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第8号 平成17年11月30日(水曜日)

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平成十七年十一月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      木挽  司君    後藤 茂之君

      坂本 剛二君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      田村 憲久君    土屋 正忠君

      中森ふくよ君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    松本  純君

      松本 文明君    松本 洋平君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      金田 誠一君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    高木 義明君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鉢呂 吉雄君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    佐藤 茂樹君

      富田 茂之君    穀田 恵二君

      日森 文尋君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      松村 龍二君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   国土交通大臣政務官    吉田 博美君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局建築指導課長)         小川 富由君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     木挽  司君

  薗浦健太郎君     松本  純君

  長島 忠美君     中森ふくよ君

  盛山 正仁君     土屋 正忠君

  古賀 一成君     馬淵 澄夫君

  森本 哲生君     松本 剛明君

  伊藤  渉君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     亀岡 偉民君

  土屋 正忠君     盛山 正仁君

  中森ふくよ君     松本 洋平君

  松本  純君     薗浦健太郎君

  馬淵 澄夫君     古賀 一成君

  松本 剛明君     森本 哲生君

  富田 茂之君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     長島 忠美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(建築物の構造計算書偽装問題)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 この際、新たに就任されました国土交通副大臣及び国土交通大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。国土交通副大臣松村龍二君。

松村副大臣 国土交通副大臣の松村龍二でございます。

 主に安全危機管理関係施策、交通関係施策及び北海道開発関係施策を総括しております。

 委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 国土交通大臣政務官後藤茂之君。

後藤大臣政務官 大臣政務官の後藤茂之でございます。

 主に災害対策関係施策及び社会資本整備関係施策、特に公共事業の適正な執行の確保に関する事務を命ぜられております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 国土交通大臣政務官吉田博美君。

吉田大臣政務官 大臣政務官の吉田博美でございます。

 主に国土関係施策及び北海道開発関係施策、特に新国土計画の策定及び土地対策の総合的な推進に関する事務を命ぜられております。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

林委員長 国土交通行政の基本施策に関する件、特に建築物の構造計算書偽装問題について調査を進めます。

 昨二十九日、国土交通委員会においては、建築物の構造計算書偽装問題の実情調査のため、千葉県船橋市内の民間分譲マンション、セントレジアス船橋及び東京都中央区内のホテル、京王プレッソイン茅場町を視察してまいりました。

 この際、視察委員を代表して、その調査の概要を私から御報告申し上げます。

 参加委員は、理事衛藤征士郎君、望月義夫君、長妻昭君、三日月大造君及び私、林幹雄、その他、参加者多数のためお名前の紹介は省略させていただきますが、総勢二十八名であり、現地参加議員が一名おられます。

 御承知のとおり、今回の事件は、姉歯建築設計事務所が構造計算書の偽装を行い、元請の建築設計事務所や、その設計を建築確認したイーホームズ株式会社等におけるチェックにおいても、偽装であることが見過ごされたというものです。国民の生活、活動の器である住宅等の建築物において、居住者、利用者の安全性や信頼感を著しく脅かす事件が発生したことは極めて遺憾であり、近年、大規模地震の切迫性が高まっている状況も踏まえると、早急にしかるべき対策を講じる必要があります。

 国土交通委員会としても、偽装が行われた建築物の現場を調査することは、今後の真相究明、再発防止策等を検討する上で極めて重要であると認識し、閉会中での現地調査の実施となった次第であります。

 それでは、調査の概要について申し上げます。

 まず、現地調査への参加委員は、船橋市内のマンション建設工事現場へ向かう車内において、国土交通省大臣官房和泉審議官ほかから、本問題の概要、視察先物件の概要等について説明を聴取いたしました。

 次に、船橋市内のマンション、セントレジアス船橋及び中央区内のホテル、京王プレッソイン茅場町の現場を視察いたしました。

 マンション、セントレジアス船橋は建設工事が途中で停止された状態であり、船橋市や施工業者から概要説明を受けた後、八階及び十階のコンクリートがむき出しの工事現場を視察いたしました。参加委員からは、当該物件の構造上の問題について質問がありました。

 また、ホテル、京王プレッソイン茅場町は既に竣工し営業を開始したものですが、現在は営業を休止した状態でありました。建物の安全性が保証できないため内部に立ち入ることはできず、正面エントランス前で建物所有者から概要を聴取いたしました。参加委員からは、解体等今後の対処方針、周辺住民への説明状況、損害賠償に関する検討状況等について質問がありました。

 両現場において多数のマスコミの取材があり、本問題への関心の高さを再認識いたしました。

 今回の視察を通じて、私どもは、本問題に係る真相を徹底究明すること、関係建築物の居住者や周辺住民等の安全や居住の安定を第一に考え、移転先の確保等により居住の安定に十分配慮すること等の重要性を痛感いたしました。

 最後に、私どもの調査に御協力いただきました関係の皆様に感謝の意を表しまして、報告といたします。

 この際、政府より報告を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

北側国務大臣 姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽装につきまして御報告を申し上げます。

 今回、建築士による構造計算書の偽装が行われたこと、そして、これが指定確認検査機関や特定行政庁においてチェックできなかったことはまことに遺憾であります。これにより、多くのマンションの居住者、所有者の方々、また、休業をやむなくされているホテルの関係者の方々等の御不安と御心配はいかばかりかとお察しいたします。

 国土交通省におきましては、国指定の民間の指定確認検査機関であるイーホームズ株式会社より、審査を行った構造計算書に偽装があるとの報告を受け、十月二十八日から調査を進めてまいりました。その結果、十一月十六日までに、国土交通省においても、竣工済みを含む二十一物件について偽装を確認するとともに、偽装された構造計算書をもとに建築された場合、耐震性に大きな問題があるおそれがあることが判明した次第です。

 これを受け、翌十七日に、特定行政庁を通じて所有者、居住者の方々にその旨を連絡するとともに、国土交通省において事実を公表いたしました。

 さらに、このほか、千葉県が行った姉歯建築設計事務所への立入検査の結果、姉歯建築士が構造計算を行った案件が、さきに判明した二十一件を含む二百一件あることが判明いたしました。現在、それらが所在する特定行政庁において偽装の有無等の確認を行っておりますが、本日までに総合計で八都県、四十二物件において偽装が確認されております。

 国土交通省におきましては、以上のような事態にかんがみ、まず第一に居住者の方々の安全確保を最優先すべきと考えました。このため、関係特定行政庁などで構成する構造計算書偽造問題対策連絡協議会をこれまで三回開催し、相談窓口の設置、公営住宅等受け入れ住宅のあっせん、退去を促す基準や手順等について協議しておるところでございます。

 一方、十一月二十五日には、売り主が瑕疵担保責任に基づき所有者、居住者に誠実かつ真摯に対応していただくよう、居住者対策の考え方、状況についてヒアリングを行いました。これらを踏まえ、安全確保のための実効的な方策についてさらに検討を進めてまいります。

 また、姉歯建築士につきましては、建築士資格の取り消し処分について十一月二十四日に聴聞を行うなど、その手続を進めるとともに、建築基準法違反により告発すべく、警視庁と連携を図りながら対処をしているところでございます。

 さらに、再発防止策の一環として、十一月十七日付で、全国の指定確認検査機関及び特定行政庁に対し、建築確認における構造審査方法に関する緊急点検を指示いたしました。それとともに、今後、指定確認検査機関への立入検査を順次実施し、構造審査について個別案件ごとに調査することとしております。

 なお、イーホームズ株式会社につきましては、既に十一月二十四日、二十五日の両日、立入検査を実施し、適切な構造審査を行っていないものがあることを確認しております。

 これらの総点検をできる限り迅速に行った上で、その結果も踏まえながら、現行の建築確認検査制度の見直しについて、社会資本整備審議会に専門部会を設置して検討を進めることとしております。

 今後につきましては、引き続き居住者の方々の安全確保を最優先に考え、偽装物件の確定を図り、耐震性に大きな問題のある建築物から居住者が早期に退去できるよう調整を進めてまいります。また、周辺住民の方々の安全にも配慮する観点から、建てかえを含めた違反是正を進めるとともに、関係者の処分を含めた今後の再発防止に全力を挙げて取り組む所存でございます。

林委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

林委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、住宅局長山本繁太郎君、住宅局建築指導課長小川富由君、警察庁生活安全局長竹花豊君、法務省大臣官房審議官深山卓也君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今般の構造計算書偽装問題、国民に対して大変大きなショックと不安を投げかけております。偽装物件は日を追うごとにふえ、現時点で国交省確認分で三十七件に達し、自治体の検査機関でも偽装を見逃していたケースが相次いでおります。事態はさらに拡大の様相を示しております。

 きのうの参考人質疑におきましても、これはまさに驚きとため息の連続でありました。証言の食い違いや複雑でゆがんだ人間関係、あるいは新たな問題も続々と出てまいりました。問題は複雑に根深いな、そんな印象を持った次第でございます。問題の所在がどこにあるのか、徹底した真相究明が求められる、そのことを実感いたしました。

 また、耐久性にすぐれ、生涯安心できる、そんなふれ込みを信じて、大金をはたいてこれを購入した居住者の方々が、これが中程度の地震であすにも倒れるかもしれない、そのことを知ったときのその胸中は、察するに余りあるものがあります。まず、居住者や近隣住民の安全確保と精神面でのケアが求められると思います。

 この問題は、建築行政の根幹を揺るがして、大きな社会不安を招きかねない極めて重大な問題であります。今回の事態に臨む大臣の決意と現下の政府の対応状況について、まずお伺いをいたします。

北側国務大臣 先ほど、冒頭申し上げさせていただいたとおり、今回の姉歯建築士による偽装、そしてそれを見抜けなかった指定確認検査機関、また特定行政庁、まだまだ事実関係が判明していないところがあるわけでございますが、極めて遺憾であるというふうに考えております。今委員がおっしゃったように、建築行政、また建築確認検査制度そのものに対する信頼が今大きく揺らいでいるというふうに考えております。

 まずは、やはりこの事実関係というものを徹底して明らかにしていく必要があるというふうに思いますし、また、その偽装物件というものの確定について、ここをしっかりと明らかにしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 一番急ぐべきことは、最優先でやるべきことは、今も委員がおっしゃった、居住者の方々また周辺住民の方々の安全を確保していくこと、そして居住者の方々の居住の安定をどう確保していくのか、そこに行政が一体どういう支援ができるのか、そこをしっかりと示していくこと、そうしたことが今一番急がれていることであるというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、さまざま今国土交通省としても取り組みをさせていただいているところでございますが、まず一番急ぐべきことは、居住者の安全確保、そして事実関係を早く明らかにしていくこと、そこが急ぐべきことであるというふうに考えておるところでございます。

 いずれにしましても、全力を挙げまして、信頼確保に向けて、また再発防止に向けて全力を挙げて取り組みをしてまいりたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 構造計算書は、地震や台風などの外力に対して建築物が安全であることを示す大変重要な書類であります。構造計算書の作成に当たっては、まず最初に、地震の力や想定される風の力などを入力いたします。そして後半の方で、必要とされる、予定される、例えば柱の太さであるとかコンクリートの量であるとかを入力いたします。これで建物がもつかどうかを自動計算して、その結果としてエラーが出た場合、これは当然のこととして、鉄筋の量をふやしたり柱を太くしたりして対応いたします。

 これを、あろうことか姉歯建築士は、これに加わる地震の力を小さく想定した数値を入力して、いわば無理やり結果として適合の表示を出させて、その文書を別に用意して、その二つの、二重の文書の都合のいいところをいわば継ぎはぎをして偽装文書をつくっております。この結果として大変大きな事態を招いたわけでありますが、まさにその手口は悪質であり、狂気のさたとしか言いようがありません。

 建築士の使命は、建築物の安全性の確保と質の向上を図って、もって国民の生命と財産を守るという、そのことにあります。この建築士に対する信頼を損ねて多くの住民を窮地に陥れ、あるいは人命を奪いかねなかったその責任は、極めて重大であると言わざるを得ません。

 ところが、今、刑事告発の準備が進んでおりますが、仮に建築基準法違反の容疑であるとすれば、五十万円以下の罰金刑にすぎません。極めて軽いと言わざるを得ません。これは未必の故意による殺人未遂に近いとする指摘もあるほどであります。建築基準法第一条にある、国民の生命、健康及び財産の保護を図るとの法の目的に照らしても、これは極めて重大な違反行為であります。罰則の体系を抜本的に見直すべきではないかと考えます。

 また、これに関連して、建設業者から姉歯氏に対して圧力がかかったと姉歯氏が供述をしております。きのうの参考人質疑でも、その疑惑は深まったと私は認識をいたします。もし、建設業者、発注者、そして建築士らが一体となって、この問題となったマンションを建設して、何も事情を知らない一般の方々にこれを販売したとなれば、これは詐欺罪そのものではないか、そういった指摘もあるわけでございます。

 まず国交省、そして法務省にお伺いをいたします。

山本政府参考人 建築基準法におきまして、構造規定に違反する建築物の設計者に対しまして、五十万円以下の罰金が科せられるということになっております。今回事案におきまして姉歯建築士が行いました行為の重大性、それから被害の大きさ等を考えますと余りにも低いのではないかという御指摘は、御指摘として理解できるわけでございます。

 ただ、この規定は、実は昨年の通常会で建築基準法を改正していただきました際に、従前の三十万円以下の罰金から引き上げたばかりのものでございます。御指摘を踏まえまして、これから社会資本整備審議会の建築分科会の中に特別の部会を設置いたしまして、総合的な確認検査制度の検証を行います。その中で、罰則の強化を含めまして、改善について幅広く御議論をいただきたいと考えておりますので、その中で検討していきたいと考えております。

大林政府参考人 私どもが報道等を通じて今回の一連の問題を把握する限りにおきましても、お尋ねのような疑念をお持ちになることはごもっともかと思いますし、法務当局といたしましても関心を持って見守っていかざるを得ないと考えているところでございます。

 しかしながら、現段階におきまして私どもは事実関係の詳細を承知しておりませんし、また、犯罪の成否は捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき事柄でありますので、本件において詐欺罪等が成立するか否かについてお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと存じます。

小里委員 ありがとうございました。

 重ねてお尋ねをいたします。

 特に、建築基準法において確かに罰則の改正はあったばかりでありますが、これは懲役刑の設定も視野に入れて、慎重に、かつ積極的に議論を進める必要があると思います。大臣の御見解をお伺いいたします。

北側国務大臣 これから社会資本整備審議会におきまして、建築確認制度を含むこのありようについて、どこに問題があり、どう改善をしなければならないのか、しっかり議論をしていただきたいというふうに思っております。その中で、今おっしゃった罰則の強化の問題についてもぜひ御議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。

小里委員 よろしくお願い申し上げます。

 それでは、指定確認検査機関制度でありますが、これは平成十年の法改正において、民間にできるものは民間にとの、官と民との役割分担の見直しにより、それまで行政が行っていた建築確認業務を民間機関ができるようにしたものであります。規制緩和による民間開放の、そのはしりとも言えるものであります。これにより効率的な執行体制が創出をされまして、民間活力の導入で、民間機関による対応が昨年度約六割に達しております。また、古い建物の改善や違反指導など、従来の懸案であった分野に行政がよりシフトできるようになった、そういった効果もあらわれております。改革の方向性としては、私は間違っていないと認識をいたします。

 しかしながら、期待をされましたその民間指定機関が今回偽造計算書を見逃して、大変大きな事態を招きました。何人かの建築士に聞きましたが、もし報道のとおりであれば、この文書は極めて整合性のない不連続な文書であって、見る人が見ればその不正は十分に予測可能であった、そういうことで一様に口をそろえております。

 また、今回、国交相認定のソフトを使っておりますが、これを使って正しく作成された文書であれば印字されるはずのヘッダー、認定番号でありますが、これがついておりません。ついてなかったから即不正というわけではございませんが、その場合は、その計算過程を詳細にチェックすることが求められております。これを今回、イーホームズはなしておりませんでした。そしてまた、きのうの参考人質疑におきましては、イーホームズは処理能力の限界を訴えております。ちなみに、省略制度を使わずに詳細にチェックする場合であっても、二十一日以内に処理することが制度上求められております。

 一方で、民間検査機関の指定に当たっては、行政の裁量を極力少なくして、例えば技術者の数とか財務力であるとか、一定の客観的な要件が備わればほぼ自動的に指定がなされます。その要件設定において問題がなかったのでありましょうか。

 あるいはまた、今回、問題となったイーホームズに対して国交省が何回かの立入調査を行っております。最近の調査において、九十八件の抽出検査を行った中で八十九件において問題点が確認をされております。今後、民間検査機関への実効ある立入調査をどのように行っていくかが問われております。

 あるいはまた、設計書類の保存期間の問題であります。これも、いざ問題が発覚したときに備えて、その適切な保存期間がいかにあるべきか。あるいは、自治体の検査機関の執行体制に無理がないのか、今後いかにあるべきかも問われております。

 コストや受注を優先する余りに安全性が損なわれることにならないように、問題の再発防止に向けて徹底した、制度を含む検査体制全般の見直しが求められると思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

山本政府参考人 幾つか御指摘をいただきました中で、まず、確認検査員の質と必要数の問題でございます。

 確認検査員になりますためには、建築基準適合判定資格者検定に合格した後に国土交通大臣の登録を受ける必要がございます。この建築基準適合判定資格者検定の受検資格は、一級建築士試験を合格いたしまして、かつ、建築行政または指定確認検査機関における補助員等としての業務について二年以上の実務を有することとしておりまして、この検定に合格した者については、建築確認事務を遂行する上での必要な能力を有しているものと考えております。

 問題は、二番目に指摘していただきました必要な確認検査員数でございます。

 指定確認検査機関として必要な確認検査員数でございますけれども、これは、法令の規定に基づきまして、確認検査の業務を行おうとする建築物の種類、規模、それから数に応じまして単位を定めまして、必要な員数を算出するということが定められております。この確認検査員の数を規定されました必要数以上に確保することは、指定確認検査機関の指定基準の一つでございます。大事な基準の一つでございます。確認検査業務を適確に行うための重要な要件でございます。今の御指摘は、その原単位自体に問題はなかったのかという御指摘だと受けとめております。

 それから、立入検査の問題でございます。

 指定確認検査機関への立ち入りにつきましては、各機関について年一回程度定期的に行っておりますし、指定確認検査機関による重大な違反が発生した場合、それから、内部、外部含めましていろいろな方から通報を受けた場合には、必要に応じまして緊急の立入検査なども行っております。

 それから、今回のような事案が発生しました場合に非常に大事になる、書類の保存期間についても御指摘がありました。非常に大事な御指摘だと受けとめております。

 これにつきましては、確認検査事務が先般の地方分権の改革の中で自治事務と規定されまして、書類の保存期間も、建築主事が置かれております地方公共団体において条例で定めるという形になっております。今度のようにいろいろな事実関係を究明する際に、それで支障がないのかどうかといったような問題意識も持っているところでございます。

 これまで、今御指摘いただきました諸点について、それぞれ考え方を定めた上で基準を定めてとり行ってきたわけでございますけれども、今回、指定確認検査機関が確認検査を行った物件でこのような偽装問題が発生したことは、まことに残念なことでございます。今後、社会資本整備審議会の建築分科会に専門の部会を設けて制度全体の見直しを行いますけれども、御指摘を踏まえまして、きちんとした再発防止策として意義があるものとなるよう御検討いただきたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 今回の問題で、建築士全体に対して大きな疑問の目が向けられております。私は、ほとんどの建築士の皆さんが日ごろまじめに仕事をなさっておると信じております。

 その建築士として設計業務に携わる人たちが大きく三つの分野に分かれております。一つが、意匠設計、つまりデザインであります。あるいは、構造設計に通じた人たち。あるいはまた、設備設計に通じて、これに主として従事する人たちであります。この中で、人命にかかわり、より高度な技術を要する構造設計の分野において、公的な認定制度をつくるお考えはないでしょうか。

 例えば、代々木のオリンピックプールなど、有名な建造物を多く手がけられたあの丹下健三さんには優秀な構造設計士がついていたからこそ、あのような歴史に残る建物ができたと聞いております。

 構造設計士としての資格を明確化した上で、責任を持った対応をとること。例えば、公的認定を受けた構造設計士が建築確認申請書類の内容に責任を持って、かつ、署名をしてこれを提出することを義務づける、そのようなことをまた考える必要もあろうかと思います。一方でまた、建築士の資格について更新制度を設けるべきじゃないか、そういった指摘もあります。あわせて政府の見解をお伺いいたします。

山本政府参考人 御指摘いただきましたとおり、建築設計につきましては、意匠の設計、構造設計、設備設計に大別されまして、特に大規模の建築物については、それぞれの分野を専門とする建築士の共同作業によりまして設計がとり行われております。

 地震国であります我が国におきましては、構造設計は建築物の安全性を確保し国民の生命財産を守るために必要不可欠な要素であることにつきましては、かねてから十分認識しておりまして、現行の一級建築士試験の学科の試験、四科目ございますけれども、この中の一科目は構造でございまして、構造について所定の知識を有する者でなければ建築士の免許を与えられないというのがそもそも制度の前提でございます。

 このたびの構造計算書偽造問題につきましては、建築士が故意に偽装を行ったものでございます。技術者としての倫理観を欠いた行為がその原因ではありますけれども、姉歯建築士に発注いたしました元請の一級建築士事務所においてこの偽装がチェックされなかった点にも問題があると認識しております。

 免許の問題もございます。

 我が国のいろいろな免許制度、特に更新がある制度につきましては、例えば運転免許が典型でございますけれども、身体的な能力がだんだん失われるというようなこともあって、視力、体力ですけれども、更新制をとっていると聞いております。そのほかの、教員、医師等のいろいろな議論が行われていると聞いておりますので、今御指摘いただきました事柄、更新制も含めまして、建築審議会での検討の中ではきちんと検討した上で結論をいただきたいと思います。

 特に、設計業務が専門分化している状況下における建築士と建築士事務所の能力の維持向上を図るための方策として、御指摘のような点を含めて、広く意見を伺いながら検討していく考えでございます。

小里委員 ありがとうございました。

 大半の入居者の方々は、ついの住みかとして一生に一度か二度の買い物をして、かつまた、多数が巨額のローンを抱えております。

 住宅の品質確保に関する法律では、構造上の欠陥につきまして売り主に十年の瑕疵担保責任を義務づけております。まず、これにより、売り主が賠償すべきであることは言うまでもありません。また、他の関係者も含めてその責任が徹底的に追及されるべきである、そのことはまた言うまでもありません。

 そこで、関係者にその義務遂行能力がない場合あるいは倒産した場合、被害者の救済策が問われます。民間検査機関を国が指定している、そのことを考えた場合、行政が全く無関係とは言えません。行政としての責任と救済措置のあり方をどうお考えになるのか。

 また、関連して解体の問題でございます。

 倒壊するおそれのあるマンションやホテルの解体が急がれております。売り主に解体の負担能力がない場合、所有者たる住民に負担が行きかねません。公的負担によることは考えられないでしょうか。阪神・淡路大震災では、その瓦れき処理を公的負担において行いました。これが復旧へのその第一歩となって、スムーズな復旧がなされたわけであります。

 近隣住民の早急な安全の確保と入居者への救済対策として、また、これは道路など公的な部分における被害も想定される話であります。あわせて大臣の御見解をお伺いいたします。

北側国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、まず第一義的には売り主としての瑕疵担保責任、これは契約責任です。無過失責任です。瑕疵があることは本件では明らかです。である以上、売り主としての責任をまずはしっかりと果たしていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、今委員がおっしゃったように、本件にはさまざま関係者がいらっしゃいます。その関係者の方々の責任はないのか、しっかりと明らかにしていく必要があると思っております。

 委員のまず最初の御質問は、行政はどうするんだ、行政の責任をどう考えているんだというお話かと思います。

 この建築確認という行為は、これは公の事務でございます。民間の検査機関がやっている場合が今半分ぐらいあるわけでございますが、民間検査機関がこの建築確認行為をやったとしても、これは公の事務でございます。さらに言うならば、これは自治事務なんですね。私は、そういう意味で、この問題については、純然たる民民の問題であるというふうに割り切るわけにはいかないというふうに考えております。そこは行政としてしっかり、関与があるわけですから、行政としての責任を果たしていかねばならないというふうに私は考えておるところでございます。

 きょうも、実を言いますと、この委員会と、昼間の時間帯に関係局長会議を開かせていただいております。昨日は関係大臣の会合もさせていただきました。関係大臣間でしっかりこの問題について現状と課題について認識を共有していただく必要があるということで、私からお願いをいたしまして、関係大臣の会合もさせていただきました。きょうは関係局長会議を開かせていただきまして、今後の行政としての対策についてどうしていくのか、具体的な議論をさせていただいているところでございます。

 解体の費用についても、解体の問題についても同様でございまして、今、この公的支援に関する基本的な考え方につきまして早急に取りまとめるよう私も指示をし、まだその議論をして検討をしているところでございますので、もう少しお時間をいただきたいというふうに考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 対策全般として迅速かつ的確な対応をお願い申し上げまして、質問を終えます。ありがとうございました。

林委員長 松本文明君。

松本(文)委員 自由民主党の松本文明でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、今回の問題について、三つの視点を頭に入れて質問をさせていただきたいと思います。第一は、被害者救済をどうしていくのか、これが第一の視点であります。第二の視点は、犯罪者を厳しく裁かなければならない、そしてまた瑕疵保証責任、これを徹底的に追及していかなきゃならない、これが第二の視点。第三は、最も重要でありますけれども、今後こうしたことが起こり得ない制度に今日の制度を改めなくちゃならない。この三点を頭に置きながら質問に入らせていただきます。

 まず、きょう現在で倒壊のおそれのある建物、これが何棟あって、そしてそれぞれに何世帯の方々がお住まいで、それは人数にすると何人になるのか教えてください。

山本政府参考人 きょう現在で、都府県から偽装の報告が参っておりまして確認できている建築物は、四十二棟でございます。このうちマンションは二十三件でございますが、すべてについての総戸数、それから入居者数は把握できておりません。

 戸数が把握されております竣工済みの十三棟のマンションについて、総戸数は四百七十一戸となっております。損失資産を大まかに試算しますと、戸当たり約三千万円といたしまして約百四十億円という計算になります。入居者の方の人数はまだ把握できておりません。

松本(文)委員 住宅局長、まだそこに何人がお住まいになっているのか実情を把握できていないというのは、事件が発生して既に一カ月近くたとうとしているさなかで、もうちょっと危機感、スピード感を持って対応をお願いしたいと思います。

 これらの被害者の方々は、ある日突然地震に襲われたようなものでありまして、資産を一瞬のうちに失って、なおかつ借金をしょい込んで、夢を打ち砕かれて、そして今この瞬間にも命が失われるかもしれない、そういう状況の中にある。こういう認識でよろしいですか、局長。

山本政府参考人 今回の事案に係る住宅には、建築主がみずから賃貸住宅を経営される方もございます。それから、ディベロッパーとして投資用のマンションを建築して、投資家にこれを販売された方もございます。三つ目の類型が、マイホームとして、頭金を積み立てた上で多額の借金をして、自分の生活の本拠として住宅を購入された方々もあるわけでございます。こういう自分たちの生活の本拠として借金をしてマンションを購入された居住者の方々にとって、今回の事件は突然の出来事でございまして、また、最終的にこの責任関係に決着をつけるには司法手続によるほかはないわけでございますけれども、それにも非常に長い時間がかかります。

 そういう状況の中で、今後の生活について大変御心配になっているというか、その御心配については察するに余りあるわけでございますけれども、そのことを考えましても、今回、住宅を購入された方、入居された方の中で、特にマイホームとして購入して居住しておられる居住者の方々の安全とその住まいの安定を確保するということが、一番急がなければならない事柄だと認識しております。

 国土交通省としましては、関係省庁が一丸となりまして、関係する公共団体ともしっかり連携をとりまして、検討して対策を講じていかなければならないということで取り組んでいるところでございます。

松本(文)委員 先ほど大臣から述べられたように、今被害に遭われている方々の命が危険にさらされている、その安全をどう確保するかが最も重要だ、こういう大臣のお話がございました。しかし、今、一体幾つの命が、何人の命が危険にさらされているのか把握できていないということは、私は大変に不満であります。

 大臣、感想があったらどうぞ。

北側国務大臣 当初、二十一物件あったんですが、そのうち竣工済みのものが十四棟ありまして、この十四棟のうち、一棟がホテル、七棟が分譲マンションです。六棟がワンルームマンションなんですね。そして、このワンルームマンションの方は二百三十五世帯なんです。そして、分譲マンションの方は二百三十六世帯でございます。二百三十六世帯と二百三十五世帯。分譲マンションの方が、二百三十六世帯の方々がいらっしゃいます。

 その後、この二十一件以外のところで今広がっておりまして、まだ全容が掌握されていないところでございますが、今掌握している中はほとんどがホテルなんです、出てきているのは。ホテルでございまして、一部、戸建て住宅が二件、戸建て住宅が二件ですから二世帯でございます。そして、一部、共同住宅兼事務所というのが竣工済みで一つあるんですが、これだけでございまして、あとはすべてホテル、こういう状況でございます。

松本(文)委員 大臣、ありがとうございました。

 ところで、大臣、被害者の方々というのは、マンションあるいはホテル等々の資産を取得されたときに、取得税あるいは固定資産税、こういったものを既にもうお支払いになっている、こう思うんですね。やはり、行政の親切心というんでしょうか温かみを感じていただくためにも、今や、これらの資産は全く資産価値ゼロ、マイナス物件でありますから、こうした税は速やかに返還をされるべきものだ、こう思うんです。

 これは大臣の所管ではありませんけれども、北側大臣の思いを教えていただけると大変ありがたいな、こう思うのでありますが。

北側国務大臣 不動産取得税も固定資産税も、ともに地方税でございます。

 固定資産税につきましては、当然、これ以降、行政の方も退去をお願いしないといけない、そして棟によっては取り壊しをするということでございますので、これは、事実上使用不能となっていること等から、税負担が小さくなる、もしくはもうゼロになるということに今後はなっていくというふうに思われます。

 不動産取得税の場合は、私が立場上お答えする立場ではないんですが、これも取得というところに着目をして課税をしている税でございまして、これをさかのぼって返還するということはなかなか困難なのではないのかなというふうに私は思っているところでございます。

 いずれにしても、被害に遭った居住者の方々に対しまして何ができるのか、そこはしっかりと検討をしていく必要があると考えておりまして、国土交通省だけではなくて、政府全体として情報を共有し合って、課題を共有し合って、しっかり対応をさせていただきたいと考えております。

松本(文)委員 北側大臣と税のことについて議論するつもりはさらさらありません。ありませんけれども、しかし、買った時点からマイナス資産だったことは明らかであります。取得をした時点からその建物は壊されなければならない運命をしょっていたものをだまされて手に入れたわけですから、やはり温かい思いを持って、徴税をするときには厳しくやるわけなんですから、ぜひ、関係大臣の方に大臣の方から、まだお見舞金も出していない状況なんですから、その程度は返したらどうかぐらいのことは話をしておいていただきたい、要望をいたしておきます。

 都道府県や区市において、退去勧告が出ているところもあるし、出ていないところもある。正確な状況を教えてください。

山本政府参考人 十一月二十九日現在でございますが、自主勧告も含めた使用禁止命令等を居住者に通知した特定行政庁は、十一特定行政庁のうち、船橋市、川崎市、横浜市及び藤沢市の四市であるとの報告を受けております。

松本(文)委員 事態は似たり寄ったりということなんですが、行政の対応として、出ているところもある、出ていないところもある。このばらばらの指導というんでしょうか、勧告ということの理由を教えてください。ばらばらにやらなければならない理由。

山本政府参考人 安全の確保という観点からは、早急な退去が必要だと考えております。

 このために、国土交通省と関係地方公共団体から成ります構造計算書偽造問題対策連絡協議会におきまして、十二月中旬までの退去を促すよう十二月一日までに命令等を行うことを申し合わせました。命令等は、建築基準法に基づく命令のほか、法律に基づかない勧告も含むわけでございますが、十二月一日までに命令等を行うことを申し合わせたところでございます。これまで命令等がなされていない地方公共団体におきましても、あすまでに住民への働きかけが行われるものと考えております。

 これまでの取り組みに時間差がございますのは、構造再計算などによる建築物の危険性の掌握、それから、受け入れ住宅の準備等に要するいろいろな手順、手続に時間差があったものと受けとめております。

松本(文)委員 局長、使用禁止命令あるいは是正命令、これは建築基準法に定められているものであります。退去勧告というのは、これは、法の根拠に基づかない、行政がきちっと、危険ですからということの勧告なんです。

 建築基準法という法に基づいたこうした禁止命令や是正措置、こういう措置というのは、速やかに行わなければ、今地震が起きたら一気にいっちゃうという、時間をかけていいという話じゃない。計算ができ上がるまでちょっと一週間待ってください、そういう余裕のある話じゃないような気がするんですが、そこら辺についてもうちょっとわかりやすく説明してください。きょう地震があって壊れた分は、これはもうしようがない、人が死んだ分はしようがない、こういうことなんでしょうか。

山本政府参考人 地震は待ったなしであるということは間違いありません。したがって、できるだけ早く退去していただきたいという方針に変わりはないわけでございますけれども、事柄は居住者の生活の本拠を移すということでございますので、きちんと手順を整えた上で進めていかなければならないのでこういうことになっているというのが実態でございます。

 私どもとしては、公共団体が努力されて十二月中旬までに退去してもらえるように、最終的には基準法に基づく命令にまで至るというふうに考えております。

松本(文)委員 今、大変多くの方々の命が危険にさらされている、そういう状況の中で、もっとスピード感を持ってできないのかという思いが私の方にはあります。ぜひそこら辺を御理解いただいて対応していただきたいな、こう思うわけであります。

 きのう視察をさせていただいたホテル、通りに面して、区民が歩いている道路に面して、見上げてみると、これが崩れてくるのかと思うと大変強い恐怖心を覚えました。しかし、その建物には危険な建築物であるという表示も出してなければ、その通りを人が通行するのに、危険ですよというようなことも対策も何にもとられていない。また、そういう危険な建物がそこにありますよということの住民説明、これがとられているところもあるし、とられていないところもある。この程度の危険性なのかということにも、あの現場を視察させていただくと、そうも思えるわけであります。

 そこら辺の対応がどうして、命が危険にさらされているということと実態とのギャップというのが物すごく大きく感じるわけでありますが、住宅局長、そこら辺はどう認識をされておりますか。もっとわかりやすく国民に説明をいただきたいと思うんです。

山本政府参考人 先ほど来御説明しておりますように、特定行政庁と一緒になって、特に危険性が明らかになりました物件について、この情報を、現在住んでおられる方を中心に所有者に的確に情報を提供する、それから周辺住民への情報の提供を説明会等で行う。それから、先ほど申し上げましたように、居住者に退去していただけるように、法律に基づいた、建築基準法九条を根拠とした命令等の措置に進めてまいるわけでございますが、今御指摘いただきました、現場できちんと居住者それから周辺の皆様方に一見して明白に危険性が認識できるように、きちんとスピーディーに措置すべきだというのは大事な御指摘でございますので、改めて協議会で特定行政庁とも協議して、遺漏のないように努めてまいります。

松本(文)委員 中越地震のときにも、これは危険な建物であるというような張り紙がきちっとされて、そして危険な箇所には近づかないようにというような対応がされておりました。ぜひ、余り協議に時間をかけずに、きょうの午後にでも局長からそれぞれの自治体の長に電話をしてでも、早急に対応するように御指示をいただければありがたい、こう思うわけであります。

 ところで、退去命令というのは大体いつごろ、十二月一日ごろ退去命令というのを出される予定ですか。もう一度お答えをいただきたいと思います。

山本政府参考人 法律に基づく命令あるいは事実上の勧告を含めて、あすじゅうに発するという予定でございます。

松本(文)委員 当然、退去命令を受けた方々が避難をすべき避難住宅が用意をされていなきゃなりません。避難住宅というのは、瑕疵担保責任を負うべき、きのう来られた参考人の方々が負うべきことは当然だ、こう思うわけであります。しかし、それをあのきのう来られた方々に期待することはまず無理だな、こう思っております。

 そこで、国と地方自治体が協力をしてやる、こういうことになろうかと思うわけでありますが、その避難住宅、引っ越していただく場所の確保は既にきょうじゅうにできた、こういうふうに認識してよろしいかどうか、住宅局長、御答弁をいただきます。

山本政府参考人 今回危険とされましたマンションにつきましては、居住者の方々の安全を第一に考えまして、住民の方が希望する場合に、公営住宅などの公的賃貸住宅のあっせんに努めておりまして、既に東京都、神奈川県、千葉県の公営住宅や都市再生機構の賃貸住宅の確保を進めておりまして、各都県に相談窓口を開設して相談に応じているところでございます。

 例えば、現在の対応状況について御紹介いたしますと、まず千葉県でございますが、受け入れ住宅は、県営住宅、それから近隣の市町営住宅、公社賃貸住宅、特定優良賃貸住宅、合わせて二百七十戸用意しております。それから東京都でございますが、受け入れ住宅は、都営住宅、関係の区営住宅、公社の賃貸住宅、特定優良賃貸住宅ということで合計五百戸を用意しております。神奈川県については、受け入れ住宅として、県営住宅、横浜、川崎、藤沢市営住宅、公社の賃貸住宅、特定優良賃貸住宅で二百八十六戸用意しております。それから都市再生機構につきましては、一都二県の担当窓口に情報を提供しておりますが、これは十一月二十五日現在でございますが、千百三十二戸の住宅を用意しております。

松本(文)委員 住宅局長、一つ確認をしたいわけでありますが、それらの住宅に入居される方々から家賃を取ろうなんて考えていないと思いますが、もちろん無料ですよね。お答えください。

山本政府参考人 これにつきましては、公的住宅の経営主体によって差が出ておりまして、まず千葉県につきましては、近傍同種の家賃をいただくということでございます。敷金はいただかない。それから、東京都につきましても同様でございます。神奈川県につきましては、県営、それから横浜、藤沢市営は使用料免除となっております。機構住宅は、通常の家賃をいただくという取り扱いとなっております。

松本(文)委員 中越地震で被害を受けられた方も、今回、詐欺、犯罪被害によって家を出ざるを得ない方々も同じ日本国民であって、同じ状況であります。避難生活がこれから始まるわけであります。それに対して、同じ国税を取られた国民が被害を受けたとき、こんなにばらばらでいいはずはない、こう思うのでありますが、大臣、無料にしますとちょっと答えてください。

北側国務大臣 これは、地方公共団体、また今、特定行政庁と協議会を三回やりました。あしたも第四回目を関係特定行政庁との間で開かせていただきます。

 まずは、居住者の方々の安全を確保すること、これが最も大事で急ぐことでございます。その後の家賃の問題についてどうしていくのかということについては、これは今後の重大な課題であるというふうに思っております。しっかり特定行政庁等と協議をさせていただきたいと思っております。

松本(文)委員 時間がなくて、あと五分だそうであります。

 大臣、今回のこうした被害、これだけ大きな状況が出てくるというのは、この日本国でかつて想定をされておりません。したがって、そういう法体系にはなっておりません。なっていないんですけれども、震災や豪雨、そういう自然災害を想定して立法された法律、あるいは犯罪被害者支援法等々あらゆる法律を動員して、やはり新たな立法措置が必要だということであれば、それをしてでも被害者救済をしますよということを今大臣が明確におっしゃっていただくことが被害者の皆さん方の勇気、希望につながるわけでございますから、ぜひ大臣、そこら辺をもうちょっとオープンに、わかりやすく、少し大見えを切った気分で大サービスの答弁を求めたいのでありますが、よろしくお願いします。

北側国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、今回のこの事件というのは純然たる民民の問題ではないと私は申し上げているんです。公的な関与がある。または、そもそもこの建築確認というのは公の事務である、また地方自治の自治事務なんです。それを一部、民間検査機関が建築確認事務というのを担っているわけです。公の事務である、自治事務であるということは変わらないわけです。実際、行政の関与があるわけでございます。そういう意味で、純然たる民民の問題ではない、行政もきちんとした責任を果たしていくべきであるということは、私は一貫して申し上げているところでございます。

 今、特に一番急ぐべきことは、居住者の方々の安全を確保すること、また周辺住民の方々の不安を取り除いていくこと、また居住者の方々の居住の安定に資するための対策をとっていくこと。何ができるのかということを、これは国土交通省だけではできません、関係省庁にも集まっていただいて、きょうも昼から局長会議をやらせていただいて、どういう対策ができるか検討している真っ最中でございます。

 ぜひ、そのことを御理解お願いしたいと思っているところでございます。

松本(文)委員 ぜひお願いをいたします。

 瑕疵保証義務の話でありますけれども、当然これは果たされなくちゃいけない。木村建設は倒産をいたしました。これは、瑕疵保証義務をどう果たさせるかは大きな課題だ、こう思います。元凶であります姉歯設計士、この人にも、めぐりめぐっていけば、法律をたどっていけば、そこにたどり着くのかもしれません。

 しかし、こういう人たちから、やはり倒産をして逃げちゃったら補償はとれないよということでは話にならぬ、こう思うのであります。徹底的にここら辺をとるために、まず国がかわってこれら関係者の資産を全部押さえて、押さえた上で、そして後で整理すればいいんですが、とりあえず押さえないことには、資産を移しちゃって計画倒産をされちゃって、後には一銭も残らなかった、これでは全く瑕疵保証義務は果たされない、こう思うのであります。国の姿勢として、そういうことは絶対に許さないぞ、こういう姿勢をまずは示すことが大切だ、こう思うのでありますが、できたら大臣、御見解を伺いたい。

北側国務大臣 これも先ほど来申し上げていますとおり、売り主として無過失責任、瑕疵担保責任があるわけですね。瑕疵は明確に本件の場合あるわけです。その売り主というのも契約責任をしっかり果たしていただかないといけないということは、強く私どもも求めているところでございます。

 今、委員の方からは、国なり行政なりが直接今回の関連する会社等の資産について保全をできないのか、こういうお話でございます。御趣旨はよく理解できるわけでございますが、国はそうした関連会社との間で直接の債権債務関係というのは現時点においてないわけでございまして、今、そういう中で保全措置を国が直接とっていくということは、法律上は困難だというふうに認識をしております。

松本(文)委員 時間が終わりました。終わったんですが、甘えてあと一つだけ言わせてください。(発言する者あり)そうですか。はい、わかりました。

 どうもありがとうございました。

林委員長 松本剛明君。

松本(剛)委員 おはようございます。民主党の松本剛明でございます。

 本件事案について、これから私と同僚議員の方から順次御説明をさせていただきます。

 きょうは、特に大臣に御答弁をあらかじめお願い申し上げております。かなり事実関係に関することも含めてお願いを申し上げておりますけれども、通常の法案審議、政策審議とは違って極めて重大な事案であるだけに、情報がすべて官僚からきちっと大臣に上がっておられるのか、こういうことも大変懸念をされるところがないわけではないだけに、ぜひ大臣に御答弁をお願い申し上げてまいりたいと思います。

 率直に申し上げて、今与党委員の御質問をお聞きしていても、私どもの感覚に近いところがあります。若干違うのは、住民に対する責任は責務であってサービスではないと私どもは思っておりますけれども、それだけ声が出ている中で、先ほども、大臣の答弁と住宅局長の答弁では残念ながらトーンが違うと言わざるを得ないのではないかな、このように思っております。

 先ほどというか本日の冒頭でも、また今の御答弁でも、大臣は、純然たる民民とは言えない、このようにおっしゃいました。一番最初、これは発表の日ですか、大臣が海外におられたということで、沓掛臨時代理は、民民の関係の問題であるというふうに当初言っておられました。言っておられましたけれども、大臣の方で、純然たる民民とは言えないということで会見で恐らく整理をされたんだろうというふうに思います。

 ただ、今も、被害者の安全の確保、居住の安定が大変重要な問題だということで早急にお取り組みの旨、御答弁がありましたけれども、この純然たる民民の関係だとは言えないとおっしゃっていること、どういう趣旨でおっしゃっておられるのかをぜひ明らかにしていただくことが住民に対する不安の解消にもつながるのではないか。

 残念ながら、今の状況を見ていると、そして各地方自治体の方では既に対策等もスピーディーに発表されていることを思いますと、この純然たる民民とは言えないと大臣がおっしゃっているのが、よく言えば孤軍奮闘、大変失礼な言い方を承知で申し上げれば、悪く言うと口だけになりかねないということを懸念しておりまして、ぜひこの場ではっきりと、大臣の、内容を含めた、純然たる民民とは言えないという責任、責務の趣旨をお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 この建築確認事務というのは、公の事務、そして特定行政庁である地方公共団体の自治事務なんです。公の事務なんです。その公の事務につきまして、従来は建築主事がいらっしゃる地方公共団体が、特定行政庁がすべてをやっておったわけでございますが、これが平成十年の制度改正で民間にも開放された。現状は民間で半分ぐらい、そして特定行政庁で半分ぐらいの建築確認事務をやっているわけでございますが、そうした制度改正があっても、私が冒頭申し上げた、民間検査機関がこの建築確認事務をやっていたとしても、今の制度上はこれは自治事務であり、公の事務であることは変わらないわけなんです。そして、現にさまざま行政が、特定行政庁が、また国が関与している部分があるわけです。そういう意味で、純然たる民民の問題ではありませんよということを、これは先週の火曜日から私は一貫して申し上げているところでございます。

 ですから、行政についても、今一番急ぐべきことは、先ほど来申し上げていますように、居住者の方々の安全を確保していくこと、そして居住の安定を確保していく、そのために行政としてどういう対策がとれるのか、今関係省庁間で議論を、検討をさせていただいているところでございます。それとまた、先ほど来申し上げていますように、これは自治事務なんですね、特定行政庁の方々とも今、あしたまた四回目をやらせていただきますけれども、ずっと連携をとって協議会をやらせていただいております。

 特定行政庁の方々と連携をとって、そして一緒になってこの居住者の方々への対策をとらせていただきたい。その内容についても今まさしく検討させていただいているところであるということを御承知おきいただきたいというふうに思っております。

松本(剛)委員 私もここまでの委員会を聞いてここへ参上しておりますので、ここでの御答弁の繰り返しはできるだけ、時間も限られていますので割愛をしていただいて、今おっしゃったように、民民ではないということになれば、今の事態が起こってこれから国としてどうされるのかということをお聞きしたかったわけであります。残念ながら、今のお話では検討するということにとどまっておりまして、各地方自治体と協議をされるということでありますけれども、各地方自治体はもう、今も先ほど委員の方がおっしゃっていたように、それぞれ対応されているわけですね、報告がありましたように。

 ですから、これは、できるところは、もちろん協議をして連携はしていただく必要がありますけれども、国としてできるところはどんどんどんどんやはり踏み込んでいただく。こうでないと、我々としても、まさにさっき、国税を払っているんだからという話が、与党の委員の方からも話がありました。これが、出方を見てというふうにでも聞こえるような形だと、先ほど申し上げたように、大臣が民民ではないとおっしゃったにもかかわらず。

 これは、民民ではないというのは、国はとりあえず違うけれども民民ではない、こういう意味ではないわけですよね。国もかかわりあるということですよね。

北側国務大臣 先ほど来申し上げている、地方、特定行政庁がとろうとしている例えば公営住宅の提供等々、これも国と特定行政庁が今連携をとってそういう判断を出しているわけなんです。特定行政庁だけの判断でやっているわけじゃないんです。三回も協議会をし、あしたも協議会をやり、また日ごろの連携はしっかりとらせていただいております。

 また、さまざまな、住宅金融公庫については、融資の返済の猶予についても、そうしたことも住宅金融公庫や、また金融庁を通して民間金融機関にもお願いしていただくだとか、そうした取り組みも今しているところでございます。

 特定行政庁と国とが別々でそれぞれやっているんじゃありません。一緒になってそうした支援策を進めていこうと今しているわけでございます。

松本(剛)委員 大臣、我々ここで対決法案をやっているわけではありませんので、国民のために今何ができるかということをやらせていただきたいと思っています。

 ただ、連携をとっているとおっしゃるのであれば、先ほどもあったように対応がばらばらじゃないですか、地方自治体によって。(北側国務大臣「何の対応ですか」と呼ぶ)住宅の入り方一つにしても、先ほど住宅局長がおっしゃっていたように、家賃の問題一つにしても。

 連携をとっているなら、ぴしっとそろえておやりになるべきだということになると思うんですよ。きちっとそれぞれ対応をしていただく、国としてできることをきちっとやっていただきたいということを申し上げているわけであります。

北側国務大臣 今、大事なことは、公営住宅や機構住宅やさまざまな住宅、転居できるような住宅をしっかり提供することがまず第一なわけですね。その確保については、先ほど住宅局長が答弁をさせていただいたように、地方と連携をとりながら、そうした数は出してきているわけなんです。相談窓口もつくらせていただいているわけなんです。

 その上で、今委員のおっしゃった、例えば家賃の問題で違いがあるじゃないかというところについては、これは当然、今後しっかり地方の方と協議をさせていただいて、どうしていくのかよく議論、検討、調整をしていく必要があると考えております。

松本(剛)委員 家賃の問題は、私だけではなくて与党の委員の方もおっしゃったのは、こういうことが整理されないと実質的な転居が難しいということを住民の方々が思っていればこそ、そういう話が出てきている。これは普通の感覚だと思うんですよ、私だけではなくて与党の委員の方もおっしゃっていたわけでありますから。ぜひそのことを、早急に足並みをそろえて、きちっと住民の方々の安全が確保されるような対策をとっていただきたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 これは、先ほど申し上げたように、やはり私どもは、大臣がおっしゃったように、純然たる民民とは言えないというその感覚をぜひそのまま生かしていただいて、国の責務としてお進めをいただきたいということを申し上げたいと思います。

 もう一つ、この問題については、やはり責任の所在、原因の究明というのも大変重要な問題だろうというふうに思っております。残念ながら、与党の幹事長が悪者捜しをしてはいけないとおっしゃったようですが、きょう、その話のそういう感覚ではなく、しっかり大臣におかれては原因究明をしていただけるもの、こう思って質問をさせていただきたいと思っております。

 一つ、この指定確認検査機関、イーホームズに対して指定をされておられますけれども、そして、先ほど指定確認検査機関はおおむね一年に一遍立入検査をするといった趣旨の御答弁があったかにお聞きしておりますが、イーホームズ設立以降、いつ、どのように検査をされてきたかということを、履歴をお知らせいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 指定を行いました指定確認検査機関に対し、確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するために必要があるときは、事務所に立ち入り、業務状況や帳簿等を検査しまして、関係者に質問することができるということになっております。

 イーホームズに対しましては、平成十三年の十二月の二十一日に業務を開始しておりまして、これまでに五回、本社事務所等への立入検査を行っております。

 第一回及び第二回は平成十四年の六月十日及び同年の九月三十日に実施をしておりまして、特段の指摘は行っておりません。

 第三回は平成十五年の十月二十七日に実施をしておりまして、業務区域拡大の相談があったことを受けて、着実に組織体制等を整えた上で行うよう指導しているところでございます。

 そして、第四回目が平成十七年の十月二十四日。これは、匿名の電話が国土交通省にございました。業務がずさんである、具体的には帳簿を備えていない、十分備えていない、こういう匿名の電話がありましたので、平成十七年十月二十四日に緊急に立入検査を行いました。検査の結果、帳簿を備えつけておらず、処分を今検討している中で今回の事件が発生したところでございます。

 第五回目は、今回の事件の発生に関連いたしまして、平成十七年十一月二十四日及び二十五日に実施をいたしました。その結果、今回、偽装が大量に見過ごされたのは、法令遵守義務のある一級建築士という国家資格を持った者が大臣認定された構造計算プログラムを用いて構造計算を行っていたという点を過信して、イーホームズが計算過程を十分に審査せず見過ごしたというものでありまして、適正に審査を行っていなかったことが原因であると考えております。

松本(剛)委員 このうち、きのうの参考人質疑で藤田社長が、二、三年前には他の法令違反等の通報に基づく調査と思われる立入調査があったというようなことを参考人の招致でおっしゃっておられたと思いますが、それは平成二年のどれかがそれに当たるという理解でよろしいんですか、続いてありますが。

北側国務大臣 私もきのうの参考人質疑を聞いておりましたが、私の理解では、ほかのところでそういう立入検査があったという話をおっしゃっていたのではないかと思います。

 緊急の立入検査をやりましたのは、この第四回目の平成十七年十月の二十四日、そして今回の十一月の二十四日、二十五日にかけての立入検査でございます。

松本(剛)委員 私の理解では、ほかに法令違反があって、だあっと入ってくるということであったようにお聞きをしておりましたけれども。

 そうすると、これは平成二年六月、九月とあって、そして平成三年の十月とあって……(北側国務大臣「そうは言っていない」と呼ぶ)平成十四年、ごめんなさい。平成十四年の六月と九月、それから十五年の十月とあって、二年あいて十月ですよね。二年あきますよね、そこで。しかも、これは匿名の電話があってやったわけですよね。

 先ほど、一年に一度ぐらいは検査をしているということでしたけれども、実質的にはそこまではとても回っていないという理解でよろしいんですか。

山本政府参考人 ちょっと補足して説明させていただきます。(松本(剛)委員「短くしてください」と呼ぶ)はい。

 平成十四年の六月十日は定期の検査でございます。

 それから、平成十四年の九月三十日は、大臣が指定した機関全部一斉検査しました。これは、きちんとした資格者が確認業務を行っていない機関があるという情報がありましたものですから、一斉にやりました。これは定期ではございません。

 それから、十六年に実は本来秋から定期立入検査に入るというのが通常のペースですが、昨年は中越の地震が発災いたしまして、人的に余裕がなかったために立入検査ができませんでした。

松本(剛)委員 続いて、改めて大臣に、本件事態を把握されてから、まずは公表までの状況について、大臣の把握されているところ、御報告を受けておられるところを御説明いただきたいと思います。

北側国務大臣 今回の問題につきまして、国土交通省が状況を把握した時点から公表までの経緯という御質問でございます。

 平成十七年の十月の二十六日に、イーホームズからEメールにて、改ざんについて特定行政庁に通知する前に報告をしたい旨の連絡がEメールでございました。そして十月の二十八日に、住宅局建築指導課の担当者が省内において直接このイーホームズから話を伺いました。そして、次の週の三十一日に、イーホームズ株式会社に対しまして、報告のあった案件については特定行政庁への報告を行って構わないこと、そして構造計算関係の書類を報告していただきたいことを伝えております。

 そして十一月四日に、イーホームズから構造計算関係の書類、これは北千住の工事中の物件についての一件でございますが、それについての構造計算関係の書類が報告をされました。それを受けて改ざんの事実を確認いたしまして、さらに十一月八日の日に、イーホームズからEメールにて、現時点の改ざんの物件は全部で十七件であるという報告を受けております。

 このため、国土交通省では、建築事務所を監督する千葉県に、姉歯建築設計事務所の立入調査の実施の要請、これは十一月九日にやっております。さらには、違反是正指導等を行う特定行政庁に連絡をしまして、該当物件について設計者等に構造再計算をさせ、結果の報告聴取を求める等の対応を要請しているのが、これが十一月十日。そして、イーホームズ及び東日本住宅評価センター、これはもう一件の指定確認検査機関でございますが、そこから確認審査の状況等を聴取、これを八日から開始しております。

 イーホームズから提出された書類のうち五件分について分析を行ったところ、五件すべてにおいて偽造が行われたことが確実であり、そのまま施工された場合に、構造上、耐震性に大きな問題がある可能性が高いことが判明をいたしましたのが、これが十一月の十二日、土曜日の夜というふうに聞いております。

 そして、工事中、未着工の物件につきまして、特定行政庁から工事停止等を要請するなどの緊急の対応を行いまして、十一月の十七日に、経緯、当面の対応、相談窓口の設置等について取りまとめて公表をしたところでございます。

松本(剛)委員 公表までの間に関係者とどういうふうに接触をされたのかということをぜひ大臣に御報告をいただいて、大臣から委員会で御答弁をいただきたいというふうに私はきのう国土交通省の方には申し上げておったんですけれども、若干ニュアンスが違う御答弁をいただいているのではないかな、このように思います。

 まず一点、先ほど、イーホームズに対して十月二十四日に立入検査をしたと。一方で、イーホームズ自身は、きのうの話からすると十月の二十日の時点では既に偽装を把握していた。両方の話を聞く限りでは、この十月二十四日の時点でまず大きなすれ違い、よく言えばすれ違いが起きているようでありますが、この点については国交省として調査をされましたですか。つまり、検査が、なぜこれが見抜けなかったのかといったようなことについては何らかの整理、調査をされたかどうか。

 十月二十四日、匿名の電話があってイーホームズに立入調査をされたわけですね。この匿名の電話があったような場合、先ほど帳簿についてという匿名の情報だということでしたけれども、もうこういうのはそのことだけやって帰ってくる、こういうことなんですか。

北側国務大臣 先ほども答弁申し上げましたように、匿名の電話で、帳簿が備わっていないという匿名の電話が入りました。ということで、すぐに立入検査、これは十月二十四日でございますが、立入検査に入って、その帳簿についての確認をさせていただいた。実際、帳簿等について十分備わってなかったということでございました。

松本(剛)委員 既にこの時点で前の検査から二年あいているわけでございまして、こういう形で調査に行って、このときに、もう既にイーホームズの内部では、恐らく、内部監査はもう既に結論が出ているというようなことをきのうの社長は言っておられたわけですから、きちっと周辺の書類を点検すればその時点で話を聞くことが可能だったのではないかと思いますが、大臣として、これは明らかに、残念ながらそこで一つ大きなすれ違いが起こっていることは事実だと思うんですね。そういう検査でよかったのかどうかということをもう一遍国交省の内部で洗い直すように指示をされる気はありませんか。

北側国務大臣 そうであるならば、イーホームズの方からむしろ立入検査を、これはある意味では、匿名の電話があって、帳簿がないという指摘があってしているわけです。イーホームズは指定検査確認機関です。公の事務を担っている、みなし公務員である指定検査機関なんですね。そこが自主点検をしてそういう事実が判明しているならば、その時点で、彼らの方がきちんと、これは国土交通省の担当の係官に今こういう状況であるということをやはり言うべきじゃないでしょうか。

松本(剛)委員 大臣、イーホームズが悪くないなどと私は言っていません。言うべきであることは当然です。

 しかし、この指定検査確認機関の信頼が今大きく崩れているわけです。これを国がどう支えるかということを考えたときに、私はあえて建設的に、この指定確認検査機関への立入検査というものを本当に信頼できるものにしなければいけない。にもかかわらず、この事実を見る限り、十月二十四日、幾ら匿名の電話で特定の案件についての情報があったとはいえ、立入検査をして、既に会社の中では把握をしていたにもかかわらず、そのことが全くすれ違ったまま終わっているということであれば、これでは信頼回復をすることが難しい。だからこそ、この立入検査の状況とかやり方についてきちっとレビューをして、今後の対策をされる気はありませんかというふうに申し上げています。

北側国務大臣 まさしくこの指定確認検査機関に対する国の監督のありよう、また、指定しているのは国だけではなくて、地方整備局の場合もございます。また、特定行政庁にもございます。こういう指定確認検査機関に対する監督についてどういうふうに今後よりしっかりとやっていかなければいけないのか、そこは、おっしゃっているとおり今後の大事な課題であるというふうに認識をしております。

松本(剛)委員 ぜひ大臣、こういう具体的な事実を、一つ一つの中のレビューをされることによって対策をとっていくということが現実的な、かつ実効ある対策になると思うからこそ、ある意味で御提案を申し上げているわけであります。

 ちょっと違う観点からお聞きをいたしたいと思います。

 本件について、大臣が御報告をお聞きになったのはいつですか。

北側国務大臣 私のところに報告がありましたのは、十一月の十五日でございます。

松本(剛)委員 大臣、外遊中の先でお聞きになった、こういうことですか。出る前ですか。

北側国務大臣 十一月十五日は日本で私は聞きました。

松本(剛)委員 聞いてから予定の出張に出られた、こういうことですか。

北側国務大臣 十一月十五日に聞き、十六日に省内で、まずは今後の対応について協議をいたしました。私の方から十六日段階で、その段階での四件については、これは非常に危ないということが判明しましたので、これはすぐさま公表すべきであるということで私の方から次官に指示をいたしまして、翌日、十七日に地方公共団体や居住者への連絡がすべて終わった段階で夕方にでも公表をすべきである、そうした対応を決めて十七日の朝に出発したんですが、ただ、この十七日、これは、日本とASEANとの交通大臣会合で私が議長をしておりまして、すぐ行って、その議長としての職務を果たして、すぐまた戻ってきたということでございます。

松本(剛)委員 きょうずっと大臣にお聞きをしている理由の一つはここなんですよ。

 十月の二十六日の、当初の通報のときのレスポンスは問題があったのではないかというような会見がきのう国交省の側でもあったようですが、少なくとも二十八日から調査を開始されて、これだけ重大な事案が大臣まで上がってくるのに二週間以上かかっているわけですよね。しかも、これは人の命にかかわることだということは、大臣の認識も同じ御認識だろうというふうに思います。ここのところが一番大きな問題だと思っております。恐らく、途中の局長とか審議官とか、まず現場が把握されて、局長、審議官がいつかの時点で把握されて、また整理をして大臣に上がってくる。こういう案件でこういう仕事をしていて本当にいいのか。

 さっき、立入検査についても一遍レビューをされたらどうですかというふうに言いましたけれども、本件についても、どういう経緯で上に上げてくるのか、これはもうトップの危機管理の問題だと思うんですよ。上がってこなければ危機管理のしようがないわけでありますし、大臣がおっしゃったように、純然たる民民とは言えないというのは大臣が言われて初めてスタートをした感覚なわけですから、大臣に早くこういう問題をすぐ上げる仕組みにつくり直さないと大変なことになるということでお聞きをさせていただいています。

 もう一点だけ、時間が限られてきたので、お聞きをいたします。

 今回の経緯についてということで、今同僚の議員からも声が出ておりましたけれども、私は実は、公表までの間にどういう形で関係者が国交省の方とお会いになったのか、それをきちっと大臣に報告をして、そして大臣の口からお伺いをしたいというふうに申し上げました。

 一つは、恐らく、入ってくるのかこないのかと思っておりましたけれども、間違いなく、発表されているように、公表前の十一月十五日に伊藤公介議員が関係者を連れて国交省を訪れているわけですよね。このことについて大臣に御報告はどのように行っているんでしょうか。

北側国務大臣 これは、伊藤公介議員がヒューザー社長と国交省の建築指導課に来訪されたことは、これは後で聞かせていただきました。

松本(剛)委員 大臣、二十九日の会見で、伊藤公介元国土庁長官が公表前に担当課長に建築主を引き合わせた問題については、行政の判断が不当な圧力でねじ曲げられたなら大問題だが、今回の件では一切ないと。

 どのような調査をされて、一切ないという御判断をされたのか。担当の、会われた課長にお会いになった、伊藤公介議員にお会いになった、その辺のところをちょっと教えていただきたいと思います。

北側国務大臣 これは、建築指導課長が会っているかと思いますけれども、建築指導課長からも、居住者の安全確保が最優先であるというふうにお答えしていると。その後の経緯の中で、ヒューザーの社長の言ったことについて、何かこちらの方が行政の判断に影響を与えている、そういうことは一切ないと私は考えております。

松本(剛)委員 大臣、直接、担当の課長、局長、伊藤議員とお会いになって話を聞かれましたか。

北側国務大臣 局長、課長とはもう毎日のように会っておりますので。伊藤議員とはお会いしておりません。

松本(剛)委員 ぜひ大臣、今の、そもそも大臣にお話が入ってくるまでに二週間以上かかっているという問題、そしてこの伊藤議員の問題も、後から聞いたというお話、いつお聞きになったのかということをお答えいただきたいと思います。それだけ大臣がせっかく純然たる民民ではないとおっしゃっているにもかかわらず、先ほど、国の問題でもさまざまな問題が残ってくるわけでありますから、しっかりとした対応をして、もうここで住民に安心を与えていただかなかったら、本当に国に対する不信が高まってくると思います。本日の委員会の中でもお話しをいただくこと、そして、今申し上げたように、国交省の中のことについても、しっかり大臣から指示を出されて、一度全部洗い直されることが必要だと思います。

 このことを申し上げて、交代をしたいと思います。

林委員長 馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 昨日、参考人質疑におきまして、私は、事の第一発見者でありますイーホームズの藤田社長を中心に事実の確認ということをさせていただきました。そして、事実の確認の経緯の中で、十月二十六日に藤田社長から国土交通省へ、第一の発見者ということで連絡を行ったという御答弁をいただいているわけであります。私も昨日の質疑の中で、その答弁の中で国土交通省の対応というものについて若干の問題点があるのではないか、こう御指摘をさせていただいたわけであります。

 きょう、その点につきましてまずお伺いをしていきたいと思うわけでありますが、昨日十九時三十分ですか、国土交通省の建築指導課小川課長が、この経緯につきまして、国土交通省の記者クラブで記者会見をなさった。そして、その記者会見場で、イーホームズと建築指導課のやりとりという書面を配付されました。

 私は、昨日の国会の場で、参考人質疑の場でそのことを確認させていただいて、まさに国会の場で一つ一つ事実経緯を確認していこう、こう申し上げたわけでありますが、突然に昨日の十九時三十分、記者会見をなさった。報道に対して、国会の場ではなく、報道の場に対して御説明をなされたということでありますが、まず、そのことの経緯について、小川課長、きょう突然でございますが、住宅局の指導課長として小川課長においでいただいております。小川課長の方から御説明をいただけますでしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 昨日、この国会の審議の場におきまして、イーホームズ藤田社長より、私どもに十月二十六日に通知をしたが、この件について国土交通省は関知しないというような、そういうような回答をしたというふうな御発言がございました。そのことにつきまして、国土交通省の記者クラブの方から事情を説明してほしいという要請がございまして、それで御説明をしたものでございます。

馬淵委員 昨日の藤田さんの発言は、関知しないとはおっしゃっておられませんでしたね。私が、どういう状況でしたかということでお尋ねをしたところ、指導係長あてに、社名、ヒューザーさんの社名、あと物件名を伏せた上で、構造計算図書の偽造事件という非常に重要な事態が発生した、これは法的には特定行政庁に通知するのが義務だけれども、その前に一度打ち合わせをお願いしたいというメールを打ったと。それに対して国土交通省の方では、そのことに対しては申請者と当社、当社というのはイーホームズですよね、の間の問題ではないかということで、そちらで解決されたし、こういう返事があった、こうお話があったんですよね。今課長がお話しになったようなお答えではなかったはずですが。

 もう一度確認します。昨日記者クラブから要請があったというお話でありますが、この国会の中で新たに明らかにすべきことではないんでしょうか。お答えいただけますか。

小川政府参考人 少し丁寧に説明させていただきたいんですけれども、十月二十六日にイーホームズ藤田社長より担当の係長に、改ざんの事実が発覚をした、特定行政庁に通知する前に御報告に伺いたいというメールがございました。その内容につきましては、メールの中では、構造計算における認定プログラムの計算書が設計者により意図的に改ざんされた事実が発覚をいたしましたと。

 そういうことでございますので、私どもといたしましては、個別具体といいますか、一つ一つの案件の中での設計書のミスないしは意図的なミスというようなことの御連絡であろうというふうな認識でございました。

 そういう認識の中で、通常であれば、こういう通常案件につきましては特定行政庁の方に御連絡をするというのが行政の流れでございますから、その流れを念頭に置いて回答をさせていただいたという次第でございます。

馬淵委員 今課長の方で、個別で行政庁とやるべきだと判断したと。そして、それはミス、そしてもう一つ、意図的なものについてもと御発言されましたね。

 昨日、記者クラブでそのメールのやりとりをお配りされていますが、メールがここにあります。ここにもはっきりと、イーホームズの藤田社長は「認定プログラムの計算書が設計者により意図的に改ざん(偽造)された事実が発覚しました。事態が重要ですので特定行政庁に通知する前にご報告に伺いたくお願い致します。後ほど改めてお電話いたしますが、下記日時でのご都合は如何でしょうか。」こう書いているんですよ。

 今般のこの問題に対しては、さまざまな関係各、こういった事態をよく御存じの方あるいは構造計算も含めて建築の設計に精通された方々のお話があちこち出ていますが、この構造プログラムが、これは大臣認定のプログラムですから、これが改ざんされるなんということがあってはならないことだし、そんなことが起きたらこれはもう大変です、仕組みそのものがもう大きく揺らぐ話だということが言われているわけですよね。

 それにもかかわらず、これは明らかに「意図的に改ざん(偽造)された事実」と書いてあるのにかかわらず、単なるミスならば行政庁との間での確認でやってくださいという話であればわかります。でも、そうじゃないでしょう。こう明確に、藤田社長のメールには「意図的に改ざん(偽造)された事実」と書いているんですよ。これは大変なことじゃないですか。これが大変なことだという認識がなぜできないんですか。

 もう一つ重ねて言いますよ。これは記者の方に配られたメール。私、メールは、記者さんに配られたメール以外に私は入手していますよ、ヘッダーもついた本紙を。これの中でも、はっきりとここに書いてあります。文面は全く同じですが、これは沼倉係長から藤田社長に出されたメールです。「お世話になります。 ご連絡いただいた下記の件につきまして、課内で検討いたしましたが、当方としては、本件は申請者と貴社との問題であるとの認識で一致いたしました。したがって、本件につきましては、当方に対して特にご報告いただく必要はございません。ご連絡が遅くなってしまい恐縮ですが、よろしくお願い致します。」

 十月二十六日の十時五十分の藤田さんのメールに対して、課内で検討した、意図的に改ざんされた、偽造された事実が発覚したという報告に対して、課内で検討して、その上でかつ、当方に対して特に御報告いただく必要はありませんと。これは見過ごせる話なんですか。これをちょっとお答えください。

山本政府参考人 事実関係を正確に御理解いただけるようにするために、二点御説明させていただきたいと思います。

 第一点は、指定確認機関が確認検査事務を行う場合の個別具体の指導監督権限は、その確認事務が帰属する特定行政庁にございます。したがって、個別具体の案件については特定行政庁とやりとりをしてもらって解決していくというのが建築基準法が定めるところでございます。

 それからもう一点は、このタイミングを御理解いただきたいと思います。

 この担当官は、二十四日に立入検査をして、立入検査の中で監督処分に値する法定書類の不備が見つかったと。立入検査は月曜日でございます。帰ってきて、火曜日から直ちに監督処分をどのようにするかということを起案して、上司とこれからやりとりをしようとする最中に、当該立入検査の相手先からこのメールをいただいたわけでございます。どういう趣旨でどういうふうに会おうとしているのかというふうに担当官は思ったと私は推測しております。

 監督処分を検討している中で、どういうふうにやりとりをする必要があるかということを検討した上で、個別具体の案件であるので特定行政庁とやりとりをしていただくということをお答えしたというのが、この二十六日の十時五十分の藤田さんからのメールに対して十月二十六日の二十三時五十五分に当方の係長が藤田さんに対して御連絡した内容でございます。

馬淵委員 そんな答弁で、国民の皆さんが納得できる答弁だとお思いですか。与党の皆さんからもしっかりしろというやじが飛んでいるじゃないですか。

 では、一つ確認しますよ。事実確認です。二十六日に藤田社長のメールが行った。では、お聞きします。同じく二十六日にイーホームズの真霜危機管理室長から国土交通省に電話がありましたか。お答えください。

小川政府参考人 二十六日の電話ということについては、二十六日、「さて、ご連絡した件ですが、」ということが藤田社長のメールにもあるわけでございますが、私どもとして、これについて担当者には全く心当たりはないということでございます。

馬淵委員 二十六日に、ここのメールでは「ご連絡した件ですが、」と書いてある。そして、昨日の参考人招致で、藤田社長は明確に、「危機管理室の人間の方から、件数、その時点で認識していた着工中の物件、三件ございます、北千住のものを含めて、それとあと二月末に竣工する予定だった船橋の物件、この四件については、四件あるということは電話で報告を入れたというふうに聞いております。」と。このように、藤田参考人は危機管理室の真霜室長からこのように聞いたと国会の場で発言されています。

 今小川課長は、これについては聞いていない、御承知していない、こう発言されました。さて、国土交通省は二十六日の段階でこの四件については聞いていないんだ、そういうふうに認識をされているという御説明を今私はいただいた、こう確認します。

 そして、このメールについては、個別具体的だからということと、もう一つは、二十四日に立入検査をして処分を下そうかという当該会社からのコンタクトなので、少しどういう意図で会おうとしているかをそんたくした、こういう理由を述べられました。

 では、もう一つお尋ねをします。

 十一月十七日の国土交通省の文書、「姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について」という文書、これは国土交通省から出ています。この文書には、一番の「概要・経緯」という中で、これはイーホームズからの報告事項として「十月二十六日 四件(工事中・未着工のもののみ)」と書いてあるんですよ。十月二十六日に四件報告されたというふうに、国土交通省は「その対応について」というペーパーを出しています。

 私は、だからきのう聞いたんですよ、藤田社長に。メールとそれ以外に何か伝えたのかと。四件電話で伝えたと聞いていると答えた。個別具体的じゃないじゃないですか。四件も出ているんですよ。明らかに意図的に偽造が行われて、四件も出ていることが二十六日に国土交通省に伝えられているんじゃないですか。そして今、電話は形が残らないから、承知していないとお話しになった。しかし、この文書には四件二十六日に把握していると書いている。

 さらに、私は国土交通省の対応に対して大変問題があると思っていることがある。

 このことをその後のペーパーでどうされました。一番最新のペーパー、十一月の二十九日、これは消されているんですよ。この部分は消されて、十一月八日ごろから、こうなっているんです。その後、十一月十七日に一度載せたこの一行が十一月の二十五日のペーパーで消え、もうそれは出てきていません。どういうことですか、これは。

 国土交通省が二十六日にメールを受け、重大な問題であるという認識を持たねばならない内容であるメールを受け、さらに電話も入り、四件が問題だということを伝えたというその証言がきのう出ている。しかし、確認がとれない、証拠がないということで、電話は承知していないと今おっしゃった。まさに、国土交通省の初動の段階で、この問題に対していかに真剣に取り組んでいないかという事実じゃないですか。お答えください。

小川政府参考人 二十六日のメールにつきましては、「プログラムの計算書が」ということで、プログラムのアウトプットというふうに読めるということもございました。それで、二十七日に……(発言する者あり)アウトプット、つまり個別の設計図の柱の大きさなどを意図的に変えているというふうに受けられると思います。

 二十七日に藤田社長からまたメールをいただきまして、プログラムの認定にかかわる問題であるというふうに御指摘をいただきました。プログラムの認定ということであれば、そのプログラムは広く使われているわけでございますので、そういう問題であればこれはお聞きしなければいけないということで、二十八日に担当係長が藤田社長とお会いして状況を把握したということでございます。

馬淵委員 答えになっていないですよ。私が先ほど聞いた質問、もう一回言いますよ。

 きのう藤田さんは、二十六日にメールを送ったと言っているんです。そして、夜遅くに、課内で検討した結果、必要ないというメールが返ってきたんですね。これは昨日、国交省も発表されていますよ。そして、藤田さんはさらに、きのうの段階で、真霜危機管理室長が電話で報告、四件入れたと言っているんです。そして、それについては、小川課長は電話の報告はなかったと言っている。しかし、国土交通省、十七日の段階で、二十六日に四件確認したと、報告経緯では確認したと書いてある。これは課長のお答えと合っていないじゃないですか。でたらめな答弁するんなら、これ以上もう委員会なんか続けられませんよ。どういうことですか。

 大臣が一生懸命に何とかこの問題を解決しようと取り組まれているんでしょう。その下で働く皆さん方が事実の隠ぺいをしているんだったら、これ以上進められませんよ。ちゃんと調べてくださいよ。調べるまでこれは質問できませんよ。

北側国務大臣 御指摘のあったこと、よく調べさせますが、今おっしゃっているのは十月の二十六日の話ですよね。十月の二十八日にはイーホームズが来省しました。来省しまして、十月の二十八日にはイーホームズが参りまして、この建築指導担当者が直接説明を受けました。少なくともその時点では、工事中及び未着工の四物件についての情報提供が、直接面会をして、イーホームズからこの十月の二十八日にあったわけでございます。当然これは検証する必要があります。

 十一月の四日にイーホームズから、この四物件のうちの一物件について、構造計算書の提供がなされました。この提供された構造計算書について、当然これは専門家に見てもらって、偽造なのかどうか確認する必要があるわけでございます。これが確認をされましたのは十一月の七日。十一月の七日に、四日に提供を受けたこの構造計算書一物件について偽造があることが確認をされたわけでございます。

 イーホームズより、偽造物件が四物件ではなくて竣工済みを含む十七物件である、当初そう言ってきたんです、それは十一月の八日でございます。さらに、イーホームズより、さらにふえまして二十物件というふうになったとの情報提供は十一月の十日でございます。

 この構造計算書を提出していただきまして、構造計算書が、専門家に見ていただいて、国総研等で見ていただいて、五物件について、確認作業の結果、大地震が来たら倒壊のおそれがあることが判明したのが十一月の十二日でございます。そういう経過の中で、事実関係が徐々に徐々に把握されてきているんだということもぜひ御理解をお願いしたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、二十六日の件について今御質問でございますが、二十八日、翌々日にはイーホームズが国土交通省に参りまして、直接イーホームズの藤田社長からお話をお伺いし、工事中及び未着工の四物件についての情報提供が少なくともそのときに直接あったということでございます。

馬淵委員 いや、今のはおかしな話ですね。報告経緯ということであれば、事実を書くべきでしょう。報告経緯でいえば、先ほどの話では、十月二十六日には四件の確認はとれていないんでしょう、十月二十六日の段階で。ここに、今もおっしゃったじゃないですか、十一月八日、十三件。

 これ、課長、もう一回答えてください。私が聞いた質問にちゃんと答えてくださいよ。大臣のお答えとは違いますよ。課長、お答えください。

小川政府参考人 私どもの御連絡の前後の詳細でございますけれども、それを見ておりますと、二十八日に藤田社長と私どもの者が会ったときに四件ということでお話を伺っておりまして、そのうちの一件については取り消しができるというものでございました。(発言する者あり)

林委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

林委員長 速記を起こしてください。

 馬淵澄夫君。

馬淵委員 確認します。十一月十七日付の国土交通省「姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について」、この文書は国土交通省の発出した文書ですか。

小川政府参考人 この文書は、発表のときに私どもが配付をした資料でございますが、今確認をいたしまして、この十月二十六日の四件というのは、正確に言えば、十月二十八日に四件という数字を把握したということでございます。その点では安易ミスでございますので、謝らせていただきます。(発言する者あり)

林委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

林委員長 速記を起こしてください。

 どこが間違いなのかを含めて、もう一度答弁いただきます。小川建築指導課長。

小川政府参考人 間違いがございまして申しわけございません。

 十七日に発表した資料のうち、十月二十六日においてこういう事案の告知があった、件数を四件と把握したのは二十八日でございます。申しわけございません。(発言する者あり)今、担当の者と細かいことについて確認を求めたところ、二十六日のものがそうだということでございました。

馬淵委員 だから、これは先ほどの大臣の答弁と違うんですね。今この場でわかった。今この場でわかったと言いながら、この部分に関しては、これは後の文書から削っているんでしょう。十月二十八日にわかったんですよ、これは。違うんですか。十月二十六日にはわかっていないはずなんです、今のお話だと。でも、きのうの藤田社長のお話では、連絡したと言っておられるんですよ。これは、どう考えても、ここでごまかしがあるんですよ。

 この初動のところで、一日、二日の問題だときのうどなたかもおっしゃったかもしれませんが、そういう問題じゃない。実は、これが大きく大きく今後にまで尾を引いていく可能性が出てくるんですよ。その後にも実は出ていきますよ。

 まず、委員長、しっかりとこれを出させてください。私は、こうした国民の一番の関心事に、頼るところというのは、今まさに我々国会の場であり、国であり、行政だ、そう国民の皆さんは見ておられますよ。その中で真摯な議論をして何を諮らねばならないかを決めていかねばならないのに、その責任監督者である国土交通省が、情報の隠ぺいや、その初動のときの問題、あるいはその後に続く対応の問題について隠ぺいされているということであれば、これはもはや見過ごすことはできませんよ。

 まず、この委員会、これから審議するに当たっては、徹底的な調査をやってから再開してくださいよ。これ以上進められませんよ。委員長、まず協議してください。

北側国務大臣 委員、情報の隠ぺいなんという言葉はそんな安易に使うべきじゃありません。今、訂正を本人がしているわけですから、情報の隠ぺいなんという言葉をこういう公の場で使うべきではないということを、ぜひ委員の方も御理解をいただきたいと思います。そういう言葉を使う以上は、ぜひ責任を持っておっしゃっていただきたいと思います。

 それから、私が見ている限り、住宅局の職員は今必死になって対応しております。(発言する者あり)当たり前です。当然です。当然です。ただ、隠ぺいをするようなことなんかはないということを私は申し上げたいわけなんです。

 過去の検証のこと、もちろん大事ですよ。過去の検証のことももちろん大事ですが、今最も大事なことは、今、どんどんどんどん事実関係が毎日のように広がっていっているわけです。どう対応していくかという、そこが今一番大事なところだということもぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

馬淵委員 一つ一つを明らかにしてくださいと私は申し上げているんですよ。

 昨日の参考人招致からも私はずっと一貫してそのことを申し上げてきた、一つ一つの事実の確認をしてくださいと。その事実の確認の積み重ねの中で問題の本質が明らかになって、対応すべき、講ずべき対策というのが練られていかねばならないんですよ。昨日まで何が行われてきたか、報道、マスコミを通して何が言われてきたのか。だれかを悪者にして、あるいはだれかに責任を押しつけて問題の幕引きを図ってはならないから、私はきのう、淡々と冷静にその問題の事実を確認しましょう、こう申し上げたんです。

 その中で、国土交通省が、今大臣おっしゃったように、隠ぺいというのは重大な問題なんですよ。だから、そんなことは軽々にあってはならないことなんです。でも、こうしたことが、今私が御指摘した点でも、この国会の場でしか、突然指摘をされてでしか、間違っていましたと答えられないような状況を国民がごらんになってどう感じますか。

 実は、私が先ほど来申し上げているように、メールは全部今手元にございますよ。その中で、その後の対応についても、これはどうしたことかと思われる点があるんですよ。だから、この初動から、この二十六日からの問題ということを私は確認させていただいているんです。まず、徹底的にこのことについてみずから律して調査なされることを望みます。

 委員長、しっかりとこのことについて確認してください。

林委員長 確認というのは大臣にですか。(馬淵委員「調査、調査。委員長、委員長、まずこれはこの委員会として調査するということ」と呼ぶ)

 理事会で協議します。

馬淵委員 時間となりましたので、私の質問を終わります。(発言する者あり)

林委員長 静粛に願います。

 鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 今回の建物の強度偽装問題、大変深刻な問題でございます。

 特に、居住されている住民の皆さんは、まさに、地震が発生をしておらないのにもう地震の被災者のような形で、一つはやはり経済問題で、大変多くの借金をして本当に一代で一回の大きな買い物をした中で、その建物を退去せざるを得ないような状況、そしてまた、新たな家賃が発生して、経済的にも大変困難な状態を来しておる。また同時に、いつ地震が来ないとも限らないということで、精神的にも、本当にその立場に立てば、私も、党の調査、そしてきのうの調査、居住者にも会ってまいりました、韓国の若い方がワンルームマンションを借りて入っておりましたが、本当に、入っている身からすれば寝てもいられないような状況ということでございますから、私は、そういう立場から、大臣に前向きの御答弁をぜひお願いいたしたい、こういうふうに思います。

 まず看過し得ないのは、自民党の幹事長の武部さん、この方が、これはもうテレビでも多くの方がごらんになりました、悪者捜しに終始すれば、マンション業界もつぶれる、不動産業界もまいってしまう、景気もおかしくなる、こういった発言をされたわけであります。

 これについて大臣としてどういった感じを持ちますか、御答弁を願います。

北側国務大臣 率直に申し上げますと、私も報道でそれを知りましたが、ちょっと趣旨は理解しがたいというふうに私は思いました。御趣旨についてよく理解しがたいなというふうに思いました。

 今大事なことは、事実関係、今もどんどん毎日毎日広がっているわけでございますけれども、事実関係、また、偽造というのは一体どこまであったのか、そういうことをはっきりさせることが、そしてどこに問題があったのか、そこを明らかにしていくことが非常に大事なことである。建築確認、また建築行政に対する信頼を回復していくためにも、そうしたことが最も大事なことであると思っております。

鉢呂委員 趣旨が不明であるというようなことでなくて、従来の悪者捜しというよりも、今大臣が言われました事態の究明や、あるいは人命にもかかわるというような騒ぎをすれば、業界がつぶれてしまうというような、従来型の業界擁護のような形の発言だ。まさに、きょうの新聞でも読者の欄に出ていますが、本当に今の国民のこの問題に対する考え方と全く食い違うような問題である、こういうふうに受けとめざるを得ないわけです。自民党の中にもそういう声は強いというふうに思います。

 やはり国交大臣は、今、政府・与党の会議も持たれておる、あるいは、公明党さんも含めて与党の対策本部の本部長を武部さんがやっておる、やはり直接幹事長に向かって、大臣として、真意が不明であれば真意をきちっとただして、そして、そういう立場ではない、そういう状況ではないということを厳しくきちんと言うべきである。あるいはまた、こういった対策本部長をやはり辞職すべきである。こういう形で、国民に本当に納得し得るようなそういった対策をとれるのかどうか、そういった面でも、やはり大臣としてきちんと武部さんに物を申すべきだ、私はこういうふうに思いますが、どうでしょうか。

北側国務大臣 武部幹事長も、私、全体のお話を承っておりませんので、居住者の安全確保が最優先である、また、事実関係を確定していくことが大事である、どこに問題があったのか、そこを徹底して調査する必要がある。これは、総理からもそのような指示を私自身も受けているわけでございまして、武部幹事長がそういうことを全く理解していない、認識していないとは思っておりません。

鉢呂委員 あの発言後の、いろいろな発言に対する動きで二転三転をして、その発言の取り消しに躍起になっておるようでありますが、やはり、最高責任者として、与党と政府との会合もたび重なってやらなければならない、私は、看過し得ない問題である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 次に、大臣、今やはり必要なのは、武部さんは、マンションに居住される方はみんな心配だから、全部検査に対して国で補助してというような大ぶろしきの話をしておりますが、今一番求められておるのは、こういう偽装問題で、退去命令も下るような、今まさにここに入ってはならないという今現在強度が不足しているマンションに入っている方、居住者にどういった対応をしていくのか、ここに問題があるわけです。

 大臣は、これはもう民民の問題ではないということもおっしゃいました。私も、若干法律的な視点で、大臣も弁護士ですから、ちょっとその辺の意思一致をしておきたいと思うのであります。

 大臣も御承知だと思いますが、ことしの六月に最高裁の判決がありました。これは、横浜市の住民が、いわゆる景観を乱されるということで、建築確認を代行した民間の指定検査機関、まさにこのような、イーホームズのような検査機関、これが行った確認の取り消しを求める訴訟でありますけれども、これはもう既に建ってしまったということで、賠償請求をするための被告として横浜市、特定行政庁を対象にするということに対して、最高裁はこれを認めたんですね。

 この認めた理由というのが、やはり特定行政庁が直接確認検査をした場合には、その当事者になることはもうこれは自明であります。そして、この民間検査機関というものも、これは当然特定行政庁と連携を密にして、さまざまな中間検査、完成検査、あるいは確認についても、特定行政庁にこれを連絡するという法律的な形になっていまして、最終的にはこの民間検査機関の責任は特定行政庁も同様に持っておる。したがって、被告たり得るという判断を下したんですが、こういう事実関係で大臣も把握してよろしいでしょうか。

北側国務大臣 その最高裁の決定については私もよく承知をしておるところでございます。そういうことも踏まえまして、私が先ほど来申し上げているような答弁をさせていただいているわけでございます。

鉢呂委員 そこで、特定行政庁が直接、あるいはまたこういう検査機関が行った確認検査をして、その場合の賠償責任、これは当然ある、こういうふうに最高裁は認めたんだろうというふうに思いますが、これは大臣として、いわゆる特定行政庁、地方自治体等でありますが、それは賠償責任がある、こういうふうに受けとめていくことは当然だろうと思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 この最高裁決定は賠償責任について言っているわけではありません。当事者適格という専門的な言葉でございますけれども、それについて、当事者適格が特定行政庁にありますよということを言っている決定でございます。責任論までについて述べているわけではありません。

鉢呂委員 もちろん、これは当然そこまでは述べておりません。しかし、民間検査機関に対しても書類の偽造へのチェックが不十分だった、そういった過失が立証できれば、いわゆる不法行為を根拠に賠償請求というものが成り立つ、こういうふうに思われますが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 この最高裁決定からどこまで言えるかという議論については、今政府部内でもまさしく検討をしているところでございます。今委員のおっしゃった指定検査機関に過失があった場合に、それで相当因果関係の範囲内で損害が生じた、その損害について賠償責任はどこにあるのかという問題をおっしゃっているわけでございますけれども、それに特定行政庁がその責任を負うのか否かということについて、まさしく今政府部内で検討しているところでございます。

鉢呂委員 これは非常に大事なところでありまして、もちろん瑕疵担保責任は建築主、売り主にあることは法律でも認められております。同時に、それを建築士が設計した、あるいは構造計算をした、こういう場合も、強度計算等で偽造したという場合は、やはり民法の不法行為ということで、賠償責任、賠償請求の責任が生ずる、こういうふうに受けとめられておるわけであります。

 そして、その上に立って、こういった検査機関、特定行政庁というものがチェックを見逃したという形になれば、当然それは賠償請求が発生をすると。ここは行政機関で今検討しておるということですが、やはり早急に結論を出す必要がある。

 単に今まで大臣は、民民の問題だけではないという形で政治の責任というような形を言っていますが、法律的にもきちんとした責任が発生するのかしないのか、やはりこれは早急に結論を出さなければならない問題である、私はこのように思いますが、もう一度答弁を願います。

北側国務大臣 今委員のおっしゃった問題というのは、非常に重大な問題であると私も当初から認識をしておりまして、今政府部内の中で検討しているところでございますし、また、事実関係について、当然これは前提があるわけですね。その事実関係についても当然調査をしていかないといけないというふうにも思っております。

 委員のおっしゃっている指摘については、大切な御指摘であるというふうに十分に認識をしております。

鉢呂委員 これは大臣が、さまざまな行政庁の官僚の皆さんのさまざまな感情はあったかと思いますが、大臣がみずから民民だけの問題ではないという形で出してきたその中身だろうというふうに私は推定しますので、早急にその関係を明確にする必要がある。

 したがって、今新聞等で出されております既存のいわゆる住宅金融公庫の資金の延滞ですとか、あるいは金融機関の貸し付けについての何らかの対策ですとか、そういった、小手先と言っちゃおかしいんですが、これではなかなか今入っている方の不安をぬぐい去るものではないと私は思うんですね。さまざまな形で今も償還する年間元利金が二、三十万にもなる、今借りている、もうそれで手いっぱいだ、これからさらに移動して、移動したところの公的な住宅であっても十万内外とか二十万とかかかるということであれば、それはもう生活が成り立たない。ですから、このままでいけば、私はもう地震が来てもここにとどまらざるを得ないのかなと、大変な苦悩の段階に今あるわけですから、もちろんそれは、当面する対策もきちっと打つ必要はあります。

 同時に、きちっと本質を見きわめた、この問題についてのいわゆる検査機関としての賠償請求といいますか、その問題についてもやはり早急に結論を出すべき問題である、こういうふうに私は思いますから、そこのところはよろしくお願いいたしたい、こういうふうに思います。

 そこで、今の当面する問題で、先ほど、いわゆる移転をして入るところの場所を今確保しておる、同時に、その費用について県ごとにばらばらという状況がございました。私はやはり、ここはいろいろな、県を含めて、特定行政庁を含めての協議会があるんでしょうが、統一的なものとして、これは国がきちんとして、無料であれば無料にするとかいうものをやはり大臣がこの場で表明すべき問題である。協議、協議という形では私はないのではないか。もちろん地方自治体との関係はあろうと思いますが、そこは、国としての大きな責任を果たす段階で、きちんとやはり国民の皆さんあるいは当該する皆さんに表明すべき問題である、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 今の委員の御指摘も重く受けとめまして、しっかりこれはぜひ早急に協議をさせていただきたいと思っております。

 委員ももうこのことはよく御理解いただいているかと思いますが、行政の責任、もちろんこの行政の責任についてどう考え、どう果たしていくのかということが非常に大事なわけでございますけれども、一方で、契約責任というのがあるわけですね、無過失責任の瑕疵担保責任。まず、売り主の方々がしっかりその責任を果たしていただかないといけないという側面もあるわけでございます。

 そこのところも、その責任を果たしていただくために、例えば当面の転居費用だとかそういうのは、本来なら売り主の方が当然やってしかるべき話ですよね。それをまずしっかりやってもらわないといけないということも私は申し上げているところでございまして、そういうのも踏まえた上で、当然、行政の責任についても、委員の先ほど来の御指摘を踏まえて、これはどう果たしていくのか、今まさしく検討しているところでございます。

鉢呂委員 それはもちろん、当事者の責任ということも、私はこれをなげうって話をしているのではないことは前提で先ほどもお話しいたしました。したがって、当事者間の責任は、これはもう徹底して行われ、また、当事者間で行うことは徹底してやるということでなければならない。

 ただ、非常に緊急性の、地震がなくして地震に遭ったような形で今いらっしゃるわけですから、私は、そういった形の対応も同時並行的にやっていく必要がある、行政が当事者間の問題に逃げ込むというようなことがあってはならないという観点でお話をさせていただいておるところであります。

 時間がありませんので次に行きますが、一つは、やはり先ほどもお話がございました。私も昨日、国土交通省から、イーホームズと国土交通省との最初のやりとりの中で、やはり問題があった、こういうふうに厳しく指摘をせざるを得ません。

 十月二十六日に、イーホームズの社長、藤田さんからメールがあった段階で、意図的に偽造された事実が発覚をしたというふうにきちんとメールで送ってきておるわけであります。これに対して、同日の夜遅くでありますが、建築指導課の係長から藤田さんにメールがあって、先ほどもお話ありましたが、課内で検討いたしましたが、当方としては、国土交通省としては、本件は申請者と貴社との、イーホームズとの問題であるとの認識で一致しました、したがって、本件につきましては、当方に対して特に御報告をいただく必要はございません、こういうふうに述べておるわけであります。

 まさに、最初、意図的に改ざん、偽造した事実が発覚したという重大なことを言っておるわけでありますから、その対応あるいはこの書きぶりは、全く重大性を認識せず、見逃してしまったというふうに言わざるを得ない、こういうふうに思います。

 特に、このやりとりの文書をいただいたんですが、その下に、米印で、国土交通省の認識という形で、個別の案件については、申請者と指定確認検査機関、特定行政庁で対応されるべきとの認識であったというような国土交通省の認識を書いてあるんですが、相手側に送ったメールの中身を見ますと、特定行政庁と対応ということは全く書いていない、あくまでも申請者とイーホームズの中で対応すべきだというような書きぶりになっておりまして、まさに、この書きぶりからいっても、国土交通省の認識は非常にお粗末なものがあったのではないか、こういうふうに考えまして、大臣としてどのようにこれを考えるのか、伺いたいと思います。

北側国務大臣 十月二十六日にイーホームズの藤田社長からメールが入った、そして、そのメールに対する返答が、その日の深夜ですね、二十三時五十五分というふうになっておりますが、そこで今委員のおっしゃったような回答になった。そこでは、これは、国交省側は、担当の係長は、個別の案件であるというふうな理解をしておって、これは特定行政庁で対応されるものとの認識をしておったということでございます。その認識に甘いところがあったのではないかという御指摘については、私は甘受しなきゃならないというふうに思います。

 ただ、十月の二十七日、翌日に、やはり朝、朝の八時五十六分でございますけれども、同じくイーホームズの藤田社長からメールが届きまして、昨日の件は、当機関が指定を受けている確認作業業務の範囲にとどまらない、プログラムの認定やディベロッパーの設計事務所の許認可免許等の問題にかかわるものと考えておるというふうに改めて翌日の二十七日の朝に藤田社長からメールが入るということでございまして、さらに、その日のうちに、高木係長の方に、個別の審査に関することではなくて、大臣認定にかかわる話だということが改めて電話でこの十月の二十七日にあるわけですね。

 それを受けて、高木係長の方から、電話で概略をお聞きしたところ、当方で行った大臣認定にかかわる件とのことなので、ぜひお話をお伺いしたいというふうなメールを送って、そして十月二十八日に、藤田社長の日程等の都合を調整して、その日の夕方でアポがとられているということでございます。

鉢呂委員 いずれにしても、最初の認識は非常にお粗末なものであった、こういうふうに思っておるわけでありまして、その後も藤田社長の方からそういったメールが送られて事態の重大性を認識したということはあるんでしょうが、最初の形はそうであったと。

 大臣、指定確認検査機関ができまして六年たちました。この間、それぞれ年一回程度の検査をしておるということでありますが、私は、きちんとしたチェックになっておらないのではないかというふうに思うわけであります。

 例えば、建築指導課のメンバーは二十名、そのうち、この関係の技術職というのはたったの二人ということでありまして、検査する場合も事務職とこの技術職がペアになって検査に行くという形で、私も国土交通委員会で航空機の事故の問題についても指摘をさせていただきましたが、重大なことが起きてから、その後に行政庁として対応が甘かったということがさまざま起きてきておるんですが、やはり事前に、こういうことを起こさないためにも、行政庁のチェックといいますか、検査機関を民間にしたというまだ歴史の浅いこの機関でありますが、そうであれば、なおさらやはりきちんとした国の、行政庁のチェックがあってしかるべきではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

 中身についても、定期検査の事項を見ても、ほとんど機関としての人員あるいは概要というようなものに終始しておるのではないか、実際の確認検査機関としての検査業務の中身に立ち至ったチェックがまずゼロのような形になっておるのではないか、こういうふうに思いますが、これまでのこの検査機関に対する行政庁のチェックについて、大臣としてどういう認識をしているのか、御答弁を願いたいと思います。

北側国務大臣 この民間の指定確認検査機関に対する監督をしっかり検証して、見直していく。問題がなかったのかどうか、そこはしっかりとこれから検討させていただきたいと思っております。

 しかしながら、例えば国が指定している指定確認検査機関、本件もそうでございますけれども、何を検査するかといいますと、それはその指定確認検査機関というものの要件がございます、その要件がきちんと満たされているのかどうか。これは、建築基準法上規定されている指定の基準というのがあるんですけれども、その指定の基準が継続的にちゃんと満たされているのかどうか。それは、確認検査員の数だとか、それから経理的な基礎を持っているかどうかだとか、役員や構成員、職員の構成が、確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないかどうかだとか、その他、当初この指定要件を指定する際に定められている要件がきちんと持続的に維持をされているかどうかというところの監督になるわけですね。

 個別の審査そのものの、これは特定行政庁の事務なわけですから、特定行政庁の方がこの個別の案件についての監督権限というのは持っているわけでございまして、そういう意味で、国の監督というのは、指定確認検査機関の要件をちゃんと維持しているかどうか、そこのチェックをしているんだということもぜひ御理解をお願いしたいと思うんです。そういう制度の設計になっている。

 そもそもその制度設計そのものがいいのかどうかという議論については、当然これから検証していかねばならないというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 まさに、その検査の中身について今回こういう形があったわけですから、やはり体制の形がどうであるかは別として、きのうも藤田さんが、二十一日以内にこれを確認するということはもうほとんど至難のわざだというような趣旨の話があったと思いますが、そうであれば、仕組みをきちっと、どういった形で、今はコンピューターの時代ですから、きちんと、一目瞭然、そんなに時間をかけないで把握できるような仕組みもつくらなきゃなりませんし、また、大臣は今そう言いましたけれども、チェックしておることにずさんな形があったわけですから、チェックになっていない、検査機関がですよ、検査機関の検査がちゃんとなっていないということがあったわけですから、それはやはり、そこにわたってチェックをするということも必要性として私は現状であるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 先ほど来申し上げていますように、個別の案件が適正に審査をなされているのかどうか、建築確認検査がきちんとなされているのかどうか、この監督権限というのは特定行政庁にあるわけですね。そこのところをまず御理解をお願いしたいと思うんです。

 制度上、国がそういう個別案件についても、指定検査機関がやったものについてもう一度再検査ができるような、個別案件についてやれという御趣旨であるならば、これは相当な職員を国交省の住宅局の中に擁しないと現実にはできないと思います。そこのところもぜひ御理解をお願いしたい。

 ただ、制度のありようとして、個別の案件のチェックを今後どうしていくのかということは、ぜひ御議論をさせていただきたいと思っております。

鉢呂委員 今回、十七日付で、いわゆる構造計算書を個別に再計算して検査することが必要であるという文書を国交省は特定行政庁等に流し、また検査機関にこれを行うんだというふうに思いますが、私は、こういったときだけではなくて、そういうことからもきちんと、偽造を見逃すような形でない形を当面はとるというようなことがやはり必要ではないか、機関としてですね、国の機関として、あるいは特定行政庁の機関としてやる必要もやはり相当検討していかなければならないだろう、こういうふうに思います。

 時間がなくなりましたので二、三点お話をさせていただきますが、きのう、イーホームズの社長が参考人質疑で、日本ERIも偽装隠ぺい工作をしていたというお話がございました。これについて、大臣として、今後この日本ERIにチェックを全部するということでいいのか。あるいはまた、この会社あるいは担当者を国交省が呼んで、その間の事情聴取をする、あるいは、当時、姉歯設計の物件については知っていたというようなことを藤田さんが言っておるわけですから、その状況について把握をするというようなことが私は必要だと思うんですが、大臣の考えをお聞かせください。

北側国務大臣 昨日の参考人質疑で、イーホームズの藤田社長の答弁であったと思いますが、それも伝聞の話で、かつ御本人も確かめているわけではないというふうにもおっしゃっておられたというふうに私は記憶をしておりますが、ただ、伝聞の話であり確かめていないとはいうものの、日本ERI株式会社が姉歯一級建築士の偽造を隠ぺいしていたという話が出ましたので、これは今後、事実関係の調査を行ってまいりたいと考えております。

 国交省においては、そのような事実はこれまで把握をしておりませんでした。

鉢呂委員 きのうの話を私は聞いておりましたが、当然、イーホームズの形ではなくて、日本ERIも強度不足というような物件が、二件でしたか、出ておるわけですから、当然それは、そのERIについては、全物件についてやはり私は行政庁として特別の調査をすべきである、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そういう面で、きのうはやはり一番問題な姉歯建築士が当委員会に参考人として出なかったということでありました。私は、当然、この姉歯建築士、それから今お話をしましたERIの社長並びにこの担当者の段階で、きのうのERIの社長の話では、担当者は聞いておったけれども上司にはそれを伝えなかった、姉歯のこの問題ですね、そういうような社長の談話のようでありますから、その担当者も当委員会に参考人として呼んで、事情をきちっと把握すべきであると。

 また、私は、自民党の伊藤公介議員がこの関係で口添えをしたような形が言われておりますから、その中身についてもしっかりと把握するために参考人として招致をされるように、委員長としてお取り計らいをしていただきたい、こういうふうに思います。

林委員長 理事会で協議します。

鉢呂委員 以上で終わります。

林委員長 富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 委員長並びに各党の理事に、質問の機会を与えていただいたことを心より感謝申し上げます。

 私ども公明党は、十一月の二十二日に耐震構造設計偽造問題対策本部を設置いたしまして、十一月の二十四日、東京都墨田区にあります分譲マンション、グランドステージ東向島を緊急調査いたしました。国交省、東京都、また墨田区の担当者から説明を聞きますとともに、同マンションに住まわれている住民の代表の方、そして近隣住民の方から要望を受けてまいりました。

 その際、管理組合の理事長さんをされている三十代の方が代表でお話をしてくださったんですが、夜も寝れない、奥さんの中には体調を崩しちゃって病気になってしまったという方もいらっしゃるとか、本当に切々たる訴えをされまして、近隣住民の方が後から来て、このマンションはどっち側に倒れるんだ、教えてくれ国交省というふうに言われたんですね。裏に住まわれている酒屋さんでしたけれども、近隣の方から見たらもうそういう問題になっている。その近隣の方のどっちに倒れるんだという言葉を聞いたときに、管理組合の理事長さんは泣き出してしまった。周りがもうみんなそう思っているのかということで、もうこのマンションはだめなんだというふうにお思いになられたと思うんですが、我々の前で突然泣き出されて、本当に大変な思いをされているんだなというのを肌で感じてきました。

 翌日、党として北側大臣の方に申し入れをさせていただきました。何点かにわたる申し入れでございますが、「耐震構造設計の偽造問題に関する申し入れ」という形で、大きく分けて五点ほど申し入れをさせていただきました。この申し入れに関しまして何点か、局長の方で結構ですので、御質問したいというふうに思います。

 申し入れの第一点で、「人命を守るため、耐震強度を偽造された危険な建築物の退去基準を早期に明確にする必要がある。」というふうに指摘をさせていただきました。大臣も記者会見等で、これは明確にしていかなきゃいけないということを発言されたと思うんですが、一体いつごろまでにこの基準が明確になるのか。

 先ほど来の質疑の中で、十二月中旬をめどに退去していただけるようにというふうにされておりましたけれども、それぞれいろいろなマンションがありますけれども、そのマンション、個別に事情が違うと思いますが、出ていかなきゃならないんだという、そういう基準をどういうふうにつくっていくのか、そして、その基準をいつ住民や近隣の方たちに発表していただけるのか。ここが一番関心があるところだと思うんですが、国交省の方としては、今どの程度準備をされているんでしょうか。

山本政府参考人 関係都県、特定行政庁、国土交通省から構成しております構造計算書偽造問題対策連絡協議会の第三回目の会合を去る十一月二十五日に開催いたしました。特定行政庁と協議をいたしまして、危険な建築物についての退去等の命令手順と危険度の線引きについて協議いたしました。

 この場で、危険度の線引きにつきましては、特定行政庁が使用制限や除却等の命令を行う基準となる危険度の目安を、建築基準法による要求水準一・〇に対しまして〇・五を目安とするということ、それから、各特定行政庁において建築基準法に基づく使用制限等の命令に移行することを前提として、十二月中旬を目途に転居を促すよう、十二月一日までに勧告等を行うことを申し合わせたところでございます。

富田委員 建築基準法上の規定ぶりだと、特定行政庁がというふうにすべて主語がなっていますよね。でもこれは、マンションに住まわれている方とか近隣の方にしてみたら、先ほど来、いろいろ御指摘、委員の中からもありましたけれども、ばらばらでいいのかと。国の方としてきちんとバックアップして、特定行政庁なり、せっかく連絡協議会をつくったんですから、住民が安心できるように、十二月中旬、まだありますよね、二週間程度。もう少し早めるとか、国の方もきちんと特定行政庁の方と連携をとって、国がしっかりとバックアップしていますよというような広報も必要だと思うんですが、そこはどうですか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたような観点から、協議会においては目安を定めたわけでございます。個別具体の基準法に基づく命令につきましては、各棟においていろいろな事情もございますので、その目安を手がかりに特定行政庁が具体的なアクションを起こすということでございます。そのことを前提に、十二月中旬を目途に転居を促すよう、あすまでに勧告を行うことを申し合わせたわけでございまして、可及的速やかにやるべきだということは、協議会のメンバー、みんな同じ考えでございます。

富田委員 ぜひ、住民が安心できるように早急に出していただきたいと思います。

 私どもの党の申し入れ、その項の中にこういうふうに書かせていただきました。「さらに退去を余儀なくされる住民のため公営住宅の活用や民間賃貸住宅の借り上げなど受け皿住宅のあっせん、移転支援の相談窓口の開設、転居費用の一部助成など、当面の居住の安定確保について、公共団体と連携し緊急策として実施すること。」

 先ほど、大臣の答弁の中に、やはり居住の安定確保だというふうに言っていただきましたけれども、局長の答弁の中で、東京都、千葉県、神奈川県の方でいろいろ住宅をもう準備していると。トータルで、先ほど、千葉県が二百七十、東京都が五百、神奈川が二百八十六、そして都市再生機構の方で千百三十二戸用意されているという御答弁がありましたけれども、当初、転居が必要だとされていた戸数は四百十五戸というふうに伺っていますので、現在の段階では、戸数的には足りているわけですよね。ただ、なかなか、千葉県なんかは賃貸マンション多いんですが、引っ越しをされようとしない。

 これはなぜかというと、東京都の例えば都営住宅なんかだと、一時使用という形になりますと三カ月、必要に応じて六カ月まで延長できるというような制限があります。一たん引っ越したはいいけれども、もう一回また別の居住先を探さなきゃならないというときに、これだけ今、将来に対して不安を持っている住民の方たちがそういう公営の住宅に移られるだろうか。

 そういったところを、本当に今後のついの住みかにできるようなところも含めて提供していかないと、今住まわれていて、ダブルローンになるかもしれないというような不安を持っている方が、また三カ月後にもう一回転居だよというふうになったら、また転居費用がかかるわけですから、そういったところのバックアップを含めて、都道府県、特定行政庁の方と連携をとっていく必要があると思うんですが、そこはどうでしょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおりでございまして、一番最初に連絡協議会を開きました、公表翌日の十八日ですね。この十八日の会議を開きましたときから、連絡協議会におきましては、何といっても居住者の安全と居住の安定を確保することが最優先だ、そのために何と何をしなきゃいかぬかということを稠密に協議をしてきたところでございます。

 各関係都県において、住宅担当部局に一元的な窓口を開いていただきまして、今引用していただきましたように、公営住宅、都市再生機構住宅、合わせて二千二百戸を二十九日時点で確保しまして、いろいろな相談に応じております。

 御指摘いただきましたような問題、それから家賃の問題等いろいろございますので、一時避難の先の居住の安定について行政としてどういうことが可能であるのか、引き続き関係地方公共団体と緊密に連携を図りながら努力をしていきたいという考えでございます。

富田委員 ぜひやってください。

 そういう中で、私は千葉県の選出なんですが、千葉県船橋市に、特定の業者の名前を出して申しわけないんですが、サン中央ホームという賃貸マンションを経営されている方がいらっしゃいます。ここの会社が賃貸の共同住宅の入居者に対して、それまで一人三十万円までとしていた転居費用、それ以上は今払えないということで、その超過額分は、国や県などを相手取って損害賠償請求訴訟を起こしてその賠償金で支払いますという文書をどうも配ったらしいんですね。これは読売新聞の千葉版に載っておりまして、残念ながら、その文書は居住者の方に配られて、こちらの手元には入ってきてないんですが、読売新聞が報道されているので、そういう事実がどうもあったようだ。

 これは幾ら何でも、自分たちの方で耐震に問題のあるマンションを建てておいて、ここの会社は、最初は、転居費用を全部持ちますというふうに住民の方に説明していた。住民の説明会で、いや、二十五万円までしか出せませんとなって、住民の方から、ふざけるな、たまたま、来たその会社の専務さんが高級時計をしていまして、その時計を売ってでも払えと、テレビでやっていましたよね。それで、三十万までとなった。

 そうしたら今度は、引っ越して新しいところを借りればやはり三十万以上かかるのに、それは払えない、国や県に対して訴訟を起こして勝ったら払いますよと。これは幾ら何でも、今不安に、本当にこれからの生活どうなるんだろうと思っている、幾ら賃貸マンションであっても、そういう住民の方に対して非常に心を逆なでするような行為じゃないかと思うんですが、こういった業者に対して、国交省としてはどんな指導ができるんですか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今の御質問の件につきましては、今月二十五日に、建築主三社から居住者対策等について報告を聴取したところでございます。

 サン中央ホームからは、居住者に対して、代替物件への引っ越し費用などの移転費用を一定額負担すること、それを超える分については、請求書を住民の方から出してもらって、求償のための裁判等で回収されれば後日支払うという方針の説明がございました。

 サン中央ホームは、この案件につきましては、賃貸マンションの貸し主でございまして、必ずしも他の売り主と同等の法的な地位に立つものではございませんけれども、居住者の皆様のお気持ちを考えますと、私どもといたしましても、その報告聴取の場におきまして、サン中央ホームに対しまして、居住者の居住の安定を図るために努力すべきだということを申し上げたところでございます。

富田委員 局長、今のような抽象的なことじゃなくて、もう少しはっきり指導してくださいよ。居住者の安定、それは最後の目的なんだけれども、こういうふざけた業者にはもう少しはっきりしたことを言わないと、住民の方をなめたままやっていくと思いますよ。ぜひ、もう少し厳しい指導をしていただきたいというふうに要望しておきます。

 またちょっと申し入れの方に戻らせていただきますが、申し入れの第二項で、このような申し入れをさせていただきました。「耐震強度の不足により倒壊の恐れがある建物のある地域について、倒壊防止補強や建物の取り壊しなどの応急工事を実施し、周辺住民の不安を解消すること。」というふうに申し入れをさせていただきました。

 昨日の当委員会の視察にも、現地参加を特別に許していただきまして、参加させていただきまして、あの船橋のマンションを見てきました。私の秘書から後で聞いたんですが、委員の皆さんが全部建物の中に入った後、裏に住まわれている方が来て、これが倒れてきたらどうしてくれるんだと騒いで帰られたらしいんですね。やはり近隣住民の方にしてみたらそういう思い。それと、先ほどの墨田のマンションでも、裏の方が同じようなことを言っていた。そういう不安を解消するためにも、やはり解体しなければならない建物についてはきちんと解体ができるような手順をつくっておくことが大事だと思うんですね。

 ただ、きのうの各参考人の話を聞いていますと、何か計画倒産でもしかねないような、そういうことを平然と言われるような会社ばかりなので、これは、もしそうなった場合には解体費用の出しどころがなくなってくると思うんですが、ここについて、解体費用助成を検討というような報道もされていますが、その点について何か具体的な検討を始められているんでしょうか。

山本政府参考人 倒壊するおそれのある建物について、周辺の住民の方々の安全を確保するために早期に建物を解体、除却するという必要があるわけでございまして、特に、御指摘いただいたような事態がもし発生した場合に、そのことが非常に大きな課題となるわけでございます。

 この点につきましては、もう一つの大事な課題でございます、マンションを購入してそこを生活の本拠として住んでおられる居住者の方々のこれからの居住の安定を確保するために行政としてどういうふうな支援ができるのかということと一緒に、関係省庁一丸となって、公共団体とも連携をとりながら、基本的な考え方を早急にまとめさせていただきたいと考えて取り組んでいるところでございます。

富田委員 この解体に関してちょっと追加で質問をさせていただきたいんですが、建築基準法上は、今ちょっと局長言われましたが、除却命令までいく可能性がありますよね。

 除却命令にいったときに、例えば、建築主だった今の会社がつぶれて、もう自分の方では解体できない、そういうふうになると、通常の手続の中では、建築基準法上、九条の中に代執行の手続が規定されていますよね。周りに危険を及ぼすんだということになれば、公の機関として、これは主語が特定行政庁ですから国交省がやるわけではないんでしょうけれども、除却命令を出して、相手が応じない場合には代執行でその危ない建物を解体して除却できるというふうな規定がありますけれども、今の段階でこの議論をするのが適切かどうかわかりませんが、いざそうなった場合に、こういうような手順もとれるんだということを確認しておきたいんですが、そこはどうですか。

山本政府参考人 御指摘のとおりでございますけれども、まず、建築基準法に基づく命令を受けました違反建築物の除却につきましては、一義的には建物の所有者の義務でございます。建築中の建物については建築主でございます。

 建物の所有者などが命令に従わない場合、あるいはできない場合は、最終的には特定行政庁がこれを代執行することができます。これは非常に強烈な制度ですので、流れとしましては、最初は法律に基づかない任意の是正指導とか勧告を行います。それから法律に基づいて予告の通知を行いまして、それから今御指摘がありました九条の除却命令を出しまして、命令とともに標識を設置したり公告をしたりします。その上で、戒告をした上で通知をして、特定行政庁が代執行することになります。

富田委員 局長は今一般論として答えられましたけれども、本件で当てはまるような事例が私は当然出てくると思うんですね。

 代執行は特定行政庁の方の費用でまずやってしまうわけですよね。やった上で費用を償還させるわけですけれども、当然、今回の事案でも、そこまでいったとなれば、相手はもう破綻しているわけですから取れないけれども、やはり危険な状態の除去という意味ではそこまでも考えた上で、連絡協議会とかそういう席で、ぜひ国土交通省の方からも指導しておいていただきたいということを要望しておきます。

 次に、今回のこの問題が発生したもともとの根本にさかのぼると、平成十年に建築基準法を改正しました。今回のように民間の方に確認検査を任せようというような制度設計をしたわけですけれども、このときの建築基準法改正の背景、そして目的はどういったところにあったんでしょうか。

山本政府参考人 平成十年の建築基準法の改正の前におきましては、建築確認とか検査などの充実、効率化をするという課題の前で、この仕事をいたします地方公共団体におきまして、建築物が技術の革新に伴って非常に大規模化してくる、あるいは複雑化するということで確認事務の負担が非常にふえてきまして、確認事務以外の建築行政、違反建築物を取り締まったり耐震化のための指導をしたり、そういったような本来の建築事務が非常に圧迫してくる、執行体制が窮屈になってくるという事態がございました。

 そういうことを踏まえまして、阪神大震災の経験も踏まえた上で、具体の建築計画が建築基準関係規定に合っているかどうかというのを確認する事務は、裁量の余地も非常に狭いし、一定の能力を持った民間の方であればこれは実施できるという判断のもとに、建築行政の執行体制を効率化しようということで、これまで特定行政庁の建築主事だけが行ってまいりました確認検査事務について、新たに必要な審査能力を備える公正中立な民間機関が実施できるようにしたものでございます。

富田委員 趣旨はもうそのとおりだと思うんですが、適正な能力を備える民間の機関というふうに今局長言われましたけれども、では、今回のイーホームズはそういう能力があったのか。

 きのうの参考人としての答弁ですと、自分のところは悪くない、結果としてこんなふうになってしまって申しわけなかったみたいなことを言っているけれども、結局、審査能力がなかったんじゃないか。やるべきことをきちんとやっていれば、あんな構造設計書を通すわけなかったんですから。

 そうなると、平成十年の建築基準法改正による今回のこの制度設計が、制度自体がもともとそういう今回のようなミスを生む構造を含んでいたのか、あるいは改正した後の運用が悪かったのか、その点については国土交通省としてはどちらだというふうに考えているんですか。

山本政府参考人 結論から申し上げますと、後者の方の認識で私どもはおります。

 今回の、今回といいますか平成十年の基準法改正でこういう制度を導入したことによりまして、例えば、完了検査を受ける建築物の率、完了検査率と呼んでおりますけれども、平成十年度は三八%にとどまっておりましたけれども、平成十六年度には七三%にまで向上してきております。それから、平成十年の改正で中間検査制度を導入いたしました。平成十六年には、七割を超える特定行政庁で中間検査が実施されております。

 指定確認検査機関による検査も含めまして、建築規制の実効性は着実に向上しているというのが、総体的なこの制度導入に対する私どもの評価でございます。

 実は、これによって地方公共団体の執行体制を効率的に運用できるようになりましたために、行政でなければできない違反建築物の対策とか、そういったことに重点を置いて運用しているというのが私どもの認識でございます。

 しかしながら、今回の事件の発生でございます。指定機関における建築確認の業務において必要な審査が行われなかったことについて、特に運用面の問題について我々問題意識を持っているわけでございまして、基本的な問題はそこに持っておるということでございますので、方向性としては、公正中立な民間機関が確認事務等を担うという方向は正しいので、そういうことから、これを、今回のようなことが起きないように的確にやるために、どういうところを見直し、どういうふうにやっていくべきかという観点から、社会資本整備審議会などで論議してもらいたいと思っているんですが、その前の総点検として、指定機関について全数立入調査をやります。それから、公共団体の確認事務についても改めて点検をして、そこできちんと整理しました問題意識を審議会に投入した上で、そういう検討を早急に進めていきたいと思っております。

富田委員 私も、運用面でまずいところがあったんだな、大臣も記者会見でそのように言われていましたけれども、そうだと思うんですね。これだけ建築確認申請の数がふえてきたときに、特定行政庁の方で処理できるわけがないので、そこの部分を民間に開放するというのは、制度設計としてはよかったと思うんです。

 ただ、今回のような事件が発生するということは、やはり監督体制をきちんと強化しておかないと、またやるんじゃないか、同じような建築士がほかにもいるんじゃないかというふうに国民の皆さんは思っているわけですから、そういった意味で、社会資本整備審議会ですか、その建築分科会に特別の部会をつくってやっていただくというのは結構だと思うんですね。

 そういう場合に、国土交通省の方としても今こういうのを検討しているんだ、ここを早急に検討してもらいたいというふうにやるのか、審議会の先生方、どうぞお任せしますから考えてくださいみたいにやるのか、それでスピードが全然違うと思うんですね。

 今回の件は、やはり国民は、早く結論を出してくれ、本当に安心できるような制度設計をしてくれというところだと思いますので、そういった意味で、国交省からもいろいろな案があると思うんですが、報道もいろいろされていますけれども、民間の指定確認検査機関への立入調査の際に抽出調査という方法を取り入れるんだとか、構造計算書の点検マニュアルをきちんと国交省の方でつくるんだとか、今すぐできるようなことはちゃんと国交省の方としても審議会の方に提示して、中間報告でも何でもいいからとにかく前倒しで報告を求めて、制度を変えていくのなら変えていくし、立法活動が必要ならそういうのをやっていくという方向でやるべきだと思います。

 また、建築士さんの免許についても、今回の事件を契機に、免許の更新制を入れたらどうだとか、建築士会への強制加入制度をつくったらどうだとか、今実際に建築士会の中で任意で行われている専攻建築士ですか、それぞれの専門分野をきちんと決めて、この方はこの専門が得意ですよというような何か認定制度を、法的なバックアップも含めて考えたらどうだというような提案がされていますが、局長、そのあたりはどのように思われますか。

山本政府参考人 御指摘いただきました点、特に運用面の改善策については、できる事柄は早急に案を示して結論を得るべきだという御指摘はそのとおりだと思いますので、そのように問題意識を受けとめて取り組んでまいりたいと思います。

 個別いろいろ御指摘いただきましたものにつきましては、今回の教訓で、いろいろな課題意識を整理いたしますので、それに照らして、整理した上で御検討いただこうと考えております。

富田委員 もう時間もありませんので、ちょっとイーホームズの件について伺いたいんですが、どうもきのうの参考人質疑を聞いていますと、イーホームズは、自分だけは悪くない、ほかに並んでいる連中が悪いんだみたいな雰囲気で答弁されていて、確かに、今回のこういう問題があったんだということを発見した端緒はイーホームズから出てきたので、なかったらこういう事件はわからなかったわけですから、その点はしっかりしていたなと思いますが、もとをただせば、イーホームズがきちんとした審査をしていればこんな事件は全く起きなかった、その点を全く忘れているような答弁。

 そういう意味で、国交省の方で十一月二十四、二十五、立入検査を行ったということは的確だったと思いますが、立入検査の結果、わかったことはどういうことだったんですか。どうも、報道されているのは違うんだということをイーホームズの社長さんは一生懸命言っているし、ホームページにもそういうことを書かれている。実際に検査結果でわかったことはどういったことだったんですか。

山本政府参考人 十一月二十四日にイーホームズ本社において実施しました立入検査におきまして、大臣認定の構造計算プログラムによる構造計算書が添付された確認申請書のうち、階数十階以上の建築物について九十八件ほどランダムに抽出いたしまして、具体的に検査をいたしました。そうしましたところ、大臣認定書の写し、指定書の写し、ヘッダーの出力等、途中の計算過程の図書を省略することのできる形式的な項目に合致したものは二件でございまして、残りの九十六件については計算過程まで含めて審査すべき物件でございました。審査すべき書類もありました。

 計算過程まで含めて審査すべき九十六件のうち、大臣認定書の写しなどの添付がないのに計算過程の図書が添付されていなかったものは二件ございます。構造審査担当者が不在でどういうふうに審査したんだというのが確認できなかったのが四件、それから、イーホームズが法令とは違って独自の基準で図書省略を認めていたものが一件ありまして、その七件を除いた八十九件について、具体的に構造審査の状況を検査官が構造担当者から聴取いたしました。

 その結果、この八十九件については、適正な構造審査を行っていたという答えがほとんどでございましたけれども、これは大臣プログラムを使っているとか、一級建築士がこれを利用して書類をつくっているんだから不正行為は想定しなかったということで、入力チェックとか、入り口、出口だけは見るんですが、過程は一切審査していなかったということで、実質的な審査は行われなかったというのが検査官の報告でございます。

富田委員 質問時間がもう終わりましたので、最後に、そういう状況だとこれからきちんと国交省の方としても指導、処分していく必要があると思うんですが、どういうふうな過程で指導、処分していくのか、その一点。

 最後に大臣に、公明党として申し入れをさせていただいて、今、申し入れについて何点か御質問させていただきました。これをどう受けとめて、リーダーシップを持って対応されていくのか、最後に大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。

山本政府参考人 建築基準法に基づく指定確認検査機関に対する処分は、業務改善等を命ずる監督命令、業務停止命令及び指定の取り消しでございます。

 今回のイーホームズに対する処分につきましては、立入検査の結果等事実関係を踏まえまして、しかるべく対処してまいる考えでございます。

北側国務大臣 まず、入居者の安全と居住の安定確保、これを第一に、最優先に考えてまいりたいと思います。

 今、関係地方公共団体と、特定行政庁と連絡協議会を設けておりますが、あしたも開かせていただきます。また、公的な支援に関する基本的な考え方につきましても、各行政機関連携をとりまして、早急に取りまとめをさせていただきたいと思っているところでございます。

 また、刑事処分、行政処分等あるわけでございますが、これも厳正に対応をさせていただきたいと思っております。

富田委員 ありがとうございました。

 法務省と警察庁、呼んでおいて質問できませんでした。申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。

林委員長 午後三時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 今回は、昨日と本日、国土交通委員会閉会中審査ということで、重大問題である耐震強度の偽造問題、これに取り組んでまいりました。当然きょうで二日間の日程は終わりますけれども、これは第一弾ということでございますので、ぜひ閉会中審査、引き続き来週、再来週、委員長におかれましては、開催いただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、我々民主党といたしましても、耐震強度偽造問題検証チームというのをつくりまして、いろいろ視察をしたり検討を重ねてまいっております。

 その中で、いろいろお話を聞きました。例えば都内渋谷区のケースでは、本当の、がけというか、急斜面に建っている建物がこの問題の建物だったということで、ことしの七月末に東京で地震があったときに壁にひびが入った。そのひびの跡も今もあるということで、中に住んでおられる方もそのとおりなんですけれども、そのちょうど真下に一戸建てのお宅がございまして、そこに住んでいる方は本当に生きた心地がしないという、急斜面に建っておりますので、そういうお話も聞きました。

 さらには、分譲マンションに住んでおられる方の九階の部屋に行ってお話を聞きましたけれども、やはり、退去してほしいということが区からあった。けれども、都の用意した住宅というのは家賃を払わなきゃいけない。何にもないところで家賃を払うんじゃなくて、毎月毎月ローンの返済がある。その中でまた家賃を払うというのは、ちょっとこれは、ちょっとというか、これはもう厳しいということを切実に言われておる方もいらっしゃいます。

 十二月中旬に、退去の勧告というか、そういうことが出るやに聞いておりますけれども、ぜひ、やはり公的住宅の家賃というのは無料にしていただくということぐらいは早急に大臣から口頭で宣言していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

北側国務大臣 午前中もたびたびその御趣旨の御質問がございました。しっかり受けとめまして、地方公共団体とよく協議をさせていただきたいと思っております。

 それと、これも午前中に申し上げましたが、これは売り主の方が、建築主ですね、一義的に当然契約責任、無過失責任を持っているわけですね。そこの売り主の方々がやはりきちんと対応していただくことも極めて大事なことであります。そこは私どもも、しっかり対応してもらいたいということを申し上げているところでございます。

長妻委員 これは仮にの話ですけれども、こういう心配も皆さん持っておられるんですが、仮に経営的な状況で売り主の方がなくなってしまった場合、その場合は公的な支援というのはあるのかどうかというのは非常に大きな関心なんですが、大臣、いかがですか。

北側国務大臣 売り主がどうなるか、これは先の話、仮定の話でございます。それのいかんにかかわらず、私は、行政として、国並びに地方公共団体である特定行政庁、しっかり対応しなきゃならないと考えております。

長妻委員 それで、今回、私もいろいろ調べますと、これは非常に大きな問題がもう一つあるというふうに思っております。

 これは一九八一年から、新耐震基準ということで、今の地震の耐震の基準ができた。それ以前はもっと緩い基準だったということでございまして、その緩い基準のところを対象に改修しなさいということを政府が言われて、自治体も言われているんですが、未改修の建物がたくさんある。今の耐震基準に合っていない建物、これは大体何棟ぐらいありますか。

山本政府参考人 我が国に賦存します建築物、住宅、非住宅につきまして、耐震基準が導入される以前に建築された建築物について別途サンプリング調査したものがありますので、その係数を掛けて推計したものがございまして、耐震性が不十分だと推計される建築物は、住宅で千百五十万戸、非住宅の建築物で百二十万棟と推計しております。

 それで、それの耐震性が現行建築基準法の一・〇に対してどれだけなのか、〇・五を下回るものがどのぐらいなのかということは、個別の耐震診断にまたなければわからないので、掌握しておりません。

長妻委員 大臣、これは本当に大きい問題だと思うんです。これは以前から言われていることで、今回も法律が改正されましたけれども、未改修の物件千百五十万戸、それとオフィスビル、非居住ですね、百二十万棟ということでございます。

 政府が出した退避基準、今回、偽造のビルで退避しなきゃいけないという基準は、保有水平耐力ということがございます。Qu/Qunということですけれども、その最小値が〇・五を下回った偽造物件は住民の方に十二月中旬までに退避していただく、こういうことなんですね、危険だということで。これは偽造の話です。ところが、今言われた未改修の中で、保有水平耐力の最小値が〇・五を下回る物件というのはどのくらいあるんですか、大体、推定で。

山本政府参考人 実はそれは、先ほど言いましたように、新耐震基準が導入される以前に建築されました建築物について推計された数字でございますので、そのうち具体的な耐力がどれだけかというのは耐震診断をして掌握しなければ把握できない、できていないというのが現実でございます。

長妻委員 大臣、これもかなり大きな問題だと思うんです。

 私が聞いておりますのは、特に都心部に今の物件が集中していると。保有水平耐力の最小値が〇・五以下のものが、まあ、わからないということで、調べてもいないということなんですが、ぜひその部分もサンプル調査をしていただいて。同じレベルなんですね、危険の度合いというのは。私は、かなりの方々がそれに該当するんじゃないのかと。そうであれば、その偽造の物件、これも人命は大切。同じ基準でいえば同じ危険度。これも人命が大切でありますので、ぜひ大臣、サンプル調査も含めてお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

山本政府参考人 あらかじめ基本的な制度の考え方をちょっと御説明したいんですが。

 さきの特別会で改正していただきました耐震改修促進法でございます。これは、一定規模以上の、大勢の方が御利用になる特定建築物について耐震診断を求めたり、それによって、結果として耐力がないものについて耐震改修を勧告したり、場合によっては、著しく問題だという、その目安はまさに今御指摘いただいた〇・五になるわけですけれども、その場合は、基準法に基づいて改修を勧告し、さらには命令するというところまで行きたいということで今整理をしておりますので……(長妻委員「今、物件数はわからないですか」と呼ぶ)ですから、特定建築物の物件数とかはわかりますけれども、それについて耐震診断をした上で先に進んでいく、そういう手順で進めようと思っております。

長妻委員 そうすると、今わかる範囲の特定のもので、保有水平耐力が〇・五を最小が下回るものというのは何件ぐらいありますか。どんな物件ですか。

山本政府参考人 ちょっと私の御説明がうまくなかったと思うんですけれども、わかるというのは、特定建築物の数を推計したものはありますけれども、具体の特定建築物について耐力がどの程度かというのは、今現在はまだ掌握しておりません。

長妻委員 大臣、サンプル調査など、どうですか。

北側国務大臣 さきの衆院選後の特別国会、異例だったんですが、耐震改修促進法の改正法案、これをお願いいたしまして、全会一致で通していただきました。急いだのもそういう理由でございます。まずは耐震診断をしっかりやっていただくことが極めて重要であると私は思っております。

 この耐震診断につきましては、助成制度、補助制度も今あります。予算要求も、来年度はもっと大きく予算要求をしておりまして、耐震診断について、例えば地方公共団体でそういう制度をつくっていただくならば、全額地方と国の負担で、居住者の方々には全く負担なしで耐震診断ができるわけですね。

 ですから、この耐震診断の助成制度、補助制度を活用していただいて、耐震診断をまずやっていただくということが重要であるというふうに思っております。

長妻委員 ぜひ促進していただきたい。こちらも人命で大問題だと思います。

 そしてもう一つは、今回偽造が発覚して大騒ぎになりましたけれども、今の問題というのは、その設計図や構造計算、そこの図面上、図面が偽造されていたということでわあっと問題になっているわけです。ところが、では、図面と施工図は合っているのか、あるいは施工図と現実の建物は合っているのか。もし、図面も偽造だった、そして図面と現実の建物も違っていて手抜きがあった場合、さらに今言われているよりも危険だということがある可能性もあるわけでございまして、ぜひ〇・五を上回る物件についても、偽造物件、今、レントゲン検査などで鉄筋探査ということができます、壊さないでも。ぜひその調査も、〇・五以上の偽造物件、していただいて、現物と突合していただきたいと思うんですが、いかがですか。

山本政府参考人 現在、入り口の段階で、個別具体の建築物について構造耐力がどの程度かというのを再計算した上で、設計図書上の耐力を定めておりますけれども、特定行政庁において、個別具体の問題状況に応じて必要な措置をとることになると思います。(長妻委員「レントゲンは」と呼ぶ)探査が必要であれば探査をやるということになると思いますので……(長妻委員「いや、全部。〇・五以上の偽造物件全部」と呼ぶ)〇・五以上の物件ですか。〇・五以上の物件について、個別具体のケースに応じてどこまで必要か、特定行政庁とやりとりをしてみたいと思います、御指摘を受けて。

長妻委員 ぜひお願いします。それがまた違っていたら、また大きな問題になると思います。

 そして、きょうの報道によりますと、政府は昨日決定した、分譲マンションを対象に強度についての全棟検査をする、ただし年代を区切った形だという発表がマスコミに載っておりますが、これは事実ですか。

山本政府参考人 国土交通省として、こういう方針を既に定めたということはございません。私どもの推測ですけれども、二十八日の自由民主党の武部幹事長の御発言もございますので、そういった御発言を受けた記事かと推測しているところでございます。

長妻委員 これは新聞の記事ですから、政府は決定した、方針を固めたということが報道されておりまして、これは発言があったんだと思うんでございますが、では、これはこの方向で検討していくということは間違いないんですか。

山本政府参考人 年代を区切って分譲マンションの全棟調査をするという方針は定めておりません。

 しかし、先ほど大臣が御説明申し上げましたとおり、特に耐震診断についての極めて手厚い制度を持っておりますので、問題意識を持った建築物から申請があれば、的確に耐震診断を支援できるような枠組みで進めてまいるという考えでございます。

長妻委員 何かリップサービスというか、そういうのが先行して実体が伴わないような、きのうの参考人のどこかの社長とは言いませんけれども、かなり発言が踏み込んだり後退したりということであってはならないというふうに考えております。

 そして、この十五ページを見ていただきますと、お配りした資料に、これは一戸建ても偽造されていたということで、三階建ての木造マンション二物件が出ております。

 そういう意味では、分譲マンションだけではなくて、これはもう一戸建ても可能性もあるということで、どこの建物と区切らないで、私は、全国サンプル調査、サンプル調査をきちっとしていくということが、国民の皆さんに、今回の件は氷山の一角でほかにもあるんじゃないか、この不安を払拭する一つの調査だと思うんですが、サンプル調査、いかがですか。ぜひやっていただきたいと思うんですが。

山本政府参考人 今、千葉県が立入検査をしまして、姉歯がかかわりました、仕事をしました物件二百一件について、すべて賦存する特定行政庁で調査をしておりますので、それについては戸建て住宅も含めて調査を急ぐ考えでございます。

長妻委員 私が申し上げたのは、今回偽造が発覚した関連した業者の物件じゃない、すべての日本国じゅうの物件を、北海道から沖縄までサンプル調査をぜひしていただきたい、そういう御検討を進めていただきたいという提言なんですが、いかがですか。

山本政府参考人 耐震性に不安のある建築物、住宅、非住宅を含めまして、不安のあるものについては耐震診断をしていただくということを前面の課題に掲げて、これを支援していくという考えでございます。

長妻委員 大臣、いかがですか。耐震診断を向こうから待つんじゃなくて、国とか自治体から働きかけてサンプル調査をしていく、そういう趣旨を申し上げているんですが。

北側国務大臣 今住宅局長が答えましたのは、姉歯物件、少なくともこれは急いでやらなきゃいけないということで、これを今調べています。

 その上で、指定検査機関について、これは全国の指定検査機関に立入検査をさせていただこうと今しているんですね。立入検査をして、しっかりチェックをさせていただこう、それも時間を区切って、百人体制で今やろうとしております。

 また、特定行政庁においても、その辺の総点検を、県が指定しているような民間の検査機関についてもやっていただこう、また特定行政庁の内部でもやっていただこうということで、今やっているわけでございます。

 今委員の御指摘のあったのは、サンプルを取り上げてやったらどうかということでございますので、これは検討をさせていただきたいと思います。

長妻委員 ぜひお願いします。

 そして、安倍官房長官がこういう発言もされておられます。今回の偽装問題で公営住宅を二千二百万戸確保しますということですけれども、これは事実ですか。

北側国務大臣 きょう午前中も詳細を答弁させていただいておりますが、そのとおりでございます。

長妻委員 そして今回、一連の事業者というのは、保険ですね……(発言する者あり)済みません、先ほど、二千二百戸です、公営住宅。済みません。失礼しました。二千二百戸です。訂正します。

 費用保証制度というのがあるんですね。建築主が入って、建築主が倒産しても居住者に費用を保証するような保険のようなものがある。日本では今、住宅保証機構というところが住宅性能保証制度というのを出しておりますけれども、今回の事業者というのはこの保険に入っていなかったんですか。

山本政府参考人 性能保証の適用を受けておりません。

長妻委員 ですから、やはりそういう保証に入っているか入っていないかということも大きく表示をしてもらって、購入者が、ああ、この建設主は入っているんだな、建築主は入っているんだなといえば、その建築主が何か万が一今回みたいなことがあっても、建築主が倒産しても保証が受けられるわけですから、これをきちっと、でかい看板で、パンフレットにもでかでかと表示しなきゃいけない、こういう制度、どうですか。

北側国務大臣 恐らく、そういうことを保証している、そうした制度を活用している売り主の方は、そちらの方は宣伝しているんですね、当然のこととして、買い主に対して。いろいろなパンフレットも含めて、こういう保証制度を活用していますよ、だから万が一のときにも大丈夫ですよというふうなことは当然宣伝している。活用していないところは、そういうのは書いていないというところでございます。

長妻委員 いや、それはそのとおりなんですが、だから入っていないところと入っているところがわかるように、きちっと表示義務、入っていないところはきちっとその旨を書かせるとか、そうしないとわからないんですよね、買う方は。そういうきちっとした表示をさせる、せめてそのぐらいさせますという。

北側国務大臣 ぜひ検討させてもらいたいと思います。

長妻委員 それと、中間検査というのが阪神大震災の教訓で導入されました。建物が建っている途中で検査をする。足を運んでプロが見ればかなりわかるというふうに思っておりますが、今自治体で中間検査を実施したり、あるいは決めるということになると、その自治体の物件というのは民間の指定確認検査機関がやるにしても中間検査は義務づけられるわけですけれども、そういう中間検査を義務づけている自治体というのは全国の全自治体の何割ぐらいですか。

山本政府参考人 ちょっと厳密な数字を手元に持ってきておりませんけれども、おおよそ七割ということでございます。

長妻委員 そうすると、あと三割の自治体は中間検査が全くその中ではなされないということで、私がちょっと国交省の資料で拝見いたしますと、これは正しいか正しくないか言っていただきたいんですが、十の都道府県で、その都道府県内の自治体はどこもこの中間検査を実施していないという十の都道府県があるんですが、先ほどいただいた資料、これは間違いありませんね。読み上げて間違いがあるとその県に不名誉なことになりますけれども、どうですか。あるいは都道府県を言ってください。どこも実施していない都道府県の名前を言ってください。

山本政府参考人 どうも恐縮です。具体の県名を申し上げます。秋田県、群馬県、新潟県、石川県、鳥取県、岡山県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県。

長妻委員 今言われた名前の県内の自治体全部が中間検査を義務づけていない、やらないでいいということになっている。その県選出の先生方いらっしゃいますので、ぜひ働きかけて中間検査を全部の自治体がやるような、いろいろな問題がネックになっていると思います、それも取り除くようにお願いを申し上げます。

 そして、ちょっと話題をかえますが、大臣、先ほども同僚議員から質問がありましたが、伊藤公介元国土庁長官が面談に行ったということですけれども、公表の二日前、十一月十五日、局長に会ったというのはお聞きになられていますか。

北側国務大臣 これも後で聞いたことでございますけれども、国交省に来られて、私が聞いているのは、建築指導課長が対応しておったというふうに聞いております。

長妻委員 先ほどもそういうお話がありましたけれども、実は局長にも会っていたという話もあるんですが、局長、十一月十五日、伊藤公介議員がきょう来ておられる小川建築指導課長と三十分会って、その後夕方、局長とさしで、お二人で会ったというふうに聞いているんですが、事実ですか。

山本政府参考人 指導課長と会いました後に、私の局長室に寄って帰られたことは事実でございます。

長妻委員 どんな話がありましたんですか。

山本政府参考人 ヒューザーのことで小川課長に話を聞いてもらった、自分はその場で話を聞いたけれども、この件については建築確認検査機関を指定した国にも責任があると自分は思う、国としては居住者の安全の確保などが一番大事だと自分は思うけれども、どういう対応をするつもりかと聞かれました。

 私どももまさにそういう問題意識は持っておりましたので、特定行政庁と緊密に連絡をとりながら今対応を相談しているところだけれども、居住者の安全を第一に的確に対応していきたいと思うということをお話しいたしました。

長妻委員 これは課長にも、その前の三十分間、ヒューザーともう一社の社長がお会いしてお話があったということでございますけれども、このときは伊藤議員はどんなお話をされたんですか。

小川政府参考人 伊藤議員の方からは、住宅の安全確保がまず第一だ、そういうような認識をされておりましたが、私と小嶋社長のやりとりを専ら聞く側に回られるというような状況でございました。

長妻委員 ちょっと国会の答弁、ぜひきちっとしていただきたいと思うんですが、お配りした資料の一ページ、国土交通省から私が要求しましていただいた資料ですけれども、この二番目の、十五日、対応、建築指導課長。こういう話があったわけですね、ヒューザーの社長から。ちょっと先ほど答弁では何かさらっとされましたけれども、住民への告知、公表に当たっては危険性の確認を十分行うなど慎重に対処してもらいたいこと、国指定の確認検査機関が偽装を見逃しており、国にも責任があるので公的資金援助などが欲しいということを発言された。

 それで、きのう私がヒューザーの社長にお尋ねしましたところ、いや、伊藤議員は自分が頼んだんじゃないんだ、伊藤議員から一緒に来いというふうに呼ばれたんだと。これも逆に私は不可解な話だと思います。議員主導でヒューザーを、ヒューザーが要請していないのに連れていくということは、これは大臣、どう思われますか。全く問題なしというふうに思われますか。頼んでいないのに。

北側国務大臣 その辺の真偽は私にはよくわかりませんが、いずれにしましても、行政の側が行政の判断をねじ曲げられるとかそういうことは断じてあってはならないわけでございまして、そういうことは本件においては一切ないというふうに思っております。

長妻委員 思っている、思いたいという気持ちはわかりますが、ぜひ調査をするというおつもりは全くございませんか。

北側国務大臣 今回の件は、ある意味じゃ、本当に日々日々状況が変化をしているわけでございます。私が責任者でございます。私の判断には一切影響を与えておりません。

長妻委員 大臣の判断に影響がないのはわかりますが、では、十一月の十五日に大臣に情報が上がった。国交省がきちっと把握したのが、私は十月二十六日だと思いますけれども、実際、十月の二十八日だと国交省は言われておりますから。しかし、それにしても、大臣が知ったのが十一月の十五日ということで、余りに遅過ぎる。その同じ日に伊藤議員が、もう先手を打ってというか、大臣が報告を受けたその日に訪問している。ということは、前から知っておられるわけで、大臣、この報告の遅さというのは部下の方に厳重注意されるおつもりはないですか。適正な報告だと思いますか、時期は。

北側国務大臣 途中経過について、私のところにもっと早く報告があるべきだと思います。

 しかしながら、実際、国総研等を使いましてこれは調査しているわけですね。イーホームズから上がってきました五つの物件について構造計算書の提供を受けまして、この構造計算書を国総研、専門家の方々に見ていただいて、そしてその結果、大地震が来たら倒壊のおそれがあることが判明したのは十一月十二日の土曜の夜でございます。

長妻委員 これはぜひ当委員会で、伊藤公介議員を参考人として、国会、こちらの委員会にお招きして、お話を聞くという機会を持っていただきたいと委員長にお願いをいたします。

林委員長 理事会にて協議いたします。

長妻委員 それで、先ほど馬淵議員からメールの話がございましたけれども、このメールのやりとり、これは、きのう記者会見で公表した以外のメールもございます。何か都合のいいのだけ記者に公表したのかどうかわかりませんが、そのメールによりますと、担当者が決まったのが、「今回の件を担当する田中と申します。」ということで十一月十日十時二十八分にメールが国交省からイーホームズの藤田さんのもとに、社長に行っているということで、担当者が決まったのも非常に遅いということで、後手後手の感が非常にあります。ぜひ、大臣におかれましては、今後、リーダーシップを発揮して問題の解決に当たっていただきたいということをお願いするものでございます。

 そしてもう一つ、そういうもたもた発表をしているうちに、株価が変な動きをしているという御指摘をいただいております。トレーダーの方から、これは株式のチャート図ですけれども、この公表が、正式に世間で公表されたのが十一月の十七日でございます。その以前は基本的にだれも知らないということでありますが、今回関係したある会社の株が不自然な動きをしている。あたかもその前に知っていたのかどうか、株が暴落することを。

 これは、こういう指摘が私のところに匿名のトレーダーの方から連絡がございまして、ちょっと見ると、確かに普通とは違う動きだなというふうに私は感じておりますので、きょうはお呼びしておりませんが、証券取引監視委員会も含めて、インサイダー等の可能性もぜひ調査をしていただきたい。こういう人の不幸につけ込んで金をもうけるやからがいるとすれば、これは問題だと思います。

 そしてもう一つは、こういう事例もございました。大臣の御所見をお伺いしたいんですが、荒川区がヒューザーの物件を建築確認をおろした。その建築確認をおろした荒川区の建築課の職員が、そのヒューザーの物件に、新築に今お住まいになっている。その建築課の方はお一人、そして建築課に所属しない荒川区の職員の方がお二人、荒川区の職員合計三世帯がそのヒューザーの物件に住んでいるわけです。

 これは、建築確認は民間ではありませんで荒川区でございますけれども、こういうことというのは、李下に冠を正さずといいますか、建築確認をした当該建築課の職員がその物件に住んでしまうというのは、大臣、いかがですか。

山本政府参考人 個別具体の事情についてつまびらかでないので何とも言えませんけれども、一般的に申し上げますと、建築確認が出される時点では、建築計画はもちろん周知しております。したがって、建築確認を行った自治体の職員が当該物件を購入することには、基本的には問題がないと思っております。

長妻委員 これは、仮に不当に安い金額で購入をされていたとか、仮に何か手心が加わっていたとか、そういうようなことがある場合、私は、そういうことがない場合も、李下に冠を正さずでその当事者は自粛するということを主張しますが、ぜひそういうところも今後調査をしていただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、この二ページ目、これは私もこの業界には詳しくないのでびっくりしたんですが、こういうクーポン券がございました。このクーポン券は、イーホームズと同じような民間の指定確認検査機関が営業用に配っているクーポン券でございまして、これは、一回利用されたお客様に対して、次に検査を受けると二千円引きますよ、次もうちでお願いしますということでございまして、この注意書きには「このチケットは他のキャンペーンと併用してご利用が可能です。」ということで、他のキャンペーンというのは何ですかと聞きましたら、新規トライアルキャンペーンということで、初めて検査を頼んだ方は一〇%引きいたしますと。こういう熾烈な営業競争が今起こっている。

 そして、建築士の方が異口同音に言われておりますのは、自治体と民間、どちらに検査を持っていくかといったときに、瀬踏みをする、この物件ではどっちが通りやすいかなと。それで、通りやすい方にお願いをする。民間と自治体では、料金は民間の方が高い。普通は安い方に頼むと思うんですが、高い方に頼む。いろいろな営業トークがあると思うんですが、その中には、早く通します、これは当然、合法的に早く通す分にはいい。しかし、今回問題になったイーホームズは、私も複数の建築士の方から聞きましたけれども、前から、通しやすい、通りやすいという話があったというふうに言われているところですということでございます。

 大臣、この民間の検査機関のあり方自体、何か問題点というのはお感じになりますか。

北側国務大臣 民間機関であれ、これは当然そこには競争があると思います。しかし、事審査内容に不適切なところがあっては断じてならないわけでございまして、あくまで厳正な審査が確保されているということが大切であるというふうに考えております。

 今回、イーホームズ等の民間検査機関で大量のそうした見落としがあったわけでございます。なぜそのような見落としが通ってしまったのか、そこはしっかりと検証しなければならないと思っております。

長妻委員 やはり国交省のチェック機能の見直しも必要だ。あるいは検査も、建築確認、中間、完了と三つありますけれども、それを別々の組織にやらせるとか、やはりそういう対策が必要だというふうに考えております。

 最後に十三ページを見ていただきますと、これは、当委員会で京王プレッソイン茅場町というホテルを視察に行きましたが、そこの、配付された資料で十四ページを見ていただきますと、これも私もびっくりしましたけれども、左下に柱の図がございます。この左が今の現状の柱だと。柱、百二十センチ四方ですね、正方形。本当は二百四十センチなきゃいけない。半分というか四分の一しかない柱があったということで、これは中間検査できちっと足を運んでいれば発見できたはずだと思います。

 常識的に考えても、図面と合っていても常識的にこれほど細い柱はおかしいというふうにプロはわかるというふうにも聞いておりますので、そういう意味で、イーホームズが本当に中間検査で足を運んでいたのか。写真だけで間に合わせてしまう、そういう検査機関もあるということも私も聞いておりますので、その部分、まだ国交省は確認していないというふうに言われておりますが、本当に足を運んできちっと中間検査をイーホームズがしたのかどうか、これも厳しくチェックいただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、当該のこのホテルでございますが、今申し上げた京王プレッソイン茅場町ですけれども、これは、きのうも話題になりましたけれども、コンサルタント会社、株式会社総合経営研究所、これのホテル指導部というところがコンサルタントをして、京王に木村建設を紹介して建てられた建物だと。そして、この総研というコンサルタントは、これはホームページのコピーでございますが、設計依頼はすべて総研で打ち合わせをしますというふうに書いてあるわけで、設計も主導しているという記述もございますので、ぜひ大臣、この総研もひとつ調査に加えていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。大臣、御答弁ください。

北側国務大臣 必要な調査はきちんとやらせていただきたいと思っております。

長妻委員 いずれにしましても、今お住まいの方、夜も寝られない、そして下に住んでいる方、御夫妻に私もこの耳で聞きました、生きた心地がしないという方が今現実におられますので、まずはその対応を迅速にしていただく。我々も全力で取り組みますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

林委員長 小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 この件に関しまして質問をさせていただきたいと思います。

 本当に先日来大きな問題になっておりますし、今全国で、私もそうですけれども、私の周辺のマンションに住んでいる人たちは、自分のところは大丈夫だろうかと。そういう意味では、これから波及して、非常に多くの人たちが不安に思いながら、また疑問に思いながら日々生活をしている現状がございます。そして、この問題自身は大きくいろいろなところに今どんどんどんどん拡大していっているということも考えまして、本当にこういった場で質問させていただくことをありがたく、そして何よりも貴重な場だと思っております。

 まず最初に、きのう参考人がおりまして、私非常に疑問に思いましたのが、あの木村建設の社長さんの態度でございます。何でも、ある意味、東京支店長さんの方にすべて任せてあるというようなことではありますけれども、この方を書いてあります本、きのうも長妻代議士の方からも指摘ございました、この木村建設について書いた本では随分よくお話しになられています。実際、工法とかそういったところ、いろいろな技術を導入するのに、あちらこちら行かれるとよく質問もされ、もともと鉄骨の会社から入られていますので、そういった分野に関して本当によくしゃべられる方だということも書いてあります。

 その中に、読んでいきますと、ほかのインタビュー記事を読んでいきましても、木村建設について書いていますのは、コストダウンのためには、鉄筋を減らせばと指示していけば確実に一割は削減できると読み取れるような、工法についてかなり自慢げにある意味語っていらっしゃいます。

 建設の工法の特徴というのは、普通より大型の枠型にコンクリートを流し込んでワンフロア四日ぐらいで仕上げてしまう。一年半ぐらいかかるところがもう本当に半年や一年で、ほかのところから比べても早くビジネスホテルなどはどんどんできてしまうという意味では、ある意味、非常に独自のノウハウをお持ちではあるんですが、逆に言えば、このコストダウン、営利を追求するという中において、経費節減という名のもとで、ひどい、もしかすると建築基準などに満たないような建築物になっていたのではないかという疑念を持たざるを得ませんでした。

 経費節減ということはどの会社でもやりますし、民間企業であれば、当然いろいろな自分の独自の工法ということで日々調査研究、努力をされて、恐らくいろいろな工法をされているんだと思います。竹中工務店さんも、たしかそういった名前のついた工法もされている。

 そういった中において、まずもって木村建設のこういった工法、あちらこちらで、二〇〇二年のときも話していますし、これはことし出た本ですけれども話されています。建築基準法の疑い等はなかったのか、まず伺いたいと思います。

山本政府参考人 今御指摘になりました社長の木村さんの著書「木村イズム「現場力」で勝つ!」によりますと、HQ工法とは、ビルの型枠に用いるパネルの大きさを、通常は九百ミリ掛ける千八百ミリですけれども、これより大きいもの、九百ミリ掛ける二千七百ミリを使用することによりまして工期を短縮する工法でございます。また、スチール製の型枠を使用することにより、通常の木製型枠に比べて耐久性があると紹介されております。

 建築基準法では、使用する型枠の大きさや材質については規定しておりませんが、建築基準法施行令第七十六条及び関係省令におきまして、型枠は、コンクリートの自重及び施工中の荷重によって著しい変形またはひび割れ、その他の損傷を受けない強度になるまでは取り外してはならないこととされておりまして、一定の存置期間が必要であります。

 したがって、この規定に従って施工が行われているとすれば、建築基準法令に適合しているということが言えます。

小宮山(泰)委員 とりあえず建っているのだから違法ではないということでいいんでしょうか。

 合理的に言えば、それは耐久性は、壁の耐久性ではなくて、この型枠の耐久性が上がっているということをこの本では書いてあるんだと思うんですね。結局、鉄筋を減らせばその分だけ安くなるということも、ある意味、暗黙に言っているんだと私は読み取れたんですけれども、こういった工法はそのままでよかったんでしょうか。

 それは、もしかすると、こういった意味で、導入したのも、外国から自分で見てきて導入してきたということを書いていらっしゃいますけれども、当然コンクリートの乾く期間というのも、通常、しっかり乾くには日本では二年ぐらいかかると言われていると思うんですが、そういったことも勘案すると、気候とか湿度とか、当然地震の問題、海外とは日本は大分違いますので、耐震性の問題とか考えていきますと、こういった諸外国から努力で技術やそういったものを入れることは悪いとは言いませんけれども、それが本当に日本の建築物として適切だったのかということはどう考えていらっしゃるのか。現実にこういう工法についてのチェックをするところはあるのか、していらっしゃるのか。その点についてお聞かせください。

山本政府参考人 御質問のポイントが必ずしもつまびらかでないわけでございますが、木村さんの言うHQ工法で施工したものが適法かどうかという御質問でありますれば、先ほど言いましたように、七十六条などの規定に従って施工が行われている限り、法令に適合しているということが言えると申し上げたわけでございます。

小宮山(泰)委員 こういったことをチェックするのかに答えてくれていませんけれども。そういうことをチェックする場所があるか、聞いたはずですよ。

山本政府参考人 二番目の御質問で、いろいろな工法についてチェックする機関があるのかということがポイントでございますれば、各会社が独自に開発した建築工法につきましては、性能評価機関で実施しております技術評定制度を活用することで、建築基準法上適切か否かの審査を行っております。

 現在、この技術評定制度を実施している機関としましては、日本建築センター、日本建築総合試験所、建材試験センターなどが存在しております。

小宮山(泰)委員 それでは、そういったところでチェックができるということを伺いましたが、実際、こういったところが全部チェックをしてもらえるんでしょうか。それとも、強制的にするべきものか、自分から申告して初めてされるものなんでしょうか。

山本政府参考人 御質問の趣旨が、HQ工法についての認定でございますれば、これは、先ほども御答弁いたしましたように、建築基準法では、使用する型枠の大きさや材質については規定しておりませんで、型枠を使ってコンクリートを打つ場合に、コンクリートの自重あるいは施工中の荷重で著しく変形したりひび割れたり、その他の損傷を受けない強度になるまで型枠を保持する、そういう強度になったら外してもいいというのが法令の規定でございまして、その規定に従って施工が行われているとすれば、HQ工法は基準法令に適合しているというのが答弁でございます。

小宮山(泰)委員 自民党の先生、仮定の問題だとか、先ほどからいろいろ、段ボールでもいいとかいろいろな御指摘を、御意見というんでしょうか、いただいておりますけれども。

 それではこれが、逆に言えば、もちろん、十一階建てとかになってきた場合、著しく破損されないという保証も今のところないわけですよね、当然、年月の問題もありますけれども。そういったことの確認をするということは、されなくても大丈夫だと。型枠でとれればいいわけですか、単純に。鉄骨とか何か、コンクリートを埋めただけでは当然弱いわけですよね、日本の場合。型枠の中身の問題ですけれども。

 ここで言っているのは、鉄骨を減らしたことなんですよ。結局、そういったことで安く仕上げた、コストダウンをしたということを言っているわけですよね。型枠がどうというわけじゃないんですよ、私も言っているとおり。それがどれだけの耐久性があるのかということが、今回、本数を減らしていけばそれだけ安く上がるしということで、結局のところ、こんなに、先ほども長妻代議士の資料にあったように、本数は減るわ柱の太さは小さくなるわ。ただ、外から見ていたら、でき上がったものを見たら、それを購入した人や使う人たちは、本当にこれが耐久性があるものなのか見てもわかるわけないじゃないですか。そこが今問題になっているんですよね。

 だからこそ、もともとこうやってどうしてつくられてしまったか。現実に実行して建物をつくったこの建設会社が、書いてあるという意味においては、鉄骨は結局少なくなって、少なくなれば、それだけ安く上がる、コストダウンができる、早くつくれる。そういって、途中にこれを指南していった経営コンサルタント、総合経営研究所というものが、徹底的なコストダウンをすることとか、そういったことにのっとってやったおかげでこういう受注ができたということを自慢されているようでありますけれども。

 結局、そこのコンサル自体は、別に設計士とか建築士とかそういったわけではない、建設会社でもないわけですけれども、そういった人たちの意見をしっかり取り入れて、構造的に弱い、震度五強が来たら倒れてしまう、つぶれてしまうかもしれない、そういう危険の高い建物がつくられるに至った、最初は、やはりこういった建築工法というものができてしまったからなんじゃないかと思えてならないんですよ。(発言する者あり)何で違うんですか。じゃ、だれがそれを調べていて、こんな細いものにして、これだけ鉄筋を少なくしたら危ないとわかるわけですよね、ある意味。当然そう思いますよね、普通。

 それをずっと続けていて、それができてしまっていたということで、しかも、今局長がおっしゃったとおりに、建築基準法からみなして、これは合法であるということになったら、たまたまある意味、内部通報とかいろいろなところがあったから今こうやって発覚しますけれども、もしかすると、今までも、もし合法であるならば、これは表に出ることはなかったかもしれない。表に出ていても、それを取り上げる人がいなかったかもしれない。そして、これを堂々と、鉄筋を減らせばできたということになりかねないんじゃないですか。

 そういった強度の問題において、建築会社が新しく自分で独自でつくり上げたこと、そういう企業努力は私も大変必要だと思います。だけれども、それを本当に、今高層ビルやいろいろな、昔と、最初に法律ができたころと違って、高層ビルや、鉛筆のようなとよく言いますけれども、本当に細い、高い、ある意味、非常に安定感の悪いようなビルというのがたくさんできてきていることを考えるならば、その点に関して、基準とか、また、つくり方の工法についても一回見直す必要があるんじゃないか、普通に考えればそう思うんだと思います。その点に関して、局長の御意見を伺いたいと思います。

山本政府参考人 このHQ工法を使ってコンクリートを打つ工法の適法性ではなくて、そうやって打ってつくった鉄筋コンクリートの柱の構造耐力はどうなっているんだということが御質問の趣旨でしたら、そのことを、法律の規定に適合しているかどうかを確認するのが、まさにこの設計における構造計算書であるわけでございます。その部分が偽造されていた、したがって、鉄筋コンクリートでつくった柱の構造耐力がない、違法な建築物ができたというのが今回の事案の問題だと思っております。

小宮山(泰)委員 結局、こういうので発覚しなければ、もしかすると表に出ないままでやはりこれからもつくられてしまう危険というのはあるのかな、ある意味、法の盲点なのかもしれないという思いがしてなりません。この点に関しては、やはりもう一回、今の日本の災害の状況やいろいろなことをかんがみて見直さなければいけないんだと思いました。

 時間もあれですので、なぜこんなことを言うかといいますと、実を言いますと、阪神・淡路大震災の中において、建築基準法に適合していても、やはりどうしても被害に遭って崩壊している建物が実際あります。そういったところにおいて、その点に関しての、やはり昔と基準を見直さなければいけない時期に来ているのではないか。政府の方でそういった資料はありますかということを聞いてみましたけれども、すぐに出てこなかったんですが、民間の方には結構持って調べていらっしゃいました。こういった意味で、全体的な、今全国あちらこちらで大きな災害、震災が起きていますので、ある意味、これがもう一回見直しをするきっかけにならなければいけないんだと感じておりますので、質問させていただきました。

 さて、指定確認検査機関のチェック機能についてですけれども、今話していましたとおり、やはりこういった建築工法、いろいろなものがあるからこそ、途中、当然調べたりいろいろするためにもこういう制度があって、そして今、各行政等においてはなかなか進まないというのもあり、平成十年にこの法律を改正されて民間もできるようになったというのは、私自身は非常に必要なことだと思っております。

 しかし、建築基準法七十七条、特に七十七条の三十一で、国土交通大臣は、指定確認機関が公正かつ適確な検査を実施しているのか、必要であれば報告を求め、または立入検査を行うことができるとしていますけれども、今までこの規定がどれだけ適切に適用されてきたのか、実績についてお話しいただけますか。

山本政府参考人 指定確認検査機関に対する指導監督でございますけれども、まず、そのうちの最初の立入検査でございます、引いていただきました条文の。これは原則年一回実施しております。この検査の一番の眼目は、確認事務を行う能力があるかどうかということが法定されておりまして、これは指定要件になっておりますので、引き続きその能力を維持して確認業務ができるかどうか、その法定要件を時間の経過とともに随時確認していくというのが一番の目的でございます。

 したがって、具体的にやりますことは、業務規程に照らして運用に問題はないかとか、帳簿とか書類がきちんと保存されているか。特に、指定準則に規定された確認検査員とか補助員は定められた人数を確保しているか、そういった能力に関する部分を見るわけでございます。

 ただ、今御質問いただきました問題意識に照らして答弁いたしますと、これまでの立入検査では、確認時の図書の中身の一々について入っていって見るということまではしておりませんので、通常の立入検査では今回のような構造計算書の偽装を発見することは困難であったわけでございます。

 しかし、今回の事案が発生いたしましたので、御指摘のような問題意識に立ちまして、いろいろな立入検査のあり方、制度のあり方についてもきちんと検討を進めていかなきゃいかぬと思っております。

小宮山(泰)委員 過去の例を見てみますと、平成十四年に一斉に特別検査をしていて、それ以外はイーホームズに対して平成十七年十月二十四日に一回しただけとなっていますけれども、このチェック体制という中で、やはりここがしっかりしてもらいたかったという思いは恐らく今住人の方々、多くの人が持っているんだと思います。

 指定機関による構造計算の捏造とかをそういった意味で防止するためにも抜き打ち検査を実施するということが必要だと思いますが、先ほど大臣、これから一斉にしますという答弁もありましたよね。そうなると、今年度というんでしょうかね、抜き打ちではなくなるのかなとは思うんですが、指定確認機関と監督官庁の緊張関係というものを持つためには、こういった抜き打ちも含めまして現行建築基準法七十七条でも実施できると思っておりますので、この点に関して、抜き打ちもやる、そういったこともやっていかれるおつもりがあるのか、大臣、お答えをください。

北側国務大臣 これまでも抜き打ちをやっていないわけじゃないんです。そういう電話等が入った場合に、電話というのは、ちゃんとやっていないぞというふうな電話が入った場合には抜き打ち検査はやっているんです。イーホームズにもやっておるわけなんですね。だから、問題はむしろ立入検査のやり方がどうなのかということだと思うんですね。

 今局長が申し上げたように、一つ一つの物件についてちゃんと検査をやっているのかどうかというチェックを国の方はやっているわけじゃないんですね、これまでは。これまでは、指定検査機関としての本当の要件、検査する立場ですから、そういう要件が当初決まっています、法律上決まっています。それがきちんと要件が満たされているのかどうか、そこをチェックしているわけなんですね。それだけだと今回のような問題については出てこないわけです。

 実際問題、立入検査する側の人員の問題もあります。そういうことも含めて、今後、どういう監督の仕方がいいのか、どこをどういうふうに改善すべきなのか、そこはしっかり見直しをさせていただきたい、審議会でも御議論いただきたいと思っております。

小宮山(泰)委員 もちろん、これからもこういったことを続けていっていただきたいと思いますが、その内容がどういったところまでチェックをするのかという、そこが緊張関係を生むわけですから、内容についてももっと深く、そして本当に、業界の中では、国土交通省がいつ来るかわからない、検査も、今この段階でも今までのやり方のまま恐らく確認の書類はつくられているわけですから、そういう意味では、いつ来るかわからないから手抜きをしたらよくないんだ、やはりそういう緊張関係を持つような関係をぜひつくり上げていただきたいと思います。

 そして、大臣、お願いがあるんですけれども、特定団体の監督権限をやはりもっと明示する、強化する、この辺は必要なんじゃないでしょうか。ある意味、確認団体は国の認可でやっているのだからこそ、当然その点ははね返ってくるわけですから、やはり各特定団体さんとかそういった苦労しているところもあります、民間にもっともっと開放する部分はして、そしてその分、行政は立入検査などいろいろな意味でチェックをして、安心してその機関が活動し、そしてそれが認定したもの、確認したものは、住人の方たちや購入する人たちが、ここがしているなら大丈夫だ、国ももちろんしているから安心だと言ってもらえるような関係や制度というものをやはり深めていく必要があると思います。ぜひ大臣の、途中まで手を挙げられましたけれども、御意見も伺いたいと思います。

北側国務大臣 現行の制度がまずどうなっているかというのを答弁させていただきたいんですが、まず、建築確認の事務というのは、これは特定行政庁、建築主事のいらっしゃる地方公共団体である特定行政庁の自治事務なんですね。これがまずあるわけなんです。ここの特定行政庁が個々の物件の検査については責任を当然、自治事務ですから、固有の事務ですから、持っているわけです。それを指定検査機関がやる場合と特定行政庁みずからやる場合と両方あるわけですね。この指定検査機関と特定行政庁との関係、ここを私は見直していく必要があるのかなというふうに思っているんです。

 特定行政庁が例えばそうした指定検査機関、仮にそれが国が指定しているような検査機関であったとしても、検査事務自体は自治事務なわけですから、特定行政庁がそうした指定検査機関に対して個々の検査行為に対するチェックがより有効にできるような仕組み、システムというものを検討していく必要があるのかなというふうに考えておりまして、ここはぜひ専門の先生方に御議論をお願いしたいと思っているところでございます。

小宮山(泰)委員 ぜひこの点の関係をもう一度見直していただきたいと思います。

 そして、今まで過去に業務停止処分を受けた指定確認検査機関がございます。これは一回だけやっておりまして、平成十四年十月に四社ありまして、その処分理由は、確認検査員以外の者による確認検査業務を行ったということで業務停止一カ月。これは、この制度ができてから唯一処分が出た事例であります。もちろん、この中には今ちょっと話題になっているところも入っていますけれども。

 今、制度ができてきまして、建築基準法施行令の中、特に建築基準法七十七条の二十三第一項の政令で定める期間というのは五年となっています。大体、法律的には五年から十年の間において政令で定める期間ごとに更新手続が必要としています。

 そうやって考えますと、そろそろ、もう既に三十機関は更新の期間を迎えていますし、実際、処分を受けた中にも更新をされたところも入っているかと思うんですが、既に七年経過していますので更新手続の時期に入っていて、この点について国土交通省はどのように対応していくのか。ほとんどそういう意味では、抜き打ちもやってはいますけれども、こういったことが今のイーホームズさんも含めてどれだけ適切に行われているのか。そして、今回の見直しによって、例えば今までのもう既に更新されたところは何の問題もなくすんなり単に更新されたのか。その点に関しましてお伺いしたいのと、こういった、今、更新手続においてはやはり国民の信頼を回復するという意味においても厳しく対応するべきではないかと思うんですが、その点について大臣のお考えも伺いたいと思います。

北側国務大臣 今委員がおっしゃっていますように、指定確認検査機関というのは五年ごとに指定の更新を受けなければならないこととされております。平成十一年に施行をしましたので、建築確認検査の民間開放によって初めて指定された民間機関が現在順次この更新の時期を迎えているところでございます。

 今回、この指定確認検査機関において、これほど多くの偽装が見過ごされたということでございますので、現在、すべての指定確認検査機関に順次立入検査を実施しまして、構造審査方法の調査とさらなる原因究明を図った上で、適正な構造審査の徹底を図る必要があると考えておるところでございます。

 その上で、今後、確認検査制度のあり方、また、指定確認検査機関に対する指導監督の内容の充実等につきまして、社会資本整備審議会におきましてしっかりと御検討いただきたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 御検討ももちろんそうですけれども、厳粛に対応していただきたい。一回取れば大丈夫というような、そういったことではやはり構造物に対して皆さんの信用を得ることはできません。特に今回はこれだけ大きな問題ですので、ぜひその点に関してはしっかりとした対応、そして更新の手続等を踏んでいただきたいと思います。

 最後になりますけれども、やはりどうしても、私の大学の先輩も今この対応の対象になっていますマンションにお住まいでいらっしゃいます、子供もまだ小学生。そういったことを考えると、本当に皆さん夜も眠れないし、しかし、本当に苦しい中でお住まいになって、どう対応したらいいのか混乱をし、悩み、そして生活を続けていらっしゃる現実だと思います。特に、分譲に住んでいらっしゃる方の救済というのはなかなか難しい点はあると思いますが、各いろいろな議員さんや官房長官も含めて、大臣ももちろんですが、これから救済していくことに対して全力を尽くすというような思い、しっかりと国民にも届いてはおりますが、具体的なことでぜひ伺っていきたい部分がございます。

 一部では、報道で、計画倒産をやはり建設会社等するんじゃないか、売り主はするんじゃないかという、そんなことも出てきておりますので、ぜひ、その点に関して、どんな方法、現行法の中で何が住民にできるのか、そういったことについて何かありましたら法務省からお伺いしたいんですが、簡単にお願いいたします。

深山政府参考人 今御指摘のように、被害者の方々が権利者として権利を行使しようとしても、その債務者である会社の方の資産が、計画倒産というようなことになりますと流出してしまうということで、取りはぐれるリスクが非常に増していくということを御指摘になったと思います。

 こういうことに対処する手段として、法律上の手続として、一つは民事保全手続がございます。これは、売買代金の返還請求権あるいは損害賠償請求権を保全するために、相手方の財産について仮差し押さえの申し立てを裁判所にいたしまして、仮差し押さえ命令の発令によってその債務者が財産を処分することが制限されてしまう、こういう状態に持っていく。

 もう一つは、こういった被害者の方々は債権者ですので、債権者の立場で、債務者が破産原因がある、つまり、支払い不能とか債務超過の状態にある会社だということになりますと、破産手続開始の申し立てをして、裁判所が破産手続の開始をいたしますと、やはり会社の経営者等は財産を一切処分する権限を失う、こういう形で権利の保全を図ることは可能だと思います。

小宮山(泰)委員 ぜひ、早く安心して暮らせる日々が来ることを祈っておりますし、また、早急にと大臣はおっしゃっていただいていますので、ぜひ具体的に、いつまでが早急なのか、そういったことも今後明言をしていただければ、安心して、引っ越し作業等を始めている皆さんに対しては希望になるんだと思います。

 ぜひまた委員長におきましても、昨日来られませんでしたが、姉歯元建築士、そしてこのホテル業等そういうのに深くかかわっています総合経営研究所のコンサルタント、所長さんですか、そういった方々も参考人として話が聞けるように、この委員会を再度開いていただくことをお願いしたいと思います。

林委員長 理事会で協議します。

小宮山(泰)委員 ありがとうございました。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 大規模地震がいつ何どき起きてもおかしくないとして、住宅など建築物の耐震化を積極的に推進しているさなかに、耐震基準を満たしているはずの新築の建築物が偽造設計によって震度五強以上の地震で倒壊するおそれがあることが発覚した、これが今回の最大の問題ですよね。

 問題の焦点は、今までもるるありましたように、このマンションの居住者、また周辺住民などに対する救済をだれが責任を持って行うか。もちろん、当事者であるつくった人たちの責任は当然です。そういうこととあわせて、それをどうカバーして完全なものにしていくか。もう一つは、国民の生命と財産を守る最低限の基準である建築基準法に基づく耐震基準などがなぜ守られなかったのか、事前にこれらを防ぐことができなかったのか、そういう原因究明を徹底的にする必要があると思っています。

 同時に、私は、その背景に住宅販売のコスト削減競争などの過熱があるのではないか、これらを含めた掘り下げた分析が必要です。

 そもそも、建築確認の趣旨、目的というのは、建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることを確保すること、これが住民の生命、健康及び財産の保護等、住民の福祉の増進を図る役割、これが法律の目的ですよね。

 それで、建築確認はどこの事務で、最終的にどこが責任を負うのか、これは今まで議論がありました。では、民間の指定確認検査機関が行う建築確認に対する最終責任はどこが負うのか、これについても、大臣が先ほど明らかにしたように、いわゆる公だ、最終的にはそこがあるんだということについてありました。

 そこで、私は、地方自治体の建築主事による建築確認体制の不備で、相次いで起こった偽装を見抜けなかった事態が発生しているわけで、建築確認制度そのものが問われている事態であると思うんですね。偽装が見抜けず、建築物に瑕疵、欠陥があった場合、地方自治体はどのような責任が問われるのか、また、具体的に被害をこうむった住宅居住者等に対してはどのような補償なり賠償なりするのか、こういう点を政府部内で検討されているとお話ありました。

 同時に、私が言いたいのは、この検討というのは、政府部内、今いろいろな形で関係地方自治体を含めて協議していますよね。そこでこういう問題についてきちんとあわせて徹底的な議論をしておくチャンスじゃないかと思っているんですね。そういう意味で、関係機関としてのイニシアチブをとっていただいてやる必要があるんじゃないかという点は、いかがですか。

北側国務大臣 私は、今一番急ぐことは、居住者の方々の安全を確保、そしてその居住の安定を確保していくこと、また近隣住民の方々の不安を取り除いていくこと、そうしたことが一番最優先で急ぐことだと思うんですね。

 その対策をとっていくためにも、今委員のおっしゃった問題についてきちんと整理をしておく、問題点について共有をしておくということが大事だというふうに思っておりまして、関係省庁の大臣とも昨日協議をさせていただきましたし、もちろん特定行政庁である地方公共団体とも協議をしているところでございまして、今委員のおっしゃった趣旨で、まさしく政府部内で検討をしているところでございます。

穀田委員 地方自治体の建築確認の不備の場合、地方自治体が損害賠償責任を問われる、これはだれに責任があるか明確だからです。ところが、今回のように、国が指定した民間の指定確認検査機関が建築確認をきちっとやらなかったという場合、地方自治体は実は報告書をもらうだけで、建築物を直接検査する責任はないわけですよね。

 実は、御承知のとおり、建築基準法の中にありますように、建築概要書ということで、この四枚のものが当然概要書として保管をされる。これに基づいて審査をするという形式になっているわけですね。だから、この四枚では、ではどんな内容かということが、はっきり言って、地方自治体には確認のしようがないというのが現実だと思うんですね。

 こういう矛盾が率直に言ってある。こういう点をどう解決しようとしているのかというのは大きな問題だと思うんですね。そこはいかがでしょうか。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったのは、法文で言いますと、建築基準法上の第六条の二の三項になるんですね。そこで、指定機関は、「その交付に係る建築物の計画に関する国土交通省令で定める書類を添えて、その旨を特定行政庁に報告しなければならない。」その次の項に、第四項にこういう規定があるんです。「特定行政庁は、前項の規定による報告を受けた場合において、第一項の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。この場合において、当該確認済証は、その効力を失う。」こういう権限規定も設けられているんです。

 ただ、今委員のおっしゃったように、これで十分なのかどうか。

 おっしゃっているとおり、この確認事務というのは、これは特定行政庁である地方公共団体の自治事務でございます。自治事務であるという以上は、もう少しきちんとした形でこの特定行政庁と指定検査機関との間の関係について見直しをすべきじゃないかという議論、それは私もそのように考えておりまして、先ほども答弁させていただきましたが、そこが特定行政庁の方から、仮に国が指定した検査機関であったにせよ、それは自治事務なわけですから、確認行為というのは、そこのところについてきちんと、もう少し明確に権限というものを手当てすべきかどうか、そこは議論しなきゃならないと思っております。

穀田委員 その点は大臣おっしゃるとおりで、この六条の二の三項、四項というのはまさにそのことなんですね。だから、この四枚が、実はそうはいっても、国の指定した機関であれ自治体の機関であれ、これで最後は見るわけですよね。自治事務を担当している地方自治体の検査としてはこれでやるわけですよ。これで効力を失効させるというのはなかなか無理がある。これだけで見て、どう考えたって、本当に概要というもので、構造がどうだとかそういったものは全くない、見取り図ぐらいのものを書いている程度にすぎないという問題で判断をせざるを得ないということもありまして、関係と同時に、これでいいのかという問題もありまして、非常にここは勘どころだと私は思っています。

 そこで、今回の事件というのは、国交省、国が指定した民間検査機関が偽装を見抜けなかったというものですから、指定した国の責任としても重いものがあると私は考えます。その上に立って、国交省が責任を持って、先頭に立って、居住者、住民の納得いく解決を図る必要があると再度指摘をしておきたいと思うんです。

 この事件の大きな問題の、根本といいますか、建築士が構造計算書を偽装したのはなぜかという問題なんですね。なぜそういうことをしなくちゃならなかったのか。イーホームズが確認検査で構造計算書の偽装を見抜けなかったのはなぜか。さらに三つ目に、その背景要因、こういったものの究明が必要だと考えています。

 そこで、第一に、私はコスト削減の競争の問題を取り上げざるを得ません。

 今度の問題で、木村建設から姉歯建築士に鉄骨をもっと減らせなどという圧力があったという事例について、昨日の参考人質疑で東京支店長は言ったことを大筋認めました。そのときに、姉歯建築士だけではなくて、設計依頼するときにはどこにでも要請しているというふうに言いました。それに対して、鉄骨を減らすということについて、おおむね大体その意見を入れてくれたと思うということを言っていました。やはり木村建設はきのうの段階では回答しませんでしたが、広島の建築士は耐震強度が守れないと断った、その結果、姉歯建築士に回ったということが、私はきのう提起して、また聞きました。

 確かに今、おっしゃるとおり、法の範囲内でというような話をしますけれども、実際には、建築基準法に違反してでも鉄骨を減らせと公然と指示することはないかもしれないけれども、法令の範囲内でできないと判断した人は断っているわけです。

 きょう新聞にも書いていますが、東京新聞はこう書いています、「コストダウンの圧力の常態化をうかがわせる発言」。先ほど私が指摘した点ですよね。大方受け入れてくれていると、全部に言っているみたいな話をしている。それから、「問題の背景について「開発会社などの過度の安値競争がある」」ということで、日本建築構造技術者協会の会長まで指摘をしている。

 私は、偽装は論外としても、利益を上げるためのコスト削減と称して鉄骨を減らせと要請している建築現場の現状は、はっきり言ってちょっと異常じゃないかと。安全を犠牲にすることはあってはならぬ、こういう角度からすれば、許しがたい問題として見る必要があるんじゃないでしょうか。その辺はいかがでしょうか。

北側国務大臣 建築士の方々というのは、まさしくそういう使命といいますか、安全な建物を、また安全、安心の建物を設計する、それがまさしく建築士の一番の役割、使命でございます。そこをきちんと、やはりその責任を果たしていただかないといけない。

 それはコスト抑制は当然あるでしょう。あるでしょうけれども、そこは断じて建築士の方々が守っていただかないといけない極めて基本的な責務であるというふうに私は思っております。それが、建築基準法令に違反してまでそうした設計を仮にさせられるとするならば、それはとんでもない話であると思います。

穀田委員 ただ、大臣、そういう使命であり、それから責任である、簡単に言えばモラルといいますか、そういう最低限の問題がずれているんじゃないかという点は、それはあるでしょう。だけれども、それに矮小化してはならぬ問題があると思うんですね。つまり、こういうものが常態化している、ぎりぎりまでやられようとしているというのが広範にあるということは、だれしもが認めている実態があるからなんです。

 もう一つは、やはり建築士の存在なり従属性という問題についても今見る必要があると思うんですね。この間もありましたけれども、木村建設から言われると、なぜそれを受け入れざるを得なかったかというと、大口の仕事先だという問題が当然あったということは私も指摘しました。今の建築士というのは、施工業者と雇用関係にあったり、あるいは経済的従属関係にあったり、さらには事実上一体関係にあったりするというのが、日本では随分多い例として見られています。したがって、立場は非常に弱い。建築士の、いわゆる専門職の独立した機能というのは厳密に保障されていないという問題について、私はその点は一言だけ言っておきたいと思っています。

 実は、この法律が大改正される九八年の際も、私どもはその点を指摘していたわけですね。今度こういう改正があるけれども、建築士という問題について言えば、非常に重大な役割を果たすわけだから、きちんとやっていく必要があるということを言っていたこともあわせて指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、次に、イーホームズが確認検査で構造計算書の偽装を見抜けなかった問題です。

 きのう、何かえらい、自分のところが一番に言ったわけだということをしきりに強調していましたが、私は、そうじゃなくて、きょうも局長が答弁していましたけれども、これまでの調査の中で、イーホームズのずさんなやり方についても指摘したところです。

 問題は、そのイーホームズが、法令どおりの検査マニュアルもなく、いわゆる手抜き検査を行っていたとして、これは告発するのは当然なんですけれども、なぜイーホームズが偽装を見抜けない手抜き検査をしていたのかということについて国交省はどのように判断をしているのか、お聞きしたいと思います。

山本政府参考人 今の御質問は、今般、立入検査をしまして、イーホームズの確認事務の、審査の現状を調査して分析したわけでございますけれども、この十一月二十四日から二十五日の未明、それから二十五日そのもの、こうやったんですけれども、姉歯の案件についてイーホームズで偽装が大量に見過ごされた一番のポイントは、一級建築士という資格を持った者が、大臣認定された構造計算プログラムを一部であっても用いながら構造計算を行っていたという点を過信して、本来必要な計算過程を十分審査せずに見過ごしたというものでございまして、そこがイーホームズが適正に審査ができなかった原因だというふうに考えているわけでございます。

穀田委員 経過的に見て、そういう立入検査の中で起こっているという事態はそうでしょう。だけれども、その中にあるのは、一番後ろにあるのは、何か皆さん知っているように、ここは早いというふうにみんな知っていたわけですよ。私、きのうも言ったんですけれども、何かそれぞれが責任をなすり合っているけれども、みんなぐる、ぐるというか、悪いことをやっているのは一緒にやっているんですよ。しかも、いわばヒューザーなんかが、ここは安くできる、ここは早くできる、こういうのを見計らってやっているわけなんですね。

 問題は、早くできるというところにずさんさがあるということについて気がつかなかったのかという問題を、風聞を知っていながら、どんなことをやっていたかということを言っているわけですよ、あなた方がね。そういう点では、見抜けなかった問題の責任は極めて大きいと私は思うんですね。だから、今言ったのはそこなんですよ。そこで監督するのがおたくの仕事ですわな。今回の事件でまさにそのことが問われている。

 そこで、これまでの一連の対応について言うと、私は、本日も議論があったけれども、国交省自身としての、立入検査をしながらそれをできなかったという責任は免れない、しかも、そういう風聞がありながらきちんとした対応をしなかったということについて免れないと思うんです。

 そこで、ちょっと話の角度を変えまして、一連の対応との関係、ずっと時系列的に追っていって、政治家の関与について少し聞きたいと思うんです。事実確認をしたいんですね。

 報道では、今回の事件を国交省が公表する十日前の今月七日、公明党の山口那津男参議院議員が担当者に小嶋社長の話を聞くよう仲介したとあります。これは事実だと思うんですが、具体的にはどんな要望が持ち込まれたのかについてお答えいただきたい。

山本政府参考人 十一月七日でございますが、国土交通省の国会連絡室を通じまして、この件についての担当者を教えてほしいという連絡がありました。連絡室から文書で回ってまいりました。したがって、議員の部屋に担当者が電話をしまして、私が担当者でございますということで担当課長補佐の名前を伝えたところでございます。

穀田委員 担当補佐の名前を伝えただけですか。それで、彼は次に、要するに担当補佐の名前を聞いて話をしたわけでしょう。

 では、こういう話だというふうに報道されているのは事実ですか。民間の確認審査機関の建築確認に問題があり、耐震強度が不足したマンションがあると聞いたというお尋ねがあったんですか。

山本政府参考人 ちょっと正確に申し上げますけれども、国土交通省の国会連絡室から当方に依頼事項ということで文書で参りましたものにつきましては、マンションを建築する会社からの苦情についてという内容で、マンションを建築する際に構造審査を委嘱されている会社の問題があり、苦情を受けているので相談に乗ってほしいとのことであるので、出口秘書に対して担当者がコンタクトしてほしいということでございました。

穀田委員 では、報道にあるような、もう一遍確認しますけれども、また後で言ってもらっても困るので、きちんと言ってほしいんですけれども、要するに建築確認に問題があるということは大体そこで出ています。耐震強度が不足したマンションがあると聞いたという話はなかったということですね。

山本政府参考人 この依頼事項が回ってまいりましたので、担当の田中補佐がこの出口秘書に電話して、私が担当でございますという旨伝えたということでございます。

穀田委員 余り時間をとりたくないんだけれども、要するに担当を伝えたというのはわかっているんですよ。それはわかっているんですよ。だとすると、どういう問い合わせがあったのか。担当を教えたということは、問い合わせがあったんでしょう。まさか、そこで教えた後それでおしまいだったら別に何の話もないわけで、山口参議院議員は、秘書を含めてそうですけれども、秘書に伝えたと。その後、秘書でも山口さんでもいいですよ、要するに、あなた方に対して、担当者に対して、耐震強度が不足したマンションがあると聞いたという話を尋ねたという事実はないんですか。そこをはっきり言ってください。

山本政府参考人 正確に伝達しておりますけれども、国会連絡室から……(穀田委員「そんなこと聞いてないじゃないですか。今の質問に答えてくださいよ」と呼ぶ)いや、だから正確に聞いていただきたいと思うんです。国会連絡室からありました依頼は、内容として、それについて、そのことだけを、担当者を連絡したという事実を申し上げておるわけでございます。それ以外のことはございません。

穀田委員 では、やりとりについて聞いているんだけれども、やりとりはなかったというんですか。

山本政府参考人 やりとりはございません。

穀田委員 では、そういう報道はうそだということだと。ただ、そういう話があったことは、名前を教えてほしい、名前を教えた、こういうことだ、ここまでだということを確認しておきたいと思うんです。

 では、次に進みます。

 私は、安全軽視と利益追求の検査機関の手抜きを見落としてきた監督のあり方が問われていると思うんです。

 民間の検査機関を認めた九八年の建築基準法改定のときの国会の議論を私読みました。私どもの中島議員は、当時、営利を目的とするというところからいえば、競争が激しくなった結果、安かろう悪かろうという検査になりはしないか、極端な場合を言えば、手抜き検査をという事態が横行するんじゃないか、こういうふうに指摘していたわけですね。

 私は、やはり今、国交省自身の監督体制自体も先ほど大臣は強くするとおっしゃっていましたので、いろいろな形を含めて、立ち入りの検査だとかそういうことを含めて今強化しようとしているわけですから、それは当然だと思うんです。

 そこで、少し立ち入って聞きたいんですけれども、当時、地方自治体の建築確認でも偽装を見抜けなかった事態が相次いでいた場合、当時、建築主事やその他の職員の増員、そういう体制をやはり強化するという、いわば新しい仕事に対してそういう意味での強化が必要だということを言っていたと思うんですけれども、私は、この点についての今の自治体の実情というのは、建築行政担当者の体制というのは極めて弱体化しているんじゃないかと思うんですね、今の現実というのは。そこの点はどういうふうに認識しておられるでしょうか。

山本政府参考人 建築規制の実効性の確保を図るために、平成十年に基準法を改正しまして、これまで建築主事だけが行っておりました確認検査業務を、新たに能力を備える公正中立な民間機関ができることとしたわけでございますけれども、これによりまして、例えば完了検査の率……(穀田委員「それは聞きました」と呼ぶ)ああ、そうですか。あわせて、この十年の改正で中間検査制度を導入しまして、十六年には、七割まで特定行政庁で中間検査が実施されるまでに至っております。

 ですから、指定確認検査機関による検査も含めまして、建築規制の実効性は着実に向上している、建築基準法を執行する体制は、トータルで見ますと、向上してきているという認識でございます。

穀田委員 私は、今の新しい法制度のもとで、地方自治体の実態は弱体化しているということを言っておきたいと思うんです。

 つまり、神戸市などは建築審査課自身をなくしていますし、京都市などは当時三十八人ぐらいの体制があったものが十人以上減らしています。そういう中で、実際に現場を見る技術、能力、それが低下をしているという実態もあります。ですから、一概にそんなふうに手放しで喜べる実態がすべてあるなんということはないということだけは指摘しておきたいと思うんです。

 事実、そういう問題について言うならば、一言言っておきますけれども、当時、私どもは、そういう問題が起きるということについて指摘していまして、自治体のまちづくり条例なんかでもってトラブルを防いでいた、そういう問題について今度はわからなくなるということを指摘しておいたわけです。事実、起こっているんですね。

 品川で葬祭場の設置に関する環境指導要綱があります。これを無視して建築確認をおろし、建築審査会に審査請求が行われ、建築確認を取り消した例がありますね。

山本政府参考人 事実として、品川区が確認処分を行った指定確認検査機関であるイーホームズに対しまして、建築基準法十二条第五項に基づいて関係書類の提出を求めて審査をいたしましたところ、防火関係規定に適合しない箇所があるということが判明しましたので、法律に基づいて通知を行いまして、建築確認を失効させましたけれども、この手続は……(穀田委員「それだけでいいです、時間がないですから」と呼ぶ)よろしゅうございますか。

穀田委員 今もお話があったように、実は、この確認を行ったのもイーホームズなんですね。火災の際に必要な避難の経路を確保していないという問題が問題になったわけです。

 これは、京都でも同じような例がありまして、葬祭業者が民間指定機関に建築確認を出した、これも実はイーホームズ社なんです。つまり、京都市建築条例の空き地への避難通路の違反であるとの市建築指導課の事前の注意があったにもかかわらず、確認をおろしているんですね。

 だから、これは今、私、イーホームズ社の話を、先ほど言いましたように、何でずさんかという問題を見ないとだめだと言ったのはそこにあるんですよ。安かろう、少々高くたって早かろうという話で起こっているという事態がこんなところまで起きているということを、私、例を挙げたい。しかも、そういう例が起こるぞ、まちづくりに関係して事態は大変なことになるし、そこは注意せなあかんと言ったことが現実になっているということを指摘しておきたいんです。

 最後に、では、どうするかという問題について一言だけ言って終わります。

 私は、今回の耐震強度偽装問題を通じて、建築確認制度というのが不備だということがいろいろ明らかになってきたと思うんです。そこで、私は、当面、民間検査機関の検査に対して第三者機関が再度チェックする体制の整備、それから二つ目に、行き過ぎたコスト削減競争を推進するような今の建設業界やハウスメーカーに対する注意の喚起、体質の改善、それから、民間検査機関にだけ頼るんではなくて、本来の自治体による建築確認体制の強化の方向、こういった問題の三つの点について検討すべきじゃないかということを思うわけです。

 最後に、その点だけ、御意見を大臣にお願いしたいと思います。

北側国務大臣 今回の事件につきましては、まだ全容が掌握されていない段階でございます。その全容についてしっかりと掌握をさせていただいて、現行の建築確認制度について、また建築行政のありようについて、どこに課題があるのか、問題点があるのか、ここはしっかりと検討させていただきたい。また、実際、専門家の先生方が入った審議会で御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。

穀田委員 終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 あと二十分ですので、ぜひ頑張って、私の質問を聞いていただきたいと思います。

 時間が大変少ないものですから、大きく二点に絞って質問したいと思うんです。

 一つは、再発防止、そのために具体的に何をしなければいけないのかということ、問題提起も含めてなんですが。もう一つは、一番大事な、被害に遭われた住民の皆さん方をどう救済していくかということについて御質問したいと思いますが、その前に、最初に、大臣の所見といいますか、今回の事件についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思うんです。

 きのう、参考人でいらっしゃいましたある社長は、正常じゃない人が起こした事件だというようなことを言っていましたが、実はその背景には建設や住宅産業を取り巻く構造的な問題があるんではないか。もちろん、今度の姉歯さんを含めた犯罪を含めて、犯罪行為があった事実、これは許しがたい事実なんですが、こうしたことが起こってくる背景ということについてやはり思いをいたす必要があるのではないかというふうに私ども思いました。

 一つは、首都圏、あるいは地方都市でも中心都市ですね、そこを中心に、大変なマンション業界の過当競争が今起きている。二〇〇五年問題と言われているそうなんですが、この過当競争は不可避的にコストダウン競争を引き起こさざるを得ない。例えば、バブル崩壊後、大手のゼネコンが、いわば利益無視と言うと言い過ぎかもしれませんが、そこまで踏み込んだような形でマンションにずっとのめり込んでくるということもありました。こんなことも含めて、現実に、バブル期に百社であったマンション供給業者が今三百社になっているというふうに言われているんです。

 しかも、地方ではなかなか業務がうまくいかないということで、中心都市、特に首都圏に集中している。例えば、きのう参考人で来ていただいたヒューザー、シノケン、あるいは木村建設、これはみんな地方ですよ。都市部で、ともかくコストダウンを徹底してやって、今この時期にマンションを売り抜いていこうということ。あと数年するとマンションはもう供給過剰になって、なかなか業界としても大変になるんじゃないかと言う専門家もいらっしゃるわけです。

 ですから、こんな背景があって、実は、今度の事件といいますか、大変な住民の皆さんの生命財産をないがしろにするような事件が起きた、そんなふうな感想を持っているんです。

 こういう事態について、直接はできないけれども、少し政策的にも、あるいは国土交通省が規制を加えても誘導していかないと、再び同じような事件が起きるのではないか。だから、氷山の一角という声がちまたで聞かれますけれども、こういう事態になっているんじゃないかと思うんです。

 そういう意味で、ぜひ、今回の事件について全体として大臣がどうお考えになっているのか、最初にこれだけお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 冒頭申し上げましたが、建築士という専門家による構造計算書の偽造が行われた、そして、これを指定確認検査機関や、また特定行政庁までがチェックができなかった、見過ごしてしまった、これはもうまことに遺憾であるというふうに言わざるを得ません。

 今委員のおっしゃった背景のお話でしょうか。そういうコストダウン、コストを抑制していく、過当競争ですか、そうした背景があってこうしたことが起こっているのではないかという御趣旨でしょうか。

 しかしながら、こういう建築士の方々というのは、やはりこれは専門家集団でございます。そういう専門家集団の方々が、専門家の方々が、やはり一番の、建築の、建物の安全性を確保していくことが最大の使命と役割でございまして、まさしくそのための建築設計士でいらっしゃるわけでございまして、それが過当競争だ、コスト削減だ。コスト削減、過当競争というのは、別に私は今始まったわけではないんじゃないのかと思うわけですね。

 そういう意味で、こうしたことがあったことはもうまことに遺憾であるし、また、まだ全容を掌握しておりません。まずは、ともかくこの全容についてしっかりと掌握をさせていただきたい。そして、もちろん、今一番大事なこと、一番急ぐべきことは、居住者の方々の安全の確保、居住の安定を確保していくこと、これがもう何といっても最優先、一番急ぐべき課題でございますので、そこにともかく今全力を挙げて取り組みをさせていただきたいというふうに思っております。

日森委員 今度の事件を見ていると、建築士そのものは建築士法で位置づけられているわけですが、それも、一定の企業やあるいはそういうグループの中で、例えば仕事についてグループの指示どおりに仕事をしないと、姉歯さんの例ですが、仕事を出さないとか、そういう支配と被支配みたいな関係が、ヒエラルキーと言ったら言い過ぎかもしれないけれども、ある程度存在していて、そういう中で起こされてきた。しかも、そういうことをしていくのは、実は背景には、競争に次ぐ競争という、我々に言わせると規制緩和がそうしたのではないかという思いがあるんですが、そういうことがあるというふうに思っていますので。まあ、それは結構です。

 二つ目に、時間がありませんから、一番大事な被害住民の救済についてお伺いしたいと思うんです。

 大臣から大変前向きな御答弁もいただいているんです。関係閣僚会議や関係局長会議も開いておやりになるということなんですが、ちょっと心配しているのは、瑕疵担保責任、これを、大臣も先ほどからずっとおっしゃっていました、売り主責任というのは徹底してやってもらうと。

 やってもらうけれども、しかし、きのうの参考人の質疑を見ていると、例えば木村建設、偽装かどうかわかりませんけれども、負債を抱えて倒産だという話が新聞に出ていました。倒産といいますか、今申請しているんですかね。それから、ヒューザーは、きのうは内部留保が三十億円と言っていましたが、国土交通省に来たときは、新聞によりますと十億五千万しかないとか、これもころころ変わっているし、おれに任せろというふうに言っていたけれども、どうも住民の皆さんから見ても信用できないという話になっているんですよ。

 だから、そうすると、これはしっかりしないと、さまざまな法律的な手続があるんでしょうが、しかし、それを加味したとしても、瑕疵担保責任というのが実は実際に確保できないという状況になりかねないという気持ちがあるんです。

 そういう意味では、大変住民の方々は心配しているわけで、とりあえず、例えば、国土交通省としてあるいは関係閣僚会議として具体的に何ができるのか、早急に明確にする必要があると思うんです。

 一つは、瑕疵担保責任が果たせないかもしれない売り主に対して具体的にどういう指導をするのか、これはもう早急に出していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。

 それから、もうちょっと詰めたら、特別措置法みたいなものをつくって、これで対応していくようなことが考えられないのかということなんです。家賃や引っ越し費用の問題については、いろいろ委員の皆さんから言われたとおりで、私もそう思います。

 それから、いずれにしても、ローンという巨額の借金が残る、もうそうなっていく。瑕疵担保責任が果たせないということになると、これは残ってしまうわけです。しかも、今住み続けている家は、地震でつぶれる前から、震度五強の地震が来たらつぶれるということになっているわけでしょう。地震に遭ったのと同じような状態で今住まざるを得ないということになっているわけですよ。

 そうすると、大臣もちょっと触れていましたけれども、地震保険、これの特例適用みたいなことは早急に手が打てないのか、保険会社も何かそういう趣旨のことを言っているような話もありましたけれども。実際には地震に遭っていないけれども、来たらそうなるような状態に置かれてしまっている住民ですから、その辺のことが一つ。

 これはもう国土交通大臣の所管ではない、ないけれども、関係閣僚会議があるんだから、そこに問題提起をしていって何らかの手が打てないかということや、あるいは、銀行協会がローンについて少し配慮みたいなことも言われておりました。住宅金融公庫もそうですかね。このローンの返済あるいは元利返済などについて、例えば、この分については当面瑕疵担保責任者がやりなさいというようなことが指導できないのか、これはもちろん国土交通省ではなくて金融庁になるかもしれないけれども。

 そういう具体的な手を今早急に打っていって、少しでも、精神的な、あるいは財政的な被害住民の負担を軽くしていくことが責務じゃないかというふうに思っているんですが、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 本件ではっきりしておるのは、この姉歯建築士、これは、偽装した、そういうことを認めているわけです。彼には当然責任がございます。

 そして、彼はほとんど下請で設計しているわけですね。もともとの建築設計事務所の方には、当然これも責任があると私は思いますね。そして、この建築設計事務所をだれが決めているのかといったら、それは施工者であったり建築主なわけですね。建築主には当然売り主責任、瑕疵担保責任があるわけです。ここがやはり一義的な責任を負うのは当然の話であるというふうに私は思いますし、現実に、国交省にもこの三者を呼び出して、そうした対応をしっかりしてもらいたいということは申し上げております。

 その上で、当然、そうした関係者、今回の件は非常に関係者が多いわけでございますが、関係者の責任を明らかにするとともに、国と特定行政庁についてもその責任関係について明らかにしていかなきゃいけないんですが、一番大事なポイントだというのは、その辺の責任の、例えば最終的に責任割合がどうなるのか等々、そういうのは、これは司法の決着を待たないといけないわけですね。しかし、その司法の決着を待つまで、これは大変な時間がかかってしまう。そこまで、居住者の方々、特に分譲マンションの居住者の方々にこの時間のリスクというものを全部持たせてしまっていいのかと私は考えておるわけでございまして、そこはやはり行政として、地方公共団体、特定行政庁と国がよく連携をとって、しっかり対応を、そのリスクを軽減していく対応をしていかねばならないというふうに考えております。

 今、具体的なお話については、まさしく関係省庁等で協議をしているところでございます。できる対策については、もちろん、住宅の提供等々、今しっかり努めているところでございますが、早急にその辺の支援の対策について取りまとめをさせていただきたいと思っております。

日森委員 ぜひそれはお願いをしたいと思います。

 三つ目の問題なんですが、今、今回被害に遭われた住民の方々のお気持ち、察するに余りあるということなんですが、実は、もっとたくさんの方々が不安にさいなまれている。いや、おれんちのマンションは大丈夫なのかという話はありますよ。埼玉県は今のところ一件もないんですが、うちの近所でもそういう人はいますよ。それほど不安が広がっているということなんです。先ほど、同じような質問がありました。

 そういう意味では、国、国土交通省、それから特定行政庁と、それから民間検査機関の力もかりなきゃいけないでしょう。これが一体となって、少なくとも瑕疵担保責任が発生している期間、十年間、これらのマンションが中心になると思うんですが、サンプリング調査などができないのか。これできちんとした調査をして、もちろん、問題があったらそのときの対策についても同時に考えておかなければいけないけれども、しかし、そういうことでも国が金と労力を出してやっていかないと、この問題はますます広がっていって、まあ武部さんの言い方は違うんですが、不動産や住宅産業自体に陰りが出てくるんじゃないか、そんな心配もしますよ。それぐらい重大な問題だというふうに私は思っているんです。

 ですから、そんな観点からも、ぜひ十年間ぐらい、サンプリングですよ、どれくらいの量をやるかというのはもちろん今ここで言えませんけれども、こういうことをきちんとやって国民の不安にしっかりこたえる、それは行政の役割ではないのかということが一点なんです。

 それからもう一つは、先ほども出ていましたが、確認検査システム、これをきちんと改善するということが必要だと思うんです。既に基準がありますが、例えば先ほども話が出ましたが、民間の検査機関のマンパワー基準、これを本当にもう一回見直さないといけないのではないか。

 この間、イーホームズのを見ましたら、約一・五倍から二倍なんですよね、料金が。自治体の一・五倍から二倍ぐらいの料金で検査をやっているということなんですが、この法律ができた当時は、四、五倍というふうにたしか国土交通省のお役人の方は答えていたと思うんですよ、四、五倍までいいのではないかと。それから見ると、そんなに高くない。そうすると、量をこなして、そして、もちろん営利企業ですから、それは給料も払っていかなきゃいけないというような流れになってくるんですね。

 だから、イーホームズだけではなくて、今度は百人体制でしっかりと立ち入りをやるとおっしゃっていました。その際のマンパワーですよ。本当に、件数に対して今の職員数とかいうことで十分確実な審査が可能なのかということについてもしっかり見きわめていかないと、それはもう手抜きということが当然出てくるような可能性があると思うんです。

 そういう意味では、そこも含めた検査体制をぜひ組んでいただきたいということと、それからこれも一緒になります。僕は第三者とまでは言いませんけれども、恒常的に、百二十二ですか、今ある民間の検査機関をしっかりと指導する、指導できる、勧告もできる、そういう機関をつくっておく必要があるんじゃないのか。国土交通省自体ではそういう体制が非常に弱いという話がありましたけれども、ぜひそのことについても御検討いただきたいと思っているんです。

 それから、これはきのう僕は吉田議員さんのお話を聞いて、いやあ、そうだというふうに思ったんですが、例えば、今度は本当に建築基準法に全く違反の建築物が建ちました。鉄筋の量が少ない、コンクリートの壁が薄いとか。私も知り合いの職人さんに聞きました。わかると言うんですよ、鉄筋の量が少ないとか、細いとか、本数が少ないとか。コンクリートの壁が、このコンクリートの密度だったらこの建物はこれだけなきゃいけないのに、こんな薄いのか。わかると言うんですよ、わかると。しかし、そういうことも言う場もなくて、こんな大変な建物がたくさんつくられてしまいました。

 実際、その職人さんの話を聞くと、自分たちが体感と経験で知っているものでやっても、実際に数字を出してやったものと三%から五%ぐらいしか違わないはずだと。それぐらい、おれたちはきっちりと仕事を積んできたと言っているんですね。

 そうすると、今の制度の中で、図面に本数だとか柱の径しか出ていないんだけれども、それに対して、例えば構造設計書に、鉄筋、鉄骨やコンクリートの量、鉄骨の量、何トンと、何平米には何トンとかいうことを明記させる、そういうことも改善として必要なのではないかというふうに私の知り合いの建築士が言っていました。吉田先生はどうおっしゃるかわかりませんが。

 そして、ともかく、見抜けないなんていうことがないような体制にしなきゃいけない。イーホームズは、余り難しくて、いや、難しいというか、膨大で困難なことがあったので見抜けなかったというのは、これはやはり僕はうそだと思うんですよ、うそだと思っている。しかし、そう言うならば、そうでない確認というか、構造設計書を提出できるように、その中身も改善する必要があるんじゃないか。もうちょっと言えば、住民が見てもわかる、わかるかどうかは別にしても、納得できるようなものをきちんとつけさせるとかいうことを検討すべきではないかというようなことを考えているわけです。

 局長になりますか、ぜひお願いします。

山本政府参考人 今御指摘いただきましたことにお答えする前に、先ほど、小宮山委員の質疑中の私の発言の中で、木村建設社長の著書あるいは社長の本というふうに発言いたしましたけれども、これは木村建設社長のことを書いた本という意味でございますので、申しわけありません、訂正させていただきます。

 それから、今非常に大事な点を幾つか御指摘いただきました。一番最初の、今回事案に関係するものだけではなくて、広く都市のマンションに居住しておられる方々の不安を解消するために、サンプリングして調査すべきではないかという御指摘でございます。

 これにつきましては、もちろん、個々のマンションが主体的に耐震診断に取り組んでいただく、これに対する支援の措置というのは用意しているところでございますけれども、先ほど大臣からも検討するという御答弁を申し上げましたところでございますので、例えば今般、国土交通省の総力を挙げて、全国の指定確認検査機関に対して順次立入検査をしてまいります。そこに保存されております建築確認図書から一定数を抽出いたしまして、構造計算書の審査過程を審査するわけでございますけれども、その中でそういう調査が可能かどうかといったことも含めて検討してみたいと思います。

 それから、民間検査機関のあり方あるいは監督体制について幾つか御指摘いただきました。例えばマンパワー、人員の問題、それから料金あるいは給与といったような問題も御指摘いただきました。より大きくは、検査機関に対する指導とか監督を第三者の立場で行う機関の設定を検討してみてはどうかという御指摘もございました。それから、さらに実務的な御提案として、基準法違反建築物がこの世に現出してくるのを防ぐために、現場でこの仕事に携わる者が相互に、的確にチェックできるような手がかりを用意したらどうかという非常に大事な御指摘もございましたので、こういったものを全部含めまして、審議会での検討では、ぜひ根っこから議論して検討していただきたいと考えております。

日森委員 時間です。ありがとうございました。

林委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十七分散会


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