衆議院

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第3号 平成17年10月18日(火曜日)

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平成十七年十月十八日(火曜日)

    午前九時十三分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 赤羽 一嘉君

      赤澤 亮正君    伊藤 忠彦君

      石崎  岳君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    小坂 憲次君

      河本 三郎君    佐田玄一郎君

      佐藤  勉君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    高木  毅君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    松本 文明君

      盛山 正仁君    渡部  篤君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高木 義明君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鉢呂 吉雄君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

      吉井 英勝君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤  悟君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 春田  謙君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        奥田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  星野 茂夫君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉山 篤史君

   政府参考人

   (国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長)  福本 秀爾君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     佐藤  勉君

  佐田玄一郎君     渡部  篤君

  高木  毅君     石崎  岳君

  二階 俊博君     伊藤 忠彦君

  盛山 正仁君     赤澤 亮正君

  穀田 恵二君     吉井 英勝君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     盛山 正仁君

  伊藤 忠彦君     二階 俊博君

  石崎  岳君     高木  毅君

  佐藤  勉君     河本 三郎君

  渡部  篤君     佐田玄一郎君

  吉井 英勝君     穀田 恵二君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長春田謙君、大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、総合政策局長竹歳誠君、都市・地域整備局長柴田高博君、河川局長渡辺和足君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、鉄道局長梅田春実君、自動車交通局長宿利正史君、海事局長星野茂夫君、政策統括官杉山篤史君、航空・鉄道事故調査委員会事務局長福本秀爾君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、法務省刑事局長大林宏君及び外務省大臣官房審議官佐藤悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 質問に先立ちまして、委員を代表いたしまして、委員長並びに与野党の理事の皆さんに一言申し上げたいと思います。

 この特別国会、前回も今回も委員会の定刻が守られないというのは、ゆゆしき大事だと私は思っております。ぜひ、委員長並びに与野党の理事の皆さんは、時間がかかるようでありましたら、あらかじめ時間をとるなり、早目に始めるなり、昼休みに続投するなりという形で工夫をしていただきたいということを一言申し上げたいと思います。

 それでは、私の持ち時間は大臣がいらっしゃいませんけれども、国土交通行政の当面の諸課題につきまして、特に早急にスピード感を持って対策をお願いしたい問題に絞って、何点かお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、原油高騰に伴う、大変困っておられる運送業等の皆さんに対する対応策につきまして、国土交通省の考え方をお聞きしたいと思います。

 ここ数年来、原油価格の高騰が日本経済の安定的な成長を図る上での大きな課題となっておりまして、これは日本経済全般に影響を与えているわけでございますが、特に、燃料費負担の増大で経営が逼迫しております運送業などにとっては深刻な問題でございまして、例えばトラックの燃料である軽油一つとりましても、昨年の春以来、大変著しい高騰をしております。

 国交省の方でも資料をお持ちだと思いますが、先日お聞きしました全日本トラック協会の調査によりますと、平成十七年八月のローリー価格は一リットル当たり八十三・六一円、昨年一月から二十・四円も値上がりしているという大変な状況でございます。

 このトラック業界一つとりましても、今、近年の規制緩和に伴う新規参入事業の急増で競争が激化しておりますし、そういう原油価格の高騰で燃料費が膨らんだとしても、約九割の事業者が今その増加分を運送費へ、運賃へ価格が転嫁できていない、そういう状況もあります。

 さらには、トラック業界に限らずでございますが、最近の環境、安全規制の強化で、その面でのコストというのが非常に増大している、そういう現状もございまして、例えば、トラック等のディーゼル車では、改正NOx・PM法の施行が平成十四年に行われました。さらに、この十月からは新長期規制の導入が開始されておりまして、そういう規制強化の流れがどんどん進められて、対応のための負担が非常に増大しておる、そういう状況でございまして、業界全体で二年前と比べて二千四百九十億、約二千五百億の費用負担の増加が見込まれておる。この事態の打開には、運賃への価格転嫁につきましては、どうしても荷主側の理解が不可欠であるというようにされているわけでございます。

 そこで、国土交通省も、私の報道によって知るところによりますと、大臣みずからが、経済界にきちっとこれは理解してもらわぬとあかん、そういうことで、九月の二十七日には経団連の奥田碩会長、また十月七日には日本商工会議所の山口信夫会頭と会談されて、具体的に、これは価格転嫁に対する荷主側の理解が不可欠である、そういうことで荷主と運送業者の理解が深まるように対応を要望された、そう報道では知っております。

 そこで、そのときに奥田会長からは次のような話があったと報道で聞いております。より理解が深まるよう、運送事業者と石油精製業者、荷主の三者で協議の場を持ちたい、そういう発言が経団連会長の方からもあったようなんですが、これは九月の二十七日の話ですから、もう相当月日がたっております。具体的に、その後この三者協議が設置されたのか、設置されているとすればどのようなことが協議、検討されているのか、国交省への連絡とか報告があったのかも含めて、まず岩井副大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

岩井副大臣 おっしゃるように、最近の原油価格高騰問題によりますトラック、内航海運等の現下の窮状というのは大変なものがございまして、そういった窮状を何とか改善しなければならない、そのためには、荷主の理解が何といいましても不可欠でございます。

 荷主、運送事業者等の相互理解を深めるために、先生御指摘のとおり、去る九月二十七日、北側国土交通大臣みずからが出かけられまして奥田日本経済団体連合会会長と会談した、奥田会長が来られたのでしたかな。それで、その会談を受けまして、実は本日、日本経団連が主催するという形で、全日本トラック協会と日本内航海運組合総連合会、そして石油連盟等関係者が参加いたしまして、原油価格高騰の影響等に関する懇談会という懇談会が開催される運びになっております。

 国土交通省といたしましても、運輸事業の現状とかあるいは原油価格高騰問題に対する政府としての取り組みなんかを説明する必要がございますので、オブザーバーとして参加することにしております。それで、この会談では、荷主、運送事業者及び油の製造業者がそれぞれの立場について説明した後に、ともかく相互理解を深めるための意見交換が必要であるということで、積極的な意見交換が行われるものというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、本懇談会を通じまして、関係者間で相互の理解が深まり、今後建設的な議論が展開されることを期待しておる状況でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ、有意義な会議にしてもらいたいなと思うんです。確かに、経済団体の一部からは、価格は市場で決まるものだという冷たい発言をされる方もいらっしゃいますけれども、私は、今本当に放置できない問題になってきていると思うんですね。確かに、不必要な市場介入というのはいけませんけれども、話し合いで何らかの努力ができることであれば、ぜひ前向きな、建設的な議論をしていただければありがたいなというふうに思うわけでございます。

 我が党も同じく九月の二十七日に党内に原油高騰問題緊急対策本部を設置いたしまして、現在、実態把握のために、さまざまな関係業界団体、これは国土交通省関係だけではございませんけれども、状況や要望、意見などをお聞きいたしまして、我が党としても、近々、こうした要望、意見を踏まえて、早急に施策を取りまとめて政府へ働きかけていきたいな、そのように考えておる次第でございます。

 その中で、例えば、今課題として取り上げました全日本トラック協会からは、私ども三点にわたって要望をいただきました。全部読み上げるわけにはいきませんけれども、大きく三つありまして、特に、その中の三つ目に「トラック事業をめぐる各種負担の軽減のための措置」ということで、例えば「環境対策のための費用に係る政策支援の強化」を何とかできないかとか、また「高速道路料金の負担軽減」、さらには「燃料関係諸税の負担軽減」というようなことも要望されております。

 さらに、厳しいのはトラック協会だけではなくて、内航海運の皆さんも、非常に業界自体厳しい中で、なおかつ燃料費が高騰したことによって追い打ちをかけられているということで、私のところにも非常に窮状を伝えてこられているわけでございますけれども、特に言っておられたのは、要は、この高騰問題というのは、今厳しい状況にある内航海運にとってはもう死活問題になっていると。特にバンカーサーチャージについては、すべて荷主と運送事業者間の個々の交渉で決められているんですけれども、本年八月の調査、百九十四社回答されたそうなんですけれども、この内航海運の皆さんの調査では、バンカーサーチャージについて過半数が精算されていない、そういう実態が明らかとなっておりまして、これは運送契約を結んでおられる中でも過半数なんですね。運送契約上、バンカーサーチャージ条項が定められていない、そういう荷主の運送についてはさらに深刻な事態となっているという、そういう声も上がっております。

 北側大臣は、当委員会の冒頭の発言の中で、「原油価格の高騰問題への対処については、運輸事業の健全な運営、発展の観点から、トラック、内航海運を初めとした運輸事業の現下の窮状に対し、最大限の努力を行ってまいります。」そのように述べられているんですけれども、この全日本トラック協会からの要望に対する対応とか内航海運の窮状について、大臣の最大限の努力を行うと言われた内容、これは、きょう会議を持たれるということも一つだと思うんですが、それ以外に具体策としてどういう対策を内容として考えておられるのか、引き続きまして副大臣に御答弁をいただきたいと思います。

岩井副大臣 先ほど申し上げましたとおり、北側国土交通大臣から経済団体のトップに対して直接要請を行ったところでございます。日本経団連においては関係者の懇談会が行われるということになっておりますけれども、それにつけ加えて、それぞれの各地域におきまして、地方運輸局が中心になりまして、地方ブロックの経済団体等に対しまして、お互い関係者の話し合いが進むように今お願いしておるところでございます。

 また、個々の、環境対策の話も先生今おっしゃっておられるわけでございますが、トラック関係につきましては、業界の省エネ体質の強化を図る必要がある、そういうことで、経済的な運行を実現するエコドライブ管理システム、EMSなんて言っておりますが、そういった省エネ機器の購入でありますとか、あるいは、環境面からの圧縮天然ガスの採用といいますか、CNGとか言っておりますが、そういうもののトラック等への車両代替への補助、そういうものを今行っておるところでございます。

 また、内航海運につきましても、経済的で環境に優しいスーパーエコシップ、SESなんて言っておりますが、そういったものの普及を促進するなど、省エネに対応いたしました内航海運への転換を図っているところでございます。

 今回の原油価格高騰につきましては、先生のおっしゃるとおりでございまして、トラック、内航海運等の運輸事業に大変大きな影響を与えるわけでございまして、今後とも国土交通省といたしましては、大臣の御指示のもと、業界の意見も聞きながら、最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(茂)委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、続いて、きょう二点目でございますが、先週起きました東京都大田区の京浜東北線の踏切事故に関連して何点かお尋ねをしたいと思います。

 先週の十月の十二日に、午前九時五十分ごろ、東京都大田区の京浜東北線で、遮断機が上がらない、そういう踏切を渡ろうとした高齢女性ら二人が死傷するという大変な事故が起きました。またもや踏切事故でありまして、この日は、この踏切の問題だけでなくて、この事件に絡む背景としては、早朝から横浜市内で人身事故や異音感知による緊急停車などが相次いだために、ダイヤが乱れて遮断機がほとんど上がらない状態だったそうであるのですけれども、報道によると、当該踏切は、おりたままになっていたときに、平仮名で「こしょう」と表示されていたそうでございます。この踏切はもともと、三十分遮断機がおりた状態が続くと「こしょう」の文字が点灯する仕組みになっている。そのことによって、この踏切の「こしょう」の表示が踏切そのものの故障と勘違いされた可能性もあるというように言われているわけですね。現に、この事故に遭われたお二人の女性以外にも、数人が次々と遮断機がおりたままのこの踏切を渡っていかれた、そういう目撃証言も幾つかあるわけでございます。

 今、こういう仕組みになっている踏切というのが、JR東日本管内の警報機、遮断機つきの踏切は六千三百九十八カ所で、うち六千二百七カ所がこういう仕組みになった踏切であるというように報道されております。また、JR東日本だけではなくてJR西日本の管内でも約五千五百カ所、こういう仕組みの踏切があるというふうに言われているんですけれども、そこで、まずお伺いしたいのは、遮断機が三十分以上おりたままになると警報機に「こしょう」と表示されるような踏切の全国の設置状況はどのようになっているのでしょうか。仮に把握されていないのであれば、総点検すべきだと思いますけれども、国交省の御答弁を求めたいと思います。

梅田政府参考人 全国の踏切、約三万六千カ所ございます。そのうち、警報機それから遮断機が設置されている踏切というのが、三万二千カ所ございます。この中で、単線区間だと十五分以上、それ以外だと三十分以上連続して踏切が遮断した場合に「こしょう」という表示がされる踏切は、約一万七千ございます。

佐藤(茂)委員 そこで、約一万七千カ所、多分JR中心だと私聞いているんですけれども、中小の私鉄まで含めてきちっとまた調べていただきたいということをさらに要望しておいた上で、このような踏切の警報機に点灯する「こしょう」の表示というのは、私は、基本的に、故障していないのに、故障のために遮断機が上がらない、そういうふうに誤解されかねないんですね。故障なんやったらいつまでたっても上がらないんやから、これはもう自分の判断で渡っていこう、そういう、ある意味でいうと独自に判断される可能性が非常にあるわけです。

 今回のこのような事故を再び引き起こさないためにも、具体的に、故障もしていないのに「こしょう」という表示が出るような表示の文言を修正するのか、あるいはこういう「こしょう」という表示を取りやめるのか、そういう方向で私は検討すべきだ、そのように思うんですが、そういう検討につきましてどう考えておられるか、国交省の見解を伺いたいと思います。

梅田政府参考人 今回の事故と「こしょう」表示との関係というのは、現在のところ不明でございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、「こしょう」の表示というものが誤解されるおそれはなきにしもあらずということでございます。

 したがいまして、JR東日本におきましては、「こしょう」表示の見直しを現在検討しているというふうに聞いております。私どもも、こういう検討結果を見ながら、鉄道事業者に対しまして必要な情報提供あるいは必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

 また、あわせまして、踏切が遮断されているときに踏切内に立ち入ることは非常に危険な行為でございますから、踏切事故防止キャンペーン等の広報活動等を通じまして、その周知徹底を図るよう指導してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、二度とこのような事故の悲劇を起こさないためにも、できるところはしっかりと手を打っていただきたいなというふうに思うんです。私は、今回のこの踏切事故も見まして、ことしは足立区の竹ノ塚駅での事故もありました、そういうことも踏まえると、やはり根本的には、あかずの踏切解消対策をスピードアップしてもらわないといけない問題であるな、そのようにつくづくと感じたわけでございます。

 通常国会でも、私は、あの竹ノ塚駅の踏切事故を踏まえまして、四月の十三日にこの委員会で、このあかずの踏切解消対策というのは、国土交通省という、旧運輸省と旧建設省が一緒になったがゆえにさらに総合力を発揮できる、そういう事業であるがゆえにしっかりと達成目標を明確にして推進してもらいたい、そういうことを具体的に、個々に主張させていただきました。

 その当時は、国土交通省として、あかずの踏切は全国で五百カ所あって、そのうち、三月の時点では、二百カ所だけまず着手しますということを言われております。私は、こんな中途半端ではいかぬ、やはり全部を、例えば二十年以内にしっかりと解消しますというような、そういうあかずの踏切ゼロ作戦というように銘打ってでもいいから、しっかりと対応していくべきだというようなことも、スピード感を持ってやってもらいたいということをあのときにも主張いたしました。

 その後の調査で、全国的に今は約六百カ所あかずの踏切があるというふうに言われておりますが、この死傷事故の悲劇を再び繰り返される前に、さらにあかずの踏切対策のスピードアップを図る必要があると考えますけれども、国交省の今進めておられる対策、御見解をなるべく詳しく、またわかりやすくお伺いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これからスピードアップをして対策を万全にしていきたいと思っております。

 くしくも、来年度、平成十八年度から新たな五カ年の改善計画を策定することとなっております。全国で約三万六千カ所ある踏切のうち、交通量等の変化によりまして、いわゆるあかずの踏切、ピーク一時間当たり四十分以上閉まっておる踏切が六百カ所というようなことで、若干ふえてきております。したがって、こうした踏切につきましては、三万六千カ所すべての踏切につきまして、地方自治体、鉄道事業者等と連携しながら総点検をし、必要な箇所をきちっと把握する、その上できちっとした改善計画を策定していくということがまず前提になるかと思っております。

 あかずの踏切につきましては、こうした改善計画に基づきまして、連続立体交差等の抜本対策を従前の倍、二倍にスピードアップして対応していきたいと考えておるところでございます。ただ、こうした抜本対策が完成するまでに費用がかかる、時間もかかるということになる箇所もございますので、踏切内の歩道拡幅や高度な踏切遮断機の導入による遮断時間の短縮、横断歩道橋の設置等のいわゆる速効対策により、こうした六百のあかずの踏切の箇所につきましては、すべて対策をとるべく取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(茂)委員 前回質問したときよりは相当進めた、また、大きく範囲を広げて、六百カ所全部に対して対策をとられるということでございますので、ぜひしっかりとした対策をとっていただきたいと思います。

 残りの持ち時間を使いまして、アスベスト問題への国交省の対応につきましてお聞きをしたいと思います。

 当委員会の冒頭の例の大臣の発言の中でも、アスベスト問題への対処について述べられておりました。アスベスト問題は、ややもすると、今どうしても話題の中心が新法のことに移りがちなんですけれども、七月に政府による当面の対応として打ち出された五本柱の対応策がございます。被害の拡大防止、二番目が国民の不安への対応、三番目、過去の被害への対応、四番目、過去の対応の検証、五番目、実態把握の強化、こういうものが本当に、七月に政府全体としてやろうといったことが各省庁しっかりと対応に着手して結果を報告されているのかどうかということをしっかりと検証することも、立法府として大事な私は役割だと。特に、国交省関連では大変関係する業界も多いですし、働いておられる労働者の方も非常に多いわけでございますので、スピード感を持って的確な対応をしていただきたい。

 その上に立って何点かお尋ねをしたいんですけれども、まず一つは、五本柱の二番目の国民の不安への対応策として、健康被害の状況の国民への積極的な情報提供というのがございます。ところが、運輸関連企業については、八月二十六日に健康被害等の状況に関する調査結果というのを国交省として発表されました。しかし、運輸よりももっと国民が関心を持ち、また幅広い、地方にまで労働者のいるもの、また、それに対してどうなのかという不安を感じておられるのが、建設業関連の企業についてはどうなんだと、そういうことが国民の皆さんは非常に関心があるわけです。ところが、対応が打ち出されてから今月でもう約三カ月がたとうとしているのに、いまだに調査結果が公表されておりません。

 そこで、何ゆえに調査結果を公表されていないのか、また、期限を決めて調査を急ぐべきだと考えますけれども、公表期日のめどをいつごろと考えておられるのか、国土交通省の見解を伺っておきたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 建設業におけるアスベストによる健康被害の実態調査でございますが、建設業につきましては、許可をとっている業者の方でも約五十六万社いるという大変な膨大な数でございまして、この被害実態の把握というのはかなり困難な作業となります。

 このため、七月二十九日に厚生労働省から「石綿ばく露作業に係る労災認定事業場一覧表」というのが発表されましたので、これをもとに、アスベストに暴露する可能性があると思われる業種の抽出を行ってまいりました。そして、十の団体に八月二十六日に調査を依頼し、昨日、十月十七日までの報告を求めたところであります。必ずしも全部の団体からまだ出ておりませんが、実態調査の結果は十月末を目途に、できるだけ早急にまとめて公表したいと考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、しっかりとした対応、公表をお願いしたいと思います。

 それで、時間が大分迫ってまいりましたので、あと一、二問お聞きしたいんです。

 先ほど言いました五本柱の対応策の五番目で実態把握の強化ということがありまして、九月の二十九日に、国土交通省として「民間建築物における吹付けアスベストに関する調査結果」というのを公表されております。しかし、今回の調査対象というのは、昭和三十一年から昭和五十五年までに施工された民間の建築物のうち大規模な建築物ということで、具体的には、おおむね千平米以上の建築物に限定して調査をされたということなんですね。しかし、私はここの千平米という一つの区切りがよくわからない。

 千平米未満の小規模建築物でも人の出入りの多い建築物も多いということはあるわけでして、このような小規模建築物やマンションやビルや住宅も、当然、調査をして対策をすべきだと私は考えますけれども、国土交通省の見解を伺っておきたいと思います。

山本政府参考人 国民の皆様が生活しておられます建築物でございますので、規模の大小にかかわらずきちんと的確に調査して把握すべきだという御指摘は、御指摘のとおりだと私どもも考えております。ただ、こちらの、公共団体も含めた調査の体制だけでなく、建物の管理の体制の問題もありまして、優先順位をつけて、まずアンケート調査で調査が可能な一千平米以上の建築物について、今調査しているところでございます。

 一千平米未満の小規模なものも対象にするということになりますと、おおよその推計で二百万件ぐらいを対象にすることになります。数が非常に多くなりますし、そういう建築物の管理者、所有者の中には、調査しろと言われても、何をどういうふうに相談して調査すればいいんだというふうに思われる方も非常に多いと想像されますので、所有者からの相談にきちんと対応できるような体制を整備するなど、調査による混乱を少なくするための措置が必要だと考えております。

 このために、今、社会資本整備審議会のアスベスト対策部会で、相談とか調査のための環境整備、それから今後の対策のあり方についてトータルに御検討いただいておりまして、年内に取りまとめていただき、着実に対策を実施するという考えでございます。

 具体的な相談とか調査などの環境整備の方策としましては、相談対応のマニュアルをつくりましたり、調査それから除去方策などの指針作成、ガイドラインの作成を行いましたり、あるいは、都道府県それから建築士関係の団体に周知しまして研修を行うといったようなことも検討しております。

 調査などにより対策が必要になった建築物に対しましては、規制制度の導入、融資、補助などの支援も検討しているところでございます。そういったことを、全体として、小規模な建築物も含めて、必要な対策を講じてまいる考えでございます。

佐藤(茂)委員 残り時間わずかになりましたが、せっかく住宅局長、出てこられたので、もう一点。

 今おっしゃいました社会資本整備審議会のアスベスト対策部会で、十月の十二日に、要するに、新たな規制に乗り出す方針を明らかにされたということで、今までは事業所だけだったのを、マンションや一戸建てに使われている吹きつけアスベストについても増改築時に除去することを義務づけるなどの新たな規制をやっていこう、そういうことを決められて、この対策部会で了承された、来年の通常国会で建築基準法の改正を目指すという、そういう報道が各紙に出ております。

 これが事実だとすると、アスベストの規制という面では非常に画期的であると同時に、運用の仕方、やり方によって、非常に家主の責任が重くなったり、中古マンションの売買や賃貸市場にも影響が出ることが予想されますけれども、報道の真偽も含めまして、国交省の方針について、なるべく簡潔に御答弁いただきたいと思います。

山本政府参考人 審議会のアスベスト対策部会の審議は、すべて報道陣に公開しております。審議経過を報道陣がごらんになって報道されたものと私ども理解しておりますけれども、部会では、建築基準法の改正につきましては、特に住宅に限ったものではございませんで、建築物全体について検討していただいております。その中で、露出した吹きつけアスベストへの措置について建築基準法で規定をしまして、これによって、既存建築物に対する建築基準法の制度を適用することとしてはどうかという御議論をいただきました。

 具体的にそういう措置をとりますと、例えば、特定行政庁が報告を聴取し、立入検査ができる、それから、劣化して飛散する恐れのある建築物について勧告、是正命令ができる、あるいは、定期的な報告を受けてその結果を閲覧という形で情報公開できる、それから、改築のときに除去等が義務づけられるといったようなことになります。

 ただ、十二日の部会で了承されたということではありません。さらに審議を進めまして、実は部会は十二月にもさらに開催することにしておりまして、こういった措置も含めて全体の対処方針を取りまとめていただくことにしておりまして、その結果を踏まえて、基準法の改正も含めた必要な措置を講じてまいる考えでございます。

佐藤(茂)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、JRの事故の問題について大臣に質問します。

 大臣は、四・二五ネットワークという遺族の方々と十月四日に、十分程度ですが、面会を行ったそうです。御遺族の方々の要請にどのようにおこたえになるつもりか、まず、その大きな点での大臣の所信をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 十月四日にお会いをいたしました。十分ではなくて三十分ぐらいでした、実際お会いしたのは。

 四・二五ネットワークの方々からは、事故原因の徹底的な究明をしてもらいたい、また、JR西日本の事故に対する説明責任をきっちり果たすように指導してもらいたい、その他、ほかにもございますが、御要望があったわけでございます。

 事故原因の究明につきましては、御承知のとおり、今、事故調査委員会で鋭意取り組んでいるところでございますが、遺族の皆様からいただいたこの御要望につきましては、JR西日本の方にお伝えをするということは申し上げをさせていただきまして、現に内容は伝えたところでございます。

 JR西日本には、できる限り誠意ある対応を遺族の皆様にしていくのは当然の話でございまして、していくよう、今後ともJR西日本に対しまして指導をしてまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 この未曾有の事故に当たって、私は、政府には、安全規制の問題や、それから監視、監督を強める問題、そのため、それを通じて国民の命と安全を守るためにあらゆる手だてを尽くす責任があると考えます。今お話あったように、同時に、JRなどの公共交通事業者に安全を守らせる責務があると思います。国交省は、所管の官庁として、みずからの責任を自覚して対応しなければならない義務もあると私は考えます。

 その点で、事故調としての、企業の組織体質まで踏み込んだ事故原因の徹底解明が必要であるし、JR西日本に対する指導を徹底することが求められます。この点が特に遺族の方々の要望の中心だと思います。

 遺族の方々は、「単なる脱線転覆のメカニズムや車輌構造などの解析による原因分析にとどまらず、事故列車の運行ダイヤの危険性、ATS―Pの設置の遅れ、運行責任を担っていた運転士と車掌の安全運行に関する訓練や就業状態等々、事故発生に関わる様々な要因、さらにはサバイバルアスペクツなども含む事故の原因究明と全容の解明を、心から待ち望んでいます。」という切なる願いを訴えています。

 ですから、これは、この思いを実らせることが、実は今後の再発防止対策の原点だと考えます。

 私は、この間、四月二十五日の事故発生以来、何回もこの問題について質問をしてきました。六月には、五月三十一日、JR西日本が提出した安全性向上計画について、この作成に関与した国交省としても、JR西日本に、絵にかいたもちにさせない、確実に実施させる責任があることを指摘したところです。

 そこで、四カ月過ぎた現在、JR西日本はこの安全性向上計画を企業内にきちんと徹底し、具体的に改善が進んでいるかどうか、国交省はどのように把握しておられるでしょうか。

梅田政府参考人 まず、JR西日本でございますが、JR西日本は、御指摘の安全性向上計画に基づきまして、六月から三カ月間、本社の役員あるいは支社長等が現場に赴きまして、現場の社員と意見交換を行う緊急安全ミーティングを開催しております。その際に、安全の確保こそがJR西日本の存立基盤であり社会的責務であるとの意識づけを社員に対して行ったというふうに聞いております。

 私どもが把握しております緊急安全ミーティングの開催は、九月三十日現在で、箇所で二百四十カ所、対象社員で延べ一万七千人、約一万件の意見があったというふうに聞いております。また、九月以降につきましては、安全ミーティングということで継続しているというふうに聞いているところでございます。私どもも、今後とも引き続きこの計画を着実に実施していただくということが重要であると考えております。私どもといたしましても、定期的にその進捗状況の報告を受けております。

 さらに、JR西日本の本社やあるいは支社に対する監査を通じまして、これは既に七月、八月と三つの支社に入ったところでございますが、近々本社にも監査に入る予定でございますが、その実施状況を確認して、必要な指導は行っていきたいというふうに考えております。

穀田委員 JR西日本は三カ月間、そういう期間を設定してやっています。私は、当時、一年ぐらい安全点検期間に設定することが必要だと提起しましたけれども、現場で働く労働者が、また社員の方々が、安全性向上計画についてどのように評価し、事故後、安全対策が改善されていると感じているかどうか、ここにスポットを当ててみる必要があると思うんです。今お話あったように、二百四十カ所、一万七千人と、こうありましたけれども、問題は、現場の働いておる社員の方々がこの安全性向上計画についてどのように思っておるのかという点が大事だと思うんですね。そういうところにスポットを当ててこそ、初めて会社の計画が現場でどのように実行されているかということを見きわめる試金石だと私は考えます。

 そこで、もう一度局長に聞いておきますけれども、現場の労働者や代表である労働組合から、この問題で意見を聴取したことがあるでしょうか。

梅田政府参考人 事故当時でございますが、事故当時、JR西日本の主たる組合でございますJR連合あるいはその他の組合から、事故についての組合としての要望書をいただいたことはございます。しかし、その後につきましては、特段JRの組合の方からそういう要望書は出てきていないというのが私どもの……(穀田委員「もう一回言ってください」と呼ぶ)事故当時、要望書は出てきたのはございます。現実にお会いしてお話を伺ったこともございます。その後につきましては、組合の方から私どもに対しまして、そのような要望につきましては、私の記憶ではございません。

穀田委員 では、逆に言えば、そういう要望書やその他があれば会うということですわな。そういうふうに理解します。

 大事なのは、現場の声を聞くということ。それについては何度も国土交通大臣も飛行機の事故その他を初めとしてずっとおっしゃっていますし、まあ来れば会うたるよではなくて、どないなっているという話を聞くのが私は積極的にすべき話ではないかと思っているんですね。監査も大事だけれども、そういう現場の意見を、どないなっているかということが私は視点として大事だと何回も申し上げたところです。

 特に、今度、国労西日本では、安全性向上計画監視委員会をつくって八月にアンケートを行っています。約六百人ほどの方々がその時点で答えています。それがこういう結果としてこんなふうにまとめられています。それを見ますと、実際にJR西日本に勤務している社員の声ですから、今の取り組みを知る上での貴重な資料と考えます。

 それによりますと、第一に、周知徹底に関してですが、安全性向上計画については、今ありましたが、六百人ほど答えているんですけれども、「説明がない」というのが二百二十一名に上っていまして、約三分の一以上が説明を聞いていないと。「説明があった」と答えた人に聞きますと、説明は十分でしたかという問いに対して、「読み上げて説明」というだけで、それが実態で、これが半分を超えています。

 第二番目に、今お話あった緊急ミーティングです。これについても、どういうふうに意見を寄せているかといいますと、緊急ミーティングの内容について、よく理解できたかという問いに対して、「理解できた」は九十六、「理解できない」二百三十二、回答がないのが百七というふうに、内容が理解できないというものが多いんですね。その上に、ではその内容はどのようなものだったか。これは、「変わろうとする姿勢で、十分な説明であった」三十八、「相変わらず一方的に話し、社員の意見をきかない」六十一、「形式的で熱意が伝わらない」二百二十二、無回答が百十一。つまり、緊急ミーティングについても、熱意が伝わっていないというのが大方の意見なんですね。

 さらに、第三に、計画策定後、職場は実際に変わったかという質問に対しては、「全く変わらない」というのが四百四十三なんですね。

 だから、なぜこれほどまでに否定的な回答があるのかということを、私は現実はそうなんだということをよく見なくちゃならぬということだと思うんです。

 あわせて、意見を書く欄があるんですね。当然、アンケートですから、マル・ペケだけではなくて自分の意見を書く欄がありまして、その中には、見ていると、説明などは上からやれと言われているのでやっているという感じだと。さらには、労務管理や社員管理など会社の都合の悪い質問には答えない、あるいは、現場の人員は減らされたままだというふうな文言が随分書かれてあって、幹部教育の改善不徹底や、いわゆる効率化のためにリストラやむを得ないみたいな実態について見直しをしてほしいという意見に対しては何も答えない、そういう実態がかいま見えます。

 したがって、私は、安全性向上計画を遂行させるためには、こういう現場の労働者の意見を聞くなど、フォローアップすべきだという点、思うんですが、その点、大臣いかがでしょうか。

北側国務大臣 まず一義的には、事業者の皆さんが、経営者の方々が現場の方々の声をよく聞く、風通しのいい組織にしていただくということは極めて大事なことであると思っております。ぜひ経営者の皆さんに、そういう現場の方々の声をしっかり聞いていただきたいと思っているところでございます。

 また、この安全性向上計画は、これはもちろん一番責任があるのは経営者の方々でございますが、経営トップから現場の方々まで一体となってこの安全性向上計画を実行していただいて、会社全体の風土を変えていただかないといけないわけでございまして、ぜひ経営者とそして現場の方々との一体となった取り組みを私としては期待しているところでございます。

穀田委員 それは当然のことであって、風通しがよい風土を目指すということを計画の中で言っているわけですから、それは当たり前のことですよ。問題は、そういう実態があるということを私は言うたわけだから、国土交通省の方々が、現実は、そういう現場の声が、少なくとも、計画、三カ月という事態のもとで、残念ながら否定的な意見が多い、しかも、読み上げられただけだとか説明が不十分だとかと言う方々がおられる、そういう声を監査に生かす、また、その監査のときにも現場の声を聞くというのは当たり前じゃないですか。そのことを私は指摘しているんですよ。そんな、何か経営者の話を、それは当たり前の話であって、国土交通省が何をするのかということを私は提起しているわけですね。

 だから、私は二つあると思うんですよ。そういう声をちゃんと聞きなさいよということで、こういう声が出ていると私は指摘しているわけだから、きちんとやりなさいということで監査のときに言うのと、あわせて国土交通省だってそういう直接の意見を聞く必要があるということを重ねて要求しておきたいと思います。

 そこで、例えば、結局、JR西日本の体質という問題でいうならば、私は何度も指摘したんですけれども、とりわけ日勤教育を初めとした命令と服従の企業体質であることはメディアでも指摘されているわけですね。そこの中で、特に、安全性向上計画の中でも減点主義だとか部下との意思疎通が不十分など反省しているように、先ほど大臣もおっしゃったように、風通しが悪いということが体質であることは明確だったわけですね。したがって、そういう、幹部が話を聞きなさいと言ってやったって、そのことだけで解消するものじゃないと思っています。

 そこで、では、安全性向上計画の位置づけについて、一点だけ確認しておきたいと思います。この安全性向上計画は、安全を軽視してきた姿勢を反省し、これまでの安全対策を根本的に見直すものとして会社が作成したものと認識しているのかどうか。国土交通省はどのように受けとめておられますか。

北側国務大臣 そのように認識をしているところでございます。

 この計画は、JR西日本にとりましては、被害に遭われた方々や利用者の方々を初めといたしまして、社会全体に対する約束事であるというふうに私は考えているところでございます。大事なことは、この計画をしっかりと実施していただくとともに、これを通じて、安全を優先する企業風土の構築に取り組んでいただくことでございます。

 国交省といたしましても、これまでも監査を重点的に実施しておりますが、これからもこの監査をしっかりと実施するとともに、この安全性向上計画の実施状況についてしっかり確認をしていきたい、また必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

穀田委員 ここに実は、安全性向上計画に対する取り組み、アクションプランというのが、会社側の資料があるんですね。これには、「今回の重大事故の発生を真摯に受けとめ、これまでの取り組みにおける反省すべきところは改善しつつ、」「「安全性向上計画」の取り組みを始めたところです。」こう一応書いているんですね。これはある支社の説明の文章なんです。

 その後に、「しかしながら、この「安全性向上計画」が、これまでの安全対策に代わるものではなく、また、それだけを取り組めばよいというものでもありません。あくまでも、これまでの「基本の徹底」をはじめとした基本的な取り組みの継続を基盤として」やらなければならない、こう言っているんですね。わかりますか。

 つまり、これは、今お話あったように、社会に対する約束だ、それから風土全体を変えなくちゃならない、いわば、新しい再生をかけて安全性を国民にやるんだというのが本来の趣旨ですね。ところが、現場で説明をしている内容は、こういう内容だということなんですね。

 事は重大なんですよ。やはりこれまでの安全対策にかわるものではないんだ、あくまでも徹底が大事なんだというような話で、これを聞いた現場の社員は大変びっくりしたと。つまり、事故を起こした不十分な安全対策を根本的に変えるものじゃないというふうに受けとめたと言っておられるわけです。私も聞いてまいりました。私も、JR西日本の安全意識は度しがたいというふうに思ったわけです。

 この文章の次のところには、さらにこう書いていまして、二つのキーワードを挙げているんですね。一つは当事者意識だ、二番目に意思疎通だと書いているんですね。現場の社員を前に、安全性向上計画を推進するキーワードというのは、まあ簡単に言えば君ら社員の心がけだというふうなことを言わんばかりの、そういう認識なわけですね。この期に及んでも、当事者意識が君たちの問題だみたいな話をしているということに対して、全く私はけしからぬというふうに思っています。

 だから、遺族の方々が、先ほど一番最初に大臣言いましたけれども、事故原因について説明してほしいというような説明責任の問題をずっと要望しているわけですけれども、JR西日本がそういうのに対してこたえていないという問題に対し、さらには反省がないという、憤激されるという理由もここにあると思うんですね。

 どうも、末端で言っていることは、結局、安全性向上計画の根本がどうも違うんじゃないかという意識を皆さんお持ちなわけですね。だから、こういうことがまかり通っていること自身が、根本的反省がないと言われても仕方がない。だから、私、安全性向上計画の位置づけについて聞いたわけですよ。そういう位置づけになっていない実態があると指摘せざるを得ません。

 先ほど言いましたが、このようなJR西日本に対して、監視、監督の責任をいかに強化するかという点がさらに問われます。

 そこで、一点、私は提案したいと思うんです。安全情報の収集、分析の強化についてです。

 現在は、重大事故や重大インシデントに至らないヒヤリ・ハットなどの情報を収集し分析することが事故再発防止に極めて有効であるということは、各方面から指摘し実証されています。相次ぐ航空機の事故を受けて、航空輸送安全対策委員会がこの八月に、国の情報収集、分析のあり方を制度面を含めて検討すること、それから自発的報告者への配慮の検討などを提言しています。この点でも、同じように鉄道輸送の点でも検討すべきではないでしょうか。

梅田政府参考人 事故の芽のような事象についても報告を求めるべきではないのかという御質問でございます。

 鉄道事故等報告規則では、鉄道事業者に対しまして、列車脱線などの運転事故、列車の運休などの輸送障害、それから鉄道運転事故が発生するおそれがあると認められる事態、これはいわゆるインシデントと言われるものでございますが、こういうものにつきましては、国に対して報告を求めているところでございます。

 今御指摘のような、いわゆる事故の芽のような小さなミスでございますが、こういうミスにつきまして、そのすべての報告を求めるということにつきましては、運転士などの現場の職員に対して必要以上の負担をかけるのではないか、あるいは、御指摘のような、逆にミス隠しを助長させるおそれはないのかというような懸念がございます。

 こうしたミスを、どこまで、どんな形で我々国の方に報告をさせるか、こういう問題につきましては、今度とも慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 それは逆なんですよ。第一、まず前提が違うている。大体、JR西日本は、安全性向上計画の中に、事故の芽等の報告対応方の是正の項目を設けているんですよ。その中で、これまでの減点主義、つまり、そういうことをやったらだめだということで、まず減点の対象になるんですよ。だから、報告しないということがあって、ミス隠しが起こるということが指摘されて、みんな問題になったわけでしょう。それを是正するということを言っているときに、今ごろそんな逆の話をしているなんというのは驚きますよ。しかも、そんなことを言っていたら、では、アメリカやその他の国でやっている制度というのはまさにミス隠しにつながっているんですか。そんなことはないですよ。

 世界では、当たり前の話になっていて、そういうものが、個人が特定されない形でそういう報告を上げる制度になっていて、本人は対象にせずに秘匿し、なおかつ、情報だけは上げるというシステムになっているんですよ。しかも、負担をかけるんじゃなくて、そのことによって安全を確保するという大前提があるから負担にならないんですよ。そんなことを、安全性の、いわばインシデントにつながらないヒヤリ・ハットについて報告するというのが世界の流れなんですよ。そういうものについて、だから、航空事故についてだってそういうことを検討しているんですよ。

 それを今ごろになって負担をかけるだのミス隠しだのと、これだったら、それこそJRの当時の言い方と全く同じじゃないですか。要するに、事故がある前の態度と全く同じだと言わざるを得ない、断ぜざるを得ないと私は思っています。

 問題は、そういうものから発展をして、JRだって、これまでの減点主義を改めるなど、改善策を示しているんですよ。逆に、今これを確実に実行させるために、企業任せにせずに、政府の責任として義務づけたり、制度化し、さらに今あったように、ミス隠しが起こらないような手だて、負担をかけないような手だての考え方を徹底するということが基本であって、何をか言わんやと言っておきたいと思うんです。

 現状では、今お話があったように、責任事故の問題について、種類を三種類ぐらい、これはお互いにやりましたので言いませんけれども、会社独自の報告制度を持っています。ところが、それが正しくやられているかどうかという問題も、実は報告はありませんから、国交省は知らないということになるんですよね。これは、この間お話ししたとおりです。

 したがって、どのように報告させ、どのように活用するかなど検討の余地はあるけれども、鉄道だけ企業任せにしていては国民の命や安全は守れない。したがって、そういう意味で検討すべきじゃないかと私言っているんですね。そこをもう一度。

北側国務大臣 鉄道局長も、今穀田委員がおっしゃっているような趣旨で、一切報告をとらないよと言っているわけじゃないと思います。

 私どもも全く同じ問題意識を持っておりまして、一つは、こうした事故、不注意でちょっとしたミス、これはもう当然あり得るんだ、そういう大前提に立った上で、社内の中でそういうちょっとしたミスがあっても、それをマイナスの材料にするんではなくて、これをきちんと報告ができるような、そういうふうな空気、風土というものをつくることが大事ですということは、これまでも我々は強く言ってきたところでございます。そういうことを強く言って、JR西日本の安全性向上計画にもそうした趣旨が盛り込まれている、これは私どもがかなり強く言って、そういうことになっているのではないかと私は思っているところでございます。

 この事故の芽そのもの、ちょっとしたミスを一つ一つ全部、その都度国交省の方に報告しなさいよ、これはどうなんでしょうか。むしろ大事なことは、会社として、ちょっとしたミス、トラブル、そうした事故の芽をきちんと掌握できる体制をとって、それがないようにしていくためにどういう取り組みをしているのか、そういう全体像が非常に大事なことだというふうに思っておりまして、そうしたことを、どういう取り組みをしているのか、全体としてどうした取り組みをし、どうなっておるのかということをきちんと国交省として掌握していくことは、非常に大事なことであるというふうに思っております。

穀田委員 掌握の仕方はいろいろあるというのは、それは同じ意見なんですよ。一々一々全部上げるかどうかというんじゃなくて、例えばまとめて、そういうことがあった場合についてはすぐ報告するシステムだとかいう話をしているので。ただ、先ほどあったように、負担をかけるんじゃなくて、負担をかけるんじゃないかとかミス隠しが起こるんじゃないかという議論は以前の話だと言っているんですよ、私は。そこはわかっていただけると思うんです。

 その上で、実は、何でこんなことを言っているかというと、事故調査委員会の建議、九月六日にありましたよね。その中にも、三点目に、「インシデント等については、その状況を正確に把握し、分析して活用することが、事故の防止に効果的である。」と建議しているわけですから、大体そういうもののインシデントという前提にはヒヤリ・ハットがあるというのは、この間のこの学界や、いわば安全にかかわる公共交通の関係では、ある意味で常識になっていますからね。そういうことを私言っているわけですよ。

 最後に、そういう意味でいいますと、私どもは、さらに深めた事故調としての、中間報告を前提にした、さらに突っ込んだ話をしていただきたいということを特に要求しておきたい。

 具体的には、事故原因を解明する際に大事なことは、人間個人のレベル、さらには技術レベル、組織レベルの三つの角度からの分析が欠かせないと言われています。この点、事故調査委員会の調査では、技術的な要因は一定程度解明できても、調査範囲、権限の問題、体制上の問題も含め限界があります。

 しかし、私どもは、調査委員会の方々とも話をしている中で、実際に日勤教育などに見られるそういう命令と服従のJR西の体質の問題や、背景にあるさまざまな問題、具体的には、余裕時分のない運行ダイヤの危険性、さらには、その背景にある、安全をないがしろにしたもうけ第一のリストラ経営の問題など、組織要因にまで踏み込んだ事故原因を究明すべきだと考えます。その責任が国交省にあると考えていますが、その点だけ最後にお聞きして、終わります。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 当委員会におきましては、福知山線列車脱線事故に係ります調査を鋭意今進めておるところでございますが、多角的な事実調査と科学的な解析に基づく最終的な結論を得るまでには相応の日時を要するということでございましたので、去る九月六日に、これまでの調査で判明いたしました客観性の高い情報が比較的速やかに得られるという観点から、ハード面の調査結果を中心に、その概要を御報告し、かつ公表をいたしたところでございます。

 事故調査におきましては、不確かな情報に基づく憶測あるいは予断を排しまして、客観的な事実情報に基づく科学的な解析を行うということが重要だと考えております。当委員会におきましては、JR西日本の社員からの口述聴取を行ったり、あるいはATS―P車上装置等の各種記録の収集を行うなどいたしまして、先生御指摘の日勤教育などの乗務員の勤務状況でございましたり、あるいは運行ダイヤとの関係などにつきましても多角的な事実調査の観点から、鋭意現在調査を進めておるところでございます。

穀田委員 終わります。

林委員長 高木義明君。

高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。国土交通政策につきまして、ただいまから質問をいたします。

 まず、本論に入る前に、北側国土交通大臣にお伺いをいたします。

 北側大臣は、小泉内閣に公明党から入閣をしておる貴重な、有為な大臣だと私は思っております。御案内のとおり、昨日、小泉総理は靖国神社に参拝をいたしました。この点につきましての意見は差し控えさせていただきますが、御党の神崎代表は、報道によりますと、不快感を示された、このように言われておりますが、北側大臣におかれてはどのような感想をお持ちか、お聞かせいただきたい。

北側国務大臣 率直に申し上げますと、私といたしましては、非常に残念であるというのが私の感想でございます。やはり日韓関係そして日中関係、極めて重要な二国間関係であると思います。こうした二国間関係に悪い影響を与えていくのではないかということを正直なところ心配しております。

 私としましては、日中関係、日韓関係、安定的な関係が維持できるように、私の立場で全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思っております。

高木(義)委員 この点につきましては、さらには申し上げません。

 国土交通大臣としてのこの一年間を振り返られて、いろいろなことがあっただろうと思っております。郵政に暮れ郵政に明けたというのが私の率直な印象でありますが、そのほか解決をしなければならない課題がたくさんあります。特に、今回は思わぬ災害や事件が多発した年でもございました。

 私は、国土交通政策を取り仕切る、いわゆるこれを進めていく重要なキーワードは三点だと思っております。

 まず安全。これは何といいましても、人、物を安全に輸送する。もちろん輸送する方々の安全も当然大事でありますし、この安全確保ということについてこれからも重視をしながらやっていく必要があろう。

 二つ目には環境だと思いますね。地球温暖化が叫ばれ、そしてその対応が世界の大きな、我々の責務となっておる。そういう意味で、国土交通政策上の環境の配慮ということもこれは大きな要件であろう。

 そして、忘れてはならない三つ目の課題は、私は、人、人材、ヒューマンインフラと言ってもいいと思いますが、このヒューマンインフラ、特に団塊の世代の現役引退といういわゆる二〇〇七年問題が今大きな課題になっておりますが、国土交通産業あるいは国土交通の最前線に携わる方々の技術の伝承、安全、環境に配慮したそれぞれの担い手としての育成というのも私は今国が取り組むべき重要課題の一つであろうと思っておりますが、この点につきまして大臣の基本的な認識をお尋ねしておきます。

北側国務大臣 極めて大事な御指摘であるというふうに私も思います。

 安全と環境、これは当然のことといたしまして、その安全確保や環境の保全をきちんとやっていかれる、やはり最後は人が問題でございまして、その人材育成にしっかりと力を入れていかねばならないと私も全く同様に考えておるところでございます。

 今、さまざまな技術がどんどん発達をいたしまして、機械、装置等々が非常に発達している、昔に比べると。昔はこんな立派な装置や機械もなかった。しかし、そこでは人が能力を発揮して、また技術力を発揮して見事な物づくりをしていただきましたし、また安全確保のための技術をしっかりと発揮していただいたと思うんですね。それが、機械とか装置が立派なものができてくると、それに過信をしてしまって、逆にそういう人間の側のそうした意識というものがやはり弱くなってくるということは、本当にこれは私はよく見ていかないといけないというふうに思っているところでございます。

 この人材育成に関しまして、これはもうさまざまな部門で国交省といたしましても必要なわけでございますが、例えばこの安全に関係して言いますと、事業者における安全マネジメントをしっかりやっていただくことが大事だと考えておるんですが、その体制の構築を担っていく人材育成に対する支援が必要であると考えておりまして、そうした観点から概算要求をさせていただいておりますし、また、鉄道の運転士の方の資質管理や教育指導体制等の制度化についても今検討しております。また、航空においてはパイロットの訓練のあり方についても検討をしているところでございまして、こうしたものをしっかりと進めさせていただきたいというふうに思っております。

 また、今委員の方からおっしゃいました、団塊世代が大量に定年を迎える、もう近々やってくるわけでございます。これは建設であれ造船であれ、物づくり産業等におきまして熟練技能者の技能を若年労働者に伝承し、現場における技術レベルを維持することが喫緊の課題だというふうに私も認識をしておりまして、その人材育成や技能伝承のための取り組みをしっかりと推進させていただきたいと考えております。

高木(義)委員 民間にできることは民間に、これは当然でありまして、言わずもがなの話でございます。民間は、陸海空、それぞれの分野でまさに身を削り、血のにじむような努力をしておる、私はそのように認識をいたしております。ここでは、民間ではできないこと、これはまさに国の政策誘導、そして政治決断でやっていく、こういう立場から以下お尋ねをいたします。

 特に最近は、自由化とか規制緩和、あるいはまた、大競争時代の中でとにかく安ければいいのだ、こういう風潮があります。私は、我が国の人材をいかにして質の高い、そして信頼ある人材に育てていくか、これは今大臣も認識は同じでありますけれども、こういう観点から、きょうは、我が国は海洋国家でありますから海の方に目を向けながらお尋ねをしてまいりたいと思います。

 海の日が制定されまして、国民の世論も我が国の海とのかかわり合いにこれまで以上に認識や関心が高まった、これは私は大変いいことだと思っておりますが、まだまだ実態としてはそうではない、私は国を挙げて我が国の海の問題についてとらえるべきではないかと思っております。

 そういう観点から、まず国内輸送の約四割を担う内航海運、この現状は大変厳しいものがあろうかと思いますが、この点について国としてどのようにとらえ、そしてどのように支援をしていくのか、その考え方についてお示しいただきたいと思います。

星野政府参考人 ただいま、現在の内航海運を取り巻く現状につきましてのお尋ねがございました。

 今お話がございましたように、内航海運は、鉄鋼、石油、セメント等の産業基礎物資を中心に国内貨物輸送の約四割を担っている、我が国の経済、国民生活を支える重要な物流産業であるというふうに言えるかと思います。

 しかしながら、バブル崩壊後、長引く景気低迷等による影響によりまして、例えば運賃あるいは用船料水準というのが十数年にわたって低下傾向を続けている。最近におきまして若干、景気の回復あるいは船腹需給が引き締まったというようなことで、市況自体は若干改善の方向に向かっておりますけれども、やはり水面下の経営を十年以上続けている、こういう状況でございまして、極めて経営環境としては厳しい状況にございます。

 内航海運がこれから果たすべき役割という観点から申し上げますと、やはり荷主の物流効率化ニーズへの対応、国際競争力を支えるという観点がまず一つ。さらには、船員さんのやはり生活環境、居住環境の改善というのも大きなテーマであります。さらに、環境問題への対応という意味では、省エネ化あるいはタンカーのダブルハルといったような要請への対応と、社会的に内航海運に課されたさまざまな課題があるわけでございますが、こういうものに、現下の厳しい経営状況のもとで、なかなか自力だけでは対応することが困難ではないかというふうな状況にあるというふうに考えております。

 特に、昨今問題になっております燃料油価格の高騰、これが厳しい経営環境の中で追い打ちをかけておりまして、私どもとしては、やはり将来にわたって内航海運がきちっとした使命を果たすためには、荷主あるいはオペレーター、そういう方々の御理解もいただきながら、しっかりした経営ができるような基盤づくりということの確立に向けて、政策的にもさまざまな努力を続けていきたいというふうに考えているところでございます。

高木(義)委員 今お話がありましたように、原油価格の高騰も経営へ大きな影響を与えております。今年度の七月から九月期においては、CIFでありますが、一バレル五十二・七ドル、国内においてのA重油価格はキロ当たり五万一千八百円、C重油で四万一千六百円、昨年から見てもかなりの値上がりでございます。

 今後、これがまた数千円もアップするのではないか、こういう見込みもございますが、ぜひこの点についても、これは荷主との間でバンカーサーチャージという制度があって一定の手当てはございますけれども、ぜひその窮状をかんがみて手厚い支援をしていただく、この点について再度お答えをいただきます。

星野政府参考人 ただいま燃料油高騰の影響につきましてお尋ねがございました。

 今お話がございましたように、内航海運の燃料油につきましては、基本的にはバンカーオイルとしてA重油、C重油というのを使っておりますが、この一年程度、昨年の四―六からことしの四―六にかけましておおむねほぼ三割近く、あるいは三割前後、金額にして、それぞれの油種、キロリッター当たり約一万円程度のコスト増という形になっております。業界全体としては二百五十億円というような、使用実績に応じた負担増になるというのが見込まれております。

 そういった観点から、先ほど申し上げました厳しい経営環境の中で、やはりこの燃料油価格の高騰に対応した新しい価格体系の中にスムーズに円滑に移行することが極めて大事だということで、そのためには荷主の理解、そういったものが不可欠であるというふうに考えておるところでございます。

 先ほどの御質問の中にもございましたように、本件につきましては、内航のみならずトラック運送事業その他、燃料油価格の高騰によりまして厳しい経営状況にあるという状況は同一でございますので、あわせて、経済団体に対していろいろな、現状あるいはその是正の必要性ということの理解を求める努力を私どもとしてもぜひやりたいというふうに考えておりまして、本日午後の経団連におけるそのための委員会につきましても、私もオブザーバーとして参加させていただいて、よく皆さん方に実情を理解していただくということをお願い申し上げたいと思いますし、また、現場においても、それぞれの運輸局等々におきまして、荷主、それから船主さん方の話し合いの場というようなものについてできるだけ尽力するようにということで指導をいたしているところでございます。

高木(義)委員 内航海運は、御存じのとおり、中小手の方々が多い。したがって、それだけにもう四苦八苦という状況を私は察するわけでございますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 そして、いわゆる環境問題、地球温暖化、まさに輸送部門のCO2削減のためには、これまでも言われておりましたように、モーダルシフトが重要だ。クールビズとかあるいはウオームビズ、これもいいんですけれども、やはり私は、今の自動車、これはドア・ツー・ドア、この優位性は今でも絶対的なものがある。その前提に立って、自動車と鉄道、そして海運、これを複合的に、一体的にとらえたモーダルシフトを、これはもう政策の誘導によってやるしかない、私はそのように思っております。

 私たち民主党も、平成十五年に複合一貫輸送の推進に関する法律案というものを提示いたしましたが、残念ながら廃案になっております。これはまさに国、地方自治体、あるいは事業者、こういった方々の責務を明示しながら、平成二十二年までに鉄道・船舶輸送分担率を五〇%以上にする、こういう目標も掲げて訴えておりますが、これは数の力でございますので、大きな声になっておりません。しかし、やはり国として、国土交通省として、私はむしろこういう法律を策定して取り組むべきと思いますけれども、この点について御見解をいただきたい。

杉山政府参考人 ただいまモーダルシフトの推進につきましてのお尋ねがございました。

 先生御指摘のとおり、CO2の排出量の比較で申し上げれば、原単位で申し上げれば、トラックを一といたしますと内航海運はその四分の一、それから鉄道はその八分の一ということで、大変にCO2の排出削減効果が大きいわけでございます。そのような見地から、私ども、運輸部門におけるCO2排出削減対策につきまして現在鋭意取り組んでいるところでございますが、近年のモーダルシフト化率について見ますと、算定対象でございます輸送距離五百キロメートル以上の雑貨輸送に関しましては、鉄道、海運による輸送量は増加傾向にはございますが、それにも増しましてトラックによる輸送量が飛躍的に伸びているという状況でございまして、大変残念ながら、モーダルシフト化率で申し上げれば、平成十三年が三八・六、平成十四年が三二・一%ということで、若干の減少傾向にあるわけでございます。

 先生も御指摘ございましたように、やはりトラックというのは大変機動性、利便性にすぐれておりまして、一貫輸送が可能でございますが、他方、鉄道あるいは海運といったものは、どうしても積みかえまでのリードタイムでございますとかさまざまな問題がございまして、なかなか思うようにはいかない状況が続いているわけでございます。

 しかしながら、私ども、環境対策の見地からモーダルシフトを大変重要だと考えておりますので、平成十四年度からでございますが、モーダルシフト等のCO2排出削減効果が高い取り組みにつきまして、実証実験に対する補助を行うといった支援を行ってきました。この三年間で七十四件のプロジェクトを支援いたしまして、このうち五十六件が鉄道、十五件が海運シフトでございまして、この結果、CO2の削減量の試算では、九万三千トンほど削減ができたのではないかというぐあいに思っております。

 さらに、平成十七年度におきましては、経済産業省や荷主業界とも連携をいたしまして、グリーン物流パートナーシップ会議というものを新たに設置いたしまして、荷主企業と物流事業者が連携、協働いたしまして取り組むモーダルシフト等のCO2排出削減プロジェクトに対する補助などを通じまして、中小企業も含めましてすそ野を広げる取り組みを今積極的に推進しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、CO2排出の一層の削減のためにモーダルシフトの取り組みは私どもも不可欠であると考えておりますので、今後とも、荷主企業と物流事業者が連携、協働いたしましたグリーン物流パートナーシップ会議の活用を図るなど、一層の促進を図ってまいりたいと思っております。

高木(義)委員 今お答えありましたけれども、大臣に決意だけお聞きしますよ。これは十数年来、この国会でも、私も発言をしたことがございますが、思うように進まないんですよ。したがって、何とかこれを我が国に、沿岸を海で囲まれておりますし、突破口をつくるということが私は大事だと思うんです。大臣、一言。

北側国務大臣 地球温暖化対策は、この運輸部門においても極めて重要なことであると思っております。運輸部門だけでたしか二〇%だったと思いますね、CO2の排出量が。そういう中で、このモーダルシフトの必要性ということは非常に重要な対策でございます。

 今参考人の方から答弁をさせていただきましたが、やはりこれは、産業界の方がモーダルシフトができるようなインセンティブをしっかりつくっていかないとなかなか前に進んでいかないというのが実情だというふうに思っております。どういうインセンティブがつくれるのか、より効果的なインセンティブについてしっかりと検討させていただきたいと思います。

高木(義)委員 さて、目を外航に移していきます。

 御承知のとおり、我が国の外航海運は、鉄鉱石、石炭、原油、天然ガスあるいは大豆、小麦、綿花、羊毛、そういったまさに生活必需品についてはその九九%を外航海運に依存しておるという状況がございます。

 この点についてはもう皆さん方も御認識でありましょうが、ここに来て、日本人の船員がどんどんどんどん減っていく。日本の日の丸を掲げた日本国籍船がどんどんどんどん減っていく、こういう状況にございます。まあ経済合理性からいえば、それはそれで安い人手を雇用するということは当然のことでありましょうし、国際競争に勝つためにはそれは当然のことだと思いますよ。だから、企業、産業にすれば、それはもうやむを得ないこと。その認識の上で、しかしこれでいいのか。日本の船員がゼロになる、こういう可能性もなきにしもあらず。

 私たちがよく海外に行くときに、例えば空港でJALやANAの飛行機を見たときに、それはまさに郷愁を感じますし、日本人として、日本の国民の一人として大変力強いものを感じることがよくあります。世界の港に行って、世界の海で日本のフラッグを立てた外航客船なり外航貨物船が行くのを見る、これがなくなってしまう、これで果たして私たちいいのか、私はこういう危惧を持っておるわけです。

 そこで、まず第一に、TAJIMA号事件というのがございました。これは平成十四年、二〇〇二年四月に、便宜置籍船です、実質的には日本が支配をしておりますが、パナマ船籍でございます。公海上のパナマ船籍の中で日本人船員がフィリピン船員に殺害された事件。一カ月余り、国内法が及ばないので船内にとどめおかれる、そういう事件がございました。

 これについては、その後、国会で刑法を改正いたしまして、国外での犯罪被害者を救うという一つの法体系はできました。しかし皆さん、これは、そういう手だてはできましたけれども、今後、外国籍船上において外国人同士がこういう犯罪を犯したときに日本として適切な対処ができない、これは安定輸送の確保にもかかわることですよ。だからこそ、関係者は、もう一回日本の船籍に戻そう、いわゆる第二船籍の必要性についても考えられたと私は思っております。

 この事件が、何とことしの五月二十日、パナマ裁判所で無罪になった、無罪に。現認者がおり、そして本人も謝罪をしておる。そういうものがパナマの裁判所に行きましたら無罪になった。これは遺族にとっては耐えられない、関係者にとっては耐えられない。この裁判の結果について、我が国の法務省としてどういう認識を持っていますか。

大林政府参考人 お尋ねの事件につきましては、本年五月二十日、パナマ共和国において、被告人らに対し陪審法廷により無罪の評決が下されたものと承知しておりますが、外国の裁判において下された評決につき、法務省として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。

高木(義)委員 非常にそっけない答弁でしたね。何ですか、日本の法務当局が、この問題について、海外の国のことだからと。では、一般論でどうですか、一般論。どうぞ。

大林政府参考人 一般論として申し上げますと、犯罪に対して、これを処罰するといいますか抑圧するというか、そういう立場を持っています私どもとして、非常に残念な結果だというふうには認識しております。

 ただ、個別の事件について、やはり他国の司法において下されたものについて、私ども法務省としてそれに対してコメントするということはなかなかしにくいということを御理解いただきたいと思います。

高木(義)委員 大臣、これはどうですか。日本の政治の責任者の一人として、このような外航にかかわる船員の方々がそういう事件に遭った事実、そしてまた、これからもそういう懸念がないとも限らない。やはり日本としてきちっとした対応をとるべきじゃないですか。この点についてどうぞ。

北側国務大臣 船籍の問題については、私もこのままではいけないという危機感を持っております。事実上、日本が、日本の国の産業界が支配をしている船がさまざまな理由で他国の船籍になっている。

 ただ、その船で、今委員のおっしゃったような事件はもちろんのことでございますけれども、さまざま問題が起こっていることは十分あり得るわけでございます。そうした際に、国民の生命と財産を守っていくということは国の一番大きな役割でございまして、そういう観点から、やはりこの問題については放置しておいてはいけないというふうに私も認識をしているところでございまして、今国交省としてもこの船籍の問題については検討をしているところでございます。

高木(義)委員 現状は、平成十年、一九九八年ですから、百七十隻あった日本船籍が今九十隻と半減をいたしました。同じ一九九八年に七千人いた日本人船員は、三千人程度になっておる。これはこのままいくと恐らくとまらないだろう。もちろん、先ほど申し上げました経済合理性に基づくと私はそうだと思うんですよ。今、海運市況は非常に良好です。この良好というのは、血のにじむような経営者あるいは船員の皆さん方の努力があったからこそ、今こういう好況の中にいられると私は思っております。

 中国やアメリカの景気がいいために、これからも、例えば、環境の問題でLNGの需要は大変ふえてくる、LNG船も物すごくふえてくるが、LNG船の乗組員は世界的に今後減っていくんじゃないか、こういうこともあっております。

 そういう中で、我が国としても一定のものはあるんです。いわゆる国際船舶制度、一九九六年に海上運送法の一部改正が行われまして、国際船舶制度が導入されました。もちろん、船舶の登録免許税と固定資産税の軽減措置などが実施されまして、そして一九九八年には、船舶職員法一部改正で、国土交通省通達によって、船長と機関長は日本人とするが、それ以外については外国人承認船員とすることも可能になった、こういう経過もございます。

 しかし、今日現在、この船舶制度をやったにしても、それに歯どめがかからない。だから、これは不十分であった、機能していないのではないか、こういう総括が私は必要だと思います。

 だからこそ、やはり国際競争力というものは大事ですから、ここで、例えば、世界の先進国がいろいろとっております制度があります。償却制度の優遇措置、船舶の買いかえ特例、トン数標準税制、第二船籍制度、船員所得税の免税・軽減、船員の社会保険料の軽減、船員の派遣・帰国費補助、船員の訓練費補助。アメリカにおいては、運航補助、こういうことまでとられておるんですよ。

 少なくとも、それをすべて採用せよとは、今の現状では困難でしょう。しかし、今最も外航関係の皆さん方が望んでおる、いわゆるトンネージタックス、トン数標準税制、例えばノルウェーの例を見てみましょう。ノルウェーでは、第二船籍制度が一九八七年にとられました。そして、二〇〇五年の国内船、ノルウェーの自国船ですね、これはまだ五七%だ。船員にしても、今二三%確保できておる。しかし、日本はそれぞれ五%弱なんですよ。

 少なくとも、こういう先進諸外国並みの制度を採用して国際競争力をつけていく、そして、そのかわりに日本人の船員の育成を図る、こういうことは、まさに私は、日本の政治の姿勢として確固たるものにしていく必要があるのではないか、こう思います。

 この船舶制度、一九九八年にこの制度ができまして、衆議院においても附帯決議がなされております。

  外航海運の基盤を強化し日本船舶の国際競争力を増強するため、関係者に一層の努力を求めるとともに、国際船舶制度を拡充するなどの有効な施策を講ずること。

  日本人船員の減少を防止し、優秀な技術を今後とも維持するために、労働条件・環境等の改善に一層の努力をするとともに、若年船員を養成するための有効な施策を講ずること。

こういう全会一致の附帯決議がございます。

 しかし、これを受けて我が国の政府は、本当に一体何をしてきたのか、今どういう課題があって、今このことについてどのように問題意識をして、新しい外航船員政策を立てていこうとしておるのか、この点についてお答えをいただきたい。

星野政府参考人 ただいま、外航海運政策について幅広い観点からの御質問をいただきました。幾つか整理して答弁させていただきたいと思います。

 まず、日本船の減少、さらには日本人外航船員の減少、これへの対応ということで、先ほど先生からもお話がございましたように、国際船舶制度というのが我が国にも導入をされました。

 それによって、労使協力し、あるいは行政としても一緒になって、何とかこの国際船舶制度を拡充していこうというふうに取り組んでまいったわけでありますけれども、現状におきましては、厳しい国際競争の中での経済合理性という観点から、なかなか隻数が増加せず、若干減少の傾向にあるということで、現在、労使の合意のもとに、国際船舶制度そのものの運用をさらに、新しい第二船籍というか国際船舶として登録した船の競争力を高める方向で何とか見直せないか、そういう方向で検討を進めるという合意が労使ででき上がりまして、現在、その合意にあわせて、どのような形で国際船舶制度というのを見直していったらいいのかということを政府部内で検討しているという状況であります。

 なお、あわせて、その際に、日本人の船員さん、言ってみれば海事産業を支えるヒューマンインフラ、こういうものについていかに育成、確保していくかということも、やはり労使知恵を合わせて考えていこうということで、そのための検討の場というのも設けられております。

 現在、従来のような形で、いわゆる日本籍船であるから日本人船員の雇用が確保されるといったようなかつての雇用形態から、船社自身が雇用責任を果たすという方向で、外航海運の中にも変化が出てきております。さらに、海上労働だけではなくて、船舶管理あるいは安全の確保、さらには営業まで含めて、船員さんの専門技術を生かしていこうという動きもございます。

 私どもは、そういう観点から、労使の間で、今後、我が国のヒューマンインフラをどのように確保し、育成し、育て上げていくのかということについて真摯な議論が行われるということに極めて評価をいたしております。その議論に私どもとしてもできるだけお手伝いをし、なおかつ、その議論を踏まえた政策的な対応が必要であるということであれば適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

高木(義)委員 時間も参りましたので、まだたくさんの課題が残っておりましたけれども、制限時間でございますから一言だけ、大臣の最後の決意、御所見をお聞きしたいと思います。

 やはり航海の体験があるからこそ、海事関係についての説得力があるわけですよ。現場を知らない人がいろいろ頭の中でいいことを言っても、それは説得しようがありませんよ。やはり日本というのは海洋国家ですから、日本人の船員を将来ともに育成する、こういうことについて、まさに我が国の発言力を保持するという意味において、ぜひ積極的取り組みをお願いしておきたいと思いますので、大臣、御決意をお願いします。

北側国務大臣 日本人の船員を養成することは、これは我が国の海運をさらに発展させていくことはもちろんでございますけれども、我が国の国際競争力ある産業をつくっていくためにも、私は、そうした海の物流を担う方々が、日本人がしっかりといるということは、やはりこれは大事なことであると思います。しっかりと、その人材育成が実効的にできるように取り組みをさせていただきたいと思います。

高木(義)委員 終わります。

林委員長 金田誠一君。

金田委員 民主党の金田誠一でございます。

 私は、タクシーにおける規制緩和政策の失敗について再度質問をいたします。

 この件については、去る四月十三日の委員会においても質問をしてまいりました。大臣には、深刻な事態を御理解いただいて、改善に向け努力いただいていると思っていたところ、去る十月七日の大臣の所信には全く触れられていないことに実は驚いているところでございます。

 規制緩和により引き起こされているさまざまな問題は、タクシーのみにとどまらず、トラックやバス業界、あるいは海運業界など、運輸業界全般に特に深刻な状況となっております。にもかかわらず、大臣所信に一言も触れられないということはどういうことなのか。この問題に対する大臣の基本的な認識をまず伺いたいと思います。

北側国務大臣 この後、さまざま委員から御質問があるかと思いますが、タクシーの業界が置かれている問題につきましては十分認識をしておるところでございまして、今、さまざま対応をとらせていただいているところでございます。

 所信に書かせていただいたことは、これはもう限られた時間でのものでございまして、そこに書いておらなかったからといって重視していないということでは決してございません。

金田委員 わかりました。

 規制緩和の失敗は、特に運輸の各業界に集中的にあらわれているということは御理解いただいたと思います。タクシーの問題はその象徴とも言える、こう思います。直ちに可能な対策をとることが必要でございます。その上で、通常国会に向けてしかるべき法改正などを準備いただいて、そのときには大臣の所信としても明確に示していただきたい、このことを申し上げた上で、以下、具体的な質問に入らせていただきます。

 まず、タクシーにおける規制緩和政策が引き起こした問題点について大臣に質問をいたします。

 先週十四日に国交省からいただいた「法人タクシーにおける輸送実績等の推移」というペーパーがございます。平成元年から十六年度までの数字が出ております。このいただいたペーパーは法人に限った資料でございまして、個人を含めればさらに深刻な数字になるのではないか、こう思っております。

 これによれば、輸送人員は、平成元年の二十九億二千五百万人から平成十六年の十九億一千万人と、何と十億一千五百万人も減少をして、六五%まで下がったということでございます。運送収入は、平成元年の二兆三千十億円から同じく十六年の一兆九千百億円と、三千九百十億円減少して、こちらは八三%まで下がった。

 これに対して車両数、これは、平成元年の二十万三千二百二十七両から平成十五年の二十一万九千百二十両、一万五千八百九十三両増加をいたしまして、一〇八%、こっちはふえたわけです。特に規制緩和以後の増加は三年間で一万四千百七十三両、こうなってございます。一方、事故件数は、平成元年に千七百三十九件であったものが平成十六年には二千四百三十九件、一・四倍という事故の増加でございます。

 以上の数字から、次のことが言えると思います。

 タクシー事業については、以前から輸送人員、運送収入ともに減少を続けていたところ、平成十四年二月からの大幅な規制緩和によって車両数が急激に増加をした。しかし、車両数は増加しても、輸送人員、運送収入は減少を続け、必然的に日車営収、一台当たりの収入は激減するところとなった。

 こうした状況に対処するためには、経営者の立場からすれば、車両数をふやすことによって運送収入を総額として確保せざるを得なくなるわけであります。そのことによって企業間の競争はいよいよ激しくなり、今度はそれに勝ち抜くための料金の値下げ競争が必然的に発生するという悪循環が生まれるわけでございます。

 かくて、規制緩和の結果として、増車競争と値下げ競争が引き起こされ、日車営収はいよいよ低下して、歩合給を基本とするタクシー運転者の給与は生活が成り立たないレベルまで低下をし、場合によっては最低賃金を割り込む事態となったわけであります。これをカバーするためにサービス残業が日常化し、事故も急増している。

 以上が、規制緩和政策が引き起こした基本的な問題点と考えておりますが、こうした認識を大臣は共有できるのかどうか、これについて御所見を賜りたいと思います。

北側国務大臣 規制緩和をどう考えていくかということでございますけれども、経済的な規制については、これはやはり不断の見直しが必要だと思うんですね。経済的規制については、これはそのときの社会経済情勢の変化に対応して、また、国民生活の質の向上、また、地域経済の活性化を図るという観点からは、これはやはり不断の見直しをしていく必要がある。

 しかし、安全面だとか環境面、これについてはきちんと維持をされていかないといけないのは当然でございまして、国として、必要な社会的規制は設けていかなきゃならないというふうに考えているところでございます。今後とも、こういう安全面やまた環境面に必要な社会的規制については、厳格な運用を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 今、大事なことは、一つは、そういうタクシー業界の皆様が、今さまざま取り組みがなされておりますけれども、ぜひ知恵、工夫を発揮していただいて、例えば福祉タクシーやまたは観光タクシーなど、こうしたニーズがあるわけですよね。こうしたものにきっちり対応できるような新たなサービスの提供が、まあ幾つかの地域では始まっておりますけれども、こうした新たな事業に、サービスというものに参入をしていくということがやはり非常に大事なところだというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、今タクシー業界全体の置かれている状況の厳しさは私も認識をしているところでございまして、規制緩和後の状況についての実態把握、その分析を行いまして、今後の望ましいタクシーサービスのあり方、またその実現のために必要な施策を検討するために、今、交通政策審議会の中にタクシーサービスの将来ビジョン小委員会というものを設置いたしまして、第一回目も開催したところでございます。ここの小委員会で今後のそうしたあり方についてしっかり議論をし、今後の施策に反映をさせていきたいというふうに考えております。

金田委員 質問したことに答えていただいていないなというふうに聞いておりました。お役人が準備した答弁書はそういうことになっているんでしょうけれども、大臣、ひとつ本音でお答えいただけませんか。

 もともとタクシーの業界は、輸送人員、運送収入ともずっと減少傾向にあったわけです。マイカーの増その他によって、黙っていても下がっていた。それに対して規制緩和をしたものですから、急激に台数が増加をした。台数増加をすると、一車当たりの売り上げというのはどんどん減ってくる。そして生活できないような状況になる、運転手にとっては。会社にとっては経営が成り立たない状況になる。そうなればどうするかというと、増車するしかないんですよ、会社にとっては。増車をしてトータルの収入を確保しなきゃならない。規制緩和によって増車が可能になった、あるいは新規参入が可能になったということで、台数がどんどんふえるわけです。

 そうなると、客の奪い合いになって、今度は値下げ合戦です。大阪では五十通りも料金があって、どのハイヤー、タクシーに乗ったら一番安いのかというのは、乗ってみなきゃわからない。初乗りが違う、料金が上がる刻みが違うということで、どこまで行くのにどの料金のタクシーに乗ったら一番安いかさえわからない状態になってしまった、こういうことなんです。

 料金の値下げ合戦、そして増車競争ということで、その結果どうなったか。歩合給が基本になっているわけですから、運転者の生活が成り立たない、場合によっては最賃割れというふうになったわけです。生活が成り立たないわけですから、長時間走ってトータルの収入を確保するしか方法がない。サービス残業が日常化している。その売り上げを含めて計算しても最賃割れという状況になっている。もう惨たんたる状況だ。

 こういう中で事故も多発しているわけですけれども、こういう問題点を認めますか、認めませんかという話をしたわけです。これについて答えてください。

北側国務大臣 さまざまな問題点があることは承知をしております。金田委員は規制緩和すべきじゃないという御意見なんでしょうか。そもそも、このタクシーについてかつてのように参入規制をしっかり維持すべきである、そういう御意見なんでしょうか。私は、やはりそうではないと思います。これは、経済的な規制というのはやはり不断の見直しが必要だと思います。そこでさまざまな問題点が出ている、それは私も承知をしております。

 ただ、最低賃金の問題ですけれども、これは、そういうことはあってはならない話でございまして、今、私どもは、厚生労働省と連携をとらせていただきまして、タクシー運転者の適切な労働環境の確保に関する連絡調整会議というのを設置させていただきました。合同監査、合同監督を実施しましょう、また労働条件の確保に関するお互いに相互通報をやってみましょう、こうした取り組みを今検討しておるところでございまして、しっかりと、そうした最低賃金という社会的な規制、これはきちんと確保されていくように取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

 また、今増車をしているのは、残念ながら多くは既存の事業者の方々なんですね。既存の事業者の方々が新たに増車をして、そして車の台数がふえているという状況でございます。その点もぜひ御理解を得たいというふうに思っているところでございます。

金田委員 規制緩和そのものに賛成か反対かという問いかけがありましたので。いい規制緩和ならどんどんやっていただいて結構だ、しかし、何でも規制緩和すれば全部よくなるというものではない、弊害が伴うものもある、その弊害は是正をしなければならない、ごく当たり前のことを私は申し上げているつもりでございます。

 そういう立場でこれから質問を進めていきますけれども、大臣も、まず規制緩和ありき、規制緩和はすべていいものだという考えではなくて、いい規制緩和もあるんですよ、やってよかったという規制緩和ももちろんあります。しかし、やったところが、いろいろな弊害を伴った、これを是正しなければならない状況になっている、それがこのタクシーの問題じゃないですか。そこのところをぜひ御認識をいただいて以下の質問にお答えをいただければありがたい、こう思います。

 次の質問に移らせていただきますけれども、今大臣からも出ました最低賃金割れについて質問をいたします。

 北海道釧路市においては、あるタクシー会社、二社でございますけれども、最低賃金を払えず営業停止に追い込まれた、従業員を解雇するという事例が報道されているところでございます。

 政府は、規制緩和政策を推進するに当たって、経済的規制は緩和するが必要な社会的規制は堅持をする、これは今大臣もおっしゃったとおりですね、こういう立場をとってきたと理解をしております。

 しかし、今回の事例は、経済的規制緩和の行き過ぎ、あるいは失敗、あるいは弊害によって、最低賃金という、最低賃金というのは重要な社会的規制ですよ、極めて重要な社会的規制でございますが、これが事実上守れない状態になった、事実上ほごにされた、さらに解雇にまで行き着くというものであって、到底看過できるものではないというふうに思います。

 このことは、こうした視点からは、関西大学の安部誠治教授も指摘をされているということを報道で知ることができました。

 経済的規制緩和が社会的規制を事実上ほごにする、これは、規制緩和一辺倒の政策の結末であって、政府、国交省の責任は重大だと私は思っております。経済的規制緩和をしても、最賃割れなんか起こすようなことがあってはならぬですよ。それを放置してきた。これは、政府、国交省の責任は重大だ、こう思いますが、大臣、いかがですか。

北側国務大臣 先ほど答弁したとおりでございまして、最低賃金割れというのは、当然これはあってはならない話でございます。直接所管をしているのは厚生労働省でございますので、厚生労働省とよく連携をとって、そうしたことがないようにしっかり連携をとっていきましょうということで、先ほど申し上げたようなさまざまな取り組みを今しているところでございます。

金田委員 そんな話じゃないでしょう。なぜ最賃割れになったと。大臣の所管の責任なんですよ。お客さんが減っている、にもかかわらず、台数だけどんどんふえる、一車当たりの売り上げがどんどん下がる、歩合給ですから最賃割れになる。違いますか。

北側国務大臣 ですから、先ほども申し上げたように、それでは、金田委員からすると、昔のあの参入規制を戻しなさいというふうにおっしゃっているんでしょうか。今やるべきことは、一つは、こうした最低賃金も払わない、そういう社会的規制はきっちりと守ってもらわないといけません、経営者の方々に。とともに、今規制緩和をしてタクシー事業もいろいろな取り組みができるようになっているわけでございますので、そうした取り組みについてしっかり支援をしていくことが大事であるというふうに考えております。

金田委員 どんどん増車を認めておいて、必然的に最賃割れになるでしょう。私が申し上げているのは、全く昔の規制をそのままもとに戻せというふうには申し上げておりません。しかし、今のような状態で、何でもあり、どんどん参入もできる、新規の会社も起こすことができる、増車もできる、料金の割引合戦のような状況になってしまう、これはやり過ぎではないかということを申し上げているんです。

 両極端の話を大臣はおっしゃる。昔に戻すか今のままかと。そうでしょう、大臣。大臣のおっしゃるのは昔に戻すか今のままか。私はそういうことを言っていない。この中間にいろいろなラインがあるでしょう。やろうと思えば最賃割れを起こさない程度の増車の規制だってできるでしょう。さっきからそういうふうに言っているつもりなんですが、御理解できませんか。

北側国務大臣 そういうふうに理解しておりませんでした。私はてっきり、金田先生は、昔のやはり参入規制を戻すべきじゃないのかという御持論かと思ったけれども、そうじゃないということは今よくわかりました。

 その上で、そうした規制緩和の重要性については前提とした上で、経済的規制については不断の見直しが必要である、また経済の活性化につながるためにそれを進めていくべきであるという立場に立った上で、今起こっているさまざまな問題について検討すべきであるという御趣旨であるということであるならば、私も同様にそういう立場で検討していかないといけないと思います。

 ただ、大事なことは、タクシー事業者も今さまざまな事業ができるようになったわけでございますので、そこは、一方でそういう努力もこれはしていただかないといけない。私どもも、そうしたものをサポートしていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。やはり両方必要だと思うんですよね。

 だから、今おっしゃっているように、場合によっては増車規制についても考えるべきじゃないのかという御趣旨だと思いますけれども、それについては貴重な御意見として検討していきたいと思います。

 ただ一方で、何もしないで規制をしていけというのは、これはどうなんでしょうか。やはりそれなりのさまざまな取り組みが今できるような事態になっている、実際にそういうことをやっている業界の方々もいらっしゃるわけでございまして、そうした取り組みが進むように、私どももしっかりサポートさせていただきたいと思っております。

金田委員 規制緩和になる以前は、最低賃金割れなんてのは問題になったこともなかった。各タクシーの会社も、あるいはタクシーの労働組合なども、これでは最低賃金が割れるのではないかということを心配したこともなかったというふうに聞いております。こういう状態だったんですよ。大体、六百何円なんていう最賃が割れるのではないかなんてのは、もう異常事態なんです。大臣、ここのところをきちっと認識していただかないと困る。

 まあ、北海道の釧路の場合、六百三十八円という数字ですけれども、これは地域によって違うでしょうけれども、これはサービス残業をして売り上げを上げて、そして分母の方は、サービス残業の時間も含めて割り返すんじゃないんですよ。正規の労働時間で割り返して、それでも最賃割れになるんですよ。そこまでいっている。大臣は大阪ですからね、もうよくわかっていると思うんですけれども、そういう状態。福祉タクシーをやった、何をやったなんていうのはもうほとんど限界。そこでもうこれは地獄のような状態になっている、そこまで来ている。これでも規制緩和だとおっしゃるんですか。

 規制緩和の目的というのは、会社が成り立たなくなるとか、あるいは、まじめに働いているタクシーの運転手が食っていけなくなるとか、アパートを追い出されるとか、そんなことは目的でないでしょう。少なくともまじめに稼いでいれば、最低賃金なんかもうとうにクリアして、まともに暮らしていけるようなそういう賃金になる。規制緩和というのは、そういうことも含むのではないですか。そうならない規制緩和というのは、どこかに欠陥があるんですよ。

 だから、この最賃問題を今取り上げましたけれども、大臣から伺いたいことは、最低賃金を割るなんてのは、これはとんでもない、規制緩和の想定をしないところだ、これについては実態をよく調査して、早急に手を打つと。まずは、緊急調整措置などというものが現行法でさえあるわけですから、そういうことも含めて、きちっと最賃割れは是正します、国土交通行政の立場で、運輸行政の立場で。労働省に責任転嫁をしたってしようがないですよ、向こうは規制するだけなんだから、改善勧告とか命令を出して罰すればいいわけだから。そうならないようにするのが国交省の運輸行政でしょうが。

 大臣、その辺のところをやはりきちっと答えてください。

北側国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、実態の調査は進めておるところでございます。その分析も進めようとしているところでございまして、先ほども申し上げましたが、実際に増車をしている方々というのは、既存の事業者の方々が多いんですよね。そして、その既存の事業者の方々が、今委員のおっしゃっているように最低賃金も払わないということは、これはやはり、しかし、その経営者の側にも問題があるんじゃないでしょうか。

金田委員 大臣、また振り出しに戻ったような話になってしまったんですけれども、なぜ既存の業者が増車しなきゃいけないかわかりますか。みんな増車するから増車しなきゃいけないんですよ。増車してもいいというふうにしちゃったわけだから、だから増車競争になっているわけです。そういう仕組みをつくっちゃった。その増車競争、悪循環、悪貨は良貨を駆逐するという仕組み自体に問題がある、それをどうするかというのを考えるのが大臣の仕事ですよ。

 私は、緊急調整措置の導入ということを前回も申し上げているんですけれども、これを発動しなきゃどうするんですか。

北側国務大臣 増車競争になったからといって、最低賃金を割ってもいいんだということにはならないですよ。最低賃金はちゃんと守ってもらわなければいけません。これは経営者としての当然の責務じゃないでしょうか。

 それを大前提にして、今さまざま問題が起こっておる、実態調査をすべきだというのは全くおっしゃっているとおりでございますので、今その調査をさせていただいているところでございます。

金田委員 大変残念ですね。運輸行政の欠陥として、増車競争が起こらざるを得ない状況をつくった。それによって、社会的規制さえほごにせざるを得ない状況をつくった。この運輸行政の責任を自覚されておらない。非常に残念でございます。次の質問に移らせていただいて、最終的にまた大臣の御見解を伺いたいな、こう思います。

 一連の規制緩和政策の基本となった文書として、平成十一年四月九日、運輸政策審議会自動車交通部会答申、運政審というんですかね、この答申があります。この答申は、「タクシーの活性化と発展を目指して」という表題がつけられ、さらに、「タクシーの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等」という副題が付されております。これは何度か読み返してみたんですが、何を目的としているんだろうということが私はなかなか理解できませんでした。

 そこで、質問をさせていただきます。これは局長で結構だと思いますけれども、「タクシーの活性化と発展」という言葉が使われていますが、これが答申の表題にもなっております。また、答申の「1 はじめに」という項の冒頭にも、同じ言葉、「タクシーの活性化と発展」ということがうたわれている。それは具体的にどのようなことを意味するのか、タクシーの活性化と発展。例えば、輸送人員がふえることなのか、日車営収がふえることなのか。具体的にタクシーの活性化と発展とは何かということを伺いたいということ。

 あわせて質問をさせていただけば、今日では、輸送人員、運送収入ともに減少、車両数の急増、料金値下げ競争、日車営収の激減と給与の低下、最賃割れ、事故の急増、こういう事態を招いているわけでございますが、このことはタクシーの活性化と発展という目的に合致しているのか。こういうことをするためにこの答申があり、法改正があり、今までやってきたのか。私は、そうでない、こんなはずではなかったと国交省なら思っているだろうと思うんですが、これはどうですか。あわせてお答えいただきたいと思います。

宿利政府参考人 お答えいたします。

 タクシーは、利用者の個別の需要に対応して、ドア・ツー・ドアのきめ細かな運送サービスを提供することができる、機動的かつ個別的な、国民生活に必要不可欠な公共交通機関であると私ども考えております。

 このような特性を有するタクシーサービスにつきましては、例えば、近年の高齢化社会の中で、先ほど大臣からも御紹介がありましたような、車いすのまま乗車できるリフトつきの福祉タクシーでありますとか、介護サービスをあわせて提供する介護タクシーといった新しいサービスが広がりつつあるなど、利用者の立場に立った多様なサービスを提供する、そういった動きが着実に見られるところであります。

 このようなタクシーの特性を背景として、公正な自由競争のもとで事業者が創意工夫を発揮させ、利用者のニーズに対応したきめ細かな多様なサービスを提供する、こういうことを通じて、タクシーサービスの質の向上と事業の活性化や発展が図られるということを期待いたしまして、当時の運輸政策審議会の答申の表題として、「タクシーの活性化と発展を目指して」ということにされたものだと認識をしております。

 また、今申し上げましたような考え方で答申がなされておりますけれども、そして、それを受けまして新しい取り組みが進められ、利用者の支持を受けつつある、そのように私どもは考えておりますが、一方で、先ほど来の審議の中でも出ておりました、タクシーの運転者の皆さんの収入が低下をしておる、タクシー事業の経営が非常に厳しいという残念な状況にあることも現時点においては確かであります。

 私どもといたしましては、このような状況に対応いたしまして、先ほども大臣から申し上げましたような、厚生労働省など関係機関と連携をして必要な対応をとるという方策とあわせまして、やはりタクシーサービスの将来のビジョンをきちっと明らかにした上で、必要なその実現方策、環境整備方策というのを明らかにして対応していきたい、このように考えているところでございます。

金田委員 これまた質問に対して答えていただいておりません。タクシーの活性化と発展とは何か、何をもってタクシーの活性化と発展というのか。これを明確に答えていただきたい。

 そしてもう一つは、このタクシーの活性化と発展を目指した答申なり法改正、これに照らして、現状は予想した、期待をした方向になっているのか、なっていないのか。イエスかノーか。

 この二つ。これはさっきの質問と同じことですよ。答えてくださいよ。はぐらかしたってだめですよ。

宿利政府参考人 今申し上げましたように、タクシー事業につきまして、利用者のニーズに対応したさまざまなサービスが展開をされる、そのことによりましてタクシー事業自体が活性化をし、発展をしていく、やはりそのようなことを意図したものだと認識をしております。(金田委員「だから、その活性化と発展というのは何なんだと聞いているんでしょうが」と呼ぶ)

 いや、その中身につきまして、今申し上げましたように、国民や利用者が期待しておりますタクシーサービスというものがこの世の中に実現をして、利用者の支持を得て、その結果としてタクシー事業が発展をしていくということを指しているものだと考えております。

 また、現状の認識につきましては、新しいサービスや多様な運賃が出ておりますという意味では着実に成果があらわれていると思いますが、事業経営が厳しい中で運転者の収入が非常に減少しているという、私どもも心配しておる事態も現実には起きておりますので、先ほど大臣がるる御説明しましたような観点から、適切に対応していきたいと考えるところでございます。

金田委員 具体的に聞きますと、輸送人員、運送収入、これは減ることを目的としてやってきたんですか。それから車両数、これはここまで急増するということを想定してやってきたんですか。人員も収入も減るけれども、車両数はふえるんだと。どの程度の数字を期待してやってきたんですか。

宿利政府参考人 私どもといたしまして、具体的な車両数や具体的な輸送人員の増加を見積もっていた、予測していたということではありませんけれども、やはり、タクシーサービスが利用者、国民のニーズにきちっと適応して行われるということを通じますれば、利用者の支持が得られて、おのずから利用者がふえてくると考えておりました。

 ただし、残念ながら、昨今の景気の状況などもありまして、上向きに転ずるに至っていないというのが実情だと認識しております。

金田委員 目的が定かでないんですよね。何のための規制緩和なのか、その目的がはっきりしていれば、その目的に照らして、どこまでどう達成したか、あるいは達成できなかったかという評価ができる。何を目的として今日まで進めてきたのかが定かでない。

 どうも、今までやってきたことを私なりに推測すれば、今回の規制緩和の目的は規制緩和そのものである。違いますか。規制緩和の目的は規制緩和そのもの、こういうお立場でこの行政を進めてこられた。そういうことを上から言われて、皆さん経験豊富で実態もよく承知をしているにもかかわらず、これに抵抗できずに、規制緩和そのものを目的として言われるなりにやってしまった。私はそう推測しますが、そういうことかどうかが一つ。

 もう一つ、あわせてこれはお願いでございますけれども、もしそうでないんだとおっしゃるんなら数字で目的を示していただきたい。規制緩和以前の数字に対して、輸送人員、運送収入、車両台数、こういうタクシー業界の主要な数字について、ぜひひとつ、本来の目的としていたものがどういうものなんだということをお示しいただきたい。今でなくていいですよ。後日で結構ですから、数字でひとつ主要な目標についてお示しをいただきたい。

 以上、二点。

宿利政府参考人 お答えいたします。

 最初の点でございますけれども、私ども、別に規制緩和自体を目的として現在の行政をやっているというつもりは全くありません。やはり、タクシーサービスの持つ特性に応じて、国民が期待するサービスが事業者の創意工夫によって展開しやすいような環境整備を図りたいという思いから現在の政策をとっておるところでございます。

 なお、今金田委員から御指摘のありましたような数値につきましては、私どものこのような政策がどのような具体的な数字となってあらわれるかというのは、経済状況も含めたその他の要因も絡んでおりますし、短期間で判断できる話でもないと思っておりますので、そういう数字でお示しすることは難しいかと考えております。

金田委員 目的が示し得ないというのは困ったものですね。ああ、そうですか。これはぜひ、にわかに示せなくても、規制緩和以前の数字があるわけですから、それに対してそれぞれの数字がどっちの方向を向いて推移をするだろうという想定なりはしていたでしょう。こういう規制緩和をやれば、参入規制、料金規制の緩和をやればどうなるかというのはわかっていたはずだ。

 時間が間違っていまして、もう終わりだそうです。それでは最後、大臣に聞かせていただきます。

 大臣、私は今の状況は供給過剰の状況だというふうに思います。規制緩和で市場原理にゆだねて、需給調整が市場でうまくいかなかった。市場の失敗が起こった。なぜかというと、ほぼ完全歩合給だからです。そういう要素がタクシー業界にはある。ほかの業界と違う。したがって、これについては、一定部分、もちろん市場原理を否定するわけではありません、申し上げたとおりです。しかし、こういう状況に至れば、法律でも緊急調整措置というものが決まっているわけです。この緊急調整措置の発動以外に当面方法はないんではないか。

 この緊急調整措置を発動していただいて、その上で次期通常国会に向けてしかるべき対応をきちっと検討していただきたい。このことを御要請し、ぜひひとつ前向きな御回答をいただきたいと思います。これで最後です。

北側国務大臣 この緊急調整措置の発動につきましては、やはり客観的手法に基づきまして対処する必要があるというふうに考えております。

 現在の手法につきましては、本年九月に沖縄本島を指定する際に、運輸審議会の答申において、年内に指定基準を見直す旨の指摘がなされているところでございまして、運輸審議会の答申等を踏まえまして、年内を目途に指定基準の適正化を図るべく見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、先ほど申し上げましたタクシーサービスの将来ビジョン小委員会における議論などを踏まえまして、需要喚起、事業の活性化に向けた環境整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

金田委員 この緊急調整措置の前提として、特別監視地域の指定というのがあるんですね。ところが、オリックスからの指摘によって、これについても見直しをして、特別監視区域を従来の二百五十四地域から百二地域と大幅に絞ってしまった。現状に逆行していると思うんですよ、大臣。こういうことはやはりやられない方がいい。

 そして、法に基づく緊急調整、これは現行法に基づいているわけですから、ぜひこれは早急に発動する、しかるべく発動する。その基準なども前回も提案しているんですが、基準をきちんとして実態に合うものにするのはそう難しいことではない。ぜひひとつしっかりと頑張っていただきたいと要請を申し上げまして、質問を終わります。

林委員長 森本哲生君。

森本委員 民主党・無所属クラブの森本哲生でございます。

 今回の総選挙で初当選をさせていただきました。本日、初めての委員会質問のお許しをいただきました。心より感謝を申し上げます。

 私の選挙区は三重の第四区でございまして、松阪市を中心として、松阪牛で有名なところでございます。私、二十四年のうし生まれでございますが、松阪牛は私と違いまして処女牛のすばらしい品質を誇っておりますので、どうぞ大臣も、委員長そしてまた委員の皆様も、松阪を訪れた際にはぜひ私ども御用命をいただきたい、そのこともお願いをさせていただきます。

 三重県は大臣と同じ北川正恭知事で非常にいろいろな面で有名になったところでございますが、ガワが違うんですが、よろしくお願いを申し上げます。

 三重県は、さまざまな意味でまだまだ社会資本整備の必要が高い地域と言えるわけでございます。特に、住民生活の支えとなります道路整備の考え方につきましては、主に二つのことを私は大事だと思っております。その一つが、事業の合理性と採算性を重視しつつも、住民の生命線ともいうべき公共財としての政策価値が必要不可欠であるということ。そしてもう一つは、事業の実施に当たっては、入札制度の改革も含め、利用者、納税者の十分な理解が得られるシステムを築いていくことであるというふうに考えております。

 そしてまた、話は少し変わりますが、ことし七月に三重県の亀山市でシャープ第二工場の建設が始まってまいりました。四十型以上の大型液晶テレビの液晶パネルの需要増加に対応するためでございますが、世界最大の第八世代のマザーガラスを採用することになっておりまして、来年の十月が生産稼働の予定となっております。

 このように、巨大な産業拠点が形成されるということは、関連産業の競争力強化をもたらして地域労働市場の安定が図られてまいります。この地域がさらに活性化していくためには、人の移動、物の移動が円滑に行われるように、社会インフラの基幹としての道路が地域社会にとって極めて重要な役割を果たしていくということは、このことは申すまでもありませんが、あえて確認として申し上げさせていただいております。

 それでは質問に入りますが、まず初めに大臣所信について質問をさせていただきます。

 大臣は所信の中で、「社会資本整備については、さらなる事業の重点化やコスト縮減の徹底、発注に当たっての総合評価方式の拡大などに積極的に取り組むとともに、各種の入札談合の再発防止策を徹底してまいります。」と述べられております。また、十月一日には道路公団が民営化されたわけでございますが、経営効率化の追求とともに、談合等の不正行為の防止、ファミリー企業改革、建設、管理に関する本協定の締結などに触れられておるわけでございます。

 今後、道路整備を実施していくに当たって、事業の重点化、そして事業、まあ施策、政策とも言えるわけでございますが、その評価と情報公開、そして道路公団の今後について、そしてあえて、大臣が求める道路整備を中心とした日本の国のグランドデザインについて、所見があればお伺いをさせていただきたい。よろしくお願いします。

北側国務大臣 私は大臣に就任させていただきまして一年余りたつんですけれども、各県の知事さんや市長さん、また地元の国会議員さんも含めまして、国土交通省というのは社会資本整備を担当している官庁ということもございまして、さまざま御要望をいただいておるんですね。しかし、その中でも圧倒的に多いのは、何といっても道路なんです。特に地方に行けば行くほどそうかなという実感をしております。これは私、実際にこういう立場にならせていただいて、率直に感じているところでございます。

 それほど道路整備に対するニーズというのは今でも大変強い。それは、その地域にとってその道路が地域経済発展のかぎを握っているだとか、また、いざ何か災害等があったときに、その道路がきちんと維持をされていないと避難もまた救援もできない、そういう道路であるだとか、そうした道路ニーズの必要性が非常に強い一方で、道路整備が十分に行われているかというと、まだまだそうではないということを改めて認識しているところでございます。

 しかしながら、御承知のとおり、我が国の財政状況は大変厳しいものがあるわけでございます。必要性があるというだけで、じゃ、どんどん道路をつくりましょうというふうな環境、条件にはないわけでございまして、当然、限られた予算の中で緊急性の高いもの、優先順位の高いものをきちんと選んで、道路整備を着実に進めていくことが必要であるというふうに思っているところでございます。

 また、道路整備にかかる費用につきましても、これは貴重な税金を使っているわけでございます。また、高速道路でいえば利用者の方々の料金をもとにして道路整備を図っているわけでございまして、これは本当に大切に使っていく必要がある。コストの縮減ということは、これもやはり非常に大事なことだというふうに思います。

 今までこうしたコスト縮減にもしっかり取り組んできているところでございまして、例えば、災害復旧に係る事業等を除きまして新規に着手するすべての事業については、平成十年度から事業評価を本格的に実施しまして、その結果を公表する。また、九年度から十四年度のうちに約一四%のコスト縮減を達成する。さらに今、目標として、十九年度までに約一五%を目標としたコスト縮減を実施しようとしているところでございます。また、御承知のとおり、高速自動車国道につきましても、有料道路残事業費につきましてはもともと二十兆でございましたが、これを十兆五千億とほぼ半減するなど、厳格な事業評価やコスト縮減の徹底も今行っているところでございます。

 各地域地域にとりましては道路を整備するということは非常にニーズが高いということは冒頭申し上げましたが、これを、いつかやりますよというのではなくて、できるだけ完成目標というものを明示して、徹底した事業の進捗管理をこれから行っていきたいと思っておるところでございます。

 入札談合の再発防止、これはもう当然のことでございまして、こうしたことがないように、先般取りまとめもさせていただきましたが、しっかりと透明性というものを確保しながら、効率的また効果的に道路整備を進めさせていただきたいと考えております。

森本委員 ありがとうございました。余り大きな課題の、日本の国をどうしていくか、そういうところにつきましては触れていただかなかったわけでございますが。

 今おっしゃられました、私、さきに民主党の高木先生もいろいろな意味で、道路の問題と鉄道、海運のネットワークとかいろいろなことを、私もその話もよくわかるのでございますが、やはり地域的に道路というものが先ほど大臣がおっしゃられましたように非常にニーズが高いということから、きょうの質問については、道路中心にいろいろ御質問させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。

 例えば、今なぜ申し上げましたかといいますと、シャープの話がありましたが、十五年には関連を含めて三十三億円の税収が三重県に入っておるんですね。一年後、十六年に大体四十九億、五十億。ですから十六億の税収が、これは三重県では大変ありがたい結果をいただいたんです。

 しかし、これはやはり亀山のインターを中心とした道路整備が非常に大きな効果を上げておる。ですから、産業振興と道路ということと、安心して住めるための道路ということ、これをしっかり強弱をつけながら、これからの日本の国の国道をきっちりと守っていただきたいということをあえて申し上げさせていただく次第でございます。

 そんな中で、あと、きょうは非常に多く質問させていただきたいと思っておりますので、それの一つが第二名神の高速道路になるわけでございます。

 私の理解では、四日市―菰野間が十四キロ、そして、平成十年の十二月に建設大臣からこれは施行命令が出ておる、しかし、菰野―亀山間については整備計画区間というふうに認識をさせていただいております。しかし、今のところなかなか開通の見込みが立っておらないというようなことで、このままでは、先ほどの関連もあるんですけれども、地域産業の発展というもの、経済効果が半減してしまうという心配をいたしておるわけでございます。また、東名阪との自動車道、基幹となる国道が大変渋滞をしておりますので、利用者からも非常に不満が高まっておるわけでございます。

 整備計画区間は全国で九千三百四十二キロということを承知しておりますが、これは公団の民営化推進委員会でも随分議論があったところでございますが、新会社が立ち上がったということで、その見通しが少し不透明であるというふうに私も思わさせていただいておりますので、従来の施行命令区間、そして整備計画区間がどのように扱われていくのか、だれがどのような基準に従ってどのような手続を経て建設を進めるのか、少し御説明をよろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のとおり、第二名神高速道路につきましては、シャープの亀山工場の例を引用されましたが、地域の振興の拠点のみならず、地域の雇用といったような面でも地域の期待の大きい道路と認識しておるところでございます。

 お尋ねの第二名神高速道路につきましては、名古屋市、神戸市を起終点とする全体延長百七十四キロメートルの高速自動車国道でございますが、第二東名高速道路と一体となって、三大都市圏を相互に結び、人の交流と物流を支える大動脈であると同時に、東名・名神高速道路の代替機能を果たす上で不可欠な路線と認識しておるところでございます。まさに新しい世紀の国土の軸となる路線、重要な路線と考えております。

 そのうち、飛島インターチェンジ―四日市ジャンクション間約十九キロメートルにつきましては供用をなされているところでございますが、残り百三十四キロメートルにつきまして事業を展開しているところでございます。

 四日市―菰野間につきましては設計協議に向けた調査を実施させていただいておりますし、また、最も進んでおりますのは亀山ジャンクションから大津間四十一キロメートルでございますが、早期供用に向けまして工事を鋭意推進させていただいているところでございます。

 今御指摘のございました菰野―亀山間十八キロメートルにつきましては、これまで未施行命令区間ということになっておりますが、十月一日から、これまでの道路関係公団、この区間につきましては、JH、日本道路公団が民営化したわけでございますので、当該区間を含めまして、国と高速道路株式会社が四カ月以内に協議を調えた上で、国土交通大臣が各高速道路株式会社が建設を行うべき高速道路の指定を行うということになっております。

 国土交通省としましては、第二名神高速道路につきましては、先ほど大臣が答弁させていただきましたように、コスト縮減、また事業評価を的確にしながら、また透明性の高い効率的な事業執行に心がけながら、株式会社、また新直轄区間というようなところもございますので、国土交通省と連携を高めながら、ネットワーク効果が発揮できるように整備を推進していきたいと考えておるところでございます。

森本委員 どうもありがとうございました。

 特に、今の答えで心配しておりますのが菰野―亀山間のことでございますが、これがある程度開通の見込みが立たないと、やはり経済効果が半減すると言ってもいいと思うんです。ですから、こういうところを、今、国土交通省との連携という話をいただきましたが、これは大臣がいろいろ中日本高速道路の株式会社と協議をされて、やはりある意味で積極的な意見を申していただけるのかどうか、その辺について大臣の方から御答弁をいただけたらと思っておりますので、よろしくお願いします。

北側国務大臣 今後の高速道路整備に当たりましては、御承知のとおり、日本道路公団が三分割されまして、民営化をされたところでございます。これまで有料道路方式で整備を行っていた区間につきましては、国と当該会社とが協議をした上で、四カ月以内に国土交通大臣が各会社が建設を行うべき高速道路を指定するということとなっておるところでございます。

 いずれにしましても、これは民営化された会社でございますので、よく協議をさせていただきまして、やはり民営化会社の考え方といいますか、そこはよく尊重をしていかないといけないというふうに私は思っているところでございます。

森本委員 ありがとうございました。

 今の御答弁以外はなかなか難しいと思うのでございますけれども、やはり経済効果とか優先順位、いろいろなその利用効果について、将来性とか、そういう面につきましては、大臣もしっかりと協議に乗っていただいて、皆さんが満足される形でこの事業が進んでいくようなことをぜひお願いさせていただきたいと存じます。

 それでは、片や全く異質なことでございますが、これもまだ三重県の課題というようなことで申しわけない話でございますが、今、伊勢の近畿自動車道の紀勢線のことでございます。これらは経済効果というより、むしろ地域住民の安全を確保するという観点から質問をさせていただきます。

 二〇〇五年度には勢和多気から大宮大台までが開通予定となっております。大宮大台―尾鷲北までの間の整備がおくれておるわけでございますが、このルートは、御存じのように、世界遺産になりました熊野古道に向かって走っていく観光ルートとしても重要なところでございますが、特に災害と緊急時において地域住民の安全を守る、実はいわゆる生命線ともなる路線でございます。

 確かに、この尾鷲というところは日本でも全く雨が多い地域でもございまして、特に、それと最近の森林の間伐作業と申しますか、本当に森林管理の手おくれの目立つところで、これは国全体がそういうことでございますが、確かにそういう面と、急傾斜地が多いということ、たびたび通行どめになりますし、大雨、洪水が起こるたびにがけ崩れ、橋梁等が決壊しておるというようなことでございます。いわゆる陸の孤島として、私の家からも三時間、四時間もかかる。随分三重県は長いところでございまして、私個人としてはその実態をまだ肌で感じておりませんので、その厳しさということはここでうまく表現はできないわけでございます。また、東南海地震、南海地震等、この確率も高い地域の中で、非常に心配をしておる地域でございます。

 現在の整備計画については、着実に実行するためにいろいろなアイデアを出していただいておりますが、できれば前倒しでこの地域についてはぜひお願いしたいなというようなことを質問させていただくわけでございますが、その点について御意見、お考えをお伺いさせていただきます。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 近畿自動車道紀勢線は、大阪の松原市を起点とし、三重県の多気郡勢和村に至る全体延長三百三十六キロメートルの高速自動車国道であります。紀伊半島沿線地域の産業、観光等の発展に資するとともに、今委員御指摘のございましたように、紀伊半島をぐるっと回る国道は四十二号というのがありますが、これ一本しかございません。そういったことと、また、御指摘ございましたように、東南海・南海地震が近いうちに起こる確率が非常に高いというようなこともございますので、四十二号一本でなく、災害時のリダンダンシーの観点からもこの紀勢線は重要な路線と認識をしておるところでございます。

 昨年九月に台風二十一号が上陸しまして、三重県内において四十二号が被災しました。緊急復旧ということで三日間で復旧させていただきましたが、三日間とまっただけで、この代替路線がないために地元住民が非常に不便を感じたということでございまして、命の道というような言葉も生まれたところでございまして、災害時の生命線として紀勢線の早期整備が地元からも強く要望されているところであります。

 現在、三重県内の状況としましては、勢和多気ジャンクションから大宮大台間十四キロメートルにつきましては、十七年度の供用に向けて鋭意工事を全面展開させていただいているということでございます。大阪、和歌山では供用はございますが、三重県は紀勢線としては初めての供用ということになるわけでございます。また、大宮大台から紀伊長島間二十キロメートルにつきましては、地元設計協議、用地買収、工事を逐次実施させていただいているところでございます。また、それに続きます紀伊長島から尾鷲北間、二十一キロメートルございますが、平成十五年十二月二十五日の国幹会議におきまして新直轄へ移行するということでございまして、私ども国土交通省みずから、現在、地元設計協議を実施させていただいているところでございます。

 いずれにしましても、近畿自動車道紀勢線につきましては、国道等が被災した際における代替機能としての観点からも重要な路線と認識しておりまして、引き続き、地元の御理解と御協力をいただきながら、できるだけ早い時期の供用に向けて事業を推進していきたいと考えているところでございます。

森本委員 ありがとうございました。しっかり認識をしていただいておりまして、ありがとうございます。

 申しおくれましたが、大変全国の皆さんに、昨年の宮川の災害、そしてこの紀勢線の地元でもあります海山の災害につきましては、本当にお世話になりました。遅くなって申しわけなかったんでございますが、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。どうぞ、まだまだ災害の復旧事業が生々しい形で残っておりますので、今後とも御支援をよろしくお願い申しておきます。

 本当にいろいろな、私も政治をさせていただいておりまして、その地域だけではなかなかわからない課題があります。この紀勢線につきましては、本当に命の道というようなことで今局長もお話をいただきましたが、どうぞ大臣、そういう意味で、こういった住民が本当に熱望する、そして陸の孤島になるような、そんな地域にはぜひ温かい御支援をお願いしたいというふうに思っております。

 大臣からも一言いただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

北側国務大臣 私も大阪の堺でございますので、紀伊半島においては国道四十二号線しかないということはよく昔から知っておるところでございまして、この道路について、そういう災害時、特に四十二号が被災したときに代替路線がないわけでございますので、極めて重要な道路であるということはよく認識をしているところでございます。

 委員、私先ほど申し上げましたが、これは全国どこへ行ってもそうなんですよね。今委員がおっしゃったような話を、一方では、この道路は、特に先ほどの亀山の話なんかもそうですけれども、幾らいい物づくりの基盤ができても、それはもう、物流がつながっていなかったら、道路がつながっていなかったら、この物づくり自体の価値も一遍に低下をしてしまうわけでございまして、やはり産業というのは物づくりと物流というのがこれは車の両輪、そういう意味で、道路というのはその地域産業の発展にとって極めて大事ということですよね。

 また、災害時における道路の必要性。これはもう全国どこに行っても、今おっしゃったような地点というのはございまして、そこがなかなか大変なところでございます。限られた予算の中でどうこれを優先順位をつけて、コストを縮減しながら事業量を確保してやっていくかということが課せられた課題であるというふうに認識をしております。

森本委員 優先順位をつけていく、そして情報公開していくということは大変つらいことでもありますが、そこのところをしっかり頑張ってやっていただきたいと思います。

 それでは、次に移ります。

 いわゆる平成の大合併がピークを迎えてきております。これも道路関係でございますが、今現在で全国で二千百九十二ある市町村が、最終千八百二十二まで進む予定というふうに聞いております。

 そもそも合併の意義は、地方分権推進法の精神にのっとり、自治体みずからの行財政の強化と健全化という面もさることながら、広域的なサービスの一層の効果を図ることであるというふうに考えております。これを道路行政に当てはめてみますと、各自治体が地域の実情に応じて道路整備の必要性を判断することはもとより、合併に伴い、行政機能が一つになったことで生活インフラとしての道路整備を一層進めていくという契機になり得るものだというふうに考えております。

 ところで、国土交通省、総務省ともに、市町村合併支援道路整備事業を実施されておりますが、この事業、合併市町村の一体化に資するという目的で始まったことは承知しておりますが、市町村合併支援道路の基本的な方向、そして進捗度についてお聞かせをいただきとうございます。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 合併によりまして、委員御指摘のように旧市町村が一体化を図るというのは、基本的な事項、重要な事項と認識をしております。そういった意味で、合併を支援する道路の需要は非常に高いものがあるということでございまして、私ども、総務省と連携しまして、通常の市町村道事業のほかに、市町村合併支援道路整備事業ということを実施させていただいております。例えば、新市町内の中心部と旧市町村の中心部を連絡する道路や、公共施設等の拠点を連絡する道路の整備といったようなものがこの対象になるわけでございます。

 こうした事業を、非常に要望が多いということで年々増加してきておりますが、今年度、十七年度は、合併した二百六十七の地域におきまして二千四百三十億円の補助事業を支援させていただいているということでございます。

 今後とも、総務省と連携をしながら、さらに合併に不自由を来すことのないように支援事業を充実していければと考えているところでございます。

森本委員 今局長から二百六十七、二千四百三十億円というお話がありましたが、これはどうなんでしょうか、合併を想定して、大体このぐらいの規模は当初から予想をされておったのか、これはむしろ少ないのか多いのか、その辺の見解はいかがでございますか。

谷口政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたのは今年度のトータルの地域数ということでございまして、十四年度から実施をさせていただいておりますが、十四年度は五十七、十五年度は七十四、十六年度は百九十四ということで、先ほど答弁させていただきましたが、年々増加してきております。全体規模がどういった形になるかという予測はなかなか難しい面があるかと思っておりますが、さらに、来年の三月見込みで、これは合併の地域数でございますが、五百八十一に達するというようなことをお聞きしております。

 そういう意味で、まだまだふえておるということでございますが、私ども、与えられた予算の中で合併支援事業等を重点的に実施させていただいておるということでございまして、限られた予算の中ではありますが、大ざっぱに言えば、大きく予想を超えたものではないというようなことで対処をさせていただいておるということでございます。

森本委員 それでは、あと時間も余りなくなってきておりますので少し進めますが、この道路関連の予算の中で、国直轄の国道を除いたいわゆる補助国道、都道府県、市町村道ですね。これで最近では国費が大体一兆四千億というようなことを聞かせていただいておるんですが、この一兆四千億の中から合併支援道路をのけていくという考え方、中に合併支援道路が含まれておるという考え方でいいと思うんですけれども、それを確認させていただいて、一兆四千億が今の予算ですけれども、三年か四年前の数字はどのぐらいあったか、その辺をちょっと聞かせていただけますか。

谷口政府参考人 失礼いたしました。お答えいたします。

 国費ということでございまして、今年度は一兆四千四百四十四億円ということでございますが、平成十四年度当初予算では一兆六千七百九十二億円ということでございます。

森本委員 そうしますと、これはちょうど合併支援道路に当たる金額が逆にシーリングで減らされておるんですね。ですから、合併支援道路を確実に守ろうとすると、かなり大変な、合併しなかった市町村は悲惨な目に遭うということになるんですけれども、その辺の見解はいかがですか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 全体の予算が非常に厳しいという中で、先ほど冒頭にございました、高速道路を初めとするネットワーク系の道路整備というのが非常にニーズが高いというようなことで、そちらの方に重点的に予算を計上させていただいている観点で、補助事業につきましては少し減りぎみということでございます。

 しかしながら、その与えられた、残された、限られた予算の中で、合併支援事業につきましては、重点的に、選択と集中の精神で事業を実施させていただいているということでございます。残りの市町村につきましては、市町村の要望をお聞きしながら、必要最小限に、支障ないような形で予算を計上させていただいておるというのが実態ではなかろうかと思っております。

森本委員 今回の合併は、いろいろな意味で、地方交付税の問題とか、合併しても市町村が大変だという話は、これは余りいい話がないんですね。ただ、今から効果は出てくるところもあると思うんですが。

 私の質問が、いろいろな道路をつくっていただきたいという要望もしておきながら、反対の方では、非常に予算が苦しいやないかというような、相矛盾するところもあるというふうに私自身も思っておるんですが、これは、合併しなかった町村は本当に大変な、道路予算はもう完璧に減らされていく、そういう地域が非常に、合併しなかったことによって今大変な苦労もされておるというようなことです。

 ここのところは、この高速の問題も、きょう質問させていただいたことを総合的にひっくるめて、やはり合併で約束したところはしっかりやっていただかぬと、これは国の裏切りという格好になりますから、その辺と、そのほかの予算を納得していただける大変な作業が残っておると思うんですが、この辺は慎重にやっていただくか、ある程度シーリングでもう少し見ていただいて、納得していただけるような、県、市町村と話し合いをしていただきながら信頼関係を築いていくというような、ややもするといろいろな面で信頼関係が失われるというような、そんな思いもいたしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、不適格業者の問題について入らせていただきます。

 今、地方の建設業界では、公共事業の発注をめぐって実は不適格業者が幅をきかせております。ダンピングを行っている事例、建設業法第二十二条や公共工事の入札適正化法の十二条で禁止されている一括下請負の、脱法行為とも言える事例が実は残念ながら数少なくありません。

 ですから、地方で、競争が激化していく、そしてかなり安くとったものを無理やり、優良な企業の方々に無理難題を押しつけて事業をとっていくとか、今、地方ではその問題が国と違って非常に大きな問題になっておりまして、地域住民の中では、行政に不信感を抱いたり、閉塞感が漂うというような、そんな事態にまで発展している事例も数多くございます。

 国の方では、その点について国土交通省、警察庁の方もいろいろ情報を入手されていると思うんですが、そのことについて少しお触れをいただきたい。よろしくお願いします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 建設業界の健全な発展、及び社会資本整備を担っている建設業界、これがきちっと発展していくためには、不良不適格業者の排除ということが非常に重要でございます。また、ダンピングの問題は、事業が減る中で競争が激しい、そういう中で、公共工事の品質確保に関する法律もつくっていただきましたので、やはり価格だけではない、品質とあわせた総合的な競争を促進していくということが大事だと思います。

 それで、不適格業者の代表といえば暴力団ということになると思いますが、従来から、公共工事を担う建設業から暴力団の排除を徹底するために、まず、建設業の許可の段階で、その申請者とか役員、それから一定の使用人が暴力団の構成員である場合は建設業の許可はしないこと、また、公共工事の発注段階でございますけれども、暴力団が実質的に経営を支配している等の建設業者が公共工事に参入しないように、警察当局から公共工事からの排除要請があった場合には指名を行わない等々の、暴力団の排除の徹底を要請しているところでございます。

森本委員 国の方は比較的そういう問題は少ないんじゃないかというふうに思っております。確かに、公共工事が減っていくということは、これは数字ももう何をか言わんやということなんでございますが、直轄事業はある程度、二〇〇一年から二〇〇五年の資料でも、シーリングとしては少ないんですけれども、特に補助事業がかなり減らされておる。そんな中でかなり過当競争がやられておるというようなことでございますので、これは県とか市が非常に困られておるんです。

 ですから、その辺は、いろいろな信頼関係を深める意味でも、もう少ししっかりと国も地方の身になっていろいろ真剣に考えていただいて、その悩みを聞いていただきたい。

 そのことについて少し大臣か警察庁の方からもお触れいただいて、終わりにさせていただきたいと思います。

竹歳政府参考人 先ほど申し上げましたことは、直轄のみならず公共団体においても必要不可欠な点でございまして、警察当局ともよく連絡をとりながらこの問題に取り組んでいきたいと考えております。

米田政府参考人 確かに、委員御指摘のとおり、最近私ども、暴力団に対する事件の検挙等を通じまして、公共工事への介入が非常に活発化しているというように認められるというふうに私どもも認識をしております。そのために、もちろん取り締まりもそうですが、関係行政機関と連携をして、暴力団排除ということを進めてまいりたいと思っております。

 例えば、暴力団関係者が役員となっている企業、あるいは資金提供をしている企業、あるいは非常に社会的に非難されるべき関係を有するような企業、こういうようなところにつきましては、指名停止基準に暴力団排除規定、こういうものを盛り込んでほしいということで各自治体にもお願いをしておりまして、大体、ことしの五月現在で、約七割ぐらいの自治体がそのような規定を整備しているというように承知をしております。

 それから、国発注の工事につきましても、ことしの六月に国土交通省、警察庁で合意をいたしまして、こういう暴力団排除に関する連携の強化等々の協力について合意をしたところであります。

 それから、役所の方が、いわゆる行政対象暴力ということで、例えば、暴力団の影響を排除しようという企業に対して役所の方を通じて圧力をかけようとするとか、いろいろなことがございます。そういったことを防ぐために、自治体については条例とか要綱の制定を働きかけ、また国の各機関にもお願いをいたしまして、積極的な被害申告、あるいは対処、対応策の指導というようなことを行っております。

 警察といたしましては、今後とも関係行政機関と連携を強化して、公共工事から暴力団を排除してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

森本委員 非常に巧妙にやられますので、その辺をしっかりとよろしくお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

林委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十四分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 私は、今回の衆議院選挙で初当選をさせていただきました、公明党で伊藤渉と申します。

 まず、この役割を与えていただきました党員並びに支持者の皆様、そして創価学会の皆様に心より感謝を申し上げ、国政に貢献できる人材となるべく全力で努力をしてまいります。

 また、当委員会での初質問となります。国土交通大臣、副大臣、政務官を初め、委員長、各党理事、そして委員の皆様、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、我が公明党は、今回の選挙におけるマニフェストの中で、安全そして安心を一つのキーワードとして掲げ、有権者の皆様に訴えてまいりました。国土交通省に関連する事柄として、一つには、地震減災・建物倒壊ゼロ作戦として、今後十年間に、住宅七百万戸、学校、病院など五万棟を耐震化することなどをお約束させていただきました。今特別国会におきましても、その一環として、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法案が、その成立に向け審議されることになっております。

 また、もう一つの大きな柱として、あかずの踏切ゼロ作戦として、十年以内に一〇〇%解消ということをお約束させていただいております。具体的には、全国に約六百カ所あるあかずの踏切を、連続立体交差や単独立体交差、横断歩道橋等で、今後、五年以内に七〇%、十年以内に一〇〇%を解消するということをお約束させていただいております。

 御存じのとおり、踏切がもたらす問題としては、踏切待ちの時間がもたらす経済的な損失、踏切事故、遮断中の一時停止の自動車のアイドリングがもたらす環境への悪影響が指摘をされております。中でも踏切事故については、まだ記憶に新しい東武鉄道伊勢崎線第三十七号踏切での死傷事故や、つい先週、十月十二日に発生をしたJR京浜東北線蒲田―大森間での踏切死傷事故などに遭遇するにつけ、あかずの踏切、ボトルネック踏切の解消が安全、安心という観点からも非常に重要であることが再認識をされております。

 そこでまず、踏切の数及び踏切事故件数、特に鉄道事故件数に占める踏切事故件数の割合について、平成に入ってからで結構でございますので、その数値について御説明いただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 踏切道の数は、平成元年度には三万九千九百八十八カ所でございました。平成十六年度には三万五千六百十二カ所と、約四千三百カ所減少しております。そのうち、いわゆる第四種踏切、これは遮断機とか警報機がないものでございますが、これは七千四十九カ所から四千四十七カ所に減少しております。したがいまして、遮断機や警報機を備えたいわゆる第一種踏切は、平成十六年度で踏切全体の約八五%を占めているのが現状でございます。

 踏切事故につきましては、平成元年度に八百六十件、平成十六年度に四百十件となりまして、長期的に減少の傾向を示しております。そのうち、鉄道運転事故につきましても長期的に減少しております。

 したがいまして、踏切事故の鉄道運転事故に占める割合は、平成元年度は五八%、平成十六年度では約四八%でございます。相変わらず、鉄道運転事故の約半数を踏切事故が占めているというのが現状でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今ありましたとおり、踏切の解消に伴い事故件数は減少してきておりますが、やはり鉄道事故に占める踏切の事故の割合は約五〇%でございまして、踏切の解消こそが事故防止の王道であることは論をまたないわけでございます。

 次に、また、二〇〇六年度から今後五年間で、あかずの踏切を含めて千三百カ所の踏切を緊急に改善すると聞いておりますけれども、どのように具体的な対策を講じていくのか、御説明いただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 現在まだ踏切が全国で三万六千カ所残っておるという状態でございますが、そのうちピーク一時間に四十分以上閉まっているいわゆるあかずの踏切は、東京など都市部を中心に約六百カ所存在しているということでございます。

 委員御指摘のとおり、来年度から五カ年の改善計画を新たに策定することとしております。国土交通省では、こうした踏切のすべてを対象に交通実態の総点検を実施させていただきまして、あかずの踏切等の緊急対策が必要な踏切箇所を抽出し、その上で速効対策と抜本対策の両輪により、重点的に推進をしていく考え方でございます。

 改善計画に基づきまして、あかずの踏切六百カ所のほかに、自動車交通が著しい踏切、こうした踏切が五百カ所、合わせて一千百カ所がボトルネック踏切と称させていただいておりますが、そのほかに歩行者交通の著しい箇所を入れまして、延べ一千四百カ所につきましては、連続立体交差事業等の抜本的な対策というようなことで、従前のぺースの二倍にスピードアップして対策をとっていきたいと思っております。

 抜本対策までに時間を要するあかずの踏切など速効対策の必要な緊急対策踏切、これは今御指摘のように一千三百カ所ございますが、これにつきましては、踏切内の歩道拡幅や高度な踏切遮断機の導入による遮断時間の短縮、横断歩道橋の設置等の速効対策により、五カ年間ですべて対策を終了したいというような考え方で取り組みさせていただく予定でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 ともあれ、あかずの踏切が社会にもたらす損失ははかり知れないものがございます。最近では踏切の数の減少等により踏切事故が減ってきておりますけれども、二〇〇三年度には一年間で四百件を超える事故が発生をし、約百三十名ものとうとい人命が失われております。

 また、人的損失の甚大さもさることながら、経済的損失も多大なものがございます。例えば、踏切待ちによる損失時間を試算してみますと、全国で約五・五億人時間パー年、すなわち、国民一人当たりに直しますと、実に年間五時間もの間、踏切の前で待たされているという計算になります。これら電車の待ち時間による経済的な損失は、年間約一・五兆円にも上るとさえ言われております。

 環境に対する負荷も深刻で、踏切遮断中のアイドリング、一時停止、発進、ほかの道路への影響も含めた交通流動の悪化等により、多くのCO2を排出する要因ともなっております。例えば、踏切遮断中のアイドリングが引き起こすCO2の排出量だけでも約七十四万トンに及び、これは山手線内側の面積の約十倍の森林が一年間に吸収する量に相当するとも言われております。

 以上のように、多くの社会的損失を一刻も早く解消するためにも踏切問題の解決は喫緊の課題であり、私は、現場で仕事を行ってきた経験をフルに生かしながら、与党の一員として予算確保を初め、しっかりサポートをしてまいりたいと考えております。

 さて、取り残されていくあかずの踏切を解消するためには、さまざまな困難があろうかと思います。つまり、技術や費用の面、あるいは事業者や地元住民との協議の面でさまざまな問題が発生することと推察をいたします。例えば、連続立体交差事業による踏切解消を進める場合、国、県、地元自治体、そして鉄道事業者が協議をしてその方法や費用負担を決めていくことになります。

 私も、JR東海におきましてこの四月まで十一年間、こうした都市計画事業にかかわる自治体との協議や実際の建設工事にかかわってまいりました。わずか十一年間ではございますが、連続立体交差事業の協議の実務における大変さの一端をかいま見てまいりました。

 鉄道事業者としても連続立体交差事業の推進には全面的に協力を惜しまないわけでございますけれども、具体的な方法論になるとさまざまな課題が持ち上がることがございます。その一つに、費用負担の問題があると思います。

 この費用負担については、連立要綱や手引によりある一定の取り決めがなされておりますけれども、改めてその費用負担のルール及びその根拠について御説明いただきたいと思います。

柴田政府参考人 連続立体交差事業でございますが、今委員御発言のようにこれまで実際に取り組んでおられたということで、大変お詳しい先生に対しましてお答えさせていただくのは何だかと思いますけれども、御答弁させていただきます。

 道路交通の円滑化や市街地の分断要素の解消の観点から、平面に敷設されています既設の鉄道を高架化または地下化する事業でございまして、道路特定財源によりまして都道府県等を施行者とした都市計画事業として実施されておるところでございます。

 当該事業によりまして、当該鉄道を保有いたします事業者にも、鉄道の高架化によりまして三つの受益が発生いたします。

 一つは、高架下に新たに創出される用地を貸し付けることで生じる受益がございます。二つには、踏切が除去されまして踏切の維持管理費用が不要になることによる受益もございます。三つ目は、踏切事故が解消されるということによります受益も発生いたします。

 このため、都市におきます道路と鉄道との連続立体化に関する要綱や細目要綱に基づきまして、高架施設費のうち鉄道既設分の事業費につきまして、鉄道事業者は、地域区分ごとに定める率、東京都区部を除きますと一割以下ということでございますが、により負担をし、それ以外を都市計画事業者が負担していくということになってございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 こうした費用負担の考え方でございますけれども、今御答弁の中にもあったとおり、高架下の貸し付け、これ一つとりましても、その時代の状況に応じて変化をするものでございまして、適宜見直しを要するものであると思いますし、あかずの踏切の一〇〇%解消、そしてボトルネック踏切のさらなる解消を目指そうとする場合、より柔軟な対応、個別案件ごとに幅を持った、関係機関における協議が必要になると考えますが、その点について、いかがでございましょうか。

柴田政府参考人 踏切対策につきまして、これは国土交通省の重点事業でございます。踏切を除去する抜本対策として、連続立体交差事業の推進を図っていくことといたしてございます。

 このために、平成十七年度でございますが、制度の改善も行ってございます。都道府県、政令指定都市に限定されておりました施行者につきまして、それを拡大いたしてございます。また、来年度の概算要求では、生活道路中心のミニの連立道路、連続立体、あるいは融資制度の拡充、こういうことも図っていきたいというように考えてございます。

 今後も引き続きまして、時代のニーズに適合した事業スキームとなりますように、費用負担のあり方を含め検討してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 もちろん、鉄道事業者を初め利害関係者が応分の負担をすることは当然のことでございます。ただ、一律、一定の割合で負担を促すのは難しい状況になってきていると実務に携わった人間の一人として感じておりましたので、基本的な考え方、今後の対応について確認をさせていただきました。

 次に、やはり連立を、連立とちょっと省略して言わせていただきますが、連立を進める上で、関係者間の協議において問題になる事柄がございます。

 少々細かい話になりますけれども、連立に伴い、貨物設備等、車両基地等を移転する場合がございます。移転先の用地は、協定上、鉄道事業者が取得をすることとなっておりますけれども、諸事情により都市計画事業者が先行取得をして、貨物設備等の移転に合わせて鉄道事業者と従前従後の用地交換をすることが頻繁に行われます。

 この場合、交換差益と言われますけれども、具体的にはその土地の時価と簿価の差が発生をし、法人税課税が発生するということもあるにもかかわらず、現時点では課税の繰り延べあるいは圧縮記帳の根拠規定等がなく、関係者間の協議が難航し、事業そのものの進捗がおくれるケースがございます。

 また、鉄道施設の敷地の整理、具体的には、都市計画事業者である地元の自治体が取得をした新しい鉄道の敷地と現在鉄道事業者が所有をしております旧鉄道の敷地を交換するわけでございますけれども、これについても貨物設備等移転の場合と同様に、課税の繰り延べ措置がなく、実質的なものとして案件ごとに関係機関が協議をし、何とか処理をしているというのが現状でございます。

 こうした実務上の問題点については、従来から折あるごとに話があった事柄であり、あかずの踏切解消をよりスムーズに進めるためにも、連立という都市計画事業に伴う用地処理については、課税の繰り延べ等の特例の措置など、何らかの対策が講じられるべきではないかと考えておりますけれども、この点について見解、そして何か具体的な取り組みがなされておりましたら、それについて伺いたいと思います。

柴田政府参考人 御指摘の車両基地等の用地取得の問題につきましては、事業を実施する上で課題があることは承知いたしてございます。

 車両基地等の用地取得につきまして個別の事業が直面している課題というのは、事業地周辺の土地利用や道路交通の状況等により、地域ごとに異なってございます。これらに対しまして、地域の実情に応じて、それぞれ現実的に工夫をしながら解決を図ってきているということでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの経験を踏まえまして、今後とも、地方公共団体に対する助言、相談等の支援を引き続き行って、解決できるようにしていきたいというぐあいに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 先ほどの質問を含めまして、どこまでもこのあかずの踏切解消をスムーズに進めるために、こうしたさまざまな細かい改善といいますか、連立事業という、現時点でも十分に完成度の高い事業だと思っておりますけれども、さらなる事業のスキームのブラッシュアップをすることも大切であり、実務を行う現場の声でもございますので、前向きに今後とも御検討を進めていただけることを期待しております。

 次に、少々具体的な質問をさせていただきたいと存じます。

 私、出身は愛知県名古屋市南区というところでございます。旧東海道や名古屋の四大観音と呼ばれます笠寺観音などがございまして、昔ながらの面影を残す庶民の町でございます。ここはまた、昭和三十四年に発生をいたしましたいわゆる伊勢湾台風では、死者・行方不明者を合わせて五千名を超える甚大な被害を受けた悲しい歴史を持つ町でもございます。近年では、去る平成十二年九月に発生をしました東海豪雨においても甚大な被害を受けた地域でもございます。その後、我が公明党も一緒になり尽力をしてまいりました激特事業の指定を受けまして、地域を流れる天白川などは、河川改修が鋭意進行しているところでございます。

 この地元名古屋市南区には、これを縦断する形で名鉄名古屋本線がございます。一日五百六十本もの列車が運行され、沿線の踏切では一日最大十時間の遮断時間があり、東西に走る幹線道路や生活道路では慢性的な渋滞や踏切事故なども発生をしておりまして、都市活動に大きな障害となっております。

 平成十八年度の連続立体交差事業新規着工準備採択要望、名鉄名古屋本線天白川―山崎川間として、地元名古屋市からもお願いをしているところでございます。この要望箇所については、全国ボトルネック踏切のワースト六番と七番の箇所が存在し、名古屋市内におきましては第一位、第二位の踏切でございまして、遮断時間もピーク時で三十八分と深刻な状況となっております。

 加えて、重大な問題は、この要望箇所にございます山崎川流域は、さきの東海豪雨水害により、市内の中でも甚大な被害をこうむりました。その一因として、この名鉄名古屋本線の橋梁が流水を阻害しており、具体的には、けたの下の高さが、いわゆる計画高水位、ハイウオーターレベルよりも低いという状況にあり、橋梁により流水がせきとめられる形になり、この橋梁より上流部で床下、床上浸水が発生するという事態が生じたわけでございます。

 当然のことながら、この橋梁部分だけは堤防のかさ上げもできていない状況でございまして、洪水の際には、列車の運行を停止し、人力で可動式の堤防を設置して一時的に堤防の高さを上げるという、極めて前時代的な作業をしているわけでございます。このとき、当然のことながら、名古屋の大動脈である名鉄名古屋本線は運行停止となり、社会的な影響も看過できないものと言えます。

 連立事業の新規着工準備要望箇所は全国でも多数あり、国、地方、さまざまな理由から順番待ちが続いていると聞いております。ボトルネック踏切の解消だけにとどまらず、河川改修という水害対策の要素も抱えるこの名鉄名古屋本線山崎川―天白川間の高架化は、全国的に見ても、緊急性においては上位に位置づけられるべき案件ではないかと思いますが、いかがでしょうか。御見解を伺いたいと思います。

 また、あわせて、連立事業全体の促進に向けた大臣の御決意も伺いたいと思います。

柴田政府参考人 御指摘の名古屋鉄道山崎川―天白川の区間でございますが、踏切におきます交通遮断が著しく多いボトルネック踏切を二カ所含んでおります。また、区間内に含まれます山崎川の改修計画との関連もございます。御指摘のとおりでございます。そういうことで、早期に取り組みたいとの要望を名古屋市から現在受けてございます。

 国土交通省といたしましては、事業の緊急性は認識いたしております。名古屋市からの要望を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

北側国務大臣 このボトルネック踏切の解消などの踏切対策というのは、非常に大事な、重要な事業であると考えております。国土交通省のさまざまある施策の中でも重点事項として位置づけをさせていただいて、スピードアップをして進めさせていただきたいと考えておるところでございます。

 先ほど委員からも御指摘ございましたように、安全の確保はもちろんでございますけれども、渋滞をなくすことによって経済効果、また環境面での効果もあるわけでございまして、この連続立体交差事業を中心といたしまして、踏切対策、全力を挙げて推し進めさせていただきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 大変にありがとうございます。安全、安心の観点からも、ぜひとも踏切の解消を今後とも全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、少々鉄道の話から外れまして、特に地元、河川のことでお聞きしたいと思います。

 私の生まれ育った名古屋市南区、皆様も記憶にあるとおり、先ほども申し上げたとおり、五年前の、くしくも二〇〇〇年の九月十一日でございましたけれども、東海豪雨が発生をいたしました。名古屋市内で一日の降水量は四百八十二ミリ、これは過去最高記録の約二倍、死傷者百二十五名、全半壊二百三棟、床上浸水二万三千、床下浸水四万七千というけた外れの被害が生じ、約二十二万世帯、五十八万人に避難勧告、避難指示が行われました。地元地域周辺でも多くの被害が生じておりまして、私自身、その被害の大きさをまざまざと見せつけられました。

 その中でも特に大きな問題となりましたのが、一般資産に対する被害でございました。被害額の試算値では、カウントできるものだけで少なくとも約七千億、被害をこうむっておりますけれども、被害総額の実に九七%、六千三百億程度が一般住民の資産の損失でございました。これが、近年話題になります都市型水害の深刻な特徴となっております。

 ともあれ、この東海豪雨は激甚災害事業の指定も受けまして、五年をかけて復旧作業に当たってきていただいたわけですけれども、ちょうど期限となるこの五年を迎えまして、どのように進捗をしたのか、その状況について確認をさせていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 平成十二年九月の東海豪雨では、名古屋市を中心に大変な豪雨となりました。庄内川及び派川の新川では計画高水位を上回り、特に、庄内川では一色大橋下流右岸で越水が生じるとともに、新川では左岸の堤防が破堤しております。同様に、天白川におきましても計画高水位を上回り、支川からの越水等が生じたところであります。これらにより、先ほど伊藤委員のおっしゃったような大変甚大な浸水被害が発生したところでございます。

 これを受けまして、平成十二年度から、庄内川、新川、天白川におきまして、平成十六年度の完成を目標に、激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業を実施したところであります。この激特事業では、約一千億円の事業費によりまして、堤防のかさ上げ補強、河道掘削、洪水流下の阻害となっている橋梁の改築等を実施して、平成十七年三月に完成をさせていただいたところです。

 激特事業の完成によりまして、東海豪雨と同様の降雨が生じた場合でも、庄内川においては洪水をおおむね安全に流下させることができることとなりました。また、新川及び天白川におきましても、浸水被害を大幅に減少させることが可能となったわけでございます。

 なお、引き続き、庄内川、新川、天白川におきましては、洪水流下の阻害となっております橋梁のかけかえを実施して、さらに治水安全度の向上に努めてまいっているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 次に、また話題をかえまして、また地元になりますけれども、道路の話で二点ほど確認させていただきます。

 地元名古屋市では、現在建設が進められております環状二号線、名古屋都市圏の骨格となる重要な環状道路でありまして、全線の約六割が供用となっております。ようやく先月までに、東部・東南部区間の本線工事が発注をされたと報告を受けております。

 従前より、名古屋市長からも、環状二号のうち特に東部・東南部区間は、中部国際空港へのアクセス道路としても期待をされておりまして、ネットワークになることで相乗効果が期待をされていると伺っておりましたので、地元といたしましても大変に喜んでいるところでございます。

 その意味で、この名古屋環状二号線の東部及び東南部区間について、二〇一〇年開通予定と聞いておりますけれども、その整備の現状、見通しについてお伺いしたい。ちょっと連続して行かせていただきます。まず、これが一点でございます。

 もう一つ、中部地域は、万博もあったこともありまして、大変に恵まれているという御指摘も聞きますけれども、この環状二号線のまたさらに外回りで、東海環状自動車道というところがございます。これも東側のルートがほぼ完成をしておりまして、西ルートについては一部、地元調整等で難航をしていると聞いております。この美濃関ジャンクションから西側区間の整備の現状と見通しについてお聞かせいただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 二ついただきましたが、手短にお答えさせていただきたいと思います。

 最初の名古屋環状二号線でございますが、全体六十六キロメートルの環状道路でございますが、委員御指摘のとおり、北回り区間を中心に供用しております。これに連続します東部・東南部の区間につきましては、未開通区間ということでございますが、委員御指摘のとおり、中部国際空港へのアクセス性の向上など、極めて重要な区間と認識しております。

 これまで環境問題で少し進捗がはかどらない面がございましたが、ようやく全面的に工事を展開することができましたということでございまして、委員御指摘の、できるだけ早期に開通できるよう努めていきたいと思っておる次第でございます。

 二つ目の東海環状自動車道につきましては、全体百六十キロメートルというような大規模な、大きな外環状道路でございますが、東側につきましては、愛知万博また中部国際空港のアクセス等ございまして、東海北陸から中央道を経て伊勢湾岸道路まで、第二東名までの区間七十三キロ一気に供用になっておりますが、西側区間につきましては、これから三区間につきまして本格的に整備、供用を図るために、区間を重点的に絞って整備をさせていただいております。

 また、そのほか、調査区間等もございますが、まだ計画がはっきりしておらない養老―北勢インターチェンジ間につきましても、環状道路でございますので閉じないと意味がないということで、環境影響評価手続を開始させていただきたいということで、いずれにしましても、全線、西側区間、東側と一体となって環状機能が大きく効果を発揮するということでございますので、手続を踏みながら、また区間を重点化しながら整備を進めさせていただきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げたとおり、愛知万博があったおかげで中部圏の道路整備は非常に恵まれているという御意見も伺いますけれども、二つの環状道路を一日も早く完成形という形にしていただいて、その投資効果が最大限に発揮されるように今後も努力いただきたいと思います。

 最後になりますけれども、私も新人として、今まで培いました土木系のエンジニアとしてのノウハウを生かしながら、国土交通政策に貢献できるよう、今後とも努力していくことを表明させていただき、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 国土交通委員会に出戻ってまいりまして、古賀先生や中馬先生もそうですが、懐かしいお顔にお会いできまして、大変光栄に思っております。

 午前中の質疑でもあったんですが、最初に、JR福知山線事故に関する航空・鉄道事故調査委員会、この経過報告と建議についてお伺いしたいと思います。

 事故調が経過報告をお出しになりました。この経過報告、大変御苦労されてお出しになったことと思うんですが、犠牲者の皆さんやあるいは専門家から見ても、余り評価が高くないというか芳しい評判を聞かないということになっています。

 特に、事実関係の特定を中心に調査されて、制限時速七十キロの現場カーブに、時速百十キロ以上、百二十キロを超えていましたかね、で進入した、そういう大幅な速度超過が事故の主な原因であるという技術的な報告に終わっているということなんだと思うんです。もちろん、中間報告、経過報告ですから一定の限界はあると思います。

 しかし、この報告に対して、この報告書は速度や距離などのデータばかりで、なぜ運転士がスピードを出し過ぎたのかという、もちろん犠牲者の遺族もそうなんですが、一番知りたい点について触れていない、今回の調査や捜査は力点が技術的側面や個人の責任に偏っている、再発防止に生かすためには事故の背後にある組織的な問題点も調べる必要がある、これは専門家の皆さん方ですが、こういう意見が出されているわけです。

 そうすると、どうも今度の中間報告、技術的な側面、ハードの側面に偏っていて、これでは本当の意味で、犠牲者あるいはけがをした人もそうなんですが、遺族が知りたいことに答えていないのではないかという気がしてならないんです。

 アメリカのNTSB、国家運輸安全委員会というのがありますが、これはもう御承知のとおり、かなり強大な権限を持っていまして、事故の調査を行うんです。もちろん警察よりも優先して事故の調査を行っていくという権限を持ったNTSBという組織がありますが、これは、事故の被害者あるいはその被害者の遺族、この方々に納得していただけるような説明をすることが第一の任務だと言ってはばからないわけですね。そのために徹底した調査を行うという例があるわけです。

 そういう意味では、今回の経過報告というか中間報告は大変不十分で、何か本当に、我々も含めて、知りたいことへの回答が出されていないのではないかというふうに感じるんですが、事故調の方はどんな総括をされていますでしょうか。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 当航空・鉄道事故調査委員会におきましては、現在、福知山線事故の調査を鋭意進めておるところでございます。

 その際、多角的な事実調査と科学的な解析に基づく最終的な結論というものを得るまでには相応の日時を要すると見込まれたものでございますので、去る九月の六日に、これまでの調査で判明いたしました事実につきまして、その概要を報告し、また公表したところでございます。

 当委員会の事故調査におきましては、不確かな情報に基づく憶測あるいは予断というものを排しまして、客観的な事実情報に基づく科学的な解析を行うということを使命といたしておりますことから、調査の初期段階におきましては、客観性の高い情報が比較的速やかに得られるということで、やはりそのハード面の調査が先行するということがございます。

 そういう意味で、先般の経過報告におきましても、福知山線事故に関するハード面の事実調査が大変多く含まれておったのではないかと考えておる次第でございます。

 しかしながら、もとよりその事故調査におきましては、ハードのみならずソフトの両面から多角的に調査を行うということが重要でございまして、ヒューマンファクターに関する調査を担当する調査官を新規に採用するなどいたしまして、現在ソフト面につきましても調査を進めておるということでございます。

 こうした調査で判明いたしました事実につきましては、今後ともできるだけ早く公表してまいるという所存で取り組んでおる次第でございます。

日森委員 ということは、今度の中間報告では、まだまだ、遺族やあるいは被害者の最も知りたいという、そういう期待にこたえ切れていない、そのこたえ切れるためにも、さらに調査を続行して深めていきたいという御見解でよろしいわけでしょうか。

 そうすると、関連しまして、私たちは、これはずっと事故調、実は、航空・鉄道事故調査委員会の設置法ができたとき、ちょうど私も国土交通委員会におりまして、森田大臣だったと思うんですが、そのときも御要望申し上げた経緯があるんですが、先ほど申し上げたとおり、事故調は、そのハード面でなくてソフト面、特に、なぜこの事故が起きたのかという背景についてきっちりと踏み込んだ調査をすべきである、そういう権限などを持たなきゃいかぬということをずっと主張してきたんです。

 社民党は今度の事故に関しても、JR西日本の経営姿勢、現場で日勤教育などという過酷な労務管理、こんなものが行われている、あるいは効率化優先、もうけ第一主義で安全がおろそかになっていた、それは設備面でも東と比べても随分劣っているというような話がありましたけれども、そういうことが、かなり大きな背景要因としてはあるのではないかというふうに考えているわけです。

 そうすると、今後の調査、引き続いて行われる事故調の調査において、その運行ダイヤと事故の関係であるとか、運転士の、これは亡くなっちゃっていますからなかなか難しい面もあると思いますが、運転士さんの体調や心理状態、それから、一番私どもが関心を持っているのはJR西日本の企業体質、あるいは安全管理や労務管理のあり方、こういうところまで踏み込んで今後調査を行っていかれるのかどうか、これをお聞きしておきたいと思います。

福本政府参考人 お答えいたします。

 当委員会におきましては、事故調査に当たりまして、事故の直接的な原因のみならず、必要な場合には事故に関与いたしました要因でございましたり、あるいは背後要因につきましても調査の対象といたしておるところでございます。

 このため、福知山線事故につきましても、先生御指摘のとおり、運転士の健康状態あるいは心理状態はもとより、その勤務状況あるいは列車ダイヤとの関係等を含めまして、できるだけ多角的な調査を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

日森委員 その結果、例えばJRの企業体質といいますか、その運営の方法に問題があるとかいうことが明らかにされた場合、こういう問題に関しても突っ込んで勧告までしていくとか、あるいは改善命令を出すとか、そういう決意を持って今後も調査を進められるんでしょうか。

福本政府参考人 お答えいたします。

 既に、この九月に出しました経過報告の段階でも、国土交通大臣に対します建議というものを出しておるところでございますが、引き続き、その調査の過程におきまして、事故の再発防止のために必要な項目が判明いたした場合には、引き続き国土交通大臣に対します勧告でございましたり、あるいは建議といったものを出す方向で検討いたしておるところでございます。

日森委員 ぜひ、そういう独立した仕事をするというふうに法律にも書いてあるわけですから、今の範囲内でも、できる限りそういう踏み込んだ継続調査をしていただきたいと思いますし、それがやはり事故調の基本的な責務だろうというふうに思っていますので、お願いしたいと思います。

 今事務局長お触れになりました建議についてなんですが、国土交通省が対応方針をお出しになりました。公共交通機関における重大事故やトラブルが続いており、公共交通に対する国民の信頼回復が喫緊の課題である、安全マネジメント体制構築、国による安全監視体制の強化、事故調査、安全情報収集体制の強化に取り組んでいく、それから、来年度までにATSの緊急整備を行う、こういうことが出されているわけですが、これは具体的に各鉄道会社に対して国土交通省はどういうフォローアップをしていくのか、具体的にどうお進めになっていくのかをお聞きをしておきたいと思います。

梅田政府参考人 事故の後に、例えばATS等につきまして、これを設置すべき、安全をさらに向上させるために設置させるべきであるということで必要な通達を出し、かつ、事故後、原因がまだ究明されておりませんけれども、その事故の原因がいかなるものであれ、すぐ、安全のために必要な措置はとるということで、先ほど言いましたような措置をとっておりますし、また、さまざまな、この前の九月の中間の取りまとめ等ございましたように、事故調からの報告につきましても、私どもとしては、今できることは直ちに対応するということで、必要な調査、指示あるいは指導をしてきているところでございます。

日森委員 この建議は恐らく最低限のことでしょうから、ぜひ早急に対応していっていただきたいと思うんです。

 同時に、この事故調の経過報告の中でも、どうも個人の責任的なところがある意味強調されているんではないかということと関連してなんですが、対処方針の中で、これはもう大臣にお聞きしたいんですが、「運転士に起因する事故の防止を図るため、運転士の資質の維持管理を充実させるための新たな制度を創設する等の法案を次期通常国会に提出」というふうに述べられております。

 これは随分長い戒名なんでよく意味がとれないところなんですが、どうも運転士に問題があると。運転士にどうも、いろいろ、事故なんかはそうなのではないかという背景があるのかもしれませんが。したがって、その「運転士の資質の維持管理を充実させるための新たな制度を創設する等の法案」、これだけ聞くと具体的にちょっとイメージできないんですが、さらに、日勤教育がありましたという西日本の悪例もありましたけれども、そんなことしかなかなかイメージできなくて、具体的に、法律で運転士の資質の維持管理を充実させるということになると、どういうことなのか。しかも、来年の通常国会に提出したいということですから、そんなに時間があるわけでもありません。これはどういう中身なのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

梅田政府参考人 福知山線事故が発生しました後に、私どもとして、先ほど言いましたように、直ちにやれる対策ということで行ったものがございます。ATSをカーブのところに設置させるということが一つでございました。

 もう一つは、今回の事故原因はまだつまびらかではありませんが、運転士について、どういう、現在の制度面から改良する、改善する余地があるのかということで、運転士の資格、こういうものについてのあり方の勉強をやろうということで、私どもの中に検討チームを設けまして、局の中で運転士の資質の向上策について検討したところでございます。

 これにつきまして、実は、ATSにつきましては既に七月の終わりに二千八百カ所強の義務づけを公表いたしましたけれども、八月に至りまして、運転士につきましてもその資質向上策を中間的にまとめたところでございます。

 例えば、運転士の資質の維持管理のためには、適性、身体、知識、技能、こういう資質要件を常に維持しなければならないということを明文化したいと思っております。それから、運転士に必要な資質の充足状況を定期的に確認して、その結果を国に報告する。それから、運転士の資質のこういう教育訓練を実施する責任者をきちんと決める。さらには、この実施体制、教育ですね、教育の実施方法、教育体制、こういうものを定めました管理規程、こういうのをつくる。こういうのを事業者に義務づけさせたいというふうに思っております。

 私ども、運転士につきましては免許制度でございますから、免許を出しましたら基本的には事業者の自主的な教育訓練にゆだねていたわけでございますけれども、こういう面につきましても、事業者に対してその責任体制を明確化して、事業者の責務をさらに厳しく見ていきたいというふうに思っておるところでございます。

日森委員 そういう法律をおつくりになるということはよくわかりますが、しかし、実際問題、これから事故調もさらに背景まで踏み込んで事故の原因について連続して調査をしていくということをおっしゃっているわけです。

 最初に戻りますが、運転士がなぜスピードを出し過ぎてしまったのかを含めてなんですが、ヒューマンエラーというのは、それはどこにでもあるわけですよ。あるわけですね。それがなぜ起きたのかということについて踏み込んだ調査を行った結果、どういう、例えば過密ダイヤの中でえらい労働強化があってヒューマンエラーが生じてしまうということは当然あるわけですね、そういうことを含めた上で本当に運転士の資質についてとかいうことについて決めていかないと、いわば表面的な、一般的な基準だけで、これは本当にヒューマンエラーを少なくしていくような事故防止につながっていくのかという懸念があるわけですが、その辺はいかがですか。

梅田政府参考人 今回の事故原因につきましては、事故調が現在鋭意調査をしていただいているところでございます。その調査の結果、事故の本当の原因が明らかになるかと思います。その際に、それとの運転士のかかわりについても何らかの解明がなされるものと思います。その時点でもし必要であれば、そうした原因に対応した対策あるいは措置を私どもとしては引き続き打っていきたいと思っております。

 先ほども申しましたように、事故原因の究明にはかなりの日時を要する。この間に今までと同じようなやり方で安全の確保を図るというのも一つの方法かもしれませんが、私どもといたしましては、事故原因が何であれ、今できることは今すぐにやろうということで、必要な措置は直ちにとってきているところでございます。

 したがいまして、明らかな原因あるいは明らかな事実がもう少し明確になりましたら、私どもとしては、再度、もう一度施策をチェックしながら、それに応じた新しい対策、施策を講じていきたいというふうに考えております。

日森委員 それはぜひお願いしたいと思います。

 それから、二点目になるんですが、やはり事故調査委員会で大変申しわけないですが、これも設置当初から私どもが一貫して主張してきました、事故調査委員会は国土交通省から独立をすべきではないのかということを一貫して主張してまいりました。

 実際に事故を起こしたのはJR西日本ということですが、国土交通省は監督官庁であるわけです。鉄道の安全輸送を確保するための監督官庁である国土交通省、これはやはり監督責任が問われると思うんですね。事故調でそこまで踏み込むのかどうか、そこはもう事故調の範疇ではありませんとおっしゃるのかどうかわかりませんが、私どもの立場からいうと、監督官庁である国土交通省の責任も実は免れない。そのために、建議を受けとめて早急に対策を講じるということになっているのかもしれませんが。

 そうすると、国土交通省の管轄下に事故調があるということは、どうも親方である国土交通省に、独立した仕事をするというふうに法律に書いてあるけれども、親方である国土交通省になかなか物が言いづらいなどということがあるのではないかという心配をしているんです。そんな心配は要りませんと言われれば、そうかと言うしかありませんが。しかし、どうもやはりそういう組織上の問題が出てくると思うんですね。そういう意味では、国土交通省から独立をして、省から独立をするということよりも、むしろ八条委員会から三条委員会、内閣府に設置をして、もっと独自に、縦横無尽に権限を使って仕事ができるという組織にしたらどうかというふうに思っておるんです。

 これはちょっと一緒に聞きたいと思うんですが、これも設置法ができたときに附帯決議がつきました。衆参両方とも附帯決議がついたんですが、衆議院だけ紹介しておきますと、

  航空・鉄道事故調査委員会は、今回の体制整備を契機として、更に徹底した原因究明と事故の再発防止を図ること。調査委員会の組織のあり方については、今回新たに整備される委員会の活動を踏まえ、その体制・機能の強化、陸・海・空にわたる業務範囲の拡大等の必要性につき検証したうえで、諸外国の例を参考にしつつ、今後の課題として検討を行うこと。

というふうに書いてあるわけです。参議院も同じような附帯決議がついたと思うんです。

 これ、「諸外国の例」というのは、国際組織もありますけれども、恐らくNTSBというのが念頭にあって附帯決議がされたというふうに私覚えているんですが、先ほども紹介しましたけれども、警察よりも権限を持っていますよ、NTSBは。これは故意の犯罪である、犯罪であるということが調査の過程で確認された場合は警察に捜査を先行させるけれども、それが確認されない以上、調査委員会、このNTSBというアメリカの運輸安全委員会がすべての権限を持って事故調査を行うわけです。

 これぐらいの権限がないと、実は、本当に事故の原因が究明されたとしても、それが公表できないとか、どうも親の官庁から物が言われそうだとか、そんなことは今までないと思いますが、そういう懸念があるわけです。それは、言いにくいこともきっちり言う、言っていかなければ、本当の意味での事故防止につながっていかないのではないかという心配があるわけです。

 そういう意味では、この事故調を独立した機関にしていただきたいというのが私たちの思いなんですが、その辺についてぜひ御見解を賜りたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますが、事故調査そのものは科学的かつ公正な見地から行うことが必要でございまして、そういう意味で、先生御指摘のとおり、委員会の独立性というものにつきましては十分に確保されることが必要であろう、こういうぐあいに考えております。

 このため、航空・鉄道事故調査委員会設置法におきまして、「委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行なう。」というぐあいに規定をしていただいております。そういう意味では、国土交通大臣に対しまして独立して調査の際の権限行使を行っておるということでございます。

 また、委員の任命につきましても、科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから国会の同意を得まして国土交通大臣が行うというぐあいに規定をされてございます。そういう意味で、各分野におきます高度の学識または経験を有する方が選任されるなど、委員会の独立性あるいは公正性につきましては十分確保がされておるのではないかと考えております。

 さらにつけ加えますと、既に事故調設置以来、国土交通大臣に対します勧告といたしまして三件、また、建議といたしまして航空で十五件、鉄道で二件、総計十七件の建議を出しておるということで、そういう意味では、私ども、独立して国土交通大臣に対しますそういう意味では物を申し上げておるというぐあいに認識をいたしてございます。

 それから、国土交通省に附属をいたしてございますが、これにつきましては、私ども、手足がないといいますか、日本全国に出先を持っておるということではございません。そういう意味で、事故が発生いたしました場合の通報でございましたり、あるいは事故現場の保存でございましたり、あるいは応急の事実調査等々、国土交通省の所属機関の御支援というものが不可欠でございます。そういう意味で、常日ごろから、これらの機関と私どもとしては連絡を密にしながら事故調査を的確に進めておるというところでございますので、御理解を賜りたいと思っております。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

日森委員 ぜひそういう立場を堅持していただきたいと思いますが、恐らく国際機関もそうですから、そういう、このアメリカの安全委員会も入っているような国際機関も、ほとんどの国が独立した機関としてやっているわけですね。そういう意味では、事故調もそこと連携して、国際的な事故調の交流なんか行っていくわけですから、そういう意味では、将来展望として、独立した機関、三条委員会になっていくようなことを私どもも追求していきたいと思いますし、事故調もぜひ、みずからそういう展望も示していただきたいと思っています。

 時間がなくなりました。最後に、ちょっとまとめてお聞きをするんですが、道路特定財源について大臣にちょっとお聞きをしたいと思うんですが、総理から、ことしじゅうに、見直しについて一年前倒しで出されました。

 いろいろ報道を見たり聞いたりしていますと、財務省や一部は、一般財源化という話もあるようです。国土交通省はどうかわかりませんが、私どもは一貫して、一般財源にするのはまずいということを主張してきました。そうではなくて、もちろん、地方分は地方で道路財源を使っていただくということは結構なんですが、国に入ってくる分については、道路からもうかなり拡大して使用されていますが、総合交通体系を整備していくとか、あるいは、とりわけ交通安全、こういう問題に集中して使っていくとか、あと交通によって引き起こされる環境悪化なんかを防いでいくとか、ある意味で限定された範囲でこの道路特定財源というのは使うべきだというふうに思っているんです。

 ちょっと詳しいことは時間がないので言えませんけれども、それで、どんな方向で大臣は見直しをされようとしているのか、いろいろ財務省とのさや当てもあって厳しい面もあるかもしれませんが、それを聞きたいのが一点。

 同時に、総理から、特別会計、ゼロから見直しというようなことが言われました。私どもはそう思っているんですよ、特別会計、見直ししなきゃいけない。その際、道路特会と空港特会、港湾特会という、ここで持っている特会について、これは私どもの構想なんですが、実は合体というか統一をして、これで総合交通体系のためのがっちりとした財源をきちんとつくっていくということで、それも見直しの一つの選択肢になるのではないかというこちらの提案なんですが、この道路特会の見直しも含めて、ちょっと大臣の見解を最後にお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 御承知のとおり、道路特定財源というのは、自動車利用者の方が負担をしていただいている税金でございます。したがって、受益者負担というのがこの税の考え方の根本にあるわけですね。ですから、この道路特定財源について見直しをするといっても、私は、税の議論からいって、負担をしていただいております自動車利用者の理解を得られるような範囲内において見直しを進めていくということがやはり前提になるのではないかというふうに思っているところでございます。

 よく道路特定財源の一般財源化というような言葉が使われておりますが、総理も一般財源化という言葉は一度も使っておりません。先般の本会議において総理から指示がございましたのは、暫定税率との関係、それから使い道のあり方の見直し等の基本方針を年内に検討するように、こういう指示をいただいているところでございます。

 もちろん、これから本格的な論議が始まるわけで、これはちょっと国土交通省だけで議論ができない、財務省もあれ、総務省もあれ、また、使いたいというところの官庁がたくさん手を挙げているところでございまして、そういうところとこれから論議をしていかないといけないわけでございますが、今申し上げましたように、自動車利用者が負担をしていただいている、その自動車利用者の理解が得られる範囲内においての使い道でないといけないということが、まず原則である。

 それから、その際に、余り理解を得られないような範囲になってくるならば、これは暫定税率になっているわけですから、この暫定税率をどうするのかという議論も当然出てくるということも前提として置いていかないといけないと思っているところでございます。

 これまでも、そういう意味では、御理解が得られる範囲ということで、道路整備に密接に関連するようなさまざまな施策に使ってきているわけでございまして、それをどこまで広げていけるか、今委員のおっしゃったのも、多分そうした例だと思います。そうした、自動車利用者の理解が得られる範囲内でどこまで広げられていくのかというふうな議論になっていくのかな、そういう中には、おっしゃっている交通の安全だとかそれから環境の問題だとか、そうしたことも当然視野に入ってくるだろうというふうに思っているところでございます。

 特別会計の見直しに関しましては、御指摘の道路、港湾、空港と三つの特別会計につきましては、これは長期間にわたって多額の費用をかけて行われる事業の全体像を明らかにしていこう、また、これはそれぞれ違うんですけれども、特定財源があったり、地方公共団体からの負担金があったりということで、受益者負担の考え方に基づいて特定の事業の財源に充てるために徴収をしている歳入と事業の歳出の関係を明確にしていこうと。

 そもそも特会というのは、その関係を明確にしようというところから、わかりやすくしようという趣旨で本来はやったものなわけでございまして、この特別会計の一元化については、そういう意味では、この道路も港湾も空港も、それぞれ入ってくる歳入どころが違う方々、違う趣旨で入ってきているという側面もございますので、なかなか、これを一元化していくというのはどうなのかというふうにも思うところでございます。

 ただ、この三つの会計も含めまして、特別会計のあり方につきましては、これはもう見直しをしっかり検討していこうということになっているところでございまして、事務事業の見直しや歳入歳出構造の見直し、特別会計として区分経理する必要性、こうしたところの点検をしっかりさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 国土交通省におきましても、これまでも特別会計の改革に取り組んできておるところでございますが、より、今回の御指摘を踏まえまして、先ほど申し上げたような事務事業の見直し等々についてさらなる点検を図ってまいりたいと思っております。

日森委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山口(泰)委員長代理 次に、内閣提出、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長山本繁太郎君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君及び文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口(泰)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口(泰)委員長代理 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 まず最初に、北側大臣にお尋ねをいたします。きのうの小泉総理の靖国神社参拝の問題でございます。

 きょうの午前中の我が党の高木義明さんの質問に対しても、大臣、答えております。また記者会見でも、東アジアの安定と発展に支障がある、このように危惧をしておるというような趣旨の発言をしております。

 私は、北側大臣が公明党の大幹部であるだけに、また連立を組んでおるだけに、この問題は、記者会見やここで述べるだけでなく、総理大臣に対して、小泉さんに対して直言をすべきである。連立を組み、私も連立を組んだ経過がありますけれども、なかなか小さな政党の連立は姿が見えないというようなことがよく言われてきたわけであります。公明党さんも、これは、政教分離の問題ですとか、あるいは東アジアに大変大きな影響があるということで、党是という形で自粛をすべきだということを言ってきたと思うのでありますから、大臣が総理大臣にきちんと直言をするかどうか、これをまずお聞きをいたしたいと思います。

北側国務大臣 残念ながら、きのう、もう参拝されてしまいましたので。

 これまで当然、党側、公明党の神崎代表なり冬柴幹事長等々は、何度もいろいろな機会を通じてそういうことを直接言わせていただいております。私自身も、この靖国問題、靖国参拝についての意見を聞かれたのは別にきょうが初めてではございません、これまでも何度も聞かれているところでございまして、そういう中で公の場で発言もさせていただいているところでございます。

鉢呂委員 内閣として公明党は見ておるわけでありますから、幾ら私的なところの感じを出しながら、きのうの参拝はそういう配慮をしたというようなことが言われておりますが、これは内閣総理大臣小泉純一郎として参拝をした、こういうふうに公明党さんはとらえておるんですから、私は、記者会見で言う前に、やはり総理大臣に内閣の一員、主要な閣僚としてきちんと申し入れをするべきである、こういうふうに思うわけであります。

 そこで、この法案について話を進めさせていただきます。

 この法案は、今回の特別国会で急遽出された感があるわけであります。もちろん、昨年の、ちょうどもうすぐ一年になりますが、新潟の中越地震、あるいはまたことしも福岡の西方沖地震、あるいは今もパキスタンの大地震と、大きな地震が起きておるわけでありまして、私もちょうど十二年前に、私の選挙区でありました北海道南西沖地震、奥尻島で二百名を超える方々が被災をしたという経験も持っております。

 そういう面では緊急は要しますが、今回の法律は建築物の耐震性を強化するという形でありまして、私は、この法案あるいはこの実態、後で論議をしますが、見ていく中で、必ずしも実効性が上がっておらない。阪神大震災の平成七年にこの法案が法律制定されたんですが、ちょうど十年たつんですが、実効が上がっておらないという中で、この中身を見ましても、必ずしもこなれたものではない。

 一千万を超える住宅の耐震化を進めるわけでありまして、国民の理解といいますか国民の周知、さまざまな提言でも、国民みずからが、あるいは建物の所有者みずからの問題としてやっていかなければならないということを一番大きな柱にしておりますから、そういう面からいきますと、きょうの二時間半ぐらいでこの法案を上げること自体が、私は、単にこの法律をつくった、十年前と同じような瑕疵を犯す可能性がある。

 本当に大臣がこの法案でやれるというふうに考えて今回提出をしたのか。考えていますというのは、公式の答弁としてはそうかもわかりませんが、本当に大臣が、政治家としてこの法案を見て、あるいはまた国民の皆さんに本当に問題を投げかけて、そしてこの改正案ができつつある、できるという確信があって今この場に臨んでおるのか。その政治家としての考え方をお聞きいたしたいと思います。

北側国務大臣 決して急に提出をしようというふうに決めたわけではございません。

 少し経過を申し上げますと、昨年の中越地震やことしの福岡県の西方沖地震等も頻発したことも踏まえまして、ことしの三月の中央防災会議におきまして、この中央防災会議では、もともと首都圏の直下型地震だとか海溝型地震について論議をしていただいているところでございますが、本年三月のこの会議におきまして、今後十年間で地震による死者数を半減させることを目標とする地震防災戦略というのが決定をされました。

 また、国交省の中では、ことし二月に設置しました住宅・建築物の地震防災推進会議におきまして、現在の住宅や特定建築物の耐震化率を、現在七五%でございますが、これを少なくとも九〇%にしていこうというふうな提言を、専門家の先生方に入っていただきまして取りまとめていただいたところでございます。

 さらに、九月二十七日の中央防災会議では、国家的な緊急課題として全国的にかつ緊急に取り組むべき施策について定めました建築物の耐震化緊急対策方針が決定されまして、その中で、耐震改修を促進する制度の見直しに直ちに取り組むということが決定を見たわけでございます。

 今回のは制度改正でございますけれども、もちろんこの制度改正だけで、すべてがこれで大丈夫だというふうには思っておりません。後でまた申し上げますけれども、税制の問題や、それから何といっても財源ですね、財源をどう確保していくかという問題もあるわけでございまして、これはなかなか容易なことではないと思っておりますが、しかし、大きく前進をさせる制度改正になっておるというふうに私は考えております。

鉢呂委員 今、財源が必要だという話をされました。これも後でお話ししますが、二十億から百六十億程度にふやしただけでも大変な財源の概算要求ではありますが、それとて今の耐震化率の進捗を大幅にふやすものではないというふうに私は思います。第一に、国民の皆さんが、本当にこれは必要だ、耐震化のための改修をする、そういう機運にならなければなりません。今でも国民の五割は、昨年の世論調査でも五割は改修はしないと。あるいは本当の意味での耐震化をするという考えに立っておらないのであります。

 そういう中でこの法案が出されてきたわけでありまして、それでは中身に入りますが、まず第一に耐震化の現状。細かいことは私の方でしゃべりますから、大臣の見解を聞きたいわけでありますから、局長は出る必要はありません。今現在、七五%程度耐震化しておるといいながら、それは新しい建物がどんどん出てきたからでありまして、昭和五十六年の古い建築基準法に基づくいわゆる耐震化に不十分だというものは大変多い形で残っております。

 しかも同時に、これは提言の中で言われておるように、例えば住宅で、不十分な、耐震化を備えていない住宅が一千百五十万あるにもかかわらず、この五年間で耐震化を進めた改修は三十二万戸。単純にいけば、このまま五年で三十二万を、本当に一千百万をやり切るといったら、二百年かからなければこれはできないような形なんです。ただ耐震化率七五と聞いたら、何かすごく進捗しているような感じがありますが、絶対数からいけばそういう形になっておるわけであります。そういう形になっておるんです。

 この五年間でも不十分だということは大臣も認めるわけですか。

北側国務大臣 十分とはもちろん思っておりません。今委員の方は、耐震改修工事がなされたものの数、三十二万戸というふうにおっしゃっていただきましたが、また古い建物の建てかえが行われているものもございます。そういうものが二百万戸あるわけでございます。それでもこのスピードでは不十分だと考えておりまして、やはりこれの二倍から三倍ぐらいのスピードで耐震化を進めていかないと目標に達しないなというふうに考えております。

鉢呂委員 もう一点ですが、この法を制定した場合に、基本方針に基づいて、国は耐震化の数値を明確に規定する考えがあるのかどうか。いわゆる提言、あるいは中央防災会議では、今後十年間で九〇%耐震化、七五が九〇になるような形ということを提言しておりますが、実際、法を制定したときに、そういった数値目標を、九〇という数値目標をその計画、方針の中に入れるのかどうか、これを答えていただきたい。

北側国務大臣 入れさせていただきたいと思っております。

鉢呂委員 九〇%耐震化を進めるということになりますと、今大臣が先に言いました、毎年、今の現状よりも二、三倍で到達できるというような表現をされましたが、私は、これはさらに、現状の二、三倍では全然足りない。先ほど言いましたように、建てかえというものはあります。建てかえというものはありますが、二、三倍では全然足りないということをお話しさせていただきたいと思いますし、これは、住宅についてはそういうことが言えますが、いわゆる建築物、大衆的な建物、病院とか学校、特定建築物なんかについては、この提言でも、建築物の耐震化の状況は、データが少なくて推計が不十分でわからない、こういうふうに言っておるわけでございます。

 そういった意味では、まず最初に、どのぐらいこの耐震化状況というものは進めていくのか。やはり国交省で詳細な調査が必要であって、目標、先ほど九割というふうに言いましたが、その目標についても、この提言は随時見直しが必要だというところまで言っておるわけであります。ですから、私は、むしろきちんとこの九割の中身、本当に九割やっていけるのか、あるいは中身はどういうふうになっているのか、必ずしも十分でないというふうに言わざるを得ないわけであります。

 そこで大臣、具体的に、公共的な施設についてお話をさせていただきたいと思います。

 学校は避難場所としても活用されて、災害時の応急活動の拠点として活用されるために、強力に公共建築物等の耐震化の促進に取り組む必要がある、こういうふうに審議会の提言は言っておるわけであります。しかし、現状は、例えば学校と言われるものだけを見ても三十四万棟あるんだそうですが、そのうち不適格建築物というのが約半分の十七万棟。五〇%の耐震化しかなされていない。しかも、公立小中学校も、年度ごとに、私、文科省から聞かせていただきました、公立の小中学校、これが、ことしの四月一日現在で、これも、まだ耐震化を進めておらないのが四九・二%、約五割ある。非常に普通の住宅よりもおくれておると言わざるを得ません。

 しかも、この三カ年のデータを見ても、平均して耐震化をした棟数は、年平均二千二百五十棟という形で、現在残っておる校舎が八万三千五百五十三棟あるんですが、年間二千二百五十棟ぐらいやったんでは、もちろん学校の統廃合、過疎地なんかは統廃合もあろうかと思います、必ずしも八万三千全部やるということにはならないかと思います。しかし、二千二百五十ぐらいでやっていけば四十年もかかってしまうというのが実態です。

 もちろん、耐震化でなくて建てかえをするという場合も出てきます。こんな四十年かかってやったんじゃ、全然古くて使い物にならぬということがあります。しかし、大臣が先ほど言ったように、十年で九割、学校の場合なんかはやはり一〇〇%やるぐらいの気概がなければ避難場所としても使えないということになるわけでありまして、私の数字のとり方ですからそんなに違いはないと思いますが、二千二百五十校程度やっていったんでは全然足りないというこの現状は、大臣、おおむね、この学校の耐震化としての考え方として、今の状況では全然足りないんだという御認識に立ってよろしいでしょうか。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

北側国務大臣 ほぼ同様の認識を私もさせていただいております。

鉢呂委員 そういう面では、非常におくれている。法案では、民間に国交省が指示をして、そして世間に危ないところを公表して、しかも建築基準法の十条に基づいて改修の命令もさせることができる。そういう強い姿勢であるにもかかわらず、文科省所管の公立の小中学校でこういう状況だ。

 予算を言いましょう。予算を、約一千億程度、当初予算で見ております。しかし、十四、十五、十六、十七年と見てもほとんどふえておらない。しかも十八年の概算要求、大臣は準備をしてきたんだと言いながら、近い文科省のこの関係の予算は十八年度概算要求一千二百七十億、ことしに比べますと五十億しかふえていないんですよ、五十億。四%しかふえておらない。こういった状況で、本当に省庁間の連携をとってやる、それに基づいて法案を提出したと胸を張って言えるような状況ではないんではないでしょうか。大臣が本当に文科大臣に、こういった状況では間に合わないよということを直言する、そういった気持ちがあるかどうかをお聞きいたしたいと思います。

北側国務大臣 これは、中央防災会議では、文部科学大臣もメンバーに入っております。これ、全閣僚が入っているわけでございますが、そこでも、今委員からるる御指摘ございました学校の重要性、学校の耐震性がおくれておる、これを、スピードを上げないといけないねというようなことは当然議論になっているところでございまして、これは文部科学大臣もそういう認識を持っていただいておるというふうに思っております。

 ただ、問題は、財源をどう確保していくのかというところの問題でございまして、これはさらに詰めた議論が当然必要であるというふうに思っております。

鉢呂委員 私は、きのう、地元の市町村長さん二十名の方と懇談会を二時間半やりました。みんな耐震化については知っていました。アスベストの問題も。今言われたように、財源がないから、私の地元の小樽なんかは四十数校のうち三十校が耐震化をしなきゃならない、こういうふうにわかっておるんですが、全くめどが立たない。

 そこで、手前みそですが、我が民主党が平成十四年十月に提出をして、与党の協力が得られずに次の年の十五年に廃案になったんですが、公立小中学校地震防災上の改築、補強の校舎整備促進臨時措置法案というのをちゃんと出しているんですよ。この耐震の診断経費は全額国費補助、そして耐震改修については三分の二の補助、地方債に対する特別の配慮、そして五カ年でこれを実施する、そして財源は、予算は約一千億の予算をつけなければならない。現状の一千二百億の倍増したこの法案を提出しておるわけであります。

 やはり、国土交通大臣、縦割りといいながら、こういった、文科省に対してきちんと指示、命令する、命令するというのはちょっとおかしいですが、法律にはそう書いてあるわけですが、まさにみずからのところで、そういったことを今まで指示したことがありますか。今の法律でも指示できるんですが、しかし、小中学校には指示したことは一回もない。それはそうでしょう。この所管の行政庁が市町村なわけですから、建築主事のいる、小さい役場にはいないそうです、市が民間、もちろんこういう学校にも改修の指示をすることができる、こうなっておるんですが、国土交通省に聞きましたら今まで一回もないそうです、小中学校にやれと。

 公表する、後で聞きますが、どのぐらい効果があるんだ。私の見ているところ、もう小樽の皆さんは、学校が耐震性になっていないということは知っておるわけですから、公表してもしなくても、財源が先に立ってやれないというのが本当ですから、そこを大臣がきちっとこの問題について、国土交通省は二十億円を、百二十億円でしたか、百六十億円にしたから、これを何とか財務省に持っていくために、今法律案を出しておけば、野党も弱くなったから、すぐ二時間半で通せばこれで財務省に圧力になる、そういった考えで出したのが本当のところじゃないですか。

 学校で今できるんですか、十年間で。九〇%でもいいです。今、二千二百五十校です。これについては、大臣、その方策なり今後の見通し、あなたの決意を聞かせていただきたい。

北側国務大臣 これは結局、予算の問題になってくるわけですね。

 鉢呂委員、よくよく御承知の上でおっしゃっておられるかと思うんですけれども、文部科学省の予算は、人の省の予算をあれこれ言うのもあれですが、御承知のとおり、非常に、文部科学省というのは人件費が大宗を占めておる予算ですね。そういう中で、こういう箱物の施設整備費について、むしろ今はそういう公共事業については抑制をすべきというシーリングがかかっている。なおかつ、三位一体改革で、地方からは、こういう箱物については、昨年の話でございますけれども、むしろ税源移譲していただいて自分たちでやりますよ、こういうような議論があるぐらいなわけですね。

 そういう中で、箱物、施設整備費について、予算がなかなか思うようにふやせないというふうな状況にあることについては、委員もよく御承知のとおりかというふうに思っております。しかし、それでいいとは思っておりません。

 私も、学校の耐震化の問題については、これは文部科学省がどうとか国交省がどうとかということじゃなくて、政府全体としてやはり取り組んでいく必要があるというふうにかねてから思っておりまして、財源の裏打ちをどうしていくのか、これは政府全体としてしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

鉢呂委員 それはいいんですが、やはり大臣であれば、では、国交省の予算でも、縦割りがそんなに厳しいのなら、おれは国交省の予算を使わすぞ、一千億ぐらいすぐ出てくるとは言いませんが、そういう決意を表明してもらわなかったら、この法案は何にもならないと言ってはおかしいですが、十年たったって絶対、一番大事な子供さんも入っておる公立の小中学校、九割なんか全然いかないですよね、このままいけば。これを具体的にきちんと打開する道を国交大臣が提案しなかったら、どうにもならない状態に来ておる。

 もう一回、国交省の予算を、割り振りを持っていくぐらいの、一千億ですよ、一千億あれば大分違ってくる。どうですか。

北側国務大臣 国交省の予算は、大変限られた予算の中でさまざま整備を進めていっているわけでございます。そのことも委員はよく御承知のとおりかと思います。

 先ほども申し上げましたが、この問題は非常に重要な問題と私も認識をしております。これをさらに前に進めさせていただくためにも、この制度改正について御理解をいただきまして、ぜひ通させていただきたい。その上で、このように法律が通っているわけだからということで、政府全体としてもより積極的に議論を進めることができるのではないかというふうに思っているわけでございます。

鉢呂委員 そういうことだけでは、やはり役所の論理に巻かれちゃう。大臣としての、今、再任されるかどうか、北側さんは再任される可能性もある、またかわる可能性もあるという状況ですから、やはり相当の、小泉さんにも直言しなきゃならぬし、それは、中央防災会議に文科大臣が来ていただけでは、この問題は私はこれで本当は質問を中断するぐらいの形だと思いますが、そういった具体的なものについて大臣の本当の決意がここで披瀝されなかったら、この法律ははっきり言ったら何にもならない、また絵にかいたもち、十年間同じことを繰り返してきたんですから。我が党のあの法案に賛成する、平成十四年に出した、そのぐらいのことがなかったらだめなんですよ。

 私は、きょう、文科省に一つだけ答弁してもらうのは恥ずかしいぐらいなんですが、私が小樽で言われたことは、地震の診断をするだけの費用、これが、診断したが最後、二年以内にこれを改修しなければ、改修したときにその診断費についての補助も出る、ですから二年が限度だと。これを、そんなことでは、学校の全体的な耐震の診断、二年後でなくてもっと、五年後になるかもわからない、実際の改修事業は。ですから、その補助でさえこういった狭苦しい中でやっている、これをぜひ改善してほしいというふうに申し上げたところ、文科省は何だかわからぬようなことを言って、国と地方の役割分担からも大変厳しいというのが私に対する事前のお話でありましたが、そんなことで戸惑っているなら、この法律をつくっても全然うまくいかない。

 ちょっと文科省だけ答弁していただけますか。もっと前向きなことを言わなかったら、ちょっとこれ、同じことを言うならだめですよ。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断経費についてのお尋ねでございますが、御指摘ありましたように、現在は事業実施年度の前々年度までということで、まさしく事前に御説明させていただいたとおりでございます。そのほかに、地震防災対策特別措置法、これに基づく地震防災緊急事業五カ年計画、これについては、これに掲上されている事業に関しては、その事業のために計画年度内に行った耐震診断経費、これはすべて補助対象になる、こういうふうにはしているところでございます。

 先ほどのお尋ねにありましたような拡大という話でございますけれども、メモで先般お示ししましたように、今二年ということですが、それ以上さかのぼるというのは、いわゆる施設整備に付随する経費という趣旨からいいますと、それに補助するという趣旨からいいますと、なかなか大変難しいなということでございます。しかしながら、耐震化促進というのは、まさしく御指摘のとおり非常に大事な仕事でございまして、その診断は極めて重要と認識しております。

 そのために、文部科学省では、平成十五年に有識者会議を起こしまして、その中で耐震化の優先度調査という、これを安価で簡易に行うことができる調査、こういったものを開発しておりまして、この仕組みをぜひ活用していただいて、耐震診断の取り組みが一層円滑に進むようにということをお願いしているところでございます。

鉢呂委員 改修を指示したり命令を下す、命令を下すというのは今回新しく出たわけですが、この問題も質問したいんですが、あと十分しかなくなりました。

 問題は、これまでの法律で指示はできたわけですが、この十年間でたったの二千件しか指示するという行為を行いませんでした。非常に少ないんですね。問題は、そういう立入検査をしたりその現状をきちんと見るというところの執行機関の問題なんです、大臣。

 先ほども言ったように、都道府県の、あるいは大きな市あたりは、ちょっと飛んでいます、大分飛んでいます。それを見なくても大丈夫です、わかります。二千件ぐらいしか指示していない。今度、立入検査をして命令を下すということになりますと、さらに執行する人がいるのかいないのか、ここが問題なんですね。提言でも、消防署と連携をするとか、いろいろ書いてあります。

 しかし、きちっと、大臣、本当にこれは三十年以内に、例えば宮城県沖地震は九九%、震度七程度のものが起きる、南関東直下も七〇%、東海も八六%、南海も五〇%は三十年以内に震度七ぐらいのことが起きる。これをやらなかったら、また行政の不作為で、犯罪として問われるようなことになっておるわけです。

 先ほどの、前に戻りますが、大臣、南海というのは四国の太平洋側のことをいうんですが、あちらの、高知県とか何とかも学校の耐震化率は三〇%台ですよ、神奈川とかそういうところは七〇%台にいっているところもありますが。必ず大地震が起きるというところもそういった状態なんです。だから、本当に十年以内にきちっと整備することが肝要になっておるんです。

 その上に立って、そういう民間も含めて、立入検査をし指示をして命令を下す、その執行体制についても、余りこの法律はきちっとしていない。これについてどうですか。

北側国務大臣 建築行政にかかわる所管行政庁の職員数というのは、全国で八千名いらっしゃいます。

 現場の建築行政にかかわる方々につきまして、その仕事につきまして平成十二年に法改正をいたしまして、建築基準法に基づく建築確認とか完了検査等の業務を民間機関に開放しておりまして、現時点では全建築確認の件数の五六%を民間機関が行っているというふうになっております。所管行政庁におきましては、従来、このような専門家の方々、建築確認等の業務を行っていた方々について、防災対策の方にシフトをしていただいて、こうした業務を重点的に実施する体制が整ってきているというふうに認識をしているところでございます。

鉢呂委員 そこでまた、時間がなくなりましたから最後のところへ行きますが、耐震改修支援センターというものをこの法律は設置できるという形になっております。

 耐震改修にかかわる情報提供というようなことであれば既にやっておるわけでありますが、問題は、その改修にかかる費用の貸し付けについての債務保証をこの機関が行うというふうに考え、具体的には、財団法人の建築防災協会がこれを担ったり、都道府県の建築支援センターのようなところが担う。しかし、どう見ても、債務保証、私はいろいろ事務当局に聞きました、どのぐらいの債務保証、金額を考えているのか、そのためにどういった体制になるのか。役員は今、この協会は八名か九名であります。天下りの方が専務理事に入っております。やはり焼け太りの感、これを禁じ得ないですね。

 きょうは金融庁から来ていらっしゃるかと思いますが、来ていますか。債務保証を一協会に担わす。もちろん、全体を見ましたら十一協会ぐらい、この種の債務保証を担っておるところはありますが、改修というようなことで実際には何千億になっていく。十年でやるということになりますと、借り入れなんかもう莫大に多い借り入れになるわけでありますが、こういったものは専門の信用保証機関が都道府県にもあるわけですから、こういったものに担わすのが本当ではないですか。

 あるいは、国土交通省からこの問題について、金融庁はしっかりと協議をしたんでしょうか。私の聞いている範囲では、ほとんど協議はなかったというふうに担当者からは聞いておりますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

中江政府参考人 お答えをいたします。

 まず先生の御質問の中で、今回の法案について金融庁として協議を受けているかということにつきましては、法令協議という形で協議を受けているところでございます。(鉢呂委員「法令協議」と呼ぶ)はい。

 それから、最初の御質問の、債務保証の問題ですけれども、先生御指摘の点は、耐震改修を促進するという目的のために民間の融資を誘導するというような政策的な措置が必要かどうかという、まさに政策判断の問題というふうに考えておりますので、金融庁として何かこれについてコメントする立場にはないというふうに考えております。

鉢呂委員 大臣、事務当局からのお話では、なぜ単独で債務保証を国交省のもとでつくるんだということに対して、耐震改修というのは収益増加にならないのでその費用について債務保証されない場合があり得る、そういうわけで特化して行う機関が必要だというような、非常にあいまいな形なんですね。

 今現在、そういった金融的なものを扱う協会にはなっておりません。いろいろな情報をサービスするという形になっておるんです。ですから年間約六億程度の収支でありますし、資本関係、財産関係は約三億円というような形になっておるんです。

 これを本格的にこのところでやるとなると、かなり国からの支援も必要になってくるという形で、私は、今のこの報告からいけば国交省単独でこれをつくるようなものでは全くない。本当に、改修というのは収益増加につながらないから一般的な信用保証協会がこれをけ飛ばす、そういうことには全くならない。むしろいろいろな、これは大がかりにやってくるとなると、当然、一般の信用保証機関もこれは各県にあるわけですから、金融機関とタイアップしてこの協会につなぐという形が私は出てくると思うんですね。

 大臣は自信を持って提案したんですか、これは。

北側国務大臣 一般の信用保証協会というのは、さまざまな、本当にさまざまな融資について保証をされておられます。必ずしもこの耐震改修について専門的な知識がおありになるわけじゃございません。審査等もなかなか大変じゃないでしょうか。

 それから、今委員もおっしゃっていただきましたが、耐震改修工事をされた後というのは、おっしゃっているとおり、商業上の施設でいいますと床面積がふえるわけじゃないわけですね。床面積がふえて、そしてそこで新たな何か仕事、商売ができる、そして収益が上がる、それを前提にして債務保証をしていただくというふうにはなかなかならないという特性もあるわけでございまして、今回は、建築物の耐震改修というものに特化して、あくまでこれに特化して債務保証を行う機関があった方がいいというふうに私どもは判断したわけでございます。

鉢呂委員 信用保証協会、さまざまな案件がある。それはもちろん、さまざまな案件の一つとしてこういった耐震改修が入るべきであるし、また、益を生み出せない、収益を生み出せないといっても公表までするわけですから。あのデパートは耐震改修をした、安全だ、こうなって人が入るわけであります。

 財務省、そういうことですか。収益を生み出さないところは保証しないんですか、債務保証はしないんですか。お答え願います。

中江政府参考人 先生御指摘のようなケースについて、今、民間金融機関がどのようなファイナンスをしているかということについて十分承知をしているわけではございませんが、信用保証協会につきましては、これは直接金融庁が所管しているものではございませんが、一般に、民間金融機関なりあるいは信用保証協会でもそうだと思いますが、融資あるいは債務保証をするに当たっては、いわゆる借入人の返済能力などを勘案しながら、個別のケースごとに、いわゆる経営判断として保証なりあるいは融資を行っているというふうに考えております。

鉢呂委員 信用保証ですから、大臣、きちっとした自己資本の裏づけがまずなければならないんです。そのためには、今ほとんど、先ほど言ったように何の財産も持っていないんです。どの程度やるんだと言ったら全然答えられない、当面は数十件ぐらい、そういう話でありました。

 そういったきちんとした信用性、信用保証協会がまさに信用あらなければならないわけで、それじゃ、これに対して補助するということは、当然、国として支援する、後ろ盾をするということは考えられておるんですね。

北側国務大臣 十八年度の概算要求においては、この補助について要求しているところではございません。

 この耐震改修支援センターとして指定される機関というのは、これは一つでは決してないわけでございまして、できるだけ多い方が望ましいと考えておるところでございます。要件に合致する法人であるならば、できるだけ多く指定をしたいというふうに考えているところでございます。

 その上で、各地域の中でそういう耐震改修に特化して債務保証していくような機関について認定がなされたところについては、各地域地域で、場合によっては地方公共団体が独自の判断でそうしたセンターに対して補助を行うことはあり得ると考えております。

鉢呂委員 時間が終わりましたが、非常にこれはあいまいで、きちっとした、役所としても将来方向も見据えた機関になっておらない。非常にあいまいです。

 私は、何かここに一番のねらい、都市再生機構あるいは地方住宅供給公社、これが改修事業を、改修工事をやれるようにもなっておるんですが、何かそういった外郭団体といいますか、そういったところの焼け太りにしかならないような、悪く言えばですよ、この法律は、非常に問題がある。

 むしろ、本当に改修をする、十年で九割を消化するためにどういった具体的な方向を目指すのか、これはもう大変な、ぎりぎりの、小泉内閣全体でやっていかなければならないぐらいのところにあるのでありまして、そういうところについてやはり北側大臣としての指導性を発揮していただきたいな、こういうふうに思っておりますので、きょうは苦言を呈したかと思いますが、決して北側大臣がという形ではなくて、期待をしているわけで、必ず再任をされて、小泉純一郎さんにどんどん物を言って、公明党の幹部としても地力を発揮していただけるように期待をしておりますので。

 質問を終わらせていただきます。

林委員長 小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 耐震改修促進法一部改正に対する質問をさせていただきます。

 この法律、もとのこの法律ですけれども、ちょうど十年前、阪神・淡路大震災を契機につくられたということで、私もこの年の四月に埼玉県会議員となりまして、一番最初に視察に行った先がやはり神戸に行かせていただいて、まだ震災のつめ跡の残るマンションや、いろいろな建物にひびが入り、倒壊をし、本当に多くの皆様が苦労されているところ、そして行政の、市役所の方や多くの方たちが本当に大変な中で、そしてボランティアという新しい力というものが芽吹いている、そういったさなか、政治の大切さや、そして何よりも耐震対策というものが人命、財産にかかわることであり、大変重要なことであると認識させていただいていた、そういった時期でもございます。

 万全の震災対策を整備することが政治の責任だと痛感いたしますし、また、災害に強いまちづくりということが人命を守る、そして人々の生活や、そして経済をも守っていく、そういった礎になるんだということも痛感しております。したがって、この法案は実効性を持つ内容にしていかなければなりません。法案がよくても結局運用が間違っていれば、むだにはなりますし、そして目的は達成されません。そういった視点から質問をさせていただきます。

 まず、大臣に基本的なことを伺っていきたいと思っております。

 阪神・淡路大震災の直後に現行の耐震改修促進法が制定されたわけですけれども、その後政府が実行してきました耐震改修事業を検証することが重要だと考えております。

 国土交通省の資料によりますと、全住宅、四千七百万戸という大きな数がありますけれども、国庫補助による耐震診断、耐震改修実績はそれぞれ百戸に満たない現状であります。平成十三年から十六年までの改修実績は、戸建てで十四戸、共同住宅四十戸、特定建築物で六十一棟という数字にとどまっております。

 この数字は一市町村の実績ではなくて全国の実績であるということでありますが、なぜこのような少ない数字に終わってしまっているのか。法律はできても実行されなければやはり目的は達成されません。この点に関しまして大臣の所感をお伺いいたします。

北側国務大臣 この耐震改修補助については平成十四年度に創設をされました。

 一つは、補助事業の要件が厳し過ぎるということがまず第一に挙げられると思います。これをもっと使いやすいようなものにしていかないといけないというふうに思っております。二点目には、この改修費用の負担が、補助制度が一部あるといっても負担が重いということがやはり挙げられるだろう。さらには、これは一番根本的な問題、今も鉢呂委員の方からも冒頭御指摘があったのですが、一番大事なことは、やはり国民の皆様の意識啓発といいますか、そういうものがまだ十分になされていない。これは私どももしっかりこれから、問題意識を国民の皆様に持っていただくように、啓発、また、さまざまな相談窓口というものを身近なところにできるように、しっかり取り組みをさせていただく必要があると思っております。

 この平成十七年度におきましては、従来、住宅と建築物、その住宅と建築物の中でさらに耐震診断と耐震改修と、四つに分かれておったのですね。これを一本化いたしまして、住宅・建築物耐震改修事業というものを平成十七年度は創設させていただいたところでございますし、あと、同じくこの十七年度予算で地域住宅交付金制度というものも創設をさせていただきました。地方公共団体からの提案事業の中で、この地域住宅交付金制度を使って耐震改修の補助に使っていけるような仕組みもつくらせていただいたところでございまして、まだまだ不十分とは思いますが、以前に比べると少しは使いやすくなってきたのかなというふうに思っているところでございます。

 来年度予算におきましては、さらに、本当に緊急性があるようなところにこうした補助がしっかり行くような仕組みだとか、また、地域要件等があったものについてそれを撤廃していくだとか、そうした予算要求もされているところでございまして、地方公共団体を通じて、よりもっとこうした耐震改修促進事業や地域住宅交付金等の活用ができるようにぜひさせていただきたいと思っておるところでございます。

小宮山(泰)委員 本当になかなかこの問題は難しいとは思います。そして、今おっしゃったように、予算、そして意識の面において実際には普及されていないというところ、そして実行ができないという問題点、大きな問題点があるんだと思っております。

 そして、今、緊急性があるところに補助また予算要求をされているという大臣の答弁ございましたけれども、この法案の中において、地震で建築物が倒壊し緊急輸送道路をふさがないように未然に防止するのが法案の趣旨の一つであると、私、理解しております。来年度予算でも、この点、百六十億円の補助金を国交省は要求しておりますけれども、全国でこの緊急輸送道路、総延長が九万千五百八キロメートルございますし、避難路に関しては不明であるということでございますが、それでは、どこからこの数字が出てくるのか、その根拠をぜひお聞かせください。

 そして、大臣は先ほど、来年度に向かって予算要求されている、そして緊急性をかんがみ行っていかれるということで、重要なことだと思いますけれども、今後、こういった九万キロという膨大な延長距離の中において考えてみれば、この額で果たして足りるのかな、これでどのぐらいのことができるんだろうという、非常に、何年計画なのか、この先にどれだけの展望をお持ちになっていらっしゃるのか、この法律が通ることによってどれだけ人命が守られる、そして交通輸送の道路が守られていくのか。今後の展望につきまして、総合的な対策につきまして、大臣の御所見をお伺いいたします。

北側国務大臣 今委員のおっしゃいましたように、緊急輸送道路は全国で約九万キロが指定をされているところでございます。

 補助の対象は、建築物が集積をしております市街地内の路線で、特に緊急に沿道建築物の耐震化を図るべきものとして耐震改修促進計画に位置づけられたものとしているところでございます。現時点の推計では、この緊急輸送道路のうち、おおむね数千キロの路線の沿道建築物、棟数でいいますと数千棟程度が補助の対象となると見込んでいるところでございます。

 今回、国費で百六十億円の補助金を要求しているところでございますが、制度創設年度であるということも考慮しまして、そのうち百三十億円を計上して、約百五十棟の建築物を初年度で対象としてまいりたいと考えているところでございます。

 おおむね十年間で対象となる緊急輸送道路の沿道建築物の計画的な耐震化を図れるように、予算をしっかり今後とも確保させていただきたいと思っております。

小宮山(泰)委員 百五十棟ですか。

 数千戸とおっしゃいましたけれども、大臣、千戸か九千戸かで随分違うと思うんですが、その点に関して、大体十年後の進捗率はどのぐらいと想定されていらっしゃるのか、その点をお聞かせください。

山本政府参考人 全体の土俵が、地域防災計画で定められております九千キロの緊急防災道路でございます。その中で、本当に建物が稠密に詰まっていて人口も張りついている、だからどうしても守らなきゃいかぬというようなものを都道府県が優先順位に従って指定してまいりますので、私どもは、都道府県が定めます耐震改修促進計画次第だというふうに思って、あくまでも私どもの目算でございますけれども、この中で数千キロ程度は路線がまず指定されるだろうということで、オーダーとして、何千棟というオーダーの建物については補助対象になるんだろうというふうに今のところ見込んでおります。

 法律が認められました暁には、年明けから施行して、耐震改修促進計画を実際に都道府県が策定してまいりますので、例えば十九年度要求時点では、ある程度具体的なことを御説明できることになると思います。したがって、今お尋ねの将来展望については、その時点でまた御説明することになると思います。

小宮山(泰)委員 結局のところ、都道府県の策定計画によるところが大きい、単純に言えば、国の方でははっきり具体的なことが言えないというふうな理解でいいのかと思います。それで本当にいいのかという疑問は思いますけれども、やはり運用の部分というのが非常に重要になってくると考えます。

 これは制度の中において、今回の法律案の中において、耐震改修支援センターというものを置いていくということが上がってきていますが、指定法人ですよね。この指定法人、多くのところ、大抵は天下り先の法人に、どこを調べても各省庁なっています。今回も、やはり同じように法人の延命とか業務独占につながってはいけないんだと考えておりますし、また、広く情報提供を行うようにするとおっしゃいますけれども、先ほど大臣が答弁の中で言いました、予算の問題はそうですが、意識の問題という、今までも各都道府県がいろいろな努力をされていらっしゃいます。そして、この法人も広報活動もされていらっしゃるようですが、実際にはなかなか進んでいないから、意識も上がっていない、実績が上がっていないというのも現実なんだと思います。

 これからこの耐震改修支援センターを置くに当たって、広く情報提供を行い、また、公募で多くの、公正な手続のもとで決定されるべきだと考えておりますし、また、法案十七条一号から五号に定める要件を満たせばすべての団体が指定されると理解をしたいと思っています。どの程度の数の指定を予定されているのか、それとも、国交省が予定している財団だけ指定されることになりかねないのか、要件に合致しても指定しないことはあり得るのか、ぜひお聞かせください。

 しかし、この法案十七条の中なんですけれども、これでどれだけの人が私はこの要件に合っていると手を挙げられるんだろうかと思うような、時間がないんですけれども読み上げさせていただきますと、耐震改修支援センターに指定することができる要件というものに関しては、「一 職員、支援業務の実施の方法その他の事項についての支援業務の実施に関する計画が、支援業務の適確な実施のために適切なものであること。」「前号の支援業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。」「役員又は職員の構成が、支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。」「支援業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって支援業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。」「前各号に定めるもののほか、支援業務を公正かつ適確に行うことができるものであること。」

 これを見て、自分のどこに資格があるのかとわかる法人はどれだけあるんでしょうか。まだ要件の方とか、このほかがあるのであれば、何かすごく抽象的でありますので、具体的に今後どういった内容を示していかれるのかも答弁いただきたいと思います。

 さらに、耐震改修支援センターを設置するのではなくて、各県が対応をする形というものもいいのではないか。

 実際、埼玉県においても、いろいろな情報、またこういう耐震に対しての活動、そして部署も置いてありますし、また、大臣のおひざ元であります、阪神・淡路大震災を経験されていらっしゃいます大阪府においての「建築物等の防災・防犯対策」という、ホームページの方からとった資料でありますけれども、これを見ても、耐震改修促進法についてもきちんと掲げられていますし、この中において、やはり耐震診断の補助制度や低利融資制度とか、いろいろな意味で本当にきちんと情報提供されていらっしゃいます。各市町村等でももちろん、こういった診断を受けたり耐震補強工事をするということに、地方自治体、本当にそれぞれがいろいろな努力をされていらっしゃる。

 こうやって考えると、わざわざこのセンターを必ずしも置かなくてもいいのではないかと思わざるを得ません。ぜひその点に関しまして、天下り先の団体をつくるのではなく、また、そこのために仕事をふやすのではない、そういったものであるということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

山本政府参考人 耐震改修支援センターでございますが、建築物の耐震診断、改修の促進を支援することを目的といたしておりまして、民法第三十四条の規定により設立された法人あるいは営利を目的としない法人であって、支援業務を適確に実施する経理的、技術的基礎を有している、それから、支援業務の公正な実施が可能であるというものを国土交通大臣が指定するものでございまして、要件に適合する法人から申請があれば指定をする、できるだけ多くの法人を指定してこの仕事に携わっていただくということを考えて制度を立案しております。

 それから、先ほど読み上げていただきました第十七条各号に定める指定基準でございますが、具体的な中身としましては、例えば、支援業務につきまして、当該法人がやっておりますほかの仕事と独立した部署で行うこととされておりますので、その支援業務を行うのに最小限必要な職員が確保されているかどうか。それから、事業と予算規模のバランスがきちんと適切であって、特に債務保証の業務の事業予算の一定割合以上の基本財産、いざというときの担保になる基本財産を有しているかどうか。それから、役職員の構成について、例えば、耐震改修の仕事に関係のある建設業などの制限業種に従事する者の割合が一定割合以下であるかどうかといったようなことを要件を定めます。

 これは、法律の施行にあわせて具体的に定めまして、例えば都道府県などの公共団体への通知、あるいはホームページ、広報等を通じて広く周知する考えでございます。

 それから、もう一つお尋ねがありましたのは、わざわざ民間の公益法人あるいは営利を目的としない法人を指定するというようなことをしないで、一生懸命この仕事に取り組んでおられる都道府県が対応する形に制度を仕組むのがベターではないかという御質問でございました。

 この支援センターの行います情報提供の業務、それから債務保証の業務、もちろん都道府県みずからが行うことは可能でございます。可能ではございますけれども、膨大なニーズがある中で、耐震診断それから耐震技術等を踏まえてこの仕事をやっていくという情報の専門性を考えますと、いろいろな専門知識を持った建築士などと連携を図ってやることが非常に大事でございますので、各都道府県と協力しながら、きめ細かな情報提供を継続的かつ専門的に行える民間の法人を設置してこれを担っていただくというのが不可欠なことだと考えた次第でございます。

小宮山(泰)委員 時間もなくなってまいりましたので、最後になってきましたけれども、今局長からありましたけれども、国交省が指定を見込んでいらっしゃる財団法人日本建築防災協会の役員名簿を見ますと、元住宅局建築指導課長が専務理事、そのほか、元建設省や国交省関係の理事が複数いらっしゃいます。また、この役員報酬規程を見ても、国家公務員の一般職の給与に関する法律を準用していて、専務理事への、指定職俸給表五号というんですか、月に大体八十四万ぐらい出ていますし、やはり何となく給与面においても国に合わせているというような財団であります。

 そしてまた、この協会においても当然補助金が出ています。約二千万ぐらい今出ているんですか。人件費とか原稿料とか、そういった印刷代、いろいろなものに使われているような、予算書、決算書、収支決算書を見ますと出ております。

 そして何よりも、年金のときにいろいろ問題になりました、社会保険庁そして厚生労働省、監修料の問題がございましたが、ここも同様かもしれません。書籍案内のところを見るとはっきり出るんですけれども、ここもやはり住宅局建築指導課の監修とか、国土交通省になってからも住宅局とか、推薦とか編集とか、また国交省の監修というような書籍の販売までされていらっしゃいます。

 やはりこういった癒着のような構造や、明らかに住宅局の天下り先なのではないかというところに指定を見込んでいるということでいいんでしょうか。大臣、最後になりますけれども、天下り先、こういったところにセンターをつくって、仕事をして、運用が間違って、結局、法律の目的が正しく理解されない、運用されないということにならないか、ぜひその点に関してしっかりと御答弁をいただきまして、最後の質問にいたしたいと思います。

北側国務大臣 今回この法律を通していただきましたならば、耐震改修支援センターについて要件が整ったものについて指定をしていくということになるわけでございますが、いずれにしましても、この指定に伴いまして、この支援センターで新たに必要となる業務を行うために、国土交通省からの、今御指摘のございました天下り、いわゆる天下りということは全く考えておりません。

小宮山(泰)委員 ぜひ、支援センター、やはりこの運用というものにおいて監督をきちんとされることを希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。遅い時間になりましたけれども、民主党の最後のバッターとして御質問させていただきたいと思います。

 まずは、先日のパキスタンの北東部地震で多くの犠牲者が出られました。そのことについて心から御冥福をお祈りしたいというふうに思います。

 また、我が国の方で、今まで相当出ておりますが、いろいろな地区で震災、地震があった。また、想定される東海地震及び東南海・南海地震も、いろいろな意味で非常に重く私どもの心配の中に影を潜めております。そんな中での耐震改修促進法について、御質問させていただきたいと思います。

 先ほど鉢呂先生の方から質問がありましたけれども、改修促進法というのは平成七年に制定されて、ことしの六月までの実績を見てみますと、特定建築物の耐震改修実績というのは九千八百十四棟ということです。特定建築物の耐震状況は、総数三十六万棟ある、このうちの二五%がまず九万棟です、この部分が不十分とされているということであります。つまり、耐震性が不十分な特定建築物が九万棟あるのに、十年間で一万棟弱の改修をやってきた実績が残っている、これがある。この反省を踏まえてのこの法案の御提出ではないかなというふうに思います。これは大変いいことだと私は思います。

 その反省の法案では、今度の法案では、指示ができる建築物の対象が拡大されたり、また、指示に従わない場合は公表することが規定されている。しかし、私は思いますけれども、これだけやってきた中で、一番やはりペナルティーが公表しようということだと思いますね、今度の法案の目安としては。ただ、私としては、公表だけでは、公表しても改修を行わなかった場合、一体どうなんだという部分の詰めがちょっと甘いんじゃないかなというふうに思います。

 例えば、指示を受けた者はある期間を設けて改修を行わなければならないとか、一定期間が過ぎても改修を行わない場合は、御省等の所管庁が強制的に改修を行い、その負担を建築物の所有者に義務づけるとか、指示に対して実効性を持ってやっていかないと、今まで見たとおりで非常にペナルティーが甘いので、今回の法案をつくり、そして公表しますということになったと思うんですが、この辺を今後盛り込んでいって、少しでも改修の実績を上げていこうというおつもりがあるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったように、平成七年に制定された法律の改正法案でございます。もともとの法案で不十分であるというふうなところについて見直しをさせていただいたというのも、そのとおりでございます。

 特に、今委員からお話なかったんですけれども、やはり防災といいますか、地震対策が一番特にそうでございますけれども、地方公共団体がやはり一番関心があり、そしてよく知っていらっしゃる、その地方公共団体にしっかり耐震改修促進の計画を目標も含めてきちんとつくっていただこうというところが、一つ大きなポイントであると私は思っております。これまでこれがなかったんですね。地方自治体自身にそうした計画をつくっていただこうということでございます。

 今委員のおっしゃったのは、もっとより強制力のあるものにしていくべきではないのかという御趣旨でございます。今回、さまざま手続をさらに強化しまして、最終的には、耐震性が不十分なものについては公表もする。そして、そうした指示や公表を行っても耐震改修を行わないという場合にどうするんだという御質問でございますが、建築基準法上の十条に、これは十条一項、二項でございますが、昨年の平成十六年の六月に公布をされて、ことしの六月から施行をされているわけでございますが、特定建築物についてそうした改修命令ができる規定がございます。

 要件がもちろんあるわけでございますけれども、倒壊の危険性が非常に高い特定建築物につきましては、この建築基準法上の第十条一項さらに二項を適用しまして、改修命令権も措置をされているところでございまして、この改修命令に従わない場合には罰則規定もついているところでございまして、この十条一項並びに二項につきまして、これから最終的にはこれの適用ということもしていかねばならないというふうに考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 私はいつも思いますけれども、内閣提出の法案というのは大変いいと思うんですが、やはり生ものでございます、それを生かしていくというのは、磨きをかけていくというのはその後のフォローだというふうに思いますので、ぜひ厳しく追及して措置をとっていただくようにお願い申し上げたいと思います。

 そして、今度は一般の方の住居についてなんですが、これは例えば一般の住宅の耐震改修についても、私は、今この不景気で所得が落ちたとか、それからリストラ食らったとか、子供の就職がようわからぬとか、そんなときに、じゃ、どうやってメリットを一般の方に見出していただくかということで、御省から出されているのが税制面のメリット面。これはまだこれから申請する段階だと思うんですよ。

 そこで、国交省、御省さんから出されている提案では、住宅の耐震改修に要した費用の一〇%程度を所得税、住民税からそれぞれ控除するという案でございますが、これは非常にいい案なので、引き続きこれから財務省含めて御検討いただいて、前向きに継続性を持ってやっていっていただきたいというふうに思います。

 そこで、私が思うのは、例えば今はやりのリフォームというのがあると思うんですね。お金がない人が家の外回りをちょっときれいにしたり、バリアフリーにして階段とかを坂にしたり、いつかは我々も年をとりますから、そういう意味では、そういうリフォームを含めた部分がある、一方で。そしてもう一方では、改修部分という名前の耐震改修という作業が残っている。

 私は、ちょっと細かいとは思うんですが、例えば、改修をした費用の選定、認定というのは、リフォームをやった部分と一体どうやって分けて認定していくんだ、ちょっと細かくなると思うんですけれども。例えば、八割リフォームやって二割改修した、でも出すのは、業者とうまくやっちゃって、いや、これも耐震だ耐震だということによって、二割をリフォームして八割を、あえて言えば改修にするという人も中には出てくるんじゃないかと思います。これは、一般の住宅含めて、事務所含めてだと思うんですが。

 その辺のチェック機能がないと、ただやたらにどんどんどんどん金が流れていくということになると思うんですが、その辺はどういうふうな、そういうチェック機能を持った、改修部分についてのチェック機能を持った御判断を対策として講じておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

山本政府参考人 ちょっと答弁する前に、先ほど小宮山泰子委員の御質問の中で、緊急輸送道路の賦存量を私は九千キロと言ってしまったようでして、先生の御質問、それから大臣の答弁でもありましたように、正しくは九万キロでございますので、おわびして訂正させていただきます。

 それから、今の、新しくお願いしております耐震改修促進税制において、厳密に耐震改修のために行われた工事に要した経費をどのように区分してこの制度を運用するかという御質問でございます。

 これは税制の公平性を確保する観点からも、昨年来この税制をお願いしておりますけれども、税務当局も非常に関心を持っておりまして、実務的なやりとりを続けているところでございますが、どういうふうな工事が耐震改修のために必要かということがまず入り口になります。

 耐震診断をした上で、どういう耐震改修工事をするかという局面で、専門家の助けが必要になります。具体的には、建築士に改修計画を設計していただくということになります。ですから、その過程で、きちんと耐震改修の成果が上がっているか、新耐震基準に合っているかどうかということを証明していただくということと、そのために必要になった工事の額は幾らかということを専門家に証明していただく。それは建築士なのか、どういうものなのかということはこれからまだ詰める必要があるんですが、そういう形で、委員御指摘の問題意識には的確にこたえていく必要があるということでやりとりをしているところでございます。

下条委員 まさにそこの部分ですね。今、俗悪な建築物がただでさえあります。一方で、ただでさえ、どうでしょうか、景気が悪いで、今度リフォームでいろいろありましたね。いろいろなリフォームをやると言って倍々になっちゃったりとか、認知症の方々がわからぬで、どんどんどんどんやって。

 そういう中で、非常に、今おっしゃった建築士の部分ですよね、証明させる方をきちっとチェックで入れていかないと、これはさっき私どもの小宮山議員が聞きましたけれども、幾つかのところが、申請があったところでセンターとして認知される。でも、その認知の度合いの数だけであればいいです。私、ちょっともう一度後で聞こうと思っていたんですが、物すごいたくさん来たうちに、いやいや、もう申請の中で任せてしまうぞということになれば、極端な話、建築士じゃなくて建築屋と握りさえすれば、八、二が二、八に逆転して、リフォームを中央の金でやってしまえという人も出てこないとも限らない。税金の垂れ流しになると私は思いますので、ぜひ、今おっしゃったとおりで、建築士をきちっと入れていただくシステムを早い段階から構築していただきたいというふうにお願い申し上げたいというふうに思います。

 次は、私はこれは非常に、きょうは山古志の元村長もおいでになっていますが、私としましても……(発言する者あり)議員もおいでになっている。失礼しました、元でございますので。私も実を言うと海外でロサンゼルスの地震をこうむった人間でございまして、その中で、今回の改正案の中で私は最も力を入れて言いたいことがあります。

 それは、今度の法案で、非常にいい法案だと思うんですが、改正案で、火薬等、石油等の危険物の貯蔵場または処分場の用途に供する建築物が追加された、これは物すごいいいことなんですよ。なぜかというと、一たびそういう建築物の中にあるものが、何かあって一発でいっちゃったら、近郊のところに多大な損害が広がっていくわけです。ですから、そういう意味では非常にこれはいいことであると私は思います。

 ただ、この建築物の耐震改修は所有者の努力義務となっているんですね、努力義務。私は本当にこれは努力義務でいいんかいなというふうに思うんですよ。

 私の今までの経験からすれば、ロサンゼルス地震はマグニチュード七とか八ですよ。私が一番心配したのは、今回の法案では、確かに、倒壊するものが道路をふさいじゃったらいけないよ、道路をふさがないようにする、これもいいと思います。でも、きょうおいでになっている山古志の元村長、今議員でいらっしゃいますが、つまり震災の直後というのは、道路どころじゃないですよね。どっちかといえば早く救命物資が欲しい。それは僕に言わせれば、私もそうでしたが、最初の段階では、どっちかというと車で用意してあって運んでくるような段階じゃなくて、ヘリコプターで食料品だ、医薬品だと私は思います。

 そういう意味では、道路の方は私は確かにこの案としてはいいと思うんですが、もうちょっと深く言っていきますと、どうしてもやはり被害を大きく出す、発生する可能性がある今申し上げた火薬とか化学製品工場については、本当に努力義務だけでいいんかいなと。

 例えば、大臣とか、それから政府委員の皆さんの家のすぐそばに、五十メーターか百メーターか知りません、工場があったり、それから化学薬品をつくっていたり、そういう火薬場があったりするときに、いやいや、努力目標でいいぞ、それで、これは公表するぞ、これで終わっちゃっていいのかと私は思います。御自身に置きかえるとわかるんじゃないか。

 そこで私は、まあ自信があっても、もうちょっと厳しくするようにやったらどうかという提案をしたいと思います。例えば、火薬、石油等を扱う建築物については、公表だけじゃなくて、例えば半径何百メートル以内については特に公表だけではなくて、住居が近ければ多大な損害や被害をこうむる可能性がある場合は、罰金とか、強制力を課して罰則規定をさらにブラッシュアップしていったらどうだというふうに私は思います。

 これは、もう被害をこうむった人間しかわからない怖さであります。一番怖いのは、何といっても火事ですよ。どこかから火事が来るんじゃないか、壊れた中で保っているけれども、だれか助けに来るかもしれないけれども、火事になるんじゃないかと。それが、近くに火薬工場とか化学薬品とか、何かいろいろありますね、危険物の。それについては努力義務だけで本当にいいんですかと私は思います。その辺、いかがですか。

山本政府参考人 御質問の中にもありましたように、これは、特定建築物に追加をしまして、従来は不特定多数の方が御利用になる特定建築物についてだけ適用されておりました指示、及び指示に従わない場合は公表という類型に追加するということでございます。しかる上で、なお指示に従わないこういう危険な建築物について、基準法の十条に基づく改善命令をやりますと、これには罰則がついておりますので、そういった改善命令などの措置を通じて前に進めていきたいというふうに考えているわけでございます。

下条委員 恐らくそういう回答が返ってくると私は思いました。

 ただ、これは、先ほど言った、単純な、道路をふさぐものについてきちっとやらなかったらそれについて公表するぞ、もしくは、ことしの六月から出ている改善命令のレベルじゃないと私は思うんですよ。自分に置きかえてみればですね。

 ですから、きょうこの場でどうだというふうには申し上げませんが、ぜひ大臣、これは非常に大きな問題だと思いますよ。建築物の中に石油とか化学薬品とか火薬の工場がある。それは事前に何百メートルそばに住んでいる住居民の方に知らされているけれども、果たしてそこの建築物の基準が罰則規定並みでいいのか、公表並みでいいのか。これはやはり主管庁が旗振りをして、きちっとチェックをして、それについては自分に置きかえて、自分の子供が住んでいるかもしれないんです、そこに。そうですよね。可能性はある。

 そういう意味では、そこで大臣のお口から、確固たる方針で、この部分についてはきちっと後押ししていくという言をいただければなというふうに思いますが、いかがでございますか。

北側国務大臣 建築基準法でいいますと、昭和五十六年に耐震基準というものが強化をされまして、それ以降、この基準法に基づいて建築された建物というのは、これは耐震基準を満たされていると考えていいと思うんですが、問題はそれ以前に建築されたものでございます。

 今おっしゃっておられるような危険なものを貯蔵し、処理しているような建物についても、その建築された当時においては建築基準法に従って適正に、適法に建築をされたもの。しかし、今この地震対策、耐震性の強化が重要であるというふうなことが言われているときに、その当時は適法なものであっても今となっては危ないではないか、そこは耐震改修をきちんとやるように義務づけ等を検討すべきではないか、そういう御趣旨の質問ではないかというふうに理解をします。

 これは、一般論で言いますと、要するに、さかのぼって法律を適用させるという問題にもかかわってくる問題なんですね。ただ、今委員がおっしゃったように、このすべての遡及適用を認めていこうというのではなくて、このような危険物、または周囲にお住まいの方々に、万一地震等があった、仮にそこで火災だとか倒壊等があった場合に大変な人命等にも大きな影響を与えてしまう、そういうふうな建物については、そういう遡及適用についても場合によっては検討すべきではないか、そういう議論として受けとめさせていただきますと、その問題意識としては、私も委員の御指摘については、これは重要な御指摘であるというふうに思います。

 今後の検討課題としてぜひ検討させていただければというふうに思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 おつき合いが一年以上になりますので、ぜひ次の内閣にも入っていただいて、温かいお答えをいただいたと同時に、実直にまた進めていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたが、次に移らさせていただきたいと思います。

 次は、耐震改修支援センターについて、ちょっと御質問させていただきたいと思います。

 これは、先ほど私どもの小宮山委員の方からも御指摘をしてありますけれども、十七条に一号から五号までの間でいろいろな、先ほども局長の方からも御説明いただきました。

 ただ、私は一番怖いのは、要するに、国が保証してやるんだから、どうせ審査が甘くても、何ぼでも貸せば後で保証が入ってくるよというこの民間の気持ちと、それから、申しわけないけれども、所管庁の手が届かない部分という言い方をしてもいいと思うんですが、そこの部分なんですよ。

 私は何を言いたいかというと、確かにこの間のレクでお聞きすると、既存の組織を使う、既存の人員を使う、それは数はわからぬけれども、幾つぐらいになるかわからぬけれども、センターを既存として指定していく。私はこの指定したセンターの重さというのはすごい重いと思うんですよ。というのは、民間の金融機関でどんどん金を貸す、改修についてどんどん貸していく、その保証をしていくわけですよ、センターは。その審査をするというのは物すごい僕は重い話だと思うんです。ただ、保証料は当然入ってきます。

 そこで、私はここで一つ御提言をしたいのは、民間の金融機関に私も二十年いましたから、政府保証が入れば、ある程度の審査でどんどん貸しちゃえと。貸して倒れたってどうせ入ってくるんだから、金は。これがはっきり言って民間の金融機関の発想ですよ、サラリーマンの。ところが、ほとんどのところは、オーナーじゃなくてサラリーマンでやるわけで。

 そういう意味では、保証するに当たって、まず、その審査するセンターへの指導が僕は必要だと思うんです。先ほど言った、何か細かい、支援業務を何とか、耐震何とかと、いろいろあります。十七条一号から三号は個人の問題だ。あとの部分は業務についての、僕に言わせると余りちょっと細かくよくわからないんです。そういう意味では、この審査をするという、つまり支援センターの位置づけというのは非常に重要になってくると思うんですよ。

 私は、ちょっとお聞きしておきたいのは、これを認可するに当たって、具体的にどういう基準で、どういう審査をできて、そしてどういうふうに権限を与えていくのかというのが十七条だけでは見えないので、ちょっとかぶるかもしれませんが、局長から御回答いただきたいと思います。

山本政府参考人 まず、法律上のセンターとして指定する場合の指定基準は、先ほど条文も読んでいただきましたし、それに基づいてどういう基準を具体的に定めていくかという考え方も説明させていただいたんですが、法律上、センターに指定されますと、その法律効果は、実は、実務的にはこのセンターの保証に係る業務を金融機関が受託できる。金融機関は金融機関のそれぞれの法律で業務が限定的に列挙されておりますけれども、その規制を解除して、このセンターの保証業務についてはその実務を受託していいというところは法律的に一番大きな効果があるわけでございます。

 したがって、実務的には、この支援センターの債務保証の業務を金融機関が受託して、お客様とやりとりをして、実際に、例えば改修計画として効果的な改修計画になっているかどうか、借りた場合の債務はきちんと保証できる材料があるかどうかといったようなことを審査するというか、審査資料を用意してもらいます。しかし、おっしゃるようなモラルハザードが起きちゃいけませんので、最終的に当該お客様にこのセンターが債務保証をするかどうかは、センターの責任で決めていただきます。

 したがって、センターがこの債務保証業務をやる場合の業務方法書等は、当然大臣の認可にかからしめます。そういうことできちんと見ていく。モラルハザードがない、しかし、公益的な仕事だからセンターが債務保証をする。債務保証の事務手続を金融機関は手伝いますので、手伝って、センターの保証が出れば、当該金融機関がファイナンスをする。それによって、計画に従って改修する。そういうふうな流れを考えているわけでございます。

下条委員 実を言うとこれからが聞きたいところなんですが、もう時間が来てしまったのでこれで終わらさせていただきますけれども、要は、簡単に言えば、民間機関というのは、もう保証が入ってしまえばやっちゃうんですよ、どんどんどんどん、売り上げというか、保証の金額を、貸付金額を上げるために。そうすると、スプレッドが入ってくると一カ月でももうかるわけです。どんどんどんどん進めていく中で、一方で、保証は国のバックを持ったセンターが既存でやっていって保証料を入れるけれども、私はその保証料だけでは到底賄い切れないと思うんです。

 ですから、不良債権化したものについての補てんは、結局は、最後は国民の税金をくっつけていくことにならざるを得ないので、特にそのセンターの審査については、当該の書面上だけではなくて、思い切った、面接か、それから、ある意味ではテストぐらいするぐらいな感じで審査基準を設けてやっていかないと、結局、言いにくいですけれども、お役所仕事になっちゃうというふうに懸念しております。

 その辺をぜひ今後の課題として検討していただきたいことをもちまして、時間が参りましたので、質問を終了します。

 ありがとうございました。

林委員長 赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 私は、十年前の阪神・淡路大震災で、激震地、震度七の地域の九階建てのマンションに住んでおりました。震災当日もそこにおりました。発生直後、周辺にそのまま飛び出て、崩れている家とか、関西でいえば文化住宅の二階の窓ガラスを割って、たんすの下敷きになっている方を何人も救出したり、また、家全体が崩壊をしてしまった関係で、何一つ機材のない中で、腕が見えていながら助けることができなかったという、まさに修羅場を経験してきた一人といたしまして、今回、耐震改修の促進法の一部改正案が相当踏み込んだ形で国会に提出されたということは、大変高く評価をする次第でございます。

 今回、この大規模地震対策ということは、今、国土交通省、また内閣府を挙げていろいろなその対策がとられているというふうに思っております。

 その中で、先ほどの質問で、今回この法案がどたばたという形で出てきたというような御指摘もありました。私は、全くそういう指摘は違うのではないかと。かなり切迫感を持った大規模地震に対する対策として、抜本的な対策として、相当、北側国土交通大臣の思い入れも強いことも身近にいる一人としてよく知っておりますし、これは満を持してこの法案は提出されたというふうに思っております。

 この中で、いろいろな大規模地震対策の中で、建築物の耐震化対策というのは、どのような役割を担ってどの程度重要と考えているのかといったことについて、まず大臣の御所見をいただきたいというふうに思っております。

 阪神大震災のときに家が崩壊を随分して、そこで圧迫死をした方が大変多かったというのは残念でありますが、それに加えて、私が現場をうろうろした感覚でいきますと、住宅の問題も大変大きかったのですが、その住宅の下の土壌がどうだったかということは、実はそれより大きなインパクトがあったのではないかという、これは極めて限られた範囲の私の活動の中の実感でありますが、住宅が耐震化されていても、その土壌がもろければ大変被害が大きかったとか、そういったことの評価というか、国土交通省としての認識というのはどういうものか、まずお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 これはもう赤羽委員に私の方から言うのもおかしな話でございますけれども、阪神・淡路大震災のときは、約九割の方が建物の倒壊による圧死でお亡くなりになられているのですね。この地震対策の何といっても一番の対策は、建物、住宅の耐震化を進めていく、これが減災対策の一番のポイントであるということは、中央防災会議でも多くの専門家の方々がいらっしゃっておられますけれども、その方々もそのようにおっしゃっているところでございます。

 今年三月の中央防災会議におきまして、今後十年間で地震による死者数を半減させるということを目標とする地震防災戦略が決定をされましたが、その中でも、建築物の耐震化が最も効果的かつ大切な対策として位置づけられているところでございます。

 この目標の達成に向けまして、耐震改修促進法の改正による法制度の整備をしっかりと今回の改正法案でさせていただきたい。そして、これだけではなくて、予算上の措置、税制上の整備等も含めまして、総合的に耐震改修の促進を進めさせていただきたいと思っておるところでございます。

 今委員がおっしゃいましたように、単に建物の耐震化だけではなくて、昨年の中越地震の際も、そしてことしの福岡県の西方沖地震のときも、これはともに言われておるわけでございますが、敷地の崩壊による建築物への被害というのが多く見られました。建物自体は耐震性は備わっているんだけれども、その敷地が、地盤が崩壊をすることによって建築物への被害、ひいては人命等への被害等も出ていく。これをどう防いでいくのか。これは非常に難しい問題でございまして、今国交省の中でも、都市局の中で専門家の先生方に入っていただいて、この地盤の対策をどうしていくのかという議論はしていただいているんです。ただ、なかなかこれは難しい困難な問題であります。

 今回の改正の中では、この軟弱な地盤に対する対策としまして、耐震改修の定義を見直しさせていただきまして、建築物の耐震改修とあわせて、地盤を強化する等の措置についても、所有者の努力義務や地方公共団体の指示等の対象とするということに今回の制度改正ではさせていただいているところでございます。

 今回の法律の第二条の二項のところに耐震改修の定義をさせていただいておりますが、その中で、増築、改築、修繕等にあわせまして、敷地の整備ということも耐震改修の内容として今回入れさせていただいているところでございます。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 平成七年、阪神大震災が起こった、この十月に今の耐震改修促進法の現行法が制定されたわけでありますが、それに加えていろいろな補助制度等々も設置されたにもかかわらず、先ほどからのやりとりにもありますように、耐震化、耐震診断、耐震改修に対する実績というのははかばかしくなかった。これが、先ほど大臣からの御答弁にもあったとおりでございます。

 補助制度の要件が大変厳しいですとか、補助制度があっても自己負担の負担額が大きいとか、何よりも意識レベルとしてまだまだ耐震化に対する認識が低い、こういったことがそのとおりだなというふうに思うわけであります。

 今回、現行法を改正するということに当たって、法制定から十年間たって、いろいろな認識から、この現行法の問題点、問題点というか改正点のところを言えばそういうことになるんでしょうけれども、どのようなところが問題だったなということを一番御認識されて今回この改正案を提出されたのかということについて、御答弁をいただければと思います。

北側国務大臣 これは、本年六月に住宅・建築物の地震防災推進会議から現行の制度についての提言をいただいておるわけでございますが、その中で幾つか指摘がなされております。

 一つは、地方公共団体が計画的な耐震診断、改修に取り組む仕組みが法律上位置づけられていませんと、これが一つ。それから、住宅について、従来の制度は耐震改修の努力義務の対象になっておらず、危険な住宅について指導等を行うことができない。また、学校など多数の者が利用する耐震性が不十分な建築物に対して改修の指示等を行うことができず、また、指示に従わない場合のペナルティー措置も規定されていないだとか、それから、防災上重要な建築物や不特定かつ多数の者が利用する建築物に対して、耐震診断、改修を強制する制度が規定されていないだとか、このような御指摘をちょうだいいたしまして、これに対応するために、今回の法改正によって種々改正をさせていただきたいということでお願いをしているところでございます。

 その一つ一つの内容については省かせていただきますが、今回の法改正によりまして、住宅も含めました建築物の耐震化について、地方公共団体がリードする形で、地域ぐるみで総合的に耐震化を進めていく制度として、大きく前進が図られていくものというふうに認識をしております。

赤羽委員 今の大臣の御答弁にもありましたように、私も、この法改正によって国が耐震化というものに対する基本方針をつくり、その基本方針にのっとって都道府県がそれぞれ耐震改修促進計画といったものを具体的につくっていく、国または都道府県を挙げて、全国を挙げてそれぞれ耐震改修を進めていこう、こういった枠組みをつくるというのが本当に一番大事な今回の改正案だというふうに、私もそのように認識をするところでございます。

 都道府県の耐震改修促進計画につきましては、この法改正上、国への報告とか提出の義務はございません。国として助言とか指導、勧告等の関与は行わないのか。実態として、国による技術的な、また財政的な支援というのも、よりよいものをつくっていくという意味では不可欠だというふうに考えられると思いますが、こういったことについて今どのようなお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。

山本政府参考人 改正案におきましては、都道府県は、国の基本方針に基づいて耐震改修促進計画を定めるということとされております。

 また、国は、基本方針の中で、都道府県の役割分担、それから実施すべき施策の内容など、都道府県が耐震改修促進計画を策定するに当たりまして踏まえるべき基本的な考え方を示すこととしております。

 都道府県の主体的な取り組みを尊重するということが大事でございますので、国として強い関与をするという考えはありませんけれども、御指摘いただきました、都道府県が適切に促進計画を策定していただけますように、情報提供とか助言は積極的に行う考えでございます。

 それから、計画を策定するための技術的、財政的な支援という観点ですけれども、情報提供とかいろいろな技術的支援を一生懸命行ってまいります。その上で、財政的な支援につきましては、統合補助金化しました住宅・建築物耐震改修等事業で耐震改修促進計画の作成費に補助することができることになっておりますので、これを使って積極的に応援していきたいと考えております。

赤羽委員 まさにこれは、国、都道府県、それと市町村も一体になって、国を挙げて新しい事業を起こしていくんだ、こういった取り組みがまず肝心だと思います。財政的なこととか、いろいろ御指摘あるかもしれませんが、まず、こういった構えをつくって、具体的な数値目標をつくっていくということがあって初めて財政措置、予算措置というものがされていくのではないかというふうに強く期待するところでございます。

 きょうは文部科学省もおいでいただいておるのですが、私たち公明党は平成十四年から、私の記憶では、文科省に対して、学校の耐震化というものをまず調査して、そして具体的に進めるべきだと党を挙げての努力をし、平成十四年の補正予算からたしか五百億円程度の補正予算が計上され、それ以後、毎年一千億余りの耐震化に関する予算が計上されているものというふうに理解をするところでございますが、まだまだ全国では耐震化率は半分足らずというような状況だったというふうに思っておりますし、以前いただいた資料では、昭和五十六年以前の建物のうち、耐震診断の未実施の建物というのは四三・七%という状況なんですね。

 ですから、耐震化の建物も半分以下、それに加えて、その前の耐震診断についても、四割ぐらいがまだ診断すらしていないといった状況、これは恐らく財政的なこととかいろいろな要因があるというふうに思っておるのですが、その辺についての、なぜこれまで進まなかったのかという言及とともに、今回の法改正によって、文部科学省として、全国の学校の耐震化を進めていく上でこの法律というのは役に立つのか立たないのか、文科省としてどのように評価されるのかということをぜひ伺っておきたいと思いますが、いかがでございましょう。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、まず、これまで耐震化がなぜ十分に進んでいないのか、こういう御指摘でございますけれども、ことし一月に、都道府県の教育委員会を通じて、設置者であります市町村に対してアンケートをやっております。

 そういった中から答えとして返ってきていますのは、一つは、そもそも学校施設そのものがほかの公共施設に比べて非常に膨大な施設量がある、これがまず一点でございまして、それから、当該の地方公共団体における財政上の理由、財政的に非常に厳しい、これを挙げてきている例がございます。また、学校の統廃合計画といったものがあって、これをまた少し見送っていた。それから、これは私どもとしては非常に歯がゆいところですが、公共施設全体の防災計画のうちで学校が優先とならない、こういったことでなかなか進んでいない。こういった状況があるわけでございます。

 そういう状況の中で、今回の法改正がどうかということでございますが、私どもの方から見ておりますと、今回の改正におきまして、特定建築物に対する規制の見直しというものが盛り込まれました。この規制の見直しとしては、耐震診断や耐震改修の不十分な場合に所管行政庁が所有者に対して行うことができる指示、それから報告徴収、それから立入検査、公表の対象、こういったものの施設として学校も追加されるということになったわけでございまして、こういったことから、各設置者における公立学校施設の耐震化の取り組みがより一層促進されるだろうというふうに私どもも見ておるところでございます。

 当然、文部科学省といたしましても、この膨大な数に上る公立学校施設の耐震化、これを早急に進めるために、引き続き、必要な予算額の確保など、耐震化の推進に最大限努力をしてまいりたいと存じます。

赤羽委員 今の御答弁で、公共施設の中で防災のランクが余り高くなかったというのは大変意外な気がしますが、私は、病院とともに、やはり学校というのは多くの被災者の避難所になったわけでありますから、そこは最優先になるべく、今回の法改正が何らかのプラスになることを強く期待するところでございます。

 これまで耐震化の文科省の予算というのを、率直に言って、私が地元を回って感じたことは、耐震化というこの予算費目を使って、老朽化した学校の校舎の建てかえに使われていたという傾向があったのではないか、ですから件数がなかなか進まないといったような傾向があったのではないかというふうに思います。ですから、もちろん老朽化した学校から優先するというのは当たり前かもしれませんが、建てかえをするという手法だけではなくて、耐震化という、耐震補強に徹すると、もっと件数は恐らくはかどるのではないか。

 財政措置が、この新しい法改正がされたからといって、また都道府県がそれぞれの計画に具体的な数値を盛り込んだ、これは財政措置の面でプラスになるとは思いますが、飛躍的にふえるような話ではなかなかないわけであって、その限られた財政の中で効率的に進めていくためには、ぜひ、学校の耐震化というのは、必要なところに最低限の耐震補強を進めていくといった方針で、文科省としても、全国の都道府県にそういった指示というか行政通達なるものを出すべきだというふうに私は思っておりますが、この点についてはいかがでございますか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたように、従来、ややもすると、工事費のかかる建てかえ、改築といったものにややウエートが置かれていたという嫌いがあるわけですが、ことしの三月に耐震化推進のための有識者会議から報告を受けておりまして、この中では、工事費のかかるそういった建てかえ、いわゆる改築方式から、より経済的な耐震補強改修という形の方式へ重点を移すべきと。さらに、その中でも特に、大破、倒壊といった非常にリスクの高い、危険性の高いものについて優先的に取り組むべきであろう、こういった提言をいただいているところでございまして、私ども、こういった趣旨を踏まえて、耐震化の推進に取り組んでいきたい、かように考えてございます。

赤羽委員 次に、ちょっと細かい話で恐縮なんですが、住宅の耐震化を考えた場合、まず、賃貸住宅というのは非常に難しいんですね。私も実は賃貸住宅に住んでいるんですが、耐震化を診断したいと思っても、これは大家がいる話でして、なかなか、大家さんにしてみるとその切迫感がないわけですね、住んでいるわけじゃありませんし。その辺についてどう考えられているのかということ。

 あと、マンションについてもやはり、これは持ち家のマンションでも区分所有者全員の中での合意形成というのはなかなか難しくて、私の知る限り、耐震診断をして耐震化が必要だなんて出ますと資産価値がマイナスになるというような話で、なかなかこの耐震診断ですら合意形成が難しいというような話だったというふうに記憶しています。

 マンションなんというのは、まさに倒れたりすると、先ほどの公共的な意味での影響というのも物すごく負の影響が大きいわけでありまして、この辺についての、この法改正とはちょっと外れるかもしれませんが、住宅局としての御認識とお考えがあれば御答弁いただければ。

山本政府参考人 一番課題を抱えているポイントだと思います、賃貸住宅、マンション。しかし、究極的には消費者がしっかりした認識を持ってマーケットで、市場で行動していただくということが、マンションにしても賃貸住宅にしても、耐震性をきちんと確保するゆえんだと思うんですが。

 まず、賃貸の共同住宅について御説明しますと、これは現行法でも特定建築物に位置づけられておりまして、指導助言の対象にはなっております。ただ、御指摘いただきましたように、入居者が心配なので耐震診断をしてほしいというふうに大家さんに言いましても、なかなか了解を得られないというケースが多いわけでございまして、そういうことが、たくさんあり得るかどうかわかりませんけれども、もし入居者の方から公共団体の窓口に相談があったようなときは、この枠組みを使って、得られた情報をもとに賃貸住宅についての所管行政庁から的確に指導するというような措置も講じられるように、この枠組みをきちんと周知したいというふうに考えております。

 なお、住宅・建築物の地震防災推進会議の提言の中で、建築物の取引、売買とか賃貸借の際に、耐震診断がなされているかどうかといったような状況に係る情報提供をきちんとする仕組み、具体的には宅建業法の重要事項説明の対象にするということでございますけれども、そういう仕組みを検討すべきだという御提言をいただいておりまして、関係部局とやりとりをしているところでございます。今後、入居者がきちんとした情報を得て適切な判断をした上で契約ができるように、実現に向けて努力したいと思っております。

 それから、マンションですけれども、一番の課題は、御指摘もありましたように、いろいろの合意形成を確保するということが一番大事ですので、この分野についていろいろなノウハウも蓄積しております都市再生機構とか住宅供給公社の協力も得て、マンションの診断、改修が先に進むように努めてまいりたいと思います。

赤羽委員 要するに、現状はまだ耐震化に対する意識は低い。だから、今言ったような問題はまだ顕在化していないと思うんですよ。これが非常にポピュラーになり、皆さんの意識が高まったときに、マンションの合意形成ですとか賃貸住宅のたな子と大家の関係みたいなことというのは、恐らく問題が顕在化する可能性があると思うんですね。そういった場合に、しっかりと相談できる窓口というか、そういった機関を位置づけるということがまず最初の大事なことだというふうに思っておりますので、今の御答弁で結構ですけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、なかなか耐震化が進まないという大臣の御答弁の中であった、その意識啓蒙というか啓発について、きょう文科省もいらっしゃっているので、私、提案をしたいんですが、これは政府広報みたいな形で啓蒙してもなかなか進まないと思うんですね。まず、小学校の教育の中で、耐震化についての重要さとその恐ろしさというようなことをぜひ学校教育の中で取り上げていただくというのが大事なんじゃないか。子供に言われると親も、そうだなというような話になるのではないかというふうに思うし、私は、いろいろな啓蒙の仕方というのはあるかもしれませんが、ぜひ学校教育の中で取り上げていただきたいというのが一つ。

 それと、これは啓蒙につながると思いますが、私、要するに、耐震の診断をもっとやりやすくする制度をつくるということが大事だと思うんです。耐震診断をして危ないとか耐震化が必要だと出れば、それは必然的に耐震改修しようという気持ちになると思う。ほとんどの人が今耐震診断をしていない段階なんだと思うんですね。ですから、耐震診断をしやすくなるような制度設計というもの、これは税制でするのか何か、これから年末に向けての闘いだと思いますが、この耐震診断をしやすくするということが、実は大きな啓蒙活動というか国民への啓発活動につながるというふうに私はそう考えておりまして、この点を踏まえて、最後、大臣からの御所見をいただいて、私の質問とさせていただきたいと思います。

北側国務大臣 耐震化の重要性に関する啓蒙活動がやはり極めて重要であると私も認識しております。今、委員の方からは、学校教育の中でそうした啓蒙をやったらどうかという御提案もいただきました。非常に重要な御示唆をいただいているというふうに思っております。できれば、目に見えた形で、耐震改修というのが大事だというふうにPR、啓蒙していくことが大事だと私は思っております。

 例えば、模型でいいんですけれども、耐震性が不十分な建物と耐震性がなされている建物、揺らしてみたら、不十分な建物はすぐ崩れてしまう、そうでないのは少々揺らしてもちゃんともっている、そういうのが目に見える形で啓発をしていくということが、もっと多くのところでできればいいな、また、報道機関なんかも通じてそういう啓蒙ができればいいというふうに私は思っております。

 また、今、地域の中で、やはり意識のある地域、例えば首都圏なんかは、首都圏直下型地震があるぞというふうに言われておりますので相当やはり意識が、特に下町のゼロメートル地帯だとか、それから密集市街地を抱えているような地域というのは、非常に意識を持ってこられております。そういうところが、いざそういう地震があったときにどうなるのかということを、例えば、役所なんかがハザードマップを作成してそれを公表していくということも大事だと思いますし、ただ、そういう地域の中でさまざまな取り組みがなされているところもあるんですね。そういうのをしっかり支援をしていくということも大事だなと思っております。

 やはり大事なことは国民の皆様の意識ですし、また、国民の方々、地域がそういう意識を持つような取り組みをしていることに対して、しっかり支援をしていくということも大事だというふうに思っております。

 いずれにしましても、いろいろな手段を通じて国民の皆様がこの耐震化の重要性について認識を持っていただくように、国土交通省といたしましても、全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 大臣が言われているところで、実は一カ所ありまして、神戸の希望と未来センターですか、あそこに行くと、まさに今言われたようなことを体感できるところもございますので、小学校、中学校の修学旅行、来られている学校も結構ありますけれども、修学旅行に来ていただくというようなことも、ぜひ、文部科学省と連携をしながら、国交省としても指導していただきたいと強く希望しまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 先日のパキスタンの大地震の場合にも、多くの方が建物の倒壊等によって犠牲になられました。私は、まず最初に、犠牲となられた方に対しまして心より御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、すべての被災者の方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、建物の耐震改修というのはもう日本でも待ったなしのことですが、本法案は、東海、東南海地震など切迫する大地震の発生に備えて、住宅・建築物の耐震化を緊急に進めるための耐震改修促進の法律の改正ということでありますが、この委員会で説明があったように、住宅で千百五十万戸、建築物で百十六万棟がいまだ耐震化できていないと推計されておりますが、この十年間で、住宅六百四十万戸、特定建築物五万棟の耐震化を進めて、全体として九割の耐震化を目標としております。

 そこで、政府参考人の方にまず伺いますが、確認しておきますが、この目標を達成するためには、どれだけの規模、どれだけの量の改修が必要か、これまでの実績はどれだけで、このテンポをどれだけに上げていく必要があるのかということを最初に伺います。

山本政府参考人 住宅それから特定建築物について、現行の七五%の耐震化率を九割とするためには、住宅につきましては、量的にはやはり建てかえでございまして、建てかえが、現状、年間四十万戸ございますが、これを四十五万戸程度に増加させるということに加えまして、耐震改修の戸数につきましては、現状の年間五万戸程度ありますものを、二から三倍に当たります年間十から十五万戸程度のテンポに増加させる必要があると考えております。

 それから、特定建築物につきましても、建てかえを現状の年間一千七百棟程度から二千棟程度とするほか、耐震改修の棟数を、現状の千二百棟から、やはりこれも二から三倍の年間三千棟程度に増加させる必要があると考えております。

吉井委員 ですから、いずれにしても、大幅にペースの引き上げというものを本格的にやらないと、これは絵にかいたもちになってしまうわけですね。ですから、自助努力、自己責任だと言って所有者個人に任せているだけでは、これは目標の達成はできませんから、国や自治体がどれだけ、耐震改修を促進するインセンティブを与えるようなそういう施策を進めていくのか、そのための直接、間接の支援をどれだけ親身になって進めていくかということが、私は、この法律の成否はここにかかっているというふうに思うわけであります。

 そこで、住宅の耐震改修について、これは大臣に伺いますけれども、内閣府が九月に発表した地震防災対策などに関する世論調査ですね。これで、今後十年間に自分の住んでいる地域で大地震が起こると感じているという人が六四%、自宅について、耐震改修、耐震診断のどちらも行ったことがないという人が八二%、住宅の耐震改修をしたいけれども、それはお金がたまってからだという方が半数を超え、改修できる条件としては、公的な支援があることだという人が三八%、住宅の耐震化に向けて国や自治体がやるべきことのトップに挙げているのが、耐震改修の費用の負担というのが六三・八%と、やはり公的支援の重要性というのが示されているというふうに思うわけであります。

 国の耐震改修補助制度について、昨年十一月九日の当委員会で穀田委員も指摘しましたが、二〇〇三年度までの実績は、共同住宅で四十戸、戸建て住宅は実績なし。二〇〇四年度で、国の補助は、戸建て住宅は十四件、共同住宅四十戸のままですから、これはなかなかうまくいってないわけですね。

 なぜこうなってくるのか。ここには、国の耐震改修補助の活用が進まない原因、つまり最大のネックになっているのが、一つは、一戸当たり平均で約二百万円かかる費用負担ですが、国の戸建て住宅の改修費に対する補助率八%、地方が同額負担しても一六%程度ということで、極めて低いわけですね。結局八四%、二百万で言うたら百六十八万円まず自己負担しないとなかなか進められないということがあります。

 それから二つ目には、この制度を使いたくても使いにくい、使えないという要件の設定がありますね。これは昨年の秋の当委員会で、山本政府参考人の答弁にも、非常に厳しい要件がありますというお話がありました。例えば道路沿いの住宅に限るなど、厳しいものですから、適用を狭くしていっている。これでは、目標を達成しようにも、これはなかなか間尺に合わぬと思うのですね。

 ですから、耐震改修化促進という国の責任を果たそうということで、大臣、取り組んでいかれるわけですから、そうすると、国の補助が使えるように、補助率の大幅なアップとともに、やはり要件緩和、むしろ要件を撤廃して、耐震改修が必要な住宅すべてに使えるように、すべての住宅を対象としたものへと、そういう取り組みというものをやらないと、これは私はなかなか進まないと思うのですね。

 ここは、まず大臣に伺っておきたいと思います。

北側国務大臣 まずは、これはもうすべての防災対策で共通していると思うのですけれども、私はまず、国民の皆様、住民の方々の意識を、そういう防災意識というのをしっかり啓発していくということが非常に大事であると思っております。

 その上で、今委員のおっしゃったように、もっと使い勝手がいいようにすべきであるということにつきましても取り組みをしなければならないと思っておりまして、例えば、この十八年度の予算要求におきましては、今まで住宅・建築物の耐震改修事業につきましては地域限定をしておりました。東海地震だとか南海地震だとか、そうした地域限定をしておったんですけれども、その地域要件を撤廃、緩和したということ。

 そして、特に緊急性が高い緊急輸送道路沿道のマンション等の耐震化に係る補助率については、かさ上げをしました。これにつきましては、国が三三・三、地方公共団体三三・三と、国と地方で三分の二を見ましょう、残りの三分の一については建築物の所有者等に対して無利子貸付制度を創設しましょう、これは要求段階でございますが、そういうことを予算要求しておるところでございます。

 また、予算額そのものにつきましても、平成十七年度の二十億円に対して、八倍の百六十億円に増額等の要求も行っております。

 さらには、地域住宅交付金制度というものを平成十七年度予算から認めていただいておりますが、地方公共団体の提案事業としてそうした耐震改修補助事業を地方独自でやろうとするところにつきましては、この地域住宅交付金制度を活用していただくような手法も、今回、十七年度予算で取り入れをさせていただいているところでございます。

 さらに充実ができるように、しっかり取り組みをさせていただきたいと思います。

吉井委員 国民の意識については、さっきも御紹介しましたように、内閣府の調査によっても大地震が起こると感じているという人が高くて、変えようという意識はあるのだが、なかなか費用の面が大変だということがあらわれているわけです。ですから、先ほど申しましたように、国の耐震改修補助制度だけが厳しい要件をつけている、ここのところを、やはり厳しい要件を撤廃して、そして求める人々に、必要な住宅すべてを対象にして取り組んでいく。

 もう一遍聞いておきますけれども、この厳しい要件を外す、この大臣としての取り組みだけ、一言で結構ですから重ねて伺っておきます。

北側国務大臣 先ほども申し上げたように、平成十八年度予算要求でそのような、先ほど申し上げたような取り扱いをしていただくように、今要求をしているところでございます。

 さらに申し上げますと、税制上も、そうした耐震改修費用について税額控除ができるように、これも今強く求めているところでございます。

 さらには、耐震改修費用そのものをできるだけ技術的に安くできないかというふうなことも今取り組みを進めているところでございまして、これは、多くの方々が耐震改修について実際にやり出していただきましたならば、この単価についても私は安くなってくるというふうに思いますし、また、技術的にも、もっと安いやり方で耐震性を増していくというふうな方法についても、業者の方々の中で今さまざま研究も進んでいるところでございまして、そうした取り組みをしっかりと支援させていただきたいというふうに思っております。

吉井委員 次に、政府参考人に特定建築物の耐震改修について伺いますが、問題になりましたスポパーク松森ですね、つり天井が落下するという事故について、これは耐震用の振れどめがついていなかったということがありましたけれども、不特定多数が集まる建築物の天井が地震で落下する崩落事故というのは、これまでも二〇〇一年三月の芸予地震、二〇〇三年九月の十勝沖地震などあって、そのたびに技術的助言というのを出してこられたんですね。これまで既にそれをやってきているのに、地震の避難所となるべき公共施設で、しかも新築の施設、なぜこれがこういうふうに、通達を出して、助言を出していても起こったのかということですね。

 私は、これはなかなか深刻な問題だと思うんですね。幾ら国交省が言ったって、技術的助言をやったって、さっぱり生きてこない。こういうのを繰り返されてはだめですから、なぜこういうことが起こったのかを伺います。

山本政府参考人 これまで何回か経験いたしました震災被害の状況を踏まえて出しました技術的助言、具体的に平成十三年、平成十五年に発出しているわけでございますけれども、御指摘いただいたこの技術的助言が、このスポパーク松森においてはきちんと守られていなかったということが原因でございます。

 そういうふうになりました原因につきましては、まず、施工者が施工計画書どおりに工事をしなかったということ、それから、法令で求めております工事監理者が設計図書どおりに工事されるよう適切な工事監理を行わなかったことが原因である可能性が高いというのが、今現在の認識でございます。

 このために、同じような事故が発生しないように、国土交通省におきましては、公共団体に対して、建築の確認、中間検査、完了検査におきまして、崩落防止対策が講じられているかどうか的確に審査するよう通知をいたしまして、技術的助言の周知徹底を図ったところでございます。

吉井委員 最初に助言を出して、徹底する努力をされたと思うんですね。二回目も出して努力されたと思うんですよ。しかし、なかなかこれは生きてきていない。

 今度の問題では、仙台の幹部の方のお話も報じられておりますが、耐震確認は建築基準法に基づく検査項目の対象外だとか、事業はPFI方式で、耐震確認も民間業者が行うべきだ、そういうふうに言っているんですけれども、要するに、どこの責任だ、あっちの責任だ、こんなことを言い合っておっても話にならぬわけですね。

 ですから、やはり新築の建築物の耐震化を徹底するための完了検査が確実に実施されていなかったのが問題なんですから、そこをどうするか。PFI事業であったために、行政当局とPFI事業者、施工を請け負った建設業者が互いに責任をあいまいにしてしまうとかいう問題ですね。それから、通達は出したが徹底されていないということなど、私は、整理すればやはり三つぐらい問題があったと思うんです。

 ここは大臣にも伺っておきたいんですが、通達だけじゃなしに、やはり法令で義務化する必要というものがなかったのかどうか。国交省の対応に問題がなかったのかどうか。ここのところは、大臣も中心になってもらって、きちっとこのことを検証して、技術的助言をしたらそれが確実に生かされるという、私は、そのためには、通達だけじゃなしに法令で義務化することなどをきちんと考えなきゃいかぬと思うんですが、これは大臣に伺っておきます。

山本政府参考人 建築基準法令についてはっきりしておりますことは、天井を含む内装材について、「地震その他の震動及び衝撃によつて脱落しない」という規定を設けているわけでございまして、その意味では、基準法では義務化してあるという理解でございます。

 問題は、的確に現場で施工監理、施工が行われているかどうか、運用が的確に行われているかどうかということが今回の問題だというのが私どもの認識でございまして、先ほども御説明しましたが、建築確認、中間検査、完了検査において、この防止策が適切に講じられているかどうか、審査の徹底を図るように公共団体等に対して通知しているところでございます。

吉井委員 何か今のお話を聞いていますと、現場の問題、運用の問題ということになってしまうんですね。私は、大臣に伺いましたのは、政府参考人のときは私はちゃんと政府参考人と指名してやっているんですけれども、大臣に、やはり現場の問題だというふうな振り方じゃだめなんですね。ここは、やはり大臣として、なぜこういうことになったのかということをきちんと検証して、いや義務化してありますからと言うんだったら、では、なぜその義務がきちっと生きないのか。それは、国交省の責任者がやはり徹底してそれをやるということをやらない限り、同じことを繰り返しますよ。大臣に伺います。

北側国務大臣 おっしゃっているとおり、平成十三年、そして平成十五年において、国交省から各地方公共団体の担当のところにそうした技術的な助言について周知徹底をしているにもかかわらず、実際にまた宮城県でこのような事態になっているじゃないかということでございまして、そこは甚だ遺憾であるというふうに言わざるを得ないと思っております。

 今回の地震での事故を受けまして、同様の事故を防止するために、建築確認、それから中間検査、さらには完了検査において、天井の崩落どめ対策が適切に講じられているかどうか、審査の徹底を図るように改めて地方公共団体に対して通知をしているところでございますが、きちんとフォローをできるようにしてまいりたいと思います。

吉井委員 要するに、耐震改修工事を実施したけれどもきちんとできているかどうかとか、そういうことも耐震改修後の問題として当然出てくるわけです。ですから、現在は耐震性が確保された建築しか認められないんですが、きちんと工事ができているかどうか、中間検査や完了検査は物すごい重要だと思うんです。耐震改修実施後のチェック、これは、悪質リフォーム詐欺なんかが今問題になっているときだけに、非常に大事だと思うんです。

 そこで、最後に、法案作成に先立って検討された住宅・建築物の地震防災推進会議の提言でも、この法律には改修実施後のチェックの仕組みがないという指摘がありますね。私は、だから大臣、さっきの問題なんかもそうなんです。助言をした、生きているはずだというだけじゃうまく徹底されないというところがありますから、改修実施後のチェックの仕組みというこの指摘なども含めて、この点、どういうふうに改善をしていくのかということを最後に伺って、時間が参りましたので、質問を終わりにしたいと思います。

山本政府参考人 第三者による耐震改修工事のチェックでございますが、耐震改修促進法に基づく計画の認定を受けて行われる建築物の耐震改修につきましては、認定計画に従って改修が行われていない場合には、特定行政庁による報告徴収、改善命令によってチェックをする。認定を受けた計画に従って耐震改修が行われることを担保する仕組みが整備されておりますので、できる限りこの制度を生かしていきたいということでございます。

 計画の認定を受けないで耐震改修を行う場合につきましても、建築士などの専門家が所有者からの要請によりまして耐震改修工事のチェックができるように、建築士会とか建築士事務所協会などの関係団体と協力して、相談体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 最後の質問者になりました。もうしばらくですので。

 最初に、今、先ほどの内閣府が行った特別世論調査を見ても、震災に対する不安あるいは関心というのは非常に高まってきている、こういう時期に法律の改正を行うというのは非常にタイムリーだというふうに評価をしています。

 そして、そういうことを前提にして幾つかお聞きをしたいと思うんですが、一つは、国が基本計画をつくる、これに沿って県も基本計画を策定するけれども、市町村についてはそれが義務化されていないということになっているわけです。先ほど、例えば危険な道路が九万キロありますとかいう話がございましたけれども、実際にその実態を把握しているのは市町村であって、ここがしっかりとそういう実態について把握をしていないと、実は県も国も実際の具体的な基本計画というのはつくりづらいんじゃないか、こんな気がするんですが、市町村に義務づけられていない理由、しかも、それで、県の基本計画、国の基本計画、関連あるんですが、これが上手にできるのかどうか、それについて最初にお聞きしたいと思います。

山本政府参考人 国民の皆様の暮らしに一番近いところで仕事をしておられる市町村でございますので、できるだけ多くの市町村に耐震改修促進計画を策定していただきたいと私どもも考えております。

 ただ、市町村の対応能力にはそれぞれ違いがございますので、現時点で、すべての市町村に対して法律上一律にこの策定を義務づけるのは困難だと考えまして、今の改正案をお願いしたわけでございます。

 地震災害につきましては影響が広域に及びますので、市町村の防災業務について総合的に調整する、あるいはこれを補完する立場に立っております都道府県におきまして、都道府県の耐震改修促進計画の策定は義務づけておりますので、都道府県において、管内の市町村の事柄も含めまして、これを取り扱っていただきたい。その中で、的確な目標を定め、対策を講じていく、市町村と連携を図りながら進めていただくということを期待しているわけでございます。

日森委員 各市町村でそれぞれ防災計画などを持っていますから、そういうものを総合していく必要もあると思います。

 それから、例えば、独自の耐震改修などに対する助成なども行っている市町村等もあるわけですね。こういう例もあるわけですから、義務とまで言いませんけれども、少なくとも、今想定されているというか、そういう危険な状況が迫っているという地域の市町村などには、もう少し具体的に、積極的に働きかけて、こうした計画について策定するよう援助したり助言したりするということは必要じゃないんでしょうか。

山本政府参考人 御指摘のように、非常に切迫している地域につきまして耐震改修に係る補助制度を活用しようということになりますと、市町村において耐震改修促進計画を策定していることを前提にして補助したいというふうに考えておりますので、こういった事柄を踏まえて、建物の耐震化に取り組む市町村において実質的に耐震改修促進計画が策定されるように努めてまいりたいと思います。

日森委員 期待だけだとなかなか進まないと思いますので、積極的な助言なりをしていただきたいと思いますし、同時に、それをつくっても実行できないという財政的な不安が当然市町村にもあるわけで、これは先ほども質問ありましたけれども、県、市町村に対する財政、それから、個別の場合特にそうなんですよ。先ほどの質問でもありましたけれども、八一・五%が耐震改修をやらない、やらない理由の約四〇%近くがお金の問題だ、こういうふうに答えているわけですから、こういうことについても、今度若干改善されたにせよ、これも含めて同時に提起しないと、なかなか市町村も腰が上がらないということになると思うのですが、その辺、御認識をもう一度お伺いしたいと思います。

北側国務大臣 まず、耐震改修の必要性について啓発をしっかり進める、また、身近で相談できるような体制整備をしっかり進めていきたいと思っております。単に、耐震改修をするためにはどうすればいいのか、なかなか普通の人はわからないわけでございまして、また、どこに行けばいいのかわからない、そういうときに身近で相談できる体制というものをしっかりとつくらせていただきたいと思います。

 その上で、今おっしゃったように、補助制度につきましても、使い勝手がいいものになるように充実をさせていきたいと思っております。今も、地域住宅交付金なんかを活用していただきまして、地方の方で独自の制度を持っているところについては、この交付金制度を活用して、耐震化について推進をさせていただきたいと思いますし、十八年度要求におきましては、緊急輸送道路沿道建築物に対する補助率のかさ上げをさせていただいているところでございますし、また、地域要件についても撤廃、緩和をしております。

 また、税制につきましても、耐震改修に要した費用の一部を税額から控除できるような税制制度の創設についても、今、強く要求をしているところでございまして、総合的に補助制度、税制、また法制度の整備等によりまして、何としても、耐震化率の九割の目標を設定しているわけでございますが、その達成に向けまして促進をさせていただきたいと思っております。

日森委員 要望になりますが、それぞれきょう発言された方々が、絵にかいたもちにならないように、本当に実効あるものにしていただきたいと、これは逆に国民の側からいっても、そういう思いが非常に強いと思うんですね。そういう意味で、ぜひ、毎年とは言いませんけれども、この十年間の総括があって、そして法改正が出てきたわけですから、できる限りローリングをちゃんとしていって、使い勝手のいい法律として活用できるように御努力いただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、衛藤征士郎君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 今回の総選挙で議席を得まして、国土交通委員の仲間入りをさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。というより、昨年の十月の被災以来、山古志村長として、国土交通委員会そして関係省庁の皆さんには大変お世話になりました。この場をかりて厚くお礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

 間もなく一年になりますけれども、私もまだ仮設の中におりますが、九千三百人がこの冬も仮設の中で暮らすことになりそうです。ぜひ息の長い御支援を委員の皆さんからお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。

    建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 大規模地震の被害軽減対策を確実に実施するため、全国での建築物の耐震化の一層の促進が図られるよう、都道府県、市町村等と連携協力して最大限の努力を行うこと。

 二 住宅、建築物の耐震化を効率よく促進させるためには、住宅、建築物の耐震性能や、その性能を把握したり向上させる施策についての理解を深めることが重要であることから、地方公共団体、関係機関との協力のもと、積極的に普及啓発を図ること。

 三 住宅の耐震化が適切に促進されるよう、住宅所有者等のための総合的な相談体制の整備充実に努めること。

 四 住宅、建築物の耐震診断及び耐震改修を支援するため、補助、融資、税制等の助成制度の一層の充実を図るよう努めること。

 五 都道府県耐震改修促進計画の策定に当たっては、都道府県の意欲と自主性を尊重しつつ、区域内の建築物等の実情に合った実効性のあるものとなるよう、必要な技術的指導、情報提供等の支援を行うこと。また、区域内の実情を把握する市町村の意見が的確に反映されるよう配慮すること。

 六 耐震改修支援センターの指定に当たっては、客観性、透明性のある手続きに基づき、資質、能力等を厳正に審査するとともに公募制の導入等も含めて検討し、債務保証のあり方も含めて業務運営の健全性、透明性の確保に万全を期すること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣北側一雄君。

北側国務大臣 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事、委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変にありがとうございました。

    ―――――――――――――

林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十八分散会


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