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第14号 平成15年4月8日(火曜日)

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平成十五年四月八日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西川 京子君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    菱田 嘉明君
      堀之内久男君    松島みどり君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    森田  一君
      山本 公一君    吉野 正芳君
      渡辺 博道君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      藤島 正之君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    金子善次郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (都市再生本部事務局次長
   )            和泉 洋人君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月八日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     吉野 正芳君
  原田 義昭君     渡辺 博道君
  福井  照君     松島みどり君
  松宮  勲君     西川 京子君
  川内 博史君     井上 和雄君
  永井 英慈君     筒井 信隆君
  土田 龍司君     藤島 正之君
  二階 俊博君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     松宮  勲君
  松島みどり君     福井  照君
  吉野 正芳君     高木  毅君
  渡辺 博道君     原田 義昭君
  井上 和雄君     川内 博史君
  筒井 信隆君     永井 英慈君
  藤島 正之君     土田 龍司君
  金子善次郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
四月三日
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 空港整備法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、港湾法等の一部を改正する法律案及び空港整備法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長松野仁君、港湾局長金澤寛君、航空局長洞駿君及び都市再生本部事務局次長和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
玉置委員 おはようございます。
 きょうは二つの法律の質疑でございますが、特に私は、港湾法等の方の前半の部分で質問していきたいというふうに思います。
 港湾の問題は、神戸港が震災に遭ってから、日本の港湾に対する荷扱いの位置づけが大分下がってしまいまして、それまでもハブ港湾という形でできるだけ整備をしていこうという方向であったわけですけれども、意に反してどんどんと港湾の荷扱いの量が低下をしているというふうな現状でございます。いろいろな面で海外に流出をする荷扱いの原因となっているんではないかということで、私どもから見ると、せっかくいろいろなチャンスがありながら、行政の対応が非常におくれてしまって、そのために、特に近隣の港、香港あるいは高雄、シンガポール、こういうところに、日本に来るものが逃げてしまっている。場合によっては、東南アジア全体を考えていきますと、東南アジアの中での競争に負けてしまっているんではないか、こういうふうに思います。
 それの一つの原因として、今までは港湾荷扱いの時間が、土日休みだとか、あるいは朝八時から夕方五時までとか、非常に制限されてきたということでありますし、もう一つは、私たちの国のシステムとして、書類上の審査の手続が非常に複雑であるというふうにお聞きをしております。
 私も昔、大蔵委員会のときに、それこそ二十数年前から、税関の通関検査が非常に時間がかかるという話を何回も申し上げて、大分合理化されてきたんですが、一方では、当時の運輸側の港湾の手続が同じようにかかる。あと、検疫がございます。それから保税という措置もあるわけですけれども、それぞれに非常に手間がかかるし、書類はみんな違うという話がございまして、この辺を非常に気にしていたんですが、ようやく、こういう問題を一気に解決しようということで、今回の法律で提案になったところです。
 この辺で、何でおくれていたのかということも含めて、それから次は、改定の目的をどういう位置づけに、どこまでをねらってやるのかということをお聞き申し上げたいと思います。
扇国務大臣 今、玉置委員がおっしゃったとおり、港湾手続の一元化というものがまずできなかったこと、それから、各役所の所管によって手続方法がばらばらであったということ、そして、今、玉置委員がおっしゃった時間的な制約があって二十四時間オープンでない、これも大きな原因だと思います。
 港湾の手続一つとってみても、今申し上げましたような大きな欠点があった。欠点というよりも、他のアジアの諸国等々に比べて手続がおくれていた。
 例を申し上げますと、各役所がございまして、国土交通省はシステムに関しては無料でございました。ところが、財務省は、NACCSですけれども、これは有料でした。厚生労働省もNACCSで有料。農林水産省もNACCSを使用して有料。経済産業省は無料。法務省もなしということで、あらゆる点で、料金を取るところ、取らないところ、NACCSに加盟しているもの、していないもの、それぞれの格差がやはりあって、それが統一できなかった。
 それが大きな原因だと思いますけれども、今回は全部それを統一しまして、システムの使用料をすべて無料にやっとできた、これはワンストップサービスができるということで、大きな前進だと思って、これも随分かかったんですけれども、各省庁の御納得を得てやっと法案としてワンストップサービスができるようになったというのが大きな要因だと私は思っております。
 それから、港の方ですけれども、今おっしゃいましたように、日本は、通常、船が着いてから荷おろしするのに二日から三日かかりました。他国は全部二十四時間以内です。それも大きな原因で、今回は二十四時間オープンということも改めてするようになりましたので、そういうもろもろのことが、今回の法案でやっと国際化になじむようになった。言葉で言えばそういうことでございます。
玉置委員 実は私は、ある企業におりましたときは、合理化とシステム設計と両方やってきたんです。そのときに、要するに、システム設計するならば、全部の仕事を見直して、その仕事が要るのか要らないのかというようなチェックをしながら、要らないものはどんどん省いていった。そして主なところだけを残して、同じくいろいろな部署等の調査をしながら、ずっと横並びで見ていったんですね。
 そのときに考えますのは、当然、ある費用を投下するわけでございますから、それなりの効果が出ないといけないということなので、仕事量をいかに減らすかということもかなり重要視した投資をやってきたということがあります。
 当然そういうことも考えられていると思うんですが、これは局長さんにお聞きしたいんですけれども、現在のシステムからどれだけ変わって、どういうところを工夫されて今度の新しいシステムに変わるのか。そのためにどのぐらいの金額を予定して、効果としての金額をおおよそどのぐらい見ておられるのか、その辺、わかればお聞きしたいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回のシステム化を行うに当たりまして、先生御指摘のように、複雑で、しかも重複しておりましたいろいろな手続関係につきまして整理統合を図るという事前の検討を十分行いました。
 港湾のEDIシステムでございますが、実は平成八年度から、主要な港湾管理者とともに行政手続書類の現状調査を行いまして、手続の簡素化や迅速化に努めてまいったところでございます。
 例えて申し上げますと、港湾管理者ごとに実は様式が異なっておりまして、船が着く係留施設の使用許可申請書につきましても申請項目数というものが非常に多うございました。港湾管理者でさまざまでございまして、例えばある管理者では五十数項目、ある管理者では三十数項目、そのように非常にさまざまでございました。その申請項目数の削減、簡素化を図る、そういうことによって、全国統一の標準仕様といたしまして、三十二項目に絞るというふうにしております。
 また、港湾管理者と海上保安庁で連携を図りまして、申請者が行政手続に係る申請項目の二重の入力を従来しておりまして、その必要がなくなるような配慮をしておるところでございます。
 このような利用実績というものを踏まえまして、今後も港湾管理者の手続等について、さらに手続の簡素化やシステムの改良に努めてまいりたいと思っております。
 また、コストの点でございますが、例えばEDIシステムでございますけれども、具体的な効果といたしましては、申請者側、民間の方が申請されるわけでございますが、それの効果といたしまして、例えば、外国航路を扱っております船社とか船舶代理店が行う港湾管理者に対します行政手続に限ってみましても、EDIを使うことによって時間が短縮されますが、その時間短縮効果を金額に換算いたしますと、年間約二億円のコストが削減されるというふうに試算しております。
 一方、行政側の効果、いわゆる港湾管理者の方の効果でございますが、行政手続が電子化されます、そのことによりまして、船会社とか船舶代理店等に対するサービスのレベルを低下させることなく、今までは一つの港の中に複数の受付窓口を設けて対応しておりましたものを、窓口を一本化することができるようになります。
 例えば、先ほどお話がございました神戸港でございますが、このEDIシステムを使うことによりまして、今まで三カ所の受付窓口がございまして対応していたわけでございますが、これを一カ所に絞り込む、そういうスリム化を行うことができます。
 そのようなことが日本のすべての港にわたってこれから達成されていくだろうというふうに考えておりまして、利用者側あるいは行政側ともにそういう効果がこれから顕著にあらわれてくるものと期待しているところでございます。
玉置委員 いただいた資料の中にシンガポールとの比較が書かれているわけですけれども、手続からすると、日本の場合、それにかかる費用がとんでもなく高いんですね。それから、時間が、それこそ二・五倍ぐらいというような感じで、圧倒的に差があるという感じなんです。
 私からすると、今あるところにお金だけかければ当然高くなるんですね。人も減らして手続を簡素化するならば、要らない人を全部違うところへ配置して、ある年齢になったら退職してもらうというようなことを考えていかなければいけないと思うんですが、そういう面で、人的な面からいった変化というのはどういうふうに変わっていくのか。
 それから、結構うるさい組合がいると思うんですが、そういう人たちとの話し合いがどういうふうに行われているのか。というのは、従来、営業時間が短く規制されていたということ自体が組合が絡んだ話だったと思うんですけれども、二十四時間に将来できるのか、あるいは、すぐにそういうことを目指してやっておられるのか。それから人的な配置の変更、その辺をどういうふうにされるのかというのをちょっと聞きたいと思います。
金澤政府参考人 申請手続を利用していただきます船舶代理店、あるいは、それを使いまして荷役作業等を行っていただきます港湾の荷役の業界の方々、いずれにいたしましても、日本の港というものの効率を上げていく、そうしないと諸外国の港に太刀打ちできない、ひいては日本の貨物が逃げていく、こういう危機感は深刻な問題としてとらえていただいております。
 例えば港湾の荷役の業界でございますが、平成十三年の暮れの労使の交渉におきまして、日本の港、それまでは土日お休みというようなことでございましたが、年間三百六十四日、正月はお休みということでございますが、年間三百六十四日、二十四時間フルオープンするという決定を労使協定として結んでいただきました。そのことによりまして、昨年、一昨年、正月にも荷役が行われまして、コンテナ船の荷役等、十分行われております。
 このように、民間の企業の方々、一生懸命やっていただいておりますし、また、先ほど一つの例として申し上げましたが、神戸港では、もちろん組合との話し合いの結果でございますけれども、神戸港の三カ所ありました窓口を一カ所に絞り込むことができまして、それまでは三カ所で四十四名だったと思いますけれども、の人間が作業をやっておりましたが、そのうち約十名を削減する。もちろん、削減すると申しましても違う仕事に振り向けているわけでございますけれども、そういうことが達成されてきている、このようなことも港湾管理者の中で進んできております。
 これが、神戸は非常に大きな港でございまして、日本の開港の中にも小さな規模の港もございますから、すべて神戸港掛ける日本の全国の港というわけにはまいりませんけれども、それぞれの港の規模、大きさに応じまして、そのような省力化といいますか合理化が果たされていくのであろう、そして仕事が効率的になって、その労働力がもっと別の仕事に振り向けられまして港湾の効率化が果たされていくんだろうというふうに考えております。
玉置委員 次に、港湾部門の都市再生のことが今回の法律に同じく盛り込まれているわけでございますが、これについてちょっとお聞きをしたいと思います。
 私たちにすれば、やはり、昔栄えた町が今寂れてしまって放置をされているということで、これを都市再生という形で利用できるようにやっていただくというのは非常にうれしい話なんですが、みんながもう引いてしまった後に、では、本当にここへ来ていただけるかというのがありますね。
 それから、これは港ですけれども、同じくJR、旧国鉄の跡地ですが、線路と線路の間がまだいっぱい、あちこち日本全国残っているということで見ていきますと、やはりだれかが音頭をとって進めていかないと進まないのではないかということなので、最近の傾向としては、民間のどなたかが地域の方々と一緒に計画をされて、それがいい案であれば対応するというのが、都市再生の物の考え方の一つに入っているわけです。
 そういうことからいくと、では、だれがどういうふうな形で行われていくのか、要するに計画立案ですね、そういうのがどういう形だったら認められるのかということもちょっと気になるところなので、国土交通省としては、どういうことを想定しながら今回の改正をされるかということをお聞きしたいと思います。
金澤政府参考人 我が国の臨海部と申しますのは港湾の整備というようなことが一つの中心課題となっておりまして、日本の高度経済成長を支えてきた工業地帯というのが主要な利用用途としてございました。
 御指摘のように、近年、産業構造が転換しておりますし、生産工場の海外への移転とか企業間の事業統合等によりまして、臨海部に低・未利用地が顕在化してきております。
 このような臨海部の低・未利用地の利用転換を進めまして、臨海部という立地特性といいますか、例えば、海に開かれていて海上アクセスがあるとか非常に広い用地がございますとか、いろいろな特性がございますが、そういう特性を生かして新しい用途に必要となる再開発というものが進められようとしております。
 その中でも、先生御指摘のように、いろいろなところで、いわゆる、民間の企業の方はもちろんでございますが、それぞれの地域の住民、NPOの方々、さまざまな主体が、この臨海部の土地空間を利用して、新しい生活のため、生産のための、あるいは交通のための新しい用途に変換していこうという動きが出てきております。
 そのときに、公共施設の整備というものがやはり必要になってまいりまして、例えば臨海部でございますと、公共的な道路網が薄いとかいろいろなことがございますけれども、そういう公共施設の整備が課題の一つになっております。
 一方、昨年六月に、そういうことを契機といたしまして、都市再生特別措置法という法律ができました。政令指定されました都市再生緊急整備地域というものが出てまいりましたが、その中で見ておりますと、約四割が臨海部を含む地域となっております。しかしながら、その中で、民間事業者がいろいろな計画をおつくりになるというか構想が進められておりまして、そのようなものを私ども、ヒアリングといいますかお聞きするに、実は港の空間を再開発して、例えば、今までは工場の専用的な空間だったけれども、一般の市民が海を楽しんだり、あるいは港にアクセスして散策もしたい、憩いもしたいといった計画があるんだけれども、そういう港の係留施設をつくるとか、あるいは遊歩道をつくるとか緑地をつくるとかということがこの法律の中に位置づけられていないねというお話がございました。
 私ども、そういうことをとらえまして、そういう港湾の施設について本法の対象に実はなっていなかったわけでございますが、このたび、そういう契機等を踏まえまして、新しい法律の対象に港湾施設を位置づけていただきまして、皆さん方の御期待にぜひ沿いたいというふうに思っているわけでございます。
 具体的には、都市再生特別措置法におきます公共施設に港湾施設を追加していただきまして、本法に基づきますいわゆる認定事業者が、港湾管理者にかわって、みずからの事業と一体的にそういう港湾施設を整備する際に、特別の措置といたしまして無利子貸し付けを行うということを考えているようなことでございます。
玉置委員 ありがとうございました。
 では、次のメンバーに入れかわります。
河合委員長 大谷信盛君。
大谷委員 大谷信盛でございます。おはようございます。
 引き続きまして、空港整備法の一部改正をする法律案について御質問をさせていただきたく思います。
 その前に、今、新聞報道一面に三月二十日から載っておりますように、イラク戦争が始まりまして、我が国におきましても、国内テロ対策というものが十分体制が整っているのかという声をよく聞きます。国土交通省におきましては、まずは空港の保安体制というものが今の現状体制で大丈夫なのか、そんな心配、質問も市民の皆さんから受けておりますが、その辺について、大臣、しっかりやっていただいているものとは思いますが、再度確認の意味で御質問させていただきたく思います。
扇国務大臣 大谷議員の御指摘のように、今、大変空港問題、特にテロ対策等々、あらゆるところで空港の話が出てまいります。まして、恥ずかしい話ですけれども、成田からホノルルまで、どこからどう通ったかわからない、チケットも持たない人が日本からホノルルまで行ったという事例が出てまいりました。これほど空港体制を厳重にしているにもかかわらず、たった一人の人間が、どこからどう入って、座席もない、パスポートは期限切れ、航空券も持たないで飛行機に座れたということ自体が奇々怪々であるという話が出たんですけれども、奇々怪々の前に、なぜこれほど厳重にしているのにそういう盲点があったのか、これは大反省とともに、調査をしております。
 一般の空港に関しましては、平成十三年の九月十一日の同時多発テロ以来、日本の航空体制の検査というものは、フェーズ1、フェーズ2、フェーズEとありますけれども、そのフェーズEにして、厳重な警戒態勢をとっております。
 けれども、それだけで万全というわけではありませんで、今までは空港で金属探知機による荷物検査をしておりましたけれども、これは金属探知機だけではなくてエックス線が必要であるということで、エックス線の探知機も導入いたしました。それも臨時でいたしましたけれども、今は、どの空港にそれが入っているというのは発言は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、エックス線の探知機も導入をいたしました。
 また、要注意が出まして、人間の検査だけではなくて、貨物輸送を特に注意しろという世界的に指令が出ておりまして、これはカーゴですけれども、あらゆる点で荷物に対して、特にアメリカとの行き来の荷物に関しては厳重に、搭載する荷物の不審な貨物の有無というのに重点を置くようにしております。大体、荷物はシールが張ってあって、中が検査して間違いないというので、すっと通っておりましたけれども、これが一番要注意の、今まで手薄であった、これをもっと厳重にということで、特に今は警戒の強化を貨物の輸送事業者に対して指導している現状でございます。
 また、予算面では、平成十五年度予算、皆さんに通していただいたおかげで、平成十三年に比べまして三割増の約四十億円をこの警備の費用に充てさせていただきました。そのために、コックピットへの扉の改装、これを全部準備して、客席側から容易にあかないようにするということも厳重にしております。
 このように、空港保安体制を現場レベルで徹底するように、昨年の十月以降、主要空港における保安対策の実施状況に関する特別監察というのを行っておりますので、万般怠りなくをと思いますけれども、一〇〇%という自信はございませんけれども、現段階ででき得る限り、最高レベルの保安体制を今しいているところでございます。
大谷委員 わかりました。
 これで終わりではなく、さらにエックス線の探知機をふやしていく、人的な資源を活用してテロを防いでいくというもの、さらにさらに努力をしていくということが続いていくんだというふうに思いますので、ぜひともそこら辺はしっかりと、これはセキュリティー、保安上の課題がございますので、大臣の方から一般的に内容を知らせられないところがあるのは重々承知でございますので、もう信じて頑張っていただくしかないというふうに思います。
 その頑張っていくときに、今の航空法で見ますと、これは例えば、空港の利用者の出入りの持ち物チェック等々を含めた保安体制というものは、エアライン、航空会社の負担のもとになされておりまして、一体どこに責任があるのか。要は、国の責任は何なのか、空港の責任は何なのか、航空会社の責任はどこまでなのかというようなところが少しあいまいであるような気がしておるんですが、新たに航空法の改正なのか、もしくは航空保安法というようなものを新たに整備する必要があるのではないのかなという思いがあるのですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 航空保安体制の責任というのはどこにあるかということにつきましては、我が国は、旅客を安全に輸送する責務を有する航空会社が一義的な責任を負っています。
 アメリカにおきましても、同時多発テロ以前は航空会社が一義的な責任を持っておりました。同時多発テロ以降、アメリカは、航空の保安体制の強化ということで、国家組織として新たな国土安全保障省という組織をつくって、空港のみならず、あらゆるセキュリティー対策を一元化して、国の責任においてこれをやるという体制に切りかえました。ヨーロッパにおきましては、空港管理者がこれを行うということが一般でございます。
 それで、また我が国に戻りまして、そういう意味で、我が国は、航空法におきまして、航空会社が一義的な責任を持って危険なものを機内に持ち込ませないというような規定を置いて、そういう意味では、航空会社が一義的な責任を帯びて保安対策を行っておりますが、国といたしましても、航空保安の重要性にかんがみまして、航空保安対策に対する政策の企画立案は当然行うものですけれども、具体的に航空保安措置を実施する航空会社を指導する一方で、先ほど大臣が御答弁されましたとおり、検査機器の導入に対する二分の一の補助であるとか、あるいは検査業務費、人件費でございますけれども、そういった経費に対する二分の一の負担というものを国が実施しているところでございます。
 そういうことで、我が国は、現行法制度のもとでも十分航空保安対策を責任を持って行ってきていると考えておりますけれども、今後とも、航空会社あるいは空港管理者等の関係者と連携しながら、引き続き航空保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。
大谷委員 ありがとうございます。
 空港、国、そして航空会社ということで、どこを主軸にしてやっていくのかというのは、その国の文化、風土、空港整備の状況等々あって、これが一番いいよというのは一概には言えないと思いますが、さらに強化をしていくということが絶対に必要だというふうに思いますので、ある程度のルールづくりというか、ある程度の基準というようなものを決めていかなければいけない。
 例えば、エックス線は全空港の全部をかえていく、そういう基準をつくったとしたら、どこがどんなふうにしてお金を工面していくのかとかいうようなことも、細かいことで言うならば考えていかなければいけないというふうに思うんですが、そういう意味での議論というのは今なされているんでしょうか、もしくは整備をしていこうということで進められているんでしょうか。
洞政府参考人 先生おっしゃいますとおり、受託手荷物等の検査におきます金属探知機あるいはエックス線の透視装置等々は、あらゆる空港においてこれを整備するという方向で整備を進めてきております。また、爆発物の検知機におきましても、その必要性の高い空港についてこれを配置するということで措置をしているところでございます。
 またさらに、先ほど大臣が申し上げましたとおり、貨物につきましても一定のルールというものを決めて、例えば二十四時間以上留置して、そこに爆弾が仕掛けられていないかどうかというのをちゃんとチェックする、あるいは一見の客については荷物をあけて中身を検査するとか、いろいろ細かい要領というものを関係の事業者等あるいは空港管理者等々と決めて、いろいろ措置をしているところでございます。
 さらに、諸外国の状況等を見ながら、さらに必要な措置あるいは対策が必要でないかどうかということについて、常に国際的な機関との連携も図りながら、常時空港をウオッチしながら必要な措置を講じていきたいと考えております。
大谷委員 わかりました。セキュリティーのことでございますので、なかなか公表しにくいと思いますが、しっかりと、日本は日本のやり方で、アメリカやヨーロッパに引けをとらないぐらいの厳しい形でもって今テロ対策の保安、質というものを高めているというふうに認識をさせていただきますので、ぜひともこれからも引き続き、国民を代表して、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それでは、空港行政のテーマに入って議論をさせていただきたいというふうに思うんです。
 今回の法案の前に、まず、去年で空港整備の第七次の長期計画というものが切れまして、さあ八次があるのかというとそうではなくして、今国会の前半で議論をさせていただきました社会資本の重点整備法というところで、十一の局が一緒になってこれからのグランドデザインをつくっていくんだという大臣のお考えのもとに、新しい手法がとられていくことになりましたが、その中で、空港はどのように整備をされていく方向性にあるのか、それをまず大臣にお伺いしたいというふうに思います。
扇国務大臣 大谷議員といつかお話し合いをさせていただいたと思いますけれども、アジアの空港はほとんど大型化しております。
 ちなみに例を挙げましても、マレーシアのクアラルンプールでは四千メートル級が二本、シンガポールのチャンギが四千メートル級二本、タイのバンコクが三千七百メートル級が二本、そして香港も三千八百メートル級が二本、韓国の仁川は、言うまでもなく三千七百五十メートルが二本、やがて四千二百メートル級をあと二本つくる。あらゆるところが、こういう国際空港と名のつくところはほとんど、四千メートル級に近い滑走路が二本あるという大型化をしております。そのことによって、離発着あるいは旅客の乗降客数が大変ふえております。
 そして、今、小泉内閣で観光客の倍増計画をしようと言っておりますけれども、日本の国際競争力から見ますと、成田もあるいは関空も、そして、やがてできるであろう中部も、どの程度お客様がふえるだろうか、すべからく日本が整備しなければ、全部アジアにとられてしまって、ハブ空港たり得ないというのが今の私どもの危機感でございます。
 そのために、皆さん方のあらゆる御協力を得ながら、我々は新たに、成田は今まで、年約十三万五千回ですけれども、暫定供用しましたので約二十万回になりました。二十二万回までいけるだろうと言っておりますけれども、そういう状況でございます。そして、羽田も現段階では二十七万五千回ですけれども、少なくとも、四番目の滑走路をつくれば四十万七千回離発着ができるという形をとっております。中部が今の目標では約十三万回、関空が今十六万回ですけれども、二本目の滑走路をつくれば二十三万回離発着ができる。やっと、これで国際化らしきものができるかなというクエスチョンマークですけれども、現段階ではまだお寒い限りでございます。
 そういう意味では、空港と都市とのアクセスも含めて長期計画を一本化させていただいたのは、ただ空港を整備すればいいだけではなくて、空港からのアクセスも一体化しなければいけないということで長期計画を一本化させていただいて、陸海空ともに私たちは二十一世紀型をつくるということで先日御論議いただきましたので、日本の航空行政、まだまだ大谷議員に指摘されるほど寂しい状況ではございますけれども、二十一世紀に向けて、私たちは、アジアの大きな空港に負けないだけの整備を今しなければいけないということで、長期計画を一本化させていただいた次第でございます。
大谷委員 大臣のおっしゃるとおりでございまして、空港整備、すなわち滑走路をつくれば飛行機が飛んでくるというものではないのがこの空港整備の難しさでございます。
 そこで、長期計画を一本にして、陸も一緒にひっつけてアクセスをよくするということも一つの考え方でしょうが、私は、つくった滑走路に飛行機がばんばんおりてきて利用者がふえていく、航空需要が伸びるというためには、安全はもちろんですが、航空料金が安くなかったらいけないと思うんです。航空料金を安くするための取り組みなんかは、その長期計画の中に考慮されているんでしょうか。
扇国務大臣 今まで、なぜこんなに高い離発着料、欧米の三倍、イギリスに至っては七万八千円ですから、日本は九十万ですから、もう比較にならない。それほどの高い着陸料をいただいておりますけれども、もともと、成田を一つ例にとってみても、御存じのとおり、一九七八年開港から二十四年たってやっと、しかも二本目が暫定である。まともではない。二十四年間たっても暫定でしかオープンできなかった。二十四年もかかったら高くつくのは当たり前です。二十四年前の時価と比べてどれだけの大きな費用がかかるか。工事が長期化すれば長期化するほど長くかかって高くつく、当然のことです。
 少なくとも、高速道路一つ例にとってみても、一九八二年、中国の高速道路はゼロだったんです。その二十年間で二万キロの高速道路をつくってしまっている。日本は、東京オリンピックのときに最初につくって、いまだにまだ七千キロ。二十年間で中国は二万キロ。
 やはり土地が国有化されている国とは比較にはなりませんけれども、事ほどさように、あらゆる工事が、短期に、集中的にどこをしなければいけないかという選択がなくて、みんな均衡にやっていこう、地方空港も国際もないということでは、やはりこういうおくれが出てしまい、長期化すれば長期化するほどコストアップになる、こういうことも私たちは是正したい。必ずしも長期化するだけではなくて、もともと日本の地価が高いということと、それから、工事費がかかり過ぎているということも大きな反省材料ですけれども、もろもろが、すべて短期集中、そしてコストダウン、この方法をとっていって、どの工事にめり張りをつけるか、それが長期計画一本の大きなメリットだと私は思っています。
大谷委員 その方向でぜひともお願いしたいというふうに思いますし、ぜひとも建設的な議論をこの委員会の中でしていくよう、私も、努力というか頑張ってまいりたいというふうに思います。
 去年の十二月に交通政策審議会の航空分科会の答申が出ております。大臣は常々、答申は答申であって、方針は私が決めていくというふうにおっしゃっておりますが、この中でも、大都市拠点空港の整備、国際拠点空港の民営化によって、これはコストダウンでもあり、効率化を高めていくということで方向性が出ておって、それと沿った形で進んでいくという答弁だったというふうに思うんです。
 整備整備、ハードの部分がいつも先行しておりますので、配置的見地に立った空港整備はもうそろそろ終わりにしようということは、第七次でも言われておりましたし、この答申でも言われております。既存の空港の質を高めていくということがうたわれていて、その質というのはいろいろな意味があって、さっきの航空需要を高めるためのコストということもあるのかなというふうに思っておるんですが、一つだけ、せっかくでございますので、局長でお願いをしたいんですが、一般空港の中で、既存空港の十分な活用を中心とする質的充実に重点を移行というのは、今までがどうで、この質的重点化というのはどんなところを指しているのかを教えていただけたらというふうに思うんです。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、一般空港のこれからの整備の考えでございますけれども、今、先生が引用されました昨年の暮れの交通政策審議会の航空分科会におきまして、一般空港については、事業中の空港を加えると配置的な側面からの整備は概成した、今後は、従来の量的な拡大から、ハード、ソフトの組み合わせや既存空港の十分な活用を中心とする質的充実に重点を移していく必要があるとされているところでございます。と同時に、透明性の向上等の観点から、滑走路延長等の新規事業については国が整備の指針を明示する、あるいは、構想、計画段階において合意形成手続等をルール化することが重要だというようなこと等が示されているわけでございます。
 こういう考え方を受けて、私どもといたしましては、一昨年の六月の国土交通省におきます公共事業改革への取り組みでお示ししましたとおり、今後の地方空港の新設は、離島空港を除き抑制するという方向を引き続き維持することとしております。
 また、今後の整備の方向につきましては、既存ストックの有効活用による空港の利便性、信頼性、セキュリティーなどの向上やバリアフリー化などの高質化のための措置を重視していくということで臨んでいきたいと思っております。
 また、空港整備の透明性や説明責任の向上のために、需要予測の精度を一層向上させる、あるいはその透明性の確保を図ること、それから、滑走路延長等の構想、計画段階において、住民や空港利用者等への情報を公開した上で、広く意見を把握するパブリックインボルブメントを導入すること、国が新規事業採択を判断する際の評価基準を明らかにした整備指針を定めることなどの取り組みを進めているところでございます。
 既存空港の高質化というのは具体的にどういうことだということでございますけれども、先ほど大臣がお答えされましたとおり、具体的にはいろいろあるわけでございますけれども、例えば、空港アクセスの利便性の向上、運行頻度の増加などによって利用者利便を図っていく。仙台空港等では、鉄道施設の整備等にも空整特会の一部を入れております。
 それから、今回の空港整備法の改正の中にもございます就航率の改善とか、あるいは定時性を確保するためのILS等の整備の推進であるとか、そういう信頼性を向上させていく。
 それから、地方によっては、貨客の搭載量等を制限して、運航を一部制限しているような、そういう空港もございます。そういうところは、滑走路を少し延長することによって効率性の向上を図る。
 あるいはバリアフリー化を進めていく、ターミナル諸施設の適切な容量の確保とか、お客様利便のための情報化の推進等による快適性を向上させる。
 それから、安全、防災、危機管理機能やセキュリティー機能の向上等を図っていくための施策。
 いろいろ挙げると切りがございませんけれども、今度は既存の施設を有効利用して、その利便性、快適性、安全性等々、あらゆる面の質の向上を図っていく、そういうところに投資を重点化していくということでございます。
大谷委員 ありがとうございます。とても盛りだくさんでございまして、聞いておりますと、では、どうやって、どの部分を、限られた財源の資本投下、強調をしていくのか、めり張りをしていくのか、だれが決めるのか、いつ決めるのかということが、反対に非常に心配になってしまいました。
 もう一つ心配だったのが、滑走路の延長というのも質の向上という中に含まれてしまっているわけなんですね。私、成田は国際レベルから見て短過ぎるというふうには思っておりますが、今、地方空港の話、一般空港の話でございましたから、必ずしも地方空港が三千メーター要るわけでもないというような気もしますし、災害、震災があったときには、やはり大きな物資を積んだ747が離発着できるように三千メーターぐらいは要るんだという考え方もあるんでしょうが、その辺はどこでどう基準というか仕切りをつけていくのかというのは、ぜひとも透明度を高めた上で議論をしていかなければいけない。空港特会に限らず、必要なときは一般財源を航空行政にどんとつぎ込むぐらいのことは、国際競争力を高めていくために必要なんですから、堂々と透明な舞台で議論をしていただきたいというふうに思います。
 今あった質の向上の中で、航空運送の確実性のアップということで、今回のILS、計器着陸システム、略してILSということで、整備をしていきやすくするための空港整備法の改正ということになっているんだというふうに思いますが、再度改めて、この法案の本来の目的というものについて、ILSをつけやすくするんだというのは、カテゴリー1からカテゴリー3にするんだということはよくわかっておりますので、そのもう一つ上の目的の確認をさせていただきたいと思うんですが、局長。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 その前に、滑走路延長と申し上げましたのは、安全性を考慮、北国等では積雪等によって、滑走路が短いとなかなかおりられないというかなり制限、雪等が降りますと、少し滑走路を長くした方がよりベターだ、そういう意味で、離着陸性を確実なものにするための一環としての滑走路延長、こういう意味で申し上げました。
 それから、今回の法案のILSの整備についての目的でございますけれども、今申し上げましたいわゆる質の向上という意味で、就航率の改善、それから定時性の確保という意味で、飛行機が着実に当該空港におりられる、そのための補助装置がILSであるわけでございますけれども、従来、このILSというものは、空港の基本的な施設という位置づけではなくて、附帯的な施設ということに位置づけられておりました。附帯的な施設ということは、要するに、標準装備品ということではなくて、その空港の必要性等、実情に応じて設置管理者が随時判断していくというような、そういう副次的なものとして位置づけられていたということでございます。
 二千メーター級のジェット空港は全国に五十三空港ございますけれども、こういう中で、附帯施設でありますけれども、私どもは徐々にILSというのを整備してまいりまして、おおむね一空港に一つぐらいは、大半の空港には整備が終わっておりますが、今後はこれを双方向化していく。あるいは、ILSの中にもいろいろなレベルというのがございまして、カテゴリー1から3まであるわけですけれども、それをより高度なものに必要なところは切りかえていくということも必要かなということでございます。そういう意味で、まずはこのILSの普及。
 それから、照明施設というものは、夜間運用をする空港というのがどんどんふえてきて、七割以上の空港がもうほとんど夜間運用をする、あるいは今後ともこれがふえていくということでございますので、こういう照明施設とかILSの施設の用地というものを、付随的な施設というものから標準装備品としての基本的な施設に組みかえることによって、そして、空港整備法の枠内で国と地方がそれぞれの責任分担のもとに応分の負担をして、この施設の新設あるいは改良等を促進していくということが今回の法律改正の目的でございます。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
大谷委員 ほとんどの空港にということで言われたんですけれども、これは方針としては、平成十三年五月に総務省行政評価局が空港整備等に関する行政評価と監視という結果報告書を出しておりまして、その中でも、可能な限り双方向につけた方が、安全性もまた就航率も高まるのではないかというような勧告をされております。
 私も伊丹空港をよく利用いたしますが、そこでは一方しかついていない。なおかつ、この国の首都の玄関口でございます羽田空港にも一方向しかついていない。騒音の問題で着陸する方向が一定の方向しかだめだというふうになっているんだからということもあるかもしれませんが、しかしながら、就航率を高めるためには、追い風が来たときには反対のところから着陸をしないと、騒音よりか、乗っている人の、命とまでは言いませんが、利便性そして安全性が損なわれてしまうことがあるのではないかなというふうに思ったりするんです。
 ここのところは、地方空港を含めて五十三の主な空港にカテゴリー1がもうほとんどついているからカテゴリー3に全部していきなさいよと言っているのではなく、したいところはしてくださいなのか、それとも、双方向をつけなさいよと言っているのか、それとも、つけたいところは言ってきなさいよという方針なのか、どういう方向なのか、ちょっと教えていただけますか。
洞政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
 二千メーター以上の滑走路の五十三空港のうち四十六の空港について、今ILSが一カ所ついています。ほとんどの空港は、先生御指摘のとおり、一方向だけでございます。残る七空港はILS等がまだついておりません。これは、物理的につけられないというような、そういう事情の空港もございます。
 それから、双方向化。私どもは、今後、つけられないところにもできるだけつけていくように努力しますし、一つの方向だけじゃなくて、双方から離発着する飛行場につきましては、その費用対効果というものを見ながら、できるだけ双方向化をしていくということが必要だと思っています。双方向化が今なされているのは五空港でございます。ということで、双方向化をやっていきたいと思います。
 大半の空港というのはカテゴリー1でほとんどもう就航率が九九%ぐらいまで達していて、ほとんど問題はクリアするわけでございますけれども、空港によっては、気象条件等、特にILSは霧等の視界が悪くなったときに効果を発揮するわけですけれども、カテゴリー1ではなかなか機能できない空港というのもございます。そういう空港につきましては、まさしく、これがカテゴリー3になりますと、費用等も大変高くなってまいりますし、そういう意味では、投資効果等を十分勘案しながら、必要に応じてさらに高質化というものを図っていくということでございます。
大谷委員 わかりました。カテゴリー3で就航率が高まるところと1で済んでしまうところがあるということで、状況に応じてということだというふうに思います。
 この就航率、欠航をなくすということが大きな大きな中心になるかというふうに思うんですが、その上の全体の考え方は、さっきも言いましたように、航空運送の確実性、時刻どおりに着くだとか、混雑していて離発着がおくれるだとかいうようなものを解消していこうということなんですけれども、別の役割でいうならば、航空管制システムの観点から見ると、もっともっとやれることがあるのではないかという指摘もあります。
 イギリスの方では航空管制というものを民営化して、とてもコストも削減され、サービスも向上しというようなことが言われていて、これは我が国に合うのか合わないのかわかりませんが、小泉内閣におきましては、民間にできるものは民間にやってもらうというような考え方もございますので、その辺はいかにお受けとめなされて将来的な方向性をお持ちなのかということを、ひとつ教えていただけますでしょうか。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、今後の空港整備に対応して、定時性等を確保するためには、こういうハード面のみならず、管制システムの効率化といいますか、そういったことによって、航空交通容量の拡大というものを図っていかなければならないと思っております。
 そういうことで、私どもはいろいろな試みをやってございますけれども、ことしの夏以降に、例えば航空管制衛星というものを、「ひまわり」の機能と合体した航空衛星を打ち上げて、洋上の航空機の前後の間隔等を、さらに間隔を縮めて容量を拡大する。
 国内航空路においては、前後というか上下の間隔をさらに短縮して容量を拡大する。あるいは、近時の航空機上のいろいろな電子装置の高度化等に伴いまして、航空路の複線化とか一方通行化等々を、いろいろ工夫して全国的な航空路の再編を行う。
 それから、関東空域周辺においては、御存じのとおり、横田空域というものがすぐ東京の上から立ちはだかっているわけでございますけれども、今後の関東空域の容量の拡大を考えますと、こういう横田空域の削減といいますか、米軍との調整というものがぜひとも不可欠でございまして、こういうものについても取り組むこととしてございます。
 あるいは、訓練空域と国内の航空路とのリアルタイムでの弾力的な調整を実施して、できるだけ効率的に空域を使っていく等々のいろいろな工夫をして、安全かつ定時性の高い航空機の運航を確保することとしてございます。
 なお、先生、最初の、イギリスの例を御指摘になって、管制の能力との関係で民営化の話をされましたけれども、いわゆる空港の効率性といいますか空港管制の効率性というものは、一概に比較するのはなかなか難しいのでございますけれども、空港の、例えば空域の状況、環境制約上の状況、あるいは日本のように非常に重量の重たい大型機の割合が、要するにジャンボの割合が非常に多い。羽田等を見ますと大半が大きな飛行機でございますけれども、イギリス等では大型機の割合は三割、四割ということで、まあヨーロッパは非常に低い。そういうことになりますと、上下の飛行機の間隔なんかも非常に短くて済むわけですから、勢い、はける量、処理できる量も異なってまいります。
 東京羽田の場合を見てみましても、また、東京の上空、住宅地の上を通るというわけにはいきませんので、どうしても海上を通るということになってきますと、そこの海上のルートの上の、要するに制御といいますかコントロールをしなきゃいけないということで、アメリカのように両方の滑走路からそれぞれ飛び立って左右に散っていくような、こういう飛び方ができれば非常に効率は上がるわけですけれども、日本は、いかんせん、そういうことは環境制約上等からできません。
 ということで、それぞれいろいろな事情が、それぞれ空港の事情等々によって異なってくるわけでございますので、業務の効率性そのものを各国間で比較するというのはなかなか難しいと思っております。
 また、イギリスも、民営化されたといいましても、四九%国が株を持ってございます。それから、諸外国でも、民営化されたといっても、これは、いわゆる日本でいえば独法、独立行政法人のような組織で、一〇〇%国が持っているというような形態で行われていますし、アメリカとフランスは、日本と同じように国が直轄でやっている、こういう状況でございまして、そういう組織形態といいますか運営形態の差異というもの、我々いろいろ勉強はしたいと思っておりますけれども、そういうものから、直ちに空港の管制の効率性云々というものが出てくるとは考えておりません。
大谷委員 時間が来たので、一言述べさせていただいて終わりますが、何がいいのかわかりませんが、とにかく航空交通量の拡大を図っていかなければいけないというふうに思いますので、また議論させていただきたいというふうに思います。
 本当は、国と地方の空港整備の行政の役割というものについて議論をしたかったんですが、今回の法律ですと、二種Aの空港は国が責任を持って整備をしていくんですけれども、ILSをつけることは、三分の一は地方が払いなさいよということになっております。国が責任を持つんじゃないのかなというふうに思うんですが、航空審議会の去年の答申のポイントにも、国と地方の役割分担、お金のことも含めて議論をしていかなければいけないというふうになっているんですが、議論なしでILSが地方負担のもとに進められていくのかな、これは何かなし崩し的なことの始まりかなというふうに懸念しております。
 羽田空港の滑走路の拡張においても、地方自治体さんが検討会、議論の場に出席をしているということで、負担をするということが決まったわけではございませんが、その辺は議論しながらぜひとも進めていただきたい、また今後、この場で議論させていただきたいということを申し述べまして、質問を終わりたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
菅(義)委員長代理 一川保夫君。
一川委員 では、引き続き、この二つの法案に関連して質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、港湾施策といいますか、今回の法律のバックグラウンドデータ的なところの政府の基本的な考え方を確認しておきたいと思います。
 先ほど来、国際拠点空港なんかについても、大臣の見解では、他の国際拠点空港に比べると日本の国際空港は非常に立ちおくれてきているという認識がございますというお話でございました。かねてからそういうお話でございますけれども、一方で、港湾というものに着目してみますと、これまた物すごく立ちおくれているな、飛行場以上に立ちおくれているなという感じがするわけです。しかし、港湾という施設なり港湾を取り巻くいろいろな施策というものは、相当伝統的なものであったというふうに思いますし、歴史的にも相当長いものがあるというふうに思います。
 しかし、特にアジア地域の近年のいろいろな経済社会の変化というものの中で、なかなか日本の港湾というものが、物流あるいはいろいろな輸送という施策の中では十分機能を果たしていないのではないかという心配をするわけですけれども、今回のこういった法律の一部改正の背景として、我が国のこういう港湾施策というんですか、こういうものを、当面、どういうところに目標を置いて取り組もうとしているのかというところが、ちょっと余りはっきりしないなという感じがするわけです。
 今国会でも、社会資本整備の重点計画なるものをこれから目指して、いろいろなものを総合的に集中的に整備しようということだと思いますけれども、特に、こういった長期的な見通しの中で、港湾施策というものを、成果を重視する、アウトカムを重視するというふうな言い方をしておりますけれども、こういうものをどのあたりに目標を置いて整備をしようとしているのか、まずそのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、どこに重点を置いて、どう方向づけをしていくのかということで、今まで、港湾が空港とともにアジアの中でもおくれているというのは、昨日の発表でも、改めて日本の港湾の劣化といいますか、諸外国に比べておくれているということが新聞紙上でも発表されました。
 五つ申し上げたいと思います。
 港湾施策という、私たちは港湾をどうしていくかという今の一川議員のお話で、まず一つは、スーパー中枢港湾の育成による国際競争力の強化と国民生活の質の向上、これが一点でございます。
 二点目は、国際物流拠点の機能強化等による産業競争力の向上、これが二つ目でございます。
 三つ目には、リサイクルポートの形成等によって循環型社会の構築など環境問題への対応、これが三点目でございます。
 四点目には、臨海部の防災拠点の整備等安全で安心な地域づくり、これを重点にしたい。
 最後は、市民参加と連携による地域振興のためのみなとまちづくりの推進というのを五つ目の政策にしております。
 今申し上げました五つが、今後、港湾の施策の重点課題として取り組んでいきたいというのが目標でございます。
一川委員 現状の認識のもとでの、これから港湾施策を推進するに当たっての課題というのは、今大臣がおっしゃったとおり、五つぐらいに整理するということであればそういう見方があろうと思うんです。課題は課題として非常に、それはそれで私も同感するわけですけれども、では、その課題を打開していかにして施策を実行に移していくかという一つの目標というものをどのあたりに置くかということが非常に大事ではないかと思うんです。
 それは、いろいろな具体的な施策にまたつながっていくんだろうと思いますけれども、要は、港湾管理者とそれから港湾を利用している方々、そしてまた、それをいろいろな面で行政的に指導している国サイド、そういった行政側と港湾管理者それから利用者、そういったものがお互いに現状認識、その課題を共通しながら、しっかりと協力し合って施策を展開するということに尽きるわけです。
 そういったいろいろなハード的な、ソフト的な施策の連携なり、いろいろな関連する行政との連携というのは、口で言えば簡単なことなんだけれども、しかし、現実問題としては、そういうものが十分乗り越えてこれなくて、今日そういった課題が残っているんだろうと思いますけれども、これまでの反省を込めて、何かもっとしっかりとした決意のもとに方向づけをしていかないと、私はますます立ちおくれてしまうのではないかと思いますので、再度そのあたりを大臣からお話を願いたいと思います。
扇国務大臣 時間がおありでしょうから、今諸外国とどれくらいおくれているかというのは省略させていただきます。もう新聞紙上に発表されたとおりで、日本の港湾の、今、世界的な、あるいはアジアでの地位だけでも劣化しているというのは言うまでもありません。
 そのために、我々は、我が国の港湾につきまして、こうして御論議いただいておりますけれども、貨物が港を出ることが可能になるまで三日程度というのは、先ほど、私、玉置議員のお話にも論議の中で申し上げましたけれども、コストを一つとってみましても、台湾の高雄港、韓国の釜山港に比べて、港湾の料金、これが大体二、三割高でございます、現段階では。そういうもので、港湾のコストを含めたサービスの水準が近隣のアジアの港に対して、高くて悪い、これではどうにもならないわけでございまして、そういう意味で、私たちは、相対的な地位を低下させている原因というのは、高くて遅い、こういうことにあると言い切れると思います。
 その意味で、我々は、今度、ハード、ソフトにわたる施策を官民一体でしようということで、ハード面においては、国際コンテナの貨物の流通の状況に的確に対処したコンテナターミナルの重点的あるいは効率的な整備、あるいは道路と鉄道とのアクセス、私も先ほど申し上げました、港だけではない、また空港だけではないとも言いましたけれども、これもアクセスが悪いということで、これも解消していこうというのが、大きなハード面での一つでございます。
 ソフト面ではどうするかということですけれども、ソフト面では、先ほど申しましたように、港湾の諸手続のワンストップ化、これを実行していこう。そして、ワンストップサービスで、港湾が二十四時間フルオープン化できるようにということで、CIQ等の関係行政機関と民間の事業者との一体化を図ろうということで、港湾の諸手続の電子情報処理システム、いわゆる港湾のEDIと申しますけれども、これをシングルウインドー化しようということで、先ほども申しましたように、これを十五年度に早期に実現するということを国の責務でやろうというふうに申し上げまして、各省庁と、また地元の業者等々との話し合いがついて、今度、電子情報システムということで全部適正に管理運営する制度を創設するということが可能になったわけでございます。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
一川委員 そういった高コスト構造とか、あるいは非常に時間を要するといった構造を是正するということが大変大事なわけですけれども、その一環として、今回の法律改正でのEDIシステムの導入ということも図られているんだろうというふうに思います。
 しかし、基本的には、相当、港湾施策の中で課題となっておりますハード、ソフト面のいろいろな問題点を乗り越えるということは大変なことだというふうに思いますので、関係者の引き続きの努力をお願いするしかないわけです。
 一方、当面、いろいろな具体的な手続等の中で割と問題にされているのは、CIQの問題というのは我々も身近なところでよくそういうお話を聞くときがあるわけです。何かいろいろ、休日はなかなかそういうことは対応してもらえないんだとか、なかなか臨機応変な対応をしていただけないというようなことなどを含めて、大変、税関なり入国関係あるいは検疫問題等々について、CIQの体制、そういったものが十分整っていないのではないかというような見方があるわけですけれども、こういうものに対する対応というのは、今どうなっていますか。
金澤政府参考人 CIQとの港湾行政の連携についてお尋ねでございます。
 我が国の港湾の輸出入とか港湾関連手続のワンストップサービス化につきまして先ほど来御説明を申し上げておりますが、港湾の二十四時間フルオープン化、そういうソフト面の施策を進める上で、CIQ等の関係行政機関との連携が非常に重要でございます。
 このため、CIQ官庁と私ども国土交通省の連携協力体制を一層強化していくという意味を含めまして、平成十三年の九月に、CIQ省庁及び国土交通省の中で海事局、港湾局、航空局でございますけれども、それの次長、審議官級で構成いたします空港・港湾に関するCIQT、TというのはトランスポートのTでございますけれども、連絡調整会議というものを設置しておりまして、頻繁に協議を重ねておるところでございます。
 とりわけ、喫緊の課題でございました輸出入、港湾関連手続のワンストップサービス化、きょうの法案の内容でもございますが、その推進につきましては、CIQ官庁を含めまして関係府省で輸出入・港湾手続関連府省連絡会議というものを設置しておりまして、港湾局といたしましては、こうした場をフルに活用させていただきまして、関係省庁に対しまして、例えばワンストップ化の早期実現をお願いし、その実行について努めてまいりました。その成果の一端が、きょうの法案として実ってきておるわけでございます。
 今後とも、そういう港湾行政の推進に当たりましては、物流の合理化というようなこともございますし、昨今、いわゆるニューヨークのテロ事件以来、港湾の危機管理というような問題もございます。そういう意味も含めまして、いわゆるCIQ関係省庁との連携はますます重要になってくると思っておりますので、綿密に連携を進めてまいりたいと思っております。
扇国務大臣 今の関係省庁と申しました省庁は、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、国土省、以上でございます。
一川委員 関係する省庁も非常に多いということで、そういう連絡調整会議等を活用しながら、国民の皆さん方のいろいろな期待にしっかりとまたこたえていただきたい、そのように思っております。
 それから、港湾施設を考えた場合に、当然ながら、港湾施設というのは水面上に顔を出している部分というのはわずかでございまして、水面下に相当の投資をしながらそういう施設を築造し、また維持管理してきておるわけですけれども、こういった施設も、日本の高度成長期に合わせてそういうものが整備されてきたというふうに思います。
 そうしますと、もうしばらくすれば、風雪にさらされたそういう施設は、だんだん耐用年数を迎えつつ、そういう老朽化したものを更新しなければならない。これはこれでまた莫大な経費がかかるわけですけれども、こういうことに対する対応というのは、先ほど長期計画のお話もちょっとさせていただきましたけれども、相当計画的にしっかりとした制度のもとで進めていかないと、だんだん施設そのものが危険性を帯びてくる。御案内のとおり、日本は非常に、台風が襲来する国でもございますし、いろいろな面で海が荒れるケースも多いわけですけれども、そういうことを考えますと、港湾施設、特にこういったハード的な施設の維持、更新ということを考えた場合に、将来に備えて今どういう基本的な考え方でそういうものに対応しようとしているのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
金澤政府参考人 港湾施設の維持、更新への対応についてお尋ねがございましたが、先生御指摘のとおり、我が国の港湾施設につきましても、その多くは高度経済成長の始まりました一九六〇年代以降に整備されております。二〇一〇年ごろから相次いで設計上の耐用年数を迎えまして、更新投資が増大するということが見込まれております。
 また、そういうこともありまして、平成十三年秋に、すべての重要港湾、百二十八港ございますが、その中で約三千カ所ぐらいの施設を対象に実態調査を行いました。早急に維持修繕工事が必要な港湾施設を有する港湾が、その中、約半数の六十四港もありますなど、施設の老朽化がだんだん深刻な状態になりつつあることが判明しております。
 一方、国や地方を通じまして、今後ますます財政事情が厳しくなると思いますし、必要な施設を新たにつくっていくというだけではなくて、真に必要な機能の維持や増強等を進めるといった、いわば既存のものを大切に使ってできるだけ長もちさせていく、あるいは既存のものを改良して長もちさせていく、そういう発想が重要というふうに考えております。長期政策の中でも、そういう視点を大事にしていきたいと思っております。
 このため、国と港湾管理者、我が国の公共施設は国が直轄で整備しておるものと港湾管理者が整備しておるものとございますが、相互に協力して、そういう港湾施設が劣化をする前に、日常的に維持点検をしっかりし、予防的な措置がとれるように、施設の劣化状況等の把握に努めてまいりたいと思っております。そして、適時適切に維持工事あるいは改良工事を実施してまいりたい。改良工事ということも含めまして、施設の延命化を図り、有効に施設が使えるように、長もちさせるように、そういう体制を組んでしっかりやってまいりたいと思っております。
一川委員 特にアジア地域を眺めますと、港湾施設を利用しての物資の輸出入というのは、もうほとんど一〇〇%に近いものがあるというふうに聞いておりますように、やはりこういった港湾施設が正常に機能するように、そういう施設を常に管理しておくということは非常に大事なことでございます。
 先ほどもちょっと言いましたように、日本は非常に災害の起こりやすい国でもありますし、非常に海が荒れるケースが多いわけでございますので、そういう面では、通常の公共施設に比べて港湾施設というのは、非常に目に見えない水面下のところでとんでもない現象が起こっている危険性というのはありますから、やはり、新しい技術開発も当然いろいろな面で進歩していると思いますけれども、そういうことにも配慮しながら、しっかりとした対応をお願い申し上げたいと思います。
 そこで、今回のこの法律改正の中で、一つ確認しておきたいのは、港湾のEDIシステムというものを、国土交通大臣がそれを設置して管理するという一つの流れになっております。これは、港湾管理者というものがありながら、直接、大臣というか国土交通省がこのシステムにかかわっていくということの理由ですね、その考え方を、ひとつ基本的なところをお聞かせ願いたいのと、それから、もう既に独自に港湾管理者がそういうシステムを試行的にやっているところもあるというふうに聞いておりますけれども、そういったものとの整合性といいますか、そういうものはどういうふうな形になるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 港湾のEDIシステムは、港湾管理者の業務にかかわる手続を迅速かつ的確に処理するとともに、港湾管理者ごとに異なっております様式の統一化というものを推進するための電子情報処理システムでございますが、我が国港湾の国際競争力の強化、あるいは広域的でかつ総合的な観点、そういうことから、国土交通大臣が設置し管理をするということとしているところでございます。
 具体的には、港湾EDIシステムは、国際競争を展開しております船社などの利用者の利便性を向上させるものでございまして、国の責務でございます我が国港湾の国際競争力の強化、そういう面で非常に重要な不可欠な施策の一つであるということから、国が全国共通のシステムを、港湾EDIシステムを設置して管理すること、そういうものが適切であるというふうに考えております。
 また、新総合物流施策大綱など政府レベルの決定などにおきまして、平成十五年度のできるだけ早い時期に、いわゆる通関情報処理システム、いわゆる財務省のSea―NACCSと言っておりますが、そういうシステムあるいは港湾EDIシステム、そういうシステムを相互に接続、連携しましてワンストップサービス化を実現することとされておりますが、その一翼を担っておりますEDIシステムについても、円滑に設置、管理して、各システムとの接続、連携を実現することが国の責務として求められているというふうに思っております。
 さらに申し上げますと、港湾EDIシステムを利用して行われる手続の様式につきまして、従来、港湾管理者が個別の条例等にゆだねて設置していたわけでございますが、そのようなことでは、他の国の機関との業務にかかわる手続とのワンストップサービス化の推進というのがこれからどんどん必要になってまいりますし、そういうものの実現とか、国際標準への対応ということも必要になってまいります。そういうことを考えました場合に、やはり国が統一的に定めることが適当であるというふうに考えて、国が設置し管理するということにいたしました。もちろん港湾管理者とよく協議をして、港湾管理者の御同意を得てこのシステムを推進してきたところでございます。
 また、先生からお話がございました、これまで港湾管理者がつくっていた独自システムがむだになるんではないかというお話でございますが、港湾管理者独自にそれぞれのシステムを、大体、大きな港、七大港と言っておりますけれども、東京港とか横浜港、そのあたりでつくっておりましたが、そういうシステムにおきましては、入港届とか出港届、今回の港湾EDIシステムで対象とするシステムのみならず、いわゆる港湾管理者独自に、例えば港湾の荷役機械の使用許可申請とか、荷さばき地の使用許可申請とかその他いろいろな使用にかかわる手続をそのシステムの中に持っております。したがいまして、それぞれのシステムの中から入港届等の港湾EDIシステムとして統一される部分は統一いたしまして、それを使うことによりましてEDIからまた港湾独自のシステムにも接続できるようにしておりまして、港湾管理者独自の必要性に応じて我々の今回つくります港湾EDIシステムと併用することによって、むだにはならない、きちっとそれはそれなりに使えるというふうなことが確認できております。
一川委員 では、ちょっと空港関係のことについてお尋ねしたいと思います。
 これは国土交通大臣の諮問を受けた審議会かもしれませんけれども、交通政策審議会という中で航空分科会というところが昨年の十二月に一つの答申を出しております。今回のこの法律改正も、そういった答申の中にもうたわれておりますけれども、航空のいろいろな保安システム的なものを整備しなさいというような方向づけもされておりますように、当然ながら、また航空の、飛行の安全性というものは重要な緊急の課題であることは間違いないわけでございますし、そういうものを着実に整備していくことは非常に大事なことであるわけです。
 その空港行政全般の中で大臣の基本的なお考えをお聞きするわけですけれども、この答申を見ておりますと、空港整備、今後重点投資化を図っていくんだという中で、大都市圏の拠点空港というものは当然従来以上に重点的に投資しなきゃならないだろうという一つの流れがぼんと出ているわけですけれども、一方、こういった地方の空港といったようなものを今度どういうふうに整備し拡充をしていくかというところは、従来に比べると、若干、ちょっとトーンが落ちたのかなという感じもするわけでございます。
 現在供用開始されている空港、日本全体で九十四カ所ですか、あるというふうにお聞きしましたけれども、こういった地方空港というのは、御案内のとおり、今いろいろな面で経済が低迷している中で、それぞれの空港を抱えている地域の活性化という一つの目玉商品として、地方空港のそういう活性化ということがそれぞれの地域にとっては重要な課題になっているというふうに思っているわけですけれども、こういった地方の空港というものをこれからどういう方向づけでいろいろな施策を展開しようとしておられるのか。当面は空港の新設は行わないというような明確な方針が出されておるような感じもするわけですけれども、それの基本的な施策の考え方についてお聞きしたい、そのように思います。
扇国務大臣 今一川議員がおっしゃいましたように、国土交通省としまして、空港行政というものをどうするかということですけれども、空港の配置的な側面からいいますと、もうほとんど、少なくとも二時間以内に空港に行けるということはすべからく今達成できているというふうに考えております。ただ、地方空港の新設につきましては、おっしゃるとおり、離島を除いては抑制するということに決定しております。そういう意味では、従来の量的な拡大から、そういうハードの面の施策とソフト面の施策の組み合わせをして、既存の空港の十分な活用を、質的な充実を図っていきたいというのが大きな空港政策の基本でございます。
 具体的には、今一川議員がおっしゃいますように、利用者にとって利便性や使いやすい空港をつくるのにはどうしていくのかということが、施設の整備等のハード面の施策と、利用方法の改善のソフト面と、ハード、ソフト、両面ございますけれども、これも例を挙げさせていただきますと、就航率の向上あるいは定時性の確保のためのILS、いわゆる計器の着陸システムの高カテゴリーの設置というようなこと。
 そして二つ目には、空港アクセスについて、施設の整備、これはハード面ですけれども、それと運行頻度の増加、あるいは乗り継ぎの利便性の向上、これはソフト面ですけれども、それを図っていく。
 三つ目には、バリアフリー化について、施設の整備、このハードに加えまして、エレベーター等の配置をして、ソフト面で皆さん方の利用の情報あるいは介助体制の充実を図っていきたい。
 四つ目には、国際線につきましてもCIQ施設の整備、これはさっき申しましたようにハード面ですけれども、今度はCIQの人員面等の体制の充実ということで、これはソフト面として図っていきたい。
 以上のような四つを基本的に今後努力して、現存の空港の利便性をより図っていきたいと思っております。
一川委員 私の地元の石川県は、滑り込みで能登空港というのを新設していただきまして、ことしオープンするという予定になっております。ただしかし、先ほど来話題がありますように、ハード的なものはでき上がったけれども、では、本当に飛行機が飛んでくれるかなということを考えると、日本のこういった経済の動向というものをちょっと甘く見たといえば甘く見たのかもしれませんけれども、非常に心配な面があるわけです。
 しかし、石川県は、独自に何か搭乗率保証制度というものを導入しながら、航空会社と折衝して何とか便数をふやそうということで努力しているわけでございますけれども、こういった地方空港のいろいろなこれからの整備にかかわって、先ほど来話題が出ていますように、何か費用負担が、だんだん地方の負担がふえてくるんではないかというような懸念もいろいろと今しているわけでございますし、またいろいろな路線を確保する面でもそれぞれの地域は大変御苦労されているというふうな感じも見受けられます。
 そういうことに対する国としての何かサポートがあってもよろしいんではないかなという感じも私はするわけですけれども、そういうことも含めた地方空港のそういった今後の拡充といいますか、路線を維持向上させるというような面も含めて、航空行政の一環としてどういう取り組みをしようとしているのか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
洞政府参考人 おっしゃるとおり、今、航空企業は非常に厳しい経営環境の中にございまして、できるだけ高収益路線にシフトさせている、これは羽田の発着枠が限られているということが大きな要因になっております。
 それはおきまして、国内航空路線の設定や増便というものは、航空法上は、先生御存じのとおり、平成十二年の二月から規制緩和が行われまして、原則として、路線の需要等を考慮して、民間企業である航空会社が経営判断によって自由に決定するということになっております。
 しかし、一方で、地方空港の利用促進による全国的なネットワークの形成、充実について、私どもとしても非常に重要であると認識してございまして、そのためにいろいろ工夫しているところでございます。具体的には、例えば着陸料一つとりましても、今年度から羽田空港の地方路線にかかわります着陸料を、今まで三分の二にまけておりましたけれども、これを非常に便数が少ないところは二分の一に下げるというような措置を実施することとしてございまして、そういう意味では間接的な地方路線に対する助成というものを行っているところでございます。
 それから、何といいましても、冒頭に申し上げましたとおり、羽田空港の発着枠が非常に満杯で、これ以上増便の余地がないということが非常に問題でございます。といいますのは、それぞれの需要に応じてそれぞれ、小さい需要は需要なりに、小型機、中・小型機を利用して多頻度運航などを行って需要を逆に開拓するというような、そういう工夫も期待できるわけですけれども、いかんせん今の状況ではなかなかそういう増便もできないということが地方空港にとっての便数確保の上においては最大のネックになっている。そういう意味でも、羽田の再拡張の一日も早い実現に向けて頑張りたいと考えております。
一川委員 先ほど大臣のお話のように、これからの空港行政の中で、これまでのいろいろなものを質的に向上させながら、なおかついろいろと活性化を図っていきたいというお話もございました。
 そういう面では、国土交通省所管だけでもいろいろな施策がたくさんあるわけでございますので、やはりこういった地方空港を抱えている地域のいろいろな観光行政なり、またはいろいろな物流関係、そういった道路関係も含めた、そういう面の施策をしっかりと、空港が活性化するための気配りというんですか、そういう施策というのは非常に大事ではないかというふうに思いますので、ぜひ御努力をお願い申し上げまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きょうは、空港整備法、港湾法等改正案、二つについて質問をいたします。
 最初に、空港整備法の一部を改正する法律案について一、二点質問したいと思います。
 航空機の安全運航を図ることは、あるいは安定した運航を確保することは、極めて重要なことだと思います。この点で、今回の改正において照明設備、無線施設用地を空港整備に不可欠な施設として位置づけ、附帯施設から基本施設に位置づけるということは、施設の位置づけとして非常に必要なことだと思います。
 しかし、問題は、今回の改正の結果、地方公共団体の負担が一体どうなるかという点でありますが、現状からすればいわゆるILSの高カテゴリー化が今後進められていくと考えられますけれども、例えば、現在航空局の方で検討されている高カテゴリー化について具体的にどのぐらいの予算が必要であるか、まずお示しをいただきたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 ILSの高カテゴリー化を進めるための費用でございますが、なかなか空港の需要によって一概に言えません。しかしながら、一般的にカテゴリー3というものはカテゴリー1に比べまして、必要となる照明施設が増加する、あるいは航空機の飛行高度を計測するための電波の反射面が必要になるということ等のためで、整備費用は当然のことながら増加いたします。
 ただ、具体的な金額につきましては、照明施設のうちの進入灯であるとかあるいは電波の反射面の整備に要する費用が地形等の立地条件によって大きく影響されるために、空港によって異なってまいります。
 そういう前提で、例えば個別の事例について申し上げますと、カテゴリー3化のために行われますILS用地それから照明施設の整備に要する費用といたしましては、十五年度から事業化を予定している広島空港では全体で七十五億円、青森空港におきましては二十三億円、全体の費用は二十三億円でございます。
 また、既にカテゴリー3化がなされておりますのは、釧路空港、熊本空港というのがございますけれども、これらはそれぞれ当時のお金で八十億円、そして五十億円という費用がかかっております。
大森委員 第二種空港である広島空港について約七十五億円ということで、相当な費用がかかって、しかもそれが今回の法改正で地方自治体の負担もふえるということになるわけですが、こういう措置そのものは、こういう高カテゴリー化、広島の場合は1から一挙に3に引き上げるということなんですが、それが必要だとしても、なぜこういう法改正が必要になってくるのか、今までどおりではなぜだめなのかという点はどうでしょうか。
洞政府参考人 今回の基本施設化によりまして、先ほども申しましたとおり、国と地方の一定の負担割合に基づきまして、広島空港の場合は三分の二が国、そして三分の一を広島県が負担するということになります。七十五億円のうち二十五億円が県の負担ということになるわけでございます。この負担に伴いまして、総務省においては当然のことながらこの負担をカバーするために地方交付税措置というものを講じることで検討が進んでいるというふうに聞いておりまして、当然のことながら滑走路の延長と同じように起債の対象ともなります。
 なぜこういう措置が必要かといいますと、先ほど申しましたとおり、今までは附帯施設でございました。でありますから、こういうILSの施設そのものも含めて附帯施設でございまして、どうしても整備というものが後回しになってまいります。地方設置空港の管理者、二種空港は国でございますけれども、どうしても基本施設の方に予算が投入されますし、また、全国的なバランスを考えながら、こういうILS装置というものは後手後手になるわけでございます。
 しかしながら、先ほども申しましたとおり、このILSの装置というのが、要するにほとんどの飛行機がILS対応になっておりますものですから、これは飛行場の本体として、基本施設としてきちっと整備していかなきゃいけない。その基本施設として位置づけた場合には、考え方の問題として、国は全体の空港ネットワークの整備、地域はその空港を利用した地域整備といいますか地域振興といいますか、そういったものの観点から応分の負担をお願いする、こういう考え方になってくるわけでございまして、そういう意味で、一定の御負担をお願いしたいということになるわけでございます。
 もとへ戻りまして、負担がふえるにつきましては、それなりの交付税措置というのをきちっとやって、その負担を軽減する措置をあわせて総務省の方にお願いしているということでございます。
大森委員 一定の財源手当てがやられるにしても、二十五億円、一挙にゼロからふえることは大きな負担だと思うんですね。
 第二種空港の場合、これは基本的に国が設置するという位置づけになっているわけですし、それから、施設を基本施設にするということで、逆に地方に負担がいくというのも、周りから見たら非常におかしいんじゃないかなということを最初から感じております。基本施設であるなら、やはり国の責任できちんと設置をすべきじゃないか、従来どおりきちんとやるべきじゃないかということだと思うんですね。ですから、今おっしゃった理由というのは、どうも後でくっつけたような理由のようにしか聞こえないということを率直に申し上げておきたいと思います。
 経費の負担を地方自治体の方へ移す一方で、関空の第二期や、あるいは中部国際空港その他一部地方空港などは、そのまま事業は継続しているわけですね。ですから、こうしたやり方ではなく、必要な地方空港の利便向上、安全対策にこそ重点を移していくということを要求しまして、次の港湾法等の質問に移りたいと思います。
 今回の法改正案の中で、都市再生特別措置法の改正で、港湾施設整備を支援の対象とすることになりますけれども、去年この法律はできて、一斉に緊急整備地域がそれぞれ指定されたわけですが、今回、対象を追加するということにした理由と、それから今回の法改正、どういう支援措置が加わるのか、三つ目は対象地域がどこを最初予定されているのか。三点お聞きしたいと思います。
金澤政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年度の法制定時には港湾施設というものが無利子貸し付けの対象に措置されておりませんでした。その後、都市再生特別措置法の第五条の規定によりまして、これまで二回にわたりまして政令指定されました四十四の都市再生緊急整備地域、その面積の約四割が臨海部を含む地域であることが判明いたしました。臨海部におきます都市の再生にとりまして、同法の枠組みを用いて臨海部低・未利用地の利用転換を行いまして、港湾の高度利用を図ることが有効であるというふうに考えられるに至りました。
 また、都市再生緊急整備地域に指定されました千葉蘇我臨海地域などにおきまして、これまで地域で検討されてきました計画に基づいて事業化の検討が進展しておりますが、当該事業の実施のためには港湾施設の整備というものが不可欠であるということが判明してまいりまして、所要の法改正を行うというものでございます。
 どこが対象になっているかということでございますが、申し上げましたように、千葉の蘇我地域、それにもう一つ検討対象としておりますのは、堺港の地域というものがございます。
 それから、支援措置でございますが、港湾の施設の関係につきましては、いわゆる無利子貸し付け措置をすることとなっております。
大森委員 これは、二つの地区は既に都市再生緊急整備地域に指定されているわけですが、この整備地域における都市計画法上等の規制緩和あるいは税制上、財政上、金融上の支援措置、これをごく簡潔に御説明をいただけますか。
澤井政府参考人 まず、金融支援措置でございますが、都市再生緊急整備地域におきます拠点的なプロジェクトとして国土交通大臣の認定を受けた事業につきまして、事業の実施に伴い必要となる街路等の公共施設を民間事業者が整備する場合に、費用の一部を無利子貸し付けをする。それから、事業に要する費用の一部につきまして、出資、社債等の取得を通じた資金の供給をする。また、事業に対する融資の一部について債務保証する等が可能となっております。
 税制上の優遇措置といたしましては、平成十五年度の税制改正によりまして、先ほど申し上げました大臣の認定を受けた事業者、それから、当該事業が実施される地域における従前地権者に対しまして、土地の取得、譲渡、建物の建設、取得、保有に関する課税について、登録免許税の税率の軽減、あるいは不動産取得税の課税標準の特例などが講じられております。
 また、都市計画上の規制緩和といたしましては、緊急整備地域の中で、都市再生特別地区という特別の都市計画が可能となったことと、それから、それを含めまして、幾つかの事業の実施に必要な都市計画の提案を民間事業者ができるというような措置が昨年の特別措置法によって講じられております。
大森委員 緊急整備地域として相当幅広い手厚い支援措置が税制上も財政金融上も行われている上に、今回の法案で対象もさらに拡大し、新たな金融支援を追加するということになっているわけですね。
 私、今回の法案審議に当たって、今御回答がありました千葉蘇我臨海地域を見てまいりました。
 最初にびっくりしたのは、この都市再生緊急整備地域の網の中に、旧川崎製鉄の千葉製鉄所の東工場跡地の大部分がその中にそっくり入っちゃうわけですね。
 川鉄は、御存じのように、日本鋼管と四月一日、統合をしたわけですが、この東工場、溶鉱炉、コークス炉、圧延工場などがありますけれども、設備廃棄を行って、西工場の最新鋭工場に生産の主力を移す。その後の東工場が地域指定になっているわけですね。
 もう一つびっくりしましたのは、既にいろいろ工事がやられているわけですね。今回の法案はもちろん今審議しているところですし、都市再生特措法の方も具体的にこれはまだ発動しているわけじゃないですね。ところが、工事はどんどん進んでいるということで、聞いてみましたら、これは再生法の整備地域を含む二百二十七ヘクタールが平成十一年からの国の都市再生総合整備事業の対象地区に指定されている。これは蘇我特定地区と言いますけれども、この事業が既に執行されている。だから工事がどんどん進んでいるというわけですね。
 平成十三年の十月に、千葉市がこの蘇我特定地区整備計画、これは千葉市自身が主体となったそういう事業も重ねて計画して発表しているわけなんですが、商業、業務、居住、研究系の土地利用を進めるほか、総合スポーツ公園を建設するというような計画になっております。
 加えて、こういう川鉄の遊休地を千葉市の副都心として育成、整備、活性化を図るということになっているわけですが、そこで、この蘇我特別地区に関連して幾つか質問をしたいと思います。
 平成十一年度からの事業であります。これは当初の、国の方は都市再構築事業となっておりますけれども、千葉市を事業主体とするこの千葉市蘇我臨海部、都市再生総合整備事業ですか、この最終年度までの総事業費はどのぐらいで、国費はどのぐらいになるのか、国がどういうぐあいにつかんでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
澤井政府参考人 御指摘の都市再生総合整備事業による支援でございますが、平成十一年度からスタートしておりまして、おおむね十年間を予定しております。おおむね十年間でどのぐらいの支援あるいは事業費になるかということは今のところ確定しておりませんが、これまで、平成十一年度から先年度の十四年度までで、事業費ベースで十七億六千九百万ほど、国費がそのうち六億一千二百万の支援をしているところでございます。
大森委員 千葉市を事業主体とする蘇我特定地区の事業、これは例えば千葉市においては千葉市議会において、国と県で約四百二十億円、千葉市で四百九十億円、こういう規模で説明をされているわけですね。それから、一般に報道等では、基盤整備だけで一千億円以上かかるのではないか、こういうぐあいにも言われているわけですね。
 ですから、今現に国の方で指定している整備地域、あるいはそれ以前の都市再生総合整備事業、それと重ねて指定されている地域で行われている千葉市の事業がどういう規模の事業なのか。国の認識がもし十七億円という程度ということであれば、これは大変な問題ではないかと思うのですね。
 私がお聞きしたのは、今、幾つかの国の法律上あるいは予算措置上とられている、その該当地域で行われている千葉市の事業の全体がどのぐらいの費用なのか、事業規模なのかということを伺っているんです。それで、国費はそのうちどのぐらいなのかということであります。
澤井政府参考人 この蘇我地域におきましては、全体計画に基づきまして、御指摘のように、ある部分は区画整理の事業をやったり、ある部分は防災公園、かなり広域的な防災拠点になる公園でございますが、それを整備したり、または内陸部の蘇我駅の周辺の整備をしたり、また関連する街路の整備をしたり、大変たくさんの事業を、川鉄跡地という大変貴重な、かつ大規模な工場跡地を種にして、当該地域の都市再生を大きく図っていこうということでやっておるわけであります。
 たまたまただいま全体についてどのぐらいの事業になるかという数字を持ち合わせておりませんが、そのうち御指摘の都市再生総合整備事業というのが、言ってみますと、その全体の事業の起爆剤になるような、一番最初の立ち上がりの支援をするという趣旨で、先ほど言いましたような、平成十一年度からおおむね十年間にわたりまして、計画調整あるいはいろいろな土地の整備というあたりを中心に助成をするものでございまして、それに要する費用が十四年度までで約十八億円と申し上げたところでございます。
大森委員 国の、今回都市再生法に基づく整備地域、あるいはそれに先立つ都市再生事業、それを取り入れた地方自治体の事業の規模がどれだけか、国交省はどう認識しているかということを伺っているんです。これは再生本部じゃなくて、国交省はどうですか。
澤井政府参考人 若干繰り返しでございますが、街路整備に幾ら、防災公園に幾ら、数字はもちろんおおむねのところは把握しておりますが、たまたまただいま都市総合整備事業の数字のみ持ってまいりましたので、数字については後ほどまた申し上げたいと思います。
大森委員 いずれにしろ、国の施策を取り入れた地方自治体の事業がそういう相当大規模な事業であるという認識は、きちんと持っていただきたいと思うんですね。
 その中で、川崎製鉄の工場の除却費用、これも入っているわけなんですが、そのための都市再生総合整備事業、これに基づく川崎製鉄の工場の除却費用はどのぐらいでしょうか。
澤井政府参考人 都市再生総合整備事業で助成をいたしました御指摘の除却費用は、事業費ベースで十六億三千五百万円でございます。
大森委員 十六億三千五百万円。
 それから、この都市再生緊急整備地域に指定される前から随分こういう優遇措置といいますか、工場の撤去費用などが既に事業費として見積もられているということなんですが、まだこの川鉄に対する支援措置というのはあるわけですね。
 この都市再生緊急整備地域、特定地区と重なる部分の南側三十八ヘクタール、ここが既に二年前から都市基盤整備公団施行の土地区画整理事業が行われているわけですね。ここでも国から工場の撤去費用が出ているんじゃないですか。
澤井政府参考人 御指摘の区画整理事業の中では、都市計画道路の整備に必要となります建物の撤去に要する費用に見合う額を補助しておりまして、その額は事業費ベースで五億五千九百万円でございます。
大森委員 私どもが千葉市に照会したところ、この都市総合整備事業にかかわるもので約二十億円、それから区画整理事業に伴うもので約十億円、合計三十億円。この川崎製鉄の工場等の撤去をやっていて、ですからほとんど自前は要らない、ほとんど公費で工場を撤去しているようなものだと思うんですね。これは、通常公共事業の立ち退き移転補償なんかというのは、全額自分の責任で撤去、更地にした上で初めて補償の全額が出てくるということと比べても、大きな違いがあると思うんですね。
 本当にこれは大サービスだと思うわけなんですが、こういう川鉄への大サービス、ほかにも今まで答弁されたもの以外にあるんじゃないですか。
澤井政府参考人 都市再生総合整備事業の支援の内容といたしましては、ただいま御指摘の除却費のほかは、千葉市が中心になって行います計画の策定、あるいは都市基盤整備公団がいろいろな関係者との調整を行うために必要なコーディネート費用、こういった内容になっております。
 なお、ただいまの除却費でございますが、これは、その川崎製鉄の大規模な工場跡地をいわば一体的かつ計画的に、自然の流れに任せてばらばらに今後の用途に合った土地利用に転換していくのではなくて、全体を一体的かつ計画的に転換していって今後の都市の発展に必要な土地利用を実現していくという大変困難な仕事でございます。その事業の立ち上げ時期に、既存の不要施設を除却いたしまして土地を整理することに対して支援するということが全体の事業促進上極めて有効であるということと、また、その効果は、単に川鉄の財産の除却ということにとどまることなく、それを引き金といたしまして全体の都市再生が広範囲に進んでいく、こういう趣旨で行っているものでございまして、この都市再生総合整備事業の支援を受けた場合に、例えば類似の例としては鉄道用地の中にある旧鉄道施設、もう使わなくなったものを撤去するというようなものに対して助成するというような例もございます。
大森委員 大体今、そういう整備地域で相当な支援措置が今後とられていくということに加えて、いろいろ理由をおっしゃいましたけれども、結局これは川鉄への大サービスだと思うんですね。
 加えて私がお聞きしたいのは、もっと大々サービスがあると思うんですね。特定地区内で、総合スポーツ公園を予定する緊急整備地域のうち、北側部分を川鉄が公団に売却したわけですね。後でこれは千葉市が買い戻すという手法がとられておりますけれども、その売却面積それから売却費の総額、単価はどのぐらいでしょうか。
澤井政府参考人 川鉄から公園用地として売却された土地は、三十三・三ヘクタール、総額二百三十億円と承知しております。
 また、これと一体として整備すべき街路用地といたしまして、一・四ヘクタール、約十億円で売却されたと聞いております。
大森委員 単価はどのぐらいでしょうか。
澤井政府参考人 単価につきましては、今の割り算ということになるので、今手元にございませんが、委員会等できちんと議論して決めた単価だと聞いております。
大森委員 私どもの調査では、一平米当たり六万九千円、一坪約二十三万円ですね。これは川崎製鉄が一九五二年に四十八円で購入しました。これは坪ですね。しかし、坪四十八円というけれども、これはただより安いと当時言われたわけですね、これは税金その他のいろいろな関係で、ただより安いんだという。ただより安く入手したものを今回一坪当たり二十三万円で売却する。ああいうことで、本当にこれは大変なサービスであり、川鉄の方としては巨額な利益を受けているのではないかと思うんですね。
 そこで、五年前からの、先ほど来お話がありました都市再生総合整備事業、それから二年前からの区画整理事業、それから工場撤去費用など税金を投入するということだけじゃなくて、昨年は、都市再生特別措置法、これによる税制、金融上の優遇措置、都市計画法上の規制緩和などをとるということの上に、そのことの上にさらに、今申し上げた、川鉄所有の工場跡地を土地区画整理で国、自治体が道路や下水道の基盤整備を行うということで、川鉄みずからの土地を大幅に値上がりさせるということにもつながっていくと思うんですよ。
 こういうのをいろいろやってきて、さらにまだ抜けていたということで、今回の法改正で港湾設備、これを追加するというのがこの間の全経過の流れじゃないかと私は思うんですね。ついでに言えば、こういう事業をやるために国交省は、わざわざ国交省から人を派遣して、担当助役ということで据えているんじゃないですか。本当にこれはもう至れり尽くせりという大サービスがやられていると思うんですよ。
 これはもう都市再生じゃなくて、税金による川鉄再生ということになるんじゃないですか。
澤井政府参考人 私ども当該地域を支援申し上げておりますのは、あくまでも、今後の広い範囲での都市再生の起爆剤とするためという観点でございます。個別に、本件地区について川鉄云々というお話がございましたが、一方で、私どもの承知しておりますのは、街路用地の一部、あるいは先ほど御指摘の公園用地の一部、これを逆に、川鉄用地であったものを無償で提供しているというような、いわば開発利益の還元をそういう格好で公に図っているという事態もあると承知しております。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この地域の防災機能の向上、あるいは商業、業務機能の向上ということが、当該地域を含む背後地全体の都市再生に大変効果があるという観点で支援をしたいと考えておるところでございます。
 なお、都市再生特別措置法に基づきますさまざまな金融支援につきましては、まだその具体的な内容は固まっておりませんので、今後の議論だと考えております。
大森委員 川鉄の無償提供というのもわずか二十四ヘクタールですよ。全体から見れば、本当にごく一部ですよ。その程度のことでこれはごまかしちゃいけないと思うんですね。
 問題は、こういう形で本当に住民のための都市再生になるのか、一番重要な問題だと私は思うんですね。この点で、例えばこの周辺ではこれまでにも千葉駅西口再開発あるいは中央港の地区区画整理事業といろいろ、同様な手法でやられているわけですね。ところが、今もうそれが惨たんたる状況になっているわけですね。
 千葉駅西口再開発、十数年前に計画されたわけですけれども、千葉市の玄関口でありながらいまだに空き地、空きビルだらけということで、廃墟の町とも言われているような状況です。それから中央港地区の区画整理事業についても、ここも、第二の幕張副都心ということを目指してスタートしたわけなんですけれども、これも更地のまま。三十四の地権者のうち、ビルを建てる予定、予定だけでもわずか三社しかない、惨たんたる状況に今なっているわけですね。
 この川鉄の場合、蘇我地区の場合、土地区画整理による造成後の商業地域に既に、誘致企業として大型店舗等が進出を予定しております。敷地面積十七万平米、店舗面積で約十万平米というような大変なもので、こういうのが進出してきた場合に、確かにその地域自体は一定の活性化がなされるかもしれない。しかし、それが地域経済に及ぼす影響によって、逆に周辺が空洞化、地域商店街の荒廃、都市の破壊、そういうものにつながっていく危険性が極めて強いと思うんですね。
 こういう点で、既に御承知のように、東京都心部では二〇〇三年問題、オフィス等々の、バブルの水準のとき以上にどんどん出されるということが逆に周辺の大変な空洞化をもたらしているという深刻な事態をもたらしているわけでありますから、この問題を考える際に、都市再生という形で特定の企業の遊休地を、そこの企業に最大限、至れり尽くせりのサービスをすることでこれは問題は解決しない。何よりも、特に私は今、これは国交省、問題意識としては、こういう臨海部、特に戦後戦前も含めて、日本経済のそれこそある意味では牽引車の役割を果たした臨海部、特に低・未利用地ですね、あるいは大企業の遊休地、これをどうするかという問題は、やはり戦前戦後を通じて一世紀以上、もう長い期間を通じて形成されてきた問題だと思うんですね。ですから、はっきり言えることは、拙速に走っては絶対にならないということだと思うんですよ。
 この間、確かにそういう日本経済を引っ張っていく牽引車の役割を果たした地域、今回の蘇我地区もそうですし、私の住んでいる神奈川県の京浜臨海部もそうであります。こういうところについては、この間、それこそそういう牽引車になった力の源泉は、やはり国、地方自治体挙げて、もう行財政上の手厚い支援をしてきた、そのことが大きな力の源泉になってきたと思うんですね。ですから、そういう立地企業の社会的責任、これを小手先の還元じゃなくて、きちんと社会的責任を果たさせるということと、これは国民的議論をきちんと重ねて、拙速に走ってはならないという基本的な立場が必要ではないかと思います。
 そこで、私、もう時間も参りましたので、せっかく再生本部からもお越しいただいていますので再生本部からと、できれば国交大臣としてはその辺どのようにお考えになるのか、お答えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
和泉政府参考人 お答え申し上げます。
 産業構造の変容等に対応しまして発生しています、御指摘の重厚長大産業を初めとします低・未利用地につきましては、鉄道、道路、港湾などの交通基盤の状況や周辺の土地利用の状況など、おのおのの立地特性に応じまして、御指摘のように十分検討しながら、当該地域の潜在力を最大限生かした利用がなされることが必要だと考えております。その内容としましては、例えば商業、業務、住宅などの都市開発の実施のほか、物流機能の高度化、産業機能の高度化等が想定されると思います。
 都市再生緊急整備地域につきましては、現在、指定済み四十四地域のうち十四地域が臨海部を含む地域でございますが、当該地域の都市開発の実施に当たりましては、臨海部という地域の特性を生かしながら、その魅力が十分引き出せるように、地域整備方針におきまして、親水空間の確保とか水辺環境の配慮なども含めながら、今後進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
扇国務大臣 今大森議員がいろいろおっしゃいましたけれども、少なくとも災害時の広域な防災拠点として、また支援物資等の中継基地、あるいは避難の場所等々で、千葉県から要望されたものも多々あります。そういう意味では、今私は、先ほど局長が言いましたように、千葉県の要望によって、あるものをいかに活用するかということで、千葉県民の重要な拠点になるんだということも含めて、新たな開発がされるということに対しては、大変有意義なことである。また、民間が、少なくともこれだけの大きな場所を開発するという能力が今民間にはありません。そしてこれを貴重な千葉県民の財産として、防災拠点として、またスポーツ総合センターとして利用されるということは、私は、国として最大限に支援し、千葉県と話し合ってこれを活用していくというのはまさに県民の利益にかなうものであるし、また、むざむざこれを分散して、ばらばらにしてしまって無為無策の乱立した開発をしたのでは、かえって千葉県のためにならないと私は思っていますので、そういう意味では、未利用地を利用するということの大変大きな、地域が提供されて千葉県民の有益な活用ができるように私たちも配慮していきたいと思っています。
大森委員 終わります。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 きょう、最後の質疑になりますが、前回の道路に関する質疑のときに、特別会計というかお金の面から質問をさせていただいて非常に勉強になることも多かったので、今回のこの二法案も特別会計、お金の面から御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法案の中身を見ますと、港湾整備事業の定義の幅と空港整備事業の定義の幅を広げて、それぞれの特別会計で面倒を見る事業の幅を広げている、そして港湾整備に関しましては、民間都市機構が無利子貸し付けによってできる事業の幅を広げたという法改正になるのだと思います。
 このように、特別会計予算の使い道を広げたり、補助金や負担といった形で国が地方を縛る選択肢をふやしていくような法改正よりも、むしろ、港湾管理者や空港設置者である自治体が独自の判断で、必要性に応じてより少ない財源でむだのない事業ができるような方向性を目指していくべきだと思うのですが、この点、どのようにお考えになられるか、航空局と港湾局、両局にお聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 空港の整備につきましては、先生御存じのとおり、国が空港整備特別会計を設置いたしまして、利用者が負担する空港使用料そして一般会計からの繰り入れ等を財源として、一般空港等の整備を行っているところでございます。
 先生のおっしゃいます使途の拡大という面では、今回の法律案におきましては、霧等により航空機の季節的な欠航が多く発生している空港の就航率を図るという緊急的な目的のために、地方自治体の判断でILSの高カテゴリー化を実施する際に、国が所定の補助が可能になるようにしたものでございます。
 こういった補助制度というものは、空港整備特別会計の財源の七割ぐらいが利用者負担であるということを考えますと、極端に言って、使途を限定せずに空港整備以外にも用いることができるような財源として自治体に移譲するよりは、むしろ特定の政策目標、目的に的確に対応できると同時に利用者の理解を得ることができるのではないかというふうに考える次第でございます。
金澤政府参考人 港湾におきましては、国は港湾整備特別会計を設置いたしまして、民間からの負担金あるいは一般会計からの受け入れなどを財源といたしまして港湾整備事業を行っているところでございます。
 今回の法律案につきましては、我が国が激動する国際社会におきまして経済的発展を図るために必要不可欠でございます国際競争力の強化のための政策の一環といたしまして、既存の港湾施設の有効活用とか高度利用、そういうものを一層推進しまして、港湾のもたらす効用を最大化していくことが不可欠という認識のもとで、港湾のEDIの設置及び管理を国土交通大臣が実施するという制度化、それから民間都市再生事業の支援対象へ港湾施設を追加するということを内容としているわけでございます。
 港湾EDIの設置及び管理の制度化は、先ほど来御説明いたしておりますように、港湾の入港届等の利用に係る手続の簡素化でございますが、国際競争力を強化していく、諸外国の港に比較しましておくれているという認識のもとにそれを強化していくという観点から、国土交通大臣がそれを設置して管理する、国のいわゆる直営といいますか直轄の業務ということでございます。そういう意味で、国がしっかりやっていきたい、特別会計の中でしっかりやっていきたい、そういう意義があるというふうに思っております。
 また、民間都市再生事業の支援対象に港湾施設の追加ということも、いわゆる都市再生というのが今我が国の喫緊の大きな課題でございます。そういう意味も含めまして、やはりこれも国が、もちろん地方公共団体と連携のもとに、しっかりと国としての責務も果たしていかなければいけない。そういうことを考えております観点で、港湾整備特別会計の中で経理をしていこうとしておるものでございます。
 先生御指摘のように、地方が地方の独自の判断で、地方の独自性に基づいて弾力的にしっかりやっていただく、これはもちろん否定するものではございません。私どもも、国と地方の連携、パートナーシップというものを重視ということは、従来からそのように考えておりますし、今後とも重要視していきたい、かように思っております。
原委員 ありがとうございます。
 もう一つ、予算のことで数値を教えていただきたいんですが、平成二年度以降の予算のグラフを見ますと、税収の割合を見ますと、平成二年以降税収が減少していて、平成十三年度の数値で見ると、平成二年から約二割も減少をしています。
 ここで、数値で教えていただきたいんですが、航空局、港湾局それぞれの予算は平成二年度比でどれだけ減少をしているのかということを教えていただきたいと思います。
洞政府参考人 空港整備特別会計の予算規模でございますが、平成二年度当初予算では、約三千八百億円でございます。平成十三年度当初予算では、約一千億ほどふえまして四千八百五十億円となっております。これは、航空輸送需要が国際、国内ともに堅調に伸びてきておりまして、これらに着実に対応するために空港整備等を進めてきた結果であると考えております。
 また、航空輸送量の着実な増加に伴いまして、歳入面につきましても、空港使用料等の増加が図られております。
金澤政府参考人 港湾局の予算につきましては、港湾整備事業につきまして、年度当初予算、いわゆる国費のベースで見た場合でございますが、平成二年度は三千七十九億円でありましたものが、平成十五年度には二千九百四十四億円となっておりまして、国費で〇・九六倍となっております。
原委員 ありがとうございます。
 私の感覚だと、要するに、税収が減少し続けているので、それと同じ割合で減少していっているのかなということを思ったので、ちょっと驚いたというか、やはりもう少し、先ほどの最初の質問のところで航空局長が、特別会計の中で七割が利用者の負担であるからやはり特定の目的に対応して使っていくべきだというお話があったと思うんです。でも、これは道路のときの議論の仕組みととても似ているなと私は率直に勉強していて思っていまして、要するに、特別会計というものをずっと省益を考えて持っていて、歳入歳出のバランスが崩れてくると、道路のときと同じようなことになって、額の規模は違うとしても、道路のときと同じような構造になってしまうのではないかというふうに心配をしております。
 本当に、余ったら、その余ったお金を一般財源に回して、自分の局だけではなくて、ほかの局でも有効利用できるような、そうした、もう少し柔軟なお金の運用というものを考えていくようなときだというふうに思っているんですが、もう一度、その点に関して航空局長のお考えをお聞きしたいと思います。
洞政府参考人 航空は、我が国の国際競争力を強化して、二十一世紀の国際経済社会においてさらなる発展を遂げていくための一種のライフライン的な要素を持っております。そういう意味で、私どもは、大都市圏拠点空港等の整備というものを最重要の課題ということで、これに投資の重点化を図って、一刻も早い早期完成ということを目指しているわけでございます。その一方で、歳出の徹底的な削減というものを目指しておりまして、一般空港は、先生先ほどおっしゃいました、平成二年ごろには一千百億ぐらいあったものが、今はそれが五百億程度に下がってきております。
 そういう意味で、投資のめり張りをつけて、必要なところは所定の期限内にきちっとやる、そうしないと日本が立ちおくれてしまう、そういう問題意識のもとで空港整備を進めているわけでございます。ということをぜひ御理解いただきたいと思います。
原委員 ただ、やはり、道路のときに大きな議論になった特定財源のことを考えると、これから、この特定財源に関しては、自分のところだけが抱え込むのではなくて、少し、必要ならば別のところでも有効活用できるような、そうしたお金の流れというものを国として意識をして変えていくときにあるのではないかというふうに私は強く思っております。
 何か、こんな総括的な意見になってしまったんですが、次に、個々の特別会計について、中身に関して御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、空港整備の特別会計について御質問をさせていただきます。
 空港整備に関しては、平成十五年度も財政投融資から五百三十六億円を借り入れていらっしゃるんですよね、借り入れています。それで、その中で、財政投融資から借り入れているお金の総額はどれくらいですかということを事前に教えていただいたら、その総額が九千五百億円から九千七百億円の間を行ったり来たりしているということを教えていただきました。
 新規の地方空港建設というものを中止はしたものの、今つくっている途中の神戸空港や静岡空港など、地方財政を逼迫させることが指摘されているような地方空港はまだあります。地方の財政が破綻をすれば、国が手を差し伸べなくてはならない場合も出てくるわけでありまして、特に、静岡空港については、この委員会でも何度か質問させていただいているんですが、こうした財政状況の中ですし、静岡空港は用地すら確保できていないので、今からでも私はこの静岡空港に関しては中止をすべきではないかと思うのですが、その点のお考えをお願いします。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、空港整備特別会計は財政投融資資金を借り入れておりますが、これは、東京国際空港の沖合展開事業、環境問題を解決し空港能力を増加させるということで、今、羽田空港を工事しておりますけれども、この沖合展開事業の財源として、当該事業費の範囲内で財投からお金を借りているというものでございます。ということで、この財投は、ほかの一般空港とかそういったものには回っていかない、こういう性格のものでございます。
 それから、静岡空港の件をお尋ねでございますが、静岡空港につきましては、端的に申し上げまして、国土交通省の事業評価制度に基づきまして、事業採択後十年目にことしが当たります。空港の設置者に当たる静岡県が事業の再評価を行う予定でございまして、現在、これに先立ちまして、需要予測の見直しの作業が行われてございます。私どもは、これに際して、需要予測の精度向上のための需要予測のためのガイドラインというものをつくって、これに基づいて県を指導しているところでございます。
 さらに、この需要予測の見直しの後、静岡県は、事業評価監視委員会というものを開催して事業の再評価を行い、事業の継続の是非等についての判断を行うということでございます。その上で、国土交通省に報告をするという段取りになるわけでございます。
 国土交通省といたしましては、こういう静岡県の報告を踏まえまして、本当に必要とされる公共事業を重点的かつ迅速に進めていく基本方針のもとに、静岡空港に対するこういう補助金の継続の是非というものも判断していきたいと考えております。
原委員 ありがとうございます。
 もう一点、空港の特別会計のことに関して質問させてください。
 予算書をいただいて、何度か御説明をいただいたんですが、この特別会計から関西空港や中部国際空港などにも六百六十七億円が、出資や補助金や事業資金の形で出ていっております。先ほどからの、財政投融資からのお金の総額、そうした借金といいましょうか借入金というものを、これからどのようにして解決していくおつもりなのか、その見通しについてお聞かせいただきたいですし、ぜひ、これ以上借金をふやさない方向でやっていくというようなお考えもお聞かせ願いたいと思います。
洞政府参考人 空港整備特別会計では、昭和六十一年度から、先ほど申しました羽田空港の沖合展開事業に対しまして、財政投融資資金による借り入れを行ってございます。
 現在の借り入れの残高は、十四年度末におきまして九千七百十七億円となってございます。
 この長期借入金の償還財源につきましては、空港整備特別会計の収入源でございます空港使用料によりまして行ってございます。そういう意味で、中長期的な収支見通しを十分に勘案して、この空港整備特別会計の健全性というものに配慮しながら毎年度の借入金額を設定してございまして、借入金残高も着実に減少してきてございまして、今後の償還確実性について問題はないというふうに考えております。
原委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、次に、港湾整備の方の特別会計の中身について御質問させていただきます。
 港湾事業というもののむだぶりというものは、幾つかの場所で指摘をされていると思います。昭和五十年度の運輸白書というものを読ませていただいたんですが、昭和五十年度からの白書で、こうした港湾事業のむだぶりというものが指摘をされていて、手元にあるのは昭和五十六年の運輸白書なんですが、そこの「港湾管理者の財政状況」として、「国及び地方公共団体の財政は依然として逼迫しており、今後、国及び地方公共団体の一般財源に多くを依存している港湾管理者の財政をいかに健全化してゆくかが大きな課題となっている。」と書かれていて、具体的には、昭和五十四年度重要港湾について、港湾収入により管理費が賄われているか否かを見ると、港湾収入のある百二十三港のうち八十一港が賄えているにすぎず、管理費に公債償還費を加えた額については、わずか一港だけが賄えている状況にあるというふうに指摘をしています。
 これは昭和五十六年のときの運輸白書なので、現在のことについてお聞きをしたいんですが、現在、港湾収入のある重要港湾は幾つあって、そのうち港湾収入で賄えている港は幾つあって、管理費に公債償還費を加えた額を賄えている港は幾つあるのか、まずお願いします。
金澤政府参考人 港湾管理者の財政状況につきまして、港湾法四十九条に基づきまして、毎年度、重要港湾以上の港湾管理者から財政収支状況報告書の提出を受けております。国としても注意深くフォローしております。
 御質問の港の港数なんですが、平成十二年度の財政収支状況報告書によりますと、港湾収入、これは岸壁の使用料とかそういうものでございますが、それがある港は重要港湾すべてで百二十八港、そのうち、港湾収入で管理費、港の管理費でございますが、それを賄えている港が五十港、管理費に公債償還費を加えた額を賄えている港はございません。
原委員 ありがとうございます。
 もう一点御質問させていただきたいと思うんですが、今度は、平成十年度に財団法人国際臨海開発研究センターが策定した報告書の日本における港湾管理運営のところにもやはり厳しい財政状況が報告をされていまして、さまざま理由は書かれているのですが、収支の均衡が保たれず、不足分を一般財源から繰り入れによって賄っている現状であるということが報告されています。
 またこれも数値で教えていただきたいんですが、このように地方自治体の一般財源から償還させられている港湾管理者、自治体となっているものは幾つあるかということを、また数値でお願いします。何自治体あるかということをお願いします。
金澤政府参考人 先ほどと同じく平成十二年度の財政収支状況報告書によりますと、百二十八の重要港湾がございますが、それを管理する港湾管理者は六十八ございます。その六十八の港湾管理者すべてにおいて、地方自治体の一般財源からの繰り入れによって収入の不足分を賄っているという状況にございます。
原委員 ありがとうございます。
 こうした、昭和五十六年の時代から、私がまだまだ幼いころの時代から、港湾管理者の厳しい財政状況というものは指摘をされ報告をされているわけでして、最後に局長にお尋ねしたいんですが、港湾管理者はなぜこのような苦しい財政状況に置かれることに、長い間指摘をされてきているのになったのかということを、御説明いただきたいと思います。
金澤政府参考人 御指摘のとおり、財政収支状況報告書というものの中身を、つくり方によるんですが、その状況報告書を見る限りにおきましては、港湾管理者の財政収支状況というのは非常に厳しい状況にあるというふうに認識しております。
 この理由といたしましては、歳出面で、港湾の場合には、いわゆる他の施設に比べて多額の建設費を要する防波堤とか航路というものがございますが、これらはすべて非収益施設でございます、収益がない施設でございます。こういう収益のない施設に、非常に多額の費用がかかる。そして、なおかつ、港湾の場合には、戦後、船舶の大型化がどんどん進みました関係もありまして、港湾工事の大水深化とか大規模化によりまして、費用そのものも増大してきているということが一点あります。それから、歳入面では、公共性を保つという必要がございますので、そういう理由によりまして、港湾施設の使用料というものも取ることができることになっておりますが、収支相償うような水準というふうには設定をそもそもされておりません、ちょっと詳しく御説明しないとなかなか御理解賜れないと思いますが。
 そもそも施設使用料を取ることはできるんですが、それで賄う範囲というものを想定しているのは、いわゆる港湾管理者が日常港湾の管理をやって、船舶をどこそこの岸壁に着けなさいとか、それこそ先ほども御説明しましたように、入港届を受け付けるとかそういう管理、それから、見回り点検を少しした、清掃、そのような日常的な管理というものについてそういう使用料を充てるというようなことが見合いになっております。しかしながら、いわゆる建設コストについては、これをその使用料で賄うということを想定しておりません。
 収支状況報告書というのは港湾管理者の直接的な収支だけを実はとらえておりまして、一方、地方自治体の全体的な収支という面でこれをとらえ直しますとまた異なる側面が見えてまいります。
 具体的に申し上げますと、まず港湾の整備とか維持管理に係る経費につきましては、収支賄われないというようなことがございまして、実は地方交付税の措置がなされております。また、船舶が入港することによって、特別とん譲与税やコンテナの扱いなんかに関しましては、固定資産税の税収も発生いたします。また、港湾管理者におきましては、いろいろな事業者が経済活動をしておられます。船会社、倉庫会社、航運会社、さまざまございますが、そういう事業者が経済活動をされておりまして、いわゆる法人事業税とか住民税等の税収も発生しております。また、これらに加えまして、さらに、港湾利用によりまして、物流の活性化によってもたらされますいわゆる経済効果というものがございます。いわゆる港に工場が立地して、そこで産業活動を行う、それによっていわゆる雇用が発生し、経済活性化が起こるというようなことがございます。そういうことの波及効果も相当大きゅうございます。
 そういうことで、港湾管理者は、このような経済波及効果も見込みまして、地方自治体の全体的な収支の上から相当な効果があるというように判断いたしまして、港湾の経営を行っているというふうに承知しております。
原委員 ありがとうございました。
 私、今回、この法律を勉強するのに、この予算というか特定財源の観点から少し勉強をしてみたんですが、理解するのはとても、特定財源は勉強すればするほどわからなくなってきちゃうところもたくさんあって、ただ、一つ思ったことは、やはり仕組みとしては道路のときととてもよく似ているなということを率直に感じました。
 午前中の議論を聞いていて私が思ったことは、予算のばらまきをする範囲を新しくするのではなくて、予算と事業の範囲と国、地方の役割分担を整理し直すべきではないかというような議論がなされてきたんだと、午前中私はそのように感じました。
 最後に、ちょっと質問通告をしていないんですが、扇大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 道路特定財源のときも同じだったと思うんですが、道路は道路局で、航空局はまた航空局で、今回港湾局は港湾局という考え方で、地方を振り回してきたようなやり方というのをこれから国が意識をして変えていくべきときなのではないかと私は思うのですが、最後に扇大臣のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 すべてを変えてきたから長期計画の九本を一本にしたんだと思います。それを通していただいて、残念ながら反対をされましたけれども、私は、これこそが改革の第一歩であると思いますので、原議員は、御審議の中でこれが必要だなと思ったときには賛成していただきたいと思います。
原委員 ありがとうございます。
 ただ、前回の法改正のときには、事業自体は一本化されたけれども会計は別途別途残っているわけであるので、お金の面からも全体的に見直していけるような改革を進めていっていただきたいと要望させていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子君。
瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、港湾法等の一部を改正する法律案、空港整備法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 まず、港湾法等の一部を改正する法律案についてです。
 本法案にある都市再生特別措置法改正案は、都市再生に参加するゼネコン、不動産会社、民間ディベロッパーなどの利益を保障するため、開発の障害になる都市計画法等の規制を大幅に緩和し、自由に事業を行えるように特別措置と民間事業者への各種の手厚い資金援助や金融支援、税の軽減を行う大企業優遇の法律です。
 本法案は、この都市再生特別措置法の適用を港湾施設にも広げ、臨海部未利用地の開発をやりやすくし、遊休地を抱えた大企業の支援を強めるものであります。実際に、港湾施設整備に申請しようとしているのは、都市整備公団が川崎製鉄の遊休地を大規模に開発する千葉市蘇我地区、新日鉄の遊休地を開発する大阪府堺市などであり、鉄鋼大手企業に、都市再生の名で、国民の税金による手厚い支援を実施するものとなっています。こうした露骨な大企業優遇の支援は、到底容認できるものではありません。
 次に、空港整備法の一部を改正する法律案についてです。
 本法案により、航空機が夜間や濃霧などの悪天候の中でも安全に着陸できるように、照明施設やILS設備を空港整備の不可欠な施設と位置づけ、附帯施設から基本施設に格上げするなど、安全運航を確保する部分については、反対するものではありません。
 しかしながら、今回の法改正では、地方空港の精度アップのためのカテゴリー3の整備を地方単独事業に切りかえ、国の負担分を五〇%から四〇%に削減するなど、地方負担をふやすもので、賛成できません。
 以上、二法案に反対することを述べ、討論を終わります。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、港湾法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、空港整備法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 住宅金融公庫は、従来より、国民の住宅建設に必要な資金を融通することにより、国民の住生活の安定に大きく寄与してきたところですが、平成十三年十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画に基づき、貸し付け自体は民間にゆだね、その貸し付けに係る債権を住宅金融公庫が証券化すること等を通じて、民間金融機関による住宅資金の融通を支援する証券化支援業務を実施する必要があります。
 この法律案は、このような観点から、証券化支援業務等について、所要の改正を行うものです。
 次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、民間金融機関による住宅資金の融通を支援するため、住宅金融公庫の業務に、民間金融機関の貸付債権を住宅金融公庫が譲り受け、信託した上で、それを担保として住宅金融公庫が債券を発行する業務とともに、元金及び利息等を対象とする住宅融資保険が付された民間金融機関の貸付債権等を担保として、民間金融機関が発行する債券等について、住宅金融公庫が債務の保証を行う業務を追加することとしております。
 第二に、平成十九年三月三十一日までに、別に法律で定めるところにより、住宅金融公庫を廃止し、住宅金融公庫の権利及び義務を承継する独立行政法人を設立することとし、当該独立行政法人には住宅金融公庫が行う証券化支援業務の実施状況、民間金融機関の住宅資金の貸し付けの状況等を勘案し、必要な業務を行わせることを定めることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案を提案する理由です。
 この法律案が速やかに成立しますように、御審議をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十八分散会


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