衆議院

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第20号 平成15年5月14日(水曜日)

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平成十五年五月十四日(水曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      石田 真敏君    岩崎 忠夫君
      倉田 雅年君    小西  理君
      佐藤  勉君    実川 幸夫君
      砂田 圭佑君    高木  毅君
      谷田 武彦君    中本 太衛君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      森田  一君    渡辺 博道君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    川内 博史君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      中村 哲治君    永井 英慈君
      伴野  豊君    松野 頼久君
      高木 陽介君    佐藤 公治君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    金子善次郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (国土交通省土地・水資源
   局長)          倉林 公夫君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 河崎 広二君
   参考人
   (地域振興整備公団理事) 林  桂一君
   参考人
   (都市基盤整備公団総裁) 伴   襄君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 西川  聰君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 古屋 雅弘君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 那珂  正君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 中臣敬治郎君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 中田 雅資君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     小西  理君
  原田 義昭君     石田 真敏君
  松本 和那君     渡辺 博道君
  山本 公一君     佐藤  勉君
  大谷 信盛君     松野 頼久君
  永井 英慈君     中村 哲治君
  土田 龍司君     佐藤 公治君
  二階 俊博君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     原田 義昭君
  小西  理君     中本 太衛君
  佐藤  勉君     山本 公一君
  渡辺 博道君     松本 和那君
  中村 哲治君     永井 英慈君
  松野 頼久君     大谷 信盛君
  佐藤 公治君     土田 龍司君
  金子善次郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人都市再生機構法案(内閣提出第四五号)
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、独立行政法人都市再生機構法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局長倉林公夫君、都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長松野仁君、鉄道局長石川裕己君、自動車交通局長丸山博君、政策統括官河崎広二君及び警察庁警備局長奥村萬壽雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として地域振興整備公団理事林桂一君、都市基盤整備公団総裁伴襄君、都市基盤整備公団理事西川聰君、都市基盤整備公団理事古屋雅弘君、都市基盤整備公団理事那珂正君、都市基盤整備公団理事中臣敬治郎君及び都市基盤整備公団理事中田雅資君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。
岩國委員 おはようございます。民主党を代表いたしまして、都市再生機構について幾つか質問させていただきたいと思います。
 私は、仕事の関係で、ニューヨーク、ロンドン、パリ、そして東京、世界の四大都市と言われるところに一つ一つ、家族と一緒に住んでまいりました。また、生まれ育った大阪を含めますと世界の五大都市と言っていいかもしれませんけれども、そういう都市がどのようにつくられているのか、そういう都市がどのような問題を抱えているのか、そこに住んでいる人はどういう思いで暮らしておられるのか、それを体験できたことは、大変貴重な体験をさせていただいたと思っております。
 そういう体験あるいは感想を踏まえまして、扇大臣初め皆さんに質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、世界の経済大国と言われながら国土面積においては著しく狭い日本の国土の有効利用をうたっている国土審議会、この国土審議会については以前も質問いたしましたけれども、都市再生機構という場合に、国土審議会とどういう関係がこれからできていくのか、国土審議会の意見はどういうふうに都市再生機構の運営に反映されていくのか、上下の関係なのか、横の関係なのか、あるいは定期的な会合を重ねられるのか、あるいは都市再生機構のこの法案について、国土審議会の秋山会長からはどういう意見が提示されておるのか。
 大都市のあり方について全く意見が出てこない国土審議会は無用の長物ではないか、そういう思いも含めまして、どういう貴重な意見が出てきておるのか、おらないのか、全く活動を停止しておるのか、そのことも含めて大臣の所見を伺いたいと思います。
河崎政府参考人 国土審議会との関連のお尋ねでございますが、国土審議会は、御承知のとおり、国土交通大臣の諮問機関ということになっておりますので、国土審のいろいろな報告につきましては、大臣にそれがなされ、大臣からそれぞれ、都市公団なり地域公団に、こういう考え方で業務を推進するようにといったようなことが指示をされるというふうな格好になろうかと思います。
 ただ、今回の都市再生機構法の立案過程におきましては、その点について特に国土審議会の御意見を拝聴するといったようなことはございませんで、むしろ社会資本整備審議会だとか、そのほかの審議会の意見を聞きながら作業を進めていったという経緯がございます。
 ただ、国土審議会、最近では平成十四年十一月に、基本政策部会におきまして、国土の将来展望と新しい国土計画制度のあり方に関する報告が取りまとめられております。
 その中では、新しい都市再生機構に関連のありそうなことが幾つかございまして、我が国全体の人口の減少だとか、あるいは高齢化の中で地域社会の活性化を図るといったことが大事であるという点でありますとか、あるいは都市における国際的な競争力、魅力の低下という問題が指摘をされている。さらには、防災上危険な密集市街地への対応でありますとか、知恵と工夫による個性ある地域づくりといったようなことが指摘をされていまして、都市再生に関連する課題も多く指摘をされているというふうに考えております。
 大事な国土全体の考え方をお示しされているものでございますので、当然、今回の独立行政法人化に当たりましては、十分これらを踏まえるとともに、今後、都市再生機構が業務を実施する際には、大都市及び地方都市における都市再生の取り組みの中で、国土審議会で御指摘をされたような課題にこたえるように対応していきたいと思っているところでございます。
岩國委員 今、幾つか例としてお話しになりました。これからの我が国の人口の減少傾向であるとか、あるいは高齢化の問題であるとか、個性的な都市づくりの問題、そういったようなことについては、一つ一つがすべてこの都市再生機構の根幹に触れていくような問題ではないか、私はそのように思います。したがって、国土審議会の意見というものがきちっと反映されていくような、そういうことが担保されるような経営形態をこの都市再生機構がとることが必要ではないか。
 一般民間企業でいえば、社外重役という存在があります。ただ、国土審議会、暇なときに、盆暮れに二回ぐらい開いて、聞いたふりをするぐらいなことで、何かいいことを言っていれば、そこからつまみ食いして自分らの法案に使っていこうか、こういう姿勢ではよくないと私は思うんですね。やはり、定期的な経営協議会とかそういうことの中に、国土審議会の会長なりあるいは幹部の方が入っておられて、全体的な整合性のとれた国土づくりの中に、都市再生機構がどのような役割を、あるいはより一層いい仕事ができることが担保されているようなことがなくてはならないと思いますけれども、この都市再生機構法案の中のどこにそれがあらわれていますか。
 今おっしゃったような、大変いい御意見をいただいておって拳々服膺したいというのであれば、その拳々服膺は、これからたび重なる、しょっちゅう行われるような形において、今度の法案の中のどこに、それが必要だ、あるいは、それは必ず実行されますということになっておりますか。
河崎政府参考人 今回の法案でございますが、都市公団、地域公団、それぞれの業務の徹底的な見直しを行っております。
 基本は、従来、国土審の御指摘とも関連するわけでございますが、これまで、高度成長期を通じて大都市へ人口が集中をして、都市が外延的拡大をしてきたというものが、今や人口の減少局面も間近に迫るなど、もういよいよ外延的拡大というものが終えんを迎えつつあるのではないかというふうな観点から、この都市再生機構の業務を検討するに当たりましては、まず、既存の、できた都市を、いかにその中でのいろいろな課題を克服していくかということに集中をしていこうということで、既成市街地において、都市再生分野において民間の事業機会を創出する、あるいは民間の潜在力を最大限に引き出すための誘導業務、条件整備に業務を重点化していこうというふうな考え方から、具体的には、工場跡地の土地利用転換、これも国土利用の観点から、産業構造の変化に対応して、そうした土地利用転換が必要であるというふうなものでございます。
 それから、戦後の国土づくりの中で、いわば二十世紀の負の遺産と言われているような防災上危険な密集市街地でございますが、こういったものを解消していく必要がある。そういった部分で、都市再生機構は、いろいろな面で、民間事業者では困難な部分について、コーディネート事業もやったり、あるいは関連公共施設整備をやったり、敷地の整備あるいは集約整形化を行うといったようなことをやっていこうというふうなことで、国土の利用のあり方ということを踏まえた上で、事業の再構築を行ったというところでございます。
岩國委員 私の質問していることとちょっとずれているような御説明がありましたけれども、要するに、都市再生機構の中に、経営の中心にそういった立派な審議会があるのであれば、ある以上は、やはり活用すべきだと私は思うんですよ。しかも、思い出したときとか、盆暮れ二回とか、あるいは都合のいいときだけという一方的な使い方ではなくて、やはりそういうことが経営の中にいつも浸透していくような形を考えるべきじゃないかと私は思います。役員構成の中にもそれを十分反映することは必要ではないかという御意見を申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 この法案の中で、機構の目的として、「大都市及び地域社会の中心となる都市において、市街地の整備改善及び賃貸住宅の供給の支援に関する業務を行う」、このように規定されていますけれども、この大都市や地域社会の中心となる都市というのは、四十七都道府県の中に、今現在皆さんが想定していらっしゃるのは数でいったら幾らになりますか。都道府県別にそういった資料も提供していただきたいと思います。とりあえず、総数として幾らの数を今現在は想定していらっしゃるのか。
河崎政府参考人 まず、具体的な数字に入る前に、大都市及び地域社会の中心となる都市というのは具体的にどういうことかということを御説明させていただきたいと思います。
 機構が業務の対象とする都市につきましては、現在、都市公団が対象としている大都市その他の都市地域という都市公団の目的規定に書いてあるものと、それから、地域公団が対象としている地域社会の中心となる都市、これも目的規定に書いてございますが、これらを引き継ぎまして、これらを包含する概念として、大都市及び地域社会の中心となる都市というふうに規定したところでございます。
 では、現在、両公団の具体的な業務対象地域はどうなっているかということでございます。
 これは、それぞれ業務方法書におきまして規定されておりまして、都市公団については、四大都市圏、首都圏、近畿圏、中部圏、北九州圏及び人口五十万以上の都市、それから地域公団につきましては、三大都市圏外の都市圏人口十万人以上の中心都市とされているところでございます。
 そこで、機構が具体的にどういう対象地域にするのかということでございます。
 私どもとしては、全国的な都市再生の課題に対応していくという観点から、引き続きこれらの都市を対象にしていこうというふうに考えているところでございますが、具体的には、十六年度の予算編成過程で財務省と協議しながら検討されることになると考えております。
 したがって、現行の業務対象地域をそのままというふうに前提いたしますと、都市の数では、全国の約六百八十の市のうち三分の二強、人口では、全国の市の総人口約一億人の約九割が対象となることになります。
岩國委員 次に、この二つの公団が合併するわけですけれども、一般民間企業でいえば、合併するときには当然、バランスシートといったものがその合併時に非常に大事な判断材料になるわけですね。
 現在の都市公団それから地域公団それぞれのバランスシートというのは、時価会計というものを採用しておりますか。
 一般報道等を見ますと、それぞれの公団においても、取得した不動産に相当の目減りが起きている。どれぐらいの目減りが起きているのか、どれだけ欠損が生じておるのか、こういったことについては担当の大臣も恐らく神経を使っていらっしゃることだろうと思いますけれども、時価会計でそれはきちっとあらわれておるのか。時価会計はほとんど使われていないのか。さらに、時価会計はごく一部使われているとすれば、それを全面的に時価会計で適用した場合には、どれぐらい、あっと驚くような数字が出てきそうなのか。それについてお答えいただきたいと思います。
河崎政府参考人 現在の両公団の財務諸表につきましては、特殊法人としての財務諸表ということで公会計が適用されております。例えば、販売用不動産なんかも原価による計上というふうな形になっておりますので、それを時価に直して処理をするといったようなことは、正式な意味ではやっておりませんが、平成十二年度から、財務省の御要請に基づきまして、行政コスト計算書というものを作成いたしまして、公表をいたしております。
 これは、民間に準拠した財務処理を試みにやろうということでやっているものでございますが、その中で、販売用不動産につきまして、簡便な手法で時価評価を行っております。これによりますと、平成十三年度末で、両公団合わせて五千四百四十八億円の強制評価損が計上をされておるというふうな結果になります。
 それから、今後、新機構に移行するに際しましては、移行する時点で承継する資産についてすべて時価評価を行おうということで、本法に定めはございますが、機構が設立する時点で、第三者である資産評価委員が時価評価を行うこととしているところでございます。
 それで、現在、両公団の保有資産というのは、例えば七十五万戸の賃貸住宅資産でありますとか、ニュータウンにおける土地でございますとか、あるいは鉄道業務だとか、多種多様で膨大でございますので、実際に来年の設立する時点ですぐ評価するというわけにもまいりませんので、相当の作業期間が要ると思っています。
 そのため、本法に基づく資産評価委員による正式な資産評価の事前準備作業といたしまして、都市公団に、不動産鑑定士と公認会計士で構成される資産評価研究会を設置し、検討が行われまして、ことしの二月に資産の評価方法の基本的な考え方について報告が出されたところでございます。現在、それに基づいて両公団において、その報告の時価評価の考え方に基づく評価作業に着手をしたというところでございます。
岩國委員 それでは、その作業期間はどれぐらいを想定していらっしゃるのか、いつごろ我々国民はその数字を知ることができるのか。
 それからもう一つ、扇大臣は、この損失の度合い、評価損が、今銀行でも株式の評価損が大変これは問題になっております。保険会社においても、株式の評価損が原因で、老後の安心を保険に頼っておられた人たちに大変な衝撃を与えていることは御承知のとおりです。
 この原価とそれから時価、バブル崩壊の影響を受けて相当大きなものが出てくると思われますけれども、どれぐらいの評価損がこの合併時点において出てくるのか。一千億円なのか、五千億円なのか、一兆円ぐらいなのか、大体どれぐらいの大づかみの数字を頭に置いて仕事をしていらっしゃるんですか。お答えいただきたいと思います。
河崎政府参考人 時価評価作業のスケジュールということでございますが、正式には、先ほども申しましたように、この法律で定めるところにより、資産評価委員が任命をされまして、その委員が時価評価を行うということになりますので、当然、来年の、しかもそれが時点としては来年の機構発足時点、つまり平成十六年の七月一日時点での評価を行うということになりますので、少なくともそれより前に評価作業が終わるということにはならないというふうに考えておりまして、あくまで今両公団でやっていますのは、その資産評価委員が評価をするための事前の準備作業をやっているというふうにお考えをいただきたいというふうに思います。
 それから、含み損の話につきましては、現在のところ、私ども、正式な意味で作成、公表しておりますのは、先ほど申しました行政コスト計算書における民間に準拠した財務処理として、販売用不動産についての時価評価ということでございまして、先ほども申しましたけれども、平成十三年度末で両公団を合わせて五千四百四十八億円の強制評価損ということになっておるということでございます。
扇国務大臣 先ほどから岩國議員と御論議が進んでおりますけれども、これは、両公団のみならず、あらゆる特殊法人等々の改革ということに関しては、すべてこの資産評価制度というものを今まで導入しなかったということ、また、それが公表されていなかったということは、岩國議員御存じのとおりでございます。けれども、それを今度は全部国民の前に明らかにしよう。
 ですから、今申しましたように、約五千五百億弱という数字が現段階では出ておりますけれども、それは、今後、あらゆる面で両公団の話の中で、今住んでいる人たち、少なくとも七十五万戸、二百万人が住んでいらっしゃるわけですから、その人たちに、じゃ、この五千五百億弱の資産減というものに対してどういうことをしていくかということに関しては、まず、不安を与えないということ、この法案の審議の最中から申し上げておりますように、現在住んでいる人の不安を解消すること。
 また、先ほども岩國議員がおっしゃいました老齢社会、一番古くから住んでいる人は特にお年を召してまいりました。そういうことに対する、その人たちの対処の仕方、それから、そういう方に、今住んでいるところにも安心して住めるように、あるいはバリアフリーでありますとか、そういう不安を解消する方法を、この財務諸表の枠をなるべく減らして有効に使っていく。
 また、利用されていないものも現実あります。それは御存じのとおりです。ですから、それを何とか皆さんの、二十一世紀型にバリアフリーをつけたり、あるいは廊下を広くしたり、手すりをしたり、デイサービスをするというようなことに回していけないかということで、資産評価委員というものをつくりますから、そういう人たちが今大ざっぱなお話をしております。
 現段階では五千五百億弱という数字が出ておりますけれども、それがあるから今住んでいる人に不安を与えないというのが一番大事なことなので、これは、工夫ができる、また、工夫をしなければならないというのが、我々の今の現状でございます。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
岩國委員 その五千五百億というのは、来年の七月一日合併のときには、それよりさらに少なくなっているでしょうか、それよりもさらにふえるんでしょうか。
 二番目に、そういう不安を与えているということであれば、その不安を解消するために、少しでも早くその数字をより確定的なものにすることが大切ではないかと思うんです。
 それを、あと一年かかります、恐らくもっと大きな損失が出そうだから、先延ばし、先延ばしにしている。その政府は先延ばしにしているんじゃないかということが逆に不安を助長するもとにもなりますから、そういう不安の材料を早く撤去する。数字は、たとえ悪い数字であろうとも早く確定する。そのためにやることは幾つもあると私は思います。
 例えば、両公団が合併するというのは、人間に例えれば、男女が結婚するとした場合に、お互いが持参金を持ち寄る。向こうが一億持ってくる、こちらが五千万持ってくると思っておったら、何と持参金どころか借金の証文しか持ってこなかった。こういうふうな話じゃどうにもならないわけですから、やはりその持参金というのは、結婚する前ぐらいにある程度めどがつかなかったら、結婚そのものも考え直さなきゃいかぬということになるんじゃないでしょうか。
 こういう考え方について、大臣はどう思われますか。
扇国務大臣 岩國議員がおっしゃっていることはごもっともで、私も、それもこの委員会が始まって、この法案審議の中でお答えしてまいりましたけれども、今までの特殊法人というものがすべて財務諸表というものを公表しておりません。その中で公表しているのは四つだけでございました。例えばNTTでありますとか、たばこ産業でありますが、これは公表していました。ただ、あとは、今までは、道路公団を筆頭に挙げてもいいかもしれませんけれども、財務諸表そのもの自体をつくる必要がなかったということは、一方では親方日の丸と言われてもこれは仕方がない。
 そういう体質をすべて改革していこうということで、改めて今、岩國議員がおっしゃったように、財務諸表というものを世間に、しかも一般の民間の会社並みにきちんと目に見えるように、株主総会に出せるようなものをつくって、そして国民に公表すべきであるというのが、今初めてこれは手をつけた。そして、今度初めて財務諸表というものが世に出ていくという時代になってきて、今までとは隔世の感があるというのが現実でございます。
 ですから、まず、改革の第一歩、ある財産をきちんとしなさい、どこまであるのかないのか、今岩國議員がおっしゃったように、赤字なのか黒字なのか、それすらわからないということでは、不安が募るのは当然のことでございますから。
 先ほどから局長も申しましたように、現在も、少なくとも保有資産の時価評価ということで、どれくらいになるかということで、それぞれの会計士でありますとか不動産鑑定士等々、公認会計士、大変な作業ですけれども、あえてそれをして、国民の前に明らかにしようというので、今、その結果、私がプラスであるとかマイナスであると言うことは僣越だろうと思いますけれども、少なくともマイナスが少しになって、あるいはプラスであればありがたいなというのが現状であるということは、岩國議員御存じだろうと思っています。
岩國委員 これは、世間の常識というのは、結婚について私は例えて申し上げましたけれども、新しい公団を白紙で立ち上げる場合なら、バランスシートもゼロ、資産もなければ借金もない、これはわかりやすいんです。
 しかし、今ある二つのものを合併させようというときに、どれだけ資産があるのか、負債があるのか、その身元をきちっと洗いもしないで、とにかく来年の七月一日合併させて、合併させてからおもむろに作業でもやって、それから、世間を驚かせる結果になるのかわかりませんけれども、資産内容を発表しようというのは、これは順序としておかしいんじゃないでしょうか。
 なぜ七月一日に、そこまで、資産内容がわからないままにその合併を急がなきゃいかぬ理由があるんでしょうか。その資産内容がきちっとしてから合併に踏み切るという、改革とおっしゃるんだったら、そういう手順の改革ぐらいやるべきじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 これは岩國議員、さっきも私が申しましたように、少なくとも特殊法人というのが七十四あるわけでございますね。その七十四の中で、この財務諸表を作成しているというのは、まだわずか十一社にすぎない。
 そして、その中で我々は、この新たな公団の統合ということで、これはなるべく私は余りはっきり言いたくないというのは、大ざっぱな数字を言って後を惑わしてはいけないと思ってなるべく言わないんですけれども、そこまでおっしゃるのであれば、現在、報告書の中で、資産評価の方法に基づいて保有資産の時価評価の実務作業中、これは先ほど局長が言いました。
 十五年度に公団予算として十億円を投入してこれを調べようと、調べるだけでも十一億円もかかるということも、これもびっくりするんです。アウトソーシングをし、公認会計士あるいは土地鑑定士等々でこれだけかかるということでも私はびっくりしたんですけれども、それくらいにして真剣になってアウトソーシングすればソーシングするほど、今まで、これだけ何年もつくったことがないんですから、これは大変なことだろうと思います。
 今、結婚するときはという例を岩國議員が挙げられました。結婚するときに、相手の生まれたときから何もオープンにしていなかったということ自体が間違いであったと私は思いますから、あえて今回、これだけの費用をかけてでも公表し、また、できたものはインターネットで全部公表しようと私は言っています。そういう意味では、やがてそれらの、十一億円かけるということがむだにならないで、皆さんの前に明らかになり、インターネットでもこの財務諸表というものが見ていただけるようになるということは、これは七十四の特殊法人の中で十一以外のところはすべて同じでございます。
岩國委員 ありがとうございました。
 次の質問に移らせていただきます。
 大都市を中心にして、これから人口がどのようになっていくのか。先ほど、この都市再生機構法案の対象地域が人口で九割を占める、これは大変、ほとんど日本じゅうが対象になるようなことになりますけれども、その中で、人口が全体としては減少するけれども、一方では都市化が集中する。となると、東京、大阪においては、都市再生機構の一番の中心になる都市であろうと思いますけれども、東京、大阪その他の大都市においては人口はふえるのか減るのか、どのようなシミュレーションを描いてこれから仕事をしていこうとしておられるのか。
 この点について、日本の人口は減るけれども、大都市においては人口はさらにふえていく、そういう前提でこれから仕事を進めていこうとされるのか、あるいは、大都市においてもこれから人口は減っていく、東京においても、二十三区の人口というのはこれから減っていくんだ、そういう考え方を持っておられるのか。これは大づかみで結構ですから、御答弁いただきたいと思います。
河崎政府参考人 戦後から高度成長期にかけまして、御承知のとおり、大都市に大変な人口が集中をした。そのために、市街地が大変な外延的な拡大をしたわけでございます。
 ただ、今日、人口の減少局面が間近に迫るといったような状況で、かつてのように人口移動が非常に激しく起こるというふうな状況ではございません。むしろ、大都市においては、既成市街地の中で住宅だとか職業、業務、そういったものの再配置が行われるような状況になってきておりますので、これからはやはり、人口動態というものが、既成市街地の中でいかに住宅とかあるいは業務機能だとか学術機能とかいろいろなものを再配置するかということが焦点になってくるんだろうと思いますので、そういう観点に立って新機構の仕事をやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。
岩國委員 東京をその例に挙げさせていただいてもいいと思いますけれども、ただ、住宅は、数をふやせば住環境がよくなったとは必ずしも言えないと思います。結局、住んでいるところから仕事をするところまで本当に快適に移動できるかどうか。数はつくったけれども、毎朝毎晩あの交通ラッシュ。これは、先ほど、私は世界の四大都市に住んでまいりましたという話をしましたけれども、あれほどの交通ラッシュ、ましてや、プラットホームで人間が人間の背中を押し込んでいるあの押し屋という職業、こういう職業が存在するのは、まさに都市政策の貧困さを絵にかいたようなものじゃないかと思いますね。
 この押し屋と言われる人たち、人数は今現在どれぐらいですか。そして、三十年前、二十年前、十年前、現在、どのように改善しているんですか。あるいはさらに、そういう雇用はさらにふやしていらっしゃるのか。
 この押し屋という毎朝ほとんどのサラリーマンが見ている現象は、あれを見ながら、政治に対する不満、都市政策の貧困さを思わないサラリーマンは恐らくないと私は思います。だからこそ、その統計こそが私は一番大切じゃないかと思うんです。これから都市再生機構がいい仕事をやっていくかどうかは、まさにあの押し屋の人数をどれだけ十年後に減らしてみせるかどうか。それが完全に減れば、これは東京の住環境がよくなったということが目に見えて、また統計でも一番わかりやすいと思うんです。
 この人数、ちゃんと把握していらっしゃるかどうか、それに関心を持っておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
中馬副大臣 岩國委員御指摘のような状況は、戦後の高度成長の時代に東京、大阪を初めとした大都市圏で見られたことは、事実でございます。しかし、その対応のまずさといいましょうか、おくれといいましょうか、そういったことがあって、あのような状況が現実にあらわれておったことも、これまた認めるところではございます。
 しかし、ここに来て、前提条件が大きく変わってまいりました。景気が悪くなったこともございますけれども、本当に一部の東京におけるそうした地域はありますけれども、大阪等も含めてほとんどのところは、そういう押し屋さんがいて押し込むというような状況は現実問題としてなくなってきております。
 数字であえて申しますと、東京圏では、これは昭和五十年ごろには二二一。しかし、これも全般じゃないんですね。最混雑区間における平均の混雑率ということでございますが、これが二二一という形で、御承知のとおりの数字でございますが、混雑率をあらわす数字が二二一でございましたが、現在ではこれが一七五まで落ちてきております。
 しかし、まだ一七五は高いという認識もありましょう。しかし、大阪では、約一九九が現在では一四二、大幅に減っておりますし、名古屋圏におきましても、約二〇〇が現在一四九。そういうことで、今言いましたような押し屋さんが多いというような状況ではほとんどないと私は思います。押し屋さんの数を計算はしておりませんでしょうが、押し屋というのは職業ではなくて、これは駅員の方が一生懸命やっていらっしゃるだけでございます。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
 しかし、今前提条件が大きく変わってきたということをあえてここで少し申し上げますと、先ほど言いましたように、景気が悪くなったこと、産業構造が変わって、生産基地のかなりの部分が中国に移ってしまっているようなこと、それから、車が大きく普及をいたしまして、車で通勤される方もふえていることも、これまた事実でございます。それから、都市鉄道が相当整備されましたよ。今では、大江戸線までもできまして、かつての私鉄等も複々線にしたり、そういう形で、大阪の場合には逆に少しがらがらになり過ぎているようなところもあるのが現実でございます。それから、週五日制になりました。そういうことで、週のうち二日は通勤、通学をしない。人口構成が変わりました。もう第一次ベビーブーマーの方々はそろそろ定年を迎えますし、子供たちは非常に少なくなって、ある私鉄の幹部が言っておりましたけれども、通学定期は半減してしまっております。
 そのようなことで、ある程度、通勤ラッシュのときに、がらがらといいましょうか、楽に座っていける状態であれば、私は鉄道事業は成り立たないと思います。全部赤字になってしまって、廃線せざるを得ないような状況にすらなるものだと思っています。それがけしからぬということじゃなくて、現実問題はそういう状況に今のところ当面いたしております。
 そうしますと、あえてそこの通勤ラッシュを、若干なりともまだ残っているところは緩和するということであれば、これは、企業がそれぞれフレックスタイム制等でオフピークを、緩和するとか、あるいは少しずらすとかいったようなことを含めたことの対応も必要でございましょうし、今おっしゃいましたような、まちづくりそのものを変えていく、それはもう今始めているところでございまして、今回の機構におきましても、その方の役目に、住宅をつくってそこに住まわせるという、数は足りてしまったわけですから、そうじゃなくて、逆に快適な住環境を整備していくということに一つの業務を移していくわけでございます。
 そうしますと、先ほどからお話がありますように、古くなった住宅を建て直してもう少しゆとりある住宅、バリアフリーの、部屋がたくさんある、あるいはまた、少し高層にして上の方はほかの方に貸すことによって、従来の方は割合安い家賃で従来どおり住んでいただいて、しかも、高層化することによって緑がふえていく。通勤通学は、かなり都心回帰が始まっておりますから、そうした都心に快適な住宅をつくってそこに住んでいただく、それがこれからの都市の姿だと思いますし、そういうことを目指していくのがこれからの機構の役割、このように考えている次第でございます。
岩國委員 先ほどいただきました数字、これは十年前の数字ということでしょうか。二百二十一人、現在百七十五人。大阪では百九十九人、現在百四十二人。
中馬副大臣 今私が挙げました数字は、昭和五十年と平成十三年との対比でございます。
岩國委員 一般に経済環境から申しますと、この十年、二十年の間に、株価は下がる、それから職場は減る、不動産価値は下がる。その下がり方に比べると、これは意外に堅調だという、押し屋の数に比べますと。例えば二百二十一が百七十五というのは、これは半分にさえもなっておらぬ。
 決して私はこれを喜んでいるわけじゃありません。先ほどから申し上げますように、朝夕の通勤ラッシュがこういう数字、端的にあらわれているのがここではないかということで御質問申し上げ、また、副大臣にわざわざこういった細かい点まで御答弁いただいて恐縮しておりますけれども、やはり住環境の整備というのは、ほとんどの人は働くわけですから、通勤環境の整備を伴ったものでなければならないという問題意識からこういうことを御質問させていただいているわけです。
 これからいいますと、大阪はなかなか頑張っているなと。大阪は不景気、不景気と中馬先生を初め皆さんおっしゃいますけれども、東京と同じぐらいの押し屋さんがいらっしゃるということは、東京と同じぐらいの経済活動を活発に、少なくとも職業の点については、雇用環境においては、それほど通勤ラッシュというのは緩和されておらない。それは、実態はもっと深刻であるとするならば、いかに都市政策と通勤環境の整備がお粗末かということがここにもあらわれているんじゃないでしょうか。
 本当は、東京の経済規模の半分であり、あるいは東京以上に失業率が進んだ大阪であるならば、この減少はもっと急激に減っていなくちゃいけないのが減っていないということは、恐らく、鉄道経営者のそういう通勤に対する態勢、あるいは大阪市、大阪府の通勤環境の整備に対する取り組みが、東京もおくれているけれども、東京以上におくれているということを端的にこの数字はあらわしているんじゃないでしょうか。
中馬副大臣 都市政策につきましては岩國委員が詳しゅうございますが、私もその方で少しは勉強してきている者としてあえて言いますが、ここで今そういう数字を申しましたのは、三大都市圏の最混雑区間における混雑率でございます。大阪でいうならば御堂筋線に代表されるところでございまして、岩國委員、御承知でございましょう。それがメーンであることは事実でございますが、あと、その後、四つ橋線だ、あるいはまた堺筋線だ、こういったのが全部できております、南北だけを見ましても。それから鶴見線だとか、いろいろなところにできました。それは朝のラッシュアワーでもほとんど、ぎゅうぎゅう詰めというようなことじゃなくて、逆にがらがらのような状況でございます。そういう状況になってきていること。
 大阪は私鉄が多うございますが、五大私鉄のほとんどの経営者が、もうこれでは私鉄経営が成り立たないと言い始めておるわけでございまして、朝の一時的な、一時間余りのところが少しは混雑することがあっても、昼間はがらがらでございます。そういう状況になってきていることがいいとは申しませんが、そのバランスを平準化することも私は必要だと思っています。しかし、最混雑のところだけ取り上げて、それが混雑を緩和していないのはけしからぬとおっしゃる意味ではちょっと私はないと思います。
 都市政策のあり方、先ほど言いましたように、せっかく一般の方々も、郊外に家を求めて、そしてそこで大変な通勤ラッシュを味わっておられた方々が、もう少しゆとりができて、少し安いところができたならば都心に回帰しようという動きに今なってきているわけですから、それをひとつお手助けするのがこれからの機構の役割だ、このように認識いたしております。
岩國委員 こういった住宅政策、広い意味の都市政策の中には、住宅政策があり、通勤問題があり、それから今言ったような交通政策。私は、私鉄の経営が困難であるということは必ずしも、昼はがらがら、それから朝夕のラッシュ、この繁閑が激しいということだけではなくて、私鉄の経営には、もっともっとほかの問題も抱えていると思いますから、昼はがらがら、朝夕だけが満員ですということだけで日本の私鉄経営が困難を来していることはないと思います。
 私も、小田急線、京王線、世田谷の中には東急も走っておりますけれども、そういうものを見ながら、今までの私鉄経営者というのは、これは釈迦に説法ですけれども、要するに、電車事業以外のところに一生懸命再投資をして、そしてその再投資の回収がうまくいかなかったところに問題がある。鉄道事業そのものへ利益を再投資、もっと一生懸命やっておれば、これは随分違ったことになっているだろうと思います。
 もう一つは、交通政策、政府の都市政策の中にも問題があると思います。
 大阪も東京も、見ていますと、朝はほとんど一方通行なんですね。いわゆる上り線だけが込んでいる。そして下り線の方は、昼がらがらとおっしゃいましたけれども、朝からでもがらがらの電車が走っている。これは下り線なんです。
 ですから、上り線は普通の料金を取るけれども、下り線、例えば千代田区、港区から中野、荻窪、八王子へ通勤するような逆方向の通勤に対しては、私は前から提案しておりますけれども、無料パスを提供するというような形で流れを平準化していく。それが鉄道経営の負担を取り去ることにもつながっていくのではないかと思います。そういったことも検討する必要があるのではないかと私は思います。
 朝夕のラッシュ、押し屋というものが、ああいう仕事あるいは作業が必要なくなるようにするためには、恐らく本数をもっと倍にしなきゃいかぬと思う。倍にすれば、昼間あるいは朝のうちから逆方向はがらがらの電車がもっともっと走るということになりますから、もうこの辺で何か抜本的なことを考えなきゃいかぬだろうと思いますし、それがひいては、二十三区の中の住宅政策どうあるべきかということにもまた返ってくるだろうと思うのです。
 私は、国土交通大臣として、国土交通省として、一つの屋根の中にいらっしゃる限りは、交通問題と住宅政策、もう少し知恵を出して、改革とおっしゃるんだったら都市政策の改革に結びつけていただきたい、そのように思います。
 次の質問、高齢化の問題についてお伺いしたいと思います。
 高齢者配慮型住宅の建設に真剣に取り組むべきときに来ているんじゃないかと私は思います。以前は、一生懸命働く三十代、四十代の、小さな赤ちゃんがいる、そういう人たちを想定して住宅公団の建設が進められてきたわけですけれども、今は、ほとんど若い人はいない、小さな子供はいない、お年寄りが一人あるいはお年寄りだけの二人暮らし。自然に、建物は変わらないのに、建物の中身は限りなく高齢者ホーム、老人ホーム的に変質しつつあるわけです。
 島根県でもそういう老人ホームをたくさんつくりましたけれども、出雲市はその中でも数が一番多い方です。老人ホームをつくるのはやめました。つくらないで、今住んでいらっしゃる家一つ一つを、ひとり暮らしのお年寄り、二人暮らしのお年寄りだけの家、それを老人ホームに看板をかけかえる。そして、若干のリフォームを入れて、昔は部落と言いましたけれども今は町なんです、その町内の老人ホーム、三十二軒をまとめて里家制度という仕組みに変えました。同じ町内に住んでいる人はみんなヘルパーさん、そしてそこに三十二軒の、ひとり暮らし、二人暮らしの高齢者の家、そのままいながらにしてそれが老人ホーム。建設費は要らないけれども、若干の改修費は要ります。
 そのような、いながらにして、これを東京で適用するならば、世田谷区にもたくさんありますけれども、今までのそういう集団住宅そのものを思い切って看板を変えて、二十四時間ケアつきの、高齢者の方がそのままそこに住めるように、若干のリフォームは必要でしょう。そして、そこに住んでいらっしゃる若い方は、あるいは奥様は、希望者はヘルパーさんとして、そういう大きな団地そのものを高齢者の団地に変えていく。
 アメリカでは、御承知のように、アリゾナのサンシティーというのがあります。そういう砂漠のような中に忽然として、高齢者が一番住みやすい、高齢者だけが暮らせるようなそういう都市づくりをやったことは御承知のとおりだと思いますけれども、今、東京でそれだけのことをやる資金もありません、土地もありません。
 とするならば、今あるものをあした突然サンシティーに衣がえしていく、そのような発想あるいは取り組みというのはもう既にお考えになっているでしょう。この点について御質問させていただきます。
扇国務大臣 岩國議員は御存じのとおり、日本は今まで世界のどの国も経験したことのないスピードで老齢社会に入ります。そして、我々はひとしく年をとるわけでございますから、今おっしゃったように、高齢者が居住しやすい、ああ、ここに住んでいれば年をとっても安心だな、少なくともそういう公団住宅のあり方、そうあるべきが理想であると思っております。
 理想は理想として、では、一歩ずつ近づいていこうという、私たちはその施策をとっておりまして、公団賃貸住宅に居住する六十五歳以上の高齢者というものが、先ほども私はちらっと言いましたけれども、平成十二年度に公団の定期調査を実施いたしましたけれども、高齢者の割合は二一%に達しています。そして、初期の古い団地においては、長くそこに住んでくだすっておりますので、古い団地ほどまた高齢者の住居率というのは高くなっておりまして、昭和三十年代の団地では、そこに住んでいらっしゃる方は、今、高齢者は三一%です。平均が二一%ですから、三十年代に建った団地では三一%で、一〇%も多いわけですね。
 それだけ長く住んでいただいているというのはありがたいことですけれども、それだけ高齢化が進んでいるという証拠でございますので、我々は、このために、先ほど申しましたように、高齢者の皆さんが住みやすいようにということで、具体的には、建てかえをします。一年間に六千戸建てかえております。
 ですから、その建てかえのときには、地方公共団体と連携を図りまして、そして地方公共団体の理解も得ながら、必要に応じて、現在のようなデイサービスというものを、センターをその中につくる。新築のところには必ずデイサービスのセンターを持ってくるというようなことも地方公共団体とやっておりまして、高齢者の支援施設、これは今までには二十四団地につくっております。そして、その中では二十七施設にデイサービスのセンターを設置いたしました。
 また、公営住宅の併設をいたしまして、三十団地に約二千八百戸を、あらゆる面で地方自治体と共同して、高齢者の方々が安心して住み続けられるようにということで、これも話し合いを進めて、現段階でこれだけの数字が出てきております。
 また、高齢者優良賃貸住宅制度というのもございますので、これを活用していただくということで、既に、既存の賃貸住宅のバリアフリー化、先ほど申しました廊下に手すりをつくりますとか、あるいは段差をなくしますとか、そういうような居住の改善を行いましたものが、十四年度末現在では約九千四百戸、これを発注してケア済みでございます。そしてまた、なおかつ、それがバリアフリーをつくりましても、市場の民間の賃貸住宅よりも低価で家賃を提供し続けていこうということも、これも実行いたしております。
 さらに、我々は、継続家賃の改定におきましても、低所得者の高齢者世帯の居住の安定を図ろうということにつきまして、御存じのとおり、家賃の減額措置を実行しておりまして、今までに家賃の減額措置を受けてくだすった方が、少なくとも五万一千九百世帯の皆さん方がこの減額措置というものを利用していただきました。これだけの皆さん方が、五万一千九百世帯も利用していただいたということもやはりお役に立っているという証拠でございます。
 今後とも、今おっしゃいましたように、我々は公団の賃貸住宅に必要な高齢者対策、これはもう必ず、日本の世界に類のないスピードに対応できるような対処をしようということで、若い人からお年寄りまで、若い人は若い人で低賃金だけれども住まいを持ちたいということでお役に立つ、お年寄りには安い値段で安心して住める、そういうだれでも、環境に即した、年齢に即したあるいは職業に即したものを選んでいただけて、長く住んでいただけるように努力しているというのが今の現状でございます。
岩國委員 詳しく御答弁いただいてありがとうございました。
 確かに、高齢化という現象は、ヨーロッパで八十年かかった、アメリカは四十年、それに日本は二十年のスピードでこの高齢化を迎えつつあるわけですから、その対応の速さも、あののんびりしておった、八十年かかって取り組んでいったヨーロッパのいろいろな国のシステムに倣うというのではなくて、あるいはアメリカの例に倣うんじゃなくて、それ以上の速さで、それを飛び越えていかなきゃならない。特に高齢者対策、あるいは高齢者の皆さんのための住宅環境の整備というものも、今までのスピードよりもっともっと速めていかなきゃならないと思うんです、年月は人を待ってくれないわけですから。
 と同時に、ペットとの共生の問題ですね。これは、今の高齢者の方もそうです。我々の年代もそうですけれども、ペットと共生、一緒に住めるような住宅がどんどんなくなってきております。あるいは、新しく建てられているところには、犬はだめ、猫はだめ、人間は結構だ、こういう共生できないような住宅がふえている。
 私も現に、次の選挙区をどこにしようかと思って、うちの家内はきょうもまた出かけておりますけれども、猫を一緒に入れてくれないものですから、私のところの猫ちゃんと別居しなきゃならない。それは、別居するか、一緒に住むことを選んで選挙区をあきらめるか、私の家内はきょうもその選択で出かけておりますけれども、こういう深刻な問題もあるわけです。
 結局、猫と一緒に同居できるような住宅がきょう見つからなければ、私はまた別の選挙区をあしたから探さなきゃいけない、こういう深刻な家庭問題もございまして、これは冗談ですけれども、そういったペットと共生できる、これは東京でも大阪でも、外国の現象だけではないと思うんですね。私たちのように、外国から帰ってきたからそういうあれがあるんだということじゃなくて、もう日本各地でこの問題は起きていると思います。
 私は、かつてニューヨークから帰ってきて、東京に住もうと思ったとき、結局、犬と一緒に住めるところはほとんどありませんでした。犬を散歩させるところもありませんでした。散歩させられるところは、代々木公園と千鳥ケ淵、それから港区の有栖川公園、この三カ所しかなかった。したがって、その三カ所のすぐそばでしか私はマンションを探せなかった、幸い見つかったから私たちは住むことはできましたけれども。
 こういう高齢者の問題というのは、だんだん家族と離れて住む、したがって、そのかわりにと言ってはあれですけれども、ワンちゃん、猫ちゃんと一緒に住みたいという切実な問題を抱えていらっしゃる方は、恐らくきょうの傍聴者の方の中にもたくさんいらっしゃると思いますけれども、こういう心の問題というものも、単に毎月の家賃がどうということの問題をさらに超えて、心のケアの問題もこれから十分に配慮していく必要があるんではないか、私はそのように思います。
 では、最後に、先ほど二十七団地ということをおっしゃいましたけれども、丸ごと高齢者に優しいニュータウンづくりをこれから、今計画中のところはどういうところがありますか。固有名詞だけで、今計画しておられるところは。せっかくこれだけたくさんの方も来ていらっしゃるし、関心も持っておいでになっているわけですから、今、丸ごと、そういう高齢者に向いたまちづくり、あるいは既に既成のものをその上にリフォームしていこうというところを、だだだっと名前だけでも結構ですから、おっしゃっていただけますか。
扇国務大臣 今、少なくとも賃貸の整備とあわせた高齢者支援施設、これを併設しているところというのが、先ほど申しましたように、建てかえの二十四団地、二十七施設でございますけれども、大体例を挙げろということでございますので、団地名で言いますと、にしき平和台、これは建てかえでございます。東京都練馬区でございます。これは二百四十戸、建てかえが三百三十戸、これは高齢者デイサービスセンターが設置されます。それから、公団と併設して供給しておりますところで、これは武蔵野緑町団地、武蔵野緑町パークタウン、これも東京都武蔵野市でございます。それから、公団住宅を借り上げて公営住宅として供給しております、これは百合ケ丘の第一団地、サンラフレ百合ケ丘というものでございます。
 挙げていくと切りがございませんけれども、このように名前を挙げましただけでも、多くの皆さん方に、既に地方自治体とも一緒になって高齢者対策というものをとっているということを御認識賜り、また、今のペットというものも、次の二十一世紀、高齢社会の第二の問題でございますから、これも別途また御参考にさせていただいて、論議していきたいと思っております。
岩國委員 質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 伴野豊君。
伴野委員 民主党の伴野豊でございます。
 本日は、独立行政法人都市再生機構法の法案ということで、岩國議員の後を受けまして、時間の許す限り、幾つか大臣初め関係各位に質問をさせていただければ、そんなふうに思っております。
 今回の法案でございますが、いわゆる都市基盤整備公団の改革に沿った法案であろうと思うわけでございますが、隔世の感があると申しますか、都市計画にかかわった学生ならば、二十数年前でありますと、都市基盤整備公団、組織がいろいろ変わっておりますから一概には言えませんが、その当時のパンフレットを見て、都市計画に携わった多くの学生は、こんなところで働いてみたいな、いわゆる当時、都市計画の最先端を事業化していく一つの組織であったような気がするわけでございます。
 ただ、組織というのは、今さら申し上げるまでもなく、目的、使命があって、その目的、使命に沿ってどういう事業をやっていくか、またその財源はどうしていくんだ。間違っても、組織がまずあって、その組織をどうするから事業をどうするというような話であっては本末転倒になるわけでございまして、いつの日も、その時代に即した使命、目的をいかに効率よくアウトプットを出していくか、評価されるものをしていくかということであろうかと思うんですが、重要なことは、やはり常々評価して見直していくこと、硬直化させていかないことが重要なことではないかと思うわけでございます。
 そういう観点から今回の組織再編というものも行われていくんだろうと思うわけでございますが、その方向性がどうであるか、まず確認させていただきたいと思います。
 平成十一年七月十六日に独立行政法人通則法というのが出されまして、独立行政法人制度の目的というのが明確にされているわけでございます。その中でも、特段、行政のスリム化、効率性や質の向上及び透明性というのがきちっとその目的にうたわれておりまして、では、どういう具体的な方策で行っていくのか。外部有識者を初めとする第三者機関の評価委員会において、中長期計画に基づいてどう行われたのかという事後評価をしていくんだ、それは三年から五年を一つのめどとしてやっていくんだ、いろいろ掲げられたわけでございます。
 今回、独立行政法人を新たに都市再生機構ということで設けるに当たり、その前段として、当然、今は大体、これは平成十四年度のデータでございますが、都市基盤整備公団の職員数というのは四千五百八十三名ですか、役員の方も、総裁一名、副総裁二名、理事十名以内、監事二名以内というような規定の中で多分いらっしゃるんだと思いますが、今後、こういった職員の数、それから役員の数、どうなっていくのか。また、事業に合わせて今後どう削減されていくのか。あるいは、必要なところはまた新たな人が必要になってくる場合もあるんだと思いますけれども、間違っても、よく言われます省庁からの安易な再就職先にならないような手だても当然考えていらっしゃるかと思うんですが、そのあたり、お聞かせいただければと思います。
中馬副大臣 新たにできます都市再生機構の役員数の見通し等についての御質問でございます。
 御承知のとおり、今回は、住宅公団と昔は言っておりました都市基盤整備公団と地域振興整備公団の一部を統合するわけでございます。
 役員数でございますが、都市基盤整備公団の方は、法定では十五人でございますが、現在任命されている役員は十四人でございます。地域振興整備公団の方は、十二人でございますが、現在は十一人でございます。しかし、こちらの部門の方に統合しますのはそのうちの五、六人だと、業務としても思っております。
 それで、合わせますと約二十人になるわけでございますが、これを当分の間は十六人以内でやっていこうといたしております。そして、最終的には、これが本則では十三人、このように縮減することに決まっております。ただ、この十六人といいますのは、撤退業務を行いますから、その間、三人は役員としてとどまってもらうことにいたしております。
 職員数でございますが、職員数につきましては、整理合理化計画策定時点、十三年度におきましては約五千人でございましたが、これを、成立後五年後までに約千人定員削減を行うことを計画いたしております。
 また、先ほど申しました役員につきましても、極力、民間の方々を含めて、経験を有する人材を適材適所で登用していくことを考えておりますし、また、お話がございました天下り先に安易にするなということでございますが、もちろん、そういうことは、先ほど言いましたような考えで、やるつもりはございません。しかし、逆に、専門性の高い技術を必要とすることもございますから、そうした能力をお持ちの方は国家公務員出身者でもどんどんと登用していく、これを排除するものではありません。そういうことでやっていくつもりでございます。
伴野委員 私自身も、すべての天下りを否定しているわけではございませんで、天下りという表現がいいかどうかもあると思うんですけれども、どうしても、報道なんかを見ますと、画一的に、一覧表で出てきてしまっているような気もするんですが、いろいろ組織を移られるときに、どんどん退職金がふえていってしまうようなことだけはちょっと、これは常識的な範囲内にしていただきたいなと思うわけでございます。
 今、副大臣がおっしゃられたように、何十年も本当にノウハウを蓄積されて、その方が野に下っていらっしゃるよりは、本当に必要なところで力を発揮されて、それで、やはり評価されるお仕事をされていただくならば、私は、これは逆に、お願いしてでも来ていただかなきゃいけないケースもあろうかと思います。
 いずれにしましても、やはりアウトプットと評価だと思うんですね。そのあたり、ぜひともきちっとしていただきまして、しかるべき使命、目的に合った事業と組織をきちっと構築していただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 続きまして、先ほど、私どもの岩國議員からも、今までの組織においての採算性がどうであったかというようなことも幾つか指摘されていたかと思うんですが、先般、五月九日の参考人の中にいらっしゃいました青山学院大学の山口先生なんかも幾つか指摘されていまして、私は、ある程度、今までこの組織が目的に合ってそれを実行されてきたところもきちっとある、しかし、いろいろな時代の流れで、利息ばかりがふえていってしまうような、買い付けに似たような事柄が幾つか指摘されていたと思うわけでございます。
 このあたり、あの参考人の山口先生がおっしゃられたことも、多分お聞きになったり、あるいは資料でごらんになっていらっしゃると思うんですが、そのあたり、今、どんなふうに見ていらっしゃるか、よろしくお願いします。
河崎政府参考人 都市再生機構の採算性についてのお尋ねだと思いますが、今回、都市再生機構に移行するに当たりましては、独立行政法人制度として、先ほども先生触れられましたけれども、業務運営について評価委員会による外部評価が行われるという仕組みが構築をされておりまして、採算性についても厳しい評価が行われることになります。
 このため、機構におきましては、従来以上に経営の合理化、効率化を促進していくことが必要でございます。具体的にいいますと、業務全般にわたる工事コストの縮減、あるいは経費の削減、組織人員のスリム化などに一層努めていくことになります。
 一方、今回の改革によりまして、機構の行う業務は、民間を都市再生に誘導するための条件整備に重点が置かれるということになりますので、例えば、大規模な工場跡地の土地利用転換や密集市街地の整備など、長期間を要し、収益性も低い業務が多くなるということが予想されます。
 これらの業務を実施していくためには、公共性の高い事業を行うという観点から、長期、低利の資金や出資金、補助金等の国費の投入も必要になるというふうに考えております。
 機構としては、限られた財政援助の中で、効率的な経営を行いまして、採算性に十分意を用いつつ、都市再生の成果が最大限上げられるように努力していくことが必要ではないかというふうに考えております。
 山口参考人の意見等も十分参考にしながら、今後対応していきたいと考えております。
中馬副大臣 参考人の話は、私も聞いておりませんでしたから、ちょっとかわって答弁させましたけれども、ともかく、これは株式会社じゃないんですね。ちょっと傍聴の方も御心配の向きもありますが、どんどん利益を追求して、家賃でもどんどん上げていくんじゃないかといったような御懸念が私どものところにも寄せられました。
 しかし、これはあくまで公的な機構でございますし、これからの都市を整備していく一つの手だて、政府の手だてだとも考えております。逆に、収益性が上がって民間でできるところは民間に移していくわけでございまして、収益性が乏しい、しかも公共性が必要だというところには、この機構がその役割を担っていくわけでございますから、かなり長期、低利の資金等、国からの国費の投入ももちろん要求していきますし、それで何か利益を追求するのでないということだけは誤解のないようにお願いをしておきます。
伴野委員 ちょっと私の質問が具体的でなかったのかもしれませんが、いずれにしましても、山口参考人が御指摘されているような、収益に貢献しない都市整備部門の資産をふやしてきた嫌いはないかとか、あるいは賃貸住宅部門で稼いだ利益が支払い利息で消えていってしまっているのではないかとか、それから、本来、財投の資金ではない資金でやるべき事業があったのではないかという御指摘もあるわけでございまして、このあたりのところ、新しい機構をつくるわけでございますので、今までの反省に立ち返りまして、きっちり新しい仕組みをつくっていっていただければ、そんなふうに思っております。
 続きまして、具体的に、では、今後の都市再生機構の使命、目的というのも、当然、時代とともに変わってきているわけでございまして、今後の事業の見通し、例えば施行地区数、施行面積、それに応じて、職員の数や、あるいはそういうノウハウを持った職員を今後どう養成していくかという養成計画もあろうかと思うんですけれども、このあたりのところ、もし具体的な数字でお示しいただければ、よろしくお願いします。
河崎政府参考人 都市再生機構は、都市再生に民間を誘導することを目的として設立されるということでございます。したがって、現在、両公団の既存の業務を徹底的に見直しを行う。それから、都市再生に関する事業についても、従来の土地取得から建築物の建設、管理までみずから一貫して行う、いわばフルセット型の業務から、民間の再開発を支援するバックアップ型に業務内容を転換するということにしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、これまで幅広く手がけておりました郊外部のニュータウンにつきましては、新規事業からは撤退をする。また、特定公園施設といいまして、国営公園内の有料施設についても手がけておりましたけれども、これも新規は廃止をする。さらに、賃貸住宅の供給事業につきましても、みずから賃貸住宅を建築するのではなくて、民間事業者による建設、管理を支援するという形に転換をする。さらに、再開発事業につきましても、再開発事業の施行者になった場合でも、施設建築物につきましては、できる限り民間に行ってもらうといったような業務の見直しをすることにしております。したがいまして、当面、機構の事業量は、具体的なところはまだ数字がないわけでございますが、漸減をしていく見通しでございます。
 こうした改革の趣旨を踏まえて、既に平成十五年度の予算におきましても、事業費ベースで、例えば都市公団でいいますと、対前年比一三%の減というような形の予算を組んでいるところでございます。
 ただ、このように、当面、機構の事業量は漸減をするということでございますが、私どもとしては、一方では民間の投資の促進を図るということによりまして、民間を含む全体の都市再生事業については、従来以上に促進できるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
伴野委員 いずれにしましても、改革の議論が出てまいりますと、どうしても、荒っぽい意見としまして、この際だから、本来やるべきことを含んでもやめてしまえというようなお話もあるやに聞いておるわけでございますが、本来やるべきことはきっちりやっていただく。そして、今後それをどういう見通しでやっていくか、非常に重要だと思いますので、そのあたりのところを、きちっとした計画をお立ていただき、着実に実行していっていただければ、そんなふうに思います。
 それで、今回の対象となっている都市再生機構だけではなく、独立行政法人がいろいろ議論された中で、官と民のあり方というのがよく言われたわけでございます。民がやるべきところは積極的に民の知恵やあるいは創意工夫を活用して、民でクローズしてやっていっていただく。また、では、官は何をやるか。採算性ということを考えれば、非常に採算性の悪い部分で、官がやらなきゃいけない部分は、財源とあわせてきっちり官が責任を持ってやっていく。
 では、独立行政法人は、その間で、どこを役目としていくのかなということでございますが、官でも民でもない、どちらかというと、最初は官で立ち上げておくべきようなことを、だんだん信頼性を高めていって、次第に民で任せるところは民で任せていく、そんなような、スロープではないですが、急に民でやるにはなかなかというようなところも、今後はこういう独立行政法人がお助けしてやっていくべきところもあるのではないか、役割分担を明確にしていくことだと思うんです。
 その中で、今までは、どうしても、事業をやる側と事業を受ける側というのが分かれていたような、もっと言い方をかえますと、サービスを提供する側とサービスをいただく側というのが、案外、私はいただく側、あなたは提供する側というふうに分かれていたような気もするんですが、今後は、サービスを受けているようで、自分もそこに積極的にかかわっていかないとサービスが向上していかないというようなこともたくさんあるんじゃないかと思うわけでございます。
 そういう観点を含めて、幾つか質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
 まず、今回、撤廃業務という中にも、本来やってもらわなきゃいけない業務があったんではないかなと私は個人的には思っているんですね。例えば、公園の整備なんかは民の方に本当に任せるべきことなのかな。この辺は、財源を明確にして、やはりきちっと、できるだけ公に近いところがやられた方がいいような気がするわけでございますが、今後、今回の再編によって、都市再生機構がお受けにならないんだったら、これは国土交通省さんが直轄でやられていくのか、このあたりの関係。
 それからまた、よく都市の集中というのが議論されるわけでございますが、当初はなかなか採算性に合わない、ニュータウンという言い方が正しいのかどうかわかりませんが、新しいまちづくりをしてしまっては、これをただ単に採算性だけで、採算性がとれないところはやらないんだというようなことになってくると、本当にいいのかなという気がするわけでございますが、そのあたりのところ、いかがでしょうか。
高木大臣政務官 都市基盤整備公団の今回の撤廃となる事業についてのお尋ねだと思いますけれども、まず、今回の改革におきまして、都市公団が、伴野委員も御存じのように、平成十三年十二月の特殊法人等整理合理化計画によって、まず一つは新規のニュータウン整備業務等から撤退する、二つ目が国営公園内の有料施設の整備事業から撤退する等、地方公共団体や民間事業者との適切な役割分担を図りつつ、既存の業務の徹底的な見直しを行ってきたところであると思います。
 これらの業務というのは、社会経済情勢の変化に伴って、今後人口や世帯数の伸びの鈍化が見込まれることや、民間事業者の能力が向上して、一定の支援を行えば民間事業者による実施が可能となっていることなどから、国の機関である機構がみずから実施する必要性が低下していると考えて、今回見直しを行いました。
 しかしながら、今委員御指摘がありましたように、郊外の居住の実需要に対応した良好なニュータウンの整備、また国営公園における施設の整備は引き続き必要である、このように認識しておりますので、関連公共施設整備に対する国庫補助等により、地方公共団体や民間事業者によるニュータウン整備の円滑な実施を図るとともに、国営公園における施設についても、国の直轄、または民間委託により建設、管理等、真に必要な事業については確実に実施できるように今後も措置してまいりたいと考えております。
伴野委員 今の政務官のお答えを聞きまして少し安心したわけでございますが、ぜひその本来やらなきゃいけないことがネグレクトされないように、国、地方公共団体、役割分担はあるんでしょうけれども、ぜひ、このあたりのところはきっちりと役割分担していただいて、やるべきことはやっていただければ、そんなふうに思っております。
 続きまして、今まで公団が蓄積した経営能力あるいは技術的能力というのは否定されるものではないと思っているわけでございます。それはいろいろ時代に合わなかった部分や、住民の方の御不満の受け口がどうであったかというところが若干あるわけでございますが、例えば技術力というふうに見た場合、先駆を行っていた、今も行っている部分もあると思います。行っていた時代があるわけでございまして、こういうようなノウハウを分散させたりあるいは縮小させることは、国益という面からは非常にマイナスになるのではないかと思うわけでございます。このあたりはどう受け継いでいかれるのか。
 それから、もし今後拡張していただけるようなことがあれば、やはりマーケティング調査力というのはぜひつけていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。このあたり、いかがでしょうか。
高木大臣政務官 今、御質問を全体的に見ますと、都市再生のあり方みたいな部分であると思うんですけれども、都市再生には民間事業者の役割が必要であり、都市の魅力や国際競争力を高めていくために、オフィスビルの建設だけではなくて、例えば、居住、商業、福祉、文化、アミューズメントなど、都市に必要な幅広い機能の整備を中心的に担っていただく必要があるというふうに考えております。
 このため、都市再生分野において民間事業者が積極的に活動ができて、その資金と能力が最大限に生かされることが重要であると認識しております。
 しかしながら、都市再生の課題である、例えば、臨海部の工場跡地等の土地利用転換だとか、または防災上危険な密集市街地の整備、また空洞化した中心市街地の活性化など、権利関係が複雑になっておりまして調整が難しいところですとか、または大規模で長期間を要するなどさまざまな問題がありますので、民間事業者だけではどうしても対応が困難な場合がある。
 こういうところで、今回、機構においては、民間による対応が困難な部分については、まず調査、計画、関係機関との調整等のコーディネートを実施する、二つ目が民間では実施困難な工場跡地等の敷地の整備、三つ目が民間都市開発事業に関連して必要な公共施設の整備等、事業の条件整備を行うなど、具体策を通じて都市再生というものに対しても積極的にかかわっていく、このように考えております。
伴野委員 これからの都市再生のあり方と、それにどう対応していくかという点は非常によくわかりました。そこに今まで蓄積されたノウハウをどう活用されていくかというところも非常にわかりました。
 ただ、一つ今から質問させていただきたいのは、先ほども岩國議員が質問もさせていただいておりましたし、きょうもたくさんの傍聴者の方もお見えになっていらっしゃるわけでございまして、今まで都市基盤整備公団さんに住宅提供をされた方々、先ほども高齢化のお話もございましたけれども、そういう方のこれからのケアというのは、やはりぜひ今までのノウハウを生かして、なかなかここは採算が合わない部分がたくさんあろうかと思います。ですから、過剰の期待というのもなかなか難しい面もあろうかと思いますが、ここのケアをしていただかないと、今までやはり都市基盤整備公団さんの関係の住宅、一つのブランドとして期待していたわけでございまして、例えば住を、いわゆる住宅、住まいというものを中心とした生活全般の御相談に乗っていただけるようなお仕事も、ぜひ、これからは新しい機構でも何らか工夫をしていただくことができないものなのか。
 どうしても今までは、多分公団の方は技術屋さんも多かったと思うわけでございますが、どうしても住まいというものをハードで考え過ぎている嫌いはないか。やはり生活の中の住まいという位置づけからすると、特に今、いろいろ住宅を初めとする問題、すぐちょっとしたことでも相談に乗っていただける方があるかないかで自分の生活が快適になるかどうか。高齢者の方ですと、夜中にトイレが詰まってしまったときとか、あるいは急に熱が出たとき、そんなようなことも、では、それはほかでやってもらえればいいではないかという御意見もあるかもしれませんが、やはりそれが住を中心とした、積極的にこの機構のビジネスチャンスにしていただくというような考え方で、そこに住んでいらっしゃる方の生活をトータルにお世話するんだというぐらいの気概で職員の方にやっていただければなと。
 あるいは、それはだれかから、上司から命令されてやるというのではなくて、自分はそういうところに意識を持っている、だから、例えば機構の中の提案制度で、そういうことをやりたい、自分の事業としてやりたい、今まで建築屋だったけれども、少しそういう高齢者生活の福祉の面を住の部分から考えていきたい。その中で、全部機構がやれないのであれば、さまざまな組織を活用する、つなぎ屋さんといいますか、コーディネーターとして自分はやっていくんだというようなことを積極的におやりになっていただいてもいいんじゃないかな。かゆいところに手の届く、ハードだけでは対応できないところに少し積極的に考えを移していただけないものかな、そんなふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか。
古屋参考人 私どもの団地、大変高齢化が進んでまいりまして、委員御指摘のような対応、いろいろな方々の御協力を得て進めなければならないというふうに思っておりますが、いずれにしましても、私どもだけでできることというのはおのずと限界もございますし、地方公共団体や、それから民間のいろいろな福祉サービスを提供なさる方やNPOや、もちろん居住者の方々、こういった方々の御理解、御協力をいただきながら進めていく必要があるだろうと思います。
 私ども、高齢者対策でもってやっている施策、先ほども御紹介いたしましたように、住宅内外のバリアフリー化を進めるでありますとか、バリアフリー化された住宅を低所得者の方には安くお貸しできるような高優賃と呼ばれる住宅を供給したり、あるいは周辺の集会施設や多目的広場、ゲートボールができる、子供も遊べるといったような、そういう環境づくりといったようなこともやっております。
 それから、特に建てかえのときには、大臣から再三申し上げさせていただいておりますように、いろいろな福祉施設や少子化の支援施設を呼び込んでおりますけれども、既存の商店街の施設なんかも活用して、いろいろなそういうサービスをなさる方にお貸ししていこうということで、例えば、いろいろな訪問介護の相談だとか、通所介護の相談でありますとか、リフォームの相談でありますとかをなさっているNPOに現実に私どもの施設をお貸ししまして、そういったサービスを主体的にやっていただいている例も最近出ております。
 そういうわけで、今後とも、いろいろな方々との協力連携を図りながら、高齢者の方々が安心して、また潤いのある生活ができるような団地環境の整備に努めてまいりたいと思います。
伴野委員 どうしても人は、よく私は自分の秘書にも言うんですけれども、いろいろな方から何か自分が日ごろやっている仕事以上の相談を受けますと、どうしても、それは私の仕事ではないと言ってみたり、あるいは、自分がやるべき仕事が先にあって、そこにふえていくと、その相談をないがしろにしてしまいがちなんで、いつも、相談事というのはチャンスと思えというようなことも言っているわけでございます。
 私自身の経験として、国鉄からJRになったときに、一番の気持ちの違いといいますか、やはり国鉄時代というのは、いろいろなところから御相談を受けると、自分の仕事がふえていくという感覚で、どうしても、できるだけ聞きたくないというかほっておきたいという感覚があったのではないか。JRになってから、変わっていいところだったというのは、やはりそういう相談事というのはすべてビジネスチャンスになっていく可能性がある、できないことはできないときちっと言うべきことだと思うんですけれども。
 ですから、これから、高齢者の方々がたくさん住んでいらっしゃるところというのは、本来御相談されるべきことではないようなこともあるのかもしれませんが、これはやはり、すべてビジネスチャンスと言うと言い過ぎかもしれませんが、そういう観点で、例えば、田舎にまだだれも住んでいない家がほったらかしになっている。だけれども、自分はここで、都会で住んでいきたい、これはどうしたらいいんだというような、ちょっと資産運用にかかわるような話にも積極的に乗ってあげて、それがこれからの機構さんのビジネスチャンスになっていくようなことになってもいいんじゃないかなと思っておりますので、そのあたり、積極的に手を伸ばしていただけるところは伸ばしていただいていいんではないか、そんなふうに思っております。
 そうした中で、ちょっと時間もなくなってまいりましたが、少しまたちょっと技術の方へ戻します。
 その中で、住んでいらっしゃる方が、今の自分の住まいというのは客観的に見てどうであるかというのは、いろいろな御相談をする上でのまず第一歩ではないかな、そう思うわけでございます。そうした中で、住宅性能表示というのが今まで以上に重要になってくるんではないかと思うんですが、このあたりの思いと見通しをお話しいただければ、こんなふうに思っています。
古屋参考人 住宅の性能表示の問題でございますが、当公団は、この性能表示制度ができる前から、住宅性能水準という、一定の技術レベルを確保しようという設計標準を持っておりまして、これに基づいて、いろいろな安全性でありますとか良好な居住環境を整えた住宅あるいは団地環境を整備してまいったわけでございます。その後も、高齢化に対応したバリアフリー化の要請でありますとか、あるいはIT対応でありますとか、高齢者福祉施設の呼び込みでありますとかといった新しいニーズにも対応した団地環境づくりをしてまいりました。
 それで、住宅の品質確保法ができまして、委員御指摘の住宅性能表示制度ができましたので、私どもも率先して、平成十三年の十月から以降の供給団地、これは建てかえも含まれますけれども、こういったものについては住宅性能表示を導入いたしました。それで、一般に新しくお入りになる入居者の方々は、初めて入るわけですから、どんな住宅かわからないというようなことの理解を増進するためにも、この評価書を現地の案内所に置くとかパンフに記載するなどして、住民の方々にも、これからお入りになる方々にも、私どもの住宅性能を承知していただくよすがとさせていただいております。今までの実績でございますが、十三年の十月から約一万戸程度につきまして、第三者機関との評価契約を結んでおるところでございます。
 また、既存の住宅でございますが、これは既に入居者がお入りになっておられますから、いろいろな性能のふぐあい等がありますれば、入居者の方々から私どもにすぐクレームが寄せられますし、それから、重要な外壁点検でありますとか屋根防水でありますとか、そういったことについては周期的に点検なり修繕を行うというような体制をとっておりますので、住宅性能表示でねらっている趣旨のことは、居住者の皆様方の声を通じて私ども反映させていただいているというようなことでございます。
 こういった努力を通じまして、品質の維持向上に努めてまいりたいと思います。
伴野委員 ぜひ積極的におやりいただければと思うわけでございます。
 時間も限られておりますので、最後に大臣に、一つだけどうしても都市再生について御意見をいただきたいと思っているわけでございます。
 東京都内だけを見ましても、六本木ヒルズや丸ビル、すばらしい都市再生が点としては非常に行われているような気がしておりますし、そういった面では私なりに評価をしているところでございますが、どうしても、すべてを民だけに任せておきますと、面でとらえたとき、あるいは少し視点を変えたときに、本当に都市再生というのがすべてバラ色かといったような観点も若干なきにしもあらず。どうしても、過去の歴史、伝統的に見た場合に、これでよかったのかなというような都市再生も今後出てきてしまうのではないかなという危惧も一方で持っております。
 そうした中で、先ほども申しましたように、計画というのは常に時代とともに見直されるべきものだと思いますし、計画してしまったからといって硬直化されるべきものでもないと思います。そしてまた、やはり常々評価されるものだと思うんですね。できるだけ厳しい面で、いろいろな人に評価してもらう。丸ビルにしてもあるいは六本木ヒルズにしても、周辺も含めて、今のところはよくできているんではないかなという気はするんですが、今後十年、二十年、やはりきっちり評価されていかなければ、評価した上で、この都市再生は成功であったか、あるいは、ちょっとこのあたりがふぐあいだから直していこうという反省も生まれてくるわけでございまして、このあたり、今後の都市再生の見通しとともに、大臣のお考えを聞かせていただければ。
扇国務大臣 今御論議いただいておりましたように、伴野議員がおっしゃるように、二十一世紀の都市は変わりつつあります。それは、先ほどから岩國議員がお話しになりましたように、いわゆる日本の高齢社会、そういうものと、今までの居住でそのまま老齢化したときにどうするかといういわゆる居住対策、そしてバリアフリー等々。二十世紀と二十一世紀、二十世紀がハードの世紀、二十一世紀はソフトの世紀と私は位置づけておりますけれども、そのソフトとは何だということで、二十世紀の負の遺産というものもあると思います。つくり続けてきたけれども、国際的に見て少しも魅力のある都市ではない。
 少し外れるかもしれませんけれども、例を挙げれば、一千六百万人一年間に出ていって、外国から日本に来る人は五百万人だ。その五百万人を二〇一〇年に倍増して一千万人にしよう。だけれども、それは、外国から来た人が、来たところに、例えば東京だけではありません、各地方都市に行って、すばらしかった、日本のあそこはすばらしい、もう一度行こう。外人が来てくだすっても、この倍増計画というものも、そういう都市の魅力というもの、外国人が来ても、すばらしい日本であった、文化的にもあるいは美観的にも、そして住んでいる人たちがにこにこして豊かな生活を送っている顔が見える、そういうような都市づくりというものが二十一世紀でなければならない。それが、私が二十一世紀はソフトの世紀だと言っていることの大きな点でございます。
 そういう意味では、私は――ちょっと済みません、ビデオは撮らないでいただきたいと思います。傍聴者の方はビデオを撮らないでいただきたいと思います。
 そういうことで、私は、二十一世紀の今の都市基盤整備公団を今後新しくしようということでしておりますけれども、今回、この法律を皆さん方に提示したことによって、今伴野議員がおっしゃいましたように、例を挙げれば、例えば六本木ヒルズとか丸の内、汐留というように、改めてきちんとしたものが目に見えるので説明しやすいんですね。
 本来は、国がそういう都市政策というものを、こういうものが新しい都市ですよということで整備できればいいんですけれども、例えば、六本木ヒルズ一つとってみても、あれは十七年かかっている。そして、六百人の地権者がいた。十七年かかっても、きちんと設計図をかいて、そしてこうなりますよと言ったら、六百人の地権者がきちんと納得してくだすって、十七年間我慢してくだすったということもあるわけですから、私どもは、今、伴野議員がおっしゃったように、きょうも朝からいろいろな先生方と議論していますように、グランドデザインを持って、ここはこういう姿になるんだというものを見せなければ、やはりみんな口で言っただけではわからないわけですね。
 ですから、そういう意味では、私は、今、伴野議員がおっしゃった、我々がそれを提示し、なお、提示したものを、先ほども岩國議員がおっしゃった審議会の先生方にも提示したもので、ああ、こことここはいいなと言っていただく。一から、ゼロから審議会に丸投げするのではなくて、国土交通省がきちんとグランドデザインを何例か示して、そしてその中で審議会の意見も聞いて、国民に提示して、地域の皆さんの意見も聞く、そういうつくり方をしていくべきである。また、そうでなければ、みんなに愛される都市計画というものが成り立たないであろうと私は思います。
 そういう意味では、細かいことをたくさん申し上げたいこともありますけれども、今申し上げましたような手順を踏んで、そして国民に、二十一世紀、少子社会になっても、こういう町で、こういう職業の場所あるいは住まいの場所、職住近接といいますけれども、そこに託児所もある、あるいはデイサービスのセンターもある、そして公園もあり、美術もあり、そして文化もある、そういうものが我々は、新たな、各都市に、都市計画といって、大都市だけではありません、全国の都市にそういうものができていけばいいなというふうに考えております。
伴野委員 時間も残り少なくなってまいりましたので、このあたりでやめていきたいと思いますけれども、今大臣も御指摘いただきましたように、やはりきめ細かい対応といいますか、今は確かに再開発されたところ、オープンされて非常に華やかに人がたくさん集まる。人が集まって交流すること自体、私は否定しませんし、それはすばらしいことだと思います。
 しかし、人が集まることによって新たに発生する問題、例えば六本木ヒルズや丸ビル、あのあたりを見ましても、一つのビルを自治体と考えれば、たくさんの自治体が入っているような感じがしますので、そこのあたりの危機管理に対する連絡徹底とか、あるいは、日本の誇るいわゆる交番システムというのは非常によかったわけでございまして、そういう観点からすると、余り脅威を与えるような交番システムじゃ困るわけでございますし、その町になじんだ自然な交番のあり方といいますか、いてくださった方が、これから人が集まることによっていろいろなふぐあい、問題が出てきたときにすぐ対応できる。
 それから、緊急医療システムなんというのもあるんじゃないかと思いますので、そこに集う人が何か危機に、あるいは災難に遭ったときにどうしていくんだという対応をぜひきめ細かく見ていただけるような、そういった人間本位の都市再生であっていただきたいな、そんなふうに思っております。
 では、時間が参りましたので、次の質疑者の中村議員と交代させていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 扇大臣、お久しぶりでございます。
 扇大臣、質問に入ります前に、先ほど大臣、記者席に座っている新聞記者に対して写真を撮らないようにというように御発言なさって……(扇国務大臣「ああ、新聞記者ですか」と呼ぶ)今、お間違いになったというふうに自分でお認めになっておりますけれども、マスコミに対しての圧力になるような行動と受け取られないようにということで、御助言させていただきたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 今までの法案の質疑の中で、必ずしも、この質問のペーパーに、質問というか御説明のペーパーにありますような、国家プロジェクトへの対応、また経過措置業務については触れられてこなかった、なかなか触れているのが少なかったと聞いておりますので、私は、そのことを中心に本日質問させていただきたいと思っております。
 都市公団は、日本住宅公団からさまざまに組織の形を変えてきておりましたけれども、その時代時代に沿って、その時代時代、非常にすばらしい仕事をされてきたというのが公団の役割だと私は実感しているところでございます。
 しかし、時代によって業務の内容を変えないといけない。その中で、経過措置業務、また経過措置業務とともに国家プロジェクトへの対応、こういったものが今日問題になってくるのではないかな、そういったことを感じております。
 さて、ニュータウン業務についての質問をさせていただきます。
 特殊法人等整理合理化計画の中でも、新しいニュータウン開発業務はしない、継続的な業務に関しても早急に見直しまたは処分をしていく、そのような方針も示されております。
 そこで、お聞きいたします。
 いわゆるニュータウン業務について、残りの事業量はどれくらいあるのか、そして、これらの事業の採算、完成時期の見込みはどのようになっているんでしょうか。
中臣参考人 お答えいたします。
 私ども都市公団のニュータウン開発事業につきましては、これまで二百七十二地区に着手してきておりまして、このうち、平成十三年度末現在で百九十五地区の事業が完了しております。したがいまして、事業施行中は五十九地区、そして事業準備中が十八地区でございます。
 それから、お尋ねの採算性の問題ですが、採算性については、近年の継続的な地価下落によりまして非常に厳しい状況にあることは認識しております。今後の地価動向等の設定によりまして大きく変動することや、法案成立後行う資産の時価評価に予断を与えることになりますので、数字については控えさせていただきたいと思います。
 それから、完成時期の見込みでございますが、完成時期の見込みにつきましては、今後の宅地需要動向あるいは地権者交渉の状況等にもよりますけれども、おおむねの地区について、独立行政法人移行後約十年で法定事業を完了していきたいというふうに考えております。
中村(哲)委員 つまり、都市の外延的拡大という意味でのニュータウン業務については、継続中の案件も含めて、法人ができてから十年間で大体終えていこう、そういうお話だと理解させていただきます。
 また、これは確認なんですけれども、公団が新しいニュータウン開発業務をしないということは明確におっしゃっているんですけれども、逆に、自治体の側で、ニュータウンを公団によって開発をしてほしい、そういった思いもあって、公団によるニュータウンの開発を前提として準備なさっているところというものはあるのか。例えば、公団のニュータウン開発を前提として都市開発公社が土地を取得しているような、そういったケースというものはないと考えてよろしいですね。
中臣参考人 ございません。
中村(哲)委員 それでは、次の質問に移ります。
 ここに、特殊法人等整理合理化計画、平成十三年十二月十八日、特殊法人等改革推進本部が出されたものがあります。そこの都市基盤整備公団のところの市街地整備改善事業についてのところで、このように書かれております。「現在事業を実施中の資産についての時価評価の結果を踏まえ、採算性に問題があるプロジェクトの見直し、既に取得した土地の処分等を早急に進め、含み損の大幅な圧縮を図るとともに、できる限り多くの継続事業を速やかに終了させる。」そのように書かれております。
 都市公団の貸借対照表を見ますと、都市基盤整備勘定におきまして、大体十七兆円の資産がある。以前お聞きしたところ、大体五兆円分ぐらいが今残っている事業かなという話もあったかと思うんですけれども、この特殊法人等整理合理化計画の文書の中であります時価評価、含み損というものは現在どのようになっているのか、時価評価はどのような状況で、含み損はどの程度発生しているのか、お答えください。
古屋参考人 先ほど来御質疑がございましたが、機構に承継される資産の正式な評価というのは、法律が国会の御了解をいただいた後に、国の方で評価委員が評価をなすっていただくわけでございますので、現在私どもが把握している範囲で申し上げますと、平成十二年度から行政コスト計算書というものを財務諸表に参考資料として添付させていただいております。これは、民間の会計基準と同等の、いわば時価評価をしてみたらどうかということでやっておるものでございますが、これにつきましては、販売用不動産につきまして、いわゆる強制評価減というものを立てるわけでございます。
 これは、具体的に申し上げますと、販売用不動産で時価が簿価に対して三〇%超下落しているものを欠損と認識いたすわけでございますが、これによりますと、平成十三年度末におきまして、販売用不動産の強制評価減は五千三百九十億でございました。平成十二年度に三千七百三十九億、平成十三年度に一千六百五十一億でございました。
 多くが宅地開発に関連したものでございますが、委員御指摘のように、このような状況で、大変厳しい経営環境にございますので、私どももいろいろな計画の見直しやら、販売事業の早期完了などに努めまして、含み損の圧縮や事業の早期終息に努めてまいりたいと考えております。
中村(哲)委員 時価評価も、それは完全なものではない、そういう御趣旨だと理解させていただきますし、その中でも五千三百九十億円の含み損が今発生している。それは、この貸借対照表の中では、この含み損は載っていないというふうに理解してよろしいんですね。
古屋参考人 いわゆる公企業会計、公団会計によります財務諸表に行政コスト計算書というものがあわせて開示されております。この行政コスト計算書の中で、民間企業仮定貸借対照表あるいは損益計算書というものが表示されております。その中で、いわゆる強制評価減が欠損としてどういうふうな数字になっておるかということが公にされておるところでございます。
中村(哲)委員 少し質問の仕方が悪かったのかもしれませんけれども、事前に配られております説明資料の中で、平成十三年度決算で、都市公団の財務状況というのがあります。この中に、都市公団の今の資本金は約七千百五十三億円ということが書かれております。そして、含み損が五千三百九十億円あるということになると、自己資本というのは、実際的には二千億程度だというふうに理解していいのかどうか、その点の確認をさせてください。
古屋参考人 私ども、当公団の出資金は、平成十三年度末で七千百八十四億円、これは鉄道事業等もございますので、ございます。それで、実は十五年度の当初予算ベースでは、これが八千億を超えてございます。
 一方、強制評価減等で、五千三百九十億の強制評価減を立てておりますけれども、このうち、私どものいろいろな業務の効率化によって収益が上がった部分といったようなプラス要素もございますので、それを抜きますと、十三年度末現在の欠損金は四千百七十五億円でございますので、片や資本金が八千億超ある、欠損金は四千億強、こういう状況でございます。
中村(哲)委員 差し引き大体四千億ぐらいというふうに理解していいということだと思います。
 そうすると、大臣、事実だけ知っておいていただきたいので、十七兆円ぐらいある資産規模で、今四千億ぐらいしか自己資本がない、そういった財務状況がある中でまた不動産を扱っている業務をしていかないといけない、こういった状況にこの公団があるということを議員の皆さんとも情報共有させていただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。
 大臣と昨年四月八日の決算委員会でもやりとりをさせていただきました。そして、先ほど理事の方からも、ニュータウン型開発業務の未認可のものが十八件あるということでございました。大臣も、昨年四月八日の決算委員会において、「具体的に見直しの内容について、平成十三年度の年度内、もう過ぎていますけれども、この年度内で地元の地方公共団体との協議に入って早急に成果を上げるように、そして指導するということになっております。」とおっしゃっているところでございます。
 そして、その結果、十八件がどうなったかというのが、本日皆様にお配りさせていただいたペーパーでございます。現在、十八件のうち、見直し方針調整済みのものが九件、九地区あります。そして、見直し調整中の地域が九地区あるということでございます。その見直し調整中、下半分のこの九地区、この現在の見通し、これからの見通しというものはどのようになっているでしょうか。
中臣参考人 この問題をお答えする前に、ちょっと最初のお尋ねの件で、再度確認の説明をちょっとさせていただきたいんです。
 完成時期の見通しの問題でございますが、おおむねの地区について、独立行政法人移行後十年で法定事業を完了させるということでありますので、すべてを完了させるという意味ではございませんので、御理解いただきたいと思います。
 今お尋ねの未認可十八地区のうちの調整中の九地区についてどういう状況かということですが、九地区のうち六地区については、既に地方公共団体のおおむねの了解は得ております。最後の詰めを現在行っているところでございます。それから、調整が残っているのが三地区ありまして、これについては、今後とも引き続き精力的に地方公共団体との協議、調整を進め、早急に方針を確定してまいりたいというふうに考えております。
中村(哲)委員 それでは、この見直しした結果、事業中止が決まったところもあります。こういったところは今後どのような土地の処分なり利用がなされるようになるのか、一般論としてお聞きいたします。
中臣参考人 公団の実施します都市整備事業は大規模なものでありますので、事業中止等は地域のまちづくりに多大な影響を及ぼします。そのため、公団保有地の土地利用あるいは処分に当たっては、その影響を最小限に抑えて地域のまちづくりに貢献するような配慮が必要であるとまず認識しております。
 具体的には、地区ごとの固有の課題に対応した土地利用や処分が考えられますが、例えば、公団保有地を地域のまちづくりに必要な公園緑地や道路用地として活用すること、それから、地区内の農地を保全し、農業公園や市民公園などとして活用すること、そして公団の用地買収に協力していただいた元地権者への売却、すなわち元地主さんによる買い戻しということです。それから、民間事業者へ一部の土地を譲渡することなどの検討を行っているところであります。
 いずれにしましても、今後、関係地方公共団体や地権者の御理解をいただきながら、土地利用、処分を進めてまいる所存でございます。
中村(哲)委員 これからよく地方自治体等と相談しながら、処分については考えていくという御趣旨だと思います。
 そこで、私が今回取り上げたいのが、見直し調整中の九地区のうち、最大の面積の地区となっている高山地区であります。
 二百八十八ヘクタールの大規模開発が今からなされるということでございますが、この高山地区に関しては、地下鉄が生駒駅から京阪奈新線として延伸される。そこで、新駅と近くなるということがあって、そういうことも理由として継続案件になったということを聞いております。この高山地区について、事業化区域についてどのように考えているのか、お聞きいたします。
中臣参考人 当地区は、まず、国家的プロジェクトであります関西文化学術研究都市の文化学術研究地区として位置づけられております。そのことと、今先生御指摘の京阪奈新線の整備による立地のよさから需要増が見込めること、そして、広域的な都市計画道路ネットワークの形成にとって重要な役割を担っていくこと、こういったことから、事業化の方向で地方公共団体と関係者と現在調整を行っているところであります。
 しかしながら、現下の宅地需要の動向を踏まえますと、従来の計画のまま全面的に整備を進めることは妥当ではないということで、これは、全域二百八十八ヘクタールありますが、これを区画整理区域とした上で、当面整備する範囲を、現時点で需要の見込める新駅に近い約半分のエリアに限定し、その他のエリアについては、将来の需要に備え、区画整理事業としては、都市計画道路の整備と、これに伴い生じる最小限の造成工事と防災工事とにとどめる方針であります。
中村(哲)委員 その中で、私は、昨年の決算委員会で中臣理事とお話をさせていただいたところで、このような観点での質問をさせていただきました。
 今まで二百八十八でいこうとしていたところが約半分になるということです。しかし、そういったことというのは、先ほども、見直しのときに、まちづくりと非常に関係してくるので周辺でよく話し合ってということを御答弁なさっていたように、二百八十八が約半分になるわけですから、この地域にお住まいになっている方や地方自治体と非常に関係してくる、影響が大きいということが言えると思います。
 しかし、逆にもっと減らすべきだと考える人もいる、市民の中にはそういう人もいるわけですよね。もっともっと自然を残してほしいから、もう大規模開発はやめてくれ。市のお金や県のお金をどれぐらい取られるかわからない。だから、もっともっと情報を公開して、参加させていただきたい。そういった仕組みを考えるべきなんじゃないかということを、扇大臣も含めて昨年議論させていただきました。
 その中で、中臣参考人はそのとき、協議内容の文書化それから議事録の作成について述べておられました。
 つまり、事業主体である公団は、関係の公共団体、奈良県や生駒市と相談するときに、その協議の内容を文書化したり、その議事に関しては議事録にきちんと残して文書化する。そういった形にすれば、公団は情報公開の対象ではない、情報公開主体ではないけれども、県や市の判断で情報公開して県民の参加を求めるということに関しては、そういうふうに文書化しているのでやりやすくなるだろう。そういった観点で、積極的に、協議結果の文書化とか議事録の作成についてはやってまいりますというふうに述べられておりましたが、一年たってみてこれはどうなっているんでしょうか。余り文書化がされているものはないと聞いておるものですから、正式な協議がなかったというふうに理解していいのか。そのあたりのところを御説明いただきたいと考えます。
中臣参考人 先生御指摘のように、確かに一年前に、協議内容を文書化することや、必要な議事録については公共団体と確認の上つくることについて協力すると申し上げました。
 今お尋ねの件ですが、現在、当地区の事業化に向けて地方公共団体と調整しながら見直しの具体案を練り上げている段階でありまして、基本的な方向については何度か打ち合わせをさせていただいております。しかし、協議内容を文書で確認する段階には至っていないというのが現状でございます。したがいまして、今後できるだけ早期に協議内容を文書で確認するようなことができるようにしたいというふうに考えております。
中村(哲)委員 私が申しておりましたのは、文書で確認するということに至らなければ文書にならないのであれば、中でどのような議論がされているかということが全く見えないわけですから、そこは文書化する必要があるのではないかということで申しておったわけでございます。
 でも、確かに去年の御答弁においても、その経過についてそこまで文書化しますというお約束はなかったと思うんですけれども、そこは今後とも善処していただきたいなと思います。
 このような形でしか、私が質問する形でしか情報が出てこないというのであれば、市民や県民にとって情報がなかなか出てこないということになりますので、その点については今後御配慮をよろしくお願いしたいと思います。
 関係して、次の質問に移ります。
 この高山第二工区の開発については、先ほどおっしゃっておりました地方公共団体との協議の中で、その前提となる都市計画道路の費用負担の部分で折り合いがついていないというふうに聞いております。
 かなり技術的な話になるわけですけれども、都市計画道路というものは、国が半分補助金を出す。その補助裏についてだれが出すかということで、直接補助という形式と間接補助という形式があります。直接補助というものは公団が負担するというやり方、間接補助というのは県と市が負担するやり方でございます。
 県や市のお話を聞いておりますと、この特殊法人等整理合理化計画が出る前までは、直接補助でいく、つまり、都市計画道路の半分は国が出して半分は公団が出す、こういう方式でいくというふうに聞いていた。しかし、見直しの結果、公団が、それでは成り立ちませんので、半分が国、そして半分は県や市さんで出してください、そういうふうに主張を変えてきたと聞いております。
 そして、県会議員から県の職員に、これは今どうなっているんだと聞いたところ、公団から県には、これは国から強い指導があるんですというふうにお話しされる。そして一方で、国に聞いたら、それは事業当事者である公団と県さんがしっかり話し合ってください。これはどっちに行っても、どっちもたらい回しされるということで困っているという話を聞きました。
 私は、直接公団の皆さんや国交省の皆さんとお話をさせていただきますと、実質的な理由をきちんと答えていただいておるんですけれども、現場ではそういうふうになっていないということですので、公団が県に間接補助への変更を求めている実質的な理由というものは何なんでしょうか。
中臣参考人 まず、区画整理補助の前提となります都市計画道路の整備は、広域的な都市計画道路のネットワークを形成するものでありまして、広域的に利便が享受されるということから、地方公共団体により整備されるのが本来であると考えております。
 また、現下の厳しい経済状況下では、当地区の土地区画整理事業について、公団が直接補助により国の補助以外の部分を負担することは困難である、これは見直しの結果、そういうことがわかっております。
 したがいまして、事業成立のため、間接補助方式とした上で、国庫補助以外の部分の負担を公共団体に求めているところであります。
中村(哲)委員 非常に技術的になってきたので頭が混乱してくるんですけれども、そこで、確認させていただきたいんです。
 もしこの地域が中止を決めることになったとする。例えば、県が強硬に直接補助を主張した、そうすると、公団側としたら、ここを県が道路の開発額を出してくれたら何とか収支が合うのかなと考えていたんだけれども、直接補助ということになったら、どうしても中止せざるを得ないという判断を仮に公団はすることになるかもしれない。
 そういったケースを考えた場合、もしこの地域が仮に中止した場合、県も中止は考えていないと言っておりますけれども、仮に中止した場合の話です、都市計画道路はだれが整備を行うんでしょうか。その費用負担というものはどのようになるんでしょうか。
中臣参考人 区画整理事業を行わない場合は、一般的には、土地区画道路整備は地方公共団体が実施することになるかと思います。その場合、国の補助以外の全額を地方公共団体が負担することになります、これは公共団体の御判断ということになりますけれども。
中村(哲)委員 この問題の背景にはどういうことがあるのかと申しますと、私も、この地域には緑を残してほしいから事業計画は中止するように働きかけてくれないかという話をよく聞くんです。住民の中でも、賛成派も中止派も、二つに分かれているというような状況です。
 私の立場は、どちらかというと中間派でして、最初から中止する、最初から推進するというのではなくて、どういったメリット、デメリットがあるのか、費用負担はどれぐらいかかるのか、法的にはどういう仕組みになっているのか、そういった情報を公開して、市民で情報を共有して、あるべき開発のあり方、中止するにしても開発するにしても、あるべき開発のあり方を考えていこうというのが私の立場です。
 そういったときに、中止派の人に、自然環境が欲しいからということで中止する、それはわかりました。しかし、皆さんは、中止するといったときに都市計画道路まで要らないんですかと聞いたときに、いや、道路はやはり要るんじゃないですかというようなことをおっしゃる方が多いんですね。
 特に、この関西学研の地域というものは、いろいろな地域にまたがっています。京都府や大阪府ともまたがった地域になっておりますので、京都府のクラスターの方で開発されて道路ができている。そこになぜ自分たちの町がつながっていかないんだ、その高山第二工区の周辺の大規模開発されている鹿ノ台という地域の住民の皆さんとかは、そういうふうにもおっしゃいました。
 そういったことを考えると、必ずしも道路までは要らないとは言えないという方が多いのかなという実感があるんですね。そういったときに、中止をして道路だけつくるとなると、果たしてその費用負担はどうなっていくのか、ここが関心事となるわけです。
 しかし、そこで、今、中臣参考人から御答弁がありましたように、中止して都市計画道路をつくる場合と、間接補助をして都市計画道路を土地区画整理事業においてつくる場合と、それは地方公共団体の負担は全く同じである、そういうふうに考えてよろしいですね。
中臣参考人 先生おっしゃるとおりでよろしいと思います。
中村(哲)委員 そこで、事実の確認はさせていただきまして、次は、それなら国家プロジェクトというものとの関係はどのようになるのかということを確認させていただきたいと思います。
 大臣にお聞きいたします。
 この事前の御説明のペーパーにもありますように、この新しい法人、都市再生機構は、国家プロジェクト等への対応をすると言われております。そして、その中に関西文化学術研究都市の整備も入っております。ここで言うところの国家的プロジェクトとは、どういう意味で出されているのでしょうか、国土交通省にお聞きいたします。
倉林政府参考人 お答え申し上げます。
 関西文化学術研究都市につきましては、関西文化学術研究都市建設促進法第三条の規定に基づく基本方針におきまして、公団の都市開発のノウハウ等に着目いたしまして、都市公団等の公的事業者が地方公共団体との連携のもとに、主導的に都市建設に係る事業を推進することが定められているものでございます。
 そういうことで、新法人につきましても、関西文化学術研究都市整備のように、特別の立法措置によって、一定の政策目的を達成するために、国の機関や地方公共団体が連携して、都市開発を行うプロジェクト、これはすなわち国家的プロジェクトということだと思いますが、そういう国家的プロジェクトへの対応を新法人の業務として位置づけたものでございます。
中村(哲)委員 局長に確認させていただきたいんですけれども、そうすると、地方公共団体との協力の中で進めていくということですので、法律の範囲内で決められていることで国家的プロジェクトの役割というものは変わっていく、そのように考えてもいいということですね、逆に言うと。国家プロジェクトというものは、法律によって定められているから国家プロジェクトとしての役割を、今性質を帯びている。
 では、その国家プロジェクトの内容というものを法律によって規定されるわけだから、法律を変えることによって、国家プロジェクトという内容も変わり得るというふうに考えてもいいということですか。
倉林政府参考人 十分御質問を理解しているかわかりませんけれども、国家的プロジェクトという意味は、この今の法律に基づきまして基本方針を定めております。高山地区には先端技術大学院、精華地区には高等研究所、そういったものを配置する、そういうことを国として決めて、みんなで協力してやっていこう、公団においても、そういう都市開発のノウハウがあるのでやっていこうということでございます。
 ちょっと先回りするようでございますが、しかし、都市計画道路の整備をどういう負担で行うかということにつきましては、都市計画道路の国庫補助と地方公共団体の負担ということは、ルールはございます、基本がございます。そして、先生が言われている直接補助につきましては、結局、従来、ずっと地価が上がってきたわけですね、右肩上がりで。そういう中で中長期のこういう事業を進めますと、先行的に土地を買収したときに含み益が出るわけでございます。そうしたものを、公団の利益とするのではなくて、公共施設整備の地方公共団体分に与える、そういうことをやってきているわけでございまして、そういう状況が今あるかないかということは、国家的プロジェクトであるかないかということとは関係なく、今の地価の状況、事業の状況、そういったことで決まるわけでございます。
中村(哲)委員 次に、公団にお聞きするんですけれども、今の局長の答弁を受けまして、国家プロジェクトであるかということと、今後のやり方が大きく変わらないというふうに理解していいのかどうか。
 国家プロジェクトといいながら、どんどん負担が重くなってくるんじゃないかということを自治体は懸念しておると思うんですね。今回、直接補助が間接補助になった。これから工事とか計画を始めていくのに、今後ずっと長期間にわたっていく計画、開発の中で、初めの段階でこれだけ最初に言っていたことと違うんだったら、どんどん後になって負担が重くなってくるんじゃないか、そういった懸念は、自治体も、そして県民や市民も持ってくる可能性があると思うんですね。
 それだったら、もう計画は中止した方がいいんじゃないかというふうな考えになる方もたくさんいらっしゃると思いますので、そこの点の確認をよろしくお願いいたします。
中臣参考人 まず、先ほどの局長のお話にもありましたように、みんなで協力してやっていくということがありますから、国家的プロジェクトであっても、すべて国の負担で行うものではなくて、地方公共団体にも一定の役割がある。したがいまして、国と地方公共団体との適切な役割分担により進めることがまず基本であるというふうに認識しております。
 ただ、事業実施に当たりまして、地方公共団体との役割分担については、十分に協議を行い、合意を得た上で進めてまいりたいということであります。
 先生御心配の地方負担がどんどんふえるのではないかということですが、これは、地価下落が長期化したり、予定した保留地処分が見込めないような状況に陥った場合には、通常、減歩率のアップとか、コスト縮減による事業費の削減といったような区画整理事業の中で対応することが基本にはなります。
 しかし、その際、公共施設整備に対する役割分担の見直しを行うことがないとはちょっと断定できないわけでして、しかし、その場合でも、地方公共団体と十分に協議を行い、合意を得た上で事業を進めてまいりたいというふうに考えております。
中村(哲)委員 つまり、今後の見直しの過程において、やはり公共用施設として新たに買ってくださいということはないとは言えない、そういう御答弁だと理解してよろしいんですか。
中臣参考人 公共用用地として買ってもらうということはちょっとよくわからないんですけれども、いずれにしても、役割分担は一応、事業に着手するときに決めますよね、費用負担の話ですけれども。
 ただ、先ほど言いましたように、どういう状況が出てくるか読めないところもありますから、仮に厳しい状況が起きたときには、基本的にはみんなで協力しながら事業改善をしていくということになるわけですが、そのときに、やはり再度、公共団体にも一定の協力をお願いすることもあるかもしれないということですね、それは断言はできないんですけれども。そういうことは決して、絶対ないよとは言えないということを申し上げているわけです。
中村(哲)委員 絶対ないよとは言えないという程度の話だというふうに理解させていただきます。
 そこで、一番重要なことは、県や市とどのように今後協議をして具体的な内容を詰めていくのかという話だと思います。
 公団の皆さんとお話をさせていただいて、非常に熱意を持って、また使命感を持って、この事業にも、またほかの事業にも取り組まれているということを実感しております。
 その中において、このニュータウン型開発の問題点として、都心回帰が今、時代としてある。そうなってきたときに、ニュータウン同士の競争になってくる。だから、高山第二工区という新しい公団がつくるニュータウンについても、都市の外延的拡大をしているほかの地域との競争にもなってくる。より魅力あるまちづくりを公団としてはしていく必要がある。
 そのためにも、公団は、開発が終わったら将来的にはのいていくわけですから、そこを継続的に見ていくことになる奈良県や生駒市などという地方公共団体とよく協議していく必要があるんじゃないかということが言えると思います。
 それで、具体的に、上物をつくらないという方針の中で、具体的なまちづくりはどのようになっていくのかなということを疑問として私は感じます。
 私もニュータウンをかなり抱えている選挙区におりますので、その中で見ておりますと、ニュータウン型で、かなりきれいに整備されて、開発がされた、そういうところは、実は、高齢化が進んでいくと、コミュニティーが形成されないような仕組みになってしまっているんじゃないか。住居の建て方、駐車場の持ち方、そういうことも含めても、新しい考え方や方針というものがあるのじゃないかというふうに考えております。
 都市公団から昨日いただきましたパンフレットにもありますように、都市公団として七つの提言をいただきながら、自然環境とも十分協和しながら、コミュニティーを生かしたまちづくり。また、ニュータウンのときには、若い世代がどんどん入ってきて、年齢構成がかなり偏るんじゃないか、そういった過去の反省もあります。そういうことを踏まえて、新しい町ができたけれども、そこには若い層だけが入るんじゃなくて、お年寄りもきちんと入っていく、そしてその町の年齢構成が偏らない形にしていく、こういったことが新しいニュータウンではまちづくりとして必要な観点として出てくると思うんですね。
 このあたりのところを、新法人である都市再生機構、県や市、そして、この開発をやっていくのは不動産会社ということになっていくのかもしれませんけれども、こういった人たちとの協調、そして、もし上物をほかの会社に任せるのであれば、そのときの条件の示し方、このようなところはどのようになっているのか、御説明ください。
中臣参考人 高山地区を含めまして、これからのニュータウン開発にどう取り組むかということについて、現在私どもが取り組もうとしている内容について、時間の関係で、簡単にお話しさせていただきます。
 これまで当公団は、大都市圏の宅地需要に対応するために、ニュータウン事業で、道路、港湾などの基盤施設の整った良好な宅地を大量に供給してまいりました。しかし、先生も御指摘のように、一時期に集中して大量の宅地を供給するという結果、画一的な宅地、ハード中心のまちづくり、町の育成という視点の欠如など、反省すべき点も多々あります。
 こういった点を踏まえまして、今後ニュータウンを魅力のあるものにしていくためには、三つの視点を持って、新しい試みに取り組んでまいりたいと思います。
 先ほどの先生お示しいただいた私どものレポートには七つの提言というのがありますけれども、それを少し総合的に三つの視点にくくったものでございます。
 第一には、地域の個性を生かしたまちづくりである。そのためには、歴史、文化、豊かな緑などの地域固有の資源を尊重したり、居住者の参加による環境に負荷を与えない循環型の暮らしや、省エネルギーなどによる環境共生のまちづくりを実現すること。
 それから第二に、定期借地等を活用したまちづくりであります。それによって、多様な年齢階層の入居を促進するとともに、空間のゆとりなど、郊外ならではの魅力あふれた生活が実現すること。
 第三に、まちづくりから、まち育てへの転換であります。コミュニティー醸成の参加型まちづくりを推進するとともに、高齢者、子育て層の生活支援など、生活者の視点に立ったソフトな仕組みを地方公共団体や居住者あるいは地域のNPO等と連携しながら充実させ、町をはぐくんでいくということが重要だと思っております。
 当公団は、このような二十一世紀にふさわしい魅力あふれる郊外の暮らしのあり方を新郊外居住と名づけまして、今後、高山を含めて、全社的に取り組みを強化していきたいと思っております。それで、多様な居住の選択肢の一つとして、豊かな郊外の暮らしの実現に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
中村(哲)委員 ありがとうございました。
 時間ももうあと少しになってまいりましたので、少し大臣と都市再生についての話をさせていただきたいと思います。
 大臣は、都市再生の具体例について、六本木ヒルズ等の民間主導で進んでいる事例を御紹介されました。それらは、大臣自身がお認めになっているように、民間主導で進んでいることだというふうに言えます。
 そうだとすれば、なぜ都市再生機構が必要なのでしょうか。具体的に都市の再生事業において機構が果たそうとしている役割は何だとお考えでしょうか。
扇国務大臣 御存じのとおり、今までの公団の歴史というもの、七十五万戸つくってまいりまして、二百万人が居住している。その人たちを全部民間にと、そうはいかないんですね。
 今までは、多くの国の施策、そして戦後の日本復興のために公団の果たした役割、この数字をもってしても大きな役割を果たしてくだすった。また、賃貸も含めて、高収入だけではなくて中低所得者にも行き渡るようにという今までの役割。そういうものを、今現実的に新しい、先ほども、午前から論議がありましたように、日本が、地域の文化あるいは伝統、景観、そして住まいの憩いの場、そういうものをすべて網羅してつくってきたかという反省の上に立ちますと、必ずしもそうではない。まず、住居を差し上げよう、住むところを安定して供給しようというその方向に偏り過ぎていて、ゆとりがなかったと言えることも事実だと思います。
 けれども、高齢社会になって人口も減る、しかも、住んでいる人たちも高齢者が、先ほども例を挙げましたように、特に都市においては高齢者が今の居住の中の三割、三一%ですけれども、平均では二一%高齢者である。そういうことに対応できるようにするというためには、今民間に全部委託しても、それは民間ではできません。それは、公団がつくって、そして公団がつくってきたものを今いかにリニューアルするか。しかも、一年間に六千戸建て直しするときには、今言ったように、先ほども岩國議員にお答えしましたけれども、少なくともデイサービスのセンターを入れようとか、あるいは託児所を入れようとか、あらゆる二十一世紀型のソフトを加味したものをつくろう、建てかえのときにはですね。
 ですから、それが必ずしも、民間に全部、建てかえも民間にして、もう要らないじゃないかということは、それは飛躍のし過ぎであって、今までの七十五万戸の責任というものもあります。今の二百万の居住者に不安を与えないということも我々の大きな役目ですから、一挙両得にすべて民間にゆだねるということは不可能に近いし、かえって不安を与える。家賃の高騰ということも考えられますから、今は考えられません。
中村(哲)委員 大臣は私の質問の趣旨をちょっと取り違えていらっしゃるんだと思うんです。それは事前のレクできちんとお話しさせていただいたと思うんですが、今、大臣の御答弁は賃貸のお話だったと思うんですね。私がお聞きしているのは、今回、新法人のメーンの業務になる都市再生の業務のお話をさせていただいているんです。
 都市再生の業務において、六本木ヒルズを中心として民間がかなりやっていますよね。しかし、今の賃貸部門の二百万居住者の七十五万戸の話をしているわけじゃなくて、既存の市街地で新たに都市再生をやる部分について、なぜ都市再生機構が担うべき必要があるのか、そこについての質問をさせていただきたかったんです。質問のやり方が悪くて申しわけございません。
扇国務大臣 質問を取り違えたわけではなくて、今後のあり方を申し上げたんです。
 今おっしゃったように、都市の再生ということでなぜ必要かといいますと、大規模な臨海の工場跡地等々ございます。そういうものをどのようにしていくかという転用、そして、大都市の防災にもそういうところを利用していこうという新たな都市計画というものが今できております。
 その意味で、我々は、都市再生機構が今後、都市の再生における民間の取り組みをしながら、六本木のことも話をしましたけれども、民間と国とが新たな都市再生をどう持っていくかということの四つの点があろうと私は思います。
 それは一つには、権利の調整のコーディネートが必要である、それは国と地方。そして二つ目には、細分化の土地の集的な整形化、これは今のようなまばらになっているものを一つにして、大型の、大規模の工場跡地等々の敷地の整備をしなきゃいけないというのが二つ目の大きな今度の都市再生機構がするべきことである。また三つ目には、関連の公共施設の整備が必要である。これは先ほども細かいことを言いました。四つ目には、民間による賃貸住宅の建設の支援のために敷地の整備をしよう、公共の土地も民間のために利用していただこう。
 今回の都市再生機構というものが民間と協力しながらできることというのは、以上の四つに集約して私は今の段階では言えると思いますので、すべてを民間で対応することは困難であるということは御存じのとおりです。
 ただ、少なくとも、六本木ヒルズということをさっき口になさいましたけれども、あれはやはり、図面を出して、さっきも私は岩國議員に申し上げた、十七年かかって六百世帯というのをこつこつと口説いていって、地権者に協力を得られて、目に見えるものがどんなものが夢としてあるんですかといったら、こういうものですというものを民間がつくってくれたことに対しては、私は、例としては、目に見えるものという意味では大変よかったと思っているという意味でございます。
中村(哲)委員 時間が参りましたので、必ずしも質問と答弁がかみ合っていると思いませんが、終わらせていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。一川保夫君。
一川委員 自由党を代表いたしまして、質問させていただきます。
 国土交通委員会でございますので、ちょっと冒頭に、法案の審議と直接関係ない話題でございますけれども、私は、石川県に在住している、しかも山手に在住している人間でございます。白装束軍団と称するパナウェーブ研究所のキャラバン隊が白山という山の周辺の山間部を迷走いたしていた時期もございまして、今、福井県にちょっと定住いたしておりますけれども、十年近く前から、我々も出没していたのを眺めたことはございます。
 最近、我々、一般の有権者の方々とお話ししたときも話題になることは、自分たちがちょっと道路に駐車するととんでもないおしかりを受けたり、あるいは車を改造するといろいろと指摘をされるし、また、この委員会でもいろいろな話題があったと思うんですけれども、今回ああいうふうにいろいろと報道されている状況を見まして、一般の国民が、ちょうど山菜取りのシーズンでもございましたけれども、ああいった山間部の道路を自由に行き来するのが非常に通行しづらい、あるいはいろいろな不安感がある、また、そういった山を所有している所有者にとっても非常に心配な状況だったというふうに思います。
 今現在の状況ということになりますと、けさほどのニュースでは強制捜査に入ったという報道が流れておりましたけれども、今回の、白装束軍団と称するパナウェーブ研究所なる、そういう人たちがああいう山中をいろいろと動き回るというこの実態に対して、これまでどういう対応をしてきたのか、あるいはまた、今後どういう対策をとろうとしておられるのか、そういったところを警察庁並びに国土交通省の方から、その現状なり、また今後の対応方針についてお話をお聞きしたい、そのように思います。
扇国務大臣 細かいことは、聞いていただければまた局長からお答えいたしますけれども、私に随時報告が入っておりましたところでは、少なくとも道路運送車両法違反ということで、まず、車に対して、前方が見えません、それから、余りにもあのマーク、何マークと言っていいのか私にもよくわかりませんけれども、私も今回の事件までこのパナウェーブという研究所のあり方を知らなかったものですから。まず、道路運送車両法違反ということで、視界が見えるようにしなければいけないということで、まず注意に入りました。
 そして、道路運送車両法違反ということで、きょう十四日ですか、十五日以内というゆとりでこれを撤去しなさいということを命令しまして、それで、入ったときに、十五日以内という約束でこれを見守るということで、まず、岐阜から動いたときには、前方をなるべく、何か変なマークが張ってあるものですから、それを外して、今、岐阜から動き出しましたという報告を私は受けました。
 けれども、厳格に、今おっしゃるように、一般の道路交通法違反で皆さんが道路にとめていても注意されるという時代ですから、そういう意味では、厳重に道路運送車両法違反ということで注意を国土交通省の地方運輸局が申し渡しをしているというのが現状でございます。
 細部にわたっては、もし御希望であれば局長から答えさせます。
丸山政府参考人 大臣の御答弁を若干補足させていただきます。
 日付といたしましては、五月二日の日に、警察の要請を受けまして、パナウェーブ研究所が使用しております車十四台につきまして保安基準適合性の検査を行い、その結果、六台につきまして、ただいま大臣からお話がございましたように、窓ガラスへのステッカーの張りつけということがあった、それから、最大積載量表示義務というのがかかっておるわけでございまして、これもしていないということで、この二点につきまして、道路運送車両法に基づきまして、十五日以内に保安基準に適合するよう整備することを命令いたしたところでございます。
 今後、パナウェーブ研究所が命令に基づきまして整備を行った場合には整備命令を取り消すということになるわけでございますけれども、仮に命令に従わなかった場合につきましては、一つには、自動車の使用を停止するための手続というのが一つでございます。もう一つは、必要に応じまして、整備命令違反ということで警察に告発するということになると思われます。
 今後とも、警察庁などと連絡を密にしまして対応してまいりたいというふうに思っています。
奥村政府参考人 お答えをいたします。
 御指摘の団体につきましては、御案内のとおり、白装束で、非常に異様な外観の集団でございまして、これが十数台の車両で、岐阜、長野あるいは石川等の山中を徘回いたしまして、道路に駐留したりしてきたところであります。不安を感じられた地域住民の方々から一一〇番通報が寄せられるといったトラブルがこれまで生じておったところであります。
 このため、警察におきましては、この集団に対しまして、必要な警戒あるいは指導、警告等を行ってきたところでありますけれども、今月の一日に、この集団のメンバー九人に対しまして、道交法違反、これは無余地駐車でありますけれども、これに反する告知をしたところであります。
 この団体は過去にも各地で同様のトラブルを起こしておりまして、平成三年以降、三件の事件で逮捕等の強制捜査を行っておるところでございます。
 さらに、本日、先ほどお話がありましたように、キャラバン隊が使用車両を他人名義で登録していたということで、電磁的公正証書原本不実記録、同供用の容疑で、この団体の関係施設十数カ所、それから車両等の捜索を行っておるところでございます。
 それから、これまた先ほどお話がありました、国土交通省の方から整備命令を出されておりますので、この法令の定める期限までに必要な整備がなされないというときは、国土交通省と連絡を密にして厳正に対処してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、警察といたしましては、住民の方々あるいは国民の不安を解消することが必要と考えておりまして、この団体につきましては今後とも十分に注意を払っていきますとともに、違法行為につきましては厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
一川委員 最近、このことについてのマスコミの報道が非常に過熱をいたしておりますので、なおさら一般の住民にとっては非常に不安感が募るわけでございますけれども、一方では、そういういろいろな取り締まりについて、一般の国民とはちょっとバランスを欠いた点があるのではないかというような指摘もありますので、そういったところについては十分御指導をお願いしておきたい、そのように思っております。
 では、次の話題に移りたいと思いますので、どうぞ、結構でございます。
 まず、この法案についていろいろとこれまで審議がされてまいりましたけれども、基本的なところで大臣並びに関係の局長さんのお考えを確認するわけです。
 今回の都市再生機構という組織に移行するという中で、民間活力というものをできるだけ誘導しながら、場合によっては、民間とのいろいろな共同事業化の推進を図れるものについては極力そういうふうな方向に持っていきたいというような趣旨の説明がずっとあったわけでございますけれども、特殊法人を基本的には民営化するという大きな一つの時代の要請という中にあって、独立行政法人という形で今とりあえずそういう方向に動こうとしているわけです。
 この都市再生機構、前身の昭和三十年の住宅公団なり、また地域振興整備公団、そういったものが、いろいろと時代の変化に応じて業務内容に見直しをかけてきたのは御案内のとおりでございますけれども、今回、この時期に都市再生という名前をつけた新しい組織を再スタートするという面では、できるだけ業務内容を点検した上で、民間に本当に移行できるものについては民間に移行させる一つのチャンスではなかったのかというふうに思っております。
 これまでの公団業務なり公団の推移をずっと見ておりますと、何となくその組織体を残すために、いろいろな、その時代時代の必要とするような業務を抱えながら公団組織を残してきたような感があるわけでございますけれども、私はやはり、今回、住宅公団からの、そういった公団住宅の管理業務は別にしましても、都市整備に係る業務については民営化できるところは極力民間の力にお願いする。その方が、そこで働いている皆さん方もいろいろな面で生きがいを感じ、やりがいを見出しながら業務に熱中できるのではないかというような感を持っておりましたし、それからまた、都市という我が国でもそういうポテンシャルの非常に高い地域の再生でございますから、やり方によっては民間の力で十分やっていける分野がたくさんあるわけでございますので、特殊法人の民営化という大きな時代の要請からすれば、一つのパイロット的な役割といいますか、モデル的に、この都市整備公団の業務の一部については積極的に民営化を図るべきじゃなかったかというふうに思っておりましたけれども、残念ながら、今回はまだそういうところまで行っていない。引き続き、独立行政法人都市再生機構という中でそういった業務を行っていくということになっているわけでございます。
 こういった、真に民間に移行するというようなことについてこれまで検討されてきた経過があるのかどうか、あるとすればどういう検討をされてきたのかというところと、それから、今後、この都市再生機構なる組織が、時期を見て極力民営化を図っていきたいというような方向なのかどうか、そういったことも、今後の対応策も含めて国土交通省のお考えをお聞きしたい、そのように思っております。
河崎政府参考人 まず私の方から、民営化についての検討の経緯ということについて御説明をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、特殊法人の改革につきましては、平成十二年十二月に閣議決定されました行政改革大綱におきまして、すべての特殊法人等の事業及び組織の全般について平成十七年度末までに抜本的に見直しをするということが閣議決定されまして、これを受けて、各法人について、業務内容や組織形態に関する検討を行ってきたところでございます。
 その検討結果を踏まえて、御承知のとおり、平成十三年十二月に特殊法人等整理合理化計画が閣議決定をされました。この中で言われておりますが、幾つかの判断基準がございまして、すべての法人について、民営化した方が効率的ではないかという判断基準での検討を経た上で、廃止または民営化できない事業であって、国の関与の必要性が高く、採算性の低い事業を行う法人は、事業の徹底的な見直しを行った上で、原則として独立行政法人化するということになったわけでございます。
 その中で、都市基盤整備公団につきましては、事業の徹底的な見直しを行った上で、民営化できない、国の関与の必要性の高い事業のみを行うという形で、御承知のとおり、民間を都市再生に誘導するための条件整備というものに集中するという観点から、新たに独立行政法人として再出発をすべきであるということが決められたわけでございます。
 これを受けまして本法案を提出させていただいているわけでございますが、都市基盤整備公団を廃止し、地域振興整備公団の地方都市開発整備も統合して、新しい独立行政法人都市再生機構を設立するということにしたところでございます。
一川委員 言葉でお話しされるとそういうふうなことになろうかと思いますけれども、この委員会を通じていろいろと質疑を聞いておりましても、具体的にどういう業務をどういうふうに整理したかというところがちょっとわからなかった点があったのではないかというふうに思っております。
 私は、公的な部門である程度カバーしなきゃならない必要性が非常にあるという部門、あるいは、しかし、効率性、採算性から見るとちょっと難しいかなというようなところは、確かにそれはいろいろな分野にあろうかと思いますけれども、本当に公的にちゃんとカバーすべきものについては、都道府県なり市町村なりという実質の行政が、もう一回見直しの中で直接タッチするということもあってもいいのではないかという感じもします。また、民間の本当にいろいろな蓄積された力をこの際活用するのであれば、大胆に民間の方にお願いをするということもあってもいいのではないかというふうに思いますので、今後の一つの検討課題の中に入れていただいて、またしっかりとした点検、見直しをしていってほしい、そのように思っております。
 それで、次に、これは大臣がもう常におっしゃる中で、都市を再生する必要性の一つの大きな理由の中に、国際競争力を持たせなければならないということを扇大臣はよくおっしゃいます。外国の観光客は、よその国の大都市にはたくさん観光に来るけれども東京には余り来ないというようなことも含めていろいろなお話をされますけれども、では具体的に、例えば東京、大阪等の大都市に本当に国際競争力を持たせるためにはどういう町を目指すのか、そのビジョンはどこにあるのかというところが一つポイントになるわけでございます。やはり、国際的な資本力、そういったものをできるだけ投資を促進させるような基盤をつくるとか、あるいはまた、優秀な人材がその町に流入するような基盤をつくっていくということになろうかと思うんですけれども、具体的に、都市を再生して、なおかつ国際競争力のある町というのはどういう町なのかというところを、もう一回、ちょっと整理してお答えいただければありがたいと思います。
扇国務大臣 国際化の前に、さっき機構の話が出ましたので、ちょっとそのことを簡単に申し上げたいと思います。
 一番大事なことは、先ほど局長が言いましたように、廃止または民営化できない事業、それがあるかないか。そして、なおかつ国の関与の必要性が高くて、採算性が低くて、業務実施における裁量の余地が認められる事業ということで、ちょっと簡単に例を挙げさせていただきますと、公団住宅と民間の住宅の比較、これが一番簡単だと思うんですね。今の公団の住宅と民間と比較しますとどんなところが違うか。
 端的に言いますと、平均家賃でも少なくとも五千円ぐらい違うというのが一つ。それから、平均の住戸の面積ですけれども、これは五十二・三二平方メートルで、民間は三十九ということで、片っ方は五十二、片っ方は三十九、広さも違います。それから、バリアフリー化なんですけれども、公団の場合は現段階で一二%バリアフリー化できております。ところが、民間の場合は、今バリアフリー化は〇・三%です。という意味で、民間と公団との差というものもあります。
 そういう意味で、少なくとも、公団で高齢者とか母子世帯に対します家賃の軽減措置というのをつくっていただいたのは一川議員も御存じのとおりですけれども、その高齢者とか母子世帯に対します家賃の軽減措置というものも七万九千世帯が利用していただいているということも、やはり大きく貢献してきたということで、今すぐ民間にそれができるかというと、必ずしも今、即民間にということが一足飛びにはできないという事情は、今の例をもってしても、簡単にですけれども、列記しただけでもわかっていただけるのではないかということも一点、私はお答えしておきたいと思います。
 それから、今の国際化の話でございますけれども、これはもう、この委員会で絶えず私が皆さん方に申し上げていることですけれども、これはスイスの調査機関が調査した結果でございますけれども、バブル期に世界の第一位と言われました日本の国際競争力、これは一位だったんです。それが今は三十位にまで日本の地位が落ちております。
 なぜこれが三十位に落ちてきたかというのには、少なくとも、現実的に、この間もどなたかにお答えしたと思いますけれども、東京で開催されます国際会議、今の現状では、国際会議の数は世界でもこれもまた三十三位なんですね。そして、外国への旅行客は千六百万人で、入ってくるのは五百万以下という状況。
 それから、例えば、東京の魅力と課題に関する外資系企業のアンケートというのを調査いたしておりますけれども、その外資系企業の調査結果でも、ビジネス環境に関しては、空港へのアクセス、これが外国に比べて大変悪い。また、オフィスの環境に関しては、オフィスの設備、情報通信施設でありますとか個別の空調、あるいはセキュリティー等々が、国際的に見て日本のビルはオフィスに関しては環境が悪いという結果が外資系の企業のアンケートでも出ております。
 そして、先ほど申しました空港からのアクセスということから考えますと、欧米先進国では、国際空港、国際港湾から十分以内に高速道路なりあるいは鉄道に連結できている。ところが、日本の場合はそれができていないということ自体もこの外資系企業の、アクセスの悪さというものが指摘されているとおりでございます。
 そういう意味で、海外の企業とかあるいは海外の投資家とか、そして日本に旅行しようという人たちを引きつける魅力が少ないということを如実にこの数字はあらわしていると言えます。
 具体的には、今申しましたように、まず私たちが新しい都市再生ということでしなければいけないことは国際空港の整備。いつも言いますように、香港あるいは上海、韓国から成田まで来るのに一時間から一時間半、二時間以内。ところが、成田でCIQを通るのに一時間並ばされる。成田から国内線に乗りかえる羽田まで一時間半かかって、タクシーで二万以上。これではとても日本に行こうという気にならないというための国際空港の整備とか、そのアクセスの改善を、まず国際競争力にたえ得るように変えていかなければいけないというのは、一番大きな問題点であろうと思います。
 二つ目には、耐震性とか、今申しましたように、外国の企業が、情報通信施設が悪い、いわゆる光ファイバーでも、各ビルの中に光ファイバーが引いていない。ビルはたくさん建っているけれども、その中で通信施設の光ファイバーがあるものは、二十四時間外国と通信可能なものというのがわずかしかない、これも私たちは改善しなきゃいけないということです。
 都心の三区のオフィスの中で、耐震とか情報化の面でストックがどれくらいあるか。七割が問題を抱えているんですね。三割しか満たされていない。新しいビルはできていますけれども、今までの七割はまだそういう施設ができていない。
 ですから、国際の競争力にふさわしい機能を備えたオフィスビルを私たちは努力して推進して、民間を率先してあっせんしていこうということで、少なくとも、商業と文化、そして居住とアミューズといった複合的な魅力を備えたまちづくりが必要であるというのが、新たな都市再生の大きな課題になっております。
 それからもう一点は、密集市街地です。どうしても、都市集中で、戦後慌ててつくった町というのは密集に今現在なっています。そこにゆとりがない、緑がない、交通の便が悪い、渋滞がある。
 東京都の車の渋滞、高速道路、都内一つとってみても、一四%は東京都を素通りしているんですね。ただ通過しているだけ。けれども、外環とか圏央道とかができていないものですから、都内の一四%はただ高速道路に乗って通過していっちゃう。
 それだけ東京は混雑し、なおかつ込み、そしてCO2の排出量を東京都は全部しょっている、そういう状況も、都市再生、そういうもので考えていかなければいけない。そういう二十世紀と二十一世紀の違いというものを、改めて我々は、今回の法案等々、皆さんの御意見を聞きながらも、一刻も早くその措置をしなければいけないというのが今の状況でございます。
一川委員 都市再生ということをやらなければならない事態になったということは、基本的には、私は、やはりこれまでの都市政策そのものをもっと反省しながら、物によってはうまくいかなかったということも当然あるわけでございますので、そこを肝に銘じて、しっかりとした対策が必要ではないかというふうに思っております。
 午前中、岩國委員からも話がありましたように、国土計画全体のビジョンの中で都市というものをどういうふうに位置づけ、どういうふうに整備していくか、やはりそういう青写真というものを常に下敷きにしながら物事を考えていく必要があるのではないか、そのように思っております。
 そこで、最近、東京へ出入りする人の印象、まあ我々もそうなんですけれども、東京都内、特に高層ビルが相当目立ってまいりました。こういう現象は何が起因するかというのは、正確に私はつかんでおりませんけれども、ある人に言わせますと、東京都の中のそういった超高層ビルも、ある程度需要に応じて当然物事は動いているんだろうから、それなりにうまくいっているんではないかという見方もあるわけです。しかし、業務用のスペース、オフィスに使うスペースがそんなに需要があるのかなという感じもちょっとしますし、それからマンション等の居住空間も、あれだけたくさんつくって本当に需要があるのかねという感じもちょっとします。どこかで相当やはり空き家が生じているんではないかという感じもいたしますし。
 そういうことを考えますと、最近、マスコミでは何か二〇〇三年問題というような言い方もしておりますように、一つの課題として問題意識を持ちつつあるというふうに思います。この業務スペースあるいは居住空間としてのスペース、そういったものが、今日、都市再生と称して東京なりに相当、この前の六本木ヒルズじゃありませんけれども、大変大きなプロジェクトがだんだん目立ってまいっております。
 現状では、都市の政策としては、そういうものが上手に位置づけされて、しっかりとした対応ができているのかどうかというところが非常に気になるわけでございますけれども、全体の需給バランスというのはどういうようになっているかということも含めて、今取り組んできている、まあ都市再生になっているのかどうかわかりませんけれども、ああいう超高層ビルのいろいろなプロジェクトに対する評価、あるいは今現在抱えている課題みたいなものがどういったところにあるのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
澤井政府参考人 いわゆる二〇〇三年問題に関する御指摘でございます。
 これは、東京二十三区、特に都心区で、ことしに限ってそうした大型の優良オフィスビルの供給がふえているという問題と私ども理解しております。そうしたことで空室が生じるんじゃないかという懸念があるということも承知しております。
 近年のオフィスビルの供給状況を見ますと、いわゆるバブル期におきましては、むしろ小規模なペンシルビルが卓越して多く供給されておりましたけれども、最近は逆に、優良な大型ビルの供給がむしろ多いというのが、まず基本的な状況としてございます。こうした優良な大型オフィスビルの空室率を見ますと、二〇〇一年ぐらいまではかなり低うございました。市場では五%ぐらいの空室が適正空室率だと言われておりますが、三%台でございました。
 こうした中で、本年のオフィスビル市場を見ますと、一つの特徴として、国鉄清算事業団用地に係る開発案件、品川駅東口ですとか汐留ですとか、そういったものの市場への供給の時期が集中したということがベースにございまして、大型ビルに限って言えば平年の倍ぐらいの床の供給、数字的には二百万平米を超える大規模ビルの供給がなされております。こうしたことで、大型ビルも含めまして、現在、オフィスビル市場全体で空室率が上昇しているものと考えておりますが、逆に、この大量供給というのは、最初にも言いましたように、本年に限った一時的なものでありまして、現に把握されている限りで、先ほど二百万平米と言いましたが、来年以降は数十万平米の水準にまた戻るという見通しでございます。
 そのようなオフィスビル需要が本当にあるのかということでございますけれども、もちろん都市再生というのは、オフィスだけじゃなくて、商業、居住、文化、アミューズ、いろいろなことを民間の力でやっていただいております。
 オフィスビルに限っていいますと、現在のオフィスストックの現状を見ますと、先ほど大臣も答弁されましたように、耐震性がまだ十分じゃないというビルが多うございます。また、情報化その他の対応にも不満があるということで、一番優良なビルが集中していると思われます都心三区においてすら、七割ぐらいのビルについて不満が持たれています。そうしたビルのストックをいいものに置きかえていくということが一つ。
 それから、オフィスの一人当たりの床面積、これも欧米と比べますと、まだまだ日本は低うございます。最近できたいいビルですと欧米並みのものもございますが、平均しますと相当小さい数字になっております。
 こういったことを解消していくということを考えますと、需要の絶対量は相当大きなものがまだあると思っております。
一川委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきますけれども、最後に一点、私の方からの要望でございます。
 先ほど大臣もちょっと補足説明されましたけれども、住宅管理部門について私は早急に民営化しろとは言ってはいないんです。都市整備部門について今PFI方式等々でいろいろなことも言われておる時代ですから、極力民営化した方がよろしいんではないかというふうに主張させていただいておりまして、むしろ公団で造成したこの住宅管理部門については、私は、非常にいろいろな面でそのひずみが生じてきていますし、居住されている皆さん方も大変御苦労もありますし、将来に対する不安感が強いと思うんです。特に高齢化現象が顕著にあらわれてきておりますし、いろいろな面で負担が重荷になってきておるという現状でもあろうかと思います。
 そういう面では、私はやはり、公団で造成した住宅についての活性化ですか、そこに住んでいることが非常に豊かに住める、そしてまた、そこにもう一回住んでみたいという気持ちになるような住宅、地域にぜひ再生、それこそ再生するようにぜひお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 先日の当委員会での参考人質疑で、公団自治協の参考人の方から、今年度の公団家賃値上げについて、最大一万円、平均月千七百円、年間数万円規模となり、高齢者の方からも、あるいは子育て真っ最中の若い世帯からも、この大変な不況の中で、生活の基盤を不安定にするという立場から、強い不満の声が上げられました。
 今回、私、質問するということになりまして、例えば茅ヶ崎市の鶴が台団地を初め全国各地から、こういう家賃値上げの問題での疑問やいろいろな問題での要望等をぜひ取り上げてほしい、こういう声も寄せられました。そして、きょうもこのように本当に超満員の傍聴の方であります。
 なぜこういう状況なのか、これはもうはっきりしていると思うんですね。再生機構になったら家賃がどんどん上がるんじゃないだろうか、取り立てが厳しくなるんじゃないか、そういう不安が大変強いということがここに示されているのではないかと思います。
 そこで、ちょっと公団の方にお聞きをするわけなんですが、今の家賃値上げ等々との関係で、家賃の滞納状況が大変増加しているんじゃないだろうか。これは事前にお聞きしたところによれば、法的な措置、明け渡し断行、強制執行ですね、これをされた件数が、平成九年で千五百八十一件、平成十四年で三千二百五十八件と、二倍以上にもふえているわけですね。法的措置の最後の明け渡し断行がこういう数であるということは、その背後に、恐らくこれは数万規模の家賃滞納、厳しい状況があると思います。
 そこで、家賃滞納三カ月で契約解除通知など一定の措置をとられることにされているようでありますけれども、そういう三カ月滞納で契約解除通知など一定の措置をとられた件数はこの五年間でどういう変化をしているか、まずお示しをいただきたいと思います。
古屋参考人 公団の家賃制度につきまして、ちょっとお答えの前にお話しさせていただきたいと思いますが、家賃制度の仕組みあるいはその運用の仕組みについては、機構になりましても基本的にこれを踏襲するということでございますから、制度の変更で何かが変わるということではございません。
 家賃の改定に当たりましては、特に低所得者の方々の居住の安定というものに配慮しまして減額の特別措置等を講じてきておるところでございまして、そのような内容は今後とも踏襲されていくというふうに理解をしております。
 それで、滞納の件でございますが、滞納が生じる理由はいろいろあろうかと思いますが、滞納が生じましても、何か機械的な処理をするということではなくて、居住者との交渉を継続しながら、いろいろな、お支払いのお願いをする、あるいは御相談に乗っていくということでやっておりまして、なお滞納が続くときに、初めて訴訟なり明け渡し請求をしてまいるわけでございます。
 そういった法的措置の前後にわたりまして、例えば、滞納者が家賃を一部支払う、分割して支払う、あるいは将来ちゃんとこういうふうに支払うからという一定の誠意が見える場合にはその相談に応じたり、あるいは、病人でありますとか特別の事情がある方につきましては、公営住宅の窓口に私ども職員も一緒に行って御相談に乗ってもらう、あるいは福祉事務所とも連携を図るといったような、個別の生活事情を勘案しながらやっておるわけでございます。
 いずれにしましても、公的機関としての債権でございますから、これは適正に最終的には執行させていただく必要があるということでございます。
 それで、滞納のうち、いろいろな法的措置に至ったものがどれぐらいあるかというお尋ねでございますが、この五年間でお話しするようにということでございますから、今のような努力をしてなお訴訟の提起に至った件数を申し上げます。
 平成十四年度末では七千九百七十件、平成十三年度末では七千七百八十件、十二年度では七千四百九十三件、十一年度では六千二百七十一件という状況でございます。
 また、先ほど申し上げましたようないろいろな事情を勘案しながら引き続きお住まいをいただくというようなこともやっておりますので、訴訟を提起したから直ちに退去していただくということではありませんで、その間にいろいろなことをやりながら、最終的に強制執行に至ったという件数を申し上げますと、平成十四年度では三千二百五十八件、平成十三年度では二千九百九十二件、十二年度で二千九百十五件、十一年度で二千五百四十二件という状況でございます。
大森委員 当然のこととして、いろいろな配慮を当然されなくてはならないわけなんですが、しかし、そういう中でも、この間、その件数が二倍以上にふえてきているということが問題だと思うんですね。
 今お答えがありませんでしたけれども、私どもの調査では、家賃三カ月滞納で契約解除通知等の一定の措置をとった件数が、一九九七年は一万五千九百八十三件、二〇〇一年は二万八千二百四十五件と、四年間で二倍近くになっているわけですね。特に千葉地域では、契約解除通知が、一九九七年、六百七十七件だったものが、同じ二〇〇一年には一万二千四百八十八件と、二十倍近くにもふえているわけです。
 これは、自民党政治のもとでの深刻な不況、企業倒産やリストラ、失業が戦後最悪になっている、こういう背景も当然あるわけでありますけれども、やはり公団の取り立てが厳しくなっているんじゃないだろうかということもあると思うんですね。そういうのがありますから、これが再生機構になったらさらに厳しくなるんじゃないだろうか、こういう不安だろうと思います。
 この間、団地居住者の高齢化、低所得化にもかかわらず、市場家賃を基準にして家賃を値上げしたことも関係があると指摘せざるを得ないと思います。
 実際、公団の新法人設立準備室の「公団経営の効率化への取組みについて」という文書の中では、収益向上の改善策として、家賃増収への取り組み、こういう項目を設けて家賃値上げなどを示唆したり、管理事業での増収策として、建物や敷地の広告スペースとしての活用、あるいは駐車場賃貸料の引き上げ、こういうものも入っておるわけですね。
 ですから、今後、当然収益の改善向上等には努力していただかなければなりませんけれども、居住者の負担ばかりにそれを押しつけてはならないということで、改めて今、これは先日の公団自治協の参考人の方が示された、今の居住者の生活実態あるいは負担能力に見合う家賃制度等にすべきではないかということをお聞きしたいと思います。
松野政府参考人 家賃改定に当たりまして、今後とも従来どおり、公団のときと同様、原則は市場家賃ということでございますが、家賃改定に当たりましても、低所得高齢者等の方につきましてはそれなりの適切な減額を講じていくということは引き続き実施していくというのが基本でございます。
大森委員 今後、管理あるいは建設等を民間任せにしていけば、居住の安定確保どころか、やはりこういう面が、厳しい状況がますますふえてくるんじゃないか、家賃の滞納の増大とか法的措置の増大につながってくるんじゃないか、引き続きそういう強い危惧があるということも申し上げておきたいと思います。その面からも、重ねて、収入実態に見合う、負担能力に見合う家賃にすること、あるいは福祉的措置をきちっととっていくことを要求しておきたいと思います。
 次に、建てかえ問題についてお聞きをしますが、この間、公団は、平成十三年度の計画で、年平均九団地、五年間で四万戸の建てかえが必要だ、こうされてきたわけでありますけれども、それに基づいて、既に住民側にも計画を公表しているという団地もあると思います。
 その場合、十三年度の四万戸の建てかえ計画、あるいは既に住民側に公表されている計画は、機構に移行してもこれらの計画は変更されないかどうか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
中田参考人 お答えいたします。
 公団住宅の賃貸住宅の建てかえは昭和六十一年度から実施しておりまして、これまで約九万八千戸着手済みでございます。年間の事業量は、着手ベースで八千戸ということになります。着手ベースといいますのは、一応、今住んでおられる皆様方に、ここの団地を建てかえますよということで正式に説明会を行う、こういう意味での着手ベースということで扱っておる戸数でございます。移行期でありますけれども、平成十五年度も、事業計画において約八千戸を予定しております。
 機構におきましても、同程度の規模で、地域の整備課題への寄与、賃貸住宅の需要、それから事業採算性等の事業の効果を勘案しつつ、居住水準の向上、敷地の適正利用を図る建てかえ事業を推進してまいる予定でございます。
大森委員 関連してお聞きをしておきますが、建てかえに当たって生まれた余剰地について、これを民間に売却するというのが今後の新法人の方針ともなっておりますか。
中田参考人 建てかえ事業は、居住水準の向上と敷地の適正利用ということを目的として実施してまいりましたところでありますが、実際の具体の事業の推進に当たりましては、まちづくりの視点に立って、地方公共団体と連携を図りながら、従前の居住者の方々への居住の安定やコミュニティーの維持に配慮して進めているところでございます。
 公団においては、必要な賃貸住宅の敷地を確保した上で、地方公共団体との協議によりまして、周辺市街地の整備に必要な公共公益施設、こういうものの整備、それから、公営住宅あるいは社会福祉施設等の敷地を確保し、さらに、多様なニーズに対応する民間住宅等の敷地として譲渡するというようなことも含めて、トータルな姿として良好な住宅市街地を整備するというふうなことに努めてまいりたいというふうに思っています。
 今後の機構におきましても、公団と同様に地方公共団体との連携に努めるとともに、このような形で建てかえ事業を続けてまいるということを予定しております。
大森委員 公営住宅やら公営施設等を一定導入するのは当然あり得るとしても、民間に土地を、既存のこういう団地から切り売りしていくというのは、これは後でも触れますけれども、大変問題だと思うんですね。
 あわせて、もう一つ関連してお聞きしておきますが、建てかえという場合に、現居住地と違う場所に建てかえる、これは建てかえと言うかどうか、それは問題でありますけれども、他の場所に移転をさせる、こういうことも考えておりますか。
中田参考人 現公団では、建てかえ事業の根拠となりますのは公団法の二十八条の二項二号でありまして、その中で、「現に存する賃貸住宅を除却するとともに、これらの存していた土地の全部又は一部に新たに賃貸住宅を建設すること」ができるということになっておるわけでございますが、その中に、「新たに建設する賃貸住宅と一体の賃貸住宅を当該区域内の土地に隣接する土地に新たに建設する」というふうなことについて、これも含むというふうなことが出てございます。ということで、隣接してつくることはできるということでございます。
 したがいまして、建てかえ事業を実施することは、隣接地でつくるということは可能でございますが、近接した土地に新たに土地を取得して建てかえ事業として実施することはできないということでございます。このことは、今度の機構法案におきましても同様の規定がございますので、扱いとしては同様になるというふうに思います。
大森委員 先ほど示した公団の資料に関連する「新法人における賃貸住宅等事業について」という文書の中では、隣接だけじゃなくて、近接地についても検討をされているわけですね。これは、お話がありましたように、法的にも大変問題があるということで、安易なこういう手法はやるべきではないということは申し上げておきたいと思います。
 そこで、具体的にお聞きをしますけれども、千葉県の船橋市の高根台団地、ここでは、現在、約四千六百戸の住宅の建てかえ計画が進められております。第一期が五百八十四戸、それから第二期事業が九百九十五戸が対象になっております。
 ところが、公団は、第一期のこの五百八十四戸の建てかえの説明では、住民側に六百戸という説明をされております。ところが、第二期からは、現在の住宅をすべて建てかえるのではない、従前から住んでいる世帯で建てかえ後入居を希望する世帯分だけ、つまり、戻り入居分しか建設しない方針だ、こういう説明をされているわけですね。
 第一期の戻り入居が約三分の一であったから、戻り入居が同じだとすると、建てかえの結果、三分の二、戸数が減ってしまう。実際、公団の計画書でも、一期、二期合計で六百戸なんだと。説明の中身が変わってきているわけですね。これは大変重大な問題だと思います。そして、今お話があったように、建てかえ後の三分の二の土地は民間に売却するということも当然これは検討されることになると思います。こういうやり方は、私ども、高根台団地で初めて伺いましたが、高根台団地にとどまらず、今後の機構の基本的な方針にするということでしょうか。
中田参考人 高根台団地におきましては、これは昭和三十六年度に当初の入居を開始した、従前戸数が四千六百八戸、敷地面積四十ヘクタールという非常に大きな大団地でございます。その中で、建てかえ事業を今一期として、先生御指摘のように、平成十二年の三月、第二期を平成十五年三月に着手して、順次事業を進めているということでございます。
 その実施に当たりましては、まず従前居住者の希望状況に応じて戻り入居者用の住宅を建設するということを最優先にしまして、その上で、敷地の適正利用により生まれる敷地について、周辺市街地の整備に必要な公共公益施設、公営住宅、それから少子高齢化への対応のための社会福祉施設、さらには、多様なニーズに対応する民間住宅等の用地として活用というふうなことを考えて、全体として良好な住宅市街地として再生するように努めているというところでございまして、以上のような団地、今の段階では、戻り入居者用の住宅以外の公団住宅は行わないという方向で考えております。
 なお、先ほど申しました全体のまちづくりの問題でございますが、高根台団地の建てかえ後の土地利用計画等につきまして、船橋市、団地自治会それから公団による三者協議の場を設けまして、順次話し合いを進めているところでございます。この中で、三者協議の場に加えて作業部会というようなところも設けて、団地の、今まで非常に、大規模団地で、つくるときも大分苦労したわけですが、その中で持ってきたいろいろ、都市、いわばまちづくりとしての問題、こういうものについて公団が懸案を示しながら、点検をし、進めているということでございます。
大森委員 私が伺ったのは、建てかえについて戻り入居だけに限定するというのが今後の機構の方針なのかということを伺いました。この点、よく聞き取れなかったので、もう一度この点をお聞きしたいと思います。
中田参考人 先ほど、一期の戻りが低いというふうなことがありまして、現在建てかえに対して、ここではまず、戻ってくる方が少ないということがあったので、最初少ないのじゃないかというふうなこともちょっとあったと思いますが、実際にはここは、戻りが三一%、それから、この団地が大きいですから団地内の本移転が一八%、それから、すぐ近くにまた大きな団地がございます、そういうところに例えば一六%も人が移れるというふうなことがこの地域の事情としてあります。という意味では、これを合わせますと、通常の団地で約六割の方が戻りたいと言われますが、大体それに近い応募、いわば希望があるというふうな実態でございます。
 今回、ここではできるだけ今住んでおられる皆様方に一番重点を置くという意味で、現状ではまず戻りを中心に、駅に近いところに、皆さん方の場合、一番要望が高いであろうところに集中して、戻り住宅を現在計画しているというふうなことでございます。
大森委員 これまでの建てかえというのは、それは戻る場合のハードルが非常に高いということで、戻りたくても戻れない方もあるわけで、実際に建てかえ戸数よりは戻り入居者が少ないという面はあったと思います。しかし、建てかえ戸数がこのように三分の一になるようなケースはなかったわけです。
 それを今回こういう形でやるということで、これはいろいろな点で非常に重大な問題を含んでいるわけなんですが、現地の皆さんは、そういうことにすれば本当に帰ってくる年齢層等が限定されてしまうということで、それこそ、まちづくり、地域社会をつくっていくという点でも非常に問題だという指摘もされているわけです。
 問題は、こういうのを基本方針にするのか、これは全く高根台団地に限ったことで、今後は基本的には拡大をしていくのかどうか、そのことをお聞きしているんです。重ねてお答えください。
中田参考人 現在この団地では、先ほど申しましたように、非常に大規模な団地であるというふうなこと、それから、今の戻りというものにまず対応していこうというふうなことがあります。
 その中で、先ほど言いましたように、まず戻り者のいろいろな希望を入れながらある部分つくりますけれども、全体の土地利用計画については、まさに今いろいろなところで議論を始めているところでございまして、三分の一しかつくらないとかいうふうなことについて決まっているわけではございません。
 それからもう一つ、こういう大きな団地ですので、ある部分、どうしても時間が長くかかります。一気にやるということができませんのでという意味で、一部の街区につきましてはそのまま、十年以内にはさわりませんよというふうなところを多少暫定的に決めまして、そういうところに一たん移ってもらうというふうなこともあわせてやっておりまして、三分の一しか建てないとかなんとかということを専権的に決めているというふうなことではございません。
大森委員 実際に、第一期、第二期の事業に当たっては、六百戸というふうになっているわけですね。五百八十四戸、九百九十五戸、合計で約千五百ですね。それに対して、六百戸で三分の一に決めているじゃないですか。これは先ほどの、今後五年間の計画である年八千戸のペース、五年間で四万戸、この建てかえ計画にも反する中身になるのではないかと思います。
 私ども、今回の法改正で、公団、機構が今後はみずから土地を取得して新規の供給はしないということになるわけなんですが、このことだけでも大問題だと考えておるわけなんですが、このように、現にあるストックまで三分の一に減らすということは大変問題だと思うんです。特殊法人整理合理化方針でも、今申し上げましたように、新たに土地を取得しての供給については制限しているものではありますけれども、既存のストックを減らすということはどこにも書いていないじゃないですか。これは、みずから手をがんじがらめに縛ってしまうようなやり方ではないかと思うんですね。
 現在ある七十六万戸のストックをどんどんこれは減らしていくことにつながっていくと思いますが、これをもし全国的な方針にするということであれば、その本当のねらいはどこにあるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
松野政府参考人 建てかえに当たっての基本的な考え方ということでございます。
 まず、用地の活用に当たりまして、委員御指摘のように、居住の安定という観点から、従前の住んでおられる居住者の戻り入居用の住宅を確保するということが必要でございます。さらに、まちづくりのため、その入居者の方々のため必要となるような公共公益施設、あるいは、場合によっては低所得者の方がおられて、公営住宅、社会福祉施設を併設するという必要がある場合もございます。
 そういったことを実施した上で、さらに余剰地が生まれるケースがございます。それにつきましては、その地域の住宅需給状況がどうなのかということで、賃貸住宅の需要がかなり大きいというところにつきましては、民間の住宅を支援するという形で賃貸住宅建設が行われる。あるいは、その地域が賃貸住宅需要というのがそれ以上は余りなくて、むしろ分譲住宅の需要があるというところにつきましては分譲住宅、あるいはさらに商業施設の用地として民間に譲渡するということはあり得るわけです。
 ただし、全体として公団の持っております七十五万戸のストックを、これはファミリー向けの大変重要な社会的な施設でございますので、それをどんどん減らしていくというようなことを考えているわけではございません。これは基本的に、そういったものは有効に今後も活用していくということが基本でございます。
大森委員 こういう高根台団地のように、戻り入居に限定した建てかえでつくり出した余剰地を民間に売却していくということは、きょう午前中にも議論がありましたけれども、あるいは先日の参考人の質疑でも参考人から意見陳述があったような、公団のこの間の経営のツケ回しだとも言えると私は思うんですね。バブル期、あるいはバブル崩壊後もどんどん土地を購入して、広大な、事実上の塩漬け土地のようなものも生まれている。しかも、先日の委員会でも答弁があったように、きょうの答弁でもありましたけれども、莫大な含み損、譲渡損が生まれているわけですね。
 高根台団地といえば、それこそ四十年間、地域住民の方が住んでこられたところであります。これは、建てかえ対象の団地は、すべて、三十年、四十年、地域住民の皆さんが住んできたところだと思うんですね。そういうところの土地というのは、そこに四十年住んできた住民の、居住者の共通の財産、そして国民共通の財産であると思うんです。それを、こういう莫大な土地購入、こういう土地購入で借金、利子の返済が大変だということの埋め合わせにそういう土地を民間に切り売りするということであれば、これは本当に許されないことだと思うんです。
 こういう点で、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今、大森議員のお話もそうですけれども、きょうも午前中からここで御論議をいたしました。それは、都市公団のニュータウンという開発、これは、少なくとも、戦後から今日、バブル崩壊しましたけれども、今日まで、多くの皆さん方、長期間にわたって、大都市圏等々で著しい住宅地不足あるいは住宅不足等々というものを解消しようということで、多くの政策の中で、これまではみずから一万三千ヘクタールの宅地供給を行っているわけでございますし、また、三百万人が居住するというような市街地を形成したこれらの努力というものと、また、都市におけるさまざまな経済効果を支える、少なくとも、勤労者のための居住環境の改善に大きく貢献してきた、そのことだけは大森議員もお認めになって、なおかつ、それを安定して継続できるようにしてほしい、そういう御要望でございます。
 それは大森議員がおっしゃるまでもなく、我々もそのつもりで、今まで果たしてきた役割をここでさっぱり、また不安に陥れるということであれば、今日までの努力が無に帰すということですから、どうなっても我々は、今申し上げました戦後の七十五万戸、そして現在も二百万人という状況を壊していくつもりもありません。
 今おっしゃったように、建てかえというものをしなければならない時期に来ていることは確かでございます。けれども、建てかえるときに、なるべくは今までどおり、安心して帰ってこられるような戻りというものも確保しなければいけませんけれども、願わくは、先ほどからもお話出ていました、二十一世紀型にするということで、建てかえるときには、少しは今までよりも高くなって、空き地をつくって、緑をつくり、あるいはそこで介護施設等々の設備もできるようにしよう、子供の保育所も、あるいは託児所もつくろうというような、そういう新たな二十一世紀型にしていこうというのは当然のことでございます。
 だからといって、家賃にはね返っては困る。それはだれしも思いは同じでございます。安ければ安いにこしたことはない。これが、少なくとも庶民の、あるいは借りる人の気持ちでございますから、少しでもそういうものに私たちは反応し、なおかつ御要望にこたえていこうというために、新たなものには事業を中止して手を出さないかわりに、少なくとも、事業の区域の縮小を図りながら充実を図っていくということで、より二十一世紀型にしていこうという気持ちだけは、ぜひ、大森議員もおわかりいただいたと思いますけれども、今回、都市公団が機構になってもその精神は継続されるというふうにおとりいただいて結構でございます。
大森委員 質問時間が終わりましたので、終わりますが、先ほど指摘した経営の実態等々について、本当に、高齢化、低所得化、そしてこの不況の中で、大変な思いをして家賃を払っている居住者の皆さん、国民に、そういう実態を全面的にきちんと明らかにしていくということが大変重要だ、そういうことをなおざりにしたまま、公団を廃止し機構に移行するのは反対だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、前回の質疑の大臣の答弁の中で御確認をさせていただきたいことがありますので、よろしくお願いします。
 先日の質疑の中で財務諸表のことについて最後に大臣が答弁なさったところなんですが、今国会中、六月十八日までに、道路公団の財務諸表とともにこの都市基盤整備公団の財務諸表を出すように指示したと前回答弁をいただいたんですが、この大臣の指示は、そのとおりに、六月十八日までの期限に履行されるのかどうかということをまず御確認させてください。
扇国務大臣 今、原議員がおっしゃいましたように、そのことは午前中にも話が出ましたね、財務諸表の話が出ました。そして、今回、私も言いたくなかったんですけれども、財務諸表をつくるのにこの公団だけでも十一億円かかるという話を午前中もいたしました。お金がかかることは私も不本意です。けれども、財務諸表の話は、道路公団も含めての先日のお話でございましたけれども、すべからく、今回はすべてのところに財務諸表というものをつくっていかなければいけないということを私はお答えしておりますし、また、第三者の資産評価委員会、これも設置して財務諸表というものをつくっていき、少なくとも各特殊法人のうちに、今御存じのとおり、特殊法人七十四、原議員にもこれはぜひ知っておいていただきたいと思いますけれども、七十四の特殊法人のうちに、財務諸表的なものが、的というか、完全な財務諸表でもありませんけれども、それをできているものというのは、確実には四、少なくとも十一しかないんですね。
 ですから、私、こういうことを余り国会で答えたことがないんですけれども、せっかくですから、ちょっと頭に入れていただきたいと思います。
 七十四のうちに、財務諸表を作成している法人、まず、日本電電株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、いわゆる電電ですね、これが日本、東日本、西日本、三つあります。それから、日本たばこ産業株式会社、そして電源開発株式会社、関西国際空港株式会社、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、帝都高速度交通営団、この十一しか財務諸表というものは発表しておりません。
 七十四のうちの十一ですから、六十三は今まで財務諸表らしきものもつくったことがない。これが、先ほど私が岩國議員とお話ししておりました、親方日の丸的といいますか、民間からいえば、何をしているんだ、財務諸表もなくてよく予算がとれたなというような考えをお持ちだろうと私は思いますけれども、原議員もぜひ、この七十四の中の、今私が申しました十一しかないということで、あとの六十三は、すべからく、今、新たな機構とか新たな民営化に向けてそれぞれが汗を流して、初めての財務諸表づくりに取り組んでいるというのが実態でございますから、順次出てくるものと思っています。
原委員 ありがとうございます。
 これは政府に聞くのか公団に聞いたらいいのかちょっとわからないので、質問をしてから、どちらかお答えできる方で答えていただきたいんですが、私がお聞きしたかったのは、前回の質疑の中で、要するに、道路公団の財務諸表とともに都市公団の財務諸表を六月十八日までに出すように指示をしたという大臣の答弁があったので、それを大臣の指示のとおりに、六月十八日という期限までに履行をされるということでいいのかどうかということ。では、大臣にお願いします。
扇国務大臣 今のお話、原議員が錯覚を起こしていらっしゃいますのは、道路四公団の統合という問題があります。この間お話ししたのは道路公団という話でございまして、道路公団が、御存じのとおり、総理が任命されました民営化推進委員会、いわゆる七人の侍と言われておりますけれども、その人たちの意見書が出たのが昨年の十二月です。それで、その意見書の中には、移行するまでに実行するべきものということで、平成十五年九月までに、九月ごろと書いてあるのか九月までと書いてあるのかちょっと今、移行する間に、九月を目途に財務諸表をつくりなさいと意見書に書いてあるんです。
 私は昨年それを受け取りまして、総理から、意見書をもらったものを、担当大臣である私に、これをきちんと整理し、なおかつ法案化するようにという御下問がありましたから、私は、十五年の九月、ことしの九月に財務諸表が出たのでは十六年度の通常国会に法案ができない。しかも、八月に概算要求ですから、道路公団に関しては今国会中ということで、少なくとも、六月の十八日が今国会終了ですから、財務諸表をつくってくださいということで、これは明言してあります。
 そして、今おっしゃったこの都市再生機構に関しましては、これは違いまして、都市再生機構というのは平成十六年の七月一日に機構を設立いたしますので、それまでにしなければ機構設立できないでしょうということですから、期間が違いますけれども、財務諸表を出せということに関しては同じでございます。
原委員 では、六月十八日までに出すのは道路公団の方の財務諸表であるということで間違いがないということだと思います。
 ぜひこの都市公団、そのときに大臣は、今後移行までに財務諸表を公表していくということも答弁の中で述べられておりますので、都市公団の財務諸表も移行前までに出すということをぜひお約束していただきたいと思います。
河崎政府参考人 独立行政法人制度におきましては、御指摘のとおり、法人設立に当たって、承継することとなる資産について、承継する時点での時価評価を行うということになっております。したがって、都市再生機構を設立するに当たっての時価評価の時点というのは来年の平成十六年七月一日ということになりますので、それ以前には正式な時価評価はできないということでございます。
 ただ、大臣からは、今回、都市基盤整備公団、地域公団につきまして、新法人移行を機に、厳格な時価評価を行って、これまで以上にしっかりした財務諸表ができるようにという指示を受けております。大臣の指示に従いまして、的確に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
原委員 ありがとうございます。
 先ほど、移行前までに出すということで大臣も大きくうなずいてくださったので、財務諸表に関しては正確なものをしっかり公開していくという大臣の力強い意思もあると思いますので、ぜひこの点の、財務諸表をつくっていく段階を公表することもしっかりやっていっていただきたいと思っております。
 今現在の公団法の中でも財務諸表というものは既につくっているそうで、今回は、独立行政法人通則法というんですか、この中で、「独立行政法人の会計は、主務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。」ということになっています。
 今回、企業会計並みの財務諸表をつくっていくということなんですが、これまでと具体的にどう変わってくるのかということを御説明いただきたいと思います。
河崎政府参考人 先ほど大臣が御説明された十一の法人というのは、既に企業会計原則の財務諸表作成をしている法人ということでございまして、現在都市公団で作成している財務諸表は、いわゆる公企業会計の財務諸表ということでございます。したがいまして、これが独立行政法人になりますと企業会計原則が適用されるということになるわけでございますが、そのときに、現在の会計処理と具体的にどのように違うかということを御説明させていただきたいと思います。
 まず、先ほど来議論されております、両公団から機構に承継される資産について、本法に定めるところにより、第三者である資産評価委員が時価評価を行うというのがまず第一点としてございます。
 また、従来、販売用不動産につきましては取得原価で計上してきておったわけでございますが、企業会計原則に従った場合には、いわゆる強制評価減制度の導入、したがって、著しく時価が下落した場合には、時価でもって評価を強制的に減ずるというようなことを行うということがございます。
 それから、従来、例えば賃貸住宅に係る補給金というのは金額が確定した段階で予算措置をするというようなことがありまして、発生した時点では予算措置がされていない。それは将来の予算措置だというふうなことで、これを当期の費用に計上せずに、繰り延べ資産という形で計上しておりましたけれども、これも企業会計原則になった場合には、一定の場合を除いてそういう処理ができないことになるということがございます。
 また、引当金として、特別の引当金というのをこれまで計上しておりました。例えば分譲価格調整準備金あるいは公租公課準備金といったようなものでございますが、これも企業会計ベースでは計上することができなくなるといったような点が、主な異なる点でございます。
 以上でございます。
原委員 もう一度国土交通省にお尋ねしたいんですが、財務諸表を作成していく段階で固定資産がどれぐらいあるかを確定する場合に、先ほど時価という言葉が出ていたんですが、その評価方法によって時価が違ってきてしまうというような指摘もあると思います。この点はどのように考えていかれるのか、もう一度お願いいたします。
河崎政府参考人 両公団の保有する資産、多種多様で、かつ膨大でございます。できれば、不動産鑑定評価をすべて行うということができればいいわけでございますが、それをやっていますと大変なことになるというようなことで、実は、それにかわる手法として、都市公団内に設置した、不動産鑑定士あるいは公認会計士の皆さんによる資産評価研究会において資産の評価方法についての検討が行われまして、この二月に基本的な考え方が示されております。
 正式な資産評価の方法というのは、これも本法に定めるところにより資産評価委員が決定することになるわけでございますが、公団の資産評価研究会における結論としていただいた資産の評価手法を、当面、準備作業として適用していくということでございます。
 その内容は、両公団が保有する主な固定資産につきまして、賃貸住宅でありますとかあるいは販売用宅地でありますとかというような用途、規模、それから事業の進捗状況、完成しているのかあるいは途中経過であるかといったようなことでございます、それとか、各地域、地区、幾つかのグループに区分をいたしまして、グループごとに現行の不動産鑑定評価基準に沿った鑑定評価手法を適用して、効率的かつ客観的な時価評価を行うということにしております。
 そういった意味で、現行の不動産鑑定評価基準に沿った形での鑑定評価手法ということでございますので、この方法で資産評価を行えば適正な時価評価が行われるものというふうに考えているところでございます。
原委員 では、その資産評価研究会、これは公団ですよね、公団にお尋ねしたいんです。
 同じような内容の質問になると思うんですが、公団は、資産評価研究会がことし二月に報告書を出していまして、いわゆる塩漬け土地から、賃料から収益が出ている土地まで、どのような評価方法で今後評価をしていくおつもりでいらっしゃるのか、御答弁をお願いします。
古屋参考人 正式な評価は、今国土交通省からお答えがありましたように、法案が国会の御了解を得られた後、国の資産評価委員が決定する評価手法に基づいて行われるわけでございますので、私どもはこれに先駆けまして、公団としまして、いろいろな、不動産鑑定士とか公認会計士さんから成る評価研究会、十四年の六月に設置をいたしまして、いわば前倒しの勉強をさせていただいたということでござます。その研究会におきましては、私どもの多種多様な資産に適合した評価手法について御議論いただきまして、ことしの二月に一定の検討成果が取りまとめられたところでございます。
 これによりますと、今国土交通省からもお話ありましたけれども、一筆ごとに厳密な不動産鑑定をするということは大変費用も期間もかかるわけでございますので、ある程度不動産鑑定基準というものを基礎に置いた評価手法でやるべきだということで、不動産の種類に応じたグルーピング、あるいは進捗状況、用途に応じたグルーピングなどをしながら適用手法を選んでいくのが適切であるというような内容の報告でございます。
 もう少し具体的に言いますと、例えば資産の種類、大きく言いますと、販売用、販売目的に持っている不動産、それから、賃貸住宅のように賃貸事業用に持っている不動産、非常に大きく分ければそんなふうになろうかと思いますが、販売用の不動産につきましては、類似不動産の取引事例を収集しまして、そこから算出した、比準価格と鑑定用語で呼んでおりますけれども、そういったものによって時価を算出するのが適切ではないかという御提言。それから、賃貸住宅等賃貸事業用の不動産につきましては、そこから得られる収益、将来にわたっての収益を現在価値に戻しまして得られた収益価格というものと、それから、同じ不動産を今調達すれば幾らになるであろうかといった、専門用語で積算価格と申しておりますけれども、そういったものを比較考量して算出するのが妥当ではないかといったような御提案をいただいているところでございます。
原委員 そのさまざまな考え方の中で、例えば土地価格の下落による損失が正当に評価されていくための工夫というものはどういうふうにあるべきであるとお考えになられているか、もう一度公団にお尋ねをしたいと思います。
古屋参考人 資産価値の下落についてのお尋ねでございますが、独立行政法人になる際の資産評価は、先ほど国土交通省から御説明がありましたように、独立行政法人設立の日の資産をそのときの時価で評価するわけでございます。したがいまして、平成十六年七月一日の設立をお願いしてございますが、現在からその間の地価下落は当然反映された評価になるわけでございます。
 それから先のいろいろな資産価格の下落がどう反映されるのかということにつきましては、これは、先ほども国土交通省の御説明ありましたように、会計基準の中で、強制評価減というものを当然織り込んだ新しい民間企業会計基準が適用になる方向でございますので、そういった中で経理処理がなされていくというふうに理解しております。
原委員 もう一問公団にお尋ねをしたいんですけれども、先日の審議の中で、大臣が、新法人に移行した後も財務諸表を全部インターネットで公表されるということを御答弁なさったと思います。私は、それぞれの資産にどのような評価方法を採用したかということがちゃんと公表されるべきであると思っています。第三者の目で土地の評価方法がチェックできることは、資産評価の正確性を担保する上で非常に私は重要な点だと思うのですが、この点、公団としてはどのようにお考えになられるか、御答弁をお願いします。
古屋参考人 機構になりまして、民間会計基準に準拠した財務諸表というのは当然公開をされ、またいろいろな、インターネット等も活用しながら、国民の皆様に理解の行き届くような開示をしていくのは当然でございます。
 その中で、いろいろな評価のやり方についても開示をというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、新しい会計基準になりますと、その資産評価の変動につきましては、例えば強制評価減方式が適用されて、先ほどの質疑で申し上げましたけれども、現在三〇%以上下落したらそれは評価減幾らを立てるといったような金額だとか強制評価減の考え方だとか基準だとかは、当然、各独立行政法人、統一的な会計処理の中で行われ、その基準も明らかになっていくものと考えております。
原委員 私は、そもそも、詳細な財務諸表というものをちゃんと出してから、組織改革とか経営改革というものを変えていく法案を出すべきだった、そういう手順を踏んでいくべきだったと思っています。
 過去の審議に戻ってみて、平成十一年に行われた法改正のときの附帯決議をちょっと見てみますと、「関係法人を含め、財務内容等の情報公開を進めることにより、公平、透明な業務運営を行うよう努めること。」というふうに平成十一年の段階の附帯決議でちゃんとつけられているのに、何ですぐにこれを進めることができなかったのかということをお尋ねしたいと思います。これは政府からお願いします。
河崎政府参考人 前回の都市公団設立の法律のときの附帯決議で書いておりますのは、あくまで、現在の公会計原則による財務諸表等とか、あるいは業務の内容の詳細な報告というものをきちっといろいろな形で開示、提供するようにというような御趣旨だというふうに考えておりまして、それについては誠実に対応しているというふうに存じております。
原委員 ちょっとこの問題についていろいろと古い新聞記事とかを調べてみますと、読んでみますと、九七年の読売新聞の記事では、建設省と住都公団、関連子会社のおいしい三位一体の関係という言葉とか、子会社利益計上、天下り・工事独占受注というような記事が出ていました。こういう記事が出て、その後、この関係は全く解消されていないというふうに言えると思います。
 なぜかといいますと、事前にいただいた資料を見ますと、平成十三年の段階でも、都市公団の方は、子会社十八社に百十九億円が公団から支出されていて、また、取引額でいうと、百十億円のうち、日本総合住生活株式会社が九割を占めています。この取引額に比例するように、日本総合住生活というのは天下りの数も格段に多くなっています。この問題を機構になっても続けるとしたら、やはり私は改革というふうには言っていけないと思っています。
 また十一年のときの附帯決議のところに戻るんですけれども、もう一点、この附帯決議の中で、平成十一年に都市公団に移行する際に、「関係法人との随意契約の適用を厳格に行い、競争入札を原則とする」という附帯決議がついているんですが、実際のところ変わっていないのではないかというふうに私は印象を受けているのです。
 これからは何をどのように改革していって、指摘されているような問題をどういうふうに解決していくおつもりでいらっしゃるのか、答弁をお願いします。
松野政府参考人 二つ御質問があったと思いますが、出資子会社への天下り問題、それから発注の問題でございますが、現在、都市公団それから地域公団の子会社、関連会社、これが合計五十八社ございます。その中で、社長が三十一名が公団出身者である。役員が全体で五百七十一名でございますが、そのうち二百六十九名が両公団の出身者でございます。
 こうした公団と子会社あるいは関連会社との関係、天下りについては国民から強い御批判をいただいておりますが、今回の改革によりまして独立行政法人へと移行するに伴いまして、効率的で透明な経営を図っていくということを実施していきたいと思います。
 そういった意味で総合的な見直しをしてまいりたいと思いますが、子会社あるいは関連会社は一般の民間企業でございますから、役員人事について介入するということには一定の限界がございますけれども、当面、子会社、関連会社におきます公団出身の社長三十一人を半減させるというようなことを図ってまいりたいと思います。
 それから、発注の問題でございますが、公団の出資子会社の業務は、そもそも公団が本来みずから実施すべき業務、これをアウトソーシングして経営の効率化を図るというような観点から子会社に実施させているものが多いわけでございます。例えば、二十四時間体制で公団住宅の居住者からの要望があったときにすぐ対応するというような必要性がございます。この緊急事態に対応するといったようなことを実施していただいているということから、随意契約で行われるものが中にあるというのはやむを得ない面がございます。
 しかしながら、できる限りこれも民間参入の機会を拡大していく必要があるということでございまして、管理保全業務をできるだけ随意契約から競争入札にする、あるいは、子会社は大規模な修繕工事の受注から撤退するというようなことを進めてまいりました。子会社、関連会社の売り上げに占めます公団の割合が、平成十年、五一%でございましたが、十三年度はさらに下がりまして四四%になっております。
 今後、基本的には公団が実施すべきような内容のものをかわって実施するといったものにつきましては随意契約で行われることがやむを得ない部分がございますけれども、可能な限り少しずつ業務の見直しを進めていく必要があるんではないかというふうに考えております。
原委員 ぜひ改革がちゃんと進んでいくようにお願いをしたいと思います。
 最後に、大臣に改革ということで決意をお聞きして質問を終わりたいと思うんですが、こうした、今で言う国土交通省、住宅の公団、関連子会社といういわゆる三位一体の関係と言われているものは、やはり道路公団のときと、道路と同じ仕組みになっていると思っています。こうしたいわゆるおいしい関係と言われて批判されるような関係を変えていくという改革に対する大臣の意気込みというかお考えを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 何度もそのことに関してはこの委員会で論議されていますから、長々と言うつもりもありません。
 ただ、今申し上げましたように、少なくとも、五十八社あって三十一人の社長がいる、これを半減すると簡単に言いますけれども、本来は民間会社です。民間会社の社長に、かえろ、あなたはかわりなさいと言う権限は私どもにはないんです。けれども、今は民間会社ですけれども、もともとは公団が出資して、そして子会社、関連会社をつくっていって、その株を全部民間が買い取ってしまって、民間になっていると大きな顔をするんですけれども、少なくともその企業が五〇%以上公団の仕事を受けているというのは子会社、関連会社であると私は位置づけています。
 そういう意味では、私の越権行為だと思いますけれども、世間の皆さん方に、株主総会が済んで、これだけ言っていても社長でいることは、社長自身が肩身の狭い思いをし、その会社の信用にかかわるということで、私はあえて、越権行為で訴えられるかもしれませんけれども、社長を半減しろというふうに言っているわけでございます。それ一つとってみても、いかに改革が必要かということがおわかりいただけると思っています。
原委員 そうした改革への意気込みを持っている大臣と一緒に、私もこの特殊法人改革がちゃんとした改革になっていくようにこれからも一生懸命勉強していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 これで質問を終わります。
河合委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 都市再生機構法案の審議に当たりまして、恐らく私が最後の質問者でございますので、これまでの質疑を総括するような、確認の意味合いを込めまして、数点質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の通常国会では都市再生特別措置法が成立いたしまして、民間事業者による都市再生を支援する仕組みというものがつくられました。今回、さらに都市再生に民間を誘導するというようなことを基本的役割とする新しい法人がつくられようとしているわけであります。
 ところで、都市再生の課題というものは多岐にわたっているわけでございまして、民間あるいは新法人の役割だけではなく、国あるいは地方公共団体の果たすべき役割も極めて大きいものがあると考えます。こうしたことを踏まえまして、いま一度確認の意味で、都市再生の意義と申しますか、総体的な見方と申しますか、都市局長さんの方から御答弁をお願いしたいと思います。
澤井政府参考人 都市再生の意義ということでございますけれども、しばしば議論も出ておりますが、我が国の都市、現状を見ますと、木造密集市街地の存在というような防災上の問題あるいは交通渋滞のような交通上の問題、さらには緑やオープンスペースの不足、そういった多くの問題を抱えています。
 また、これから二十一世紀にふさわしい都市を目指すという観点からも、先ほど来御議論にございますが、オフィスストックの向上あるいは国際的なアクセスの向上、保育所待機児童解消、バリアフリー化、そうした少子高齢化対応の問題、さらには複合的で魅力ある都市空間の形成、そういったさまざまな課題、古い問題あるいはこれから起こる問題、さまざまな問題があると思っております。
 こうした状況を改善いたしまして、地域の有する歴史、文化、民間事業者や住民の創意工夫を生かした個性あるまちづくりを進めることで、我が国の活力の源泉であります都市を、情報化、国際化、少子高齢化といった社会経済状況の変化にも対応し得るものにしていくことが、総じて言えば都市再生の意義だと思っております。
 また、都市再生を推進することは、いわばこれから五十年、百年かけて進めていくという超長期の観点と同時に、資金やノウハウといった民間の力を引き出しまして、新たな需要を喚起したり、さらには土地の流動化に資するなど、厳しい状況にあります我が国の経済の再生を図っていく上からも重要な役割を果たし得るものだと考えております。
 こうした都市再生を推進していくに当たりましては、まずは、都市における開発投資の大宗を占める民間の役割が重要なことは当然でありますけれども、国や地方公共団体においても、そうした民間の力を十分に引き出すための条件を整えたり、あるいは、民間では対応できない公共施設等の整備や良好な環境の保全、創出等に取り組んでいくという重要な役割があると考えております。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 都市再生については、極めて多岐にわたる大きなさまざまな問題があるというふうに考えられるわけであります。
 そこで、基本的なところでございますが、民間による都市再生、これを進める上で具体的にどのようなことが最も障害となっていると考えておられるか。要は、この新法人が業務を行う上で、どのような点に最も有効な仕事をできるかということでございますけれども、そうしたことにつきまして具体的にお答えいただきたいと思います。
河崎政府参考人 都市再生を実現する上で、民間事業者による都市開発事業を促進するということが必要不可欠になるわけでございます。しかしながら、実態を見ますと、例えば、細分化した敷地等を活用した都市開発事業でありますとか防災上危険な密集市街地を解消する事業では、地元の地権者等との合意形成などに相当の時間を要するというようなこと等がございます。
 また、大規模な工場跡地を取得して都市開発事業を行う場合には、必要となる公共施設がいつ整備されるか非常に不確実であったり、あるいは事業の立ち上げに時間を要するといったようなことから、できるだけ早期に収益を上げ、結果を出したいという民間事業者にとっては、なかなか事業着手することが困難な場合が多いということでございます。
 そうした民間事業者が事業着手する環境を整えるという意味で、こうした障害を解消する、具体的には、例えば工場跡地の土地利用転換とか密集市街地の整備といった、権利関係が複雑で事業期間が長期にわたるといったようなところでは、権利調整などのコーディネート業務あるいは関連する公共施設の整備、再開発事業や区画整理事業によって敷地の整備や集約整形化を行うといったような条件整備を行うということがございます。
 それから、建築物の整備をできるだけ民間にゆだねるという観点で、敷地の整備を行いまして、これを定期借地することによって民間の賃貸住宅供給を支援するということで民間の活力を活用するというふうなことをやりたい。
 また、大規模な再開発の場合に、まちづくりの初期段階で、市街地再開発事業等を成立させるために、民間だけではなかなか最初の段階では都市再生事業が成立しないという場合に、市街地再開発事業等の制度でございます、参加組合員でありますとか特定建築者制度を活用いたしまして、機構が参画することによって、民間の都市再生事業が成立するように支援をするといったような形で、都市再生に係る事業の民間事業者にとってのいろいろな障害を解消して、民間事業者による都市開発事業を促進していきたいというふうに考えているところでございます。
金子(善)委員 ただいま御答弁いただいたわけですが、要は、民間を誘導して、その民間の活動というものが都市再生の側面でうまくいくように条件整備を行うということの業務になるわけでございます。
 それだけに、この新法人の経営ということになると、現在の都市公団以上に非常に厳しいことになるということも予測されるわけでございます。危惧されると言った方がいいかもしれません。どのようにして、経営上、いわゆる採算性というものを追求していくのか、この点につきまして確認をさせていただきたいと思います。
河崎政府参考人 ただいま先生から御指摘ありましたように、新しい機構の業務は、民間の潜在力を都市再生分野で最大限に引き出すための誘導業務、条件整備に重点が置かれるということで、比較的高い収益が期待される部分は民間事業者にゆだねるということになります。
 したがって、機構は、長期間事業期間を要するとか、あるいは収益性の低い業務というものが多くなります。そういう場合には、公共性の高い事業を行うという観点から、長期低利の資金や出資金、補助金等の国費の投入ということも避けられない、必要になるというふうに考えております。
 しかしながら、一方では、機構におきましても、独立行政法人になりますと新しい外部評価の仕組みも入ってまいるということがございますので、従来以上に経営の合理化、効率化を促進していくことが必要で、業務全般における工事コストの縮減あるいは経費の削減、組織人員のスリム化といったようなことに一層努めていくということが必要であろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、機構として、限られた財政資源の中で、効率的な経営を行いまして採算性の確保を図り、都市再生の成果が最大限上げられるように努力していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
金子(善)委員 今答弁ございましたが、新法人が取り組む事業の性格上、採算性を確保していかなければならない。これはこれからいろいろ努力をなさるということでございますが、新法人は都市公団の権利義務を継承して設立されるということになります。
 そこで、現在の都市公団が保有する資産、負債等が問題となるわけでございますが、公団の担当理事さんの方から、現在の財務状況を確認させていただきたいと思います。
西川参考人 お答え申し上げます。
 都市基盤整備勘定の平成十年度末におきます財務状況は、総資産、総資本の規模は十七兆七千億余りでございます。
 総資産のうち九七%は事業用資産でございまして、十七兆二千百億円余り。この事業資産のうち、賃貸または分譲の用に供している完成資産は十兆三千九百億円余りで、事業資産の約六割を占めております。この多くは七十五万戸の賃貸住宅資産で、七兆五千百億円。また、仕掛かり中の整備敷地等の建設仮勘定が六兆八千二百億円、事業資産の約四割でございます。
 負債総額は十六兆九千八百億円余りでございまして、このうち、借入金や債券は十五兆六千四百億円、財投が九四%で、十四兆六千八百億円でございます。
 資本金は七千百億円、剰余金は約九十四億円ということになっております。
金子(善)委員 公団の負債、これはかなり多額で、返済が大変だ、あるいは高金利の負債が多くて、これも経営を圧迫しているんではないかとか、いろいろ問題視される声も非常に強いものがございます。
 今お聞きしますと、長期債務が十五兆六千億円余りと、かなり多い状況でございます。この債務の利払いですが、現在どのような金利の水準になっているか、お答えいただきたいと思います。
西川参考人 先生御指摘のように、十五兆六千億余りの借入金、債券の残高がございます。これに対して、十三年度におきます利払い額は六千四百億円でございます。
 六千四百億円を借入金総額で除しますと、平均で金利は約四%ということになります。
金子(善)委員 このような状況の中で新法人の使命に取り組んでいくということはなかなか大変だ。安定的な経営を行っていくということが求められているわけでございますから、そのためには、事業コストの削減、組織のスリム化、経費の削減、そして、今平均で四%というようなことがございましたが、支払い利息の低減等にも取り組んでいく、あるいはその他の方法があれば、それらもすべて動員するということになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、経営体質の強化を図っていくということが重要であると考えますけれども、担当理事さんの決意をお伺いしたいと思います。
西川参考人 先生ただいま御指摘いただきました事業コストの削減、組織のスリム化、経費の削減につきましては、みずからの努力によってできる話でございますので、これは積極的に取り組む必要があろうかというふうに考えております。
 ただ、金利コストの低減等お話をされました。この問題は相手方のあることでございまして、相手方は、確かに政府部内ではございますけれども、これを業種的に見てみますと、貸金業もしくは金融業ということになろうかと思うんです。一般的に、こういった業種の方々と話し合いを持つということは、その進展に関しては容易ならざるものがあろうかと思います。ただ、さはさりながら、容易ならざることだとは思いますけれども、事業に対して大変影響を及ぼすものでございます。
 具体的に申し上げますと、六千四百億円の支払い利息を払って四%だ。四%が例えば一%軽減されますと、約千五百億円の支払い利息の軽減になるわけでございます。千五百億円の軽減になりますと、今一般会計からいただいております補給金が若干減ると思いますけれども、この額の損益に及ぼす影響はかなりのものになるでしょうし、我々の公団のキャッシュフローに及ぼす影響は大なるものがあろうと思います。
 そういう意味で、いろいろ話し合いが持たれていると聞きますけれども、私どもとしては非常に大きな関心を持っているということでございます。
 関心を持っておりますのは、特に、私ども、これからリスクの高い事業をやっていかなきゃならない。国民の貴重な財産である賃貸住宅の維持管理をやっていかなきゃならない。そうすると、どうしても財政基盤の強化というものが必要でございますから、そういう意味で、この問題に対しては非常に関心を持って推移を見守っているというところでございます。
 ただ、先般、この委員会におきまして、財務省の方から繰り上げ償還に関する御答弁がございました。いろいろお話し合いが持たれていると聞きますけれども、そのお話の内容を私ども聞きますところ、なるほどと納得できるものもありますけれども、ううんそれはということで、首をかしげざるを得ないようなものもございます。
 そういったものもございますけれども、いずれにしましても、経営に大きな影響を与えるものでございますから、この話し合いが継続して今後とも行われるように大いに期待しているところでございます。
金子(善)委員 ただいまるる御説明がございました。特に支払い利息の問題についてはいろいろな問題があるということも改めて表明なさいました。
 ただ、都市公団は特殊法人としてこれまで運営されてきたわけでございますが、今度は独立行政法人であるという点が、私は、よく考えていかなきゃならない側面である、これは政府全体としても考えていかなきゃならないことであろうというふうに思います。これは、あくまでも私の意見としてとどめさせていただきたいと思います。
 次に移らせていただきたいと思いますが、賃貸住宅の管理のことにつきまして、時間も迫ってまいりましたので、答弁の方は簡潔にお願い申し上げたいと思いますが、今度の法案は、居住の安定の確保ということも新法人の目的として明確に位置づけられているところでございます。
 そこで、今度は公団から独立行政法人に大家さんがかわるということになるわけで、居住者の方々にもさまざまな不安もあるということが事実でございます。
 こうした点から、まずお伺いしますが、イエス・オア・ノーで答えていただければそれで結構ですが、新法人が都市公団から継承し管理する賃貸住宅については、現在の都市公団とほぼ同様の管理が継続されるということでよろしいか。もう一点は、居住者の意に反した賃貸住宅の売却は今後も行われないということでよろしいのかどうか。この点につきまして、住宅局長さんの答弁をお願いしたいと思います。
松野政府参考人 都市公団の管理しております七十五万戸、二百万人の方が居住されております。これは、四大都市圏の公的主体が管理します賃貸住宅の約四割にも相当するストックでございます。
 これは、大都市のファミリー向け賃貸住宅として大変有用なストックでございます。これをリニューアルあるいは建てかえをしながら、場合によっては社会福祉施設等を併設するようなこともやりながら、この適切な管理を引き続き続けていきたいと考えております。
 御指摘のような、居住者の意に反した賃貸住宅の売却が行われるのかどうかというようなことでございますが、整理合理化計画の中でも、このことにつきましては、「居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努める。」というような表現になっておりますが、少なくとも、社会的な施設としての有用性が、当該住宅、棟にあるのかどうかという判断をした上で、場合によって、もし、その入居者の同意を得た上で可能なものは売却することはあり得るということで、決して、意に反してどんどん売却するというようなことは考えているわけでございませんで、できる限りこれは有効に今後も活用していきたいということを考えているわけでございます。
金子(善)委員 時間になりましたので、大臣に最後に質問させていただきたいと思います。
 今度は、都市公団、特殊法人から独立行政法人に変わるわけでございます。特殊法人に対しましては、再三、大臣もいろいろな御質問に対しまして、徹底的な改革を行うんだという表明がなされたわけでございますけれども、改めて、この独立行政法人都市再生機構の改革についての決意をお聞かせいただければありがたいと思います。
扇国務大臣 金子議員も自治省出身で、いろいろな地方に勤務された経験もありますから、あらゆるところでそういう団地、ニュータウン等々を見てきてくだすっていると私は思います。
 そういう意味では、きょう、こうして議題に上がりまして、最終を迎えましたけれども、昭和三十年、今日まで約五十年近く、四十八年ですけれども、戦後、今日まで四十八年間、これらの都市公団というものが我々の中で、一番最初に私なんか初めて聞きましたのは、ダイニングキッチンという言葉が初めて出まして、ダイニングキッチンのある公団とはどんなものだろうと思った、新たな、私たちにとってはとても新鮮な響きでございました。そして、そういうダイニングキッチンというような新たな住宅様式というものを今日まで私たちは国民に提供し、そして確立してきたという意味では、大きな役割を果たしてきた。
 それが今日まで、七十五万戸、現在も二百万人の居住者を生むという現状にあると私は思いますけれども、ニュータウンの整備でありますとか大規模な市街地の再開発等々を考えてみますと、常に時代を先導する大きな役割を果たしてきたし、また、その結果として、今申しました七十五万戸、二百万人の人たちに不安を与えないようにというのがこの委員会でも多くの議論になってまいりました。
 しかしながら、今回の改革は、簡素で、そして効率的で、なおかつ透明な行政組織というものを実現しようということで構造改革の一環として行われるものでございますし、都市公団を廃止した上で、都市再生に集中する、そういう観点からも徹底的な見直しを行っていこう、そして、組織と定員のスリム化を図っていこう、また、先ほども議題になりました子会社、関連会社の整理もしていこうということで、今、委員会でお約束できることは、少なくともこの人員の削減、それは、私どもは新法人から五年間の間には一千人の人員削減を目指そうということ、そして、先ほど申しましたように、子会社、関連会社も、この都市公団、地域公団では五十八社ございますけれども、これも少なくとも三十社ぐらいに縮小できるのではないか、そういう効率も図っていこう。
 また、高齢社会、少子社会に対してどのように対応していくかということで、今後は、議題に出ましたように、バリアフリーあるいは地球環境等々の新たな良好な居住環境とか市街地の形成ということに改めて我々は対処していくためには、ぜひこれを有効に活用させていただく改革のリーディングヒッターになり得るような、より国民に、二十一世紀型に、新たな夢を与える、そういう形になるように、新時代につながる都市をつくっていこう、努力していこうということで、私は、組織基盤の強化を図るのも当然ですけれども、まず、今回の改革やこのようなことを、公団に少なくとも可能性を持たせる。そして国民に、ああ、やはり、変わったけれども、我々が夢を持てるあれだな、住まいをつくって持続してくれるんだなということだけは呼べるように、皆さんから愛されるような、あるいは安心して住める、そういうものを新たな機構の目標にしていこうと私は思っておりますので、ぜひ皆さん方にも今後見守っていただきたいし、また、育てていきたい。そして、経営の合理化、スリム化等々が実現できるかどうかも、委員会でぜひ見守っていただきたいと思っています。
金子(善)委員 力強い御決意、ありがとうございました。
 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました独立行政法人都市再生機構法案に反対する討論を行います。
 反対する理由を申し上げます。
 その第一は、本法案によって創設される機構が、都市再生機構という名前にあらわれているように、業務の中心を工場跡地や企業の遊休地の開発に移そうとしているからです。
 現に、政府が指定した都市再生緊急整備地域では、民間プロジェクト立ち上げなど、ゼネコン、ディベロッパーを応援する事業を推進しています。そして、民業圧迫を口実に、公共賃貸住宅建設、供給から完全撤退するものであるからです。
 政府の統計調査によっても、最低居住水準未満という劣悪な住居に住んでいる世帯はいまだに二百二十四万戸、五・一%に上り、そのうち民営借家が百三十五万戸に達しています。このような世帯に、良好で低家賃の公共賃貸住宅を供給することは、依然として必要です。公団の廃止は、少なくとも現在まで七十六万戸の公共賃貸住宅を供給してきた公団の役割を放棄すると言っても過言ではありません。
 しかも、現在進めている土地有効利用事業では、大企業の不良債権化した土地を含め、百十二地区、百十三・八ヘクタールの土地を三千二百六十五億円もの巨費を投じて取得し、事実上の企業救済を行っています。本案に基づく機構は、その事業を一層大規模に継続しようとするものです。
 第二は、公団に居住している現居住者の居住の安定を図る保証がないことです。
 本案の審議の過程で、公団の内部資料では、家賃の値上げをも含めた家賃増収の取り組みが検討されていること、建てかえ事業では戻り入居しか住宅を建設しないなど、それによって生まれた余剰敷地は民間に売却することもあるなどのことが指摘されました。
 しかも、重大なのは、賃貸住宅事業での毎年三千億円もの利益は、バブル期以降に購入した三千三百八十一ヘクタールに及ぶ塩漬け土地購入費の利払いにその一定額が回されていることが明らかになったことです。
 高齢化、低所得化の中で、大変な思いをして家賃を払っている多くの居住者はもちろん、国民にこうした事態をもたらした責任や問題点を明らかにしないまま、現在の公団を廃止し、新たな機構をつくることは、到底許されないことです。
 長期不況の中で、ホームレスもふえています。国民に居住不安を与える今回の法案に反対することを表明して、討論を終わります。(拍手)
河合委員長 次に、原陽子君。
原委員 私は、社会民主党を代表して、議題となっております独立行政法人都市再生機構法案につきまして、反対の立場から討論を行います。
 住宅・都市整備公団が都市基盤整備公団に移行したのは一九九九年。たった四年前のことです。今回の法案は、四年間に公団が当然済ませておくべき課題を放置し、不良資産を隠したまま、都市再生の名のもとで、既成市街地での新たな事業に移行しようとするものです。
 しかし、どんな事業であれ、ノウハウは試行錯誤や失敗の総括から生まれるものであり、間違いを総括しないまま新しい事業に乗り出せば、同様の誤りを繰り返すことは必定です。既成市街地での地価高騰や、その逆の下落、不良資産の累積などが都市再生機構のもとで起きないとは限りません。
 都市公団がこの四年間で解決すべきだった課題は、当時審議されたときの衆議院附帯決議の中に既に盛り込まれていました。一つは、子会社との関係です。決議では、「関係法人との随意契約の適用を厳格に行い、競争入札を原則とすることにより、民間事業者の業務機会の拡大に努めること。」とありますが、子会社の中では日本総合住生活が独占的に取引額の九割を占め、それと比例して多くの職員が天下っているなど、以前の住都公団が抱えていた課題はそのまま放置されています。道路公団と同様、解決方法も提示されていません。
 課題のもう一つは、財務内容の公表です。附帯決議では、「関係法人を含め、財務内容等の情報公開を進めることにより、公平、透明な業務運営を行うよう努める」とあります。二〇〇一年十二月に閣議決定された特殊法人等の組織見直しの類型別ガイドラインでも、特殊法人から独立行政法人に引き継がれる資産及び負債については、時価評価を行うことを原則とすると定められていました。
 しかし、法案提出を前にそれらは全くクリアされず、ことしの二月にやっと都市公団内部の資産評価研究会の報告書が出て、これから資産評価方法が検討され、どの資産にどの評価方法を適用するかを決めるという段階です。不良資産の全容もわからないまま新法人へ移行する法案を提出するなど、傲慢であると思います。
 そもそも、都市基盤公団の財務の悪化の原因は、むだな再開発や虫食いの土地保有、天下り官僚によるずさんな経営やファミリー企業の問題にあります。今回の法案は、国民共有に重要な賃貸住宅を売却して財政赤字の穴埋めにし、民間資本に切り渡し、一方、銀行やゼネコンを助けるもうけ口の都市再開発に特化させようという改革にほかならず、七十六万戸、二百万人の公団賃貸住宅住民に不安を抱かせるものです。
 都市公団が住宅政策という本来の業務から踏み出さず、不良資産を整理しながら経営してきていれば、住宅部門の家賃を下げたり、より質の高い住宅を提供したりするなど、もっと人々に喜ばれる政策ができたはずです。
 初めに民営化ありきの競争至上主義ではなく、この国の住宅政策を一体どうしていくのか。豊かな住生活を保障するため、優良な賃貸住宅を一定数確保することは、国の住宅政策として不可欠です。今後、居住者の居住の安定、公的住宅政策の再確立、企業会計並みの財務諸表の公開、地方分権など、看板のかけかえだけではなく、本質的な改革がされることを願い、反対討論を終わります。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより採決に入ります。
 独立行政法人都市再生機構法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原博久君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。阿久津幸彦君。
阿久津委員 ただいま議題となりました独立行政法人都市再生機構法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において、委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
    独立行政法人都市再生機構法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
 一 政府は、住宅が国民生活を支える基本的な基盤であり、ゆとりある住宅に安心して住むことが生活の真の豊かさを確保する上で重要であることに鑑み、多様な居住を実現する政策を通じて国民生活の安定と福祉の増進に寄与するよう努めること。
 二 政府は、高齢者その他の住宅に困窮する者をはじめ国民の居住の安定が図られるよう、公的賃貸住宅の計画的整備、高齢者向け賃貸住宅の供給の促進のための制度の拡充等により、国民の住宅セーフティネットの構築に努めること。
 三 独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、都市基盤整備公団から承継する既存の賃貸住宅団地について、居住者の居住の安定を図ることを政策目標として明確に定め、居住者との信頼関係を尊重し、十分な意思の疎通と連携の下に住宅や利便施設等の適切な維持管理を行い、快適な生活環境の確保に努めること。
 四 機構は、賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう家賃制度や家賃改定ルールに対する十分な配慮に努めること。特に、低所得の高齢者等に対する家賃の減免や建替えに伴う急激な家賃の上昇の抑制については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること。
 五 機構は、老朽化した賃貸住宅の建替えに当たっては、居住者の居住の安定を図るとともに、良好なまちづくりとコミュニティの維持に努めること。また、賃貸住宅の建替えに併せた公営住宅や福祉施設等の整備への協力に努めること。
 六 機構は、市街地の整備改善に関する業務の実施に当たっては、地方公共団体及び民間事業者との協力及び役割分担を図るとともに、関係権利者の意思を十分反映するよう努めること。
 七 機構は、賃貸住宅事業とその他の事業との区分経理を明確にするとともに、財務内容等の情報公開を積極的に進め、国民にわかりやすい業務運営を行うよう努めること。
 八 国土交通省の独立行政法人評価委員会には、機構の賃貸住宅の居住者の意見が参酌されるよう配慮すること。
 九 機構の子会社、関連会社等については、整理・合理化を図るとともに、財務内容等に関する情報公開を推進すること。また、機構と子会社、関連会社との契約に当たっては、関係法人との随意契約の適用を厳格に行い、機構関連業務の業務契約について、競争入札を原則とし、一般の民間企業の業務機会の拡大に努めること。
 十 機構の設立に当たっては、都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備業務部門の統合の下で効率的な業務運営を行うことができるよう、組織等を定めること。機構設立後においても、事務・事業や組織の見直しを行うとともに、経費の削減、支払利息の低減等による一層の経営基盤の強化、経営の合理化に努めること。
 十一 機構の理事長その他の役員の選任においては、適切な人材を広く起用するよう十分配慮すること。
   その際、役員の報酬及び退職手当については、独立行政法人通則法の趣旨を踏まえ、機構及び役員の業務の実績を的確かつ厳格に反映させること。また、政府は、機構の役職員の報酬及び退職手当の水準を、国家公務員及び他の独立行政法人の役員と比較ができる形で分かりやすく公表し、国民の理解を得るよう努めること。
以上であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 独立行政法人都市再生機構法案につきましては、本委員会におきまして熱心な御討議をいただきまして、ただいま可決されましたことを深く御礼申し上げます。
 今後、審議中に賜りました委員各位の御高見、また、ただいま附帯決議において提起されました都市基盤整備公団から継承する賃貸住宅の居住者の居住の安定、一層の経営基盤の強化等につきましては、今後、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め各委員の皆さん方の御熱心な御討議と御協力に深く感謝申し上げて、御礼といたしたいと思います。
 ありがとう存じました。
    ―――――――――――――
河合委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、成田国際空港株式会社法案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 成田国際空港株式会社法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました成田国際空港株式会社法案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 新東京国際空港公団につきましては、特殊法人等改革基本法に基づき平成十三年十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において、民営化に向けて平成十四年中に政府において結論を得ることとされております。これを踏まえまして検討を進めてきた結果、昨年十二月に閣議決定されました、道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革についてにおいて、平成十六年度に全額国出資の特殊会社にすることとされました。このため、新たに設立する特殊会社の設置根拠法を制定する必要があります。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、新東京国際空港公団を解散するとともに、その業務を引き継ぐ特殊会社として、成田国際空港株式会社を設立することとしております。
 第二に、会社の目的は、成田国際空港の設置及び管理を効率的に行うこと等により、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することとし、そのために行う事業の範囲等を定めることといたしております。
 第三に、会社に対する国の助成及び監督に関する事項を定めることとしております。
 第四に、公団から会社への事業の承継に伴う権利義務の承継について定めております。
 その他、所要の経過措置等に関する事項を定めております。
 なお、公団から会社への移行の期日は、平成十六年四月一日と定めることといたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由でございます。
 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十八分散会


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