人 今申し上げました九千三百四十二キロの中で、残っております二千百キロにつきましては、そのうち施行命令が出ておるものが既に千八百キロ余りあるわけでございます。
 この施行命令が出ておりますものにつきましては、現地に、実際の測量はもちろんのことでございますが、用地買収も終わり、工事が既に最盛期を迎えている、あるいは間もなく供用する、こういういろいろな進捗状況の違いのある区間があるわけでございまして、そういう意味では、民営化会社といいますか新会社になる平成十五年、十六年、十七年は移行期間になりますので、おおむね三年ぐらいの間は今の建設を大いに継続する必要はあるんだろう、こういうふうに考えております。
 そういう意味で、では、どこが重点的に建設すべきか、こういう観点から申し上げますと、時間管理概念というようなことも言われておるわけでございます。手をつけたら早くに供用し、その効果を早くに発現する、これが大事なことであります。こういう観点から申し上げますと、建設の進捗率が高い区間であるとか、あるいは用地交渉が既に十分まとまって、継続してまとまっているような区間、こういうところを重点的に十五年度は予算配分してまいりたい、そういうふうに考えております。
原委員 次が三点目なんですが、複数の民間企業経験者の登用ということを挙げられています。この点についても、どう実現するのか、いつまでにということもお聞きできればと思うんですが、いつまでにどう実現するのかということをお願いします。
佐藤政府参考人 複数の民間企業経験者の登用、この問題につきましては、道路関係の四公団、大変一生懸命努力をしたということでございます。
 四月一日でございますから、きょう付で、例えば首都高速道路公団につきましては、民間会社の社長お二人に非常勤顧問をきょうからお願いする。それから阪神高速道路公団につきましても、関経連の元副会長さんでございますが、財界の方を非常勤顧問でお願いする。本州四国連絡橋公団も同様でございます。そのほかに、日本道路公団は、職員でございますが、総合情報推進役ということで、言ってみれば職員の一番上のクラスの推進役を三月一日付でお願い申し上げた。さらに首都高速道路公団の方は、上席参事ということで、同じように職員の上級幹部クラスでございますが、四月一日、きょうからお願いを申し上げている。さらに日本道路公団においても、さらなる顧問等のお願いを今している最中、人選している最中、このように伺っております。
原委員 次が四点目のポイントなんですが、コスト削減計画の策定ということで、一八%削減するという発表があったかと思います。一八%削減されたことを、どの時点で、だれがどう検証するのか。もし削減できなかった場合にはだれがどのような責任をとるのかということの御説明をお願いします。
佐藤政府参考人 これにつきましては、まず、その対象となる母集団が何か、この御説明をせにゃいかぬと思います。
 例えば、道路公団といいますか高速自動車国道で申し上げますと、整備計画が出されております九千三百四十二キロにつきまして、残っている整備計画上の残事業費が、前から申し上げていますように約二十兆円、こういう形で対応関係があるわけでございます。そこで、これを約二割削減ということになりますと、約十六兆円の整備計画の変更がやがてなされるといいますか、こういう必要があるわけでございます。そして、そのもとに、できるだけそれを、あるいはそれ以上にコストが縮減できるような工夫、努力をしながら建設していく、こういうことになろうかと思います。
 そこで、そのとおりにいかずにという場合にどう責任をとるか、こういう御議論でございます。
 できるだけその範囲内でもちろん建設をしていく、これが大事なことでございますが、全体としましては、多分これは民営化会社になってからの御議論に多くはなろうかとは思いますが、そういう意味で、常にコスト管理をしっかりしながら、そしてコスト管理と同時に収入の方の見通しも管理しながら、こういうことになろうかと思います。それは、採算をきっちりと確認しながら、見直しながら、こういう作業を繰り返しながら、健全な経営ができるようにということで、そういう意味では、新しい民営化会社ができましたならば、そこの経営者の経営責任というものも大変大事なことになってくるのではなかろうかと思っております。
原委員 済みません、もう一度お尋ねしたいんですが、責任は、新しくできた民営の会社の責任が重大になるということで、だれがどの時点で一八%削減されたということを決めるのでしょうか、検証するのでしょうか。
佐藤政府参考人 九千三百四十二キロにつきまして、そのうち残っております約二千百キロ、これに要する事業費というもの、建設費というものが、整備計画上、それぞれの路線、区間の建設費が幾らというのを明示してありますので、そういう意味では、そこの建設費を変えるか変えないか、まあ変えるということになろうかと思います。
 そうしますと、残っております残の建設費が、例えば九千三百四十二キロの二千百キロについては総額が十六兆円になるということは、整備計画上、明らかであるわけでございます。そして、それが今度、新しい直轄方式と、それから有料道路でやる分と、やがてまた、分類といいますか仕分けがされる。そうすると、それぞれの事業費はまたそれぞれ分かれてきますから、それをできるだけ、できればそれよりももっと安くできるようにということで、公団である間は公団が努力するでしょうし、直轄でやる場合は直轄もまた努力する。そして、民営化会社になりましたら、民営会社もそれが守られるように努力する。そういう意味では、携わるそれぞれの人間が不断の努力をしながら建設コストの削減に努めていく、こういうことが一番大事なことであろうかと思っております。
原委員 ありがとうございます。
 もう一点、民営化推進委員会の提案についてお聞きをしたいんですが、民営化推進委員会として、新会社と保有・債務返済機構の設置、新会社は五つとすること、通行料金の一割引き下げ、委員会基準に基づく個別路線の優先順位に沿った重点的な予算配分、採算割れの建設は国、地方等の費用負担を前提とした合併方式、ファミリー企業の改革とコスト削減、本四公団の債務処理という七つの提案をしていると思います。
 私は、この四点目のところについて特に今お尋ねをしたいんですが、委員会基準がどのようなものであると政府として認識しているのか、また、政府としてはその考えを採用するのか、基準をいつまでに最終決定するのかという点について御説明をお願いします。
佐藤政府参考人 先生の御指摘は、委員会の御審議の中で、建設中路線を直轄で整備するのかあるいは新会社で整備するのかといったような観点で、建設中路線の取り扱い判断基準の案なるものが中村委員の原案で提案されておる、これについて、どう今後取り扱うかというお尋ねかと思います。
 これにつきましては、中村委員の御提案の骨組みは、一つは残事業費に対する費用便益の比率、それから採算性、これは採算性という意味で申し上げると、恐らく、自分の費用、その区間の建設費を自分の収入だけで賄い得るという路線、区間は残念ながらないわけでございますから、相対的に何割まで自分の収入で、五十年という一定の期間の中で支弁し得るか、弁済し得るか、こういうようなことではあります。それから外部効果、これは、例えば第三次の救急医療機関にどのぐらいの時間でたどり着くことができるようになるかであるとか、あるいは重要な港湾や空港とのアクセス性がどのぐらい向上するかとか、外部効果ということで九つほどの要因が考えられるのではないか、こういう御提案もいただいているわけであります。
 そうすると、大きな項目が三つでございます。費用対便益、採算性、それから外部効果、その外部効果の中にも幾つかの要因があるであろう、こういうことであります。
 そうすると、計算上は、それぞれを計算して、単純に足して三分の一とするわけにも恐らくいかなくて、その重みづけなるものをどういうふうに考えるかとか、あるいは、特に外部効果の要因を具体的に指標として取り扱い得るものとしてどんな単位がいいか。例えば、第三次の救命救急医療の機関にたどり着けるようになるということを、一時間以内でたどり着けるようになるということをゼロと一という指標で入れるのか、それとも三十分なのか一時間半なのかということを単位とするのか。具体的な適用に当たっては、ウエートづけと指標のとり方という面でいろいろな考え方が現実に存在しているわけでございます。
 したがいまして、民営化推進委員会でこの御提案をなさった中村委員にも顧問になっていただいて、道路事業評価手法検討委員会というものをこの一月に設置していただきまして、学識経験者の先生方に御議論いただいておるところでございます。この検討結果をできるだけ早くにお出しいただいて、国土交通省としてもそうした評価基準、考え方を固めてまいりたいと思っております。
 何分にも、現在大急ぎでやっていただいておるところでありますし、私どもも並行していろいろなデータを集めたりしながら、こういうことであります。遅くとも五月、六月には、少なくともこの評価基準が適用できるような形にまとめてまいりたい、そんなふうに思っております。
原委員 五月、六月くらいにはこの評価基準が出てくるのではないかということで、今鋭意作業中だとは思うんですが、この評価基準が出てくると、個別路線の優先順位というものがつけられるようになるんでしょうか。
佐藤政府参考人 具体的な適用の仕方については、どういう評価基準が最終的にまとまるかということにもよりますが、言ってみれば、一つの尺度だけで最後まで基準として一列に並べるのか、あるいは、二つ三つの考え方を基準として挙げて、その幅の中で全体としての評価をし得るようにするか、恐らく幾つかの考え方があろうかと思います。できるだけ早くに、御議論をいただきながら、私どもとしては、どんなやり方でやるかということをまとめたいと思っております。
 ただし、そういう基準と、もう一つ、地方公共団体の意見も十分聞きなさいよ、こういう法律でもあるわけでございますので、そうした基準と並行作業で、また地方公共団体との意見交換なども行いながら選ばれるべきといいますか、新直轄区間の選定というものの作業は、両方を並行しながらやらせていただくというようなことになっていくんだろうと思っております。
原委員 では、例えば個別路線の優先順序はいつまでに決めるかという御質問をさせていただいても答えは同じくなりますでしょうか。――はい、わかりました。
 これを進めていく中で、私は、やはり直轄方式というものが先行していってはならないと思っています。参考人質疑で田中委員長代理が参考人として陳述をしておった中で、民営化の基本方針として、新会社発足までの間、公団は委員会基準に基づく個別路線の優先順位に従いということを述べられていました。実際、きょうここで審議している高速自動車国道法案が通ると、優先順位も決まらないまま直轄方式の道路建設が先行してしまって、新会社が発足するころには全部でき上がっちゃっているんじゃないかというような危惧といいましょうか、そういう疑問の声もあるかと思うのですが、この点、いかがなものでしょうか、政府のお考えをお聞きします。
佐藤政府参考人 多少数字的なものを、ちょっと大まかでございますが、申し上げさせていただきたいと思います。
 高速自動車国道で、整備計画で建設が残っておりますのが、キロでいいますと延長約二千百キロ、これが、コストカットをした上で二十兆が十六兆円ぐらいということが残りの事業費であります。それを、できるだけ努力しながら、コストカットはさらに続けていきたいと思っておりますが、仮に一たん十六兆円と置いてみたいと思います。
 そこで、この十六兆円に対してどういう整備を進めるか。今お願いしております新直轄方式ということで、国税と地方の税金でやらせていただく、これを目安三兆円と申し上げました。平準化したら年間二千億円ぐらい。十五年度、最初は一千三百億円の事業費をお願いしているところであります。そういう意味では、最初の立ち上がりは一千三百億ですから、三年後か四年後ぐらいに二千億というペースになって、これが平準化でずっと二千億ぐらいといたしますと、実質年数的には、三兆円選ばせていただくと、十七、八年かかるわけでございます、完成までに。
 残りの十三兆円、十六兆から三兆引きますと十三兆円、これをどうするかという御議論で申し上げますと、民営化推進委員会の事務局の試算におきましても、低位推計、高位推計、交通量をいろいろ考えてみると、大体十三兆から十五兆ぐらいの投資余力があるのではないか、こういうことであります。どれだけの税なり配当で外部に流出するか、こういう問題がもちろんあるわけでありまして、それがほとんどなければ十三兆から十五兆円ぐらいの投資が可能であろう。
 さらに、管理費も三割の縮減を目指すということを、この三月の二十五日に各公団が整理して出していただいたところであるわけでございます。そうしますと、管理費もさらに縮減努力をするという点で申し上げますと、今申し上げました十三兆円から十五兆円という投資余力のあるものは、税なんかで外部流出が多少出ても、一方で、今度は管理費の削減等でさらに投資余力が出てくるかもしれません。
 いずれにしましても、そこの辺のやりとりは別にしても、低位推計でも十三兆円ぐらいは何とか投資余力があるだろう、こういうことでございます。
 両方とも、新直轄方式も、公団、新会社で行う今までどおりの有料道路による建設も、時間的、時期的には何とか同じぐらいのスピードで、これから考えれば十五年とか十七、八年とかいうオーダーで何とか建設できる、そういう制度設計を私どもはこれから、会社の方はこれからできるようなものですから、そういう制度設計が多分できるであろう。しかしながら、これは、具体的にこれからまた新会社の制度設計として、年末に向かって制度設計させていただく、いろいろな御相談や御指導をいただきながら、そういう制度設計ができるように私ども努力する、これからの課題として努力する、こういうことでございます。
原委員 ありがとうございます。
 次に、本当は聞きたいことがもっとたくさんあるんですが、一点、本四公団の方の法案について確認をさせていただきたいことがあります。
 この法案の中では、車検のときに払う自動車重量税で、平成十五年度に国に入る予定額五千七百四十二億のうち二千二百四十五億円を、道路の特別会計に入れるところを一般会計に入れる、そのことで道路特定財源により早期に処理というふうになっていると聞いております。
 厳密にいろいろお聞きをしたところ、重量税の五千七百四十二億円が一般会計に入って、一般会計から二千二百四十五億円が、これは非常に長いんですが、普通国債等償還財源等国債整理基金特別会計繰り入れというところに入るのだそうです。借金返済の構図としては、重量税から一般会計に入って、一般会計からこの特別会計の繰り入れに入る間接的な構造になっています。数字として出るのは、一般会計からこの特別会計に入る十六兆円という総額で、二千二百四十五億円という数値が債務処理に使われるということが予算書にも書かれないという説明を受けたんですが、これは事実かどうかという点を一点確認させてください。
牧野政府参考人 お答えをさせていただきます。
 今、先生の御質問は二点あったかと思いますが、一つは、法律上、自動車重量税を入れるというのが明確になっていないのは何でだろうかというのがまず第一点でございます。
 その点につきましての財政当局の考え方を述べさせていただきますと、自動車重量税、これはもう先生御承知だと思いますが、法律上は一般財源でございます。ただ、創設のときの経緯、それから受益と負担との関係、そういったことを考えまして、事実上、特定財源として運用してきている、そういうことでございます。
 今、我々、いろいろなところで言われておりますのは、特定財源を見直して一般財源にしろということを要請を受けております。そういう流れの中で、先生おっしゃいましたように、法律で自重税を本四の処理に回すと書くということは、法律上の特定財源にするということになりますので、さっき申し上げたような世の中の要請から考えると、私どもはそれはとり得ないというように考えております。
 それからもう一点は、自動車重量税二千二百四十五億円が予算書上は出てこないということでございます。
 先生がおっしゃいました普通国債等償還財源等国債整理基金特別会計繰り入れ、ちょっと長くて恐縮でございますが、これは、一般会計の予算書の目の名称でございます。特別会計に財源を繰り入れますときは一般会計からその特別会計に入れるわけですが、それが何に使われるかという点につきましては特別会計の歳出の方で見ていただくということになっておりまして、財源が同じであれば、一本の目で一般会計から特別会計に繰り入れるということにいたしております。これは国債整理基金だけではございませんで、ほかの特会の繰り入れも同じような扱いでございます。
 ちなみに、今問題になっております国債費の二千二百四十五億円でございますが、これは、そういうことで法定の特定財源ではございませんから、あくまで他の財源と一括して、この十六兆の中で一般会計から特別会計に繰り入れていくわけでございます。
 では、特別会計の方はどうなっているかということでございますが、特別会計の予算書の歳出、正確には予算参照書でございますが、その中で、本四公団の元本の返済に千八百四十九億円向けられているということが明示されております。
 それから、利子を含めた総額につきましては、これも、国会に提出をさせていただいております予算の説明というのがございますが、その中に、利子を含めて二千二百四十五億であるということを明示しているところでございます。
原委員 ただ、今すごく細かい説明があったので、すっと理解するには非常に難しいんですが、法律案を素直に読むと、一般会計が債務を承継するというふうに書いてあるわけです。本当に素直に読んで理解をすると、一般会計から出てくると読むと、やはり国民感情としては、道路利用者による受益者負担の原則が崩れたのではないかというような声も聞かれたりしておるので、その辺のお金の流れとかそういうことももう少しわかりやすく、道路行政をわかりやすく伝えていくためにも、もう少しわかりやすく法律の中にも書き入れていくような措置が必要なのではないかと思います。
 時間が来たので、質問は終わります。いろいろと投げてあった質問は、あした日森議員が引き続きさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きょうは、二つの法案のうちの一つ、非常に単刀直入な名称になっておりますけれども、本四公団の債務軽減法案について質問をいたします。
 既にいろいろ議論はありましたけれども、本四公団が、債務の利息だけでも営業収入の一・五倍、毎年欠損金を生み出して、もう借金の元本すら返せない、一層債務を膨張させていくということで、事実上、民間なら完全に経営破綻状況にあると思うわけでありますけれども、これを何とかしなくちゃいけない、これは当然のことであります。
 しかし、これに安易に新たな国民の税金を投入して国民に負担を負わせるということは許されないんじゃないか。なぜこういう事態に立ち至ったのか、あるいはその原因の究明と責任の所在を明確にして教訓を明らかにする、その上で、組織のあり方とか経営のあり方を検討していくということがまず第一に必要だと思います。
 そういう点で、大臣は、なぜ今日のこういう事態に立ち至ったのか、その原因と責任はどこにあるのか、その点、まずお聞きをしたいと思います。
扇国務大臣 これは、先ほど津川議員が、三本、全会一致で通っているのは何月何日、どの法案だという質問がありました。私は、こういう大事な、国の基本にかかわることは、すべて国会の御論議で決着がついているものと思っております。
 私自身が一年生になったときに、三本要らないんじゃないんですか、真ん中の一本はやめたらどうですか、一番北と一番南、二本があったら、真ん中の一本の分で四国一巡の高速道路を連結してつくった方がいいんじゃないんですかと素人考えで申しましたら、まあ名前は出しませんけれども、怒られました。
 私が国会議員になるまでに、第一回目は昭和四十五年五月二十日でございますけれども、四十五年の四月十日の衆議院で本州四国連絡橋公団法というものが委員会も本会議も全会一致で通り、五月十二日には参議院で通っているのが一本。そしてその次は、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関するということで、五十六年四月二十四日、これも衆議院の委員会、本会議、参議院が六月の二日委員会、三日が本会議。三本目が、本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案、平成八年の五月九日、これが平成八年の四月十日に衆議院の委員会、十一日に本会議、そして参議院の四月二十六日の委員会、本会議ということで、すべて三本とも全会一致でございます。
 ですから、この間にいろいろ論議がされたと思います。私、申しわけないですけれども、この三本の全部の会議録を目を通しているところではございませんけれども、全会一致ということには、私は、議論の末に各会派が決定されたことだと思いますので、先ほど津川議員に何月何日だと言われましたので、今改めて大森議員にもお答えいたします、同じ質問ですから。
 これだけの三本の法律を全会一致で通されたということは、私は、国会議員が関与したとかしないとかということはさることながら、全会一致であった国会にも大きな、全会一致なんですから、みんなが賛成して、そして、この当時は可能だと思ったことであるんですから、私は、本来はもっと喜ばれ、もっと有効に使われ、今ごろは、うはうは経済効果が上がったよということになっているべきであったと思っております。
大森委員 全会一致を何回となく強調されているわけでありますけれども、これは責任の所在を極めて不明確にすることになるんじゃないか。
 第一回の公団法がスタートしたのが三十三年前であります。確かにそのときは全会一致でありました。当時は、年の成長率が一〇%というような、今日の事態とまるきり違う状況であったわけです。その後、社会経済情勢が大きく激動している中で、なぜ見直しをしようとしてはこなかったのか、このことが問われていると私は思うんですね。
 これはお話にもありましたけれども、七〇年直後、第一次オイルショックがありまして、その直後、総需要抑制で、これが一九七三年に凍結になりました。そして、その後、一九七五年八月に閣議決定で凍結解除となったわけなんですが、その直前に、これは後で触れますけれども、財界から強い要望があって凍結を解除する、こういう経過があったわけであります。
 それで、我が党について申し上げますと、この凍結解除、七五年八月でありますが、その直後の、一番大きな国会での審議である予算委員会の冒頭の質問で、三ルートは無理があるのではないかと、当時、日本共産党の不破書記局長でありますけれども、この見直しを強く求めたわけであります。加えて、その後、参議院の予算委員会でも、あるいは参議院の決算委員会等々で、たびたびにわたってこれを見直しを求めてきたわけであります。それを拒否したのは、与党自民党、歴代の内閣であったわけであります。
 当時、三十三年前、全会一致を出されましたけれども、当時と同じ名称の政党は日本共産党と自由民主党だけであります。日本共産党は、石油ショックを受けて、こういう新しい経済情勢のもとで三本は無理じゃないか、問題なのではないか、こういう見直しを要求した。その点で、こういう全経過からいったら、全会一致ということで責任をあいまいにすることはできない。やはり、三本のルート、こういう見直しを拒否してきた与党、歴代自民党内閣の責任があるということを私は最初に、全会一致を強調される大臣の前で強く申し上げておきたいと思います。
 この本四公団の破綻状況というのは、これは、自民党議員からも三大ばか事業というような言葉まで出たわけでありますけれども、この間、先行しての社会資本整備重点計画法等々の論議などでもありましたけれども、公共事業のあり方という点から、改めて整理をしてみたいと思います。
 我が党は、こういう公共事業のむだ、あるいはこういうようなむだな大型開発が生まれるその主な原因として、一つは、総枠先にありき、しかも、何が何でも、社会経済情勢がどうひっくり返ろうとも総枠を変えようとしない、こういう姿勢。それからもう一点は、とにかく右肩上がりの経済成長を前提とした過大な需要予測に基づく事業。そして、これもたびたび指摘をしてまいりましたけれども、天下り、談合体質、政治家、官僚、業界の癒着構造、こういうものが、この間、こうした三大ばか事業と与党の中からさえ出るような事業が行われる背景にあると思うんです。
 まず、総枠先にありき、何が何でも総枠は変えないという点でお聞きをしたいわけなんですが、三ルートは現在開通しているけれども、先ほど言いましたように、三ルートを決定したのは一九六九年であります。凍結解除後に決められたのは、一九七五年ですが、一ルート三橋。これはその後、三全総決定で児島―坂出ルート、こういうことになったわけでありますけれども、三全総決定では、この児島―坂出ルート以外には、地域開発もこれは記されていないわけですね。解除後は、ルートは一本化して早急に着工する、あとは地域開発の見地から着工するということで進められたわけであります。
 本四公団の目的というのは、法律の冒頭に書いてありますように、本州と四国を結ぶ橋。ルートではなくて地域開発のそういう橋を、これは当然、本州と四国を結ぶ、そういう道路の一つとしての橋ということじゃなくて、環境アセスも単独橋としてしかやられていない。そういう、明らかに性格が異なってきた地域開発の単独橋についても本四公団がやるというところに私は大きな疑問が生ずるわけでありますけれども、なぜそういう、地域開発であれば、本四公団法に掲げられたような本州と四国を結ぶ橋、性格が異なるそういうものについて本四公団が担わなくてはならなかったのか、その点、どのようにお考えなんでしょうか。
扇国務大臣 大変、僕たちは正しかったけれどもみんな悪かったじゃないか、特に政府・与党は責任があるぞというお話ですけれども、私は、少なくとも国会の中で、民主主義で、意見は意見として反対論をこうして出していただいて、その中から、最後は民主主義でみんなで決めてきたことですから。
 先ほどもお話ししましたけれども、できてしまったものを今どうするかという、私は前向きに考えていきたいという主義でございますから、振り返って、だれが悪い、かれが悪いと言ったところで、橋を壊すわけではありませんし、あるものを何としてでも私たちは有効に使いたい。
 では、悪いことばかりだったかというと、本四の橋がついたために、この橋のおかげで、直接効果というのは年二千五百億円あるわけですね、短時間になったということで。そして、八兆七千億円の、十二年度の価格としてこれだけ利益が、短縮されたということで直接の効果がある。
 あるいは間接効果でどうかというと、十二年度、全国で一兆二千百億円で、関係の八府県で少なくとも年間八千九百億円の利益が上がっている。
 また、四国の工場立地というものを考えましても、四国に、橋の前の一・九倍の工場ができている。
 経済効果がどれほどかということは別としましても、今おっしゃったように、その地域のためにということであれば、橋がかかったことによって四国はこれだけ、一・九倍も工場は来ているということ自体も四国にとっては、四国の先生方いらっしゃいますけれども、やはりあったわけです。
 私は、ただ、三本ではなくて一本でもこれだけの効果があったかどうかということはクエスチョンマークだと思いますけれども、すべて悪いんではなくて、できてしまった国民の財産というものをどのようにしていくかということに私たちは今知恵を絞っています。私たちは犯人捜しをするつもりはありませんけれども、先ほど大森議員御自身がおっしゃいました、やはり経済効果、時代の変化というものを私たちも酌み取れなかったことは事実でございます。
 けれども、その反省の上に立って、私たちは、今あるものをどうしようかということに知恵を絞っておりますので、ぜひ、そういういい御意見があれば、こういう委員会で私たちにもお知恵を授けていただければありがたいと思っております。
大森委員 単に過去のせんさくをしているわけじゃないんですよ。大体国民は、自動車重量税を初め自動車関係、道路関係の税金を本四公団の借金の穴埋めのために払っているんだという意識は全然思っていないんですよ。そういう本四公団の穴埋めのために私は税金を払うんだと思っている人はだれもいないわけですよ。それを一兆円以上も、出資金の方でも十年延長で、これも税金ですよ。合わせると三兆円近い税金を、この間のこういう誤ったやり方によって国民が負担させられるということですから、何が問題だったかということを徹底的に解明しなくては、今後のことも進んでいくことはできないと思うんですね。
 それで、一九七五年に一ルート三橋、その後四橋になりましたけれども、凍結されていた事実上のルートの橋が次々とつくられていくということについてどうだったんだと伺ったんですが、これについてはお答えがありませんでした。
 とにかく総枠をどんどん進めて、民主主義とおっしゃるんだったら、そういう形で、閣議で、総需要抑制、凍結する、凍結解除の際も一ルート三橋ということになっていった。それがどんどん、事実上、凍結解除はそれから十数年先になりますけれども、その間にも事実上のルートの橋が次々と着工されていく、そこに問題があるということを私は申し上げているわけであります。
 ですから、先ほども言いましたけれども、そういうやり口でありますから、これは本当に、ある意味では国民を欺くようなやり方だと思うんですね。一ルート三橋だと言って、ルートについては三全総でも一ルートしか記入されていませんよ。それをどんどん、一ルート以外の他の単独橋についても着工していくということに、なし崩しにこれを進めてきた政府の責任というのを、全会一致なんという一言の言葉でこれを片づけてはならないということを申し上げておきたいと私は思います。
 改めてお聞きをしますけれども、公団法スタート以来三十数年たって、見直しをする機会は何度もあったと思うんですね。事実上見直しをされて、総需要抑制のもとに凍結することもありました。しかし、今申し上げたように、なし崩しにそれを解凍していくということも行われてきた。しかし、なおかつ抜本的な見直しはやられませんでした。石油ショック、そして、その後の大きな激変といえばバブル崩壊後の時期でありますけれども、こういう時期での、この三ルートについては見直しなどはやられなかったでしょうか。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、その時々で見直すということは必要なのは当然のことでございます。
 私が先ほど委員会でお答えいたしましたように、現段階でも、民営化することにどのような手順でどのようなことをやっているのかということで、一川議員にもさっき質問されました。本来であれば、私は正直言って、こんなにお荷物にならなければこんなことをする必要ないわけですから、大森議員がおっしゃったように、その時代、その流れというものを見ないで、これを最初のとおりつくってしまったことは間違いだということを、政治の三大ばかとよく言われますね、そういうことを私はちゃんと認めています。そして委員会でも、今まで、政治的に間違ったことがあれば政治的に今度は解決しようではないかということも私申し上げております。今思えば政治的に間違っていた部分もあった、そういうことも私はちゃんと申し上げてありますので、それをネグっているわけでもございませんし、その責任を感じるから、政治的にどう対応すればいいかという対応を私たちは今練っているというのを先ほども御披露したところでございます。
 私は、その都度、その時々の経済状況を踏まえまして、今回までにも六回、交通需要予測というのを見直して、採算性も考えていこうということをやっております。
 それから、今、大森議員がおっしゃいました十の府県市、関係者にも今まで御負担もいただきました。そういうことも、皆さん方に、利用者ですから何とかしてくださいということで、これも、本来であれば喜んでいただいて、もっともっとつくってもいいですよと言われるぐらい地方が経済的によくなっていればうはうはだと私は思うんですよ。
 けれども、今、大森議員がおっしゃったように、私自身も感じていますように、経済状況、交通量の見誤り、そして時代の変化等々でこれだけの赤字をしょってしまったということ自体は私は逃げることができないと思うから、今それぞれの見直しをし、なおかつ今まで、必要に応じて公的助成の拡充等々、採算性も見直しながらやってきたという事実は事実ですけれども、もう工事が済んでいますから、今度、今の借金をどうしようかということに、私たちも、一人でも多くの国民の理解を得ようというふうな策を練っているというのが現状でございます。
大森委員 たびたび見直しをやってきた結果が、こういう国民の税金を一兆数千億円も注ぎ込む。この見直し自体を本法に迫るものではなかったんじゃないか。その責任も我々は厳しく問われると思うんですね。
 確かに悪うございました、今後改めますということだけでは、これは済まされないと思うんですね。私は、冒頭言いましたように、こうした事態をもたらしている大きな原因として、総枠先にありき、あるいは総枠はいかなることがあっても変えない、そして、今もお話にありましたけれども、過大な需要予測、政官財癒着の構造、談合体質等々、三つ四つ挙げたわけでありますけれども、これは単に本四の問題だけじゃないと思うんですね。今、全国各地で、何十年も反対運動をやっている高速道路等が幾つもあるわけですよ。そういう問題に対処する上でも、きちんと一つ一つ解明していくことが改めて求められていると思います。
 過大な需要予測の問題でありますけれども、これは政府も認めて、推進委員会の意見書でも指摘しているところであります。
 先日の参考人質疑で織方弘道参考人が、この方は公団の元幹部であった方でありますけれども、いろいろリアルに意見陳述をされておりました。元国土庁事務次官の方の言葉を引用して、例えば、財政的なリスクの高いプロジェクトを始めるという政治的な決定に太鼓判を与えるために交通需要予測を高く設定したとか、あるいは、大蔵省の査定を通すために予測交通需要量をでっち上げる、鉛筆をなめて償還計画を作成するなど、こういう言葉を引用しながら、生々しく発言をされておりました。
 同時に、この織方参考人は、計画を立てる建設省の役人が計画を実行する公団に天下って担当するということから、だれもチェックできない無責任なシステムが問題だ、こういう指摘もされました。公団という制度がだれも責任をとらなくてよいシステムだったと思うとも語っておられました。
 そこで、公団総裁にお伺いをしますけれども、公団の事業計画や予算、資金計画あるいは決算など、公団では、チェックの体制はどのようになっていたでしょうか。
藤川参考人 当公団の予算、資金計画、それから決算のチェックの仕組みはどうなっているかという御質問だと思いますけれども、私どもの公団の予算とか資金計画につきましては、公団法の三十五条に基づきまして、国土交通大臣の認可を受けることになっております。それから、決算につきましては、公団法三十六条に基づきまして、国土交通大臣の承認を受けるということになっております。
 私どもは、その申請に当たりましては、予算それから資金計画につきましては、政府の方からあらかじめ内示がございますので、その内示を踏まえまして、公団内部でその妥当性等について検討した上で申請をやっているところでございます。当公団が出した申請案に対しましては、国土交通省それから財務省の方におきまして、適切な審査等が行われているというふうに考えております。
 また、決算と予算の認可申請につきましては、当公団に管理委員会というのがございますので、あらかじめ、これは国土交通大臣が委員を任命することになっておりますけれども、その管理委員会の議決を経るということになっております。
 それから、決算につきましては、会計検査院の検査を受けておりますほか、平成十三年度からは、監査法人、いわゆる外部からの監査も受けようということで、監査法人による外部監査を導入いたしまして、会計処理の一層の適正を図るということでやっているところでございます。
大森委員 国土交通省、国土交通大臣との関係では、三十五条、三十六条を指摘されたわけですが、公団としての自己点検として、第八条、管理委員会、今御答弁がありました。
 この管理委員会はどういう権限を持っているんでしょうか。
藤川参考人 管理委員会につきましては、今申し上げましたように、当公団の毎年度の予算、資金計画、それについて議論していただくことになっておりますし、また決算につきましても、あらかじめ、決算を大臣に報告する前に、具体的にいろいろ御議論をいただいているところでございます。
 また、そういう管理委員会が開かれるだけじゃなくて、管理委員にはいわゆる民間の方も入っていただいておりますので、必要に応じまして、御意見をいろいろな形でできるだけ聞くように、私どもとしても努力しているところでございます。
大森委員 そうしますと、財務状況がどういう状態かを把握する、あるいは今の経営破綻の、債務超過を生むような事態を回避する、そういう点からもチェックをするという責任も、これは当然管理委員会にもあるわけだと思いますけれども、いかがですか。
藤川参考人 今申し上げましたように、毎年の予算とか資金計画、決算について議決していただいているところでございますが、実際に私どもの経営そのものがどういうふうになっているかという点につきましては、私どもは償還計画という計画をつくっております。その償還計画と実際の状況がどういうふうになっているかというのはやはり常にフォローアップしておりまして、実際にどんな問題点が出てきているかというのを確認した上で、できるだけ早急に的確な対応をとるように、私ども公団としても努力しているところでございます。
大森委員 そういう面では、管理委員会は公団の中で最高の責任が付与されていたと思うわけですが、その管理委員会の構成はどういうぐあいになっているのでしょうか。
藤川参考人 管理委員会の構成でございますが、国土交通大臣が任命する委員が七名ございます。そのうち四名につきましては、いわゆる民間の学識経験者の方にお願いをしておりまして、あと三人の方につきましては、私ども公団に出資していただいております地方公共団体がございますが、その地方公共団体の長の方につきまして、共同で推薦していただくことになっております。地方公共団体の長の代表の方が三名、それ以外のいわゆる学識経験者の方が四名、それに私、総裁、八名で構成されております。
大森委員 管理委員会八名のうち、公団総裁、地方公共団体、これは事実上知事ですね、もうずっと長く知事が三人と、そして経済団体代表など四人。ですから、民間からといえば四名になるわけですけれども、そのうちの三名が経済界の代表。しかも、そのうち一人は関経連の会長、もう一人は四国の経済連代表。これは設立以来、三十数年間ずっと一貫してきているわけですね。芦原義重関経連会長に至っては、会長、名誉会長、芦原氏のポストは変わりますけれども、三十年余りのうち二十二年間も芦原氏がずっとこの委員の席を占めておられるわけですね。
 こういう状況であるわけなんですが、そういう管理委員会が、もちろん管理委員会だけではありませんけれども、こうした事態に至るまでなぜチェックできなかったのかという点で、この地方自治体あるいは経済界の代表もまた責任を問われるのではないかと思います。
 ところが、今回の法案では、地方自治体には新たな負担を要請しておりますけれども、経済界には何の負担もやっていないということも、これは時間があれば後ほどまたやりたいと思うんですけれども、まず指摘しておきたいと思います。
 政官財癒着の問題、この点でいえば、本四公団の総裁の前職はどうなっているでしょうか。あわせて、旧建設省、国交省、高級官僚のいわゆる天下りはどういう状況になっているか、お答えいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 本州四国連絡橋公団におきます旧建設省出身の役員は、平成十五年四月一日現在でございますから、きょう現在で、総裁と理事の二名でございます。
 それから、歴代はどうか、こういう御議論で申し上げますと、歴代総裁、八名おられますが、最終官職は、建設省事務次官が二名、国土庁の事務次官が一名、建設省技監が一名、建設省道路局長が三名、それから建設省の都市局長であった方が一名、以上八名ということでございます。
大森委員 時間がなくなりましたので質問は終わりますけれども、結局、今申し上げましたように、この問題、特にこれから申し上げたかったのは、こういうような問題をあいまいにしたまま、あるいはさらに言えば、民営化後の形態がどういう形態になるのか一切明らかにならないまま国民の負担だけを決めるということには、やはり大変問題があるのではないかと思います。
 総裁は管理委員会のメンバーでもあるわけですが、公団そのものの代表でもあります。総裁が計画をつくった建設省から天下り、それを執行していくということで、その責任も極めて大きいと思います。民間企業の場合、債務超過で破綻すれば、その責任は、こういうようなとり方にはとてもならない厳しい責任のとり方を迫られるわけであります。
 報酬、退職金なんかも莫大な、四、五年間で四千万円もの退職金を手にする、そういうことも放置したまま国民に税金負担を求めるということは許されないということを最後に申し上げて、引き続き、あす以降の質問でもまたこの問題等をやらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
河合委員長 松浪健四郎君。
松浪(健四郎)委員 保守新党の松浪健四郎でございます。
 高速道路は、国土の有機的形成を図り、国民が安心して安全に暮らしていく上で必要不可欠な社会資本であります。整備を待ち望む地域にとりましては、地域活性化の生命線でもございます。このため、高速道路は、国の責任において一日も早く整備する必要がございます。これが、高速道路整備に対する私どもの基本認識であります。
 先般、道路関係四公団民営化推進委員会は、総理に対し、高速道路整備に関する意見を提出しました。その内容は、今井委員長が委員長職を辞任するという異常な状態でなされたこともあり、新たな組織による高速道路の整備を極めて困難にするものであります。私どもは、断じてこの内容を容認することはできないということを、まず冒頭申し上げておきたいと思います。
 そこで、ただいま議題になっております二法案について質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、本州四国連絡道路の料金が引き下げになります。これは、ETCを使いますと四割を超える、そういう割引になりまして、私は、激変を緩和する必要がある、こう考えるものであります。
 本州―四国間のフェリー事業者に大きな影響が及ぶ、このように考えますけれども、民営化推進委員会の田中委員長代理のお話によりますと、委員会では全くこれらのことについては議論されなかったというお話でございました。フェリー事業者に影響が及ぶと我々は考えますが、それについては中馬副大臣はどのようにお考えであられるか、お尋ねしたいと思います。
中馬副大臣 もともと島でございますから、その間は船で航路があったわけでございますが、本四架橋ができまして、それに伴う影響等がありますので、一般旅客定期航路、フェリー等につきましては、いわゆる本四特措法をつくりまして、交付金の交付、離職者支援の徹底などの措置を、本四連絡橋の供用の都度実施してきたことは御承知かと思います。
 今回、こうして料金が引き下げになったから大きな影響ということでの、また、地元からの御陳情も私も直接いただきました。しかし、そのとき申し上げましたのは、もう既にこのような橋がかかることによる一つの措置は講じられているわけでございますから、それの後は、料金を上げる下げるは、公団といいましょうか、その事業体の一つの営業政策等でもあるわけでございまして、その都度料金を上げたり下げたりするのとちょっと性格が違うのではないかということをあえて申し上げたようなことでございます。しかし、やはり行政を預かっている者でございますから、何か大きな影響が出たときには、そのときにはもちろん対策は考えますけれども、今の時点においては、これはひとつその推移を見ていてくださいと。
 そして、逆に、私どもが、今回に限らずに、道路あるいはまた橋がかかるときにいつも地元の方に申し上げるんですが、道路がかかったことによって、どうやってその町が繁栄するんですかと。逆にバキューム効果というのがありまして、一つ橋を通すと、一つ新幹線を通すと、逆にそこからぐっと吸い上げてしまって、そのとき何もしなかったらその町が寂れたりするケースが非常に多いですから、そういうことを、地域の振興策を考えてくださいよと常々私も言ってまいりました。
 その方々にも、また、陳情に来られた知事さんにも申し上げましたけれども、やはりこの道路の活用、橋の活用によりまして、あるいはまた、こうして少し利用者がふえるような形で私どもも採算性の範囲の中で料金を下げますけれども、それを機に四国にもっともっと発展策を、もっともっと観光誘致をしていただく。そして、その観光の方も、道路だけじゃなくて、観光に来たら瀬戸内を船で通るのもいいじゃないか、そういうPRもされたらどうですか、ともかく、一年間そういうことでやってみますから、ひとつ皆様方も御努力いただきまして、改めて大きな状況が想定された場合には、これはひとつ考えましょう、そういう形で言っておりますので、そのこともひとつ御理解いただきたいと思います。
扇国務大臣 これは大事なことだと思いますけれども、私は特に松浪議員に御理解いただきたいのは、今まで、この旅客船の皆さん方の対策費の交付金、これは通行料の上がりから払っているんです。そして、二〇〇一年までにこの旅客の対策費として七百四十四億円も払っているという事実は厳然とあるわけですから。本四ができたおかげで自分たちは仕事が減ったとおっしゃいますけれども、この人たちの就職先も考えて、しかも、交通料を下げたら困るとおっしゃるけれども、下げた中からまたこれを払ってきた、交通料の中から今まで七百四十四億円というものを交付金として払ってきたという事実だけは、私たちはむげにそれを話したんじゃなくて、この連絡橋のおかげで皆さん方が困っていらっしゃるということで、交通料の中から七百四十四億円を払ったという事実だけは、私は皆さんに知っておいていただきたいと思います。
松浪(健四郎)委員 大臣の答弁でも我々も十分に理解をいたしますけれども、いずれにしても、激変緩和ということ、これを我々は視野に入れておいて、そして状況を見て、切り捨て御免というのではなくて、助けることができるならば助けようというような温かい配慮、これを行政側として持つ必要があるのではないのかということを強く主張させていただきたいと思います。
 次に移りますけれども、私は、長い間シルクロードの国で生活をしておりました。シルクロードというのは、簡単に道ができたわけではございませんで、大変な人たちの犠牲があって、やっと中国からローマへの道が伝わった、こういうふうに理解すべきでありますし、現にそうでありました。
 この道はほとんど人が通らない、けれども、我々はどれだけ文化的な面で大きな利益を得たか、これがシルクロードの真骨頂であります。申すまでもなく、ヘレニズムの文化、これを見ればいいわけでありますけれども、道というものはそういうものであって、我々の心の豊かさや経済的な豊かさ、これらを運んでくれるものでありまして、単に採算性だけで道路を論じるということは極めて恥ずかしいことである、こう言わねばならない、私はこう思っておりますけれども、民営化推進委員会の意見によりますれば、既存路線の料金収入に依存した建設は容認しないということであります。
 そこで、佐藤道路局長にお尋ねいたしますけれども、整備計画九千三百四十二キロメートルについては、現在の整備スピードを落とすことなく早期に整備すべきであると思います。法定予定路線一万一千五百二十キロメートルの整備も国の責任で着実に整備すべきである、このように考えますが、いかがでしょう。
佐藤政府参考人 二点について申し上げたいと思います。
 まず、高速自動車国道全体の予定路線一万一千五百二十キロにつきまして、国の責任で確実に整備をすべきではないか、こういうお話でございます。
 採算性と必要性といいますか、費用と便益、いろいろな観点から考慮する必要性というものはどうも違うものである、こういうことだと思います。そういう意味では、一万一千五百二十キロの予定路線につきまして、いろいろな観点から御審議いただいて、四全総の中で、日本のネットワークとして必要であると。今見直してみましても、費用と便益、こういう面から申し上げますと、必要性の高いもの、そんなふうに思っておるところでございます。
 いつも繰り返しいろいろな観点からの指標等の見直しは必要である、こうは考えておりますが、そういう意味で、国が責任を持って確実に整備を進める必要がある、こう思っております。
 次に、九千三百四十二キロについてでございます。
 これにつきましては、既に整備計画が出ている、こういう状態であるわけでございます。着実に、スピードを落とすことなく、こういう御指摘でございました。そういう意味で、今お願いしております新直轄方式ということで、国税と地方税と合わせまして三兆円を目安にできるだけ整備を進める、こういうこともお願いしておるところでございまして、そういう意味でいろいろな努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
松浪(健四郎)委員 次に、今後の高速自動車国道は、プール制度を活用した有料道路方式と、新たな直轄方式によって早期に整備すべきだ、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 そういう観点から申し上げますと、今お願いしております新しい直轄方式、これは数字的には、全体、高速自動車国道で申し上げますと、十五年度以降の残事業費がコストカットを入れて十六兆円、こういう中で、三兆円の新しい直轄方式を目安としてお願いし、残り十三兆円につきまして、有料道路方式ということで制度設計ができるように、いろいろ年末に向かって制度設計をお願いしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
 いずれにしましても、二つの方式をできるだけ効果的、効率的に使いながら整備を進めるということをお願いしているところでございます。
松浪(健四郎)委員 高速自動車国道の早期整備を図るために、構造、規格の見直し、朝からの大臣の答弁をお聞きしておりますと、トランペット方式からダイヤモンド方式に変えるとか、いろいろ工夫、研究されていることが理解できるわけでございますけれども、これら規格の見直し、それから関連法人の改革などを通じてコスト削減やサービス向上を積極的に進めるべきである、こういうふうに考えますけれども、今申しましたほかのことで、具体的な対応、これらはどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
佐藤政府参考人 コスト削減計画につきましては、大臣からも御説明いただきました。その中で、一点さらにあえて申し上げますと、入札契約の、これはいろいろな方式がございます、英語で恐縮でございますが、バリューエンジニアリング、契約後あるいは契約前にいろいろな提案をいただいて、もっとこうしたら安くなりますよというような形で民間の企業とやりとりをする。それからデザインビルドということで、最初から設計も込みでコンペしていただいて、最も妥当な、かつ安いものを採用させていただく。あるいはまた交渉方式、こう申しておりますが、入札予定価格が一番低い、落札予定価格を一番低く入札していただいた方といえども、中を吟味して、もっと安くなり得るという部分があれば、さらにコストカットできませんか、こんな形で交渉しながらさらなる契約価格の削減を図る、こういうような方式を、またいろいろ考えられるところでございます。
 こうした方式の適用も含めて、さらなるコスト縮減ということで五千億円程度の建設コストの縮減を目指そう、こういうことにしたところであります。
 それから、管理コストという問題で申し上げますと、とりあえず二五%程度の管理コストの削減を十四年度から十七年度にかけてやろう、こういうことにしておりますが、これにつきましても、今申し上げましたような契約方式のいろいろなやり方の工夫、それから技術開発、特に管理関係の場合には、人手のかからない点検技術とかいうものが、大分技術が進んできております。そういうものも活用しながら三割の縮減を目指す、こういうことにもしたところでございます。
 いずれにしましても、サービス向上をベースにしながら、できるだけのコスト縮減を図っていくということが大事なことだと思っております。
松浪(健四郎)委員 道路関係四公団民営化推進委員会の意見書によりますと、新会社は機構の所有する道路資産を買い取るとされておりますけれども、私企業による買い取りは、経営の中心がもしかしたならば外国人の手に移る可能性があるわけですね。これは不適切ではないかと私は考えますし、天下の公道を私的なものにするということは大変な危険性をはらんでいるのではないのか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 外国の事例を多少述べさせていただきます。
 イタリア、フランスなどにおきましては、政府が民間会社とコンセッション契約を結びまして、その会社が高速道路の建設、運営を行っている事例がございますが、イタリアにおきましては、アウトストラーデ社が二〇〇〇年に民営化されてから、一時、外資などによる敵対的買収にさらされるという危機に陥ったということもあったようであります。ベネトンやイタリアの金融機関等で構成する最大株主が株式公開買い付けを行って、同社の持ち株比率を三〇%から八四%に引き上げて危機を回避した、こういうような報道があることは承知しております。
 いずれにしましても、高速自動車国道は最も基本的なインフラでありますので、国が建設、管理に責任を持つべきもの、こういうことは認識しております。道路関係四公団の民営化に向けた具体的な制度設計に当たりましては、閣議決定に従って、民営化推進委員会の意見を尊重するとの方針のもとで、所要の検討を十分に行ってまいりたいと思っております。
松浪(健四郎)委員 いずれにいたしましても、常々大臣が申されておりますように、道路、空港、港湾、これは国が責任を持つということで推進していただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
 ありがとうございました。
河合委員長 次回は、明二日水曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会


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