衆議院

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第26号 平成16年6月16日(水曜日)

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平成十六年六月十六日(水曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    岩崎 忠夫君

      江崎 鐵磨君    江藤  拓君

      大島 理森君    梶山 弘志君

      櫻田 義孝君    島村 宜伸君

      高木  毅君    武田 良太君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    二階 俊博君

      能勢 和子君    葉梨 康弘君

      古屋 圭司君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      渡辺 博道君    岩國 哲人君

      岡本 充功君    下条 みつ君

      中川  治君    長安  豊君

      伴野  豊君    古本伸一郎君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      山岡 賢次君    和田 隆志君

      若井 康彦君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山口 勝己君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)   寺坂 信昭君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)   澤井 英一君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)   伊藤 鎭樹君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)   竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)   峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 金井 照久君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 矢部  哲君

   参考人

   (都市基盤整備公団理事) 田中 久幸君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  山岡 賢次君     中川 正春君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 正春君     山岡 賢次君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  水野 賢一君     古屋 圭司君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     能勢 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  能勢 和子君     古屋 圭司君

    ―――――――――――――

六月四日

 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用と暮らしを守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(石毛えい子君紹介)(第二八一八号)

 同(大谷信盛君紹介)(第二八一九号)

 同(梶原康弘君紹介)(第二八二〇号)

 同(川内博史君紹介)(第二八二一号)

 同(津村啓介君紹介)(第二八二二号)

 同(土井たか子君紹介)(第二八二三号)

 同(土肥隆一君紹介)(第二八二四号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二八二五号)

 同(前田雄吉君紹介)(第二八二六号)

 同(牧野聖修君紹介)(第二八二七号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第二八二八号)

 同(山下貴史君紹介)(第二八二九号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二八三〇号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第二八五八号)

 同(大谷信盛君紹介)(第二八五九号)

 同(金田誠一君紹介)(第二八六〇号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第二八六一号)

 同(達増拓也君紹介)(第二八六二号)

 同(中津川博郷君紹介)(第二八六三号)

 同(中村哲治君紹介)(第二八六四号)

 同(牧野聖修君紹介)(第二八六五号)

 同(横路孝弘君紹介)(第二八六六号)

 同(伊藤忠治君紹介)(第二八九五号)

 同(池田元久君紹介)(第二八九六号)

 同(大谷信盛君紹介)(第二八九七号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第二八九八号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二八九九号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第二九〇〇号)

 同(和田隆志君紹介)(第二九〇一号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二九二五号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第二九二六号)

 同(和田隆志君紹介)(第二九二七号)

 同(海江田万里君紹介)(第二九五八号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二九五九号)

 同(肥田美代子君紹介)(第二九六〇号)

 同(藤田幸久君紹介)(第二九六一号)

 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び必要な職員の確保に関する請願(石毛えい子君紹介)(第二八三一号)

 同(大谷信盛君紹介)(第二八三二号)

 同(北橋健治君紹介)(第二八三三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八三五号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二八三六号)

 同(牧野聖修君紹介)(第二八三七号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第二八三八号)

 同(菊田まきこ君紹介)(第二八六七号)

 同(田島一成君紹介)(第二八六八号)

 同(達増拓也君紹介)(第二八六九号)

 同(中津川博郷君紹介)(第二八七〇号)

 同(中村哲治君紹介)(第二八七一号)

 同(増子輝彦君紹介)(第二八七二号)

 同(伊藤忠治君紹介)(第二九〇二号)

 同(鹿野道彦君紹介)(第二九〇三号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二九〇四号)

 同(和田隆志君紹介)(第二九〇五号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二九二八号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第二九二九号)

 同(米澤隆君紹介)(第二九三〇号)

 同(海江田万里君紹介)(第二九六二号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(金田誠一君紹介)(第二九五七号)

同月七日

 気象事業の整備拡充に関する請願(三日月大造君紹介)(第三〇〇九号)

 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用と暮らしを守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(石井一君紹介)(第三〇一〇号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三〇一一号)

 同(筒井信隆君紹介)(第三〇一二号)

 同(一川保夫君紹介)(第三〇五八号)

 同(松原仁君紹介)(第三〇五九号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三一〇三号)

 同(近藤洋介君紹介)(第三一〇四号)

 同(安住淳君紹介)(第三一四八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三一四九号)

 同(細野豪志君紹介)(第三一五〇号)

 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び必要な職員の確保に関する請願(玄葉光一郎君紹介)(第三〇一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三〇一四号)

 同(武正公一君紹介)(第三〇一五号)

 同(小泉俊明君紹介)(第三〇六〇号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第三一〇五号)

 同(辻惠君紹介)(第三一〇六号)

 同(山際大志郎君紹介)(第三一〇七号)

 同(若泉征三君紹介)(第三一〇八号)

 同(安住淳君紹介)(第三一五一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三一五二号)

 同(若泉征三君紹介)(第三一五三号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三〇一六号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第三〇一七号)

 同(古川元久君紹介)(第三〇六一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三一〇九号)

同月八日

 気象事業の整備拡充に関する請願(中馬弘毅君紹介)(第三二一一号)

 同(下条みつ君紹介)(第三二六四号)

 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用と暮らしを守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(河村建夫君紹介)(第三二一二号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第三二一三号)

 同(泉房穂君紹介)(第三二六五号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三二六六号)

 同(高井美穂君紹介)(第三二六七号)

 同(笠浩史君紹介)(第三二六八号)

 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び必要な職員の確保に関する請願(河村建夫君紹介)(第三二一四号)

 同(下条みつ君紹介)(第三二一五号)

 同(東門美津子君紹介)(第三二一六号)

 同(徳田虎雄君紹介)(第三二一七号)

 同(原口一博君紹介)(第三二一八号)

 同(若泉征三君紹介)(第三二一九号)

 同(石井一君紹介)(第三二六九号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三二七〇号)

 同(高井美穂君紹介)(第三二七一号)

 同(笠浩史君紹介)(第三二七二号)

 同(和田隆志君紹介)(第三二七三号)

 同(若泉征三君紹介)(第三二七四号)

同月九日

 公営住宅に関する請願(山岡賢次君紹介)(第三四一三号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(中川治君紹介)(第三四一四号)

 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用と暮らしを守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四一五号)

 同(井上和雄君紹介)(第三四一六号)

 同(泉房穂君紹介)(第三四一七号)

 同(五島正規君紹介)(第三四一八号)

 同(島聡君紹介)(第三四一九号)

 同(中山義活君紹介)(第三四二〇号)

 同(増子輝彦君紹介)(第三四二一号)

 同(山岡賢次君紹介)(第三四二二号)

 同(渡辺周君紹介)(第三四二三号)

 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び必要な職員の確保に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四二四号)

 同(五島正規君紹介)(第三四二五号)

 同(筒井信隆君紹介)(第三四二六号)

 同(中山義活君紹介)(第三四二七号)

 同(山岡賢次君紹介)(第三四二八号)

 同(渡辺周君紹介)(第三四二九号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三四三〇号)

同月十日

 気象事業の整備拡充に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三五二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三五二四号)

 同(室井邦彦君紹介)(第三六二四号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三八一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八八九号)

 建設関連労働者・中小建設関連業者の雇用と暮らしを守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(阿部知子君紹介)(第三五二五号)

 同(樽床伸二君紹介)(第三五二六号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第三五二七号)

 同(仙谷由人君紹介)(第三六二五号)

 同(長浜博行君紹介)(第三六二六号)

 同(大畠章宏君紹介)(第三六九九号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第三八一一号)

 同(吉良州司君紹介)(第三八一二号)

 同(原口一博君紹介)(第三八一三号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三八一四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三八九〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第三八九一号)

 同(奥村展三君紹介)(第三八九二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八九三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三八九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八九五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八九七号)

 同(山口富男君紹介)(第三八九八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八九九号)

 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び必要な職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三五二八号)

 同(石井郁子君紹介)(第三五二九号)

 同(岡島一正君紹介)(第三五三〇号)

 同(水島広子君紹介)(第三五三一号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第三五三二号)

 同(内山晃君紹介)(第三六二七号)

 同(末松義規君紹介)(第三六二八号)

 同(仙谷由人君紹介)(第三六二九号)

 同(梶原康弘君紹介)(第三七〇〇号)

 同(小林憲司君紹介)(第三八一五号)

 同(田嶋要君紹介)(第三八一六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三九〇〇号)

 同(井上和雄君紹介)(第三九〇一号)

 同(石井郁子君紹介)(第三九〇二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九〇三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九〇六号)

 同(山口富男君紹介)(第三九〇七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九〇八号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五三三号)

 同(中根康浩君紹介)(第三八一七号)

 公営住宅に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三五三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八一八号)

 地域に密着した暮らしに役立つ公共事業に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三六二二号)

 徳山ダム建設を凍結し、抜本的な再検討に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三六二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長澤井英一君、土地・水資源局長伊藤鎭樹君、都市・地域整備局長竹歳誠君、河川局長清治真人君、道路局長佐藤信秋君、鉄道局長丸山博君、自動車交通局長峰久幸義君、政策統括官金井照久君、政策統括官矢部哲君、総務省大臣官房審議官山口勝己君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として都市基盤整備公団理事田中久幸君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。

岩國委員 おはようございます。民主党を代表して質問させていただきます岩國哲人でございます。

 いよいよ国会も最終日、この最終日の大変きつい日程の中を、こうして大臣以下、皆さん御出席いただきまして質疑をさせていただきますこと、大変感謝しております。

 この国会を振り返ってみますと、今までの国会にないぐらいにこの国土交通委員会の中では多くの法案が審議され、とりわけ、これからの日本の国土づくり、そして、地方の都市の個性を生かしたまちづくり、さらに、環境をもっと大切にしていこう、時代の価値観の変化とともに、そういった環境とか景観をもっと重視していこう、景観緑三法に象徴されるような、まちづくり法案に象徴されるような多くの法案が成立したこと、そして、附帯決議等も含めまして各方面の意見が取り入れられて、新しい時代が始まったことを私は高く評価したいと思っております。

 そういったことに関連いたしまして、地方自治体から、あるいは地方の住民の皆さんからも大変大きな期待がこの法案一つ一つに寄せられているところであります。

 自治体の担当者はもちろんのこと、そして、いろいろな開発に関係する事業者の意識も変えていかなければなりませんし、また、国土交通省の職員の皆さんの意識もこれから変わっていかなければならない。

 そういった関連において、一つ二つの事例を申し上げて、全国各地にこのような懸念される事態が、いい法案はせっかくできたのに、仏つくって魂入れずどころか、仏が次々に破壊されていくようなケースがふえていってはならない。そのように思うことから、私の地元であります横浜市青葉区奈良地区における都市基盤整備公団の所有地でのマンション建設について質問させていただき、大臣あるいは担当の幹部の皆さんの御答弁をいただきたいと思います。

 このマンション建設に当たっては、定期借地権方式を採用しているために、土地所有者は公団、上物の建設は契約を交わした事業者という形になると思いますが、その事業遂行に当たって、公団の役割とは何でしょうか。

 具体的に申し上げますと、あおば山の手台地区住宅街、こういう都市公団が持っておる土地の上にゼファー建設というところがこれから集合住宅をつくっていこう、こういう案件でありますけれども、この事業遂行に当たっての公団の役割とは何なのか、単に土地を貸しているというだけの役割なのか。また、住民への説明責任を負うのは、この定期借地権を用いた契約の場合はだれなのか、公団なのか事業者なのか。その点についてお答えいただきたいと思います。

田中参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃいましたように、今、横浜市の奈良地区というところで定期借地権を用いた分譲を行いまして、ゼファーという建設会社がこれからマンションを建設することになっております。

 私どもは定期借地権を譲渡しておりますので、この土地の使用権につきましてはゼファーという会社が持っております。私どもは、定期借地権を使って、この奈良地区というところの建設を、今まで区画整理事業を行ってまいりましたが、その中に取得しております公団の宅地を使いまして良好な住宅地を形成していこうというふうに考えて、定期借地権を譲渡したところでございます。

 以上です。

岩國委員 そもそも都市整備公団は、事業者を公募する時点で、募集要項の中にはっきりと、集合住宅を建設することと、これを制約づけていますね。集合住宅、つまりマンションをつくりなさい、こういう前提で募集をしている。しかし、そこにマンションができるということを前提にするならば、事前に周辺住民の皆さんの意見というものを徴されたことはあるんですか。募集要項を出して、業者を決めて、それから周辺住民に説明するという手順はおかしいのではありませんか。

 今回、このあおば山の手台地区についてはどういう手順で行われたのか、それを説明してください。

田中参考人 今回の募集に当たりましては、私どもは申し込み要領というのをつくっておりますが、その中に建設指針というものをつくっております。

 この建設指針につきましては各自治会の会長さんに事前に御説明をしておりまして、その了解を得た上で募集に踏み切った次第でございます。

岩國委員 その要項をつくられたのはいつで、配付されたのはいつで、それから、会長と直接に会って説明されたのはいつなのか。再度御答弁をお願いします。

田中参考人 建設指針を事前に御案内して地元の自治会長さんにお渡ししましたのは、ことしの二月二十六日でございます。

 それから、定期借地の公募をいたしましたのは三月八日から三月二十二日にかけてでございます。

 それで選定をいたしまして、三月二十九日にゼファーと契約をいたしております。

岩國委員 その募集要項の中に、住民に対して指針を示された中には、緑地帯を残すという指針案を使用して説明されたんでしょう、二月二十六日には。ところが、業者向けの募集要項の中にはなぜその文言が削除されているんですか、緑地帯を残すという文言が。

 違った書類を使って、住民にはこの書類で、業者にはこの書類でというのはおかしいのじゃありませんか。全く同じ書類が使われたんですか、使われていないんですか。

田中参考人 先生の今の御質問につきましては、奈良五丁目の建設指針のことだと思いますが、奈良五丁目の建設指針につきましては、若干修正をいたしました。

 その修正の理由につきましては、全体が緑化を推進されるようにということを込めまして若干修正をいたしておりますが、最初に自治会長にお配りしたものと若干文言が違っているのも確かでございます。

岩國委員 ですから、その辺がおかしいのじゃありませんか。

 この青葉区というのは、私も今そこに住んでおりますけれども、つい十年前までは緑区の一部だったんです。緑区から分家して、今でも青葉区に住んでいる人は緑区だと思っている人があるし、緑も青葉も似たようなものですけれども、緑から青葉が分家した、こういういきさつです。したがって、緑という言葉、青葉という言葉に対する関心が非常に強い土地柄であるんです。そこに住んでいる住民の皆さんにとって一番大切な言葉は漢字の一字で言えば緑です。この緑を残すか残さないかということは、これは非常に大切なことなんです。そんなことは釈迦に説法。公団の方はよく御存じの上だと思いますけれども。

 町内会長に示した書類と、それから、そこをどのようにいじってどこを変えたのか。つまり、緑地帯を残すという公団の指針がグレードアップされたのかグレードダウンさせられたのか、具体的に説明してください。

田中参考人 事前に配付しました資料につきましては現在ちょっと手元にございませんが、そこでの文言の違いは、現況林を残すという表現がありましたが、そのことについては改訂版ではありませんで、建物配置の季節感の演出に配慮した、豊かで魅力的な緑化等により云々ということになっております。

 ちなみに、関連して申し上げますと、この指針に従って提出をされました事業計画におきましては、私どもの指導もありましたし、現況林を残した案になっておりますし、さらに、その現況林と連動して南側一帯の緑化を推進する計画になっております。私どもは、その図面を審査して決定を下した次第でございます。

岩國委員 そういった住民の皆さんの不信を招くような行為を、一民間開発業者ならともかく、都市公団、島根県でも神奈川県でも東京でも同じことですけれども、やはり役所に対する信頼感というのは、薄れたりといえども、今でもかなり強いものがあるんです。お上を頼る、お上だから信用しよう、都市公団がやることだから、そうひどいことにはならないだろうと。これは、ある意味では、私は、都市公団の持っているいい財産だろうと思うんです。しかし、その財産を皆さんの手で損なうようなことをしてはならないと思うんですね。

 町内会長に示したもの、そしてその次につくったもの、そして開発業者に渡したもの、この三段階、三つの書類、それの違いというものはきちっと町内会長さんに説明してあるのか。いまだに地域の住民の皆さんは、その違いについて不信感を持っているわけです。手元にないということは、まさか消滅させたということはないんでしょうね、ちゃんと役所の中にありますねということを確認していただき、両方とも出していただきたいということ。

 次に、緑というのは、植物だけではなくて、そこには必ず生物がすまっているわけです。その緑の中に、絶滅危惧種と言われているオオタカがすんでいるということになった場合には、この案件はどのようになるのか。

 また、都市公団が契約を一たんしてしまった後でも、開発の仕方というものが公団の指針、方針と明らかに違うという場合には契約を破棄することができるような契約になっているのか。事前の説明によると、募集要項ではできるとなっているけれども、契約の中にはその文言が置かれていないんだ、したがって、募集要項と契約という段階でそこの落差が残念ながらあるといったような説明を聞いておりますけれども、募集要項と契約の両方において、公団の意に沿わない開発がされる場合にはきちっと契約は解除できるようになっていますか。その三点をお尋ねします。

田中参考人 先生がおっしゃいました二つの資料については、きょうここにはございませんが、ありますので、御提示いたします。

 さらに、私どもは、この募集に至りました経緯でありますとかゼファーを選定した経緯につきましては住民の方々に御説明をしたいと思っておりまして、現在地元の方々と調整中でございます。まだ日程は決まっておりませんが、日程調整中でございますので、近々、説明をさせていただきたいというふうに考えております。

 それから、契約に関することでございますが、私どもの契約書におきましては、ちょっと読ませていただきますが、土地の申し込みに際して公団に提出した事業計画書に基づき住宅を建設するものとし、これによりがたい場合は、その変更内容について公団の承諾を受けるものとすると定めておりまして、これに違反した場合は契約を解除することができるということになっております。

 したがいまして、契約に当たって公団が審査をいたしました事業計画書と異なる、例えば、環境への配慮等を規定した公団の建設指針から逸脱した事業計画を民間事業者が策定して、公団の承諾なしにこれに基づく住宅の建設を行おうとする場合は契約の解除をすることができるということになっております。

 さらに、先生御懸念のことでございますが、一方、公募時におきまして、申し込み要領におきましては、事業者には、近隣住民とは十分な調整を行っていただきますという指示をしてございます。この指示に従わない場合、契約解除ができるのかという点につきましては、契約書に明確な規定はしてございません。この問題につきましては大変難しい問題でありまして、現在は、上記の指示規定を根拠といたしまして、粘り強く事業者を指導しているところでございます。

 以上でございます。

岩國委員 都市公団の今までの案件の中で、その契約解除条項が発動された例はありましたか。あったとすれば、具体的に、いつ、どこの案件で発動されたことがあるか、御説明ください。

田中参考人 現在までのところ、契約解除をした事例はございません。

岩國委員 皆さん大変まじめにお仕事をしていらっしゃることは私もよく理解しますけれども、事前の説明といい、きょうの説明といい、事前の説明では条項がないような説明を私は受けておったし、その後、お調べになると条項があるということ。その程度の条項だからこそ、発動されたことは一回もないんじゃないかと私は思うんです。もともとそういう条項は持っていても、その条項を使って、きつく業者を指導しようという気持ちが欠けているから、条文の読み方や、自分たちがせっかくその文章をつくっておきながら、そんなものがないような説明をされたりすることにもつながっていくわけであって、今まで一度も発動されたことはない、そして、担当の方によってはそういう条項があるかどうかもはっきりしないような説明がある。私は、それでは大変心もとないと思うんです。

 私は、きょうの質問の冒頭に申し上げました。石原大臣以下、国土交通省の人たちがこれだけ、二十一世紀の日本の行政の中に、緑を大切に、景観を大切に、まちづくりを、住民の意思を尊重してと再三再四この国土交通委員会の審議室で言われてきたことが、本当は、末端に行けば余り徹底していないということの一つの例ではないかと私は思うんです。

 そして、絶滅危惧種オオタカの問題についても、既に地元の一部の新聞はそのことを報道しておりますけれども、その事実確認についての準備は進めておられますか。そして、それが事実ということになった場合にはこの契約はどういうふうになるのか、再度御答弁をお願いします。

田中参考人 先生の方に契約解除の条項がないと申し上げたやに先生おっしゃいましたが、若干誤解があるようでございます。

 私どもの職員は、近隣住民への対応を十分するようにということに関連する契約解除条項がないということを申し上げたんだと思いますが、舌足らずでありましたことをおわびいたします。

 それから、絶滅危惧種に関しましては、私どもも、この事業地の隣接地に絶滅危惧種が生息しているという情報を得ております。これに関しましては、建築行為を行う民間事業者と公団とで協力して検討していくつもりでございまして、このようなものにつきましては、環境省が整理をした冊子が公表されております。この基本方向に従って検討しているところでございますが、具体的には、今後、専門家の指導助言をいただくことになっております。

 これは、今月中に、神奈川県とも相談をして専門家を今紹介していただいておりまして、その専門家と接触をしておりますので、意見聴取を行う段取りになっております。その意見をいただいた後で、早期に、この意見を踏まえまして、民間事業者とともに、専門家の御意見や、あるいは関係機関と協議をしながら対応していきたいというふうに考えております。

 この対応方針については、まだ策定ができておるわけではございません。

岩國委員 そういった点について、行政に対する不信、あるいは都市公団の仕事の進め方に対する不信ということがこれ以上広まることのないように、この絶滅危惧種と言われる問題、そして、地名があおば山の手台地区と、青葉という名前、山の手という名前、いかにもこれからの人たちが買いたくなるような地域、マンションの名前でこれから売り出されるとするならば、それが一つのこの地域の財産でもあるということは十分事業者そのものが認識していらっしゃるはずですから、そうした方向で、住民との十分な話し合いと、そして可能な限り緑を保存し、そして、緑の中にすまっている絶滅危惧種と言われるオオタカがもし本当にそこにいるならば、それが守られるような行政も展開していただきたいということをお願いして、私の次の質問に移ります。

 同じ青葉区の中でも、もう一つ、大場町でも似たような問題が起きております。大場町というのは、里山に囲まれた、非常に静かな、農村と住宅街がマッチしたような地域でありますけれども、ここでも、これは公団とは直接関係ありませんけれども、同じように開発計画があります。

 ここは、昔からの樹林に恵まれて、タヌキに注意という標識がつい最近まであったんです。まあ、タヌキに注意というのも、国会とか何かにもキツネとかタヌキがたくさんいるということは聞いておりましたけれども、私が住んだ青葉区の中にタヌキがすんでいるということを聞いて、私は驚き、また大変喜んだことがあります。ところが、最近、その標識がなくなってしまったんです。タヌキがどこかへ移動してしまったらしい。聞いてみると、そこら辺で開発計画が進んでいる。タヌキはこういう開発計画を耳に入れて、直ちに避難を開始してしまった。その標識が要らなくなったか、その標識をだれが撤去したか、いまだにそれがなぞのままに残っているんです。

 今国会においては、景観緑三法と言われる大切な、そして、これからの時代感覚、価値観を変えていこう、しかも、これは住民の方からばかりではなくて、行政の方からも、国会の方からも価値観を変えるという大きな運動の起爆点になっているこの景観緑三法でもありますから、自然や緑を守るということについては、国土交通省も、そして所轄官庁として都市公団に対しても、そういう指導をこれからもっともっとやっていただきたいと思います。

 そこで、石原大臣にお伺いいたしますけれども、今の質疑を聞いておられて、また、石原大臣自身がこうした法案を数多く今回国会に提出されました。恐らく大臣の今までのお仕事の中でも、これほど緑という言葉、景観という言葉、まちづくりという言葉をお使いになったことはないと思いますけれども、そういう立場に立って、こうした、私の青葉区、緑区のことだけではありません、これは全国各地に起こっている問題じゃないかと思うんです。

 私は以前にも言いました。青葉区といえば仙台、仙台の青葉、みんな歌にも歌われている。そういうところであっても、青葉という名前が使われているところ、緑という名前が使われているところほど緑の減少率が非常に高いということ。緑を失う速さが一番速いのは、青葉とか緑という名前がついたところ。この青葉という地名を守るためにも、私は、景観緑三法というものができたということを地元のいろいろなところでPRし、そして啓発にお手伝いをしておりますけれども、大臣自身は、この国会を終えるに当たって、景観緑三法で国土交通行政をこんなふうに変えてみせるんだ、都市公団のこれからの開発の姿勢についてどういうふうにやっていくんだということについての所信をお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 明治維新から百四十年ぐらいたちまして、やはり経済優先、国力を豊かにしていくということで、豊かな自然というものを私たちはあっという間に破壊してきた。その一つの例として、委員は、青葉区の奈良地区の話と大場地区でございますか、この二点のお話をされたと私は今聞かせていただきました。

 そんな中で、前段の奈良地区の方の都市公団が行っているものですけれども、これは民間事業者に対して宅地を定借権という形で処分した。やはりこういうときには、近隣住民の皆様方に十分に御説明して調整を図るということは言うまでもございませんし、景観緑三法、当委員会でも御熱心な御議論をいただき、言ってみるならば、百四十年間、経済の効率性の方に重点を置いてきた政策というものを、これからはもっと、時間はかかると思いますけれども、緑を多く、また美しい風格ある国家に戻していこう、こういうことをやっていこうということを立法府としてお決めいただいたんだと思っております。

 そうしますと、都市公団に対しては、やはり景観や緑や環境というものに十分配慮した指針に基づいて、事業実施の義務づけなど十分実効性のある措置を講じるように、この場をかりて、公団の方もいらっしゃいますから、国土交通省として指示をさせていただきたいと思っております。

 もう一点、絶滅危惧種のお話がございました。これは、今、専門家を入れて御議論されると公団の方から答弁がありましたけれども、やはりこれも環境と緑と密接に関係がありますので、十分な配慮を行っていただきたいと考えております。

 また、タヌキの方は、きっと樹林地の開発だと思うんですけれども、タヌキが絶滅危惧種かどうかはちょっとわからないんですけれども、青葉区というのは都心からも小一時間のところで、そういう動物が生息するというものを守っていくということがこれからの私たちの役目の一つではないか、こんなふうに思っております。

 そういう立場に立ってこれからの国土交通行政というものに臨んでいく、まさに新しいステージに私たちは入ってきたということが今回の国会での議論ではなかったかと思っております。

岩國委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、そういう強い方針、そして、行政は変わったんだ、国土交通行政は、緑や景観やまちづくりについてはもう根本的に変わってきたんだということがよく隅々までわかるような、これは都市公団の開発行政を含めても、緑の保存、それからこういった動物、生物に対する思いやりといったことも含めて、本当に緑、景観、まちづくりを生かすのであれば、ぜひそれを実行していただきたいと思います。

 けさはたまたま、横浜市の青葉区大場町そして奈良町といった事例を取り上げさせていただきましたけれども、恐らくこれは全国各地で起きている問題じゃないかと私は思います。それは都市公団の皆さん自身がよく御存じのことだろうと思いますから、ぜひ、説明の仕方あるいは募集要項のこれからの表現の仕方、文章も変えていく、それから、契約のあり方の中にもそれを反映させていく、具体的に一歩一歩、これを早急に実現していただきたい。そのことをお願いいたしまして、次は、まちづくり交付金について質問させていただきたいと思います。

 三月二十三日のこの国土交通委員会で松崎哲久委員の方から質問されました、いわゆるまちづくり交付金による事業の事後評価について、竹歳政府参考人は、事前の目標がどのように達成されたか、達成されなかったらその理由は何だったのか、まず第一に、納税者たる市民に公開されますし、すべての関係者の方々にその結果は公表されることになります、こう答弁されております。しかしながら、結果を公表するだけでは私は不十分だと思うんです。結果を公表するだけでは全くそれは不十分であって、目標に達しなかった場合にはその責任はだれが負うかということをはっきりさせなければ、けじめはつかないんじゃないですか。

 この点について、再度、まちづくり交付金の目的が十分に功を奏しなかった場合に、責任はだれがとるのか、その支払われた交付金の返還を求めるのかどうか、これについて答弁をお願いしたいと思います。

竹歳政府参考人 まちづくり交付金は、市町村がそれぞれの地域の課題に基づきまして、オーダーメード型のまちづくりを可能とする、地方の自主性、裁量性を大幅に向上するとともに、ニュー・パブリック・マネジメントということで、従来の施設ごとの費用便益分析を超えて、新しい評価手法を導入しよう、こういう意欲的な取り組みなわけでございます。

 個々の事業の評価につきましては市町村において行われることとしておりまして、最終年度の事業終了までに行っていただく予定です。

 そして、計画目標の達成については、今先生の方から御指摘がございましたように、計画終了時点におきまして、その達成状況等について検証、公表する、そして、納税者たる住民等から見て極めてわかりやすい形でのチェック機能を発揮する、このような仕組みを考えております。

 そこで、お尋ねは、当初の目標設定と事後の成果が乖離した場合の責任はどうするのかという点ではないかと思います。

 まず、この仕組みでございますけれども、もともとこの交付金は、公共事業のむだや縦割りの弊害をなくすための新しい試みでございます。この手法を今後発展させていくためには、特に初期の段階では、オープンな形でその原因を分析して、評価手法などを改善することがまず一番大事なことではないかと思います。

 それから、この目標自体でございますけれども、目標についてはいろいろなレベルがございます。例えば、極めてわかりやすい目標として言えば、臼杵市から出されておりますのは、既存の古い屋敷の修景の件数を何件から何件にふやしますと。これはもう確実に、数を数えればわかるというふうなものがございます。一方、この国会の御審議の中で、観光客の増加とか、そういう経済的指標だけではなくて、快適性の増加とか住民の心の問題についても評価に取り組むべきではないかというようなお話もございまして、こういうものは例えばアンケート調査等で調べていくことになると思います。それからもう一つは、例えば観光客の増加数とか、中心市街地に高齢者向けの公営住宅を建設して、どれだけ高齢者の方が中心市街地に住んでいただけるか、このようなことも数えやすいと思います。

 いずれにしろ、目標の種類によっていろいろチェックの仕方というのがあると思いますけれども、極端な場合として、目標の達成状況が著しく低い場合にどうするんだ、そういうときに交付金の返還を求めないのかというような御指摘でございますけれども、この新しい試みの中でいろいろな整備が進められていく、もちろん、不正な使用があった場合とか交付金が適切に執行されていないときにはその返還を求めるということもございますけれども、この事業評価につきましては、もし、例えば五年間でできない場合にはさらに市町村の自助努力による改善計画を求めるというようなことで、当初立てた目標が達成できるようにしていくのが一番大事なことではないかと考えております。

岩國委員 こうした補助金、交付金、いろいろな名称はありますけれども、とかく行われるのは、そのときに交付金を決裁した官庁、それから、それを受けた自治体の市長、知事、五年、十年たったらかわっているでしょう。結果的にそれはあいまいにされたままで、厳しい評価というのが、民間会社の場合であれば、それはちゃんと業績というものにこれが反映されてくるわけです。取引所にそれが報告されます。しかし、行政の世界の中では責任がとかくうやむやにされていることが多いものですから、二十世紀までとは違うんだ、これからの行政は、そして、新しい法案に基づいたこの交付金については、きちっと、できない場合には交付金の返還を求める、実際にそれを求めるケースは少ないかもしれませんけれども、求めるということをもっと明示的に私ははっきりさせるべきじゃないかと思うんです。うまくいかない場合には求めざるを得ないこともあるかもしれませんけれどもというふうな表現では、我々聞いている方は、ああ、多分求めないだろうな、こう受け取ってしまうわけです。

 大臣、どうですか、そういう点。国土交通省というのは、こういった交付金から補助金から、もう非常にたくさん多い官庁であります。しかし、これから、明示できる範囲では、達成できないときはこういった交付金の返還を求めるんだ、そういう覚悟で支払い、受け取って仕事をやるべきじゃありませんか。大臣の所感をお伺いいたします。

石原国務大臣 交付金が適正に執行されていないときは、委員御指摘のとおり、やはり厳しい態度で臨んでいくということは私は重要だと思います。

 今度のまちづくり交付金は、地元の皆さん方のアイデアによって町をつくって、町を活性化していただくというのが一つの焦点なわけです。そこで失敗しますと、一番はね返ってくるのは、そこに暮らす方々、そして、その計画を進めた首長さんや計画をつくった人だと思うんです。そういうことによってその人たちは四年に一遍選挙という洗礼を受けるわけですから、四年でやめちゃって計画が五年であれば別でございますけれども、そういうものがありますので、これまで以上にすばらしいものをつくろうという動機づけは私はあると思います。

 そんな中で、それでもどうしようもないものが出てきたらどうするのかということは、やはり厳しい態度で臨むという視点は私は忘れちゃいけない点だと思っております。

岩國委員 地域の人が失敗したから結果的に地域の人が目的を達成できなかったという形において責任をとっているんだという考え方もそれはあるでしょうけれども、しかし、交付金というのはその地域の人以外の税金がそこへ使われているわけですから、私はもうちょっと厳しい線がそこへ出されるべきじゃないか、そのように思います。

 次に、時間もなくなってきましたから、八ツ場ダムについてお伺いいたします。

 以前にもこの問題を取り上げましたけれども、端的に、この八ツ場ダムについては、二千百億という当初予算が四千六百億と、二倍以上にはね上がっているんです。この二倍以上にはね上がった理由について、再度私は質問させていただきたいと思います。

 二倍以上にはね上がったその理由の一、二、三、一番大きい方から三つの理由、それを挙げてください。

清治政府参考人 八ツ場ダムの事業費につきましては、今委員からお話がありましたように、ほぼ倍以上のような大きい変更を今示しておりまして、その内容につきましても、利水に参画されていらっしゃるところにしっかりと説明して、内容に御理解をいただく努力をした結果、それぞれのところの議会の了解等も得られてきているところでございますが、主な内容といたしましては、まず、地元の生活再建対策、いろいろな補償等ございますが、それらの内容が詰まってきた。それから、補償関係の協定ができてきて、それに伴う変更というのが大きい変更でございます。

 それから、これもダム事業が非常に長くかかるということもあるわけでありますが、その間の物価の上昇、あるいは、この間、消費税の導入というようなことがあったわけでございますが、これも大きい変動要因でございます。

 また、現地に入りまして、いろいろな技術的な面での調査検討が進んだ結果によりまして、工法でありますとか、それから、基準によってさまざまな工事を実施していくわけでありますが、その内容が変化したというような、大きくはこの三点ということでございます。

岩國委員 これだけ全国的なダム予算が削られている中で、本当に毎年六百億の予算が確保できるのかどうか、私たちは非常に危惧を感じているわけです。また、こうした一都四県の関係するところがそれだけの負担を県予算の中でちゃんと計上しているのかどうか。それから、その水を利用する計画、利水計画と地元負担について、具体的にその調整がなされているのかどうか。これは、また後ほど資料として提出していただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、最後に一問。

 私、気が小さいものですから、こういう嫌な質問はいつも最後にしかしないんですけれども、けさの新聞、石原交通大臣に日本歯科医師連盟が、献金とともに、具体的に再三再四、こうした歯科医師連盟の利益を守るという方向で依頼しておるということが内部資料にも出ていると。

 これについて、この新聞はけさお読みになりましたか。そして、私たちは大変遺憾なことですけれども、この新聞の中で、この国土交通委員会で虚偽の答弁がなされておるというふうな報道がなされております。ということは、我々は虚偽の答弁をこの場で受け取ったということになるわけです。この点について、石原大臣、明確に答弁していただきたいと思います。

 同じ新聞が再び、国土交通委員会でさらに答弁が違っておると言うことのないように、ここは大臣にとって一番大切な職場であり、我々にとっても大切な職場であります。それだけに、きょうのけさ、偶然でありますけれども、この国土交通委員会が開かれているところで私はこの質問をせざるを得ない。また、大臣にはぜひともこれはしっかりと答弁していただかねばならないわけです。お願いいたします。

石原国務大臣 この点につきましては当委員会でも何度も御答弁をさせていただいておりますが、私は、議員活動に際して、各種団体を初めとする国民各界各層の意見というものをいかに聞くか、そして、その上で、厳正中立に広く国民の皆さん方の意見を反映した政策の立案、これを信条として活動してまいりました。

 歯科医療行政上の個別の要望の実現については、日歯連もしくは臼田会長から具体的な依頼があり、それに基づいて何らかの働きかけを行ったという事実は一切ございませんし、当委員会において虚偽答弁などは一切しておりません。

岩國委員 それでは、当時副会長だった井堂氏のおっしゃっていることは、これが虚偽だということでしょうか。

石原国務大臣 私、今おっしゃられた井堂さんという方の顔は浮かびません。

岩國委員 顔は浮かばないけれども、名前は御存じだったんでしょうか。お会いになったことは全くないということですか。

石原国務大臣 井堂さんという方がどういう方か顔が浮かばないということは、会ったか会っていないかということは覚えておりません。

岩國委員 この件については、我が党の他の委員からも質問が出るかもしれませんし、引き続き民主党としてもこの疑惑を解明しなければ、国土交通大臣の権威としても問題があろうかと私は思いますので、その点を申し上げて、私の質問を終わります。

赤羽委員長 松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫です。

 国会の最終日に質問させていただきます。私の方からは、ダム問題全般につきまして質問をさせていただきたいと存じます。

 ダムというものは、日本、狭い国土の中で大変数多く建築されてきているわけでありまして、ここで取り上げますのは、地方公共団体が行っているいわゆる県営ダムのようなものはおきまして、国が関係しているものについてお尋ねをしたいと思います。

 国が関係しているものといいますと、国が、国土交通省の方が直轄でやっているものと、それからもう一つは、昔の水資源開発公団、現在で言うならば独立行政法人水資源機構が行っているもの、この二つに分けられるのかというふうに思います。数的には国直轄の方が多いかと思いますが、国の場合は、特定多目的ダム法に基づいて幾つかの目的があって、それに基づいて大体行われている。水資源機構の方については、水資源機構に基づく法律によってつくられているものがあろうかと思います。

 私が聞いているところでは、水資源機構がつくっているダムというものは、利水、農業用水、工業用水、生活用水、そういうような用水を中心に大体行っている。そして、行っている地域というものも七つの指定水系に一応限定されている、このように聞いております。そして、現在事業中のものを除いて、今後は水資源機構としては新たなダムは原則としてはつくらない。現在つくっているものに一応限定して、今後はその管理を行っていく。この辺が国直轄との大きな違いというふうに聞いておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

清治政府参考人 今委員からお話がありましたように、国が直接かかわっているダムは、大きくは二つの、根拠法の違うダムの建設体系がございます。

 お話がありましたように、一つは特定多目的ダム法でございまして、これは一級水系におきまして、洪水等による災害の発生の防止あるいは流水の正常な機能の維持、こういうものを目的としまして、河川管理者であります国土交通大臣がみずから河川法に基づき新築するダムでございます。ダムをつくったときに流水の貯留がなされるわけでありますが、この流水の貯留を利用しまして、発電、水道用水、工業用水、こういうようなものに利用されるのが特定多目的ダムでございます。

 それから、もう一方の、独立行政法人水資源機構が、水資源開発水系、これも、委員の今お話にありました七水系、これは大臣が指定する水系でございますが、それらの水系、これは、産業の発展でありますとか人口の集中に伴って用水が非常に重要になってきている地域の川でございます。ここでは、水資源の総合的な開発、利用の合理化を図るために、国土交通大臣が決定します水系ごとの水資源開発基本計画、フルプランと称しておりますが、これに基づいて整備するダムでございまして、洪水調節機能や流量の維持、こういうものも同時に目的として実施するのが一般的なものでございます。

 なお、後にお話のありました、水資源機構が発足したときの機構の目的とするところでありますが、現在着手済みのダム以外には新規に開発事業は行わないということにしておりまして、施設の改築でありますとか、お話がありました管理、こういうものによりまして、水の安定的な供給の確保に業務の重点が置かれているという実態にございます。

松野(信)委員 同じダムをつくるにしても、国直轄のものがあり、また水資源機構のものがありということで、率直に言うと、何で二つに分けてやらなきゃいけないのかなという気がしてなりません。どうもこの水資源機構、これは前は水資源開発公団ですけれども、まあ、言うと悪いですけれども、天下り先の一つになっているんじゃないかなというふうに言わざるを得ないと思っております。

 ただ、今後はもう新しいダムはつくらないというようなことのようですので、管理そして運営をしっかりやっていただく必要があろうかと思います。

 それで、国直轄の方の特定多目的ダム法に基づくものですけれども、基本は大体洪水調整、いわゆる治水が中心であって、それに利水が加わったり、あるいは発電が加わったりということで、幾つかの目的がある、こういうふうになっているかと思います。

 しかし、あちこちで発生している事態を見ますと、途中で、例えば、もう工業用水は要らなくなった、あるいは生活用水ももう要らなくなったというような変化が見られる場合があります。そうすると、例えば、目的が治水と利水と発電というふうになっていたものが、利水、工業用水はもう使わなくなったというふうに途中で目的が欠落をしたというような場合は、このダム事業というのは一体どうなるのか。そして、極端に言うならば、多目的ということで二つ以上になっていても、結局、ほかの目的が全部欠落して、洪水調整、治水だけになってしまった、目的が一つになってしまったというような場合にはどのような処置になるんでしょうか。

清治政府参考人 当初計画しましたダムの目的につきまして、変わってきた場合にはどうなるのかというお話でございました。

 これらにつきましては、従前、特に利水につきましては、経済成長が右肩上がりといいますか、そういう中での話でございましたので、水の需要量も大変ふえている時代であったわけでありますので、実際にそのようなことは余り起こらなかったということでありますが、現在、水需要量の伸び悩みというところがいろいろな原因によって出てきたわけでございます。そういうものにつきましては、工事を実施していく過程で、計画の見直しが必要なものについては計画を見直して実施していくということが必要になってきているダムもございます。

 また、利水の目的がすべてなくなってしまった場合にはどうなるかというお話がありましたが、これは昨年暮れに、利根川水系の戸倉ダムという、水資源機構が実施しておりましたダムでございますが、これはまだ本体の建設には至っていないダムでございましたが、これにつきましては、利水の目的がなくなったということで、中止という整理になっております。

 そういうことで申し上げますと、ダムの目的、多目的のものがございますが、それぞれの時代に合った形で、必要な事業として実施していく取り組みがこれからは重要になってくるというふうに理解しております。

松野(信)委員 そうすると、途中で目的が消滅してしまうというような場合を考えますと、今御答弁いただいたように、ダム事業計画をそもそも中止してしまうということもあり得るし、場合によっては、もう一度最初から、今度はもう目的は一つということであれば、特定多目的ダム法でなくて、例えば河川法に基づいて河川整備計画を新たに最初からやり直しをして一つの目的のダムをつくり直す、こういうことになるということでよろしいですか。

清治政府参考人 今お話がございましたような状況が起こってきたときにはそれに合わせた見直しを行うということで、これは事業評価の一環といたしまして、ダムにつきましても、第三者の事業評価監視委員会というようなところもございますが、そういうところにお諮りして計画の内容の変更というものを行っていくわけでありますが、現在までに、九十六のダムにつきまして変更をして、中止というようなことを行ってきております。

 そういう中で、例えば洪水調節だけが残ったという場合には、洪水調節を行うのに、ダムが適切なのか、あるいはダムにかわる洪水調節施設、例えば遊水地でありますとか、それから河道、河川の改修によりまして目的を達成できるのか、こういうような事業内容の見直しも含めて検討している状況でございます。

松野(信)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、ダムの事業費について質問したいと思います。

 ダムの事業費については、いろいろ資料を私も入手しておりますが、当初計画から比べますと何倍にも実際に膨れ上がったという例が大変多いわけで、言うならば、小さく産んで大きく育てる典型ではないかというふうに言わざるを得ない、そういう気がしております。

 幾つか例を申し上げますと、例えば利根川水系の八ツ場ダム、これは二千百十億円の当初事業費が四千六百億円、倍以上になっている。それから大滝ダム、これは当初二百三十億円だったものが三千四百八十億円、何と十倍以上になっている。しかも、お粗末なのは、この大滝ダムは、湛水をしようとしたところ地すべりを起こしたということで、今度は新たに地すべり対策までしなきゃいけない、とんでもないお粗末な状況。であるにもかかわらず、事業費そのものはもう十倍以上にも膨れ上がっている、こういう実態があります。それから苫田ダムも、当初事業費は八百八十億だったのが二千四十億円。川辺川ダム、これは九州ですが、三百五十億円だったものが二千六百五十億円。これは全部国直轄のダムの事業費。それから、水資源機構の関係で申し上げると、滝沢ダム、これは六百十億円だったものが二千三百二十億円。徳山ダム、これは三百三十億円だったものが三千五百億円、これまた十倍以上です。

 何でこんなに事業費がふえるのか。どうも、先ほど申し上げたように、小さく産んで大きく育てる。それはもちろんまじめにやっていらっしゃるとは思うけれども、現実には、途中で事業費がふえれば変更手続をとればいいじゃないかというような、率直に言うと安直な考えがあるんではないかというふうに言わざるを得ない実情にあります。

 こういうふうに事業費が膨れ上がっているという実態について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

石原国務大臣 ダム事業につきましては、平成十年度より導入いたしました所管全公共事業を対象とする再評価システムに基づきまして、第三者機関であるところの事業評価監視委員会での審議を通じて事業の見直しというものを進めてまいりました。その結果、先ほど政府参考人から御答弁があったように、戸倉ダムを中止するなど、十五年末までに九十六の事業を中止したところでもございます。

 そして、事業評価監視委員会において事業継続と評価されたダム事業について、委員御指摘のとおり、当初の事業費が増大してきた主な要因でございますけれども、やはり一番大きいのは水没関係者への補償費の増加。これは、ダムを計画してから着工するまで二十年、三十年と長い年月がたっていて、実際に交渉が行われるのは計画から二十年、三十年たっているわけですから、ここの部分がかなり多くなる。あるいは物価上昇、消費税の導入、また最近は、やはり環境というものにも十分配慮しようということで、当初予定されなかった環境保全など、社会の要請に対しての対応などがこういう増大の主な要因になっていると思います。

 ただいま委員が御指摘されました八ツ場ダムをとりましても、補償費の増大が一千百億円、さらに物価上昇と消費税で七百億円といったように、全体の四分の三は、ダムの計画から施工、完成、その間の時間的経緯の中での補償費、あるいは物価上昇、こういうものが占めているということは事実であると思っております。

 しかし、やはりダム事業に要するコストについては、そのほかに、本体の工事費あるいはつけかえ道路、また、鉄道が走っていますとトンネルまで新しく、八ツ場ダムを見てまいりましたけれども、あります。これらの工事については、本体のスリム化やつけかえ道路計画の縮小など、やはりコスト削減できるところはあらゆる工夫を重ねた上で計画の変更を行っていくということが時流に私は合っているのだと思っております。さらに、計画変更後の施工過程においても、不断のコストの削減、道路の例をとってみるまでもなく、やろうと思えばできるわけでございますので、委員御指摘のとおり、コストの縮減というものはこれからも取り組んでいかなければならない重要な問題であると認識をしております。

松野(信)委員 大臣から御説明いただきましたけれども、これだけ当初事業費より上がっているという実態を見ますと、それは消費税が途中で導入されたというのは、ある程度やむを得ない点があろうかと思いますが、しかし、水没地域の人たちに対する補償というのは、これはもう当初からわかっているわけでありますので、それを理由にするというのは余り理由にならないのではないか。

 それから、諸物価が上昇した、それもわからないではないですけれども、しかし、それだけではとても説明がつかないだけの大幅な上昇になっているという点については、やはりそれぞれのダムについて分析、事後評価、これはしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますが、そういうような個々のダムについての分析などはどのようになっていますか。

清治政府参考人 計画の変更が必要になった場合には、事業費の変更がこう必要になりましたよということにつきましては、その内容につきまして詳しく御説明をさせていただいているつもりでおります。その上で、利水者の方々、あるいはその裏負担をされるところ、財務の関係もそこでございますが、そういうところに、その事業費増大の内容につきまして、精査、協議をさせていただきまして進めてきているわけであります。

 今後も、透明性といいますか公平性といいますか、そういう観点から、計画内容の変更につきましてはしっかりと説明させていただきたいと思いますし、また、大臣からお話がありましたように、事業の実施過程におきまして、不断の努力によりまして事業費の縮減に努めてまいる所存でおります。また、事業の計画そのものにつきましても、有識者等の意見を取り入れる等いたしまして、新しい技術の導入等も含めて対処してまいりたいというふうに思っております。

松野(信)委員 ありがとうございます。

 続いて、治水の関係でお尋ねしたいと思いますが、そもそもダムの治水についてはダムの計画規模というものが出されているわけですけれども、これがまた、率直に言うとばらばらになっているというふうに言わざるを得ないと思います。

 例えば利根川水系でいいますと、先ほどの八ツ場ダム、これは二百分の一、つまり二百年に一回の洪水に耐えるぐらいの規模にしよう、こうなっている。他方、例えば徳山ダム、これは百分の一、百年に一度。川辺川ダム、これは八十年に一度、八十分の一。こういうふうになっておりまして、きちんとした計画規模の算定方式があるのかというと、どうもそれはなくて、河川の大きさとか地域のありようを総合的に考えて、それこそ適当に、二百だったり百五十だったり百だったり八十だったりというふうにしていて、どうもこの辺が、言うならばばらついているのではないか、こういうふうに思っているのですが、この点はいかがでしょうか。

清治政府参考人 各水系ごとの重要性を考えまして目標の規模を設定しているわけでありますが、委員から今お話がありましたように、例えば、数値的にこういう基準で決めているというものは確かにございません。しかしながら、そういう中で、河川ごとの重要性というものを、各地域におきます社会的、経済的重要性、あるいは想定される被害の量でありますとか質、それから過去の災害の履歴、こういうものを十分考慮いたしまして、水系の基準点ごとに確率規模を設定して流量を決めていっているという実態にあるわけでございます。

 今、ダムとの関連についてお話がありましたが、利根川水系につきましては、委員のお話のように二百分の一、それから、熊本の川辺川ダム、球磨川でございますが、これが八十分の一というのは御指摘のとおりでございます。

 大ざっぱに申し上げますと、二百分の一という設定をしております水系は全国に七水系、大きい重要な水系でありますが、ございます。それから、百五十分の一というのが三十三水系ございます。そのほかは大体百分の一ということでございますが、現在、まだ計画の最終的な見直しとかそういうことが行われていないところにつきまして、百分の一以下のところも少しあるという実情でございます。

松野(信)委員 今御説明いただきましたけれども、どうして二百分の一だったり百分の一だったりしているのか、どうも必ずしも統一的な基準というのはできていない、こういうふうに言わざるを得ないと思います。

 その次に、ダムの大きさを考えますと、どれだけの洪水が一度に来ると想定するかという基本高水流量の算定。これまた従来から、いろいろ学者、研究者から指摘がされておりまして、どうも国土交通省が計画するダムというのは、とにかく規模を大きくするということで、基本高水流量を過大に設定する、逆に計画高水は過小に評価をする、こういう傾向が見られるのではないか、こういう指摘もありました。

 また、それぞれのダムによって基本高水流量の算定方式というのも一律のものではなくて、言うなら、ばらばらのやり方でそれぞれ出している。例えば八ツ場ダムについて言いますと、少し難しい話ですが、貯留関数法による洪水流出モデルを用いるとか、総合確率法で算定するというようなやり方。ところが、川辺川ダムはそういうようなやり方ではなくて、単位図法による洪水流出計算を行うということで、必ずしも一定の算定方式があるわけではない。これがどうも実態であります。

 その結果、先ほど申し上げたように、基本高水流量を非常に高く設定して、より巨大なダムの方に走っていく。例えば八ツ場ダムを見ましても、これは基準地点としては八斗島のところを取り上げているわけで、ここは毎秒二万二千トンの流量を用いているわけです。ところが、実際の雨量はどうなっているかと見ますと、利根川では、最近五十年間で一万トンを超える洪水というのは発生していないんですね。そうすると、実績の雨量と計画の雨量と、机上の計算でかなり違いが出てきている。この基本高水流量というものが、実績の雨量から見ますと、かなりかけ離れた形で計算されているのではないかというふうに思いますが、この点はどのようにお考えでしょうか。

清治政府参考人 河川の流量をどのように決定しているかという話の中で、各水系ばらばらという御指摘がございましたが、流量を決めるときの基本的な考え方は共通しております。

 ただし、各河川ごとに、大きい川もあれば小さい川もあれば、流域の形が、大きい支川がたくさん合流してくるような川もあれば本川が長い形で存在している川とか、いろいろあります。また、洪水の基本になります雨でありますが、これは自然現象でありまして、流域の中に一様に降るということはございません。偏って降る場合もありますし、それから短期間に集中して降る場合もありますし、長く日にちがかかって降る場合、いろいろなケースがございますので、計画の流量を決定していく際には、それらのことをいろいろ勘案しながら手法を選定していくわけであります。

 そういう中で、流出の計算法について今幾つかの方法を御提示されましたが、その川に合ったものを利用していくということで、統一的にこの手法で決めているということになっていないのは御指摘のとおりでございます。

 それから、各河川の流量を大きく設定し過ぎているのではないかというか、大きく設定してダム等の根拠をつけているのではないかというお話でありますが、流量を決定していく際にはダム等の計画が前提となっているわけではございませんで、基本高水あるいはそのピーク流量というのを決めていく場合には、流域と、それから過去の降雨の実態、こういうものを踏まえて決めていっているわけであります。

 ちなみに、平成十二年の東海水害がございましたが、このときは、庄内川等で、それまでに計画で設定していたものをはるかに上回るような降雨で出水があったわけでございます。また、昨年は、北海道の日高の沙流川という、これも大臣の直轄河川でありますが、こういうところでも、計画の設定を大きく上回るような自然現象によりまして大災害を受けたという実態もございます。

松野(信)委員 時間がなくなりましたので、最後ですが、水力発電について質問いたしたいと思います。

 水力発電設備というのがかなり老朽化をして、撤去しなきゃならない、こういう事態が現に発生をしております。そうすると、ダム湖にたまっている堆砂の排除などで、河川環境対策費用、これが膨大になります。発電ダムの場合は、公益電気事業者というのはこういう費用を料金原価に見込んでいないわけで、電力会社に売電するときの卸料金算定規則にもこういう原価算入というものが、どうも必ずしもできていないということで、この辺の原価算入をできればしっかり明確化していく必要があるんではないか、このように考えておりますが、この点はいかがでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 卸電気事業者でございます公営電気事業者の一般電気事業者に対します卸電気料金につきましては、卸供給料金算定規則に基づきまして、卸電気事業を運営するに当たって必要であると見込まれる費用を積み上げまして、それで算定をされております。

 ただいま御指摘の撤去費用あるいは河川環境対策費用、そういったものにつきましても、卸電気事業を運営するに当たりまして必要であると見込まれます費用につきましては、営業費項目の一つといたしまして料金原価に算入することが可能となってございます。

 他方、卸電気料金は、卸電気事業者と、その卸先でございます一般電気事業者との間の契約に基づくもの、そういう側面を持っているものですので、具体的にどれだけ織り込んで最終的な卸電気料金として決定して卸供給契約を結ぶのか、そういった点につきましては、公営卸電気事業者と、その卸先であります、消費者に供給いたします一般電気事業者との間の協議により決定される、そういう側面もあるもの、そのように認識をしているところでございます。

松野(信)委員 済みません、時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 通常国会最終日という非常に貴重なお時間、質疑時間をいただいたことに対しまして、そしてまた、その場に大臣初め関係各位が出席をいただいていることに対しまして、改めまして感謝を申し上げたいというふうに思っています。

 限られた時間ではありますけれども、そしてまた、この分野に非常に造詣の深い先輩諸氏がいらっしゃると思いますが、私も鉄道出身者といたしまして、国の鉄道政策、交通政策全般、そして関連しますバリアフリーのための政策、そういった観点から問題提起を行って質疑をさせていただきます。

 早速ですが、戦後最大の行政改革と言われた国鉄改革の総括と検証といったことから、まずは始めたいと思います。

 この国会で、道路四公団の改革四法案、審議をし、成立をいたしました。国の交通インフラをどの主体がどのような形で、手法で、財源で、そしてまた、どのように整備、運営、維持、発展させていくのかというのは、国の中長期的な発展、そしてまた地域の活性化にとっても極めて重要だと思っています。

 間もなく、あの難産の末、そして、多くの方に見守っていただいております国鉄改革といったものが、二十周年というか、国鉄改革後二十年を迎えます。ぜひ大臣に、そしてまた政府参考人の方から、今日までの国鉄改革の成果と残された課題について御見解をお伺いしたい。

 総花的に言うとその話題だけで一日、二日お話をいただいても足りないぐらいのテーマがありますので、特にいい分野といたしまして、一般に指摘されております、経営の自主性が与えられたんだ、もしくは、安全確保や飛躍的なサービスの向上が図られたんだ、財政面、国鉄時代は六千億もお金をつぎ込んでいたけれども、むしろ約二千億の法人税の納税会社になったんだといったようないい面の課題と、片や一方、地方ローカル線の存続が非常に難しくなってきたという問題。そしてまた、本州三社はいいけれども、三島会社、貨物会社の経営は一方で非常に苦しくなってきている。あわせて、一部の会社で公共交通輸送を担うにいかがなものかということが危惧、懸念をされる不当な労政や、そして、公安当局からも指摘をされる事象があるといったようなことも聞いております。そういったよくない面も含めて、若干御見解をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま三日月委員がもう既に総括をされたと思うんですけれども、利用者の立場からいうと、やはり鉄道サービスの信頼性というのは高まったと思います。すなわち、昭和五十年代のスト権ストというものは十日間ぐらい電車がとまって、私も大変記憶に残っておりますけれども、そういうものがなくなった。さらに、快適性というものも格段に向上している。経営面でも、JRの本州三社は上場を果たすなど順調に推移していると思います。

 しかし、その一方で、委員御指摘されましたように、北海道、九州、四国といったような三島会社、さらには貨物会社の民営化というものはまだめどが立っていない。

 それと、もう一つ言えることは、やはり債務をかなり返済したとはいえ、また資産を売却したとはいえ、二十兆円以上の債務を一般会計につけかえた、国民の皆さん方に国鉄の赤字を払っていただく、こういうことにしたということは、現経営者の皆さん方も国鉄に入社された方々であるわけですから、しっかりと認識していただきたいと思います。

 それともう一点、先般、三月ですけれども、九州新幹線の開業に行ってまいりまして、あれは新八代までしかできておりませんけれども、一日も早く福岡につながって、関西圏からの人たちも鉄道を利用できるようにしていかなければならない。それにはやはり、財源的な制約があるわけですけれども、西日本ももとはといえば国鉄なわけですから、西日本の方で九州新幹線の費用を少し面倒を見るとか、東も三千億円近い利益を上げているなら困っているところの面倒を見るとか、上のお兄さんが下の子供たちの面倒を見るということも経営者の皆さんは忘れてはならないんじゃないか、こんな話をこの間も西日本の社長、会長にもお話しさせていただきました。

 やはり、それによって国民の皆さん方の利便性というものは格段に向上していくんじゃないか、そういうことをしっかりと経営者の方々、また、労務の問題も、御指摘されましたように、かなり著しい問題がある会社も顕在化しているんだと思います。こういうものにもしっかりメスを入れないと、せっかくここまでうまくいっている改革が何のための改革だったと言われないように、気を引き締めていく必要があるのではないかと思っております。

丸山政府参考人 ただいま大臣から国鉄改革の成果、それからマイナスの面につきまして概略申し上げたところでございますが、私の方から若干具体的に申し上げさせていただきたいと思います。

 全国一律の公社から分割・民営化された会社になったということで、サービス水準でありますとか事業運営の改善が図られたというのは先生御指摘のとおりでございます。

 幾つか例を挙げさせていただきますけれども、まず、駅員の対応が旧国鉄時代に比べて非常によくなったというのは皆さんおっしゃるところであるんじゃないかと思います。それから、昔は車両なども東京で使った古いものが田舎に行って、みんな金太郎あめみたいに同じ車両だったものが、快適で近代的な車両を各社が導入するようになったということで、利用者の快適性が増大した。あるいは、各社がいろいろな企画商品をつくるというような形で、顧客のニーズに合わせた形の営業政策をやっているということも言えると思います。それから、事故件数もやはり減少をし続けております。それから、先生御指摘ございましたように、六千億円補助金を入れていたのに、今は大体各社で二千四百億円の税金を国なり地方公共団体に納めているということでございます。

 あとは負の面を申し上げますと、本州三社につきましては上場もいたしまして順調に経営しておるところでございますが、JR三島会社については厳しいものがございます。特に、JR三島会社につきましては、輸送需要が基本的に減少し続けているというところが非常に大きい問題でございます。そういう輸送需要が少ないものを経営安定基金というもので埋めていくというのが基本的な改革のスキームであったわけでございますが、それにつきましても、金利が下がっているという状況で、経営安定基金の運用益が減少しているというような厳しい状況にあるわけでございます。

 今後、三島会社、貨物会社の分割・民営化ということが大きい問題になるわけでございますけれども、今申し上げました問題をいかにクリアしてやっていくかということが重要な問題でございます。

 それから、労務問題でございますが、御指摘のようなお話は私もよく聞くわけでございますけれども、基本的には労使の問題でございまして、各JRが自分の経営上の問題として判断をすべきものだというふうには思っております。

 ただ、私どもといたしましても、安全で安定的な鉄道輸送というものには健全な労使関係が構築されることが望ましいというふうには思っております。

三日月委員 ありがとうございました。

 若干各論に入っていきたいと思いますし、大臣答弁の中にありました整備新幹線の財源問題も含め、一部触れていただきましたこともありますので、後ほど関連をして若干お伺いをしたいと思うんですけれども、特に三島会社、四国、九州、北海道、もうもともと赤字前提でつくられているんです。だからこそ、経営安定基金という一兆三千億の基金が積まれました。

 その運用益で営業損失を補うといったような経営のやり方が行われておりますが、この間、北海道に至っては、国鉄改革時に五百三十八億円だった営業損失が二百八十四億円、そして四国は百四十九億円だった営業損失が七十二億円、九州は二百八十八億円だった営業損失が二十六億円と、昨年度までの経営でかなり営業損失を経営努力で改善をしてきている。

 一方、その経営安定基金につきましては、先ほど参考人の方から御答弁をいただきましたように、かなり金利が下がってきているといったようなこともありまして、その金利の下支えの支援策がとられましたけれども、この間、その運用益については約七割減って、額にいたしますと約四百億円、当時のパーセンテージにいたしますと五五%にしかその運用益がなっていないといったような問題があるわけで、この経営安定基金の期限が一応平成十八年度末ということになっておりまして、この二〇〇六年度末になっている経営安定基金の今後につきましてどのようにお考えなのか。

 特に、会社の中長期計画をつくるときに、二〇〇六年度までですから、それまでは頑張ってくださいなと言われても、大体の会社は中長期計画を五年スパンでつくります。及び、いろいろな沿線自治体とさまざまな話をするときに、JR四国さん、九州さん、今後どのような経営の体質になっていくんですかというようなときに、やはり話をする、もしくは計画を述べる必要があると思うんです。スケジュールも含めてお答えをいただきたいと思います。

丸山政府参考人 ただいま先生御指摘になりましたように、今経営安定基金の利子が非常に下がっておるということで、平成十四年度から十八年度にかけまして、一部を今の鉄道・運輸機構が三・七三%で借り入れるということで運用益の確保を図るというスキームをとっておりまして、その期限が十八年度には切れるということになっておるわけでございます。こういう形で金利の下支えをしておるわけでございますが、各社、三島会社は非常に厳しい状況にあるというのは先生の御指摘のとおりでございます。

 マクロ的に申し上げますと、金利も下がっておりますが、先生御指摘になりましたように、営業努力によりまして赤字も減らしている。したがいまして、金利の下がった分と赤字が下がった分がほぼ拮抗するような形にはなっております。

 したがいまして、さらなる経営努力を各社にしていただくということも引き続き重要であるというふうに私ども考えておるところでございますが、十八年度以降どうするんだ、こういう話につきましては、今後十八年に向けて各社の会社の状況がどういうふうになっていくのか、それから社会経済情勢がどうなっていくのか、金利の動向が今後どうなっていくのか、そういうことも含めて期限切れの日時をにらみながら検討していきたいというふうに思っております。

三日月委員 そうしますと、平成十八年度末で切れる経営安定基金の今後というものについては、平成十八年度末ですから、平成十九年度の予算審議といったところが非常に大きな山場となるという認識でよろしいんでしょうか。できれば、こういった次なる支援策の検討をぜひ早めていただきたいという要望に対する答えと同時にお答えいただきたいと思います。

丸山政府参考人 期限切れとなりますので、十九年度にどうするかというのに、そこがタイムリミットであるということは間違いないところでございますけれども、いずれにいたしましても、十八年までに各社の経営状況でございますとか金利の状況がどうなるかということを見ながら、期限切れを我々は見据えてということを申し上げたいと思いますが、必ずしもぎりぎりまで何もしないということではなくて、見据えまして、必要な検討をしてまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 その検討の際には、今の、金利の変動によって運用益がもちろん変わるんですけれども、それによって経営が非常に上がり下がりするというような不安定な運用益支援のあり方をぜひ再検討すべきだということと、九州、北海道、四国、それぞれ会社によって事情が違います。特に四国や何かは、もう本当に過疎化に加えて道路整備がよくなって、本四、三架橋のさまざまな整備充実といったこともあって、かなり厳しい経営体質になっているということをよく御認識いただいた上で、各社の事情に合った支援策を検討すべきだという問題提起をしておきたいというふうに思います。

 あわせて、日本の物流、貨物といった問題についてお伺いをしたいと思うんですけれども、今の日本の物流の現状と課題というものをどのようにとらえていらっしゃるのか。新総合物流施策大綱やモーダルシフトアクションプログラム、地球温暖化対策推進大綱等々、環境対策そして温暖化防止対策、安全問題対策、そして労働力不足も近年予想されている、今でも進行している労働力不足にどのように対応した物流政策を今後構築していこうとされているのか。

 あわせて、鉄道貨物を有効利用したモーダルシフトを今時点でも国としても取り組まれております。このさらなる推進が求められると思うんですけれども、そのあたりのお考えについてお聞かせをいただきたいと思います。

矢部政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、二つ御質問があったと思いますが、一つは、物流についての現在の課題とその対策についてお尋ねがございました。

 物流につきましては、まず、やはり効率化をいかに進めるか。物流の効率化を進めることによって我が国の産業の国際競争力を高める、こういう要請がございます。それにこたえるために、社会資本の重点的な整備あるいは規制緩和や港湾におきます入出港手続の簡素化等を今進めてまいりたいと思っておりますし、これまでもやってきております。

 それからもう一つの要請は、先ほど、最後に御指摘がございましたように、物流のグリーン化を図る、環境に優しい物流体系をいかに構築するかということでございまして、このために、モーダルシフトでございますとかあるいは貨物の共同輸配送でありますとか、いろいろな施策を推進しているところでございます。

 それからもう一つは、国際的な要請に対してどうこたえていくかという問題がございます。この点につきましては、物流におけるテロ対策をどうこれから構築していくかという課題がございます。これにつきましては、先ほど法案を一つ通していただきましたし、また、これからも新しい国際的な協調システムの構築に向けていろいろな施策をやっていきたいと思っております。

 そういった問題がありますし、それから、先ほどモーダルシフトについての進捗状況と今後の取り組みについてお尋ねがございました。

 モーダルシフトにつきましては、国土交通省では、昨年五月にモーダルシフト促進アクションプログラムというものを策定いたしまして、今年、これを六月に改定いたしましたが、このプログラムに基づきまして、モーダルシフトの受け皿となります貨物鉄道や海運の輸送サービスの向上、それから荷主や物流事業者の意識の向上に取り組んでまいりたい、このように考えております。

三日月委員 ありがとうございました。

 ぜひ環境対策の面からも、そしてまた中長期的な国際競争力を高めるといった観点からも、後段お答えをいただきましたモーダルシフト、この推進が不可欠だと私は思うんです。

 そのためには二つあって、一つ目は、まずやはり今以上に、モーダルシフト、モーダルシフトといいながら、この近年モーダルシフト化率は実は低下しているんです。このモーダルシフトというものを国家的課題として位置づけるということ、そしてまた、競争、競争という名のもとに、物流コストや人件費、こういったコスト削減圧力の中で、非常に長距離の、北海道から九州までのトラック輸送とか、かなり無理をした、輸送特性の範囲を超えた輸送体系が今国内では非常に横行しているというか進行している部分がありますので、このことについて関係業界も巻き込んだ国家的な合意形成を図ることが必要だということと、こういう物流改革もしくはモーダルシフトに積極的に取り組む企業への税制措置も含めた支援がやはり不可欠ではないかという問題提起をしておきたいというふうに思います。

 限られた時間ですので、もう少し大きな課題についてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、実は、この間の少子高齢化やそして過疎化、マイカーの発展、そして高速道路網の整備等々によって、鉄道という公共輸送機関の役割を低下させてきている機関もしくは地域、事業者があるんです。特に、中小民鉄や地方在来線の利用減少、それに伴う経営難は深刻で、以前の福井県の京福の事故もありましたけれども、安全対策も非常にままならない会社も多々あるというこの現状について、どのようにとらえて、その改善策をどのように講じていかれるおつもりなのか。

 そしてまた、整備、維持管理といったものにも非常にお金がかかります。運営と運行といったものとの二元化、言ってみれば上下分離方式といったシステムも検討されるべきではないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お尋ね、二点あると思います。一つは、地方の中小民鉄をどうしていくかという話と、それからもう一つは、大都会で非常に金のかかる鉄道整備をどうやっていくのかということだと思います。

 まず、地方の中小民鉄についてお話をさせていただきますが、御指摘のように、京福の事故があったというようなことを契機といたしまして、私ども、平成十六年度から地方中小民鉄の安全対策にかかわります支援措置の拡充を図ったところでございます。

 いずれにいたしましても、先生御指摘のように、今非常に厳しい状況にございます。

 モータリゼーションの進展によりまして、需要が伸びないどころか、ずっと減少してきておる中で、どうやっていくかということでございますが、基本的にはやはり鉄道事業者がみずから経営努力をする、それから地域がその鉄道をどういうふうに考えるんだ、こういうことが必要だと思いますけれども、それを受けた上で、私どもとしても必要な施策を講じていきたいというふうに思っております。

 それから大都市の整備でございますが、これも、今後の鉄道整備に当たりましては、大都市は特にもういろいろな構造物が入り組んでおるというようなこともございまして、整備をするのに巨額の費用がかかるというのが実態でございます。ただ、巨額の費用がかかる割には客がふえるわけではない、利便性は向上するんですが、客がふえるわけではないというようなところで、整備主体がみずからリスクをとって乗り出すということはなかなかいきにくいような状況に今なりつつあるという状況だと思います。

 平成十二年の運輸政策審議会の答申がございまして、その中で、先生御指摘になりました上下分離方式も検討すべきだ、こういう指摘がされておるわけでございます。

 それを受けまして、既に整備新幹線におきましては、機構が下物を持って、その上をJRが走らせるということで、ある意味、上下分離方式がとられているわけでございますけれども、新幹線以外につきましても、例えば阪神西大阪線の延伸でございますとか、それから京阪の中之島新線につきましても、保有主体として第三セクターを設立して、ある意味上下分離を図って整備を進めるというようなことをやってまいりました。

 いずれにいたしましても、どの路線でどういう整備方式が最も望ましいのかということにつきましては、その路線の特性によりましていろいろ違ってくるとは思いますが、上下分離方式も含めまして、個別の事業ごとに最適といいますか、ふさわしい助成策をとりまして、整備を推進していきたいというふうに思っております。

三日月委員 ありがとうございました。

 中小の民鉄もそうなんですけれども、都市の鉄道も、例えば東葉高速鉄道といったような鉄道は、利用者も増加しているけれども金利の負担でかなり債務超過になっていて、特性を生かせる都市鉄道でもその自立が困難な事例もたくさんあります。そういう意味では、もう少し、鉄道もそして道路も空港も含めた総合的な交通政策や、当然、総合交通財源といったようなスキームも私は必要だと思うんです。

 今国会で、道路四公団の改革の法案が通過をいたしました。

 小泉総理大臣も御自身で、これまでの債務の増大は、政治家が地元の票欲しさに頑張り過ぎていろいろな高速道路を次々とつくってしまった結果だと認められながら、実は今後も、改革後も、計画されている高速道路はすべてつくられますし、今後の計画づくりにも政治の関与は非常に排除できないシステムになっているといった意味では中途半端なものに終わってしまいましたし、先ほど大臣が触れられましたけれども、整備新幹線についても、まあ、選挙対策なのかどうかわかりませんけれども、ある政党については、未着工区間のうちの三区間、二〇〇五年度の同時着工をさせよう、線路はないけれども駅だけつくろうといったような、そんなむちゃくちゃな計画もあるやに聞いております。

 平成十二年十二月の政府・与党申し合わせで、公共事業のあり方について、効率化や重点化等の観点から見直しが進められている中、期待感のみを膨らませることは慎むべきである、安定的な財源見通しを確保した上で新たな着工を行うものであるといったような基本的な考えが示されているにもかかわらず、先ほど大臣も触れられました、お兄さんが弟の面倒を見るといったような、もう十分本州三社は例えば納税といった形で社会的な対価を払っているにもかかわらず、新たな負担をさせようとする問題、もしくは、将来の建設財源を先借り、先食いしようといったようなスキームが検討されている。

 空港についても、関係自治体選出の方がいらっしゃったらあれなんですけれども、例えば関西地方においては、関空も伊丹もあるけれども神戸空港もつくるといったような、かなりむちゃくちゃな、それぞれの分野が分野ごとだけに独立してしまった、そういう交通基盤整備がなされているようにも思うんですけれども、ぜひ、総合交通体系、総合交通政策、総合交通財源の必要性についてのお考えについて、大臣、もしお考えがあればお答えをいただきたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 御質問ございました交通体系でございますけれども、これは、各交通機関の競争と利用者の自由な選択を反映して形成されることが原則でございますが、その整備に当たりましては、各交通機関がその特性を生かしまして、またかつ十分な連携を図るということが重要であると考えておるところでございます。

 国土交通省では、国土計画の中で、陸海空の交通体系整備の基本目標等につきまして包括的にお示しをいたしておるところでございます。

 また、従来は事業分野別に策定されておりました道路、空港などの社会資本整備に関する計画につきまして、昨年の十月に、これらを一本化いたしました社会資本整備重点計画を策定したところでございます。この計画におきましては、事業横断的な重点目標、そして事業間の連携の強化等を定めておりますので、今後とも、同計画に基づきまして、より一層、鉄道、道路、空港など関係事業間の連携を図ってまいる所存でございます。

 また、財源につきましては、各交通機関の特性を踏まえまして、さまざまな財源措置が講じられておるわけでございますが、これらを十分に活用いたしまして、適切な整備を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

 どうかよろしくお願いいたします。

三日月委員 よろしくお願いいたしますと言われましても、こちらがよろしくお願いしたいと申し上げたいんですけれども。

 非常に文言のそろった答弁はありがたいんですけれども、もう少し現実的な政策と、そしてお金をつけましょうという問題提起をさせていただいているんです。それぞれに必要なのはわかるんですけれども、それぞれが独立して勝手に違う方向を走っているような今の政策のあり方を、ぜひ、ともに改めていきたいと思いますので、今後とも審議をしていきたいと思っています。

 少なくとも、例えば、先ほどの整備新幹線の話がありましたけれども、一九九六年十二月の政府・与党合意にもあります、建設費については、国、地方公共団体、JRそれぞれで賄うんだ、しかしJRについては、その受益の範囲内で貸付料等により賄うんだといったような、そういうスキームを守った形での整備をぜひしていくべきだという問題提起をしていきたいと思います。

 最後に、そういういろいろなものをつくっても、やはりいろいろな御事情でそういう交通機関が利用できない方々に対する対策というのも、これは非常に重要だと思うんです。この二十一世紀は、これまで二十世紀につくってきたいろいろな交通インフラをより利用しやすくするためにどうするんだといったような観点が、新たにぼこぼこコンクリートの塊をつくることよりも、むしろ必要なのではないかなと私自身は感じています。

 そういう中で、交通バリアフリー法、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律といったものが二〇〇〇年十一月に施行されまして、国の基本方針、そしてそのもとにある市町村の基本構想に基づいて、各市町村そして事業者が今取り組んでいるところでもあります。そもそも、市町村の定める基本構想といったものが地域の旅客施設やそして道路、歩道も含めてさまざまなバリアフリー化に向かっていく出発点だと考えるならば、この基本構想がどれだけあるかというのが非常に重要な数字だと思うんですけれども、二〇〇四年一月時点で全国で百十三カ所しかないんです。

 やはり、まず市町村がバリアフリーに向けてしっかりと基本構想をつくっていくべきだという国の毅然とした指導とそして取り組みが求められると思いますし、これは、例えば駅に関して言えば、一日五千人以上の駅が対象になっております。基準に届かない利用実態で、それでも高齢者や障害を持つ方が多い駅でありますとか、バリアフリーでいうならば、むしろ大規模駅のバリアフリーほど積極的にこういう推進をしていく必要があるだろうし、つくることに支援をしても、それをメンテナンスしていくことの方が意外とお金がかかるんだといったような観点から、こういう支援の基準もしくは内容の見直しが必要だと思いますが、そのあたりのことについて御答弁をいただきたいと思います。

澤井政府参考人 御指摘の基本構想の策定数、最新では百四十五と、ことしの六月でございます、予定が四百十三ございまして、全体で御指摘のような対象市町村が五百六十余りでございますので、策定予定まで含めますと、ほぼ全市町村で何らかの取り組みがされている。

 特に策定状況の推移を見ますと、平成十三年度から始まっておりまして、十三年度一年間で十五だったのが、十四年度は四十七、十五年度は六十五ということで、毎年ふえてきています。また、本年度はまだ二カ月余りでありますが、この二カ月余りで既に二十七ということで、いろいろな検討をした上で、それが構想という成果になる、いよいよそういう時期が来たなと思っております。

 御指摘にもございましたけれども、この構想は、バリアフリーを交通結節点を中心に連続してやっていくということが非常に大事で、その土台になるものでありますけれども、そのためにはいろいろな事業主体が関係します。そうした異なる事業主体の連携のもとで連続的なバリアフリー空間をつくっていくという、まさに土台になるものだという意味で非常に重要だと思っております。

 税制特例などの支援措置を活用したり、あるいは、既にいろいろな事例がありますから、その事例の中に、でき上がった構想そのものだけでなくて、そういう構想をつくる過程で、今まで疎遠だった鉄道事業者などとかなり密接な意思疎通ができたとか、あるいは、つくる過程でいろいろな人の意見を聞いたために構想の実現が非常に容易になったとか、いろいろな実務上のメリットもありますので、そういったことも含めて、広くそういう先進事例を周知したいということは非常に重要だと思っております。

 また、ことしは、各公共団体でどのぐらいそういうバリアフリーが進んでいるかということを、一定の指標化を図りまして、それをお示しするというようなことで、おくれているところの取り組みをさらに促したいというようなことも考えているところでございます。

三日月委員 ありがとうございました。

 今後とも、鉄道政策、そしてひいては全体的な、総合的な交通政策、そして、そういった交通をより利用しやすくするためのバリアフリーのための政策に、私自身、非常に大きな決意を持って取り組んでまいる決意を最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦です。

 去る二月二十七日の委員会の審議の中で、先輩の委員の質問に答えて、大臣は、都市鉄道の整備についてはまた別の機会にじっくり議論をしたいというお話がございました。

 今、三日月委員もこの件について触れていますけれども、私は、この都市鉄道も含めまして、時代の大変に大きな曲がり角の中で、こうしたものをどのように整備していくか、思い切ったスキームの転換が必要なのではないかというふうに考えております。

 時代の変化と言いましたけれども、少子高齢化という傾向は、年金の制度にとどまらず、社会資本の整備、このあり方について大変に大きな変化を求めていると考えます。

 都市鉄道、これまでは、要するに年々乗客がふえていくと、そうした中で運賃収入がふえる、それによって建設費が賄えるという、そうした仕組みで進んできたんだと思うんですけれども、これからはそうした仕組みが役に立たなくなる。これは鉄道にとどまらないわけですけれども、こうした中で、今、私鉄といって、一つの民間の企業が支えている都市鉄道、社会資本としての意義は大変に大きいと思うんですが、こうした時代の転換の中で、この都市鉄道、これからどのように国としてこれを支えていくのか、あるいは整備を進めていくのか。その辺の大きな方向の転換について大臣にお考えをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

石原国務大臣 我が国の都市鉄道は、三大都市圏で見ますと、大体、輸送量の半分ぐらいを輸送して、毎日、一日当たりに換算すると五千二百万人、都市住民の移動の手段としては大変重要な役割を担っているんだと思います。そんな中で、自動車と比較しても、エネルギー効率やCO2の排出量等々、環境面でも大変負荷の少ない、優しい交通機関と言えるのではないかと思っております。

 その一方で、ただいま若井委員が御指摘されましたように、これまでは住民がふえていって、それに合わせて鉄道をつくっていくという形で整備されてきましたけれども、少子高齢化の影響で、また都市化がここまで進みますと、鉄道のこれからのさらなる整備には巨額の資金を要する、そうしますと事業の採算性の確保が厳しくなる、こういう現実があるんだと思います。

 そこで、これから国が何をするのか、これまで何をしていたのかという話になるんだと思うんですけれども、やはり混雑の緩和、あるいは政策的意義が高い施設整備というものは支援をしてきましたし、これからも支援をしていかなければならないと思っております。

 具体的に若干申しますと、従来からの新線整備に加えまして、既存ストックを有効活用した乗り継ぎの円滑化、あるいはまちづくりと一体的な交通の結節点としての整備、こういうことによって利用者の方の利便性の向上ということを図ってまいりたいと考えております。

 引き続き、重要な都市鉄道の整備というものに努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。

若井委員 鉄道の、これが一つの企業の私有財産ではなくて国民の社会資本であるという観点から考えますと、そのように支援をしていくという観点も大事ですけれども、もう一歩踏み込んだ政策というものがこれからは必要とされるのではないかというふうに思います。その内容については、またこれから時間をかけて、じっくり議論をしなければならない問題ではないかというふうに思います。

 先ほど、三日月委員が東葉高速鉄道に触れましたけれども、千葉県というところは東京からの放射状の鉄道が非常に少ないところでして、東葉高速もその一つですが、もう一つ、今、北総開発鉄道という鉄道が成田の空港に向かって整備をされております。

 この鉄道につきましては、その沿線に千葉ニュータウンというニュータウンの建設が進んでおりますけれども、これにつきましても、少子高齢化、これは非常に大きな時代のエポックだと私は思うんですけれども、この変化の中で、事業の今後の行方が非常に見えなくなってきておるという状況でございます。そのことが、この鉄道の経営にも非常に大きな影響を及ぼしている。

 この北総開発鉄道の前提とも言えます千葉ニュータウン、昭和三十九年に新住宅市街地開発法、これに基づいて始められたいわば国家的な事業であると思いますが、現状、人口は停滞をし、先買いをした用地も、利用されないまま放置されているような状況であります。

 先ほど、ちょっと都市基盤整備公団のお話がありましたけれども、実は七月からは独立法人に機構が変わっていくという、そうした状況の中で、この千葉ニュータウンの事業、これからどのように国としてはお進めになろうとしているのか。ここには今現在、八万の住民が住んでおりますけれども、地域、地元の自治体、これらがどのような役割を果たさなければならないのか、この点について少しお話をお伺いできればと思います。

石原国務大臣 これは、ただいま委員御指摘されましたように、都市基盤整備公団の独法化ということがあるんですが、平成十三年の十二月に閣議決定した特殊法人の整理合理化計画の中で、こういう整理をさせていただきました。新規のニュータウン事業は廃止する、一方、継続事業は、採算性の向上と早期完了のための事業見直しを進めた上で独法に引き継ぐ。

 千葉ニュータウンについても、委員御指摘のとおり、バブル崩壊後の住宅需要の低迷に対応して、公団と千葉県が平成十六年三月に事業計画を見直したわけでございます。

 その詳細は省かせていただきますけれども、これからも引き続いて社会状況の変化に柔軟に対応できるような不断の見直しというものはやっていきませんと、この独法化する法人の大きな債務になってしまうわけでございますので、切り詰めるべきところは切り詰め、むだを省いて事業の実施に努力していくことが肝要ではないかと考えております。

若井委員 当然、基本的な方向はそういうふうにあるべきだろうと思うんですけれども、例えばこの都市鉄道、北総開発鉄道の需要の見通しというようなことになりますと、そうした定性的なお話だけでは議論が進まないと思います。

 先般の、平成十六年三月の下方修正をされた十五・三万人というフレームがございますけれども、実は、この三十数年の間に千葉ニュータウンに居住をすることになった人口は、人口の増加期、急増期にあっても八万人にすぎない。そうした中で、あと十年後にそれが倍増をするというような、ある意味でいうと大変日和見ではないか、あるいは絵にかいたもちそのものではないかという、こうしたフレームに基づいて地域あるいはこの鉄道が将来のビジョンを描けというのは非常に無責任なお話ではないかと思いますけれども、改めてこの辺について御説明を願いたいと思います。

伊藤政府参考人 千葉ニュータウン事業につきましては、平成十六年三月、委員ただいま御指摘のとおり、事業再評価を行いまして、少子化に伴う一戸当たりの人数の減少や土地利用計画の見直しを含めまして、計画を千葉県と公団と双方で調整し、修正して、計画人口十五万三千人ということで現在事業を進めているところでございます。

 私どもといたしましては、今後につきましても、先ほど大臣が申し上げましたように、社会経済状況の変化とか、こういうものに柔軟に対応しながら、ニーズというものをうまく取り込みながら、千葉ニュータウンへの入居促進、そういうことを通じた計画目標の達成ということについて引き続き鋭意取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

若井委員 ちなみに、では、お聞きしますけれども、ここ数年間、年間どれぐらいの人口がここではふえているのか、数字を教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 若干の過去の経緯も含めて申し上げますと、五十年代末から平成三年のいわゆる地価のピークのころまでというのは、大体毎年三千六百人ぐらいずつ入居人口がふえていたわけでございますが、その後、平成五年から十年あたりは、大体三千二百人ぐらいと、増加のペースが少し落ちております。そしてまた、十一年から十四年というか、最近の状況でいきますと、やはり地価が非常に難しい状況になったとか都心居住の状況とか、そういう特殊な状況の中で、この数年間について言いますと、千人を下るような人口増という状況になってございます。

 ただ、この状況がいつまでもこの状況かどうかという点については、最近の土地需要についての変化の兆し等も出てきておりますので、そういうことも勘案しながら、具体的なニーズに対応しながら的確な宅地供給、処分というものを進めて、目標達成に向かって努力していきたいということでございます。

 以上でございます。

若井委員 局長も御存じだと思いますけれども、先般の人口再生産率一・二九という数字は御存じですよね。これは千葉県ですと一・二〇です。東京都内は一を切っている。そうした首都圏の状況の中で、さらにこれから、社会状況が変化をして、人口がふえ、住宅需要が増加をする、そういうフレームになっているというお話でしょうか。

 もしそうだとすれば、そうした一種の、皆さんがおっしゃるマクロ経済スライド、こういう絵にかいたもちで公共投資を十年にわたって見通すというような議論は大変に無理があるのではないか、思い切った見直しが必要じゃないか、今すぐする必要があるんじゃないかということを私は申し上げたいわけです。

伊藤政府参考人 全体について、最近の宅地需要ということで申し上げますと、確かに委員今御指摘のようなところはあるわけでございます。

 ただ、宅地の状況というのも、最近の変化を見ておりますと、いわゆる環境とか公益公共施設とか、そういうものが整ったような熟成された町、宅地、そういうところについては非常にまた需要も出てきているという状況もございますので、私ども、先ほども申し上げましたように、千葉ニュータウンのコンセプトというものを大事にしながら、一方で、そういうニーズというものを十分に踏まえて、緑、環境、そういうものにも配慮しながら、ニーズへの柔軟な対応ということを念頭に置きながら、計画目標の達成に向かって努力していきたいというふうに考えているところでございます。

若井委員 それは、このフレームというのは、十年後に十五万人強、国が責任を持ってそこまで事業を進めていただくというふうに私たち地域の者とすれば確信をしていいということですね。

 それで、都市再生機構の話ですけれども、やはり都市基盤整備から都市再生へ、要するにテーマが移ったから、これは本来は、独法化するというだけではなくて、こういう編成がなされているんだと思いますので、そうした観点から、思い切った整備の方針の変更をお願いしたいと思います。

 質疑の時間が、後ろが迫っておりますので、北総開発鉄道の経営と高運賃の問題に戻りたいと思いますが、北総開発鉄道は、この数年間、平成十二年度から四期連続で黒字の決算を出す、そうした会社になっております。

 しかし、これが何によって支えられているかというと、通常の、一般の私鉄の運賃の二倍から三倍という高い運賃、これによって支えられているということがあるわけですけれども、これに対して、もともとこの建設にかかった、いわゆる旧鉄建公団に対する大変な巨額の債務がある、こういう形でこの私鉄が運営されているということについて、どのように政府の方では評価をしておられるのか、お聞きをしたいと思います。

丸山政府参考人 ただいま先生御指摘いただきましたけれども、北総開発鉄道は千葉ニュータウンの主たる交通機関でございますが、千葉ニュータウンの入居人口が計画人口よりも伸びなかったということで、利用者が少ないということで非常に厳しい状況にございます。

 これまで、四回にわたりまして、株主でございます千葉県、都市基盤整備公団それから京成電鉄が出資、融資をする、それから政府としても、鉄建公団が持っております債務につきまして返済猶予をやるということによりまして、経営の健全化を図ってきたということでございます。

 その効果もございまして、平成十二年から、先生御指摘のように、単年度黒字はようやく計上するようになったところでございます。ただ、平成十五年度末で見ますと、累積の損失が三百八十六億円、債務超過ということでございます。これをどうやって消していくかということが今後の重要な問題でございます。

 これまでも四回にわたりまして支援策を講じてきたわけでございますけれども、今後とも、必要に応じまして、また所要の支援措置を講じていきたいというふうに思っております。

 千葉ニュータウンにつきましては、そういうことで、北総開発鉄道、支援措置を講じながらやってきたわけでございます。今後どうするかということでございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたけれども、都市につきましては、なかなか大規模な需要の伸びが期待できない、そういう中で、またコストが非常にかかるということで、上下分離なども含めました新しい支援スキームを今後できる鉄道につきましては考えていきたいというふうに思っております。

若井委員 途中をはしょりますけれども、二〇一〇年に、この北総開発鉄道のいわゆる路盤のところは成田新高速鉄道として成田空港まで延伸をするという計画になっておるわけです。その線路の上を京成電鉄が現在京成を経由しておりますスカイライナーを空港へ向けて運行をする、こういう計画であるというふうに私どもは聞いておりますけれども、一つの線路の上を二つの会社が別の鉄道会社として運営される、こういう経営形態になる。

 しかも、これまで千葉ニュータウンのいわば生活路線であった北総開発鉄道という線路が、ある意味でいいますと、国民全体にとって非常に重要な社会資本として、空港と都心、あるいは羽田空港と成田空港を結ぶという役割を果たすわけで、そういった意味で、これを非常に長期にわたって地域の住民の高い運賃で負担をしていくというのは甚だ社会的な公正を欠いていると私は考えるわけですけれども、先ほどございました上下分離方式というようなものを、ちょっと後づけになりますが、それを例えばこの北総開発鉄道に適用するというようなことは可能性がないのかどうか、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

丸山政府参考人 北総開発鉄道につきましては、るる先生から御指摘いただいておるような問題があるわけでございますが、それに対しまして、私ども、今の制度の中で累次支援措置を講じてきたところでございます。

 それによりまして、ようやく単年度黒字にはなってきたということでございますので、今の私どもが講じてまいりました支援策の延長線上において、北総につきましては施策を考えていきたいというふうに思っております。

若井委員 前後いたしますけれども、第三セクターの都市鉄道に関しては、総務省がいわゆる特別の起債の枠を認めるという施策を講じておられるわけですけれども、現在、この北総開発鉄道の現状というのがその対象と少し外れているように思います。

 例えば、出資比率五〇%以上であるとか、単年度資本不足額の二分の一、こうした枠にちょっと外れているこの北総開発鉄道を、例えば総務省がおっしゃられておる第三セクター救済の対象にできる可能性というものがあるのかないのか、その辺についてお聞かせいただきたい。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる第三セクターにつきましては、独立した事業主体であることから、その経営は本来、当該第三セクターの自助努力によって行われるべきであると考えております。しかしながら、地下鉄等の都市鉄道事業を行う第三セクターにつきましては、巨額の初期投資に伴い、資本費負担が相当重いこと等を踏まえ、地方公営企業に準ずる第三セクターについて経営健全化対策を講じることとしたところでございます。

 この場合、第三セクターの設立、運営に関し、地方公共団体が主導的な立場に立っていると認められるものとして、出資比率が五〇%以上の第三セクターについて対象としたものでございます。

 お尋ねの北総開発鉄道につきましては、地方公共団体の出資比率が五〇%に満たないことから、今回の支援の対象とはなっていないところでございます。

若井委員 その点についても、これからもう少し研究をさせていただければというふうに思いますけれども、時間が参りましたので、私の質問は、きょうはこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございます。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、三菱自動車問題について、三回目の質問をしたいと思います。

 過去二回は、三菱自動車の欠陥隠しに対して、チェックする側である国土交通省の責任について問いただしてきました。

 その後も、相次ぐ三菱自動車の欠陥隠し、隠ぺいなど、底なしの状態を見ていて、日本の企業の反社会的体質というか、国民の命より目先の利益に走る体質、そのために法令違反は当たり前でやってしまうような状況、そして都合が悪いと思えば隠してしまう隠ぺい体質など、極めて深刻だなということを私は実感しています。

 かつて、食品メーカーの雪印が同じような不祥事件を起こしました。食品というまさに国民の命と安全に直結する製造会社でしたが、今度も命と安全にかかわるこういう会社が犯罪を起こす。ですから、やはり大企業の犯罪に対して、命と安全を守る責任を果たさせるために、抜本的にチェックを強める必要があると私は考えます。したがって、きょうはその角度から議論をしたいと思います。

 大臣に聞きたい。

 今度の一連の事件で、やはり国民は、何でだろうということをずっと思っていると思うんですね。私は三つばかりあるんじゃないかと思っています。

 一つは、このような事態が次々と明るみに出るまでなぜ発見できなかったのか。

 それから二つ目に、どこをチェックすれば再発を防げるのか、今後このような事態が起きない保証はあるのか。その際、国土交通省は、この事件を契機にリコール制度の強化ということを言っていますが、それだけで大丈夫なんだろうか、こういう点があるだろう。

 三つ目に、これは三菱自動車だけなのか、他の企業は大丈夫だろうか。そして、国土交通省として何らかの点検を行ったんだろうか。この際、安全チェックなどすべきでないか。

 こういうふうな、大きく言って三つぐらいが国民の疑問としてあるんじゃないかと、私はいろいろお話をお聞きしていて思いました。

 大臣は、五月二十一日の答弁で、悪質な、反社会的と言ってもいいぐらいな行為であり、極めて遺憾でありますし、何でこんなことを放置してくるような社内体質であったのかと半ばあきれておりますと三菱の企業体質について批判をしています。

 反社会的で許せないというのは当然です。あきれるのもわかるんですが、今述べたような国民の疑問といいますか、そういったことに対して大臣としてどのように答えるのか、お聞きしたいと思います。

石原国務大臣 企業が社会的な責任を放棄していると言っても過言ではない事案なのではないかと思っておりましたので、五月二十一日にそのようなお話をさせていただいたんだと思います。

 その結果どういうことが起こったかというと、委員の御指摘のとおり、なぜ発見できないんだろう、リコール制度というのはどうなっているんだ、リコール制度に対する国民の皆様方の信頼が損なわれようとする事態に至った、これは非常に残念でもありますし、何とかしなきゃいけない。

 そこで、一昨日、リコール改善推進室というものを設置いたしまして、再発防止対策に着手をしたところです。

 何をするかといいますと、では、なぜこんなことが起こったかというと、やはり情報の収集システム、こういうものも、向こう側から言われるままだったんですね。それを、こちら側から聞く。私も、寄せられている電話とかインターネットで来るものを見せていただきましたけれども、あれがかなりのボリュームになってくると、どういうところにどういうふぐあいがあるといったような統計立ったものが出てまいりますし、それ専用のソフトも至急つくれと指示を出させていただきました。

 それと、やはりもう一点は、言ってきても、それを技術的に検証するシステムというものがないんですね。もちろん技術的に検証するにはそれなりのお金がかかります。ことしは五千万ぐらいかけて、来年は五億円ぐらいの予算で、本当に持ってきているものを検証していく。

 この二つを行うことによって、リコール制度の改善、運用の見直しを短期間でやらせていただきたいと思っています。

 それと、自工とふそうを合わせますと二百五十件も隠していたわけです。これもやはり、二百五十件、大変多岐にわたっておりますので、徹底的な検証を行って、今後講じる改善策でその二百五十件が洗い出せるのかできないのか、こういう点が委員の御質問のポイントだと思うんですけれども、これも、いつまでもというわけじゃなくて、量が莫大なんで、一、二カ月かかってその取りまとめをするように指示をさせていただきました。

 では、他社はどうかというお話ですけれども、これも、三菱以外の自動車メーカーについても、もう一回、リコールというのは結局届け出ですから、信頼関係の上に成り立っていますので、ちゃんとやっているかどうか点検して、今月の末までに報告をいただきたい。そこで各社が御報告をいただけるものだと思っております。

 こういうものを積み重ねて、リコール制度の信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 今、再発防止する具体化としてのリコール制度のさまざまな改善や、また国民の疑問に対しての一定の考え方というのは披瀝されましたが、この際にちょっと、リコール制度の問題については、私ども何度も提言してきました。問題は、では、このリコール制度なんですが、これは確かに、あくまでも販売した後の事後のチェックなんですね。市場に出回っている自動車に欠陥やふぐあいがあった場合に初めてチェック対象になるんです。ユーザーが運転して事実上チェックする、これはこういうことになりますね。私は、運転して初めてわかる欠陥もあるわけですから、それは重要な制度だと思うんです。

 そこで、確認しておきたいんです。

 第一に、リコールの届け出は、五年間の推移はどうなっているか。二つ目に、リコール届け出件数の多いメーカーの上位十社。三つ目に、重大な事故につながるおそれのある案件はどうか。具体的には、走行やブレーキなどに支障を来す、こういった問題を中心にして、ちょっと報告いただきたい。

峰久政府参考人 御質問のうち、まず最初のリコール届け出件数及び対象台数の推移でございますが、平成十一年度から十五年度で、件数については、国産車、輸入車合わせてでございますが、件数で十一年度が百三十二、それから百七十六、百六十九、百七十、それから十五年度は二百四ということになっております。また、台数につきましては、平成十一年度の百八十七万台から、平成十五年度は四百四十二万台ということになっております。

 それから、二番目のリコール届け出件数の多いメーカー上位十社ということでございましたが、国産車について申し上げますと、順番に、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、日産自動車、日野自動車、川崎重工業、本田技研工業、マツダ、小松製作所、いすゞ自動車、日産ディーゼル工業。それぞれ件数は、一番多いのが十三件、それから十番目のが六件ということになっております。

 それから、三番目に、走行不能あるいは制動力の低下及び火災のおそれがあって、重大事故、事案につながる可能性がある、これは主な装置についてのリコール届けで見させていただきますと、届け出件数及び対象台数は、二〇〇三年度で国産車で二十九件、約七十六万台の届け出がございました。主な装置のところ、先ほど言われました緩衝装置ですとか動力伝達装置、走行装置、制動装置、こういうところの主な部位のところでございます。

穀田委員 要するに、九五年以降毎年ふえ続けていて、〇三年度には、今報告がありましたように四百四十二万台という状況です。しかも、今最後に報告がありましたように、二割近くが重大な事故につながる欠陥だ。しかも、上位十社ありましたように、三菱自動車だけに限ったことでなくて、他のメーカーからのリコール届け出もある。

 やはり、こういう重大な欠陥を持った自動車、大臣もこの間おっしゃっていましたように、走る凶器ということをユーザー、消費者に販売することこそ、四百四十二万台もこんなふうになってきているわけですから、それを販売すること自体が問題ではないかと私は思うんですね。

 したがって、ユーザーが購入する以前にチェックすべきじゃないか。もちろん、起こってからそれをやるのはいいんですよ、それはそれなんだけれども、その以前に何とかならぬのか。

 現在の自動車が販売される前の事前チェック体制はどうなっているか、簡単に。

峰久政府参考人 自動車は、保安基準に適合しないものは運行できないということで、当然、販売される自動車につきましては、保安基準に適合している必要がございます。

 それで、今の審査でございますけれども、これは、自動車製作者から提出されます試験のデータ及び保安基準への適合性を証する書面、それと、現車審査によって、制動性の性能の試験でありますとか緩衝試験、排出ガス試験、騒音試験等のさまざまな試験を行っており、これらによりまして保安基準に適合しているかどうかということを審査しております。

 しかし、このように審査を行っておりますけれども、自動車は二万点以上の部品から構成され、また、さまざまな使われ方をしますので、欠陥車が発生することを回避するというのは非常に難しい状況でございます。このためにリコール制度がありまして、このリコール制度と相まって自動車の安全対策を行うこととしております。

 なお、重大な問題が市場で発生したような場合には、それに対応して審査の厳格化を図ることとしておりまして、現に、三菱につきましては、強度試験でありますとか実車試験データを提出させるなどの審査の厳格化を図っているところでございます。

穀田委員 だから、なかなか大変だということで、二万以上の部品があるとか、それから、実際起こったときには厳格に対応する、こういう話がありました。

 そこで、この認証制度ではハブやクラッチなどの部品の検査はするのか、これを第一に聞きたい。

 というのは、三菱ふそうは、ハブではAからFまでのハブ設計変更を行っていたわけです。変更するときには再検査しないのか。

 三つ目に、三菱は、そのハブの実証検査をやっていなかった。つまり、実証実験もやらずに、欠陥品をつけていたと言われる。したがって、車両検査のときには、交通安全環境研究所では走行装置や部品の実証実験はやらないのか。

 この三つをまず聞いておきたい。

峰久政府参考人 保安基準におきましては、ハブなどの走行装置につきましては、堅牢で安全な運行を確保できるものであること、あるいは、クラッチなどの動力伝達装置につきましては、運行に十分耐える構造及び性能を有することというふうに規定されております。

 それで、ハブなどの強度や耐久性につきましては、さまざまな車種、構造の自動車が多様な使用方法や使用環境で走行することから、定量的な数値による規制ではなくて、自動車メーカーにおきまして、個別の車種の構造などに応じまして、多様な使用方法あるいは使用環境を考慮の上で、部品を含む装置全体に対して保安基準の適合性を検証してもらう、その上で、審査はメーカーの検討結果を記載した書面によって確認することとしております。

 今回の三菱事案につきましては、安全性に係る信頼が損なわれ、十分な検証が行われているか疑義が生じているために、強度計算書や実車試験のデータを提出させ審査するなど、より厳格化しているところでございます。

 それから、次に、ハブの変更のことでございますけれども、自動車の審査におきましては、一般的には、自動車の基本的な性能あるいは長さなどの諸元が変わるような場合に審査の対象としておりまして、ハブのみの変更については、それに該当しないため、その審査は行っておりませんでした。

 ただ、先ほど申し上げましたように、今回の三菱事案につきまして、安全性の検証についてやはり疑義が生じているということで、ハブの変更についても、より厳格な審査を実施しているところでございます。

 それから三番目に、実証実験をやらないのかということでございます。

 先ほど申し上げましたように、審査においては、ハブについては、書面審査で、メーカーなどによる保安基準適合性の検討結果を記載した書面で行っておりますけれども、今回の事案の再発防止をということで、疑義あるふぐあい案件につきましては、書類確認だけではなくて、交通安全研究所などにおきまして、現車確認、試験の実施により技術的検証を行うこととしておりまして、今後は、その結果を審査にフィードバックすることなどによりまして、重要な案件につきましてはより一層審査の厳格化に努めてまいりたいと思っております。

穀田委員 だから、簡単に言えば、型式指定などの審査や検査というのは、メーカーが出してくる書類を見てやるんだということなんですね。こういういろいろなことが起きたときに、厳格にやる、こういう趣旨ですよね。私、そこを少し改善する必要があるんじゃないか。

 リコール届け出は、実は三菱だけじゃない。先ほどお話しされたように、上位十社の話もありましたし、それから、どこにふぐあいがあるかという問題についても、重要なところがあるということもお話がありました。

 だから、せめて、重大事故に直結する重要な部品の欠陥もたくさんあるわけで、リコールで得た貴重な情報なわけですから、重要部品については、出されたメーカーの新規申請車両について慎重審査はやるべきじゃないか、そういうふうに思うんですが、いかがですか。

峰久政府参考人 現在、三菱ふそうトラック・バス株式会社の自動車につきましては、ハブの強度に関する試験成績書などを提出させて、より厳格な審査を行っているということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 また、今回、リコール制度の改善、運用の見直しのために、一昨日にリコール改善推進室を設置して、自動車メーカーからの情報収集・分析システムの強化や技術的検証スキームの構築等の改善策を早期に実現することに着手したところでございます。

 今後、これらの改善策を通じまして、ふぐあい情報の把握の充実に努めることとしておりますが、その過程で得られた重要な情報につきましては、型式認証の審査に有効活用して、重大な事故につながるおそれのある部分を特に注意して審査するなど、事前事後のチェックを通じて安全対策に万全を期していきたいと思っております。

穀田委員 それは私どもは、このリコールが起きたときから、自前でできるそういう検証体制というようなことと、重要な問題についての解明という点は提起してきたわけですけれども、今ありましたように、私は、もう一度販売前のチェック体制の強化を図る必要があると思うんです。何度聞いても、要するに、型式認証における審査や検査の改善が必要だと言わざるを得ないと私は思うんです。

 ここは大臣に、政治論として、安全基準の見直し、さらには検査方法の改善、検査体制の強化、技術面での安全性の事前チェック体制も一度検討いただく必要があるんじゃないか。先ほどお話を聞いたように、リコールの問題についての体制を二つの面でやるというのもわかりました。それはそれでやっていただきながら、もう一歩踏み込んだ形でのそういう検討が必要じゃないかと思うんです。その辺はいかがでしょうかね、大臣。

石原国務大臣 政府参考人からお話もさせていただきましたように、自動車というものが二万点の部品から構成されておりますので、それを全部事前に見て、安心か安全じゃないか、そして実証して走らせてみるといいましても、サーキットを何十周も何百周もするようなことはメーカーでもう既に行っておりますので、そのデータというものをしっかりと出させていただいてチェックするということにならざるを得ないと思いますが、今後は、改善策を通じて得た情報を型式認証に有効活用して、委員御指摘の事前事後のチェックを通じた安全対策というものをより一層強化していく、そういうふうに考えております。

穀田委員 それは、ぜひ私どもとしても、もう少し突っ込んだ議論を今後していきたいと考えているところです。

 最後に、もう一つだけ言っておきたいと思うんですけれども、大企業のそういう犯罪に対しては、やはり、目先の利益に走る体質を改めさせ、社会的に責任を果たす経営の促進が大事だと思うんです。行政として独自の対策を立てる必要がある。例えば、内閣府は、「消費者に信頼される事業者となるために」ということで、自主行動基準の指針などを提言しています。EUなどでは、御承知のように、企業の社会的責任を政府が主導して企業に求めています。日本の経済団体なども強めています。

 大事なのは、企業任せにすれば残念ながら今回みたいな犯罪、不祥事がなくならないという立場から、いろいろなことでもっと積極的に提言をし、イニシアチブを発揮していくことが求められていると思うんです。

 したがって、政府として、また国土交通省としての具体化、独自にガイドラインを作成するなど、こういう点でも、私は、企業の社会的責任という問題についての国土交通省としての独自ガイドラインなんかの作成について検討すべきじゃないかと考えているんです。その辺はいかがでしょうか。最後にそれだけ質問して、大臣にお答えいただければと思っています。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されたのは、多分平成十四年十二月の国民生活審議会の自主行動基準の策定というものをおっしゃられていると思うんですけれども、こういうものを経営の透明性を高める道具の一つとして企業の側が扱っていくことは私も一つの方策だと思っておりますし、三菱二社については、その企業風土の変革、透明性の確保にやはりみずからが取り組んでいっていただくことを期待する次第であります。

穀田委員 終わります。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 この際、御報告いたします。

 今国会、本委員会に付託になりました請願は二百五十一件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり、公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保に関する陳情書外二十二件であります。

 また、今国会、本委員会に参考送付されました地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は、愛東町民生活を支える道路整備の推進と道路予算の拡充に関する意見書外四百八件であります。

 念のため御報告いたします。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 国土交通行政の基本施策に関する件

 国土計画、土地及び水資源に関する件

 都市計画、建築及び地域整備に関する件

 河川、道路、港湾及び住宅に関する件

 陸運、海運、航空及び観光に関する件

 北海道開発に関する件

 気象及び海上保安に関する件

以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中審査におきまして、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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