衆議院

メインへスキップ



第2号 平成17年10月14日(金曜日)

会議録本文へ
平成十七年十月十四日(金曜日)

    午後一時四分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 赤羽 一嘉君

      石田 真敏君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      小坂 憲次君    河本 三郎君

      佐田玄一郎君    佐藤  勉君

      菅  義偉君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    高木  毅君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    松浪健四郎君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高木 義明君    長安  豊君

      鉢呂 吉雄君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    伊達 忠一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉山 篤史君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十四日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     佐藤  勉君

  中野 正志君     菅  義偉君

  二階 俊博君     松浪健四郎君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     河本 三郎君

  菅  義偉君     中野 正志君

  松浪健四郎君     二階 俊博君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

十月十二日

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官柴田耕介君、総合政策局長竹歳誠君、都市・地域整備局長柴田高博君、河川局長渡辺和足君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、鉄道局長梅田春実君、港湾局長鬼頭平三君、航空局長岩崎貞二君、政策統括官杉山篤史君及び海上保安庁長官石川裕己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、国土交通行政は、我が国全体のグランドデザインを描く国土計画から、社会資本整備や交通政策の推進による暮らしや社会活動の基盤づくり、さらには気象業務、海上の安全確保に至るまで、広範かつ国民生活に直結する極めて大事な役割を担っております。これに対応する衆議院国土交通委員会の委員に任命をされまして、そしてこのたび質問の機会をいただきましたこと、大変大きな光栄に存じます。

 このような国民に密着した重大な政策分野に携わる、まず官僚にあっては、その省益にこだわることなく、また政治家にあっては、みずからの地元利益や領域にこだわることなく、広く国益と経済、社会の発展に資するとの観点から、時代のニーズをしっかり踏まえて政策に臨むべきであり、また、国民に対して今まで以上に説得力のある政策を推進する必要があると認識をいたします。

 このような観点に立って昨今の状況を見ますときに、少子高齢化や人口減少、グローバル化、国民生活の多様化や市町村合併による新たなふるさとづくりも進むなど、国民の安全、安心や国際競争力の強化、暮らしや環境などの分野で国土交通行政が対応するべき課題は多岐にわたっております。一方で、国と地方の財政赤字が深刻化をし、事業の効率性が厳しく問われる時代でもあります。それだけに、国土交通行政全般として、今大きな分水嶺に立っておると認識をいたします。

 このような社会経済情勢を踏まえた所管行政の基本的運営方針について、副大臣の御所見を伺いたいと思います。

岩井副大臣 御案内のとおり、国土交通省は、国土政策、社会資本整備、交通政策等を総合的に推進するという大変幅の広い任務を担っておりますけれども、そのいずれもが国民の生活や経済活動に密着しておるかと思います。それだけに、常に国民の目線に立って、さまざまな行政ニーズを的確に踏まえながら、社会経済情勢に即応した国土交通行政というものを推進するよう、引き続き不断の努力をしていくことが肝要だと考えております。

 国土交通省が抱える諸課題の中でも、国民の生命財産を守る安全、安心のための取り組みというものは、国土交通行政の中でも最も基本的で、かつ最も重要なものであると思います。国民の安全、安心に対する意識も大変高まっているのではないかと理解しております。

 そのため、住宅・建築物の耐震化等の大規模地震対策や豪雨対策などの災害対策につきまして、震災を減らすという減災という考え方に立ちまして、目標期限を明らかにして必要な取り組みを行うこととしております。また、公共交通機関における安全確保という問題や、それから、最近いろいろ話題になっておりますアスベスト対策など、安心社会の実現に向けた取り組みにも力を入れなければならないというふうに考えているところでございます。

 また、我が国経済のグローバル化を踏まえつつ、二十一世紀の我が国が国際社会の中で活力を維持強化していくための取り組みというものも大変重要ではないかと思う次第でございます。特に、東アジアとの相互依存の高まりに対応した流通機能の高度化や効率化というものを図ってまいりたい。また、都市再生、地域再生、そして観光立国、こういった問題につきましても、しっかりと取り組んでいかなければならないというふうに考えておるところでございます。

 さらに、いろいろたくさんあるわけでありますが、バリアフリー施策の推進など暮らしの分野、それからまた、地球温暖化対策や建設リサイクルなどという環境の分野などにおきましても、将来を見通した施策の充実を図っていく必要があるのではないか、そんなふうに思います。

 これらの時代の要請を踏まえた重要施策というものを、ともかく効率的、効果的に、そしてより早く提供するという観点から、我々の仕事の進め方にも工夫を重ねまして、国民の皆様の期待にこたえてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

小里委員 ありがとうございました。

 次に、整備新幹線の建設促進についてお伺いをいたします。

 昨年、九州新幹線の南半分が開業いたしました。乗客数は前年に比べて、すなわち在来線特急時に比べて約二・三倍、順調な滑り出しを見せております。また、五年後と予想される全線開業時におきましては、さらに大きな効果が見込まれることは申し上げるまでもありません。

 新幹線ができますと、輸送の時間短縮、確実性、快適性の向上で交通量が増大をいたします。都市間競争力が向上し、各種産業を活性化させ、通勤通学圏域も拡大をするなど、新幹線による経済波及効果は建設費の何倍にも及ぶと試算をされております。もとより収支採算性については言うに及びません。

 また、新幹線において、CO2排出量は単位当たり航空機の五分の一、自家用車の八分の一、エネルギー消費量は単位当たり航空機の四分の一、自家用車の六分の一であります。環境に優しく、省エネにすぐれ、安全、確実な大量高速交通機関としての新幹線へのシフトは世界的傾向でもあります。要らざるを切り、必要なものをやるとの財政改革の観点からいっても、これは推進すべき重要な政策であると認識をいたします。

 既着工区間はもとより、北海道、北陸、長崎の現在計画中の路線も前向きに進めるべきであると認識をいたします。副大臣の御所見を伺います。

岩井副大臣 小里先生のお父上にも大変、新幹線問題、多面的にいろいろと御指導賜りまして、それを思い出しながら今先生のお話を聞かせていただいたわけでありますけれども、全くおっしゃるとおりでございます。

 言うまでもないことですけれども、整備新幹線というのは地域活性化に大変大きな効果をもたらすわけでございまして、私どもは国の根幹、主要インフラであるというふうに考えておりまして、政府・与党申し合わせに基づきまして着実に整備を推進してまいりたい、そのように考えておりますので、ひとつ今後ともよろしく御指導賜りたいと思います。

 昨年十二月の政府・与党申し合わせでは、東北新幹線が八戸―新青森間、それから九州新幹線が博多―新八代間、これは平成二十二年度末の完成、そして、北陸新幹線は長野―白山総合車両基地間、これは平成二十六年度末完成、北海道新幹線につきましては新青森―新函館間、これは平成二十七年度末完成ということで決定されたわけでありますが、これらにつきまして着実な整備を図っていくことが必要であるというふうに思っております。

 また、昨年の政府・与党申し合わせでは、先ほど申しました以外の今後の整備新幹線の取り扱いにつきまして、必要に応じ随時見直しを行うというふうにされております。新たな区間の着工につきましては、今後の見直しにおきまして、政府・与党で検討していく課題であるというふうに考えておりますので、今後ともよろしく御指導いただきたいと存じます。

小里委員 ありがとうございました。

 新聞情報ではございますが、整備新幹線の延伸に伴いまして東京―大宮間の容量が逼迫することが予想されております。これにかわる代替ルートとして新宿―大宮間を整備すべきとの指摘があるわけでございますが、国土交通省の所見を伺いたいと思います。

 また、あわせて、新幹線軌道と在来線軌道を相互に乗り入れできるフリーゲージトレーンでございますが、これは極めて利便性に富む、また新たな設備投資も最小限度で済むことから、大変重要な手段であると認識をしております。この走行実験の進捗状況、そして実用化のめど、実用化の後の活用策について、国土交通省の所見を簡単に伺いたいと思います。

梅田政府参考人 まず、一点目の東京―大宮間の問題でございます。

 現在、東北、上越新幹線の東京―大宮間でございますが、両方の新幹線が共用しております。繁忙期のピーク時間帯には、一時間当たり十五本の新幹線を運行しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、新幹線が新函館まで、あるいは金沢までというふうにやがて延びる予定になっております。具体的に列車本数がどういうふうになるかというのはこれからの検討の問題でございますが、現在、JR東におきましては、今後の新幹線の延伸に際しまして、この線路容量が十分かどうかを検討しているというふうに認識しております。

 この区間の逼迫が著しい場合は、御指摘の大宮―東京間の新たなルートも含めまして、どのような対応が適切なのか、さまざまな検討が必要になるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、今後の検討課題であるというふうに認識しているところでございます。

 また、二点目のフリーゲージでございます。

 フリーゲージにつきましては、現在、技術開発中でございます。平成十年に試験車両を製作いたしまして、アメリカのプエブロの試験線、それから国内の在来線、あるいは、昨年の秋でございますが山陽新幹線での走行試験を行いました。おおむね新幹線で二百キロ程度、在来線で特急列車並みの百三十キロ程度での走行は可能であるという確認をしたところでございます。

 しかしながら、フリーゲージトレーンにつきましては、現在、新幹線は二百七十ないし三百キロの運転でございます。より高速域での走行の安定性を高めていくということが大きな技術上の課題でございます。

 私どもといたしましては、こうしたことで開発を進めてまいりますが、あわせまして、現在つくっております改良型の台車、車体を使いまして、平成十八年度後半から九州新幹線鹿児島ルートにおきまして、実用車両に近い車両を使いまして走行するというようなことで、できるだけ一日も早い実用化のめどを立ててまいりたいというふうに考えているところでございます。

 直通運転化を進めまして、さらに便利にしてまいりますが、具体的にどういう区間にこのフリーゲージを適用していくかという問題につきましては、今後、鉄道事業者あるいは関係の向きとも十分相談をしながら詰めてまいりたいと思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 では次に、観光の国際競争力の強化についてお伺いをいたします。

 今、日本は、多くの重大な課題を抱え、経済を初め各分野にわたって深刻な悩みの中にあります。日本の活路をどこに見出すのか、今大きく問われております。

 私は、日本は大丈夫だと思います。日本にはまだまだ潜在力があります。世界に冠たる技術があります。豊かな知恵と文化があり、世界一安全な長寿の国であります。また、すぐれた国民性もあり、また、美しい自然や誇りある伝統や歴史があります。こういった日本の持つ潜在力を活かしていけば、必ず明るい未来が開けるものと確信をしております。

 そのような中にあって、ITや環境ビジネスと並んでかぎを握るのが観光であると認識をいたします。近年の統計によりますと、我が国における出国旅行者数約一千六百五十万人に対しまして、入国旅行者数は五百二十万人にすぎません。主要国中三十二位、韓国やシンガポールと同程度であります。いかにして二十一世紀のリーディング産業としての観光を振興させるか、今後激化することが予想される観光競争に打ち勝って我が国の未来を開いていくためにも、日本の観光の国際競争力を強化して、確固たる観光立国を実現する必要があると思います。

 国際競争力のある観光地づくりについて、国土交通省の御所見を一言お伺いいたします。

柴田(耕)政府参考人 先生御指摘のとおり、今後とも大きな経済発展が見込まれるアジア地域において観光分野における競争に打ちかつためには、国際競争力のある観光地づくりを推進することが極めて重要であるというふうに考えております。

 観光立国の実現を目指して、観光立国関係閣僚会議において決定されました観光立国行動計画においても、各地域がそれぞれの持つ魅力を自主的に発見し、高め、競い合い、地域の観光振興を図る一地域一観光を重要な課題として位置づけております。

 このため、国土交通省といたしましては、平成十七年度から観光ルネサンス事業、ルネサンスには新生とか再生という意味がございますが、これを創設したところでございまして、観光地づくりに対する基礎調査を行うほか、地域の歴史、伝統、文化、食、また新しい産業、こういったものを生かした地域によるブランドづくり、人材育成、情報発信など、民間による地域観光振興の取り組みに対する補助による支援を行うなどとしております。これによりまして、市町村によるまちづくり交付金を活用した町並みの整備事業などとも連携し、地域の官民が一体となって国際競争力のある観光地づくりの取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

小里委員 ありがとうございました。

 続きまして、道路特定財源についてお伺いをいたします。

 道路特定財源は、立ちおくれた我が国の道路を緊急かつ計画的に整備するとの観点から、その費用を受益者である自動車利用者が負担する制度として、議員立法により創設された制度であります。この道路特定財源の行方が今大きく注目をされております。

 今、多くの案が取りざたをされておりますが、この機に暫定税率を引き下げるべきとの主張につきましては、現下の財政状況や経済状況とにらみ合わせての議論が必要であると認識をいたします。

 また、一般財源化するべきとの案につきましては、この税における受益と負担の関係を考えた場合に、納税者の理解をいかに得るか、活発な議論を要すると認識をいたします。

 環境税への転換も言われておりますが、環境税自体が民間活力との関係などにおいて議論があるところであります。また、道路整備によるCO2削減効果やエコドライブあるいはまた道路緑化の推進など、道路政策が地球環境対策に貢献していることについてもあわせて考えるべきであろうと認識をいたします。

 地方への財源移譲という主張もあります。地方の道路整備がおくれていることは実感をしているところでありまして、その整備が促進されるよう財源を確保することが大事な課題であると思います。

 それぞれの案が一長一短あり、大変難しい課題でありますが、いずれにしましても、時代のニーズを踏まえて、国民の皆様に対して説得力のある方策を志向するべきであると考えます。

 副大臣に、道路特定財源につきましての今後の方向性について、お伺いをいたします。

江崎副大臣 まず、小里委員に冒頭申し上げますことは、私は、小里委員の御尊父、貞利先生、政党こそ違っても大変御指導賜ってまいりました。特に、自由党そして保守党、保守新党では、整備新幹線推進役をお務めになったのが御尊父であります。そして、宿舎も一年半ほど御一緒のときに、何よりも御尊父がうれしそうにおっしゃっておられたこと、江崎君、僕はオートバイに乗ることが大好きなんだよ、大きなオートバイ、ナナハン以上のに今でも乗るんだと言ったことをつい先ごろのように私は思い起こしております。

 特に道路の整備、地方をますます整備しなければならぬときに、ただいま御質問のありました道路特定財源、これは、道路の整備と、そして安定的な財源確保のために創設されたものであります。受益者負担の考え方に基づき、自動車利用者が利用に応じて道路の整備を負担する、合理性のある制度でもあります。道路整備に対する国民ニーズは全国的に極めて今でも高く、この要望に速やかにこたえるため、平成十五年度以降の五年間の措置として、本則税率の約二倍の暫定税率を自動車ユーザーに御負担いただいておる次第であります。

 特別国会開会直後の衆議院本会議において、小泉総理から、道路特定財源について、暫定税率との関係、使い道のあり方の見直し等の基本方針を年内に検討するよう指示をしているといった御発言がありました。

 これから年末に向けて議論が進捗するかと思いますが、道路特定財源制度は、受益者負担の原則に基づき、自動車利用者に道路整備のために特別な負担をお願いしていることから、納税者の理解の得られる範囲で、制度の内容を踏まえて今後検討に入ってまいりたいと思いますので、何分よろしくお願い申し上げます。

小里委員 ありがとうございました。

 最後に、災害対策についてお伺いをいたします。

 我が国は、脆弱な地盤と急峻な地形、多くの活火山、国土の位置や気象条件などからも、地震、台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しやすい国であります。私は、台風常襲の鹿児島県出身であります。また、阪神・淡路大震災におきましては、震災担当特命大臣秘書官として多くのことを学ばせていただきました。昨今、台風の都度重なる上陸や集中豪雨の頻発や、地球温暖化の影響もあり、これまでに経験していない大きな洪水等の被害が発生し、今後、国民の安心、安全がいかに確保されるか、大きく危惧をするところであります。

 また、首都直下型地震の発生の可能性が切実に心配されるところでありますが、仮に、切迫性が高いと考えられる東京湾北部地震が発生をした場合、首都直下地震対策専門調査会の報告によりますと、冬の夕方六時、風速十五メートルと想定をした場合、都心部の震度は六強、死者一万一千人、全壊家屋は最大八十五万棟、経済被害約百十二兆円と予想をされております。また、首都直下型地震の特徴的な被害として、政治、行政、経済における日本全体の中枢機能の障害を生じさせるおそれがあることもまた忘れてはなりません。

 各種の災害発生時において被害を最小限度にとどめるべく、ハード、ソフトの両面から抜本的な対策を講じ、確固たる危機管理戦略を構築するべきと考えます。

 国土交通省の御所見をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 昨年の豪雨災害を初め、また新潟県中越地震等々起こりましたが、ことしも、台風十四号による災害、アメリカではハリケーン・カトリーナの高潮災害、パキスタンの地震災害等、国内外で大変大きな災害が相次いで発生しておりまして、国土交通省としては、これらの災害を教訓として、課題を整理し、必要な対策について検討しているところであります。

 このうち、豪雨災害対策につきましては、床上浸水被害や土砂災害による被害を防止するための施設整備等のハード整備とあわせ、主要な河川における浸水想定区域図やハザードマップの作成、公表など、ハード整備とソフト対策を一体的に進めているところであります。

 地震災害対策につきましては、地震の被害の多くを占めます住宅・建築物の倒壊を減少させるため、今後十年間で耐震化率を七五%から九〇%に引き上げるという目標を設定するとともに、道路、港湾等の公共土木施設の耐震化も着実に進めることとしております。

 国土交通省としては、国民の生命財産を守る防災対策は国の基本的責務として最も重要な施策であると認識しており、ハード、ソフトの両面から災害に強い国土づくりを進めてまいる所存であります。

小里委員 ありがとうございました。質問を終わります。

林委員長 大塚高司君。

大塚(高)委員 私は、このたび大阪八区より初当選をさせていただきました自由民主党の大塚高司と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、先般発生しましたパキスタン地震で多くの方々が亡くなられました。心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害者復興支援に、我々もそうでありますが、政府も全力を挙げていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思っております。

 現在、大阪国際空港の格付は第一種空港で、関西圏における国内線の基幹空港と位置づけられており、平成十六年十二月十日付、大阪国際空港騒音対策協議会、十一市協あてに、航空局環境整備課からの文書では、第二種A空港への格下げは、次期社会資本整備重点計画の策定の中で、交通政策審議会航空分科会にて検討を行うとされておりますが、当然ながら、運用時間と格付は深くかかわるものと考えられます。

 しかし、分科会で検討がなされないまま、例えば、来年二月開港予定の第三種空港である神戸空港の運用時間が十五時間、午前七時から午後十時になれば、大阪国際空港の十四時間より長くなることになるわけでございます。

 そういったことで、お尋ねをいたします。関西地域に近接する三空港のあり方について、国土交通省としてのお考えをお尋ねいたします。

岩井副大臣 関西三空港につきましては、それぞれ機能分担すべきものというふうに考えております。

 関西国際空港は関西圏の需要に対応する国際拠点空港としての機能、大阪国際空港は、環境調和という課題を抱えておりますけれども、国内の基幹空港である、そして、神戸空港は神戸市及びその周辺の国内航空需要に対応いたします地方空港としての機能、それぞれ持っておるわけでございます。

 そういったことを踏まえまして、関西国際空港につきましては、昨年末の財務大臣との大臣間合意に基づきまして、二〇〇七年に二期限定供用をすることとしております。今月一日に起工式を行ったばかりでございますが、工事につきまして着実に進めてまいりたいと考えております。

 大阪国際空港につきましても、大臣間の合意を踏まえながら、環境制約というものはあるわけでありますが、都市型空港として重要である、そういう考え方で運用してまいりたいと考えております。

 来年二月開港予定の神戸空港の方でございますけれども、開港当初におきましては、航空会社三社が七路線の就航を表明しておりますので、今後、地方空港としての活用を考えていくということになろうかと思います。

 いずれにいたしましても、そういった三つの空港につきましては、お互いに機能を分担しながら、トータルとしてその最適な運用が図られるようにいろいろと検討してまいりたいと思っておる次第でございます。

大塚(高)委員 それでは、大阪国際空港の空港整備法上の位置づけについての検討状況をお聞かせ願いたいというふうに思っております。

岩崎政府参考人 大阪国際空港の空港整備法上の位置づけでございますけれども、今副大臣が申し上げました、昨年末の関西国際空港の二期事業の取り扱いに関します財務大臣と国土交通大臣との大臣間合意に盛り込まれているところでございます。

 具体的に申し上げますと、大都市圏拠点空港の整備を我々は進めておりますけれども、中部空港が開港し、関西空港の二本目も二〇〇七年の供用ということで目指しております。羽田の四本目の滑走路、今整備をしておるところでございますが、ここ数年の間にはこうした大都市拠点空港の整備がある程度一段落するだろう、このように思っております。

 そうした段階の中で、二〇〇八年度からでございますけれども、次期の社会資本整備計画を策定していくということになっております。その計画の中で、今後の空港整備のあり方等々、幅広く検討したいと思っておりますが、その一つとして、先生御指摘ございました伊丹空港の格付の問題、二種A空港への変更の問題を検討していきたい、このように思っておるところでございます。

大塚(高)委員 また、大阪国際空港は今後騒音対策費を削減する方向と聞いておりますが、騒音問題への対処方針をお聞かせ願いたいというふうに思っております。

岩崎政府参考人 先生も御案内のとおり、大阪国際空港、伊丹空港は長年にわたって騒音問題を抱えていた空港でございます。騒音を減少させる方向での運用が求められてきた一方、非常に、立地条件のよさなどから、利便性の確保を求める声も大きいという現状でございます。

 こうした中で、先ほどからも副大臣が答弁させていただきましたように、環境の制約はあるけれども都市型の空港として運用していくということを踏まえまして、また、近年において騒音値が少々上昇しているというような状況も踏まえまして、騒音軽減を図るために、三発、四発のエンジンを備えている高騒音機材、具体的に言いますとボーイングの747等でございますけれども、こうしたものを就航禁止にするでありますとか、ジェットの発着枠は今二百五十ございますけれども、これを二百に抑制していくでありますとか、そうしたものを決定させていただいたところでございます。

 こうしたことをやることによりまして、今、例えば騒音対策をやっている地域も少し縮小できるのかな、こう思っております。騒音値が低下していくだろう、このように予想しておりまして、その実態に沿いながら環境対策事業の中身、範囲を見直していきたい、このように思っているところでございます。

 いずれにしても、今後とも、環境調和型という観点から、騒音のあるところはきっちりやっていきますけれども、その範囲等々については、今申し上げたような、空港の運用を考える中で騒音を小さくしていくということでやっていきたい、このように思っているところでございます。

大塚(高)委員 もう十分御理解をしていただいておるというふうに思うわけでございますが、阪神・淡路大震災が発生したときでございます。周辺は本当に大変な被害を受けたわけでございますが、そのとき、大阪国際空港は、当日欠便なく飛ぶことができたという空港であるわけでございます。そして、連絡橋が生命線のほかの空港に比べて災害に強い空港であるということ、そしてアクセス性、利便性が高いという面についても本当に申し添えておきたいというふうにこの際思っております。よろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 昨日、平成十七年十月の月例経済報告が発表されたわけでございますが、景気は穏やかに回復しているということでございますが、地域間格差は続いているものというふうに思われるわけでございます。大阪の景気も思うようには回復をしておりません。その中で、阪神タイガースの優勝で道頓堀川に若い方々が集まり、大変な騒ぎになったわけでございます。

 その中で、都市の川を利用したにぎわいの創出は国土交通省としても検討されているというふうにお聞きをしておるわけでございますが、地域社会と河川が協力してできる川まちづくりの推進はどのようなものが考えられるかということをお聞きしたいというふうに思っております。

渡辺政府参考人 川まちづくりの推進につきましてお尋ねでございますが、川まちづくりとして取り組んでおります大阪の道頓堀川、先生からお話ございましたので、これを事例としてお答えをさせていただければと思っております。

 大阪は昔から、川や運河と町が深く結びついて発展してまいりました。水運を生かしたまちづくりを進める一方で、水との闘いにも懸命な努力が払われてきたところであります。

 このような状況の中で、平成十四年十月に、国、大阪府、大阪市、経済界が協力して水の都大阪再生協議会を設立いたしました。この協議会では、大阪の水の都としてのポテンシャルをこれまで以上に高めるため、平成十五年三月に水の都大阪再生構想を取りまとめました。この再生構想の中で、道頓堀川の水辺整備がリーディングプロジェクトとして位置づけられているところであります。

 このリーディングプロジェクトでは、大阪市により両岸に遊歩道の整備が進められ、昨年十二月には、戎橋から太左衛門橋の間の約百七十メーターがとんぼりリバーウォークとしてオープンし、来訪者が水辺に親しめ、また、川から町の風景を楽しめる憩いの空間が創出されたところであります。

 また、道頓堀川、堂島川などの河川を水の回廊と位置づけまして、舟運でめぐるための船着き場の整備を進めております。最近では、これらの船着き場を利用した民間のリバークルーズも運航されているところであります。

 さらに、大阪市では、とんぼりリバーウォークを活用し、町のにぎわいづくり、地域の活性化、ストリートパフォーマンスなどの各種イベントに社会実験として利用し、道頓堀川周辺のにぎわいづくりに寄与しているところであります。また、オープンカフェ等の設置につきましても検討されていると伺っているところであります。

 今後とも、このような川まちづくりに対しまして、国土交通省としても積極的に取り組んでまいる所存でございます。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 続きまして、愛知万博も、盛況の中、先般閉幕をいたしたわけでございます。大阪万博から約三十五年が過ぎ去りました。万博跡地の周辺に建設されました住宅などの施設は老朽化し、高齢化や少子化がますます進んでまいっておるわけでございます。

 このような状況の中で、国土交通省では、計画開発住宅市街地の今後のあり方(ニュータウン・グランドデザイン)検討委員会を設置し、ニュータウン再生の取り組みを進めているというふうに聞いておるわけでございますけれども、そういったことに関しまして、国の取り組みに対し、地方自治体も大きな期待を寄せておるというようなこともよく聞いておるわけでございます。

 そういったことを踏まえて、計画開発住宅市街地の今後のあり方、そして検討委員会設置の目的は何か、また、検討委員会における現在の検討状況についてお聞かせください。

山本政府参考人 ニュータウンは、我が国の高度経済成長期に大変な数の方々が大都市に集中しまして、これをきちんと受けとめるという考え方で、国と公共団体一体となって努力を重ねて整備した住宅市街地でございます。一定の期間に同じような世帯が同時に入られたという世帯構成上の問題もありまして、今、急速な高齢化が進む、施設自体も、住宅も含めて老朽化が進むという、世上言われておりますニュータウンのオールドタウン化という問題が発生しているわけでございます。しかし、先人たちの大変な努力で整備された住宅市街地でございますので、これを将来にわたってきちんと生かして使っていく、そのためにどういう施策を総合的に講じていったらいいのか、そういう問題意識で設置されたのが計画開発住宅市街地の今後のあり方検討委員会でございます。

 検討委員会では非常に稠密に御議論を進めていただいておりまして、いわゆるオールドタウン化の問題に対応しながら、少子高齢化への対応、それから男女共同参画型社会の実現、環境との共生といったようなことに取り組んで、二十一世紀のモデルとなるような都市として再生すべきだ、そういう姿勢で御議論をいただいているところでございます。

 具体的な検討状況でございますけれども、現在の居住環境は非常に貴重な空間資源だという認識のもとに、これを生かして新しいニーズに対応していくこと、ストックの有効活用によりまして社会経済情勢に柔軟に対応できる形の機能更新を行うということ、それから、仕事と生活のバランスのとれた暮らし方、多様な世代間の交流、そういう多様性のある地域社会を形成するといったような視点、それから、住民の方々の活動を中心に行政がこれを支援するという形でまちづくりを進めていくといったようなことが大事であるというような指摘がなされております。

 実は、昨日も委員会が開かれまして、提言案が示されました。これからパブリックコメントにもかけまして、十一月中には提言が公表される段取りとなっております。

 私どもとしては、これを踏まえまして、老朽化した住宅・建築物とか市街地再生のための施策を講ずること、地域の管理に住民とかコミュニティーの力を積極的に活用するといったようなこと、それから、ニュータウン全体の将来ビジョンの策定、まちづくりの推進のために、みんなが力を合わせてこれを進めるといったようなことを目指して施策を講じていきたいと考えております。

 また、住民とかNPOそれから地方公共団体などが連携して、ニュータウンが魅力ある地域として再生できるような仕組みづくりについても、法制化も視野に入れて検討してまいる考えでございます。

大塚(高)委員 それでは、さらに、この検討委員会の結果を踏まえた今後の取り組み方をお尋ねします。

山本政府参考人 まず、老朽化した住宅・建築物に対する対応、市街地再生のための対応としましては、公的賃貸住宅の改修とか建てかえを計画的に進めるというようなこと、住宅とか市街地のユニバーサルデザイン化、だれでも安心してきちんと住めるという施設にするということ、団地再生のためのハード面、ソフト面の技術開発による再生モデルを構築するということ、それから、再生を阻害する土地利用規制、建築規制について合理化を図っていくといったようなことに取り組みたいと考えております。

 それから、地域の管理に住民とかコミュニティーの力を積極的に活用するという観点からは、指定管理者制度などを積極的に活用して住民などによる公共施設の管理を実施する、それから、まちづくりを目的とするNPOなどの取り組みを支援するといったようなことを考えております。

 それから、ニュータウン全体の将来ビジョンの策定、まちづくりの推進といった領域につきましては、住民が中心となりまして、公共団体それから公的住宅事業主体ですね、都市再生機構とか供給公社と連携したビジョンづくり、まちづくりを支援していくこと、それから、さきの通常会で特別措置法を制定していただきましたけれども、この中で位置づけられました地域住宅協議会などを活用して合意形成、事業調整を行う、そういった取り組みを考えているところでございます。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 我々の地域には、全国初の大規模なニュータウンである千里ニュータウンというのが選挙区にあるわけでございます。それには、町開きから約四十年が経過をしておりまして、先ほど御指摘ありましたように、ニュータウンから今やオールドタウンというふうに言われるようになってきておるわけでございます。本当に高齢化がどんどんと進んできておるわけでございます。

 その中で、人口も、そのときの計画が約十五万人というふうな計画をしておったわけでございますけれども、昭和五十年の十三万人をピークに、現在は九万人というふうな減少が続いておる一方で、高齢化がどんどん進み、六十五歳の比率が本当にほとんどを占めておる、既に二五%を超えておるというような状況が今続いておるわけでございます。

 そういったことも踏まえて、これからもまた皆さん方とともに協力をし合いながら、御意見を聞きながら、協力して頑張っていただきたいというふうに思っております。

 私の質問は以上でございます。

林委員長 亀岡偉民君。

亀岡委員 自民党の亀岡偉民です。

 私は、十八年間地域の中を歩いて歩いて、体力で当選してきた男でございます。話術は下手でございますが、一生懸命質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 実は、ここに来るまでに、きょう質問しようと思っておりましたら、地方の議会から、地方自治法第九十九条の規定により意見書を持ってきましたということで出されました。「厳しい財源環境の中、公共事業の精選を行い、無駄を省き地方産業の基盤となる社会資本の充実強化を図る必要がある。 よって、政府においては、地方の道路整備状況等を勘案して、道路整備のための道路特定財源を確保し、地方公共団体への配分割合を高めるなど、地方公共団体における道路整備財源が充実されるよう強く要望する。」ということでいただいてまいりました。まさに、地方における国土交通政策に期待をするものは大きいと思います。

 また、九月二十九日の参議院の本会議においても、片山前大臣が同じような質問をされておりました。

 私どもの福島においても、実は中通りと浜通りとございまして、全く生活圏の違うところがございます。そういう中で、経済活性化を図るには何が一番大事かというのは、当然、道路です。ところが、浜通りは残念ながら高速道路はありませんし、新幹線もありません。原発はあるんですが、その避難道路さえない。非常に厳しい状況の中で、ようやく常磐道を着工していただくことができました。しかしながら、着工はしていただいたんですが、相馬までしかまだ計画ができておりません。そして、新地―山元間においてはまだ計画もできていない、こういう状況でございます。道路は、つながって初めて経済効果が上がるものだと思いますし、そのために、みんなその夢を追いながら頑張ってきた。

 そしてもう一つ、私どもの方には、縦横の軸となるべく、中央道というのが計画されておりましたが、さきの国会におきましては、新しい高速道路はつくらないということで、大変、地元の皆さんもがっかりしました。が、国土交通省の頑張りによりまして、高規格道路として、直轄としてやっていただけるようになりましたが、実はなかなかはかどりません。

 そこが福島と山形、米沢、そして相馬とつながることによって、中通りである福島、伊達郡はすばらしい果樹地帯であります、そのすばらしい果樹が三十分以内において浜通りに持っていける、または、相馬港ですばらしい魚介類がとれると、それがすぐに山間部である福島や山形、米沢まで行く。まさに経済効果を期待しての道路行政であったわけですが、今回は非常に厳しい状況になっております。

 昭和六十二年に、四全総と言われる、当時、全国で均衡ある国土発展のために一万四千キロメートルに及ぶ計画がなされましたが、二十年たった現在でも六〇%ぐらいしか完成をしておりません。本当に地域間の格差をなくすことが本来の先進国であるはずなんですが、まだ我が国日本においては地域間格差があるのではないだろうかということを、この十八年間で改めて感じた次第でございます。

 先ほど小里先生からも質問がありましたが、やはり地方においては、この高速道路体系というのは、経済効果を上げるには一番の道路であります。そしてもう一つ、緊急医療体制における道路の役割も非常に大きいものがございます。

 実は、先週、私も地元に帰りまして、お葬式に出てまいりました。原町で私の一番お世話になった方の奥様が亡くなりまして、五十三歳です。脳幹出血における死亡でございましたが、その医療体制、すばらしい医療システムがある大学がない、病院がないということで、福島まで運ばなければいけない。一時間半かけて運ばなきゃいけないんですが、救急車で運んでも一時間十分かかりました。しかも、曲がりくねっているということで、病院から、もう少し早く到着していれば助かったのにと、非常に残念な思いをいたしました。

 まさに、道路行政は、単なる経済効果を上げるためだけでなく、災害の避難道路としても重要な位置を占めますし、その地域の緊急医療体制にもかなり大きな効果をもたらす、そのための道路行政だと思います。

 昭和四十五年から四十六年にかけて自動車重量税がつくられたわけですが、当時の、昭和四十六年の福田大臣の発言にも、道路を損壊し、また道路がよくなり、利益を得る自動車の使用者にその負担を求める、国民から納得のいくことではあるまいか、さように考えて自動車重量税を創設したというくだりがございます。

 まさに、道路は、受益者負担による建設がなされて当たり前かなというふうに私も考えておりますが、最近の新聞報道等によりますと、道路特定財源がいろいろとやゆされております。ぜひここで、前に大臣も答弁をされておりますが、副大臣に、改めて道路特定財源の今後の考え方についてお示しをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

江崎副大臣 亀岡先生にお答え申し上げます。

 先ほど小里委員からも同様の質問がございました。私自身、地方の出身であります。特に今、災害に強い、安心、安全な国土の形成、これは私は、道路の整備がしっかりできることによってつくり上げられると強く思うものであります。

 特定財源については、お答えが重複いたしますが、もう一度亀岡委員にぜひ御理解いただきたいことは、道路特定財源は、道路の整備とその安定的な財源の確保のためにつくられたものであります。受益者負担の考え方に基づき、自動車ユーザーが利用に応じて道路の整備を負担する、理にかなった合理性のある制度だと私は確信いたしております。

 道路整備に対する国民のニーズは、全国的にいまだ強いものがございます。この要求に速やかにこたえるために、平成十五年度以降の五年間の措置として、本則税率の約二倍の暫定税率を定め、自動車ユーザーに負担をいただいているところであります。

 先日の衆議院本会議において、小泉内閣総理大臣から、道路特定財源について、暫定税率との関係、使い道のあり方の見直し等の基本方針を年内に検討するよう指示しているとの御発言がございました。

 これから年末に向けて議論が盛んになるものと思いますが、どうか委員初め皆様には、道路特定財源制度は、受益者負担の原則に基づき、自動車利用者に道路整備のために特別な負担をお願いしている観点から、納税者の理解の得られる範囲で、制度の趣旨を踏まえて検討を進めていくときに、大いにバックアップをお願いしてお答えとさせていただきます。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、そのときに、地方の財源確保のためにもまた加重配分もお願いしたいと思います。

 それから、四全総のお話をさせていただきますが、四全総のときに約一万四千キロの高規格幹線整備事業ということをうたわれたわけですが、現在においてもまだ六〇%しか完成をしていない。まさに均衡ある国土発展のためには、そして国民が平等に得る権利のために、地方にはこの幹線道路整備は欠かせないものだというふうに考えております。

 まして、これから地方の自立ということを考えていく上においては、地域間の格差をなくすために、まだ未整備の地区に関してはこれからも十分な配慮をなすっていただくことが大事だと思いますが、そのことに関して道路局長からお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在の高規格幹線道路一万四千キロメートルは、四全総、昭和六十二年に策定されたものでございます。五番目の全総、二十一世紀の国土のグランドデザインにおきましても継承されておるとおりでございまして、この全体一万四千キロメートルに対しまして、平成十六年度末で八千七百三十キロメートルという供用でございます。

 委員のお話もございましたように、約六割の整備状況ということでございますので、例えば首都圏では、首都高速道路の中央環状線、東京外郭環状、首都圏中央連絡道路、この三つの環状道路の整備率が計画の二四%というようなレベルにとどまっておりますし、また、今お話のございました全国のネットワークでございますが、一部分だけ不連続となっている区間、ミッシングリンクと呼ばさせていただいている場合もございますが、そうした区間がまだ数多く残されているということでございまして、こうした道路整備をしっかりとつなげていくということで大きなネットワーク効果を発揮するのではないかということでございまして、今お話ございました緊急医療体制の改善のみならず、大きな経済効果を期待されているというぐあいに考えておるところでございます。

 委員御指摘の、常磐道の新地―山元の間十六キロメートルはそうしたミッシングリンクの一つということになっておりまして、この区間が事業中の区間とあわせて整備されることによって、相馬―仙台間が高速ネットワークとして完結するということでございます。現在、一時間二十分というような所要時間でございますが、これが完成することによりまして、四割減の五十分ぐらいに短縮されるというようなことで伺っております。

 このように、都市再生、地域の活性化、今御指摘の緊急医療また災害時の信頼性確保といった観点から、重要な役割を担う道路につきましては、可能な限りコストを縮減するとともに、事業の必要性、緊急性をしっかりと評価を行った上で、新直轄というような方式、また改善された有料道路方式、この両輪によって効率的に、スピーディーに高規格幹線道路ネットワークの整備に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

亀岡委員 今の新直轄について、もう少し突っ込んだ質問をさせていただきたいと思います。

 実は、本来であれば中央道と高速道路ができるはずだったところが、新直轄により、高規格道路、国道事業としてやられる。実は、地元の方々は、本当に高速道路ができるということで、基盤整備事業も含めて多大な土地をあけて待っておった。そして、そこにインターの計画がありまして、さんざんそのインター計画も含めて協議をなされてきた。このインターというのは、福島にとっては観光立地をするのにすばらしい観光基地となるべく、皆さんが計画をしてきた。それなのにもかかわらず、民営化となるちょうどはざまに入りまして、公団の職員の方自身が、我々自身の待遇がもうどうなるかわからないから先のことはわかりませんと、一斉にその事業がストップをしてしまいまして、今日に至っております。

 多分、民営化のはざまの中で、こういう地区はあちこちにあるんじゃないかと思うんですね。本来であれば地域の方々と一緒になって連携をしてつくっていくものが、一方的に民営化のことによって約束事が守られなかったり、または計画がつぶれてしまったり、何のために何年もかけて地元の人たちが一緒になって協力をしてきたかということが非常に問題になっております。まさに、民営化することによって、それぞれの地域の計画がつぶれてしまったり、とんざしてしまったり消えてしまったりということがかなりあるんではないだろうかということも踏まえて、民営化がスムーズにいったのかということが一つ質問です。

 それから、あわせてもう一つの質問も一緒にさせていただきますが、実は先日、私どもの地元の市町村長の皆さんが参りました。それは何かといいますと、この財政逼迫した中、昨年からことしにかけて大雪が降ったおかげで、積雪のために除雪作業の費用が莫大にかかった、それが財政を圧迫している。それじゃなくても非常に厳しい状況の中で、この除雪作業に費用を傾けなければいけなかった。今まで高速道路なんかは非常に素早く、瞬時にして除雪をして通らせていただけた。まさに地方の高速道路は生命線ですから、まさに民営化をして、削減削減で、コスト削減の中で、果たしてそういう安全性や利便性が守られるのであろうかということで、地域の市町村の皆さん方が大変心配をしておられました。

 そのことも含めてお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 二つ御質問いただきましたが、後の質問の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 十月一日に、これまでの道路関係四公団が新しく民間会社に生まれ変わりました。六つの民間会社、一つの独法、日本高速道路保有・債務返済機構というような形でスタートしたわけでございます。

 民営化後におきましても、各高速道路株式会社には、独法機構との間で協定を締結し、除雪等適切な道路管理を行っていただくこととさせていただいております。

 ただ、現在、暫定協定ということになっているわけでございまして、年度末までに調整を整え本協定というような段取りでございますが、現在の暫定協定、国土交通大臣が策定させていただいておりますが、その暫定協定の第十条におきまして、「会社は、道路を常時良好な状態に保つように適正かつ効率的に高速道路の維持、修繕その他の管理を行い、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」と規定されておるわけでございまして、本協定におきましても、当然、同様の規定が設けられるものと私どもとしては考えておる次第でございます。

 そもそも、高速道路といいますのは公共の資産でございます。利用者の安全確保を図ることは、利用者サービスの基本であるかと考えております。今般の民営化以降も、当該協定を踏まえ、適切な道路管理を行っていくことは当然のことと考えておりまして、委員御指摘の除雪等の必要な管理がおろそかになることはないというようなことで、しっかりとした協定を締結していただくものと期待しておるところでございます。

 また、インターチェンジのお話がございました。また、住民の方々がこうした民営化の中で不安を抱かれておるということで、御心配をおかけしておるわけでございますが、高速道路はインターチェンジによって地域との接点ができるということでございまして、企業立地の促進、また観光地の充実というようなことで地域の期待が大きいということで、インターチェンジ周辺の開発計画というようなものが多く策定されておるわけでございます。

 ところが、これまでの有料道路でいきますと、大きなインターチェンジで費用がかさむということで、なかなか償還上難しい面があるというようなことがございまして、平成十二年度に、地域活性化インターチェンジということで、地方の御負担をいただきながら、できるだけ有料道路を活用していただくというような制度ができております。全国で九カ所あるわけでございますが、既に八カ所につきましては連結許可申請がなされておるということでございますが、委員の御指摘のございました御地元の大笹生インターチェンジにつきましてはまだ現在出されておらないということでございまして、聞くところによりますと、インターチェンジ周辺の開発事業計画の見直しが行われたというぐあいに聞いておるわけでございます。

 また、平成十五年度には、高速道路の整備手法として、この民営化の議論の中で新直轄方式ということが出されたわけでございまして、このインターチェンジを含む区間につきましては、整備主体が日本道路公団から国の方に移行したというようなことでございまして、国がしっかりと対応させていただきたいと思います。

 いずれにしましても、全国的にインターチェンジの要望が強いということでございまして、そのことによって地域の活性化が図られるという側面が大きいわけでございますので、民営化以降におきましても、新会社、国にかかわらず、住民の方々の不安のないようにしっかりと調整をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

亀岡委員 ぜひ、多分、私どものところだけではなくて、全国的に移行時に国土交通省との話し合いがうまくできるように、御配慮のほどお願いしたいと思います。

 それから、もう一つ道路公団の関連で聞きたいことがございまして、マスコミ等で剰余金という話がたくさん出ておりますが、本来であれば、道路公団関連の企業が剰余金ということであれば、これは本来受益者負担であった、その中で出されているわけですから、道路に使われるのが筋だと思いますし、また、道路整備事業にどんどん使っていただきたいというあちこちでのお話があるわけですが、現状において制度的にもし難しいということであれば、どういう施策が考えられるのか、見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

谷口政府参考人 剰余金の問題につきましては、ファミリー企業改革の一環で大きな課題と認識をさせていただいております。

 ファミリー企業の剰余金の還元につきましては、平成十五年三月に、道路関係四公団民営化に関し直ちに取り組む事項として、その中で、可能な限り高速道路利用者に還元するため、具体的な活用方策を検討することとされておるところでございます。

 こうした方針を受けまして、道路関係四公団におきまして、政府・与党協議会の決定に基づきまして、ファミリー企業に対して働きかけを行ってきたところでございまして、これまでのところは、障害者ドライバーのETC装着に対する助成として十億円を拠出するなどの還元策が講じられたところでございます。

 また、本年の八月に発表されました、ファミリー企業等により構成されました高速道路関連社会貢献協議会が公表したところによりますと、その社会貢献事業は四点ございますが、一点は、高速道路の高度な交通事故対策、災害防止対策、救命救急対策の実施への支援、二つ目は、障害者、高齢者、幼児等を中心としたお客様サービス向上支援、三つ目は、高速道路におけるきめの細かい環境保全対策等の支援、四番目は、地域、社会等による高速道路の理解、活用への支援というようなメニューが出されておりまして、その所要額がおおむね百億円程度と見込まれておるところでございます。

 しかしながら、この事業規模につきましては、出発点であるという認識でございまして、今後、社会経済情勢やニーズ等を踏まえながら、そのメニューや所要額等について可能な限り利用者に還元するよう努めていただきたいと考えておるところでございます。

 民営化が行われたわけでございますので、これまでの公団の業務は、例えばJHでいきますと三つの新会社が引き継がれるということになっておりまして、去る九月の二十九日には大臣から改めて、各会社のその時点では会長、社長予定者でございますが、訓辞を行っていただきました。今後は、各社の新経営陣の方針に基づいて、それぞれ可能な限り拠出を求めるよう努力していただきたいというような訓辞をしていただきました。

 そうしたことでございますので、国土交通省としましても、新会社ごとの還元額の推移等についてしっかりとフォローをさせていただきたいと考えておるところでございます。

亀岡委員 どうもありがとうございました。ぜひ、道路公団の民営化が本当に、これから地方のインフラ整備事業も含めて、有効に生かされるようお願いをしたいと思います。

 それから、もう一つだけ追加でお願いなんですが、私どもの相馬港もかなり整備をしておりますが、先ほど言ったように、常磐道がまだできておりません。当然、常磐道ができていないということは、そこにアクセスする道路もできていないわけですが、今までにはたくさん、空港が整備されたり港湾が整備されたところには必ずアクセス道路ができております。今、公共事業削減の中で、これから経済効果を上げなきゃいけないという地方がまだまだたくさんあると思いますが、そういう、これから頑張らなきゃいけない、経済効果を上げるために、今、相馬港と高速道路を結びつけるようなアクセス道路も含めて、地域の活性化になるような施策というのはどうお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。

 局長、よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省の大きなミッションの一つに、陸海空の総合的な交通体系の構築があると考えております。

 今委員御指摘のとおり、港湾から高速道路、高規格幹線道路等へのアクセス道路の整備につきましては、国際物流というようなことも大臣が最重要課題の一つに選定されておりますので、そういった観点からも、きちんとしたアクセス道路の整備は喫緊の重要な課題と認識をしておるところでございます。

 しかしながら、我が国におきましては、特定重要港湾等の拠点的な港湾、空港も入るわけでございますが、港湾等のうち、高規格幹線道路等の自動車専用道路のインターチェンジ等から十分以内で到達可能なものの割合は、平成十六年度末で六一%というような水準でございます。欧米先進諸国は九割近いというような状態でございますので、できるだけ早く九割というような目標に向かってしっかりとした取り組みをさせていただきたいと思っておる次第でございます。

 そのほかの港湾とのアクセス道路につきましても、地域の状況に応じていろいろな工夫をしながら、所要の道路整備を行っていければと思っております。

 いずれにしましても、港湾等との連携を高めるために必要な道路というような認識で、港湾局とも連携をしながら、しっかりとした取り組みをさせていただきたいと考えておるところでございます。

亀岡委員 ありがとうございました。

 では、最後にもう一つだけ。

 実は、国鉄が民営化されましてJRになって、整備新幹線等大きな事業はかなり注目されておりますが、例えば私の地元のように、先ほどお話しした相馬の方は、特急も通らない単線の線路でございます。常磐線というのは本当に一時間に一本来るか来ないか、こういう線路でございまして、これから本当に経済効果を上げるには、観光資源を生かしたり、相馬港を生かしたり、さらには原子力に対する避難の鉄道としても生かされるべき、これから地域活性化に必要な計画をしたいと思っても、JRが民間になってしまいまして、なかなか相談ができるのかできないのか。こういう困っている地域は各地域にたくさんあると思います。

 そういう、本当に大きな開発ではなくて、それぞれの地域の中で、例えば複線化をして少しでも観光客を誘致して経済効果を上げようというような計画が、これからもそういうことが可能なのかどうかぜひお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

梅田政府参考人 先生御指摘の、在来線の鉄道の高速化、複線化などによります利便性の向上についての問題でございます。

 御指摘のとおり、JRは民営化して十八年たちました。そうした中で御指摘のような要望のところが多々あるということは、私どももよく存じ上げているところでございます。

 しかしながら、先ほどおっしゃられました点につきましては、基本的には、輸送需要の動向であるとか、あるいは収支採算性などを総合的に勘案した上で、事業者の経営判断で行うというのが建前でございます。まずは、その沿線の自治体の方々と事業者の方々との間で十分検討していただきたいというふうに思っております。

 十分検討していただいて、その上で、その案件につきましてある程度いけるような、そういうような熟度が高まりましたら、私どもといたしましても、幹線鉄道等活性化補助制度という制度がございます。現実にこういう制度を使ってやっているところもございます。こういうものを活用しながら、必要に応じまして適切に支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございました。ぜひ、地方における国土交通行政に期待するものは大きいと思いますし、先にやったところはいいけれども、これからやるところは、後出しはだめだというようなことではないように、均衡ある国土発展のためにこれからも地域の声をしっかりと聞いていただければと思いますので、そのことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 盛山正仁君。

盛山委員 ありがとうございます。

 私は、今回の総選挙で兵庫一区から初当選いたしました盛山といいます。どうぞよろしくお願いします。選挙区は、神戸市の東灘区、灘区、そして中央区でございます。よろしくお願いします。

 それでは、地元の案件からちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。

 神戸ということで、港神戸、神戸港があるわけでございます。私、以前、十年近く前でございますが、海運ですとか港湾ですとか、そういった問題を担当していたことがあります。当時は水深十四メートルのバースがまだなかなかなくて、十一メートル、十二メートルで、大型のコンテナ船を受け入れるために十四メートルを掘らないといけないですとか、そんなことを言っていたわけなんですけれども、十年たつうちに、どんどんどんどんコンテナ船も大型化が進んでいるようでございまして、今、八千から一万TEUの船がこれから四、五年のうちに百隻以上出てくる、こういうようなことが言われているようであります。日本の中でも、水深が十六メートル、あるいはもっと深い十七、十八といったような港ということをこれからお考えになっておられるというふうにも聞いております。

 また、国土交通省は、スーパー中枢港湾ということで、現在そういう指定をされて、港湾の国際競争力の強化ということで力を入れて取り組んでおられるということを承知しておりますけれども、神戸を初め日本のスーパー中枢港湾におきまして、今後、十年後あるいはもう少し先をにらんで、そういう一万TEU近くの大型のコンテナ船を受け入れられるようになるのかどうか。

 やはりそのユーザー、つまり船会社が使うかどうか、そういう観点を持ってやっていただきませんとなかなか、日本をコンテナ船の外航の航路から抜港する、つまり日本を立ち寄らずに、例えば香港ですとか台湾の高雄あるいはシンガポール、そこから直接北米に行くですとか、そういうことになるんじゃないかと懸念されるものでございますので、日本の重要な国際競争力のある港湾にするためにどのように対応されるのかを、まずお尋ねしたいと思います。

鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 八千個を超えるコンテナを積める大型、超大型と言った方がよいかもしれませんが、大型のコンテナ船につきましては、現在までのところ、我が国に寄港するコンテナ航路にはまだそういう船は就航をしてございませんが、ヨーロッパと北米を結ぶようなコンテナ航路には既に就航が始まっておりまして、ただいま委員御指摘のとおり、今後さらに、二〇〇九年までに新たに約百三十隻がアジア、ヨーロッパ、北米といった地域をそれぞれ結ぶ基幹航路に投入をされる見通しとなってございます。

 こういった大型のコンテナ船が就航するためには、今御指摘のございましたように、水深十六メートルの、大水深の岸壁が必要になってまいりますが、既にアジアの主要港におきまして、例えばお隣の釜山港におきましては十三バース、中国の上海港におきましては五バース、シンガポール港においても五バースがそれぞれ整備中であるなど、それぞれの国において着々とその準備が進められております。

 このような状況に対応いたしまして、我が国におきましても、既に横浜港において二バースが供用をされておりますし、現在、大阪港、名古屋港において整備を進めているところでございます。

 私どもといたしましては、我が国の港湾の国際競争力を強化していく観点から、委員お地元の阪神港、あるいは京浜港、伊勢湾、それぞれのスーパー中枢港湾におきまして、こういった大型のコンテナ船の就航に対応した施設整備も含めまして、ハード、ソフト両面にわたるサービス水準の一層の向上に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

盛山委員 お答えありがとうございます。ハードの面の整備も、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 これまで、国土交通行政、なかんずく交通行政については、旅客を中心とする、人の輸送でございますね、これを中心とする行政というんでしょうか、どちらかというと物流については少し力が弱かったのではないのかなと私には見えるわけなんでございますけれども、今港湾局長の御答弁にもありましたけれども、今後の将来を見据えて、いろいろ目配りをしていってほしいと思います。

 ハードの整備ということでいいますと、先ほど、前の亀岡議員の御質問のときに道路局長もお答えになったかと思いますが、物流といいますと、港も大きな役割を果たしますが、港だけではございません。港に陸揚げをしたら、その後トラックに積みかえるあるいは鉄道に積みかえる、あるいは港であっても外航船から内航船に積みかえるですとか、いろいろな形での受け渡しが必要になります。そういう点で、港湾局一局ではなかなか難しいのではないかと思います。

 国土交通省、陸海空所管しておられるわけでございますので、各局にまたがるようなことをしっかりと、物流をどういうふうにすればいいのか、考えていっていただきたいと思いますし、また、例えば貿易、外交の関係でいいますと、CIQということになりますと、国土交通省だけでは済まない問題ではないかと思います。ほかの財務省ですとか農林水産省ですとか、関係の省庁ともよく御連携をとっていただく必要があるのではないのかなと思われます。

 結局、お客さん、ユーザーあっての商売ということになります。人、旅客でいいますと、例えば、日本の飛行機に乗りたいあるいは成田経由で行きたいというようなことで、ほかの外国のエアラインよりも日本のエアラインに乗りたいですとか、そういうようなことがあるわけでございますが、物流、物に関していいますと、物は一切文句を言いません。荷主さんが、どこからどこへ運ぶのに一番経済性があってメリットがあるのはどこか、そういう大変にシビアな経済性の原則で荷物の動きががらっと変わっていくのではないかと思います。

 どうか、そういうユーザーの目に立って、どういうふうにすれば日本が、例えば貿易でいいますと、東アジアの中で今後とも、香港やシンガポールや台湾や韓国、そういう近隣の諸国に負けない、しっかりとした競争力のある地位にできるのか、こういう観点で物流行政に取り組んでいっていただきたいと思います。

 また、国内の物流においても同様であるかと思います。最近国土交通省では、大臣の御指示で、ことしの春からでございますか、物流に力を入れるというような体制もできているやに伺っております。また、ちょうどことしは新総合物流施策大綱の見直しをやっておられる、そういうタイミングであるとも伺っておりますので、大綱の見直し、あるいは物流の総合的な施策としての各局あるいは各省との連携、こういったことについて御所見を伺いたいと思います。

杉山政府参考人 ただいま先生の方から物流行政、特に現在進めております総合物流施策大綱の見直し、あるいはその見直しに当たりましての省内の連携あるいは省庁を超えた連携といったことにつきまして、お尋ねがございました。

 先生御案内のとおり、総合物流施策大綱につきましては、現在、平成十三年にできたものがございますが、ちょうど今見直しの時期にあるわけでございます。

 平成十三年以降、いろいろな物流環境は変化したわけでございますが、例えば国際物流に関して申し上げれば、東アジア地域における経済交流の拡大といったことが非常に大きな点かと思います。また環境面で申し上げれば、京都議定書の発効による環境対策の強化、さらには米国の同時多発テロもございまして物流の面でもセキュリティー対策の強化といったことが言われているわけでございます。こういった環境の変化を踏まえまして、現在大綱の見直しをしているところでございます。

 今先生の御指摘にもございましたように、私ども、大臣の御指示も受けまして、こういった情勢の変化を踏まえながら、省内に国際物流施策推進本部というものを設置いたしまして、文字どおり関係局間の連携のもとにことしの七月に具体的な施策を取りまとめをして、現在、工程管理を行いながら、スピード感を持って一体的、総合的に施策を進めさせていただいているところでございます。

 さらに、国際物流施策の取りまとめなどを踏まえまして、現在、早期に閣議決定ができますよう総合物流施策大綱の作業を行っているところでございます。この大綱では、冒頭でも申し上げましたような情勢の変化を踏まえまして、ユーザーの見地も取り入れながら、スピーディーで円滑かつ低廉な国際、国内一体となった物流の実現、あるいはグリーン物流などの効率的で環境に優しい物流の実現、それから消費者や市場のニーズを重視いたしました効率的物流の実現、それから国民の生活の安全、安心を支える物流システムの実現、こういった点を基本的な方向を示すことを考えているところでございます。

 それから、今先生御指摘ございましたように、いわゆる省庁間の連携ということも非常に大事だと思っております。私ども、この大綱を今後策定し、またそのフォローをするに当たりましては、関係省庁間がこれまで以上に連携、協議して一体的に推進を図る必要があると考えておりまして、このために、関係省庁による総合物流施策推進会議の場におきまして、この大綱に基づく具体的な施策の取りまとめ、フォローアップというものを進めていきたいと思っている次第でございます。

 また、先生お話ございましたように、ユーザーの視点というのが非常に大事でございます。こういった点につきましても、特に、荷主と物流企業の連携ということも極めて重要なことだと考えておりますので、例えば、私どもの、ことしの四月からでございますが取り組んでおりますグリーン物流パートナーシップ会議におきまして、国、荷主企業、物流企業の連携などに広く国民の理解と協力を得ながら、関係者の取り組みが最大限の効果を発揮できますよう、引き続き連携、協働を深めてまいりたいと思っている次第でございます。

盛山委員 先ほど同僚の大塚議員から大阪国際空港についての御発言がありまして、やりとりを聞いておりまして、感慨無量でございました。

 と申しますのも、以前私は騒音対策その他を担当しておった時期がございまして、当時は伊丹市長を初めとする十一市協から、伊丹はまず閉鎖をするんだ、それが前提なんだ、こういうようなやりとりをさせていただいた覚えがあるものでございますので、いや、やはりもう環境は変わったな、こういうふうに思っております。

 ただ、私どもの方からしますと、地元神戸での待望の神戸空港がやっと来年の二月に、もう三十年ぶりというんでしょうかね、大変長らく期待された空港が開港するということで、地元としては神戸空港、もちろん関西国際空港、大阪国際空港、三空港あわせての連携を図ってということで考えておりますが、神戸空港がもう本当に神戸の活性化のためにも起爆剤になってくれるんじゃないか、こういう期待を持っている市民が大多数でございます。

 そこでお尋ねをしたいんですが、神戸空港につきまして、発着の時間ですとか枠ですとか、ほかの二空港との関係もございまして、いろいろな制約があるやに聞いております。どのような位置づけ、役割であるのかということをお尋ねさせていただければと思います。

岩崎政府参考人 神戸空港の役割でございますけれども、もう先生御案内のとおり、関西三空港の中で神戸空港をどう位置づけていくかということを考えながら進めていきたいと思っておるところでございます。

 神戸空港は、神戸市とその周辺の国内航空需要に対応する空港として役割を果たしていただければいいのか、このように思っておるところでございます。来年の二月に供用開始の予定ということで、既に航空会社の三社から七路線、計二十七便を就航したい、こういう表明が出てきております。神戸市とその周辺の航空需要にこたえていけるものと考えております。

 私どもとしても、先生おっしゃった、関空、伊丹、神戸それぞれが、役割を分担しながら連携を図っていって育っていってもらえればいいのか、このように思っておるところでございます。

盛山委員 ありがとうございました。

 ことしの春開港した中部国際空港のような形で、にぎわいのある空港に神戸空港が育っていけばいいなと我々も期待をしているところでございます。もちろん、需要あっての航空路線ということにもなるでしょうから、地元の活性化、そしてそれに伴って航空需要が地元からも伸びてくる、こういうような形で我々も努力したいと思っております。

 そこに関係してでございますが、地元神戸では、神戸空港に対する期待は大変高いのでございますけれども、こちら東京にいますと、神戸空港の開港を知らない人も大変多うございます。やはりローカル空港なのかなということも意識せざるを得ないわけなんでありますけれども、来年の二月の開港の直前に、例えば滑走路を使ってのイベントですとか、神戸空港の知名度を上げるためのそういった催しなんかを企画したいと我々地元の方では考えておりますので、どうか御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御案内のとおり、神戸空港設置管理者は神戸市でございますので、そうしたイベントの企画等々、神戸市中心になってやっていかれるものと承知をしておりますけれども、そうした際に、私どもとしてできる協力等々については前向きにやらせていただきたい、このように思っておるところでございます。

盛山委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと法律の質問を二問と思います。

 まず、この特別国会に耐震改修促進法の改正案が出されております。私の実家は西宮でございますが、昭和三十七年の建築で古かったこともあるのでしょう、さきの震災で全壊をいたしました。この法案によりまして、その私の実家のようなぼろ家がつぶれることがないように、新しい建築基準法にのっとった形で耐震性の強い形の住宅がふえていって被害がないようになるということが望ましいことである。そういう点では、この法案、本当はもっと早く出していただければよかったというふうにも思うわけでございますが、何はともあれ、とにかく、できるだけ早くこの特別国会で審議がなされ、成立されることを心から期待しているわけでございます。

 この法案によりまして、現在、どの程度の住居が、昭和五十七年でございましょうか、建築基準法の改正前の古いものであって、それが今後耐震性が強化されるものに改修されるというふうに見込んでおられるのか。また、それぞれの改修に当たっては、それなりに相当の費用がかかると思います。そういった費用負担につきまして、政府としてどのような支援策をお考えなのか。

 さらには、この法律とは別になるんでしょうけれども、今後とも、新しいしっかりとした家、耐震性の点でもそうでございますし、昨今言われております地球温暖化の観点でも環境に優しい、そういうような新しい家が整備されますように国土交通省として、住宅が改修される、あるいは新基準になられることに向かって、どのような御支援を考えておられるのかお尋ねしたいと思います。

山本政府参考人 大規模地震による人命に対する被害ということを考えますと、通常、地震発災時の応急対応が非常に派手ですので、耳目を引きつけやすいんですが、現実には、建築物の倒壊によって亡くなられる方が非常に多い。阪神・淡路大震災で六千四百三十三人が亡くなられましたけれども、後での調査によりますと、八八%が建築物の倒壊によって命を失われたという結果が出ておりまして、ほとんどが即死状態でございます。したがって、大規模地震から国民の命を守るという観点からは、あらかじめ建築物の耐震性能を高めておくということが非常に大事なわけでございます。

 この耐震改修を進めるという観点から一番ネックになりますのは、やはり建築物あるいは住宅の所有者の意識がなかなかついてこない、地震に対する災害の現実と所有者の意識に大きなギャップがあるということでございます。

 ですから、今回の改正の一番の主眼点は、何とかして建築物の所有者、住宅の所有者にきちんとした問題意識を持っていただいて、あらかじめ的確に耐震化を進めていただけるようにするためにはどうしたらいいかということで、例えば一つだけ例を挙げますと、地方公共団体に前に出てきていただいて、耐震改修促進計画をつくっていただいて、地域ぐるみでこの耐震化の問題に取り組んでいただくというような枠組みをつくることをお願いしております。その上で、建築基準法上の特定行政庁でございます地方公共団体に対する権能を強化したり、さまざまな支援策を講じることとしているところでございます。

 この法律ができました暁には、さらに十八年度の予算要求、それから税制改正の要望で必要な措置をいろいろお願いしております。

 予算につきましては、現在、建築物、住宅の耐震改修促進のための補助制度がございますが、それに非常に厳しい地域要件が課せられておりますので、地域要件を撤廃して、全国でこの耐震改修を支援することができるようにしたいということ、あるいは、特定の大事な道路については、沿道の建築物に対する助成の補助率を高めていただくことといったようなことをお願いしております。

 それから税制につきましても、昨年度来の懸案でございますけれども、耐震改修に要しました工事費の一定割合を税額から控除していただく耐震改修促進税制の創設をお願いしているところでございまして、法律による制度的枠組み、それから予算による助成、税制といったような形で、総合的に耐震改修がきちんと進むように取り組んでまいりたいということでございます。

盛山委員 ありがとうございました。

 ぜひ、家を買う、あるいは改修ということでも、大変高い買い物でございます。なかなか個人で簡単にできるというものではないかと思いますので、手厚い助成策その他、進むような形の施策を今後とも引き続きお願いしたいと思います。

 続きまして、交通バリアフリー法とハートビル法を見直すというような、そういうタイミングになっているかと思いますので、これについてお尋ねをしたいと思います。

 私、五年ほど前にこの交通バリアフリー法、担当課長といたしまして、いろいろ障害者の方、その他いろいろな方とお話をして、この法案の裏方として作成に微力ではございますが力を尽くさせていただきました。ちょうどそのときの法案の中で五年の見直し、そういう時期に来たんだな、あっという間に五年たったんだな、こう思っているわけでございますけれども、交通バリアフリー法、当時も、駅や空港その他という点だけではなくて、もう少し広い面的なものをというようなことである程度目指したつもりではございますけれども、やはり町中全体を見てみますと、なかなか、そういうようなバリアフリーが進んでいるということにはまだまだ遠い状態ではないかと思います。大臣も、ことしの夏、神戸でユニバーサルデザインの会議があって、それにも御出席されたと伺っております。

 今後、障害をお持ちの方あるいは高齢者の方、移動障害をお持ちの方が、もっともっと町の中へ出て行けるようにするためにはどうしたらいいのか、当然そういう観点で、現在、国土交通省で交通バリアフリー法とハートビル法の見直しを進めておられるところではないかというふうに考えております。どのような内容のものを現在お考えであるのか、現在の段階でお伺いできることはどういうことかということと、それから、今回、法改正になるんでしょうか新法になるのか私にはわかりませんが、その内容の作成に当たっては、やはり障害をお持ちの方あるいは高齢の方の御意見その他をぜひよくお聞き取りいただきまして、みんなにとって使いやすい、そういうような法案にしていっていただければと思います。

 私が言うまでもないかと思いますが、少子高齢化が進んでおります。日本は世界一の高齢化社会になります。六十五歳以上を高齢者と言うのがいいかどうかということについては疑問はあるんでしょうけれども、もう五人に一人が高齢者、こういうような世の中になってまいります。健常者であっても、みんなにひとしく高齢化はやってまいります。そういうことをお考えの上、ぜひいい内容のものにしていただきたいと思いますので、お答えをいただければ幸いでございます。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 高齢者や障害者を含むすべての方々が安心して生活できるバリアフリー環境の整備、これは非常に重要な課題でございまして、先生今御指摘でありましたように、五年前に交通バリアフリー法というのがつくられまして、これによりまして、公共交通機関や駅周辺の歩行空間のバリアフリー化が進んでまいりました。また、ハートビル法による病院、百貨店などの不特定多数の方が利用する建築物のバリアフリー化も推進してまいりました。

 今後、少子高齢化ということで、従来のバリアフリー施策に加え、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの考え方に基づきまして、まちづくりや交通環境整備を進めることが必要であると考えております。

 このため、国土交通省では、本年七月にユニバーサルデザイン政策大綱というものをまとめまして、「建築物や公共交通機関のバリアフリー化、駅等を中心とした一定の地域内における一体的・連続的なバリアフリー化を促進し、バリアフリー施策を総合的に展開するため、ハートビル法と交通バリアフリー法の一体化に向けた法制度を構築する。」こういう方針が示されているわけでございます。

 この大綱をつくるときに、先生今御指摘ございましたが、高齢者、障害者等利用者の視点から、よく御意見を聞いてということでございましたが、この作業とあわせまして、懇談会を設けまして、さまざまな方々の御意見もいただきながら、この政策大綱というものもまとめてまいりました。

 今後、法案を次期通常国会に提出するべく今準備を進めております。

 この内容でございますが、現在こんなことを考えております。

 一つには、できるだけ幅広い施設のバリアフリー化を促進すること、二つ目には、今申しました高齢者、障害者等利用者の視点に立って、一連の行動に対応した連続的かつ一体的なバリアフリー化を促進すること、三つ目には、計画段階から高齢者、障害者等利用者の参加を促進すること。せっかくつくりましても、そういう利用者の方々の気持ち、声が反映されていませんと使われない、こういう事例もあるようでございまして、こういう点によく注意して進める必要があると思います。

 今後とも、高齢者や障害者の方を含め、すべての人々が安心して生活できるバリアフリー環境の整備に向けて、各種施策を進めてまいりたいと考えております。

盛山委員 ありがとうございました。

 ぜひ、みんなにとって使いやすい、高齢者、障害者にとって優しい日本全体の国土になるように、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、安全性の観点で一つ御質問させていただきたいと思います。

 先日、大臣、尼崎の福知山線の慰霊祭にも御出席でございました。私もその場に出席させていただきましたし、以前、信楽高原鉄道の事故が起こったとき私も担当でございましたので、信楽での慰霊祭にも伺ったことも思い出しながら、あの場に座っておりました。

 やはり我々一般の国民からしますと、まず、車に乗っての交通事故というのはあるかもしれないな、運が悪ければ飛行機の事故もあるかもしれないなとは思うわけでございますけれども、鉄道に乗っていて事故が起こるということは普通考えないわけでございます。一番安全な乗り物が鉄道であるというのが我々の常識であろうかと思いますが、あのような事故も起こるというのが残念ながら現実でございます。

 また、最近、航空会社でございますとかほかの運送事業者でも、いろいろ、これまでには余り見られなかったような、どちらかというと人的な原因による事故というのでしょうか、重大事故につながらなくても、そういうような事故がぽつぽつと散見されているというのが最近ではないかと思います。どうしてこういうふうになったのかな、以前はこんなような事故が起こらなかったのにな、そういうように感じる事故がふえております。

 国土交通省では、現在、役所の中で、まずは事故対応、事故をどうやって、ヒューマンエラーをどうやって防止するのか、こういうような体制強化を図られているというふうにも伺っておりますし、また、それぞれの事業者さんに対しまして、その事業者の中での例えば外部監査というのでしょうか、公認会計士の方が会社の会計監査をするような形で、その会社の安全の取り組みについて、第三者機関、外部監査のようなことを入れて、安全性、安全運行の強化を図っていかれる、そういうような動きであるというふうに伺っているところでございます。

 安全は国土交通行政の要諦というのでしょうか、一番基本なところであろうかと思います。ぜひこの点につきまして、大臣から、どのような取り組みをされようとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 まず冒頭、参議院の方で郵政事業民営化法案の審議に出ておりまして、この委員会に参ったのが遅くなったことをおわび申し上げたいと思います。

 今委員の方から、公共交通における安全確保についての御質問をちょうだいいたしました。何といっても公共交通において一番大事なことは、これは、利用者の皆様を安全に輸送するというのが最大の役割であり、使命であるというふうに思います。

 残念ながら、今委員からお話がございました、四月の二十五日にはJR西日本の福知山線であのような惨事になってしまいました。また、それ以外の交通モードにおきましても、さまざまトラブルや事故が続いております。

 今、鉄道であれ航空であれ、昔に比べますと装置や機械類というのは非常に高度化されております。にもかかわらず、そうしたトラブルや事故が起こっている。ある方に言わせますと、逆に、そういう装置や機械が高度化をすることによって、安全に対する人間の意識が弱くなってきているのではないか、こういうふうなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、一連の事故やトラブルを見ますと、ヒューマンエラーと言われる人為的な要素にかかわる事故、トラブルというのが非常に多いわけでございます。

 私は、そうした一連の事故またトラブルを通じて、このヒューマンエラーの問題について、事業者の方々はもちろんのこと、私ども行政の方も、もう一度このヒューマンエラーによる事故防止対策というものをしっかりと専門家の先生方にも入っていただいて検討しないといけない、そう思いました。

 それで、今省内には公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会というものを設置いたしまして、外部の先生方にも入っていただいて、八月に中間取りまとめをさせていただきました。最終的には年度末になるかというふうに思っておりますが、そこで、その中間取りまとめでは、事業者におきましてはトップから現場まで一丸となった安全管理のための体制の構築を図ること、さらには、その安全管理体制の確認を国が行う安全マネジメント評価の仕組みを導入すること等々具体的な方向性を示していただいたところでございます。

 もう一点、一連の事故、トラブルを通じて私が感じましたことは、やはり、私ども行政のあり方も検証をしていく必要があるなというふうに思いました。

 例えば、国土交通省というのは、社会インフラの整備、交通インフラの整備をしっかりやっていこう、これが一つ大きな仕事がございます。鉄道でいいますと、例えば整備新幹線をどう整備するかとか、航空でいいますと、国際競争力を維持向上していくためにどう立派な国際空港をつくっていくか、こういう社会資本整備という大きな仕事があります。

 もう一つ大きな仕事は、先ほど委員がおっしゃっていただいた安全確保ということをしっかり図っていかないといけない。

 例えば、鉄道局、航空局で今まで両方の仕事を当然やっておったわけでございますけれども、私は、国土交通省の中でそういう公共交通の安全確保ということを専ら担当していく部署というのが必要ではないか、もう朝から晩まで、年がら年じゅうこの公共交通、横断的にかなり共通するものもございますので、その安全確保ということに専念をしていく、そういう部署があるべきではないかというふうな意見も申し上げました。

 今検討をしているところでございますけれども、大臣官房に運輸安全政策審議官という、これは仮称でございますけれども、それをヘッドとする専任の公共交通の安全監視組織をお願いしたいということで、実を言いますと準備を進めているところでございます。

 国土交通省といたしまして、今申し上げましたヒューマンエラーによる事故防止をしっかりと進めていきたい、そのために、事業者の安全管理体制の構築、国の安全マネジメントの評価の仕組み、そうしたものの早期の実施をしていきたいと思いますし、また行政側の方も安全確保ということを専らの仕事とする、そういう部署もつくっていかせていただきたいというふうに思っておりまして、いずれにしましても、国民の公共交通機関に対する信頼の回復に向けまして全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

盛山委員 ありがとうございました。以上で質問を終了します。

林委員長 長妻昭君。

長妻委員 今度民主党の次の内閣の国土交通担当になりました長妻昭と申します。我々といたしましては、対案、提言と監視をする、こういう姿勢で取り組んでまいりたいというふうに考えておりますので、御指導方よろしくお願いを申し上げます。

 そして、公共事業に関しましては、コストが安くて質の高い社会インフラを提供していく、これに全力でまず取り組む必要があるというふうに考えております。

 そして、まず初めの質問は、大変情けない事件が起こった、これに関する質問でございますが、国土交通省の職員が職場でばくちをしていたということで十六人が書類送検されたということがございますけれども、マスコミ情報でも結構でございますので、事件の概要と今後の方針をお答えいただければと思います。

北側国務大臣 私が報告を受けている内容を答弁させていただきたいと思います。

 これは警察の記者発表でございますが、本日でございます。

 野球賭博で十六名が検挙された。昨年とことしの夏の高校野球におきまして、四十九校の勝敗の結果に対する加算ポイント制によるランクづけをして、獲得ポイントの上位者などに配当金を渡す約束のもと一口千円の金額をかけて得点数を争う方法の賭博をした、いわゆる野球賭博ですね、こういうものをしたということでございます。

 私が報告を受けておりますのは、平成十六年は、一人千円申し込んで総額一万三千円、それで、優勝者に九千円を渡してブービーの方に四千円ですか、賞金は一万三千円が総額なんですが、これをすべて表彰時の飲み会費用、二次会費用に受賞者から拠出をしてもらっている、こんな事案でございます。十七年につきましても同様なことがあったんですが、申込金の徴収は行われずに、賞金の受け渡しも行われていないということだそうでございます。

 いずれにしましても、国土交通大学校の職員が賭博の容疑で検挙されたこと、極めてこれは遺憾と言わざるを得ません。刑事事件としての捜査の推移を見ながら、厳正に対応したいというふうに考えております。

長妻委員 報道によりますと、業務用のパソコンのメールを使って呼びかけて、お金の受け渡しも職場でやっていたということで、学校の、大学校の職員ですから、業務がそんなに暇なんであればやはり業務の効率性の見直しもいただきたいというふうに思います。

 そして、北側大臣、就任されてちょうど一周年になるというふうに思いますが、何か来月内閣改造というような情報もございまして、北側大臣、この一年という期間が一つのけじめの期間でもある可能性もあると思いますので御質問申し上げますと、北側大臣がこれまで一年国土交通大臣をされて、実績として胸を張れる実績、ひとつ簡潔にお答えいただければと思います。

北側国務大臣 さまざまお話ししたいことはございます。

 私就任したのが昨年の九月の二十七日だったんですが、それから一カ月間というのは次から次へ災害が起こりました。昨年は台風が十個上陸したんですけれども、台風二十一号、二十二号、二十三号、そして十月二十三日には中越の地震と、この一カ月、大変災害が多発をいたしました。私自身も、どの災害におきましてもすぐさま現場に行かせていただきました。また、現地の被災者の方々、その市町村の方々からも、さまざまお話も直接承ってまいりました。

 そういう中で、災害というのはない方がいいに決まっているわけでございますけれども、災害に強い国土をつくっていくというのはやはり我が国の、我が国は災害が多い国土でございますので、災害に強い国土づくりをしていくということは私は政治の最優先の課題であるというふうに、改めてそうした災害を通じまして実感をし、私自身、国土交通省の中で、また政府の中でさまざまな施策を前に進めてきたというふうに思っているところでございます。まだこれは途中段階でございますが、しっかりと前に進めさせていただきたいと思っております。

長妻委員 次に、アスベスト対策についてお伺いするんですが、国土交通省は、官公庁の建物やあるいは一千平方メートル以上の民間建築等々の調査、改善を御担当されているということですが、例えばの事例で、この国会議事堂の中や議員会館の中、ここにアスベストがあるというふうにも、設備室とか倉庫が大半だそうでございますが、あるというふうに聞いておりますけれども、例えば議員会館、国会議事堂の中、どの程度アスベストを把握されておられますか。

林委員長 竹歳都市・地域整備局長。(長妻委員「あれ、これは出しておりません、委員長」と呼ぶ)

 北側大臣。

北側国務大臣 事前に今の御質問を私は承っておらないんですけれども。政府参考人が答えられるならば答えさせていただきたいと思いますが、私は具体的にどこにあるというのは聞いておりません。

長妻委員 事前に質問通告をしておりまして、そして政府参考人はお呼びをしておりませんので、これは大臣同士というか、政治家同士の質疑ということで、こういう制度が国会で改革されましたので、ぜひ大臣、事前に調べて、お答えを本当はいただきたいと思います。

 なかなか把握が進んでいないということでございますけれども、結局、民間の建築物一千平方メートル以上では、アスベストが露出しているというのが七千件ある。これは国土交通省が把握されたというふうに聞いておりますけれども、この七千件というのは危険でございますので、特に廊下とか店舗とか、公共の方が接するような場所で露出しているアスベスト、これに関しては建物名を公表していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

北側国務大臣 今委員からお話がありましたように、今、民間建築物についても、吹きつけアスベスト等に関する実態調査を行っておりまして、九月時点で中間報告を公表させていただきました。都道府県から報告のございました七万六千七百四十七棟のうちの、六千八百三十八棟において露出したアスベスト等を確認しております。この調査はまだ続いておりまして、都道府県を通じて、さらに調査の継続、さらには、この露出をしているところの六千八百三十八棟につきましては、除去等の措置について推進をしてまいりたいというふうに考えております。(長妻委員「公表は」と呼ぶ)

 それで、その公表なんですが、当然これは、今調べておる民間建築物というのは一千平米以上の建物でございます。したがって、これは多数の方々が利用されることが当然想定されているわけでございまして、これはやはり公表の方向で検討しないといけないと私は思っております。

 ただ、その公表の仕組みとかについては、今やっている調査そのものが任意でやっておりまして、公表というものを前提としておりません。したがって、危険性のあるアスベストの使用状況について情報を公開することが極めて重要でございます。早急に検討をしたいと考えておりまして、それについて今、社会資本整備審議会のアスベスト対策部会において審議をしていただいているところでございます。

長妻委員 こういう問題は、公表すると、本当に物事が非常にスピードアップされる。法案として政府が出しておられる耐震の確保という法案でも、耐震性に問題のあるところを公表する、こういう法案が今後出てくるやに聞いておりますけれども、ぜひアスベストでも徹底をしていただきたいと思います。

 そして、今、撤去会社というのが非常に不足していて、アスベストを撤去しようとしても順番待ちにあるというようなことも時々聞くんですが、今、撤去会社、これは当然、国土交通省の建設業許可を受けている五十六万社の建設会社がある程度担っていく、中心になるというふうに考えておりますけれども、このアスベストの撤去会社というのは今不足しているんですか。そして、今、何社ぐらい、この五十六万社のうち撤去に携わっている会社があるんですか。

北側国務大臣 アスベストを取り扱う作業が想定されております主要な業種というのは、例えば左官、それから塗装、とび・土工などがございます。これら三業種の業者数は約二十三万社でございます。

 また、アスベストを取り扱う作業をするためには、労働安全衛生法に基づきまして、特定化学物質等作業主任者講習を修了した者のうちから、石綿作業主任者の選任義務がございまして、今のところこの講習を修了した者は、平成十六年度までの累計で約八十五万人というふうに聞いております。

長妻委員 ちょっと質問にお答えいただきたいんですが、撤去会社というのが今不足しているんですか。何社ぐらいあるんですか。

北側国務大臣 アスベストを撤去する際には、要するに、建設業許可、今おっしゃったような建設業許可を持って、石綿作業主任者を選任して、実際にアスベスト除去作業を行うことができる業者数という御趣旨であるならば、そういう数は掌握をしておりません。

 しかし、先ほど申し上げたように、法律上は石綿作業主任者の選任義務がございまして、そして業者の方々がそういう方々を選任して、実際は石綿を、アスベストを取り扱う作業をするということでございます。

長妻委員 いや、質問は、アスベスト撤去会社というのは、これは今、数が不足して順番待ちをしている、こういう現状が今あると思うんですが、これは不足しているという認識ですか。

北側国務大臣 数のことよりも、数は先ほど申し上げたように掌握をしておりません。実際、アスベストを取り扱う作業が想定される業種というのは二十三万社ある、そして講習をしている人が八十万人いるということでございます。(長妻委員「不足しているかどうか」と呼ぶ)そういう認識はしておりません。

長妻委員 いや、ちょっとその認識は私の認識と違うんですけれども、撤去会社がもう十分たくさんあって、撤去のニーズがあればそれは速やかに駆けつける、こういう今大臣の認識だと思いますが、ぜひまた御検討いただければと思います。

北側国務大臣 大切なことは、これから解体がどんどん始まってくるわけですね。そういう意味で、問題意識は共通に私も持っております。これから解体作業をする方々がいかに安全に解体作業ができるようにすることが大事なわけでございまして、そういうことを今徹底させていただいているところでございます。

長妻委員 いや、今大臣が言われたことは同感ですけれども、ですから、まず撤去会社の数が不足していると認識しているのか、もう十分あると認識しているのかで、国土交通省、行政が打つ手というのは全く、百八十度異なってくるわけでございますので、ぜひ基本的認識を共有をいただきたいと思います。

 そして、道路公団の問題でございますが、十月一日から民営化になったということでございまして、実はきょうも、道路公団の前の近藤総裁、中日本高速道路株式会社の会長に御就任された、あるいは八木さん、石田さん、会長をお呼びしようといたしましたら、いや、一〇〇%政府の出資ではあるけれども民間会社だから国会にはもう呼ばないんだ、自民党の国対、国会対策委員会の方針なんだということで突っぱねておりまして、これはもうまさに民営化隠しといいますか、これは民営化されても一〇〇%国が株主でございますので、こういう、こそこそ民営化隠し、その証人、参考人を出さないというような運営というのはぜひ慎んでいただきたいということを委員長にも申し上げておきます。

 そして、お配りした資料の一枚目でもございますけれども、これも私もびっくりしたんです。道路公団あるいは首都公団等々で、四公団が六社に民営化されたということでございますが、そのうちの、公団の方々が十六人までもが新会社の役員にそのまま、ほとんど天下りというか横滑りしている。しかも、ほとんど同じ趣旨の組織にもかかわらず、退職金が出ている。十六人に一億三百九十五万五千円も支給をされているというふうに報告を受けましたけれども、これは大臣、おかしいとは思われませんか。大臣がこれは決めることだと思いますが。

北側国務大臣 まず、新会社の六つの会社の役員総数は五十一名でございます。そのうち十六名が、今委員のおっしゃった公団役員から新会社の役員へ移行したということでございます。

 業務というのは、これは当然継続をしているわけでございまして、また専門性もあります。そういう意味で、公団時代の役員が移行するのが全くおかしいというのは、私はいかがなものかと……(長妻委員「退職金の話です」と呼ぶ)いやいや、冒頭、前半、そういうことをおっしゃったじゃないですか。前半はその話をされたでしょう。(長妻委員「質問は退職金の話です」と呼ぶ)いやいや、前半、その話をされたから答えているんです。だから、決して私は十六名が多いとは思いません。

 それから、後半のその退職金の話なんですが、これは私が決めることではございません。

 まず、公団の一般職員については、この身分というのは新会社にそのまま承継されます。したがって、一般職員には当然のこととして退職金は払われておりません。

 公団の役員については、当然、公団から今回の民間会社になるに当たりまして、公団の役員という立場は一たんすべて辞任、辞職、退職をされていることになるわけでございまして、これは役員すべてでございます。新たに今回の新会社の役員になった人も、ならずに退職をされた方も含めまして、役員はすべて退職となるために退職金が支払われたというふうに聞いているところでございます。

 これは別にこの道路公団だけの話ではなくて、これまでも同様に、民営化される場合には、特殊法人の役員であった方は、当然その役員の立場を退職するわけでございまして、その時点で退職金が支払われているわけでございます。

 ただし、それで退職金の額が何か多くなるんだとか、そういうことじゃありません。退職金というのはあくまで任期に比例して算定されるものでありまして、中途で支給されたからといって何ら得になるものではないということもぜひ御理解をお願いしたいと思います。

長妻委員 ちょっと大臣の御認識は変えていただきたいと思うんです。政府が株主なんですね。大臣が判断すれば、この退職金は支払わないということもできるんですよ、もちろん。

 先ほど、天下り、横滑りが十六人で少ないんじゃないかと言われましたけれども、この新会社の役員構成を見ると、国税庁とかほかの役所からもばんばん役員に天下っておりまして、この十六人は横滑りだけで十六人でございます。本来、四十兆円の借金を返すために民営化をした会社でありますから、こういう退職金は例えば返上するとか、そういうことがあってしかるべきではないかと思います。

 そして、この二ページ目でございますけれども、お給料も、これも大臣が株主ですから、これは決められたお給料としては、取締役が五人で二億円以内ということで、割り算をしますとお一人四千万円の年収になる可能性があるということでございます。

 本日がこの東日本高速道路株式会社の給料日だ、初めての給料日だと聞いておりますけれども、新会社の役員の年収というのは公表するというおつもりありますか。これは大臣が株主ですから。

北側国務大臣 今、平均五千万とおっしゃったんですか。(長妻委員「四千万以内」と呼ぶ)四千万以内、いずれにしても、役員の上限というのは十名なんですね。今はその十名に至っていないわけです。恐らく、委員のおっしゃっている四千万というような数字は多分ないんだろうと私は思っております。

 それから、民営化会社の役員の報酬額の公表につきましては、国会の附帯決議で、これは報酬額の話ではございませんけれども、財務状況等々積極的な情報開示をすべしという附帯決議をちょうだいしているところでございまして、これはおのおのの会社で適切に判断をされるものというふうに考えております。

 創立総会におきまして決定されました会社の役員報酬の限度額は、定款上の取締役の員数の上限、機動的な会社運営を妨げない等の観点を勘案した、ほかの会社の例なんかも参考にしながら決定した限度額でございます。限度額いっぱいまで使うということでは決してありません。実際の役員の報酬額は、各社の取締役会において決定をされることになるというふうに思っております。

長妻委員 何か全然危機意識というか、何で新会社ができたのか、四十兆円の借金だらけになって、これを返すという趣旨の新会社で、今、報酬を決めたのもほかの会社との見合いだというようなお話ございましたけれども、それでは、例えば、日本道路公団の総裁時代は年収が二千二百九十万円でございましたが、近藤総裁は今度会長になられましたが、道路公団の総裁のときよりも年収が高くなる、こういうこともあり得るということですか。

北側国務大臣 結局、公団時代の役職と、そして民営化された会社での役職、ポジションによって決まってくる、その職責に応じて決まってくるというふうに思っております。

長妻委員 ですから、高くなることもあるということですか。

北側国務大臣 職責が重くなれば高くなることもあるんじゃないでしょうか。

長妻委員 ちょっと常識では考えられないような大臣の感覚だと私は言わざるを得ないんですが、そして、その近藤総裁も任命した内田副総裁や金子理事が官製談合の疑いで逮捕されました。そういう監督責任もあるにもかかわらず、何の報酬上、デメリットといいますか、削減等々がないままに、ほかの会社との見合いだということでございます。

 そして、公正取引委員会が、官製談合をしていたということで、二十人の方が日本道路公団で談合の手引きをしていたというふうに認定をいたしました。その中で七人の方は実名の通知を道路公団にしておりますけれども、この七人の方の現在の役職名というのはお教え願えますか。

北側国務大臣 委員ですね、そのために上限というのを決めているわけですよ、先ほどの報酬の話に戻りますけれども。それを創立総会で二億円以内というふうにしているわけです。そのために創立総会があり、そして設立総会があり、取締役会があるわけでございまして、それに対して私があれこれ言うということの方が、民営化されているわけですから、おかしいということをよく理解していただきたいというふうに思います。

 借金を返済していくというのは当然これからの一番の大きな仕事でございまして、これからいかにコストを縮減してやっていくか、道路をつくるに当たっても、それから日常的な業務に当たってもいかにコストを削減するか、これは今までも努力をし、これからもしっかり努力をしてもらいたいというふうに思っているところでございます。

 今、談合事件について、公取から実名で指摘された七名がどこの部署にいるのか、こういう御質問ですね。これにつきましては、三名は十月一日時点で退職をされました。一名は、中日本高速道路株式会社の支社の調査役、三名は西日本高速道路株式会社の本社及び支社の調査役でございます。

長妻委員 これらの方々も、ぜひ、処分をきちっと出したときは、実名公表あるいは損害賠償。この官製談合というのは、自分の家に泥棒が入ろうとしていて、わざわざその泥棒を手引きして自分の家の金を盗ませると同じなんです。日本道路公団の財産、国民の通行料、税金を手引きして盗ませている、泥棒されている、こういう重大なことでございますので、ぜひ厳しく措置をしていただきたいと思います。

 そして、この情報公開法は、今後、道路公団から分かれた新会社というのは適用されませんけれども、この精神、情報公開法の精神にのっとって、新会社になっても政府一〇〇%株主ですから、情報を表に出していく、こういうことをぜひ大臣、明言いただければと思います。

北側国務大臣 これは、先ほど申し上げた、この委員会におきましても附帯決議で明確に、財務状況等についてきちんと情報開示を今後もしっかりするように、こういう趣旨の附帯決議をちょうだいもしているところでございます。

 そもそも高速道路というのは、大変高い公共性を有する社会資本でございます。その社会資本の建設、管理を行うのがこの民営化された会社でございまして、国民の理解が得られるように積極的に説明責任を果たしていくということは大変重要なことであると思っております。

 附帯決議でもそうおっしゃっていただいておりますし、また、これまで、会社から国土交通省やまた独法の機構の方に提出される資料等もございます。そうしたものも可能な限り公表することによって、客観性、透明性というものを確保してまいりたいと思っております。

長妻委員 ぜひ情報公開法の精神を新会社にも適用して、公開をいただきたいとお願いを申し上げます。

 そして、国土交通省そのものの発注の橋の談合でございますけれども、談合組織のK会、A会、四十七社が所属しておりますけれども、そこに百九十八人、資料八ページでございますが、国土交通省の職員が二百人近くも今も天下って所属をされておられるということで、すごい数でございます。

 これは官製談合の疑いが私は国土交通省のケースもあると思うんですが、職員に対する聞き取り調査とか、そういうことはするおつもりはございますか。

北側国務大臣 国土交通省直轄の事案で、橋梁工事で談合についての摘発がございました。私の方からは、国交省の職員の方々に、公取もしくは検察等々の捜査にはもう全面的に協力をするように指示をさせていただいたところでございます。

 それで、これは道路公団と違いまして、国土交通省の職員がそうした橋梁談合について関与しておった、いわゆる官製談合があったというふうな話は全く聞いておりません。現時点で全く聞いておらないところでございます。現時点でそういう話がございませんので、調査するつもりはございません。

長妻委員 そして、国土交通省も対策として、お伺いしていますのは、一般競争入札、これを何しろ広げていくんだ。今までは七・三億円以上の工事等は全部一般競争入札だった。しかし、平成十八年度中には二億円以上の工事等も一般競争入札に拡大をしていこう、こういう対策をなされたわけでございますが、これは間違いございませんか。

北側国務大臣 間違いございません。

長妻委員 そして、ところが、この十一ページをごらんをいただきますと、これは国土交通省につくっていただきました、談合をしていたと認定をされている鋼橋上部工事の入札の状況です。平成十五、十六年度、東北・関東・北陸地方整備局、これが談合していたというものでございますが、これを全部ピックアップして四ページにまとめていただいて、一般競争入札に丸をつけていただきました。

 これを見て私もちょっとびっくりしましたのは、一般競争入札が二十七件も入っている。一般競争入札にもかかわらず、落札率が九九パー、九八パー。談合しているケースがあるということでございまして、一般競争入札でも日本の場合は談合はとまらない。そういう意味では、一般競争入札にするだけでは解決にならないんじゃないかと思いますけれども。

 そして、もう一つの事例を申し上げますと、海上保安庁、きょう長官にもお越しをいただいてございますが、浮き桟橋という、船が係留するようなものをつくる入札でございます。これが一般競争入札だった。しかし、一社しか応札してこなかった。たった一社しか応札してこない。しかもその一社は一億八千三百万円で落札した。この金額は予定価格と全く同じ金額だった。絶対漏れるはずのない予定価格と同じ、偶然一〇〇%同じ金額で、それも一社しか応札してこないということで、こういう事例がございました。

 これを調べますと、私は、一般競争入札でも資格審査という厳しい審査があるということでございまして、何のための一般競争入札なのかなと。だれでも入れるから談合がないという趣旨にもかかわらず、厳しい資格審査がある。

 例えば十七ページでは、この今の海上保安庁の桟橋では、土木工事はB、専門工事はA、これに認定されないと応札はできませんということでございます。しかも、土木工事はBということでございますが、Bよりもすぐれている技術を持つAランクの人は参加できない、こういう仕組みがあって、非常に狭いランクづけの中で、BのランクよりもすぐれているAランクの人たちは今回の入札には参加できない。

 趣旨を聞くと、ある程度中堅企業を、それなりの規模の方々を保護しよう、こういう趣旨らしいんでございますが、こういうことを非常にきめ細かくというか細分化した資格をがちがちにつけていく、これが私は談合の温床になっているんではないかというふうにも思いますけれども、これは、何でこんな厳しい資格をがちがちはめておられるんですか。

石川政府参考人 先生御指摘の大阪の海上保安部ほか三カ所の防災型浮き橋の整備の入札でございますけれども、これは御案内のとおり、工事自体の適正な施工を確保する、あるいは入札の実質的な競争性を担保するという観点から、国土交通省所管の契約に共通して適用されている基準に従って、予定価格の区分に応じた入札参加資格の設定を行ったわけでございます。

 それで、具体的には、先生、資料にございますように、全体としては予定価格は一億八千三百万でございますので、本体製作工事はA、それから回航と定置工事についてはBということにしたわけでございます。

 さらに、私ども、契約をしたのは五管本部でございますけれども、五管本部の事前の調査によれば、鋼構造物の工事業がA等級であり、かつ土木工事業がB等級に該当する者というものは約二百社ぐらいあるということ、それから、Bの方について申し上げますと、本件の浮き桟橋の据えつけ工事というものは、特殊な技術や特別な施工経験を必要とするような高度な工事ではないということから、上位の等級まで拡大する必要はないと判断したものでございます。

長妻委員 高度な工事でないのに何で一社しか応札しなかったのか。私は、こういう一般競争入札でも厳しい資格審査をし過ぎているんではないかと。ボンドのような、保険をつければどなたでも参加できる、そして工事が手抜きがあったり完成ができない、そういうような工事であれば、保険会社が責任を持って賠償金を払ったり、保険会社が別の業者を連れてきてそれを完遂する義務を負わせる、こういうような形にするのが、正しい、談合をなくす道ではないか、一つの発注形態ではないかとも思っております。

 この十八ページを見ていただきますと、一〇〇%落札率だというのが非常に多いんです。平成十四年一年間だけでも、国土交通省だけで六百三十六件ございます。その一部を抜粋しておりますけれども、龍ケ鼻の護岸工事とか、一発で落札して、予定価格と同じ一億八千五百万円で、なぜか漏れないはずの予定価格と同じ金額で落札をしているということも、これは枚挙にいとまがございません。

 そしてもう一つ、低入札という概念がございまして、これは予定価格よりもかなり低い価格で落札すると粗悪品ができるんではないか、こういう、従来、そういう考え方がございましたが、今、一般競争入札じゃなくて例えば指名競争入札というのを導入している理由というのは何でございますか。

北側国務大臣 それは工事の内容にかかわってくるかと思いますけれども、工事の内容によってはある一定の要件、資格というものを求めていくのがふさわしい……(長妻委員「なぜ」と呼ぶ)それは質のいいものをつくるというのが一つの趣旨だと思います。

長妻委員 ですから、今のような考え方だったんです、国土交通省は。いろいろな業者をオープンに入れてしまうと粗悪品ができてしまう、しかし、一般競争入札でさえこういう厳しい資格審査がちゃんとあるわけでありまして、私は一般競争入札をどんどんさらに広げていくべきだと思いますが、そして資格も緩和して。

 この二十一ページに表がございまして、私もなるほどと思ったんでございます。これは国土交通省みずからが作成した表でございますが、低入札、つまり予定価格よりも少なくとも八五%以下の入札の工事成績、つまり品質はどうなのかということでございます。青いものはこれはかなり落札率の高い工事でございますが、これを見ていただいて、相関関係というのはないんですね、専門家に聞いても。

 そうすると、低入札、つまり、かなり予定価格よりも下がる入札でも工事の成績というのは変わらないわけでございまして、そういう意味では、一般競争入札を導入していくということはどんどん進めていく、かつ資格審査も緩和していく、かつボンド制度のような保険制度を充実していくということが一つの道だと思いますが、これは今まで国土交通省が言っていることと違うんですよ、この表は。大臣、これは相関関係あると思いますか、この表は。

北側国務大臣 一般競争入札を拡大すべしというのは私も同じ立場で、冒頭委員がおっしゃっていただいたように、今回、二億円以上、さらに二億円以下につきましても一般競争入札をできるだけ広げていこうというふうな方向でやっているわけでございます。

 今お示しになられたこの表をごらんになっていただきますと、この表でも、低入札の平均点と低入札以外の平均点、これは差があるわけですね。七十三点と六十九点ということで、低入札の平均点の方が低いという傾向がこれにあらわれております。

 さらに、低入札価格調査の対象ではない工事では、工事成績が悪い六十五点未満の工事というのは約三%発生しておりますけれども、低入札価格調査の対象工事については約一一%と、低入札工事の方が低い点になっているものが多いという傾向もございます。

 工事の全体を見てそういう相関関係があるかという問題と、低入札価格のところを見まして、そこにやはり質の悪いものが多いという傾向があることはこれは間違いない、今の二点からもですね。

 私どもは公共事業を担当しているわけでございまして、ある商品、幾らでもある商品を売っているわけではありません。公共事業、社会資本というものを整備しているわけでございまして、これは万が一にも、そこに瑕疵があって、そして多くの国民の方々、利用者の方々に大変大きな影響を与えてしまうことがあってはならないわけでございまして、やはりそこは品質というものはきちんと見ていく必要がある。品質の悪いものは低入札のものに、先ほどの表を見ても、多いという傾向はやはりあるわけでございます。

長妻委員 大臣は七月十九日の記者会見で、統計学的には相関関係はないというふうに言われているわけでございまして、ぜひこういう新しいデータも参考にしていただきたいと思います。

 そして、この公共事業の問題、これはいろいろ御指摘を申し上げたいと思うんですが、一つは膨張問題というのがございます。

 これは二十二ページを見ていただきますと、例えば霞ケ浦の開発事業、初めは、この事業は八年でできますよ、八年で三百十五億円の総工費ですよ、これで完成ですと言っていながら、実は完成したときには二千八百六十億円、つまり総工費が当初予定よりも九倍もふえた。年限も八年で完成できると言っていたのに二十八年、年限も三倍ふえちゃった。こういう、地元との交渉が難航したとか軟弱地盤だとか、いろいろな理由は聞いておりますけれども。

 そして、この二番目としては港北ニュータウン、横浜です。ここの宅地整備等の事業では、初めは、三百十二億円で十年でできますよ、これで議員に説明していた。ところが二十二年もかかった。初め十年でできるというのに二十二年もかかってしまい、そして総工費も、三百十二億円だと言っていたのが二千百九十九億円、七倍もふえてしまった。これも理由は、地権者との土地のバーターの交渉が難航した、埋蔵文化財が出たと、それはいろいろな理由はあると思いますが、こういう工事が余りにも大きいんじゃないのか。

 当初見込みよりも一・五倍以上総工費がふえた、総事業費がふえた百億円以上の工事のうち平成五年から十四年度までを調べると、全体が百六十七件のうち百四件、国土交通省であります。六十三件が農水省でございますが。一・五倍以上に膨張する工事の件数というのは大体どのくらいの比率、何件に一件ぐらいがそんなような工事なんでございますか。

北側国務大臣 既に事業完了したもので申し上げますと、総事業費が百億円以上で、平成五年度から十四年度の間に事業が完了した所管事業について調べますと全部で四百十六件ございますが、そのうち総事業費が当初見込みの一・五倍以上になったものは百四件、四分の一になります。

長妻委員 いや、今の数字を聞いてちょっとびっくりするんです。四件に一件が一・五倍以上ふえているんですね、当初の事業費より。これは我々国会議員もだまされないようにしないといけないのは、初め、これだけ事業費ですよ、これだけ年限ですよ、信じちゃいけないということなんです。逆に言えば、それだけ膨張させない施策を今後つくらないと。でも、どうしても仕方のないことは私もあるのはよくわかりますが、それは長年の経験則でそういうのも勘案しながらもっと精度よくつくっていただきたいと思います。

 さらに大臣にお伺いしますけれども、これは年間どのくらいの金額が発生しているのか。つまり、当初の工事費と膨張してしまった後の工事費の差額、その膨張額というのは、例えば年度ごと等でお示しをいただければと思います。

北側国務大臣 平成十二年度、十三年度、十四年度について御質問にお答えをしますと、平成十二年度に完了した三十事業の合計で、総事業費が約八千七百八十八億円の増加となっております。平成十三年度に完了した二十六事業の合計で、総事業費が約一兆一千五百五十億円の増、さらに十四年度に完了した十事業の合計で、総事業費が約六千百五十四億円の増というふうになっているところでございます。

長妻委員 これもぜひ委員の皆様にも御認識いただきたいのは、今きちっと調べていただいて感謝しておるんですが、平成十三年度でいうと一兆一千五百億円も、ふえた分だけでそれだけふえちゃっているということでございまして、これらをやはりきちっと工程管理、あるいは責任者の追及、明確化などが必要だと思います。

 そしてもう一つ、公共事業の問題、追加支払いという問題があります。

 これは当初公共事業を完了しようとしてもう着手をして、でも途中で予期せぬことがいろいろ起きて、また追加でどんどんどんどんお金を払っている。私は、安易に払い過ぎているんじゃないのかというふうな気もいたす案件もあります。確かに、地盤等が当初の見込みよりも異なって、これでは受注した会社がどうしてもかわいそうだ、これはもうどう考えてもお金を支払わなければいけない、こういうケース、いっぱいあります。これは私もわかっておりますが、しかし、それにしても余りに精査をしないで払われているケースというのがあるのではないかという気がいたしているわけでございます。

 二十九ページにございますけれども、結局は、平成十一年から十五年までで国土交通省が当初契約を締結した、そして追加支払いをしたのが五千百八十九件もあるということでございまして、例えば愛知県の猿投山トンネル、これは、掘り始めたらトンネルの土がちょっとやわらかかったということでアンカーを打ち込む数がふえたということで、初めは八十一億九千万円の契約だったけれども、その後三十二億七千八百万円を追加したということで、追加のお金を支払われた。しかし、その当初の工程表や仕様書、これは事前に調査会社を雇って調査をしたものだった。その調査会社の調査が、私は、甘かった可能性もあるのではないか。いろいろな論点があると思いますので、ぜひ大臣も御認識をいただきたいというふうに思います。何も追加支払いをした自体が悪いということではなくて、それは事前にきちっと見積もりを出す、その努力を、役所側が詰めが甘かった。発注側の責任というのも大変大きいわけでございます。

 大臣にお伺いしますが、追加支払い額というのは大体どのぐらいの規模になりますか。

北側国務大臣 平成十一年度から十五年度の五年間で申し上げますと、追加支払い金額は三千四億円でございます。

長妻委員 これは、公共事業のいろいろな問題、もちろん談合問題というのも大きいわけでございますけれども、やはり余りに工期とか総工費の見積もりというのが、非常に国土交通省甘い、大甘だというふうに考えております。

 そういう意味では、きちっと正確に見積もれば見積もるほどやはりいろいろな意味で効率化が図られ、お金も助かるわけでございますので、ぜひ大臣、安くて質の高い公共事業、社会インフラを提供するという意味で、こういう総工費などを見積もるお役所の責任体制、普通の企業だったら、プロジェクトがあって、済みません、事業費が五倍もふえちゃいました、こんなことを言ったら首になっちゃいます。あるいは左遷されます。だれも責任をとらない今の国土交通省の体制に対して、ぜひ大臣、活を入れていただきたいと思うんです。

北側国務大臣 委員のおっしゃったように、ともかくこれからの時代、この財政難のとき、いいものを安く整備していくということは私どもの、国土交通省の非常に大事な役割、使命であるというふうに私も思っております。

 ですから、事業着手前により詳細な現地調査を実施する、また構想段階から地元関係者や関係行政機関等と十分な調整を図る、当初の事業計画段階からできるだけ正確に事業費や工期を見積もることができるようにしなければならないというふうに考えております。しっかり取り組みをさせていただきたいと思います。

 ただ、一点、少し、委員ももう御承知なことだと思うんですけれども、やはりこうなるにはそれなりの理由があります。全然予期しない埋蔵文化物が発見されたり、もう一つ大きな背景を言いますと、先ほど委員の示された資料にもあるとおり、事業の着手年月日が昭和四十年代だったり五十年代だったり、それで実際事業の完成が平成八年とか九年とか十年とか、非常に長くかかって、これ自体も問題なわけですが、この間の我が国の置かれた経済情勢の変化というのは、これはかつてなかった。それは、いきなり大変なバブル経済になる、それが一気に崩壊をする、地価が一遍に高騰して、そしてすごい低下をする。経済情勢が大きく変化する、また金融状況も、非常に金融が不安定になってくる。そういう大きな、かつて経験しなかった中でこうした大きな社会資本整備を進めていっておったということも一つ背景としてあるということも、ぜひ御理解をお願いしたいと思っております。

長妻委員 ただ、中部国際空港がニュースになるような時代なんです。中部国際空港はトヨタ方式で、大臣よく御存じだと思いますが、建設されて、工期も守って総工費も初めの予定より低く工事が完成した。これが大ニュースになっちゃうわけですね。いかに今まで大甘で、ふえるのが当たり前だったかということでございますので、これを見直していただきたいと思います。

 そしてもう一つ、架空予算問題。これは私、かつて社会保険庁で、全然やっていないイベントをあたかもやるような形で見せかけて財務省から金をつけてもらって別のことにどんどん使っちゃう、こういう架空予算問題を追及いたしましたが、国土交通省にもございました。

 三十ページでございますが、例えば、インターネットの英文のホームページ。インターネットで英文のホームページをつくろうということで、平成十四年度に九百万円予算をつけた。しかし、毎年毎年つけました、十四年、十五年、十六年、十七年、九百万円の予算をつけたけれども、全くこの英文のホームページはつくられていない、別のことに使っちゃった。こういう事例等々がたくさんございます。わかっているだけでも十二件、一億五千九十万円でございますが、私は、これの十倍以上、さらにあるのではないかと見ておりますけれども。

 そうしましたら、こういうような発表をしたら、今年度の九百万円は、急遽、インターネットの英文ホームページをつくります、こういう方針転換になった。要らないんだったらこれはつくらないでいただきたい、お金を返していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

北側国務大臣 十八年度概算要求においては要求を行わない、しかしながら、十七年度におきましては、現在稼働中の日本語版ホームページのセキュリティー機能の強化等を早急に行う必要が生じたため当該経費を充てたということでございまして、平成十七年度においては、英語版ホームページの本格的稼働に向けて事業を実施する予定でございます。

長妻委員 実は、こういう架空予算というのは国土交通省だけではございませんで、たくさんというか、ほとんどすべての省庁で行われております。わかっているだけでも百億円ございまして、この要求が来年度未然に防げました。これはそもそも、我が党の参議院議員の尾立議員等々が、国会で何人かのチームで、私も入りましたけれども、質問をいたしまして、そして、架空予算問題、調査をしろということで、財務大臣もその圧力で動きまして、各省庁に調査要求をして、国土交通省も八月三十一日に出してきたというものでございます。

 この英文ホームページの過程を、ぜひ大臣、調べていただくと、いろいろなことがわかると思うんですが、これは本当に漫画のような話でございまして、英文ホームページをつくるということで平成十四年度以降九百万円予算をつけていた、ところが、財務省の調査要請でこれが全く架空だというのがばれてしまった、でも、今平成十七年度も九百万つけていた、もし財務省の指摘がなければそのまままた別のことに使っていたんだけれども、これは指摘を受けてしまったので、じゃ、その名目どおり英文ホームページをやはり急遽つくりましょう、こういうようなことで、必要がないのであればこれはもうお返しするということが筋だと思いますが、指摘をされて、中身が異なるので、じゃ、その中身どおりに、必要性がないから今までずっとつくっていなかったわけでございますけれども、それをつくるということでございまして、非常に漫画のような話がたくさんある。

 架空な予算、ここにもございますけれども、この国土交通省が発表した、これはほんの一部だと思いますが、それだけでも全部で十二件ある。そのうちの五件は全く使われていなかった、平成十四年度以降、毎年毎年これで使いますよとお金を請求しているにもかかわらず、全く使われていない、別のことに使ってしまっている。こういうことが横行しておりますので、ぜひ大臣も御認識をいただきたいというふうに思います。

 そして最後に、特別会計ということで、我々民主党も特別会計三十一会計を見直していく、特に、切り分けると公共事業関係の特別会計が六つある。この六つの特別会計、公共事業関係のうち国土交通省の所管は四つございまして、空港、治水、道路、港湾ということでございます。お財布を別に管理して出と入りを明確にして、事業目標をきちっと進捗状況がわかるようにしようと。当初の趣旨とは離れて、お財布を別にしたことによって、そのお財布にお金がたまったんだから、必要がなくても全部使ってしまおう、こういうような圧力で、必要性の低い公共事業がなされる一つの要因になっているのではないかというふうに考えておりますが、私のこの考えというのは、大臣、いかが思いますか。

北側国務大臣 特別会計についても不断の見直しが必要なのは、これは当然の話である、入りと出についてきちんとチェックをしていく、また、その構造について改めていくというのは当然の話であると思っております。

 また一方、では特別会計要らないのかといいますと、それもまた違うんじゃないか。事業の全体像を明らかにする、それから、特定財源や地方公共団体からの負担金なんかも、入りで入っているのもあります。そうした受益者負担の考え方に基づいて特定の事業の財源に充てるために徴収している歳入と当該事業への歳出の関係を明確にしていく、受益と負担の関係を明確にする。逆に言えば、わかりやすくするというのが本来の趣旨だったわけですね。また、そういう趣旨に適合しているならば、そういう特別会計というのは決して不必要なものではない。

 ただ、これは一般会計も、当然でございますが、入りと出について不断の点検をしていく必要がありますし、また、そもそもそうした事業が必要なのかどうか、そうした見直しについても当然必要であると思います。

長妻委員 ぜひ、よろしくお願いします。

 そして、最後にもう一つ、この六ページと七ページに建設コストの日米比較がございますが、これも非常に不可思議な資料でございますけれども、初め七ページ、これは平成十三年の八月、国土交通省がつくった資料では、例えば高速道路、土地を除いた高速道路の建設費は、同一条件であれば、一キロ当たりアメリカは十九・一億円、しかし、日本は同一条件で二十三・三億円ということで、若干高い。私は、別の研究所では、土地代を除いても二倍日本が高いというふうに聞いておりましたけれども、四億円程度高いという資料がございましたが、先日いただいた資料、これは六ページでございますが、十七年の十月十三日の資料では、米国と同一条件では、アメリカの場合は、ちょっと黒くなっていますけれども、二十二・一億円、一キロメートル当たり。ところが、日本はアメリカと同一条件だと二十二・六億円ということで、ほとんど数字が今度同じに合わさっている。前回出した資料でいろいろな専門家が日本は高い高いと言われたから、数字合わせに使ったとしか考えられないような資料でございます。

 いずれにしても、日本の建設コストというのは、私は、国際競争力がどんどん落ちているのではないか。この談合問題というのは、税金を盗む泥棒だ、こういう意味でもとんでもない話でございますけれども、もう一つの論点としては、談合を放置したまま今の状況を続けていることによって、民間の建設業の国際競争力がどんどん落ちてしまっている、気がつくとほかの国に抜かれている、そういうような現状がありはしないかと私は強く懸念をしております。

 この建設業というのは、世界に物のように全く門戸が開かれているわけでございませんで、すぐに日本の建設業の国際競争力の弱さが露呈するということはございませんけれども、談合を繰り返すうちに国際競争力がどんどん弱くなって、コストが安くて品質が高いものというよりは、逆のそういう工事がこれから出てくるのではないかという懸念を持っておりますけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 まず、これは委員もよく承知の上でおっしゃっているかと思うんですが、やはり日本とアメリカとの地形、国土の地形だとか地震が多いだとか、そういう前提が全然違うということもまず御理解をいただきたいと思っております。(長妻委員「補整して、それを計算したというやつです」と呼ぶ)

 建設コストを安くしなければいけないというのはおっしゃっているとおりでございますが、私は、そんなに委員がおっしゃっているほど、国際競争力で日本の建設業が見劣りをするというふうには思っておりません。

 去年の大みそかでしたか、台湾にすごい、世界一の国際金融センターという、高い、台北ですけれども、できました。タワーでございます。非常ににぎわっておるそうでございますけれども、もう今、台北の、台湾の一大名所になっているようでございますが、これは日本の建設会社が建築をしたもので、向こうの政府からも大変高い評価を得ておるというふうにも聞いております。そうした例というのは、ほかにもたくさんございます。

 私は、日本の建設業界の技術というのは、こういう大変な地形の中で、また地震が多い、こういう中でつくってきただけに、非常に技術力というのはすぐれたものがあるというふうに思っております。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、韓国あるいはアメリカ、ヨーロッパを初め、この建設業との国際競争力をぜひ御研究いただきたいというのと、我々も、談合撲滅やコスト安く質の高い公共事業をつくるために、提言、対案、そして巨大与党を監視する、こういう役割を続けてまいります。

 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

林委員長 次に、内閣提出、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣北側一雄君。

    ―――――――――――――

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北側国務大臣 ただいま議題となりました建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国におきましては、昨年十月には新潟県中越地震、そして本年三月には大規模地震の発生の可能性が低いと言われていた福岡県でも福岡県西方沖地震が発生するなど、大規模地震はいつどこで発生してもおかしくない状況にございます。また、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震など、甚大な被害をもたらす大規模地震が発生する可能性についても指摘をされております。

 このように、大規模地震が切迫する状況にある中、想定されております被害を未然に防止するためには、国家的課題として、建築物の耐震改修を強力に推進していくことが不可欠であり、一刻も早く所要の施策を講じていく必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣は、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本方針を定めることとしております。

 第二に、都道府県は、基本方針に基づき、当該都道府県の区域内の建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策等を記載した都道府県耐震改修促進計画を定めることとしております。

 第三に、所有者に耐震改修を行う努力義務等が課せられる特定建築物の範囲を拡大し、地震によって倒壊した場合に道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難に支障となるおそれがある一定の建築物等を追加することとしております。

 第四に、所管行政庁による指示の対象となる特定建築物に、小学校、老人ホーム等を追加するとともに、特定建築物の所有者が指示に従わなかったときは、その旨を公表することができることとしております。

 第五に、認定建築物である特定建築物の耐震改修に必要な資金の貸し付けについて、耐震改修支援センターが債務保証を実施することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.