衆議院

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第26号 平成17年7月22日(金曜日)

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平成十七年七月二十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江藤  拓君    岡本 芳郎君

      小西  理君    河本 三郎君

      菅原 一秀君    高木  毅君

      谷  公一君    中馬 弘毅君

      津島 恭一君    寺田  稔君

      中野 正志君    二階 俊博君

      葉梨 康弘君    萩野 浩基君

      林  幹雄君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      吉野 正芳君    菅  直人君

      小林千代美君    下条 みつ君

      高木 義明君    玉置 一弥君

      樽井 良和君    中川  治君

      中根 康浩君    伴野  豊君

      松崎 哲久君    三日月大造君

      室井 邦彦君    若井 康彦君

      若泉 征三君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (人事官)        小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   参考人

   (道路関係四公団民営化推進委員会委員)      猪瀬 直樹君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   近藤  剛君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十二日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     津島 恭一君

  櫻田 義孝君     萩野 浩基君

  高木  毅君     吉野 正芳君

  武田 良太君     谷  公一君

  古川 禎久君     岡本 芳郎君

  和田 隆志君     小林千代美君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     古川 禎久君

  谷  公一君     武田 良太君

  津島 恭一君     小西  理君

  萩野 浩基君     櫻田 義孝君

  吉野 正芳君     高木  毅君

  小林千代美君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     木村 隆秀君

  中根 康浩君     和田 隆志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長峰久幸義君、大臣官房総合観光政策審議官鷲頭誠君、総合政策局長丸山博君、道路局長谷口博昭君、鉄道局長梅田春実君、航空局長岩崎貞二君、人事官小澤治文君、人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、法務省刑事局長大林宏君及び文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として道路関係四公団民営化推進委員会委員猪瀬直樹君及び日本道路公団総裁近藤剛君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 おはようございます。自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、時間をいただきまして、JR西日本の事故について御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 事故からほぼ三カ月たちました。運転再開から一月も過ぎたところであります。百七人もの犠牲者、五百人を超す負傷者が出たわけでございますが、ここに改めて、お亡くなりになられました方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なおさまざまな後遺症あるいは負傷に苦しんでおられる方が少しでも早く回復され、もとどおりの生活に戻ることができるよう願ってやまないところでございます。

 こういう時点で、先輩の先生方の御好意によりまして質問の機会を与えられましたことを、まず感謝申し上げるところでございます。

 実は十年前、私は阪神・淡路大震災に神戸で遭遇いたしまして、また昨年は、十月二十日、台風二十三号、選挙区の豊岡で大変な被害に直撃したわけでございます。加えて、このゴールデンウイークの前、四月二十五日に、隣接するこの選挙区で信じられないような、腹立たしく、また悲惨な事故が起きたわけであります。

 私は、大規模災害あるいは大規模事故、いろいろな事件、いわゆる危機管理が必要とされる場面を私自身が経験し、学ばされ、そして自分自身の中で固まってきたといいますか信念とでもいうべきことに、過去の事例から学んで、みずからの想像力を鍛えて、迅速に決断する、この三つが大変大切だというふうに信じているわけであります。

 過去のいろいろなことから学ぶということは、一つ一つの事例、出来事についてきちんと実証的に積み重ねを行っていく、いわゆる検証ということがとても大切なことだというふうに思っております。単に反省、口だけの二度と起こさないということであれば何の意味も持たない、そういう決意だけでは事故は防げないし、災害の被害を少なくする減災ということはできないというふうに思っているわけであります。

 既にそういう試みは、十年前の阪神・淡路大震災もそうですし、昨年の台風二十三号でも、それぞれの市町村の避難勧告の時期はどうであったか、適切であったか、ランクづけをしてはどうか、採点してはどうかという取り組みがいろいろマスコミなどでもされておりますし、それぞれの自治体のあらかじめ避難場所の指定が適当であったかということも含めて、そういったことも含めてされているわけであります。

 そこで、まず今回のJR西日本の列車転覆事故の、事故があった初動の動きについて、その検証から話を進めたいというふうに思っているところであります。

 国土交通省にお尋ねいたします。今回のような大事故の場合のJR西日本の社員の招集基準はどうなっていたのか、それをまず鉄道局長にお尋ねしたいと思います。

梅田政府参考人 御質問の件でございますが、JR西日本では、事故発生時の取り扱いにつきまして、本社では重大事故等発生時における本社内危機管理マニュアルというマニュアルをつくっております。そこの中で連絡体制あるいは非常招集等について規定をしております。各支社におきましては、これを受けまして、鉄道事故及び災害応急処理準則というものをつくりまして、招集体制あるいは業務分担等を規定しているところでございます。

 社員の招集の基準でございますが、本社のマニュアルによりまして、重大事故のため復旧、救護、支社の支援等を行う必要があるときなどは、招集可能者の半数、これは二種Bというふうに会社では呼んでおりますが、二種B体制をとる。それから、新幹線等で列車事故が発生しましたなど、多数の死傷者が生じ、会社を挙げて対応する必要がある、こういうときには招集可能者全員、これは一種Aというふうに呼んでおりますが、そういう体制をつくりまして、対象となった者を招集するというふうに区分されております。

 今回の事故におきましては、当初二種B体制ということでございましたが、支社では九時三十分、本社では九時四十五分に一種A体制になった、格上げしたというふうに聞いております。

谷委員 今、局長の方から、事故の当時のJR西日本の対策、招集基準というか、それを御説明あったわけですが、それでは、そういう基準そのものが、JR東海とかJR東日本、あるいは関西の他の鉄道会社、私鉄と比べてどうであったか。国土交通省として、そういう基準そのものは特に問題はないというふうに考えていたのか、他の鉄道会社と比べて遜色ないといいますか、そういうふうに理解をされていたのか、お尋ねしたいと思います。

梅田政府参考人 鉄道に関する技術上の基準を定める省令というのがございまして、鉄道事故あるいは災害等が発生した場合における応急復旧のための体制をあらかじめ定めておかなければならないと規定しているところでございます。これに基づきまして、各事業者はみずからの責任でその規定を定めているところでございます。

 今、先生の御指摘の点でございますが、JR西日本のこのマニュアル、これは同等のものが、JR東日本の場合は運転事故応急処理手続、それからJR東海の場合は運転事故及び災害応急処理取扱細則というようなマニュアルをつくって規定しているところでございます。

 招集の範囲あるいは通報の体制、あるいは対策本部の設置等、各点につきまして比較をいたしますと遜色はございませんし、また、全部の私鉄を調べたわけではございませんが、御地元の例えば南海につきましても、ほぼ同じような内容の規定ぶりでございます。そういう点におきましては、規定のつくり方としては、仕方としては、遜色はないものというふうに考えております。

谷委員 規定そのものについては遜色はなかったというお答えでございました。

 そうすると、あれほど、あの事故の後いろいろなことが批判されたわけですが、ボウリング大会をそのまま開いていたとか、宴会を云々していたとか。では、具体的に、そういう招集基準は問題なかったとしても、どうであったのか、それは守られたのかどうかということが一番問題であろうというふうに思います。

 その点どうでしょう。守られたんですか。その事実はどうかというのがもう一つ私はよくわからないんです。お願いいたします。

梅田政府参考人 今回の事故で、マニュアルの基準にございました招集可能者のほぼ全員に当たります、本社の場合は約九百名でございます、それから当該の支社の場合は約二百十名でございます、それから関係する現業の社員は六百七十名でございますが、これを招集いたしました。

 しかし、今回ちょっと問題がございましたのは、その招集した社員に対する連絡の方法、あるいは招集された社員が自分がどういう役割をすればいいのかという役割の分担、こういうような点につきまして混乱があったというふうに聞いております。したがいまして、JR西日本では、この前提出していただきました安全性向上計画の中で、そういう点を踏まえまして、危機管理体制の確立ということのマニュアル等の見直しを現在しているところでございます。

 私どもといたしましては、このマニュアルが社員一人一人に徹底するように、着実に実施されるように、今後、監査等を通じながら必要な指導を行っていきたいというふうに考えております。

谷委員 招集はされたということでございますが、招集をして、全員何時間後に集まったとか、そういうことはわかっておられるわけですか。招集したということは、いや、招集はかけた、しかし、ではどのように集まったのか。集まったにしても、今局長が言われたのが、どういう役割をするのかきちんと決めていなかったので、集まったけれども、そういう人員というのかスタッフが有効に、効果的に動くことができなかったというのはわかりますけれども、では、どの程度、どういう時間に集まったのかということについて、わかっておられるのならお願いしたいと思います。

梅田政府参考人 先ほど申しましたように、招集される社員の範囲というのはマニュアルに規定されているところでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、具体的に連絡をする方法、こういう点につきまして、必ずしも一人一人が自分が招集されているというような認識を持っていなかった、あるいは、そういうようなことを常日ごろから徹底していなかったというところが問題でございました。

 したがいまして、具体的に何人のうち何人集まったかというような問題につきましては、結果的にカウントすることはできますが、その当時、直ちに何人集まってどうこうするというような指揮系統が十分ではなかったというふうに反省しているところでございます。

谷委員 私自身は、その辺のきちんとした検証が、国土交通省というよりもJR西日本みずからきちんとしておかないと、何となく、あのときは悪かった、深く反省する、一から出直す、そういう決意だけで終わるような気がいたします。また、JR西日本に対して、そういう、しんどいことではありますけれども、あの四月二十五日に、時間を追ってどういう状況であったかというのを、またきちんとしていただくよう指導していただければというふうに御要望をいたしたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 今週の火曜日で運転再開一月となったわけであります。一月を機にいろいろな新聞社がアンケートをしております。地元の神戸新聞でございますが、利用者アンケートによると、三分の一の方がやはり安全面で不安を感じている。一方、列車の制限速度を、百二十キロから一たん直線で九十五キロに下げたわけでございますけれども、それを来年の春再び戻すということも検討に入っているというようなニュースが流れましたので、そういう制限速度をもとに戻す、再びアップするということについては八割近い方が反対をしている、そういうようなアンケートがございました。

 また、別の新聞社ですと、これは負傷者ですけれども、負傷を受けた方のうち半数近い方が、再開後一月たっても、いまだ電車に乗っていない、JRに乗っていない。そして、負傷を受けた方の三割は、もう二度とJRに乗りたくない、そういうアンケートが出ております。

 そういうような利用者なり負傷者の思いというのは今なお大変深いものがあろうかというふうに思っております。副大臣、こういうような思いというのをどういうふうに受けとめておられるのかということについてお尋ねしたいと思います。

蓮実副大臣 今、谷先生の言われる新聞も、私も拝見をさせていただきました。福知山線の利用者の三分の一もの方々が安全面にかなり不安を感じておられる、こういうことは、一日も早く利用者の信頼を取り戻すことが重要であると改めて認識をいたした次第であります。

 国土交通省としては、事故後直ちに、JR西日本に対しまして安全性向上計画の策定を指示いたしました。五月三十一日にはJR西日本からの報告も受けております。利用者の信頼の回復のためには、この計画を着実に実施することが重要であると考えております。今後一年間、JR西日本の本社と十の支社の監査を重点的に実施しまして、安全性向上計画の実施状況を確認し、必要な指導を行ってまいりたいと思っております。そのために、まず今月の十一日から十五日にかけまして、大阪の支社とその現場の監査を行ったところであります。

 また、御質問の制限速度の見直しの件でありますが、利用者の方々の意見を十分に考慮いたしまして、JR西日本が適切に対応すべきものであろうと考えております。なお、二十日のJR西日本の定例会見でありますが、垣内社長は、来年の三月のダイヤ改正ではもとのダイヤに戻すことは基本的に考えていないと述べております。

 改めて言うまでもありませんが、公共交通機関にとっては安全の確保が最大のサービスであります。安全第一、安全優先の運行を徹底することが極めて重要であります。国土交通省といたしましては、利用者の皆様から一日も早く信頼が得られるように、引き続きJR西日本をしっかりと指導してまいりたいと思っております。

谷委員 今副大臣の答弁の中にございましたように、垣内社長は二十日の記者会見で、来年の春も速度を上げずということを言われたということであります。しかし、問題は、その前の六月十四日でしたか、鉄道本部長が安全上問題はないと言って、利用者の方あるいは被害を受けられた方の気持ちを逆なでするような発言をした、そういうような対応といいますか態度といいますか、それ自身がやはり深く反省をしてもらわなければ困るというふうに思っております。

 それでは、時間もあれでございますので、もう一つ、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 この事故は、いろいろな意味で大きな心の傷というのをいろいろな方に与えたわけでございます。私は、特にこの中で児童生徒というのが大変気になります。感受性豊かな子供たちが事故そのもので負傷した、あるいは両親とか親戚の方を亡くした、友達を亡くした、そういう方もおられます。新聞によれば、百三十人ぐらい、児童生徒、そういう方が被害を受けているということでございます。

 厚生労働省も、いろいろ心のケアを兵庫県を中心に、自治体を中心に取り組んでおられるということは承知しておりますが、文部科学省として、こういう児童生徒の心のケアについてどういう取り組みをされて、現在の状況はどうかということについてお尋ねしたいと思います。

西阪政府参考人 お答えいたします。

 このたびの事故における児童生徒の心のケアにつきましては、兵庫県教育委員会が中心となりまして、関係の学校、市町村教育委員会と連携をして対応しているところでございます。

 具体的には、まず遠足の途中で被災をした生徒がいる高校につきましては、事故直後、スクールカウンセラー二名を増員いたしまして、現在は三名体制で対応しているということでございまして、これまで、延べの人数でございますが、百三十六名の生徒に対しましてカウンセリング等の対応を行っているという状況でございます。少なくとも、現在の三年生の生徒が卒業するまでの間はこの体制を実施していくということでございます。

 次に、保護者等を亡くされた児童生徒の方々につきましては、それぞれの学校等で状況を見守りつつ、必要に応じてカウンセリングを実施するというような対応を行っているというところでございます。

 文部科学省といたしましては、兵庫県教育委員会と連絡をとり状況を把握するとともに、スクールカウンセラーの追加配置につきまして経費の補助を行っているところでございます。児童生徒のケアは大変重要な問題でございます。今後とも、遺漏なきよう対応してまいりたいと考えております。

谷委員 心のケアというのは、阪神・淡路大震災でも、十年たちましたけれどもまだまだ続いております。ですから、先ほど今の三年生が卒業するまで当面というふうに言われましたけれども、引き続き目配りしていただいて、これは何も、心のあれは年度が変わればもうすっかりよくなるというようなものではございませんので、細かな目配りをお願いいたしまして、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

橘委員長 赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、二十分間の質問時間でありますが、主に観光政策について質疑をさせていただきたいと思います。

 まず一つ目は、昨年の年末にスマトラ島沖で大津波また大地震の被害が発生いたしました。私ども、私を含めて公明党議員団として、十二月三十一日から一月三日まで、日本人の被災者が最も多かった現地タイのプーケットに現地視察をしてまいりました。

 タイのプーケットには実は大使館も総領事館もございませんで、日本人会というまさにボランティアの団体が実質的に大使館や総領事館の役目を果たして、被災者の家族が来れば車を出し現地を案内する、こういったこと、また、仕出しのおにぎりやお弁当をつくる、こういったことに奔走されておりました。そういったグループに対して今の日本のスキームでは全く補助金が出せない、そういった指摘も実は通常国会冒頭の予算委員会でさせていただきました。

 現実そういった状況の中で、せめて顕彰をということで、先日の金曜日に、外務大臣表彰ということで、タイの日本人会の宮下会長さんという方が一時帰国をされました。それはそれで大変よかったということなんですが、実は、タイのプーケットの日本人会というのは、その大半が観光業で生活をされている方でございます。会長もダイビングスクールの経営者であり、事務局長は観光業の代理店を営んでいる。

 そういった方たちにとって、プーケットは実は復旧復興は大変素早いものがあって、今、原状回復はされているわけでありますが、実は、統計を見ていただければわかりますように、日本からの観光客は昨年と同期比で実に八五%減という状況が続いております。プーケットは、実は五月から雨季に入って、五月の連休が大変大事な繁忙期であったわけでありますけれども、そういったときには全くお客が来なかった。日本人の客が来ないと、外国人の客が来てもなかなか日本人の方が経営をしているダイビングスクールや観光代理店というのは使われないということで、ほとんど厳しい状況が続いている。

 一時帰国をされた折に、北側国土交通大臣のところに日本人会会長も直接足を運びまして、そういった現地の状況を直接お訴えされたところでございます。

 そういう中で何とか少しでもできないかというお話もしたわけでございますが、一つまず確認をさせていただきたいのですが、かつてSARSの発生や米国テロの発生のときに、その関係業界、観光業界とか航空会社に対して、緊急の特例融資、セーフティーネット融資の対象業種として認定をされて、極めて特例的な緊急融資がなされたわけでございます。今回のように、本店というか、仕事の場が在外の在留邦人の方が経営をしているケースの場合、こういった中小企業庁の緊急特例融資制度といったものの対象になるのかならないのか、まずその点をお聞かせいただきたい。

 例えば世界銀行、JBICについても働きかけをしていろいろな検討をしましたが、なかなか融資の対象にならない。タイの銀行では、在留邦人ということで融資もなかなかしにくいし、また金利も高い。こういったような状況の中で、中小企業の緊急セーフティーネット融資制度というのはこういったことを想定してつくった制度でありまして、これが在外邦人の方の場合、対象外になるのかならないのかということを御確認させていただきたいと思います。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が今おっしゃられました緊急融資制度、中小企業につきましては中小企業に対する緊急的な保証という制度がございまして、国内の事業者であって、最近三カ月間の月平均売上高が前年同月の平均売上高に比べまして一〇%以上、現在運用で五%以上としておりますが、下がっているものについて、これを対象として緊急融資がなされる、こういうことになっております。

 それで、今おっしゃられましたタイの国内で観光業をしておられる日本人の場合には、残念でございますが、国外の事業者でございますために、この法律の対象とはなり得ない、こういうことだと理解しております。

赤羽委員 今のお答えからいきますと、同じような、今の昨年度比の業績という点では、今回のプーケットの日本人会の方たちの業としてはそのくらいのダメージを負っていると思いますが、国内での営業ではないということで対象にならないと。

 大変厳しい状況に置かれていると思うのですが、こういった場合、あとは、官民を挙げてプーケット向けの旅行についてバックアップ、キャンペーンをしていくということが大変大事だというふうに思っておりますが、その点についての国土交通省としてのお取り組み、また今後の支援、夏休みがこれからというかもう始まりました、まさに書き入れどきの一つが来るわけでありますが、そういったことについてどのような御決意で取り組みをされているのか、お答え願いたいと思います。

鷲頭政府参考人 私ども国土交通省といたしましては、ことしの一月に、地震、津波が起こった直後でございますが、ASEANプラス3の観光大臣会合というのがございまして、その場におきまして被災地域を対象とする観光復興総合プログラムというものを提案いたしました。これを受けまして、三月に官民共同の調査団をプーケットに派遣いたしまして、現地の状況を把握したり、あるいは関係者からの要望の聴取などを行いまして、もうその時点で、プーケットというのは津波の被害から立ち直って安全であるという趣旨のアピールを民間あるいは国民の皆さんに対してさせていただいたということでございます。

 また、民間におきましては、日本旅行業協会が中心となりまして、ことしの六月から来年の三月を期間としまして、復興支援のためのアジアン・ビーチリゾート・キャンペーンというものを実施しまして、主要旅行会社各社がいろいろな恩典などをつけまして、プーケットへの送客について重点的に進めているというところでございます。

 それから、今後のことでございますが、日本旅行業協会、JATAが、九月に東京でJATA世界旅行博二〇〇五という旅行博覧会を開催いたします。これは外国から誘客に来て、日本の国内の人を対象にして、その観光地に来てくださいということをメーンとする旅行博でございますが、その中でインド洋津波災害復興支援のためのブースというものを設けて、プーケット等へのツアー造成を促進するとともに、一般の方々へのアピールを行うということを検討しております。

 もう一つ、私ども国土交通省としましても、このような動きと合わせて、例えば日本ASEANセンターがプーケット等への日本人観光客の回復支援のためのイベントを行うことができないかといったようなことを、そのセンターに働きかけをしていきたいというふうに考えております。

 それから、タイ側に対しては、先般、日本人観光客の回復のためにタイ政府からも声を出していただけるように関係者にお願いをしたところでございます。

赤羽委員 種々のお取り組みをしていただいていることを大変感謝するわけでありますが、その中でも私思うのは、これまでプーケットというのは日本人の観光客が年間多分二十万人ぐらい行っていて、世界でも、恐らく台湾に並んで一位、二位の観光客がプーケットに行っている。逆に言うと、観光業界にとってはプーケットというのは非常にドル箱、平たく言うとプーケットで随分飯を食わせてきてもらったわけでありますから、今大変なときに協力をするというのは、それはあってしかるべきだというふうに思うんですね。

 ですから、見ますと、例えば航空会社なんかが、日本の航空会社は余りキャンペーンをやっていると私は存じ上げていないんですが、他国の航空会社は、いろいろスペシャルプライスとか出して今キャンペーンをやっている。ですから、航空会社なんかにも、お互い助け合うというような中で、航空局長もいらっしゃっていますけれども、そういった働きかけをぜひ強くしていただきたい、これを強く要望したいと思います。

 この点について、北側大臣も大変このことを心配されていて、五月の連休に現地視察をされるというふうな予定だったというふうに聞いております。残念ながらあのJRの鉄道事故でキャンセルというか延期になっておるというふうに伺っておりますが、ぜひ大臣、そしてまた観光業界の関係の方と早期に現地視察をしていただくということが、ある意味では最大の応援になるのではないかな、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点についてお答えするというのは難しいかもしれませんが、今延期になっていることについて、国交省の担当の方のお考えを聞かせていただきたいと思います。

鷲頭政府参考人 先生お話しのとおり、なかなかプーケットに日本人旅行客が戻っていないという実態がある中で、今先生お話ありましたように、国交大臣、北側大臣と観光関係者が現地に行って安全を確認して、それをアピールする、復興の状況をアピールするというのは大変よい機会であるというふうに私ども考えておりまして、そういう意味で五月に企画をさせていただいたわけですが、五月のときにはいろいろな事情がありまして実現できませんでした。けれども、趣旨は大変いいということでございますので、今後は時期を見て実現できるように検討してまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、ビジット・ジャパン・キャンペーンのことについてでありますが、ビジット・ジャパン・キャンペーン、予算がついて、二年ですか、三年目を迎えて、訪日外客数も昨年は六百万人台を超えた。本年も愛・地球博があるということもあって七百万人を超えるのではないか、このように予測をされていると伺っておりますが、その点についての見通し。

 これは国土交通省の約束として二〇一〇年までに一千万人、かなり高いハードルでありますけれども、このビジット・ジャパン・キャンペーンをやりながら、この数字が伸びてきたそれなりの要因があると思いますが、そういったことについての国土交通省としての分析、相関関係というんですかね、このキャンペーンがどれだけ効いているのか効いていないのかといったことについて、まず御認識を伺いたいと思います。

鷲頭政府参考人 御指摘のとおり、ことしは目標が七百万人でございまして、五月末時点で訪日外国人旅行者数は二百七十二万人ということになっておりまして、これは、前年同期に比べまして九%増加、一月から五月までの総計としては過去最高となっております。しかし、特に韓国それから中国について、いろいろな問題がありまして影響が出ております。その分、両国については伸び悩んでいるという状況がございますので、七百万人の達成に向けては、韓国、中国を中心に、一層の取り組みを強化して上積みを図っていく必要があるというふうに私ども考えております。

 それから、ビジット・ジャパン・キャンペーンの効果ということでございますが、三つございます。

 一つは、訪日ツアーの造成の規模ということでございますが、これが、一九九六年から二〇〇二年の平均では、国の支援によって造成された訪日ツアーへの参加人数は一・七万人であったものが、二〇〇三年、ビジット・ジャパン・キャンペーンが始まってから参加人数は十二万人にふえているというのが一つです。

 それから、外国人の訪日客の伸びが、一九九六年から二〇〇二年の平均では年五%程度でございましたが、キャンペーン開始後の二〇〇三年以降には年平均八%程度伸びているということで、それもやはり効果があったというあかしであろうと思います。

 それからさらに、ビジット・ジャパン・キャンペーンの重点市場国とそれ以外の国の伸び率を比較しますと、例えば二〇〇四年で見ますと、重点国の訪日外客数の伸びが一九・四%であったのに対して、重点国以外につきましては一二・四%にとどまっているということで、こういう観点から、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのは大きく外客誘致に貢献しているというふうに考えております。

赤羽委員 ビジット・ジャパン・キャンペーン、これからも、来年度以降も予算計上は与党という立場でもしっかり支援をしていきたいというふうに思っておりますが、しかし、なかなか一千万というのはたやすい数字じゃないわけでありますし、ことしも、愛・地球博がなければ七百万人という数字が出てきたのかどうかという検証もされなければいけないというふうに思うんです。あと、加えて、例えばヨーロッパなんかに行きますと、日本というのは、変な話、中国の一部だというふうに考えているような人もまだ少なくなかったりして、相当はるか遠い極東の国だというようなイメージがある。

 そういった中で、私は、二〇〇八年の北京オリンピックという大イベントをこのビジット・ジャパン・キャンペーンとどう合体させるかというのは大変大きなテーマではないだろうか。北京オリンピックにどれだけ人が来るかというのは、過去のデータから見れば大変多数の外国人が来られる。中国まで来られた、北京だけではなくて中国各地で開催をするわけでありまして、そこと日本の各都市に来ていただくというのは大変重要なテーマだ、私はそう考えておりますが、まず、この北京オリンピック、二〇〇八年の北京オリンピックをターゲットにするのかどうかということについて、鷲頭さんから御答弁いただきたいと思います。

鷲頭政府参考人 二〇〇八年の北京オリンピックというのは、私ども大変期待をしている国際的なイベントでございまして、どれぐらいの外国人の方が見に来られるかという公式なデータというのはまだ発表されておりませんけれども、人民日報に記事が載っておりまして、それによりますと、北京市観光局では、北京五輪のために北京市への外国人観光客は二十五万人増加する、オリンピック期間前後への北京市の外国人旅行客は八十万人に上るものと見込んでいるという記事が出ております。

 そういう意味で、八十万人のお客様が何らかの形でこの時期に北京に来られますので、こういうお客様を、今先生もおっしゃられたとおり、ヨーロッパからあるいはアメリカから見れば、ちょっと足を延ばせば日本に来ていただけるわけですから、この機会を積極的に外客誘致、旅行者誘致に活用してまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 実はきょう文科省の方にもおいでいただいていて、オリンピックのチケットの販売というのは、例えばサッカーのワールドカップのときにはFIFAが独占販売した、オリンピックのことについてもそれなりの方法があるのではないかということをちょっとお尋ねしようと思ったのですが、申しわけないんですけれどももう一分なんで、そういったことのクリアしなければいけない問題とか、航空局長も来ていただいていますけれども、多分、日本、中国のラウンドチケットとかそういう航空路線の設定とか、それをクリアしなきゃいけないこととか、あと、愛・地球博でやったような期間前後のビザの恒久化というか観光ビザの免除化とか、こういったことも取り組まなきゃいけないと思います。

 また、私の聞いている範囲では、北京オリンピックのスポンサー企業が招待する客についてJTBなんかはそこにターゲットを絞っている、こういったような話もあるので、日本の松下とか、もうスポンサー企業、決まっている会社はありますけれども、そことの取り組みをどうするのか。

 これは、まさに官民を挙げて、官の中でも国交省だけではなくて、もちろん国内の受け入れ体制という意味では国交省が旗を振らなければいけないと思いますが、これは政府対政府の話ということで、中国政府とどう組むかということで外務省であったり、これはスポーツのことですので文部科学省であったり、ビザの法務省であったりと、幅広いところがテリトリーになると思うんですね。

 その二〇〇八年の北京オリンピックを、ビジット・ジャパン・キャンペーンで一回来させてもらう、そういったことの大きな契機とするために、ぜひ戦略チームというか官民を挙げた構えをつくって、八十万人の方が押しなべて日本に来てもらう、そしてそれがまたリピーターとして日本のファンになってもらう、こういったことを具体的な目標設定として、ぜひ北側国土交通大臣のリーダーシップのもとに取り組んでいただきたい、そのように考えておりますが、その点についての御決意なりお考えを伺って、私の御質問とさせていただきたいと思います。

北側国務大臣 今、政府を挙げまして、二〇一〇年訪日外国人旅行者一千万人ということを目標にいたしまして取り組みをさせていただいております。

 今委員がおっしゃったように、一千万人という目標はなかなかこれは容易ではないと私も思っております。ことしは愛知万博がありますので、それに数多くの外国人のお客様に来ていただきたいということがあるわけでございますが、では来年以降はどうするんだと。一千万人に向けてのロードマップといいますか戦略というか、そこをしっかり立てていかないといけないと私は思っておりまして、その中でこの二〇〇八年の北京オリンピックというのは、やはり北京に多くの外国人の方がいらっしゃるわけでございますので、これを活用しない手はないわけでございまして、しっかりとこの一千万人の目標実現に向けて飛躍する絶好のチャンスであるというふうにとらえて取り組みをさせていただきたいと思っておるところでございます。

 観光協力につきまして、中国の国家旅遊局ともより一層の連携を図ってまいりたいと思いますし、また日本の魅力のPRをさらにさせていただきたいと思いますし、具体的には、北京オリンピックと日本観光を組み合わせたツアーの造成等も一層積極的に行っていく必要があると考えております。

 御指摘のように、関係省庁、観光関係者も含めた官民挙げた体制の整備をしていくことは非常に重要であると思っております。しっかり検討させていただきたいと思っております。

赤羽委員 ありがとうございます。来週の七月二十六日、中国の旅遊局の大臣も来られると聞いておりますので、そのときにぜひ北側大臣から御提案をしていただきながら、これは日中の共同プロジェクトみたいな形で取り組みを進めていただくことを強く要望させていただきまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橘委員長 菅直人君。

菅(直)委員 きょうは、官製談合の問題について全般的に質疑をさせていただきたいと思います。

 冒頭に、猪瀬さんと、総裁は仕事柄ですが、参考人においでいただいたことをお礼申し上げておきたいと思います。

 本題に入る前に一つだけ、きょうの報道にたくさん出ておりますが、いわゆるアスベストの被害について、国交省が造船業界について調査をした結果を発表した、こういう報道がたくさん出ております。いろいろな書き方がありますが、造船十九社で八十五人が死亡という記事が幾つか出ております。

 これについて少し、こういうことなのかということと同時に、アスベストの利用ということになりますと建設業界がかなり大きなウエートを占めると思われますが、国土交通省に関連する業界の中での調査をさらに行われる予定なのか、あるいはもう既に行っておられるのか、その調査の範囲の見通しあるいは時期の見通しなどについて説明をいただきたいと思います。

丸山政府参考人 ただいま造船業における実態調査のお話がございました。

 私ども、造船業に限らず運輸関係、今先生から御指摘がございました建設業、それから関連の事業者全体につきまして実態調査を進めておるところでございます。造船につきましてはきのう発表をさせていただいたところでございますが、他の部分につきましても可及的速やかに調査を実施の上、発表をしたいと思っております。

 それから、これは私どもが今般行っておりますアスベスト対策の一つの柱でございまして、もう一つは、関係法令の遵守でございますとか健康管理制度の周知を図っていきたいというふうに思っております。

 今御指摘がございましたが、既存の建築物の解体工事がこれから増大する、そういう中にはアスベストを吹きつけた鉄骨が含まれた建築物がございますので、関係法令を遵守するということにつきまして関係事業者へ徹底をしていきたい。それから、都道府県に対しまして、吹きつけアスベストを使っております建物の調査を再度行うということにいたしております。

 それから、鉄道につきましても、新聞に一部出ておりましたが、アスベストが使われておるということでございますので、輸送機関につきましても石綿の適切な取り扱いをちゃんとやるようにという周知徹底を図るよう、十四日に指示をしたところでございます。

菅(直)委員 可及的速やかに調査をするということで、それは大変結構なことですが、大体、時期的なめどというのはあるんでしょうか。大体、例えば八月中とか、建築なんかはかなり大きな分野になるんじゃないかと思いますが、どうですか。

丸山政府参考人 造船につきましては比較的早く発表をさせていただきましたけれども、建築物などにつきましては、数が多いということもございまして、九月ということを一応の目標にしております。

菅(直)委員 この問題はもちろん国交省だけにかかわる問題ではない、大変大きな問題でありますので、またいろいろなところで我が党の同僚議員が取り上げることになる、あるいはもう既になっておりますが、きょうのところは昨日の国交省の調査ということで、この程度にとどめておきたいと思います。

 それでは、本題に入っていきたいと思います。

 大臣、私は、今回のというか、道路公団やあるいは国交省の所轄の事業にかかわる談合問題、いわゆる官製談合と言われている問題ですが、こういう問題を見ながら、同僚議員の中川議員がたくさん質問をされました。どうも、この日本は官製談合国家と言える状態に陥っているんじゃないか、そういう気がしてなりません。

 戦後の貧しい時期は、まだ少ない予算の中で何とかやりくりをして復興に充てる、さらには東京―大阪の新幹線といったようなインフラ整備に、比較的少ない予算の中でも工夫をして、そういうものの実現に努めてきた。

 しかし、それが一九八〇年代のころから、高度成長の結果、経済大国になって、税金が比較的たくさん入るようになってからは、そういう少ないお金を効率的に使うというよりも税金をじゃぶじゃぶ使うことの方が各役所にとっていろいろなメリットがある、いろいろな形でそれを還流させたり、あるいは天下り先というものをつくったりするのに利用できる、こういうことから、たくさんの予算をわざわざ使うような体質にどんどん変わってきて、それが今日の国、地方を合わせての千兆円を超えると言われる膨大な財政赤字となり、さらに言えば日本全体の衰退につながっている、こんなふうに私は見ております。

 そういった意味で、この官製談合の問題というのは、ただ一つの事件、一つの事柄というのではなくて、日本が今日のような、ある意味で、このままほうっておけば衰退して後世に大変な負担を残すという、その最大の原因と言っても決して言い過ぎではない、私はこのように考えるわけですが、まず大臣に、こうした基本的な認識について同じお考えか、それとも違えば、違う中身についてお聞かせをいただきたいと思います。

北側国務大臣 入札談合等の不正行為はあってはならないことでございます。また、ましてや官製談合、官の側が受注調整に関与するということはとんでもない話でございまして、私は決して許されるものではないというふうに考えておるところでございます。

 今委員の方からいろいろお話があったわけでございますが、今、公共事業については、もう委員も御承知のとおり、特に小泉内閣になってからはどんどん抑制をしております。これからも、公共事業全体の規模が減ることはあってもふえることは今の日本の財政状況から考えましてあり得ない、ないというふうに思わざるを得ません。平成十四年からしますと、もう約二割、公共事業全体の予算は減っているんでしょうか。さらに、民間投資も含めますと相当にこういう建設投資というのは大きく減っているわけでございます。

 そういう中で、やはり、これからの公共事業というのは、当然のことでございますが、いいものをいかに安くつくっていただくかということが非常に大事なわけでございまして、そのためにさまざまな対策をとっていかねばならないというふうに考えております。

菅(直)委員 大臣は、私の質問を聞いて答えられているんでしょうかね。入札が不正行為であるから許されないとか、そういうことはこれから後やりますから。もうちょっと大きな認識を私はお聞きしたんです。

 それから、公共事業がお金の面で減っているからといって、必ずしも談合が減っていることにはなりません。つまりは、納税者に対して発注者であるあなたが、きちんとやる責任を持っているのはあなた自身ですからね。そういうことが、私、個人のことを言っているんじゃないですよ、国交省の責任者としての北側さんということをもちろん言っているんですよ。

 そして、それは国交省に限らず、ありとあらゆる公共的な部門が、冒頭申し上げましたように、かつては予算が少なかった。たしか私が高校三年生のとき、東京―大阪の新幹線が開通しました。たしか数千億円でしたでしょうか、二千億の世銀からの融資を受けてつくりました。当時は日本は金がなかったですよね。そういう中では、比較的少ないお金を効率よく使おうという努力を官僚の皆さんもかなりされた、私はそう思っております。

 しかし、それが根本的に一九八〇年代から変わってきて、そして税金がじゃぶじゃぶ入った時代から、今日税金が入りにくくなった時代においてもその体質が変わっていない、そういう中に今日の財政破綻の最大とも言える原因があるのではないか、このことを申し上げたんですね。

 その大きな問題についての見解、何もそういうことは考えていないというんだったら、考えていないと言ってください。もし考えておられるんだったら、私の質問に対してお答えをいただきたい。

北側国務大臣 日本の今の財政赤字の主たる要因が談合体質にあるというふうには私は思っておりません。

 ただ、何度も申し上げますように、今こうした財政状況の中で、できるだけいいものをできるだけ安くやっていただく、そのためにしっかりと取り組みをしないといけないというふうに考えております。

菅(直)委員 そういう認識だから、もしかしたらこういうことが起きるのかなと思って、きょうはパネルを用意してきました。皆さんの手元にはお配りをいたしておりますが、ここに財政再建、今、国、地方で約一千兆円ある財政赤字の再建をしていく道筋、これまでもですが、これから大変な議論になると思っております。

 私は、その入り口は、民主党としては、公共事業を含む公共調達が大体毎年四十兆円以上あります。この公共調達は、もちろん公共事業もありますが、例えば、社会保険庁がコンピューターシステムに随意契約でたくさんの金を払っている。一説には年間五百億以上のむだがその中にあるとも言われている。そういう問題をすべて含めると、二五%ぐらいは、同じサービスを受けても、同じものをつくらせるに当たっても、十分それをコストダウンさせることが可能ではないか。そういう公共調達約四十兆の二五%で、これはすべてが国費とは限りませんが、全体として公の金で使われているものを十兆円削減をする、支出削減をしていく、これを日本の財政再建、国、地方全体の財政再建の少なくとも今日時点における入り口にすべきだ、私はこう考えております。

 しかし、それに対して、現在の自民、公明党から成る政府、その政府の税制調査会が先日出された案は、まずはサラリーマンに少なくとも十兆円を超える増税をして、負担をしてもらおうと。

 つまり、この二つの道が私は明確に国民の前に示されてきている、このように思っております。

 先ほど大臣は、財政再建の赤字の原因が必ずしもこうした官製談合体質にあるとは思っていないと。思っていないから、多分、この政府税調のような案が出てくるんでしょう。私は思っています。思っていますから、まずそこから、歳費の削減、支出の削減を第一に考えるべきだ。

 それは、決して全体量の事業量の削減を意味しません。後ほど道路公団の問題で猪瀬さんの御意見もまたいろいろ聞かせていただきたいと思いますが、あくまでコストの削減であって、事業量全体を削減しようと言っているわけでは必ずしもありません、私が言っているのは。同じサービス、同じ事業量であっても、二五%、そうした談合によっていわば猫ばばされている税金をきちんとすれば、その程度のコストはカットできるはずだ、このように考えて申し上げているわけです。

 こういう見解に対して、北側大臣は、いやいや、公共調達、公共事業の方でそんなことはとても無理だから、やはり政府税調が言うように、サラリーマンから十兆円をもらわなきゃできないんだ、こういう見解なのかどうか。全体のこととしてしっかりとお答えをいただきたいと思います。

北側国務大臣 これまでの大きな財政赤字の原因が官製談合にあるんだ、こういう御認識……(菅(直)委員「官製談合体質」と呼ぶ)まあ官製談合体質でございますか、私はそうは思いません。

 ただし、コストを抑制しなければならないというのはもう委員と全く同じ意識でございます。いかにコストを抑制していくか、そして、コストを抑制してできるだけ量は確保していくというふうな対策をとることが非常に大事であるというふうに考えております。しっかり取り組みはさせていただきたいというふうに思っております。

菅(直)委員 残念ながら、私は、今から具体策に入っていく中で、できれば共通認識をベースにしていかに官製談合を根絶するかという議論に入っていきたいと思ったんですが、入り口のところでの基本認識がかなり違いますよね。

 つまり、官製談合によってむだな税金が使われていることはないという趣旨ですよね、今の話は。つまり、財政の赤字の原因というのは、ある意味では、一定のサービスを受けるときに、本来なら安く買えるものをわざわざ高く買う、そういうことによって赤字が累積する一つの大きな原因になっている、このように何度も申し上げているわけですが、私は北側大臣は自分はそうは思わないと。

 だから、財政再建の道筋にこの官製談合を根絶するという議論に入ろうと思ったわけですが、残念ながら、その官製談合を根絶するという意味合いをそういう財政の赤字体質を改善していくための大きな手段とは、私たちは思っている、私は思っているわけですが、北側大臣は思っていない、そこに大きな差がある。それが、先ほど申し上げた、これからの大議論になるこの差になってくると私は思っております。

 ここに実は自公政府税調と書いてあったんですが、自公というのは私は政府だと今思っていますけれども、政府税調案としてくれと言われたから、私は政府税調案というふうにここは消したわけですけれども、少なくとも公明党が自民党と連立内閣をつくっている……(発言する者あり)連立内閣をつくっている、北側さんは政府・与党じゃありません、政府そのものです。変なやじを飛ばしたってだめですよ。じゃ、初めから政府なんて言わなきゃいいじゃないですか。自公政府そのものだから政府税調についても責任を持っているわけで、そういう意味で、今申し上げたような基本認識が差があるということをまず明確にした上で、次の問題に入っていきたいと思います。(発言する者あり)

橘委員長 御静粛に願います。

菅(直)委員 それでは、官製談合という言葉は、いろいろ法律用語もありますが、私なりに政治的な定義をいたしてみました。それは、発注者である役所が安く買えるものをわざわざ高い値で買う。発注者である役所、ここが重要なんですね。

 先ほど、冒頭の大臣の答弁は、入札の談合は不正行為だから許されない、これは弁護士さんとしては百点でしょう。しかし、発注者の意思が全く入っておりません、この言葉には。官製談合は、発注者がわざわざ高いものを買うんです、安く買えるものを。一般に民間で談合を行えないのは、民間の経営者は安く買えるものを高く買わない。もし買えば、これは背任です。しかし、役所、公、そういうところは、税金や、場合によれば、公団の場合だと利用者の通行料でそれを賄っていますから、会社の利益ではない。つまりは株主がいない。いるのは納税者と利用者です。しかし、納税者と利用者に対して裏切り行為をやるのが官製談合です。

 ですから、発注者の役所が本来安く買えるはずのものをわざわざ高い値で買う、こういう意味で官製談合が現在国交省を含めて幅広く行われている、このように思いますが、北側大臣の認識を聞きたいと思います。

北側国務大臣 いや、菅委員、先ほどから官製談合、官製談合とおっしゃっていますので、私はてっきり法律的な意味での官製談合というふうに理解しておったわけですよ。

 官製談合というわけですから、これは受注調整に官の方が関与をするということが官製談合の意味だと思いますよ。今、委員のおっしゃっているのはコスト意識、コスト意識を持っていないんじゃないのか、こういう趣旨でおっしゃっておられますならば、それは、この財政状況の中で、やはり先ほどから申し上げていますように、いいものをできるだけ安く買っていくというコスト意識をしっかり持っていくというのは、官としては非常に大事な責任であると私も思います。

 ただ、委員がおっしゃっている、安く買えるものを高く買っているのが官製談合という定義そのものが、ちょっと言葉と意味とかけ離れていらっしゃるんじゃないんですか。

菅(直)委員 やはりさすがに弁護士さんとしては優秀ですよね。しかし、これが税金を預かっている発注者の大臣としての答弁とは思えない。あなたは発注者の責任者なんですよ。今の答弁の中にも発注者という言葉は一言も入らない。私は、あえて官製談合を政治的な定義として、私なりの定義を申し上げたんです。もしあなたが弁護士として、さっき言われましたね、官製談合は受注調整に官が関与することと。それは弁護士さんとしてはいいでしょう。しかし、我々は弁護士でも判事でもないんです。国民に対して、納税者に対して、納税者の皆さんに説明できる行動をとるのが、それが役所の責任であり、ある意味では政治家の責任です。

 では、言葉の定義をあえて外して言いましょう。

 今回の問題で、あるいは今の状態で、国交省を含めて、役所というのも抽象的ですから、発注者である国交省関係者が安く買えるものをわざわざ高い値で買っている。コスト意識じゃないですよ、わざわざ高くですよ。わざわざ高い値で買っている。こういうことがそこらじゅうに私は蔓延していると思いますが、大臣の認識を伺いたい。

北側国務大臣 いいものをできるだけ安いコストでつくっていくということは、先ほどから申し上げていますとおり、これは私ども発注者としての責任だというふうに思います。そこは常に、この価格が本当にこの価格でいいのか、そういうことはきちんと検証をふだんからしていかないといけないと私も思っております。

菅(直)委員 やっと言葉が出ましたね。発注者としての責任だと。だれに対する責任ですか。私は納税者に対する責任だと思いますけれども、だれに対する責任ですか。

北側国務大臣 それは当然、国民に対する責任であると思います。

菅(直)委員 そういう立場で見たときに、現在の国交省が、北側さんが大臣になる前から含めて、本来安く買えるものを高く買っている、わざわざ高く買っているような、そういう出来事が現に摘発されているわけです、幾つも。そういうことが相当はびこっていると私は見ておりますが、そういうふうには見ておられるのかどうかを最初から聞いているんです。

北側国務大臣 そういうふうなコスト意識に欠けているような事件等があったことは、そのとおりだというふうに私も思います。

 しかし、今、国土交通省の全体が今委員がおっしゃっているようなことだというふうには思っておりません。

菅(直)委員 ちょっとくどいんですけれども、コスト意識という言い方はちょっと弱いんじゃないでしょうか、コスト意識というのは。第三者じゃないんですよ、これは。あなたは発注者なんですよ。コスト意識というと、何か我々が例えば予算をするときに、もうちょっとこれはうまく使ったらどうですかと、我々が言う言葉ですよ。発注者本人が、コスト意識が弱いんじゃないですかと第三者的に言うんですか。あなたがコスト意識が弱いということを認めているということですか。

 あなたは発注者の責任者ですよ。コスト意識を超えているんじゃないですか。発注者というのは、コスト意識ではなくて、そういう安いものをわざわざ高く買っているようなことが行われていれば、それをなくするのが責任でしょう。別にそれは公取委の責任、検察の責任、警察の責任だけじゃありません。発注者の国民に対する責任じゃないですか。

 そういう意味で、先ほどのあれはこう理解していいんですか。国土交通省の発注者の責任者である北側大臣として、みずからコスト意識が低いということを認めたということですか。

北側国務大臣 何度も申し上げておりますように、いいものをできるだけ安く国民の皆様に提供していくことが私どもの責任である、発注者としての責任であると思っております。そうでないようなことがあったならば、それを正していくことが大事であるというふうに私も思います。

菅(直)委員 半歩前進しましたね。大事ですよね。ですから、それを責任者として、今の国土交通省がそういう状態にないんじゃないですか、そういう状態になくて、事件としてあらわれているもの、事件として今回まだ起訴されたりしていないものを含めて、たくさんあるんじゃないですかと。

 例えば、入札の中で落札率が九七、九八がずらっと並んでいる。私も横須賀のインターネットの入札を一時全部調べたことがありますが、少なくとも談合が行われていない段階で九七とか九八がそろうことなんというのは、これはありません。それは、十回宝くじを買って十回連続して当たるようなもので、そんなことはあり得ません。

 こういう実態を発注者の責任者である北側さんが見ていて、そういう体質がはびこっているんじゃないかと思うのは普通じゃないですか。責任者なんですよ、あなたは。国民に対する責任があると答えたじゃないですか。そういう体質がはびこっているんじゃないかという私の認識に対して、はびこっていない、そんなことは偶然だと言われるんですか。

北側国務大臣 国土交通省全体にそういうふうなことがはびこっているとは思っておりません。

菅(直)委員 ですから、何回も申し上げますが、何回もパネルを出して恐縮ですが、そういう認識が、公共調達によってそれのむだやあるいはピンはねや猫ばばを抑えるということに対して、公明党出身の北側大臣が極めて不熱心であるという、そのいわば根拠ですよね。

 私たちは、一般の人までそう思っていますよ。多くの社説も書いていますよ。九七とか九八とか、猪瀬さんには後ほどお聞きしますが、猪瀬さんがいろいろなところで発言されているものにもたくさん書いてあります。一般の人はみんなそう思っています。国民から選ばれたはずの国会議員である北側さんが、国民の常識を外れて、国交省はそんなことははびこっていない、その認識で果たして発注者としての責任を果たせるんでしょうか。どうですか。

北側国務大臣 何度も答弁させていただいておりますとおり、いいものをできるだけ安く国民の皆様に提供していくということが大切なことだと思います。そうでないようなところがあるならば、それを正していくことが大切であると考えております。

菅(直)委員 少し方面を変えてみます。

 刑法二百四十七条に背任という条項があります。「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」刑法二百四十七条の背任ですね。

 銀行経営者が何人も背任で逮捕されました。つまりは、返ってこないことがわかっている融資をした、会社に損害を与えた、株主に損害を与えた、背任だということで逮捕され有罪になった人がたくさんいます。この条項は、一般には民間の企業で適用されています。

 しかし私は、他人のためにその事務を処する者が、つまり役所の責任者なり担当者が、自己もしくは第三者、多くの場合第三者というと、この例でいえば橋をつくっている業者、会社ですね、その会社の利益を図る目的で本来の任務に背く。つまり任務は、大臣が言われたとおり、できるだけいいものを安く買うのが任務です。それに背く行為をして、本人に財産上の損害を与えた。この場合の本人は役所でしょうか、納税者でしょうか、これは五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する、こういうふうに読めるわけです。

 法務省に来ていただいていますが、私の法律解釈が間違っているかどうか、お聞かせください。

大林政府参考人 御指摘のとおり、背任罪は刑法第二百四十七条に定められておりまして、いわゆる図利加害目的、任務違背行為、財産上の損害発生等の構成要件を満たすことが必要ですが、主体が公務員であるか否かは問いません。具体的な事例について、背任罪が成立するかどうかは収集された証拠によって判断されることになると考えられます。

菅(直)委員 公務員であるかないかは問わない、これは重要ですよね。コスト意識なんて甘いものじゃないんですよ。発注者がわかっていて高いものを買った場合は背任になり得るというのが今の答弁ですよ。弁護士でもある大臣、どう認識されていますか、この背任罪について。

北側国務大臣 そうした背任罪を構成するようなことはないというふうに理解をしております。

菅(直)委員 あなたは何者なんですか。裁判官なんですか、弁護士なんですか、大臣なんですか。調べたんですか。九七%がずらっと並んでいる落札率がこれだけ表に出て、そんなことはないと。国民の常識から外れているじゃないですか。外れていませんか、大臣。

北側国務大臣 先ほどから何度も申し上げていますように、いいものをできるだけ安く国民の皆様に提供していくことが私どもの責任でございます。そこに不十分なところがあるならば、それを正していくことが私どもの務めでございます。

菅(直)委員 ですから、不十分なところがあるんじゃないですかと言って、もうたくさん同僚の中川議員の方から具体的な指摘はあったじゃないですか。私も同じものを指摘してもいいですけれども、これも、これも、これも、これも、ほとんどが九七%前後じゃないですか。そういう具体的なことを申し上げている。もっと具体的に申し上げろと、幾らでも資料は出されているでしょう。北側大臣、努力されて出されているじゃないですか、しっかりと。私はそのことは評価しますよ。出したものも自分で見ていないんですか。

 少し方面を変えます。

 なぜ官製談合がこれだけはびこるのか、あるいは役所絡み、まあ、大体談合というのは役所絡みですが、談合がはびこるのか。それは、役所の担当者にとってもあるいは役所全体にとっても、ある種の見返りがあるからですよね。つまり、その見返りが天下りという形での見返りです。

 そこで、国家公務員法百三条には原則的に退職後二年間は関係企業に天下ってはいけないと書いてありますが、大臣、この原則は守られていますか。

北側国務大臣 今委員のおっしゃっているのは、国家公務員法百三条にのっとっておるかという御質問であるならば、その手続に乗っかってやらせていただいております。そういう再就職のルールに基づいて行わせていただいておるというふうに考えております。

菅(直)委員 どうも頭のいい大臣とはちょっと思えない。私が言っていることに答えていただけませんか。

 百三条の原則というのは、退職後二年間は関係業界には天下れないというのが原則なんです。この原則が原則としてそのまま実行されておりますかと聞いているんです。

北側国務大臣 ですから、百三条に基づいて、この手続に乗っかって、再就職のルールに基づいて行っているというふうに認識をしております。

菅(直)委員 国民の皆さんにわかるように、ちゃんと説明してもらえませんか。今のを私流に解釈すれば、原則に基づくときもあるけれども、この条項の中にある例外を適用して、二年間という原則をある意味では適用しないで、一年とか二カ月とか、中には一日、翌日とか、そういう天下りを認めている例がたくさんあるということを言われたんですか。はっきりお答えください。

北側国務大臣 ですから、百三条に、人事院規則の定めるところにより、人事院等の承認を受けた場合には就職が認められるというルールがあるわけですね。この百三条に定められたルールに従って再就職について行われていると認識をしております。

菅(直)委員 今読まれたところで、間が抜けていませんか。ちゃんと間も読んでください。

北側国務大臣 全文ちゃんと読みましょうか、そうしたら。(菅(直)委員「間を読んでくださいというふうに言っているんです。三項の間を読んでください」と呼ぶ)本文を全部読みましょうか。「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は日本郵政公社と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならない。」(菅(直)委員「今読んだ、その次です」と呼ぶ)これが百三条二項ですね。百三条三項で「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」

菅(直)委員 ちゃんと読めるじゃないですか。「所轄庁の長の申出により」というところを先ほどわざと読み落としたんですか、それとも知らなかったんですか。

 これは自動的な法律じゃありませんよ。国交省の職員が二年以内に天下りをするときは大臣が人事院に申し出る、こういう手続が規定されているんですよ。申し出なきゃ原則どおりですよ。だから私聞いたんですよ、原則どおりやられていますかと。申し出は、大臣が申し出なきゃだれも出られないんですよ。原則どおりやられているんですか、それとも大臣みずからこの例外規定を使っているんですか。

北側国務大臣 私はそういうふうに、原則、例外というふうな認識はしておりません。国家公務員法百三条の中に再就職のルールについて規定をしておる、その規定に従って適正に行われているというふうに認識をしております。

菅(直)委員 答えてくださいよ。所轄庁の長の申し出によって人事院の承認を得た場合はこれを適用しないという、この百三条の三項の所轄庁の長の申し出をしたことがありますか。

北側国務大臣 ございます。

菅(直)委員 それを聞いているんですよ。これは申し出ですからね、自動的じゃないんですよ。例外という言葉を嫌がっているようですけれども、原則は二年間、例外が申し出によって認める。大臣、まだ大臣になられてたしか十カ月程度ですが、一体何人ぐらい申し出られたんですか。

北側国務大臣 九月二十七日から六月二十三日まででございますが、合計で二百九十八名でございます。

菅(直)委員 これは、あなた自身が申し出た人が二百九十八名、わずか十カ月間で二百九十八名あったということですね。どうですか。

北側国務大臣 そういうことでございます。

菅(直)委員 認められたのは何人ですか。

北側国務大臣 今の二百九十八というのは、承認件数でございます。

菅(直)委員 ですから、結局は、その同じ時期に二年以上の人が何人いたか、それはわかりません、承認件数じゃないからですね。それは多分聞いても答えてもらえるかどうかわかりませんが、例外だからこそこの規定の三項に基づいて申し出をする。わずか十カ月間で二百九十八人、毎月平均三十人からの人を、国家公務員法百三条の、二年間は天下りが禁止されているじゃないか、私もそう思っていました。その例外として、みずからの判断で三百人を、天下りを許可する申し出をした。あるいは、ある等級以下の方については、最終判断も人事院から委任されているから、みずからやっている。これは見直されたらどうですか。

北側国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国家公務員法、人事院規則に従いまして、適正に再就職の手続が行われているというふうに私は認識をしております。

菅(直)委員 最近、何か、申し出をしばらく自粛すると言われたんじゃないですか。適法だということと、申し出をするかしないかは裁量行為ですよ、大臣としての判断ですよ。だから私は、判断として、これまでもやり過ぎたけれども、何遍も答えているじゃないですか、中川さんへの答弁で。こんなに多いとは自分も思わなかったという答弁書がありますよ、議事録が。そういうことを言って、これだけの事件が起きて、例えば、私の在任期間中は申し出はやらないことにします、そう決意しました、せめてそのぐらいのことは言えないんですか。

北側国務大臣 いや、それは、前に中川委員の方に御質問の中でお答えをさせていただいているわけでございますが、こうした談合等の不正行為に関与した企業への再就職については、この二年間中について私の方から申し出をすることは、これは自粛をする、また、二年を過ぎた後も、これは御本人または関係企業の御協力を得て、そうしたことがないように協力を求めてまいりたい、こういうことは中川委員の方に答弁をさせていただいているところでございます。

菅(直)委員 ですから、ちゃんとそう言えばいいじゃないですか。これまではまずかった、反省して、これからは申し出は、まあ永久にかどうかわかりませんが、どう答えられましたかね、当分は自粛すると。

 この問題はまた後で戻ることもあるかもしれませんが、少し前に進めます。

 ややこしいんですね。国家公務員法の百三条があって、人事院規則があって、その人事院の再就職ルールというのがある。そうすると、その中には、こういう場合に該当すればそれはもうこの例外規定、大臣は例外ということが嫌なようですが、少なくとも、三項の申し出そのものをしてもだめだというのがまたその中にあるわけですね。例外のさらに例外といいましょうか、これはだめですよと。

 職員の在職機関と当該営利企業との間の離職前五年間における契約額が、当該企業の売上高等の全体の二五%となる企業への就職をする場合。普通に読めば、職員が国土交通省に在職していれば、その在職している国土交通省とのやりとりで売上高の二五%以上になる企業には就職できないと読めるわけですが、そう読んでいいんでしょうか、大臣。

北側国務大臣 今の御指摘は、国土交通省では、地方整備局の局長等につきましては国土交通省全体が、それ以外の地方整備局本局の職員及び事務所の所長及び副所長については当該地方整備局全体が、それ以外の事務所の職員については当該事務所が職員の在職機関に該当するというふうに考えております。

 こうした取り扱いにつきましては、地方の出先機関のみで勤務している職員等については、その影響力の程度にも配慮し、過剰な規制とならないようにとの趣旨から、人事院において適切に判断され、定められたものと理解をしております。

 いずれにしましても、国土交通省といたしましては、職員の在職機関ということについて、人事院が定めたルールに従った運用を行っております。

菅(直)委員 私、これはびっくりしたんですよね。大臣になってから承認を得た四十七社について表を出してもらいました。そして、契約関係が何%かも出してもらいました。ゼロ%というのがあるんですね。えっ、国土交通省と一切取引がないところまで天下りをとっているのかと思ったら、そうじゃないんですね。その事務所とかその地方局とかとの取引はないかもしれないけれども、国土交通省全体の取引は、今の説明にもあったように、局長とかなんとかの場合はそういう計算をするけれども、それ以下の場合はそれぞれの地域とか事務所の範囲だけで計算する。こんな、わざわざすっぽ抜けじゃないですか。

 人事院、なぜこんなことを決めているんですか。

小澤政府参考人 営利企業への就職の承認というのは、人事院規則等で定める承認基準に従って行うということになっております。職員の在職機関等と就職しようとする企業との間の離職前五年間いずれかの年度における契約額が、当該企業の売上額の二五%以上である場合には承認できないということになっております。

 この二五%基準におきまして、それでは職員の在職機関等をどのような単位で見るかということにつきましては、職員が本省庁以外の機関に在職する場合には、当該機関の長などを除き、職員が所属する管区機関その他の地方出先機関などを単位として基準を適用するということになっております。

 この基準は、職員の在職した機関等と就職を予定する企業との組織的な関係に着目して、影響力の度合いという点を考慮してつくったものでありまして、こういう基準の趣旨からしますと、地方の出先機関のみで勤務している職員等につきましては、その影響力の程度にも配慮いたしまして、過度な、過剰な規制とならないようにする必要があるということで、こういう適用の仕方をしておるわけでございます。

菅(直)委員 こんな理屈が通りますか。二年たったら行けるんですよ、二年たったら。二年間がまさに天下りが禁止されている、その例外で、今の話は何ですか。

 それから、今の答弁で、私は人事官に実は答弁してもらいたくなかったんですね。だれがこれを決めているんですか。人事官ですか。だれがこのルールを決めたんですか。

関戸政府参考人 お答えいたします。

 人事院規則等に基づきまして、その権限の委任というものが行われておりまして、具体的には人事院会議決定、人事院が定めるということで人事院会議決定で基準を細かく定めておりまして、その人事院会議決定の基準の中で、本省庁以外については事務総長が定めろという指示を受けております。その内容を実現するために事務総長決定をしております。

菅(直)委員 人事官、恐縮ですけれども、事務総長決定がこうなっていることを、きょう答弁されるまで御存じでしたか。率直に答えてください。

小澤政府参考人 事務総長決定ということでございますが、事務総長が一存で決定するわけではなくて、先ほども答弁しましたように、人事院規則それから人事院会議決定によって権限を委嘱されて決めるということであります。

菅(直)委員 率直に答えていただけませんか。これは、官製談合の官というのは、もちろん大臣も含まれますが、一般的に言えば、プロパーの職員の問題なんですよ。人事院でいえば、事務総長以下がプロパーの職員で、たしか人事官はまさに特別職じゃないですか。

 ですから、率直にお答えくださいよ。私は決してそのことをおかしいと言っているんじゃなくて、多分、人事官はこういうことは任せられていて、あるいは知らなくて、ですから、きょうの私への答弁の説明が多分きのうあったんでしょうけれども、例えばきのう以前、こういうことを御存じでしたか。御存じでしたかどうかだけ、お答えください。

小澤政府参考人 承知しておりました。

菅(直)委員 承知していたというのであれば、なぜこんな規則をつくられたんですか。今言ったように、原則は二年間はだめだ、二五%はだめだ、なぜこんな二重の例外をつくらなきゃいけないんですか。説明してください。

 だめです、知っていたと人事官が言われたんだから、知っていたという立場で答えてください。

小澤政府参考人 それは、先ほども申しましたように、地方の出先機関のみで勤務している職員につきましては、その影響力というのは全省に及ぶとかそういうことではなくて、そういった影響力の程度に配慮しまして、過剰な規制にならないようにということでこういう事務総長決定というのが行われたというふうに承知しております。

菅(直)委員 これは、普通に考えればすぐわかることなんですよ。一人一人の影響力がどうかは、それはわかりません。いろいろな経歴や能力や人間関係でしょう。しかし、役所全体からいえば、次々次々に天下りを出していくわけですね。一人の人が影響力があるなしにかかわらず、どんどんどんどん出していく。

 先ほど、十カ月間で少なくともこの申し出によって天下った人が国交省だけで約三百人いると。つまり、一人の人がそういう影響力があるなしではなくて、国土交通省の影響力をもってしてそれだけの天下りを押し込んでいるわけじゃないですか。大臣みずからが認めているわけじゃないですか、申し出をして。これは一人の人の影響力ということじゃないですよ。

 人事官、これを見直してください。どうですか。

小澤政府参考人 現行の就職制限期間というのは、憲法で保障される職業選択の自由あるいは勤労権の基本的な人権の尊重、それから公務の公正な執行の確保といった要請の調和点として定められたものでありまして、したがって、これを見直すということについては慎重に検討すべきだというふうに思っております。

菅(直)委員 私は、百三条そのもののことを今人事官に言ったんじゃないですよ。我々は、百三条も、二年ではなくて五年にすべきだ、そういう改正案を出そうと思っています。百三条そのものを言ったんじゃないですよ。

 ですから、職業選択の自由と、それから公権力を行使してきたその影響力がそういう、発注者から受注者へ回るのに少なくとも二年間はやめましょうというのが法の趣旨じゃないですか。その例外で、さらにこういうときだけは申し出があったら人事院が判断をする、そのために基準として二五%条項があるわけじゃないですか。

 それを人事官は知っておられたと言われるけれども、私は、人事院事務総長決定、平成十年二月二十七日というのもいただいていますが、これは原則の二重の例外じゃないですか。普通に、在職機関、キカンというのは、タームの期間じゃありませんよ、機構の機関ですからね。普通、在職機関といえば国土交通省と思うじゃないですか。

 もう一度お聞きします。少なくとも再検討されませんか。

小澤政府参考人 今のところは、再検討する考えはありません。

菅(直)委員 人事官の承認事項もたしか国会の議決事項でしょうから、少なくとも、国民に対して説明のつかないようなこういうルールをつくっておいて、そして役所はほおかむりをして人事官に責任をかぶせる、これじゃ人事院そのものが信用を失いますよ。そこだけ申し上げて、次に進みます。

 それでは、そろそろ道路公団について少し話を進めたいと思います。

 近藤総裁に来ていただいていますが、近藤総裁はいろいろなところで、談合はなかったと信じているという発言をされていますよね。今でもそれは変わっていませんか。

近藤参考人 先ほど大臣が御答弁されましたように、談合等の不正行為はあってはならないことでございます。

 しかしながら、今回、当公団が発注をいたしました鋼橋上部工事の入札に関しまして、独占禁止法違反の容疑で横河ブリッジほか二社が、六月二十九日でございましたが、公正取引委員会から検事総長に告発をされております。また、同事件に関連いたしまして、東京の高等検察庁によります当公団に対する立ち入り捜査が行われております。また、横河ブリッジの前顧問で、大変残念ではございますが、当公団の元理事であります者が、七月の十二日でございましたが、当局に逮捕されております。まことに残念でございます。

 繰り返しになりますが、談合等不正行為はあってはならないことでございまして、ましてや、公団のOBあるいは現役の公団の役職員が談合行為等の不正に関与するようなことがあってはならないことと考えております。

 しかし、現在、このように捜査が行われる事態になっている、そして多くの国民の皆様に疑惑を持たせる結果となっていることにつきまして、発注をつかさどる組織の責任者といたしまして、私自身、大変残念に思っておりますし、国民の皆様に対しておわびを申し上げなければならない、そのように存じております。

菅(直)委員 私が聞いたことに答えてください。談合はなかったと信じているということを何度か言われましたが、今でもそう思っているということなのか、いやいや、ここまで来たら、どうも談合はあったようだ、あるいは、あったという認識でいるということなのか。従来の認識を変えているのか、そのままなのか、さっきそれを聞いたんですよ。答えてください。

近藤参考人 談合等の不正行為はあってはならないことでございます。

 しかし、現在、現実に疑惑が表面化をいたしております。まさに捜査中でございます。私どもといたしましては、何の予断も持たず捜査に全面的に協力をしてまいりたい、そして真相をこの際徹底的に究明するために我々としてできることはやってまいりたい、そのように存じております。

菅(直)委員 本当に、あなたは何者ですか。予断を持たないのは裁判官でしょう。あなたは責任者じゃないんですか。

 例えば、この間、いろいろな企業がいろいろな不祥事を言われました。三菱自動車もありました。あるいは雪印乳業もありました。初めは社長は、いや、そんなことはないはずだ、そんなことは知らないと。後になって全部わかって、全部首が飛んでいますよ。あなたは道路公団の総裁なんでしょう。予断を持たない、そんな人が何で総裁をするんですか、経営しないということじゃないですか。

 もう一回聞きますよ。同じことを聞いているんですよ、私は。あなたが答えないから同じことを聞いているんですよ。あなたは、ついこの間まで、中川議員やほかの記者会見で談合はなかったと信じていると言ったけれども、今でも信じているんですか、そうではないんですか。イエスかノーかでちゃんと答えてください。

近藤参考人 従来から何度も申し上げておりますように、談合行為等不正行為はあってはならないことでございまして、そのようなことはあってはならないと考えておりまして、そしてまた、なかったと信じたい、そのように申しておりました。

 しかしながら、現在、現に捜査が行われているわけでございます。私の現在できることは、捜査に全面的に協力すること、これができることの一つだろうと考えております。

菅(直)委員 あってはならないなんという第三者的なことを言わないでくださいよ。捜査に協力すること以外できないというんですか。では、雪印でも三菱自動車でも、リコールの指示をしなかった、あるいは、そういう故障があることを知りながら、おかしいじゃないかというときに、会社は知らないんですか、自分で。

 あってはならない、私たちが言う言葉じゃないですか。国民が言う言葉じゃないですか。あってはならないのは、あなたのところがやったんじゃないですか。あってはならないなんという第三者形を使うのは、あなたにはそういう資格はないんです。逆に言えば、責任と権限を持っているんだから。あってはならないと言いたいんだったら、今のポストをやめて参議院議員に戻ったらどうですか。

 そこで、公団からの天下りについて、自粛しようとかいうことでいろいろ努力されているようですが、何をやっていますか。

近藤参考人 公団の役職員の再就職についてのお尋ねでございますが、いわゆる天下り問題が談合疑惑の中核的な存在であるという認識は強く持っております。したがいまして、この再就職問題について、正すべきは正していく、できることはやっていく、そのような姿勢が必要だと思っております。

 従来から、国民の疑惑を招くような再就職の問題については自覚を促してまいりました。しかし、強制的な関与が公団としてできないという法的な制約もございますが、今後、できることは何でもやっていきたい、そのように考えているわけでございます。

 当面、先日、このたびの鋼橋上部工事にかかわる談合疑惑に関連した四十七社につきましては、一切の再就職をしないように、改めて役職員の自覚を促しました。また、それぞれの業界の皆さん方に対しても、再就職を受け入れないようにお願いもいたしました。

 しかし、これは当面の措置でございます。再就職問題については、広範な議論と対策が必要だと存じております。したがいまして、現在、談合等不正行為防止策検討委員会というものを公団内に組織いたしまして、社外の有識者の皆さん方にも参加をいただいて、いろいろな側面からいわゆるこの天下り問題についての議論をしていただいているところでございます。

 これからのあと二カ月強でございますが、公団あるいはそれ以降の新会社におきまして、どのような人事制度、再就職の必要性を最小化するための人事制度をどのように構築していくのか、そしてまた、いわゆる天下り、発注者側から受注側に、入札契約に関与することを前提としたような不健全な再就職、これはぜひ一掃したい。そのためにはどのような方策が考えられるのか。雇用契約上、あるいは社内の倫理規程、そのほか、また業界の皆さん方にもお願いする必要があるかもしれません。そのようなことも含めまして、総合的な視点から今議論をしているところでございます。

 できるだけ早く結論を得たいと思っておりまして、目標としては八月の上旬には何らかの結論を得て、そして、できるものは即刻実行をしてまいりたい、そのように考えております。

菅(直)委員 では、総裁、今いろいろなことを言われましたね。多少解釈して言いますと、まず、法律的制約がある。つまり、国家公務員法の百三条が公団職員にはかかっていない、だから天下りを規制する法律がない。これはまた国会の問題として議論したいと思います。それから、いわゆる天下りを一掃したい、あらゆることをやりたい。今のところは、自覚を促すのと、企業へ受け入れをしないようにというお願いをされているそうですね。今言われましたね。

 もっと効果のある方法、考え方が私にあるんですけれども、そういう効果のある方法を、今公団としてとれる方法をここで私が提示して、効果があるとなれば、あらゆることをやると言われましたが、それを採用してもらえますか。

近藤参考人 自覚を促す、お願いをする、それ以外にも、先ほど申し上げましたように、今、委員会におきまして、雇用契約上でどこまで縛れるのか、あるいは倫理規程、就業規則でどこまで縛れるのか、そういうことも含めまして、あらゆる可能性について検討をしている最中でございます。

 外部の有識者の皆様方からもいろいろな意見をちょうだいしているところでございます。広く意見は採用して、実効のあるものにしていきたいと考えております。

菅(直)委員 ですから、広く聞かれるんだったら国会の意見も聞かれていいんでしょう。実効性がある提案をしたら採用されますね。今、そう受けとめていいんですね。

近藤参考人 先ほども申し上げましたように、あらゆる実効性を確保するための方策は考えていきたい、そのように考えております。したがって、いかなる提案であっても、実効性があると思われるものにつきましては、真摯に我々として検討させていただきたいと存じております。

菅(直)委員 では、実効性のある方法を教えますからね。今後、道路公団から天下りを採用した企業には発注をしない。それを総裁として方針を発表されれば、私は、採用する企業はなくなる、また採用しても談合にかかわる余地はなくなる。

 お願いではなくて、発注者でしょう。発注者なんですよ。直接税金ではないけれども、二兆円からの道路公団利用者から料金を取って、半ば税金と同じですよ。それでもって、いろいろなものを発注しているんですよ。発注者として、天下りはけしからぬ、やめさせたい、あらゆる方法を考える。簡単じゃないですか。天下りを受け入れた企業には発注をしない。

 採用してもらえますか。

近藤参考人 委員の御提案、確かに承りました。

 しかしながら、いろいろな法的な側面も検討が必要かと存じます。

 まず、基本的には、先ほど大臣も言われました、基本的な人権の問題にかかわる問題でもございます。そしてまた、公正取引上の優越的な地位の乱用という側面も考えなければいけないという法的な側面もあるのではないかと思慮しております。

 いずれにいたしましても、委員の言われましたことにつきましては十分に拝聴させていただきました。

 これらも含めまして、不正行為防止策につきましては、国土交通省が現在行っております入札談合再発防止対策検討委員会における議論の状況なども参考にいたしながら、あらゆる側面から、抜本的かつ実効性のある、法律的にも整合性のある不正行為防止策を早急に取りまとめてまいりたい、目標としては八月上旬には結論を得ていきたい、そのように考えております。

菅(直)委員 発注者というのは、国交省の場合は納税者に対して責任がある、道路公団の場合は利用者に対して責任があるんです。それを、基本的人権、何ですか、これは。言い逃れのための知恵を、またメモを読んでいるんじゃないですか。あらゆることを考えると言えば、あらゆることを考えますでいいじゃないですか。

 そこで、せっかく猪瀬さんに来ていただいてお待たせしてあるので、少し猪瀬さんにもお伺いをしてみたいと思います。

 猪瀬さんは、民営化推進委員会懇談会というんですか、そういう立場で、同じくこの道路公団の談合についてかなりいろいろと指摘をされ、また、いろいろな考え方を表明されております。猪瀬さんから、今の議論も含めて、ごらんになって、道路公団という組織が、談合というものがあったんではないか、そう思われていると思いますが、その点について。さらには、どうすればこういう談合をやめさせることができるか、そういうことについて御意見を伺いたいと思います。

猪瀬参考人 菅委員の最初の歴史認識の問題、提起されましたね。その歴史認識の問題については、基本的に僕は考え方は共有できると思うんですね。

 つまり、一九六〇年代ぐらいのときには郵便貯金の残高が非常に少なかった。したがって、財政投融資資金が少ないために、公共事業を含めて公団等の仕事はおのずからコスト意識を持たなければできなかった。しかしながら、一九八〇年代以降、特に九〇年代になりますと、財政投融資残高が、特に郵便貯金等を含めて、四百兆円近くになっている。現状そうですね。そういう中で、じゃぶじゃぶお金を貸すことができる。

 財政投融資、最近は財投債と、こういう言い方で同じですけれども、道路公団等を含めて、お金がどんどんどんどん、ゆるゆるゆるゆるお金が入ってくる。ずぶずぶずぶずぶ入ってくる。そういう中で、もちろん道路公団だけではないけれども、公共調達全体の中で談合というのが発生するのは、これは当然だろうというところは菅委員と認識は一致しています。

 しかも、官製談合。官製談合というそのことが今起きていて、実際に落札率が九七%や九八%であれば、これは官製談合なんです、間違いなく。つまり、単に公正取引委員会がさわっていない場所であるにすぎなくて、今回、道路公団の鉄の橋について公正取引委員会が告発して東京高検が強制捜査してやっている。そこは、鉄の橋について検察がやったからであって、鉄の橋が九七・五%で、コンクリートの橋が九七・六%で、それから鉄の橋が大体五年間で五千億円で、コンクリートの橋が五年間で四千億円で、それからトンネルが五年間で六千億円で、これも九八・二%。つまり、公取がやっていないだけで、ここは談合なんです、これは間違いなく。談合でなければこういう数字は出ません。

 したがって、確かに、警察は犯人を捕まえる場合に、全部あらゆる証拠をそろえて捕まえて、裁判にたえられるようにするということなんですけれども、情況証拠としては、もう明らかに談合が行われているというふうな認識で間違いない、こう思っていいと思います。

 それで、どうすればいいかということですが、もちろんいろいろと、天下りに対してどういうふうにやるかということはいろいろなお考えはあると思います。現在のところ、まず認識を共有しておきたいのは、その業者、メーカー、ゼネコン等、受注側に天下りが行くことによって予定価格が漏れて、そして談合が成立している、こういう事実ははっきりしているわけですから、天下りをどのようにやめさせるか、あるいは、天下りというのは見返りがあるから天下りになるわけですけれども、見返りがないようにするにはどうしたらいいかということをきちんとやっていってもらわないといけないと思う。実は、そのために民営化があるわけです。

 一つは、これは郵政民営化で入り口の方の資金、郵貯等の資金をできるだけ小さくしていく。十年間で半分になっていくだろうと思いますが、そういう入り口の蛇口を閉めていく、財投の蛇口を閉めていくということと同時に、この出口の道路公団の場合には、これから民営化されれば郵便貯金等が使いにくくなります。市場から資金を調達しなければならなくなります。そういう市場の圧力ということを民営化というものは意図しているわけであります。したがって、市場から資金を調達する場合に官製談合なんかやっていられないわけですね。

 これは、だけれどもここで徹底的に今官製談合の問題をやらなければ、ずるずるずるっと、もちろんその体質が流れ込んでいく可能性があるので、後でもう一度答えますが、今この官製談合の問題は、この国土交通委員会で徹底的に僕はもっとやってほしいと思っていますよ、これは。徹底的にやってもらって、その後もう一度、ちょっと民営化について説明させていただきたいと思いますけれども、官製談合をなくすためという意味で。

菅(直)委員 もう一度、総裁にもちょっとお聞きしますが、今我が党は、この道路公団の官製談合問題がきちっと解明され、きちっとした対策がとられるまでは民営化を凍結すべきだ、そういう法案を既に提出しております。今猪瀬さんは、体質が流れ込むことは何としても抑えたい、あるいは抑えてほしいということを言われましたが、私たちはそのためにも、このことがきちっとするまでは十月の民営化は凍結すべきだと凍結法案を既に出しております。

 ただ、聞くところによりますと、民営化後の三会社ですか、について、それぞれ社長予定者が決まっているということですが、どういう方が社長になられる予定なのか、おわかりなら教えてください。総裁。

近藤参考人 新会社の社長候補者のお尋ねでございます。

 今度、民営化法案によりまして、日本道路公団が三つに分割されるわけでございます。そのそれぞれについて社長候補者が国土交通大臣の方から御発表されておられるわけでございます。ただ、この社長人事は、現在開催されております設立委員会、そしてそれを受けたそれぞれの三会社の創立総会、そしてその創立総会を受けた第一回の取締役会におきまして決定をされる。そして、社長は代表取締役でございますので、国土交通大臣の認可が行われる。そのように現在のところ承知をしております。

菅(直)委員 いろいろ、社長予定者の一覧も、今、同僚議員からいただきましたが、これまでの道路公団あるいは国交省の関係者、どうも道路公団関係者ですか、多いようですが、会長には民間から来られるという話も幾つか聞きました。

 その会長が来られる先で、今回の事件にかかわった企業に所属している人も、そういう人があるのかないのか。総裁、お答えください。

近藤参考人 新三会社の会長候補者人事に関するお尋ねでございます。

 これも、先般、候補者として国土交通大臣の方から御発表なされたわけでございます。決定は先ほど申し上げました同じプロセスを経て行われるものと承知をしております。

菅(直)委員 それでは、国交大臣に聞きましょう。

 これは手続はどうなっているんですか。今の総裁だと、国交大臣が決めて発表したというような趣旨でしたが。会長になる予定者の中で、今回の談合事件にかかわった企業に属した人がおられますか、おられませんか。

北側国務大臣 会長就任予定者がいらっしゃった企業が、今回の談合事件の四十七社の中に含まれている人もいらっしゃいます。

菅(直)委員 もうちょっと大きい声で。聞こえませんでした。

 四十七社の、この談合のいわば一方の当事者ですね、発注者が道路公団あるいは国交省。受注者の企業に属した人が、今度の新しい公団が民営化する予定の会長職につく人の中に、そういう企業の人が私はまさかいるとは思わないんですけれども、普通の常識からいえば。発注者が受注者になるのが、今度は受注者が発注者になるわけですから。そういう人がいるのか、いないのか、もうちょっと大きな声ではっきりとお答えください。

北側国務大臣 いらっしゃいます。

菅(直)委員 それを大臣はどう思われるんですか。これで国民が納得すると思われるんですか。これが、北側国土交通大臣が談合をやめさせるというその姿勢と全く矛盾する決定だと思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 おっしゃっておられますのは、東日本高速道路株式会社に就任予定の方が新日本製鉄の御出身であるということで、そのことをおっしゃっておられるんだというふうに思いますが、この方御自身が今回の談合事件に関与したということは一切聞いておりません。

 私、この方と何度もお会いをさせていただいておりますが、非常に識見も豊かな方でございます。ぜひこの方に、民営化後しっかり頑張っていただきたいというふうに思っておりますし、また、この方が会長になった、そして、そのことによって、この方がさらに談合をやっていくような、そういうふうなことはないというふうに思っておりますし、そういう方でもないというふうに思っております。

菅(直)委員 この件について、猪瀬さんはどのようにお考えですか。

橘委員長 猪瀬参考人。挙手してお願いいたします。

猪瀬参考人 道路公団の発注額というのは非常に大きいわけですね。そうすると、日本の経団連や経済同友会等、重立った会社は、どこかどこかで発注している、こういう形になります。

 今回、こういう官製談合が明らかになっているわけですから、よそから来る、これから来ることになっている新日本製鉄とか神戸製鋼所とか、そういう方々で、CEO、会長として新会社に来るということはもう内定していますが、民営化委員会では、民営化委員会に出席して、談合をしないということを宣誓していただきたい、こういうふうに問題提起していますというより、要請しています。この国土交通委員会にお呼びして、談合しないということをきちんと宣誓してもらうというふうなことも一案かというふうに思います。それをすべて認めているわけじゃないんだけれども、まず一つは、そういうことをやる必要があるだろう。

 それからもう一つ、プロパーから社長に上がる。これは、JRにおいてもNTTにおいても、そういうことはかつてあったので、道路公団のプロパーが今社長になる、将来社長になるというコースが今一つあります。しかし、これも、今こういう官製談合がこれほど明らかになっている段階で、はい、そうですかと言うわけにはいかないということだと思います。それについても、そういう方が本当に適格者であるかどうかということについては、徹底的にそれは追及されたらいかがでしょうか。その結果、その任に値するなら、それでいいでしょう。そういうことが必要かと思われます。

 それからもう一つだけ、済みません。菅委員が、民主党で道路公団民営化のスタートを凍結したい、こういうふうにおっしゃっているけれども、官製談合防止法というのは民営化されても適用されますので、官製談合防止法は、基本的には五一%以上政府が出資している場合は適用されます。一〇〇%政府出資の特殊会社としてスタートしますので、恐らく上場まで十年ぐらいかかると思いますから、上場されたとしても株式の売却でまた時間がかかりますので、いずれにしろ、官製談合防止法は適用されるんだということは認識しておいていただきたい、こういうことがあります。

菅(直)委員 本当に、大臣、そういうことで国民が納得できるんでしょうか。いや、私はその方を知りませんよ。いや、本当言って、実は、中川さんから資料をいただいたりはしていますが、余り詳しくその人のことは知りません。それは立派な方かもしれません。それは、人間だれしも立派な方はたくさんおられますよ。

 しかし、受注していたのは個人じゃないんでしょう、会社なんでしょう。談合で摘発されるのは担当者の個人もあるけれども、会社が公取委からいろいろ指摘を受けたり、あるいは告発を受けたりしているんでしょう。それは、その会社の人で立派な方もいるでしょう。しかし、この問題で、道路公団からの問題で指摘を受けている会社の経営者の中から会長が出る、こんなことが納得されるんですか。個人レベルの話ですか。個人レベルの話だったら、一生責任持てるんですか。

 我々は、個人レベルの話は言えるところと言えないところがあるけれども、少なくとも、資本関係とか企業とか、そういうところに籍を置いた人に対してどうするかというのが、一方で天下りもそうじゃないですか。さっきは人事院が言っていたように、いや、地方局だから全体に影響がないとか、私はそれは通らないと思うけれども、少なくともそういう外形的な基準でやっているわけじゃないですか。その人が立派な人であるか、まあ立派でない人というのはどういう基準かわかりませんが、そういう基準でやっているんじゃなくて、少なくとも何らかの外形的な基準でやっているんでしょう。

 今回対象になった四十七社の関係者を会長に任命する、あるいは指名する。どういう法律的手続か、私、細かくは同僚議員に任せますけれども、撤回をすべきじゃないですか、大臣。

北側国務大臣 先ほども答弁したとおりでございまして、現時点で見直す必要性は感じておりません。

菅(直)委員 いかに、国土交通大臣もあるいは道路公団総裁も、この官製談合あるいは談合に対して、口では遺憾だとかけしからぬとか言いながら、実際に自分がやれることを何一つやろうとしていない。

 何とか委員会をつくって、それが八月に九月に何か出てくるでしょう。発注者として、すぐでも、今後公団から天下った企業には、今後、今後でいいんですよ、過去まで言ったら全部になっちゃうから。今後公団から天下った企業には発注しませんよと一言総裁が言うだけでとまりますよ、何もお願いしなくたって。

 民間会社だったら当たり前でしょう。民間会社が取引していた、物を買っていた。本来なら十万円で買えるコンピューターを、いや、一台五十万だといろいろな理屈を言って、どこかとなれ合いがあったかもしれない。そういう企業から購入はしません、当たり前じゃないですか、そんなことを言えるのは。

 その一番当たり前で、一番発注者として納税者やあるいは利用者に対して責任のある立場の大臣や総裁が、今度は急に基本的人権。何のことですか。私がどこのテレビを買ったって、テレビ局、テレビ会社、テレビの製造メーカーの基本的人権は関係ありませんよ。発注者がより安くてよりいいものをいいところから買えればいいんじゃないですか。信用できないところからは買わなきゃいいんじゃないですか。

 最後に、私の質問、あとは同僚議員に任せますが、官製談合阻止策、あるいは官製談合を根こそぎなくする方策を、これからさらに煮詰めていきますけれども、私がこの間同僚議員などと話をした中で考えたことを最後に申し上げて、皆さんの意見をお聞きしたいと思います。

 一つは、今言った当面の措置としては、道路公団の場合は天下りを規制する法律がない、いわゆる国家公務員法の適用がないということですから、当面の措置として、今後天下った先には発注しない、総裁がその方針を発表する。一番簡単ですね。

 二番目は、公務員背任罪というのは今の背任罪のままでいいかどうかを検討したいと思いますが、これまで背任罪といえば主に民間でした。通称で言うと税金猫ばば罪、税金猫ばば罪を私はきちっと公務員に対しても創設する。

 何か先ほど来、大臣も総裁もしきりに、不法行為は許されない。許されないんじゃなくて、不法行為であるかどうかは別として、税金猫ばばをやっている発注者の責任者がお二人なんですからね。直接手を下しているかどうかは別として、猫ばばを容認している、黙認している、あるいは猫ばばを見逃している、その責任者がお二人なんですからね。そういう猫ばばを許さない。これは、背任罪をそのままでいいのか、変えるのか、あるいは新規立法するのか、これを行うべきだ。

 公務員談合関与罪は、今我が党で既に検討がかなり進んでおります。公務員が談合に関与する、これに対する罰則を設ける。

 そして三番目は、天下りの禁止を今の国家公務員法などを含めて強化する。我が党としては、まず原則の二年間を五年間、つまり退職した後五年間は関係業界には天下りは禁止する。そして、いろいろな例外規定は置かない。

 あえて言えば、現在、公務員の定年制が六十歳になっています。それまでの勧奨退職とかいろいろありますが、六十歳まで勤めたい方は、昇給の問題はまた人事院が考えてもらいたい、あるいは我々も考えなければいけませんが、どういう形かはあるかもしれませんが、少なくとも六十歳の定年まではきちっと仕事ができる、場合によれば専門職でそれを延ばすこともできる。しかし、関係業界への天下りは、やめた後五年間は禁止する。

 私は、その方が、多少公務員として残ってもらうことにかかるいろいろなコスト、しかし、これは仕事もしてもらうわけですから、そのコストよりも、天下ってその天下り先に九八%のような入札で談合を事実上黙認して、例えば、先ほども鉄鋼製の橋梁が年間一千億、これはたしか道路公団だけでしたかね、それでも。それで、まあ二割ぐらいは本来なら安くできる、場合によったら三割安くできる。二百億、三百億じゃないですか。その見返りで天下りを採ってもらっているんじゃないですか。

 ですから、そういう天下りの禁止を強化する、二年を五年にして、例外規定を廃止して、そして公務員としてちゃんと六十歳まで働ける、専門的にはそれを超えても働けるようなことは、これはまたこれ、公務員の一般的な処遇として考えていく、これが官製談合を根絶する策だというふうに思います。

 冒頭申し上げたように、官製談合を根絶しない限り、我が国はこの借金地獄から逃れることもできないし、国民が信用しませんよ。そんな、関係した企業からまで会長を持ってきて民営化、それは猪瀬さんは民営化したって官製談合防止法はかかると言われるけれども、現在だってかかっているけれどもやっているわけですから。今だってかかっているけれども、やれていないんじゃなくて、かかっているけれどもやっているわけですからね。

 普通は、民間になれば、民民の談合という言葉は余り聞きません。それは、通常だと、民間企業であれば株主もいるし、あるいは上司もいて、安く買えるものを高く買ったら、少なくとも普通でいえば成績が落ちて出世できない、首になる、ひどい場合は背任になる。それが、民間になっても政府出資で、債務は国が保証していて、何をやったって最後のしりぬぐいは全部国民なり利用者に持っていく。だから、談合がなくならないんじゃないですか。

 まず、大臣にお聞きします。

 これらを我が党は提案しようと思っていますが、できれば国土交通大臣みずからこういうことを閣議の中で提案されたらどうですか。我が党のネクストキャビネットで私は国土交通ネクスト大臣をやっていますが、我が党のネクストキャビネットでも提案したいと思っています。まあ、ネクストが取れれば取れた中でも提案したいと思っていますけれども、今のところネクストがついていますから。今の大臣として、こういうことを提案されるつもりはありませんか。

北側国務大臣 菅委員の御意見としては承りました。

 今菅委員はネクストが取れたらぜひやりたいとおっしゃいました。ぜひやっていただきたいと思いますね。その言葉を私も覚えさせていただきたいと思います。

 それで、今菅委員のお話の中で非常に重要なお話がございました。公務員の定年の話ですね。できるだけ六十歳まで働かせるべきだ、こういうお話がございました。退職勧奨の問題についてもお話があったわけでございます。私も、この若年退職慣行の是正というものについて、これはしっかり取り組む必要があるというふうに考えております。

 現在、これは平成十四年の十二月に申し合わせをしたんですが、各府省の幹部職員の勧奨退職年齢について、平成十五年度から五年間で段階的に引き上げて、平成二十年度には三歳以上高くするという目標で今取り組んでいるところでございます。

 これにつきまして、これは各府省の幹部職員で申し合わせをしているわけでございますが、国土交通省におきましては、地方整備局の職員についてもこの勧奨年齢の引き上げ等の見直しについてぜひ検討したいと思っておりまして、今国土交通省の中でも今回の談合事件を受けましてさまざまな再発防止策を検討しておりますが、その中で議論をさせていただきたいと思っているところでございます。

菅(直)委員 大変いい大臣ですよね。あめの方はたくさんばらまくけれども、納税者に対してむちのことばかりしか言わない。納税者の税金をいかに猫ばばされないかというところには甘々で、私は、職員のことは、私が提案したことでもありますから、今言われたことでいいですよ。せめてそのぐらいの熱心さで納税者のことも考えた方がいいんじゃないですか。

 最後にもう一度、猪瀬さん、もし御意見がありましたら、どうぞ言ってください。お願いします。

橘委員長 発言の許可をとってやってください。

 猪瀬参考人。

猪瀬参考人 今の官製談合の阻止策は、それはそれで僕はやってもらえばいいと思いますね。ただ、こういうのをやると決めてもなかなか決まったためしがないので、きちっとやっていただくならやっていただきたいということですが。

 そこで、一つだけ申し上げておきますけれども、民営化を凍結するというのはちょっと困るんですね。民営化することによって、少なくとも、民営化当初からスタート五年間で政府保証債を削減していって、ゼロに持っていって、市場から資金を調達する、大体そういう方向になっております。したがって、市場から資金を調達する場合に、透明度の低い会社、あるいはまさに株主にとって背任であるような行為を行っている会社というのは、格付が下がりますので、資金の調達においては金利が高くなって、みずからの首を絞めるという結果になりますので、民営化というのは、そういう一つの市場メカニズムに基づいて、ある種の自浄作用がある。もちろん、そうはいっても、いろいろな会社がありますね。それは、三菱自動車とかいろいろな問題が起きる会社があるので、民営化ですべて解決するわけではありません。

 そして、もう一つは、機構法の第十二条一項の七で、とにかく、ここに書いてあるんですが、法律を読み上げますと、「会社の経営努力による高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に要する費用の縮減を助長するため、必要な助成を行う」。どういうことかというと、経営努力によって工事費を削減した場合には機構からお金が戻ってくる、こういう構造になっておりますので、官製談合を幾らかでもなくす一つの方向性というのは出ているんだということですが、とにかく今現在の官製談合をきちんとなくしていく、今メスを入れない限りは、これはだめだと思います。

 そこで、一つここにいらっしゃる与野党の皆さんにお願いがあるんですが、情報公開法というのが民営化会社は適用除外になっていまして、関西空港、関空だけは情報公開法の対象になっているんですが、今回の、東京メトロと、それから成田空港の民営化会社と、そして道路公団と、情報公開法では適用除外になっていまして、官製談合防止法では五一%以上持っているとこれはやれるわけですけれども、国政調査権が皆さんあるわけですけれども、やはり道路公団の関係の会社というのは、ファミリー企業がたくさんあります。

 これは今、行政コスト計算書で、ある程度社長の名前とか全部役員の名前を出すことができるんですが、これが民間になった場合に、何で情報公開法が民営化会社に適用されないのか、意味がわかりにくいんです。それは、多分こういう民営化がまだないころに情報公開法がそういうふうな形で決められたので、これを一部改正してもらえば、民営化会社が、これから道路公団の民営化会社だけじゃなくて、ほかの、成田の民営化会社にしろ、メトロにしろ、民営化された会社がきちんと、今みたいに天下りをしているかしていないかとか、官製談合に類するものをしているかどうかということをチェックする、そういうことができるので、ぜひとも。

 まあ、昔、国鉄がJRになったときとか、電電公社がNTTになったときには、そもそも情報公開法なんというのは存在しなかったので、情報公開法というのは最近できたわけだけれども、こういう民営化の問題よりちょっと前にできているので、民営化会社が適用されないということになるとおかしいんですね。JRは、もう十数年たっていて、ほとんど株式を売却し始めているときですから、情報公開法の対象にならなくてよかったんですが、現在新しく民営化されたばかりの会社は、一定期間は情報公開法の対象にすべきだということをひとつお考えいただければ、御審議いただければというふうに思います。

 以上です。

菅(直)委員 民営化云々はきょうの主題ではなくて、現在の道路公団がやっていることをきちっとまさに総括しないまま民営化をするということは、私は認められない、そういう意味で凍結法案を出しているわけです。

 道路公団そのもののあり方はもう一昨年来議論していますので、きょうはこの場で私と猪瀬さんがやり合う場ではありませんので、いたしませんけれども、少なくとも大臣と総裁には、背中にいるのは、お役人ではなくて納税者であり、ある意味では納税者と同じような立場の通行料を払っている利用者である、その立場に立って物事を進めてもらいたい。それをやらない大臣や総裁は、私は税金猫ばばの共犯だと。ぜひそうならないようにしていただきたいということを最後に申し上げて、あとは同僚議員に質問を譲りたいと思います。

 どうもありがとうございました。

橘委員長 中川治君。

中川(治)委員 我が党の菅ネクスト大臣の質問の後、余りちゃらちゃらと聞いていられませんので、少し事務連絡を幾つかお聞きさせていただきたいと思います。今の質問、聞いていただきました。我々の思いを含めて、我々の代表に質問していただいたわけであります。

 幾つか細かいところで近藤総裁にお聞きしたいと思います。

 私もこれで四回目ですので、きょうは非常に意欲的に、八月の上旬までに一定の方向を出したい、こういうふうにおっしゃいました。発注者が受注者になるようなことを何としても避けなければならない、これも大賛成でございます。一つ、一言も触れなかったのは、ファミリー企業の問題。これも含めて対象にするのかということについてだけ、もう一回お聞きをしたいと思います。

近藤参考人 基本的な認識といたしましては、いわゆるファミリー企業でございますが、公団の入札に参加いただいている企業であるということでは受注者でございます。したがって、基本的には同じカテゴリーで我々としては考えなければいけないと思っております。

 現在のところ、国土交通大臣からの御指導もいただきまして、少なくとも役員への再就職は公団から行わない、このようなことを実施中でございます。これを、このままでいいのか、あるいはその範囲を広げるのかどうかということも含めまして、現在、ほかの施策も含めまして、先ほど申しました不正行為防止策検討委員会において幅広く検討をしているということでございます。

中川(治)委員 役員を減らせというのは、小泉総理がもう何年も前に言わはりました。そして、公団のファミリー企業の会社がされたこと、公団が指示を出させたのかどうか知りませんが、結局、例えば取締役をやめて執行役員になった。社長よりも給料が高いとか、会長よりも給料の高い相談役というふうな形で、とにかく商法上の取締役でなかったら、役員でなかったらいいんだ、そして会長や社長よりも給料が高くても全然オーケーなんだ、こういうことでは、これは本当にごまかしなんですね。ある意味では、議員を、総理をなめたやり方をもう既にファミリー企業の皆さんはされているんですから。役員のという話は、近藤総裁、そのときはおられなかったんですかね、昔の議事録、見てください。皆さんかんかんになって怒っているんですから、そんな話は聞きませんよ。それをひとつしっかりやっていただきたいと思います。

 先ほども猪瀬さんからありましたけれども、私もありました。阪神高速道路公団のファミリー企業の登記簿謄本あるいは役員名簿を出してくれ、十年間にさかのぼって経歴を見たい。そうしたら、民間企業でございますので、一株の取引もございませんので、我々からは出せませんというのが国交省からのお言葉でございまして、私は別に金が惜しゅうて言うわけじゃないですけれども、二十四社から十年間さかのぼったら、十四万円も金がかかりました。これは自分で出して調べたんですね。そうしたら、いろいろな関係があった、そんなことがありました。

 要するに、国会から突っ込まれたら民間企業でございますということになって、そして、天下り等人事のものについては官僚のルートからやりたい放題。こういうことはだめですよ、どっちかにしなはれということを、やはりどっちかにしておかぬとこれはずるい。これを官僚天下り天国株式会社と僕は言うんだ。こんなものを許したらあかん。

 だから、役人が、片一方では民間企業です、国会議員でも手が出ませんというて守るというのはだめですよということを言っておきながら、片一方では裏でやりたい放題という、この仕組みはどっちかにしてください。そういうことをぜひ申し上げておきたいと思います。

 もう一つは、二つ目のものですけれども、今回は資料をいただきました。最近、新聞で道路公団だけが非常に問題になっております。道路公団は、先ほどの猪瀬さんも含めて、いろいろな形で明らかにされてきました。国交省の本体の方は大丈夫かなと私も一貫してずっと心配をしておりまして、国交省の直轄事業、大体五兆円、六兆円、七兆円、減ったりふえたりありますけれども、現場に行くと、市町村の補助金も含めて、直轄ですからないものもあるものもいろいろですね、直轄事業で資料をいただきました。

 出す、出さぬという話があったらあきませんので、昨年度十億円以上の国交省の直轄事業、これの落札率を、全リストを出してくださいと。十億円以上というと案外ないんですね、物件にしまして百五十五件ということでございました。十億円以上の直轄事業のものは百五十五件ということでございました。そのうちの百四十五件が予定価格の九〇%以上ということでございました。この状況についてはどうですか、どなたか局長さん、何か感想をお持ちですか。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

峰久政府参考人 提出させていただきました資料で、おっしゃったとおりで、九〇%以上のものが、ちょっとコアのところは入っておりませんが、九〇から九五が三十、九五から一〇〇が七十一で、これは百九件が対象になっておりますが、そういう形になっております。

 価格自体につきましては、これも申し上げるまでもありませんけれども、予定価格につきまして、通常要するであろう標準的な工法だとか単価、そういうものでコストを積み上げてやっております。しかも、それにつきまして、透明性等の観点から公表もさせていただいておりますし、それから、最近はいろいろなソフトも開発されているということで、そういう形で、応札業者の方についてはかなり近い価格で見積もりができるということも事実だろうと思っております。

中川(治)委員 ぜひこれは毎年データを私に出していただきたいと思います。毎年見させていただきたいと思いますし、それから、今度は各地方整備局ごとに、そして本省の各担当部局ごとにというふうに分けて、できたら落札企業も、落札の、契約の日もあわせて記入したようなものを毎年毎年、私が言わぬでもしっかり出していただきたいなと。これはオーケーですね。ひとつよろしくお願いします。うなずいていただいても結構ですよ。

峰久政府参考人 受発注の関係のデータ等については、当然いろいろ公表させていただきたいと思っております。

中川(治)委員 その中で、非常に気になりましたのが二つありました。

 一つは、これは旧運輸省なんですかね、びっくりしましたね。港湾と空港、旧運輸省の関係の事業が、これが三十一件ございます。三十一件、全国で見事に三十一件とも九五%以上。結束がかたいというのか、何というんですかね、見事なものでございます。また後で、御関心のある方はお配りをしたいと思います。この港湾、空港ですね、旧運輸省の関係。これは見事にもう全部九五%以上、しかもほとんどが高率でございます。これについてはどう思ってはるのか、後で聞かせていただきたいと思います。

 それからもう一つは、ついでにいきますが、北海道の開発局の発注工事。これが、十五件のうち十三件が九四%以上。しかも九九%が三件、九八%台が六件、九七%台が二件ということで、もう見事な的中率でございます。二つだけ、八八%台というのが二つだけあります。これはよくやるんですね。私も府議会をやっていましたから、大阪なんかでも、もめそうな人らだけ集めて一つのところを食わせておくと、このぐらいにずっと落ちていくんですね。ほかは、仲のいいところばかりをやると、大体ずっと上がる。要するに、こういうことがあります。

 きょうは、この北海道開発局の問題と、それから港湾、空港ですね、旧運輸省の関係、これはどうですか。怪しいなと思って、先ほどの菅さんのことではありませんけれども、怪しいな、一遍本気で調べてみなあかんなとは思わはりませんか。担当の局長さん、どないか聞かせてください。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

峰久政府参考人 予定価格と落札価格の、落札率のことにつきましては先ほど申し上げたとおりですが、いずれにしても、そういうふうな落札率だけではなかなか、いろいろな調整行為だとか談合行為があったということを、そこをなかなか言い切るというのは難しい問題だと思っています。

 それで、国土交通省としては、やはり発注者として、そういう談合の疑いのある工事を発見するということも非常に重要であるというふうに認識しております。今まで、談合情報等の情報があった場合の対応マニュアルの改正とか、あるいは工事内訳書をとってやってきたわけでございますが、特に今回、いろいろな橋梁談合事件を受けて、先ほどから出ております委員会へ出て、そこでいろいろなチェックの方法等についての改善策を講じようとしております。

 それぞれの、例えば工事費の内訳書の点検を詳細化して、入札執行段階でより綿密に見る、あるいは一般的な一定の期間をもって事後的に統計的に分析するとか、こういうことを強化しながら、そういうふうな落札率だけではなかなか難しいものですから、そういうことについての今後の再発防止策を講じていきたいと思っています。

中川(治)委員 時間がないからあれですけれども、私は、率直に言いまして疑り深い人間ですから、道路公団にはかずら会というのがあった、そうしたら、ひょっとしたら北海道、あるいは港湾にはうずら会があるかもわからぬ、国交省のトンネルにはかぶら会があるかもわからぬ、あっておかしくない率なんです。それを調べてみたいんです。

 ですから、例えば過去五年間の直接発注の、各局ですね、きょういただきましたが、今、整備局ごとになっていますから、それを集約して、そして本省の各担当部局ごとに分けて整理をしていただいて、本当は、受注高上位二十社、三十社の中で国交省から何人OBが行っているかということをきちっと調べて、御報告いただきたい。できませんか。PC橋梁と鉄鋼橋梁は、大臣の一声もありましたし、事件にもなっていますから、調べなさいと言われてあなた方は調べはりましたけれども、まだ火がついていないことについてはやる気おまへんか。どないですか。

峰久政府参考人 御指摘のとおり、橋梁メーカー四十七社とかPCの二十三社につきましては、告発とか排除勧告があったことを踏まえまして、詳細な、個人名だけじゃない段階での詳細なことを、各企業なんかの協力も得て調べました。これを超えて、一般的な問題として、受注企業に対してさらに同じような調査ができるかどうかということについては、いろいろな、正直なところを申し上げて、事務負担もありますし、それから、今のところ、そういうふうな形での不正行為の疑惑のないようなところについての協力も負担もお願いしなきゃいかぬということもあります。そういうことで、慎重でなければいけないかなというふうには考えております。

 もちろん、先生おっしゃられた、どういう範囲で、どういうふうな趣旨で、どういう必要性があるのかとか、あるいは事務的な負担がどういうふうになるかとか、そういうことも踏まえて、どういうものが出せるかということについては当然いろいろ御相談させていただきたいと思います。

中川(治)委員 国民はきっとあると思うているんですからね。なければないでちゃんと実証するためにも、ちゃんとデータを下さいよ。各部局から何人、それぞれのトンネルやとか港湾やとかいろいろなところへ何人行ってはるのか、さっぱりわからへん。わからへんままで、適正に、価格が高かったらいい工事ができているはずやと大臣も思ってはったのに、専門家が調べたら、どうもそうでもないらしいということもわかってきて、あなた方だけがほんまのことを知っているというのはいけないと私は思います。

 きょうは菅さんの質問を聞いて私もおなかいっぱいでございますから、もうこれ以上は言いませんけれども、また機会があったらしつこく、私はこれは担当やと勝手に決めてしまいましたので、しつこくいくつもりでございますので、先ほどのやつ、また事務的にぜひ詰めたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

橘委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私も談合の問題について一言質問したい。

 国交省の三地方整備局及び日本道路公団が発注した橋梁をめぐる談合事件というのは戦後最大規模と言われていまして、日本経団連の有力企業を初め二十六社が起訴される事態になっています。

 国交省は、談合で起訴された二十六企業に対して指名停止処分を行っています。

 そこで、新日鉄に対してはどういう措置をとったか、御報告ください。

峰久政府参考人 今回の橋梁の談合事件に関して国土交通省がとった指名停止でございますが、これは指名停止のルールに従って厳正かつ速やかに二十六社について行っております。

 お尋ねのあった新日鉄につきましては、刑事告発がありました東北、関東、北陸地方の三整備局におきましては八カ月、またその他の地方整備局におきましては五カ月、そういうことになっております。

穀田委員 つまり、指名停止をやっている、それほど重大な犯罪を犯したとしてある意味で認定をして、国交省も厳しく対処しておると。

 先ほどもありましたように、当時、〇三年、〇四年、そういう対象の事件があったときにそこの副社長だった人を内定していこうとしているというのには、私もおかしいと思います。

 先ほど道路公団の総裁も、発注者側から受注者側に行く問題についてるる話があって、ありとあらゆる御意見を賜りたいという話をしていました。これは同時に、受注者側から発注者へ行くというのもけしからぬ話でして、私は、その副社長、当時ナンバーツーですから、もともと法令遵守というものを社内に徹底させる立場にあると。ところが、法の遵守どころか、法を踏みにじる談合を会社として行った、その役員の一人であるということは紛れもない事実です。だとすれば、襟を正すということが必要でして、当然、本人みずからが辞退しますと言うか、それとも、任命し、またそういう権限を持っておられる大臣がこの内定を取り消すというのが私は普通だと思うんです。

 しかも、経団連の副会長の三村明夫新日鉄社長は何を言っているかというと、率直に言って、いろいろな日本の体質を考えると談合の撲滅はそんなに簡単じゃないなんということまで言っているわけですね。

 こういう、会社ぐるみでそういう発言をしたり、そういう談合を行っている事実についてやっている方を、先ほど大臣は、談合に関与したとは聞いていないなんて、いまだにそんなことを言っているということ自身が、世間の常識さえわからないのかとだれも思うと思うんです。

 談合があってはならないというんだったら、談合企業に対する厳しい、確固とした対応をすべきだ、最低限内定を取り消すべきだと私は考えます。それでこそ責任を果たすことができると考えます。そこを指摘しておきたいと思うんです。

 それでは次に、先ほど述べた二十六企業に対して指名停止処分を行っているという話をしましたし、新日鉄は聞きました。

 そこで、次に、横河ブリッジ、高田機工、栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業に対してはどういう措置をとったか、お教えください。簡単でいいですけれどもね。

峰久政府参考人 ちょっと済みません、ちょっと社名を聞き逃しましたので、わかっているところだけ先に申し上げますと、横河ブリッジが三整備局で十二カ月、川田工業も同じく三整備局で十二カ月、それから、その他の地方整備局におきましては、横河ブリッジが八カ月、川田工業が八カ月でございます。

 ちょっと、あとは聞き逃しましたので。

穀田委員 栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業です。

峰久政府参考人 栗本鉄工所につきましては十カ月でございます。これは三整備局でございます。それから、片山ストラテック、これも同じく三整備局、十カ月。それから、日本鉄塔につきましては八カ月でございます。いずれも三整備局でございます。

穀田委員 三整備局で一番、横河ブリッジについては最大、一番の重い指名停止をやっているわけですね。

 私は、今言いましたように、指名停止を受けているところなどの、そういう会社、企業から上がってくるのはけしからぬということを言いましたけれども、もう一つ許せないのは、談合企業からの政治献金の問題です。

 岩井副大臣に聞きたいと思います。

 岩井副大臣は、経歴で、建設省出身、河川局長を歴任しておられる。そして、選挙のときには建設業団体でつくる建友会などから推薦を受けている。その二つの事実は、そのとおりですね。

岩井副大臣 そのとおりでございます。

穀田委員 そうすると、経歴からしても、それから立候補をする際も、建設業界とは密接な関係にあるということがわかる。

 そこで、今回の橋梁談合事件で起訴された談合企業、横河ブリッジ、高田機工、栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業からの、二〇〇〇年から〇三年まで、献金がありましたか。

岩井副大臣 突然のお話でございますので、よく調べてみないとわかりませんが、そういった大きい企業も小さい企業も、広く浅く政治献金を集めるという意味で、おおむね五万以下ということが多いんじゃないかと思いますが、一部それを超えておるようなものも、一部ですよ、あるかもわかりません。今固有の名前を申されましたので、その辺につきましては早速に調べてみたいと思います。

穀田委員 私の方で調べますと、小さい額を、一生懸命小さく言おうとしていますけれども、要するに、私が最初に言いましたのは、今の企業の名前を挙げて、指名停止を受けている会社だということは最初にお話ししたとおりです。そして、それらの企業から、高田、それから横河ブリッジなどを初めとしたところでいいますと、例えば、副大臣は調べないとわからぬと言いましたけれども、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年、二〇〇三年、今我々が知り得る範囲内での資料からしますと、少なくとも合計で二百五十万円もらっているということは明らかです。

 これについてですけれども、今回の事件については、国発注にかかわる談合事件です。だから、建設業の指導監督の立場にあり、今までも議論になってきたように、発注側の、ある意味では副責任者だ。そして、そういう副大臣が、談合し受注した企業から献金を受けてよいのかということが問われていると思うんですね。そこら辺はいかがですか。

岩井副大臣 公共事業につきまして、むだな公共事業と言われたりして、国民の公共事業に対する大変厳しい目のある中で、今回のようなけしからぬ談合問題が生じたということにつきまして、大変残念であり、遺憾に思っております。

 そういった民間企業からの政治献金につきましては、いろいろなケースがあるわけですけれども、今回の場合のように、企業の刑事責任が問われるような場合につきましては、これから、私としては、お断りすべきではないかというふうに考えているところでございます。

穀田委員 残念、遺憾という話ではないんですよね。

 公正取引委員会は、過去の入札談合事件をもとに談合業者が不当に得た利益率をはじき出して、不当な利得率は一八・六%としています。橋梁談合でこの五年間にK会、A会に加盟している企業の受注総額は約七千七百十八億円。これの一八・六%は、千四百三十六億円に上る巨額なものです。この不当利得の一部が当然献金に回っているわけですね、金に色目はないわけですから。そうすると、国民の税金が還流し、税金を食い物にしていたことになる。

 このような献金について、今後やめるべきだというようなお話ありましたけれども、今までこういった問題が出てきた折に、関係が深い業者のところで言うならば、例えば小泉当時厚生労働大臣、橋本総理大臣含めて、返却をなすっています。私は、当然、このような献金については、今までの例からしても返すべきだと思いますが、そう思いませんか。

岩井副大臣 今のところ、過去の部分につきまして、なかなか実態等についてわかりにくいところがありますので、検討はしなければならぬと思いますけれども、今後の話として、先ほど申し上げたとおりでございます。

穀田委員 よくわかりませんね。

 わからないことはないんですよ。僕が言いましたように、正確に言いますと、だから、二百五十万もらっているじゃないかと、〇年から〇三年でいえば。当該の事件の時間にしたって、それは明確に、金は調べればすぐわかるわけですから、それは調べて返しますと言えばしまいなんですよ。そう思いませんか。だから、そういう極めて単純な話をしているにすぎないんです。

 問題は、では、その点で驚くべきことは、談合企業からの献金は国交副大臣にとどまらないということなんですね。私の調査では、小泉内閣の閣僚、副大臣で、町村外務大臣、中山文科相、中川経産相、棚橋特命大臣、副大臣で言うならば、西川、林田内閣府副大臣が献金を受けている。これは何度も、国交大臣について言うならば、談合事件をなくす、再発防止を進める、こういうふうにおっしゃっているんですから、まず隗より始めよということだと思うんですね。したがって、談合事件にかかわった企業からの献金については返却すべきだ、そういう旨について国交大臣として、いわばこの問題の重大性にかんがみて、きちんと閣議その他で提起をして実行させるべきだと思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 政治資金規正法等、法規があります。その法規にのっとっていくのは当然のことだというふうに思うわけでございますが、それ以上のことは、これはもう御自身の御判断であるというふうに思います。

穀田委員 副大臣はどうですか。

岩井副大臣 穀田先生は過去のことを含めておっしゃっておるわけでございますけれども、過去のことにつきましては、先ほど実態と申し上げましたけれども、談合ということについてどういう状況であったのか、どこまでさかのぼればいいのかとか、なかなかわかりにくいというか難しい問題がありますので、これからという話を先ほどさせていただいたところでございますが、どういうことをやるべきかというのは、ちょっと自分なりに考えてみたいと思います。

穀田委員 どこまでさかのぼればということでいいますと、私は二つあると思うんです。

 この談合というのがどのぐらい続いていたかというと、四十年間続いていたというのが広範に流布されている実態です。そして、K会、A会ということでいうならば、九〇年代に復活をしたという事実であります。したがって、そういうものとして物事をとらえるのが当たり前だと思うんです。

 同時に、談合が認定されて問題になっているのは〇三年、〇四年ということなんですね。だから、極めて事は簡単でして、そういうものについて自分でよく調べてやるというのは、もう企業名が特定されて、自分がここまでは返そうと思うと言えば、それは返したらいいんですよ。それだけの話ですよ。どこまでさかのぼればいいかなんというのは自分の判断なわけであって、さかのぼってでも返すということが当たり前だということを言っているんです、こっちは。

 そして同時に、副大臣会議もあるわけだから、同じような副大臣もいるわけだから、当然そういうものについて返すべきという提起をしたらどうか。その二つを言っているんです。二つ、最後にお答えください。

岩井副大臣 これから私としてどうすべきかということにつきましては、よく考えてみたいと思います。

穀田委員 これから考えてみたいという点では、らちが明きませんわね、これでは。これだけ問題になって、こういうときに、提起された瞬間に、やはりこれはまずかったと。今まで発注側にいた。しかも、過去でいえば、経歴からしてもそういう問題を提起し、同時に、今度の談合の問題ということが新しく出たという事態の中でそういうことを率直に提起しているわけですから、率直に答えるべきだと思います。

 私は、そういう点では極めて不誠実で、この点での談合をなくす副責任者としていかがなものかということを指摘して、終わります。

橘委員長 次回は、来る二十七日水曜日午後三時五十分理事会、午後四時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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