第24号 平成15年5月23日(金曜日)
平成十五年五月二十三日(金曜日)午前十時十三分開議
出席委員
委員長 河合 正智君
理事 栗原 博久君 理事 菅 義偉君
理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
岩崎 忠夫君 梶山 弘志君
倉田 雅年君 実川 幸夫君
砂田 圭佑君 高木 毅君
谷田 武彦君 中本 太衛君
西田 司君 林 幹雄君
原田 義昭君 菱田 嘉明君
福井 照君 松野 博一君
松宮 勲君 森田 一君
阿久津幸彦君 川内 博史君
佐藤謙一郎君 齋藤 淳君
鈴木 康友君 津川 祥吾君
永井 英慈君 高木 陽介君
大森 猛君 瀬古由起子君
原 陽子君 日森 文尋君
後藤 茂之君
…………………………………
議員 井上 和雄君
議員 細川 律夫君
国土交通大臣 扇 千景君
国土交通副大臣 吉村剛太郎君
国土交通大臣政務官 高木 陽介君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 高原 亮治君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長
) 三沢 真君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 洞 駿君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 鷲頭 誠君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
松本 和那君 梶山 弘志君
岩國 哲人君 齋藤 淳君
伴野 豊君 鈴木 康友君
同日
辞任 補欠選任
梶山 弘志君 松本 和那君
齋藤 淳君 岩國 哲人君
鈴木 康友君 伴野 豊君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
航空法の一部を改正する法律案(細川律夫君外一名提出、第百五十三回国会衆法第二三号)
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○河合委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、航空法の一部を改正する法律案及び第百五十三回国会、細川律夫君外一名提出、航空法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長三沢真君、航空局長洞駿君、政策統括官鷲頭誠君及び厚生労働省健康局長高原亮治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○河合委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
○玉置委員 おはようございます。
私どもが前々から期待をいたしておりましたいわゆる航空機機内迷惑法、そしてその他の法律という形で、航空法の一部改正案が今回出されました。中身について皆さん方と十分論議をしながら、よりいいものにしたいということでございます。
民主党としても、さきに百五十三国会で、細川律夫君外の方々から民主党案という形でこの迷惑法を出させていただきました。きょうは、細川先生も答弁者ということで来ていただいておりますが、私たちの期待するところと、この内閣から出されております法律がそのとおりなのかどうかということを吟味しながらお聞きしてまいりたいというふうに思います。
最初にお伺いをいたしたいのは、二〇〇一年十月に、国際民間航空機関、ICAOの総会におきまして、航空機内におけるある種の犯罪に関する国内法制化についての決議がなされました。このことは、やはり航空機内における迷惑行為が非常に増加をしている、そういう中身について法律を既に規定している国があるわけでございますが、まだその数が非常に少ないということでございまして、当時はアメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国、韓国は去年でございますけれども、そういうところが法制化を実施されてきたということであります。
当時、韓国と日本でワールドカップサッカーの同時開催が決定をされて、それに間に合うように法制化を進めてほしいというお願いを私と細川先生が一生懸命していたわけですけれども、そのときは、国の方は、いや、今の法律で十分対応できるんだというお話がございまして、特に、警備につきましては、警察官を航空機内に同乗させてやりますからというお話がございました。
我々からすると、常時警察官が同乗してやるというのは大変なことですし、法律そのものが規定されていなければ、警察官であろうとも、相手を拘束したり、なかなかできないということでございまして、いろいろ申し上げたんですが、結局は、ほかの国よりちょっとおくれた出発になったわけであります。
まず、なぜこの立法化がおくれてしまったのかということについてお聞きをしたいというふうに思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省といたしましても、機内の安全阻害行為等の抑止というのは非常に重要であると認識しておりますけれども、法制化に当たりましては、国民の皆様に新たな刑罰を科するということから、慎重に検討を行ってきたところでございます。
具体的に申し上げますと、平成十三年の十二月から昨年の十月まで、航空会社、労働組合とともに、機内迷惑行為防止検討委員会を五回にわたって開催いたしました。
その中で、まず、昨年の二月でございますけれども、機内迷惑行為防止に関する行動指針というものを航空業界あてに通達いたしまして、迷惑行為者に対して毅然とした対応をとるなど種々の対応を指導して、また、航空業界挙げて機内迷惑行為撲滅キャンペーンを行い、機内迷惑行為の防止に努めてきたところでございます。
またさらに、昨年の五月、六月に、国内線そして国際線のお客様に対してアンケート調査を行いまして、約三千五百人の方から回答がございまして、迷惑行為に対して特別な法律が必要であるとする回答が過半数を占めたわけでございます。
さらに、今回、法案を提出するに当たりまして、どのような行為を処罰対象とするべきかということに関しまして、法務当局とともに慎重に検討を行いました。
以上申し上げましたとおり、必要な検討を行いました上で、今回、本法律案を提出しているところでございます。
○玉置委員 今回の法律の中身が、私たちが期待したかなり細かく規定をされたという中身ではなく、かなり大ざっぱに書かれているという感じがするわけですね。
まず、今回の国民に刑罰を科すという罰則規定がある法律につきましては、例えば憲法七十三条で内閣の職務の規定というのがございまして、特に法律の委任がなければ政令によって罰則を設けることができない、こういう規定があるわけですね。最近のいろいろな法律は、省令、政令に定めるという項目が非常に多いということなんですが、今回も同様に、規定をされた中は、便所ということで、あとは安全阻害行為ということで大変大きくくくられてしまっているということなんで、これが国民、乗客にとって、規定された中身に抵触するかどうかという判断が乗客本人にできるかどうかということに問題があるというふうに思います。
まず、行政の側の航空局長に、この辺の一つの流れを考えた場合に、乗客の皆さん方が判断できる材料ではないんじゃないかということで、お聞きをしたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正によりまして処罰すべき具体的な行為は、今後、航空技術のいろいろな発展が見込まれます。こういう航空技術の発展、あるいは航空サービスの変化、いろいろなサービスあるいはサービス機器等が出てまいります。こういった問題をめぐる国際的な動向でありますとか、あるいは国民の意識の変動などなど、今後大きく変化していくものと考えられます。こういった航空をめぐる状況の変化に応じて機動的に対応できるように措置しておくことが適当だと考えました。
さらに、例えば、規制の対象といたします電子機器の具体的な範囲等技術的な事項等につきましては、構成要件を明確にするため、省令で規定することが適当であろうと考えた次第でございます。
ということで、本法律案におきましては、具体的な処罰対象行為を国土交通省令で定めることとしてございまして、このような事例はほかの法令にも多々あるところでございまして、問題はないと考えております。
また、さらに、省令に委任する趣旨というものが法律に明確に規定されておりますから、いわゆる白紙委任というものに当たるものではなくて、そういった意味で法制上の問題はないと考えている次第でございます。
○玉置委員 細川先生にお聞きをします。
衆法の方では、民主党案では、罰則規定を科する、その事例としての問題点をある程度明確にされていますが、この辺につきまして、すべてを省令に委任しているということではなくて、できるだけ法案に書き込む方が本来の姿だ、こういうふうに思います。
民主党案では、電子機器等を省令には委任しておりますけれども、他の迷惑行為については二つの項目を一応出されております。この規定の仕方についてどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいというふうに思います。
○細川議員 玉置委員からの御質問についてお答えいたします。
ある行為を処罰するという場合には、法律できちんとそれを明確に定めて、それで処罰をする、これが法律の大原則、罪刑法定主義でございます。したがって、省令などに、あるいは政令に委任をする場合には、特別な理由がなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
そこで、この法案についてでございますけれども、民主党の案でいきますと、電子機器などについては、これは省令に委任をいたしております。これは、電子機器の出します電磁波が完全に証明をされていないということ、また、電子機器自体というものが今大変進歩、変化を続けていることでありまして、こういう社会情勢等によりまして著しく変化をすることが予想されるような場合には、これを省令などに細かく委任をするということは、これは妥当ではないかというふうに思っております。
そこで、我が案では、省令におきまして、携帯電話あるいは携帯ラジオ、電子ゲーム等を、これを省令の方でこの要請に応じて規定をする、こういうふうに考えてつくられております。
もう一つは、乗組員の職務執行妨害について、これはもう、その行為があれば直罰的に処罰の対象になるということで、これは、刑法上の威力業務妨害罪よりも広い範囲で処罰の対象となっております。
それから、著しく粗野または乱暴な言動、これは、禁煙場所での喫煙などのほかに、わい雑な言葉あるいは歌を口にしたり、わい雑な挙動をする行為、他の乗客に絡んだりする、そういう因縁をつける行為など、いわゆる機内迷惑行為が挙げられるところでございます。
したがって、私どもは、罪刑法定主義の見地から、特段の事情がない限り、罰則を伴う行為についてはできるだけきちっと法律で定める、そういうことで、法律で定めているところでございます。
〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
○玉置委員 今お聞きになりましたように、刑罰を科する場合に、法定の定めがなければできないというのは、これは憲法でも規定されているわけですね。先ほど言いました憲法七十三条、そしてまた三十一条にも法定手続の保障というのがありまして、何人も、法律の定める手続によらなければ、生命もしくは自由を奪われない、こういうふうに書いてあるわけです。
最近、これはもう全般の話ですが、政令、省令によって定めるというのが非常に多いということで、やはり問題があるんじゃないかというふうに思います。私が特に心配しますのは、日本人の乗客はもちろんですが、外国人が適用された場合に、では、どこに書いてあるんですかというような話になったときに、裁判上もめるんではないかというふうに思うんですね。
もう一回、その問題を国土交通省としてどういうふうにとらえておられるのか、その辺の法的根拠をどこに求めるのかということをまずお聞きしたいと思います。
○洞政府参考人 先ほど申しましたとおり、罪刑法定主義ということで、包括委任で省令とか政令に委任するというのは問題であると思いますけれども、この法案にございますとおり、安全阻害行為のうち、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者もしくは財産の保護または当該航空機内の秩序もしくは規律の保持のために特に禁止するべき行為として国土交通省令で定めることをしたときは、その者に対して命令ができるというふうに規定しているわけでございまして、その範囲というものを法律で明確に規定しているわけでございます。
ただ、この範囲であっても、これにさまざまな行為があるわけでございまして、具体的に罪刑法定主義できちっと構成要件を明確にするためには、具体的にはどういう行為をした場合というのをきちっと省令で定めて、規則なりできちっと定めておく必要があるわけでございます。
そういう意味では、私どもとしては、省令で個々の具体的な行為をすべて網羅的に書くこととしてございまして、そういう意味で、運用上の疑義であるとか、あるいは適用の疑義とか、そういったことが生じないように措置しているつもりでございます。
○玉置委員 諸外国の例を見ても、アメリカ、イギリスあるいはカナダ、豪州、それぞれ、行為規定をぴしっと書いてあるわけですね。こういうものについてということで書いてあります。
省令で定めるということであれば、どういう中身なのかということを、まずちょっとその続きとしてお伺いしたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省令で定める行為として、航空の安全に支障を生じさせるおそれのある次の行為を定めることを予定してございます。
乗降口または非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、トイレにおいて喫煙する行為、携帯電話等の電子機器を使用する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者もしくは財産の保護または当該航空機内の秩序もしくは規律の保持に支障を及ぼすおそれのあるもの、離着陸時に座席ベルトを着用しない行為、手荷物を通路に放置する行為、離着陸時に座席のリクライニング及びテーブルをもとの位置に戻さない行為、みだりに救命胴衣等の安全のための器具を使用または移動する行為。
これらの行為は、いずれも航空機の安全を害して、または航空機内にある人または財産に危害を及ぼすおそれのある行為でございまして、航空の安全に万全を期するために規制するものでございます。
○玉置委員 今大変たくさんの項目をおっしゃっていただきましたけれども、これがすべて罰則規定ということになるのでしょうか。その辺についてはいかがですか。
○洞政府参考人 罰則をかける要件といたしましては、これらの行為をしている場合に、乗務員等がその中止を求めて、機長が中止命令を出して、それにもかかわらず、反復継続してこれらの行為を行う場合に罰則をかけるということでございまして、これらの行為を一回やったからといって、すぐ罰則がかかってくるということではございません。
○玉置委員 政府案によりますと、行為規定の中で明確に書かれたのは、便所における喫煙ということをはっきり書かれて、その他は安全阻害行為というふうになっているわけですね。
そこで、細川先生にお伺いします。
昨今、喫煙に対する問題意識というのは非常に広くなっておりまして、いわゆる嫌煙権といいますか、その辺もいろいろ言われているところであります。私たちの国の航空会社は、それぞれ、トイレあるいは通路、客室全般を今禁煙ということにされております。しかしながら、今回の政府案では、明確に禁止されているのはトイレだけだということでございまして、ほかのところで喫煙したり、あるいは乗務員が制止をして、にもかかわらず吸い続ける。
私は、一回注意されてごめんなさいと言えばそれで済む、それからもう一回吸っていても、忘れていましたと言えばそれで済むというふうに思っているんですが、法律案では、当該行為を反復してまたは継続してはいけない、こう書いてあるんですよね。ただし、一回目はいいということなので、一回を長く吸うとかいうことはオーケーだというふうに見るんですけれども、こういう規定の仕方、そして一回目はオーケーだという刑罰の科し方、二回目からだめだというやり方について大変不本意な感じがするわけでございますが、この規定の仕方については、民主党案としてはどうなっているのか。あるいはこの問題点をどうとらえているのかということをお聞きしたいと思います。
○細川議員 今、具体的な例として、トイレにおける喫煙について民主党案ではどうなるか、それから政府案ではどうなるかというような具体的な案でございますけれども、政府案でいきますと、トイレで喫煙をする、これに対してだめだという禁止命令、中止命令をしてでなければ処罰をされない、こういうことになっております。私どもの方は、禁煙場所で喫煙をいたしますと、それが即可罰行為になる、こういう構成の仕方でございます。
なぜ、そういうふうにしたか、あるいはまた、トイレだけではなくて禁煙の場所で喫煙をすれば、これは即処罰行為に当たるんだ、こういう民主党の法案になっておりますけれども、では、どうしてそういうふうになったのかということについて説明をしたいと思います。
今、公共の場所では、喫煙はどこでも規制が大変強くなってきております。公共の交通機関におきましても、ますます喫煙場所が制限をされてきている、こういうふうになっているのは御承知のとおりでございます。そういう社会の潮流にもかかわらず、政府案でいきますと、この法律の文言上、罰則の対象となる喫煙というのはトイレに限られておりまして、これは問題ではないかというふうに思います。これは玉置委員も指摘するとおりでございます。
他の公共交通機関でも、鉄道では鉄道営業法で、喫煙禁止場所での喫煙に対しては、制止に背いた場合は科料に処すこととなっておりますし、船舶では、海上運送法及び施行規則で、喫煙禁止場所での喫煙に対しては、即三十万円以下の罰金に処する、こういうことになっております。
民主党案では、喫煙に関しては、民主党の法律案で言う「他人に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者」、喫煙禁止場所でこれをやるということはこれに該当をする、こういうことになっております。この解釈は、これまでの軽犯罪法という法律の中に同じ文言がありまして、その解釈の定説によっては、禁煙の場所で吸うということはこれに当たる、こういうことになっております。
したがって、民主党の案によりますと、航空機内のいわゆる喫煙禁止場所でたばこを吸いますと、これはすべて処罰の対象になる、こういう内容でございます。
○玉置委員 既にある法律でも取り締まれる方法があるわけですよね。先ほどのように、一度目は注意だけだということで、それをまねしてほかの方が順番に吸われていくと、例えば四百人ほどおられたら、四百人が順番にたばこを吸ったらどうなるのかということもあるわけですね。それから、日本人がたばこを吸っているから外国人はオーケーだと思って吸う。そして文句を言われる。そしてかみつく。かみつくと、この法律の規定によりますと、乗務員に対して逆らうような言動をすればそれで処罰される、こういう規定なんですよね。
これは、一回目の喫煙のときに、そういう行為になったときに刑罰の対象になるということなんですが、それはいかがですか。
○洞政府参考人 私どもは、安全阻害行為という行為をとらえております。安全を阻害する行為かどうかということがポイントでございます。
トイレにおける喫煙というものを考えてみますと、これまでも航空会社によって禁止されてきましたけれども、これを本法律の禁止命令、処罰の対象とするのは、トイレの中というのは、トイレットペーパー等の燃えやすいものが非常に多い場所である。それから、客室乗務員の監視が行き届かない場所である。火災発生の危険性が非常に高く、よくぼやとかが起こっています。また、一たん火災が発生した場合でも、発見されずに大惨事につながるおそれがあるためでございます。
片一方で、座席、通路における喫煙は、航空法で、客室内のシート、カーペット、カーテン等につきまして、耐火性の基準に適合したものの使用が義務づけられていることに加えまして、客室乗務員が常時監視していることから、火災発生の危険性は低く、また、万一火災が発生しても、直ちに発見し消火することが可能であると考えてございます。
また、我が国の航空会社が全面禁煙しましたのは、ごく最近のことでございます。国際線も含めて大手三社が全面禁煙になったのは、平成十二年の十月でございます。また、平成十三年までは、一部航空会社においては喫煙が可能であったところでございまして、現在でも一部の外国航空会社において喫煙を認めているところでございます。
このため、現時点では、トイレ以外での喫煙を処罰することについては全国民的なコンセンサスは、要するに非常に高い罰金をかけるということについて、全国民的な納得が得られるかどうかというのは、なお慎重な議論が必要じゃなかろうかと考えておる次第でございます。
○玉置委員 細川先生にお聞きしますけれども、例えば機内全面禁煙ということになっていますね。全面禁煙の中で、トイレだけは刑罰があって、トイレ以外は一回目はいい、こういう法律の規定というのはありなんですかね。その辺について、いかがでしょうか。
○細川議員 私は、この規定の仕方というのは大変おかしいというふうに思います。しかも、トイレの中で喫煙禁止になっている、そこは密閉されているからわからないわけです。わからないところで吸っていて、それに対して機長の方から禁止とかあるいは中止命令をして、継続反復して吸わないようにということを言って初めて罪になる、こういうことになる。非常にこの要件がきつくなっております。私は、それでは航空機内での、たばこを吸ってはいけないという一般乗客への抑止効力というんですか、事前に、たばこは吸っちゃいけないんだというその抑止効果は生じないんじゃないかと。
あるいは、客席でたばこを吸う、あるいは通路でたばこを吸う、その場合に、二回も三回もやめろと言って指示してからでは、私はだめだと思う。やはり、禁煙場所では吸ったら処罰が行われるんだということを法律で決めることによって、事前抑制、それによって乗客の人たちはたばこを吸わないということになるのではないかと思います。
たばこの好きな方が、何か、政府案では吸い得みたいな形になるんじゃないかというふうに思います。
○玉置委員 おっしゃるように、一回目はセーフですから、やはり一回目、一本だけいいよというふうに国民の間で広がってしまって、では、一本みんな吸おうかになったら大変なことになるので、やはり当初から、だめだということをちゃんと規定しておかないといけないというふうに思います。
それから、先ほどの便所等ということで、私たちは今、政府には、そういう修正をしてほしいとお願いをしておりますけれども、要するに、機内全般の中で、やはり危険度は同じだというふうに思うんですね。それをトイレだけに限定をするというのは、やはり明らかにおかしいじゃないか。
それから、安全阻害行為の中で、ドアの取っ手に手をかけたとかということなんですが、先ほどの規定によりますと、それも一回目はいいということなんですね。ところが、一回目で、手をかけたらドアが開いてしまったとか、こういうときの責任というのはどうなるんだろうというふうにちょっと心配するんですが、その辺について、細川先生とそして航空局長に、両方にお伺いしたいと思います。
○洞政府参考人 ドアの取っ手に手をかけたと、民主党案によりますと、手をかけただけで罰則の対象にかかってくる、意図的に、悪意を持ってやったかどうかは別として、かかってくる、そういう結果になると思います。
政府案では、手をかけた、それを、乗務員がやめてくださいという注意をする、機長命令をかけて、中止命令をかける。それにもかかわらず、何回も手をかけてやるという行為は、明らかに悪質でございますので、それについて罰則をかけてくる、こういう結果になるわけでございます。
ですから、逆に言うと、一つ一つの行為をとってみると、それは普通で考えると非常に軽微な行為でございますけれども、それを制止命令にもかかわらず反復継続して行うような、そういう悪質な方に対して罰則をかける、こういう精神でございます。ですから、たばこを、本当に善意の方が、ついうっかり、ぽっと吸っただけで五十万円をかけるかどうか、そういう問題だろうと思います。
○細川議員 なぜ、今回、政府案でもそうですが、私どももこの法案を提出したかといいますと、航空機の機内というのが一種の特殊な空間であるということだろうと思います。地上も、大変な高さのところを飛んでおりますし、密閉された空間でもございます。もし事故が起これば大変な問題になるということで、できるだけそういうことにならないようにこれを未然に防止しなきゃいかぬということが大変大事だろう。そういうことからいきますと、いろいろな悪質な行為が起こったから処罰をするというよりも、むしろ事前にそういうような行為をさせないような抑止効果というのも、大変大事な法案の立法趣旨ではないかと思います。
そういう意味では、私どもは、むしろ、直罰というふうにする方が抑止効果としては大変強いということでありますから、先ほど政府委員の方が答えられましたように、開閉器のところに手をかけただけで罰金五十万だというようなことを言われましたけれども、そういうふうに処罰をするような行為であれば、それは起訴便宜主義というのがありまして、罰するときもあれば、それはもう猶予して、全然、何も問題にしない場合もあるんですから、それよりも、私たちは、抑止効果ということをこの際大変大事な要件だというふうに考えていただきたいと思っております。
〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
○玉置委員 今のお話のように、適用そのものの中でまた判断される問題があるわけですから、やはり規定はかなり厳しくやっていった方がいいと私たちも思いますし、この規定のやり方でも、便所と便所等と、もう全然範囲が違うわけですね。ですから、通路とかいうふうにわざわざ省令で規定されるならば、やはりそういうものもちゃんと法文の中に書き込んでいただくということが非常に大事だと思います。
そこで、シートベルトを着用しないと罰則がありますという省令になるわけですね。チャイルドシート、車にはチャイルドシートというのがありますが、飛行機にはない。子供さんは母親が手で抱えて、母親はシートベルトを締めるということなんですけれども、子供さんは手で抱えるだけなんですね。それは、何で手で抱えるだけなのか。チャイルドシートの設定とか、そういう、これからの先は考えておられないのかどうか、その辺について、ちょっとお聞きしたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、現在、三歳未満、国際線については二歳未満でございますが、付添人がシートベルトを着用した上で、乳幼児を抱えることによって、搭乗中の安全の確保を図ることとしてございますけれども、これは、日本のほかに、アメリカとかドイツにおいても同様の措置がとられてございます。
また、幼児が単独で、別途座席を買って使用する場合については、シートベルトを使用するということが基本でございますけれども、平成十二年から、チャイルドシートにつきましても、飛行機専用のチャイルドシートというのはないそうでございますけれども、自動車用のチャイルドシートの基準を満足して、かつ、構造上飛行機の座席に取りつけられるものは使用できるようにしたところでございます。
将来もっと進んで、チャイルドシートを義務づけるべきではないか、こういう御指摘もあろうかと思いますが、これにつきましては、小児用運賃、要するに、別途、隣に座席を買うわけですから、子供は半額といたしましても、そういう運賃の問題とか、それから、チャイルドシートを航空会社が用意するのか、あるいは利用者が用意するのか等々、いろいろ課題、問題がございまして、諸外国においてもまだチャイルドシートの義務化までには至っていないという状況だと認識しております。
そういう意味で、私どもは、できるだけチャイルドシートを進める立場にはございますけれども、現時点においてこれを義務づけるとか規制をかけるというのは、もう少し様子を見ていく必要があるんではないかと考えております。
○玉置委員 ちょっとお話がかわってまいりますけれども、一応迷惑行為についてはこの程度にしまして、実は、この間、アジア航空で台湾から、台北から大阪、関西空港に来られましたときに、台湾のお医者さんが一人、SARSの診察をされて、日本に観光旅行に来て、帰られたときに発熱をして、そして今隔離されている、こういうお話なんですが、航空機内というのは密閉された部屋ということで、その中で非常に日本に対して、従来から、このSARS問題が起きてから、いろいろ検疫体制を航空機だけではなく船舶もとられていることだというふうに思います。
そこで、全体にやはり私たちは、大いに日本に観光に来ていただきたいという気持ちが半分と、やはり出るときと入国のときを十分チェックされた中で、特に安全な方だけが来ていただきたいという気持ちが強いわけですが、今現在、どういう形でのチェック体制を組まれているのかということで、きょうは、厚生労働省も来ていただいておる、健康局長さん、来ていただいておりますが、国土交通省の鷲頭統括官と双方にお聞きをしたいと思います。
○高原政府参考人 出国のときでございますが、WHOは、SARS感染地域からの出国時におけるスクリーニングを勧奨しております。中国、香港、台湾等、細菌の地域内伝播が疑われる地域におきましては、問診や体温測定を行っていると承知しております。また、ASEANプラス3によるSARS対策にかかわる関係者会議におきましても、出国者に対しスクリーニングを行うべきであるとされたところでございます。
その次に、航空機内でございますが、私ども、承知しておる限り、SARS患者が発生した場合の対応用としてフィルターつきマスクが用意されている、また、発生した場合は、これは船も同じでございますが、事前に到着予定の検疫所へ通報がなされるというふうに聞いております。
入国時におきます検疫でございます。
一番目でございますが、中国、香港、台湾からの入国者全員に対しまして、航空機内で問診票を配付しております。体温を含む健康状態を確認するとともに、発熱、せき、呼吸困難などの症状を有する者につきましては、健康相談室において検疫官である医師により診察を実施しております。
また、二番目に、当該地域からの入国者全員に対しまして、入国後に十日間外出をできるだけ控えてくれというふうな留意事項を記載いたしました健康カードを配付しております。なお、正確な健康状態の把握のため、成田空港、名古屋空港、関西空港、福岡空港におきましては、サーモグラフィーによる発熱者のスクリーニングを実施しております。
さらに、五月十九日からは、当該地域からの入国者につきまして、入国前十日間にSARSの疑いがある人と接触したかどうかということを確認いたしまして、そのおそれのある人に対しましては、一番目といたしまして、日本国内における滞在期間中の連絡先の申告、二番目に、入国後十日間の体温測定結果を報告いただくということで、入国後の健康監視の強化を図っているところであります。
船でございます。
客船につきましては、航空機と同様に質問票を船内で配付いたしまして、体温を含む健康状況を確認するために検疫官が船舶に乗り込んで、発熱、せき、呼吸困難などの有症者について健康診断を行っております。
貨物船につきましては、基本的には、SARSが疑われる症状の有無につきまして、無線による通報を受け、乗組員の健康状態に異常等がある場合には、検疫官である医師が船舶に乗り込み、健康診断を実施しております。
○鷲頭政府参考人 私どもの関係で御説明申し上げますと、基本的には、外国から来るお客様に対して、感染のおそれのある地域から出る時点でのチェック、それから、先ほど厚生労働省の方からお答えいただきましたように、水際、空港でのチェック、こういうことを原則としてやっております。
特に、航空関係で申し上げますと、各社の運航規程等によりまして、SARSではないかといったような疑いがある旅客が発生した場合につきましては、これまでも、客室乗務員が機長に速やかに報告をして、お客さんの中に医師、看護婦さんがいた場合には援助を依頼して、機長は必要に応じて緊急着陸をするというようなことになってございます。
今回、追加的に、機長はそういう場合には目的地の検疫機関への通報をするとともに、可能な範囲でそのお客さんを隔離する、後ろの方にどこか置くとか、そういう対応をして、旅客に対しましてマスクを着用するように要請する。
それから、客室乗務員につきましては、乗務後診療を受けるといったような検疫当局の指示に従うということを励行するようにしておりますし、必要な数量のマスクを機内に搭載し、清掃担当者へはゴム手袋の着用を義務づける。それから、地上係員は、チェックイン時に旅客へ質問をいたしまして健康状態を確認するとか、地上係員、客室乗務員の業務中におけるマスクの着用を許可する、感染地域からの到着便に対して機内消毒を実施するというような措置を講じているところでございます。
○玉置委員 高原健康局長さんにお聞きしますけれども、今のところ、これまでの騒ぎの中で、特にこの間の台湾の問題とか、あるいは最近では青森でしたか、これは漁船か何か、船でしたと思いますが、これについては、日本国内では今、広がる危険性はないというふうに判断されていますかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
○高原政府参考人 台湾の医師の件につきましては、本日で約十日間経過いたします。普通、潜伏期の最大期間が十日と言われておりますので、何とか胸をなでおろしてもいいのかなというふうに、大臣も本日記者会見の方で申し上げたようでございます。
それから、船の方でございますが、これはシンガポール船籍の船でございますが、これは医師である検疫官が診られまして、具体的には仙台検疫所長がみずから診察をいたしまして、これはSARSではない、咽頭炎症状による発熱であるというふうに診断したところでございます。
○玉置委員 もう時間でございます。最後に大臣に。
今のSARS問題、日本は、船、飛行機という密閉された形での輸送手段で日本に来られるということでございまして、特に機内感染、船内感染というものが非常にあるだろう。そしてまた、その方々が日本に来て、観光とか業務の中でいろいろなところへ行かれるということでございまして、そういうことを考えますと、非常にそういうところが拡散の原因になるだろうというふうに思いますが、国土交通省として、今後、このSARS問題についての対応、それから心構えということをお聞きして、終わりたいと思います。
○扇国務大臣 今も、厚生労働省それから私たちの局長から、鷲頭さんからお答えいたしましたように、我々は、少なくとも水際作戦をしよう、けれども、水際だけではもう既に間に合わない、それよりも、諸外国からも乗り組むときにSARSの検査をしていただきたい。国内での離発着あるいは船で到着したときの水際作戦は、各省庁と連携をいたしまして、当然いたしておりますけれども、それ以前に、それらに搭乗する前の段階でもこのSARS検査というものをしていただきたいのが第一点。
それから、諸外国、危険地域に在住しております日本人、その人たちにとって、今どういう状況であるかという情報の提供、そして彼らがその危険地域と言われるところから引き返す、日本に帰るのか帰らないのか、また現地ではどうするのかということの対応も含めて、それらのその危険地域での在外の日本人に対しての対処、情報提供、これは最大限にしていきたいと思っています。
それから、一番問題は、今、SARSの影響で、飛行機の、この法案に対しての御論議がありましたけれども、その危険地域と言われるところに、中国本土それから台湾線におきます旅客の減少、それからラインの中止、そういうものであらゆるところに影響が経済的にも大でございますし、そういう危険地域に対しての対処というものも大変多くなっています。
そういう意味では、我々は国土交通省として、それらの関係の人たちに、今のツアーの減少等々をどう対処していくかということが大変大きな問題になりつつありますので、そのために、中小企業の特に旅行業者、既に一社倒産しました、SARSによって。そういう意味で、中小企業に対する融資のやりくりとして資金繰りを支援するということで、中小業者に対して信用保証協会からの保証枠の倍額をしようということで、これを決定いたしました。なおかつ、今後、五月の十五日から、航空事業者及び旅行業者に対して、雇用調整助成金というのがございます。この雇用調整助成金というのを適用範囲を緩和しようということで、これも財務省と話がつきました。それも行っていこう。また、五月二十一日からでございますけれども、航空事業者に対する日本政策投資銀行、これで、投資銀行が緊急対応等の支援制度、これもございますので、これも財務省と話がつきました、中小企業は経済産業省ですけれども。
そういうように、今打てるもの、現段階での資金繰りに困っているところに最大限の手を差し伸べようという措置を今、SARSの予防は当然のことながら、SARSに対しての影響がある事業者に対しても手を打とうということをやっております。
○玉置委員 終わります。
○河合委員長 一川保夫君。
○一川委員 自由党を代表しまして、質問をさせていただきます。
今回のこの法律の改正のやりとりを聞いておりまして、ちょっとまだ十分理解できないところもあるわけですけれども、飛行の安全性を阻害する行為についてのいろいろな対応ということであるというふうな御答弁を聞いておりまして、また一方では、機内の、快適な空の旅をしていただくという面で、いろいろな迷惑行為を規制した方がいいという御意見もいろいろとあるわけです。
私は、こういう航空機の特殊性ということを考えてみた場合には、当然ながら航空の安全性ということを主眼にした対応というのは、それはごもっともなことでございますし、当然必要であるというふうに思っております。私も仕事柄、地元と東京と、飛行機を使って往復というのは毎週やっておりますけれども、機内で通常アナウンスされるのは、手荷物を適正な場所で処理しなさいというようなことなりシートベルトの問題なり、また座席の位置の問題、それからテーブルの問題とかいろいろと言っておりますし、電子機器なり、そういったものの扱いに注意してほしいというようなアナウンスもあります。あと、万一のトラブルがあった場合の対応の仕方としての非常口の位置の問題とか救命道具等の使い方、酸素マスクの使い方とか、それからまた脱出用シュートがどうのこうのというような、いろいろと、今割と懇切丁寧に説明されているような感じがいたします。しかし、何かほとんどの人は聞いていないような雰囲気でもありますし、ずうずうしいのはもう寝てしまっているという人もたくさんいらっしゃるわけです。ある面では信頼し切って寝ていらっしゃるということにもなるわけでしょうけれども。
私は、今回のこの法律改正、機内迷惑行為の防止という趣旨でのこういった法律の改正、法律の整備ということは、飛行の安全性という問題との因果関係みたいなものが当然いろいろと心配されるわけですけれども、先ほどのやりとりを聞いておりましても、例えばトイレの中での喫煙というのは、国土交通省から説明がありましたように、ある面ではほかの空間よりも非常に危険性をはらんでいるという面では非常に理解もできます。
では、機内迷惑行為というのは本当にたばこかな。むしろ私は、お酒の方が機内迷惑じゃないかということを考えるときもあります。それは、最近は車の飲酒運転は厳しくなってまいりまして、ある面ではちょっと厳し過ぎるという苦情もございますけれども、飛行機に乗る人のお酒の量、そういったものを事前にはかるというのは難しいと思いますけれども、むしろお酒を飲み過ぎておる人を機内に入れること自体がおかしいというようなことも感ずる場合もありますし、または機内でアルコールを提供しているケースもあります。こういうことをある程度放置しておいて、片や禁煙禁煙と余り大げさに言うのもおかしいなという感じも正直に、そう思うときもあります。
また、当然これまでのルールの中では、今いろいろと規制されているようなことを対応し切れない、お年寄りの皆さん方とか身体障害者の皆さん方とか、あるいは妊娠している方とか、そういった方々に対する例外的な扱いというのは当然なされていると思いますけれども、いろいろなことを考えてみますと、余り画一的に物事をやってしまうのがいいのかどうかという感じもある面ではします。
しかし、最小限、飛行の安全性に阻害を及ぼすと思われるようなことに対しては、毅然として、機長以下、乗務員も対応してほしいということを率直に、毎週飛行機に乗っていてそう思いますけれども、国土交通省も、基本的に、今回のこういった機内迷惑行為と飛行の安全性ということについてどういうふうな考え方を持っておられるのか。現在のこの法律改正で当面はいいんだというふうな認識なのか、いや、早急にこういったものについても検討していきたいというような問題意識を持っているのかどうか、そういったことも含めて、飛行の安全性と機内迷惑行為との関係についての御所見をお伺いしたい、そのように思います。
○扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、機内の迷惑行為というのをどの範囲でどうするか、そしてお客様の対応の仕方、それから乗務員の対応の仕方、両面あると思います。
ただ、一つ理解していただきたいことは、一昨年の九月十一日の同時多発テロ、あのときに皆さん方にも、テロ対策法ということで、テロに対してどう対処するかというので、これは陸海空、省令で出しました。それは、機長の席に入らないように扉をするとか、あるいは、もし何かあったときには、機長が危険を感じたときにどの空港におりるとか、そういう手配は全部網羅して、最大限の予防行為を、これは省令で通達し、なおかつ、マニュアルをつくって実験もいたしました。
けれども、私はそのことだけではなくて、機内の迷惑というのは、既に、逮捕されたとか、あるいは、今お酒の過度の飲み過ぎということをおっしゃいましたけれども、お酒の飲み過ぎでスチュワーデスに無礼を働いたなんというのは、緊急に着陸してその人をおろしたという事例も今まで何例もございます。ですから、必ずしも安全性のみならず、機内の迷惑行為というものを、どこで、だれが、どう、いつ受けるかわからないということですから、まず御本人たちが乗客としてみずからが律する。
禁煙区域でたばこを吸うというのは、一川議員は放送すると今おっしゃいましたけれども、少なくとも、飛行機には禁煙というあのマークはスクリーンででも出ます。そしてなおかつ、トイレの話も出ましたけれども、本来はトイレにもドアの後ろに禁煙マークはあるんですね。ですから、そういうものが守れないというモラルの低下というものが、私はむしろその方が嘆かわしいと思っております。
ですから、本来は、こういうことをしなくてもそれぞれがきちんと、公共の危険性を帯びた航空機に乗るためには、少なくとも最低限の乗客としてのマナーあるいは乗務員としてのマナーというものをお互いに守る、そういう日本の社会があってしかるべきだと私は思いますけれども、今でも迷惑行為が後を絶たないということで、こういうことをしなければならない。
しかも、一々全部、こういう罰則、法律をつくっても、乗る人がみんなそれを自覚していないと、徹底していないと、そんな法令があったのを知りません、何でこれがいけないんだと、また居直る人がいます、当然、お客様ですから。ですから、サービスと法令違反であるということの境目はどうするか。
だから、先ほど局長が言いましたように、たった一回しただけで、すぐ罰則で罰金よ、あなたは飛行機からおろしますというんじゃなくて、まず注意をするということからでなければ、飛行機のサービス行為としては、私はいきなり罰金刑というのもということで、サービス業であるという観点をある程度勘案して、一度注意をするというようなことを申し上げました。
私は、本来であれば、世間の常識として、こういうことをしなくていいような、お互いに迷惑がかからないような日本の社会であってほしいと念じてはおりますけれども、あえて現在こういう法律をつくって、スチュワーデスさんにだって、注意したときに、何でおまえ注意するんだ、おれの勝手だなんて言う人もいます。これは乗客の権利だと言う人もいます。ですから、こういう法律をきちんとつくって、乗客への注意の仕方も、法律があるからあなたは今違反ですよということをきちんとスチュワーデスさんがお客に言える。乗客も、こういう法律があったのは知らなかったけれども、ああ、そう言われればそういうのがあるんですか、じゃ、わかりました、やめますと。
やはり第一弾、第二弾というものがなければならないと思いますので、今回、こういう迷惑行為に対して、特に危険性を伴うたばこに対してはこういうことをさせていただいたということで、本来は、こういうことは言わなくても、常識として対処できれば一番いいというのを念じながらも、法律を提出させていただいた次第です。
○一川委員 航空機を利用する方々が非常に大衆化してきたといいますか、各界各層の、またいろいろな年代の方々、いろいろな方々が利用されるという面では非常に望ましいことでございますし、喜ばしいことだと思いますけれども、今おっしゃったように、いろいろなモラルの問題、社会的なマナーが低下してきているという中での対応ということではある程度やむを得ないということは、私自身もそうは思います。
しかし、先ほど来の議論のように、本当に飛行の安全性ということの観点から規制する場合と、あるいは機内の、一種の、ほかのお客さんに対して迷惑をかけるということも含めて、そういう迷惑行為を規制するということでは対応も若干違うのではないかという感じもしますし、限られた空間の中でのそういった旅行をする人方でございますので、快適に行きたいというのはどなたもそう思っております。そういう面では、こういった法律の対応の仕方というのは非常に難しい面もありますけれども、いろいろな議論の中で、いろいろな意見を聞いた中で、最小限のものはしっかりと対応しなきゃならないというふうにも思っているわけでございます。
そこで、現状のところをちょっと確認するわけですけれども、こういった迷惑行為の発生を未然に防止するという観点で、今、国土交通省、航空行政を預かる行政側としてはどういうことに具体的に特に力を入れているのか、あるいはまた、現状、それぞれ航空会社の方は具体的にどういう対応をしているかというポイントのところを御説明願いたいと思います。
○洞政府参考人 国土交通省といたしまして、機内迷惑行為の抑止というのは重要であると認識しておりまして、昨年一年間かけまして、航空会社、労働組合とともに、機内迷惑行為防止検討委員会というものを平成十三年の十二月から平成十四年の十月まで五回にわたって開催して、いろいろな検討を進めたわけでございます。
そして、その検討の過程の中、取り組みの中で、平成十四年、昨年の二月に、機内迷惑行為防止に関する行動指針、ガイドラインというものを航空業界あてに通達いたしまして、すべての機内迷惑行為に対して、可能な限り刑事責任、民事責任の追及を行うなど、要するに毅然とした対応をとるように指導しているところでございます。
そういうこともあってか、機内迷惑行為というのは一時よりは少しおさまってきているというのは事実でございますし、また、旅客に対するこういう事前の周知というものにつきましても、このガイドラインの中で示してございますけれども、ポスターとか雑誌とか機内ビデオ等によりまして、機内迷惑行為に関する情報を継続的に旅客に周知するよう指導しているところでございまして、お客様の皆さんに行為の危険性を自覚させるということが重要でありますから、今後とも、この事前周知について指導を徹底してまいる、こういう方針で臨みたいと考えております。
○一川委員 今の御答弁の中で、行政サイドとしてはそういうことをやっているというのはある程度理解していますけれども、各航空会社がそういうことを受けて具体的にどういう対応をしているかというところの説明をもうちょっとお願いしたいんです。
○洞政府参考人 客室乗務員の皆さんは、保安要員としての非常に重要な職務を担っていらっしゃいます。ということで、緊急時等に適切に対応できるように、航空法の規定というのがありますけれども、この航空法の規定に基づきまして、それぞれのエアラインが教育訓練の方法などを定めて実施しているところでございます。
平成十四年二月には、先ほど申しましたとおり、機内迷惑行為についても適切に対応できるように機内迷惑行為対処マニュアルというものをつくって、そして、刑事、民事責任の追及のための必要な知識等について十分な教育訓練を実施するよう航空会社に指導しているところでございますし、エアラインにおきましても、その辺のところについての徹底を図っていらっしゃると承知しているところでございます。
また、客室乗務員の編成につきましても、緊急時におきます業務分担等を考慮して定めるように同じく航空法において求められておりますけれども、現時点におきましても、緊急避難の誘導であるとか機内の火災の消火等に加えて、機内迷惑行為についても適切に対応できるよう、客室乗務員の皆さん方の教育、あるいは、この方々がこの防止について一生懸命頑張っていらっしゃるというふうに考えております。
○一川委員 こういう機内迷惑行為に関する話題が出たときに、国内線と国際線で対応が違うのではないかということを言う人もおりました。私はそんなに違わないんじゃないかと思いますけれども、現状、そのあたりが、日本の航空会社がそれぞれどういう対応をしているかというのは定かではありませんけれども、国内線と国際線で、飛行の安全性というか、そういう本当の安全管理という面からのテロなりハイジャックなりというような対応ということからすると、国際線というのは、当然ながらそういった可能性というか、可能性と言うとおかしいですけれども、国内線に比べればそういう心配があるわけでございますので、国際線と国内線では多少対応の仕方に異なるところがあるのかなという感じもいたします。
現実、そういった保安対策的なものも含めて、国内線と国際線の対応状況、何か違いがあるとすればどういったところに違いがあるのか、そういったところを教えていただきたいと思います。また、あわせまして、外国の国々では我が国の対応の仕方と何か異なる点があるのかないのか、そういったところも含めてちょっと御説明をお願いしたいと思います。
○扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、我々はこの法案を作成するまでに、今の現状というものを調査しております。ちょっと調査結果というものを、機内の阻害行為の発生状況というのがございます。これは二〇〇二年度でございますけれども、発生件数は二百七十八件でございます。そして、その中で一番多いのが、トイレ内での喫煙、その他の場所での喫煙というのが、トイレ内では七十六、その他では二十五ということで、二番目が暴言、威嚇、これが七十二です。これは、お客様が、スチュワーデスなりあるいはそういう人たちに対しての、お客同士もあります、暴言、威嚇、これが七十二件、二番目です。三番目は、先ほどおっしゃいましたお酒による酩酊、これが六十九件でございます。そして四番目が性的な嫌がらせ、これが三十七件ございます。最後が電子機器の使用、これが十八件ということで、これらの数字をもってしても、いかにいまだに迷惑行為の数があるかということが一点で、こういう措置をとらざるを得ないというのが一つでございます。
それからもう一つは、国際民間航空機関のICAOというのがございます。そのICAOでは、既に総会において、国内法制化をしなさいという勧告決議が行われておりまして、これは二〇〇一年の十月に国内でこういうものを、勧告決議というものが言われておりまして、これは、アメリカもイギリスもカナダも豪州も、それから韓国においても既に国内法制化が済んでおります。
そういう意味では、私は、今申しましたような調査の結果も、現段階で機内におきます迷惑度というものは、順番からいっても、迷惑だけではなくて、危険性に至る可能性が一番あるという喫煙についてこういう法案化をしていって、これを世界の皆さん方にも、あるいは外国の人たちにどうするか、言葉の問題もありますけれども。
もう一点、細かい点がありましたら、局長にお聞きいただきたいと思います。
○洞政府参考人 機内迷惑行為に関しましては、国際、国内で対応は同じでございます。
先生の御質問にございました、機内迷惑を超えまして、さらに広い意味での航空保安対策に対する国際、国内の対応状況、あるいは対応が異なるかどうか、また、諸外国での取り組み状況という御質問がございましたので、この辺について申し上げます。
我が国は、御存じのとおり、今、保安対策は最高レベルのフェーズEに引き上げておりまして、金属探知機であるとかエックス線の検査装置等々、あるいは爆発物検知機等も配置してやっているわけでございますけれども、米国向けの飛行機につきましては、ほかの国際線よりもさらに厳しいチェックというものを行っております。
例えば貨物について申し上げますと、米国行き貨物については、貨物の引き受け、搭載あるいは荷おろし時におきます不審な貨物の有無の確認を励行するなど警戒の強化というものを、特に注意しろということを指導してございますし、このほか、航空貨物全般につきましては、引き受け時に二十四時間の留置を行う、一見客からの受託貨物については、開披検査またはエックス線検査機器による検査を行ってございます。
また、機上の対策といたしましては、コックピットドアの強化であるとかコックピットへのアクセス抑制に関する措置のガイドラインを示すなど、必要な措置を講じて指導しているところでございます。
米国線につきましては、先生御存じのとおり、搭乗口における検査、ダブルチェックを行うというように二重のチェックも行っておりますけれども、こういうものを除けば、地上、機上対策とも、旅客については同様の保安対策をとっているということです。
また、諸外国におきましては、これはアメリカにおいて、ことしの一月に、組織として国土安全保障省というのができまして、連邦職員が航空会社にかわって保安検査を行うなど、同時多発テロ事件以降、保安体制を強化しているというふうに承知しておりますし、諸外国においても、ICAOの基準、規定に基づきましてそれぞれ強化しているということを聞いておるところでございます。
○一川委員 では、最後にお聞きするわけですけれども、一九六〇年ごろから、御案内のとおり国際テロ的なものが多発いたしまして、その後、それを防止するための条約が相当の数批准されてきているというふうに聞いておりますし、それに対応する国内のいろいろな法制度もそれなりに整備されてきているんだろうというふうに承知いたしております。御案内のとおり、一昨年のああいうニューヨークの同時多発テロなり、また最近のイラク戦争なり、こういうようないろいろな出来事を受けまして、ますます心配をする時代になってまいりました。
そういう面では、国際的ないろいろなそういう動向を踏まえながら、これからの飛行の安全確保という観点で、これまでと同じような、とりあえずはそういうことで推移するんだろうと思いますけれども、今後こういうことについて、さらに飛行の安全性ということについてどういう基本的な姿勢で対応されていくのか、そのあたりのところをお聞かせ願いたい、そのように思います。
○扇国務大臣 航空の保安体制、一番大事なところでございますし、我々は既に、先ほども申し上げましたように、一昨年の同時多発テロ、これを受けて、十三年の十月でございましたけれども、私が日本で各国の運輸大臣会議を開催いたしまして、私が議長を仰せつかってこれをまとめました。そのまとめたものの中で、一つには、国際的な安全の基準の見直しをしよう。それから二つ目には、国際的な監査計画の確立をしよう、各国がどういう監査をしているのか、みんなが違いますので、それを統一していこうではないか、確立していこう。三つ目には、閣僚レベルの国際会議の開催をしてお互いにその国の状況を意見交換して、そして安全性のために国際的な連携をとっていこうということを提案いたしました。
それによって、今私が申し上げたようなことが、日本から提案したことをICAOの総会で決定されたということで、大変私はうれしかったし、また、その当時、私はICAOの総会には国会の都合で出席できませんでしたけれども、日本で一番最初に対処したことが取り入れられたということで、私は大変よかったなと思っております。
そのときにいろいろな細かいことを決めましたのが、先ほど例を挙げましたコックピットへの入りにくさ、そして、そのドアを新しく入れないようなドアにしようということで、あのとき予算もとっていただいたのもその一つでございました。
長々と、これをしている、これをしていると言う時間はありませんけれども、少なくとも我々は、国際線で日本が、フェーズ1、フェーズ2、フェーズEというあの検査方法がございましたけれども、残念ながら、日本はプラスチック爆弾等々が感知できないという機械でございまして、これは今どこの空港に入れているとは公にはできませんけれども、あのときに、強化策をしようということで、これも予算の中で対処しまして、フェーズEの中でも、特に、今まで感知しなかった危険物も感知できるような機械も導入したというのが今の現状でございまして、世界各国で同じようなもので検査する基準というものをつくっていこうというのが今の我々の対処の仕方。
また、国際的な連携をしていくというのが、そういうICAOの総会によって、お互いに閣僚レベルの会議を開いていこうということを今行っている最中でございますので、それを守っていこうと思っております。
○一川委員 終わります。ありがとうございました。
○河合委員長 瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
航空機内の安全確保に関して、近年、機内安全阻害行為が急増して、罰則を含めた法改正が求められてまいりました。これは当然のことだと思いますし、私もむしろ遅いくらいだと思っています。
そこで、より実効性が伴うよう、幾つかの問題点に絞ってお聞きいたします。さきの質問とも重なる部分はなるべく省略させていただきたいと思っています。
まず最初に、今回の改正では、安全阻害行為等のうち、乗降口または非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、その他特に禁止すべきと省令で定める行為をした者に対して、機長はその行為の中止を命令することができるとしております。罰則を伴う場合には、違反行為についてはあいまいさや恣意的な判断があってはならないというのが罪刑法定主義の原則でございますけれども、省令で定めるという場合は、法文とは違って、あいまいさや判断する側の恣意的な判断が入り込まないのかどうか、その点をお伺いいたします。
○洞政府参考人 先生おっしゃいますとおり、要件を極めて客観的に、明確に判断できるということが必要でございます。
私どもは、国土交通省令で、航空の安全に支障を生じさせるおそれのある行為を具体的に列記することを予定してございます。できるだけ構成要件があいまいなものにならないように配慮しているところでございまして、恣意的な判断が入らないようにということでそれぞれの具体的な行為を省令で明確に規定するということにしておりますので、そういう御心配は必要ないと考えております。
○瀬古委員 大臣にお伺いしたいと思うんですが、先ほど、二〇〇二年の機内安全阻害行為、機内迷惑行為が二百七十八件発生しているという問題が指摘され、また、そのことについてお話がありましたけれども、私も具体的な事例を見せていただきました。随分ひどい例があるんですね。重い荷物を棚に載せる際、手伝いを要請されただけで、客室乗務員を殴って土下座を強要して、乗務員をやめさせよというところまで要求する。本当にひどい悪質な例があるんです。
実は、現場の御意見を聞きますと、結構、この事例がそうだとは言いませんけれども、VIP待遇と言われている人の中にも、こういう迷惑行為で困っているということもたびたび聞くことがございます。大臣ももちろんVIP待遇でございますでしょうけれども、そういうことはないとは当然思いますけれども、私は、このVIPに対する安全阻害行為についてもきちんと、例外規定をつくらないで、やはり公平に厳しく取り扱うべきだ、むしろVIPこそ姿勢を正すべきだというふうに思うんですが、その点、今回の問題についてどのようにお考えでしょうか、大臣。
○扇国務大臣 VIPは特に心して、普通の人より、より一層姿勢を正すべきだと思いますし、普通以下であればVIPたり得ないと思っておりますので、VIPは、人の三倍も四倍も模範になる態度を示して初めてVIPと言えるんだろうと私は思っています。
○瀬古委員 そうしますと、特別な例外規定といいますか、こういう人については特別な配慮をしなさいなどというようなことは一切ない、きちんと公平に厳しく取り扱うように対応するということでよろしいですか。
○扇国務大臣 私も、既にお亡くなりになった方ですけれども、Aという航空会社の大株主、筆頭株主と一緒に乗ったことがあります。二階のある飛行機でしたけれども、その大株主は二階を全部自分でバーのようにお使いになって、一般の人たちは、私たちはふだん、国際線でしたから、休憩のときは二階に上がれるんですけれども、全部その大株主がお使いになっていて、我々は休憩室に上がれなかったということもございます。
ですから、人によりけりでございまして、私は、自分たちの今ある立場と今ある地位というものを利用して、逆に一般の人よりもなおかつ姿勢を正さなければ株主としての資格はないと思いますし、また、そういう人が、大株主だということだけでその会社を私物化してはいけないと思っておりますので、そういう意味では、先ほど申しましたように、より厳しい態度で、模範になるようなことであって初めてVIPだと思います。
○瀬古委員 私が聞いているのは、もちろんみずからがそうですけれども、会社側が例外規定を設けないということをきちんと指導すべきだというように思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 当然のことだと思っております。
○瀬古委員 では、次にお聞きします。
先ほどお話の中で、客室乗務員は保安要員としての役割を持っているというように御指摘がされておりました。緊急時の機内での乗客への対応を初め、日常的に、異臭とか異常音とか火災などの機内異常の早期発見、出発直後に異臭を発見して大事に至らなかったケースもあるそうなんですけれども、こういった例や、不審者や不審物の早期発見、病人の発生等の対応、そして機内安全阻害行為等に対しても、機内で対応するのは客室乗務員なわけです。
テロ対策、SARS問題への対策など、私は、客室乗務員の保安要員としての役割は一層重要性を増しているというように思います。政府として、客室乗務員の役割についてどのように位置づけられていますでしょうか。
○洞政府参考人 先生御指摘のとおり、客室乗務員は、乗客に対する安全上の指示及び説明、シートベルトの着用の要請、機内持ち込み手荷物の適切な収納、緊急避難に係ります誘導、機内火災の消火など、客室安全の確保に係る業務を行う大変重要な役割を担っております。
このために、客室乗務員がこれらの業務を適切に実施できるよう、航空法によりまして、客室乗務員の職務であるとか編成であるとか、あるいは教育訓練方法等について非常に細かい、細部にわたりまして各航空会社が運航規程に定めて実施するよう規定しているところでございます。
○瀬古委員 しかし、実際には保安要員として扱われていない実態があるわけなんですね。時給のアルバイトで賃金も安い契約制客室乗務員制度が九四年以降に導入されたり、航空会社が競争原理優先のもとで機内で販売競争を取り入れて、そして保安任務に専念できない、こういう実態が近年ふえております。
また、会社が、育児や介護をしながら、法にのっとって深夜業の免除を受けていたママさん客室乗務員の人数を抽せんで決める。これは余りにもひどいというので撤回したんですけれども、実際には、こういう客室乗務員を、無給休職かもしくは深夜働くかということを迫って、事実上退職せざるを得ないというところに追い込んでいくというのが、実は日本航空の実態であるわけです。
私は、安定した労働条件がなければ、保安要員としての役割も果たせないと思います。私は、国土交通省は、こういう客室乗務員のあり方について、各企業に任せるだけでなく、経営のあり方に踏み込んで指導が必要ではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 業務範囲、それがどこまでかという線引き、これは、各航空会社が競争し、また、そこの社員になりたいといって多数の応募の中から入社した。本年も、航空会社に就職した人たちは、殺到しておりますけれども、各航空会社とも一けたしか採用しておりません。ましてスチュワーデスなんというのは女性のあこがれで、小さい子供でスチュワーデスになりたいという人もいっぱいいます。
そういうあこがれの職業である限り、見た目はよくても中身は過酷であるというのはどの社会にもあります。私が出身の宝塚もそうです。舞台を見ているときれいです。けれども、中には、死ぬほどの努力をし、練習し、人の見えないところで努力して初めて舞台が映えてくる。それと同じように、私は、スチュワーデスというあこがれの職業が、実際になってみたら過酷であるというのは、どの職業でもあります。
そういう意味では、私は、ここからここまでが業務範囲だからというのではなくて、今、瀬古委員が、何か機内で販売させられるとおっしゃいますけれども、私なんか、飛行機に乗って、何とかショップというあのパンフレットを見て、スチュワーデスさんが、自分がこれが御推奨ですよなんて写真を見ると、ああ、このスチュワーデスさん、きょうは乗っていないかなとか、この人が推薦するものだったら買おうかなと、みずからモデルになってでもショップの宣伝にも努めていらっしゃるということも、私は彼女たちの誇りだと思います。
そしてまた、他の人が経験できないこと、スチュワーデスだから各国へ行って、これはいい、こういうものが必要だということを、自分の体験から推奨したものをつくれるというのは、私はむしろ、だれにもできないことの、スチュワーデスさんがそういう販売もみずから進んで、エプロンも考案しています、私も買ったものもあります。ですから、そういうことで、私は、スチュワーデスだからこそ他の人のできないことを経験して、世の中の多くの女性に喜んでもらおう、あるいは男性に喜んでもらおう、そういう得意なものを持っていることが、それを売ることが業務範囲以外であるとか、私は、それは別途考えるべきことであって、私が指導することではないと思いますし、それはそれぞれの航空会社の競争によってするべきだと思います。
また一方、少なくとも今、これはきのうかおとといのことですから、あえて申し上げたいと思いますけれども、SARSの危険地域には飛行機を飛ばさないように指導しろと国土交通省に言ってきたあるエアラインがあります。私は、それでは逆だと思います。少なくとも危機管理という面から見ても、危険な地域と言われても、そこに迎えに行く機長自体ももっと権威を持っていただきたいと私は思います。
そういう意味で、今おっしゃったように、深夜はどうだとかこうだとかというよりも、自分たちが選ばれてこの会社に入ってその仕事をしている。国会議員もそうです。自分たちでみずから選んだんですから、深夜営業というのをやっていても、私たちはそれを努力して、よりよくしようということをやっておりますので、それと同じように、みんなプライドを持って職種につくべきだと私は思っています。
○瀬古委員 私が言ったことと全然答弁がずれまくっているんですよ。私は、保安要員としての客室乗務員の役割があるでしょう、それが重要な役割なんです。エプロンをつけて物を売りまくって、そして男性にサービスするなんというのは、それは仕事じゃないんですよ。(扇国務大臣「男性にサービスするんじゃない、乗客」と呼ぶ)さっき言われたでしょう。私は、客室乗務員の本来の保安要員としての役割が実態としてできていないということを言っているんです。
そのことが、実際には販売競争をやったり、それから、自分があしたどういう勤務になるかわからない。本来なら、育児・介護休業法のもとで、子供を子育てしている場合に、きちんと認められているのに、深夜働きなさいといって強制的にやられる、嫌ならやめなさい、こんなやり方が航空の職場に持ち込まれてはならないと私は言っているわけですよ。
だから、そういう点では、私は、保安要員としての役割が重要だというなら、本業そっちのけでやらなきゃならないような状態に追い込まれている、このことについてきちっと航空会社にも指導しなきゃならないんじゃないかと言っているんです。
大臣、もう結構です。私の言ったことはそういうことなんです。だから、たくさんなりたいから、選ばれたからどんなことをやっても当然だなんて、そんなことあり得ないです。本来、航空機の果たす役割があるでしょう。そこにおける客室乗務員の果たす役割は、何といっても基本的には安全問題をどうするか、この問題で仕事をするということなんですよ。そこをずれて御答弁していただいては困るわけなんです。
この点で私はきちんと位置づけをしていただきたいと思うんですが、民主党の提案者と、そして政府にもお聞きしたいんですけれども、やはり根本的な問題として、航空法で言う客室乗務員というのは航空従事者ではないということを聞いて、私もびっくりいたしました。政府も、保安要員として重要視しているといいながら、実際にはその役割や位置づけは各企業任せだ。だから、経営効率優先、もうけ本位の販売競争に駆り立てるということが平気で行われる。だって、実際には、どれだけ物を売るかということで判断したりするわけですよ、会社は。そんなばかなことが行われているんです。実際にはヨーロッパなど――大臣、笑い事じゃないんですよ、しっかり聞いてください。実際には深刻な事態になっているということを、私はちゃんと国土交通省としてもつかむべきだと思うんです。
EU指令案だとか、ITF、国際航空労連などでは、客室乗務員のための訓練基準とかライセンス制なども検討されて、提案されております。そういう意味では、私は、航空従事者としての位置づけ、それに匹敵する何らかの制度的な改善が必要じゃないか。もちろん、姿勢として保安要員としての役割を果たしていただくということがあるんですが、その裏づけとなる制度的なものも必要だということが今世界の大きな流れになっていますから、その点、どのように検討されているでしょうか。
○扇国務大臣 瀬古議員に誤解していただきたくないんですけれども、保安要員としての役目を果たす、スチュワーデスならスチュワーデスでもいいです、その人たちは、物を販売していても、保安要員としての役目を果たすときは販売を中止させていただきまして、保安要員の役をちゃんと果たして、判断できるんです。その判断ができないような人は、私はその資格はないと思っています。そういう意味では、保安要員としての役目が果たせないから決まった以外のことは一切しない、では、保安要員のことをしていて、コーヒーサービス、それもできないという、私は絶対それは、少なくとも本人たちの判断能力というものをぜひ勘案していただきたいと思います。
○井上(和)議員 民主党案の提案者として、瀬古議員にお答えしたいと思います。
瀬古議員御指摘のとおり、客室乗務員は、空の安全を守るという非常に大きな任務を持っているわけです。したがって、きちんとした訓練によって、危機対応はもちろん、機内秩序維持についてもしっかりした実力を持つということは必要なのが当然でございます。したがって、免許制という話も理解はできると思います。しかし、では実際に導入するということに関しては、これは社会的な要望等を含めて、その必要性についても十分な検討が必要だというふうに思います。
今御指摘のあったように、国際運輸労連、ITFでの議論があるということは承知しておりますが、現在、各航空会社の自主的な基準に基づいて行われている訓練等に対して大きな問題があるという指摘も聞いておりませんので、いずれにしても、今後の課題として、おっしゃるように、検討する価値は十分あるとは思っております。
以上でございます。
○洞政府参考人 航空会社におきます客室乗務員の資格の件についてのお尋ねでございます。
航空従事者制度は、我が国も含めまして、各国とも、いわゆる国際民間航空条約に準拠して定められているところでございまして、同条約では、航空機の運航に直接従事する操縦士や航空機関士、整備士等を航空従事者として取り扱っておりまして、客室乗務員については航空従事者とはされておりません。
昨今、客室乗務員には、緊急避難に係ります誘導等の従来からの航空輸送の安全確保のための業務に加えまして、先生御指摘のとおり、テロ対策とかSARS対策等、航空を取り巻く国際情勢に適応した職務が求められてございますけれども、これらの職務につきましては、これまでも、航空法に基づきまして各航空会社が定める運航規程に従って客室乗務員が教育訓練を受けることによって十分対応できていると考えてございまして、例えば客室乗務員のライセンス制の導入について、直ちにそれが必要だという状況にあるとは考えておりません。
なお、現在のところ、国際的な航空に関する基準を定めるICAOにおきましてはライセンス化に係る議論は行われておりませんけれども、引き続き、諸外国の動向等も含めまして、同機関の動向には注意を払っていきたいと考えております。
○瀬古委員 ぜひこれは御検討していただきたいと思うんです。私は、客室乗務員が保安要員としてその役割が果たせないほど、そこに置かれている状況が大変異常な事態になっているという点で指摘しているんです。
局長に聞きますけれども、保安要員としての仕事ができないほど、ある意味では本来の仕事が果たせないほど異常な事態になっているということについては改善が必要だとは思いませんか。その点、いかがでしょうか。
○洞政府参考人 大臣がお答えされましたとおり、客室乗務員は、保安要員として極めて重要な役割を担っております。また一方において、乗客が機内で快適に過ごせるように、機内食のサービスであるとか免税品の販売等を行っておりますけれども、これはあくまでも保安業務に支障が生じない範囲で行われなければならないことは当然のことでございます。
航空法では、何度も繰り返しますけれども、航空会社に対して、各社の運航規程に、客室乗務員の職務としての航空保安業務について詳細な規定を置いておりまして、その保安業務が的確に行われるようにきめ細かい教育訓練方法等についても規定し、その徹底を義務づけております。国土交通大臣の認可を受けるということも行っておりまして、安全上問題が生じるような事態は起こらないと考えております。
もちろん、安全上の問題があれば、航空法に基づきまして会社を指導監督するのは当然のことでございます。
また、瀬古先生は私のところにもいらっしゃいましたけれども、勤務割り等の問題につきましても、どの程度本人の意向を反映させるかなど処遇の問題につきましては、第一義的にはやはり労使間で話し合われるべきテーマであると考えております。
○瀬古委員 現場のことは御存じだと思うんですけれども、実際には、話し合いといっても、それこそ会社側が一方的に押しつける、こういうことがまかり通っている。そういう点では、やはり機内というのはある意味では限られた空間ですから、その中で、もちろん乗客に快適に過ごしていただくためにも、ある意味では乗務員の精神的な安定や労働条件の安定というのは大変大事だと思います。そういう点でぜひ見ていただきたいと思います。
時間がないので、これはまた引き続き取り組んでいきたいと思っています。
今回、持ち株会社の問題が明記されました。持ち株会社には航空法の適用というのがあるんでしょうか。国土交通省としては、監督指導権限は持ち株会社にも及ぶんでしょうか。その点、いかがですか。
○洞政府参考人 結論を先に申し上げますと、持ち株会社に対しましては、今回、法改正の中身に入っております外資規制という規制がかかりますが、それ以外の航空法の規定の適用を受けますのは航空運送事業を実際に実施する会社に限られるということで、持ち株会社に対しましては航空法の規定は適用されませんで、国土交通大臣による指導監督権限が及ぶことはございません。
○瀬古委員 航空機を運航しない、事業を行わない持ち株会社は、実際には、事業会社の経営権だとか営業、事業権、人事権をすべて支配する、企業の実質的な代表なんですね。金融持ち株会社やNTTなどは個別に法律をつくって持ち株会社の責務というものを規定して、国の監督指導を明確にしております。乗客が航空会社を選んで飛行機に乗りたいといっても、実際にはほとんど飛行機を選べないですね。その航空業界で、もうけ第一の持ち株会社が支配している場合には、私は、何よりも安全確保というのは最優先に担保しなきゃならないと思います。そうしなければ、国の責任が果たせない。
ところが、例えば持ち株会社の株主主権だとか、利益、利潤第一主義だとか、また、リストラをどんどん指令する、こういう役割を果たした場合には、安全の確保と対立するということが出てくるわけですね。こういう場合には、当然、国土交通省としては指導監督というのをしなきゃならないと思うんですが、その点で、私は持ち株会社にも法的な一定の規制が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○洞政府参考人 航空運送の安全は、実際に航空機の運航を行います航空運送事業者が一義的に責任を負うべきものでございまして、航空法の安全規制も、航空運送事業を行っていることに着目して行っております。
仮に、航空運送事業者が安全規制を遵守しないなど安全確保上の問題点が発見された場合には、当該航空運送事業者に対して、持ち株会社があるか否かにかかわらず、航空法に基づいて、事業停止命令や許可取り消し等によりまして厳正に対処していく所存でございまして、これにより、航空運送の安全に関する責任の明確化と安全の確保が十二分に行えるものと考えております。
また、安全面の規制のみならず、事業規制に関しましても、運賃でございますとかダイヤの問題でありますとか、これも実際に航空機の運航を行う航空運送事業者を対象に規制すれば十分でございまして、持ち株会社に対して指導監督を行う必要はないと考えております。
なお、先生、NTTや金融持ち株会社は規制を行っているではないかという御指摘がございましたけれども、NTTは持ち株会社が特殊法人でございます。特殊法人ゆえの規制を行っております。また、金融持ち株会社は、いわゆる預金者保護という観点からすると、グループ全体の財務の健全性を確保しないと預金者保護というのは確保できません。そういう意味で、経営管理を行う持ち株会社に対しましても必要な規制を行っているところでございます。
ですから、繰り返しになりますが、航空の場合は安全の確保が最も重要でございますけれども、これにつきましては、実際に運送を行う事業者に対して、持ち株会社があるか否かにかかわらず、きちっと航空法に基づきまして監督指導を行えば十分であるというふうに考える次第でございます。
○瀬古委員 私は、安全上、やはり一番の権限を持っている持ち株会社についてもきちんと歯どめをつけておくということが国土交通省の責任で、大変重要だと思います。
では、安全性の問題と同時に、例えば公共性の問題もあると思うんですね。採算が合わなければ運航しない、こういう事態が出てくるんじゃないかと思うんです。採算が合わなくても運航するというのは本来社会的な役割である。ところが、持ち株会社が、そんなのはもうからないからやめよう、こういう公共性がゆがめられるということはないでしょうか。それに対する歯どめはつけなくていいでしょうか。
○洞政府参考人 どういう路線を運営するかということは、持ち株会社であるなしに、当該航空運送事業者が判断する問題でございまして、そこにおいて公共性に反するような行為等々があれば、そこを律すれば法の目的は十分達せられると考えております。
○瀬古委員 時間が参りましたからこれ以上やれませんけれども、今回、外資規制が適用されるというのは、私は当然だというように思います。しかし、この持ち株会社の場合は、安全性の問題、公共性の問題、それから子会社の、事業会社の有価証券報告書はなくなって持ち株会社だけになるという情報公開の問題、それから団体交渉権がないという問題で労働者の雇用や労働条件が脅かされる、こういう幾つかの持ち株会社の問題点を持っている。私は、今後こういう問題点もしっかり解明をしなければならない、解決しなければならない問題があるということを指摘して、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○河合委員長 原陽子君。
○原委員 社会民主党の原陽子です。
きょうは総合政策局長さんに来ていただいたと思うのですけれども、予定の質問がなくなったので、お忙しいようでしたら戻られても大丈夫ですので、済みませんでした。また後日、よろしくお願いします。
それでは、航空局長さんの方にまず一点お尋ねをしたいのですけれども、政府案で言う安全阻害行為等の「等」の部分というものは、具体的にどんな行為を指すのか、御説明をお願いします。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
安全阻害行為等とは、航空機の安全を害し、航空機内にある者もしくは財産に危害を及ぼし、航空機内の秩序を乱し、または航空機内の規律に違反する行為を指すものでございまして、具体的には、乗降口または非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、トイレにおいて喫煙する行為などが該当します。
そのほか、先ほど申しましたとおり、座席ベルトを着用しない行為、あるいは手荷物を通路に放置する行為、あるいはリクライニングシート、テーブルをもとの位置に戻さない行為、みだりに救命胴衣等の安全のための器具を使用または移動させる行為、また航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって、いわゆる安全にかかわるような、安全に支障を及ぼすおそれのある行為、そういったものを指しております。
○原委員 さまざまな行為を今御説明いただいたのですけれども、どこからが機内迷惑行為かを判断していくということはとても難しい判断になってくると思います。先ほどの審議の中にも、お酒に酔って騒ぐというような、ほかのお客さんの迷惑になるような行為に今回は罰則というものがかかってくるとすると、その判断というのがさらに難しいことになってくると思います。
その判断というものは、まず機長の判断となっていく、機長の判断ということになるのでしょうか、答弁をお願いします。
○洞政府参考人 機長の禁止命令の対象となります安全阻害行為等は、具体的に、先ほど申しましたとおり国土交通省令で定めることにしてございますが、ある行為が安全阻害行為等に該当するか、禁止命令を出すかどうかの判断は、機長または機長の指導監督下にある客室乗務員において判断することになります。
○原委員 そうした場合に、例えば迷惑行為と判断するための基準とかマニュアルというものをつくっていくようなお考えはございますでしょうか。
○洞政府参考人 先生御指摘のとおり、機長、客室乗務員によって、ある行為が安全阻害行為等に該当するか、禁止命令を出すかどうかの判断が異なることのないようにするために、これまでも各航空会社において機内迷惑行為対処マニュアルというのをつくられて、それに基づいて対処されてございますけれども、国土交通省といたしましても、今回の法が成立しました場合には、法の施行に伴いまして、必要なマニュアルの作成について航空会社を指導していく方針でございます。
○原委員 ありがとうございます。
それで今回、この審議をするに当たって、客室乗務員の経験を持っている友人にお話を聞いたのですけれども、審議の中に幾つか出てきた喫煙の話なんですが、客室乗務員がお手洗いをチェックする際に、においとか吸い殻など明らかにたばこを吸ったという痕跡を発見して、そして、例えばにおいなんかでどのお客さんがたばこを吸ったかという行為をある程度わかるのですけれども、決定的な確たる証拠がないために、この喫煙行為に関してはなかなか注意をしづらい状況にあるそうです。また、頻繁にそういうところは乗務員としてもチェックを心がけてはいるのですけれども、飲み物のサービスや食べ物のサービスをしている場合なんかだと、人数が足りなくて、なかなかチェックが行き届かないというような状況にあるそうです。
こうした乗務員の状況もある中で、罰金というものがかかわってくると、判断というのはやはり難しくなってくると思うんですね。
今回、反復継続という言葉があるのですが、その反復継続とはどの程度のことを言うのかということを、例えば何回注意するとか何回までとかいう感じで具体的に数値を挙げていただけるとありがたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
反復というのは、禁止命令を受けて一たん行為をやめながら、再び同じ行為を行うことを指しておりまして、命令を受けた後、一回でも行えば、反復に当たります。
継続というのは、命令を受けたにもかかわらず、それを無視して、その当該行為を行い続けることを指すわけでございます。
○原委員 ありがとうございます。
それで、次なんですけれども、安全阻害行為等に対して、今回、五十万円以下の罰金を科すという法改正が行われるわけですが、こうしたことをどういう形で国民に知らせていくお考えを持っておられるのか。航空会社ごとにいろいろと、飛行機に乗ったときに、今度はこういう罰金がかかるようになりますよということを航空会社ごとに周知させるという方法もあるとは思いますが、周知徹底という意味では、国土交通省としてどのようなことをお考えになられていますでしょうか。
○洞政府参考人 今回の法改正につきましては、国民に新たな刑罰を科す内容であることを踏まえまして、法律の施行の前にさまざまな手段を通じて十分に国民の皆様に周知するとともに、機内では法施行後も周知を徹底するよう航空会社を指導してまいりたいと考えております。
具体的には、国土交通省や航空会社のホームページへの掲載、あるいはチラシの配布であるとか、ポスターの掲示であるとか、機内誌への掲載を行うとともに、キャンペーンを実施する予定でございます。
○原委員 そして、今回の法改正の中にもう一つ含まれている航空運送事業の外資規制について、最後にお尋ねしたいんです。
航空運送業というのは、物理的な面から見ると国際的なものだと思います。今回、航空運送業は物理的に国際的な事業であるのに、外資規制をかけるということに無理があるのではないかというような声が聞かれるんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
○洞政府参考人 航空会社の行います国際航空運送につきましては、シカゴ条約に定めます領空主権という観点から、二国間交渉によってお互いのそれぞれの国の権益を交換するというのが国際的なルールとされているところでございます。
したがいまして、国際航空運送に係ります権益といいますものは、実質的な所有及び実効的な支配がそれぞれの国に属している航空会社に配分されるということが求められてございまして、各国では、実質的な所有及び実効的な支配を、航空会社の役員の比率であるとか、あるいは議決権の比率によって判断しているところでございます。
また、国内の航空運送につきましても、各国は、自国の航空会社にその運送を留保するということが国際的な慣行とされております。海運の世界は、国際海運は海運の自由ということでこういうものはもう一切ございませんが、国内海運については、やはりこのような、自国船に権利を留保している、こういう実態にございます。
以上を踏まえまして、本法航空運送事業者につきましても、実質的な所有及び実効的な支配が我が国に属していることを担保する必要がございまして、今回、航空法におきまして、航空運送事業者またその持ち株会社についても外資規制を課すこととしたものでございます。
○原委員 ありがとうございました。
先ほどの瀬古さんの質問の冒頭にあったVIPの話ではないですけれども、私も、客室乗務員の経験を持つ友人にお話を聞くと、国会議員が一番態度がでかいということをはっきり、具体的な事例は控えておいて、そういう声も聞かれる。その子に言わせれば、国会議員のモラルをまず高めてほしいということも言われたので、その辺は、VIP云々にかかわらず、やはり飛行機を利用する私たち一人一人もしっかりとモラルを持って飛行機に乗らなくてはいけないということを切に思っていましたし、そういうふうに思われているというか言われている国会議員の方もいらっしゃるということで、その辺は、国会議員としても気をつけていかなくてはいけないのかなとは思いました。
ちょっと、きょうは質問の日程が変わってしまったので、大分時間は余りましたが、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○河合委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会