衆議院

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第22号 平成16年5月19日(水曜日)

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平成十六年五月十九日(水曜日)

    午前九時十九分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岩崎 忠夫君    宇野  治君

      江藤  拓君    遠藤 利明君

      大島 理森君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    櫻田 義孝君

      島村 宜伸君    高木  毅君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    西野あきら君

      能勢 和子君    葉梨 康弘君

      古屋 圭司君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      山本 明彦君    渡辺 博道君

      岩國 哲人君    岡本 充功君

      小林千代美君    下条 みつ君

      中川  治君    永田 寿康君

      長安  豊君    伴野  豊君

      古本伸一郎君    松崎 哲久君

      松野 信夫君    三日月大造君

      室井 邦彦君    山岡 賢次君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

      武田 良太君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   環境副大臣        加藤 修一君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    人見 信男君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  中前  明君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     今井  宏君

  島村 宜伸君     宇野  治君

  高木  毅君     山本 明彦君

  中馬 弘毅君     遠藤 利明君

  二階 俊博君     西野あきら君

  古屋 圭司君     能勢 和子君

  保坂  武君     加藤 勝信君

  松野 信夫君     小林千代美君

  山岡 賢次君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     江崎 鐵磨君

  宇野  治君     島村 宜伸君

  遠藤 利明君     中馬 弘毅君

  加藤 勝信君     保坂  武君

  西野あきら君     二階 俊博君

  能勢 和子君     古屋 圭司君

  山本 明彦君     高木  毅君

  小林千代美君     松野 信夫君

  永田 寿康君     山岡 賢次君

    ―――――――――――――

五月十九日

 旅行業法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送付)

 海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)(参議院送付)

同月十七日

 気象事業の整備拡充に関する請願(岩國哲人君紹介)(第二三四四号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第二三四五号)

 同(東門美津子君紹介)(第二三四六号)

 同(松木謙公君紹介)(第二三四七号)

 同(松野信夫君紹介)(第二三四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三七九号)

 同(増子輝彦君紹介)(第二三八〇号)

 同(奥村展三君紹介)(第二四二七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二四二八号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第二四二九号)

 同(和田隆志君紹介)(第二四三〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二四四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)(参議院送付)

 建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)(参議院送付)

 不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長澤井英一君、道路局長佐藤信秋君、自動車交通局長峰久幸義君及び警察庁交通局長人見信男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自民党の寺田でございます。

 四月末の補欠選挙で初当選をさせていただきまして、本日が初質問となります。どうかひとつよろしくお願いを申し上げます。

 さて、私、この選挙期間中もずっと訴えてまいりました、そしてまた、私のライフワークとして取り組んでまいりましたところの地域振興、地域再生の問題につきまして、冒頭、お伺いをいたしたいというふうに思います。

 私、二十四年間の大蔵省におけます経験、そしてまた地方におけます経験、さらには、役所をやめてからも、地元の方々と、地域再生、地域振興の問題につきましては、さまざまな場で意見交換をさせていただいたわけでございます。

 そして、先週、お手元に資料配付をさせていただいておりますが、芸南地域再生プラン、この芸南地域というのは、広島第五選挙区の地域でございます。呉市を初め、竹原市、豊田郡、安芸郡、これら広島県の南部地域の総称でございますが、この地域の再生のためにプランを発表させていただきました。

 大きく四つの柱から成り立っております。

 石原大臣も、大変にお忙しい中、私の同級生として、この芸南地域にお運びをいただいたわけでございます。そして、多くの地元の方々の真摯な御意見、そしてまた地域振興についての思いをこの一枚の紙に落としたわけでございます。

 まず最初に、一番目に、一万人の新規雇用の創出ということを述べております。これは地域の活性化のために、新たな新規雇用の創出、ぜひとも必要でございます。

 具体的に七つの項目が並んでおりますが、最初の積極的な企業誘致、これはいわば新規雇用創出のための伝統的な手法ではございますが、なるたけ元気のいい企業を、しかも、その当該進出企業のニーズに合った形で誘致をしていく。そして、できれば外資系企業、外国の本当に元気のいい会社、ぜひとも誘致をしたいということでございます。

 そして、二番目の観光振興、これはまさに国土交通省の行っております施策とも絡んでまいります。

 この芸南地域、多くの観光資源がございます。また、来年には呉の宝町でも、海事博物館が開館をいたします。また、再来年には、全国で初めての潜水艦の博物館、これも開館予定でございます。そういった新たな観光資源を最大限活用いたしまして、そしてまた、例えば江田島の旧海軍兵学校でございますとか、また倉橋の昔の中国に派遣をした遣唐使の船の製造所、あるいは蒲刈の造船施設、そういったものを周遊コースで結びまして、観光振興、そしてさらにはビジット・ジャパン、海外からも積極的な観光のPR、誘致を行いたいということでございます。

 そして、三番目の若年雇用者の問題。これは、現在我が国におきましても、国の施策として五百三十万人の新規雇用の創出プログラムがございます。ワンストップサービス、そしてまたジョブカフェと呼ばれます新たな形態でもって若年者の雇用をぜひとも喚起していきたい。

 また、四番目の第一次産業、農林水産業の問題。この芸南地域にも多くの農林水産業の従事者、またかんきつ類の振興問題もございます。Iターン、Uターン初め多くの就労者を引きつけることによって、また中山間支援のデカップリングの施策とも相まってこの振興を図ってまいりたい。

 そして、五番目のものづくり支援あるいは各種産業支援並びに産業再生の問題。これは、地域のウエートの大きい建設業の支援、また事業転換の問題、ぜひとも行ってまいりたいと思います。国交省の行っております現在の建設業の支援の施策ともオーバーラップをしてまいる問題でございます。

 また、最後の環境産業、NPOの支援につきましても、五百万人を超えます全国のNPOの従事者がいる中、この呉、芸南地域におきましても多くのNPOが活躍をしております。それらの振興を図ることによって地域の発展、そして、地域再生なくして日本再生なしとの信念のもとに、私はこの一万人の雇用創出にぜひとも取り組んでまいりたい。

 そしてまた、大きな二番目に述べておりますのは、効率的、重点的な社会資本整備でございます。これは、まさに国土交通省が行っております施策そのものでございます。効率的に、めり張りをつけて、総花的でない形で社会資本整備を推進してまいる。

 その際、電子入札の問題、あるいはPFIの問題、さらには今仕掛かりの事業の工期の明確化でありますとか継続事業の早期完了、そしてまた今現在国交省が進めておりますところのコスト縮減策、さらにはBバイC、費用対効果の分析、時のアセス、これは事前と事後の事業評価ということでございます、これらに十分に配意しながら、効率的に、かつ重点的に必要な社会資本整備を行っていくということでございます。特に、これは与野党とも一致した認識でございます、おくれております交通インフラの整備の推進、ぜひともめり張りをつけながら進めてまいりたいというふうに考えている次第であります。

 そして、三番目にありますものづくり支援。これは先ほどの一万人の新規雇用策でも触れましたので、詳細な説明は割愛をさせていただきますが、金融的な手法によって、産業再生法の枠組みも活用しながらこのものづくり支援を進めていく。

 そしてまた、四番目の規制緩和。これは、数々の公的な規制が現在経済活性化の障害になっている。本日のメーンの議題でございます自動車関係のワンストップサービス、これも広い意味で規制緩和でございます。そういったような施策をぜひとも目指してまいりたいというふうに思っております。

 大臣も、直接この芸南地域に運ばれて、芸南地域をごらんになったと思います。この私の芸南地域再生プランにつきまして、大臣の率直な御感想、御評価、そしてまた国交省としていかにこれらの国交省関連の諸課題に取り組んでいかれるのか、まず大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。

石原国務大臣 ただいま寺田委員が御指摘をいただきましたとおり、四番目で御指摘されている規制緩和というものは、今回御議論をいただいております自動車の諸関係手続のワンストップサービスとまさに軌を一にするものだと思いますし、それらのこと以外にも、委員の御指摘にはうなずけるような点が多々あったと思います。

 なぜうなずけるかと申しますと、地域再生については、地域みずからが現場の視点から自立的に取り組む、これは国が意欲的な地域の取り組みを御支援させていただくときの基本であるからでございます。

 昨年でございますか、十二月に地域再生推進のための基本指針というものを政府で決定させていただいたわけですけれども、その中にも、「地域が自ら考え、行動する、国は、これを支援する」ということを基本とするとしっかりと明確に書かせていただいたところでございます。

 委員のこのプランにおきましても観光振興が挙げられていると思います。芸南地域は大変風光明媚な瀬戸内海の地域でもございますので、観光は地域を振興する一つの大きなツールになるということはもう委員の言われているとおりだと思っております。

 政府としても、ビジット・ジャパン・キャンペーンの中で地方と連携して事業を進めている部分がございます。例えば広島の空港でございますけれども、広島―台北間の定期航空便の就航に合わせまして台湾の方の旅行社の方々を招聘していただきまして、中国地方の魅力ある観光資源の紹介を実はさせていただいております。

 地域再生のためには、やはり自助と自立の精神のもとに、委員がこのプランで御指摘いただきましたような、地域の特性や住民のニーズを踏まえて、地域みずからが知恵と工夫により取り組み、進めていくことが重要である。地域を代表する一人として寺田委員がこのようなプランを立てられたということは、地域振興に大きく寄与するのではないかと印象を持たせていただいたところでございます。

寺田(稔)委員 ただいま大臣からも地域振興に対する思い、共有をさせていただくことができました。

 そして、私は、このプランの策定に当たりましては、単に国の施策をなぞるだけでなく、地元の方々の多くの意見、インターネットで募った意見、直接座談会やミニ集会でお伺いした意見、また多くの投書、すべてそれらの地元の意見を踏まえております。

 そして、このプランは、単に芸南地域のみならず、日本各地の地域再生ということにつきましても多くの共通項があるのではないかというふうに感じております。

 その中で、やはり地元の要望として極めて大きい、現在建設中の東広島呉道路のことでございますが、二番目の効率的、重点的な社会資本整備の推進ということにございますこの東呉道路の進捗状況はいかがでしょうか。

 そしてまた、これは今現在、仕掛かりの事業、継続事業でございます。そして、この継続事業につきましては、トータルコスト削減の観点からも、工期を明確化して、なるだけ早期に完成をさせていくことがコストの縮減、そしてまた、地元に対します環境負荷の低減の観点からもぜひとも必要であるというふうに考えますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 東広島呉道路につきましては、広島県の呉市から東広島市の高屋町、延長が三十三キロの自動車専用道路として計画し、事業を実行しているところでございます。

 全体三十三キロ、これにつきまして、三点申し上げたいと思いますが、まず、コスト縮減、こういう意味で、これを四車線でつくりますと総額が大体千九百億円。これを、とにかくつなぐのが先である、こういうことで暫定の二車線、こういう形で、千三百億円、とりあえずの重点整備という観点から、暫定二車線の施行ということを考えているところでございます。

 さらに、もう一つ申し上げたいのでございますが、その中でどういうコスト縮減の工夫をするか、これにつきましては、例えば、従来クローバー形のインターチェンジ構造を立体のY形構造にするとか、あるいはダイヤモンド形にするとか、こういった観点から、工事費を約一割、六十億円ほど、暫定二車線の中の工事費を六十億円ほど削減しよう、こんな努力をしているところでございます。これが二つ目でございます。

 三つ目は、結局、先生御指摘の工期を明確にするとか、重点的に、集中的に投資する、こういう観点が大事だ。こういうことで、千三百億円の事業に対して、例えば、十六年度当初は八十八億円の事業費を投入しておるわけでございますが、それでも、三十三キロ全体の中で重点整備区間をつくっていこう。こういうことで、平成十九年度を目標にしまして、とりあえず呉市から国道二号へのアクセスを強化しよう、こういう観点から、三十三キロの中の七キロ、馬木のインターチェンジから上三永のインターチェンジまで、この七・三キロを十九年度には何とか結んでいこう、こういうことで、全体の事業促進を重点的、集中的に図っていこう、こんなふうな工夫をさせていただいているところでございます。

寺田(稔)委員 本日は、傍聴で地元の関係者の方も多数お見えでございます。今の道路局長の答弁を多として、一日も早いこの道路完成に向けまして、御尽力をいただきたいと思う次第でございます。

 さて、本日の自動車保有関係の諸手続のワンストップサービスでございます。

 これも、私の地域振興の中で掲げました規制緩和の問題と大きく絡んでまいります。また、全国で七千万台を超えます自動車保有者の利用者利便の向上、そしてまた、行政事務の簡素化、これともまさに合致する政策でございます。

 私の再生プランの一番下に、行政事務のアウトソーシングでございますとか、行政のスリム化、そしてまた、民間サイドの活性化を掲げております。まさにそれに沿った政策でありますし、e―Japan重点計画に盛り込まれた最大の目玉政策であるというふうに私は理解をいたしております。

 これは、自動車のオーナーの利便性の向上を図りますとともに、その必要な諸手続を一括して、情報処理組織を活用することによって取りまとめて行う。そのことによりましていわゆるワンストップサービスを実施して、利便向上と、そしてまた事務事業の合理化、スリム化に資していく。そのことがまさに昨年八月八日のe―Japan重点計画で決定を見たところでございまして、このe―Japan重点計画の中におきましても、この自動車保有関係手続について、おおむね二〇〇五年を目標に電子化を行う、それとともに、「二〇〇三年度には、システムの開発を行うとともに、一部地域で、システムの実用化に係る試験運用を行う。」というふうなことになっております。

 まさに、自動車関係者の利用者利便の向上というものが重大の眼目のはずでございます。そうであるならば、一体どのように、具体的にどのようにこの自動車保有関係手続のワンストップサービス化は利用者利便の向上に資するのか、それをなるだけ定量的な形で示す、これがまさに、いかにこの政策が投資に見合った効果を出す政策であるかということを示す最大のPRになるというふうに思っている次第でございます。

 既に五十億近いお金がシステム投資のためにかかっております。そして、多くのマンパワーも費やされております。そういった中で、いかに定量的な形で利用者利便の向上に資するのか、その御所見をお伺いしたいと思います。

峰久政府参考人 まず、このシステムの稼働によりまして、手続に係ります各種行政手続が電子的に一カ所または一回の手続で行われるということであります。そういうことに伴いまして、申請に伴います各行政機関への手間の軽減でありますとか、あるいは添付書類、たくさんございますけれども、これの取得の手間が軽減されるということでございます。

 そういうことで、具体的には、オンラインで、休日も含めて二十四時間申請ができるということがまず大きな効果ではございますが、それと同時に、関係機関への出頭につきましては、今度自動車の検査証の受け取りだけすればいいということになりますので、実際の回数は、現在の六回から二回に軽減されると思っております。それから、手続に要する日数につきましても、実際上の審査に要する日数として六日程度かかると見ておりますが、これが二日程度は短縮されるというふうに思っております。こういう意味で、利用者の利便が向上されると思っております。

 それで、おっしゃいましたように、いろいろな投資額に見合うような行政改革の効果、あるいはユーザーの方々に対する効果、こういうものができるだけわかるように、見えるようにという御指摘でございます。

 これについては、おっしゃるとおりでございまして、いろいろな政策を行います場合に、政策の評価を行うということ、政策の目標を定めて、あるいは政策そのものの評価を行うということが非常に大事なことだと思っております。

 そういう意味で、今御質問のありましたようなユーザーのメリット等に対する効果の話と、それから、あるいは今後、どういう地域で、どういうものが対象で、こういうような申請件数等についてどういうふうになるのか、こういうことをわかりやすく、数字的なことをできるだけ使いながら示していくということが非常に重要なことだと思っております。

寺田(稔)委員 そのようなPR資料をつくるときに、やはりなるだけ定量的な形で、こういうふうなメリットがあるんだと、今、日数が減る話もされましたけれども、具体的に、例えば六日がいつになる、そのことによってどれだけ便利になるのかというのをなるだけわかりやすく示していく努力が必要かと思います。

 今年度より内閣府でモデル事業がスタートいたしております。既に十一の事業につきまして、複数年度にわたって具体的な目標を、しかもアウトカム指標で示して、定量的に、これだけ国民の利便が上がる、国民にとりまして国民福利の向上になるということを示して政策を行う、そのかわり弾力的な予算執行を認めるというモデル事業、十一の事業、九つの省庁でスタートいたしております。その中には、ほとんどがIT関連のe―Govの事業、あるいは経産省のワンストップサービスも含まれております。そういった中では、そういった定量的なアウトカム目標を立てるということでやっております。

 このワンストップサービスにつきましても、ぜひともそういう形で、アウトカム指標を立てて、最近はいろいろな手法が開発されております。EVMと呼ばれる手法、あるいはABCと呼ばれる手法、さまざまな手法で利用者利便の向上が定量的にわかるわけです。あるいは、利用者に対しましてアンケートをとることによって、利用者の八割がこの政策に満足していますと、そういうふうなアンケート手法も現在かなり精緻で客観的な手法で開発をされております。

 そういったような、アウトカム指標を立てて、モデル事業的に事業をフォローして、目標合致を目指していく、そういうふうなことにつきまして、御所見をお伺いしたいと思います。

峰久政府参考人 今おっしゃいましたように、予算編成の改革の試行的な事例としてモデル事業が行われて、そこで政策目標を定量的に示すということが行われております。先ほど申し上げましたが、政策を実行する上で目標を定め、その評価をしていくというのは非常に重要だと思っております。

 今おっしゃいましたようなことをいろいろ研究しながら、このワンストップサービスに関する効果等につきましても、アウトカム目標を設定できるようにいろいろ検討していきたいと思っております。

寺田(稔)委員 既に経産省では、同様のe―Govの事業、ワンストップサービスの申請・届出の電子化の事業につきましては、EVMの手法を使いまして、これは具体的に、すべてのこれまでかかっておった作業を単位化して、例えば電子化によってここの作業は割愛できる、この作業は半減する、すべてマンパワー、必要な単位コストを割り振ることによって、例えば全体のEVM総コストを三割減にする、そういう目標を立てているわけでございます。

 ぜひとも、e―Japan重点計画の最重点の政策でありますこの自動車関係のワンストップサービスについても、当然のことながら、そのようなアウトカム指標が立てられるべきであると思います。早期にこの目標の設置、そしてその公表をお願いしたいと思います。

 また、これは先ほども申しましたように、IT関連事業でございます。当然のことながら、電子化の手続でございますから、総投資額に見合うだけの、あるいはそれ以上の行革効果ないしは内部事務の合理化効果を出すべきであるというふうに考えますが、本事業の実施によりまして一体どれだけの行革効果が出るのか、これもできるだけ定量的にお答えをいただきたいと思います。

峰久政府参考人 このワンストップサービス自体は、自動車のユーザーの負担の軽減ということと、それから行政事務の効率化、こういうことを主として目指しておりますが、そのうち、自動車のユーザーのメリットについては、先ほど申し上げましたような、関係行政機関へ行く回数でありますとか、それから日数の関係で申し上げました。

 それから、あわせまして今回、民間の証明書情報、これを電子化するという手続を定めておりますけれども、自動車メーカー等におきましても、証明書のペーパーレス化などによりまして、実質的に、印刷、発行管理、販売店への郵送、あるいはそれに伴う仕分け作業、こういうことで物すごいコストがかかっております。こういうことに関するコスト削減効果が大きいものというふうに思っております。

 それから、行政事務の効率化につきましても、今回のワンストップサービス化によりまして、実際に登録官が申請の際に申請書の記載事項の確認をやったり、あるいは必要な添付書類があるかどうかという確認を行ったり、こういうことを行っておりますが、こういうものについてシステムによって実施することが可能となるということでございますので、これは、広く一般的に普及するようになりますと、行政事務の効率化あるいは事務の縮減というものが図られていくというように思っております。

 これが数量的に、開発効果に対してどのぐらいの、何時間、何億円の効果があるというのはなかなか申し上げにくいところがありますけれども、こういう意味での自動車ユーザー、関係業界あるいは行政、それぞれについてのメリットが出るというように思っております。

寺田(稔)委員 行革効果をぜひとも出していただきたいわけです。

 しかし、本システムにつきましては、実は中核でありますところの運輸支局のMOTASシステム、これはいわば旧式のレガシーシステムによっているわけでございます。まさに、今問題になっておりますレガシーシステムでございます。しかも、多くのシステムをインターフェースでつないでいるというシステム上の非効率の問題もあるわけでございます。

 そして現在、運輸支局のMOTASシステムにつきましては、レガシーシステムと同様の残債の問題でございますとか、システムダウンリスクの問題でありますとか、さらには連接上の問題、また個人情報管理上の問題、さまざまな問題が指摘をされております。

 その旧式のシステムに乗っかって現在システム構築をされようとしているわけですけれども、この点についてはいかに改善がなされていくのか、お伺いをしたいと思います。

峰久政府参考人 自動車の登録検査業務の電子情報処理システム、これをMOTASと呼んでおりますけれども、これにつきましては、おっしゃるようにレガシーシステムということになっております。これについて、システムの最適化をどうしていくかということにつきまして、平成十五年の七月の電子政府構築計画の中でも、レガシーシステム一般の見直しに係るということでございますが、行動計画を策定するということになっております。

 それで、この行動計画におきましては、我々のMOTASにつきましても、学識経験者をメンバーとしましてMOTAS刷新可能性検討委員会というものを設置しておりまして、十六年度中に、外部の調査機関により、システムの効率性あるいは経済性等の視点による刷新の可能性の調査を実施することにしておりまして、それで十七年度中に最適化計画を策定し、十八年度の末までに、関係機関と協議の上、この最適化の実施について結論していく、こういう形での検証と将来の計画を立てていくこととしております。

寺田(稔)委員 そういうことでありますと、総投資コストがこれはもう五十億で済まなくなってしまうわけですね。新たなシステム換装ということになりますと、またゼロからやり直すということになりますと、相当な多額の投資がかかる。そうであれば、まさに国交省が今やっておりますところのBバイCの分析でございますとか必要な行革効果を出す上でも、ぜひともますます早急にこのシステムの問題に取り組んでいただいて、総コストを明示していただきたいというふうに思うわけでございます。

 また、先ほど申しました個人情報管理の問題につきましても、最近、官民を問わず、多くの情報処理機関で情報漏えいが起きております。この情報漏えいを防ぐためにも厳格な個人情報の管理というのは不可欠でございますが、それについてはいかなる方策をお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

峰久政府参考人 ワンストップサービスシステムにつきましては、電子政府にふさわしいシステム面あるいは運用面の両面から、高水準なセキュリティー対策を行う必要があるというように思っております。

 具体的な対策としましては、システム面につきましては、ワンストップサービスの場合は、定型的な情報のやりとりでございますので、これに特化した厳格なファイアウオールを設置するなどした、外部からの不正アクセスを防止するということ。

 あるいは、システムの内部を役割に応じて分割、セグメント化して、そのセグメント間においてもファイアウオールを設ける、そういうふうなセグメントを越えたウイルスの侵入、あるいはそういうものに対する被害の防止を図るということ。

 それから、個人情報が含まれる申請情報でございますので、公的個人認証の仕組みによって、秘密かぎを用いた電子署名、あるいは通信の際にはSSL暗号化を行う、こういうことを用いながら、他人の成り済まし防止あるいは改ざん防止、こういうものを図るようにしております。

 あわせて、運用面におきましても、識別番号あるいは暗証番号によりまして運用者を確認して、操作記録を定期的に収集、監査するための記録、これを用意しております。それから、いろいろなバックアップ体制、トラブル発生時の対応策、こういうことについての対策を講じることにしております。

 また、IT社会が進展することに伴いまして、個人情報の保護法制としても、十五年に行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等々、いろいろ法律の整備も行われてきているところでございます。

寺田(稔)委員 確かに、ファイアウオールを立てたりとか暗証化したりするというのは有効な施策でしょう。

 しかし、一昨年、防衛庁で起きました情報漏えい事件、御記憶に新しいと思います。これはまさに、システムを構築化した者、システム構築者みずからが漏えいをしてしまったわけですね。

 防衛庁の場合だと、富士通及びその子会社でございまして、幾ら厳格にファイアウオールを立てても、パスワードをつくっても、システムを構築した者、すなわち手のうちを知っている者が、その手のうちをばらしてしまう、IPアドレスをばらしてしまう、あるいはさまざまなファイアウオールの立て方もばらしてしまう。そのことに対して本当に十分な対応をお考えなのでしょうか。つまり、そのことが起きないという保証が本当にあるかどうか、お伺いをしたいと思います。

峰久政府参考人 システム面とかあるいは運用面の対策は、先ほど申し上げたとおりでございます。

 これは、実際上の漏えいがあった場合の罰則等の観点から申し上げますと、行政機関からの委託を受けて受託業務をやっている、その受託業務に関しまして情報漏えいをした場合については、先ほど申し上げました十五年に成立した行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、これによりまして、行政機関の職員と同等の懲役、罰金等の罰則がかかるように、これは十七年の四月から適用になっております。こういうことで対応も相当できるものであるというように思っております。

寺田(稔)委員 罰則というのは、いわば事後的な対応ですよね。それによって事前にそういう漏えいが起きないという保証は全くないということでございます。

 現に、防衛庁の事案におきましても、厳格な社内ルールもあった、そして守秘義務もかかっていたわけです。ところが、今回のものにつきましては、特に登録情報処理機関につきましては守秘義務すらかかっておらない、すべて法によりまして省令にゆだねられているという体制ですので、まさに、省令をおつくりになる大臣がいかに厳格に情報管理の問題をやっていくかということにかかっているわけです。

 この情報管理の問題について、ほかにも多くの質問を用意しておりましたが、時間の関係で割愛をいたします。

 最後に大臣に、個人情報管理の問題、るる指摘をしてまいりましたが、これらの議論も踏まえまして、大臣として、いかに個人情報管理の厳格化に向けた取り組みを行われるのか、その御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま寺田委員は、要するに防衛庁のシステムの構築に携わった方の情報漏えいのお話をされましたが、そのほかにも、ちょっと拾ってみましたら、二〇〇三年の十二月に東武鉄道で十三万件、二〇〇四年の一月にソフトバンクで四百五十一万件、三月にジャパネットたかたで六十六万件、三月にアッカ・ネットワークスで百四十万件、こんなに情報が漏えいしてしまう。

 大量の情報がインターネットを経由して行われるわけでございますので、委員が御指摘されました情報の安全性の確保というのは実は最重要課題であると私も考えております。

 そのため、このワンストップサービスでのファイアウオールの設置、これは技術面でございます、あるいは運用面での暗証番号等々いろいろな施策というものを講じさせていただいておりますけれども、本法案の中におきましても、情報の安全管理に関する国の定める基準に適合することを今度は義務づけるというようなことで、国と同様の対策を講ずることを強く指摘させていただいているところでございます。

 そうはいいましても、先ほど委員御指摘のように、機密を保持する責任者が情報を漏らすようなことがありますから、そういう人事面の等々も含めまして、システムのセキュリティーや個人の情報保護に万全を期してまいりたい、こんなふうに考えております。

寺田(稔)委員 まさに、一たん事が起きますともう取り返しのつかないことになってしまいますので、くれぐれも厳格な情報管理、切にお願いを申し上げまして、私からの質問を終えたいと思います。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。

 私からは、議題となっております自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この法案につきましては、今政府が掲げておられますe―Japanを推進していく上での一つのモデルでありますし、また、かねてから懸案でありましたいわゆるワンストップサービスをいかに我が国において実現していくかというかなめの法案であるというふうに理解しております。

 その上で、今、先ほど議論になっておりましたとおり、四十億円を超える費用を投資し、そして、その携わる方々もいるわけでありまして、行政の効率化、迅速化、あるいは安全化、国民が今求めているのはこの安全の領域が大変大きいと思っています、等々から、いかにしてこのワンストップサービスを通じて国民に向けての行政サービスを向上していこうとなさっておられるのか、まず、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま古本委員が御指摘されましたように、e―Japanの重点計画の中でも、こういう取り組みというものをやっていかなければならない、既存の制度、慣行の見直しによって国民生活の利便性の向上を図るということが目的として掲げられているわけでございます。

 ただいま御審議をいただいておりますこの自動車関係諸手続のワンストップサービスにつきましても、事務等々のコンピューターによる自動化を検討しているわけでございます。これによりまして、事務処理の効率化、迅速化が可能となる。そして、ただいま御同僚の寺田委員の御議論の中でもありましたように、このセキュリティーに万全を期すことによりまして、偽造書面やあるいは情報漏えいというものがないような安全対策を従来にも増してとることができますし、また、それを心がけていかなければならないと思っております。

 こういう問題は、だれにメリットがあるのか、いろいろ考えますと、やはりこの諸手続、大変面倒くさいわけでございますので、ユーザーが自分でやるということはなかなかない。しかし、これが定着してくれば、自動車ユーザーがみずから行うこともできますし、手続に要する時間や手間というものを割愛できるメリットがある、こういうふうに位置づけさせていただいているところでございます。

古本委員 ありがとうございます。

 今大臣からお話がありました。自動車ユーザーがみずからそういう登録の実務をできるようになればいい。

 あるいは、今現実問題、ユーザーという、このシステムのユーザーという概念で申し上げれば、自動車メーカーもユーザーでしょうし、そこから送り出された車をお客様に販売する販売店の方々、販売会社の方々もシステムのユーザーでしょうし、何よりもそれを買っていただくお客様が最大のユーザーでありますし、そのお客様が納めた税金でいろいろな行政のサービスを提供する立場にある国交省や、かかわる各県税事務所、あるいは車庫証明を出す警察署、それぞれもいわばこのシステムのユーザーだと思っています。

 そういう意味で、私は、この法案が通った暁には、今、実は自動車というのは、販売会社さん、いわゆるディーラーさん、店頭に車があったとして、普通はできたてほやほやが工場から流れてくると思うんですが、ディーラーの店頭にあったとして、実質登録するのに一週間かかるわけです。これは何をか言わん、車庫証明とこの登録にかかるわけであります、運輸支局にそれだけ工数がかかっているわけであります。

 その意味で、私は、国民の皆様、かかわるビジネスチャンスを逸しないという意味、いろいろな意味を含めまして、この一週間の期間をいかに短縮していくかということが議論の一つのかなめになると思っています。

 その意味で、きょうは議論の柱を二、三構えたいと思っていますが、一つ目は、サービスの向上という意味で、このスピードアップをいかに図っていくか。

 現在、平均で一週間かかって、実際によれば、車庫証明で印紙が張っただの張っていないだの、滑った、転んだ、いろいろあれば、これはまた出し直してくださいと言われて、またがっくりして二週間かかったとか、いろいろあるんです、こういう話は。そういう中で電子化されたら、非常にスムーズにいくと期待しています。

 その意味で、どうやってこの一週間を短縮していくのか、具体的な目標等々聞かせていただきたいと思います。

峰久政府参考人 このワンストップサービスシステムが稼働しますと、申請によりまして電子的に一カ所あるいは一回の手続で行うということで、いろいろな手間の軽減、あるいはいろいろな添付書類の取得が要らなくなる、こういう形でユーザーにとっても非常に負担が大きく軽減されるということだと思っております。

 具体的には、オンラインで休日も含めて二十四時間三百六十五日の申請が可能となりますので、審査は平日に行うということにはなりますが、申請自体は二十四時間いつでもできるということになります。

 それと同時に、出頭が不要になりますので、今現在申請に行ったりあるいは許可をもらってきたりいろいろするのが各役所に六回ほど行かなければいけないということになっておりますけれども、これが二回に軽減されるということでございます。

 それと同時に、手続に要する日数で、スピードの問題でございますけれども、これは実際の審査にかかる、実際の審査日ということでございますが、六日程度かかっておりますけれども、これが二日前後は短縮できるというふうに思っております。もちろん、休日でないと申請に行けない方などが手続に要する日数がこれ以上かかっている場合には、さらに短縮が可能だというふうに思っております。

 こういう意味でのスピードアップというものにはつながっていくものと思っております。

古本委員 ここ、実は肝の部分ですので、もう少しお伺いしたいと思います。

 今、運輸支局に行っていわゆるそういう新規での登録をする際に、あるいは所有権の移転の登録でも何でもいいですが、要するに、運輸支局で登録する際のこの業務が電子化された暁には、例えば今書類を確認したり印紙を張っているかどうか見たり、こういう判こを押したり、そういう係の方が、係官がどれだけ削減されるようになるのでしょうか。そして、その方々の実務の煩雑性がどれだけ工夫されて、より期間を短縮することにつながるようになるのでしょうか。

峰久政府参考人 主として行政事務の効率化の観点のことでございますけれども、これにつきましては、現行出頭申請の際には登録官が申請書の記載事項を目で確認している、あるいは必要な添付書類があるかどうかということを確認するということ、それから申請書と添付書類の内容が合っているのか、そういうような確認を実際にやっております。こういうことにつきましては、システムが稼働することによってその短縮、あるいは省くことができるということでございます。

 そういう意味での事務処理の短縮が可能というふうになると思っております。

古本委員 先ほどの委員の質問の答弁でもありましたが、実に自動車は今七千万台を超える、八千万台近い国民のなくてはならない道具といいますか財産になっているという話でありましたが、実は、車両の登録台数でいきますと、新車の登録台数です、いわゆる除軽です。除軽でいいますと、ちょうど十年前、九四年には四百九十一万台国内でありましたが、二〇〇三年、昨年実績では、最終の締めで四百三万台であります。実に二〇%国内の登録台数は減っているんですね。これは恐らくバブルがはじけた以降いろいろな事情で国内市場が長く低迷してきた中でこういう結果になっている等々、これは御専門の方の分析にゆだねたいと思いますが、いずれにせよ事実として二〇%減っているんです。

 一方で、検査、登録にかかわる運輸支局の検査要員の数でいけば、同年、九四年にはちょうど千九十九人でありました。これは国交省からいただいている数字です。ところが、二〇〇三年、実に二〇%、車検の登録をしなきゃいけない車が百万台近く国内では減っているんです、にもかかわらず千十八人いらっしゃいます、同じ千人台です。単純に計算すれば約八%の人員削減、これは自然減なのかいろいろな行政効率化による減なのかはわかりませんが。

 要するに、そういう中にあって新たに四十五億の投資をして、そしてその効率化を図ろうと今なさっているし、国民も多分期待なさっている。となると、これはもう一週間をいかに短縮していくか、あるいはそこで浮いた人を本当に求められるところに持っていくか、こういうことで行政はそのパフォーマンスを発揮していかないと、なかなか国民世論の支持は得られない局面に今来ていると思うんですね。

 この辺について感想をお聞かせいただきたいと思います。

峰久政府参考人 実際の仕事量とそれから要員のことでございますけれども、これは検査と登録、合わせまして考えてみますと、新規検査なども今は五百万件ぐらいというふうになっておりますけれども、トータルの量で、継続検査でありますとかあるいは構造等の変更検査あるいはいろいろなことを見ますと二千八百万件ぐらいで、ここのところ同等程度で推移しております。

 それと同時に、登録の件数につきましても、新規登録件数は五百万件ぐらいでありますが、あと移転、変更登録などを含めまして千八百万件ぐらいということで、最近五年ぐらいを見ますと、実際上の件数というのは一定量で推移しているかなと思っております。

 一方、おっしゃいましたように、定員削減等によりまして、登録部門では一六%ぐらい、あるいは検査部門では一四%ぐらい下がっているというのが現状でございます。

 いずれにしましても、おっしゃいましたようなワンストップサービス化等々を含めまして事務の合理化を図りながら、そこのところで削減をしながらいろいろな効率化を図っていかなきゃいけないということについてはおっしゃるとおりだというふうに思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 それでは少し、ただいまの議論をおさらいしまして、確認です。

 この四十五億にも上る投資をした暁には、全国のその電子化に伴う部分の、これまで人力に頼っていた業務を電子化することに伴った効率化を図った以降、何人の行政コストを削減する御計画があるのか、端的な数字でお答えいただきたいと思います。計画がなければないでも結構であります。

峰久政府参考人 今の行政の人員の計画については、数字的には今ちょっと計算できておりません。

 と申し上げますのは、今のところ、先ほど申し上げました形で、ある程度のシステム化をすることによって事務処理の短縮は可能でございますけれども、実際の審査事務につきましては、今後も審査事務でありますとかあるいは現物の自動車検査証の返付等電子化できない添付書類の作業がございます。そういうことでありますし、それから、全国にこのワンストップサービスが広がるには、普及するにはもう少し時間がかかるということでございまして、当面、そういう意味での登録業務要員の見通しにつきましては、その導入後の実際の事務の効果化、この辺を見ながら、進捗状況を見ながら見きわめていきたいと思っております。

 いずれにしても、長期的なところにおいては、事務が合理化されることによって人員等についても少なくて済むようになるというふうに思っております。

古本委員 それでは、少し観点の柱を幾つか構えたいと申しましたが、別の観点に、今の議論を継続させながら伺いたいと思います。

 これは、スケールメリットという観点であります。

 これは、きょう大臣もいらっしゃいますので、ETCの二の舞は踏まない方がいいと思うんです。轍は踏まない方がいいと思っております。

 その心は、やはりこれだけのシステム開発費を投入して、あるいはそれにかかわるシステムユーザーたるや、全国で見れば、自動車を買われるお客さんだけじゃないんです、このシステムユーザーというのは。申し上げたとおり、損保会社からメーカーから販売店から、そして官庁の警察署から、全国千二百余の警察署から、全部に影響するんです、はずなんですね、影響させなきゃいけないんです。でなければ、この指にとまってくださいと言って、それにとまった人だけスタートしたんではなかなかメリットは享受できないというふうに思うんですね。

 これはやはりスケールメリットで、この四十五億を投資した分は全国四十七都道府県が一斉に導入をして、一斉というのは、最初トライをしなきゃいけないでしょうから、徐々に、その期間を要したとしても、例えば五カ年計画だとかあるいは三カ年計画とかで、必ずや全国のシステムユーザーが漏れなくそのサービスを享受できるような構えにしていくということでないと、私は、ETCは今道路局初め大変な御努力でその普及に努めておられますが、これは最初が肝心だと思っています。

 その意味で、この四十五億の対象になっているのは、どこまでが対象になっていますか。これは、どこまでというのは、都道府県という単位なのか、運輸支局という単位がいいのか、少し整理をしながらお答えいただけるとありがたいです。警察庁の部分につきましてはまた後ほどお伺いしたいと思っています。

峰久政府参考人 このサービスへの参画地域を広げなければ意味がないという御指摘でございます。

 これの参画地域につきましては、自動車税等の都道府県税でありますとか、あるいは都道府県警察の保管場所証明との連携が可能なシステム、これを整備することが不可欠でございます。

 それで、今十五年度、十六年度の試験運用期間中でございまして、これは、試験運用として東京、神奈川、大阪などの六―八地域、こういうところでの参画は見込まれておりまして、総務省を通じまして、この辺についてはより多くの都道府県が参加するように働きかけていきたいと思っております。

 それで、今後三カ年なり五カ年ですべてについてということでございますけれども、それは今後、当初につきましてはそういう意味で段階的になりますけれども、できるだけ早い時期、数年を目標に全国の地域で使えるようにしたいと思っております。

 それから、四十五億といいますのは、国土交通省関係だけじゃなくて、地方公共団体あるいは警察、こういうものを含んだところの開発経費でございます。

古本委員 そうしますと、今、数字の確認ですが、全国千二百六十九ある警察署が車庫証明の業務を電子化するためにかかる費用も含まれているということですか。

峰久政府参考人 基本的には含まれているということでございます。

 こちらのワンストップサービスとの関連で必要なサーバー等のところが入っているということで、それぞれのところが独自の政策として、あるいは運輸支局でありますとそのつなぐところについて、当面はございませんけれども、改良しなきゃいけないとか、そういう意味でのところは独自のシステムになるとは思いますが、今回のということで新たに必要となるサーバー等のところについてまではこれに含まれているということでございます。

古本委員 ありがとうございます。

 警察庁の方からいただいております数字によりますと、平成十三年度から十七年度のサービス開始まで、既に累計で三億円の自動車保有関係手続のワンストップサービスに係る警察庁単独事業ということで要しておられるというふうに伺っております。

 これは、恐らくシステムのホストコンピューターを国交省の方で中央にいただいて、その下にぶら下がる全国の警察署が、警察官の方が車庫証明の申請を今まで人力でやっていた分を電子化するというのは、各署に配備しなきゃいけないでしょうから、その分が実はこの三億円で賄えているのか。はたまた、モデルでやろうとなさっている、まず東京、神奈川で立ち上げかかっているというふうに伺っていますので、この三億というのは、東京、警視庁と神奈川県警分だけなのか。

 少しその辺について、警察庁からきょうも来ていただいていますので、お伺いをしたいと思います。

人見政府参考人 警視庁と神奈川の関係の分でございますと、平成十五年度予算で、私ども予算額として八千九百万円を積み上げさせていただきました。

 なお、三億円と申しますのは、十六年度予算あるいはこれまでにかかった予算を含めてかと思いますが、十六年度は、ちなみに、さらに追加として六地域を予定しているところでございます。

古本委員 確認ですが、そうしますと、警視庁と神奈川県警、そしてプラス六県で、都合八県が今回のワンストップサービスに伴う車庫証明の電子化にとりあえず手を挙げておられる警察本部、県警本部。引き算して残り三十九県の都道府県本部についてはまだ名乗りを上げておられない、こういう理解で正しいでしょうか。

人見政府参考人 十五年度では警視庁と神奈川県、それから十六年度は六県を追加予定でございますが、まだ確定していない部分もございます。ですから、十五年度、十六年度で合計八地域を予定してございますが、今のところ、すべての八地域の府県の名前が確定しているわけではございません。

古本委員 きょう、委員の方々、皆さんは公用車の黒塗りのすごいのに乗っておられる人が多いでしょうからあれですけれども、多分、みずから、学生時代か何か車庫証明をとりに行った方がおられるかどうかわかりませんが、ぜひ行っていただきたいと思うんですね。私は自分で車庫証明をとったことがあります。これは大変なんです。地図をかいて持っていって、係官の方にお願いをして、またもらいに行ってというこの作業があるわけですね。これが電子化されるというのは、言うならばもう画期的なことなんです。

 ならば、どうして、今回のこのスタート時点で、しかも、e―Japanだと小泉内閣が言うのであれば、政府の目玉の一つだと言われるのであれば、どうして四十七都道府県並びに県警並びに県税事務所が一気呵成に、これはいい話なんです、やれるようにしないのか。しかも、そのビジョンを今の時点で、三カ年が仮に厳しければ、せめて五カ年です、世の中の常識で五カ年計画を持っていないプロジェクトなんて聞いたら、もうあきれちゃいます。

 その辺で、ぜひ、政府参考人でありますのでなかなかお答えの限りがあるかもしれませんが、今後の御計画について、少なくともこの三億には残り三十九の都道府県は入っていないわけですからね。今の御答弁ですとそういう理解ですから、ぜひそういうことを広げていただくように御尽力をいただきたいと思います。これは国民の願いだと思っています。

峰久政府参考人 今回のワンストップサービスを導入するに際しましては、非常に複雑で大きなシステムで、それから件数も非常に多いということでございますので、そういう意味で、やはり取っかかりは、システム自体の安定的な稼働が最初スタートできるようにということ、そういうことも見ながら、それと同時に、じゃ、どういうところからやり、あるいはどういう地域から始め、どういう対象からやっていくのが効果的か、こういうことから始めて、徐々にやっていく計画になっているわけでございます。

 ただ、これにつきましては、基本的にできるだけ早くすべての国民の方々がこのサービスを利用できるようにするということが、当然、我々もそういうことを考えておりますので、おっしゃいましたように、法案ができましたら、その辺の、いつごろまでにどういう計画をするんだという、こういうことについては詰めていきたいと思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういう意味では、国を挙げて、全国の都道府県が漏れなくついてきていただけるような中央のリーダーシップを発揮していただきたいなというふうに思います。

 少しその議論の柱を幾つかというふうに申し上げたわけですが、少し別の観点から申し上げたいと思います。安全の観点であります。

 これは、ユーザーの立場に立ったワンストップシステム、サービスの向上等々を考えますと、先ほど政府参考人の方から、この行政事務の効率化を図っていく上では、かつては判こを押したり印紙を確認したりという、目で見たりという、これは人力に頼っていたわけです。これは、言うならば労働集約型であった部分を装置化するわけですよね、機械を導入するわけですから。

 それが広がっていくことによってその効果が上がるというふうに先ほどおっしゃいました。これはそのとおりだと思います。これはまさにスケールメリットです。どんどんと電子化を漏れなく、全国の県税事務所、あるいは警察署、あるいは自動車の販売会社さん、それぞれのシステムユーザーが漏れなくこのサービスに乗っかっていくということが、より全体での効果を上げていくことができると思っているんですね。

 そうしたときに、今、国民的感情、世論の中で、私は、安全の領域に関しては、行政は何の遠慮もなく、どんどんとお金も人も使えばいいと思っているんです。具体的にこの議題となっています自動車のワンストップサービス関連で申し上げれば、車両の盗難であります。

 実は、これもホームページ等々に載っていますのでそのままのデータでありますが、自動車の盗難台数、警察庁、国交省資料から起こしますと、実は、データがある九六年ベースでいきますと、年間の自動車盗難台数は、これは確認できた台数ですよ、ですから実際にはもっとあるのかもしれませんが、確認ベースで三万三千七百二十余台だったんですね。これが、わずかに十年足らず、二〇〇三年には六万四千余台、倍増しております。

 一方、国交省の陸運支局検査要員の方々でありますが、先ほど申し上げたとおり、この意味では数字は変わっていませんね。この意味では、台当たりの一人の処理件数、これは、盗難に遭った車がそのままどこかロシアか何かに持って行かれる、中国か何かに持って行かれる、そういう車もあるんでしょうけれども、国内で流通する可能性もこれは否めないと思っています。

 その前提に立てば、盗難された車が、これは係官にとって見れば、水際でいかに、買われた方は善意の第三者かもしれませんが、少なくともそういった車が登録されることを未然に防ぐ。そういう意味においては、九十六年当時は、一人年間そういう車に出くわす機会は三十台だったんです、これは係官でパー割りすれば三十台。これが、昨年の直近でいけば、実に単純に割り算すれば六十三台に膨れ上がっています。つまり、一人一人の係官は大変御苦労なさっていると私は思うんです。

 フレームナンバーの刻印を、打刻を偽造して、それをいかに見抜くかとか、これはもうたくみの世界です。そういうところにこそ、人を強化して、配置して、もっと言うならば警察庁との連携を強化して、盗難に遭った車両届のあった車両の個別の情報を運輸支局にオンタイムで流して、それで互いにそれを水際で防ぐ等々、そういったことであれば、私は、行政はコストを費やすべきだと思いますし、電子化に伴って効率化を図った分をこういうところに持っていっている、こういう努力ぶりを国民に対しお示しをいただければ、ああ、e―Japanっていいな、こういう話になるわけであります。その辺で御所見をお伺いしたいと思います。

峰久政府参考人 登録に係ります要員がどれだけ必要か、あるいはなるかという、これは先ほど申し上げましたように、今しばらく、導入後の効果を見て判断しなければいけないということでございますが、将来的には、このワンストップサービスによります人員の削減効果を安全対策を含めました重要な課題のところに投入していくことは可能だろうというふうに思っております。

 それと同時に、今おっしゃいました安全対策が非常に重要な問題でございまして、盗難車対策自体につきまして、国土交通省としては、イモビライザーを普及促進したり、あるいは抹消登録制度に係って道路運送車両法の改正などをやってきております。それから、今おっしゃいましたような盗難車の不正な登録を未然に防止する、そういうために、警察から盗難車に関する情報の提供を受けて、これを自動車の検査登録システムに記録するなどの対策を講じていくという、これについては今お互いに検討中でございます。

 そういうことも含めまして、あるいは、さらには、ワンストップサービスが積極的に活用されますと、印鑑証明書とか印紙税の電子化がされる、こういうことで偽造書面等の入る余地が少なくなってくる、そういう意味でも、そういう盗難車対策等についての効果もあるものと思っております。

 いずれにしましても、連携をとりながら、こういう登録業務等におきましても、盗難車の不正登録を未然に防止するような施策を進めていくこととしております。

古本委員 これは、国民的な損失でいけば物すごいんですよ。実は、大変な高級車がねらわれる可能性が高いんですけれども、みんな保険に入っています。何が起こるかというと、これは、そういう悪のスパイラルに、連鎖に入っちゃうんですね。保険に入っていますので、損保会社は大変な負担がふえます。次に何が起こるって、保険料が上がるんですね。結局、これは国民経済的な大きなロスなんです。

 ですから、電子化するメリットを享受するならば、私は、この分野について、国民のみずからの愛車が盗まれるというこの悲劇を未然に防止するという意味では、ぜひ、運輸支局の出先、水際、現場ですから、この現場でいかに警察庁の現場と、そういう意味では県警本部、各警察署との連携を図っていくかということが大事だと思いますし、巧みになっているいろいろなにせ申請書を、要するに車検証の偽造をするわけですから、それを見抜くためのシステムをいかにこの電子化の中に織り込んでいくかとか、それは、フレームナンバーの打刻を手でなぞってこれがどうか見抜くなんというのは、申し上げたとおり、もうたくみの世界です。せっかく電子化するんですから、そういうやからが、これは手ごわいぞ、なかなか日本の車の登録というのは、これはできぬぞというふうになるようにぜひやっていただきたい。

 そういう意味で、警察庁の方からも御決意をお伺いしたいと思います。

人見政府参考人 盗難自動車の不正登録を防止するため、先ほど国土交通省の方から御答弁申し上げましたように、現在、警察庁が有しております盗難自動車に関する情報を運輸支局等と共有することが重要であるということから、十六年度において、警察庁が有する盗難自動車に関する情報、これをオンラインで迅速に国土交通省に提供するための予算が措置されましたことから、現在、国土交通省の方と連携しまして、オンラインによる情報提供へ向けた作業を行っているところであります。

 いずれにしましても、自動車盗難対策というのは警察にとって大変大きな課題であると受けとめておりますので、現在、犯罪の抑止対策等も含めまして推進しているところでございます。

古本委員 ありがとうございます。

 きょう指摘を申し上げた点につきましては、省庁横断的に、枠を超えて、本件のリーダーである国交省がぜひそのリーダーシップを発揮していただきながら、関係する各機関に働きかけをいただきたいと思いますし、警察庁におかれましても、国民が安全に暮らせる、いや、一夜明けて、翌日車庫を見たら車がなくなっているというのは、これはなかなかショックですよ。これをいかに防いでいくかというのはまさに警察庁の出番であるというふうに私は思っていますので、重ねてお願いを申し上げるところであります。

 柱のもう一点ですね、もう一つお伺いをしたいと思うんですが、このワンストップサービス法案につきまして、実は課題があります。これは、実は車両というのは、これは今議論になっているのは新規の登録だけだというふうに理解しています。

 すなわち、中古車ですとかあるいは軽自動車、さらには自動車を廃車するとき、自動車の一生というのは、工場から出てきて、販売店さんでかぎをもらって、納車して、乗って、それで買いかえて、新しい車に乗りかえたときに、それを廃車したときに、愛車にお別れをして、それで廃車していくわけです。そのそれぞれに手続があるんです。

 なぜ今回の法案においてそれが一体的に織り込まれていないのか。あるいは、織り込むべく、今回の普通乗用車の新車登録を一つのステップに今後広げていくんだという御決意であれば、あわせてお伺いをしたいです。

峰久政府参考人 対象の手続につきましては、おっしゃいましたように、新規登録の検査、あるいは移転登録、変更登録、抹消登録、それから軽自動車の問題がございます。それについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、十七年の稼働時におきましては、システムの安定的な稼働を目指すということを中心に、試験運用などをやりながらその対象を絞っているわけでございます。そういう意味で、最初の段階では新規の登録を中心に考えております。

 その先に、移転とか変更登録等についても、当然、将来的にといいますか、我々、対象手続は当然そう思っておりますが、直ちにできない理由をちょっと申し上げますと、課題としまして、移転及び変更登録等につきましては、検査証でありますとかナンバープレートの返納といった電子化できないものの取り扱い、これをどういうタイミングでやるかというような実態面の、運用面の問題をいま少し整理する必要があります。

 それと同時に、抹消登録につきましては、実は十七年からリサイクル制度が開始されるようになっておりまして、これに伴って、一時抹消登録でありますとか、輸出の抹消登録、これが新たな手続に変わっていくということで、これを今、どういう手続でリサイクル法に対応していくかということを、リサイクルの関連の仕事と同時にこういう登録等についても検討しているところでございまして、この辺を待って電子化についてもやっていく必要があるということで、十七年のスタートをどうするかということを決めながらしなければいけないということがございます。

 それから、同時に、軽自動車につきましては、軽自動車税が市区町村の税になっておりまして、この辺のシステムとどう連携するかということがありますと同時に、登録といいますか、今は、軽につきましては、軽自動車検査協会においてこの検査をやっているわけでございますが、そこのところについてまだ十分な電子化ができておりませんので、その辺をあわせながらやっていく必要がある。

 こういうことで、当面のスタートとしては、現時点においては新規登録、検査のことを中心に考えているわけでございますが、今申し上げた手続すべてについて、先ほどの課題を解決しながらすべてやっていくようにしていきたいと思っております。

古本委員 当面の計画ということでありますので、これはぜひ、ただいま御指摘申し上げた部分につきまして、行政サービスのウイングを広げられるようにお取り組みをいただきたいと思っています。

 それでもなお、今法案につきましては、実は漏れある部分があるというふうに思っていまして、それは何かといいますと、実は、このサービスに浴することができない、そのメリットを享受することができない人たちがいるんです。これはだれかといいますと、住基カードを持っていない人なんです。要するに住基ICを持っていないと、全国でまだ八十万人ぐらいですか、もっとだったかな、しか持っていないと言われているその住基カードに入っていないと、全国七千七百万台の自動車の台がえに対応ができないということなんであります。

 さらに言えば、外国人の方がだめだとか、今外国人の方も大変車を所有されているというふうに認識していますので、そういう意味では、恐らく当面というより当分の間、電子化サービスと、引き続き窓口で対人で向き合って判こを押し合って印紙を確認してということが、ダブルスタンダードとして残ると思うんですね。

 これは、私は冒頭で、行政の効率化、人を減らした分をもっと安全の領域に持っていってと、率直に言って相当理想の高いことを申し上げました、格好のいいことを言いました。これはダブルスタンダードである以上は、当分お守りをするためのコストとして、むしろ行政コストを圧迫するんじゃないか、押し上げるんじゃないかとさえ懸念を持っています。

 とはいえ、いかに本人を確認するかという意味では、住基ネットに乗っかるというのは不可欠な部分があるんではないかとこれは私も推察をいたしますので、そういう意味では、ぜひ早期に、重ねて、ダブルスタンダードをなくしていって、本当のe―Japanになるようにお願いをしたいわけであります。感想をお願いいたします。

峰久政府参考人 ワンストップサービスにおきます本人確認については、個人の場合は、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律、これに基づきます公的個人認証サービスを活用することにしています。これは、死亡でありますとか住所異動等による失効情報が厳格にこの制度でできるということで、これを採用するということにしております。その際に、公的個人認証サービスの電子証明書の格納媒体としてICカードが必要ですけれども、これにつきましては、高度なセキュリティー機能を有している公共団体が発行する住民基本台帳カードを活用するということを考えております。

 そういう意味で、おっしゃいましたように、ワンストップサービスを活用されるためには、住民基本台帳が普及するということがぜひとも必要でございます。各公共団体におきましては、こういうふうな公的個人認証サービスの電子証明書の格納媒体として住基カードを使うというだけじゃなくて、いろいろな多目的に利用することなども考えております。各自治体がその利用促進に取り組んでいくというふうに思っております。

 いずれにしましても、そういう意味で、今後、総務省と連携しながら、住民基本台帳の普及が一層進みますように、この辺については努力していく必要があると思っております。

古本委員 ありがとうございます。

 システムユーザーという意味ではそれぞれの立場があるというふうに定義づけをいたしましたが、とはいえ、本当のユーザーというと、狭義の意味でいけば、自動車をお買いになっている国民の、それぞれ全国七千七百万の自動車ユーザーだと思います。この方々が本音で感じておられるのは、この自動車登録の電子化もさることながら、例えばでありますが、車を買いかえて、きのうまで車が入っていたんですよ、それが新しい車にかわったというだけで、別に家がかわったわけじゃないのに、引き続き台がえにおいても車庫証明が要りますとか、せっかく待ちに待った、自分が選んできた車が車庫に届くのに、その手続に行った代行した人がたまたま何かの手続ミスがあって納車が一週間おくれたとか、要するに、こういうささいなことが実現されれば、国民的にはうれしいんですね。登録に要する手数料というのは今七百円だというふうに理解しています。これが高いと言う人は多分いないと思っています。

 ですから、e―Japanも本当にいいんですけれども、そういう意味では、やるからには四十七都道府県、県警本部、県税事務所、すべてがきちっとこのシステムネットワークに乗っかってくるように、大臣のリーダーシップでぜひ引っ張っていただきたい、この国のe―Japanを本当のe―Japanになるように引っ張っていただきたい、そのようなことを最後に大臣にお願いをして終わりたいと思います。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま古本委員が最後に御指摘された点が非常に私重要だと思うんです。

 住基台帳のカード、多分、この中で聞きますと、持っている人は年金よりも全然少ないと思うんです。パスポートも今電子化を検討しております。ICチップは、規制緩和を私が行革相のときにさせていただいたんですけれども、最初五百円ぐらいだったものが、設備開発の値段を除くと今一円か二円でつくわけです。それならば、車に一番縁があるものは何かというと免許証だと思うんですね。免許証にICチップを入れて、高度なセキュリティーをかけるということは論理的には可能であります。

 今は住基台帳カードというものが一番セキュリティーが高いということで、ロジカルにはこの法案は正しいと私も思っているんですが、現実面としては、あともう一点言えますことは、私は東京の杉並区というところに住んでおるんですが、私どもはこれ、交付いただけません。国立市も同じでございます。やはり全国で同じサービスをだれでもが受けられるように一日も早くしていくということが、これは最初の一歩ではございますけれども、重要な課題だと認識しておりまして、委員の御指摘のとおり、一日も早く、差がなく、多くの方々がこのメリットを享受できるような体制をつくるために、全力で取り組ませていただきたいと考えております。

古本委員 ありがとうございます。

 大臣、恐れ入ります。残りの都道府県がきちっとついてくるかどうか、その辺についてお答えをいただけなかったと思います。

 今、県警本部は、御案内のとおり、きょう新たに、新たにといいますか確認できましたとおり、今時点、八都道府県警しかついてこないという、残り三十九がついてきてもらいたいんです。それから県税事務所もついてきてもらいたいんです。せっかく国交省が中央にこれだけのホストコンピューターを設けるわけですから、その部分についてのリーダーシップをいかに発揮していただけるか、お答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、全国で自動車ユーザーの方がひとしくこのサービスを受けられるようにというような意味で、今委員の御質問にお答えをさせていただいたつもりでございます。御指摘のとおり、きょうのお話は小野国家公安委員長にも話させていただきたいと思っております。

古本委員 ありがとうございました。終わります。

赤羽委員長 松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫です。

 このワンストップサービスの法案について質問をさせていただきます。

 このワンストップサービスの積極的な意義でありますが、これまで委員の指摘がありましたように、これは要するにe―Japan構想に基づく一環として採用されるということでございます。

 しかし、これについてはいろいろと批判する人もありまして、要するに、この政府の方針、e―Japanに従って何か各省庁やらなきゃいけない、こういうことで、むしろ積極的な目的というよりか消極的な帳面消しの一つじゃないか、こういうふうに批判する人もいる。また、このワンストップサービスで飛躍的にユーザーにとってサービスが向上するかというと、どうも必ずしもそうでない。今大臣がお話しされたように、住基カードというのが前提になるわけですけれども、必ずしも住基カードが普及していない、これは本当に微々たるものであります。

 そういう点から見ると、ディーラーにとっては多少のメリットがあるかもしれないけれども、ユーザーにとっては余りさしたるメリットはないではないか、こういう批判もあるものですから、ぜひこういう批判にしっかりこたえて、積極的な意義はこうあるんだ、メリットはこういうメリット、特にユーザーについて具体的なこういうメリットがあるんだということをまずはっきりおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 ワンストップサービスというのは、もう何度もお話をさせていただきますように、関係諸手続の申請を電子的に一カ所または一回の手続で行うことが可能になる、これは総体的にこのシステムはすばらしいものだと私は思います。

 今委員は、現実問題としてユーザーにどういう具体的なメリットがあるのかという御指摘でございますが、行政機関への出頭の回数が六回から二回程度に軽減する、申請書の提出が省略化される、添付書面も電子化、省略される等の手続の軽減化ということは明らかにあるんだと思います。

 また、大体、車庫証明等々は、私も自分でとりに行った経験がございますが、手続をするディーラーにとりましても、手続の迅速処理、代行申請のための手間、これはマンパワーの問題が多いと思いますけれども、その分コスト削減につながり、購入者のコスト削減にも当然つながるというメリットがあると思います。

 ユーザー、ディーラー双方にとってメリットをもたらすものだと考えておりますが、古本委員の御指摘の中にございましたように、論理的には、今、電子化されて一番情報のセキュリティー度の高いものは住基カードしか日本にないわけですから、住基カードを利用してこれをやるということでございますが、将来的な課題としては、この住基カードの進展、取得がどこまで進むのかといったような問題と、これは有料でございますし、自動的に送ってくるようなシステムになればまた話は違ったりすると思うんですけれども、さまざまな方策を用いることによりまして、今言ったようなメリットがあることは間違いないわけで、そのメリットを享受する人の数が少ないというところに大きな問題があるわけですから、これが全国どこに参りましても、この法案で行うところの諸手続の電子化による一回限りの手続というものを推進してまいりたいと考えております。

松野(信)委員 ぜひ、このメリットが幅広く進展するように、施策の方をお願いしたいと思います。

 その中で、やはり大きな気がかりとしてありますのは、民間に登録情報処理機関というのが設置されるということでありまして、ここの登録情報処理機関は、自動車メーカーとかあるいは損保会社あたりが恐らくそれぞれ出資をしてこういう機関を設置するのではないかなというふうに予想されます。

 民間の機関というふうに予定をしているようですけれども、そうすると、こういう民間の機関をつくるということになれば当然費用もかかるわけで、設立の費用、それから運営にかかる費用、そういう費用が当然かかってくる。そうすると、そういう費用を結局ユーザーのところに上乗せしてしまうということになれば、確かに手数料はちょっと安くなるかもしれないけれども、こういう情報処理機関の費用が結局上乗せされて余りメリットがないということも予想されるわけです。

 この登録情報処理機関の設立に関しての、あるいは運営に関しての費用、設立状況、これはどういうふうに今のところ考えておられるんでしょうか。

峰久政府参考人 登録情報処理機関は、自動車メーカー等の民間機関が発行しております証明書を電子化するものでありまして、その設立、運営の経費等については、おっしゃいましたように民間機関が検討するものでございます。

 現時点におきましては、完成検査終了証でありますとか譲渡証明書情報、保安基準適合証情報、あるいは自動車損害賠償責任保険情報、預託金情報、こういうふうな情報について取り扱うということを想定しまして、そのシステムの整備に約七億円程度、それから年間の運営費に約四億円程度かかるというふうに予想されております。

 なお、おっしゃいましたような、利用料を登録情報機関に払うわけでございますが、これは自動車メーカーや損保会社等が支払うことでございます。ただ、そのメーカーでありますとか損保会社におきましては、一方で証明書のペーパーレス化によって実際の印刷、発行管理あるいは販売店への郵送、それに伴う仕分け作業等で相当なコストがかかっておりますので、こういうふうな経費の節減がありますから、登録情報処理機関の費用というものがそのままユーザーに転嫁されるべきものとは考えておりません。その辺については、いろいろな透明性を図りながら、どういうものでメーカー等がお金が要るという場合には、その辺の透明化を図って、こういうものを転嫁するということがないようにしたいと思っております。

松野(信)委員 ぜひ、やはりユーザーの立場に立って、こういう登録情報処理機関の費用がユーザーにのしかかってこないような、そういう立場で指導をしていただきたいと思います。

 それから、今お話がありましたように、この登録情報処理機関というのは大変な量の情報を握ることになるわけですね。検査終了関係、譲渡証明の関係、あるいは自賠責の関係等々の大変な量の情報をこの民間の機関が握ることになるわけであります。私が聞いているところでは、大体、自動車の保有に関する行政の手続というのは一年間に約四千万件あるというふうに聞いておりますので、本当に大変な量の情報をここが握っている。車一台一台について、所有者がだれで、そして、例えばこの自賠責はどこが握っているかということで、非常にこれは商売人、損保会社にとっても貴重なデータをこの情報機関が握ることになるわけです。

 そうすると、そういう情報がしっかり管理されるのかという点が次に問題になろうかと思います。特に民間の企業でも、近時、貴重な情報が漏えいしているという報告がなされているわけで、もう指摘するまでもないかと思いますが、例えばヤフーという会社の情報が、これは大量に出ました。そのほかにも通販会社の情報、顧客の情報が流れ出る、こういうようなケースがもう頻発しているわけであります。

 そうすると、こういう情報がこの登録情報処理機関から漏れないという保証がないのではないか。この辺の保守管理、これはどのようにされるのか。これは民間だからもう民間に任せておけばいいというようなお考えなのかどうなのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

峰久政府参考人 登録情報処理機関は、大量の個人情報を取り扱いまして、それで国と連携して必要な情報処理業務を行うということでございますので、国のシステムと同程度のセキュリティー、あるいは情報の安全管理を確保する必要があるというふうに思っております。

 それで、本法案におきましては、この登録情報処理機関について、セキュリティー等に関しまして、国が定める基準に適合する方法により情報処理業務を実施しなければならないというふうになっておりまして、この基準の中で、具体的に国と同程度のセキュリティー対策を、あるいは個人情報対策を講じられるようにしていこうというふうに考えております。

 それを具体的に申し上げますと、システム面におきましては、先ほど国のシステムの安全性の問題でちょっと出ましたが、ファイアウオールの設置でありますとかデータの暗号化等、こういう形で技術的なセキュリティー対策を加えるのは当然でございますが、それと同時に、運用面におきましても、識別番号あるいは暗証番号によりまして運用者の確認あるいは操作履歴を記録していくということ、それから施設へ部外者のアクセスを制限したり、あるいは出入りの監視をするということ、それから従事者の教育訓練、あるいはシステム障害への対処マニュアルの策定、あるいはデータの定期的な監査等、こういうところにつきまして適正な管理運用を行うようにその基準で定める予定でございます。

 それで、この基準に違反していろいろな情報の漏えいが行われた場合には、この法案におきまして、国土交通大臣は、業務方法の改善を命令でき、それに従わない場合は、登録の取り消しあるいは業務の停止命令を行うということにしておりますが、この停止命令に違反した職員、役員に対しましては罰則、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金の適用があるようになっております。

 あわせて、一般法であります個人情報保護法におきましても、情報の漏えい等があった場合につきましては、主務大臣の勧告、命令等違反に対しまして罰則規定等がございます。それと同時に、登録情報機関で業務方法書ということを定めるようにこの法律でもなっておりますが、その中におきまして、個人情報を流出させるなどの適正な情報管理を行わなかった者については解雇を含めた懲戒処分の対象とするように、そういうふうな業務規程を定めるように、そういうことを課する予定でございます。

 こういうふうな対策を講じますことによりまして未然の防止策等々を講じて、情報の安全管理に万全を期する必要があると思っております。

松野(信)委員 その点について一つ確認をしておきたいと思いますが、この登録情報処理機関については、さっき言った譲渡証明の関係とか自賠責の関係とか、そういうデータがここに集約されるわけですね。そういう情報が政府の方のこのワンストップサービスの、例えば陸運の方に届けられるということになろうかと思うんですが、逆に、政府の方が握っている、例えば警察の駐車場の車庫証明のデータだとか、あるいは都道府県税事務所からの税金に関するデータだとか、そういうデータが政府側から民間の登録情報処理機関の方に逆に流れるという、つまり、連携というふうに一応システムとしてはなっているものですから、データが行ったり来たりということで、民間側の情報が政府側に流れる、これはわかりますが、逆に政府側の持っている情報が民間の情報処理機関の方に流れ出るということがあり得るのか。その点はどうでしょうか。

峰久政府参考人 国のワンストップサービスとそれから登録情報機関の関係というのは、政府の方は情報を、そういう完成検査証が出ているかどうかという確認をする、こういう程度でございまして、実際上、登録機関からデータそのものが国に行くという話ではございません。

 それと同時に、御懸念の、国に集まります税ですとかそういうふうな情報が逆に民間の登録機関に流れる可能性はないのかという御質問でございますが、これにつきましては、さっき申しましたように、国は検査証なんかがちゃんとできているかどうかということを登録情報機関に照会するということだけになっておりますので、そういうものの照会以外については実際に情報が流れないようなシステム的な対応をしているということでございます。

 それと同時に、政府のものにつきまして、政府からの、ワンストップサービスが持っている情報については、登録機関との関係以外ではほかのところとの接続がないように、そういうシステム面でも対応をしているところでございます。

松野(信)委員 この情報処理機関の関係について見ますと、これは、使用済自動車再資源化法、いわゆる自動車リサイクル法というのが設立されて、来年の一月から施行だ、こういうふうになっているわけですね。

 これで、この自動車リサイクル法で、財団法人自動車リサイクル促進センターというのが設置されるわけです。ここにもまた車の一台一台ごとに大変な量の情報が入ってきているわけです。リサイクルに必要な預託金をまず一台一台車に応じて預かる、それで廃車するときには廃車に係る業者がどういう業者でどういうふうな処理をしたかというようなことで、情報がここに集約されているわけです。

 どうも事前に聞いているところでは、今回のワンストップサービス法の登録情報処理機関と、このリサイクル促進センター、こちらが持っている情報とは余りやりとりしない、こういうふうに聞いているんですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

峰久政府参考人 ワンストップサービスにおいて、十七年一月に施行される自動車リサイクルに関連しまして、おっしゃいました財団法人自動車リサイクル促進センターが発行する預託証明書、これにかえまして、登録情報処理機関に電子的に預託済み情報を送信して、国がこれを確認するということにしております。

 それで、預託証明書自体は、おっしゃいましたリサイクル促進センターが発行するものでございますが、実際的な具体的な運用としましては、リサイクル促進センターから預託証明書の発行の業務を自動車メーカーでありますとか自動車の販売店等に委託しまして、それで自動車メーカーとか自動車販売店がそれぞれの完成検査終了証でありますとか譲渡証明書を登録機関に通知するのとあわせて預託済みの情報を送信するということにしております。

 そういう意味で、直接の情報のやりとりという意味では、財団法人リサイクル促進センターと登録情報処理機関についてはそのやりとりはないということでございます。

松野(信)委員 この点についてはいろいろ意見があるかと思いますが、私は、やはり車一台一台について、車が誕生し、ということは要するに新規登録をするというときから、このリサイクル法というのを発動して預託金あたりを預かる、そして車が死亡する、つまり廃車をするというときまで一貫して、このリサイクル法では促進センターで情報を管理、コントロールしているわけですね。

 そうすると、それとまた別にこの情報処理機関というのを設けるというのは、ある意味では二重の形で車一台一台について情報をコントロールするということにもなりかねないんじゃないか。

 このリサイクル法の所管の方は経済産業省と環境省、こちらの方が自動車リサイクル促進センターの情報はコントロールする。ワンストップサービスの方は国土交通省が所管でやる。こういうふうに、どうも省庁間の縦割りというのがこの自動車の情報のコントロールについてもあらわれてきているんじゃないかなという気がしないでもないんですが、この点はいかがですか。

峰久政府参考人 自動車リサイクル促進センターの方でございますが、これはリサイクル法の資金管理法人として指定されているわけでございますが、実際上のお仕事としましては、自動車のユーザーから預託金を預かりまして、これを運用もしながら解体業者等に支払いも行う、そういう意味での再資源化預託金等の管理運営を行っているということでございます。

 それで、確かに、そこで解体等に伴う預託金に関連する情報というものはここに集まるのは事実でございますけれども、ただ、民間の登録情報機関につきましては、いわゆるその他の検査終了証それから損害賠償の問題等々、いろいろな情報が、民間が発行している証明書を電子化する、そういう意味で、それについて国が照会しに行くだけ、そういうふうな性格にしております。

 そういう意味で、実際のリサイクルセンターというのは実業的な仕事もしておりますし、登録情報機関というのは、民間の証明書の発行にかえて、そこにそういうことが行われているかどうかということを照会するという情報の管理だということで、その内容には相当大きな違いがあるものだというふうに思っております。

 あわせまして、我々と民間登録情報機関のところには相当の大量の情報が集まるということでございますので、そういうところと、そういう目的の違う、あるいは仕事内容が相当実業的にあっていろいろ違っておるというところについての連携というのは、システム的にも危ない面もあるというふうに思っております。

松野(信)委員 この点については将来の課題でまた議論したいと思いますが、残りの時間は軽自動車の点について質問したいと思います。

 今回のこのワンストップサービスというのは軽自動車は除外されているわけですね。そもそも軽自動車というのは、検査手続はやるけれども自動車の登録ということはしていないということで、今回のワンストップサービス法からは除外されるということだろうと思うんです。

 しかし、今、軽自動車もそれ以外の小型自動車もそんなに区別する必要があるのかなというのが率直な思いでありまして、なぜ軽自動車だけ、検査というものだけして登録というのをしていない。そして、その検査手続は、これは軽自動車検査協会という全くの民間の組織にやらせている。それ以外は全部、例えば小型乗用車、普通乗用車は、これは国土交通省がやって、国がやっている、それから原付のバイクは、これは市区町村がやっている、つまりお役所がやっているわけです。軽自動車に限って民間の軽自動車協会というのがやっている。これはどうもおかしいのではないか。

 結局ワンストップサービス法からも外れるという、なぜこういうような処理がなされるのか、普通の、それ以外の自動車と同じような処理をしないのか、この点についてはいかがですか。

峰久政府参考人 今回のワンストップサービスに軽自動車を対象としないのかという点につきましては、これは先ほどちょっと答弁させていただきましたけれども、軽自動車に係る税金が市町村の税と絡むということで、システム的に市町村との関係をどうするかということを解決していく必要があるということ。それから、今ありました検査協会における電子化を進めている段階でございまして、これとの関係で直ちにはできないということでございまして、将来的に軽自動車についてもワンストップサービスの対象としていきたいというふうには思っております。

 それで、なぜ軽自動車については登録していないのかという御質問でございますが、これは、自動車の登録目的は、自動車の分布状況その他の実態把握などの行政上の必要性によるものと、それから、自動車の所有権の得喪の対抗要件を登録に係らしめて、自動車の所有権等を保護するという私法上の必要性によるものと、この二つございます。

 それで、軽自動車につきましては登録が不要としているわけでございますが、これは、軽自動車の価格が一般車に対しまして低廉であることなどの理由から、登録制度をしてまで民事法律関係の安全を確保する必要が少ないと考えられる、こういうことで登録に係らしめていないということでございます。

 それから、検査についても、一般の方は基本的に検査については国が行うということでございますけれども、軽自動車につきましては、その構造や装置が登録自動車に比べて小さく画一的である、こういうことにかんがみまして、国土交通大臣がみずから検査を行うのではなくて、その監督下にある軽自動車検査協会に行わせるということにしている次第でございます。

松野(信)委員 今の説明はとても納得できないですね。

 何十年も昔の話であれば、軽自動車は安い、構造が簡単であるというのは何十年も昔の時代ならわからないではないけれども、今、軽自動車は非常に高いんです。それこそ軽自動車で百万円を超えるのもある。いわゆる普通車の大衆車の方がむしろ安い。例えば、中古市場をごらんになればこれは歴然としています。中古市場ははるかに軽の方が高いんです。軽自動車で中古を買うとすれば六十万、七十万、八十万する。ところが、大衆車の例えばサニーとかカローラあたりにすると、十万か二十万か三十万でも買える。これが実際ですから、余り、値段が安いから軽の方は民間にやらせていいんだ、それは理由にならないです。

 また、構造の面でも、最近の軽は非常によくできている、もう普通の小型車と何ら変わらないぐらいの機能整備、しっかり持っているわけで、今指摘された理由というのはとても理由にならない。根本的に、軽自動車だけ別格に扱う、登録もしないというのは、これは本当におかしなやり方だというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 例えば、登録はしないというふうになっているんですが、でも、現実には軽自動車だってナンバープレートをつけているわけです。あれも、調べてまいりますと、封印という小さい丸形の印を、普通の登録している自動車は封印をしているわけです。ところが、軽自動車は、ナンバープレートの封印はしていないですが、ナンバープレートはちゃんとついてやって、特にそれで支障があるというふうにも思えないわけです。どうも合理的な差というのがないのではないかなというふうに思います。

 どちらかというと軽自動車の方は、例えば税金が安い、それから一定の車庫証明も、最近では都市部においては車庫証明あたり必要だという取り扱いもされつつあるようですが、田舎の方に行けば車庫証明も要らない、登録は不要だということで、そういう優遇措置がなされているわけですけれども、そういうふうに軽自動車だけそういう優遇をする、別格に扱うという合理的な理由というのは、どうも今の時代、今の軽自動車の実態から見ると、全くないんじゃないかと思いますが、率直に言ってどうですか。

峰久政府参考人 先ほど、民事法律関係の安全を確保する意味で、登録制度を活用してまでする必要はない、そういう理由で申し上げました。

 そういう意味で、確かに販売台数は継続的に伸びておりますけれども、一台当たりの購入費用というのは登録自動車に比べてかなり低いということでございます。そういうことだとか、あるいは多重売買等のケースというのは余り見られない、こういうことをかんがみますと、それから、基本的に行政改革というような背景もあると思いますけれども、登録制度を軽自動車について導入するということは必要でないんじゃないかというふうに思っております。

松野(信)委員 ぜひその点見直していただきたいと思うんですが、例えば台数を見ましても、軽自動車というのは着実にふえているんですね。平成元年ぐらいですと全体の二五、六%ぐらいあって、今は三〇%。全体の中で見ますと、軽自動車は二千三百万台ぐらいある。それ以外、普通の乗用車が四千二百万台というような形で、非常に軽自動車の台数もふえているわけで、これはやはりしっかり登録というような形で、国の方で普通のそれ以外の自動車と同じような処理をすべきでないか。そのきっかけはこのワンストップサービス法の適用にもなるんじゃないかというふうに思います。

 それから、もう一つ軽自動車については大変問題だなというふうに思っておりますのは、軽自動車を扱っている軽自動車検査協会、これは、当初は政府の出資で設立されているわけですが、途中で出資金を返して完全な民間の組織になっているわけでありますが、実際には旧運輸省あるいは運輸支局のOBの人たちが続々と天下りをしているわけです。格好の天下りの対象先になっている。

 これは、私は調べましたけれども、軽自動車検査協会の理事長は運輸省、最後は東京航空局長の出の方、それから、それ以外に常勤の理事が四人おられますが、そのうちの三人は運輸省、大蔵省、運輸省というような形で、部長さんクラスが天下っている。これはやはり格好の天下り先というのを温存しているというふうに言わざるを得ないわけであります。

 そして、この軽自動車の検査については、まさに、民間といいながらここが独占しているわけですよ。競争原理が働いていないわけです。

 だから、ある意味ではいろいろな手数料も取り放題というような形で、これまた私は調べましたけれども、例えば軽自動車の譲渡については、軽自動車検査協会にお金を払うというんじゃなくて、また別に軽自動車協会というのをつくっているわけです。そこで用紙を買わなきゃいけない、こういうシステムになっているんです。また、ナンバープレート、軽自動車のナンバープレートというのも、これも例えば東京の場合は関東陸運振興財団というまた別の組織をつくって、これで一枚千四百六十円でナンバープレートを買わなきゃいけない。

 こういうようなシステムを軽自動車にだけ温存している。こういうやり方は大変いかがなものかなというふうに思いますが、大臣、率直に所見をいただきたいと思います。

石原国務大臣 松野委員の御意見は大変ごもっともだと思いますが、一つ気をつけなければいけないことは、軽自動車の特性と過去の歴史というものがあって、かなり多くの方々がユーザーとして存在して、国の規制をふやすことによってその値段が上がるということはやはり慎まなければならないんじゃないか。このワンストップサービスが本当にもっと簡易的なものになって広く広がるような暁には、委員のおっしゃるとおりの形に整理していくことが望ましいものと考えております。

松野(信)委員 時間がありませんのでもう終わりますが、ワンストップサービスの対象になるかどうかはさておいても、こういう軽自動車検査協会のような、ある意味では国の仕事を民間にやらせて、独占して競争原理が働かない、こういうやり方そのものをこの際しっかり見直していく必要があるのではないか、この点指摘させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 松崎哲久君。

松崎(哲)委員 民主党の松崎哲久でございます。

 本法案は、ワンストップ法案という略称が使われているわけでございますけれども、ワンストップというのは何か、私よくわからないんですね。

 提案理由説明によりますと、「自動車の保有に伴い必要となる検査・登録、保管場所証明、納税等各種の行政手続を電子情報処理組織を使用してまとめて行うことができることとする、いわゆるワンストップサービスを実施すること」、こう書いてありますので、こういうことなんだと言われればそれまでなんですが、実は、この内容、本当にワンストップなんだろうかというふうに考えます。

 何カ所かに行かなけりゃいけないのを一カ所にまとめるという意味でワンストップということなのかなと思いますけれども、しかし、電子的に情報を処理するわけですから、ストップしないんじゃないかなというふうにも思えるわけですね。

 ここで大臣に伺いますと、恐らく、読んで字のとおりでございますとかいうような答弁になるのが今までの経験でいいますと落ちでございますので、そういう質問はいたしません。

 国土交通白書、ここにございます。これは十五年版ですけれども、これによりますと、例えば港湾諸手続のワンストップサービスというのは、シングルウインドー、こういう言い方をするわけでございます。つまり、窓口が一つということですから、そういう意味ではこの方がわかりやすいのかなというふうに感じますが、一般に、お役所言葉に片仮名が多過ぎる、こういう指摘が社会的にございます。

 ちなみに、この白書から私が片仮名用語を抜き出してみました。まず最初、十個申し上げますが、これは入門編で、これは、新聞報道なんかありますから、一般的にも比較的知られているものです。

 私自身に関して言いますと当選前からこういうことについては耳にしていた、正確かどうかはともかく用語としては知っていた、これが例えば、速記も大変だと思いますけれども、後でそれはまたやりますが、シックハウス、ビオトープ、ヒートアイランド、バリアフリー、モーダルシフト、ポートステートコントロール、ロードプライシング、テクノスーパーライナー、マルチハビテーション、リアル・ジャパン・キャンペーン。

 最後のリアル・ジャパン・キャンペーンというのは、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのは大体わかるんですけれども、リアル・ジャパン・キャンペーンというのは、これだけでは果たして何かなとなかなかわかりにくい。国内観光のレベルアップとPR活動を柱としたのがリアル・ジャパン・キャンペーンだそうでございますが、まあ、耳にはしている。

 次に、これはもう少し進みまして、なかなか専門家でないとといいますか、お役所の方、国土交通委員の方々等々でないと耳にしたことがないかもしれない。私自身も、当選しまして、国土交通委員を拝命しまして、いろいろ勉強させていただかなければ、これはわからなかったことです、今でも正確にわかっているかどうかわかりません。

 また十個申し上げます。これだけじゃないんですけれども、余り多く言ってもしようがありませんから十個申し上げます。

 ライフモビリティーシステム、アドプトプログラム、J―REIT、シンデレラ・プロジェクト、これは一体どういう意味か想像もつかないですね、ピュアCM、このCMというのは、コマーシャルメッセージのCMじゃなくて、コンストラクションマネジメントなんですが、それから、ロードファクター、インタープリテーションプログラム、グリーン経営、ハートビル、スマートプレート、これはやはりわからないと思うんですよ。

 それで、私は、根が優しくて意地悪ではないものですから、大臣に個別の意味を御質問はいたしません。優しいというのは、大臣に優しいんじゃなくて、これを大臣に質問したら多分事務方が怒られると思いますので、こういう質問はいたしません。

 ただ、一般論としまして、学者さんが専門用語を使う場合には、正確に使ったり、外来の言葉をそのまま使ったりするのがある意味では必要なのかもしれません。しかしながら、やはり、行政の用語というのは、正確さということも一方で必要だということはわかりますけれども、対象となるのは一般国民の方あるいは業界の方等々になるわけですから、行政の用語をなるべくわかりやすくという必要があると思います。

 また、そういう指摘がいろいろなところからもされておりますので、大臣も御承知だと思いますが、片仮名用語をなるべく、政府系のこういう文書からは少なくした方がいいんじゃないかという意見について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

石原国務大臣 これは、小泉総理も、松崎委員と同じ御指摘を閣僚の会合等々でも多く述べられております。委員が御指摘のとおり、行政機関が使う言葉というものは国民に対しての言葉が多いわけでございますから、国民の皆さん方が理解をできるものでなければならないということは言うまでもないと思います。

 今委員が御開陳になった中で、モーダルシフトは、自分に関係しておりますから知っておりますし、ビジット・ジャパンは知っておりますが、リアル・ジャパンは何なのかわかりませんし、J―REIT等、金融に関することは私わかりますが、シンデレラ何とかというのは、全然聞いたこともございません。

 やはり、国会議員が聞いたこともない、見たことはあるかもしれないけれども何だろうというような言葉は、現に日本語にいい言葉があればどんどん変えていくべきだという委員の御指摘は、ごもっともだと思っております。

松崎(哲)委員 率直な御所見、どうもありがとうございました。

 お手元のといいますか、まあ、この交通白書は冒頭に、大臣のお写真じゃない別の方のお写真が載っておりますけれども、国土交通省でもこれだけそういう用語が使われておりますので、これは事務方も含めてですけれども、なるべく国民に対してわかりやすいという観点で、改善できるものは改善していっていただきたい、このように考えます。

 次に、この法案そのものの質問に移らせていただきますけれども、今私が第一番、総論といいますか、前振りで申し上げましたように、基本的には行政というのは国民が相手である、ですから国民にわかりやすくしなければいけないし、いろいろな行政手続が変われば、国民がそれを使いやすいといいますか、利用しやすい、そのような制度であってしかるべきだというふうに思うんです。

 今回の、自動車関係手続云々、こう言いますとなかなか質問時間も限られますので、大変遺憾ではありますけれども、私も略称でワンストップ法案と言いますけれども、このワンストップ法案を、ワンストップサービスを実現すること、これは行政側のコストダウンになるだろうということは、まあ、当初からどうかというのは、先ほどの同僚委員からの質問もありましたのでわかりませんが、やはり中長期的に見れば、基本的に行政コストは下がっていくだろうし、また、下がっていくのでなければ意味がない、こう思います。

 では、消費者側、国民の側はどうなんだろうか、このコストということについてもお考えをいただいているんだろうかというふうに質問をさせていただきたいと思うんですが、現行制度で消費者が支払っている手数料が、この改正によってそれぞれどうなるのか。

 例えば印鑑証明手数料、市町村によって違いますけれども、私が住んでおります埼玉県鶴ケ島市というところでは、これは百五十円なんですが、これがなくなりますよ、こういう説明をレクチャーのときに受けました。それはわかりましたけれども、本体の手続には、実際、現状がどうであって、それがどうなるかということ、車種によっても違うと思いますので、例えば普通車だけ、簡単で結構でございますので、政府参考人から御説明いただければと思います。

峰久政府参考人 今、新規登録の場合でいいますと、登録手数料は七百円いただいております。これが、ワンストップサービスが進むことによって安くならないのかということでございます。

 それで、現行の手数料については、このサービスの運用に伴いまして、いろいろ経費は発生しますけれども、これについては、他の経費の節約等によりまして、当面の手数料は上がらないようにしたいというふうに思っております。

 それから、将来的に下げないのかという御質問でございますが、これは、ワンストップサービスの普及が進めば、将来的に、行政事務の効率化ということが進んできますので、それで今、何円というふうに申し上げられなくて恐縮でございますが、その進捗状況を見ながら手数料の引き下げ方向で努力していきたいと思っております。

松崎(哲)委員 例えば車庫証明だとか等について、警察庁の方からも伺えればと思います。

人見政府参考人 自動車保管場所証明事務に関する手数料、これにつきましては、現地調査等に必要とされる人件費や申請書の印刷費等の実費をもとに、都道府県ごとにこれは条例で定めております。ちなみに、自動車保管場所証明書の交付の申請に関する手数料額は、大体、おおむね二千円から二千二百円の範囲でございます。

 また、保管場所標章交付手数料、これについても同様に、標章の印刷費などの実費をもとに、都道府県ごとに判断して、条例で定めておるところでございます。これもちなみに申し上げますと、五百円から六百円の範囲でございます。

 これにつきましては、ワンストップサービス実施後のこれらの手数料の金額がどう定められるかにつきましては、地方自治に基づき、個々の都道府県において条例制定の際に適切に積算されるものと考えております。

松崎(哲)委員 ありがとうございました。

 実際の手続、行政手続にかかる費用というのはそういうことなんだと思いますが、実は、今の手続以外にもコストが実際にはかかっております。これについては目を配る必要があるのではないかというふうに思います。

 例えば車庫証明ですね。今の車庫証明は二千円から二千二百円ということでしたけれども、実際には、車庫証明をとるのに販売店などに代行してもらうと、もっとはるかに高い金額がかかるということでございます。

 実は、四月二十日の参議院の国土交通委員会で峰久局長が御答弁をされていると思いますけれども、代行を委託すると平均三万円だというような御答弁をされておりますけれども、実は、販売店等が代行してこういう金額を取る。実際は、いろいろ幾つかある、登録について、それから車庫証明をとる。車庫証明は、私、自分が実際に経験した例でいうと、一万五千円とか一万八千円とか、そのぐらいを車庫証明をとりに行く費用として取るんですね、だから、合わせて二万円になるというようなことなんですけれども。

 これは、本来は、販売店が販売競争をするために、車体価格の値引きをしたことによることの利益をこういう形で、手数料という形で補てんをしているというのが実態なんだと思うんですよ。それは、本来は車体価格がそこまで値引きしちゃいけないものであって、これをこういう形でほかに向けてくるというのは本来の姿ではないと思うんですが、その点について、自動車局長の御見解があれば伺いたいと思います。

峰久政府参考人 代行手数料のお話でございますが、おっしゃいましたように、登録代行とそれから保管場所の代行、これについては、合わせて三万円ぐらいでございます。それで、保管場所の申請の代行の場合は、平均的なものでございますが、そのうち一万三千円ぐらいとなっております。これで、今後のワンストップサービスが活用されますと、申請のための時間、手間、交通費が相当削減されますので、保管場所標章の受け取りが中心的に残りますが、そういう意味で、これに見合う何割かが低減されるべきものだというふうに思っております。

 それに際しましては、代行手数料自体は民民の問題でありまして、直接国が規制するということは適当じゃないというふうに考えておりますが、ただ、国といたしましては、自動車販売における流通の適正化を図るという観点から、販売業者が自動車ユーザーに対して代行手数料の内容を明確に説明する、こういうことを指導してまいりたいと思っております。こういうことで、代行手数料の額につきましても、このサービスを使うことによりまして低廉化していくことを期待しております。

松崎(哲)委員 今、民民というお話がございましたけれども、例えば自動車を買う場合に、販売店はこういう形をしますね。車体価格は値引きしておいて今みたいな手数料を取るとか、あるいは愛車セットと称するものがありまして、それを三万円で買わされる。愛車セットというのは何かというと、はたきとかそれからワックスだとかワックスの布だとか、そういうものをとにかくワンセットにして買わされるんですね。

 もちろん、それは買うのは自由ですから、断ることができます。ですから、私は、子供が買うときには、それは断ればいいんだということはもちろん言っておりますけれども、やはり庶民の立場で大きな、何十万円、場合によれば百万円を超えるような買い物をするときに、通常の平静な感覚ではなくて、おどおどしながら契約書にサインをするというときに、愛車価格がかかりますよ、三万円ですよと説明をされても、それが、例えば免許を取って初めて車を購入するときに、本当に必要なものだろうかと思ってしまって、結局、何年後かに下取りに出すときに、それが使われないまま、そのまま引き取ってもらうみたいな、こんなケースが実際、現実としてあるわけですね。ですから、それは民民ということだからということとは限らないんじゃないかなというふうに思います。

 次に、先ほどの手続以外の費用がかかるということで、警察庁交通局長さんの方に御質問したいんです。

 車庫証明をとる場合に、車庫証明の代行手数料は先ほど言われたようなことだと思いますが、さらにそのほかに有料の駐車場を借りている場合には、その有料駐車場の所有者から使用承諾書というものをとるようになっております。そして、使用承諾書を地主さんにもらいに行きますと、発行の手数料として、駐車場の一カ月とか、場合によって違いが、半月分ということもあると思いますけれども、何千円、何万円というのを承諾書を出すために取るということが現実としてございます。私自身も経験しております。そういう事実を行政として御存じであるかどうか。

 これは、先ほどの自動車交通局長さんのように民民だからというお話をしていただきたくないのは、警察署の方の車庫証明の届け出の用紙に保管場所使用承諾書というのがもうセットになっておりまして、それを出さないと警察署の方で受け付けてくれない、こういうのが実情でございます。ですから、これは民民だというならば、保管場所使用承諾書みたいなものが用紙として用意されていること自体がおかしいと思いますが、ちょっとこの辺についての御見解をいただきたいと思います。

人見政府参考人 自動車保管場所証明の申請を行う際には、自動車の保有者が保管場所の使用権原、これを疎明する書面を提出しなければなりませんが、他人の土地または建物を保管場所として使用する場合には、駐車場の管理者などから使用承諾証明書の発行を受けて提出しなければならないというものではございません。

 ただいま委員御指摘のとおり、このような場合の使用権原の疎明書面としては、保管場所使用承諾証明書以外にも、例えば駐車場の賃貸借契約書の写し、それから駐車場の料金の領収書、こういったものも該当いたしまして、これらのうちいずれかを提出すれば足りる、こう考えております。

 なお、保管場所使用承諾証明書の提出が必須であるという何か誤解があるのであれば、そういう誤解を招くことのないように、警察庁といたしましては、昨年の五月にも、他人の土地または建物を保管場所として使用する場合の使用権原疎明書面の内容について、再度都道府県警察に対しまして周知徹底を図ったところであります。今後とも必要な指導を適切に実施してまいりたいと考えております。

松崎(哲)委員 昨年五月にそういうような徹底をされたということでございますが、これは、ことしのケースであっても、警察署に用紙をとりに行きますと、その承諾書というのがセットでついております。ですから、もし昨年五月にそういう徹底をされたということであれば、それを外すか、あるいは、承諾書は申請者が書いてオーナーのところに持っていくわけですから、そこに、契約書、今局長がおっしゃった契約書は私も想像がつきました、ですから、今局長のそういう御答弁がなければ契約書の写しでもいいんじゃないですかというふうに質問しようとは思いましたけれども、領収書でもいい、こういうようなお話がございました。それは全くそのとおりなんですね。

 その領収書に例えば何の何番と書いてあればいいと思いますから、それをもってかえることができますという説明書きがやはり各警察署にきちんとないと、実際には同じことが起こってしまうということですから、きょうの局長の御答弁を機に、ぜひもう一度各警察署に対しても、あるいはディーラーだとか販売店とかに、そういうものは不要なんだよ、必ずしも疎明をする書類というのは承諾書に限らないということを、これは有料になるのが常でございますから、既に払っている領収書でもいいんですよということをぜひとも周知徹底できるようにお願いをしたいというふうに思います。

 それから、今度は次の質問なんですが、有料駐車場というのは、そこでもう場所があることがわかっていて、そこを使用する権原があるということは契約書等で証明する、疎明することができるということでございますね。そうしますと、先ほどの、車庫証明の費用ということで二千円から二千二百円かかるということでございますが、これは、実際には自宅だとかそういうところに車庫がある場合に、何メーター掛ける何メーターで、その車が本当に青空駐車でなくてとめられるのかどうか、駐車できるのかどうかというのを、お巡りさん、昔はお巡りさんですね、今は民間に委託されているということも聞きますけれども、メジャーを持ってはかりに来たわけですね。

 ですから、その場合のコストと、例えば有料駐車場であって、それがもう何十台もあるというところで、その書面が、きちんと疎明できる書類があればそこはわざわざはかりに行く必要もないわけですし、そうすると、その場合にはこの二千二百円というのはもっとはるかに軽減される。さらに言えば、実際に見に行くのではなくて、書類だけでの審査だけでも十分ではないか、こういうふうに思いますが、御答弁をいただければと思います。

人見政府参考人 自動車保管場所証明事務に関する手数料につきましては、現地調査等に必要とされる人件費や、それから申請書の印刷費等の実費をもとに都道府県ごとにこれは決めております。いろいろなケースはありますけれども、各都道府県で人件費の積み上げ、それからどのぐらいの件数があるのか、そういったものを計算いたしまして積み上げた数字であろう、計算した数字であろうと思っております。

松崎(哲)委員 それはわかるんですが、計算して積み上げてという際に、明らかに現地に見に行かなければいけないケースと、見に行かなくても書面だけで審査できるというケースが明らかに違うわけですから、それを一律にする必要はないのではないかという趣旨の御質問ですので、その点を含めて御検討いただければというふうに思います。

 次の質問にさせていただきたいと思いますが、この制度がスタートした場合に、今までは行政書士さん等々が代理申請をしているというケースがあると思うんですが、この代理申請はどのようになるか。

 これも参議院の方の国土交通委員会で、峰久局長が御答弁になっております。電子委任状の方法を検討するということを御答弁されています。これは、パソコンの画面で電子署名をするということも言われておりますけれども、確認の意味で、そういうことでございましょうか。

峰久政府参考人 おっしゃいますとおり、委任の代理人のシステムを、ホームページにおける委任状作成画面を開いて、委任する内容を簡便に選択、入力などして、電子署名を行って、これを代理人に渡す、そういう形で考えております。

松崎(哲)委員 自動車関係の新規登録をする場合、それはいろいろな方々がいらっしゃるわけですよ。それで、日常パソコンをお使いなれている方もいるし、そうでない方もいらっしゃるわけですね。そうでない方は、機械は余り触れていない、また触れたくない、よくわからないという方も現実にたくさんいらっしゃるわけですから、そういう方々にとって代理申請というのが必要なんだと思うんですね。

 そうしますと、代理申請の要件として、電子署名をした電子委任状をつくるぐらいならば、代理申請しなくて、もともと御自分で申請ができるはずなんですね。ですから、代理申請の要件として電子署名、電子委任状というのは全く矛盾している話だと思うんですよ。ですから、代理申請の仕方について、もう少し実態に即して御検討をしていただきたいというふうに考えます。

 例えば、そこで行政書士さんがあるわけですから、行政書士さんのところに出向けば、その行政書士さんのところで代理電子署名、電子委任状、もちろんセキュリティーの問題がありますから慎重にしなきゃいけませんけれども、行政書士さんのところに出向けば、本人は機械がいじれなくても、例えば暗証番号を打つぐらいの、そのぐらいのことだけができれば代理申請ができるんだ、そのような運用になってしかるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

峰久政府参考人 まず最初に、電子委任状の作成自体につきましては、ホームページにおける委任状作成画面を開いて、それで、打ち込む内容としまして、委任する者と委任を受ける者の氏名、住所、それから委任する手続とその車両を特定するための対象車両等の手続、こういう形でできるだけ簡易で簡単なものにして、代理申請が使いやすいものにしたいとは思っております。

 ただ、それでもパソコンのキーボードの操作等がふなれな方がもちろんおられますので、そういう方々は、今おっしゃいましたように、代行者の方々にパソコン上での打ち込みを依頼して、その内容を確認した上で、ICカードの差し込みあるいは暗証番号打ち込み、それだけを行って電子署名する、そういう形の手続を行うことは当然可能だと思っております。

松崎(哲)委員 それはぜひ進めていただきたいというふうに思うんですが、ただ、注意しなければいけないことが実はあると思うんですね。

 これは、例えば金融機関でいろいろ借り入れをしたりするというときに、銀行協会だとかなんとかというところで信用情報の調査ができますよね。それと同じようにクレジット会社でもできるし、いろいろなやり方があるんですね。そうすると、個人の信用情報を調査するときに、なかなか金融機関、銀行だとか信用金庫だとか農協さんだとか、そういうところへ行っても、これは比較的そのセキュリティーがしっかりしていますから、普通の人が行っても教えてくれない。

 そういうときにどうするかという脱法的というか抜け穴がありまして、自動車販売会社のセールスマンに聞くんだそうです。そうすると、自動車の借り入れのために、クレジットのために、自動車販売会社はそういう端末を持っていて簡単にできる。そうすると、それは資格のあるきちんとした人ではなくてセールスマンに頼むとすぐ教えてくれる、こういうことが実は実例としてあります。

 そのことの是非を論ずるのはこの場ではありませんけれども、これは今、ぜひ代理申請ができるようにそういうシステムは考えていただきたい、整えていただきたいとお願いはしたんですけれども、それは、一般の自動車販売店にそれを任せるというのは非常に危ないんじゃないかなというふうには私は思っています。ですから、その際にはやはり、公的なきちんとした資格を持った行政書士さんとかそういう方であれば、職業上何か不正なことをすれば資格が喪失するというような、そういうリスクを持っていますから、比較的セキュリティーが保たれるというふうに思います。

 私は、パソコン画面を使いなれない人もこういうような新しい制度が利用できる、そういうような簡便な仕組みはぜひつくっていただきたいと思いますが、その際には、セキュリティーということを考えると、安易に自動車販売会社の営業担当の人が自由に操作できるような、これは、住基カードを持っていく、それから暗証番号を打ち込むという作業があるわけですから、これは非常に重要な個人情報になりますので、その点の御配慮はあわせてしていただいた上で御検討いただきたいと思いますので、ちょっと御意見をいただきたいと思います。

峰久政府参考人 オンライン通則法ができました際に行政書士法の改正もございまして、その中で、ディーラーさんのような、最終的な決定はまだいっていませんけれども、経験を積んでいるところの定型的なものについてはそういうディーラーなども行政書士さんが行っていたようなこともできる、こういう規定になっておりますので、そういう意味でディーラーさんが行うということは当然予定はされております。代理を行うことができることになるということは予定されているところでございますが、おっしゃいましたように、それの個人情報的なところが漏れないようなことについては十分気をつけるべきだと思っております。

松崎(哲)委員 私どもの立場は、国民、一般の方々がとにかく便利になるように、これが大目的だと思います。一方、国民の生活に重要な影響を与えるような個人情報とか、国民の生活がまた守られなければいけない。およそ制度によってはそれが二律背反するケースもありますので、その点を十分御配慮いただいて新しい制度を進めていただきたい、このように思います。

 時間が終了いたしましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 現在、自動車関係手続につきまして多くの関係諸機関に出頭しなければならない。その上で、休日ですとか、また夜ですとか、そういうことができないわけですね。サラリーマンを含めて普通の方々は、昼間そういった手続をなかなかしづらい、こういう状況になっている中で、国民の利便性に十分配慮したものとは言えない。

 行政サービスとしては、国としてより国民の立場に立って努力していただきたいと思いますけれども、今回のワンストップサービス、この法案によりまして、どの程度自動車関係手続に要する時間、労力、費用など、そういう負担が軽減されるか、まず最初にこれをお伺いしたいと思います。

峰久政府参考人 今回のワンストップサービスシステムの稼働によりまして、関係の手続が、各種行政手続の申請を電子的に一カ所または一回の手続で行うことができるということで、出頭の手間の軽減あるいは添付書類の取得の手間の軽減ができるということでございます。

 具体的には、おっしゃいましたように、オンラインで、休日も含めて二十四時間、三百六十五日の申請が可能ということでございます。それで、例えば会社を休んで申請に出向くというような必要はなくなります。

 それから、関係機関への出頭の回数でございますけれども、自動車検査証等の受け取りについてはまだ残る面はございますけれども、出向く回数は現在の六回から二回に軽減されます。

 それと同時に、手続に要する日数についても、現在、一週間、実質六日かかっておりますけれども、これが二日程度短縮されるものと思っております。また、それで、先ほどの休日でないと申請に行けないような方々、こういう人たちの都合によって六日以上、一週間以上かかっている場合については、当然その日数がさらに短縮されるということでございます。

 それから、コスト的にも、手続にかかる手間、時間の削減と交通費の削減等、こういうふうな効果は期待できます。

 また、あわせまして、ディーラー等に手続を委託している場合の手数料について、ディーラーさん等が窓口に出向くための時間、手間、交通費が相当削減されますので、この業務量に見合った代行手数料については低廉化されるものというふうに思っております。

高木(陽)委員 我が国の自動車保有台数というのは七千七百万台を超えておりまして、自動車は私たちの生活にとっては欠くことのできないものになっていますね。

 その上で、特に高齢者の方々なんかも自動車の恩恵というのを受けているんですけれども、ワンストップサービスで、お年寄りの皆様方はなかなかパソコン、今は結構使っている方も多いと思うんですけれども、その取り扱いがふなれな人たちもいるわけですね。やはり国民すべてがその恩恵を受けなければいけないと思うんですけれども、そういった方々に対する対策等々はどのように考えておられるのか。

峰久政府参考人 ワンストップサービスシステムでは、申請者本人が申請手続ができるということは当然でございますけれども、その申請画面の操作方法を可能な限り簡便なものとして、操作方法や用語の説明を申請画面上やリーフレット等でわかりやすく説明する必要があると思っております。

 それから、わからない点について、各手続、複数のところの手続がございますので、そういうものを個別に問い合わせていると不便でございますので、それをまとめて問い合わせができるように、問い合わせ先が一元化できるようなコールセンターの設置についても考えております。

 それから、現状で代理申請もたくさんあるわけでございますが、この申請手続自体を代理人に依頼できるように、代理申請の仕組みも簡単な方法でできるように検討しているところでございます。

 いずれにしても、そういう意味で、高齢者の方を含めて国民一般にワンストップサービスが利用できるような方法を引き続き努力していく必要があると思っております。

高木(陽)委員 今ちょっと代理申請の話も出ましたけれども、やはり、役所の窓口まで行ってやる、これは結構面倒くさい手続ですので、ディーラー等に申請手続、これを任せちゃっている、代行してもらっているケースがあるわけですね。今回のワンストップサービスにおいて、そういったふなれな人たちがほかの人に申請手続をかわりにお願いしたい、こういうケース、これが考えられると思うんですけれども、この代理申請は可能なのかどうか。

 そしてまた、代理申請を行う場合、申請者というのは、本人確認に必要な住基カード、これを代理人に預けなければならないのかどうか。住基カードには、これは個人情報保護法の問題でも議論となりましたけれども、個人情報がさまざま入っているわけですね。これを他人に預けるとなると、個人情報が悪用される、やはりこういう危険性も考えられると思うんですけれども、この点につきましてどのように考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

峰久政府参考人 ワンストップサービスの運用開始後におきましても、現行と同様にディーラーあるいは行政書士の方々が申請を代理できる、そういうケースは考えられますので、その関係者からの要望等も受けまして、代理申請の仕組みをつくることを考えております。

 その申請の仕組みとしては、現在、申請者が電子署名した電子委任状を代理人が申請書に添付して申請を行う委任状添付方式を考えております。

 それで、おっしゃいましたように、住基カードを他人に預けたりすると個人情報上非常に問題だろうということでございますが、この場合におきましては、ワンストップサービスシステムのホームページで委任状作成画面を開いて、委任する内容を簡便に選択、入力して、電子署名を行って代理人に送付し、代理人がこれを添付して申請するという方法でございますので、こういうシステムを活用すれば、申請者は住民基本台帳カードを代理人に預けることなく手続を依頼することが可能となると思っております。

 それから、代理人のところ自体で住基カードを読み取っていただく、そういう手続の場合には、そこで手渡したりそういうことをしないように注意することはもちろん大切だというふうに思っております。

高木(陽)委員 今、個人情報の問題ちょっと触れましたけれども、最近、大量の個人情報の流出というのがクローズアップされているというか社会問題となっています。

 セキュリティーに対して万全を期す、これは当然なんですけれども、ワンストップサービスの利用に当たりまして、こうした個人情報の流出または悪用があると、これは個人の問題じゃなくて行政としての責任の問題にもなってくると思うわけです。

 このワンストップサービスシステムで、多くの行政機関や民間の機関と連携して、官民の膨大な個人情報、これが取り扱われるようになると思うんですけれども、行政側の情報、例えば、オンラインで結ばれていますから、税の申告情報などが民間の登録情報処理機関に流出してしまったり、あと、ハッカー等が外部から侵入しさまざまな障害を起こす、こういうことも考えられると思うんです。こういうことはないのかどうか、お聞かせください。

峰久政府参考人 国とそれから登録情報処理機関が照会、回答等を行うわけでございますけれども、自動車関係手続を行うに当たって必要な民間の証明書情報について、国が、国土交通大臣が民間登録情報機関に照会するに際しましては、登録情報処理機関でないシステムとの情報のやりとりが行われないような、そういうふうな相手のシステムを確認するためのサーバー認証を行うということ。それから登録情報処理機関に対しましても、プログラムの設計上、車両を特定する車体番号など以外はデータが流れないような仕組みとしております。

 こういうふうなシステム上の対応によりまして、税の申告情報等の行政側の情報が登録情報機関に送られることはないことになっております。

 それから、税の申告情報などを持っている行政機関側の情報に対して、ハッカー等による不正なアクセスがあるんじゃないかということでございますが、これは厳格なファイアウオールの設置でありますとか、あるいは、内部の役割に応じてセグメント化して、重要な情報を保持する機能については外部と接続しているセグメントから分離するというふうなこと。それから、システムの稼働時の不正アクセスをチェックする、情報のやりとりに関する記録をとっておくなど、こういうふうなセキュリティーの監視体制を整備することとしております。

 それから、あわせまして、そういうふうなシステム面のことに加えまして、運用面でも、識別番号あるいは暗証番号による運用者の確認、操作履歴の記録をとったり、あるいは部外者のアクセス制限、施設への出入りの監視等を行って、管理運用に万全を期すようにしております。

 なお、平成十七年四月から、行政機関の個人情報保護法が施行されます。これで、行政機関の職員が個人の秘密に関する事項が記録されている電子ファイルを漏えいしたような場合、こういう場合には、罰則、二年以下の懲役または百万円以下の罰金、こういうふうな新たな適用が起こるようになっております。

 以上のような対策を講じることによりまして、外部への個人情報の流出を未然に防止するようにしていきたいと思っております。

高木(陽)委員 いろいろな安全対策というのを打っているとは思うんですけれども、今回、年金の未加入、未納問題というのが社会的に大きくクローズアップされる中で、いろいろと、社会保険庁から漏れたんじゃないか、こんな指摘もございまして、行政が情報を守っていく姿勢というものをしっかりと持っていただきたいな、このようにも思います。

 あと、ワンストップサービスでは、どのような自動車の関係手続を対象とするか、これを質問したいと思いますが、自動車というのは新車だけじゃありませんね。中古車も多く流通しておりますし、中古車に関する手続について、このワンストップサービスがどのような状況になるのか。または個人間、いわゆる個別に、個人同士で譲渡をしたりだとか引っ越したときの住所変更等々、いろいろとあると思うんですけれども、こういった場合にも利用できるのかどうか。これも確認させていただきたいと思います。

峰久政府参考人 ワンストップサービスの対象手続でございますが、今、新規登録、移転登録、変更登録、抹消登録、継続検査で、年間四千万件が処理されております。

 これで、当初の稼働時にはシステムが安定的な稼働をする必要があるとか、あるいはその際に業務が円滑に確実に移行ができるだとか、あるいは効果の高い手続から優先稼働させるという意味で、現時点では、当初は新規登録を中心に考えております。

 ただ、先ほど言われました移転登録、抹消登録あるいは住所の変更登録など、こういうことについても、当然、できるだけ早い機会にサービスの対象としたいというふうに考えております。若干先ほども議論ありましたが、リサイクルの関係で、抹消登録等について、リサイクルの制度の運用と合わすために若干時間がかかるでありますとか、あるいは、移転、変更登録につきましては、ナンバープレートの現物の動きをどうするか、こういう詰めるところがあるので、若干おくれますけれども、そういうものについてもできるだけ早く対象にしていきたいということでございます。

高木(陽)委員 いろいろな抹消登録だとか移転登録等々、速やかに、これは全部できるようにならなければ余り効果というのが期待できないと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 あと、このワンストップサービスによって、自動車の関係手続が簡便になる、これは望ましいことであると思うんですけれども、やはり全国どこでも、これが一番重要だと思うんですね。全国どこでも利用できるかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

峰久政府参考人 このサービスの運用につきましては、自動車税などの都道府県税でありますとか都道府県警察の保管場所証明書との連携が可能なシステムの整備が不可欠ということで、そういう意味で、十五年、十六年では試験運用として六―八地域を見込み、当初においてはすべてのところではできないというのが現状でございます。

 ただ、十七年の当初におきましては全国での利用は難しいものの、その後の数年間ではすべての地域で自動車ユーザーが公平にこのシステムを活用していただけるように、総務省をも通じながら、多くの都道府県の参加を呼びかけていきたいと思っております。

高木(陽)委員 最後に大臣にもお伺いをしたいと思うんですが、今回のワンストップサービスにつきまして、全国であらゆる方々が利用できる、早急にシステム整備は行うべきであると考えるんですけれども、こうしたシステム整備に当たって、国、地方自治体、都道府県警察、今局長の方からもお話がありましたけれども、そういう関係の行政機関の連携が非常に重要になってくると思うんですね。

 国土交通省として、この問題についてどのように取り組んでいくか、最後に大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 政府参考人からも、委員の御質問に対して、全国どこでもだれでもが公平に早くこのシステムを利用できるようにとの決意を述べさせていただきましたけれども、まさにIT社会の中で、これは時代の要請ではないかと考えております。

 委員の御指摘のとおり、関係省庁と連携いたしまして、対象地域の拡大、対象手続の拡大というものをあわせて全力で取り組んでまいりたいと思います。

 具体的には、限られた地域がまず入ってくるわけでございますけれども、国と地方公共団体が参画いたします試験運用連絡会議というものを設置することになっておりますが、そういうものを利用して、参加のメリット、聞いてみませんと、やはり現場の声を吸い上げて、それをいかに皆様方にお知らせするかということだと思います。また、それをやるにこんなに苦労があった、必要なシステムの内容はこんなものだったよ、こんなこともしっかりと説明をさせていただき、関係者の皆様方の協力を得ながら、全力で委員の御指摘の方向で一日も早く実現するように努めたいと思っております。

高木(陽)委員 国民にとって便利な制度、システムでございますので、一刻も早く完璧な形にしていただきたいということを申し上げまして、本日は、委員会のスタートがかなりおくれましたので、時間はまだ残っておりますけれども、終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、法案について質問します。

 本法案で一番大事なのは、個人情報の管理、保護の問題だと言えます。不参加の自治体が存在する住基ネットの活用や、新たに登録情報処理機関を民間企業として設立しようとしていることについて、国民の個人情報保護の観点から慎重に検討する必要があると考えます。

 そこで、登録情報処理機関と個人情報保護について聞きます。

 ソフトバンク、ヤフーBBが四百六十万人、コスモ石油で最大二百二十万人、あるいは銀行なども含め、顧客情報の流出が報じられています。早急な法的な整備も含めた対策が必要です。

 国交省は、参議院の質疑や先ほど来の質疑で、登録情報処理機関の個人情報保護は大丈夫だ、こういう答弁を繰り返しています。

 具体的に、少し突っ込んでみたいと思うんです。

 この機関の従業員には公務員のような守秘義務はないとのことだが、この従業員や情報処理の外注先が管理者の許可なく情報を持ち出した場合、例えば従業員などが自分のCDに情報をコピーするなどして情報を流出させた場合など、その個人に対して何らかの罰則は科せられるのでしょうか。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

峰久政府参考人 登録情報処理機関、民間の機関との関係でございますが、本法案におきましては、登録情報処理機関は、国が定める基準に適合する方法により情報処理業務を実施しなければならないというふうにしております。この基準といたしまして、国のシステムと同程度のセキュリティー、安全管理を確保するという観点から、技術面でのセキュリティー対策、それに加えまして、運用面での個人情報の適切な管理運営を行うことを定める予定でございます。

 仮に、これに反して業務が行われ、個人情報が漏えいされたような場合でございますが、それにつきましては、国土交通大臣が業務方法の改善を命ずることができまして、それに従わない場合には登録の取り消しあるいは業務の停止命令を行うことができ、その停止命令に違反した役員、職員については、罰則、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金の適用があることになっております。

 それから、一般的な個人情報保護法であります個人情報保護法におきましても、個人情報取扱事業者に対するさまざまな義務として、利用目的の特定でありますとか公表、正確性の確保、安全管理措置、従業員の監督、第三者提供の制限等と同時に、罰則の適用が来年の四月から適用されることになっております。それで、不適切なものにつきましては、主務大臣の勧告、命令があり、それに従わない場合については、罰則の規定、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金が適用になることとなっております。

 それから、本法案の方におきまして、登録情報処理機関におきましては、あわせて業務規程を定めるということにしておりますけれども、それで、個人情報を流出させた者には、個人情報を取り扱わせない旨の処分基準を定めた業務規程、こういうものを定めるということを課しまして、そういう情報を流出した職員については当該業務を行い得なくなる、そういうことにする予定でございます。

 こういうふうな対策によりまして、情報漏えいの未然防止に努めることとしております。

穀田委員 最後に業務規程などという話もありましたが、ただ、四百六十万人の顧客データが流出したヤフーBBでは、社内協力者がいる可能性が高いと言われているんですね。それは皆さんも新聞、マスメディアで御承知のとおりです。

 だから、問題はここなんです。この社内協力者に対する対策は非常にあいまいで、個人情報保護としては一つの穴になっていると私は考えるものです。

 したがって、民間企業での個人情報保護の仕組み自体がまだ十分でないのに、民間企業である登録情報処理機関を新たにつくることだけが先走るということについては、課題と問題が多いということを指摘しておきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 この間、三菱の自動車欠陥隠しにかかわる問題を、私、三月三十一日に質問しました。

 それとの関係で、この間、宇佐美三菱ふそうトラック・バス前会長らが逮捕される、今取り調べが行われている。ハブの欠陥を隠し、国土交通省に整備不良とうその報告をされたといいます。三年前、ユーザーからのふぐあいの指摘、苦情一万件余りを運輸省に隠していたリコール隠し事件に続く三菱自動車の不祥事です。逮捕者の中には、リコール隠し事件で国民の前で再発防止を誓った三菱自動車幹部役員も含まれている。ユーザーである消費者、国民を欺く許しがたい企業犯罪です。

 まず、国土交通省として、三菱自動車に対してどのようなペナルティーを科したのか、お聞かせ下さい。

峰久政府参考人 今回のリコールに関しまして、三菱自動車工業株式会社、これは当時でございますが、それに対しまして、道路運送車両法のリコール業務についての虚偽報告が判明したということで、神奈川県警警察本部に告発したところでございます。

 それと同時に、同日付で、三菱自動車工業株式会社及び三菱ふそうトラック・バス株式会社の社長に対しまして、改善策等の警告書を交付しました。

 それから、このほか、物品購入に係る指名停止、これは重い十八カ月でございますが、指名停止を行うと同時に、型式審査についても厳格に行うこととしております。

穀田委員 私は、三月三十一日に当委員会で国土交通省の責任についてただしました。

 その際、二〇〇〇年の一月、とうとい人命が失われた横浜でのタイヤの脱輪事故について、事故の原因がハブ等の欠陥による疑いがあるため、立入検査して、リコールを含めた検討をすべきだと提起した我が党の議員の質問を紹介しました。

 同時に、この質問に対し、当時の自動車局長が、ホイールナットなどの締めつけが適正な方法で行われ、かつ適切な点検整備がなされていればハブの異常摩耗は生じない、実際に調査した結果におきましても、そのような実態であることから、設計上のミスで、定性的に摩耗は発生するというものではないということがはっきりしている以上、リコールには該当しない、こういう答弁を詳しく紹介し、これではまるで三菱側の代弁者じゃないかという紹介もしました。そして、国交省が安全、命を守ることを企業の社会的責任として第一の柱に据えて指導する姿勢に欠けていたと指摘したことは御承知のとおりだと思います。

 そこで、その反省が必要だと私は述べたんですが、今日はっきりしていることは、結果として、国土交通省の姿勢がリコール申請をおくらせ、虚偽の報告、欠陥隠しを許してしまった。その責任をどう認識し、どのように反省しているのか、お答えいただきたい。

峰久政府参考人 安全対策でありますとか環境問題への対応を最優先すべき自動車製作者において、このような事態が生じたことは、まことに遺憾であります。特に、三菱自動車におきましては、平成十二年にも虚偽報告により告発され、処罰されているにもかかわらず、再度、同じ違反行為を行ったことは極めて遺憾でありまして、その企業姿勢が問われるものでございます。

 国土交通省におきましては、十四年一月の横浜の事故の原因となったハブの破損の重要性にかんがみまして、同事故の後、三菱に対して、再三にわたり報告の聴取あるいは立入検査などを行って、原因究明と再発防止策を指示してきました。その際、もちろん整備上の問題ということだけでなくて、設計上の問題も含めて、どういう原因があったのかということを、事実の報告を求めるなどしてきました。そういう意味で、現行制度の中でできる限りの対応はしてきたと思います。

 ただ、国土交通省としましては、今般の事案を踏まえまして、今後、リコール制度の運用に必要な改善を加えまして、再発防止に万全を期していきたいと思っております。

穀田委員 結論は、できるだけの対応をしてきたということですね。私はそうは思いません。

 この間紹介しましたように、当時、立入調査をすべきだという指摘に対して、する必要はないと答えた。設計上のミスがあるんじゃないかと言ったら、そういう事態はないと答えた。そういうことについて、一連の経過の中であなた方がこの国会で発言したことを忘れてはならないですよ。あなたが発言していなかったか知らないけれども、当時の交通局長がそう発言したということを、私、紹介したじゃないですか。

 そういうことで本当に、ああいう事故が起きる、その事故が続いて、しかも、私どもは、当時瀬古議員は、警察の調査があるんだから、そのことも踏まえてやるべきだと言ったことに対して、それも踏まえず、いや、大丈夫なんだと言ったことについては、歴然とした事実じゃありませんか。

 そういうものについて、できるだけのことをしたなどということを言うんだったら、それは許しがたいと私は思いますよ。三菱が許せぬのは、そんなことは当たり前ですよ。そのときに、あなた方も三菱と同じ答弁をしていたということについて、恥じないんですか。私は、それを人間として聞きたいですよ。

峰久政府参考人 先ほど申しましたけれども、横浜の事故の後、当然そういう国会での立ち入りをすべきだというような御趣旨もございました。それで六月には立入検査もしているわけでございますが、その事故の後から、当然、リコール対象、設計上の問題じゃないかということも含めまして、いろいろ実際の担当のところではやりとりされているわけでございまして、そういう意味で、できる限りの対応はしていたということでございます。それに対しまして、整備の問題だということで繰り返し答えがあったということでございます。

穀田委員 それはだめですよ。立入調査をしたというのも、その後なんですね。私どもはしなさいと言ってあげたら、する必要はないと答えたのは事実じゃないですか。なぜあなたは、そういうことを、やったことだけ言うんですか。

 では、聞きましょう。

 例えば、いかに国交省の姿勢が怠慢であったかということはマスメディアに報道されていますが、国交省は、〇二年の一月の横浜の事故が起きたときに、三菱が作成した過去のハブ破損事件のリストに基づいて、全国の事業者に自動車事故報告書を提出させています。同年三月に十通ほど集まっているんですね。この自動車事故報告書が、安全対策室のファイルに保管されたまま、三菱と協議していた同じ局内の審査課に回されなかった。ことしの三月、リコールに当たって、審査課が過去のいきさつを洗い直す中で見つかった。

 その報告書の中に、富山の運送会社が一九九九年十一月に石川県内でトレーラーのタイヤ脱落事故について報告した報告書があり、そこには、ハブに欠陥があるのではないか、メーカーから整備不良と指摘されたが、整備に問題があったとは考えにくい。運送会社ですから、その整備に絶対の自信を持っているところが言っているんですよ。

 そして、この件について、清谷安全対策室長は、反省していると言っているんですよ。あなたの言葉なんか、さっきは一言も反省がないじゃないか。省内の連絡体制がどうなっていたのか、調査していると述べたとされている。

 この報道は事実でしょう。

峰久政府参考人 五月九日の読売新聞の事故報告書に関する報道でございますけれども、これは、当該事故報告書がリコール担当に報告されていなかったということでございますが、これは、もともと安全対策室はリコール担当からこういう情報をもらっておりまして、それをもとに、運送業者の方から、事業者の方から事故報告書が出されていなかったということで、そういう案件の報告を求めたものでございます。

 そういう意味で、リコール対策室からの情報に基づいて安全対策室が事故調査報告書を求めたものでございますので、安全対策室としては、リコール担当が当然詳しい情報を把握しているんだろうということで提出しなかったということでございます。そのこと自体につきましては、関係各課に事故報告書の情報が共有されるように徹底を図る必要があると思っております。

 ただ、この内容自体につきましては、当時リコール担当におきましても、当然報道にあったような摩耗量の件につきまして、平成十四年の六月のリコール監査において確認しておりまして、若干のおくれはございますけれども、実態的な支障を生じたというふうには思っておりません。

穀田委員 要するに、その時点でわかっていることを共有していればよかったんですよ。

 皆さん、ああいう、タイヤが脱落して、それで事故が起こって、調べ直して、安全対策室と審査課というのは、何も経済産業省にあるわけじゃないんですよ。おたくの二つの、下にあるんですよ。

 みんなでこの問題は大問題だと騒いでいるときに、しかも、この事故について、いや、違う原因だぞ、やっぱり不備があるぜという話をしてつかんでいる人たちが、それを報告も共有もしない、そういう事態が見過ごされていたという責任が極めて大事ですと私は言っているんですよ。そういうものについて、だから、反省しているという人たちは、もちろん共有できなかったことを反省していると単純に言ったかもしれない。しかし、人間として恥じないかと私言っているのですよ。

 その問題について、私が今言ったように、当時の瀬古議員の質問に対して、あなた方は、全く三菱と同じ説明をしていた、立入検査はしない、そして設計上のミスはない。一体全体だれだということを、これ、皆さんに紹介したんですよ、私。それぐらいやっていることについて、およそ反省がないのかということを言っているわけですね。

 こういう点について反省がないとしたら、私、人倫の道にもとるということだけは厳しく指摘しておきたいと思います。情けないと言わざるを得ないですね。今後ともそういう態度でやるとしたら、およそ今後とも期待できへんなということだけ言っておきたいと思うんです。

 では、もう一つ聞きましょう。

 〇二年の横浜の事故直後、三菱自動車から他社がつくったハブとの比較を示す資料の提出を受けた事実はありますか。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

峰久政府参考人 それはございます。

穀田委員 そうなんです、あるんですよね。これも大事なんですね。他社のハブの構造図で、ハブのフランジ、つばがあるんですね。そこの肉厚が、三菱は二十ミリなんです。他社が二十五ミリなんです。これは、厚さは二乗、そしてその疲労度は六乗というふうに普通、計算の社会では言われているぐらい大変なものなんですね。だから、そういう点もあったわけですね。

 だから、私、全部傍証をずっと並べているんですよ。前回、当時あなた方が実際上の回収をしているという事実を知っていた、そのときに対して非常に不誠実な態度をとっているということも把握していた、それでやりなさいとも言っていたと。

 そういう問題について、では、結局なぜだまされたのかということでいうと、体制がやはりなかったという問題も我々指摘しているんですよ。ただ同時に、体制がなかったじゃ済まないよということを私は何度も指摘しているんですね。その反省ぐらいしないとあかんということだけ言っておきたいと私は思うんです。

 そこで、こういう問題について、例えば、あなた、ハブなんかでもそうなんですが、壊れたものを全部収集するという体制は余りとっていないんですよね。この前でも、私、指摘しましたけれども、あなた方が調べた二十三件のハブの問題に関する故障で、十二件は原因不明だったんですよ。十一件の中にそういう摩耗はなかったという証拠を挙げてやられたんですね。それでは残りの十二件はどうだかといったら、原因不明だと言っているんですよ。その原因不明は、なぜ原因が突きとめられないかといったら、そのハブを回収できない、どこかへ行っちゃった、こう言うんですね。だから、そういうふうなことも全部指摘しているんですよ。

 だから、私は、だれが考えたって、こんなに五つ、六つの話を全部並べてやっているときに、いや、うちはできるだけ対応したなんというのは、もしそんなことを平気で言っているとしたら、およそ私は信じがたいというふうに思うんです。したがって、そういうきっちり反省してこそ生きた再発防止対策ができると。

 そこで、私どもも提案しておきたいと思うんです。情報収集について、メーカーが保有するユーザーからのクレーム情報の収集、分析。そして、技術検証体制でも、第三者機関による検証体制の確立。あわせて、人員確保を含めたリコール業務体制を主張してきました。この点、何かの改善方向について、最後に聞いておきたいと思います。

峰久政府参考人 国土交通省にしましても、本件の事実関係を踏まえまして、改善すべき点は改善し、同種事案の再発防止に努めることとしております。

 具体的には、特定車種に特定のふぐあいが集中するなどリコールの可能性が高いふぐあい事案を早期に把握するということで、自動車メーカーの保有するふぐあい情報のうち、事故につながるおそれのある安全上重要な情報につきましては、定期的に報告を求めるなど、ふぐあい情報の収集、分析の充実強化を図ることとしております。

 それから、重大事故につながるおそれのある案件等につきまして、専門的知識による実証的かつ統一的な検討と判断が行えるようにするために、実務専門家による検討会の設置、あるいは必要に応じては現車確認、試験を通じたふぐあいの原因究明を実施する、それと同時に、国土交通省がリコール及び勧告の判断を行うに際しまして、外部の専門家からの意見を聞くための委員会の設置など、技術的検証体制の強化を図ることとしております。

 それから、リコール業務の的確な実施のための組織の充実、あるいは、監査の際に協力体制をとるなどの充実等、国土交通省のリコールの業務体制の強化を図ることとしております。

 こういうことで再発防止に努めていきたいと思っております。

穀田委員 終わります。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党を代表し、反対討論を行います。

 自動車の検査・登録手続を簡素化することは当然です。しかし、本法案は、膨大な個人情報を取り扱うシステムに関するものであることから、その個人情報の保護のために慎重に対応することが求められていることは、言うまでもありません。

 法案に反対する理由は、年間四千万台を超える自動車とそのユーザーにかかわる情報を取り扱うシステムなのに、個人情報保護のための法整備が全く欠落しているからです。

 民間機関である登録情報処理機関の役員や従業員などには、公務員のような守秘義務はなく、情報漏えいした者が処罰対象となるかどうかはあいまいで、個人情報に対する漏えい防止策は不十分なままです。さらに、ワンストップサービスシステムに欠かせない住民基本台帳ネットに対して、今でも国民の間に強い不安と反対の声が上がっています。

 個人情報保護法によっても、取り扱われる個人情報の漏えいを防ぐ仕組みが十分とは言えません。

 こうした個人情報保護の法的整備や仕組みが不十分なままe―Japan計画により、二〇〇五年度までのスタートを目指し見切り発車することは、余りに拙速過ぎることを指摘し、反対討論といたします。

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより採決に入ります。

 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、衛藤征士郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。古本伸一郎君。

古本委員 ただいま議題となりました自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 自動車関係手続のワンストップサービス・システムの導入に当たっては、個人情報の漏えいを未然に防止することが特に求められることから、国のシステムにおける個人情報の保護対策に万全を期することはもとより、登録情報処理機関における個人情報の厳格な取扱いが確保されるよう、登録基準の厳正な運用を図るとともに、情報処理業務の実施に係る法定義務が確実に遵守されるよう、適切な指導・監督に努めること。

 二 ワンストップサービス・システムの導入に当たっては、国及び各都道府県の関係機関が統一してシステムの開発に参加し、その導入が円滑に進むよう努めること。また、その運用に当たっては、国民が安心して利用できるシステムの安全性と信頼性の確保に万全を期すること。

 三 本サービスの円滑な実施とその普及を図るため、自動車所有者等の利用者に、本サービスの仕組みや利用方法、効果などについて、関係省庁が連携して十分な周知を行うとともに、高齢者や身体障害者をはじめ全ての利用者にとって使いやすく分かりやすい操作方法とすることなど、利用者利便の一層の向上に努めること。

 四 自動車所有者等の負担の軽減を図るという制度の趣旨にかんがみ、自動車関係手続の電子化に伴う国や登録情報処理機関における業務の効率化によるメリットが自動車所有者等に還元されるよう努めること。

 五 本サービスの導入と併せ、電子化に対応できない自動車検査証等の受渡しに係る手続負担の軽減を図るとともに、現在数日を要している自動車保管場所証明書の標準処理日数の短縮等について指導すること。

 六 ワンストップサービス・システムの利用については、新規登録自動車のみならず、中古車、抹消登録をする自動車、軽自動車等についてもその利用が速やかに可能となるよう、これらの自動車を含めたシステムの稼動に努めること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石原伸晃君。

石原国務大臣 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました個人情報の保護、システムの安全性、信頼性の確保、利用者利便の向上等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長、理事を初め、委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長澤井英一君、道路局長佐藤信秋君、航空局長石川裕己君、気象庁長官長坂昂一君、海上保安庁長官深谷憲一君、水産庁増殖推進部長中前明君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田隆志君。

和田委員 民主党の和田隆志でございます。

 まず冒頭、まだ法案審議が幾つか残っております中、委員長、理事各位の御配慮によりまして一般質疑の機会をいただいたことに敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 さて、一般質疑ということですので、国土交通行政の全般にわたってテーマを設定し、ある程度、最初に大臣各位にお聞きいただきたいんですが、この一般質疑を通じまして私の方がぜひ皆様に御認識いただきたいと思うのが、行政を推進するに当たって、もう少し時間軸の概念をきっちりと持っていただいて、いつまでにどれぐらいのことを行政として果たしていくのか、それを国民の皆様にもわかりやすい形で実現していっていただければという思いで質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 そこで、きょう、テーマとして二つ選びました。最初に質疑を進めさせていただきたいのが、これは私の地元の方からお聞きしておる案件なんですが、お手元に配付資料が行っていると思います。ごらんになっていただければと思います。まず、新聞記事が三枚程度つづられたものがお手元にあるかと思います。

 この件、昨年の末からことしの最初にかけてどうも行為が行われたというふうに言われておりますが、広島県の東部にあります福山市の沖合で、産業廃棄物を含むいろいろなものが海洋に投棄され、それが原因で、その付近で操業を行っておる漁師の方々が、その独特の漁法がございまして、底びき網と申しますが、その漁法をするに著しい支障を来しておる、そのような案件でございます。

 私の方から、皆様の御理解を進めていただくために、ざっと経緯を申し上げます。

 昨年の末から一月にかけて、漁師がそれぞれ漁を行っておる際に、その網の中に、コンクリートの廃材だとか道路を壊した後のアスファルトの廃材、もしくは、それぞれの工事を進めるに当たって途中で不要となった部材、そういったものが大量に投げ込まれておることが推測されるように網にかかってまいりました。

 まだその漁師にとっては網が壊れない分だけよかったんですが、次から次へと、操業している漁師の網がびりびりに破れていく、引き揚げるためのロープがちぎれてしまう、もしくは、今度は揚がってきたものが重過ぎるがために船のバランスが保てなくなって、危うく沈没に至りそうになる、そういった事態が幾つか生じ始めたわけでございます。

 それらの危惧から、漁師の皆様方が寄って集まって、何とか対策をしなきゃというふうに考えてきたわけなんですが、そんな中で、必ずや、これは自然に海の底に行くものではないだけに、だれかが、何者かがここに船でもって運搬してそれを廃棄したものというふうに思われたものですから、その後、海上保安庁の支分部局の方に通報がなされております。

 その後、いろいろ捜査をされながら今に至っておるんですが、まず、ここから先は、当局であります海上保安庁の方から今までの経緯を御説明いただければと思います。

深谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 ただいま先生から御指摘をいただきました事案につきましては、私どもの承知をしております、ことしの一月十九日でございますが、福山市沖の海中に投棄されているコンクリート片、瓦れき、そういったものによって漁網の被害があったということで、漁船員の方から福山海上保安署の方に通報がございました。それを受けまして、当庁におきましては直ちに捜査に着手をいたしました。

 こういった不法投棄は極めて悪質なことだと我々も考えておりますものですから、地元の漁協などから情報収集、それから、そういった関係者との連携を今密接にとらせていただいておりますけれども、私どもといたしましては、担当所轄のところにおきまして、該当すると思われる期間におきまして付近を航行した船舶、それから、その廃棄物の発生源の調査、こういったことを中心に現在捜査を、隣接部署あるいは警察、これら等の協力も得ながら進めております。

 現在捜査中でございますので、その具体的な話については、現時点におきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、こうした悪質事犯につきましては、その責任を追及すべく、我々としても捜査の徹底を期したいというふうに考えています。

和田委員 大体私が事前に御報告をいただいていたことと一致いたしますが、少し疑問を呈させていただいておきます。

 私の方から地域の方々のお話として聞いていますのは、まず、先ほど冒頭申し上げましたように、昨年末から一月にかけて幾つか操業に支障を来すようなものが揚がってきたということを、福山の保安署の方に物を持っていって示したそうです。実際にはそれを届け出というふうには、要するに通報というふうには概念構成されなかったんだと思いますけれども、それらがまず、初動態勢として皆様方のちょっと不信を抱かせたことにつながっているのかなというようなお声がありました。それをお知らせしておきます。

 それから、その後、海上保安庁の捜査が、当然ながら、捜査のことですので、オープンにできる情報には限りがあるのは大体皆様方も了解済みでございます。しかし、実は、その捜査の進展状況が語れない。また、なかなか材料が見つからないで時間がたってしまう。そんな中で、次から次へと各漁船の方々の被害が広がっていく。その事態を何度も保安署にも連絡され、また、関係市町、県の方にも連絡をとられておられます。こういったことをお聞きしますと、まずもって、一番悪くない漁民の方が一番苦労されておって、それをなかなか行政側が、国も県も市も対応がとれない、こういった事態に立ち至ったというのが実態ではないかと思います。

 それぞれの方々にどれぐらいの責任があるのかは別としまして、この事態はあってはいけないことではないかと私は考えております。それを今後何とかして、穴があいているのであればその穴をふさぐ、そのような行政なり法制度の整備のあり方なりが要求されているのではないかと思うわけです。

 そこで、この事態を受けまして、今五月になりましたけれども、新年度に至るまでにも幾つか施策が行われています。それは、当事者が農林水産関係にもなりますのでまた触れていただきたいと思いますが、私の方から簡単に申し上げます。

 二月の末に、漁師の方々が自主的に、海底にあるものを、どれぐらいあるか、どの範囲にあるか探索しようということを行動としてとられつつ、そこに海上保安庁の地方の方が立ち会われて、これぐらいありますねということの確認をとられたようです。

 そして、それは相当多量に上るということが大体皆様方の合意として形成されたものですから、何とかして年度末には少しでも対策をとらなきゃという認識が皆さんの中に生じて、広島県の方で音頭をとっていただきまして、県の中に残っている予算をかき集めたようです。総額でいうと六百万円の事業。半額を県が負担、その他半額を関係市町それから当事者である漁師の方々、そういった方々の共同負担において、その海域、五平方キロメートルにも及んでおるんですが、その周辺部だけの土砂を引き揚げるというような作業を行われております。

 そして新年度に入りまして、これから先、まだまだ大量に残っておる土砂をどうするか、堆積物をどうするかという検討を今真摯に行っていただいているところであります。

 ちなみに、周辺部で揚がった堆積物の量でさえ十七トン余り、それは周辺部をなぞっただけだそうです。ですから、これを全部片づけて、本当に魚がすんでくれて、漁が通常どおりに操業できるまでにするためには相当なエネルギーとお金とがつぎ込まれなければならないという事態に立ち至っているわけでございます。

 そこで、まず、国土交通省の方でこの事態を受けまして考えられる施策、もしくはこれから検討の余地のある施策、そういったものをお聞きしてみたいと思います。

 今、国土交通省は、先般我々の委員会でも審議させていただきましたが、海に汚れたものが流れ出た場合にはそれを救済するシステムを、法案を整備されながら考えられておられます。今回のような事例については、国土交通省としてどのような対処方策がありますでしょうか。

澤井政府参考人 まず、前提といたしまして、本件のような廃棄物の海洋への不法投棄事案については、まず、海上保安庁が行う捜査活動等によりまして原因者を特定することが極めて重要と考えております。その上で、当該原因者により必要な対応がとられるとともに、違反行為に見合ったペナルティーがかけられるということがまず基本だと思います。

 その上で、海洋環境保全の観点での海洋汚染の回復に関する規定といたしまして、現行法、海洋汚染防止法に、海洋環境に著しい障害を及ぼし、かつ緊急に汚染を防止する必要があると認められる場合に、海上保安庁長官が原因者に対し防除措置を命じ、一定の場合にはこれを代行するという仕組みがございますが、本件の場合には、現在承知している限りでは、この措置の発動は難しいと考えております。

和田委員 今持たれておる施策の中では難しいという御答弁でした。

 御答弁の中に少し出ましたので、順序として考えておったところをちょっと入れかえますけれども、過去にもこのような事件は発生しておったというふうに私の方でも把握しております。先ほど皆様方の方にもお送りしたかと思いますが、実際にこういった事件が生じた場合に、どの程度本当にその何者かである悪い者がきっちりと逮捕に至れるんだろうか、そういったことを皆様方にもわかっていただきたいんです。

 過去の同様の事例を紹介していただきながら、それらが今に至ってどのようになっているか、教えていただけますでしょうか。

深谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 過去の同種の事案についてのお尋ねでございましたが、海上におきます一般的に申し上げましての廃棄物投棄事犯、これにつきましては、どうしても、海上だという特殊性から、目撃者がなかなか得にくいとか、あるいは不法投棄された廃棄物そのものの発見が困難な場合があって、なかなか事案として発覚しにくいとかいった事情もございます。

 過去に、例えば広島県の関係沖合といいましょうか海域におきましては、これは多少古くなりますが、昭和五十五年ごろでございますけれども、建設廃材等がやはり不法に投棄されまして、当時大きな社会問題となったと承知しております。当時、捜査の内偵から約七カ月ほどの捜査期間がかかったわけではございますけれども、そうした長期的な捜査の末にその全容を解明しまして、六法人それから個人は十一人、これを立件送致して、それぞれその後有罪判決を受けたというふうに承知しています。

 また、これは広島の海域の沖ということではございませんけれども、最も最近、例えば、去年の五月でございますけれども、熊本県の事案でございますが、これにつきましても、産業廃棄物であるコンクリート片、こういったものを捨てた、不法に投棄したというのがございまして、これも、私ども現地の所轄が捜査をいたしまして、結果といたしまして、二法人それから個人五名を検挙、立件したということで、所要の法の裁きを受けてもらうように手続をしたというふうなことがございます。

 私どもとしましては、環境事犯につきましてはやはり許すべからざる事案だというふうに考えておりまして、これも全体の話ではございますけれども、環境事犯全般に対しまして取り締まりを強化しようということで、昨年、私どもとしましても力を入れて、環境事犯全般でございますけれども、昨年一年間で五百十五件を立件送致したんです。これは、平成十四年、一昨年は三百六十四件でございました。

 そういうことで、かなりのものを重点的に取り締まるような心がけはしておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。

和田委員 ありがとうございます。

 私のお送りした資料と時点が少し違っていた部分があったような気がするんですが、最初にお述べになられた事案は私の方からお送りした記事の事案だと認識してよろしいでしょうか。

深谷政府参考人 補足して御説明します。

 先生の方からいただいた当時の新聞記事、昭和六十年のころの事案の記事をいただきました。これにつきましては、先ほど私が申し上げたのとどうも別な事案でございまして、先生の方から御指摘いただいた六十年の事案につきましては、約二十年前の話ではございますけれども、捜査は当時着手をしたというふうに思われるんですが、どうも立件には至らなかったというケースだったように思われます。

 詳細につきましては調べてみないとわからないところがあるんです。

和田委員 またいろいろわかりましたら教えていただきたいと思います。

 全体として、御答弁の趣旨からすれば、非常に難しい中、海上保安庁としては最大限の努力を払われておられて、立件できるものはしてきておる、法の裁きを受けることによって事案を解決するのが原則であるというふうにお伺いできます。

 さりとて、実際にこのような事案の場合には、悪い者をきっちり処罰することはもう大原則として大事ですけれども、その裏腹で、警察事案でもいろいろなことが生じますけれども、被害を受けている人たちが、その被害が一過性のものではなくて継続的に、しかもどんどん蓄積していくということをぜひ皆様方に御認識いただきたいと思うわけです。

 さて、そうだとすれば、本当に何とかして、どこかの行政府の立場から、どこかのツールを使って救済しなければいけないんだと思うんですけれども、関係しますところで、きょう、農林水産省と環境省に来ていただいております。

 まず事務方の方から、今お聞きいただいた事案に関係して、それぞれのお立場から、とってこられておる措置もしくはこれから検討の余地のある措置、それらについて教えていただけますでしょうか。

中前政府参考人 水産庁からお答えをいたします。

 水産庁におきましては、漁場環境の維持、保全を図り、水産資源の生産性を向上させる取り組みといたしまして、海域のごみの回収、処理を行いまして漁場環境の改善に努めております。

 漁場におきますごみ等の処理につきましては、私ども行っている漁場環境保全創造推進事業、こういった事業があるんですが、それによりまして支援は可能なことになっております。ただ、このケースのように海洋不法投棄が明確な場合には、一義的には、原因者を特定した上でその者が撤去すべきというふうに私どもは対応しております。

和田委員 農林水産省としてお持ちのツールが漁場環境保全創造事業というふうにお伺いしております。事前に幾つか教えていただいておるんですが、この事業の適用条件として、公共事業として構成されるものですから、いわゆるみんなのためにどうしても国が手を出さなきゃいけない、そういったことが求められるがために、先ほどおっしゃられた原因者が特定できない堆積物をさらうんだということになっているようです。

 ただ、これまでにもお話ししているところなんですが、原因者が特定できないという判断の解釈もしくは原因者が特定できないと判断するに十分な経過期間、そういったものが必要条件としていろいろこれから定義づけられなければいけないんじゃないかというふうに考えます。

 そういった意味で、今現在、御答弁として、原因者が特定できない堆積物に限るというふうにこの事業の条件として書いてあるところを、これからぜひ御検討いただいて、どの範囲までがこれに当たるのか。すなわち、今回の事件では、確かに投棄した人間はいるんですけれども、その人間が、海上保安庁が最大限の努力を払われて捕まえるべく、捕まえられた場合には問題は生じないんですが、これが一定期間捕まえられない事態がずっと継続する場合にどのように対処なさるかということを今後御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中前政府参考人 私どもの事業は、現在のところは、相当期間、長い間そういう原因者がわからないというような状況のものに対応しているところでございます。

 これから、そういったものの事業のあり方については、引き続き、どういう形がいいかということは検討すべき事項だと思っております。

和田委員 ぜひ積極的に御検討いただければと思います。

 今回の場合、特に困っていらっしゃる方が、まさに皆様方の農林水産省にかかわる漁民の方々です。しかも、本当に今苦しんでおられて、これから先、普通の一人の漁師の方が操業を続けるためには、どれぐらいの期間でこれが本当に回復しなければ立ち行かないのか、それをぜひお考えいただければと思います。その検討の中で、公共事業として構成することが難しいのであれば、それは非公共事業としてでも、農林水産省の守備範囲としてぜひ考えていっていただきたいと思います。

 さらに、ほかの省にもちょっとお聞きしてみたいと思います。

 環境省さんの場合には、本件に関してどのような施策の検討の余地がありますでしょうか。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本件でございますが、不法投棄でございまして、これは明らかに廃棄物処理法に違反する行為だというふうに考えております。

 ただ、私ども、これで具体的に廃棄物処理法に基づきまして、例えば投棄実行者、原因者に対して支障除去の措置を命令したり、あるいは原因者が不明の場合には代執行をして障害除去するという前提といたしまして、不法投棄によりまして生活環境保全上の支障が生じているということが要件になっております。例えば、有害物質が入っておって上の方でガスが出て魚が死ぬとか、それでもって周囲が非常に悪臭が漂うとか、そういったことが要件になっております。

 したがいまして、本件についてどのような支障があるのか県の方から話を聞いてみたい、その上で、必要があれば関係の省と相談して、何ができるかよく考えたいと思っております。

和田委員 今おっしゃっていただいたような、廃棄物処理法に基づく救済スキームというのがあるというお話でした。ただ、この実施主体の方が、実施主体というか実施が必要であるというふうに認定していく主体が都道府県であるというふうにお聞きしておりますので、その判断を待つ必要は確かにあるわけなんですが、私の方が県や市の方とお話ししてみて感じますのが、環境省という役所が、この数年、省として立ち上がって、環境政策にぜひ積極的に取り組んでいただきたいという国民の声もあって、いろいろなところに積極的に施策を展開していただきたい、そういうお声をたくさん耳にいたしました。

 そういった意味では、こういった事案については、環境省として、本当に環境の汚染につながるおそれがないのかあるのか、それについてぜひ積極的に、しかも、都道府県の報告を待つ必要まではないんだと思うんです。自分のところで積極的に施策を展開することにだれも異議を差し挟む必要はないんだと思いますので、そういった、実際に影響があるかないかの調査も含めて今後積極的な施策を検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。

加藤副大臣 不法投棄対策については、不法投棄の未然防止あるいは早期対応が重要であると考えておりまして、環境省といたしましても、これまで、関係省庁と連携し、廃棄物処理法など所要の制度改正に取り組むなど、積極的にそういう対応を進めてきたところでございます。

 廃棄物の海洋投入処分の関係については、ロンドン条約九六年の議定書がございますけれども、それに対応いたしまして、いわゆる許可制度の導入等を内容にいたしまして、改正海洋汚染防止法、これは去る五月十二日に成立したところでございます。

 それから、新たな許可制度においては、環境大臣の認可を受けた廃棄物が許可を受けた実施計画に従って処分されるか否かについては、その都度海上保安庁長官による確認を義務づけておりまして、これによりまして個々の処分が適正に行われることを担保する、こういうふうに考えております。

 今後とも、こういう件に関しましては、海上保安庁等の関係省庁と連携いたしまして、廃棄物の海洋投入処分が適切に行われていくように本法等の適切な施行に万全を期する、そういったことなどを含めまして、廃棄物の不法投棄、この対策に対して最大限努力を傾注してまいりたい、このように考えているところでございます。

和田委員 副大臣に御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 こういった分野は、今与えられている法制度や枠組みの中で、事務当局の中で検討できる範囲というのはそれぞれ守備範囲が決まっていまして、そこの間に漏れてくる例ですので、ぜひ関係省庁におかれて積極的に検討するよう、それぞれ、副大臣、大臣のリーダーシップをいただきたいと思います。

 そういった観点で、先ほどお聞きすればよかったのかわかりませんが、農水副大臣もきょうお見えになっていただいておりますので、まさに一番被害に遭っている漁民を救いたいという気持ちは、多分政治家として共通していただけると思います。農水省を引っ張っていかれる立場としてちょっと見解をいただければと思います。

金田副大臣 本当に漁民の皆さんが大変な目に遭っているわけでありまして、とんでもないことだというふうに思っております。

 やはり、第一には、廃棄物を海から底ざらいすれば、これはどこの現場から出てきた産業廃棄物だというようなことが特定できるので、原因者の究明がまず第一だ。農林水産省は良好な漁場を維持していくための予算というのはありますけれども、それは産業廃棄物を除去するための予算ではございません。そういったことで、まずは原因者を究明するという作業の中でやっていただきたい。

 確かに、我々の所管する漁師の方々が泣いているわけでございます。漁具被害も相当に及んでいるわけでございますので、まずはそういった方向の中で、また、地方公共団体等からも具体的な要請等もまだない段階でございまして、漁場の環境維持とか漁場回復という形の中で、その範疇の中で対応できるものなのかどうか、極めて難しい問題でございますけれども、地方公共団体とも相談しながらこれから検討してまいりたいと思っております。

和田委員 積極的な趣旨をお述べいただきまして、ありがとうございます。

 県や市が国の方に言っていくためには相当な勇気が要りまして、やはりそこは大きく、いつでも相談しにおいでという姿勢がどの役所にも必要かなというふうに考えております。

 この件については最後に石原国土交通大臣に、今いろいろお聞きいただいたことの御感想も含めてお伺いしたいんですが、いろいろ私の方で検討してみたところ、やはり原点に立ち返って、まず海上保安庁の方にとにかく早く捕まえていただくということが大事かと思います。それから、それがどちらにせよ、どこかの時点で、難しいなり、できたなり判断するとして、その後すぐに施策を打てるように関係省庁とぜひ緊密な連係プレーを展開していただきたいというふうに私の方から望むところなんですが、国土交通大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 和田委員の、瀬戸内海の福山沖の海洋環境を著しく阻害する不法投棄についてのお話を聞かせていただきまして、海を愛する国民の一人として、また、四方を海に囲まれている日本の海洋環境の保全に努力をしなければならない立場の一人として、非常にがっくりもし、また、こういう問題を解決していかなければならないということを改めて強く感じたところでございます。

 瀬戸内海では、総理もおいでになりましたけれども、豊島の産業廃棄物が有名でございましたけれども、そのほか、最近の事案では、青森県と岩手県の県境の人のいないところの不法投棄というものもかなり深刻な環境阻害を起こしているというお話も聞かせていただき、御両地については原状回復ということがなされ、また、なされつつあるということでございます。

 しかし、今回の問題はまだ捜査中ということで、農水副大臣の方から申しましたように、原因者の究明という最大のポイントがまだ解決を見たわけではございません。取り締まる側の海上保安庁には、きょうも長官来ております、もう既に厳正な取り締まりを行うようにとの指示は出させていただいておりますけれども、改めてまた海上保安庁には、このような海洋環境の著しく阻害を催すような不法投棄に対しては厳正に取り締まりを行うように指示させていただきたいと思いますし、環境省、農水省、両副大臣おいででございますが、両省とは緊密に連携をとりまして、当該事案を含む海洋環境の保全というものに全力で取り組ませていただきたいと考えております。

和田委員 ありがとうございます。

 これが、私が、行政を進める上で時間軸の概念を非常に大事にしていただきたいと思った事例の一つでございます。

 最初の案件で御答弁いただきました農水、環境副大臣、これで結構でございますので、どうもありがとうございました。関係の事務方の方々もありがとうございました。

 それでは、第二点目の質問に移らせていただきたいと思います。

 第二点目も、地元でいろいろな方々から御意見を伺ったことをもとにして質問の材料を構成させていただきました。これは、国土交通省に御質問すべき事項としての、一般国道の整備状況、もしくはこれからの整備方針についてでございます。

 お手元に配付資料が行っているかと思います。二つ目のつづりで「福山道路」というものがお手元にあるかと思います。もうかなり前から計画としてはありますので、いろいろお聞き及びの方々も多いかと思います。

 今現在、これが計画の実施のオン・ザ・ウエーにあるわけなんですけれども、地域の方々から聞きますと、これが進捗しそうにないという感じを持たれておられたり、それから、今度は、計画は立てられたんだけれども、進捗しないがために、自分が所有する土地やその他の権利の処分に困っている。そのような事態が生じていたり、それからさらに、この計画外のものを整備しようとしている、それに携わっていらっしゃる方々の検討の支障になっていたり、そのようなお声をたくさん聞きました。

 それで今回このテーマを取り上げさせていただきますけれども、この福山道路の事例を紹介していただきながらお願いしたいと思いますが、一般的に、一般国道の整備についてはどのような流れで完成まで至るんでしょうか。それを教えていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

佐藤政府参考人 国道の整備の手順、プロセスの御質問でございました。

 国道と限らずに道路整備全般について、共通する部分が多いわけでございますが、五段階ほどに分けて御説明を申し上げます、たくさんのプロセスがあるものですから。

 最初は、問題点の所在の確認といいますか、いろいろな調査をしながら、渋滞して困るとか、危ないとかいうところを、一番まず重点的に直すべきところはどこか、こういう調査が一番最初の段階であるわけでございます。

 次に、それを解消するためにいかなる方策がいいか。具体的には、国道でいえば、拡幅するのがいいのか、それとも別のルートを引くのがいいのか、あるいは他のネットワークの中で、他の、国道でない部分であっても、県道とか都市計画道路があればそちらの方に早く機能を代替するとか、こうした方策をいろいろ検討してこれを定めるという動作が必要になるわけでございます。

 三つ目に、そうした調査を地元としっかりと打ち合わせしながら案を定着させる。

 そして、その具体的なあらわれとして、四番目に、多くの場合には、特に市街地等にかかるような場合には都市計画を決定させていただく。この場合は、環境アセスとか、できるだけ御説明申し上げながら合意をいただいて、これが完全に定着、こういう形になるわけでございます。

 福山道路の場合には、平成八年ごろから今申し上げました調査を始め、そして大体、いろいろな調査をしながらルートの決定、こういうことで、平成十三年の三月に都市計画を一緒に地元と決めていただいた。

 五番目の段階としては、十三年度から事業の開始、こういうことになるわけでございまして、そうしたプロセスをたどりながら、できるだけ地元の御理解をいただきながら進めている、こういうのが手順でございます。

和田委員 今御説明いただいた流れというのは、至極当然のあるべき姿だというふうに私も考えます。

 ただそれが、冒頭申し上げましたように、どれぐらいの期間をかけて、どれぐらいの範囲で実行していくのか、それらについての付近の方々への情報が行き渡った状態ではなかったように私の方からは見えます。これを、以前そうであったのがけしからぬという趣旨ではなくて、これからさらに改善すべき点がたくさんあるんだと思いますので、それをちょっと視野に入れながら質問させていただきたいと思います。

 この道路の場合にも、今局長の御答弁にありましたように、八年から検討が進んで、十三年に都市計画が決定されておられます。そんな中で、まずもって付近の方々から聞こえてきた御意見として、その計画決定までに、どんな要素をこの計画決定の検討の際に考えられたのか。

 この場合は、具体的に申し上げますと、福山港というのが輸出入の取引が盛んになってきているという現状を踏まえて、同じ国土交通省の部局において港湾整備として事業が進められ、ありがたいことに、これまでに随分大きく拡張されました。つい先日にも一つバースが完成したわけですけれども、それらを踏まえた交通の増加需要見込み、そのようなものをどれぐらい入れているんだろうかということが疑問として皆様方からよく上がってまいります。

 さすがに何か検討の材料にはされているんだと思いますが、大体どのようなことをこういった計画を立てる場合に視野に入れられるのか、御説明いただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 二点申し上げたいと思います。

 最初は、計画を立てるに当たってどういう要因を考えるか。

 要因を、現状を把握して将来の予測をする、こういう動作が必要になるわけでございまして、そういう意味では、社会経済的活動という意味で、人口の見通しであるとか、産業活動がどのぐらいの規模に、どういう計画が、いつごろ事業が行われる計画が立てられるか。そして、そうしたものが、全体としての土地利用、あるいはまた周辺の開発計画等をそれぞれ勘案しながら、将来の交通需要、大体三十年後ぐらいとか、調査段階から三十年後程度を見通しながら、住宅団地や、今のお話の港湾等の計画も含めて、最終的にはその三十年ぐらいの交通量がどのぐらいになるか、これが一つでございます。

 それからもう一つは、福山道路の場合もそうでございますが、一方で都市圏の中のネットワークというもののあり方を、将来はどうなるだろうということをあわせて検討させていただく場合が多いわけでございまして、これは県、市あるいは関係機関一緒にお入りいただいて、先ほども申し上げました交通需要の見通しなり地域開発の見通しなりということとあわせて、ネットワークはいかにあるべきかと。

 これはまた、一つの道路の計画をするにも、そういうネットワークの中での位置づけ、これが必要になるということで、福山道路の場合にも周辺のネットワーク計画とあわせて都市計画を決めていただいた、こういう経緯がございます。

和田委員 もう少し具体的に御説明いただきたかったんですが、本件の場合は貿易取引の増加見込みというのをこういったものに取り入れられているか。それから、今は申し上げませんでしたが、この資料を見ていただいたら、後ろに計画図が載っております。その中で、大体真ん中と申し上げておればいいんですか、「トンネル部」と書いてある四角の上の方の路線ですね、こういったところは、実は住宅密集地をずっと通過していくような区域でございます。であれば、そういったことを計画として立てる以上は、どんなペースで住宅がふえるのか減るのか、もしくは、付近に倉庫がたくさんございますけれども、そういったものがどれぐらいあって、どれぐらい困難をきわめるのかきわめないのか、そんなことは予測に入っているんでしょうか。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、手順から申し上げますと、まず、現状をしっかりと把握して、三十年間というのはいろいろな開発プログラムを正確に予測するのは難しいところはございますが、今先生御指摘の、周辺の住宅の現状の張りつき状況、あるいはまた、当面、五年、十年の間にどのぐらい張りついてくるか。

 それから、福山港の計画そのもので申し上げれば、港湾計画もあるわけでございますから、そうした計画を前提に置いて、ネットワークとしてはこういうネットでどうだろうと。その中で、このバイパスといいますか、福山道路の計画を固めさせていただいた、こういう経緯であるわけでございます。

和田委員 これ以上申し上げるのは控えて次に進みますけれども、やはり国の施策として展開する際に、需要見込みなり供給見込みなり、将来の予測がどれぐらい確かかというのはどの分野にも相当求められてきていることだと思います。道路は相当な事業費を確保しながらやらなければいけない事業だけに、その辺の見通しを政府の能力として問われているのではないかというふうに思っております。

 次に進みますが、今、計画を決定するまでのお話をお伺いしましたが、計画が決定された後にいろいろな事情が起きてきて、その計画に対して、本当に実施できるんだろうかという声がたくさん上がってきているのが本件でも事実ですし、ほかのところでもいろいろ耳にいたします。

 そんな中で、計画決定後にいろいろな事情が生じて新たな交通需給見込みというのが成り立つ場合に、どういった工夫をされておられるのでしょうか。

佐藤政府参考人 これにつきましては、二つほど考えられるケースを端的には申し上げたいなと。

 一つは、道路の方の計画そのものの変更まで要しないような、通常の場合には、多くの場合にはそういうことであるわけでございますが、つくり方の工夫といいますか、事業をいつごろまでにという中で非常に急ぐべき事情が出てくれば、例えば四車線で計画していたものをとりあえず暫定的に二車線で、つなぐのを先行させるとか、あるいはまた、福山道路全体は十七キロほどの長い計画でありますから、そのうちの一番急ぐべき部分に集中して事業を実施する、こういうような事業調整、進度調整、こういう問題が一つあろうかと思います。

 また、根本的に計画そのものを変えるべきような事情というものも、周辺の開発なり、あるいはいろいろな状況によっては出てくる。その場合には、さっき申し上げました全体のネットワークの中でどういう解決が図り得るかというようなことも含めて、そこまで再検討するということもあり得ようかとは思います。

和田委員 今の御答弁ですと、国としては非常に、都市計画やほかの道路計画が決定された後も柔軟に対応できる余地を残しておるというようにお聞きいたします。ぜひその姿勢を、ほかの関係者である県や市町の方にもきっちりとお伝えいただきながら協議を続けていただければというふうに思います。

 ちょっと観点を変えますが、今まで国がこういった道路事情をできるだけ改善するために取り組まれてきたのは私もよく存じ上げておりますし、いろいろな施策で効果がなかったというわけではないんだと思うんです。

 今までですと、五カ年計画に基づいて各地の渋滞対策プログラムを策定され、それをできるだけ実施に移される。もしくは、直近ですと、名前がちょっと変わっているようですけれども、交通円滑化総合計画ですか、そういったものをやはり各地で立てられて、それを今、検討を実施に移していこうとされている。そんな状況にお伺いしますが、これらについての国土交通省としての取り組み状況を教えていただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 これまでは、平成十四年度まででございますが、三次にわたる渋滞対策プログラム、こういうことを策定し、例えば第三次の渋滞プログラムで申し上げますと、全国の主要な渋滞ポイントが三千二百カ所あったわけでございますが、これに対して約千三百カ所、渋滞の解消、緩和を図ってきた。

 さらに、十五年度以降でございますが、先生御指摘のように交通円滑化総合計画、こういうことをそれぞれの都市圏ごとに立てていこうということで、関係機関が集まりまして、ソフトな施策、例えば福山都市圏で申し上げれば、ノーマイカーデーだとか時差出勤だとか交通情報提供システムの整備だとか、あるいはまた中心ループバス、バスロケーションシステム、中心レンタサイクル、こうしたようなことを実行しようということで、関係機関と委員会をつくって検討を続けている、こういう状況でございます。

和田委員 今御説明のあったように、できるところから何とか取り組もうという姿勢は私としても評価させていただきたいと思います。

 しかし、現在、いろいろな地域でお聞きしてみたんですけれども、そういった取り組みを始めようとして地域の方々が主体的な姿勢を見せ始めたがゆえに余計感じられることかもわからないんですが、そういったソフト面から何とかしようというのは、確かにできることから始めようという趣旨には合致するんですが、いかんせんハード面で追っついていないという指摘がどんどん実感として大きくなってまいっているような気がいたします。

 そんな中で、先ほど局長の御答弁の中に確かにあったような気がしますが、各地で計画された道路が本当に今一番国民の皆様が困っていらっしゃるところに対応した道路事業になっておられるかどうか、これをぜひこれから再検討していただきたいと思うわけです。この福山道路の場合にも、事業実施に移されているところは路線の西側部分であって、本当に込み合っている部分は市街地中心部分でございます。

 そんな中で、このバイパスが、計画として、今おっしゃったように三十年ぐらいかかるということを前提にすれば、目先、本当にスタックしてしまっている交通をどうやって解決するか、それを市街地における道路整備として考え直さなければいけない。そういったところにも波及してくるわけでございます。

 そういった観点から、区分でいえば、長期的な大きな道路事業と、短期的な市街地、生活道路を中心とした事業、そういったものをぜひもう一回見直していただいて、本当に国民が必要とされているところから取りかかっていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 福山道路を例に申し上げれば、全体十七キロの中で三・三キロを事業化している。先生御指摘の西側の方三・三キロ。三・三キロでも二百億円以上かかるであろう、こういうような大事業。そういう意味では集中して重点的にということで、少しでも効果のある部分から着手すべき、これが一つ確かにあるわけでございます。

 それからもう一つは、一方で、その他の施策あるいは町の中の交差点の処理、こうしたことで少しでも当面この渋滞を緩和できないか。これまた大事な問題でございまして、現実に、福山都市圏の場合にも三カ所、右折レーン、左折レーンをとったりしながら渋滞の解消も図ってきている。

 そういう意味では、できるだけ長期的、短期的な両方の施策をきっちりと組み合わせながら、当面、先ほど三十年後というのは、先生、三十年事業期間がかかるという意味ではなくて、調査して事業をやって、三十年後ぐらいの交通量に対しても十分耐え得るというような整理をしながら計画、事業をやるべきであろう、こういうことでありますが、そういう意味では三十年かかっては申しわけないお話でありますから、できるだけ集中的に重点的に事業を実施する、こういうことが大事な問題かと思っております。

和田委員 時間が参りましたので、最後に石原国土交通大臣に、今までのやりとりを聞いていただいて、最初に申し上げた、道路整備についても時間軸の概念をきっちりと担保していただきながら、もっとスピーディーに、整備を進めることもさることながら、整備を進める方針を国民の皆様にアピールしていただきたいと思いますので、その旨の決意をいただければ幸いです。

石原国務大臣 ただいま和田委員がお地元の国道二号線を例にとられて、道路の整備のあり方について政府参考人との御議論を聞かせていただき、また、政府参考人からは、効果のあるところから選択と集中をもってやっていくという前向きな答弁を引き出していたのではないかと思ったところでもございます。

 私も、やはりこれからは知恵と工夫の競争の時代、道路のつくり方一つとってみてもそういう時代に入ったんだと思っております。地域づくりを支える道路のネットワーク、特に、御配付いただいた資料を見ますと、重点港が二つあり、さらに市街地があり、また北の方には山陽道が通っておりますけれども、瀬戸内海に沿っての基幹道路になる道であるということは、訪ねたことのない人間も、地図からも拝察することができる。

 その結果がどうかということではないんですけれども、平成十年にこの道路の実はいわゆる費用対便益を計算しましたら、よく高速道路が一を超えるか一を超えないかでつくるつくらないの議論をしておりますが、これは十六キロで三という極めて高い、早く整備しなければならないという数値が出ております。

 これからの道路は、委員の御指摘のとおり、費用対便益、さらに、これは高規格ですから多分お金をちょっと取るんだと思うんですけれども、採算性、さらには、そうはいいましてもやはり外部効果というものも、それができることによって災害道路の役割をなすとか、あるいは中山間地域に行きますと拠点病院まで何分かかるかといったような外部評価の評価基準で成績のいいところからつくっていき、さらに、その細かい事業計画が認可された後の区間についても、この道路は西側から何でできているかというと、きっと用地の買収等々が割と簡単だったということがあるのではないかなと、地図を見た感じではするんです。

 政府参考人から答弁させましたように、市街地の中での渋滞緩和には、国道等々でも、交差点のブリッジ化とか左折レーン等々の整備によって、山形でこの間聞いてきたんですけれども、十三号線のところにちょうどブリッジができておりまして、それによって移動が十分間も山形市内の中でもそれを利用するところでは変わったという話も伺わせていただきましたので、そういうものが実は混雑解消に役立つし、本当に真に必要な道路なのではないかと考えております。

和田委員 終わります。ありがとうございました。

高木(陽)委員長代理 岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 私は、本日は一般質問の中で、私の大変関心の高い、地元といえば地元なんですけれども、中部国際空港の問題、そしてまた、万博を控えております愛知県におきましての万博での交通アクセスの問題、こういった問題について御質問させていただきたいと思っておりますけれども、その前に一点だけ、ちょっと私のこれまでの質問への大臣からいただいた答弁で間違っていたところがあるんじゃないかと思っております。

 それは、くどいようですけれども、四月二十一日の私のこの委員会において大臣にお伺いしました、日本歯科医師連盟からの献金もしくはパーティー券の購入等いかがですか、どういうふうな状況ですか、具体的な金額、日時を教えてくださいというお話をしましたら、既に御報告しているとおり、そしてまた政治資金の報告書に載っておるとおりだ、こういうふうに言われましたけれども、あの時点での御報告と、実際の、その後訂正された御報告あったことは事実であると私は思うんですけれども、その点について、私に対して報告書のとおりだと言われたことに修正があったことは、大臣、お認めになられますね。

石原国務大臣 四月二十一日の質疑ということ、詳細は記憶しておりませんが、それに関連して議論をさせていただき、そのとき修正をしていなかったということは事実でございます。

岡本(充)委員 私の質問に対して報告書のとおりだと言われた中で、平成十二年の七月三十一日の自民党本部から東京都の第八支部に対しての一千万円の献金がそのときには報告されていなかったということは私は指摘をしておきたいと思いますし、また、後段、永田委員がこの点について質問されるかもしれませんけれども、本日の理事会に出されましたこの資料を見ましても、国民政治協会から党へは、さまざまな箇所から国民政治協会へは恐らくお金が来ているんでしょうから必ずしも一致しませんけれども、日歯連からの一千万円というお金が、そう遠くない時期に党から支部へ入っている。この事実だけは本日提出された資料からも明らかでございまして、先般、我が党派ではありませんけれども、穀田委員が御指摘されたその日時のとおりであったということはこの資料のとおりであると私は思っております。この点はしっかり指摘をさせていただいておきたいと思っております。特に、皆様方の関心の高い、日歯連から国民政治協会への献金と、そして自民党本部から東京都第八支部への献金が、相反しない、ほとんど同じ金額が前後して入っているということについては御指摘をさせていただきたいと思っております。

 それでは、本日の主題の中部国際空港についての御質問をさせていただきたいと思います。

 中部国際空港は来年の二月に開港が迫っております。今まさに、開港に向けて最後の段階に入っている中でございますけれども、中部国際空港の今後の見通しというのは、まさに中部国際空港にどれだけの航空機が来てくださるか、また、どれだけのお客さんが利用されるかというところにかかっているわけでございます。

 そういった中で、この新空港の今後の利用を決めます新規の、もしくは既存のでも結構でございますが、航空会社の就航予定は今どのようになっておりますでしょうか。

石川政府参考人 中部国際空港につきましては、今お話がありましたように、来年の二月十七日の開港を目指して現在整備が順調に進んでおりまして、ことしの三月には滑走路と誘導路の整備が終わっております。今後、航空法に基づく完成検査を行うこととしております。さらには、旅客ターミナルビルも秋には完成するということでございます。

 それで、今お尋ねの便でございますが、国際線の就航見通しにつきましては、現在名古屋空港に就航している一日九十三便の国内線及び週二百四便の国際線、これは中部国際空港への就航が予定されております。

 これに加えまして、国際線につきましては、現在までに本邦の航空会社が発表した事業計画によれば、日本航空が中部―パリ路線、全日空が中部―上海・仁川路線、こういうものを開設する予定でございまして、週三十五便程度の増便がなされる予定でございます。

 さらに、私どもといたしましては、外国航空社による中部国際空港への新規乗り入れ、あるいは増便というものを図るべく、現在、諸外国と航空交渉を行っているところでございます。

岡本(充)委員 今そういった現状を御報告いただいたわけですけれども、中部国際空港が、まさに地域の空港から、名古屋空港というレベルを脱皮して日本の中の主要空港になっていくためにはさまざまな取り組みが必要だと思っております。そういった中で、実際、先輩であります関空の例を見ますと、今関空は大変厳しい経営状況の中で苦しんでいます。この関空の現状は一体どういった要因によってもたらされたと考えてみえるか。この現状を踏まえた上で、中部にはこの轍を踏まないという何らかの方策をとってみえるのか、教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 中部国際空港につきましては、平成九年十二月に、愛知県知事から、愛知県としても責任を持って定期航空路線一元化を行っていくという旨の表明がなされておりまして、これを受けまして、中部国際空港の事業採択時に大蔵大臣及び運輸大臣の間において確認がされておりまして、中部国際空港開港時に、同空港へ一元化するというふうになってございます。

 それで、ことしの四月十五日に、愛知県から、この方針に基づきまして、県営名古屋飛行場の設置許可、これが、コミューター航空やビジネス航空機などの小型航空機の拠点となる県営名古屋飛行場の設置許可申請という形で申請がなされておりまして、現在、許可に向けた所要の手続をしております。

 さらには、航空会社におきましても、国際、国内の乗り継ぎ旅客利便の確保あるいは機材の効率的運用、設備投資や要員の一元化等の観点から、一部のコミューター航空会社を除きまして、中部国際空港への一元化を図る方針であると聞いております。

岡本(充)委員 まさに今言われましたけれども、年金ではありませんけれども、一元化というのが大変なキーワードでありまして、国際線と国内線が別空港であるということは、実は利用者に不便を強いることになります。そういった観点から、中部国際空港は必ず一元化を図っていっていただかなければならないと私は思っております。定期航空路線は一元化をする、その決意について大臣から一言いただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま政府参考人から、愛知県知事のお約束、また、運輸大臣、大蔵大臣との確認事項、こういうものがあるわけでございます。こういう方針をしっかりと堅持して、委員御指摘のとおり、国際線と国内線が離れておりますとアクセスの問題で大変不都合を生じますので、定期航空路線の一元化の方針を堅持してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 大変に心強い一言でございまして、この一元化を進めていく中で、今後の中部国際空港の目指す路線というか目指す方向性、といいますのは、例えば成田が太平洋路線、ヨーロッパ路線に航路を持っている。そして関空はアジアを中心に飛行機を飛ばす。中部はどういうものを目指すかというと、今言われたとおり、国内の各地の乗客の皆様方を中部にお呼びして、そして中部から各地に行っていただく、名古屋、中部圏の旅行客以外の方にも御利用いただける空港を目指していくというのが私は中部の大きな方向性であるというふうに考えています。

 そういった中で、今後、それぞれの旅行客の方が旅行に行かれる、こういった手段として中部国際空港を使われる予定であろうとは思いますけれども、直近には、愛知県では万博が予定されております。この万博に対して中部国際空港はまさにそのアクセスとして利用されることとなっておりますが、私の一つ懸念しておりますのは、今既に使われております名古屋空港、コミューター空港として今後も使っていくという話は残っておりましたけれども、名古屋空港から万博会場へのアクセスと中部国際空港から万博へのアクセスは大きな差があるわけなんですね。時間的にも、乗りかえの回数を考えても、そして金銭的にも名古屋空港からの方が安いんじゃないかとさえ思われるような状況でございますけれども、これについて、何らかの措置をとる、もしくは利便性を図るための所要の施策が用意されているかどうか、御答弁願いたいと思います。

澤井政府参考人 現在、既に一元化という前提で、中部空港から万博会場へのアクセスということを含めて、万博会場へのさまざまなアクセスの輸送計画を詰めております。

 例えば中部空港について言えば、中部国際空港から名古屋駅までの鉄道ルートあるいは道路のルート、整備は予定どおり進んでおりまして、その上で、そこにどのような実際の運行をするか、また、場合によっては中部国際空港から会場に直行する輸送が必要かどうか。これは道路で、具体的にはバスでということだと思いますが、そういった検討が万博協会を中心に、私どもの中部運輸局など関係機関も全面的に協力しながら現在進められているところでございます。

岡本(充)委員 今ちょっと私が質問させていただいた、利便性を向上する何らかの具体的な施策というのはまだとられる予定はないんでしょうか。

 それともう一点お聞かせいただきたいんですけれども、愛知県を含めて要望が出ております中部国際空港の連絡鉄道の整備促進及び拠点駅の乗り継ぎ利便性の向上を図るための支援策、これについては政府として何らか措置をとられているのか、あわせてお答え願いたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

澤井政府参考人 万博に関連しまして、ハードと、それからその上で展開される実際の輸送、ソフト、両面の対応が必要と思いますが、既にハードについては、十分御承知だと思いますけれども、軌道系それから道路ということで、十分なものが期間までに間に合うように整備できるように今進んでおります。

 例えば、中部国際空港と間接的な関連にはなると思いますけれども、中央線から愛知環状線に直接相互に乗り入れができる。したがって、これは空港から行きますと、名古屋駅に出て、中央線に乗って直接行けるということになるのかと思いますけれども、そういったことについて所要の施設整備をした上で、運行計画上も、相互乗り入れをする、直行できるダイヤをつくるというようなことも含めて全体の輸送計画が現在進められていると承知しております。

岡本(充)委員 今の直行便の件でございますけれども、中央線を通って高蔵寺駅から愛知環状鉄道を通っていくルート、およそ一日何万人の方が万博開催中御利用される、そういう見込みで計算されておりますか。

澤井政府参考人 全体一千五百万人のうち、鉄道系の輸送需要が、協会によれば八百八十万人と見込まれておりまして、今御指摘の点は八草経由ということになるのかと。

 今手元に具体的な駅別、ルート別の数字が詳細にございませんので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 かなり多くの方が利用される予定であって、今確認をしていただいておる中でございましょうけれども、私のちょっと調べさせていただいた範囲では、かなりこれ、利用客に対して電車の本数が少なかったり、特に直行の電車の本数が少ないんじゃないかと思うんですね。恐らく今、資料は手元にあるのかもしれませんけれども、そういった観点で十分円滑な輸送が行えるかどうか。では、この点に関してもあわせてお答えください。

澤井政府参考人 先ほど御指摘のルートにつきましては、鉄道系全体八百八十万人の中で五百四十万人という需要が見込まれております。そのほか、地下鉄で藤が丘まで来て、丘陵線、リニアですね、これを使って来る方々が二百三十万人。それから、五つほどの駅からシャトルバスを出す、そこまでは鉄道で来るという方々が百十万人程度。

 こういう見込みを前提といたしまして、一つには、当然、全期間を通じて基本的にこのような対応をするというような運行計画に加えまして、特に需要予測の中では、ピークはゴールデンウイークあるいは会期の終わりのころのいずれも朝の時間帯に集中するだろうということで、そうしたピーク時について、特に鉄道ダイヤの密度を上げるとか、あるいは、混雑率が一定以上になったときに鉄道を補完するシャトルバスを臨時便で出したり、あるいは増便したり、さらに、混雑時においてはできるだけ需要が平準化するように利用者に情報提供して選択していただくというあたりを、関係のバスとか鉄道とかの交通事業者と、間に運輸局も入りまして、協会を中心に今詰めておりまして、こういったことをきちんと検討、整理が済めば輸送需要に対応できるというふうに考えております。

岡本(充)委員 今の御報告ですと五百四十万人。会期が半年ですから、百八十日として、およそ一日三万人。今おっしゃられたゴールデンウイークには平日の倍ぐらいの人が来られる可能性があるとすると、一日、下手すると六万人から十万人ぐらいのお客さんを運ばなければいけない。

 そういった中で、例えば愛知環状鉄道は一部複線化を今工事しております。しかし、私が伺ったところ、JRからの直接乗り入れは一時間に三本、そして愛知環状鉄道の電車が三本、合わせて一時間に六本。電車の車両が、私の調べたところ四両編成ぐらいの電車が走っておりますので、六、四、二十四両。二十四両で例えば十万人運ぼうと思ったら、一体どれだけの方がこの一車両の中に乗らなきゃいけないのか。計算していただければだれでもわかることでありまして、山手線でも定員が百五十人、こういった車両でございます。

 そういった意味で、本当にお客さんが、来場者がもう一度来ようと思っていただけるような万博になるかどうかの一つの肝を占めるのが、このアクセスの快適さだと私は思っております。例えば、私の地域の地元の皆さん方がもう一度行ってみようと思っていただくことが、この万博の来場者数が目標を達成する大きなファクターなんですね。

 そういった意味で、こんな込んでいるのならもう行くのやめようと思うことのないように、今私が指摘した点、数字的に間違っているのなら間違っていると言っていただいて構いませんけれども、それを踏まえて御答弁願えればと思います。

澤井政府参考人 今御指摘の愛知環状鉄道ということで例にとって、現在進めております検討の中での試算でございますが、輸送需要が最大の日のピーク時の一時間、先ほど一日三万人、ピーク時六万人と一日の量でお話がございましたけれども、一時間の最大の想定輸送量を約一万一千九百人だろうと見込んでおりまして、これだけの人が乗車すると、前提としておりますダイヤで運ぶとすれば乗車率は一九〇%程度という試算があります。

 一九〇%というのは、折り畳むなど無理をすれば新聞を読める、四つ折りぐらいにしてやれば読める水準を若干上回る。先ほど申した状態が一八〇ぐらいだということでございまして、なお、ピーク時の平均輸送量を勘案して策定された計画輸送量は一時間で八千人強ということで、乗車率が大体一三二%ぐらい。この辺は少しダイヤも密度は薄くなるということで、数字は比例はしていないと思いますが、広げて楽に新聞を読める乗車率である一三〇%を相当下回る、このような試算が今されている。

 逆にまた、そういう試算に相当するようなダイヤの計画が調整が進められているというふうに私どもでは承知をしております。

岡本(充)委員 首都圏のラッシュよりも厳しいような環境の中で、これは時間も結構かかるんですね、名古屋駅から行こうと思うと、かなり時間がかかる。小さな子供の手を引いて、こういった満員電車に乗って行かなければならないという万博に、もう一度行きたい、こういうふうに思っていただけるのかどうかをしっかり検討していただいて、このアクセスの方法をもう一度協議していただきたいということを要望として私は述べさせていただきたいと思います。

 この質問はここまでにしておいて、もう一つ。ちょっと時間がないものですから、私、国土交通関係で大変関心を持っておりますことは、全然話はかわるんですけれども、天気予報の話。

 何でこれが関係するかというと、実は、中部国際空港ができて、新しい航空需要を見越して、そして日本に幾つもの航空会社が来ていただくためには、今度は新しい衛星、天気だけじゃないんですね、MTSATと言われている衛星は航空管制をもつかさどる。

 そういった中で、今、航空機の性能上、東南アジアの飛行機が太平洋路線を通ってアメリカに行く場合には日本にワンストップしなければいけないという技術的な要因でおりている飛行機がありますが、将来、長期に飛ぶような飛行機が出てきたときには、実はこの部分が、日本が飛ばされて、直接アメリカに東南アジアから行けるようになってしまうと、日本の航空需要も落ちる可能性も出てくるんです。

 そういった中で、太平洋路線のニーズが今非常に高くなってきています。いろいろな、日本だけじゃないです、東南アジアや中国、各地から太平洋路線を使いたいというニーズも高くなってきている中で、このMTSATという衛星を早く実用化したいというのが多分国土交通省さんの本音ではないかと私は思っております。

 要因はよくわかっております。打ち上げの問題だということもよくわかっています。これを、航空行政も含めて非常に望まれているこの衛星を、例えばヨーロッパのアリアンロケットだとかアメリカにお願いするとか、こういった形で打ち上げをしていくということを予定されていないのか。

 そしてさらには、今、ゴーズと言われている中古の衛星を使って予報してみえるようですけれども、こちらの寿命等をかんがみて、将来、天気予報が、衛星がないからできなくなったなんということが起こらないような万全の措置をとっているという旨の一言をいただきたいと思っております。

長坂政府参考人 ただいま御質問のございました運輸多目的衛星新一号機でございますが、御案内のとおり、気象観測に加えまして航空管制にも使うということで進めているところでございます。

 この打ち上げにつきましては、H2Aロケット六号機の昨年の打ち上げの失敗がございまして、現在、原因の究明等を文部科学省及び宇宙開発委員会において進めているところでございます。

 運輸多目的衛星新一号の打ち上げ時期自体については、そういうこともございまして未定ではございますが、気象庁といたしましては、確実かつ早期の打ち上げを期待しているところでございます。

 なお、ほかのロケットで打ち上げてはというのが御質問の一つの趣旨かと思いますが、本件につきましては、総合科学技術会議におきまして、平成十四年六月に、「政府の人工衛星の打上げに国産ロケットを優先的に使用することを基本とする。」といたしております。このため、H2Aの早期の打ち上げの再開ということを強く希望、期待しているところでございます。

 なお、運輸多目的衛星新一号につきましては、H2Aロケットによる打ち上げに適合するように製造されておりまして、他のロケットによる打ち上げに切りかえるためには、必要な準備と経費等の問題があると承知をいたしております。

 それから、現在、アメリカの衛星ゴーズ九号を使いまして西太平洋の宇宙からの気象観測をいたしているところでございますが、本件につきましては、ゴーズ九号の運用につきまして日米間で万全の運用体制をとっておりまして、今御懸念のような、衛星の観測が欠落するということのないように目指しているところでございますし、あわせて、将来におきましては運輸多目的衛星二号というのも想定をいたしておりまして、日本としても気象観測等々で補完的な衛星が自前で持てるんじゃないかというシナリオでもって準備を進めているところでございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 くどいようですけれども、ゴーズ九号が、これ自体が打ち上げられて時間がたっておりまして、寿命が来るのではないか。そういった中で、ひまわり五号に戻して気象観測をしなければならなくなったときに、今でも気象衛星のカメラがスムーズに動かない現状があるわけなんですから、そういった中で、国民の皆様方の生活に直結します、日本の周囲だけ映ればいいわけじゃなくて、海上でお仕事をされている皆様方にも情報提供をしなければならないという観点から、ぜひ万全を尽くして、いろいろな憂いがあると思いますけれども、こういった憂いに対応していただきたい。これを御要望とさせていただきまして、本日の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 永田寿康君。

永田委員 民主党の永田寿康でございます。

 石原大臣には、ずっと長いこと質疑に応じていただいて、ありがとうございます。

 ことし、予算委員会で一度、私、大臣に質問をさせていただきましたが、日本歯科医師連盟の事件が逮捕者を出す展開になりました。臼田会長と内田理事がそろって逮捕される。これは中医協という厚生労働行政に係る贈収賄事件ではありますけれども、やはり日本歯科医師連盟の金権ぶりというか、非常に前近代的なお金の使い方というものを見ていると、この事件、今後広がりを見せるのではないかという懸念があります。

 ですから、昨今、大臣が、いわゆる迂回献金ではないかというふうに指摘をされている部分につきましても明白にしていかなければならない部分が多々あるんだというふうに思っております。ですから、国土交通委員会の正式のメンバーではございませんが、ちょっとお時間をいただきたいと思います。

 さて、単刀直入にお伺いをいたしますが、問題となっております一千万円の献金掛ける四回分、これはどのような手段で国民政治協会から石原伸晃大臣の管理する総支部への送金がなされたのか。銀行振り込みなのか、あるいは小切手なのか、現金で持ち込まれたのか。そういった形態、手段についてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょう。

石原国務大臣 国民政治協会から私の支部への献金はございません。自由民主党の本部から第八支部に、お示しさせていただきましたような献金というか交付金があったわけでございます。

永田委員 正確な御指摘ありがとうございます。

 では、その交付金の受け渡しの手段はどのようなものであったのでしょうか。教えてください。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘の交付金についてでございますが、もう既に資料として提出をさせていただきましたが、平成十二年七月三十一日に一千万円、平成十三年六月二十九日に一千万円、同十一月二十九日に一千万円、平成十四年五月三十一日に一千万円の交付を銀行振り込みで受けているものと承知しております。

永田委員 この交付金はどのような性格のものであるというふうに事務所ないしは大臣は御理解をされているんでしょうか。

石原国務大臣 これは委員は御経験がないからわからないかと思いますが、中選挙区制だったわけでございます、かつては。中選挙区制のときは、政治家は政治資金をみずからの裁量によって政治資金管理団体に集める。そして、私が当選させていただいたときは、政治資金管理団体は幾つ持ってもよかったわけでございます。そんな中で、政治改革議論の中で、政治資金管理団体を国と地方に二つにいたしました。それが、二〇〇〇年、五年間の暫定期間を経た後に、小選挙区制が、平成八年でございますか初めて選挙がございまして、個人の持つ政治資金管理団体への企業・団体献金等々が禁止となりました。

 これは小選挙区制の趣旨にのっとって、これからは政党を中心にお金を集めていく、政治家個人ではなく政党を主体として政治資金を募るべきだという改革の趣旨にのっとり、自由民主党本部また支部では政治活動を行っている、その中の一環であると認識をしております。

永田委員 私ども民主党も、おかげさまで、さまざまな資金を党本部に集めていただいております。当然、個人献金、企業献金もございますし、パーティー券それから政党助成金もあります。こうした本部に集まったお金が支部におりてくるときには、趣旨が明白になっていることが多いのではないかと私どもは思っております。

 自民党さんの資金の流れを見ていても、年に四回に分けて二百五十万円ずつ、年間一千万程度の交付金が本部から支部の方に流れてくるという通常のパターンがあります。それ以外にもさまざまなイレギュラーな形で交付金というのはなされるんだと思いますが、私ども民主党でも、年に四回に分けて総額一千万円の政党助成金見合いという資金が交付をされております。

 これは、実は政党助成金見合いということが明示されて寄附をされます。つまり、政党助成金というのはもともとその使い道が限定されていまして、普通にパーティー券とか個人献金などで集めたお金とはちょっと違った取り扱いをしなきゃいけない。口座を分けなきゃいけない、それから、年末をまたぐときには繰越金を積まなきゃいけないとか、そういったさまざまな制約が法的に課されておりますので、例えば、受け取ったお金が、これが政党助成金見合いなのかどうかということは、私たち政治家にとってもきちんと関心を持って認識し、そして管理をしていかなければならないポイントであります。

 また、参議院の選挙が近くにありますけれども、参議院の選挙というと大体全県選挙になります。全県選挙になると、その県の中にある各支部がそれぞれ分担をしながら選挙をやることになります。

 例えば、参議院の候補者のポスターを張り出すために各総支部が協力する、それに必要な経費は、一部県連やあるいは本部から、ポスターの張り出し経費見合いというようなことで相当額が出されたりするわけです。つまり、受け取るときには、これは何に使っていいお金だよ、何に使うべきお金だよということを明示しながら受け取るのが普通だと思います。

 そういう意味で、大臣は、このお金を受け取ったときに、どのような使途に充てるべきものというふうに認識されたのか。つまり、どのような性格のお金だと認識したのか。そういうことをお伺いしておるわけですが、大臣の御認識をお伺いいたします。

石原国務大臣 今の永田委員の御指摘は二点に分かれると思います。

 政党交付金として交付されている政党支部への交付金については、私ども自由民主党といたしましても別個管理させていただいております。極めてその使途は限定的に、政党の政治活動だけに使わせていただいております。

 これは私の支部でも同じでございます。各種、全般にわたる、党に関係する、選挙等々でございます。そのほかの政党からの交付金につきましても、別の口座に御入金をいただき、政党活動の全般に使わせていただいているところでございます。

永田委員 ただ、お金を受け取るときに、これはどういう趣旨のお金であろうということは、当然関心がわき起こると思うんですよ。

 というのは、例えば、自分のポケットマネーを管理している口座にいきなり一千万円ふえちゃった、何じゃこれはと思うじゃないですか。使っていいのかな、使っちゃった後に、やはり間違いでしたから返してくださいと言われたらどうしよう、そういうのは、やはりお金を管理する、大の大人だったら当然の関心ですよね。

 ですから、果たして受け取ったお金を使っちゃってもいいのかどうか、何に使うべきなのかということは、これは、半ば公のお金、公金を扱う口座であれば、当然、そこに入ってきたお金がどういうものかということを考えなきゃいけないと思うんですけれども、どのように受け取られたのか、大臣の当時の御認識をぜひ教えてください。

石原国務大臣 自由民主党本部が政治資金を交付金の形でどのように配分しておりますかは、これはまさに党の判断によって、党がお決めになることでございます。

 自由民主党本部から第八選挙区支部に対して交付された交付金は支部に対してのものであると私は認識しております。当然、政治家石原に対してのものではございません。よって、政治活動、党勢拡大活動に使途を限定して使うべきものであると認識をしております。

永田委員 ただ、使途を、法的には何に使ってもいいんだけれども、実はこういうものに対する実費弁償見合いだというようなことが明示されているケースというのは、僕は政党の場合には多々あると思うんですね。むしろ、そうあるのが普通だと思います。

 政党助成金なんというのは、年に四回に分けて、法律に許された範囲内で皆さんに交付されるものだというのが、自民党でも民主党でも大体似たような扱いだと思いますので、それは法律に許された範囲内の使い方をすればいいんでしょうけれども、趣旨が明示されずに入ってきたお金を、これは何に使ってもいいんだというふうに勝手に思い込むというのはどうも不自然だというふうに私は思うんです。

 ですから、今大臣は、このお金は何に使ってもいいんだということで党勢拡大に使いましたというようなお話をされましたけれども、そういうふうに使ってもいいんだというふうに認識したのはなぜなのかということをお伺いしているんです。例えば党本部に問い合わせたんでしょうか。どうしてそういう認識を持つに至ったのかを教えてください。

石原国務大臣 これは、中選挙区を経験している議員と小選挙区で立候補された議員と認識が異なる部分が多々あるんですけれども、私は、先ほど申しましたように、小選挙区制の導入というものは、原則的には政党対政党の選挙にすべきだという趣旨だと思います。そのことは、政治家本人の政治活動の大部分を、私はすべては否定いたしますけれども、多くの部分を政党活動に切りかえるわけでございますので、政党が、ある程度の政治資金というものを交付金という形で各支部に配付する、これが原則であると思っております。

 自由民主党から他の支部にどれだけの交付金が、どういう時期に、何の理由をもって交付されているかということは私は存じませんけれども、党の支部には、政治活動をするに当たりまして、選挙区の事情、党勢、それぞれ異なる事情があるということは、委員も小選挙区の選挙活動をしていて、御近隣の選挙区といえども全く一緒ではないということは御理解いただけるところだと思っております。

 いずれにいたしても、自由民主党本部が党の支部に対して、交付金を、いつ、どのように配分されておられるかは、これは先ほども申しましたように党の判断でございますし、支部としては、党の政策あるいは党を主体として組織している内閣の方針あるいは党の考える国のビジョン、こういうものを機会あるごとに広報宣伝するということが政治活動の主たる手段、このように変わってきております。そういうものに交付金を使用させていただいているところでございます。

永田委員 どうも納得しかねるんですよ。

 民主党だって、今百七十人を超える衆議院議員がいる組織です。自民党はもっと議員が実はいるわけですが、自民党よりも小さな組織である民主党であっても、やはり各種の交付金の使い方については、一定程度合理的な基準を設けて、それで、機械的に配分する部分と、特別な事情を勘案して配分する部分とあるわけですよ。

 例えば選挙なんかあると、重点候補というふうに党が独自に判断した候補者には選挙の応援のために資金配分をより厚目にするということは、これは合理的な基準を設けた上で実際行っていることなんですね。だから、党の判断として、この人には頑張ってほしいからということで厚目に資金を配分するというのはあるんですけれども、それもやはりあくまで合理的な基準を設けて、だれでもが納得するような基準を設けてやるのが普通なんですよ。

 今回の石原大臣の四点の一千万円の交付金というのは、ほかの議員と比較をしても極めて突出した金額なんです。そして、時期を見てもイレギュラーに配分されているんですね。そこには何か理由があるというふうに考えるのが、やはりそれを扱う当事者としても、あるいは、公開された情報を見て監視する我々の側から見ても当然の姿勢だというふうに思うんですね。当然の問題意識ですよ、それは。

 だから、一千万円もの多額の資金提供を受けて、いやいや、これはもらっちゃったよ、ありがたいね、うれしいねというふうに思っているようでは、これはおめでたいとしか言いようがないわけで、やはり本部に対して、どういう趣旨のお金かということを確認しなかったということは、これは実は重大なことなんですよ。

 確認しなかったその裏にある事情は、言えることは二つしかないんです、はっきり言って。確認せずにこれを使ってもいいと判断をしたその理由は、考えてみると二つしかないんです。一つは、それを管理している政治家が全くおめでたい人間で、問題意識を持っていなかったか。もう一つは、確認するまでもなくそのお金の趣旨がわかっている場合です。

 どこから来たお金だかわかっているから、確認するまでもなく、党本部を経由して迂回して受け取ったものだから、確認する必要もなく、ああ、これは使っちゃってもいいんだというふうに判断したんじゃないんですか。なぜ党本部にその趣旨を確認しなかったのか、教えてください。

石原国務大臣 永田委員の推論は推論としてお聞きいたしますが、党が支部に対して、活動しろ、党勢を拡大しろというものを、党員であり、私は二十八年間自由民主党の党員をさせていただいておりますけれども、党員として、党勢を拡大するために、小泉内閣の政策を伝播するために使用するということは、まさに今回の改革の趣旨にのっとったものだと認識しております。

永田委員 自分でシロだシロだと言い張るだけでは、だれも納得してくれないんですね。私の問題意識が間違っているものだというふうに主張なさるならば、私が納得するような説明をしていただきたいんです。

 それは、例えば、趣旨を全く明示せずに党本部から応援のための資金が配分されることはこんなにたくさんほかにもケースがあるんだよ、ほかの議員にも同じことをやっているんだよ、そういうことを例示して説明されて初めて私たちは、ああ、なるほど、普通のことなのかなと思うんですよ。

 だけれども、自由民主党本部の資金の流れを見ていると、定期的に政党助成金見合いで配分されるもののほかに、イレギュラーに出ていくものもたくさんありますけれども、少なくともこの十二年から十四年までについて見てみると、石原伸晃さんの、大臣の管理される総支部への資金というのは、時期も金額も突出しているんです。そこには何らかの合理的な背景を説明してもらわなければ、私たちも、聞いている方としても、ただシロだシロだと言われても納得するわけにはいかないわけですね。

 ですから、聞いている側が、ああ、なるほど、これはありふれたことなんだというふうに感じられるような説明をしていただきたいんですが、何か追加の、補足の説明はありますでしょうか。

石原国務大臣 私は、自分がシロだとかクロだとか、そんな話は一言もしておりませんで、自由民主党の政党交付金は、どういう形で、どういうふうに流れ、何のために使用するのかということをお話しさせていただいているのでありまして、それが適切でないと永田委員が考えるということは、政党が違うわけでありますから、見解のまさに相違だと思います。

永田委員 政党支部と政党本部というのは結構一体感が強いものでありまして、支部に対して監査が義務づけられていないのは、支部の監査は本部と一体のものだというふうに認識されているからなんですね。それぐらい支部と本部というのは一体のものなんですよ。それで、支部にもらったものは、ああ、ではもう勝手に使っていいんだというふうにすると、結果的に本部に迷惑がかかることにもなりかねないんですね。だから、本部と連携をして、このお金はどういう趣旨で使うんだということを確認しながらやっていかなきゃならないものなんですよ。

 だから、本部の判断で勝手にくれたものだから、あとは本部に聞いてくれというのは聞いている側としては全く納得できない話であって、いわゆる本部と連携をして、これはこういう趣旨のお金だからこういうふうに使いましょうよというふうに確認をし合いながらやるものだと思いますから、ぜひそこのところの説明を、もう少し言葉を重ねていただきたいなというふうに思っています。

 あと、これは差し支えない範囲で教えていただきたいんですけれども、大臣の管理されている政治団体とか、あるいは銀行口座、一体幾つぐらいあるんですか。政党助成金は一個でやるべきだと思うんですけれども、それ以外のところにもたくさんあるんでしょうか。これ、管理がどうも相当難しいような印象を受けるんですけれども、一体幾つの政治団体と幾つの口座を管理しているんですか。

石原国務大臣 先ほどもお話を申し述べさせていただきましたように、制度が変わるまでは、政治資金管理団体、私、国と地方、二つ持っておりました。

 東京第八選挙区支部の資金管理体制の件のお尋ねでございますならば、資金管理の詳細は、私、承知しておりません。どこの銀行がメーンであるかということは承知しておりません。政党助成金の管理というものは別の口座でしっかりとそれは行っている、こういう報告を受けております。

 ですから、日常用いる口座は二つ。政党助成金の口座とそれ以外の口座の二つと認識しているところでございます。

 済みません、補足させていただきます。

 そのほか、事務費等々を、選挙事務所ではない私の個人の事務所の出入りの、電話代とかというものの口座が一つ。それと、そこの事務所の半分が政党支部になっておりまして、地域の支部の総支部長も私は兼務しておりますので、そこで、議員の方々が集われたりして、電話連絡をしたり、党勢拡大活動をする、そういうものに使っている口座が、何というんでしょうか、出入りの口座としては二つございます。

永田委員 大変お名残惜しいのですが、時間が来たのでこれにて終わりたいと思いますが、大臣の説明を聞いていると、自民党本部の資金配分のあり方それから管理の仕方が明らかにならなければ、どうも多くの国民を納得させることができないというふうに考えますので、ぜひ自民党経理局長の岸田文雄議員を参考人に呼んで、この場で御説明を伺いたいと思いますので、理事の方々にはお取り計らいをお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 前回に引き続いて、石原大臣に日歯連との関係で質問します。

 私は、石原大臣の二〇〇〇年の収支報告について、訂正の事実について指摘しました。いつ訂正手続をとったかということで、再度お聞きします。

 大臣は、私の二度にわたる質問に、調査過程ですから、最近だと思いますと答弁しました。その答弁した日は五月の十四日でした。四度にわたる一千万の自民党本部からの交付金、七月三十一日付の交付金を私が指摘したのは五月十二日でした。

 一体、いつ訂正を行いましたか。

石原国務大臣 報告書の訂正を行ったのはいつかという御質問でございますが、担当者より、今回の交付金に関する事実関係を調査あるいは確認する過程におきまして、第八支部の収支報告書の記載に間違いがある、こういうことを聞きました。私は、早急に、間違いがあるならば修正を行うように、こういう指示を出しました。

 その後、五月十二日付で、東京都選挙管理委員会に対し、必要な訂正の手続を行ったとの報告を受けております。

穀田委員 五月十二日に訂正している。私が指摘したのも五月十二日だった。指摘をして質問したときに、わざわざ十四日に、最近と答えたということだけは、皆さん、記憶に残しておいてほしいと思います。

 最近だと思いますと答弁する意味はどこにあったか。それは、結局、指摘をしてから、客観的には、訂正したということを余り思われたくなかったんでしょう。

 次に、収支報告について聞きます。

 大臣は、収支報告を私に見せたときに、こういうものがありましたという話は聞いた記憶がございますと答弁されました。当然、この収支報告は、その支部長である石原大臣、政党活動を大事にする方ですから、その報告は毎年受けておられますね。

石原国務大臣 委員のおっしゃられるものが選管等々に提出する政治資金報告であるならば、毎年見ております。

穀田委員 それでは、大臣は、自民党本部からの四回、そして五回、実際上は五回になっていますね、一千万を超えているのは。そういう質問に対して、当然、そのときについては記憶がございますと答えているわけですから、では、選管に提出する収支報告を見たということは確認したい。

 ついでですから、三つばかり言いたいと思うんです。

 第一に、だれに見せてもらったのか。第二に、問題の焦点となっている四回分の記載されたものを見ているのか。そして、こういうものがありましたという話は聞いたことがありますという、こういうものとは何を指しているのか。その三つの点についてお聞きしたい。

石原国務大臣 収支報告書は収支報告書を担当している者から見せてもらっておりますし、毎年、第八選挙区支部の収支報告書を作成し、提出の際には、その都度報告書の内容について担当者より報告を受けておりますが、個々の、これはどういう項だというような細かいお話は、私は余り覚えておりません。

穀田委員 まあ、細かい方の二百五十万や百万は覚えていなくても、千万は相当な金ですから覚えておられるでしょう。

 そこで、きょう大臣が提出をされたとお認めになる資料について間違いがあったのもお聞きになりましたね。

石原国務大臣 本日は、私は資料は提出させていただいておりません。

穀田委員 それは異なことをお聞きしますね。私は、前回に、明らかにしてくれと言って、調査を出してほしいと言いました。そうしたら、調査して明らかにしますと述べた。そして、理事会では、これは大臣から依頼を受けて出したものとして提起させていただいた。したがって、大臣が出したものとして判断してよろしいかと言ったら、そうだと答えた。そのことについて責任はないとおっしゃるんですか。

石原国務大臣 責任の趣旨がわからないので、もう少し御丁寧に御説明をいただきたいと思います。

穀田委員 あなたが提出した資料として判断されていいのですねと言っているんですよ。

石原国務大臣 ですから、何度も申しましたように、私の責任において、私が調べて出し得るものは提出させていただきました。きょうはそういうものは提出させていただいていないと答弁をさせていただいているところでございます。

穀田委員 だと、私は理事会の話は違うと思いますね。私は別にあなたが憎くて言っているわけじゃないんですよ。あなたが迂回献金と呼ばれる形態をとっているという疑惑を私は指摘したんです。

 それは、第一に、出どころが日歯だ。その日付も言いました。第二に、国民政治協会が受け取って自民党本部に出されている期日、自民党本部からそして東京第八支部に出されている期日。これも全部言った。

 きょう出された資料は、あなたが責任を持ってお認めになった資料というから私は議論をしているんですよ。あなたがわかる範囲内でという東京支部と自民党との関係だけではありません。それもあなたが自分で出せる資料なんです。それだけの話なんです。

 私は、あなたが責任を持って、日歯連から国民政治協会、国民政治協会から自民党ということについての献金の流れを明らかにしてほしいと言ったんです。それも、あなたが明らかにするんではなくて、日歯連にお尋ねしなければならないし、国民政治協会にお尋ねしなければならないでしょう。しかし、そのことも含めてあなたが出すべきだと私は前回主張し、そのことについて、それはあなたは自民党の方に調べてくれと言って、自民党から出された資料として理事会に提出されたんだ。そして、理事会に提出された際に、私は、これは石原大臣が了解していると見ていいんですねと押したら、そうだと言ったんです。そうですね、委員長。

石原国務大臣 こういうことでしょうか。違ったらまた答弁させていただきたいと思うんですけれども。

 私の責任において出せる資料というものは、私の政党支部に本部から出てきたものの資料でございます。

 委員が御指摘になっておりますものは、党本部に国民政治協会からどれだけのお金がいつ入ってきているのか、日本歯科医師会から国民政治協会にどういう日付でどういうお金が入ってきているのかということについても大臣の責任において提出しろということをおっしゃっているんだと思いますが、必要な調査を行いましたけれども、日本歯科医師会から国民政治協会、そして国民政治協会から党本部への政治献金については私が責任を持って資料を作成することのできる立場にないということは、委員も今の意見の御開陳の中で言われたと思います。

 したがいまして、自由民主党を代表する自由民主党の筆頭理事と対応を御相談させていただいたところでございます。これを踏まえまして、自由民主党を代表して、自由民主党の衛藤筆頭理事から本日の理事会で御説明をいただき、資料を提出されたと聞いております。

 私が責任を持って提出できる資料、説明できる内容につきましては、理事会からも御指示いただきまして、私から既に提出をさせていただいているところでございます。

 私といたしましては、今回の資料は、自由民主党の御協力によって、自由民主党へ国民政治協会から、あるいは国民政治協会に日本歯科医師会から資金の提供というものがあったものを証明する資料であると認識をしております。

穀田委員 全然問題ないんですよ、それこそ。

 つまり、今まで多くの方々がやってこられたのは、それは自民党の責任で石原大臣が指定をされた内容に基づいて出されて、それを石原大臣が出すべきだということを私は主張しているんですね。その結果について、あなたが正しいか正しくないかは別として、それについて責任を負えるというのは自民党なんです。日歯連から出していただくのも日歯連の責任なんです。ただ、それらについて、日歯連から政治協会へ、政治協会から自民党へというのは、それぞれの団体が責任を持って出すのだが、それを提出する責任はあなたにあるということを私は言っただけなんです。おわかりいただけますね。それを私は前回主張したんです。

 では、その上でもう一遍聞きますけれども、どうして記載ミスがわかったのか。先ほどの、ミスでといいますと、ミスの報告があったというわけですから、御報告いただければと思います。

石原国務大臣 申しわけございませんが、同じ答弁になってしまうことはお許しいただきたいと思うんですけれども、担当者より、今回の交付金に関する事実関係を調査、確認する過程において、第八支部の収支報告書の記載に間違いがある、こういうことがわかったと聞きました。

 その後、五月十二日付で、東京都選挙管理委員会に対しまして、必要な訂正の手続を行った、そういう報告を受けたところでございます。

穀田委員 そうしますと、毎年報告を聞いているわけですから、本来、記載ミスはあり得ないんじゃないですかね。例えば、小さい額であれこれあったというんであればわかるんです。というのは、先ほども私の同僚の委員が質問ありましたように、振り込みで来られていると。通帳があるわけですから、銀行振り込みで来られた、こう言っているわけですから、自民党から党支部へ来たものについて、少なくとも一千万単位で来ているのが実はあるわけですから。平成十二年は一回だけですからね。それは通帳にも書いてある。通帳にも記載されてあるでしょう、銀行振り込みですから。したがって、それが抜けるということはほとんどあり得ない。

 大体、繰り越しの額が違ってくるわけだから、記載を見る機会があったとかというのでは済まされないんです。普通、そう思いませんか。金がなくなって違ってくるのならわかりますよ。帳簿上はそれだけでは済まない。一千万はどこに行ったのか。金庫に現金として残っていたのか、帳簿には残っていたのかということが当然疑問になりますよね。そういう点はどういうふうにお考えですか。

石原国務大臣 まことに申しわけございませんが、私は経理の専門家じゃございませんので、通帳と政治資金報告が合っているかということを一字一句合わせるようなことは、実はこれまでやってきておりません。

 何でこういうことになったのか担当者に確認しましたところ、平成十二年は選挙の年で、事務処理の量が多く、そういうものをやっていた担当者も交代したばかりで事務的なミスが生じた、そういうことで、先ほど申しましたように、東京都選挙管理委員会に対して訂正を行ったと。

 政治資金の管理、報告書の作成については、一般論で恐縮ですけれども、厳正かつ適切に行い、以後このようなことがないように担当者にも厳重に注意をいたしましたし、私も専門家ではございませんので、専門家のアドバイスもいただいて、厳にこのような誤りのないように努めさせていただきたいと申し述べさせていただきます。

穀田委員 なるほど、一千万が通帳に記載されているか、それが正しく収支報告書に記載されているか、経理の専門家でなければなかなかわからないということがわかりました。私は、普通、一千万というものと、収支報告書に一千万と書くのは稚戯にも等しいと思いますけれどもね、同じ一千万ですし、大した話じゃないと思うんですけれども。

 私は、一連の事実を示して、そこであなたに調査を、回答を求めました。そのときに、前回、石原大臣はこう言いましたよね。新聞に書いてあることは全部事実だと思いませんと答弁されました。しかし、少なくとも、私が指摘をし、当時毎日新聞が明らかにした一千万の記載訂正というのは事実だったんだ。

 私は、一連の問題について、石原大臣にこういうことを確かめてほしいということを要望しました。

 第一は、四回にわたる事実を、日歯連から政治協会、政治協会から自民党本部、そして第八支部という日付を全部示して、そのときはわからないと言っていましたけれども、今やこういう日付となって一連の数値が出ました。この数値は、これ、持っていらっしゃいますよね。また見ていないと言われるとつらいから。この項目でいいますと、私が指摘をした四掛ける三、十三と言っても十二と言ってもいいでしょう、そのうち全部符合していて、金額の、国民政治協会から自民党に行くに当たって、当時自民党が全部集めた資金の国民政治協会に出されているお金がまとまって自民党へ行ったというだけの違いであって、その日にちも全部一緒だったということは明らかであります。したがって、渡っている事実について、私は、日歯連にも確かめてほしい、そして政治協会にもきちんと確かめてほしいということをまず第一に要望しました。

 二つ目に、先ほども、私は前回質問しましたが、一千万円の交付金が特別なものではないかということで、数値も挙げて指摘しました。これも自民党の会計に尋ねてほしいということを言いました。

 三つ目に、日歯連関係者に尋ねたかということを言いますと、知り得る立場にないとの答弁だった。私は、知り得る立場にないんだから尋ねなさいと聞いたわけですね。

 四つ目に、備考欄に氏名があるということが報道されている、これについても自民党と日歯連に尋ねたかと。

 こういう一連の問題について、石原大臣はお尋ねいただいたでしょうか。

石原国務大臣 きょうの午前中の委員会でも、情報の漏えい、個人情報の保護、こういうものの重大性の議論がございました。

 ただいま委員が指摘された、どこどこにどこどこの名前があるというような情報が、守秘義務がある以上、表に出てくるわけないんですね。そんなものをどうやって確認するのか、私はこういうふうに考えております。

 ましてや、日歯連の内部帳簿ですか、そういうものがあるのかないのか、そんなものを私がうかがい知る立場にもありませんし、あるかないかのものを、あるんですか、ないんですかとどなたにお聞きすればいいんでしょうか。こういうふうに考えております。

穀田委員 あるのかないのかじゃないんですよ。新聞報道にはあると言っており、私は、あるのではないかと指摘しているんですよ。それで、今言いましたように、日付は全部合っているんですよ、だれが言おうと。

 それで、きょうもおもしろい議論になりまして、最初に出た資料は、日歯連からの国民政治協会への献金はそれぞれ一つずつしか出なかったんですよ。そうしたら、一つずつしか出ないということは、余りにもこれは日歯連から政党支部へ直接流れたように見えちゃうんでまずいんじゃないかというふうな議論まで出たぐらい、だれも常識的に見ればそういう流れがあるということが普通の感覚なんですよ。

 だから、そういうものを指摘しているのに対して、そうじゃないという明確な反論をする必要が義務としてあるのが今の日本の挙証責任というものなんですね。

 私は、今お話ししたように、あるのかないのかと。だから、あるのかないのか尋ねたらいい。しかも、今尋ねる相手は、私は指摘したんですよ、そのときも。残念ながら、会長もおられない、それから会計責任者も実は捜査の関係で引っ張られているかもしれないと。だから、そういうことも含めて、代理の人たちも含めて聞いてはいかがかということも言ったんですよ。

 私は疑念を提起しているわけだから、迂回献金をしている日にちは合う、相手もこう言っている、しかも名簿にも記載されているという話もしているわけですから、それが全部事実でないということについて、挙げて反論する義務があると私はあえて申しておきたいと思うんです。

 私は、疑念を晴らそうという真摯な態度がはっきり言って見られないというのが特徴だと思います。私どもが、持っているか持っていないかは別として、衆議院手帳には政治倫理綱領というのがあります。それにどう書いているか。これの四つ目に、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と言っているんですね。

 私は、それを明らかにする際に、日歯について聞く必要がある。自民党の有力な幹部であるわけだから、自民党に対してそういう事実の記載があったのかどうかについて聞く必要がある。そして、自民党からは、日歯からの金が流れているという問題について、そういう事実を確かめる必要がある。四つきちんと言っているんですよ。

 それは何も守秘義務という問題じゃなくて、みずからが問われた疑惑に係る事実について私は指摘をし、事実でないんだったら、ないで明らかにする必要があるとしか言っていないんですよ。そこを私は聞いてもらう必要があろうかと思います。いかがですか。

石原国務大臣 穀田委員の御説は御説として聞かせていただきたいと思うんですけれども、事実を確認したのかという話ですけれども、これもしつこいようなんですが、自民党本部から支部への交付金というものは、党本部が支部の活動のために党支部に対して、寄附者の意向ではない、党本部の判断に基づいて党支部に資金を交付するものなんですね。これは御党でも多分同じだと思います。

 したがって、今話題になっております私の交付金につきましても、日歯に対して、そういうものがあったのかないのか聞くような性質のものではない、また、その必要もないと私は考えております。

 それともう一点、今回の交付金は、自民党の本部が支部の活動のために支部に対し独自の判断で交付した、そういう認識でずっと来ているわけであります。今も変わりません。したがって、今回の交付金に関してそういう報道がなされているということは承知しておりますけれども、必要な、私が出し得る資料、また、御協力いただいて出し得る資料はすべてお示しをさせていただいてまいりました。

 それをもって、御納得されない、あるいはこれは問題だと言われるのは委員の御判断だと思っております。

穀田委員 最後に一つ。

 認識はわかるという話ですけれども、私は違うんだよね。少なくとも、私が示したのは、そういう数字、金が流れているという可能性がある。しかも、その一千万円の自民党本部から支部への流れについても極めて異例だということについても、数字も示して言ったわけですね。だから、そういうことについてお尋ねしてもらう必要があるじゃないかと。

 しかも、この日歯からのお金というのは、代々、前の会長のときには、今度はこういう人のためにお金をやっているんだよとわざわざ耳打ちまでしたという話まで出ているんですよ。それだけじゃなくて、今度、お金を、日歯から出る場合の政治献金を自民党国民政治協会が出す場合に名前まで記載されているということまで出た。だから、そういう事実について、それはそれで、そういう事実はあり得ないということを自民党から聞いたらいいんですよという極めて単純な、認識の問題にかかわることじゃなくて、事実についてどう究明するかの態度についてお聞きしたということだけ私は指摘して、終わります。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、参議院送付、建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案及び不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石原伸晃君。

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 建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案

 不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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石原国務大臣 ただいま議題となりました建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案及び不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 我が国の国民の生活や経済を支えている建築物は、新規建設中心の時代からストック再生の時代を迎えております。しかしながら、建築物の安全性と市街地の防災機能に着目いたしますと、平成七年の阪神・淡路大震災において多数のとうとい命が奪われたほか、昨年の宮城県北部地震においても大きな被害が発生するなど、地震や火災に対する安全性が十分確保されているとは言えない状況にあります。今後の大規模地震に備えた安全で安心できるまちづくりの実現には、既存建築物に対する制度面の充実強化等が緊急に必要となっております。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、劣化の進行を放置すれば地震により崩壊する危険性が高いなど、危険または有害となるおそれのある既存不適格建築物に対して、建築行政を所管する特定行政庁が、勧告・是正命令を行うことができることとするほか、建築物の適正な維持、保全を図るため、報告・検査制度を充実強化することとしております。

 第二に、既存不適格建築物について順次改修を進めていくことなどを可能とするための建築規制の合理化を行うこととしております。

 第三に、災害が起きた場合等に多数の生命にかかわる建築基準に違反している建築物について、是正命令に従わない場合の法人重課を最高一億円とするなど、罰金の大幅な引き上げを行うこととしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 今日、不動産市場の構造変化に伴い、不動産の取引や投資に当たっては、リスクを考慮し、利便性、収益性といった利用価値に見合った価格を見きわめる必要性が高まっています。

 この法律案は、このような状況を踏まえ、不動産取引の円滑化及び適正な地価の形成に資する観点から、地価公示の対象区域を見直すとともに、不動産鑑定士等が、不動産の鑑定評価の専門家に期待される役割を将来にわたって的確に果たしていくことができるよう、不動産鑑定評価制度を充実しようとするものであります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地価公示について、現行の都市計画区域内に加えて、都市計画区域外の土地取引が相当程度見込まれる区域をその対象とすることができることとしております。

 第二に、不動産鑑定士等の業務に関して、不動産の鑑定評価のみならず、不動産鑑定士等が、その名称を用いて不動産の取引や投資に関する相談に応じる業務等についても、その適正な遂行を確保するため、守秘義務、監督等が及ぶよう措置することとしております。

 第三に、不動産鑑定士の資格取得制度について、その資質の向上を図ると同時に、資格を目指す者のすそ野を広げる観点から、全体としては簡素合理化を図りつつ、実務能力の修得課程を充実させることとしております。

 その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案及び不動産取引の円滑化のための地価公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する法律案を提案する理由です。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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