衆議院

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第17号 平成16年4月23日(金曜日)

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平成十六年四月二十三日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      伊藤信太郎君    石田 真敏君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江藤  拓君    大島 理森君

      梶山 弘志君    佐藤  勉君

      櫻田 義孝君    島村 宜伸君

      鈴木 恒夫君    高木  毅君

      中野 正志君    二階 俊博君

      能勢 和子君    葉梨 康弘君

      蓮実  進君    古屋 圭司君

      保坂  武君    増田 敏男君

      松野 博一君    森田  一君

      渡辺 博道君    岩國 哲人君

      岡本 充功君    古賀 一成君

      下条 みつ君    首藤 信彦君

      中川  治君    仲野 博子君

      長安  豊君    藤村  修君

      古本伸一郎君    前原 誠司君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      若井 康彦君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君    武田 良太君

    …………………………………

   議員           岩國 哲人君

   議員           津川 祥吾君

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   近藤  剛君

   参考人

   (日本道路公団理事)   奥山 裕司君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     伊藤信太郎君

  中馬 弘毅君     鈴木 恒夫君

  中野 正志君     蓮実  進君

  古屋 圭司君     能勢 和子君

  伴野  豊君     古賀 一成君

  山岡 賢次君     前原 誠司君

  和田 隆志君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     大島 理森君

  鈴木 恒夫君     中馬 弘毅君

  能勢 和子君     古屋 圭司君

  蓮実  進君     佐藤  勉君

  古賀 一成君     伴野  豊君

  仲野 博子君     首藤 信彦君

  前原 誠司君     藤村  修君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     中野 正志君

  首藤 信彦君     和田 隆志君

  藤村  修君     山岡 賢次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 高速道路株式会社法案(内閣提出第一一二号)

 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出第一一三号)

 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一四号)

 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出第一一五号)

 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出、衆法第三六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案、日本道路公団等民営化関係法施行法案及び岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長安富正文君、総合政策局長澤井英一君、道路局長佐藤信秋君、鉄道局長丸山博君、港湾局長鬼頭平三君及び公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁近藤剛君及び日本道路公団理事奥山裕司君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自由民主党の葉梨康弘です。

 本日は、民主党提出の高速道路事業改革基本法案、これについて質問させていただきます。

 さて、本法案については、四月の二十一日にも我が党及び公明党の委員から提案者に対して質問が行われました。ただ、私も聞いておりましたが、質問に対して答えていただいていない、そういう印象を持たざるを得ません。料金収入もなくて新たな道路整備ができる、そういうふうに言われても、そんなに我が国の財政は豊かだったかな、これでは待っているのは大増税かなという気もしますし、大体イメージとして浮かんでくるのは、今までの厳しい仕事とか行政改革、ファミリー企業バッシングから逃れて、老人ホームのすばらしい環境でぬくぬくと笑顔に囲まれて働く料金所の職員の姿、そんなような感じを受けております。そして、示された数字、これも三とゼロだけ。こういうことでしたら、正直、判断のしようがありません。

 民主党の案は現実性に乏しい。こればかりではなくて、いずれにしてもツケが国民に回ってくるという意味で、私も先輩議員の例に倣いまして名づけさせていただきますと、ただほど高いものはない法案だろうというふうに思います。

 そこで、本日、四月二十一日の質疑でわからなかった点、これを中心にただしていきたいと思います。答弁は簡潔に、そして質問に対して答えていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、まず、岩國議員は、四月二十一日の質疑で、政府案はマーケット任せ、高金利の波が押し寄せてきたときには先手をもって税金で繰り上げて返済する、こういうふうにおっしゃられましたね。

 繰り上げ返済が可能かどうか、これについては後でまた議論をさせていただこうと思いますけれども、今現在、毎年の税収も四十兆円、道路公団の有利子債務は三十八兆円ですから、繰り上げ返済を行うとなったってそれだけの税金がないわけで、やはりそうなると、何十兆円かの国債、どうもお話を聞いてみますと、三十年物の国債、これを発行するというふうにお見受けをいたします。

 そこで、岩國議員、財務専門家ですから、三十年債の金利というのは、御案内のように、シ団、シンジケート団じゃなくて入札で決まっています。四月の二十一日時点の金利でも、十年物の国債が約一・五%の年利なのに対して二兆円の発行です。これも大体市場のニーズを聞きながら、ほぼ消化できる量を発行しているということなんですけれども、三十年物の国債の金利は二・五%、はるかに高い。

 何十兆円もの三十年物の国債を発行するということになりますと、金利が、三十年、超長期金利、これが上がってくる、そしてひいては長期金利が上がってくる、そういうような可能性が非常に高いと思います。このような理解でよろしいでしょうか、御答弁をお願いいたします。

岩國議員 葉梨委員の御質問にお答えしたいと思います。

 まず最初に、三とゼロしかないという答弁、確かに私はいたしました。それは、しっかりと私の答弁を聞いていただきたいと思います。三とゼロさえもない、その例えとして私はそれを使っておりますし、三に相当する三十年とか二十年とか十五年とかいうものさえも政府案にはないわけです。そういうわかりやすい数字を出すということが大切だと思います。

 それから、ただほど高いものはない、これは、きょうの午後、道路公団総裁にも質問させていただく予定になっておりますけれども、ただほど高いものはないというのであれば、なぜ高速道路を無料にするという高いものを目指しておられるのか、逆に私の方からお聞きしたいわけです。アメリカもドイツもイギリスも無料化しているということは、では、アメリカもドイツもイギリスも、ただほど高いものはない愚かなことをやっているんでしょうか。なぜ自民党は愚かなことを三十年間公約してこられたんでしょうか。そのことをよく考えて御発言いただきたいと思います。

 次に、マーケットについて、長期金利について御説明したいと思います。

 三十年物ということは、別に三十年物か十年物か五十年物か決めたわけではありません。高金利の波が押し寄せてきたときにやるのは、借りかえではなくて、そのときの税収、高金利の波というのは大体どういうときに押し寄せてくるのか、学校で勉強されたと思いますけれども、それは好景気の波のとき金利が高くなってくる、こういうケースが蓋然性としては非常に高いわけです。

 とすれば、そういう長期金利が非常に高くなってくる。今までのずっと過去五十年間の長期国債の利回りをお調べになればおわかりと思いますけれども、不景気のときに長期金利だけが高くなるということはあり得ないんです。税収が多いときに高金利がやってきます。

 つまり、多い税収を利用して、そのときに、借りかえではなくて満期償還してしまう、そういう手が政府案には残されておらないということなんです。我々の高速道路事業改革推進法案の中には、あえて言えば奥の手というか、そういう高金利の波にちゃんと対応できる危機管理体制ができている。高金利という危機管理に対し、政府案はただ金利を払わなきゃならない、それを続けるだけのことなんですね。その辺をひとつ御理解いただきたいところであります。

 ですから、長期金利に対して、ただ単にそのときに借換債を発行するというだけではなくて、満期償還をしてしまう。しかも、満期償還できる税収の状況にある蓋然性が非常に高い。そして、その税収を使って満期償還して国民の負担を減らすということさえも政府案はできない。我々の案にはそういう選択肢が残されているということです。

葉梨委員 答えていただいておりません。ただ、時間もありますので先に進みますけれども、今の答弁を聞いていますと、法案も先延ばしだけれども、答弁も引き延ばしというような印象を受けました。質問に対してしっかり答えていただきたいと思います。

 高金利の波、これは金利が上がる局面になったときに、多分、三十年か十年か決めていないということですけれども、借りかえるということでしょう。そうなりますと、たくさんの国債を発行する。これは、大学でも私も学びましたけれども、多分岩國議員もいろいろといろいろなところで言われていると思いますが、金利を上げることになる。だんだんだんだん景気が上がる局面になって金利をさらに上げて、よくなりそうな景気をわっと冷やす、そういうような案である、そういう可能性を指摘されているということだけを指摘させていただきたいと思います。

 その繰り上げ返済です。繰り上げ償還が可能かどうかという議論ですけれども、今、道路四公団が有利子債務として抱えている債務は三十八兆円。このうちに、国庫同士、無料化案ですと国庫ということになりますから、国庫同士の貸し借りということで、繰り上げ償還が議論できるのは財政融資資金の十五・五兆円しかない。ですから、郵政公社からの資金十一・九兆円、民間からの債務十・七兆円、この計の二十二・六兆円について、郵政公社とか民間に対して繰り上げ償還を強制できるというふうなお考えでしょうか。簡潔にお答えいただきたいと思います。

岩國議員 強制できる条項はありません。しかし、繰り上げ償還条項がついているものは少なくとも手が打てるということを私は答弁申し上げております。

 それから、国債と政保債、政府案は政府保証のついた債券です。我々民主党案は国債です。国債と政府保証債は、どこの国においてもスプレッドがあります。高金利のときほど、〇・五から〇・七%、つまり、政府保証債でいく政府案は、結局、高金利のときにさらに国債よりも〇・七%高い金利を払わなければならない。繰り上げ償還できるものは繰り上げ償還すべきです。繰り上げ償還できないものは借りかえをしていかなければならない。

 しかし、そういう高金利の波をゼロにするということを私は申し上げているのではなくて、今委員がおっしゃった十五兆円だけでも、繰り上げ償還できる条項のついたものは積極的に手を打っていく、危機管理体制という手が残されているということを申し上げています。

葉梨委員 よく質問に答えていただいていないということが皆さんもおわかりになられたかと思います。

 借りかえるのか借りかえないのか、それもわからない。あるいは繰り上げ償還できるものはということになりますけれども、まあ、大半については繰り上げ償還はできないということなんだろう。そうなりますと、岩國議員は政府案を、マーケット任せ、金利任せ、通行量任せ、景気任せというふうに言われましたけれども、それはそれで、金利が高くなった局面においては通行料のシステムをやはり見直していくというような答弁も国交省の方からあったかと思います。ただ、岩國議員の無料化案というのは、マーケット任せのリスクをまさに国民、税金に押しつける、そういうものだということを指摘しておきたいと思います。

 四月二十一日の質疑で岩國議員は、道路特定財源について、最終的には推進本部で決めるけれども、今現在の考え方としては、道路特定財源を直ちに廃止する考えはありません、そういうふうに明言されました。しかし、同じ日の質疑で津川祥吾議員は、道路特定財源は残しません、道路特定財源の一般財源化は公共事業コントロール法案で提案する、そういうふうに言われている。ですから、コントロールじゃなくて、答弁がスクロールかダッチロールになっちゃっている。

 ここのところを一点ただしたいんですが、お二人の答弁は要りません、どちらか正しい方お一人だけ答弁いただきたいと思います。

津川議員 お答えを申し上げます。

 私どもの民主党の考え方といたしましては、道路特定財源については一般財源化ということを考え方としてもう既に定めております。

 ただし、今、まさに本日この場で議論をしていただいております私どもの民主党法案というもの、この中の議論で申し上げますと、特定財源というのはそのまま残った上での議論、今の政府の状況に乗っかった上での議論をさせていただいているつもりでございます。ですから、この法案の中で特定財源を一般財源化するということは書き込んでおりませんから、議論のテーブルといたしましては特定財源がある中での議論ということになろうかと思いますが、先日いただいた質問というのは、民主党としてはどう考えているのかというような御質問であったかと思いますので、民主党としては道路特定財源は一般財源化をする、こういった考え方を述べさせていただいたということでございます。

葉梨委員 民主党のお考えは一般財源化すると。ただ法案についてと。法案に非常に関連することで、それについて、まあ、答えていただいたのでいいんですけれども、聞くなみたいなことは、これは余り言わないでいただきたい。

 私個人としては、民主党が総選挙で政権をとったときに次は国土交通大臣になりますよという方よりも、多分、仕事ができるということでネクストキャビネットの国土交通大臣になられた岩國議員の方が正しいのかなというふうに思いましたけれども、津川議員の方が正しかった。ですから、岩國議員には、答弁を修正する、訂正するということが必要かなというようなことを指摘しておきたいと思います。

 さて、津川議員に御質問いたします。

 四月二十一日の質疑で津川議員は、高木毅委員の質問に対して、九千三百四十二キロ、これについてはフル規格ではつくらない、そういうような御答弁をされました。ただし、規格を見直してでもつくるのかという問いには最後まで答えていただけなかったんです。

 規格を見直してでも九千三百四十二キロは民主党としてはつくるというお考えかどうか、明確に御答弁をお願いしたいと思います。

津川議員 お答えをいたします。

 まず、整備の方針につきましては、この法律の中にも定められておりますが、具体的には、内閣に設置をされます高速道路事業改革推進本部、この中で具体的に定めていくということに定めさせていただいておりますが、現在、九三四二についてだけ切り取ってどうかというようなお話をされているのかと思います。

 ただ、私ども民主党といたしましては、九三四二の残工事の部分については、まず厳しく見直しをしなければならないということを考えております。それは九三四二だけではなくて、国幹法の中で定められております法定予定路線一一五二〇について、果たして今、法律ではつくるということになっているわけでありますけれども、この考え方の中で今九三四二がまさに議論をされているわけです。

 この前提を置いた上で九三四二をどうするかという議論になっているかと思いますが、私どもは、その前提そのものからまず見直しをしていく必要があるだろう。高速道路の整備について、必ずしも今までの議論の中で議論するのではなくて、本当に必要な道路というのは必ずしも高速道路とは限らない、こういった中で議論を進めていけば、当然規格についての見直しもしなければならないし、政府案の中でも、九三四二の中でさえつくるかどうかまだはっきりしていない部分があるわけでありますけれども、私どもとしても、規格の変更だけではなくて、例えば、考え方としては、バイパスと一本化するというようなこともできるのではないかと。バイパスと一本化をしたときに、これが九三四二の中なのか外なのかというのは、これは一概には判断できないところかなというふうに考えております。

葉梨委員 最終的に答えていただかなかったです。

 政府案でも、九三四二については、有料道路区間それから新直轄の区間、抜本的見直しの区間、そういう形で明確に分けていますけれども、国幹会議には民主党の方も出られているんですよね。どういうことなんだろうか。全然決まっていないということを民主党の皆さんもよく御理解いただきたいと思います。

 この質問については、質問しても、多分答えたくないから引き延ばすということでしょうから、打ち切らせていただきます。(発言する者あり)選挙があるからというやじが飛びました。そういうことでしょう。

 四月二十一日の答弁で岩國議員は、国が責任を持って管理も補修も返済もやっていく、そういうようなおっしゃられ方をいたしました。そういうことから考えますと、法案にも書いてありますが、真に必要な道路はつくる、建設するというようなお考えであるような感じがいたします。ただ、問題は、お金があるかどうかという問題なんです。

 今現在、道路に使われているお金というのは、道路特定財源が五・六兆、一般財源が三・四兆、それから有料道路の収入が二・六兆。ですから、計は十一・六兆ということになってきます。そして、今の政府案ですと、毎年毎年、大体初年度は、元利支払いがそのうち〇・八兆ということになりますから、道路の、これは高速道路だけじゃなくて一般道路も含みますが、道路全体の維持管理それから建設には十・八兆円使える、そういうような感じになります。

 ただ、この十・八兆円でもなかなか苦しいから、やはり九千三百四十二キロについてもしっかりとコストカットをしていきましょう。消防自動車も入れないような細い道、よくニーズを見ながら、本当に必要な道路をつくっていきましょう。それでもなかなか、地方からは、まだまだ足りない、何とかしてほしい、そういう声が上がっているのが実情です。ただ、いずれにしても、政府案では十・八兆円が使えるということです。

 ところが、一般財源化すると言われますけれども、岩國議員も道路のものは道路で使うということを言われましたので大体九兆円、二・六兆円という料金収入がなくなります。九兆円の中で、これは民主党からは全然案を示されていなかったんですけれども、参考人である山崎養世さんの意見陳述では毎年二兆円ずつ返すんだ、そういうようなことを言われました。もともとの民主党の素案をつくったというふうに新聞報道されている方でございます。そうなりますと、政府案が十・八兆円道路の維持管理に使えるのに対して、民主党案では七兆円しか使えない。

 今、地方の道路、国道じゃありません、地方の道路で、本当に必要なものをつくろうということで、地方公共団体は六・五兆円の事業費で道路をつくっているんです。全部で七兆円しかないとなると、この地方公共団体の六・五兆円というのは相当削らなきゃいけない。その意味では、大分、地方いじめ、住民いじめじゃないかな。

 地方公共団体の事業というのを削ることになるのかならないのか、そのことについて端的にお答えを願いたいと思います。

岩國議員 端的にとおっしゃいますから、なりませんとお答えしておきます。

葉梨委員 理由を端的にお願いいたします。

岩國議員 民主党の考えていますのは、こういった道路財源も含めて、要するに地方自治体に、今の個別的な補助金の体制を、一般交付金と総合的な交付金の体制に切りかえていく。その中で、島根県は島根県なりに、茨城県は茨城県なりに、やり方もこれから選択肢が広がっていくでしょう。

 二番目に、高速道路が一般道として無料開放されれば、高速道に沿って同じような県道や市道をつくる必要はなくなる。したがって、つくらなければならない、使わなければならない道路が、重複した工事が必要なくなる。そこから、同じお金を使わなければならないという固定した考え方ではないということです。

葉梨委員 そこのところ全然、民主党の方はこれでわかりますか。お金というのは入ったものしか使えないわけですよ。お金がないのに、その目的を切りかえたからといったら、ここに使えばどこかがへっこむということ、これは小学生でもわかる話じゃないかというふうに思います。そのことを御指摘させていただきたいと思います。

 いずれにしても、民主党案だと、どうも、新しい高速道路それから一般道についても、予算を相当削っていかなきゃいけない。予算をつけるとすると、ほかの、社会保障とか年金とか、そういったものもどんどん削っていかなきゃいけない。削らないとすれば増税をしなきゃいけない、そういうような法案であるということをよく御理解願いたいと思います。

 四月二十一日の質疑で岩國議員が、料金の徴収業務は要らなくなります、ただ、排気ガスの中の劣悪な環境よりも、老人ホームで御老人の笑顔を見ながら仕事をした方がいいんじゃないか、そういうような答弁をされました。

 このような老人ホームの建設について税金を使われるお考えはありますか、端的にお答え願います。

岩國議員 老人ホームを建設するかどうかの議論をここでしているわけではありません。我々が政権をとれば、老人ホームはどれぐらいそのために予算を使うか、使わないか。また、自治体によって、たくさんあるところとないところと、いろいろあるでしょう。我々がなぜここで、老人ホームを幾つつくる、そういった議論をしなきゃならないんですか。

 私は、そういう老人ホームの建設のニーズが、一般的に言ってまだまだ日本にはあると思います。どの自治体においてつくるのか、幾らつくるのか。いずれにしてもお金のかかる話。そして、こういう雇用の再就職先としては、十分マーケットは大きいものがあるということを御理解いただかないと、先ほどの葉梨委員の、お金があったら全部使うような話をされました。今はもう、お金があったら全部、高速道路もあるのに無理に一般道をつくってしまう、そういう時代は終わるということを申し上げているんです。そういう一般道をつくる必要はなくなるということです。

 高速道路が一般道になれば、なぜそれに沿って一般道をつくるという今までの考え方を延長していかなきゃならないんですか。そこの辺が自民党と民主党との違いなんです。つくることだけを考えるのではなくて、使い方を考えていけば、つくる必要がなくなる道路もできてくる。だからこそ、改革推進本部で徹底的に見直しをしていけば、高速道路を一般道路として使えば、もうこの県道は要りません、一般国道ももっと先に延ばしてもいい、こういうことになるのが当然じゃありませんか。もっとお金の使い方に、選択肢を使うということです。

葉梨委員 老人ホームというのは岩國さんが言い出されたんですよ。すばらしい発想をされる方だなということで御質問したんだけれども、忘れちゃったんですね。それはこれぐらいにしておきます。

 ただ、岩國議員御存じのとおり、料金徴収業務というのは、その人たちを再就職するとこの法案に書いてあるんですが、約千二百強の料金徴収所、これの約十倍近い人間が今いるんです。でも、これは民間の企業の職員、アウトソーシングしていますから、ここら辺の再就職にも相当な税金が使われてくるんだということを指摘しておきたいと思います。民主党の皆さん、よくわかってくださいね。

 それから、次にお伺いいたします。

 四月二十一日の質疑で岩國議員は、首都、阪神その他、多分中京、幾つかの地域は課金するというふうに述べられました。首都、阪神を例示に挙げられたその理由については、交通混雑とかいろいろな理由を言われましたけれども、実態として見て、外形的には、交通量が多い、いわゆるもうかる大都市の道路は有料を継続するということになります。

 多分、民主党さん、最近農業も大分力を入れるようになって、農村から票をとりたいということもあって、大都市住民いじめみたいな形でこういう法案をつくられたんじゃないか、そういうふうに思いますけれども、長距離の旅行は別として、東京、大阪の大都市の住民にとっては無料になるわけじゃないわけです。

 ところが、地方には、先ほど地方の実情ありました、高速道路も足りない、一般道路も足りない。一般道路について一言言いますと、私も消防の分団員をやっていますけれども、消防自動車も入れない小さな道がたくさんあるんです。それだけ一つは言っておきますが、地方では、無料化なんてするとどう見ても高速道路はできそうにない、有料でもいい、お金を払ってでもいいから高速道路をつくってほしい、そういう声がたくさんあるわけです。

 そうなりますと、こういった地方の道路、高速道路をつくるときに、課金を検討される考えはありますか、端的にお答えいただきたい。

岩國議員 地方の高速道路だから課金をする、中央だからしないとか、そういう地域的な差別をすべきではないと我々は考えています。関東だろうと、それから島根だろうと、新しい高速道路をこれからつくろうというときには、原則として無料ということを私どもは申し上げております。何度もこれは繰り返してきました。

 しかし、一定期間、一部路線については、交通渋滞、そういったことも含めて十分対応できる期間の中で、それはできるだけ早く無料化していくということで、どの路線を、どの期間、通行料金を徴収し、そしていつ廃止するかということは推進本部で決めるということを申し上げております。

葉梨委員 具体的なイメージがわかない形できょうは答弁がずっと聞かれました。ということは、地方の道路についても、これは無料じゃなくて有料という余地も相当あるんだという法案であるということが明らかになりました。そのことをよく御理解願いたいと思います。

 四月二十一日、岩國議員は、上下分離ではこんな会社にはだれも投資をしない、上場を論ずること自体が非常識である、そういうような答弁をされたと思います。だけれども、考えてみたら、本社ビルを賃借で借りている会社というのはたくさんあるわけです。生産手段を自分で所有していなければ上場できない、そんなことはない。

 東京ディズニーランドを考えてください。もしも東京ディズニーランドのオリエンタルランドがこれらの賃貸し会社になって、営業権を貸しますよ、入場料収入からはコスト、新たな設備投資、そういったものを全部上げてください、ただし、中で落ちるお金はどうぞ利益にしてくださいといったら、この株は私は買いたいと思うんです。それで、私だって社長になりたい。少なくとも三十年物の国債よりはよく売れるだろう、そういうような感じもいたします。

 ですから、こういうことなんです。道路公団の民営化というのは、もう御議論されていますが、いわゆる国鉄改革とか、今ちょっと俎上になっている郵政改革、それとは違うんです。これは、言ってみたらBTO型の大きなPFI。ですから、こういうビジネスモデルというのは十分にあるわけです。もう時間もなくなりましたので、数を挙げるのは省略いたしますけれども。

 私の地元でも、民鉄、関東鉄道という会社がある。鉄道事業ではほとんど利益が出なくて、鉄道事業の利益というのは全部借金返すのに使っている。ところが、不動産事業でもうけている。そうすると、関東鉄道という会社は不動産会社である、そういうようなことになってしまうわけです。

 岩國議員、四月二十一日におっしゃられましたけれども、これは日本道路株式会社じゃなくて日本フード株式会社だ、社名を詐称しているんだというようなことを言われておりました。

 ちょっと時間もないので、この質問は飛ばして、次に移らせていただきたいと思います。

 林副大臣、御地元で銚子電鉄という会社があるんです。この会社はかわいそうな会社で、平成十年に親会社が倒産して、大体、料金収入といったって、もう本業は大赤字なんですね。それで、経営補助、欠損補助を受けながら、何とか市民のために頑張ろうということで今営業を続けている。ですから、上下分離以前の話として、その生産手段については、評価額は恐らく二束三文なんです。

 ただ、この会社、御存じのとおり、ぬれ煎餅で頑張っているんです。これはおいしいんです。私も銚子に行ったときはよく食べます。子供も大好きです。そして、この会社のホームページでも、鉄道事業の欠損を補うことができる事業としてぬれ煎餅事業を労使一体で頑張っているんだ、そういうようなことを言われています。

 ただ、先ほど言いましたように、岩國議員の答弁では、上場されるとすれば運輸交通部門でなくて飲食部門だ、社名も、日本道路株式会社でなくて日本フード株式会社だ、こういうような答弁をされました。その伝でいきますと、銚子電気鉄道株式会社、銚子電鉄ですが、これは銚子ぬれ煎餅株式会社、これに社名を変更しないと詐称しているということになっちゃうんです。

 副大臣、銚子電鉄は、銚子ぬれ煎餅株式会社に社名を変更すべきと思われますか。どうでしょうか、端的にお答えください。

林副大臣 銚子のぬれ煎というのは有名でありまして、銚電が青息吐息のときにぬれ煎を大々的に販売いたしまして、今、本業の電鉄の赤字分をぬれ煎の販売で補っているというのは事実でございます。しかし、昔から銚電で親しまれておりまして、今でもやはり社名は銚子電鉄株式会社で進めておるのが実態でございます。

葉梨委員 ありがとうございました。

 市民のために、鉄道を守るために懸命にぬれ煎餅を焼く電鉄の職員、二十四名しかいないそうです。日本に早く高速道路ネットワークをつくって、国民の利便を高めるために、そして料金を安くするために懸命にサービスエリア、パーキングエリアで働く日本道路株式会社の社員、これを思い描きますと、今の民主党案というのは、あるいは民主党の説明、これは、理屈だけじゃなくて、人情の面からも大分人情味に欠けているんじゃないかなというような気がいたします。

 当然、このような案に対しては、我が党としては賛成できません。そして、民主党の皆さんにも、党派を超えて、理性と知性と人情で判断していただくことをお願い申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 中川治君。

中川(治)委員 民主党の中川治でございます。

 藤井前総裁がなかなか参考人にも登場しない。我々の方からは何度も繰り返し理事会の方でも要請はしておるようでございますけれども、なぜこれが実現しないのか。現状のところ、御説明をお願いしたいと思います。

赤羽委員長 この件につきましては、理事会でお諮りもさせていただき、理事会にて決着がついていることでございますので、御理解をいただきたいと思います。

中川(治)委員 わかりました。

 それでは、とりあえず、阪神高速道路公団の関係についてまず質問をさせていただきたいと思います。今お配りしているのは、まだ後のテーマでございます。

 今、今後の高速道路をどうするか、阪神高速道路も含めてですけれども、議論をやっております。御存じのように、大阪の方では、阪神高速道路については、大和川線それから淀川左岸線、さらにそれを、将来ですけれども延伸して、大阪の大環状線、これもなかなか議論のあるところですけれども、基本的には、大阪という非常に小さい面積の中で、交通の便がいいものですから、いろいろな車が市内を通過していく。これを迂回しようということで、今の環状線というのは大阪市内のJRの環状線よりも狭い範囲を走っておりますので、そうではなくて、もう少し大規模な環状線をつくり上げようということが一つの目的であります。

 なぜかといいますと、これは大阪府議会のときからも私ずっと議論をしてきたんですが、きのうもそうでした、非常に全国暑かったんですけれども、沖縄よりも暑かったのは大阪なんです。全国の年間平均気温で、実は、沖縄よりも大阪は〇・一度高くて二十五度。要するに、日本で一番暑い町になってしまっておるという状態であります。この大阪の都心部のヒートアイランド現象をどうするかというふうなこともありますし、こういうことをも含めて、一つの対案、対抗策の一つとして、大和川線それから淀川左岸線、さらに淀川左岸線の延長、延伸ということを構想しております。

 そういうことの中で、さあ、この議論、どうなるかということでありました。そういうことで議論をしておる間に、実は、二月ですか、大阪府議会の方から我々の方に、どないなってんねん、まだ法律も何も決まっていないのに、大阪の大和川線、今のところ工費がざっと約五千億円ぐらいですか、そのうちの二千億円分については大阪府の街路事業としてやってほしい、そうでないとできないですよということが去年からもう既に話し合いがされて、そして、大阪府は泣きの涙で、金もないのに、二十四億円の真水、大阪府の真水、合わせて六十一億円の予算の計上をしておるということで、大阪府議会でえらいもめました、二月に。突然出てきたものですから、どないなってんねんということでありまして、法律もまだ決まっていない。

 そして、大臣は繰り返し繰り返し、これからの路線については新会社で皆決めます、こういうふうに言っていたんですけれども、どうもそうではない。新直轄でもない、一般街路事業でもない、足して二で割ったような補助金をもう既に提案されている。これは一体何なんだという思いがございまして、簡潔に経過の説明をお願いしたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘の阪神高速大和川線、これは、堺市の築港八幡町から松原市の三宅中に至ります延長十・八キロの路線でありますが、御指摘のように、大阪南部地域で臨海部と内陸部を連絡して、東西方向の交通混雑の緩和、こうした目的と、さらに、既存高速道路と接続を図ることによりまして、大きな環状道路の一部を形成する、こういうことで、地域社会経済活動の発展に寄与する重要な路線である。

 平成十三年の八月に、大阪圏の新たな環状道路を構成する路線として都市再生プロジェクトに都市再生本部決定されまして、大阪府の再生に不可欠な都市基盤である、こういうふうに考えております。

 現在の阪神高速道路公団としての現行のスキーム、このもとで、この重要な路線でありますが、約十キロ建設を続けていこうとしますとおおむね五千億円規模の建設費がかかるであろう。この中で、公団としての現行スキーム、こういう形で、五十年以内に償還を確実なものにする、こういったような観点、それから、環状線としての機能、いろいろ考えまして、この十キロのうちの四・三キロ、堺市の常磐町から松原市の三宅中まで、事業費約二千億円分でございますが、阪神高速道路公団事業から除外して大阪府の街路事業として実施する、こうしたことで現行のスキームのもとにおいても実行可能である、こういうふうな形にしていこうとしているものであります。

 この阪神高速道路については、府県道あるいは指定市道から構成されておりますので、従来より、国と地方が一対一の負担によって整備を支援してきた路線であって、街路事業として事業を実施することが適当、こういうことにしたところでございます。

 これからの議論といたしまして、この街路事業で、いろいろ府、市の負担がふえるではないか、こういう御指摘であろうかと思います。

 この阪神高速大和川線、一部区間の用地買収を大阪府施行の街路事業で平成十六年度より実施していこう、こういうことにいたしたわけでありますが、これにつきましては、地方道路整備臨時交付金において、地方道路交付金事業で必要額を確保していこう、こんなふうな目標にしているところでございます。この場合には、一般的な補助事業と異なりまして、補助率が明確に一対幾つ、こういう規定が区間別にあるわけではございません。特に交付金の使い方の弾力化、こういうことに随分と努めてきているところでありまして、十六年度からは、都道府県から提出されます実施に関する計画、これに基づいて交付金を交付いたすわけでありますが、言ってみれば、地方が四・五、国が五・五、こういう形にするものであります。

 したがいまして、その中の一つ一つの路線についてこういう割合にするということでもございませんので、いろいろ工夫しながら、それぞれの当該区間についての国費の割合、こうしたものをかさ上げすることも可能である、こういう面もございまして、今後、大阪府の中でいろいろな検討をしていただきながら、負担の軽減というような形もかたがた私どもも相談に乗りながら、そんな工夫もしながら事業の推進に努めてまいりたいと思っております。

中川(治)委員 大臣にお伺いしますけれども、要するに、今聞かれたようなことなんですね。

 大和川線については、私は先に申し上げておきますけれども、この事業はきちっとやりたいという思いがあります。ただ、これについては、新会社ができて、阪神高速民間会社ですね、ここで意思を決定するんだということで、繰り返し大臣もおっしゃっていました。ただ、実際のところは、このままだったら無理ですよ、三割ぐらいは大阪府の街路事業でやったらどうですか。大阪府は、もちろん、そんな金ないというふうに言います。そうしたら、補助金については配慮しまんがな。こういう話し合いが去年の夏、秋。そして、ことしの二月には大阪府はもう予算を計上しているんです。

 こういうことが、この法案が、まだ審議決まっていない、そういう時点から役所主導でなされていて私はいいんだろうかという思いがあるんですけれども、大臣、率直なところ、どうですか。こういう経過については御存じだったですか。

石原国務大臣 この点につきましては承知しております。今回の道路公団等々の民営化の最大の目的は、四十兆円の債務を確実にどうやったら返せるのかというところにございます。そうしますと、今委員が御指摘されました阪高の大和川線あるいは淀川左岸線、あるいは首都高にもそういう部分がございます。

 こういうものをつくると建設費が非常に高いので、これまでのような施行法でありますと、首都公団あるいは阪神公団、民営化会社になったとしても破産してしまうおそれがある。そういうものをどういうふうに回避するのかということで、もともとこの路線については府道でございますので、阪高と首都高は府、都の出資もあるわけでございます、こういうことからこういうような処理をさせていただくことで物事が推移していると御理解いただきたいと思います。

中川(治)委員 だんだんこの出資金もふえてきまして、今二五%ですね。事業が、あれは二五%を出資する。半分が国で半分は地方自治体、大阪府と大阪市が折半をして出すということなんですよね。

 なぜこの採算が合わないということになってきたかといいますと、先ほどおっしゃいましたように、阪神高速は、これも実現できるかどうか非常に怪しいところもあるんですが、大和川線それから淀川左岸線ですね、完成後四十九・五年で償還をする、そして、完成時には七百円を八百円に上げる、こういうことで計算をしておりました。そういうことで全体の計画をやり、一部もう先行買収が始まっているということであります。

 ところが、国の判断で、今回の場合は、四十五年でなければならない、値上げは一切してはならない、こういうことの中で計算をしてみるとどうしたって金が足らぬ、こういうことになったんですね。そして、これをどうしてもやりたかったら地元の自治体で持ちなさい、こういうことですよ。

 大臣、やはりそれは、国としては四十兆円さえ何とかなったら、自治体にどれだけ負担がかかろうが知ったことではないと、私はひがみっぽい人間ですから、そう聞こえました。それは殺生ですよ。

 それともう一つは、新直轄というのがこの道の場合には適用されない。阪神高速は大阪府道だから、国道だったら適用するけれども、府道だったら適用できませんというのは、余りにも紋切り型で、ちょっと機械的ではないですか。大阪弁で言うと、情がないんちゃいまっか。これ、新直轄でいくと今までの負担と変わらないです。その辺はどうですか。

佐藤政府参考人 先生御指摘の新直轄方式、これは、高速自動車国道で国が直轄で事業を行うというものをこの十五年度より用意させていただいたわけでございます。この国会の御議決もいただいた、こういうことでございます。

 基本的には国が三、地方が一。しかしながら、それぞれ地方の財政力の状況に応じまして、またかさ上げ措置もある。一方で、通常の国道、一般国道で申し上げますと、直轄の場合には、基本的には二が国、一が地方、標準としては三分の二が国の負担、こういうことになっておるわけでございます。

 さらに、都道府県道等の場合には、通常は補助事業として、これは事業が必要である、こういうふうなお互いの判断が一致すれば、十分の五が国で十分の五が地方である、こういうようないわゆる負担率、補助率の基本的な物の考え方、こういうことに基づきまして、これは道路事業だけではございませんが、公共事業全体として、そうしたお互いの役割分担といいますか、受益と負担、こういう面からの国と地方の役割分担をお決めいただいてきている、こういうことでございます。

 そこで先ほどの御質問に戻るわけでございますが、何がゆえにこの大和川線については新直轄事業にならないか、あるいは直轄事業にならないか。

 先ほど申し上げましたように、高速自動車国道あるいはまた一般国道の直轄事業、こういう形での整理と多少、そういう意味では今までが違ってきておりますし、内容的に、例えば大阪府、大阪市の渋滞解消、こういう面から申し上げますと、地域性もかなり強いかな。これは首都高速なんかでも一緒でございますが、そういう意味で、府道であったり都道であったり、こういう形の中でお互いの役割分担をしてきている。

 しかしながら、いろいろな工夫はお互いにしていきましょう。出資率の問題でいいますと二五%、これに対して国と地方で半々、一二・五%ずつ持ちましょう。さっき申し上げましたように、この大和川線の場合には、現状では大変事業の御要望が多いんで、おおむね五・五対四・五という形での国と地方の役割分担のもとにおける地方道路整備の臨時交付金事業、これの活用などもこの場合には図っていこう。

 そんな工夫をしていこうというようなことで、できるだけの、お互い、国も財政上もなかなか厳しいところありますが、地方の厳しさ、これも十分わかりますので、そうした工夫をしながら、なおかつ事業の整備も進めていこう。こんな工夫をお互いにし合うことによって、一歩、二歩事業を進めていこう。こんなふうな話し合いをしてきているところであると御理解いただきたいと思います。

中川(治)委員 これからもいろいろ検討していこう、話し合いの余地、検討の余地はまだあるというふうに私も受けとめておきたいと思います。

 多分これ、与党の大阪の議員さんも余り御存じない。まさかそこまでいっているとは思っていなかったという雰囲気があるようでありますので、これからもできるだけ、もちろん事業全体のコストを下げる、大阪はやはりコストを下げるということについては、御存じですけれども、関空も、二期工事の上物、四千二百億円から始まって、もうバナナのたたき売りじゃないですけれども、最後は一千億以下にしようと。要するに無利子融資だけで開港にこぎつけようということで思い切って腹を、そういうことはするところでありますから、しっかりと実現可能な方向でまたやっていただきたい、そんなふうに思います。

 次に行きたいと思います。ファミリー企業の問題をやります。

 私はこれが担当でございますので、別に私が意地悪でこんなことを調べているわけじゃございませんので、先に言うておきたいと思います。

 公団からファミリー企業への天下りを廃止していくということが、これは去年の三月ぐらいに、運営コストを下げるということの覚書があります。この中で示されておられますけれども、現状を簡潔に、時間がございませんから、簡潔に教示をお願いします。

佐藤政府参考人 公団からファミリー企業への天下りの現状いかん、こういう御質問かと思います。

 そういう意味では、平成十四年の八月と比較いたしまして、例えば公団のOBの社長について申し上げますと、日本道路公団の場合には、平成十四年八月がOB社長六十人でございましたが、現状では二十六人。首都高速道路公団は十二人が六人。阪神高速道路公団は二十五人が十一人。こういうふうに推移しておりまして、合計では九十七人が四十三人、こういうことで五六%の削減という形になっております。

 また、公団OBの役員について申し上げますと、日本道路公団は三百三十人の役員がおりましたが、これが百六十二人。首都高速道路公団は五十三人が二十七人。阪神高速道路公団は九十一人が四十人。合計いたしますと四百七十四人が二百二十九人ということで、これも五二%の削減、こういう状況になっております。

 これは、平成十四年八月と比較しての現時点での数字でございます。

中川(治)委員 ある意味では、わずか二年弱で半分に減りましたという報告をいただきました。私は疑りっぽいものですから、ほんまかなということで、とりあえず、今までどうなってきたかということを調べてみようと。本当は、子会社百二十一社、それから、疑わしいと民営化委員会で言われた行政コスト外のファミリー九十一社も含めて全部やろうと思ったんですが、十年間さかのぼって謄本取り寄せて、とりあえず阪神高速の公団の子会社だけやりました。二十二社で、案外お金かかるものです、十三万円かかりました。これ自費ですから、二百社調べるときは、ぜひ、岩國大臣、措置をお願いしたいと思います。

 これを見ていただきますと、例えばこの一番の方ですね。これは見方を解説しながら説明してみたいと思います。

 これは公団のある課長さんです。公団は、理事長とか部長、大体部長も半分ぐらいは国土交通省から行かれますので、プロパーの方は大体課長か次長、頑張った人で部長になれるかどうかということで、それ以上のポストはほとんど公団の場合はなれませんので、課長さんというのはかなり偉いわけでございます。

 この一番の人は五十二歳で退職された。ファミリー企業に痕跡が残っているのは五十七歳の平成五年からであります。この間の五年間はどないしてはるんかなと、私は皆これは調べておりませんが、多分、阪高関係の財団法人で総務部長さんか何かをなさっているんじゃないのかな。空白になっているはずがございませんので、阪高関係の財団がありますね、財団法人の方に多分この五年間は行っていると思います。

 その後、五十七歳以降、こういう形で役職につかれている。代表取締役、取締役、五十九の暮れなんかには五社の子会社の取締役を兼ねておられる。それがずっと続いてくる。こういう実態がずっとありまして、これが、今聞きましたように、半分なくなりましたということであります。ほんまになくなったんかな、このやめられた人たちは今度はどこへ行ったんかなという思いが私はしております。しつこいタイプでありますから、今後も調べてみようと思うんです。

 これをずっと見ていただきましたら、一番の人、二番の人、三番の人、大体わかってくるのは、退職をして、何らかの形で、六十八歳、場合によったら七十歳ぐらいまではきちっと面倒見てはるということなんですね。何歳まで面倒を見ることになっているのかお答えください。

安富政府参考人 公団のことについてお聞きなのか、公務員自体についてお聞きなのかちょっと釈然としませんので、私の場合、公務員の場合についてお答えしたいと思います。

 国家公務員から民間企業等に再就職ということでやる場合に、当然のことですが、民間企業等から、必要な知識、技術を有する人材を求めてくる場合がございます。そういう場合には、我々として、本人の意向を確認の上で適宜情報の提供を行って、当事者間の合意で再就職するということになっておりますが、既に退職して再就職した後の方がさらに就職するという場合については、あくまで本人と就職先の意向の問題でございまして、基本的に、国土交通省が承知する立場にございません。

 そういう意味で、先ほど、六十八歳から七十歳まで面倒を見るのかということでございますが、これはそれぞれの本人のいわゆる能力であるとか健康状態あるいは就職先の企業の経営状況等によってそれぞれ千差万別でございまして、一概にそういうことにはなっておりません。

中川(治)委員 後で、今度は国土交通省の場合はどうなっているんですかということをお聞きしようと思ったんですが、大体国土交通省の場合は、公団であるとかあるいは財団法人の方へ行かれる方が多いですね、退職をしてから。これについても、多分、そういうシステムとして決めていないということだと思います。

 私は、この世界、大体、不文律としてそういうものはあるものだと思っています。率直に言いまして大阪府でもありました。

 この間、ずっと、行政改革、財政再建で大変だということで、私も同じように大阪府で憎まれ役をやったことがあるんですけれども、八年ほど前の副知事さんが、まだ二千六百万円ぐらいのところに天下っているらしいぞ、全部調べまして、ちょうど六年前だったと思います、退職をして天下った場合に、それまでみんな退職金もらっていました、国の皆さんと同じように。しかし、天下った先から退職金は一切もらわない、これはやめようじゃないか。それから、最高、何ぼ忙しくても給料千二百万円まで、普通の場合は大体五百万前後、これでも世の中からしたら極楽やないか、うちの現役時代の給料と変わらぬわという人が大変多いんですけれども、そういう形で思い切って開きました。暫定期間ということを置かずに、もう翌年度から一気に実施をするということがありました。

 ここから先は、やはり率直に言いまして、私はそれこそ政治の出番ではないのかなと、大臣、思うんですけれども、こういう形を通じて厳然としてあるということが事実なんですね。ですから、これをやはり改めないとどこかへ潜り込みます。ファミリー子会社百二十一社、これはもう目をつけられているからやばいぞ、そうしたら、一応ファミリー企業ではないと言っている、残り百社ほどですか、そこへ行こうじゃないかということになっているかもしれません。しかし、少なくとも五十二歳で退職をするというような雰囲気の、公団でも大体五十五歳ぐらいで退職をするという慣例みたいなものがありますし、その後きちっと六十八歳ぐらいまで面倒見ようということがどうも実態としてはなってきている。これを本当にやめたのかということなんですね。これを断ち切らないとこの天下り問題というのはなくならない、私はこんなふうに思います。

 それと、現在でもまだ二百二十九人の役員が天下っているということですね。今度はこの人ら、これ見てもらったら、取締役でやめるたびに退職金もらっているのかな、何ぼもらっているんだろうと、私はいじましいですから、すぐに考えてしまいます。この資料もなかなかないんですね。みんな民間企業ですから、資料出してくれと言いました、民間企業でございますから出せませんと言われました。これも本当はなめた話です。

 十一年の九月に、ファミリー企業はもともと、財団法人道路施設協会ですか、そこが株を持っていました。その前年か前々年ぐらいに猪瀬さんが本を書きました。石井紘基先生がこういうところで集中砲火を浴びせました。そうしたら国は何をやったかというと、この子会社から株を全部引き揚げたんです。形だけ完全民営化企業。引き揚げていなかったら、その協会を通じて、協会は国の財団法人ですから、協会を通じて謄本も役員名簿も決算書も手に入ったかもわかりません。しかし、それをできなくしてしまった。そんな意図はなかったと言わはるかもわかりませんけれども、実際にはわからないんです。だから、どんなふうに退職金が出ているのかということもデータがございません。

 それで私、また友達に頼んで、帝国データバンクからいろいろ調べてみました。三十社ぐらいリストを挙げて頼んでみたら、貸借対照表の中に、例えば退職給与引当金を何ぼやっているか、ここまで資料を出している子会社の皆さんというのは物すごく少ないんです。データバンクの解説にもあります、資料をなかなか公開してくれない、見せてくれないと。

 ただ、その中でもパブリスという会社がございました。これは非常に収入優秀な会社でございまして、もともと道路施設サービス株式会社から社名を変更して、これも平成十一年ですね、できた会社であります。この会社は役員が五名で、退職給与引当金二億九千四百十九万九千円、大体ざっと三億円ということであります。これは平成十五年三月の決算でありまして、平成十四年の三月は三億五千六百万あるんですね。この平成十四年に、四、五年社長をされていた方がやめられているんですね。ああ退職金が出ているな、差額分ぐらいは出ているのかなというふうな思いがしまして、やはり短い人でも三千万ぐらい、少々長くやれば、あるいは社長であれば五千万から六千万ぐらい、どうも出ているんではないか。そういう形でこんなふうにもらっていきますと、これははっきり言うて罰が当たります。

 大臣、これ、まだもらう権利のある人が二百二十九人いるんです。少なくとも、地方自治体、私の知っている大阪府では、現職の人でも、あんたら、やめるときから出さないよ、もらわせないよということは、これは民間企業に勤めた人ですから指示出せないんですけれども、少なくとも国として、国土交通大臣として何らかの形で、いいかげんにしてくれと言う義務があるんではないのかと私は思いますけれども、大臣どうですか。

石原国務大臣 民間会社の退職金の実態については私も詳細は把握しておりませんが、同じような議論は特殊法人、公益法人等々でございまして、小泉内閣誕生の後、この勧奨退職制度というものを十五年から二十年にかけて、五年間かけまして三歳引き上げるということを今取り組ませていただいている最中でございます。これによりまして、公務員の退職年齢が平均五十四歳から五十七歳に引き上げられます。また、五年間の期間をもってこの同じ政策を実施すれば、次は定年六十歳までなるわけでございます。当省の気象庁あるいは海上保安庁等々は六十歳定年ということでしっかりやれております。

 特殊法人等々、あるいは特殊法人等々から公益法人、これは渡りという名でございましたけれども、役員を転々とすることによって退職金を何度ももらう、こういうものは既に是正をさせていただきました。民間企業においても、これからの厳しい財政状況と阪神公団が置かれているこの現況を顧みれば、委員の御指摘のようなことが、これから先、行われていくものではないと期待をしているところでございます。

中川(治)委員 子会社で百二十一社あります。ほぼ全会社が黒字なんですね。これはやはり公団、高速道路にかかわる仕事をやって、おいしい受注をやって、しっかりもうけているわけであります。こういうところで、これでさらに退職金を出し続けるというのはいかがなものかというふうに私は思っておりますし、今後さらに厳しくチェックをお願いしたい、そんなふうに思います。

 それからもう一つ、平成十五年三月二十五日の政府・与党協議会で了承された管理運営にかかわる部分のところでこういうふうに書いてあります。剰余金をどうするかという問題でありますけれども、剰余金についてはこれからはどういうふうになさるんでしょうか、一般論として。

佐藤政府参考人 先生の御指摘は、いわゆるファミリー企業と言われる企業に剰余金が累積しておるではないか、それをどう取り扱っていこうとするのか、こういう御質問かと思います。

 これにつきましては、昨年の三月二十五日の政府・与党協議会で了承されました道路関係四公団民営化に関しまして直ちに取り組む事項、こういう中で、利用者還元の充実を図る、こういう観点から、ファミリー企業に対して、協議会を設立するなどして具体的な活用方策を検討するように要請するということにされたところであります。

 具体的には、昨年の八月にファミリー企業による協議会を設立し、十一月には、このファミリー企業の剰余金をそれぞれが一部拠出していただいて、身障者ドライバーのETC車載器装着の助成費として十億円を拠出したところであります。

 引き続き、剰余金のこうした利用者への還元、適正な利用、活用、こういう観点から、公団を通じまして、ファミリー企業に対しまして協力を要請してまいる所存でございます。

中川(治)委員 十億円をやりましたということですけれども、子会社というふうに認定をされている百二十一社の判明している剰余金だけで既に二百億円あるんです。そうですね。これに、先ほどありましたような社内に留保している例えば引当金その他もろもろを入れると、私は、表に出るだけでも千五百億円を下らないだろうというふうに思っています。この間も、何とか機構の方でしたか、十億円寄附させていただきましたと。偉そうに言うなという思いが私はしております。

 そういう問題、ある意味では少ない額の問題ではない。むしろ、どんなふうに使うかということについては、本当の意味で思い切った、どの辺のところまでやるつもりなのかということについてはどこが決めるんですか。これはもう民間会社じゃないですよね。国の方でされるんですか。

佐藤政府参考人 決めるという観点から申し上げますと、民間会社でございますので、株主等の御議論もあろうか、そして会社がお決めになる、こういうことだとは思いますが、先生御指摘のように、いわゆるファミリー企業と言われるそれぞれの会社は、その会社の設立の経緯であるとか、あるいはまたこれまでの経営の実態であるとかいうような点から申し上げて、単にごくごく普通の純粋な民間会社と多少趣が異なっておるではないか、こういう御指摘が当然あるところであるわけでございます。

 そういう意味では、先生の御指摘の、それぞれの会社で合計いたしますと一千億を超える剰余金がたまっているという状態の中で、その活用の仕方については、私どもの立場からいいますと、それぞれの所管の公団を通じての要請、こういう形になろうかとは思いますが、しかしながら、今申し上げましたように、ETCの身障者ドライバーの装着に対する助成と限らずに、さらなる活用を要請しているところであります。

 こうした情報を開示しながら、明確にしながら、世の中の皆様の御批判、御指摘もいただきながら、適正に活用を図っていただくということが大切なことだと思っております。

中川(治)委員 この問題については、亡くなられました石井先生が今おられたら、多分激怒されていると思います。

 結局、やはり平成十一年九月の、株を引き揚げたのが一番大きな間違い。たしかあのときに石井先生は、吸収できる子会社があるじゃないか、まずそれを一本にまとめて、子会社の剰余金を全部吸収して、それから民営化せよ、こういうふうに言うてはったんですね。そうでないと持ち逃げになる、実際には、長年公団からむしり取ってきたものの持ち逃げになるじゃないかということを言うてはったんですけれども、国がなさったのは、まず子会社を民営化する、子会社を完全民営化して手離してしまう、そして、究極的には自分たちの手の届かないところへまず追いやってしまってから御協力をいただくという仕組みに変えてしまった。

 これは本当に我々からすればひどいやり方だなというふうに思いますし、ひょっとしたら、意図的にうまいことやりはったなというふうにも思っております。

 これは子会社で民間だといっても、株をみんな持ち合っているんです。大体七五%から一〇〇%、ほとんどこの子会社間で株を持ち合っておる会社ですから、ある意味では国の意思が一〇〇%働くはずだ、これは民営化委員会でも指摘をされております。私は、今からでも、できるところは一本化する、あるいは、新しくできる会社に吸収できるものはどんどんしていくということをまずしなければいけないんではないのか。

 そして、実際に働いている人についてはその雇用を守っていけばいいわけでありまして、例えば、先ほど言いましたパブリス、四百三十人ほどの職員さんが今います。人件費は十三億円ですから、大体一人頭平均三百万ぐらい。一生懸命サービスエリアだとかいろいろなところで働いておられるんだと思います。役員が五人で七千六百五十万、退職金はひょっとしたら一人頭平均五千万円いただいて、三、四年で五千万円持って帰るかもしれないという決算書になっています。

 この頭をきちっと整理するということが大事なのでございまして、そのためにはどうするかということをきちっとやらないと、子会社をこのまま、剰余金の二割か三割ぐらい吐き出させて野放しにするということでは、これは今までの問題だけではなくて、適正に世間の常識の範囲内で給料をもらってやっていくというのは私は大いに結構だと思います、ただ、この現状は余りにも常識外れ。これをまかり通らせないためには、一たん子会社でなくす、吸収をするぐらいのことができる会社はどれかということを私はしっかり選ぶべきではないのかというふうに思いますけれども、そういうことについてはどうなんですか。それは民間会社ができてからお任せですか。

佐藤政府参考人 二点お答え申し上げたいと思います。

 最初、先生、先ほどの、子会社から株式を外して野放しに逆にしてしまったではないか、こういう御指摘が一つと、それから、これからの子会社、関連会社のあり方についてどういうふうに考えていくのか、こういう問題であろうかと思います。

 最初の点につきましては、平成八年の九月の二十日に、公益法人の設立許可及び指導監督基準、こういうものが閣議決定されておりまして、この中では、公益法人は原則として営利企業の株式保有等を行ってはならない、それから、平成十一年の九月末までに株式を処分すること、こうされたところであります。

 この閣議決定がされた理由につきましては、公益法人は積極的に不特定多数の利益の実現を目的とする非営利の法人であるから、営利企業を設立してはならない、したがって、公益法人の理事が営利企業の設立発起人となったり、当該企業に出資を行うことがあってはならない、こう考えられたものであります。そういう点も含めて財団法人の方は株式を放出した、こういうことでございます。

 次に、先生の御指摘の、それでは、いわゆるファミリー企業と言われる子会社、関連会社が今のままで、公団は先に民営化してしまって、そしてその後で考えるということなのか、それとも、何らかの適正な整理合理化といいますか、世の中の皆様に御説明できるような形を仮に考えるのか、こういうことだろうと思います、二つ目の議論は。

 これにつきましては、民営化が、会社発足は十七年度中を予定していただいているわけでありますが、それまでの間におきましても、それぞれの公団の方で、それぞれの子会社、関連会社と言われる中で、いかなる会社を内部化し、これは言ってみれば、ある意味、その子会社の行っている業務を民営化会社が直接的に場合によっては行うこともあり得るか。子会社の内部化、あるいはまた適正に子会社を再編する、あるいはまた、徹底的に競争していただくために、そうした発注の形態等につきましても、徹底的な競争ということを前提にしての改革もする、そんなことを検討していただくことになっております。

 したがいまして、それぞれの公団におかれて、民営化に備えてそこの議論を十分していただきながら適切な処理をしていただけるように、私どもも引き続き相談に乗りながら指導もしてまいりたいと思っております。

中川(治)委員 ぜひこれは徹底をしていただきたい、そう思っております。

 これからこの子会社、道路局の方は子会社じゃございませんということで、行政コスト計算書対象外の会社が九十社ほどあります、きちっとできているかどうか、私は私でずっとこれを調べていきたいと思います。決算書も、歴史をずっと積み重ねていきますと全体の動きがわかります。そういうことを通じてやはりきちっと、大事なことは常識の範囲内でやるということが大事なことなので、全部天下ったらあかんとか、率直に言うて、私自身は思っておりません。ただ、ちゃんとしなさい、法外な常識外れな退職金をもらい続ける、こういうことも一切やめよう、できない仕組みにしようということをきちっとやらないとだめだというふうに私は思っております。

 そういうことでこれからもきちっと調べていきたいというふうに思っておりますので、その点は改めて申し上げておきたい、そう思います。

 それから、これは大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。

 今回のやり方は、保有機構という形で土地を持たせる、そして賃貸料という形で払ってもらう、こういう形の方式ですね。どうも、固定資産税を払わぬでもいいようにしようということも一つの大きなねらいであった。

 ただ、私は、これは道路では似つかわしくない、高速道路ではこういう手法はいかがなものかという思いは今でもなくなっておりません。これは、やはり関西国際空港でこそ採用すべき手法だと私は思っているんです。こんな手口があったのか、それだったら関空をこういうふうにしたらどうだという思いがしておりました。そうすると、固定資産税の問題も含めて一気に解決をしてしまうなというふうな思いがあります。こういう手法については、今回、むしろ関空のようなところでこそやるべきものではないのかなというふうに思っております。ぜひこれは今後も御検討いただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 それともう一つは、私は、質問の最後はいつも福祉に戻ることになっております。

 道路公団の改革、子会社の改革、私は、日本を代表する道路、高速道路、こういういろいろな改革の中でぜひ福祉的視点を貫いていただきたい。売店あるいはパーキングエリアの清掃その他も含めて、こういうところでこそ本当の意味で福祉雇用をきちっとやりなさい。例えば、道路サービス、交流センターですか、こういうところはむしろ福祉雇用の事業団にしてしまおうやないかというぐらいのことで思い切った発想の転換をされてはどうか、私はそう思っております。

 こういう形で、それぞれの地域の高齢者、障害者、母子家庭の皆さんの仕事、就労の確保のために一肌脱ごうではないかというふうなことも含めて思い切ってやっていただきたい。せっかく今まで独占して好いたことしてきたんだから、全部民間の競争に任せてやるということをする必要はないと私は思う。むしろ、お役人さんらがやってきたおいしい部分を全部取っ払って、通常の事業だけでも福祉雇用に十分貢献できる、そういう事業にはなり得る、私はそんなふうに思っております。

 一万数千人が働いているといいますけれども、仕事の中身を見せていただいたら、自動販売機の缶の入れかえから、知的障害の皆さん、僕が見た限りでは、ああ、二千人ぐらいはいけるな、そんな思いがしております。ちまちまと、福祉の車いすや何やという小さいことだけではなくて、福祉雇用に焦点を置いて検討するというふうなこともぜひやっていただきたい。こういうことをしてくれたら、私、二度と文句言いません。ぜひそういうことを検討していただきたい。

 いろいろな経験を我々やってきておりますから、そういうことについてはどんどん協力をするつもりがあります。ぜひ、せっかく日本じゅうの道路を独占してやってきたところ、ここを思い切って各地域の福祉雇用に役立てていく。これは、民主党の無料化案が通ったとしても同じです。そういうことに役立てていこうということで、やはり同じ大きな方針転換をするんであれば、地域雇用、福祉雇用ということも含めた新しい転換をやっていくというふうな心意気を持っていただいたらいいんではないのかな。そして、公団を退職した人が障害者のジョブコーチのような形で再就職をする、大いに結構と私は思っております。

 ぜひそんなことも含めて抜本的に、国土交通省的に考えますと、採算、安けりゃ安いほどいいということだけで考えずに、それから、あのシミュレーションでは毎年返すのが一・七兆円ですか、私はあれは楽だなと思っています。まだ余裕があるはずですから、その場合には、思い切ってやはりきちっと、地域の福祉雇用に貢献するというふうな一歩大胆な方針をぜひお出しいただきたい、そういうことをお願い申し上げておきたいと思います。

 大臣に、もしあれば一言お願いして、私の質問を終わりたいと思います。

石原国務大臣 中川委員が大阪の府議会の時代から福祉雇用という問題に先鋭的に取り組まれてきたということは私も承知しておりますし、ただいま意見の御開陳でありましたようなことが、民間会社でありますけれども、国民固有の公共財であるところの高速道路を維持、管理、運営する会社でありますので、民間会社となった経営者がこれまでのように、また、委員の御説明の中にありましたように、自分たちのファミリー企業だけに利益をもたらすようなことなく、今御指摘の社会福祉の面に門戸を開いて、さまざまな、社会的に弱い立場にある方々の仕事の場としてこの公共財を使用できるように、私も新しい経営陣に大きくそれを期待するものでございます。

 委員が前段に御指摘されましたファミリー企業の問題は、決して終わっているとは思っておりません、道半ばだと思っております。

 政府参考人の方から、なぜこの株式を放出したかというお話は、行政改革の観点からこういう形になったわけですけれども、民営化される会社も当面は一〇〇%政府あるいは地方自治体の出資会社、すなわち特殊会社でございますので、この間にファミリー企業と言われるものの実態を、民営化の前に、今委員が御懸念があった退職金の問題、特殊法人と公益法人の間ではこの問題の是正が図られたわけですけれども、これまで独占的に道路の建設、維持、補修等々を行ってきた公団が民営化されるわけでございますので、どういう実態があるかということを、社会的責任として、当委員会等々に明らかにするように指導させていただきたいと思っております。

中川(治)委員 ひとつよろしくお願いをいたします。

 私も、連休に、実は東京から大阪まで車で一遍走ってみよう、高速道路を。その中で、福祉雇用の可能性のある、どんな仕事があるだろうかということを調べながらずっと走ってみようというふうに思っております。

 こういうことを通じて、一度また、議会が終わりましてから、近藤総裁、こういうことで話がぜひできますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 室井邦彦君。

室井委員 民主党の室井でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 この道路公団民営化法案の審議をいたしまして、もう五十時間を超えようとしておるわけでありますけれども、それぞれ委員の先生方には、非常にきめ細かく、突っ込んだ意見が交わされておるわけであります。

 私は、そういう中で、それぞれの我が民主党の委員の先生方、また、いろいろと当局の答弁の中で、素直にと申しますか、率直に疑問点というものが多少ございました。そういう点についてまた御質問をさせていただきたい、このように思っております。今までの多くの、五十時間ということでありますから、私の質問も多少重複をすると思いますけれども、どうか御回答の方、よろしくお願いを申し上げます。

 ところで、コスト削減ということについて、くどいようでありますけれども、いま一度お尋ねをするわけであります。

 今までのように、不況下の中のデフレというような基調においては、あらゆる面でコストの削減というものが非常にやりやすいといいますか、進めやすい状況であったわけでありますけれども、ここ数カ月の月例の経済報告の中では、景気は回復基調にある、このようなことであります。今後、景気回復とともにインフレ基調に転じた場合、材料費、もちろん労務費、それぞれの単価も当然上昇をしていくわけであります。

 そういう中で、経費の削減、実際、可能なのかどうか、その点をまずお考えをお聞かせ願いながら、また、もう一方では、幾度か出てきました、先ほども中川委員の質問の中で、三割削減を目標としておるということでありますけれども、この面で、管理・建設コスト面、両面でのお考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。

佐藤政府参考人 建設コスト、管理コストについて、景気がインフレ基調、このような状況になったときに、それでもコスト縮減が可能なのか、こういう御指摘かと思います。

 まず、事実関係から申し上げますと、平成十五年の三月二十五日に道路関係四公団が策定し公表いたしましたコスト削減計画におきましては、建設費につきましては、四公団で総額四兆円を超える縮減を図り、管理費につきましては、平成十七年度までに、平成十四年度に比べて約二千百億円でありますので、縮減率で申し上げますと約二五%、こういう縮減を図るという目標を立てさせていただいたところであります。

 さらに、この年の暮れ、平成十五年の十二月二十二日、政府・与党申し合わせにおきまして、建設費につきましては、高速自動車国道につきましてはさらに二・五兆円の建設コスト縮減を図って、それまで二十兆円と言われておりましたものを十・五兆円まで、これは有料道路の事業対象という形で、そういう意味での縮減を図る。これは、おおむね目安三兆円として、新直轄の方に引き取るといいますか事業移管する、こういうこともございますので、そういう決定をしていただいた。

 問題は、先生御指摘のように、非常にインフレが高進するというような状況が生じたときに、このようなコスト縮減、二十兆円を、いろいろな新直轄も含めて有料道路の事業対象は十・五兆円にするんだ、こういう決意をさせていただいたわけであります。

 もう一つの問題として、管理費の方は、十四年度に比べて、十七年度、今度は合計でございますが、三割の縮減ということを十二月二十二日にはさらに踏み込んで御提示いただいたわけでございます。それがインフレ基調のもとで可能かどうか、こういう御議論でありました。

 そういう意味では、まず、建設費の方は、とにかく有料道路の事業対象として十・五兆円以内に高速自動車国道の場合はおさめるんだ、この目標はできるだけ堅持していきたいと思います。

 長い時間の経過の中でございますので、先生御指摘のように、インフレがひどく高進したときにどうなるか。これは、常識外のインフレ高進ですと、その場合に、多分、金利なんかの問題もこれまでも委員会の中でよくよく御議論いただいたりしておるわけでございますが、金利あるいはまた経済の名目成長率なり、あるいはまた経済の自主的な成長率なり、交通量の範囲なりといったことが、いろいろ大規模な変動があろうか、そういうときにどう対応するか。

 これは、常識的には、ひどいインフレのときには、また何らかの全体のそういう意味での適切な対応、こういったことが必要になろうかとは思っております。ただ、長い時間の中での御議論でありますので、常にそういう弾力性は持つ必要があるんだろう、こう思っております。

 それから、管理費につきましては、十四年度に比べて、とにかく十七年度の、そういう意味での一定の良好な管理をしながら、自主的に管理費として何とか、新技術の開発も含めて、いろいろな努力をしよう、そして三割縮減を目指すんだ、こういうことでございますので、まず何よりも大事なことは、十七年度に、適正な管理水準のもとで、しかしながら管理費の水準も三割の縮減を図る。

 これは、とにかく大事な問題として、何とか達成すべく、公団と、あるいはまた民営化された会社と、最後、公団の時代になろうかと思いますが、一緒に私どもも努力してまいりたいと思っております。

室井委員 償還期間にかかわる要因でもございますので、きめ細かな、正確な算定をしていただきたく思うわけであります。

 また、そういう中で、景気、経済というものは生き物でありますから、いろいろと予測しづらい点もあるわけであります。あえて予測がしづらい、そういうところで、なお四十五年という償還の年数に非常に疑問を持たざるを得ないなというのが私の今の心境であります。

 また、首都高そして阪神高速でありますけれども、私は、地元にももちろん阪神間、阪神高速が大動脈として通っておるわけでありますけれども、正直申し上げまして、ここで、耐用年数、このようなことを質問させていただきたいわけであります。

 やはり、道路の疲労度が非常に高いといいますか、かなり、車に乗っていても、そういう道路整備というものがこれから問題になってくる。それにつきまして、耐用年数をお尋ねするわけであります。

 名神高速道路の全線開通時から四十年たっておるわけでありますけれども、老朽化しておる。また、特に高速道路の場合は高架の部分、そして、主に鉄筋コンクリート、あるいは鉄骨鉄筋コンクリートと申しますか、そのようにつくられておるわけでありますけれども、風雨にさらされ、そして排ガスなど、そして化学反応、また、建物とは違い、非常に通行の振動等により、かなり疲労度が高いようであるわけであります。

 そういう観点から、どのように耐用年数に対してのお考えをされておるのか、お聞かせを願いたいと思います。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

佐藤政府参考人 高速道路、特に先生御懸念の向きは、高架部分といいますか、あるいは橋梁の部分、これの耐用年数をどのように考えているのか、こういう御指摘かと思います。

 そういう意味では、明確な耐用年数を何らかの規定の中に置いている、こういうことでは必ずしもございません。しかしながら、道路橋の示方書、平成十四年に改訂いたしました。この改訂の中で、過去の実績や現状における技術的知見、これをもとにいたしますと、設計上の目標期間としては百年を念頭に置くべき、こういうふうに議論がなされ、この百年を目安に、一定の知見が得られているものについて、個々のいろいろな規定を、百年程度持たせるということを前提にして、道路橋の示方書は改訂をした、こういう経緯がございます。これ以前の橋梁について何年を目標にしたか、これは必ずしも明示しているわけではございません。

 先生御指摘のように、阪神高速、首都高速、高架の部分が多く、なおかつ大型車交通が当初想定した以上に通っている、こういうのも実態であろうかと思います。

 そういう意味では、百年、確実にもつか、こういう御議論になると、大事なことは、あらかじめもつというふうに決めることではなくて、適切な維持管理、維持補修を十分やりながら、むしろ、言ってみれば、人間でいえば、常にいろいろな人間ドックも含めて検査管理しながら重大な疾病が出ないようにする、こういうことが大事なことだということだと思います。

 特に、新しい技術として、壊したりせずに内部の状況がどうなっておるか、メタルに亀裂が入っているのか、あるいはまた、コンクリートに何らかの被害、障害が出ているのか、壊さずに検査をするというようなことも、この十年ほど技術開発を進めてきております。そうしたことを含めて適正に維持管理する、こういうことが大変大事なことだと思っております。

 しかしながら、現実には、例えば、首都高速の高架橋の鋼製橋脚隅角部に疲労亀裂が生じたというようなこともこれまでもございましたし、また、昭和五十七年に阪神高速でアルカリ骨材反応、こういったものが発生して、その結果、緊急点検を行って、全六千三百橋のうちの八十九橋ほど補修が必要、こういうふうなことで、鋼板の巻き立ての処置等を七基において行った、こんなこともこれまでもやってきておるところでございます。

 そういう意味では、目標としては百年はもたせたい。極めて良好な維持管理といいますか、そういう気配りの行き届いた管理をまた十分やりながらもたせていきたい、そういうふうに考えております。

室井委員 耐用年数百年ということでありますけれども、今回の四十五年という償還期間の中で、耐用年数というものも考慮に入れられておるのかどうか、御質問をいたします。

佐藤政府参考人 先生御指摘いただきましたように、名神が全通して以来約四十年、平成十七年から民営化して以来四十五年間、こういう形になりますと、おおむね、確かに百年近くの年限がかかる、こういうのがまず事実としてあるわけでございます。

 その中で、これからといいますか、新しい橋梁あるいは高架橋につきましては、百年は目標期限としてあらかじめもたせるんだ、こういうようなことで設計し、施工もしていこうということでございますが、これまでのでき上がったものについて、先ほど申し上げましたように、大規模な補修が必要であったり、あるいはまた、震災等で阪神高速の場合には残念ながら倒壊したわけでございますが、地震等による被害といいますか劣化といったようなことも考えられる、こういうことでございますので、そういう意味では、百年間もたせるべく、良好な維持管理、創意工夫をしながらやっていくということが必要であろう。ただし、コンクリート構造物等につきましては、大体、おおむね目安、六十年ぐらいというような説もございます。

 したがいまして、四十年間、四十年経過した構造物があと二十年、三十年たちますと、六十年、七十年になる。そういう意味では、人間の寿命にちょうど近いような部分もございますので、できるだけの、あらかじめの創意工夫しながら良好な管理をする。それから、場合によっては、必要な更新というものは、部材の取りかえであったり、そういうことは適切にやっていく必要があるだろうということで、この前の示しました債務返済イメージの中にも、五十年近くたってから以降は更新というようなことも、平成二十二年度以降、一千億円ほどの計上、こういうこともさせていただいて、なおかつそれでも返し得る、こんな試算をさせていただいておるわけでございます。

 しかしながら、あらかじめ、ある程度予測し、なおかつ、維持管理をきちっとやっていきましょうという想定外の要因、大幅な、大規模な地震であったり、あるいはまた、そのほか、地震だけと限らずに、波に洗われる部分もあるわけでございますし、そうした想定以外の大変な災害みたいなものが出てきた、こういうようなときには、国等が機構に対して災害復旧補助金、こういうものも交付する必要もあるでしょうし、それをもとに会社に無利子貸し付けして、そして災害復旧を会社が行って、施設を新しくしてからまた機構に移管する、そんなふうな制度も今回の法律の中には入れさせていただいているわけでございます。

 いずれにいたしましても、良好な管理をきっちりと効率的にやっていく、これが一番大事なことかと思っております。

室井委員 ありがとうございます。

 私は、今回のこの問題の質問につきまして、四十五年間で見ると、道路の傷みは単なる年数との正比例ではない、このように思っております。危惧するところは二次曲線的に激しくなるように思われてならないわけであります。そういう中で、コスト面だけではなく安全性にも大きくかかわる問題であるというふうに思っておるわけでありまして、十分にその点を御留意賜りたい、このように思うわけであります。

 なぜこのようなことを申し上げるかと申し上げますと、先ほど佐藤道路局長の言葉の中にもございましたけれども、阪神・淡路大震災のときに、あの二メートル、三メートルもある支柱が折れ曲がる、そのような現状を見てきております。そういう点で、非常に人よりも鋭く、そういう点は敏感にならざるを得ない、こういうことでありますので、どうか御理解、また十分に御留意をしていただきたい、このようにお願いをするわけであります。

 次に、最近、都内の町並みを見ておりますと、二十一世紀の町らしくなってきたのかな。高層ビルが建ち並び、高速道路が網の目のごとく、このような状況を見ておりますと、私は、手塚治虫さんが、四十年ほど前でありましょうか、未来都市の姿を書かれたものがございますけれども、彼は先見性があるというか、予言者である、このような表現をすればいいのか、私は彼の考え方に非常に感動を受けておるわけでありますけれども、そういう観点から、将来、高速道路はどのように変わっていくんだろうか、このように思っておりまして、近い将来の高速道路の姿についてもお尋ねをしたい、このように思っております。

佐藤政府参考人 近い将来の高速道路の姿、こういうお話でございました。

 そういう意味では、物理的な形、ハードな形よりも、むしろ一番大きく変貌が考えられますのがITSを用いた情報化の問題かなと思うわけでございます。

 ITSで、人と道路と車両を一体として構築して、資産を有効に活用して、渋滞や事故や環境の悪化、こうした問題の解決をできるだけ図る。その上でも、特に高速道路の場合には、ITSの運用といいますか活用が非常にしやすい空間かな、そんなふうに思っているところであります。

 三つほど申し上げたいと思いますが、一つはETCで、お願いを申し上げておりますが、活用をいろいろさせていただいて、弾力的な料金の設定であるとか、あるいはまたスマートインターといった形でのETCの専用のインターチェンジの大幅な活用。これは、平成十六年度から社会実験として本格的に実験をやってみたい、その成果を生かしながら、サービスエリア、パーキングエリアをできるだけスマートインターといったような形でインターチェンジ化していきたい、そんなふうに考えておるわけでございます。

 二つ目には、VICS。これは、ナビゲーションであり、同時にVICS対応という機器でいいますと、これは既にナビゲーションそのものは、日本の場合、世界の圧倒的に、世界じゅうで進んでいまして、累積の台数が既に千二百万台を超えている、そのうちで八百万台以上がVICS対応になっている、こういう状態でございまして、つまり路車間の通信を通じて道路交通情報がリアルタイムに入る。

 手段は三つございまして、一般道路を走るときに光ビーコンから入ってくるもの、高速道路を走るときに電波ビーコンから入るもの、それからFM、こうしたことがベースであるわけでございます。

 このVICS対応のリアルタイムな道路交通情報提供、これがさらに恐らく、恐らくといいますか、民間の活用も今いろいろ検討していただいておるところでございまして、例えば、行く先の宿泊地に旅館情報サービスであるとか、あるいはまた土産物サービスであるとか、予約サービスであるとか、あるいは駐車場との契約であるとか、そうしたことまでできるようになってくる。これをもう一つ申し上げたいと思います。

 三つ目に、さらにこれはアドバンスト、こう申し上げて、先進的な、こう私ども申しておるんですが、AHSというような研究も進めてきておるところでございまして、そういう意味では、この場合には、路上に落下物があれば自動車の方に警告する、あるいはまた前方の車に余りにも近づき過ぎたらビーコンのようなものから当該車両に警告がいって、安全性のためにもう少しスピードを落としなさいとか、車間をあけてくださいとかいうようなサービス。こうしたことが高速道路の場合には一番応用動作としてもやりやすいし、かつ安全で、渋滞のない走行、事故のない走行、こういったような観点から考えると、近代化という面で、当面の課題としてはこうしたことがどんどん進むようになってくるのではないか、そう期待しておるところでございます。

室井委員 夢ある話でありまして、技術革新により、より一層便利になる、そして安全に走行ができるようになるということで夢は大変広がっていくわけでありますけれども、それに反しまして、夢がないのがこの法案、私はこのように解釈をしております。

 民営化した会社の未来でありますけれども、質問で先ほど取り上げましたように、将来にわたり予測しづらい不確定要素が多くあるわけでありまして、ましてや、徴収する料金も確定ができない、そしてまた、今後の建設のコストも時代の移り変わりにより決して安定がしていない。こんな中で、償還期間を確定させる方が絶対に無理、不可能というものではないのかな、私はこのように思っておるわけであります。

 四十年、五十年先の高速道路がどのようになっているか、残念ながら、ここにいる大半といいますか、失礼になりますけれども、私も実際、四十年、五十年後の現状を確認できない年齢であります。残念に思うわけでありますけれども、この運用が始まれば、このように実際不可能であるということがこちらの方ではもう確定をしておる、このような思いがあるわけであります。このように言わざるを得ないということなんです。

 こういうところで、質問をさらに続けさせていただきますけれども、特に高速道路の高架の下といいますか、未利用地、こんなような表現がいいのか、専門家でありませんので私にはわかりませんけれども、未利用地が多く見受けられるように思うわけでありますけれども、現在の利用の状況をお知らせいただければありがたいと思います。

佐藤政府参考人 簡潔に申し上げたいと思いますが、その前に、せっかく先ほどのお尋ねでございました技術革新、こういう面から申し上げますと、実は、ITSの世界大会がことしの十月に愛知・名古屋でございます。そこでいろいろな将来のそうした技術の展開の仕方ということも出てこようかと思いますので、ぜひ御案内申し上げておきたいと思います。

 それから、ただいまの御質問でございます。

 高速道路の高架下の利用状況いかん、こういう御疑問でございました。

 道路関係の四公団におきまして高架下の部分、総面積で申し上げますと九百五十五万平米ある、こういうことでございまして、そのうち利用されておりますのが四百十万平米であります。

 都市部におきましては、特に利用可能なところについては、首都高速で九七%、阪神で約八二%の面積が利用されておりますが、地方部あるいは山間部などで、物理的に利用可能であっても利用要望の低い箇所もありまして、今申し上げましたような四百十万平米、四三%の活用になっている、こういうことでございます。

 何らかの形で活用されている、そういう意味では、倉庫であるとか駐車場、駐輪場、あるいは公園や運動場、また公団の管理用施設としても活用、そんなふうな活用の仕方がされておるところでございます。

室井委員 時間もございませんので、せっかく大臣もいらっしゃいます、石原大臣に御質問をさせていただきたく思います。

 利益は追求できない、インセンティブのないこの会社であります。会社の一員になるという喜び、そして魅力をどのように見出せばいいのか。今後四十五年間には、新卒のリクルートも必要となるわけであります。就職希望者があるかどうかわかりませんけれども、夢と希望を持ってこの職につくことが、また若い人たちが、また仮に大臣の息子さんが、この会社に将来の夢を抱いて、日本のために、国のために頑張りたい、このような希望を持つことができるかどうか。大臣のそういう点の御所見をちょっとお伺いをしたい、このように最後にお願い申し上げます。

石原国務大臣 魅力を持てる会社か否かという質問は、その会社が上場を目指せるのかせないのか、こんなことにもつながるお話で、今室井委員から御質問があったんだと思うんです。

 今度の会社は、これまでのような一方的な国の命令によって事業を行っていくという会社ではございません。これも、もう何度もお話をさせていただいておりますが、いわゆる二千キロの仕掛かり品の部分についても実質的な拒否権が会社にございますし、さらに新しく、整備区間外については申請主義である。ですから、建設ということに対しては、する、しないということが会社の運営に大きなストレスにはならない、これが第一点あると思います。

 そしてさらに、JRと比較しましても、JRは関連事業については認可等々でありますけれども、SA、PA、届け出等々でさまざまな事業ができるわけでございます。その事業規模は、現在抑制された料金でありながらも年間三千五百億円、よく、流通業は一兆円産業、さらには百貨店で有名なところも四千億、三千億、二千億といったような総売り上げから考えましても、こういうところにも大きなビジネスチャンスがございますし、前段委員が御質問されておりました将来の高速道路、そんな中で、政府参考人の方からITを活用した車社会のお話がございましたけれども、こういう部分にももう既にインフラが整備されているわけでございますので、新たなビジネスチャンスが私はあるのではないかと思います。

 そしてまた、この国民共有の財産であるところの高速道路事業を維持管理していくといったような誇りもあるでございましょうし、私は、この会社はやりがいのある会社になっていくと考えております。

室井委員 終わります。

今村委員長代理 松崎哲久君。

松崎(哲)委員 民主党の松崎哲久でございます。

 時間がないので、あいさつは割愛いたします。

 午前中最後の質問になります。審議時間は私の前でちょうど五十時間を超えて、いよいよ終わりに向かって走っているという感じがいたします。途中、サービスエリアで一、二度休憩はいたしましたけれども、もはや終点も近い。華やいだ気分なのか、うら寂しい、うら悲しいかは、与党、野党でそれぞれ違うと思いますが、最初、まず大臣に伺いたいと思います。

 法案によりますと、遅くとも四十五年後に機構の解散の日を迎えることになります。四十五年後であれば、大臣は一元化された年金を受給されている年齢だと思いますけれども、どういう立場で、そしてどういう思いでその日を迎えることになると思われますか。ちなみに、どういう年金を受け取るおつもりかも含めてお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 四十五年後の将来に夢をはせ参じるというのは、なかなか難しいことだと思います。

 私は、ちょうど今四十七でございますが、二歳のとき、四十五年後は考えていませんが、仮に五歳のとき、十年後、二十年後というのはなかなか考えませんでしたし、そんなことからも四十五年後を予見することは非常に難しいですが、この法律案が成立をさせていただきますと、すなわち高速道路が無料開放される日であると思います。

 私、やはりこれも当委員会でお話をさせていただきましたが、初めて名神高速ができてしばらくたってから、高速道路というものができたから、では高速道路というものを走りに行こうと、子供でございましたけれども、ちょうネクタイかなんかさせられて、おばあさんに連れられて高速道路を走りに行った記憶がございます。

 料金所なるものでお金を払う記憶もあるわけですけれども、そのおばあさんが言った言葉は、私は生きていないけれども、これが三十年後はただになるんだよというような話をしたことを今でも覚えております。そのとき、ああ、なるほど、今はお金を払っても将来はただになるのか。

 これは、三十年という時間はなかなか想像しがたい長い長い時間でありましたけれども、今度は本当の意味で四十五年後にただになるのかな、それはどんなことなんだろうと、またそのとき生きておりましたら考えさせていただきたい、こう思っております。

 年金につきましては、私は、一元化は決して間違っているとも思っていませんし、一元化するまでの期間をどういうふうに設定するのかという問題、そして、若い方々の年金に対する気持ちというものはどうも積立方式の方にシフトしている、そういう問題としてとらえておるのでございますけれども、年金をもらわなくても働いていられたらいいな、こんなことも思っております。

松崎(哲)委員 年金については、要するに国民年金を受け取るおつもりかという趣旨の質問でございまして、それは国民年金料をお支払いになっているかという党の指示に基づく質問でございますが、もう一回御答弁いただきたいと思います。

石原国務大臣 国民年金を……(松崎(哲)委員「保険料」と呼ぶ)保険料は払っています。(発言する者あり)

松崎(哲)委員 はい、払っております。結構でございます。

 まず、私は、四十五年後に、大臣がそのときに達成感をお持ちになるか、それとも何か残念に思われるかということを質問いたしたかったわけでございますが、私はまずその日は来ないだろう、四十五年後にその日は来ないというふうに考えております。

 来ないというその意味は後で述べるといたしまして、今回の審議で明らかになりましたことを二つ述べたいと思います。

 一つは、政治は数の力だということでございます。いかに真剣に議論をいたしましても、また審議の過程で与党、野党それぞれ、なるほどそういう意見もあるなというふうな思いがあったとしても、結局は多数で、最後は多数の政党会派の意見が通ってしまうということでございます。

 二つ目は、とはいえ、自民党の委員も公明党の委員さんも、本来道路は無料であり、将来は無料であるべきということについてのコンセンサスはできたというように思います。

 問題は、時期と手法の違いということだと思います。

 佐藤局長に伺いたいと思います。

 五十時間の審議、ほとんどお一人でお答えになられておりました。その識見と熱情はまことに敬服に値するというふうに思っております。

 雪深き新潟にお生まれになって、何とかしなきゃいけないという思いからか、土木工学を御専攻して建設省に入られた、そのキャリアのほとんどを道路局一筋でお過ごしになられておられます。道路行政のプロである、道路のことはおれに任せろというような御自覚、また自負心というものがありありとうかがえたこの審議でございました。

 ところで、自民党の都市政策調査会が都市政策大綱をまとめましたのは、昭和四十三年のことでございました。局長が大学時代のことだったと思います。研究室で恐らく読まれたというふうに思います。

 そして、田中角栄都市政策調査会長がその大綱を下敷きにしまして日本列島改造論を発表いたしましたのは、昭和四十七年、局長入省の年でございます。

 そのときの感想を伺いたいと思います。共感されたと思います。道路官僚として、これだと思われたと思いますので、そのときの御感想を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 先生御指摘の日本列島改造論、昭和四十七年、これは、御指摘のように、都市政策大綱を下敷きにされながら、当時の田中総理がお出しになられたということでございます。

 この中では、太平洋ベルト地帯に集中し過ぎた工業の地方分散であるとか、あるいは都市改造と新しい地方都市の整備であるとか、あるいはまたこれらを結ぶ全国的な総合ネットワークの整備ということで、全国一日通勤圏構想、これは高速道路で申し上げると、当時は一万キロメートル余、こういうふうな表現がされていたかと思います。あるいはまた、九千五百キロの新幹線であるとか、七千五百キロのパイプラインであるとか、こうした形でとにかく全国きちっと地方にネットワークを張りめぐらして国土の活力をもたらそう、こういうものであったかと記憶しております。

 当時で申し上げますと、ちょうど名神が開通して以来、そうはいっても全国で高速道路を走ったことがある人はまだ珍しい時代、こういうことだと思います。そういう意味で、全国の、道路と限りませんが、ネットワーク、足腰を強くする、こういうことが大事なことだというふうに印象として残ったところであります。

松崎(哲)委員 田中角栄元首相は、毀誉褒貶さまざまな方でありますけれども、日本の戦後政治の中で傑出した人物であったことは間違いないと思います。

 頭に描いた国家のグランドデザインというものがあって、同時にそれを実現する手段として卓抜な発想があり、さらにはそれを立法化していくリーダーシップも兼ね備えていた政治家だと思います。道路財源を編み出したこともしかり、有料道路による高速道路もしかりであります。

 しかし、年月がたつとともに、時代環境は当然に変わってまいりました。国の道路予算が三百四十億円しかなかった時代に総工費千三百八十億円ですか、名神高速を完成させる方法として設立された道路公団も、民営化とか廃止とか唱えられるようになってしまったわけでございます。

 その意味では、田中元首相の遺産によって成り立ってきた高速道路また道路公団も、巨大になったこの経済のもと、その功罪を清算して再出発しなければならないというのが今日の課題だというふうに考えておりますけれども、既に予定では、きょうの夕刻、審議は終結して採決、こういうようなことでございます。

 この歴史的な日に当たって、佐藤局長は、政府・与党案の答弁者といたしまして、この案が郷党の大先輩の偉業に対して修正を加えるという案として誇り得るものだというふうに思っていらっしゃるかどうか、お聞きしたいと思います。短くて結構です。

佐藤政府参考人 そういう意味では、大事な問題としてこれまで道路整備を推進してこれたのは、道路の特定財源制度、それと有料道路制度の活用、こういうことだったかと思います。

 引き続きという形になりますと、これからも一般道路の整備も含めて高速道路の整備もまだまだ進めていかなければならないこの日本の現状である、そういう意味で、その両用の活用を図りながら進めていこうとしますと、しかしながら、公団方式という形で今までやってきた、この中にまた、コストが高いとかファミリー企業の問題であるとか、あるいはまたどんどんと不採算な路線が安易に建設されるんではないかとか、こうした御批判があった、これも事実でありますから、この部分をとにかくしっかりと変えて、四十五年、こういうような形で、なおかつコストも縮減してということは、大枠をきちっと守りながら、今必要なことかなというふうに思っている次第でございます。

松崎(哲)委員 優秀な官僚答弁だと思いますので、そういう答えで結構でございます。

 実は、内心じくじたる思いがあるであろうということを御推察申し上げているということを申し上げたい。(発言する者あり)本当は、国土のグランドデザインというものの根幹をなす高速道路というのは、民営化会社に任せるのではなくて、国がもっと積極的にかかわっていくべきだと思っていらっしゃるんではないだろうかと、まあ、憶測するなという声もありましたが、道路官僚として使命感に燃えているならば、そのようにお考えになるのが自然ではないかなと思いましたのですが、次へ進ませていただきます。

 二十日の参考人の際に、参考人の榊原英資氏は、世界が大競争時代に突入する中、日本の物流コストが諸外国、特に中国などに負けないように国家戦略的観点で低廉な料金設定をする、その最たるものとしては無料ということが必要というふうに述べられたわけでございますが、実は二月ごろに港湾局さんの方からレクチャーを受けていましてびっくりしたことがございます。

 海運について劇的な変化が今世界で起こっているということでございます。その一例がコンテナ取扱量でございます。一九八〇年から二〇〇二年までのたった二十年の間に、例えば日本は、神戸港、横浜港、コンテナ取扱量はそれぞれ一・四倍、三・三倍になったわけでございます。三・三倍にすぎない。それに対して、シンガポールでは十八・三倍、釜山は十四・九倍等々という数字がございます。さらには、大規模化、近代化した上海港の取扱実績は、その一港で既に日本全体の国際港湾を抜いているというような推計もされているかに伺いますが、この事実関係について、端的で結構でございます、港湾局長さんにお答えいただければと思います。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年のアジア、特に日本を含む東アジアの地域における港湾間競争、大変激しさを増しておりますが、そういう中で、今委員御指摘のとおり、一九八〇年から二〇〇二年までの二十二年間に、シンガポールあるいは韓国の釜山のコンテナ取扱量、今御指摘のとおりの数字で大変大きく伸びてございます。

 一方で、日本を代表する神戸港あるいは横浜港の取扱量の倍率は、今委員がおっしゃられたとおりでございます。そういう意味で、日本の港湾の国際競争力が、相対的な地位を低下しているという状況にございます。

 さらに、上海港につきましては、二〇〇三年の速報値では、上海港一港で一千百二十八万個のコンテナを扱ってございます。日本全体で、まだ速報値確実には出ておりませんが、千三百八十万個ぐらいということで、まだ日本の方が数字は全体としては上でございますが、上海の方が年率三〇%ぐらいでコンテナ貨物を伸ばしているという一方で、日本は年率で五%ぐらいですので、二〇〇四年にはほぼ同じぐらいの水準か、上海の方がそれを上回るということになるのではないかということも予測をされるところでございます。

松崎(哲)委員 ありがとうございました。

 その原因は、港湾施設のいろいろな問題だとか荷役の問題だとかあるというように伺っておりますけれども、それだけではなくて、そういうものは改善に御省の方でも努力されているというふうには承知いたしておりますが、例えば、要するに国内の流通を考える場合に、国際港湾から高速道路へつなぐ、そうするとそのアクセスが十分以内かどうかという、十分以内にアクセスができるかという数字を見ますと、ヨーロッパでは九三%、アメリカでは七二%に対して、日本では二五%にすぎないというようなことを伺っております。

 ということは、物流コストというのを考えると、港湾、鉄道、内航海運等々、まさに総合的交通体系の中で考えなければいけないということなんだと思います、国際競争力を確保するという観点で。

 道路公団が民営化された場合に、近藤総裁が見えていらっしゃいますので伺いたいんですが、民営化以後の会社の社長を任されたといたしまして、このように高速道路の延伸だとか料金設定だというのを国家戦略という観点で決めるということを、民間会社の社長として、御自分の責任範囲と考えられるかどうかということを伺いたいと思います。

 総裁は、戦中戦後を通じて国家戦略を考えてこられた瀬島龍三氏の秘蔵っ子だというふうに伺っておりますので、国家戦略という観点でこの経営をどのように考えるか、御質問させていただきたいと思います。

近藤参考人 松崎委員にお答えをいたします。

 民間会社の社長を任されたと仮定してというお話でございますが、民営会社の社長につきましては、会社の設立手続の中で今後決定されるものとなっております。

 その上で、あえて仮定の上に立ってお話をさせていただきますと、まず、料金の問題でございます。

 委員御承知のとおり、今回の法案におきましては、会社は、国土交通大臣の許可を受けまして高速道路の料金を設定することとされているわけでございます。

 一方、当面の問題、お話をあえてさせていただきますと、昨年十二月に開催をされました政府・与党協議会におきましては、高速道路の料金につきまして、民営化までに弾力的な料金を積極的に導入いたしまして、料金の引き下げを行うとともに、民営化後においても、貸付料の確実な支払いに支障を与えない範囲におきまして、さらなる弾力的な料金設定を行う旨申し合わせが行われているところでございます。

 我々道路公団といたしましても、この申し合わせに沿いまして、鋭意検討を今進めさせていただいております。少なくとも平成十六年度中、私はできるだけ年度末を待つまでもなく早く行いたいと思っておりますが、マイレージ割引あるいは夜間割引、あるいは通勤割引等といった各種割引を中心に、可能なものから料金の引き下げを行っていきたいと考えているところでございます。

 なお、お尋ねの民営会社として将来的にどう考えるのかということでございますが、将来的には、委員まさに御指摘のとおり、国内の貨物の物流におきます高速道路の役割の重要性、そのことを十分に自覚いたしまして、道路建設を初めといたしまして、その料金につきましても、経営の効率化に努めることによりまして、より一層の引き下げ等も含めて、日本経済の国際競争力の強化、あるいは日本国民の、消費者の福祉の向上に貢献できる存在であり続けたい、そのように思うところでございます。

松崎(哲)委員 民営化会社ですから、国家戦略の観点でというよりは、まず株主に対する責任というのが重視されるわけで、その辺で限界があるだろうというふうに推察をいたしております。

 総裁には実はもう一問ぜひ質問させていただきたかったんですが、時間がちょっと足りなさそうなので、後でまた質問させていただければ、質問させていただきます。

 今、総裁のお話の中にもありましたが、いろいろ弾力的な料金ということがございました。それを国土交通省さんの方でも、社会実験という形でいろいろ実験をされているというふうに承っております。既に、審議の答弁の中で、五〇%割引をしてみたら非常に利用量がふえたという答弁を局長なさっているので、この辺について、かいつまんで、こういうところではこれだけふえたということを伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 十五年度に実行いたしました社会実験の結果について、具体的にどういう例があるか、こういうお話でございました。

 特に通勤時間帯等につきましての御報告を申し上げたいと思います。

 北陸自動車道の糸魚川であるとか、あるいは常磐自動車道の日立であるとか、六カ所で五割引き、こういうものを実行してみましたところ、有料道路の方の交通量の変化は一・四倍から二・六倍、六カ所の平均で申し上げますと約一・八倍、こういうことになったところでございます。

松崎(哲)委員 その際に、岩國委員の方からさらに質問いたしまして、五〇%割引ということができるんだったら、無料化して、無料化の社会実験をしてみたらどうか、こういう質問がありました。

 実は、例えば東京湾の横断道路だとか本四等に関して言えば非常に、連続した路線じゃないですから、ある意味で区切られていますから、無料化実験というのをしてみることができるというふうに思うんですね。

 それで、民営化会社になってしまった場合には、これは経営の問題もありますからなかなかできないと思うんですが、私ども民主党は、無料化を基本とする高速道路事業改革法案を今国会に提出させていただいておりますけれども、やはり無料化というのは一つの選択、それがすべてだとは思いませんけれども、一つの選択である。それがどれだけインパクトがあるかということを、やはり社会実験としてはぜひやってみたらどうかというふうに思うんですが、局長、いかがでございましょう。

佐藤政府参考人 無料化という実験をしてみたらどうかというお尋ねでございました。

 今までの社会実験の結果を見てみますと、状況が安定するまでというのがやはり多少の時間を要するか。例えば首都高速道路の夜間の割引の実験にいたしましても、データの安定性という点からいきますと、当初三カ月を、もう少し、やはり半年ぐらいとか、そういう実験が必要かなと。先生御指摘のアクアラインで申し上げますと、またこれも来年の三月まで延長しながらいろいろ確認していこう、こんなことを考えたところでございまして、一つの問題といたしましては、やはりデータの安定性、こういうものを見ようとしたら、ある期間が必要で、そうなりました場合には、無料化というのは、今度は減収の方がかなり大きくなる。

 もちろん、二兆六千億、全体の料金収入、一遍にどんと一日無料にしてみてみたいなことではないと思いますが、それぞれ個別に見ていくにいたしましても、ここの部分が非常になかなか厳しいところかなということでございまして、そういう意味で、五割引きというようなことも含めての弾性値を、いろいろデータの安定も含めて、実験を計画的にある程度やらせていただいて評価を繰り返す、こうしたことをやっておるということを御理解いただきたいと思います。

松崎(哲)委員 なぜ無料化実験をしていただきたいかというと、私ども民主党は、今国会どういうことになるかわかりませんが、仮に私どもの法案が採決で否決されたとしても、無料化ということを、無料ということを、無料開放ということを前提に今後もこの政策を追求したい、こう思っているわけでございます。

 もちろん、その経済効果を考えれば、二兆六千億減収になっても、それは同時に減税効果があるわけです。家計に対しても直接減税になりますし、また、流通業者等を通じて、消費者物価等にもかかわってくるわけです。いろいろな意味で効果があるわけですから、それは一つの選択肢としてやってみたい。

 これは、やはり実際に実験をしてみれば、それが有効か無効かということは判断できるわけです。実は私どもは、三年後とか以内に政権をとるということを目標にしているわけでございますから、政権をとった際に責任ある行政をするためには、そういうことがぜひ必要だ、こう考えておるわけでございます。

 一つだけ、ちょっともう一つ質問したいんですが、その民営化と、四十五年後に機構が解散されるというのが、機構法案の三十一条だと思いますが、どういう形になるのかということ。高速道路はどこのものになっているか、会社はどうなっているかということを、ちょっと簡略に説明していただきたいと思います。

佐藤政府参考人 機構法三十一条におきまして、高速道路に係る債務を完済し、そして機構の解散までに、機構への出資金相当額以上の残余財産は、これも三十一条でこの形成された財産の処理、それから会社の料金徴収の終了を改正特措法の二十三条で決めておりまして、道路資産の本来管理者への移管、無料開放、これが特措法の五十二条、こうしたことを定めた上で、四十五年以内に機構を解散するというのが三十一条本文、こういうことであるわけでございます。

 また、解散するときには出資金の相当額を各出資者へ分配する、これが機構法の三十一条でございまして、その他機構の具体的解散手続、これにつきましては、解散の際に別法に規定するという旨、通則法の第六十六条の方で決まっておりますので、そんな手順になろうかと思います。

松崎(哲)委員 今のお答えで、結局解散された時点では、高速道路は、国と、地方公共団体も出資者だと思いますが、に移管するというか、戻るといいますか、本来公物であるというところに戻るということだと思います。

 時間がなくなりましたが、政治は数だ、数の力だと冒頭に申し上げました。私たちは、民主党は、今国会でこの無料化そのものが実現するというふうになかなか思っていないわけですが、その実現のための決定打というのは、言うまでもなく、民主党が政権をとることでございます。政権をとれば、その三年後に無料開放するというのが私どもの約束でございます。

 今、局長お話がありましたように、機構法の三十一条あるいは措置法二十三条、五十二条等々によれば、解散すれば財産は国民、つまり、国及び地方公共団体ということは国民ですから、国のものに、国民のものに承継されるということでございます。

 つまり、民主党が政権をとるということは、国土交通省道路局が日本の国土のグランドデザインを責任を持ってかくことができる、かき直せるという時代が到来するということであること、それは、小泉首相が目指しても果たせなかった真の構造改革というものが実現するんだ、こういうことだというふうに思います。

 道路局だけではなくて、港湾、航空、交通等々、志に燃えた国土交通官僚の皆さんが真に実力に基づいた使命感を発揮できる時代が来るんだ、政権交代によってそういう時代がもたらされるんだということをぜひ皆さんも御理解いただいて、実はひそかにそういう期待をされているというふうに信じまして、私の質問を締めくくらせていただきたいんですが、まだ二、三分ございますから、委員長、よろしいですか。

 先ほど、総裁にせっかくお越しいただいていましたので、もう一問質問させていただきたいことがございます。

 昨年十一月二十日の就任の記者会見で、イニシアルの件については、早速翌日からでも調査をしたいというふうにお話しになっておられますが、この件、その後どうなられましたでしょうか。

近藤参考人 いわゆる十三件問題につきましては、委員御指摘のとおり、私が就任いたしましてから直ちに、公団内で得られるできる限りの情報を把握したいと考えまして、関係いたしました公団在籍の役職員を対象にいたしまして、昨年の十一月二十日以降でございます、私みずからが聞き取り調査を行わせていただきました。

 その結果、私自身、違法性が認識されるような新たな事柄を確認するには至らなかったところでございます。

 その旨は、昨年十二月の初旬に国土交通大臣に御報告を申し上げました。また、その後の記者会見の場でも、その結果を口頭で発表させていただきました。調査結果に係る内部メモにつきましても、希望される向きには、法律の定めに従いまして、そのまま情報公開させていただいております。

 今申し上げました事柄につきましては、当委員会におきましても、二月の二十七日でございます、お話をさせていただいたと記憶をしております。

松崎(哲)委員 その内部調査、御自身でヒアリングをされたということでございましたが、そのイニシアルが何であったかというのはお聞きになっていらっしゃるんですか。御承知なんでしょうか、総裁。

近藤参考人 いわゆるイニシアルAとかIとかということでございます。承知しておりまして、その面につきましての聞き取り調査をさせていただいたわけでございます。

松崎(哲)委員 そのAとかなんとかというのは、大臣からお聞きになったということでございましょうか。

近藤参考人 先ほど申し上げましたように、在籍をしている公団の役職員から聞き取り調査をさせていただきました。

赤羽委員長 松崎さんにお伝えしますが、質疑の時間終了していますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

松崎(哲)委員 今のお話ですが、藤井総裁が大臣におっしゃったというふうに我々は承知しているわけですけれども、藤井前総裁にも大臣にも直接はお聞きになっていないということでよろしいんでしょうか、これで最後にさせていただきますけれども。

近藤参考人 先ほどお話しいたしましたように、在籍している公団の役職員の皆様からお話を伺いました。

 藤井前総裁は、既に公団の役員でございません。したがいまして、私の権限の外側にいらっしゃる方でございます。したがいまして、聞き取り調査は、私自身としては行っておりません。

松崎(哲)委員 お隣に大臣がいらっしゃいますので、後でぜひ伺っていただければいいんじゃないかと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時七分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 同僚議員の御好意により、質問をさせていただきたいと思います。

 予算委員会で石原大臣とは一回この議論をさせていただきましたが、改めて議論をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の法案、これは民営化法案という銘を打ってございますけれども、これは何の民営化法案でございますか。何を民営化する法案ですか。(発言する者あり)

石原国務大臣 道路四公団等々を民営化するという法律案でございます。

前原委員 委員の人たち、静かに。ネタ振りでこれは聞いているわけですから、一つ一つにそんなに過剰に反応しないで。

 いや、何でこういう聞き方をするかというと、道路公団の民営化法案じゃないんですよ、これは。まずは、道路公団を民営化するんであれば、民営化する会社、民間会社にするということですから、そもそも償還主義というのはあり得ないんです。

 償還主義というのは何かというと、例えば、四十五年というタームで償還するというふうに法律はうたってありますけれども、普通の企業であれば、借金を何年で返す、ゼロにする、どうのこうのと初めに決めないでしょう。つまりは、そもそも、償還主義というものと民営化というのは相入れないわけですよ。

 しかも、この道路公団というのは、今までは道路をつくってきました。これからもつくるということになっていますけれども、リースですよね、リース方式。しかも、利潤を上げちゃいかぬ、そして、道路をつくるけれども、結果的には、つくったら、それを債務返済・道路保有機構に渡してしまうということであります。

 大臣、もう一回質問いたしますけれども、四十五年、これは計画どおり償還が終われば、やはり名前を変えなきゃいけないですよね、サービスエリア、パーキングエリア関連企業民営化法案と。四十五年たったら少なくともそうなりますよね。

石原国務大臣 名前はセンスだと思います。そういうことを経営者が考えればそういうふうにされますし、きょうの午前中の論議の中でも銚子電鉄を例にとられて、銚子電鉄はぬれ煎餅を主に今つくっているそうでございますけれども、ぬれ煎餅製作会社ではなく銚子電鉄のままである。

 これはそういう議論が、実はきょう、前原委員がいらっしゃらないときにあったんですけれども、ここはまさに経営者のセンスだと思います。

前原委員 センスかどうかは別にして、実態面では道路公団の民営化法案ではないわけですよ。国のコントロールで道路をつくらせる。そして新直轄もある。四十五年間で償還をさせて、結果的には民間会社として残るのは、サービスエリア、パーキングエリア等々、今のファミリー企業の関連でしかない。これはもう明らかだと思うんですね。銚子電鉄のことは私は知りませんでしたけれども、少なくとも、この民営化会社というのは道路公団民間会社になるわけでは全くない、その点だけはしっかり指摘をしておきたいと思います。

 それから、四十五年の償還ということになっていますけれども、何度もこの議論はあったと伺っておりますけれども、必ず四十五年で償還をするんですか。

石原国務大臣 前原委員が新聞、テレビ等々で御存じのとおり、この点につきましては、当委員会でも一番御質疑の多かった点であると思います。前原委員はそこにおいでになっておりませんでしたので、各委員の方々には重複して恐縮でございますが、若干お時間をちょうだいいたしまして、この法案の説明を改めてさせていただければと思っております。

 今般の民営化に当たりましては、基本になりますことは、四十兆円に上る債務を確実に返済するということが最大の目的でございます。そして、客観的な評価基準に基づいて、真に必要な道路を国民負担をできるだけ最小にしてつくるということを仕組ませていただいたわけでございます。

 そんな中で、ただいま委員が御指摘の、四十五年以内に債務を返済するということを法定化し、先送りを認めないというところに一つポイントがあることは言うまでもございません。

 さらには、これまでは施行命令という名のもとに一方的に道路公団は道路を建設してまいりましたけれども、会社の自主性を尊重して、会社が仕掛かり品についても実質的な拒否権を持ち、法定路線であるところについては申請主義をとらせていただくということを明確にさせていただいております。

 さらに、これもくどいようでございますけれども、有料道路事業、およそ二十兆円かかるということを、政府・与党の約束として十・五兆円と半減する。

 そしてまた、新たな建設に際しましても会社がマーケットから資金を借りてくる。

 さらに、高速国道の債務総額については上限を設けまして、債務をふやさない。

 また、会社が新たに建設する道路の債務はその会社の料金収入から返済することを基本とする。すなわち、東名のお金で北海道の道路、九州の道路はつくらないということ。

 こういうふうに複数の歯どめをかませることによりまして四十五年以内の債務の返済というものを確実にする、そういうふうに法律案を仕組ませていただいたところでございます。

前原委員 議事録ぐらい読んでいますので、冒頭、余分なことは言わなくて結構ですから、質問したことだけに答えてください。

 なぜ四十五年間で返せますかということを言ったのは、今まで道路公団で、初めの償還期限は三十年だった。しかし、プール制を入れて、そしてまた整備計画というものを実施していくために、どんどんあいまいにして、そして道路の建設の中で膨らんでいった借金をどうしていくかということで、これはどなたも御承知のとおり、償還期間を延ばしていった経緯があるわけですね。つまりは、当初は三十年ということだったのに、それを四十年に延ばし、最終的には五十年にしていったという経緯があるわけです。

 しかも、法律で決めたということで守れなかったケースというのは今までも幾らでもある。例えば、皆さん方御存じのところであれば、国鉄清算事業団というのは十年で借金についてはなくすということを決めたけれども、結果的には、借金がなくなるどころか膨れ上がってしまって、そして六十年間で借金を返すという新たな枠組みを決めざるを得なかった。

 だれが四十五年間の責任を持てるんですか、この中で。多分、この中で四十五年間議員をやっている人はいないでしょう。あるいは、四十五年間、どれだけ生存しているかもわからない。そういうことの中で、私は、このクレディビリティーというものをどのように担保していくのかということについて聞いているわけです。

 今のお話の、いろいろな理屈をつけて四十五年で返しますと言い切ることは可能でしょう。しかし、だれが一体責任とるんですか。そして、それはどうやって担保されるんですか。

石原国務大臣 政府が責任を持って本法案を国会に提出させていただいたわけでございます。

 四十五年という話は、償還のイメージはお示しさせていただきましたが、一つ試算の例として申し述べさせていただきますと、今後の建設投資を、平成十五年度以降、およそ十三兆円と設定いたします。管理費を、これも御議論があったところでございますけれども、十四年度予算に対して三割削減。もう既に四分の一程度の実績がございますので、ここはもう二割ぐらい頑張っていただいて三割にする。そして料金収入を、今年度の予算を基本といたしまして、将来の交通量のフレームを弾性値〇・三、また、民営化委員会の答申を一歩先んじまして、民営化までに平均一割の割引を行うということに設定させていただきます。さらに、将来金利を、物価やGDP等の経済情勢が比較的安定していた過去十五年間の平均値を勘案いたしまして、やや高目でございます四%、これは実績は十五年間で三・七でございます。これらをもとに当てはめました返済のイメージというものをお示しいただきまして、その結果は四十五年以内に入る。

 これも当委員会で御議論のあったところでございますけれども、高度なインフレが発生する、あるいは災害が発生する、こういうものに対しては過去の教訓から柔軟に対応していくという前提条件は、もちろんのこと、行っていかなければならないと考えております。

前原委員 今の償還期限、五十年を四十五年に短くする。そして料金は一割下げる。交通量も下方修正だ。しかし、管理費等三割下げる中でそれをしっかりやっていく。こういうことでありますけれども、私が質問しておりますのは、物すごいインフレとか大災害があったときには、それは想定外になろうと思います。そこまで大臣の責任を問うつもりは全くありません。しかし、今までの道路公団の実態を見たときに、それが本当に可能なのかどうなのかといったことを私は申し上げている。

 また、私は橋本総理大臣と、国鉄清算事業団の負債のときに同じような議論をしました。約束したことを守れなかったらその責任は一体だれがとるんだという話をしたら、橋本さんは居直られて、それは国民が次の選挙で判断してもらったらいい、結果的にできなかったらしようがない、こういう答弁をされていました。

 私は、また同じことが繰り返しはされないのかということを非常に心配しているわけです。したがって、この委員会で議論をして、衆議院ではきょうで最終日になるかもしれない、そこで私は、一番きょう大臣に対して約束していただきたかったのは、この四十五年の償還期限というものは本当に守る。守るために、今後も、大臣、それはいろいろかわられるでしょう、石原さんが四十五年間大臣をやられるということは多分物理的に無理だと思いますから。ということは、引き継ぎをしながらその四十五年の約束というものを守るスキームを本当にしっかり引き継いで守っていく。やはり私はその意思を示していただくことが、なし崩しにならずに、今までの償還主義の延長あるいは国鉄清算事業団等に見られる、結局できなかった、仕方がない、文句があれば選挙に問うてくれ、こんなことでは、私はこの法律を議論する意味がない。

 その決意を石原大臣に述べていただきたい。

石原国務大臣 償還主義というのは、委員がおっしゃるとおり、償還期間を先送りするというような形で、本来の償還主義を逸脱してきたと私も思います。ですから、今回は、償還期間が長くなった根底には、全国プール制のもとに同じような基準で交通量のないところにも高速道路をつくっていったというプール制の弊害というものをいかに除去していくのか、そして、すべての債務を期間内に確実にどうしたら返すことができるのか、ここに今回の改革案の根底がある。それを委員は、そんなものじゃままならぬ、もっと明確にしていくべきであるというのが御質問の御趣旨だと思います。

 私は、これは、償還主義の悪癖を捨てました、債務を、決められた有期の間に完済するための制度である、そういう気持ちを持って、今回、この法案の質疑に当たらせていただいております。

前原委員 今、大臣がプール制について否定的な意見をされましたけれども、今回、プール制は残っていますね。この独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構というのは巨大なプール会社じゃないですか。

 つまりは、東、中、西などの会社が建設をする、そして、建設が終わったときに、債務をあわせて道路保有・債務返済機構に渡す。しかも、その大きなどんぶりの中であわせて四十五年の償還を行っていく。プール制の温存以外、何物でもないじゃないですか。プール制があしきことであったというならば、なぜプール制を残したんですか。

石原国務大臣 そこをすごく前回も御議論させていただきまして、御理解いただいていない点があるのかなという気がしましたので、若干ちょっと丁寧に話をさせていただきたいと思うんです。

 過度なプール制への依存が現状を招いている。ある意味で、有料道路制で道路をつくっていく以上は、採算性の高いところのお金を回さなければ、採算性の低いところの道路は有料道路制のもとではつくっていくことができなかった。しかし、公団という体制のもとで、建設の判断に際しまして、採算性や経済効果に関するチェックが働きにくかった、これは事実だと思います。そして、委員が再三再四御指摘されておりますように、新しくこのプールのもとで高速道路をつくっていきますと、償還期間が先送りされてきた、こういう弊害があった。この弊害をどういうふうに除去していこうかということで今回の案を仕組ませていただいたわけであります。

 必要な道路、不必要な道路、これはもう、自分たちにとって必要な道路は必要な道路でありますが、それを第三者が見ると不必要になる。すなわち、必要、不必要の物差しがなかったところに客観的な評価基準というものを入れさせていただいた。さらに規格も見直す、あるいは構造も見直す。これは、民主党の案の御審議の中でも同じようなことを、規格、構造を抜本的に見直すんだ、そういう話を民主党の提出者の方も述べております。さらに私どもは、抜本的に見直す百四十三キロというものを決めて、ここはこのままでは全然つくらない、そういうことも決めておりますし、四十五年以内に返すということを法律でしっかりと縛り、しつこいようですけれども、先ほど何度もお話しさせていただいた歯どめを二重三重にかけている。これによってプール制の弊害というものを除去していこう、そういう気持ちでは私は一緒だと思います。

 さらに、今後新たに会社がつくることについて、高速国道の債務については、さっきも申しましたように、その会社の料金収入の全体から返済する、もうこれが基本なんです。ですから、今のプールは東名のお金で九州、北海道の道路をつくるけれども、今度はそれをやらない、こういうふうに仕込ませていただいておりますので、プール制を温存しているという御指摘は当たらない。プール制の弊害を除去させていただいていると御理解いただきたいと思います。

前原委員 東名のお金で九州や北海道の道路をつくらないというのはうそなんですよ、うそなんです、これは。だれが考えたってうそなんです。

 つまりは、さっき申し上げたように、会社は一応分かれます。会社が分かれて、それが分離されているように見えるけれども、しかし、それぞれの会社が料金収入を上げて、高速道路保有・債務返済機構に渡すんですよ。利潤を取ってはいけないから、渡す。その大きなプールになった高速道路保有・債務返済機構が、四十五年間、その民間会社、せえので合わせて、このごろの小学校の運動会みたいに、みんな手をつないで、せえので四十五年目にゴールインするわけですよ。

 ということは、結果的には、この高速道路保有・債務返済機構というのが巨大なプールになっているということは、幾ら抗弁されようとも、名神、東名のいわゆる利益というものが最終的にはほかの地域の借金返済にも回るんですよ。だから、こんな詭弁を弄して、分けたんだと。そんな話はないですよ。反論があったら言ってください。

石原国務大臣 やはり前原委員の認識が大きく間違っていると私は思っております。

 すなわち、仕掛かり品の道路についても、実質的な拒否権を会社の側は持っているわけです。さらに、新規の、九三四二の外については申請主義なんです。申請しない限りは、つくれということは言わないんです。

 委員が御指摘になられているのは、四十兆円という債務を返すという意味では、もちろん東名を持っている会社が一番業績がよくなるに決まっていますから、そこだけ早く債務を返済するというようなことのないように、料金の水準は合わせます。どれもこれも、最初に申し述べましたように、目的であるところの四十兆円という債務をしっかりとどうすれば返していくのかということに立脚しているからこそ、三社の返済を、料金水準というものを合わせていく。

 さらに言及させていただきますと、今後の会社による建設というものは、その債務を当該会社の料金収入によるリース料で返すわけであります。これが基本です。ですから、九州の道路を建設した場合には、九州を持っている西日本の会社の収入によって返済する。これが何でプール制なんでしょうか。

前原委員 それだけ偉そうにおっしゃるんだったら、会社ごとにこの道路保有・返済機構も分けたらいいじゃないですか。分けるんだったら、今大臣おっしゃったことはそのとおりですよ。分けていないんだから。上がってきた料金収入は全部一つのどんぶりにして、あわせて四十五年で返すんだから。今おっしゃっていることは、五つの会社で道路保有・返済機構を持っていて、別々の会計にしているんだったら言えることですよ。何を言っているんですか。法案提出者が法案というか中身をわかっていて言っているんだったら詐欺師、わかっていないんだったら、何のためにこの法案を出しているんだ。そのぐらいの話ですよ。

 ではもう一つ。今おっしゃったことで、批判点というか、言いましょう。

 残事業二十兆円ですよね。しかし、それを十・五兆円に圧縮します、こういうことでした。民間会社には十・五兆円のうち幾ら、公団には幾らやらせるんですか。

佐藤政府参考人 数字的な問題でございますので、私の方から御説明を申し上げさせていただきたいと思います。

 この十六年四月一日以降、整備計画に基づいて、未供用二千キロについて約二十兆円とされていましたものを、コストの縮減で要は二割、四兆円切り、さらに、新直轄方式ということで目安三兆円でその事業を移す。さらに、二・五兆円のさらなるコストの縮減、こういう形で、トータルは十・五兆円以内に有料道路の事業の対象を削減する、これが趣旨であります。

 そこで、公団と会社、こういうことになるわけございますが、公団の時代、これは十五年度から数えますと、十五、十六、十七、明らかに三年間はある。予算上の措置としては三年間はせざるを得ないし、細部については、また、十七年終わりから十八年にかけてどうするかという引き継ぎの部分はありますけれども、基本的な物の考え方は、おおむね、十五年度九千百六十億円という形の中で建設費を計上させていただいているんで、三年分、兆単位でいいますと三兆円ぐらいを目安にしている、こういうことでありますから、会社の方は、差し引きでいけば七・五兆円程度、こういうことになっているわけでございますが、これは、また会社と機構が協定を結ぶ、その以前に、会社がどこの建設を継続するか、こういう問題がございますから、幾らに分かれるかという点について明確なことを今申し上げているわけではございません。

前原委員 三十秒でおさまることを、時間をとらないでください。

 今おっしゃった、最後の二つのポイントなんですね。十・五兆のうち、公団は三兆、そして民間会社は七・五兆させるということで、最後、ぐちぐちおっしゃっていたけれども。

 つまりは、大臣、いいですか、七・五兆円はもう民営化会社にさせるということを前提にしているんですよ。では、民営化会社は本当に拒否できるんですか。七・五兆円全部、残事業やりませんと本当に拒否できるんですか。私が国土交通省から事前レクを受けたときには断言していましたよ、七・五兆円は民間会社にやってもらいますと。あの七・五兆円、本当に民間会社は拒否してもいいんですか。

石原国務大臣 正当な理由がある場合は拒否されるということになると思います。

前原委員 その正当な理由というのは何ですか。

石原国務大臣 社会資本整備審議会で御議論をいただいて、こうこうこういう理由だから自分たちはその高速道路をつくれない、そういうことを会社が言ってまいります。それが正当か否かということを、客観的な第三者機関、この第三者機関は土地収用等々でも判断を下している、それほど中立性の高い機関ですから、そこが正当な理由があると認めた場合は、国土交通大臣が幾ら何でもやれと言っても拒否できるようになっております。

前原委員 そんな詭弁は通用しないんですよ。

 つまりは、社会資本整備審議会、学識経験者で構成されるということですけれども、今までの審議会、全部、国土交通省あるいは昔でいえば建設省、運輸省のお抱え学者ばかりの審議会じゃないですか。

 私は、実は、今は外交の担当をしていますけれども、その前にはこの国土交通、ちょうど国土交通省になったときと、その前は建設省、運輸省、政策担当をしていましたのでよくわかっていますけれども、役所からおどされて、例えば審議会メンバーで、役所の意見に合わなかった論文を書いたらすぐに呼び出しを食らう。先生、こんな論文を書いていていいんですか、審議会メンバーなのに。こういうことはざらだという話を聞いていますよ。

 つまりは、そういう国土交通省のお抱えの学者がたくさん集められて、今の中医協だってそうじゃないですか、結局は。同じじゃないですか。そして、拒否できるという言葉だけれども、実際は有無を言わせない。社会資本整備審議会の意見では正当な理由だということをメークアップする。それでつくらなかったら正当な理由じゃないと。これだったら、民間会社にやらせるような話じゃない、全く。

 つまりは、この民営化会社そのものが、一番初めに私が質問したとおり、国土交通省のシナリオどおりにやらない民間会社は成り立たない。こんなものは民間会社でも何でもない。それをぬけぬけしゃあしゃあと道路公団の民営化の法案ですと出してくる神経が疑わしい、それを私は申し上げているんだ。

 つまりは、先ほど、正当な理由もなければ拒否できますということですけれども、こんなものはすぐ、何年かたてばわかるんだ。絶対拒否できない。近藤さんだって、初めに総裁になられたとき、僕が見ていて、よく頑張っていたなと思うのは二日ぐらいですよ。二日ぐらいは威勢のいいことをおっしゃっていて、昔の民営化推進委員会のメンバーと同じようなことをおっしゃったけれども、自民党に呼ばれて、道路調査会に呼ばれて、こてんぱんにやられた。それから全く宗旨がえをして、おとなしくなった。同じ構図じゃないですか。

 つまりは、この道路公団が民営化された会社も、基本的にはこれからも、国土交通省のいわゆる下請の機関である社会資本整備審議会に御注進の答申をさせて、結果的には拒否させない、そういう仕組みでしかないんですよ。まあ、そのことについてはノーとおっしゃるだろうから、それはいいです。

 先ほどのプール制の話だけ、わかっていないとおっしゃっているんで、あなたの方がわかっていないということをもう一遍言いますけれども、もし本当にプール制じゃないと言うんだったら、この高速道路保有・債務返済機構も会社ごとに分割したらどうですか。それだったらあなたの言うことは認めますよ。

石原国務大臣 その点で先ほど来申しているのは、今回の民営化の最大の目的は、四十兆円の債務をどうやって担保して返していくか、そこにポイントがあるわけです。

 ですから、これを、今委員が言われた、要するに分別しろということでしょう。分別になっているわけです。どう分別になっているかということは、機構というのは独法なんですよ。独法通則法というのは、国土交通大臣が定める機構の中期目標というものがあるわけです、三年から五年の。この中期目標の中にどういうふうに返すかということをはっきり明記して、機構に指示をし、これを公表し、これに基づいて機構は中期計画をつくらなきゃいけないんです。どうやって返すとか、どこの会社とどういう契約を結んでどういうふうに返すかということをやる。それを国土交通大臣が認可するわけですよ、その中期計画を。そこによって担保できるじゃないですか。

 この会社とこの会社が機構と結んだものがどういうふうに返されているのかということが担保されることによって、委員の御懸念のような、東名のお金で九州や北海道のものをつくるということは、公表されるわけですから、そんなものが守られないわけないじゃないですか。

 さらに、会社ごとに機構と協定を結ぶわけですけれども、実施計画において、会社ごとのリース料と新規建設額というものが明示される。これは半年ぐらいのうちに決まるわけです。委員は拒否できないと言うけれども、私は拒否する例が出るかもしれないと思っています。そして、そういうものが出ても、客観的評価基準で、つくらなきゃいけない、つくるべきだという指標に乗ってきたものは直轄でも整備していかなければならない。

 ですから、三兆円という言い方をされていますけれども、そこの部分が新会社の対応によって、機構との協定によってへっこんだり出っ張ったりすることも予想される、そういう枠組みであります。

前原委員 幾ら抗弁されても、私の質問に答えていないんですよ。

 つまりは、道路保有・債務返済機構というものがなぜ一つなんですかという話をしているんですよ。六つに分割をして、それぞれにそれがあって、そして四十五年にそれでそろうというんだったら、さっき大臣のおっしゃった、東名のお金で結果的にはほかのところの道路はつくらないというのはわかりますよ。一緒じゃないですか、結果的には。その説明、何もなっていない。

 つまりは、それぞれの会社が契約をして、そして、建設もするかもしれない、しかし、建設が終わったら、借金もあわせてすべて下の一つの大きなプールに借金を回すわけですよ。結果的には、東名の返済金でほかの道路を、整備計画、つくれる話になるじゃないですか。さっき、整備計画で拒否する例が出てくるかもしれないと言ったが、アリバイづくりに一、二回拒否させるぐらいのことが出てくるぐらいでしょう、私の見る限りでは。そのぐらい信用していないから。

 つまりは、そういうところでアリバイをつくって、そして結果的には、道路公団の支配下と国の支配下と、何も変わっていない。仕組みは何も変わっていないじゃないですか。これが変わったと言えるんだったら、私は何度でもこの議論はその方とやりますよ。

 精神をあなたは理解していないんだよ、法案の中身を。償還主義がまず民営化の理念で合わないということ、そしてプール制は実は残っているということ、そして、結果的には国の命令によって、指示によって道路をつくらせるということ。何も変わっていないじゃないですか、今までの道路公団と。(発言する者あり)何を言っているじゃないよ。これは結果が出る話なんです、すぐ。何を言っているんだと言ったその口が物を言えないような状況というのがこれから出てくるんですよ、間違いなく。それは私ははっきりと申し上げたいと思います。

 時間になりましたので、私の質問はこれで終わりにいたしますが、一つ申し上げたいのは、これは、やはり四十五年間こんな枠組みで行くといったら大変なことになります。私は、早く政権交代をして、そして民主党が政権をとったら、こんなもの、もう一度ぶち壊す。そして、白紙に戻して、まともな道路公団の改革というものをやり直さなきゃいけない。その意思というものを強く表明して、私の質問を終わります。(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛にお願いします。

 穀田恵二君。

穀田委員 私は、昨日二十二日、圏央道をめぐる東京地裁の判決の問題について、最初に大臣にお聞きします。

 東京都あきる野市、青梅市の一部の地域について建設を進めるのは違法であるとの判断を下しました。判決は、浮遊粒子物質などの影響で大気汚染の被害が発生するおそれもあると指摘する一方、事業の意味とされる交通渋滞の緩和は具体的裏づけを欠くとして、事業認定そのものを違法としました。

 私は画期的な判決だと思うんです。大臣はこの判決を真摯に受けとめて対処すべきだと思いますが、その点について最初に御意見を伺います。

石原国務大臣 この点は穀田委員との見解とは若干相違があるのでございますが、国がこれまで主張していたことが認められないということで、私は遺憾に存じております。判決内容を詳細に検討させていただきまして、今後適切に対応してまいりたいと思います。

 それは、当委員会の御議論の中でもございましたように、やはり環状道路の整備というものは必要だと思います。圏央道は、多くの地域住民、自治体の皆様等々から早期開通を熱望され、首都圏の環境改善、渋滞等を改善していく上で、私は重要な道路であると考えております。

穀田委員 それは再度言いますが、私の方は意見が違います。それに対して厳しい批判が下ったというのが私は判決の意味だと思います。

 そこで、意見はいろいろ違うとしても、大事な問題は共通してあるのではないかと思っています。私は、大臣も御承知かと思いますが、当委員会で、道路建設を継続するかどうか判断する費用便益にマイナス効果が算定されていないと指摘しました。道路整備による大気汚染の被害や自然破壊、環境や景観破壊についてのマイナスの便益がきちんと算定されておらず、ただスピード効果だけ着目している現在の制度自身を改善するべきであるということを判決は示唆していると私は考えます。

 態度はいろいろ違うんですが、例えば日経新聞も、「判決が投げかけた問題は真剣に受け止める必要がある。」こう断じています。そして、計画づくりの段階から「住民の参加、複数の選択肢の提示、費用便益分析への環境被害・環境対策費の計上など公共事業行政の執行方法を大きく変えることを迫られている。」と指摘しているところです。

 ですから、私は、いろいろな判断、意見は違ったとしても、そういう根底にある考え方のところ、みんなで、費用便益の考え方や、そして、それについての評価の方法や住民合意の問題、これはついせんだっても政府参考人も、住民合意でという話で、東京新聞で座談会で言っているぐらいですから、そこのところを本当にやろうと思いますと、ここに近づけることが必要だということを私は指摘しておきたいと思います。

 次に、別の問題についてやります。プレストレスト・コンクリート建設業協会の談合疑惑について質問します。

 私は、二月二十三日の予算委員会で、例の道路公団三百六十一件をめぐる談合疑惑、天下り、政治献金問題を追及しました。そのときに、三百六十一件の工事入札の落札率が平均九八・一%であることを示して、私は大臣に、九五%を超える入札は異常と思わないか、こう聞きました。大臣は、落札価格と予定価格が近づくからくりは積算基準の情報公開によってであって、それが談合であるとは直ちに言うことは難しいと答弁されました。

 そこで、私は、きょうは、落札率が高いことが談合を疑うに値するという事例を紹介したいと思うんです。

 昨年の十二月三日の日経新聞に、建設二十社立ち入り、強化コンクリ橋工事めぐる、公取委、入札談合の疑いという記事が載っています。それによりますと、日本道路公団や自治体などが発注する強化コンクリート橋工事などの入札で談合を繰り返していた疑いがあるとして、公正取引委員会は、三日、オリエンタル建設、三井住友建設、ピーエス三菱など工事を手がける建設会社二十社の本社、支社と、業界団体プレストレスト・コンクリート建設業協会を独禁法違反の容疑で立入検査として報道しています。そして、今月の四月十五日の朝日新聞には「建設社長を公取委聴取 橋梁工事談合疑惑」と報じ、橋梁大手の建設会社ピーエス三菱の社長らから事情聴取をしたと報道しています。

 公正取引委員会に聞くが、この報道は事実ですか。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

楢崎政府参考人 御指摘のプレストレスト・コンクリートの入札談合事件につきましては、昨年十二月に立入検査を行いまして、現在、関係者から事情聴取等を進めているところでございます。

穀田委員 だから事実だと。公取が調査に入るということは、それなりに確証をつかんでいるからだと思うんですね。

 重大だと指摘しなくちゃならぬのは、その新聞にも、関係者によると、各社は、東北、関東、九州など各地方別に談合組織を形成、国発注工事では、各社のランクや過去の実績、天下りOBの有無などを判断材料に落札者を事前調整している、こう報じているんです。

 つまり、天下りOBの有無などを判断材料としていることが事実とすれば、私が指摘をしたあの三百六十一区間の中で、受注したジョイントベンチャーで天下りがないのは一件だけだ、こう指摘しましたけれども、道路公団の天下りが各社に満遍なく行われている実態が何を意味しているかという一つの証拠だと私は思うんです。

 したがって、この点で国交省は、このPC建設業協会をめぐる談合疑惑についてどのように把握しているか、お聞きします。

澤井政府参考人 平成十五年の十二月三日に、橋梁の公共工事発注で談合していた疑いがあるとして、御指摘のように、建設業者約二十社とプレストレスト・コンクリート協会に対し、公正取引委員会が立入調査を行ったということについては承知しております。

 国土交通省といたしましては、公正取引委員会の調査の状況を見守ってまいる所存でございます。

穀田委員 私、日本道路公団からまた資料をいただいて調べたんです。そうしたら、この間紹介した三百六十一件の工事を含め、九八年から二〇〇四年一月までの公団発注工事、未供用七十区間、十億円以上の工事の中で、PC建設業協会の役員企業及び地域別の事務局企業十七社の関係するジョイントベンチャーが受注した工事は六十七件もあるんですよ。その受注総額は、何と二千二百九十二億三千六百万円、平均落札率が九八・二%もあるわけです。

 本当に、こういう実態を見なければならないと私は思うんですよ。これほどまでひどいのかということがここにもあらわれている。ぜひ見ておいてほしいと思うんです。

 そこで聞きたいのは、大臣、公共工事、道路公団を含めて、入札に係る透明性あるいは公開性というものはこれからも高めていかなければならないと述べていましたね。そこで、何度も聞くんですけれども、入札契約適正化法ができて以後もこういう実態があることについて、どう思いますか。

澤井政府参考人 入札契約適正化法におきましては、公共的な発注者が必ず守らなければいけないこと、あわせて、こういう方向に行くことが望ましいということについてのガイドライン、この二つを決めまして、毎年、こういったことの実施状況について調査をしております。そういった努力を積み重ねることによりまして、透明性、公正性、あるいは一方で、技術力が反映される入札契約というようなことを進めていきたいというのが私どもの考え方であります。

穀田委員 私は、実は二つ言っているんですね。

 大臣、こういう法律があってもこういうことがやられている。しかも、こういう事実を明らかにしても、何というか、省の方は、これを談合として厳しく取り締まって、本当に打開し、こういうものをなくすために努力するという立場になかなか立てないという問題を私は指摘しているんですよ。だって、そういうものが談合でないと言い張る人がトップにいるわけだから、それはなかなか大変だなと私は思った次第です。

 大臣は、新規の道路をつくらない本四架橋公団を除いて、他の新会社には入札契約適正化法というのが適用されると答弁されました。そこで確認しますが、高速道路株式会社法案には、第三条で「政府は、常時、会社の総株主の議決権の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。」とあります。新会社発足時は一〇〇%国が出資する特殊会社だが、新会社が株式上場するなどした後も、政府がこの新会社の株式を三分の一以上保有し続けるということですよね。国が一〇〇%出資し、工事を発注すれば、入札契約適正化法が適用されるのはそのとおりです。

 しかし、国の株式保有比率が三分の一以上、二分の一未満となった場合にはどうなのか、対象にならないではないか、この点を確認しておきたい。

澤井政府参考人 入札契約適正化法によれば、御指摘のように、国からの出資二分の一以上ということでございますので、二分の一以上という要件を満たさない場合にはこの法律の適用はございません。

穀田委員 では、公正取引委員会に聞きます。

 今述べた、国の出資比率が二分の一未満の会社の場合、いわゆる官製談合防止法は適用されますか。

楢崎政府参考人 入札談合等関与行為防止法の対象となるのは、国または地方公共団体が二分の一以上出資している法人ということでございますので、二分の一未満の法人は対象になりません。

穀田委員 おわかりいただいたと思うんです。

 要するに、入札契約適正化法は二分の一未満となった場合は適用されない。そして官製談合防止法も適用されないということなんですね。だから、情報公開法、ここも総務省に確認したが、商法適用の株式会社になれば対象とならない。

 つまり、情報公開、開示の三つの基本的要件であるこの肝心の法律の適用がされないということを私は言いたかったわけです。だから、これでどうして透明性が増すのかということを私は指摘しているんです。ここをぜひ見ていただきたいと思います。

 そこで、民主党にもちょっと一つだけ質問させていただくけれども……(発言する者あり)いや、時間がないものですから。

 私はたくさん聞きたいことがあるんですけれども、例えば民主党の案というのは、一般財源化した道路特定財源など税金によって債務返済するということであり、また、高速道路料金を無料にするという考え方ですね。

 私は、この四十兆円の債務を本当にどうするかという問題について知恵は絞らなあかんと思いますけれども、新たな建設の中止などによって、年間二・五兆円の通行料金収入で賄うこととし、私たちの方は、債務負担を計画的に返済し、料金の段階的引き下げで将来の無料化に立ち向かう、こういうのが我々の案なんですね。それは岩國議員はよく御承知だと思うんです。

 そういう点等を考えますと、やはり料金無料化を性急に進めれば、二兆円規模の税金を新たに結果的に投入しなければならなくなるということを私は思うんです。それは優先順位がちょっと違っているんじゃないかなというのが私の意見なんですが、それを聞き出すと長い間討論せなあきませんので、極めて短く討論できる点だけ聞きたいと思うんです。

 法案は、道路関係四公団を廃止し、管理専門を独立行政法人とするとして、一時に多数の道路関係四公団の職員が再就職を必要となることにかんがみ、これらの者に関し、再就職の機会の確保及び再就職の援助等のための特別の措置を講ずるとしています。この多くの公団職員の再就職先を国が援助するとしていますが、具体的にどのような援助を考えているのか。

 公団本体はもちろん、料金収受事業に係るファミリー企業の方々もいます。全体として大体五万から六万と言われています。国鉄の民営化の際にも大問題となって、今でも一千四十七名問題などが議論になっていて、再就職できない方がたくさん残されていて、重大な問題として引き続き残っています。

 ですから、私は、この五万から六万とも言われている方々も含めた就職という問題になりますと、懸念があり、重大な社会問題になる可能性があるんじゃないか、この点だけお聞きしておきたいと思います。

岩國議員 穀田委員の質問にお答えしたいと思います。

 まず、民主党は、政策の中でもとりわけ雇用対策を重視しているところでありますから、決して、高速道路無料化ということについて、失業者が町にあふれるということを想定しているわけではなく、むしろ、これによって雇用の場が広がっていく。

 例えば、日本の中で一番たくさんお金をかけ、そして付加価値の高いのは高速道路の沿線だと思うのです。あの高速道路の沿線に新しい職場をつくること。そして、改革の過程として、料金所に働いていらっしゃる方はその仕事がなくなるということは目に見えたロスでありますけれども、それ以外に、民間の職場があの近辺にふえる、インターチェンジの数もふえる、また、総体として経済の活性化によって日本経済自身が活性化していく、雇用の場が広がっていく。そういう面で、私たちは、再雇用の道にはいろいろな選択肢が広がっていく、そういうふうに考えております。

 なお、道路の管理それから維持、そういったことにつきましては、高速道路が有料であろうと無料であろうと、これは当然だれかがやらなきゃいけない。そのだれかというのは、独立したそういう法人が必要だろう。また、専門の、あるいは経験を持った人たちは当然その職場で働いていただくことも必要だろうと思います。横への移動、新しい職場の開拓、それが高速道路無料化の結果として生まれてくる、そのように思っております。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

穀田委員 横への移動、それから沿線という話がありましたけれども、どうも、私は、それだけで五万か六万いる人が本当に吸収できるのかなと。時期的に言ってもこれはなかなか難しい問題はあるなと私は率直に思います。

 そこで、政府にもう一度戻りたいんですけれども、沿線という話が出ましたので。

 実は、民営化会社の事業の拡大という問題でいいますと、これは道路事業による収益は見込めないことから、SA、PAを活用した小売サービス業、あるいは道路用地やインター周辺を利用したホテルやリゾート、集客施設などの事業になると予想されます。

 近藤総裁は、道路以外の事業をどう広げていくかについて、サービスエリア内にホテル並みの宿泊施設やコンビニを設けたり、新たなインターチェンジ建設と周辺開発を同時に進めたりすることを考えているなんということを新聞のインタビューに答えています。

 そこで聞きます。

 インターチェンジの周辺開発として、アウトレットモールのような集客力がある施設を建設、運営する場合、届け出だけで、何らかの制約を受けるのか。また、大型商業施設の場合、大店立地法などとの関係が出てくると思うが、問題は生じないのか。国交省としてこういう問題についての対策を検討したのか。この点だけ聞きたいと思います。

佐藤政府参考人 二つに分けてお答えすべきかと思います。

 SA、PA事業について、これは届け出は不要でございます。

 それから、インターチェンジの周辺で大規模な小売店舗、こうしたものを考える、立地させる、この場合には大規模小売店舗立地法の適用を受ける、こういうことになろうかと思いますので、この法律の手続を通じて、新しい会社と地域住民の間で、大型店と周辺の生活環境との調和を図るための必要な調整が図られるものと思料しております。

穀田委員 国鉄の民営化のときには、JR会社法十条で、要するに中小企業に対して配慮しなくちゃならぬという規定があったんですよ。今度のはないということと、そういう意味でいうと、私は、この点は極めて不十分だなということだけ、時間がありませんので、指摘して、終わります。

赤羽委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島村宜伸君。

島村委員 自由民主党の島村宜伸でございます。

 総理、連日の激務、まことに御苦労さまでございます。私たちですらなかなか時間がなくて、たまに音楽会とかあるいはバレエの鑑賞などに行きますが、その都度あなたを思い出して、極めて造詣も深く、大好きでたまらないというあなたに全くのチャンスがない、深く同情申し上げているところでございますが、それはそれとして、これは日本の政治家、特に総理大臣の宿命でもありますので、観念して、さらに御自愛いただきたいと、まずもって思っております。

 さて、昨年の総選挙に先立ちまして、民主党から、いわば政権公約をマニフェストという形で公表されました。私たち、それなりに内容を早速拝見して、戸惑いもあれば、随分大胆なことをやるものだ、ある意味での感心もしながら、また同時に、随分無責任なこともするという批判も覚えたわけでありますが、率直に言って、我が党総裁としての小泉総理はどんな印象を持たれたのか、ひとつお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、民主党が対案を出されたのはいいことだと思います。批判するのはだれでもできます。批判すると思えば、民営化論者の中でも民営化を批判しますし、民営化反対論者でも批判はできます。そういう批判だけでなく、みずからが対案を出されたということについてはいいのではないかと思っています。

 ただ、民主党は、今まで、民間にできることは民間にということについて賛成していたのではないかと思うのであります。それを具体的に、今政府・与党は、不可能と思われた、無理だと思われた道路公団を民営化しようという案を出しているわけであります。でき得れば、でき得れば、民営化賛成論者だった民主党ですから、違う民営化案を出していただければ、今の無料化案よりももっとよかったのではないかなと私は思っております。

島村委員 実は私は、その後に民主党は、国会が軌道に乗ればすぐマニフェストの裏づけを示される、例えば年金法案にしても、あるいはこの道路の法案にしても、即座に、今まで準備されたことを出してこられるだろう。しかも、年金問題も、あるいはこの道路の問題も、思い切った提言をする以上は、当然、数字の裏づけをもって私たちに示されるだろう、こんな期待をしましたし、我々政治家として、これは当然の党の責務である、そう考えていたんですが、なかなかに出てこないということでありました。

 現に、この道路につきましては、今月の十四日にしてようやく出てきたわけであります。その内容の中に、今まで民主党のうたわれたことでは、高速道路を無料開放すれば地域の活性化と日本経済の再生が可能となり、また、通勤圏、生活圏が飛躍的に広がるとともに、ゆったりとした住まいと余裕がある暮らしが実現できる、いかにも絵にかけばこういうことをだれしも考えるようなことがうたわれているわけであります。

 しかし、言うはやすく行うはかたしでありまして、問題があります。それは、先刻来いろいろ御指摘がありますように、まず、道路に関しましては四十兆円の債務が残っているわけですね。これをどう返済していくのか、これについて具体的ないわば数字が示されておりません。

 また、供用中の高速道路の管理の財源、これをどうするのか。これ自身だって、一兆六千五百五十億でしょうか、かなりの金額を要するわけで、これもまた、どのようにするのか示されていない。

 また、今後、当然高速道路は必要だ。先ほど来、岩國議員の御説明を聞いても高速道路は必要だとおっしゃっている。このネットワークを形成するための多額のまた財源を必要としますが、それ自身も具体的に何も示されていない。

 先般、我が党の中野正志議員の質問に対して、いや、数字は明確に示している、それはゼロと三なんだと。ゼロとは何か、無料化のゼロ。三とは何か、三年後にやる。これではいかにも無責任だし、現実にいわば借金があるわけなんですから、この債務というものをきちんと返済していかなきゃならない。

 そして同時に、どのように管理していくのか。また、無料化というと人聞きいいのですけれども、必要に応じていわば課金もするんだと。しからば、どの路線のどこからどこまでの区域をいうのか。これ自身に対しても具体的に示されていない。

 これではちょっと私たちは、ああ、そうですかと言うわけにいかないわけでありまして、おいしい話だけを先にされてしまったという不満だけが残るわけでありますが、まず、この点について岩國議員から御説明をいただきたいと思います。

岩國議員 官から民へ、民でできることは民でということは民主党としても繰り返し申してきたわけでありますし、今小泉総理が答弁されたように、我々も意見をともにするものであります。

 しかし、先日の参考人の意見を聞きましたときにも、公共財を使って公共サービスを展開するというのは、民でやる仕事には最もなじまない仕事である、こういう御意見を我々はこの部屋で聞かされたわけであります。

 したがいまして、民主党は、一時民営化ということを真剣に検討いたしましたけれども、最終的には民よりも官がいいと。これは決して菅代表になったからそういうことを言ったわけではなくて、菅代表になってから無料化を打ち出し、我々も感無量の感があるわけです。

 そして、民主党としては、二年前から無料化路線というのは七十四人の国会議員が真剣に研究し、鳩山代表のときにも出しておりました。ですから、急にということではなくて、また、外部の人にあれこれ言われたということばかりではなく、もう二年前の四月から、七十四人が署名して、そういう無料化というものを提案しておりました。

 ですから、そういう流れの中にさらにそれをマニフェストに出そうという決断は、菅代表のイニシアチブのもとに打ち出されたわけであります。

 さて、こうした財源等の裏づけについて何度も御質問をいただいておりますけれども、三とゼロしかないということを私は申し上げました。これは基本法でありますから、その中に出てくる数字は確かに三とゼロしかありません。

 しかし、政府・自民党が出された数字には何があるかということです。四十五という数字がまことしやかにありますけれども、その四十五年で返せるという裏づけが、何度たっても、政府の方からも役所の方からもやってこない。

 金利返済にしても通行料収入にしても、繰り返しますけれども、通行料収入は、人任せ、車任せ、景気任せ、お天気任せ、結局そうならざるを得ないんです。

 もう一つ、金利の支払いにしても、四%なのか、五%なのか、八%なのか。四%、五%の金利であれば通行料で返せるという試算を我々は見ました。しかし、政府の方のこの試算も、イメージとわざわざ書いてあるんです。試算ですらもないんです。

 政府の方はいかにもたくさんな数字をお出しになったような印象を持っておられるかもしれませんけれども、政府の方はきれいさっぱり具体的な数字は出ておらぬ。私は、政治というものはもっと単純にわかりやすく、三とゼロ、一けたの数字で説明できるような政策を打ち出すべきだ、このように思います。

島村委員 政府案をいろいろ勉強しますと、現行二%、これを平成十七年度からは四%の一応想定に立っていろいろ計算をされている。また一方では、高速道路のいわば料金収入二兆六千億。それで、あなたの方の言うように、阪神と首都圏を除くと四千四百億ほど減りますが、いずれにしても二兆二千億くらいのものがいわば収入としては減ってしまう。これをどう穴埋めするのかが全く示されない。これではおかしい。

 それから、金利について云々とありますけれども、金利は、例えば平成十七年に幾らになるのか、二十年に幾らになるのか、これを具体的に指摘し得るのは神様しかいないんではないんでしょうか。世界経済全体の動きの中にこれは決まってくるものでありますから、あなたはもともとそちらの専門家であったはず。これを今全く示していないということでなくて、現行は四%と想定してこれをやっている。

 要は、ざっと料金収入と経費を全部抜いた約九千億の中から、いわば新しい高速道路網の拡充を図っていく。極めてリーズナブルで、むしろわかりやすい話だろうと思いますが、あなたの方こそわかりにくいように思います。

 ゼロと三と言ってしまうのは簡単ですが、ゼロというのは初めから無料化ということで、こんなもの、数字で言うこと自体がおかしい。三というのは三年先に先送るということですから、これまた、私たちが求める数字とは全く異質のものだとあえて指摘したいと思います。

岩國議員 繰り返すようですけれども、実際にできるかできないかということを四十五年先に、三十年間かかってできなかった約束を今度は四十五年という、さらに土俵の場所をずらしてまで、これがどうやって信用できるんでしょうか。三が信用できないんだったら、四十五の方がもっと私は信用できないと思うんです。

 金利についての御質問がございました。金利というのはだれも予測ができません。しかし、景気がよくなった、あるいはバブルの状態になったときには高金利になる、これは予算委員会で竹中大臣がそう言って説明していらっしゃいます。金利が高くなることは必ずあります。そのときに、高金利の波に対抗するのに、税金を投入してでも高金利を防ぐことはできるのか、満期償還を借りかえすることなしに、満期償還で債務を減らす、そういう危機管理体制ができているのはどっちの案かということなんです。政府案には危機管理体制がとられておりません。どんなに高金利になろうと、借りかえざるを得ないんです。一般税源を使って満期償還ができるというのは、そうした高金利のときに国民負担を低下させるという選択肢も残されているという点で民主党の案が私はすぐれていると思います。

 その他の質問については津川議員から答弁させていただきます。

津川議員 一つだけお答えをさせていただきますが、先日来、与党の委員の方々から、民主党の案には具体性がないんじゃないか、こんなような御指摘があったかと思います。

 それは、私ども、今回の法案の中では三とゼロという御答弁を一つさせていただいておりますが、もう一つ、一年以内に高速道路事業改革推進本部を内閣の中に設置して、その中で、推進本部が定める改革推進計画において具体的な内容を定める、これが決められております。

 つまり、いつ、どこで、だれが、何を決めるか全くわからない、そういった具体的な具体策がないということではなくて、三年後までまた何もしないということではなくて、今回法律が定まりましたら、一年以内にこういったことを定めていかなければならない。これはこれで、一つ具体的な中身であろうかと思います。

 これで具体的だと言うだけですと、総理のまねをするなと言われそうですが、私どもとしては、例えば債務の金額につきましては、これは改めて確認するまでもなく、四十兆を超える金額があると言われております。また、先日来、与党の委員の皆様方からも指摘をされておりますとおり、例えば今の道路特定財源、こういったものを想定したとしても、国に係る部分だけでありますと三兆円強というだけになります。これもすべて充てるということにはなかなかならないであろうというのは私どもも考えております。しかし、例えば一兆円程度以上つぎ込むことができれば、確実にまず償還することはできる。

 それで、では、こういった直轄で今まで建設をしていた部分が建設できなくなるんじゃないだろうか、こういった御心配が特に与党の委員の方々からはたび重なりあったかと思いますが、しかし、私どもは、高速道路は高速道路、別の通行料金という形の、別の、言ってみれば税金で賄うというやり方ではなくて、やはり道路のあり方というものをそもそももう一回見直しをして、高速道路と一般道路と、本当に必要なものはどういったものなのか。必ずしも高速道路である必要はない。こういったことも総合的に見直しをすれば、今の道路予算の中で新規建設も十分にできていくという考え方を持っているということでございます。

島村委員 いや、地方のいろいろな窮状に触れれば触れるほど、なるほど、高速道路無料化、これは夢のようにうれしい話でしょう。問題は、要するに、その一方で高速道路が無料化されて、高速道路自身が高速道路でなくなった場合も一応想定しなきゃならない。特に、私はむしろ、受益者負担で、高速道路を利用する人が応分の負担をしていくかわりに、皆さん、全国でまだまだ活動している高速道路の不足分をどんどん補っていく、これがむしろあるべき姿だと私は思うんですよ。

 現実にそのことを地方の方にも随分、私はいろいろお会いするたびに聞いてみるけれども、結果的にはやはり同じことを皆さんおっしゃる。それは無料にこしたことはないが、むしろ欲しいのは高速道路だと。

 特に最近は鉄道路線がもうとても成り立たなくなって、廃止の憂き目に遭っているというのが全国各地にあるわけですよ。となると、ますます道路の需要が高まってくる。そんなときに無料だなんておいしいことを言って、高速道路が高速道路でなくなって、しかも財源的に十分でないから、要するに道路の建設は先送り、こういうことが現実になってきたときに、むしろ地方の人たちの期待に逆行するんだと私はあえて指摘したいと思います。

 そこで、今回の法案で皆さんが決めようとしているのは、まさに無料化というキャッチコピー。それで、どうやって実現するのかという本質議論は全部政府の改革推進本部へ丸投げしているということじゃないんですか。いわば丸投げ法案なんですよ、これは。そして、加えて、具体的枠組みの内容は、法の施行後一年を目途に策定される改革推進計画にお任せ。これはまさに、先ほど来指摘されるように、先送り法案、こうなりますよ。一方で、先ほど申したように無料化と言っておきながら、一方では有料制を制度化すると。では、一体どこの範囲なのか、これまたわからない。

 どうも、おっしゃっていることは格好いいし、人聞きは大変すばらしいけれども、現実には何だという話になって、選挙のためのいわば目くらましであったのか、こんな感じすら私はするんですけれども、総理、これを聞いておられてどう感じられますか。率直な御意見が伺えればと思います。

小泉内閣総理大臣 私も、まさか民主党が無料化案を出してくるとは想像しなかったんですよ、できるだけ税金は有効な分野に使いましょうと。道路を無料化して、税金で今までの四十兆円の借金を返す。それだったら、税金はもっと道路以外に使う部分もあるんじゃないかと私は思います。

 それと同時に、一部有料道路を残すと言っています。どこを残すかというのはまだ決めていないようでありますが、そうすると、道路を有料化だったところを無料化にするということは、特別の便益があるから利用者はある程度料金を払ってもその高速道路を利用するわけです。全然使わない人に対しても、無料化ということはその負担を求めるわけですね。

 特別の道路に対しては一部有料化して、ほとんどの高速道路は無料にせよということでありますので、一般、利用しない方に税負担を求めることが理解を得られるか、そして、それだけ道路に税金を使うんだったらば、もっと道路以外に使う公共事業というのがあるのではないかな、そう思っています。

 そして、四十五年以内に政府案は四十兆円の借金を返済するという計画を立てています。長過ぎると言っていますが、民主党案を見ると、無料にして税金で返すといっても、四十五から四十七年以内に返すというわけでしょう。四十五年で返すというのが批判されるいわれはないと思うんですけれどもね。

 いろいろありますが、私は余り他党の批判をしたくないから、提案を出してきたことだけでもいいかな。よく議論をしていただいて、どちらがいいか、国民に選んでいただければいいと思います。

島村委員 高速道路談義につきましては、特に申し上げておきたいんですけれども、例えばアメリカは国家戦略の基本に高速道路の拡充ということを置いております。問題は、中国は、特殊ではありますけれども毎年約五千キロずつ高速道路をつくっているように聞きます。この二十年間で、大体数字を見ますと、アメリカが九千二百三十二キロ、フランスが五千八百キロ、ドイツが三千五百九十キロ、中国が二万五千百三十キロ、こう言われています。最近では、今言ったように五千キロ。そこで日本の国はどうか。この二十年間で三千九百六十八キロ。ドイツとほぼ同じ数字であります。

 この国は狭い国ではあります。山また山で七割が山に覆われて、非常に不自由をかこっているのは地方でありますし、費用対効果ももちろん大事ですけれども、やはり地方の人たちに夢をきちっと与えて先行きの展望を開いていかないことには、もう今まで十分人生を過ごしてきたという納得ずくの方々はともかくとして、これからと思っている人たちはもうとてもとても地方に住んでいられないということになって、過疎化がこれは大いに進むということになることを私はむしろ恐れるわけです。

 私は、東京に生まれ、東京に育ち、東京を選挙区としている人間ですが、地方を歩けば歩くほど、あるいは職務柄、地方のいろいろな実情に触れれば触れるほど、やはり地方の人たちの本当の将来に向かっての夢あるいは先行きに対して、自分たちが郷土愛というものを根づかせようという気持ちを起こさせる形にしないと、この国はえらいことになってしまう。

 例えば、人が住まなくなれば、いわばスポーツや文化施設はもとより交通機関も成り立たなくなる。田畑が荒れれば山が荒れる。国土の保全、自然環境の維持その他についてもいろいろな問題が出てくると思うんですね。

 そういう意味では、この財政難の折、小泉総理は大変な努力をされている毎日ではございますが、それらにまで思いをいたして、余り人が通っていない、車の通りが少ないという単純な上辺で見るのではなくて、これは、ある意味では都心の過密対策でもあるわけですから、私は、それらについてはひとつ御配慮いただくように申し添えておきたいと思います。

 さて、きのう朝驚いたのは、例の東京地裁で、圏央道の事業認定、収用委裁決ともに取り消しという大変驚くべき判決が出ました。この人は大体実社会というのを見たことがないんじゃないのかと私は個人的には思うわけでございますが、どうもこういう考え方に左右されて、例えば圏央道の工事なんかに停滞が生じたら、これは大変なことです。

 環状道路というのは、改めて言うまでもありませんが、要は、交通の分散とか迂回とか、あるいは混雑緩和のためにいろいろな判断をしますけれども、これは同時に、時間の節約あるいは経費の節約にもつながるわけで、環状道路というのは本当になくちゃならないもの。

 これもちなみに世界の実情を見てみると、例えばパリは、三百二十キロの計画の中でもう二百六十八キロ供用している、実に八四%です。ロンドンは、百八十七キロの計画に対して既に一〇〇%これをつくっています。ベルリン、二百二十に対して二百十五ですから九七%。それに引きかえ日本の首都圏は、五百十八キロ必要なところへもってきて百二十キロしかない、二三%。四分の一以下しかないわけであります。

 こういうことごとも、いわば都心の混雑緩和、そして同時に、これは経済性の意味からも大変に意味のあることでございますので、ぜひこれは石原国土交通大臣、積極的に、どんなことがあってもひとつ勇猛邁進していただきたいと特に要望したいと思いますが、ちょっとお考えを伺いたいと思います。

石原国務大臣 これまでの国の主張が認められなかったということはまことに遺憾でございますし、ただいま島村委員の意見の御開陳の中にありましたように、環状道路の整備率というものは、東京圏をとってみましても大変低うございます。

 三環状の一翼を担う圏央道というものは、自治体の皆様方、住民の皆様方からもぜひ進めてもらいたい、こういう話をいただいておりますし、それによりまして中心部の渋滞緩和あるいは環境問題にも著しい改善が見られることから、関係当局と御相談させていただいて適切に対応し、計画を実行していきたいと考えております。

島村委員 私たちは都心に住んでいますから余り感じませんが、地方の政治家は、ことごとく共通するのは、道路に対する要請、そして期待。やはりこれからはまさに車社会でありますから、道路のいわば拡充に関しましては、総理、ひとつ大英断で、高い視野に立った、これからの開発にむしろ拍車をかける気概をお示しいただきたいと結びに御要望いたしまして、時間になりましたので、終わりにします。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 岩國哲人君。

岩國委員 あっちへ座ったりこっちへ座ったり、大変民主党も人使いの荒いところでございますけれども。

 岩國哲人でございます。

 民主党を代表して、総理に主として質問させていただきたいと思います。

 これは国土交通委員会とは全く関係のないことで一問。これは、私の順番、めぐり合わせで御質問させていただきますけれども、閣僚が三人も国民年金を支払っていなかったということについての総理の御感想をお願いしたいと思います。

 保険料を引き上げる年金法案にサインした大臣が結局年金を支払っていなかった、こういうことを聞いて、恐らく国民の皆さんにもがっかりしている人が多いんじゃないかと思うんです。汗水垂らし、生活に苦しみながら払ってこられた人。しかし、大臣席に座って、そうした負担を引き上げるという法案にサインをされて、その人たちの中に三人もそういう方がおられたということについて、総理の率直な御感想をお願いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 御本人それぞれ、どのような経緯で払っていなかったのかということについては詳しくは知りませんが、どのような事情であれ、払っていなければ、正規の手続を踏んできちんと払っていただきたい。また、今までの不注意に対しまして、今後ともよく注意して、しっかりとした、国民から信頼ある行動をしていただきたいと思っております。

岩國委員 総理御自身は、今まできちんと支払っていらっしゃったという公的な記録をお出しになる御用意は当然おありだと思いますけれども、その点だけ確認させていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私はきちんと払っておりました。今はもう払わないでいい年齢になりましたので、現在は払っておりません。

岩國委員 しつこいようですけれども、公的な記録をお出しになる用意がいつでもおありだと。私自身は余り関心は持っておりませんけれども、そういう要求があればお出しになれるということでよろしいでしょうか。

小泉内閣総理大臣 はい。いつでもきちんと払っております。

岩國委員 それでは、この民営化法案について総理に質問させていただきます。

 総理自身は、上場を目指して、こういうことをおっしゃっているわけですけれども、この上場自身について、総理は、民営化会社六社、一応誕生するわけですけれども、この六つの民営会社が上場できるというお話は、だれから、いつ、どういう方法でお聞きになったんですか。

小泉内閣総理大臣 いや、詳しくは、そういう専門的なことについては、私は、いつ、だれから聞いたかという覚えはありません。しかし、民営化するからには上場を目指すべきだ、しかも十分可能だというお話をいろいろな識者から聞いております。

 そういうことで、民営化するんだったらば上場を目指してしかるべきじゃないかなと思っております。

岩國委員 そうすると、民営化推進委員会からの報告書に、上場できる、すべきだということが書かれていたことでもなく、今のお話ですと、総理自身の希望あるいは思いという言葉でずっと上場ということをお話しになったんでしょうか。一度でも周りの方に、あるいは担当の役所に、これは上場できるかどうかについて問い合わせを、あるいは相談をされたこと、おありですか。

小泉内閣総理大臣 私はいろいろな方から意見を聞いておりますから、これは上場可能だ、立派な上場会社として民営化してもらいたいな、それが可能だと言う方からもいろいろな意見を聞いておりますから、それだったら、やはり上場化を目指すべきじゃないかな、そう思っております。

岩國委員 確かに、今まで、戦後、民営化が行われ、NTTも上場されました、JRも上場されました。しかし、NTT、JRと決定的に幾つかの点において今回の道路公団は違っておるのです。何が違うか。まず、上下一体でないということなんですね。

 JRの上場申請が行われたときに、JRも、総理御承知と思いますけれども、新幹線のそういった施設というものは、これはリースをしておったんです、上下分離でした。しかし、上下分離では上場は認められないということで、結局買い取ることになったのです。

 今回の場合には上下分離のままで上場はできるという確認をどこで、いつおとりになったのですか。

小泉内閣総理大臣 確認とかそういうのはとっておりません。できるというならそれを目指すべきだと。

 JRと高速道路は違いますからね。その点もやはり考えていかなきゃならないと思っております。

岩國委員 JRの場合にも、上下分離で上場できる、そういう見通しで申請をし、取引所と交渉を始めたのです。しかし、実体がない、資産のない会社の上場は認められない、資産のないところに自主的な経営権がない。したがって、急遽方針を転換して、上下分離から上下一体に切りかわったのです。そうすることによって初めて上場が認められることになりました。こういった記録の中にもありますけれども、新幹線地上設備のリース制はJR三社間の収益調整のために導入されたものであって、まさに今回もそのとおりなんです、上場との関連で幾つかの問題点が東京証券取引所から指摘されたんです。

 今のままでは恐らくこれは上場できないと私は判断します。現に参考人の中にも、三人の方がこれは上場できませんということをおっしゃっています。上場できるかできないかは、この民営化法案にとって決定的な大きな問題ではないでしょうか。

 民営化しても上場できたNTTとJR、国民の皆さんは、総理があれほど意気込んでいらっしゃるから、ああ、第二、第三のNTTになるんだ、JRになるんだ、いい投資対象になるだろうと。自民党の国会議員の中にも、私はそういう会社の社長になりたいという方がもう既に二人手を挙げておられます。そういう、そそっかしいと言うと大変失礼ですけれども、短絡的なお考えをお持ちになる方が国会議員以外の方にもたくさんいらっしゃると私は思います。

 上場できるかできないか、これは一度でも、国土交通省として、東京証券取引所と確認をとったのですか。ましてやJRの例があるわけです。総理自身はそういうことをお調べにもならないで、何度も何度も本会議で、予算委員会で、国土交通委員会で、上場できるのなら上場を目指す。目指す上場ができないということがわかった現在、どうされますか。この民営化法案、取り下げられますか。

小泉内閣総理大臣 民営化するための法案でありますから、民営化するんだったら上場を目指すべき、私はそう思っております。

岩國委員 第二の問題点は、政府保証をつけるということです。

 政府保証をつけるというのは、上場会社としての資金調達能力が恵まれない、増資もできない、社債を発行しても、上場会社でないから買い手が見つからない、そういう会社に対しては政府保証をつけなければならないのです。

 しかし、いつまでも上場されなくて、五年たっても十年たっても十五年たっても、今まで交通大臣も総理も、本会議で、予算委員会で、あるいはこの委員会で、十年後には完全な民営化を目指したい、そしてそのときには上場と。上場ができなくて、いつまでも政府保証で、マーケット本位で資金を調達するとおっしゃいますけれども、政府保証というのは、マーケットの中で乳母車に乗せることなんです、肩車に乗せることなんです。本当のマーケットの中で資金を調達するということは、他人の保証のない形で資金を調達する、それが民間会社のあるべき姿なんです。それがNTTであり、JRであったわけです。JRの場合には、最初の五年間だけは政府保証をつける、そういう規定がありましたけれども、それは今は既にもう外れております。

 上場はできないということ、政府保証をいつまでもつけなければならないということ。これは、民営化といっても民の字が涙を流すような、そういう寂しい民営化になってしまうんじゃないでしょうか。総理はどうお考えになりますか。

石原国務大臣 岩國委員がおっしゃられたような批判があることは十分に承知をしております。市場規律が侵されるというような批判があります。しかし、その一方で、会社が安定するまでに何らかの保証制度というものが必要だということは、JRの例からも明らかなわけでございます。

 ですから、全部の債権に政府保証をつけるなんということは毛頭考えておりません。政府保証は、市場の評価が安定するまでの当分の間、しかも保証の割合についてはかなり限定的に、一割とか二割とか、民営化の成功事例として言われております中部国際空港でも政府保証が行われておりまして、これは大体三分の一でしたけれども、それよりも小さいものを念頭に、限定的なものを考えておりますし、いつまでも政府保証をつけた債権ということでは、委員の御指摘のとおり、何のための民営化ということになるので、その点は十分留意していかなければならないと考えております。

岩國委員 そこで、この道路民営会社ですけれども、総理、今までこの四十年間、日本は高速道路をつくって、借金をして、金利を払って、そして立派に道路が日本各地にできたわけですけれども、三十年後には無料制にいたします、それまでは国民の皆さん通行料金を払ってくださいと、三十年後に無料化という約束と引きかえに通行料金を徴収してきたわけです。

 今まで徴収した通行料金、総理、大体どれぐらいだったとお思いになりますか。そして、それを使って借りたお金の、借金の利子として払ったのは幾らだったのか。幾ら集めて、そして幾ら金利として払ってしまったのか。概数だけで結構ですから、お答えください。

石原国務大臣 昭和三十一年の高速道路の開始以来、決算が行われております十四年度末で計算いたしますと、四公団合計で通行料がおよそ四十四兆円、払った金利はおよそ三十兆円でございます。

岩國委員 私もそのような資料をいただいております。つまり、四十四兆円徴収して、その大半は金利として消えているんです。国民への福祉でもなければ老人ホームでもなければ、要するに、日本銀行と金融機関とお金持ちに奉仕したのが三十兆円なんです。一般の人から四十四兆円集めて、そして三十兆円というのが金利として消えてしまった。

 さあ、それでは、この民営化法案で、これから四十五年の間に、政府の試算で結構ですけれども、受け取りはどれぐらいで、支払いはどれぐらいになりますか。

石原国務大臣 詳細は政府参考人から御答弁させていただきたいと思いますが、試算で、将来金利を四%とし、平成十七年度以降、六社合計で、新会社の受け取る通行料をおよそ百二十七兆円、機構が支払う金利、これはリース料でございますので機構が払いますが、三十四兆円を見込んでおります。

岩國委員 受け取りが百二十六兆円、これも先ほどから私が、景気任せ、車任せ、人任せと言っている、しかし、試算は試算としてその数字は使わせていただいたとしても、金利の方はきちっと出ていかなければ、四%の場合、五%の場合あるいは七%の場合。七%の場合には、私のラフな計算ですけれども、恐らく通行料が全部右から左へ金利として消えていく。

 こういう大きな負担を抱えてこれからもやっていった方がいいのか。思い切って税金を投入して、そして高速道路を無料化して、経済を活性化することによって雇用の場をふやし、そして税金投入でこの借金を早く消してしまう。いつまでも借金のために通行料金を徴収し続ける。七%金利というのは決して夢の話じゃありません。日本経済が小泉総理の手腕によって見事に活性化し、再生すれば、経済の活性化、高度成長、そして高金利というのはもうそう遠くない日かもしれません。ということは、通行料金を上回る金利を払う日がそのうちやってくるだろうということなんです。

 だから、私は総理にも申し上げました。国債を印刷しては日銀に手数料払って、そして金利も払って、日銀のお金にかえて、日銀のお金で道路をつくるよりも、政府自身の手で道路をつくった方がいいと。国債を印刷すれば十年ごとにまた国債の印刷、紙のむだ、印刷代のむだ。政府紙幣なら二十年、三十年そのまま使えるじゃありませんか。金利コストもかからない。

 私は、思い切った改革、発想の転換というのはここにあると思うんです。こういう民営化をお考えになる今こそ、財政構造の改革にもつながって、国民負担を、毎年毎年四十兆円の借金に対して二兆円の金利を払っていかなきゃならぬ。何にもならない二兆円です。思い切った構造改革、借金が消えれば国民の気持ちも明るくなります。当然財政もやりやすくなってくるではありませんか。

 私は、政府紙幣というのは非常にとっぴな案だというふうに今でも受け取られているのはよく知っておりますけれども、しかし、この道路という、もうどの議員の方も、反対される方も賛成される方も、道路の必要なことは全部認めていらっしゃるんです。だからこそ、政府紙幣という思い切った手段で、日本の経済の活性化と財政の改革とそして高速道路の整備と雇用の場の確保と、一石四鳥、五鳥につなげていく絶好のチャンスは今だと私は思います。

 国民の皆さんが納得してくれるかどうか。国民の皆さんに、これからも四十五年間通行料金を取ります、そして、あなたの通行料金はほとんどが金利として消えていきます、四十五年間信用して待ってください、そういう言い方の方がいいのか。しかし、政府紙幣という発行を国民が受け入れるならば、みんなが楽になってしまうんです。

 そういう方法を私は総理に、総理だからこそぜひそういう発想の転換を、例えば、寒い北の北海道にいる自衛隊を暑い南の国に送る、そういう発想ができるような総理だからこそ、私はこういう、国債ではなく政府紙幣そのものでこの事態を改善するんだということを、今即答していただくのは私は無理だろうと思います、しかし、ぜひとも小泉内閣として私は真剣に考えなければならない、その日はもう既に来ているということを申し上げて、前回、総理はそのことについて余り勉強していらっしゃらなかったような思いがいたしますけれども、所感をもしいただけるんでしたらいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 岩國議員のおもしろい提案だとは思いますが、まず、民主党の財政に対する考え方は、今でもできるだけ国債発行を抑制しようという考え方だと思います。そのときに、国民に理解を得る前に、紙幣を増発してどんどん借金に回せ、この対策が民主党の中で理解が得られるかどうか、私は疑問に思っております。

 そんなうまくいって、政府が紙幣を発行して借金棒引きできるという手品みたいなことが現実にできるかどうかということも問題でありますが、これは私は現実には無理ではないかなと思っております。仮に財源を調達するためには税金か国債。紙幣を一方的に印刷して財源を調達するということについては、どの国も今まで私はとったことないと思うんですね。

 そういう観点から、岩國議員の一つの提案としてはおもしろい案だと思いますが、これはなかなか、国民全体、また政党全体としても受け入れることは難しいのではないかなと思っております。

岩國委員 民主党は確かに、総理に対して、何度も何度も予算委員会で、国債発行については制限的であるべきだという意見を申し上げてきましたから、総理の今の御発言になったと思います。

 しかし、民主党は政府紙幣の発行に一遍も反対したことはありません。もちろん賛成したこともありません。こういう発想について真剣に党内で議論しなければならないと私自身は思っております。しかし、今、与党であり総理のお立場にいらっしゃる、だからこそ、毎年毎年二兆円のお金をこの道路という一つの事業の中からでも国民負担を減らしたいという総理が、なぜ、国債を印刷しては十年ごとにまた印刷して、国債はいつかは返すんだからそちらの方がけじめがある、こういうお考えだから、世界各国はそうやっていると思います。そして、よその国ではちゃんと十年たったら返すんです。我が国は満期がたっても借りかえ借りかえで、返すはずの国債を返さないじゃないですか。

 返す返すと言っていつまでも返さない国債がいいのか、最初から政府紙幣として発行するのがもっと正直なのか。私は、返すと言いながらいつまでも借りかえ借りかえで繰り返す、そのやり方の方がもっと財政規律を悪くしていると思うんです。国会でちゃんと枠を決めて、政府紙幣というやり方で、そういう、日本銀行に手数料払って、金利を払って、大銀行にお金を払って、お金持ちの人だけに利子を払う、そういうやり方をいつまでも続けるべきではない、そのように思います。

 この議論については、また機会があればぜひ総理と一緒に議論させていただきたいと思います。

 次に、この民営化会社にもう一度話をかえさせていただきます。

 上場について問題があるということを言いました。それは上場については、さらに上場審査基準からいいますと、致命的に二つの問題があるんです。

 一つは、午前中にも石原大臣が答弁されましたけれども、A、B、C、仮に三社がある。六社上場されなくても、A、B、C三社が上場を申請する。しかし、このA、B、Cあるいは六つの会社全部が、汗をかいても、一生懸命努力をしても、一生懸命全力で走ったからゴールイン最初にできるかというと、できないんですね。途中で時々中休みさせられて、調整して、速過ぎる者は、ゴルフのバックティーじゃありませんけれども、ちょっと後ろへ下げさせられて、それからまた走らせる、こういう調整しながら最後にみんなで仲よくゴールイン、これが、先ほど前原委員が指摘しておりましたプール制なんです。プール制というのは、路線ごとのプール制じゃなくて、今度は会社ぐるみ、組織ぐるみのプール制がこの民営化法案によって実現しようとしているわけです。

 そうすると、A社の株主というのは、A社の社員は一生懸命働いている、通行量も多い、だから利益が上がるだろう、BやCでなくてA社の株を買おうと当然思うはずです。ところが、次の年になると、一生懸命働いた人にはそれだけ重荷を負わされて、そして今度はB社が前へ、C社が前へ出るような調整が行われてしまう。こういう会社は、独立した株式として上場されないものなんです。

 ちょうど六つの会社、これは私がパリの支店長時代に南フランスの農村で見つけた小さな花瓶で、余りにもかわいらしいので買って帰りました。そして、出雲の土を使って有田で焼いてもらって、これは複製で、私の金でつくって何人かの人に差し上げました。この六つ、今度の六つの民営会社みたいなものです。この中は水が全部流れているんです。ここへ一生懸命水を注いでも、全部中で流されてしまうんです。つまり、これ一つを分離して上場するということはできないんです。オール・オア・ナッシング、六つ全部をまとめて上場するか、あるいは全く上場できないか。これが投資家の目、株主の目なんです。

 例えば、NTTも東と西に分割しておりますけれども、NTTは一社としてそのような上場は認められております。こういう、利益や業績の談合、調整が行われてしまう、結果的にどこかの株主にそういう予期しない不利益を押しつける、これは取引所として、世界のどこの取引所へ持っていっても上場できないと私は思うんです。

 もう一点、これは社名が非常に誤解を招きやすいんです。これは、日本高速道路株式会社、高速道路をつくる会社だなと思うと、一つもつくらない。四十五年たってしまったら道路事業から離れていきます。そして、車がどんどん走って通行量はふえている。ああ、この会社、多分利益を上げているだろうなと思ってその会社の株を買ってしまう。ところが、通行料金が増加しても、その会社の株価にはほとんど影響がない仕組み。

 そして三番目に、日本高速道路株式会社、ああ、こういういい土地は、資産価値があって土地がどんどん値上がりする、ああいうところは資産価値も上がるだろうなと思ったら、資産価値が全然反映されない。つまり、高速道路とおよそ無縁な会社なんです。

 高速道路株式会社だったら、どんどん車を走らせて何ぼという会社です。PAとかSAで主に仕事をやりなさいという会社は、飲ませたり食わせたり、つまり、飲み食いでうんと稼ぎなさい。走って何ぼじゃなくて、とまって何ぼの会社なんです。車がとまって初めて利益が生まれる。これほど誤解を与える名前はないと思うんです。

 けさほど葉梨議員の方から銚子電鉄の話が出ました。大変おもしろい会社です。ぬれ煎餅というのは有名になったそうですけれども、しかし、その銚子電鉄も、名前をつけたときは電鉄を専業だったはずなんです。今はぬれ煎餅だから、名前をそれに変えないだけの話で。

 この会社は、今、私たちが、名前をつけよう、名づけ親になろうとしているのです。高速道路の建設もしない、所有もしない、そこの利益で株価が反映されない、そういう会社を高速道路株式会社と名前をつける。私は、投資家に誤った判断を名前自身が与えてしまう、これは社名変更を恐らく要求されることになるんであろうと思います。総理の御答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 今、高速道路持っているじゃないですか。高速道路そのままじゃないですか、サービスエリアにしてもパーキングエリアにしても。高速道路があるからPAもSAもあるわけでしょう、高速道路そのものじゃないですか。むしろ、高速道路と言わない方がおかしいんじゃないですか。高速道路があるから高速道路です。(岩國委員「いや、ないんです」と呼ぶ)持っているんです。(岩國委員「持っているのは機構なんです」と呼ぶ)機構が持っていますが、利用しているんです。

岩國委員 恐らく、小泉総理は、この民営化推進のときは上下一体ということを思っておられて、恐らく今でも、夢の中では上下一体でずっと考えていらっしゃる。だから今のような答弁をされるんです。これは上下一体じゃないんです、総理。石原大臣の説明をよく聞いてください、これは上下分離で来ているんですから。上は何か。上は、資産も債務も持つ方は上なんです。下は何か。下は、そこからリース料で払って使わせてもらっているだけの話なんです。それを、日本高速道路株式会社といえば、高速道路の土地が、あるいは事業がふえれば株価に反映されると思うのが、ごく自然な投資家の判断なんです。

 私は、社名変更どころか、この法案そのものの題名を変えなきゃいかぬじゃないかと思うんです。日本高速道路フード会社とか、日本道路ドリンク会社とか。飲んだり食ったりが主な利益の源になるわけですから、それが株価に反映されるんだったらもっと正直な名前をつけないと、これは羊頭狗肉を絵にかいたような社名になってしまうんじゃありませんか。

 総理自身、友人の方が、あるいは総理も株式を持っていらっしゃると思いますけれども、大体、これは建設業にも属さない、運輸業にも属さない、どこに属するのか。結局、飲食業、サービス業、雑、そういったところに分類されるよりしようがないんです。政府がこれだけ心を砕いて、そして民営会社として発足させた会社が、堂々と道路の中に入るわけでもない、堂々と運輸の業種と肩を並べるわけでもない、そういう会社に今なろうとしている。このことを総理は御存じですか。

 社名と実態とがこんなに離れているということは、結局、上下一体ではなくて、上下分離をした結果として名前が合わなくなってしまったんです。総理の御答弁、再度お願いいたします。

小泉内閣総理大臣 そもそも、この道路会社は、何をするにしても、不動産を利用して何を考えても、あるいはSA、PAを今よりどのようなサービスを展開してもっと利用者に利用してもらおうかという考えにしても、道路を利用することなしに考えられない会社です。

 道路を離れて考えられない会社が今回の民営化道路会社ですから、私は、道路という名前を使ってもおかしくないと思っております。

岩國委員 時間が参りましたのでこの辺で終了いたしますけれども、再度繰り返します。

 上場の可能性が極めて少ない、そして社名そのものも投資家に多くの誤解を与える、そして複数の会社の間で利益調整、業績調整が行われる、こういう奇妙な民営会社を私はつくってはならない、そのように思います。

 あわせて、この四十兆円という債務の管理の仕方、解消の仕方についても、私は、今こそ思い切った発想の転換が必要ではないかということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 本日は、総理の入っていただいての質疑ということで、はえある機会をいただきました。委員の皆様に深く感謝したいと思いますし、何より、御公務多忙の中、このように来ていただいております総理に精いっぱい質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 これまで五十時間に及ぶ本件の審議をしてまいりました。途中、石原大臣等いろいろな御報告も受けていらっしゃると思いますが、ここで議論の進捗状況、今どこまで来ているのかにつきまして少し御説明をさせていただきたいというふうに思います。

 お手元に念のため資料もお配りいたしておりますが、パネルも大枚はたいて用意いたしましたので、できればこちらも少し見ていただきながらお願いをいたしたいと思います。

 まず、この道路は無料である、そして早期に借金を返していく、この二点につきましては、この会場にいらっしゃる委員の皆様、一点の曇りのない部分であると思います。そして、先日の総理が入っていただいた質疑におきましても、総理御自身が本来無料であるべきだ、こうおっしゃったと記憶しております。

 そして、今問題になっておりますのが、この返済方法、そして無料化の時期、そして債務の返済の時期、そしてその財源をどうするのか。これは、我が党から無料化の案を出していただいて、そして、岩國委員を初め三とゼロの議論につきましては、なかなか数字の根拠がない中にあって、御批判も、これは甘んじて受ける部分は私はあると思います。

 その意味では、反省すべきは反省しながら、私はあえて、ちょっと色が薄かったんですが、道路はだれのものなのか、そしてむだな道路はあるんだろうか、この二点に絞りながら議論を深めたいというふうに思っています。

 ちなみに、この五十時間に及ぶ今回の審議の中で、多くの公述人、そして参考人の方が来ていただく中で、そして委員の皆さんも全く御同様だったと思っていますが、道路は公共財である、これもまた一点の曇りもない共通の認識に至ったと思っています。

 何とすれば、道路は公共財であって、そして本来は無料であるべきである、そうしたときに、じゃ、どうしてこんな議論に今陥っているんだろうか。大変、私自身、国民の一人としてわかりづらいわけであります。

 二枚目の資料をごらんいただきたいと思いますが、恐れながら見ていただきたいと思います。

 余談になりますが、私、出がけに、自分のところのちびに、きょうそういうことがあるんだと小学生のちびに話していましたら、私サラリーマンだったんですが、子供が、社長はだれかと、社長は小泉さんと言っていたものですから、ちょっとその辺はまた複雑な議論はあるんですが、そんな思いで少しきょう臨んでおりますので……(発言する者あり)いや、その議論はおいておきますが。

 実は、道路というのは、公共経済学的に言って、三大公共財である。一つは公園、一つは道路、そして軍事、防衛。この公共財において、民営化して利潤を求めて、そして公共財でもうけるということは果たしていかがなものなのか。これは、例えば公園であれば、公園を使う人がその料金を払う、その支払い能力のある人が税金で負担をする、これが公共財の原則だと思うんですが、実はこの道路に関して申し上げれば、効率化というのは極めてなじまないというふうに思うんです。

 クマが通っても結構な道路、これは私はあっていいんだと思うんです。私は、この議論に参加するまでは、実は最初そうは思っていなかったんですが、与党の先生方のいろいろな熱心な御議論、私自身も道路は本当に国家の基盤であると思えば、本当にそういうクマが通る道路の何がいけないんだ、逆にそういう道路こそ官がつくらなくて一体だれがつくってくれるんだという思いであります。

 先日の九日の総理の御答弁の中に、こういうくだりがありました。「無理なところをやるのが政治家じゃないかという要望にこたえなきゃならない。一生懸命やる。無理を通せば通すほど実力者と言われる。ますます張り切っちゃう。」そう言っていただいたと思います。「ほかはできないのを、おれのところだけ道路つくってやったぞ。次の選挙でどっと票が入る。」ますます張り切る。

 総理、議事録に残っておりますので、私は、これは与野党を超えて共通の認識だと思います。

 そして、テープカットにおまえら行くだろうといつも中野先生にしかられるんですが、これはそのとおりであります。まさに道路はそれぐらい公共財だと思うわけですね。

 一方、競争原理が働かないということに関して申し上げれば、前回の国鉄とNTTが民営化されたときは、国鉄の場合は民鉄がありました、そしてバスがありました、航空がありました。競争相手があったわけです。そして、NTTは独占から自由化へ、そしてKDDIさん初め各社が参入することによって新たな新技術が開発されたわけです。果たして道路は、参入する業者があるんだろうか。これはSA、PAが多分あるんだ、そういう話になると思うんですが、道路の躯体本体です。参入する業者があるんだろうか。

 これは声高らかにぜひ申し上げたいです。世の批判は、むだな工法ですとかむだな規格、そういったものを見直せと言っているだけであって、道路の本体自体は、毛細血管のごとく日本列島全土に広めることについては何ら否定はされていないと私は思うんです。

 以上、議論の経緯を少し御報告しながら、今までのところで総理の御見識をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この表を見せていただきまして、よく整理されているなと思っております。共通する部分もかなりあります。

 そこで、道路は必要だということは、その負担を考えなければだれでも必要です。クマが通る道路でも、ないよりはあった方がいい、それはどこでも同じです。

 今までの高速道建設におきましても、地方が要求してくる、地方は負担しなくていい、それはみんなつくってくれと言いますよ。税金と利用者の通行料金で払ってくれる。そうすると、地方はどんどんどんどん、ここも必要だ、あそこも必要だということで、政党なり政治家に働きかけてまいります。

 それでどんどんどんどん借金がたまってきたわけでありますが、気がついてみると、この四十兆円の借金、どうするんだ、どうやって返すんだ。さらに、これから整備されていない道路をこれまたどんどんつくっていくためには、だれが負担するんだろうかということから、やはり、道路をつくるにしても、だれが負担するかということを考えていかなきゃならない。

 ある面におきましては、道路をつくればつくるほどいいという声があると同時に、そんな山奥まで道路をつくることによって環境の問題がどうなんだろうか。クマが通るようなところに道路をつくって、クマが喜ぶかどうかわかりませんけれども、人間が喜んでも、同時に山を破壊することによって環境はどうなるんだろうか。ある程度道路があればいいけれども、そこら辺は人間も我慢が必要じゃないか。そこまで、山を崩してまで道路をつくる必要があるのか、そこまで税金をかけて道路をつくる必要があるかということも考えなきゃいかぬ。

 道路はあればあるほどいい、鉄道もあればあるほどいいんです、空港もあればあるほどいいんです。全部、地方へ行くと、空港をつくってくれ、鉄道の駅をつくってくれ、鉄道を敷いてくれ、道路をつくってくれ、どこの選挙区だって同じだと思いますよ。

 そういうことから、やはり歯どめをかけなきゃいけないなと。ある程度、道路と鉄道と空港、これは交通全体で考えなきゃいかぬ。全部お金が潤沢にあって、だれもそんなに大きな負担をしないで考えろといったら、道路も空港も鉄道も欲しいと言うに決まっています。

 しかし、だれが負担するんだということを考えると、それだけ負担があったらおれらは負担しないというんだったら、今の有料道路、高速道路事業で、ここまでは民営化の会社、採算を考えなきゃいかぬ。しかし、採算ばかりでやっては必要な道路ができない。となると、採算がとれなくても必要な道路はあると思います。だからそういう際には、民営化会社がつくれないというんだったらば、この区間は採算がとれないけれども、地方がある程度負担してくれれば、どうしても必要だったら国も負担する、その新しい民営化会社も考えてくれないかということで、話し合いの可能性を残しているわけです。民営化の会社が採算では考えないけれども、必要な道路というものについては、国、地方、この新しい民営化会社がよく考えて、この程度の負担でできるならつくってほしい。

 今までの公団方式だったら二十兆円かかっていたところを、規格を見直す、民営化の議論ができたからこそ、十兆五千億円でできるようになったわけでしょう。

 今まで、非常電話が一台、公団の方式だと二百五十万円かかっていたのが、民営化の議論が出てきたからこそ四十万円程度でできるんじゃないかということで、今までは二万数千カ所は平均二百五十万程度でつくっていた。これから約八千カ所つくらなきゃいけない。民営化の議論が出てきたからこそ、二百五十万かけずに四十万でできるんだから、これからつくる非常電話というのは四十万円程度で八千カ所ぐらいはつくってもらおうじゃないかという議論になっているんです。公団方式だとコストも高い。コストを下げる、規格を見直すということも、民営化の議論が出てきたからこそ起こったんです。

 そういう点から、私は、道路の必要性はわかりますけれども、環境の問題もあります。鉄道、空港、総合的に考えてもらわなきゃいかぬ。そして、あくまでも、どうしても必要な道路だったら、それじゃ地方もある程度負担してもらおう、国も負担しましょう、民間会社もそのぐらいは、公共性を考えて、民間会社だって社会的責任はあるんでしょう。その点は、利益が上がらないけれども、ある程度考えてくれてもいいんじゃないかという道を残しているんです。

 そういう点を考えると、この表は極めて整理されたものであります。共通の認識も随分あります。要は、それでは、道路は必要だけれども、一体だれがこれを負担するのか、今まで四十兆円の借金をどうやって返済するのかという点について若干違いがある。これについては、私は、今後話し合いで十分歩み寄りも可能ではないかなと思っております。

古本委員 道路の民営化の今度の趣旨を少しおさらいしていただいたと思っていますが、実は、道路は公共財であると申し上げました。これはもうどんな学識経験者に聞いても、現場を持っている国交省の方だって、だれだってそう思っているんです、と思っています。

 そうすると、実は、この道路という公共財は、今総理は大変本音で言っていただいたと思っていますが、一方で、路線決定をする、今度の新会社です、そしてそれを実際に施行するかどうか、このシステムについては新たにこの会社にゆだねられるということになっているんですね、今回の直轄七百キロ除きの千三百キロ部分を申し上げておりますが。

 この三枚目のチャートを少し見ていただきたいんですが、私は道路は国家なりと思っています。

 そうしたときに、我が国は、道路というと極めて何となく無礼な、何か悪玉のようなイメージがありますけれども、実は諸外国で見ればこれはナショナルミニマムなわけであります。何があっても国家を挙げて、先ほど与党の島村先生がおっしゃったとおりです、中国からもう追いつけ追い越され、気がついたら抜かれているかもしれない。そういうときに、実は、国家を統一したり、経済の基盤であったり、地域を発展させていく、そういうことをやるのが道路でありまして、道路とはとかけて道路と解いちゃいけないと思います、国家です。

 そうすれば、一つの私企業が、今度からできる新しい会社です、国家戦略を決定できるのでしょうか。むだな道路はつくらなくてもいい、これは民の論理でいけばそういうことですが、本当にそういうことでいけばだれも道路をつくらなくなるんではないか、こう思うわけであります。

 国民の総意を反映したまさにこの国会であります。皆さん代議士であります。票を背中にしょって出てきているわけでありますから、民意をしょっている国会議員がこの国会の場で、政策決定のもと、道路をつくるべきじゃないか。今度の民営化において、その会社が本当にその部分でイニシアチブをとれるのかどうか、道路は国家なりという文字にひっかけたならば、私は極めて危ういというふうに依然として思っております。

 この点について総理の御見識を問いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 確かに、道路は多くの国民が必要とし、公共財であり、無料でつくることができれば、無料いわゆる税金でつくるべき道路はたくさんあると思います。しかし、高速道路というのは特別な便益を有するんです。国道は当然税金でやります。

 しかし、それに加えてもう一つ速く行ける道をつくってくれ、時間のかからない道をつくってくれ、普通の一般国道を通るよりは便利だという点については、ある程度利用者に一定の負担を課してもいいのではないか。

 利用、高いからお金払うの嫌だといったら、少し回り道をしても一般の国道を使ってもらえばいい、高速道路以外の道路を使ってもらってもいい、そういう考えもあるんじゃないでしょうか。特定の便益を持つ、全部が無料だったらいいですよ、それは。しかし、そうじゃない。ほかの道、行こうと思えば行けるんです。しかし、特別な便益があるから、高いお金を使ってでも行きたいという人に対しては負担を求めてもいい、そういう道路があっても私はいいと思うのであります。

古本委員 ありがとうございます。

 そういう仕掛けで今度の会社と機構が関係をつくってやっていくということでありますが、五枚目の資料に、はしょりながらで申しわけないですが、少し整理しました。

 今回できる新会社、法律が通ればできるこの新会社というのは、実は事業資金は政府の保証がつく、それでその株式も三分の一以上持つ、これは法の第三条にうたっている。建設の自由度が、本当にこの路線決定という国家基盤のかなめである道路を、国家戦略そのものである道路をつくっていく、この自由度が、政府が三分の一以上持つという中にあって、私はなかなか自由度はないんじゃないか、こう思うわけであります。

 さらに、民間会社というのであれば、これは、固定資産税が減免になる等々の話もありますが、向こう四十五年間、料金の収入が確保されているという今回のスキームなわけであります。そんな民間会社が本当に民間と言えるんでしょうか。もちろんNTT、JRのときにいろいろなお土産を持たしてさしあげた、それは歴史が語っています、それを承知した上で申し上げているんですね。

 せんだっての石原大臣の答弁の中にもありましたし、法の施行法の附則第二条にも書いておりますが、十年たったら実は、この会社の中身について、言うならば事業性であります、上下一体の部分も含めて、世論が永久有料でいいんじゃないか、こういう話になったときに、国民の大多数がそうなれば固定資産税が課税されることになる、これは固定資産税のくだりで御答弁いただいたと思っています。

 申し上げたかったのは、事業というのは四十五年先を見越して組む、とはいえ十年で一度見直す、これは事業の上下一体の根幹の部分なんですね。ですから、私は、荒療治というふうに総理もおっしゃっていますし、大臣もおっしゃっている。実は荒療治と言いながら特典をつけている。固定資産税を減免する、一たん上下一体の話も見直すという中で、なかなか特効薬になり切れていないんじゃないかなという問題意識を持っています。

 本当に恐れながら、小泉総理大臣、総理が二〇〇一年の八月に特殊法人改革七原則、当時お出しになったと思っていますが、これの一つずつ、もうきょう多分大一番だと思っていますので、まことに恐れながら、マル・バツを打たせていただきたいんです。マジックも用意してきました。これを打ちたいと思います。

 まず「税金の無駄遣いは許さない」でありますが、四十五年の国民負担、これはあえて言えば、料金を払い続けるということもさることながら、やはり先ほどありましたように四十四兆の料金収入のうち実は三十兆は金利負担に回っていたというのは、これは何をか言わん、国民負担であります。そういう意味では、私は、このスキームを向こう四十五年また続けていくという意味においてはいかがなものかと思うわけであります。

 一問一答でお願いをしたいものでございますので、まずこれについてマルかバツかでお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 特殊法人改革の七原則ですか。(古本委員「はい」と呼ぶ)七つ全部マルです。

古本委員 同じ一郎のよしみで、伸一郎と純一郎のよしみでぜひ、総理、国民の皆さんもごらんになっているということでお願いをしたいんですが、では私が、大変僣越かもしれませんが、この七原則ついて少し感じるところで言えば、「税金の無駄遣いは許さない」ということについては、私はなかなか当たらないと思っています。

 「無責任な経営は許さない」、これは、実は千三百キロを東と中央と西ですか、この三つの会社に分けて、パックで、向こうパッケージで、実に平成三十二年までの施行分を契約を結ぶということなんですね。本当の民間会社ならこんな危ない橋渡れないです、と私は思います。十年後に事業性再検討の話もありました。だったら、今この事業は実はフィジビリティーが、事業性が希薄なんではないかという感想を持つわけですね。

 「看板のかけ替え」は飛ばしまして、「民業圧迫は許さない」こうありますが、実は道路で他に参画する業者はないんですね。ですから、圧迫しようがない。これは、SA、PAはあるかもしれません、後で申し上げますが。

 「だらだらとした民営化・廃止は許さない」、これは早期の民営化を図っていただいたという意味ではマルかなと、僣越ながらも最初にマルを打っておきました。

 それから「天下りは許さない」、せんだっての土木協会の会長さんも言われていましたが、この本四架橋の土木技術の伝承を一体だれがやっていくんだ。私は、道路公団なり国交省の技官の皆さんがこの会社に請われて天下らないと、実は我が国の土木建築の技術は伝承されないんじゃないかなと思うんですね。

 等々ございまして、依然として、私は、今回の案は残念ながら総理の本来ぶち上げられた御趣旨に沿っていないんじゃないかという思いをいたしております。

 最後に少しまとめながら、上下一体の話で今話題になっていますが、それ以上に実はこの観点が私はもうちょっと一工夫があったんじゃないかということを申し上げたいと思います。

 今回民営化するこの新会社の事業の中に、お手元の資料の七番ですが、実は本体部分、これは道路を建設して路線を決定する一番のかなめの部分であります。この部分は公共財でありまして、国家戦略であります。したがって、私は、民営化という意味では、この部分に関しては民間会社にしちゃいけなかったんじゃないかと依然思っております。

 SA、PA、これは飲食やパーキング事業でございますので、民間にできることは民間で、こうおっしゃるとおりだと思いますが、実はこれまでは、競争入札でいろいろな事業をやるにも道路公団なりあるいは国交省に確認をとっていた、お伺いを立てていたわけです。これからはどうなるかというと、民民同士でやるわけですね。非常に、この道路という限られた、希有なこのインターチェンジ周辺の財産をある特定の会社が持って、民民同士になるという意味では、実は依然として三角の部分が、不透明という意味です、残っているんじゃないかと私は思っています。

 それから、最後の、この維持補修なんです。実はこれは厄介だと思っています。

 総理、ここはぜひ注目していただきたいくだりなんですが、実は、現在道路公団で年間で、平成十四年度の道路公団のファイル、決算書を見る限りは、大体年間で五千四百億円の維持補修費がかかっています。これはいろいろなメンテナンス、それから人件費、いろいろな管理費用オール込みです、かかっています。

 そのうち、実は四十五年後に、この新会社というのはまず残っているのかなくなるのか、これはもうイエスかノーかだけで大臣に答弁いただきたいと思います。四十五年後、この会社は残っていますか、残っていませんか。

石原国務大臣 ただいまの古本委員の御指摘は、管理有料があるかないかということだと思うんですけれども、管理有料という形では残りません。

古本委員 大臣、大臣と総理御両名に聞いているんですが、実は、四十五年後にこの会社が、管理部分という意味では国に帰属するので、そこは国でやる、こういうことだと思うんですが、現在、SA、PAの収入は、これはこの会社の事業の根幹で、利潤を上げると言っています。今現在三千億強だと伺っていますが、これは将来もっと大きく膨らむ夢のある部分だと思います。

 一方、料金収入ですが、これは四十五年後にはなくなるわけであります。一方で、このリース料はなくなるわけであります、返還しますから。そうしますと、この管理費分が残るわけであります。ところがこの管理費は、道路本体は国に帰属するわけでありまして、その維持補修はまた国に戻るという、実は、一たん民営にして、それでまた戻るという話になっているわけであります。

 私が申し上げたいのは、実は、この維持補修費というのは、例えばJRでいえば、今キロ当たり、新幹線事業でいけば年間で二千万からの維持補修が、コンクリートは百年対応と言われていますが、かかっていると言われています。これを今ベースの七千キロに置きかえましても、実はこれは九千キロ整備するという前提に立てばもっとの数字になりますが、一千五百億近い、あるいはそれ以上の大規模修繕をしていかなきゃならぬわけですね。

 その時点で、実はせっかく民営化して、その精神が残っているその会社が、せっかくですよ、民のセンスで原価の削減も、低減もやった、人件費のいろいろな工夫もなさったというのをまた戻したのでは、もとのもくあみになるんじゃないかなと思うんですね。

 そういう意味では、私は、本当に民営化というのであれば、まずもっては上下一体だと思いますし、この部分につきましても依然として四十五年後もやっていかないと、これはおかしな話になると思っています。

 その意味で、もう時間になりましたので、最後に総理にお伺いしたいと思いますが、今回の民営化の法案の最大の目的は四十兆の返済である。それから、新たな路線を整備していくということにつきまして、何としても、いろいろな御意見も与党内でもある中でも、これはクマが出るところにつくっちゃいかぬのだ、こういうきょうの御説明でしたので、まあ、そういうことにしましょう。とするならば、本当に、本当にですよ、この上下一体をせずに分離をして走るこの会社が、四十五年後に、この管理費、私は物すごく膨らむと思っています。そういう中で、今回のお示しいただいている案が事業性を持ってやっていけるのか。

 今回の話が本当に、総理自身、国民の皆さん、これはテレビを見ている方は多いです、自信を持って、おれを信じてくれというのであれば、私も総理を信じたい、そんな思いでいっぱいであります。最後に、よろしくお願いします。

小泉内閣総理大臣 まず、三年前に私が総理に就任したときは、どの政党も、道路公団民営化できるとは思っていなかった。

 私も、これは、道路公団まで民営化は難しいんじゃないかと思っていましたが、実際、いろいろな意見を聞いてみると、民間でできることは民間に、今一番税金を使っている特殊法人は何かといったら、道路公団だった。これを民営化できれば、税金のむだ遣いというもの、あるいは国民に将来負担を残すような道路という建設はなくなるのじゃないかということで、いろいろな意見を聞いてみたところ、これはやればできると思ったから、この民営化に手をつけたわけであります。

 そして、その民営化の中の主な点、まず、四十兆円の債務を確実に返済しなきゃいかぬ。今まで道路公団は料金値下げしたことなかった。値下げ、可能じゃないか、値下げしよう。そして、首都圏、東名の道路の料金を、九州なり北海道なり、そういうものに回しちゃいかぬということで、分割しようじゃないか。これはやはり民営化するんだったら大事だなというのが、あの民営化委員会の基本的な意見でした。

 これは途中でやめた方もおられますが、その認識は私は変わっていないと思います。だから、私は専門家に任せて、基本的に民営化推進委員会の意見を尊重する。今言った四十五年以内に四十兆円債務を返済する、通行料金を一割以上下げる、分割、基本的に全部尊重して、今、民営化案を政府はやっているんです。

 私は、こういうことから、この道路公団というのは、確かに公共財であります、今これからは、民間は公共的な仕事を補完するものだ、いわゆる民間の企業というのは、大事な役所の仕事を補完しようと。官は民間の補完、むしろ民間の人たちが公共的な事業に参画できる時代じゃないかなと思っているんです。いわば公共的な仕事も民営化会社によって十分できるということをこの民営化会社は証明してもらいたい。

 そのために、不断の見直し、監視が必要だと思っておりますので、今まで、JRも民営化いたしました。電力会社、ガス会社も、公共的な、大事なものでありますが、民間会社として立派にやっております。公共的な仕事でありますけれども、民間の経営者に任せて、多くの国民の公共的な利益になるような会社として、立派にやってほしい。それを期待を持って、今後ともよくこの民営化後の会社を見守っていきたいと思います。

古本委員 ありがとうございました。

 道路は、改めて申し上げますが、私は国家の基盤だと思いますし、国家の戦略だと思っています。それを民間に委託するというものは、依然として合点がいかない。依然として合点がいきません。

 以上を申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。総理、本当に御苦労さまでございます。

 いよいよ道路公団民営化のこの法律案も、五十時間を超えまして、総理も出席していただいて、最後の質疑に入ってまいりました。私自身も、この五十時間の間に、参考人質疑、また地方公聴会等を含めて、公明党を代表して五時間質問いたしまして、やはり道路の問題というのはそれだけ語ることが多いな、さまざまな課題があるなというのを実感しながら質疑をやらせていただきました。

 それで、本日は、民主党の対案も出てまいりまして、やはり国会というところは政策でしっかり論争をする、これは重要なものだと思います。揚げ足をとってどうのこうのというよりも、本当にそれぞれの提案している政策が国民のためになるのか、こういった観点でしっかり論議を進めなければいけないと思います。

 その点に立ちまして、今回の道路公団の民営化の問題というのは、これは何度か確認をさせていただきましたけれども、そもそも道路公団がスタートしたとき、高速道路をつくり始めたときは、なかなかその財政的な基盤がしっかりしていないということもあって、借金をしながらつくってきた。

 しかしながら、ここに来て、その経営の体質、またはファミリー企業の問題、さまざまな指摘を受けながら、今質疑でも総理が何度かお話しされておりました、民間でできることは民間で、こういった観点、そして大きな特殊法人改革という流れの中で、今回の道路公団の民営化の問題が出てきたと思います。

 今回は、特に大きな争点としては、今まで抱えてきた四十兆の債務をどうするかという問題であると思います。

 今回の民営化、政府案でいきますと、これは料金収入においてしっかりと返していこう、経営体質を改善する中で返していく、そういう発想であると思いますけれども、一方、民主党の方の案は、無料化にしてしまうということで、二兆六千億の収入が、料金収入がなくなってしまう。

 では、どうやって返すのかという質問を何度も何度もしたんですけれども、はっきりしない部分があった。税金で返していくんですけれども、その税金、それだけの財政的余力が今の日本にあるのか、こういった問題。国債で借りかえる場合には、では、三十年物長期国債の場合に金利はどうなるのか、そういった問題等々も質疑で出ましたが、それもはっきりとした答弁がなかったと思います。

 そういった観点の中にあって、まず総理にお伺いしたいのは、今回の政府案において、四十五年で返済をしていく、これが果たしてできるのかどうか。

 民主党からもいろいろな質問が出てまいりました。この点について、国民の立場から見ると、借金が返せなければ何のための民営化だったということになると思いますけれども、この四十兆の債務が返せるのかどうか。さらに、民主党案は税で返済するという考え方でありますが、この点についてどのようなお考えをお持ちか、お答え願いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この借金四十兆円の返済が可能かどうかということですが、四十五年以内ですから、四十五年以内にこの四十兆円を返済しよう。

 そこで、今、通行料金収入、これが年間二兆五、六千億ですね。これから考えれば、二兆円としても二十年で四十兆円ですからね。安定的な料金収入もあるし、幅を設けているわけですから、四十五年以内ですから。料金収入の中に債務返済分も含まれるでしょう、コストの削減も含まれるでしょう、いろいろあると思います。そういう現在の料金収入が年間二兆五、六千億程度ある中で四十五年以内ですから、私は十分可能だと思っております。

 それと、民主党案の無料にして税金で四十兆円を返済しろということでありますが、これは、道路を今までつくるのに、特定財源、一般財源両方ありますけれども、特定財源を一般財源にした場合に、暫定税率とかいろいろ細かい技術的な問題があります。そして、余計に負担を消費者に、利用者にお願いしている、この点についてどう納得を得るような説明ができるか。

 さらに、道路にこれだけ財政が厳しいときに税金で借金まで返済して、ほかの公共事業はどうなってしまうのか。道路をつくるんだったら、ほかの公共事業をもっとしたいというところはたくさんありますね。それで、今、税金だけではいろいろなことができないから、国債を発行して、公共事業はほとんど国債ですよ、借金をして。

 これを、どうやってこの税負担を国民に求めるのか。増税するのか、借金するのか、ほかの公共事業を削っちゃうのか、この点がはっきりしない。そういう点で、私は、全部無料化して税金で借金まで返しちゃう、ほかの公共事業のことをどうするのかと考えると、まだまだ疑問に思うところが無料化というのは多い。

 同時に、高速道路というのは、普通の道路と違って、特別に何か利用者にとってはお金を払ってでもこの道路を利用したいという必要性があるから高速道路を使うんです、余計な負担をしても。だから、使わない人もたくさんいるわけです。これを無料化するということは、おれは特別な高速道路を使わなくてもいいんだ、普通の国道を使っても、時間がかかってもいいんだという人に対しても税金で負担を求めることになるんですから、これはどうするのかという点もあります。

 だから、いろいろ疑問があるんです。その点、よく国民に説明してもらえば、どっちがいいかなというのは国民はかなり正確に判断してくれるんじゃないでしょうか。

高木(陽)委員 今総理の指摘していただいた民主党案の問題点、私も同感であると思います。

 その点について、やはり説明をしていくというのは私たち政治家の役割であると思うんですね。民主党の方も、せっかく対案を出していただいたんですから、そういった部分を、この審議時間内ではなかなかできなかった、しかしながら、今後のことも含めて、対案を出す上においてはしっかりと説明をしていただきたい、このようにも申し上げたいと思います。

 さて、もう一つ今回の民営化論議の中で問題となったのは、今総理の指摘されたように、四十兆円の債務を四十五年以内に返していく、これは可能であろう。そうなりますと、料金収入でその返済の方にとられていくとなると、余力がどれだけあるのか。その余力の中で新たな、まだまだできていない部分のネットワークとしての高速道路網、交通網をつくっていけるかどうか、こういった疑問もあると思います。

 先ほどからの質疑でもありましたけれども、必要な道路、これはこれとして必要だけれども、果たしてだれが負担していくのか、こういった問題の中で、今回の政府案というのは、新直轄方式等々新たな形を見出しながら検討を進めてきたと思います。

 その上で、地方公聴会、または各参考人質疑、さらにはこの委員会での質疑で、与党である自民、公明、さらには野党の民主党の皆さんも、道路は必要である、こういうふうにずっと主張されておられました。

 そして、ネットワークとしての道路網というのが、これはしっかりとつくっていかなければいけない。一方で、その余力があるかどうかといった問題もありますけれども、一万一千五百二十キロですとか九千三百四十二キロ、これについて総理はどのように考えているか。これをつくっていけるかどうか、またはつくっていこうとするかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 未供用の約二千キロ、九千三百四十二キロの中の二千キロ、これを今までの方式で全部つくるということはもう不可能だと思いますね。見直していかないとできない。見直していって、今までの規格じゃなくてもつくってほしいというところでどの程度できるか、新直轄方式でどの程度できるか。それでもできない部分は出てくる、これをどうするか。これは今後の、住民の方々の意見、あるいは民営化会社の意見、いろいろ、要望と採算と効用というものを両方考えていかなきゃならない問題だと思います。

 いずれにしても、今まで道路公団方式で認められた九三四二キロのうち未供用の約二千キロ、全部できるということにはならないんです。できない部分をどうするかというのは今後の問題であります。

 また、一万一千五百キロ、これは計画ですからね。これは、将来の計画は計画として、実現するためにはどうするかというのは、今後やはりいろいろな各方面の声を聞かなきゃならないと思います。

高木(陽)委員 先ほども財源の部分で、必要な公共事業は道路だけではなくてある、こういう御指摘もありました。そういった観点から申し上げますと、もちろん道路もつくっていかなければいけないし、何とかつくっていただきたいというのが私自身の考えでもありますが、さて、その財源をどうするか、こういった問題の中で、やはり財政全体として、まだまだむだを省かなければいけない部分があると思うんです。

 そういった中で、本当に必要な道路はしっかりとそういうところで、高速道路方式なのかどうかは別にして、さまざまな形でつくっていく。むだが全体として省かれれば、これは道路の問題だけではなくて、それだけの余力、体力というのがついてくるわけですから、その点もしっかりとお願いを申し上げたいと思います。

 さて、先ほど島村委員の方も圏央道の話題に触れられました。昨日の東京地裁の判決、これは私も遺憾に思います。

 私自身も八王子が地元でございまして、橋梁はもうほとんどでき上がって、あと一歩のところなんですけれども、三軒が立ち退かなかった。ところが、この三軒のうちの二軒はもう立ち退きまして、あと一軒も、代執行をやられる前に、五月に引っ越しをする予定である。果たしてこの裁判は何だったんだろうか、このように思うんです。

 それはそれとして、圏央道、首都圏中央連絡自動車道、この環状道路。さらに、環状道路というのは、首都圏の場合には、外環、さらには中央環状という三本の計画がなされております。

 やはり、都心の渋滞というのは大変な問題で、地方の道路がないという経済効果も含めての問題点もありますが、一方で、都市部は都市部での、渋滞の問題、または渋滞による排気ガスの環境の問題等々も含めて、環状道路の必要性というのは、本当に重要なものであるなというふうにも思います。

 その上で、総理にお伺いしたいのは、総理が本部長を務めておられる都市再生本部、最近都市再生本部のニュースが流れてこなくなったなとは思うんですけれども、この都市再生本部におきまして、これも、経済の活性化をしていく、日本を再生していく上において重要な課題でありますが、総理が本部長を務める都市再生本部、平成十三年八月二十八日に、都市再生プロジェクト第二次決定をなされました。

 そこで、さまざまな角度からこのプロジェクトの決定をなされているんですが、東京圏における環状道路の整備、特に首都圏三環状道路の整備ということをうたっておりまして、このように書かれております。

 「東京圏において、首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路及び中央環状線のいわゆる首都圏三環状道路の整備を推進する。」このうち、現在事業中区間のうちの特に圏央道西側区間、外環の東側区間及び中央環状の三号線以北の区間について、「その整備を積極的に推進し、平成十九年度までに暫定的な環状機能を確保する。」いわゆるつくるというふうに、これは総理が本部長で、決定をされているんですね。

 そういった中にあって、今回の裁判等々もありましたけれども、また一方で、財政的な問題もある。九三四二に外環は入っているんですけれども、そのほかは入っていない路線ではあります。この三環状について、総理が本部長で決められたんですから、このように実現されるんだろうなと期待をしておるんですけれども、この点について、総理、いかがお考えか。

小泉内閣総理大臣 この都市再生本部で進めております計画、これは今後も整備、推進していきたいと思っております。

 先ほどの裁判のお話ですが、いわゆる住民の多い都会とそうでない地方、道路に対する要望の度合いが違うところなんですね。都会の、東京なんというのは、必ず推進論と反対論が出てくるんです。ところが、地方はほとんど推進論ですよ。

 だから、地方の候補は一度選挙に当選すると安定するというのは、そういう点もあると思うんですね。住民が与野党全部応援するんですから、反対者がいない。これを実現すると、みんな、ああ、よくやってくれた、次は選挙で恩返ししよう。もう地方の代議士、ますます激しくなる。

 ところが、都会のところは、今道路をやったって空港をつくってくれといったって、我々はちょっと考えますよ。賛成論者、推進論者が来ると、必ずどこかで反対論者が出ますから、反対論者の意見を聞かないと、うっかり動くと、これはプラスかマイナスかわからない。空港でもそうですよ、最近。普通、利用者にとっては空港は歓迎だけれども、都会は必ずしもそうじゃない。

 そういう点を考えると、地方にどんどん、採算がとれなくても、必要だという声に押されて、政党なり国会議員が一生懸命つくってやろうという気持ちがよくわかりますよ、私も。

 しかし最近は、そういう環境の問題とか、立ち退きの問題は都会においては強く出ておりますので、その辺は賛成論、反対論、よく見きわめて、本当に全体のために何が必要かということを考えて政治は判断する必要があるのではないかと思っております。

 都市再生本部といっても、東京だけじゃありませんから、稚内から石垣までということでやっているんですから、これは今後も進めていきたいと思っております。

高木(陽)委員 今総理が御指摘をされた、賛成もあれば反対もある、まさにそのとおりだと思います。そういった観点からいうと、それを決定した段階での政治の側、また行政の側も含めてですけれども、説明というものをしっかりしていくということが今後大切であろう。説明が足りないとどうしても、一方的だみたいな、ためにする反対がさらに広がっていく。この点も今後よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 時間が参りましたので、質問を割愛させていただいて、最後の質問として、昨年の暮れ、十二月二十二日に、政府・与党申し合わせ、道路関係四公団民営化の基本的枠組みですね、これで、料金について平均一割程度下げる。

 民営化推進委員会の意見書でも、「民営化の目に見える成果として、通行料金の平均一割引き下げを民営化と同時に実施する。」等々、今回の民営化の一つのメリットとしての料金の引き下げですね。

 これは逆に、料金を引き下げるとその分だけ、通行量がそれ以上にふえて、収入がふえればいいんですけれども、引き下げただけだと逆に収入が減るわけですから、その返済、これもおくれてしまう、こういった問題もあると思います。

 その上において、これは政府参考人で結構ですけれども、料金の引き下げについて、具体的にどういうような形でやっていくのか、これをお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 料金の引き下げをどうやってやっていくか、こういうお尋ねでございました。

 民間のノウハウ発揮で、多様で弾力的な料金設定をすること、これが民営化の目的の一つでもあるわけであります。このため、民営化までの間にも、ETCの活用などによりまして、各種割引によって料金を引き下げることを検討しているところであります。

 特に、高速国道の料金につきましては、民営化までに平均で、平均でございますが、一割程度の引き下げに加えて、別納割引の廃止を踏まえたさらなる引き下げ、これをやっていこうということであります。

 具体的には、マイレージ割引であるとか、あるいは夜間割引、通勤割引などが実施可能と考えております。

 詳細につきましては、今後検討し、早急に結論を得てまいりたいと思っておりますが、多様で弾力的な料金設定、こういう意味で、料金水準の違いによる一般道路から有料道路への転換割合、弾性値と言いますが、の変化などを把握するためにも、夜間割引や通勤割引等の社会実験を導入しているところでございます。

 平成十六年度におきましても、これからでございますが、高速自動車国道の例えば夜間長距離割引あるいは首都高速道路の夜間割引、これらを、このゴールデンウイーク前、四月の二十七日から実施していこう。さらには、通勤割引で朝夕の一般道路の渋滞などの課題を解決するための地方課題型社会実験、これは全国各地で募集しているところでございますが、地方と力を合わせて一緒に実験してまいりたいと思っております。

 こうした実験結果を踏まえながら、本格的な実施に向けまして、着実かつ早急に準備してまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 時間が参りました。

 最後に一言だけ申し上げたいと思いますが、今回の道路公団の民営化の論議、約二年間にわたってずっとしてきて、本委員会でも五十時間にわたってやってまいりましたけれども、今まで、道路というものは国がつくる、国がつくれない分、借金をしながら公団がつくるということでやってまいりました。しかし、今回、大きな転換を迎えるに当たって、必要な道路はつくりますけれども、ただ単に財源を無視してはつくれないという問題に関しては、これは多くの国民も含めて理解は深まっていると思います。

 こういった点において、だからといってつくらないということではなくて、ではどうしたらつくれるのかという問題について、さらなるその検討を重ねながらやっていくのが政治の責任であるというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 まず、総理に、閣僚三人が国民年金を払っていない問題について、私も聞きます。

 政府は、今国会の最大の法案として年金法案を位置づけてきたはずです。国民年金の値上げ法を提案し、そしてサインをした閣僚の方々がその法案を守っていない、その責任をどうお感じになりますか。

小泉内閣総理大臣 今後そのようなことがないように、十分注意していただかなきゃならないと思っております。

穀田委員 先ほどもそういう話をしてはったんですけれども、私は、国民の感情からすれば、まさに許しがたいということの一語に尽きると思うんですよ。

 総理は、四月一日の本会議においてこう言っているんですね。強制徴収を含めた徹底した収納対策を実施する、こう述べているんですね。

 国民には強制でもということをちらつかせ、おひざ元は大甘。しかも、国民年金加入が義務化され、何度も、選挙のたびごとに保険料の納入についてみずからチェックする機会はあったはずなんですよね。そういうことができずに、まさにこういうていたらく、私は閣僚の資格さえ疑うということを指摘しておきたいと思います。

 その上で本論に入ります。

 私は、この間も、道路建設にかかわる談合疑惑と、それから公団から建設会社の天下りしている会社が工事を受注していることを示して、民営化すれば、政治家介入だとか政官財の癒着、腐敗が改善されるかということを質問しました。

 なぜこの問題を質問しているかといいますと、いわゆる藤井総裁の解任問題をめぐる当時の社説はこういうふうに言っています。

 各新聞は、道路公団改革の本質は、官僚、族議員、土建業者の構造的な癒着を壊すことにある。他のメディアも、道路行政に対する国民の不満は何も借金の大きさだけではない、巨額の道路予算、建設費をめぐる政官財の癒着構造こそ許しがたいと感じているものだ、こういうふうに指摘しているから、この問題についての解決を図らなくちゃならぬ、こういう角度から私は質問したわけです。

 総理はどうお答えになったかというと、民営化した方がより透明になるんではないか、効率化が期待されるのではないかということで民営化を決断したとお述べになりました。

 民営化した方が透明になるというその根拠は何か、総理にお答えいただきたい。

小泉内閣総理大臣 今までの、きょうの当委員会の議論でもおわかりのように、与野党通じて、道路をつくってくれという声は全国に強いんです。そうなりますと、税金投入して、自分たちが負担しなくてもいいんだったらば必要な道路なんだからつくろうか、また、そういうふうに動けば住民から評価されるなということで、いわば必要性という方が費用対効果という採算性よりどの地域でも強いと思うのであります。だからこそ、道路をつくってくれという要望は強いんです。

 これを是正するためには、必要はわかるけれども、この道路をつくるためにはこれだけの負担がかかるんですよということも考えてもらわなきゃならない。となれば、民営化会社になれば、赤字が出ればこれは倒産しちゃうというおそれがあります。常にやはり利益を出さなきゃいけない、同じものをつくるにも、コストを下げるよう努力しなきゃいけない、借金の負担を減らさなきゃならないということを考えます、いわゆる親方日の丸じゃなくなるんですから。

 そうなることによって、幾ら必要でも、ここの道路をつくったら、自分たち、これはとても採算がとれませんという道路が出てくるでしょう。現に、今回の民営化法案におきましても、民営化後には、今までの道路公団方式の予定の区間は全部できるとは限らなくなる。

 そういうことから、私は、まず民営化会社によって、だれかがどこかで負担してくれるからつくってくれ、ツケは後の人が払ってくださいという体質が直る。そして、利用者、収入が減ると料金を上げてきた、今まで道路公団というのは値下げしたことありませんから。今度は、まず民営化になるということで料金の値下げをするわけですから、これも初めてのことですね、公団方式じゃできなかったことをやろうとするんですから。

 そして、あとファミリー企業の問題やいろいろな問題があります。これについても、一つの政治的圧力によって公正な取引が阻害されるようなことのないように、よく監視していかなきゃならない。民間だったら、やはりそういう競争原理が働くであろうということから、私はこの民営化の方が、より税金の負担が少なく、そして必要な道路をつくる、ある程度負担の能力がある方については、高速道ですから負担もしていただくということで、公団方式よりも効率的な透明性が図られるんではないかなと思っております。

穀田委員 だれの話にも同じ答えをしているんですよ。それは、総理、ちょっとまずいですよ。

 効率化論と採算性、むだ論という話はわかるんですよ、そういう哲学をお持ちだと。私が言っているのは、そういう問題の、政官財癒着、そして、そういう透明性が前進できるという根拠は何なのかというところを聞いているんですよね。そこをうまく答えていないということは皆さんお聞きだと思うんです。

 私が言っているのは、この間も、総理は出てはらへんけれども、そういう公団工事三百六十一件におけるさまざまな癒着の資料を出したわけです。この資料は、今公団だから出るんだけれども、公団でなくなって民営化になったら出なくなるということを一つお示しをして、言ったわけです。

 それで、私、きょう午後のこの委員会で、透明性を図り、みんなの、国民の監視ということからすると三つの基準があるということを示したわけです。

 それは、第一に情報公開法の対象になるのか、二つ目に入札契約適正化法の対象になるのか、三つに官製談合防止法の対象になるのか、これを基準として見る必要があるということをわざわざ私はこの間言ったわけですね。そうしたら、それが全部適用されないということになるわけですね、民営化されたら。

 そうしますと、情報の公開も弱まり、国民の監視、国民の目が行き届かないことになるじゃないかということを私は論として指摘しておきたいと思います。だから、そういう意味での国民の声にこたえた改革になっていない、国民の目から見た情報公開という角度から物を見てお話をしているわけです。

 そこで、むだの話が出ましたから、それじゃ、言っておきましょう。

 二つ目に、私、ずっとこの委員会で京都の話をしてきました。先ほどは、山とクマの話も出たので、どこでもつくれつくれと言っているというから、私はつくるなと言っている一人でございます。それで、八七年に閣議決定された四全総で、一万四千キロ、高速道路の建設を打ち出したんですね。近畿圏では、四全総と歩調を合わせて、すばるプランとして同じ年に策定されて、京都高速道路は呼応してつくられようとしているわけです。

 この京都市内のど真ん中に高速道路を持ち込むことは、先ほどの自然の話からしても、山の話からしても、クマの話からしても、山紫水明の都、京都の自然と景観を破壊することになると思いませんか。

小泉内閣総理大臣 私は、その道路をつくられる現場を見ていないんですが、京都は大好きですよ。ぜひともあの京都の景観は守っていただきたいですね。もしあのすばらしい京都の町に不粋な高速道路ができるということを想像すると、私も嫌ですね。できるだけ歴史的な景観を保存する形で必要な道路をつくってもらうように、京都にお願いしたいですね、私も。あの貴重な京都の歴史的な町並み、景観、これは壊すのはもったいない。私は、そういう点を十分京都も考えていただいて、必要な道路はつくらなきゃならないんでしょうけれども、ぜひとも、そういう歴史的な遺産とか景観を大事にした形で道路をつくっていただきたいと思います。

穀田委員 貴重な御意見をいただきました。初めて率直な、京都に高速道路は要らないというお話を聞きました。事実上ですよ、事実上、景観を守ってほしいと。

 そう言うと、すぐ石原大臣なんかは地下へという話をするんですね。地下、今どき、これほどの財政の赤字で大変な折に、しかも新直轄方式やその他で、国が負担をしない。そして、阪神道路公団も、自分のところは責任持たぬと言い出している。それが全部地方自治体の負担になる話じゃ、できやしないんですよ。まして、どんな形にしろ、京都の西本願寺ぐらいですかね、ちょうど真ん前に、真下から、三十五メートルも換気塔が出る。これはあきませんわなと私は思っていただけると思うんです。それは確認しておきたい。

 同時に、この問題でなぜ私がこんなことを言っているかというのだけ一言聞いてほしいんですよ。

 世界遺産条約に指定されたところなんだ、この京都は。しかも、それは、お寺だとか神社だとか、そういう建物を指定しているわけじゃないんですよ。京都の場合は、東山、西山、北山という三山とその地域を含めた一帯を指定しているわけなんですね。

 しかも、世界遺産条約の第十一条に、これは何を守らなければならぬかということで、危険性を指摘して、こう言っているんです。「大規模な公共事業若しくは民間事業又は急激な都市開発事業若しくは観光開発事業に起因する滅失の危険、」ということで、まさに、世界遺産条約に指定されたということは、そういう危険から守らなければならないという義務を課しているわけなんです。そこの意味を私は言っているわけです。

 だから、京都には高速道路は要らないんだということを何回も私、この委員会を通じて、道路という問題を議論する際に、このこと抜きには語れない。しかも、すばるプランであり、一万四千キロという政府の計画のもとで行われていることだから、これをはっきりしろと言ってきたわけです。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 京都のすばらしい景観、歴史的遺産、これを破壊することなく必要な道路をどうやってつくるか、よく京都市も皆さんも考えていただきたいと思います。

穀田委員 先ほどの話とはちょっとトーンダウンしていませんか。守らなあかんということですよ。

 そこで、圏央道の問題を一言だけ言っておきたいと思うんですけれども、私は、先ほどの同僚の意見に対して反対でして、それは画期的な意味を持っている。確かに、現実に進行している事態は複雑でしょう。しかし、その問題は、提起した中身をどう受けとめるのかということだと私は思うんですよ。やはり、総理自身ですら、自然や環境やクマや山という話をしておられるように、私は、今回の問題が提起した中身についてどう受けとめるかということがとても大事だと思うんです。

 私は、この間の議論を通じて、マイナス効果というものもきちんと出さなければならぬ、それは、自然や環境へのマイナス効果がある。それと住民の理解。ですから、きのうきょうの新聞などでも、行政側に、公共事業の計画段階から十分住民の意見を聞くなど、地元への慎重な配慮を求めるだけでなく、公共の利益を言うからには、だれでも検証できるデータを提示すべきだという考え方まで出ている状況です。

 私は、そういう問題を含めて、意見は違うと思うんです。この問題について、やるべきだという意見とそうじゃないという意見はあることは事実です。しかし、その問題の共通の基盤となっているのは、どういうふうに理解を求めるか、公共の利益とは何か、自然と環境の内容は加味されて必要じゃないか、こういうことだと思うんです。

 この点の御意見だけ伺っておきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 それは、道路の必要性と各町並みをいかに美しくしていくか、歴史的な遺産を保護していくか、そういう点のぜひとも両立を図っていかなきゃならないと思っております。

穀田委員 最後に一言言っておきます。

 何とかなるだろうという話でずっと続けてきたという問題が先ほど総理からも答弁ありましたし、きのうも、政府参考人も、そういうことでやってきたんだろうと言わんばかりの話をしておられました。

 私は、確かに道路公団の責任も、それは決定的だし、重大だと思いますよ。しかし、民営化推進委員でさえ、例えば本四架橋だとか東京アクアラインなど含めて、あれはひょっとしてむだじゃなかったかということを言っているぐらい、やはりむだな道路をつくってきたことも事実なんです。

 それが、ゼネコンが大もうけする、そしてそれで債務を膨らませる。それをやってきたのは、やはりその意味では、それを推進してきた歴代の政府と、それから道路族と言われる人々も含めた責任が改めて問われるということも含めて、私は、この四十兆円に膨らんだ債務が一体全体どうだったのかという問題が問われるということについて指摘をして、質問を終わりたいと思います。

赤羽委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 質疑を続行いたします。岩國哲人君。

岩國委員 皆さん、大変お疲れのところ申しわけありませんけれども、最後の一時間をおつき合いいただきたいと思います。

 まず、石原大臣にお尋ねいたします。

 この管理費の中で、人件費が占めるウエートは大体何割ぐらいですか。

佐藤政府参考人 大変恐縮でございます。非常に細かいデータになりますので、今ちょっと整理させまして、おおむねの割合を整理して御報告申し上げたいと思います。

 その前に、管理費という中に二つの種類があろうかと思います。維持管理費全体を指すか、さらにもう少し幅広く、一般管理費といいますか、本社経費的なものも含めて全体の管理費を指すか。両方で、とりあえずできるだけの数値を、確認できる範囲でまた御報告申し上げたいと思います。

岩國委員 管理費のいろいろな定義があるようですから、端的に、毎年の人件費は幾らですか。大きい管理費だろうと、小さい管理費だろうと、人件費が何百億と、概数で結構ですから。

佐藤政府参考人 とりあえず、あらあらの数字でございますが、例えば、道路管理に従事するJH、道路公団職員の人件費、こういうふうに定義させていただきます場合には、おおむね六百七十億円程度が平成十四年度に計上されている、こういうことでございます。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

岩國委員 我々がちょうだいしました債務返済イメージの試算例、この四月九日付の一枚目のところに、管理費は三〇%カットというところがありますね。この管理費というのは、絶対額で幾らですか。そして、三〇%カットというときには、今の人件費も対象になるんですか。

佐藤政府参考人 お出し申し上げました試算例の中で管理費として計上させていただいておりますのは、維持管理費それから料金の徴収経費等も含めまして計算をさせていただいておりまして、この中では、おおむね四公団合計で六千億円という計上をさせていただいているわけであります。

 そのうちの人件費、こうなりますと、ちょっと中の仕分けで少し時間をいただきたいと思いますが、いずれにしましても、三割カット、こういう面で申し上げれば、これに要する人件費といいましても、ベースを抑えた上で、全体として管理費合計を三割削減する、こういうことでございますので、人件費そのものを三割削る、これは多少乱暴な御議論かと思います。

 いずれにしましても、それ以外にかかる経費も含めて全体の管理費を三割削減、こういうことを目標にしているということを申し上げたいと思います。

岩國委員 人件費の抑え方というのは、ある程度人員も削減して、それから一人当たりの給料は落とさないというやり方もあるでしょうし、この間、秋田県知事さんがおっしゃったように、公務員もある程度の賃下げは受けてもらわなきゃいかぬというやり方もあるでしょう。また、その組み合わせもあるでしょう。

 考えていらっしゃるのはどうですか。人件費については一切手をつけないで、それ以外のところで管理コスト三〇%削減が可能である、具体的にどういうところで三〇%、人件費を除いてお考えになっている場合には。そうすると、人件費に手をつけないということは、よそでは四〇%、五〇%カットの項目があるわけですね。どういうところが四〇%、五〇%、管理費を削減されるんですか。

佐藤政府参考人 統一してきちっとした数字にならないのは、多少、御説明の都合上お許しいただくことといたしまして、コスト削減計画ベースで、例えば日本道路公団の高速、四公団全部じゃなくて、高速の場合を対象に多少申し上げたいと思います。

 例えばということで申し上げれば、高速自動車国道にかかる分、これで申し上げますと、平成十四年度の予算で総額、合計で五千四百六十七億円、これを対象にしながら十七年度までには三割の削減をしよう、こういうふうに目標を立てているわけでございます。

 この中で、いろいろな費目があるわけでございますが、例えば、改良費であったり防災対策であったり、あるいは維持管理費、業務の管理、あるいはまた一般管理諸費、給与関係諸費、こういうようなことを計上した上で、そして、この五千四百六十七億に対して三割削減目指す、こういうことであるわけでございます。

 そういう意味では、先生御指摘は、人件費はどうするか、こういう御議論でございまして、人件費も二通りはあるわけでございます。公団の中の、内部の職員の人件費と、それから、委託に要して、委託する場合に人件費がかかる、それの契約内容、見積もりをどうするか、こういうこともあるわけでございます。

 そういう意味では、五千四百六十七億の中の業務管理費、例えば一千五百七十九億ございますと、これは、この業務管理費の委託する人件費の単価を見直す、こういうことは入っているわけでございます。これはアウトソーシングの分の人件費でありますが、そうしたことを見直しして大幅な削減を図っていこう。例えば千五百七十九億円かかっている部分を、間接経費の見直しであるとか、業務管理費でございますから、料金収受なんかも含めまして、例えばETCの整備、普及によって収受コストを削減するとか、そういうことを含めて、目標として四百億円以上の削減を図っていこう。

 これは、さらに三割カット、こうなりますと、もう少し削減を図らないかぬかなというようなこともあるわけでございますし、そういう意味では、給与関係の諸費、こういう問題で申し上げれば、定員の削減等も目標にしながら、例えば、総額、高速自動車国道にかかる分、こういうことで計上しております経費の中で、定員削減というような形で九%程度の削減は見込むとか、いろいろな、あらゆる項目について削減努力をするということを前提にしているということでございます。

岩國委員 これは、十七年度にその三割カットを実現するという前提で、この試算をつくっていらっしゃいますね。ですから、十七年度といっても、もうあと一年そこそこで三割カット、これは相当な大なたを振るわれるんだなと思いますけれども、私の経験あるいは見聞きした範囲では、人を一人も減らさないで、そういう関連経費だけを三割も減らすというのは、これは大変なことだと思うんです。項目によっては、五割、六割、七割カットしなきゃいけない項目がその中に含まれているでしょう。五割カット、六割カット、一番カット比率の高いものは何ですか、今見ていらっしゃる表の中で。交際費ですか。

佐藤政府参考人 そういう意味では、先生、お答え申し上げる大前提といたしまして申し上げていますのは、管理費のトータルといいますか、内部的にかかる経費も、それから、アウトソーシングして、委託して契約して請負会社に実行していただく、その分も含めての議論であるということをまずひとつ御理解いただきたいと思います。

 そういう意味では、ですから、では、ダイレクトな公団の職員の定員の削減がどのぐらいきくかというような点よりは、アウトソーシングの部分がかなり大きいということはまず申し上げておきたいと思います。

 その中で、今の項目で申し上げますと、これはまだこれから、さらにさらなる削減を図ろうということで削減努力を続けている、それから、十七年度に向かって整理している、合理化する努力をしている、途中段階ではございますが、今申し上げました高速国道の例で申し上げれば、平成十四年度予算の五千四百六十七億円、こう計上されているものの中で、例えば一番大きなものということで申し上げれば、これは項目の分け方にもよりますけれども、防災対策費なるものが二百七十三億円ありました。これに対しまして、対象橋計画などを見直しまして、例えば平成十七年度にこの部分を百十三億程度にというのが、この前、昨年の三月二十五日にお出しさせていただいた二五%減、こういう目標の管理費の内容になっている。

 そういう意味では、防災対策はできるだけ効率的に、効果的にやろうということで、補強計画を見直したりしながら五八%減、これが昨年の三月に出した中での大きな項目、それをさらに削減せないかぬ、全体を削減せないかぬということで、見直ししている最中、こういうことでございます。

岩國委員 こうした管理費コストという細かい点、しつこくお伺いするわけですけれども、これはこの試算イメージ、金利もそうです、通行料収入もそうです、将来の予測ですから大変御苦労されたこと、よく私もわかります。金利もマーケット任せだし、通行量も景気任せ、お天気任せだし、しかし、管理コストはある程度自分たちでコントロールできるものだと私は思うんですね。

 私の出雲市長時代の経験でも、出雲市は七割の人員で十割の仕事をずっとやってきているんです。定員数はよそより三割少ない。それは、アウトソーシングということは今ありますけれども、徹底的に、ごみの収集なんかは一〇〇%民間委託に回すとか、いろいろな工夫をしてきたわけです。だから、公団のこの試算イメージの中の三〇%カットというのは、私は最初から非常に興味を持っておったんです。

 具体的に、正規職員を外部委託に回すとか、どれぐらいの比率かにもよりますけれども、そういうことは全然お考えになっていないということですね。

佐藤政府参考人 公団の職員をどの程度削減するか、こういう御指摘であったかと思います。

 そういう意味では、管理費全体の中に占める職員の人件費、公団の職員の人件費そのものはそう大きくないということは御理解いただきたいと思いますが、その中で、さらに、定員の削減、こういうことも考えながら今検討しているということも事実でございます。

岩國委員 石原大臣は行革大臣も担当され、私もその委員会で何回か質問させていただいたことがありましたし、そうした行革に大変熱心に取り組んでこられたと思います。

 広い意味で言えば、この道路公団も行政改革の大きな柱であり、そして、その管理コスト、運営コスト、行政コストを下げるということは、どの分野だろうと共通した大きなテーマだと思うんです。

 今の、局長の私に対する答弁をいただきましたけれども、大臣も同じ考えですか、あるいは、大臣はもっと積極的にこれは切り込んでいけるというふうにお考えですか。御答弁をお願いします。

石原国務大臣 この管理費の削減については、民営化委員会の中でも、ファミリー企業の問題とあわせて重要項目でございました。さまざまな実例を出されて、猪瀬委員を初めさまざまな委員が、五割程度管理費を削減できるんじゃないか。そこは、もちろん、委員御指摘のとおり、リストラも入っていたと思いますけれども、そんな中で、過去の実績と状況から見まして三割は到達可能な数字ではないかということで、今、局長が御答弁しましたように、この数値を積み上げてきている。

 これはそんなに簡単な話ではない、しかし、お約束した以上はこの目標に向かって進んでいく、こういうふうに考えております。

岩國委員 こうした委員会の答弁で発言されたことをお約束という大変重みのある、さらに裏づけのある発言をちょうだいしたわけですけれども、そこで、近藤総裁に御答弁をお願いいたします。

 道路公団の運営責任者として、就任されたときに人員整理については断固として行わないということをはっきりとおっしゃったわけですね。ですから、一人たりといえども人員整理は行わないという枠の中で、この管理コストの削減というのは十分可能であるという自信を持っておられますか。

近藤参考人 岩國委員にお答えをいたします。

 昨年の十一月二十日に、私は総裁に就任をしたわけでございますが、その就任の職員に対するあいさつにおいて、私は絶対に人員整理はやりたくありませんと申し上げたところでございます。この私の気持ちは、その職員に対するあいさつの中でいろいろ申し上げたわけでございますが、数行でございますので、そのあいさつの、私が今申し上げた、人員整理は絶対やりたくありませんと言った後のところを読ませていただきたいと思います。

 私は絶対に、人員整理はやりたくありません。私は、絶望的な未来を皆さんと見るためにここにいるつもりはありません。では、どうすれば我々は、生まれ変わることができるのでしょうか。それは、経営の自立性を確保すること、生産性とサービスを向上させること、今までの慣行を見直すこと、コストを合理化すること、これらを含むあらゆる努力を積み重ねることにより、これから時間がかかっても、しっかり借金を返し、新しい事業にも挑戦していける強い体質にすればよいと思います。このような努力の積み重ねにより、有料道路という資産、優秀な人材、技術やノウハウが、さらに有効に活用されることになるでしょう。これにより、日本道路公団において、皆さんが自信と誇りを持って働ける、やる気の起こる会社へとこの公団を変革していくことができると思います。だから私は、民営化に向けて大胆に改革をせねばならないと思うのです。

 このようなことを申し上げたわけであります。

 このように、あらゆる努力を積み重ねることによりまして、経費の削減のみならず、サービスの向上も図っていきたいと考えているわけでございます。

 特に、人材の活用を前向きに考えることが将来の事業展開にとってプラスになると考えておりまして、人材の活用とコスト削減が両立するように精いっぱい努力してまいりたいと思っております。

岩國委員 総裁はわざわざ読んでいただきまして、それは私も資料をいただいて読んでおります。しかし、それがあるからといって、人員整理を行うのか行わないのか、何もはっきりとそこには出てこないわけです。お気持ちはわかりますよ。だれだって、責任者になれば、人員整理というのは一番やりたくないことなんですから。しかし、それをあえてやらないとおっしゃったのか。それから、職員へのあいさつでとおっしゃいましたけれども、職員へのあいさつだけじゃなくて、外部の記者会見でも同じことをおっしゃっているんですよ、総裁御自身の言葉として。

 だから、内々の話だからちょっとその辺は感情がこもり過ぎたということではなくて、外に対して記者会見でおっしゃっているということは、国民に対してそれをはっきり約束された、したがって、人員整理は一切行わないという前提でこの管理コスト三〇%削減は実行されるわけですね。もう一度重ねて、端的に短く、時間もありませんから。

近藤参考人 御指摘のとおり、あいさつを行いましたその後で記者会見をさせていただきました。そのときに、私のあいさつを引用する形で記者の方から質問がございました。それに対して、今読み上げました趣旨を踏まえてお答えをさせていただいたところでございます。

岩國委員 それでは、次の質問に移ります。

 二月二十七日に行われたこの部屋での国土交通委員会の議事録に、石原大臣の発言として、これは上場に関する質問が出たときだ、早期に上場できる条件を整えてその保有株式を売却するということは極めて重要であると、総理も昨日の予算委員会で答弁をされていたと思いますと。

 私は調べてみましたけれども、その昨日という二月二十六日に予算委員会は行われておらないです。行われておらない予算委員会で総理がそういう発言をされるはずはないわけで、これは恐らく大臣がちょっとした思い違いをされただけではないかと思いますから、これは決して私は揚げ足をとるどうこうではなくて、本筋の質問ではありませんから、これは議事録を訂正しておかないと、幻の予算委員会で総理がこの上場について答弁されたということになってしまいますから、おかしなことになります。

 そこで、本論に返りますけれども、総理も大変熱心に、早期に上場するということは非常に大切だという熱意を込めておっしゃっているわけですけれども、先ほどは総理の時間が限られておりましたから、この上場について、私はまだ十分に大臣から答弁をいただいていない点があります。

 それは、JRのときの経験、私が先ほど御紹介いたしました、上下一体でなければならない。そして、後ほど近藤総裁にも伺いますけれども、近藤総裁も上下一体が正しい。まさに民間人の常識はそのとおりだったんです、就任される前は、あるいは就任された最初の一日だけは。

 しかし、それから後いろいろな迷走が始まって、今、上下分離で、上下分離の会社を上場した例がありますか。東京証券取引所はそれを認めないと言ったからこそ、JRは上下分離で出発して、上下一体になって、そして、めでたく上場されたんです。

 このいきさつを知っておられる現内閣、そして国土交通省の皆さんが、ちゃんと東京証券取引所と打ち合わせ、すり合わせを済ませた上で、JRはだめだったけれども、この道路の方はいけるという確認をおとりになったんですか。大臣、その点はだれに確認されましたか。まず大臣から答えてください。

佐藤政府参考人 私ども、いろいろ検討させていただきました過程におきまして、幾つか勉強させていただいたりしております。そういう意味で、株の上場云々、どういう場合に必要な最小限の条件か、その辺のことを調べた状況で申し上げますと、上場の審査基準として、例えばということで申し上げれば、設立後の経過年数は三年以上はたっていることであるとか、上場時の時価総額がどのぐらいか、これは一部に直接上場するかしないか、こうしたことでも違うようでございますが、それから株主資本、純資産の額ということでいえば十億円以上は少なくとも必要であるとか、あるいは利益の額であるとか、こうしたようなことが必要な形式要件としてはある。

 こういうことは伺っておりますので、そういう意味では、サービスエリア、パーキングエリアに関しましても、この会社は、道路公団の部門を三つに分けるとしましても、かなり一つの会社当たりは、それなりの単位の資産、債務を保有する、こんな形になるそれなりの大きさの会社、こういうことかと思っております。

岩國委員 今のPA、SAの、サービスエリアの建物というのは、一〇〇%これは今度の民営会社の資産としてバランスシートに計上できるんですね。局長答弁の後、石原大臣から先ほどの件の御答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 今後検討される議論でありますので、一般的なことをとりあえず申し上げさせていただきたいと思います。

 上場要件を満たす、こういうことのためには、例えば、サービスエリア、パーキングエリア等の関連事業におきまして、資産が負債を十億円以上は上回るとか、いろいろなことをその時点においてチェックしていただきながら、上場できるかどうか、あるいは上場した場合にどのぐらいの価値になるかというようなことを検討していただいて、そして総合的にその時点で判断する、こういうことになろうかと思っておりますが、あらかじめ無理なことであるということではないというふうに私どもは思っております。

石原国務大臣 純資産につきましては、ただいま局長の方から答弁をさせていただきましたが、御質問のとおり、その資産として各会社に計上できる。ただ、資産価値については、ただいまどれだけの価値があるかということを検討委員会で検討させていただいているところでございます。

 さらに、相応の利益配当を行うに足る利益を計上する見込みがあることという要件がありますが、これも、SA、PA等々の分け方等々にもよりますけれども、SA、PA等々の売り上げでこの要件もクリアすることができるのではないか。

 SA、PAの話でございますけれども、土地は、道路部分と、これまでの区分を若干変えまして駐車場部分がございますので、すべて会社資産になります。

岩國委員 これは、東京証券取引所のだれと、いつ確認をおとりになったんですか。

 局長の最後の言葉と我々は思っております。JRも全く同じことをやっておったんですよ。そして、具体的に上場の手続を開始したら、仕組みを振り出しに返してつくり直さなきゃならなかったんです。

 JRは、そういった新幹線の施設を資産として計上できない。だから、それは買い取らなければバランスシートに計上できないことなんです。こういう身近ないいお手本が、悪い方のお手本でしたけれども、あるにもかかわらず、なぜ今回はそれができるのかということ。

 恐らく、道路局のどなたかがちゃんと取引所を訪ねてすり合わせをして、まず一番、資産に計上できない、これはリースしてやる仕事です。二番、利益、売り上げ等は、これは毎年のように契約で、そして通行料金が入ったところは少しダウンされるような業績、利益の調整を行います。

 走ったからといって一番でゴールインできるわけではない、だからゴール手前でいつも足踏みしてみんなで仲よくゴールイン、こういう業績の調整が行われるような、一番大事な契約はこの機構との間に結ぶ契約でしょう、契約の内容が通行料金が入った場合には少し下がるような、いろいろな調整が行われる。こんな上場会社がどこにありますか。

 自分の努力と汗だけでは業績を反映することはできなくて、一緒に走っているはずの、どこかよその会社の業績に左右されてしまう、こんな上場会社は私は見たことはありません。それでも東京証券取引所は上場を認めましょうという、基本的な了解はとってあるんですね。

佐藤政府参考人 先生、そういう意味で申し上げますと、この法案を通していただいた後に、道路公団の分割のあり方、具体的な、東、中、西と提示はさせていただいていますけれども、その中で、路線のどのインターチェンジ、どの区間で分けているか、こういう整理もしていっていただくわけでありますし、その後で、なおかつ、新規に、調査中、建設中のものを、さらに建設を続けるものはどこかという点についても、会社と国、あるいは相談しながら最終的には会社と機構が協定する、そうした手順を経た上で、実際のランニングをしながら、運営をしながら、どれだけの体力のある会社、あるいはまた経営努力をしっかりどれだけする会社か、こういうことをやっていってもらうわけでありますので、今の時点で、証券取引所と、この会社は具体的にこれだけの力、これだけの経営努力、これだけの企業としての資産があるが、上場できるかできないか、こういうことをやれる状態、段階ではないというふうに御理解いただきたいと思います。

 運営して、経営が安定した時点でそうしたことが、どれだけの値づけも含めて可能かどうかとか、こういう御議論をしていただくものと理解しております。

岩國委員 具体的に、どの路線をどっちにつけるとか、あるいはどの施設を幾らで買わせるとか、どこにつけるとか、バランスシート、六社のそれぞれにいろいろな割り当て、箇所づけというのは皆さんがお得意なことですから、それは立派にされるだろうと私も思っていますよ。

 しかし、この委員会に、大体こうなりそうだという具体的な路線の分担さえも一遍も出されたことがないんです。その決定、説明というのは先送り、丸投げとは言いませんけれども、すべて先送りです。

 しかし、私たちはあえて、こういう大事業の中で、あの路線が右だ左だという議論は避けてはきました。しかし、仕組みの問題は違うんです。

 JRの上場のときにこういう例があったにもかかわらず、そういう営業のための基本的な、核心に触れるような施設を資産として計上した会社なのか、計上できない上下分離の会社のままで上場に突入されるのか。そして、そこでノーという結果が出てきたらどうするんですか。私は、それが心配でお伺いしているんです。

 我々は、この法案には反対します。

 しかし、国民の大切な財産である道路公団が民営会社としていくのであれば、健全な民営会社として上場され、投資家ができ、そして少しはいい会社になってもらいたいという願いは、反対しながらも私は持っています。だからこそ、その点を心配してお伺いしているんです。

 でき上がってからいけばいい、しかし、いって資産を買い取る形でないと、JRのときも同じことをお願いし、JRさんはちゃんとそれは言うことを聞いていただいて上場要件を満たしていただきました、だからJRはああいうふうに上場されたんですという説明を受けたとき、もう一回この部屋へ帰ってこられるんですか。

 あの法案を修正したい、社名もやはりおかしいと言われましたから社名も変えたいし、そして、この上下分離は間違いだったから上下一体でやりたいと思いますと、何十時間もこれだけ議論して、それでは何にもならないじゃないですか。

 はっきり言って、東京証券取引所は、あとは計数的なことを除いてこの仕組みでも上場を認めるという確認書をここへ持ってきてもらいたいんです。

 そうでなかったら架空の上場話じゃありませんか。にせ株とは言いません。しかし、この架空の上場話に基づいて、衆議院の国土交通委員会は仮にきょうにでも採決する、私は、採決するにはまだちょっと時間が必要だと思います。そういった点を十分説明し、基本的な枠組みについて確認を持ってきていただいて、それから採決しようじゃありませんか。

 大臣、どうお考えになりますか。大臣に。

石原国務大臣 岩國委員は架空と申しますが、先ほどお話をさせていただきましたように、基本的な蓋然性についてはこういうものがあるというものを確認し、先ほど申しましたように、要するに資産価値がまだ評価が終わっていない段階なんですね、サービスエリア、パーキングエリアの資産。ただ、大ざっぱに言って十億円はクリアするだろう、そういうものはわかっております。しかし、どうその資産を評価するかということも、今並行して資産評価の委員会で御検討いただいている、そんな中での上場話でございます。

 もちろん、特殊会社としてスタートして、一年、二年や三年ですぐに上場できないということはJRの例を見ても明らかでございますが、私どもは、基本的な要件を満たしている会社をつくることによって、どれだけの資産を持ち、どれだけの売り上げが見込まれるというものを持って、上場をお願いすることになる。

 あるいは、証券会社等々にもお話を聞かせていただいておりますけれども、やはり委員と同じように、どこの会社がどれだけの資産を持っていて幾らの評価なんだ、こういうものがないと、一般論としてしか、可能性論としてでしか話はできないというのが現状でございます。

岩國委員 私が申し上げているのは、規模がどうとか利益がどうとか、そういう計数的なもの以前に、基本的な枠組みで、この枠組みを変えなきゃいけませんよと言われる心配はないという確認はおとりになったんですか、その点を聞いているのです。

 端的に言えば、上下一体なのか上下分離なのか、上下分離でも、あと計数的なところでちゃんと条件に合うならばこの枠組みでも問題ありませんと、そこを今私は心配しているのです。

 計数的なことは、我々委員が汗をかくわけではありません。職員の皆さんがいろいろ努力されるでしょう。あるいは利益が足りなければ、売り上げが足りなければ、いろいろな、粉飾とは言いませんけれども、数字のつじつま合わせをして、しかし、その数字のつじつま合わせ以前の基本的な問題で、ちゃんとどこかと相談されたのかどうか、確認はとれているのかどうか、それを私は心配してお伺いしているのです。局長はちゃんとそういうあれはされたんですか。

佐藤政府参考人 二点お答え申し上げたいと思いますが、先ほど、範囲が極めて不明確、こういうお話があったかと思います、三つの会社の所管する範囲が。

 これにつきましては、法案の中でそれぞれ県名を挙げさせていただいて、その県名の中で、重複する部分、一部ございます、例えば東京と神奈川県、これは東日本と中日本と重複している。じゃ、どこで分けるか。細部についてこれからいろいろな検討をしながら、東名はどっちか、あるいは中央道はどっちかというような形になるわけでありますから、その微小な部分は、今すぐにインターチェンジまで決めろ、こういう御指摘は、必ずしもそこまで決まっていないですが、おおむねの範囲というものはお出しさせていただいているということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほどの、JRの場合には上場がだめだったではないか、こういう御指摘ございました。

 JRの上下分離の場合の問題点として、私どもが聞いておりますのは、リース制度そのものに問題があったというよりは、三十年のリース後にJRに譲渡する、その譲渡価格が巨額であるけれどもその時点では未定、こういうようなこともあって上場した後の株主の利益に大きな影響を与えると東京証券取引所が判断したというようなことも伺っております。

 現時点の段階では、証券取引所のどなたにどういう形で確認し、確認書をください、こういうような状況でないということは御理解いただきたいと思いますが、そういう意味では、上場そのものに関しては可能なものではあるだろう。ただ、そこはそのときの条件でいろいろあるから、必ずしも、じゃ、五年後にこういう形で上場する、そういうような議論ができていないというのも事実ではあります。

岩國委員 JRの場合に問題になったのは、三つの点が問題になったのです。

 一つは、重要な営業施設が他者の所有であるということ、これが一番。それから二番目には、JR三社の間で収益調整が行われる、そういう仕組みになっておったということ、これが二番目のバツ印。三番目が、今局長のおっしゃった、リースが終了した後、有償なのか無償なのか、その金額がどうなのか、それは三番目にしかすぎない。私が心配しているのは、まさに一番目と二番目なんですよ。

 局長はそこまで勉強しておられたんだったら、一番目、二番目についても大丈夫ということをしかるべき方からもうちゃんと確認をとっておられるんですね。おられなければ、これは大変大きな問題となると思います。架空の上場話と申し上げましたけれども、架空の確認話になってしまう。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 そういう意味では、この民営化された会社がどういう形で収益を上げ、そしてそのベーシックな構造がどういうものか、もう一回反すうをさせていただきますと、それぞれの料金収入から管理費を引いて貸付料を決める、ここはできるだけもちろん企業努力をしながら管理費を小さくし、それから料金収入は総額をふやす、こういう努力をする。これは普通の会社でも同じようにそういう形で企業努力をするのだろうと思います。

 しかし、基本的には、この会社は、そこの部分以上に、より安定的に企業努力して収益全体を上げようということで頑張っていただくのは、サービスエリア、パーキングエリア事業を初めとする関連事業である、こういうことでございますので、その総体の会社としての力というものを上場する時点でいろいろ御判断いただくということは可能なことと思っております。

 具体的に証券取引所のどなたに、いつ、どういう相談をしたか、こういう問題ではなかろうと思っております。

岩國委員 これ以上追及しても、どこまで調べた、どなたと会って、どう言われたということをおっしゃらないだろうと思います。

 しかし、これは非常に大切な点だということ、しかもJRはそれで大変苦労させられたということ、この点を踏まえれば、上場がほとんど前提になっている民営化話なんです、上場もできないような民営会社を今我々がここでつくってみてどうするんですか。

 次の質問に移ります。

 それに関連しますけれども、近藤総裁、就任の日に上下一体でなければならないと発言されておりますけれども、その五日後の十二月一日には、実体的に上下一体が達成できればよい、こういう発言に変わっております。

 この実体的に上下一体ということはどういうことですか。具体的に説明してください。

近藤参考人 委員御指摘のとおり、上下一体ということは極めて重要であるということは、私、今も考え方は変わっておりません。終始一貫して主張してまいってきたところでございます。

 しかし、必ずしもすべての資産を法的に所有することが絶対条件であるとは考えていないわけでございます。御承知のとおり、民間企業、製造業におきましても、製造装置をリースで運営している会社も非常に数多くあるわけでございます。

 我々にとりまして大切なのは規制緩和でございます。あたかも所有しているがごとく運営できるように自主裁量権が与えられれば、事実上上下一体と考えてよかろうかと考えているわけでございます。

 ちなみに、先ほどから御議論ございますサービスエリア、パーキングエリアにつきましては、この部分につきましては法的にも形式的にも完全な上下一体が実現できるということでございます。

岩國委員 この上下一体でなければならないとおっしゃったのは、それを承知でおっしゃったとすれば、総裁は、道路サービス業よりは飲食業の方が基本業務だと思っておられるのじゃないですか。PA、SAの飲んだり食ったり、車が走る部分じゃなくて車がとまる部分の上下一体、これが実体的な上下一体ですか。逆でしょう。

 走る部分が上下一体ならば私はそれを受け入れます。ところが、車は走らないで、トイレへ行ったり、食べたり飲んだり、その部分が上下一体でございます、これが実体的な上下一体になるんですか。その程度の気持ちでこれは発言されたんですか、上下一体でなければならないというのは。

 もう一つ、関連して質問させていただきますけれども、去年の十二月二十二日の会見において、この民営化案に対して、民営化される新会社の経営権はほぼ一〇〇%確保できた、これは具体的にどういうふうに確保しておられるんですか、ほぼ一〇〇%経営権が確保できたということは。

近藤参考人 今回の民営化法案におきましては、二点大変重要なこの経営自主権に関する規定を含んでいるわけでございます。

 まず第一点におきましては、高速道路の建設につきましては、従来の施行命令等国からの一方的な命令の枠組みは廃止をされるということでございます。事業中の区間につきましては、国土交通大臣が会社と協議をされるということになっております。協議が合意に至らない、会社が建設等を行うことができない、そのように認める場合は、その理由を国土交通大臣に申し出るということになっておりまして、国土交通大臣は、社会資本整備審議会がその理由を正当なものと認めるときは指定をできないということになっているわけでございます。

 これは、すべて公開のプロセスで行われる手続でございまして、我々新会社になった場合に、正当な理由がなくして国からの御要請をお断りすることはあり得ないと考えております。したがいまして、この点におきましてもほぼ新会社の自主権は確保されたと考えております。

 また、その後新たに建設を行う区間につきましては、会社の自主的な経営判断に基づきまして国土交通大臣に申請を行うということになっているわけでございます。

 そういう意味で、高速道路の建設につきましては、会社の自主性を尊重する仕組みが、考えられる仕組みが確保されたものと考えているわけでございます。

 さらに、今回の民営化法案におきましては、先ほどお話しいたしましたように、サービスエリア、パーキングエリアに関しましては上下一体も可能でありますし、事業展開においては、認可、届け出はその分野については必要ないこととされております。そのほかの関連事業につきましても、本来事業に支障のない限り届け出のみで事業を行うことができるということになっておりまして、この意味でも新会社の自主性が最大限確保されている、そのように判断をしております。

岩國委員 総裁のその御判断というのは、どちらかといえば、一〇〇%自主性が確保できているのは付随的な業務についてだけであって、基本的な業務においては、総裁自身は、今でも私は、資産を持たない会社の自主経営権というのはどういうものか、それは伊藤忠商事においていろいろな会社をたくさんお世話してこられた、そういう経験を踏まえれば、資産を持たない会社が経営権を持つことはほとんどできないということはよくおわかりだと思います。

 次、道路公団の総裁として就任されたときに、この道路公団は会社更生法適用に限りなく近い、こう発言をされております。お調べになった結果、債務超過であったのかなかったのか、あったかなかったかどうかだけを確認してください。

近藤参考人 結論から申し上げますと、当時私が検討をいたしました資料といたしましては、公団が正式につくっております公団の財務諸表が一つ、もう一つは、昨年の六月でございますが、仮置きという形で公団が発表いたしました民間企業並み財務諸表というものがございました。この両方を私拝見いたしまして、いろいろと内容を勉強させていただきました。

 結論は、財務超過ではございませんでした。資産超過でございました。

岩國委員 もう一点お伺いいたしますけれども、債務償還が終わっても料金を取り続ける、こういう発言を記者会見でなさっていらっしゃいます。つまり、四十五年後に債務が全部償還されても料金を取り続けるのは正しいんだ、それが公平な考え方だというふうにお考えですか。

近藤参考人 委員は、今新聞記事を引用されての御質問だろうと思いますが、実は、私は実際にはそのような発言をしていないわけでございます。

 発言をいたしましたのは、債務完済後も高速道路の管理は引き続き必要であるということを申し上げました。新会社としてこれに貢献できることがあれば貢献をさせていただくことは十分考えられるのでないかと、今でも私はそのように思っております。

岩國委員 それは一つの新聞だけじゃなくて、複数の新聞がそれを紹介しております。

 そして、そうした管理コストが必要だから、その管理コストの負担は使う人に負担してもらった方がいい、そういった趣旨の発言をされて自民党の中でも大騒ぎというふうなことまでが記事の中に書かれておりました。

 今では、債務償還が終わったらきちっと無料にするというお考えなんですね。その点をはっきりおっしゃってください。四十五年目にきちっと、債務償還が終わったら、その日から無料になりますか。それとも有料制をお残しになるんですか。

近藤参考人 今の法案の趣旨からまいりますと、管理経費、これはかかってまいりますが、それは税金で負担をされる、こういうことだと承知をいたしております。

岩國委員 その点においては、我々三年後に無料化、総裁は四十五年後に無料化、管理コストはそれぞれ税金、その点については同じだと思います。ただ違うのは、政府は四十五年かかる、こっちは三年かかって無料化を先に実現しよう。

 さて、この無料化について、近藤総裁が昨年の十一月、この民主党の無料化案、当時ははっきりとした基本法では出していない時点でありましたけれども、ただほど高いものはない、こういう発言をされました。

 ただほど高いものはないとおっしゃるんであれば、今まで自民党はなぜ、三十年後に無料化にしよう、ただほど高いものはない、悪いものはないものを実現するために、何のために三十年かかったのか。しかも、今度は四十五年かかって、一生懸命そのただほど高いものはないという愚かな制度へ汗をかこう、こういうことなんですか。

 ただほど高いものはないというのは、具体的にだれが損をするのか。アメリカもドイツもイギリスも、あれだけ採算、あるいは個人の権利を主張し、民主主義を主張し、そして経済においては先進国と言われ、それは総裁自身もワシントンに駐在されてよく知っておられるはずです。そのアメリカ、ドイツ、イギリスで、ただほど高いものはないという考えはどこにあったのか。そして、ワシントン州、ニューヨーク州の人たちがそれに対して文句を言って、ただほど高いものはないから早く有料制にしてくれという声を向こうでお聞きになったんですか。御答弁をお願いします。

近藤参考人 御指摘の私の発言は、高速道路の通行料金を無料にした方がよいのではないか、その旨の御趣旨の御質問に対して私が個人的な感想を述べさせていただいたものでございます。

 ただほど高いものはないといいますのは、要するに、経済活動にかかわる事柄すべて、無料、ただ、本来的にただというものはないわけでございます。コストがかかっているものは、ただではない。したがって、経済活動に関して、ただだよ、無料だと言われたときには、ちょっと待てよ、何かその裏にあるんじゃないか、こう普通我々は考えるわけでございます。そういう意味で、ただほど高いものはないという感想を述べさせていただいたものでございます。

 高速道路を無料にするということは、利用者、お客様にとりましては確かに無料でございますが、一般国民にとりましては、高速道路を使わない方々も含めまして税金で負担をするということでございます。

 つまり、経済活動に関する限り、物事すべてただなものはないということでございまして、受益者負担の観点から、利用者の皆様から料金をいただいて運営をする方が、国民経済的な視点からいってもフェアではないかと考えている次第でございます。

 そのような社会全体としてのコストの観点から、さらに申し上げれば、無料、すなわちただということでございますか、という言葉は、一般国民の方々に対しまして大変誤解を与える言葉ではないかと思いまして、御指摘の発言をあえてさせていただいたわけでございます。

岩國委員 それでは撤回されますか。無料化を掲げてきた、日本で最初の政党は自民党だったんです。そして、無料化というのは二〇〇二年に実現することになっておったんですね。

 そして、今度は、これから四十五年先に延びましたけれども、四十五年たったら日本の高速道路は無料。無料だけれども、今の総裁の御発言からいえば、借金は返したけれども、四十五年後に我々が使う道路はやはり管理コストがかかるわけでしょう、さっきそうおっしゃいましたね。管理コストをカバーするためには適正なコストを回収することが必要じゃありませんか。そうすれば、四十五年後に無料にすることは間違いじゃありませんか。物には適正な価格があると今おっしゃったでしょう。空気と水はただだと我々は思っていましたけれども、今は水も空気もコストがある。それには適正な料金を我々みんなが払って使うんだという常識は、もう今は蔓延してきました。

 この高速道路について総裁がおっしゃっているのは、無料にした方が正しいのか、無料にするのは今でも間違っていると思っていらっしゃるのか。間違っているのに、四十五年後に借金が返済されたからただで提供する、それは国民にとって不公平な時代が始まると言うのであれば、無料にすべきじゃないじゃありませんか。それとも、ただほど高いものはないという発言そのものを撤回されますか。総裁のそのただほど高いものはないという発言が生きている限り、無料化してはおかしいことになるんです。御答弁をお願いします。

近藤参考人 私が申し上げておりますのは、償還経費を国民の税金で賄うのは必ずしもフェアではないのか、そのような趣旨でお答えをしているわけでございます。

 管理経費につきましては、今も一般国道は税金で負担をしているわけでございます。したがいまして、償還が終わった後は一般国道並みに管理経費も税金で賄う、それは一つの選択肢であろうかと思います。

岩國委員 総裁の御答弁は二転三転しております。そういった償還経費について言ったんだということは一度もおっしゃらなかったでしょう。すべての物には適正なコストがある。つまり、一般理論として私に答弁されたし、そのただほど高いものはないとおっしゃったときの総裁の表情、それからそのときの言葉遣いは、明らかに、これは経済の世界の常識であるかのごとくその言葉をお使いになったんです。経済の世界でこれは常識じゃないと私は思います。

 そして、限定して、税金で債務を償還するか、通行料金でやるのが正しいのか、どちらが正しいかということと、どちらがやりやすいかということと、そして、どちらが国民に受け入れやすいかということと、四番目に、どちらがより経済効果を発揮して、使った税金の二倍、三倍が返ってくるような、税収、経済の活性化につながるかどうか、それを含めて議論しなければならないはずなんです。ただほど高いものはない、そういう小さな物差しを当てるほどこの問題は小さくないということを申し上げておきます。

 総裁、ただほど高いものはないという言葉を撤回されるのか、撤回されないのか。あのときにお使いになった言葉、明らかに私は場違いだったと思います。

近藤参考人 先ほどからるる申し上げておりますとおり、ただほど高いものはないというのは、経済活動において、これはただだと、無料だと言われたときには、ちょっとよく考えなければいけないよ、こういう表現でございます。そういう意味でお答えをしたわけでございます。

岩國委員 明らかに、予算委員会で何の問題を議論しているかということをよくおわかりになった上でそのように御発言されたということは、私は適切な発言ではなかったと思います。

 それでは、あと時間が少々残っておりますから、もう一つお伺いしますけれども、このイニシアル問題について、就任されたときには、あすから調べますと。そして、あすから調べますと言われて、何日かかってその報告をまとめられたんですか。

 きょうの答弁では、十二月の初めに報告をまとめたような、ということは、正味十日ぐらいでお調べになった。そして、お調べになった対象はだれだったか。石原大臣でもなければ藤井前総裁でもない、要するに自分の指揮監督にある部下にそれをお聞きになった、それで正しいですね。つまり、当事者である前総裁には一言も問い合わせをされなかった、そのように理解していいかどうか。答弁をお願いします。

近藤参考人 いわゆる十三件問題につきましては、公団内で得られるできる限りの情報を把握したいと考えまして、関係をいたしました公団在籍の役職員を対象にいたしまして、私が総裁に就任をいたしました昨年の十一月二十日以降、約二週間ほど時間をかけさせていただきました。

 その結果、私自身、その違法性が認識をされるような新たな事柄を確認するには至らなかったところでございまして、その旨は、先ほども当委員会においてお話しいたしましたが、十二月の初旬でございます、国土交通大臣にも御報告を申し上げました。その後の記者会見でもその結果を口頭で発表させていただいたところでございます。

 したがいまして、委員御指摘のとおり、私の調査は私の権限の及ぶ範囲内ということでございます。したがいまして、前総裁を含みます公団外の方々に対しては、私自身、聴取を行っておりません。

岩國委員 我々民主党は、理事会を通じて、藤井前総裁に何度も何度もこの委員会に出席していただきたいと。それは、イニシアル問題に限らず、この道路公団について一番長く、一番深い経験を持っておられるのは藤井前総裁なんです。だからこそ、我々は前総裁に聞きたいことはたくさんあります。イニシアル問題はそのごくごく一部なんです。

 前総裁とお会いになったときに、このイニシアル問題について解明の協力を依頼されましたか。あいさつに行かれたんですか。そのときのあいさつではそういう依頼は一切されなかったんですか。答弁をお願いします。

近藤参考人 私が就任をいたしてから、まだ前総裁にはお目にかからせていただいておりません。

岩國委員 これは一部の小さな私企業の社長交代の話とは全く違うんです。こういう国民の財産を管理し、公的サービスを提供し、そして税金でそういう職についておられた方お二人がいまだに顔合わせもしていない、これは私はびっくりしました。

 私は、何回かソーシャルな意味ではお会いになっているんじゃなかろうかなと、ただ、この問題はさすがに当事者同士、ちょっと言いにくい問題だったかなというそんたくはしていますけれども、お会いにならないというのは、会いたいとおっしゃって断られたんですか、それとも会いに行こうとしておられないわけですか、近藤総裁。

 会いに行かないで、なぜこのイニシアルについて、私、解明してみせますといって記者会見でおっしゃって、国民の大いに疑惑の一つの話題となっているものについて、頭を下げてでも解明してみようという意欲、気力、勇気がなかったんですか。答弁をお願いします。

近藤参考人 今までお話しいたしましたように、私の聞き取り調査は、私の権限の及ぶ範囲内で行わせていただいたわけでございます。藤井前総裁は、既に私の権限の及ぶ範囲の外にいらっしゃる方でございます。また、藤井総裁は現在、国土交通大臣を裁判で訴えておられる方でございます。その段階でお目にかかるのは適切でないと私自身考えております。

岩國委員 しかし、そういった国民的疑惑の解明のためには、近藤新総裁は今後ともその努力を傾注されることを私は希望しておきたいと思います。

 また、本日は、いろいろと失礼な発言もさせていただきました。近藤総裁の勤務された伊藤忠さんと私は三十年間おつき合いさせていただいた、そのことはよく御存じだと思いますけれども、ただ職務上、立場上、大変失礼な発言をさせていただいたことをおわびして、私の質問を終わらせていただきます。

赤羽委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。

衛藤(征)委員 自由民主党の衛藤征士郎であります。

 私は、自由民主党並びに公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております内閣提出の道路関係四公団民営化関連四法案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 グローバリゼーションが進展し、とりわけ中国、韓国を初めASEAN等の近隣アジア各国の経済発展が進む中、これに対応して、夢と活力に満ちた二十一世紀を目指すには、これら諸国との連携、競争を図りつつ、相互に成長できるパラダイムへの転換が強く求められております。

 そのためには、それぞれの地域が持つ固有の伝統文化に裏打ちされた個性を背景に相互に連携交流し、地域力を高め、さらにそれら地域がアジア諸国と国際交流インフラを介して有機的につながることが必要であり、その基盤となる高速道路ネットワークの形成が不可欠であります。

 我が国の高速道路は、昭和三十年代に本格的に事業着手して以来、今日に至るまで、そのネットワークが逐次整備されてまいりましたが、いまだ計画の六割強にしか達しておりません。高速道路ネットワークは、我が国の国土の骨格として全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、我が国の経済活動、国民生活を支える基盤施設であり、国の責任において着実にその整備を進めることが必要不可欠であります。

 高速道路の整備は、これまで公団方式により行われ、大いなる成果を残してまいりましたが、一方で、従来の公団による事業に対しては、一つ、事業評価を行う仕組みがなく、不採算路線の建設に歯どめがかからない、二つ、建設コスト、管理コストの削減努力の不足、ファミリー企業との不透明な関係のために高コスト体質となっている等々、さまざまな批判、指摘がされてきたことも事実であります。

 道路関係四公団民営化関連四法案は、これらの問題を克服し、民間にできることは民間にゆだねるとの小泉内閣の方針のもと、債務を確実に返済し、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、新直轄方式の導入により、現在よりも建設のスピードをさらに速め、着実に整備をし、さらにはできるだけ少ない国民負担のもとで建設すること等を目的として、公団の民営化を実現するすぐれた改革案であると考えます。

 具体的には、高速国道の整備計画区間九千三百四十二キロメートルのネットワークの完成を前提として、その未供用区間について、客観的な基準に基づく事業評価を厳しく実施するとともに、徹底したコスト縮減等により約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減することとしております。また、約四十兆円に上る債務につきましては、民営化後四十五年以内にすべて確実に返済し、返済後は無料開放することとしております。さらに、平均一割を超える高速国道料金の引き下げを実施するとともに、民営化会社への政府の関与を最小限なものとすることにより、民間企業の経営センス、会社の自主性、市場規律が生かされる仕組みが構築されております。

 以上申し述べたとおり、本法案は、戦後の有料道路制度を初めて抜本的に改革するものであり、利用者はもとより、すべての国民にとって利益のある、まさに画期的な改革案であり、平成十七年度中の民営化に向け、一日も早くこれらの法案が成立することを強く要望するものであります。

 なお、民主党から提出されております高速道路事業改革基本法案は、高速道路の無料化をうたっておりますが、財源構成も今後の高速道路整備のあり方も示されていない極めてあいまいなものでありまして、また、高速道路を利用しない人にも負担を拡大するなど不公平なものであります。民主党の法案は、野党第一党である政党の提案とは到底思慮しかねるものでありまして、よって、自由民主党並びに公明党は、民主党案に対し反対することを申し添えて、私の討論といたします。(拍手)

赤羽委員長 次に、奥村展三君。

奥村委員 民主党の奥村展三でございます。

 道路づくりは国づくりとも言われてきました。また、道路は国民共有の資産でもございます。与野党問わず、当委員会におきまして、五十三時間になんなんとする議論の末に、ここに今討論に立たさせていただくことができました。

 考えてみますと、今回のこの通常国会におきましては、年金法案同様、大変重要なこの法案であり、審議もそれだけの時間を費やしてきたのも当然であったと思います。

 そこで、私は、民主党・無所属クラブを代表して、高速道路関係四公団民営化法案に反対、高速道路事業改革基本法案賛成の立場から討論をさせていただきたいというように思います。

 まず、政府案に反対をする理由を述べさせていただきたいというように思います。

 高速道路民営化、これは小泉総理主導の政治宣言として推し進められてきたのではないかと思います。きょうの御答弁も、そして先刻の総理質疑におきましても、いろいろな人のお話を聞いた上でというようなことで、何か私も釈然としないものがあるように思いました。

 そうした流れの中に道路公団民営化推進委員会も設置をなされたのであります。あらゆる角度から議論もなされてまいりました。

 しかし、昨年末の与党合意、それを踏まえて、民営化委員会の皆さん方の中に、委員の皆さん方の考えを無視されたということからして、委員会の田中委員長代理あるいは松田委員が辞職をされたことからも明らかであります。その田中委員は、当委員会の参考人としてもここにおいでをいただいて、それを明らかにされたところでございます。

 そういうような思いをいたしますと、やはり本当に真の国民のための道路、国民のための政治、経済活動の中での道路の確立が求められているにもかかわらず、民営化という、ありきの話ばかりで物が進んできたように思います。

 民営委員会が目指されたものは、四十兆円の債務返済、これを国民負担を最小限にしていきたい、そして新たにつくられる組織の自己責任原則を貫徹するために、政治の介入を排除して、そして株主に対して責任を負う体制を構築していきたい、また、競争原理を導入するというものであったと私は思います。これが民営委員会の皆さんのお考えであったと思います。

 しかしながら、政府案では、償還主義とプール制が相も変わらず温存されて、四十五年で債務を完済するとされておりますが、四十五年、その償還計画は明確にされておりません。路線別、区間別、会社別の通行量あるいは収入見込みも全く明示されていないのであります。存在しないということであります。

 このような状況で、どうして四十五年償還ができると言えるのでありましょうか。金利が上昇すれば、償還見込みが破綻することは明らかであります。金利の上昇の場合には、国からの補助金もあり得ると公言もなされました。まさしく机上の空論としか言わざるを得ません。

 相も変わらず親方日の丸の道路行政体制の継続であると私は思います。そうした流れを考えますと、今回の民営化会社が建設をしていく流れの中に、金融機関も、親方日の丸のバックでありますから、安心して資金は提供するでしょう。

 しかしながら、一方で、民営会社が道路の建設を拒否してしまう、国が理由がないと認めれば、その建設は強制をして、会社に言うことを聞かせて、仕組みも変えていこうとすることも一方では言われていたわけであります。考えてみますと、強制してその会社が道路をつくっていく、大赤字になった場合、だれがこの責任をとるのでしょうか。

 こういうことを考えますと、いろいろとあります。利潤をこの通行料に乗せないとか、そういうことを考えていきますと、先ほどの議論のように上場を目指すとおっしゃっていますけれども、本当に民間企業として上場がなされるのかどうか、不安なことばかりであります。

 結局、私は、民営化という見せかけであり、借金も減らない、むだな道路はつくり続けられる最悪な法案と言わざるを得ないというように思います。

 政府が当初国民に約束をしてきた高速道路の無料開放はいまだに果たされておりません。国民は世界一高い交通料を黙って払い続けて、二重、三重払いをしているのであります。大変残念なことは、議論の中でもありましたように、道路の国家戦略がないということであります。公共財としての道路行政を推し進めることこそ、国民が夢を持って大きな歩みを進めていただけるものではないでしょうか。

 こういう観点から、政府案に対して反対をするところであります。

 一方、我々民主党は、原則無料化を言い続けております。冒頭でも申し上げましたように、高速道路も当然無料化ということは、岩國委員の質問にもありましたように、自民党の皆さん方もずっと無料化を言われてきたわけであります。本来でありますれば、もう名神あるいは東名は無料化されていたはずのものであります。

 国民との約束をしっかり果たしていく、そういう思いをいたすときに、我々の提案をいたしたことに対して、いろいろと与党の方からも質問をいただきましたが、今後しっかりと受けとめて、我々は、五年あるいは三年以内にしっかりとした無料化を実現するべく、党を挙げて頑張っていくことを申し上げ、賛成をいたし、討論を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党を代表し、道路関係四公団民営化関係法案及び民主党提出の高速道路事業改革基本法案に対して反対討論を行います。

 初めに、道路関係四公団民営化関係法案について述べます。

 小泉構造改革の目玉とされた道路公団改革は、初めから民営化先にありきに終始し、国民の期待に背いて、むだな高速道路建設を続け、巨額の借金を国民に負わせ、政官財の癒着を温存する仕組みをつくり上げたにすぎず、到底改革と言えるものではありません。

 反対する第一の理由は、高速道路の建設は新会社、借金は保有・債務返済機構にという上下分離の無責任体制によって、何の歯どめもなく、むだな高速道路建設を継続する仕組みをつくるものであるからです。

 政府は、全総計画など高速道路整備計画を抜本的に見直すこともなく、環境や景観などへの影響も加味しない事業評価によって、道路建設の継続を決定しています。まさに初めに建設ありきです。このもとで、民営化すればむだな道路はつくらなくなるなど、全くの幻想です。民間会社が建設しなければ、国や地方の税金でつくる新直轄方式で、採算が合わなくてもつくり続ける仕組みも既につくられています。

 反対理由の第二は、四十五年で確実に債務返済できる保証がないばかりか、新会社の資金調達に政府保証をつけることによって、建設資金の調達を容易にし、借金をふやし、新たな負担を国民に強いることになるからです。

 第三は、民営化されることで、情報開示や監視が弱まり、天下りや談合、政治家介入など政官財の癒着が温存、助長されるからであります。

 民間会社になれば、情報公開法は適用されず、談合防止法や入札適正化法も対象とならないことも、既に先ほどの議論で明らかであります。道路公団分割によって天下り先もふえることになります。国民にとってますます不透明になるのは目に見えています。

 次に、民主党提案の高速道路事業改革基本法についてです。

 本法案は、料金無料化を性急に進めるために、現在、通行料金収入による道路公団の債務返済をやめて、新たに税金を投入して返済しようとするものであり、税金の使い方として優先順位を間違っているので、賛成できません。

 最後に、現在の高速道路整備計画は廃止し、新たな高速道路建設は凍結、見直すこと、四十兆円に上る債務は計画的に返済し、料金を段階的引き下げ、将来の無料化に向かうこと、道路四公団などへの天下りを禁止して、ファミリー企業を廃止し、国民の管理、監視のもとで債務返済と維持管理を運営する公共企業体として再生させること、この方向でこそ真の改革であることを申し述べ、討論といたします。

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、岩國哲人君外四名提出、高速道路事業改革基本法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、高速道路株式会社法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、日本道路公団等民営化関係法施行法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案に対し、衛藤征士郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。玉置一弥君。

玉置委員 ただいま議題となりました高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることにいたします。

    高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 高速道路は国民共有の財産であることにかんがみ、日本道路公団等民営化関係法の施行後五年後を目途に、各法の施行状況を踏まえ、必要な措置について検討すること。

 二 地域経済の活性化、物流の国際競争力の確保等の観点から効率化を推進し、割引等弾力的な料金設定により高速道路の有効利用を図るとともに、厳密な評価に基づき真に必要があるものについて新たな高速道路の整備を行うこととし、高速道路事業に係る予算の重点化及び効率化を図ること。

 三 金利の大幅な上昇など大きな経済変動等があった場合には、適時適切に債務返済計画を再検討し、四十五年以内の債務返済が可能となるよう財政上の措置も含め必要な措置を検討すること。

 四 建設中及び調査中の道路については、新会社の自主性が確保されつつも、地域経済への影響、高速道路ネットワークの状況等を総合的に勘案し、最終的には国が責任を持って整備すること。

 五 新会社の民間事業者としての能力が最大限発揮されるよう、経営努力に対する適切なインセンティブの付与等の環境整備に努めるとともに、その成果ができるだけ利用者に還元されるよう配慮すること。

 六 新会社は、高い公共性を有する高速道路の建設・管理を行うことにかんがみ、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に準じ、国民に対して、その経営状況、財務状況等について積極的に情報の開示を行うとともに、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等の適切な運用を通じ、新会社の経営内容の透明性の確保に努めること。

 七 ファミリー企業による高コスト体質を改善するため、排他的入札要件の撤廃等一層の競争促進に努めるとともに、各般の企業努力により、管理コストの低減を図ること。また、ファミリー企業で独占されている道路ビジネスを広く市場に開放し、地域企業の活用に配慮すること。

 八 高速道路の利用の促進と利便性の向上を図るため、ETCの一層の普及を推進するとともに、ETC利用者に対する多様な割引制度の充実に努めること。

 九 高速道路の安全性を確保するため、道路の適時適切な修繕等に努め、その維持・管理に万全を期すること。

 十 道路関係四公団の民営化に当たっては、これまで維持されてきた職員等の雇用の確保に努めること。

 十一 高速道路の整備に当たっては、交通機関相互の連携に配慮すること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石原伸晃君。

石原国務大臣 高速道路株式会社法案等道路関係四公団民営化関連四法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長、理事の皆様方、委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次回は、来る二十七日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十六分散会


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