第25号 平成17年7月8日(金曜日)
平成十七年七月八日(金曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 橘 康太郎君
理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君
理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君
理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君
理事 赤羽 一嘉君
岩崎 忠夫君 江崎 鐵磨君
木村 隆秀君 河本 三郎君
佐藤 勉君 佐藤 錬君
櫻田 義孝君 菅原 一秀君
高木 毅君 武田 良太君
谷 公一君 中馬 弘毅君
寺田 稔君 中野 正志君
二階 俊博君 葉梨 康弘君
萩生田光一君 林 幹雄君
古川 禎久君 保坂 武君
松野 博一君 森 英介君
森田 一君 加藤 公一君
下条 みつ君 高木 義明君
玉置 一弥君 樽井 良和君
中川 治君 長安 豊君
伴野 豊君 松崎 哲久君
松本 大輔君 三日月大造君
室井 邦彦君 和田 隆志君
若井 康彦君 若泉 征三君
佐藤 茂樹君 谷口 隆義君
穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 北側 一雄君
国土交通副大臣 岩井 國臣君
国土交通大臣政務官 中野 正志君
国土交通大臣政務官 岩崎 忠夫君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 舟橋 和幸君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 桜井 俊君
政府参考人
(中小企業庁次長) 西村 雅夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 谷口 博昭君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局長) 金澤 悟君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 鬼頭 平三君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 岩崎 貞二君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 春田 謙君
国土交通委員会専門員 亀井 為幸君
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委員の異動
七月八日
辞任 補欠選任
江藤 拓君 萩生田光一君
河本 三郎君 佐藤 勉君
武田 良太君 谷 公一君
中馬 弘毅君 森 英介君
二階 俊博君 佐藤 錬君
菅 直人君 加藤 公一君
和田 隆志君 松本 大輔君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 勉君 河本 三郎君
佐藤 錬君 二階 俊博君
谷 公一君 武田 良太君
萩生田光一君 江藤 拓君
森 英介君 中馬 弘毅君
加藤 公一君 菅 直人君
松本 大輔君 和田 隆志君
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七月四日
公共事業を防災・環境・生活優先に転換することに関する請願(小泉俊明君紹介)(第三一六四号)
気象事業の整備拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一七六号)
同(石井郁子君紹介)(第三一七七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三一七八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)
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○橘委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長谷口博昭君、自動車交通局長金澤悟君、港湾局長鬼頭平三君、航空局長岩崎貞二君、政策統括官春田謙君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君、経済産業省大臣官房審議官桜井俊君及び中小企業庁次長西村雅夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○橘委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野博一君。
○松野(博)委員 おはようございます。自由民主党の松野博一でございます。
本日の議題であります物流総合効率化法について質問をさせていただく前に、冒頭、きのうロンドンにおいて発生をいたしました地下鉄及びバスの爆破事件について質問させていただきたいというふうに思います。
まことに卑劣、悲惨なテロであります。亡くなられた方の御冥福を心からお祈りするとともに、おけがをされた方や御家族に対しお見舞いを申し上げる次第でございます。こういった悲惨な、卑劣なテロに関しては、国内はもちろん、各国連携をして毅然として対応していきたい、そういう思いを、この国土交通委員会、委員の皆様とともに誓いを新たにしたいと思っております。
今回のテロは、都市交通をターゲットにしたテロであります。こういったテロに関しまして、同様の危険性というのは当然日本においても発生をする可能性が高いわけでありますけれども、こういったテロ対策に関して、国土交通省としてどういう対応をとっているのか、そのことについて質問させていただきたいと思います。
○岩井副大臣 昨日、ロンドンで複数の地下鉄及びバスに対する爆破テロが発生したところでございますけれども、このような卑劣なテロ行為は断じて許されるものではありません。私も強い怒りを覚えるものでございます。亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被害者の方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
今回のテロ事件を受けまして、国土交通省におきましては、昨日、鉄道事業者及びバス事業者、そして航空事業者並びに空港管理者に対しまして、本事件の発生についての観点から注意喚起をさせていただきました。あわせて、テロ対策につきまして徹底するよう緊急に指示をしたところでございます。
これまでも、国土交通省におきましては、陸海空の交通機関や重要施設におきまして、テロ対策の強化、徹底を図ってきているところでございますけれども、今後、本事件の原因の究明等を踏まえながら、必要があればさらなるテロ対策の実施につきまして検討してまいりたい、我が国でこのような事件が起こることがないように、関係各省とも連携いたしまして、我が省としてもテロ対策の実施に万全を期してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○松野(博)委員 ぜひ、万全の警戒態勢、対応をとっていただきたいというふうに思います。
それでは、物流総合効率化法について質問させていただきたいと思います。
日本の国際競争力を議論するときに、一つのウイークポイントとして挙げられるのが、物流の高コスト体質であります。また、日本の物価が高くて生活がしづらいというような話もあるわけでありますけれども、その一つの原因も、やはり物流のコストの高さにあるというふうに言われております。
この物流コストの引き下げや効率化に対しては、重要課題として取り組んでいく、このことはもう既に意見が集約をされているところでありますけれども、一方で、日本の物流分野の技術、制度、インフラ整備のおくれも指摘をされているわけであります。
また、運輸、倉庫業等を含めた物流分野といいますのは、GDPにおいても、八・五%、約四十二兆円を占める大きな一大産業でありますけれども、企業数、企業構成で考えると、大半が中小企業から構成をされている分野でもあります。このことから、必要な技術革新やインフラ整備等も、設備投資また各社間の連携が大変難しいという、そういった状況を持つ業界でもあります。
これらの点から、物流技術のイノベーション、効率化、中小の物流関係企業の育成が非常に重要であり、急がれるわけであります。本法案に期待されるところもその点であるかと思いますけれども、この視点から何点か質問させていただきたいというふうに思います。
最近の物流の実態を見ると、荷主の物流業務について、輸配送、保管、流通加工をそれぞれが個別に請け負うのではなく、これらをまとめて受託して効率を図ることで荷主の物流コストを低減する、サードパーティー・ロジスティックス、3PLと言われる形態が徐々にふえてきております。
3PLは、物流効率化による物流コストの低減効果のほかにも、拠点の集約化や在庫管理の徹底を通じて、輸配送の合理化等によって、CO2の問題も含めて環境負荷の低減効果も有する、こういうふうに考えられます。
このように、3PLを推進することでさまざまな効果が期待ができることから、国としてもこの分野に積極的に取り組むべきというふうに考えておりますけれども、我が国における3PLの現状と、国土交通省がどのようにこの問題に向けて取り組んでいるか、このことを質問させていただきたいと思います。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
今御質問いただきました3PL、いわゆるサードパーティー・ロジスティックスという取り組みでございますけれども、このサードパーティー・ロジスティックスという取り組みにつきましては、一九九〇年代に米国でこういう取り組みが登場したということで、内容的には、荷主に対しまして効率的な物流のシステム構築を提案するということで、今先生御指摘のとおり、輸配送、保管あるいは流通加工、こういった流通業務を包括的に受託しまして総合サービスを提供する、こういう事業でございます。
こういう事業がいわゆる発展してきた背景といたしましては、荷主の企業がみずからのコア業務に、営業であるとかそういったところに経営資源を集中させるということで、その一方で、物流業務についてはまとめてサードパーティーの事業者に委託をする、こういったことが背景にあろうかと思います。
近年、我が国におきましても、実はいろいろな状況変化がございます。一つは、規制緩和というようなことで、いろいろな事業の分野というものが割と比較的事業に参入しやすくなるというようなことがございます。それから、在庫管理の徹底ということが荷主のサイドからも非常に強く求められるということ、あるいは消費者のニーズも非常にきめ細かくなっておりますので、そういうものにも対応していくということで、そういう意味で、サードパーティー・ロジスティックスの事業にアウトソーシングというようなことは我が国においても相当いろいろな事例が出てきている、こういう状況でございます。このことはまた、こういう取り組みを通じまして、地球温暖化問題、こういったものにも非常に有効であるということになってございます。
もともとこういう取り組みというのは民間の事業者の自由な取り組みという中で発展していく、そういう性格のものでございますけれども、やはり我が国の産業について国際競争力というようなことが強く叫ばれるというような情勢、あるいは京都議定書の発効に伴いますところの地球温暖化問題、こういった取り組みの緊急性もございますので、政府といたしましても、こういうサードパーティー・ロジスティックスの取り組みが進むということにつきまして支援策を充実させる必要があるだろうというふうに考えております。
この提案させていただいております法律案の中で、そういう支援策といたしまして、サードパーティー・ロジスティックスを進める上での拠点の施設整備、こういったものにつきまして、事業のいろいろな手続がございますが、こういったものを一括の取得ができるとか、あるいは税制の特例が講じられるとか、あるいは資金の融資というようなことでの支援措置ということで積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○松野(博)委員 本法案におきましては、倉庫業、貨物自動車運送事業、そして貨物利用運送事業の許可、登録の一括取得制度が措置されているわけでありますが、これらは総合物流業に進出をしていく荷主の物流業務の包括受託を検討している事業者にとっては重要な支援措置であろうというふうに思います。
現状として、複数の物流事業許可、登録をあわせて取得する事業者はどの程度存在をしているのか、また、そうした実態を踏まえた本法案による認定件数についてどういう見込みを持っているかについてお聞きをしたいと思います。
○春田政府参考人 ただいまのお尋ねでございますけれども、いわゆる物流事業で複数の事業をあわせて行うということで、いろいろな手続をとる必要があるということになります。
そういったいろいろな事業を重ねて行うというような実態でございますけれども、実は倉庫業というのが保管の関係で一つ機能してございまして、それにトラック運送事業でありますとか、あるいは利用運送事業といったようなものを兼ねて行うという形が割と広く見られるということで、実態調査をしてみましたところ、倉庫業に新規参入をした事業者百三十六社を対象に調査をいたしましたところ、その六割が実はトラック運送事業を行っておられる方でございました。
残りの四割の方は、商社とか卸売業ということで、物流業以外の方面から新たに倉庫業を営まれるということでありましたが、そのうちの三分の一の十六社の事業者の方は、実は倉庫業の登録とあわせましてトラック運送事業なりの手続も並行して取得をされるということでございまして、全体で見ますと約百三十六社のうちの七割、九十四社が複数の物流事業を兼営する、こういう実態でございました。
そういう意味では、この総合物流事業、いろいろな事業を兼ねて総合的に展開する事業というものは相当広く出てくるということではないかというふうに考えておりまして、私ども、この見通しにつきましては、平成十五年度の倉庫の関係のいろいろな登録がなされました総体件数が五百三十件ほどございますけれども、この中で、この新しい法律の要件、こういったようなものに大体当てはまる、当てはまり得るようなものを推計いたしますと、年間で百件から百五十件程度はそういう申請が出てくるのではないか、こういうふうに考えております。
○松野(博)委員 総合物流ないしサードパーティー・ロジスティックスに進出する事業者がふえているということはわかりましたけれども、冒頭お話をさせていただいたように、物流業界というのは九割が中小事業者であります。荷主の物流業務を包括的に請け負うというのは中小事業者にとってはなかなか大変であるかと思いますが、中小企業でもこのサードパーティー・ロジスティックスというのは可能であるのか、また、現状において、中小企業であってもこのサードパーティー・ロジスティックスに進出をしている形態があればお示しをいただきたいというふうに思います。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘がございましたように、中小事業者がこのサードパーティー・ロジスティックスの事業に参入するということにつきましては、確かに、資金力の問題もありますし、あるいはノウハウの蓄積というものも大企業に比べますと対応が非常に難しいというような点があるということは事実であるというふうに考えております。
ただ一方で、私どもいろいろな事例を調べさせていただきますと、中小企業にありましても、例えば輸入の衣料関係、ブランド品等につきまして、検査、納品を行った上でいわゆる国内配送をするとか、あるいは個人向けの、最近非常に発達しておりますが、通信販売関係、これをカタログとあわせて商品を配送するというような分野で、非常に専門分野の小回りのきく対応をするという中小企業の取り組みという例が最近非常に多く見られるところでございます。そういう意味では、中小企業ならでは創意工夫というものを働かせているところではないかと考えております。
ただ、冒頭に申しましたように、サードパーティー・ロジスティックス事業というようなことで総合的な物流業を展開するということになりますと、拠点になる施設の整備に多額の投資が必要とされるというようなこともございますので、中小事業者にとっては必ずしも容易な取り組みではないということが言えるかと思います。
この法律におきましては、中小企業の3PLの事業への取り組みを支援する観点から、低利融資などの支援措置、あるいは単独でこういったものに取り組むことが難しい中小事業者に対しましては、他の事業者と連携をするというような取り組みを支援する中小企業基盤整備機構、あるいは都道府県の協調によりますところの高度化の融資というようなことの支援措置を講ずるということにしているところでございます。
○松野(博)委員 本法案の施行に伴って、中小企業流通業務効率化促進法が廃止されるということであります。これによって、従前は支援対象になかった大企業まで支援を広げることになります。しかしながら、中小企業と大企業の資金力の格差を考えると、単に支援対象を大企業に広げるというだけでなく、中小企業に対して特に厚く支援をすることが必要であるかというふうに思いますけれども、本法案の施行によりまして、中小企業に対する支援措置はどのように充実をしていくのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
この法律に基づきまして、全体的な支援措置として、事業者の企業規模にかかわらずに適用される措置といたしましては、いわゆる拠点の整備につきまして税制の特例ということを働かせる、あるいは市街化調整区域で拠点施設をつくる場合に開発許可に当たって配慮するというような支援措置がございます。また、いろいろな事業の許可とか登録をとるということが一括で手続できる、こういうような措置がございます。
あわせまして、中小企業の皆さんにとりまして、資金面の支援ということが非常に重要でございますが、この点につきましては、信用保証協会によるところの債務保証関係、これが特例的に、通常の場合に比べますと、この法律に基づく認定を受けて同額の別枠での対応、あるいは保険料率の引き下げというようなことが認められる。それから、中小企業投資育成会社によりますところのいわゆる増資の引き受け、これについても充実をするということで要件が通常の場合よりも緩和される。それから、新たに食品流通関係で、食品流通構造改善促進機構によるところの特別の債務保証というようなものが新たに創設をされるということがございます。
そのほか、中小企業金融公庫等の低利融資、あるいは、先ほども申しましたが、中小企業基盤整備機構、都道府県によるところの高度化融資、こういった支援措置を講じることにしておりまして、従来の中小企業流通業務効率化促進法と比べまして、いろいろ、中小企業組合形式に限定していた特例の要件を緩和したり、先ほど申しましたように、食品流通関係の支援を新たに加えるというような措置を設けるというようなことをこの法律の中で規定しているということでございます。
○松野(博)委員 それでは、最後にお聞きをしたいというふうに思います。
今のお答えで、中小企業に対する支援を厚くしていくということでありまして、ぜひその点に関しての充実を図っていただきたいというふうに思いますが、しかし、それだけでは、中小企業単独でこのサードパーティー・ロジスティックスという分野に取り組んでいくことはなかなか難しいという声もあります。
そこで、企業間同士の連携をどう促進していくか、その取り組みが重要でありますし、加えて、やはり資金の確保に当たっても特別な配慮が必要ではないかというふうに考えますが、本法案の中小企業による連携、共同化というのは具体的にはどういうような形態を指しているのか。また、そうした形態による事業の実施に関してはどのような支援措置が用意されているのかについて質問させていただきたいと思います。
○西村政府参考人 本法案につきましては国際競争力の強化、環境負荷の低減等を図るものでございますけれども、中小物流事業者にとりましても、こうした観点を踏まえました物流効率化を推進していくことが重要と考えているところでございます。しかしながら、御指摘にございましたように、中小企業者が単独ではこうした取り組みを行うことはなかなか困難でございますため、本法におきましては、中小企業者相互の協力によります物流効率化への取り組みも支援対象といたすこととしておるところでございます。
御質問にございました連携または共同化という形態でございますけれども、共同化に関しましては、これまで中小企業流通業務効率化促進法でも支援対象といたしておりました法人格を有します中小企業の組合形態によるものを指しているところでございます。また、連携につきましては、法人格を持たない形態による中小企業同士の連携形態、いわゆる任意グループの形態を指しているところでございます。
また、これらの形態によります事業の実施に当たりましては、新たに中小企業者の連携形態によりまして設置される物流効率化施設につきましても、中小企業基盤整備機構及び都道府県によります高度化融資の対象とすることといたしておるところでございます。あわせまして、中小企業者の新たな連携の促進を支援いたしますため、専門家派遣などの予算措置等の支援措置を講ずることといたしているところでございます。
○松野(博)委員 質問を終わります。
○橘委員長 赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
本日は、二十分間という限られた時間でございますけれども、議題でございます流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず基本認識にかかわることでございますけれども、先ほどからのお話にもありますように、近年の経済社会における激変、東アジア圏の急速な経済成長、そしてますます進むグローバル化、こういった中で、戦略的な物流というのがいよいよ待ったなしという状況になっている、私はそういう認識をしております。
国土交通省におかれましても、国際物流施策推進本部ということも立ち上げられ、精力的に取り組みをされているということは認識をしておりますが、今回、この場をおかりいたしまして、こういった経済社会の状況の変化を踏まえた物流の現状認識、そして今回の本法律案の位置づけについて、どのようにとらえられ、どのような取り組みをされているのかということをお答え願いたいと思います。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
今先生の方から御指摘ございましたように、最近、国際物流を取り巻く状況につきましては、特にアジア地域におきまして、我が国を含むアジア地域が一体的な経済交流圏になっている。それから、企業の生産販売活動というようなものにおきまして、いわゆる在庫をできるだけ圧縮するというようなことで、そういうことを徹底するというような要請が高まっている。あるいは、米国同時多発テロ以降のセキュリティーの強化の要請が強まっている。こういうようなことがいろいろある中で、我が国といたしまして、産業立地あるいは国民生活の質を確保する、こういう観点から国際物流施策というものを強力に進めていくということがまさに喫緊の課題であるという認識でございます。
国土交通省といたしましても、北側大臣の御指示のもとで国際物流施策推進本部というのをことしの二月に設置させていただきまして、荷主企業あるいは物流企業のいろいろな御意見も伺いながら検討を進めてまいりまして、中間的な取りまとめも四月に行ったところでございます。
その中で、やはり中心になりますのは、拠点の港湾、空港、こういったようなものを整備して、しかもこれを効率的に運用すること。あるいは、国際、国内のモードの間のネットワークを円滑で効率的なものにつくっていくということ。それから、今回の法律とも関係いたしますが、在庫管理あるいは流通加工といった総合的な対応ができるようないわゆるロジスティックス機能、物流機能というようなものを施設的にも整備していく。この辺が重要であるというふうに考えているところでございます。
こういったものにつきましては、スピード感を持って取り組むことが必要ということで、具体的施策を現在国土交通省として取りまとめ、また来年度予算要求にも反映しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
それで、今回のこの法律の関係でございますが、まさにロジスティックス機能という意味で、輸送、保管、流通加工、こういったものを総合的に実施していく、こういうものに対する支援措置を講じていく必要があるだろう。また、このことが地球環境問題、こういったものにも非常にプラスになるということでございます。そのために、いろいろな事業を行うに当たって必要な手続は一括取得をするとか、あるいは税制の特例、開発許可に当たっての配慮、あるいは中小企業等を中心に資金面の支援、こういった措置を講ずるという内容の法律を提出させていただいているところでございます。
こういったものを通じまして、流通業務の総合化、効率化が進められるということで、我が国産業の国際競争力の強化、あるいは環境の関係の、特にCO2の排出量の削減というようなことが図られるということを期待しているものでございます。
○赤羽委員 我が党内にも物流に関するプロジェクトチームを立ち上げておりまして、先日もその会合で物流関係の皆様から現場のヒアリングをさせていただきました。各社とも、3PL、サードパーティー・ロジスティックスについては精力的に取り組まれているということも理解をさせていただきましたが、私の認識では、物流というのは非常に難しい、センシティブなところがあって、物流の流れを大胆に変えていくということはなかなか難しいという背景がある。
いろいろな業界で共同一括物流とか効率化ということを、これは多分二十年ぐらい前から言われてきたのではないかと思いますが、なかなかそれができない。それは、当然同じ業界ですと同じ競合関係で、物流を一緒にするということは商売の実態が明らかになってしまうようなところがあって、課題としては挙げられているけれども、なかなかそう簡単にはいかない、こういう状況があったというふうに私は認識をしております。
まさに今、春田さんの御答弁にありましたように、それは環境にも資する問題であるし、国際競争力という面からもやはり切り込まなければいけない話であるし、そういった意味では、3PLの確立というのは大変重要な視点だというふうに思いますので、そこはぜひ業界の皆様からの話も聞きながら、決して絵にかいたもちに終わらないで、実態として使い勝手が悪いというような制度があれば柔軟に対応していくといった姿勢で、大変大きな問題だと思いますが、ぜひ国土交通省挙げて取り組んでいただきたいと強く要望したいと思います。
次に、今の御答弁にもありました国際競争力という点では、まず、国際物流の取扱量でいきますと、九九%を超えるのが海上輸送でありまして、その海上輸送の、港湾の国際競争力が、この近年というか十年、二十年、大変低下をしてきているというのは、私も神戸市選出の議員でありますので、大変深刻なものがあると。
これはいろいろな原因があったと思いますが、どのような原因があったということを認識して、そしてどのような形で取り組みをされているのか。スーパー中枢港湾の話もございますし、また、今、東アジア全体の経済力が増しているとはいいながら、例えば北米航路ですとか欧州航路を日本のメーンポートをスキップされるような話になってくると大変深刻な問題であるというふうな認識は、私はこれまでの委員会でも繰り返し質問に取り上げさせていただきましたが、その点について港湾局長からの御答弁をいただきたいと思います。
○鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。
今委員の御指摘のとおり、近年、アジア域内、特に東アジアの域内において港湾間競争が大変激しさを増している中で、日本の港湾の競争力が相対的にその地位を低下させているという事実がございます。これは、アジア地域の急速な経済成長に加えて、アジアの諸港を初めとする海外の港湾と比較して、日本の港湾の場合はコンテナ一つ当たりの取り扱いコストが高く、また、リードタイムを初めとするサービス水準が低いということがその原因の大きなものであるというふうに認識をしてございます。
特に、近年急速にコンテナ貨物を増加させておりますシンガポールとか香港等のアジア主要港におきましては、大規模な国際コンテナ埠頭を民間事業者に一体的に運営をさせることによりまして、埠頭の利用でありますとか投資などの効率化を図るなど、規模の経済を生かした機能の強化が図られているのは御承知のとおりであります。
一方で、我が国の国際コンテナ埠頭、埠頭公社によって整備をされている場合が多うございますが、埠頭公社の場合ですと、建設したコンテナターミナルをバース単位でリースする方式となっておりますことから、その運営の単位についても各埠頭ごとに細分化された形態になっていること、こういうことから、なかなか規模の経済が発揮しにくい構造になっております。
このため、今国会におきまして、委員の先生方に大変御尽力をいただきまして港湾法等の一部改正を行いました。この改正の中で、同一の民間事業者がまとまった規模の高規格なコンテナターミナルを一体的に運営する特定国際コンテナ埠頭の形成を図ることとして、当該民間事業者に対して、無利子資金の貸し付け等により支援できるような措置をしたところでございます。
同時に、このスーパー中枢港湾におきまして、北米航路など主要航路に投入が予定されている、二十フィートコンテナ換算で例えば八千個を超えるようなコンテナを積載できる超大型のコンテナ船が接岸可能な大水深岸壁の整備に重点的な投資をするとともに、今後コンテナターミナルと一体となって、港湾のロジスティックスハブ、こういったものの形成も図っていきたいというふうに考えております。
こういった施策の実現によって、アジアの主要港をしのぐ港湾コストなりサービス水準の実現を目指していきたい、かように考えているところでございます。
○赤羽委員 今回のスーパー中枢港湾で、神戸港と大阪港が一体となって阪神港ということで認定を受けたわけでありますが、阪神港は、神戸、大阪といった港湾がそれぞれ機能分担をしながら、まさに国際競争力を回復すると。発想は正しいと思うんですが、現実には、神戸港、大阪港、それぞれの業者があり、別に、輸出は大阪で輸入は神戸みたいな、こういったことはなかなか簡単ではないわけであります。
ポートオーソリティーということ一つにしても、一つのポートオーソリティーで阪神港が確立されているわけじゃありませんし、スーパー中枢港湾という概念は大変大事でありますし、国策として国際的な港湾をつくっていくというのはまさに私もかねてより主張してきたことでありますけれども、これから現実のものとしてどう仕上げていくかということを考えると、なかなか、先ほどの春田さんに対する質問と一緒でありますけれども、現実のものをどう乗り越えて仕上げていくかということを考えていくと、大変な、業界との協力というか官民挙げての取り組みが必要だというふうに思っておりますが、この点について、まだ今、いろいろなポートオーソリティーについての考えも検討中だというふうに思いますけれども、何か御所見があれば、この点について御答弁いただければと思います。
○鬼頭政府参考人 お答えをいたします。
スーパー中枢港湾におきまして、国際競争力の一層の強化に向けまして、今委員より御指摘のありましたポートオーソリティー設立というお話もございますけれども、港湾の広域連携の促進について、我々も大変重要な課題だと認識をしてございます。
今国会で改正をされました港湾法におきましても、それに基づいて今月四日には、京浜港、名古屋港及び四日市港とともに、大阪港及び神戸港を一体のものとして指定特定重要港湾に指定をさせていただいたところでございます。
また、既に阪神港につきましては、神戸港と大阪港の一体的な利用を促進するために、昨年の四月でございますが、両港の港湾関係行政機関が連携をしました阪神港広域連携協議会というものが設置をされておりまして、入港料に対するインセンティブ制度の導入でありますとか、あるいは阪神港共通のEDIシステムの構築等、連携施策の検討が進められておるというふうに聞いてございます。
さらに、関西の総合的な物流機能を強化するため、関西経済連合会が中心となりまして、この六月三十日には産学官から構成される国際物流戦略チームが設置をされたところでございまして、こうしたさまざまな場を通じまして、国、港湾管理者はもとより、船会社、港運事業者など利用者等の視点も含めた湾全体における港湾の管理運営の効率化、あるいは保管機能、アクセス機能を含めた物流機能の向上、あるいは外貿コンテナに特化した同一湾内に共通する管理運営システムの構築など、さらなる港湾の広域連携施策、こういったものが推進されることを期待しておりますし、国としてもこういった取り組みに積極的に応援をさせていただきたいというふうに思ってございます。
○赤羽委員 港湾行政は、私の個人的な主観でありますけれども、やはり地方分権化が進み過ぎてそれをまた逆に戻すというのは大変難しい事業だと思いますけれども、これも強いリーダーシップで、また、業界の皆さんがやりやすいような形でうまく仕上げていただきたいと強く要望したいと思います。
港に続きまして、空の航空貨物についてお伺いをしたいと思いますが、取扱量という意味では少ないわけでありますけれども、取扱額という意味では、日本においてはもう三割以上、国際航空貨物ということになります。成田空港なんかはまだまだ世界の主要空港と比べても競争力は世界に伍しているわけでございまして、こういったことについて、成田だけではなく、関空、中部、こういったこと、また羽田ということも踏まえて、今後の日本の国際空港に関する戦略というものはどのようになっているのか、簡単に、的確に御答弁いただきたいと思います。
○岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、国際航空貨物、まだまだ伸びていくと思っておりますので、私ども、それに的確に対応していかなきゃいけないと思っております。
御指摘の、空港のインフラの整備をきっちりやっていかなきゃいけないということで、成田については、今二千百八十、一本暫定の滑走路になっておりますけれども、これの本格化を図っていかなきゃいけない、こう思っております。
それから、航空貨物はやはり夜動きますので、二十四時間の空港が必要でございますので、羽田を再拡張いたしまして、これも深夜の時間帯には国際航空貨物も使用したいと思っております。関空につきましても、限定供用の二本目の滑走路を整備する等々によりましてきっちり対応してまいりたい、このように思っているところでございます。
○赤羽委員 ぜひ、二十四時間、夜間航空できるところをうまく使っていく。私はかねてから言っていますが、これまでの航空行政で一種、二種、三種というような規定も、そろそろ、二十一世紀に合った考え方ということで、見直しというのは大事だというふうに思っておりますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、今回の法制化というのは環境対策という先ほど御答弁もございました。
CO2の排出量を見ますと、運輸部門の排出をどう減らしていくかという取り組みの中で、やはり効率的な国内物流体系というものをつくっていかなければいけない。そういった意味で、きょうは、道路局長、自動車交通局長にもおいでいただいているわけでございますし、物流の効率化によって八百四十万トンのCO2を減らしていくというのは、大変真剣な取り組みが必要なのではないか。
トラックも、自家用のトラックから営業用のトラックにかえる、自家用のトラックですと自社だけしか物が運べないけれども、そうすると帰りが空っぽになってしまうようなことがある。こういうのを営自転換というふうに聞いておりますが、こういったことをどう進めるかということが一つと、もう一つは、やはり高速道路を走らせるということが環境対策においては大事なのではないか。
高速道路の問題というのは二つあって、一つは不連続区間というんですか、こういったものがやはりどうしても欠けてしまっている、この不連続区間をどう直していくのか。私、これは個人的なアイデアなんですけれども、産業道路というような規定が昔あったような角度で、国際物流に資する道路を国際物流道路というような位置づけをして、優先的にこの不連続区間を解消していくのが大事なのではないか。
その上で、いかにその国際物流道路を走ってもらうか、高速道路を利用してもらうかということを考えるときに、やはり今トラック業界、先日の委員会でも取り上げさせていただきましたが、今、油は上がる、運賃はたたかれる、だから下を走る、環境に悪くなる。この悪循環をどこかで打ち切るためには、いつも業界にばかり負担を強いるのではなくて、発想を変えて、高速道路を走らせるためには、このトラックの料金体系を抜本的な形で考えを改める。
大きいものだから、負荷が大きいから料金も大きいというのはこれまでの考え方かもしれませんが、物流体系を根本的に改めさせるためには、例えばそういったトラックの高速料金を従来より二割とか三割とか下げる。これは、ETCで精力的に取り組んでいただいているというのはよくわかっておりますが、それ以外のそういった措置をとるということ、それは暫定期間でもいいと思うんですが、暫定でそういったことをして、みんなに上に上がってもらう。そうすると効率がよくなるということを認識してもらって、トラック業界の皆さんに対しても、そういった、上を走るという前提での物流の体系化ということを取り組んでもらう。
こういったことをぜひ、これは今まで、道路行政というと道路局であるし、トラック業界というと自動車交通局であるし、どうしてもその辺のはざまの問題だと思うんですが、私は、ここにぜひメスを入れるというより、新しい考え方に取り組んでいただきたいということを強く期待したいのでありますけれども、今言った何点かについて、自動車交通局と道路局から御答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○金澤政府参考人 委員から、営自転換をどのように進めるべきかという視点についての御質問がございました。
トラック輸送は、トンキロベースで我が国国内の物流の約五七%を占める大変中核的な役割を担っておりますが、中でも青ナンバーの営業用トラックは、そのうちの八五%という数字を占めております。これは、今委員が言われたように、需要に応じていろいろな荷主さんの貨物を運ぶということから、輸送効率にすぐれているということがございます。数字を申し上げますと、一日一車当たりの走行キロで、白ナンバーの自家用の約三倍の効率を持っておりますし、単位当たりのCO2排出量でもその約六分の一と、極めて地球環境に優しい輸送手段でございます。
ですから、最近は、荷主企業が物流効率化の一環として営自転換を進めておりますので、トラック全体のCO2の排出量は、実は平成十年に比べて一二%も減少してきております。したがって、委員御指摘のように、今後も、京都議定書の目標達成計画におきましても、この営自転換というものを大変重要な柱として位置づけております。また、現在審議中の省エネ法の一部改正案におきましても、実は、荷主さんの省エネ計画の作成の中で営自転換というものが重要な役割を担うというふうに私ども考えております。
トラック事業を取り巻く経営環境については、今赤羽委員御指摘のとおり大変厳しい状況にございますが、私どもといたしましては、御指摘のとおり、営自転換を積極的に図ることを通じましてトラック業界の活性化を図っていきたい、このように考えております。
○谷口政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、環境対策という面では、ネットワークをきちっと構築するという考え方が基本かと思いますが、さらに、既にできておる高速道路の有効利用という観点も重要なのではないかと思っております。
高速自動車国道の料金につきましては、民営化に向けたコスト削減等の成果を幅広く利用者を初め国民に還元するものとして、ETCを活用した割引制度により平均一割以上の引き下げを実施ということになっておりまして、本年の四月一日からは、営業用トラックのような大口かつ多頻度の利用者に対しての割引も実施させていただいております。最大三〇%というような割引も可能になっているわけでございます。
十月一日から四公団が民間会社になるわけでございますが、それまでの間、社会実験というようなことも継続してやらせていただいておりますし、民営化後におきましても、利用者ニーズを的確に反映した新会社による民間の経営センスを生かした、さらなる多様で弾力的な料金設定の工夫も行われるものと期待をしているところでございます。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。
最後に重ねて申し上げますが、物流なくして経済の再生はあり得ないわけであって、トラック業界はもう本当に泣かせるだけ泣かせられている状況でありますので、民営化後も含めて、ぜひ高速料金の柔軟な対応、体系化というものを精力的に取り組んでいただきますことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○橘委員長 長安豊君。
○長安委員 民主党の長安豊でございます。
今回の百六十二国会の国土交通委員会の中で、この法案というのは、政府提出法案で最後の法案になっておりますので、ぜひ実りある議論をさせていただきたいなと思っておるところでございます。
今回この法案、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案でございます。私も、流通業務の総合化、効率化の必要性につきましては全く同意するところでございます。一方で、こういった流通業務の総合化、効率化というものは、本来は民間企業自身が必要性を認識して、提携等を含めて自助努力の中で総合化、効率化すべきものではないかという思いも持っております。今回の法律では、国が積極的に関与、後押ししなければならないというようなスタンスで提案されておるわけでありますけれども、そういった理由を含め、また、我が国におきます物流の現状、また問題点についての御所見をお伺いしたいと思う次第でございます。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、物流につきましての認識でございます。三点ポイントがあろうかと思っております。
一点目といたしましては、先ほど来御議論ございますけれども、我が国の産業の生産拠点が東アジアに今シフトしているということで、東アジアが経済圏あるいは物流圏として一体性を強めている。その中で、国際、国内を通じた円滑で効率的な物流ネットワークの構築が強く求められるという点が一点目でございます。
それから二点目は、消費者ニーズが多様化あるいは高度化するという中で、いわゆる製造の現場におきましては、商品が販売される、売れ筋状況に応じまして必要な商品を生産する、こういうような生産体制というようなものがとられるようになっておりまして、物流もこれに応じて、まさにジャスト・イン・タイムで物流の管理あるいは配送をするということが求められる点が第二点目でございます。
それから三点目は、先ほど来御議論ございますが、環境問題でございます。環境問題にしっかりと対応していく、その意味で、効率的で環境負荷にも対応できる、こういう取り組みが必要である。
いわゆる総合的な物流事業の取り組み、いわゆる3PLの取り組みということになりますが、本来、民間事業者が創意工夫で対応するという性格のものでございますが、ただ、現実問題といたしますと、こういう拠点の施設を整備いたしまして、それを活用して事業を展開するということになりますと、施設整備に多額の資金が必要であるということ、それから、その資金を回収するには相当の長期間を要するということでございまして、昨今の経済環境の中で、民間事業者の対応だけでこれが円滑に進むのかというと、なかなか難しい点もございます。
本法におきましては、中小企業者を含めまして幅広い取り組みができるように、また、それが環境問題等も含めたいろいろな効果を発揮するという観点から積極的に支援をするということで、税制の特例あるいは資金面の支援、それから許認可の一括取得、あるいは人材の育成というようなこともこういった取り組みの中で支援をしていくという必要がございます。こういったようなものを総合的に支援措置として講じていこう、こういう趣旨でございます。
○長安委員 次に、大臣から御答弁賜りたいと思っておるんですけれども、今のお話ございましたような問題認識に立った場合、国家として戦略を持って物流施策を講じていく、これは我が国の競争力をいかに強化するかということになるわけであります。そういった国際競争力強化の観点からどのような物流戦略を描き、また実行しようとされているのか。これは大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○北側国務大臣 ポイントは二つあるかと思っておりますが、一つは、国際物流への対応をしっかりしていかねばならない。これがおくれてしまいますと、私は、我が国の産業の空洞化も招きかねないことになるというふうに思っておりますし、もう一つは、やはり効率的で環境負荷の小さい物流の実現をしていく必要があるということかと思っております。
国際物流につきましては、今も答弁があったとおりでございますが、中国を初めとする東アジア地域が、今はもう生産拠点だけではなくて、生産から流通から販売まで、そうした拠点がこの東アジアで急発展をしておりまして、我が国企業も多数この東アジアに進出をしているという状況でございます。また、荷主のニーズも今はもう大きく変わってまいりまして、いかに物流を効率化するか、場合によっては、荷主の側にとりましては、物流機能をすべて外部にアウトソーシングしていくというふうな、そういう荷主のニーズも高度化、多様化をしてきている中にございまして、こうした経済活動を支える円滑かつ効率的な物流ネットワークの構築というのが、先ほどおっしゃったように、我が国の国際競争力の強化のためにも極めて重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。
特に東アジアとの関係では、距離的にも非常に近いわけでございまして、準国内化しているわけでございまして、一層スピーディーで効率的な物流システムの実現が求められているところでございまして、関係部局、これはまた関係省庁とも連携を密にしまして、効果の上がる方策を総合的、戦略的に推進していく必要があると考えております。
このため、本年二月に国土交通省の中に国際物流施策推進本部というものを設置いたしまして、荷主の方々、また物流事業者の方々、また専門家の方々等の御意見もちょうだいしながら、四月には中間取りまとめを発表いたしましたが、できるだけ早急に最終的な取りまとめをさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
国際物流への対応は、国際競争力の維持強化、また我が国の産業立地のあり方、国民生活の質の確保等に直結する重要テーマでございまして、スピード感を持ってやっていきたいと思っております。来年度の概算要求の時期もだんだん近づいてまいりましたが、国土交通省といたしましては、この国際物流施策につきましては重点事項として施策を取りまとめ、推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
また、環境面におきましても、京都議定書が本年二月に発効いたしまして、地球環境問題、地球温暖化問題への対応も重要課題でございます。効率的で環境負荷の小さい物流体系の構築によりまして、物流部門におけるCO2削減を図っていかねばなりません。日本のCO2排出の約二割は、車を中心とするこうしたところからCO2が排出をされているところでございます。今、荷主企業、また物流企業が連携して取り組んでいただくということで、グリーン物流パートナーシップ会議というものを発足させまして活動をしているところでございます。この会議を通じまして効果的な取り組みを推進してまいりたいというふうに思っております。
物流拠点施設を中核といたしまして、輸送、保管、流通加工を総合的、効率的に実施する事業を促進していくことも非常に大事なことでございまして、今回の法案による支援措置を活用して積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○長安委員 今お話ございました今回のこの流通の総合化、効率化により、まず環境負荷をいかに下げるか、低減するかという問題が一つで、もう一つは、国際競争力をいかに高めていくかということが一つの目的だというお話がございました。
一方で、現在のアジア諸国の動きを見ておりますと、まだまだ日本は国際競争力を高め切れていないというのが現状ではないかという認識を持っております。今回、こういった法律が審議されておるわけでありますけれども、法律は単なる規制あるいは支援策をするだけではなくて、もっと大きな観点で、国の、日本の国際競争力をいかに高めるか、国民にとっての利益となる国益をいかに追求していくか、これが重要ではないかと私は思っているわけであります。
そういった中で、流通、こういった分野に新たな技術を導入していかに効率化していくかということも考えなければなりません。私は今回、この物流の効率化に関して、ICタグのお話を少しさせていただきたいと思っております。
物流の総合化、効率化というと、単なる集配の効率化とか、また配送のネットワークの合理化という個々の効率化だけではなくて、今大臣からもお話ございましたように、製造から販売まで、つまり川上から川下まで全体の、サプライチェーン全体の効率化をいかにしていくかということが求められているわけであります。
一方で、このICタグを利用してそういったサプライチェーンを効率化するということが近年多くの業界で言われております。日本でも、現状、多くの取り組みが政府としてなされているわけです。各省によってそれぞれの課題をお持ちになって、実証実験、あるいはICタグ一つ一つのコストを五円に下げるというような響プロジェクトに取り組まれているというのもお伺いしております。
私、一年前ですか、予算委員会の分科会でもICタグについて質問をさせていただきました。しかしながら、国の動きを見ていると、どうも小粒の実証実験ばかりをしている。これはやはり縦割りの省庁の弊害が出ているのかなという気がしております。
こういった物流分野におけるICタグの活用に関しまして、国土交通省としてどのような姿勢で臨んでおられるのか、また、これは具体的にどのようなプロジェクトをされているかということも含めまして御答弁賜りたいと思う次第でございます。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、物流の効率化を進めていく中で、いわゆる物流の在庫管理というようなもの、あるいは物流のスピーディーで円滑、確実な運用という中で、いわゆる電子タグの活用ということは重要な課題であるというふうに考えております。
特に物流分野での活用の場面というのはいろいろあろうかと思いますが、一つは、いわゆる検品であるとかそういったようなものを迅速にかつ確実に行う。それから、貨物につきまして、どこにその貨物があるかというようなことを、貨物の流通経路あるいは広いヤードの中でどこにあるかというようなことを的確に把握する。それから、最近やはりセキュリティーの問題がございますので、セキュリティーをきちんと確保するための手段として使う。それからもう一つは、配送先が急に変更になるというような場合に、そういうものに非常に柔軟に、機動的に対応できる。こういうようなことがメリットとしてあろうかというふうに思っております。
物流分野でこの電子タグというものを活用することにつきましては、個々の商品あるいは貨物ごとの問題と、それから物流の場合には、いわゆる海上コンテナが典型でございますけれども、コンテナあるいはパレット、そういった輸送用具の単位で利用するということもあわせて考える必要が実はございます。
そういう意味で、こういった取り組みにつきまして、幾つかの点についてやはり問題点を整理しながら取り組む必要があるだろうということで、例えば問題点としてよく指摘されますのは、いろいろな関係者の間を通って物流が担われているということになりますと、関係者ごとにどんなメリットがそれぞれ生じるのか、だれがいろいろ負担をしていくのか、どういう形で負担をするのか。あるいは、途中で情報の面がどういうふうにちゃんと押さえられるのか、管理できるか。それから、電子タグだとか関連機器の仕様あるいはデータそのものの標準化をどういうふうにするか。それから、電子タグですと、使用する周波数帯、これをどういうふうに設定するか。
こういうふうな問題がございますので、この辺はやはり、どういう問題があって、それをどういうふうに解決できるか、あるいはどういうふうに認識が共通にできるかというようなことを確認していくことも重要だろうというふうに思っておりまして、そういう意味の実証実験ということの取り組みもしておるところでございます。
実は、昨年度、国際海上コンテナに関しまして、セキュリティー強化を図りながら物流の円滑化を図る、こういうことで、アジア、北米、欧州、それと日本の間で五つほど実際のコースを定めまして、コンテナ、パレット、個別の貨物、それぞれ電子タグを張りつけまして、その中にいろいろな情報を読み込むという形で、それをいろいろな場所でまた読み取るというような実証実験を行ったところでございます。
この実証実験につきましては、実は、私ども国土交通省関係の団体だけではなくて、財務省、経済産業省、総務省、七省庁で連携を図りまして、あわせて民間団体も、日本経済団体連合会あるいは荷主の事業者の団体、物流事業者の団体、こういったところ、二十一団体で連携して実証実験をしたところでございます。やはり、こういったものを通じていろいろな問題点を整理し、共通認識をつくっていくというようなことで、普及に結びつけていくということが必要になろうかというふうに考えております。
○長安委員 今、コンテナの、五本テストされたというお話もございましたけれども、余りにも進捗が遅いというのが正直なところです。問題点を今精査されているというお話もございます。また、それぞれの分野においてICタグを使えばこれだけメリットがあるというお話もございましたけれども、それは恐らく、ここにおられる方、皆さん聞いておられて、そんなこと素人が考えても思いつきますよということが大半なんですね。個々のことは素人が思いつくことでも、それを一貫して組み合わせることというのが今一番の課題になっていると私は思っております。
例えば、IT革命というのがどういう形で進んだのかということだと思います。最初は、ただ単に活字で文章が打てるとか、そういうことからパソコンが便利やということになったと思うんですね。今になっては、もうどの分野においてもパソコンがなければ業務が成り立たないというぐらいまで浸透しているわけです。その過程で、やはりこれは、日本の企業というのはIT革命においては乗りおくれたと私は思っております。これは国も、果たしてどのように進めたらいいのかというのが全く知恵もなかったと言ってもこれは過言ではないと思っております。
経産省の方に私はしょっちゅう申し上げているんですけれども、このICタグの普及というのは日本の産業自体の構造を革命するぐらい大きなものになると思います。そういった意味では、ただ単に、政府として、物流の分野でも国交省の分野でICタグを試験的に使ってみるんだではなくて、国内すべての分野に網羅されるようなICタグをいかに早く普及させるためには何をしなければならないかという認識がまず必要なんじゃないかなと私は思っております。
今お話し申し上げました経済産業省の方も、このICタグの普及に関しましては、さまざまな取り組みが積極的になされておると私は承知しております。一方、マスコミの報道等を見ておりますと、開発や実験という話はこれは多々ございます。ただ、肝心の実用化という話になると、もうほとんどないに等しいと言っても過言ではございません。
先ほど申し上げましたように、このICタグというのは産業全体をカバーするような技術でございます。これは、やはり日本が、先ほど大臣の言葉にありました国際競争力というのを高めるときには、やはり先んじて国際標準をとりに行くというようなスタンスで日本は臨まなければならないと思っております。
そういった意味で、このICタグの開発、活用の現状、近い将来どのような実用化事例を予測あるいは期待されているのか、御答弁をお伺いしたいと思う次第でございます。
○桜井政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、電子タグの普及を通じて企業や業種の壁を超えた流通システムを構築し、革命的な流通の効率化を実現したいというふうに考えております。このためには、一つには低価格の電子タグの開発、それから、委員御指摘のとおり、国際標準化の推進、さらには実証実験を通じた普及の促進が非常に重要な課題と認識をしているところでございます。
まず、低価格の電子タグにつきましては、平成十六年度から二年間にわたりまして、五円以下の電子タグを実現するという、いわゆる響プロジェクトというものを推進しているところでございます。引き続き、来年秋の目標達成に向けまして、産業界の力を結集して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
また、国際標準化でございますけれども、国際標準化につきましては、一つはタグに格納する商品コードの標準化、それから読み取り装置とタグとの間の通信方法の標準化といったものがあるわけでございますが、現在、このいずれにつきましても、ISO、国際標準化機構の電子タグ委員会というところにおきまして審議が進められているところでございまして、我が国としても同委員会の議論に積極的に貢献をしてまいりたいと思っているところでございます。
なお、特に商品コードの標準化につきましては、我が国から具体的な国際標準案というものを提案しておりまして、同案に基づいた検討がなされているところでございます。
それから、普及促進につきましてでございますけれども、平成十六年度から実証実験を推進してきております。昨年度は、物流業界あるいは百貨店業界など、個別の企業ではなくて業界全体としてシステムを共有する、かつ、実用化の見込みが高いというプロジェクト、七プロジェクトを実施しているところでございます。この結果、実際に三越百貨店での実利用といったものも出てきているというふうなことでございます。
今後とも、電子タグの普及、活用の促進に向けて、このような政策を着実に実施してまいりたいというふうに考えております。
○長安委員 今、実験の取り組みについてお伺いしましたけれども、経産省として、物流を含めたICタグの導入、活用に向けて、来年度以降で結構なんですけれども、今後どのような構想あるいはプロジェクトを考えられているのか、お伺いしたいと思います。
○桜井政府参考人 経済産業省といたしましては、今後とも、物流を含めた電子タグの導入、活用を図るための呼び水といたしまして、実証実験を最大限に活用してまいりたいというふうに考えております。具体的には、百貨店ですとか総合スーパーなど多様な小売業におきまして、電子タグを活用した新たな店舗サービスを消費者に提供するといった事業等の実施というのを検討しているところでございます。
また、このような電子タグの導入、活用、利用というのは多岐にわたりますので、関係府省間の連携協力が不可欠だというふうに認識しているところでございまして、現実に今までの実証実験におきましても、国際物流については国土交通省、医薬品に関しては厚生労働省と連携して予算執行に当たっているところでございますので、今後とも、このような連携関係を十分活用しながら、政府一丸となって電子タグの普及政策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○長安委員 今、新たな取り組みということで、GMS等で、未来型店舗というんですか、フューチャーストアというようなものの取り組みもされるということをお話がございました。
ただ、例えば、レジを通るときに一気に精算ができるとか、カートで商品情報がとれる、これは、個々のことに関して言いますと、今は技術的には全くと言っていいぐらい問題のないことだと思います。一昨年、私、展示会の方に行きましたけれども、そのときにもう既にそういったことができるというのを私も目の当たりにいたしました。
一方で、今のお話は、あくまでも日本の中でどんな実験をしているのか、今後こんな実験をしますというお話をいただいただけでございます。では、世界でどのような取り組みが今なされているか。
今、一番進んでいるのはアメリカの国防省と言われております。イラクへの軍事行動の後、多くの物資がアメリカからイラクへ、中東へ輸送されているわけです。このそれぞれの物に関して物の管理をしようということでICタグが現在もう使われて、やっている。日本は、実験はするんですけれども、なかなか実用化までしてしまうのに時間がかかってしまうというのが玉にきずかなと思っております。
アメリカの国防省のお話を今しましたけれども、そういった技術を日本も取り入れようじゃないかという話も今出ておるぐらいでして、まだまだアメリカに比べると立ちおくれているという気がいたします。これだけ産業を革命するような技術であるから、日本は率先して、アメリカにその技術を提供できるぐらいになってもいいんじゃないのかなと私は思っておるわけであります。
そういった意味では、こういったICタグということに関しては、個々の省が取り組むのではなくて、それこそ、先般もございました郵政民営化、あれは政府内に民営化準備室というのができて、各省庁から人が入って取り組んだわけです。それと同じように、このICタグの普及のために、現在は連携はしているけれども、各省から二十四時間張りつきで、その室に行って、何とか普及のためにやろうというような取り組みは見えないわけであります。
実験にも、確かに数億単位というレベルでは予算があてがわれておりますけれども、余りにも小さい額です。私、このICタグの普及の数というのを考えたときに、今後五年ぐらいで、億の単位じゃないと思います。五年後ぐらいには兆の単位で普及すると私は思います、これは国内だけですけれども。
兆の単位が普及するということを考えれば、例えば、今、響プロジェクトで一個のICタグを五円にするというお話がございました。では、一つ一つのタグから五銭でも、これは電波使用料なのか税金なのか、形はわかりません、何かを徴収すると、一兆個普及すれば五百億のお金になるわけです。それを考えれば、今、百億単位で実験、普及に向けてお金をつぎ込む、これが国家としての戦略的な予算配置だと私は思っております。
そういった配置がなされずに数億単位でやっていれば、今のパソコンと同じことになります。要は、気がついたらすべてアメリカ製、日本のものは何もない。そうなってしまったら、また、IT革命で日本が味わったつらい思いをICタグにおいても受けなければならないということですから、そこはぜひ各省連携で、いかにうまくいくのかということを知恵をお絞りいただきたいと思う次第でございます。
次に、この法律案に戻らせていただきたいと思います。
この法律案、物流拠点というのは、高速道路あるいは港湾、また空港、この近傍に立地することを促進しておるわけであります。
私の地元でございます関西国際空港も、二期工事の進捗により二十四時間稼働の空港となるわけであります。現在、実質的に二十四時間稼働できる空港というのは、日本には関空しかないわけであります。そういった意味では、この関空というのは大きな役割を担っていくのかなと思っておるわけでありますけれども、一方で関西国際空港の成り立ちを考えますと、伊丹空港の騒音問題があった。そういう中で、騒音問題のない、また警備上も効率的にできる海上につくろうということでつくられたわけであります。
海上であるがゆえに、現在は橋を渡って、連絡橋を渡っていかないと空港に行けないというハンディキャップを背負っているわけであります。現在、割引がされておりまして、往復約千五百円。約ではございません、正確に千五百円でございます。当初は千七百三十円でしたかね。先般も国土交通省から湾岸高速の南線と料金割引をするというようなお話もございましたけれども、こういった今のレベルでは、やはり幾ら物流拠点を整備しても、物を運ぶのにコストがかかってしまう。この連絡橋を渡るコストというのはばかにならない金額であるわけであります。
そういった意味で、この関空の連絡橋というのは、私にしましては、二十四時間の空港ですから、人、物、お金がいかに効率的に流れるかということを考えたときに、無料にすべきじゃないかと思っております。
今、この関西国際空港の連絡橋というのは関西国際空港の持ち物、所有になっておるわけであります。もちろん、負債も一緒についております。先般、国土交通省の方に確認させていただきまして、関西国際空港の連絡橋の簿価について確認させていただきましたら、十六年度末で八百五十五億円という金額が出てまいりました。一方で、先般、五月の十九日から三日連続で日経新聞に出ました「道路特定財源に余剰金」という問題がございます。平成十九年度以降、約四千五百億円が余っていく。それを考えたときに、この関空の連絡橋は道路特定財源で国道にしてしまう、そういう方が空港に渡るときには無料で渡れるのではないか。これは関空の連絡橋だけのお話を今しましたけれども、さらには、全国の高速道路の、また有料道路の無料化ということも視野に入れてこういった道路特定財源を使っていくということが必要かと思いますけれども、その辺、大臣の御所見をお伺いしたいと思う次第でございます。
○北側国務大臣 関空に限らず、国際空港へのアクセスを改善していくというのは非常に大事なテーマであると私も思っております。それは、国際物流ネットワークの構築という観点からも非常に重要でございます。また、今、多くの海外のお客様に日本に来てもらおうというビジット・ジャパン・キャンペーンを政府を挙げて推進しているわけでございますが、その観点からも非常に大事なことだと思っております。
関空でございますが、委員も地元でいらっしゃいますのでよく御承知のとおりでございまして、先ほどおっしゃったように、さまざま、この料金について引き下げをしようという実験をやってきまして、本年三月からは、普通車におきまして千七百三十円のものを一千五百円、お休み、休日は千円というふうにさせていただいているところでございます。
また、先般、これはお金は地元経済界、自治体からの負担なんですけれども、軽自動車と普通車を対象に、ことしの夏休みの土曜日、日曜日にはワンコイン化、五百円で往復できる、こういうのが実施されることになっておるところでございます。また、おっしゃったように、関西国際空港へのアクセス道路として利用するETC車を対象といたしまして、国土交通省が社会実験を行うことによりまして、泉大津から阪神南線と関空連絡橋を利用して関空まで行く場合には、往復のETC利用の普通車料金が二千円から千百五十円という形で引き下げられることとなっているところでございまして、努力はしているところでございます。
委員のお話は、さらに抜本的なお話をおっしゃっておられるわけでございます。問題意識は私も持っております。この関空の連絡橋について、これは関空会社が保有をしているわけでございますが、そのことも含めまして、今後この関空連絡橋というものをどうしていくのか。特に物流の効率化。これは、トラック業者の方々にとりましては、今、もう航空貨物というのは小口なんですよ。多品種の小口貨物なんですね。そういうものを運ぶたびに、この橋を渡るたびに、橋を渡らないと行けないわけですよね、この連絡橋の道路使用料を取られるとなった場合、それは物流事業者にとってもそのままコストになるわけでございます。これは物流の効率化、さらには先ほど申し上げたビジット・ジャパン・キャンペーンということも含めて、今後どうしていけばいいのか、ここはしっかり知恵を出していきたいと思っております。
ただ、これは国土交通省だけでできることではなくて、地元の自治体、また経済界、さらには関係省庁ともよく相談しながら進めないといけませんので、問題意識はしっかり持った上で、よく勉強させてもらいたいと思っております。
○長安委員 大臣、ありがとうございました。
今お話ございましたように、本当に毎回毎回コストを払っていかないと空港に物を運べない、人が行けないというのは、国にとっては国際競争力がそがれてしまうということであります。そういった意味では、過去の経緯は確かにあるわけです、伊丹との問題もございます。そういった中で、やはりここは大臣に大英断を振るっていただいて、大阪の、関西の三つの空港をどうするんだということをもう一度見きわめていただいて、どう考えても、これからのアジア諸国というのを見たときに、二十四時間離発着できる空港がメーンとなって航空政策というのは行われているわけですから、当然、日本もそういった、今後成田も拡張されていくでしょうけれども、現在の段階では関空しかない、この関空をいかに育てていくか、利用していくか、これが国に問われているのではないかと思っております。
橋の問題だけを先ほどは申し上げましたけれども、こういった空港全体の問題について、現在までの存続協定からの見直しをぜひ大臣に取り組んでいただいて、今後の関空促進のために御尽力賜りたいと思う次第でございます。
しつこいようですけれども、確かに現在まで通行料あるいは阪神高速の値段というのが検討されて、下げられる社会実験等も行われてまいりました。しかしながら、抜本的に何かを改めるというときには、やはりここは北側大臣の御英断が必要だと思います。そういった意味で、ぜひ前向きに御検討いただけたらなと思う次第でございます。
つけ加えになりますけれども、私も関西国際空港を毎日のように利用しております。今、ETCを利用すれば安くなるというお話がございましたけれども、あの関空の橋というのはおかしなもので、社会実験するときはETCが利用できるんですね。今はもうETCが何かずっと閉まったままで、毎回千五百円を払わないと渡れないというのは何のためのETCやと毎日通りながら文句を言っているわけですけれども、なかなか私の小さな声は届かないみたいで、いつまでたっても開かれないというのが現状です。あれも、我々、これだけ国としてもETC普及を促進されているわけですから、やはり空港でも利用できるというふうにすべきではないかと思っておる次第でございます。
ちょっとそれましたけれども、この法案につきまして、流通業務の総合化、効率化ということです。こういった物流事業者というのは基本的には中小企業が多いわけですけれども、保管であったり輸送であったり流通加工、これを総合的にできるとなると、やはり大企業じゃないとなかなか取り組みにくいというのが現状ではないかと思うんです。その辺について、こういった支援策が大企業に限定されてしまうのではないかという私の疑問に対して御答弁賜りたいと思う次第でございます。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども同種の御質問がありましたが、まさに中小事業者の方が総合的な物流事業に取り組むという場合には、資金力の問題もありますし、それからノウハウを蓄積していくという面で、大企業に比べますとなかなか条件的には厳しいということは事実でございます。
ただ、実は私どもも、例えば倉庫事業者の方で総合物流事業、サードパーティー・ロジスティックスというような事業に実際に参加をしてというか、そういう実態の事業を行っておられるかどうかというようなことを調査いたしまして、百六十七社ほど回答をいただいて分析をしたものがございますが、実際には四割程度の方は、百六十七社のうちの四割の六十八社の方がサードパーティー・ロジスティックス事業を今行っている、こういうことでございました。
内訳を資本金別にちょっと調べてみましたらば、いわゆる資本金の額で三億円以上の大企業が三五%、三億円未満の中小企業が六五%というような数字がございまして、中小企業でも相当数、実は3PL事業に参入をしているという実態が確認をされたところでございます。これはいろいろ、実は、小回りのきくような事業ということで工夫して取り組まれているということでございました。
ただ、御指摘のように、実は、3PL事業というようなものを展開するためには、中核になりますところの施設を整備しないといかぬということがございまして、そういうものを整備するためにはやはり中小企業の方にはなかなか取り組みが大変だ、こういうことがございます。
ですから、この法律の案の中では、中小企業がこういった総合的な物流事業へ取り組むことを支援する観点から、資金面でございますとかあるいは債務保証みたいな形での支援ということを相当実は手厚く行うことにしております。特に中小企業者が単独で取り組むことはなかなか難しいということがございますので、従来の中小企業組合に加えまして、いわゆる連携的な取り組みだとかそういったものも支援の対象にしていこうということで、これは経済産業省さんの方と相談をしながらそういう充実も図る、あるいは中小企業基盤整備機構、都道府県の高度化融資、こういった点についても充実をしていこうじゃないか、こういうようなことで支援措置を手厚くするということを考えているところでございます。
○長安委員 この法律が制定されますと、当然支援策が行われるわけですけれども、ただ単に支援を行うというのではなくて、運用として、やはり国際競争力を高めるためにこの支援があるんだという視点に立っていただいて法律の運用をしていただくことが必要かと考えております。ぜひ、国の国際競争力を高めるためにも、この法律、また、先ほど申し上げました関西国際空港の連絡橋を道路特定財源で買い上げるとか、そういったことも大臣に御決断いただくということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○橘委員長 樽井良和君。
○樽井委員 民主党の樽井良和です。
同僚議員に続きまして、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案について質問をいたします。
冒頭、今、長安議員からもありましたように、関空の連絡橋、私、ああいうものは、例えば中の店とかも全然売り上げが上がらなくてつぶれておりますが、例えば、五千円ぐらい買い物したらただになる券がもらえるとか、あるいは特定の業者は特定業者ETCみたいなものをつけておれば仕事であればただで入れるとか、それは高速道路全般にかかわることですけれども、それぐらいの差別化、あるいは大阪がせこいと思われないためにも、あんな曜日によって五百円安くなるようなシステムよりも、きちんとした対処をしていただきたいと思います。もっと活性化に向けて動いていただきたいというのが一つの願いであります。
それでは質問に入りますが、高速道路のインターチェンジから五キロ以内、あるいは空港や湾港近くに輸送や倉庫の業者などが流通施設を建設、認定を受ければ五年間固定資産税を半額にする特例措置を今回盛り込んでおりますが、こういった措置で実際に、例えば具体的にはどの程度の物流業者が物流拠点の建設に向けて名乗りを上げているのか、この辺についてお伺いいたします。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘のとおり、インターチェンジあるいは港湾、空港というような拠点、そういった近傍に立地されますところの本法に基づく認定施設につきましては、税制の特例措置といたしまして、固定資産税、都市計画税につきまして五年間二分の一、また法人税につきましては五年間一〇%の割り増し償却というような措置を講じることとしておるところでございます。
実は、こういった取り組みがどの程度出てくるかということでございますが、私ども、この新しい法律で認定の対象となります施設の非常に基本的な要素は物を保管するという機能のところでございますので、いわゆる倉庫の新増設、平成十五年度にいろいろな形で施設を増設したりあるいは新設したりといったものを、全体を束ねて件数的に見ますと、五百二十九件、五百三十件程度ございました。そういったようなものをもとにして、先ほどのインターチェンジの近傍というようなこと等、あるいは取り扱う貨物がいわゆる総合的な物流事業にかなうものであるかというふうな実態、この辺を見まして、どの程度のものが認定の対象として上がってくるかということを推計いたしますと、年間で百件から百五十件程度、この程度上がってくるということが期待できるのではないか、こういうふうに考えております。
〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕
○樽井委員 百件から百五十件という数字ですが、私、この固定資産税の軽減というのは一つのまちづくりのキーワードだと思っております。これは、例えば五年半額ということなんですが、五年間ぐらいただぐらいにした方が、参入する業者がふえて競争力もアップするんじゃないかなと。
この間も質問で提言いたしましたけれども、ドバイなんかですと、十五年間法人税無料だ。そこは、例えばインターネット関連の業者のみその地区では無料だというふうな、そういう措置をすれば、特定の業者、特定の専門機関が集まった町をつくるということが、国はお金を余り使わないで、ちょっと税金の軽減措置をとっていくだけで自動的に達成していける。
そういったことになりますので、国づくりにおいてビジョン的に、特定の場所、この辺にこんなのをつくってほしいなというのを誘致するときに、一々交渉するよりも、これと同じように固定資産税をぱっと何年間か無料にする、あるいは、早期の場合だけ軽減措置が大きくてだんだんおくれていく、今やらないとちょっと損するよというような対応をとる。こういったことがスピーディー、かつ、まちづくりに大きな成果を上げ、さらには余り国の方が動かなくても民間が頑張って動いてくれるので、こういった頭を使ったアイデア、優遇措置によって国を改善していくということにも全力で取り組んでいただきたいと思います。
いろいろな業者が名乗りを上げて、すばらしい物流拠点ができることを切に願うわけですが、物流拠点の建設に民間の創意工夫というものがやはりあるべきだと思います。法律の第四条の認定基準を満たす者であれば民間は物流拠点を自由につくっていいのか、それとも国がああだこうだと物を入れていくのか、この辺についてちょっとお伺いいたします。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
この法律に基づきますところの物流拠点施設につきましては、輸送、保管、荷さばき、流通加工、こういった物流機能を総合的、効率的に処理する、こういう施設を前提にしております。
その立地であるとか規模、構造、設備につきましては、今先生御指摘のとおりの法律の第四条に一定の基準というものがございます。この基準に該当するということを必要要件とするということでございますけれども、実際に具体的な施設を、じゃ、どういうレイアウトでどういう形で設計をしていくか、この辺は、まさにいろいろ物流事業に取り組むそれぞれの事業者の創意工夫の世界であろうというふうに考えております。
○樽井委員 こういった拠点を開発するときに、民間の知恵、これを自由に伸ばすためにも、自由に思う存分開発させておいて、もし問題があれば国が対処するという方がかなりおもしろいものができるんじゃないかなと思っております。現場を熟知している民間の方に開発、設計図、いろいろなシステムなんかもつくらせて、それを逆に国が、ああ、これいいねと思って、別の業者に、こういった業者はこういうやり方でやって大成功していますよと教えてあげる、それぐらいのやり方の方がおもしろいものがどんどんできてくると思っております。
物流拠点といいますと、さびたコンテナがずらっとあってちょっと暗いイメージがあるんですね。何か仮面ライダーが最後に戦う場所に選ぶような、そんな独特の暗い雰囲気があったんですが、これをもうちょっと明るくした方がいいのかなと。
そんな中で、物流拠点施設の機能に加えて、結局そこに置いているものが最終的には小売店に流れていったりするわけですから、その場所自体にも市場のような売り場があったり、あるいはメガマート、大きい場所があっていろいろなものがそこに集まってくるんだから、そういった買い物スポットとしても使えるような、こういった機能を十分取り入れていけばおもしろい、地域活性も兼ねてできるんじゃないかと思うんですが、その辺の所見、御意見などはございますでしょうか。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
この法律は、高速道路あるいは港湾、空港といった社会資本と連携をして整備をされる物流拠点施設、こういうところにおきまして輸送、保管、荷さばき、流通加工といった物流機能というものを総合的、効率的に処理する、こういうことを推進していこうという目的でございます。
その意味では、こういった物流効率化の機能を確保した上で、今先生御指摘のようないろいろな工夫、商業等の他の機能を果たすような施設を併設するというような取り組みにつきましても、特にこれは周辺地域の土地利用とどういうふうに整合されるかというのが、物流施設の場合には御承知のとおり余り人が出入りするところと一緒にするといろいろ安全上の問題があるとか、そういうたぐいのこともございますので、そういった整合も十分確保できるという前提のもとでいろいろな取り組みがなされるということになりますと、先生御指摘のように地域振興、こういった点も生かせるということで、事業者の創意工夫も働かせながら対応できる余地というのはいろいろあるのではないかというふうに考えております。
○樽井委員 例えば、地域振興を兼ねて、インターチェンジの付近だけでなくパーキングエリア、こういったところでも、上は普通のパーキングエリアなんだけれども下は地元とつながっていて、田舎のパーキングエリアなんかにとまれば、産地直送といいますか、そこでとれたマツタケとか、ブドウの産地やったらブドウとかを大量に売っていて、ぱっとパーキングエリアに、どうせ車で売るんですから何ぼか買って帰るような、そんな連携したシステムなんというのがあってもおもしろいのかなと。実際買い物に行くときというのは大体車で行きますから、こういった車がとまるところというのは、寄ったんだからちょっとついでに買おうかと。持って帰るのも楽なので、民間の人だって当然欲しいわけです。
そういったことも考えて、先ほど、交通的にいろいろ入ってきたらがちゃがちゃするんだけれども、その辺は、一般の車が入るところと業者が入るところと分けてきちんと整備できていれば余り問題がないと思いますので、小売業あるいは市場的なもの、あるいはそんなに大きい流通拠点でなくても、またこれとは別に、そういった産地のものがパーキングエリアへ行けばもっと車で拾うように買って帰れるような、そういった楽しい場所もつくっていただけたら、経済的にも地域の発展のためにもおもしろいのかなと私個人的には思いますので、そういう部分もぜひ検討していただけたらというふうに思います。
それで、国土交通省、今回のこの人材育成の一環として、サードパーティー・ロジスティックス、いわゆる3PLの人材育成研修を実施しておりますが、その研修内容というのは具体的にどういったことをされているんでしょうか。
〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
サードパーティー・ロジスティックス、3PLにつきましては、いろいろな新しい物流の内容につきまして、荷主の企業に対しまして提案をしていくというようなことが大変期待をされるところでございまして、そういうものを担える人材、こういう取り組みをする企業としてはそういう人材を育てたい、実はこういう希望が非常に強いということでございます。
私ども国土交通省といたしましても、そういう物流事業者の意欲が非常に強いというようなことも踏まえまして、平成十六年度、昨年の十月から、この人材育成研修につきまして国としても支援するということで、物流事業者団体と連携をしまして取り組みをしているところでございます。
研修の中身につきましては、今まさに新しい物流の取り組みを提案するというようなことを期待するということもございますので、いわゆる総合的な物流事業というのを例えば在庫管理を含めてどういうふうに提案をしていったらいいのか、どういう取り組みが今先進的な取り組みとして荷主企業に評価されているのかというようなことの基礎的な知識というようなものを習得していただく、こういう概論研修という部分。これが相当人数が多く、皆さんでまとまって聞いていただく。
それからもう一つは、いろいろな提案をしていけるような少し頭の体操をしていただくというようなことで、具体的な事例に基づきまして物流改善案というものを小グループで演習していただく、いろいろそういう取り組みについて経験のある方に指導していただくというような実務研修。こういう二つの概論研修と実務研修というようなことで構成をさせていただいております。
平成十六年度は、東京、大阪、名古屋、福岡におきまして概論研修を都合八回、実務研修につきましては十二回、合わせまして二十回実施をしたところでございまして、今年度も、非常にこの研修は好評だったということもございますので、ことしは二十一回というようなことで、少し内容も充実させまして実施をする予定にしております。
○樽井委員 その実施はいいんですが、簡単でもいいんですが、研修の具体的な成果はどのように上がっているというふうに考えられますか。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年度の研修の参加者は、概論研修で二千三百四人、実務研修で五百十五人、延べ二千八百十九名の方が受講されております。
実は、この受講された方は、応募の方が相当これを上回る数で寄せられまして、それだけ関心が高いということであったわけですが、受講された方にアンケート調査した結果では、参考になったと答えた方が九五%に達するというようなことで、非常に関心が高い中で高い評価が得られたというふうに考えております。
ただ、じゃ、これがこの研修ですぐいわゆる3PL事業なりに、そういう研修を受けた方が積極的に乗り出してすぐ仕事になるかというところがなかなか難しいところもございます。やはりいろいろ、それぞれの企業で培っておられる実際の荷主さんの関係だとか、扱っている貨物の関係というようなことを踏まえて、現実的な対応をしていくということが必要になります。
ですから、私どもも、そういった研修を受けた方がそれなりの意識を持っていただいたというところが第一歩のところでございますけれども、さらにそういう知識を高めながら、いろいろな経験も積みながら、現実に荷主との間で新しい物流システムに取り組めるというような形にどういうふうにこの人材育成の内容というものを発展させていくかということは、なおいろいろ工夫の余地はあるだろうというふうに考えております。
○樽井委員 その内容も現実的にということですので、実際にサードパーティー・ロジスティックスをやった人から、どういった問題点があったか、こういった知識が不十分でありましたというような報告を受けて、ちゃんとフィードバックしてさらなる改善をしながら、それと、現場のやはり企業の声をもっと聞いていただいて、学識経験者という立場で書類をつくりますと、こういった教材とか、ちょっと漏れていたり、実際にはこんなことは関係ないよというようなことがどんどん出てきたりしますので、やはり実践的な部分で企業の意見なりこういったものも聞いていただきたいと思っております。
ちょっと質問とはそれて、これは質問でも何でもないんですけれども、例えば流通の中で、クロネコヤマトとか佐川急便なんかから意見を聞きますと、今問題になっている郵政民営化問題で、郵便局の車は一方通行を逆走しても犯罪にならないんですよね、それで駐禁もとられないと。例えば、ヤマトの車が荷物をおろしているときは駐禁をとられたり、もちろん一方通行を逆走したら捕まったりするんですね。こういったちょっとしたことがおかしいんじゃないかというような意見を民間から聞いて、それで国の問題点も解決するなり、民間の方に逆に同じような優遇を持っていってやることによって納得させるなり、そういったことをやはりしていかないといけないと思いますので、これは余談ですけれども、そういったことも訴えておきます。
それで、先ほど長安議員からも再三ありましたけれども、ICタグ、これはITを活用した物流ですね、このシステムの開発というのは非常に大事だと私も実感しております。例えば効率化、これはもう一〇〇%を目指すべきではないか、一〇〇%は無理にしても一〇〇%を目指すように進んでいくべきじゃないか。
つまりは、荷物の積みおろしに関しましてもICタグで管理し、そしてドライバーのナビゲーションから、きょうはどこから出発してどこにおりますというようなことをインプットして、ナビからぱっと電波が飛んでいって、流通機関で管理している中央コンピューターとかで解析すれば、本当に効率よく、どこで何をおろして、どこで何番の荷物を積んで、どこでやってくださいと自動的に出てくる、地図も出てくる。そういったことが起こりますと非常に便利で進んだ流通になるというふうに思うんです。
このICタグの活用、開発、こういったシステムで効率化を目指すその取り組みについて、国でもっと支援したり、もっと一生懸命やったりするべきじゃないかと思うんですが、その辺の考えなり、実際にやっていることとか、そういったことがあればお答え願いたいのですが。
○春田政府参考人 お答えいたします。
先ほど長安先生の方からもお話がございました。
実は、物流の関係でIT化を考えるということは、先生が御指摘のとおりでございまして、物流の場合の、いわゆる在庫管理を含むところの流通の管理というようなこと、あるいはきめの細かな輸配送、こういったようなものを行うというときに、まさにIT技術、ICタグの活用を含めて取り組むということは非常に重要な取り組みであるというように考えております。全体のいろいろな流れということからいたしましても、国として積極的にこういうものが進むように取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
ITを活用していろいろな輸送を改善していくというようなことになりますと、CO2の削減というような、そういったことにもつながることだろうというふうに思っておりますので、私ども、実は、CO2の削減に役立ついろいろな輸送のプロジェクト、こういったものについては補助制度を導入して、また、来年度に向けてもいろいろと拡充を検討していかなきゃならないというふうに思っておりますので、そういった面で、このITの円滑な利用を図るための環境整備にも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○樽井委員 長安議員も私もちょうど世代的には、中学ぐらいからパソコンが世にあらわれてきたような、そういった世代でありまして、こういった部分での取り組みが遅いのはちょっといらいらするんですよね。日本がさすがのこのICのタグを使ったシステム、これを何としても力を入れて開発してほしい、これは、例えば国土交通省や経済産業省というようなくくりではなくて、もっと国を挙げた壮大な流通プロジェクトにしていかなければならないと思っております。
電子マネーとかも最近出てきましたし、さらには、ICで荷物の効率化を図ること以外に、これはどこから持ってきた肉なのか、それはいつとられたものなのか、こういったこともきちんとデータが、その倉庫にあるだけでわかる、コンピューターに映し出される。それで不正も省く。北朝鮮からのアサリか日本からとれたのかさっぱりわからないとか、そういったことがないように、管理する部分でも最先端のテクノロジーというのはすごく今後生きてくると思うんですね。
五円以下の電子タグの開発という取り組みというのはすばらしいと思います。もっと将来的には安くなると思いますが、本当の微細的なテクノロジー、ちょっと張りつけて追えば全部大体管理できるし、在庫数も管理できれば、それがどういったものであって、だれがいつつくったものであって、どこからいつ来たものであるか、こういったものが自動的に管理できる未来型の流通システム、これはもう世界に先駆けて、クール・ジャパンも兼ねて、日本って格好いいじゃないか、そういう思いも入れて、思いっ切り日本の知性を集めてつくり上げてほしい。
こういうのは、私たち、ちょうど一期生なので結構言ったことが通らないんですが、これぐらいの世代が、次の日本の新しいシステムをつくろうと一生懸命考えていますので、ぜひ取り入れてほしい、そういうふうに思います。
それで、国土交通省の資料の説明を見ますと、物流拠点の集約化によって二割程度のCO2が削減されるということがあるんですが、全国規模でどの程度のCO2の削減効果があるのか、ちょっと少ないと思いましたので、この辺について説明していただきたいんですが。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
実は、物流拠点を総合的な物流事業を行うという形で整備する、その結果CO2が削減されるということにつきまして、私どもも、平成十四年度から、先ほど申しましたCO2の削減効果のあるような事業の取り組みに実証実験ということで補助金を出させていただいているというようなことがありまして、その関係で、CO2がどの程度減ったかというようなことも測定をしていただきまして、どの程度減ったかというようなことを調べた事例がございます。
実は、新しく施設をつくったという場合には、従前、幾つか複数の施設で散在をしているようなものを一カ所に集約するということで、いわゆるトラックの走行で錯綜しているようなものが非常に束ねられるということで、走行台数自身も減りますし、走行するトラックの積載の効率も高まる、結果として、燃料の消費と実際に運ぶ貨物の関係でいくと燃料の消費が削減される。この辺を実は積み上げてやった、実証実験の中で確認をさせていただいた事例がございまして、実は、その中では三五%ほど減ったというような事例も見られます。
ただ、私ども、非常に効果のあるものと、効果は大きくはないけれども非常に意義があるというようなものもございますので、全体としては、私ども全体の平均的ないわゆる取り組みという意味では、大体二割程度は削減が期待できるのではないか、ある意味ではかた目に見てという、そういう感じの数字でございます。
その場合に、先ほどの三割強削減されたようなケースも、大体一万平米ちょっと超えるような施設規模で、そこに集配の車等が出入りするということで見ますと、大体年間で三百五十トンぐらい削減されているというふうなケースになります。ですから、この辺を一つの単位として見まして、本法に基づく認定というのは先ほども年間で百件から百五十件期待できるのではないかという推計をしておりますが、単純に一件当たり三百五十トンということで年間の排出量の削減がどのぐらいになるかということを試算いたしますと、約五万トンというようなオーダーになろうかというふうに思っております。
○樽井委員 環境問題は非常に大事だと思っておりますし、これが余り少ない効果であるならば、最近、例えば法律を通すときに、これは環境にいいよということで通しやすくするというような、そういった流れもあるかもしれない。実際には、私はこれは大事なことだと思うんですね。ちょっとでも減らしていこうと言って、技術革新も兼ねて、システムエラーもチェックして、さらにはそういったエンジンの開発とか、こういったことにも国を挙げて全力で取り組んでいくという姿勢、これがまず大事だと思っております。
日本はそういったことに、京都議定書なんかの件につきましても非常に積極的に取り組んでいると私自身も思っておりますが、日本が身を削るような思いで実際には二酸化炭素をこうやって削減して、二割ちょっと流通の部分で減りましたよと言っても、例えば十三億人以上おる中国がモータリゼーションでどんどん車を買って、ばあっと交通もふえてきたよといったら、これは別に日本の上空だけの二酸化炭素とかという話じゃないですから、極端なことを言えば、全世界的には排出量がふえちゃったよということになりかねないし、なると思うんですね。
そういう中で、やはりこういった流通のシステムもそうですし、また二酸化炭素を減らす技術全般においてもそうなんですけれども、日本にも、諸外国がもしどんどん二酸化炭素を出せば、そのとばっちりと言ったら言葉は悪いですけれども、あるわけですから、例えば円借款でお金だけぽんと中国とかに渡して、三十年余りにわたって三兆ぐらい渡しても全然感謝されていないとか向こうで報道されていないというようなことを言うぐらいであるならば、こういったCO2を削減する技術とか新しい流通の効率化されたシステム、こういったシステムこそODAとして技術支援という形でいろいろな国にやっていく方がスマートなのかなというふうに思うんですが、その辺、ODAとして環境対策のシステムとかを上げていこうというような、そういったことを活用しようというのはあるんでしょうか。私は広くそういったことを普及させていくべきではないかと思うんですが、その辺について所見はございますでしょうか。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘のとおり、我が国が環境問題でCO2の削減というようなものに取り組んでいる、そういう状況と比べますと、今御指摘の中国を初めとする東アジア、またASEAN、こういった諸国における取り組みがどういう状況かということで見ますと、やはり相当、段階的にちょっと違ったところでの取り組みということになっている面が非常に強いというふうに思います。
そういった意味で、諸外国も含めまして、近隣の諸国も含めまして、実は、地球環境問題というのは我が国だけで取り組んでそれで効果が上がるということじゃございませんので、そういう地域なりあるいは世界的な取り組みということで初めて効果が発揮できるという観点からは、やはり、我が国が相当進んだ形で取り組んでおりますところの物流のシステムなり取り組みというようなものを関係国に紹介して、その技術や知見というものを普及させる形で支援をしていく、こういうようなことは非常に重要なことではないかというふうに考えております。
ただ、これは、やはり相手の国がどういう支援措置を求めるかというようなことがございますので、ASEANであるとかその他東アジアの国との間で、どういうものが求められ、それに対して協力をしていけるかということのお互いのやりとりを十分行っていく必要があるだろうというふうに考えております。その意味では、我が国における取り組みもいろいろ紹介をさせていただいて、そのことを理解していただいて、その中に、自分の国でも取り組んでいく、そのための支援を求めたいというようなことにつなげていくことは、やはり大変大事だろうというふうに思っております。
中国の例でいきますと、実は、中国との間でも物流という問題が最近非常に関心が高まるような状況になっておりまして、中国物流をめぐる日中シンポジウムということで、政府関係機関も入ったシンポジウムが実施をされるというようなことがございます。
昨年六月には、その準備会合の際に、我が国のモーダルシフトという、トラック輸送を鉄道貨物だとかあるいは内航海運なんかに振りかえるというような取り組み、あるいは共同配送だとか、先ほどの3PLの人材育成だとか、こういったことについて、どういうことなのかというのは向こうから、中国の方から紹介をしてほしいという話がありまして、そんなものを紹介したというようなこともございました。また、昨年の十一月にそのシンポジウムが東京で開かれたんですが、そのときにも、物流分野でのCO2の削減という我が国の取り組みについて紹介をし、意見交換を行ったというようなことでございました。
また、ASEANとの関係でも、実はASEANでは、交通問題も広くいろいろな形で、都市交通問題等、関心が高いわけですが、物流問題についてもやはりその一つのテーマになっておりまして、その中で、環境問題とかエネルギー問題ということが柱になっております。
これも相手先の国の状況というのはございますけれども、その中で、必要な技術協力、人材育成というようなことを進めていくことが非常に有意義であると考えておりますので、力を入れてまいりたいというふうに思います。
○樽井委員 この点につきまして、環境対策の技術やシステムを、お金ではなく、ODAとしてこれから発展途上の国にもたらすべきではないか、このことにつきまして、大臣の思い、所見なんかもお伺いいたしたいと思います。
○北側国務大臣 私も同感でございます。中国の要人の方々とお会いする機会は多いんですけれども、私、思った以上に、中国の方々が環境問題や、そして、もちろんエネルギー問題に極めて強い関心を持っているということを痛感する場面が多くございます。
例えば公共交通機関の導入につきましても、いかに省エネでできるのかというふうな観点から公共交通機関の選択をしようとしているようなことも大変多いですし、我が国のさまざまな省エネについてのこれまでの努力があるわけでございますが、それについても非常に強い関心を持っておる。そういう意味では、中国側の方も、環境問題、エネルギー問題について、最近は特に非常に強い関心を持っているなということを感じておるところでございます。
我が国にとりましては、環境問題というのは、これは国境線がないわけでございまして、今委員のおっしゃったように、ODAを初めといたしましてさまざまな形で、中国を初めとする東アジアの国々へ支援できる非常に有力な場面である、分野であるというふうに私も認識をしておるところでございます。
○樽井委員 そうですね。大臣がおっしゃるように、日本だけよければいい、日本だけ削減したらいい、そういった問題ではないこの問題に対しまして、そういった環境対策の技術、システムを全力でまず日本で開発して、この開発したシステム、これをISOみたいな、世界のスーパー標準みたいなもので打ち出して、全世界に、こうやることが二酸化炭素の排出量が一番減るんだ、こういうシステム、こういった取り組みが一番減らすことができましたというアイデアとともに、技術も一緒にして、そういったことで支援していく。
やがてはそういったことが全世界の環境問題の解決に助かりますので、そういったことを全力でやる方が、単にお金だけぽんと投げて、これでどうにかうまいことやってくれというような時代じゃもうないと思いますね。日本も借金だらけなんですから、人にお金を上げるばかりでなく、たまには知恵とか技術、それも、特に自分の国も被害をこうむる環境問題、環境技術に対して全力で取り組んで、全世界にその技術を分け与えてやろう、そういった取り組みを国を挙げて今後強くやっていただきたいということを訴えまして、時間ですので質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○橘委員長 下条みつ君。
○下条委員 民主党の下条みつでございます。
本当であれば、大臣を含めて、政府委員を含めておなかの減る時間でございますが、恐縮でございますが、私の後もう一人バッターがおりますので、ぜひいいお答えをいただきますようにお願いしたいと思います。
私は、今、私どもの仲間がいろいろ質問をさせていただいた件について幾つかまた御質問をさせていただきたいと思いますが、どんな法案、いい法案も必ずすき間がありますし、また、日の当たる部分と、法案によっては当たらない部分が出てくる。そういう意味で、その幾つかについて、ちょっと私の方から質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、その中で、法案の効率化、総合化という面でちょっと質問をしたいと思います。
まず、目的を記した第一条の中に、流通業務の総合化及び効率化の促進を図るとあります。流通業務総合効率化事業として資金面などでも特別な措置を受けることができるのは、業界の中でも比較的大規模な企業になっているというふうに思います。
先ほど樽井委員からも質問があった中に、大体、年間で施設的にはどのぐらいの見込みかという質問に対して、約百とか百五十の施設というお答えがあったと思いますが、これだけ大きな法案をつくります。その百とか百五十の施設に絡まる事業体、つまり企業体の数を、大体で結構です、一つの見込みとして、これはどのぐらいの社数を見込んで、百とか百五十の施設に対してこの法案を通じて巻き込んでいくのか、それをひとつまずお答えいただけたらというふうに思います。見込みで結構です、あくまで見込みで。
○春田政府参考人 お答えいたします。
実は、先ほども、百とか百五十というのは、倉庫の施設を増設したりあるいは新設した事例の中で、それぞれの施設単位で見たときに、この法律でいわゆる総合的、効率的な事業展開を、例えばインターチェンジの近くであるとか港湾、空港の近くであるとか、そういったところで実施をされているという事例で推計をしたものですから、実は事業者単位でいきますと、一つの施設を大体一社で、一年単位で見るとそんなに幾つもできないので一社単位でやるというところがある一方で、企業によりましては、一年の間で複数の施設を並行して整備をするというところもございます。
ですから、ここのあたりは余り推計のところを細かく実は精査したものではございませんが、先ほど百から百五十と申し上げたときに、それが百社から百五十社ということにはならないだろうと。一つの企業で複数やはり整備するということがございますので、当然のことながら、九掛けになるか八掛けになるかというところはございますけれども、それぐらいの企業数ということにはなるだろうというふうに思っております。
○下条委員 ありがとうございます。
私はなぜそれを聞いたかといいますと、大変御正直なお答えだったと思うんですよ。というのは、簡単に言えば、この対象となる業界の数というのは、トラック業界全体と倉庫業界全体で約六万三千社あるんです。六万三千社です。今お答えいただいた数でいくと、六万三千社の分母に対して、重なるところもあるので、約九掛け、つまり下手すると百から百二、三十社しか対象になっていないという答えに僕はとれたんですけれども、そういうふうにとってよろしいでしょうか。
○春田政府参考人 お答えいたします。
倉庫事業で施設を整備いたしまして、これをどれぐらいの年数にわたって使用するかということでございますが、実は倉庫というのは非常に堅牢につくっておりまして、いわゆる荷主からお預かりした貨物をしっかりと、地震とかそういうような災害に対応できるような形でということになりまして、実は、大体、使用の期限が三十一年とか、最近それよりも長く使っているようなケースもございまして、それぐらいの期間使って、その間に保管料だとかあるいは入出庫に当たっての料金をいただいて回収をしていく、ある意味では次の整備に備えて減価償却等をしていく、そういう仕組みでございますので、そう毎年毎年切りかわっていくというふうなものではございません。
したがいまして、企業の数との関係でどういう割合になるかというと、ありていにいけば、耐用年数のベースでいけば、ぎりぎり使えば三十年で一回更新だということになりますし、実は最近、経済情勢が非常に厳しいこともございまして、なかなかその期限で新設、代替をするというようなたぐいのことができないという声も聞いています。ただ、一方で、非常に速いスピードで荷主さんの需要というものが変化をしたりして、相当思い切って新しい設備を更新なりあるいは今までのものを増強を図る形で新設するというケースもございます。
ですから、ちょっとそこのあたりは、実はそれぞれの企業の投資行動に係ることなものですから、私どもも非常に読みづらいところがありまして、どんな条件があればそういう施設整備に打って出るかというようなところは、条件にもよるというところで、いい条件がないかということは実は日ごろから事業者の方は探しながらチャンスをうかがっている、あるいは資金手当てのことも心配している、こんな状況でございまして、申しわけありません、少し具体的にお話しできればよろしいんですけれども、そういう周辺事情の中で先ほどのような推計をさせていただいたということでございます。
○下条委員 本当に御正直なお答えで、ありがとうございます。
要は、先ほど私言いましたように、この法案は私はいい法案だと思います。ただし、今言いましたように、六万三千社の業界があって、例えば資金面、立地規制の面、事業許可の取得の面でも、特例措置を受ける企業が本当に少ない。例えば六万三千分の百でも百五十でもいいんですが、そのぐらいしか日が当たらないような法案であったとしたら、先ほど言いました日の当たらない部分、陰の部分がちょっとふえているなという感じがします。
一方で、経営の方では、倉庫業が業界のうちで四割から五割近く赤字、トラック業界でも五割前後の赤字になっているということであります。そういう意味では、こういう施設を使える大きい企業はいいけれども、それ以外の中小もしくは簡単に言えば小口多頻運送をしているような業者さんたちは、非常に困っているなという感じがしています。
そこで、私は、この話ばっかりやっているとちょっとあれなんですが、こういう状態の中で今、本法案の中には、中小企業信用保険法の特例も含まれているというふうに思います。実は、中小企業金融公庫の信用保険事業の収支状況というのは、もう釈迦に説法でございますけれども、大幅な赤字が続いている。この赤字は、中小企業信用保険準備基金より平成十一年度以降穴埋めをしている。この累積額は、昨年度末で二兆五千億以上になっている。二兆五千億以上の基金の穴埋めをやっているということであります。政府系の金融機関の損失ですから、当然ながら、これは国の負担、もしくは皆さんの負担、一般の方の負担、それは国民の負担ということになります。
そこで、中小企業信用保険準備基金というのは、毎年一般予算などから出資されている。政府出資金というのは、簡単に言えば、平成十四年が四千三十八億円、十五年度が九百七十二億円、十六年度が三千六百四十八億円ということで、多くの出資金が入ってきているということになります。今までもかなりこの基金を使って中小の困ったものに対して穴埋めをしてきた、簡単に言えばそういうことです。
そこで、今言いました、この法案はまあいい、日の当たる人たちは百五十社から二百社かは知りません。全体の母体は六万三千社ある。そうすると、残りの六万数千社については、今言いましたように、極論すれば日陰の部分になってくる。そうすると、私が危惧するのは、もっともっと強い勝ち組と負け組の格差が広がって、言いにくいけれども、中小企業はばたばたがもうちょっとふえてくるんじゃないかなということが、考えにくいけれども、今の数字上では考えられてしまうということであります。
そこで、私は、この法案はいい部分もあります、だから僕は提案的なものをきょうは申し上げたいんですが、例えば、先ほど言いました小口で多頻運送をしている中小企業に対して、これは全く使えない、大企業とさらに差ができちゃうと。ですから、こういう原油高騰の時期であれば、資金面でお困りの方が多いんですから、例えばガソリンなど燃料の使用料に税金のバックを入れるとか、ディーゼル車排出ガス対策等優遇税制の強化をするとか、低公害車導入をバックアップする補助金などをさらに使いやすく拡充していくような形で、何とかこの法案を血液流動をよくするように、生きたものにしていくのはどうかな。つまり、日の当たる部分をもうちょっと広げてあげたらどうだと。
つまり、法案に直接じゃなくても、日が当たらない人のところに少しだけでも明るさを見出してやるということがないと、申しわけないが、私も金融機関にいました、もっと中小企業が苦しむんじゃないかという感じがいたします。その辺でお考えをお聞きしたい。お願いします。
○春田政府参考人 お答えいたします。
先ほども経済産業省の中小企業庁の方からお話がございましたが、中小企業の流通業務効率化の法律で取り組んでいるものに加えまして、今回、中小企業に対する支援策につきましては、この法律の中で、いわゆる中小企業組合という形で取り組んでいるものに加えて、要件を少し緩和をいたしまして、いわゆる連携的に取り組むようなものを対象にするというようなものを加えたり、個別のところでは実は従前の措置を充実するようなものを、やはり中小企業がより使いやすい制度にしようということ。
これは、私ども国土交通省と今回は経済産業省それから農水省の方と御相談しまして、農水省さんは食品流通関係で、今までそういう特例がなかった分野に関して、この流通業務の総合化、効率化ということで認定を受けますと、必要な資金の支援ができたり、あるいは施設を代替して整備してもらうというようなこともできるようなことを入れたりということで、実は、取り組んでいることについてなかなか画期的かどうかというところはあるのでございますが、それなりに私どもも関係省庁さんと、この種のものが今まで余り連携でやれていなかった点があるんですが、今回は、とにかくお互いのいろいろ持てるツールというのを持ち寄って、何かうまい使われ方ができるようにできないだろうか、こういうことを相談しております。
確かに、それが画期的かどうかということになりますといろいろ御議論はあるところだと思うんですが、私どもも、使いやすくまたしていかなきゃならないだろうというふうにも思っておりますので、その辺のところは心がけてまいりたいというふうに考えております。
○下条委員 ありがとうございます。緩和する部分のお話と、代替をして使えるようにするという部分をぜひ推し進めていっていただきたいと思います。
私は、あくまで予測ですから、何回も言います、この法案はいいと思いますが、今の状態で、ただでさえ先ほども申し上げたように準備基金から二兆何千億も入っているという中で、六万三千社の母体の中で日が当たるのは百幾つだと、おいおい、これはもっと国民負担がふえていくんじゃないかなという予測が立つ。それだったら、日の当たらない部分の、つまり傘をもうちょっと狭めてもらって日が当たるようにしてやるような緩和をやはり検討していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
それともう一つ、これも効率化の部分の話になると思うんですが、認定を受ける際、法案の第四条三項の三には、立地についても主務省令で定めるというふうになっています。インターチェンジなどが近い距離にあることを基準とすると。
私どもも、昨年、百五十九国会で道路公団民営化についていろいろ議論をさせていただいて、私ども民主党は与党の皆さんとはちょっと相反した結果ということになりましたけれども、その中でもたびたびインターチェンジについてのお話が出てきたと思います。簡単に言えば、日本のインターチェンジは、平均すると十キロだ。欧米が四、五キロの間隔である。つまり、日本は、私もアメリカに十何年住んでおりましたけれども、全然少ないんですよ。おりたいところにおりるところがない。だから、もっともっとという感じが国交省の声からもありました。それは聞いております。
そこで、先ほど言いましたように、この法案は私はいいと思います。日が当たる部分はいい。では、もうちょっと日が当たるようにどうするかという提案をこれからさせていただきたいと思います。つまり、立地を今あるインターチェンジに近い地区にまず限定していくんじゃなくて、工業団地などの施設の近くにインターチェンジを逆につくって持っていくという発想が出てくると僕は思います。
つまり、新しいところに、インターチェンジがあるからこの周りにたくさんのものをつくっていく、こういうことですよね。これはわかる。しかし、私に言わせてもらうと、インターチェンジの近くは、政府委員や議員の方々の家の近くにインターチェンジがある、そこの土地は高いんですよ、利回りがよくて。そうすると、新しく国の皆さんが金を入れたり出資したりしてその土地を仕入れたりすると、もっと価格が高くなる。それだったら、逆に言えば、今そういう施設があるところに高速道路からちょこちょこちょこちょこインターチェンジを出していけばいいという発想が私はできるんじゃないかと思っています。
その意味としまして、前回の百五十九回でも言われましたけれども、例えばインターチェンジの建設費用というのは、通常のトランペット型が三十五億平均、ダイヤモンド型と言われるスマートインターチェンジであれば二十五億円。また現段階では、釈迦に説法ですけれども、社会実験を行っているSA、PAにETCのゲートを取りつけるだけだと、たったの一億円ということになる。
簡単に言えば、なるべくコストを安く済ませ、さらに、国交省さんの基本方針で言う、諸外国と比べてインターチェンジをもっとふやそうという中で、ただただインターチェンジの近くに施設を持ってくるという一方的な日の当たる方向じゃなくて、もともとインターチェンジをふやして高速道路をもっと使いやすくしようという御省の発想の中に、逆に、今ある、いろいろ工業団地があります、その施設に向けて近いところにインターチェンジをつくっていく。こういう発想が、今言ったトランペット型は三十五億、スマート二十五億、ETCにくっつけて一億という発想が僕は出てくると思います。
何回も言います。これはいい法案ですけれども、今後の案としてこういうのはどうでしょうかというのを御回答いただきたいんです。お願いします。
○春田政府参考人 では、ちょっと事実関係的なことを先に御説明させていただきます。
確かにインターチェンジの間隔につきましては、先生御指摘のとおりで、日本が十キロ程度ということに対して欧米では平均四から五キロということでございまして、これをどういうふうにもう少し使いやすくするか。それから、先生おっしゃられるように、工業団地なりにむしろインターチェンジをつけていくというような発想ができないのか。
実は、今取り組んでいる内容としては、スマートインターチェンジということでETCで、先ほど三十数億と二十五億というようなことで御紹介もいただきましたが、これが平成十六年度に、いわゆるサービスエリア、パーキングエリアに接続するスマートインターチェンジの社会実験ということで全国で二十五カ所実験中ということで、実は私ども、この法律の関係でも、スマートインターチェンジということでETCを使って出入りするようなところで物流のいわゆる施設を整備するということ、その周辺で考えるということも一つの重要な選択肢として考えられるんじゃないかということで、一応そういうものもちょっと視野に入れて今道路局の方でそういう取り組みもしております。
私どもも、そういうものを活用するというか、そういう取り組みもいろいろしていかなきゃいかぬ。そのためには民間の方にそういうことも、ある意味ではこういうことができ得ますというような提示もさせていただけるようにしていきたいというふうに考えております。
○北側国務大臣 道路公団がいよいよこの十月から民営化されます。道路公団は三つに分割されるわけでございますし、首都高、阪高も民営化されるわけでございますが、私は、民営化されることによって道路公団等は、今までさまざまな事業をするにしても手かせ足かせがあったわけでございますが、これからは民営会社としてさまざまな事業展開をしていくことが期待されるわけですね。その中で、物流事業者の方々との連携というのは、私は非常に重要な視点。恐らくもう既に、民営化会社の役員に就任される予定の方々の頭の中には、それはしっかり入っているんじゃないかと思うんです。
そういう流れの中で、今委員のおっしゃった、ICをできるだけ安いコストでこういうところにつくっていって、さらに物流業者の方々と連携していくといいね、利益が上がるかもしれないなというふうな事業展開は、これは私は、十分考えられる、予想される展開かなというふうに期待をしているところでございます。
○下条委員 本当に政府委員そして大臣、前向きな御発言、ありがとうございます。まさに、今実験的に二十五カ所とおっしゃっていただきました。
私は、何回も言いますけれども、やはりいろいろな角度から物を見ていき、そして民営化ということでスタートするわけですから、その中で、いい意味ではそれを取り上げていってもらうという方向感が出ればなというふうに思っています。今申し上げたとおりで、SA、PAのETCゲートを含めたところ、そして用地買収を含めれば相当なお金がかかりますから、それでしたら、もう既に工業団地があるところにゲートを持っていくことによって、流通をさらにコスト減でパワーアップできるんじゃないかと思いますので、ぜひ前向きに、さらに進めていただければというふうにお願いを申し上げたいと思います。
次に、安全面ということからちょっと御質問させていただきたいと思います。
今回の認定を受けた物流拠点というのは、要するに、ある程度の規模を持った拠点になります。そうしますと、当然、新しくその拠点がゲートで結ばれようが、そこに新しい拠点ができようが、問題は出入りする人が大変多くなってくる。つまり、周辺環境への配慮が必要不可欠になってくるということになっていると思います。
簡単に言えば、物流ですから、これは朝九時から夕方五時までしか動いちゃいかぬよということはないわけです。当然、夜八時、十時、十二時、明け方三時、四時、五時、物流ですから、二十四時間で全く眠らず動いていくということになります。そうした場合、当然そこには騒音問題が起き、排気ガス問題が起きてくるということになると思います。
ここに、法案第十六条には、国の行政機関の長または都道府県知事が、都市計画法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときに、適切な配慮が定められているということですね。これは、そのままこの法案に出ていますけれども。それだけに、逆に言えば、周辺環境、安全への配慮をきちっと考慮していかなきゃいけないというふうに思います。
そこで、私が思うのは、やはり今のこの法案だけですと、知事に配慮を任せるだけで、特に規定がないんですね。情報としての取り扱いについては、簡単に言えば規定がない、この法案の中にですよ。しかし、例えば大臣にしろ政府委員にしろ、物流拠点がすぐ近くで、自分の母親が毎日通る道にばんばんばんばんトラックが通るようになる、そして、お孫さんとかお子さんが学校へ行くところの道路に、どんどんどんどん今まで通らなかったトラックが通るようになるということは、知事だけではよくわからないと私は思います。
そういう意味では、幹線道路の危険度というのが相当上がるとしたら、大型施設などの近郊道路については、やはり住民からのヒアリングをきちっとすべきではないかなと思いますね。私は、この問題は非常に後を引くと思うんですよ。その辺が非常にこの法案の中で、私も何回も読み直しましたが、この情報についてはほとんど語られていない。ただ配慮の措置だけは知事に任せるということなので。
例えば、釈迦に説法になっちゃいます、私が言うと。その施設の付近の危険が考えられるエリアとしては、一方通行とか通行禁止とかそういうのを引いたり、特別な制限速度を引いていったりということを、もう皆さんの方からきちっと規定していく必要があるんじゃないか。何回も申し上げます。今、法案の中にそれは書いていません。ですから私は、この辺をぜひ。
例えば、大臣のお母様が、また御親族が住む周りにどんどんトラックが通るようになっちゃう。今までは、乳母車というんですか、あれを押しながら通れた道が危なくて通れない。そうしたら、そこは規制する。もしくは、広い道路でも、今まではちょうどよかったけれども、トラックがぼんぼんぼんぼん行くようになる。
これはなぜかというと、簡単に言えば、さっき言いましたように、六万三千社の中でこの施設を使う人たちというのは、高速道路を使う人たちというのはたったの二百社なんです。残りの六万二千社の人たちは、極端な話、そこに物を持っていくのに使わないでほしい、もしくは、使う人たちも、高速道路の料金を浮かせるために下の道路を使うようになる。そうなると、幹線道路近くのエリアが非常に危険になってくるということですね。
この辺をぜひ、法案として入っておりませんが、大臣の方のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○北側国務大臣 物流拠点施設を整備するに当たりまして、交通安全上の問題が発生しないように対応する必要があるというのは、これは非常に大事なことだというふうに思っております。
この法案に基本方針を定めるというふうになっておりまして、その基本方針におきまして、今委員のおっしゃったように、流通業務総合効率化事業の実施に当たって配慮すべき重要事項として、今警察庁と協議をしているところでございますが、道路交通の安全に配慮するものとする、こういう趣旨の記載をする方向で今検討をしているところでございます。
本法案に基づく総合効率化計画の認定を地方運輸局において行うに際しましては、認定権者として基本方針への適合性を審査するほか、交通の安全を図る観点から、その地域を管轄する都道府県警察の意見を聞くことも予定をしているところでございます。
これらの措置によりまして、交通安全上の問題が発生することのないように取り組みをさせていただきたいと思っております。
○下条委員 ありがとうございます。
ぜひそこの部分を入れていただいて、地元のお年寄り、子供たち、そして警察官の方を含めて、いろいろな意見を総合して、この立地に対する、周りの方々がどれだけ困るかということに対して配慮していただきたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いします。
次も安全面になるんですが、今のお話は、そこに住まわれている周りの近郊の方についてなんでございます。ただ一方で、今回のこの法案は、やはりCO2を含めた排出量削減の問題があったり、業界全体の効率化の問題があってこの法案が出てきたことは、私も百も承知でございます。ただ、それだけを強力に推し進めると、逆に言えば、言いにくいけれども、JR西みたいな問題が出てきてしまうんじゃないかというふうに思います。
そこで、これはちょっと人的なあれになるかもしれませんが、効率化、総合化の陰に隠れた、厚生労働省や環境省なども含めた労働環境の問題がかなり粗悪になってくると思うんですね。というのは、先ほどちらっと私が申し上げたとおりで、ただでさえ低賃金だ、そして高速を使わないようにして動く人も出てくる。ただ、どうしても間に合わなければ高速道路を使わなきゃいけなくなってくる。
そこで、私は、やはりある程度高速を使わせてあげたいなというふうに思います。というのは、私の地元でも、簡単に言えば、私がいつも食いに行くラーメン屋さんの娘さんのだんながトラックの運転手さんだった。ところが、低賃金だし、どうしても子供が大きくなってきたので、そのさやを稼ぐために高速代金を浮かせるために下を走っていた、一般道をばんばん走っていた。それで、つい半年ぐらい前に激突して亡くなりました。私も葬儀に行きましたけれども。
そういう意味では、現実問題としては、最後はトラックを直接運転する人間の、一人一人の方々の労働環境に来ると思うんですね。これを今この法案に関連してどうのこうのと言っても、なかなか僕は、正直それは神様的発言になってしまいますが、そういう状態があるとしたら、では、そのことに対して一体どれだけ配慮できるかなという問題になってくると思います。
そこで、少なくとも今回の施設に高速を利用して出入りするトラックには、もうちょっと高速料金の割引を今以上にしたらどうかなという感じがいたしております。
ただ、過去において制度を利用した別納カードの使い回しなどの不正があったことを、私は、本当に今回はレクで皆さんの省庁の方々にいろいろなことを教えていただきました。助かりました。不正があったりしてETCを対象にしているというふうになっております。ETCはまた、ここで言いますと、先ほどおっしゃったようにスマートインターチェンジのETCもありますし、ここで不正で別納カードを使うことがあるということはなかなか難しい。それだったら、車両にETCを搭載しているトラックの運転手さんへ、あなた、少しだけでも楽にするよということで、もう一押し、特別な割引等々を含めた補助をしていくべきではないかなと私は思います。
これは、さっき大臣おっしゃったように、十月から民間になっちゃう等を含めますと民間の発想になるかもしれませんが、そういう意味では、そこら辺を、例えば施設を利用するトラックの方々については、ETCがついている場合は不正はできませんから、しにくいですから、その辺についてもう一押し、温かい気持ちで割引をするような方向等々がございますかとお聞きしたい、また、お考えがあるかどうかお聞きしたいというふうに思います。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
高速道路の料金の関係でございます。
今先生からも御指摘ございますように、ETCを使って料金を割り引くというようなことが、特に今問題になっておりますこちらの総合的な物流に資する施設ということでどうかというようなことでございます。
実は、高速道路の割引料金につきましては、いわゆるマイレージ割引というような形で、物流事業者につきましては、例えば大口で多頻度の割引であるとか、あるいはマイレージの割引という制度も導入をしたところでございますし、もう一つは、実は時間帯割引というものもございまして、深夜の割引ということで、いわゆる零時から四時の間ということで三割引になるというような割引もございます。
実は、物流事業者の方は、こういう割引がありましても、さらに、割り引かれた結果の高速道路料金を惜しむように一般の道路を走られるという問題もございますので、それにどういうふうに対応していくかというのはやはりなかなか難しい点もあろうと思います。
ただ、総合的な物流事業を通じて、荷主さんとの間でも、結局、ある程度高速道路の高速性なんかもうまく活用しながら非常に効率的でスピーディーないわゆる物流サービスというようなことを展開し、また、そのことについて荷主さんから価格面も含めてある程度理解をしてもらえるようなことにつながれば、こういった割引制度なんかもうまく活用して対応するということもあるのではないかというふうに考えておりますので、私どももまた物流事業者の方の対応状況等もよく見ながら勉強していく必要があるだろうというふうに考えております。
○下条委員 ありがとうございます。
非常に難しい問題だと思います、おっしゃるとおり。結局、消費者ニーズに合わせて会社本体がどんどんどんどんスピードと効率化を進めていって、絞ってくるわけです。安くなきゃおまえのところに頼まねえぞというのから繰り返し、それが結局は最後に運転手さんに来る。
私は、このトラックだけは、なぜかというと、一つの事故によって多くの人を巻き込む可能性があるわけです。例えば、小型乗用車が壁にぶつかっても、その向こうに住んでいる皆さんの御親族はそれほどけがしない。トラックがぶつかりゃみんな死んじまう。ですから、非常に巻き込むことが多いのでこういうお話をさせていただきました。ただ、現実問題、そこに経営問題も含まれてきて難しいと思いますけれども、こういう案を私は申し上げておきたいというふうに思います。
ちょっと時間が来ましたので、あともう一点だけお願いいたします。
最後に、環境への配慮という部分でお伺いしたいと思うんですが、法案の第二条の用語の定義から申し上げたいんですけれども、第一項の定義は、流通業務は、「輸送、保管、荷さばき、流通加工その他の物資の流通に係る業務をいう。」というふうになっております。この前段の部分の「輸送、保管、荷さばき、流通加工」が対象になっている。ここで言う、製品、販売する商品をいかに効率的に消費者に提供するかという物販物流について対象とされているわけです。
しかし、環境のキーワードからすると、第二条の一項の最後に定義されている「その他」の部分というのに注目したいと思います。人間に例えると、物販物流は簡単に言うと動脈部分である。生産過程で出る廃棄物や使用済みのこん包容器の回収、不要になった製品の処理などは、消費者サイドから生産者サイドへ戻っていく部分というのは静脈、戻りの部分です。動脈部分と静脈部分という回収機能になっていると思います。
そこで、今のこの部分の法案というのは、ほとんど九五%以上が動脈部分、物をそこに持っていくだけになっちゃっている。簡単に言えば、工場から流通拠点に移って、流通から消費地の方にトラックが運んで、最後は空でトラックが戻ってくる、こういうことになると思います。
私は提案をしたいと思うんですが、この静脈の部分に、つまり戻りの部分に、いかにして効率性を上げて、帰りはCO2を吐きながら空のトラックで帰るというのはもったいないと私は思います、それは業者にとってももったいない。また、個人によっては、帰りは自分の個別契約をして、リサイクル商品を載っけてきて届ける人も中にはいます。これはやはり行政として見ていく必要があるんじゃないか、効率性の問題の中で。そこで、この静脈部分というのは、皆さんもよく使われている中でこの「その他」の部分の中へ入ってくると思うんですが、廃棄物やリサイクル品などの回収を特定流通施設に運搬することを可能にしたらどうかなと僕は思っているんです。これは今後の話です。今の段階じゃない、今後の話。
そこで、本案の法案上は、第八条、第九条、第十条、第十一条には、倉庫業、貨物利用運送事業、貨物自動車運送事業の事業許可を一括で取得する、これだけになっている。だから、これに加えて、その運んだトラックの運転手さんが、消費地で、ごみでもリサイクル品でも産廃でもいいんです、回収して持っていけるような施設になれば、制度になれば、これは静脈部分で非常に効率よくなる。また、環境面でも、帰りの部分をむだに使わずにCO2の部分を抑えられていくんじゃないかと思います。つまり、ある意味では、例えば産業廃棄物収集運搬事業の許可もあわせて取得できるようにしたらどうかなというふうに思います。
これは今後の話です。あくまでも、この法案に出てきた「その他」の部分を静脈部分、回収部分と見込んで、流通施設を今後としてどうやって使っていくかということです。御意見を大臣と政府委員にお聞きしたいというふうに思います。
○北側国務大臣 非常に興味深い観点だと思います。
言うまでもなく、廃棄物の輸送につきましては、その適正な分別をしないといけないだとか、それから公衆衛生の向上に反することがないようにしないといけないだとか、一般の物流とは異なる視点、観点がございまして、そこを考慮する必要があると思います。御承知のとおり、法律も廃棄物処理法という別の法律立てになっておるところでございます。
ただ、御指摘の点につきましては、物流効率化を図るに当たって十分生じ得る問題だと思います。今後の課題として検討させていただきたいと思います。
○下条委員 ありがとうございます。いい御意見をいただきまして、今後の課題としてぜひ検討していただきたいと思います。
時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○橘委員長 穀田恵二君。
○穀田委員 本法案は、これまで中小運送事業者に対する支援に限定してきた中小企業流通業務効率化法を廃止し、中小支援の垣根を取っ払って、大手物流事業者にも税制、資金調達、開発手続の簡素化など支援措置を拡充しようとするものです。
そこで、これまで中小運送事業者に対する支援に限定してきた理由は何か、まずお答えください。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
荷主の物流ニーズに対応いたしまして、輸送の関係も含めた物流の効率化を進めるということに当たりましては、大企業に比べて経営基盤が脆弱であり、また資金調達能力という面でも乏しい中小企業につきましては、共同化の取り組みということが有効であるということで、中小企業流通業務効率化促進法におきまして、支援対象を中小企業組合の形式によるものを対象にいたしまして支援を行うということになっているものというふうに理解をしております。
中小企業をめぐるこのような状況は引き続き基本的にはあるわけでございますけれども、この法案におきましては、従来の支援措置を継続するとともに、いわゆる中小企業組合形式によらない中小企業の連携についても支援対象に含めるというようなことで、中小企業に対する支援措置を拡充するという内容になっているものでございます。
○穀田委員 中小企業は大企業に比べて資金調達力が脆弱だ、効率化のために投資してもそれに見合う物資の流通量を確保できない、だから中小企業が共同して流通業務の効率化に取り組むということで対応策が決められた、これが九二年に制定した法律の趣旨説明でありました。だから、この大変な中小企業を支援することによって振興を図ろうというのが大義だったわけですね。
そこで、今回の法案は、今お話ありましたけれども、後半の方も言っているわけですけれども、支援する対象を中小企業に限定せずに、大手も含めて支援しようという内容だということは明らかです。具体的な対象はどういった事業者を想定しているのか。大手運送事業者のほか、荷主となる大手製造事業者や大手小売事業者が出資する子会社なども含まれるのか。例えば、企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービス事業も含まれるのか。この点について簡潔にお答えください。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
この法律におきましては、物流の総合的なあるいは効率的な展開をするということを施設を通じて行う事業者に対しまして支援措置を講ずるということでございまして、中小企業については、先ほど、中小企業に対しての支援措置というものを講じるということでございますけれども、この法律全体としては、中小企業に限定しない形で支援措置を書かせていただいております。
そういう意味では、今御指摘がございましたような大手の事業者であるとか、あるいは荷主が出資する物流子会社というようなたぐいのものにつきましても、認定の対象になり得るものと考えております。
○穀田委員 だとすると、中小企業と違って資金調達力はある、一定の競争力もある、そういう大手企業が行う効率化を国が支援するということになります。
もともと、先ほども、また参議院の審議でもありましたように、企業にとっての経営の効率化というのは、企業自身がその力で創意工夫を凝らしてやるべきだというはずだと思うんですね。それをわざわざ、さっきお話しした中小企業流通業務効率化法を廃止して、それでなぜそういうところを支援しなくちゃならぬのか。そのことを端的に短くお答えください。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
物流の総合化、効率化の取り組みを推進するためには、中核となる物流拠点施設の整備が必要になるわけでございます。これを整備するためには多額の投資を必要とする反面、投資をした資金というものを回収するという期間も長いものとなります。民間事業者がこういった取り組みをしていくことを自主的に取り組むということだけでこういう事柄が進むかどうかということにつきますと、なかなか円滑に進まないという問題があります。
他方、総合化、効率化の取り組みということは、活力ある経済活動あるいは豊かな国民生活の維持にとって必要不可欠な取り組みでございます。特に今日においては、東アジア諸国の経済が大きく発展していく中で、我が国産業の空洞化というような事態を回避するためにも緊急かつ重要な課題であると考えております。
そういった意味で、従来の倉庫用建物に対する……
○橘委員長 簡潔に願います。
○春田政府参考人 はい。税制特例等、これを大幅に見直しをいたしまして、重点的に総合化、効率化を図るものにむしろ絞り込みをいたしまして再構成したというのがいわゆる一般的な支援措置でございます。
一方、中小企業に対しましては、先ほど来申し上げておりますような資金面等の支援というものを手厚く整備しているものでございます。
○穀田委員 この間、きょうの議論でも多くの発言者が疑問符を投げかけたのはここにあるんですよね。結局、そういう資金力もあるし力もあるところ、なぜそこを支援しなくちゃならぬのかということなんですよ。市場原理、市場原理、また、総理の好きな言葉でいけば、民間でできるものは民間に、こう言っていて、それが金がかかる、円滑に進まない。そんなことはないですよ。ちゃんとやればできるわけでして、結局のところ、要は至れり尽くせりで、官が後押ししましょう、大手の企業には手厚く支援しましょうということがあからさまに見えるということを指摘しておきたいと思うんです。
そこで、これが、懸念があるから各党は中小業者に対してどうなのかという質問をしているんですよね。中小運送業者にとってはどういう事態をもたらすか。中小企業の場合、従来は中小企業組合などに限られていた支援対象が個々の企業でも対象になるなど、先ほどお話があったように、一定、制度が拡充される、これはありました。しかし、これは、今回の法案をつくらなくたって、逆に言えば、中小企業流通業務効率化法を改正すればできる話なんです。支援する対象を大手に広げることで、限られた支援措置が中小企業まで回ってこないという心配が生まれるから、みんな危惧の念を抱いて質問しているわけですよ。
それだけじゃ済まないんですね。先ほど質問した中心は、大手の製造業者や大手小売業の子会社、3PLというアウトソーシングサービス事業が進める効率化の中身が問題なんですね。
IT辞典を見ますと、こう書いているんですね。「物流業者に業務を委託するのとは違い、3PLは「荷主の物流部門」として振舞うため、複数の物流業者から最も荷主の利益にかなう業者を選択したり、荷主側の要望を物流業者と交渉したりといったことが可能となる。」やはりITをやって調べている方はよくつかんでいて、このことの今度の法律というのはどうなのか、3PLというのは何をもたらすかということをすぱんと言っているわけですね。
ここにあるように、3PL事業者は荷主の物流部門として振る舞い、荷主の利益にかなう業者を選択したりすることになる。だから、荷主の意向に沿って、低運賃を競い合わせ、コスト削減を図ることが最大の仕事になっちゃうぞと。
つまり、中小運送業者やそこで働く労働者にすれば、安い運賃や時間限定配送など、過酷な条件を押しつけられる事態が今以上に厳しくなることは容易に予想できます。効率化を進めれば進めるほど、中小業者と運送労働者にとっては過酷な取引条件が押しつけられることになる、そういう事態を生む心配はないのですか。お答えください。
○春田政府参考人 お答え申し上げます。
物流の効率化につきましては、活力ある経済活動あるいは豊かな国民生活の維持にとりまして必要不可欠な取り組みであると考えております。産業の空洞化の回避を図るためにも重要だということでございます。
物流の効率化を進めることによりまして、荷主企業が物流活動というものをアウトソーシングするというようなことで物流事業者がその受け皿となる、結果、自家用トラックから営業用トラックへの転換が行われるというようなことにつきましては、トラック事業者のビジネス機会の拡大というようにつながる面もあるものと考えております。
また、中小企業におきましても、みずからの創意工夫、他の物流事業者との連携、こういったものを通じまして、ビジネス機会を拡大するということは十分可能であると考えております。本法案は、こうした中小企業の各種取り組みを支援するための措置を整備するものでございます。
○穀田委員 効率化が必ずしも空洞化などの対処になるというふうには思えない。私は、京都に住んでいますから、とりわけ伝統産業や芸術産品、そういうものの空洞化というのを恐れています。しかし、それは効率化でいけるなどということを言ってごらんなさい。だれもそんなこと言わへんわ。そういう問題だということを改めて言っておきたいし、活力というものは一体何かという問題も今後議論していきたいんですけれども、私は、そんなに時間はありませんからやめますが。
そこで、トラック協会の調査資料などを見ると、コスト削減競争のもとで事業者は運賃を削られ、それを労働者の賃金引き下げ、長時間労働で補う、そういうことになります。したがって、荷主側が物流の効率化をすればするほど下請と労働者にしわ寄せされる実態があることは、これは否定できない事実だと思います。
公正取引委員会に聞きたい。大手荷主がアウトソーシングして3PLを行う事業者について、この事業者が中小運送事業者に対して、運賃の減額、買いたたき等、不公正な取引を行った場合、二〇〇四年に改正された下請法が適用されるのかされないのか、お聞きします。
○舟橋政府参考人 御説明申し上げます。
御指摘の件でございますけれども、下請法、それからもう一つ物流の特殊指定とございますけれども、いずれも資本金の要件というのがございまして、それを満たす限りにおきまして、大企業が3PLに委託を行う、そういった場合に、その下請法ないし物流の特殊指定が適用になる、こういう関係でございます。
○穀田委員 では、ついでに聞きます。
昨年改正された下請法及び今お話あった荷主に対しての独禁法の特殊指定に関連して、運送業関係でこの一年の運用実績はどうなっているのか、また、対象が広がったことに伴って下請検査官等の人員体制は拡充されたのか、そのことについて事実関係をお聞きします。
○舟橋政府参考人 まず下請法、それから、先ほど申し上げましたけれども、物流の特殊指定の運用状況、運用実績でございます。
下請法につきましては、平成十六年、昨年度でございますけれども、定期調査というのをやっておるわけでございます。下請の方からなかなかクレームとかが来ませんので、私どもの方から書面で定期的に調査する。その結果、運輸業者に対しまして、下請法に違反するおそれのある行為が認められた百七十一件につきまして改善等の措置、指導を行った。それから、もう一つの物流の特殊指定の方でございますけれども、こちらにつきましては、物流事業者二千社に対しまして書面調査を実施いたしておりますが、指導等に至る事案はなかったということでございます。
今後とも、下請法それから物流の特殊指定につきましては、書面調査等を実施して違反行為が見つかった場合には厳正に対処したいと考えております。
運用の体制でございますけれども、非常に簡単に御説明させていただきますと、下請法それから物流の特殊指定、これは昨年四月一日から施行になっているわけでございますけれども、その直前の時点でこの担当者は四十九名でございましたが、直近時点では十二名ふえて六十一名の体制で執行に当たっている、こういう状況でございます。
○穀田委員 今ありましたように、下請関係の検査官それから担当者、四十九名から六十一名、十二名増員している。中小企業庁でも、下請検査官は七人拡充されています。
そこで、もう一つの点ですが、今、下請法違反事例については、警告等の実績、書面に基づいて調査して百七十一件あったと。ところが、荷主が行う不公正取引に関しては、特殊指定にされたけれどもこれまで警告した実績はない、これがはっきりした。これが非常に問題なんですね。だって、荷主による運賃引き下げ、買いたたきなど、委託を受けた運送事業者や労働者はまさに悲鳴を上げているわけです。これは、参議院の議論を通じても、今日の議論を通じても、そういった点が出されました。
先ほども言いましたけれども、今回の法案で支援される3PL事業者というのは、荷主の物流部門として、荷主の立場に立ってコスト削減など効率化を進め、下請物流業者に無理を押しつける可能性がふえると思うんです。
これは、「日本における3PLビジネスの育成に関する調査」ということで国土交通省が出しているんですけれども、そこの実態を見ますと、「市場構造・参入主体」と書いていますが、例えば商社の物流子会社、伊藤忠、住友、丸紅、三井物産、三菱商事、こういうふうに書いていますように、これは圧倒的にそういう人たちが参入をしているという事実があるし、それが今の現実です。
したがって、私は、大臣にこの点を含めて最後にお聞きしたいんですね。
運輸事業に関しては、結局のところ、JR西日本の事故だとか航空のトラブルなど安全問題で、私は国交省の管理監督のあり方が問われたと何度も質問しました。あわせて、今度のトラックなど貨物輸送分野での事故も多発している。それは、その背景に荷主の行き過ぎた運賃引き下げ、時間限定配送などの押しつけがあることも指摘をされているところです。そもそも、市場競争、市場原理といいましても、私は、公平公正な取引を守ることなくして経済秩序は維持できないと思っています。したがって、運送事業を所管する国交省が、この公正取引に関しても監視、監督する立場から一定の役割を担うべきだと考えるんです。
国交省は、運送業が下請法さらには特殊指定の対象になって以後、検査官初め人員の拡大を行ったんでしょうか。そういった点を含めて、二つ、今言いました一定の役割を担うべきだということと、検査官を初めとしたこの部門での人員の点についてもお聞きしたいと思っています。考え方と、その二つ、お願いします。
○北側国務大臣 物流事業というのと、それから生産、流通等の荷主側というのは、私は、やはり経済を支える車の両輪だと思うんですね。だから、生産者側また流通者側にとっても、物流事業者の方々が健全に発展していくということは極めて大事なことで、私どもも、物流事業者の方々が健全に発展していけるような環境、条件というのをしっかり整備していくことは私どもの大事な仕事であると思っております。
今は軽油価格も大変高騰しております。トラック事業者の方々は大変な環境下にあるというのも私は十分に承知をしているところでございます。荷主側の方々にもその辺のところはよく理解をしていただいて、きちんとそういうコストが反映できるような形にしていかないと、転嫁ができるような形にしていかないといけない。そうじゃないと、やはりトラック業者を初めとする物流事業の健全な発展というのはないというふうに私は思っておりまして、そういう意味で、経済界の方々に対しましても、今のこういう状況についてよく御理解をお願いしたいということは申し上げているつもりでございます。
経団連の皆様に対しても、そういうトラック事業者の方々を初めとする物流事業者の方々の置かれている状況については申し上げているところでございます。
○穀田委員 考え方の中心は、やはり公正公平な取引を守るという、単に中小企業庁だとか公正取引委員会というふうな形じゃなくて、一番現実をつかんでいる国交省自身がきちんと関与していく必要があるということを私は申し上げたいと思っています。
みずから所管する運送業界の公正な取引、今、そういう点について、実際は嘆いていないんですね、残念ながら。この間も参議院でも議論になりまして、そういう一連の流通問題についての、経産省でいいますと経産省、それで、こっちでいきますと、通達を出している、パンフレットを出している、こう言っているんですけれども、その点でのきちっとしたものが私は必要だと思います。
最後に一言だけ。
一生懸命環境問題について出しましたけれども、企業のCO2の排出を規制するものではないんですね、この法律は。参議院の議論でもあっていますように、規制をかける必要があるんじゃないかといったことに対しては、それは市場原理だと言っていることから明らかなように、それはそうなりません。
確かに、十あるものを二つにやったら、それは減るのは当たり前なんですよ。そういう点ぐらいだということは言っておきたいと思っています。
したがって、温暖化についても、なかなかこれは疑問だなということだけ提起して、質問とします。
○橘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○橘委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
○穀田委員 これまで、流通業務の効率化を支援する制度は、経営基盤や資金調達力の脆弱性などを理由に、中小企業の支援に限定されていました。本法案では、大手物流企業はもとより、荷主となる大手製造会社等の出資する子会社などを支援対象に拡充しています。
もともと流通業務等の効率化は、事業者みずからが創意工夫を凝らし取り組むものであります。本法案により資金調達力を有する大手事業者等を支援対象に加えることで、中小企業への支援が縮小されることになりかねません。このことは、現に、支援対象とされている、いわゆる3PL事業に進出している企業のほとんどが大企業とその関連子会社であることを見れば明らかです。
また、地球温暖化ガスの削減対策を本法案による効果として掲げていますが、本法案には、支援対象企業等のCO2排出を規制する仕組みはなく、実効性を担保する確たるものはありません。
したがって、本法案には賛成できません。
なお、運輸業界に今緊急に求められている対策は、物流コスト削減を進める大企業荷主による不公正な取引を改善し、中小企業の経営安定と運輸労働者の過酷な労働条件の改善です。多発するトラック事故等の対策とあわせ、国土交通省の対応の強化を求め、討論とします。
○橘委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○橘委員長 これより採決に入ります。
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○橘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時十四分散会