衆議院

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第22号 平成15年5月20日(火曜日)

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平成十五年五月二十日(火曜日)
    午前九時十一分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    山本 公一君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    後藤  斎君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      松原  仁君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    金子善次郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   参考人
   (一橋大学大学院商学研究
   科教授)         杉山 武彦君
   参考人
   (定期航空協会会長)
   (全日本空輸株式会社代表
   取締役社長)       大橋 洋治君
   参考人
   (野村総合研究所上席コン
   サルタント)       石井 伸一君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十日
 辞任         補欠選任
  岩國 哲人君     松原  仁君
  二階 俊博君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     後藤  斎君
  金子善次郎君     二階 俊博君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  斎君     岩國 哲人君
    ―――――――――――――
五月二十日
 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、成田国際空港株式会社法案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、一橋大学大学院商学研究科教授杉山武彦君、定期航空協会会長・全日本空輸株式会社代表取締役社長大橋洋治君及び野村総合研究所上席コンサルタント石井伸一君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序でございますが、まず、杉山参考人、大橋参考人、石井参考人の順で、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず杉山参考人にお願いいたします。
杉山参考人 御紹介をいただきました杉山でございます。
 本日、本委員会において審議中の成田国際空港株式会社法案について意見を申し述べる機会をちょうだいいたしまして、大変光栄に存じております。
 私は、審議対象法案のいわば背景にあります我が国の今後の航空政策の方向を審議いたしました先般の交通政策審議会航空分科会の分科会長として、答申の取りまとめをさせていただきました。
 そのようなわけで、本日は、まず、交通政策審議会航空分科会においてなされました本法案に係る部分の議論の内容あるいはある種の結論が導かれました経緯について述べさせていただき、それを踏まえまして、本法案に関する私の認識を申し上げさせていただきたいと考えております。
 既に皆様方には十分御承知のことと存じておりますけれども、議論の流れを確認する意味であえて触れさせていただきますと、我が国の空港整備につきましては、従来の一貫した航空需要の伸びに対応いたしまして、機材のジェット化、大型化、そして空港の新設と拡張等々が持続的に進められてまいりました。そのようにして国内航空ネットワークの全国的な展開が進められる中で、地方空港についても整備が大いに進んでまいったというふうに認識をしております。その結果、全国的に見た場合の空港の配置、これにつきましては、ほぼ完成をした形ができ上がったというふうに一般的には考えられるに至っております。
 しかしながら、当然のことですけれども、地方空港の整備が進むほどに、大都市圏との路線の設置、路線の拡充が求められるところとなりまして、現在では、首都圏を初めとする大都市圏において、それに対応するための空港の容量が大きく不足をするという事態が招来されております。
 さらに一方で、グローバリゼーションの進展の中でアジア諸国の大規模空港の整備が急速に進みましたのに対して、我が国の整備が相対的に若干おくれをとった。そのことが、国の経済力の低迷、また産業の競争力の低下の重要な一因として一般的には指摘をされるようになっております。
 先般の航空分科会は、今申し上げましたような現状認識に立って、今後の空港及び航空保安システムの整備のあり方についての諮問を受けて行われたものでありまして、昨年の四月から八カ月にわたって、空港整備部会十五回、航空保安システム整備部会六回の議論を重ねて、十二月に答申が取りまとめられたわけでございます。
 本日の審議対象法案に直接にかかわっております国際拠点空港の民営化につきましては、議論のいわば前提として、二つの点で、分科会における委員の議論の中で基本的な認識が共有されていたように思っております。
 一つは、民営化がどのような形で行われるものにせよ、国際拠点空港の公共性というものを考慮した場合に、その整備については国が戦略的な視点から基本的に責任を持つ、関与する、こういうことが一つであります。もう一つは、民営化された空港に何が求められるかということについては、これはあくまでも経営の効率化、利用者サービスの向上、この二点に帰せられる、こういうことでございました。
 それでは、具体的に三つの国際拠点空港をどのように民営化するかということにつきましては、幾つかの案が存在をしておりました。
 一つには、空港の整備そのものを行い、かつ保有する主体と、一方でその管理運営に当たる主体と、いわば上と下ということですが、これらを一体とするか、あるいは分離をするかという分かれ目が、御存じのように一つ存在をいたします。他方、三つの空港を何らかの形で統合して民営化をするのか、あるいは一つ一つ個別に行うのかという選択が一方に存在をいたしました。
 したがって、それらの組み合わせとして、いろいろな案が比較の対象となった次第でございます。結果的には、経営責任の明確化ということ、それから効率性のより大きな向上、この二つの観点から、各空港ごとに個別に推進する方が相対的により適切であるという考え方がとられることとなりまして、それが答申に提案をされたわけでございます。
 三つの空港のうち、新東京国際空港公団につきましては、既に御承知のとおり、開港後二十五年を迎えます。経営基盤も大変成熟しつつあるというふうに考えられておりますので、民営化への歩みを十分に今踏み出すことができる。そこで、将来の完全民営化を念頭に置いて、まずそれを国の全額出資になる特殊会社化いたしまして、その上で、平行滑走路の早期整備を着実に推進して、可能な限り早期に株式上場を目指す。そしてその際に、過去の整備の経緯や騒音問題等の環境問題が非常に重要でありましたので、それを今後の環境対策、地域との共生策として適切かつ確実に実施する、そのことを確保するということが極めて大切である。こういう結論を得た次第であります。
 そういう答申が出されました後、その内容を踏まえて、その方向に沿って法律案を次期通常国会に提出するとの閣議決定がなされたというふうに私自身は理解をいたしております。
 以上の流れを念頭に置いて成田国際空港株式会社法案を眺めますと、まず、二千五百メートル平行滑走路を主として念頭に置きました空港施設の整備を推進するための国の関与、これが確保されていること。また、直営事業の展開等について、業務運営の自由度を高める形になっている。また、そのほか、環境対策及び地域との共生策の適切かつ確実な実施について規定が設けられていることなど、審議会の答申内容を適切に反映したものとなっております。
 したがいまして、私自身といたしましては、この法案の内容に全面的に賛同の意を表するものでございます。
 今後、この法案のもとで成田空港の着実な整備が推進されるとともに、そもそも期待をしておりました経営の効率化それから創意工夫が実際に追求をされまして、それらが、着陸料の軽減を初めとする利用者負担の軽減、そしてサービス水準の向上をもたらして、ひいては競争力の確保につながっていくこと。また、民営化によって売却をされる株式の収入が還元をされ、再投資されて、それが全体としての空港システムの発展をさらに促進するということが確実に起きていくことが必要でありまして、また、そのことを大いに期待している次第でございます。
 以上をもちまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 次に、大橋参考人にお願いいたします。
大橋参考人 皆様、おはようございます。
 私は、定期航空協会の会長を務めております全日空の大橋でございます。
 本日は、成田国際空港株式会社法案に関しまして意見を述べさせていただく機会を与えていただき、大変ありがとうございます。
 本法案は、新東京国際空港公団を廃止して、政府全額出資の株式会社を創設するためのものであって、新たに設立される会社の目的は、成田国際空港の設置、管理を効率的に行うということで航空輸送の利用者の利便の向上を図って、もって航空の総合的な発展に資するとともに、我が国の産業、観光などの国際競争力の強化に寄与するということとされております。
 また、株式会社化した後においては、その株式を上場する、つまり、完全民営化を図る計画であると承知しております。私は、定期航空協会の会長といたしまして、こうした趣旨で提案された本法案に対しまして、賛成でございます。
 定期航空協会では、成田空港を民営化する目的は主に二つあると考えておりまして、これまでにも、審査会の場などで意見を述べてまいりました。
 第一の目的は、民営化で図られるであろう効率化という成果を、着陸料を初めとする料金の値下げに反映させることでございます。
 成田空港は、我が国の国際線旅客そして国際線貨物の約六割を担う、我が国にとって極めて重要な空港でございます。しかしながら、その着陸料は世界で最も高い水準となっておりまして、諸外国の航空会社からも批判の的となっております。その水準を引き下げることは、日本経済を活性化する上でも極めて意義のあるものと考えております。
 そのための有効な手段としては、空港に人が集まるという利点を生かしまして、航空部門以外の収入、つまり非航空収入を高めることにございます。
 空港を経営する会社の団体、ACIによりますと、世界の空港を平均すると、空港全体の収入の五割以上が免税店、飲食店、駐車場などの非航空収入になっているとのことでございます。例えばロンドンのヒースロー空港では、民営化以前には五割程度であった非航空収入の比率が、現在では七割近くに及んでおります。こうした非航空収入に支えられて、着陸料などの水準を低く抑えるということに成功しているものと思われます。
 他方、現在の成田空港公団の売り上げに占める非航空収入の比率は三割程度にとどまっております。私どもは、株式会社化を契機にいたしまして、経営の効率化が進むとともに、経営に自由度が生まれるということで、成田空港においても非航空収入の拡大が図られて、これらの成果が着陸料軽減という形で利用者の皆様に還元されるということを強く期待している次第でございます。
 ここで注意が必要と思われますのは、成田空港が完全民営化された段階では、資本市場などから、高い利益を上げろという強い圧力がかかるという点がございます。民間会社である限りこれは当然のことでございますが、一般の産業におきましては、これと同時に、競争の圧力、言いかえれば料金を下げろという圧力が働きます。私は、民間の会社はこの二つの圧力を同時に受けることで、経営の効率化に努めて、また、売り上げ拡大のために創意工夫を凝らすものだと考えております。
 ところが、成田空港は、旺盛な需要に支えられた極めて強い地位にあり、競争という圧力が働きにくくなっております。国際線を運航する航空会社にとっては、需要の六割が集中する成田空港に就航しないという選択肢がとれません。このために、完全民営化を行う段階では、競争という圧力にかわる何らかの対策を講じる必要があると考えております。
 一九八〇年代の後半に空港の民営化を実現させましたイギリスでは、需要が集中するロンドンの三空港について、独占的な地位の乱用を防ぐという観点から、さらには、空港は極めて公共性が高いという点にも着目いたしまして、プライスキャップ制という価格規制を導入しております。
 プライスキャップ制というのは、毎年一定比率以上の経営効率化、生産性の効率化を行わなければ利益が出ないような水準に価格を規制するというものでございます。このため、空港を経営する会社は、コスト削減と非航空収入を高める努力を行うことになります。
 このプライスキャップ制につきましてはメリット、デメリット双方ございますが、民営化する以上、できる限り民間の活力を生かすように、政府による規制は必要最小限にとどめるべきと考えますが、成田空港を完全民営化する段階におきましては何らかの仕組みの導入が必要と考えております。この点につきましては、株式を公開するまでに、どのような仕組みが適切なのか、議論して決定しておく必要があると考えております。
 それと、空港の民営化の二つ目の目的は、株式の売却により得た資金を、羽田再拡張を初めとする、国として真に重要な空港整備に再投資するということにあると考えております。
 羽田空港の再拡張は、成田空港平行滑走路の二千五百メーター化、ただいま二千百八十メーターでございますが、この二千五百メーター化とあわせて、空港整備の最重要課題であると認識しております。これを実現させるためには、九千億円と言われる財源を確保する必要がございます。定期航空協会では、国として、重要な空港整備に対して一般財源を集中的に投入する必要があると従来から主張しているところでございまして、この点は、この場をおかりしまして、重ねて諸先生方にお願い申し上げたいと存じます。
 これに加えまして、財源確保の一環として成田空港の株式売却資金を活用するということは、とても意義深いものであると考えております。
 なお、現在ある成田空港公団の資本金は、そのほとんどが、空港利用者の負担を財源とする空港整備特別会計によって賄われております。このことからも、成田国際空港株式会社の株式を売却した資金は、全国の航空利用者が望む空港の建設に再投資されることが最も合理的であると考えております。
 最後になりますが、成田空港には長い苦難の歴史と経緯がございます。今後とも地元の皆様の御理解と協力なくしては成り立ち得ない空港でございます。この点は、私ども航空会社以上に、国土交通省の皆様、そして成田空港公団の皆様が十分に認識されているところではございますが、本法案に明記されておりますとおり、地元の皆様の生活環境の改善、環境対策には、今後とも引き続き御尽力賜ればと存じております。
 私の陳述は、これにて終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 次に、石井参考人にお願いいたします。
石井参考人 御紹介にあずかりました野村総合研究所の石井と申します。
 約十八年、エンジニアとして空港計画に携わってまいりました。その間、時代の大きな変化もございまして、九〇年代の半ばぐらいから、交通経済、むしろ経済ですとか経営という面での研究を進めてまいっております。こういった観点から、空港に関しましても、私の専門領域として、いろいろな場で研究成果を発表させていただいているということでございます。
 本日、こういう非常に重要な場にお呼びいただきまして、非常に光栄に感じております。
 それでは、今から私の冒頭の陳述を開始したいと思います。
 成田空港と申しますのは、旅客ベースで世界で第二位の航空市場を持ちます我が国、九〇年代に、イギリスを抜いて、アメリカに次いで第二位の航空市場にまで我が国の航空市場というのは発展して、その市場を持つ日本と、そして、政治経済的な中枢でございます首都圏といったものを空港勢力圏におさめておりますので、旺盛な航空需要に支えられて順調に国際空港として成長してきたというふうに、需要面としては考えております。結果として、現在、アジア随一の国際拠点空港、これはどういうことかと申しますと、欧米とアジア諸国をつなぐという意味での拠点空港としての位置づけを有すると理解しております。
 ただ、こうした中で今後留意すべき点と申しますのは、着実に力をつけてきた周辺近隣諸国ではないかというふうに思います。現在、滑走路を四本程度、さらに旅客ターミナルビルの施設処理能力も数千万人もしくは一億人近くといったような規模の空港施設を国策として進めているわけでございます。中長期的には、アジア諸国は当然経済的な成長を進め、そしてその結果として、航空市場が大きく成長していくというふうに考えられます。今は需要の中心が日本でございますが、将来、アジアの需要中心が日本以外の近隣諸国に移らないとも限りません。そういった中で、大競争時代に突入していくものというふうに認識しております。
 空港の民営化、一部の国では商業化というふうに申しておりますが、これは世界的な流れでございますし、成田空港の株式会社化というものは、まさにこうした流れに乗った時宜を得たものと理解しております。より顧客、すなわち市場という観点で経営のかじ取りを進めていくということ、それが利用者サービスの一層の向上と経営の効率化、さらには国際競争力の強化といったものに結びつくというふうに理解いたしておりまして、私は、当法案に対しては全面的に賛成いたしたいと思っております。
 空港という事業とは一体どういうものか。私なりに、その特徴は、社会的、公共的性格を備えた交通インフラ、すなわち航空事業といったものと、それから商業サービス業的な機能、民間事業的なものを持つ非航空事業の双方の、二つの性格を有するインフラであるというふうに理解しております。
 当然、民営化の成果と申しますのは、こういった、首都圏という世界でも有数のすぐれた空港勢力圏を背後に持つその潜在力というものを、成田空港が、航空事業、非航空事業の双方という面でその需要を引き出していくことが非常に重要で、それを顕在化させていくことによって実現するというふうに思っております。
 そのため、顧客起点に立脚しましたマーケティング、すぐれた計画の立案そして迅速な実行力、つまり、経営の自由度と、それから迅速な意思決定権といったものを確保しながら、それを着実に実行していくことが求められるというふうに思っております。
 国の事業がいわば公共事業から民間事業へと転換していく中で、従来型の公共事業の枠組みにとらわれることなく、新しい制度のもとで潜在力を発揮できるよう、意思決定の透明性を確保し、そして、社会合理性また経済合理性といったもののバランスの中で最善の判断が下せるよう空港経営をしていかなければならないものと認識しております。その際、内陸に立地します成田空港の特性から、地域との共生といったものは必要不可欠、まさに経営の前提条件であるというふうに理解しておりますし、当然、怠ることがあってはなりません。
 我が国の空港整備というのは、私なりの解釈では、政策上の位置づけ、また財源の面で、後発であるがゆえに劣後的な扱いを受けてきたのではないかというふうに思っております。劣後的と申し上げますのは、道路、鉄道、港湾といった他の交通社会資本といったものと比較しましても、その優先順位が低くなってしまうということでございます。
 ただ、こうした状況下でも、九〇年代に、規制緩和を通して航空市場が非常に大きく成長しましたように、空港整備に関しましても大変な成果が上がってきているというふうに認識しております。現実的に見れば、九〇年代、日本経済が停滞していた中でも、唯一、旅客ベースで大きく需要を伸ばした輸送モードでございます。今後も、国際航空需要を中心に、成長余力がまだまだ十分あるというふうに認識しております。
 市場が成長途上でありますと、民営化後にいろいろな問題に直面してまいります。一般的に申し上げて、離散的にしか供給をふやせない、つまり、滑走路一本で十万回、二本で二十万回、こういった離散的にしか供給力をふやせない中で、ある程度将来の不確実性を織り込みながら先行投資的に空港整備を行わなければならないということでございます。
 株式会社化、民営化という流れに従えば、計画の実行、そして投資判断といったものは、利用者に対するマーケティング、一体顧客が何を望んでいるのかということと、それで実際にどれだけリターンがあるか、投資リターンという点で判断されていくことになると思います。そのとき、財務的な余力があるならばそういった問題はございませんが、ただ、気になることを申し上げれば、成田空港に残る債務の大きさでございます。この点は、今後議論していく必要があるかというふうに思っております。
 先行事例でございます英国空港公団、英国空港株式会社が八七年に民営化した当時、かなり自己資本も充実しておりました。その結果、空港整備ということに関しましても、民営化後もある程度リスクを許容できたというふうに認識しております。その後、現在では、世界一の空港株式会社になったのではないかというふうに思っております。
 こうした先行的な事例を見ましても財務面の課題というのは非常に重要な課題でありますが、単純に答えを出せる性格のものではないというふうに理解できますし、航空系収入、非航空系収入、それからコスト、さらに投資、資金調達、企業価値といったものを踏まえ、関係者の議論により、慎重かつ冷静に判断していくことが求められるというふうに考えられます。
 最後に、航空市場と申しますのは、アジア諸国を見れば明らかなように、まだ成長途上でございます。成田空港の民営化というのは、私が理解する中では、いわゆるJR等の運輸事業を除きますと、交通インフラとしての民営化の第一号事業でございます。この成否が、今後続くいわゆる民営化の大きな道しるべとなっていくというふうにも考えられますし、ぜひこれを成功裏に導くということが重要であるというふうに考えます。
 そのため、関係者の英知というものをあらゆる場に結集し、その成功をみんなで応援していくということが重要かと思っております。
 来るべきアジア諸国との大競争時代の中で、我が国の国際空港というものが、顧客ニーズにこたえ、世界の利用者からも評価され、そして我々国民の誇れる存在になる、そういったものになるよう私は希望しております。
 以上で冒頭陳述を終えさせていただきます。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。
赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は、三名の参考人の皆様におかれましては、早朝より、大変お忙しい中、わざわざ当委員会に足をお運びいただき、また、大変貴重な御意見を御教示いただきましたことを、まず心から感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
 きょうは大変限られた時間内でございますが、何点かについて御質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、質問に移りたいと思います。
 まず、国際拠点空港の整備を進めて国際競争力をつけていかなければいけない、こういった大方針に異論を唱える人というのはほとんどいないというふうに私は考えております。しかし、そのときに、それがイコール、民営化がすべてなのか、こういったことについて若干私は疑問を投げかける形で議論したいというふうに思います。
 誤解なきようにいただきたいのは、私自体は、経済的な規制緩和は進めていくべきだといった論にも立っておりますし、基本的に、この民営化、今回のこの法案について賛成の立場ではございます。
 まず一つは、参考人の皆さんからの御発言にもありましたが、このアジアにおいて国際拠点空港の整備が大変進んでいる。例えば、上海の浦東空港ですとか韓国の仁川空港、また、香港、シンガポール、マレーシアのクアラルンプール、こういったことが進んでおります。確かに、民営化がすごく進んで非常に空港整備が整っているという例もあると思いますが、上海空港とかそのほかの空港については、ある意味では民営化ではなくて空港の拠点整備が進んでいる。これは、もちろん国の体制そのものが違うわけですから一概に論じられないわけでありますけれども、こういった点についてどうなのかなということが一つでございます。
 それで、私は、民営化というのは基本的にはいいものだというふうに思っておりますが、ただ、民営化とか規制緩和については負の側面もある。特に交通インフラなんかについては競争が生まれない、先ほどのお話にもありました、独占的な状況になると、サービスが向上することが結果としてもたらされるのではなくて、サービス低下を招く例があるというふうに感じております。
 実は、昨年、イギリスのロンドンに参りました。空港の話じゃないんですが、ロンドンの鉄道に乗って、ロンドン鉄道というのは、基本的に非常に民営化、上下分離の一つの例で挙げられるんですが、率直に言って大変サービスが悪くなっている。ロンドンの駅に行くと、ディレーしているのが物すごく多いんですね。ディレーしている理由が、運転手がまだ来ていないとか、そんな話がずらずら出ているんです。実際に乗った、ウィンブルドンの方に行った電車だったんですけれども、電車の中はごみだらけで、これは日本のJRの民営化とはえらい違うなと。非常に事故も多い。上下分離によって責任の明確化が非常に後退している、こういったような実態もございました。
 そういったことを考えていくと、私、今回、日本のこの民営化論というのは、民営化をすることによって、もちろん効率化を高めて空港整備を進めていくという側面と、もう一つは、全く空港整備とは別の行政改革をしていかなければいけないという、この二本立ての中で出てきたような経緯なのではないかというふうに思うわけでございます。
 まず、ちょっと問題を整理して、諸外国の例、国際拠点空港が大変な勢いで整備されている実例をいただいて、民営化でうまくいっている例はもちろんあると思いますが、民営化じゃなくてうまくいっている例というのは私はあるのではないかと思います。その点についての御所見をいただければと思いますが、分科会の中でそういった議論がなされたのかどうか、まず杉山先生からお願いできればと思います。
杉山参考人 まず、分科会での議論ということについてお尋ねがございました。
 これは、当然そういうことについて諸外国の事例等が資料としても用意され、それをいろいろと知識を共有した上で議論を進めたところでございます。
 そのことに関する私自身の考え方を申し上げますと、今、具体的な事例等を資料等があれば詳しく申し上げられますが、それはまたちょっと別にしまして、考え方を申し上げますと、もともと、おっしゃるように民営化というものが絶対的なものではない。当然、もう一つの方法として、国が直接的に関与をする、そういうやり方もあるわけでありまして、どちらも、それが空港というものに関して一方的にすぐれたものということはあり得ないわけであります。
 民営化ということは、民営の形態をとったときのよいところを発揮させるということに着目して、そして、そこで失われる懸念のある国からの関与とか配慮とかというものは同時にいろいろな形で手当てをしていくというのが基本的な考え方でありまして、今回も、まさにそういう形になっているというふうに考えます。
 したがいまして、あらゆる問題において私はそういう本質があると思いますけれども、ある意思決定をしたときに、今度は、それがうまくいくように補完的にいろいろなことをやらなければいけないということになっているわけで、今は相対的に、これまでの流れの中で、民営化の持っているメリットの方に重きを置いて考えているということでありますので、御指摘がありましたように、民営化だけがすべてではないということが私の考え方でございます。
赤羽委員 大橋参考人、御意見があれば。
大橋参考人 もちろん、民営化だけがすべてということではないと思います。例えば民営化が進んでサービスが低下したというのは、民営化が進んだからサービスが低下したんではなくて、やはりそこにある、例えば航空会社にしても空港の会社にいたしましても、質の向上、質の競争というものが意識の中にないと、これは幾ら民営化しても一緒だと思います。
 そういう意味では、民営化がすべてではございませんが、民営化しなくてもそういう意識は、質で競争するということは必要なんじゃないかと思います。
赤羽委員 石井参考人の書かれたものの中に、イギリスは空港は完全民営化をしている、アメリカはそれとは対照的に、部分的な内部補助を残して、空港は基本的に民営化していない、こういった御指摘もありますが、アメリカの例について簡単に、簡単に言えるような話じゃないかもしれませんが、端的に御意見をいただければと思います。
石井参考人 おっしゃるとおりで、アメリカの場合には、空港整備というのは、州政府、市もしくはそれらで構成されるポートオーソリティーといったものが主体となって整備いたしております。そして、彼らはランドオーナーとしての役割を果たし、むしろ基本施設及び土地をしっかりとつくる、ターミナルビル等は、エアラインを含め民間企業に任せるという経営形態をとっております。
 なぜこういう経営形態がとれるのかということが一番の大きなポイントかと思いますが、それは、アメリカのそのポートオーソリティー、州政府、市に対して税制上の優遇策を与えているからでございます。すなわち、免税債という形で資金調達の道を開いているということがございます。民間空港になってしまいますと、そういった税制のメリットは受けられません。したがって、インフラであるいわゆる基本施設それから土地といったところは、そういった利点、優遇措置を活用して空港をつくろうということになります。その際、社会経済的な違いで広大な土地が安く手に入るというアメリカの国情から、当然、州や市がみずから債券を発行してそれを償還していくということも、空港の収入だけで賄っていくという意味で、事業的に回るということもあるわけでございます。
 以上の背景から、アメリカは全くイギリスとは違った形で、公的な主体が空港整備というのをやっております。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
赤羽委員 どうもありがとうございます。
 今の御答弁にもありましたように、民営化を進めていく上で、民営化のよい面を発揮させながら、杉山先生の冒頭の陳述の中では、国の関与は基本的に担保していく、これは分科会の共通の御認識だったというふうに伺っております。まさに、国の関与をどうしていくのか、どう担保していくのかということは、私も非常に重要な点だというふうに思います。
 私、個人的には、これまで成田空港、関空、中部と、この三つの国際空港の経営形態がそれぞれ違った形をとっている、これはまさに時代の変遷の中で、そのときそのときの、何というんですか、翻弄されてきたというような一つの形だったというふうに思っております。
 私は、どちらかというと当初国交省が提案をしたというふうに聞いておりますが、いわゆる三空港共通の上下分離論というんですか、こういったものの方がすっきりしていいのではないか。やはり国際拠点空港というのは国の重要な社会資本であるわけで、そこは、しっかりしたものは国が責任を持って、経営管理の部分については民活、まさに大橋参考人のお話にもございましたように、非航空収入なんというのは、どんどん民営化の成果を発揮していくといったものを考えていくべきだというふうに思っておりますが、この国土交通省の当初の提案が変わったという分科会の御審議、限られた時間で恐縮ですけれども、その点を一点。
 もう一つ、先ほど大橋参考人から、まさに独占的な地位の乱用を防ぐためのプライスキャップ制の導入という御提案がありましたが、この点についての分科会での御審議があれば、その二点について、御答弁というか意見を伺いたいと思います。
杉山参考人 まず第一点の、今御指摘ございましたように、中間の段階では、空港を整備する主体とその管理運営をする主体と上下に分けて、その上で、いわゆる下物法人、つまり空港を整備し保有するもの、それについてはこれを一体統合して運営をする、こういう考え方がとられていたわけであります。それは、まさに今御指摘ありましたように、そういう形で国の関与、基本的な部分での関与、そして、それぞれ立地条件も費用のかかりぐあいも違う三つの国際拠点空港に関して、基本的な部分について条件をなるべく可能な範囲で均等化しておいて、その上で三つの空港がそれぞれに上物法人の方で民営化の実を発揮する、こういうねらいに一番着目をしていたわけであります。
 しかしながら、議論の過程の中で、先ほど石井参考人からもお話がありましたけれども、意思決定の迅速化でありますとか意思決定の統一性あるいは効率の発揮、そういうことになったときには、専権的に上と下とで分かれているよりも一つの主体としてまとまっている方が早い、あるいは統一がとれているということは、これは一方でまた自明なことでありまして、議論の中では、そういう効率の発揮という点では上下一体がよいという議論が最初から存在をしたわけです。
 それからもう一つは、一方では、私が今申し上げましたように、それぞれ全く経緯や経営形態あるいはコストの発生の形態の異なるものについて、これは日本という国の中で同種のサービスをそれぞれの人たちが使うときに、全く状況の違うものというよりは、ある程度基本的な部分を統一しておいて、その上でそれぞれの上物法人が創意工夫を発揮するという考え方でよいではないか、こういうふうになっていたわけですけれども、一方で、そういう一つにまとめて管理運営をするという考え方は、日本全体での大きな流れの中ではむしろ逆の方向に見えるようなものであったことも否めません。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
 例えば道路に関しましても、御承知のように、プール制という形で一体として運営してきたものを、そのプール制に対する批判、いわゆる内部補助という言葉を使いますが、そういうものに対する批判が非常に強まってきた経緯がございまして、なるべく独立して個別に経営、運営をしていくという考え方が一方で強まってまいりましたし、そういう意見が当初からございました。
 そこで、今三つの国際拠点空港について下物を統合一体化するというときに、一部からは、そのうちの、具体的に言えば成田から関空に対しての過度の補助、内部補助というものの形に通じるのではないか、こういう懸念があったように思います。そういう懸念があるのであれば、一体として足並みをそろえて民営化を実現するという考え方よりも、今最も現実性の高いところが民営化を進めていって、その恩恵を他にも還元しながら全体としても民営化の達成を早めるという考え方の方が現実的ではないのか、こういう意見が強く出てまいりました。
 そういう相対的な意見の見比べの中で、一般的なマスコミの論調からしますと過度の内部補助というようなことにも批判が強まったこともありまして、そこで意見は分科会としても分かれておりました。その中でヒアリング等々を行いましたところ、それぞれの法人の関係者、地方自治体等も含めた、あるいはエアライン、定期航空協会、それぞれの意見が大きく基本的なところで違っておりました。それをまとめて一つに、下物法人の統合一体化ということに結びつけることは少しく無理があったというふうに判断をいたしました。そういう過程を経て現在の形になったということであります。
 それから第二点でございますけれども、プライスキャップの話であります。
 現在私の理解しておりますところでは、着陸料に関しましては事前届け出制ということになっておりまして、そのもとで、またあわせて変更命令というものが担保をされている。したがって、社会的に考えて極めて不合理な料金がそこで設定される場合には国が関与することができる、変更命令を出すことができる、こういう体制になっているわけであります。
 これは、現在、ほとんどの運輸関係あるいは公益事業関係の価格形成、料金形成に関してはそういう形で動いているのが大きな流れでありまして、その一つとして着陸料についても現実は運用されているというふうに考えております。
 それから、実際には、空港サイドが着陸料を設定する場合に、多分IATAあるいは航空企業との間での協議というものも当然に行われるわけですので、そのプロセスを経るものとして、そこに法外な着陸料というものが設定され続けるということは余りないのではないかというふうに私は考えます。
 そういう意味で、私はプライスキャップというのはもともと反対ではございませんけれども、すべての運輸関係の料金設定に関してプライスキャップが議論された時期がございました。プライスキャップと従来の方法とを比較してみたときに、よく比べていきますと次第に似通った面が出てきて、プライスキャップを現実的な制度にしようとすると、現在の方法に次第に近づいてくるというような面がございます。
 そういう意味で、どちらが採用されても、それをきちっと運営することによって大体同じような結果に導くのではないかというのが私の個人的な考え方であります。しかし、現在の方法で、プライスキャップを殊さら空港に特に導入しなくても、目指している成果は得られるはずであるというのが私の考え方でございます。
 以上でございます。
赤羽委員 最後の部分について、恐らく定期航空協会の皆さんの御意見もあると思いますので、着陸料に絡めてちょっと御意見を伺いたいと思うんです。
 大臣もこれは世界一高い着陸料だというような認識もございますし、今回も、SARS、イラク戦争の関係で、定期航空協会の皆さんの御要望も受けて、実はきのう決算行政分科会でも取り上げました。緊急融資の方は間もなく準備をしている、こういった状況でありますが、事着陸料等々についてはなかなか、空整特会の財源になっている、だから歳出の部分とのバランスをという、すぐそういう話が出てきまして、その点も踏まえて大橋さんからの御意見を開陳していただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
大橋参考人 世界一高い着陸料ということでございますが、実際に国際線の着陸料の比較をいたしますと、ジャンボの747―400というのが今国際線で飛んでおりますが、成田の着陸料が一回当たり九十五万円でございます。それから、ニューヨークでは五十一万円です。ロンドンでは九万円です。香港、ソウル、このあたりでも日本の三分の一程度でございます。そういうことで、着陸料についてやはり非常に高い日本の水準、これはぜひとも是正する必要があろうと思っております。
 昨今の航空政策、先ほど述べさせていただきましたが、やはり着陸料につきまして、例えば今回の成田の民営化で利益を上げて、その部分を、着陸料を低減するとか、あるいはこれから出てまいります羽田の再拡張に回すとか、そういうことが大変必要であろうと思っております。
 以上でございます。
赤羽委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
河合委員長 大谷信盛君。
大谷委員 おはようございます。民主党、大谷信盛でございます。
 私の選出いただいておりますのは、池田市がございまして、大阪国際空港、伊丹空港がございまして、この空港の問題についてはずっとこの一年間取り組んできまして、きょうはお三方に御参加いただき、こうやって質問させていただけることが、反対に私にとっても光栄なことと思っております。
 今、赤羽先生の方からも、国際競争力というようなものをどうやって上げていくのか、手法がほかにあるのではないのかというような指摘もございましたが、私は、今までの日本の空港、航空行政というものが、建設中心から、今度はつくったものを運営していこうじゃないかという流れに変わりつつある大きな節目が、今回の成田の国際空港における民営化だというふうに思っています。
 いわゆる効率化、そして商業収入のアップによって競争力や利便性を高めていく、このことについては何の異論もございませんが、本当にそれができるのかということを大きなテーマにするべきだというふうに私は思っています。イギリスの例が取り上げられて、成功している成功していると言われますけれども、例えば九一年のカナダのトロントの空港の民営化の例なんかを見ますと、商品の陳列、商店の配置等々に余り工夫がなく、商業収入が思うほど上がらず、着陸料も下げることができなかったというような一つの失敗例として挙げられていたりいたします。
 そんなことを考えるとき、本当に今回、この成田空港が民営化をされて、本丸は、着陸料が下がるのかどうなのか。利用者の利便性ということを言うならば、航空会社さん、そして我々旅客、荷主さんと三つ大きなものが挙げられるわけですけれども、航空料金というものは結局は航空会社さんがお決めになられるわけですが、その航空会社さんがコストを算定するときの大きなものがやはり着陸料だというふうに思います。ここの着陸料がどれだけ下げられるのか、商業化が本当に成功できるんだろうか。また、さっき大橋会長が御指摘されましたように、利益の追求のために、独占的な地位を利用して、どちらかというと、下げようと努力はしているけれども下げられないという結果に陥ってしまうのではないか。
 この委員会でも、前回のときは黒野総裁にお越しいただきまして質問をさせていただきましたら、絶対に下げるように頑張っていきたい、政治的にも下げなければいけないんだというようなこと、すなわち、意識を十分持っているということを御表明されました。どの方が成田国際空港株式会社の社長になられるかわかりませんが、新しくなられた方もその意識を受け継いで経営されるんでしょうが、しかしながら、まだやはり、その独占的な地位を持って、実は着陸料を下げないどころか上げてしまうんじゃないかというような懸念もこの短期間のうちには私は持っています。
 また、関空の整備もそうなんですが、石井さんが御指摘されましたように、この成田も大きな債務を持っておられまして、イギリスの空港会社が民営化されたときとは少し状況が違う、だから助走期間というものをつくるんだと。では、五年かかるのか十年かかるのかというと、いや、なるべく早く、三年の連続黒字が続けば株式上場できるわけですから、早くて二〇〇七年、二〇〇八年ぐらいをめどにして頑張っていくんだということでしたけれども、本当に成田空港の借金を返せるめどがあるんだろうか。
 また、我が国の空港整備はいわゆる内部補助システム、プール制で続いてきていますから、どうしてもその考え方から脱し切れず、例えば、株式を上場してできたお金が関空の方とかほかの空港の整備費に回されてしまって、首都圏の利用者利便、受益と負担で考えるならば、やはり関空ではなく、反対に、羽田であったりとするような首都圏空港に使うべきだと僕は思っておるんですが、それができないまま、着陸料もしくはこの地域の航空需要に対応するための資金として使われないんじゃないかというようなたくさんの、着陸料が下がらないではないのかなという懸念があるんです。
 お三方にとって、着陸料が下がらないかもしれないとするならば、ここが一番のネックになってそうなるんではないかというような問題点を御指摘していただけますでしょうか。杉山先生からいっていいですか。
杉山参考人 大変難しい御質問で、何が一番大きな懸念の材料かということを私は今すぐに頭に浮かんでまいりません。お答えしながら少しまた考えることといたしますが、私は、今おっしゃいました事柄について、着陸料の引き下げということ、あるいは引き上げの懸念ということがございましたけれども、今回の民営化の意思決定の中で、もうこれは社会全体が一番関心を持ち、そこにねらいを定めたのが、ほかならぬ着陸料の引き下げということであろうというふうに思っております。
 それで、分科会での議論の中でも、これは珍しいことではないかと思いますけれども、行政サイドからも、そういうコストの削減、着陸料の引き下げということをきちんと行うのであろうかという確認の質問がなされて、それに対して、今おっしゃった黒野総裁が、それは必ずそういうことで努力をしますというふうにはっきりおっしゃったことを覚えております。
 先ほど大橋参考人がおっしゃいましたように、競争という圧力というものが、通常、経済上の成果を生み出すのに非常に重要なことでありますけれども、しかし、圧力というのは、もちろん競争だけではなくて、やはり政治、社会、一般の論調の圧力というのも、これも大変大きなものがあります。
 私は、そういう意味で、今回着陸料が引き下げられるということは、一番の目的であるがゆえにそこに向かって努力をしていくはずのものである。それを全く無視して、ましてや引き上げというような方向が出てくるというようなことは、正直なところ、今まで余り考えておりませんでした。
 したがって、いろいろな、世界の中で起きる不慮の事態であるとか、あるいは、現在そういうことが一つありますけれども、航空需要の予期せざる停滞とか、そういうものが大きく出てきた場合には別といたしまして、今までのような需要の伸びというものがあれば、そのもとで、今回の民営化の目指すところによって、懸念しているようなことにはならないのではないかというふうに私は考えております。
 直接のお答えにはなりませんけれども、そのように考える次第でございます。
大谷委員 もうちょっと具体的に聞けば、杉山先生のお考えはわかりましたけれども、僕なんかは、どちらかというと、そういう意識があったとしても、着陸料値下げの目標年度みたいなものを設定すべきではないかというぐらいのことを思っています。
 プライスキャップは現時点では必要ないだろう。先生御存じのとおり、プライスキャップは物価によって上がったり下がったりいたしますので、そういう意味では上がる。また、九・一一のテロの一月後、二月後の航空需要が全く低迷しているときに、成田空港はIATAに対して着陸料の値上げを申請するようなこともございました。僕は、まさにタイミング的に、そんなときにやっちゃいけないんじゃないのか、このときこそ利用者のことを考えて、我慢するべきときは我慢するんじゃないか。
 そんな経緯があったものですから、上がることもある、もしくは、下がるといいながらも全然下がらないんじゃないかなという意識を持っているわけです。
 大橋会長にお伺いしたいんですが、例えば、たとえ今の成田空港が単体で運営されている公団形式のものであるとしても、ほかの公団が空港に附属するお仕事をたくさんやられている。天下りとまでは言いませんが、国が責任を持って管理、設置、維持をしていきますよという考え方ですから、国に関係のある機関がたくさん空港運営をお手伝いしているような形になっているというふうに思うんですが、たとえ民営化をしても、そこの部分も含めて民営化をしていかなかったら効率化というようなことにならないんではないかというふうに思っておるんです。
 ある意味、利用者の代表として、その辺はどのように見られておられますか。着陸料、本当に下がるのか、下がらないとしたらこういう懸念がありますよということとあわせて、御指摘、もしあるならばいただきたいと思うんです。
大橋参考人 最初の御質問ですが、成田の空港にはたくさんの会社がございます。それは、私どものグループもございますし、JALさんのグループもたくさんございます。当然、公団さんのそういう仕事をされているところもございます。
 そういうことですから、民営化になった場合は、やはりそれで値段が固定化されるとか、そういうことは当然あってはならないことだと私は思っておりますし、そこは柔軟に、民営化に向かって、民営化になった場合には、今もしそうでないなら変えていただきたいし、私ども、今のところそれほど意識はしておりませんけれども、もしそうであるならそういうふうに変えていただきたいと思います。
 それから、着陸料がなかなか下がらないんじゃないかという御指摘でございますけれども、私も杉山先生の意見と一緒でございまして、定期航空協会といたしましては、着陸料を下げていただきたいということは頭にずっとございまして、着陸料がこれで下がらないんじゃないかというようなことを余り考えずに、民営化になったら着陸料は下がるであろうというふうに考えております。
 実際に、もしかしたらこういうことで下がらないんじゃないかということは、ちょっと今現在持ち合わせていないものですから、申しわけございません。
大谷委員 私もそうであってほしいと思っておりますが、根が心配性でございますので、何回も何回も確認をさせていただいているような次第でございます。
 同様の質問で恐縮なんですけれども、石井さんには後でもうちょっと質問をさせていただきたいんですけれども、この着陸料、本当に下がるかなという懸念に対してはどのようにお考えですか。
石井参考人 理論的なことを申し上げると、着陸料を下げていくという目標は当然必要だというふうには思っているんですが、可能かどうかの議論をするときに、まさに大谷先生御指摘のように、航空収入でどれだけ収入が上がるか。これは、着陸回数がどれだけ増加できるかという増加可能性の議論。それから、非航空収入で、今、多分、成田空港に来られている方で、こういうのがあったらいいのにな、お金を落とすんだけれどもなと思っている方がどれだけいるかという、その非航空収入の増加可能性の議論。あと、経営の効率化で言われるコスト削減可能性。それから、本当に必要なものに絞っていくような投資の議論。こういったものを踏まえて、言うならば将来のキャッシュフローも含め、ディスカウントキャッシュフローで現在価値に割り戻し、どれぐらいの価値があるか、これが確保されていれば十分に下げることはできるということで、考え方としてはそうでございます。
 ですので、この議論というのは多分そんな簡単に答えが出るべきものではないんですが、理論的に申し上げれば、こういう議論を、しっかりといろいろなシミュレーションをやりながらやっていく必要があるのかなというふうに思っております。
大谷委員 わかりました。着陸料が下がるであろうという希望のもと、全体、関係者で頑張って努力して競争力を高めていくということで確認し合えたのかなというふうに思います。
 ならば、今回は国際空港である三つが民営化をされるわけですけれども、これは、利便性が向上したりするわけですから、ぜひ国内の空港にも適用していけるんではないかというふうに私は思っております。私なんかは、環境対策費、百億円を大阪国際空港が使っておるのは申しわけないから、民営化していただけたら努力をして返せるような、そんな形になれば国庫負担というものも減るんではないかというふうに思ったりもしておるんですが、石井先生は、この国内空港の民営化ということについては、将来的にはどうあるべきか、どうなっていくんだろうかというようなお考えがもしあればお聞かせいただけますでしょうか。
石井参考人 現在の国内空港の整備状況を見ますと、もう概成はしております。ただ、必要となる空港整備、羽田の四本目の滑走路、大規模な投資を控えている状況でございます。ここは多分、民間事業ではとても厳しい。やはり国が責任を持ってきちんとやるというのが今の流れではないかと思っています。
 それから、伊丹空港、確かに環境対策費が非常に大きいということでございますが、これを独立採算で伊丹だけに持たせればどういう議論が起こるか。要するに、迷惑をかけている人が負担しましょうという議論になっていくかもしれない。だから、これは民営化の議論という以前の問題で、まず、だれが受益者で、だれがそういった原因を起こしているのか、原因者負担の原則を適用していくなどの議論の方が先じゃないかというふうに思います。
 本来であれば、やはり需要が旺盛な大都市空港というのが、国内空港であっても民営化の対象になるはずですが、残念ながら、財務的な面から見てまだ非常に厳しい。むしろ、制度的な独立採算を含めたあり方を議論していくことがまず重要ではないか、それによって、受益と負担の関係、原因者負担の関係等々を整理していくということが必要かというふうに思っております。
大谷委員 独立採算という手法に近づけていくには、必ずしもぽんと民営化ではなくて、いろいろな方法が考えていけるんではないかということで、全く私もそのとおりだと思っています。その大きな主張が整理できていないから、国内空港、特に羽田の場合はなかなかそんなふうにはいかないだろうというお話だというふうに思うんですが、私、空整特会ではもう限界があるんじゃないか。拠点空港づくりというのは国がしっかりと国策でもってやっていくべきことですから、ここはやはり一般財源を戦略的にもっとさらに投資するべきだというふうに思って、ずっとこの委員会でも論じさせていただいておるんですが、その辺は、石井先生、どうお考えですか。
石井参考人 私もまさにそのように思っております。
 私の冒頭陳述で劣後的なインフラというふうに申し上げましたが、これからまだ国際需要を中心にして伸びるとわかっている。ただ、その伸びが、今回のイラクの問題、SARSの問題によって、いつ出てくるかということは、環境変化によって非常に大きな影響を受けるわけです。このリスクを民間にしょえというのは難しい。まさに公的なお金を入れて用意しておかなければいけないものだというふうに思います。
 そういった意味で、これから伸びていく輸送モード、道路、鉄道、港湾、航空と見たときに、唯一空港だけだと思っているんですね。要するに、つくったら必ず将来は使われるようになる、むだな投資にはならないという意味で、つくって使われるものをつくるという新しい一般財源の使い方、それはぜひ進めていただきたいというふうに思いますし、私も、まさにおっしゃるとおり、同じ考えでございます。
大谷委員 ちょっと先の話になるんですが、四本目の滑走路が羽田にできた場合、私、何も国際空港と国内空港を分ける必要は二十一世紀の中ではそんなにないのではないか。空港整備が一段落した中、使える空港は、国内であれ国際であろうが、また個人の飛行機であろうが、どんどん有効活用すべきだというふうに思っておるんですが、行く行く羽田というのはもう一遍国際、今でさえ大阪国際空港伊丹、そして東京国際空港羽田となって国際がついておるんですが、この辺はどう考えますか。分離するのではなく、ひっつけてもいいんじゃないか、特に首都圏に関しては。石井さんにお聞きしたいんです。
石井参考人 首都圏の空港のキャパシティーに余力がある場合には、十分利用者の利便性を考えて、利用者に選択してもらおうという議論が成り立ち得るとは思いますが、残念ながら、需要に対してキャパシティーが後追いでついてくる、その中で分離しているということについては合理性があるというふうに思っております。
 ただ、おっしゃるとおり、将来四本目の滑走路ができたときにどうするかという議論に関しては、今部分的な国際化の議論もされておりますが、多分、近距離国際線を中心に、羽田を使った方が効用が上がるというような部分については、利用者も望むでしょうから、そういう使い方というのは十分あってしかるべきだと思いますし、本来であれば、首都圏に十分余力があって、乗客が選べるという状況が望ましいが、現実的にはございませんので、今の分離論、役割分担論というのには合理性があるというふうに思っています。
大谷委員 最後に一つだけ、研究者でございます杉山先生と石井さんにお聞きしたいんですけれども、今回、空港のこと、いろいろとお金の面から調べて勉強させていただきますと、どうしても、空整特会というのはまだ情報化が進んでいませんから、例えば各国内空港の収支だとかというようなものが全くわからない。空港全体の政策の評価をするんですから個別じゃないというのもよくわかるんですが、これから限られた資本を戦略的に投下して整備をし、また拡張していかなければいけないという場合、個別の収支なんかができるような、ある意味、研究者にとっても情報の公開みたいなものが必要だというふうに私は思うんですが、その辺はいかがですか。もう時間がないので、短く、杉山さんと石井さんで。
杉山参考人 私は、全くその御指摘に賛成でございます。現在の空港関係のこと以外の社会の流れからいきましても、そういうことは当然あるべきことだと思っております。
石井参考人 おっしゃるとおりだと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
大谷委員 今回の法案審議を通じて、利便性が我々利用者にとって高まることを望んで、参考人への質問を終わりたいと思います。
 きょうはありがとうございました。
河合委員長 実川幸夫君。
実川委員 自由民主党の実川幸夫でございます。
 きょうは、参考人の皆さん、大変お忙しい中、当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。また、先ほどは貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
 質問に入らせていただきますけれども、先週、既に当委員会におきましては、法案の中身、各委員から政府側また空港公団側に対しまして質問がございました。その中で、政府側からは、今回の法案の目的またメリット等につきまして、当然ながら、経営の効率化あるいはまた我が国の経済の活性化、国際競争力の向上、そういうような答弁がございました。さらに大臣からは、これまでの空港の経過、最初のいきさつ、いわゆる地権者とのボタンのかけ違い、そういうことも答弁がございました。
 そこで、少しお時間を拝借させていただきまして、これまでの空港の歴史ということを私からお話しさせていただきたいというふうに思います。
 たしか昭和四十一年七月の四日、大変暑い日でございました。ということは、私は生まれも育ちも、今の空港の地であります三里塚で生まれ育ちました。そういうことで、初めて今の空港の地に、閣議決定でこの場所にするということをニュースで聞いたのも空港の地でありました。そういうことでよくはっきり覚えておるんですけれども、大変な騒ぎになったことを覚えております。反対派あるいはまた賛成派そして条件賛成派、そういうような形で分かれたわけでありますけれども、その後、三里塚闘争、外部からも反対者が参りまして大変な騒ぎになったことを覚えております。その後、強制収用というような形でありながら、昭和五十三年だったと思いますけれども、ようやく空港が開港いたしました。
 先ほど杉山参考人が、間もなく二十五年になるというふうに言われましたけれども、実はきょう、五月の二十日、二十五周年を迎えました。ちょうど今ごろの時間に成田ではその式典が行われておると思いますけれども、その後、いろいろな経過を踏まえまして、円卓会議あるいはシンポジウム、さらには共生会議、そういう経過を踏まえまして、ようやく昨年四月に二本目の滑走路が供用開始となりました。ただ、この滑走路でありますけれども、御承知のように二千百八十メーターという、あくまでも暫定滑走路でもありますし、大型の航空機は使うことができません。
 そういう中、今日に至っているわけであります。きょうのNHKのニュースでも放映されておりましたけれども、二十五周年を迎えて、利用客もこれまでの二十五年間で四億六千万人、そしてまた貨物の取扱量も三千万トン、そういうようなことがニュースで流れておりました。順調にこれまで空港も推移しているわけでありますけれども、大きな課題もございます。先週、林代議士からも質問がございましたように、内陸空港でありますし、騒音問題あるいは環境問題、さらには地域の皆さんとの共生という大きな課題も残っている、そういう空港であります。
 そういう中、今回、民営化に向けて公団でも準備が着々と進んでいるというふうに聞いておりますけれども、そこで、参考人の皆さんにお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、杉山参考人にお尋ねさせていただきたいんですけれども、先ほど、これまでの分科会等におきましての経過の説明がございましたけれども、その審議の中で、当初は、中間報告等を聞いておりましたところ、空港の整備主体、いわゆる管理主体、これを分ける上下分離ということで進んでいたというふうに聞いておりました。私もいろいろ疑問に思っておりましたけれども、最終的には一体化というような結論に至ったわけでありますけれども、なぜ最終的に一体化となったか、その辺について少し詳しく説明をしていただきたいと思います。
 それから、分科会の会長ということではなくして、一個人としての杉山参考人の、今後のあるべき国際空港、民営化に当たってどのようなお考えがあるのか、お聞きしたいと思います。
杉山参考人 まず第一点でございますけれども、先ほど、そのうちのある部分は御説明申し上げたところでありますけれども、当初、中間の段階で提案されておりましたスキームというのは、私、今から振り返って、結果的には違う形になりましたけれども、当時一部の報道等で批判をされましたような、決して不合理一辺倒のものではないというふうにいまだに思っております。それはそれなりの理屈があったというふうに私は思っております。
 それは、先ほど申し上げましたように、一つには、日本の国の中で三つの国際拠点空港がある。一つは内陸の空港、しかしそこには、今お話がありましたような経緯があったために、環境政策あるいは地域との共生等々の大きな問題を抱えているという特殊性があった。それから関西国際空港につきましては、海面の埋め立てということのために予想以上のまたコストがかかった。それから中部につきましては、これはスタートの形態が前二者ともまた違った形で来た。それぞれの土台が大きく異なっておりまして、また、コストの発生の形態も違う。
 そういうことで、日本として持っている、また、三つそろって日本のゲートウエーとしての機能を果たす、そういうものについて、全く土台が違う形のものでスタートし、互いに努力をするという考え方はありますけれども、そのときに、一つの考え方としては、その根っこの部分について、ある程度の国の関与のもとに条件を均等にしておいて、ひいては利用者が同質の、また同水準のサービスをエンジョイできるような形に一定の条件を整えるという考え方はあっても不思議はないことであります。
 同種の社会資本について、その発展のプロセス、建設の段階においてはそれらを一括して運営していくという考え方は、他の社会資本についても従来しばしば用いられてきた考え方でもありますし、そういうことで、それ自体が極めて不合理な、何か、ある特定の目的のために無理やりつくられたというものではないというふうに私は理解をしておりました。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、そのスキームがとられたときに、やはり一つの懸念として、ある空港から他の空港へ調整という形で少し支援がなされ過ぎるような形になるのではないか、こういう懸念が非常に強く存在をしたというふうに思います。
 それから一方で、これも先ほど申し上げたことですけれども、そもそも、上下分離ということと、それから、上下を一体として個別の空港で意思決定していくというときには、一体どちらがスピーディーな意思決定ができるか、あるいは効率化のためのいろいろな施策をそれぞれ採用しやすいかという観点から見た場合には、これは常識的には、分かれていて相互の調整が必要とされるよりは、個々の独立した主体の方がよいであろうという意見は当初からございました。
 それと、これも繰り返しになりますけれども、一つ、分科会の議論の中で、そういう言い方がかなり影響力を持ったものがあったと思いますけれども、それは、先ほど申し上げましたように、当初の案によって条件をそろえることによって、調整をすることによって、三つの国際拠点空港が二十年あるいは三十年のうちに足並みをそろえて民営化を果たすという考え方も一つはあるけれども、それよりも、今はむしろ、より民営化を果たしやすいところから力を入れていって、その民営化の恩恵を還元する形でそれを他の国際拠点空港にも及ぼし、そして、順序は異なるけれども、民営化を順序をつけて進めていく方が結果としては早いのではないか、こういう意見も出てまいりました。
 そういうような全体としての意見を踏まえて、分科会として、地方自治体、エアライン、それからそれぞれの公団、それぞれの法人、三つの国際拠点空港の主体ですけれども、ヒアリングをさせていただきました。
 このヒアリングはたしか三回ぐらいにわたって行われたというふうに思っておりますけれども、その中で、やはり民営化に関して、例えば中部に関して言えば、今まで独立した民間の企業という形で進めてきたときに、最後に、その案は理解できないわけではないけれども、しかし、そういう形に今この段階で切りかえるということは、債権者等々の間での了解も得なければならないし、調整もしなければいけないし、これは大変大きな事柄である、そういうことがございました。
 それぞれの主体の感触が大きく違っているということもありまして、それを一定の期間の中で下物法人の統合というところにまとめ上げるということはやはりかなり難しいという感触がございました。そういうことで、大きく転換をする形で、もう一つの別の案の方に進んでそこを仕上げていった、こういう経緯でございます。
 それから、第二番目の、個人的に考えます国際拠点空港のあり方ということですけれども、一種の理想的な姿ということ、これは私はいろいろな形があってよいかとも思いますけれども、今考えられているような民営化という形を目指していって、そのもとで、その主体が非航空系の事業等にもいろいろ着手をする。つまり、空港という場は、現在の考え方として、単に飛行機が飛来をする、あるいは飛び立っていく、そういう場だけではなくて、そこが一つの都市の形成のもとになってみたり、あるいは文化の形成のもとになってみたり、さまざまな機能をこれからグローバリゼーションの進展する世界の中で果たしていく大きな重要な場だという認識が強まってきていると思いますので、そういうことを背景にして個々の空港の主体がいろいろな展開を果たすという姿、そのもとで競争がなされていくということが一つの理想の姿ではないかというふうに考えております。
実川委員 ありがとうございました。
 次に、大橋参考人にお尋ねさせていただきます。
 現在、定期航空協会の会長さんでもありますし、また全日空の社長さんでもございます。その大橋参考人に、現在の航空会社の社長さんという立場、経済人の立場から、今日、民営化に向かう成田国際空港、どういうような形で見られておるのか、御質問させていただきます。
大橋参考人 成田の民営化がされて、国際空港はどういう形が理想的なんだろうかということで、今、杉山先生、後半でお話しなさいました。
 私は、理想的な姿というのはさまざまだと思いますが、大きく分けて四点あろうかと思います。
 一つは、需要に十分こたえ得る空港容量が確保されているのかというのが一つ。それから二番目は、誘導路、スポットそれからターミナルの施設、そういうものが充実しているかということ。三つ目は、空港使用料等、お客様が負担する料金が低廉であるかどうかということ。最後に、都心や国内の各地へのアクセスが充実しているか、便利であるかということがあろうかと思います。その四点があるんですが、振り返って成田を見てみますと、引き続き改善すべき点は、この四つともあろうかと思います。
 まずは、私どもが望んでおります、今の暫定滑走路を早く二千五百メーターにしていただきたい、そういう必要性がございますし、空港内の誘導路あるいはスポットなどの整備も引き続いて充実させていただきたい。また、陳述でも述べさせていただきましたが、民営化によって着陸料を引き下げるということで、料金などの値下げに反映するということも必要であろう。また、都心と成田のアクセスの充実ということがこれから必要になってくるだろう。
 こういうことがそろいますと、成田も理想的な国際空港に近づいて発展していくんじゃないか。そういうことによって、日本の経済の活性化あるいは観光立国という点での国際空港の役割が十分担えるんじゃないかと思います。
実川委員 もう一点、大橋参考人にお尋ねしたいんですが、今、航空業界、いわゆるSARSであるとかテロ、大変な厳しい状況下に置かれているとお聞きしておりますけれども、直接この法案とは関連ありませんけれども、現在の航空業界の状況について。
大橋参考人 二〇〇一年の九月の十一日に同時多発テロが発生いたしました。航空需要が激減いたしまして、航空業界の業績が、二〇〇〇年度と二〇〇一年度を比較いたしますと、業界全体で経常利益が約一千三百億円減少いたしました。
 こうした中で、今回の三月のイラク戦争それから四月のSARSの問題、こういう影響で国際線のお客様の数は激減しておりまして、とりわけSARSの影響による、特に、同時多発テロでは比較的被害も少なかった香港、中国、東南アジアといったところでは壊滅的な打撃をこうむっております。
 航空二社の五月の推定旅客数は、テロの影響がなかった二〇〇〇年度の五月と比べると、それより五割を割っているという状況にございます。業界全体の減収というものは、多分二千億円を超えるんじゃないかと予想しております。さらにSARSの影響が長期化した場合には、その影響がより深刻化されるであろうというふうに考えます。
 このような事態に対応いたしまして、私ども航空各社は、減便あるいは運休、追加的なコスト削減ということで自助努力もいたしまして頑張っておりますが、イラク戦争それからSARS、この影響がかなり自助努力の範囲を超えるようなものになっているということが現在の状況でございます。
実川委員 ありがとうございました。
 最後に、石井参考人にお尋ねさせていただきます。
 今の空港、順調にこれまで推移をしてきたわけでありますけれども、先ほど経済効果について御説明がございました。この民営化に当たりまして、今後どのような経済効果が生まれるのか、簡単でございますけれども、お聞かせいただければと思います。
石井参考人 一般に申しまして、空港の経済効果は、空港の周辺もしくはその所在するいわゆる行政地域に非常に大きなものが落ちる。これは、空港そのもので航空業及びその関連産業がまず空港を使います。そして、それにいろいろなサプライ、供給をする業者がその周辺に張りつく。しかも、小型を中心とした貨物業者等々がまたその周辺に位置するという形になります。
 まず一義的には、直接こういった空港を利用する方々によって雇用の場が地域に大きく確保されるというのが非常に大きい点でございますし、それは、空港がより多くいろいろな人に使われ、また、民営化によってより魅力的なものになることによって、その効果がまた一層大きくなるというふうに考えることができます。
実川委員 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 参考人の皆さん方、御苦労さまでございます。
 では、ちょっと今までのやりとりの重複を避けましてお聞きしたいと思うんですけれども、三人の方にお聞きするわけです。
 本格的な民営化に向けて来年度から特殊会社化するということになってきたわけですけれども、では、残された期間、特殊会社になるまでの間、国なりこういった政府なりの役割なり責任からして、残された時間に何を努力すればいいのかというところが、何となく特殊会社化していけばそれで済むというものでもないと私は思いますし、当然いろいろな問題意識の中でそういう方向に持っていくわけでございます。
 先日のこの委員会の席でも、昨年来、私は扇大臣にもお願いしたんだけれども、大臣は本当にみずから体を張って地元のいろいろな方々と接触する中で、今の暫定平行滑走路ですか、二千五百メーターがまだ未完成でございます。そういう問題にもっと精力的に、謙虚な態度をとって、なおかつ、誠実に物事に対処するという姿勢がちょっと政府に欠けているんではないかという感じがするわけですけれども、そういうことも含めて、本当に十六年度の特殊会社化までに、政府としてあるいは国としてどういうことをすべきなのか。いや、特段のことはしなくても今のままでよろしいのか。そのあたり、何か御意見があれば一言ずつお願いしたいと思うんです。
杉山参考人 一つには、当然のことでしょうけれども、そういう十六年四月からの組織の変更に備えて、いろいろ実務的な準備等の話はあると思いますけれども、そういうものを除きますと、今御指摘ありましたように、必ずしもそれが不十分ではないかと言われておりました、まさにその点が一番重要な点だと私も認識しております。
 特殊会社化されて、その後、完全民営化に移るための基本的な前提条件は、平行滑走路の本来の姿が完成することというふうに表明をされているわけですので、そこのところは休みのない作業であって、今の段階からそれを一日も早く進めていくためのいろいろな種類の努力というのは継続的に、さらにまた力を入れてなされるべきだというふうに思っております。私にはその点だけが一番重要な点だと思われます。
大橋参考人 今の杉山先生の御意見と同じでございまして、それまでの間というのは、私どもが要望しております、今二千百八十メーターの暫定滑走路、これを二千五百メーターにしていただいて、今現在767クラスの中型機しかこれは離陸できません。しかし、二千五百メーターになりますと大型機の離着陸ということが可能になりますので、これによって柔軟な需要に対応した座席数の確保ということが可能になりますし、また、より長距離の路線へも就航が可能になりますので、そういうことで利用者のニーズに合ってくるんじゃないかと思っております。これを早く実現していただきたいと思っております。
石井参考人 私は、国は最終的に安全対策なり環境対策にはきちんと責任を持つものだと。要するに、新東京国際空港公団、今度株式会社になる成田公団は、いわゆる運営、オペレーションの空港の形態であって、その最終責任は国が負うということになりますので、その場合の体制面の議論、民営化したときに国はどういう役割をどういう体制でしていくのかということを少しあわせて検討していってはどうかというふうに思っております。
 おっしゃるとおり、二千五百メートル化に向けた努力というのは非常に重要なことでございます。喫緊の課題であるとも思いますが、むしろ、体制面での研究というのも一つ大きなテーマとしてあるんではないかというふうにも思えます。
一川委員 石井先生に、今の体制面の議論のところをもうちょっと具体的に御説明していただけますか。
石井参考人 例えば、一つの例を申し上げますと、よく事例に出てまいりますイギリスの民営化の例でございますが、本来は政府がみずから直営でつくって運営する空港であったということでございます、イギリスの英国空港公団というのは。それが、とりあえず民営化をしましょうという議論と、それからあともう一つ、政策立案と執行を分けましょうという議論、これによって、政府本体、それからCAAという、ここがいわゆる政策を着実に執行するエージェンシー、それから空港の経営体としてのBAA、もしくは、あとBAA以外には、イギリスでは、マンチェスター等は市町村が広域組合をつくって空港を経営しておりますが、そういう空港経営体という形に分かれたわけでございます。
 したがって、最終的な執行責任というのはCAAが持つということになっているわけでございますけれども、そうすることによって、いろいろな制度的なもの、決める者と執行する者と実際にその空港をオペレーションする者を分けた関係上、新しい政策をつくるところが新しいいろいろな試みをやりやすくなるという、執行と政策が一体ですと、そこが多少あいまいになるところがございますので、そういう面が一つの例として挙げられます。
一川委員 ありがとうございました。
 次に、これについても三人の先生方に御意見をお伺いしたいのですけれども、新しく、成田国際空港株式会社法案の第一条、目的の中でも、「航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資する」という表現をされております。
 これは、先ほど来それぞれの御意見の中にありましたように、利用者のいろいろな負担を少なくするとかあるいはサービスを向上するということが当然一つのポイントになるわけですけれども、私は、別の観点から、航空輸送の利用者の利便の向上という観点でちょっと気になることは、国際拠点空港と称する我が国三カ所の飛行場と我が国の国内の地方空港との航空ネットワークというものをなぜもっと充実させないのかなということをちょっと素人的に思うわけです。
 国際拠点空港へ行くのに時間がかかったり、あるいはそこにおり立ったときに、我が国のどこか地方の方へ出向きたいといったときに相当時間がかかったりということはよくあることなんですけれども、国際拠点空港と我が国の地方空港とを航空ネットワークである程度つなげていくというような考え方ということについて、それぞれ、先生方、何か御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
杉山参考人 ただいまの御質問ですが、私自身は、そのような問題意識というのは当然に今まで認識をされてきて、そのための努力はなされてきている、しかしそれが十分に実現はしていない、こういうことであろうかと思っております。
 例えば、関西国際空港のような場合には、これは国内と国際との両方の乗り継ぎの利便というものを十分に備える形ででき上がってきている空港ですし、それからその他、これはなかなか進捗の速度が思うに任せませんけれども、空港以外のアクセス等の整備に対する努力という形で、一定の方向に向けては進んできているんだろうと思います。ただ、それが、御指摘のように十分なものになっていない、こういうことであろうかというふうに思っております。
 問題の本来として、当然のことながら、国内のネットワークと国際拠点空港の接続ということは、今後も引き続き力を入れていくべき課題であるというふうに認識をいたしております。
大橋参考人 私ども、国内の拠点といいますか、空港と成田、そういうところとのネットワークというものにつきましては、暫定滑走路ができまして、これは小型機でございますが、仙台あるいは関空、名古屋、福岡、そういうところの便を張っておりますが、そういうところを増強してまいりました。
 そういうことで努力はいたしておりますが、地方と、例えば九州それから四国といったところとのネットワークという点につきましては、やはり国際の乗り継ぎのお客様が利用されるということではある一定度の需要がございますが、これはそんなに多くはありません。国内線同士でネットワークを張るというのは、やはり羽田との性格から申し上げますと、成田の国内線は需要は少ないと言わざるを得ないので、できるだけ努力はしてまいりますが、今、羽田のようなネットワークを増強するというのはなかなか難しいという状況でございます。
石井参考人 世界的に見れば、機材はだんだん小型化しているというふうに理解しています。日本の航空市場も、そういう意味で申し上げますと、空港の容量がある程度大きく、キャパシティーが十分にあればそういう方向になったんだろう。小型化することによって頻度が高まり、それが旅客利便性につながる。したがって、自由競争で競争しております航空会社が機材を小型化して利便性を高めるという方向にある。まさに今、成田に用意された二万回の発着枠ではそういう形での航空会社の就航があったと思いますが、そういう意味で、より需要に合わせた、小型機材をうまく誘導していくような仕組みによって利用者の利便性を確保していくということは非常に重要なことじゃないかというふうに思います。
一川委員 では、最後にお聞きするわけですけれども、これは石井先生が先ほどちょっと発言された中にも含まれていたわけですけれども、要するに、飛行場を、空港を整備するに当たっての財源の問題です。
 これは石井先生と杉山先生にお聞きしたいと思うのですけれども、ほかの公共事業と称する社会資本を整備しているもろもろの、そういう国の負担割合、補助割合からすると、あるいは財源の手当ての度合いからすると、確かに空港の整備というのは歴史がまだ浅いということも当然あるのでしょうけれども、公共性を有する割には、そういうところに対する公的な投入が非常に少ないのではないかというような印象を私自身も持っておりますけれども、そういったようなことがいろいろな料金等にはね返ってきているんだろうと思います。
 先ほど石井先生がおっしゃったように、財源的にはそういった非常に劣後的な扱いを受けてきた。しかし、今日のいろいろな高速交通手段という観点からすれば、非常に重要な分野を受け持っているわけですけれども、そういう面の財源対策としては、国の全体の施策の中で見直しをかけてもいいのじゃないかという感じも受けますけれども、そういうことについて御意見を伺いたい、そのように思います。
杉山参考人 私、個人的には、これは最初に石井参考人からお話がありましたように、交通機関の中でも、それぞれ出現してきた経緯、段階というのがそれぞれに異なっておりますし、そういう中で今、航空輸送といいますのは、こういう国際化した世界の中で、国際間の旅客の移動ということに関しては唯一の特別の地位を持つ交通機関になってきているわけですから、そういう意味では、それに対する認識というものを背景にして、一般財源の強化ということがあって当然に構わない、そういう領域であろうというふうには思っております。
 ただ、一方で、一般的に、どの領域の議論をしているときにも一般財源の強化をという話が必ず登場してくるわけですけれども、それはもうそれぞれが、他の交通機関は言うまでもなく、交通機関以外でもそれぞれに理由を申し立てて、例えば教育でもそうですが、一般財源の投入ということは強く叫ばれます。しかし、それが一般的に、これは当然の話ですが、財源の逼迫、限りある財源ということの中から言えば、これは、過去の経緯の中で、ある程度時間がかかって、そういういろいろな認識が浸透していく中で少しずつ変わっていくことにならざるを得ない性格のものだというふうに思っております。
 そういう意味では、現在、空港に関して、これは本当に数値としては小さいものであれ、それは拡大の方向に向かっているというふうに認識をいたしております。
石井参考人 ある意味で言うと、過去からの継続性が非常に重視される分野でございますので、その点、一般財源の割合というのが空港は少なかったのかな。これから、大きく空から俯瞰できるような感じになればいいんですが、なかなか難しいとなった中で、どうやって交通インフラの充実、整備というものを、分野間で重点配分をどうしていくのかという議論でございます。
 基本的には、やはり社会経済的な発展が一番大きく出てくるであろうものに大きく投資していくことによって、将来、国民の大きな財産にもなりますし、また、ある意味で申し上げますと、それが民営化という形によって国家財政に貢献するというものになりますので、そういうものを中心につくっていければ非常にいいのかなと思っております。
 私、航空というのは唯一そういう分野じゃないかと思っている、なぜかというと、まだ需要が眠っているから。これから需要が伸びないと思われている分野というのは、逆に言うと維持管理費が非常に大きくかかります。民営化するにも需要が右肩上がりではございませんので、大変な経営努力が必要となります。
 そういった意味で、やはりこれから将来にどれだけ伸びるのかという大きな指標をもとに、また、それが二〇一〇年、二〇二〇年と国民にどういう形で返ってくるのか。ただでさえ、財政的に今厳しい状況でございますので、将来また重荷に、負担になるような投資よりも、逆に返ってくる投資というものに今配分していくという議論ができれば非常によろしいんじゃないかというふうに思っています。
一川委員 以上です。ありがとうございました。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。きょうは本当にありがとうございます。
 先ほど来いろいろと質問が各委員からされているわけなんですが、若干重複する部分もあるかもわかりませんが、角度を変えてお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 最初に、これは各委員とも共通して指摘をされております民営化の問題。
 経営、当然これは収益を上げる、そして経営の効率化等を求められるということと、安全の確保、セキュリティーの問題、環境対策、あるいは乗客、利用者へのサービス、これをどう両立させるのかという点で、これは最初に杉山先生それから石井さんにお聞きをしたいと思うんですけれども、例えば、つい最近の全国新聞でも、この成田の特集をする中で、年間百億円を超える空港関連警備費にメスを入れることもできる、この百億円の額の妥当性はともかくとして、この中では、将来的には半分まで落としたいと担当者は言っている。民間企業だったらつぶれておかしくない額だ、こういうことを述べておられるわけですね。
 収益に直接つながらない部門についてこういう力が極力働くことは、当然の帰結ではないかと思うわけですね。競争圧力はないといっても、こういう経過の中で決められるわけでありますから、当然、客観的には、収益を上げる等への要請が強く働いてくるという中で、今申し上げた安全対策、セキュリティーの問題、環境対策、そして乗客サービス、これを本当にさらに向上させる、その担保がこの法案の中に具体的に盛り込まれているかどうか、この点、杉山先生、石井さんの方からまずお聞かせいただきたいと思います。
杉山参考人 今御指摘ございましたように、安全の確保等々というのは非常に重要なことでありますから、そういうものが単に削減されてしまうということは大変ぐあいの悪いことかというふうに思います。
 しかし、一方で、我々が民間企業に期待するものは、あらゆる種類のコストについて常にチェックをしてもらって、そして、これは当然ですけれども、できるだけ不要なものを切り詰めていくという努力をしてもらうということも必要なことである。そういう努力の中で、しかし、安全でありますとかその他の、これは決して切り捨てることのできないものについて必要が生じた場合に、それを当然のことながら関与し、基本的に手当てをしていくべきものが国の側の責務だというふうに考えている。
 それで、御指摘のありましたそういう担保ということにつきましては、私は余り法案というのを、そんなに読み方はなれておりませんけれども、しかし、今回、例えば環境あるいはその他の地域に関連する対策というようなものについていえば、これは第五条の第四項、五項というところがまさにそこについてメンションしたものになっておりますし、その四、五でもって、生活環境の改善あるいは騒音障害への損失補償とかそういうようなことを言った後で、さらにそれを第六条でもって、そういうものが、既に述べたものがきちんと行われるようなことを、それが適切にかつ確実に営まれなければならないということを書き上げることによって、そこのところに配慮している。そしてさらに、そういう事業の推進のために、国は例えば資金的な手当てというものを当面なすことができる。
 そういう形で一応整合性を保って、民営化された後も公共的な観点から必要と考えられる事柄については、まず民営化された企業がきちんとなすべきこと、そしてそのなすべきことに対して国がまたそこにきちんと関与することというのが体系立てられておりますので、そういう意味では、これはこの法案がきちんと運用される限りにおいては、我々の心配しているようなことを未然に防いで進めていくことができるものというふうに私は考えております。
石井参考人 冒頭に、本法案が顧客起点、いわゆる利用者本位の形で空港をよりよいものにしていく方向を向くという意味で、基本的に賛成であると申し上げましたが、その言葉の意味の中には、顧客が何を望むかということを真剣に追求していけば、安全性の追求、これは絶対怠ってはならないという話、また環境問題というのは非常に重要であるということが出てくるかというふうに理解しております。
 それで、もしそれを怠るようなことがあれば国が指導できるという形をとっておりますので、本法案は、おっしゃられた懸念は担保されているのではないかというふうに理解しております。
大森委員 次に、大橋会長にお伺いしますが、今度の法案で単独民営化の方向が出されたわけでありますけれども、今、きょうの議論でも、それから先日行われた当委員会での議論の中でも、こういう特殊会社化あるいは民営化、その最大のメリットの一つとして着陸料の引き下げが当然のように言われているわけなんですが、しかし、先ほど、本当に下がるのか、上がるんじゃないかという率直な疑問もありました。
 私、この問題でまず申し上げたいのは、やはり、なぜ民営化しなくては下げられないか、今のままで下げることはできないのか。今の経営状態からいったら、これはお話があったように、非航空業務部門の努力などを行えば、現形態でも着陸料は下げられるんじゃないか。しかし、御承知のように、関空がトン当たり二千三百円、羽田と成田はトン当たり二千四百円という、極めて政治的なと言っていいんじゃないかと思うんですが、そういう料金設定がされているところにむしろ大きな問題があるんじゃないかということなわけですね。
 ですから、こういう民営化によって着陸料は下げられるんだということは、今のこととの関係では果たして本当にそれが言えるのかという点はいかがでしょうか。
大橋参考人 今の御質問につきまして、今現在、民営化しなくても、着陸料あるいは空港使用料を下げられるんじゃないかという御指摘ございましたが、実際に民営化ということの、民営、民力でやるということにつきまして、私どもは、いわゆるコスト競争力、そういうものを含めて、民営化することによって着陸料が下がり、あるいは民営化することによって非航空収入が得られる。
 民営化のメリットというのは、今、空港公団で努力されている中で、いわゆるコスト削減、あるいは収入を拡大しようというものは、やはり民間の会社と、意識といいますか、そういう部分もかなり違うんじゃないかということで、私は、民営化の効能というか、そういうものに大いに期待しているわけでございます。
 そういう点で、着陸料は下がり、またその前の前提といたしまして非航空収入は大幅に上がるということを期待しているわけでございます。
大森委員 もうちょっと、この関係で、大橋会長にお聞きをしたいわけなんですが、確かに、着陸料が引き下げになると、航空会社にとってのメリットだけじゃなくて、それが実際に飛行機利用者に還元されなくちゃいけない。それがどの程度、どういうぐあいになるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
 実際に、ずば抜けて世界でも最も高い成田の着陸料を、例えば、半分程度まで引き下げてほしいというのがあるかどうかわかりませんが、仮に半分程度になれば、航空料金にはどういう影響が出るのか、おおよその考え方という点をまずお聞きしたい。それから、先ほどの質問との関係で、例えば、関空の場合ではトン当たり二千三百円はそのままにして、成田の半額への引き下げが現実に可能かどうか。その辺は大変難しいことが当然予想されると私は思いますけれども、あわせて二点、お聞きをしたいと思います。
大橋参考人 幾らぐらい下げて、半分下がったらどうなのかという試算はいたしておりません。ただ、私どもは、着陸料をできるだけ下げていただきたいということで、実は、着陸料の水準といいますか、それに対する海外の航空会社、確かに、今までIATAが要求しております、成田の着陸料は一番高いよと、その負担する側で、航空会社としてはできるだけ低く下げろということですが、実際には、IATAの方でこれだけにしてほしいというものが出ております。私どもは、そういうことが今の目標値といいますか、まず、そういうことから始めなきゃならないのかな、海外からは、成田は高過ぎる、これだけ安くしろということを言っておりますので、そこが一つのポイントかなというふうにも思っております。
 それから、関空を引き下げないで成田が下がるのかということですが、これはやはり、関空の今の状況、非常に厳しい状況でございます。これを下げるということは、今いろいろ努力されておりますけれども、なかなか難しいという中では、やはり成田が民営化して、これを着陸料を下げることによって、いろいろ先ほど申し上げました羽田の再開発とか、あるいはほかのところの着陸料を下げるような要素にまずしていくということが第一歩だと思っております。
大森委員 利用者への還元という意味では、当然これはやれると思うんですが、しつこいようですが、重ねてちょっとお聞きをしたいと思います。
大橋参考人 利用者の還元でございますが、当然これは、結果的には利用者に還元されるわけでございます。着陸料が下がることによって、やはり運賃というのは、そういう面では着陸料との絡みもございますから、そういうものも緩和されていくというふうに私どもは考えております。そこが大切なところだと思います。
大森委員 もう少し大橋会長にお聞きをしたいと思うんです。
 今の質問とも関連するわけなんですが、大橋会長が昨年来いろいろな新聞その他でお話しになっているものを拝見したわけなんですけれども、例えば、伊丹の着陸料の引き上げに関連して、きょうもお話のありました、緊急に求められている羽田の再拡張、羽田の整備などは後回しにして、伊丹の着陸料値上げをやろうというようなことは、日本が世界から取り残されるというような警告まで発しておられるんですね。御指摘にもなっておりますし、一般的にもそう報道もされておりますけれども、こういう伊丹の着陸料引き上げが、今言った成田の着陸料との関係もありますけれども、結局関空対策じゃないか、関空シフトじゃないかということのわけですね。
 しかも、伊丹の着陸料を引き上げて、それを仮に関空に回しても全く焼け石に水、そういう関空の状況だという中で、関空におけるさまざまな経営努力とか、それから本当に適切な需要の見込みとか、そういうものをきっちり慎重にやることがまず第一じゃないかということも指摘できると思うんですけれども、今回の成田民営化についても、こういう見地、こういう立場はきちんととる必要があるのではないかと思うんですね。その点、いかがでしょうか。
大橋参考人 関空の問題、それから伊丹の着陸料値上げの問題は、今先生がおっしゃったようなことは私どもも申し上げてまいりました。これから成田の民営化が進んでまいりますが、当然関空の問題、私ども主張していたようなことは今でも変わっておりません。
 それと、着陸料ですが、これは今、九十億ほど今年度上がりましたが、来年度また二百三十億という数字が出ております。私どもといたしましては、今のイラクの問題あるいはSARSの問題を含めて、非常に厳しい状況下の中では、これだけはひとつ考え直していただきたいと要望しているところでございます。
大森委員 次に、やはり関連した質問でありますけれども、杉山先生、石井さんにお聞きをしたいと思います。
 今申し上げた関空との関係、今、日本の航空問題、成田にしろ、羽田にしろ、この関空問題が一つの大きな軸となって回っているということを非常に強く感ずるわけなんですが、日本経団連が昨年提言をされているんですね。「今後の空港整備と国際拠点空港の民営化問題について」、その中で、「成田をまず単独で早期に完全民営化した上で、その売却収入を、空港整備特別会計を通じ、羽田空港の再拡張、そして関西国際空港の整備および関西国際空港株式会社の経営改善に重点的に充当することが妥当である。」ということで、日本経団連の率直な願望といいますか、ここに株式の売却利益も、これは羽田も入っておりますけれども、恐らく関空対策が非常に色濃くなっているのではないかと思います。
 私は、先ほど申し上げたような、今の関空の問題をこういう形でやるのはやはり賛成しがたいと思うわけでありますけれども、この点について、例えば、極端に言えば、株式の売却利益を関空の赤字の穴埋めとか等々に回すようなことが、単純にそういうふうに進めてはならないと思うわけなんですけれども、杉山先生、そして石井さんの御意見をお聞きしたいと思います。
杉山参考人 大森先生御指摘の点、私は、まず基本的に大事なことは、関西国際空港自体の当然の努力があるべきであって、そして、その二期工事の進め方等につきましても、これまで議論されてきましたように、ただ全体を急ぐということではなくて、土地の、用地の造成等はこれを完成させるとしても、その後は、当然のことながら、需要の伸びその他の経営状況一般、それを見ながら進めていくということによって、なるべく合理的に処していくべきことは当然のことでありまして、これが大前提。
 その上で、しかし、関西国際空港に対して一般的に出てくる言葉は、赤字の穴埋めという表現をされるわけですけれども、また、実際にはそれは同じことになるのかもしれませんが、私は、基本的に、やはり今まで進めてまいりました成田それから関空、そして今度の中部、この三つが、日本の国際拠点空港として全体として支え合って、日本の国際航空を受け入れる、こういう形に進めてきたということは動かしがたいことだと考えますし、関西国際空港については、きちんとした機能を果たすように、一定の支援を何らかの形で進めていくべき必要性があるということは基本にあるというふうに考えております。
 そして、先ほど来、私の意見の中でも申し上げてまいりましたけれども、航空分科会の中で途中まで出てきていた考え方を一応いろいろな関係者の意見も踏まえた上で変換をしたときの一つの重要な考え方は、やはり、成田を先行して民営化をし、その恩恵をまた他の国際拠点空港にも適切に生かすということが一つの理由としても、私は個人的にはそういうふうに考えておりました。これは当然、無制限にということにはなりませんけれども、そしてまた、当事者努力を除外視した赤字の穴埋めということは避けられなければならないことですけれども、一定の支援がそこに向かうということについては、私は必ずしも否定されるべきことではないというふうに考えております。
石井参考人 まず、関西空港の私なりの認識を申し上げますと、伊丹空港時代、伊丹だけの時代には、たしか二千三百万の旅客しかなかった大阪圏にとって、関西空港ができることによって、関空で二千万、そして伊丹でも千六百万と、九六年に開港して、その間、大阪圏の航空需要というのは、この時代で一・六、七倍に爆発的にふえたというふうに認識しております。要するに、それだけの需要があったということだったわけですね。そういうものがまさにつくられたのが関西空港で、やっていい事業だ、よかった事業だというふうに思っています。
 ただ、あれは株式会社という形態をとっておりますけれども、株式会社の赤字を埋めるという理解ではなくて、私は、公共事業のその財源を、本来、大都市拠点空港で、関西空港は全国また世界数十カ国とネットワークを持っています、こういう空港ですから、一般財源をもっと入れて整備してしかるべきというふうに思っておりましたが、入らなかった。そうなると、全体的に財政が厳しい中でどうなるかといった議論の中で、空港というのは、理論的に申し上げますればネットワークで成り立ちます。片方があって、もう片方に空港ができて初めてネットワークが引ける、これが内部補助を許す一つの大きな理屈なわけですね。
 それで、空港ができればできるほどネットワークが広がっていく。ただ、もうそれもある程度概成したということが、これから独立採算で行くべきという議論の中にあるわけなんだというふうに思っていますので、基本的にはそれぞれ個別に頑張らなければいけませんが、ただ、冒頭申しましたとおり、財源が全体にない中、本来一般財源で整備すべきだったものができないとなると、それを先行的に売却する成田の株式の上場益をもって充てるというのは、一定の合理性があるというふうに理解しております。
大森委員 どうもありがとうございました。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 まず初めに、三人の参考人の方に御質問させていただきたいと思います。
 今回、完全民営化に向けてということになっておりますが、全額国が出資するので、ほとんど国営会社であるというふうに言ってもいいのではないかというふうに私自身は思っておりまして、そうした場合、実質何が変わるのかということが、私の中で一番大きな疑問になっています。
 その点、三人の参考人の方に、実際どこが変わっていくと思われるのか、また、どこが変わらなくてはいけないというふうに思われるのか、まず質問させていただきたいと思います。
杉山参考人 私の理解しておりますところでは、ここで私たちが考えておりますことは、あくまでも最終的な完全民営化ということで、特殊会社が、国が全額出資して、その株式を保有しておいて、それを一般に売却して、完全民営化を果たしていく、そういうステップのための装置、これが特殊会社化であり、特殊会社である、こういうふうに理解をしております。
 したがって、特殊会社の段階で考えれば、どこが国あるいは公共事業のようなものと違うのかという議論は出てくるかと思いますけれども、我々が描くべきは、その先にあります完全民営化された事業としての活動、こういうふうに考えればよろしいのではないかというふうに私は個人的に考えております。
大橋参考人 私も同じでございまして、先ほど、冒頭の陳述で述べさせていただきましたが、この法案は、まず、政府全額出資の株式会社を、まずは政府が一〇〇%株主となった株式会社というか、そういうものを創立する。それで、ステップを踏んで、株式会社化した後においてその株を上場する、つまり完全民営化を図るという計画だというふうに理解しておりますので、その最終ステップをもって完全民営化ということだと私は理解しております。
石井参考人 私も、最終ゴールに向けた助走期間であるとするならば、まず、周辺、利用者の方々が大きな期待を抱くという意味で、取り巻きのプレッシャーが起こるということが一つ大きな変化かと思います。それによって、内部的にも、自分たちは変わっていくんだという意識の変化、これもやはり大きな違いではないかというふうに思います。ただ、最終ゴールに向けた助走期間であることには間違いございません。
原委員 ありがとうございます。
 続きまして、大橋参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、これはきっと何度も、着陸料の値下げのことについて、ほかの委員の方からも御質問されていると思うんですが、私も、この点について、本当に下がっていく見込みがあるのかなというところを疑問に思っていまして、この点に関しては、なかなか今のところお答えが難しそうな感じだったので、今の段階で、なぜ成田の着陸料が高いというふうに、どのように分析なされているのかどうか、お願いします。
大橋参考人 成田の着陸料、先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども、状況は大変高いということでございまして、例えば、先ほど申し上げましたボーイング747―400ということでいいますと約九十五万円、ニューヨークが先ほども申し上げたように五十一万円、香港では三十九万、ソウルでは三十一万、ロンドン・ヒースローに至っては九万円というようなことになっております。
 また、本邦航空会社の着陸回数は日本と海外で同じでありますが、支払い額は、日本対海外で三対一ということになっておりまして、成田を初めとする我が国の国際線の着陸料は、本邦企業が乗り入れております海外の空港の平均的な着陸料と比べますと、三倍程度高い水準にあるというふうに理解しております。
原委員 ありがとうございます。
 それでは、今度は三人の参考人の方にお尋ねしたいんですけれども、今回、今ある新東京国際空港公団というものは、ほかの特殊法人の例に漏れず、公団子会社が仕事の四割を引き受けているのではないかということが指摘されています。この点は、今、特殊法人改革ということで行われている都市公団でも道路公団でも、この子会社との関係というものは問題が指摘されていまして、これは特殊法人という中の構造的な問題のように私は思っています。
 こうした子会社の関連とか特殊法人が抱えている問題というものをどのように改善していくべきと考えているか、お考えをお尋ねしたいと思います。
杉山参考人 私自身は、実は、特に成田国際空港公団の子会社というようなものについて、これまで特段の知識がございませんので、余り細かい、詳しいお答えができるとは思いません。
 しかし、他の状況等をも念頭に置いて一般的に言うとすれば、子会社というようなもの、あるいはファミリーというようなものが形成される、それは、もちろん今は一方的にかなり批判的な方からの取り上げられ方をしておりますが、多分、形成されてくる過程では、持てる技術の活用でありますとかそういう面で、一定のニーズは根っこにはあったんだろうというふうに考えております。
 そういうものを十分に活用していくべきことは必要なことでありますので、これもまた一方で、そういうメリットを追求するとすれば、それに伴って発生するデメリットを抑えていくということが必要なわけで、今、原先生御指摘のような点でいえば、私は、徹底した情報公開ということがそのための一つの対応になるし、それを追求していくべきだというふうに考えております。
大橋参考人 公団の子会社、今四割というふうに述べられましたが、私は、それが悪いとかというんじゃなくて、これから民営化していく、あるいは現在でも、いわゆる単価にいたしましても、やはり競争で、質と値段が、これは質がよくて値段が安ければ、それはそこがいいんであって、そういうことを基本にして考えていけば、別にそこに、民営化したから、そこの会社のまた子会社で、それが悪いんだということにはならないんじゃないかというふうに考えております。
石井参考人 手段としての上場というのは、まさに国際会計標準を導入し、五〇%以上の支配力及び実質的な取引関係がある企業を洗い出すということでございますので、一般的に申し上げて、これから先に進むべきステップの中で具体的に明らかになっていくだろうというふうに考えられます。
原委員 そうしましたら、次に石井参考人にお尋ねをさせていただきたいんですが、石井参考人が日経新聞に書かれていた「経済教室」という記事を読ませていただいて、その記事の中に、イギリスが行った空港の民営化では、主要七空港を一体的に上場して、市場に株を放出し、英国空港株式会社の株主の九割が個人投資家であるということが書かれておりました。
 いずれその株式を上場すると国土交通省は言っているのですが、平成十三年度の財政投融資の残高が三千億円近くある中で、償還の見込みを考え合わせた場合、今回提案されている民営化というものは現実的な選択肢とお考えになられているかどうかという点をお尋ねさせていただきたいと思います。
石井参考人 実質的な財務基盤がどれだけ強化されていくかということについては、これからの実際の収入力、航空収入、非航空収入ですとか、またコスト削減力がどれぐらいあるかというのをやはりきちっと見なければいけないわけですが、基本的に、平行滑走路が暫定という形ですがオープンしたということで、いわゆる大規模な投資をこれから、大規模というのはまたもう一本滑走路をつくるとかそういうことでございますが、控えているという状況ではございませんので、基本的な条件は整っているというふうに思っております。
原委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、最後に杉山参考人にお尋ねをさせていただきたいんですが、航空分科会の会長をなさっていたということで、その分科会の中の答申に、羽田拡張工事の早期着工、早期完成と国際定期便の就航を図る必要があるということが書かれてあったと思います。
 この羽田の国際化による影響というものはどのようなものがあるとお考えになられているのかというのと、羽田が国際化ということになってくると、これまで成田は国際、羽田は国内としていた航空行政の原則が変わってくることになると思うのですが、この答申の中での限りでも結構なんですが、これから羽田と成田の両方の空港の役割分担というものをどのように検討されているのか、お尋ねをしたいと思います。
杉山参考人 羽田の再拡張につきましては、基本的にはこれまでの羽田空港への需要の伸びということが根本にございます。それを、再拡張事業の実現によって、二十七・五万回から四十・七万回へということで年間の発着能力を拡大する、こういう考え方になっております。この考え方によって、一たん発着容量の制約が解消して、それによっていろいろ多様な、それこそこれまでの議論に出ているような、小型の機材を使った多様な路線網の形成というようなことが可能になる、こういうふうに考えていて、さらに、その残りの部分を使って国際定期便の受け入れということにも活用していくべきだ、こういう議論を分科会でしてまいりました。
 それはしかし、国際定期便を受け入れるといいましても、そこが非常に大きな比重を持って羽田の中に入ってくるというふうには必ずしも考えておりませんで、やはり首都圏の膨大な需要というのは羽田でともかく受けとめていかなければいけないし、地理的な関係からして、それが成田の方でも分担ということは余り現実的には考えられない形であろうかというふうに思います。
 したがいまして、成田と羽田の分担関係というのは、基本的にやはり、従来の成田が国際で、羽田が国内ということは動かないというふうに考えております。
 しかし、それが一定の拡張のプロセスの中で、多分、ある特定の路線等々について考えていくことになると思いますけれども、一部分定期便に活用しようということでありますし、また、さらに需要が伸び続けていく場合には、またその先に、言われております首都圏第三空港というようなものを考えていかなければならない、そういう全体の中でまた役割分担ということを議論していく必要が出てくる、こういう考え方でございます。
原委員 役割分担というところで、もう一つ御質問させてください。
 先ほどの御意見の中に、国がある程度責任を持つことが大切、必要だという御意見があったと思うんですが、民営化と、今度、国の責任の分担というところで、民営化の会社が責任を持つところと国が責任を持っていくところの仕事の役割分担というものはお考えになられている点がありますでしょうか。
杉山参考人 国と民間、今の場合でいえば、民営化された空港会社との分担ということでいいますと、国は、やはり全体としての空港整備及び運営の計画、基本的な計画というものを持って、そしてそれに合致するような形で個々の企業が十分に力を発揮してくれることをコントロールするということが基本でありますので、そういう意味では、個々の企業が競争の中では、全く放置しておいたのでは必ずしも十分に手当てをしていかない、あるいは劣後的に追いやられるであろうような事柄で、しかも利用者のサイドから考えたときに重要と思われる事柄、端的に言えばそれは安全の問題というようなことになりますが、そういうものについて当然国が相当のウエートを持って、責任を持っていくということ、そういう考え方ではないかというふうに考えております。
原委員 どうもありがとうございました。
 幾つか重複した質問もあったかと思いますが、また、これからの法案の審議の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
河合委員長 金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 最初に、杉山参考人に御意見を賜りたいと思います。
 民営化につきましての基本的なお考えをお聞きしていきたいと思うのでございますけれども、現在は、成田、関西、そして中部という三つの国際空港整備を進めているわけでございますが、私から申し上げるまでもなく、中国の上海空港あるいは韓国の仁川空港と比べましても、滑走路の数、長さ、それから利用可能時間等においてかなり見劣りがしているという状況にあるわけでございます。
 そうした中で、国際的な競争力を損なってはいけないという基本的な空港の役割というものがあると思いますが、安い着陸料あるいは質のよいサービスというものが当然国際空港に求められているわけでございますけれども、基本的なところで、我が国の国際競争力を高めていかなきゃならない、そういう観点からの基本的な国際空港のあり方。そして、競争力を向上させるという観点からいいますと、その中で民営化というものはどういう位置を占めるんだろうか。つまり、要点を言わせていただきますと、そもそも国際競争力のある国際空港のあり方という基本はどこにあるんだ、そして、その中で民営化というものはどういう位置を占めてくるものかという点につきまして、杉山参考人の御意見を賜りたいと思います。
杉山参考人 今御指摘ございましたように、空港の持つ国際競争力ということからいえば、一つは価格の面であり、もう一つは質の面であり、こういうことになろうかと思います。したがって、価格をどれだけ下げていくことができるか、質をどれだけ上げていくことができるかということと民営化というのがどういうかかわりにあるかということに帰着するのではないかと思っております。
 そういう意味では、非常に端的にお答えするとすれば、やはり民営化によって事業展開の自由度を高める、いろいろな規制をできるだけ取りのけていく。そういう中で、きょう、ずっと議論の中に出てきておりますように、意思決定のスピードアップ、あるいはコスト削減の追求というようなことを期待しながら、そこで、さらに具体的に言うと、そういうことが、附帯事業、これは空港敷地内のいろいろな売店、免税店等の事業であったり、あるいはさらに周辺のホテルでありますとか、いろいろな形の、それこそシナジー効果を発揮できるような、そういう事業に民間が民間企業として創意工夫のもとで展開をしてもらうことによって、収益面の向上とコストの低下ということを両方に追求してもらう、これがやはり一つの基本的な考え方であろうというふうに思っております。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 そこで、お伺いしたいわけでございますけれども、大規模な拠点国際空港を整備するという場合でございますけれども、利用者負担の原則という考え方もあると思います。ただ、その中で、着陸料等のいわゆる自己財源を中心として賄うということはかなり限界もあるのではないかなという気もするわけでございます。
 例えばの話として申し上げますと、十五年度の予算の空港整備特別会計の歳入でございますけれども、一般会計からの受け入れが千五百三十六億円、全歳入の三三・七%となっております。それから、着陸料の収入等の自己財源ですが、二千四百九十一億円で五四・六%。それと、そうした中で航空燃料税というものが八百六十四億円ございまして、それは一般会計からの受け入れという位置づけにされているわけでございます。
 拠点的な国際空港を整備するという観点からいいまして、ただいま先生のお話では、民営化することによっていろいろな知恵を絞ってさまざまな事業を展開することができるんだというお話がございましたが、一刻も早く拠点空港というのは整備していかなきゃならないという要請も当然あるわけでございますので、そうした中で、参考人は、現状、実際のところ、一般会計からの投入というものが十分というふうな認識をされているかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
杉山参考人 今の御質問にお答えするために少し回り道をさせていただきますと、私は、基本的には、経済学の分野を基本的なよりどころとしておりますので、仮に今、経済学的な考え方に立って、そこから出てくる指針のようなものをまず整理してみますと、空港に限らず、ともかく限りのある資源を使って供給される財ですとかサービスとか、そういうことに関しては、経済学的に言えば、その費用負担というものはいわゆる受益者負担という形で展開されることが基本になるだろうと思います。
 しかし、受益者といったときに、直接サービスを利用する利用者と、それから利用はしないけれども恩恵をこうむるその他の受益者というのがいるわけですから、受益者というものを端的に利用者に置きかえたときがいわゆる利用者負担になるわけであります。そして、受益者負担というときの受益者が非常に広い範囲にわたり、広範な地域に及びというような場合に、これは公共負担という形で負担の関係を整理することができるんだろうと思います。
 したがいまして、公共負担、受益者負担が真ん中にあって利用者負担、こういうふうに三つ並べて見ることが理屈の上ではできるわけですけれども、現実問題として、それでは、受益者が十分に広い範囲にわたっていて、またその受益も人一人一人がみんな多かれ少なかれ均等に受け取っているかとか、それから利用者以外の受益者というのがどういう形で恩恵をこうむっているか、その程度はどうかというようなことの議論になりますと、現実には識別なり判定なり計測なりというのは非常に難しいというのが当然の実態でございます。
 したがいまして、いわゆる公共的、我々が非常に必需的に使っているいろいろな種類の施設にいたしましても、これは確実に公共負担で考えられるべきものだ、あるいは受益者負担、あるいは利用者負担でいくべきものだというふうに決めつけるということは、現実問題としてなかなか難しい。したがって、通常は、利用者負担で十分にやっていけるものは、公共的な、公共性の非常に高いものであっても、我々、日常的に利用者負担で済ませているものもありますし、それが非常に難しいものは、歴史的な経緯として、最初から公共事業という形で公共負担という形がとられている。そういうものがいろいろまざっているというのが現実の世界であろうかと思います。
 さて、そういう中で、空港につきましては、きょうの議論の中でもたびたび出てまいりましたように、出現してきた歴史的な順序というようなこともあって、それが他の交通機関との関係の中で一定の割合が固定をされてきた。そしてそれは、その比率は極めて徐々にしか変化しないというのは、これはそれぞれの関係する利害者がそれぞれの立場を主張しますから、そういう中で少しずつしか変化をしていかないということも、また社会の必然であったんだろうというふうに考えております。
 さて、そういう前置きをした上で考えてみますと、私は、現在の一般財源というのは、先ほど申し上げたこととも重複いたしますけれども、航空というものが現在の時点において持つに至った性格から考えれば、これはもっと一般財源というものが強化をされて投入をされるということが当然あっておかしくない領域であろうというふうに一方で思っております。
 しかし、その一方で、これも先ほど触れたことですけれども、そのような主張のもとに一般財源を要求する分野というのは数限りなくあるわけですので、そういう現状を現実的に考えた場合に、飛躍的にふえてくるということが望まれるわけでもないんだろうというふうに思っております。
 したがいまして、そんなことを全部お話しした上で、結果として申し上げるならば、一般財源として、より多くのものが投入されるということを私自身も望んではおりますけれども、現実的なフィージビリティーということからいくと、そこはかなり難しいものがあるので、漸進的にふやしていくということを主張し続けるということにならざるを得ないのかなというのが私の考え方でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 それでは、大橋参考人に御質問させていただきたいと思います。
 ちょっと観点の違う御質問になるわけでございますけれども、私ども所属しております保守新党でございますが、観光立国というものを宣言いたしまして、現在、外国からの訪問者というのが年間おおむね五百万人弱というような水準で推移しているようでございまして、これを将来的には一千万人、倍増していく、こういうことによりまして、さまざまな対外的なイメージの問題、あるいは産業にとってもいい、あるいは雇用にとっても、特に観光産業というのは雇用を非常に吸収する力があると言われているわけでございまして、何とかこの観光立国というものを成功させていきたいという気持ちでいるわけでございます。
 大橋参考人さんにおかれまして、定期航空協会会長さんの立場といたしまして、どうしたら外国からの旅行者というものを、これは直接的には空港だけの問題ではないわけでございますが、せっかくの機会でございますので、空港のあり方とも絡めまして御質問させていただきたいと思います。
大橋参考人 今先生が御発言されました、観光立国を目指して、これを成功に向けて進んでいくということは、私どもも十分理解しておりますし、それをやっていかなきゃならないというふうに思っております。
 先ほどございましたように、日本に訪れる外人の数というのは五百万人を切っている。一方で、日本から日本人が外に行くのは千五百万人以上、千七百万人と言われているわけですが、そういうことを考えますと、日本に訪れる外国人の旅行者の誘致に向けて、ビジット・ジャパン・キャンペーンということを初めとする諸施策が官民一体となって推進されてきております。
 外国人の旅行者の増大ということに向けては、海外での日本に対する認知度の向上というのが、これはやはりもっと努力していかなきゃならないと思っております。それと、今、日本で抱えておりますのは、ビザの問題、それから国内での他国語の案内、そういうものが非常に少ないというもの等々、さまざまな改善をすべき問題があろうかと思います。
 空港について言えば、先ほどちょっと述べさせていただきましたが、首都圏空港の容量の拡大、それから民営化による効率化の成果、こういうものを着陸料に反映させて料金を引き下げていくということで利用者負担を軽減さす、あるいは都心と空港のアクセス、これをもっと充実させて利便性を高めていくということなどが、外国人の日本に訪れる旅行者の方々の増大あるいは国際競争力の向上につながるものだというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、一つの課題を解決するということをすれば、日本に訪れます外国人の旅行者数が多分急増するんじゃないかというふうに我々は期待しておりますし、国それから地方公共団体、民間企業、こういうところが一体となって地道な努力が必要であろうというふうに考えております。
金子(善)委員 ありがとうございました。
 石井参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 石井参考人におかれましては、五月十二日の読売新聞の報道で、着陸料を三から五割下げても、上場すれば株式の価値は四千億から八千億円、こんな優良企業はないと試算されている旨報道がなされておりました。
 成田の状況というのは、御承知のとおりの状況で、まだ二千五百メートル化が達成されていないというふうな状況にもあるわけでございます。また、南側地区というんでしょうか、東峰地区の用地問題も解決をしていない。
 そういう中での平成十九年度の上場を目指しているということでございますが、こういう状況では、実際には株式にもかなり大きな影響が出るのではないかということが懸念されると申しますか、予想されるわけでございますけれども、そうした点につきまして、企業としての価値を高めていくという観点で、十九年度に株式の上場を目指すということであれば、そうしたことからどういうことが基本的な課題になるか、その辺につきまして御説明いただければと思います。
石井参考人 企業価値の算出には、通常の経済環境、GDPがどれだけこれから伸びていくだろうかですとか、そういうこと、経済指標に加えて、成田空港自身でどれだけの離発着回数がこれから見込めるのか、また、それにあわせて旅客がどれぐらいあって、非航空収入がどれだけ見込めるのか、先ほど来申し上げましたコストダウンがどれだけできるかという議論ですとか、あと、将来の金利なり、リスクプレミアム、これは需要の不確実性の問題ですね。そういったものがどれだけあるのかといったことを勘案しながら、結果として将来までずっと未来永劫空港事業を続けた場合に、どれだけのキャッシュフローが上がってくるかというのを現在価値に割り戻すというのは、極めて理論的な考え方でございます。したがって、これはそれぞれの変数、ふやすべきものはふやす、減らすべきものは減らすというのが基本的な課題でございます。
 それで、こうした意味で先日の新聞報道でございますが、あれほど単純に計算できるものではなくて、ちょっと一部の情報が誇張された形になってございますので、私としては遺憾でございます。今後、十分いろいろな方々の御意見を聞きながら精査していくべき検討課題であるというふうにも認識しております。
金子(善)委員 最後に、大橋会長さんの方にお伺いしたいと思います。
 羽田の国際空港化、これは非常に大きな課題ではないかというふうに私は考えているわけでございますけれども、そういう絡みの中で、成田国際空港というものをどうするかということもまた重要な課題になるわけでございます。
 例えば、とっぴな考え方かもしれませんけれども、成田の魅力も増していかなきゃならないということであれば、外国からの旅行者が使い残した日本の円を空港で使えるカジノを開催するとか、いろいろなアイデアというものが出てくるんではないかと思いますが、いずれにいたしましても、成田と羽田の関係というものにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
大橋参考人 羽田の国際化ということにつきましては、やはり日本の活性化、そういう面からしても、利用者利便の点からいたしましても、好ましいものだというふうに考えております。
 羽田の再拡張後の成田とのすみ分けということになるかと思いますが、成田というところは、先ほどからお話し申し上げているように、アクセスの点で羽田には及ばない。国内線の拠点空港ということでは、国内線の拠点空港にはちょっと役割は担えないなと。したがって、羽田は一義的に国内線の拠点空港ということであると思います。
 しかし、再拡張後、先ほど杉山先生が御説明されたように、年間四十万回となる羽田の発着枠、こういうものにつきましては、国内線に使用した後もまだまだ余裕が生じるであろうということから、これを利用して国際線に就航していくということは、利用者利便、あるいは先ほど申し上げました我が国の経済活性化という面では意義のあるものだと思っております。
 先ほど御指摘ございました羽田の夜間の利用とかそういうことにつきまして、現在の羽田において夜間限定で定期便を飛ばしたらどうかということでございますが、定期便ということになりますと空港アクセス、夜間ですから当然、JRも走っておりませんし、電車もないというようなこと、あるいは旅客CIQの施設、それから効率性、そういうことと、それから夜間ということになりますと、目的地が限定されるということがございます。
 そういうことで、私どもは今、夜十一時から朝六時までチャーター便で限定的な便を飛ばして、これは一定程度成果が上がっておりますけれども、まずそういうところから手がけていくんだろうなということで、夜間のチャーターということから今我々は実施している状況でございます。
 以上でございます。
金子(善)委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきたいと思います。
河合委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
 次回は、明二十一日水曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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