衆議院

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第14号 平成16年4月14日(水曜日)

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平成十六年四月十四日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    岩崎 忠夫君

      江崎 鐵磨君    江藤  拓君

      大島 理森君    大前 繁雄君

      梶山 弘志君    小島 敏男君

      櫻田 義孝君    高木  毅君

      中馬 弘毅君    中野 正志君

      永岡 洋治君    二階 俊博君

      西川 京子君    葉梨 康弘君

      蓮実  進君    古屋 圭司君

      保坂  武君    増田 敏男君

      松野 博一君    森田  一君

      山下 貴史君    渡辺 博道君

      岩國 哲人君    岡本 充功君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      田島 一成君    高井 美穂君

      中川  治君    長安  豊君

      伴野  豊君    古本伸一郎君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    村井 宗明君

      室井 邦彦君    若井 康彦君

      太田 昭宏君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   議員           岩國 哲人君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     大前 繁雄君

  島村 宜伸君     山下 貴史君

  中野 正志君     蓮実  進君

  渡辺 博道君     西川 京子君

  三日月大造君     田島 一成君

  山岡 賢次君     古賀 一成君

  和田 隆志君     高井 美穂君

  佐藤 茂樹君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     石田 真敏君

  西川 京子君     渡辺 博道君

  蓮実  進君     中野 正志君

  山下 貴史君     永岡 洋治君

  古賀 一成君     山岡 賢次君

  田島 一成君     三日月大造君

  高井 美穂君     村井 宗明君

  太田 昭宏君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 洋治君     小島 敏男君

  村井 宗明君     和田 隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     島村 宜伸君

    ―――――――――――――

四月十四日

 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出、衆法第三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 高速道路株式会社法案(内閣提出第一一二号)

 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出第一一三号)

 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一四号)

 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出第一一五号)

 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出、衆法第三六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官門松武君、道路局長佐藤信秋君及び総務省自治財政局長瀧野欣彌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木陽介君。

高木(陽)委員 おはようございます。公明党の高木陽介でございます。

 道路公団民営化の法案の審議も大分進んでまいりまして、基本的な哲学の問題、そういったことについてはこれまでにもいろいろと議論が深まってきたと思います。

 そういった中にありまして、やはり個別の問題も多々お伺いをしなければいけない、そういうふうにも思っておりますので、きょうは、個別の具体的な問題としてETCの問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 ETCの問題、その前に、道路というのがそもそも利用されなければ、何らの効用、経済メリットも発生しませんし、ただのコンクリートの塊にすぎない、このようにも思います。逆に、受益に応じた料金を支払っても、そのニーズにこたえてさえいれば、有料道路であっても国民は納得している。

 昨日の参考人質疑におきましても、有料道路としての高速道路、これについて各参考人が意見を述べられておりましたけれども、野党民主党の方がいよいよこれから法案を、対案を提案してくる、こういう状況下の中にありまして、無料化の問題というのもきのう参考人質疑の中で議論となりました。

 そういった中にありまして、一番大切なのは、道路は使われてこそ道路でありますので、使われない道路というのが諸悪の根源になる。一方、車に乗らない人、高速道路を利用しない人、その人たちは、さまざまな税金を払っていただいている中で、その税金をこの有料道路の債務返済に充てる、こういった問題については、きのうの特に午後の四人の参考人の方々は一様に否定をされていた、このように認識をしております。

 そういった中で、料金をどのように徴収するか、ここら辺のところが大きな問題でありまして、先日、この委員会で不正の問題も取り上げさせていただきました。

 そういった中にありまして、私ども公明党はかねてから、高速道路問題の核心というのは料金問題にある、有料道路にあっては料金水準がその活用度を決めていくということで指摘してまいりました。

 今回の法案を提出するに当たりまして、料金の値下げというものも視野に入れた今回の民営化法案であると思いますけれども、その中でETCというものが大変重要なツールになってくる、このようにも考えております。

 今後、ETCの整備のあり方、そういった問題も、これは後ほど、大臣がおくれて参りますので、質問をさせていただきたいと思いますが、現在の全有料道路のETCレーンの整備状況、また箇所数、整備率、これは一体どこまで進んだのか。ここ数年、予算も措置をされながら、このETCについてはかなり力を入れてやってきたと思いますけれども、その現状をお伺いしたいと思います。

 また、インターでETCの専用レーンができたとしても、問題は、搭載をしていないと、車にETCがついていないとこれまた無用の長物になってしまいますので、現在のETCの車載器の装着台数また装着率の最新の状況というのはどうなっているのか。また、ETCを活用した料金割引の社会実験、これまでどれぐらい行ってきたのかということをまず最初にお伺いをしたいと思います。

佐藤政府参考人 ETC料金所の整備につきまして、まず御回答申し上げたいと思います。

 道路関係の四つの公団で料金所の数が全部で千二百九十一ございます。いずれもETCレーンを整備しよう、こういうことでやっておりまして、この三月末で千二百十七カ所、九四%の料金所にETCが設置されております。

 これは、基本的には、首都高速は全部もう終わっておりますし、本四公団も終わっております。

 あと、全料金所、こういうことでございますので、道路公団の一般有料道路関係で個別に、ネットワークものになっていないところ、あるいはまた、公社等と接続しておりまして、公社と接続協議を、それぞれがETCを使う、こういうような形で公社の方の端末の方もETCを入れていただかなければいけない、こういうことで協議中のもの、こういうのがわずかながら残っておる、こういう状態でございます。

 レーンの数で申し上げますと、六千六百四十一レーンございますが、このうちのレーン数でいえば二千五百十一レーンにETCが入っている、こういう状態でございます。

 車載器のセットアップの台数でございますが、自動車の保有車両合計約七千四百万台の中で、約二百七十万台、三・六%にETCの車載器が搭載されている、こういう状態でございます。

 ただし、ETC車載器をセットしていただいている皆様方は主として利用回数が多い、こういう点もございまして、この三月末のETCの利用率を調べてみますと、全国で一五・六%、首都高速道路では一九・五%、約二割、こういう形になって、お使いいただいているということでございます。

 次に、社会実験をどういうふうに進めてきたか、こういうお話でございました。

 まず一つは、高速自動車国道につきましては、ETCの場合には長距離割引の社会実験、こういうことでやらせていただいておりまして、昨年の七月からこの三月十八日までやらせていただいたわけでございます。これは、またさらなる新しい実験をということで現在検討している最中でございまして、またゴールデンウイーク前には何とか新しい形の実験をやってみたい、こんなふうに検討している最中でございます。

 それから、首都高速道路の夜間の割引実験もやらせていただきました。これは昨年の十一月からことしの三月三十一日まででございました。

 それから、アクアラインのETC割引、これは平成十四年の七月からでございますが、さらに十七年の三月まで続けるということにしております。

 あるいはまた、首都高速、阪神高速の環境ロードプライシング、こういう形で、ETCの場合湾岸等に誘導する、こういう意味の社会実験もやらせていただいているところでございます。

 さらに、十六年度からでございますが、この前公募させていただきまして、追加インターチェンジの整備、こういう観点からは、サービスエリア、パーキングエリア等について、ETC専用のスマートインターチェンジ、こういう形の活用を実験してみようではないか、こういうことで現在実験を公募中、こういう形でございます。

高木(陽)委員 社会実験の結果、さまざまな効果が出ていると思うんですね。

 ただ、利用者の側から見ますと、特に首都高に関して申し上げれば、特に羽田から都心に入るとき、大井のインターだとかは、込んできますとETC専用レーンが一般のと両方とも使えるようにする。もちろん、まだ普及率が首都高の場合には二割弱ぐらいだ、こういう話もございましたけれども、そういったことを考えますと、まだ車載器を搭載していない車から見れば、ずっと渋滞してしまう。

 ただし、このETCをつけることによるインセンティブがあるということで、逆に、その専用レーンというのを確実に確保しておくということも、その車載を、搭載をさらに進展させる大きな流れになるのではないかなとも考えるんですね。つけたはいいけれども、結局、ETCを使っていない車と同じように並んでいる、何なんだろう、こういうふうに思ってしまうということで、ここら辺のところもしっかりと御検討をいただきたいなと思います。

 さらに、ただいま佐藤局長から、社会実験の御報告をいただきましたけれども、今後もさらにこういった社会実験事業ということが必要であると思いますし、どんな方針で実施していくのか。また、民営化以降、国あるいは地方公共団体の一部負担による料金引き下げ社会実験を存続する必要性はさらに大きくなるのではないか。本当に、民営化されたことによって利用しやすくなった、こういう目に見える形というのが必要だと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

佐藤政府参考人 二つ御質問があったかと思います。

 一つは、専用レーンの運用をもっとやるべきではないか。まさしく、実は、首都高速の本線バリアでできるだけ専用運用しようということで、そのうちの一つが先生先ほど御指摘の大井の料金所であったりもするわけでございますが、これの専用運用の時間がようやく一日二十四時間のうちの二十三時間を専用運用できる、こういう形になってまいりました。

 それから、五つのレーンがありましたら、おおむね利用率が二割なものですから、一つは常に専用にしておいても当然といいますか、それだけの必要性があるだろう、こういうようなことも考えられます。

 そういう意味では、交通渋滞が厳しくなってきたときにというようなことで関係機関と協議しながら、できるだけ私どもは専用の運用をさせてください、こんなやりとりをしながらの議論でもあるわけでありますが、できるだけ専用運用が二十四時間ずっとやれる、こういう形に努力してまいりたいと思っております。

 それから、社会実験はこれからどのような方針で行っていくのか、実態を踏まえて、さらに民営化後もっとその必要性が大きくなるのではないか、こういう御指摘でございました。まさしくそのとおりだと思っております。

 有料道路の社会実験、先ほど申し上げましたように、ETCでもやっておりますが、さらに地方からの公募型、そういうような形で、地方都市の地方提案型社会実験、全国で二十二件、この平成十五年度にやらせていただきました。また、政策的な社会実験という意味で、ETCの長距離割引といったようなことをやっておるわけでございます。

 地方提案型の社会実験についての結果を一つ申し上げたいと思うんですが、例えばということで、朝夕の通勤時間帯に五割引きする、その分を国と地方で一緒に減収分を負担する、こんなこともやっておるわけでございます。

 例えばということで、通勤時間帯等で五割引きにしたという場合、六カ所ほどの実験例がございますが、これは平均的には、通勤時間帯で申し上げますと、一・四倍から二・六倍の交通量になる、単純平均いたしますと一・八倍ぐらいの交通量になっておる、こういう形でございますので、有効性の十分あることではないかというふうにも思っております。

 平成十六年度におきましても、有料道路の弾力的な料金設定に向けまして、できるだけ多くの社会実験を行っていこうということでございます。また、地方からの課題解決型の社会実験、全国で現在提案をいただいておるところでございますし、公団による政策的な社会実験といたしまして、先ほど申し上げましたように、高速自動車国道についてETCの長距離あるいは夜間割引、こうした検討をしておるところでございます。ゴールデンウイーク前に実験を開始したいということで、詳細を検討している最中でございます。

 民営化後においても、こうした新しい課題に対応するという面で、この料金に関する社会実験を継続する、こういうことが大事なことであろうというふうに思っております。

 特に、多様で弾力的な料金設定を行う、こういう面から申し上げますと、民営化すればそれが採算にじかに響く、こういう点もあって、なかなかかえって慎重になられても困るので、そういう意味では、社会実験を積極的にやって、評価しながら、さらなる展開を民営化された会社に自信を持ってやっていただく、こういうことが大事なことだと思っております。

 したがいまして、民営化後も、国、地方公共団体が協力して、こうした料金に関する社会実験が十分実施できるように、重点的に取り組んでまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 この社会実験で割引をしていくという考え方、これをさらに進めていただきたいと思いますが、また、その一つの例としてですけれども、高速自動車国道とネットワーク型一般有料道路の乗り継ぎ。今までは乗り継ぎごとにその料金を料金所で払いながら、面倒くさいなと思った人も多いと思うんですけれども、そういった中で、このETCこそ、弾力的に料金の引き下げ、乗り継ぎ割引ですとか、そういったことを図ることによりまして、ETCの特性が最も生かされるんじゃないか。ただ単に、最初の入り口と出口だけでETCを活用する、やはりそれをコンピューターのネットワークでできるわけですから、こういった考え方があると思うんですけれども、それについてどのようにお考えか。

佐藤政府参考人 ETCの持つメリットという面で申し上げれば、まさしく乗り継ぎ等についても十分効用を発揮することが可能であろう、そんなふうに考えておるところでございます。

 そういう意味では、先生御指摘の、乗り継ぎの場合にETCを用いて、その割引等を十分考えながらやるべきではないか、まさしく私どもも、そうした点も十分検討してまいりたいと思っております。

 例えば、南阪奈道路、これが最近開通いたしました。これは日本道路公団それから大阪府の道路公社と両方で役割分担して仕事をしてまいったわけでございますが、さらにこれが阪和自動車道とつながるということで、三線を連続して利用する、こういうような形になっておるところでございまして、ETC車につきましては最大二〇%の割引を行うなど、ETCを活用した弾力的な乗り継ぎの料金設定、こういうこともやらせていただいておるところでございます。

 そういう意味では、利用者の皆様にできるだけお使いいただきやすい、そういう観点も踏まえて、乗り継ぎ等の割引等につきましても、弾力的な料金施策の大事な問題として取り組んでまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 道路四公団全体でETCレーンの、先ほど整備状況をお伺いしましたけれども、整備費、車載器購入助成費など、ETC制度導入のために支出をしましたETC事業にかかわる予算、この総額というのは一体どれぐらいになっているのか。また、一方、これまでETC車載器の購入のために、個人ですとか事業者、利用者、これが支出した金額の総額を推定すると、大体どれぐらいになるんでしょうか。

佐藤政府参考人 せっかくの機会でございますので、多少宣伝させていただきますと、ETCの場合に、この利用率が大体五〇%に達しますと、全国の料金所渋滞がおおむね解消できるのではないか、こういう観点から申し上げますと、その場合、年間三千億円に上る経済効果を持つであろう、こんなふうに期待しておるところでございます。

 そういう意味では、先ほどのおおむね四公団関係九四%というETCの料金所の設置率になっておるわけでございますが、これに要した費用、こういうお問い合わせでございました。四公団合わせまして、これまで約二千二百十億円を要した、投資している、こういうことであります。

 また、ETCのモニターリースといったこともやらせていただいておるわけでございまして、これは十五年度やらせていただいたわけでございますが、国、三公団合わせまして、約三十五億円を支出したところでございます。

 そのほか、ETCの民間研究開発、これは随分とそれぞれの自動車メーカーあるいはまた機械メーカー、電機メーカーさんに取り組んでいただいたところでございますが、独自にいろいろおやりいただいておるという状態でもございますので、その研究開発費用の詳細な把握はなかなか難しいということではありますが、これは意外にあるということははっきりしているわけでございます。

 それから、ETCの利用に当たりまして、個人の負担といたしましては、当初は大分高いということもございまして、車載器の購入自体が当初は三万円から五万円ぐらい、取りつけ費がやはり二千円から一万円、セットアップ料がそのほかにかかる、こういうことではございました。現状ではかなり安い車載器も普及し始めているところでございまして、平均的に一台当たり大体二万から三万円ぐらいかかっているんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、最近の情勢でいきますと大体二万円ぐらいでございますので、この二万円をベースにして考えますと、現在二百七十万台の普及状況、こういうことでございますので、大体五百億円以上はかかっているか、そんなふうに考えているところでございます。

高木(陽)委員 今、そのETCにかかわった金額、公団が二千二百十億円、また個人も五百億、こういうような数字が出てまいりましたけれども、きのうあたりからちょっと話題となりました民主党の無料化法案ですか、これ、無料化するということは、料金所がなくなるということですね。これまでETCで投入をしてきたわけですね。車にもつけてきた。ところが、これ、無料化になりますと、無用の長物になってしまう、これは大変な問題であろう。ETCによってメリット、または渋滞解消も図ろうという、これに逆行する流れとなると思うんですよ。かえってETCレーンというのは、無料化になりますと邪魔になる。

 そこら辺の、高速道路無料化に伴い混乱が予想されると思いますけれども、その点について、そのほかにもどのような混乱が予想されるか、ちょっと御指摘いただければと思います。

佐藤政府参考人 どのような形の無料化を御提示いただけるのかということによって大分状況が変わってくるところはあるんだとは思います。全体像それからその詳細まだ明らかでございませんので、厳密にいろいろ整理することは難しいという面はあろうかと思いますが、定性的あるいは考えられる問題、こういう形でちょっと考えさせていただければということでございます。

 基本的には、高速道路を無料化、こういう形で申し上げると、直ちにということであれば、債務を租税で返済する、あるいはまた、大都市部分につきましては高速道路は有料制を維持される、このように新聞報道でございますが伺っておりますので、こうした点から申し上げますと、大都市周辺と大都市間を結ぶ高速道路、これは大都市間を結ぶ高速道路を無料で走ってきて、無料で走ってくる車は大分ふえるんだと思いますが、そこでまた大都市圏に入ってくると有料、こういうことで、車がここでおりる、乗りおりが集中する。大都市周辺で乗りおりが集中する、こうした点による渋滞、こういう問題が一つ出てこようかと思います。

 それから、高速道路に乗る交通量が大幅に増加するであろう、こういう観点から申し上げれば、言ってみれば一般国道が一方であるわけでございますが、ここの速度とある程度似てくるというところまでは車が集中する、こうした問題もあろうか。そうしますと、旅行速度が低下いたしまして、高速道路本来の機能が低下するんではないか。

 さらには、高速道路を使わない方や、高速道路がない地域の人にも負担を拡大するという形にもなるんでしょうか。

 それから、有料制度を存続させる大都市の高速道路利用者、この方々は租税と料金を二重に負担する、こういう形にもなるといった面もありまして、国民から不公平な負担、こういう形の御指摘が出るようなこともあり得るかという問題があろうかと思います。

 それから、ETCの問題で申し上げますと、実はそろそろ車に組み込み型のETC、当初から車載器搭載新車、こうしたことを私どもも自動車工業会等にもお願い申し上げているところでございますので、そうした点についてどんなことになるか。

 そんなふうな幾つかの問題が考えられようかと思います。

高木(陽)委員 今道路局長の方からいろいろと予想される混乱を指摘していただきました。

 ただ、間もなく民主党の法案も出てくるということでございますので、並列させていただきまして、このETC問題等も民主党の提案者の方にもしっかりとお伺いをしたいな、どう考えるんだろう、こんなふうにも考えております。

 さあ、石原大臣、参議院の本会議御苦労さまでございました。

 最後の質問になりますが、大臣にお答えいただきたいと思いますけれども、今までETCについて質問させていただきました。特に、利便性を最大限に生かしつつ、また、料金収入、これも最大限にしっかりと徴収していく。そういう意味においては、ETCというのは重要なツールである、このようにも考えておりますけれども、今後、ETC整備のあり方について、どのような基本方針でどのような水準まで導入するつもりなのか、この点について最後に大臣にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 本日、高木委員がETCを中心に御審議をいただいているということを承知しておりますが、私、ETCの普及促進というのは、ここまで来ました以上、国策として、国土交通省と公団で、全力で取り組むべき重要課題であると認識しております。

 ことしの二月には、ETCモニター・リース等支援制度について、その幅をおよそ十五万台分の対象拡大をして、車載器の購入助成を実施しました。

 この結果、二月の車載器のセットアップ数、ETC利用率の伸びが実施前のおよそ五割増しになるなど、手だてを加えますとこのETCの普及というものに弾みがつくということが改めて確認されたわけでございます。この結果、十五年度末のETC車載器のセットアップ台数はおよそ二百七十万台と、平成十五年度の目標でございます利用率に換算して一五%というものを達成したわけでございます。

 それでは、新年度を迎えてということになりますけれども、ETCを活用した高速自動車国道の社会実験、ゴールデンウイークの前に実験を開始すべく今詳細を検討中ですけれども、夜間の長距離割引を念頭に考えさせていただいているわけでございます。

 さらに、ETC専用のスマートインターチェンジの導入に向けた社会実験、この公募を先週四月五日から二十三日まで行わせていただいております。

 社会実験とあわせまして、車載器購入支援制度、これはおよそ十五万台があっという間に締め切らせていただきました観点から、二十万台等々展開して、年内にETCの利用率の三〇%達成を目指させていただきたいと思っております。

 そして、平成十九年度末までにはETCの利用率を全国でおよそ七〇%、首都高、阪高においては八五%まで引き上げることを目標にETCの普及に努めさせていただきたいと考えております。

 このため、今年度の概算要求に向けまして、ETC普及促進のための具体的な支援策の充実の検討を指示しておりますし、事あらば財務省の方に伺いまして、高木委員御指摘のこの問題について、国策としてしっかりやるようにと働きかけをさせていただきたい、こんなふうに考えております。

高木(陽)委員 今大臣の方から国策としてというお言葉をいただきましたので、しっかりとこのETC問題取り上げながら推進をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 太田昭宏君。

太田委員 公明党の太田昭宏です。

 昭和三十九年に、大学に入る年で、土木工学科を専攻しました。その年の六月十六日に新潟地震があり、そして先輩がクラス全員を、道路を見に行こうということで、いまだに覚えています、極めて印象的だったんですが、できたばかりの名神高速道路を見させていただき、この名神を見たというのは大変自分にとってはうれしい思い出であったわけです。

 日本は、対応に追われる政治というのではなくて、国土のグランドデザインというものをしっかりつくって、高速道路、そして空港、港湾、まあ、多くの議員の先生方がいらっしゃいますから、自分の県にはこだわるというふうに思うんですが、アジアあるいは世界ということからいきますと、公共事業は、必要なものは必要であるという観点から、道路ということでいうならば、空港と港湾と、ハブ空港、ハブ港湾、そして高速道路網というものをネットワークとしてつくり上げていくということが、私は、二十一世紀の国づくりで極めて重要なことだという認識をしております。

 しかし、構造改革という小泉内閣の方針の中で、何が構造改革か。政治が構造改革をなすという前に、社会が構造変化をしている。その構造変化した社会に対してどのように手を打つかということが、私は大事なことだというふうに思っております。少子高齢化という構造変化に対しての対応、あるいはグローバリゼーションというものに対しての、この構造変化というものに対しての対応ということが大事であって、道路ということからいきますと、私は、率直に言いまして、四公団を中心にしたこうしたシステムだけではもう成り立ち得ないという大きな構造変化というものが社会に起きているということだから、この今回の法案が提起されたというふうに思うんです。

 何が構造変化というふうに考えるか。私が三十九年に同じ土木を志して、そして道路関係の仕事をしている人たちにも会いますと、もうぎりぎりのところだなということを率直に話をし、よく世間では、族であるとか、あるいは関係議員ということであったり、関係者ということを言いますが、真剣に国のことを考えている人たちは決してそうではない。

 今、率直に言いまして、つくらなくてはならない道路が非常にできていない。つくりやすいという道路ができている。大都市圏を初めとして周辺に、つくらなくてはならないという道路がなかなかできない。そして、地方の、私は、いろいろな議員がいらっしゃいますから申しわけないんですが、つくりやすいという道路がどうしても先行してといいますか、後からというか、最近はそこが先につくられるというような状況がある。首都圏の私にとりましては、高い高速料金を払って、そして平均時速十八キロというようなとても高速道路と言えない道路に乗り、いらいら、大変な負担ということで仕事ができない、そこのところにもっと高速道路というものを渋滞解消も含めてやっていかなくちゃならない。

 そうすると、道路をそろそろ明確に二つに分けた方が考え方としてはいい。首都圏あるいは大都市周辺の道路は、経済戦略道路という位置づけのもとに展開をするということが大事であり、そして、地方の道路ということは、当然そこで生き抜いていく、また経済も発展させていかなくてはならないということからいきますと、生活インフラ道路という観点から、国が責任を持ってやるという必要がある。

 そうしますと、道路公団のもとで、一律にプール制というものの中でこれを展開するというよりは、経済戦略道路というもの、そして生活インフラ道路、特に生活インフラ道路は、新直轄ということが行われたわけでありますけれども、そうした観点でいうならば、やはり税金で行うべきというような観点も含めてやっていかなくてはいけない、こういうふうに思っております。

 私は、そうした私自身の考え方というものに今回の改革というものが適しているのかどうなのか、そういうことが実現できるのかという観点から質問させていただきたいと思いまして、考え方を先に述べさせていただきました。

 高速道路の必要性の徹底検証ということがそういう観点から言われるでありましょうが、そうしたことからいうと、経済戦略的色彩が強い道路というものの検証の仕方、いわゆるBバイCという問題のとらえ方と、生活インフラ道路としての位置づけをしたという上での地方のそうしたもののこのBバイCのあり方。なぜ必要か、どういう数値かという、中村先生が御提出された新しい事業評価システムというものが果たして全国一律でなされていいものであろうかどうかということもまた、私は検証していかなくてはいけないというふうに思っております。

 そうした観点から何点か質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、高速道路整備の必要性を検証するに当たって、採算性の側面あるいは経済的側面、生活基盤としての側面等、多様な視点があると思うわけでありますが、今回の検証ではこれらの視点というものをどのように取り扱ったのかという、どのように道路を見、そしてどういう評価システムということになるかということを後からまた詳しく聞きたいと思いますが、そうしたことも含めて、どの観点から必要性ということを実証して、立証して、あるいは説明していくのかという観点についてお聞きをしたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、道路の整備の必要性あるいは緊急性、こうしたことをどうするか、長い間の懸案でございました。

 四公団の民営化推進委員会におきまして、中村委員から、こんなふうな基本的な物の考え方で整理したらどうかという御提案をいただいて、それがいわゆる中村基準と申し上げておる内容でございます。

 ここは大きな基本的な考え方をお示しいただきましたものですから、これを国土交通省におきまして、森地茂先生を委員長にして、道路事業評価手法検討委員会という場で、この具体的な内容を詰めさせていただいたところであります。

 お答えを二つ申し上げたいと思います。

 一つは、必要性そのもの、この議論で申し上げますと、BバイCが一を超えるかどうか、この観点が大事だろう。最小限といいますか一番ベーシックな必要性は、まずそこをきっちりと把握して判断すべし、こういう御提案でございました。

 次に、そのBバイCが一を超えるというグループの中で、緊急性といいますか、総合的に評価してどんなふうな評価づけをするのか。この御提案がございまして、それにつきましては、BバイC、費用対効果、それから採算性、それからそのほかの外部効果を計測する、こういう内容の御提案でございました。

 総合評価を大がかりに、これは、高速自動車国道の整備計画の未供用区間二千キロ七十区間について計算をきちっとさせていただいたわけでございますが、こうした大々的な評価をし、その基本的な数値をすべて公開して、なおかつ、この三つの項目間の重みづけも、いろいろな意見をいただきながら、言ってみれば大々的なPRを行った上で評価させていただいた、これは恐らく世界的にも初めての試みだろうというふうに考えられます。

 ここでそれぞれの内容について一言申し上げますと、費用対効果は、直接的な高速道路整備による便益のうちの貨幣換算可能となる三項目を評価しています。便益の方は、走行時間の短縮、それから走行経費の減少、それから交通事故の減少、この三項目を評価させていただいております。

 採算性につきましては、各区間ごとに有料道路として整備した場合に、料金収入によって総事業費のうち、どれだけの費用が回収できるか、こうした観点の割合を評価させていただいています。

 そのほかの外部効果、これがまた大事な問題だと思っておりまして、十六項目について指標化して評価しているわけでございますが、例えばということで申し上げますと、生産の拡大、雇用の増大など、地域経済への寄与がどうか。あるいはまた、生活環境の保全であるとか地域環境の保全など、環境への寄与はどうか。さらには、救急救命病院へのアクセス時間の短縮がどうなのか。あるいはまた、事故、災害の減少等、あるいはこれらの二次的な影響の軽減など、安全への寄与はどうか。こうした項目を十六項目にわたりまして指標化させていただいて、総合的に数値化する。

 この三つの項目をそれぞれまたどういう重みづけでそれぞれをつなぐべきか、この辺の重みづけもまた、いろいろな御意見をいただきながら、幾つかのケースを想定してやらせていただいた、このような内容でございます。

太田委員 会社がぴかぴかで立派になりました、利益も上げました、しかし、道路はどんどん疲弊しました、こんなことでは何のための民営化ということになるかということが私は大事だというふうに思います。

 技術系の友達がいっぱいいるということからいきますと、これは質問通告にないので、大臣にちょっと感想だけお聞きしたいんですが、日本の技術水準というのは非常にいいし、そして、道路を同じようにつくると言って、よくほかの党なんかが、あの国ではこうだ、この国ではこうだと。

 日本でつくるということがいかに大変か。地震というものが想定される、平地は少ない、山合いは迫っている、そして、雨が降ったら急流となってすぐ海に行く、こういう中で道路というものをどうつくっていくか。あるいは、ダムを含めて国土というものをどうつくるかということについての日本の公共事業というものは、安全ということを基盤にした技術水準というものがしっかり評価されるということが私は非常に大事だと思います。

 まじめな日本の技術者は、単にもうかった、もうからないというよりは、いい仕事をしたいということで、NHKの「プロジェクトX」なんかに出ているようなすごいことをしているわけでありますが、ただ、採算性ということではなく、公共事業全般、また道路建設ということに当たっても、ある水準、それは、すばらしく景色がいいとかいろいろなことは要りません。節約できるものは当然節約するんですが、安全とか長もちするということも含めた、そうした人たちがいい仕事をした、そしてまた、日本の技術は大したものだと言われるような観点というものを常に持った民営化でなくちゃならぬというふうに思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

石原国務大臣 ただいま太田委員は、安全と耐久性、この二つの切り口から、日本の公共事業そして道路、高速道路どうあるべきかというお尋ねだったと思います。

 先日、技術に関しまして、香港の運輸庁の長官がおいでになりまして視察に行かれた。何を視察されたかというと、橋とアクアライン。自分たちのところでも、中国メーンランドあるいはマカオの方にそういうものをつくりたい。世界の各国の方が実は日本の技術については御見学に来、また、そのノウハウというものをどう自国に反映させるかということを真剣に考えられているという一つのことから見ましても、技術水準の高さというものは世界に冠たるものがあると思います。

 そしてまた、その一方、この技術力をもって、日本の高速道路は、委員が御指摘のとおり、大変厳しい自然環境、地形等々ございますので、トンネル、橋梁等々が四分の一ぐらいあるわけでございます。これもまた他の国の高速道路とは大きく違う点でございまして、そのような橋あるいはトンネルというものが災害というものに耐え得るべくつくられているということは、言うまでもないわけでございます。ここにも日本の高度な技術というものが生かされている。

 その一方で、会社自体が公団という形でございましたので、委員御指摘のとおり、コストを下げられるところは下げなきゃいけないという動機づけが会社の側に働かなかったということもまた、その一面であるのではないかと思っております。

 こういうことを考え合わせて、今回の民営化案、委員御指摘のとおり、ぴかぴかの会社をつくって、せっかく日本の最高水準の技術力でできたものが朽ちてしまうというのでは、何のための民営化かという点はまさに同感でございます。

太田委員 そこで、都市周辺の道路は経済戦略的な道路であるという私の位置づけからいきますと、特に問題なのは、都市周辺の道路の渋滞という問題の解消ということが具体的に行われるということは、目に見える形での経済戦略ということになろうというふうに私は思うんです。

 どういう数字かということも含めて局長にお伺いをしたいわけですが、渋滞によって失われたGDP、富は十二兆円ということが言われたり、首都圏周辺で渋滞によってなくなった富が三・二兆とかいうふうに言われますね。

 十二兆というのは大変な数字で、これが渋滞が解消できれば、GDPをまさに二・四%ぐらい上げるということになるわけですね。大変な景気対策あるいは経済対策ということになるわけで、そうしたことからいきますと、これはどういう数字として、今回の評価基準というようなものの延長線の上に、十二兆というような渋滞ということで失われた富という形で言われているのか。今回の事業評価基準、BバイCという指標によっては、この失われた富というのは変化するのか。その辺について、都市部そして首都圏、全国、渋滞によって失われた数字というものは、現時点では正確には幾つというふうにとらえたらよろしいんでしょうか。

佐藤政府参考人 時間やエネルギーのロスというものが経済活動に重大な損失を与えている、こういう観点から渋滞の経済損失を計算させてみていただいたりしているわけでございますが、そういう意味では、先ほど申し上げましたBバイCとの関係で申し上げますと、走行時間の短縮それから走行経費の減少、これをベースにはじかせていただいておる。残念ながら、全国のマクロな計算でございますので、交通事故の損失までを入れ込んでいるわけではございませんが、そうした形での経済損失を、年々どのぐらい損失しているだろうということで計算をさせてみていただいているわけでございます。

 そういう意味では、全国、この経済損失、本来、例えば首都圏、特に東京、先ほど先生御指摘のように、実際の走行速度は十八キロから九キロ、こういう形でございますから、これが通常の姿であれば、少なくとも中心部においても三十キロぐらいでは走れなければいかぬだろう。それからまた、周辺部においては少なくとも五十キロ、都市間でいえば六十キロぐらいのスピードというものはあってしかるべきか。こうした点からの現在の実際の走行速度との差、これがベースになっておるわけでございます。

 そういう意味で計算してみますと、全国で年間約十二兆円、はじき方によりますが十一・六兆円、さらに、首都圏では年間約二・八兆円という計算をしております。これは、はじく関係機関によりまして多少の違いがございまして、東京都の試算によりますと、もう少し大きい、こういう試算もございます。いずれにしましても、全国の約四分の一ぐらいの渋滞損失が首都圏で発生している、こういうような状況でなかろうかと思っております。

 そういう意味では、先ほど申し上げましたような、例えば首都高速でいえば、少なくとも平均時速が、法定速度がおおむね六十キロの区間が大部分でございますが、場所によりましては、区間によりましては八十キロが少なくとも平均で担保し得る、こういうような状態が本来必要であろうということで、都心部への流入を抑制する環状道路の整備であるとか、あるいはまた一般道路で申し上げますと、東京の場合には踏切による渋滞等も無視できないといいますか、大変大きなものがある。こういう観点から、連続立体交差、鉄道を上げる事業であるとか、こうした物理的な施策、ハードの施策に取り組むとともに、一方で、バス専用レーン、優先レーン、あるいはまた駅前広場等の交通結節点の整備で公共交通機関をできるだけお使いいただきやすくする、そんなふうな点も含めて、ハード、ソフト両面から取り組んでいるところであります。

太田委員 私が申し上げたのは、大臣、ちょっと聞いてもらいたいんですが、高速道路網を整備しました、こう言ったところで、首都圏で十八キロという平均時速、これは高速道路網を整備したとはとても言えないわけですね。三十キロならばどうか。

 今回のこういうことの中で、国民にわかりやすいのは、こういう方向に向けていって、大体、高速道路というのは何キロぐらいのスピードで走れるようになるんですよというようなことが非常に大事で、国民にとって見ると、ああ、これで幾らぐらいに、どういうふうにお金を出せば今度は首都はこういうふうになるんですねというようなことも含めて、そして、こういう節約をするんですというようなことも含めて行われなくちゃならない。

 そういいますと、私が聞いたのは、全国十二兆円だとかいう数字、これは一体何キロぐらいのことを想定して失われた富という換算をしたのかとか、そういうことも含めて、私は余りそういう話を聞いたことがないものですから、いろいろな報道でもないわけですが、今回は抜本的に変えるということであるならば、日本の高速道路というものはどのくらいのスピードで、どういうふうにして、ここまでいくと経済効果はこれだけあるんですよというようなことも含めて、それが国土のグランドデザインということになるんじゃないかと思います。

 今ここですぐ、何キロ想定でこうだというようなことがないとしたら、大臣、ぜひともそういうことも含めて検討していただいたり、あるいはよく打ち合わせをしてもらったりして、ある程度のメルクマールといいますか数字というものを出していくということ。経済効果はこれだけになる、スピードはこれだけというのが基準になるというようなことについて、今あればお答えしてもらいたいんですが、そうじゃなければ検討してもらって結構なんですが、そうした国民への説明ということもまた必要なことではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 数字の観点から申し上げますと、渋滞損失自体は、先ほど申し上げましたように、現実に走行している速度と、それから本来の規制速度または法定速度、こうした形での比較をしておりまして、そういう意味では、統一してわかりやすく、おおむねこういうことなんだということを、高速道路それから一般の道路、それぞれ典型的なものを御説明できるように整理したいと思います。

 あえて申し上げますと、東京都内で申し上げれば、実際の一般道路の平均の走行速度、確かに十八キロ前後だと思います。これは、平均でございますので、都心部においてはせめて倍近い三十キロでは走行をできるようにすべきじゃないか、こんなことも目標にしているところでございますので、それを全国的にわかりやすくという努力をさせていただきたいと思います。

太田委員 三十キロぐらいだと高速道路とはとても言えないというふうに僕は思うんですが、そうしたことも含めて、ちょっと検討したり、ビジョンを改めてまたつくるとか、いろいろな作業をお願いしたいというふうに思っております。

 そこで、地方の道路というのは、私は、生活インフラという角度でまた別の評価基準ということもあっていいということで、新直轄というのはそういう方向で前進をしているというふうに思うわけです。

 そこで、今までの評価基準、必要か必要じゃないかというときに、中村先生の言う評価基準は、これはまさに道路としての新しい評価基準ということですよね。ところが、今までの、私が九七年の十二月に、公共事業における評価基準、及び撤退システムの確立についてという質問主意書を出させていただいて、そして、どういう事業評価をしていくのかというときに、ヘドニック法という方法もあるし、いわゆる土地の値段に全部換算をするというやり方の事業評価、そうしたことが指摘されたものですから、どうなんだと聞きましたら、まだこれは、現段階ではそうした指標もあるけれども、困難というような質問主意書の答えが当時は返ってきたということもあったりしました。

 私の当時からの問題意識は、道路と道路の評価基準の優先順位というものはあるけれども、道路とほかの事業との間、今度は新直轄で、例えば税金を使うという場合は、本来はどんと地元に渡した方がいい。そうした場合に、何に使うかということで、まず道路を優先しようというふうになるかならないか。そして、道路というふうになった場合は、高速道路ということでいこうか、そうではない方向で十分対応できるのかという観点もある。それを県なら県にある程度任せていけるというようなことであるならば、そうしたことをもっとおろしていって、私は、お金の使い方ということについて、同じ公共事業であるならばという使い方があるというふうに考えたわけです。

 なかなか難しいのは、道路と道路の評価基準のBバイCということについては、ある程度できるわけだ。ところが、ここには、道路と道路、河川と河川、そういうことのそれぞれの分野における優先順位はできるけれども、道路がいいか、河川の方に使うのか、こういうことの統一した評価基準というものがもっと研究をされなくてはいけないというふうに私は思うわけですが、これについては研究は進んでいるんでしょうか。

 それとも、そういう論議が今回の委員会の中で、何ゆえにここは高速道路か、何ゆえに一般道路なのか、なにゆえに道路じゃなくてほかの事業、公共事業でいいですよ、という統一した基準というものの論議が民営化委員会の中で本格的に行われたのかどうか、研究の状況やそうしたことについて教えてもらいたいと思います。

佐藤政府参考人 最初に、先生、先ほどの私が申し上げた数字は、都心部の一般道路のスピードでございまして、首都高速あるいは接続する高速国道のネットのスピードではございません。一般道路のスピードでございますので、多少というか随分低目の数字を申し上げたわけでございます。済みません。

 それから、ただいまのお話でございます。昔から、大砲かバターか、こういう選択には、あえて申し上げれば、費用便益分析というか計量経済学的に便益費用を分析して横に並べる、この点については非常に難しいというのがマクナマラの費用便益戦略以来のずっと評価ではございます。

 そういう意味で、道路の場合には、走行時間の短縮、走行経費の減少、交通事故もそうでございますが、こういう計算で申し上げると、これを一般化しようとすると非常に難しいところがあるといいますか、では、下水道はどうか、あるいはまた河川はどうか。あるいはそうした点で、歩道と高速道路、これのそれぞれの効果をどう考えるか。

 これが同じような単位として同じように並び得るかという点で申し上げると、道路で用いております、先ほどの中村基準によります費用便益分析をどこにでも使って同じように並べる、これはそのままでは難しい、こういう問題かと思います。

 何をしているか、こういう議論であるわけでございますが、実は、国土交通省の中で、官房組織の中で、それぞれ各局いろいろ勉強しております。特に下水道なんかに関して申し上げれば、下水道、公園は主にヘドニック・アプローチかと思います。そういう意味で、道路の場合にもヘドニック的なアプローチということもあり得るかと思いますし、それから、便益が最終的にどう帰着するか。帰着便益等の議論でいえば、また同じようにある程度の横並びで評価もできようか、こういうような観点から、実は、省としては、そうした点も含めていろいろ勉強させていただいておるというのが現状でございます。

 先生御指摘のように、できるだけ共通、統一的にやりたい、これは、長年の懸案ではございますし、学問的にも政治経済的にも世界的に問題であるわけでございますが、できるだけ最先端、私が先ほど申し上げました中村先生の基準による総合評価は、恐らくこれはこれで世界で初めての試みかと思います。こうしたことを、ほかの社会資本に対しても、横に並べてという研究を省としてはやっておる段階ではございますので、できるだけ進めてまいりたいと思っております。

太田委員 最後に、簡単ですが、私が一番最初に申し上げた物の考え方で、道路に本質的にかなり差があるというのを全国一律プール制でやってきたというようなこと自体の変更ということが今回の中でどういうふうに展開をされていくのか、また、そうしたプール制についてどうお考えかということについて、お聞きしたいと思います。

石原国務大臣 委員が、経済戦略道路と生活インフラ道路、こう道路のあるべき性格みたいなものを整理していただいたわけですけれども、これまでは、委員が意見の御開陳の中でお示しになられましたように、ネットワークを早期に整備する必要から、有料道路方式が採用され、さらに、償還主義と全国プール制で地方の道路を整備してきた、そういう現実が一方にあると思います。

 しかし、過度なプール制への依存の弊害が出てきて、建設の判断に際して、採算性や経済効果に関するチェックが働きにくくて、委員が言うように、つくりやすいところからつくってしまう、言葉をかえますと、不透明な優先順位で道路整備が行われてきた、こういう事実があると思います。

 また、新規路線というのは、必ず採算性の悪いところが後回しになっておりましたから、そういうものが入るたびに当然償還期間というものが長くなって、幹線あるいは採算性の高い道路を利用する人たちにとっては、言われていたことと現実に大きな乖離が出てきた。

 そんなことで、今回は、償還主義あるいはプール制の弊害というものを除去して、四十兆円に上る債務というものを四十五年以内で必ず返すという新しい枠組みを整備させていただいた。その中で、委員が分類をしていただいたような経済戦略道路と生活インフラ道路をどういう順番でつくっていくのかということを、生活インフラ道路をどうつくっていくかということの判断基準というものはやはり外部効果を中心に判断する、あるいは、経済戦略道路と言われるものをつくっていくのであるならばやはり採算性というものを重視するという形で、中村基準が組み立てられ、透明性を高めた、こういうふうに理解をさせていただいているところでございます。

太田委員 ありがとうございました。

赤羽委員長 伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、議題となっております関係法案につきまして、大臣初め関係各位に質問させていただき、御回答いただければ、そんなふうに思っております。

 先日大臣に質問させていただいたときは、ちょうどまちづくり交付金のときだったと思います。そのときにも大臣のホームページを拝見させていただきまして、今回も、きのう大臣のホームページを拝見させていただいたら、さすがといいますか、もう既にまちづくりのホームページではなくて、道路関係のホームページになっていらっしゃったものですから、私の事務所とはえらい違いだなというか、うちは金も人もないものですからもう本当に、よく後援会の方にしかられるんですが、大臣のホームページを見せていただいて、タイムリーに変えていきたいな、そんなふうに思っていたわけでございます。

 それはそれとして、きょうは、大臣とこの一時間、私もしくは大臣、大臣の方にはオファーが今後あるかもしれませんが、私の方はオファーは多分ほとんどないと思いますが、社長になったらというつもりで、一緒にちょっといろいろチェックをさせていただきたい。

 まず、何でこんな手法をとるかといいますと、やはり、物事をチェックするあるいは確認をする、仕組みを一度回してみて、それで、原点を確認して、座標軸をつくってからチェックをしていかないと、いろいろ調査をした、チェックをしたけれども、最終的に原点がよく見えなくなると、何のための調査をしたかよくわからない、チェックをしたかわからなくなるということで、みずからがこの今回でき上がる会社の社長になったつもりでこれを見ていくと、どういった問題点、課題があるか、そういう視点から大臣とやりとりをさせていただいて、そして最後、いろいろ検討していただいた上で、大臣だったらどこの会社が一番行きたいか、そんなようなことも参考までにお聞かせいただければ、そんなふうに思うわけでございます。

 では、まず、その前段で、先般、私どもの若手ホープの議員の一人であります三日月議員のやりとりの中でこういうのがございました。

 民営化とはという質問の中で、大臣はこうお答えになっています。民営化といいましても、人それぞれ民営化の言葉の使い方、微妙に違っております云々、ずっと続けていただきまして、最終的には、今回の民営化の意味は、第一ステップとして特殊会社化だという発言をされておりますが、このあたり、まず確認をさせていただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの委員の御質問は、今回の公団の民営化において、どういう高速道路株式会社を設けるのかという御質問だと思うんですけれども、これまでの議論の中でも再三再四申し述べさせていただいておりますが、公共性の高い道路の整備、管理主体として、特別の法律により設立される会社というものをつくるんだということが基本であります。

 すなわち、最初は政府出資一〇〇%の特殊会社ではございます。その特殊会社が高速道路株式会社、そういう名称になっているわけでございます。

伴野委員 みずからがどの会社の社長になる、まず、その社長になった、あるいは社長としてやらなきゃいけない会社の基本がどうなっているかというところの確認から始めさせていただかないと、責任を持てなくなるわけでございますので、まず確認をさせていただいたわけでございます。

 今大臣がおっしゃったように、今回の法案は、まず第一ステップとして特殊会社化する。民営化の概念というのは、広辞苑を引きますと、民間の経営ということになっているわけでございまして、これもよくわからない、どうにでも解釈できる。

 民営化という意味が、いろいろ解釈がその人によってあるから、今回も、民営化推進委員会での議論というのが、いろいろな意見があったわけでございます。ですから、一つ一つ確認をしていかなければいけないわけでございますけれども、今回、今大臣がおっしゃっていただいたように、民営化はとりあえず特殊会社化である。

 では次に、株式会社とはというようなことを考えていきますと、これも、一つの定義として、資本金の出資者を一般から公募し調達する仕組みを持つ会社という定義がございます。これもいろいろなやり方があるんだろうな、一通りではないなと思うわけでございます。

 では、改めて大臣に問いたいわけでございますが、今回の特殊会社というのは、一般の民間会社とどの点で違い、どう定義されるのか教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 ちょっと事務的な部分がございますので私の方から申し上げさせていただきます。

 特殊会社ということでございまして、普通の会社とどう異なるかということでありますが、商法によらず、そのための特別の法律によって設立される会社、そんなふうに特殊会社を理解しておるところでございます。そういう意味では、今回の法律は、高速道路の株式会社をお願いする、こういうことでございますので、そういう定義に当てはまろうか。

 この理由といたしましては、一般的に、通常の会社に比べまして、その業務が国策上必要な公共性の高い事業である一方、今度は、行政機関であるということと比べますと、行政機関で行うよりも、その業務の内容から見て、会社形態で行う方が適切な運営が期待できて、業務の能率的な運営を図るため、財務、会計または人事面で、弾力性を与える必要がある、こういう両面から設立されるものと理解しております。

伴野委員 私は、かねがねこの委員会でも申し上げておりますが、今回もあえて申し上げさせていただければ、原則論として、国の根幹の必要な社会資本は国が責任を持ってつくるべきである。それで、気をつけなきゃいけないポイントは、財源を明確にして、必要なものがどれであるかという選定、これがぶれちゃうと大変なことになる。

 残念ながら、今問題になっている四十兆円の債務が現状であるということを考えると、この大事なポイントが今までちょっとずれてきてしまったのかな、その蓄積が四十兆円であり、今回改革をしなければいけないということになったわけでございます。

 国民の皆さん方の側に立って考えてまいりますと、公共のサービスをできるだけ低廉に享受できれば、はっきり言って、あとは手段であり、まあ、うまくやってくださいよということになるんだと思うんですね。ですから、今大臣がおっしゃった特殊会社というような意味合いをもってすれば、第一ステップがそれだということは、民営化と民有化は違うんだということも含んでいるんだろうと思います。

 ですから、ほかの交通機関網等いろいろ考えていくときに、やはり、高速道路なり道路の連続性ということを考えていったり、あるいは防衛問題というようなことを今後考えていかなければならないといった場合に、総合的に判断していく必要もあるのかなという観点を私は持っております。

 そうした中で、またちょっと、きょうの本題に戻らせていただいて、さあ、では、そういう会社だな、道路管理者は変わらないようでございますので、言ってみれば、大家さんにはなれない社長だなという気がするんですね。たな子というか、ちょっとお借りして仕事をさせていただく社長さんなのかなという感じがしてまいりました。

 では、エリアはどこまで貸していただけるのかというところになってくるわけでございますが、いろいろ法案も読んでみますと、正直言いまして、どこまでのエリアなのか、これからの検討なのかなというふうに読めないこともないですし、また安全確保というものは、高速道路の場合、鉄道と違いまして、例えば交通事故が起きたときの対策というのを警察でしていただくわけでございますから、行政単位でやった方がうまくいくのか。

 これを鉄道で考えてみた場合、鉄道というのは御案内のようにキロポストで明確にできますので、正直言いまして、今回の法案よりは改革をしたときは少しわかりやすかったと思うんですけれども、今回の法案やあるいは図面を見せてもらいますと、自分が担当させていただくということになった場合、どこまでが自分の管轄でどこまでが自分の責任範囲なのか、残念ながら、法案と図面を見る限りではよくわからない。

 このあたり、どうなっているのか教えていただきたい。

佐藤政府参考人 先生の御質問は、六つの会社ができるけれども、その六つの会社について明確なエリア分けが決まっているのか、こういう御議論でありました。

 高速道路株式会社法の第五条の二に、基本的にどういう範囲かという点について記述させていただいています。ただし、しかしながらという問題だろうと思います。確かに、道路は区域だけじゃなくて路線でございますし、そういう意味では、どこで分かれるのかということがまた明確ではないということではないかというお話でございました。まさしくそういうことではございます。

 日本道路公団は、特に三分割するそれぞれの会社の範囲は、所管する都道府県名を第五条の二で書かせていただいているわけではございますが、具体的な会社の境界、こういう面で申し上げますと、経済、生活圏域や交通特性を踏まえた利用者の利便性であるとか、非常時における代替路の確保の問題、また、特に大事なのかもしれませんが、収支状況とか組織の規模とか事業延長などの各会社間のバランス、あるいは現行の道路管理体制、先生御指摘のように警察も含めて、そうしたさまざまな点を勘案する必要があるだろうということでございます。

 そういう意味では、法案を通していただいて、大枠は決まっている、そうだとすると、そうした詳細について、設立発起人がそれぞれ任命されて、任命される以前からもちろんいろいろ検討するわけでございますが、ただいまのような詳細については、それぞれの会社の考え方、将来の考え方みたいなものも多少は踏まえながら、最終的な落ちつきを決めるということかと思います。

 JRの場合にも、たしかもっと大きく法案段階で分かれていたと思いますが、大きな仕分けであったかと思いますが、そういう意味で、詳細に、今申し上げましたようなことを要因として十分検討しながら考えてまいりたいというふうに思っております。

伴野委員 先ほど、大家とたな子のお話をいたしました。当然、一般的な社会であれば、どこまで貸してもらえるんだというのは借りる前に明確になっていないと、常識的にはなかなか責任を持てないという話になると思うんですね。

 ですから、作業的には多分大変な、膨大なことになるんだと思うんですけれども、そのあたりは、順番として、今のこの法案を見る限り、社長が決まってから道路会社の協議ということになっておりますが、常識的にはこれは逆でございまして、決まっていて、こういう会社だよというのが本来の筋だと思いますので、できるだけ現実に近づけていただいて、そこの部分まで含めて特殊会社だから特殊なんだと言われちゃうと、これもまた元も子もありませんので、そのあたりはぜひできるだけ明確にしていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。

 続いて、では、わかりましたよと。今もなかなか、現時点では検討課題を含んでいるんだということでございましたけれども、今度自分が預かる会社、自分が社長になったときには、道路はわかったよ、大体ここで切れるんでしょう、では、ほかに土地を持っていないのか。鉄道なんかの場合でも、周辺のおうちを、ごめんなさいということでちょっと横にどいていただいて、換地というようなことをやらせていただくようなことが環境対策としてよくありました。あるいは新線建設のときにもあったと思いますし、多かれ少なかれ、道路だって同じようなことがあり得るんだと思いますし、そういった土地がないのかどうか。あるいは、宿舎だってどの程度あるのか。

 なぜそういうことを申し上げるのかといいますと、国鉄改革のときには、返済の中で、余剰と言うと失礼なのかもしれませんが、今後の運営に必要でないものの土地の売却、あるいはさまざまな資産を処分して、少しでもお返ししようということをやりました。ですから、今回の会社を設立するにしても、まずそういうお考えも必要だと思います。

 それから、余り裏話をしちゃいけませんけれども、時効になっている部分もあると思います。鉄道の場合は、明治からつくってきたようなこともあって、国鉄だから許された図面のかき方というか、正直言って、登記上どうなっているかというようなものが現場に行くと出てきちゃうわけなんですよね。

 道路だって、鉄道に比べれば結構、高速道路に限って言えば昭和の時代からの話になるんでしょうからまだわかりやすいにしても、だけれども、公的機関であるがゆえに許されている登記の仕方というか、あるいは株式会社だと今度は許されない登記の仕方というのは今後出てくると思うんですね。はっきり言って、国鉄改革のときには現場はこれでかなり労力を使いました。やはりこれは明確にどんどんしていかないと、これからはもたないんじゃないかと思います。

 これも作業は膨大です。それが今どうなっているのか、この辺を明確にしないとやはり社長としては責任を持てないということを言われても仕方ないのかと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 実は、そうした点も問題であるなということは、共通の認識として政府・与党の中でもお考えをいただいたということでございます。昨年の三月二十五日に政府・与党の協議会におきまして、コスト削減、こういう観点からではございますが、事業用の残地であるとか、それから宿舎、あるいは保養所などで売却可能な資産について、早急に売却の手続を進めて債務償還に充てる、こういうことでございました。

 これに基づきまして、いろいろ調査をしてみますと、簿価の総額、こういう観点から申し上げますと、未利用地、宿舎、保養施設の売却可能な部分ということで申し上げると、四公団の合計でおおむね三百億円程度が積み上がったところでございます。このうち、できるだけ早くということで、この三月末現在で、未利用地約二万平米、それから宿舎は十八カ所、保養施設四カ所、合計いたしますと四十二億円は売却を済ませておる。一四・三%でございます。

 今後、高速道路の規格の見直し、こうしたことも行うことでございますので、これは民営化までにとにかく十分な、厳密な整理をしたいと思っております。そして、なおかつ、先生御指摘のように、本当に必要ない部分だとすれば売却するということも、債務の償還に充てるということも大事な問題だと思っておりますので、そうした意味で、不断の見直しを行いながら、民営化までにきちっとした整理をするように公団を指導してまいりたいと思っております。

伴野委員 最近、リーンコーポレーションとかリーンガバメントとか、我が国の大手企業さんが非常にやっていらっしゃる手法の一つだと思いますけれども、このリーンというのは、御案内のようにできるだけスリム化していくということでございます。一方で、社員さん、職員さんのモチベーションが下がるような状態にしても、これもまた困るわけでございまして、だから、両面持って、どこかに最適解があるんだろうと思います。

 そういった中で、一回まずできるだけ資産を把握されて、それでどこまでスリム化できるか、これはやはり身軽にしてやるということは非常に重要なことの一つだと思いますので、そういう視点からも、もし自分が任されたらそういうことを思うだろうなということで御指摘をさせていただき、御検討いただければと思います。

 では次に、たな子として大体こんなものを貸してもらえる、自分のところが持っている資産はこんなものだと把握できた。次に、やはり経営者として何を考えるかというと、自分のところにどういう人材がいて、どういう人が集まるのか、あるいは今後事業展開していきたいときには、こういう人材が足りないからこういう者を補完していきたいというふうに思うのが多分社長の考えだと思うんですね。

 では、まず、道路関係四公団、多分技術屋さんが多いんだと思いますね。この職員数が今どうであって、その職種別はどうなっているのか、また今後どういった見通しでその配分等を考えていくのか、お教えいただければ。

佐藤政府参考人 道路関係の四公団、特殊法人でございますので、一応定員ベースと現員ベースとございます。おおむね現員ベースもほぼ近いものですから定員ベースで申し上げますと、四公団の合計の定員一万一千百九十二名になっております。このうち事務職が五千二百七十九名、技術職が五千三百七十三名、その他に現業職、これは道路公団にあるわけでございますが、もともと発足の経緯からいたしまして、直営で料金収受等もやってきた、こういう経緯もございまして、料金収受あるいは交通管理、維持機械の作業、自動車運転、こうした点の現業職の方が五百四十名、内訳としてはそういうことで一万一千百九十二人、こういうことになっております。

伴野委員 国鉄の民営化と一概に今回は比べることもできない点もあろうかと思いますけれども、国鉄のときの改革のもう一本の柱は、御案内のように、四十万人の職員をどこまで下げられるかというのが一つの大きな柱でございます。これで随分国の機関や地方公共団体あるいは民間の会社の方に助けていただいた部分があるわけでございます。

 今回、とりあえずは、これは道路公団さんの労働組合さんもあるでしょうし、そことの折衝もあるんでしょうけれども、今の定員で多分そのままいくのかなという御回答かなと思うわけでございますけれども、国鉄のときにも反省として、一人でやる仕事を三人でやっていたというようなこともよく指摘されました。やはり、この点は民間会社並みに、今後配置転換、あるいはこの方はこちらに行っていただくというのと同時に、要員は少しずつ減らしていこうというのも、これもコスト削減を考える上で社長が考えることでございます。

 ぜひそういうような観点をいただきながら、しかし、やはり今の職員さん、社員さんの立場になると、私も当時現場で経験しておりました観点から考えますと、今どうなるのか不安にさいなまれていると思います。

 私も、母親から五年いてだめだったら戻ってこいなんというようなことも言われてJRに行った覚えがございます。当時鉄道は斜陽産業だということもございました。

 それに比べれば、道路の環境というのは、とりあえず人口は下がるものの発生トリップがそれほど下がるとは思えませんのでまだいいのかもしれませんが、現場でそういった雇用不安が起きないように、しかしながら、民間会社並みの生産性を上げていただかなければいけない。ぜひこのあたりも社長にゆだねてやっていただければ、そんなふうに思います。

 今の時点で、先ほど御回答がありましたか、規模的にどこの会社にどれぐらい行く、それから機構にはどういう人を充てるかというのが大体見えているのでしょうか。

佐藤政府参考人 そういう点では、二つ申し上げたいと思いますが、まず、スリム化といいますか、これは公団の時代にあっても、あるいはまた会社になったら会社になったで、一層の努力をしていただく、そういう必要があるだろうということで、先ほど申し上げました政府・与党関係の申し合わせ等の中で、できるだけ総額人件費も公団の時代とはいえ圧縮していくべきではないか。

 現在その途中でございますが、平成十六年度の新規採用、これは、こういう状況でございますので一たん見合わせを行う。そして、十七年度までに、十五年度以降ということになるわけでございますが、定員を七百人程度は削っていこう、削減していこう、こういうことで、公団の時代の目標も立ててやっておるわけでございます。

 そういう意味では、そうしたことを前提にして、なおかつ、先ほどの詳細なそれぞれのエリアについては、それこそあらかじめ会社のある程度の経営を任されそうな皆様にも検討していただきながらという問題も必要か、これは設立発起人の段階で、どういう方が社長になるか、いきなり社長でお見えになるかどうかは別にして、会社になったときの経営をどうするかという面では事前にそういう方々がいろいろ検討していただく必要があるだろう、こういうことになっておるわけでございますが、そういう方々の真剣な御検討もまたいただく必要があるだろう。

 ただ、基本的には、今申し上げましたような、公団時代でスリム化を行う、これを原点にしながら、なおかつ将来の必要性を十分検討していただく。その場合に、六つの会社と一つの機構に分かれますので、ごくわずかではございますが、機構の方に今までの専門的な知識を十分生かすという方々も若干ではあるが出てこようか。それぞれ御自分の御希望という点もとらえながら円滑な調整をしていただく、これが大事なことだと思っております。

伴野委員 現場の声をよく聞いていただきまして、それから、これまで培われた技術的な蓄積や、あるいはマンパワーというのもあるでしょうから、かといって、先ほど申し上げた生産性のお話もございます、これから十分御検討いただいて、そして新たな雇用不安等の課題が出ないようによろしくお願いいたします。

 それで、続きまして、大体いただける人材の話も、十分ではありませんが、理解したと仮定いたしましょう。そうしたときに、国鉄のときには、一つは職員の規模、要するに、きちっとした会社経営をするためのある程度の人員規模というような意味合いもあって、かつ競争させるということもあったと思います、特色を出させるということもあったと思います、それからODの関係もあったと思います、さまざまなことで最終的には分割という手法を使ったわけでございますが、今回道路公団の三分割というのはどんなメリットをお考えでやられるのか、お教えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 業務の内容的な面がございますので、私の方から申し上げさせていただきます。

 基本的には、分割してどういうメリットがあるか、何に期待するのか、こういうお話でございますが、一つは、会社間の競争性、これは、例えば道路公団の場合に全国一本という形になりますと、おのずから会社間の競争性、こういうものが出てこないわけでございますので、会社間あるいは地域間の競争性、こうしたものを高めていただいて、コスト意識の向上であるとか、あるいはまた、地域ごとに大分それぞれの抱える課題も違ってこようか。

 例えば北海道、東北で申し上げますと、雪の対策といったものは大変重要な問題でございまして、年間の三カ月ないし半年、この雪対策に特化した活動もせないかぬ。公共的性格が強いわけでございますから、雪が降るからといって、しばらく休みましょう、こういうわけにはいかないので、そうした地域ごとの提供すべきサービスといったものも、そういう意味では、地域に即したサービス、こうした点も含めて考えると、分割、そしていろいろな競争する、こういう点が一つの効果が期待できるかな。

 さらに、そうした面以外に、インターチェンジをどうやって増設していくかとか、あるいは地方公共団体ともそれこそ十分な、民営化会社になればなるほど、一層地域との密着性、こうしたものを大事にしていかないと、逆にうまくいかないという面もあろうかと思いますので、そういう意味では、インターチェンジをどうするか、増設するのかしないのかといった点であるとか、あるいは、災害での復旧などの管理水準をどういうふうに保つか、これもそれぞれがいろいろな工夫をしながら競争していただく必要があるだろう。

 さらに、情報提供なんかも、場合によっては、工夫しているところと、していないところで大分差が出てくる、こういう可能性もありますし、地元との協調体制、こういう面でいえば、サービスエリア、パーキングエリアの地元産品の活用といった点も、それなりに工夫するところ、しないところで受け取られ方が違ったものが出てこようか。

 いずれにいたしましても、そうした点をそれぞれが競争して、よりいいものにしていっていただく、このためには、分割ということが非常に期待できる競争を生み出すということになるものと考えたものであります。

 さらに、民間でありますので、そういう意味では、公共団体以外のいろいろな活動といったことも、それぞれの地域に分かれた会社、分割された会社によってはいろいろな工夫ができようか。そういう面で大いに競争しながら、よりいい方向にそれぞれが刺激し合うということを期待しておるわけであります。

伴野委員 今のお話を聞いていますと、分割バラ色のようにお聞きするわけでございますが、やはりメリット、デメリットがあろうかと思います。

 それで、一つに、きのうの猪瀬参考人も競争、競争ということをおっしゃっていました。これは少し、後ほども聞いていきたいと思いますが、民間会社として本当に競争できる仕組みが今後担保されるならば競争の原理は働くんでしょうけれども、そうなっていくのかどうか。どちらかというと、これは、ダイエット大会といいますか、やせていく方向に行かないかなという心配もあるわけでございますけれども、社長を任されちゃうと、やはり、やせることも大事ですが、太ることも考えていかなきゃいけないので、そういう指摘をさせていただきたいと思います。

 それと、今回、いろいろなプール制のお話等々も出てまいりましたが、国鉄の最初のときというのは、見かけのプール制を設けたんですね。見かけ価値というものを設けて、それで新幹線のいわゆる生産性とあわせて、簿価価値とは違うものをつくり上げました。一つはバーチャルな世界でございます。

 今回、リース料というのは、多少、利益率とか、あるいは今までの建設コストとか、それから今後のさまざまな方向性を多少調整させた上でのリース料をつけるのか、あるいは、いやいや、今の料金収入だけでやるんだよ、このあたりの見込みを見ないと、これは、社長から見ると、リース料というのは莫大な経費ですから、ここがどうなるかということになると、もうそんなもの引き受けられるかという話にもなりかねません。これはどういう見込みになっているんでしょうか。

佐藤政府参考人 設定の仕方の大前提で申し上げますと、六つの会社がそれぞれ自分の管理する高速道路、それから現在事業中あるいは調査中のものを事業を継続するかどうか、ここの検討を一方でしていただくわけでございますが、表面的には、そこでもって得られるであろう料金収入の見通し、これから必要な管理費を引いて、そして、これは互いに、保有して債務を返済する立場である機構の方も、それからそれぞれの会社の方も、どのぐらいにセットし得るか。それぞれこれまでの実績があるわけでございますから、それなりの相場感覚というものはもちろんあるわけでございますから、いずれにしましても、細部について相談して決める。

 そうなっていきますと、要は、新しく建設する分、新しくといいますか、事業中、調査中の分を継続してやります、その範囲が決まりますと、料金収入の総額が、お互いに一定の条件のもとで見積もり合って、そしてこういうことでということを落ちつけてもらうんだと思います。

 しかるが後に、その上で、必要となるであろう管理費、これをまたセットする。従来の実績に基づいて、管理水準なんかも相談しながら、それは先ほど申し上げた、道路公団でいえば三つの会社に分かれる、そうすると、それぞれの過去の実績、これからの見通し、これは三つに分けることによって、そういう意味ではいい競争というものも出てこようか、一本であるよりは、いろいろな工夫がお互いにわかり合える、こういうこともあろうかと思います。

 そういう意味で、管理費をセットしますと、料金収入との差額としての貸付料が出てくる。そこで、これを、言ってみれば、四十五年間、あるいは何年で返せるかというのはまた実際の計算がきちっとすれば、四十五年以内でございますから、セットして、その管理費を少しでも節減するような努力といったものもまたそれぞれの会社でやっていただく。しかも、一方で建設費の方もできるだけ削減する努力をしていただく、そんなことを前提にしてのリース料を決めていただく、こういうことになろうかと思います。

伴野委員 先ほどもたな子と大家のお話をしましたけれども、お部屋を借りて、つくりつけの家具といいますかがある。その価格の方向性は、お借りするときにお支払いする価格は大体方向性は見えているけれども、今のお話を聞くと、ぴったりとした値段がまだ出ていないのかなという感じもいたします。やはり、つくりつけの家具といいますか、借りている家具が月々変わってしまうようじゃ困っちゃいますし、それだったらちょっと勘弁してよという話になりますので、これもできるだけ早く明確にされたいと思います。

 では、次に社長として考えることは、ランニングコストがどうなっていくのか。試算は確かに出されました。正直言って、余りODごとに出していらっしゃるとはお見受けできませんし、ざくっとしかできないんだよと言われてしまうのかもしれませんが、しかし、社長はそうは言えないと思うんですね。これはやはり、ODごとにきっちりと路線ごとに出していかないと、怖くて経営できません。

 今の段階で、債務返済にお使いになったキロ程当たりの管理費、これはどうなっているんでしょうか。

佐藤政府参考人 昨年の十二月二十二日に、政府・与党申し合わせをいただいて、道路関係四公団民営化の基本的枠組み、これを出していただいて、この法律をお願いしている、こういう経緯でございますが、六つの会社合計、こういう御議論で、十四年度予算に比べまして、十七年度には管理費としては三〇%カット、こういうことで考えていくべきということでございました。

 そこで、それをベースに考えさせていただいているわけでございますが、例えば平成十四年度予算で四公団それぞれ管理費はベースとしてどのぐらいかということを申し上げたいと思いますが、キロ当たりで申し上げますと、日本道路公団、首都、阪神、本四合計で、管理費総額は、十四年度、八千五百億円でございます。

 大枠としてはこれを〇・七掛け、こういうことであるわけでございますが、この場合のキロ当たりを申し上げますと、日本道路公団の高速自動車国道は一キロ当たり〇・八億円、それから一般有料道路は〇・九億円、首都高速は構造物が多いので四・四億円、阪神高速は三・五億円、それから本州四国連絡橋の方は一・二億円、合計延長に対して、大体、おおむね、全体平均では一・〇億円、一億円、こういうことでございますが、計算の前提といたしましては、この総額の一億円・パー・キロ当たりに対して三割カット、こういうことで考えておるところでございます。

伴野委員 今の数字をお聞きしますと、鉄道ほどのランニングコストではないのかなという気がいたしますが、以前、神話のように、コンクリート構造物は永久であるとか、PCコンクリートの緊張力は緩まないんだというような神話に似たものがありました。しかし、これは、技術がわかってくるに従い、そうではないということがわかってまいりました。

 ですから、会社経営の中に、構造物が永久だというような見方をしてランニングをされていくと大変なことになるということを御指摘して、今、これは少し経費ということで積んでいらっしゃるようでございますが、これも本当は会社の自主性で、ここが今度は、上下分離と裏腹になるんですが、経営者の立場からすると、やはり資産を確定した上では、減価償却ができて内部留保ができやすい形の方がいいのではないかという判断も出てくる。

 ちょっとそこを御指摘して、次の質問に行きたいと思うわけでございます。

 そのあたり、ランニングコストも、ちょっと承諾できませんが、大体その数字でやられた。次に考えるのは、では、次の設備投資はどうなるかということを考えるわけですね。今回の新線計画です。ここは随分突っ込まれると思いますし、突っ込んでいかれるんだと思うんですけれども、最終的には透明性のことかな、公開性のことかなと思うんですね。

 しかし、本当に社長が拒否権を発動できるのかということになると、甚だ、任されたときに本当に拒否させてくれるのというところは、ちょっとつろうございます。一つのグループの中で最終的に検討されるということでございますけれども、この協議会は、あくまでもやはり大臣が示されるところで最終的に結論を出す。それは、公開にするといいつつも、本当に拒否権をいただけるのか。生産を預かる社長としては、自分の工場をほかの人に判断をゆだねられるということは、これは甚だ納得できなくなるんじゃないかなと思うんですが、このあたりはいかがですか。

石原国務大臣 この点は大変議論のあったところでございますので、私から御説明を申し上げたいと思うんですけれども、従来の高速道路の建設というのは、道路公団は施行命令を出されるとそれを自動的につくる、基本計画の指示といった国からの一方的な命令だったわけですね。ここにやはり一つ大きな問題があった。

 片や、道路公団でございますので、さっき管理費を三割カットすると政府参考人が答弁させていただいたように、コストを下げるメリットというか、動機づけも何にもありませんし、もう決まっているわけですから、最高の技術で最高のものをつくる、そういうことで、本来であるならば、もう少し節約すること、あるいは地域の実情に即したものというものができたはずなのに、このシステム自体がそれを許さなかった。

 ですから、ここはやはり非常に重要な点でありますので、会社、すなわち、きょうは伴野委員は社長になったらというポイントで御議論をされているわけですけれども、社長になったら、自分の会社が倒れるようなことを受けたらいけないし、また、強制的に押しつけられる仕組みをつくっちゃいけないというところが今回の改革の原点にあるということをまず御理解いただきたいと思います。

 そして、今は、要するに仕掛かり品のところで社会資本整備審議会の意見を聞く、そこが所管が国交大臣であるから、そこの言うことが大臣の意向とほぼ同じ、つくれというようなことになるんじゃないかという御懸念から御質問が来ているんだと思うんです。

 順を追って御説明させていただきますと、当該区間を所管する会社が、当該区間の建設費、管理費、会社の料金収入をもとに、すなわち、経営者としてそこをつくって管理することによって、事業性としてその会社の事業に当たるか当たらないかというまず一義的な判断をされることになると思います。それは、民営化後の前後、この法案をお通しいただければ、限られた期間の中でそれを決めることになると思います。

 この結果に基づいて、国と会社が協議をするわけです。その結果、協議が、協議ということは両者の合意なくしては協議は相成りませんので、調わない場合は、国は、三つ会社があるわけですから、仮に東北の方の工事であったとしても、西の方の会社に、おたくでやってみませんか、こういう話をすることができます。これがいわゆる複数協議制ということでございます。

 ですから、仮に、西の会社が国との協議の中で、そこを所管する会社が示されたよりも安い条件を出してくることも十分考えられる。では、それならばやりましょうと言えば、望ましいか望ましくないかは別として、道路がある場所ではないところの会社がつくるということも私はあるんだと思うんです。

 しかし、委員の御懸念は、そうはいってもどこの会社も手を挙げない。もともと同じ公団ですから、あそこが断ったものを我々が出ていってビジネスするのはどうかな、それもあるかと思うんですけれども、そういうとき初めて、会社が事業性について、こうこうこうであるから断るみたいな理由があると思うんですね。それを社会資本整備審議会で意見を聞くわけでございます。

 ここも議論がありまして、もう一つ違う審議会をつくったらどうだという意見もあったんですが、そうしますと、これは行革の観点から、また審議会をつくる。もう既に、この社会資本整備審議会というものは、かなり中立的な、収用みたいなことまでそこでお決めいただいております。ですから、そこの透明性を確保することによって、ここの委員の御懸念というものは払拭できるんだと思います。

 正当な理由があると社会資本整備審議会が認めた場合は、国土交通大臣はどの会社にも、当該区間をやる会社に対して、やりなさいということは言えない。それでも、道路の重要性みたいなものが、もうすべて評価してありますので、それでもやはりどうしても、どこも手を挙げないけれどもということになれば、国がつくるということも検討課題には挙がってくる。

 こういう枠組みの中で、実質的な拒否権を与える、どういうふうに与えるのかということで、かなり苦労をして、ここの部分は会社の側に実質的な拒否権を与えるということにしたということでございます。

伴野委員 この新線の建設のお話だけではなく、先ほどから社長になったらということでずっとお聞きしてきたところ、本来ならば社長をお引き受けする前に明確にしておいていただきたいことが幾つかあったわけでございますが、今回の仕組みですと、余り明確にならず、まあ、頼むよというような感じ、あるいは信頼関係でというような感じで、あるいは、中には名誉だということで手を挙げる方もいるかもしれませんけれども、残念ながら、全部見せていただいて、ああ、これならやってみようかというのと、ちょっと距離があるのかなと。

 今のお話も、技術的に、どうしても協議が合わなかった場合に、この会社の社長は、司法に訴えることは仕組み上できますね。いかがですか、それは。

佐藤政府参考人 話し合いが、協議が成立する、しない、こういう議論でいえば、国と会社の間、あるいは機構と会社の間、それから機構と国という関係もあろうかと思います。

 三つの関係でございますが、それぞれが公的な性格の、高速道路を建設、管理する、的確に利用者にサービスする、こういう面で建設も管理もそれぞれが責任を持って役割分担しながらやっていこう、こういう仕組みを想定しているわけでございますので、一方が他方を司法的に訴える、こういうことを想定しているものではございません。

 実質的に、例えば機構と会社の間で法律上の読み取り方なんかの紛争が起きれば、場合によっては、紛争解決の一方策として、会社なり、機構の方からかもしれませんが、訴訟を起こすということがないわけではないと思います。

 しかしながら、基本は、そういうことをせずに、しっかりした役割分担で高速道路の整備管理を行っていくということを想定しているものではあります。

伴野委員 交渉事というのは、すべからくうまくいけば一番いいんですが、これは国と国の間の話でもありますが、経営者としては、あらゆる手段がゆだねられているということでなければ、やはり独立性なり自主性が担保されないわけで、仕組みとしてはあるんだと思います。それは確保されるべきだと思います。

 では、続きまして、またこれは根幹にもかかわることですので、お聞きしたいのですが、やはり普通の民間会社の社長であれば、自分のところの商品価格というのは当たり前のように決められるんですね。今回の仕組みにおいて、利潤が乗せられないということ、そのことをいろいろ考えていきますと、多分これは、最近はやりの価値工学に基づいている検討の仕方をやられているんだろうと思うんですね。全体のパイがもうこんなのだろう、ある一定の量のパイがある。そこから原材料コストを引いていって、どこまでぐっと圧縮できるか。それで、残ったのが一つの利益という考え方。

 最近よく、大量生産少品種の時代から多品種少量生産の時代になったということで、この考え方というのは、経営コンセプトとしては確かに考えられる。しかし、一般企業の考え方としては、やはり原価コストがあって、それを積み上げていって、ここまでの利潤をちょっと見かけてと。

 今回、その手法はとらないということで、このお考え方をされているわけでございますけれども、もし私が社長をさせていただくんだったら、今のような料金設定の仕方ではなくて、ODで見直すことをやる。例えば、東京―静岡間で勝負してやろう、ここの料金をどう設定するか。例えば、あるバス会社に完全委託をして、おたくのところはこれで走ってもらえばいいよ、だけれどもこれだけの利益を確保してくれ、あとは自由にやってくれというようなことをやってみたりとか。

 普通、会社の社長だったらいろいろ料金設定を、これは、航空業界を見ていただければそうです。ある場合は思い切ってディスカウントすることもやると思います。全然通らないところはこれぐらいでやってくれ。あるいは繁忙期、これはよくヨーロッパの鉄道でもやりますが、日にちごとに料金を変えて、どこで行くとどれぐらいで行けるかというのが電光掲示板で出てくるようなこともやることはあります。

 これはやはり、ODの結果を見てやれるようなシステム、それをやっていけば、そういう情報をもとにして、社長はいろいろ自分で料金設定をして、そしてリスクもしょって経営ができるということになるんですね。それが弾力性だと思うんですよ。どうも、今後のものを見ていると、少なくともシミュレーションを見る限りは、その権限も社長に与えられそうにないのかなと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 そういう意味では、先生、四十五年間以内という長い時間の中で、いろいろな経験を積みながら、今先生のおっしゃるような料金の弾力的なあり方についても、その経験の中でいろいろ工夫しながらやっていくべきことかとは思っております。

 基本的には、多様で弾力的な料金設定、こうしたことをお勧めしてまいりたいし、公団の段階においてもいろいろな実験をしながら、その影響はどうなるか。できるだけ割り引いた上で、なおかつ増収になるような、そういう割引策があれば一番よろしいかな、利用者にとっても、それから有料道路事業者にとっても。そういう意味で、マイレージ割引とか夜間割引とか通勤割引とか、いろいろな実験をこれまでやってきておりますし、またこれからもいろいろ検討する、こういうことにしてまいりたいと思っております。

 今、先生のおっしゃるような、どのぐらいまで、例えば逆に申し上げますと繁忙期割り増しですね、実行可能かという点については、それぞれの会社の経営状態を見ながら、ある程度時間を要しながらいろいろ検討していくんだろうと思います。

 世の中が、ロードプライシングというふうな考え方も一方であるわけではございます。ただ、にわかに割り増しの方は、これはできるだけ控えていただいて、割引でできるだけ増収とか、そうした方向で御努力いただくのが肝要なことかと思っております。

伴野委員 どうも、その肝心な料金設定も、自主性がちょっと心もとないのかなという感じでお聞きしておりましたけれども、要は、先ほど特殊会社なんだよというお話から始めさせていただいたところ、ここになってくるんですが、一般的な株式会社、株主に責任を持つ、責任を与えられた社長とすれば、先ほどずっとチェックをさせていただいたところが明確になり、そこに裁量権を与えないと、なかなか本当の民間会社にはなり得ないと思うんですね。あるいは、もしそういう仕組みから始まったとすれば、その裁量権を得るためにさまざまな努力をしていくのが経営者であり、そうじゃないと責任を持てないんですね。

 JRの例を出させていただければ、新幹線を買い取ったということで、内部留保できる仕組みを得ました。今回の道路、先ほど申し上げたように、上下分離というところから始まっていますから、民営化ではない、民有化でもないとおっしゃったので、そういうことからすれば、そもそも資産を買い取って内部留保する仕組みは難しいんだよ、そうではなくて、関連事業的なところで努力していく。

 しかし、皆さん方も、一家のあるじとして考えていただくには、ストックやフローがあっても、だれだって、財布の中身が少しでも多いように、私はいつも空っけつですけれども、そこが多くないと、社長としてやはり裁量をぱっぱっと打てないんですね。そこができない仕組みであると、社長はつらいなと思い出すんですよ。

 ですから、うちの三日月議員が指摘したように、民営化を目指すならば、そのあたりも配慮をしないで本当に民営化なのかというようなところを指摘したと思いますが、私も、社長という立場でこれをずっと見ると、まあ、そんなオファーは多分ないと思いますが、きょうずっと議論をさせていただいたところが非常に心もとないというようなことになってくるわけでございます。

 最後に、ちょっとお聞きしたいんですが、そういう会社がないとは言いませんが、やはり自分が会社の社長を引き受けたら、未来永劫とまでは言いませんが、それが続いていってほしい。自分が十年間社長をやった、その次の五年間は後輩がやってくれる、その十年間は必ずこの後輩がやってくれるというのをずっとやっていって、自分があの世に行っても、会社は頑張ってやってくれているというのを、まあ、天国から見れるかどうかはわかりませんが、それが社長の思いだと思うんですね。清算事業的な仕事をやっていない限りはそうだと思うんですよ。

 今回のこの仕組み、四十五年後、ローン返済が終わったら、道路はたな子から大家に返す、国または地方公共団体に返す。そうすると、会社はどうなるんですか。サービスステーションとホテルやお店で頑張りなさいということなのかなという気もしますが、これを見ている限り、四十五年後には解散になる会社なのかなという気もしません。これは、機構を見る限りは、機構は四十五年後に解散をいたします。会社は一体どうなるんでしょうか。

佐藤政府参考人 四十五年後、高速道路の貸付期間が終了して、機構は解散になる。その場合に会社の方はどうするんだ、こういうお話でございました。

 そういう意味では、会社法の適用はその段階でなくなる、こういうことかと思います。つまり、こうした高速道路の料金の徴収、それから整備管理をするという義務あるいはまた権利がなくなる、こういうことだと思います。そういう意味では、普通の会社になるんだと。

 では、どういうふうに運営し得るのか、こういう議論でありますが、もともとサービスエリア、パーキングエリア等の管理事業あるいはまた情報通信、それぞれの、先ほど申し上げましたように、会社が情報の提供で、例えば周辺の自治体あるいは旅館と手を組んで広域観光事業などもやっているかもしれません。

 そうしたことは、そのまま関連事業として継続される、こういうことでありますので、その時点で十分経営は成り立ち得るものというふうに考えておりますし、さらに道路管理のノウハウというものがまた貴重なものでございますので、その辺を新しい事業に活用していくといったようなことも考えられようかと思っております。

伴野委員 それをお聞きすると、四十五年後にこの案も高速道路無料化案なのかなという気もしないでもないわけでございます。

 では、最後に、いろいろ検討させていただきました。きょうは一時間、大臣と、そんなオファーがありませんが、社長になったつもりでいろいろ検討させていただきました。今のお話を聞いていきますと、こういうことがまだきっちりと数字で裏づけされないうちに社長が決められてしまうのかな、そういうときに社長さんは本当に責任ある引き受け方はできるのかなという点を感じつつも、では、今の時点で、大臣、大臣のお立場ではこれは道路管理者と社長が一緒になっちゃいますからあり得ませんが、大臣をおやめになったという仮定で、どの会社を大臣だったら選ばれますか。いかがですか。

石原国務大臣 どの会社というよりも、会社はやはり独自に、さまざまな創意工夫、そして民間経営のノウハウを使って、さまざまな事業を行うことができると思います。JRよりも規制は緩めてありますし、届け出だけでいろいろなことができるようになっています。

 やはり、一つ魅力的なことは、SA、PAの、これももう既にお話をさせていただいたんですけれども、年間の売り上げが三千五百億ある。いろいろなサービスエリア、パーキングエリアを利用した、私が感じる印象では、これだけのことでも三千五百億も全国であるのかなというのが率直な印象でございます。

 今後は、さらに道路資産を運用して、光ファイバーが入っておりますから情報通信分野にも進出することはできますし、あるいは、昨日も総理がおっしゃっておりましたけれども、おい、今度はマッサージするようなものをパーキングエリアに置くこともできるのかと言うから、それはもう、やろうと思えば何でもできますと言ったら、おお、それはいいじゃないかみたいなことを総理がお話しされておりましたが、細かいことも含めて、いろいろなビジネスチャンスはあるんだと思います。

 先ほど委員は、JRを例に出されて、資産を持つ会社じゃなければ経営者が十分なマネジメントができないんじゃないかというような御指摘がございましたけれども、やはり私たちは少し土地とか物、固定物に割と日本人は軸足を置きやすいんですけれども、ある話を聞きましたら、あるとき、日本人の方がエンパイアステートビルディングを買いに行った。エンパイアステートビルディングを日本人の方が所有したことがあった。しかし、その経営権は全くついておりませんで、不動産だけで、全く利回りがペイしなかったという話が、笑い話のように、バブルのころの話としてあるわけですね。

 独占的な使用権、経営権を持つ会社であるならば、非常に魅力的で、私はやりがいのある会社じゃないか。逆に、資産を全部しょい込んじゃって、民間会社であるならば債務は営業キャッシュフローの十倍、いいところはゼロなんというところもあるわけですね。そういうことを考え合わせますと、資産と債務を全部しょっちゃいますと、キャッシュフローの十倍程度にするには新たに十兆円程度の税金を投入して債務をその会社から切り離してやらなきゃいけないという問題が出て、新たに十兆円の負担を国民の方に求めるようなことを、会社の社長として、私はなかなか、経営的にはいいかもしれませんけれども、お願いできない。

 そういうことを考え合わせると、今の実質的な運営権を持つ会社というものにも、魅力的で、やりがいのある社長さんがおいでいただけるのではないかと考えております。

伴野委員 一時間にわたって、社長になったという視点でずっと質問をさせていただきました。

 繰り返させていただきますが、私は、原則論として、国の根幹の必要な社会資本は国が責任を持ってつくるべきだと思っております。そのときのポイントは、あくまでも財源と透明性が確保される形での必要なものと選定、これであると思います。いずれの形をとられるにしても、それを確保していただけるようよろしくお願いして、終わりにしたいと思います。

 以上です。

赤羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎と申します。

 道路の話題になると、自民党の先生方、血沸き肉躍るということなんですが、我が党のこの寂しい限り、道路を何と心得るかという思いを少しいたしながら、精いっぱい質問をさせていただきたいと思います。

 私からは、昨日、大変参考になる参考人の方々の御意見やら、同僚議員が質問させていただきました観点を踏まえながら、この道路公団民営化関連の法案について、実は、せんだっての委員会で、自民党の先生方からの、多分あれはやじ将軍の中野先生じゃなかったと思うんですが、大変いいやじがありました。法案の審議をしているんだから、おまえら法案の質問しろよと。そのとおりだと思いますので、私はぜひ、今回の政府から提案をいただいております法案の中身について、具体的な条文について少し議論を深めたいと思っています。

 その際の観点は、実は我が党、欠席をして、そういう意味では大変御無礼をつかまつったわけなんですが、あのときに画面で高木先生のやりとりを聞いていまして、大変示唆に富んだお話がありました。その辺も少し参考にさせていただきながら、キーワードは、本当に利潤を求めないで民間会社と言えるんだろうかという前提に私は立っています。その前提に立っている上で、いろいろな観点から議論を深めたいと思います。

 まず、道路は国民の共有財産である、これは再三政府としても答弁をなさっていたと思います。高速自動車国道は元来国民のためのものであって、国がその建設、維持をしていく。ただし、例外的に道路整備の特別措置法があって、受益と負担の関係、すなわち、四十年前は国力が弱かったということでこの有料事業を取り入れたという理解であります。受益と負担の関係にしたということであります。

 現在、国は大変強くなりましたが、御案内の、債務もふえましたし、やっていかなきゃいけない総延長の事業もあります。道路は必要であります。その意味で、債務を返済しながら新規の整備をいかにしていくか、これをより具体的にしていくために今回の法案があるものだと私は理解をいたしております。

 その意味で、改めて議論の前提として確認をいたしたいんですが、供用される、これは高速自動車国道も含めまして、道路は元来無料であるかどうか、これについて冒頭大臣に確認をしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま古本委員の御意見のとおり、道路は、高速道路も含めて、本来、無料自由通行が原則であると考えております。

古本委員 ありがとうございます。

 そうしますと、民営化法案のねらいは、債務の返済をきちっとやっていきながら、二千キロ、直轄除けば千三百キロを整備していく、こういうことだと思うんですが、答弁の中にも幾つかありました、私、印象に残っているのは荒療治、荒療治をしていくんだ、これは民営化でないとできないんだ、道路公団だとできないんだという理解であります。したがって、その期待する荒療治が本当に荒療治になるんだろうかという意味を込めまして、具体的な今回の法案の中身に入ってまいりたいと思います。

 まず、道路整備特別措置法の一部改正ということで、料金についてであります。

 貸付料は、建設債務の返済として貸付料を支払っていかなきゃいけませんし、その返済を四十五年以内にできるように、ある意味で逆算して料金を設定していく、こういう理解をしております、法律の趣旨として。

 そこで質問なんですが、今大臣からも、本来は無料であるべきだ、ただし、受益と負担の関係で有料でやってきた、ここは重々承知の上で、VA、VE次第、要するにコストの改革、VA、VE次第によっては、バリューエンジニアリングとか、今、大変やっておられる手法だと思いますが、料金を下げることが、これは四十五年間幾らという設定する料金を工夫によっては下げることができるのかできないのか、まず、その可能性について伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 そういう意味では、結論から申し上げましたら、建設費及び管理費について、大変な努力をいただいて大幅に削減できるということがありましたら、それは結果として利用者にお戻しする、つまり料金の方を下げる、これはあり得る議論かと思っております。

古本委員 ありがとうございます。ただいま道路局長から、お戻しをするという表現も含めまして、私は、大変安心できる、そうだなと思う御説明をいただきました。

 続いて、可能性は今そういうことだと思うんですが、べき論であります。

 元来道路は無料である、法律にもそう書いてあります。大臣からもただいまそういう答弁がありました。ならば、民営化した暁には、今道路局長がおっしゃったようなさまざまな努力をやっていって料金は下げるべきである、あるいは下げざるべきである、これはいかがでしょう。大臣にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 べき論でいうと、ちょっと想定をさせていただきたいと思うんですけれども、四十兆円に上る債務を四十五年以内に返すということが最優先です。料金収入から管理費を除いたものはリース料という形で機構に払い、その全額を借金の返済に充てる、これが基本であります。

 ただ、局長が答弁させてもらいましたように、機構と締結する協定のもとに、料金というものは新会社が自主的に決定するものであります。

 こういう前提条件を置くと、委員が御指摘のとおり、現在想定しているコストの一層の縮減ということができた場合は、局長から答弁させましたように、料金を下げるということもできますし、べきとは申しません、できますし、さらにその分余裕があるわけですから、有利子債務の償還期間を繰り上げて、要するに早く返して無料にするということの方が利用者にとってベターなのかという選択も、ある意味では、返すという意味では選択肢として私はあるんだと思うんです。

 その時点でどっちの方が、そういうことによってもう一段下げるということで国民に還元するのか、さらに償還期間を二年でも三年でも短くするのかということは、新会社と機構との間において、要するに、残存期間がどのぐらいあとあるのかとか、そういう、これは仮定論なんですけれども、そこで議論する重要なポイントだと思っています。

古本委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった観点、よくわかります。料金を下げれば収入が下がりますから、そうなると借金の返済が延びちゃう。一方で、借金を早く返そうと思うと、料金を高目に目いっぱいで設定しておかないと返せない。これは、相反することを同時に実現していくのが実は民間じゃないかと私は思います。

 その上で、法案の具体的な条文にもう少し入ってまいりたいと思うんですが、その前に、実は、今回の民営化会社の事業の前提に立つのは、私は料金収入だと思っています。昨日来のいろいろな参考人の意見を聞いていましても、道路本体での売り上げ収益と、サービスエリア、パーキングエリア、それに附帯する、きのうの参考人のいろいろな声を聞いていますと、ショッピングモールをつくればいいんだとか、そういう話もありましたが、道路の本流はやはり道路の料金収入じゃないかと私は思っています。

 その上で、少しせんだっての政府見解をひもときながら確認したいんですが、こう答弁されました。これはたしか道路局長か大臣かどちらかだったと思うんですが、民間企業の利潤確保の手段とすべきではないと、これは料金についてです。もう一度言います。民間企業の利潤確保の手段とすべきではないと。ただ、一方で、同時に、民間企業のノウハウ、多様で弾力的な料金も設定していきたい、これは可能性を模索していきたいと。具体的には、マイレージとか夜間の割引だとかおっしゃっていたと思います。

 実は、弾力的な料金を設定していくということは、ほかならない、お客様であるドライバーというか自動車ユーザーのための、ある意味での営業活動だと私は思うんですね。多様な料金設定を用意して、それをお客様であるユーザーに提供していく、これはまさしく営業活動である。もしそうであれば、この営業といいますか、経営としての大前提となる収益を上げていくという、大変、情熱といいますか、ミッション、使命といいますか、そういうものがないと、本当にこの事業が回っていくんだろうか。そういう意味で、料金は私はポイントになると思っています。

 実は、冒頭、道路は国民の共有財産だということも確認もしましたし、本来無料であるべきだということも確認しました。昨日の議論で大変個人的には残念に聞いていたのが、野方図に道路をつくっていると言う参考人もいらっしゃったんですが、私は野方図につくっていると思っていません。これは、必要な人がいて、大変な御努力で地元の負担もしながら用地の交渉をして、土地改良の親分に頭を下げて農地を改良して、必死な思いでつくり上げるのが道路であります。したがって、野方図で道路をつくっているなんて、とても思わないわけですね。(発言する者あり)いやいや。まあこの後がありますので、聞いてください。

 その上で、実は、高速自動車交通というのは、これは受益しているのは、実は国民的なものなんですね。北海道のジャガイモ、きょうの築地市場には届いている。これは、ジャガイモ買ったおじいちゃん、おばあちゃん、車は乗らなくても受益しているわけです。そうなんですね。

 せんだっての中野先生の本会議でのやじも大変私は参考にしているんですが、おまえたちだってテープカットに行っているだろうと。これは本当に行っているんですね、私たちも行っています。これはなぜ行っているかというと、安くていい道路をできるだけ本当に津々浦々整備した方がやはりいいと思うんですね。だからこそ、そんな思いも込めて、はさみを入れてきているわけです。

 その上で、実は、この議論のポイントは、道路をつくったときのその料金の負担のあり方じゃないのかなという問題意識を持っています。この負担のあり方というのは、その中に程度問題もあります。首都高、今七百円ですか、これが六百円がいいのか五百円がいいのか、程度問題の人と、本来ただにすべきだと、これは分かれるところだと思っています。

 その意味で通行料金で取っていくというのが現状であって、道路の特定財源というのもあります、実は目的外に大変使われているんですが、あるいは一般財源に手をつけようかと、今、与党からも御指摘いただいています。無料にしようと思うと一般財源に手をつけなきゃいけないかもしれない。そんなことで、要はこの負担のあり方という意味においても、大変、この料金収入というのは私はこの議論のポイントになると思っています。

 その上で、今回の法案で実は料金収入について書いている条文を、ちょっとパネルを用意してみたんですが、お手元の資料に、お配りしている資料の一になります。資料配付するんだったらパネル要らなかったなと思っているんですが、つくってしまいましたので、ちょっとごらんをいただきたいんですが、では、ちょっと大臣向けに。実は結構なコストがかかって、自前の、事務所で手配して、まあそれはいいとしまして、やっています。

 ポイントは、実は、今回の政府提案の法案によりますと、機構と会社の関係でいきますと、会社は機構に対してその資産を帰属して、その債務の引き受けをしていく。会社は、資産の貸し付けを受けて、その分をリース料ということでバックする。この料金を設定していくに当たって、資金の借り入れは市中から手当てをして、委細四十五年間料金を取っていくという前提でこの計画を練るわけですね。機構法の十三条の七号、会社が徴収する料金の額と徴収期間を機構は会社と協定する、これはあらかじめ協定するわけです。実は、千三百キロ、直轄除きの、平成三十二年度分を含めて、各社と包括協定するわけですね。私は、後ほど申し上げますが、これは大変な協定になるなと思います。

 加えて、会社法の第六条、おおむね五年ごとに、事業の実施状況を勘案し、協定について検討を加えるとあります。要するに、建築資材、建築材料が上がった下がった、あるいは、労働市場がまたかつてのバブルのようになって、人工を集めるのも大変だった、それで単価がはね上がる、では、申しわけないですけれども料金設定を変えさせてくれ。いろいろなやりとりをするのが五年に一回だということの理解であります、その理解で申し上げると。

 そういたしますと、次の資料の二をごらんいただきたいんですが、実は、経営努力が機能する協定、弾力性のある協定になり得るんだろうかという問題意識で少し質問をさせていただきたいと思います。

 ただいま申し上げたとおり、四十五年間料金ありきという感覚ではなかなか、冒頭確認した、可能性としては料金を下げていくことはできるだろう、建築コストの削減やさまざまな努力でやっていくことはできるだろう、収益が仮に上がったということでできるだろうと。そのときは国民にお戻しをしなきゃいけないという表現もいただきました。ところが、四十五年間取っていくんだという前提ありきでは、そういった民間のうまみ、要するに、荒療治しないとできないとおっしゃった荒療治がなかなか機能しないんじゃないか、そう思うんです。

 その上で、前提になることを一つ質問したいと思います。

 道路は国家なり、これはもう国がナショナルミニマムとして税を投入してやっていくんだ、あるいは受益と負担なのか、これはどちらでしょうか。今度のこの会社が整備する事業についてです。

佐藤政府参考人 先生の御質問は、道路は国家なり、言ってみれば、国の戦略、戦術あるいはまたインフラの基本、こういう意味でというお話であれば無料で自由に通行できる、こういうことなのか。一方で、受益と負担、こういう関係でいえば、利用者が料金を支払うような形が可能であれば受益と負担ということで、言ってみれば有償道路、どちらか、こういう御質問だと理解してよろしいでしょうか。(古本委員「はい」と呼ぶ)

 その問題で申し上げますと、これは御同僚の古賀議員がお詳しいかもしれませんが、一九五六年にアメリカがインターステートハイウエーの計画を六万六千キロつくりましたときに、これはアイゼンハワーの時代でございました、アメリカではさんざん御議論をなさったようであります。つまり、高速道路であるから、インターチェンジごとに、それこそ受益と負担、こういう関係で、料金でやっていくか、それとも税金で広く集めてやっていくか、さんざん御議論をなさったと聞いています。

 そこでアメリカが選択いたしましたのは、それこそガソリン税を増税して、そしてインターステートハイウエーをつくっていこうと。当時の計画は六万六千キロ、こういうことでございました。現在は既に九万キロ程度あります。六万六千キロの計画を二十年間でつくった。

 同時に、一九五六年、ちょうど昭和三十一年でございますから、道路整備の特別措置法としてこれまで続きました法律が日本の場合にはでき上がりまして、大変な費用を要するがゆえに将来の国民にも御負担いただこうと。これは世代間の負担、こういう面もあると思われます。それから、それぞれ、利用者の受益と負担、こういう関係もあろうか。その辺を、日本の場合には同じ年に有料道路制度を選択した。

 これは選択せざるを得なかったという事情もありまして、昭和三十一年の東名、名神の積み上げられた建設費の見込みが四千六百億円であります。日本の国家予算が一兆円ちょっとでありました。日本の道路予算は三百四十億円でありました、国費が。そういう状況の中で、東名、名神、仮に有料道路制度を採用していなければ、恐らく、日本の国の道路の国費を全部東名、名神につぎ込んでも、その後三十年たってもできていなかった、こういう状態になったであろうと思われます。

 そういう意味では、日本の場合には、何度も申し上げておるんですが、有料道路制度と、それから、それで足りないといいますか、逆に申し上げれば、特定財源としてガソリン税、現在でも本則税率の二倍もいただいているわけですけれども、いただきながら国と地方で頑張って、それでもとても足りない、こういう状態の中で、有料道路制度の活用ということもまた必要なことというふうに考えておりまして、今回は、そういう意味では、高速自動車国道を初めとする高速道路につきましては有料道路制度を必要な範囲で十分に活用させていただくということも大事な今回の民営化法案の目的の一つとして考えている、こういうことであります。

古本委員 ありがとうございます。

 もう一つの観点が、今伺ったことを踏まえまして、では、今回、四十五年間徴収をしていくということでこのスキームを組んでおられますが、一年でも早く無料開放すべきかどうかということになりますと、前段御説明いただいたとおり、諸般の事情が許せば、これは一年でも早く無料開放していってもいいんじゃないか、こういう理解でいいでしょうか。

佐藤政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、そういう意味では、それこそ受益と負担、あるいはまた無料自由通行、これは恐らく、世代世代でそれぞれのそれなりの役割といいますか、意思決定があり得る議論として、今の先生のお尋ねの部分は、そういう状況が来たときに、少しでも平均の料金水準を安くするのか、それとも、一日でも早く償還して無料自由通行という方向に回すのか、また大いなる議論をしながらお決めいただくべき問題かなと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 そうしますと、議論をちょっと整理したいと思いますが、今回民営化する目的は、道路公団のままでは残りの二千キロ、直轄除きの千三百を整備していけない、借金を返しながら整備していけない、こういうスキームで組まれたと。ただ、一方で、道路は本来無料であるべきだ、これは、高速自動車国道、有料の部分も含めて無料であるべきだ。

 今回つくる会社は、道路の上物、通行料金の本体部分で収益、利潤を得るというよりも、附帯するサービスエリア事業や、いろいろな開発事業というふうにきのう猪瀬参考人はおっしゃっていましたが、そういった附帯部分で、ある意味でもうけていく。

 そういった部分でもし利益が上がって、あるいはゆとりができたならば、償還を早めるのか、あるいは料金を直接下げる、ユーザーである利用者に、ドライバーに対して直接ペイバックするか、これは選択肢としても、何らかの形で国民の皆さんにお戻しをしていってもいいんじゃないか、そういうことができれば。ただ、どっちの選択を、償還期間を短くするのか、料金を下げるという直接の部分に反映させていくかというのは、これは選択の余地がある、こういう理解なわけなんです。

 本当に荒療治という、ちなみに私は荒療治という言葉を気に入っているんですけれども、荒療治と言われるのであれば、この請負契約、お手元の資料の二にそう書かせていただきました、投資契約と書きましたが、まさに七兆五千億にも及ぶ物すごい工事を、これは二兆五千億原価を下げると言われている部分を除いて七兆五千億と申し上げていますが、千三百キロ、それを東と中央と西の各社と結ぶというこの壮大な契約を包括的に最初に結んでしまっていては、本当に、私の理解で言うところのコストというのは決して料金だけではありません、お手元資料の一番下に書きましたが、建設費なんかもあると思います。あるいは、ここには書いていない販管費、販売管理費といいますか、周辺の労務費とか、いろいろなものも入ってくるでしょう。

 こういったもののコストの下方硬直性、下に向いたまま下方に行かない、上に上がり続けるとは言いませんが、下に軸がぶれていくという、これは多分下方硬直性という言い方でいいと思いますが、今回、せっかく大臣や局長が御答弁いただいている中身を本当に実現していこうという思いで、かつ荒療治だということで私も理解をしたいわけで、もしそうでございましたら、何としても、この下方の硬直化ということがある現在のスキームにあってはなかなか実現できないんじゃないかというふうに思っているんです。

 私が下方硬直だと言う最大の理由は、それだけの莫大な工事を包括的にパッケージで、しかも、企業として経営していく上で最大のかなめになる収益源である料金をあらかじめパックにして各社と結びますというこの方式が、果たしてそういう意味で機能するのかどうかということについてぜひお伺いをしたいと思います。これは大臣の御見解も伺えればうれしく思います。

佐藤政府参考人 ちょっと基本的な考え方だけ私の方から申し上げて、また大臣から御答弁いただきますが、そういう意味では、建設費、管理費もそうですが、下方硬直というよりはむしろ上方硬直で頑張っていただきたいなと思っております。

 どういうことかと申しますと、先生御指摘の七・五兆円、それぞれの分かれた三社が全部事業をやるかどうか、これは会社とまたそれこそ協議する、こういうことになっておるわけでございますが、それを協議し、会社と機構が協定を結んだその後で、こういう議論でいきますと、前提とする建設費が少しでも縮減できれば、その縮減した分の、全部ではないとしても、応分の見返りを会社に業績として反映させる。また一方で、それ以上建設費を要した場合には、これは基本原則は、そこの部分は会社のリスク負担である。こういう形で協定を結んでいただこうと思っておりますので、会社としては、建設費という面でいえばできるだけのコストの縮減を図る、これが会社の業績につながる、こういう問題であります。

 また一方で、管理費の方も、一たん協定を結びますが、例えば、技術開発で、わざわざ破壊しなくても検査ができる、先生御存じのように、非破壊検査の技術も大分進んできております。そうしたことの活用も含めて管理費を少しでも少なくする、こういう努力がまた一方で、会社にとってはそのコスト縮減が会社の業績に反映し得る。

 こういう仕組みではありますので、あえて申し上げれば、逆に言えば、会社は、そのために業績を上げるための努力というものをできるだけしていただく、仕組みとしてはそういうことが期待される仕組みというふうに考えております。

石原国務大臣 ただいま政府参考人の方から答弁させていただきましたように、料金収入があり、管理費を除いた部分をリース料という形で機構が借金の返済に充てるんですけれども、会社の、もっと委員が言うところの、では、何か民間企業としての努力をした部分についてはそれに報いられるような、すなわち、マイナス利益が出たらマイナス利益も会社の負担、会社の業績が悪化の方に働きますけれども、今参考人が言ったように、管理費を下げるというのは前向きな努力であります、これは会社の努力としてできる。そういう分については会社の利益になるような、それはすべてをというわけじゃありませんけれども、なぜすべてじゃないかというと、その前段で委員が御指摘されたように、それだけ下げ、それだけやるのであるならば利用者に回すべきだという話が必ずあるわけですから、そこの部分の努力が報いられるような仕組みはやはり仕込んでいかなきゃいけない、そういう枠組みにさせていただいていると御理解をいただきたいと思います。

古本委員 ありがとうございます。よくわかるんです、よくわかりますし、そう機能するといいなというふうに思っているんです。

 そこで、先回のたしか道路局長の答弁の中にあったくだりなんですが、料金収入の中に利潤を求めるかどうかという議論の中で、こういう御見解を示されていたというのがあったと思います。首都高が今七百円なのを、仮にそこに利益三%乗せようと思うと、三、七、二十一で二十円乗っけて七百二十円にする、こうやって利益をとっていくというやり方を、たしか見解を示されて、多分こういったことは許されないでしょう、こういうやりとりがあったのを記憶しています。これは、言われたということは正しいと思うんです。

 実は、私が思うところによりますと、利益を上げる、あるいは利潤、利潤という言葉を国の方は使われていますが、利潤を求めていくということは、単に上げた分を価格に転嫁していくということではないと私は思います。今おっしゃっていただいた、むしろ上方硬直だと、建設コストは。これはくれぐれもゼネコンいじめになっていないことを祈りますが、そういう努力をいただく中でやっていくと収益も上がるでしょう。それから、SA、PAでいろいろな、猪瀬さんが言われるところのモールですか、そういうのを仮にやっていかれるとしたら、それもあるでしょう。ただ、きょう若大将はいらっしゃいませんけれども、江藤先生はモールなんてけしからぬとえらいこの間言っておられましたので、その辺は少しまた整理は必要だと思いますが、御党の方も。

 それはおいておきましても、仮にモールをやって収益が上がって、そういうこともやっていったとしても、私は、本流にあるのは、やはり屋台骨といいますか一番の大黒柱は、この事業を支える柱は料金収入だと思うんですね。そういう意味では、料金収入で収益を上げるためには、この間の首都高の例を引かれた、七百円を七百二十円にするというこの発想がもしかけらでもこの会社にあるならば、私は、この会社は成り立たないと思うんです。局長は前回は官の立場で答え、七百円を七百二十円にして三%の収益をとるんだ、こういうつもりでおっしゃったんじゃないとは思いますけれども、私はそう思うんです。

 これは具体的に言うと、やはり下げてどんどん使ってもらって、結果として収益を上げていくというやり方も一方ではあると思うんですね。それから、今再三確認しました下方の硬直性という意味で申し上げれば、大臣、局長が御答弁なさっていただいた内容で本当に事業を進めていただけるかどうか、もう少し踏み込んで質問をさせていただきたいと思います。

 資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。

 すなわち、民営化に一工夫が要るんじゃないかなというふうに思っています。実は、今道路公団にいらっしゃる職員の方々が、民営化した場合に身分保障がどうなるのかとか、いろいろな議論を今後詰めていかなきゃならないと思っています。午前中、いい御指摘をなさっているなと思っていましたが、日本のまさにプロジェクトX並みの、橋脚をつくる技術、あるいはトンネルを掘る、発破かけしていく技術、そういう技術は、引き続き民営化されても受け継いでいかなきゃならない、与党側の御指摘というか、ありました。私もそのとおりだと思う。その場合に、公団から恐らく相当数のエンジニアあるいは事務方も含めて、技術系、事務系合わせて相当数がシフトするんじゃなかろうかという前提に立っていますし、そうしないと雇用の確保の問題からも大変問題になるんじゃないか、こう思っています。

 もしそうすると、幾ら荒療治をするといっても、道路公団じゃできないんだと総理はおっしゃっていましたよね、だから民営化で荒療治だ、こうおっしゃっておられました。私はもしそれを信じればこそ、民間として機能するあらかじめの仕掛けをつくっておかないと、実はそこには机が移動しただけで、作業する人は一緒のままだというのでは、ここが変わらなきゃなかなか変わらないと思うんですね。

 そういう意味で、枠組みを変えていくという意味で、二点、恐れながら、提言をしたいと思います。

 一つは会社。これは、やはり早期の無料化を実現していくんだということを会社のミッションとして、使命として帯びて、職員の一人に至るまで全員で共有しないと、なかなか、やれます、上方硬直性、下げていきますといろいろおっしゃっていただきましたが、やる人間は一緒だという前提に立てばなかなかそうはいかないと思う。そういう意味で、私は、経営の目標といいますか使命として、ミッションとして無料化の早期実現をやっていくんだという部分がないといけないんじゃないかと思うのが一つ目であります。

 そのための具体的なアイデアなんですが、これも少し提案させていただくと、親しみのある高速道路というのはぜひ必要だと思うんですね。私は大分高速は乗る方ですから、なれてきましたが、ふなれな人ですと、きょうは高速に乗るぞといったら、もう本当に仏壇に手を合わせて、いや、それは無事を祈るというんじゃなくて、きょうは高速に乗るぞという、かみしもを着るぐらいの気合いの入る行為の人も中にはいると私は思います。そういう時代もあった。ということは、やはり日常感覚、ふだん着感覚でちゃんと高速に乗ってもらって、いい道路をつくってもらったと言ってもらうことにしていくためには、首都高七百円というとこれはやはり高いなと思いますし、東名、名神でも、各区間、大変長距離を乗ると高いなと感じる人は少なくないと思うんです。

 親しみというのは、高速を日常的なものに、身近なものにしていくという意味で、私は多くの庶民の声を代弁するならば、あの料金を下げていくということは結果として利用者増にもなりますし、午前中、高木先生が御指摘された社会実験、これは本当におもしろい話ですし、新しい社会実験をやっていく中で、それが可能であれば、料金を下げたことによって人がふえる、結果として会社ももうかるというのであれば、これは何が悪いことかという問題意識を持っています。

 もう一つ大事な観点が品質のアップなんですね。乗ったはいいけれども渋滞するでは、お客さんの信頼を裏切ります。そういう意味では、何としても渋滞の緩和やら、SA、PAのサービスアップという意味ではやっていかなきゃいけないこと。

 最後にもう一つが、会社の問題点でいくと、コストの抜本的見直しであります。その中には、先ほど来申し上げている建設費、伴う管理費、大きなものがあると思うんです。こういったことを意識した経営をやっていこうと思いますと、資料の下に少しちりばめています、建設コストですとか料金の設定ですとかサービスですとか、これは収益を度外視してはなかなか組めないものだと思うんです。私は経営者になったことはありませんが、経営に携わる方であればぴんとくる部分ではないかと思うわけなんですね。

 一方、機構の方ですが、これはやはり、機構に勤める、機構の親分は社長というか総裁というかよく知りませんが、この方が、部下一同、早期に債務を返していこうというミッションをやはり持たないと、なかなか、大臣や局長がやれますと言っていただいたことがやれないんじゃないかなと思うわけなんですね。

 これは、そのためには四十五年ありきではいけませんし、会社との協定の協議も五年に一度で、世の中の経営会議なり取締役会というのは多分週に一回ぐらいやっていますね。そういう感覚からいくと、五年に一度内容を見直すことが、しかも、できるといううたい方であって、経営センスを醸成しつつ債務を返していくという、もう大変なことですよ。四十兆を返していくということが本当に情熱としてできるんだろうか。

 これは、つまるところは、国民のための機構、国民に資することになるんですね。会社にしても、経営を意識すればこそ、ドライバーやその恩恵にあずかる多くの国民の皆さんに資するものになるわけですね。

 そういう意味でぜひお伺いしたいのは、改めてもう一度確認をしたいのが、会社あるいは機構に、こういったミッションを帯びてこのプロジェクトに当たっていただくというおつもりはあるかないか。あるいは、もう既にこういうことも織り込んでいるんだ、委員が見落としているんだということであれば、ぜひ教えていただきたいです。

佐藤政府参考人 先生の御指摘の、この資料の三について、法律そのものとしてそれぞれがきちっと入っているかどうか、こういう御議論かと思います。

 基本的な考え方といたしましては、まさしく会社には十分効率的な経営をしていただいて、そして、安い建設費、安い管理費でできるだけ良好なサービスを、しかも、国民にとってそれこそ親しみのあるという意味で申し上げれば、使いやすい高速道路であり、なおかつ多様な割引、弾力的な料金設定、こういうことも申し上げておりますので、そういう意味で、一層親しまれるような高速道路、こういうことを期待しているものであります。

 一方で、機構の方もきちっと債務の早期返済を図る、確実に四十五年以内に返済を図る、こういうことでありますので、そういう意味で、先生御指摘の五年に一度、こういう部分を申し上げれば、別に五年でなければいけない、こういうことではないと思います。

 ただし、余り頻繁に、毎年毎年、お互いに、協定をどうしましょうかというのでは、経営の安定性であるとか、あるいはまた会社の自主性であるとか、こういう面を考えますと、やはり一定期間、一定の協定に基づいた努力、こういうものが必要でしょう。

 そして、五年という意味で申し上げると、国勢調査あるいは交通量の全国的な調査、こういうものもいずれも五年に一回、こういう形でやらせていただいているという問題もありまして、一つの契機は五年ぐらいをめどにしながら、お互いにチェックして、必ずしもそのときに、どうしても変えましょう、こういう議論ではないとは思いますが、相互にチェックし合って、そして協定を、このままでいいか、あるいはまた何らかの変えるべき部分があるかどうかということを入れさせていただいているということであります。

 そういう意味では、自主性とそれから安定性、そういうことをベースにしながら、妥当なところかなというふうに御提案させていただいているという問題ではあります。

 いずれにしましても、先生御指摘のように、高速道路のサービスなるものが、建設費、管理費、より安い費用で、利用者にとっても十分使いやすい、しかも確実に債務を四十五年以内に返済する、こうしたことを目指して会社と機構で努力していただく、こういう仕組みと考えております。

古本委員 ありがとうございます。

 少し確認をさせていただきたいんですが、そうしますと、今回の民営化に伴って新たに起こされる会社の使命として、無料化の早期実現ということは国民の利益に資するものであって、でき得ればそういったミッションも含めて今回の会社が設立されているんだという理解で正しいかというのが一点と、機構は、債務を早期に償還すればするほど、早く返せば返すほど国民の負担は軽くなるわけですから、これは当然に機構の使命として織り込み済みである、こう言われたという理解でよろしいんでしょうか。

佐藤政府参考人 そういう意味で四十五年以内、こうなっておりますので、確実に必要な建設をやりながら、四十五年以内に債務も早期に返済する。

 ただし、大臣からも申し上げましたが、会社と機構でそれだけの努力をして実際に大幅に債務の返済が前倒しできるような状況であれば、そこの部分は、次に、そういう原資をどう生かすか。料金の水準を下げるということもあれば、そこは、そういう状況に応じてまたいろいろな議論をしながらその時点で判断いただく、こういうことだと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 念のため、大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 会社が頑張って収益を上げて早期に無料化を実現できれば、今のスキームでいくと四十五年後ということになっていますが、仮に、努力してうまくいって、無料化に一年でも早くなることについては国民のためになることである、資するものであるという理解でよろしいですかということが一問目。

 二問目は、願わくは、機構においても、できることならば一年でも早く債務が償還できるように、何せ事業をやるのは会社の方ですから、会社とこれは相携えてやっていけば、債務の償還というのは一年でも早くやるにこしたことはない。そのために両者が努力をしてやっていくということは約束していただける、こういう理解でよろしいかどうか。

石原国務大臣 会社の方は、これまでの議論の中でも、建設のコストを下げるとか管理コストを下げるとかいうことによって、会社の経営努力というものが業績に反映される仕組みがあるということは御理解いただけたと思います。

 その結果として、今政府参考人からお話があったように、下げた部分の結果について、それはそのときの状況判断だと思いますね。全体的に料金を下げるのか、あるいは債務の返済、早期の無料開放につなげられるのかということを判断していただいて、そういうことが十分に想定されるということも多分御理解いただけたと思います。

 問題なのは私は機構の方だと思うのは、機構の方のインセンティブは、総論で言えば早期の債務返済は最大の使命のはずですけれども、機構が債務返済すると仕事がなくなりますから、そこのところをどう縛るのか。

 ですから、機構の方も、すごく人がいて、もうその人たちの労働組合とか再就職でがたがたして、今言われたようなことができないことのないように、機構の人員なんてものも本当に限られたものにしていかなければなりませんし、今おっしゃられたようなことを機構に、それこそ機構の職員となられる方には、一筆、何というんですか、委員がおっしゃられたのは、債務の早期返済が機構の使命である、アグリーというような、そのぐらいのことをやはり持たせないと、組織ですから、組織が組織として動き出すとどうしても、自分の組織を自分で店じまいしようというのは、現実論としては、これまでのいろいろなものを見ていてもなかなか難しいですから、そういうものはしっかりと機構ができるときに、また、機構の社長になる方に、やはり民間人の方にお願いしたいと思っておりますが、そういう方々にぜひ今古本委員が言われたようなことを、初めての機構設立、これは独法ですから、いざとなれば三年から五年の見直しのところで必要ないということを決めればやめさせられますけれども、まず、機構みずからがそういう意識を持ってやるんだということを宣誓してもらうぐらいなことが必要なんだと思います。

古本委員 今、大臣から大変勇気づけられることを言っていただいたんですが、今回の法案の中には具体的にそういう明記はないんです。きょうの議論を聞いていますと、無料化の早期実現と早く借金を返していくんだということは、これは何らの異論がない部分だと理解しました、私は。委員の皆さんもそう聞こえたと私は信じたいです。

 もしそうならば、やはり、大臣が言われたとおり、枠組みができちゃうと、なかなかその枠組みを小さくしていこうとみずからそこの親分もやりにくくなっちゃう。ということは、ミッションとしてあらかじめおもしを載せておくということ、私はこの二点、大変重要だと思うんですね。

 委員長、提案なんですが、別途理事会で、こういうものが書き込めるかどうか、そういう相談というのはまた諮っていただけるんでしょうか。きょうも、そうですねということで終わっちゃうと、私もパネルまでつくって、寂しくてしようがないんですけれども。

赤羽委員長 わかりました。理事会で検討課題とさせていただきます。

古本委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 では、続きまして、いろいろ言いっ放しでは私もあれですので、建設コストを具体的に下げていくということについての問題提起をあわせて、資料の四になるんですが、させていただきたいと思います。

 国交省は、五年で公共工事の国交省担当分を一五%下げていく。これはコスト構造改革というふうにお聞きをしておりますが、これは大変な御努力だと思います。

 一方で、会社も、この千三百キロ、七・五兆円というのは、二・五兆円を下げるという前提、織り込み済みで七・五兆を組んでおられますから、これはもう必達なわけですね。必達をしていくためには、きょうもミッションという言葉をとことん使わせていただきたいと思いますが、やはり関係者で仕込むといいますか、共有していかなきゃならぬと思っています。

 その意味で、国交省が今取り組んでおられます、これは高速道路以外のあまたの公共事業費を五年で一五%下げていく、このことと、今回、なるほど、民間になるこの会社がやっていくんだということかもしれませんが、この会社がやっていくというケースをぜひ実験場にしていただきたいんですね。

 原価の世界でいけば、原価低減をする最大のチャンスはモデルチェンジなんです。モデルチェンジをするときが一番下げしろがあるんです。したがって、今回のプロジェクトというのは、実は、国交省のコスト構造改革御担当者から見ればお宝の山のはずなんです、としなきゃならないんです。そうでないと原価は絶対下がらないです。

 その意味では、ぜひ、ゼネコンとの連携も要るでしょう。仕事量の確保、新技術の開発、そういうのがうまく回っていけば、決してそういうメーカーいじめみたいな話にもならないでしょうし、うまくやっていけると信じています。これは、言うならば原価との闘いであります。

 そういうことを進めていく上で私がただいまから確認したいことが、会社にそういうものがそれこそミッションとして帯びているかどうか確認したいんですが、契約した工事費より一円でも下げていくということについて、これは民間でいけば常識なんですが、そういう感覚があるんでしょうか。

 あるいは、これはチャートに書いている部分ですが、端境期に施工していけば、人工も余っていますから工事費は下がっていきます。こういうことが計画的にやれるかということです。それから、ロット発注、ロットで発注していくということですね。規格品、ボックスカルバートの工夫だとかいろいろやっておられるというのもお聞きしていますが、できるだけ同一規格でやっていけば下がる。いいものならどこからでも買う。これは入札指名業者でないと官の事業であれば買えないわけでありますが、たとえ、どこか、そういう実績のないメーカーであっても、いいものをつくっていればそこから買ってさしあげる、どんどんそういう調達をしていく、そういう仕掛けがこの会社にはあるんでしょうか、ないんでしょうか。まずそこを聞きたいと思います。

門松政府参考人 まず、公共事業一般につきまして、コスト縮減にどのように努力しているかということにつきましてお話ししたいと思います。

 先生も御承知だと思いますが、平成九年度から平成十四年度までコスト縮減に努めてまいりまして、物価の下落を含めまして二〇%を超えるコスト縮減を達成してまいりました。また、昨年度、十五年度から、公共事業のすべての計画から設計それから施工、管理に至るすべてのプロセスにおきましてコスト構造改革に取り組んでいるところでございまして、向こう五年間で、物価の下落を除いてさらに一五%のコスト縮減を達成しようということで努力しているところでございます。

 見直しのポイントでございますが、事業のスピードアップ、工期を短縮するということ、さらには、すべてのプロセスでの最適化を図る、あるいは入札契約の方式の見直しなど調達の最適化を図る、この三つを大きなポイントといたしまして、平成九年度からの取り組みに加えて、三十四のさまざまな施策を展開しようとしているところでございます。

 先生が例に挙げられましたユニットプライス型の積算方式の試行もこの三十四の施策の一つであります。民間の創意工夫をいかに引き出すかということにも注意を向けまして努力をしていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

古本委員 大変頼もしい御説明をいただいたんですが、その際に、私は、こういう仕掛けを回していく上でもう一つかなめになるのが、そうやって頑張った人が本当に報われる仕組みになるんだろうか。要するに、今まで百円でこの鉛筆をつくっていましたという人が、何か工夫して、八十円で、部長、今度やれました、あるいは、課長、やれましたと言ってきた部下に対して、よくやったと。今度、その人がちゃんと、次長か室長か知りませんが上がっていける。やはり人間はそういうインセンティブが働かないと、会社に働いていてそういう気になかなかなっていかないと思うんですね。

 コスト構造改革の方は国交省がおやりになる部分でございますので、官の皆さんのそういう処遇、報われ方の部分について議論し出すとこれはまた一時間かかっちゃいますから、会社に絞っていきます。

 会社はそういう仕掛けをお考えでしょうか。頑張った人が報われる仕掛けであります。本当の意味で頑張った人です。世の中ではコストを下げた人が報われるんです。

佐藤政府参考人 先生、例示として、この四の「建設コスト削減の観点」、お挙げいただいています、例えば端境期施工とか、いいものならどこからでも買うとか、こういう観点から申し上げますと、民間の場合に、できるだけいろいろな、先ほどの、公共事業でいろいろ工夫してきている、こうしたことも生かしながら、なおかつ、さらに民間のよさというものを活用して、いいものならどこからでも買う、あるいは大きなロットで発注する、いろいろな工夫の余地はあろうかと思います。

 そういう意味では、先ほど申し上げました建設費の縮減は応分の企業の業績努力に反映される、そういう醸成をするということを仕組みとして予定している、こういうことでございますので、そういう意味では、会社の組織そのものからいえば、本当にそうやって頑張った人が業績に反映されるわけですから、そうすると、一人一人の努力した人にそれなりのまた反映ができる、そんなふうな生き生きした会社にしていただくのが何よりかと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、そういう枠組みを組めば、私は、全国から道路公団の職員以外の優秀な技術者やそういう方が集まってきて、願わくは理事会で諮っていただいて、さっきの無料化早期実現と債務の早期償還というミッションの部分はうたい込んでいただけるとうれしいですが、そのことが本当に実現すると私は思っております。やはり会社は人が財産だと思いますね。そういう意味で、今言った仕掛けをぜひ回していただけるようにしていただきたい、これは切に要望するところであります。

 そして、その上で、このコスト構造改革のプロジェクトを進めていく中の代表事例として、これは民になっちゃうんで関係ないよではないと思いますので、ぜひ、今回の事業、千三百キロを実験場にするんだと。まさにここが原価低減のおいしいお宝なんですよ。これに物すごくフォーカスを当ててやっていくんだということをもしお約束いただけるなら伺いたいです。お願いします。

佐藤政府参考人 事実関係を少し申し上げたいんですが、高速国道の整備計画、未供用の部分が二千キロございます。この中で、昨年の十二月二十五日に新直轄として七百キロお選びいただきました。新直轄の目安としてはもう少し多いだろう、こう考えていますので、会社が発足し、そして、会社が事業途中のものをどこまでやるか、あるいはまた地方公共団体の要望を考えながら、この振り分け自体はもう少し新直轄の分がふえていこうかと思っております。

 それでただいまのお話でございます。そういう意味では、できる限りいろいろな、民間でございますから、積極的な努力、こういうものをやっていただけるものと期待しております。

 一方で、そこをできるだけ透明にしながら、そういう意味では多くの意見をできるだけ広く公開して、情報を集めながらおやりいただくということが一番大事なことだと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 せっかくつくりましたので、最後にもう一度出して、きょう、この条文にこだわって、私なりに料金をどう設定していくのか。その料金を、できればそれは一日も早く無料になるにこしたことはない。その借金も一日も早く返していくにこしたことはない。これは大臣、局長双方からそういう御趣旨の答弁をいただいたと私は理解しています。

 その上に立てば、やはり本当に、この会社と機構が契約を結ぶ千三百キロ、平成三十二年分まで総額七兆五千億をパックで契約するというこのやり方、しかも、五年に一度しか大きな設定の見直しというのはない、ちょっとした協議はしょっちゅうやるのかもしれませんが、ないというこの枠組みは、民間企業としては大変勇気のある枠組みだなというふうに改めて感じました。

 その意味において、今回の民営化法案は、残念ながら、この部分に関して、私は、余り上手じゃないなということを最後申し上げて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党・無所属クラブを代表しまして、この問題につきまして二度目の質問でございますけれども、質問させていただきたいと思います。

 私自身は、冒頭に、私の今思っておる心の中というものを御披露したいんですけれども、本当に、戦後、高速道路が全くないころから、この前申し上げましたけれども、道路財源、有料道路制度というものを駆使して、道路ストックがないこの国に一つのネットワークをつくろうと思って発足した道路公団、これが本当に解体をされるのか、なくなるのか、そして六つの民営会社に、まあ道路公団そのものは三つでありますけれども、分割される、そして会社になっていくということについて、まだ本当に吹っ切れない、なぜなのかという思いが実は今でもいっぱいであります。

 そういう思いの中でこの法案を読みましたけれども、この法案のスキームで民営化だったら、確かに民営化のメリットが生きて活性化する、効率化もする、そういうイメージがわけばまだ救われるのでありますけれども、それがまだ、幾ら読んでも納得できない、こういう立場で素直に私の思うところをぶつけて、基本的な問題について大臣の所見をこの段階において確認させていただきたいと思います。

 私は、実は、この前もちょっと大臣からお話がありましたけれども、道路行政に合計八年ぐらい携わりました。道路の危機と言われた時期にも道路財源を担当したことがあります。世界じゅうの道路も見せていただきました。

 そういう中で、最初にアウトバーンを見たときに、二十五年前でございますけれども、アウトバーン、そしてイギリスのモーターウエー、フランスの高速道路あるいは道路政策を十人ちょっとで調べに行きました。三十七カ所の役所を走り回ったことを昔のように思い出しておりますけれども、当時アウトバーンは五千キロ強でございまして、日本の高速道路がまだ二千キロ台半ばでございました。アウトバーンを走ったとき、そして、路側による自動車誘導装置、システムというものもそのとき初めて見たんですけれども、そのときの感想として言えば、同じ敗戦国にして、何とドイツという国はロジカルに社会資本整備あるいは戦後の復興をなし遂げてきたんだ、こう思ったんですね。今、日本は、あのころから比べれば、ざっと二十年余で五千キロの高速道路を積み上げてきました。

 ただ、一方で、日本の高速道路いまだしと思う気持ちのもう一つは中国でございまして、私も中国は二十年間おつき合いをしております。最近中国に行きまして、飛行機で眠らずに、飛行機からずっと外を見ていますと、一番目立つのが巨大インター、道路とまだつながっていないインターが、あっちこっちでクローバー型のインターがつくられているんです。もうびっくりしますよ。またあそこにもつくっている、同じ飛行機から向こうを見ても、向こうにまたインターがつくられている。これからの中国の高速道路の整備というのは恐るべきスピードだと思うんです。

 十一年前、私は中国で初めて高速道路に乗った男じゃないかと思うんです。というのは、当時、北京に前自治大臣と一緒に行きまして、例によって北京空港でおりまして、北京に入るときに、柳の並木道、旧道を走っていったんです。そうしましたら、ああ、もう三年かかって首都北京線を、空港線をつくっているなと思っていましたけれども、それが舗装工事を始めていました。二日北京に滞在して帰るときに、きょう舗装が終わりました、もちろん供用前ですけれども、走りましょうということで、実は、二日前はまだ舗装工事中、きょうは舗装が終わったというその北京空港線に乗りましたから、恐らくどの中国人よりも早く、初めての中国の高速道路に乗ったんじゃないかと思いますけれども、あれからわずか十一年ですよ。去年までは一万六千キロと聞いていましたけれども、いや二万五千キロだ、きのう聞いたら三万キロはあるんじゃないかと。

 私はこういうのを見たときに、国土政策としての高速道路は本当にいかにあるべきか。日本のこれからの経済構造、地方分権、あるいは、地方においても各地域の個性を生かしながら、国民がみずみずしく伸び伸びと生きていく、そういう国土の利用のあり方、国民の生き方のあり方といいますか、そういうものから見て、高速道路というのは本当に基盤中の基盤ではないか、こう思うんですね。

 ところが、この民営化論については、そういう論議が、総理の口からも、新聞にも載らない。もう一切載らずに、単一路線での採算がどうだ、借金がどうだ、どうしたら借金が返せるか、そういう話ですけれども、一番根源の問題というのは、国土政策あるいは国民がどう生きて住んでいくかという、そこが本当に高速道路が一番問われた重要問題でありまして、私は、そういう面で、この民営化論というのは、その一番肝心な点が置き去りにされているんじゃないかと痛感してやみません。

 日本の高速道路の国土政策上の役割と、そして、今回の民営化論議というか道路改革論議というもので欠落したその部分につきまして、大臣の心情、思いというものを、ぜひこの際吐露していただきたい、かように存じます。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

石原国務大臣 考えてみますと、私が議員にさせていただきまして丸十四年たったわけですが、最初に高速道路の話をしたのが実は古賀委員でございまして、古賀委員に当選一回のときにいろいろなことを教わったんです。そのころは全く高速道路に関心がございませんで、右から左に聞いたお話が流れていったようなことも今ふと思い出させていただきましたが、印象に残る話としては、車の重量が乗数に乗じて橋梁とかに負荷を与える、ですから、値段の考え方というものもいろいろなとり方がこれからあるんだというような話をされたことを、非常に印象に思ったことを今思い出したところでございます。

 また、ただいま委員が御指摘されましたように、ドイツのアウトバーン、私も行ってまいりましたけれども、第二次世界大戦の始まる前に整備が始まり、さらに、鉄道よりもモータリゼーションを中心に、西ドイツの復興というものに、ああ、こういうものが役立ったんだろうなということは、移動距離と時間との関係でこんなにも車が便利なのかということからも実感することができたわけでございます。

 一方、中国のお話もございましたが、中国は、我が国では年間百六十キロの新規供用ですが、四千キロ毎年供用しているというのはちょっとイメージとしてわかないわけですけれども、環状道路でお話を聞いたときに、北京に去年新しい環状道路ができたら、それまでの整備率が五割ぐらいだったものが急に七〇%を超えて、その一方、我が国の首都圏の環状道路の整備率は、まだ三割いかなくて二三%。

 そういうことを考え合わせますと、ただ単に全く何もつくらないのが善なのかというと、私どもも、やはり本当に必要なものをどれだけコストを下げて、選択と集中、そして、二〇〇六年に人口のピークを迎えて、その後人口が減るという新しい人口構造の中での国家戦略としての高速道路の整備の重要性というものを改めて広く国民の皆さん方の間で考えていかなければならないということを今の御質問で考えさせていただいたわけでございます。

 やはりこれからの整備というものは、今言いましたように、今は九三四二という整備計画の中の議論が中心になっておりますけれども、この外にも、地方に行きまして、ネットワークが、ここはちょっと整備されればネットワークとして完備されて交通量もふえるのになといってできていないようなところもございますし、また、大都会、東京に限らず、横浜、大阪、名古屋といったようなところの環状道路も未発展である。こういうものをこれから本当に限られた財源の中でどういうふうにスピード感を持ってつくっていくのかという、高速道路の建設についても今までとはまた違う時を迎えている。

 そんなときに、この民営化という荒療治によりまして道路公団の抱える弊害を除去して、必要なものを国民の最小限のコストでつくっていくというようなことを御議論いただいていると考えております。

古賀(一)委員 私の地元で福岡という大都市がございますけれども、福岡都市高速というのがこの前、西の方に走っております、前原の方に走る高速道路とドッキングをしました。それまでは、福岡都市高速は、立派な道路なんだけれども、ちょっと交通量が東京に比べれば少ないな、こう思っておりました。ところが、やはりこれは、つながった瞬間、本当に交通量は三倍、四倍になりました。

 そして、私、福岡と地元の久留米とか行ったり当然しますけれども、この前、民主党の高速道路無料化論というのを頭に浮かべながら走っておりまして、福岡にたまに、地方部の、筑後川の向こうの、私の地元ですけれども、そこから、きょうはダイエーホークスがやっていると行く、あるいは、ちょっときょうは暇だから、コンサートやっているから福岡に行こうじゃないか、それで、せっかくだからおいしいものを食べて帰ろう、そういうことが、九州縦貫と都市高速のリンクによりまして本当にいとも簡単にできるようになった。かつては一時間半、二時間かかったところが三十分で行く。それで、今度また、福岡の人は野球場がないといって市町村もひいひい言っているんですけれども、南の方の筑後地方に来れば野球場はある、使わせてくれという話もある。

 やはりドイツという社会は、結局、そういうモビリティー、アクセシビリティーが本当に発達して、高速で行けば、ただで行って、気楽にいろいろな文化的な機会とアクセスできてという、そういう社会が、本来、高速道路ネットワークの当初スタートしたときの夢だったんじゃないかと私は思うんですね。私は、そういう夢の部分、それが本当に、民営化すれば何とかなるという論理の中でそこら辺が全部無視されているように思えます。それは、単に福岡と私の地元ということよりももっと切実なところもあるんですね。宮崎なんかそうですよ。シーガイアはアメリカ資本に渡りました。三十年間知事が要望してもまだできておりません。

 採算に合わぬからこれをつくらないということに仮になるのであれば、先ほど言いました中国に対してはODAを施し、そして、先ほど大臣もおっしゃった、何と二十年間足らずのうちに三万キロの高速道路をつくった。一方で、地方に対する、日本の国内の地方に対するODAとも言っていい高速道路だと私は思うんですよ、これについては採算性の論理でやらない。こういう本当に間違ったというか、海外にはODAを与え、日本の国内は採算性の論理でそれをいわゆる拒否する、こういう屈折した政治に今なっているんじゃないか。そこら辺の論点が本当に国土交通省サイドから提起がない、アピールがない、それについて私は非常に不思議に思います。私は、これは非常に重要な部分だと思っております。

 それで、そういう国土の利用という問題の次に、もっと大きい問題を一つ確認したいと思うんです。

 それは何かといいますと、この前もちょっと申し上げましたけれども、要するに日本の経済のこれからの要諦というものは、国家財政、地方財政、もう御承知のとおりに、七百二十兆ですか、累積債務、長期債務がある。ところが一方、個人金融資産は相変わらず千四百兆あるわけです。その個人金融資産をいわば社会資本整備に取り込んだシステムが有料道路システムなんですよ、基本は。枝葉ははしょりまして。

 結局、それをむしろ伸ばしていく。それは採算性が合わない、これからつくる道路は採算性が合わないというならば、まさにベースを個人金融資産に置いて、利子補給というのもあるかもしれない、補助もあるかもしれない、今度の制度でいろいろ組み込まれていますよ。そういうものをやって、やはりネットワーク、国土全体のダイナミックな動脈はつくっていくというその理念は守り通す、こういう選択は幾らでもあったと思うんですよ。

 これだけの荒療治をするならば、道路公団に対してコストを三分の一にしろ、しかし、道路局は道路法を改正して、安くできるように沿道に沿道規制をする、沿道立地規制をする、三メーターや四メーターの盛り土じゃなくて一メーターの盛り土でいい、そんな制度も幾らでもつくれるんですよ。ところが、そこら辺の改革あるいは改善をせずに、有料道路制度というか、いわゆる国の資産である高速道路を道路公団につくってもらうという本道を外れて民営化する、会社にやってもらうということに今なりつつあるんですね。

 私は、税金の赤字、個人金融資産はある、それを活用せずして、この前申し上げましたけれども、二兆四千億円の新直轄にぶっ込んで、公団の有料道路制度にはそういった下支えをするシステムを講じない、こういう選択は、大変短絡したというか、肝心なことを議論しない、まず民営化ありきの議論と私は断ぜざるを得ないと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 そういう意味では、先生、ちょっと世界を見てみますと、フランスもイタリアも有料道路を日本よりも早く民営化といいますか、やっている形になっておるわけでございますが、しかしながら、いずれも二割ないし三割の無料道路部分がある。

 イタリアの場合には、南北問題で南の方は無料、言ってみれば直轄、無料、こういう形であるわけでございますが、日本の場合にも、いろいろ考えた末に、先ほど先生もちょっと御指摘ありましたけれども、早くきちっとしたネットワークをつくっていこうと。しかしながら、採算といいますか、有料道路という面から申し上げますと、有料道路の料金収入では管理費が出ない、こういう形になると、これを有料道路として引き続き新設し、管理するというのはいかがなものか。それから、有料道路の場合には、どちらかといいますと、やはり地方部に行きますと所得の問題もあって、料金に対する抵抗というのもなかなか強い。そうだとすると、交通量も、有料、無料で大分違ってくる。有料道路の場合には、BバイCが、費用対便益が一を超えない、こういうような場合については、やはり無理して有料という形ではなくて、国と地方で分担し合って直轄で、こういうことを考えたわけでございます。

 冒頭に国際的なお話も、これは先生の方が御存じかもしれませんが、申し上げましたのは、やはりどこの国も、必要なものは必要なんだ、しかしながら、有料道路として活用という面でいけば、限度があるといいますか、ある一定のラインがあって、やはり税金ででもという、そうした工夫をしながら各国やっておられる、これも事実でございます。

 日本もようやく、そういう意味では直轄、無料という形の高速自動車国道の整備というものも活用すべき時期に来たのかな、そんなふうに考えて今の仕組みをお願い申し上げているところでございます。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

古賀(一)委員 私の質問とはちょっと外れた答弁だったと思いますけれども、私は、個人金融資産というものをやはり次の世代にしっかり残していく。

 外国にあれだけ渡して、しかも、例えば中国の話をもう一回しますと、千百五十七億ですよ。土地代はただ、人件費は三分の一。私は地方部の高速道路も大体見ました。新彊ウイグルも見た。雲南地方にももうすさまじい高速道路ができています。あそこは、道路敷地の横の土あるいは石をぽんと上げまして盛り土するわけですから、もう土地代もほとんどただ、資材費もただ。その中に、一千百五十七億のいわゆる有償資金を高速道路建設に渡している。それは日本の価値でいえば、日本では千百五十七億でしょうけれども、中国でいえば、本当、百倍かもしれない。十兆円ですよ。

 それがあちらの民生安定というもので済むならいいんですけれども、まさに日本の経済、農業、それを脅かす大動脈としてどんどん機能しているわけですよ。そこに私は、日本の政治の、国民がこれだけ悩んでいる、しかし、中国にはそれだけやっていく、金融資産を。私は、そこに、本当のトータルとしての政治というものが機能していないという今の政治の現状を見ます。私は、この点についてはいまだ納得できません。それだけ申し上げておきます。

 それで、二番目に、この新直轄の話をもう一回、前回もしましたけれども、させていただきたいと思います。

 新聞報道、テレビで、石原大臣が、横切るクマの方が、通る自動車よりも多いと皮肉った道路が話題になりました。これはどこの道路を指されたんでしょうか。

石原国務大臣 新聞に出ておりました、北海道のどちらかの高速道路です。

古賀(一)委員 その後に、つくらない、大臣の私がつくらないと言っているんだからつくらないと大臣がおっしゃった。これも北海道の道路だと思うんですが、士別―名寄の道路なのか、北海道横断道路の足寄―北見なのか。大したことじゃないかもしれませんが、やはり特定された道路だったんでしょう。

石原国務大臣 記憶は定かではないですけれども、交通量を比較して、日中カメラを構えて待っていても車が通らないようなむだな道路はつくらない、そういう意味で申したと記憶しております。

古賀(一)委員 でも、この二つの道路は結局つくることになったんです。大臣がつくらないと言った道路がつくられることになった。それについて、大臣、どうお考えでしょうか。

石原国務大臣 私、個別の道路をつくるとかつくらないというような言い方は多分していないと思います。

古賀(一)委員 結局、問題になりましたね、その北海道の二つの道路。典型的なものがあるんですけれども、士別―名寄は三百七十億円ですよ、そして本別―釧路は千八百五十億円の事業費、足寄―北見、これが千三百二十億円、相当大きい、これは新直轄で採択された道路ですよね。

 つくらないと言ったけれども、結局、有料道路として、あるいは高速道路、道路公団所管としてはつくらない。しかし、税金だったらつくるという、つくってもいいという御趣旨だったんでしょうか。

石原国務大臣 当時は、根底に、ともかく採算性だけで有料道路は考えるべきだというのがあったんです。採算性から考えると、先ほど言いましたように、日中カメラを構えていて車が通らないような道路はつくる必要はない。

 しかし、もうこれは三年以上議論をさせていただいているわけで、いろいろなところに行きましていろいろ失言等々も私はしたわけです。失言というか、ユーモアを失言ととられたわけでございますけれども、クマしかり、あと、首長さんがつくりたがっているといったような発言しかり、あるわけですけれども、そんな中で、地方の道路を見に行った結果、採算性だけでつくるつくらないを決めるには無理があるなということも、初めて現場を見てわかったわけです。

 すなわち、山陰の方へ行きましたら、鉄道は単線だ、通っている国道は、その鉄道のすぐ下のところに二車線の国道が走っていて、そのすぐ先はもう海で、一カ月の間に五日間その道路ががけ崩れ等々で通れない。また、通ったときも工事しているわけですね。そうすると、一車線で対面交通になって、全く渋滞になってしまう。これは代替道路はないのかというと、もう山が迫っていて代替道路がない。こういう、代替道路がないといったような問題。

 あるいは福島の方も見てまいりまして、原発の問題、新潟なんかでも見させていただいて、新潟は完備されていたと思うんですけれども、あとは福井県の方も見に行きましたけれども、原発があって、そこを通る国道が未整備にあること等々を考えますと、やはりそれだけでつくるつくらないというのはちょっと乱暴な議論だなと。

 そこで民営化委員会も、そういう議論を経て、客観的な評価基準というものをやはりつくらなきゃいけないんじゃないかと。地域に住む方にとってはその道路は皆さん必要だと言う。しかし、外から見ると、採算性で見るとむだな道路のように見える。ということで、中村英夫教授の、採算性、BバイC、さらに外部効果、この三つから成る順位づけをさせていただいたわけであります。

 それで、今委員が御指摘された北海道の道路も新直轄で整備するということを決めた。整備することに決めた理由は、この成績表の中で、有料でつくるとBバイCは一を切ってしまうけれども、外部効果としてさまざまな要因でつくるべきだという範疇に入ってくるものは新直轄でつくる。こういう整理を、実は、今回の新直轄、有料道路を区分けするときに、この中村基準に基づいて客観的に評価をさせていただいたわけでございます。

古賀(一)委員 私は、この改革が始まる冒頭において、結局、悪名高いと言ったら北海道の方に失礼でありますけれども、大臣がクマの方が多いんじゃないかと言った道路についてもこういう結論になった。

 そうしますと、これはこれだけじゃないと思うんですね。今後、民間になってきたときにいろいろな問題が起こると思うんですよ。BバイCがどうだ、だからこれは新直轄で何とかしてくれぬかとか、では、この三百メーター区間は有料で新会社にやらせるけれども、直轄で、例えば百五十億円もするこの取りつけ部分だけは頼むとか、いろいろなことがある。

 それで、結局、新直轄か、ナッシングか、民間会社かというそんな選択じゃなくて、先ほど言いましたように、工法を下げる、あるいは沿道規制という新しい手法をぶっ込んでいく、そんないろいろな知恵を出すことが私は問われていると思うんですよ。民間つければ何となく採算合うというようなイメージじゃなしに、具体的に、これからの横断部あるいは地方の不採算部、そういうものをどういうふうに技術的に、法的に、あるいは資金的につくっていくかというのを見直す機会がまさにここで、民営化したからあとは大丈夫という問題でこれは解決できる問題ではない。それが、依然、私は、道路行政にこれから問われ続ける問題だということをはっきりこの際申し上げておきたいと思います。

 それで、総理もよくおっしゃる言葉がございます。今までの予定だったら二十兆よ、今度は七・五兆に減るんだ、こういうお話がよく出ます。しかし、この方程式を聞きますと、二十兆円マイナス四兆円。これは何を四兆円削減するかというと、建設費削減分ですね。これで四兆円削減するそうであります。そして、今度三兆円さらに引きます。それは何かというと、民営化前JH建設分だそうでございます。そして、新直轄で三兆円引き受けるから、さらに三兆円引きます。そして、去年の段階ですか、二・五兆円、さらに上乗せ建設費削減分を乗せました。

 二十兆引く四引く三引く三引く二・五イコール七・五兆になる。いかにも、民営化すると二十兆が十二・五兆も減って半分以下の道路投資になるというふうに見えますけれども、実はこれは、新直轄部分を除けば、道路公団だってさせられたわけですよ。本当、そう思う。

 道路公団でも、この最初の建設費削減分あるいは上乗せ建設費削減分、これは道路公団に、もう直接命令系を持った、親と長男坊みたいな密接な関係の公団に厳命すればよかったんです。

 そうして見ると、私は、新直轄の三兆円だけが膨らんで、これは税金ですよ。税金の方にしわ寄せして、先ほど言った個人金融資産の方を、民間資金活用というものを使わずに、一番真っ赤っ赤の世界一の借金を誇る日本の国家財政に寄りかかったという構図になっている。私はそうとしか、大きく見れば思えないんですね。

 私は、そういう面で端的に聞きます。

 税金による新直轄方式三兆円、これが導入されたことで、まず財政再建に寄与するという政策目的がやはり一方にはあると思うのでありますけれども、この目的には逆行した取り扱いになったんじゃないかと私は単純に思います。その点、いかが反論をされますでしょうか。

佐藤政府参考人 先生の御指摘は、従来、有料道路として事業しよう、こういうふうに決めておった高速道路について、二十兆円、二千キロ残っている、このうちコストカットで四兆円を、これは昨年の十二月二十五日の国幹会議で個別に、どの路線、どの区間で幾ら建設費を見直しました、こういう形で出させていただきましたので、コスト縮減はしたけれどもと。

 しかしながら、その次の、新直轄で三兆円を目安に十五年度以降、そういう法律を前回通していただいて、これは目安三兆円でございますので、昨年の十二月二十五日に新直轄に切りかえさせていただいた部分、約七百キロございますが、これはまだ、言ってみれば途中経過といいますか、もう少し最終的に詰めさせていただくという部分が残っておろうかと思います。各地方公共団体も、直轄でも有料道路でも、早い方をぜひ選択したいという公共団体が、まだまだ路線、区間、残っていますので、そうした打ち合わせを十分しながら詰めてまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、先生の御指摘は、この直轄の部分三兆円は税金でやるんだから財政再建の中で逆行するんではないか、こういう御指摘でございました。

 消去法と申しますか、一つ申し上げることができることは、二十兆円の有料道路の事業、これに対して、コストカットその他、直轄で引き取ることも含めて、有料道路の事業対象としては十・五兆円までということを同時に政府・与党申し合わせでお決めいただいたわけでございます。

 これは何かといいますと、やはり、有料道路事業をこれまでやらせてきていただいて、いかにも累積債務がふえているではないか、あるいは際限がないではないか、いつまで建設を続けるのか、こういう御指摘もこれあり、そういう意味で民営化ということを選択させていただいて、同時に、高速自動車国道の場合、有料道路の事業対象としてはとにかく十・五兆円までを限度として組み立てをきちっとやるんだ、こういうことを決めさせていただいたわけであります。

 そこで問題は、残りの分を、それでは、先生の御指摘で申し上げれば、財政再建に逆行して直轄事業をやるのか、こういう御指摘でありました。

 ここで大事な部分で申し上げれば、民営化推進委員会の中でも、中村基準で申し上げると、BバイCが一を超える場合にはやはりこれは必要なんじゃないかと。既に二千キロ整備計画が出ておるわけでございますから、これに対して、必要性があるというものであれば、どういうふうに工夫して建設していくのか、これはまた大事な問題だというふうに考えております。

 そういう中で、道路事業全体の運営の中で、平準化して二千億円、十五年ぐらいを考えるという意味で三兆円ぐらいは何とか支弁ができるんではないか。それこそ集中と選択で、道路事業全体の中でそのぐらいの重点投資をしていこうということは見込みとしてめどを立てるべきであろう、また立てた、こういうことでございますので、そういう意味では、財政再建に抗してというよりは、道路事業の中での重点配分、こういう面があろうかと思っております。

古賀(一)委員 私は、この法案を読んでも、これまで、大臣なり総理大臣なり、あるいは局長の話を聞いても、要するに実態としてこの改革は何をしたいんだというのがはっきり見えてこないんですね。ただはっきり見えるのは、公団をつぶして民営化すればいい、この点ははっきり見えるんです。ところが、あとのいろいろな仕組みを、後ほど申し上げますけれども、ずっと見ていくと、これ、何のためにやるんだと。

 ちょっと大臣に直接聞きたいんですけれども、公団には問題がある、だから、先ほど言いましたように、盛り土工法をどうするとか、いろいろなことが提言されていますよ、合計四兆プラス二・五兆と。こういうことを道路公団に命じよう、これが悪い、もっと高速道路の建設費においてコストは下げられるはずだと。公団にこれをやらせろという論議は総理から指示があったんですか、そういう議論があったんですか。私は全くなかったようにしか思えないんですね。

石原国務大臣 これはやはり公団という組織体の動機づけとして、やれと言っても、いや、これだけかかりますと言われてしまうと、なぜこれだけかかるんだ、これだけ削れるはずじゃないかと言うことに対して、優位性があるようで、ないんじゃないかと思います。

 というのは、国鉄改革のときも同じだと思うんですが、毎年毎年二兆円に近い借金を出している会社、国がやっている会社なんだから、おい、赤字出さないようにちゃんとやれと言い続けたけれども、一日換算にしたら数億円ずつ、四億円とか出し続けた。

 それと同じで、やはり組織体として全く命令を享受することができない組織体であったからこそ、組織を変えるという結論になった。もちろん、古賀委員のおっしゃるとおり、論理的には命令を出してやればいいわけですけれども、国鉄もできなかった、道路公団もできなかった、そして今回のことに至ったと私は理解をしております。

古賀(一)委員 いや、私は、それをさせるのが政治家のリーダーシップだと思うんですね。

 私が聞くところによりますと、うわさでありますけれども、前総裁の藤井さんと小泉総理は、この高速道路の問題点、あるいは、どうしたらいいかというものについて、恐らく一度も語り合ったことがないという話を聞いたこともあります。

 そんなことで、これだけの一つの哲学はあったわけですよ、有料道路というのは。ここまで来たのも、もう議論もせず、どうせ言うことは聞かぬだろう、公団は具体的にこういうことをやったらどれだけコストが下がるか、どれだけ採算性が向上するかというものを論議しないままに、ある面では開発途上国も、日本のこの有料道路制度、これをまねして相当つくっていますよ。それをみずから、要するに会社になれば何とかなるという形で、国鉄の改革のときと違って、論議の期間、あるいは試算の分析、これはもうはるかに私は論議の深さが違うと思うんですね。私はそれについて非常に納得できないと再度申し上げておきたいと思います。

 それで、時間が余り早くたつのであれですけれども、この前もちょっと申し上げた問題で恐縮でありますけれども、再度、新会社の上場問題についてちょっとお聞きしたいと思うんです。

 これは先ほど来ずっと出ていますけれども、本体の自動車道事業では利潤が出ないという会社のようでございます。これは上場する場合、産業の分類としてはどういうふうになるんですか、佐藤局長。

佐藤政府参考人 それこそきのうの参考人の御質疑の中にもあったかと思いますが、この会社自体、新しく民営化されたこの会社があらかじめこういう職種に属しているでしょうと明確に今申し上げることは多分だれもできないんだと思いますが、どういうふうな形の事業展開が一番メーンなものになるか。これは主としてサービスエリア、パーキングエリア関連事業で上場するに足るだけの収益性を持つ、同時に、あわせて高速道路の建設、管理、運営でそれなりに努力して、応分の業績に反映ということもまた結果としてあり得る。そういう中で、どの事業が典型的に代表として分類し得るか、そんなことになってくるのかもしれません。

 いずれにしましても、昨日の参考人の質疑の中でも、可能性が高いというようなことをおっしゃってくださる参考人の方が多かったわけでございますが、私どもとしましても、そういう意味では、しっかりと努力していただけば、十分上場するに足るだけの安定性を持ち得る会社として努力していただけるんじゃないかと期待しているところでございます。

古賀(一)委員 この問題、道路公団を株式会社にする、上場する、それが、では、どんな会社として今後収益を上げるのというときに、一番持っている基盤、高速道路というそこではもうけぬで、あと何をやるかわからない、どういう会社かのイメージもわかない。ことごとくそうなんですよ。これだけじゃない。

 普通だったら、民間会社になった、ああ、あれでおもしろい事業を起こして、国民も納得する、我々地方からいってもわくわくするな、そういう形で本当は組織というのは改組すべきだと思うんですよ。だけれども、この新しい会社の事業内容、はっきりわからぬ、どうなるだろうか。それで上場ですよね。これは後ほど聞きますけれども、上場だって本当にできるんだろうか、本当にそうなると四十五年で返せるんだろうか、そういう疑問がずっと連鎖する法律の仕組みになっている。

 それは、ここまでの大改革をやるならば、これはこれと、やはり要点の重要なところは確信を持って国民に、あるいは道路公団の職員に対してもそうですよ、君たちがやっていたあの公団方式よりこっちの方がよくなる、だから、公団職員として、もちろん、大学をやめて入ったのかもしれないけれども、これは新しいバージョンアップをしてこれだけの会社になっていく、それはやはり納得させなきゃ。しかし、それが、私はどこを見ても、ことごとく、何か、本当なの、大丈夫なの、裏があるんじゃないの、そうとしか見えないわけですよ。

 私はそういう形での改革というのは、決して、総理大臣が、行革のトップ、特殊法人の改革のトップと言って自慢してあるのかもしれませんけれども、結果としては自慢するに値しない改革の第一弾じゃないか。これは日本にとって私は大変不幸だと思います。あんな理屈で、あの程度の新しい構想で公団が民営化されるなら、ほかの公団だってそうですよ、これはまじめに働いて大丈夫か、私は、そういう問題を含んだ今度の改革ではないかと思います。

 そういう問題点は随所にあるわけですが、例えば一つだけ申し上げますと、これも変だなと思っているのがあります。

 新会社が民間金融機関から資金調達するとき、当分の間、政府による債務保証が可能、こういう仕組みになっておるわけですね。これはどの程度の債務保証なんでしょうか。そして、市場規律を侵すことになるんじゃないですか。だって、民間に、頑張れ、民間だったら効率的にやるよと言っておきながら、当分の間、債務保証を政府はしますよでしょう。

 これは当分の間というのもおかしいですよ。当分の間というのは今から当分の間でしょう。ところが、それは民間会社が新線建設もやらされるというか、やる場合もある。当然、新しい会社が新しい道路、新設をやる場合には、採算性のあるところから、交通量の多いところからやるに決まっているんです。ところが、後になるとやらない。後は採算性がどんどん悪くなってくる。当面、採算性のいいところは政府保証するけれども、後になればなるほど政府保証はなくなるよ。これだって何かおかしい。だから、政府保証をずっと続けるんじゃないか、こういうまた疑問にもつながってくる。

 この債務保証の理屈というものは何でありましょうか。

佐藤政府参考人 二点申し上げたいと思います。

 一つは、民営化される会社でありますから、その自主性なり、あるいはまた市場から調達する、こういうことで、新しい道路の建設等についても市場の規律を導入していく、これも大事なことかと。

 一方で、この会社は、現在、調査中、事業中の高速自動車国道を、引き続き事業を続けるべき部分も、続けていただく部分もあるわけであります。その場合に考え得ることは、債務保証がなくて多額の調達をせざるを得ないという場合に、債務保証がなくてスプレッドの幅などがどのぐらいになるか、あるいはまたどのぐらいの資金が調達し得るか、こういう面もあるだろう。

 かたがた考えますと、債務保証ができる、することができる、可能である、こういう規定は、会社の資金調達の安定、こういう面からも入れておいていただく必要があるだろう。ただし、できるだけ必要最小限ということで考えていったらどうかというのが一点であります。

 それからもう一点は、当分の間、こういう面で申し上げれば、何分にも新しい仕組みでありますから、経営が安定するまでの間、いかなる形の資金調達、いかなる内容のものが実際に可能か。やはりこれも経営が安定するまでの間という形で申し上げれば、多額の資金を調達することも確かでありますので、その間はぜひ、債務保証が可能である、こういうようなことで、一方で、安全な建設といいますか安定した建設、こうした面も配慮しておく必要があるだろう、こんなことを考慮して、基本的な枠組みの中でお願い申し上げたということでございます。

 具体的に、では、当分の間というのはどのぐらいか。

 これは難しいところでございますが、経営が安定するまでの間ということで、できるだけ早く安定していただきたいと思っておるわけでございますし、必要最小限はどのぐらいの量か、他のいろいろな例も参考にしながら、実際にどれだけのスプレッドが乗りそうかというようなことも、実態を見ながら、必要最小限ということを念頭に対応していっていただく、こういうことかと思っております。

古賀(一)委員 この前も申し上げましたけれども、この会社は、端的に言えば、説明すれば十分ぐらいかかる、ちょっと理解に苦しむシステムがあるわけであります。つまり、事業計画、代表取締役選定の決議、それから、こういうものに対する大臣の認可、関連事業の届け出。株の発行以外は公団と本当によく似ているんです。

 あと、機構との関係でも、機構との協定を結ばなきゃならぬ、業務実施計画でまた縛られる、それから、先ほど話が出ています五年ごとの協定の見直し、それから何といっても、建設調査中の区間、担当会社の大臣指定という規定があるんですね。その会社が、私のところではこれはつくれませんとなった場合に、社会資本審議会にかけて今度はやらせると。

 これが民間会社ですよ。本当に、何で民間会社にしたのか。いわゆる換骨奪胎、看板はもらったけれども、実態から見れば、ぬえのような、民間だけれども、本当は国に縛られた、機構に縛られた、そういう会社のようにしか見えないのであります。

 私は、あと、ほかにいろいろな規定もありますけれども、もうこれは申し上げませんけれども、いわば、資産も持たず、手も足も縛られ、そして助成金も出せるようになっています、あるいは将来の見直しもそうです。定かじゃありませんが、ここまで縛ると、場合によっては、将来、あめ玉つきの、何か高速道路料金徴収代行会社のような会社じゃないんだろうかという、口汚く言えば、そういうことまで批判する人もいるわけであります。

 私は、そこで、中身についてはもう聞いてもしようがないと思いますので、一点だけ大臣に聞きたいんですけれども、この論議を深める場、それは、きのうの参考人招致もありましたけれども、民営化推進委員会だったですよね。最初から民営化という言葉があり、かつ推進という言葉までついておった。道路公団改革抜本検討会でも何でもない、まさに民営化推進委員会として、この論議が深まる前にもう名前がつけられておった。これはどういう経緯で、総理の直接の御指名だったんですか、ネーミングだったんでしょうか。

石原国務大臣 これは特殊法人全般の改革で、原則廃止・民営化、特殊法人を廃止あるいは民営化。ただ、議論を積み重ねていく中で、やはり総理の、行政のアウトソーシングとして、民間では行うことのできないものはエージェンシー、すなわち独立行政法人でという整理でございますので、この道路公団も、廃止するか民営化するか独立行政法人化するか。そんな中で、民営化推進委員会、民営化を推進する委員会ができまして、民営化という結論に達したわけでございます。

古賀(一)委員 大臣、もうそろそろ、クエスチョンタイムですか、行かれるそうなので、最後に、もう質問はしませんが、申し上げますけれども、私は、もし上場するなれば、これは紙くずになることが極めて懸念される株券を国家の手によって売ることになるんじゃないか、場合によっては、NTTどころじゃない大問題になりはしないかと心配をいたしております。

 三月三日、毎日新聞社の社説でかなり強烈なことが書いてありました。特殊法人を上場するようなもの、株式市場の社会主義化ともいうべき珍事、民営化でない民営化を民営化と言い張る矛盾が政治の喜劇と国民の悲劇を生もうとしている。これが毎日新聞社説で、三月三日に載りました。

 こういうふうにまで言われる懸念、疑問、そして説明の不透明というか、わからない仕組み、それはやはり残っているんですね。私は、今後の誤りなきようするには、法律はもうできておるわけでありますけれども、本当に、どうして当初の理念を実現していくかということを、もっとやはり深く今から考えないと、これはとんでもないことになりはせぬか、かように心配をいたしております。それはもう答弁は結構でございます。

 次に、最後になると思いますけれども、プール制の問題であります。

 全国プール制については、今までもう何十年にもわたっていろいろな地域でいろいろな人から批判を受けてきたところでありますけれども、そういう今までの全国プール制の議論というものは、ある面では上っ面じゃないかと私自身は思っているんです。

 東名、名神が早くできたからそれを無料化すべきだ、これから田舎でつくるものはそっちで払えばいいという論理は、私は、基本的に言うとおかしい。それは、全国プール制の前に、高速道路の七千六百キロ、その後九千三百四十二キロというものを国幹として、基本的なインフラとして、国幹道としてつくろうと決めたときに、それは当然、財源は、一部の路線ごとじゃなしに全体で調達するというプール制は私はあったと思うんです。年金政策だって介護保険だって、一種のプール制ですからね。みんなでやって、困った人に出そうと。それはそういう面はあると思うんです。

 私は静岡県にも勤務のためにおったんですけれども、静岡の人から大分言われました。九州の道路はまだできていないけれども、静岡はもう無料開放してもらわぬといかぬと。そのとき私は反論をしましたけれども、結局、あの高度経済成長のとき、いち早く七千六百キロ、あれをつくるのに、やはり地方からつくるわけにはいかない。東京を中心に、太平洋ベルトを中心につくろうといって、金がないものだから、まず優先的につくっていくことを、地方の人は、法的に同じ位置づけの道路であっても、ずっと待っておったわけですね。そのときに、高度経済成長時期に太平洋ベルトを中心に高速道路ができたところは、滋賀の栗東を代表として、工業団地をつくり、そこに企業がたくさん張りつき、今でも固定資産税とか事業税の税収を受けているわけです。ただ先行して、いい時代にいい高速道路を立地してもらった地域というものは、今でも、過去からの補助金、これをやはりもらっているわけですよ。私はそう思うんです、マクロで経済的に見れば。

 ところが、九州なりどこでもいいですよ、三十年おくれてできた、二十年おくれでつくった。できたところはまだいい。ところが、今後つくるときは、インターは金出せ。最終的には、三十年待たせたけれども君のところはつくらぬよとか、こうなるわけですよ。

 私は、やはりそこに、政治というか、国土全体を、国民、田舎にいる人間も頑張れば、野菜をつくれば市場に繰り出せるとか、やはりそういう哲学というか、そういう思いが必要だと思うんです。それは全国プール制についての私の思いです。

 全国プール制の批判が、一つのこの民営化の発端にあったと思うんですよ。ところが、今度の法律、別のプール制が幾つもあるんです。これは私はおかしいんじゃないかと思うんですね。

 一つ。もっと悪いと思うんです。今度、高速道路と一般有料道路のプール制になりますよね。聞くところによりますと、平成十八年末に、だから再来年ですよ、再来年に日光宇都宮道路、平成二十年末に真鶴道路と浜名バイパス、ほか、平成三十年までに合計十六路線、これが要するに、償還を終わって無料開放になると。極端に言えば、二年後には無料だ。今まで何年も金払ってきたという道路が、今度の民営化によって、結局、高速道路と一般有料道路のプール制になるものだから、あと四十五年払えということになるんですか。これは一種のプール制ですよ。今までよりもっと悪いプール制だと私は思うんですけれども、そうなるんでしょうか。

佐藤政府参考人 二つの問題に対してのお答えを申し上げたいと思います。

 一つは、具体の問題として、例えば日光宇都宮等、もうじき償還期間が来る、こういうような一般の有料道路について、これもすべてネットワーク型の一般有料道路、全国プール、こういう形で四十五年延びるのか、こういうお話がございました。

 これにつきましては、それぞれ、地元の公共団体、例えば日光宇都宮でいえば栃木県でございますが、どうした形の管理をなさろうとするか。これは無料ということもあるでしょうし、あるいはまた公社で一部有料でということもあるのかもしれません。いずれにしましても、管理を引き継ぐことになる道路管理者とも相談しながら、一つ一つの道路について、どんな処理をするか、御相談申し上げたいと思います。それは、償還期間がすぐに来る、こういう有料道路についてでございます。

 次に、観念として、高速自動車国道と同様に、全国の、そういう意味で規格の高い道路のネットワーク、これはネットワーク型の一般有料、こう申し上げておりますが、これにつきましては、民営化推進委員会の意見書の中でも、高速自動車国道と一緒に料金の徴収期間を考えるべし、こういう御提案がありました。そういうふうにしていこうとすると、形の上で一緒にせざるを得ない、機能としては一緒である。

 問題は、それを、それぞれ今までの経緯も十分あるわけでございますし、それから、いわゆる高速自動車国道として、先生御指摘のプールを持ちながら、一般有料はそれぞれまた個別に考えてきたということもありますので、高速自動車国道とそれからネットワーク型の一般有料、こういう形では、料金の徴収期間を一緒にするという意味で、機構で一体的に債務を返済する、こういう形になるわけでございますが、それぞれの経理につきましてはしっかりと世の中に御説明申し上げて、個別に二つに分けて御説明申し上げようということで、業務実施計画の認可申請でそれぞれの債務の返済計画を明らかにしていただく、こういうことにしたところでありまして、これは、透明性、公開性を持って十分に御説明申し上げさせていっていただく、こういうふうに考えております。

 したがいまして、形の上で、先生御指摘の、一般の有料道路を、償還期間が間もないのに四十五年延ばすのかとか、あるいはまた、大きな高速自動車国道とさらに今度は一般の有料道路と全部一緒にしてプールにするのか、こういう御議論につきましては、それぞれ個別にしっかりした説明ができるように業務の実施計画の中でやっていく、返済計画をしっかり立てる、こういうことで世の中に御理解をいただくということを前提としております。

古賀(一)委員 最後に、もう質問というより、私の最後の意見を申し上げまして終わりますけれども、これまでの、国と道路公団という関係でも改革は容易でなかった、命じてもそう容易じゃなかったというお話が出ました。

 今度のスキームは、国、機構そして民間会社、そこにちょっと離れて社会資本審議会とか地域の市町村とか、いろいろなものがやってくる。その三つの主体がある。私は、本当にだれが責任を負うのか。民間会社が困った、機構も困った、国、何とかしてくれ。そういう三つのどこに責任があるのか。

 では、我々頑張ります、営業やって高速道路に乗る人をどんどんふやしますといったって、これは別に、給料が上がるわけでも収入が上がるわけでもない、頑張っても無意味だと。そうすると、国、機構、民間会社の三つどもえの、法案を読めばわかるこの仕組みというのが、本当に責任の所在がはっきりしない、責任のなすり合い、つくるべきものはつくらない、つくるべきじゃないものまで今度はつくっていってどこかにツケを回す、本当にそういう面ではすっきりしない形になるんじゃないかというのを心配します。

 そこで、こういうことだけをスキームをつくっても、今の道路が抱える本当の問題は解決しないと私は思います。冒頭言いましたように、やはり新直轄でやっても、交通量の少ないところにあんなに金をかけて、税金をかけて、大臣がおられませんけれども、クマしかいないような道路ということになれば、それはいずれこうなりますよ。公団は民営化した、直轄には金余っている、国は余っている、やはり道路財源はもうほかに回せ。私は、次のシナリオはそうなると思うんですよ。

 そこでやはり違うと。道路局が本当に道路、私は、極めて重要な社会資本、いまだ全国トータルでは足りないと思っています。私の地元なんかは国道たくさんありますよ。改築が終わったのはゼロですから、何しているんだと言われますけれども、それほどまだ残っていることは認めます。でも、そこは新しい時代の工夫、道路構造、レーンのつくり方にしても、金がかからない知恵にしても、やはり地域に貢献する道路づくりとか、いろいろな知恵があると私は思うんですよ。財源難、そして価値観も変わった、一定のストックもできたこの時期において、新しい時代に即したどういう道路政策、道路づくりというものがあるかをもう一回真剣に考えるということこそが私は今一番求められていることだと思います。

 そういうことで、私の方からはその意見を最後に申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 櫻田義孝君。

櫻田委員 自由民主党の櫻田義孝でございます。

 私は、まず、いろいろな法案のこともありますが、国民の目線に立った質問をさせていただきたい、こんなふうに思います。

 本日は高速道路問題について私自身が質問させていただくわけでありますが、私が非常に疑問に思っていることに高速道路無料化問題をめぐってのことがございますので、ぜひ林副大臣にお伺いしたいと思うんです。

 今回の法案では、高速道路については約四十兆円の借金を四十五年間で返済をして、あとは債務機構から高速道路会社に資産が移管され、通行料は無料になるという考え方でございます。

 一部では、この無料化というものはすぐにでもすべきであるというような議論もあるようですが、私は、ちょっとこの問題については冷静に無料化論を論じてみたいと思います。無料化はもちろん国民にとってありがたいことでありますが、果たして、高速道路は完全に無料化した方が国民にとって幸せなのかどうかという観点から質問させていただきたいと思います。

 例えば私の後輩に、某大学で土木建築を卒業して、卒論の中に、あの首都高速道路はいつまでもつんだろうか、こういう観点を卒論に選んだ男がおりまして、櫻田さん、どうなんだろうか、まだ大丈夫ですかねと。当時、東京オリンピックに間に合わせるためにはかなり工事を急いだはずだ、あれは特に砂の問題なんかが出て、川砂ではなく海からとった砂を大分洗って使ったということで余り強度もよくないはずだ、まだまだ大丈夫なんだろうかという話を聞いて、それを卒論に書いた男がいたのです。

 特に、高速道路が一体何年もつだろうか、こういう観点に立ったときに、五十年、百年はもちますよということで、東京オリンピックがたしか昭和三十九年だと思いますので、今は昭和で言うと七十九年、既に四十年はたっているわけであります。債務が返済されるまでは四十五年ということになりますと、八十五年は経過する予定であります。そうすると、百年もちますと、八十五年たったら百年までは十五年しかないわけですね。そのとき、あの高速道路は解体してしまうんだろうか。もう一回つくりかえる、再建する、そういう計画は持っていないんだろうか、私はそう思うわけであります。そのとき、あと四十五年たつまでには相当、修理、維持費がかかるのではないか、返済計画に大きく影響するのではないだろうか、こんなふうに思っているからであります。

 解体をするのか、もう一回建て直すのか、その辺の基本的な考え方もぜひお聞かせを願いたいと思います。そのとき、もう一回解体して、解体費は無料なのか。四十五年たったら無料になっちゃいますから、そのときは、つくり直すときは全部税金で今度はつくります、維持費も全部税金でやります、こういう観点なのか、ぜひお伺いをしたいと思っております。

 また、昨年、衆議院の総選挙があったわけでありますが、高速道路無料化というものを選挙の公約に出してうたった政党があるように聞いております。

 しかし、私は、無料化というとみんな喜ぶのかなと思いました。そうしたら、私の知っている運送屋さん何件かに聞いたんです、あるいは観光会社の人に聞いた。櫻田さん、選挙でそんなばかなことをなぜ言うんだ、こう言われました。いやいや、うちの党はそんなことを言っていないよ、四十五年後はどうかわかりませんけれども、今そんなことは言っていないんだよと。高速道路を無料化にしたら、下と上と、一般道路と同じじゃないか、交通渋滞を起こして、観光や、お客さんを運ぶのに予定が組めないじゃないか、交通渋滞じゃないか。運送屋さんは、新鮮な野菜だ、何だかんだいろいろな、生野菜だとか魚だとか、いろいろなところ、地方にあったものを中央に運ぶために便利がよくて有益という議論がありますが、交通渋滞ではそういうサービスもできないではないかと。

 こういうことで、無料化というものは、交通渋滞というものを余り意識していない現在の通行量で無料化にするのならば高速道路としての目的は達成されるでありましょうが、それを、ただ通行量の増加することを計算しないでの無料化については問題があるというふうに多くの国民は思っているのではないだろうか。

 私は、四十五年たったならば、完全無料化ということではなくて、半分にするとか三分の一にするとか、せめて通行料を低額で払っていただいた方に、維持費ですとか修繕費ですとか、さらに、寿命が来て新しくつくるときのために蓄えるとか、そういって初めて民営化らしい会社になるのではないかというのが私の考えでありますが、政府の所見を副大臣にお願い申し上げます。

林副大臣 櫻田委員の私見は理解できるところもありますけれども、知ってのように、いわば道路は国民共有の財産でありまして、極めて公共性が高いわけでございますし、原則、通行自由でただということでありまして、有料道路制度というのは、厳しい財政事情のもとで、早く道路を建設しよう、早く道路を整備しようということから特別措置として導入したものでございまして、借金というか債務が返済されれば、もうそこは無料開放というのが前提だろうというふうに思います。

 御指摘の、一般有料道路あるいは本四道路について今行われておるというか実施しております維持管理有料制度についても廃止するということにしたわけでございます。

 管理費の穴を料金で賄うという考え方もないことはないでありますけれども、現時点では、債務返済後には想定をしていないところでございます。

 また、民営化後四十五年たって云々の話がございましたけれども、大都市圏の環状道路の整備は急を要しておりますけれども、渋滞解消など、いろいろな観点から常にいろいろな工夫を凝らしながら着実に整備していくことが求められてきておりますし、また、それを進めていくことになろうかと思います。とすれば、現在に比べて充実したネットワークがつくられてきているんではないかというふうに考えておりまして、その時点では、無料開放したとしても、高速道路の一定の定時性そしてまた高速性は確保できるものというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

櫻田委員 それでは、高速道路の機能は保てる、そういう観点でありましょうが、混雑の回避ということについては今のところ考えていないということでございましょうか。

佐藤政府参考人 今、副大臣からお話し申し上げましたように、四十五年後、こういう状況で申し上げれば、逆に言いますと、べし論といたしましても、ネットワークを充実して、そして有料道路を仮に無料化したとしても、その状況においては大きな混雑が生じないような、そうしたきちっとしたハード、ソフトの充実を図る、これが大事なことだということを申し上げたわけでございます。

 そこでもう一つ大事なことは、国際的に見ますとロードプライシングというような形で、あるいはTDM、需要コントロールというような形で道路に対する課金、これは高速道路、有料道路と限らずに考えることが政策として検討し、実行されている部分もあるわけでございます。これにつきましては、そうしたことの有効性等について、あるいは妥当性について幅広い観点から御議論をいただく、こういう必要があろうかと思います。

 これは有料道路制度とまた少し趣の違う問題として、世界じゅう、いろいろ試みもあるところでございますし、日本においてもそういう面での検討というのは私どももやっているわけでございますので、また別の観点から御議論をいただく必要があるんだろうと思っております。

櫻田委員 それでは、無料化については今後もいろいろなことを工夫するということで、渋滞回避もいろいろ今後とも検討していただきたいというふうに思います。

 それでは、百年近くなる八十五年の後については、もう一回解体をしてつくり直すということで、それは全部税金で今度はつくる予定だということでよろしゅうございますか。そこまではまだ検討していないということでよろしいんでしょうか。

佐藤政府参考人 既に日本の場合には、名神あるいは首都高速、四十年以上経過して、言ってみれば、先生御指摘のように、四十五年後には一番早いのは八十五年経過する、こういう形になるわけであります。しかも、当初の予定した交通が、車両が、もともと大きなものが走るようになっておりますし、交通の量的にも随分多いものがある。そこで、構造物全体としてとてもこれは耐え切れなくなる、こういうようなことがあるのではないかというのが御質問かと思います。

 これはメンテナンスとの関係でもございまして、それこそ人間の寿命に近いかなというふうにも思ったりしておるわけでございますが、コンクリートの構造物あるいはメタルの構造物ともに、良好なメンテナンスをすれば五十年以降も、百年あるいは百五十年という形で、既に実例もあるわけでございますが、良好なメンテナンスをすれば対応することができる。

 しかしながら、一方で、その辺をおろそかにしますと、コンクリートはぼろぼろになって、かけかえざるを得ない、あるいはまた、地震等の耐力が十分期待し得るかというような問題が出てくるということも事実でございます。したがいまして、できるだけ良好なメンテナンス、補修をしていく、これが大前提でございます。

 そこで、次に、本当に危なそうなことが生ずる場合、これは民営化した会社にすべて自分でやってくださいということが難しいかもしれません。その大規模な修繕あるいは更新の状況に応じて、国、機構、会社、それぞれがよくよく相談しながら、大規模な更新が必要だ、こういうような状況が出てきたときにはまた相談すべき問題かと思っております。

櫻田委員 引き続き、せっかくでございますので、道路局長にお伺いいたします。

 高速道路、私は毎日のように高速道路を通ってうちへ帰ったりなんかしているわけでありますが、常磐自動車道、首都高速を利用するわけです。私はちょっと不思議にいつも思うのは、トンネルをくぐるときいつも不思議に思うんですね。ヘッドライトをつけながら車で通っていくんですけれども、夜なのに、あのトンネルの中の明るさ、昼間と全く同じような明るさで、局長、一度ぜひ首都高速、常磐自動車道を通っていただきたい。こんなに明るい必要あるのだろうか。

 よく、昼間は、明るいところから急に暗いところへ行ったんじゃ危険だということでわかりますが、夜は、半地下道路を使っているところもありますので、その前に夜空の見えるようなところを使っている場合よりも、はるかに夜空のないところのトンネルの方がらんらんと光っているのを見ると、私は、三分の一ぐらいの明かりで十分ではないだろうかなというふうに思います。

 ちなみに、これから経営再建ということを考えたときに、三分の一ぐらいに落とせないのかどうか、経営再建でありますので、ひとつ御検討を願いたい。

 そして、私は、高速道路に、高速道路というのは基本的に人が歩いて通るということを想定しないところでありますので、夜でも過重な明かりは要らないんではないだろうか。ヘッドライトが照っているわけですから、レインボーブリッジとか横浜のベイブリッジのような景観が必要な、町の夜の美学が必要とされるような、そのようなものは例外でありますが、一般の通る道路はもっと実利主義、経済コスト最優先の主義でやってもいいのではないだろうかというふうに思います。

 ちなみに、電気代三分の一にした場合はどの程度全国的に節約できるのか、試算があればお聞かせ願いたい。

佐藤政府参考人 トンネルの照明につきましては、外界との明るさの、急に明るいところから暗いところに入ったらブラックホール、それから、暗いところから明るいところへ急に入りますと今度はホワイトアウト、目がなれるまでに多少時間がかかるというようなことで、トンネルなんかの照明も、そんな面も考えながらということであります。

 基本的には、夜と昼とで違うじゃないか、こういうこともありまして、夜間は昼間に比べて減光して、大体半分とかいうような形で照度調整を行っているということではありますが、確かに先生御指摘のように、昼夜の問題、あるいはまた、それぞれのトンネルの照明そのものの明るさは実はガスの濃度なんかも一つあって、このぐらい明るくしようというようなことをセットしているところもあります。そうしますと、実はそんなに込んでいないのに、そのまま渋滞しているつもりでつけておくと明る過ぎる、こういう問題もあるわけでございまして、多分、照明一つとってみても、もっときめ細かく節約する、そして、それでもなおかつ問題が生じない、こういう余地が、先生御指摘のようにあろうかと思います。

 そういう面で申し上げますと、高速道路全体の、四つの公団の照明灯の関連の電気代が年間九十三億円ございます。したがいまして、これはいきなり三分の一というわけにはいかないかもしれませんが、一割でも九億、十億、こういうような形の電気代の節約が可能、こういう面もございますので、単に基準どおりにやればいいとか、あるいは、多少オーバー目でもいいじゃないかというような運用ではなくて、きめ細かくきっちりと、安全性も確保しながら、なおかつ十分な節約ができる、こういうような努力を引き続き公団の間にもしていただきたいと思いますし、それをまた会社になってももっと一層やっていただく。そのために、今のうちからできるだけの節約を公団に対して指導してまいりたいと思っております。

櫻田委員 ぜひそれをお願いしたい。小さなことでありますが、大きなものをやるには小さなことから始めないとできないように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 たしか、あのオイルショックのときに、一時、高速道路は街灯を消したりした経験があると思います。そのとき、特別、苦情が出たとか、あるいは事故が頻繁に起こったとか、そういうことは私のところでは聞いていないので、多分ないと思いますので、その辺も精査しながらお願いをしたいと思います。

 これについては結構ですから、時間がないので次に行きますが、私のところに東京外環道があります、その外環について、林副大臣、お願いをしたいと思います。

 国策として真に進めるべき都市部の高速道路建設についてでありますが、私の地元、副大臣もそうですが、千葉県において、東京外環道路が完成を見ないでいるわけであります。本来ならば、首都圏の交通体系というものが、国策として、首都圏は三環状九放射の道路が整備されて初めてパリやロンドンのような、国際的にも認知されるような都市になると思うんですが、いろいろ現実問題として複雑な土地の問題が絡みまして、進展はしていないわけであります。

 三十五年前の昭和四十四年の五月に、道路幅四十メーターで都市計画化されて、その後ずっとできなくて、平成八年十二月の都市計画変更を実施して、道路幅を六十メートルに広げ、それで今現に着工しているわけであります。工法も高架から半地下方式に変更して整備することになっておりますが、当時の担当者から聞きますと、工事費も昔予定していたよりも十倍になってしまって一兆円近くになってしまうのではないか、こういうようなことが想定をされているわけでありますが、首都圏の環状道路こそ、国策として早急に建設しなければならないと思っております。

 その中で、民営化された場合は、採算の問題もさることながら、こういう国策として最も重要視せねばならないようなところはきっちりと国が責任を持って整備していただけるものと信じておりますが、副大臣の所見というか決意、約束のほどをお願い申し上げます。

林副大臣 櫻田先生御指摘のように、東関道、常磐道、東北道あるいは関越道、中央道、東名など高速道路を相互に連絡する東京外郭環状道路、これは極めて重要な道路であるというふうに認識しております。

 御指摘のありました、諸外国と環状道路を比較いたしますと、整備率でロンドンが一〇〇%であるのに、北京八二、バンコク七九%に対しまして、東京は二三%と大きく立ちおくれているのが現実でございます。

 今後の高速道路の整備につきましては、費用対効果あるいは採算性、そして、厳格かつ客観的な事業評価を実施しながら、選択と集中の考え方のもと、コスト縮減を図りながらスピードアップに努めてまいりたいと思っております。

櫻田委員 では、いろいろなことを考えながらも整備を進めていくということで、責任を持ってやりますということで間違いございませんね。返事がありましたね。では、これで終わりにします。

 次の問題、これも千葉県の問題ですが、外環同様、国家プロジェクトといえば成田空港も国家プロジェクトの一つとして、国の玄関としての役割を果たしております。

 その中で、成田から東京に来る東関東自動車道のみの成田空港アクセスが、非常に交通渋滞でなかなか、東京から成田が余りにも遠過ぎるのではないかという誤解のもとになっております。それはなぜかというと、交通アクセスがちゃんと整備をされていないからであります。その中で、私は、ぜひこの成田―東京という交通アクセスを、もっともっと交通渋滞を少なくして、世界に誇る日本の国際空港として恥ずかしくないようにするには、何としても交通渋滞を解消しなくちゃならない。

 そのためには、先ほど言った東京外環の整備と、あれと同じように、外環からニュータウンそれから成田、この路線の道路の整備も絶対必要ではないか。そして、そうすることによって東関道が大幅に改善をされるのではないかというふうに思っております。

 それで、私がこの前、自由民主党の首都圏委員会で、杉浦委員長とお供をしながら視察をさせていただきましたが、ニュータウンの中にもう道路建設用地が買収してあって、金払っちゃってあって、そのまま工事に着工されていない延々と長いあの道路、ありますね。あれをいまだ着工しないというのは、国費のむだ遣い以外の何物でもないと私は思うのであります。早急にあれを整備すべきだ。

 そして、既に土地が買収されてあるところをまず第一にやって、買収されていないニュータウンと環状線、そしてニュータウンと成田のまだ買収されていない計画道路について早急に買収をして整備することが、国策としての東関道の質をレベルアップし、成田が日本の顔としてのイメージアップにつながると思いますが、その辺の、整備区間と土地の買収区間と未買収区間をあわせまして、予定をお知らせ願いたいと思います。

林副大臣 御指摘の路線はおっしゃるとおりだと私も思っておりまして、北千葉道路は、平成十三年八月二十八日に都市再生プロジェクトに位置づけられました、延長約四十五キロの大変重要な路線だというふうに認識しております。

 お話がありましたように、鎌ケ谷―印旛村までの二十一キロ間でありますけれども、ここは約八割程度が用地買収が完了しておりまして、国道四百六十四号として二車線もしくは四車線で既に供用しているところでございます。

 また、印旛村―成田市の十四キロにつきましては、今、成田新高速鉄道と一体となって環境影響評価手続を進めているところでございます。

 現在、オオタカなど動物の希少種などに関する追加調査を実施しておりまして、平成十七年度の都市計画決定を目指して、今年度中には環境影響評価準備書の公告縦覧を実施する予定でございます。

 都市計画終了後には、成田新高速鉄道の用地買収にあわせて、必要な区間から用地取得に着手をしていくという予定でおります。

 なお、既に都市計画を決定しております市川―鎌ケ谷間九キロにつきましては、県及び国において、東京外環道路の整備状況を見ながら、その時期について検討してまいりたい、このように思っております。

櫻田委員 早急に調査をして、完了させて、着手することがいかに国益にかなうかということは、地元であられる林副大臣がだれよりも知っていると思いますので、力強く推し進めていただきたい、かように思う次第でございます。

 それと、余り時間がなくなってあれですが、同じくらい重要な問題として、首都圏の中の交通渋滞というものが非常に気になるわけです。三環状の中の圏央道が関東地区に位置されておるわけですが、その辺もしっかりと整備をすることがやはり首都圏の交通体系を完成させる大きなもとだと思っておりますが、その辺についても決意のほどをひとつ聞かせていただきたい。予定です。

林副大臣 御指摘の圏央道でありますけれども、外環、中央環状線と並んで首都圏三環状道路の一つでありまして、大変重要な路線だというふうに思っております。

 圏央道は総延長三百キロで、事業費が三兆円規模でございまして、現在二百六十六キロを事業化しておりまして、そのうち、二十八・五キロプラス一・五キロの約三十キロが供用をしているところでございます。

 完成時には、圏央道の内側といいますか、首都圏になるわけでありますけれども、その主要渋滞ポイント六百カ所が多分解消されるだろうということでおりまして、走行時間の短縮やら燃料費の減少などなど、その効果は年間四兆円になるだろうと予測しているところでございます。

 今後は、順次供用を図りながら、早期にネットワーク効果の発現に取り組むのが重要だろうというふうに認識しておりまして、圏央道西側区間である横浜横須賀道路と東北道を結ぶ約百三十キロ、ここは供用している区間もありますけれども、これは都市再生プロジェクトにおきまして、平成十九年度までに供用するということを目指して今取り組んでいるところでございます。

櫻田委員 最後に一つ。私は毎日のように高速道路に乗るということはお話しさせていただいたんですが、高速道路に乗るたびにちょっと不愉快というか、余り感じがよくないのに、遮音をするときの高速道路の塀がありますね。あそこは、コンクリートだとかそういうのが非常に多いわけです。もし、高速道路とか、全部緑のツタに囲まれた、ツタの緑の回廊を通るようなことだったら、乗っている者も運転する人も、どれほど気分がいいだろうか。そして、どれだけ排気ガスを吸収する、二酸化炭素を吸収してくれるんだろうかと思うと、緑の高速道路を私は早急に充実させていただきたい。高速道路に、ヒートアイランド現象だとか緑の国づくりとかというものにもっと予算をつぎ込むべきだと思いますので、局長、ひとつお願いを申し上げます。

佐藤政府参考人 道路の緑化は大事な問題だというふうに思っております。緑豊かな道路空間の形成、自然環境の保全、あるいはCO2の吸収、良好な景観の形成、こうした観点から、積極的に進めるべき問題と思っております。

 高速道路の遮音壁につきましては、土工部といいますか、橋梁の上なんかですとちょっと難しいんですが、土工部につきましては約八〇%緑化をして、ツタ等を生やしたりしているところでございます。

 先生御指摘のように、さらにこうしたことを一生懸命努力して、より安全な、かつまた走りやすい高速道路、こうした観点からも積極的な推進を図ってまいりたいと思っております。

櫻田委員 以上で終わります。よろしくどうぞ。

高木(陽)委員長代理 西川京子君。

西川(京)委員 自由民主党の西川京子でございます。

 今回、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。九州の熊本県に住む身といたしまして、ぜひ一度、この国土交通委員会で高速道路の問題を質問してみたいと思っておりましたので、本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 今回、この民営化法案が提出され、民営化に向けてずっと長い間さまざまな議論が交わされてきたんだと思います。そういう前提の上で、何を今さらという質問になるのかもしれませんが、私は、やはりずっと疑問に思っておりました。まず民営化ありきというところからこの高速道路の問題が始まってしまったことに、私は大変大きな疑問を持っております。

 本来、昔から、人と物が行き交い、そしてさまざまな文化交流の場となった道というもの、道路というものは、当然、国が責任を持ってつくり、管理するものだと私はずっと思ってまいりました。国会議員になるまで、そもそもずっとそう思ってまいりました。そして、高速道路の問題が浮上して、一気に民営化という話にどんどんどんどん物事が動いていってしまったこの何年かを見ておりまして、大変私は不思議な思いを持ちました。

 それはやはり、今回のこの民営化の議論が、特殊法人改革の問題の中での道路公団の総裁の退職金の問題とか、あるいは地方道路の中での政治家とのいろいろな問題など、そして、その中での、地方の高速道路はだれも通らない、イノシシやクマが通るだけだというただ一人の人の発言、それがひとり歩きし、どんどんどんどん瑣末な議論でこの道路の問題が語られたような気が私はいたしております。

 それで、まず根本的に、高速道路、国でやるべきなのか、民営化という方向が、本当にどっちがいいんだという根本議論が余りされないまま民営化の方の議論だけが先行したような気が、私はどうしてもしてなりません。

 今回、この法案に向けての中で、大臣として、本来、道路というのは国が責任を持ってつくるものだ、私はそう思っておりますが、副大臣の御所見をお願い申し上げます。

林副大臣 御指摘のとおり、道路は国民共有の財産でありまして、原則通行自由で無料というのが自分の認識でございます。

西川(京)委員 今、世界のどこの国でも、高速道路ネットワークというのは大変、すべての経済活動、人の交流、観光あるいは安全保障、セキュリティーの問題、そういう中で、これは絶対必要だという方向で、あらゆる国で、先進国ではびっちり整備しなければいけないという方向になっていると思うんです。

 その中で、一つ日本だけが、いろいろな今までの経緯があると思いますが、高速道路は悪者論、高速道路をつくることは余りいいことじゃないということが、マスコミを通じての一つの喧伝もあると思いますが、国じゅうに行き渡ってしまったような気がいたしております。決して高速道路ネットワークをつくることは悪いことではない、むしろ一番国として大事な大事なことだと思っております。それが、国民にそういう一つの印象を与えてしまったという最初の一番の不幸がこの高速道路の民営化の問題の中にあると思うので、そのことは一つ指摘しておきたいと思います。

 そして、この民営化議論の中で、私たち政治家や現場のいろいろかかわっている人はしっかりとわかっていることだと思うんですが、この高速道路の民営化の問題の中で、一番いい例として、JR、国鉄の民営化が大変成功した、ですから道路も、いろいろな高コストの体質だとかファミリー企業の問題、あらゆるいろいろな問題の中で、民営化すれば絶対高速道路もうまくいくという議論が恐らく出てきたんだと思うんですね。

 その中で、JRの民営化は、確かにあの状況の中でああいうやり方しかなかったんだろうということは私も理解できますが、結果としてJRの民営化が成功したのは、地方を切り捨てたからです。地方の本当に採算の合わない路線を全部廃止したわけですよね。廃止して、その借金を全部棚上げしたわけです。そして、その借金というのと道路公団の負債というのが、国民は、恐らく、全く混同した同じものと思っていると思うんですね。そこが私、やはりきっちり仕分けして整理しなければいけないと思っています。

 国鉄の赤字は、少なくとも、経営体質の長い間の積み重ねの中の赤字、純粋な赤字だと思います。それを二十八兆円棚上げした中で、それを今一般財源で、たばこ税その他で返済しているわけですね。まさに多大な税金投入ですよ。そのあげくに、一民間企業に全部それを与えて任せてしまっている現実というのは、果たして公正なやり方なのか、私は非常に疑問を持っております。

 まずそのことを申し上げた中で、今回の道路公団の民営化の四十兆円の負債というのは、少なくとも、日本が非常に経済力のまだ微々たるときに、高速道路ネットワークの必要性の中で道路公団方式、有料道路方式というのを考え出した一つのアイデアなわけですね。その中で、道路をつくるために、まずお金を世銀なりなんなりから借りる、あるいは財投から借りる。そういう中で、それは返すのは当たり前の話のことであって、経営上の失敗によってできた借金とは質が違うと私は思うんですね。そういうことのきちんとした国民に対する説明という機会が私は非常に少なかったような気がします。

 ですから、私は今回、今もうこういう中で民営化法案が出されて、今さら民営化反対とかそういうことの議論は余りするつもりはありませんが、少なくとも、その辺のところの仕分けをきっちりと国民に説明する機会がもっとあってよかったのではないか、そういう思いを持っておりますが、副大臣、いかがでしょうか。

林副大臣 西川先生の御指摘がありましたけれども、民営化について、今度の民営化の目的はということでございますけれども、御指摘がありましたように、約四十兆円に上る債務の返済がまずその第一でございます。

 そして二番目に、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重して、早期に、できるだけ少ない国民負担のもとで建設するということであります。

 三番目に、民間ノウハウを活用して、できる限り自由な事業展開を可能にすること。例えば、弾力的な料金の設定だとか、サービスエリア、パーキングエリアの運営、活用でありますとか、道路資産を活用した関連事業、情報通信事業とかもろもろのものがありますけれども、そういったものについて取り組むということにあると考えているところでございます。

 御指摘があったように、従来の公団では、償還期限の先送りやら、あるいはプール制の拡大やら、採算のとれない路線も含めて、道路建設に歯どめがきかないというのがございました。そしてまた高コスト体質、すなわち建設・管理コストの削減意識が非常に乏しいということでありますし、三番目には、天下りなどのファミリー企業との関係が不透明であり、不明朗だというような、さまざまな批判や指摘がございました。

 これらの批判につきまして、公団組織を維持したままでは十分な成果を上げることができないということになったわけでございます。

 このため、民間にできることは民間にという方針のもと、組織の大改革を通じて、これらの課題を根底から見直すということにしたわけであります。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 私、道路公団の今までのやり方がすべていいとは絶対思っていません。確かに、高コスト問題とか建設のコストの削減、あるいはファミリー企業の透明化、そして、いつまでずっと続くんだろうかという不安感、歯どめがなかった、その辺のところは私も十分わかっているつもりでございます。

 今回、民営化の議論の中でそういうものに対する見直しがきっちりなされたということは、私もその意義は十分にわかっているつもりでございますが、一つ私が納得できないのは、本来税金でつくるべきものだった高速道路を、借金をしてつくってきたわけですね。その経緯があるわけです。でしたら、少なくともその借金返済の中に何がしかの税金は投入していて当たり前だったんじゃないんでしょうか。一千億の税金投入というのが打ち切られ、いや、税金は投入しないということになりました。しかし、これはあくまでも、利用者負担だけでなく、当然税金もある程度の、何割かはお手伝いしなきゃいけないはずだったんではないか。私は、そこはどう考えても納得できないところがあるんですが、その件について、副大臣、どんなお考えですか。

佐藤政府参考人 先生御指摘のように、平成十四年度まででございますが、高速自動車国道につきましては、その建設に対して、出資及び利子の補給、こういう形で、十四年度、約三千億円の国費が入っていた、これは事実でございます。

 これからの整備なり管理のあり方を考える、こういう中で、いつまでも歯どめがないんではないか、こういう御指摘から、平成十三年の十二月に、特殊法人等の改革の閣議決定といたしまして、道路関係の四公団につきましては、特に日本道路公団につきましては、国費を投入せずに、五十年以内でできるだけ早く債務を返す、こういうふうにお決めいただいたところであります。

 これはこれで、有料道路制度をどこまで活用するか、その前提をどう置くか、こういう議論になるわけでございますが、そういう意味では、国費を入れない、それだけの体力も蓄えてきたという状態の中で、五十年以内という限定をしながら、二千キロに上る整備計画の未供用区間をそういう意味で工夫しながらやっていくべし、こういう方針でありましたので、それは一つの考え方として、今副大臣が申し上げましたように、抜本的な民営化という枠組みの中で解決を図る、こういうことにしたものでございます。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 次に、今回、この民営化の法案が通ったといたします。そうしますと、私がやはり一番危惧しますのは、どうしても、民営化ということになれば、当然、効率あるいは採算性、そういうもので物事の判断というのが最優先になると思います。その中で、本当にこれからこの枠組みの中で地方の高速道路、整備してもらえるのかという感覚ですね、地方に住んでいると。そのことが大変危惧されます。

 特に地域にとっては、本当にこれは単に経済、物流の問題だけでなくて、今、地方はまだまだ大変厳しい経済状況にあります。深刻な雇用の問題あるいは脆弱な産業基盤の問題を抱えて、何とか今、少しでもいい方向に向かいたい、そういう中での高速ネットワークというのは、まさに一番の大事な大事な手段であるわけです。地域再生。

 そしてもう一つ、やはり、私のように母親の立場、主婦の立場で今まで経験してまいりましたが、本当に身近な例で、高速道路が通っていたら助かったのにという医療、救急の場面での情けなさ、そういうものもあります。そして、災害時の、たった一本の国道しか通っていない中での代替の道路がないという現実もあります。そして、先ほど申し上げましたように、JRの廃線による中で、唯一の手段が道路なわけですね。そして、その高速ネットワークが整っていないというのは、本当に地方に住む人間にとってはまさに不安なわけです。その中で、今、三位一体の改革その他のすべてが地方にそのしわ寄せが来ている。

 そういう中で、本当にこの今の枠組みの中で地方の高速道路、きちんと整備してもらえるのか、そのことをぜひ約束していただきたいという思いで質問させていただきます。

林副大臣 地方の高速道路並びに高速道路のネットワークを整備しろというような発言でありましたけれども、御案内のとおり、我が国の整備状況は、先ほど申し上げましたように、諸外国と比べて極めておくれておるのと、加えまして、高速道路のインターチェンジから十分以内に到達が可能な、拠点的な空港やら港湾まで十分以内で行けるというのは、アメリカで九一%、ヨーロッパで八四%あるのに対しまして、我が国では六一%というような状況でもあるわけでございます。

 今後の整備に対しましては、先生御指摘にありましたけれども、採算性あるいは費用対効果、加えまして、救急医療にも到達できるような、高速道路から利用できるようなことを踏まえて、外部効果といいますか、そういったものも取り入れまして厳格な評価を実施しているところでございまして、選択と集中の考え方のもとで、必要な道路に関しましては、コストの縮減を図りながらスピードアップに努めてまいりたい、こう考えております。

西川(京)委員 くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 やはり、その費用対効果、いろいろな地方の高速道路がろくに車が走っていないという話ももちろんあります。しかし、これはあくまでもつながってからの話でありまして、まだ未着工区間を残したままの途中までのところで、それをどれだけの人が利用するかという問題があるわけです。きちんとそれが全部つながった中で、ネットワークが完成した中で本来の高速道路の意味があるわけでございますので、ぜひ地方の高速道路も一緒につくっていただきたいと思います。

 今思いますと、名神高速道路ができたのは、私の大学生、もうちょっと若かったでしょうか、はっきり言いたくありませんけれども、今ウン十年たちます。まだ我が九州には完成していないという現実がありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今回の民営化の案の中で、やはり採算性がかなり厳しいだろうというところに対しては新直轄方式ということが採用されます。このことは、私たち、どういう形ででもつくってくれたらありがたいとは思うんですが、この中でちょっと心配なのが、やはり地元負担があるということですね。新幹線でもそうでした。東海道新幹線あたりはもうほとんど全部国費でつくっているわけで、地方に行くと必ず地元負担という問題が出てくる。これは地方の人間にとっては、一体何なんだという思いがあります。長い間待たされて、あげくの果てに地元負担かと。

 そういう問題が常につきまとうわけでございますけれども、この地元負担に対する交付税措置、裏打ち、そういうものはあるんでしょうか、総務省、お願いいたしとう思います。

瀧野政府参考人 お答えいたします。

 今回の新しい直轄方式に基づきます地方負担に対する財政措置でございますけれども、ただいま御指摘ありました新幹線に対する措置なども考慮いたしまして、我々といたしましては、地方債を九〇%充当いたしまして、その元利償還金につきましては五〇%を事業費補正という形で交付税で措置していきたいというふうに考えておるところでございます。

 そういった措置によりまして、必要な高速道路の建設ということは進められるのではないかというふうに考えているところでございます。

西川(京)委員 今、総務部会の方では三位一体改革の話が、本当に皆さん必死の思いで議論を重ねています。くれぐれも地方の厳しい財政への御配慮をお願いしたいと思います。

 今、やはり日本じゅうを見てまいりまして、九州、まだまだ本当に高速ネットワークもできておりません。真ん中に九州縦貫道が一本できて、横の方に少し長崎自動車道ができておりますが、その中で、例えば熊本と宮崎は、隣接県でありながら、県庁所在地間が直接につながる道路が一本もないというような状況があります。

 そういう中で、この九州横断道路、あるいは、私が今住んでおりますところに関係しております南九州西回り自動車道、こういうものが、新直轄とかいろいろな今の枠組みの中で予算が切り捨てられていかないのか。同じパイの中で取り合いの中での本当に厳しい選択になってしまうのか。九州横断道路に対する一つの目安、そういうものをお聞かせいただけたらありがたいのです。

佐藤政府参考人 先生のお話は、新しい直轄方式で高速自動車国道の整備をする、こういうことになると、二つの御心配を申されておられるんだと思います。

 一つは、高速自動車国道の方で、新直轄でやるとは言いながら、十分ちゃんと事業費が予算上フォローできるのか、こういう問題が一つ。それからもう一つは、一方で、国道のバイパス等も大変気になるので、そういう意味では南九州西回りというお話だったかと思いますが、今度そちらの方は、一般国道、バイパスの自動車専用道路として事業をやっていますが、そっちへまたしわが寄らないのか、こういう両様の御指摘だったかと思います。

 そういう意味では、いろいろ厳しいところがあるわけではございます。しかしながら、高速自動車国道の新直轄という方から申し上げますと、二千キロの未供用のうちの、既に昨年約七百キロ、総事業費では二兆六千億程度の事業費を持っておるわけでございますが、約七百キロ、新直轄事業、こういうことで移管、移行させていただいた。

 これの手当ての方につきましては、地方負担の方は、今、総務省の局長の方から御答弁いただいたわけでございますが、全体として、平年度化いたしますと二千億ぐらい、国が四分の三、地方が四分の一でございます。そういう意味では、二千億のうちの千五百億と五百億に分かれるはずでございますが、地方の負担の方は、財政の状況に応じて更新時期の特例でかさ上げする、こういうことになっておりますので、実は、平成十五年度、十六年度の事業で申し上げますと、地方負担の分は二五%ではなくて大体一五%ぐらい、こんな形になっております。そこを、今、瀧野局長が御答弁していただいたように、地方の負担の方も裏打ちをしながらやらせていただく、こういうことかと思っております。

 十五年度以降の自動車重量税の国と地方の負担割合を変えていただく中で、地方負担のマクロな手当ての方はさせていただいた、こういうことでございますので、総務省の方の運用をよろしくお願い申し上げれば、厳しいですが、何とか事業を重点的に投資が可能かなと。

 次に、一般国道の自動車専用道路の方でございますが、そういう意味では、南九州西回り等を含めまして、直轄の国費、平成十六年度で申し上げますと、国費としては全体が約一・五兆円ございます。

 この中で〇・四兆円の維持管理費を、十分な保守点検と維持管理を行いながら、残り分についても、今の新直轄を含め、また一般国道のバイパス、自動車専用道路あるいはまた地域高規格道路、さらに電線の地中化あるいは歩道の設置、交通安全、こうした問題を含めて、一兆円の中でさまざまな重点的な投資を行いながら、集中と選択、こういう形で、大きなしわが寄らないようにといいますか、むしろ、コストの縮減等も含めて、今まで以上の事業の進捗を図り得るような、そんな努力をみんなでしてまいりたいと思っております。

西川(京)委員 優先も含めて本当に、お役所も大変でしょうし、地方も大変です。何とかそこを探りながらも整備をしてもらいたいという思いでいっぱいでございますけれども、やはり維持管理の問題、そういう費用まで含めて、本当にこれから真剣に検討していかなければいけないと思いますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 以上、私の通告した質問はこれで終わりなんですが、あと何分かちょっと残っていますので、先ほど櫻田議員が御指摘されました、高速道路のコンクリートのフェンスの問題で緑をというお話がありました。

 そこで、私はもう一つつけ加えて申し上げたいのは、日本の間伐材の利用をぜひ考えていただきたいということです。

 とにかく、今、日本の山が荒れ果てております。世界の環境を救うのは日本の木材を使ってくれることが、少なくとも、世界の大河を守り、ジャングルを守りということになるんですが、なかなかその国民的コンセンサスもいま一つですし、間伐材の利用ということが行われません。これはぜひ国土交通省で、遮音壁その他で日本の間伐材を使うという方法をよくよく考えていただきたいと思いますが、一言。

佐藤政府参考人 間伐材の活用についてのお尋ねでございました。まさしく大事な問題だと思っております。

 実は、一つ申し上げますと、ガードレールやガードフェンス等、間伐材といいますか、強度が要らない場合には木材で十分なわけでございまして、そうした試みもしております。あるいはまた、強度が必要な場合にも、強度に応じたような、そんな工夫もしております。

 大事なことは、多分、今まで、間伐材なのにという問題がありまして、強度がそれほど要らない、歩行者が路外に、歩道から、ちょっと高いところから落ちる、これは歩行者用の防護さくというようなものは強度がそれほど要らないんですね。こういう場合には間伐材をどんどん使おうと。あるいはまた、歩車道の分離で強度が要らないようなガードフェンスはそうしたもので十分だという状況が結構あるものですから、そういうところで間伐材を使おうと。

 実は、この四月から、防護さくの基準、標準なんかもそんなふうに、できるだけ間伐材も使ってくださいというようなものも出させていただいたところであります。

 問題は、間伐材を使う場合に、防腐剤処理して、それでペイントといいますかニスも塗ってきれいにして五年、十年もたせる、こういう考え方に立つと、実はメタルのガードフェンスなんかよりも高くなったりする、こういう問題もありますので、定期的に入れかえるとすればそこまで加工も要らないだろう。そうした工夫もするようにということで、それぞれの整備局あるいはまた県の方にもそんな依頼も出したところでありますので、先生の御趣旨のように、できるだけ間伐材の利用の促進に努めてまいりたいと思っております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 本当に、いろいろむだなお金をかけて高くする必要はないんです。もうそのままで使っていただいて、腐ったらかえてもらえば、それが大事なことなんで、繰り返し使っていただくということが大事ですので、御検討いただきたいと思います。

 実は私は、石原国土交通大臣とそもそも論をしたかったのですが、本当に、クエスチョンタイムでお忙しくて残念でございます。またこの次の機会にぜひと思います。

 きょうはありがとうございました。以上で終わります。

高木(陽)委員長代理 下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 本日、最後の一時間のお時間をいただきまして、ありがとうございました。あと一時間、本日だけでございますけれども、ぜひすばらしい回答をお願いしたいと思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 私の方は、まずは、債務返済機構の四十五年後に債務完済についてちょっとお聞きしたいと思います。

 いただいた債務返済イメージ試算の中身を見ていて、きょうちょっと追加でお出しになったということでございますが、幾つか気づいた点がございますので、お聞きしたいと思います。

 この中の有利子負債及びその金利は、各公団の現在の負債と金利をそのまま丸ごと機構に移していくというところで計算が始められていると思います。それ以降は、新規の道路建設については、新しい会社が借入人の媒体となって引っ張ってきて、そして道路が建設されるまではその会社が借り入れをして、建設し終わったと同時に資産と一緒にその債務は機構に移行する、こういうことでございます。

 その場合、私がまずちょっとお聞きしたいのは、民間の会社となりますと、当然それは普通の民間借り入れ、七兆ぐらいあるんですか、民間借り入れの分について、当然今度は公団から、民間の会社が借りることになるわけですよね。そうしますと、民間の借り入れに政府保証債を入れます、それ以外は、料金収入を担保にして、見込みを担保にして借りますよという話を私の方に来ていただいた方からお伺いさせていただきました。

 そこで、簡単に言えば、公団とか機構であれば、これは当然金利は、公団とか機構が借りるわけですから、今までのとおり四公団が持っているそのままの金利を、どういう規約か知りません、規約を出してくださいと申し上げたんですが出てきませんので、どういう規約でその金利がそのまま右から左にスライドするかは、これは恐らく同じぐらいの金利になると思います。

 ただ、問題は、新しい会社というのは民間の会社になります。そうすると、民間の会社は、当然貸し手側も民間企業です、民間の部分のお話ですから。そうなると、当然そこには民間企業の収益が生まれてくるというふうに私は思いますが、このいただいた試算表の中で、収益、つまり、通常今まで公団とか機構が振りかえて借りることになる部分の金利の部分と違って、民間の会社が今度新しく引っ張る場合というのは、政府保証債が入ろうが、料金収入を担保にしようが、民間の金融機関からすれば、当然そこにスプレッドが生まれてくると思います。つまり、民間企業はもうけがなけりゃやらないです、私は民間金融機関の出身ですから。

 そこで、その部分は当然、御省が半世紀近くにわたってお出しになったこの試算表の中に既に組み込まれていると思うんですが、どういうようなスプレッド、つまり民間企業からの金利を、簡単に言えば金利が上がるわけですけれども、見込んでいらっしゃるかをまずはちょっとお伺いしたいと思います。お願いします。

佐藤政府参考人 先生御指摘のスプレッドは、実際問題としましては、現時点でこのぐらいと確定するのは難しかろうと思います。したがいまして、当面計算いたしました金利について、操作的な部分もあるわけでございますが、申し上げますと、現在のこれまでの道路関係四公団の有利子調達コスト、これは、過去十年の平均が二・六%から二・八%ぐらい、それから十五年でまいりますと三・七%から三・八%ぐらい。比較的、これからもそれほど大きなインフレがそう考えられないのではないかというようなこともございまして、そういう意味では、こうした過去の実績に対して四%と設定して計算をさせていただいた、こういうことでございます。スプレッドの幅幾らという形で明確に組み込んでいるものではございません。

下条委員 ありがとうございます。

 何兆、何十兆という母体の中で、当然民間の借り入れに変わるわけです。そのスプレッドをお考えになっていないとしたら、組み込んでいらっしゃるという言い方になっているかもしれませんが、これは驚くべき試算表じゃないかとまず申し上げたいと思います。

 ちなみに、私もアメリカでも金利のディールをやっておりましたので、一般に、政府保証債が入っても、もしくはある意味でプロジェクトファイナンス、先行きの売り上げを前提に担保にして民間の企業に貸し出す場合は、最低スプレッドで約一パーぐらい乗ります。最低スプレッドで一パーになると思う。

 それは、例えば、いや、この道路は五年ぐらいでできて、もう債務機構に移ったときは金利を下げるという条件は新しくつくかもしれません。でも、いずれにしても、これだけ膨大な、例えば今度新規の、三十二年までおつくりになるというお話ですけれども、三十二年までおつくりになる新しい道路建設の民間の金融機関から借りるスプレッドをまず大きな問題としてお考えになるべきじゃないかと私は思います。

 そこで、そもそも論になってしまうんですが、もしそうだとしたら、これは私の周りにいるいろいろな民間の金融機関の仲間から聞いた話で申し上げたんですが、そうなると、新しい会社が民間のお金を引っ張るところに出てくると、相当な金利負担がさらに発生する。それだったら、道路ができて、その後、機構にその債務と資産を一遍に移すのであれば、何も会社を民間で改めてつくる必要はないような感じがしますね、負担増からすると。

 そういう意味で、これはちょっとそもそも論にはなると思うんですが、引っ張りの金の方を、金利負担がさらにふえそうな民間会社というのではなくて、債務をそのまま引っ張るというか継続する機構の方で借りたらどうですかという意見も私は持っているんですが、その辺はお考えはいかがでございましょうか。

佐藤政府参考人 いろいろ政府・与党で御検討いただくときに、先生御指摘の点も御議論をいただいたところであります。また、その以前に、民営化推進委員会が、一昨年でございますが、十二月の初めに意見書をおまとめになりますまでに実はいろいろ御議論がございました。

 先生御指摘のように、機構が借入して、そして会社の方にその資金を渡す、こういう考え方が一つの考えとしてあり得るではないかという御指摘も委員会の意見の中にはあったのも事実であります。

 最終的に、民営化推進委員会の意見としては、そうしたことは、市場規律に会社の調達はゆだねるべきで、そこで建設の歯どめといいますか、本当に必要なという部分をしっかりと市場も交えて見ていってもらう、こういう一つの考え方があるのではないか、こういう意見で最終意見がまとまったものと理解しています。

 政府・与党の議論の中では、そうした点も含めてどうすべきかという御議論をいただいて、結果的には、市場の規律、会社の自主性、こうしたことを重んじて仕組みを構築すべきではないか、こういうことでお出しさせていただいているわけでございます。

 先生御指摘のように、そういう考え方もこれまでもあったけれども、いろいろな議論の末に、会社の方で自主的に資金調達を頑張ってみる、こういうことにしたという経緯でございます。

下条委員 ありがとうございました。

 ちょっとそもそも論になるので道路局長としてはお答えしにくいところかなというふうに思いますし、そもそも論になると、民営化部分の、どうしても民営化しなきゃいけないための会社の形を外側でつくったというふうに何となくとれるような感じが私はいたしますが、いずれにしても、それによって実質な金利が今までよりもさらにふえることは間違いないということだけはこの場で申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、返済イメージの前提条件として、建設投資とか管理費について、建設投資はコスト削減で三分の一にする、管理費は平成十四年の予算と比べて三割削減、大幅に支出を抑え込んでいきますということでございます。

 コスト削減というのは非常にいい話でございますが、具体的にどれだけの部分のコスト削減をし、本当にこんなに急テンポで可能なのか、それを具体的にちょっと御説明いただきたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 お出しさせていただいております返済イメージの根拠のうちの管理費の節減部分、こういう御質問と御理解してよろしいでしょうか。

 これにつきましては、昨年の三月に政府・与党にお示しさせていただいたコスト縮減計画の中で、十四年度に比べまして、十七年度に管理費のトータルのレベルでいいますと二割以上の削減、節減、こういうものを出させていただいているところであります。

 その後、各公団それぞれいろいろ検討していただいているわけでありますが、公団の中の検討においても管理費の三割削減というようなことを目標に検討が始まった、こういうこともございまして、昨年の十二月の二十二日の政府・与党申し合わせにおいて、管理費は三割の削減を目指す、こういうふうにさせていただいたところでございます。

 進捗状況といいますか、どのぐらいか、こういうことで申し上げますと、平成十六年度の予算上の管理費につきましては、対十四年度の予算につきまして千八百億円の縮減、こういうことで、目標としますもともとの縮減率が四公団合計で二千百億円でございましたから、そういう意味では、八六%の管理費の節減を予算上、十六年度は図ってきている、こういうことでございます。

 これをさらに、結局、十四年度に比べて、あともう少しでございますが、三割削減までさらに詰めてまいる、こういうことで、公団、努力しているところでございます。

下条委員 ありがとうございました。

 今、佐藤道路局長は、今までの長い間のツケの矢面に大臣と一緒に立たれて、それは大変だと思いますが、ぜひ、これからさらに、私は持論としては、もし民営化したら百年返ってこないと思いますが、自民党さんがお出しになったものは四十五年というふうになっておりますけれども、ここで信頼性を上げる意味でも、まずおっしゃったことを手前の方から一つ一つ積み上げていって、皆さんの意識を国民に訴えて、信頼性が置けるな、違うぞ最近はというぐらいな形で、その管理費削減についても、また建設投資のコスト削減についても、御宣言なさったとおりに進めていっていただきたいというふうに思います。

 次に、私は金融機関の出身で、証券会社にもいたんですが、この返済イメージの試算例について、具体的にちょっと申し上げたいと思います。

 計算はほとんど四捨五入になっていると思います。きょうまた私が席に着いたら新しい追加のがありましたので、これもちょっと私の方でもう一回し直しました。これで、先日いただいた分は欄外に注釈がなかったんですが、きょういただいた分は欄外に四捨五入というふうに入っておりましたのですが、わかりやすい話ということで御省の方々は数字を丸めたというふうにおっしゃっていらっしゃる。およそ誤差がなければ丸めても私は構わないというふうに思います。

 ただ、気になるのは、私がこの表を見たとき、これが兆円だったんですね、何兆という。そうですよね、大臣、お笑いになっている。兆ですからね、これ。

 兆ということは、これはえらい数字になるのかなと思って、試しに私が全部千単位で計算し直しました。きょう昼前に、午前中の質疑の中でいただきましたので、これをし直しますと、どういうゆがみが出てくるかということでございます。

 単純に言えば、負債がある。有利子負債、無利子負債、これは基金の方ですね、それについてリース料が入ってきますよ。この基金を取り崩して一千億は返す。それについて金利の、例えば十七年なら十七年の金利をつける。一方で、この試算表からするとちょっとおかしいと思うけれども、ある意味で、それは私の方ものみますけれども、初年度からいきなり一兆円の建設費用を継承するとなっています。それはまあ仕方がない。五年なのか三年なのか八年なのか、いろいろな道路がありますから。それを合算して千単位でこの計算をし直したときに、四十五年後に、最初にいただいた基本ケースの場合は、利息が、支払い額が一兆九千億違いました。一兆九千億です。これは後でもし御入り用だったら、私どものパソコンに入っておりますので、何秒かで出ますので。

 それから、きょうの追加の四の一ケースを引っ張ってみようということで、四の一ケースを引っ張りました。これは誤差ですよ。皆さんがお出しになったトータルの部分と、私が千単位でやり直した部分の誤差、四兆七千億でございます。いいですか、四兆七千億のゆがみの誤差が出ました。

 そこで、私は別に佐藤さんが悪いと言っているわけじゃなくて、先輩が悪いわけで、私は佐藤さんの地元の田中角栄が大好きでございましたので、佐藤さんが悪いと言っているわけじゃないし、事務次官も新潟ですから、そういうことが悪いと言うわけじゃないですが、長年の間のものを直していくときに、つまり、法案として、一億二千万人の国民に、こういうものだ、大臣が再三おっしゃっているのは、返済をするためにこれをやるんだとおっしゃっています。

 その返済計画表が、兆円を四捨五入したものと、私どもの千単位でやったものの差が、まあ、私も頭が余りよくないのでコンピューターに任せてしまいましたけれども、足し算と引き算の割合ですからそんなに難しい話じゃないです。

 この四兆とか五兆とかと変わってきてしまったら、これは、確かに四十五年後かもしれませんが、余りにもちょっと、まあ、四十五年後は皆さんは長生きですからいらっしゃると思いますけれども。

 ただ、私は、この議事録で国民に訴えたいのは、国民の皆様というのは一兆円という金額を余り肌で感じないと僕は思うんですよ。というのは、五万円とか十万円とか、八十万円とか百五十万円だったら感じる。ところが、一兆円というのは、一日百万円ずつ返済すると、一兆円返すのに二千七百年以上かかるんですよ。いいですか、二千七百年以上かかる。きょうからこの日本が黒字になって百万円ずつ返済ができてですよ。

 その上、一兆八千億、五兆円近い、何倍もの誤差ですよ、誤差が生じるようなものを今私どもの手元に配られていることに対して、大変申しわけないんですが、この返済資料、本当に、この法案に付随する私ども民主党に提出いただいた資料として、厳密な意味で責任を持ってお出しになれるのか、そこに私は疑問を感じているので、御回答いただきたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 お手元にお出しさせていただいていますのは、もう少し細かい単位で十億単位で計算した上で、そしてその結果を、余り細かいとかえってわかりづらかろう、こういう点もありまして、〇・一兆単位でまとめている、こういうことでございますので、もとに戻って突き合わせていただくとすぐおわかりいただけるんだと思います。

 そういう意味では、先生の御計算と私どものもとの部分と突き合わせさせていただきたいと思いますので、ここはすぐ、ただ、ちょっと数字が細か過ぎますので、先生のところとよく突き合わさせていただいて、基本的にはそういうベースのアウトプットをまとめている、こういうことでございますので、もとのベースは詳しい数字になっていますので、そこで突き合わせをさせていただければすぐおわかりいただけることかと思います。

下条委員 お手元にそういう資料があるのであれば、兆円単位ではなくて。

 ただ私は、お手元の資料はどういうものかわかりませんが、もとの金額というのは同じですから、平成十六年度末、三月末、もしくは平成十七年度、数字は同じですから、それをただ延ばすだけの話ですよね。だから、それがもし局長のお手元にある数字と、後で再提出いただきましてもう一度検証させていただく。まだまだ長い御審議を私どももさせていただきたいので、どうも何かしっくりいかないなというのは、今この場では申しておきたいというふうに思います、別に佐藤局長だけ責めているわけじゃないですから。

 次に、返済イメージ、またちょっと申し上げます。今度は、返済イメージの数字の中でも、道路建設部分についてちょっとお聞きしたいと思います。

 会社の方の、六会社合計の方が、いろいろ建設費というのが書いてございます。これでいくと、平成三十三年度以降は高速道路はゼロ円だ、一円もつくらないというふうに明記しております、一円もというか一メートルもですね。確かに、これは局長、四十五年後じゃないです、十数年後ですから近い数字でございますけれども、この数字というのは、私は考えるのですね。

 私も、金融機関にいたときに虎ノ門におりまして、建設省に出入りしておりました。局長室にも出入りしていた。しかし、確かに五年、十年タームかもしれません。私もそのとき思いました。角栄さんのお話もいろいろ聞かせていただいた。でも、国民に半世紀以上国民の生活をこれから明示していく試算表として、本当に平成三十三年度以降は道路を一メートルもつくらないという試算だとしたら、これは責任を持ってこの議事録を残す意味で御発言を大臣か局長にいただきたいと思います。一メートルも本当につくらないのかどうか、いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 今の段階で一メートルも、こういう御議論で申し上げれば、そこを証明したくてお出し申し上げているものではないというのはおわかりいただけようかと思います。

 まず、現在問題になっておりますのが、高速自動車国道でいえば、九千三百四十二キロの中で未供用区間二千キロについて、その中で新直轄方式ということで既に六百九十九キロは移行しているわけでございますが、さらに、残り千三百キロの中で、会社が実際に調査中、事業中のものをどれだけやるか、こういうようなことを、今後会社発足後大いに詰めて機構と協定を結ぶ。

 こういう状況の中で、とりあえず、そういう意味では、まず今の、既に調査中、事業中のものをやっていくとすればどのぐらいの事業がかかりますかね、こういう建設費を前提にして、そしてそれが返済できるかどうかといつもお尋ねをいただきますので、その部分について計算してみて、試算してみてお出し申し上げている、こういうことであります。

 一万一千五百二十との間、こういう面で申し上げれば、主としては、もちろん直轄で行ったりいろいろな工夫をしていくのかもしれませんが、そこの部分についてまで、一切、一メートルたりともというお約束の意味でこれは出しているわけではないので、そうするみたいなことを申し上げているつもりは全くございませんが、今のこの試算の、このケースの限界というものは御理解いただきたいなと思っておるわけでございます。

 御質問の中に、今建設をとめたら返済できるか、こういう御質問もあれば、二千キロに及ぶ高速自動車国道の残りの分、公団、会社で十・五兆と申し上げておりますが、それを建設した上ででも全体として返済ができるのか、こういう御指摘でございますので、それに対する返済のイメージをお出し申し上げている、こういうことでございまして、この表の持つ意味が、そういう意味で、全部、毎年度、平成六十一年とかいうオーダーに至るまで、それぞれの事業費を、あるいは管理費なりなんなりをここでお約束して、こういう性格のものではないということは御理解いただきたいと存じます。

下条委員 ちょっと私も頭が悪いものですから、そうすると、これはどういう性格か、もう一度御説明していただけますか。

 これも前提があって、要するに、小泉総理以下、この民営化をするのは、四十五年で返せるということを前提にしてつくる、それを法案に決めるわけですよね。そのときに、今おっしゃったように、あくまでイメージだとか、最初のお話ですけれども、民間企業から借りるスプレッドもよくわからないとか、その中で果たしてそういうお約束が、私は、言いにくいけれども、四十五年後はだれもいないじゃないかという発想であるとしたら、余りにも無責任ではないかなという感じがします。

 これは、ここで明言できない理由をもう一度、そうしたら明言できるようなものが、試算表があるんだったら、先ほどのはこれが兆円じゃなくて億円単位だとおっしゃいましたけれども、そういう民営化のもとになる、返済計画のために要するに民営化するとおっしゃいましたから、そうしたらその返済計画というのは最も柱として重要なことではないかと私は思います。

 そのものがきちっとできていないものであれば、それは全く机上の空論か、もしくは、極端な話ですよ、こういうことは余り言いたくないけれども、国民に対してその場だけで、民営化は通過させればいい、あとは関係ないよ。ある意味で、遠回しに言えば、言いにくいけれども詐欺的に近い表ではないかなと私は思っています、これは、こうやってここに配られているわけですから。そこをちょっとお答え願いたいと思います。

石原国務大臣 これは、最初にこの表を配らせていただいたときに再三再四言ったのですけれども、あくまで、今ある債務を四十五年で返せるのか返せないのかということに対する、返すためのイメージであって、このとおり会社と機構が返すということを言っていないということはもう御説明させていただいているところでございます。

 では、今委員が言うところの債務返済の詳細、それを見るのが一番確かなわけですよね。それはどうなるかというと、機構と会社ができた後、会社の建設計画、すなわち、会社がどこの道路をつくるということを半年ぐらいの間に手を挙げてもらって決めます。つくらないというケースもあると思います。そういうものをやって、機構が定める業務実施計画の中で、Aという会社、Bという会社、Cという会社と三つあるわけですけれども、どの会社がどれだけこういう建設費でつくるということが明らかになったときに、今委員が必要とされている詳細の返済計画なるものが明らかになる。

 くどいようですけれども、今回の試算の例は、金利だって仮置きでございますから、過去の金利を見ましても、平均値でもこのとおりでもないわけですから、ですから三のケースとか五のケースをお出しさせていただいたわけですけれども、四十兆円に上る債務を民営化後四十五年以内に、どういうとき返せて、どういうふうになったら返せなくなるのかというのを見ていただく、そのための資料である。

 試算の結果から言わせていただきますと、私どもの前提条件を置けば、四十五年で返せる。ただ、これがこのとおりではないということは、返済のイメージなんだということを、冒頭、資料を提出させていただいたときにお話をさせていただきましたし、委員が必要とされるものは、機構が定める業務実施計画の中で実際に協定を、協約を結ぶわけですから、どこの会社がどれだけのものをどういうふうにつくるかということがわかりますし、リース料を幾らに設定するということがわかりますので、そのとき明らかになるというふうに御理解いただきたいと思います。

下条委員 ありがとうございました。

 ただ、これは与野党を問わずお聞きになった人が思うのは、恐らく大臣もお心の中では思っていると思いますけれども、この母体になる金額の大きさから考えて、イメージ、イメージと言いますけれども、私も金融機関にいて、アメリカでもファイナンスをしました。それはもうアメリカのファイナンスは、はっきり言いまして、日本の場合もそうですが、三十年、四十年先まで見越して、本当に一円単位で全部、ドル単位、セント単位でやらなければ首が飛びます。

 それが、そうやっておっしゃれば、そういうふうにしかこの場では通過しない会話になりますが、やはり今までのやり方が見込みが甘かったからこそ、この四十兆円以上の負債がかぶっているわけです、国民に。佐藤さんも、それはお子さんもいらっしゃるでしょう、お孫さんは知りませんが。その子供たちが全部これはかぶっていくんですね。それを見たときに、あくまでも最後まで法案のイメージと言い切れるかどうか、これは今後のまた、この場ではやりとりしても、また新しい、もうちょっと細かい資料が出てくれば。

 私は、佐藤さんや大臣だけに何が悪いということを言っているのではないんです。長年のものの反省が今御省に必要な時期が来ている。それについて議論をきちっとしていきたいなと思っておりますので、この場であえて取り上げさせていただきました。

 今後のまたいろいろな審議の中で、我々としても、いろいろな質問の中でこの問題についてお聞きしていきたいというふうに思います。

 それでは、次に移らせていただきます。

 今国会で石原大臣が、所信表明の中で具体的な取り組みの第六として、インターチェンジの倍増に向けた整備、推進をしてまいりますと宣言していただきました。決意の部分でございます。

 インターチェンジを増設する計画というのは、具体的にある程度でき上がっているのではないかというふうに思いますが、これは当然、さっき言った会社の方のイメージの中の試算表の建設部分に入っておりません、これはもうお聞きしております。

 それでは、まずはこの部分の建設について、じゃ、インターチェンジを倍増する、我が国の国交省の大臣が所信表明で倍増するとおっしゃっているわけですけれども、どういった計画でこの倍増というのを所信表明でおっしゃったのか、その中身をお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 日本の高速道路、先生御存じのように、高速自動車国道で申し上げますとおおむねが十キロ間隔に一カ所料金所がある、こういう状態でございます。欧米、基本的には大体四キロから五キロに一カ所、これも現状かなり日本よりきめの細かい、こういう問題であります。

 たくさんのインターチェンジの追加の要請をいただいております。ただ、どこもかしこもというわけにはもちろんまいりませんし、特に、今年度から、十六年度、サービスエリアやパーキングエリア、これがインターチェンジとして活用できないか、こういうことで地方と一緒に協力し合って、スマートインターということで、ETCの施設そのものは国の方でセットしてみよう。そして、取りつけ道路、これは大体サービスエリア、パーキングエリアは取りつけ道路が、搬入路があるわけでございますから、これが十分な場合と、非常に狭い道路でなかなかすぐには使えない、こういう場合がございます。こうした点を含めて、ことしでいいますと、今公募しておりますが、大体四十カ所、五十カ所というオーダーの公募に応じたいというお話がございます。

 全体としては、サービスエリア、パーキングエリア、もちろん全部が活用できるわけではございませんが、何百カ所かというオーダーのサービスエリア、パーキングエリアで検討することは可能だろう、どのぐらいになるかは別でございます。ことし、そうした実験をしながら、どれだけの新たなサービスエリア、パーキングエリアのスマートインター化に、課題が何か、そんな検討をしよう、こういうことにしております。

 いずれにしましても、そうしたことも含めて、欧米並みにできるだけ近づけたい。そういう意味では、十キロに一カ所ではなくて五キロに一カ所というものをこれから大いに推進していこう。一つのできるだけ早い、できるあらわれがスマートインターチェンジであり、その実験を早速十六年度から始めた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

下条委員 ありがとうございました。

 所信表明で倍増ということでございますので、現在約六百九十あるわけですから、大体インターチェンジ一つ平均で二十五億という話です、ですからこれを倍にするということは一兆七千億以上の金がかかるわけですね。

 今局長がおっしゃった十六年度に四、五十というのは、非常にいい話だと私は思います。というのは、結局、今、日本は約十四・四キロに一個インターチェンジがある。一方で、アメリカの場合は三・三キロだ。これは物すごく便利なんですね。余計みんなが使い出しますよ。

 ずっとこのまま何十年も民営化になるか、私どもが政権をとって無料化になるか、それはわかりません。今の段階ではその議論をさせていただいている中でございますので、したがって、倍増に向けてやっていただきたいとは思いますが、そこで問題は、二十五億、もしくは四つつくれば百億ですね。この部分について、もともとは建設費用に、今度の民間会社というのですかには載っていないわけです。そうしましたら、先ほど言ったスマートのものもあるかもしれないけれども、ほとんどの負担が地方にかかってくるということだとしたら、小泉さんもさらに一兆円を減らしていくという中で、果たしてこの倍増という発想が地方財政と比して本当に現実的な話なのか。それとも、ちょっと言いにくいですけれども、民営化の飾りのためにわかりやすく、そして勢いいいお話としておっしゃったのか。

 その財源部分について、今この厳しい地方財政の中で果たしてそれだけの、僕はオファーを受けたのは十と聞いておりますけれども、今局長は四、五十とおっしゃいました。だから、確定しているのが恐らく十ぐらいなんでしょうけれども、それが果たして今後の中で非常に現実的な数字なのかどうか、また財源を含めてお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 まず、さっき申し上げました事実関係から申し上げますと、十六年度のスマートインターの実験につきましては、公募ですから、自治体からやりたいという引き合いが四十カ所か五十カ所ぐらい今既に来ている。

 その中でどのぐらいできるかというのは、先生、これは予算の問題もございまして、実は、さっき申し上げましたようにETCの機器の設置は国費でやっていこう、こう思っております。そうしますと、国費の方が限界があって、予算上の限界がありますので、恐らく十億から十五億円ぐらい、箇所でいきますと先生御指摘の十カ所から十五カ所ぐらいが何とかなるか。ただし、これはまたたくさんそういう実験したいという御要望があれば、いろいろ工夫ができるのなら工夫してみようということも考えたいと思っております。

 いずれにしましても、現状はそういうことだということであります。

 それから、先生御指摘の、普通のインターチェンジであれば一カ所二十五億かかるであろう、これを地方公共団体が負担してまで出すかということであります。

 これは、従来、逆に申し上げますと、追加インターチェンジは請願インターチェンジというような形で、地元から、料金所のちょっと手前まで迎えに来てください、かなり大部分は、有料道路の事業者側、高速国道でいえば道路公団の方で持ちます。その分だけ、非常に、実は数としては絞らざるを得ない。よほど効率的に、結局、出入り交通量で建設費が、設置費がある程度賄い得るような、そうした期待をしながら追加インターチェンジを決めてきた。

 これでは大変だということで、開発インターチェンジ、これはインターチェンジと一緒に開発計画がある場合に、無利子の資金も出しますが、NTTのA型資金などを出して、開発者と一緒になって、開発者の方で負担していただいたというようなこともやりました。これも、バブル崩壊後はなかなかそうした元気のいい計画、これは無理があるかなということだろうと思っています。

 次に、しかしながら、一番大事なことは、お使いいただく、こういう問題からいくと、結局、日本の場合にはインターチェンジが遠いんじゃないか、間隔が大きいんじゃないか、こうなってきたわけであります。

 そこで、関係省庁とも協議して、民営化、こういうことも機会としてこれあり、今回の法案の中では、追加インターチェンジについて、追加の場合は国幹会議の議は経なくていい、こういうふうに前提にして政令で決めさせていただこう、こういうことを考えております。

 そうなってくると、手続的にはかなり簡単になりますが、費用負担であります。そういう意味では、一カ所当たり二十五億円、工夫すればかなり、状況によって違うとは思うんです、追加インターの費用自体は。状況によっては違うと思いますが、いろいろ工夫して、国と地方で、国としては補助事業あるいは直轄の道路が交差しておれば直轄事業であってもいいわけでございますが、国と地方がそれだけの努力をしようというふうに協議、調整ができ、そして、現実、管理費等も踏まえて考えたときには十分意味がある、こういうところについては今までのような制約はなくなった、そう御理解いただきたいと思います。

 今までは、事業費を出してもいいから追加インターをつくりたいという地方からの申し出があっても、実はこれはお断りするしかなかったのであります。管理費の問題もあります。それから建設費の負担の問題、これは実は地方財政再建の特例に関する法律等もございまして、そこの解釈等もありまして、これは有料道路側でできるだけ持っていただくという従前の思想をなかなか払拭し切れてはこなかったんですね。

 これが今度は、事業費としては出してもよろしい、こういうような方向で考えがまとめられておりますので、そういう意味では、逆に、負担してでもいいからということを国と地方それぞれが一致すれば手続的な障害がなくなってきたということでありますので、大いに活用してまいりたいと思っております。

下条委員 インターチェンジがふえれば、必ず私は利用者がふえると思います。民営化になろうがなるまいが、インターチェンジの数を中心に、私は非常に、大臣の所信表明の中のこの第六項の部分の倍増というのは非常に目につきまして、ぜひ財源を踏まえて、今度の三位一体も、僕に言わせてもらうと、やはり地方はかなり疲弊をしております。そういう意味では、現実と少し離れた計画だとは思いますが、その中でできる限り努力していただいて、インターチェンジをふやす、その公約に対して、温かい目で地方に向かって計画を、また審議をしていただきたいというふうに思います。

 次に、だんだん時間がなくなってきたんですが、公団ファミリー企業についてちょっとお聞きしたいと思います。

 現状、ハイウエーショップというのは、テナントが幾つかハイウエーのSA、PAにいろいろ入っていますけれども、この店舗というのは、簡単に言えばどういう基準で選ばれているか、お教えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 サービスエリア、パーキングエリアのテナント契約の締結についてのお尋ねでありました。

 テナント契約の締結につきましては、レストランにつきましては当初より一般競争入札を実施してきた。それから、ハイウエーショップにつきましては、これはレストランのないサービスエリア、パーキングエリアにおけるスナックコーナーと売店のことをハイウエーショップ、こう呼んでいるわけでありますが、これについては、平成九年度以前は随意契約、主として維持管理業務の会社と契約でありましたけれども、順次一般競争入札を導入してきた。また、一般競争入札でございますから、サービスエリア、パーキングエリアにおける営業経験は問わないという形で、透明、公正な入札を実施しているという状況でございます。

 試行的に、テナントの入れかえが容易となる定期借家契約、期限つきで更新なし、これも導入してまいっておりまして、著しく長期の契約を排除することが可能であるということで、こういう試行もしているということであります。

 ただし、問題点として、契約期間は原則三年間でありますが、契約更新は履行状況等について審査を行いまして更新の可否を決定する。新規参入の障害となり、サービスの向上、多様化を阻害する、こうしたことも一方で問題点としては挙げられようか。

 この定期借家契約の実施範囲を拡大して、適切なテナントの配置が可能となるような方策も含めて、競争性、公開性、透明性、こういう面の検討をするように、財団、これは現在二つの財団がやっておるわけでございますが、これに対して指示をしている、こういうことであります。

下条委員 ありがとうございました。

 私が一番聞きたかったところは、局長がおっしゃった競争入札という言葉の四文字でございます。

 そこで、平成十三年のJHの行政コスト計算書というのがございます、御省が出しているものですけれども。

 これでいくと、子会社と関連会社と定義されている企業の八十九社のうち七十二社が本業のほかにこのハイウエーショップを兼業しているという内容が、これはそちらから出た数字でございます。そのまま申し上げます。

 ただ、現実問題として、その八十数社というのは、本業が料金収受もしくは道路の維持修繕ですね。その八一%近くがハイウエーショップを経営している。これは、私は何かあるのかなと思いまして、いろいろ調べました。

 そうしましたら、簡単に言えば、そのベストテンの会社、ここにありますけれども、そちらからお出しになっていただいたベストテンのものでございます。これに公団OBがトータルで二十人以上出向している、もしくは行かれているということですね。二十人以上が行かれている。簡単に言えば、このハイウエーショップに関して、ベストテンにほとんど全部入っているんだ、かつ、本業が料金収受と道路修繕がハイウエーショップのテナントを経営しているということに何か私は不自然さを感じています。

 それは、簡単に言うと、テナントに自分の親分衆が行っているから、そこに、先ほど局長は競争入札とおっしゃったけれども、そこの内容についてはちょっともう時間がないので聞きませんが、競争入札を通り越して入る割には、えらく公団ファミリーと言われている企業がほとんどベストテンで入っている。そこに私は何かきな臭い、なれ合いみたいなものを感じておりますけれども、これは私の勘違いでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 先ほども申し上げましたように、ハイウエーショップにつきましては、平成九年度以前は随意契約であったんですね。随意契約で、主として維持管理業務の会社と契約、こういうことでございました。

 したがいまして、先生御指摘の維持管理業務の会社自体にOBが行っているとすれば、そこと随意契約なものですから、そういう意味では、そういうベストテンに維持管理業務のOBが行っている会社が多いということが、そこはあり得る議論かと思います。

 九年度以降、したがいまして、一般競争入札でできるだけ競争していただく、こういう形になってきたということでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 結論からいえば、やはり数字にまさるものはないというふうに思いますので、そこの裏側の癒着とかなれ合いについては、いや、ないとおっしゃればないでしょうけれども、数字はそこのベストテンに集中しているということは申し上げておきたいと思います。

 それと同時に、一方で、テナントだけではなくて、今、公団さんの職員は一万一千数百名いらっしゃる。一方で、関連のファミリーを入れると、これが、ファミリーは四万七千人以上と言われていますよね。合わせると、五万八千人を超える巨大グループということになります。

 私も、これは民営化委員会の提出資料とかいろいろなものを調べたんですが、やはり、出向者がいる企業にあらゆるものの受注が、全体の九六%が集中しているということになると思います。

 私は、何とおっしゃられようと、現状の数字が、佐藤さんだけの責任じゃないと思うんですよ、過去におけるいろいろな、国民全員の責任だと思いますが、四十兆円以上の借金を抱えてしまったという裏は、私も、金融機関で道路公団とか建設省に出入りしていて、何かそこにいろいろなものを見てきました。その中で、ポイントは、その集中しているというところにやはり癒着とかなれ合いがあったんじゃないかなというふうに私は思っています。

 一方で、今度は、その公団は機構と会社を分けるからいいじゃないか、独立だ、審議会があればいいというふうになりますけれども、今までは丸抱えで旧建設省さんが見ていた、目を光らせていた。私は、官僚さんが目を光らすことはいいことだと思います。

 それが、今度は民間になるということは、その何万人の人は、全く、今度は民間企業に行っちゃうわけですから、さらに前よりも御省のコントロールがきかなくなってくる。つまり、ファミリー企業軍団に対するコントロールはますますきかなくなってくる、前きいていたかどうか僕は知りません。

 というのは、私が言いたいのは、もっと悪いなれ合いやもっと悪い癒着が生まれても、しょせん民間企業はそのまま散ってしまう。つまり、建設するのも民間会社から受注して、その下に流れていくわけです。そこには、皆さんの諸先輩が流れているところが九六%いる。そのなれ合い、癒着行政の中で、四十兆、僕は生まれたと思います。いや、いいといったって、四十兆、結論として生まれているわけです。

 それをここで民営化なさるというふうにおっしゃるということは、その部分について、どういうふうにチェックを入れ、どうやって見ていくから、そのなれ合いや癒着がもうなくなるぞ、したがって、四十兆抱えた諸先輩方の部分については、もう完全に、明白にチェックできるんだということのお気持ち、もしくはお考え、もしくは方法が、なければこんなことはできないわけですから、まあ、言いにくいとは思いますが、いつかは、もしかすると行かれるかもしれないわけですから、その意味を含めて、ぜひお考えをお聞きしたいというふうに思います。数字は、九六%、出ています。

佐藤政府参考人 ファミリー企業等々の関係も含めて、新しい方式がどういうしっかりした世の中に疑いを持たれないような方式か、こういうお尋ねだと思います。

 そういう意味では、二つ申し上げたいと思うんですが、一つは、今まで、機構と会社の役割をそれぞれの公団の中で、言ってみれば一つにして、公団という組織として、必ずしもコストに対するインセンティブが働かないんではないかとか、いろいろ御批判をいただいた。

 ここの部分は、それぞれ、国はもちろん協議に加わり、協定を許可、認可するわけでございますが、機構と会社がそれぞれ協定を結び、なおかつ年度ごとに毎年実績も出さざるを得ない。そういう意味では、データの公開、開示、透明性の確保、こういう問題でいえば、今までよりもそういう面での開示、公開性というものが強まる。ここははっきりした問題だろうとは思っております。

 次に、運用の問題なんだと思います。運用の問題で申し上げますと、もちろん、建設費、管理費、縮減をどうやって図るか。会社に対してそのインセンティブが働くような、先ほど上方硬直性と申し上げましたが、建設費を縮減すれば、会社がその応分の助成を、見返りを受ける。それから、管理費も節減すれば、その見返りを結果として利益として計上し得る。こういう方式にしておるわけでございますが、それにしましても、次に、そこは運用の部分としてくれぐれも気をつけて見るべきではないか、こういうお話でございました。

 そういう意味では、今までの実績、それぞれの会社の実績、管理費、建設費の公団の実績、それからその比較対象としましては、またそのほかの、今度は公団が、道路公団一本であったものが三社になる、こういう点からくるいろいろなコストの比較であるとか効率の比較であるとか、そうしたこともより容易になる。こういう面もございますので、運用と、そういう面におきまして、できるだけそういうデータを力を合わせて明確にしながら、世の中の御批判をいただく、ここがまた一番大事なことかと思っておりますので、できるだけの公開性を、あわせて、それこそ事業の実施計画、年度ごとに結果報告、こういう形の中で、今申し上げたような横並びの数字もできるだけ出していく、こういうことが大事だと思っております。

下条委員 お答えにくい部分の中で御決意をいただきました。

 ただ、やはり、簡単に言えば、一人娘が自宅にいた、住んでいた。大臣も娘さんがいらっしゃいますけれども、ある意味で、例えが悪いけれども、それがアパートでひとり住まいするようになったというような状態に近いぐらいに、公団のファミリー企業がコントロールから離れていってしまうと私は見ております。

 いろいろな意味で、ぜひ、上の、ガラス張りからして、ディスクローズからして、きちっとおっしゃったことを進めていただきたいと思いますし、私どもも、これからも私どもなりに目を光らせていきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと時間がもうあと数分しかないんですが、この高速道路の民営化について、有料化が当然降ってわいてきています。

 私の地元で先日、まさに今週の日曜日ですが、私の後援会の幹部の方のお婿さんが交通事故で亡くなりました。その理由というのは、今までは、高速道路を使って物を運搬していました。数年前から非常に景気が悪くなって、給料も落ちてきちゃった。マージンも少なくなってきた、運搬費用ですね。そのために、高速道路を使うことのふりをして、高額の高速道路代金を自分の懐にある意味で入れるために、一般道路を使って、ほとんど寝ないで往復をしていたということで、かわいそうなんですけれども、交通事故で亡くなってしまいました。御自身の疲労からくることだと思います。

 こういうふうな場合もありますし、一方で、運送会社を含めて、皆さんの会社の方から、運搬に高速道路もう使うな、一般道路使いなさいというような指示も来ているというふうに多く聞いております。

 そこで、私は、もう時間なので最後にお聞きしたいんですが、歩行中とか自転車に乗っている最中の交通事故の割合が日本は全体の死亡率の四一%なんですよ。アメリカは一三、ドイツは二二、フランスは一三です。この理由というのは、要は、高速道路を使わない国ほど、一般道路で歩いていたり、交差点が事故多いんですね、交差点、運輸省の関係だから御存じのとおり。そういうふうに集中してくる。したがって、高額の高速道路を使わない国ほど死亡事故率が多くなっているわけですよ。

 そこで、最後に大臣にお伺いしたいんですが、これから国民に四十五年間、私は四十五年以上だと思いますけれども、以上、これから有料でずっと払い続ける高速道路、あなたたち持つんだよということになって、諸外国の運搬とか観光で使う高速道路利用率よりも格段に低いまま国民に強いることが今度の民営化になります。これは、どういう形になろうとそう思います、払うんですから、有料ですから。

 それを国民に強いることが果たして本当に国民の利益や安心や安全につながる法案なのかどうかを最後に大臣にお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

赤羽委員長 持ち時間が経過をしておりますので、簡潔にお願いいたします。

石原国務大臣 ただいまのお話は、これから趣旨説明が行われる御党の無料化案と、我が党と公明党が御提案させていただきましたこの案をどう考えるかというような根源的な御質問だと思います。

 無料化といいましても、結局、税制にゆだねるわけですから、利用しない人にも利用する方々の部分を補ってもらうということ、それはあるということは、やはり委員は御認識されていると思います。

 その一方で、私どもの案も、四十五年間は料金を取り続ける。しかし、先ほど来の御同僚議員の中で、なるべく償還期間は早期にして、無料化を目指す。無料化を目指すということでは、御党の考え方と私ども与党の考え方は変わらないんだと思います。

 であれば、今まで御議論をいただきました、この四十兆円の債務をどうやって返すのか、そこの点が大きく違いますし、私どもも、高いと言われる批判、十分承知しておりますので、民営化推進委員会が、民営化時に平均一割と引き下げを提言されておりましたが、民営化時までに一割下げるということで、もう既にさまざまな社会実験も行わせていただいております。

 この四月からは、いよいよ夜間の通行割引の実例等々もやらせていただきたいですし、もう既に新潟の方で、通勤時間帯の半額実験というのをやりました。通行料金半額。うまくいっているところは通行量が二倍、二・六倍になっている。すなわち半分にしても料金収入がふえているということもありますので、こういうものを組み合わせて、委員の御懸念、御批判にこたえるよう頑張りたいと思っております。

下条委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 この際、先刻付託になりました岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。岩國哲人君。

    ―――――――――――――

 高速道路事業改革基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩國議員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました高速道路事業改革基本法案について、その提案理由及び内容の概要を申し上げます。

 言うまでもなく、道路は国の骨格をなす重要な社会資本であり、基本的には税で整備するものであります。ところが、高速道路については、当時の財政難もあり、外国からの借金により東名・名神高速道路を建設することとなりました。当時の公団は、民間のノウハウも取り入れ、非常に効率的な建設を行ったことは評価に値するものであることは言うまでもありません。ところが、その後は採算を度外視し、極めて非効率な建設を続けた結果、無料開放の時期はずるずると先延ばしにされ、借金も膨大となりました。その結果、料金も極めて高く、地方では一般道路の整備が進んだこともあり、貴重なインフラが国民に十分に利用されていない状況が続いております。

 民主党は、現在ある公団の債務を清算し、高速道路を無料開放することにより、地域の活性化と日本経済の再生が可能となると考え、昨年の総選挙のマニフェストで高速道路三年以内原則無料化を掲げたのであります。

 高速道路が無料になれば、通勤圏、生活圏が飛躍的に広がり、ゆったりとした住まいと、余裕のある暮らしが実現できる。また、買い物、観光、旅行、キャンプ、別荘などにかかわる移動コストが減って、ライフスタイルが変わる。地域や家族を守りながら、自分らしい生き方を追求することができる。このような多様なライフスタイルが全国で可能になって、地方に住みたい人がふえてくるなど、むだな公共投資を行うよりもはるかに大きな効果があると確信をしております。

 政府・自民党は、高速道路建設については国民との約束であり建設すべきであると強調しておりますが、高速道路の無料開放は、国民との約束ではなかったとでも言われるのでしょうか。国民との無料開放の約束を少なくとも今からさらに四十五年も先延ばしにすることが政治不信を招いているのであります。

 私たち民主党は、自民党が守らなかった、守れなかった無料化という約束を新しい方式で実現し、経済を前倒しに活性化させます。

 民主党は、三年以内の高速道路原則無料化を計画的に実現するために、高速道路事業改革基本法案を策定したものであります。

 以下、その内容を申し上げます。

 第一に、高速道路事業の改革に関する基本理念を定め、高速道路事業の改革は、道路関係四公団の管理する高速道路が多額の投資を要しながら地域において必ずしも有効に利用されていない状況にあることにかんがみ、国等において道路関係四公団の資産及び債務を承継し、道路関係四公団の管理する高速道路の通行または利用については料金を徴収しないこととすることによりその有効利用を図るとともに、真に必要がある範囲で新たな高速道路の整備を行うことにより高速道路の円滑で快適な利用を図り、もって地域の活性化と我が国の経済社会の活力の向上に寄与するとともに、高速道路事業に係る予算の重点化及び効率化に資することを基本として行われるものとしております。

 第二に、高速道路事業の改革に関する基本方針として、高速道路を三年以内に原則無料開放することとし、道路関係四公団の解散とその債務、資産の国等への承継、高速道路を管理する法人の設立、新たな高速道路の整備等について定めることとしております。

 第三に、高速道路事業改革を推進するため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする高速道路事業改革推進本部を設置し、本部が法案の基本方針に基づき、道路関係四公団の解散、資産、債務の承継、円滑な交通の確保のための課金制度、新たな高速道路の整備に関する基本的方針、公団職員の再就職の促進等を内容とする高速道路事業改革推進計画を作成することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 繰り返すようですが、道路は無料というアメリカ、ドイツ、イギリスなどの世界の先進国の常識と江戸時代以来の日本の伝統に帰り、自民党の国民に対する二〇〇二年には無料化という約束が五年おくれて実現することになります。

 政府の道路関係四公団民営化法案は、民営化というのは名ばかりで、債務はふえ続け、通行料は取り続けられるという、国民に二重の負担を強いるものであります。

 政府案がいいのか、民主党案がいいのか、委員会で真剣に議論をしていただきますようお願いいたしまして、私の提案理由とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案、日本道路公団等民営化関係法施行法案及びただいま趣旨の説明を聴取いたしました岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査の参考に資するため、来る十九日月曜日、滋賀県及び大分県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会


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