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第18号 平成15年5月7日(水曜日)

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平成十五年五月七日(水曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    高木  毅君
      竹本 直一君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      原田 義昭君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松島みどり君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    山本 公一君
      阿久津幸彦君    石毛えい子君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      山内  功君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    二階 俊博君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  熊谷  敏君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           金森 越哉君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省土地・水資源
   局長)          倉林 公夫君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 河崎 広二君
   参考人
   (都市基盤整備公団総裁) 伴   襄君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 田中 正章君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 西川  聰君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 古屋 雅弘君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 那珂  正君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 中臣敬治郎君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  砂田 圭佑君     竹本 直一君
  高木  毅君     松島みどり君
  大谷 信盛君     石毛えい子君
  津川 祥吾君     山内  功君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     砂田 圭佑君
  松島みどり君     高木  毅君
  石毛えい子君     大谷 信盛君
  山内  功君     津川 祥吾君
    ―――――――――――――
五月七日
 移動の権利の保障、移送サービスに関する請願(永井英慈君紹介)(第一九四九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人都市再生機構法案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人都市再生機構法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長安富正文君、総合政策局長三沢真君、土地・水資源局長倉林公夫君、都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長松野仁君、政策統括官河崎広二君、内閣官房内閣審議官熊谷敏君、財務省理財局長寺澤辰麿君及び文部科学省大臣官房審議官金森越哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として都市基盤整備公団総裁伴襄君、都市基盤整備公団理事田中正章君、都市基盤整備公団理事西川聰君、都市基盤整備公団理事古屋雅弘君、都市基盤整備公団理事那珂正君及び都市基盤整備公団理事中臣敬治郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。
松島委員 自由民主党を代表して、質問させていただきます。
 来年、平成十六年七月に新しい独立行政法人都市再生機構がスタートするに当たりまして、私は、国土交通委員会の通常のメンバーではございませんが、特に志願して、今回質問に立たせていただきました。
 六本木ヒルズは、最初の三日間で百万人の方が集まる名所となりました。このゴールデンウイークの間、汐留や丸ビルともあわせて、大変な人出でにぎわいました。東京を初めとする日本の大都市が世界の諸都市に打ちかつ形で都市の魅力を発揮する、これは非常に大事なことだと私は考えております。
 そしてまた、今回の組織改正によりまして、新しい法人は、新しい市街地をつくるのではなくて既成市街地の事業に限定する、そして密集市街地整備にも重点を置いてくださるということでございますので、私、密集市街地を数多く抱えております東京の下町から出ている議員として、非常に関心を持っている者でございます。
 さらに、個人的なことで恐縮でございますが、私は昭和三十一年生まれですけれども、幼稚園そして小学校六年生、卒業するまで、いわゆる団地っ子、幼稚園のときは一DK、小学校六年間は二DKの昔の住宅、公団時代の団地で育った、そういう郷愁も持っている者でございます。
 まず質問の第一点でございますが、大臣にぜひ伺いたいと思っております。
 今、この都市整備公団は、賃貸住宅七十五万戸を保有して、全国で二百万人の方々が住む、日本で最大の、ずば抜けて最大の大家さんでございます。現在住んでいらっしゃる方々が、新しい法人になっても住み続ける権利、これが守られるのかどうかについて伺いたいと思っております。
 現在の公団の賃貸住宅に住む方々の年齢は年々上がりまして、東京二十三区の公団住宅自治会協議会の調査では、入居者のうち、世帯主の年齢が六十五歳以上の方の割合は四割にまで上昇しております。
 また、今の東京の数字というのは特に高いわけですけれども、公団の全国調べにおきましても、古い団地ほどその傾向が強い。当然のことでございますが。昭和三十年代にできた団地の場合は、六十五歳以上の方が世帯主というのが三一%、五十歳以上に広げますと六七%。つまり、三軒に二軒は世帯主が五十歳以上ということになります。もうちょっと後の昭和四十年代にできました団地におきましても、世帯主が六十五歳以上の割合が二三%、これを五十歳以上というふうにしますと六四%ということになります。
 この公団の賃貸住宅の中でも、特に、三十年代にできたものが十万八千戸、四十年代が三十二万三千戸と、両方で六割近くを占めておりますので、そのころにできた古いものの中で、長く住んでいらっしゃる五十歳以上の方が三分の二ぐらいを占めるということは、やはりこの方々に十分な注意を払わなければいけないと思っております。
 こうした年齢層の方々は、六十五歳以上の方はもちろんですけれども、五十歳以上の方々でも、やはり公団住宅、賃貸に住み続けるということを、人生のライフスタイルの中でついの住みかと考えておられるわけだと思います。今さら、六十歳を超えた方々が住宅ローンを組んで家を買うということは非常に厳しい。ですから、今住んでいらっしゃる方々の賃貸の生活は守り続けなければいけないと私は思っております。
 そして、この新しい法律の第三条には、機構の目的として、「都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行うことにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図る」ということは記されています。しかしながら、その一方で、十一条の十二という項目におきまして、承継した賃貸住宅などの施設の管理、増改築及び譲渡を行うことができるとあります。この譲渡というのが非常に気にかかることでございます。
 平成十三年十二月の閣議決定に特殊法人等整理合理化計画というのがあります。これでは、賃貸住宅事業について「入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努める。」というのが平成十三年に閣議決定されておりまして、これが生きているということですと、非常に心配になってきます。
 今は、二〇〇三年問題、オフィス過剰ということで、東京などでも、今ある賃貸住宅を売ってオフィスにするということは今の状況では考えにくい。しかしながら、これから景気がよくなったりしてまたオフィスが不足ぎみになったら、いい場所にある、駅前などにある公団の賃貸は売ってオフィスにした方がもうかるんじゃないか。あるいは、ちょっと離れた不便なところは、オフィスにできないにしましても、そこのところは建てかえの時期に建てかえでお金をかけるぐらいだったら更地にして売っ払っちゃって、そうしたら、手っ取り早くもうかるのは分譲住宅ですから、それにした方がいいんじゃないか。そういう考えが起こると、今住んでいらっしゃる方々、先ほど申しました、ついの住みかとしてここにずっとお住まいになりたいという方々の権利がどうなっちゃうんだろうか、私は非常に心配しております。
 この点について、都市再生ということの格好いい部分ばかり追いかけますと、光と影、都市再生の中の影の部分になっちゃったらいけないと非常に危惧しておりまして、大臣、ぜひこれは、皆さんの権利を守るということの決意をおっしゃっていただきたい、そのように思います。お願いします。
扇国務大臣 おはようございます。
 志願をして、きょう質問に立っていただいたそうで、ありがとうございます。
 今、松島議員がおっしゃいましたように、現在、公団住宅には二百万人の居住者がいらっしゃいます。それはお説のとおりでございます。
 ただ、問題は、その中で二割が高齢者世帯なんですね、全体からいえばですけれども。その二割の高齢者の皆さん方が、自分がそこに居住し続けられるだろうかという疑問あるいは不安、そういうものをお持ちだろうと思います。私は、少なくとも、公的な主体が管理する住宅というものから考えればそれは当然必要で、安全性、居住性、安定性、そういうものを保障しなければ、皆さん方が不安に思われるのはそのとおりだと思いますけれども、その安定を確保するということが、今回のこの法案に対しても、公団にお住まいの皆さん方に対しても重要なことであるという認識は、松島議員がおっしゃる以上に私も感じております。
 今、この法案の第三条というのを例に挙げられました。不安があるといけませんので、簡単に第三条の最後だけ、ちょっと記録していただきたいと思いますけれども、「都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行うことにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、もって都市の健全な発展と国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。」と明記してございます。
 ですから、私は、この三条の今読んだ部分、これによって、都市再生機構としても、きょうは伴総裁が見えていますから、このことも総裁からきちんと担保をとっておいていただきたいと思いますけれども、賃貸住宅の安定的な確保を保障するということで明快にこの三条に位置づけられていると私は思っております。
 そういうことで松島議員にもぜひ、松島議員も御利用いただいた時期があるやに伺いましたので、ぜひ御安心をいただきたいと思いますし、現在現に賃貸住宅に入居している居住者の安定に最大限に配慮するということだけはきちんと担保させていただいて、総裁にも、御不安であれば答えさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
松島委員 大臣の力強いお言葉、どうもありがとうございました。
 総裁にもとせっかくおっしゃっていただいたんですけれども、これは新法人になってからでございますので、伴総裁が新法人の理事長になられると決まっておりませんので、なられたら伺いたいな、かように思う次第でございます。
 この質問にも少し関係することで、引き続き質問をさせていただきたいと思っております。大臣の力強いお言葉、本当にありがとうございました。
 三条を見る限り安心なんですが、ほかの項目の、十一条の方に譲渡というのがあるのがちょっと心配になったり、閣議決定がある中でちょっと心配になったんですけれども、この目的の三条の方、早いうちに書いてある方を重視していただくと信じさせていただきたいと思います。なお、これにつきましては、現在の居住者がずっと住み続けられるということは、ぜひまた正規の委員のメンバーの方々にもお願いいたしまして、附帯決議なりなんなりしていただければより安心できるんじゃないか、かように思っております。
 次に、賃貸住宅の家賃及び建てかえについての問題でございます。
 家賃につきましては、私も予算委員会の分科会でも同じ質問をさせていただいたんですけれども、公団住宅の家賃の決め方に十分な御配慮をお願いしたいと思っております。今、市場家賃に近づけるということで、値下げのときは毎年改定して、値上げのときはちょっと遠慮していただいて三年に一回という非常に温かい配慮をしていただいております。これを続けていただきたいと思います。そしてまた、高齢者や低所得者に対しては激変緩和のための救済措置をとっておられるということで、これはぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 ただ、しかしながら、近隣の家賃と比較して決めるということがございまして、その中で、少し注文というか、お願いがございます。
 先ほど申し上げましたように、公団住宅は昭和三十年代、四十年代につくられたものが非常に多い。これは築四十年近くになるわけですね。民間のマンションやアパートで築四十年なんというのはございません。ですから、駅から何分とかどれぐらいの広さということだけで比較されたのでは、非常に状況が違います。この点についてはよく考慮していただいて、今でも、築年数による、何年もたっているから安くしようということを考えていただいているようですが、それでも空き家が結構出ているということは、もうちょっと下げる余地がある部分も、そういう地域もあるんじゃないかと思います。
 これについての質問と、もう一つ、建てかえ。古いものは建てかえていただく、これは必要なことでございます。それによって住みやすくなるのは大事なことだと思います。そしてまた、建てかえによって市場価値が上がる、市場価値が上がれば家賃が上がるのは、これは確かにそのとおりだと思います。
 しかし、現在住んでおられる方々の中には、年金生活になったりリストラされたりして、古くてもいいから安いところでないと入れない。それは価値観の問題でございますから、いろいろな方がいらっしゃると思います。そういう場合に、建てかえの対象になった団地の方々に対して、近隣、あるいは、できれば同一団地の中で家賃の安いところ、古いままでいいから家賃が安いところに優先的に入れるようにしていただきたいと思います。そのあたりについて質問させていただきます。お願いいたします。
古屋参考人 ただいま二点の御指摘をいただいたかと思います。
 前段の部分のお尋ねでございますが、公団住宅の家賃というのは、近傍同種、いわゆる市場家賃を基準として設定することとしておりまして、そのフレームあるいは運用のあり方については、機構になっても基本的に踏襲すべきものと考えております。
 具体の近傍同種家賃の設定の仕方につきましては、対象となる公団住宅の近隣の民間賃貸住宅で、できるだけ類似しているものを抽出いたしまして、専門の不動産鑑定機関にいわば民間の取引事例を調査していただきます。それを、鑑定理論に基づきまして、所要の補正を加えて近傍同種家賃を算出する、こういうプロセスを経ております。
 その際、鑑定機関では、当然、不動産ですから同一のものがないわけでございますので、築年の違い、古さの違いといったもの、あるいは立地の違い、広さの違いといったようなものを、鑑定手法に基づきまして、所要の補正を加えて適切な額を算定しているということでございます。
 先生御指摘のように、三十年代、四十年代の民間賃貸住宅の事例が少ないということは事実でございますけれども、こういった築年の違いにつきましてもこの手法によって格差補正されておりまして、こういったことは、不動産の鑑定の世界において通常行われているものと聞いております。
 近傍同種家賃の見直しというのは毎年行っておりまして、公団の賃貸住宅の家賃が近傍同種を上回って空き家が生じているようなものにつきましては、この家賃を近傍同種家賃まで引き下げておるわけでございます。
 ちょっと実例を申し上げて御紹介いたしますと、葛飾区のJR金町駅の近隣に金町団地、それに隣接して金町第二団地というのがございます。金町団地の方は昭和三十三年、それから金町第二団地の方は昭和五十三年、こういう築年のものでございまして、ほぼ五十平米程度の住宅の近傍同種家賃を比較いたしますと、昭和三十三年築造のものにつきましては六万八千百円、約五十二平米でございます。昭和五十三年築造の五十平米の住宅につきましては八万五千二百円から八万九千五百円ということで、約一万七千円から二万円強の差がここについておるわけでございます。
 このような家賃設定によりまして、昭和三十年代、四十年代につくられました住宅の空き家についてちょっと御指摘がございましたが、現在建てかえの対象団地、あるいはリニューアルと申しまして、住戸内の設備改善などの工事をやっておりますので、そういう業務の必要性があって人がお住まいになっていない住戸というのは相当ございますが、一般に募集していて、にもかかわらず回らないというようなものは、十五年三月末で、昭和三十年代、四十年代に限りますと、空き家率は〇・〇六%、千六百戸に一戸の割合というような水準でございます。
 それから、第二点目の御指摘の、建てかえに伴って、設備がよくならなくても安い住宅にというお話でございますが、住宅の性能を向上させるという意味でも、建てかえは計画的に進めなければならないということでやっておるわけでございますが、建てかえ後の住宅が家賃が上昇する場合がございます。そういう住宅に戻る場合には家賃の減額措置を講じまして、その中でも特に高齢者につきましてはまた一段の特別の減額措置を講じるというようなことで居住の安定を図っておりますが、それでもなお家賃を優先してほかの住宅へ移りたいというような方々につきましては、移転先として、近隣にできるだけ低い家賃の公団住宅をあっせんする。
 実例をちょっと申し上げますと、今までに戻りの入居が完了した団地約四万八千世帯を対象としますが、そのうち約一万世帯が近隣の公団住宅への移転をしておるといったような実績がございます。
 それから、地方公共団体の協力を得まして公営住宅にあっせん入居させていただく、あるいは団地内に公営住宅を積極的に併設していただきまして、そういったものに収容していただくといったような工夫を講じさせていただきまして、多様なニーズにこたえる努力をさせていただいているところでございます。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
松島委員 ぜひその御配慮は新しい法人になりましても続きますように、お願いをさせていただきます。
 それから、これに付随して、私、高く評価している去年からの制度が一つございます。これは、親族でない高齢者が一緒に入居することを認めたというのがございます。今、ひとり暮らしのお年寄りがふえています。六十代、七十代になりますと、家族でなくても家族同様のつき合いをして、周りの方々が一緒にお葬式を出す、そういうケースをたくさん見ております。公団におきましてもというか、新しい法人におきましても、ぜひ、親族ではないけれども、一緒に老後を住むという方々の入居を認めていただきたいと思っております。
 さて、これからは、非常に問題があると思っております公団の事例について申し上げさせていただきたいと思います。
 江東区東雲、そして新宿区河田町、河田町というのはフジテレビの跡でございます。超高級というのは大げさかもしれませんが、かなり高級な賃貸住宅を公団がつくっておられます。
 この江東区東雲のキャナルコートCODANというのは、著名な建築家チームによりますデザインで、室内の色を選ぶこともできる、そういうのがセールスポイントになっておりまして、テレビ番組で紹介されて、出ているタレントが、「普通の公団のイメージと違って、私もこんなのなら住みたい」なんてキャーキャー言っておりました。家賃は九万円台から二十六万円台なんですが、昨年秋の第一次募集では平均二十四倍の競争率、最高二百十倍というような高いところもございました。こんな立派なものを公団がつくる必要があるのかということ。
 そして、河田町コンフォガーデンというのは、三十階までが公団で、三十一階から四十一階までが東急不動産の賃貸になっております。こういう民間と一緒にやるという試みはいいと思うんですけれども、ことし一月に募集しました公団分二百八十六戸の平均家賃は二十二万円です。三十万円を超しているところも十戸あります。それでも五・二倍の競争率でした。
 ファミリー向けの賃貸住宅は、確かに民間がつくりづらい、ですから公団がやるという意義はありますが、こんなにリッチなものをつくると、民間の賃貸住宅に住む人からも、公団の他の賃貸に住む人からも、地方の住民からも、そこに何らかの、例えば財投の資金なりなんなり入っているということでしたら、非常に不満があるんじゃないか。私自身、今、二DK、十万四千円の家賃の民間賃貸に住んでいるんですけれども、何で公団がこんな立派なものをつくるのかなという気持ちを持っております。
 つくってしまったものは仕方がないとしたら、競争率がこんなに高いんでしたら、これは家賃を上げるべきだと思います。家賃を上げて、それで黒字になった分をほかのところに回す、そういう発想を持っていただけないか、要望を込めて質問させていただきます。
那珂参考人 お答え申し上げます。
 大都市地域で不足しております賃貸住宅、とりわけ都心居住あるいは職住近接に資する適正な居住水準のファミリー向け賃貸住宅の供給を促して大都市地域の居住環境の向上を図るということは、都市再生の重要な柱の一つだと思います。
 しかし、今申し上げました適正居住水準といいますか、ずばり申し上げますと、適正な規模のファミリー向け賃貸住宅というのは、民間では、実際問題、なかなか供給しにくいという状況がずっと続いておりましたので、公団といたしましては、近年、このような賃貸住宅を、都心あるいは都心周辺部に重点を置いて、直接供給事業として進めてまいったところでございます。
 御指摘の団地につきましても、その一環として、平成七年度及び九年度の事業着手以来、賃貸住宅建設のほか、生活支援施設、高齢者のためのデイセンターとか子育て支援施設とか生活支援施設の誘致あるいはパブリックなスペースの整備などを行って、ようやく、今回、一部の募集にこぎつけたところでございます。
 しかしながら、今般の行政改革の一環によりまして、今後は民間による供給を一層促進するということを目的として、新機構が先導的に敷地整備等の条件整備を行って民間事業者に土地を賃貸する民間供給支援型賃貸住宅制度によりまして民間の賃貸住宅供給支援を行うという方向に転換したところでございます。
 一般的に申し上げますと、そういうような民間の賃貸住宅は、ファミリー向けということで規模の一定の条件をつけておりますが、民間事業者が供給する家賃につきましては、先生の御指摘のように市場家賃で供給されるものでございまして、立地によって多少幅があるとは思いますが、総じて、市場家賃、つまり、法外な、ぜいたくな供給ということにはならないものと考えております。
 なお、ただいま御指摘がありました、現公団として供給しましたこの二団地の家賃につきまして、高いという御指摘でございます。
 東雲の方は、たまたま二十四倍という高倍率の応募をいただいたわけでございますが、平均の家賃が十四万円。現公団も市場家賃で供給することとなっておりますので、市場家賃から見ても当然その範囲に入っておりますし、それから立地の場所から見ても、今の時点で必ずしも高い家賃ではないということであると思います。また、河田町につきましては、確かに平均二十二万円という家賃でございますが、場所柄からいって妥当で、応募倍率も平均五倍ということで、これも妥当な範囲内におさまっているものと考えております。
松島委員 念のために申し上げますけれども、家賃が高過ぎると言っているのではなくて、平均競争倍率二十四倍になるぐらいだったら、もっと家賃を引き上げろと。つまり、リッチなものをつくり過ぎているということと、家賃が市場に比べて安過ぎるんじゃないか、そういう問題を提起させていただいたわけでございます。
 最後、時間が少なくなってまいりましたので、大臣に伺いたいと思います。
 独立行政法人になることによりまして、どのように行政改革が進むのか。人員や関係子会社の点からどのようにこれが、独立行政法人になるとどんないいことがあるのかをちょっと伺いたいと思います。
扇国務大臣 今御指摘のように、今回の改革というのは、そもそも、効率的、透明性あるいは行政改革の実を上げるというのが小泉内閣の目標でございますので、それに一歩前進しようということでございます。
 したがって、独立行政法人になりまして、今回は都市の再生に集中する観点から徹底的な見直しを行おうということで、私も今これを見ておりますけれども、都市公団の定員が、現段階で職員が約五千人おります。これを千人削減しようということで、四千人にスリム化しようというのも大きな目的でございます。
 それから、子会社、関連会社というのが、今ここに、私、表を持っておりますので、松島議員はきっとごらんになっているんだと思いますけれども、都市公団、いわゆる地域公団も含めまして五十八社の子会社、関連会社がございます。そして五十八社を、十三年度末から着手しておりますけれども、三十社程度に整理しようということで、今もこの関連会社、子会社の表をずっと見ておりますけれども、こんなことは民間にした方がいいんじゃないかなというものもかなりあります。
 それから、これは時間がないからあえて、松島議員がお手元に資料がおありであれば、この関連会社、子会社に、国土交通省からは現在八名だけでございますけれども、公団からのいわゆる天下りという、天下りと言っていいかどうかわかりませんけれども、再就職している者が、総役員が子会社、関連会社で五百三十四名おりますけれども、都市基盤整備公団出身者は二百六十七名、約半分が役員を占めている、これも私は改めなければならない。
 そういうことが今回の改革によってすべてスリム化されて、そして民間を圧迫しないで、なおかつ民間と共存共栄していける、そういうような方向に持っていければ、多くの皆さん方がよりいいものをより安く利用され、そして、適切な、安心した賃貸住宅に住めるということに私はつながっていくと思って、その改革の一途であるということを御認識賜りたいと思います。
松島委員 今、役員の中に占める公団から出ている方の比率というのに改めて恐れ入った次第でございます。
 最後に、これから生まれ変わる、現在の公団の伴総裁に対して、御質問を一つだけしたいです。
 新しい機構に生まれ変わることで、都市再生にどのように役立つ存在になっていくのか。再開発におけるコーディネーター役は重要でございますし、都市公園などのつくり手も必要ですが、そういった業務からは収入を得られるのだろうか。そういったことも含めて、これからの取り組みについて伺いたいと思います。
伴参考人 お答え申し上げます。
 今般、民間を都市再生に誘導する独立行政法人になるという改革でございますが、やはり、我が国の内政上の重要な課題であります都市再生を進めていくには、どうしても、六本木ヒルズの例がございましたけれども、ああいうのは非常に例外でございまして、民間だけですと、事業のリスクの問題だとか公共施設等の基盤整備あるいは複雑な権利関係の調整といったところに、民間事業者だけではできない限界、ネックがあります。だから、そういうところをこの新しい機構が手助けをして条件整備することに新しい機構の存立意義があるというふうに思っておるわけです。
 しかも、そのやり方も、今までは上物整備まで含めまして、フルセット型と言っておりますけれども、全部公団の方でやっておりましたけれども、これからのやり方としましては、事業段階に応じて、必要に応じて、応援するのに最適な支援メニューを提供するという形で、バックアップ型に転じたらどうかというふうに考えております。そうすることによって、限られた同じ投資量に対しましても、その上で誘発された民間投資量を加えますと、トータルとして、より多くの事業効果あるいは政策効果が実現できることになるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、採算の点についてお話がございましたが、確かに、機構は、収益性があって民間による実施が可能なものにつきましては民間にゆだねるということにしておりますので、当然のことながら、国の政策上必要ですが採算性の低い業務を引き受けるということになります。
 そうなると、その業務内容の採算性の度合いだとか公共性の強さに応じて、出資金あるいは補助金等の必要な国の政策支援を求めなければならないかなというふうに考えております。
 その場合でも、独立行政法人になりますので、厳しい評価と経営責任が問われる中で、採算性も十分見きわめつつ、コスト意識や意思決定の迅速化等々の民間の企業的な経営思想、感覚を持って経営に当たりたいというふうに考えておるところでございます。
 先ほど大臣からお話がありましたような、いろいろな、簡素で効率的な業務の実施体制も含めて、これからも効率的な業務運営あるいは国民の皆様に対するサービスの質の向上に努めてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御指導いただきたいと思っております。
松島委員 どうもありがとうございました。
河合委員長 石毛えい子君。
石毛委員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。
 今回、都市基盤整備公団から独立行政法人都市再生機構への転換が、審議の結果、図られていくことになるのかと思いますけれども、いろいろ新法人が実施する業務につきましては法律に規定されてございます。その中の一つに、新法人は賃貸住宅の供給からは原則的に撤退をして、そして民間賃貸住宅供給の支援を役割とするというふうにございます。先ほど来の質疑の中でも触れられていた点でもございますが、この民間賃貸住宅供給の支援につきましてお伺いしたいと思います。
 まず初めに、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、改めて申し上げるまでもないことですけれども、住宅というのは、ただ居住スペースが確保されればよいということだけではなくて、その住宅に、子育ての世代ですとかあるいは高齢者の方ですとか障害をお持ちの方、さまざまな方が多世代によって居住しているという、そうしたことによるコミュニティーの形成、あるいは、その地域に、公園ですとか緑地、保育支援施設ですとか高齢者関係の施設等々、あるいは集会所、文化施設、いろいろあるかと思いますけれども、そうした諸施設などの環境整備を含めて、まちづくりとして推進されていくことが肝要だというふうに私は理解をしております。
 昨今、市街地に建てられております民間のマンションの持つ地域空間などを見ておりますと、そうした全体的なまちづくりとしての形成、それが大変欠けていて、ライフステージの変換に、推進に伴ってどんなふうになっていくのかということが私はとても心配をしているところなんです。
 新法人が民間賃貸住宅供給支援をするというときに、私が今申し上げましたコミュニティーの形成だとかあるいは環境整備を含めたまちづくり全体として、その責任を新法人が果たしていくということを含めて民間賃貸住宅供給の支援というふうに受けとめてよろしいのかどうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 今、石毛議員が御心配になったり、また新法人がどういう役割を果たしていくかということを見たいとおっしゃったとおりでございまして、先ほどもお話ございましたように、都市公団は、これまでは大都市圏で、御存じのとおり、いわゆるファミリー向けの住宅というものが民間では大変少なかったということで、都市公団としてはファミリー向けのものを良好な市街地の形成とともにつくってきたわけでございますけれども、今おっしゃったとおり、賃貸住宅の建設からは原則撤退いたします。
 今おっしゃったような、民間の事業に、より積極的に支援をして、公団から継承します賃貸住宅というのは、これは建てかえ等になりますので、これはいたします。建てかえが大体年間に、少なくとも年六千戸ぐらいは建てかえております。ですから、それは公団として続いてその保障をしていきたいと思っておりますけれども、それに当たりましても、民間の賃貸住宅の供給の支援に当たりましては、民間だけでは、住宅の周り、そこまで手が届かないという民間があります。
 そういう意味で、汐留の例もちらっとごらんになればわかると思いますけれども、賃貸住宅を建てます周りに、福祉施設でありますとかそういうものを一緒に設置するように、例を挙げますと、現段階で、十四年度末現在ですけれども、三十団地で三十八施設に、子育て支援施設、いわゆる保育所、児童館等々を一緒にしています。それから、高齢者支援施設、特別養護老人ホーム、高齢者デイサービスというものも、十四年度末で、十七団地、二十五施設で行っております。
 そういうものが民間では、ゆとりのある土地がない、また、土地いっぱいにつくるということで、賃貸住宅の周りにこういう施設を設置するだけのスペースがないということでございますので、建て直しますときには、必ず私は、子育て支援施設あるいは福祉施設等々が隣接できるような、ゆとりを持った建てかえをするようにということをしております。
 また、今後民間が施設をお建てになるときに、近くに都市公団の土地があるのであれば、その土地を民間に提供して、今言ったような子育てとか福祉施設というものを一緒につくるようにということも、今後の新しい独立行政法人ではこれをしていくということで敷地も提供することになっておりますので、公営住宅や福祉施設の併設ということを今後は新たな視点で、都市づくりの新しい一つのモデルとしてやっていく、それが今回の大きな変わり目であろうと私は思っております。
石毛委員 ありがとうございました。
 今、大臣の御答弁には緑地というのは触れられていなかったと思います。自然というのは大変大事だということは、私が改めて申し上げるべきことでもありませんが、これからバックアップ型になっていくという法案の趣旨のようですけれども、やはり都市再生の中身をどのように考えていくかということは大変重要だと思います。そこに、民間だけに供給を依拠するのではなくて、公的主体が関与していくという意味があると思いますので、ぜひその点は確認をさせていただきたいと思います。
 民間賃貸住宅供給の支援ということに関しまして、次の質問でございます。
 改めて申し上げるまでもなく、日本の社会は高齢化がどんどん進展をしておりますし、それから一方、住宅と申しますのは、社宅というような分類に象徴されますように、企業福利として整備されてきたという側面がかなりウエートを持っていたと思いますけれども、そうした企業福利としての住宅施策は、どちらかといえば廃止されていくというような動向にございます。
 そうしたことをあわせ考えますと、恐らく、これから二十一世紀、かなりの割合で住宅困窮者がふえていくということが予測されるところは間違いないことだというふうに考えているわけですけれども、民間賃貸住宅の供給というのを市場に一〇〇%依存するということではなくて、必要な場合に何らかの方法で家賃支援を行うなど、そうした方策を講ずることによって、いわゆるソーシャルミックスと申しましょうか、そうした住まい方を実現していくことが必要だというふうに私は考えるところでございます。
 確かに、公団所有の土地を定期借地として提供することによって、企業が敷地を取得するよりは廉価に済むというようなことで支援はなされるんだと思いますけれども、その一般的な施策に加えまして、特定の所得の、中堅ですとか低い所得の方に家賃助成をするとか、さまざまな方策が考えられると思います。そうした支援策を講じることによりまして、先ほど大臣が御答弁くださいました、子育て世代が入れるとかあるいは高齢の方も入居できる、住み続けられる、そうした民間住宅を整備していきませんと、民間住宅に居住できる方が特定されていくことになりかねないという危惧もあるわけでございます。そこの点、支援策の経済的な助成という観点だというふうに申し上げてよろしいかと思いますけれども、そこのあたりはどのようにこれから取り組まれていくでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 これまで公団におきましては、年齢あるいは所得等が一定の要件に該当いたします低所得高齢者につきましては、その居住の安定を図るという観点から、国からの助成を受けまして、家賃改定の際、あるいは建てかえに伴う家賃上昇がございますが、それを一般の居住者よりも低く抑えるというような措置をとってきたところでございます。
 また一方、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づきます高齢者向け優良賃貸住宅という制度がございます。これも活用しまして、ストックの中からリフォームをしながら高齢者向けの低家賃の住宅を供給するということをやってまいりました。
 高齢社会の進展を踏まえまして、今後とも高齢者が安心して生活できる居住環境を実現するということが重要でございまして、新法人移行後も、引き続き低所得高齢者等に対する家賃支援等を図ってまいりたいと考えております。
 なお、お尋ねのような、民間住宅の供給支援の際、どうなのかということでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げました高齢者向け優良賃貸住宅制度というのがございます。これは民間住宅も活用できる制度になっておりますので、それを積極的に活用していくべきだと思います。公共団体からの要請などがあった場合に、それを、国の補助も活用してその中に仕組んでいくということが十分考えられるのではないかというふうに思います。
石毛委員 御答弁をいただきましたけれども、ぜひその御答弁の内容をこれから積極的に展開していただきたい、していく必要があるのではないかと私は考えます。
 質問に際しまして国土交通省から資料をいただきました、第八期住宅建設五カ年計画表、これを拝見しておりますと、確かに、今局長が御答弁くださいました高齢者向け優良賃貸住宅は、過去、第七期の計画戸数一万八千戸から十一万戸に計画戸数はふえておりますけれども、一方、二〇〇二年度に開始されております高齢者向け優良賃貸住宅を見ますと、開始されている戸数は五千四百三十三戸でございまして、そのうち四千四百二十五戸は公団ということで、公団はまあ計画どおりに、あるいは計画を少し上回って高齢者向け優良賃貸住宅の整備に努めているというふうには申し上げられるんだと思いますけれども、二〇〇二年の計画戸数二万一千戸に比べますと、開始戸数の五千四百戸というのは四分の一にしかすぎません。ですから、民間では、言ってみれば高優賃の建設は進んでいないというふうに言わざるを得ないと思います。
 それから、この第八期の方でもう一つ私が注目しておりますのは、特定優良賃貸住宅といいますのは、第七期の五カ年計画戸数が二十万五千戸、これが第八期では十四万一千戸に減少しております。ですから、仕組みとすれば、確かに、今御答弁いただきましたように、国が、高優賃の制度やあるいは特定優良賃貸住宅といいますのは、家賃の算定をする場合に、所得の水準を下から二五%ラインで一般には、例えば公営住宅の家賃算定の折などはそのラインで算定するというのを五〇%まで引き上げる、そうした制度というふうに伺っておりますから、やはり家賃助成策がとられているというわけですけれども、その特定優良賃貸住宅の建設戸数は計画戸数としてはるかに減っているという現実がございます。
 ですから、現実と、それから、今御答弁いただきました民間の住宅供給に関します支援策の制度との乖離の問題をぜひきちっと埋めていただきますように、あるいはもっと積極的に推進していただきますように私からは要請させていただきたいと思いますが、もう一度、この点に関しまして御答弁を簡単にいただけますでしょうか。
松野政府参考人 今御指摘がございました第七期と第八期の五カ年計画の比較をいたしますと、確かに特定優良賃貸住宅が計画戸数として減になっています。これは、特定優良賃貸住宅も民間の賃貸住宅を活用していくという制度でございます。
 高齢者用の高優賃も同様の考え方でございますが、その中で、やはり世の中の高齢化ということに対応して、同じ民間住宅を活用するその中のシェアを、高齢者向けを拡大していこうということで、むしろ高齢者向けの方に大幅にいわばシフトしていくような計画をつくったということから、結果的に特優賃の方が戸数が減っているということがございます。
 それから、その実績がまだまだ計画どおりいっていないではないか、これは御指摘のとおりでございます。なかなかまだ、新しくできました高齢者向けの優良賃貸住宅制度、世の中に浸透していないという部分もございます。そういった点も反省いたしまして、これからますますこれが使われるように私どもも努力してまいりたいと思っております。
石毛委員 もう一つお伺いしたいと思いますけれども、先ほど松島委員からも質問があった点と重なるわけですけれども、整備公団から継承する既存の賃貸住宅の管理、建てかえにおいて、多世代におけるコミュニティーの形成、まちづくりの観点、とりわけ家賃支援の施策など、全体を通しまして、安心して住み続けられる公共住宅としての施策遂行は今後ともきちっとなされていくという確認でよろしいでしょうか。この点、確認をさせていただきたいと思います。
松野政府参考人 今回の新しい機構法におきましても、従来公団がとってまいりました低所得高齢者等に対する家賃対策、これは引き続き同様の措置をとるということで、法的な措置もとっているところでございます。
石毛委員 先ほど大臣からは、公的主体による政策遂行であるという大変重要なポイントの御指摘をいただきました。私も、もう一度その点を改めて受けとめさせていただきたいと思います。
 それでは、法案の二十五条四項に、ただいまの公的施策ということに関連しまして家賃減免についての規定がございますが、その減免の事由と実際の世帯数、これを簡潔にお示しいただきたいと思います。
古屋参考人 機構法案の第二十五条四項に減免の規定を置いていただいておりますが、これは、現在の公団法の規定と全く同様の記述でございます。
 具体的な運用としましては、法案では、高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者で、家賃を支払うことが困難であると認められる場合、または賃貸住宅に災害その他の特別の事由が生じた場合に減免を行うことができるという旨の規定ぶりでございます。
 そして、その具体的な運用につきましては、前段の部分につきましては、高齢者、身体障害者のみならず、母子世帯、生活保護世帯や心身障害者世帯等であって、これらのうち、特に所得が低いことによって家賃負担が重いといったような方について家賃を減免する運用を現実に行っております。
 具体の例で申し上げますと、家賃改定におきまして、公営住宅階層に当たる低所得高齢者等につきまして、その家賃の上昇を抑制する特別措置、あるいは高齢者向け優良賃貸住宅におきまして家賃減額を行うというのがこの具体例でございます。
 それから、後段の部分の災害その他特別な事由が生じた場合の家賃減免でございますが、これは、例えばさきの阪神・淡路大震災のときのように、災害によって住宅の機能が著しく滅失する、あるいは補修の間、その機能が回復するまでの間、十分な効用を発揮しないということで家賃を減額あるいは免除するといったような場合が想定されるわけでございます。
 適用の件数の実績でございますが、例えば家賃改定に伴う低所得高齢者等に対する家賃抑制措置につきましては、平成十五年四月の今回の改定を例にとりますと、約六万世帯がその対象となっております。また、高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、平成十五年三月末におきまして八千世帯がこの減額の対象となっております。また、阪神・淡路大震災等、被災者向け賃貸住宅につきましては、平成十三年度現在で約七千世帯がこの減免の対象として運用されているところでございます。
石毛委員 続きまして、家賃未払いによる退去世帯数がどのぐらいに上るかということをお示しください。
古屋参考人 公団賃貸住宅におきまして家賃の滞納が生ずる原因、いろいろあろうかと思いますが、そういう滞納が生じました場合には、まず、居住者の方々と私どもの職員がいろいろな交渉を継続しながら事務を進めておりまして、余り機械的な処理にならないように、個別の事情をよく勘案しながら御相談に乗る、あるいは手続を進めるということをやっております。
 しかしながら、督促や解約、契約解除の予告を行ってもなお滞納が続くといったような場合には、やむを得ず訴訟を提起いたしまして、その判決を受けて明け渡し請求をするといったような事例も少なからずございます。
 ただ、強制執行の申し立てを行った後でも、今申し上げましたように、例えば居住者の方との交渉次第で支払いの約束が得られる、あるいは一定の誠意が見られるといったような場合には、強制執行の取り下げをする、あるいは延期をするといったようなこともございますし、それから、高齢者であるとか病人であるとか、特別の事由のある方につきましては、その生活事情を勘案して、私ども職員も一緒に公営住宅の窓口へ行ってパンフレットをもらってきたり、御相談をかわってやったりといったようなきめ細かい対応をさせていただいております。
 しかし、こういったことをやってもなお、やむを得ず強制執行に至りました件数がございまして、平成十三年度におきましては、強制執行を断行した件数につきましては二千九百九十二件ということになっております。
石毛委員 今、平成十三年度につきまして二千九百九十二件というふうに御指摘いただきましたけれども、公営住宅への引き継ぎなどを含めまして、この三千件内外という件数は、ふえているんでしょうか、あるいは横ばいなのでしょうか、減っているのでしょうか、そこも教えてください。
古屋参考人 まず、強制執行の背景となります滞納件数あるいは滞納金額につきましては、ここ数年、微減の傾向でございます。
 ただ、強制執行の件数につきましては、例えば平成十三年度、先ほど申し上げましたように二千九百九十二件でございますが、平成十二年度につきましては二千九百十五件、やや微増でございます。平成十一年度末につきましては二千五百四十二件といったような状況でございます。
石毛委員 強制退去に至るまでには幾つかのステップがあるように今伺いました。そこは非常に対応としては大切なポイントかと思いますけれども、そうした過程を経ましても強制退去件数がふえているということは、家賃滞納が理由でございますので、やはり公団に住む要件が厳しくなっているということのあらわれだというふうに私は受けとめますので、ぜひともそこのあたり、家賃政策との勘案で、これからどのように受けとめるかということを考慮していただきたいというふうに考えるところでございます。
 日本の公共住宅政策は、それぞれ、公営住宅、高齢者優良賃貸住宅、あるいは、先ほど来触れられております公団の特別措置としての低所得高齢住宅、こうした住宅は政策家賃が採用されているわけでございますけれども、その家賃設定の考え方について簡単にお示しいただきたいと思います。
松野政府参考人 お尋ねの公営住宅あるいは高齢者向け優良賃貸住宅でございますが、公営住宅の家賃は、入居者の収入及び立地条件、それからその住宅の規模等の、住宅から受ける便益に応じて決定されるという、いわゆる応能応益の家賃でございます。
 一方、高齢者向け優良賃貸住宅の家賃は、原則として、公営住宅の入居者の収入基準に適合する者につきましては公営住宅と類似した応能応益の家賃をいただく。それから、この収入基準を超える者につきましては近傍同種の家賃をいただくという考え方でございます。
 公団の住宅につきましては市場家賃ということで、その中で、高齢者、低所得高齢者等については減免措置を講じている、こういう考え方でございます。
石毛委員 私も、いただきました資料などを並べながら拝見しているわけですけれども、必ずしも、公団とそれから公営の場合には政策の実施主体が異なりますから、同一であるべきかどうかというのは、議論の余地は多少はあろうかと思います。
 まず、公営住宅の家賃とそれから高優賃の家賃、これもさまざまな補正の仕方がありますので、私が手持ちのデータで、これが普遍的であるというふうに言い切るつもりはありませんけれども、公になっているデータですので、これで判断してもよろしいかと思いまして、申し上げたいと思います。
 確かに公営住宅の家賃は応能応益ですし、高優賃の家賃も応能応益なんです。おっしゃるとおりなんですね。それから、入居者の世帯収入のカウントの仕方も、収入等が記されておりますけれども、各種控除を行って算出した額というふうになっていますので、課税対象所得というふうに大ぐくりには言えると思いますし、それから、その収入の刻みも同じでございますけれども、家賃の額がかなり違うわけです。
 それで、例えば月収が十二万三千円以下の場合に、公営住宅の家賃算定基礎額は三万七千百円ということです。これに補正がされてまいりまして、市町村立地係数というのがありまして、ここの部分が〇・七から一・六というふうに書かれておりますから、この一・六の方が採用されれば三万七千百円が多少高くなっていくということはあるんだろうと思いますけれども、そのほかの補正係数は、経過年数係数にしましても利便性係数にしましても、一が上限ですから、これ以上高くなることはないということです。
 ざっと繰り返しになりますけれども、十二万三千円以下の月収の方の場合、公営住宅入居ですと三万七千百円。高優賃ですと、これは計算の仕方をどこをとるかによって多少違ってまいりますけれども、都市公団から出されておりますこの資料では、入居者負担額、月額が五万八百円から五万五千四百円の幅でございます。この幅は、多分立地しているところによって違うということなんだろうと思いますけれども、この高い方の五万五千四百円と三万七千百円をとりますと一万八千円ほどの差があるということになって、応能応益といいながら、実際の家賃額はかなり違っているというのが政策家賃としての現実だというふうに私は理解をいたします。
 この「公営住宅の家賃算定について」といういただいた資料ですと、説明文書の中に、家賃算定基礎額は入居者世帯の各収入区分の平均的粗収入の一五%から一八%となるように設定ということで、この一五%―一八%というのが、政策としての基準といいましょうか、そういうふうに位置づけられているわけですね。
 同じように高優賃の方の負担割合を考えてみますと、これは所得に関しまして計算しますと、四五%ぐらいになります。ですから、所得は課税対象所得ですから、粗収入、倍だとしまして、それを半分にしますと二二%から二五%ぐらいの水準になっていって、同じ応能応益といいましても、収入に占める家賃の負担割合の考え方が現実としては違っているということなんです。
 その違っているという考え方、一つは、高優賃は、例えばバリアフリーにしてあるとか、機能的な多少の違いはあろうかと思いますから、応益的な側面があるということは理解いたしますけれども、それにしても、応能という観点でまずは考えますと、この負担割合の考え方が違う、あるいは私に言わせれば、ちょっと違い過ぎるのではないか、そういう受けとめ方をしているわけですけれども、その辺はきちっとした論拠をお持ちでこういう決定の仕方をしているんでしょうか。
松野政府参考人 御指摘のとおり、応能応益家賃でございますが、ベースになる基準家賃の算定に当たりまして、収入に対する家賃支払いの支払い率といいますか、その考え方が違っております。
 公営住宅の場合は、お話しになりましたとおり、一五%から一八%程度となるようにということで、その収入分位、かなり小刻みでございますが、それに対応して、一番低いところが一五%、一番高いところが一八%程度になるというふうに決めてございます。
 高齢者向けの優良賃貸住宅、いわゆる高優賃につきましては、これを一九%というふうに決めてございます。これはなぜそういう考え方をとったかということでございますが、高優賃は、高齢者お一人、あるいは御夫婦二人ということを前提に考えております。
 公営住宅は、前提として家族で入居されるケースが非常に多い。それから、若い世帯主の方等を考えますと、子供の教育費でありますとか、もろもろの諸経費が家族ではかなりかかるだろうということで、むしろこのことを考慮して、公営住宅はその支払いの比率を下げて算定するという考え方をとったということでございまして、そういう考え方の違いからそのベースが違っております。
 そのほかに、先ほど委員が御指摘になった立地でありますとか規模でありますとか、そういった応益に応じて各住宅の支払い家賃が異なるというような体系になっているわけでございます。
石毛委員 今の御説明で、公営住宅と高齢者優良賃貸住宅の家賃の設定の考え方につきましては、ある意味、共通ルールに基づいて、多少要件を勘案しながら設定しているということは理解をいたしました。
 それでは、公団の低所得高齢住宅に関して特別措置がとられているわけですけれども、説明資料を見ていきますと、中間水準家賃というふうに記載されてございます。この中間水準家賃は近傍同種家賃と改定前家賃の二分の一のところに設定というふうにこの説明資料にはございますけれども、二分の一というところはこれで理解をいたしますけれども、それ以上に、ただいまの公営住宅家賃の設定の仕方等々と比較をしまして、中間水準家賃という考え方にはどのような理論的な論拠があるかということをお示しいただきたいと思います。
古屋参考人 家賃改定時に、低所得高齢者等の方々につきましては、特別措置を講じましてその上昇の抑制を図っておるわけでございますが、その一つのメルクマールとして、いわゆる、先生御指摘のように、近傍同種家賃とそれから公営並みに評価したときの家賃の中間水準まで減額するということを基本的に配慮の内容としておるわけでございます。
 それで、中間水準の考え方でございますが、上限は近傍同種家賃でございます。それから下限につきましては、その住宅につきまして二五%分位の方がお入りになるという前提で公営住宅同様の家賃負担、応能部分を算出いたしまして、あと、立地だとか住宅の品質の差だとかということについて補正をいたしまして、ほぼ公営並みの家賃水準を算出いたします。それを両者を合算して二で割る、いわばそれが中間水準家賃でございまして、こういった方々の減額をする場合の一つの基準になっているわけでございます。
石毛委員 先ほど、私の質問で改定前家賃と申し上げましたが、そこはちょっと私が誤解をしていたところで、今御答弁いただきましたように、公営並み家賃と近傍家賃の二分の一で中間水準というのは、私も訂正させていただきます。
 公営並み家賃は、所得分位でいえば下限二五%というラインがあるわけですけれども、今御答弁いただきましたように、それと近傍同種家賃の中間に線を引く、それがほぼ公営並みというふうにおっしゃられましたけれども、ほぼ公営並み家賃といいますのは立証されるのでしょうか。
古屋参考人 いわば中間水準家賃を算出する際の公営並み家賃の部分でございますが、公営住宅と違いますところは、公営住宅の方は、先ほど住宅局長から御説明ありましたように、公営住宅階層の収入をかなりきめ細かく区分いたしまして、その区分に応じた負担率というものを設定いたしまして基礎的な負担額を算出し、それを住宅の物理的な状態等によって応益部分を乗じるという考え方でございます。
 私どもの、中間水準を算出する際の公営並み家賃と申しておりますのは、その収入階層をきめ細かく分割しておりませんで、二五%の所得階層分位に相当する方の負担、公営並みの負担をお願いするということで補正を加えているということでございます。
石毛委員 重要なポイントは、公営住宅あるいは高優賃の場合には、所得階層を二五%ラインで抑えて、その下を区分しているところ。ところが、公団の方は、低所得の高齢者の家賃施策は抑制政策としてはしているけれども、一つはその区分を行っていないということと、それから、二五%ラインで家賃設定というふうにいいましても、その家賃の額は、実際には公営住宅の家賃負担の水準と公団の家賃負担の水準は、立地条件とかいろいろあるかもしれませんけれども、同じとは限らないということで、公営住宅にお入りになっている方と公団住宅にお入りになっている方の実質的な所得は同じでも、負担は公団の方が高いというふうに考え方の問題としてなるんだと思いますし、実態としてもそういう実態だというふうに思います。そういう理解をせざるを得ないと思いますが、それでよろしいですね。
古屋参考人 仕組みは先ほど申し上げたとおりでございまして、私どもの家賃改定の際に、低所得高齢者に適用する家賃は中間水準を上限とした家賃でございますので、公営並みよりは一般的に高いということになりますが、これは仕組みの問題でございます。実際には、こういう制度を導入する前に原価家賃制度がかなり長い間ございまして、公団発足以来、昭和五十三年まで実は家賃改定をしてこなかったというようなことがあって、かなり低位に抑えられてきた、そういう運用がされてきた実態がございます。
 そこで、ちなみに御参考までに申し上げますと、低所得高齢者の特別措置を受けている世帯の方々の現実にお支払いいただいている家賃の平均は四万三千五百円でございます。例えば、七十歳以上で年金収入で暮らしておられる二人世帯、この二五%階層の年収が五百四十万円でございまして、この年収に対する家賃の負担率というのは九・七%という水準になるわけでございます。
 この九・七%の評価になりますけれども、一般に、平成七年六月の住宅宅地審議会答申によりますと、家賃の負担率というのはおおむね二〇%というものが一つの目安として置かれておりますので、決して高い水準にはないというふうに認識をしております。
石毛委員 平均でおっしゃられまして、御説明はそうかと思いますけれども、所得二十万円で、課税所得二十四万円で年収五百四十万円というのは少し高いという感じがいたします。
 それから、東京の多摩公団住宅自治会協議会でなされた調査結果を拝見しますと、これは一〇〇%高齢者というわけではありませんけれども、世帯収入年額四百六十九万円未満が五九%ということで、約六割が、ただいま御指摘いただきました五百四十万よりははるかに低い。それから、世帯主年齢ですと、六十五歳以上の方で三七・五%、六十歳以上の方といたしますと五三・一%ということで、収入でいえば六割、年齢でいえば五割強の方がいわゆる課税所得二十万円以下の階層にいらっしゃる。
 その事実と、それから、今の御指摘の中で、公団の住宅政策というのは、スタートのときから中堅所得の階層にということで応能負担制度はとっていないわけですけれども、ここで応能負担制度を私はぜひ検討していただきたい、考えていただきたい。
 これからますます高齢者の方がふえていらっしゃるという状況の中で、年金は上がっていかない、それから医療費の負担はふえていく、介護に関する公的な費用負担もふえていく。さまざまに高齢者の方の生活構造は負担増という状況の中で、家賃を負担していくということはますます厳しい状況に入っていくと思いますので、ぜひ、公営住宅と、それから公営住宅同等の公団住宅にお住まいの方に関しまして、公共住宅として家賃の負担の仕組みを一元化していく、そういう方向性をお考えいただきたいというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
古屋参考人 公団の賃貸住宅の家賃の考え方につきまして御説明させていただきたいと思いますが、公団賃貸住宅は、中堅ファミリー層を中心に広く国民の需要に応じるということで、住宅の立地便益に応じた適正な家賃をちょうだいするということを基本としております。具体的には、近傍同種あるいは市場家賃といったようなものを基準に設定するということが法律上うたわれておるわけでございます。
 これは、市場と調和した家賃設定をすることによって、賃貸住宅に極端な空き家が生じたり、あるいは入居に過度な競争を伴うといったようなことを防止できますし、それから、賃貸住宅居住者間の、民間にお住まいの方もいらっしゃいますが、そういったことの公平も図られるという考え方にのっとってやっておるわけでございます。
 ただ、その際に、そういう受益に応じた負担をちょうだいするということではございますが、現実に、今委員御指摘のとおり、高齢者で所得の低い方々もいらっしゃるわけでございますから、いろいろな家賃改定等の際にはそういった方々の居住の安定にも留意をしながら、そういった方々については家賃の上昇を抑制するといったような配慮をさせていただいておるわけでございます。
 それで、こういった配慮を広く一般に、公団住宅全体に広げたらどうかというような御指摘かと思いますけれども、これは、冒頭申し上げましたような公団賃貸住宅の役割や公営住宅との役割分担の関係や、あるいは家賃の性格といったものを大幅に変えることになりますし、一般居住者との公平の見地からも必ずしも適当と思われませんので、低所得者については、公営住宅との適切な役割分担の中で対処すべき問題ではないかというふうに考えております。
 具体的に、私どもも、公営住宅事業者と、全国の四ブロックにつきまして、公営住宅・公団住宅入居あっせん協議会といったものを国土交通省の御指導によりまして設置いたしまして、お互いの情報交換、あっせん等を行っておりますし、また、公団住宅の建てかえ等につきましては、公営住宅の立地をお願いするといったようなこともやっております。
 それから、できるだけ公共住宅間で募集情報を一元的に集約いたしまして、ある一つのところへインターネットでアクセスすれば、公営の住宅募集情報であっても公団の募集情報であっても知ることができるといったような、インターネットによる公共賃貸住宅インフォメーションというシステムを平成十三年度から運用いたしまして、相互の連携が図られるように努めているところでございます。
石毛委員 今の御答弁の中で、二つほど私は問題を感じました。
 一般住宅との公平の観点からというふうに言われましたけれども、もちろん近傍同種家賃をどのように評価するかということはありますけれども、それを前提とするならば、近傍同種家賃政策をとっているということ自体が一般住宅との公平性というふうには言えるのかと思います。その中で所得に応じて応能負担制度をとるべきだというのは、公平性の観点に反しているものとは言えないというふうに私は考えます。
 それからもう一点は、確かに公営住宅、高優賃、応能応益負担の仕組みはございますけれども、公営住宅の建設戸数は、この間、具体的な整備戸数を申し上げませんけれども、漸減をしております、減っております。それから高優賃も、先ほど指摘をされましたように、二万一千戸に対して約五千戸しか供給されていませんから、あっせん施策をおとりになっているということは理解いたしますけれども、あっせんの実がどれだけ上がっているかということとは別問題でございます。
 ですから、公団住宅でいかに低所得高齢者の方に家賃上昇の抑制政策がとられているとはいいながら、大変家賃負担に困難を抱えていらっしゃる方が現におられるでしょうし、それから、先ほど私は、家賃滞納のために退去する方がどれぐらいいらっしゃいますかということを確認させていただきましたけれども、これは漸増しているという傾向が明らかに出ているということですから、ここで私は、公共住宅としての家賃政策のミックスといいますか、一元化の方向をぜひとも検討すべきだというふうに考えるものでございますけれども、この点、大臣、一言最後にお考えをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
松野政府参考人 家賃の一元化というお話でございましたが、先ほど理事から御答弁もございましたように、それぞれ、公営住宅、公団住宅、政策目的が異なるものでございます。その中で、公団住宅に居住する方で低所得高齢者となられた方に対する減免措置を講じているということでございますが、それは公団住宅の中で努力してやっているということでございまして、やはり公営住宅と全く同じというわけにはいかない。
 もしそういう措置がどうしても必要だという場合には、理事から御説明がありましたとおり、地方公共団体との連携を密にして公営住宅の方に入居していただくとか、そういったことによる措置によって対応すべきものというふうに基本的には考えております。
石毛委員 ですから、高優賃住宅、公営住宅がふえない、そのふえないということと、それから、制度の考え方の矛盾をどう解決していくか、そこのところが焦点であるということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 川内博史君。
川内委員 おはようございます。民主党の川内でございます。
 きょうは、扇大臣を初め関係者の皆様方に、独立行政法人都市再生機構法案、小泉政権が最も力を入れていらっしゃる特殊法人の改革に関する法案でございますけれども、本題に入ります前に、どうしてもちょっとお尋ねをさせていただきたいことが何点かあるものですから、まず、そちらの方からお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、教育関係のことでどうしても文部科学省さんに御見解を承りたいことがあるものですから、きょうは局長さんに来ていただいていると思いますので、御答弁をお願いしたいんです。
 五月三日の朝日新聞の朝刊に一面トップで大きく出ておりましたが、「小学六年生の通知表の社会科の評価項目に「国」や「日本」を愛する心情を盛り込んでいる公立小学校が、全国で少なくとも十一府県二十八市町の百七十二校にのぼる」という記事が出ておりました。
 私も、中学一年生、小学校四年生、二人子供がおりまして、公立小学校に通わせておりますが、この記事を見て、とても気になりましたし、心配になりました。
 学習指導要領の目標として「国を愛する心情を育てるようにする。」というのは、納得というか理解はいたしますが、愛国心というようなものを通知表で段階的に評価するということに関しては、行き過ぎではないかという感じがしてならない。
 私も愛国者でありますがゆえに愛国心を評価されたくはないと思うわけでありますが、扇大臣も同様に愛国者でいらっしゃると思うし、御自分の愛国心を他人から評価されたくはないと思っていらっしゃると思うんですね。
 そこで、文部科学省に、別に大臣はきょうは演説しなくていいですから、この記事を読んだ全国の多くの親御さんが抱いたと思われる気持ちについてどういうふうに御見解をおっしゃられるのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
金森政府参考人 お答えを申し上げます。
 新しい学習指導要領におきましては、小学校社会科第六学年の学年目標の一つといたしまして、「先人の業績や優れた文化遺産について興味・関心と理解を深めるようにするとともに、我が国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を育てるようにする。」ことを掲げ、その実現を目指して、人物の働きや代表的な文化遺産を中心に、我が国の歴史についての指導を行うことといたしております。
 各学校におきましては、このような新しい学習指導要領の趣旨を踏まえ、実際の指導や評価方法について、それぞれの特色を生かして具体化し、実践していただいているところでございます。
 御指摘の通知表は、必ずしも法令上作成を義務づけられているものではございませんが、子供の学習状況やその成果、行動、健康などの状況を定期的に連絡することにより、学校と家庭が協力して子供の教育に当たろうという趣旨で、各学校の判断により作成されているものでございます。
 したがいまして、通知表の様式やその評価方法は各学校においてそれぞれ適切に御判断いただくべき事柄であると考えておりますが、その際、各学校におきましては、どのような考え方に立って具体的な指導や評価を工夫しているかというようなことにつきまして、日常的に子供や保護者に十分説明し、理解を得ることが大切であると考えているところでございます。
川内委員 今、委員会と関係のない発言をするなとしかられていましたので、何をおっしゃっているのか聞けなかったんですけれども、とにかく問題はないというふうなことを恐らくおっしゃっていらっしゃったのではないかと推察をいたしますが、私自身は、通知表に愛国心を評価するようなことを盛り込むということに関しては断固として抗議をしたいというふうに思っておりますし、国を愛する心を評価するのであれば、国を批判することに関しても評価の項目を設けなきゃいけないだろう、それがバランスだというふうに思いますので、そのことをまず指摘しておきたいというふうに思います。
 それでは、大臣はどう思われますか、この件に関して。
扇国務大臣 大変貴重な国会の時間でございますし、国土交通委員会で御論議いただいている法案を提出させていただいている提出者の一人としては、できれば、法案を提出しておりますので、法案の御審議、それでも時間が足りないと仰せになるんですから、私は法案の中身について濃厚な質問をしていただきたいと思っております。
川内委員 議員の発言というのは自由なはずですし、国土交通大臣とはいえ、国務大臣として国政全般にわたって大臣は責任を負っていらっしゃるわけですから、私がお聞きしたことに対して、法案の中身について議論をしろというのは全く見当違いな発言ですから、私が聞いたことに答えていただけますか。――(扇国務大臣「委員長。委員長は開催時にちゃんと議題を提案しているんです。きょうはこれについてと委員長の発言があるんですよ」と呼ぶ)
 今の話はやめろということでございますので、やめさせていただいて、次に移らせていただきたいと思います。
 これは独立行政法人都市再生機構法案に直接は関係をしないわけでありますが、次の質問も。都市整備公団がいろいろな形で公共事業に準じた発注の仕方をされるわけでありますけれども、その公共事業の発注の仕方というか中身について若干お伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 公共事業で、事業者の選定に当たって、ISO、マネジメントシステムですね、ISOの認証取得を条件とするというようなケースが、私の地元であります奄美大島の名瀬港防波堤ケーソン製作工事等で、試行的な形で全国的にも出ているわけでありますが、このISOというマネジメントシステムは単なるマネジメントシステムの一つであって、ほかにもマネジメントシステムはたくさんあるわけであります。マネジメントシステムを使ってクオリティーの高いものをつくる、クオリティーの高い仕事をするということが大事なことであろうというふうに思うわけでありますが、ともすると、ISOを取得することのみが目的になってしまって、本来のマネジメントシステムの意義が若干薄くなってしまっているのではないかというふうに思うわけであります。
 国土交通省の発注事業の入札について、ISOを取得することが絶対の条件であるかのような誤解を招く、あるいは誤解を招いているという実態があると私は思いますが、この点についてどう是正をされていくおつもりなのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 環境省で試行を決めております、二十万から三十万程度の安い費用で認証を取得できる、ISOの中小企業版というようなものもあるわけであります。地方の中小の業者にとっては、ISOを取得すること自体が非常に経営を圧迫しているという実態もございますし、また、国土交通省の技官の方の御発言で、アイソスというISOの専門誌があるんですけれども、そこでその専門家の方が、ISOの認証を入札条件にするほど、認証を取った企業とそうでない企業と製品の品質に差があるという話は私は聞いていない、そういう話までは来ていないというようなことも現時点ではおっしゃっていらっしゃるようであります。
 このISOの試行工事というものに関しては何らかの是正措置というか、地方の中小企業の土建屋のおやじにとっては、何か、ISOは国がやっていることだ、それが公共事業をこれから受注するには条件なんだみたいな間違った思い込みが広がりつつあるのではないかという懸念を持っておりますので、その点についてどういうふうに今後されていくおつもりなのかをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
安富政府参考人 今、先生の方から、公共工事における事業者選定に当たってのISOの取得の問題について御質問がございました。
 国土交通省では、公共工事の品質の確保を図るということから、平成六年から、業界団体の参加も得まして調査委員会を設置しまして、ISO9000の公共工事への適用性について、パイロット工事の実施も含めて検討を行ってまいりました。
 具体的には、平成十二年から一部の公共工事につきまして試行的に、あくまで試行ということでございますが、ISO9000の取得を入札参加資格とした工事発注を行ってきております。
 ただ、この試行工事につきましては、発注工事の予定価格が六億六千万以上の一般競争入札であるとか、あるいは二億以上の公募型指名競争入札といった、いわゆる比較的規模の大きい公共工事を中心にして、従来国が直接、監督員が立ち会いで確認してきました材料の品質、試験あるいは工事施工状況の確認といったことを事業者の自主検査記録の確認でかえるというような形で、発注者あるいは受注者双方にとって、いわゆる品質管理を一定にしながら負担の軽減を図ることができるかどうかということで、従来実施してきたわけでございます。
 ただ、あくまでこれは試行でございますので、今後これを入札参加資格とすることについては今後の取り扱いでございますが、この試行結果を踏まえて検討すべきだと考えておりますけれども、その際、ISO9000の取得のみにより公共工事の施工能力が判断されるということではない、それからさらには、すべての工事でISO9000の取得を入札参加者に要求するということではないということを前提にしながら、今後どういう取り扱いにしていくかを検討していきたいと思っております。
 それから、先生がおっしゃいました環境省の、これはISO14000の件だと思いますが、試行を決めております中小企業版の制度ということでございますけれども、これにつきましても、国土交通省の発注工事のISO9000の取り扱いについて、いわゆる中小企業者の意見というか、そういうことについても十分配慮しながら今後検討を進めていきたいというふうに考えております。
川内委員 ISOの9000であろうが12000であろうが14000であろうが、マネジメントシステムであるということに関しては、何をマネジメントするのかということに関して若干の違いがあるんでしょうけれども、仕事の進め方とか、あるいはプラン・ドゥー・チェックの方法についてはそれほど差異はないわけであります。
 そういう意味で、今御答弁をいただいたわけですけれども、今の御答弁というのは私は理解できるんですけれども、ISOというのはもともと海外で、外国から日本に持ち込まれたものであって、別に公的なものではないわけでありまして、あくまでも民間がやっていることで、それを国土交通省が公共事業の指名の条件にするということに関しては、私はもうちょっと慎重であられた方がいい。
 例えば、COP3に基づいた京都議定書の環境関係のマネジメントシステムとしては、KESという、京都市とか京都の企業が中心になってマネジメントシステムを開発して、これが非常に安い費用で、ほとんどISOとクオリティーの変わらないマネジメントシステムに育ってきているわけです。こういう、中小企業の事業者にとっては安い費用で認証を取得できるマネジメントシステムもあるわけでありまして、ISOだけが何かマネジメントシステムとして金科玉条のように言われているということに関しては、これはちょっと是正をしていかなければならない。
 例えば試行の条件としても、ISOなどマネジメントシステムを取得している企業とか事業者とか、マネジメントシステムをたくさん研究していただいて、クオリティーの高いものについては、費用が高いとか安いとかいろいろなことはあるわけですけれども、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。
 特に、経営審査事項の点数にISOが点数化されるというようなことも話題になっておりますので、何か、ISOを取った企業だけが点数が高くなるというのではなくて、やはり地方の中小の業者にとってはISOを取得するというのは物すごい負担になることですから、安い費用でクオリティーの高いマネジメントシステムもあるということを、例えばKESなどというのがあるということを、きょうはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
 それから、もう一点御答弁をいただきたいんです。
 先ほど私が申し上げた名瀬港の防波堤のケーソン工事でISOが指名の条件になっていたわけですけれども、私が地元の港湾関係の社長にちょっと電話をして聞きましたら、自分たちでも、地元の業者でもこういう港湾の仕事はできるんだけれども、結局、いろいろな条件がついていて、東京のでっかいゼネコンに仕事を持っていかれて我々にはなかなか回ってこないというような実情をお話しいただいたんです。
 私が港湾局の方に、この名瀬港の工事というのは難しい工事なんですかと聞いたら、技術的に大変難しい工事でございますというふうにおっしゃっていらっしゃったので、東京の業者じゃないとできないのかなとも思ったんですが、でも、地元の社長に聞くと、いや、自分たちでも十分できるし、船を持っている業者だっていっぱいあるんだというようなことをおっしゃるわけであります。
 公共事業の発注に関して、地元の対策というか、地元の業者の育成ということについてどのようにお考えになられていらっしゃるかということを次にお聞かせいただきたいというふうに思います。
高木大臣政務官 まず、お答えする前に、先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、今回、独立行政法人都市再生機構法の法案の審議ということで、きょう傍聴の方が、自治協の皆さんを初めこれだけ多くの方が来られていますので、なるべく法案に即して御質問いただいた方が濃い審議ができると思いますので、そのことをまず申し上げたいと思います。
 その上で、今、川内委員の方から御質問がございました港湾関係の直轄事業の入札においての地元の対策、どうやって考えているか、こういう御質問でございました。
 まず、地域の経済、雇用を支える地元の中小、中堅の建設業者の振興、育成を図るということは重要な課題であるというふうに認識をしております。その上で、実際の工事の発注を行うのは地方整備局になりますけれども、ここにおいても積極的な取り組みを行っているということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、工事の発注に当たっては、中小、中堅建設業者の受注機会の確保を図るために、例えば、官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律、これは官公需法でございますけれども、その法律に基づいて、毎年度、中小企業に関する国等の契約の方針を定めて、中小企業に対する契約目標を設定して受注機会確保の取り組みを進めております。
 さらに、コストの縮減等の要請、これは行革の流れでありますけれども、それを踏まえながら、施工箇所を分割して発注する分割発注を行って受注機会の確保に努めております。
 また、上位ランク工事でも、技術的難易度の比較的低い工事への下位ランク業者の参入を認める等の技術的難易度の適正な運用を図ること。
 さらに、中小、中堅建設業者から成る経常建設共同企業体、いわゆる経常JVに対して競争参加資格審査上の点数の加算措置等を行って経常JVの活用を促して、上位ランク工事への参入機会を拡大するなどの施策を実施しております。
 今後とも、このような措置の着実な実施を図って、コスト縮減の要請、あとは市場における競争が確保される範囲内で、中小、中堅建設業者の受注機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
川内委員 さらにぜひ地元対策についてはしっかりとおやりをいただきたいというふうに思います。
 私がなぜこのようなことをお尋ねするかというと、新しい都市再生機構になったとしても、いろいろな工事を民間の業者に発注するわけでありまして、実際に大事なのは現場での仕事が最も大事なんだから、だからこういうことをお尋ねしているわけであります。ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
 次に、最近の公共事業のいろいろな職種がありますが、設計の技術者から始まって、とびとか左官とか鉄筋工とか、もうあらゆる職種の方々が公共事業に携わっていろいろな土木や建築の仕事をしていただいているわけでありますけれども、これらの人々の一日当たりの日当、人区単価というふうに言うそうですけれども、これが、ここ五、六年の間でほぼ二割引き下げられている。要するに、給料を削られているということです。
 資料をいただきましたが、現場で働いていらっしゃる皆さん方の毎日毎日の手当を二割も削るということに関して、私は、業者いじめ以外の何物でもないというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
三沢政府参考人 いわゆる労務単価についてのお尋ねかと思いますが、公共工事の設計労務単価につきましては、公共工事の予定価格の積算に使用する労務単価という性格のものでございまして、その予定価格の積算に当たりましては、予算決算及び会計令において、取引の実例価格等を考慮して適正に定めるということにされております。このため、建設労働者の賃金支払い実態というのを毎年調査いたしまして、この結果に基づきまして公共工事の設計の単価を設定しております。
 御指摘のとおり、労務単価については、このところ、賃金支払いの実態を反映いたしまして、低下傾向にあるということは御指摘のとおりでございます。平成十五年ですと前年比約三・九%減、ピーク時の平成九年に比べれば約二割の低下ということになってございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、あくまで市場の実勢がこういうことになっておる、これを反映して適正に定めるという予定価格の積算の性格から由来するというものでございます。
 ただ、このように、公共工事の設計労務単価は予定価格の積算に使用するものでございますけれども、この労務単価が、下請契約における労務単価や雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではないというのは当然のことでございまして、このことは労務単価の発表資料にも明記し、かつ、元請業者に対する指導においてもこういうことをきちっと指導しているということでございます。
川内委員 今局長から御答弁いただきましたけれども、実際の賃金を拘束するものではないとおっしゃいましたが、実際の賃金からその労務単価を算出しているということも前段の方でおっしゃられましたね。ということは、相互に関係があるということをおっしゃっていらっしゃると私は思うんです。
 私が申し上げたいことの要点は、公共事業を発注する側の、我々というかお役所あるいは都市再生機構の皆さん方の給料というのは二割も下がっていないはずだと思うんですね。だけれども、実際に仕事をしていただく方たちの労務単価については二割も引き下げるというのはいかがなものか。大変に景気が悪い中であればこそ、人件費に係る部分というのは必要なコストであるという考え方のもとに、ある程度目配りをしなければ、公共事業の事業量全体が減っている、減っていると当然仕事が減るわけですね、仕事が減れば民間の業者さんたちは給料は下がるわけですから、給料が下がったものをもとに労務単価が算出されると、結局、次の年はまたさらに下がるというような悪循環になっていくんではないのかなということを感じたものですから、あえて申し上げさせていただいたところであります。ぜひ御考慮をいただきたいというふうに思います。
 さて、新しくできます機構については、さまざまにいろいろな指摘がされてきたわけでありますけれども、私は、基本的には、この住都公団とか住宅金融公庫というのは大変に国民の皆さんにとっては喜ばれてきたというか、いい仕事をされてきた特殊法人であるというふうに思っておりまして、行政改革の流れの中で、なぜこういうふうに変えられてしまうのかなというふうに若干の疑問を持っているわけです。特に住都公団の場合には、ダイニングキッチンとかあるいはリビングなどのように、日本の住空間というか住環境をある種リードしてきた、トレンドをつくり出してきた先進的な集団であったというふうに思うわけであります。
 それが、民間でできることは民間にやっていただきましょうと言葉で言うのは非常に美しいです。しかし、今この厳しい経済状況の中で、民間ができることは非常に限られているわけでありまして、公的部門が、都市開発や、所得の低い方々あるいは高齢者の皆さん方のために、しっかりとした住空間を安い家賃で提供していく。
 私は、近傍の同種の住宅とほぼ同じになるように家賃を設定しますというのも何かちょっと、公的なところがやるんだから安くやれよというふうに思うわけでありまして、ちょっと疑問を持ったりするんですけれども、まず、今現在、公団の賃貸住宅に居住している高齢者の方々の割合、どの程度おられるのかということについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
古屋参考人 私どもの賃貸住宅にお住まいになっておられる方々の居住実態につきましては、五年ごとに定期的に公団が調査をいたしておりますけれども、直近のものでは平成十二年の数字がございます。
 これで申し上げますと、公団賃貸住宅に居住する高齢者、どこからいうかというあれはありますけれども、一応一つの考え方として、世帯主が六十五歳以上の高齢者世帯というものを十二年度の調査で見てみますと、世帯数の割合は二一・三%でございます。また、世帯数ではなくて、およそ居住者のうち六十五歳以上の高齢者一人一人の人数の割合でございますが、これは約一三・八%ということになってございます。
川内委員 二人世帯が二割をちょっと超えていて、一人世帯が一四%ぐらいということですか。
古屋参考人 委員からは公団賃貸住宅に居住している高齢者の割合をお尋ねになられましたので、世帯の人数の大きさではなくて、世帯主が六十五歳以上の世帯につきましては二一・三%、それから、およそ居住者、約二百万人いらっしゃいますけれども、そういった居住者の一人一人の年齢で区分をいたしまして、六十五歳以上の高齢者の割合は一三・八%と申し上げさせていただいたところでございます。
川内委員 公団が今賃貸していらっしゃる住宅の戸数から考えれば相当な方々がいらっしゃるというふうに理解をするんですけれども、割合じゃなくて、数字で言うとどうなるんですか。
古屋参考人 先ほど申し上げました調査はいわばサンプル調査でございまして、絶対数を必ずしも把握しておるわけではございませんが、現在、公団賃貸住宅、七十六万戸でございますので、七十六万世帯のうち二一%が高齢者世帯だとすれば、約十五万世帯程度でございましょうか。
 それから、二百万人が仮に居住しているということを考えれば、高齢者の割合一三・八%ということでありますと、約三十万人弱が高齢者の方々であると推測されます。
川内委員 お住まいになっていらっしゃる高齢者の皆様方に対する福祉のサービスというか、今公団が運営していらっしゃる団地の中で、老人デイサービスセンターとかショートステイセンターとか老健あるいは介護支援センター等の福祉施設を持っている団地というのはどのくらいになるんでしょうか。
古屋参考人 こういったお年寄りの方々に対する支援サービスは公団みずからやるということではございませんで、そういう場を私どもが提供させていただいて、社会福祉法人なり、民間あるいは医療法人なりに提供していただいているわけでございます。
 そこで、実績でございますが、公団賃貸住宅におきまして、老人デイサービスセンターあるいはショートステイセンター、老人保健施設、老人介護支援センター等の高齢者支援施設、これは平成元年以降で見てまいりますと、約四十団地で四十五施設が併設されておりまして、定員ベースで約二千名の方々が利用されておるという状況でございます。
 それから、そのほかの施設として、訪問介護サービスや介護相談窓口が三十九団地、四十七施設ございまして、これは、団地のみならず周辺の住民の方々にも御利用いただいているというふうに認識しております。
川内委員 公団がやっていらっしゃる千七百五十五団地のうち、これらの高齢者向けの福祉施設がある、利用していただいている団地が四十団地しかないということであるわけであります。
 私はここで先ほどの数字を思い起こしますと、千七百五十五団地の約七十六万戸のうち十五万戸が高齢者世帯である、そしてまた、人数的には二百万人のうち三十万人強、高齢者の皆様方がお住まいでいらっしゃるというこの公団の施設において、福祉施設が余りにも少ないということに若干愕然とするわけであります。
 先ほどいみじくも理事が、私たちがやっているわけじゃありません、民間の方なり社会福祉法人の方々がやっていらっしゃいますというふうにおっしゃっていらっしゃいました。民間ができることは民間にやってもらうというふうに一生懸命皆さんおっしゃるんですけれども、しかし、一番必要であると思われるこういう施設を導入できていないということに関しては大いに反省をしていただかなければならないし、民間ができることは民間にやらせると言いながら、実は全くそう思っていないんじゃないか。だから、一番必要であろうと思われるこういうことに手薄になるんじゃないかということを思ってしまうんですが、どうですか。
古屋参考人 高齢化社会の進展、大変著しいものがございまして、十分に私どもの施策が追いついているかと言われれば、まだまだ充実を図らなければならない点が多々あることは御指摘のとおりでございます。
 何せ取り組みが比較的近年に始まったものでございますので隔靴掻痒の感がございますけれども、委員御指摘のような線に沿って、例えば、私どもの団地を建てかえるといったようなときには、こういった高齢者支援施設だけではなくて、保育所だとか幼稚園だとか少子化対応施設も必要でしょうし、公営住宅も必要かと思われますので、そういったいろいろな施設を呼び込む、そして複合的なまちづくりができるように一層努力をしてまいりたいと考えております。
川内委員 ぜひ、最も必要であろうと思われる分野ですので、こういうことをきちっとやってこそ、民間ができることは民間にやっていただきますということを胸を張って言えるようになるんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 さて次に、公団の、あるいは機構に変わるわけですけれども、資金運用についてであります。
 これは特殊法人全体について言えることですけれども、過去の財投の大変に高い金利のものをいまだに借りていらっしゃるわけであります。独立行政法人になって会計、経理も民間の企業並みにしていこう、民間企業と同等にやっていこうということであるわけでありますから、過去の高い金利のものについては財投はもう返してしまって、なるべく資金コストを圧縮するというのが考え方としては当然のことじゃないかというふうに私は思っているんですが、そのことを国土交通省さん並びに公団の方に申し上げたらば、いやいや、財投を繰り上げ返済すると言うと、財務省の方が補償金みたいなものをくっつけて返せと言われるので、なかなか返せないんですというふうにおっしゃられるんです。
 きょうは財務省からも来ていただいていますが、財務省は、過去の高い金利で貸し付けていたものを返してもらってそれをまたどう運用するかは、天下の財務省ですから、頭のいい方がそろっているわけですから、ぜひどうにかして利回りを確保するように運用していただくとして、特殊法人に貸し付けているものについては、過去の高いものは返したい、あるいは資金コストを圧縮したいというものに関しては、どうぞ返済してくださいというおおらかな姿勢があっていいんじゃないですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘の点は、公団の繰り上げ償還の話と、その返済資金をどう活用するかという二つの論点かと存じます。
 前者につきまして、一般論で申し上げますと、長期で固定金利で資金融通を受けていらっしゃる借り手が、金利が低下する局面におきまして借入金の繰り上げ償還を行いますと、これは利益になります。一方、資金の貸し手は、長期の資金調達をして資金融通を行っているわけでございますから、調達コストを賄うことができませんので、損失が発生するということになるわけでございます。したがいまして、民間の金融機関におきましても、長期固定の資金融通を行う場合には、繰り上げ償還の際に補償金を支払うというのが一般的なルールであると認識しております。
 財政融資資金につきましても全く同じでございまして、財政融資資金については、特に、できるだけ低利の資金を供給するために、財投債や預託金により調達した金利と貸付金利とを同一にしております。利ざやをとらずに長期固定の貸し付けを行いながら、収支相償という原則で運営をしておりますので、そのような損失を負担するということができない構造であることを御理解いただきたいと思います。
 したがいまして、都市基盤整備公団が繰り上げ償還を行われる場合には、繰り上げ償還によって生じます財政融資資金の損失に見合う補償金をお支払いいただくということになっているわけでございます。
 次に、繰り上げ償還に伴いまして、財政融資資金に返済されます資金をどういうふうに使うかということでございますが、中小企業やベンチャー企業に対する政策金融のための財政投融資計画に計上された貸付原資として活用するほか、経済情勢に応じまして弾力的に対応するため等の原資として活用しておりまして、効率的に運用するということについては御指摘のとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、利ざやをとらずにやっておりますので、その損失を賄うことができないということを御理解いただきたいと思います。
川内委員 もう質疑時間が終わりましたので、最後に、私、今局長さんがおっしゃられたこと、なるほど、おっしゃられることはよくわかるんですが、そうではあっても、住都公団も財務省も国土交通省もファミリーですから、住都公団がしっかり成り立っていくことは財務省の利益でもあるわけですし、借金の金利が返ってこないとちょっと損をしますとか言わずに、そこはどう運用するかは、財務省の、優秀な日本の知能が集まっていらっしゃるでしょうから、お考えをいただいておやりいただければいいんじゃないか、また、そのくらい勝負しないと経済がよくならないんじゃないかということを最後に申し上げさせていただきまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
 御迷惑をおかけしました。
河合委員長 阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 独立行政法人の都市再生機構法について、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。
 この法案について私なりに解釈をさせていただきますと、都市再生のお手伝いをするというのが趣旨になっているのかなというふうに思うんですが、民間でできることは民間でという小泉総理の構造改革の中で、特殊法人等整理合理化計画に基づき、都市基盤整備公団を廃止し、地域振興整備公団の地方都市開発部門と統合して都市再生のお手伝いについては精いっぱいさせていただく、都市再生に民間を誘導していきますよ、バックアップに徹するんですというのが第一点です。それから第二点は、むだをなくしてスリムな機構にしますよということで、第三点は、賃貸住宅の管理、建てかえ等は継続していきますから安心してくださいということだと思うんです。この第二点と第三点については後ほど詳しく質問させていただきますが、まず最初の都市再生について質問をさせていただきたいと思います。
 社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び居住環境の向上を通じて都市の再生を図るというふうに第三条「機構の目的」に掲げられているわけですが、都市再生を図るための都市機能の高度化及び居住環境の向上とは具体的にどんな姿を想定しているのか、扇大臣にお伺いいたします。
扇国務大臣 阿久津議員に私は、今マスコミで取り上げられていますから、どういうものかという例を挙げるのが一番早いことだろうと思います。
 アークヒルズそして六本木ヒルズ、それから汐留もそうですけれども、六本木ヒルズが十一ヘクタールでございます。それから汐留が三十一ヘクタールでございます。そして六本木の防衛庁跡、これが十ヘクタールです。そして表参道の同潤会、これが今候補に挙がっています。今私が挙げたところ、すべて民間が、汐留は別ですけれども、土地は国鉄のものでしたけれども、少なくとも民間の活力によって都市再生を図っているといういいお手本が、一番例を挙げれば早いのだろうと思っております。
 それで、例えば今話題になっております六本木ヒルズ、これをごらんいただいてもわかりますように、十一ヘクタールの中にあらゆるものがそろっております。そして、ここに二万人の労働者が雇用されております。そして、自分たちが住むところに、愛せる町、それから、そこで育ち、学び、働いて、憩うということが全部この十一ヘクタールの中にできている。そして、せせらぎがあり、緑があり、屋上では田植えもする。こういうことも既に民間が行っておりますので、そういうものを都市再生として、モデルケースとして、あの十一ヘクタールの六本木ヒルズの中に六百軒の居住者がいました。そういうもので、みんなが賛成をして、そして生まれ変わった町というもののお手本が今例を挙げられるようになったというのも、これもすべて民間の活力でございます。
 ですから、都市再生というものはどういうことかと、今、阿久津議員がおっしゃいましたけれども、いいモデルケースが、例を挙げれば、ああ、こういうことなのか、こういうものになるのか、住んでいるところと働くところと居住環境と、大都市の真ん中だと思えないようなせせらぎと緑と、あらゆるものがそろっている。そしてその中には、映画館もあれば劇場もあれば、ミュージアムもあるし美術館もある。文化の薫りも漂っている。そういうことがよくわかるだろうと思います。
 少なくとも私は、世界の皆さん方が、国土交通省ですから、二〇一〇年に観光客を倍増しよう、今の五百万人から一千万人誘致しようというけれども、みんなが、東京に行ったけれども、きれいだった、すごいですねというような町ではなくて、何かごみごみして、車が多くて、時間はかかるし、運賃は高いしという印象を持たれないようなことで、少しずつ新たな都市機能というものをつくっていく。
 そして、今まで、戦後に建てられたビルというのは、あらゆる、ITとかそういうものがそろっておりません、光ファイバーも入っていません。けれども、今ちょうど建てかえのときに、外国から誘致する企業でも何でも、光ファイバーを設置していないようなビルに入ってくれません。そういう意味でも、私は、あらゆる今の近代的な機能がそろったものが入って、そしてみんなが、ああ、やはりここに入ったら落ちつけるな、潤いがあるな、いやされるな、そういう居住環境というものを都市の中でいかにつくっていくかということが都市再生の大きな目標の一つでございます。
 長寿社会世界一でございますから、そういうもので環境というものをつくるということで、住まいと職業が近接しているということも大事なことでございますけれども、何よりも、今回もそうでございますけれども、午前中からお話出ておりますように、新しい都市再生ということの中には、老齢対策あるいは少子対策で、お母さん方が働いていますから、子育ての場所も預かろう、そういう施設を完備したものをつくっていくというのが都市再生の大きな一つの目標でございます。
阿久津委員 都市再生のあるべき姿については、都市再生法とかマンション建替え円滑化法などで、扇大臣とは、本会議でもこの委員会でも何度も議論をさせていただいているんですけれども、そのときはもっと、景観とか歴史と文化のあるまちづくりとか、市民参加もするようなヨーロッパのまちづくりも含めて御回答いただいていたんです。国土交通大臣を長く務めていらっしゃる間に、私は、随分、旧建設省的になったのかなという感じが否めないんです。
 私に言わせれば、アークヒルズとか六本木ヒルズが都市再生のよいお手本などというのは、価値観の違いもあるんでしょうが、とても納得できない。あんなものはまがいものにすぎないんです。あれが都市再生というのであれば、私は、必ず六本木ヒルズなんというのは飽きられると思いますよ。いずれは、十年も二十年もしない間に、田舎のと言ったらしかられてしまうかもしれないですけれども、田舎の修学旅行の見学先に終わってしまうようなものだと思うんですよ。なぜかといえば、それはまがいものだからです。田植えをしたって、本当の田植えのあのにおいとか、そういうのは出てこないと思うんですよ。
 逆に大臣、平成十四年七月十九日閣議決定されています都市再生基本方針、これには、今大臣がお答えいただいた答弁よりはもう少しましな話がいっぱい出ている。ちょっと紹介すると、フレーズだけ言えば、「文化と歴史を継承しつつ」とか「豊かで快適な」とか「世界に誇れる都市」それから「人と自然との共生」とか、そういった言葉がふんだんにちりばめられていて、少なくとも今の答弁よりはいい都市再生のあるべき姿が書いてあるんですね。
 私は、都市再生というものは、歴史、文化、景観というか美しさ、ゆとり、それから居住者の安心、安定、こういうのが相まみえて真の豊かさということを実感できて、多種多様な価値観を包括する形で調和したコミュニティーが形成されるんだ、これは、私は民間に任せるだけではできないと思うんです。民間でできることは民間でというふうに小泉流の言い方をするから余計誤解を生むのであって、やはりこれは官と民の役割分担の問題と思うんです。
 この官と民の役割分担というのは、どうしても民間に任せるだけではでき切れない、あるいは維持できない事項というものが、業務が、事業というものがたくさんあると私は考えております。これを官がいかに謙虚に、かつ確固たる意思を持ってやっていくか、補っていくかということで、もっと言えば、官民の役割分担に加えて、地方自治体の意見を十分に聞き入れて、それから、NPOというか、市民の声も居住者の声も十分に反映させながら都市再生が行われていかなければならないというふうに思っております。
 ちょっと大臣の答弁が余りに私の期待と外れたので、確認だけしたいんです。一点だけで結構です。
 先ほど、都市再生を図るための都市機能の高度化及び居住環境の向上とは具体的にどんな姿を想定しているのかと質問したんですが、都市機能の高度化とは何ですか。これ一点だけ聞きたいんです。逆に言えば、まさか高層化という意味だけではないというふうに思うんですが、これだけ確認させてください。
扇国務大臣 阿久津議員とは何度も都市再生の話をしました。きょうは大勢の皆さん方が見ていらっしゃる。一番わかりやすい例を挙げれば、目に見えない設計図を今ここで言ってもわからないから、でき上がっているもので御説明するのが私は皆さん方にも一番わかっていただけることだと思っています。私は、歴史も文化もすべてあるということを言っております。そして今までも、住みやすいもの、外国から見てもきれいなもの、そして新たなものというのはちゃんと入っております。ただ、私が時間をとっては申しわけないから、全部言い切れないかもしれませんけれども、例を挙げるのが皆さん方は一番よくわかるんです。
 ですから、都市機能で、民間ではこれ以上、老齢社会、福祉施設等々が居住的にできないというところ、たくさんございます。ですから、私は、民間の皆さん方が建てている横にもしも都市基盤整備公団が持っている土地があるのなら、そこを建て直すときには、福祉の施設も、子育ての預かるところも、託児所も全部、公団の土地をお貸ししてでもそこに施設を完備しましょうということを先ほどもお答えして、論議しているのを阿久津議員にお聞きいただいたと思いますから、そういう意味で都市機能というのをおっしゃるのであれば、東京都の例を挙げれば一番簡単です。
 昭和二十一年に都市計画をつくって、今、五五%しか達成できていません。四五%はまだ未達成です。都市計画自体がまだ達成できていないということは、都市の計画が実行されていない。皆さん方が、狭いところで、車も、あるいは消防車も入れないような道もあるということで、都市計画自体が、戦後二十一年から今日まで、何十年たってもまだ五五%しか達成していないということ自体が都市計画がおくれているということですから、そんなことを我々は、ぜひ住みやすいような環境をつくろう、それが総合的な安全対策にもなるということです。
阿久津委員 とうとう最後まで、私が一点だけ質問した都市機能の高度化、これは超高層化を指すのか、高層化を指すのかという問題についてお答えいただいていないんですが、一言だけ、そこだけお答えを。
扇国務大臣 都市計画が達成されなければ、高層化されても消防車が届きません。高くするためには、それだけの道幅がなければならないんです。それが規制緩和であり、容積率の緩和であり、まず都市計画ができなければ、高くすればいいというのは東京都は許可いたしません。
阿久津委員 ちょっと住宅局長に確認したいと思うんですが、高度化というのは、私はレベルアップという意味だと思うんですよ。高層化イコールではないと思います。もちろん高層化が含まれてもいいんですよ、部分的には。そこの確認だけ、一点だけ、住宅局長お願いします。
松野政府参考人 大臣が例としておっしゃいましたのは、本当の都心のかなりの高度利用すべき土地柄のところで、都市機能更新といいますか、そういうのは高層化という例があるということでございます。
 まあ、高度利用とか、あるいは都市機能といっても、それぞれのふさわしい土地柄がございますから、その土地柄にふさわしい利用をすることによって、よりよい居住環境を整備していくことであるというふうに考えております。
阿久津委員 ありがとうございます。
 高度化というのは高層化イコールではないというふうに理解させていただいたんですが、住宅局長の方に続けて質問をさせていただきたいと思います。
 機構の目的を定めた第三条には、「良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、」というふうにあります。これは先ほど松島みどり委員が、実は松島みどり委員は違う質問をされたと思うんですが、そのときに答えた扇大臣の答弁でほぼ納得がいくようになっているんですが、一応、念のため確認したいと思うんです。
 この「賃貸住宅の安定的な確保」というのは具体的にどういう意味か。継承し、引き続き管理される継続居住者の居住安定の確保という意味も含まれるのかどうか、住宅局長、お答えいただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 都市再生機構が都市公団から承継いたします予定になっておりますが、七十五万戸の賃貸住宅がございます。これは、大都市圏のファミリー向け賃貸住宅ということで、大変有効なストックだと考えております。四大都市圏で見ますと、全賃貸住宅ストックの七%、公的主体で見ますと、公的主体の賃貸住宅の約四割に相当するものでございます。
 したがって、これは大変貴重な社会的な資産だというふうに私どもも考えております。今後も、これらをうまく活用しまして、都心居住の推進、あるいは高齢者の方々の居住の安定確保、子育て環境の整備といったことも含めまして、居住環境整備あるいは少子高齢社会を踏まえました住宅政策の課題に対応していきたいと考えております。
 当然、委員御指摘のとおり、現に公団賃貸住宅に入居されている方々の居住の安定を確保するということも大変大事な目的でございます。そういったことから、この法律におきましても、良好、良質な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な供給確保ということで、承継する住宅を、従来どおり、いろいろなことを配慮しながら管理していくということを意味しているわけでございます。
阿久津委員 ちょっと順番を入れかえて、続けて松野局長に伺いたいと思うんですが、新しい独立行政法人がむだをなくしてスリムになるのかという観点から伺いたいというふうに思うんです。
 平成十三年八月に公表された特殊法人等の個別事業見直しの考え方において、都市計画事業を含む整備事業は、「国の利害に重大な関係を有するものに限られることを法令等に規定し、真に必要なものに事業を限定することにより事業量の縮小を図る。」と行革推進事務局案は指摘しているわけです。これに対して、私が感じるところでは、国土交通省は否定的な意見を述べているというふうに思うんですが、この理由を伺いたいと思います。
松野政府参考人 当時の提示されました考え方が、今御指摘のとおり、都市計画事業を含めます整備事業について、国の利害に重大な関係を有するものに限られる、また、地方公共団体からの要請がなければいけない、あるいは、国の認可を受けて事業をすべきではないか、こういったことが指摘を受けたわけでございます。
 国の利害に重大な関係を有するというようなかなり限定的な表現をされますと、都市基盤整備公団が実施しておりますような、広域的見地から、つまり都道府県を超えるような見地からやっております、国家的な見地からやっております例えば賃貸住宅の整備とかこういったものも、それが国の利害に重大な関係を有するのかどうかというような問われ方をしますと、これは余りにも限定されてしまうのではないか。
 それから、土地有効利用にしろ何にしろ、一々、個別の土地を買うときに、公共団体の要請があったのかどうかとか、協議をするのかどうかとか、あるいは大臣の認可を個別にとるのかどうかといったことを考えますと、やはり公団という、あるいは独立行政法人になったときもそうですが、有機的に、機動的に対処する必要もありますので、そこまでの限定があってはなかなか仕事がうまくできないということもあって国土交通省の意見を出させていただいたという経緯でございます。
阿久津委員 趣旨はわかりました。
 ただ、私の持っている資料によれば、事業量の縮小を図れということに対して、「地方公共団体ではノウハウ、人材や資金が不足していること等を踏まえ、」というようなことをおっしゃっている。これは、私の言い方はそこだけくくったわけですから一文だけの話なんですけれども、地方分権の観点ということもこれからも重視していただきたいということを一言だけ申し添えて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、機構の事業量はどうあるべきかという問題を、倉林土地・水資源局長と、続けて中臣公団理事の方にも伺いたいというふうに思っているんです。
 新機構は、新規のニュータウン整備事業等、政策的に実施の必要性が低下した事業からは撤退するわけなんですが、郊外のニュータウン開発事業、これは都市公団がやったというふうに言っていいですね、郊外のニュータウン開発事業の総括を、まず、倉林土地・水資源局長に伺いたいと思います。
倉林政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国におきましては、戦後からバブル崩壊までの間、人口、世帯数の増加と急激な都市化の進展の中で、大都市圏を中心に、インフラ整備や良質な住宅宅地の供給ペースをはるかに超えた勢いで大量の人口流入が続き、圧倒的な住宅宅地不足が発生しましたことから、都市におきますさまざまな経済活動を支える勤労者のための良質な住宅宅地の供給が、長期にわたる重要な政策課題でございました。
 このような状況のもと、都市公団は、その前身であります日本住宅公団や、昭和三十年の設立でございます、宅地開発公団、昭和五十年の設立でございますが、の設立以降、二百七十二地区のニュータウン整備を手がけました。みずから一万三千ヘクタールの宅地供給を行ったほか、地権者等によります大量の宅地供給を支援し、大都市における広域的な宅地需要に対応するとともに、ニュータウンという新しいタイプの住宅市街地の整備を通じて、国民の居住水準の改善に大きく貢献してきたものと評価しております。
 また、このような計画的に良好な住宅市街地の形成を進める大量のニュータウン整備が、既成市街地における宅地供給圧力を緩和し、乱開発を抑制する効果があったものと考えております。
 一方で、近年の人口及び世帯数の伸びの鈍化、都心部での居住機能の回復などの社会経済情勢の変化を踏まえますと、国の機関による新規のニュータウン開発の必要性は低下してきておりまして、新法人の業務としては行わないこととしたところでございます。
 さらに、既存事業につきましても、ニーズの変化に対応した事業計画の変更、定期借地供給の拡大、あるいは民間事業者との連携強化等の、考えられるあらゆる事業見直しに取り組むことが重要であるというふうに考えております。
阿久津委員 私も、功罪というか、よいところも悪いところもあったというふうに思います。
 続けて伺いたいんですが、鉄道事業を含め巨額の投資を行った千葉ニュータウン開発について、現在時での採算性と今後の見通しについて公団の理事の方に伺いたいと思います。簡潔で結構でございます。
中臣参考人 御指摘の千葉ニュータウンでございますが、北総地域の中核都市を形成することを目指しまして、千葉北部地区新住宅市街地開発事業として、千葉県が昭和四十四年に事業着手しまして、公団は昭和五十三年に共同施行者として事業参画したものであります。その後、昭和五十九年の公団鉄道開業等を経まして、十三年度末時点で五二%の宅地処分がなされ、現在、約八万人が居住する、良好な市街地が形成されているところでございます。
 しかしながら、地価下落の影響等バブル崩壊後の宅地需要の低迷によりまして宅地供給量が減少し、採算性は厳しい状況であると認識しております。
 このため、平成十三年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、採算性の向上に向けた事業内容の見直しに取り組んでいるところであります。見直しの骨子は、ニーズに対応した土地利用計画の変更、事業費の削減、事業期間短縮等でありまして、特に土地利用見直しについては、集合住宅用地を戸建て住宅用地、特定業務施設用地を商業施設等その他公益施設用地に計画変更する予定であります。
 また、宅地処分の促進を図るため、定期借地による供給を平成十二年度から実施しておりまして、十三年度には、これによりまして大型商業施設の誘致を図ったところであります。
 今後でございますが、成田新高速鉄道や北千葉道路の整備によりまして成田アクセスが飛躍的に向上するため、これらを生かした処分の促進に努め、また、民間事業者との連携を図り、郊外での新しい暮らしの提案を行うなどによりまして、新たなニーズに対応した良好な宅地の供給を行っていく所存であります。つきましては、新法人移行後も、事業完了に向け、責任を持って事業に取り組んでまいりたいと考えております。
阿久津委員 千葉ニュータウンは、現在大勢住んでいらっしゃいますし、厳しい中で懸命に御努力されている姿もわかっておりますので、これ以上申し上げませんが、多摩ニュータウンや港北ニュータウンと比較すると、これは時期の問題が一番大きいとは思うんですけれども、費用対効果、時間対効果がやはり千葉ニュータウンにおいては一番まずかったのかなというふうに思います。これらについては、十分反省するというか、ぜひ今後の努力につなげていただきたいというふうに考えております。
 私は、機構がどんな事業をするかというのは、これはひとえに、国民が機構にどんな使命を望むのか、どんな役割を望むのかということにあると思います。これはどういうことかといえば、本業は何かということだと思うんですね。私は、機構の本業というのは、やはり昭和三十年に設立された日本住宅公団に原点があるのではないか。日本住宅公団は、大都市地域の住宅難を背景として、勤労者のための住宅を集団的に建設したわけですが、住宅不足を短期の間に、住宅不足の著しい地域で、住宅に困窮する勤労者をある程度救う効果があったというふうに思っております。ただ、バブルに踊り、バブルが崩壊していく中で事業を広げ過ぎた、そのことに問題があると思うんです。
 それで、本業の部分をいかに充実させていくかということについて伺いたいと思うんですが、扇大臣に伺います。
 機構が継承する都市公団の賃貸住宅は、七十五万戸のストックで約二百万人が居住していると言われていますが、今後このストックを住宅政策上どのように位置づけるのか、また、中期目標では居住の安定をどう位置づけるのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 大事なことですが、なるべく簡潔にと言われて、簡潔に申し上げましょう。
 今おっしゃったように七十五万戸、そういう意味では、私は、先ほど局長が答えましたように、四大都市においては全賃貸住宅のストックの約七%を占めているというのは阿久津議員も御存じだろうと思いますし、認識していらっしゃると思います。
 少なくとも、こうして今、昭和三十年、形成された住宅公団等々からの歴史から見れば、これを今度新しく継承する場合にはどういうふうに目標を持っていくか。それは一つは、やはり大事なことは、民間でできなかったファミリー住宅、ファミリー世帯向けの賃貸住宅をするというのが一つです。二つ目には、バリアフリー等々の対応、入居者の資格等の観点から、高齢者や障害者が入居できる賃貸住宅を供給するというのが二つ目です。三つ目は、都心の居住、職住近接というのがもちろん可能な賃貸住宅、これが三つ目です。
 それらのことで、私たちはそのストックが不足しているということで、まず、なぜこれを進めていくかという例をちょっと挙げます。
 それは、公団住宅と民間となぜ違うか。その差は、一団地当たりの戸数が、公団住宅の場合は五百七十二戸です、それが民間では三十六戸です。そして、一戸当たりの面積が、公団住宅は六十・三平米です、民間住宅は四十三平米です。そして、バリアフリー化の対応は、公団住宅は一二%バリアフリー化が進んでいます、民間は〇・三%です。それから、駐車場が確保されているか。公団住宅の場合は五〇%です、民間の場合は二二%です。それから、駐輪場が確保されているか。公団の場合は一〇〇%です、民間の場合は四〇%です。
 例を挙げれば長くなりますからやめますけれども、そのように、いかに民間ができないところをやってきたか、また、それを続けるかということが大きな目標だと私は思っています。
阿久津委員 ありがとうございます。
 私も、民間と今比べても、特にファミリー住宅においては、公団の持っているノウハウというのはすばらしいものがあると思います。この資産をぜひ大事にしていただいて、ファミリー住宅の供給及び居住の安定措置について、ぜひこれからもしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 続けて高齢者等の居住の安定について伺おうと思ったんですが、先ほど石毛委員の方からかなり詳しく質問がありましたので、これは飛ばしまして、次に、今後の深刻なテーマになるであろう少子高齢化の問題について伺いたいと思います。
 私の地元八王子も少しかかっているんですが、多摩ニュータウン等、住宅公団等の手がけたニュータウンで高齢化が一斉に進む一方、少子化も伴って、町全体の活力が急速に低下する傾向があるというふうに認識しております。
 機構として、ニュータウンの再活性化、少子高齢化対策をどのように考えるのか、公団理事の方に伺いたいと思います。
中臣参考人 初期に開発しました大規模ニュータウンの一部においては、短期間で大量入居するために少子高齢化が進展するとともに、住宅施設の機能の陳腐化等によりまして、町の活力低下が懸念されております。
 このため、公団としましては、ハード面でのバリアフリー対策のほか、地域コミュニティーの形成あるいは生活支援サービスの提供等のソフト面を含めた総合的な対策として、幾つかの取り組みを行ってきております。
 多摩ニュータウンの例で申し上げますと、一つは、近隣センターへのNPO等による訪問介護施設、高齢者交流施設等の誘致。二つ目は、住戸のリニューアルや高齢者向け優良賃貸住宅の供給。三つ目が、高齢者及び子育て世帯に対する近居支援。そして四つ目が、地域住民による里山活動の支援等を実施してきているところでございます。
 公団としましては、引き続き、地方公共団体、民間企業、地域住民、NPOなど、地域に関連するさまざまな主体との連携を図りながら、かような対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
阿久津委員 私は、特定の年齢層とか特定の所得階層の集住にならない活力ある構成というものがソシアルミックスの一部だ、これが極めて大事だというふうに考えているんです。老若男女というか、多種多様な価値観を構成することが活力を生むことにつながると思いますので、ぜひこのソシアルミックスという観点を忘れていただかないで御努力をいただきたいというふうに思います。
 次に、この委員会の冒頭で、松島委員が賃貸住宅の売却について質問をされたんですけれども、扇大臣の答弁が不十分だったというふうに私は思っておりますので、ちょっと住宅局長の方に伺いたいと思います。
 整理統合計画では、都市公団の賃貸住宅の管理について、可能な限り民間委託の範囲を拡大するとともに、可能なものから棟単位での売却に努めることとされています。管理について民間委託が進められた場合、居住の安定は十分に担保されるのか、また、賃貸住宅の売却が進められた場合、良好な居住環境を備えたコミュニティーの破壊につながるのではないか、この点について住宅局長の方からお答えいただきたいと思います。
松野政府参考人 整理合理化計画に売却について一部盛り込まれておりますけれども、かなり限定がかかっておりますし、私どもとしても、公団住宅というのは、大都市におけるファミリー向けという社会的な重要な資産だと考えております。
 したがいまして、その住宅が本当にまだまだこれからそういう意味で有用なものであるかどうかという政策的判断をした上で、もし入居者の方々の同意がとられて、棟単位で売却ということが可能なケースがあるとすればそういう検討をするということでございまして、むやみに売却ということを念頭に置いて臨んでいくということではございません。
阿久津委員 公団住宅は社会的重要な資産であるから、棟単位でぽんぽん売っていっちゃうよということではないという確認をとらせていただきました。ありがとうございます。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。もう一つ重要な問題なんですけれども、区分経理について伺いたいと思います。
 賃貸住宅事業と再開発事業等の区分経理を明確にし、住宅事業の利益を再開発事業の赤字や土地保有の金利負担等が食いつぶすのを防ぐ仕組みをつくる改革が必要という指摘がございますが、機構は、賃貸住宅事業と再開発事業等その他の事業との区分経理を明確にするとともに、財務内容等の情報公開を積極的に進め、国民にわかりやすい業務運営を行うよう努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
河崎政府参考人 区分経理の問題についてでございますが、これまで、都市整備公団は多種多様な業務を実施してきております。
 その中で、御指摘の賃貸住宅との関係でちょっと御説明させていただきますと、例えば市街地再開発事業をやるときに、建築物あるいは床を取得する、それを賃貸住宅の供給に充てる、あるいは市街地整備改善事業で供給した宅地に、賃貸住宅部門の方にお渡しいたしまして賃貸住宅の建設を行うという形で、各部門の事業が密接に関連をしております。そういうことから、各部門の収支を独立して考えるのではなくて、一体として考えてきたところでございます。
 この点につきましては、実は、新たに設立される都市再生機構におきましても同様でございまして、例えば、都市再生に民間を誘導するために行う市街地の整備改善事業におきまして整備した敷地、これを賃貸住宅部門が管理して定期借地として民間の賃貸住宅の供給の支援に提供するといったようなことがございますし、また、建てかえ事業を実施する場合に、特に大規模な団地の建てかえにつきましては、単に従前居住者のための賃貸住宅を建てるだけではなくて、いろいろな福祉施設でありますとか民間の住宅、あるいは各種業務施設、文化施設もありましょうし、そういったものをあわせて建設するということによって、総合的なまちづくりとして取り組むということにしております。
 そういった意味で、賃貸住宅部門で行う業務にも都市再生事業という性格が非常に濃くあるわけでございまして、これまでと同様、都市再生部門と一体となった対応をしていく必要があるというふうに考えておりまして、このような観点からいたしますと、今後、賃貸住宅の管理業務は、従来と同様、他の業務と一体として経理していくことが適当であるというふうに考えておるところでございます。
 また、情報開示という観点からは、現在の都市基盤整備公団の損益計算書、これにおきましては、各部門、例えば市街地整備改善部門でありますとか賃貸住宅部門、各部門ごとに区分して、部門ごとの収支状況がわかるような情報開示を行っておるところでございます。
 したがって、都市再生機構になりましても、現行の取り扱いを参考にしながら、どういう区分にしていくかというのは今後の検討でございますけれども、適切な区分により開示がなされるものというふうに考えておるところでございます。
 それから、今後、都市再生機構が独立行政法人になるということになりますと、まずは会計制度全般に民間の企業会計原則が適用されますので、これまで以上にわかりやすい形で財務内容の情報開示が行われるということがございます。それから、独立行政法人というのは、中期目標、中期計画で管理をするという仕組みになっておりまして、例えば機構が中期計画を作成いたしますと、これは当然公表いたしますし、毎年度の業務実績につきましては、第三者機関でございます独立行政法人評価委員会の評価を受け、また、その評価結果が公表される。さらには、中期計画が終了した時点におきましては、中期計画期間の業務実績について同じ評価委員会の評価を受けて、その評価結果を公表されるというような仕組みが確立されておりますので、今後は一層情報公開が進むというふうに私ども考えておるところでございます。
 以上でございます。
阿久津委員 ありがとうございます。
 これまでどおり部門ごとの収支というのは続けていくし、これまで以上に、独立行政法人ということで情報公開も明らかにして行っていくんだということをお伝えいただいたと思います。よろしくぜひお願いしたいと思います。
 最後に一点だけ、先ほど石毛委員から十分詳しい質問がありましたので、確認だけさせていただきたいと思います。
 賃貸住宅の管理主体が都市公団から機構に変わるということで、継続居住者からは、いずれ家賃が大幅値上げされるんではないかという不安の声がたくさん出ております。これが一番大きい不安の声だと思うんですが、賃貸住宅の家賃額の変更について、二十五条二項において、近傍同種家賃、変更前家賃、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めるというふうにありますが、家賃の大幅値上げはないと考えてよいのか、この一点だけ、古屋公団理事の方に確認したいと思います。
古屋参考人 ただいま委員から御指摘いただいたような法律の条項に基づきまして、この条項は現在の公団法と全く同様でございますし、その運用についても同様な運用を機構になっても行うべきと考えておりますので、そういった仕組みにおいて適切に対応がなされるものと考えております。
阿久津委員 ちょっと、よくわかったかわからないか……(発言する者あり)
 もう一回お聞きしたいと思いますけれども、要するに、近傍同種家賃だけじゃなくて、変更前家賃も参考にするわけですね。それで、経済事情の変動も参考にするわけですね。経済事情の変動というのは、当然、今のデフレ下で普通の民間住宅は家賃が下がっているわけですから、そのことも考慮されるというふうに考えるんですが、その結果、大幅な家賃値上げはないというふうに考えていいんでしょうか。もう一回答えてください。
古屋参考人 法律の条項の具体的な運用につきましては、居住者の皆様方もお入りいただいた、有識者で構成された公団の家賃部会でルールを定めております。
 それで、近傍同種家賃を上回っているものにつきましては、その近傍同種家賃まで毎年下げる。それから、近傍同種家賃に届かない家賃につきましては、従前の法律で言う変更前家賃とも格差を埋めていく。その格差を埋めるときに、経済事情の変動の一つであります、例えば家賃スライドの状況なども加味して漸次格差を、公平な見地から実践していくというやり方をとっておりまして、このやり方につきましては、機構になりましても同様の運用がなされるべきものと考えておるわけでございます。
阿久津委員 大体言っていることはわかるんです。今までと家賃のあり方については変わらないということを言っているんだと思うんですが、ちょっと住宅局長の方に担保をとりたいと思います。
松野政府参考人 何度もお答えしておりますが、機構に変わりましても、市場家賃ということが原則ではありますけれども、継続居住者の方につきましては従来どおりの措置を講じて、ある程度の、市場家賃ストレートにということではなくて、減額をしていくような措置は引き続きとっていくということでございます。
阿久津委員 これで終わりたいと思います。
 ぜひ、これは主観の問題があるとは思うんですけれども、大幅な家賃値上げが今後もずっとないようにしっかりチェックしていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、限られた時間でございますが、独立行政法人都市再生機構法案の質疑をさせていただきたいと思います。
 きょうは第一回目の質疑でもございますし、時間も三十分でございますので、実は質問通告は十数点にわたって結構細かいことを通告させていただいておりますが、午前中の審議も踏まえ、ちょっと通告とは少し異なりますが、大まかな点についての議論を確認させていただきたいと思いますので、どうかよく質問を聞いていただいて、端的に御答弁いただければというふうに思います。
 まず最初に、今回の法案についてなんですが、法案についてという中身に入る前に、率直に言って、なぜ今回、独立行政法人都市再生機構法案というものなのか。
 といいますのは、平成十一年にこれまでの住宅・都市整備公団が、平成九年の閣議決定を受けて、業務の見直しをして整理合理化がされて、都市基盤整備公団になったわけですね。その都市基盤整備公団が三年足らずでまた変わるのか。国会の党の部会の中でも、あれ、この前変わったばかりじゃないか、こういうような話もあったりして、住居者の方たちと話していると、これまでは住宅・都市整備公団、住都公団住宅とか都市公団住宅とか、こう言っていた。今後は何と言うんですかね、都市再生機構住宅と言うんですかね、こういった冗談みたいな本当に御心配をしているような話がある。
 それなりに、それぞれ今回のこの編成がえというか改革に対して、世の中的に言うと、内容がよくわからないとか、かなり行き当たりばったりなのではないかとか、また逆に言うと、国土交通省の意とは別に、小泉総理の行政改革の号令の中でとられた受け身の措置なのではないかとか、こういった批判もあるというふうに思うんですね。
 改革をする以上、これまでのことが何かが反省をされて、その反省に基づいて、この改革でその反省が解決をされなければいけない。こういうことがない改革ならば、まさに意味のない改革であるというふうに思っております。
 公団に対してのいろいろな反省ということがあるんでしょうけれども、その中でも特にちょっと一つ確認をしておきたいのは、今、全国に散在すると言われている、正確にはわかっていないんですが、いわゆる公団の保有地、現在塩漬け状態になっている未活用の部分について、今回の都市再生機構法案化に伴って今後どうしていくのかということも含めて、今回のこの改革が何をもって、午前中のやりとりで随分了解しているところもありますが、その点も含めて、お答えできる限り御回答いただければと思います。
河崎政府参考人 まず、四年前の十月に住宅・都市整備公団を廃止して都市基盤整備公団を設立したということでございますが、これは当時、民間の分譲住宅市場が大変な勢いで成長してまいりまして、それを踏まえて、住都公団がもう分譲住宅なんかやる必要ないではないかというようなことがありまして、分譲住宅あるいは鉄道業務から撤退をする、さらに既成市街地の都市基盤整備への業務重点化を図るといったような見直しを行ったわけでございます。
 それに対しまして今回でございますが、今回は、一つは特殊法人という形態、非常に不透明であるという御指摘があったわけでございますが、これを独立行政法人という新しい形態にすることによって、情報開示のシステムだとかいろいろなものを盛り込んだ形の法人にしていくというのが一つでございます。
 それからもう一つは、業務内容としても、やはりもう一度民間との関係を見直していこうということで、民間にできる、具体的に言いますと、建物を建てて管理をするというのは民間でも十分できるではないかというようなことから、都市再生に民間を誘導するための法人にしていこうというふうな形で改革が取り組まれたという経緯があるわけでございます。
 それから、未利用地の話、塩漬けの土地というふうな話がございました。これは恐らく、バブル以降の地価の下落の中で、厳しい経営状況にあるものにつきましてどういうふうな処理をしていくのかというようなことだろうと思いますけれども、当然、そういったものにつきましては、地区の見直しとか事業費の見直し、あるいはコストの削減、いろいろな努力をして、あるいは地方公共団体ともよく連携をとりながら、十分活用できるような手だてを考えていくことが改革を機に必要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
赤羽委員 いろいろな思いはある中での改革だとは思いますが、今回こういった法案が提出をされた以上、本当に実効性を伴う、前進する、日本の住宅政策に資する改革にしていただくように、今後も引き続き努力していただきたいということをまず強く要望いたしたいというふうに思っております。
 続きまして、それでは、今回の改革に伴っていろいろなものが変わる。その変化の中で、変わらないとする努力がある。また、変えていくものについてはどう変えていくのかという検討がされなければいけないということで、午前中も何名かの議員が確認をされておりますが、まず、現状では全国で七十六万戸、約二百万世帯ですかの公団賃貸住宅の入居者の方がいる。
 これは確認になりますが、家賃についてはこれまでのスキームどおり、都市再生機構のもとでもこのスキームは変わらない。午前中何回か答弁のやりとりがありましたが、このスキームは保持される、こういったことでよろしいのでしょうか。
松野政府参考人 何回かお答えしましたが、公団がこれまで家賃改定のルールに従ってやってまいりました。市場家賃を基本としますけれども、継続の居住者の方々についてはそれなりの配慮をして減額するというような措置をしてまいりまして、都市再生機構になりましてもその基本路線は変わらないというふうに考えております。
赤羽委員 ベーシックな家賃のスキームは変わらないということは確認できたと思います。
 実は昨年の年末に、本年から、これまでのスキームどおり、本年が家賃の変動の年である。家賃は、下げるのは毎年下げてまいりましたが、上げる部分は三年に一遍の年に当たるといったことで、年末、実は公団の方から説明がございました。
 我々は、我が公明党とのやりとりの中で、今のデフレの中で、物がみんな下がっている状況の中で、スキームとはいえ、家賃を上げるということはかなり抵抗が強いことだ、こういったお話をし、その中でも、まさに低所得の高齢者世帯について、約一万世帯に当たるということでありましたが、ここについて、何とか今回の値上げは見送ってほしい、こういった要請をし、そういったことを反映して、結局、本年度の約一万世帯に対する、低所得者、高齢者世帯の皆さんに対する家賃の値上がりというのは見送りになったわけであります。
 こういったことは、都市再生機構になると、そういったことができるのかどうか、こういった懸念があると思うんですね。ベーシックな家賃は今までどおりのスキームが担保される。しかし、そのベーシック以外で、時代状況を加味されたようなことというのは、今まで、ある意味では、国の管理と言うと語弊があるかもしれませんが、公団のもとでは可能であった。こういったことがどうなのかということを確認したい。
 そのことについて、同じことなんですが、前回、三年前ですか四年前、家賃を見直していくという中で、家賃を上げた部分については公団の修繕とか設備をグレードアップしていこうといったことで、新規修繕七項目ということを申し入れて、それは公団の方も受け入れて、やっていただいているわけですね。洗濯排水設備の設置とか、共用廊下の手すりの設置とか、屋外通路等の段差解消、衛星放送受信設備の設置とか、あと、鋼製窓のアルミ化とか、こういった七項目が、一番長いものは平成十八年度までを完了予定として目標を立てられ、値上げをされた部分を財源にして全国でこういった改善が、どれだけ進捗しているかということはいろいろ議論があるかと思いますが、そういったものをされている。
 こういったことについては都市再生機構になった以降もちゃんと担保されるのかどうかということの確認をいただけますか。
松野政府参考人 適切な管理、今、七項目おっしゃいましたが、これについては引き続き、機構になりましても適切な管理をしていくということでございます。
 それから、今回の家賃改定に当たり、一部高齢者の方々につきまして年金等の給付額が減額されるというような、いわばデフレ事態の、特別な事態があったわけでございます。それを今回、特に考慮するということがございました。
 これは、従来のルールとは別個の問題で、緊急の事態が生じたということから講じた措置でございますので、今後もそういう特別な事態が起きたときの措置についてはその時点で改めて検討していくということになろうかと思いますが、引き続き、適切な家賃の対処については留意してまいりたいというふうに考えております。
赤羽委員 ぜひ、独立行政法人化しても、やはり必要な、特別な措置をとらなければいけない状況、これは既得というか、これまで、もう既に住まれている方に対する措置、権利でありますから、そういった権利が保全されるように、引き続きお願いをしたいというふうに思っています。
 加えて、バリアフリー化というのは、扇国土交通大臣、二十一世紀の住宅、まちづくりは、バリアフリー化というのは非常に最重点にうたわれているんですが、公団のエレベーターの設置というのはほとんど進んでいないんですね。これはなかなか、物理的なこともあるし、もちろん財政的なこともあるわけですね。
 なかなか、家賃値上げというのをするにしても、その幅というのは知れているし、七項目の、さっきの窓のアルミ化ですとか手すりをつけるとか、こういったことも、まだ本年度では全部完成されていない状況の中で、やはり、随分出ていますが、公団住宅の入居者の皆さんの高齢化というのは、大変高齢化率も高くなっているという御答弁もありまして、まさに、まちづくりの中でも、公団のバリアフリー化というのは実は喫緊の課題なんではないかというふうに私は思うんです。
 ほとんど、全国でも、公団にバリアフリー化のエレベーターがついていないということで、これは実は非常に何とかしなければいけないことだ。何とかしなければいけないというのは、これは財務省と本当に財源措置を含めた知恵を出さなければいけないんじゃないか。
 これは今、具体的な答弁というのはできないというふうには思いますけれども、そういった方向性で考えていかなければ、七十五万戸、二百万世帯の皆さんが住まれているバリアフリーというのが一番後回しにされるということになるわけです。
 扇国土交通大臣の住宅政策、まちづくり政策の中で、バリアフリー化というのは最大の目玉なのに、ここが一番欠けちゃうというのは、やはりこれは何とかしなければいけない問題ではないかというふうに思うわけですけれども、これについてはどうですか。政治家の御答弁でお願いしたいと思います。
扇国務大臣 今、赤羽議員がおっしゃいましたように、我々は、二十一世紀、だれしも年をとるわけでございますので、そういう意味では、公団のバリアフリー化というのは、私は、最重点に取り組まなければいけないと思っております。
 ただ、工事をしますときに、現存していらっしゃいます、現住の皆さん方にしばらくここはということがなかなか難しくて、建てかえの場合は必ずバリアフリー化、廊下を広くしたり、あるいは今おっしゃったようにエレベーターをつくったりというのはやっております。
 ただ、きょう午前中にも申し上げましたけれども、七十五万戸、二百万人がお住まいの中で、老人とかあるいは母子家庭等々が占める割合というのが一万九千世帯あるわけですね。そして、公団は、今の、現段階ではバリアフリー化は一二%。けれども、民間の場合はまだ〇・三%ということですから、民間に比べても、公団がかなりそのことに努力をして、実行しているということは、この数字をもってしても御理解いただけるところだろうと思っております。
 今の、現存している、お住まいになっている中でのバリアフリー化は、ある程度、道路の工事と同じように、住んでいらっしゃる皆さん方にバリアフリー化のために御不便をおかけすることがあるということで、いきなり全部、七十五万戸に適用できるようにということはなかなかできませんけれども、今申しましたように、民間に比べては公団が努力している。
 しかも、一年間に六千戸建てかえるわけですから、その年間の建てかえ時には必ずバリアフリー化を設置するということも明記してございますので、そういう意味では、おいおいということで、まだ遅きに失しているかもしれませんけれども、なるべく今お住まいの皆さんに不快感を与えないように、不便を与えないように、それでバリアフリー化を促進していくということには、これからも努力していくべきだと思っております。
赤羽委員 今の大臣の御答弁で、細かいことなんで政府委員の方で結構ですが、今、公団のバリアフリー化が一二%という数字を大臣御答弁されましたが、このバリアフリー化というのは、あれでしょう、エレベーターという話じゃなくて、手すりとかそういったような話ですね。ちょっとその確認だけしていただけますか。
松野政府参考人 バリアフリー化というのは、よく三点セットと言っておりますが、手すりの設置、あるいは段差の解消、それから階段、廊下、主として廊下ですね、廊下の車いすが通行できるような幅の確保、これがバリアフリーの基本だというふうに考えております。
赤羽委員 ですから、それはやはり余り金がかからないことなんですね。それか、もはやエレベーターが設置されているようなマンションとか集合住宅に対しても、そういったバリアフリー化をしていこうということだと思うんですよ。
 公団についてのバリアフリー化は、やはり私はエレベーター、これが一番金もかかるし、確かに大臣言われるように設置のときの手間暇も一番かかるし、五百万円ぐらいで設置できるというような試算もしていただいたんだけれども、何か、試算して設置されたのが全国で一カ所しかなかったというような話も聞いていますし、なかなか、階段式のところは部屋が見えて、プライバシーの問題とかいろいろ細かい問題があるということは聞いておるんですが、一番の問題は、やはり財源の問題なんですよ。
 ですから、やはりここは、ますます、独法化してどうなのかなということはよく議論しなければいけないかもしれませんが、繰り返しになりますが、七十五万戸について、高齢者が多いとされるこれまでの公団住宅に対するエレベーターの設置というのは、それは一朝一夕につくとは思いません。全国の駅でも、四年間で五百、猛烈な勢いでやっても五百ぐらいなわけでありますから、なかなかそうはいかないと思いますが、エレベーターについても、ぜひバリアフリー化のアイテムの一つとして前向きに検討していただきたいなと思うのですが、この点、細かくて恐縮ですが、お尋ねします。
松野政府参考人 エレベーターの設置につきましては、公団についてその設置を進めていくべきだと考えておりますが、公営住宅も含めて、公的住宅として、四階、五階、階段しかないところについてはできる限りエレベーターの設置を進めていきたいということで、そのための財政的な問題をクリアするようなうまい方策はないものかということで、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
赤羽委員 ぜひ、議会としても政治家としてもしっかり応援をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 先ほど、現状の入居者の方々に対して、現実、今行われている家賃のスキームとか修繕計画とかいうことが担保されるんだ、変わらないんですよという御答弁ありましたが、ちょっと済みません、そのことで一個聞き漏らしたんですが、こういったことについてどのように周知徹底されているのか。
 きょうも委員会で二百名ぐらいの方が傍聴に来られている。私、十年間議員やっていましたけれども、こんなに多くの方が傍聴される委員会というのは多分数少ない委員会だと思う。逆に言うと、それだけ心配されているんです。
 何カ月か前に地元の公団の方から要請書があって、独法化に伴って追い出しとか家賃の値上がりとかということがないようにというような陳情書があって、こんなことだれが言い始めているのかと私なんかは逆に驚いた。そんなことあり得ないというふうに思っていた立場としては、非常に皆さんが心配されていることに意外な驚きがあったわけでありますが、こういったことについて、どのような周知徹底をしているのか、また今後もしていくのかということを公団の側から。
古屋参考人 現在公団が管理しております賃貸住宅の家賃を含んだ管理の問題につきましては、機構にそのまま継承されるわけでございまして、家賃のフレームあるいは運用の方法、管理の仕方といったようなものについては現在のやり方が踏襲されるということでございます。
 これにつきましては、法案が国会の御承認をいただきましたならば、所要の準備期間をちょうだいできると思いますので、新機構への移行に際しましては、こういった取り扱いについて、居住者の皆さん方の不安を払拭するため、事前に十分な周知を図ってまいりたいと思います。
 具体的な周知の方法につきましては、今後検討してまいりたいと思いますけれども、パンフレットを各戸に配付させていただく、あるいはインターネットでホームページに掲載する、公団発行の居住者向けの広報誌というようなものも私ども持っておりますので、そういったさまざまな手段を使って周知を図ってまいりたいと考えております。
赤羽委員 従来のいわゆる、ちょっと言い方語弊ありますが、お役所のやるような周知徹底の仕方ではなかなか浸透しないと思うんですよ。やはり私、これだけの皆さんが大変不安を抱かれているということは、自然発生的な部分もあるかもしれないけれども、そういったことを、これも語弊がある言い方かもしれませんが、すごく不安をあおっている、心配を過剰にされていて、それが非常に皆さんの中で伝播をするという部分もあると思うんですね。
 ですから、相当もっと積極的に踏み込んで、いろいろな知恵を使って、今御答弁にあったような、これまでのことは変更はないんだ、基本的なベーシックなところは変更はないんだということは、それは今までのやり方じゃなくて、相当突っ込んで周知徹底を考えていただきたいというふうに思います。
 そのことについて、ちょっと、重ねてで恐縮でありますが。
古屋参考人 ただいま御指摘いただいた点も参酌いたしまして、どんな工夫ができるか、検討を深めてまいりたいと思っています。
赤羽委員 それでは次に移りますが、日本のこれまでの歴史の中で公団の賃貸住宅が果たしてきた役割、これは午前中の答弁にもありましたように、ファミリー向けの良質な賃貸住宅を供給してきた。民間ではできない、先ほどちょっと大臣幾つか具体的な例を出していただきましたが、駐輪場の設置の割合とか、具体的な項目を出されていました。民間ではできないことをやってきたんだ。
 しかし、今回この都市再生機構にゆだねる。土地は整備をして、上物は民間にゆだねるわけですね、運営というか。下物は都市再生機構が整備をして、民間にやらせていく。これまでやってきたファミリー向けの良質な賃貸住宅、公団が担ってきた役割が、今後民間が役割を担えるのか。
 これだけ景気が悪くて、余り元気のある民間業者というのが少ない中で、民間業者にとって今回のこのスキームというのは、この事業に参加するだけの価値がある、メリットがあるスキームになっているのかどうか、その見通し。下物を整備しても上をやる民間事業者がだれもいないみたいな話であれば、なかなかこのスキームは絵にかいたもちになってしまうと思うんですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
松野政府参考人 今回の改正では、機構が敷地を整備する、それによりまして、出資金を充当しながら、比較的ファミリー向けの賃貸住宅が供給しやすい地代で定期借地をして、敷地を提供して、民間事業者に建築していただいて、民間住宅を経営していただく、賃貸住宅を経営していただくということです。その点に関しては、公団がやられてきたことといわば同等の措置を講じることによって、民間も可能なような措置をとるということでございます。
 したがいまして、公団ができてきて、今まで民間は余りやられてこなかった、このことが、そうしたことを通じて民間にも可能なようになるのではないかというふうに考えております。
赤羽委員 民間事業者が参加しやすくなる、可能なんだ。では、その参加してもらった後にでき上がるものが、これまでの公団住宅のようなすぐれた面が発揮できるのか。バリアフリー化がどうなのかとか、駐輪場がちゃんとつくのかとか、今まで民間仕様ではなかなかついてこなかった現実があるわけです。今までの民間の賃貸住宅と同じようなものをつくる結果になってしまうのか。そうじゃなくて、公団住宅がやってきたような質のいい住宅をつくる、そういった政策誘導というか、そういったスキームがあるのかどうか、これを確認させてください。
松野政府参考人 今御指摘になったことは大変重要な点でございます。敷地を機構が提供いたしましても、上物に民間賃貸住宅が自由な立場で供給すると、結果的にファミリー住宅が供給されないということでは困るということでございます。
 したがいまして、民間事業者を公募するに当たりましては、戸数の何割以上ファミリー向けの規模を供給する必要がある、あるいはバリアフリーにするというような居住水準の条件を付する、それから賃貸住宅の管理運営に関する計画を提出させる、選定された事業者に対してはその確実な履行をしていただくということで、その内容を定期借地契約において担保するということで、公団住宅が果たしてきたような良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を進めてまいりたいというふうに考えております。
赤羽委員 時間も残り少なくなってきましたので、最後に、ちょっと随分まだまだ言いたいこと、質問したいこともあるんですが、一点確認したいんです。
 午前中も、いわゆる公団住宅と公営住宅、これを一元化するべきじゃないかというような話がありました。それのお答えは、もともと根本的に違うものだからなかなか難しいという話がありました。
 しかし、これまでは、非常に平たく言うと、公団住宅の方は、ある程度の中堅的なというか、公営住宅の入居者よりも所得水準が高い、そういった人たちのファミリー向けの賃貸住宅という位置づけがあったと思うんです。ところが、やはり入居して二十年、三十年たちますと、入居された方たちも会社も定年退職をされて、所得水準は明確に下がっているという実態がある。
 公営住宅、古い公営住宅もありますが、一方では公営住宅は、私は神戸市の、震災後できたから特別なのかもしれませんが、大変すばらしいグレードの、これが市営住宅なのかと、私が住んでいるマンションよりよっぽど広くて、よっぽど設備の整っているような市営住宅も相当でき上がっている、地域もあるということなのかもしれませんが。
 こうなってくると、外形的には、住まわれている方たちの中にも、市営住宅の入居者の方たちだって、お子さんたちが大きくなって、実は社会人で所得を持つようになって、本当は入居水準以上の所得になっている世帯というのも、データ的にも相当あるというのが出ているわけですね。実態として、公団住宅と公営住宅というのは余り差が以前ほどなくなっているというのが今の実態なんではないかというふうに思うんですよ。
 一般論で言いますと、人間というのは、大体高齢化すると所得というのは落ちるんですよ、だれでも。賃貸住宅に対する入居者の方たちが高齢化をしていった場合にどのような住宅政策をとるのかというのは、やはりもうちょっと整理して考えなければいけないことだというふうに思うんです。公団住宅に入っている方たちが高齢者になったから、じゃ、公営住宅を用意しますよとか、そういうのというのは余りにも紋切り型の話であって、そんなことで済むような話じゃないと思うんですよ。
 そこに応能家賃というのが公団住宅にすぐ取り入れられるとは、なかなか難しいと思うけれども、そういった知恵も入れて、公的な住宅政策というか、住宅政策における公的住宅の役割というのをやはりちょっと、今回の都市再生機構法案をきっかけに国土交通省内でもしっかり議論を進めていただきたいというふうに思うんですが、その点について、御感想というか、決意というか、御見解をいただいて終わりにしたいと思います。
扇国務大臣 今、赤羽議員がおっしゃいますように、現実、公営住宅というのは、本来は生活の、いわゆる住宅の困窮者ですね、そういう人たちのために公営住宅というものを低廉な家賃で今まで供給してきたというのは先ほどもお話のとおりでございます。
 一方、公団住宅は、市場で供給が不足している、いわゆる中堅ファミリー、これも朝から御論議が出ておりますけれども、そういう中堅ファミリーの層を主に対象として今までしてきた。そして、三大都市圏の賃貸住宅の平均の床面積が四十一平米でございます。それに対しまして、低い水準にある中で、公団の賃貸住宅の平均の住戸面積は五十二平米でございますから、そういう意味でも、中堅ファミリー層の住居水準の貢献というのは私は大いにあったと思っております。
 けれども、公営住宅につきましては、入居基準、入居者の約一四%の入居収入が、今赤羽議員がおっしゃったように、少なくとも収入が資格に対して超過しているわけですね。そういう意味では、超過している皆さん方に対しては家賃を上げるというようなことも私は一つの手だろうと思うんです。それでないとお互いに公平でなくなりますからね。そういう意味では、私は、そういうことも考えられるのではないかと思います。
 一方、公団住宅におきましては、高齢化が進む中で、少なくとも、世帯主が六十五歳以上の高齢者であるというこの公団住宅の割合が、先ほども私申しましたけれども、二六%に達しているんですね。ですから、今赤羽議員がおっしゃるように、年をとっても、年金生活に入ってもいられるようにというお話もありますけれども、所得が年金生活等々で下がってきている人たちが大勢、今二六%の中にもいらっしゃるわけですから、そういう人たちにとっても、このために公団住宅を活用して、あるいは高齢者向けの良質な賃貸住宅を低廉な家賃で供給するという、先ほど申しましたように、年をとるほどバリアフリーが必要ですから、新しく建てる賃貸の公団の中には、廊下の幅も車いすになり、手すりもついている、段差はないというような、そしてエレベーターも利用できるような、いわゆる高齢者向きの優良賃貸住宅をつくるということも、私は一つの対応だろうと思っております。
 そういう意味で、今おっしゃったような、少なくとも、健常者であっても、あるいは老人であっても、身障者であっても、いわゆる住居の安定性というものに私たちは基本的な着目を置いて、それぞれの層の皆さん方に対応できるような適応性を持った住宅の供給というものをしていかなければならない、それが基本だろうと思っております。
赤羽委員 二六%の方が六十五歳以上というのは、まさに二〇二〇年の日本の姿そのものでありますから、二〇二〇年の日本をどうするかということも考えながら、時代に合った住宅政策ができることを望みまして、終了させていただきます。
 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 引き続きまして、本法案に対する質問をさせていただきます。
 昭和三十年に日本住宅公団がスタートしたわけでございますけれども、もう御存じのとおり、三十年といえば、日本は高度成長期に入る、そういう時代でございます。
 公団住宅等に入居されている皆さん方も、当時の高度成長期の中で都市部に進出されて一生懸命働いてこられた方々ばかりでございますけれども、今日、この時点で、こういったいろいろな制度を見直すという面では、今現在の都市が抱えている課題、また、都市部のそういう住宅が抱えている課題というものをしっかりと現状認識した上で、これから将来に向けてどうあるべきかというところを、基本的にしっかりとした問題意識を持った上で議論しておかないとまずいんではないかなというふうに思っております。
 従来の高度成長期は、御案内のとおり、地方から東京を中心として大都会に人口が相当集中的に集まってきた時代があるわけです。そういった面の都市機能を持たせるいろいろな問題なり、または住宅建設なり、工業再配置ですか、そういったことも含めて、都市部の開発というのは、当時、大変な大きな課題として取り組んできたと思うのです。
 しかし、近年、どっちかというと、大都市に人口が集中する現象というのは、当時のような現象は今ないというふうに思います。それからまた、かつては、公的なそういう力でもっていろいろな住宅を供給するなり、そういうことが相当盛んであったわけですけれども、近年では、民間によっていろいろな住宅市場というものも開発されてきておる。そしてまた、こういった経済が非常に鈍化している中で、少子高齢化社会にもう既に突入いたしておるわけでございます。これはもう都会も地方も問わず、いろいろな面で活力が低下しつつあるわけですけれども、そういう時代背景の中で、日本の経済社会というものがいろいろと変化した中で、今日こういうことを見直そうとしているわけです。
 そうした場合に、今都市部に住んでいる皆さん方、そこでいろいろな仕事をやろうとする皆さん方のニーズも、当然、かつての日本住宅公団なり、もう一つ、地域振興整備公団の前身の公団時代に比べれば、いろいろな面で時代の背景が変わってきているというふうに思います。
 そういう中で、今回の都市再生機構という組織をつくって独立行政法人化を図るということなんですけれども、現在の我が国の大都市部が抱えている課題というものを、まずどういうふうに受けとめておられますか。それから、そういったものを都市の政策として、基本的にはこういう方向で取り組んでいきたいということについての、大臣、まあ、これまでこういった関連した法案が幾つかありましたから、何回かお話は聞いたこともございますけれども、今、この場でもう一回整理して、こういった大都会の課題、それからこれからの取り組む方針、そういったところを大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 今の、戦後今日までの日本の都市のあり方、地方のあり方、一川議員がおっしゃるように、さまざまな様相を呈し、変化してきております。御存じのとおり、我が国においては、都市に人口の約九割が集中しているというのが今の日本の現状でございます。
 その集中しているために、経済的あるいは社会的、文化的、そういうものが、それぞれの都市において、さまざまな営みの中で我々はこれを享受し、ただ、残念ながら、それを中心にはなっておりますけれども、例えて言えば、大都市と地方都市と比べてみますと、少なくとも大都市においては、御存じのとおり、例えば東京の場合、通勤したりあるいは通学したりする時間というのは、平均で九十分かかっています。そして、絶えず慢性的な混雑ぶり、あるいは車の渋滞、そして渋滞とともに環境のCO2の排出量を、我々は渋滞の中で空気も悪くなっているというのが今の現状でございます。
 ですから、地方にいる人の方が、空気もいいし、ゆとりもあるし、しかも時間もゆったりある。しかも、自分が行きたいところには、大都市のような混雑がなくて、自分で運転しても悠々自家用車で行けるというようなところでも、私は、それはそれなりに地方のよさというものがあると思いますけれども、今、現段階では人口の九割が集中している都市をどうするか。これも私は重大な問題になっていると思っておりますので、少なくとも私たちは、二十世紀の負の遺産と言われるもの、例えばものをつくり続け、ハードの二十世紀、二十一世紀はソフトの時代だ、二十世紀のハードの上にバリアフリーと環境を加味したソフトの二十一世紀をつくっていくというのが、我々の国土交通省として、また国家としての、私は大きな課題をしょってきていると思っております。
 では、その二十一世紀、ソフトの時期だというけれども、まずこの九〇%集中してしまった都市をどうするかということなんです。外国からの旅行者の例を挙げるのが正しいかどうかわかりませんけれども、例えて例を挙げさせていただきますと、香港には、少なくとも年間に一千百七十万人が香港へ行っているんですね。そして、パリには、少なくとも一千三十五万人がパリの町を訪れている。けれども、東京にそれじゃ何人来ているか。二百四十九万人東京へ来ているんですね。この数から見ても、いかに東京が魅力のない都市なのかということも私は言えると思います。
 ですから、先ほども、きょう午前中に小泉内閣で二〇一〇年に外国からのお客様を五百万人から一千万人に倍増しよう、それが二十一世紀の第三次産業の、環境というものは大きな基幹産業になるだろうということで頑張っておりますけれども、この集中している都市一つ見ても、外国の人から見ると余り魅力があると思っていないんですね。
 ですから、そういうことも含めて、私たちは、少なくとも東京の国際会議というものを一つ見ても、全国の国際会議の開催率が世界じゅうで三十三位なんですね、東京は、国際会議の開会率が。それをとってしても、私は東京がまだまだ国際都市と言えないんじゃないかという大きなクエスチョンマークを持っております。
 けれども、我々が今言ったような二十世紀の遺産でハードのものをつくってきたけれども、今度ソフトを加味するというときには、地方都市のよさ、個性ある地方のよさというものを出させて、なるべくは分散できれば一番ありがたい。都市と地方のお互いの共存共栄というものを図っていければありがたいと思っておりますけれども、そういうものも含めて、二十一世紀の国土のあり方、またそれに加えて、今回のように、今まで都市基盤整備公団がやってきたことを少しでも民間の皆さん方に、賃貸住宅ももうここまでできたんだから、少なくとも七十五万戸つくったんですから、民間の人がするんだったら賃貸住宅もよりいいものを、民間の人たちの活力も生かしていこうじゃないか。
 そういう二十一世紀型の国土のあり方と居住環境のあり方と、国民の要望、高齢化社会に対応するというあらゆる面を含めて、新たな二十一世紀の形をつくって、民間の活力を生かしながら、今までつくった都市基盤整備公団の七十五万戸と、年間六千戸を建てかえるという、これだけは守りながら、民間の活力を生かして、新しい、希望に燃えた、住みやすい、あるいは住んでよかったと言われるような、ここをどきたくない、ずっとここに住んでいたいと言われるような、そういう都市の中での賃貸住宅のあり方も考えていかなければならないというのが、私たち今回大きな問題点だと思っております。
 今申しましたように、香港等々、今SARSで、訪れる人は激減しておりますけれども、それは一過性のものであって、基本的な都市づくりあるいは都市住宅のあり方、賃貸住宅のあり方というものは変わらないで、今の基本的な方針を貫いていきたいと思っています。
一川委員 以前にもこの委員会で、都市に関係したいろいろな法案の審議の折にも、今大臣がおっしゃったように、日本の都市、大都市は国際的から見ると魅力がもう非常に落ちてしまっている。国際競争力もそういう面では非常に今低下してきておるということの問題意識の中で、都市の再生をしなければならないということをおっしゃってこられましたし、そのことについては間違いない方向だというふうに思っております。
 では、こういった今回の都市再生機構という組織を、これからの都市を本当に再生するためにはどういうふうな役割を担わせるかというところが一つのポイントになるわけでございますけれども、今ほどのお話のように、都市基盤整備公団それから地域振興整備公団という二つの公団の都市の整備にかかわる部分を統合して、それでこういった都市再生機構なる組織をつくろうとしているわけです。
 今ほどお話にあったように、日本の都市部が抱えているいろいろな問題点、課題、そういうものに対してこの新しい再生機構という組織がどういう役割を担っていくかということがはっきりしないところもちょっとあるんですけれども、そこのところをもうちょっと整理して説明を願いたいと思うんです。
 住宅建設絡みのところは、何となくそういうことで、過去からのいろいろなストックもありますから、それからまた今おっしゃったように幾つかの建てかえ的なことも含めて、ある程度具体性のある議論になるわけですけれども、こういった都市の再生ということからした場合に、この新しい独立行政法人はどういう役回りを担っていくのか、そこのところを説明願いたいと思います。
扇国務大臣 住宅のみならず、今、一川議員から新しい都市再生をどのようにしていくかということですけれども、今一番大事なところで、都市再生というもので、先ほど私が二十世紀の負の遺産と言いましたけれども、だったら、二十一世紀の都市というのはどうあるべきかということが言えると思います。
 これから都市の中で一番変わってくるところは、例えば臨海地域でもう大きな工場が全部立ち退いてしまいました。また、海外へ行ってしまいました。その大きな臨海都市の場所を、工場跡地というものをどう利用するか。そのためには、都市に集中している皆さん方に、阪神・淡路大震災の教訓を生かして、安全性のためにその工場跡地の臨海部というものに避難場所をつくろうとかそういうことも含めて、私たちは新たな土地利用というものを考えなければならない。
 例えば、東京も、ごらんいただいたように、あらゆるところでバブルの崩壊で空き地ができております。虫食い状態です。その虫食い状態を、全部その空き地を何とか利用して一カ所にして、そこを緑地なりあるいは避難場所に大きくできないかということも大きな都市再生の問題でございます。もう町をお歩きになったら、東京なんか特にそうでございます。新宿のあたりもそうです。全部虫食い状態です。バブルの崩壊後、何も建たない。小さいものがいっぱいあいている。隣が空き地で物騒で仕方がないという方も大勢いらっしゃいます。
 そういうものを何とか利用して、そういうものが防災上の避難所にできないか、あるいは都市の何かの集合地にできないか。そして、空き家になってあいたままのところも、駅に近いところは何とか託児所に活用できないかとか、商店街でも、あいているところだったら、買い物に来て子供を預かってくれればもっといいじゃないかということで、商店街の空き地も、少なくとも厚生労働省とも相談しながら、託児所がなるべく駅に近いところ。ですから、今度新たに駅ができる、そういう駅舎をつくるときには、その駅舎の中にも託児所をつくりましょう。電車に乗る前に託児所に預けて、そしてお母さん方が電車に乗って仕事に行けるじゃないかというようなことも新たな都市計画の中には全部入れております。
 そういう意味では、民間の活力、例えば高齢化社会と先ほども赤羽議員にも申しました。けれども、高齢化の皆さん方をどういうふうにするかというので、民間の例を、名前を挙げるのは私もどうかと思いますけれども、例えば聖路加レジデンスというのがございます。聖路加病院が高齢者のために、今これは民間ですから高うございますけれども、そこに入ればいつでも聖路加のお医者さんに診てもらえるんですよという聖路加レジデンスというのも、そこに立派なものが建っています。
 そういうふうに、今まで公ではそれぞれの国土交通省とか厚生労働省とかという縦割りになっていて一緒にできなかったものを、これからは、総合的なもので、もっと廉価なもの、一般の人でも入れるようなものを考えていくというのが二十一世紀であろうと思っていますので、それぞれの縦割りの権利の調整をコーディネートするということも大きな一つの新たな試みであろうと私は思っております。
 また、さっき申しました、細分化された土地の集約的な整形化をして、大規模工場跡地等々の整理をして、そして避難場所をつくる。また、関連公共施設の整備もしていく。民間による賃貸住宅建設の支援のための公の敷地を民間にお貸しして、どうぞ五十年、六十年使ってくださいと言って貸すことも今後はやっていく。
 そのように、私は、都市というものをもっと便利に、そして、空き地を死なさないで、生きた土地の活用というものを総合的に考えていきたいと思っております。
一川委員 国民それから都市部に住んでいる皆さん方のいろいろな住宅あるいは都市というものに対する要望なり、またニーズというものは非常に変化してきておりますし、それぞれいろいろな面で多様化してきておるわけでございますけれども、今お話しのように、次代の課題としての例えば少子対策あるいは高齢化対策ということにも資するような都市再生で当然なければならないと思います。
 また、私自身は地方に住んでいる人間でございますけれども、都会に来たときに、やはり一つの環境問題というのが非常に気になりますね。先ほどおっしゃいましたような、そういった環境問題、それから景観の問題ですね。遠景もあれば非常に近くの景観もありますけれども、そういうことも含めた、やはり安らぎを感ずるような、そういう都市空間というものも非常に大事なことではないかと思います。特に、子供さんにこれから我が国をしょって立つような人材になってもらうためにも、そういうすばらしい環境を用意しておくことが非常に大事ではないかというふうに思います。
 ただ、最近東京では非常に高層ビルの建設が目立ってきておりますけれども、これも一つの今の都市再生の流れの中でこういうことが始まっているのかなという感じはいたしますが、じゃ、実際そこに生活する人のことを考えてみた場合、本当にそういった超高層ビルに生活するのがいいのかなという感じも、ちょっと私は個人的には非常に気になるところでございます。
 そこで、大臣がお話しになった中の一つに、民間の力、活力というものを大いにこれから使っていきたいというお話がございました。
 そこのところをもうちょっと具体的にお聞きするわけですけれども、今回の都市再生で、民間の活力というものをできるだけ誘導しながら、そういうものを活用していきたいと。
 もともと民間の方々というのは、これまでのいろいろな蓄積の中でいろいろなノウハウを持っているし、また、当然ながら、いろいろな資金力も弾力性を持たせたものが用意できるというふうに考えますと、民間のそういう力を大いにこの都市再生に発揮してもらおうということは非常に重要なことでございますし、今回の法案の中でも、民間とのいろいろな共同事業化というものも具体的に進めていきたいというような趣旨のこともうたっております。
 今回の都市再生機構という中で、民間の力というもの、活力をどういうふうに具体的に引っ張り出そうとしているのか。従来にない何か新しいものに取り組もうとしているのであれば、そのあたりをちょっと整理して御説明願いたいと思います。
河崎政府参考人 先生ただいま御指摘をされましたように、都市再生を実現する上で、民間の潜在力を最大限に活用していくということが重要でございます。民間にもいろいろな力がついてまいりました。
 しかしながら、事業を実施する場合に、例えば細分化された敷地を活用した都市開発事業ということになりますと、地元の地権者の方々との合意形成に相当な時間を要するといったようなことがございます。また、大規模な工場跡地を取得して都市開発事業を実施するという場合に、じゃ、公共施設が一体どういうタイミングで整備されるのかということが不確実である。あるいは、大規模でございますので事業の立ち上げに時間を要するということで、こういうところではどうも民間だけではなかなかうまくいかない。
 ただ、そういうところを有効活用するという課題は、大変大きくなっているということでございます。そのために機構がいろいろな形で民間を支援しようということでございまして、一つは、調査あるいは計画策定、あるいは地権者との調整といったような形での幅広いコーディネートを行うことによりまして、事業の実施環境を整備していく。それから、民間単独では実施困難な工場跡地の敷地整備、細分化された土地の集約整形化、これは、再開発事業だとかあるいは区画整理事業を実施するということがあろうと思いますが、そういった形でお手伝いをする。それから、関連公共事業も民間の都市再生事業に関連して整備をするということも盛り込んでおります。また、再開発事業における参加組合員制度というのがございますが、これとか特定建築者制度というものを活用して、民間の都市再生事業が完遂するような支援をする。
 いろいろな形での支援あるいは民間との共同化というものを図りまして、民間の活力を引き出し、都市の再生を誘導していきたいというふうに考えているところでございます。
一川委員 それと、こういった都市再生機構、きょうも午前中いろいろな議論の中で幾つかこういったやりとりがあったわけです。これは、独立行政法人にある程度共通したような課題でもあるわけですけれども、独立行政法人化することによって国民にとってどういうメリットがあるのかねというやりとりがちょっとあったと思うんです。
 この都市再生機構という組織に移行することによって、これは今、今日の一つの課題でもありますけれども、行政改革とかあるいは財政再建というような中でこういった物事が動いているわけです。この都市再生機構なるものがある程度定着した段階では、じゃ、具体的に、例えば役職員数の定数がどういうふうに推移していくか。大臣は、何か千人ぐらい削減するというような、一応計画があるというふうなお話をされましたけれども、そういう問題なり、あるいは、今、現時点でも両公団に対して国からの補助金等が入っていると思いますけれども、そういったものが今後どういうふうに推移する見通しなのか。
 また、独立行政法人ということであれば、当然、ある程度自主性を重んじながら、採算性というものを念頭に置いた効率的な運営というのが期待できるわけですけれども、そういった将来の見通しとして、公団全体の、国民にとって、独立行政法人化することによって国民に、いろいろな公的な負担が減りますとか、こういうメリットがありますよというようなことをどのように説明していかれるのか。そのところをもう一回お願いしたいと思います。
河崎政府参考人 今回の改革に当たりましては、業務内容を見直すというほかに、組織の定員、人員の合理化ということも大変大きな重要な課題であるというふうに考えておるところでございます。
 そこで、まず役員についてでございますが、これには法定の定数がございます。現行の都市公団でいいますと、十四人ということになっています。また、地域公団では十二人でございますが、地域公団の十二人というのは工業再配置部門等の別の部門の役員もおられますので、なかなか都市部門で幾らかというのは難しいんですが、仮に五、六人ということにいたしますと、両公団合わせて現在二十人ということになるわけであります。
 これを今回の法律では、当分の間は十六名以内、当分の間というのは、附則で経過措置としてニュータウンの整備等を実施することになっておりますが、それを担当する人が三名おられます。したがって、十六名でございますが、最終的には、経過措置業務が終わった段階で三名の方の削減が行われますので、十三人という形に縮減をされるということになるわけでございます。
 また、職員数につきましては、先ほど先生から御指摘ありました、大臣が午前中答弁申し上げたわけでございますが、整理合理化計画が策定された十三年度の両公団で約五千人おられるわけでございますが、これを設立後最初の五年間の中で千人削減をするというふうに考えているところでございます。
 それから、今回の改革で財政支援というのがどういうことになるのかということでございますが、今回の改革では、民にできるものは民にゆだねるということで、民間の事業機会を創出する、民間の潜在力を最大限に活用するということで、比較的収益の高い部分につきましては、民間の事業者がみずからリスクをとって事業を進めるというふうな形になりますので、今度の法人はより公的な色彩が非常に強まってまいります。
 したがって、具体的な仕事としては、密集市街地の整備とか、あるいは大規模な工場跡地の土地利用転換といった、長期の時間を要する、あるいは収益性が余り高くないというふうなものでございますので、これらを着実に実施していくためには、やはり公的役割に応じたそれなりの出資金なり補助金といった国費投入というのは必要であるというふうに考えております。
 これは、あくまで、公共性の高い事業を実施するという観点でのものでございまして、単に赤字だから経営支援するというようなものではないということでございます。
 一方で、これまでの業務の見直しの中で、ニュータウン事業でありますとか、賃貸住宅の建物の部分は民間にゆだねるといったような形で見直しが行われましたので、それに関連する補助金の削減とか、あるいは金利が非常に低下している中で賃貸住宅に係る補給金が減ってきておりますが、これも引き続き減少するという国費投入の減少の要素もあるわけでございます。
 したがって、今後、こうした限られた財政支援の中で、最大限の都市再生の実を上げるように、経営の合理化、効率化に一層努力をする、それによって国民の皆さんに理解をしていただくということが必要であるというふうに考えているところでございます。
一川委員 国民の皆さん方にも、こういう改革によってこういうメリットがあるんだぞというようなことがわかりやすい状態にぜひしておいていただきたいな、そのように思っております。
 大臣にちょっと最後にお聞きするわけですけれども、地域振興整備公団は主に地方都市関係を今まで担当してきたと思います。これで都市再生機構も、当然ながらこれから地方都市も対象範囲に入れながら整備をされていくというふうになろうと思うんですけれども、この法律では地域社会の中心的な都市というような言い方をされておりますが、これからこの新しい組織の中で、地方都市というものをどういった範囲までカバーして整備していこうというおつもりなのか、そのあたりの基本的なお考えを確認しておきたいと思います。
扇国務大臣 都市再生という言葉で誤解されては困るんですけれども、その都市に規模のかかわりというのはないんですね。人数とかあるいは規模とかそういうもので都市と定義づけるのではなくて、小泉総理のお言葉をかりれば、稚内から石垣までとおっしゃったんです。
 ですから、稚内から石垣までという言葉に言われるように、地方の都市は地方なりの都市のよさ、あるいは大都市は大都市なりのよさと欠陥、そういうものがあるので、都市再生という言葉の中に、ここはという規模の大きさの指定はございません。全国どこでも都市たり得る、また都市再生に適合するというふうに御理解いただくべきであろうと思うし、また私たちもそういうつもりでおります。
 そこで、私が、今までの二十世紀は均衡ある国土の発展を目標に追いつけ追い越せでやってきたけれども、二十一世紀は個性ある都市というものの発展と言っておりますのは、それぞれの都市が、田舎と言われる、言葉で言えば田舎ですけれども、そこにはそこに行かなければならないよさがあるわけですから、それもある意味では都市である。そういう考え方で、大都市もあるいは地方都市も全部ひっくるめて、日本の都市というものがどうあるべきかということを含めて私たちは申し上げ、また、その感覚の中に、日本の全土の二十一世紀型に、住みやすい、そして安心して住めるまちづくりということの基本を失わないでおこうと思っております。
一川委員 終わります。ありがとうございました。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 質問いたします。
 前回の改正で、法律の名称から住宅の文字が削られました。今回の改正では、目的を見ますと、これまで「賃貸住宅の供給及び管理に関する業務」とあったのに、「賃貸住宅の供給の支援に関する業務」、このようになっております。供給が供給支援に変わっております。
 これは、新たな法人はみずから賃貸住宅を供給しないということでしょうか、まずお聞きします。
松野政府参考人 特殊法人の整理合理化計画におきまして、都市再生機構は、みずから土地を取得して行う賃貸住宅の新たな建設は行わないというふうにされたところでございます。
 これは、民間にできることは民間にゆだねるという今回の行政改革の基本方針に従ったものでございますが、大都市地域におきます良質な賃貸住宅の供給の必要性がなくなったわけではないわけでして、これを民間にお願いをして、民間による良質な賃貸住宅の供給を促進する、それを支援するという形で再生機構の役割があるというふうに考えたわけでございます。機構が敷地を整備し、その提供を行うことで民間事業者に対する支援を行うということにしたわけでございます。
 民間事業者による賃貸住宅供給を誘導するよう力を尽くして募集したにもかかわらず、どうしてもその場所で民間事業者の応募がないというときに、極めて限定的、例外的ではありますが、機構みずからが賃貸住宅を建設することもあり得るというふうには考えております。
瀬古委員 原則撤退だけれども、どうしても民間が誘導できない場合はみずからやるということもあり得るということですね。
 今お話がありましたように、民間でやれることは民間にゆだねるというのが小泉内閣の基本方針だ。今現在、民間ではファミリー向けの賃貸住宅をなかなか供給できないという現状があります。また、高齢者やひとり暮らし、特に女性の入居が拒否される、こういうケースもございます。結局、そういう民でやれないものを公団が公的に扱ってきた、こういう側面がございます。それを今回なぜ民でやれるようになるのか。民でやるということは、一定のもうけのうまみというものがなければ民はやらないわけですね。
 そこで伺いますけれども、公団の賃貸住宅部門の営業利益、賃貸住宅の管理収入と賃貸住宅の管理費、諸費の差額、つまり賃貸住宅の管理部門の利益はどのようになっているでしょうか。
西川参考人 お答えいたします。
 公団の事業と申しますのは借入金で行っておりますので、事業と利息の支払い、このものは切っても切れない関係にございます。したがいまして、公団の損益計算におきましては営業利益という区分は設けておりませんけれども、一般に言われます営業利益という考え方をもとに、平成十三年度におきます賃貸住宅の営業利益を試算いたしますと、おおむね二千七百七十八億円ということになります。
瀬古委員 二千七百七十八億円利益を出しているわけですね。もともと公団の本業の営業利益はほぼ三千億円を維持していまして、これは本業が安定しているということを示すものでございます。
 事業部門ごとに見てみますと、営業利益の九〇%以上が賃貸住宅の管理部門の収益によって賄われております。ところが、公団全体の経常損益は、九六年度に七十三億円、赤字が出ております。九七年には二百三十七億円、二〇〇二年度にも二百九億円と大幅に赤字がどんどん拡大し続けているんですね。
 なぜこのような赤字が拡大しているんでしょうか。その原因についてどのように認識されておりますか。
西川参考人 経常利益と申しますのは、営業利益の次にございます特別損益を加算、減算いたしまして計算されるものでございます。近年、マイナスとなっておりますけれども、これは主に、住宅宅地等の販売におきまして譲渡損が発生していることに起因しているものでございます。
 なお、公団におきましては、このような譲渡差損に備えまして、過去非常に利益を計上した時期に、その損が発生するために備えまして準備金というものを計上しておりまして、その準備金を取り崩してこれに対応しておるということでございます。いわゆる特別損益で準備金を取り崩して、収支はおおむねとんとんになってきておるということでございます。
瀬古委員 賃貸住宅の管理部門の収益の中心に、営業利益は大体三千億以上の利益を上げているわけですけれども、経常利益がマイナスになっているのは、さっき譲渡差損という問題を出されましたが、つまり、財投で借金をして土地を買う、そしてどんどんそれを開発していく。ところが、実際にはうまくそれが売れない、また安い値段で売らざるを得ない。そういうための莫大な支払い利息などで、特に巨額の営業外費用、毎年大体三千四百億円ぐらいの水準で利子負担を行っている、こういうことじゃないでしょうか。
西川参考人 ただいま申し上げましたように、営業利益と経常損益の差額は金利でございます。ただし、我々、事業をやっておりますのは、借入金によって事業をやっておりますから、借入金利というものと事業というものは切り離せない。民間企業におきましては、営業利益と営業外損益というのがございますけれども、営業外損益で利子というものを計上しておりますけれども、公団経営におきましては、全額が借り入れで事業をやっておりますから、事業の損益といった場合に、営業損益で見るのが妥当なのかどうかという疑問はございます。
 そういう意味で、経常損益ベースでごらんいただくのがよろしいかというふうに考えまして、金利があるから赤字になっているとか損になっているとかという概念と、ちょっと先生がおっしゃったことと私どもの説明したこととそごがあるかと思います。
瀬古委員 なぜ私が賃貸部門と開発部門と分けて言うかといいますと、これからの新しい新法人が賃貸部門は供給をもうこれからやりませんよ、そして一方では、またお金を借りて開発部門をどんどんやりますよ、こういう仕組みをやろうとしているから、あえて私がこの経理の分け方を言ったわけなんですね。
 そうしますと、単純に見まして、公団と新法人は、利益をある意味では生み出している賃貸住宅の建設から手を引く、そして、多額の営業外損失を発生させる、ある意味では借金をして土地を開発するというやり方ですね。そしてそのために利息を払っていかなきゃならない、その利息がどんどんふえている、こういうやり方にきちんとやはりメスを入れなきゃならないんじゃないかと思うんです。
 ですから、そういう点でいえば、逆に、今、ある意味では十分利益を生み出している賃貸住宅をもっと引き続きやり、そして、莫大な利息を払わなきゃならない、借金しなきゃならない、こういう問題についてメスを入れる、こういう方向をやらなきゃいかぬのに、全く逆方向をこれから進もうとされているんじゃないですか、いかがでしょうか。大臣、どうですか。
扇国務大臣 公団が来ていますから、公団の会計だから公団がお答えするんだと思っておりましたけれども……。
 私は、基本的に、今、瀬古議員がおっしゃることは逆だと思います。
 もうかるものは民間がやっていいんです。もうからないから国がやって公共で今まで提供してきたんです。これは住宅ローンもそうですし、この賃貸住宅もそうです。ただ、利益が賃貸で上がっているとおっしゃいますけれども、今、低金利になったから利益が上がっているんです。だけれども、都市基盤整備公団は高金利のときに借りているんですね。けれども、今は低金利になっていますから、賃貸では黒字になっているんです。ですから、黒字だからこそ民間がやるというのは当然のことなんで、もうからないものを民間はだれも手を挙げませんから。
瀬古委員 民間でやれることは民間にゆだねるというのだけれども、では、今回の仕組みはどういう仕組みになっているかというと、例えば民間賃貸住宅供給支援事業という形で今回展開されていくわけなんですが、実際には民間でやる開発について国が援助していくわけですね。本来なら、もうかる部門なら別に援助しなくても民間が自分でやればいいんです。それを今まで民間が嫌だといって、国民の税金を使って公でやってきて、そして確保して、それなりの健全な経営をやってきた。
 ところが、そのもうかる部門を民間にやるために、どんどん民間に援助までしておぜん立てして、どうぞもうけてください、こんなやり方が本当に民間でやれることは民間でと言えるのか。本来、民間でやれないことを公がやらなきゃならないことを、もう至れり尽くせりやって、どうぞもうけてくださいという、もうけを新たに拡大することではないのかと私は率直に思うんですね。
 そこで、具体的に質問いたします。
 実は私、先日、私の地元でございます名古屋市の千種区にあります都市基盤整備公団が買い取って整備中のサッポロビールの工場跡地を見てまいりました。
 その中に賃貸住宅敷地があるわけなんですが、この民間賃貸住宅供給支援制度を適用して、民間では経営ベースに乗りにくいファミリー向けの賃貸住宅を、新法人が整備した敷地を民間事業者に貸す、一定規模の住宅会社に貸すわけです。賃貸して、そして民間事業者が住宅を建設して、オーナーとなって供給し、管理運営を行う、こういう仕組みになっているわけです。
 地代はどれだけかというと、地価の二%程度、ただ同然ですね。土地代に至っては、国から二五%、約四分の一の出資がされるわけです。
 民間の住宅会社は、国や公団や新たな法人が土地代とその整備に要した費用を負担するために、今まで経営ベースに乗らなかったものがうまく乗れるようになる、収益を上げることができるようになるわけです。
 そうすると、今まで公団が建物をつくり、居住者から家賃をもらう、こういう公共的な住宅だから土地整備などで国がちゃんとお金を出す、こういうことだったのに、民間のために、民間でやるなら自分でやればいいのに、わざわざ国が莫大なお金をつぎ込んで、何でこんな税金をつぎ込んで民間にもうけさせる理由があるんでしょうか。それはいかがですか、大臣。
扇国務大臣 瀬古先生が今おっしゃっていることで、基本的に、土地を取得した場合に、土地を取得したコスト、それによって家賃で回収できるというふうにお考えだろうと思うんですけれども、それが違うんですね。
 それは、単身の賃貸だったら、建ててそこで家賃でできるんですけれども、先ほど申しましたように、中堅ファミリー、いわゆる家族向けのものをつくった場合には、取得した土地の場合、この取得コストとそれから賃貸したファミリー向けの、大きくなれば大きくなるほど、これはやりくりができません。わかりますか。(瀬古委員「全体でできているんですよ、やりくりが」と呼ぶ)いやいや、できないんです。
 それはワンルームだったら、数が多くなるからペイするんです。けれども、中堅ファミリーの子供を持っている皆さん方に、少しでも民間のできないところをしようといって中堅ファミリーの皆さん方に貸して、それを多くすれば多くするほど戸数が少なくなりますから、一般より安い家賃を取っているのでペイするわけがない。
 ですから、今おっしゃった中で基本的に違うことは、まず、土地を取得した場合に、土地の取得をしたコストを家賃で回収することが難しいということだけは御理解をいただきたい。ですから、そこを国が持っているものをお貸しして、しかも、おっしゃったように二五%、五十年間の賃貸で民間に土地を貸して、そこに建てるということに関しては民間で十分できるんです。だから土地が、今言ったように五十年間、二五%の土地代で貸したら、それはペイするんです。けれども、その土地を民間が買い取って建てたら、これはまるっきりペイしません。
瀬古委員 そんなことは言われなくてもわかっていることなんですね。
 実際には、だから、なぜ公で、国の税金で、今まで公団の用地についてもその開発についても国が税金を出しているのかというと、それはあくまでも公共用地としてあるから国民も一定のお金を出すことに納得するわけですよ。しかし今回は、ペイできる、もうかるというために何で国民の税金をつぎ込むのかという率直な疑問なんですね。
 だから、民でやれることは民でというんだけれども、そんなのはもう、おぜん立てしてもうかるような仕組みをつくって、どうぞ民でやってください、だれだってやりたいわけですね。こういうごまかしにもほどがあるというふうに私は思うんですね。
 それだけじゃありません。今度のこの敷地の問題でいうと、民間事業者である限り、採算がとれない、もうけにならないという場合は、撤退するということだってあり得るわけなんですね。
 私はこのサッポロの跡地を見てきてびっくりしたんですが、大半が、大きな部分がスーパーの敷地になっているんですが、これも借地です。スーパーなんか、もうからなかったらすぐ撤退するわけですね。そうすると後はどうなるんだ、もう新法人はこれを抱えてうろうろしなければならない、こういう事態にもなりかねない。
 それから、例えば事業者が違うところを経営して倒産するということがあるわけですね。そうしたら、その賃貸住宅はどうなっていくのかという問題だって出てまいります。それから管理の問題でも、民間委託という形が今後やられるということになりますと、やはり効率性とか採算性、こういうものが最優先されるんじゃないかという点で、住民の皆さんの不安もある。それから、これはもう採算が合わないなと思えば一定の家賃を上げる、改定が自由にできる、こういうことだって残されているんじゃないかと思うんです。
 そういう点では、団地住民にとっても居住の安定性がこれによって大変脅かされる、不利益が生まれる可能性があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
那珂参考人 御指摘の民間供給支援型賃貸住宅制度は、実は、現公団におきまして平成十四年度から初めて制度化されまして、十四年度、十五年度と新機構に移行する以前から、現公団としても事業を開始しているものでございます。
 その事業の事例から今先生お尋ねの点につきまして御説明申し上げますと、この制度の、まず民間事業者の募集の際に、その民間事業者の経営能力とかあるいは賃貸住宅の経営経験とか資力、そういうようなものを審査いたしますし、あわせて、そのときに、借りてもらった敷地でどういう賃貸住宅を経営し、どんな維持管理計画を立てるかということも審査いたします。
 それで、決定された場合には、さらに、その決定された民間事業者の提出された維持管理計画というものは私どもとの契約の一部になりますので、当然、これに沿った適正な維持管理がなされるものと思います。その中で、今おっしゃったような家賃の問題とか維持管理水準の問題とか、これも一定のマーケットの力をかりながら、一定の範囲内におさまっていくものと思います。
 万が一、先生の御指摘、例に挙げられましたように、その民間事業者が倒産などの危機で賃貸事業の継続が難しくなったというような場合についても契約上明記してございまして、公団、今度は新機構ですが、新機構の承諾を得た上で、他のそういう賃貸事業ができる適切な民間事業者にその住宅を譲渡していただくという条件になっております。その際にも、当然私ども地主としても、そういうスムーズな引き継ぎができるように努力するつもりでございます。
 予想されない問題が絶対ないとは申し上げられませんが、総じて、この新しい民間供給支援型制度によって、民間によるファミリー向けの賃貸住宅供給が何とか物になっていくんではないかということで、私どもも期待を込めつつ努力してまいりたいと思います。
瀬古委員 これが大変問題があるというのは、もともと森ビルとトヨタがこの土地を何とかしようと思って、これはもうからないといって撤退したところなんですね。それを公団が買って、それも全部賃貸ですよ。これは、その土地を売ってしまうのなら、後はそこの責任でというんだけれども、賃貸ですから、いつでも撤退できる、こういう形になるわけですね。
 それから住宅の家賃の問題も、まあ、それなりになるというんだけれども、今の公団の場合だったら不十分だと私は思うんです。例えば、先ほどから出ております近傍家賃の問題でも、高過ぎて本当に公団に住み続けられない、もっと家賃を下げてもらいたい、もっと住民の要求を聞いてほしいという声がいっぱいですね。家賃が払えなくてもう強制的に退去させられる、こういう人たちもふえている。
 こういう状況の中で、不十分ですけれども、少なくとも、公団でいえば居住者の代表と話し合って家賃の問題をどうするかということをいろいろできたわけですよ。今回だけ、何とかやっていただけるだろうみたいな程度で、本当にそこの居住者の声がどのように反映されるのか。
 今回、第三者機関である運営委員会も廃止するわけでしょう。評価委員会に住民の代表を入れるわけじゃないでしょう。どこにきちんとした住民の声が反映できるという保証があるんでしょうか。いかがですか。
那珂参考人 通常、市場において民間が賃貸住宅を経営する際には、当然、お客様である居住者のいろいろな要望に適宜こたえていくというのが常識だと思うんです。
 今、例えば家賃のことで御懸念をして御指摘されましたけれども、こういうような場合でも、家賃を目先のもうけのためにいたずらに引き上げるようなことをすれば、それは直ちに空き家となって当該民間事業者の賃貸事業経営にすぐ反映されますので、そういう行動は常識ではとらないと思うんです。
 したがって、先生おっしゃるように、絶対どんな場合でもそういうことはないかと言われると、いろいろなことが予想されるかもしれませんが、しかし、総じて、そういうマーケットにおける民間賃貸住宅経営というものの健全な発展を促すことの方が、全体として適切なファミリー向け賃貸住宅の量が供給され、確保されることにつながるのではないかと存じます。
瀬古委員 高い家賃を設定した場合には、空き家になってしまって事業者が運営できない。運営できなくたって、これは賃貸ですから、新機構から借りているから、さっさと撤退すればいい話になってしまうわけですね。ですから、全く無責任になってしまうということを指摘して、時間がないので次に行きます。
 次に、土地有効利用事業の問題なんですけれども、この事業は、住宅の宅地と違いまして、確実に売却しなきゃならない事業なんですね。その実績は面積で八%と、ほとんど進んでいない。残された土地が今後確実に売却される見込みはあるんでしょうか。いかがですか。
那珂参考人 土地有効利用事業につきましては、平成十年度の総合経済対策に基づきまして、土地の流動化と土地の有効利用に資する官民共同のまちづくりを推進するということで、初年度三千億円、出資金が二千億円、財投資金が一千億円の予算措置をもって創設されたものでございます。以降、今日まで五千億円強の予算措置がされておりますが、取得した土地につきましては、百十五地区、百十四ヘクタール、約三千三百億程度でございます。
 また、譲渡をしましたのは、これは今申し上げましたように、平成十年の七月から始めまして、いろいろの土地の整形集約化、あるいは街区の再編化等を進めて、利用できる形にして民間等に譲渡するわけですが、それが、最初に譲渡をし始めたのが平成十二年度からでございます。十二、十三、十四ということで、四十八地区、九ヘクタールの譲渡をいたしております。
 ほかの既に取得した残りの土地につきましても、鋭意周辺との一体化、共同化による敷地の整序、再開発、区画整理などのコーディネートなどもしまして、やはり規模が大きいし、すぐには譲渡できませんけれども、今後ともその整形、集約化に鋭意努めて……
河合委員長 傍聴の方に申し上げます。
 御発言なさらないようにお願いいたします。
那珂参考人 完成土地を順次、土地譲渡をしていきたいと思います。
瀬古委員 まだ始まったところだからと。では、見通しがあるのか。実際には、大企業の遊休土地などの不良債権をどんどん買っているんですね。
 具体的にお聞きします。
 名古屋市の西区の東芝工場跡を見てきました。土壌、地下水汚染で問題になっている土地なんですね。今なお、地下水の汚染では、これはシス1・2ジクロロエチレンという物質ですけれども、何と基準の五百倍なんですよ。この土地を買っちゃったわけね。まだ検査途中なんですね。これ、浄化するにはまだ平成二十二年までかかる。こんな土地を買っていいのか。こんな土地を分譲で売るというんですから、だれが考えてもおかしいわけですね。
 こういう土地が売れなかったら、一体だれが責任をとるのかという問題なんですね。こういうものが、実は、例えば幾つかあるわけですね。こういうようなやり方で、ますます借金の返済ができなくて、財政悪化を招くようなこと、これから、今からやりますというから、どんどんこの事業がふえていったらどうなるのかと私は大変心配しています。
 そこで、時間がないんですけれども、本来なら私は、東芝はこの地域で、長い間ここで工場を経営していたわけですね。それが突然撤退するということになって、そうしたら地下水汚染や土壌汚染がもういっぱい、ひどいということになって、そうしたら、少なくともその土地が浄化して、最終的に東芝が責任を持つということになっても、あと半分ぐらいや大半は、さっき大臣も言われたように、緑地とか避難地として、東芝は、申しわけない、地元の皆さんにも御迷惑かけた、できたら提供しましょうぐらいの大企業の責任があってもいいと思うのに、これ、まだ五百倍近いところを買っちゃうわけですね。一体どうするんですか。一体どれぐらいで買ったんですか、かなり買いたたいて買ったんですか。
那珂参考人 最初に、土壌汚染の状況の、そのまま買ってしまったのではないかというようなお尋ねだったので若干説明させていただきますが、土地有効利用事業におきましては、原則、土壌汚染対策が必要な土地につきましては、売り主によって処理した上で取得するということとしております。
 御指摘のこの東芝の名西地区の工場につきましても、十三年四月の段階までに土壌また地下水汚染対策が行われたということをもって取得したわけでございます。
 確かに、土壌汚染対策の一つの中で、今先生御指摘のシス1・2ジクロロエチレンにつきましては、後十年程度、基準内におさまるまでの時間経過が必要だという指摘が市の報告に載っておりますけれども、一応それでも、そのとき、きちっと確実に基準値を下回るというふうに報告されておりますので、取得したわけでございます。
 こういう土壌汚染対策が必要だからということではなくて、こういう大規模な、特に大規模な工場跡地等の土地の取得につきましては、これも一般論でございますが、これの事業化までの時間が相当かかりますので、当然その間のリスクというものは存分に見て、私どもが過度なリスクを負担しないように取得に心がけているつもりでございます。
 なお、この当該東芝の名西地区につきましては、取得が十四年三月でございます。約一年たっておりますが、本年度中には土地を譲渡すべく、第一回目の公募にこぎつけたいと思っております。
瀬古委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、実際にどれだけの値段で買ったかということも公表しないわけですよ。一体、高く膨大な値段を吹っかけられて買ったのか、買いたたいたのかもわからない。そして、こういう不良土地と言われる不良債権をどんどん買っていくと一体どうなっていくのかという問題なんですね。
 私は、今回の法案は、国が住宅供給政策から全面的に撤退して、都市再生という名で個別大企業を救済する、支援する、そして損失がない、保証した上で民間開発企業へ新たなもうけ口を確保する仕組みづくりだ、このことを指摘して、質問を終わります。
 以上です。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 前回の住宅金融公庫の審議から、きょうの一日の審議を聞いていて思ったことなんですが、この都市再生機構や住宅金融公庫の審議の前に、やはり住宅政策というものについてちゃんと審議をしておくことが必要だったのではないかということを強く思いました。
 ことしの三月に行われました社会資本整備重点計画法の審議の中で、これは大谷委員の質問に、三沢総合政策局長が住宅建設計画法について答弁をなさっておりまして、三沢局長は、現行の住宅建設計画法というものを基本的に見直さなきゃいけないということを答弁しています。
 現行法では、公的資金による住宅として、都市基盤整備公団事業、住宅金融公庫による事業、補助金や貸付金の財政援助などが定義されておりますが、現在国が進めている第八次住宅建設五カ年計画もそのもとの住宅建設計画法に位置づけられていて、この考え方も見直して、中央集権的に国が補助金の額とか事業量をもとに都道府県と住宅政策を調整し合っていくのではなくて、財源とともに地方に任せるという考え方に変えていくべきではないかと思うのですが、この点、国土交通省としていかがお考えか、お聞きをしたいと思います。
松野政府参考人 住宅建設五カ年計画、現行の五カ年計画の体系でございますが、これは、まず都道府県知事が市町村長の意見を聞いて作成いたしました資料をもととして閣議決定される全国レベルの住宅建設五カ年計画というものがございます。それから、国土交通大臣が全国レベルの計画に基づいて作成いたしますブロック別、都道府県のレベルよりもう少し広域ですが、ブロックレベルの地方住宅建設五カ年計画というのがございます。また、地方住宅建設五カ年計画のもと、都道府県知事が作成いたします都道府県住宅建設五カ年計画という三つのレベルの計画から成っております。この体系のもとで、各種事業が行われているということでございます。
 この五カ年計画につきましては、住宅建設計画法という根拠法がございます。これは昭和四十一年の制定でございます。四十年弱が経過しております。そういう意味で、当時と多少、今の住宅の状況、当時はまだ住宅不足がかなりあったという状況でございますが、そういう状況がかなり変わってきている。むしろ新規建設ということだけではなく、全体のストック活用という考え方が重要となってきております。地方分権あるいは市場重視というような時代の要請に的確に対応していく必要があるということで、これもやはり見直しが必要な時期に来ているということは確かだと考えております。
 このために、住宅政策のあり方について、住宅事情の変化あるいは社会経済情勢の変化を踏まえまして、二十一世紀の住宅政策としてふさわしいものとなるように、我が省の社会資本整備審議会というのがございます、この中に住宅宅地分科会というものがございますが、この中に企画部会を設置いたしまして、二十一世紀の住宅政策はどうあるべきかということを御検討いただいているところでございます。この検討結果を踏まえて今後対処してまいりたいと考えております。
原委員 ありがとうございます。
 もう一つ、過去の審議の中から住宅政策の流れとしてお聞きをしたいことがあります。
 九七年当時のことなんですが、当時は亀井静香建設大臣だったそうで、衆議院の本会議で、都市基盤整備公団の前身である住宅・都市整備公団の問題、これは菅直人議員の御質問に対して、このように答弁をしておりまして、その一つ目が分譲住宅は完全に撤退、二つ目が賃貸住宅は非常に限られた事業を行うが撤退の方針、三つ目が都市再開発あるいは市街地再開発に向けて取り組むということを答弁しています。
 必ずしもこの考え方に賛成するというわけではないんですけれども、このときに、この九七年当時に亀井元大臣が撤退すべきであるとしたものの中には、土地を先行取得してしまっていた、あるいは逆に計画はあるが用地買収ができていないなど、さまざまな理由でまだ認可されていない事業が今でも生き残っていて、これからも継続していくつもりであるということが事前にいただいた資料等でわかりました。
 これらの中には不良資産となったものも多数あるはずで、本来はこうした事業を明らかにしていくことが重要であると思っておりまして、赤字になっている部分のことに関しても、ちゃんと情報を出してほしいとお願いしたんですが、大臣官房の総務課長などにもお願いをしたんですが、出せないということを言われてしまいました。
 その赤字事業に関して情報が公開されなかったのは、実は、私というか国会だけではなくて、内閣府の行革事務局も同じようでして、平成十三年八月に発表をした個別事業見直しの考えの中では、都市公団について、市街地整備改善事業についても、鉄道事業についても、分譲住宅事業についても、採算性の現状及び見通しについて、情報公開すべきであるということが提案をされています。
 そこで、確認をさせていただきたいのですが、市街地整備改善事業、鉄道事業、分譲住宅事業について、平成十三年八月の時点で行革の事務局でさえもそれらの事業や採算性の見通しについて情報が公開されていなかったということは事実であったかどうかということを内閣官房に確認をさせていただきたいと思います。
根本副大臣 ただいまの委員の御質問に対してお答えしたいと思います。
 まず初めに、今回の特殊法人改革の意義、目的から多少触れさせていただきたいと思います。
 特殊法人については、従来から、業務運営が効率的ではないのではないか、透明性を欠くのではないか、あるいは組織、業務の自己増殖をするのではないか、こういった問題と弊害が指摘されてきたところであります。
 このような特殊法人の弊害を踏まえまして、今回の特殊法人の抜本改革をやったわけですが、今回の特殊法人改革では、百六十三のすべての特殊法人等について、単に法人の組織形態の見直しにとどまらずに、ゼロベースからの事業の徹底的な見直し、そして透明性の向上など中身の改革を目指したところであります。
 今委員御指摘の、平成十三年八月に行政改革推進事務局が公表いたしました「特殊法人等の個別事業見直しの考え方」についてでありますが、この十三年八月に出しました見直しの考え方、これは特殊法人等整理合理化計画に至るまでの検討過程の話で、この特殊法人等整理合理化計画、これは平成十三年十二月に閣議決定をして、具体的な特殊法人の組織の見直しをまとめたものでありますが、その検討の過程で、事務局が各法人の個別事業に関して具体的な問題点などを指摘し、それに対する主務省の考え方や対処方針をまとめたものであります。つまり、そういう位置づけにあるということであります。
 具体的な話になりますが、特殊法人改革につきましては、事業の透明性を高め、広く国民の理解を得ていく、これが非常に重要でありますので、そこで、都市基盤整備公団の市街地整備改善事業、鉄道事業、分譲事業、これについても、実は従来から公団独自の財務諸表は公表されておりましたが、一層積極的な情報開示を行う観点、つまり透明性を高めるという観点から、改めて、採算性の現状及び見通しについて情報公開するということを指摘したものであります。
原委員 もちろん、一層の情報公開で透明性を持たせていくことは非常に大切だと思っていますが、やはり個別の事業というものもしっかりと明らかにしていくべきだと私は思っておりまして、午前中の審議にも幾つか名前が出ておりました、多摩ニュータウンとか千葉のニュータウンとか、こうした個別の事業が抱えている問題に関してもしっかりと情報公開を内閣としてさせて、問題点を明らかにしていくという姿勢をとっていっていただきたいと思っています。
 個別具体事業の問題というものを放置したままでは、改革をやっているという言葉だけでやはり終わってしまうと私は思っていますので、ぜひもう一度、もうちょっと積極的な答弁をいただきたいと思っておるんですが、行政改革ということをおっしゃるのであれば、私は、ぜひ内閣として責任を持って、赤字の事業がどれぐらいあるのか、どういうふうに見直していかなくちゃいけないのかという、言ってしまえば都合の悪いような情報もしっかりと情報公開させるというおつもりはあるのかどうか、お考えはあるか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
根本副大臣 ただいま申し上げましたように、この十三年八月の指摘は、最終的に平成十三年十二月に特殊法人等整理合理化計画で、要は、徹底的な事業の見直しをした上で、そして、具体的な組織形態のあり方まで計画としてまとめたものでありまして、その過程での個別事業の問題点ということで指摘したものであります。
 ですから、私が申し上げましたように、大事なのは透明性をいかに確保するか、情報公開をより一層推進する必要があるという点で指摘したことでありまして、都市基盤整備公団の市街地整備改善事業、鉄道事業、分譲住宅事業、この事業についてきちんと情報公開しなさい、こういうことを指摘したということであります。
原委員 それでは、その指摘の中に、ぜひこれからは赤字の事業がどれぐらいあるのかということもしっかりと情報公開するようにしていっていただきたいと思います。なかなか私が言っても出てこないところなので、内閣として言っていただきたいと思います。
 次に、財務省にきょうは来ていただいているので、この情報公開という観点から財務省にお尋ねをしたいんですが、こうした情報を開示していないという姿勢は財務省の理財局に対しても同じような状態であるということが、事前にいろいろとお話を聞いていたりレクを受けたりしていてわかりました。
 財務省の理財局では、財政投融資の対象事業に対して、平成十一年度から政策コスト分析というものを行っていると聞いています。このことは、私は非常に評価できると思います。
 これまでだれも把握していないと言われていた財政投融資の全体像を解明していこうという財務省の努力というものは、非常に頑張っているなと思うのですが、この政策コスト分析を行った理財局でさえも、現在、赤字を出している事業名やその赤字額など、個別の事業についての現状を把握していないということをお聞きしたんですが、このことは事実でしょうか。
田中大臣政務官 お答えをいたします。
 財政投融資は、委員も御存じのとおりでございますけれども、政府が行う財政活動のうち、一定の政策目的を実現していく上で、有償資金のみで対応できる分野及び有償資金と租税財源を組み合わせて対応する分野に対して、民間では十分に供給することのできない長期固定の資金を国会の議決に基づいて行うというものでございます。
 このように、財政投融資の対象事業には、有償資金に貸し付け、これを金利を付して回収するという金融的手法が用いられるとともに、その事業に対して、政策目的に応じ、補助金等が投入されることがあります。
 委員もよく御説明を聞かれたというお話でございますけれども、そういう中で、政策コスト分析は、このような財投を活用している事業の実施に伴いまして、国の一般会計あるいは特別会計等から将来にわたって投入される補助金等の額の現在価値を政策コストとして各機関が試算するものでございます。
 これによりまして、財政投融資の対象事業の実施による将来の国民負担がどの程度になるかがあらかじめ明らかになってくるわけでございます。財政投融資の透明性を高めるとともに、事業実施主体が分析を通じて事業のあり方を見直すなどの効果が期待される、こういうことでございます。
 この政策コストの分析を計算するに当たりまして、財投機関の現在の財務状況を前提としつつ、将来の事業に関して、一定の前提条件のもとでキャッシュフロー等を試算いたしまして、これに基づいて、将来にわたって投入される補助金等の額を試算してまいります。したがって、お尋ねの、現時点で赤字が発生している場合、それは政策コストの分析の中に織り込まれるかということになりますと、その部分については当然織り込まれるということになるわけでございます。
 ただ、さらにお尋ねがございました、この分析は財投の対象としている事業全体について将来の国民負担がどの程度となるかをディスクローズするものでございまして、各機関が実施している個々の事業、すなわちプロジェクトごとの政策コストについては試算をしておらない、こういう状況にございますので、一応御答弁をさせていただきます。
原委員 済みません、私の聞き方が悪かったのかなと思うんですが、私が聞きたい点をもう一度お尋ねするので、私が今からお聞きすることを把握しているか、していないかでお答えいただけると、私もちょっとわかりやすいので、お願いします。
 理財局でも、現在、公団が行っている事業で赤字を出している事業名やその赤字額など、個別の事業についての現状、全体ではなくて個々個別の事業についての赤字事業とか幾ら赤字額があるのかということの現状を把握なさっているか、なさっていないかということを教えてください。
田中大臣政務官 ただいま御答弁をさせていただいたとおり、これは個別の事業、個々のプロジェクトについての分析をする仕事ではございません。そのようにお答えをしたとおりでございます。
原委員 そうすると、先ほどの御答弁だと、要するに政策コストとは、事業が終了するまでに政府から投入される資金や補助金が幾らであるということ、補助金が幾らかかっていくかということで、そしてその中で政策コストを出していくと国民の負担がどれぐらいになるか明らかになってくる、そうした中で事業の見直しをする効果の期待があるということが先ほどの御答弁にあったと思うんですが、もし、その国民負担がどれぐらいかかるかということが明らかになってくるとか、事業の見直しをする効果への期待が持たれているということであれば、赤字事業というものを分析に入れていないとすると、本当にこの政策コスト分析が有効なのかどうかということに、私はちょっと今疑問を持つのであります。
 先ほど、赤字事業、個別の事業を対象にするものではないというお答えだったんですが、だとすると、この政策コスト分析というものは、組織改革とか財投改革の点からどのように有効なものであるとお考えになっているか、御説明をお願いします。
田中大臣政務官 先ほどもお答えをしましたけれども、この政策コスト分析というのは、政策コスト分析では全体の把握ということに最重点を置いて行っているわけでございますね。
 それで、今お尋ねの有効性についてでございますけれども、これを財政融資の償還確実性の確認に活用するとともに、財投対象事業の実施による将来の国民負担がどの程度となるかをあらかじめ明らかにする、政策コストの分析結果、その事業の実施に伴う社会経済的な便益についても明らかにする、当然、その事業についての検討材料になるというものでございまして、おわかりと思います。
 このように、政策コストの分析手法の導入は、財政投融資の透明性を高める等の効果が期待されるとともに、特殊法人改革に資するものでございまして、財政投融資改革の柱の一つと、これは新しい手法として非常に有効性が十分ある、私はこのように思っております。
 ただ、総合的なことでございまして、今委員のおっしゃっている個別的な一つ一つの細かい部分の赤字をどうだこうだというものでないということをひとつ御理解いただきたいと思います。
原委員 それでは、先ほどの御答弁の中で、この政策コストの分析の中で、事業の見直しをしていくための効果の期待というお言葉があったと思うんです。そうすると、その観点からお聞きをしたいんですが、事業を見直すために、これはむだだからよそうという事業分野を明らかにしていくためには、やはり赤字額というものも、個別の赤字事業というものも明らかにしていくことが私は必要だと思うんです。
 それで、政務官のお考えをお聞きしたいんですが、では、政策コスト分析によって、要するに切り捨てた方がいい事業分野などをこれから明らかにしていく場合に、どんなデータがあればこういうことが可能になっていくと政務官自身としてお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
田中大臣政務官 政策コスト分析の分析結果は、その事業の実施に伴う社会経済的効果との比較を行った上で総合的に検討されるべきということを今お話ししました。
 例えばの例でございますが、その事業の社会経済的な便益にかんがみて、政策上、利用者に対して安価なサービスを提供すべきであると考えられるような事業については、必然的に政策コストが大きく算定されることになります。
 しかし、政策コストの水準のみをもって事業を継続することの是非を判断することは適当ではない、私はこのように考えております。
 なお、政策コスト分析は、一定の前提を置いた仮定の計算ですが、こうした前提について、見込みより悪くなった場合などで、例えば将来の事業収入が一%低下する場合など、その一部を変化させたときに追加的な政策コストがどの程度発生するかといった感応度分析を充実するというようなことが実は大変重要でございまして、議論のための材料をより多く提供して、公共の事業という位置づけがある財政投融資というものに対応していかなければならないと思っております。
 財投は、一番最初に私が申し上げましたように、本来、公共事業としてやっていくべきものを、民間の手法あるいは各機関の事業によって推進をしていく。一方では税金も払っていただいたり、有償資金でありますから償還もしていただく、一方では税金を投じて公共事業の役割も果たしていく、こういうことがあるわけでございます。
 例えば、今この法律が審議されておりますけれども、原委員も神奈川県の方ですから、川崎の事情は御存じかもしれませんが、川崎のまちづくりというものが、今、都市基盤整備公団で各所非常に大きく行われておりますし、実際に民間の事業あるいは川崎市の事業、国の直接の事業ではなかなかでき得ない部分をカバーしている、これが例えば私たちの地元でも現実にあるわけでございます。
 ですから、赤字の事業そのものについては、国土交通省あるいは各機関の中で十分精査をして、最終的には国会の議決、内閣の判断というものがあるわけでございますけれども、やはり、私たちは、こういうものを総合的に判断するということを今私どもの理財局で行っている、それが分析の成果である、このように思っております。
原委員 そうすると、政策コスト分析というのは、個々の事業じゃなくて、全体のことを見ていくということだったので、それならばそれでもう一点お尋ねをしたいんですが、理財局が特殊法人の三十一事業を対象にした分析を見ますと、平成十四年度現在で、都市基盤整備公団は、道路公団、緑資源公団に続いて三番目に政策コストが高い特殊法人だったということが、この特殊法人が抱える将来負担の表を見るとわかります。
 では、そこでお聞きをしたいんですが、都市基盤整備公団の政策コストが高い原因は何であったと全体の中で分析をなさったのか、御説明をお願いします。
田中大臣政務官 平成十四年度の、理財局より財政投融資を行った法人数が三十一、その中で三番目ということの都市基盤整備公団についてでございますけれども、市街地の整備改善事業を行うに際しては、細分化された土地の整序だとか統合や、道路や下水道の必要な公共施設整備を一体化して建築の敷地の整備を行うことから、これを安定的に行うための政府出資金や国庫補助金を受け入れているわけですが、賃貸住宅を安定的に供給するために、家賃から回収する金利を調達金利より政策的に低く設定することによって発生する利子収支の差損を補てんする政府補給金を受け入れているというようなことがございます。
 都市基盤整備公団の政策コストは、これらの補助金や政府補給金によるものが六千二百五十六億円、出資金等の機会費用が五千三十四億円になっております。
 政策コストがこのような額になっておるのは、公共施設整備等のための補助金受入額が多いこと及び分析期間が八十年間と長期間となっているために、出資金等の機会費用が比較的多くなっていることによって起こっていることだと考えております。
 なお、この政策コストについては、これらの事業が、都市機能の高度化、居住水準の向上、少子高齢社会に対応した良質な住宅のストックの形成、土地の流動化といった形の社会経済効果を生んでおりまして、国民生活の安定及び向上等に大きく貢献していることとあわせて評価をする必要があると考えております。
 以上でございます。
原委員 ありがとうございます。
 最後に、ぜひここは扇大臣に考えをお尋ねしたいんですけれども、やはり、個別の赤字の事業名も事業額も、私は、何とか出してくれ、何とか出してくれということを、非常にしつこくというか、お願いをしたんですが、こうした赤字事業名も赤字額も明らかになっていない状態で、どういうふうに改革していくのかということを率直に疑問に思っています。
 こうした状態の中でも、財政投融資からの借入金の累計が十四兆六千億円、九七年から六年以上も塩漬けになっている分譲住宅が二百二十、売れ残りが百七十八、都市公団の塩漬け土地の三十七地域に三千五百四十八億円、地域公団の三地区で二億円がつぎ込まれているわけです。むだにつぎ込まれていると私は言えると思います。
 一兆一千億円の政策コストをかけてでも継続する価値があるかどうかということに私は非常に疑問を持っていて、情報公開のことに関しては、扇大臣、非常に力を入れているところだと思います。こうした都合の悪い情報も公開できずに、改革なんてできないと私は思っていますし、批判があるから看板をかけかえたというだけに終わってしまうと思うんです、この改革。
 この点、最後に大臣の御答弁を、お考えを、お気持ちをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 原議員が真摯に追及しようというお姿には、私は、疑問があって当然だろうと思います。
 なぜなれば、今あなたの言葉の中に、財務省に対して、都市基盤整備公団は日本道路公団、緑資源公団に続いて第三番目という質問を原議員がなさいました。
 その第一番目の道路公団一つとってみても、例を挙げれば、民営化推進委員会という、七人の侍を総理が任命されて民営化推進委員会というのができまして、答申をお出しになりました。昨年お出しになった答申の中で、財務諸表は来年の九月を限度にお出ししなさいと書いてあるんですね。
 ですから、今あなたが挙げた一番の日本道路公団一つとってみても、今お話しになりましたように、特殊法人が百六十三あります。百六十三の中で、財務諸表という、いわゆる一般の民間人でいえば決算ですね。いわゆる株主総会に出す、資産と決算との収支決算、それを公団で財務諸表と言いますけれども、その財務諸表が、この百六十三の特殊法人の中で、公開しているものというのは四つぐらいしかありません。
 今まで、特殊法人というのは財務諸表を出したことがないんです、本来的に。ですから、今おっしゃったように、財務諸表自体が大ざっぱなものしかわからないのに、原議員がおっしゃった個別事業に対しての、例えば先ほどもおっしゃいました多摩ニュータウンは、これで全部赤字なのか黒字なのか、こんなことは全然出ないんです。今までそんなことを言われたことがなかったんです。それがいけないということで、特殊法人改革ということで、我々は小泉内閣で、今までできなかった改革をやろうというのが今行っていることの一つなんです。
 ですから、それをぜひ原議員にはわかっていただきたいと思いますし、私は、原議員がクエスチョンマークと思われたことは、多くの国民の皆さんも、私自身もクエスチョンマークだと思います。ですから、それを何とか改善しようということで、情報公開というものが極めて重要なことであると。しかも、特殊法人が、天下りがあったり、赤字なのか黒字なのか、どれだけかわからないということの、これがやみに包まれているということで、これを情報公開で公にしていこうというのが、我々の今改革している基本的なものだとお思いいただいて結構でございます。
 それで、今おっしゃった、この赤字になっているという事業一覧表というのは、今言ったような事情で、今まで特殊法人に対して国会でも何でも、全部予算で、財務諸表を出しなさいなんて言ったことはありませんから。ですから、去年の十二月に意見書を出した道路公団の民営化推進委員会も、私は、来年の九月というのは、ことしの九月のことです、これでは間に合わない、九月にもらって来年度の予算で道路公団にどうするのかということもできないということで、私が督励を出して、今国会中、六月の十八日に今国会は終わりますけれども、それまでに道路公団の財務諸表を出しなさいと言って、今のこの都市基盤整備公団もそのとおりでございます。これも全部、公団はハッパをかけられまして、皆びっくりしちゃったんです、あなたが言うように、出さなきゃいけないというので。
 それで、これでいいますと、少なくとも今、どの程度ですか、都市基盤整備公団は、新法人移行を機に、事業収支を的確に反映した厳格な時価評価というものをつくろうというので、幾らお金を使っているのといったら、約十一億円。十一億円を投入してそのための準備作業を今進めているというのが現実なんです。ですから、私は、今言ったように、第三者である資産評価委員による評価結果、こういうものを少なくとも公開するために今準備期間であるということを、原議員にぜひ御認識賜りたいと思います。
 そして、少なくとも今後、この時価評価による財務諸表というものは、新たな新法人に移行した後も毎年に公認会計士等の監査を受けて……
河合委員長 恐縮でございますが、簡潔に御答弁願います。
扇国務大臣 その内容はインターネットによって公開されるということに決まっています。ですから、今、原議員がおっしゃったクエスチョンマークは、私は、今後、移行までに財務諸表を公表し、なおかつ新法人に移行した後も全部公認会計士によってインターネットで公表されるということを御認識賜りたいと思います。
原委員 ありがとうございます。
 準備期間ということは理解をしておきますので、ぜひ、この特殊法人改革が扇大臣のもとで本当の改革というものになるように期待をして、今後の審議にも期待をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
河合委員長 次回は、来る九日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十四分散会


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