衆議院

メインへスキップ



第30号 平成15年6月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年六月十一日(水曜日)
    午前十時九分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      後藤田正純君    佐藤  勉君
      実川 幸夫君    高木  毅君
      谷田 武彦君    中本 太衛君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    渡辺 喜美君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大出  彰君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    山内  功君
      高木 陽介君    土田 龍司君
      大森  猛君    瀬古由起子君
      原  陽子君    日森 文尋君
      松浪健四郎君    後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  小山  裕君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           山本 晶三君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  徳留 健二君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十一日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     後藤田正純君
  山本 公一君     佐藤  勉君
  岩國 哲人君     山内  功君
  津川 祥吾君     大出  彰君
  二階 俊博君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     中本 太衛君
  佐藤  勉君     山本 公一君
  大出  彰君     津川 祥吾君
  山内  功君     岩國 哲人君
  松浪健四郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
六月十一日
 気象事業の整備拡充に関する請願(松原仁君紹介)(第三四八六号)
 同(小泉俊明君紹介)(第三五八九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三七四六号)
 働くルールを確立させ、建設労働者の雇用を守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四八七号)
 同(荒井聰君紹介)(第三四八八号)
 同(植田至紀君紹介)(第三四八九号)
 同(奥田建君紹介)(第三四九〇号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第三四九一号)
 同(小林守君紹介)(第三四九二号)
 同(五島正規君紹介)(第三四九三号)
 同(後藤茂之君紹介)(第三四九四号)
 同(重野安正君紹介)(第三四九五号)
 同(土井たか子君紹介)(第三四九六号)
 同(細野豪志君紹介)(第三四九七号)
 同(松原仁君紹介)(第三四九八号)
 同(宮下創平君紹介)(第三四九九号)
 同(山内惠子君紹介)(第三五〇〇号)
 同(吉田公一君紹介)(第三五〇一号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三五九〇号)
 同(石原健太郎君紹介)(第三五九一号)
 同(一川保夫君紹介)(第三五九二号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三五九三号)
 同(大幡基夫君紹介)(第三五九四号)
 同(川内博史君紹介)(第三五九五号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第三五九六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三五九七号)
 同(児玉健次君紹介)(第三五九八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三五九九号)
 同(今野東君紹介)(第三六〇〇号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第三六〇一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第三六〇二号)
 同(重野安正君紹介)(第三六〇三号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三六〇四号)
 同(達増拓也君紹介)(第三六〇五号)
 同(土井たか子君紹介)(第三六〇六号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第三六〇七号)
 同(中西績介君紹介)(第三六〇八号)
 同(中村哲治君紹介)(第三六〇九号)
 同(葉山峻君紹介)(第三六一〇号)
 同(春名直章君紹介)(第三六一一号)
 同(不破哲三君紹介)(第三六一二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三六一三号)
 同(松本善明君紹介)(第三六一四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三六一五号)
 同(吉田公一君紹介)(第三六一六号)
 同(石井郁子君紹介)(第三七四八号)
 同(石井一君紹介)(第三七四九号)
 同(岩國哲人君紹介)(第三七五〇号)
 同(大石正光君紹介)(第三七五一号)
 同(大島令子君紹介)(第三七五二号)
 同(大森猛君紹介)(第三七五三号)
 同(海江田万里君紹介)(第三七五四号)
 同(黄川田徹君紹介)(第三七五五号)
 同(北川れん子君紹介)(第三七五六号)
 同(志位和夫君紹介)(第三七五七号)
 同(土井たか子君紹介)(第三七五八号)
 同(東門美津子君紹介)(第三七五九号)
 同(中林よし子君紹介)(第三七六〇号)
 同(日野市朗君紹介)(第三七六一号)
 同(山口俊一君紹介)(第三七六二号)
 同(横光克彦君紹介)(第三七六三号)
 海洋環境を守り、防災に優れた社会資本の整備、国民本位の港湾・空港行政に関する請願(後藤茂之君紹介)(第三五〇二号)
 同(川内博史君紹介)(第三六一七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三六一八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第三六一九号)
 同(大森猛君紹介)(第三七六四号)
 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び職員増員に関する請願(今川正美君紹介)(第三五〇三号)
 同(植田至紀君紹介)(第三五〇四号)
 同(大出彰君紹介)(第三五〇五号)
 同(大島令子君紹介)(第三五〇六号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三五〇七号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第三五〇八号)
 同(小林憲司君紹介)(第三五〇九号)
 同(小林守君紹介)(第三五一〇号)
 同(五島正規君紹介)(第三五一一号)
 同(近藤昭一君紹介)(第三五一二号)
 同(重野安正君紹介)(第三五一三号)
 同(宮下創平君紹介)(第三五一四号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第三五一五号)
 同(山内惠子君紹介)(第三五一六号)
 同(山村健君紹介)(第三五一七号)
 同(安住淳君紹介)(第三六二〇号)
 同(一川保夫君紹介)(第三六二一号)
 同(大島令子君紹介)(第三六二二号)
 同(川内博史君紹介)(第三六二三号)
 同(小泉俊明君紹介)(第三六二四号)
 同(小林守君紹介)(第三六二五号)
 同(今野東君紹介)(第三六二六号)
 同(重野安正君紹介)(第三六二七号)
 同(田並胤明君紹介)(第三六二八号)
 同(達増拓也君紹介)(第三六二九号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第三六三〇号)
 同(中西績介君紹介)(第三六三一号)
 同(中村哲治君紹介)(第三六三二号)
 同(石井一君紹介)(第三七六五号)
 同(大石尚子君紹介)(第三七六六号)
 同(大石正光君紹介)(第三七六七号)
 同(奥田建君紹介)(第三七六八号)
 同(海江田万里君紹介)(第三七六九号)
 同(黄川田徹君紹介)(第三七七〇号)
 同(北川れん子君紹介)(第三七七一号)
 同(末松義規君紹介)(第三七七二号)
 同(東門美津子君紹介)(第三七七三号)
 同(永田寿康君紹介)(第三七七四号)
 同(日野市朗君紹介)(第三七七五号)
 同(細野豪志君紹介)(第三七七六号)
 同(山口俊一君紹介)(第三七七七号)
 同(横光克彦君紹介)(第三七七八号)
 公営住宅に関する請願(大森猛君紹介)(第三七四四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三七四五号)
 公共輸送機関におけるてんかんを持つ人への運賃割引に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三七四七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第九七号)(参議院送付)
 国土交通行政の基本施策に関する件

このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長安富正文君、総合政策局長三沢真君、都市・地域整備局長澤井英一君、河川局長鈴木藤一郎君、住宅局長松野仁君、自動車交通局長丸山博君、海事局長徳留健二君、内閣官房内閣審議官小山裕君及び農林水産省大臣官房審議官山本晶三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
玉置委員 おはようございます。
 きょうは公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備という法案でございまして、大きく言えば行革大綱の一つの流れの中、また小泉内閣の旗頭であります改革というものの実施をということになるわけでございますが、非常にたくさんある公益法人、今二万六千ある、そのうち七千が中央省庁関係、その辺の中でどういうふうな手法で何を目的にして改革をされていくかということをお聞きしたいんですが、大臣はまだお帰りでないわけですから、個々に、前後しながらお話を伺っていきたいというふうに思います。
 私ども、今の国の財政状況を考えていきますと、歳出を抑えて歳入をふやすということしかないわけでありますが、歳入をふやすのは増税という部分がございますけれども、やはり一番大きなのは景気回復ということでございまして、その部分について国の対応が非常におくれているというふうに感じます。
 いろいろな方にお伺いをしても、日本の景気、何とかならないのかというようなお話がございますし、日本の経済の潜在力からいきましてかなり力があるというふうに思うんですけれども、小泉内閣よりも、その以前の第二次橋本内閣から、非常に日本のGDPそのものも落ちてきているというふうな状況ですね。これはやはり改革というものがマイナスになっているのではないかということと、それから財政再建のために国民に大変な負担感を与えて、それが消費に対する影響を及ぼしてきている、こういうふうに思うわけです。
 例えば、バブル崩壊が今から十二、三年前ということになりますが、それ以降も、橋本内閣の第二次のいわゆる財政再建を主体にした方針が打ち出されるまでは、潜在的に日本のGDPがまだ上昇していたんです。バブルが崩壊しても上昇していたというふうな状況だったんですが、これがやはり最終的には政策の失敗によって、九七年以降低下をしてしまった、成長がマイナスになってしまったということでございます。
 行政改革の必要性というのは、私どもは痛感をしているわけですが、どうもその行政改革そのもののねらいがよくわからないということがあります。例えば、普通の民間企業でございますと、売り上げが低下をしてくるということで、要するに限界利益率を割り込んだときに、じゃ、売り上げをふやすのか、あるいは経費の中身を洗い直して経費を抑えていくのかということで、当然両方やりますけれども、少なくとも、一番先にやるのは経費の中身の見直しということになるわけですね。そして、その次は売り上げをふやすための方策、施策をどうするかということになるんですけれども、これが国の場合は、何をねらってどういう効果を出すかというのが、何となく、昔の大蔵省、財務省ですね、試算というのでいつも出てくるんですが、しかし、それはあくまでも試算であって目標ではないわけですね。
 目標でありそうでないというような説明もあって非常に難しいんですけれども、私たちにしたら、じゃ、国は将来に向けて財政再建をどういう形でやろうとしているのか、あるいは行政改革の中でどういう効果をねらって、例えば数字的にどういう表示、要するに政府の中で統一的な表示といいますか、何%とか何兆円とかという金額が全然聞こえてこないんですが、一つはその行政改革についてどういう方針でやられているのかということをまずお聞きしたいというふうに思います。これはどなたでしょう、後、大臣が来たら大臣にまた聞きますから、いわゆる事務方としてということでお願いします。
安富政府参考人 今、行政改革についてどういう方針でやっているかというお尋ねでございますが、我々としましては当然、先ほど来話が出ておりますように、財政再建あるいは行政のスリム化、あるいは行政の効率化、そういった形でいろいろな分野について改革を進めていかなきゃいけないということで、既に御承知のとおり、省庁の再編も含めまして、こういう形で国土交通省という大くくりの省庁として再編をされました。
 さらに、行政改革の中で、特殊法人それから公益法人というものにつきましても、それぞれ特殊法人自体が次第に特殊法人自体の目的で肥大化しているんじゃないか、本当に国民に必要な業務を実施しているのか、そういった反省のもとに、それぞれの特殊法人について事業の内容を見直すというところから始めまして、それぞれの事業内容について今日的に現代的な形で、実施すべきかどうかということを含めて、各事業を精査してまいりました。
 その結果として、先般の秋の臨時国会にも特殊法人改革の法案を出させていただきましたし、また今国会についても、三法人につきまして特殊法人の改革の法案を出させていただいております。
 そういう形で、それぞれの中身につきましては、それぞれの事業、特に今回の公益法人の改革につきましても、公益法人が現在行っている事業について、特に行政委託型でやっている公益法人の事業についてそれぞれの事業を見直しております。
 今回提出しております内容は、いわゆる登録機関にするという内容ですが、その以前として、廃止すべき事業もあるのではないか、さらには縮小していくべきものがあるんじゃないか、あるいは国に吸い上げるものもあるんじゃないかという形で、それぞれの事業を見直していわゆる効率化とか合理化とかスリム化ということが図れるような形で現在進めているところでございます。
玉置委員 今のお話にも、結局全体の特殊法人なりあるいは公益法人の、どの程度を見直してどうするという話はないんですよね。要するに、中身を見直しますだけで、中身を見直すのは、こんなのは仕事として当たり前な話で、何も方針を一々出すことはないわけです。
 ですから、例えば、国全体として七千ぐらいの法人があって、そのうち国土交通省関係が幾つあります、少なくとも自分たちの分担について、それがあっていいのかなくていいのかというのをまず論議するということから入って、それから、国が例えば検査とかいろいろな委託をされていますけれども、その委託が、じゃ、何で中でできないのかとか、そういうことを含めてやはり考えていかなければいけないと思うんですね。
 一番いいのは、国が今の人員でいろいろな多くの仕事を取り込んで外へ出す費用をなくしていくということ、あるいは逆に外でやれば安いんだということが明らかであれば、今の人員を減らして国は一切タッチをしないというふうにやっていくか、どちらかだと思うんですね。
 その辺の方針が、一応個々には見ますということなんですけれども、じゃ、まず最初に手をつけるときに、減らしていくのか、あるいは検査とかいうこと自体も必要なのか不必要なのかということの論議をしないといけない。そういうことをやりながら、じゃ、おおよそ何%ぐらい減らせそうだということで一つの方針を出して、このぐらいを削減しろというふうにやっていかないと進まないんですよね。結局、やってもできませんでしたで終わっちゃうわけです。その辺がやはり問題だと思うんですね。
 ですから、行革のやり方については、まずそこが必要かどうかということが一番だと思うんですね。それから、似たようなものをやっているところがないかどうか。そして三番目には、では、もっと安くできる方法はないかということだと思うんです。
 だから、私たちの国は今七百兆円ぐらいの国と地方の要するに借金を抱えて、これをどうやって返していくかというのは大変なことなんですよね。国の財政から考えますと、歳出だけ見ますと、一般事務費といいますか経費、約五十兆円の財政規模になっていますけれども、それが大幅にふえるということはまず考えられないだろう。
 ということになりますと、今の中でいかに削減していくか。そして、余裕を持って次の世代をずっと構築していくだけの財政力を蓄えないといけないんですね。ということを考えると、ちょっとやそっとの削減では済まないわけですから、大なたを振るうということが必要だと思うんですね。
 今回出ている法律で、こんなのはどっちでもいいじゃないかというのが結構あるわけで、大体何をやっているかわからないし、似たようなところがたくさんあって、本当に必要かなという感じがするんですよね。だから、大きな方針は何ですかということをもう一回はっきりとお伺いしておきます。
安富政府参考人 政府全体の大きな方針ということになると、ちょっと私が述べる立場でもないと思いますが、少なくとも政府全体の、いわゆる行政改革の全体の方針の中で、今先生おっしゃいましたように、国土交通省として、特に特殊法人あるいは公益法人それぞれでございますが、それぞれの今やっている事業について、本当にこれが必要なのかどうか、先ほどもございましたように、本来国がやってもいいじゃないかという業務もございます。
 その業務については、過去の今までの歴史の中で、例えばなるべく民間の力を使ってやろうという形でやってきたというようなことで、今回の指定公益法人制度なんかもでき上がっているわけですけれども、だんだん時の流れということで、それが果たして現時点において国が本当にやるべきか、あるいは国がやるにしてはコストがかかるから、指定公益法人あるいは今回の登録法人というような形で残すべきか、あるいはそもそもこの事業、業務自体を廃止すべきではないかといったようなことで、先ほど先生もおっしゃいましたように、それぞれ個別に判断する。
 その上で、では、どちらでやった方が、国でやった方がコスト的に安くなるかどうか、あるいは、指定あるいは登録法人という形でやった方が国の肥大化も防げるし、逆に国民のいわゆる利便性ということでも民間の力をかりるということがいいかどうか、それぞれその業務について、我々国土交通省としては、自分が所管している部分についてはそれぞれ判断してやってきているという状況でございます。
玉置委員 今回の中で、一応登録制度に変わっていく。今までは相手を指定して、その指定から登録制にして、場合によっては競合相手をふやしていこうという方針を出されました。
 これは、一つは進歩だと思いますけれども、しかし、今までこれだけ相手を限定してやってきて、突然だれでもいらっしゃいなんといって、果たして応じる人がいるかどうかということ。
 それから、ずっと財務内容なんかを見させていただくけれども、何か非常にわかりにくいんですよね。よくこんなので判断していたなという感じがするんですが、その辺を思えば、財務諸表をつけさせるとか、いろいろなことを言われていますよね。
 どういうところでメリットありというふうに判断されて登録制度に変えられたのか。それから、今までの指定制度が何か問題があって登録制に変えたのか、思わずそういうふうに疑ってしまうのですけれども、その辺についてはどういうふうにお考えになっているでしょうか。
徳留政府参考人 御説明申し上げます。
 今回の法改正は、官民の役割分担の見直し、規制改革の推進という観点から実施されるものでございまして、事務事業の一部を民間責任にゆだねることによりまして、競争原理の導入を図りつつ、サービスの改善、国民の利便性の向上を図るということを目的としたものでございます。
 現在の指定法人制度でございますが、これは国が特定の公益法人を指定して、検査、検定等の事務事業を行わせる制度でございますが、このような指定制度につきましては、一つには、法人の指定基準が法律で明記されていないことが多いことから、国民の皆様方にとって不透明な制度となっているということ、二番目は、指定の対象が公益法人に限定をされ、かつ、独占状態が生じている場合が多いことといったような問題点が指摘されてきたところでございます。
 このため、今回の改正案におきましては、こうした指定制度を登録制度に改めるということとしておりますが、新たな登録制度のもとにおきましては、登録の要件として、能力、これは設備あるいは人的能力でございます。それから、公正中立性の確保のための要件、これはその登録機関が例えば関連事業者の子会社でないとか、あるいは支配されていないといったようなことの要件でございます。そういうものが法律に明記をされておりまして、制度の透明性が確保されるということ。それから二番目には、登録要件を満たす者であれば民間法人を含めて自由に参入できることになりまして、現在の指定法人制度の問題点が解消されることになるのではないかと考えておるところでございます。
玉置委員 今までの指定された公益法人の財務内容等の資料をいただいたんですけれども、この資料で、そこが果たしてどういう努力をされて、例えば検査とかいろいろな委託の業務があるわけですけれども、その費用、例えば試験の費用、手数料とか、そういうものが本当に正しいかどうかというチェックはなかなかできないと思うんですよね。
 こういうところが新たな競合相手と競争していくということが果たしてできるのかと、逆に心配するわけですね。今までは、どちらかというと、指定ですから、国がやっているのと同じだけの力がある。要するに、そこ以外はだめなんですから、そこが手数料を例えば千五百円だとか五万円だとかいうふうに決めてしまえば、一般のユーザーさんはそれを受けざるを得ないということだったと思うんです。
 それが変わっていくということなんですが、果たして、先ほど言いましたように、参入相手が、ともかく、この値段だったらうちはできますよというふうにある程度出てくる業界といいますか企業、グループといいますか、そういうのがあるかどうかという心配もしているわけですね。余り出てきたら、今度は今までのところがもたないんじゃないかということなんですが、その辺の大体推測といいますか目算はどうでしょうか。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、手数料等がどうなるかということについてお答え申し上げます。
 現在の指定法人制度におきます手数料等につきましては、国が政省令等において一律に定めたり、あるいは法人が申請をしてきて、それを国が認定しているというようなものもあったわけでございますが、今回の法改正後におきましては、すべての制度におきまして、登録機関がみずから手数料を設定することができるということにしておるところでございます。
 今回の改正によりまして、民間の参入が可能になるということでございまして、競争も促進されることから、手数料や料金につきましても、利用者にとってメリットのあるものになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから、参入の見込みがどうかというようなお尋ねがあったように思いますが、参入につきましては、個々の事業者が、その事務事業がどういうものかということを判断して参入されるということでございまして、現時点におきまして、私ども、どれほど参入があるというふうなことは、ちょっと申し上げられる状況には、まことに申しわけありませんが、ございません。
玉置委員 いただいた資料の中に役員の平均報酬額というのがございまして、それぞれ公益法人のお名前があって、その金額が書かれているんですけれども、私たちからすると、それぞれ業界のセンターみたいな役割を果たしておられるわけですね。そこが役員を抱えて、その役員の方がおられて職員の方もおられる。計算していくと、役員と職員の数がほとんど変わらないというようなところもありまして、こんなところ、やっていけるのかなという心配があるんですね。それから全般的に、非常に役員さんが多いということで、この辺は、本当にこれからいろいろな問題点になってくるのではないか。
 例えば、中国船舶職員養成協会なんて、役員数が十二名で職員が二十一名。もっとひどいのは高層住宅管理業協会、役員二十六名、職員二十六名、そういうところがあります。それから大きなところでいきますと、海事検定協会で、役員数十四名で職員数が千百六十七名というのがあります。日本観光協会なんて、役員数七十一名で職員が二十二名というふうになっているということですね。
 ですから、中身のチェックも、もうほとんど何もなされていないんじゃないかなという感じがするわけですね。この役員数を認めながら財務内容をチェックするなんというのは、とてもできていないんじゃないかというふうに思うんですが、この辺についてはいかがでございましょうか。
安富政府参考人 今、関係法人の役員数等についてのお話がございました。
 今回の法案に関係します十九法人の理事数の合計では、平成十四年十月現在で三百五十六人となっておりますが、うち常勤役員数は八十二人で、一法人当たりに直しますと、常勤としては平均四・三人ぐらいでございます。残りの二百七十四人は非常勤理事ということでございます。
 何でこんなに非常勤理事が多いのかということでございますが、やはり公益法人ということで、公益法人が公益的な事業を幅広くやる際に、当然のことながら、多くの有識者とかあるいは業界も含めた関係者、いろいろな意見を反映させながら公益事業を運営していく必要があるということで、こういう非常勤理事も含めた役員数が非常に多くなっているという傾向がございます。
 例えば、先ほどもちょっと出ました日本観光協会、約七十名弱ぐらいの理事がおりますけれども、例えば各地の観光協会であるとか観光連盟あるいは観光関係の事業者、それぞれの地方ごとあるいは各界ごとの意見を集約しなければいけないというようなこともございまして、各地の観光協会の代表者等を理事としているというようなこともありまして理事数が非常に多くなっておるという状況でございます。
 それから役員と職員の関係でございます。したがいまして、これも常勤役員と比べるのが本当ではないかと思いますが、それにしましても、例えば役員給与の比率を管理費の中で見てみますと大体一割ぐらいということで、これが民間と比べて高いかどうかということはありますが、ただ、やはり公益法人の性格として、職員数をたくさん抱えてやる実務ということではないものですから、そういうところがこういう数字になってあらわれているのかなと思います。
 それから役員報酬については、一部の法人について高過ぎるという批判もございます。これについては、平成十四年三月に公務員制度改革大綱に基づく措置ということで、特に国から事務の委託等を受けている法人に対しましては、国家公務員の給与水準と比べて不当に高額とならないようにということで、我々としても強く指導しているところでございます。
玉置委員 今回は、登録制で、ある規格に合えば、申請してそこが検査とか試験とかの代行ができる、こういうことなんですが、例えば海事協会でしたか、船の検査をやっておられるところがございますけれども、船の検査をやるというのは日本以外にもいろいろあるわけです。
 外国の検査機関を利用することが一つ、目標と言ったら変ですけれども、やはり委託の方針として、いわゆる国際化に合った形でオープンにしていくということで考えていきますと、国際航路に従事する船があるということで、その船の運航日程とか検査日程とかいろいろ考えていく場合に、外国でもこの検査を受けられますよという姿勢を今示しておられると私は思うんですね。
 ところが、では、その外国の検査基準と日本とどう違うのかとか、あるいは相手を認定するためのいろいろな資料要求をして出てくるのかどうかとか、そういうことがちょっと気になるんです。日本国籍の外国航路の船についてどういう方法をとられていくのか、あるいは日本は日本でやりますよというのか、あるいは相手に委託してそのままオーケーなのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の船舶安全法等の改正におきましては、船舶検査等の事務を実施する登録機関となるための要件として、例えば、船舶の検査の実施に必要な設備、あるいは必要な検査員の能力等の要件、あるいは関連事業者に支配されないような関係にあるというようなこと等を定めておるところでございます。
 こういった登録要件は、現在、委員おっしゃいましたように、日本における日本海事協会がございますが、外国におきましても、例えばイギリスには一番古いロイド船級協会というのがございますし、アメリカにはアメリカン・ビューロー・オブ・シッピング、こういう同様の機関がございます。そういう船級協会も、例えば英国政府から、あるいはアメリカ政府から検査の委託を受けているという部分がございまして、その際に、やはり一定の基準といいますか、例えば検査できる要員をそろえているということ、あるいは、船舶あるいは船舶オーナー、造船業界等の関係者に支配されていないというような、そういった要件が既に定められておるところでございまして、それに基づいて委託されているわけでございます。そういったことと同等な要件を定めておるということでございまして、外国の船級協会も参入できるようにしておるところでございます。
 それからさらに、基準等はどうなるかということがございましたが、船の検査の基準というのは、基本的には国際基準、SOLAS条約とか海洋汚染防止条約とか、そういうことで国際的な基準、条約が定まっておりまして、大体基準は同じものであるというふうに考えております。実際に外国法人の参入を認める際には、どういった基準、方法で検査をするんですかということは確認することになると思います。そういうことをやって、また資料等の提出についても要求ができるような仕組み、制度になっておるところでございます。
 以上でございます。
玉置委員 今は、外国に行って検査を受けるというふうにお伺いしたんですが、日本の中へ外国のそういうロイド協会とかの方が支店をつくられて、そこが検査をするということが可能かどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
徳留政府参考人 どうも失礼しました。
 可能でございますし、また、日本の船が外国へ行ったときに、登録機関として、例えばロイドが登録を受けていればそれは可能である、外国でも受けられることになるということでございます。
玉置委員 大臣がお戻りになりましたので、ちょっと最初に戻って、行政改革そのものについて、基本方針がどうなのかということをもう一回確認したいということなんですよね。
 というのは、私たちの受けとめ方によりますと、第二次橋本内閣、そのときに財政再建を余りにも強く出したため日本経済が再び悪化をした。以来、日本経済がデフレ傾向になってしまって、財政上非常に厳しい状況に追い込まれているということで、片方は景気浮揚についてやはりいろいろな対策をされる、しかし、将来は財政再建に向かわないと日本がもたないということでありますという中で、行政改革が非常に重い役割を担っているということなんです。
 橋本内閣というよりも、日本の行政改革が打ち出されてから、例えば財政上どういう形に追い込んでいくんだとか、どういう効果を目標にしてやるんだということがなかなか明確に打ち出されていない。費用的には、例えば年間何兆円稼ぎなさいというのか、あるいは今の行政の国家公務員が、今、百六十万ぐらいかな、ちょっと忘れましたけれども、おられて、では、それを二割、三割削減するんだとか、あるいは特殊法人とか公益法人について、特に補助金的なものを出しているところについては大幅に切り込んでやっていくんだ、その金額は幾らというようなことが全然表示されないですよね。切り込みますとか、改革をしなければいけないとかいう話はよく聞くんですが、では、何を目標に、どういう効果を期待してやるのかというのがわからない。これは小泉改革の特徴でもあるわけですね。
 改革をやりますという目標があって、それを達成するとどうなるんだというのがなかなか見えてこないということなので、小泉内閣としてどういう方針のもとに改革をやられようとしているのか、行政改革なり特殊法人改革、公益法人改革、この辺の目標値があるならある、ないならない、そして、どういうことを期待して、将来の効果としてはこういうことが描かれているんですよというものがあれば、お教えをいただきたいということです。
扇国務大臣 参議院の本会議で遅くなりまして、申しわけありません。
 ただいま玉置委員から大変総体的な御質問をいただきまして、私もどこまでお答えできるかわかりません。お答えするときにはあれもこれも申し上げたいと思いますけれども、この行政改革というものの基本的なものは、やはり世紀がかわったという、二十一世紀を迎えて、我々は、二十世紀と二十一世紀、どう変わるべきなのか、また、変わるためには今何をしなければいけないかという、私は、この世紀をまたがったときに、今までの二十世紀と二十一世紀をこう変えていこうという大きな転機を日本も迎えたと思います。
 世紀がかわるということだけではなくて、戦後の今日までの日本を見ましても、二十世紀はとにかく衣食住、欧米先進国に追いつけ追い越せ、我々の先輩また先祖は、戦後のあの苦しい中から二十世紀再び立ち上がってくれて、経済大国として、世界二位の経済大国にはなりましたけれども、しかも、衣食住もやっと足りて欧米先進国に追いつきはしましたけれども、果たしてそれで忘れたものはないかというのが、私は、二十世紀と二十一世紀の大きな考え方の変換をしなければいけない。
 しかも、二十世紀に追いつけ追い越せ、高度成長でどんどん手を出していったものの肥大したものをやはりここで立ちどまって改革していかなければ、このまま肥大し続け得るはずがない、日本の国力として。そういう意味で、肥大し続けた中にもいいものもありますけれども、二十世紀の負の遺産ということで考え直さなきゃいけないこともあるという、私は、大きなくくり方でいえばそういうことが言えると思います。
 まして、行政改革、総理が改革なくして成長なしとおっしゃいますけれども、今申しました、二十世紀にどんどん肥大していったものをどこでどう整理するか。行政改革もその一つでしょう、予算の配分もその一つでしょう、あらゆるところで二十一世紀型にしなければいけない。
 そして、よく言いますけれども、二十世紀は今申しましたような事情でハードの世紀として日本は成長してきましたけれども、二十一世紀になったら、世界に例のない高齢化、少子化、そういう日本の国の情勢というものが成長期と変わってきた。二十一世紀体制として改めて、二十世紀には手をつけられなかった高齢者のためのバリアフリーであるとか、あるいは世界的な問題になっております二十一世紀の環境の問題とか、そういうものに新たな手をつけなければいけないということになれば、今まで二十世紀にしてきた同じような予算配分だけではそこまで回らない。ですから、二十一世紀型のところに手をつける予算配分もしなければいけない。スリムにするところは、二十世紀の肥大して削るところはどこなんだろう、それを二十一世紀型に配分しようじゃないかということも、私は大きな転換期であろうと思っております。
 まして、世界じゅうを考えてみますときに、第二位の経済大国だと言われたにもかかわらず、私はその陰りが出てきていると思います。産業の空洞化、経済の空洞化、あらゆるところでもう日本を越えて、産業も、みんな日本の工場を閉鎖して安い労働賃金のところへ工場をつくるというような産業の空洞化が起こっている。果たしてこのままで日本はいいのだろうかということも私は大問題になっていると思います。
 まして、二十世紀こんなに頑張ったにもかかわらず、国際的に見て、都市の美しさがどうだろうか、電柱の地中化はできているんだろうか、あるいは港と高速道路と鉄道と空港と、こういうものが一体になった国際都市というのは日本に今幾つあるんだろうか。
 そういうことを整備しなければならないと私は思っていますし、そのために国土交通省が今までは縦割りだった四省庁を統合したというのも、私は今申しました、国際的に見て、港湾と道路と空港と鉄道と、あらゆるものが連結していない。外国のように、十分以内に港から高速道路に乗れたり主要都市につながる鉄道に荷物を載せられたりということが、これだけ高度成長、二十世紀に頑張ったのに、その連結の悪さで日本が国際社会にかち行けない、太刀打ちができない時代になっているということも私は縦割りであったということが言えると思います。
 国土交通省、この国土交通委員会で御審議いただきますように、陸海空を一緒に御審議できるということは、今言った二十世紀の、投資したにもかかわらず連結が悪いということで効率が上がっていない、それを効率化しようということでは、私は、この四省庁統合というのは二十一世紀にはどうしても必要な統合であったと認識もしておりますし、また、統合の実を上げるということでは一番目に見えた省庁再編、そして行政改革も含めた大きな二十一世紀型にできると思っております。
 そういう意味で、御審議がこの国土交通委員会で広範囲にわたるということも、私は二十一世紀型の日本をつくるために不可欠な問題だと認識もしておりますし、また、努力もしていこう。そして、今二十一世紀の初頭にどうしても手をつけなければ、二十一世紀の後半に日本が国際社会の中でより孤立して、私は、産業の空洞化のみならず国自体が国際社会から疲弊していくということを防止しなければならない時期だと思って、あらゆる点で皆さん方の御意見もいただきながら、国土交通省ができ得る限りのことを今手をつけようと思っているのが現在であるということで、お答えになりましたでしょうか、そういう気持ちで頑張っております。
玉置委員 考え方は何となくわかるんですけれども、では、例えば、国土交通省が四省庁一緒に統合されました、これに対して組織がどうなって定員がどうなって、そのために経費がどうなったというふうな具体的なメリットをお示しいただきたいということと、それから特殊法人とか公益法人に対して、整理しなきゃいけないという気持ちはお持ちだと思うんですが、数字上出てこないと、やった効果はないわけですから、やはりそれをちゃんと割り振って消化していくということも大事だと思うんですね。
 そういう方針を出されたのか、あるいは、そういうことをやりながら、既に多少の効果をつかんでおられるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 これは、数字を伴うことなのできちんと申し上げたいと思いますけれども、四省庁統合して、まず人員と今おっしゃいました。これで多いか少ないかは別といたしまして、四省庁統合して、まず組織を、少なくとも局というものを減らしました。官房を含む局の数は二十一から十四へ、これは削減して統合いたしました。そして、人数は、全体で百八人の定員の削減をいたしました。この数が多いか少ないかは別の問題ですけれども、まず、数字で示せとおっしゃれば、そういうふうにいたしました。
 それから、ことしでございますけれども、この国会で、私は大変ありがたかったと思いますけれども、これは今までの日本の組織の中では考えられなかったことですけれども、昭和二十三年からでしたか、二十一年からでしたか、各、運輸省あるいは旧建設省、旧国土庁等々で五年ごとに法案を延期延期ということで、長期計画を発表させていただきました。私は、それは必要ないのではないか、もっと統合して、今言ったように、港と道路、今までの建設、運輸というものを全部合体して新たな長期計画を出すためには、今までの長期計画を全部ゼロにすべきではないかということで、初めて本年の三月に、皆さん方に御協力いただきました社会資本整備の重点計画法、九本の長期計画を一本にするなんということは、とても今までの行政の中では考えられなかったことでございます。これが初めて、皆さん方に御理解いただいて、していただいたということで、今度、予算が全部書いていないわけですね。道路整備だけは別ですけれども、あとは全部予算の金額を書いてありません。
 それは、今言ったように、今は港を集中しなきゃいけない、あるいは今は鉄道、あるいは今は中枢空港を重要視しなきゃいけないというふうに、それぞれの中の枠で、みんな、局の今までの権限はやめなさいということで、九本の長期計画を一本化したということは、まさに画期的なことで、今後これをどう生かすかということも、ぜひ我々は皆さん方に見ていただいて、そして委員会での意見も尊重しながら、どこに重点の配分をしなきゃいけない。このめり張りをつけるために長期計画を一本にしたということも、ぜひ私は御理解いただいて、皆さん方に三月にこの法案を通していただいたことが、本当に皆さん方と一緒になって二十一世紀づくりをできるというその立場に立って、細かいことがもし抜けておりましたらおっしゃっていただければと思いますけれども、そういう姿勢で、国土交通省が現段階の姿勢をお示しし、なおかつ予算の配分も含めて、そういう対応をしているということでございます。
玉置委員 今の社会資本投資も、法案を確かに出されて、そのときの論議の中でも話があったと思うんですが、今まで、例えば五カ年計画で六十兆円とかいう、例えば道路とかですね、計画がありました。そうなりますと、ある程度の将来のめどというのはわかるわけですが、今回のときに、私は事前にお伺いしましたのは、では、今度は事業主体になりましたということで、総額については、目安はありますけれども目標じゃないという、何か非常に難しいお話をされていたんですよね。
 逆に言えば、では、六十兆円五カ年でかけてきた、あるいは七十兆円ですか、今まで大体年間十七兆円ぐらいだったと思うんです、公共事業全体が。それが、実際には、それを目標に増減増減でこういう計算をやられていたということで、ともかくお金があるからやるんだという形の事業が、今度は必要なところに絞られていく。そういう方向は非常にいいんですが、逆に言えば、財政改革という面から見ますと、では、今までの七十数兆円五カ年でやっていた公共事業について、少なくとも、その三割削減とか二割削減とかという方向が出されて、一つの目安として事業量もそれに見合って減ってくるという方向がなければおかしいんじゃないですかという話をしたんですが、それに対する明快な答えがなかったんですよね。
 ですから、あくまでも事業本位ということになりましたということですが、やはり費用としての目標をセットすべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
扇国務大臣 私は、今、玉置委員がおっしゃったように、少なくとも、総額の中で割り振りをどうするんだというお話でございますけれども、日本の国全体の公共事業費が自動的に三%ずつカットされているわけですね。公共事業というものの八割を国土交通省が担っていた。それが三%ずつ予算としては削減されている。では、その削減された分でどこをどうするんだ。毎年、来年度も、今、財務大臣が来年も公共工事は三%削減、八月の概算になるまでにももう既に三%削減とおっしゃっています。
 ですから、その部分の中でいかに効率よくするかという話に私はなると思うんですね。ですから、削減されている分で、これができなくなったというのではなくて、国土交通省の大きな省庁の中で、陸海空ですから、そこで私は知恵を出しましょうよと。
 はっきり申し上げて、では、高速道路一つとってみても、国幹会議で決めたものも、今は民間の皆さんの知恵で、しなくてもいい、もう高速道路要らないよとおっしゃる。けれども、日本じゅうで六〇%やっとできていますけれども、まだ四〇%の人が高速道路のないところに住んでいるわけですね。
 そしたら、わからない話をしても申しわけないんですけれども、民主党さんの方で、全部高速道路無料にして、そして自動車保有税をしろというお話も、私はちらっとマスコミで見ました。
 けれども、日本じゅうで四割の皆さん方が、高速道路のないところに住んでいる人にも自動車保有税で、有料道路を使えるところの人だけが使っていい、これではやはり不公平になるんじゃないか。例えばですよ、言えば。
 そういうことも国民の皆さん方に、ぜひ、少なくとも、公平にみんな、本来は、公共工事というのですから、国際港湾だとか国際空港とか、あるいは高速道路なんというのは、くまなく、いただいた税金で公共工事として仕上げてから、さあ、どうぞ、民間にというのが私は本来だという信念を持っています、基本的には。
 けれども、今、おっしゃったように、予算を削られる中で、例えば、例を挙げれば、今の三%カットと言われても、少なくとも、公共事業の中で建設業者、まあ五十五万業者ぐらいになっています。それで、三%削減されたのにこの十年間で二万社会社がふえているんですね。そうしますと、雇用が六百十八万人ですから、そういう意味でいいますと、社会の中で、また地方によっては、大変、言葉が悪いかもしれませんけれども、ほとんど地元に主幹産業がない、公共工事が一番主幹産業なんだという地域もあるわけです。
 そこがはなから削られておりますから、そこでできている企業は倒産の憂き目に遭うというようなことが今の構造改革の中の一環として、さっき私が申しました、肥大してきた、また、高度成長期には、うはうはみんな建設業に参入した、それでも人手が足りなかった、材料が足りなかった、その当時に建てたものは欠陥工事だ、こういうふうになっていますので、私は、本来の国のあり方というものが、グランドデザインがなかったから、そのときそのときの予算で、行け行けどんどんとしたという結果が、さっき言った二十世紀の負の遺産だと思っております。
 今、公共工事が三%カットされても、どうしてもしなければいけないところはあるんですね、国際的に。でなきゃ日本の将来がないというところに集中投資しようということを選択する。しかも、それも地元の意見を聞いて、県だけではなくて、日本全国を十のブロックに分けたわけです。県をまたいでブロックでどの工事を一番最優先すべきかということを、そのブロックの知事さん、あるいは政令指定都市の市長さん、財界で決めてくださいということが、今まで国土交通省が上から持っていくものと違ってくるということが私は大きな変化だと思いますし、また、それを今進行中であるということが言えると思っています。
玉置委員 今のお話、伺いながら、静岡空港と神戸空港、これが何で許可されたんだろうと非常に不思議なんですよね。
 神戸はすぐ横に伊丹があります。それから関空があります。それから四国にもありますよね。非常に混雑した中での空港なんです。静岡空港は、確かに空港のない距離が一番長いところにあるわけですね。ということですが、しかし高速道路と新幹線があります。ということを考えますと、では、あの人たちはどこへ行くんだろう、何か五十万人は北海道へ行くとかいう話があって、本当かいなという話をしているんですけれども。
 やはり総合交通体系とその必要度という面から見ると、まだそういう、私たちから見るとむだなんですよね。地元の方は賛成と反対が分かれて、反対の方が多いんですかね。三分の二が反対で、三分の一が賛成というふうなところへ何で許可されたんだというのがあるんですね。
 それともう一つは、今度問題になっています道路公団ほかの民営化の話。これも、本四架橋は民営化したらとてもやっていけない、この負担が、要するに償還だけで食われてしまうわけですね。では、道路公団そのものも、例えば五十兆円近い借入金の返済を考えていきますと、単なる民営化ではなかなか済まないだろうというふうに思います。
 それから、先ほどの高速道路の無料化の話、あれも無料の部分と有料の部分を明記して、そしてその地方に役立つようにということで僕らは考えているわけですけれども、その辺がいろいろ間違って伝えられるわけです。
 この辺を考えていきますと、なかなか総合的な交通体系という部分と地元要望との差をまだまだ埋めていないといいますか、要するに、どうしても地元要望に引きずられて財政上悪い方向に向かっているんじゃないかという心配があります。その辺をちょっとお答えいただきたい。
 神戸と、特に静岡ですね。なぜ、それを聞いたら悪いかもわかりませんが、そういう方向が若干違うんじゃないですかということですね。その辺、ちょっとお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 どうして事業認可したのかとおっしゃいましたけれども、これは私の就任前のことでございますので、だれが認可したなんということは、私は言いたくありません。
 そして、この委員会でも本四の話も随分出ました。なぜ三本いったのかということで、私もそのときは政治判断が間違っているとはっきり申しました。あれはまず二本つくって、その一本の橋のお金で四国一巡の高速道路を連結してつくるべきであったということを、私は自民党の部会で言って、そのことも申しました。けれども、それは多勢に無勢で、そのときの政治判断で三本一挙につくってしまって、今にっちもさっちもいかないということで一兆三千億という国費を投入しなければならないというところまで来ました。
 けれども、それはさておいて、今、空港の問題もお返事いただきたいという玉置議員の御説明ですけれども、私が申し上げておりますのは、事業認可はしたけれども、事業評価制度というものを平成十年から特に国土交通省は取り入れております。そして、静岡空港の評価制度を下すのが本年でございます。ちょうど計画して十年目というのが、評価制度で判断をして、今後つくるかつくらないかというのがそこで評価されて決断するというところでございます。
 そして私は、静岡空港のときには、十年前に中部国際空港がこれほどのスピードでできるということは我々は知らないでいましたし、また、万博ということで中部国際空港が早期に実現するということで、静岡は果たしてどうなのか。
 けれども、玉置議員も長くいらっしゃいますから御存じでしょうけれども、国会で一県一空港と言った時代がありました、高度成長期に。この狭い日本で四十七都道府県、一県一空港、飛び上がったらすぐおりなきゃいけないような、そんなことがまじめな顔で、国会議員の中から一県一空港要望というのが出ました。そのときにも一県一医大ということも言われました。けれども、今、日本じゅうで九十四の空港が、離島も含めてございます。果たして、道路の特定財源と同じです、空港特会で全部お金を着陸料で集めて、そして、経営的にはここにつくっても採算性がとれないなと思うところでもつくったんですね。
 ただ、今言っておりますことは、評価制度を導入して、静岡空港も本年、十年目ですから、今後工事を続けるか続けないかという判断がことし中に行われるということで、評価委員会もございますから、私の口から今、中断するとかしないとかは言えませんけれども、本年が決着の年であるということだけは一点言えます。
 それから、関西空港の三空港の話が、今玉置委員からも言えということでございますけれども、これは私の持論でございまして、何としても安全性ということは一番大事だということを、国土交通省、言っています。関空の空域と伊丹空港の空域と、そのすき間を縫って、神戸空港なんですね。関空と伊丹空港の空域がほとんど重なりつつあるようなすき間を縫って、神戸空港の空域。パイロットの皆さんにも聞きました。とても自信がないと言うんですね。そして、コミューターで貨物を主体にしたい。
 私は、それはおかしいんじゃないか。安全性の面から見ても、また、関空をつくるときに神戸は要らないと言ったにもかかわらず、関空ができ上がって、今度は空港と言い出したんです。そして、御存じのとおり、伊丹空港は、関空ができたときには伊丹を廃止すると一筆書いてあるんです。果たして、それをいいと言ったのはだれかは、私も名前は言いません。
 けれども、関空ができたときは伊丹を廃止しますと書いてあって、しかも、伊丹空港に、今まで空港整備費というのは千百十億円です。ところが、千百十億円の伊丹の整備費、一方、周辺整備機構、周りの皆さん方に、騒音がうるさいから二重窓にしましょう、窓を閉めたら冷暖房つけましょうといったお金が六千三百三十四億円です。五倍以上の、周辺整備機構が皆さん方に払って、空港が五分の一しか整備費を使っていない。今も一年間に八十億から百億近い整備費を払っています、本体よりも。それでは日本の国の空港の着陸料が安くなるわけがないんです。
 だったら、私は、いっそ神戸に、そういうのなら、同じ兵庫県なんですから伊丹をやめなさいと、本体の整備よりも五倍も空港周辺整備機構で住民に配っているのだったら、年間九十億で神戸を本格的に空港にして、関空と神戸の空港とを海底で結んだら十五分です。それこそ国際線と国内線の乗りかえにお金も時間も距離も要らないという、これが将来の日本の国際線のあり方ではないかというのが私の意見でございます。
 そのとおりいくとは思いませんけれども、そういう議論も今まではタブー視されてきたということは私はあえて言わせていただきたいと思っておりますし、これによって議論が沸騰していますけれども、私は議論していただくことが一番ありがたいと思っています。そういう意味では、むだだとおっしゃるところを切るという勇気ある政治判断も、この世紀がかわったときには、選択肢としてどうしても、政治家が、政治家で間違ってつくった橋であったり空港であるのであれば、政治判断で解決するしかないと思っておりますので、ぜひ御論議に供していただきたいと思っています。
玉置委員 できてしまって、その費用は国民にツケ回しされるということで、大変な高額なむだ遣いだったと私も思います。しかし、できてしまっているんですから、後処理を考えるというのは我々政治家の仕事でもあるというふうに思います。
 今回のことと若干違いますけれども、国が民間に委託をして、もうかなりの件数の処理をしながら、かなりうまくいっているという一つの事例で、自動車の検査があるわけですね。その自動車検査がもう相当数、民間委託になっていると思いますが、現在の状況と、それから、国がタッチされている人数ですね、検査員の数とかあるいは検査場の箇所とか、その辺の変化について、今どうなっているかということをちょっとお伺いしたいと思います。
丸山政府参考人 車検制度の民間委託の状況についてお尋ねがございました。
 これまでも、私ども、自動車検査の民間委託を含めました合理化、効率化に努めてきたところでございます。
 具体的には、大きく言って三つ。
 一つは、指定自動車整備事業制度。これは、巷間、民間車検と言われているものであります。制度自身ができましたのが昭和三十七年でございます。十四年度について見ますと、継続検査、いわゆる一般の方が新しい自動車を買われて、最初は三年、次は二年ごとに検査を受ける、その継続検査につきましては、民間車検の割合は七〇・八%ということになっております。
 二つ目は、国の検査コース自身の合理化でございます。自動方式総合検査機器というものを平成元年から順次導入いたしまして、検査の合理化を図っているということでございます。
 それから、平成十四年七月には、中央省庁改革を受けまして、検査は独立行政法人化をいたしたところでございます。
 それで、どのような人数で、何カ所でやっておるのかということがございますが、ただいま申し上げましたような措置を講ずることによりまして、自動車の数は、昭和四十年、八百十二万台ぐらいございました。これが、三十七年たちました平成十四年には七千七百万台ぐらいでございます。車の数は九・五倍になっておりますけれども、検査要員は、八百二十四名が九百六十八名ということで、二割しかふえていないということでございます。
 ちなみに、検査場の数は、現在、全国で九十三カ所でございます。
玉置委員 今は、こういう外部委託の関係についてということで、一番数字のふえているところを想定しながら、お願いして教えていただいたわけですけれども、やはり発生費用とか検査項目とか、かなりの改良がされています。そういう面から見ると、船舶とかその他の項目についても、まだまだ改良の余地があるだろうというふうに思いますけれども、単なる外部委託で費用削減ということではなく、思い切った改良を加えていただいて、むしろなくてもいいぐらいのつもりで、大いにやっていただきたいというふうに思います。
 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。
河合委員長 伴野豊君。
伴野委員 民主党・無所属クラブの伴野豊でございます。
 玉置議員に引き続きまして、本日議案となっております法律案につきまして、大臣を初め副大臣等々に幾つかお聞きしたいかと思います。よろしくお願いいたします。
 何度も大臣からお聞かせいただいている点もあるかと思いますが、何回も言わせるなとおっしゃらず、もう一度整理する意味でお話しいただければ、そんなふうに思います。
 先ほど玉置議員の方からも、今の日本の経済状況に照らし合わせて、できるだけ民間でできるところは民間でやっていくんだというお話を承りました。私も、そのとおりだと思います。
 ただ一方で、時代の流れとともに国がきっちり規制をかけなければいけない、今まで野放しになっていたところでも国が規制をかける、あるいは、監視をすることが国民にとっていい分野もまた出てくるんじゃないか。
 重要なことは、その時代に合わせて常に見直しをしていく、一番いいシステムは何だという絶え間ない努力をしていくことが一番重要なことでありまして、一回決めたからこれは全部民間でいいんだ、これは一回国でやると決めたから国でいいんだ、こういう硬直した考えが一番だめなんじゃないかな。うなずいていただいておりますので、多分、大臣もそういうお考えには賛同していただけるかと思うんです。
 それで、今まで、いわゆる公益事業、公益法人は、不特定多数の利益となる事業という定義を受けているわけでございます。そして、営利を目的としない非営利法人で、民法第三十四条の規定に基づいて、当該法人の目的に関する事務掌握をしているものという定義があるわけでございます。今現在、それが二万六千、国が関与しているものが七千、残りが一万九千あるわけでございますが、それが都道府県の所管になっているということでございます。
 そういったものをこの機会に、先ほど申し上げたように、きっちり国が関与していくものと、いや、もうこんなのはいいんだ、民間でどんどんやってください、また、その中間もあると思うんですね。民間に持っていく間に国が少しずつ、ちょっと手を添えていい方向へ持っていく第三の道というのもあるんじゃないかと思うんです。
 そういった中で、今回、さまざまな見直しをされているわけでございますけれども、じゃ、ぶっちゃけた話、これをやることによって、国土交通省関係のものが具体的にどう効果を発揮していくのか。今、大臣はどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただければありがたいなと思います。
扇国務大臣 先ほどから玉置議員とも御論議いたしましたけれども、昨年の三月、閣議決定されました公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画として行っていこうということで、この法案の提出にもつながっているわけでございます。
 今、伴野議員がおっしゃいましたように、官ですることは官、民間でできることは民間にゆだねる、これはごく当たり前のことだったんですね。ですけれども、物によっては、ある程度規制をかけた方がいいところもあるじゃないか、また、規制をかけなければ安全性が保たれないというようなものもある、それはおっしゃるとおりでございます。
 けれども、我々はこの閣議決定されたものに対して、公益法人に対しまして、国の関与の透明化、そしてまたこれの合理化を図っていく、これは当然のことでございますので、今回もその意味で、御存じのとおり、十二の国土交通省法律がございましたけれども、国から指定された公益法人を今後は登録機関に移行していこうということが基本でございます。
 今回の法律改正の具体的な効果を今おっしゃいましたけれども、じゃ、効果としてどういうことが挙がるか。
 一つには、事務事業の一部を民間の責任にゆだねるということによって、行政事務の一層のスリム化が図られる、これは一番大きなことであろうと私は思います。
 二つ目には、これまで公益法人等が独占してきた検査とか、今もお話がございました検定、そういうものの実施を登録機関として他の民間法人等にも開放できるじゃないか、もっとやりたい人はいっぱいいるんだということで、これを開放するということが、自由な経済社会活動の実現ということには大事なことであろうと私は思います。これが二つ目でございます。
 三つ目には、複数の登録機関が競争の中でみずからの創意工夫によって、国では知恵が出ないようなところにも、国民のニーズに応じたさまざまな知恵と工夫を民間がお出しになる、そういうことで、私は、国民の利便性がより向上し、満たされるのではないか。
 この三点が今後、この法案によって大きな具体的な効果として出てくるのであろうと私は思っております。
伴野委員 ぜひ、そういう効果が、今回の関係法人から、あるいはこれから登録されていく法人等々で見られることを期待しております。
 続きまして、今回のこの法案でございますが、平たく言えば、国が今まで指定していた公益法人から、その事務事業を行う、登録をすればそれができるというシステムへ変わる、いま一つは、登録する基準をきっちりと法律で公平公正にかつ中立性を確保しながら定めていくということだと思うんです。
 確かに、今まで国がどんと上から指定していた、そこだけしかできないよといったものを、それなりの要件を満たせば、どんどん皆さんやってください、そこでいい知恵を出し合おうじゃありませんかというのは、非常にいいことだと思いますし、わかりやすいと思うんですが、ただ、その登録をするときに、恣意的なものが入らないか。
 いい意味での恣意的が入るのならいいんですが、公平公正さが本当に確保されるのか、中立性が本当に確保されるのか、この辺がやはりどうしても今後重要になってくるところではないか。ここが、言ってみればこの法案の肝になってくるわけだと思うんですね。
 一つの事業をしよう、一つの仕事をしようとするわけですから、当然、そういうある程度の要件を満たすというのは、これは別にほかの民間会社でも一緒なわけで、最初からつぶれたり仕事もできないような組織をつくるのは、どちらかというと無責任なお話であって、それをどうチェックしていくか。さらに、それが一度だけのチェックじゃなくて、どういうタームでチェックしていくのかわかりませんけれども、常に、ある面厳しい目でやり過ぎてもいけないんだと思うんですが、今度は、ネグレクトじゃないですが、全く無視してもだめだ、ここら辺のさじかげんが非常に難しいと思うわけですし、また、そのさじかげんいかんによっては、この法律がうまくいくかどうかというまさに肝だと思うんです。
 そのあたり、大臣はどうお考えになっていますか。
扇国務大臣 今御質問になりました今回の登録制度というものに対して、登録を受けるための詳細かつ十分な基準を法律で明記してございます。これはもう伴野議員御承知だと思いますけれども、改めてこの二つの要件というものをぜひ御理解いただきたい。また、今後参入しようという人たちも、ぜひこの点を重視していただきたいと私は思います。
 まず一点は、能力要件として、設備とか要員等について一定の基準を定める。何が一定の基準かといいますと、例えば検査等のときに必要な機械、機器の名称でありますとか、そういう要員についての経験と学歴等々が十分に能力的にあるかどうかということが大事な点だと思っています。
 二つ目には、今おっしゃいましたように、公正中立性。これに関しましては、要件として、検査を受検する事業者との間の支配関係が存在しないこと。これはよくあることなんですけれども、要注意は、関連事業者の子会社でないということが大事なことだと私は思っておりますし、役員のうちに関連事業者の役職員数が二分の一を超えないことということも明記してございます。
 そういう意味で、私は、この二つの要件が基準としてきちんと定められている以上は、今おっしゃったようなことが起こらないように、この基準で明記してあることを守っていただきたい。
 あと、国土交通省としましても、法人の登録に際して、今後はこの法律で明記された登録要件への適合を厳しく見るということと、事業の信頼性等の維持を図るというためには、行政による裁量の余地を少しは排除しなければいけませんけれども、より高い透明性が必要であるということで、私たちはこの法律を提出し、なおかつ、参入する皆さん方にはそのことを明記し、確認したいと思っています。
伴野委員 ぜひぜひ、その方向性で御尽力いただければと思うわけでございます。
 これは多分、日本の社会全般だと思うんですけれども、これから大学に入る高校生に、大学で勉強した経験があることというような要件をつけるような、そんなような資格といいますか登録要件というのは建設業界初めいろいろ散見されるんですね。ある指名に入ろうとすると、過去に指名をした経験があるとか、あるいは先ほど申し上げたように、まだ大学に一度も入ったことのないような高校生に、大学で勉強した経験があることがその大学に入る要件であるというような、非常に矛盾したような点がある。
 そのあたり、自分の努力でステップ・バイ・ステップで獲得していけるようなシステム、未経験者でも、自分で経験を積んで獲得していけるようなシステムにしていただきたい。入り口のところでもう規制をしてしまうようなことだけはぜひなさらないような登録にしていただきたい。
 いま一つは、これも日本の社会の一つの顕著な例なのかもしれませんが、一度失敗した人が再度挑戦しにくい部分が結構あります。知っていてやらなかったとか、知っていて悪意に満ちて何かをやったというような人はそのところから多少フェードアウトしていただく部分というのは必要だとは思うんですが、ただ、それがもう非常に単純な不注意とか過失とか勉強不足というような程度のものの場合は、やはり再チャレンジできるシステムにしてあげるべきじゃないかなと思いますので、そのあたりなんかもぜひ見直していただければな、そんなふうに思います。
 さらに、今これは入り口のお話で、登録という部分だったわけでございますが、登録も重要なんですけれども、例えば、自動車免許に例えて言いますと、今どういう運転技能を持っているかの方がよほど重要でございまして、過去、十年前に、非常に視力もよくて体も健康で俊敏に事故にも対応できるという時点で免許を取った。しかし、それが十年後、場合によっては八年ぐらい車に乗らなくて、最近やっと乗ったというような場合もあるでしょうし、どうも日本は、資格試験制度というのは、どうしても、そのとき取ってしまえば後はフリーパスだよというのに近いところがございます。
 やはり重要なのは、今どういう実力を持っているかということが一番重要でございまして、ですから、これはまた余りそこに力を入れ過ぎてしまってもだめなんだと思うんですが、少しずつ、最初に登録されてからこれがどうなっていくんだという、成長の記録じゃないんですが、それはどれぐらいのタームで見ていくかというのも一つはあるんでしょうけれども、このあたり、継続的にどう、監視という言葉はよくないと思いますが、温かい目で見ていくか、このあたりはいかがでしょう。
扇国務大臣 適切な検査でありますとかあるいは検定という、その事業をしていく上に、今おっしゃった適切な、あるいは、ここは、ここへいけば間違いがないという資格、まあ資格審査というのも、最初に審査したら、今おっしゃったように後ずっといいんですかということでも困りますので、今回の場合は、登録については一定期間ごとに更新制を導入する。運転免許証と同じような、一定の期間で更新制を導入するということで、登録機関に対する公正な検査実施の義務づけ、これがどうしても必要である。今おっしゃったとおりでございますので、そういう意味では、登録基準への適合命令、これが出せるようにするということでございます。
 それからもう一つ、今おっしゃった公正中立性ということを欠いてはいけないという場合においては、改善命令とそれから登録の取り消しができる。それでなければ、不適格、不適正な人がなったのでも困りますので、その点は取り消しもできるということを明記してございます。
伴野委員 道路交通法と多少違いますので余りいいかげんなことも言えないんですが、やはり実際、その人が現実にどう運転できるかというのが重要なわけでございまして、運転をさせてみないとわからないところもありますので、ぜひ、入り口も大事ですが、どうその人が育っていくか、そのあたりにも着目していただきながら全体のシステムを整えていただければ、そんなふうに思います。
 では、その全般のお話から、時間の許す限り、細部の一つ一つを見せていただきながら質問をさせていただければと思います。
 まず、建設業に関連するようなところで質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、非常に生意気な言い方をさせていただければ、私は、建設業全体をこの時期に一回見直すことも必要ではないかな。
 それは、高度成長期時代から日本を引っ張ってきた非常に優秀な集団であったことは間違いないわけでございまして、ただ、それが時代のニーズに本当に合っているのかどうか。それから、実際、例えば今まで六十万食っていた業界でこれから五十万しか食っていけないのだったら、その十万はどうするんだ。これを考えるのはやはり政治家だと思うんですね。その残った十万がどう気持ちよくほかのところへ配転していく、あるいは新しいビジネスチャンスを見つけていくか、これはまさに私は構造改革じゃないのかな、そんなふうに思います。
 それに関連してというわけではないんですが、さまざまな見直しをしていくべきだと思うんですけれども、その中に、今回、建設業情報管理センターがやっていた業務の中で、経営状況分析というものが今まであったわけで、今後もこれは行われていくというわけでございますが、国の公共事業をきっちりとした会社なり組織がアウトプットを出していただくという意味で、この分析というのは非常に重要ではあると思います。
 しかし一方で、これによって、先ほど申し上げたような新規の部分に少し枠がかけられていないか。過去、やはりお上が一番優秀で、民間の技術者はまだまだなんだよといった時代の名残を受けてはいませんかというふうな気がするんですね。
 そういった意味で、やはり、今回のこの法案が出される中で、建設業情報管理センターがやってきた経営状況分析のそもそもの意味や、あるいは今後の見通しというものを一回見直すべきでございますし、本当にきちっとした判定が必要であれば、私は、第三者機関というものもきっちり使ってやるのも一つの方法なのかなという気もしておりますし、また、不良業者の排除ということであれば、もう少し刑法等々の部分を見直した方がいいようなところも感ぜられますので、このあたり、どのように今後お考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
三沢政府参考人 今、非常に建設業全体として状況が変化をしている中で、各企業ともいろいろ努力、模索をしているというのは先生おっしゃるとおりでございます。そういう中で、例えば経営状況分析がどういう意味合いがあり、また、今後どうしていくかということでございます。
 もともと、経営状況分析を含む経営事項審査制度というのは、公共工事の発注者が受注者を選定するに当たっての一つの物差しを提供するという意味で、現実のニーズとしては、こういう物差しが必要だというニーズは非常に高いというふうに認識しております。
 ただ、今回の改正の中で、例えば、いわゆるY評点と言っておりますけれども、経営状況分析について、必ず国が指定した法人がやらなければいけないということじゃなくて、この部分については、民間も能力があるところはやっていただけるように、そこの門戸は開放する、そういう意味での法改正でございます。
 それと、こういう経営事項審査制度と、それから、当然のことながら、いわゆる技術者の選任の問題であるとか入札契約法の徹底、こういったことが両々相まって、もちろん全体としての質の向上、不良不適格業者の排除につながっていくというふうに認識しております。その中の非常に大きい役割として、経営事項審査制度、そのあり方については、常に不断の点検は怠らないようにしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、これについては今後とも必要な制度だろうというふうに考えております。
伴野委員 制度自体は、私も全く必要ないと言っているわけではございませんで、ぜひぜひ、本来の目的に沿う形でいま一度見直しをしていただく部分もあるのではないかなという観点でございますので、そのあたりを御理解いただきまして、適正な入札ができる、そして、しかも効率がよく、かつ、できるだけ少ないコストで最大限のアウトプットを出していただけるようなシステムの一助になる、その目的の方で常に見直しをかけていただければ、そんなふうに思います。
 続きまして、これも建設業情報管理センターさんがやっておられたお仕事の項目なわけでございますが、どうも、私自身の勉強不足もあってか、今まで余り目にしたことがなかったものですから、この点をお聞きしたいかと思います。
 建設業情報管理センターさんの中のいわゆる業務の項目の中に、調査研究、それから技術の開発という欄があったわけでございますが、具体的に、これはどんな実績が今まであったのか。また、今後どういう実績を出していかれるのか。現時点でおわかりになる範囲でお答えいただければと思います。
三沢政府参考人 建設業情報管理センターでございますが、これは昭和六十二年に設立されまして、今までの一番主たる業務は、先ほど先生御質問ございました経営状況分析の機関ということで今までは指定をされていて、大体、実績でいいますと、年間約二十万件の経営状況分析というのをやってきたという実績がございます。
 そういう業務に加えまして、今、先生から御質問の調査研究、それから技術開発という業務があるわけでございます。
 調査研究につきましては、例えば、一番典型的に申し上げますと、建設業に係る企業の経営分析を行って、それを発表している。これは昭和六十三年度から毎年度実施しておりまして、建設業の経営状況について、業種別、規模別に、例えば収益性とか流動性とか健全性とか、いろいろな観点から分析を行っております。調査対象は、平成十三年度でいいますと十四万業者というので、かなりのカバー率での調査をして分析をしている。
 これはどういうふうに活用されているかといいますと、調査結果について公表しておりまして、いろいろな団体とか関係行政機関にも幅広く配布されておりますが、専門紙なんかにも非常によく掲載されまして、建設業の経営状況がどうかというときに、まず一番によく引用されるのがこの資料でございます。
 それから、それ以外にも、経営状況分析そのものを迅速かつ合理的に処理するためのシステム関係のいろいろな調査研究をやっておりまして、これは、これから申し上げます技術開発にさらに反映していくという仕組みになっております。
 技術の開発という観点で申し上げますと、特に、経営状況分析に係るシステムについて、相当何回にもわたりましてプログラム開発、一回つくったプログラムをさらにまた改造するということを行ってきておりまして、これによりまして、かなり審査期間の短縮化が図られる。あわせまして、審査に必要な財務諸表のチェックシステムというようなものも導入しておりまして、こういうことによってより厳正な分析というのも行えるということで、全体といたしまして、経営状況分析をしてくれ、こういう建設業者の方々に対するサービス水準の向上にもつながっている。
 それから、こういう経審の結果については、全部インターネットを含めて公表しておりますので、これについて、業者だけではなくて、発注者にも幅広く情報提供が行われているということでございます。なお、インターネットでの検索件数で申しますと、平成十四年度で大体約千三百万件ぐらいの検索がございますので、相当程度活用されているシステムかなというふうに考えている次第でございます。
 こういうことを含めまして、調査研究、技術開発というのを行っているということでございます。
伴野委員 なお一層情報公開に努めていただきまして、やはりPRというのは非常に重要かと思いますので、そのあたりにも御尽力いただければ、そんなふうに思います。
 三つ目の建設業関係の質問でございますが、先般、うちの同僚議員の津川議員からも一つ指摘があった監理技術者資格証、これが本当に要るのかというようなお話もありました。多分、そのときにもいろいろ議論があったかと思いますので、きょうはこれ以上は深入りはいたしません。また津川議員に頑張っていただければいいかなと思うわけでございますが、ただ、やはり本当に、建設業界の自由度を阻害するような資格ではあってはいけないと思うんですね、制度であってはいけない。
 ただ、一方で、一級何とかとか、そのたぐい、やはり国がきっちり見ないといけないものもあると思うんですね。そういう国がきっちり見てもらわなきゃいけないものは、逆に言えば厳しくレベルを上げていただいて、一つの技術者のステータスにしていただくべきであって、ここを何か、わけのわからない、例えば一級施工管理技士がどこでも乱発されていて、要するに、何とか学校で取ったものは認められるけれども、何とか学校で見たものはお金を出せばいいというような、そんなものであっては本当に信用がなくなってしまうわけでございますし、この辺のやはりめり張りだと思うんですね。
 何か本当に形だけ、要するに、こういう指摘がいいかどうかわかりませんが、ラッピングの世界でお金をもうけることは絶対あってはいけないような気がいたします。中身だけをきっちりと、国がそこに目を光らせて、中身の検査、中身のレベルの高さを評価するということはきっちりやっていただいて、そこにどういう包装紙をかけるかというところで、その包装紙を年間一枚、二枚、三枚めくることによって、三回更新料を、あるいは包装紙料を払わなきゃいけないというようなものでは絶対あってはいけないと思うわけでございますが、このあたり、今後、国の技術検定試験と法人の登録制度とどう見直しをされていくのか。このあたり、いかがでしょうか。
高木大臣政務官 ただいまの施工管理技術検定試験の見直し等についての御質問でございますけれども、委員御指摘がありました津川議員の質問も、私もずっと聞かせていただきました。それを踏まえてということではありませんけれども、現段階で、御指摘の施工管理技術検定試験、これは、建設工事の施工技術の向上を図るため、建設工事の施工に従事する者について行われる国家試験である。その上で、試験の合格者は、建設工事の現場において施工管理を行う監理技術者等として配置されており、建設工事の適正な施工の確保、さらには発注者の保護等に大きな役割を果たしているものと国土交通省としては認識をしております。
 その上で、試験事務については、指定試験機関により、試験問題の作成、答案の採点、これらを効率的かつ厳格に行うなど、これまでも、その適正な実施に努めてきたところでございます。
 その上で、さらに、施工管理技術検定試験は、平成十四年三月に閣議決定されました公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画、これにおきまして、他の国家試験同様、現行制度を維持することとされましたことから、今回の改正におきましては、例えば登録制に移行するなどの見直しは行っておりません。
 今後とも、施工管理技術検定試験については、政府全体の方針を踏まえながら、改革実施計画の中に盛り込まれた事務事業の定期的検証など、適正な実施に努めてまいりたい、このように考えております。
伴野委員 先ほど申し上げましたように、やはり、国家資格というのはいい意味では非常にステータスになるものでございまして、これはどの国家資格もそうだと思いますが、いろいろな、その人が自分で夢を実現していくための励みにもなるものでございますので、ぜひひとつ、このあたりは厳しくきっちりと今後も検定していっていただきたいと思うわけでございます。
 一方で、先ほど申し上げたように、やはりペーパードライバーであってはいけない。もう十年もほとんどその業務に携わっていないのに、免除されれば同じだというのも、これまた、ある面、不公平でございます。十年間その資格を持って頑張ってきた何とか技術者と、ほとんど、その資格だけを取って、毎年登録だけ払っていて、それで、十年ですよ、同じ十年選手ですよというのは、私は、これはある面、公平のように見えて不公平だと思うんですね。これをどう見ていくかだと思うんですが、このあたりにもぜひ心を砕いていただければ、そんなふうに思います。
 また、一方で、先ほど申し上げたような包装紙の世界はもうそろそろ見直してもいいんじゃないかなという気もいたしております。
 続きまして、話題を少し観光の方に移らせていただきたいと思います。
 今回、私が担当させていただいた法案の関係箇所を幾つか見せていただいたわけでございますが、その中でも、これは何であったんだろうなと思うものがありまして、その中の一つに、特定地域に限定した通訳案内制度、そもそも本当に必要なのかどうかというところですね。
 それで、何か人数なんかも聞いてみますと、えっ、そんな人数しかいなかったのというような登録制度であったようなわけでございますが、まず、本当にこれはなぜ必要だったのか。特定地域に限定した通訳案内制度、これが本当に、その時代に必要だったなんて言われてしまえばそれまでなんですが、なぜ必要だったのかというのと、もしそれが目的に合うものでなかったら、なぜ目的が達成できなかったのか。今回、どうして廃止に至ったのか。そのあたりのところをお聞かせいただければと思います。
三沢政府参考人 まず、なぜ創設されたかということでございますけれども、特定地域に限定した通訳案内制度というのは、法律制定時の議論では、ある地域を訪れる外国人の観光客の数に比して通訳案内業者の数が非常に少ない地域がある。特に、言語別に見てみますと、例えば中国とか韓国の通訳の方というのは非常に不足している。こういうことで、地域を限定して、そのかわりに、いわゆる語学試験と人物考査試験まではきちっと受かっていただくけれども、いわゆる知識の部分、歴史とか地理の知識の部分についてはやや緩和したような、そういう通訳の免許を与えるというために設けられた制度でございます。
 それで、先生御指摘のとおり、この実績は、地域の指定では九州が一地域だけ指定されておりまして、特に、免許の保有者は九名ということで、非常に数が少ない。要するに、利用されていないというのが現状でございます。
 それは、そもそもどういう理由でこうなったのかということでございますけれども、一つは、観光旅行について、やはり、もう今コストをできるだけ低減しながらやっていくということから、大体、添乗員と通訳が一人の方がずっと一貫してやるというのが普通の形態になりつつあります。そうしますと、通常のツアーの行程では、到着した空港の出迎えから観光地の案内から見送りまで一人の方がずっとついていく。そうしますと、ツアーの行程の一部だけしか、ある地域でしか関与しないという方のニーズというのが、やはり今の状況から見ると、もう余りないのではないかということ。
 それから、外国人旅行者の方が非常に増加はしてきておりますけれども、その特徴としては、やはり大都市とその周辺というのに行かれるというケースが非常に多いということ。それから、ある、例えば九州なら九州というところに行かれる場合でも、やはり、一たん東京あるいは大阪に着かれて、そこから九州に行かれる、そういうケースが通常ですので、そうしますと、特定の地域だけの知識ということではなくて、全国的な知識が必要なのではないかということでございます。
 したがいまして、今回、この特定地域限定の通訳の制度は廃止をいたしまして、むしろ、全国的に見て通訳案内業者が不足しているという現状にかんがみまして、通訳案内業法に係る試験制度そのものを見直して、合格者数というのをもっとふやしていくということを検討すべきじゃないか、こういう趣旨から、今回、地域限定通訳案内業制度を廃止するということにしたものでございます。
伴野委員 見直しの方向性はそのとおりだと思いますので、やはり、これに限らず、時代の要請に合った見直しを今後とも続けていっていただきたいと思います。
 それから、この通訳案内業者自体というのは、おっしゃるとおり、本当に不足していると私は思うんですね。ここにもう少しモチベーションがかかっていくような何かシステムを今後ともお考えいただければな、そんなふうに思っております。
 では、続きまして、観光に関連するところで、これは一つの提案に近いようなところなんだと思うんですが、やはり、ホテルの評価というのは、これはいい意味でといいますか、縛っていくということではなくて、旅行者の興味を引くというんですか、ミシュランの四つ星、五つ星というような観点ではないんですけれども、まあ、それに似たようなものでもいいんです。今、旅行者にとりましても、どういうホテルで泊まるんだ、場合によってはそこにステイすることが旅行の目的になっている場合もありますので、もう少しきめ細かいランキング、これを、どこまで国がかかわるかというのはあるんです。何か、第三者的な立場でもいいんですけれども、かといって、かっちり規定してというものでもないような気がするんですけれどもね。
 何か、わくわくするようなランキングというと、ちょっと非常に漠とした言い方で失礼なんですけれども、そんなような、今までの国際観光ホテル、旅館の登録、登録してしまえば、あるいは、ハードだけ見て、ベッド数がこれだけで、部屋の広さがこれだけで、それで登録よという味気ないものではなくて、もう少し、何かソフトといいますか、心が伝わるようなランキングというようなことに心配りしていただいてもいいんじゃないかなと思うんですが、そのあたり、どんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。
三沢政府参考人 先生おっしゃるとおり、ホテル、旅館に関して、もっときめ細かい評価が欲しいなというその気持ちは非常によく理解できるわけでございます。
 これはもちろん、いろいろ難しい問題もございまして、例えば旅館なんかの場合ですと、例えば接客態度みたいなソフトのサービス面が非常に大きいウエートなんですが、正直言って、その時々の従業員によって客観的な評価がなかなか難しいとか、あるいは、同じ旅館、ホテルという名前のもとでも施設の形態は非常に多様であるというようなこともありまして、なかなか難しい点はございます。それからもう一つ、やはり公的主体がどこまでそういうものにかかわっていくかという、いろいろな議論があろうかと思います。
 ただ、旅行者の側からは、やはりそういうきめ細かい評価、情報が欲しいということは非常によくわかるわけでございますので、そこは、先生がおっしゃいますように、例えば、利用者の評価を集積して、それが一つのものになっていくような、何か評価制度のようなものも考えられないかというアイデアもございます。これについては、そういう意味で、ちょっとこれからの課題として幅広く検討させていただきたいというふうに考えています。
 あわせまして、いずれにしましても、旅行者に対する情報の提供がやはり必ずしも十分ではないんじゃないかということで、これにつきましては、いわゆる登録ホテル、旅館だけではなくて、例えば外国人の方ですと、もうちょっとコストが安いところというニーズもございますので、そういうことも含めてデータベースをつくりまして、インターネットで複数言語でわかるようなもの、これを発信して、例えば、この料金でこういう施設タイプだったらということで検索すると何か出てくる、こういうような情報提供のシステムというのを今現在検討しておりますので、これについてさらに努力をしていきたいというふうに考えております。
伴野委員 教育の世界の偏差値ではありませんけれども、偏差値自体あるいはランキング自体がホテルの目的になってはいけないと思うわけでございますが、ただ、ランキングを一つでも上げることによって、サービスが向上される、しかも従業員のステータス、気持ちも、モチベーションも高まっていく、それがさらに、旅行をされるお客様の楽しみもまたふえていく。余り、すべてがよくなるというようなシステムはないのかもしれませんが、ぜひ、そういうようなことをまたお考えいただければ、そんなふうに思います。
 では、せっかく観光のお話をさせていただいておりますので、これは少し耳の痛い話になるのかもしれませんが、観光関連でちょっと気になっていることを幾つか質問させていただきたいと思います。
 これは質問ではないですが、一つは、今回、大臣も肝いりで、ビジット・ジャパン・キャンペーンですか、これをおやりいただいているわけでございまして、やはり先立つものも必要だと思うんですね。
 これは、予算なんかを見ていますと、各国に比べて日本のいわゆる観光振興にかかっているお金というのは、国の規模からするともっとあってもいいんじゃないか。この非常に財政難のときに、そこだけお金をかけるというわけにはいかないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、今の時代、特化させるべきものにはお金をかけていく時代ではないかなと思うわけでございます。
 その中で、やはり観光産業というのはトータルな総合産業でもございますし、日本はこれからまだまだその分野で伸びていく余地を持ってくるわけでございますので、投資効果があるわけでございますので、ぜひ大臣もこのあたりのところに手厚い予算をつけていただけますよう、お願いをしたいなと思うわけでございますが、一方で、どうしてもやはり、過去、日本の観光産業あるいは観光振興というものを考えた場合に、箱物やあるいはハードに頼り過ぎていたところはなかったのかなと。
 顕著な例と言うとちょっと関係者に失礼な例になってしまうかもしれませんが、私も期待していたハウステンボスが非常に残念な結果になっているんじゃないのかな。これは今、会社更生の申請を受けて、今後の見通しがどうなるのか図られるところでございます。これはひとつ、総合保養地域整備法をバックに行われた開発であるわけでございますけれども、私としても、東京ディズニーランドを初めハウステンボスやこういうアミューズメント、嫌いな方ではないわけでございまして、何とかうまい方向へ行ってもらえないものかな。みんなで知恵を出し合って、せっかくやりかけた事業なわけでございますから、皆がハッピーになる知恵を出し合うことも必要じゃないか。ただ、ずるずる当てもなくやっていくのも、これも問題なのかな。このあたり、今どんなふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただければ。
澤井政府参考人 ただいまのリゾート法でございますが、全国で最近いろいろな事例があって、円滑にいっているものもあれば、円滑にいかなくなっているものもあるということを踏まえて、私どもは最近、政策評価を実施いたしました。結果、余暇活動の質、量、両面の変化があって、そういった変化についていけずに、実際の需要に比べて過大な投資が行われて、経営が円滑に行われなくなった事例もありますが、一方で、来訪者のニーズを踏まえて、創意工夫を凝らした取り組みによって成果を上げている例もあるということが言えると思っております。地域によってさまざまでございます。
 こうした各地の取り組みの具体的な教訓なり反省なり、あるいはその成果、そういったものを踏まえまして、私どもでは、全般的に今後実現性の乏しい基本構想自体の廃止を含めた抜本的な見直しと、それから各道府県の基本構想自体について定期的な政策評価が必要であるというふうに考えておりまして、その上で、観光振興あるいは地域間交流の拡大のための魅力ある地域づくりに向けて、これからも一定の役割を果たすべきものと考えております。
 その中で、長崎県のハウステンボスでございますが、今年二月に会社更生法の適用申請に至っております。四月三十日に更生手続の開始が決定されたものと承知しております。なお、施設は、御承知と思いますが、現在も引き続き営業され、雇用も継続されている状況であります。
 ハウステンボス自体について申し上げますと、その経済効果が県内総生産の約五%というかなり大きなウエートを占めているという調査もあるなど、長崎県観光の中核施設になっていると認識しております。
 このため、県におきましても、緊急対策本部を二月に立ち上げまして、ハウステンボスを支援する県民運動、あるいは営業継続を宣伝する、東京を初め全国に、営業しているということを宣伝するなどの取り組みを県でも今懸命にしておられます。この更生手続自体につきましては、今後、支援企業の選定とか更生計画案の策定などがこれから進められるというところと聞いておりまして、関係者の努力により一日も早く再建されることを私どもも期待しているところでございます。
伴野委員 昨年の十一月二十七日に私自身も観光振興に関する質問主意書というのを出させていただきまして、その中で、今最後の方にございました、きっちりと政策評価をしていくという回答をいただいております。
 ぜひこの観点、重要な事項でございまして、日本の社会というのはまだ減点社会でございまして、私自身、これは持論なんですけれども、結果を出すということと同じぐらい、チャレンジをするということは重要だと思うんですね。でも、まだ日本の社会というのは、すぐ失敗をしたところをほじくり返すと言ってはマスコミに対してあれなのかもしれませんが、どうもそこばかりに対してぶったたく、いいところはなかなか評価しないくせに悪いところばかりぶったたいて、すべての法律がというか、新しくチャレンジした法律が悪いようなことを言う人もいらっしゃいます。
 一方で、それがなぜごっちゃになっちゃうかということは、やはり政策評価をきっちりやっていないということは一つ原因があって、いいことはいい、悪いことは悪い、いいことはどんどんアピールしていただいて、悪いところも包み隠さず、こんな失敗がありました、だから次からは失敗しないようにしましょうねということは非常に重要なことでございます。
 私自身は、成果を出すこととチャレンジをすることというのは同等ぐらい重要なことだと思っておりますので、ぜひ政策評価をきっちりしていただきまして、こんないいこともあったよ、だけれども、こんな失敗もしちゃった、こんな失敗は今後絶対しないように頑張りますというような政策評価の集計が出てくることを期待しておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 続きまして、少しお時間をいただいているようでございますので、あと二、三、観光に関する質問をさせていただきたいと思います。
 観光産業は何ぞやといいますと、いろいろな考え方があるかもしれませんが、文明というのはなかなか観光産業になりにくいのかなという気持ちを持っております。
 なぜかといいますと、文明というのは、普及させるためには画一である、できるだけ個性をなくしていくというようなことにつながっていくと思うんですね。しかし、観光というのはやはり非日常的なものを見たいとか、いつも遭遇していないものを体験したい、どちらかというと、そこにしかない文化といいますとこれは結構閉鎖性の中にはぐくまれるケースが多いんじゃないか。ですから、日本が本当に観光産業として立脚できた要素があったというのは、ある面、鎖国の時代といいますか江戸時代の三百諸侯が勝手に切磋琢磨していた時代がそうなのかなと思うわけでございます。
 日本の今のまちづくりというか、いい面では文明が発達してどこでも同じようなサービスが受けられる、しかも同じような生活レベルで、水も食事も衛生的なことも、あるいは病院も受けられる、これは非常にいいことなんですが、一方でどこにいても余り変わらない生活というのは、逆に、観光としてはマイナスになっている部分もあるのではないかなと思うわけでございます。
 それで、何をお聞きしたいかということなんですが、そういった今の日本の状況を踏まえた上で、今後どのところに観点を与えて、例えばアンケートなんかをとってみますと、学校の休みと会社の休みが合わないから旅行に行けないとか、子供が手を離れるまでは旅行ができないということとか、あるいは若い世代にとっては旅行費用そのものが負担なんだといってみたり、それから退職後にどこか旅行しようと思ったら、さっき申し上げたように非日常的なことがなくなってしまって、非日常的なことをちょっと味わおうとすると山奥の温泉しかないかというようなことになっているアンケート結果も見られます。
 そんなような、ハードに偏らず、ソフトと絡めた、家族構成、世代、年齢をある程度絞った観光施策というのは今後お考えになっているのかどうか。もしお考えになっているようでしたら、披瀝していただければありがたいかと思います。
扇国務大臣 経済的にも産業的にも大変先行き暗い話ばかりでございますけれども、私は、観光産業というものは二十一世紀の第三次産業の主幹産業になり得る、そう信じています。
 また、小泉内閣としても、そういう意味で、初めて観光に関する関係閣僚会議本部を立ち上げた。そして、今おっしゃいましたように、ビジット・ジャパン元年ということで、ビジット・ジャパンという名前はどうかということは別としても、要するに観光にスポットを当てるということに内閣として取り組んだというのは初めてのことでございます。それほど今まで観光というものに日が当たっていなかった。
 また、これだけ日本は外国にないすばらしい文化、そしてそれぞれの世界遺産も持っていますし、それぞれの重要文化もあるし、日本でしかないものもあるにもかかわらず、その一貫した宣伝方法がとられていなかったということが、今おっしゃった閉鎖的だというのか閉鎖的だったから文化が守られたか、これは卵と鶏の話でさておきまして、現実的に、今申しました二十一世紀の第三次産業の観光の育成というものに関しては、私は、重要な取り組みをしなければならない、また、するべきであろうというふうに考えております。
 そういう意味では、今の観光というものの経済効果というものはどれくらいあるかということは、少なくとも生産効果というのは約五十兆円あるという試算もされております。また、雇用効果というのは、四百万人の雇用創出効果がある。これも数字の上ですから、これを信じる信じないは別としても、過大だといってもそれに近い効果はあることはあるんですね。それを私たちはしなきゃいけない。
 今、伴野議員がお口になさいましたけれども、日本のサラリーマンは大体平均十八日間、一年間に有給休暇をとってもいいというふうに言われているんですけれども、これは、調査しましたら、十八日間の有給休暇のうち日本人が現在使用している有給休暇は半分の九日間。せいぜい半分しかとっていなんですね。とっていない理由は、今おっしゃいましたけれども、子供と親の休暇が統一してとれない。子供は、夏休みと春休みとお正月しかないということで、有給休暇十八日間を十分に活用できないというところにも大きな原因もあるわけでございます。
 そこで、休暇が十八日間全部とれたらどれくらいあるんだろうか。今は九〇%ですから、今言った親と子供が一緒に旅行できるというときは一定の時期に集中されますから一定の混雑が見られる。なおかつ、夏休み料金とか春休み料金とかって、ふだんより料金が高いんですね。混雑して、そして高い料金で、なおかつ時間を空費して、そして疲れるということも現実的には出ておりますので、そういう意味では、今回は改めてこの休暇の取得促進、そういうものを図っていきたい、こういう機会を提供したいということで、それによって旅行費用の低廉化も図れるということでございます。
 この十八日間という完全有給休暇消費、これをしますと、年次休暇の完全実施において経済波及効果が約十一兆八千億円、雇用創出効果は約百四十八万人、これも十八日間有給休暇をとっていただくだけでこれだけ効果があるという数字も出ています。そういう意味では、これは文科省とも連携をして、そのための全大臣が出席したビジット・ジャパン元年の組織でございますので、こういうことも配慮して、時差休暇の取得が可能かどうか、学校の休暇の活用も、あるいは時差ができるのかどうか、その辺のところもこれは閣僚会議で重ねて検討していくべき大きな価値があろうと思っています。
伴野委員 外国人観光客の誘致も非常に重要でございますが、国内観光旅行の振興、発展というのも非常に重要なことでございますので、一億二千万人が観光観光と言っていて、会社や学校が閑古鳥が鳴いているというのもちょっと問題ではございますけれども、ぜひぜひ、そんな啓蒙も含めて観光産業振興にお努めいただければ、そんなふうに思います。
 最後に、もうお昼も過ぎておりますので最後の質問にしたいと思いますけれども、これも一つの私の勝手な個人的な提案でございますので、どんなふうにお考えになっているかお聞かせいただければいいというわけでございます。
 ワインがブームになった時期がございまして、今も続いているといえば一つあるわけでございますし、それから日本人が飲む量がぐっとふえたときがございました。ここの一つの理由は、ソムリエの活躍といいますか、私の個人的な友人でもある田崎さんの活躍初め、ソムリエの活躍というのが、ワインやワイン文化、あるいは、さらにはワインの生産地の文化振興にもつながったと思うわけでございます。
 観光の部分も、いわゆる本当の観光振興のプロフェッショナルというか、外国人のお客さんを何人呼んだとかあるいは国内にどういう企画をつくったかというので評価するようなシステムがあって、観光ソムリエみたいなものを毎年表彰するとか、何かそんなような制度もつくってみて、観光振興のプロフェッショナルというのを育成していく、そんな政策があってもいいような気がするんですけれども、そのあたり、いかがですか。
扇国務大臣 まず、それよりも国土交通省として、この観光倍増計画、二〇一〇年に一千万人、今五百万人ですから、倍増計画の、まず国土交通省としてしなければいけないことは何かということは、御存じのとおり、先ほども私、玉置議員に申し上げました、玄関口であるという成田についてどう対処するか。
 そして今、成田にいらしたらおわかりになりますけれども、国内のあのCIQの通るのと、外国人の通るのが少ないんですね。そうすると、飛行機がおりてからあのCIQ、成田、通るだけで一時間、外人並んでいるんです。これも私たちは、今言ったビジット・ジャパン・キャンペーンの元年とするなれば、まず一番最初におりて、不愉快な思いをして成田で一時間並ぶ、しかも、香港やあるいは上海、韓国から二時間以内で飛んできて、成田で一時間並ばされるという、これでは観光立国なんて夢の夢でございますので、そういうことも関連の法務省あるいは農林水産省、外務省等々と、CIQ、空港の通関の短時間、これを実現するということも私は大事なことだと思っています。
 それから、さっきも玉置議員に私はお答えしました、成田から羽田に、国内線と国際線の乗り継ぎのアクセスの悪さ。これも、政治が間違ったと言われればそれまでですけれども、あるものを利用しなきゃしようがないんですから、だったら短距離で乗ってくるところは羽田でおりていただきましょうということを当然考える。それは距離で区切ればいいことですから、千六百キロとか三千キロと。
 ですから、長時間のものが成田で、なおかつ、CIQを早く通れるように。短距離で飛んでくる人は羽田を利用していただいて、羽田にも国際便の短距離はおろすというような、私は常識的なことを常識的にやるべきであるということで初めてやっておりますけれども、そういう意味で、また今おっしゃいました観光コストの高コスト是正、これも必要なことでございます。
 それから、日本の観光魅力を戦略的に海外に発信していなかった。それは、先ほど予算をおっしゃいました。今度、観光ということで二十億、これは日本の予算の中で前代未聞なんです。観光予算なんてとったこともなかった。そして、今度、発信しようということで、日本の文化あるいは観光を外国に出そうということで、英文の紹介誌があるかというと一冊もなかったんです。
 これも、いかに今まで観光というものが日本から発信していなかったという証拠でございまして、これも我々は今後考えようということで、一番手近なことで、手近なというと大変失礼ですけれども、世界じゅうに出ております大使館の大使、この大使をその地域でのビジット・ジャパンの責任者として、その国で日本の国をPRする代表として会議を開いていただきたい、キャンペーンを張っていただきたいということで、世界じゅうに出ていらっしゃる大使にこのビジット・ジャパンのキャンペーンの推進会をその国その国で開いていただいて、これを宣伝していくということで、海外へまずその宣伝の海外ミッションも進出させよう。
 そして、海外のテレビとか雑誌あるいは新聞等によって、初めてPRもしようではないか。
 新聞をごらんになったと思います。この間、盧武鉉大統領が韓国からいらっしゃいましたときに、日本の新聞に一面に韓国の広告が何種類か出ました。そういうことも今まで日本はしていなかったということで、これも大事なことだと思って、海外に向けてのPR。
 そして、メディアや旅行会社の関係者をまず日本に呼んで、こんないいところがありますよということ、そういうことも宣伝していただきたいと思っておりますし、そして、来日するツアーの指導者を海外で育成したい、そして日本へ誘致するということも、やることは山ほどあったんですけれども、今までそれに手つかずであったということで、ビジット・ジャパン元年。
 そして、「ようこそジャパン」、日本語でようこそというのをキャッチフレーズにいたしました。ウエルカムではなくて、日本語で「ようこそジャパン」のキャッチフレーズで、二〇一〇年、来日観光客倍増計画の第一歩の元年であるということで頑張りたいと思いますので、ぜひまたお知恵も拝借して、しかも、伴野議員はJR東海に御就職ですから、お客様のことを一番よく御存じですから、またお知恵をちょうだいしながら頑張っていきたいと思っております。
伴野委員 時間も参ったようでございますので、観光ソムリエの第一人者は大臣であったということを忘れておりました。どうぞ頑張っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 公益法人に関するこの法案、当委員会に付託された法案としては、政府提案としては一応最後だと思いますけれども、今までいろいろと質疑のある中で、疑問がある点を中心にお伺いしていきたいと思っております。
 質問の前段として、ちょっと事実関係だけ押さえたいわけです。
 官房長の答弁になるかもしれませんけれども、今、国土交通省所管の公益法人というのは、何かいろいろな数字が聞こえてくるわけですけれども、現状、全体で幾つあって、そして、今回の法律で対応する法人の数というのは先ほどあったと思うんですけれども、ここ近年、国土交通省の所管の公益法人というのはどういう数で推移しているのか。そのあたり、もしおわかりだったら、現状、全体の姿をちょっと説明していただきたいんです。
安富政府参考人 お答えいたします。
 国土交通省の所管公益法人の数でございますが、現在、千百九十一の法人になっております。これは、本省の所管で申しますと六百四、地方の所管で五百八十七という数字でございます。
 それから、今回の法律の対象になりますのは十九法人でございますが、いわゆる行政委託型の公益法人というのが、現在で七十一ほどございます。
 現在までの推移でございますが、五年ぐらいちょっとさかのぼって申し上げますと、平成十年の当時はまだ国土交通省になっておりませんでしたので、北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省を合わせまして千二百八の法人がございました。それから、十一年には千二百十三、平成十二年には千二百五、平成十三年の省庁再編時におきましては千二百六でございます。その後、平成十三年千二百、平成十四年千百九十八、平成十五年、先ほど言いました千百九十一という数字になっております。
一川委員 そこで、大臣にちょっとお伺いするわけですけれども、公益法人は特殊法人といつも同じように議論されておりまして、平成十二年の閣議決定、行政改革ですか、公益法人に係るようなことも含めた閣議決定を受けて、平成十四年にももうちょっと具体的な閣議決定がなされたと思います。
 そういう一連の政府の基本的な考え方を受けて、今回こういう法律になってきているんだろうと思いますが、私は、公益法人という法人組織というのは、こういう法人がスタートした時点のいろいろな時代背景と今日的ないろいろな経済社会が変化してきている中で、行政に対するいろいろなニーズも当然変化してきておるわけだし、そういう中で、公益法人のあり方みたいなものの見直しが十分徹底していないのではないか、そういう印象を基本的に持っているわけでございます。
 こういった公益法人、先ほど来のいろいろな議論の中でも、それなりの人員を抱えながらいろいろな仕事は当然やっているんだろうと思いますけれども、今日的に見たときに、この公益法人がどういう役割を担っているのかというところをもっとシビアにそれぞれしっかりと見直す。場合によっては幾つかの法人を統合することも当然考えなければならないだろうし、先ほど答弁の中にも含まれておりましたけれども、場合によってはもう一回国が直接業務を抱え込むということもあっていいわけでございます。また、地方公共団体に任せてもいいものがあるかもしれませんし、民間にゆだねてもいいものも当然あるわけでございます。
 そういういろいろな問題意識の中で、過去の閣議決定の大綱の中にもいろいろとうたわれておりますように、国の関与をできるだけ少なくしていく、そして、それぞれの法人の事務なり事業について、できるだけ自主性を持たせていくといいますか、自己責任の基本的な考え方のもとで、そういうものが必要であればやらせていくということがベースにあろうかと思いますけれども、扇大臣としましては、公益法人という組織、今日の国土交通省の行政を遂行する上ではこういうことを担ってほしいという何かお考えがあるとすればどのあたりなのか、そのあたりの基本的なところの御説明をお願いしたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員の御質問で官房長が答えを申し上げましたけれども、国土交通省所管の公益法人、平成十年に千二百八法人ございましたものが、現段階では、整理統合を図りまして、そして十五年の四月現在で千百九十一法人になったわけでございます。
 その間に、御存じのとおり、休眠法人といいますか、もう所管が不明であるというような法人がございまして、これも整理いたしまして、十三法人処理いたしました。また、その他、解散法人というものを入れまして、営利法人への転換をしたものが一法人ですけれども、全部で二十四法人を処理いたしまして、解散しております。
 そういう意味で、現在に至っていますのが千百九十一法人でございますけれども、今、一川議員が、それらの法人でもっと強化しなきゃいけないものもあるんじゃないか、今の法人というものはどういう役割を期待するのかというような、法人のあり方自体に対するお考えもあろうと思います。特に私は、今、処理したと申しましたけれども、政府の申し合わせでは、これは三年に一回、法人を監査すべきであるというふうにされております。政府では三年に一回なんですけれども、国土交通省はこれを二年に一回にしようということで、普通の政府の方針よりも、二年に一回、全法人に対しての監査を、国土交通省は、一年、前倒しといいますか短期に、三年というのを二年で私たちは監査し、厳しく指導しているというのが現状でございますので、今申しましたように、その二年に一度の厳しい監査で、休眠法人等々を含めて三十七法人の整理合理化を既にしてきたというのが経緯でございます。
 そして、今おっしゃった、法人の行っている事業、これはさまざまございます。少し言わせていただきますと、主なものだけ挙げましても、経済の活性化とか都市再生それから地域の活性化、先ほどからも議題に出ておりました観光の振興でありますとか、あるいは二十一世紀型のバリアフリーでありますとか、そして、まさに二十一世紀型と言われます自然環境の保全、それから国際協力の重要性、交通安全、いずれも、どれをとってみても、だれが見ても公益性が高いなと思うものを少し挙げさせていただきましたけれども、今日的な意義のある事業というものを行っていることが、公益法人としての、まさに公益という字がつくのにふさわしい法人であろうと思っております。それを発揮するべきだと思っています。
一川委員 今大臣もおっしゃいました、まさしく公益法人ということが大事なんですけれども、高度成長期をスタートにして、日本が割と順調に物事が進んでいる時代にこういうものがたくさんスタートしておるわけです。
 そういう中で、大体同じ目的を持ったような、利害をともにするような事業者をメンバーに抱えた法人というのはたくさんあるわけですけれども、そういったところが、今日、時代背景が、経済が非常に厳しくなってきている、そしてまた、それぞれの事業者が創意工夫を凝らして個性的に仕事をやってもいいという時代のときに、何となく法人そのものが縛りをかけてしまうような、お互いに運命共同体的なところがあって、そういうような面で公益法人が逆にそれぞれの民間の活動を縛っているような面も私はあるような気がするんです。
 ただしかし、それは、表向きそういうことは余り議論されませんし、また、そこにいるメンバーの方々も、そういうことを公に口にするとまた厳しいいろいろな締めつけがあるということも恐れて余り発言されませんけれども、実態は、本当に今、民間がそれぞれ自主的に自己責任の範囲内で物事をやっていくということからすると、この公益法人の実質やっている業務の中身をもっとしっかりと点検された方がよろしいのではないかなというふうに私は思っております。
 そこで、もう一回、また念押しのためにお聞きするわけです。
 今回、十九法人を対象に、特に登録法人制の方に移行させるという中身になってきているわけですけれども、これは、今回はとりあえず十九法人というふうにされたのか。いや、大体これで終わりだというふうに我々は認識すればいいのか。先ほど官房長も説明があったように、相当の数の法人を抱えていらっしゃいますけれども、今後、できるだけそういう制度の見直しを図って、いろいろな改革に引き続き取り組んでいきたいというふうに考えているのか。
 何かそういったこれから先についての具体的な考え方、それから、今回の十九法人をこの改革の範囲に入れた根拠というんですか、そこのところをちょっと御説明願いたいと思うんです。
安富政府参考人 今回の登録法人制に移行する公益法人、これは平成十四年の三月に、先ほど来出ていますように、閣議決定されました公益法人に対する行政の関与の在り方の実施計画に盛られているものでございます。
 これは、具体的に言いますと、国から検査、検定、講習等の委託を受けている公益法人、いわゆる行政委託型の公益法人について見直しを行うものでございまして、中身についてはもう既に議論されておりますので省きますが、登録法人制度という形でこれは改めるものでございます。
 ただ、この閣議決定で言っております登録法人制度は、先ほども言いましたように、七十幾つ、行政委託型の公益法人がございまして、今回取り扱いますのは、法律的に措置しなきゃいけないというものでございます。法律改正を要するものについては原則として平成十五年度中に実施するということがこの閣議決定で言われておりますので、今回、この十九法人について法律改正を出しているというものでございます。
 そのほかの、いわゆる本法律案で措置していない行政委託型の公益法人、実は、今後措置が必要なものとしては、指定公益法人、五十六法人ございますが、これらは、一部まだ法律でやらなきゃいけないものもございますが、そのほとんどが、登録法人制度への移行について政省令の改正で措置が可能なものでございます。今後、したがいまして、閣議決定でも言われておりますが、平成十七年度末までのできる限り早い時期に措置すべきということで、この政省令の改正等の作業をこれから我々としてもやっていかなきゃいけないということでございます。
一川委員 官房長にもう一回確認するんですけれども、法律改正が伴う登録法人制ということからすると今回の大体十九だと。その大体という意味がちょっとあれなんだけれども、あとはもう、残っているものについてはすべて政省令の対応で可能だというふうに理解していいわけですか。
安富政府参考人 正確に言いますと、法律で措置すべきものがあと二つ残っております。住宅性能表示の関係のものと旅行業関係のものがございまして、これについては、関係者との調整がつき次第、できるだけ早く法律的に措置したいというふうに考えております。
 それ以外の、五十六法人のその二法の法人以外は、すべて政省令で可能な措置でございます。
一川委員 そうすると、法律で措置しなければならないものがあと二つ残っているということでございまして、あとは政省令の対応でそういうことができるということを今報告いただきましたので、そこのところは確認しておきたいと思います。
 そこで、この公益法人、基本的には、先ほども触れましたように、できるだけ国の関与を少なくしていくという大原則のもとでいろいろな改革が進められてきておるわけですけれども、国が関与するというか、国との関与で最も我々が関心がある問題というのは、国からどれだけその法人に補助金が流れているかということがいろいろとあるわけです。
 何か、これまでの質疑の中でも出てきたかと思います、参議院でももう既に質疑されていますからあれですけれども、全体で三百五十億円ぐらいの補助金がこういった公益法人に流れているということなんです。その三百五十億円というのがどれだけの数の法人に流れているかというのはちょっとわかりませんけれども、そこがもしわかったら御説明願いたいと思います。
 実際、国から公益法人に流れている補助金というのは、トータルではそういう数字なんだけれども、内容としては、主にこういったことに業務として使うのが大きな経費を伴っているんだというところがもしあるとすれば、そういうところをかいつまんでちょっと説明していただきたいと思いますし、それからまた、俗に言う天下り的な、役所のOBの皆さん方が相当そういったところに再就職されているのではないかということも、いろいろな面でその関与という問題として議論されますけれども、そういった実態というのはまずどういうふうになっているのか。もう既にいろいろなお話があったかもしれませんけれども、ポイントのところをちょっと整理して御説明願いたいと思います。
安富政府参考人 国土交通省等から所管公益法人に支出されております補助金、これは委託費等も含んででございますが、平成十三年度で、百十六法人に対しまして、先ほど先生よりお話がありました三百五十億円ほど出しております。
 この補助金等でございますが、例えば、都市再生に絡んだ民間都市機構に対する補助金であるとか交通安全対策に対する補助金であるとか、かなりいろいろな分野にまたがっておりますのであれですが、先ほど大臣からも言いました、いろいろなバリアフリー関係とか、そういうことも含めました公益的な事業に対する補助金ということで、いろいろな補助金あるいは委託費を出しているわけでございます。
 この補助金等の改革につきましては、同じく平成十四年の三月に閣議決定されました公益法人に対する行政の関与の在り方に基づきまして、例えば第三者分配型に該当する補助金、これは何かといいますと、ある公益法人がさらに事業者に補助金を分配する、こういったものでございますが、こういった補助金について指摘されました四件のうち、一件については除かれましたが、三件について補助金の廃止、削減を行えということで、これについては平成十四年度において措置を完了したところでございます。
 それからもう一つは、補助金依存型法人、いわゆる収入の三分の二以上が補助金だという法人、この法人については、二法人につきましてこれを三分の二以下に減らすようにということで、これにつきましても補助金等の減額を行いまして、この二法人については三分の二以下に減らしたところでございます。
 それから、補助金等全般につきましては、公益法人に対する補助金については、それぞれどういうものに補助しているかという事業概要であるとか、あるいは補助金等の交付先のそれぞれの選定理由を公にしろということが閣議決定等でも言われておりますので、それについて、我々としても、国土交通省のホームページ等を使いまして、一層の透明性を確保するということで情報公開をしているところでございます。
 それから、所管の公益法人へのいわゆる天下りと言われている問題でございますが、平成十三年の十月現在で、合計千六十七人の国土交通省出身者が所管公益法人の理事に就任しているところでございます。
 もちろん、この再就職については、我々としては、国家公務員が再就職する際に、本人のいろいろな行政経験であるとか専門知識というものを生かすということが、ある程度社会的にも有用な場合があると考えておりますが、ただ、これにつきましても、国民の不信や疑惑を招くことがないようにということで、平成八年の閣議決定で、公益法人の設立許可及び指導監督基準において、所管省庁出身者の割合は理事現在数の三分の一以下にすることということが決められておりまして、この基準を満たすように我々としても強く指導してきておりまして、この結果、現在では、国土交通省の所管の全法人がこの基準を満たしている状況でございます。
 それからさらに、先ほどの平成十四年三月の公務員制度改革大綱に基づく措置という閣議決定では、公益法人の再就職に係るルールとして、退職公務員の役員の就任状況等につきまして事後チェックをするということで、就任状況についての概要を公表するということを講じているところでございまして、そういう形でこの天下り問題にも対応しているところでございます。
一川委員 公益法人の実態を私も幾つかは知っていますけれども、中には、現時点でのいろいろな問題意識をしっかりと持ってそれなりに頑張っている法人もそれは当然あるわけでございますし、そういったところについては、できるだけそういう人たちが本当に自主性を持ってしっかりとした仕事ができるような環境をつくってやるということは、逆に言うと、余り国が関与しないという面も大事ではないかというふうに思います。
 ただ、私は、業務上、幾つかの法人は統合しても十分やっていけそうな、そういう、何となく類似した法人というのは結構あるような気がするんです。そういったところもこれからよく点検をして対応して、中身をむしろいろいろな面で充実を図っていくということも、ある面では大事な課題ではないかというふうに思っております。
 そこで、ちょっと具体的な事例として確認するわけですけれども、先般、当委員会でも建築基準法の改正がございました。シックハウス病に伴ってのいろいろな問題が当時議論されまして、ホルムアルデヒドの対応状況といったことも含めて、いろいろなことが言われました。
 建築資材等につきましても、関係するいろいろな公益法人でそういうものがいろいろな面で検査されているという中で、いろいろと認定を受けてそういうものが市場に出回る、そして建築に使われていくということだろうと思うんです。たまたま公益法人の議論が出たわけでございますので、今回の建築基準法の特に建築資材等に絡んで、今のシックハウス対策という中で、関係する公益法人というのは全部で幾つあるのかというのをちょっと確認するわけですけれども、これは国土交通省と農水省にまたがりますけれども、どういう実態にあるのかというところをちょっと教えていただけますか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、建築基準法改正に伴いまして、シックハウス対策ということで建築規制を導入することになりまして、来る七月一日からその規制の施行を予定しております。
 この建築基準でございますが、合板あるいは木質フローリングなどの木質系の建材をホルムアルデヒドの発散量の大小で区分する、その区分に応じまして、内装の仕上げ材として使用できる面積を制限するという規制でございます。
 その建材の区分をするに当たりまして、日本農林規格、JASあるいは日本工業規格、JIS、こういったものを活用しますほか、これらの規格をとっていないもの、あるいはそもそも規格がないものもございます。それにつきましては、ホルムアルデヒドの発散量が基準に適合するものにつきまして国土交通大臣が認定を行うという仕組みがございます。
 その国土交通大臣の認定に当たりましては、中立公正で、試験の実施等の技術力を有する機関、これを指定いたしまして、この機関に、先ほど申し上げましたような、建材からのホルムアルデヒドの発散量を試験に基づきまして性能評価する業務を実施させております。
 この機関につきましては、公益法人に限定をしておりませんが、これまでにホルムアルデヒドに係る建材の性能評価機関として指定いたしました十一機関のうち、十機関が公益法人となっております。
一川委員 農林水産省の方も来ておられると思いますけれども、この合板等のJAS認定、こういう手続に対して、今、農林水産省の公益法人がどういう対応をしているのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
山本政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘のございましたJASの関係でございますが、これは平成十一年のJAS法の改正のときに登録認定機関という制度を設けまして、その登録認定機関から認定を受けた事業者がみずから格付を行い、JASマークを貼付する仕組みにしております。
 この結果、登録認定機関というものが、それぞれの、合板でございますとそういう事業者を認定しておりますが、一定の技術的基準、こういうものに定められた要件を満たしていることを確認することがございます。このような要件を満たしている場合でございますと、それぞれ、各事業者でございますが、この登録認定機関につきましては、現在、財団法人日本合板検査会という公益法人でやっておりますが、これは、制度上、公益法人には限りませんで、その他の一定の基準が満たされれば認定される仕組みになってございます。
一川委員 もう時間も来ましたからあれですけれども、例えば、今私が取り上げた、建築基準法の改正に伴って今回こういったシックハウスに対応するいろいろな公益法人というのも、国土交通省は十ですか、それから農水省もそういう関連のものがあるということなんですけれども、実態、こういうことにかかわっている第一線の業界の皆さん方と話をすると、どうも公益法人化になると、あたかも非常に扱いが弾力的になって対応しやすいがごとく我々は感じますけれども、現実はそうじゃないと。むしろ、公益法人を窓口にしていろいろな物事のやりとりがあると非常に指導が厳しくなってくる。指導と言ったらちょっと格好よく聞こえるんですけれども、いろいろな対応が厳しい。むしろ行政機関の方が、いろいろと親切に相談に乗ってくれるし対応が弾力的なところが多いというふうなことで、非常に経済が厳しい中で、こういう合板関係の仕事もやりづらいということをおっしゃっていました。
 そうかといって、今のいろいろな人間の健康、生命にかかわる問題については、当然基本的な基準はクリアしなきゃなりませんから、そこのところは当然守るわけですけれども、いろいろな仕事をする中で、そういうものを守っているにもかかわらず、新たないろいろな手続をとらないとなかなか認可してもらえないとか、なかなか市場にそういった製品を出させてもらえないというようなことを聞きました。
 一つの例として私は今挙げましたけれども、やはりこういった公益法人、いろいろな面で一つの改革という流れにあるわけでございますけれども、基本的にはやはり国民の利便性を向上させるということでありますし、いろいろなコストを軽減してあげるということがその根底になければ私はまずいと思うんです。
 逆に、改革と称していろいろなことがなされている中で、いろいろな面で逆にコストが上がってしまうとか、いろいろな手続が煩雑になるということでは元も子もないわけでございますので、そういったところの問題を提起して、今後こういったことにも関心を持って、場合によってはまた質問に挙げさせていただきたいと思いますけれども、私の質問はこれで終わらせていただきます。
 なお、私は、皆さん方の御協力で、今国会、二十五回連続質問させていただきまして、また機会がありましたら引き続きやりたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 今回の法案は、公益法人制度の抜本的改革に先立ち、公益法人に対する行政の関与のあり方の見直しとして、国が公益法人に委託している検査、検定等の事務事業に関して、これまでの指定制度を登録制度に改めるというものだと思います。
 そこで、そもそも公益法人制度の改革がなぜ必要かという問題です。国民が一番不信を抱いていること、また、改革を求めていることは何かということなんですが、それは、公益性を名目にして、優遇税制や補助金など、国民の税金の使い道が癒着や天下りによってゆがめられること、ここに最大の問題、批判の矛先があると思います。
 一昨年の、自民党の参院会長だった村上元議員などと癒着したKSDの汚職を初め、宅建業協会などの会費の政治献金流用、所得隠しなどでの脱税、談合の撤廃、そして、こういう公益法人に多くの高級官僚が天下っているなど、挙げたら切りがございません。こうしたことを改善してほしいというのが、国民の願っている公益法人の改革だと私は思います。この点、政府としてどのように認識されておられるでしょうか。
小山政府参考人 お答え申し上げます。
 民法三十四条に基づきます公益法人制度につきましては、明治二十九年に民法が制定されましてから百余年にわたりまして基本的な見直しが行われていないという状況にございます。そのようなこともございまして、ただいま委員が御指摘の点も含め、さまざまな批判が見られるということは、私ども行革事務局としても認識しているところでございます。
瀬古委員 私の方で整理をいたしますと、国民の批判の第一は、公益法人は許可制だが、許可の権限を持つ役所が公益法人をつくり、公益の名目で行政の下請をさせる。補助金を流し、天下りの役人に高給を出させるいわゆる天下りの問題がございます。不祥事の温床になりやすいことも指摘されています。
 二つ目には、本来民間でもできる事業なのに、その事業を独占的に行い、大もうけをしたり、そのもうけを政治献金など目的外使用したりするなど、公益の名を営利目的に悪用している問題がございます。
 三つ目は、不祥事を起こした不良法人に対する政府の側の甘い指導監督責任の問題などがございます。
 そこで、公益法人に対する関与のあり方を見直すという今回の他省庁を含む一連の法案で、私が指摘をしましたこうした三つの問題点には、ずばりメスが入るんでしょうか。いかがですか。
小山政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御審議いただいております法案を初めといたしまして、昨年三月の行政委託型公益法人に係る改革実施計画に基づく法案につきましては、検査、検定等の事務事業につきまして、国が公益法人を指定して実施させるいわゆる指定制から、行政の裁量の余地なく、登録された公正中立な第三者機関、登録機関によります実施に移行するといった措置を実施するためのものでございます。
 今回の法案によりまして、公益法人に限らず、一定の能力を有する者が自由に事業に参入することが可能となり民間検査ビジネスが活性化する、行政の裁量の余地が排除されて国民に開かれた行政への転換が図られるといった効果が期待されているというふうに考えております。
 なお、行政委託型公益法人の改革とは別にいたしまして、公益法人制度そのものにつきましては、やはり昨年三月に閣議決定がございまして、それに基づき、その抜本的改革に向けた検討を行っているところでございます。
 この改革におきましては、民間非営利活動を社会経済システムの中で積極的に位置づけるとともに、民法三十四条に規定されます公益法人につきまして指摘される諸問題、これらに適切に対処するという観点から制度の抜本的な見直しを行うこととしておりまして、自由裁量による許可制など主務官庁制の問題点、透明性の向上等さまざまな課題への対応も含め、今後検討を進めていきたいと考えております。
瀬古委員 今言われましたように、これはほんの一部の法案の内容になっているんですが、検査、検定等の事務事業に関して指定制から登録制にすることによって幾つかの弊害は排除できるだろう。しかし、抜本的には、私が先ほど指摘しました汚職や天下り、こういうものにずばりメスが入れられるような本格的な公益法人に対する改革が今緊急に求められている。私は、おいおい検討すればいいという問題じゃないと思っています。
 そこで、具体的にお聞きしますけれども、今度は国土交通省なんですが、この法案に関連いたしまして、本法案では、検査、検定等事務事業に関して指定制から登録制にすることで民間の企業の参入が可能と言いますけれども、一体どういう参入が見込まれるんでしょうか。把握していらっしゃるでしょうか。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御説明ありましたように、今回の改正は、民間の参入が非常に容易になるというものでございます。しかし、参入するかしないかということにつきましては、事務事業の今後の見通し等を踏まえて各民間の方々が独自に判断されるものであるわけでございまして、現在のところ、どういう方々が参入されるかということについては把握をしておらないところでございます。
瀬古委員 私は少し無責任だと思うんですね、実際にはどういう状況になるかわからぬと。
 よく見てみますと、公益性が高く、もうけにならない部分はなかなか民間は参入してこないんですね。私は、国土交通省の関係でいうと、かなり民間の参入というのは難しいんじゃないかというふうに思っています。そうすると、指定機関がこれまでどおり事業をやるということになりますから、そもそも営利企業である民間がもうからない、こういう場合には、余り事務事業をやるメリットがないわけですね。規制緩和で国の関与を縮小すればそれがすべて改革という発想そのものを私はやはり見直す必要があるんじゃないかというふうに思います。
 問題は、やはり検査、検定等の事務事業に関しては、国が責任を持つべきものは持たなきゃならない。国が直接行うようにして、そして必要のない事業を廃止するとか、また、民間に任せたらいい事業は民間にやらせて国が手を引く、私は、めり張りをつけたこういう改革が本当は必要だというように思うんです。
 そこで、国土交通省に伺います。
 国民の命、安全、環境保護などに関する検査、検定などは、私は民間企業に任せるべきではない、やはり国がきちんと責任を持つべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
徳留政府参考人 今回の改正は、一定の能力及び公正中立性を確保するということの要件を満足している者を登録してその事務事業を実施していただく、実施することを可能とする、こういうものでございます。
 今先生御指摘の事務事業につきましては、国民の生命、安全、環境を守る観点から、その適切な実施が極めて重要であるというふうに認識をしております。
 このため、登録された機関について、適切な事務事業を実施していただくという見地から、一定期間ごとに登録の更新をするという制度の導入、業務規定、仕事のやり方、そういったことのものでございますが、業務規定の認可、それから、役員、職員に関するみなし公務員規定の適用、業務改善の命令あるいは登録の取り消しなどの監督措置をしっかりと講じていくということにしておるわけでございまして、こういったことによりまして、国民の生命、安全、環境の保全などが確保されていくんではないかというふうに考えておるところでございます。
瀬古委員 そうしますと、検査とか検定に係る事故が発生した場合はどうなるんでしょうか。国が直接責任をとるということになるんでしょうか。いかがですか。
徳留政府参考人 検査、検定等に関して結果に不服等がある場合には、大臣に不服審査請求をできるというような制度も取り入れておるところでございます。
瀬古委員 大臣に審査請求などの規定はあるけれども、しかし、検査、検定するのは登録した民間会社なんですね。国が直接検査、検定するわけではない。そうすると、結局、責任も直接問われないという状態になるんじゃないでしょうか。
 これまで、例えば雪印の事件、日本ハムの不当表示の事件、電力会社の原発事故隠しなど、国民の命や安全が脅かされてまいりました。私は、根っこには、国の関与を縮小してきた規制緩和があると思います。命、安全、環境保護、こういうものについてもきちんと国が責任を持たなきゃならない。そういう意味では、こういう規制緩和でやることが果たしていいものかどうか、そういう分野があるということもきちんと踏まえて、私は施策を進めなきゃならないと思います。
 もう一つ、具体的にお聞きしたいと思うんですが、大変大きな問題になっております財団法人について伺います。
 建設物価調査会、経済調査会の二つの財団法人でございます。これは、私も再三取り上げてまいりました。国土交通省所管のこの二つの財団法人です。
 私が当委員会で問題にしたのは、昨年の四月の十日でございました。この二法人が、公共工事に使う材料単価の調査業務を官公庁から独占受注しているという問題です。その後、六月十九日に、公正取引委員会がこの二法人に独占禁止法違反の疑いで立入調査をいたしました。その事実は確認できると思いますし、私も公正取引委員会に聞きましたが、かなりはっきりした証拠を持って入っているというように言っていました。
 そこで、具体的に聞きますけれども、経済調査会発行の「積算資料」の中の「お知らせ」というところで、これは雑誌なんですが、「四月号より、」「広告の掲載を廃止し、〈自主調査結果の報告書〉としての性格をさらに明確にいたします。」と明記しております。
 また、建設物価調査会も、同会発行の「建設物価」という本がありますが、ここでは、「本誌が自主的調査研究に基づくものであることをより明確にするため、」「四月号から広告の掲載を全面的に取り止めることといたしました。」としております。
 私は、前回の質問でも、この雑誌に材料メーカーの広告を掲載すると、それらのメーカーとの癒着を生むものだと指摘をしましたが、これが広告掲載がやめになった。これは、国土交通省が広告掲載をやめるようにという指導をされた結果なんでしょうか。その経過と内容を明らかにしていただきたいと思います。
三沢政府参考人 両調査会の価格情報誌に関しましては、一部のマスコミの報道あるいはこの委員会での瀬古議員からの御指摘の中に、この広告掲載が両調査会の調査の中身に影響しているんではないかという御指摘がございました。
 これについて調べましたところ、実際はそういう調査内容について不適切であるという事実は確認できない、調査価格自体は適正に調査されていたということでございます。
 ただ、広告を掲載することによりまして無用の誤解を招いているということはやはり事実でございまして、そういう無用の誤解を招かないという観点から、価格情報誌における広告の掲載をやめることはどうだろうかということの検討を両調査会に要請いたしました。
 このことについて、両調査会とも、やはり公益法人としてそういう要らざる誤解を招かないようにするということは非常に大事なことであるという認識のもとに、広告掲載を平成十五年度から廃止するという方針を決定して、具体的には、本年四月の価格情報誌から広告の掲載を取りやめているところでございます。
 なお、その私どもから調査会への要請の中には、あわせまして、いろいろな調査についての精度、透明性も高めるようにということも要請いたしまして、これについても、外部委員による調査結果を毎月チェックするような審査部会の設置であるとか、インターネットも活用しながら読者からの意見を反映させるような体制の強化等々、調査の精度と透明性の向上も図っているところでございます。
瀬古委員 国土交通省がこの二つの調査会を指導して、広告掲載もやめさせ、さまざまな指導をなさっているということはわかりました。
 この問題は、国及び地方自治体などの公共事業の材料単価、この調査委託が独占的に行われている。事態は深刻なわけです。
 これは、大臣、前回答弁していただきましたけれども、ともかくやれるのはこの二つの会社しかないんだ、新しく参入できるところがあったらやってもらいたいというお話もされました。しかし、二つの会社しかないというこの仕組みそのものももっとメスを入れなきゃならない。ある意味では、この二社による、もう実態は圧倒的に随意契約になっている。競争入札をやっても両社の、二社の指名競争入札、材料単価を高く設定して公共事業費を引き上げる、こういう仕組みになっているわけですね。地方自治体によっては、ほかの会社を入れようとしたところも、実際にはこの二つに阻まれて入れない、こういう事態もございます。
 そういう意味では、私はいろいろな努力をしなきゃならないと思うんですけれども、公正取引委員会が、この二つの法人が入札談合を繰り返していたとして独占禁止法違反容疑で立入検査をしたということは、私はかなり重要な内容を持っていると思うんですね。
 近々、何らかの勧告が出されるんではないかと言われていますが、もし独占禁止法違反という形で問われますと、日本の公共事業や地方自治体の公共事業の価格調査が一切できなくなると、重大な事態になってしまう。そういう点では、この二つの法人に公正取引委員会が立ち入りに至ったという事態について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
扇国務大臣 今、瀬古議員がおっしゃいましたように、かつても質問がございまして、お答えをいたしました。
 そして、この財団法人の経済調査会そして同じく財団法人の建設物価調査会の両法人に対して、今、瀬古議員がおっしゃいましたように公正取引委員会の立入調査が入っておりまして、それも伺っております。これは両方とも、昨年の六月十九日から、資材価格等の調査の受注ということについての独禁法違反の疑いということで公正取引委員会の調査を受けているということを聞いております。
 今、瀬古議員が間もなくとおっしゃいましたけれども、私のところにはまだその報告が来ておりませんので、間もなくということがどうなのかというのは、本当に間もなくなのかどうか、ちょっと今、私はお答えしかねますけれども、独禁法違反ということで公取が入っていること自体は重要なことである。そういう意味で、私はこれは大変注目を、成り行きを見ております。
 また、そのことによって今まで、瀬古議員がお話ございましたように、私もこれを見てみましたけれども、少なくとも二社だけではいけないんじゃないかということで、平成十四年、昨年でございますけれども、参入させようということで、簡易公募型の競争入札の試行を八件行っております。八件実施しましたけれども、実際的には、両調査会以外で入札に参加した者が一件しかなかったということも、今、瀬古議員がおっしゃったように、実際に第三者の新規参入というものがどれほど難しいかというのは、この八件オープンしたにもかかわらず一件しかなかったということ自体も、私は、やはり専門的なものの歴史と実績というもので、新規参入が一件しか見られなかったということで、やはり両調査会に落札してしまったということもあるわけです。
 そういう意味では、今回の公取がどういう判断を下されるかというのを注目しながら、厳に、入札と契約の適正化法、せっかく皆さんで通していただいたものですから、これを適用して、公取がどのような、独禁法違反の事実が明らかなのかどうなのかということも、結果を見ながら、両調査会に対して、私は、その判断がどういうふうに出るにしても、今後も厳正な調査というものを、あるいは措置というものをしていかなければいけないという認識の上に立っております。
瀬古委員 その後、国土交通省も努力をされて、今大臣が言われたように、簡易公募型の指名競争入札。しかし、初めてで、なかなか新しい参入というのは難しいというお話もございました。
 今までずっと、歴史的に二つの調査会が独占していたという経過の中で、経過としては難しい面もあるだろうと思います。しかし、いろいろな工夫もしていただいて、今、基本的には一千万以上の案件を中心にしていますが、もう少し小さい単位でやって小さい企業も入れないか、いろいろなこともぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。
 私は、この問題は二つの調査会の責任というだけではなく、やはりこのような独占受注を生み出した国土交通省の責任もあるというふうに思うんです。
 具体的にお聞きしますけれども、国土交通省が発注する建設工事費を積算するための建築工事積算基準の中で、材料価格及び機器類価格でこのように書いてあります。材料価格及び機器類価格は、「原則として積算時の最新の現場渡し価格とし、物価資料の掲載価格、製造業者の見積価格等を参考に、数量の多寡、施工条件等を考慮して定める。」としております。ここに、「物価資料」を参考に、こういうことが出てくるわけですね。この「物価資料」とは何を指すんでしょうか。
 また、土木請負工事工事費積算要領及び土木請負工事工事費積算基準の中でこのように出ています。「価格は、原則として、入札時における市場価格とするものとする。設計書に計上する材料の単位あたりの価格を設計単価といい、設計単価は、物価資料等を参考とし、」またここにも「物価資料」というのが出てまいります、「物価資料等を参考とし、買入価格、買入れに要する費用及び購入場所から現場までの運賃の合計額とする」、こういうふうに、ここにも「物価資料」というふうに出てきますが、これは何を指すんでしょうか。
安富政府参考人 公共工事の積算に用いる資材単価につきまして、公共建築工事積算基準あるいは土木請負工事工事費積算要領に、それぞれ、「物価資料等」を参考とするということで書いてございます。
 この「物価資料等」ということは、先ほどから出ております、価格情報が掲載されているいわゆる刊行物、さらには、その刊行物に載っていない資材等については特別調査という形で、発注者側が調査を委託してやらせる場合がございますが、そういう特別調査、あるいは資材供給会社からの見積もり等ということを意味しているというふうに考えております。
瀬古委員 基本的には、経済調査会の「積算資料」それから建設物価調査会の「建設物価」、これを使って参考にするようにという指示をしているわけですね。そういう点でいえば、国土交通省自身もこれによっていますし、地方自治体も右へ倣えでこの雑誌からの金額を出してくるというふうに、国土交通省に言われれば、もうそういうふうに右へ倣えという状態になってきている。
 ですから、私は、やはりこれは国土交通省にも責任があるというふうに思うんですね。そういう点でも、この二法人の独占を行わせないように、建築や土木のこの二つの基準もきちんと改定すべきではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
安富政府参考人 先ほど物価資料等と申しましたように、必ずしも物価資料だけをというふうに書いているわけではございません。あくまで、物価資料も含めました特別調査あるいは資材供給会社からの見積もりといったようなことを参考にしてということでございます。
 ただ、先ほど先生からも御指摘あったように、通常、この二社がかなり一般的に市場でそういう権威ある調査内容を持っているものですから、それについては、この両調査会がそれぞれ、先ほど来出ています、十年以上にわたって調査員二百名以上を抱えまして、長い間この市場価格調査の実績があるということで、信頼性が高いという点はあると思います。
 ただ、必ずしもこの二社に限らず、刊行物として出されています価格情報もございますし、さらには特別調査あるいは資材供給会社からの見積もり等もございますので、そういうものをすべて含めて参考にしてやっていくということでございます。
瀬古委員 その辺は丁寧に、誤解のないようにきちんと見直しをしていただきたいと思います。
 時間がございませんので、最後の問題です。
 ダム水資源環境整備センターです。これも昨年の四月に国土交通委員会で取り上げたんですけれども、その質問をしたときには、基本財産十億円のうち八億円近くは、ダム建設で潤っていますゼネコンやメーカー、コンサルタント会社が寄附をしています。財団職員は、約七十人のうち四十二人がゼネコンやコンサルタントの会社からの出向です。ゼネコン丸抱えの環境調査会社。国交省、水資源公団からは七人の職員が出向。さらに、この財団に旧建設省の官僚が天下りして、常勤役員四人のうち、何と四人とも国土交通省からの天下り。元北海道開発事務次官を初め、幹部がこの役員を全部独占しております。
 ダム建設の環境調査では、環境を破壊されるから工事をストップという判定がこのセンターで出るはずがないんですね、みんな、ダムを建設する側の人たちが金を出しているわけですから。そういう意味では、みんな身内がやっているような調査を環境調査としてやる、川辺川も徳山ダムもオーケーです、こういうふうになるわけです。やはりこうした仕組みを本当に変えなきゃならないのじゃないか。
 こういう構成は、今どのように変わっているんでしょうか。
鈴木政府参考人 役員の構成あるいは基本財産の構成等についての御指摘がございましたが、今お話があった範囲はそのとおりでございます。
 財団法人ダム水源地環境整備センターは、ダム水源地の環境の整備及び保全に関する調査研究及び技術開発並びに技術指導等を行うことにより、ダム水源地の適正な管理を図り、もってダム水源地の活性化と安全で豊かな国民社会の建設に寄与することを目的、こういうことで、昭和六十二年に、当時の建設大臣の許可を受けて設立された民法上の公益法人でございます。
 この目的の達成のために、行政上の知見はもちろんでございますが、先端的で高度な専門的知識、技術が必要でございまして、当該財団は、そのために、国土交通省出身者あるいは出向者、水資源公団からの出向者及び電力会社、建設コンサルタントなどの民間からの技術者など、幅広い人材を確保しているところでございます。
 公益法人の役員につきましては、公益法人の設立許可及び指導監督基準において所要の基準が定められているわけでございまして、これに従いまして財団を指導しているところでございます。
瀬古委員 時間が参りましたので、もうこれ以上やれませんけれども、これも何度も私は指摘しているんですが、みずから開発しているところが調査をやって、クマタカもオオタカも追い出されて、ダムをどんどんやりなさいと。そして、その役員はみんな国交省からの天下りでやっている。やはりいいかげんにこういうところにもメスを入れなきゃならないと思うんですね。
 そういう点でも、私は、公益法人のあり方ということを言う場合には、本当にこういう国民から批判されるところにメスを入れて、公共性を持たなきゃならないものはしっかりと国が責任を持ち、そして、公共性の名のもとに、ある意味では内々で、国民の目が届かない仕事をやるところにはしっかりメスを入れる、こういう改革をぜひやっていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 今回、公益法人に係る改革を促進するための法改正ということで、昨年の三月二十八日に行政改革の推進本部が決定をした公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画のうち、国から公益法人が委託を受けて行っている事業で、国土交通省所管の法律に根拠を持つ七十七事業のうち三十事業について措置をした法改正だということになっています。
 まず最初に、今回の法改正の大もとになっている行政改革推進本部のこの改革実施計画の観点から御質問をさせていただきたいと思います。
 今回、公益法人改革ということを言われているんですが、私は、まず、今言われている政官業の癒着というものを断ち切ることが改革の第一歩ではないかというふうに考えています。
 その解決のヒントがKSD問題にあると思っています。公益法人のKSDが政治連盟のKSDの豊明会をつくって、族議員がその豊明会から票と政治献金を受けて、そして族議員と言われる人たちがKSDのために国会の質問を利用したり、官僚は天下り先を確保したり、そしてKSDが仕事を得ていくというようなこと。この問題はまだ御記憶にあると思うんですけれども、こうした政官業の癒着という構造をまずは断ち切っていくことがその改革の第一歩にあると思います。
 こうした癒着構造を調べてみますと、日本医師会には日本医師政治連盟というものがあって、歯科医師会には歯科医師政治連盟があって、土地改良区には土地改良政治連盟があって、宅地建物取引業協会には不動産政治連盟といったように、政治活動は本来禁止されているはずの公益法人の関係者がこうして別途政治連盟というものをつくって特定の政治家と癒着をしているというような問題があって、これはだれしもが否定できない問題であると思います。
 そこで、まず、現在の公益法人の主務官庁制の廃止というものから手をつけてみてはどうかというふうに思っておるんですが、これをまず行革の推進本部の方に、今回、主務官庁制度の廃止について、行革推進本部内、外でもいいのですが、どのような議論というものが行われたのか、御説明をお願いしたいと思います。
小山政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御審議いただいております法案を初めとする一連の、昨年の実施計画に基づきますものは、いわゆる行政委託型公益法人改革の関係でございます。公益法人制度そのものにつきましては、昨年三月の閣議決定に基づきまして、抜本改革に現在取り組んでいるところでございます。
 御指摘のように、現行の公益法人制度というものは、法人格の付与と公益性の判断というものを一体のものとして、法人の事業を所管する主務官庁がその設立を許可するということとされているわけでございます。しかしながら、現行制度におきましては、公益性の判断について明確な基準が定められているわけではございませんし、また、主務官庁の自由裁量により判断がなされるということから、さまざまな弊害も指摘されているところでございます。
 このようなことを踏まえまして、現在、法人格の取得と公益性の判断を切り離して、法人格につきましては登記のみで取得できるような新たなスタイルというものを検討している途中でございます。また、公益性の判断につきましては、できるだけ客観的で明確な基準を法定化した上で、これに従って行うということを考えております。
 公益性をどこが判断するかということにつきましても、これからの検討課題ではございますけれども、現在のような、法人の事業を所管する主務官庁が判断するという制度は改めるべきではないかということを考えているところでございます。
原委員 続きまして、実施計画についてもう何点か御質問させていただきたいのです。
 今回、この改革の実施計画を見せていただきまして、実施計画の中で、いわゆる丸投げ法人と言われているところに求める措置として、丸投げを半分未満にすべきという措置がされています。このハードルは低過ぎるのではないかというような声も聞かれるんですが、なぜ今回半分未満という措置になったのか、その経過を御説明いただきたいと思います。
小山政府参考人 お答えいたします。
 国から公益法人に交付されます補助金等のうち、第三者分配型補助金、いわゆる丸投げ型というものでございますけれども、その判断基準につきましては、昨年三月の実施計画におきまして、交付先の公益法人においてその五割以上を他の法人等の第三者に分配、交付するものということにしたわけでございます。
 この考え方でございますけれども、第三者に対する支出額が過半を超える状態というのは、交付の本来目的である事務事業を交付先の公益法人がみずから実施しているとは言えないのではないかというふうな考え方に基づいたものでございます。
原委員 次に、今のが丸投げと言われている法人で、もう一つ、これは補助金依存型公益法人、いわゆる丸抱えというふうに言われている公益法人についても御質問させていただきたいんですけれども、今回の実施計画の中で、年間収入の三分の二以上を国に依存している状態を改めるというふうに実施計画のポイントの中で書かれておりまして、平成十四年の三月に閣議決定をされた公益法人制度の抜本的改革に向けた取組みについての中では、NPOや中間法人、公益信託、税制等の関連制度を含めて抜本的かつ体系的な見直しを行うというふうにされています。
 NPOで、その収入を国の補助金に三分の二依存しているようなNPOというものはないのではないかというふうに思っておりまして、そうした観点から見ても、やはり三分の二未満であればよいとする改革案はハードルが低過ぎるのではないかという指摘があるのですが、この点、いかがお考えになられているか、お尋ねしたいと思います。
小山政府参考人 国から交付された補助金等が年間収入の三分の二以上を占める場合を補助金依存型といたしまして、改革対象としているわけでございますけれども、これは、平成十二年十二月に閣議決定されました行政改革大綱におきまして、補助金等が大部分を占める場合とされていたということを受けまして、法令上の用例等を踏まえて三分の二以上ということにいたしたわけでございます。
 また、公益法人制度の抜本改革に関しましては、御指摘のとおり、昨年三月の閣議決定におきまして、NPO等の関連制度も含め見直しを行うということにされておりますけれども、その収入を国の補助金に三分の二以上依存しているNPOがあるかどうかという点につきましては、内閣官房、私どもとしては把握しておりません。
原委員 最後にもう一点御質問させていただきたいんですけれども、今回、行革本部としてこうした改革実施の計画を出したわけです。この改革の実施計画に反するものについて厳しい精査というものが必要だとは思ってくるのですが、この計画をつくった行革本部としては、計画に反するものについてどのような対応をとっていくおつもりでいらっしゃるのか、御説明をお願いします。
小山政府参考人 お答え申し上げます。
 計画に反するというところがどのようなことを意味しているのかはちょっとあれでございますけれども、いずれにいたしましても、今回の改革の実施計画におきましては、一定の基準をつくったわけでございますが、当然、それぞれの補助金等の実態に応じましては、現行の方式でやむを得ないというものもございます。そのようなものにつきましては、改革実施計画におきまして特記をしているところでございますし、また、改革実施計画に織り込まれております、いわゆる透明化、合理化のためのルールに従いまして広く情報公開をしていくということにしているわけでございます。
 また、あわせて、今後、このような基準を超えているものにつきましても不断の見直しを行っていくということを、関係府省において責任を持って行っていくということが定められているところでございます。
原委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、今回の改正法の中身について質問させていただきたいと思っていますが、先ほども瀬古議員の質問の中にあったとおりに、本当にどれだけ名乗り出るところがあるのかというところに関しては、私も同じような疑問を持っていて、今回、指定や認定制度から登録制度に変える、手を挙げたところはみんなウエルカムというふうになった部分に関しては一定の評価ができるとは思っていますが、本当にどれだけ効果があるのかという点では、私も疑問な部分を持っています。
 例えば船舶安全法では、指定制度にかわって登録検査確認機構というふうにしましたが、これまでの指定制度でさえ、特殊法人の小型船舶検査機構が事業を独占していて小型船舶検査を行ってきたため、指定機関になりたいと手を挙げた法人がなく、いまだ未指定のままにあるということを聞いています。
 今回、登録制度に変えたとしても、特殊法人である小型船舶検査機構が存続しているのであれば、未指定から未登録の状態に変わるだけで、独占状態というものは変わらないのではないかというふうに私は思っていますし、登録制度と特殊法人の小型船舶検査機構の両立というものはあり得ないのではないかというふうに思っていますが、その点、国土交通省としてはどのようにお考えになられているか、答弁をお願いします。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 小型船舶の検査につきましては、現在、認定を受けた者が検査を実施した場合には、小型船舶検査機構が行う一定の検査を省略するという制度がございます。しかし、今御指摘のように、これまでのところ、認定を申請した者はございません。
 これまでは、いわゆる指定法人制度の中でございましたので、認定の対象といたしましては、やはり公益法人に限るといいますか、いわゆる公益法人要件がかかっておったところでございますが、今回の改正におきましては、法人の類型によらず、一定の登録要件に適合していればすべての者が登録機関になることができるということになりましたので、今後、すぐにこういう方が出てくるかどうか、これは民間の方の判断でございますが、新規参入がより容易になるものと考えているところでございます。
原委員 今回の改正で新しく参加をすることが容易になるということであったんですけれども、今現在としても特殊法人の小型船舶検査機構が独占しているという状態がある中で、その独占状態が変わらないということを考えると、なかなか、やはり新しく参加してくることは難しいのではないかなと思っていますし、例えば、こうした、いろいろなところが手を挙げて、登録制度に変えたとしても、独占状態が続いているようなものに関しては廃止をしていくような方向も考えていく必要があるのかなとは思うのですが、そのあたりはどのようなお考えをお持ちでおられるか、質問したいと思います。
徳留政府参考人 独占状態というお話でございましたが、むしろ、これまでは指定法人制度ということで、そういう状態があってなかなか競争というものが働かない、効率性が上がらない、そういう反省もあった。そういう中で、今回登録法人制度というものにしていこうということもあったのではないかと思っておりまして、今後、独占、一社しかないということでございますが、そういうところに新たな事業者が、参入が容易になることによってチャレンジをしていただいて、事業の活性化につながっていくということを期待しておるところでございます。
原委員 今回の法改正の中で、指定制度から登録制度にして、今ちょっと小型船舶のことについてお尋ねさせていただいているので、例えば、今回の船舶安全法の二十五条の四十七を見ますと、結構登録の要件というものが非常に細かく定められていて、こうした装置をつけていなくてはいけないという項目がたくさんあって、まず、その登録のためには、先にこうした大規模な設備投資を行わなければなかなか新規参入できないというようなものになっているわけです。
 そうすると、いろいろな方にチャレンジしてもらいたいというお気持ちはわかるんですが、実際には大規模な設備投資を行わなければならないような状態にあると、新規参入者に不利な状態になっていて、形を変えた指定制度の温存ではないかというような声も聞かれたりするんですが、このあたりはどのようにお考えになられていますでしょうか。
徳留政府参考人 御承知のとおり、今回の登録制度におきましては、登録を受けるための基準、要件といたしまして、設備や要員等の能力要件等を法律で明示しておるところでございます。別表という形でいろいろ、こういう検査の場合にはこういう設備を使ってというようなことが書かれておるわけでございます。今回は登録の透明化を図るということで、できるだけそういう設備も具体的に書くということでそういうことになっているわけですが、こういった設備はそういう仕事をするためには必要な設備でございまして、こういうものはやはりそろえていただく必要があるのではないか。
 ただ、今、先行投資というお話でございますが、このすべてをすべて購入して所有するという形でなくても、例えばリースという制度もございますし、また、中には、例えば船の場合には、大きな材料の強度の試験をする引き張り試験とか、あるいは圧壊試験とか、そういう試験機もあるわけですが、そういったもので、余り使わないけれども必要だというようなもの等につきましては、例えば、これからの運用の話になると思いますが、専門の試験機関がございます、そういうところと契約をしてやるとか、いろいろそういう形で、投資が過大にならないようなことは今後考えられるのではないかと思っております。
原委員 今、リースも可能だという答弁をいただいたので、本当にこれから新しく新規参入しようという方々に対して不利にならないようなものにしていっていただきたいと思います。
 この十二本の改正法の中に、船舶安全法の改正二十五条の五十三に書かれているように、これは財務諸表などの備えつけ及び閲覧について書かれているんですが、今回の法改正の中に財務諸表等の備えつけ義務というものができていまして、財務諸表という言葉は結構この委員会でもさまざまな改革の中で出てきた言葉なんですが、この財務諸表というものは、民間の企業会計原則に基づくものというふうに考えてよろしいのでしょうか。答弁お願いします。
徳留政府参考人 財務諸表は、経理状況を公にディスクローズするということで、備えつけを登録機関に義務づけるという趣旨でございまして、今お話しのように、企業会計原則等に基づいて厳正な財務諸表等が閲覧に供されるものと考えております。
原委員 独立行政法人も民間の企業会計原則に基づいてやっていくわけですので、ぜひ公益法人も、同じような民間の企業会計原則に基づいて財務諸表というものを策定していっていただきたいというふうに思っています。
 ちょっとまた条文の中で、細かくなってしまうんですが、同じ船舶安全法の二十五条の五十三の二号と四号についてなんですけれども、船舶関連事業者その他の利害関係人が開示請求できることになっているんだけれども、登録認定機関が定めたお金を払わなければならないというふうな書かれ方になっているんです。この費用というものはやはり実費の範囲であるべきだと思っていますし、場合によっては無料の提供も含まれてもよいんじゃないかと思っていますが、このあたりの費用を払わなければならないというところの費用の範囲というものはどのような形になっていくような感じになるんでしょうか。答弁お願いします。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 財務諸表等の書面の謄本または抄本等を請求する場合に必要な費用を請求できるということになっておるわけでございますが、これは登録機関が定めるということでございます。
 お尋ねの件につきまして、費用につきましては実費請求となるのが好ましいというふうには思っておるところでございます。
原委員 実費の範囲であるべきが好ましいという答弁だったんですけれども、私は実費の範囲であるべきだというふうに思っていますので、余りにもべらぼうに高い金額を請求されちゃいますと、開示請求できるんだけれども、すごく高いお金を払わないとその情報が見られないのはいかがなものかと思いますので、好ましいというよりは、実費の範囲であるべきというような考えを持って取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
徳留政府参考人 そのような考えで取り組んでいきたいと思っております。
原委員 それでは、最後に一点なんですが、非常に細かくなってしまうんですが、また船舶安全法の改正をちょっと例に挙げてお尋ねしたいんです。
 二十五条の七十二の中に「賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と書いてあって、その次の項目で「前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。」というふうに書いてあって、これは何か非常に素朴な疑問で、この条文というものはどのような効果をねらって書かれているのかという点を教えていただければと思います。
徳留政府参考人 御説明申し上げます。
 船舶安全法改正法案第二十五条の七十二第二項におきましては、同条第一項に規定するわいろ罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、または免除することができるということになっておるわけでございますが、この規定は、捜査の端緒を容易に入手して、その摘発、検挙を推進するため、贈賄者の刑を任意的に減軽または免除することにより自首を奨励しようとするものでありまして、今回の法改正における登録機関にも幾つか例が見られますとともに、特殊会社等の根拠法令においても一般的に見られる規定でございます。
原委員 ありがとうございました。
 今回の法改正に対しては、反対の立場ではなくて、認定制度であったものを登録制度にして門を広げるというか、いろいろな人にチャンスの幅を広げるという意味では、とりあえずの評価として、その第一歩としては評価をしていますが、やはり今回、大もとの改革があって、それに伴って、さまざまな特殊法人改革や今回の公益法人改革に関する細々とした法改正について国土交通委員会の中でたくさん議論をさせていただいたのですが、本当に実質的な改革になっているのかという面では、いまだに疑問が残っている点もあります。
 最も批判を浴びている、先ほど前半の部分で質問させていただいた丸投げとか丸抱えと言われている公益法人の改革に関しては、平成十七年度までとあるので、ぜひ、高い意識というか志というか目標を持ってこれからも取り組んでいっていただきたいということを要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。
 本案は、公益法人の改革と称しながら、国が公益法人等に委託している検査、検定の事務に関して指定制度から登録制度に移行するだけのものであり、国民的な批判が高い、国や地方自治体などと公益法人の癒着や天下りなどの問題に具体的なメスを入れるものになっておりません。
 また、補助金をむだ遣いしたり、不祥事を起こしたりする公益法人も少なくありません。独占的な事業で巨額の内部留保をため込んだり、天下りの役員に高給を出させる、こうしたことに対する国民の批判にこたえる改革とはほど遠いものであり、国民の目をごまかすものであると言わざるを得ません。
 個々の改正に関しても、例えば、船舶安全法や海上汚染防止法など、国民の安全、保安や環境保護にかかわる検査、検定の事務に関する国の関与を縮小することは、国民の生命と安全を守るべき国の行政責任を放棄するものであります。
 こうした事務を登録制にすることは、営利を追求する結果、安全や環境改善を軽視する企業等を監視監督する責任を弱めることになり、国民の生命と安全に重大な支障を生じることになります。こうした制度改正に反対であります。
 以上、反対理由を述べ、討論といたします。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより採決に入ります。
 公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、道路関係四公団の民間企業並み財務諸表について政府から説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 道路関係四公団の民間企業並みの財務諸表について御報告をさせていただきたいと存じます。
 道路関係四公団の民間企業並みの財務諸表につきましては、昨年の十二月に提出されました道路関係四公団の民営化推進委員会の意見書によりますれば、本年の九月を目途に作成するとされておりました。
 しかしながら、平成十六年の通常国会に民営化の関係法案の提出が予定されておりまして、九月では遅過ぎると判断いたしまして、また、国民の関心の高い事項につきましては可能な限り早急に公表することが情報開示の観点からも重要であると考えまして、私が、本年の一月、総理の御了解を得た上で、通常国会期間中に提出するように各公団に対しまして厳命をいたしまして、六月の九日、各公団より報告を受け、総理に御説明しました上で、その概要を公表したところでございます。
 これは、例えば道路公団におきましても、担当の職員を大幅に増員するとともに、アウトソーシングも拡大しまして、当初の百二十名に、その後、増員百七十名を加えて二百九十名の人員で、三カ月以上も休日返上で取り組んだ結果でございます。また、作成に当たりましては、各公団が、学識経験者、公認会計士等の専門家の客観的な御意見を伺いながら作成しております。
 ちなみに、お手元に配付しております参考資料の途中を見ていただきますと、「中間整理」というページが、別添の二というところがございます。その第一ページに民間の名簿等々が掲載してございます。
 そうしまして、お手元に配付されております時価評価によります貸借対照表によれば、本州四国連絡橋公団を除く各公団については、資産が負債を上回る、要するに債務超過でない結果になっております。
 なお、本四公団につきましては債務超過となっておりますが、本年四月、本国会において、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律、これを成立させていただいたことから約一・三四兆円の債務が切り離され、これを考慮すれば、資産が負債を上回ることになっております。
 また、損益計算書につきましては、JHを除く三公団について赤字を計上しておりますが、これは主として初期投資が大きいこと等の事業特性によるもので、償還準備金については計画を上回る繰り入れが行われているなど、供用中の路線については計画期間内に償還できる見込みでございます。
 今後は、採算性を一層確保するために、国土交通省並びに関係公団におきまして、本年三月に公表いたしましたコスト縮減計画を着実に実行するなど、さらなる努力を行うとともに、これを今後の制度設計に反映させていきたいと考えております。
 今回、民間企業並みの財務諸表という重要な基礎資料ができ上がりましたので、これをベースに民営化に向けた検討を深め、種々の課題を解決した上で、平成十六年の通常国会に法案を提出したいと考えております。
 そして、この国会の終了までにという、委員会で私がお約束いたしましたことが、きょう、こうして公表できましたことを皆さんに御報告させていただきます。
 ありがとう存じました。
河合委員長 以上で説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十九分散会

このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.