衆議院

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第17号 平成17年5月17日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年五月十七日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江藤  拓君    木村 隆秀君

      小西  理君    河本 三郎君

      佐藤  勉君    櫻田 義孝君

      菅原 一秀君    高木  毅君

      武田 良太君    中馬 弘毅君

      寺田  稔君    中野 正志君

      二階 俊博君    葉梨 康弘君

      林  幹雄君    福井  照君

      古川 禎久君    保坂  武君

      松島みどり君    松野 博一君

      森田  一君    菅  直人君

      下条 みつ君    高木 義明君

      玉置 一弥君    樽井 良和君

      中川  治君    中野  譲君

      長安  豊君    伴野  豊君

      松崎 哲久君    三日月大造君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      若泉 征三君    佐藤 茂樹君

      白保 台一君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            鈴木 勝康君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   政府参考人

   (住宅金融公庫理事)   吉井 一弥君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     佐藤  勉君

  高木  毅君     福井  照君

  松野 博一君     松島みどり君

  室井 邦彦君     中野  譲君

  谷口 隆義君     白保 台一君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     河本 三郎君

  福井  照君     高木  毅君

  松島みどり君     小西  理君

  中野  譲君     室井 邦彦君

  白保 台一君     谷口 隆義君

同日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     松野 博一君

    ―――――――――――――

五月十七日

 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人住宅金融支援機構法案(内閣提出第二六号)

 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人住宅金融支援機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長山本繁太郎君、海事局長矢部哲君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君及び住宅金融公庫理事吉井一弥君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 私は国土交通委員会の正規のメンバーではございませんが、都市選出の議員といたしまして、住宅政策については特に自分にとっても重要な課題として取り組んでまいりましたので、今回質問させていただきたいと思っております。

 金融面におきます官から民へ、これは小泉改革の柱の一つでもあり、私は重要なテーマだと思っております。したがって、二年後に住宅金融支援機構というものに現在の住宅金融公庫が変わる、変更するということは大事なことであると思います。

 ただ、この二年後の新機構スタートまでに解決しなければならない諸問題がまだたくさん残っていると思います。利用者のために国土交通省と金融庁に留意していただきたい点、さらに、今後期待したい住宅政策について質問させていただきます。

 まず第一に、融資対象者の選別の問題についてでございます。

 民間金融機関は、物件ではなくて借り手の勤続年数や業種、そういった借り手の属性によって融資を断るケースが間々ございます。実は私も昨年五月、自分の選挙区に、ずっと賃貸住宅に住んでいたものですから、マンションを購入いたしました。銀行には全部融資を断られまして、民間銀行には借りられなくて、住宅金融公庫があるうちにと思って昨年五月に借りた次第でございます。

 ちなみに、私はこの政治の世界に入る前、朝日新聞の記者をしておりました。このころは、生活環境の変化によって二回、独身時代と結婚してからと二回、マンションを買ったり売ったりしたんですけれども、どちらも民間銀行は喜んで貸してくれましたが、国会議員というのはどうも嫌われる商売のようでして、貸していただけない、そんな記憶を新たにしているところでございます。

 本来なら、公庫証券ローン、フラット35、今度いいのができまして、パンフレットもきれいなのもございます。このフラット35というのは、三十五年間ずっと同じ金利、フラットな、同一の金利で貸してくれるということでフラット35というようでございますが、これの適用により、銀行の貸し出しリスクは、例えば相手が国会議員であれ、中小企業であれ、外資系の会社をどんどん移り歩いている人であれ、銀行のリスクはなくなるはずでございます。これを使えばいいんですけれども、これを用いれば、住宅金融公庫がなくなっても、住宅機構がバックについてこれをやってくれると、銀行のリスクはなく貸し出せるはずです。

 そこで質問なんですけれども、もし銀行から、あなたは勤続年数が短いからとか、あなたのお仕事は不安定だからとか、そういうようなことを言われて貸せないというようなことだった場合、あるいは、銀行ははっきりそういうことは口に出さないかもしれないけれども、どう考えてもそれが理由じゃないかというように感じた場合に、その銀行に対してフラット35を適用してください、これでおたくのリスクはなくなるじゃないかと銀行に言うことができるのでしょうか。そして、銀行の担当者がそれでも渋った場合、新しくできる住宅機構に苦情を訴えることはできるのでしょうか。そういったことについて質問させていただきたいと思っております。

 ちなみに、このフラット35は、現在の公庫の直接融資と同じように、勤続年数などの要件は設けておりません。質問させていただきます。

山本政府参考人 まず一点目の、当該金融機関が公庫と契約を結びまして、証券化支援業務を利用したフラット35を提供しているということであれば、御利用になれます。銀行に対してこれを利用したいということをお話しになれます。

 もう既に住宅金融公庫の時代から、一昨年の十月から証券化事業をやっておりますけれども、その過程で公庫と銀行とは協定を結びまして、統一的に定めました基準、その中には当然、勤続年数とか業種は要件として入っておりません。それを合理的に判断して審査するようにという協定が設けられておりまして、そのとおりにやらない場合、金融機関がこれに違反して的確にやらない場合は、公庫において違反を是正しなさいということを求めることができるようになっております。

 したがって、お客様からもしクレームがありましたら、それが契約した機関であれば的確に指導しまして、さらに、是正する措置を講じない場合は契約を解除することもできるという仕組みになっておりますので、従来の公庫の直接融資と同じように、そういう勤続年数等によって融資選別をすることなく、国民の皆様にフラット35を御利用になれる仕組みとなるわけでございます。

 私どもは、あくまでも金融機関がこれに参加していただくということが非常に大事ですので、フラット35を周知し、全国のさまざまな金融機関にこれを取り扱っていただくというためのいろいろな努力を重ねてまいりたいと思っているわけでございます。

松島委員 一応安心いたしました。

 金融機関が、都合のいいときだけこれからできる機構との関係を使ってフラット35を活用して、自分がやりたくない案件についてはこのことを内緒にして隠しておいて、借り手に対して断るということがないように、それはきちっと周知徹底していただきたいと思います。

 二番目の質問でございます。これもPRに関してでございまして、再来年、二年後の四月に機構を設立して、個人向けの住宅ローンは災害関係を除いて廃止されるということになります。しかし、一般の国民は、住宅金融公庫がなくなるなんてだれも、今はほとんど知りません。それで、二つの意味で周知させることが必要だと思いますが、対策はどのようになるでしょうか。

 一つは、既に借りている人への対応でございます。住宅金融公庫の個人向け貸出残高は、十五年度末で五十四兆円、住宅ローン貸出残高全体の三割に上っています。非常に大きなボリュームがあります。ことし三月時点で四百十万件の貸し出しが残っている。つまり四百十万人が借りた状況でいるというのは、やはりこれはすごいことだったなと思っております。

 この公庫がなくなっても、既に借りている人たちは何も変化がないんだ、安心していいということをぜひ知らせていただきたいと思うことと、もう一つは、現在は、例えば倒産とか解雇、そういった事情によって返済が困難になった人に対しては、返済期間の延長や元本の据え置きなど、いろいろな返済特例が講じられています。これが、今既に公庫から借りている人が、公庫がなくなって機構になってからもそういうような返済困難者に対する対応をとられるのかどうかを確認させていただきたい。そして、このこともしっかりと、もしそれがオーケーなんだったらば、きちっと知らせるようにしていただきたいと思っております。それがPRの一点目です。

 もう一つは、まだ借りていない人、きょう、今の現在もいつ家を買おうかとタイミングをはかっている人たちが世の中には大勢いらっしゃいます。この法律が成立した段階で速やかに、十九年四月以降は公庫で借りるという選択肢がなくなるんだということ、先ほどの山本局長のお話ですと、フラット35を利用すれば銀行で借りても大丈夫だということですけれども、やはりどうせなら住宅公庫に借りたいという方もいらっしゃるでしょうから、今がチャンスだ、今のうちでないとだめだということを広報していただきたい。

 そして、そういう広報をすることによって、ひょっとしたら十九年三月までに駆け込み需要というか、公庫があるうちに借りたい、そういう人、私も去年、今ごろそういう心境にあったんですけれども、そういう人が発生するかもしれない。それに対応するだけの、こういうちゃんとした対策をとっていただきたいと思います。

 いかがでしょう。これはぜひ大臣にお願いします。

北側国務大臣 大変大事な御指摘をちょうだいしました。周知徹底をしっかり図ってまいりたいと思っております。

 御指摘のように、平成十九年の四月に住宅金融公庫は廃止をされまして、独法でございます住宅金融支援機構が設立をされるわけでございます。

 しかしながら、今までに公庫が融資を行った債権の管理につきましては、新法人が引き継ぐことにより、利用者の方には従来の融資条件と変わることなく返済を続けていただくこととしておるところでございます。

 また、公庫は、経済状況の悪化等により返済困難となった利用者に対して返済相談を実施し、利用者の実情に応じて返済期間の延長等に応じるなど、きめ細かい対応を行っておりますが、これもまた、新法人において同様の対応を行ってまいりたいと考えております。

 また、新法人の業務につきましては、今委員おっしゃいましたように、災害関係を除く個人向け融資は原則として廃止でございますが、民間による長期固定住宅ローン、フラット35の供給を支援する証券化支援業務により、従来公庫が直接融資により実施してきた長期固定ローンの安定的な提供を引き続き推進できるものと考えているところでございます。

 こうした一連の改革の内容につきましては、今委員の御指摘のように、周知徹底することが非常に大事だと思っています。消費者の無用な混乱を防ぐためにも、ホームページ、新聞広告、説明会の開催、利用者への通知等、さまざまな手法により十分な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

 とりあえず以上でございます。

松島委員 わかりました。

 あわせて、私、後段でお願いいたしました、とにかく十九年にはこうなるんだということをぜひこれからしっかりとPRしていただきたいと思っております。そうした場合に、よく、何でも契約書というものは、細かい字でいっぱいいろいろなことを書いてあるとわからないので、ぜひそういうPRの際には今までと全く変わりませんという一言を、新聞広告であれ、今借りている人へのお手紙の通知にしても、それを大々的に書いていただければと思っております。

 金融庁に質問させていただきたいと思います。

 国土交通省が行いました民間住宅ローンの実態に関する調査によりますと、住宅取得予定者の五二%が固定金利型を望んでいます。その一方で、民間金融機関が貸し出した住宅ローンのうち、長期固定ローン、この場合、長期といってもさっきの三十五年と違って民間の場合は十年を超している場合に長期というんですけれども、十年を超している長期の固定ローンは平成十四年度が三・三%だけ、十五年度は九・四%にふえましたが、これはトップ行がキャンペーンを行った結果でございます。そして、そのキャンペーン期間が終わったら、十六年度上半期はまた四・七%に下がってしまいました。

 そこで、二つ質問がございます。

 これまで金融庁は中小企業向けの貸し渋りや貸しはがし対策についてはいろいろと対策を講じてこられましたが、住宅ローンについても各行が長期固定ローンの金融商品を用意するように、そして、かつ、どれだけのお客さんが、用意していても、変動金利型、短期の固定金利ローン、あるいは長期固定金利ローンと大きく分けて三種類考えられるとして、どれぐらいの状況で銀行からは借り、比重を置いているかというふうなことなども公表するように指導するお考えはないでしょうか。

 銀行は、個人向けに対しては、例えば給与振り込みとか公共料金の引き落とし、そういったことで個人客のメーンバンク化を図っております。そして、そういうメーンバンクとしてくれているお得意さん、お客さんに対しては、住宅ローンも借りやすくしているような仕組みをとっているところもございます。

 そういう意味で、住宅ローンの品ぞろえについても各行が公表する仕組みをつくっておりましたら、個人が銀行を選ぶ際の有力な情報になるんじゃないか。今は銀行は何となく近くにあるからとかそんなことで決めているけれども、将来、みんなサラリーマンが、そのうちお金を借りて住宅ローンを組んで家をつくるんだ、買うんだという頭に立ちましたら、じゃ、日ごろからこの銀行につき合っておいた方がいいなという選択ができるように、そういう情報公開を金融庁としても促していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 近時、民間金融機関の住宅ローンにつきましては、御指摘のように貸出残高も増加しておりますし、また、利用者ニーズに応じたさまざまな商品開発なども進められているものと承知しています。こうした取り組みにつきましては、一般に、各金融機関がみずからの経営戦略で、そして、その一環としてさまざまな媒体を通じまして広告宣伝を行っております。既に民間事業者等が運営している住宅ローンにおきましても、住宅ローンを比較したウエブサイトが今もうできておりまして、利用者側のニーズにこたえた情報を提供しているものと承知しているわけです。

 今御指摘の、しからば金融庁としてどういった対応ができるのか。各金融機関の取り組みなどを比較、公表することについてどうかとお尋ねでございますけれども、その方法いかんによっては特定の金融機関の推奨につながっては、これはいけないと思います。

 したがって、慎重な検討は必要であると思いますが、ただ、今委員の御指摘で貴重な点は、利用者利便に資するという点でよく考えるべきであるということであろうかと思いますので、金融庁としても、何ができるかという点については今後勉強させていただきたいと思っております。

松島委員 時間が少なくなってまいりましたので意見を述べさせていただきたいんですが、今、最初の三年間とか最初の一年間だけ例えば金利が一%という超低金利で、その後は変動金利にする、そういうようなローンを民間が随分出しております。そうしますと、お客さんも、最初、よく事情がわからないで説明不足の場合に、後からどれだけになるかわからないことになっております。

 例えば、日本弁護士連合会が五味金融庁長官に三月に要請を出しているんですけれども、その中の記述で見ましても、例えば、三年固定金利年一%の条件で三千万円の住宅ローンを組んだ場合、三十五年で返済する場合、最初の三年間は月八万四千円の返済で済むんですけれども、その後、例えば金利が年三%になったら、毎月の返済額は当初より三割以上ふえて月十一万円以上になっちゃいます。そういったことをきちっと金融機関が説明するように。

 そしてまた、今、全国の消費者の相談窓口には、住宅ローンの支払いに関する説明が不十分だったために途中で返済が困難になったというような相談が多く寄せられておりまして、全国の消費生活センターと国民生活センターに対しては、こういった相談事が平成十二年度は九百七十一件でしたけれども、十五年度は、つまり三年後には一・五倍の千四百八十三件になっております。

 こういうことがないように、ぜひ金融庁としても御指導いただきたいと思っております。答弁は結構でございます。

 最後に、公営住宅への優先入居について国土交通省にお願い事と確認をさせていただきたいと思っております。

 去年の六月にDV法が改正されたのを受けまして、配偶者や元配偶者からの暴力に悩む被害者も公営住宅への優先入居の対象とするように、国土交通省が全国の都道府県に通知されました。これは私も求めていたことでございまして、非常に評価しております。

 そこで、お願いでございます。

 昨年十二月に、私もかかわったんですが、議員立法で犯罪被害者基本法というのを成立させました。これを受けて各官庁が施策を推進することになっているんですが、ぜひこの犯罪被害者についても、希望者は公営住宅に優先入居をできるようにしていただきたい。

 例えば、自宅に強盗に入られて家族を殺された方が、事件が起きた血が飛び散ったような家には住んでいられないというふうに転居を望まれたり、あるいは、殺人事件や傷害致死事件で働き手を失ったようなおうちでは、社宅に住んでいられない、住宅ローンが返せない、いろいろなケースがございます。また、事件じゃなくていわゆる事故でも、本当に尼崎の事故は悲惨でございましたが、あのマンションに住んでおられた方々は、まだJR西日本というのは資金力がありますから、そこから転居する際の面倒を見るとか、これから取り組んでいくんだと思いますけれども、これも、例えばそんなにお金のない零細運送会社のトラックが一軒家に突っ込んじゃって、そして家がずたずたになったとか、そこでもけが人が出たというふうな場合、事件、事故含めていろいろなことを考えられます。

 そういう犯罪被害者の方の公営住宅への優先入居についてぜひお考えいただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 犯罪被害者の優先入居につきましては、今も委員がおっしゃいました犯罪被害者等基本法の十六条で、「国及び地方公共団体は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、公営住宅への入居における特別の配慮等必要な施策を講ずるものとする。」このような規定がなされております。これを踏まえまして、関係府省と連携をとりながら、各事業主体におきまして適切な実施が図られるように取り組みをさせていただきたいと思っております。

 今後の課題といたしまして、犯罪被害者等の範囲をどうするか、認定方法をどうするか等の検討が必要でございますが、そうした検討も早急にいたしまして、委員の御指示に沿った形で優先入居ができるようにさせていただきたいと思っております。

松島委員 ぜひよろしくお願いします。

 最後一つだけ、高齢者への対策でございます。

 今回の法律改正によりまして、住宅機構は、密集市街地の再開発には資金を供給し続けることになっております。これは非常にいいことだと思っております。その中で、しかし、老朽化した木造アパートに住んでいる高齢者の方々、多くは女性のひとり暮らしでございますが、再開発によって住みかを失うことになる。こうした方たちが行き場を失うことがないように、そしてまたそれまで暮らしてきた地域社会の中で老後を全うできるように、例えば近隣にできた、そうすると、再開発できたら小ざっぱりしてきれいになるけれども家賃が上がっちゃって住めない、国民年金だけじゃとても住めないというようなことが考えられて、そういうときの家賃補助などの救済してあげる政策、あるいは公営住宅に入れるなり、そういった点の御配慮をいただきたいんですが、国土交通省、いかがでしょうか。

山本政府参考人 御指摘になりました密集市街地の再生が一番典型でございますけれども、従前住んでおられた方々、きちんとそこに住み続けていただく、一番大きな課題でございますので、町を、住宅市街地をつくりかえるいろいろな事業、一番中心になる仕事が住宅市街地総合整備事業という仕事ですが、必ず従前居住者のための住宅、公営住宅に準じた低廉な家賃の住宅を用意して従前居住者に引き続き住んでいただくという施策を講じておりますし、今般お願いしております公的賃貸住宅の特別措置法で住宅交付金ができます。密集市街地を総合的に建てかえるという地域計画をつくっていただければ、この交付金も使ってそういう従前居住者住宅が整備できる仕組みになっておりますので、そういったことを駆使して御指摘の問題意識にこたえてまいりたいと思っております。

松島委員 どうもありがとうございました。

橘委員長 下条みつ君。

下条委員 民主党・無所属クラブの下条みつでございます。

 先日は、本会議で大臣の方からもいろいろ御質問に対してお答えいただきまして、ありがとうございました。

 きょうは、その四月二十一日に本法案についてお答えいただいた内容のもう少し詳細についてちょっとお聞きしたいということでお時間をいただきます。よろしくお願いします。

 まず、証券ローン市場についての御質問をさせていただきたいと思うんですが、実績からいうと、現在、住宅金融公庫の証券化支援事業の実績というのは、平成十五年の十月に証券ローンがスタートしました。月次の買い取り件数は十一月で六件、平成十六年の十月で四百三十六件、だんだん乗ってきている、じりじりと微増を続けております。昨年の十二月に、しかし急激に件数が伸びているということであります。ことしの三月には、ローンの買い取り件数が四千五十三件に上がっている。これは非常にいい伸びようになっていると思います。既にもう公庫の直接融資件数を上回っているという状態になってきている。ここに来て急激な拡大であります。

 この要因としては、証券化ローンのてこ入れ策として、住宅金融公庫が昨年十二月に、半年間の時限措置として金利優遇の措置を入れてきたということだと僕は思います。証券化ローンの金利を決めるものの中の、公庫が事業運営をするための費用の部分のパーセンテージを引き下げた。費用の部分のパーセンテージを引き下げたというところが金利引き下げの要因になっていると私は思っております。

 この引き下げ幅は金融機関ごとに違うんですけれども、〇・二五から〇・三五、先行して、去年の十月の引き下げと合わせると大体最大〇・四%の引き下げ幅になっている。この結果、平均金利では昨年の十二月に二・九四と初めて三%を割った状態になっております。

 半年間ですから、今月末には期限切れとなるということでありますけれども、今回、この法案を国会で審議するに当たって、ある意味で実績の部分を残すことになったのかなという感じは受け取れますし、逆に言えば、この金利優遇措置というのは、つまり公庫が持っているスプレッド、マージンを圧縮して、つまりそのもうけを削ってこの結果を出してきたという感じが数字の上からいたします。

 そこで、一番目にお聞きしたいのでありますけれども、この金利優遇措置はこれからも延長されていくのか。また、この低金利、〇・四%程度平均金利が下がった金利を維持するための公庫自身が持っていたスプレッドの圧縮、つまりマージンの圧縮をどのように今後やりくりしていくのか。この二点について、まずちょっとお聞きしたいというふうに思います。

山本政府参考人 御指摘のように、住宅金融公庫では、先行実施しております証券化支援事業につきまして、各民間金融機関に対する提示金利を、昨年十二月より各金融機関の買い取り実績あるいは金融機関が設定しますサービシングフィー、手数料部分の水準に応じて意欲的なところに手厚くなるような形で提示金利を下げております。

 その趣旨は、証券化支援業務に積極的に取り組む金融機関に対して優遇金利を適用することでこの制度を前に進めたいという趣旨でございます。そういうことで、臨時の措置としてやりました。このため、先ほど御披露いただきましたような、証券化支援事業の実績が上がってきているというふうに認識しております。

 この措置は、あくまでもプロモートするための臨時の措置でございますので、今月末までの措置として導入しました。半年間。今月末で予定どおりに終了することを考えております。

 一方、この措置が終了いたしまして、六月以降でございますが、民間金融機関から住宅ローン債権を買い取りましていろいろな作業をしてMBSに、証券にしまして市場に売り出すという事務手続の期間がかかります。およそ一カ月半ぐらいかかるということでございますけれども、その間に例えば金利が上がってしまうと、買い取った金利は低い長期固定の金利、今度MBSで出す金利は少し高い長期固定の金利ということで、その差額のリスクを公庫が負うことになりますので、その部分のリスク分が何%ポイントかあるわけでございますが、その部分をヘッジ取引、スワップ取引なんかを活用することによってできるだけ圧縮しまして、六月からは民間金融機関への提示金利を、これは恒久的に〇・二%引き下げたいと考えております。

 それからもう一つは、これは別の観点からでございますが、直接融資のときに、住宅の質を誘導するという機能が直接融資にあったわけでございますけれども、これは民間金融機関を証券化で応援するという証券化事業になりますとその部分が難しくなりますので、一般会計からの出資金を財源としまして、耐震性能とか省エネ性能といった住宅の質に着目して、証券化ローンの提示金利を当初五年間〇・三%引き下げるという優良住宅取得支援制度、これは十七年度予算でお認めいただいたものでございますけれども、これも六月から導入したいと思っております。

 そういうふうな努力を講じまして、現行の提示金利、臨時にプロモートのために引き下げました措置が今月で終わりますけれども、証券化支援事業の円滑な推進に六月以降も大きな支障は生じないというふうに見通しているところでございます。

下条委員 ありがとうございました。

 私の方から先に中身について申し上げましたので、そういうお答えだと思いますが、一つは、民間に対しての金利を今〇・二%は恒常的に下げるというお話でございますが、市場の金利というのはいずれにしてもある程度一定の金利を出していますので、そういう意味で、それをカバーする意味でおっしゃっているんだというふうに思います。

 それで、私は、この金利のカバーの部分についてなんですが、今スワップ等をおやりになってというふうなお話でございますが、もう一つは、今までもこの金利を低くするために基金を利用していたということがあると思います、基金ですね。これは、今回の法案の第二十五条で定められた金利変動準備基金のことであるというふうに思います。これは、本年度の予算でも産業投資特別会計から四百五十億円を充てるとされている。この条文の中には、債権譲り受け業務及びこれに附帯する業務に必要な経費をこの基金の国債などの運用などから得ると指定されております。先ほどの提示金利の圧縮も、この経費部分を基金から賄っていたと私は理解をしております。

 さらに、この六条の二項には、政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加出資をすることができる、どんどんどんどん追加出資をすることができるとして、金利変動準備基金に充てることができる追加出資について定めているというふうに思います。

 私は何を言いたいかというと、要は、金利を低く抑えればどんどん件数はそれは伸びます。民間よりも安くて、先ほど委員がおっしゃっていたフラットの部分もありますから、金利低くて安くて伸びる。ただし、それが経費を基金で賄っていた結果であったとした場合は、今後についても、それだと、簡単に言えば、今までは財投からどんどん資金を入れていた状況を、形は変えれど打ち出の小づちみたいに基金の方で賄っていくことになるということは、私に言わせてもらうと、財投という名前は変わったけれども、特別会計の基金ができてこの経費は賄えるし、追加出資もどんどんできちゃうよというふうに私は読めるのであります。

 そこで、この部分のことがもしそうであるとしたら、ある意味で今までと変わらないぞというふうに思います。これは、いかがでございますか。

山本政府参考人 独立行政法人による証券化支援業務の運営の仕方についての最も根本的な部分についての御質問だと受けとめました。

 まず、原則から申し上げますと、証券化支援業務につきましては、かつてのように金利差を補給金で埋めるとか、一般会計からの財政的な支援によって金利を安くするということは、一切考えておりません。新独立行政法人による証券化支援業務は自律的に運営するというのが今回改革の大原則でございます。その上で、この基金はどういう働きを支援業務の中で果たすのか、果たさせようとしているのかということを御説明したいと思います。

 若干くどくなりますけれども、御容赦いただきたいと思うんですが、まず、先ほど申し上げましたように、民間金融機関から住宅ローンを買い取ります。金利を提示して買い取るわけですけれども、それから実際にMBSを発行して、いろいろな金利変動リスクをマーケットに、投資家の方に移転させるまでの間、一定期間あるわけです。先ほど一・五カ月と言いましたけれども、また二カ月あるかもしれませんけれども、その間、金利上昇リスクを、新法人といいますか機構が負うことになるわけでございます。これをどうヘッジするかということでございますけれども、まず、一般的な金利変動については、ヘッジ手段、スワップ取引でカバーしようと考えております。

 それはどういうふうにやるかというポイントだけ申し上げますと、民間の金融機関から債権を買い取る時点で、一カ月半先の市場の条件によって、こちらが固定金利を支払うから、通常起きる変動金利の利息を定期的に支払ってくれという、先行き一・五カ月先の条件の金融取引をまず結びます。その上で実際にMBS発行条件が確定します。その時点で、今度はその逆の取引をします。通常起きる変動金利の利息を支払うから、その時点の条件で固定の利息を定期的に支払ってくれという裏腹の取引を結びます。そうするとどういうことが起きるかといいますと、変動金利の利息をもらい、支払うということですので、それは相殺されます。結局一・五カ月前の時点で一・五カ月後の金利条件の長期の固定の利息を手にすることができるわけでございます。

 ですから、通常の金利変動であれば、その当該長期固定金利の水準が、公庫といいますか新法人が発行いたしますMBSの条件と同じであれば、リスクは完全にヘッジできるわけでございます。

 ところが、今回お願いしております四百五十億円でやろうとしております仕事は、通常であれば、今までの経験からすればその程度の変動だということでスワップの取引をしますけれども、しかし、経済は生き物でございますので、通常の変動を超えて異常なぶれが起きたときに、そのリスクが機構にかかってしまいます。その異常な変動の部分だけを、この産業特会からいただいたお金の国債等への運用益で補てんしていこう、そういうことによって、最終的に、例えば一般会計の財政に常に依存するということがないようにしよう、そこをきちんと遮断して、見える形でそのリスクをカバーしていこう。

 もし証券化業務がふえていきますとボリュームが大きくなりますので、非常にマージナルな異常な変動に備える基金ではありますけれども、四百五十億で足りるかどうか、今計算して、四百五十億と、十万戸ペースでやっておりますけれども、ふえてきますとそういうことがより必要になる可能性がありますので、機構法案ではその部分の規定をお願いしているわけでございます。

下条委員 懇切丁寧な御説明をありがとうございます。

 私も、金利では、日本でディーラーをやっておりまして、海外でもやっておりましたので、改めて頭の中が明快になりました。ありがとうございました。

 ただ、結論を言えば、今一番最初におっしゃった自律的な部分を大前提としているとおっしゃった部分でございますね。この部分が、やはり今回の法案を通して、我々もいい法案だと思っています。ただ、法案を通して自律的にさせるのに意味があるんだよ、そして私は、この法案の二十五条、そして第六条二項を見て、打ち出の小づちみたいにならないようにしていただきたいという意味での老婆心でお話をさせていただきました。ですから、今の決意をお聞かせいただいたので、よい方向で行かれるんじゃないかというふうに期待できるんじゃないかと思いますので、ぜひ打ち出の小づちにしないような形で対応していただきたいというふうに思っております。

 次に、今後の推進方針についてお伺いしたいと思います。

 先日、本会議で大臣の答弁で、これはそのまま読ませていただきますが、「証券化ローンの普及を図るため、投資家向けの広報活動の積極的展開や任意繰り上げ返済の速度を示す投資分析モデルの開発など、投資環境の整備を進めることにより、市場の健全な発展のための対策を講じる」というふうにお答えいただきました。

 ここで言う投資分析モデルというのは、今ちらっと出ましたけれども、MBSのパススルー証券であるため、簡単に言えば繰り上げ償還に伴うリスクをそのまま投資家が負うというものであります。つまり、今までは繰り上げ償還はそのまま丸のみで全部ペナルティーをつけなかったから、そのまま税金からもらっちゃうというものですけれども、今度は投資家が、パススルー証券ですから、そのまま投資家がその償還に伴うリスクをしょうんだよということだと思います、問題は。期限一括弁済などの通常の社債に比べれば、逆に言えば投資が難しい証券になります。

 そこで、私は、難しい証券を売るには、やはりそれなりの準備と心構えが必要というふうに思いますので、まず投資家に、主に機関投資家になると思うんですが、どうやって説明していくかがポイントだというふうに思います。

 そこで、このリスク等について、一番目の質問としては、機関投資家を含めてどうやって説明をしていくんだ。つまり、金利が低いよ、だけれども途中で返済すればあなたが責任とらなきゃいけないものだよ、買いなさいという説明をどうやっていくのか。そして二番目には、投資家が逆にリスクを負う部分、その部分、それは金利を逆に高くしなきゃ投資家にとってメリットがないですよね。買った者は、途中返済は、周りの金利が四パー、五パーになっても、二パーのままで持っていなきゃいけないぞと。途中で返済したら、あなたが責任とりなさいよ、でも金利はほかと比べて同じだよでは、これは機関投資家は買わないと私は思いますね。

 今の二点について、これはまさに今後になりますけれども、どういうふうに運営し、そして準備態勢を整えていかれるのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

山本政府参考人 住宅ローン債権を担保としました証券が通常の固定利付の債券といろいろな意味で違うということは、あらゆる機会をとらえて、投資家の方々とのやりとりをしておりますので、周知をする必要があると考えております。

 その上で、今御指摘がありましたポイント、特に繰り上げ償還リスクについて、住宅金融公庫のローンについてこれをどう見るのか、投資家にどういうふうに見ていただくのかということが、市場を的確に開拓していく上で非常に大きな課題となります。

 これは米国の場合の例で見てみますと、米国には公社債協会という組織がございます。パブリック・セキュリティーズ・アソシエーションという、PSAという組織でございますが、そこがMBSにつきまして、通常の家計が利用する住宅ローンであればこういうペースで繰り上げ償還が起きるということをパターンを整理したモデルがございます。これをPSAモデルというふうに呼んでおりますけれども、これを共通のマーケットにおける言葉としてMBSを取引しているというのが米国の実態でございます。

 実は、我が国の公庫のMBSの期限前償還につきましては、実はまだそういうモデルはできておりません。まして、ほかのものも含めたものは全くございません。マーケット自体が非常にプリミティブな状態だということでございますけれども。

 したがいまして、今は、実は、公庫がMBSにのせるローン債権について詳細なデータを公開しております。自分のところのホームページでも公開しておりますし、代表的な証券の情報会社を通じても提供しております。そういう開示された情報に基づいて各証券会社がいろいろな独自モデルを開発して、投資分析をした上でお客様とやりとりをしているという実態でございます。ですけれども、各会社がおやりになるので、予測値にもばらつきがあるといったような問題がマーケットにあるわけでございます。

 したがいまして、証券会社と、それから米国のような協会、日本でいえば日本証券業協会、それから金融庁など関係省庁と一緒になりまして、公庫のMBSについての期限前償還速度の共通指標を、日本版のPSAモデルと言ってもいいと思いますけれども、そういったものをできるだけ早く用意いたしまして、それは一種の市場インフラになるわけでございますので、そういったものを用意してMBS市場における円滑な償還を図っていかなきゃいかぬという問題意識を持っております。

下条委員 ありがとうございます。

 これからの話でございますので、アメリカのPSAをお使いになっていただくことは、私はアメリカにおりましたので、大変いいと思います。これからがいよいよ本番の市場、マーケットを拡大していくときになりますので、ぜひ用意周到の上で対応していただきたいというふうに思います。

 続いて、モーゲージバンカーの新規の参入について何点かちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 先日、これまた本会議で北側大臣から御答弁いただいたんですが、モーゲージバンカーなどの多様な主体による競争的環境の中でローンが供給され、消費者から見た選択肢が広がることが望ましいとした上で、モーゲージバンカー等の新規参入の促進に努めるということを大臣からお答えいただきました。そういう意味では、今局長からいただきましたけれども、住宅金融システムについては先進のアメリカなどのシステムを参考にこれからもつくっていくということではないかと思います。

 ところが、当のアメリカでは、まずその中のローン創出とか、そして借り手にとっての最初の窓口の部分でモーゲージカンパニーというのがまず位置しております。これはもう御存じだと思いますけれども。これは大きくモーゲージバンカーとモーゲージブローカーに分かれる、バンカーとブローカーに分かれる。最終的には回収業務もやるサービサーというのがいます。

 ここで、私は、モーゲージバンカーについての新規参入についてちょっとお聞きしたいというふうに思いますけれども、機構の業務の範囲を定めた法案の第十三条の一項に「主務省令で定める金融機関の貸付債権の譲受けを行うこと。」というふうになっています。つまり、新規参入してくる証券化ローン商品を取り扱うモーゲージバンカーは、主務省令で定められた業者ですよという意味だと私は思います。

 どのような母体が、業態が主務省令で定められていくのか、また、機構と提携して証券化ローンを取り扱う業者はどのぐらいの数を見込んでいらっしゃるのか、あわせてちょっと教えていただきたいというふうに思います。

山本政府参考人 一昨年の十月から先行してやっております、公庫において取り組んでおります証券化支援業務において、主務省令で定める金融機関とは、まず第一に、銀行等でございます。それから第二に、農業協同組合等の系統の金融機関でございます。それから第三に、商工組合中央金庫でございます。これらはいずれも金融機関でございます。委員御指摘のモーゲージバンカーに相当する部分としましては、四番目に、保険会社、法人である貸金業者、それから住宅金融専門会社、この三つを規定しております。

 これは新法人におきましては、機構法の主務省令でも同様の規定を置きたいと考えております。

下条委員 局長はどのぐらいの数をお見込みでございますか。

山本政府参考人 これは市場の環境の整備、それから、私どもとしては、大臣が御答弁申し上げましたように、できるだけ競争的な条件が市場で整備されるということが大事でございますので、預貯金を持っている金融機関だけではなくて、ローンの設定それから回収について懇切なサービスのできるモーゲージバンカーがどんどん参入してきていただくことが政策的には望ましいと思っております。

 ですけれども、具体的に五年後、十年後にどのぐらいの機関が入ってきてくれるかということについて、固まった見通しを持っているわけではございません。できるだけ多く、市場環境を整備するという意味で、参入してほしいということを考えております。

下条委員 なぜ私がそれを聞いたかというと、最初に局長がおっしゃっていましたアメリカのPSAをモデルにして投資スタイルをつくっていくということですけれども、私が危惧しているのは、会社法でいろいろな今改正があったりしている中で、アメリカのこういうモーゲージの業種の連中は、もう商売だけですよ、日本を救おうなんて全然思っていない。彼らが、今局長がどれだけってわからないよとおっしゃったレベルのこの市場に、抜群なノウハウを持って入ってくる。簡単に言えば、幾らでもこれからねらい撃ちできる市場であるということなんですね。

 それで、御存じと思いますけれども、向こうの大手モーゲージバンクの上位というのは数十兆円ですよ、レベルが。このレベルの連中がこの市場を食い物にどんどん入ってくる可能性がある、それを私は危惧しているのであります。

 そこで、主務省令によって定めるということで、特に外資に対しての規制はないんです。私が読む限りですよ。私の読む限りです。そこで私は、やはり何といいましょうか、これは日本の国でやる話であって、日本の国の人たちがその部分について、住宅を持ちたいんだ、投資家もなるべくなら日本人が投資してもらえればなという中で、何かしらそこに防波堤を、外資に対して防波堤が必要なんじゃないかという意見なんです、私は。

 はっきり言いまして、ここは金融庁じゃないから、また財務省でもないので、今、いろいろなテクニックの話は私はしたくありません。だけれども、私もアメリカで日本企業として戦った人間としましては、物すごくおいしい市場なんです。主務省令に、金融機関の規定が全くどうでもいいですよとなった状態であれば、どんどん外資が入ってきて、知らぬうち、だって教える側が外資なんですから。相撲と違うんですね。今、相撲は外人さんが横綱をやったり多いんですけれども。

 そういう意味で、教える側が皮算用してどんどん入ってくる市場にしちゃって、このままでいいんですかという質問なんです。そこをどうお考えですか。

山本政府参考人 御指摘のように、法令上は、先ほど主務省令を御紹介しましたけれども、例えば、貸金業を営む法人、あるいは住宅金融専門会社であれば、あるいは保険会社であっても、外資であると国内資本であるとを問わず参入することができます。

 それから、実際に住宅金融公庫がどういうところを相手に証券化支援業務の金融機関として基本協定を結ぶかということについて認定の基準を設けておりまして、その中では、財務がしっかりしているということ、それから社会的な信用があること、暴力団なんかとかかわりがないとか、そういったことでございます。それから、業務の遂行能力がある、きちんとした実績も上げているといったようなことを基準に協定を結んで、証券化業務をやっていただくという構えでございます。

 そういう制度を前提に、今現在は、十七年の五月時点で、二百二十六機関、金融機関と協定を結んでおりまして、それから、モーゲージバンカーは七機関でございます。制度としては、先ほど言いましたように、外国系金融機関の参入を排除するものではございませんけれども、現在のところ、参入の実績はありません。

 未来永劫今のままでいくということを申し上げるつもりはないんですが、今現在ですと、外国系金融機関の参入を防止するといいますか、というような基準を設ける考えはございません。

下条委員 私は、これは非常に危険な状態、野放しというか、わきがばかっとあいた状態でリングに上がってボクシングの試合をするような感じだと思います。

 我々日本国民は、私はよく、ほかの国のことをやる前にまず日本を守らなきゃいけないというふうな前提でこのお話をさせていただいていますが、ぜひ大臣から、この外資の参入に対して、今、主務省令では全く無防備になっています。全く無防備になっている。これをこのまま野放しにして、参入されてぼこぼこになってから、いや、ちょっと改正しようじゃないかというお考えなのか、それとも、これから前向きにこの部分について、ほかの国だって防波堤を張っているんですから、何で日本だけが何も張らないでそのまま無防備にするのかなと私は思いますよ。その辺、大臣は御意見いかがでございますか。

北側国務大臣 私も必ずしも専門でございませんので。ただ、委員の今の御指摘がございましたので、他省庁、関係機関ともよく協議をいたしたいと思います。

 先ほど住宅局長が答弁をさせていただきましたが、委員のきょうの御指摘がございましたので、関係機関と協議をして、どうなのか、よく検討をさせてもらいたいと思います

下条委員 私は、どこがいい、悪いと言っているんじゃなくて、日本を守りたいと単純に思っています。

 きのうですか、長者番付でサラリーマンの投資部長が年収百億という時代です。これは簡単に言えば、それだけもうけられるノウハウを持っているんです、彼は。こういう連中は何ぼでも入ってくる可能性があるんです。ところが、受ける側が、今申し上げたように、正直はっきり言って浅いわけですよ。これはしようがない、専門分野が違いますから、住宅専門なんですから。だから、そういう意味で、こういう協議機関を置いて、防波堤を置きながら、その中でも市場の発展に関して采配を振るっていくべきだと思います。私は、そんなお人よしじゃなくていいと思いますよ。

 結局、大きいツケだけ、要するに、もうかる企業が外資系で出るということは、損する日本の企業がたくさん出るということです。その部分の補てんは皆さんのお子さんたちが税金で払っていくということになりますので、ぜひ、このままの状態の野放しはできれば排除していただいて、防波堤の部分で協議をしていっていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、さっき言った、金融機関はモーゲージバンカーを含めた主務省令なんですが、もう一つ、モーゲージブローカーというのがあります。これは簡単に言えば、ブローカーですから、借り手の人と、資金の出し手のモーゲージバンカー、金融機関のつなぎ目の人たちです。

 アメリカでは、モーゲージブローカーというのは州ごとにそれぞれライセンス制になっていて、三万ぐらいいらっしゃるんですね。三万会社ぐらいあるというか、個人でもやっていますけれども。非常に競争が厳しいので、そこにコスト削減やサービスが向上を図れることになっています。

 日本においては、こうした中小ブローカーについては、きめ細かなサービスが競争原理の中できちっと育つ必要があると僕は思います。その中で、この間レクで、このモーゲージブローカーについては、今参入に関しては特にライセンス制も指定制も何にもない、自由だよ、だれがやっても全然構わないよという話をお聞きしました。

 私は、たとえ、これはすごく厳しいハードルを置く必要はないと思うんですが、ある程度のライセンス制等々の形をしかないと、こういう不景気な時代です、いろいろな、こっち岸の人とか悪い暴力団関係の人が出たり、またさっき言った外資系が幾らでも入ることが無防備にできてしまう。

 指定制もライセンス制もない、こういう状態の部分について、これから、今はいいです、今そのことについて議論しているんですから、悪いと言っているんじゃなくて、今後の話として、この部分について規制を入れていくお考えはあるのかどうか、いや全くないというのかどうか、お答えいただきたいというふうに思います。

山本政府参考人 恐らく御指摘の課題は、住宅金融取引の実態に照らして事柄が決まってくるように思います。

 伺うところによりますと、米国では、消費者の方が住宅ローンを設定する。いろんな多様な住宅ローンがある中で、自分の住宅ニーズに照らして、どういうローンが一番いいかということについて専門的にあっせんをしていただく方としてモーゲージブローカーというものが存在して、ほとんどの方がモーゲージブローカーを通じてローンを設定する、ローン契約をする。お客様のニーズがあれば、こういうローンとこういうローンがありますよという形で設定するという、住宅金融についての行動の現実があるというふうに伺っております。

 片や、我が国の場合は、金融機関もいろいろな案内もしますし、間に立ちます不動産事業者、住宅供給事業者もいろいろな役割を果たしております。それで、独立した職能として米国のモーゲージブローカー類似の仕事をしている人は、まだいない段階でございます。

 そこで、御質問の関係では、私どもとしては、モーゲージブローカーが果たしている、質のいい住宅ローンを消費者の方が的確に手にされるということで果たしている機能はありますので、そういうことを正面に据えまして、住宅の生産者とか不動産事業者とか、つまり取引を応援する方々が住宅ローンについてきちんとした知識を得て、お客様のそういうニーズにこたえられるようにする。わかりやすい言葉で言えば、住宅ローンアドバイザーというような知識を持った人をきちんと育成していって、そういう課題にこたえていくというのがまず一歩じゃないかと思います。

 それが定まった職能として確立してくれば、次に、これをどういうふうに業の規制として先に進んでいくかという課題が浮かんでくるんだろうというふうに見通しておりまして、今、正面の課題としては、お客様がきちんと御利用になれるように、住宅ローンアドバイザーをぜひ的確に育成して、消費者保護を図っていきたいという考えでおります。

下条委員 ありがとうございます。

 私がなぜこのブローカーの話をしたかというと、住宅を購入される方等々を含めて、ほとんど素人なんですね。

 そこで、さっき局長が御自身でおっしゃった、アメリカの投資モデル、PSAを前提とするとおっしゃったのにもかかわらず、肝心の、つなぎの、金銭のやりとりをする、また商品のやりとりをするブローカーについて、日本だけ全く規制がないのはおかしい、こういう説明を私はさせていただいたわけです。ですから、今おっしゃったお名前が住宅ローンアドバイザーの育成ということですが、これは、では、私に言わせれば、指定制とか何かそういう特別な権利とか、試験を通過した人がなるんですか、それとも全く野放しで、どなたかの金融機関か何かが勝手にできちゃうという意味なんでしょうか。ちょっと御説明いただきたいと思います。

山本政府参考人 住宅金融普及協会で一定の講習を用意していまして、その講習を受講した方にきちんとアドバイザーとしての知識を身につけられましたという位置づけをしたい。そういう方が不動産事業者とか住宅供給事業者の中で仕事をしていくという形となります。

下条委員 では、局長、この方以外はブローカーはできないという意味でございましょうか。

山本政府参考人 その点は、先ほどの御質問に戻ってしまうんですけれども、米国のような、要するに、住宅ローンをあっせんする、多様な住宅ローンの中から、お客様、あなたにはこれが一番的確ですということで、住宅ローンの契約までお手伝いするという形の職能は我が国にはまだ入ってきておりませんし、そこまでいくのには時間もかかるでしょうから、その入り口として、お客様のニーズに的確にこたえられるような相談員としての資格をできるだけ磨いてほしいということに取り組みたいということでございます。

下条委員 今の段階ではそれ以上お答えできないと思いますけれども、私は、こういう市場を育成したいんだよということを前提にお話をしているのであって、いやいや、ちっちゃくていいんだ、自分が役所にいる期間はちっちゃくていいよ、そういう発想ではないと私は理解しておりますので。要するに、でかくしていきたいんだったら、その辺のブローカーにしろバンカーにしろ、アドバイザーでもいいんですけれども、きちっとしたものを用意しておかなければ、これから育成していくときに階段を踏み外しますよというふうに私は老婆心で思うので。

 そういう意味で、ぜひ前向きに、アメリカモデルとおっしゃいましたから、アメリカでは既にライセンス制をしいているわけですから、その辺も検討に入れていただきたいことを要請をもう一度させていただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間の関係もあるので次に移らせていただきたいと思うんですが、私は、今度の金融法案については基本的にいいと思うんですが、ただ、今まで窓口がどこかの金融機関にあって、そして、住庫さんに資料だけ整っていたら持っていって、住庫さんが貸し手になっていてやったのと違うわけです、今度は。今度は貸し手が完全に、要するに金融機関になるわけですよ。要するに後ろ盾、もしくは債権を売却するのは全部その法人がやってくれるというのでありますけれども、あくまでも貸し手は民間の金融機関である。そうすると、そこに何が発生するかというと、単純にサラリーマン精神が発生します。簡単に言えば、幾ら補完されることがあったとしても、自分が審査をして貸し出したものが倒れたり焦げついたりすれば、自分の評価にマイナスになります。これがサラリーマンですよね。

 そういう意味では、ローンの審査が、さっき言ったフラット何とかというのは、商品は変わらないことも私はわかります。ただし、その審査が貸し手である民間金融機関に移るということは、逆に言えば、非常に難しい発想なんですけれども、私は、あくまでも健全な借り入れをしてくれる人に健全な貸し金をするべきだと思うんです。つまり、だれから何から何でも貸しちゃえばいいというのではないと思うんです。いっときの夢が実を言うと先に行けば返せなくなって壊れるようなローンであれば、私は、いっときの夢、リポビタンDと言っちゃいけないんだけれども、いっときだけの元気づけになってしまうと思うんですね。

 そういう意味では、ある意味で、時として民間みたいに審査をきちっとするという意味では、この方が僕はいいと思っているんですよ、私も民間にいたから。その一方で、余りにも厳格になり過ぎて、さっき言ったサラリーマン精神で厳格になり過ぎて、本当に十分に返せる人たちに対しても、そのときのサラリーマンの課長や支店長や副支店長が、いやいや、おれのときはもう転勤だからやめるというふうになってしまっちゃ困るわけだと。その両方のてんびんのバランスをとっていかなきゃいけない商品だと思うんです。

 そこで、受け付けや融資についての審査、そして、例えば融資目標等を設定して、このぐらいあなたやりさないよ、今までやってきたんだからというようなものを今後置かれるのか、それとも、いやいや、もう野放しだ、自由にどうぞ、補完だけはきちっとこっちでやるよ、自分たちの方でという形にするのか。私は、ちょっと今の二面性の、優し過ぎちゃいけないけれども、厳し過ぎちゃいけないという、非常に子育てみたいで難しいところなんですけれども、その辺は、局長、どういうお考えかお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

山本政府参考人 一番大事な、バランスを要するところだと思うんですが、提携する金融機関に対して、おたくが貸し出された住宅ローン債権を、今は公庫、それから機構が買い取る債権であるということを明確にするために、住宅ローン債権の売買の基本協定というのを提携機関との間に結びます。

 それで、こういう債権であれば譲渡適格であるということを定めておりまして、これはかなり、一見明白にお客様でもわかるし、窓口におられるサラリーマンの方でもわかるということにしておりまして、例えて言いますと、御関心のある債務者に関する基準でいいますと、例えば債務者が借り入れ申し込み時に年齢が七十歳未満である、それから、貸し付けを受けた債務者は日本国籍を有するかあるいは永住許可を受けている外国人である、あるいは貸し付けを受けた債務者かあるいは貸し付けを受けた債務者の親族ができた住宅に入居することが可能だ、自分か親族が住んでもらわなきゃ困ると。これも直接融資と思想は同じですけれども。それから四番目は、債務者の収入の月額が毎月の償還元利金の四倍以上であるといったような客観的にはっきりした基準を設けまして、それ以外の債務者要件を設けてはいかぬということにしておりますので、それについてはおっしゃるようなバランスが非常に大事なんですけれども、公庫なり機構もいろいろ努力をいたします。

 それからもう一つは、やはりマーケットの競争関係が、いいかげんな対応をする金融機関の窓口にはお客様は来なくなるという要素もありますので、ぜひ競争条件を整備して、国民の皆様が的確にフラット35にアクセスできるようにしていきたいと考えておる次第です。

下条委員 あくまでも窓口での、今四つ、債務者ですか、借り手の方のこの条件を少なくとも外さないようにということだと思うんですけれども、私は、金融機関の立場でいえば、危ないやつにはもう絶対に貸さないですよ、はっきり言いまして。それについて、監督官は別にいないということだと。ですから、本当に物すごく難しいんですね、これは。厳し過ぎちゃいけない、優し過ぎちゃいけない、非常に難しいアクセルとブレーキの部分なので。

 今後の課題として、私は、今の条件のままではきっと物すごく落ちますよ、借入実績で。宣言しておきます。ですから、これについては少し監督官がしばらく、これだけ前あったんだから、このぐらいの実績でやったらどうだいぐらいの指導事項を入れていかないと、民間の金融機関は貸さないですよ、こんな長期のものは。

 というのは、長期というのは、皆さん、例えば局長がだれかに金を貸す。ずっと残るんですよ、その支店にその人の名前が。サラリーマンは危ないやつに貸さないですよ、オーナーじゃないんだから、ほとんどの金融機関。だから、私はあえてサラリーマン精神で言っているんですよ。

 ですから、今の状態では到底、私は、この法案をつくるということは、それだけのいろいろなものを処理して、大きく市場を、マーケットをやって、借り手が借りやすいような市場に育成していくことを前提にやっていると思っているので、あえてこういうお話をさせていただいています。

 ぜひ監督を深めていくということを頭に置きながら進めていっていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 どんどん時間が来てしまっているので、次にまた移らせていただきたいと思います。

 次は、機構のリスク管理。さっきもちょっと一度出た話ですけれども、ちょっと戻るんですけれども、さっきPSAモデルのところで、簡単に言えば、市場から資金を調達するときに、金利の変動があったり、社会情勢があったり、外国の動向があったり、いろいろな要因があって突然資金調達に困ってしまう、また返済不能者の急増が出てくるという場合について、さっきは、PSAモデルですか、それによって先行きの部分をリスク管理していきながら、どの程度で金利を出していけばいいかというのを置いていくというお話をいただきましたよね。

 今、海外でも起きていますけれども、例えば、私ども日本でも、九〇年代に土地の価格がともかく上昇していくというのがありました。神話だったです。ところが、その神話に前提としていろいろなものがあって、がたんと落ちてきました。ですから、私はすべてのスキームに絶対というものはございませんというふうに思います。

 そういう意味では、もう少し細かく言うと、例えば、低い金利で債券を欲していた投資家、低い金利で。ああ買った、機関投資家が百億買った、二・五%で。ところが、五年、六年たって金利が上昇してきた。それで、市場の金利はそのとき三・五になってしまった。そうしたら、私が投資家なら先に絶対売りますよ。そして三・五の高いところで債券を買いますよね。そういうブロックを入れておかないと、この先また、実を言うと、この間、本会議場で言いました、繰り上げ返済等があって、そこにペナルティーを置かなかったために多くの逆ざやが発生して、三兆円規模の焦げつき等含めて金を投入したわけですよ。そうですね、財投から。

 だから、そういう部分も、機関投資家に債券を買っていただくときに、きちっとペナルティーを含めたものを入れていくことがこれからも非常に必要でありましょうし、それから、大量の回収不能が発生したとき用にどういうふうなお考えで対応策を考えているか、これをちょっと御回答いただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

山本政府参考人 幾つかの論点があったと思います。

 まず、MBSのお客様との関係でいろいろなリスクの管理は大丈夫かという御指摘ですけれども、そもそも長期固定の住宅ローンに伴うリスクは、金融機関としては金利変動によって、預貯金などの調達の負債の方と貸し出している資産の方のマネジメントという意味で、リスク管理が要るということが一つ。

 それからもう一つは、MBSですので、任意繰り上げ返済のリスク、それから貸し倒れによる信用リスク、こうあるわけですけれども、金利変動に伴うリスク、それから繰り上げ償還のリスクは、いずれもMBS証券に化体させてマーケットに持ってもらうわけです、投資家に持っていただくわけです。したがって、投資家としては、金利情勢によってMBSの価格が上下しますので、上がると思えば持ちますし、金利が高くなって下がると思えば売ろうというふうに思うということはおっしゃるとおりです。

 それはしかし、マーケットのメカニズムでそういうリスクを吸収してもらうようにするということがこの制度の眼目でございますので、私たちが目指すところは、そういったいろいろなリスクを的確に吸収できるような規模と機能のマーケットができ上がるということが一番肝心だと思います。でき上がりさえすれば、今申し上げましたそういう金利変動のリスク、繰り上げ償還のリスクはマーケットが持ってくれるというふうに考えております。

 ですから、そういうレベルのマーケットにできるだけ早く育成していかなきゃいかぬ、そのためになすべきことはたくさんあると思いますので、努力していきたいと思います。それが前半の問題意識についての私どもの考えです。

 それから、公庫ないし新法人の機構がみずから持つことになります貸し倒れのリスクでございます。

 これにつきましては、そのための的確な費用を金利に上乗せして調達する、それで蓄積しておくということが今度の仕事のスキームでございますので、実は、金利に上乗せする貸し倒れ信用リスクがどの程度なのかということを、常にマーケットをウオッチしながら、マーケットにおくれないようにするという行動が非常に大事だと思いまして、四半期なら四半期ごとに債務者の状況を的確に掌握しながら、履行遅滞が非常にふえてくればその部分の信用リスクを上乗せして、機構の財務に重大な影響が生じないように機動的に対応するということが一番肝心なことかと考えております。

下条委員 まだ私はちょっと不満なんですが、ちょっと時間の関係があるので進んで、簡単に言えば、投資家が持った債券はマーケットが持つんじゃないんですよ、その危険度は。それは、簡単に言えば、証券の機構が持つことになりますよ、どんどんどんどん返済されていっちゃったら。機関投資家が、もうこんなに高くなったから低い金利で持っていたくないよと。だから、マーケットじゃない。その前に既に売り飛ばします。株と同じですよ。上がってから売ったら遅いわけです。上がり出したころにどんどんどんどん売り出しますから。そのときにロックをかけておかないと、簡単に言えば、大きなマイナスをまた税金で補てんすることになるという意味であります。

 それだけちょっと最後に申し上げておきたいと思います。

 時間がないものですから、最後にもう一点だけちょっと大臣にお伺いしたいんです。

 先般、本会議で、財政投融資資金の出し手である財務省、谷垣大臣に御答弁いただいた部分で、「財投の活用を原則終了するなどの抜本的な事業の見直しや、組織、業務の効率化など最大限の自助努力を行うこと等、一定の条件のもとで例外的に、財政融資資金への補償金なしの繰り上げ償還を行うこととした」とお答えになっていました。これはそのままです、そのままのお言葉です。

 私は、ここで言っている、例外を認めるかわりに最大限の自助努力という部分が非常に必要じゃないかと思っているんですね、これをやっていく上で。

 そこで、ちょっとお聞きした話によると、この法人は、第一期中期目標期間中の平成十九年度から二十三年度の間に、常勤職員を一〇%、一般管理費については一五%以上削減しますよという目標を持っています。これをやるから三兆円部分については最大限の自助努力として認めてくれよ、こういうことだと僕は思いますね、この部分でいくと。

 私は、この住構の仕事内容をちょっと調べさせていただきました。

 個人住宅建設、分譲住宅購入、リフォームなどの直接融資というのは、平成十五年のものだけ見ても、金額ベースで七三%の仕事をそれでやっていました。そして、件数ベースでは八一%であります。ということは、これだけの仕事がなくなるわけです、民間に行って。つまり、金額ベースで七割、件数ベースで八一%の仕事がなくなってしまう。これに加わることは、証券化支援業務が加わると思いますけれどもね。

 それで、削減する職員は一〇%、管理費が一五%では、私はこれは最大自助努力になるのかなと思っているんですよ。簡単に言えば、業容は八割減らすけれども、人間は一割しか減らさないよ、これが最大自助努力だから、三兆円、申しわけない、税金をちょうだいよ、こういう話だと私は理解しています。

 そこでもう一つ。また、本法案の第八条から第十条に機構の役員の任期についてと役職について載っております。理事長一人、任期四年。副理事長一人、任期四年。理事六人、任期二年。監事三人、任期二年。これは公庫と比べると、役員の数は全く同じです。理事が七から六に変わって、監事が二から三にふえただけだ。

 私は何を言いたいかというと、三兆円もの焦げつきや逆ざやの部分の税金を財投からもらっておく部分の理由として、努力しなさいよ、自助努力しなさいよということだから財投の金が入ってきたんだと私は思うんですね。

 それで、仕事を身軽にするかわりに、陣容の中身はこのままで本当にいいのか、もっと前向きにこの削減についてお考えがあるか、いやこれで百点なのか、その辺を大臣からお答えいただきたいというふうに思います。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

北側国務大臣 財投からの返済といいますか、これは一般財源ですね、一般会計。今おっしゃったのは、任意繰り上げ返済のお話をされているわけですよね。これは、かねてからここで御議論されていたとおりでございます。

 この任意繰り上げ返済に関しましては、過去においても、これは法律が制定されましたのが昭和二十五年でございますが、それ以降、任意繰り上げ返済についてはペナルティーを徴収しておらなかったわけでございます。

 今回、御提案をさせていただいておりますように、住宅金融公庫についての役割を抜本的に見直しをさせていただいて、そして、機構として、証券化支援業務を中心としての仕事をやっていただくことになるわけでございます。

 ですから、これについて、今回この改革に合わせて繰り上げ返済をやることの問題と、それから、それは過去からの経緯もございます。それと、住宅金融支援機構そのものの役割が従来の住宅金融公庫と大きく変わってくるわけでございますから、当然組織のスリム化はしていかないといけないというふうに思っているところでございます。

 直接融資は廃止縮小されますけれども、新法人は、公庫から承継する膨大な既往債権の管理、回収業務や、もちろん委員のおっしゃった証券化支援業務、さらには資産担保証券、MBS発行業務を担うため、そうした新たな業務も当然大きくふえてくるわけでございまして、そうした業務執行体制が求められているところでございます。

 公共性の高い業務の効率的な実施という独法化の趣旨を踏まえまして、確実な業務遂行と業務運営の効率化を両立させていく必要があると考えているところでございます。

 平成十八年度末までに、対平成十六年度比で、常勤職員数について、特殊法人に係る人員削減目標の二倍のペースである四%以上、一般管理費については六%以上の削減を行うとともに、職員給与については平均六%引き下げ、平均定期昇給率についても、国家公務員の二分の一程度に抑制する予定でございます。

 独法後の業務運営の効率化に関する目標につきましては、中期目標の策定時に最終的に決定されるものでございますけれども、第一期中期目標期間と想定される平成二十三年度までに、常勤職員数につきましては一〇%以上の削減、一般管理費については一五%以上の削減という、これまでの独立行政法人化の例の中でも積極的な目標を掲げて、効率化に取り組むこととしているところでございます。

下条委員 済みません、もう時間が来てしまったのであれなんですが。

 お気持ちはわかるんですが、まさに今おっしゃった新しい法人になる意味というのは、いろいろ、あらゆる大きい貸し金の審査等々を踏まえて全部民間にやるんだから、それが今言った、四、五年の間で一〇パー、一五パーのレベルで本当にいいんですかという質問でございます。

 そういう意味では、まだスタートしたばかりでございますけれども、今後の方針として、ぜひ大臣、もっとスリム化するのが今の内閣の特殊法人あての、また独立行政法人あての意見ではないかと思いますので、あえて申し上げさせていただきました。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 長安豊君。

長安委員 民主党の長安豊でございます。

 本日は、特殊法人の合理化という中で、住宅金融公庫を住宅金融支援機構へ衣がえをするという法案に対する質疑をさせていただきます。

 私も、この第一委員室で質問をさせていただくのは初めてでございまして、予算委員会のような雰囲気でちょっと緊張しておりますけれども、その分ハッスルして頑張っていきたいなと思っておる次第でございます。

 この住宅金融公庫を利用して今まで国土交通省が住宅政策を行われてきたというわけでありますけれども、住宅金融公庫をどのように位置づけて住宅政策を行ってきたのかという、まず概観についてお伺いをさせていただきたいと思う次第でございます。

北側国務大臣 我が国の住宅政策は、戦後、大変な住宅不足の中で、その解消を図らなければならないという強い要請がある中で、公庫融資、そして公営住宅、また公団住宅といった政策手法を通じて、住宅の新規大量供給をしてきたわけでございます。その後、昭和四十八年にはすべての都道府県で住宅数が世帯数を上回りまして、住宅政策の重点は、広さを初めとする住宅ストックの質の向上、また良好な住環境の確保、そうしたところに重点が置かれるようになってきたというふうに思います。

 このように、これまでの住宅政策は、公的資金による住宅の新規供給を通じて、住宅不足の解消や居住水準の向上を図ってきたところでございます。

 その中にありまして、住宅金融公庫につきましては、戦後建設された住宅六千二百三十三万戸のうち、約三割の一千九百三十六万戸を公庫融資による住宅が占めてきているわけでございまして、長期、固定、低利の資金の安定的供給によって国民の住宅取得能力の向上を図って、住宅の量的供給と質の確保に大きな貢献をしてきた実績があると考えております。

長安委員 長期で固定のローンを提供する住宅金融公庫でございますけれども、この住宅金融公庫、当然、長期で固定のローンを提供するためには、なかなか民間の金融機関では今までできなかったというのが実情かと思います。

 それは、そもそも民間の金融機関自体は短期の資金を集めている、それを長期で固定で貸すと当然逆ざやが発生してしまうからだということで私は認識しておるわけでありますけれども、そういう意味で、住宅金融公庫に対しまして、逆ざやが出たとき等の場合のために、日ごろからなのかもしれませんけれども、国から補給金という形で公金が投入されていたわけであります。この金額につきまして、名目上どれぐらいの金額が出ていたのか。また、例えば長期の国債の金利のベースで、現在価値といいますか、ネット・プレゼント・バリューに直した場合にどれぐらいの金額が投入されたのか、お伺いしたいと思います。

山本政府参考人 住宅金融公庫に国庫から投入されました補給金の性格でございますけれども、二十五年に設立されましてから、ずっと長い間、国民の皆様にお貸しする金利は法律で上限を設けて、低利で長期固定の住宅ローンを供給するという政策上の位置づけがなされておりましたので、財投から調達した金利に対して国庫で薄めて国民にお渡しするということをやってまいりました。

 そういう考え方の中で、まず、昭和四十年までは基本的に出資金でやっておりましたので、出資金は現在も公庫に残っておりますのでそれは別とさせていただきまして、昭和四十年度以降、毎年度の収支差について補給金を補てんしてきた、それを積み上げました。それから、実は平成八年度以降は、繰り上げ償還で金利差を補給する、任意繰り上げ返済の急増が補給金の所要増につながったということもありますので、性格は違いますけれども、とにかく国庫から補給したものを全部積み上げますと、名目で、平成十七年度までに総計で約十一兆円措置されました。

 この十一兆円を、補給した各年度の国債の金利でそれから以降今日まで運用したものとして現在価値を計算しますと、その合計額は二十兆円でございます。

長安委員 今お話ございました十一兆の金額が、名目上の金額ですけれども、住宅金融公庫に昭和四十年以降注ぎ込まれてきた。これは何を意味するか。つまり、個人の方々が住宅を取得するに当たって金利を補てんする、資金的に住宅金融公庫の資金を補てんするという意味で国費が投入されたわけです。

 先般、中越におきましてあのような大地震があったわけです。被災者再建支援法というものを考えたときに、そういった壊れた住宅を解体するのには国からお金は出せる。一方で、再建するときには、個人の私有財産にはお金は出せないんだという理屈で被災者再建支援法には現在含まれていない。また、改正も与党サイドの方では議論されていないというのが現状だと思います。

 一方で、このように住宅金融公庫からは個人の資産に対してお金が出ているという、これは住宅金融公庫というフィルターを通っているから大丈夫なんだという理屈なんでしょうけれども、そもそもから考えますと、国の税金から出ているということを考えると同じではないかと私認識しております。その辺、被災者再建支援法ということを考えたときに、やはり本当に困っている方にどのような手を差し伸べるのかという議論をもう少し進めていかなければと思っておる次第でございます。

 話は変わりますけれども、今お話ございました、多額の財政負担が公庫に対して行われてきたわけでございまして、公庫のこれまでの業務の意義といいますか正当性につきましてもぜひ御意見をお伺いしたいと思う次第でございます。

山本政府参考人 住宅金融公庫の制度は昭和二十五年にできたわけですけれども、その前提となりました終戦直後の住宅事情といいますか住宅の絶対的不足は、終戦直後で四百二十万戸。ですから、毎年毎年、仮設住宅をいかに供給して国民の住宅ニーズにこたえるかというのが内閣の最大課題であったような時代がずっと続くわけですけれども、二十五年になりまして、少なくとも借金をして自分の力で住宅を再建できるような方々には財政資金を流す道をつくろうということで、戦後の住宅政策の最初の柱として二十五年にできたわけでございます。

 それで、二十五年から今日まで、自助努力を前提に住宅金融公庫を活用して国民の皆様が住宅を整備されてきたわけでございまして、住宅政策上の意義という観点から見ますと、持ち家の質を、例えば床面積で見ますと、昭和三十八年に九十一平米でありましたのが、平成十五年には百二十四平米という形まで改善されてきております。これは、公庫の融資をてことして、国民の自助努力で実現されたというところに政策的な意義を見出しているわけでございます。

 さらに、住宅金融公庫は、直接融資ということもありまして、物についてきちんとした技術的要件を課しておりまして、建設過程で建築部局を使ってきちんとこれを見るということを側面でやっております。さらに、質の高いものをおつくりになる場合は、優遇金利を適用したり割り増し融資をやったりして、政策誘導をしてきたという流れがございます。これによりまして、例えば住宅の耐震性能、それから省エネ性能あるいはバリアフリー、高齢世帯向けのバリアフリーといったようなものについても大きな役割を果たしてきたと我々考えております。

 例えば、公庫の個人向け建設資金融資を受けた住宅のうち、バリアフリー住宅がどの程度占めているかというのを見ますと、平成十五年では六五%にまで達しております。そういう質を誘導するという効果が政策的にはあったと思っております。

 それじゃ、自分で借金をして住宅を持てる人はそれでいいけれども、そうでない人たちに政策的に何を、どういう措置を講じてきたのかということが問われるわけでございますけれども、これについては、何といいましても、終戦直後を例に出しますと、公庫の制度をつくった翌年に、昭和二十六年に、自分で借金をして住宅を建てられるという方は限られた方ですので、大多数の国民は低所得者で住宅に困っているということで、国と公共団体が協力をして公営住宅を供給するというのを第二の柱にしてやってきたわけでございます。さらに、高度成長期、大都市集中のときには、公団を昭和三十年に設立して、大都市の勤労者のために賃貸住宅などを計画開発して大量に供給するというようなことをやってきております。

 こういった公庫、公営、公団ということでこれまでやってきたわけですけれども、その中で、そういった住宅政策の中で、住宅金融公庫は持ち家の分野を中心に居住水準を効率的に高めていくという政策的な意義を持っていたというふうに評価しているわけでございます。

長安委員 今お話ございましたように、確かにこの住宅金融公庫というのは、持ち家を促進するというか、持ち家を持ちたい人のための支援策という意味では一定の意義があったのかなと思っております。

 一方で、昨今の情勢を見ますと、終身雇用という形態が崩れまして、私も実際、住宅金融公庫を利用して自分の持ち家というのを購入いたしました。一方で、今こういう職業になりましたので、終身雇用ではございません。また、今の日本の社会情勢を見ますと、右肩上がりの情勢じゃない。こういう中にあって、果たしてこの住宅金融公庫を利用することによって多額の債務をこうむったということは正しかったのかどうかと、今ふと考えてしまうわけです。

 そういう、今の社会情勢が変わってきたということによって多額の借金を背負ってしまっているということに多くの方がなってしまって、長期のローンを何とか返さなければならないということで今御苦労されていると思うんですけれども、そういう意味では、そういう方々の人生の選択肢を狭めてしまっているんじゃないかと私認識しておるんですけれども、こういった過大な債務を抱えて返済できなくなる人がもう多い状況ですから、やはり持ち家を推奨して誘導してきた過去の政策というものに対しても、この段階でしっかりと評価をしなければならないと思うわけでありますけれども、その評価をお伺いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。

山本政府参考人 まず、今御指摘いただきましたように、右肩上がりの経済成長期には雇用環境も安定していた。したがって、また、地価も住宅価格も段階的に上昇していくわけでございますので、住宅ローン融資を受けて先行的に住宅を取得しておくということが、家計のマネジメントの観点からも、あるいは住宅政策的に見て居住水準の向上を図るということからも、非常に意義があったと思うわけです。

 だから、そういうことを手がかりに国民の住宅行動はとられてきたと思うんですが、御指摘いただきましたように、昨今の経済状況の変化、雇用情勢の変化ということを踏まえますと、計画的にローンで住宅を取得するというけれども、その計画の前提自体が壊れてしまって家計として非常に過大な債務を負ってしまった、どういうふうにそれを処理しようかと悩んでおられる御家庭もあることは事実でございます。ですから、ちょうど移行期にいろいろな家計が傷んでいるということは事実で、住宅政策的にもいろいろ大きな課題を抱えているという認識はございます。

 それでは、これから住宅ローンを的確に供給して、新築、中古を問わず持ち家を取得して居住水準を向上させていただこうという住宅政策上の課題をどういうふうに位置づけるかということでございますけれども、昨今の経済情勢の経験も踏まえた上で、より的確に、計画的にローンを使っていただく。ローンを使って居住水準を向上したいと考えられる御家庭はそれをやるし、あるいは、賃貸住宅で子供を育てていきたいと考えている若年世帯がいれば、それに的確に賃貸住宅が供給されるというような、バランスのとれた住宅政策を運用する必要があると思います。

 その中で、住宅ローンの借り入れについては特に金利変動リスクがある、長期固定ローンでやりましても、その余の資金調達もございますし、いろいろなリスクがあるというのを消費者の方にきちんと御理解いただくことが大事だと思いますので、公庫と一緒になって国土交通省も、そういう住宅ローン情報とか、消費者に対するいろいろな情報提供もきちんと前に進めていきたいと考えている次第でございます。

長安委員 今局長からお話ございましたように、確かに近年、国民の生き方といいますかライフスタイル自体が多様化していまして、住宅を所有するという意味が変化してきているのかなという気が私はいたします。

 そういう中にあって、この住宅金融公庫というのは、結果として持ち家を優遇、促進といいますか、こういう政策をとってきたわけで、先ほどもお話ございましたけれども、これに十一兆もの多額の金額が注ぎ込まれてきた。また、これによって、当然、国の財政も傷んだ一因になっていると私は思うわけであります。

 これからは、そういう意味では、今局長からもお話ございましたけれども、より広い視座といいますか視野、将来を見据えた住宅への支援というメニューを用意すべきではないかと思うわけでありますけれども、この住宅金融支援機構の業務についてちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 この法案では、現在まで長期固定のローンを提供するのが住宅金融公庫です、これからは民間の金融機関に長期固定のローンを出す商品を開発してもらう、そのバックアップ機能、バックアップというか、裏から支える機能として証券化をしようということだと思いますけれども、この意義についてお伺いさせていただきたいと思います。

山本政府参考人 先ほどちょっと戦後の住宅政策の三本柱を御紹介しましたけれども、いずれも、公的な資金を使って新しい住宅を新規に供給していくということが柱になっております。それに対して、民間の市場が非常に豊かになってきているわけでございまして、この住宅市場の機能を重視して、民間の力を使って国民の皆様の居住水準を高めていく、そのために政策はどういうことが打てるのかという形でこれからは運用していきたいと思うわけでございます。

 賃貸住宅についても、民間の賃貸住宅供給はいかにして拡大することができるかというような観点からのいろいろな政策を打っていくわけでございますけれども、住宅金融についても、市場を重視した金融システムに組みかえていきたい。特に、近時の金融改革を前提に、民間の金融機関でできることは前に出てやっていただく。住宅金融公庫は、まさにおっしゃったような形で、後ろに下がってバックアップをする。ですから、大きな住宅金融のマーケットの制度のインフラとして機構が下支えをしなきゃいかぬ仕事をしていく、それによって、従来の直接融資にかわって、民間金融機関を通じて、国民の皆様が本当に欲しがっておられる住宅ローンが的確に供給されていく、そういうような姿を企図しているわけでございます。

長安委員 この住宅金融支援機構が新たに行う証券化業務でございます。

 先ほど来、下条委員等からもお話ございました。このモデル自体は米国をモデルにされたということをお伺いしておりますけれども、どうして米国のモデルというものを採用されたのか、この理由についてお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 一番端的に御質問にお答えしますと、いろいろな金融危機を乗り越えて、零細な貯蓄を集めて住宅ローンをするというような金融機関が、いろいろ危殆に瀕しながら、どういうマーケットの基盤を整備すれば国民の皆様が住宅ローンを的確に手にすることができるかという観点から市場を整備してきたのが米国市場だというふうに私どもが見ているということでございます。今、小泉改革のもとで住宅金融公庫を改革しようとするときに、そういう観点から、米国が一つのひな形になるというふうに受けとめたということでございます。

 一言で言えばそういうことなんですけれども、米国の場合、こういう制度があることによりまして、家計が自分の住宅をよくするために投資をする際に的確にローンが確保できる、これによって住宅投資が非常に順調に拡大しまして、これが経済を支えている、経済成長を支えているという要素もあるわけでございます。我が国の経済運営を内需主導型に的確にやっていくために、住宅ローン市場が整備できればそういうことも期待できるわけでございますので、そういう観点からも、米国がきちんとできたことを、そのままではございませんけれども、我が国として導入できることがあれば導入したいということで、今回の住宅金融支援機構法案を用意したところでございます。

長安委員 確かに、民間金融機関を支えるという意味では、当然、こういう支えるところがないとなかなかマーケットが大きくなっていかない、民間金融機関が商品開発するののお手伝いをするというところが必要だというのは、私も同感でございます。

 しかしながら、今、米国の方式を採用した理由というのは、ただ単に米国が金融が成熟化しているからというお話ございましたけれども、そうではなくて、果たしてこの住宅金融公庫の次の、衣がえをする独立行政法人がやる必要があるのかということに私は疑問を持っているわけです。

 つまり、先ほど下条委員の方からお話ありましたように、国土交通省が所管する必要があるのかということなんです。つまり、金融の世界なわけなんですよね。米国のモデルを採用してやると、今、米国からもモーゲージバンカー等が入ってくるというお話もございましたけれども、証券化を支援してやるということだけを考えたときには、今まで住宅のための資金を特に供給するんだという目的があったと思います。しかしながら、これからはローン債権を買い取って証券化するという業務ということを考えると、果たしてこの住宅金融公庫の次の組織がやる意義があるのかという、私はちょっと疑問を持っております。

 何か、うがった見方かもしれませんが、住宅金融公庫という組織、内部の組織を残すために、あえて次は証券化業務というものを無理やり見つけてきて、アメリカのモデルとくっつける形でやったのではないかなというちょっと心配をしております。

 そういう意味では、住宅のローンに対する証券化というのが行われていく、行われていくと当然マーケットが拡大していくという絵を今かかれているわけですけれども、当然、マーケットが拡大した暁には民間の金融機関が、そんなにもうかるなら我々もやりたい、入れてくれというふうな話になってくると思いますけれども、そういった場合の機構の戦略といいますか対応はどうされるのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 実は、我が国の住宅ローンの証券化市場はまだ始まったばかりで、非常に幼稚な段階にあるというのが私どもの認識でございます。住宅金融支援機構によってその制度のインフラ部分を用意することで、証券化市場をこれから健全に育成していかなきゃいかぬという問題意識を持っているわけでございます。

 それが功を奏して証券化市場が一定規模に成長していった段階において、民間の金融機関でも独自に証券化をして、預貯金じゃなくて、証券市場から長期の資金を調達することができるようになるということは、これは実は望むことでございまして、そういうことができればどんどんやっていただいて、国民の皆様に質のいい住宅ローンが供給されるということをまさに望んでおります。これが、今回の改革の一つの目的でございます。ですから、そういう事態になっても住宅金融支援機構が場所を占めて、私たちがやるからおまえたちはどけということは、あってはならぬという問題意識でございます。

 しかし、今この時点で証券化市場の見通しを眺めてみますと、例えば十六年度でも、現実に民間金融機関でローン債権を証券化して資金を調達しているケースが見られますけれども、どちらかというと、自分自身のローンとか身内のローンを非常に限られたサークルの中で証券化して、知っている人に持ってもらうとか、そういう、マーケットと言うには余りにもまだプリミティブな段階にとどまっていますので、しばらくの間、住宅金融支援機構がきちんとした役割を果たさなきゃいかぬと思いますし、先ほど申し上げましたような形で育ってきて民間機関がやる状態になっても、そういうことができるのは、やはりある程度の信用力といいますか体力のある金融機関に限られることになります。

 ですから、国民の皆様が全国あまねくきちんとした住宅ローンをこの制度によって手にしたいと考えられた場合に、例えば地方の中小金融機関向けのいろいろなお手伝いをする要素はまだ残ってくると思います。マーケットの、全体じゃありませんけれども、周辺部分にそういうことは残ってくると思いますので、まさに文字どおり、住宅ローン証券化市場の制度インフラとして独立行政法人住宅金融支援機構がしばらく継続的に果たしていかなきゃいかぬ役割はあると思います。

 それから、証券化ローンがここまで発達している米国の例を見てみましても、実際に証券化の大部分を担っているのは、政府支援機関、ガバメント・スポンサード・エンタープライズと言われているファニーメイとかフレディーマックがやっておりますので、そういうことを横に見ても、独立行政法人にしっかりした仕事をしていただく分野は非常に大きいというふうに見通しているところでございます。

長安委員 ぜひ、マーケットが成熟した折には、民業圧迫ということがないように、これは柔軟に対応していただくことが必要かなと思っております。

 この新たな独立行政法人ですけれども、今までの長期固定のローン、つまり融資業務からは基本的にはもう撤退する、証券化に移るんだというお話でございます。一方で、証券化だけするのかというと、いやいや、違います、災害関連の融資については今後も引き続きやっていく、つまり、災害を受けられて、家を再建されるときの融資については続けてやっていくというお話でございます。

 災害の再建の融資、当然国としてサポートしなければならないと私は思っておりますけれども、今までやっていた融資をやめるのであれば、この際すっぱり切ってしまって、例えば国民金融公庫、商工中金等、多くの公的な金融機関がございますから、そこにもうすべてを投げてしまうという形でもいいのではないかと私は思うわけですけれども、その辺の御見解をお伺いさせていただけますか。

山本政府参考人 御指摘のような形で災害融資を実施することはできないかと問われれば、可能性としてはできるんだと思います。

 ただ、政府関係金融機関に財投の資金を使って国民の皆様が災害で困っておられるときに的確に災害融資をしていく、手段としてどちらが合理的かという観点からお答えしたいと思うんですが、住宅ローンを交付する際には、お金を渡せばいいというものではなくて、物をきちんと審査して、設計図書できちんと審査した上で交付します。そういう意味では、住宅ローンについてのいろいろなシステムインフラがございまして、従来からの直接融資についての委託金融機関との関係で持っているシステムのインフラ、それは実は、先ほど来御説明しておりますように、証券化事業、つまり住宅ローンを買い取るときの、住宅ローンを設定した対象の住宅がどうなっているかというのをきちんと見るというようなことも含めてですけれども、そこに継承されてきているわけですけれども、そういうものを持っている住宅金融公庫の継承機関たる新法人が、財投を財源に困っている被災者に的確に機動的に災害関連融資をする、それが一番合理的であろうと考えて、こういう法律案としているわけでございます。

長安委員 今、従来の貸し付けというものに対して当然審査が行われている、この審査と似たような、ほとんど同様の審査が行われるわけだからというお話でございます。

 この審査につきまして、では、どのように審査していたのか。つまり、内部ですべて審査していたのか、あるいは外注という形で、外部委託という形で審査していたのか、その辺についてお伺いできますでしょうか。

山本政府参考人 これは直接融資も証券化事業の対象の住宅物件の審査も同じでございますけれども、基本的に民間の検査機関等を利用して検査インフラを整備しています。そういうのをあらかじめ契約を結んで、地域ごとに、公庫が定めました技術基準に従って、設計時、中間時、それから竣工時に実施する。最終的に住宅についての検査の適合証明書を出すということでございます。

 それで、この部分については若干、災害融資は緊急を要しますので、すぐ住宅が欲しいというお客様が大部分ですので、中間検査だけを実施するというような形で簡便化しておりますけれども、災害融資についても全体の大きな流れはほぼ同様でございます。

長安委員 今お話を聞いておりまして、私、ちょっと腑に落ちないんですけれども、つまり、今までやっていた住宅融資の審査ということに対しては、例えば設計図書を審査するとかそういうようなことをやられている。それは外部に委託されているわけですよね。でも、先ほどのお話は、災害のときの融資を残すためにはそういうノウハウが中にあるから残しているんですというお話です。それであれば、私が先ほど申し上げました国民金融公庫が融資するときに、外注されているところ、同じところに外注したら全く同じことができるんじゃないかと思うわけですけれども、その辺、局長、いかがですか。

山本政府参考人 先ほどの答弁でも申し上げましたように、不可能であると申し上げているわけではないんです。

 民間の検査機関とどういうあらかじめの契約を結んで、具体的にどういう行動をとってもらうかということをシステムとして持っておる公庫なり新法人に引き続きやってもらうというのが合理的であろうというふうに申し上げたわけでございます。

長安委員 何か一〇〇%はちょっと納得できないところなんですけれども、時間に限りがございますので、これはこれぐらいにさせていただきますけれども。

 この独立行政法人ができて、証券化業務がメーンの柱となる、金額的には当然そうなっていくかと思います。この実績が当然拡大していくわけですけれども、証券化業務と、大きい部分では既往債権の管理業務も当然あると思いますけれども、この既往債権の管理業務は除きまして、新規の証券化業務ということを行う上ででの将来の収支はどのように見込んでおられるのか、お伺いしたいと思います。

山本政府参考人 まず、見込みの前提として、証券化支援業務がどういうふうに進んでいくかということが前提となります。

 証券化支援業務は、公庫が先行的に取り組んでおるわけですけれども、平成十五年の十月に開始して、昨年度末、本年の三月末までの実績は、買い取り申請ベースで一万七千九百七十八戸、現実の債権の買い取りベースで八千八百六十七戸というところにとどまっております。平成十六年度の計画戸数は八万戸ですので、これと比べますと非常に大きな開きがあるわけでございます。ただ、先ほど来御説明しておりますように、幾つかの推進措置を講じたために、年が明けましてから二月、三月、四月と毎月四千戸を超えると。四月の場合は三千二百十七戸ということですけれども。そういうことで、年間のペースで見ると四万から五万戸ペースまで来てるかなというふうに見ております。

 実はこれを前提に、独立行政法人には平成十九年からなるわけですけれども、これから二年間、いろいろな助走、努力を続けていって、仮にといいますか、一定の前提条件が必要ですので前提条件としてお聞きいただきたいんですが、今後の証券化支援事業の実績が、平成十七年度の計画戸数は十万戸です、ですから、これは三月、四月あたりの巡航速度からすると倍の、かなり意欲的な前提になりますけれども、十七年度、十八年度とずっとこれから十万戸で推移したとした場合、証券化事業の収支の状況がどういうふうになるかということでございますけれども、証券化支援業務は、買い取ってMBSを発行するというときにあらゆるコストがかかります。後は金利に上乗せして経費を回収していくということですので、最初どっと赤字が出て、少しずつそれを回収していくという構造になっていますので、新法人、独立行政法人設立当初、平成十九年度は単年度赤字を計上することに当然なります。

 なりますけれども、先ほど言いました十万戸を前提にしますと、独立行政法人の第一期の中期目標期間、これは平成十九年から二十三年までですけれども、この間に、およそ平成二十一年には単年度黒字に転換するだろう。それから、第二期の中期目標期間中、平成二十五年度ごろには繰越損失も解消できるだろうという見込みを立てております。

長安委員 ちょっと私のいただいておりました資料と、今二十五年度ですか、二十八年度に繰越損失を解消と書いてありましたので、これは、では間違っているんですね。

 ただ、もう現在も証券化というのが一部始まっている。今後、二十三年まで続けられて初めて単黒が出るわけですよね、単年度黒字が。約六年かかるわけであります。私の感覚からしますと、普通の民間の企業が、これから仕事を始めますと銀行にお金を借りに行ったときに、六年間赤字が出て、やっと七年目に黒字が出るんですなんというのはあり得ないと思うんですね。もっとスピードアップして単年度黒字が出るような形で私は進めるべきではないかと思います。

 そういった意味では、先ほど、組織をどれだけスリム化するかというお話もございましたけれども、もっと切り込んだスリム化をしていかないといけないのではないかと思っております。

 一方で、今、収支のお話ございましたけれども、今確かに金利がこれだけ低い状況です。今後、金利が上昇していくという局面も当然あろうかと思われます。急激に金利が上昇しますと、住宅取得ということの意欲が冷え込んで、当然、証券化すべき証券化の事業の実績自体が落ち込んでいくと思われます。そういった場合に、この機構の経営に関して問題が生じないのかどうかについてもお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 御指摘のように、住宅の建設とか購入のレベルは金利の水準に左右されます、経済動向に左右されるということでございますけれども。仮に経済が逼迫してきて金利が非常に高くなったという場合は、住宅市場が一時的に縮まってくるということは大いに予想されるわけでございまして、これに伴いまして、住宅金融支援機構の証券化支援事業の実績が落ち込んでいくという可能性はございます。

 一方、今は非常に低金利が続いていますので、長期固定の住宅ローンに対する関心が非常に薄い。金利が上昇局面になると、長期固定が計画的な住宅取得には大事だという意識が高まってまいります。これは、お客様をふやす方向に力が働くと思います。そういうことは、いずれにしても、変動によって浮き沈みがあると思います。

 それが住宅金融支援機構の経営に致命的な影響を及ぼすかどうかというのが御質問のポイントだと思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、証券化支援事業の収支の構造は、要するに、住宅ローン債権残高をどの程度持っているか、それが結局毎年少しずつ収益を生んでくるわけでございます。したがって、ストックとしての買い取った住宅ローン残高がどの程度にまで積み上がっていくかということが経営上一番大事なポイントでございまして、単年度のフローがどういうふうに変動するかということ以上に、住宅金融支援機構がストックとしてどの程度の住宅ローン実績を積み上げているかということが一番大事なことだと考えております。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

長安委員 当然、独立行政法人、業績というのは上下に変動するものと私も認識をしております。ただ、一番大切なことは、一日も早く黒字化するということでございます。これに向けてはやはり全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 例えば、きょうの朝刊、読売新聞などを見ますと、独立行政法人雇用・能力開発機構、一億円の収入で二十一億円の維持費。つまり、二十億毎年赤字なんですね。これが野放しになっている。もしかしたらこの住宅金融公庫が、一歩間違ったらそのような状況になっていったら、何のために住宅金融公庫から独立行政法人化をしたのかというそもそも論に返ってくるところだと思います。ここはしっかり取り組んでいただかないといけないかなと思っております。

 そういう意味では、経営の目標も、今お話ございました。五年後、中期目標というのを見せていただきましたけれども、やはり五年ごとに基本的には経営方針というものを立てていくというお話ございました。ただ、企業を見たときに、この御時世、民間企業であればもう五年というのは長期です。はっきり言いまして中期じゃないと私は認識しています。一年あるいは半期、いや、もっと精密に、厳密にいくためには四半期だ、それぐらいで事業戦略を見直していくというぐらいの姿勢がないと、気がついたら赤字がこれだけ膨らんでいました、この独立行政法人どうしましょうじゃ、国としてはっきり言って責任を疑われる問題だと私は思います。そういう意味では、今の段階からしっかりとこの経営について細かい目配りをしておくということが必要ではないかと私は思っております。

 この住宅というもの自体は一生に一度の買い物なんですね。住宅というものは一生に一度の買い物ということで、今まではその家に一生住み続ける、住みかといいますか、そういう感覚で購入しておりました。

 一方で、今は時代がどんどん変わってきて、いろいろな意見がございます、またライフスタイルもございます。例えば、自分のライフステージに合わせて家をどんどんどんどんかわっていく、つまり移していく。これは賃貸でいくわけですけれども、借家でそうやってやっていく方が、例えば新築をどんどん借り、次々移っていく方が、いつも家はきれいなままだと。持ち家をずっと持っていた場合は、二十年住んだら当然築二十年になってきて、もちろん手直しはするでしょうけれども、そういうのは嫌だというような価値観も当然あるわけです。

 価値観が変わってきている、そういう中にあって、今までの国土交通省の住宅政策というのは、中所得者層には持ち家を促進すべく住宅金融公庫、低所得者層から中低所得者層には公営住宅という政策が打たれてきたわけですけれども、今後のそういう皆さんの、国民一人一人の価値観が多様化している中で、その多様化に合わせる形で、住宅金融公庫じゃなく住宅金融支援機構になるわけですから、さまざまな住宅政策と絡み合わせる形で住宅に対する支援というのを検討していってもいいのではないかと私は逆に考えております。

 今は住宅金融公庫という名前です。でも、住宅金融ということに関してはいろいろなものがあって、もうそれこそ住宅金融宝庫なんだというぐらいさまざまな種類の住宅支援をしていってもいいんじゃないか。これはやはりいかにタイムリーに柔軟に見直していけるかというのが今後の課題になるかと思いますけれども、そういった機構の活用のしていき方につきまして大臣の御所見をお伺いしたいなと思っておる次第でございます。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

北側国務大臣 独立行政法人化されるわけでございますが、そこで果たしていく業務というのは、一方で非常に公的な色彩も強いわけでございます。時代は変わっても、住宅のストックがふえたとはいうものの、やはり若い方々の間で中古住宅も含めまして良質な住宅を求めたい、そういう場合に、長期で固定金利で、できる限り低利の、そうした融資を、できるだけそういう条件、環境を整えていくということは、これはやはりこれからも大事なことなんだと思うんですね。

 ただ、時代が大きく変わってきて、民間金融機関でも住宅ローンをさまざま提供してくるような時代になりました。また、住宅そのものも量としては非常に充足をしてきている中で、従来とは期待されている役割は大きく違ってきている中で、住宅金融公庫が直接融資は原則としてもうしないで、証券化支援業務を中心として、民間のそうした住宅ローンについて長期固定のそうしたローンをできるだけ供給できるようにしていこう、少し一歩下がった形でやっていこうというわけでございます。

 そういう意味では、市場機能をしっかり重視しながらも、活用しながらも、一方で、良質な住宅の供給という公的な役割はこれからもやはりしっかり担っていっていただく必要があるわけで、まさしくそういうことで独法化されるんだというふうに考えているところでございます。

 今委員のおっしゃった持ち家なのかもしくは賃貸なのか、これはさまざまニーズがあると思います。そういうニーズというのはさまざま多様だと思うんですね。そういうニーズに応じてさまざま支援策を提供していく、住宅政策を提供していくということが非常に重要であると思っております。

長安委員 やはりこの住宅政策というのは、これは国民一人一人に本当に重要な問題です。そういう意味では、ぜひ、今大臣から御答弁いただきましたように、まずは利用者の目線で、利用者のニーズに合う形の支援策を今後も柔軟に対応していくということが必要かなと思っております。

 ちょっと今回の法案とは関係はございませんけれども、こういう機会を与えていただきましたので、船舶油濁損害賠償保障法についてもちょっとお伺いしたいと思います。

 これは昨年の、そのときは大臣は石原大臣でございましたね、そのときにこの法案が審議され通ったわけでございます。私もそのときに質疑に立たせていただきまして、昨今のマスコミは、これは北朝鮮制裁法だというような書き方をしておりますけれども、当時は、法案審議の過程では北朝鮮のキの字も出なかったのが正直なところでございます。日本の海岸で何かしら損害を受けたときに、どうやって賠償してもらうのかということの法整備が今まで欠けているじゃないかということが本来の趣旨でございました。

 一方で、北朝鮮に昨今の核開発の疑惑等があって、この法律が効果的であるのも事実であると私は思っております。北朝鮮を制裁という意味では一定の効果があるのかなと思っております。

 この法律が通った後、日本へ入港する船、三月一日以降、百トン以上の船に関しては、船主責任保険、PI保険を掛けないと、入港証明書、一般船舶保障契約証明書を国土交通省さんの方からは出さないということになったわけでございます。

 先般の五月十五日の産経新聞の朝刊の記事に、北朝鮮の船が十八隻、保険を掛けて申請しているけれども、この保険会社、名前はマリタイム・ミューチュアル・インシュアランス・アソシエーション・リミテッドという会社なんです。これはニュージーランドの会社なんですけれども、この会社自身が保障能力に疑義があるというような話がございます。

 こういう記事が実際に新聞に報道されておりますけれども、その辺について、事実関係はいかがでございましょうか。

矢部政府参考人 ただいま船舶油濁損害賠償保障法に基づきます一般船舶保障契約証明書に関しまして、MMIA、ちょっと略称で呼ばせていただきますが、ニュージーランドの保険会社でございますが、その信用力に問題があるのではないかというお尋ねがございました。

 産経新聞の記事にも記載されておりますけれども、このMMIAニュージーランドにかかわります一般船舶保障契約証明書は、北朝鮮籍船舶に対しまして、これまで十八隻分交付されております。事実でございます。

 国土交通省におきましては、これらの保障契約証明書の発給に際しまして、当然、所要の審査を行っているわけでございます。MMIAニュージーランドは、ニュージーランドの法令に基づき適正に設立をされ、また加入船舶も五百隻程度あります。実体のある保険会社であることを確認しております。

 一方、御指摘の新聞報道におきまして、MMIAニュージーランドの信用力に疑義があるということの根拠にされております二件の事故について記載がございます。

 この点について申し上げますと、まず一点目の平成十五年の事故につきましては、いまだに裁判所におきまして審理中でございまして、責任関係は確定しておりません。また、二点目の、このMMIAニュージーランドの代表者がかつて経営していた別の保険会社が平成六年の事故にかかわります保険金を支払わなかったとされます件につきましては、このMMIAニュージーランドの代表者は、本件事故の訴訟が提起される前の平成九年にはこの保険会社を既に退社しております。そのことを確認しております。

 したがいまして、これら二件の事故への対応を根拠といたしましてMMIAニュージーランドが信用できないとしておりますこの新聞報道につきましては、無理があるのではないかなと考えております。

長安委員 今、保険会社に関しては問題ないというお話がございました。この保険が当然掛けられると、今お話ございました信用力に問題がないということで入港証明書を国土交通省が発行されるわけでありますけれども、この入港証明書、例えば取り消しといいますか、保険会社がお金が払えないとかというような場合に当然なると思うんですけれども、そういった基準というのはどのようになっているのでしょうか。

 また、逆に、後になって、その保険会社が審査基準に満たないものだったということが明らかとなったような場合は、どのような対応をとる御予定でいらっしゃいますでしょうか。

矢部政府参考人 まず、この一般船舶保障契約証明書の審査基準といいますか、審査の要領についてお答えを申し上げますと、交付申請がございますと、その申請書の記載事項及び添付書類等をもとにいたしまして、個々の保険契約の内容と、それからその保険者が業務を適確に遂行する能力があるのかないのかという点について審査を行っております。

 まず初めの保険契約の内容につきましては、保険契約が法律上必要な損害をてん補するものになっているのかどうか。具体的には、燃料による油濁損害と船体の撤去費用をカバーしているかどうかという点。それから、保険金額が法律で定めた額にちゃんと達しているかどうかということ等を審査いたします。

 それから保険者につきましては、この保険者が所在している国の法令に基づきまして適法に業務が営まれているのかどうか、それから、これまで日本国内において油濁損害等に関する保険金を支払わないといった問題事例が発生していないかどうか、それから、事故等が発生した場合に連絡がとれる体制になっているかどうかということを確認しております。

 そして、こういった内容につきましては実施要領として明文化をいたしまして、関係者に周知徹底をして、統一した適切な取り扱いの確保に努めておるわけでございます。

 それから、途中で基準を満たさなくなった場合にはどうするのかという点についてもお尋ねがございました。

 今申しましたような審査、申請につきましては審査を行うわけでございますので、この審査の前提条件になりました保険契約の内容と、それから保険者の業務を適確に遂行する能力につきまして、一定の要件が法律と政令に定められているわけでございますけれども、この要件を満たさなくなったと認める場合には当然この証明書は効力を失うわけでございますので、法律にも証明書を返納することが規定されておりますので、その規定に基づきまして、効力を失った証明書につきましては、交付を受けた者は返還する義務を負うということになります。

 ちょっとわかりにくい抽象的な言い方でしたから、具体的に申し上げますと、例えば、保険者が倒産した場合、それから保険者の事業免許が取り消された場合、あるいは、実際に事例が発生した場合、再三指導したけれども正当な理由がなくて保険金の支払いをしないような場合、そういった場合には当然証明書は返還すべきもの、こういうことになろうかと思っております。

長安委員 今、取り消しをされた場合には返納されるというお話ございました。これはしっかりと、返納するしないを、いやこれはまだ効力があるんだなんということで、押し問答をしている間にどんどん北朝鮮の船が入ってきてしまうということでは問題なわけです。そういった意味で、国益に沿う形でしっかりとこの法律を運用していただくということが重要かなと私は思っております。

 どうもありがとうございました。

橘委員長 佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 独立行政法人住宅金融支援機構法案につきまして質問をさせていただきたいと思いますけれども、あらかじめ九項目ほど大きく質問を通告させていただいたんですが、四番目ともなりますと、もう何人か同じような質問をされておりまして、特に公庫であるとか、また独法の業務運営の効率化についての部分であるとか、モーゲージバンカーとかモーゲージブローカーについては既に同僚議員が質問されましたので、ほかの部分につきまして質問させていただきたいと思うんです。

 まず一つ目は、今の我が国の住宅金融市場の抱えております課題と、今回行われようとしております証券化支援の拡大策につきましてお聞きをしたいと思うんですけれども、私は、従来の財投資金を前提にした住宅金融システムから、市場機能を活用した新たな住宅金融システムへの移行期といいますか、そういうときに今差しかかっていると思っておるんですが、今の段階で、住宅金融市場の抱えている現状の問題点というのは大きく二つぐらいあると思っているんですね。

 その一つは、市場では長期固定住宅ローンのニーズが高いにもかかわらず、民間の長期固定ローンの供給は低水準のままであるということが大きな問題として一つあると思います。同僚委員も一番冒頭に数字を出されておりましたけれども、平成十五年の住宅金融公庫の調べでは、全期間の固定金利というのがニーズとして五二・一%もある。それに対して、実際に新規供給の民間住宅ローンのうち、十年超の固定金利のローンの占める割合というのは十六年度の上半期では四・八%にしかなっていないという、極めて供給の実態を見ると低水準であるという問題が一つあろうかと思います。

 これをやはり何とか乗り越えていこうとすると、その有力な手段としては、現状を見ましたときに、公庫の証券化による長期固定の民間住宅ローンの安定的供給というのが普及していかなければいけないということはもうわかっているわけです。

 二番目の問題点としては、一方で、長期固定金利の住宅ローンを供給するべくのこの公庫の証券化支援業務というのが既に始まっているにもかかわらず、拡大ペースが非常に極めて遅い。そういう問題点がもう一方としてございまして、例えば平成十七年四月末で、きのうお聞きしましたら、証券化による買い取り申請戸数というのが二万一千百九十五戸なんですね。ところが、十六年度末までの予算規模でどれだけ用意していたのかというと、目標としては八万戸用意していたにもかかわらず、申請戸数を見ても二万一千百九十五である。実際に実績を見るともっと低いと思うんですけれども。さらに、二〇〇五年、今年度は十万戸を一応予算規模としてとっておられる、そういうことになるんですけれども、しかし、その達成というのは非常に極めて難しい状況である。

 そういうことからしますと、今のところ、この証券化ローンの利用というのはなかなか低調である。順調にこの制度が、せっかく十五年の十月から開始されているにもかかわらず、活用されている状況ではない、そういう実態が見えてくるかと思うんですけれども、そこで、まず最初に大臣にお聞きしたいのは、証券化支援業務のなかなか実績が進まないその原因をどのように分析されておられて、打開策、改善策というのはどういうことを考えて証券化支援の拡大を図ろうとされているのか、まず大臣にお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 今回、今回といいますか、証券化ローンについて、スタートいたしましてまだ間もないわけでございます。そういう意味で、まだ十分に認知がされていないということがあると思います。そういう意味では、しっかりと啓蒙をこれからも努めていかなければならないと思います。

 もう一つ、やはり大きいのは、今、超低金利の状態が続いております。一般の方々が仮に住宅を取得する場合も、将来の金利変動リスクを考えた場合には、やはりこれは長期固定の方がいいというふうに御判断されるかと思うんですね。ところが、ずっとこの超低金利がしばらくの間続いておりますので、なかなか金利リスクに対する意識が十分に高まっていないというのもあるのではないかとも思っております。

 しかしながら、委員も御承知かと思いますが、ことしに入ってからは非常に買い取り申請件数も急激にふえているところでございまして、この二月には四千三百六十九件、三月には四千二百十八件と、昨年に比べると各月約十倍前後の伸びを示しているところでございまして、これはPR活動等々が効果が出てきているのかなと思っております。

 今後とも、一つは、十七年度におきましては貸付額の上限の引き上げ等による証券化ローンそのものの充実もしてまいりますし、さらに金利変動リスクのヘッジ等による金利の引き下げだとか、民間金融機関間の競争を促進するためのモーゲージバンカー等の育成を支援するための運用システムの整備等々を実施いたしまして、こうした取り組みを通じまして証券化ローンの供給拡大をしっかりと図ってまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今大臣おっしゃいましたように、特にことしになっていろいろ話題になっているのが、冒頭から出ておりますけれども、フラット35という、長期固定ローンの低金利などが魅力で利用者が急増しているという話題も出ておりますし、そういうところもしっかりとさらに民間の金融機関といろいろと連携しながら伸ばしていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 時間が限られておりますので余り細かいことについて聞かずに、住宅金融公庫から独立行政法人に移るに当たって、ぜひこれだけはさらにしっかりと今までの果たした役割として維持していただきたいなというものが何点かあるんですけれども、その一つに、住宅金融公庫の融資というのは、私はやはり住宅の質の確保という点では非常に役割を果たしてきたと思うわけです。

 それは、貸付金利の優遇であるとか融資額の割り増し等によって、具体的には省エネルギー化またバリアフリー化、耐震化等、さまざまな社会的要請に応じた住宅の質の確保に大きく貢献してきたことはもう間違いないと思うんですね。先ほど局長の答弁でも、平成十五年度ですか、公庫の融資による住宅でバリアフリーというのは六五%そうなんだ、そういう御答弁もありました。

 だから、公庫融資が一定の技術基準への適合を融資条件としてきたことによって、例えば阪神・淡路大震災のときにも、聞いておりますのは、公庫による融資を受けた住宅というのはそのほかのものと比べて極めて被害が少なかった、そういう実績もありますし、そういう意味でいうと、住宅の質の確保に極めて大きく住宅金融公庫というのは貢献してきたということは言えるかと思います。

 しかしながら、一方で、平成十四年度から直接融資業務が段階的に縮小されてきたことによりまして、今言いましたような省エネとかバリアフリー、耐震改修などの、質の確保、誘導手段としての機能が低下している、そういう指摘もあるんですね。

 しかし、今、逆に日本の置かれている社会というものを考えていきましたときに、今言いました省エネルギー化とかバリアフリー化とか耐震化というのはこれからますます必要なわけでありまして、一つは高齢化社会ですね。さらに、京都議定書に代表されるような地球環境問題。さらに、我々も先日、委員長を筆頭に福岡県西方沖地震を見てきましたけれども、日本列島どこでも地震が起きる可能性というのが今回この地震でも明らかになったわけでして、そういうものに対する耐震化。だから、バリアフリー化、省エネ化、耐震化という社会的要請というのはこれからますます高まっていくものである、そういう認識に我々は立たなければいけないと思うんです。

 今回、そういう意味では、確認の意味でぜひ御答弁いただきたいんですけれども、この住宅金融の枠組みというのは、そういう意味でいうと、今まで公庫の果たしてきた実績から見ても、住宅の質の確保、誘導を進める上では重要なツールであろう、そのように私は認識しておりまして、ぜひ、独立行政法人になっても、証券化支援による民間住宅ローンを通じて、今まで行われてきたような住宅の質の確保、誘導に果たしてきた役割というのは維持すべきである、私はそのように思うんですが、国交省の見解と、そのために具体的に移行に当たってどういう施策をしっかりとされていくのか、御答弁をいただきたいと思います。

北側国務大臣 委員のおっしゃったように、従来、公庫が直接融資を果たすことを通して政策誘導をしてきたところがございます。それをどうするのかという御質問でございます。

 それは、直接融資は原則やらないわけでございますが、一方で、住宅金融を通じて質の誘導を進めるための新たな枠組みを整備することが必要と考えておりまして、今委員のおっしゃった省エネ、耐震化、それからバリアフリー化、こうしたものを対象といたしまして、証券化ローンの枠組みの中で、当初五年間は〇・三%の金利優遇を行う優良住宅取得支援制度を平成十七年度予算において創設いたしまして、本年六月から事業を開始するところとしておるところでございます。

 これは証券化ローンを通じての話でございますが、直接融資としても、災害関係はもちろんのこと、密集市街地の建てかえだとか、それから子育てファミリー向けの賃貸住宅建設支援だとか、なかなか民間だけでは十分ではない、そういうところはやはり今後ともしっかりと独法後も融資業務をやっていかなければならないと考えております。

佐藤(茂)委員 そこでもう一つ、これからの独立行政法人になるこの法人の役割として、さらにちょっと確認をしておきたいことが、住宅ローン利用者への的確な情報の提供というのはこれからますます大事になってくると思っておりまして、特に、住宅ローン商品というのがこれからますます多様化が進んでいくと思うんですけれども、消費者が間違いのない商品の選択をできるようにするために、そういう情報が十分に提供されているということが極めて市場では不可欠だと思うんですね。

 例えば、平成十六年度の住宅金融公庫がインターネットで行った調査によりますと、変動・固定金利期間選択型を選んだ住宅取得者のうち、金利変動のルールやリスクについて説明を受けた、そう回答した者は一応七七%いらっしゃるんですけれども、このうち、詳しく説明を受けた、そう回答した者は全体の約三割弱しかいない、そういう結果が出ているわけですね。

 日本の場合は、金融機関の場合は、銀行業における表示に関する規約施行規則第五条に基づく運用基準というのがありまして、表示についてはパンフレット等でもきちっと表示されているんですけれども、しかしアメリカに比べると非常にまだまだ手薄でありまして、アメリカの場合は真実貸付法に基づく連邦準備制度理事会が作成した規則によって、理解しやすい具体的な計算例をきちっと踏まえて、より詳細に提供しなければならないという義務づけがあるんですね。

 例えば、過去十五年間の金利変動実績データによる返済額計算例を提示するとか、あるいは融資期間中に想定される最高金利と最高返済額計算例の提供というものを義務づけなければならないというような、そういう厳しいことが民間の金融機関にも義務づけられたりという形でいうと、やはり利用者への的確な告知の方法については、アメリカのいい例はしっかりと学んでいかなければいけない。

 そういう考え方の前提の上に立って今回の法案に戻りますと、住宅金融支援機構の業務として、今までの住宅金融公庫法にはなかった住宅情報提供業務が新たに位置づけられているんですけれども、その趣旨と、また住宅情報提供というのはどのような業務を行うのか、国交省にお伺いをしたいと思います。

山本政府参考人 実は、住宅金融公庫は、従来から、住宅ローンを実施するという仕事に付随する仕事として国民の皆様のいろいろな相談に応じてきましたし、住宅供給事業者、大工の方とか工務店の方々の相談に応じて、住宅の設計施工についての情報提供を行ってきました。

 公庫は廃止されて、証券化支援業務を中心とする独立行政法人になるわけですけれども、住宅政策全体の今後を考えますと、住宅市場を重視して、マーケットを通じてきちんとした住宅が供給され使われるようにしたいということを考えますと、消費者の方にも的確な情報が提供される、それから、供給事業者も健全な知識を持って住宅供給事業を行うということは不可欠のことでございますので、今まで現実にやってきて、供給者、需要者双方から頼りにされていたこの仕事を新独立行政法人の正式の業務として位置づけて、正面から取り組んでいただこうというふうに企図したものでございます。

 具体的には、消費者に対しましては、住宅ローンに関連するいろいろな、今御紹介がありました変動金利のリスクでありますとか、計画的に取得するというためにはどうしたらいいのかというような知識、それから、住宅供給事業者については、さっき言いました住宅の設計施工についてのいろいろなノウハウ、こういったようなものを、ホームページを活用することはもちろんでございますけれども、出版物を発行いたしましたり、あるいは従来からも取り組んでまいりました相談窓口を設置いたしまして、相対でいろいろ相談に応じて情報提供する。それから、消費者とか事業者を対象にしましたいろいろなセミナーを実施するといったような手段で提供していくことを考えております。

佐藤(茂)委員 そこで、消費者に対する情報の提供でもう一点ぜひお聞きをしておきたいのは、民間金融機関と接して情報をやりとりするということが一つとともに、もう一つは、国交省のある研究会の調査によると、住宅ローンを選択したきっかけとして、分譲建設業者から勧められたと回答した者が約半数いたということが報告されているんですね。

 消費者から見ると、住宅ローンに関する重要な情報源となっていると考えられるのが、住宅の分譲建設業者というような住宅事業者がまずこの住宅ローンについても情報源となっている、そういう事実があるわけでございまして、今まで私のこの質問までにいろいろ答弁もありましたけれども、適切にこの住宅ローンの内容を説明する、アドバイスできる者として、住宅ローンアドバイザーという話もありました。私は、こういう方々を職能として確立させて育成していくということも含めて、民間金融機関だけに任せておくのではなくて、住宅事業者の中に、やはりきちっと住宅ローンに関する情報提供が行われていく、そういう仕組みを市場の中にきちっと構築していくことが必要であろう。

 先ほどの質問者の中で、これはモーゲージブローカーとはちょっと違うと思うんですよ。モーゲージブローカーというのは、アメリカはもう少しあっせんするというようなレベルですけれども、そこまでのレベルまで行かなくても、この住宅ローンアドバイザーというものが住宅事業者の中に的確にいて、そして消費者保護の観点からしっかりとした間違いのない的確な情報を提供していく、そういう市場というものを、仕組みを構築していくことが大事であろうと思うんですが、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 非常に大事な仕事の領域だと考えております。

 今引用していただきました国土交通省のアンケート調査結果も踏まえますと、本気で住宅を取得したいと考えておられる方が接触するのは住宅供給事業者でございます。そこで本気で情報のやりとりをする、その局面で的確に住宅ローンについての情報が取得者に提供できるようにするというのは非常に大事なことだという認識でございます。

 こういう考え方に立ちまして、実は、昨年度から、各地域のハウスメーカー、中小工務店といった住宅関連事業者を対象といたしまして、消費者に住宅ローンに関する的確な情報を提供できる住宅ローンアドバイザーを養成する講習会を実施しまして、これを受けてもらうように努めております。実は、平成十七年度は、さらに消費者に対し適切な住情報を提供するために、消費者との窓口となる住宅生産者とか宅建業者に証券化ローンを含む住宅ローンに関する講習会を開催していこうと考えておりまして、今まで以上にそういった人材の養成に努めていきたいと思っております。

 そういうことを通じまして、住宅ローンに関する情報がいろいろな方法で住宅取得者の方に的確に提供される仕組みが整備されますように努力してまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、証券化ローンの市場を拡大するために、今私が申し上げたようなことは非常に必須条件だと思いますので、今後とも力を入れていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橘委員長 穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、公庫融資の果たしてきた役割について、まず最初に聞きたいと思います。

 今回の法案で、住宅金融公庫を廃止し独立行政法人住宅金融支援機構を設立する、そして、機構は、銀行の住宅ローン業務を支援する証券化支援業務を主要な仕事にする一方で、これまで公庫が行ってきた直接融資を原則廃止する。もちろん、今お話がたびたびありましたように、災害関連や都市居住再生等の、民間銀行が採算のとれない、融通が困難な分野に限って融資するものだということになります。

 簡単に縮めてというか、一言で言えば、国民や消費者の住宅取得要望にこたえて国の機関として住宅資金を融通してきたけれども、それをやめる、これからは国は銀行支援をするという形にしましょうということだと思うんですね。だから、国民や消費者の側からすれば、何でそんなことをするのかわからぬというのが率直な気持ちだと思うんですよ。

 二〇〇三年五月、国土交通委員会の参考人質疑で、当時の参考人がこのように述べています。「住宅金融公庫自体は、別に要らない道を造ったり使わない施設を造ったり、そういう悪いことをしてきたわけではなく」「国民の住宅取得という一生の夢のためにずっと役立ってきた」、こう述べていた発言を今でも忘れられません。だから、直接融資を何でやめるのかよくわからないし、納得もいかへん、いつの間にかそうなっているのかというのが多くの方々の実感ではないかと思っています。

 そこで、まず、公庫が果たしてきた役割について聞きたいと思っています。公庫の融資を受けている所得階層はどうなっているのか、お答えいただければと思います。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 公庫の融資、いろいろございますが、例えばということで平成十五年度のマイホーム新築融資について見ますと、いわゆる家計調査で中低所得者と言われております第一分位から第三分位まで、年収でいいますと六百七十五万円まででございますが、この方々が全体の七一%を占めております。

穀田委員 マンションの融資、建て売り住宅の融資も含めて、そんな現実、七一%という話がありましたけれども、同じように七割に近い現状ですし、それから、年収八百万円以下ということでいいますと八五・一%になります。つまり、中低所得者の住宅取得ニーズにこたえた制度だったということが一つあります。先ほど来議論されてきたように、住宅の質の向上の点での誘導をしてきた役割ということは、もう言うまでもありません。

 重要なのは、国の機関であった住宅金融公庫が、直接的に融資することでその役割を果たしてきたということが大事だと私は考えています。

 今回、公庫を廃止して新しくつくる住宅支援機構は、直接融資は原則的に廃止することになります。この直接融資を廃止することによって生じる、国民、消費者に与えるデメリットということを考えたことはあるでしょうか、お答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 今回の改革でございますけれども、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、証券化支援を業務の柱とする独立行政法人を設立しようとしております。

 御指摘のように、今回改革に伴いまして、財投を財源に直接融資をするという制度は原則廃止するということにしておりますけれども、独立行政法人が、民間金融機関が長期固定ローンを供給することを支援する証券化支援事業によりまして財源を調達して、長期固定ローンを民間金融機関が円滑に実施することができるようにするということでございます、やろうとしていることは。結局、直接融資でやってきたことと同じように、中低所得者も含めまして、引き続き長期固定ローンを安定的に供給するということが可能でございますので、御指摘のような、国民にデメリットを与えるというような性格のものではないと考えております。

穀田委員 まあ、これは歴史が検証するでありましょう。少なくともこの間でそういう事態でなかったことについては明らかであって、もちろん、この四月、五月、順調だという話、先ほど一生懸命北側大臣は言ってはりましたけれども、この問題について言うならば、必ず、一定の年限が来れば、それらの問題について、どちらが正しかったかというのは歴史が証明するということだけは言っておきたいと思うんです。

 問題は、そもそも国が責任を持って直接融資などを実施してきて、公的な資金による支援だったわけですよね。その目的というのは、国民の住宅要求への支援であって、政策的支援だと。これは営利を目的とした銀行などと根本的に違う問題なんです。ゆえに、国民、消費者の安心、信頼度も百八十度違う。先ほど、認知の問題だとか金利リスクについての認識はまだあれだからなんという話をしていましたけれども、そういう根本の問題があるんだということを私は指摘しておきたいと思っています。だから、国民からすれば、住宅要求に対する政策的支援対象から銀行の利益獲得手段の対象になるということは紛れもないことだと思います。

 銀行の住宅ローンに関する実情を書いたものがあります。こう書いています。「近年、当面の金利が低い変動・短期固定のローンを選択する利用者の割合が高くなっているが、金融機関に限らず、住宅・不動産業者においても、利用者の当面の返済負担額を抑制できる変動・短期固定の商品を販売促進上利用者に勧めがちな現状にある。」と言って、銀行について述べているんですね。続いて、「しかしながら、民間ローンの主力商品である変動・短期固定の住宅ローンについては、金利上昇に伴って返済額が大きく増加し、利用者の負担増をもたらし、社会問題化する可能性がある。特に、三十歳代の若年層はリスクが大きいと考えられる。」

 この文書、どこの文書か。これは、実は昨年十一月十九日の自由民主党の政務調査会の住宅金融改革小委員会の提言なんですね。こういう危険があるぞということを言っている。

 もちろん、この提言の結論というのは、公庫を廃止して住宅ローンは民間にゆだねるというものですから、全く正反対の結論を出しているということになるわけですけれども、民間にゆだねたら金利上昇に伴って利用者の負担増が社会問題化するという懸念は表明しているわけですね。だから、長期、固定、低利の公庫融資が必要なんじゃないでしょうか。その点についての見解を問いたい。

北側国務大臣 だからこそ、証券化支援業務をやろうとしているわけでございます。住宅事情が戦後の状況とは大きく変化していることは委員も御理解をいただけるのじゃないかと思います。民間の金融機関もさまざまな住宅ローンを、かつてはそんなにやっていませんでしたけれども、そういう住宅ローンの商品を販売するようにもなってまいりました。

 そういう中で、住宅金融公庫については、直接融資につきましては原則としてもうやらない。そして、一歩下がりまして、民間の住宅金融の証券化を支援していく。そこで長期固定という非常にニーズの高い、安定した、また計画的な住宅取得ができる、そうした証券化支援業務をしっかりとやっていこうということでございまして、ぜひ御理解をお願いしたいと思っているところでございます。

穀田委員 なかなか理解できないことでして、何でそれが証券化になるのか、直接融資を廃止するのかという理由が相変わらずわからないんですね。大体、リスクがある民間銀行からしか結果としては、支援するとかなんとか言うんだけれども、借りられなくなるということ自体が問題だと思っています。

 先ほど来、証券化ローンの実態については出ていました。結論からいえば、私は、住宅ローンの貸出総額に占める証券化ローンのシェアというのは〇・一%しかないという現実をしっかり見ていく必要があると思うんです。

 それで、変動リスクに関して、先ほど来私が指摘して、自民党も懸念と言っているように、金利上昇に伴って利用者の負担増が社会問題化するという点、これが決定的だと思うんですね。民間金融機関が貸し出している住宅ローン百二十二兆円のうち、そのほとんどが変動金利であることは明らかです。そういう意味で、国民負担増を避けるために何らかの対策を考えているんでしょうか。それについてお聞きしたい。

山本政府参考人 国民の皆様の住宅ローンに対するニーズの中身ですね。

 住宅ローンに対するニーズはいろいろなものがあると思いますけれども、政策的に非常に大事な中堅所得者の若年世帯が非常に長い間にわたってローンを利用する、三十年の長きにわたって使うということであれば、固定金利である必要があると政策的に考えております。それが、今回、独立行政法人住宅金融支援機構を用意して、民間金融機関の長期固定のローンの供給を支援しようと考えた一番のゆえんでございます。民間金融の現状は、変動か非常に短い期間の固定金利のタイプが多いことは事実でございますので、何とかして、この新しい証券化支援業務のスキームを使って長期固定のローンが安定的に供給されるようにしたいということが非常に大事だと思います。

 これは民間の金融機関に協力をお願いする努力とあわせまして、実際に住宅ローンを御利用になる方、国民の皆様が住宅ローンについて的確な知識を持って、長期固定の安定的なローンを御利用になられるような形に持っていくということが非常に大事だと考えておりまして、先ほどちょっと御説明しましたけれども、新法人の業務として、消費者に対する住宅情報の提供を本来の仕事として位置づけました。さらに、消費者に対してさまざまなアドバイスをする住宅関連事業者に対しても、住宅ローンについての講習会を推進するというふうなことに努めようと考えているのはそのためでございまして、引き続き消費者に対する適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 情報提供は、それは最低限の当たり前のことであって、私は、金利上昇に伴って社会問題化するということに対して、何をのんきなことを言っているのかなと思うんです。

 これは、きょう入ったマンションの宣伝チラシなんですね。これを見ますと、モニター制度利用ということで、月々七万円台で購入できると書いてあるんですね。これを見るとなかなかよいでしょう。しかも、渋谷区恵比寿、港区白金高輪と、こう来ますからね。これはもう驚くばかりですよ。

 ところが、細かい字を見ますとなかなかでして、「ご返済例は、当初二年間のものであり三年目以降のご返済額は異なります。」「年利〇・九%(二年固定)、期間三十五年、一・一%の金利優遇適用」、金融情勢の変化により融資条件に変更を生じることがございますと、ほんま小さい小さい字で書いてますねんで、これ。ここは七は大きいんですよ。あとはこんな字で見えしませんねんで。まあ、こういうことが起こる。

 だから、結局金利が上がればどうなるのかという、社会問題化するという点について言うならば、いずれもここのところが焦点だということがどこから見てもおわかりいただけると思うんです。

 そこで、ローンが返済できず、いわゆる焦げつきが生まれるローン破綻についてだけ聞きたい。確認したいけれども、第一に、公庫のローン破綻に陥った債権額。二つ目に、返済が六カ月以上滞った債権額。三つ目が、返済が三カ月から五カ月滞った債権額。どうなっているか、二〇〇二年と二〇〇三年の例でお答えいただきたいと思います。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 破綻先債権でございますが、平成十四年度千百三十一億円、十五年度千四百六十三億円。六カ月以上の延滞債権、十四年度五千八百八十二億円、十五年度六千六百四十七億円。三カ月以上六カ月未満の延滞債権、十四年度三千八百七十七億円、十五年度三千八十六億円となっております。

穀田委員 これを見ましても、一番目と二番目はふえている。公庫だけでも、前回の審議になったときに明らかですが、大体二万二千人近くの方々が家を手放していると報告がありました。今後金利の上昇で一層ふえることは、何回も言っているように懸念される。

 先ほど局長から、そういう丁寧なことでやるんだということを言っていましたけれども、今、公庫は確かに返済困難者に関して返済特例などによって手厚く相談に乗っています。ところが民間銀行というのは、返済が滞れば担保にした住宅をすぐ競売にかけるなど、貸しはがしのひどさは国民みんなが知っているんですよね。ローン返済困難者に対して親身になった対応をしないという現実があります。

 時間もあれですから、まとめて三つ聞きたいと思うんです。

 こういう銀行に対して、どういうふうに指導ができるのか。

 二つ目に、融資する際も問題です。今話に出た人たちもそうなんでしょうけれども、みんなが心配しているのは、選別融資が行われるんじゃないかと心配しているんです。現実に、自営業者に対しては貸さない。民間でいうならば、労働者についても派遣社員がふえているけれども、そういう人たちについては初めから融資対象から外す、ないしは金利を上乗せさせられる。こういう現実があることは一番よく大臣も御存じだと思うんですね。こういう選別融資をさせない仕組み、担保はあるのか。二つ目。

 最後に、では、こういうぐらいで、証券化ローンとしては、直接の融資がなくなることによって、町場の工務店、中小建設業者の多くの方々が心配されているのは、銀行が大手住宅メーカーとの提携を強めて、小さな工務店などが排除されるんじゃないか、こういう点の心配があるんですね。私は、こういう点は、本当にこれをやらないとえらいことになる。そういう点をどう考えているのかだけ最後に聞いておきたいと思います。

山本政府参考人 証券化支援事業の一番のポイントは、金融機関が設定しました住宅ローン債権を買い取るということでございます。したがいまして、今ありました債務者が返済困難になったときのいろいろな対応は、従来の直接融資と全く同様に、新法人が責任を持って返済条件の変更等きめ細かい対応をしていく。それは既往債権が新法人に移ったものについてもそうですし、そういうふうにしていくということでございます。

 それから、二番目の選別融資の問題は、これも金融機関が設定したローンを買い取るわけでございますので、協定に基づいて新法人が設定した要件を超えていろいろな選別をすれば協定違反になりますので、的確に、そういうことをしないようにということをやってまいります。

 それから、民間金融機関による住宅ローンの供給を支援する証券化支援業務をやってまいりますけれども、証券化ローンにつきましては、新法人が民間金融機関から債権の買い取りを行うに当たりまして、従来の公庫直接融資と同様に、客観的な基準に基づき審査を行うことを条件にします。したがって、いろいろなことは選別をしませんし、従来の直接融資と同じように利用できますので、町場の工務店が阻害されるというような御心配はないものと考えております。

穀田委員 それぐらいの対策で銀行の貸し渋りや貸しはがしがなくなるんだったらだれも心配しないし、外国だったら、そういう選別、差別を禁止した地域再投資法などあるわけですからね。そういうものがない日本ではおよそそうならぬだろうということだけ言って、終わります。

橘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 政府は、これまでの公営住宅、公団住宅、金融公庫融資住宅を三本柱とした住宅政策を大転換しようとしています。その方向は、住宅市場の条件整備など一層住宅の市場化を促進し、公共住宅政策から撤退しようとするものであります。

 本法案は、三本柱の一つである住宅金融公庫を廃止するもので、政府が公共住宅政策から撤退する具体化にほかなりません。これが、反対する第一の理由です。

 第二に、公庫の直接融資業務は、長期、固定、低金利の住宅ローンとして、国民の住宅取得、住生活の安定、居住水準の向上等にそれなりの役割を果たしてきました。これを廃止縮小することは、住宅取得を願う国民に対する国の支援の後退です。

 また、住宅ローンが民間主体となることで、銀行による融資抑制や選別融資などが広がり、住宅の質の向上誘導が低下することや、町場の住宅需要を縮小させ、工務店等の経営に悪影響を及ぼすおそれもあります。

 反対理由の第三は、公庫の廃止、独立法人住宅金融支援機構の設立は、民業圧迫を理由に、安定的な投資先を求めた大手銀行の要求を全面的に受け入れ、証券化支援業務を中心とすることで住宅ローンのリスクを回避し、民間金融機関の利潤追求を応援するものであるからです。

 民間にできることは民間になどとして、本来国が責任を持って実施すべき国民への支援を投げ捨てる政府のやり方を根本的に改めることを求め、討論とします。

橘委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより採決に入ります。

 独立行政法人住宅金融支援機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、衛藤征士郎君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。衛藤征士郎君。

衛藤(征)委員 ただいま議題となりました独立行政法人住宅金融支援機構法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    独立行政法人住宅金融支援機構法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 国民がそれぞれの価値観やライフスタイル等に応じた居住を実現できるよう、需要に対応した多様な住宅資金が安定的に供給される住宅金融市場の整備に努めること。その際、従来同様に返済能力について十分審査し、職業・勤務先等の区別なく住宅資金が供給されるよう留意すること。

 二 長期固定金利の住宅資金を全国あまねく供給できるよう、証券化ローンの普及に努めること。また、民間金融機関に対して、融資審査条件等の行き過ぎた厳格化により消費者を過度に選別してしまうことがないよう指導・監督が行われるよう配慮すること。

 三 少子高齢化や地球環境問題に対応するため、証券化ローンに係る金利優遇措置等により、住宅のバリアフリー化、省エネルギー化等を積極的に推進すること。

 四 住宅金融支援機構の理事長その他の役員の選任においては、適切な人材を広く起用するよう配慮すること。また、住宅金融支援機構に対し、組織のスリム化、事務の合理化等を促すとともに、役員及び一般職員の報酬等の水準を、国家公務員及び民間企業と比較できる形でわかりやすく公表し、国民の理解を得るよう努めること。

 五 住宅ローンに係るサービスの多様化・高度化を図る観点から、モーゲージバンカーやモーゲージブローカー等の住宅金融産業の育成を図ること。

 六 今後新たな発展を目指す我が国の住宅金融市場において、外資系企業の過度の参入により、その利益を独占的に支配されてしまうことのないよう、国内企業の育成に努め、関係省庁と連携して、市場の健全な発展を目指した対応をするように十分配慮すること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

橘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣北側一雄君。

北側国務大臣 独立行政法人住宅金融支援機構法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事、委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変にありがとうございました。

    ―――――――――――――

橘委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

橘委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出、総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣北側一雄君。

    ―――――――――――――

 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北側国務大臣 ただいま議題となりました総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国が人口減少時代を迎えつつある今日、国民の不安感や不透明感が拡大する中で、国土及び国民生活の将来の姿を示すことが極めて重要であります。現在及び将来の国民に安心かつ豊かな生活を確保するためには、その特性に応じて自立的に発展する地域社会、国際競争力を備えた活力ある経済社会、地球環境の保全にも寄与する豊かな環境等の基盤となる国土を実現することが求められます。

 しかし、我が国の国土政策の根幹を定める国土総合開発計画の根拠法である国土総合開発法にあっては、それが制定された昭和二十五年当時の社会経済情勢を背景に、開発を基調とした量的拡大を志向したものとなっております。このため、地方分権や国内外の連携に的確に対応しつつ、国土の質的向上を図り、国民生活の安全、安心、安定の実現を目指す成熟社会にふさわしい国土のビジョンを提示する上で、計画制度を抜本的に見直すことが急務となっております。

 この法律案は、このような必要性を踏まえて提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、国土総合開発法について、法律の題名を国土形成計画法に、計画の名称を国土形成計画に改めることとしております。また、国土形成計画を、国土の利用、整備及び保全に関する施策の指針となる全国計画と、ブロック単位の地方ごとに国及び都府県等が適切な役割分担のもとで連携協力して地域の将来像を定める広域地方計画から成るものとしております。

 第二に、海域の利用及び保全、環境の保全及び良好な景観の形成に関することを加えるなど計画事項を改めるとともに、地方公共団体による計画提案制度を創設することとしております。また、全国計画につきましては、国土利用計画法に基づく国土利用計画全国計画と一体のものとして定めるものとしております。

 第三に、広域地方計画制度の創設に伴い、各大都市圏の整備に関する計画を整理するとともに、各地方の開発促進法を廃止することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由でございます。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

橘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十八日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十七分散会


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