衆議院

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第27号 平成15年5月30日(金曜日)

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平成十五年五月三十日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西野あきら君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      山本 公一君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本繁太郎君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    青木 宏道君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出第九五号)(参議院送付)
 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、特定都市河川浸水被害対策法案及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、河川局長鈴木藤一郎君、道路局長佐藤信秋君、住宅局長松野仁君、内閣府政策統括官山本繁太郎君、厚生労働省社会・援護局長河村博江君及び中小企業庁次長青木宏道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伴野豊君。
伴野委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの伴野豊でございます。
 本日議題になりました二法案につきまして、これは参議院先議ということで参議院でももまれておりますし、私自身、この内容につきまして前向きに御検討いただいているということには深く敬意を表するところでございますが、視点を幾つか変えながらも、総括的な質疑をきょうはさせていただければと、時間の許す限り、この河川対策あるいは密集市街地だけではなく、昨今の防災全般に、もし時間があれば少しブレーンストーミングみたいなこともさせていただければ、こんなふうに思っております。
 まず、二題から入らせていただきたいと思いますけれども、まず最初の特定都市河川浸水被害対策法案、改めて目的を読ませていただくと、特定都市河川及び特定都市河川流域を指定するというような文言とか、あるいは総合的に推進するとかいう言葉もちりばめられているわけでございます。
 正直言いまして、全体的に、先ほど前向きに御検討いただいているということは評価すると申し上げましたが、その一方、ちょっと皮肉っぽく言えば、まだこのレベルなのかなというか、もっと早くやってもらえなかったのかな、そんな感もしているわけでございます。ただ、事をなすに遅過ぎるということはございませんので、どんどん進めていただきたいということでございます。
 目的自体を見れば、ごくごく当たり前といえば当たり前で、どんどんやっていただきたいなと思うわけでございますが、ただ、いろいろ都市環境も変わってきますし、いわゆる治水という概念も変わってきているというようなことも含めて、改めて総合的に検討して、地域を指定し、重点的にやっていくんだという意味にとらえさせていただいているわけでございます。
 それで、まず質問に入らせていただきたいわけでございますが、特に高度成長期を経て、今まで、こんなところに住宅が、あるいはこんなところに工場が、あるいはこんなところがアスファルトにというようなところが、非常に速いテンポで土地利用等々がどんどん変わってきて、河川の沿川も随分変わる、あるいは川上もどんどん変わってきて、流水が流れるスピードも変わってくる。そのようなことで、環境がどんどん変わってきた中で、治水のあり方は今までとは違うんだという中で今回の法案が出てきたんだと思うんです。
 今回、改めて御認識を伺いたいんですが、大臣、都市に水害が多発するようになった原因について、今どういう御認識をしていらっしゃるのか、改めてお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 おはようございます。
 今、伴野議員がおっしゃったように、伴野議員のお地元のすぐそばで、まだ覚えていてくださると思いますけれども、要するに東海豪雨、あの名古屋西部の集中豪雨、私、翌日に行きました。あのときにも、あっという間に、後で計算しましたら少なくとも六千億円に及ぶ被害が起きたんですね。そして、あっという間に、これも地方自治体が水害の備蓄のために、ちゃんと食料も、あらゆる避難器具、避難食料等々を備蓄していたところが全部水につかってしまった。そういうふだんの地方自治体の努力も無に帰したというのがあの貴重な経験でございました。
 その原因は、今、伴野議員がお口になさいましたように、やはりあらゆる面で我が国は、少なくとも国土の面積の約一割、この一割のところに、洪水のはんらん区域ですね、そこに人口と国民の財産が集中しているということから、一たんそういう災害が起こったときにはすべてのものが水に埋まってしまう、そういう現象が起こっております。
 それというのも、今おっしゃいましたように、都市部におきましてはあらゆるところで開発が行われて、そして今までのように、市街化の進展とともに、それにふさわしいような予備施設ができればいいんですけれども、御存じのとおり、そういう森林と農地がなくなるというようなことで都市化がどんどん進んでいく、そういう中に個人の生命と財産を移さざるを得ない。新しいところに移ったために、では改めて、広くしたところに必ず保水の機能、いわゆる水だめといいますか、これだけのおうちのためにはこれだけの水だめをつくろうというような計画が全く実行されないで、どんどん開発が進んでいった結果ということは、私は大いに反省すべきことであろうと思います。
 それと、今回もこうして法案として出させていただきましたのも、そういう都市に水害が多発するということを、何とか昔のように、これだけのおうちを建てるんだったらその地域にはこれだけの水だめをつくろうというようなことをきちんと決めておかなければ今のようなことになるというような経験のもとに、今もおっしゃった、遅きに失しているではないかというお言葉をいただきましたけれども、まさにそのとおりだと思います。
 改めてこういう法律で縛らなくても、これが常識的になっていれば私はよかったと思っています。あえて法律にして皆さん方に供しなければならないということは残念至極でございますけれども、開発業者に対してもその責任を負うということを私たちは法案化せざるを得ないという現状でございます。
伴野委員 今も、図らずも私の選挙区に近いところで発生いたしました東海水害の例を出していただきましたけれども、まさにおっしゃるとおりでございまして、私も東海水害のときには同僚議員とすぐ現場に入らせていただいて、被害の大きさとともに、名古屋及び名古屋周辺と言われるそれなりに整備されてきたところで起こってしまったことに対する驚異を感じたのを覚えております。
 その原因として、今大臣もちょっとお触れになっていましたけれども、一つは自然の驚異というものがあるわけでございます。その中で、保水機能あるいは遊水機能を知らず知らずのうちに人間が失ってきてしまった、その反省をやはりここは謙虚にすべきじゃないかな、そんなふうに思うわけでございます。
 そうした上で、今回、こういう新たな対策法案をつくっていただいて、それを重点的にやっていただくというわけでございます。
 では、具体的に今後どうしていくんだ。古代から、川あるいは水を治める者は国を治めるというようなことも言われておりますが、やはり現代でも、今回のこういう東海水害の例なんかを見ますと、一遍に財産や人命が奪われるわけでございまして、これは本当に国土交通大臣の重要テーマの一つであるんじゃないかと思うわけでございます。
 ただやはり、今までのように、堤防をしっかりつくればいいわ、あるいはのりをしっかり固めればいいわという、器の整備だけではどうもうまくいかない。そういったことで、それを線、点ではなくて、面でとらえていく、地域でとらえていく。全体のその地域の保水、遊水機能を取り戻す、あるいはできるだけそれを向上させる。また、それが向上させられなかったら、少しでも時間差をつけて川に流し込む工夫というようなことで、貯水池や、浸透性のある舗装とか、緑を取り戻すというようなこともお考えになっていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、そのあたりの具体的な対策を今お考えでしたら、ぜひ何か御披瀝いただきたい。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、昨今の気象状況を見てみますと、本当に一晩のうちといいますか、あっという間に百ミリを超えるという時間雨量がございまして、これが異常気象だと言えるのかどうかわかりませんけれども、事例としては、あっという間の百ミリ以上という、今も台風が近づいていますので、これも気をつけなきゃいけませんけれども、そういう集中的に降るという事例が多くなっております。
 そういう意味では、単に堤防を高くするというだけではないという今の伴野議員のお話のとおりでございまして、ふだんから、遊水地だとか貯水とか、そういうもののきめ細かな対策が必要であるというのは御存じのとおりでございます。それをしておかなければ、ただ堤防を高くすればいい、そういうことだけで防げるものではないと私は思っていますし、また、川が遠くにあるところ、川から離れているところでも浸水してしまう。
 それから、今もおっしゃったけれども、都市型になって、この間の反省の中には、地下鉄という新たな都市交通ができて、地下鉄に水が入り込むということも、今までは地下鉄の地上のところにシャッターをかけるなんて考えたこともなかったんですね。でも、そういうことも起きてしまったということからの反省で、あらゆる都市型の防水計画を立てなければいけない。
 そのためには、保水機能あるいは遊水機能を回復して、治水の安全度を向上する、それが大事である。また、治水政策に関しましては、都市政策と住宅政策等多面的な機能を考えていかなきゃいけない、それが今回の新たな問題だろうと私たちは思っている。
 そのために、国土交通省としましては、今まで河川行政というと河川局だけでやっていたわけですけれども、国土交通省になりましたので、これからはこれらに対して、河川部局、下水道部局、都市政策部局と、国土交通省の四省庁統合したメリットを生かして、あらゆる部局が連携して、新規の開発に対して流出の増を抑制する対策を上げるということで、改めて都市部の保水機能の保全を図るという措置なども、今回、この法案によって、今までと違った方策がとれるということ。
 ただ、これで万全を期すわけではありませんけれども、今とり得る中では最大限に、旧河川法というもの、制定されていますけれども、初めて今回実施される総合的な対策であるということを御理解いただきたいと思います。
伴野委員 ぜひ、そういう総合的な観点から、縦割りではない、今回、河川も面でとらえるわけでございますから、行政の職制も面でとらえていただいて、総合的にいろいろ御検討いただければと思うわけでございます。
 それと、ちょっと哲学的なお話になってしまうのかもしれません。概念的なお話になってしまうのかもしれませんが、私も技術出身なものですから、どうも、先ほど申し上げましたように、水を治める、川を治めるのが国を治めることだというような、何か、人間が自然を治めるという、非常におこがましいというか、ある面非常に生意気な態度が、今まで、行政というんじゃなくて、人間自体にあったんではないか。
 ここはひとつ、水とともに生きるというぐらいの、河川も水が循環する系の一つである、大きな大きな地球のいわゆるH2Oが循環する系の一つである、そこが、余り負荷をかけず、余り人工的な力をかけないで、自然に自然になることがベストだというような概念もお持ちいただいて、水を治める、川を治めるというようなことをお考えいただく、多分、お考えいただいているんだと思うんです。
 そういうような観点から、やはりこれから、水が物質的に流れていればいいわというだけではなく、一つの川を自然流域とした場合に、植生としてもいいよ、生物もしっかり生きているよ、かつ、そこが雨が多少たくさん降っても周りで少し抑えられるよ、水を持ちこたえられるよ。雨が降っていない天気のときには、人もできるだけ水辺におりていって親しめるよ。まさにそれを総合的とおっしゃっているのかもしれませんが、治めるという観点から、水とともに生きる、共水という言葉がいいかどうかわかりませんが、水とともに生きるんだというような、そんな概念をぜひ前面に出していただいてもいいかと思います。
 具体的に言えば、河川管理というのは、川の単体だけではなく、その周りの植生、そのあたりの住環境、それから景観、そういうものもすべて総合的に調和させていくんだ、それができるだけ自然に循環しているんだというような考え方をぜひ推し進めていただきたいな。
 例えば、これはまさに皆様方のお仲間であった独立行政法人の土木研究所の尾澤研究員なんかもそんな研究をされているようでございますので、そういうようなことも全面的に出していただいて、かつ、水もそこを流れてくることによって質的にきれいになっている、そんなようなことを全体的にとらえていただく方策がまた必要じゃないかな。
 それを今後、やはり目標値なんかを決めて、マニフェストばやりでございますけれども、評価項目を決めて、一年ごとにでも結構でございます、ステップ・バイ・ステップで上がっていっていただけるようなことを何かお考えになっていないか、お聞かせいただければ。
扇国務大臣 その前に、細かいことはまた局長がお答えすると思いますけれども、今おっしゃった中で、我々も、今回は、ハード面では今までの河川法、これはダムでありますとか河川とか、それ一つに限られていたんですけれども、今回はそれを、ソフト面ということで水防法をプラスしようということが、今おっしゃった面という面では広がってきたということです。
 それから、水の脅威で、水と共生ということも大事なことです。
 世界で第三回目の水フォーラムが日本で初めて開催されまして、我々は水がなければ生きていけないんだ。そして、二十世紀は領土の紛争だったけれども、二十一世紀は水の紛争が起きると言われております。他方では、水がなくて困っているところがいっぱいあるわけです。
 ところが、こういう集中的なことで水によって災害が起こるという、余っているところと、ないところの格差というものを、何とか私たちは、まず日本の地形からいったこの危機というものを、そして今言った今度のソフトの面の水防法で、いろいろなデータを集めて、それを市町村に早く渡して、そして、ここがこうなったときにはこういうことができますよというシミュレーションを地方自治体でやっていただく。
 それから、災害のときに忘れてはならないのは、まず自助です。自分で自分を助ける方法。ですから、さっき申しましたように、もしものときにはこれは二階に上げておこうとか、食べるものはこうしておこうとか、そういうことをまず自助でやってもらう。そして次は共助。ともに、御近所と一緒にということ。最後が公助ですけれども、そういう意味では我々は、今回はハードとソフト一体となった方法を改めて提示するというのが大きな役目でございます。
 細かいことはまた局長の方にお聞きください。
高木大臣政務官 今、水との共生という言い方をされまして、具体的な河川管理を行う上で、植生の管理ですとかまた環境の整備、景観等、このことを指摘されましたけれども、その面に関しましては、私どもも重要な項目だというふうには認識しております。
 特に、水辺は、そもそも貴重な水と緑の空間としての地域社会に潤いを与えるとともに、また、町の景観形成や余暇の有効利用などにおいて重要な役割を果たしておりまして、特に、最近では、まちづくりと一体的に水辺空間の整備を図ることが社会的な要請になっている。
 具体的に申し上げますと、河川工事を行う際には、生物の良好な生育環境に配慮し、美しい自然景観を保全、創出する多自然型の川づくり、また河川本来の自然環境の保全や創出、また周辺景観との調和を図りつつ、地域整備と一体となった河川改修を行って、良好な水辺空間の形成を図ることを目的とした、ふるさとの川整備事業というものを推進しております。
 河川に生息、生育する動植物を把握するため、すべての一級水系において河川水辺の国勢調査として水辺の生物などを調査し、また結果を公表してまいりました。
 御指摘の環境に対しての評価のあり方というか、項目でございますけれども、水質に関する環境基準など明確な評価ができるものもありますけれども、一般的に定量的な評価は難しいというふうな考えを持っております。
 しかしながら、それらを定量的に評価する取り組みとして、これは試案でございますけれども、「河川に係る環境整備の経済評価の手引き」を作成したり、また昨年度から、市民団体等によりまして、川を評価する川の通信簿、これは三十九の河川で二百五十一カ所で実施しておりまして、結果を公表してまいりました。
 このような形で、今後とも、河川の総合的な管理に努めるだけではなくて、河川環境の評価についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
伴野委員 河川の通信簿、非常におもしろい、いい企画だなと個人的には思っているわけでございます。水とともに生きるといいますか、人間にとってみれば、水は非常に重要なものでございまして、治水ということをきっかけにしながら総合的に、ぜひとも、地域としても面的に、あるいは行政的にも面的に、いろいろな知恵を出し合う。かつ、だれかがやればいいわという発想ではなくて、先ほどの通信簿じゃないですけれども、地域の人が参加してきてどんどん活動することによって、その沿川が美しくなり、また水もきちっと整備され、かつ治水されている、結果的にみんなハッピーというような、そういうコーディネート的なお仕事もぜひ推し進めていっていただきたいな、川を中心としたそういう御活動をぜひ進めていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 法案の細部に入る前にもう一つ、昔の仕事柄、ちょっと気になるようなことがございます。
 先ほど、行政の縦割りなんかにも少しメスを入れて、トータルに協力し合って整備していくんだというような中で、河川の橋脚の管理、以前は道路局さんなり河川局さんなり、鉄道が民有、国鉄と分かれていたような場合、部署部署で管理をし、少し連携をとってもらうと、例えば日常の管理なんかも非常にいいんじゃないかなと思われるような事柄、あるいは、縦割りであることによって、ここは見るけれどもここは知らないというようなことがなかったかあったか考えるわけでございます。
 それと同時に、今までの治水の概念と随分、水の流れ自体も変わってくるわけでございまして、橋脚の設計における洗掘に対する設計の仕方、根入れの深さとかそんなようなことが、今技術的に何か御検討されて対処されていこうとしていらっしゃるのかどうか。もしそんなようなところを法案の内容に入る前に少し触れていただければありがたいと思います。
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 河川に設置する道路橋や鉄道橋の構造の基準についてのお尋ねということだと思います。
 これにつきましては、河川法で、そういった施設、道路管理者等が川に橋梁をかけたいという場合に、許可申請が上がってまいりました。それの許可をする際には、河川法の中で基準を持っておりまして、通達とかいろいろあるんですが、一言で言えば基準ということになりますが、そういったものが定められておりまして、それに基づいてきちんとつくっていただくということになります。
 その基準の中身についてここで詳しく説明する時間はございませんけれども、平たく言えば、流水方向に長円形のものにしろとか、あるいは川の全体の流水が通過する面積に対してこれぐらい以内にしなさいとか、あるいは基礎の深さというものが非常に大事なんですが、そういったもの等について定めているということでございます。
伴野委員 法案に入る前にちょっと触れておきたかったという程度でございますので、これぐらいにしておきたいと思います。
 では、具体的に本法案の中身に入っていきたいと思います。
 先ほど嫌みっぽく、もっと早くこの法律をつくってもらえなかったかというようなことをちょっと申し上げたわけでございますが、今回の法案をつくることによって、安全性というのは何か数字で評価されて、具体的に向上する目標値をつくられるのか、もうつくっていらっしゃるのか、あるいはそれをどういうようにしていきたいのか。もしその目標を達成していくとすると、対策費用というのは今後どれぐらいかかって、それはどのように捻出していくのかというようなことを、見込みをお持ちでしたらお聞かせいただきたい。
高木大臣政務官 本法案の具体的な効果と対策費用についてのお尋ねでございます。
 まず、今回の法案は、市街化の進展によりまして、河川区域内の整備だけでは十分な対策が困難である河川につきまして、まず一番目に、河川区域外の流域内でも河川管理者が治水対策を行うこと。二つ目が、河川管理者や下水道管理者による対策のみではなくて、民間事業者についても一定の責任を明確化して、雨水貯留浸透施設の設置の義務づけを行うこと。三番目が、ハードの施策に加えまして、都市洪水想定区域等を指定しまして、円滑かつ迅速な避難を確保するための被害軽減措置を講ずること。これらのハード及びソフトの対策を、河川管理者そして下水道管理者、流域の自治体が連携して、総合的に講じることが可能となる。
 その上で、河川管理者が河川区域外で治水対策が行える効果については、従来型の河川整備に比べまして、浸水被害の解消のために河川管理者が要する費用、工期とも大幅に改善される。また、雨水の貯留浸透施設の設置の義務づけの効果と相まちまして、従来型の河川整備が困難な河川における安全性が格段に向上する、このように考えております。
 対策費用につきましては、個々の河川においては流域水害対策計画が作成された段階で事業量が決定をすることとなりますので、現段階では、具体的な対策費用という形ではお示しすることはちょっと厳しいかなと考えております。
伴野委員 厳しいというお話もございましたが、やはり目標があって、当然お金もかけ、僕は必要なものはかければいいと思っているんですよ。だから、これぐらいのことをやると逆に宣言していただいて、住民の方にも安心していただいて、だけれども、これだけ必要なんだよ、これだけかければこれだけの効果が出るんだよと逆に自信を持って言ってもらえばいいんじゃないかな。
 これはまだ、法案がやっとこれからできるわけでございまして、これからそういうことも具体的な地域地域にシミュレートされて計算されていくと思うわけでございますが、ある程度目標値を持って、これだけのお金をかけて、こうならないようにしますと逆に自信を持って言っていただけた方が住民の方は安心すると思いますし、税金がこうやってきちんと使われているんだと逆に明確にしていただければいいんじゃないかな、私はそんなふうに思いますので、ぜひその方向で、自信を持っておやりいただければいいんじゃないかと思います。
 ただ、やはり、世間は非常に厳しくなってまいっておりますので、目標数値に対してそれが達成されていなかったときには、それはどうしてできなかったんだという説明責任は必要かと思います。そういっためり張りのある対策、計画をしていただければ、そんなふうに思います。
 先ほど図らずも大臣が、さきの東海水害のことをおっしゃっていただいたわけでございまして、やはり、人間のすばらしいことの一つに、失敗をどんどん生かしてそれを発明の母にしていくことだと思うんですね。そういう意味では、この東海水害の経験、このことも今回の法案のきっかけになったと思うんですが、具体的にどんなところに反映されていると評価していいのか、そのあたり御説明いただければ。
中馬副大臣 東海水害は、本当に典型的な都市災害ということが言えるかもしれません。従来の水害ですと、山間部で急流に流されたとか、堤防が決壊したとか、そういうのが水害と普通言われるわけですが、この東海水害の場合には、河川が切れた、あるいはあふれたといったようなところは全体の上ではほんの二割ぐらいで、あと八割は、じわっと水がふえてきて、そして全体がつかってしまったという状況なんですね。ということは、まさに典型的な都市災害、十分な下水処理能力がなかった、そういったようなことだと思います。
 そして、その結果、地下鉄に水が入り、あるいはまた地下に水が入って人が亡くなったといったようなことにもなったわけでございまして、その反省から今回のこの法律をつくっているわけでございます。
 どういうことを配慮しているかといいますと、先ほど大臣も御説明しましたように、明治二十九年の旧河川法以来、初めてこうした総合的な都市水害に対する一つの施策をやったわけでございまして、河川行政と下水道行政の一元化、一体化が不可欠であり、そのために関係機関が一体となって計画を策定する、このことを先ほど御説明したような形で体系づけたわけでございます。
 それと同時に、計画時に浸水する可能性のある地域についてハザードマップ等をつくりまして、都市洪水想定区域等を指定し、市町村防災計画に地下街等への洪水情報等の伝達方法を定めたり、地下街等の管理者に浸水時の避難等に関する計画作成、公表等を、これは努力義務でございますが、義務づけるということを求めたり、こういうことを規定しているわけでございます。
伴野委員 総括的に言っていただくとそういうことなんだと思うんですが、今回、やはり一番びっくりしたといいますか、なかなか読み切れなかったのが、いわゆる内水はんらんと言われる、市街地に降った雨が、非常に表流水の速度が速くてある一点に集中して集まって、そこからなかなかはけないということがかなり脅威だったわけでございまして、洪水が、河川からあふれたり、河川の堤防が切れたりというのは間々今までもあったと思うんですが、いわゆる内水はんらん対策、先ほど大臣も、地下鉄の対策というのは非常に重要だとおっしゃっていました。まさにそういうことで、もっと細かく言うと、日常的な排水溝の管理というのがこれから物すごいきいてくるということだと思うんですよ。
 だから、例えば、パソコンに入っているシミュレーションでいくと流れるはずの水が、現場では流れていないということが間々起こり得る。これというのは、机上やあるいは一過性の対策じゃ対応できないんだと思うんですね。
 先ほど政務官もおっしゃっていたように、日ごろから地域住民をどんどん参加させるというと、ちょっとこれも言い方が悪いかもしれぬけれども、興味を持たせるというのがいいんでしょうか、関心を持たせるというんですかね。だから、自分の目の前の排水溝の排水口ぐらいは、落ち葉が枯れていたら自分で取ってくれ、それが自分の家を守る、森を守る、土砂を守ることになるんだよということをしていかないと、なかなか、事故が起こった、これは全部行政の責任だというのは、私は一方的過ぎるような。
 だから、住民の方もやることをやってもらう、そういう活動を啓蒙していくというんですか、目の前の排水溝を日常的にきれいにすることがいざというときに大事なんですよ、こういった活動というのが非常にこれから、日常的な整備といったらいいんでしょうか、日常的な管理といったらいいんでしょうか、重要になってくるんじゃないかと思いますので、そのあたりのところもぜひとも対策を打っていただければ、そんなふうに思います。
 続きまして、ちょっとこれは以前の話題かもしれませんが、浸水被害の防止において、以前、ハザードマップの活用というふうなことがあったわけでございますが、現在、その精度はどうなっているのか、あるいは、今後その精度がどんなふうに向上していくのか。さらには、このハザードマップを、今後この法案がつくられた暁にはどんなふうに利用されていくのか、ぜひともお教えいただきたいというのと、もし、先ほど触れた点で、パソコンの中では生きているけれども現場はそうじゃないというようなところに、何か対策が打てるようなこともお考えでしたら、お聞かせいただければと思います。
高木大臣政務官 まず、ハザードマップの活用についての御質問についてお答えをしたいと思いますけれども、この洪水ハザードマップというもの、地域住民や市町村の防災担当者にふだんから、あるいは災害時に活用していただくことが重要であって、具体的には次のように活用されるべきものと認識をしております。
 まず、災害時に住民がみずから避難できる情報を住民に事前に提供する、住民が自発的な避難の心構えを養うために活用されている。また、市町村の防災担当者には、マップの作成を通じまして、ふだんから防災訓練や防災対策に活用することになると思います。
 また、災害発生時には、ふだんからの備えと緊急時の的確な情報を提供することによりまして、住民が早目の避難行動をすることによって人命が救われるということだけではなくて、家財等を浸水しない箇所に移動させることが可能になる、浸水被害の大幅な軽減を図ることができます。
 また、堤防整備などによって浸水が減った地域、これも大分ふえてまいりましたけれども、水害が少なくなりましたので、はんらんがないと思い込んで、危機意識が薄れるため、マップの作成、周知を通じまして、住民は居住地域の危険性を再認識するなど防災意識の向上につながっていくと考えております。
 国土交通省としましても、今後とも、本省または地方整備局等を通じまして、ホームページまたはさまざまな形、水防訓練等の機会を通じて、このハザードマップの普及を図ってまいりたい。
 特に、実はあす、北陸の地方整備局で、黒部川で、県もまた地元の市町村も参加をした水防訓練が行われるんですけれども、そういった機会も通じながら、私も参加してまいりますので、しっかりと徹底を図ってまいりたいと考えております。
 あと、精度については局長の方から答弁をしたいと思います。
鈴木政府参考人 ハザードマップの精度に関してお尋ねでございます。
 このハザードマップをつくるに当たっては、浸水想定区域図作成マニュアルというものをつくって、これに基づいてその作図を作成することにしています。その際、こういった計算機の中でシミュレーション計算をするんですが、精度をどんどん上げていくということには、それなりの意味はもちろんございます。ただ、精度を上げれば上げるほど、とてつもなく費用がかかるという面がございます。
 その辺の兼ね合いが大事だということでございますが、現状では、浸水想定図作成において、現段階で、国土数値情報として地盤高標高を含むデータとして、精度の高いものとしては五十メーターメッシュのデータでございます。これを用いて、はんらんシミュレーションを行って、そして浸水区域や浸水深を求め、それを実際の地図の中に連続的に落としていく、こういうことをやっております。
 今、五十メーターメッシュ、随分粗いなというふうにお感じかもしれませんが、実はいろいろな技術が進んでおりまして、これは二メーター五十とか五メーターメッシュというようなことまで実はできるようになってきているんです。これを、全部こういうメッシュに当たってそういう計算でやりますと、これはもうとんでもないお金がかかります。したがいまして、浸水の境界部あたりについてこういったことを活用するとか、そんなことを今後考えていかなきゃいけないと思っております。
 何よりも大事なことは、公表に当たって、浸水想定区域指定の前提となる計画の降雨というものを考えるわけですが、それを超えた場合には、この範囲を超える可能性がありますよとか、あるいは、必ずしも指定区域でないところでも洪水が起こることがあるんですよというふうなことを、きちんと公表する図面の中に書き込んで、そういったことをいろいろな形で周知する、こんなことが大事だと考えております。
伴野委員 そのシミュレートにつきましては、当然、現在の水文学の粋を集めて多分シミュレートしていらっしゃるんだと思いますが、それでもやはり、ある程度仮説を立てて、前提条件の上にシミュレートしていらっしゃるわけでございまして、先ほど申し上げたような、例えば、現場では、あるため升が枯れ葉で詰まっているというような想定がその中に埋め込めるのかどうか、ちょっと私も知り得ませんが、そういうような現場との違いなんかをどうしていくんだ、具体的に前提条件と違うことが起こった場合はどうしていくんだというようなことも、ぜひお考えおいていただけるといいかなと思うわけでございます。
 一方で、住民の方にも、こういう前提の上でのマップだよということはぜひ周知徹底していただかないと、何でもかんでも、いつでもこれなんだというと、これまた逆に違った誘導をする可能性も出てくると思いますので、このあたりの徹底をしていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 続きまして、ハザードマップ関連も幾つか質問したいわけでございます。
 先ほどちょっと触れましたけれども、「都市洪水想定区域又は都市浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、」云々というお話の中で、洪水等情報の伝達方法、避難場所、避難の確保を図るために必要な事項について、住民に周知するよう努めるとされているわけでございますが、やはりこの周知徹底というのが非常に重要でございまして、東海水害のときも、住民に本当に必要な情報が来ていなかったということを、当時、水害の後もよく聞いたわけでございます。
 この周知徹底、特に避難勧告の出し方というのは非常に難しいと思うわけでございますが、その水害の経験も踏まえて、今後どういう周知方法をお考えになっていらっしゃるのか。
鈴木政府参考人 ハザードマップの周知の徹底の方法についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、これはつくっても何の意味もないわけでございまして、これをいかに周知徹底するか、これが大変重要なことでございます。そして、その中身を住民の方々に本当に理解していただくということが、またこれも大変重要なことでございます。
 これまで各自治体においては、周知の方法でございますが、各戸配布、これをまずやっております。それから、自治体の広報紙へ掲載する、さらに新聞折り込みでも渡す、あるいは地元説明会を実施する、あるいは避難訓練などを行う際にもそういったものを実際に使う、あるいは電話帳のハローページへの掲載、ホームページへの掲載、いろいろな形でその周知が図られるようにしております。
 さらに、そういった多様な方法で繰り返し周知するということが重要なわけでございますが、国土交通省といたしましても、本省や地方整備局のホームページへの掲載や、地方の取り組みを紹介するパンフの作成、配布、あるいは水防訓練などあらゆる機会をとらえて、ハザードマップの普及、周知が図られるようにしてまいりたい、そのように思っております。
伴野委員 いかにいいものをつくっても、あるいはいかにいい情報でも、必要とする人のところに届かなければ何の意味もないわけでございますので、ぜひともそのあたり、常日ごろ御検討いただければ、そんなふうに思います。
 時間もだんだんなくなってまいりました。密集市街地の方にも触れたいわけでございますが、後ほど津川議員の方からそのあたりは徹底して質問していただけるということでございますので、私は、水害あるいは災害に対してどういう安全性の哲学で臨んでいかれるのか、そんなところをちょっと切り口を変えて質問してみたいと思います。
 最近よく土木学会なんかでも提起されているんですけれども、むやみやたらに対策をするといいますか、それはどうなんでしょう、お金があり余っていて、例えば太い柱、厚い壁をどんどんつくっていける経済的な余裕が仮にあったとしても、それが本当にいいかどうか。
 提言されている言葉を使わせていただきますと、これはちょっと地震のときを想定してあるわけでございますが、一つの考え方として、災害の規模を分けて、規模の大きい災害に対しては、災害発生時の都市システム全体の機能性を考慮して、損害回避便益と対策費用を費用便益分析して考えていくべきではないかという考え方が提唱されているわけでございます。これは、ある面、割り切りをしなきゃいけないということも言っているわけでございまして、かなり国民的な議論が要るようなところでございます。
 ただ、お金も時間も有限と考えた場合に、ある面、ここは壊れてもしようがない、けれども、ここは絶対に壊しちゃいかぬというような割り切りで、重点的な整備のあり方というのもある一つの割り切りで考えていかなきゃいけない。ただ、そのときに何らかの基準を設けないと、また、自分のところだけ、自分に有利なところだけ整備してという話が出てきても、これは何の論理性もないわけでございます。
 そのあたり、損害回避便益と対策費用との関係を費用便益分析して検討していくということはお考えになっていらっしゃるかどうか。
澤井政府参考人 密集市街地の整備ということとの関連で、ただいまの先生の御質問について御説明したいと思います。
 土木学会の提言のお話がございましたが、これは地震動の二段階設計法ということと承知しておりまして、主として土木構造物の地震に対する対応の考え方だというふうに承知しております。
 まず、レベル1というのがありまして、これは、当該土木構造物の供用期間の中で一回ないし二回の確率で発生する可能性がある地震、激甚な地震に比べればやや軽い、ただ被害が生じる可能性がある、そういう地震だと思いますけれども、そういうものについては、基本的には、被害が発生しない、そういうレベルの耐震性能が必要である。
 一方で、例えば阪神・淡路大震災のように、発生する確率は極めて低いけれども、一たん発生すると甚大な被害が起こり得る、そういう地震については、例えば橋でいいますと、橋脚のひび割れなど、ある程度の被害の発生はやむを得ないけれども、例えば橋が落ちてしまうというような致命的な事態には至らないようにすることを求める。そういう地震動とそれに対応する被害レベル、これを二段階に分けて対策をしていこうということだというふうに理解しております。
 こうした地震動による土木構造物の被害に関する考え方がそのまま市街地火災に対する対応に当てはまるかどうかは一応別といたしましても、被害がある程度出ても、致命的な被害にまで大きくなることはないような方策をとるという点におきましては、今回の密集法の考え方は思想として共通しているところはあると思っております。
 すなわち、今回の改正法では、一つには、中にたくさん木造建築物がある市街地全体を、まず大きく道路や公園で、これは防災環境軸と我々は俗称しておりますが、そういったもので区画いたします。建物でいいますと、ある建物の部分が燃えても建物のほかに広がらないように防火区画というものが基準法で求められますけれども、いわばそれを町全体の中でつくろう。そういうことによって、あるブロックで火災が発生しても他のブロックには燃え広がらない、あるいは、自分のところで火が出ても他のブロックに広げない、そういうことで被害を最小化して、致命的な被害を防ぐということを一つは目指しております。
 また、建物の建てかえでございますが、一〇〇%不燃建物になって全面的に建てかわっていくということが究極の理想であるということは言えるとは思いますけれども、一方で、道路とか公園等のオープンスペース等、それから、耐火建築物の敷地の面積の合計がある地区の面積の中で四割、これは不燃領域率というふうに言っておりますけれども、四割を超えますと、市街地で、あるところで火事が起きたときの延焼速度が急激に落ちるという知見がございます。いろいろな実験とか過去の経験から通じて得られた知見でございますが、そういう知見がございます。
 したがって、建築物につきましても、同様に、致命的被害の発生を食いとめる見地に立って、当面、私どもは、このおおむね四割という不燃領域率の達成を目指しまして、共同建てかえが進むことを一つは期待しているわけでございます。
 費用便益分析というお話がございましたが、土木学会の提言の中でも、壊滅的被害を回避することの費用便益分析の手法はまだ確立されておらずに、これから確立するんだということが入っております。
 これは、あるところの壊滅的被害が全国に波及するような例もありますし、また、例えば人々の心に非常に大きな心理的な後遺症を残すということもあります。そういう被害が回避されるということがどのぐらいの便益かというのは非常に難しいと思うんですけれども、ただ、先ほども申しました密集法の目指すところというのは、当面、いわば最低限の安全度を達成すべきだということで、強力に推進しなければいけないものと考えております。
鈴木政府参考人 お尋ねの件で、都市水害の関連について御説明申し上げます。
 説明はできるだけ重複は排除したいと思いますが、都市のシステム全体を考慮した危機管理と申しましょうか、そういったことが大事だという点を踏まえての御質問だと思います。
 私たちとしましては、都市システム全体の機能性に配慮した対策、全くそのとおりでございまして、言ってみれば、そのためのハードのエースはスーパー堤防ということになります。これは、従来の堤防の考え方をちょっと変えまして、堤防が、仮に超える、自然現象ですから堤防を超えることはある、超えても切れないということにすると、これは大変な、被害を格段に減らすことができるわけです。これには時間とお金もたくさんかかるわけでございます。そういったエースと申しましょうか、そういったものを中心にハード対策は推進してまいりますし、それから、先ほど来御質問がございましたように、ハザードマップの整備等々あるいは河川情報の伝達等々、いろいろないわゆるソフト対策を進めるわけでございます。
 何よりも大事なことは、本法案において流域水害対策計画というものをつくることになっております。これは、水害の専門家、浸水の専門家の河川、下水というだけではなくて、その流域全体を所管している県知事さんあるいは地元の市町村、そういったものが四者で、きちんとこの計画をつくるということになっているわけで、ここが大事な点でございまして、その中では当然、御指摘のような都市全体の危機管理というような点、あるいはいろいろなライフラインもあるわけでございます。そういった点について、どうしたらいいのかというようなこともきちんとこういった策定の中で議論されて、そういったことに万全を期されることが望ましいと考えているところでございます。
伴野委員 人間一人一人に尋ねれば、多分、自分は常に安全で守られるところにいたい、自分のいる地域は最優先して、防災上あるいは災害上も安全でありたいと思うのが人の気持ちかもしれませんが、限られた財源と限られた時間の中で対策を打っていくわけでございます。やはり重要なのは、公平、公正な一つの戦略だと思うんですね。また、その戦略に基づいてどういう実行が行われたかということを事後評価していく、さらに、それに説明をしていくというのがまさに行政の務めじゃないかと思います。
 その一方で、安全というものは、いつも行政任せでいいというものではないと私は思うんですね。一人一人が獲得していくものだと思うんです。
 このあたり、ちょっと今から大臣にお聞きしたいと思っているんですが、やはり日本人というのは諸先輩方のおかげで、私なんかもおぎゃあと生まれてから、非常に安全なところで暮らしてこれたと思うんですね。最近はちょっと犯罪率が高くなっていますから一概に言えないと思いますが、でも、世界に比すれば非常に安全な国で住まっているわけでございます。だから、そういうところに住まっていると、安全というのは日常的にだれかから与えられて確保できているんだと錯覚しがちなんですが、本来、諸外国なんか見ていましても、やはり安全というのは獲得していくものなんだと思うんですね。ある面、経済的に獲得していくこともあるのではないかな、ある代償を支払って獲得するということもあるんだと思うんです。
 そういうようなことで、これはちょっと哲学的なお話になるんですが、大臣は、安全性、経済性、利便性の関係についてどんなお考えを今お持ちか、お聞かせいただければありがたいと思います。
扇国務大臣 今、伴野議員がおっしゃった、安全性というものの確保にどのようにということですけれども、これは少なくとも平和維持と同じような哲学的なものがあろうと私は思います。
 それで、では安全性のためにはどうするかということで、今るる論議いただきましたように、建物を一〇〇%不燃化する、また、水害というものに関して浸水被害をゼロにするような、防災上の面から完璧を期す、それは理想だと思うんですね、そこまでできれば。
 けれども、それをできないのが現状でございまして、今回この二つの法案を一緒に出させていただいたというのは、現状を踏まえてさまざまな、先ほども私いろいろ申しました、そういうようなことを組み合わせて、今、伴野議員は面の広がりをとおっしゃいましたけれども、私は、この二つの法案を一緒に審議していただいて、そして着実かつ段階的に安全性の向上を図る。今、伴野議員は面とおっしゃいましたけれども、この二つの法案を一緒にすることによって、治にあって乱を忘れず、恐れずというような、この対策が初めて、国土交通省が一緒になった利点というものがこういうところにも出てくる、そのように私は思っています。
 なぜなれば、先生はあの名古屋の水害のすぐそばですけれども、私は神戸ですから阪神・淡路大震災のところで生まれ育ちましたので、あのときのことを考えましても、建築物の安全の建てかえを進めながら、町全体を道路や公園等によって区画するということで火災が燃えにくくするというのは当たり前の話です。
 けれども、現実を見ますと、あのときに、東海のときもそうですね、先生のおっしゃった水害のときもそうですけれども、名古屋にあります自動車メーカーというのは、あのとき、一つの工場で浸水によって部品の供給がとまってしまったんですね。そうしますと、あの水害で、東北から九州まで二十四の工場でその部品がないために生産がとまってしまったということで、約一万七千台の車の生産が先送りされた。今先生がおっしゃるように、そういう経済面でも大きな損失をもたらす。また、これが、経済面だけではなくて、実質、車の出荷ができなければ、多くの契約者に対しても利害的にも損失を負わす。
 そういう面で、本当に私は、今回のことでも、阪神・淡路大震災のああいう災害と、そして河川あるいは集中豪雨による都市災害、そういう両方のものが一緒になって初めて、治にあって乱を恐れずという対策がとれるということを如実にあらわした提案を私たちは今回させていただいた基本があろうと思っていますので、そういう面では、まだ足らざるところはるる御指摘いただいて、今後参考にしていくべきだと思っております。
伴野委員 ぜひ、その思い入れで臨んでいただければ、そんなふうに思います。
 あと時間が二、三分ございますので、これは私の勝手な提案的なものだと思ってお聞きいただければいいわけでございますが、先ほどハザードマップのお話が出たわけなんでございます。
 一つは、防災の日とか、防災というのは、先ほど政務官、防災の大会にもお出になる。そのとき、ハザードマップを使ったオリエンテーリングとかをやってみるとか、それでちょっと遊び心を含めて、ゲームを入れながら、自分のところの地域のハザードマップがどうなっているのか、最終的にそれをよく理解した人がティッシュペーパーを三つぐらい余分に持っていけるとか、そんなようなこともあると、いつもいつも、来賓の方が来て防災についてのコメントをして帰って終わるというよりも、せっかくですから、ぜひ、そういう遊び心を入れていただいて、住民も参加して、子供も参加して、お父さんからお母さん、子供まで一緒に、ハザードマップ、自分のところの地域を見ながら、オリエンテーリングをしながら、一日ぐるっと回って汗をかいてもらって、いい点数がとれたね、ああ、ここで避難すればいいのか、ここは決壊する一番危険なところだというようなことを一緒に見ながら、最後にティッシュペーパーをもらって帰っていってもらうというようなことをぜひやってもらってもいいんじゃないかなと勝手に思うわけでございます。これは御検討いただければありがたいかと思うんです。
 それは何を言いたいかと思いますと、やはりすべては、最終的には被害を受けるのも地域の人ですし、一番関心を持ってもらわなきゃいけないのも地域の人だと思うんです、特に河川あるいは密集市街地においては。
 今回、法案の中に、河川管理者は、流域水害対策計画において必要があると認めるときは、学識経験を有する者の意見を聞く、必要があると認めるときは公聴会の開催等特定都市河川流域の住民の意見を反映というようにあるわけなんですが、確かに、ハザードマップのモデル式をつくるとかメッシュをどうするかとか、学術的なものは学識経験者に聞くべきだと思うんですね。
 ただ、河川の今の実態がどうなっているかとか、先ほどちょっと言った、目の前の、家の前の貯水が詰まっているとか詰まっていないとか、あるいは二十年前の水害ではここの堤防のこの地域から水が出だしたら一気に水が出たとか、そういうような知識というのは、沿川のおじいちゃん、おばあちゃんなり、やはり沿川の人が持っている。ずうっと昔から耳で学んできた知恵みたいなものがあると思うんですね。
 そういうようなものは、住民の意見を聞くという立場ではなくて、常日ごろコミュニケーションをして情報交換していた方が、私は、いざというときに、やはりフェース・ツー・フェースの情報伝達というのが基本だと思いますので、そういうことを日常的におやりいただく意味でも、通り一遍のような、必要なときには住民にも話を聞くよという立場ではなくて、常日ごろお聞かせください、あるいは一緒に河川流域を歩きましょう、ハザードマップを使って一緒に歩きましょうというぐらいの気持ちの前向きさがあっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
高木大臣政務官 今、河川管理者が学識経験者、住民の意見を反映するということについてのお尋ねでございました。
 まず、流域水害対策計画の策定に当たって学識経験者の意見を聞くこととする、これは、学識経験者の有する専門的な知見をもとにした意見によりまして、流域水害対策計画の内容の客観性または公平性、いわゆる専門家でございますから、そういったものを確保するために行う。
 また、住民の意見を聞くこととしておりますのは、地域の意向を反映するための手続の一環として、関係住民の意見を反映させるために必要な措置を行うということにしている。
 これらの意見聴取の必要があると認めるときは、軽易な事項に関する一部変更の場合を除いて、原則として意見を聞くこととなると考えております。
 今伴野議員が御指摘のように、ふだんからのそういう意見をしっかり聞いていく、または、そういった問題について問題意識を互いに持っていくということは重要と考えておりますので、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
伴野委員 政務官の前向きなお言葉をいただきまして、安心いたしました。ぜひぜひ、この二法案、特に被害を近々にお受けになった住民の方にとってみれば、待ちに待った法案でございますので、より具体的に、効率的に成果を上げていただければ、そんなふうに思います。
 では、後々の質問は同僚の津川議員にバトンタッチしたいと思います。ありがとうございました。
河合委員長 津川祥吾君。
津川委員 引き続きまして質問させていただきます。
 民主党の津川祥吾でございます。よろしくお願いします。
 先ほど、冒頭、伴野委員が大臣にお答えをいただきましたが、今度は、私は局長の方にお伺いをします。
 都市部での河川流域での浸水被害が頻発をしているという原因をどのように認識しているか、河川局長にお答えいただきたいと思います。
鈴木政府参考人 都市部で浸水被害が頻発している原因ということでございます。
 先ほど来お尋ねいただいているところでございますが、一つには、我が国が、基本的に、国土面積の一割にしかすぎないはんらん区域に五割の人が住んでいる、資産は四分の三が集中している、そういうことで御理解いただけるように、潜在的に水害に対して脆弱な地域で多くの人々が生活している、そして主要な経済活動が営まれている、これがございます。
 もう一つ、今回の法案との関連でも申し上げたいんですが、都市化というキーワードで説明されることがございます。
 一つは、都市化、市街化が進展することによって、森林や農地がなくなることを通じて、一度に大量の水が集中してくるというような都市化の問題、水がふえてくるという問題。もう一つは、都市化によって、浸水のおそれが高い低地に人口や資産の集積が進んでいる。さらには、地下鉄だとか地下街、そういったような都市機能を麻痺させるような問題も起こっている。これが都市化ということ。それからもう一つ、都市化ということに関連して、治水対策そのものが非常に困難になってきている。用地費がかかるとかいろいろなことで、類推いただきたいと思いますが、そういった都市化に関連することが三点ほど挙げられようと思います。
 もう一つは、気象に関することでございますが、最近では、時間雨量が百ミリを超すような豪雨が、これは私たちの常識ではめったにないことなんでございますが、これが大変ふえてきているというふうな、そういったことが相まって浸水被害が頻発している、このように認識しております。
津川委員 最後に言っていただいた都市の集中豪雨、スコールがふえてきた、その原因は何だと考えていますか。
鈴木政府参考人 雨というものを一番マクロにとらえますと、年間の降雨量という見方で見ることができます。これは、最近といいますか、観測以来百年間のデータを見てまいりますと、年間の降雨量が百年間で七%ぐらい減っているんです。ところが、すごく降るときの雨の量もふえていますし、すごく降らない年の雨の量も減っているという意味で、マクロに見るとそのような現象があらわれております。
 そして、多くの気象学者が、そういった特にCO2の問題とか海面上昇の問題とかいういろいろな問題が私たちの耳によく届くわけでございますが、実は、降雨ということに関しても、そういった地球温暖化等の原因によって雨がすごく降るところとすごく降らないところが拡大するというような指摘がなされているわけでございまして、そういった長期的な気候変動の問題、これはあろうかと思います。
 一方、先ほど申し上げました短時間の雨量がすごく大きくなってきているという問題について、これを具体的に申し上げますと、過去三十年間で百ミリを超すような雨が、最初の十年間が二十二回だったと思います。その次の十年間が二十三回、最近では七年間で三十四回ということで、これは十年間に引き伸ばしますと五十回ほどの回数になるんですが、急激にふえてきている。この問題を先ほど来申し上げている長期的な気象変動という問題と直接リンクさせることは、これはちょっと無理があるのかな、これは専門家に聞いてみないとわかりませんが。
 ただ、気になることは、ヒートアイランドとかそういったような局所的な現象の関連もあるかもしれない。その辺の原因について、私たちも専門家ではございませんから、なかなか難しい点があるんですが、いずれにしても、そういった現象が起こっているということを私たちは承知しておく必要があるだろう、このように考えております。
津川委員 これまで治水といえば、基本的にはダムと堤防だったわけですが、それで対応できなくなったんですね。それがよくわからないんですが、ダムをしっかりつくるなり、堤防をしっかりつくればいい話であると思うんです。
 いや、そうじゃないというふうに副大臣が頭を振られていますが、私もそうじゃないと思うんですよ。そうじゃないと思うんですが、つまり、これまでのやり方の中で不十分な部分として、実はダムの機能がコンクリートダムよりも、いわゆる私たち民主党がこの場でも何度も言わせていただきましたが、緑のダム構想というものがございます。そういったやり方の方が、むしろ気候変動ですとか集中豪雨ですとかそういったものにも対応しやすい。コンクリートダムの場合は、一定規模のところまでは当然対応できますが、それを超えた途端にある意味で何の機能もなくなってしまう。そういったものから考えると、森林整備も含めてやはり両方が必要なんだろうということだと思います。
 都市部においてという話も今ありましたが、例えばヒートアイランド現象の話をされました。ヒートアイランド現象が一つの原因かもしれないというのなら、このヒートアイランド現象対策をするというのも実は治水対策の一つ重要なところだと思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。それはまだわからないことだから対応のとりようがないという発想でしょうか。
鈴木政府参考人 ヒートアイランド現象と都市部における豪雨という問題を関連づけてきちっと説明している方もおられるわけでございます。
 ヒートアイランド現象という問題については、そういった水害という問題だけではなくて、さまざまなエネルギーの問題、都市の環境の問題、いろいろな面がございますから、これについては、あるいはそういった御指摘のような水害対策というような点からも進めるべき課題だろう、このように認識しております。ただ、実際のやり方については、まだいろいろな形で現在検討中だということでございます。
津川委員 次に、もう一つの法案の密集市街地の方も質問させていただきますが、例えば密集市街地みたいなところを上から見ると、ほとんど屋根なんですね。その地域の土地が屋根で覆われている。そういう意味でいくと、屋根に降った雨水をこの法律ではどんどん下に浸透させるというようなことを考えています。
 それもある意味自然の流れかもしれませんが、もっと活用してもいいんじゃないだろうか。屋根に降った雨を、例えばトイレの水に使うなんということを大規模な施設では最近されているようでありますが、個人の住宅ですとかあるいはもう少し大き目の建物で雨水をもっと積極的に活用するというやり方をする。
 あるいは、ヒートアイランド現象に対する対策としては、やはり屋上緑化をふやしていく、推進していく。例えば、屋上緑化をしても水をまかなくちゃいけないわけですが、水をまくのに水道水を使うんじゃなくて、雨水を使えばいいわけですよ。そうすればお金もかからないんです。トイレの水はきれいな水がいいという人がいるかもしれませんが、車を洗うなら、多分そんな程度の水でもいいと思いますし、あるいは庭に水をまくというんなら、多分間違いなく雨水をためたもので十分であります。
 そういった意味でも、雨水の貯留升をコンクリートでまたどんどんつくろうという発想ではなくて、これは、要するにコンクリートダムから緑のダムへという考え方と同じでありますけれども、都市に降った雨も、コンクリートで何とか管理しようというのではなくて、これをためる、ため方はいろいろあるかもしれませんが、とりあえずためて、それをまいて使う、それで緑化をさせるということも、これは重要な政策ではないかと思いますが、雨水をもっと積極的に利用するべきではないかということが一つ。
 それからもう一つは、屋根とアスファルト道路に覆われているというようなことが言われますが、道路の浸透性舗装の普及というものも図っていくべきではないかというふうに思います。これは、アスファルトだけの問題じゃなくて、路床の問題も絡みますので、その二点、都市・地域整備局長と道路局長になるのかな、それぞれお答えいただけますでしょうか。
澤井政府参考人 まず、雨水の有効利用ということについて申し上げたいと思います。
 今回の水害法の中で浸透と言っておりますのは、御承知のとおり、河川への流出の抑制のために、いきなり下水道に流し込むんではなくて、できるだけしみ込ませるということをやっているわけです。それとは別に、今御指摘のような水資源の有効活用とか、地下水の涵養とか、それからそれを使って屋上緑化をやれば、葉っぱとか土からの蒸発散で気温も下がる、そういう対応もできると思います。それは御指摘のとおりだと思います。
 例を申し上げますと、例えばドラム缶などを活用して雨水タンクをつくったり、それから、これからふえるだろうと思いますのは、今まで合併浄化槽を使っていた地域に後から下水が入ります。そうすると、下水道へ直結できますので合併浄化槽が不要になります。それをほっておきますと、埋めてしまうとか、壊してしまうということになるんですが、その槽、かなり大きゅうございますので、それを再利用する。洗浄して、くみ上げポンプのようなものをつけて、それを散水用水なんかに使えるように、水槽として再利用するというような取り組みももう既に始まっております。
 こういったことについては、国や公共団体の補助とか政策融資、場合によっては税制度というようなことも制度として今ございますので、そんなことも活用しながらやっていきたいというふうに思っています。
 なお、念のためですけれども、今回、下水道を排水升ではなくて貯留浸透升にするというのは、先ほど言いました流出抑制を図るという観点なものですから、いざ雨が降ったときに必ずあいていないといかぬということで、水を有効利用する観点から、それをためるということと両立させるというのがなかなか難しいんではないか。先ほどの雨水タンクとか、浄化槽の槽とか、そういったもので、そういったことをやっていきたいというふうに思います。
佐藤政府参考人 浸透性舗装についてのお尋ねがございました。
 道路における舗装というものは、先生御存じのように、普通の舗装のほかに、私どもいろいろな実験をしたりしながら、排水性舗装、それから透水性舗装と言っておりますが浸透性舗装、それから保水性舗装、こういうのがあります。
 透水性舗装、こういうことでございますが、これにつきましては、降った水を地中に浸透させる、そこで、最初は車道ではなかなか難しいかなということで、歩道から、試験施工から入りまして、現在では全国で六百二十キロほど歩道の透水性舗装を実行しております。
 そこで、車道ではどうか。先生御指摘のように、路床も含めてちゃんとした舗装ができるか、こういうことが問題になるものですから、そういう意味では実験も多少やってきておりますが、十五年度から本格的に施工してみようということで、全国で十カ所、車道の透水性舗装の試験施工をしてみよう、こういうふうに考えております。これらの結果をまとめながら普及を図る、こんな手順でいきたいと思っております。
 もう一つ申し上げますと、保水性舗装、先ほどヒートアイランド、こういうお話ありました。保水性舗装、これを都市の中の人口稠密なところで実行してみる必要があるんではないか、そう考えておりまして、これにつきましても、この二、三年来、いろいろなところで多少の実験を繰り返しておりますが、平成十五年度につきましては、五カ所ほど、車道の保水性舗装、降った雨を舗装の中にためておく、ブロックであるとか、いろいろなやり方がございまして、どういうやり方がいいか、それから経済的にも、ある程度の経済性を持たなきゃいかぬ、こんなこともございますので、そんな実験をするということにしております。
 いずれにいたしましても、単純に舗装さえすればいいんだ、こういう思想ではなくて、私どもも、雨水対策、洪水対策、あるいはまたヒートアイランド対策、いろいろな面でさまざまな施工を、技術開発をしてまいりたい、こう思っております。
津川委員 道路の話はよくわかりました。ただ、お金がかかる話でありますから、なるべく低コストでどんどん進めていただきたいと思います。
 雨水の利用については、ちょっとどうかなというふうに思っているんですけれども、もう少し積極的にやっていいんじゃないかと思いますし、極端なイメージですが、屋上をそれこそ水槽にしてしまう、一メートルぐらいたまる水槽にする。降った雨がそこにたまって、少しずつ使って、少しずつ減っていく、当然蒸発もしていく。
 それから、例えば二百ミリの雨が降ったらオーバーフローするんじゃないか。確かにするんですが、それでも百ミリ分はそこにたまるわけですから、全然違う話でありまして、それで家が崩れるかというと、そんなやわな家をつくられても困るわけです。大体、そのぐらいの重みには耐えられるように家は建てなきゃいけないことになっていますから、本当に水槽が家の上に全部できるのがいいかどうかわかりませんが、そういうことの方が効果もあるし、金もかからないし、大変よろしいんじゃないかな。水をむだに使わなくてもいいということも考えて、そういう発想をぜひ進めていただいて、貯水、遊水地をとにかくたくさんつくるということよりも、積極的に考えていただきたいなというふうに私は思いますので、これはちょっと提案だけにさせていただきます。
 もう一つの方の法律に行かせていただきます。
 密集市街地の防災街区の整備促進に関する法律の改正案でありますが、特定防災街区整備地区というものをどのように指定するのかということをお伺いしたいわけであります。
 要するに、密集市街地というものがあって、その中でこういうところを指定するんだと思いますが、先ほど来説明いただいているとおり、その中の一部に不燃地域というものがあれば、その地域の延焼が一挙に低下をする、四割になれば急激に減るという話でありますが、最終的には四割ぐらいを目標にしたとしても、すぐにはなかなかそこまでいかないでしょうけれども、一カ所そういうものがあれば大分効果があるという話を伺います。
 ただ、仮にその指定された地域の端っこの方に我々はやりたいと言って、同意をしてやったとしても、これは地域の全体の効果から見れば、余り望まれた成果が得られないんじゃないだろうか。どちらかというと、その指定された地域の真ん中あたりでやっていただくのがいいというふうに思うんですが、この指定の仕方と、実際にその中でどの辺でやるのか、この辺の調整をどのようにするのかということ。あるいは、もう一つついでに質問しますが、その指定された住民の方々にどのようにこの制度というものを周知していくのか、この点についてお伺いをいたします。
澤井政府参考人 まず、特定防災街区整備地区をどのような基準で指定するかということでございますが、この地区は、道路、公園等防災上重要な公共施設の整備、建築物の耐火性能の向上、さらには建築物の共同建てかえの促進などによりまして、密集市街地の防災上の安全性を確保すべき地区として都市計画で決めます。
 この指定につきまして、定量的な基準があるわけではなくて、地震時に大きな被害を想定される危険な密集市街地内において、防災機能の効果的な向上を図るために、二つのパターンに大別できると思います。道路、公園等の防災公共施設、道路の両側とか公園のそばに一体的にそういう燃えない建物をつくることで、道路や公園の延焼遮断機能や避難機能自体を向上させるというパターン、それから、密集市街地の木造建物が建っている中で、ある不燃建築物の領域をつくるということで、それが一種の壁になって延焼遮断するという二つのパターンがあると思っております。
 具体の指定は、これは場所によって、地区によって、建物の建て方、建て詰まり方、道路の入り方、いろいろな状況がありますので、個々の場所ごとに考えて効果的なところを決めていくという以上に申し上げられないと思いますが、今後、この法案が成立いたしますれば、具体的に公共団体のいろいろな経験もお聞きしながら、逆に一種のガイドラインのようなものも考えてみたい。
 なお、そういう意味で、密集市街地の端っこに決めたら効果がないではないかという御質問でございますけれども、例えば密集市街地が、明確な線がなかなか引けないと思いますが、ある一定のエリアがあると仮定します。そのエリアの一番東側にこの防災地区を決める。そうすると、東側だから、その内側に対して何の効き目もないじゃないかというふうに思われるとすれば、例えば冬の北風の中で火事が起きた、そうすると南側にはきくとかいろいろありまして、どんな地区でも、おおむね一定の延焼遮断効果というのを密集市街地の他の地区に持っているのではないかというふうに我々は思っております。
 こうした重要な地域だと思いますので、今後、住民の皆様にもこの制度の趣旨が、公共団体あるいはNPO法人を通じて十分に伝わって、逆に住民の皆様からこの町をこういうふうに安全にしたいという御提案がいただけるぐらいまでに我々も頑張っていきたいというふうに思っております。
津川委員 全くむだにはならないでしょうけれども、密集市街地の中での延焼の防止を期するものであるならば、やはりそれは端っこじゃなくて、できれば真ん中という話になると思うんですね。その辺の指定の仕方は、具体的な話になるかもしれません。もう少し具体的なイメージがあれば教えていただきたかったんですが、今後も、進めていく中で、ぜひそういったことを御考慮いただきたいということ。
 それから、そういうものを仮にやれば、告知のやり方ですがやれば、例えばその地域の火災保険の見方がちょっと変わってくるなんという話になれば、ああ、ではやろうかなという話にもなろうかと思いますから、そういうようなこともぜひアイデアとして持っていただきたい。
 それから、もう少し中身の話で、数値でありますが、これまでもその地域の方々全員が賛成して全員でやればできたわけでありますが、今回の改正のポイントは、これは三分の二でもいいというのが一つのポイントだと思います。
 何で三分の二なのか。この数値でありますが、区画整理の考え方でいくと三分の二ですから、それに倣ったのかなというふうにも思うんですが、この委員会で割合最近に議論したマンションの建てかえの方は五分の四なんですね。五分の四で、なおかつ、あれはマンションでこれは地域だと言うかもしれませんが、あのマンションのときに、特に危険なマンションは勧告を受けて、それで建てかえなければいけない、そのときでも建てかえ決議は五分の四です。要するに、地域の防災上の公共性があるからといっても、マンションのときもまさに同じような議論をしたはずです。そのときが五分の四で、こっちが三分の二。この三分の二の根拠は何か、これで適当と思うかということをちょっとお示しいただきたい。
 それからやはり、同じ議論になりますが、同意されなかった方々の権利をどのように保障するか。それから、金銭的な補償というものも考えられているようでありますが、その補償はだれがやるのか、その財源は何になるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 まず一点目でございますが、組合施行する場合、三分の二以上の同意で実施できるというその三分の二の根拠はどうかということでございます。
 まず、これまでは密集市街地におきましては、委員御指摘のとおり、全員の同意を前提にして事業を実施してきたわけですが、実際には、少数の反対者の方によって、事業を断念せざるを得なかったというケースもあったわけでございます。
 阪神・淡路大震災の悲劇を二度と起こさない、繰り返さないということからしますと、大火の可能性が高い密集市街地を緊急に整備するということで、どうしても事業を行う必要性が高いという場合もございます。
 その場合には、最終的に一部の権利者の方の同意が得られないという場合においても、いざというときには強制力を行使できるという制度が必要だということで、この制度を考えたわけでございますが、やはりその際、事業を進めていく上の権利保護という観点からも、単に過半数ということではなくて、ある程度の多数の同意が必要だ。一方、余りに多数を要求するということになりますと、極めて高い公共性を有するにもかかわらず、円滑な実施が困難ということが出てまいります。したがいまして、三分の二という数値を採用した。
 御指摘のとおり、土地区画整理組合あるいは市街地再開発組合も同様の考え方で、三分の二以上の同意を得るということでございます。ただ、三分二の以上でできるということではございますが、実際の事業は、できる限り多数の同意を得て進めるべき性格のものだというふうに考えております。
 また、地区外に出るような方々の権利はどのように保護されているかということでございます。
 基本は、権利変換という手法でございますから、従前の資産に対応して、従後の施設建築物の中に権利を位置づけるということでございますが、どうしても参加できない、同意をしない方に関しましては、この権利に見合う補償金を受けて転出するという仕組みになります。ただ、その場合も、できるだけ事業のコストが施行者の負担にならないように、国としてもその補償費、移転に対する費用、そういったものに対する補助制度を用意しております。それらの費用は、足らない分につきましては保留床によって賄われるということでございます。
 また、どうしても転出せざるを得なくて、居住の安定のためにはどこかにそういう場を確保する必要があるという場合には、従前居住者用の賃貸住宅制度というものも用意しておりまして、そこに入る場合には、その方々の所得に応じた家賃対策を実施するということを考えております。
 また、そういった金銭補償等の財源はだれがどういうふうに賄うのかということでございますが、基本的には施行者が支払う補償、これは今言いましたように、補償は当然施行者が払うというのが原則でございますが、その補償費について、できる限り施行者の負担にならないように、ひいては全体の権利者の方々にも不利にならないように、補助制度を用意しております。国と地方公共団体でその三分の二を賄うというような補助制度を用意しております。
 最終的に保留床の処分金で全体賄われるということでございますけれども、それまでの間、例えば一時的に支出が必要となったケースにつきましては、住宅金融公庫による低利の融資制度というようなものも用意してございまして、そういった、途中で資金ショートしないような制度も用意しているところでございます。
津川委員 先日、私、個別にレクをいただきまして、その中で大変うまくいっている例を伺いました。確かに、うまくいく例もあるんだろうなというふうには認識をするわけでありますが、今、まず、本当に五分の四がいいのか三分の二がいいのかということについては、余り明確なお答えをいただけなかったんですが、やはりそれはちょっと問題があるのかなという問題意識を一つ言わせていただくのと、それから、権利を保障するという話をしていただきました。財源については保留床というお話をされました。ただ、これをやって、容積率を上げるというのはこの中には入っていませんから、そうすると、ひょっとしたら保留床はつくれないかもしれないんですよ。そうすると財源は全く出てこなくなる。これをだれが保障するのかという話があります。
 それから、仮に保留床ができた場合の話をさせていただきますが、私が心配する一つの問題は、根本的に都市に人が集まり過ぎている。その問題をやはり解決する必要があるという根本的な問題意識を持っております。
 例えば、職住接近、職場と自宅の距離を近くする。そして、近くした上で居住環境もよくするというような話がございますが、一つの考え方は、都市の居住環境をよくするというのももちろんありますが、職の方を地方に持っていく方が、これは考え方としては正しいのではないかと私は思っております。
 ですから、そういった意味では、都市の住環境をよくしてはいけないとは言いませんが、このやり方をしてどんどんよくなって、どんどん住みやすくなって、どんどん人が入っては、また地方はどんどん人が来なくなるという話もあります。このことによって地方が疲弊するかどうかはわかりませんが、基本的な考え方、流れとしては、やはり、地方に住んでいただくには、仕事があるだけじゃなくて、緑がいっぱいで環境がいいですというだけじゃなくて、例えば、教育の問題が保障されるとか、医療の問題が保障されるとか、あるいはそれだけじゃなくて、楽しくショッピングができるということも重要なことでありまして、その辺のことも含めた多極分散型の国土形成というのは私はやっていかなきゃいけないと思います。その大きな流れにこれが反してはならないと思うんですね。一度これをやってしまうと、じゃ、やはりまた今度は地方に行きましょうという政策をとるわけにいきません。
 この間、具体的に教えていただいた例が、必ずしも人口がさらに過密するというふうな数値じゃなかったものですから、それはそれでいいのかもしれませんが、でも、そうならないとは限らないというようなお話もいただきました。幹線道路の近くであれば認められている容積率が実は相当余っているから、そこでやると、まさに保留床がたくさんできるマンションができるかもしれないというふうな話もいただきました。
 そこで、根本的な話になりますが、やはり建ぺい率、容積率だけではなくて、都市には大体どのくらいの人が住むのが最も望ましいのかという数値をお持ちかどうか。要するに人口密度の話でありますが、適正であるという数値は大体どのくらいかということを、もしあるのであるならば、そのデータを教えていただきたい。上限がどのくらいということを考えているのかということを、もしわかれば、ぜひ今後の参考にさせていただきたいので、教えていただきたいと思います。
澤井政府参考人 多極型等の大きな流れにこの仕組みが反してはいけないというお話がまずございましたけれども、これは申すまでもなく、大都市、地方都市を含めて、いわば最低限の安全性も満たしていない地域は残念ながらまだある。それを緊急に解消するということがまず第一の目的でありまして、これはある意味ではミニマムのラインだと思いますので、必ずきちんとやらないかぬという課題だと思っております。
 今回の仕組みによって、これを進める上で、先生の方からも幾つか御指摘がございましたけれども、容積を上げるという仕組みはあえて導入しておりませんで、基本的には、安全性を高める、建物を不燃化する、それから防災区画をつくる、そういったことを主眼としてやるものであります。結果、具体の事例でも、従前よりも従後の方が住宅の戸数が減ったような例もあるわけでありますが、結局は、従前のような低層過密で道路も狭いような非常に建て詰まった居住環境が、ゆとりのあるものに変わっていくということをねらっているわけでございます。
 その上で、人口密度というお話もございましたけれども、これは具体的に数字で決まるといたしますと、個々の都市計画区域で、マスタープランの中で、何年後にこのぐらいの人口を目指し、あるいは想定して、いろいろな都市整備をしていこうというようなことが決まるというところで、個々の地域の人口密度というのは出てくると思うんですが、実際、これは言うまでもなく、地域によって、都市によって人口密度はばらばらであります。
 東京と外国を比べましても、東京の人口密度は高いように見えますけれども、パリとかニューヨークのマンハッタンなんかと比べると相当低いというような実態もございまして、申しわけございませんが、一概に、このぐらいの密度が適正だとか、あるいはこれが上限だということを一般論として論じるのは困難かと思います。
津川委員 ありがとうございました。
 まだちょっといろいろ議論させていただきたいんですが、時間ですし、一川先生がお待ちですし、また、我が党も次回、阿久津委員が大変鋭い質問をされるという話ですので、私はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 この前の一般質問の折にも河川の治水絡みのお話をちょっとさせていただきましたけれども、本日のこれまでの質疑を聞いておりましても、要するに治水対策的なものというのは、短期間でその事業効果を発揮するのは非常に難しい基本的な事業であるというふうに私は思っております。
 特に都市周辺部、今回の新しい法案を出されたその動機といいますか教訓は、平成十二年九月の東海地域の豪雨水害ですか、それを教訓にして出てきた問題でありますし、当時の建設省の内部にいろいろな検討委員会が設けられてこういう法案につながってきたんだと思いますが、これは大都市の周辺に限らず、我々地方の都市の周辺部においても、もともと、農業地帯あるいは農村地帯と思われるようなところには非常に住宅地が張りついてくるということで、そういう面で、いろいろな道路の整備ももちろんそうでございますけれども、特に排水面の、都市排水の整備というのが立ちおくれているというのは全国的な傾向だというふうに私は思っております。
 通常、何もそういう被害のないときには、それがごく当たり前だと思って余り問題意識もございませんけれども、万一大きな集中豪雨等があった場合に、何やっているんだということにすぐつながるわけでございます。そういう面では、今回のこの新しい法律を出されたいろいろな背景の中で、私は、これまでの都市政策、広く言えば都市政策だと思いますけれども、単なる治水のみならず、土地利用の問題とかそういうことも含めて、非常に反省すべき点があるんではないかというふうに思っております。
 流域の概念を問い出せば、それは先ほど大臣も答弁の中でおっしゃっていましたように、流域の上流部の森林の管理の問題なり、また背後地の農地の問題なり、そういうものがみんな絡んできておるわけですけれども、しかし、ある程度狭い範囲に限定した場合でも、ある程度の住宅地をその地域に張りつける場合には、しっかりとした社会資本を整備しておくべきだというふうに思います。
 そういう観点からしますと、今回こういう法律で、どうしようもない状態になってきたということでの法制度だと思いますけれども、これまでの都市政策的なものがやはり大いに反省すべきところがあるんではないかというふうに基本的に私は考えるわけですけれども、そのあたりに対するお考えをお聞かせ願いたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、我々は、ただただ住まいをつくり、より生活しやすい環境を求めていちずに走ってきた、その反省のもとはないかという一川議員のお尋ねですけれども、私は、そういう今までの政策の中で何が足りなかったかということを追求しながら今回の法案提出になった。
 また、法案提出に先立っては、御存じのとおり、旧河川法、私もこれは詳しく知らなかったんですけれども、明治二十九年につくられて、それ以来見直されていない。それで、河川法が厳然としてあって、これは縦割りでございましたから、そういう意味では、この明治二十九年につくられた旧河川法が、制定されて以来初めて総合的な法案ができたというのが今回の法案でございます。
 それは先ほどもお答えしていたとおりでございまして、あらゆる部局が一緒になってできた。その中では、少なくとも今までは、堤防の整備等を中心としてただやってきたというのが河川法の中身でございますけれども、いろいろな今日の事例を見ますときに、それだけではだめなんだ、川の堤防を上げただけではそれは防ぎ得ないということが如実にわかってきた。
 その中では、私たちは、なぜそれがおくれたのか。堤防自体もまず安全でないところもあります。それは、御存じのとおり、市街化の進展とかあるいは用地の高騰によって事業の実施が大きくおくれているというのも大きな原因です。だったら、河川ではなくて、新たに、先ほどからお話出ておりますように、下水道の整備との進度の調整を図ることができなかった、これも大きな原因だろうと思います。また、流域におきます雨水の流出の抑制対策とか、あるいは既存の防災調整池の機能の保全に対して法的な措置がなされていなかったというような個々の事例が出てまいりましたので、改めて旧河川法の、今申しました明治二十九年以来、今回は総合的な、先ほども伴野議員は面の面で広げたなというお話がございましたけれども、私たちは面だけではなくて、面も当然ですけれども、深さも、あるいは上の高さも全部含めた総合的な法案に今回は着手して御提案したというのが今の段階でございます。
一川委員 そういう面では、これまでの大都市における、特に新興住宅地域におけるいろいろな都市政策というものに対するやはり反省というものが根底にないと、なかなかこれからの施策が効果的に動いていかないのではないかというふうに私は思います。
 そこで、ちょっと具体的なお話で、この法案の中で十分理解できがたい点があるんですけれども、特定都市河川というものを指定していくわけです。これは私は、こういう指定をして物事を集中的に整備していくというのは当然大事なことなんですけれども、あわせて、都市河川、特定都市河川流域を指定していくという制度になっているわけですけれども、流域を指定しておけば、その中に包含されている河川というのはあえて指定しなくてもいいんじゃないかなという感じをちょっと持ったんです。
 お話を聞きますと、河川全延長、河口から上流地域までの全延長を指定するんじゃなくて、ある最も浸水被害が発生しやすい区間、河川を指定していくんだというような説明をお聞きしたわけですけれども、私は、その流域全体、今大臣もおっしゃったように、総合的な観点でいろいろな面で対策を講じていくということであれば、特定河川の流域というものにしっかりと着目してそこを指定していけば、その中の河川は余り細切れに区間指定をしない方がいいのではないかという気持ちを基本的に持っているわけですけれども、今回あえて河川の指定をこの法律で規定したその必要性というか根拠、そのあたりを御説明お願いしたい、そのように思います。
鈴木政府参考人 特定都市河川流域の指定だけではなくて、特定都市河川の区間を限って指定を行うということの趣旨は何か、こういうお尋ねでございます。
 これは、流域水害対策計画というのをこの法律によってつくることになりますが、流域における浸水被害対策が特定都市河川のどの河川区間のはんらん防止のために行うのかということをきちんと明らかにして、そして、河川管理者、下水道管理者あるいはそれ以外の公共団体がやる役割分担をきちんとする、それぞれの浸水被害対策の効果を明らかにする、そういったことによって浸水被害対策を進める、こういったことのために行うものでございます。
 また、浸水被害対策には民間に対する規制も今回含んでいるわけでございまして、この対策が必要な区間を明確にする必要がある、このようなことでございます。
一川委員 そういうことだと思いますけれども、指定された区間外で万一もし浸水被害等が発生した場合、また大変なことにもなるわけです。やはりその流域全体をしっかりと管理する中で、浸水対策ですか、そういうものを講じていくということは非常に大事なことでございますので、この指定行為そのものに余りこだわると、関係する地域でまたその指定の範囲でもめごとが起こるような感じもいたしますし、そういうことも含めて問題を提起しておきたい、そのように思います。
 そこで、今の特定都市河川の流域の問題で幾つかお尋ねしたいと思うんですけれども、この流域、どういう河川を当面指定するかということは、この前の豪雨水害等の教訓を得て、お話に聞きますと、鶴見川とかそういうようなところが一つの想定される河川になるらしいですけれども、規模的に、こういった指定する流域というのは、大きいところはどれぐらいの河川を想定しているのか、あるいはまた逆に小さいところはどういう程度の流域になるのか。我々地方に住んでいる人間からすると河川の流域というのはとんでもない広い範囲に入るわけですけれども、大都市の近辺ですから、河川によっては、多摩川みたいな大きな河川もありますし、そのあたりはちょっと、具体的な感じとしてどういうイメージを描けばよろしいのか、そこをまず御説明お願いしたいと思います。
鈴木政府参考人 特定都市河川の指定の大きさを中心に、イメージというお話でございます。
 これは、水系のほとんど全部が、実際には全部なんですが、全部が特定都市河川流域に指定されると想定される代表川種としては一級河川の鶴見川がございまして、これは流域面積が二百三十五平方キロというような大きさでございます。これはまさに、鶴見川においては横浜を流れていくんですが、二百三十五平方キロというと結構大きな流域と言ってもいいかもしれませんが、そのほとんどが、現状でも、八五だったと思いますが、都市化、市街化が進んでいる。さらにそれがもっともっと進展していくという非常に極めてまれな例でございまして、流域全体が指定される例としてはそんなようなものがございます。
 多くの場合は、例えば荒川水系というものを考えてみますと、流域面積全体で二千九百四十平方キロあるわけでございますが、この流域全体にわたって都市化が進展するということは、これは当然あり得ないわけでございまして、山のてっぺんから来るわけでございますので。ただ、その支川であります例えば神田川というふうに考えてみますと、これは百五平方キロあるわけでございますが、この支川の百五平方キロについてはまさに大変市街化が進んでいるということで、こういった流域を指定するという例でございます。
 大小あるわけでございますが、基本的には、千平方キロとかという、そういう大きな流域全体を指定するということにはなりません。
 指定される河川の数でございますが、全国全体で、大体でございますが、三十河川ないし四十河川というものを想定しておりまして、地域的には、三大都市圏や政令指定都市の都市部を流れる河川というものを大体今のところは頭に置いているわけでございます。
一川委員 そこで、河川局長にちょっと確認するわけです。
 今神田川というような事例も出されましたけれども、一つの大きな河川の支川なら支川単位で、特に都市化の進展しているところで浸水被害の想定されるところを指定されるということです。その河川としては、一つ完結した流域を指定するというふうに理解すればいいのかなという感じは私は持っていますけれども、例えば一本の河川で、全体の流域じゃなくてその一部分を指定するということもあり得るのかどうかというところがちょっとはっきりしないんですけれども、そこはいかがですか。
鈴木政府参考人 先ほど申し上げましたように、説明がちょっと不十分だったかもしれませんが、荒川流域という全体を指定するのではなくて、そのうちの部分的な神田川流域というものを指定いたします。ただ、法律の中に、細密なことを申し上げると、いわゆる河川の流域というだけでは、下水道の排水区域から流域をまたがって入ってきているという例もございますので、そういったことも考慮して、下水道の排水区域を含めたものとして今回の特定河川流域というものを指定することとしております。
一川委員 自然の河川の流域のほかに、今おっしゃいましたように下水道の流域も含めての指定だということで、それはそれで理解できます。ただ、私がちょっと確認したかったのは、荒川全体はもちろん指定しないですけれども、その中の神田川という支川を指定するときに、私は神田川という川は詳しくわかりませんけれども、神田川の流域全体を指定しているというふうに理解します。
 では、こういった流域を指定された場合に、その流域の中のいろいろな規制行為というのは当然出てくるわけですね。いろいろな反省も含めて、土地利用に対するこれからの規制だとかその見直しとか、あるいはまたいろいろな開発行為に対する規制ということも出てこようかと思いますけれども、従来のいろいろな開発行為に対する規制にプラスして、今回新たなそういう規制ということも含めて、この法案の中ではどういう対応になっているのか、そのあたりを説明願いたいと思います。
鈴木政府参考人 土地利用、開発行為等に対する規制措置についてのお尋ねでございます。
 本法案の規制は、浸水被害が著しく、市街化により従来型の河川改修のみでは浸水被害の防止を図ることが困難な特別な河川におきまして、流域全体で治水対策を行うことが社会的にも必要であり、そして、個々の活動に対して、開発というふうに言ってもいいのかもしれませんが、一定の規制をかけることが公益上も必要であると考えているところでございます。
 こういった考え方を基本に置きながら、一定規模以上の雨水浸透阻害行為については許可制にする、そして、その際、雨水貯留浸透施設の設置を義務づけるということを法律に盛り込んでいるわけでございます。
 そして、この雨水浸透阻害行為の許可に伴う際に、ただいま雨水貯留浸透施設の設置を義務づけるというふうに申し上げましたが、これは対策工事というふうに法律の中で言っておりますが、これは、浸水被害が発生する可能性を現状より悪化させない、こういう観点から、雨水浸透阻害行為の前後において、所定の規模の降雨に対して流出量が変わらないように、そういうことに限定して開発者にそういった義務を課すものでございます。
 また、既に設置されている防災調整池につきましても、一定規模以上のものにつきましては保全調整池という形で指定しまして、標識を設置するとともに、埋め立てられることがないよう、所有者に届け出義務を課すものでございます。
一川委員 新たなそういういろいろな規制的なものが入ってくるということだと思います。
 そこで、神田川の事例からするとちょっと想像しがたいんだけれども、ほかのそういう対象河川の流域の中には、私は、まだまだ農地が残されているような感じがするわけですね。そうした場合に、その流域に降った雨がどういう形で流出してくるかといったときに、農地に降った雨がどういう形で出てくるかというところをそれなりにしっかりと把握する中で、また、お互いに連携できるところは連携した方がいいと思います。
 この新しい法案の制度の中では、その流域内の農地に対するいろいろな対策というか連携的なものというのは何かあるのかないのか。農地の、水田とか畑によって、降った雨の貯留の能力は全然違うと思いますけれども、最近整備された農地であれば、割と畦畔の高さも高いわけでございますから、降った雨もそこである程度貯留される能力は持っていると思います。そういう面では土地利用にも絡んでくると思いますけれども、流域内のそういう農地とのいろいろな連携、対応ということについてはどういうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
鈴木政府参考人 流域内の農地の保全に関して、農業サイドとの連携ということに関するお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、水田等の農地の流出抑制効果について、農業サイドとの連携というのは大変重要だと認識しております。
 一般的に、水田等の農地は、宅地等に比べますと、降雨があった場合の流出を低く抑える機能、いわゆる保水、遊水機能があるわけでございまして、その機能を保全するということが大変重要であるというのが、基本的な考え方として持っているわけでございます。
 一方、そういった意味で、都市内における農地の保水、遊水機能の保全をする、そして遊水地や雨水貯留浸透施設の確保を図ることが大事だということでこの法律になっているわけでございます。
 その際、農地が持っております、まさに生産機能だけではなくてさまざまな多面的な機能があるわけでございまして、その機能をできるだけまさしく保全しながら、例えば雨水貯留浸透施設をつくるとか、そういったことが非常に大事になってくるわけでございます。雨水貯留浸透施設をつくる場合に、それを専ら雨水貯留浸透施設、調整池としてつくるということではなくて、例えば地上権を設定するというようなことで、もちろん一定の補償はするわけでございますが、農業生産活動は継続していただきながらそういった機能を確保するというようなこと等々、農業サイドとの連携については大変大事だと考えておりますので、今後、積極的に進めてまいりたいと思っております。
一川委員 今局長がおっしゃったように、通常の河川の治水対策の中でも、洪水期に農地に一時期水を貯留する遊水地的な機能を持たせるという施策も当然あるわけでございますが、そういうことの全体の中で、その流域の中をしっかりとお互いに連携をとってコントロールしていくというのは非常に大切なことだというふうに思います。
 特に、ちょっと冒頭触れましたように、新興住宅地域というのは、割と最近まで農地であった地域も結構あるわけです。そういったところには、農地は農地サイドとしての排水ポンプみたいなものを兼ね備えているところもあります。しかし、それはあくまでも農業を営むという前提での排水ですから、対象とする雨量なりいろいろな構造面でも、宅地を対象にした排水としては非常に不十分な面がたくさんあるわけでございますので、今回の法案の対象となる地域のみならず、私は、やはり都市近郊のそういう排水対策ということはもう一回しっかりと点検する必要があるのではないかという問題を提起しておきたい、そのように思っております。
 それで、こういった浸水を起こさないようにする河川の対応はもちろん大事でございますけれども、では、もし万一浸水が発生した場合に、できるだけ床上浸水にならないような格好で、逆に住宅そのものの構造をしっかりと点検して、直せるところは直しておくということも一方では大切ではないかというふうに思っております。
 特に、公共的な集会場とか学校的なものとか、あるいは福祉施設的なものも含めて、そういう公共的な建物については、ある程度高床式の構造に直していくとか、そういうことも含めた住宅あるいは建物の構造面での対応策をどのように考えておられるのか、お聞きしたい、そのように思います。
鈴木政府参考人 御指摘のとおり、建物の方を高床式にしていくということで、いざというときに、洪水が起こっても大丈夫なようにしておく、避難場所ですとかいろいろな公共的な施設については。全くそれは大事なことでございます。
 ワールドカップの決勝戦が行われました横浜競技場、あれは、私どもが直轄でつくりました遊水地の中につくられた、実は高床式の建築物でございます。こういったことが、施設の設置に当たって高床式にする構造上の措置は大変有効でございますので、関係機関と連携して、地方公共団体に周知してまいりたいと考えております。
 また、一般の住宅等についても、御指摘のとおり、高床式等の構造上の措置は大変有効な場合がございますので、そうした地域がございますので、こうした措置が進められるように、本法におきます都市洪水想定区域図、都市浸水想定区域図あるいはハザードマップ等々、そういったことを住民の方に公表、周知されるように努めてまいりたいと考えております。
一川委員 では、この法律に関する質疑は、まだ若干、後の時間もございますから、きょうはこの程度にしておきまして、次のテーマにちょっと移らせていただきます。
 密集市街地に関する法案があるわけですけれども、これも当然大都市を想定した法律の一部改正だと思いますが、一方では、地方都市における密集市街地というものも当然点在しておるわけでございます。今回のこういった密集市街地に対するいろいろな対応策としては、大都市のみならず、地方都市における、場合によっては、漁村みたいな海岸線と背後の山との間に非常に平地部が少ないようなところでは、相当住宅が密集したところもございます。そういう実態を考えますと、今回のこういった法律改正というのは、私は大都市のみではないというふうに思いますけれども、そういった地方都市の密集市街地も含めて、全国的に、今回のこの法律の一部改正はどこをねらっているのかというところを御説明願いたいと思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、そして朝からも議論がされておりますように、都市化というものの急激な変化、そして、今までは農地であったところが急激に都市化になっている。きょうも先ほどから東海水害、名古屋の水害、集中豪雨の話が出ておりますけれども、一番近々ですから例を挙げると早いんですけれども、名古屋市におきます宅地と農地、これは、昭和三十六年でほぼ宅地と農地が同じ面積だったんですね。それが、平成十年、既に宅地が農地の七倍になってしまったというようなあり方によって、急激な変化を起こしているということは事実でございます。
 また、今おっしゃったように、都市だけではなくて地方もあるじゃないかというお話ですけれども、それは、こういう都市の密集市街地が往々にして被害が多く出るというのは、今までの経験でこの法案にも多く盛り込ませていただいて、その対策をしようということです。
 それじゃ地方都市ではどうするのかということですけれども、これは、密集市街地の整備法も、対象になる地域を大都市圏に限定していないということは、一川議員、もう既に御存じのとおりでございます。
 今回、この法律に基づく制度ではございませんけれども、平成六年に創設されました、老朽建築物等の除去、そして建てかえ等を促進する密集住宅市街地整備促進事業、これを我々は、大都市だけでなく北海道から鹿児島まで適用するということで、現在、北海道から鹿児島県など二十七の都道府県でこれが実施されております。
 そういう意味では、大都市だけではなく、今回の法律ではございませんけれども、既に平成六年に創設されておりますものによって現在全国においてこういう措置がとられているということで、都市だけではなくて既に地方でも、あるいは、密集市街地が大都市だけではないんだ、それぞれの地域、北海道は北海道なりの密集地域、鹿児島なら鹿児島なりの密集地域ということで、その適用によって地方都市においても密集地の都市の構造の改善というものを効果的に推進しているというのが現状でございますので、今回の法案と両々相まって、大きな変化をもたらし、また災害予防に期するということを今回の提案で私は申し上げたいと思います。
一川委員 では、最後に、この密集市街地というところは、住んでいる方々は大分高齢化を来してきておるというふうに想定するわけです。長年そこに住んでおれば、非常に住み心地のいい面もたくさんあるというふうに思います。それは、やはり年をとればいろいろな人たちと話をするということが楽しみの一つでございます。そういう面では、密集市街地を再整備するという中で、こういった高齢化社会の中でコミュニケーション的なものを維持向上させるような雰囲気というのはやはり大事にしてあげたらいいというふうに私は思います。
 いろいろな公共的な施設の整備もあわせまして、こういう地域に対する整備の、基本的な、そういった面の配慮策についてお聞かせ願いたいと思います。
中馬副大臣 今、一川委員の問題は、まさに都市政策そのものに対する問題提起だと思います。
 密集市街地と申しましても、これには幾つかのパターンがあるわけでございまして、戦前から続いた長屋的な古いしっとりとした町並みといったものもあります。こういったものは、息子さんたちも出ていってお年寄りだけが多い、御指摘のようなこともありますが、逆にヨーロッパ等におきましても、そういうところは、石畳がすり減った中、細い路地でありますけれども、そこが何か、観光地化することに一つの魅力があるわけですね。
 こういったところは、一概に密集市街地だから全部つぶしてしまって新しくというのではなくて、私は、そこは残していくべきであると思います。最小限の安全確保をすることを前提に、先ほどからお話が出ています、少しのスペースがあればそこで防災に役立つわけでございますから、そういったものをつくったり、あるいはまた地域が老人の憩いの家をつくったり、そういったことをすることを前提に、私は、そういったところはむしろ残していくべきだと思います。
 それから、戦後、本当に田んぼの中にわっとつくった密集木賃アパート、こういったところは、逆に、少しゆとりがあれば出ていきたいと思っていらっしゃる方々でしょうから、こういったところは、御同意さえあればこれを新しく建てかえる。そのときには、もうそういう例も幾つかありますが、各自治体が指導しながら、もちろんそこに住みたい人たちはもとへ戻ってきて住んでいただくと同時に、先ほど言いました高齢者の方々に対する一つの地域コミュニティーといったもの、あるいはまた、少し小さな診療所を設けるとか、そういう福祉的な施設もあわせてそこにつくる、そのゆとりもできるわけでございますから。
 国土交通省としても、地方と一体になって、自治体を指導しながらやるわけでございますから、そういうことも指導していきたい、このように思っております。
一川委員 ありがとうございました。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、きょうは、特定都市河川浸水被害対策法案に限定して質問させていただきます。
 まず最初に、大臣にお聞きしたいんですけれども、質問が重なって恐縮でございますが、とりわけ都市水害に対する対策のおくれの問題について質問いたします。
 以前から指摘をされておりましたし、今日まで多くの被害を出してきた都市水害による被害対策、総合的な治水対策が、東海の大水害が起きるまで、今日まで放置されてきた原因は一体何と考えておられるでしょうか、まずお聞きいたします。
扇国務大臣 きょうも朝からこのことを御論議されておりますけれども、瀬古議員は、特に名古屋のことでございますから、いまだにあの東海の集中豪雨が頭を離れない、そしてなおかつ、今も後遺症が各地であるということは、身をもって体験していらっしゃることだろうと思います。
 私も現地にお邪魔をいたしましたけれども、先ほどから議論になっていますように、日本の国土の約一割にすぎない洪水はんらん地域、そういうところに五割の人口が集中しております。なおかつ四分の三の資産というものが、その一割しかないと言われております洪水はんらん地域に集中している。そういう都市のあり方が顕著になってきて、そこに住んでいる、密集市街地にいるとか、あるいは自分が住んでいるところがはんらん地域であるとか、そういうことが今まで全く我々の意識になかったということも大きな要因だろうと私は思います。
 それは、振り返ってみますと、八年前の阪神・淡路大震災のときから、例えば地層というものがどうなっているのか、そういうことで初めて国民が気がついたんですね。自分で住んでいるときには、地層がどうなっているのかな、地震のあれはないのかなというふうに考え出して、かてて加えて、名古屋のあの集中豪雨で、自分の住んでいるところはどの程度浸水区域なんだろうな、そういうことが初めて国民の間にも認識されていった。
 今の現状を、公私が一緒になって、自分たちの地域の再確認と、その地域に合った防災対策、防水対策をどうしていくかということが改めて見直されなければならない。そういう経験を生かしながら、より安全、安心な生活ができる法案をつくるべきであるということで、先ほどからも遅きに失したではないかと言われつつも、今だからこそ経験を生かしてということで今回の提案になったということでございます。
 少なくとも、あらゆる面で、名古屋の集中豪雨であっという間に被害額が六千億円に達するというようなことにならないように、できる限りの、一〇〇%はできませんけれども、今考えられるうちでは最大限の防水対策をとるということが今回の提案になっております。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
瀬古委員 私も、名古屋市は自分の住んでいるところでございますし、この災害が起きて直ちに駆けつけ、救援活動も参加させていただきましたけれども、今大臣が言われたように、この地域がどういう地域だったかということが十分知らされていなかったという問題も確かにございます。同時に、この地域はどういう地域だということをよく住民の方が知っていらっしゃって、何度も行政に訴えたけれども取り上げていただけなかった、こういう問題もあるわけですね。そういう意味では、開発優先の政治のあり方というか行政のあり方も、今回かなり問われたというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけれども、今回の法案の作成に当たって、この法案というのは、今大臣も言われたように東海の集中豪雨災害、こういう教訓からも、浸水被害の防止のために提案されたものだというふうにされておりますけれども、実際に、私も今も脳裏に残っております、そして、大臣も指摘されたように、今もなおその後遺症が続いているわけですね。実際、避難時、そして浸水した区域における緊急対策、これが、この法案を提案される過程でどのように検討されたんでしょうか。また、被害が発生した地域に対する救援、その後の必要な生活や事業再開の支援、こういうものはこの法案が審議されたときには議論されなかったんでしょうか、されたんでしょうか。その点を伺いたいと思います。
鈴木政府参考人 被災者の生活再建支援などの復旧復興対策についてどのように考えたのかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、浸水時の緊急対策や被災者の生活再建支援などの復旧復興対策については、大変重要だと認識しております。
 国土交通省といたしましては、今回の法案の提出に当たりましては、まず、水害発生の防止、それから円滑かつ迅速な避難対策に資する施策、そういったことを講ずることがまず喫緊かつ重要な課題だと考えたということでございます。
瀬古委員 水害発生の防止ということは確かに大事ですし、今回、それなりに法的に根拠を持たせるということは大変重要だと思います。
 それと同時に、私は実際にあの災害を体験しまして、今の法律の中では、実際に被災者の皆さんが避難所で例えば避難されている場合、今までの制度上、大変不備がございます。また災害復旧という点でも、被災者の皆さんがもう一度立ち直って頑張っていくという上でも、今の法律では大変不備がございます。ですから、私は、こういう発生を防止することと同時に、そういう事態になったときは、それから今後被災者の人たちが立ち直っていく、立ち上がっていくための法的整備もやはり同時に必要ではないかということを大変痛感しているわけでございます。
 具体的にどういう事態に私が遭遇したかといいますと、例えば、避難命令を出したけれども、豪雨の中で高齢者を避難させること自身が危険だという問題もございました。
 それから、高齢者の施設や障害者の施設がありましたが、間一髪というところで家に帰った後で、もしこれが施設の中に障害者がいた場合にはどうなっただろうとか、そういう問題もございました。
 それから、避難先である学校が水没するといいますか、そこが孤立してしまって救援を呼ぶ、こういう事態もございました。
 それから、避難所の体育館に介護の必要な高齢者や障害者が収容されてパニック状態になる、こういう事態もございます。
 それから、一つの体育館に違う自治体の住民がいて、この自治体からはお弁当をもらえるけれども、この自治体はお弁当をもらえない、同じところに避難していてこういう事態もあって、お弁当をもらえないというところからかなり抗議もある、こういう事態も目の前に私もいたしました。
 それから、かなり高度な、いろいろな技術的な発展もあるんですけれども、肝心の、例えば停電になったら携帯電話が使えない。それでどうしたかというと、連絡ができないので、電気も通っていませんから、自転車で役所が走って情報を伝える、こういう全く原始的なことをやらざるを得ないということもございました。
 それから、避難所も、プライバシーを守るためのつい立てもない。体の調子が悪くても、お医者さんや保健師さんの派遣の問題。
 それから、後、膨大なごみが出るんですけれども、それも分別もできないようなごちゃまぜのごみをどうするかという大変深刻な問題がございました。
 こういう、実際に避難所における問題一つとってみてもすさまじい問題点がある。こういうものを一つ一つ解決していかなきゃならないし、この東海の豪雨災害の教訓にぜひ学ぶべきだと私は思います。その点で、きょうは各関係省庁にも来ていただいているんですが、この教訓からどのような対応をとられたのか。
 それからもう一点は、災害が大規模だったというだけに、被害も大変大きいものがございました。とりわけ、その後の必要な生活の復活、それから、事業を再開するための中小業者の対策など、全くお粗末と言っていいほど、被害の状況に、実態に全然合わない、そういうこともございました。
 そういう点では、例えば被災者の生活再建支援法では、現在の判定基準などといいますと、震災とは、水害の方がもっと不利なんですね。例えば全半壊といっても、一階の天井まで浸水しても全半壊の対象になる住宅がないとか、実際には、地震なんかで倒れた住宅の後始末というのは大変ですが、しかし、天井まで水がついた場合はほとんど家具も使えません。そして、押し入れを見たらキノコが生えてくる、こういう状況で、そういう点でも、やはりもっと基準も改善しなきゃならないと思うんですね。
 そういう点で、具体的な避難所生活及びその後の復旧の支援のための施策の改善というのはどのように考えていらっしゃるかという点をお伺いしたいと思います。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
山本政府参考人 内閣府には二点御質問いただきました。
 まず、現実の災害の教訓を踏まえてどういうふうな災害対策を充実させているかという御質問でございます。
 実は、直近では最も大きな被害をこうむりました阪神・淡路大震災、非常に大きな犠牲のもとに大切な教訓を得ているわけでございますけれども、災害対策の基本でございます災害対策基本法、これを契機に抜本的に見直しまして、御指摘いただきました政策課題につきましては、次のように、今持っております基本計画では規定しております。高齢者、とりわけ独居老人、障害者、外国人などのいわゆる災害弱者については、「災害弱者に配慮したきめ細かな施策を、他の福祉施策との連携の下に行う」というふうに規定しております。
 実は、防災計画ではそのように決めているわけでございますけれども、御指摘のような避難所の運営、的確にできるかどうかというのは、いざというときに現場をそのように動かせるかどうかということがすべてでございます。
 そういう意味では、現実に地区単位で、例えばいざというときに避難所になります小学校単位で、小学校区にお住まいの住民の方々が総参加する形で、いざというときにどういうふうに避難するか、あるいは避難所を運営するかということを訓練の形で的確にあらかじめ備えておくということが非常に大事だと思いますので、関係防災機関と一緒になってそういうことができるように進めてまいりたいというふうに内閣府では考えております。
 二つ目のお尋ねは、建物の被害の認定基準について、東海豪雨災害を契機にどのように見直してきたのかというお尋ねでございます。
 実は、住家の被害の認定基準につきましては、伊勢湾台風を契機にできました災害対策基本法、できましてしばらくの間は、政府の中で統一した基準がございませんでした。それについて問題意識を持ちまして、昭和四十三年に、当時の中央防災会議の事務局でございました総理府で統一基準をつくりまして、それを非常に長い間運用してきたわけでございます。東海豪雨が発生しましたときも、その基準で運用しておりました。
 ただ、長年運用してまいります間、住宅の構造とか仕様も変化してまいりました。御指摘のようなこともあったわけでございます。床の板とか壁材それから断熱材に被害が出て住宅が使えなくなるといったような状況がございまして、この豪雨の後、関係省庁の御参加のもとに、当時の国土庁で、平成十二年の十一月でございます、災害に係る住家などの被害認定基準検討委員会を設置しましていろいろ検討いたしまして、新しい認定基準を用意いたしました。見直しは、翌年、平成十三年の三月に結論を出しまして、同年六月に中央防災会議において了承いただきました上で、内閣府から関係省庁に通知しております。これを受けまして、地方公共団体に対しましても、被害認定基準の見直しは周知されているわけでございます。
 新しい基準の見直しのポイントを申し上げますと、居住のための基本的な機能の喪失に着目いたしまして、例えば、建物が傾く、あるいは浸水によって断熱材が水を吸収するということで使えなくなるといったような具体的な被害、これを認定して判断基準に追加しているところでございます。
河村政府参考人 災害弱者対策について、政府の防災基本計画にのっとった形で、県、市町村で具体的に防災計画により対応しているということは、今、内閣府統括官から御答弁があったとおりでございますけれども、私どもといたしましては、阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえまして、よりブレークダウンした形で事務取扱要領というものを作成、配付いたして、具体的な指導を行っておるところでございます。
 具体的に申しますと、避難誘導体制の確保でございますが、一つは、そういう災害弱者、高齢者、障害者の所在を把握してリストをあらかじめ作成しておく、それから、安否確認体制をきちっと整備しておく、市町村における避難誘導の支援要員を確保しておく、避難誘導に関してはそのようなことを事務取扱で示しておるということでございます。
 それから、避難所における支援でございますけれども、これも阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえまして、避難所のバリアフリー化、仮設スロープを設けなさいとか、あるいは、高齢者、障害者の避難者に対しての相談窓口をきちっと設置する、それから、高齢者、障害者等、災害弱者を主として受け入れる福祉避難所を設置する、これは、老人福祉センターでありますとか、あるいは社会福祉施設に附置されております地域交流スペースを積極的に活用するとか、そういった形での福祉避難所を設置する、そういうものを実施した場合に、国の費用負担の対象にしておるということでございます。
 そのほか、避難所に関しまして、避難の長期化が見込まれる場合には、プライバシー確保のために間仕切り用のパーティション、あるいは冷暖房機器の設置などの被災者の生活環境に配慮した対応についても国として費用負担の対象にいたしておるところでございます。
 また、具体的に先生お述べになりました避難所の運営の細かい点につきましては、私ども、詳しくは承知をいたしておらないわけでありますけれども、そういった避難所の具体的な運営方法、あるいは炊き出し等のやり方など、救助の具体的な実施方法については、救助の実施主体である都道府県あるいはその委託を受けた市町村が責任を持って対応すべきではないかというふうに考えております。
青木政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員より、被災中小企業につきましての対応策について御質問がございました。
 私ども中小企業庁といたしましては、災害が発生いたしますと、関係機関の御協力も得まして、中小企業の被災の状況につきまして迅速に情報収集に努めますとともに、地方公共団体とも協力しながら、災害復旧あるいは事業再開の資金供給の円滑化について特に柔軟に対応してまいったところでございます。
 まず、通常の災害が発生いたしますと、政府系金融三機関におきまして、いわゆる災害復旧貸し付けというものが適用されます。この災害復旧貸し付けにおきましては、例えば中小企業金融公庫の例でございますが、一般の貸付限度、四億八千万でございますけれども、被災中小企業の方の復旧ですとか事業再開には当然さらなる資金が必要でございますので、別枠といたしまして、貸付限度、一億五千万引き上げをいたしてございます。
 また、運転資金につきましては、通常でありますと、五年以内の貸し付け、据え置き一年でございますけれども、なかなか御商売もままならぬというような事情もございまして、特例的に、例えば、貸付期限を十年、うち据置期間を二年といったような優遇措置をそもそも講じたところでございます。
 また、阪神・淡路大震災といった未曾有の災害をもたらしました大きな災害の教訓も踏まえまして、さらなる特例措置も講ずることといたしてございます。
 例えば阪神・淡路大震災の例をとりますと、貸付期間を十年から十五年に一段と延長する。それから据置期間につきましても、先ほどの二年を五年にさらに延長を行う。また、一定期間、特例措置といたしまして貸付金利の引き下げを行いますとともに、兵庫県及び地元の神戸市とも協力いたしまして利子補給措置を実施し、最終的に、特別の被害者につきましては、無利子貸し付けといったような措置も講じたところでございます。また、加えて、既往債務につきましては、当然のことながら、返済猶予の弾力化、あるいは担保徴求の弾力化といったような措置も講じておるところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも必要に応じまして、被災された中小企業の方々の状況に応じまして、これに的確に対応すべく、弾力的に災害復旧対策の適用に努めてまいりたいと思っております。
瀬古委員 阪神・淡路大震災のときも大変な事態で、それを教訓にいろいろな制度や一定の改善はされているんですが、実際に、いざこういう名古屋の水害が出てきますと、震災とはまた違った面もいっぱいあるわけですね。そこでまたパニック状態になっている。そういう点では、しっかりとやはりこの教訓を学んでいただきたいというふうに思います。
 先ほど、例えば判断基準など、被災者生活支援法での判断基準の見直しをやったと言うけれども、新しい見直しでも水害の場合はほとんど適用されない、こういう実態などもさらに見ていただきたいと思いますし、中小企業、中小業者の皆さんも、今、一定の柔軟な形でやっているというふうに言われていますけれども、据置期間がやはり短くてとても払い切れないという問題や、限度額が余りにも少ないので、実際に、一つ三千万という機械が水浸しになって使えない、そういう業者の方もいらっしゃいましたけれども、そういうのも、そのお金そのものを借りられないんですね。こういう状態などもあるという点でもしっかり学んでいただきたいと思います。
 そこで伺いたいんですが、この特定都市河川における災害という場合、今日までの一定の無計画な都市開発、森林の荒廃、こういうものもあり、国と地方自治体の責任は大きいと私は思います。
 今度のこの法律では、国と地方自治体の責務と財政措置をどのように明確にされているんでしょうか。また、財政力のない自治体への負担の軽減などは考えていらっしゃるんでしょうか。その点、この法律の位置づけはいかがですか。
鈴木政府参考人 国と地方の責務、財政措置というお尋ねでございます。
 本法案におきましては、流域水害対策計画に、河川管理者が行う河川の整備や河川の流域における雨水貯留浸透施設の整備、それから、下水道管理者が行う下水道整備、さらに、地方公共団体が行います公園貯留ですとか校庭貯留など、そういった雨水貯留浸透施設の整備に関する事業等の内容を明確に位置づけるということを規定しているわけでございます。
 さらに、個々の事業においては、当然、河川管理者が行う整備につきましては河川事業により、また、その河川事業につきましては河川法の規定等に基づき、国と地方の負担割合が明記されているわけでございます。
 そして、国と地方の責務ということに関しましては、この法律では第五条で、「河川管理者等は、流域水害対策計画を共同して作成した他の河川管理者等と連携を図りながら、当該流域水害対策計画に定められた浸水被害対策の基本方針に従い、雨水貯留浸透施設の整備、浸水被害対策に係る啓発その他浸水被害対策の実施に必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という形で、国と地方の責務を明確に規定しているところでございます。
 なお、財政措置、負担増の措置等につきましては、災害が起こったような場合に、災害復旧等の仕掛けによって打たれているところと承知しております。
瀬古委員 今回の水害で、名古屋市は、予想しなかった雨量だ、これは天災だった、こういうふうに主張されております。しかし、これらの地域は、私が入りました、例えば天白の住民の皆さんは訴えていらっしゃいましたけれども、この地域は何度も被害に遭っています。そして住民も、総合的な浸水対策をやってほしいというふうに言ってきたわけですね。それがやられなかった。その責任は重いと思います。計画想定外の雨量として済まされない自治体行政の責任、そして対策が求められているんじゃないかと私は思います。
 もう一点、私が調査をしました、例えば大垣市の荒崎地区というところが、この委員会でも取り上げましたけれども、洗い堰があって、そこから増水すると水があふれ出てくる。遊水地になっているわけですが、そこは四十年間に水害が十四回起きている。ここは、遊水地であったところに県営も市営住宅も建てて、優良土地として宣伝してきて、住宅がどんどん張りついてくる、それで被害が大きくなる。私は、行政の責任は大変大きいと思うんですね。そして、この荒崎地区には一般廃棄物の処分場までつくって、水があふれて、何とダイオキシンの排出基準の八倍以上が検出された、こういう地域があるわけです。
 私は、やはりこれは異常な水害だったというふうに言えないような、行政の責任は大変重いと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 東海水害の際の事例をもとに、行政の責任はどうかというお尋ねでございます。
 天白区の水害について申し上げますと、これまでの河川整備は、五年に一回程度発生する規模の降雨を対象に、愛知県において河道の整備や橋梁のかけかえ等が実施されてきた、まだそういったレベルであったということでございます。
 ただ、この天白川の流域では、名古屋市において、比較的早い時期から、流域貯留浸透事業による学校の校庭だとか公園の地下等を利用した雨水貯留浸透施設の整備を進めてきたというのも、これもまた事実でございます。
 しかしながら、東海豪雨の際の天白川流域近傍における雨量は、一時間の平均雨量で最大八十六ミリ、連続雨量五百五十六ミリという、私たちにとっても信じられないようなと申しましょうか、大変大きな豪雨であったと認識しております。
 それからもう一つ、大谷川の荒崎地区の点についてもお話ございました。
 これについても、くどくど申し上げませんが、これまでこの川につきましては、揖斐川に合流する牧田川、その牧田川に杭瀬川が合流し、杭瀬川に相川が合流し、そして大谷川、こういう川でございまして、この大谷川の治水安全度を上げるためには、そういった下流から順次営々と治水対策を講じなければいけない。それがまだ道半ばでこういった災害が起こったということでございます。
 ただ、この大谷川につきましては、平成十五年度から床上浸水対策特別緊急事業という形で、十九年度を目途に期限を限って、大谷川等の築堤、洪水の安全な流下を阻害している橋梁のかけかえ等を実施することにしております。さらに、これにあわせて、御存じだと思いますが、現地にございます洗い堰のかさ上げというのを行うことにしているわけでございます。
 そういった形で、さらに大垣市では、洗い堰のかさ上げが完了するまでの間、水防対策として、延長一・一キロの水防土のう積みという、いろいろ工夫してやっているということについて御報告申し上げたいと思います。
 残念ながら、治水対策、道半ばでこういった水害が起こったわけでございますが、今回の特定都市河川浸水被害対策法案も、まさにこういったところの対策をきちんと進めていくという上で大変重要なものと考えておりますので、よろしくお願いします。
瀬古委員 時間が参りましたからこれ以上できませんけれども、やはり道半ばといっても、本来やらなきゃならないものをやらないで行政が開発を進めてきた、そういう反省抜きに私はこの法案の本当の施行はあり得ないと思いますし、そういう観点に立った災害対策を考えなきゃならないと思います。
 この点指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 まず初めに、密集市街地の方の改正案について御質問させていただきたいと思います。
 まず一点目が、事業費についてお尋ねをしたいんですけれども、土地区画整理事業は、土地を高度利用し、地価を上げることによって利益を上げて事業費を創出している。再開発事業では、床面積当たりの地価を上げて利益を創出しているということなんですが、今回のこの密集市街地防災街区整備法の中では、事業費というものをどういうふうに捻出するような仕組みになっていますのでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 密集市街地におきます防災街区整備事業につきましては、事業に際しまして、接道不良地等の土地利用効率の悪い宅地を含め、共同化が行われるということになっております。土地の有効利用が図られますことから、基本的には、余剰床であります保留床を生み出すことができるものと考えております。
 したがいまして、事業費につきましては、保留床の処分金、それから、国あるいは公共団体からの補助金がその主な財源となるものでございます。
 できる限り、こういう土地でございますので、駅前のような大変大きな高度利用ができるわけではございませんので、できるだけ採算が悪くならないように援助をする必要があるということでございまして、密集市街地の特性を踏まえまして、関連して整備されます小規模な道路、公園などの地区施設整備に対しても補助を行うということで、施行者の負担の軽減を図るということにしております。
 また、民間事業者あるいは都市基盤整備公団も参加できるということでございますが、事業の段階から参加して早い段階で費用を負担するということで、保留床を取得する参加組合員制度あるいは特定事業参加者制度を活用していくことになろうかと思います。また、保留床を取得することを前提として、特定建築者制度というものもございます、これによって、資金力を有する民間事業者を参加させることもできることとしております。
 こういったさまざまな措置によって事業費をうまく捻出できるようにというふうに考えております。
原委員 もちろん事業費の捻出というものはうまくやっていっていただきたいと思っているのですけれども、今やっている土地区画整理とか再開発では、地価が上がることを想定していたのに地価が下がってしまって、地権者の負担になったケースがもう既に発生しているということを聞いています。特に、この密集市街地に住む方々というのは、昔からそこに住んでおられる高齢の方が多いというようなお話も聞いたことがあります。
 今、実際に区画整理とか再開発でそうした地権者の負担になったケースが発生している中で、今回、この制度を始めるに当たり負担がないようにしていくというお話だったのですけれども、もし事業費が賄えなかった場合の負担のリスクについての責任や説明というものは、だれが、どういうふうに果たしていくおつもりでおられるのか、御説明をお願いします。
松野政府参考人 区画整理の場合に、かなり大きな負担を抱えているケースがあるという御指摘でございます。
 バブルの時期を経て、そういった事業が出ているというケースはあろうかと思いますが、今回の防災街区整備事業はこういう密集市街地の中の事業でございまして、かなり大規模に、しかもかなり高層の建築物をどんどん整備するというタイプの事業ではございません。したがって、その地域の中である程度のまとまりのある整備をしますけれども、比較的小規模で短期間で整備できるという事業になるのが標準的なスタイルだと思います。
 したがいまして、できるだけ、例えば地価が暴落するというようなことが起きる、長期間かけますとそういうリスクはございますけれども、そういったことにならないように、短期間の事業になるように、やはり最終的にどういう負担があるのかということを皆さんに承知していただきながら、最後の段階で合意を得て一気に進めるということが通常のスタイルになろうかと思います。
 そういったことで、どのぐらいのリスクになるのかということを十分に地権者の方々にも御理解いただくことがやはり重要でございます。施行者に対して適切な助言指導を行うということが必要でございまして、公共団体に対しても、専門知識を有する職員の技術的援助を求めることができる、あるいは、都市基盤整備公団がこういった密集市街地の再開発のノウハウを持っております、これに対するノウハウの提供ということもできますし、そういった意味で、十分に事前に権利者の方々の理解を得て事業を進めるということをやっていくべきだと考えております。
原委員 そうしましたら、次に、こうしたまちづくりに関する法律というものは、そこに住んでいる方々、自分の生活に深くかかわっているわけで、住民の方々とか市町村に対しての情報公開とか周知徹底というものはとても大切になってくると思います。
 今回、事業計画が認可をされて告示されてから三十日以内に、個別利用地区へ行くのか、それとも共同住宅へ行くのかということを住民は決めて、そして借地権者は大家さんまでも説得しなくてはならないという制度になっています。しかし、こうした制度というものにふなれである住民からすると、この三十日という期間が、自分がどっちに住みたいかということを考えて、大家さんまで説得しなくてはいけないということを考えると、ちょっと短過ぎるのではないかというような声も聞かれるのですが、この点はどのようにお考えになられるでしょうか。
松野政府参考人 防災街区整備事業は、全員合意で施行いたします個人施行を除きますと、すべて都市計画事業として実施いたします。したがいまして、都市計画の手続であります公聴会の開催あるいは都市計画の案の公告縦覧といった、都市計画の手続の中でかなりそういう機会がございまして、住民に対する十分な周知が図られるということがございます。
 さらに、事業計画の中で個別利用区の設定というのがございますが、申し出の見込まれる宅地の地積、位置、利用状況、環境等を勘案して定められなければならないということになっておりまして、事業計画の作成の段階で地権者の意向を十分に把握する、つまり、見込みを把握してからそういうことを定めていくという手続になっております。したがいまして、いきなり事業計画を示して三十日以内に態度を決めるということではなく、十分にそれまでの意向把握をした上でこういった手続を実施していくということでございます。
 また、事業計画の決定手続におきましても、例えばここが組合施行の場合ですと、宅地の所有者、借地権者のそれぞれ三分の二以上の同意を必要としております。事業計画の手続でも縦覧が行われる、それから、それに対する意見書の処理が行われるということで、意見が十分反映されるということになっております。
 こうしたことを考えますと、事業計画の認可後三十日以内という申し出の期間でございますが、これが余りにも短いということではないというふうに思っております。
原委員 今のお話ですと、計画策定の段階から徐々に意見を聞いていくということで、三十日よりももっと前から声を聞いていくということだったのですけれども、こうして専門的に勉強をしていたりお話を聞いていたりする人にとっては、そうした計画があるんだな、地区計画、都市計画があるんだなということがわかっていても、ほとんどの住民の方は、都市計画審議会の中身とか都市計画決定のことというのは、難しくてわからない状況にあると思うのです。
 特に今、普通に生活をしていて、まちづくりというものは住んでいる自分たちが主人公なんだという、そうした当事者意識というのも、今の日本の国民性というか教育の中でというのでしょうか、なかなか植えつけられていないと思うんですね。本来であれば、まちづくりというものは、そこに住んでいる自分たちが主人公なんだということで、もちろん住民としての意識も変わっていかなくてはならないとは思うのですけれども、今の現状の中で、そうしたまちづくりに関する、自分たちが主人公だという意識がない中で、そうした都市計画審議会で都市計画案として出されても、自分は無関係だと思ってしまうことが結構多いと思うんです。事業計画というものが決定してから急に、自分の家のところはここに含まれたということで、慌てて勉強をして、そして反対運動が起こったりということになったりしているような状態というのが今の現実だと思うんですね。私も、ここでこうしていろいろと勉強をしていなければ、きっと、本当に住民が中心となってまちづくりをしていくというか、まちづくりの主人公は自分たちなんだという感覚というのはなかなか持てないと思うんです。
 特に、こうした地区計画とかまちづくりに関する法律というのは、今回もすごく分厚い法律で、非常にわかりにくいというところもあるので、そうしたわかりにくい法律というものをよりわかりやすく住民の人に知ってもらうためには、やはり行政の側も努力をしていかなくてはならないと思うのですが、今回の法改正の中で、特に住民の人たちに、こういう法改正が起こるよということをどういうふうにわかりやすく説明していこうと考えていらっしゃるか、お考えをお聞きしたいと思います。
澤井政府参考人 都市計画、まちづくりに関していろいろな制度がございまして、確かに理解の難しいところがあるという御指摘もそうですし、また、例えば、前にも申し上げたこともございますが、普通の皆さんが、御自身が住んでおられる家の都市計画がどうなっているか、基本的に、用途地域は何で、容積率がどのぐらい許されて、建ぺい率がどのぐらい許されているということを個々人が御存じかどうかという点でも、百人のうち九十九人ぐらいは御存じないかもしらぬというあたりが、ある意味では、都市計画を実効のあるものとして前に進めていくために今一番欠けているところかなと。
 逆に言えば、そういうところから始めていかないと、まさに先生御指摘のように、いざ計画ができた、あるいはいざ物が建ち出してからいろいろな摩擦が起きる。今本当にいろいろなところで起きておりますが、そういったもともとの原因もそういうところにあるのかと思っております。
 そこで、そういった都市計画、まちづくりについて、住民の皆様を中心として、自分が主役だという意識を高め、そういう意識の中で自分たちで考えていただくということが非常に大事だという思いを今回の改正法の中にも盛り込んだつもりでございます。
 一つは、知識が不足している住民の皆様方にいろいろな情報を提供し、相談に乗り、計画を練り上げるお手伝いをしていただく防災街区整備推進機構という組織の位置づけを従来からしておりますが、従来は民法上の公益法人だけがその指定を受けて機構になれるという仕組みだったんですけれども、近年、まちづくりに関して全国で非常に活発な活動を展開しておられるNPO法人がふえてまいりました。NPO法人にもぜひこの機構として認定を受けていただいて、まちづくりの相談に応じていただきたい。
 それからまた、別途御審議賜っております都市再生機構につきましても、そういったコーディネート機能というものを今後充実して、相談に応じていく体制をつくっていきたい、こんなようなことも考えております。
 一方で、特に防災まちづくりは、今でも自主的に自治会単位で町の中のいろいろな地区の診断、点検をして、それを地図にするという作業なんかを、まさにこれは住民なり自治会の皆さんが自主的に始めておられる。まだ少ないですけれども、そういう取り組みも始まっております。
 そういう意味で、自主的に取り組んでいく、自分たちの町を自分たちで安全にしていくということをサポートも受けながら勉強し、練り上げて、これは、例えば制度でいいますと、昨年の国会で御審議賜った都市計画法の改正の中で提案制度というのをつくりましたけれども、そういった練り上げた案を都市計画提案として公共団体に提示して、それを軸に都市計画決定してもらうということになれば、でき上がった都市計画の実現力というのは非常に高いものになるんではないかと思っています。
 そういう住民という観点から見た幾つかの制度も、最近、できるだけ努力して充実を図りたいと思っているところでございますので、今後もそういう方向で努力してまいりたいと思っています。
原委員 ぜひその辺は、こうした制度というものをわかりやすく伝えていく努力を続けていっていただきたいと思いますし、私も、国土交通委員になってから、こうした都市計画法とか建築基準法とか、再開発、土地区画整理に関する法律、今回のこうしたまちづくりに関する法律も勉強させていただいて、非常に複雑で非常に難しくて、本当に、国土交通省の担当官しかわからないのではないかというぐらい複雑なんだと思います、いろいろな法律が。
 多岐にわたっているというか、いろいろな法律が複雑になってしまっていると思うので、もちろん、それをわかりやすく住民の方というか国民に知らせるという努力も一つあり、立法府としては、この今ちょっと複雑になっている法律を一たんすっきり整理して、もっとわかりやすい法律に、まちづくりに関して住民がまちづくりの法律を自分たちのものだと思えるような、そうしたわかりやすい法律にもう一回つくり直すという方法もあるかと思います。
 それは立法府にいる私たちの責任も重いと思いますが、ぜひそうしたことも一緒になって考えていっていただけたら、もっと国民が、住民が自分たちがまちづくりの主人公だと思えるような意識が高まって、そして本当に住んでよかったと思えるようなまちづくり、日本の国づくりが進めていけるんじゃないかというふうに思います。
 次に、もう一つの法律の特定都市河川の方について御質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、なぜ今回新法なのかということをお尋ねしたいんですけれども、河川法や水防法の改正ではなくて、なぜ今回新法としてこの法律が提出されることになったのか、御説明をお願いします。
鈴木政府参考人 なぜ新法で対応することにしたのかということでございます。
 時間がございませんので手短に申し上げますが、都市水害に対しては、河川法、水防法に基づく施策の枠にとどまらず、下水道や流域における土地利用規制も含めた総合的な対策を講ずる必要があることから、新たなスキームによる浸水被害対策を一括して新法により講ずることとしたものでございます。
原委員 今回、この新法の中では、河川に流れ込む水をピークカットすることが可能になってくるそうです。そうすると、今、河川法でダム等による洪水対策をやっている対策の部分と重なる部分が出てくるんだと思います。一級河川、二級河川で特定都市河川に指定された場合、国営や県営の既存計画があった場合に、新法による対策によって、何かすごく細かい計算みたいですが、厳密に計算をすると、以前にある計画が不要だったり縮小されたりされる事業も考えられると思うんです。こうなった場合に、二重投資とならないように国としてどういうふうに調整をしていくのか、また、その河川流量などの技術的な計算や二重投資を防ぐ点検はだれがどのように行っていくことになっていくのでしょうか、お願いします。
鈴木政府参考人 このお答えは、先ほどの新法で対応することにしたのはどういう理由なのかということと大変関連してまいります。
 流域水害対策計画は、河川の整備及び河川管理者が行う雨水貯留浸透施設の整備に係る部分については、これは法律の中にはっきり書いてございますが、「河川管理者が作成する案に基づいて定める」、こうなっています。したがいまして、河川整備計画との整合、こういった形で整合を図ることとしておりますので、二重投資になったりそごが生じるということにはならないわけでございます。
 また、流域水害対策計画は、河川管理者、下水道管理者、関係する都道府県及び市町村の長が共同で作成するということから、関係機関が調整し合って、効果的、効率的な事業の実施が行われるわけでございまして、まさに新法で一括水害対策計画をつくってやるというこの仕掛けがあるからこそそういった御指摘のようなことが起こるとも思えませんと言いたいんですが、まさにこういった法律でやることによってそういったことが回避されることになります。
原委員 一つ、ここで具体例を挙げて質問させていただきたいんです。
 淀川水系の中では、河川法に基づく河川整備基本方針の段階から住民参加をさせているということを聞いています。普通は基本計画から住民参加だそうなんですが、この淀川水系では、整備基本方針の段階から住民が参加をされているというふうに聞いています。
 今回、新法として出てきている特定都市河川浸水被害対策についても、河川整備基本方針の段階から住民参加をさせて、そしてこの新法により、今治水対策でよく言われている、ダムに頼らない治水対策とか、そうしたことを立てていくといった運用ができるのではないかということを思っているのですが、基本方針の段階から住民の皆さんに参加してもらうというようなことは可能なのでしょうか。また、そうしたお考えは持っておられるのでしょうか。
鈴木政府参考人 ただいまの御質問の中で、淀川について、河川整備基本方針の段階から云々という話がございましたが、これはそうではございませんで、河川整備計画の段階で、今、流域協議会といったものをつくって、各種御意見を聞いているということでございます。
 この流域水害対策計画の策定における住民参加についてのお尋ねに戻してお答え申し上げますが、公共事業の実施に当たりましては、地域住民の理解と協力なしに進められるものではないという認識のもとに、事業の計画段階からの住民参加を積極的に進めているところでございます。
 そして、流域水害対策計画の作成に当たりましては、地域の意向を反映するための一環として地域住民の意見を聞くこととしており、軽易な事項に関する一部変更の場合を除き原則として意見を聞く、法律では必要に応じというふうに書いてございますが、これは、実際の運用といいますか気持ちは、原則として意見を聞くことになるということでございます。
 一方、河川整備基本方針は、具体の事業ではなく、長期的な河川整備の目標等、基本的な方針を定めるもので、高度に専門的な観点から治水政策の基本的な方向を議論する必要があるということから、社会資本整備審議会の意見を聞いて国土交通大臣が定める。これは河川法の第十六条三項に、「国土交通大臣は、河川整備基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。」と書いてございます。
 ここにはもう一つ、「河川管理者は、前項に規定する場合」云々とあるんですが、河川整備計画を定める場合には、「必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。」と法律で明確に区分しておるわけでございまして、河川整備基本方針の段階での住民参加は適当でないと考えております。
 それから、都市水害対策の推進に当たりましては、流域水害対策計画の策定段階を通じて、幅広く住民意見が反映できるように措置してまいりたいと考えております。
原委員 済みません。私の勘違いがあったみたいで、淀川水系でも計画の段階からということで、そこは私の勘違いでした。
 今回のこの特定都市河川水害の対策のところで、いろいろ勉強させていただくと、先ほど瀬古議員の方からも開発の反省という言葉があったと思うんですけれども、やはり、都市計画の失敗というか、そういうところから起こってくる水害もあるということが言えるのだと思います。
 私も、そうした開発の反省というものをしていくためにも、やはり、これも一つのまちづくりに関することと言えると思うんです。こうしたものを、特に自分たちの生活、自分たちの地域にかかわりが深くなってくる法律に関しては、ぜひ住民参加ということは積極的に進めていっていただきたいと思いますし、自分たちの住んでいる町が本当に安心して住める町となっていけるように、両方の法律にとって私は言えることだと思うんですけれども、本当に、わかりやすく住民の方に説明をして、そして住民の人たちが中心となっていろいろな計画を立てていけるようなものにしていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
河合委員長 次回は、来る六月四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十六分散会


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