衆議院

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第2号 平成16年10月26日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年十月二十六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江藤  拓君    木村 隆秀君

      小西  理君    河本 三郎君

      櫻田 義孝君    柴山 昌彦君

      菅原 一秀君    高木  毅君

      竹下  亘君    武田 良太君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    二階 俊博君

      葉梨 康弘君    林  幹雄君

      古川 禎久君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      菅  直人君    下条 みつ君

      高木 義明君    玉置 一弥君

      樽井 良和君    中川  治君

      長安  豊君    伴野  豊君

      松崎 哲久君    三日月大造君

      室井 邦彦君    和田 隆志君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      佐藤 茂樹君    谷口 隆義君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   国土交通大臣政務官    伊達 忠一君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           金澤  悟君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 春田  謙君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     柴山 昌彦君

  木村 隆秀君     竹下  亘君

  松野 博一君     小西  理君

同日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     松野 博一君

  柴山 昌彦君     江藤  拓君

  竹下  亘君     木村 隆秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表いたしまして一言申し上げます。

 相次ぐ豪雨や台風による災害及び新潟県中越地震による災害により、多数の方々がお亡くなりになりました。心から哀悼の意を表します。また、現在行方不明となっている方々が一刻も早く救出されますようお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々に対し、謹んで黙祷をささげたいと思います。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

橘委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

橘委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十六年台風二十三号及び平成十六年新潟県中越地震について政府より報告を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

北側国務大臣 十月二十二日に行いました台風二十三号による兵庫県の被災現場視察及び十月二十四日に行いました平成十六年新潟県中越地震の被災現場視察の報告をいたします。

 まず、相次いで発生しております豪雨や台風及び平成十六年新潟県中越地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。

 台風二十三号による被災直後の十月二十二日には、円山川の堤防決壊などで大きな被害を受けました兵庫県豊岡市等へ現地視察に行ってまいりました。上空から円山川流域及び観光バスが被災した由良川大川橋付近を視察いたしますとともに、陸路で円山川及び円山川支川出石川の破堤地点の視察を行いました。豊岡市等は広範囲にわたり泥沼と化しており、はんらん流で家屋が押し流されるなど、大変な被害であることを実感いたしました。緊急復旧に全力で取り組むとともに、災害復旧対策についても、県、市や町、他省庁と連携をとりながら精いっぱい頑張っていく所存であります。

 また、新潟県中越地震直後の十月二十四日には、国道十七号や関越自動車道の道路被災、信濃川の堤防被災及び上越新幹線の脱線現場等を上空から、また陸路でも視察してまいりました。

 上空からの視察では、山古志村等の山地部で土砂災害が多く発生しているのを目の当たりにし、また、国道十七号などの損壊状況を視察して災害の激しさを感じました。また、家屋などの施設が、外見では残っていても内部では大きく被災しており、大変な地震であったと感じました。何よりもライフラインの早期復旧が必要であり、他省庁、県、市町村、事業者等と連携をとりながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 どちらの災害も、想像を超える深刻な状況で、被災者の方々の生活ができるだけ早く以前の状態に戻るよう最大限努力してまいる所存でございます。

 国土交通省としましても、道路や鉄道の復旧に全力を挙げて取り組むとともに、今後の台風や豪雨に備え、二十四時間体制で堤防決壊箇所等の被災施設の緊急復旧に全力で取り組んでいるところでございます。

 被災地における早期復旧復興に精力的に取り組む一方、今年はたび重なる集中豪雨により、多くの災害が発生している事態にかんがみ、従前からの災害対策を総点検し、河川の整備と管理のあり方や水災防止体制を抜本的に見直すなど、水害・土砂災害対策の強化に努めることが必要だと感じました。

 あわせて、地震防災対策の推進を図り、災害に強い国づくりを進めていく必要があると感じました。

 以上で被災現場視察の報告を終わります。

橘委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

橘委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長峰久幸義君、大臣官房総合観光政策審議官鷲頭誠君、総合政策局長丸山博君、都市・地域整備局長竹歳誠君、河川局長清治真人君、道路局長谷口博昭君、鉄道局長梅田春実君、自動車交通局長金澤悟君、航空局長岩崎貞二君、政策統括官春田謙君、気象庁長官長坂昂一君、内閣府政策統括官柴田高博君、環境省総合環境政策局長田村義雄君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君。

萩山委員 ただいま御指名を賜りました萩山でございます。

 大臣、きのうは大変御苦労さまでございました。恐らく現場を拝見されまして、涙なくして視察することはできなかったろうと私は推察いたしております。本当に本当に御苦労さまでございました。

 ただいまから大臣の所信に対しての質問に移らせていただきます。

 北側大臣から報告がありました新潟県中越地震について申し上げたいと存じます。

 この地震は、震度六強を観測する極めて強い地震であります。現在までに二十五名が亡くなりました。今ほどその追悼の黙祷をさせていただいたわけでありますけれども、負傷者については二千名を超えておると聞いております。長岡市や小千谷中心に約九万八千人の被災者が出ておるわけであります。公民館などに避難されていると聞いておりますし、あるいはまた、テレビでは、野外でテントを張ってこの寒空をしのいでおられる方々を目の当たりに私は見ることができました。負傷された方あるいはお亡くなりになられた方々に対しても、私たち議員は真摯にこれを受けとめて、心から御冥福を祈らなくして、この問題を解決することはできないと私は思うのであります。

 被災地においては、今なお、土砂崩れあるいは土石流によって寸断された道路、いわゆるインフラでございますけれども、あるいは倒れた家屋、電気、ガス、下水道、上水道、こういったものが壊滅状態であります。大きな被害が次から次へとマスコミをもって私たちの耳に、あるいは目に飛び込んでまいります。このような状況の中で、不安な気持ちを抱え、被災地で生活を送っておられる皆さんに、政治家として、大臣もそうでしょうけれども、胸が痛み、涙を禁じ得ないのであります。政府としては、被災地の早期の復旧復興に全力で取り組むべきであろうと私は思っております。

 また、今回、地震発生に際しまして、政府といたしましても、二十四日の朝には村田防災担当大臣を本部長として非常災害対策本部を設置されました。今回は非常に早かったと私は思っております。政府の対応は本当に今すばらしいものがあると私は見ております。

 やはりこうしたことも経験を生かして今日こうなったんだろうと私は思うわけでありますけれども、大臣におかれましても、高速道路の被災状況、上越新幹線等の脱線の現場を視察し、住民を激励されてこられたのではないかと私は思っております。総理も本日は、現地に赴いて、生の声をじかに、苦しんでおられる方々の声を聞いておられると私は思っております。いずれ本会議場でも御報告があるものと思っております。

 また、地域における広域的な支援活動が活発化いたしております。我が富山県からも専門家チームが現地にいち早く入りました。震災が起きたその日に消防隊が投入されております。防災ヘリコプターの出動、飲料水の補給支援、食料提供など、第一陣、第二陣、第三陣と富山県からも送っておるわけであります。

 昨日も、マスコミによって、あるいはテレビ報道によって富山県の声を聞いてまいりました。こんなときに非常に感激をするものです。涙なくしては私はやはり聞くことはできませんでした。できることなら私たちもそこへ飛んでいって、何かできることはないだろうかという思いでここに立っております。

 また、飲料水の補給はどうなっているのか、食料提供はどうなっているのか。一万食足らないとか三万食足らないとかという報道をマスコミによって報道されるたびに、胸を締めつけられるような思いがするわけであります。被災者になってみて初めてこの気持ちになるのではなかろうかなと私は思うわけでありますけれども、私たち富山県においても震度四の激震に遭いました。四すら非常に大きな家であっても揺れるのに、これは六だったらどんなことになるんだろうなということで、恐怖感を覚えた感じがいたしました。

 大臣におかれましては、これからも、必要とあらば第二陣、第三陣と支援態勢を続けていただいて、そして市民の、新潟県民の、日本国民の心を取り戻してもらいたい。それが今度の政府ではなかろうかと私は思うのであります。対応を一つ誤ると、とんでもないことになります。心してかかっていただきたい。

 また、さきの通常国会で改正された被災者生活再建支援法は、まだまだ拡充していく余地があると私は考えていますが、そのような問題意識を持ちつつ、当面は国土交通省が責任を持って、どういう分野でどの分野を担当できるのか、真剣に、大臣、副大臣、副大臣、政務官、政務官、しっかりと腹を据えて頑張っていただきたい。それをサポートするのが局長さんの方々だろうと私は思っております。

 どうぞ、これについて大臣の所見を承りたいと思います。

北側国務大臣 今萩山委員から御指摘ございましたとおりでございまして、私ども、今回のこの地震による被災につきまして、全力を挙げてその復旧復興に取り組みをさせていただきたいと決意をしているところでございます。

 先ほど御報告を申し上げましたように、地震がありました翌日に私は現地に行かせていただきました。先ほど御報告したとおりでございますが、一番最後に小千谷小学校に参りまして、そこで多くの避難者の方がいらっしゃいました。中に市長さんと一緒に入らせていただきましてごあいさつを、また激励の言葉をかけさせていただいたわけでございますが、今被災者の方々が一番望んでおりますのはライフラインです。水、そしてガス、電気、こうしたライフラインをともかく早く取り戻してもらいたい、こういうお声を聞かせていただいたところでございます。

 国土交通省といたしましても、関係省庁と連携をして、できることは精いっぱいやらせていただきたいというふうに決意をしておるところでございます。

 また、視察では、国土交通省が所管をしております道路、鉄道、河川等、それに係る被災の現場も見てまいりました。新幹線の脱線、新幹線が開業してことしでちょうど四十年でございますが、初めての脱線事故となってしまいまして、極めて残念なわけでございますが、なぜこうした脱線に至ったのか。これは、今調査委員会が入っておりますが、しっかりと検証をさせていただきたいと思っておるところでございますし、今後の対応策につきましても、今、協議会をつくって議論をしておるところでございます。

 また、信濃川という大きな川が流れているわけでございますが、この地震によりまして、堤防の亀裂、また陥没等の被害も多数発生をしております。私が参ったところはもう百五十メートルにわたりまして大きく崩壊をしている箇所がございまして、きょうも、昨日から雨が降っているわけでございますが、この堤防の応急的な復旧を急ぐようにということを指示いたしたところでございます。

 また、道路の方も、幹線道路といたしまして、十七号線という道路とそれから関越自動車道がございます。ともに今まだ通行不能でございますが、緊急車両については早く通行できるようにしてもらいたいということもお願いをいたしまして、関越自動車道につきましては既にもう緊急車両が通れるような状況になっておるところでございます。

 この十七号、また関越自動車道を含めまして道路につきましても、道路がきちんと通れるようにならないとさまざまな物資も運べないわけでございまして、この道路の復旧も急ぐように今指示をしているところでございます。

萩山委員 今大臣の決意のほどを聞かせていただいて、私は大臣を信じてここに立っているわけでありますから、ひとつ一生懸命に頑張っていただきたい。

 それから、開業以来四十年間も安全を守り続けてきました新幹線。レールに大きな損傷ができて、超高速で走行する新幹線の安全性の確保というものが今問題になっております。

 そこで、上越新幹線の復旧のめど、今後の新幹線の安全性の確保について鉄道局長にお伺いいたします。局長、答弁していただけますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 上越新幹線におきましては、長岡―浦佐間を走行中の「とき」三二五号が十両中八両脱線いたしました。乗客は百五十一人でございましたが、負傷者等はございませんでした。しかしながら、レールが損傷を受けるなどの大きな被害が出ております。

 また、JR東日本におきましては、その後、高架橋あるいはトンネルなど全体の調査を現在やっているところでございます。しかしながら、トンネル等につきましては、現在も余震が続いておりますから、現地に入りまして詳細な調査をすることがなかなか難しい状況でございます。このため、現在の時点では復旧の見通しのめどは立っておりません。施設の状態によりましては、運休が長期にわたる可能性もございます。私ども国土交通省といたしましては、一日も早い復旧に向けまして努力してまいりたいと考えております。

 また、今後の新幹線の安全確保策等でございますが、現在、この脱線に至りました原因の調査のため、航空・鉄道事故調査委員会が現地に入りまして調査を開始したところでございます。脱線に至りますメカニズム等につきましては、その委員会によって解明されていくものと思っておりますけれども、私どもといたしましては、当面、新幹線の運行を行っている本州三社あるいはJR九州の担当の役員の方々、鉄道総合技術研究所、あるいは私どもの関係者で新幹線の脱線対策協議会をつくりまして、どういうことができるかについて検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

萩山委員 個別になりましたけれども、道路局長にもお伺いします。

 国道十七号線、随所で段差、陥没が続いております。この復旧の取り組みについて御報告を願いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えします。

 道路においても多くの箇所で被災しております。高速道路につきましては、多数の段差やのり面崩壊等の被害が発生し、現在、北陸自動車道については上下線とも柏崎インターチェンジから三条燕インターチェンジまで、関越自動車道の上り線につきましては長岡ジャンクションから湯沢インターチェンジまで、下り線につきましては月夜野インターチェンジから長岡ジャンクションまで通行どめとしたところであります。

 直轄国道におきましては、国道十七号線は、新潟県川口町の和南津トンネルで覆工コンクリートが剥落、また川口町天納でJRと並行する区間の道路が崩壊したほか、多数の段差や路面陥没等が発生し、通行どめとしたところであります。

 高速道路の復旧につきましては、二十四日十三時に、緊急輸送物資を運搬する緊急車両につきまして、一部徐行しながらではありますが全区間通行できるように対応しましたが、さらに復旧工事を進め、当面、緊急車両の円滑な走行を確保するため、被災した区間のうち、あしたでございますが、二十七日までに一部対面通行区間を含め四車線で応急復旧を目指しておるところであります。

 なお、被災住民に緊急物資を運搬する車両につきましては、高速道路を通行する際、大臣からの指示により、通行料金を徴収しないよう措置をさせていただきました。

 国道十七号の被災箇所につきましては、応急復旧作業を行い、和南津トンネル区間を除いて、昨日までにほぼ一般車両の通行を暫定的に確保したところであります。和南津トンネルにつきましても、昨日までに並行する県道を修復し、緊急車両等の通行を可能にしたところであります。なお、道路が崩壊した川口町天納地先につきましては、昨日、路側で暫定的に緊急車両等の通行を確保いたしました。

 また、地方自治体への支援として、孤立している自治体の集落の把握、被災している道路の早期復旧に努力。さらに、国土技術政策総合研究所、独立行政法人土木研究所の専門家を昨日二十五日に派遣し、新潟県等の要請する被災箇所について応急復旧に対する支援を実施しました。また、小千谷市の停電地区や断水地区に、各地方整備局が保有する電源供給も可能な照明車や造水車を派遣したところであります。

 今後、地域のライフラインとしての道路の早期の本復旧に向け、全力を挙げて取り組む所存であります。

萩山委員 答弁はなるべく簡潔に、時間が余りありませんので。詳しい報告をいただいて本当にありがとうございます。

 次に、豪雨、台風対策について大臣の所見を伺いたいと思います。

 ことしは豪雨、台風災害が大変発生いたしました。七月には、新潟、福島、福井を初めとする日本各地で梅雨前線が大荒れであります。約千七百億円を超える被害が発生したと聞いております。また、七月の豪雨に引き続き台風も数多く上陸し、ことしに入って台風の数は十個を超えました。平年の年平均二・六回を上回っております。これらの豪雨、台風災害の発生によって、合計で死者、行方不明二百人。

 また、被災者の立場に立ち、被災地の復旧復興をできる限り早期に実施することが一番重要な現在の課題になっております。この点に関しては、七月の梅雨前線災害に対して政府が災害発生から一カ月半後の九月三日に激甚災害に指定していただきまして、三カ月程度を要するとされておった激甚災害を早期に指定されたということで非常に高く評価するものであります。

 また、今回の豪雨、台風災害について、堤防の決壊による急激な浸水が過去五年間平均の二倍に当たる千七百件、また海難を除く犠牲者は百七人、うち七十人が高齢者であることが特徴だと見ています。すなわち、高齢者など自力で移動のできない人に的確に避難勧告、防災情報の伝達、提供等に改善すべき問題があったのではないかと思っております。

 今後、国土交通省といたしましても、どのように災害復旧あるいは復興に取り組み、情報提供方策などを改善されるのか、災害の改善を図っていく上においても、国土交通大臣の見解を力強くお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 御指摘ございましたように、ことしの豪雨災害では、既に死者、行方不明者は二百二十名を超えております。被災家屋も約二十三万戸に及んでおるわけでございまして、大変な被災状況となっているわけでございます。

 今、この早期復旧に向けまして全力で取り組んでいるところでございますが、私の方からは、ことしは本当に、台風が十度も上陸をする、また梅雨には大変な豪雨災害がございました。各現場現場に今お願いをしておりますのは、これまでの豪雨対策についてもう一度総点検をしてもらいたいということを指示しているところでございます。改善をしなければならないところが私は多々あるんじゃないか、教訓としなければいけないことが多々あるんではないのか、これをぜひ取りまとめてもらいたいということを指示しているところでございます。

 ハード、ソフト、しっかりと、河川を初め整備をしなければならないところもございます。それとともに、ソフトの面でもできること、やらなきゃいけないことがたくさんあるわけでございまして、しっかりそれに取り組みをさせていただきたいと思っているところでございます。

 ソフトの面で幾つかの例を申し上げますと、例えば集中豪雨に際しまして、降水が、大豪雨が来るかもしれない、そういう状況をもう少し地域を絞って、例えば一時間後にこの地域は大変な豪雨が来るかもしれませんよというふうな情報がより的確に、早く、そして地域を特定して連絡ができるようなことも今検討をしているところでございますし、気象庁また国土交通省が連携をとりまして、土砂災害の情報につきましても、その土砂災害警戒情報を早く、また特定地域に連絡ができるように、市町村とも連携をとりながらさせていただきたいと今考えているところでございます。

 また、ハザードマップなんかもまだまだこれからでございます。しっかりと市町村でハザードマップが作成されるよう、国土交通省としてもしっかり支援をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

萩山委員 次に、私たちの同僚というか、年代的にも同期であります蓮実副大臣にお願いをしたいと思います。

 今、道路公団の問題について、民営化に踏み切ろうといたしております。その中で、国民に対してどういう利便性あるいは利益をもたらすかということで建設省が非常に苦心をされた、旧建設省でございますけれども、国土交通省が苦労された。

 そこで、高速道路料金の割引というものが出ているわけですよね。だけれども、四十兆円余りある借金を抱えているわけですから、これは大変なことだろうと思うんですが、言ったからには、これはやはり政府は守らなきゃいかぬ。この点について、高速道路の料金割引、どんなふうにしてこれからやろうとされているのか。蓮実副大臣、特にひとつ御答弁をお願いいたします。

蓮実副大臣 ただいまの高速道路の料金の問題の御質問でございますが、今の道路関係四公団の民営化の目的の一つは、料金の引き下げのサービス向上であります。今回決定した高速自動車国道の料金割引は、民営化に向けたコスト削減の成果を幅広く利用者と国民に還元するため実施するものであります。

 割引の内容についてでありますが、九月の二十四日付で日本道路公団からの申請を国土交通大臣が認可いたしました。高速自動車国道をたくさん利用していただくために、一律の割引ではなくて、特定の時間帯に料金を半額にするなど、弾力的にいたしました。

 具体的には、ETC車両を対象とし、午前零時から午前四時までの間に利用した場合、深夜割引として三割引きとします。地方で通勤時間帯に利用した場合は、通勤時間割引として半額といたします。東京及び大阪近郊で夜間から早朝の時間帯に利用した場合には、早朝夜間割引として半額といたします。一般利用者向けですが、利用すればするほど割引率が高くなるマイレージ割引もやることになっております。大口利用者向けには、利用すればするほど割引率が高くなる大口・多頻度割引も実施をいたします。

 実際時期は、深夜割引が来月の十一月一日から、通勤割引及び早朝夜間割引が来年の一月十一日から、マイレージ割引及び大口・多頻度割引が来年四月一日から実施をする予定であります。

 以上であります。

萩山委員 熱意あふれる御答弁、感謝にたえません。

 次に、岩井副大臣にも御登壇願いたいと思うんですが、テロ問題について、今大変な脅威になっております。我が国もテロをいつ何どきやられるかもしれません。こうしたことに対して、米国同時多発テロ、平成十六年三月マドリード、スペイン、至るところに交通機関を利用したいわゆるテロが発生いたしております。

 我が国も陸海空の交通機関を持っているわけですから、あるいは港湾、この地区をどうして国土交通省、お守りになっていこうとされているのか、その所信の一端を説明していただきたいと思います。

岩井副大臣 公共交通機関に関するテロ対策といたしましては、警察機関などとの連携のもと、国土交通省では、陸海空の交通事業者及び施設管理者に対して、テロ対策の再点検及び徹底を指示してきているところでございます。その中で、御指摘のように、テロを未然に防止するためには、水際対策が極めて重要であると認識しております。

 そのような観点から、国土交通省では、いろいろやっておりますけれども、重要なものとしては、一つには、空港における国際的に見まして最高レベルの保安検査の実施、二つ目には、SOLAS条約に基づく船舶及び港湾施設の保安強化、三つ目には、海上保安庁による巡視船、航空機によります監視警戒の強化を図るとともに、外国船舶に対する立入検査の実施などをやっておるところでございます。

 さらに、内閣官房を中心にいたしまして、各国際空港及び港湾に空港・港湾危機管理官及び空港・港湾保安委員会を設置いたしまして、情報交換の緊密化や訓練を共同実施するなど、関係省庁との連携を推進いたしまして、水際対策の強化を図っているところであります。

 今後も引き続きまして、国土交通分野におけるテロ対策及び水際対策の充実強化に取り組み、国民の安全確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

萩山委員 ありがとうございました。

 最後に二、三分残りましたが、皆さんの今熱意あふれる御答弁をいただいて、国土交通省、私は万々歳だと思います。心を緩めないで、しっかりと民意を酌んで行動していただきたい、それが我々この委員会の望みでもあります。

 よろしくお願いを申し上げて、質問を、二、三分ありますけれども終わらせていただきます。

橘委員長 菅直人君。

菅(直)委員 きょうは新しく大臣に就任された北側国交大臣に対する初質疑ということで、私は、新しく岡田代表のもとで民主党のネクストキャビネット、次の内閣の国交ネクスト大臣という立場になりましたので、ある意味では現政権の国交大臣と次の政権の国交大臣という立場で直接の議論をできるだけさせていただきたい、このように思っております。

 まず新潟県中越地震、さらには台風二十三号など多くの災害で亡くなられた方に、先ほど黙祷を委員長のもとでささげさせていただきましたが、改めて御冥福をお祈りしますと同時に、被災された皆さんへの心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 そこで、私も、昨日新潟に出かけまして、小千谷市の市役所あるいは避難所近隣を視察し、また新幹線の脱線現場に、実際にあの上まで上って、列車の横をずっと下から眺める形で直接見てまいりました。そうした中で、幾つか大変気になる問題がありますので、そういったことを含めて、まず地震の問題から入っていきたいと思います。

 この新潟県中越地震に対して激甚災害の指定をすべきだ、我が党はこのように主張して、前向きのお話も内閣からも聞いておりますが、その点について、これは大臣からお答えいただけるのか、あるいは内閣府からお答えできるのかわかりませんが、まず、激甚災害の指定をすべきだということについていかがお考えでしょうか。

柴田政府参考人 激甚災害指定の件についてでございますが、非常に大きな被害が起きた場合、今回の災害も非常に大きな災害でございますが、公共団体に対します財政的な負担を減らすということで、激甚災害指定という制度がございます。補助率アップ等がございます。

 これらにつきましては、被災地からの、現地からの被害額が国の方に上がってまいるわけでございまして、それを見まして、基準に適合するものについては速やかに指定をしていきたいという考えでおります。

菅(直)委員 内閣としても多分前向きに対応していただけるということで、うなずいておられますので、大臣の姿勢もそのことを期待しております。

 あわせて、被災者生活再建支援法、これは阪神・淡路の後に、特に個人の住宅を失われた皆さんに対して日本では補償措置がない、私どもも含めて超党派で取り組んだ問題だと思っておりますが、この中で、いろいろ改良も加えられておりますけれども、なかなか、認定の問題などでがちがちにしていくと、実際にはもう住めないうちでも、半壊であるとかということで十分な支援が得られない、こういうことも現場から指摘をされております。

 少なくとも、住めなくなった、あるいはもう実質的に住めないような場合には全壊と同じ扱いをして、個人補償ができないという、これは私は官僚の考え方であって政治家の考え方ではないと思っておりますが、その運用の、弾力化というよりも一層のしっかりした拡大が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

柴田政府参考人 被災者生活再建支援法の適用につきましては、新潟、福井の大洪水の後、内閣総理大臣より、その積極的な活用につきまして御指示をいただいたところでございます。私どもは、被害の実態等に応じまして、その基準の適用につきましては適切に対応いたしているところでございます。

 今後とも、基準の適用につきまして、弾力的に適用することによりまして積極的な活用を図ってまいりたい、それによりまして被災者の支援に努めていきたいというぐあいに考えております。

菅(直)委員 これも前向きに対応していただきたい。大臣からも、閣議の席等では、ぜひそういう姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 そこで、上越新幹線の脱線事故、まさに四十年になる新幹線の歴史の中で、乗客が乗って走っていた新幹線が脱線をするというのは初めての事故であります。

 二百十キロ程度の速度が出ていた。現場で聞きましたら、最高速度は二百七十キロぐらいだそうですけれども、長岡が近くなったのでトンネルを出て少しスピードを落としていた、それでも二百十キロあった。二百十キロのその走行中に直下型地震が起きて、レールから外れた。私も現場を見まして、本当によくこの程度の、人間に対する被害がなくてとどまったものだと、本当に冷や汗をかく思いで現場を見てまいりました。

 直下型地震に対して、例えば同じようなことが東海道新幹線やそういったものに起きることもあり得るわけですけれども、これについて、どのように対応できるとお考えなのか。まだ研究中だということは十分承知の上で、現場を見られた北側大臣自身の感想でも結構ですから、その感想を述べていただきたいと思います。

北側国務大臣 私も現場を見させていただいて、今菅委員がおっしゃったことと全く同感でございます。これでけが人が一人もいなかった、本当にこれは不幸中の幸いであるということを痛感いたしました。一つ間違ったら大変な惨事になっていたなというのを、あの場を目の当たりにいたしまして痛感をいたすところでございます。今回のような直下型の地震に対して、新幹線の安全をどう確保していくのか、あの現場で、私もこれをしっかりと検討していかないといけないということを決意したところでございます。

 今、調査委員会の方々が入られまして、この脱線のメカニズムにつきまして専門的な検討を開始しております。これは少し時間がかかるかと思います。客観的な脱線の原因につきまして調査、報告をしてもらうわけでございますが、できるだけ早くお願いしたいと思っております。また、途中で中間報告もしてもらいたいと思っておるところでございますが、それでも時間はかかるだろうと。

 では、その間何もしないのか。そういうわけにいかない。専門家の方々も含めまして、それから当事者であるJR各社も含めまして、当面とり得る対策が何ができるのか、仮に脱線することがあったとしても、被害を最小限にするために何ができるのか、そういうことも含めてぜひ検討してもらいたいということをお願いしまして、昨日、第一回が開かれたわけでございますが、新幹線脱線対策協議会が開かれたところでございます。

 情報も共有をしながら、できることはしっかりとやっていきたいというふうに思っているところでございます。

菅(直)委員 状況はわからないではないんですが、私はもっと強い危機感を持っております。

 一九九八年にドイツで、やはり二百キロ程度で走行中のドイツの新幹線が、原因は別ですが、脱線、転覆をして、百名前後の犠牲者を出す大惨事があったことは、あるいは大臣も覚えておられるかもしれません。きのう、帰りの飛行機からおりて、ちょうど飛行機関係の方と話をしていたんですが、二百十キロというと、旅客機がテイクオフする、いわゆる離陸するときの速度が大体そのくらいだそうでありまして、その速度まで出ている新幹線が、直下型で、もうブレーキをかけたときには揺れが来ている。まさにドイツの例を見ると、前の車両が真っすぐ行ったからいいけれども、あれが少しでもぐっと斜めになれば後ろからの車両がそれをいわば越えてしまう。ドイツの例はそうですけれども、そういう大惨事になりかねないわけであります。

 今私が知っている限りでは、新幹線の地震対策は、いわゆるP波というんですか、先に出るその振動波をキャッチして、それでブレーキをかけておいて、大きい揺れが来るS波の段階では少しブレーキがかかるということを前提にそういう措置がとられていると聞いていますが、今回のような直下型だとP波とS波がほとんど同時に来る。

 つまりは、直下型地震に対しては何らの対応がとられていないというのが、今回の事故で結果的に明らかになったんではないか。時間がかかる、時間がかかるということは、解明にはかかると思いますけれども、現実に毎日毎日新幹線が走っているわけですから、この直下型に対してどのような危機感を持っておられるのか、もう一度お尋ねします。

北側国務大臣 今おっしゃられましたように、今回のような直下型地震の場合には、これまで講じてまいりました地震動早期検知警報システム、いわゆるユレダスというんですけれども、これが機能をしないということは、そのとおりでございます。

 ただ、一方で、構造物をしっかり耐震化を進めていく、さらには、できるだけ脱線をしないような仕組みをどうしていくのか、さらに、仮に脱線をしたとしても横転することがないようにするためにはどうすればいいのか、そういうことはこれまでも当然議論されておりますが、この機会にしっかりと、私は、専門家の方々の御意見を踏まえながら議論をしてもらいたいし、取りまとめもしてもらいたい、できることは早急にやってもらいたいと今言っているところでございます。

菅(直)委員 重ねて申し上げますが、ユレダスが機能しないということを大臣は認められましたよね。ということは、何一つ地震に対しての対応は、直下型に対してはできていないということを認められたわけですよね。しかし、毎日現実に走っているわけですよ。脱線しないようにするといっても、現実に脱線したわけです。横転はしなくて本当によかったわけですが。これは技術的な問題ですから簡単ではありませんが、なぜあんなに、一・二キロ近い区間が停止までに時間がかかるのか。今の鉄道技術ではその程度、あの重さでいえばかかるのかもしれませんけれども。

 ちょっと飛躍しますけれども、一年ほど前ですか、リニアモーターに乗せてもらいました、JRの研究所の。リニアモーターカーの場合はもっと速く加速して速く減速する。もちろん原理が全然違います、車輪、レールがありませんから。ですから、全然原理は違いますけれども、少なくとも、今の新幹線のような従来型のレールの上に乗って重い車体が走るという形であって、もう少し速い減速が可能にならないのか。

 そういったことも含めて、少なくとも今の大臣の答弁では、何一つ同じような直下型が起きたときには対応ができていないけれども、しかし、原因究明や対策を考えるには時間がかかる。これでは安心して新幹線に乗っておられないということになるわけですから、もう一度だけその決意を含めて見解をお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 今回のような直下型地震ではユレダスが機能しないということだというふうに思っております。

 今、菅委員の御指摘の話は本当に大事な話だと思います。本当に多くの国民の方々が新幹線を利用されているわけでございまして、その方々が本当に安心して利用をしていただけるように、今おっしゃった趣旨に沿ってしっかり取り組みをさせていただきたい、できることは早急にやらせていただきたいと思っているところでございます。

菅(直)委員 重ねてもう一度だけ申し上げますが、今回のような直下型であるからユレダスが機能しない、まさにそうですから、今回起きたわけですから、同じことが別の場所で起きる可能性がゼロじゃないわけですから。まさに今回起きたから聞いているわけでして、今回起きていないことを聞いているわけじゃないんです。

 そこで、少し話を台風の問題に移したいと思います。

 二十三日、二十四日の土曜日、日曜日、私も、台風被害について、四国の愛媛県と高知の室戸に出かけてまいりました。たしか、大臣は兵庫の豊岡に行かれたというふうに聞いております。

 この中で、特に愛媛のJRの、いわば線路の下が全部えぐられて、今緊急の復旧をした現場も見せていただきましたけれども、鉄道災害復旧事業費の、鉄道軌道整備法というんですか、これによると、一つの災害で運輸収入の一割を超えるような被害が出た場合にはある程度の補助を出していく、こういうことが決まっているわけですけれども、一つの台風ではなくて、今回のように連続的に台風が来ている。そういう中でいうと、一つの台風だけでは例えば一割を超さない場合にも、二つ、三つが連続して来て、合わせると一割を超す。

 特に四国のJRは大変経営基盤も弱いわけでありまして、さらには、私も乗ってみましたけれども、大体、お年寄りとか高校生、中学生といった自分でマイカーを運転しないような方が主に利用されているわけでありまして、そういうことを考えると、この点については少しこれまでの運用の幅を広げて、一連の台風について被害が収入の一割を超えた場合にそれを援助する、補助するという形をとるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

北側国務大臣 私は台風二十一号のときに、あのときも愛媛等が大変な被害に遭ったわけでございますが、新居浜、西条等を見させていただきました。あのときも、おっしゃっているJRの線路にも大変な被害が生じておるところも見ておりまして、しっかりとその復旧に向けて取り組みをさせていただきたいと思います。

 今おっしゃった、鉄道軌道整備法の適用をやるべきだというお話でございます。それにつきましては、今、菅委員おっしゃったような趣旨で財政当局と折衝をしておるところでございます。

菅(直)委員 大変積極的な答弁をいただきました。いろいろなJRが存在しておりますけれども、特に四国というのは、この間高速道路がかなり整備されたこともあって、ある意味では収入が落ちている、そういう現実もあるわけでありまして、そういう幾つかのことを考えますと、特に今回のような連続的な台風災害に見舞われているわけですから、ぜひ財政当局を説得して、内閣として今の方向でお取り組みいただきたい、重ねてお願いを申し上げておきます。

 同時に、私は室戸にも行ってまいりました。私も室戸のあたりを七月、九月と歩いていたんですが、ちょうど歩いていたところが堤防が大きく破壊をされておりました。その現場あるいはその近くも見てまいりましたが、ちょっと考えられないような状況です。

 つまりは、堤防が、全体でいえば数百メートルにわたりますが、ある箇所、いわゆる死傷者が出た箇所でいえば、堤防が壊れて、七十トンぐらいの重さの壁というかコンクリートの塊が、少し低いところではありますが、吹っ飛んで、家の中に入った。それで、直接あるいは挟まれて、水も入って、三人のうち二人の方は水死ということであります。

 また、近くには、やはり堤防の内側に、観光客用でしょうか、大きなログハウスが建っていたわけですが、それが一発の波というか、それでぐちゃぐちゃになった上で数十メートル吹っ飛ばされている。あるいは、別の場所では、あるうちに、お店だったんですが、そこに波がどんと入って、道路にあった、四国はお遍路に限らず、四国で歩く人のための四国みちという石の標識があちこちに立っているんですが、その石の標識が根元からぼきっと折れて、その家まで吹っ飛んでいった。

 波の力というよりは、いわゆる鉄砲水のようなそういう、いわゆる私たちがイメージする波というんじゃなくて、もう何十トンという力がどおんと来て、こうした被害が起きている、そういう現場を見てまいりました。

 こう考えると、そういった多くのところは国交省が管轄をし、県が管理をしているわけですが、海岸沿いの堤防についてどのような対応が必要なのか。もちろん復旧は必要ですけれども、これまでのような形だけでいいのか。あるいは、全国でも室戸は特に激しいところではありますが、全国の海岸沿いの堤防で特に住居が近いところについては、きちっと、まず緊急に調査をすべきではないか。対応と調査について見解を伺いたいと思います。

北側国務大臣 高知の室戸市の堤防決壊の件でございますが、国土交通省といたしましては、直ちに蓮実副大臣に現場に直行していただきまして、現地を視察していただいたところでございます。この室戸市の当該堤防というのは非常に古い堤防でございまして、完成したのが昭和四十二年度というふうに聞いております。

 私は、このような堤防がほかにも当然あると思っておりまして、全国の海岸堤防、特に室戸の堤防のような古い堤防、そして室戸では、今御指摘ございましたように、堤防からすぐ公営住宅、市営住宅がある、こういう危険な場所がある、危険な地域である、そういう同様な箇所につきまして、堤防についてしっかり点検を行って補強対策を講じていく必要があると思っております。菅委員御指摘のように、しっかり調査を指示したところでございます。

菅(直)委員 今申し上げたように、通常イメージする、波が越えたとか、あるいは波が、水が入ったとかそういうことをはるかに超えて、本当に古かったといってもかなり大きなものですから、普通そんなものが壊れて、十メートルも吹っ飛んで家の中に飛び込むという、倒れるぐらいまではもしあったとしても、そこまでは多分、従来予想していなかったと思うんです。

 そういう意味では、この地域は実は南海沖地震ということも言われている地域でありまして、そういうことを考えたときに、今大臣も言われましたけれども、堤防を強化することと、あるいは危険なところで住んでいる人たちについて、何らかの、そういう危険な地域に住むことを避けるようなやり方を含めて、しっかりした対応をとっていただきたい、このように思います。

 そこで、今回の台風被害の中で、豊岡市円山川ですか、これは大臣みずから行かれたようでありますが、私はその現場は、今回別の場所を見ましたので行けておりませんけれども、河川の堤防が決壊する、いわゆる破堤するということが大きな被害を招いているわけです。破堤しにくい堤防にしていこうという堤防の強化が従来から進められていると聞いておりますけれども、そのやり方として、スーパー堤防とかフロンティア堤防とか、いろいろなやり方を私もお聞きいたしております。

 まず、豊岡のこの地域、報道によれば、少し内側に水たまりがあって弱っていたのではないか、事前に。そういう指摘も一部の報道では出ておりますが、なぜこのような大規模な破堤に至ったのか、その原因についてどのようにお考えですか。

北側国務大臣 私も現地に行かせていただきまして、円山川、それからその支川でございます出石川、この二カ所のところで堤防が決壊をしておりまして、その決壊をしたところから濁流がすさまじい勢いで流れて、もうその先は大きな湖になっておる。また、その決壊の先のところの家屋については損壊、また、あったうちがないというふうなところもございました。堤防決壊というものの本当に大変な悲惨さというのを目の当たりにしたわけでございますが、今回、なぜこのような円山川等の堤防が決壊をしたのか。

 一つは、当然それは、かつてないような雨量であったということが言えると思います。これまで全く想定していないような大変な雨が上流も含めて降ったということが一つ大きな原因ではございますが、ただ、そうはいっても、決壊するということは大変なことなわけでございまして、堤防が決壊した原因が何なのか、これも専門家が今入りまして調査をしているところでございます。それを詳細に調査しまして、今後の再発防止にしっかりと反映をさせていきたいと思っております。

菅(直)委員 台風被害について、大規模な震災ということで、冒頭申し上げました激甚災害あるいは被災者生活再建、これを決して地震だけに適用するということではなくて、私は、今回の一連の台風災害もまさに激甚災害に当たる部分が十分にあるのではないか。そういう意味では、特に今言われました堤防決壊による被害など、家が流されてしまった、そういうところに対してもきちっとした対応を特にお願いしておきたい、このように思います。

 関連はしますが、地震、台風から離れた問題も含めて、さらに河川について少しお聞きしたいと思います。

 御承知のように、私たち民主党は、公共事業の中で、やるべきことは大いにやるべきだ、しかし、従来決めたからといって、もう時代が変わって必要ないものまで決めたんだからやるんだという姿勢をとるべきでない、そういう基本的な姿勢でおります。その中の一つが、今回は被災は出ておりませんが、熊本県のいわゆる川辺川ダムあるいはその下流の球磨川流域の問題であります。

 既に、利水に関しては、にせものの承諾書などが裁判所で認められて、そうした本工事の着工が、他の理由も含めてまだ着工されていない状況にあるということは、大臣も御承知かと思います。

 その中で、先日私が現地に行きましたら、球磨川萩原堤防というところがありまして、ここは、九州地方整備局の見解によっても、つまりは国土交通省ですから、どうしても川辺川ダムは必要だということはなかなか撤回しないんですが、しかし同時に、この地域の堤防の整備も必要であるということを認めているんです。つまりは、球磨川の治水対策としては、川辺川ダムの建設と堤防等の整備の両方が必要であると。これは私たちが言っているのではなくて、国交省の現地整備局が言っているんですが。私からすれば、川辺川ダムはなくても堤防の整備がきちっとされていれば、その地域の皆さんは十分に治水の効果が得られる、このように現地の皆さんともお話をする中で考えております。

 いずれにしても、従来整備をするとされていたこの萩原堤防について、何か後退をしてきている。つまりは、国交省が方針を見直したとか、中止の理由がはっきりしない。つまりは、フロンティア堤防というものをつくるというような趣旨のパンフレットをある時期出しておられたわけですが、いつの間にかその文書がなくなって、いつの間にか深掘れ対策を、何十年かかるかわからないけれどもやっているんだ。現地の皆さんは、そこの堤防の整備をやればますます川辺川ダムの必要性がなくなってくるので、逆に、堤防の整備をやるべきところをやらないで、おくらせているのではないか、こういう不信感を極めて強く持っていろいろな指摘をされております。

 私は、新しい大臣になられて、従来の自民党の大臣とは違った視点で、この問題、やるべきことは川辺川ダムの是非の議論。きょうはそこは余り深入りしませんが、それを抜いても、まさに今回の豊岡のことなどを含めて、この地域、大きな川です。ある意味では、かつては人吉の水害事故もあったところでありますので、そういった意味で、しっかりした堤防の整備、フロンティア堤防と呼ばれる整備を行うということを明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 もし、これまでの経過もございますので、事務方から必要があれば答弁させますが、この萩原堤防につきましても、補強をしっかり進めていくということは極めて重要だというふうに認識をしているところでございます。

 この萩原堤防は、過去も何度も被災があったところでございまして、極めて球磨川の治水上重要な地区であるというふうに思っておりますし、この堤防につきまして、特に今河床部の補強を鋭意進めているところだというふうに聞いております。

菅(直)委員 大臣にどこまで細かいことをお聞きするか今迷っているところですが、私も現地を見て、河床部というのは、簡単に言うと、深掘れしたところに石をぼんぼん入れて、何十億という金を使って、しかも何年かかるかわからない。今のペースでいけば、三十年とかそのぐらいかかってやっと掘れたところが埋まるんだ、こんないいかげんな言い方をやっているわけですよ。

 ですから、ここは、きょうはこの問題を私が北側大臣に指摘するのは初めてですから、みずからしっかり把握してください。整備が必要だと言いながら、今言ったように、ダムの必要性を損なうんじゃないかということを恐れて、つまりはダムが不要になるという世論が高まることを恐れて、そうした整備をおくらせている。一たん一億円つけた予算まで別の目的に使ったということが、これは国交省も認めているわけです。

 そういうこともありますので、大臣からは、しっかりみずから把握して、またどの機会になるかわかりませんが、私か同僚議員がまたお尋ねしますので、そのときまでにはしっかり把握して、本当に整備が必要だという、三十年先じゃありません、少なくともこの数年間の間に、その地域の人が安心できる体制にするということをお約束いただけますか。調査と、そのことをですね。

北側国務大臣 私もしっかり勉強させていただきたいと思いますが、大切なことは、この萩原地区の堤防をしっかりするということが大事であって、その方法をどうするかというのはまたいろいろな議論があると思うんです。大切なことは、萩原地区の堤防をしっかりしたものにする、治水をしっかりやるということだと思います。そのためにしっかり取り組みをさせてもらいたいと思います。

菅(直)委員 いや、目的はそれで結構です。ただ、今言ったように、しっかりするという計画が後退しているというふうに少なくとも現地のかなりの人が見ていますし、別に報道機関がすべてとは言いませんが、例えば、ここには、国交省が方針見直しというのが地元の熊日にも出ていますし、あるいは中止理由を説明しろと言った団体に対して、国交省は、手法を再検討しているだけだとか、私から言うと、率直に言って言い逃れですね。ですから、そこはきょうはこれ以上、大臣も初めてですから、しっかり把握していただいて、次の機会には、河川局長なんかに答えさせないでみずから答えられるようにしておいていただきたい、そのことを申し上げておきます。

 次に、少し話を移しますが、我が党の衆議院選挙でのマニフェストの中に、今の川辺川ダムの中止に加えてというか、ちょっと別の項目で、高速道路の無料化ということを掲げました。相当、小泉総理と私もいろいろな機会に議論をいたしました。北側大臣は、公明党政調会長時代に、高速道路の建設費は利用者が支払うのが大前提だ、こういう発言をされたと報道には出ております。

 そこでお尋ねしますが、高速道路の利用者は二重に負担を強いられているのではないでしょうか。

 つまり、高速道路を走っている車はガソリンをたくさん使っています。ガソリン税を取られています。一般道はそのガソリン税などを主な道路財源として道路が整備されています。高速道路を走っている車は、ガソリンじゃなくて電車のように別の動力で走っているわけじゃありません、ガソリンで走っているわけです。

 これは正確かどうかわかりませんが、ある試算によれば、高速道路利用者が負担しているガソリン税等自動車諸税は、いろいろな貨物の輸送が四〇%以上が高速道路とかいろいろ考えると、二兆円を超える負担になっているという試算もあります。それに加えて通行料を取られているわけです。二重取りじゃありませんか、大臣。

北側国務大臣 高速道路を無料化する、今有料のものを無料化する、そのためには当然財源が必要になってくる。その財源をどこから生み出すのか。仮にそれを、全部とは言わなくても、一部でも税でやるんだというふうにすると、私は、そこではやはりその税負担というのは利用者負担で賄っていかないとおかしいんじゃないですかということを多分申し上げたんだと思うんです。ほかの一般的な財源から引っ張り出してくるというのは、それは受益と負担の関係が合わないんじゃないでしょうかという趣旨で申し上げたんじゃないのかというふうに記憶をしております。

菅(直)委員 過去の発言は結構です。私の質問に答えてください、小泉さんのように逃げないでね。

 二重取りをしているんじゃないですかと言ったんですよ。高速道路で走っている車はガソリン税を払っているわけです。一般道を走っている車とそこは変わりません。そして、ガソリン税などを中心にした、それが特定財源になっているということはよく御存じでしょう。それで、高速道路はそれに加えて通行料を払っている。二重取りではないですかと言っているんです。

北側国務大臣 高速道路を走らない税負担者もいるわけですよ。(菅(直)委員「聞いていることに答えてください」と呼ぶ)ですから、一般道路しか走らない車の保有者もたくさんいらっしゃるわけですよね。そういう意味で、高速道路を走る方が、菅委員がおっしゃっているような両方の負担があるということは、私は、二重負担になってもおかしくはないと思いますね。

菅(直)委員 聞いていてわかりますか。

 先ほど言いましたように、高速道路で払われている自動車諸税は二兆円規模と言われているわけですよ。決して百億とか二百億ということじゃないんですよ。つまりは、高速道路を走っているトラックは、高速道路と一般道を半分ずつ走っているとすれば、一般道のときはそのガソリン税等から一般道の整備の特定財源に充てられている。一つの負担ですよね。高速道路ではそれが取られていないわけじゃないんですよ、ガソリン税は取られているんですよ。しかも、ガソリン税等は高速道路の整備には一円も充てられていないんでしょう。大臣、知っているでしょう。

 ということは、高速道路を走っている人は、通行料を取られていると同時に、高速道路には一円も充てられていないガソリン税を取られている。二重負担と言えるんじゃないですか。

北側国務大臣 ですから、私が申し上げたのは、一般道路しか走らない車両もたくさんあるわけですよ。そういう方々にも、では無料化のための財源を拠出させるんですかという話なんです。

菅(直)委員 どうも小泉さんに似てきましたね。まともに答えないですりかえるのは小泉流ですから。

 今も言いましたように、では、逆に言えば、金額的に百億とか二百億の金だけが高速道路で、つまり高速道路を走っている車から取られているんじゃないんですよ。ほぼ通行料に匹敵するぐらいの、高速道路を走っている車のガソリン税等自動車諸税はある。そういうことを考えれば、なぜ一般道の人が高速道路の財源まで払っていると言えるんですか。逆じゃないですか。一般道の人は一般道の負担をしているんでしょう、今。今のことを言っているんですよ。無料化の話は無料化の話で、ちゃんと必要なら言いますから。

 今の現状について、二重取りじゃないかということを言っているんですよ。私たちが無料化したときの話を言ってくれと、かわりに説明してもらう必要はありませんから。現状が、一般道を走っている人たちは、主に自動車諸税で道路整備をしている。高速道路を走っている人は、ガソリン税では一般道の整備に、高速道路で使われたガソリンも、その費用も使われて、かつ通行料を取られている。幾ら皆さん笑ってみたって、だれも答えられないじゃないですか。

北側国務大臣 高速道を走っている方々も一般道を当然走っているわけですよね。だから、一般道路の財源とするのは当たり前の話だと私は思いますし、そういう高速道路を走るという受益がある以上、そこに負担が伴っても、それは二重負担と言われるような筋の話ではないと理解しております。

菅(直)委員 頭がいいと思っている北側さんがわざわざそういう答弁をされるのは、答弁に詰まっているからだろうと思います。

 何回も言いましたように、高速道路を走っているときにガソリンを使うんでしょう。私は、一般道を走っている車のガソリン税を高速道路に使えという意味で言っているんじゃないですよ。高速道路を走っている車もガソリンを使っているわけでしょう。そのガソリン税が高速道路には使われないで一般道に使われている。そして、高速道路には通行料も取られている。二重取りじゃないですか。

 もし、高速道路を走っているガソリン税は、その分、比率は計算したらできますから、全部高速道路に充てているんなら、それなら二重取りじゃないでしょう。今、北側さんは、一般道を走っているガソリン税が高速道路に振り向けられているかのようなことを言いますが、そんなことは言っていません。逆でしょう。

 もう一度聞きますが、ごまかさない方がいいですよ、北側さん。余り小泉さんに似てくると、北側さんの顔がだんだん小泉さんに見えてきますからね。初めて大臣に、この国交大臣になられたんだから、素直に答えていただきたいと思いますね。

北側国務大臣 私が頭が悪いのかもしれませんが、高速道路を走っている車両の方々も当然一般道を利用されているわけですね。一般道はまだまだ整備をしなければいけないところがたくさんあるわけでございまして、その財源として使わせていただいているわけでございます。一方、高速道を使われて、それだけの受益が別にあるわけですから、それに別途の負担を設けても、それは二重取りと言われるものではないんじゃないかというふうに思っております。

菅(直)委員 重なりますからこれ以上はやめますが、わかっていてああいう答弁をされると、こちらもいろいろ考えなければいけません。

 つまりは、高速道路を走っているとき、例えばきょう、東京から、今はとまっていますが長岡まで行った、その高速道路を走っているときにガソリンがどのくらいかかるかというのは計算できます。そのガソリン税が幾らぐらい取られているか計算できます。少なくとも東京―長岡間をもし関越で走れば、一般道は走らないわけですよ。一般道は走らない、その部分のことを言っているんですよ。その車が一般的に、それは家の前で一般道を走らないということを言っているんじゃありません。その走っている部分について、例えば東京から東名で大阪まで行った。東名だけに乗った。乗っているじゃないですか、その中で。ガソリン税も払っているじゃないですか。

 そこで、もうこれ以上同じことを言っても多分同じ答えしか返ってきませんから、最後の時間を使って、北側さんは大臣になられる直前まで公明党の政調会長だったですよね。実は、自社さ政権というものがありまして、それができるとき、私は直前まで、直前といいますか途中まで、さきがけの政調会長でした。そして、村山政権ができたとき、その前に自社さの政権合意というものを当時私も加わってつくりまして、合意をいたしました。

 また、総理がかわって村山さんから橋本さんになるときも、かなり熾烈な議論をやって、橋本政権にさきがけが参加するあるいは参加しないという、それをかけた議論の中で三党の政権合意をいたしました。例えばその中に、その時点で私厚生大臣になると思っておりませんでしたが、薬害エイズの原因究明、責任究明という、当時の厚生省が一番嫌がる原因究明、責任究明、当時野党でしたから一生懸命やられたと思いますが、それを三党合意に盛り込むことで、本音は反対だった人もたくさん自民党にはあったと思いますが、それを実行する背景ができたわけです。

 そこでお聞きしたいんですが、北側さんは、今回の小泉政権、今回の改造、あるいは改造じゃなくても結構です、小泉政権ができる時点で、自民党と公明党との間ではきちっとした文書にした政権合意があるのかないのか。ずっと調べてみても、小渕さんのときには若干ありました。しかし、小泉さんのときには、政権ができた後の党首会談はありましたが、政権ができる前の合意の文書は公明新聞を見ても出ておりませんでした。政策責任者ですよね、当時の。つまりは、政策的な政権合意もなく政権に加わるというのは野合と言われても仕方がない。まさかそんなことはされていないと思います。

 そういう意味で、唯一小泉政権に現在閣僚として参加されている北側大臣として、さらに言えば直前までの公明党政調会長として、小泉政権との間での公明党の政策的な政権合意が政権ができる前にあったのかなかったのか、まずその一点を聞きたいと思います。

北側国務大臣 私は今政府の一員でございますので、必ずしも党を代表する立場ではございませんが、当然、そうした政策合意、政権合意というのはあるというふうに認識をしております。

菅(直)委員 どういう内容ですか。

北側国務大臣 まず、先ほども菅委員おっしゃいましたけれども、私どもが一番最初に政権に入ったのは小渕内閣のころでございます。その小渕内閣のときに、三党、そのときは自民党、自由党、公明党でございますが、三党の連立政権合意書を交わさせていただきました。その後も交わしておるわけでございますが、それぞれ、過去の合意はすべて引き継いだ形で政権合意、政策合意をしているわけでございます。

菅(直)委員 ここに、公明新聞に、自民、公明、当時の自由党の三党合意はちゃんと書いてあります。その後、今私が問うたのは、小泉政権にかわる時点で、三党であったか二党だったかいろいろな変化がありますが、少なくとも自民党、公明党を含む政権合意が文書としてあるか。

 私が調べた限り、公明新聞には一度も出ていません。検索をしても出ていません。政権ができた後、それは神崎代表なり党首と小泉さんが話をされたという記事は出ています。ということは、政権ができる前には文書化された政権合意はなかったと私は見ていますが、あったというんなら。政権ができる前ですよ、後じゃありませんよ。政権ができてしまえば何だって言えるわけですから。

 つまりは、私が申し上げたいのは、きょうはもう、私の持ち時間はこの程度ですから、これ以上は余りあれしませんが、率直に申し上げて、公明党の政治姿勢が自民党との連立で大きく変わっていると国民は見ています。これはきょうのテーマじゃありませんが、イラクの問題を含めて変わっていると思います。それは結局、政権をつくる時点できちっとした、国民の前で、こういうことを約束したから政権に入るんだという約束をきちっとしないでずるずると入って、そのまま前のものを引き継ぐ。前のものを引き継ぐ。

 では、この前のものが実際に実行されているのか。すごい中身が入っていますよ、この中には。例えばの話、比例ブロックのさらなる削減とか小選挙区のさらなる推進とか入っていますよ、公明党が反対したのが。一番最初は自由党も一緒ですからね。知っているでしょう。私たちが実行するとかしないとか言っているんじゃなくて、少なくとも最初の三党合意が実行されていないことだけは明らかです。

 では、新たなものをつくったのか。前の踏襲だ。結局は、前の踏襲ということは何も約束が守られない、そういう中身を、単に新たな政権ができた後になって小泉総理との間で了解したというにすぎないんじゃないですか。

 そういう意味では、私は、今の自民、公明の連立政権、特に現在の小泉総理のもとの連立政権は全くの野合だ。その野合政権の代表として北側さんが入られているのは、私は、北側さんにとっても必ずしも望ましいことではない。もし反論があれば、いついつどういう文書でどういう合意があったかということをきちんと、客観的に言ってください、主観的じゃなくて。

北側国務大臣 また、そこまでおっしゃられましたので、後刻でも御報告をさせていただきたいと思いますけれども、当然、小泉首相と神崎代表との間で党首会談を開き、一定の合意はしているというふうに理解をしております。

菅(直)委員 これで終わりますが、決して突然の質問じゃありません。昨日にそういうことを聞くということを聞いていて、後になって説明していただけるそうですから、必ず私個人なり、あるいは同僚議員に対してきちっと、政権をつくる前ですよ、つくった後じゃないですよ、つくる前に、いついつどういう合意があったか、国民の前で明らかにしていただくことを約束していただいたんですから、約束を守っていただくことを申し上げて、私の質疑を終わります。

橘委員長 金田誠一君。

金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。

 北側大臣には、御就任おめでとうございます。同じく、副大臣、政務官につきましても、お喜びを申し上げるところでございます。

 国土交通省になって初めての公明党の大臣ということで、旧来の自民党にかわり、どのような新しい視点や政策が打ち出されるのか期待をいたしたい、こう思っておりましたが、ただいまの菅さんの質問で、期待できるのかなとちょっと不安もあるわけでございますが、いずれにしても期待を申し上げたいと思います。

 また、このたびの新潟県中越地震につきまして、犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 大臣には早々の現地視察、大変御苦労さまでございました。この地震に先立って、本年我が国に上陸した台風は十個を数え、最大の二十三号を初め、私の地元北海道でも十八号、十五号によって甚大な被害を受けたところでございます。激甚災害の指定や補正予算の編成を含む万全の対策を講じることによって、地震被害、台風被害、ともに一日も早く復旧が図れますように、改めまして強く御要請を申し上げたいと思います。

 さて、今回は、喫緊の課題といたしまして、土地収用法に基づく事業認定の申請が目前に迫っている、このように言われております静岡空港の問題について質問をいたします。

 まず初めに、私の基本的な考え方を申し上げます。

 静岡空港は、最初のボタンのかけ違いであり、地元の十分なコンセンサスを得ないまま見切り発車したことに、今日の事態を招いた原因があります。よって、ここに至っては原点に立ち返り、強制収用は回避をするという大前提のもとに、今後のあり方について、地権者を含む関係者の合意を形成することによって円満解決を図るべきである。

 以上が私の考え方でございます。そして、このことは十分に実現可能である、こう考えているところでございます。

 以下、その理由を申し上げながら質問をいたします。

 最大の問題は、需要予測にあります。今からわずか九年前、一九九五年十二月の設置許可申請では需要予測百七十八万人であったものが、その後百二十一万人になり、さらに昨年、二〇〇三年四月の需要検討委員会では百六万人となりました。わずか七年半の間に、需要予測が六〇%にまで減少する。これでは余りにもずさん、というより、もともとが意図的な水増しと言われても仕方のない内容ではないでしょうか。初めから百六万人であったら設置申請そのものが本当にあり得たのか、こう疑問を持つところでございます。まさにボタンのかけ違いだったと思います。

 さらに、この百六万人という需要予測にも、次のようなからくりがあると住民団体は指摘をしております。

 その一つは、運賃でございます。運賃について、静岡空港は安く、近隣空港は高く設定をしている。二点目が、アクセス。静岡空港は近く、近隣空港は遠く設定をしている。三点目、便数。静岡空港は多く、近隣空港は少なく設定をしている。こうした操作によって、静岡市から札幌へ出張する県民の選択は、何と静岡空港利用が九八%、羽田が二%と、県民感情と余りにもかけ離れた数字になっているわけでございます。

 こうした操作によっての、それでも百六万人でございます。適正な予測が行われれば、さらに少なくなるということでございます。

 静岡空港の場合、費用便益比、CBRというそうでございますが、この費用便益比が一となる分岐点は八十六万人と静岡県は試算をしているようでございます。百六万人は、これを意識して政治的にはじき出された数字と言われても仕方がないのではないでしょうか。

 強制収用を回避するために、最大の問題である需要予測について、地権者を含む関係者がテーブルに着いて、本当はどのような数字になるのかきっちりと合意形成を行うべきである、こう思います。数字の問題ですから、必ず合意ができるはずでございます。その話し合いのテーブルを設けるために、今こそ国土交通省の出番ではないでしょうか。県と住民団体との間に入って、ぜひ汗をかいていただきたい。大臣、いかがでございましょうか。

北側国務大臣 この静岡空港に関しましては、もう委員も御承知のとおり、県が設置管理する第三種空港でございます。先般も静岡県知事が私のところにいらっしゃいました。知事に対しまして、地元の住民の方々とよく話し合っていただきたいということは申し上げたところでございます。

 需要予測がどうなのかというお話もございました。私は、この需要予測百六万人が適正であるという報告を受けておるんですが、もし必要であれば、なぜ適正なのかということは事務方の方から答弁をさせたいと思います。

橘委員長 岩崎航空局長。(金田(誠)委員「いや、要りません。中身の問題は、ぜひ共通のテーブルを設けて」と呼ぶ)ちょっと待ってください。済みません、発言するときは許可を得てください。(金田(誠)委員「委員長」と呼ぶ)その先に、航空局長。(金田(誠)委員「いや、いいです、いいです。必要ありません」と呼ぶ)航空局長。(金田(誠)委員「要りませんと言っているのに、委員長、何ですか。私は聞いていないんです。聞いていないんです」と呼ぶ)手が挙がっていましたから。(金田(誠)委員「聞いていないんですよ」と呼ぶ)手が挙がっていましたから。(金田(誠)委員「委員長、聞いていないことに答弁する必要はないんじゃないですか」と呼ぶ)許可していません。(金田(誠)委員「委員長。何ですか、委員長」と呼ぶ)いや、許可していません。(金田(誠)委員「質問していませんよ。質問していないことに答弁する必要は」と呼ぶ)いえいえ、今、手が挙がりましたから。(金田(誠)委員「手が挙がっても、本人が質問していないと言っているんですよ。何を言っているんですか」と呼ぶ)手が挙がりましたから。(金田(誠)委員「手が挙がっても、必要ないと言っているんですよ」と呼ぶ)発言させてやってください。(金田(誠)委員「時間がないから、先に行かせてください」と呼ぶ)ちょっと待ってください。(金田(誠)委員「質問していないことを何で答弁させるんですか」と呼ぶ)では、理事会で相談してください。(発言する者あり)(金田(誠)委員「委員長、適正に進行してくださいよ」と呼ぶ)手が挙がっていますから。(金田(誠)委員「聞いていないと言っているでしょう」と呼ぶ)手が挙がっていますから。手が挙がっていますから。(金田(誠)委員「委員長、何ですかそれは」と呼ぶ)発言の許可を与えていません。許可を与えていません。(金田(誠)委員「許可してくださいと言っているんですよ。委員長、手を挙げて」と呼ぶ)あなたは、私が許可していないうちに御発言になったわけです。(金田(誠)委員「今改めて許可してください」と呼ぶ)ちょっと待ってください。(金田(誠)委員「委員長」と呼ぶ)理事会で……(発言する者あり)(金田(誠)委員「委員長、質問していないことに、何で手を挙げて答えなきゃならないんですか。委員長、質問許可を求めます。委員長、質問の許可をしてください」と呼ぶ)さっきから手が挙がっていますから、こっちから答えさせます。(金田(誠)委員「質問していないんですよ、局長には。なぜそういうことになるんですか。質問をしていないんです」と呼ぶ)手が挙がっているんですから。あなたの先に手が挙がっているんですから、こっちに許可を与えました。(金田(誠)委員「質問していません」と呼ぶ)許可を与えました。(金田(誠)委員「質問していませんよ。あなたは答弁する必要ないですよ」と呼ぶ)失礼ですが、あなたはまだ許可していないうちに御発言になりました。その先に、こちらが手が挙がりましたから、こちらは……(金田(誠)委員「委員長、質問の許可を求めます」と呼ぶ)

岩崎政府参考人 それでは、数字について簡潔に御説明させていただきます。

橘委員長 どうぞ。

岩崎政府参考人 需要予測につきましては……(金田(誠)委員「委員長、質問の許可を求めます」と呼ぶ)先生がおっしゃるとおり、百七十八万人という数字と百六万人という数字がございます。この二つの数字の違いでございますけれども、経済成長率が当初の予測で……(金田(誠)委員「委員長、質問許可を求めます。私は質問していません、局長には質問していません。委員長、質問許可を求めます」と呼ぶ)三%からマイナス成長に小さくなったこと等々の……(金田(誠)委員「委員長、質問の許可を求めます。委員長、質問の許可を求めます」と呼ぶ)経済情勢の変化を踏まえて実施したもので、適正なものと思っております。

橘委員長 はい、終わりました、どうぞ。発言を求めます。

金田(誠)委員 大変時間がロスいたしまして、本当に残念なことでございます。以後、適正な議事運営を強く要請しておきたいと思います。

 大臣にお尋ねをいたしますが、よく地元の住民と話し合ってほしい、こういうことを県知事に申し上げたと言っているんですが、その話し合いはなされるというふうに大臣は御認識でしょうか。

 今までは誠意を持った話し合いはおよそなされてきておらない、こう認識をしておるんですが、大臣、大臣の要請によって知事と地元の関係者の間の話し合いがなされる、こう理解してよろしいでしょうか。

北側国務大臣 私が県知事に申し上げましたのは、こういう事業というのは、当然、地元住民の方々との話し合いを通じて円満に事業を進めていければそれにこしたことはないわけでございます。それが望ましいということを申し上げ、そして、引き続き話し合いの努力を知事としてもしてもらいたいということは申し上げたということでございます。

金田(誠)委員 申し上げた結果、話し合いがなされる、こう理解してよろしいでしょうか。

北側国務大臣 私の方からはそういうことを申し上げた。当然、知事の方もそういう御努力はなされるものだというふうに認識をしております。

金田(誠)委員 それでは、その話し合いできちっと合意が形成される、したがって、土地収用法に基づく強制収用の申請は上がってこないという解釈をしてよろしいでしょうか。

北側国務大臣 仮定のお話には、ちょっとお答えできません。

金田(誠)委員 きちっとした話し合いはなされる、ここまではよろしいわけですね。

北側国務大臣 申し上げましたとおり、県知事が、これまでも私はされていると思うんですが、当然、話し合いの御努力はなされるというふうに理解をしております。

金田(誠)委員 話し合いがなされないままに土地収用法に基づく申請が上がってくるということはないという理解をしてよろしいでしょうか。

北側国務大臣 ですから、先ほど来申し上げていますとおり、私から知事に申し上げたのは、地元の方々との話し合いの努力はしっかりやってもらいたいということを申し上げたということでございます。

金田(誠)委員 申し上げた結果どうなるかはどうも定かでない言い回しのようでございます。

 質問を続けさせていただきますと、この需要予測についてさらに言えば、全国旅客純流動調査という調査があって、国土交通省がこれを行っているとのことでございます。静岡空港の需要予測に当たっては、そのうち平成十二年度のデータが用いられているとのことでございます。

 ところが、そのデータは八十七万人、現在のところは、その後修正があって九十一万人とされているようでございますけれども、当初八十七万人、これが、静岡県の独自の補正によって百二十六万人に水増しをされていると住民団体は指摘をしておられます。調査日が台風と重なったことによる補正である、こう説明されているようでございますが、それにしても整合性がないではないかという専門家の指摘があるわけでございます。

 いずれにしても、シミュレーションによる需要予測では、数字の入力の仕方によって、結果どんな数字でも出てくる、そういうものだと思います。しかし、この時点、現在の時点まで来れば、各航空会社も実際にどのような運航が可能なのか具体的に検討できる状況だと思います。話し合いのテーブルに着いて、実際にどのような路線に何人乗るのか、そういう協議ができれば、当事者双方の不信感は解消されるというふうに思うわけでございます。

 大臣はその話し合いを要請したというところまではおっしゃっていただいているわけでございますが、その要請した話し合いが実現をするように、大臣、いま一歩突っ込んで御決断をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

北側国務大臣 何度も申し上げますが、静岡空港は、これは県が設置管理する第三種空港でございます。まず一義的な責任は静岡県にあるわけでございまして、しっかり静岡県の方で私はやってもらいたいということを申し上げたわけでございます。

金田(誠)委員 今、事態は、土地収用法に基づく事業認定の申請という形になっております。これについて、国土交通省が関与をするという仕組みになっておるわけでございます。こういう手続上において国が関与する。しかし、この問題は、土地収用法、伝家の宝刀を軽々に持ち出すべきものでは本来ないということが一つ。

 もう一つは、県の設置をする空港ではあるものの、設置許可は国が行い、予算的にも相当の負担を国が行っているという実態があるわけでございます。

 そういう中で、県と、地権者を含む住民の方々がそれぞれ不信感を持つ状況が今日まで醸成されてきて、そして今まさに最終局面を迎えつつある。そのときに、この間に入って解決を図ることができるとすれば国土交通省、なかんずく北側大臣をおいてほかにはないんではないか、こういう観点から、先ほど来質問をしているところでございます。火中のクリを拾うということになるかもしれませんが、あとはやり得る人はいないという状況をぜひ御認識いただいて、大臣、ひとつ御決断をいただけませんでしょうか。

北側国務大臣 ですから、需要予測とか採算見通しとか、そういうことは極めて大事な問題であると思っておりまして、それは当然、国土交通省としても関心があるわけでございます。

 ですから、もし需要予測が問題があるというのであれば事務方の方からきちんと答弁をさせたいと思いますが、何度も申し上げますように、この静岡県の空港というのはあくまで県が設置管理する空港でございまして、県が主導的な役割を果たすというのが当然の話だというふうに理解をしております。

金田(誠)委員 この間、国土交通省も非常に深くかかわってきているということを申し上げたいと思います。

 その問題は、知事の確約書でございます。

 申し上げるまでもなく、航空法第三十九条第一項には許可要件が定められていて、その第五号には、用地が確実に取得できると認められること、これが要件とされています。しかし、当時は個人と共有地主約七十名が内容証明郵便をもって用地を提供しない意思を通告したことにより、県が空港の設置許可を申請したときには用地取得の確実性はないことが明確になっておりました。旧運輸省も設置許可には慎重であった、こう聞いているところでございます。

 こうした中で、恐らく政治的にもいろいろあったんだと推測できますけれども、知事が確約書なるものを提出することによって辛うじて折り合いをつけたという経緯がございます。文字どおりの政治決着であり、航空法の脱法行為であると住民団体は指摘をしておりますけれども、こういう形で、国もその責任の一端を免れないという状況になっているわけでございます。こういう確約書なるものは、今後二度とあってはならないことだ、こう思います。その点については大臣も恐らく認識を共通されるもの、こう思うところでございます。

 また、百歩譲って、仮に確約書を認めるにしても、その文面には、「引き続き諸対策を進める中で誠心誠意交渉に当たること等により、」「誠心誠意交渉に当たること等により、」ですよ。「県の責任において最終的には全ての用地を取得してまいることを確約いたします。」このように書かれているわけです。これは明らかに強制収用を前提としたものではないということは明白だと思います。にもかかわらず、強制収用が今日も声高に叫ばれているところに住民の不信感が増幅する要因があるわけでございます。

 需要予測にしても知事確約書にしても、理屈で説明できないことが権力によって強引に押しつけられてくる、そうなれば、一寸の虫にも五分の魂でございまして、住民側が抵抗せざるを得ないのも当然ではないでしょうか。

 知事確約書は、いわば第二のボタンのかけ違いでございます。この件についても、ともにテーブルに着いて、確約書なるものが法に照らして正当であったのかどうなのか、強制収用までも想定したものであったのかどうなのか、率直に話し合う中から双方の不信感を解消することが必要だと思います。

 特にこの件では、今も申し上げましたが、国土交通省も一方の当事者ですから、県とともに進んでテーブルに着いて、この経過の中で非があったらあったと認める中から合意形成をしていく、これが今必要なときではないでしょうか、もうあと何日も時間はないわけですから。公明党の新大臣としての、今までと違う決断をぜひ求めたいと思います。

北側国務大臣 今確約書のお話がございました。

 委員も御承知のとおり、空港の設置許可に当たっては、用地取得の確実性というものが許可条件の一つになります。しかし空港は、御承知のように広大な用地を当然必要とするわけでございまして、あらかじめすべての用地の取得を完了させるということは困難でございます。このような場合に、設置許可の審査に当たって、申請時における用地の取得状況だけでなくて、設置者が責任を持って対応するか否かも踏まえて審査をしているところでございまして、その際の判断材料として確約書が提出されたというふうに聞いておるところでございます。

 実際に、これまでも、平成以降でも、ほかの空港においても県知事から確約書が出ている例というのはあるわけでございます。県として、設置者として、責任を持って用地取得に取り組む方針を明らかにするためにこの確約書が提出されたというふうに理解をしております。

金田(誠)委員 大臣、答弁書を読んでいるものですからちょっと失望したわけでございますけれども、重ねてお聞きをいたします。

 急がば回れということわざもございます。仮に強制収用の手続に入ったとして、その手続に二年、反対派の土地にかかわる工事に一年、フライトのチェック等で半年、合計三年半というふうに言われております。そうであるならば、テーブルに着いて率直に話し合うその価値は十分にあるんではないでしょうか。

 需要予測について、今日までの予測の変化は何が問題であったのか。今日時点で考えられる実際の運航はどうなるのか。知事確約書について、その真意は何なのか。強制収用をこの中には含んだものなのか。今後、こうしたものを提出させて、空港の設置が認可されるなんということはあり得ることなのか。話し合うべきだと思います。そのほかにも、環境の問題等々、必要なテーマが数々あると思います。

 こうした話し合いを通じて、不信感を払拭して円満解決を図る。そのために国、国土交通省が仲介役として汗をかく、私は、その価値は十分にある、こう思うところでございます。

 強制収用は、事空港建設に関する限り二度とあってはならない、これが歴史の教訓ではないでしょうか。急がば回れ、話し合いのテーブルを仲介することについて、大臣、重ねて要請をいたします。

 そして、この確約書は「誠心誠意」と。これが本当にやられていますか。そして、強制収用ということをこれが想定したものですか。これについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。

北側国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、この空港は第三種空港で、県が責任を持って設置管理をする空港であると認識をしております。

 当然これは円満に事業が進むことがいいに決まっておりますので、県が地元の方々としっかりと話し合いをする努力を続けてもらいたいということを、私からも知事に対して申し上げているところでございます。

金田(誠)委員 土地収用法に基づく事業認定の申請が目前であると言われる中で、これに反対する住民団体の方々が、大臣に直接お目にかかって意見を聞いていただきたいということを強く求めておられます。

 大臣には、就任早々で、加えて新潟県中越地震の発生ということで、大変御多忙なところとはよく承知をしておりますが、事態が事態であるだけに、ぜひ時間をつくっていただいて直接住民の方々の声も聞いていただきたい、このことを強く要請したいと思いますが、いかがでございましょう。

北側国務大臣 ですから、先ほどから御答弁申し上げているんですが、先般知事と会ったときも、よく知事の方で話し合いの努力をやってもらいたいということを申し上げたわけでございます。

金田(誠)委員 重ねて、住民団体の声を直接聞いていただきたい、それだけの価値があることだ、このことを強く申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。どうもありがとうございます。

橘委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十九分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉置一弥君。

玉置委員 災害の続く中での国土交通委員会になりましたけれども、北側大臣には大変幅の広い分野を受け持っていただくということになりまして、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 また、午前中からの審議の状況、あるいは本会議の答弁等聞いておりまして、評価はいろいろ分かれますけれども、私自身、今回の地震や風水害、これにつきましては、日ごろの社会資本整備の中で、確実に押さえるところは押さえるというところがある、また、その効果も出ているだろう、こういうふうに思いますが、しかし、それでも、例えば気象条件が変わってきたり、あるいは地震も、たまたま震源地を通り越した新幹線であったりとかいろいろなことで、これを教訓として次の備えをぜひやっていかなければ、こういうふうに思うわけでございます。

 そういう中で、日々刻々と状況も変わってきておりまして、私がきのういろいろ質問のための材料集めをしておりまして、一昼夜たつとまさに状況も違うというようなこともございますので、まず、動いている状況の中でございますけれども、この新潟の中越地震の被害に関して、一つの県にある程度集中したような形でございますが、それも局部的に集中しているという感じを受けるわけですけれども、余震等を含めますと大変な被害が出ているということでございまして、この被害の対策として打たれる状況、それから今までの備えに対しての実際の実務的な被害とその措置との関係、極端に言えば、備えがあったから防げたとかあるいはここはやらなければいけないとか、いろんなところが一遍に出てきたような感じがします。

 どういうふうに質問したらいいのかよくわかりませんが、要するに、この地震を受けてどういうふうに思われたかということですね、一言で言えば。かなりきめ細かい答弁も後でいただきますが、大まかにまずお聞きをして、そしてこれからの対応についていろいろとまた論議をしていきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

北側国務大臣 私も地震の翌日に現地に行かせていただきました。道路、鉄道、河川等、被害のあったところを見させていただくとともに、被災者の方々の避難場所にも行かせていただきまして、そのお声もちょうだいをいたしました。

 ともかく今は、御承知のとおり十万人近い方々が避難をなされていらっしゃいます。雨も降っております。夜になると大変寒くなるわけでございまして、ともかくライフラインを早く復旧する、これが今被災者の方々の一番の要望でございますし、私どもも政府を挙げてしっかりこのライフラインの早期復旧に全力を挙げて取り組まないといけない、これがともかく第一点でございます。

 その他さまざま被災したところがあるわけでございますが、そういうところにつきましても早急に復旧できるように、今全力を挙げて取り組みをさせていただいているところでございます。

玉置委員 午前中、菅さんの方から新幹線の脱線事故ということのお話がございまして、直下型に対しての備えがまだ不十分である、そして横揺れでしたか、今回、横揺れと縦揺れということで前後が逆になって、従来の地震に対する備えが余りきいていなかったということであります。

 それから、事故調査もちょっと進んでまいりまして、レールから脱線はしたけれども、そこから外へは飛び出さなかったということで、非常にラッキーな部分がたくさんあったと思うんですね。反対に、上り車線、長岡の駅でとまった電車があります。あれがとまらなかったらと思うと、まさにぞっとするようなことなんですね。東海道に目を移しますと、それこそ二分、三分で電車がすれ違う、こんな状況でありますから、これが東海道であったらどうなっていたんだろう、こういうふうにまず思うわけですね。

 北側大臣もまた私も、毎週新幹線で行き帰りしておりますけれども、乗るときはまさにそういう覚悟で乗っているわけですね。もう何かあったらしようがないというふうな気持ちなんですが、しかし、やはり事故は防がなきゃいけないし、最悪の場合でも最小にとどめるということが必要だと思います。

 そこで、午前中の質問に対してまた午後の、同じような質問なんですが、今回の事故の中で、二つあります。一つは、橋脚の話。橋脚が縦型に弱かったというのと、それから横揺れで、トンネルを出たところと橋脚の一番長いところとの揺れ方が違っていたという問題があります。それから、新幹線の地震感知が、最初の揺れでとまるということになっているんですけれども、いわゆる本揺れのときに、スピードとしては場合によっては遅い場合もあるということなので、今回は、要するに最初の微動のときとその次のときの差が時間的に短かったということなので、こういう問題点。

 それから、要するに上下線、お互いに自分たちのエリアから出なければ対向車両とぶつからない、それから大事故というのは、みんな対向車両とぶつかったときに大事故になっているのが多いわけですけれども、この辺から見て、ある程度新幹線に限定して、将来について、かなり今までと違った検討を進めていかなければいけないかどうか。今までのことで十分なのかどうかということを、もう一回確認したいと思います。

北側国務大臣 今回の上越新幹線の脱線事故につきましては、本当に極めて残念でございますが、今事故調査委員会が入っておりまして、なぜこのような脱線事故が起こったのか、そのメカニズムについて専門的な調査を開始しているところでございます。こちらにつきましては、少し時間がかかってしまうということで、中間報告もしてもらおうというふうに思っておりますが、少し時間がかかるかと思っております。客観的な調査結果を求めたいと思っております。

 問題は、じゃ、その間何もしないのか、そういうわけにはいきません。今御指摘のようなさまざまな問題点があるわけでございまして、それをしっかりと、JR、国土交通省、また専門家の方々を含めまして、当面とり得る対策が何なのか、そこをしっかりと検討してもらいたいということを私からお願いいたしまして、昨日から、新幹線脱線対策協議会というものが設置をされまして、今スタートをしておるところでございます。

 今委員から御指摘のございました点もしっかり含めまして検討を進めてまいりたい、そして、被害を最小限にするためにすべきこと、やるべきことは早急に進めてまいりたいというふうに思っております。

玉置委員 今、被災地では、特に衣料品あるいは食品というものが足りないというふうに言われております。備蓄されているところは結構たくさんあるわけですけれども、現地に送り届ける手がない、あるいは道路が分断されているというのがずっと引き続きあるわけです。場合によっては二次災害という危険もありまして、一概に、復旧してすぐ行けというのはなかなか難しいかと思いますが、少なくとも、ある程度専門的にそういう危険な作業に携わっている方々とかいう方を調達して、その人たちにそこへ出向いてもらうということが必要かと思うんですね。

 それから、今回の復旧の様子とかあるいは現地支援とかいう形を見ておりまして、このことが、道路関係や鉄道、そして現地に到達するためのいわゆる経路といいますか、ここの復旧が対策上まだちょっと甘いような気がするんですね。これは、神戸のときは電柱が横たわったり建物が横たわったりというのがあって確かに難しかったんですけれども、今回、例えば小千谷とか十日町とか何とか村とか、そういうところまでなかなか到達しないということが、やはり現地の方々、被災された方々の不満につながってくるだろうし、場合によってはそこで病気になられる方も出てくるだろうということを思いますと、現地へするアクセスの関係、これをぜひ早急にやっていただきたいと思うのです。

 そういう反省を踏まえて、ぜひこれからの対策の中で、どうすれば早く現地との連携がとれるか、ボランティアの方も行きたくても行けないというのが今の現状なんですね。その辺を含めて、もう一度御答弁いただければありがたいと思います。

北側国務大臣 おっしゃっているとおりでございます。

 道路に関しましては、私が一昨日行ったときに、高速道としては、関東と新潟とを結ぶ関越自動車道がございます。これが通行できない状態。北陸自動車道も一部そう。そして、直轄国道では十七号線という非常に大事な基幹道路があるわけでございますが、これも通行不能という状態でございましたが、私から、ともかく、緊急輸送物資を運搬する緊急車両については、暫定的な通行の確保を早く図ってもらいたいということをお願いいたしまして、今、関越自動車道と十七号については、こうした緊急車両等につきましては暫定的な通行ができるようなことになっております。また、北陸自動車道につきましても、きょうの午後から一般の方々も通行が可能なようになっております。

 問題は、今御指摘のあったような孤立した村々を結ぶような生活道路、私も上空から見ましたが、そこが土砂災害等で非常に孤立化しているところがたくさんあるわけですね。その生活道路等をしっかりと復旧しないといけないんですが、一方で、まだ余震が続いているだとか、そういう状況の中で、また、そういう土砂災害のところでございますので、早く復旧ができればいいわけでございますが、安全上の確保の問題もこれあり、なかなか苦戦しているところでございます。ただ、今おっしゃったように、こうした道路の復旧というのは、ライフラインの一つでございまして、それが早急に確保できますように、しっかりと、県、市町村とも連携をとりながら進めさせていただきたいというふうに思っております。

玉置委員 ことしは日本に上陸する台風が非常にたくさんあったわけですし、大変な長期的な集中豪雨というのが続きました。台風発生としては例年と余り変わらないというお話を伺っておりますが、去年はこの半分以下だった、雨はもっと少なかった、その前はもっと少なかったというふうに、年々ふえてきているような感じがするんです。

 気象庁が来ておられますので、ちょっとお聞きしたいんですが、こういうふうにふえてきた、特にことし上陸した台風の多いこと、そして集中豪雨が各地で一斉にあるというふうな状況について、どういうふうにとらえられているか、それから、これはもうこれから今後も続く話なのかどうかというところも含めて、ちょっとお聞きをしたいと思います。

長坂政府参考人 ただいまお尋ねのございました本年の台風の上陸数、あるいは集中豪雨の頻発ということについてお答えをいたします。

 御案内のように、本日現在、今年の台風年間上陸数は十個となっております。これは平年の記録を大幅に上回っております。また、一時間当たり五十ミリを超えますような大雨につきましても、その発生数が、今年は最近の平均の約二倍程度になっております。

 ところで、台風の上陸数あるいは大雨の発生数は、それぞれの年によりかなりの変動を伴っております。このうち大雨につきましては、近年、その発生回数が増加する傾向にございます。

 このような気候変動の原因の一つとしまして、地球温暖化が考えられております。この温暖化がさらに進むと見込まれる今世紀の将来的な見通しにつきましては、気象庁を初め世界の多くの専門家が参加している国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCと称されておりますが、そこでもちまして平成十三年に第三次報告書というのがまとめられております。その中では、強い降水現象が多くの地区で増加する可能性がかなり高いということにされております。なお、台風の発生頻度等につきましては、IPCCなどにおきましてもこれからの調査課題ととらえております。

 気象庁におきましては、これらの課題等への取り組みを引き続き鋭意進めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

玉置委員 今回の被害状況を見ておりまして、新潟の場合も地震の後の雨ということで大変土砂災害の心配をされておりますけれども、確かに、長雨の後の集中豪雨というのはもう致命的だと従来から言われております。そして、その回数がどんどんと頻繁にふえてきているということになってきた。

 これで、急傾斜とか砂防地域とかの指定地の見直しとかいうものをもうちょっと拡大しなければいけないんじゃないかということが一つと、それから、河川において、遊水地のいわゆる保有量あるいはダムの保有量、こういうものの基準を見直すというのと、放水時期の見直しというものが必要だと思うんですね。

 それと、私どもの地元で言いますと由良川になりますが、あの川はもともと傾斜のない川で、海と非常に近いために逆流というのがあるんですけれども、それと、真ん中にちょうど狭いところがありまして、上からの増水は狭いところへ流れる、下から来るものもその狭いところへ流れるということで、どっちから来ても洪水になるという地域なんですね。これは今は私の選挙区じゃございませんが、谷垣さんの選挙区なんですけれども。

 そういうところで、これは本当に、あれだけお金を投じてもらっても水害になるということで、やはりこの基準がおかしいのではないか。このぐらいの高さがあれば、例えば、二メーター五十積み上げればある程度防げるという今まで計算されておりましたものが、結局は、あと一メーターぐらい上積みをしなければいけないとか、こういうふうに変わってくると思うんですね。

 そして、ことしの雨の特徴なんかを見ていますと、四百ミリ以上余り降ったことがないのが、急に千ミリを超えた雨が各所でふえたということがあります。そういうふうに、雨の量も集中的に大変膨大な量が一気に降るという形になりまして、従来のいわゆる危険水域の水の位置がもう大幅に変わっているんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味から見て、今までの基準で今後もやっていけるのかどうか、あるいは、新たな数値を算出して、もう一回整備をし直さなければいけないんじゃないかというふうに思いますが、どちらの方でしょうか。どちらの方というか、本当は変えないといけないと思うんですが、どうでしょうか。

北側国務大臣 ことしは本当に大変な豪雨、台風の年でございました。先ほど気象庁長官からもお話がございましたように、時間当たりの雨量にしても、記録的な雨量が記録されたわけでございます。専門的にこれはどういう原因に基づくものか、これは専門家にお任せをすることといたしましても、この傾向というのは、これからも続く可能性は十分にあるというふうに見ないといけないんだろうと思うんです。

 その前提のもとで、今委員がおっしゃったような数値も含めまして、従来からの災害対策、治水においても砂防におきましても、従来からの災害対策をもう一度総点検してもらいたいということを私も関係部局に指示をしているところでございまして、これはきっちりと、ことしはこれだけいろいろな災害がございましたので、改善をしなきゃいけないところ、また教訓として検討しなきゃいけないこと、多々あると思っております。それは、インフラ面でも、またソフトの面でも多々あると思っておりまして、それはもう一度見直しをさせていただきたい、委員御指摘のとおり、見直しをしっかりさせていただきたいと思っております。

玉置委員 午前中に菅さんが、川辺川ダムの質問をされましたけれども、私たちから見て、長年、計画だけで全然進まないところがたくさんあります。それも、お金が巨額になっているというようなことで、それを実行していくと地域の水域の整備がなかなかできない。まして、先ほどおっしゃったように、今の水量からいくと、やはり新たな基準を設けて見直していくということであれば、今までやったところでも手を加えなければいけないということになるわけですね。

 そういう面から見て、やはり、例えば今の川辺川ダムのずっと下になります球磨川というのがあるんですが、この流域なんかでも、いろいろな要望が地域から出されても、県の方もダムとの関係でなかなか身動きできなかったというのがあるんですが、こういう問題はさておいて、今の現状で水没する地域、水没というのか水浸しになる地域ですね、この辺がやはりかなり広く出てきております。現地だけでいえば、いわゆる人吉盆地でしたか、その一帯がほとんどと言っていいほど水没するわけですし、その下流の河口までの間もかなりそういうところがありますというのが前から話が出ているわけですが、ざっと四十年ぐらいほとんど余り進行していない、極端に言えば。こういうことになっています。

 私たちからすると、我々は恵まれた地域にいるのか、要望すれば何年かのうちに必ず実現するというのが当たり前みたいに思っていたんですが、四十年も手がつかないところもあるというようなことなんですよね。

 そういうふうに考えていきますと、大きなプロジェクトがあるとかないとかということじゃなくて、今まさに水浸しなんだというときに、やはり手短な、そんなに高額でないと言うと怒られますけれども、貴重な財源ですから、やはりある程度有効なところに生かしていくという面から考えていきますと、いち早くそういうところに手をつけて、まず今住んでいる状態をよくするということが優先されるべきじゃないか、こういうふうに思うんですね。

 そういう面で見て、ダムが要るとか要らないという以前の問題で、それはもう財政的な面と流域の住民の皆さんの合意があればやったらいいし、なければやらなきゃいい、簡単に言えばそういうことなんですが、実際に長年困っていて、住民の方々がもう最後は家を売って出てもいい、そこまで協力するというような話まで今出ているぐらいだということなんですよね。

 そういうことを考えたときに、地域対策として、その流域の住民の皆さんの生命財産を守るという意味から、やはり国が県と共同して優先的に取り組まなければいけない問題だと思いますが、いかがでございましょうか。

清治政府参考人 御指摘のありました洪水に遭う頻度、こういうものについては、私ども、治水事業を優先的、重点的に実施していく場合の大事な指標だというふうに考えております。

 これにつきましては、広い範囲で安全度のバランスを考えながら実施していくということは必要でありますが、目先の事象として、洪水による浸水が頻発しているところにつきましては緊急に対処していく必要があると考えておりますので、これらは委員御指摘のような全体の水系の中でのプロジェクトとは直接関係するものではございませんので、地元の事情を勘案しながら対処していくことが必要だというふうに考えております。

玉置委員 各都道府県、市町村にとりまして、今回、数次にわたる風水害ということで、一件当たりは非常に少ない額でありましても、これだけ重なってくると大変な額になるわけで、きのうのニュースとかきょうの本会議とか、いろいろな話の中で激甚災害という話が出ておりましたけれども、ある程度こういうふうに重なってきた場合に、激甚災害に指定して市町村の負担をできるだけ軽減するということも考えなければいけない、こういうふうに思うんです。

 これは内閣府になると思います。柴田さんにお聞きしますが、激甚災害とかいう、ある程度、数度重なった場合にどういう扱いを今までされてきて、今後どういうふうな、こういうことを想定すると何を考えなければいけないのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

柴田政府参考人 激甚災害指定でございますが、通常の災害復旧、それ自身補助率が、普通の改築等のおおむね平均二分の一と比べると非常に高い、六割とか七割、八割でございますが、さらにそれ以上の補助率アップを図って地方公共団体の財政的な負担を減らそうというものでございます。

 その指定の考え方でございますが、一つの災害というものを単位としております。この一つの災害の判断につきましては、台風一つということではございませんで、同一の気象現象による災害か否かということにいたしてございます。または、複数の気象現象が相互に密接に関連する場合には、この一連の気象現象による災害か否かということでございます。これらにつきましては、気象庁だとか関係省庁の意見等調整をしながら行っているところでございます。

 私も、今先生が御指摘のように、できるだけ固まった方が被災地の方には非常に役立つわけで、助かるわけでございますから、そのようにしていきたいと常に努力いたしているわけでございます。今年度のたび重なる台風につきましても、災害の原因となりました気象現象を調査分析の上、先ほど申しましたようなことで判断をいたしてございます。

 その結果、新潟・福島豪雨という豪雨がございました。それと福井の豪雨、これを一連のものとして一つの激甚災害指定といたしてございます。また、台風十号と十一号、これも一つの災害だということで指定をいたしているところでございます。我々としてはできるだけ努力しております。

 なお、激甚災害制度の根っこの法律でございますが、先ほど申しましたけれども、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、これにつきましては、個別の災害ではなく、一年間の災害復旧事業費の総額と地方公共団体の財政力をもとに補助率を決定しておりますので、そこでは調整ができているということでございます。

 以上によりまして、多大な被害を受けました地方公共団体の財政負担を緩和するように努力しているというところでございます。

玉置委員 では、柴田さんにもう一つお聞きしたいんですが、中越地震だけではなくて、風水害でも多くの高齢者が被害に遭われているというのがいろいろなニュースで流れております。この主な原因とそれから今後の対策という、もしある程度把握できていればお願いしたいと思います。

柴田政府参考人 御指摘のように、ことしの一連の被害におきまして、犠牲者が非常に高齢者に寄っているという状況にございます。高齢化社会というものをあらわしているわけでございます。例えば、台風二十二号まででございますけれども、死者・行方不明者、海難事故を除きますと百六名おられますが、そのうち七十名が六十五歳以上ということになってございます。その後の二十三号あるいは今回の地震もそうでございます。

 これらにつきましていろいろ分析してみますと、やはりお年寄りで寝たきり、あるいはお年寄りの方でそのまま、調べてみると溺死しておられたとか、あるいは、想像でございますけれども、なかなか情報伝達が適切に伝わらなかったということもあろうかと思います、伝わったとしても動けなかった、対応ができなかった、余りにも災害の来方が速かったというようなことで、高齢者の避難ということが非常に問題になってございます。

 こういうことでございますので、我々も、関係省庁連携のもと、政府の中に有識者などによります検討会を立ち上げてございます。それで、現地の調査も既に事務的に終わっておるわけでございますが、十月七日の日に第一回を立ち上げてございまして、避難勧告だとか避難指示というものを公共団体の市町村長さん、首長さんたちがうまく対応できるような形のガイドライン的なものを出そう、あるいは高齢者の避難につきまして、どういうようなやり方でやったらいいのか、そういうもののマニュアル、そういうものも取りまとめていきたいと考えてございます。

 これらを取りまとめることによりまして、かなり具体的なものを取りまとめることによりまして、首長さん方等に対する、あるいは国、県、これらのものを一つのバイブルといいますか、もとに避難のあり方等々を検討していきたいと考えておりますし、また、市町村長さんだとか職員などの勉強材料、研修というものに使いたいと思っております。

 国においては常に年間何回も何回も災害があるわけでございますが、その一つの首長さん、市長あるいはその住民にとってみれば、何十年に一回あるいは初めてという災害でございます。そういうものに適宜対応できるようなものを、年内には改善策の骨子をまとめ、ことし中にはそういうものをつくり上げたいというぐあいに考えて、今努力いたしているところでございます。

玉置委員 ありがとうございました。

 それでは次は、この災害の中で、例えば鉄道会社がございますけれども、鉄道会社の経営の規模と災害の大きさからいきまして、午前中も論議ございましたように、売り上げ、要するに運賃収入の一〇%を上回る場合にということで、特別な条件がついて支援をするような形になっています。実際に、例えばJR四国とかいうのを見ておりますと、経営上、大変日常苦しい中で努力をされている、そこに災害が数回また押し寄せてきたという形になっておりまして、特別の枠で考えていただかないと経営上成り立たないんじゃないか、こういうふうに現地からも言われているわけです。

 午前中、菅さんからもそういう話が出ておりましたけれども、私どもとしても、やはり日常の交通行政を検討している中で、ただでさえも、三島会計について、基金の上積みをするとか、あるいは何らかの支援措置を考えていかなければやっていけないという論議が出ているわけですけれども、そういう状況の中で、また新たな数次にわたる災害の復旧のための費用というものが発生しているということで、ちょっと数字、今どこかに入り込んで出てこないんですが、JR四国の今回の災害の数字をもし把握されていれば。

 それと、越美北線ですか、JR西日本の福井県の越美北線、ここが、十億とか十五億とか大づかみの数字しか聞いていないんですが、これも復旧で、その線そのものが大赤字の線でございますから、自分たちでやっても赤字の上積みをするだけだということになって、市町村と一緒に話をされているようですけれども、なかなか前へ進まないということなので、こういう場合も特別扱いをしていただけるのかどうか、その辺も含めて、ちょっとお聞きしたいと思います。

梅田政府参考人 先生の質問にございました、まずJR四国の損害額でございますが、JR四国は数次の台風によりまして被害を受けておりまして、現在までの累計の損害額は約二十五億円でございます。

 それから、今御指摘のございました越美北線でございますけれども、これは、やはり橋梁を数個流されておりますが、これを建てかえるという工事のお金が必要になります。このお金は、現在の見積もりではおおよそ七十億円でございます。

 今御指摘のように、鉄道施設の災害復旧補助につきましては、当該の事業費の額が当該路線の運輸収入の一割以上である、それから、被災年度の前三カ年にわたりまして営業損失または経常欠損が生じているというような要件がございます。

 要件を満たすような、例えばJR北海道を初めとするような事業者につきましては、今まで三十二事業者でございますが、平成三年以降、補助をしてきております。しかし、JR西日本のように、年間に営業で大体一千億程度の利益を生むような会社につきましては、この要件を満たしておりません。したがいまして、災害復旧補助の適用は困難と考えております。

 なお、越美北線につきましては、足羽川の河川管理者でございます福井県とJR西日本で今協議を行っております。福井県の方では、この改修工事にあわせて鉄道の復旧もやる必要がございますから、そういうことで、相談をしながらやっていくことになると思います。私どもとしましては、全面復旧に向けて引き続きJR西日本を指導していきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

玉置委員 ぜひ、JR四国の方は経営上の問題がかなり大きく響いているようでございますので、御支援の方よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 それで、ずっと話を聞いておりますと、やはり温暖化の影響というのはかなりいろんなところに出始めてきているということでございまして、私たちは、地球温暖化に対して、もう既に何年たつのか、九三年、六年たつんですかね、六、七年たつんですか。ということで、ある意味でその次のステップに入らないといけない時期に来ているのではないか。京都議定書がつくられましてから、日本がリーダーシップを握って世界の環境対策をやってきているということでございまして、京都議定書から、いろんな国々がこれを批准していくわけでありますが、ごく最近におきましては、ロシアが来年批准することを大体約束されたような話を伺っています。

 そういうふうになっていくのと、もう一つは、日本の中での温暖化対策の割り振りという面から見て、各部門別にいろんな目標値があったと思いますが、こういう面から、やはりこれからの環境対策というものを国土交通省としても、まず自分たちの責任分野について今の時点で、今後の見通しとして対策上十分目標値がクリアできるのか、あるいは景気が上昇したりとか、これからのいろんな変動の中で総量的にふえたりとかいうような中でもうちょっと頑張らなければいけないのか、こういうことが心配になってくるわけでございます。

 そこで、まず国土交通大臣に、この環境問題についてどういうふうにお考えになっているか、もしある程度のまとまった考え方があればお聞きしたいというふうに思います。

北側国務大臣 国土交通省といたしましても、この地球温暖化を防止するためにしっかりと対策を進めていかなきゃならないと思っております。

 運輸部門を抱えているわけでございますが、運輸部門のCO2排出量は、二億五千万トンに抑制するというのが目標でございますが、現状はそれを上回る見込みになっております。そういうこともございまして、ことしの六月に、新たな施策の展開が必要であるという提言もちょうだいをいたしました。

 これを踏まえまして、国土交通省では、国土交通省の環境行動計画というものをことしの六月に策定させていただきました。例えば、荷主と物流事業者との連携強化の枠組みづくり、グリーン物流総合プログラムの推進とか、環境的に持続可能な交通モデル事業、ESTなどの施策を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

玉置委員 具体的な内容として、今おっしゃったようなお話もありますけれども、例えば車の運行、これをある程度抑えていくという、いわゆる排ガス規制ですね、排ガス総量規制といいますか。この辺とか、いわゆるパーク・アンド・ライドとかモーダルシフトとかいうことがやはり全体を抑えるために効果はあるだろうという論議をされているわけです。それから、都市部で、結局、混雑解消ということがやはりかなり排気ガスの対策上効果があるということでございますが、こちらの方はなかなか、新しい駐車場を見つけて、そこに対する支援とか、あるいは既存の駐車料金に対する支援とかいうふうな形でやっていかなければいけないと思うんですが、これは自動車交通局長さんの分野だと思いますけれども、いわゆる総量規制に対するいろいろな施策について、どういう検討が今進んでいるのか、この辺についてお聞きしたいと思います。

丸山政府参考人 環境対策としまして、運輸部門全体として、先ほど大臣が答弁申し上げましたが、二億五千万トンに抑えなければいけないということになっているわけでございます。

 そこで、これまで、温暖化対策の中で、どの分野がどれだけ削減していくかというものを個別に割り当てております。例えば、今先生おっしゃいました自動車の単体対策につきましては、低公害車を導入することによりまして、例えば二酸化炭素に換算いたしまして二千六十万トン減らしていくと。こういうものを運輸全体として集めまして四千六百万トン削減することによりまして、二億五千万トンに到達するようにしていくということでやってまいりました。

 ただ、それでも二億五千万トンよりも若干上回ってしまうということがございまして、先ほど大臣の方からお話ございましたように、グリーン物流などを促進することによりましてさらに五百万トン減らして、二億五千万トンの目標を達成するようにしていこうというふうに今省として努力しておるところでございます。

玉置委員 次に、環境税の関係でちょっとお聞きをしたいと思います。

 環境税の論議はもう長年ずっとあったわけでございますが、いよいよ具体的に、実施をするにはどうしたらいいかという論議にまでだんだん変わりつつあります。私たちの税制論議の中で、例えば今の揮発油税に対してどうするのかと。これは、暫定措置で二倍になっているわけですが、揮発油税の暫定部分についてどうするのかということが当然問題になります。それとともに、環境対策にお金を使うならば、環境対策としてどういうもので幾らかかるのか、そして今の財源はどうなっているのかということが必要になってきて、新たなものに対する賦課を国民が負担するというならわかるという論議が大体ずっと流れてきているわけですけれども、この辺から見て、余り時間がないのであちこち聞くわけにはいかないので、まず環境税について、では、環境庁の政策局長さんからお願いします。

田村政府参考人 環境税の税収の使途についてというお尋ねであったかと存じます。

 本年八月に公表されました中央環境審議会の小委員会の中間取りまとめにおきましては、環境税収を何に充てるかと。活用を考えるに当たっては、それぞれの府省の所管といったことにはかかわらず、政府全体で、効率的で確実な二酸化炭素削減につながる対策、地球温暖化対策、その支援を行うことを基本とすべきであるという指摘をいただいております。

 もちろん、例えば一般財源に充てるべきだというふうな意見もございますが、環境審議会全体といたしましては、やはり地球温暖化対策に充てるべきであるという意見が多いように存じます。

 税収を地球温暖化対策に充てるという場合には、例えば、風力とか太陽光とかバイオマスといった再生可能エネルギー対策とか、住宅建築物とかモーダルシフトといったような対策とか、あるいは森林対策とかいった施策が考えられるんだと存じますけれども、いずれにしても、この環境税収を構築してどのようなものに充てるかということにつきましては、現在行われております地球温暖化対策の評価、見直し、この作業の中で、追加的対策としてどういう措置をとるべきかというその検討と並行いたしまして、各省庁と十分相談しながら検討していきたい、かように存じております。

玉置委員 ということは、まだ対策の中身が十分固まっていないから、ある程度それが固まらないとそれに幾らかかるかわからない、そして税率も決まらない、こういうふうに受けとめていいでしょうか。その辺についてお答えください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化対策というのは待ったなしの課題だと思っておりますし、本年は、二〇〇四年、地球温暖化対策推進大綱の見直しの年でございますから、早急にまとめたい、そのように考えております。

玉置委員 では、最後に、まだ時間はあるんですが、ちょっと配分しますと、先に、今の環境税について、大臣の考え方をまずお聞きしたいというふうに思います。

北側国務大臣 環境税については、かねてから議論のあるところで、いよいよ本格的に議論がこれから始まるという段階だと認識をしております。ただ、環境税というものが、炭酸ガスの排出抑制効果が一体どの程度あるのかということは、やはりよく議論をしないといけないと思っております。

 ほかにもさまざま論点ございますが、そうした論点につきまして十分に検討をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

玉置委員 本当に、まだまだ聞きたいことはあるんですが、バリアフリーが残ってしまいました。時間はあと二分ということでございまして、丸山局長さんに。

 私の記憶でいきますと、来年の今ごろから新しいバリアフリーの施策について見直しをしなければいけないということになってくると思うんですね。ですから、これからの一年が、今までの、ずっと追い込みをやって、そして次のことを考えていくということであります。

 今、高齢者の災害の話とかいろいろありましたけれども、バリアフリーそのものがかなりこの五年間で全国的に意識づけもできました。行政の皆さん方もかなり努力をしていただいて、啓蒙もできたというふうに思います。しかし、予算を見ると、まだまだ十分なというふうな予算にはなっていないわけですから、できるだけ効率よく、また、身近なところからやるということをやっていかなければいけないし、役所の方も、いわゆるユニバーサルデザイン、昔は、お金をかけたら、その専門、身体障害者であれば身体障害者しか使えなかったということですが、一般の方もどうぞということになってきました。それから、当事者参加。当事者参加でやると、目線が違いますから、余計なことをしなくていいですね。それから、何もかもということじゃなくて、これだけやってほしいということがよくわかったと。それから、地域のいろいろな協議会がございます。そういう協議会の中で、地元からの提言という形で物事が出発するようになったということで、行政サービスのやり方についての大変大きなメリットがあったというふうに思います。

 そういう観点を含めて、これから一年かけてどういうことをやられるのか、そして、バリアフリーそのものについては、国民の意識から見て、私は、最初スタートするときは、二十年おくれていますと言ったんですけれども、これについて、今どのぐらいまで来たのかということをお聞きしたいと思います。

丸山政府参考人 先生御指摘になりましたように、バリアフリー法では、来年の秋に五年たちまして、見直しをするということでございまして、私ども、既にその準備に取りかかっておるところでございます。

 従来、バリアフリーというのは、障害を持った方が健常者と変わらないようにということで企画されたものでございますけれども、もっとそれを一歩進めて、先生おっしゃいましたように、健常者も障害者もひとしく、私ども、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというふうに言っておりますけれども、そういうユニバーサルデザインという観点からバリアフリーを見直していくという視点で今作業を進めております。

 それで、さきの十月十五日に、ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会というものを開催いたしました。これは、先生から御指摘いただきましたように、当事者の意見が非常に大事だということで、当事者にも入っていただきまして、ユニバーサルデザインの考え方からバリアフリーのあり方を考えていこうというものを一方で立ち上げております。

 それから、省内で別途、本日でございますが、ユニバーサルデザイン政策推進本部というものを立ち上げました。障害者に限らず、すべての人が自立して安心して暮らせる、そして持てる能力を最大限発揮する、そのためには国土交通行政全般にわたって見直しが必要であるということで、それは、どういう観点から目指してどういう政策を打ったらいいかという検討を開始したところでございます。

玉置委員 終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

橘委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 まず、本日は、質問に先立ちまして、本年相次いで発生をしております台風、豪雨災害並びに今般の新潟県中越地震によりお亡くなりになられた皆様方へ心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、今回の一連の災害で被災に遭われた皆様方に対し心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 本日は、本来でありますれば、北側大臣の所信に対する質問ということで国土交通行政全般に対する質問をしたいところでございますが、こういった大変な未曾有の大災害の直後でございますので、私は、この与えられた二十分間、兵庫県も大変な被害を受けました台風二十三号の件につきまして絞らせていただき、御質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今回の台風二十三号につきましては、兵庫県の豊岡市、出石町、和田山町、但東町、日高町、そして淡路島の洲本市を初めとする各市各町、まさに未曾有の大災害がもたらされました。北側国土交通大臣も、就任早々、毎週週末は被災現場に行かれるという大変ハードな状況の中で、今回の二十三号の発生直後の二十二日にも、兵庫県の豊岡市並びにまた出石町の被災現場をじかに視察をしていただいたことに、まず心から感謝を申し上げる次第でございます。

 私も現地に入りまして、まさに一級河川、国直轄の一級河川の円山川の堤防が決壊をするとこれほど大変な被害をもたらされるのかと。私は阪神・淡路大震災のときの被災者でもございますし、また、今回の新潟中越地震の災害も大変大きなものだというふうに認識をしておりますが、水害というのは、やはり地震災害とはまた別の、違った性質の大変大きな災害であるというふうなことを認識を新たにしたわけでございます。町だとか市が水没をする、こういったことというのは映画で見る世界でありましたが、豊岡市、出石町また洲本市、こういったところでは、まさに町が水没をしている。表現ができないような大変激しい災害だったというふうに思いました。

 北側大臣も現地に行かれてその現場を見られて、恐らくいろいろな御感想、また早急に大臣として手を打たなければならないと思われたことが数多くあったと思いますが、被災の現場を見られての、まずこれをやらなければいけないという、早急に手を打たなければいけないことは何かという御認識を持たれたかということと、加えまして、恐らくこれは予備費では対応できない、もう一兆円を超える規模の補正予算を組まなければいけないと私は認識をしておりますが、その点についても含めて、今回の被災現場を視察されての御発言をいただきたいというふうに思います。

北側国務大臣 今御質問にございましたように、私は二十二日に豊岡市、出石町の方の被災現場に行かせていただきました。円山川というのは一級河川で国直轄の河川でございますが、二つの箇所で堤防が決壊をしました。この円山川のところと出石川のところと、一カ所ずつ破堤をしたわけでございますが、その現場に行きまして、改めて、堤防が破壊されるとこのようになるんだなということを目の当たりにいたしました。その破壊された場所から濁流が流れて、その先はもう大きな湖のようになってしまいまして、これは双方ともそうなんですけれども、町が水没をしている、そういう状態でございます。

 まずやらなきゃいけないことは、これからも、きょうも雨が降っているわけでございますが、まず、この決壊したところ、破堤したところを応急的にでも復旧をしないといけません。それにつきまして急いでやるようにお願いをいたしまして、出石川につきましても、そして円山川につきましても、ともに仮復旧が完了をいたしました。これは仮復旧でございまして、これからさらに本格的な復旧ができるように進めてまいりたいと思っておるところでございますが、それとともに、なぜこのような形で堤防が決壊をしたのか、この原因につきましても、きちんと専門家の方々に入っていただきまして調査をしていただいているところでございます。その結果も踏まえまして、今後の政策に反映をさせたいと思っております。

 補正予算につきましては、きょうも朝閣議がございまして、財務大臣からも発言がございました。たび重なる豪雨の被害、台風被害、そして今回の地震の被害、もちろん不足分については予備費で対応するわけでございますが、それが不足であれば、当然のこととして補正予算の編成をしていくということになると思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 私、阪神・淡路大震災のときの記憶で、これは何とかならないのかなと思ったのは、要するに、復旧事業というのは、もとのままに戻す、もとより少しでもよくしてはいけない、こういう極めておかしな論法がございまして、もとに戻せば今回のこの河川の堤防の決壊というものが本当に安全性が回復するのかということは、私、この近年の、恐らく地球温暖化による異常気象でこれだけ続く水害の多発ということを受けて、恐らく国民の多くは、河川、全国の一級河川ですらその安全性に対して疑問符を持っている、こういう状況だというふうに思うんですね。

 ですから、本当にもとに戻せばそれでいいのだろうか、こういったこともございますし、八月に国土交通省が河川管理施設の緊急点検を実施した。国直轄の管理区間でも、要対処箇所が七十カ所あって、一月間でその八六%の対策を終了した、こういった話もございますが、それにおいてすら、その後に、この十月二十二日にこういったことが起きた。まさに、緊急点検をした、その対策もそれなりにした、しかし、予想を超える異常気象の影響によっての大変な量の雨が降ったことによる事故だというふうに思いますが、この地球温暖化の今の現状の中で、そもそもの、例えば計画高水位という基準をもう一回見直す必要があるのではないか。総点検をするという大臣の御答弁がございましたが、その総点検をするときに、抜本的に今のレベルでいいのかどうかといった見直しをしなければいけないのではないか。

 その見直しをする際に、やはり今、公共事業に対して、ここ数年大変な逆風が吹いていまして、今後の公共事業、社会資本の整備はすべてむだだ、こういった世間の批判が強い中で、これだけ自然災害が発生をしてしまっている。こういったことについては、私は、河川局なんかもっと元気を出して、復旧だけじゃなくて、踏み込んで、予防措置となる国民の生活の安全を守る社会資本を今こそしっかりつくるんだ、こういったことの政策の抜本的な見直しが必要なのではないかというふうに思いますが、この点について御所見を賜りたいと思います。

清治政府参考人 このたびの頻発する水害を踏まえまして、大臣から抜本的に河川の防災対策のあり方について検討するように指示を受けておりまして、現在検討にかかっておるわけでありますが、その中で、委員御指摘のような、計画規模は適切なのか、あるいは施設の管理水準等が、この緊急点検等を踏まえた上でも問題の箇所が出てきたわけでありますので、こういうことも適切なのかというようなことは、重要な課題の一つとして検討を進めているところでございます。

 水害は、雨の降るところとかが予想つかないものですから、結局は、水害を多く受けているようなところについて安全度を高めるための施策をあわせて行っていくというようなことが非常に重要だと思っておりますが、自然現象につきましては、やはりその整備を待って起こってくれるということではございませんので、これについてはふだんから、どのくらいになると危険だというようなことを地域の方々に知っていただくような努力もしなければなりませんし、また、雨が降ったときには、適切な情報を早くお流しすることによりまして避難等がおくれないようにするとか、こういうようなソフト対策についても強化が必要だと思っておりまして、この辺も含めまして総合的な対策のあり方をしっかりと検討して、今後の対策に反映してまいりたいというふうに思います。

赤羽委員 それで、そういう河川を初めとする抜本的な社会資本のあり方の見直しはぜひ進めていっていただきたいわけでございますが、今の被災者の立場に立つと、本当に早急にやらなければいけないことがたくさんございます。

 洲本のそういう水没地帯に行きますと、ほとんど村一帯というか、その地域一帯が埋もれている。ですから、ほとんど家財道具というのは、もう全部ぬれて捨てなければいけない。しかし、その捨てるのも、高齢者が多い地域ですと、そのごみを出すことすら大変だ。ですから、家の前に出したごみで、その道が全然車が通れなくなり、変な話ですけれども、いまだにくみ取りの地域もありまして、そこに必要な車が入っていくことができない。これでまた伝染病とか起こるんじゃないかというような二次災害、三次災害もすごく懸念もされているところでありまして、このごみ処理。

 あと地元で問題になっているのは、家電製品なんてほとんど水にぬれてだめになっている、しかし家電リサイクル法で、家電製品を捨てるときにはお金がかかるんじゃないか、こんな話になっていて、地元市町村ではその緊急の対応がされているようでありますけれども、こういったことについても、恐らく激甚災害の指定がされると多くの補助金とかがかさ上げされるんですが、家電リサイクル法はその激甚災害の後にでき上がった法律ですし、そういったことは対象に恐らく入っていないと思うんですね。

 ですから、こういった瓦れきの処理とか解体とかというのは、まさにこの新潟中越にしても台風二十三号の地域にしても、阪神・淡路大震災のときにとった特例で、公費負担でとにかくすぐやる、そのためにまさに補正予算を組むんであろうと思いますので、ぜひその阪神大震災のときの特例措置を見習って、手を打てるものは打っていただきたいし、家電リサイクルみたいな新しい法律に対しても、やはりあれは平時の話なんであって、異常な災害事態においては特段の措置をとるべきだ、私はそう思いますので、ぜひこの点について、環境省だと思いますが、お答えをいただきたい。

 あと、済みません、家電リサイクルだけじゃなくて、車も、水没地域ですからね、もう考えられないぐらい、ひっくり返った車が水田にぼこぼこ落っこちているわけです。今のままだと、所有者がそこまで行って、どうやって戻すのかな、もうほとんどだめになった、廃材となっている車についても、これも三宅島では恐らく公費負担をするような話もありますし、そういったことを見習って、それを私有財産だなんといって、そんなことをしていたら、復旧復興事業は全く進まないと思いますので、ぜひこの点についても特段の目くばせをして、意味のある対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 今回、地震あるいは台風によりまして大変な廃棄物が出ております。全国的にもことしは二百を超える市町村でこういった事態が生じておりまして、まさしく未曾有の事態でございます。私ども、県あるいは市町村と連絡をとりまして、ごみ処理が一刻も早く済むように、技術的支援あるいは二分の一の財政支援というものを行うことにいたしております。

 御指摘の瓦れきなどの処理でございます。これにつきましては、阪神大震災のときは、特にその処理に先立つ解体費用につきましても支援対象としたところでございます。これが新潟について可能かどうかは、よく検討させていただきたいと思います。

 それから、家電リサイクルの問題でございます。これにつきましては、可能であればリサイクルをお願いしたいということで依頼をしているところでございます。これにつきましては、リサイクルは個人ではなくて、市町村がリサイクルの費用を見ていただいて、それについても国が二分の一の支援をするということで対応したいと考えております。

 なお、車につきましては、これは会社あるいは保険会社との関係がございますので、連絡をとりまして、早く済むようにしたいと思っております。

赤羽委員 前向きな御答弁、大変にありがとうございます。

 また、あと、ちょっとこれは通告しなかったんですが、きょうお昼のニュースでちょっとだけ北側大臣の顔を見まして、救援物資がこれから随分被災地に入るわけですけれども、その通行料、有料道路の通行料はただにするんでしょうかという、そういうニュースがあったので、もしお答えできるんだったら、そういったことがどうなのかということ。

 加えて、お願いなんですが、人手が大変足りないと思いますので、ごみの処理も現実は人手をどう確保するかということで、NPOなんかも随分入る。そのときに、高速を通っていかないと行けないような地域というのはたくさんあるんですね。豊岡なんというのも、神戸から行くだけでも往復の道路料金でも大変金のかかる話で、NPOで入ってもらえる人たちに対して道路料金を安くはできないだろうか。救援物資ができるのであれば、NPOなんかにもできるのがいいんじゃないか。淡路島のように、下の道が遮断されていて高速だけが通っているというような地域もありまして、生活にも一時的に高速を全部乗らなきゃいけないというようなところもございまして、そういった点についても、極めて異例かもしれませんが、この自動車の有料道路の暫定的な期間の無料化というのをぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

北側国務大臣 きょう付で、有料道路に関しまして、被災住民に救援物資を運搬する車両については料金を徴収しないように措置することといたしまして、有料道路事業者に対して通知をもう既にしたところでございます。

 これは、各都道府県知事から証明をもらう必要があるんですが、しかし、絶対この証明書がないとだめだというのではなくて、料金所で、証明書がなくても、事情をお聞きすることによって救援物資を運搬する車両であることが確認できれば、やはり当面、料金は徴収しない車両として取り扱う、そうした旨通知をしているところでございます。

赤羽委員 ぜひNPOの方も、何か受け入れはそれぞれの地元でできると思いますので、そこの地元自治体が認めたNPOについて、そういった無料化もぜひ援用していただきたいと思います。

 最後に、時間もなくなりましたので、被災者生活再建支援法について、村田担当大臣が、法の趣旨にのっとって弾力的、柔軟に適用していく、こう大変前向きな御答弁をされておりますが、私、本当に法の趣旨にのっとるのであれば、やはり床上浸水はイコール全壊扱いとするといった形が一番わかりやすくて一番易しいと思います。

 きのう内閣府から、全壊認定とかなんとかというこの一冊の、これをいただいたんですけれども、まさに役所としてはこういうもの、運用基準というのを、指針をつくらなきゃいけないのはよくわかりますけれども、こんなことをやっているとやはり時間がかかって、支給まで何カ月、半年先ぐらいになると思うんです。それでは本来の法の趣旨、これは議員立法ですから、つくった議員の思いからすると、相当かけ離れたものになっていると言わざるを得ない。

 全壊世帯に対して家財道具とかを対象に支援金を払うわけですから、床上浸水なんて、二メーター五十も床上浸水されているところはほとんど家財道具なんかやられているわけであって、今まさにすぐの、生活物資の購入に対して支援金が払われる必要がある、これがまさに法の趣旨であると私は思いますので、余り難しいことを言わないで、床上浸水と認定されたら、これはもうぜひ早急に支援金を払えるような、そういった角度での弾力的、柔軟な適用をお願いしたい。

 大臣がいないので、統括官がそんなにうわっと言えるような答弁はできないと思いますが、その気持ちを聞かせていただきたい。

柴田政府参考人 被災者生活再建支援法につきましては、前国会で、赤羽先生を初め先生方の熱い熱意によりまして改正をさせていただきました。その結果、この一連の災害の中で、被災者の支援ということで非常に有効に活用させていただいているところでございます。大変ありがたく思っております。

 ただ、やはり法律の趣旨といいますのは、居住する住宅が全壊した、壊れてしまった住宅をどうするかということから始まっておるわけでございまして、直ちに床上だけで全部広がるわけではございません。しかしながら、水害というものは、地震と違って被害の状況が目に見えにくいということもございますので、被害の認定に当たりましては、基準の認定に当たりましては、地震等と違いまして、水害という違ったまた被害、災害だということで、それに適切に、あるいは弾力的に基準の適用ができるようにということで努めているところでございます。

 七月の中央防災会議でも、総理大臣の方から、積極的な運用を図れと言われておりまして、我々も、公共団体を通じていろいろと指導してきているところでございます。

 今回、今御指摘いただきましたけれども、さらに一層、支援法の弾力的な運用が図れるようにやっていきたいと考えておりまして、なかなか認定が難しいという御指摘もございますので、具体的な事例なんかを示して、被害認定基準の運用につきましては、そういうものがわかりやすいようなものを速やかに文書等で公共団体にわかりやすくお出しして指導し、支援法の積極的な活用を図っていきたいと考えております。

 例えば、浸水によりまして畳が吸水し膨張した場合には床はもう損壊しているというように扱うとか、浸水の水位が低位ではございましても、壁の内部のパネルや断熱材の吸水によりまして壁の全面が膨張している場合には壁の全面の損壊として取り扱うだとか、浴槽、便器などの設備が浸水によりまして機能を損失する場合が多いわけでございますが、その場合は設備の損壊として取り扱うだとか、いろいろとそういうものを個別具体的にわかりやすい形で、できるだけ早く、速やかに文書でまとめて指示したいと考えております。

 どうかよろしくお願いいたします。

赤羽委員 どうもありがとうございました。被災者の視点に立った万全の対策をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

橘委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、新潟県の中越地震で亡くなられた方々、また、この間の台風や豪雨で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げ、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。政府挙げて救援の態勢をとっていただきたいと考えます。

 私は、きょうは、被災者支援の問題についてまず最初にお聞きします。

 新潟の集中豪雨以来、地方自治体の被災者支援の対策は、国の基準を超えて独自の支援を行い、被災者に随分喜ばれています。

 私、調べましたところ、大別しますと、第一に、支援補助金を出す対象を広げたこと。例えば、福井県などのように住宅の新築、購入、補修まで拡大した例があります。

 二つ目に、支給対象世帯の範囲を拡大したこと。半壊、床上浸水、一部損壊まで広げた。福井県や鯖江市、新潟県、徳島県、愛媛県、岡山県など、もちろん所得制限など要件はさまざまありますが、しかし、畳を初め被災した世帯が生活の再建に必要と判断したものはすべて対象とする、こういう決定がいろいろな地域で施策として出されたことは、どれほど被災者を勇気づけたことでありましょうか。

 そして三番目に、打撃を受けた地元の産業に対して再生のための新しく直接支援を行ったこと、これがあります。福井県は漆器、和紙、そして福井市は眼鏡産業などでした。

 今まで政府は、個人の財産の形成に税金は投入できないと。私、ちょうど阪神大震災の折に個人補償という問題を提起しましたけれども、そういう答弁がいつも返ってきた。今でも忘れません。しかし、これらの自治体の施策というのは、被災の実態を目の当たりにして、被災者の生活と再建を支援するための援助の手だてを差し伸べている。ところが、政府が被災者の実態や願いにこたえる対策ではおくれているというのが私は現実じゃないかと思うんです。

 そこで、大きな角度でお聞きしたいのは、今こそこういう点を乗り越えて、個人補償という問題について踏み切るべき時期じゃないかということを思うわけです。その点での大臣の考えをお聞きしたいのです。

北側国務大臣 先ほどから議論なされておるわけでございますが、これは国土交通省の所管ではございません。ございませんが、被災者の再建支援のための法律というのがございます。これの適用についても、うんと柔軟な対応が必要ではないか。これは与党の中でも、また閣議でもそういう議論が相当なされまして、先ほど答弁があったとおり、しっかりその辺の運用を柔軟にしていこうというふうな形になっているところでございます。

穀田委員 生活再建支援法の弾力的運用、大体いつもこう言わはるんですね。

 問題は、法律の趣旨にのっとってといった場合には、例えば、先ほど中小企業に対する施策を自治体が行っているという例がありましたね。これは、国はやっていないんですよ。やっていないんです。融資はやっているんですけれども、直接支援はやっていないんです。それから、例えば、今言ったように、国の施策で見るならば、新築をするだとか再建するだとか修復するというのには出していないんです。本体に対しては出していないんです。

 地方自治体がやっているものについても同じように努力すべき時期に来ているじゃないか、その思想の中心、考え方の中心というのは、先ほど述べたように、個人の財産の形成に税金を投入することはできないという考え方が壁になっている、そういうのをそろそろ改めるべき時期に来ているじゃないか、大きな考え方について大臣にお聞きしているんです。大臣がそういう施策をやるかやらないかというような話じゃないんです。

 そういう角度で物事を考えるべき時期に来ているんじゃないか、政治家として、目の当たりにして、そういった問題についていよいよ答えを出すべき時期ではないか、どう考えるか、こういうことです。

北側国務大臣 今、穀田委員の御質問、よくわかりました。要するに、これまでの政府側が、それは個人の財産の問題ではないか、そういう個人の財産について政府側から税金を使って補償することはできない、こういうことについて見直すべきではないのか、こういう御趣旨ですね。

 これは、これも国土交通省で判断できる問題ではございません。むしろ、もう内閣府帰ってしまいましたが、内閣全体で議論しないといけないんですが、私も、もともとそういう問題意識は持っております。

 ですから、ケースによって、常にそういう、門前払いするのではなくて、検討しなきゃならない場合もあるんじゃないのか、そういう問題意識は以前から持っておるところでございます。

穀田委員 今るる私お話ししましたように、現実に被災者を目の当たりにしている地方自治体というのは、家がつぶれている、それは建て直さなくちゃならない、家がなくして生活再建はできないわけですから。そして、例えば今まで、行政でいうならば、中小企業に対しては融資しかなかったものを、直接の支援制度もする、これは明らかに、今までと踏み越えた内容に地方自治体はなっているんですよ。そういうのを踏まえて、それを、頑張ると言うのか、よし任せておけと言うのかという時代に来ているぞということを、時代認識としてきちっと持たないとだめだと思うんですね。せっかく問題意識を持っていただいているんだから、実行に移すべき時期に来ているということを改めて私は言いたいと思うんです。

 そこで、弾力的運用という問題をすぐ言うんですけれども、私は二つあると思うんですよ。

 一つは、地方に対して弾力的運用ということを言った際に、この間由良川のところを含めて行っていただいて、安心してやれ、国土交通省が責任を持つからと言っていただいたやに聞いていますので、問題は、結局のところ、そういう施策を実行する場合に、責任を持つという態度が明らかかどうかというのが問われるんですね。

 もう一つ問われるのは、弾力的運用というのは法の趣旨にのっとって、必ず先ほどもあったように言うんですよ。そうすると、生活再建支援法の法の趣旨は何かという問題が問われるんですね。いわゆる弾力的運用という一般論じゃなくて、例えば、先ほど同僚の議員が質問しましたが、細田官房長官は既に、弾力的運用を認める、対象を拡大するということを言っているんですね。ただ、言っているときに、それを示達し、その精神は、再建に役立つものはやろうじゃないかということがわかるようなことでなければ、現場というのはやはり、阪神大震災のときもそうですよ。一日何円のお金を例えば食費に出す以外にはならない、こう規定があるとそれに縛られちゃうという現実があるわけなんですね。それを大臣のところで、厚生大臣でもなければ防災担当大臣でもないわけですから、そういうことを言うのは、私と違うというようなことを言われたらまた困るんだけれども、そういうことをはらんでいるんだということをよくわかっていただきたい。わかっていただけますよね。

北側国務大臣 いずれにしましても、これは国土交通省の所管ではございません。ございませんが、ただ、今穀田委員のおっしゃった趣旨は理解をしております。

穀田委員 私も、京都をずっと回ってまいりまして、大江町、福知山市、舞鶴、宮津と行ってきました。本当に水害というのはひどいということがわかりました。

 大臣は、「従前からの災害対策を総点検し、中小河川の整備と管理のあり方や水防体制を抜本的に見直すなど、水害・土砂災害対策を強化して、」と発言をしています。また、治水対策に関して言うならば、従来予想していた雨量、水量で本当にいいのか点検する必要があると記者会見で述べています。

 まさに、ことしの風水害の被害というのは、従来型の治水対策ではだめだ、抜本的な対策が必要だ、これは先ほどおっしゃっているんで、そのとおりだと思うんです。そこで、とりわけ重要だと思うのは、河川の堤防決壊、地すべり、がけ崩れ、先日は海岸の防波堤が壊れて三名が亡くなっているなど、管理施設が壊れて被害が拡大する事態が相次いでいる、そこだと思うんですね。

 そこで、ことし発生した集中豪雨、台風によって幾つの河川や海岸の堤防が破壊されたのかお聞きしたい。

清治政府参考人 本年の災害の発生件数についてでございますが、河川と海岸についてお答えさせていただきます。

 十月十五日現在まででございますが、被害報告件数、直轄それから補助合わせて、河川が一万三千六百二十五件でございます。海岸につきましては、同じく直轄、補助合計で四百三十二件でございまして、参考までに、昨年、暦年でございますが、昨年に比べて倍ぐらいの件数になっている現状にございます。

穀田委員 やはり大変な実態ですよね。

 私も見てまいりましたが、由良川。あれはバスで有名になりましたけれども、本当は、あれは問題はバスよりも、バスも大変ですけれども、地域の被害実態というのは本当に大変でして、バスが立ち往生したところも含めて、整備計画はあるが整備が進んでいないという事実なんですよ。まあ、いずれも国直轄の河川なわけです。

 私はそういう点で、先ほども議論になりましたけれども、河川の堤防総点検についてお聞きしたいと思います。

 緊急点検を国交省が行いました。その中で、私は重要だなと思った点があったんですね。国交省は、日常の管理が不十分なこと、とりわけ都道府県管理が弱く管理方法に問題があること。そして二つ目に、完成した堤防区間でも破損、劣化等が見られ改修が必要なこと。三、改修など対策をとるにしても予算の制約がネックになっていること。これらが報告されています。

 これに関して、二つ聞きたいと思います。

 緊急点検は目視によるものです。これでは十分とは言えない。しかしそれでも、時間をかけた精査も進めながら常時に点検、改修を進める必要があるわけですが、この緊急点検で問題箇所とされていた以外の箇所が九月以降の台風により堤防破壊などしているんです。先週の二十三号の被害は顕著です。しかも、国直轄の円山川や由良川など、点検箇所以外の場所が壊れ、被害を受けています。

 確認したいんですが、総点検後、総点検で問題箇所とされた箇所以外の場所が台風等により破堤などの被害を受けた件数、場所はどうなっているか、御報告ください。

清治政府参考人 七月の梅雨豪雨を受けまして、御指摘のように、目視の点検を一カ月で緊急に実施いたしました。これは、ことしの出水期を前にして、とにかく全体を点検しようという趣旨でございました。直轄の区間等につきましては、毎年春先に点検をするなり、行っているわけでございますが、全般的な総点検を行ったのは今回初めてというような感じであるわけです。

 その中で、直轄で七十カ所、都道府県の管理河川では九百五カ所というところが緊急に対応する必要があるということになって出てまいったわけでありますが、これらについて逐次対応を進めてきたわけでございます。

 そういう中で、その後の出水によりまして被災を受けたところがございますが、これらにつきましては、点検で問題となったところとの対比という数字の整理の仕方はできていないわけですが、今回の被災に遭ったところはいずれも、今までにないような大きい雨とか、それから水位が上がったとか、そういうところが多いわけでございまして、これらに対しても、御指摘のように、日ごろの管理をしっかりすることによって機能の十全を期すことは非常に重要だというふうに考えておりますので、以降、全体の管理水準をどの辺に置いてやっていくべきかという話とあわせて、点検の強化、対策の強化を図ってまいりたいと思います。

穀田委員 長々とこういう一般論をしちゃ、本当、困るんだよね。要するに、わかっていないということでしょう。そう言ってくれればいいんですよ。それが問題だというんですよ、そういうのがね。そうでしょう、大臣。だって、総点検して危ないと言った以外のところで起こっているということは事実なわけだから。

 それで、例えば京都だって、この報告書ですよ、報告書で見ればゼロなんですよね。しかし、きのう私、いただきましたけれども、「台風第二十三号による被害等の現状について(二十報)」京都府のものを見ますと、河川で護岸決壊というのは二十二河川あると言っているんですね。ゼロだということは二十二カ所あるはずないわけで、二十二カ所だということがわかると思うんですね。

 そこで、管理ができていた直轄区間でもこれほどの大被害が起こっているわけだから、やはり国交省の責任は大きいと思うんですよね。

 そこで、円山川というのは、前の国土交通大臣も参加をして、ことしの五月の二十九日に円山川流域・但馬合同水防演習というのまでやっているんですね。だから、それが果たして機能していたのかということも問われるということを、私、一言言っておきたいと思うんです。

 時間がありませんから、最後に、要するに、改修をやりたくても、来年の出水期までにまた頑張りなさいと指示を出しているんですよ、そちらは。だけれども、これだけたくさんのものをどないしてやるのかということで、金がないというのが問題なんですね。地すべりなどなんかで起きている問題も、これは重要なんですね。したがって、国交省が中心的にかかわる急傾斜地崩壊対策事業についてお聞きしたいんです。その指定区域、若干の経過とそれから予算の推移についてだけ、一言、簡単にでいいですから、述べてください。

清治政府参考人 急傾斜地への対応でございますが、十年間でどのようなふうに変わってきたかということをお話ししたいと思います。

 現在十一万カ所ございますが、十年前には八万カ所ということでございました。これは、市街地が拡大したこと、あるいは調査手法が高度化したということが要因でございます。それから、急傾斜地崩壊危険区域につきましては、同じように十五年度末では二万七千カ所となっておりますが、十年前には二万一千カ所でございました。

 それから、その対策の事業費でございますが、平成六年度時点で八百四十二億円でございましたが、平成十六年度、今年度は七百十億円ということで、少なくなっている現状にございます。

穀田委員 今ありましたように、大事な問題はここなんですよ。急傾斜地崩壊危険区域数は、平成六年といいますから九四年ですよね、ずうっと毎年毎年ふえているんですね。当時二万一千カ所だったものが二万七千カ所になっている。当時八百四十二億円のお金を使っていたのに、四年後の一千三百四十億円使って以後ずうっと減っているんですよね。これだけ急傾斜地崩壊危険区域がふえているのに予算は減っている、ここに今大きな問題がある。

 私は、先ほど言いましたように、地方自治体の中でもこれを来年の出水期までに直しなさいというものはたくさんになっている、ところが問題は金がない、こういうことが出ている。そこで、大臣が抜本的にということを言った際に、さまざまな予算の使い方があるでしょう、だけれども、こういうみずからが指定した問題や危ないと言った問題について、きちんとお金を使うということが大事だということを指摘して、終わりたいと思います。

橘委員長 次回は、明二十七日水曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十五分散会


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