衆議院

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第12号 平成17年12月21日(水曜日)

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平成十七年十二月二十一日(水曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      後藤 茂之君    坂井  学君

      坂本 剛二君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    田村 憲久君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      若宮 健嗣君    金田 誠一君

      小宮山泰子君    小宮山洋子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高木 義明君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鉢呂 吉雄君

      馬淵 澄夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    佐藤 茂樹君

      穀田 恵二君    日森 文尋君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十一日

 辞任         補欠選任

  田村 憲久君     坂井  学君

  細田 博之君     早川 忠孝君

  下条 みつ君     小宮山洋子君

  森本 哲生君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     田村 憲久君

  早川 忠孝君     細田 博之君

  小宮山洋子君     下条 みつ君

  馬淵 澄夫君     森本 哲生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(建築物の構造計算書偽装問題)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に建築物の構造計算書偽装問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、住宅局長山本繁太郎君、内閣府国民生活局長田口義明君、金融庁監督局長佐藤隆文君及び法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 自民党の松本文明でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 捜査の、司直の手が入ったという報道がなされております。司直の妨害にならない範囲で、必要な証人喚問やっていかなきゃならない、こういう思いもあるわけでありますが、ぜひ、委員長、理事会で御検討をいただきますよう心からお願いを申し上げます。(発言する者あり)

林委員長 御静粛に願います。

松本(文)委員 さて、今回の事件は、単独犯による単なる建築法違反ではありません。悪質なグループによる、金もうけのための、周到に計画された詐欺事件であります。結果的に、多くの命が失われることを想定した殺人未遂事件でもあります。今、この国の巨悪の摘発、立件が問われております。刑事局長の御見解をまず伺います。

大林政府参考人 お尋ねの事案につきましては、警視庁において、本年十二月五日、建築基準法違反の事実による告発を受理し、現在捜査中であるものと承知しております。

 一般論として申し上げれば、捜査当局においては、告発された事実を含め、多角的な見地から必要な捜査を遂げた上、法と証拠に基づき適正に対処するものと承知しており、現段階におきまして、お尋ねの犯罪の成否についてお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと存じます。

松本(文)委員 国民の血税を使って行われる支援策でありますが、耐震強度〇・五を境に、対象になる物件と対象にならない物件に分けられております。

 山本住宅局長に伺いますが、分けられた理由、〇・五の科学的根拠をお示しいただきたいと存じます。

山本政府参考人 建築基準法で定めます耐震基準ですが、一次設計として、震度五強程度の中規模地震に対して損傷しないことを確かめる基準、それから二次設計として、極めてまれにしか起きませんけれども、震度六強から七の大規模地震で倒壊または崩壊しないことを確かめる基準、この二つの基準から構成されております。

 今、目安として使っておりますQu/Qun、これは二次設計で求められる必要保有水平耐力Qunに対する建築物の有する保有水平耐力Quの比率でございます。これが一・〇未満のものは、震度六強から七の大規模な地震に対しまして倒壊または崩壊の危険性があるというものでございまして、さらに、これが〇・五未満になりますと、倒壊または崩壊の危険性が高いと考えられるわけでございます。

 ところで、今回の事案でございますが、構造計算において地震の力を低減するといったような方法によって偽装を行っております。この結果、中規模地震に対する安全性を検証します一次設計の基準においても、これを満たさないということが起きているわけでございます。安全性が確保されていないということでございますので、そのことを前提にしますと、Qu/Qunが〇・五未満の場合には震度五強程度の中規模地震でも倒壊または大規模な損壊を起こすおそれがある、そういう意味で、著しく危険な建築物だというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、今回事案に関しましては、Qu/Qunが〇・五未満の建築物に対し、使用禁止命令などを行うということとしておりまして、あわせて、これを支援の対象とすることとしたものでございます。

松本(文)委員 耐震強度〇・六でも〇・七でも危険性はあるわけでありまして、違法建築物であることに何ら変わりはない、こう思うわけでありますが、そうした違法な建築物に建築確認済証が既に出され、なおまた、完成検査済証まで出されてしまいました。危険で違法な建築物に対するこうした建築確認済証並びに完了検査済証、これは既に取り消されていると思うわけでありますが、確認をいたします。

山本政府参考人 今回の偽装物件につきましては、そのほとんどが建築確認済証あるいは完了検査済証の取り消しは行われておりません。これは、建築物が完成した後には、これを取り消すことについて実態の利益がないということ、それから、違反建築物であれば速やかにこれを是正する、建築基準法第九条による命令などを行うことになるためでございます。

 これらの物件のうち、耐震強度、先ほど御説明しましたQu/Qunが確定したものにつきましては、震度強度が〇・五未満で、耐震改修は困難であり、建築基準法第九条に基づく除却命令を受けたものについては、今後、所有者等との協議を行いながら、順次、解体、除却、建てかえにより、違反の実態を解消することとなります。

 それ以外の建築物で耐震性に問題があるものにつきましては、耐震改修等を行うことによりまして同様に違反の実態の解消を図ることを予定しております。

松本(文)委員 実態の利益がない、こう言われましたけれども、果たしてそれらの建物が十二分に耐震改修できるのかどうか、そしてそれが速やかになされるのかどうか、かかる費用等々を考えますと大変に心配であります。

 しかし、その建物はずっとこれから何十年間も生き続けるわけであります。そして、その建物が、将来、用途が住宅でない部分に向けられることもあり得るわけであります。その際、完了検査済証、これはそれぞれの役所の中で、風営法にかかわるもの、あるいは保健所の許認可にかかわるもの、あらゆる部分で利用されるわけですから、実態の利益は検査済証によってある意味保証されている部分がたくさんあります。

 ぜひ、しっかりとした耐震補強ができるまでは、それは建築基準法にかなった建物ではないという改めての証明はどういうことになるのでしょうか、わかりやすく説明してください。

山本政府参考人 先ほど御説明しましたように、建築物の耐震性の程度によりまして、除却するものと耐震改修によって適法性を確保していくものとに分かれてくるわけでございますが、その後者のものについて、耐震改修中にいろいろな取引がある、あるいはほかの法令で確認済証とか検査済証が引用されるということについての危険性をどう回避するのかというお尋ねでございます。

 特定行政庁と相談しながら、個別具体の事案に即して、耐震改修を進める努力とあわせて的確に対応したいと考えております。

松本(文)委員 悪質きわまりない行為を行った関係者は、大臣、国土交通大臣の名をもって、あるいは特定行政庁の長の名をもって行われている営業許可証、あるいは資格によってこの大事件が起こされたのであります。関係者には、あらゆる許可証あるいはあらゆる資格、こういったものを剥奪するという、この上なく厳しい行政処分が求められているわけでありまして、ひとり姉歯建築士の処分で事足れりというわけにはいきません。

 大臣の所見を伺います。

北側国務大臣 国土交通省といたしましても、今、委員のおっしゃいましたように、姉歯建築士に対する行政処分でこれでおしまいというふうに考えているわけでは毛頭ありません。今回の事件にかかわる事実関係というものをしっかり究明をいたしまして、その上で、悪質な行為を行いました設計事務所、売り主、施工業者等に対し、厳正な処分を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

 建築士の処分に当たりましては、今、その違反事実につきまして照会また聴聞等の手続をとりまして、今後、中央建築士審査会の同意の手続を経て処分を行うことを予定しております。

 また、構造計算書に偽装の疑いがあるとされました建築物の売り主や施工業者につきましても、今後とも、特定行政庁の調査、警察による捜査等によって事実関係の解明を進めまして、その結果を踏まえて厳正に対応したいと考えております。

松本(文)委員 建築基準法を所管する国、国交省、これと特定行政庁、それと国の指定にかかわる指定確認検査機関との関係をわかりやすく御説明願います。

山本政府参考人 平成十年の建築基準法の改正で、従来建築主事が行っておりました建築確認の事務を民間の指定確認検査機関においてもこれを担わせるという改正をいたしました際に、指定確認検査機関につきましては、二つ以上の都道府県の区域においてこの仕事をしようとするものについては国土交通大臣が、一つの都道府県の区域の中でこの仕事をしようとする機関については都道府県知事がそれぞれ指定を行うこととしたところでございます。この指定確認検査機関が具体の公共団体の区域内で行いました確認につきましては、建築基準法第六条の二第一項の規定によりまして、建築主事が行った確認とみなすと規定されております。

 なお、本年六月二十四日、最高裁の小法廷の決定によりまして、建築基準法の趣旨にかんがみ、特定行政庁に国家賠償法上の被告適格を認めたものでございます。この決定につきましては、その指定に特定行政庁の関与が全くないにもかかわらず、指定確認機関の確認行為により生じた結果について、責任を結果として負わされることになる地方公共団体から異論があることも事実でございます。

 私どもとしましては、今後、社会資本整備審議会の基本制度部会で、この最高裁決定の検証も含めまして、建築確認制度のあり方についてきちんと御議論をいただいて、結論を得たいと考えております。

松本(文)委員 大臣、今回の事件の影響で、特定行政庁に確認事務の依頼が集中をしているようであります。通常二、三週間で済むこの確認事務でありますが、どうも数カ月かかりそうだ、我が党の調査によりますとそういう情報が入っておりまして、景気に悪影響を及ぼすかもしれない、こういう状況であります。こうしたことはあってはならない、こう考えるわけでありますが、大臣の所見を伺います。

北側国務大臣 今、このような事件が起こりまして、国民の皆様に建物の安全性に対する信頼が大きく揺らいでいるということは当然のことだというふうに私は思います。今委員のおっしゃったような事態を早く解消していくためにも、国民の皆様の信頼を回復していくことが最も大事なことであるというふうに思っております。

 そのためには、今回の事件についての背景や要因、事実関係を明らかにするとともに、また、さまざま御指摘をしていただいております制度の問題点につきまして、今、社会資本整備審議会で御議論いただいておりますが、しっかり改善、見直しをしていくことが大切である、そして国民の信頼をやはり回復していくということが一番大事な、肝要なことであるというふうに考えております。

松本(文)委員 終わります。ありがとうございました。

林委員長 古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 きょうは、もちろん耐震強度偽装問題についていろいろなことをお聞きしたいと思うわけでありますけれども、きょうの委員会、開会が若干おくれました。理事が席に着くなり、私が聞こえたところによりますと、野党がパフォーマンスで証人喚問とかするなというような言葉もこの委員会で聞こえたわけでありますけれども、どうも聞きますと、結果は、証人喚問については今後様子を見るということで、理事会は平行線だったような受けとめをしておるわけでありますけれども、私としては、せんだっての証人喚問、その前の参考人、もう東京におりましても地元におりましても、本当に一億二千五百万人がみんな心配している、怒っている。どうなるんだ、やみの中だ、今度どういうふうに解明されていくんだと、本当にみんな怒りを込めて、心に心配を秘めながら関心を持っているのがこの事件ですね。

 ヒューザーの小嶋社長、まだ証人喚問成っておりません。きょうテレビで見ましたけれども、いわゆる破産申し立てを云々と、財産保全の問題も心配で出ておるようでありますけれども、こうしたことから見ると、これは当事者は一人二人の問題じゃないんです。被害者は下手するとウン千万人かもしれないという、国民にとっては大変関心のある、しかも宝石の、指輪をとられた云々じゃなくて、これは生活そのもの、もう全財産をかけて、生活を営んでいるその居住にかかわる問題でありまして、これはぜひ当委員会の委員としても、ヒューザーの小嶋社長の証人喚問ほか、今後参考人として必要な者は、この国会が国民を代表してしっかり適宜やっていく、年内でもやっていく、もちろん通常国会召集前でもやっていく、そういうことを強く私は要求をしておきたい、一委員としてですね、それを委員長に申し上げたいと思います。

 委員長、方針をお伺いしたいと思います。

林委員長 理事会にて協議をいたします。

古賀(一)委員 それは、きょうはテレビも入っておりますし、恐らく国民の皆さんも、そうだ、そうだというお気持ちだろうと思います。真剣に今後この問題を理事会で取り扱っていただきたいと申し上げたいと思います。

 さて、時間も限られております。まず大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 昨日の強制捜査開始で、いよいよ本件は刑事事件として立件をされる見込みとなりました。何よりも、速やかで、すべての悪事が解明をされる、そういうことを強く期待するものであります。

 しかし、今回のこの事件というものは、司法が動き出したといって、これは犯罪の摘発で解決されるものではないというものは、もう重々御承知だと思うんですね。いわゆる建築基準法の体系、とりわけ民間検査確認のこの制度が、一部やはりほころびというか破綻が見えてきたという事件でもあろうと思いまして、きょうは対国土交通大臣あるいは政府への質問でありますから、そういう制度論が中心となるかもしれませんけれども、しかしながら、この刑事事件の解明については、これは何よりも最大の前提条件だろうと思っております。

 世の中では、何か国土交通省は被害者救済の方の結論が早かったものですから、そちらに目が向いているんではないか、事件の徹底究明について及び腰ではないかということをやゆされる方もおられます。

 自民党の武部幹事長も、この事件が起こった早々、余り悪者捜しに終始すると、マンション業界がつぶれるんじゃないか、不動産業界も参ってしまうぞ、こういうとんでもない発言が実は既にあったわけでありますけれども、所管大臣として、この事件の徹底究明、行政のサイドから、あるいは捜査協力という面から、あるいは、後ほど申し上げますけれども、いわゆる建築確認書類の散逸、隠匿、そういう問題も起こってくるのかもしれない、そういういろいろな問題を抱えております。大臣として、まずヒューザーあるいは姉歯、総研、いろいろな関係者、木村建設、出ておりますけれども、この原因究明と犯人摘発への大臣としての意気込みといいますか決意をここではっきりと申し述べていただきたいと思います。

北側国務大臣 今回の事件は、国民の皆様の住宅また建築物に対する安全に対する信頼性を大きく揺るがしている。また、建築行政に対しても同様でございます。

 今回の事件、こうした事件を二度と起こさないためには、この事実関係について徹底してやはり明らかにしていかねばならないと思います。それがやはり前提であると私も考えております。

 国土交通省といたしましても、しっかりとこの事実関係の解明のため調査を今後ともさせていただきたいと思っておりますし、今お話のありましたとおり、昨日から捜査機関の強制捜査が入りました。私どもが告発をし、それが受理をされ、昨日強制捜査が入ったわけでございますが、この強制捜査によってさらに事実関係が明らかになっていくことを心から私は期待をしておるところでございます。

 また、私どもは行政庁として、関係の業者の方々がたくさんこの事件に関与されていらっしゃいます。当然、先ほど申し上げましたように、事実関係を明らかにしながら厳正な行政処分もしっかり行っていかなければならないというふうに考えております。

 いずれにしましても、事実関係を解明すること、これが今後の再発防止に向けての大前提であるというのは、私もそのように考えているところでございます。

古賀(一)委員 今、大臣の方より、再発防止あるいは信頼を取り戻すというような御答弁がありましたけれども、私はその程度じゃ済まない問題が現に存在しているということをもう一度強調したいと思うんです。

 つまり、震度五でこのビルが倒れるかもしれない、数字上倒れておかしくないという物件が、全国にこれだけ今あるわけなんですよ。住んでいる人から見れば、もう業界の信頼云々というよりも、先ほどお話にも出ましたように、これはいわゆる未必の故意による大量殺人未遂事件と言ってもおかしくない事件なんです。

 住んでいる人、買った人、私は、いたたまれない恐怖感と怒りを持って今この事件の帰趨を見守っているんだと思うんです。これは、いわばそういう行政の違法、違反という問題よりも、まさにそれだけ深刻な不安を与えているということをしっかり自覚した上で、捜査当局は捜査当局でやるでしょう、しかし行政当局は、特定行政庁も含めて国土交通省がトップになって、事前にいろいろな今後のこの犯人の徹底究明のために布石を打っていかなきゃならぬことはたくさんあると私は思うんですよ、今やっておかなきゃならぬこと。そういうものを私は、国土交通省住宅局の英知を結集して徹底究明の布石をしっかりと打っていく、そのために今何をすべきかというようなこともしっかりとこの段階で議論をしていただきたい、こういうつもりでございます。

 大臣、もう一度。

北側国務大臣 先ほど申し上げましたように、事実関係を明らかにしていく、その背景も含めまして、これは捜査機関がもう今入っておるわけでございますが、だからといって国土交通省また特定行政庁が何もしなくてもいいということではもちろんありません。行政の立場から、今回の事実関係の解明に向けまして、しっかり努めてまいりたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 それでは、この全容解明というのは今後大変な作業になると思います。多くの糸が縦横斜めに結びついているようにも見え、どれが本筋かもまだはっきりをしておりません。そこで、時間との戦いでもありますから、この全容を解明していくのに、やはりポイントを押さえて早急な行政的な調査を進めていくことが不可避だと思います。

 そういう中で、十二月二十六日までに調査をすると言われている非姉歯物件で木村建設が施工したもの、これを徹底して調査をしようということで、今調査中だと聞いておりますけれども、これの調査結果というものは今どう取りまとめられつつあるんでしょうか。その内容、わかればここで、やはり随時私は国民の皆さんに示していくべきものだと思いますけれども、その調査経過、わかった範囲を教えていただきたいと思います。

山本政府参考人 本日までに、今回の構造計算書の偽装に関連をいたしまして、特定行政庁に対して偽装の有無それから耐震性の確認とを調査し報告するようお願いしております物件は、姉歯が関与したもの二百十件、木村建設が関与した可能性のあるもの二百二十九件、ヒューザーが関与した可能性のある物件九十件、平成設計が関与した可能性のある物件八十四件、それから総合経営研究所が関与した可能性のある物件二百三件、これらを、重複を除いた実数で六百八件についてお願いしているところでございます。

 このうち、姉歯設計が関与した可能性のある二百十件の中から八十二件について偽装が発見されております。七十八件については偽装がないことが確認されております。八十二偽装物件のうち、六十九物件が竣工済みということでございます。ホテルが三十三物件、分譲マンション二十五物件、賃貸マンション八件、戸建て住宅三件となっております。

 ほかの物件、特定行政庁に追加的に順次お願いしております物件についてはまだ報告期限が来ておりませんし、偽装の有無も含めて報告は得ておりません。偽装が認められたという物件について報告を受けましたら、その都度きちんと直ちに公表しまして、もちろん建築主等の了解を得た上ででございますけれども、公表に努めてまいりたいと考えております。

古賀(一)委員 これは建築のオーナー、今、建築主ですか、了解が要るというお話なんですけれども、これまでの物件もそういうプロセスでやってきたんでしょうか。私は、やはり住んでいる人から見れば、自分のマンションは大丈夫なんだろうかと。実は、私の地元にも物件が一つありまして、やはりみんなあれはどうだこうだとうわさが飛び交っております。

 これは私は、ここまで来た以上直ちにやはり公表して、この物件はこうだったというものを、二十六日以降はもとよりでありますけれども、わかった段階でやはり公表していくべきじゃないかと思います。その場合は一々建築主の了解が要るのか、そういう問題であるか、私は疑問に思いますけれども、局長、もう一度その点確認をさせていただきたいと思います。

山本政府参考人 偽装の有無とあわせまして耐震性の確認ができましたものについて、これまでも所有者へまず連絡した上でこれを公表しておりますので、速やかに公表するように努力したいと思っております。

古賀(一)委員 わかりました。

 それでは大臣にお聞きしたいわけでございますけれども、被害者の救済のスキームというものが十二月六日に公表されました。それはそれでいいわけでありますけれども、その後、政府内で救済のあり方について協議をしておられるんだと思いますけれども、現在の問題点と固まったスキームというものはいかがなものでございましょうか。

北側国務大臣 この危険な分譲マンションに関しまして、地方公共団体の定めます地域住宅計画を踏まえまして、地域住宅交付金を活用しようということで、支援策を取りまとめさせていただいております。

 居住者の方々への移転費、家賃の助成、また、倒壊するおそれのあるマンションの除却に対する助成、さらには建てかえに関する建設費のうち、共用部分についての共同施設整備部分に対する助成等を内容とする支援策を十二月六日に取りまとめをさせていただいたところでございます。

 これに基づきまして、国と関係地方公共団体により構成しております構造計算書偽装問題対策連絡協議会、これを精力的に今開かせていただいておりまして、その中で、危険な分譲マンション対策検討ワーキンググループというのを設置いたしまして、地方公共団体との連携をよくとりながら、建てかえを円滑に今進めるための検討、調整を今進めているところでございます。

 仮住居の家賃に係る助成につきましては、助成額を家賃の三分の二以内とすること及び助成期間を原則二年間とすること、また移転費に係る助成につきましては、一回当たり原則二十五万円を上限とすること及び原則二回までの移転を対象とすることなど、移転費とそれから仮住居家賃の助成の考え方については、地方公共団体との調整の上で、今申し上げたように取りまとめたところでございます。

 今後、ワーキンググループにおきまして、建てかえ等に関する助成の具体的内容や支援の進め方につきまして、これは各地区によりまして状況が相当異なっておりまして、その実情を踏まえながら、可能な限り共通の考え方を整理して取りまとめていきたいということで、今、精力的に特定行政庁と、また住民の皆様と協議をしている最中でございます。

古賀(一)委員 スキームの大枠は決まっておるわけでありますけれども、そこに自治体との費用分担のあり方というものは、またこれははっきりしないままにスキームが先行しておるという構図だろうと思うんです。

 もう一つは、心配なのは、今発覚しております、先ほどの六百八件から姉歯の二百何件というような話が、表に出たものがありますけれども、今後これは、場合によっては耐震強度に欠ける建物というこの問題は大きく広がりを持ってくる可能性も大いにあるわけでありますけれども、このスキームというのはそれまでも適用するおつもりなんですね、今後案件が拡大した場合。それははっきりとちょっと確認しておきたいと思います。

北側国務大臣 先般発表しましたスキームにつきましては、事実関係が日々変わっておりますので、その要件に該当する限り当然支援をしていかねばならないと考えております。

古賀(一)委員 かつて、新聞の報道ではありましたけれども、被害額の見込みといいますか、数値が新聞に出たことがありますけれども、これまでの段階で国土交通省としては、今度の耐震偽造、今のスキームで、被害額というかそういうものはどういうふうに見込んであるんですか、現時点での被害額。

山本政府参考人 先ほど御説明しましたように、八十二件にわたる偽装が現在明らかになっていて、日々事柄は進行しておりまして、これまで偽装が発見されました物件にかかわる被害総額について、各物件ごとの耐震性の程度によって改修とか建てかえとか、あるいは今後の対応方針、それぞれまだ確定しておりませんので、そういう意味で、現段階で被害額のトータルというものは掌握しておりません。

古賀(一)委員 今局長は、八十二件とおっしゃいました。八十二件というのは、先ほどの姉歯絡みの二百十件中の偽装がわかった八十二件ということですから。

 ところが、この問題の広がりは、姉歯が始まりかもしれないけれども、総研が始まりかもしれないけれども、そのノウハウを学んだ者がもうそれと離れて、次々に伝染病のごとくこれを広げていったという構図が予測されるわけですよね。だから、今、木村案件、姉歯が絡まなかった案件でも木村がやったものは怪しい、こうなっているわけでありまして、この被害額は恐らく今の姉歯八十二件ということにとどまらない問題であります。

 今大臣の方から、それは姉歯にもちろん限らないし、今わかったものだけでもないということですから、そういうことで今後、被害額の、今わからないのはわかります、確定について我々は常に見守ってまいりたいと思います。

 それでは、次に進みたいと思います。

 今回の事件ではっきりしたのは、冒頭申し上げましたように、やはり建築確認制度のもろさというものが露呈した。とりわけ民営化といいますか、民間に任せたことのもろさが露呈した事件ではないかと思うわけでありますけれども、この点について、特定行政庁がしっかり公の立場からやってきたものを、五年前に、そういうことで民間にやってもらおうと、官から民への流れでありましょうけれども、やって、そしてこれだけの大事件が実は発覚をした。元請、下請、建築主、検査機関、それから構造設計、末端はコンクリート工まで多くの関係者がおりながら、これが発覚できなかった。

 これは大変私は恐ろしい、無責任の連鎖といいますか、そういうものに見えるわけでありますけれども、建築基準法のこの民間委託について、この事件を踏まえて大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

北側国務大臣 今回の事件を通しまして制度の見直しが必要だと私が考えておりますのは、大きくは二つあると思っているんです。

 一つは、建物ができるまでは、そこには建築主がいらっしゃる、施工者がいらっしゃる。その施工者にも、おっしゃったように、下請がいらっしゃるかもしれません。そして、設計士がいらっしゃる。設計士の中にもいろいろな種類がある。こういう、一つの建物ができ上がるまでに多くの方々がかかわっていらっしゃいます。今おっしゃったように、姉歯元建築士が偽装した物件について、こうした関係者、建物ができ上がるまでの関係者の方々がその偽装を少なくとも見抜けなかった。

 そういう意味で、私は、この建物ができ上がるまでにかかわっている関係者の方々が、なぜ安全の本当に基礎というべき構造の部分についての偽装を見抜けなかったのか、そこはしっかりと事実関係を解明する必要があるし、また、建築士制度のあり方についても今のままでいいのか、私は、しっかりと事実関係を明らかにするとともに、制度の見直しをしていく必要があるのではないかと思っています。

 もう一つは、チェックする側です、今おっしゃった。建築確認というチェックする側がこの偽装を見抜けなかった。姉歯元建築士が偽装した物件、今判明しているのは、先ほど答弁しましたように八十二物件です。この八十二物件のうち、民間の指定検査機関が建築確認をしたものもありますし、特定行政庁みずからが建築確認をしているのもあるわけですね。特定行政庁がやったのが三十三物件。この八十二物件中三十三物件は、特定行政庁みずからが建築確認をしていたにもかかわらず、その偽装を見抜けなかったということでございます。

 特にこの建築確認のところでこうした大規模な偽装を見抜けなかったということはまことに遺憾でございまして、制度の趣旨に沿って厳正な審査が確保できるように改善をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。

 そのためにも、現場の建築確認のあり方がどのようになされていたのか、その実態をしっかり点検をしていく必要がある、検証をしていく必要があるということで、まず、指定検査機関につきましては、国土交通省の中に緊急建築確認事務点検本部というのを設置させていただきまして、昨日までに、国指定のすべての指定確認検査機関に対する立入検査を実施いたしました。また、都道府県知事指定の指定確認検査機関につきましても、各都道府県において速やかに、現在、業務点検を行っているところでございます。また、特定行政庁みずからが偽装を見抜けなかったということもあるわけでございまして、特定行政庁につきましても、この点検本部におきまして、今後、早期に業務点検を行ってまいりたいと考えております。

 これらの業務点検の結果を踏まえまして、どうしてこのような事態が発生したのか、その原因を徹底的に究明をいたしまして、建築確認検査制度や、また建築士制度のあり方等につきまして、今、社会資本整備審議会で御議論を始めていただいておりますが、早急に措置すべきもの、緊急にこれはすぐやった方がいいもの、少し時間をかけて御議論いただくもの、これはしっかり立て分けまして、緊急にやるべきものは次期通常国会に措置をさせていただきたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 私は、今度のこの建築確認制度は全く機能しなかったと。これだけの建築士がおり、特定行政庁があり、そして五年前に鳴り物入りで稼働させた民間指定検査機関というものがあって、それが全部結局チェックをできなかった、見逃してこれだけの物件が現にでき上がってしまった。これはある面では建築確認制度の根底が崩れた、これは住宅行政にとって私は最大の汚点であろうと思うんです。これは抜本的な、そして本当に厳しい検証をしながら制度を再構築し直さないと、これからは一般の人は住宅を買えませんよ、マンションを。私は、これはそれだけの失態であるし、法律が機能しなかったと。そして、国民の財産を、現に地震が起こって、何百棟、何千棟の建物が倒れた場合、まさにこれは行政の責任だということに私はなると思うんですよ。

 この前、ある人から話を聞いて、ことしは安全が全部崩れた年だというおもしろい話をされました。交通の安全がことしのJR西日本のあれでまず崩れ、交通の安全、食の安全、子供の安全、それで今度の年末のこの住の安全と、安全が本当に崩れていく。その根底には、やはり経済、いわばすべてが今度は経済設計ですよね、これは安全設計じゃなしに。経済設計で全部が走った。これは別に建築だけじゃなしに、すべての事柄が経済設計、金もうけすればいい、利益追求主義、とりわけ短期的利益追求主義と言ってもいい、目の前に利益があれば、ほかのものを全部無視してそれを追求していくという今の風潮にかかわる問題だと思うんですよ。

 昔ほど、大工さんにも建築士にもモラルがありません。したがって、今度の建築基準法の改正、制度の見直しに当たっては、今までよりもっと、こういう世相だからこそ厳しいシステムで再構築をしなきゃならぬと私は思うし、単なる手直しで、特異な人物、特異というか特殊な人物が何人か固まってこの異常な事件を起こしたという発想ではなしに、本当に機能する、そういう新しい制度を構築されることを強く望むし、今度の通常国会、法案が出るのは通常国会でありましょう、しっかりと見させていただきたいと思います。

 以上、これで私の質問は終わりたいと思います。

林委員長 馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 本日、この一般質疑に質疑の機会をいただきましたが、この委員会が始まる前の理事会、長引きました。理事会におきましては、世間の、国民の注視の中にありますこの問題に対して、さきの証人喚問で明らかになった事実だけではまだまだ真相が見えてこない、昨日、一斉捜査においてようやく当局の手に事件として取り上げられるところになりましたが、国民としては、証人喚問並びに参考人招致の中で、実態の解明、事実の解明を強く望んでいるかと思われます。

 我々民主党は、ヒューザーの小嶋社長の証人喚問、そして、総研四ケ所チーフコンサルタント、平成設計山口社長、徳永さん、伊藤公介元国土庁長官の参考人招致を強く求めましたが、先ほどの理事会では、自民党によって、しばらく事態を見守る、公明党によって、今後の推移を見よう、こうしたことによって見送られていると理事の方からの説明もありました。

 先ほど、古賀議員より委員長に再度の要求を求め、理事会での協議が確認をされたわけでありますが、大臣、本日、大臣にこの問題につきまして、国交省の代表としてもちろんお尋ねをさせていただきたいことは多数ございますが、この国会、国権の最高機能であるこの国会を構成する一国会議員として、証人喚問についての、あるいは参考人招致についての積極的なその御意思というものはおありかどうか、行うべきか否か、これは国会議員としてのお立場で、イエスかノーかでお答えをいただけませんでしょうか。

北側国務大臣 私は、今、行政の長をさせていただいておりまして、国会また委員会でどのような運用がなされていくかということは、これは国会で、委員会で御議論をされるべきことであると考えております。

馬淵委員 行政の長としてのお答えしかいただけないということでありますが、この委員会も多くの国民が注視をしていると思います。ぜひ積極的なその意思の表示をしていただきたかったと思うわけでありますが、私は、この委員会の中でさらに重要な問題を確認させていただきたいと思いますので、次に入らせていただきたいというふうに思います。

 さて、今回の耐震偽装問題、民間の指定確認検査機関でありますイーホームズが、その確認検査の中で、まあ内部監査があったということでありましたが、イーホームズによってこの偽装が発覚したという第一報が入り、そして、その後、特定行政庁も含めまして、多数の確認検査機関が偽装を見過ごした、あるいは見つけることができなかったという事態が明らかになっております。

 さらに、イーホームズに、過去、その隠ぺいをしたのではないかと疑惑を指摘され、当初は告発すると大変な勢いでおっしゃっていた日本ERIという会社も、こちらも、確認をおろした物件の中に偽装が含まれていた、このようなことが明らかになってまいりました。

 いずれにせよ、この建築確認検査制度そのものに私は本質的な欠陥があったのではないかと思わざるを得ません。構造計算書の不適切な部分をしっかりと見つけることが本当に今の制度の中でできるのか、建築基準法に適合しないその建物、こうしたものに確認をおろすという行為が、今の法制度、体制の中で、しっかりとミスがないような形で制度としてつくられているのか、このことを徹底的に国会の中でも確認をしながら明らかにしてまいらねばなりません。

 さて、この指定確認検査機関、民間の機関やあるいは特定行政庁、多数名前が挙がっておりますが、実は、国土交通省所管の財団法人であります日本建築総合試験所、こちらが確認検査機関として検査をし確認をおろした物件、これにつきましても偽装があったということが明らかになっております。

 これに対しましては、この日本建築総合試験所、昭和三十九年に設立された大変歴史ある試験所の中で、現在は経済産業省との共管ということでありますが、この試験所が行った確認検査、いわゆる国交省、まさに国の所管の団体であるところでも偽装が見抜けなかったという状況、これに対して、私、この試験所の理事長のおわびのコメントを手元に持っております。これは十一月の二十一日の三田市からの照会によって判明したということでありまして、こうした基準法に適合しない建築物に確認済証を発行したことは大変申しわけなく、心よりおわびを申し上げます、こうコメントを出されております。

 さて、北側大臣、所管でおられる大臣として、このように国の所管する機関ですら見抜けなかったということ、これはまさに制度そのものの本質的な欠陥であると私は考えるわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 今おっしゃっているこの財団法人は、国土交通大臣の指定の指定確認検査機関であるとともに国土交通省の所管の財団法人でございます。こうした財団法人までが今回の偽装を建築確認の際に見抜けなかったことは、極めて遺憾であるというふうに言わざるを得ません。

 先ほど申し上げましたように、指定検査機関また特定行政庁においてこうした多数の偽装を見過ごしてしまった、これは建築行政の根幹を揺るがす重大な事態であると認識をしておるところでございます。国民の不安を払拭し、信頼回復を早く図っていく必要があるわけでございまして、そのためにも、なぜこのような事態が発生したのか、原因を徹底的に究明していく必要がある、また再発防止に向けまして、建築確認検査制度のあり方等につきましてしっかり見直しをしていかねばならないと考えております。

 現在、社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございますが、緊急に改善すべきものについては、次の通常国会で提案をさせていただきたいと考えております。

馬淵委員 まさに、建築行政の中で根幹を揺るがす大きな問題であるという御認識を持っていただいて、そして原因の徹底究明、さらには制度設計について、次の通常国会、これをしっかりとやっていきたいという御意思を確認させていただきました。

 さて、この建築確認検査制度、これがどこに問題があったのかということにつきまして質問を重ねていきたいというふうに思います。

 国土交通省は十一月の二十一日に、イーホームズの立入検査を行うという前に、建築指導課の田中課長補佐名で「建築基準法第七十七条の三十五に基づく処分に係る照会について」という文書を発出しておられます。これは、十一月の二十四日に立入検査を行う前に、次善の策として文書を発出して、そしてそれぞれ担当者の方々への照会の紙を出して、恐らくこれはイーホームズの方々に、確認検査員の方々に、どういう状況であったのか、これの質問を求め、そして回答に記名押印を求めておられる文書でございます。検査員それぞれに同じ質問を重ねて、そして回答をいただいておられる。

 さて、質問なんですが、これを見ますと、私、これが手元にございまして、これをいただきました。一覧をしていきますと、十一月の二十一日に文書が出されて、そして二十二日に、それぞれの検査員の皆さん方が回答をされているんですね。役職や支店名を尋ねられ、そして、構造計算書においてどんな審査を行ったのか、そしてさらには、計算書の一部を省略する制度、図書省略というものをあなたはいつどのように知ったのかという質問が重ねられ、そしてここに、質問の最後の方になりますが、「大臣認定書の写し及び指定書が添付されていなかったにもかかわらず、あなたが図書省略できると考えたのは、ユニオンシステム(株)が発行している利用者証明書の写しが添付されているからですか。」、そうですと、このような形で質問が終わっております。

 この回答を求める書面は、いわゆる図書省略ができると考えたのは利用者証明の写しが添付されているからだ、だからあなたはこの図書省略ができると考えたんですねということが極めて誘導的に質問をされています。これはすべてについて同じ質問がなされています。

 さて、国交省はこの時点で、イーホームズが、さまざまなこの問題が起きたときに、姉歯の偽装が行われた、そして確認検査機関がなぜこの問題を見抜けなかったのかというところで、国土交通省のこの質問の書面を見ますと、この段階におきましては、少なくとも、いわゆる図書省略、このシステムを使った場合の図書省略というのが、大臣認定の写し及び指定書が添付されていないにもかかわらず、その利用者証明の写しで可能だと、イーホームズ全体、検査員全員がそのように考えていたから実は大事な見落としを起こしてしまったのではないか、このように国土交通省が推論をされている証左であるというふうに私は思っています。

 さて、お尋ねをさせていただきます。国土交通省は、このような回答を求める書面を発出され、二十四日に立入検査を控えている段階で、図書省略の場合に、大臣認定書の写し及び指定書が添付されていない、利用者証明でやってしまった、つまり、ずさんにやったということが問題であったとお考えでしょうか。お答えいただけますか。端的にお答えください。イエス・オア・ノーで結構です。

山本政府参考人 指定確認検査機関でありますイーホームズで、確認過程で構造計算書の偽装が見抜けなかった、なぜか、なぜこういう重大な過失が生じたのかという問題意識から、十一月二十一日にイーホームズに照会文書を出しましたけれども、これは建築基準法に基づく処分を前提としまして、そのための検討資料としてお願いしたものでございます。なぜそれが見過ごされたのかということを的確に掌握した上で処分をする必要があると考えて照会したものでございます。

馬淵委員 お答えになっておりません。

 私がお聞きしたのは、このような立入検査の前に出されたこの書面を見れば、要は、図書省略がなされているときの添付資料をしっかり確認もしないから偽装を見過ごしたのではないかと国交省はその当時お考えだったのではないですかとお聞きしています。イエスかノーでお答えください。

山本政府参考人 なぜこういう過失が、偽装の見逃しという事態が生じたのかということを住宅局の中でいろいろ吟味する中で、本来図書省略をすべきでないのを図書省略をしたのではないか、その可能性もあるというふうに考えたことは事実でございます。

馬淵委員 図書省略がなされていたときに、必要な資料が添付されていないにもかかわらず行っていた、ここが偽装を見過ごしたポイントではないか、その可能性があると考えたのは事実だ、今そういうふうにお答えをいただきました。そうですね。(発言する者あり)

 もう一度お答えいただけませんか。先ほどは、その可能性はあるとお答えになりましたね。それはもう議事録の中に残っていますので。

 そして、立入検査は十一月の二十四日に行われました。十一月二十四日に立入検査が行われたわけでありますが、そのときに、ここの確認書を見ますと、二十四日に、「実際の建築確認時には、図書省略制度が利用されている場合は少なく、計算過程の図書についても添付されている場合がほとんどであることを確認した。」と。

 つまり、図書省略はほとんど利用されていなかったんですね。国交省はあらかじめ、これは図書省略の問題であったのではないかという質問書を投げ、そこに行って検査してみると、実態としては図書省略は余り利用されていなかった。だから、当初国交省が考えていた偽装を見抜けなかったポイントというのは、ずれていたということになるかと思われます。

 国交省の代表者今村敬さん、今村さんが確認書をとって、そして押印をされていますが、この十一月の二十四日の確認、立入検査を行ったときの確認、これが確認書として書かれる、押印される前にお持ちになった資料というのはどういうものか。手書きで、押印される前です、ワープロでタイプアップされる前です。これは、今村さんが手書きで書かれたのは、大臣認定プログラム、ここの部分で、これが入力から出力まで一貫計算されているものと考え、出力が差しかえられると思えなかったとする職員がほとんどである、このように書かれています。

 そして、ここで、大臣認定番号、この図書省略を利用して、そしてそこを見抜けなかった、その添付する資料が違っているのを気づけなかったのが問題ではないかということを前提にお尋ねになられたが、実際検査をしてみるとそうではなかったということが明らかになった。

 さて、お答えください。このように、検査に入る前提と、検査に入ってから大きく異なっていたということでしょうか。

山本政府参考人 検査の前提と検査の結果が大きく異なったということではございません。いろいろな可能性がありますから、いろいろな可能性を前提に検査に入っております。

 検査の結果、確認書というものをとって、その中で、今回発覚した偽装物件の審査については、大臣認定の一貫計算プログラムであることと、利用者が建築士であることから、出力が改ざんされるとは思えなかったとする職員がほとんどであったということを確認した上で、イーホームズ株式会社は、今回の偽装事件発覚後の十一月五日付で、図書省略制度を用いる場合の適切な審査をより徹底するために、構造審査基準に、今回使用された大臣認定プログラムによる構造計算書においては、大臣認定番号が出力されなければ図書省略できないこと、それから、一貫構造計算プログラムを使用した場合、大臣認定書の写し、指定書の写し、チェックリストなどを添付しなければならないことなどを追記したということを確認しております。

馬淵委員 十一月の二十四日、この段階において初めて、立入検査を行って、問題のポイントがどうも認定プログラムの認定書の写しの添付があるかないかといったことではないということがやっとわかったわけです。

 私がこの点において申し上げたいのは、当初、第一報があったのは十月の二十六日、そして前回の委員会でも、国土交通省は、二十八日になってそのことがやっと事実としてわかったということをお認めになった。その間も言は左右をしました。しかし、この十月の二十六日から十一月の二十四日、立入検査の段階まで、実態把握というものがなされていない。約一カ月間、物の実態把握というものを真剣にやっておられたとは私は思えない。十一月の二十一日に発出した文書、聞いているポイントがずれている。そして、二十四日になって、用意をされた確認書のその文面は現場で変えられている。一カ月近く、それこそポイントを見据えていなかったということではないんでしょうか。

 これは大臣、いかがお考えでしょうか。お答えいただけませんでしょうか。

山本政府参考人 念のため御説明しますけれども、確認書というのは、法律に定められた手続ではございません。建築基準法に基づいて処分をいたします際に、具体的な事実について相手方と当方と意見の違いがないということを確認しておくことが技術的に意味があるから、事実上の手続として確認はとっております。

 二十四日に立入検査をしました結果について、確認書で確認した事柄も含めまして、翌日、報道陣に公表をしております。その中で明確に当方が立入検査で確認した事柄を明らかにしているわけですが、要点だけ申し上げますと、こういうことでございます。(馬淵委員「いいです、いいです」と呼ぶ)

 十一月二十四日の立入検査の結果……(馬淵委員「必要ないです。質問に答えるだけで結構です。時間つぶしはやめてください」と呼ぶ)大臣認定構造計算プログラムによる構造計算書が添付された確認申請図書について、抽出検査をした九十八件中、九十六件は、構造計算過程の図書を省略できない、つまり、計算過程まで含めて審査すべき物件でありました。

 計算過程まで含めて審査すべき九十六件のうち、審査担当者の不在等で確認できなかった七件を除く……

林委員長 答弁は明確に。

山本政府参考人 八十九件について、審査の状況を個別に事情聴取しました。

 その結果、それら八十九件については、姉歯建築士によって差しかえ偽装が行われた計算過程の部分については、実質的な審査は行われていないことがわかりましたということを発表しているわけでございます。

馬淵委員 質問に答えるだけにしてくださいよ。あなたの演説の場所じゃないんですよ。

 わかりました。確認書というのは法律の定めであるものではないとおっしゃいますが、二十五日には国土交通省は、立入検査の報告というのを出されています。そして、今御指摘の部分、私は確認をさせていただきたい。

 つまり、国土交通省は、ここの中で、最後にこのように書いておられる。「八十九件については適正な構造審査を行っていたという答えがほとんどであったが、大臣認定プログラムであり、建築士が利用しているということから不正行為は想定せず、入力チェック等を除く計算過程の詳細な審査については実質的に行われていなかったと考えられる。」このように国土交通省は正式なコメントを発しておられます。

 お尋ねします。端的にお答えください。

 つまり、国土交通省としては、確認検査というものは、このような再計算のような、計算過程を詳細な計算をすることを審査として求めているということでよろしいんでしょうか。端的にお答えください。

林委員長 答弁は簡潔にお願いします。

山本政府参考人 計算過程について詳細なチェックをする、審査をするということが必要だと考えているわけでございます。

馬淵委員 計算過程において詳細なチェック、審査を求めていると今はっきりとおっしゃいました。国交省の立場というのはよくわかりました。これは重要なポイントなんです。

 さて、十一月の二十九日、参考人質疑がありました。イーホームズの藤田社長、参考人として御出席をいただきました。そこで藤田参考人がお答えになられております。これは当委員会の高木委員の質問に対してのお答えです。私も聞いておりました。藤田さんはこのようにおっしゃっています。「一から百まで構造設計のプロが計算してきたものを再計算してやるというボリューム的なことは、量的に現実に不可能であります。法律は前提として不可能を求めているというふうには認識しておりませんので、必要な要件について、審査協議会、連絡協議会等で行政、他機関と情報を共有した中で、必要なチェックポイントについては的確に、適切に審査をしてきたというふうに私は認識しております。」こうお答えになられております。

 確認検査機関は、それはできないと参考人の答弁の中で答えておられる。しかし、国土交通省は、今も確認をさせていただきましたが、計算過程の詳細な審査を求めているということであります。

 大臣、このイーホームズさんの抗弁について御見解をいただけませんでしょうか。

北側国務大臣 先ほど住宅局長が答弁したとおりでございます。

 本来、省略をしてはならないところについて省略をして、そして計算過程まで含めて審査すべき物件であるにもかかわらず、それをしなかった、計算過程を審査せず見過ごしたというふうに私どもは考えているところでございます。

馬淵委員 今も、大臣も局長の答弁をそのまま踏襲されておられます。

 さて、この建築確認検査、民間確認検査機関が導入されるという平成十年の建築基準法の一部を改正する法律案による建築確認の民間開放について、この法案の審査の当時にさかのぼってみたいと思います。平成十年の第百四十二回の国会で、建築基準法の一部改正によって導入されたこの指定確認検査機関、そのときどのような議論があったのか、もう一度皆様方に御披瀝をしたい。

 平成十年の五月十五日の委員会において、当時の建設省の小川住宅局長はこのように答弁されています。民間にお任せした場合には、確認対象法令に合致しているか否かという、ただその一点を事務的、機械的に淡々とさばくということが業務となります。これは、イーホームズの藤田参考人がおっしゃった、一から百まで再計算してやるというのは不可能だというその言葉と一致しているじゃないですか。立法時には、事務的、機械的に淡々と処理するんだと言って立法した。しかし、制度ができた後に国土交通省は、詳細な計算過程の審査が必要であると今おっしゃっている。これは、立法化するときに決めた議論と違うことを見解としておっしゃっているのではないですか。

 大臣、当時の建設省は、事務的、機械的な作業でよいとはっきりおっしゃっているのではないでしょうか。大臣、先ほどのお答えとこれは食い違いませんか。お答えいただけませんでしょうか。大臣、大臣、お答えいただけませんか。

山本政府参考人 非常に大事なポイントで誤解がありますので、正確に御説明申し上げておきます。

 立法当時の政府の参考人が御説明しました趣旨は、建築確認で行う事務の性格でございます。これは、建築基準関係規定に申請のあった建築計画が適合しているかどうかを確認する、それは非常に裁量性の狭い、技術的な確認事務であるということを御説明申し上げたわけでございます。したがって、能力について的確に審査されたものであれば、民間の法人であってもこの仕事を的確に行うことができるという文脈で御説明していると思います。

 先ほど、イーホームズが、本来、建築関係規定に構造計算書が適合しているかどうかを的確に審査しているかどうかということとは別の問題でございます。

馬淵委員 いや、これ、お答えいただいているときの、その当時の議事録、これは高市委員さんが質問されているわけです。民間開放で最も期待されるのは確認期間の短縮だと思うんだけれども、それはどうなのか、その見通しについてと尋ねられたときに、「格段にスピードが速くなると思います。」と、その政府参考人、住宅局長はお答えになられている。そして、格段に速くなるというのはなぜかといえば、確認対象法令に合致しているか否かということ、ただその一点を事務的、機械的に調べるんだ、淡々とさばくというんだ、このようにお答えになっているんですよ。

 これは、イーホームズが、私はイーホームズの肩を持つ気もさらさらありませんし、民間確認検査機関や、あるいは特定行政庁、国の所管である財団が定めているところでも見過ごされているわけでありますから、このことを考えれば、今、確認検査機関がおっしゃっている、自分たちはすべてに対して再計算などをすることが求められているのではないということは、立法の場面で十分に議論されているというか確認されているじゃないですか。違いますか。大臣にお答えを求めています。大臣。

北側国務大臣 ちょっと私もよく理解できないんですけれども、今回のこのイーホームズの案件については、構造計算過程の図書を省略できない、計算過程まで含めて審査すべき物件だったんです。省略できない物件であったと。そこを省略して、偽装が行われた計算過程の部分について審査が行われていなかったというふうに申し上げているんです。

馬淵委員 先ほども確認の中に私申し上げました。図書省略制度が利用されている場合は少なかったんですよ。イーホームズへの立入検査報告には、図書省略制度が利用されている場合は少なくて、そして添付されている場合がほとんどであることを確認した、このように書いています。添付されていたんですよ。そして、その添付されていた中で、この確認検査機関がポイントポイントを検査するんだとおっしゃっている。そして、それに対して国交省は、いや、すべて詳細な計算過程を明らかにするんだとおっしゃっている。でも、立法時には、事務的、機械的に淡々とこれを行うんだ、確認をするんだとおっしゃっている。ここに矛盾があるのではないですかとお尋ねしているんです。

 大臣、お答えください。

北側国務大臣 矛盾があると思いません。

馬淵委員 もう時間も参りましたが、今お話をいただく中で、国土交通省は、当初の立法の趣旨の中では、実は、確認検査機関というのは大幅にスピードが短縮されて、そして淡々としてさばくことによってこの確認検査機関は民間に開放することができる、許可ではなく、認可でなく、確認という業務だから民間に開放ができるという議論がなされていた。しかし、それを後には解釈を変えて、こうした問題が発生したときには、すべてを審査するのが検査機関の職務であるとして、その解釈を変えて、みずからの責任をとろうとはしない。この体質、体制に私は大きな問題があると思っております。

 この検査制度の見直しにつきましては、こうしたことも今後さらに明らかにしながら、この委員会にて、当委員会にて議論をしてまいらなければならないことを最後に申し添え、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

林委員長 小宮山洋子さん。

小宮山(洋)委員 この一連の問題は消費者問題でもありますので、今回はその立場から伺いたいと思います。持ち時間が限られておりますので、ぜひ御答弁は簡単明瞭にお願いをしたいと思います。

 この耐震偽装の物件ですけれども、今わかっているだけで、昨日伺ったときは七十八件、先ほど八十二件とどんどんふえています。退去命令が三件、そして退去勧告が八件出ています。姉歯元建築士、ヒューザー、木村建設、平成設計が関与した物件、六百八件調べていると先ほどお話ありましたが、十二月十四日に木村建設に立入検査をし、三千件の物件を把握したと。これはもちろん一戸建ても含まれておりますが、今後優先順位をつけて調査対象にするということを国土交通省はおっしゃっています。

 きのう一斉捜索が行われ、ダンボール箱で六百個以上でしょうか、多くの資料が押収されました。早くに大臣が公的支援を打ち出されたこと、被害者にとっては救済になると思いますけれども、今後どこまでこの公的支援を続けられるんでしょうか。先ほど大臣は要件に該当する限りとおっしゃいましたけれども、これがどこまでいくのか、その支援の範囲、そして自治体との責任分担はどういうふうにされるのか、伺いたいと思います。

北側国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の支援の対象となるのは分譲マンションの居住者の皆さんです。

 そして、この要件といたしまして、違反建築物が建築されたこと自体について区分所有者に責めがないこと、当然の話です。そして、構造計算書の重大な瑕疵が建築確認において発見するに至らなかったものであること。三番目に、区分所有者がみずから居住する住戸が大部分であること。そして、必要保有水平耐力に対する保有水平耐力の比率が〇・五未満で、耐震改修による対応が困難である、そして、建築基準法九条に基づく除却命令を受けたものであること。こうした要件をすべて満たすものについては今後も支援の対象と考えていかねばならないと考えております。

小宮山(洋)委員 国民の受けとめもさまざまでして、例えば朝日新聞の調査では、政府の税金を使った支援策について、適正だという意見が三九%、それに対して、手厚過ぎるという意見も三三%と、ほぼ拮抗しています。

 これまで、阪神・淡路大震災、それから中越地震など、天災での住宅被害への支援というのは非常に薄いものだったと思います。私どももそれを手厚くするための法案も提出しておりますが、まだ審議もされていません。

 それから、消費者問題でいいますと、欠陥住宅についても、訴訟をしても救済というのはなかなか難しい。そうしたこととの関係で、公的支援の一定の基準ということが、今おっしゃった基準だけで本当に納得が得られるものなんでしょうか。もう少しきちんとしたガイドラインが、国民みんなが納得するものがありませんと、ほかの災害との関係で納得がなかなかまだ得られていないと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

北側国務大臣 今回の支援スキームというのは、これは超法規的に行ったものではありません。従来の、既存のさまざまな制度というものを活用して支援制度をつくらせていただいたわけでございます。決して超法規的にやったわけではないということ、ここをまず御理解いただきたいというふうに思っておりますし、従来、災害等のときに、では、そういう既存の補助制度を使ってないのかというと、使ってきているわけですね。従来も使っているものを今回も使わせていただいている。

 例えば、優良建築物整備事業、今回使わせていただいています。これについても、例えば、阪神・淡路大震災の際にも、この事業だけで九十六棟の活用をしているんですね。だから、従来、災害のときとは全く違った対応をしているのではなくて、当然それとのバランスのもとで既存の制度を活用したということ。

 それと、もう一点、災害の場合と違うことを指摘しないといけないのは、それはやはり、今回の案件については、建築確認という公の事務のところにおいてやはり見過ごしがあったわけですね。その偽装を見過ごしてしまったというところで、ここは行政の関与があるわけでございまして、そこは行政としてやはりしっかり責任を果たしていかないといけない。

 もちろん、本来は、契約責任として売り主がきちんと責任を果たしていただかなければいけないわけでございますけれども、御承知のとおり、今の状況ではとても、売り主がそうした責任を果たしているような状況になっているかといったら、全く果たしてないわけですね。

 では、ほっておいていいのか。危険な、震度五強の地震があった場合に、倒壊するかもしれない、そういうところに現にお住まいの方がいらっしゃる。近隣の住民の方々がいらっしゃる。こういう危険性を放置していていいのか、売り主責任が第一義だと、それだけを言ってほっておいていいのかということで、行政としての責任はやはり果たしていかないといけないという観点で、先ほどのような支援スキームをまとめさせていただいたわけでございます。

小宮山(洋)委員 それでもまだ国民は、半数はやはり納得していないので、そのあたりの説明と、やはり基準がわかりやすくきちんとあるべきだと私は思っております。

 そして、消費者行政というのは本来内閣府で行われているはずですが、今回、消費者にとって大事な問題なのに内閣府が何をされているのか見えないので、きょうは副大臣にお越しいただきましたが、今のことについて、その支援の範囲そのほかについてはどのように取り組んでいらっしゃいますか。

山口副大臣 消費者に被害が生じた場合は、適切かつ迅速に救済することがまず大事であります。

 そして、お尋ねの公的支援のあり方でありますけれども、事業者に対する徹底した、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、まず責任追及が大事でありますけれども、被害当事者の自己負担の、ほかの事例における救済措置との公平性等についても十分検討することが肝要であると認識をしておるわけであります。

 また、今回の支援策については、こうした種々の観点を踏まえて講じられたものであると承知をしております。

小宮山(洋)委員 今副大臣はきれいにお答えになりましたが、きのう質問取りに来た内閣府の方は、基準づくりなどは国交省に任せていると言われました。内閣府では、総合調整の機能も含めて消費者行政をなさるはずですので、しっかりお願いをしたいというふうに思います。

 今大臣は、当然事業者が本来は負担すべきというお話がございましたが、民主党の対策本部が六日に総理に申し入れた中でも強調しておりますように、原則は原因者負担で、関係事業者が責任の重さに従って費用を負担すべきものです。その際に、きょう、住民の方が、ヒューザーの資産を保全するために破産の申し立てをされましたけれども、国としてもその資産を保全することなど対応すべきことがたくさんあると思うんですが、国土交通大臣はどのようにこうした点では取り組んでいらっしゃいますか。

北側国務大臣 今は、現時点においてはまだ予算が通っているわけでもありません、予算の執行をしているわけではありません。そういう段階で、例えば売り主との関係というのは、特定行政庁も国も何の契約関係もあるわけではありませんから、そして実際に予算執行をしているわけでもありません。そういう中で、現時点でだれが売り主に対して契約責任を追及できるかというと、これは買い主の方々なんですね。現時点では買い主の方々が契約責任を追及できる立場にあるという状況でございます。

 私どもも、今回の支援スキームで支援をすることになりましたならば、これは現実にそこに金銭を出しているという事実関係が出てくるわけでございますので、その時点においては売り主に対してしかるべき請求をしていかなければならないというふうに考えております。

 また、行政上の対応としましては、きちんと売り主が、瑕疵担保責任をあなたは負っているんだから、しっかりその責任を果たしてもらいたいということは、私どもも指導をさせていただいているところでございます。

小宮山(洋)委員 例のヒューザーの小嶋社長がヘリコプターを持っているとか、あの資産が散逸しないようにするためには、個々の住民がそれを押さえなければ国は何もできないというのはちょっと納得できませんので、そのあたりもぜひ、先ほどもいろいろな法令を駆使して今回やっていらっしゃると言われましたから、御検討をいただきたいと思います。

 そのためにも、原因者に負担をさせるためにも、国会での事実解明が司直の手が入ると同時にぜひ必要だと思いますので、先ほどから話題になっておりますけれども、先日の証人喚問での幕引きは許さないという市民の声は非常に多いです。ですから、さらなる証人喚問、関係の与党の議員も含めた参考人招致、民主党は求めておりますので、与党が及び腰という印象も随分町の中では聞きます。そうでないことを証明するためにも、先ほど冒頭でも自民党の議員もおっしゃいました。パフォーマンスでなければ、ぜひその方も力を入れていただきたいし、中川政調会長も日曜日のテレビで行っていいと、自民党の中でもおっしゃっているんですから、ぜひその実現を委員長に強くお願いを申し上げます。

林委員長 理事会にて協議いたします。

小宮山(洋)委員 被害者からの、今回もそうですし、阪神大震災のときなどもそうですけれども、最も強い要望は、借金して新築した家を買ったらそれが欠陥だった、例えばこれがクレジットカードで食べ物を買ってそれが腐っていたら、カード代金を払う必要はないわけです。そういう意味で、欠陥マンションのローンを何とか払わないで済むようにしてほしいという声がございますが、現在は銀行などは黙って見ているだけのようですけれども、金融庁はどのように取り組んでいらっしゃいますか。

櫻田副大臣 今回の構造計算書偽造問題については、住宅ローンの取り扱いについては金融庁としても極めて重要な問題であると受けとめているところでございます。

 また、全銀協等においても重要な問題と受けとめ、十一月三十日、住宅ローン債務者から返済の一時繰り延べの要請があった場合には真摯な対応をする等の内容を申し合わせたということを伺っているところであります。

 金融庁といたしましては、引き続き、構造計算書偽装問題に関する関係閣僚による会合で取りまとめられた当面の対応を踏まえ、各金融機関が申し合わせ等に対して債務者に対して真摯な対応を行うことを強く期待しているところであります。そのような取り組みがなされるよう、金融機関との意見交換会において要請を行っているところであります。

 また、住宅については、建築基準法等によりその安全等が確保される法的枠組みが整備されており、金融機関はこれを前提に住宅ローンを供与していると承知しているところであります。金融機関が住宅ローンを供与する際の金銭消費貸借契約書と住宅の販売契約とは別個のものであり、そうした中、住宅に瑕疵がある場合に住宅ローンの返済を行う必要はないとする制度の導入については、さまざまな弊害が生じ、かえって住宅購入者の利便を損なうおそれもあることから、慎重に考えるべきと考えているところであります。

小宮山(洋)委員 ぜひ、やはりこれは、挙げて業界も取り組まなければいけない問題ですから、金融庁としてもしっかり取り組んでいただきたいと思っております。

 それから、これからの予防策として、先ほどからも話題になっていますが、検査体制の見直しがぜひ必要だと思います。民間が検査するようになった、九八年の基準法改正のときに行うことになりました行政による中間検査制度、これも導入率が七一%、これも拡大する必要があると思いますし、完了検査も、これが義務づけられていないため、実施率が七三%、これをどのように引き上げるのか、いろいろ制度を変えなければいけない。また、アメリカでも行っておりますような、検査段階ごとに別の主体が検査する、このようなことも考えていいのではないかと思いますが、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。

山本政府参考人 今後の予防対策を考えます上で、今御指摘いただきました中間検査、完了検査の徹底を図っていくということは非常に大事なポイントであると私ども認識しております。

 平成十年の改正で導入しました中間検査も、まだまだ十分ではございません。完了検査も前に進めなければなりませんので、審議会できちんと御検討いただいて、所要の改正をしていきたいと考えております。

小宮山(洋)委員 内閣府にお尋ねしたいんですが、建物引き渡しの重要事項説明の範囲に確認や検査の実施の有無を加える、これが必要ではないかと思っています。そのほか、消費者行政の責任部署として現在取り組んでいらっしゃることをお答えいただきたいと思います。

山口副大臣 建物引き渡しの際の売り主の説明義務については、宅地建物取引業法において説明すべき重要事項が規定をされており、また、その違反に対する監督や罰則の規定が設けられております。

 これに対し、消費者契約法は、消費者、事業者間のあらゆる契約に適用される一般的な民事ルールでありまして、契約の勧誘に際し、重要事項について事実と異なることを告げた場合などは契約を取り消すことができる旨を規定しております。

 お尋ねの、建築確認や検査事務の有無が消費者契約法の規定する重要事項に該当するかどうかは個々の事案に応じ判断すべきものでありますけれども、一般的には、契約締結の判断に通常影響を及ぼすものであることから、重要事項に該当すると考えております。

 本件については、国民の安全、安心の確保が最も重要であると認識をいたしております。内閣府では、関係省庁との緊密な連携のもとで、国土交通省公表の、これは十一月二十九日でありますけれども、相談窓口を各地の消費者生活センターに対して周知をいたしますし、また、国民生活センターのホームページにおいても、関係する情報を掲載しているところであります。

 消費者生活センター等においては、これらの情報に基づいて、消費者からの相談に対し、適切な相談窓口を紹介する対応をとっております。

 今後とも、消費者生活センター等に寄せられた苦情相談の動向については、その内容において、それぞれ関係省庁とも連携をとりながら注意してやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

小宮山(洋)委員 ぜひ、縦割りでなく一体化した強力な取り組みをお願いして、質問を終わります。

林委員長 長妻昭君。

長妻委員 ヒューザーの幹部職員の曽我さんが、ことしの十月二十五日に姉歯さんに偽造を確認して、ヒューザーとして認知したわけですが、ことし十月二十五日以降にヒューザーが引き渡しをした物件あるいは売買契約をした物件、まだ発表していない物件、教えてください。

北側国務大臣 現在までに構造計算書の偽装が確認されているヒューザーの分譲物件で、平成十七年十月二十五日以降に購入者に引き渡したものは三物件十九戸、売買契約を締結したものは二物件三戸であると承知をしております。

長妻委員 公表されているグランドステージ藤沢の引き渡しは十七戸でわかっているんですが、それ以外も教えてください、個別の名前を。

北側国務大臣 購入者に引き渡した物件については、一つはグランドステージ弁天橋、もう一つはグランドステージ八丁堀でございます。購入者と売買契約を締結した物件については、これはグランドステージ船橋海神です。

長妻委員 ある意味では、ヒューザーが認知した後に、どんどん引き渡しや、さらに売買契約までしているということで、ヒューザーが公表を先延ばしするような働きかけを与党議員としていたということもございますし、あるいは小嶋社長が国土交通省に乗り込んでいったということもございますし、そういうことをも含めて、伊藤公介代議士が十一月の十五日、小嶋社長と一緒に国土交通省を訪問して、小川建築指導課長に会って、公表は慎重の上にも慎重にしてほしい、そういう話を小嶋社長が言う隣で聞いていた、こういう事実もございますから、そういう意味でも証人喚問を、ぜひ委員長、してください。

林委員長 理事会で協議いたします。

長妻委員 そして、今回、国交省の公表が非常に遅いということでありますが、課長あるいは局長が偽造を知ったのは、それぞれいつですか。

北側国務大臣 課長への報告は十一月八日、局長への報告は十一月十日であると聞いております。

長妻委員 これ、垂れ込みの電話が国土交通省にあったのが十月七日金曜日です。一カ月後じゃないですか、課長が知ったのは。さらに馬淵議員員の質問で、では、偽造を確実に認知したのはいつかというと、十月二十八日に偽造を国土交通省は認知している。課長への報告は十一月八日、局長は十一月十日。十月二十八日に偽造を認知して、係長レベルでいろいろ議論があったようですけれども、非常にのろのろしている。何か裏があると疑われても仕方のないようなおくれだと我々は思っているわけです。これはどうですか、大臣。

北側国務大臣 今、委員の方から十月七日とおっしゃいました。十月七日は、これは今回の件ではありませんでしょう。そういうことを御承知の上で十月七日と余り言わない方がいいと思いますよ。十月七日というのは、これは多分内部通報なんでしょうけれども、イーホームズが建築基準法において備えつけることを義務づけている帳簿を備えつけていないよという電話があったんです。この十月七日から一カ月とおっしゃったから、それはちょっと違うでしょうということは申し上げたいと思っております。

長妻委員 いや、その垂れ込みの電話も本当にそれだけの話なのか、まだ明らかになっていないですね。ここの資料に出ていない話もありますよ。率がおかしいとか、支店でおかしいとか、新宿支店でどうだとか、出ていないじゃないですか、この書類には。

 それでは、十月二十八日には偽造を確認しているわけですから、さきの委員会の質疑でも。それにしてもかなり遅いわけで、大臣はまあ遅くない、遅くないと言っておりますけれども、これは大問題だ。大臣に報告が上がったのも十一月の十五日ですよ。それでも遅くないと言い張るわけですか。

 次に申し上げますと、配付資料の五ページを見ていただきますと、これも大きな問題なんですが、静岡県が県の所有の建物三千百八十五棟のうち、耐震性を全部調べた。そのうちのIs値というのが〇・三未満の建物が百五十五棟あるということが明らかになりましたけれども、これ、Is値が〇・三というのは、保有水平耐力の比率、Qu/Qunが〇・五と大体同等と見てよろしいんですか。

北側国務大臣 新耐震基準以前の建築物については、大規模地震に対して倒壊または崩壊しないという現在の二次設計は検証しておりませんが、中規模地震に対し損傷しないという現在の一次設計については、この新耐震基準以前の建築物についても検証しておるんです。

 したがって、新耐震基準以前の建築物で耐震診断でIs値が〇・三未満とされたものであっても、今回の事案と比べますと、大規模地震に対する耐震性がともに基準の半分以下であることは同じでありますが、中規模地震、中規模地震というのは震度が五強程度のものですけれども、中規模地震に対して倒壊のおそれのある今般の事案の方が耐震安全性はより低いものというふうに推定をしております。

長妻委員 それもあくまで一次設計の推定でありまして、今、Qu/Qunの半分、大体Is値〇・三というお話がございましたが、次のページを見ていただきますと、静岡県の物件でIs値が〇・三以下、つまり今回避難勧告が出た〇・五以下同等の建物ということで、交番も入っておりまして、例えば下田警察署の南伊豆町交番、これがIs値が〇・一三だと。そして、そういう交番があと四カ所ある。さらには、この中には、ユースホステルの建物、静岡市にあるものが〇・二七とか、あるいはさらにはビジターセンター、掛川市にある小笠山ビジターセンターが〇・一六とか、〇・三をはるかに下回る、つまり今回退避勧告が出たものと同等のような脆弱な建物がかなりたくさんあるということもわかっているわけです。

 そしてもう一つ、これは国土交通省の資料でも明らかになっておりますが、十七ページにこういうアンケート結果というのが、耐震診断補強委員会がやられているものがございます、国交省もこれを引用しておりますけれども。それによると、Is値が〇・六以下で二割の建物がIs値が〇・三以下だということでございますが、それを推計いたしますと、準用いたしますと、十八ページ、これは国土交通省の資料でありますけれども、Is値が〇・六以下、つまり不適格住宅戸数というのが、一九八一年以前の建物に限っても、一戸建てで一千万戸、マンションで百五十万戸、病院で三万戸、学校で十七万戸ある。

 この二割が今回退避勧告が出たものと同等と見ると、つまりIs値〇・三、Qu/Qunが〇・五以下と見ると、マンションでは三十万戸、一戸建てでは二百万戸、病院では六千棟、学校では三万四千棟、ホテル、旅館では一万六千棟、これが今回の避難勧告が出た建物以下の耐震性である可能性があるということでもありますので、サンプル調査を早急にしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

北側国務大臣 先ほども申し上げたように、全く一緒じゃありませんので。Is値が〇・三未満の場合も、中規模地震に対して損傷しないという現在の一次設計については検証しているという違いがあるということは、ぜひ前提として置いていただきたいというふうに思います。

 その上で、だからこそ、ことしの衆院選の終わった後の特別国会で、大変異例ではございましたが、先生方の御理解、御協力をいただきまして、耐震改修促進法の改正法案につきまして全会一致で通させていただきました。国としての基本方針は年明け早々出させていただきたいと思いますし、この内容を強力に推進させていただきたいというふうに思っているところでございます。

長妻委員 二次レベルではQu/Qun〇・五以下ということがこれだけ推計されるわけですので、ぜひサンプル調査していただきたい。

 そして、三ページ目でございますが、完了検査というのがこれは法律で義務づけられていて、完了検査をしないと三十万円以下の罰金だということでありますけれども、今まで罰金を食らった方々というのはいるのかどうか、つまり告発というのは全国で戦後なされたことがあるのかどうか、どうですか。

北側国務大臣 完了検査を行わなかった場合の罰則の適用につきましては、特定行政庁においてこの十年間に実績はございません。

 この完了検査については、十一年度は四六%でございました。これが十六年度は七三%と、毎年着実に上昇しているところでございます。引き続き完了検査実施率の向上に努めた上で、完了検査の徹底のために罰則の適用についても検討するよう特定行政庁を指導してまいりたいと考えております。

長妻委員 特定行政庁が罰則をかけていない、これだけ完了検査をしていないにもかかわらず告発をしていないということがあるわけでありまして、これはきちっとやはり指導していかないといけない。

 そして、この表によりますと、一番完了検査が多いのが岩手県の九〇%、一番低いのが茨城県の五〇・六%ということで、倍近く差がある。

 最後の質問ですけれども、何でこんな倍ぐらい開いているんですか。分析していますか。

北側国務大臣 完了検査の実施率の向上を図るため、各特定行政庁等におきましては、確認済み交付時における検査受検の義務の告知、完了検査を受ける工程に達する時期に完了検査の申請を文書で案内する等、改善に努めているところでございます。

 しかしながら、今御指摘のように実施率に差が生じており、これは地域住民の意識だとか地方公共団体の体制整備の差異によるものというふうに考えております。

 国交省といたしましては、検査の実施率をさらに引き上げるために、各都道府県に検査実施率の年次別の数値目標を立て、検査の必要性を啓発普及するなど継続的な取り組みの強化を図ってまいりたいと考えております。今後とも、検査の徹底を推進されるよう積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。

長妻委員 ぜひ、お役人の文章を読むだけじゃなくて、大臣の腹に落ちるような御理解をいただいて、本当に、国交省の御担当の方に聞いても、完了検査が県によって倍違う、原因はさっぱりわかりません、こういうことでありまして、そういうことでは困るわけでありますので、法律で義務づけられていることさえ守られていないということでありますので、ぜひ徹底した取り組みをしていただきたいと思います。

 以上です。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私も、ヒューザーの小嶋社長、総研の四ケ所、平成設計山口、徳永各氏、そして伊藤公介衆議院議員の参考人招致、これを要求したいと思います。

 これは既に最大会派の党が要求をしていますし、あとすべての党が要求、これは絶対するはずですから、必ず実現できるものだと思っています。

 委員長にお諮りを願いたい。

林委員長 理事会にて協議いたします。

穀田委員 きょうは被害者への賠償の問題について若干質問します。

 まず、金融庁にお聞きします。

 今回の耐震強度偽造事件で、いわゆるホテルルートでは、総研がかかわったホテル開業に銀行の関与が明らかになっています。

 私はこの間、十四日の証人喚問で取り上げまして、愛知県の岡崎市のホテルの場合、旧東海銀行が総研とともにホテルの開業に関与していた、その際、内河証人も認めました。また、木村建設倒産の背景にも、メーン銀行の貸しはがしともいうべき関与がありました。十四日の証人喚問で木村建設元社長は、十一月十七日の偽造発表直後に銀行が押しかけてきて当座預金が凍結され、十分な資金を準備していたのに手形を決済できなくなったと証言しました。主要取引銀行の熊本ファミリー銀行は、債権保全のための約十三億三千万円の木村建設の当座預金を拘束、凍結した。これが木村建設倒産の引き金となりました。いわば、銀行は耐震偽造発覚で木村建設の経営の先行きが不安となったために、有無を言わさず貸しはがしを行ったということであります。

 そこで聞きたい。今回の木村建設倒産に至った貸しはがしについて、金融庁は事情を聞きましたか。

佐藤政府参考人 御指摘のような報道があることは承知いたしておりますが、個別金融機関の取引に関することでございますし、また、法的手続が開始されているということもございますので、この個別事案について当局としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げますれば、私ども、監督上の主要な着眼点というのをあらかじめ監督指針というものに定めてございますけれども、金融機関が問題債権の回収等取引関係の見直しを行う場合には、これまでの取引関係であるとか、顧客の知識、経験、財産の状況に応じて法令にのっとり一連の各種手続を段階的かつ適切に執行する体制が整備されているか等、こういう点を示しておるところでございまして、こういった観点で監督していくということは重要であろうと思っております。

穀田委員 熊本ファミリー銀行というのは、公的資金注入銀行なんですよ。いわば国が株主なんですよね。だから、今問題が起こっている内容について、個別のという話で済ますような話じゃなくて、これだけ大問題になっていることについてどないすんねんという話をまともにせなあきませんよ。大体、銀行経営についても、今言ったように、言える立場にあるんですよね。事情すら聞かないというのは、私はどうかと思いますよ。

 そこで、木村建設の倒産が被害者に大きな影響を及ぼしたことは、だれでもこれはわかるんですよ。そこで、多くの偽装、欠陥マンションをつくった木村建設が倒産したことによって、住宅ローンを抱える被害者住民への損害賠償請求による被害回復の道が狭まっているわけですわな。被害者救済の観点から、自分の債権だけを先取りするやり方というのはまさに道義的に問題だと言わざるを得ないと私は思います。

 そこで、国交大臣に聞きます。

 賠償の一端を担うべき木村建設の倒産は、今お話ししたように、その希望を縮小させました。倒産に至る過程は、メーン銀行がみずからの債権回収を優先させ、貸しはがししたことに間違いない。それはこの間の証言でも明らかになっています。夜中の二時までやられたという話まで出ました。それが私はけしからぬと思うんですね。何も別に木村建設を擁護する気はさっぱりありませんで。だけれども、被害者が明確にいる、加害企業は損害賠償の責任がある、こういう関係があるわけですから、銀行は、いわゆる加害企業の事業活動のために融資をした、にもかかわらず自分の分だけを回収する。おかしいと思わないか、一定の額の拠出を要請するなどが必要じゃないか、こういう点について大臣に問いたい。

北側国務大臣 木村建設と金融機関との間でのやりとりの詳細というのは、私も報道以上は承知をしておりません。国交省として、今回の金融機関の行動についてコメントするのは差し控えさせていただきたいと考えております。

 今回の事案における木村建設の関与の内容が非常に重要であることは、もう全くそのとおりでございまして、事実関係を明らかにしていかなければならないと考えております。

穀田委員 私は、二つ問題があると思うんですね。承知していない、そんなことないですよ。だって、あそこの証人喚問で出されたのは、リアルな事実があったということなんです。そしてもう一つは、やはり事実関係を解明したいというんじゃなくて、こういう事実のもとでどないするかということを問うているわけじゃありませんか。それは余りにも、だれがつくったか知らぬけれども、大臣として、政治家として、今我々がなすべきことについての答弁とはおよそ思えないと指摘しておきたいと思うんです。

 では、一番多くいわゆる被害者をもたらした建築主、販売会社であるヒューザーと銀行の関係について聞きたいと思います。

 ヒューザーの取引先銀行はどこか。東日本銀行、みずほ、りそな銀行などです。これらの銀行は当然、ヒューザーに融資する際に、事業内容について審査しているわけです。広くて安いという宣伝文句、その事業手法、急速に業績を伸ばしていたことは承知していたはずです。今回のように販売したマンションが偽造、欠陥があれば販売業者に瑕疵担保責任があることなど、融資先に何らかのトラブルが起こるというリスクを承知の上で審査していると思うわけですが、それは当然ですよね、金融庁。

佐藤政府参考人 個別金融機関の個別取引については差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、金融機関は、顧客からの借り入れの申し込みに当たりましては、資金使途、返済能力、担保価値等を考慮して融資判断を行っているというふうに承知いたしております。

 また、個別の融資案件の審査や融資の可否の判断については、金融機関みずからの責任において行われるべきものであると認識をいたしております。

 他方、金融庁といたしましては、金融機関の適切な業務運営を確保するという目的で、金融検査等において事後的に融資先のサンプルを抽出し、その内容を確認するといったことは行っておりまして、そういったことで審査管理体制の適切性について検証しているということでございます。(穀田委員「いいです、もうそこは。そんな質問していないです。委員長」と呼ぶ)

 いずれにいたしましても、金融庁としては、検査監督を通じて、適切な審査管理に基づく融資判断が行われるよう、金融機関の適切な業務運営の確保に努めてまいりたいと思っております。

林委員長 答弁は簡潔にお願いします。

穀田委員 聞いていることにきちんと答えてくれりゃええのや。別にそんな、あなたのところの話をしてるちゃうねんからさ。一般論をするんやったらええて。

 それで、では、もう一遍違うことを聞きますよ。住宅ローンを融資する際に、住宅金融公庫は地方自治体などに依頼して建築物の一定の評価に基づく審査を実施している。銀行の審査はそれと比べてどうなのかということについてだけ、端的に言ってください。

佐藤政府参考人 民間金融機関が住宅ローンの供与の判断をするに当たりましては、主として借り手の資力を踏まえた返済能力というのを勘案して融資判断を行っているというふうに承知をいたしております。この点におきまして、民間金融機関が住宅公庫と比べて審査が甘いといったことはないというふうに理解しております。

 なお、住宅公庫におきましては、その融資判断に際しまして、借り手の返済能力とは別に、一定以上の広さとか耐久性が確保されているかといった住宅政策上の観点も考慮されているというふうに承知をいたしております。

穀田委員 要するに、建築確認が通った物件であれば通すということなんですよ。そこを言っているんですよ。世の中、そうなっているんですよ。そういう肝心かなめのことを言ってくれなあかんわけやね。

 それで、要するに、今回の事件というのは、建築確認が通ったマンションであるわけですね。したがって、建築確認制度の不備が一連のこういう議論の中で問われたわけですわね。したがって、銀行の審査にとって想定外であることは確かだけれども、審査物件に瑕疵があって、瑕疵があった場合のリスクは、ある意味では当然考えているわけですわね。つまり、銀行は、事業の関係の資金であっても、なおかつ住宅ローンであっても、融資する際の審査にそれのリスクを想定してやっている。したがって、そのリスクを、当然、結果としてのリスクを負わざるを得ないと私は考えているわけです。

 そこで、参議院の委員会で、ヒューザーが販売した偽装マンションに係る住宅ローンの状況については二十五金融機関で百九十件と答弁しているけれども、それは変わりありませんか。簡単に言って。

佐藤政府参考人 私ども金融庁といたしましては、国土交通省から欠陥住宅についての公表があるたびに、それに応じて順次、金融機関に依頼して、住宅ローンの供与をしている金融機関についての調査を進めておるところでございますが、現在も進行中の調査はございますけれども、現在までにまとまっておりますデータは、今委員が御指摘いただいたとおりのものでございます。

穀田委員 そのうち、ヒューザーの取引銀行から住宅ローンを借りている方も少なくないんですよ。この構図なんですよ、問題は。要するに、ヒューザーが建てる、そして、ローンを設定する方は自分との取引先にやる、この構図が問題なんですよね。だから、住宅販売というのは、販売会社と提携している銀行が審査し、そのまま住宅ローンを契約するケースが多いわけですね。だから、調べてみると、ヒューザーについてもそういうことだったわけです。

 これらの銀行は、こうしたケースの場合、いわゆる加害企業であるヒューザーに融資した利子で利益を上げる。一方、被害者に融資した住宅ローンの利子で利益を上げる。要するに、加害者からも被害者からも、これは二重取りしているということの構図なんですよ。ここをけしからぬと私は言っているわけです。

 だから、先ほど銀行業界の、内閣府の説明によりますと、一時繰り延べなど真摯な対応に努める。何が真摯だと。住宅ローンの利子分の債権放棄すら踏み込まない、こんなことでどうしてやっていられるのかと私は思っています。だから、こういう事態なのに銀行はひとり、加害企業、被害者からきっちりもうける、こういうやり方については私はけしからぬと思っています。

 大臣に、行政責任として銀行に対する応分の負担要請を積極的に行うべきじゃないか、そういう点の考えというか、お聞きしたいと思います。

北側国務大臣 そこのところはずっと私も頭を悩ませている論点でございます。国会でも御指摘もいただいておりまして、私は、やはり金融機関についてもそうした一定のリスクをきちんと負担していただくようなことが検討できないのかどうか。これはなかなか難しいところがあるんですね、法律上は。法律上はなかなか難しいところがありますし、また個別の金融機関がさまざまですし、そこで一律にこうという形もなかなか容易じゃないなと。

 ずっと議論はしておりますし、問題意識はしっかり持っております。金融庁ともその辺のところはしっかりと連携を今とらせていただいているところでございまして、金融機関におけるさらなる対応につきまして、やはり大事なことは居住者の安定確保でございますので、その観点から、必要に応じて金融庁とも連携、調整を今まさしく図っているところでございます。

穀田委員 今、もう一歩新しい踏み込みをさらにしていただける要素ができたなと思うんです。一定の共通の基盤があると思うんです。やはりそれを、しかも一つ一つの金融機関に全部やらせるというのはなかなか無理があると思う。だけれども、これは金融業界全体としてそういう新しい考え方に基づいて負担をしてもらうという点も、これは要求すべき時点に来ていると私は思います。その点での検討をさらに深めていただくことを希望して、質問を終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 私からも委員長に取り計らいをお願いしたいと思うんですが、先ほどから名前が挙がっております今度の事件に関係する方々について、とりわけヒューザーの小嶋社長、これは証人喚問、それからその他四名いらっしゃいますが、これは参考人招致で、ぜひ国会に呼んでいただきたいということをまず最初にお願いしておきたいと思います。

 といいますのは、先ほどの大臣が、捜査中であっても、国土交通省、特定行政庁として真相究明に積極的に取り組んでいくんだという決意を示されました。ひとり国会だけが事態の推移を見守るなどという態度では、それは国民が納得しません。そういう意味も含めて、改めてお願いをしたいと思います。

林委員長 理事会にて協議いたします。

日森委員 直ちに理事会を開いてぜひ協議していただくように、重ねてお願いしたいと思います。

 大臣にお伺いいたします。

 大臣はこの間、売り主が第一義的な契約上の責任を持っている、瑕疵担保責任があるということを一貫しておっしゃってまいりました。もちろん、弁護士さんでいらっしゃいますから、この辺はもう大変お詳しい大臣だと思いますが。

 そこで、売り主に国が支出をする、公的資金を出すわけですが、国が支出をする金銭の請求を、売り主に求めていくのか、あるいは施工業者等に求めていくのか。この問題については法律家の間でも意見が分かれているようですが、国土交通省は強い態度でともかく要求していくという決意があるようですが、これについて、最初に大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 国といたしましても、この公的支援措置の実施に伴いまして必要な経費負担をするわけでございまして、地方公共団体また居住者とともに、一義的に責任を負うべき売り主に対しまして、その責任の履行を厳格に求めてまいりたい、対応してまいりたいと考えております。

日森委員 関連して、国の責任がどれぐらいあるのかというのはなかなか難しい判断だと思うんですよ。これは裁判所に判断を仰ぐかどうかしなきゃいけないのかもしれません。しかし、来年の通常国会に提出を予定されている住宅基本法、この精神でも、国民のために、安心、安全な住居を確保するというのは、これは国の責務だ、任務になると思うんですよね。そういう立場からいうと、被害者等に対して安全な住居を確保する国としての行政責任と同時に、こういう重大な問題を発生させた政治的、行政的責任があると、これは率直に認めて対応していくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。

北側国務大臣 建築確認というのは公の事務でございます。特定行政庁であれ指定検査機関であれ、今回の事件は、このような大量な偽装について、そうした検査機関、特定行政庁も含めまして見抜けなかったということでございまして、これはもう本当に極めて遺憾でありまして、建築行政に対する信頼が揺らいでいるというふうに私も考えておるところでございます。

 今ともかく事態を、今回のこの建築確認の現在のあり方の問題点、徹底して点検、検証をさせていただきたいということで今入らせていただいているところでございます。それを踏まえまして、建築基準法の見直しをやはりしっかりとしていかねばならない、今専門家の先生方に入っていただいて論議をしているところでございます。

日森委員 大臣、所用がおありのようですので、ここで退室していただいて結構ですから。どうもありがとうございました。

 次に、金融庁にお伺いをしたいと思うんですが、先ほど来出ていますローンの問題なんです。

 被害者、欠陥住宅を買ってしまったという結果として被害者になってしまったわけですが、この方々が一番悩んでいるのはローンの問題なんです。国の支援策を仮に実行して建てかえなどがあったとしても、これは二重ローンが残ってしまう可能性すらある大変な事態で、これは将来にわたってなかなか暮らしの展望も開けないような事態になってしまうということを考えると、このローンを何とか、二重ローンも含めて解決していく手だてを考えなければいけないし、これは国の、先ほどおっしゃいました、行政責任はある、それはもう建築確認の問題だけではなくて、そういう意味を含めていくと、これは国の責務じゃないかと思うんですよ。

 最初に、被害者、除却するマンションが中心ですが、この被害者のローンの金額の総額というのはどれぐらいになっているんでしょうか。

佐藤政府参考人 先ほども一部話題になったところでございますけれども、金融庁といたしましては、構造計算書偽装物件についての国土交通省からの公表がありました際に、それに応じまして、それらの物件に係る民間金融機関の住宅ローンの状況について、順次、金融機関に依頼し調査を進めておるところでございます。

 十二月一日までに国土交通省から公表された世帯用分譲マンションの偽装物件に係る住宅ローンの状況について、現時点で判明しているところを申し上げますと、二十五の金融機関で合わせて百九十件、金額にいたしまして六十五億円ということでございます。

日森委員 大変な金額になると思いますし、お一人お一人考えると、気の遠くなるような話になると思うんです。

 既に明らかになっているように、今回のマンションの売買契約は売り主に瑕疵担保責任が当然あります。これは契約の解除権を行使できるわけです。しかし、銀行とのローン契約は別の契約であるために解除できないというふうに一般的には指摘をされていると。これは判例を読ませてもらいました。

 私、専門家じゃありませんからこの程度の理解なんですが、しかし一方、分譲住宅の売買契約と購入資金のローン契約との関係について、これは大阪地裁判決なんですが、契約が公序良俗違反であり、売り主と銀行が密接な業務関係にある場合は、銀行に対してもローンの取り消しを求めることができるという平成二年の判決があるようなんです。

 今回の、被害者と売り主と結んだ売買契約と、銀行と締結した消費賃貸契約、これは別の契約であるが密接な関係にある、少なくともそういう場面も当然あるわけで、こう考えるのが妥当だというふうに思いますが、金融庁、どんなふうにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 一般に、商品の売り主、買い主の双方に金融機関が融資するということはあり得るわけでございますけれども、そのことのみをもって金融機関が不適切な業務をやっているということには必ずしもならないというふうに思っております。

 こうした中で、監督当局が民間企業たる金融機関に対して、経営判断に基づく個別取引について一律の対応を求めるということは困難であることを御理解いただきたいというふうに思います。

 先ほど来何遍か出てきておりますけれども、全国銀行協会におきましては、お客様からの御要請があった場合には、それぞれのお客様の事情を十分に踏まえた上で、返済の一時繰り延べも含めて真摯な対応に努めるといったことを内容とする申し合わせを行っているところでございまして、金融庁といたしましては、今後、各金融機関がこうした申し合わせ等に即して債務者に対して真摯な対応を行うことを強く期待しているということでございますし、その状況を注視していきたいというふうに思っております。

 マンションの売り主と買い主の双方に融資をしているということに関連いたしましては、例えば今回のケースでは、仮に金融機関が、売られた物件が不良物件であるというようなことを認識していたとすれば、責任が当然生じると思いますけれども、今のところそのようなことで取引をしていたという認識はないということでございまして、原則にありますように、双方の融資契約は別個のものという位置づけであろうかと思います。

日森委員 銀行協会も相談窓口を開くぐらいのことではなくて、金融庁ももう少し強力な指導をしていただきたいというふうに思います。

 同時に、今回の問題では、先ほどおっしゃいました、欠陥住宅であるか認識して融資したわけではない、そういうふうに、当たり前の話なんですが、そう言うに決まっているわけですが、しかし、結果としては担保の過大評価をしてしまったということじゃないんでしょうか。そして、これは過剰融資を行ったということになるんじゃないでしょうか。

 そういうことであるならば、あるならばですよ、これは金融庁の見解ですが、この点について銀行は一定の社会的責任をとってしかるべきじゃないか。この責任のとり方というのは銀行協会なんかで議論しなきゃいけない、金融庁からも指導しなきゃいけないかもしれませんが、こう考えて、ローン問題なんかについて銀行にもっと積極的に取り組むような御指導はできないんでしょうか。

佐藤政府参考人 金融機関が一般に住宅ローンを融資するに当たりましては、基本的には金融機関は債務者の債務返済能力を審査するというのが基本でございます。また、融資物件の評価につきましても、現状は、建築基準法等の枠組みにのっとってその担保物件の安全性、適切性といったものを評価する枠組みになっているというふうに承知をいたしております。

 こういった融資実務は不適切とは言えないわけでございまして、また、本件につきましては、現時点で金融機関に責めを負うべき明確な事由が認識されているわけではないということでございますので、その中で金融機関に対して行政として一律に負担を強制するといったことは困難であろうかというふうに思います。

 ただ、私どもといたしましても、被害に遭われた方々の御苦難ということは当然認識いたしておるわけでございまして、先ほど来もございますように、全国銀行協会におきましても、申し合わせを行って、できるだけ真摯な対応をするということで対応していくということであろうかと思います。

日森委員 その際、銀行協会の言い分を聞くだけではなくて、被害に遭った住民の方々の声をきっちり反映して、銀行協会として具体的な対応ができるような、そういう指導をしていただきたいと思います。

 同時に、これは要望になりますけれども、こういう問題になってくると、例えば今回のような事件があって、全く一方的に被害を受けた住民の方々は、まさに泣き寝入りしなきゃいけないような、そういう法律の形になっているんじゃないでしょうか。これについてもぜひ早急に御検討いただいて、欠陥住宅を購入したことによって、不要なローン、この返済に被害者が追われることがないような、分譲住宅あるいは分譲マンションに当たっての金銭消費契約について、不動産売買契約との何らかのリンクをできるようなそういう制度設計、これもぜひ考える必要があるというふうに思っていますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思っています。

 時間がもう余りないんですが、一つだけお伺いしたい。これは国土交通省ですが。

 実は、木村建設だけではなくて、大林組とか鹿島建設とかいう超大手の会社が施工主になって、そして欠陥マンションがつくられました。大林組は、今回のケースは、施工段階では、柱の本数や太さ、鉄筋の量について、図面を見ただけじゃわからないという見解を出しました。わからないんだと。そして、だから責任がありませんというようなことをおっしゃっているんですが、元請責任というのは一体どうなるんでしょうか。元請責任。

 施工の元請は、図面を見るだけで施工についての責任を果たしたことになるんでしょうか、元請は現場で施工監理に責任を負う必要がないんでしょうか、全部木村建設に出しちゃったから知りませんよで済むんでしょうか、こういう疑問が残ります。これについて端的にお答えいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 元請業者は、発注者が示した設計図書に基づきまして、請負契約を誠実に履行し、建設工事を適正に施工する責任を有しております。その中には、発注者に対する瑕疵担保責任、施工現場の安全衛生管理等、建設工事の施工に関しさまざまな役割がございます。

 そこで、設計の図面を見るだけで施工者の責任を果たしたことになるのかというお尋ねでございますが、原則は、設計図書どおりに施工していれば施工者が瑕疵担保責任を問われることはないというのが原則でございますが、施工者が設計図書に誤りがあることを知っていたのにこれを建築主に告げなかったときには、民法上、瑕疵担保責任を負う、こういう仕組みになっております。

 今御指摘の具体的な事例でございますが、今先生御指摘のような説明を我々も受けておりますが、より的確に契約関係や施工状況等を把握する必要がありますので、これにつきまして、十二月十九日に建設業法に基づく報告を正式に求めたところでございます。

 以上でございます。

日森委員 時間です。ありがとうございました。

林委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、今回の耐震偽装問題についての一般質疑ということで、当初、野党の方からも、特に住民の支援に対して政府の案が発表されて、その後、そういった問題についてしっかりと質疑をしたい、こういう申し出が最初ございました。やはり、今住民の方々、本当に困っている現状でございますので、この点を中心にちょっとお伺いをしたいと思います。

 その前に一つ申し上げたいというのが、今この問題というのは、本当に国民注視のもとでいろいろな、どういうふうに展開していくのか、そういうことが注目されているところであります。

 その上で、私ども国会の方もしっかりと、この原因究明という問題とともに住民の支援、今回余りにも複雑でありますので、一つは住民の支援をしっかりやること、もう一つは原因究明だけではなくてその後の対策をどうしていくか、こういった問題が必要であるというふうに私も当委員会でも再三申し上げてまいりました。

 その点、マスコミの報道を見ますと、どうしても目の前にある事象で報道される、それによって世論が形成されるということがこれまでも多々ございました。特に、きのう強制捜査が始まって、テレビを見ますと、強制捜査の始まる前からずっと報道されていて、一日じゅうそれが流されている。逆に言うと、かなり過熱するのはわかるんですけれども、本質は何なのかという部分が忘れ去られる、こういう傾向にあるのではないかというのを自分もメディア出身の人間として感じております。

 というのは、例えば、今回の問題ではなくて、では、三カ月前に何があったのか、多くの国民はもう忘れています。例えば三カ月前はあの衆議院選挙がございました。では、その三カ月前は何が問題だったのか。これは、当委員会でも問題となりました、例えば尼崎の列車事故がありました。そういうのが、そのときの現象ではいろいろとわあわあ言われる、または国会でもしっかり議論しますが、それが過ぎ去ると、なかなかそういった問題の本質のところは忘れ去られていくのではないかな、こんな気がしてなりません。

 そういった点では、住民の問題というのは、今まさに本当に苦しんでおられる、さらに、それだけではなくて、またこれから多分建てかえの問題等々もあって、建てかえをするとなると二年ぐらいかかってしまうということで、やはりそういうところは私たち国会がしっかりと注視をしながら、報道されなくても、やはり見守りながらだけではなくて、積極的に応援をしていくということを忘れてはいけないのではないかな、これを申し上げておきたいと思います。

 その上で、今回の政府の方が発表しました住民への支援対策、特に、使用禁止命令が四つですか、退去勧告が出ているのが六つというふうに確認をしましたけれども、そういった中で、やはり出ていかなければならない、直近の問題としては家賃の問題だと思います。今住宅ローンを抱えていて、そして新たな家賃をどこまで払えるのか。そういうところで、政府の方が提案をします、三分の二を補助していこう、こういう問題ですが、これは国がすべてやるんではなくて、自治体とこれを分け合っていく。自治体でも東京都の方はなかなか厳しいお話をしておりますし、そういった部分での国と自治体との負担割合の状況を含めて、どういう形で今後進展していくのか、お聞かせ願いたいと思います。

山本政府参考人 現に目の前にある危険性、これに着目しまして、危険な分譲マンションの居住者の方々の安全を確保するという観点から、移転していただいて、危険なマンションを除却して新たな建物に建てかえるということについて、総合的な支援のスキームを政府として打ち出したところでございますけれども、個別具体のマンションについて、現実に今マンションに住んでおられる居住者の方々に移転していただいて、その総合スキームを動かす上では、何といいましても、居住者の方々と密接に意見交換をしながら、地方公共団体と緊密に連絡してこれに取り組むことが必要でございます。

 したがいまして、今御指摘ありました移転費、それから仮住居中の家賃に対する助成の考え方につきましては、非常に稠密に構造計算書偽装問題対策連絡協議会の中で公共団体とともに協議を重ねてまいりました。この協議会の中に危険な分譲マンション対策検討ワーキンググループというのを設置しまして、やりとりをして、地方公共団体の意向を踏まえた上で、今御指摘いただきました十二月十六日の基本的な国の考え方をまとめたところでございます。

 具体的な中身としましては、仮住居の家賃に係る助成については助成額を三分の二以内とすること、それから助成対象となる家賃の限度を原則十五万円とすること、それから助成期間を原則二年間とすること、それから移転費に係る助成につきましては一回当たり原則二十五万円を上限とし、原則二回までの移転を対象とするということを取りまとめたところでございます。

 さらに、これから建てかえ工事についても公共団体とやりとりをしていく必要がありますけれども、この助成措置についての国と地方公共団体の協力関係といいますか負担割合については、地域住宅交付金制度でこれを進めようということを基本としておりますので、この地域住宅交付金制度の負担割合であります、国四五%、地方五五%で進めていきたいということでございます。

高木(陽)委員 今、国四五%、地方五五%というお話がございました。それですべてがうまくいくかどうか。やはり自治体は、自治体の中でも財政的な部分でかなり苦しい部分もあるということで、ここのところは、場所によって違う、区によって違う、市によって違う、県によって違う、こうなりますと、やはり公平感、今回、公的支援をするということだけでも、では、ほかの納税者の方々、今回の問題に、被害者でない一般の納税者の方々からも賛否両論があるのは確かです。しかしながら、今回、除却をしなければいけない、強制的に出ていかなければいけない、そういった部分での支援をしなければいけないということで、これは理解できると思うんですが、やはり公平感をしっかりと持たせるためにも、場所によって違う、建物によって違う、こういうことがないように、さらに国のリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 さらに、今、建てかえの話がちらっと出ましたので、そちらの話もちょっとお伺いしたいんですが、いわゆる分譲住宅、分譲のマンション、十棟、これが耐震強度で〇・五以下ということで、これを建てかえていく。これはこれでわかるんですが、さあ、問題は、住民の方々、管理組合、区分所有していますけれども、その中での負担の部分ですね、割合。これが見えないとやはり安心感がないというのが、大きな、引っ越しをする上でも不安に思っている、こういうふうにも言われておりますし、住民の方々からもそういう声をじかに聞いております。

 そういった部分での、住民の負担がどうなっていくのか、やはりここは、いろいろと個別の建物によって違うと思います。それは、どういう建てかえをするかということもあると思いますが、大枠そういったものが早いうちにめどがつかないと、その不安感だけをずっと持ったまま引っ越しても、どうなるんだろう、どうなるんだろう、こういう形になるので、それを早急に出していただきたいと思うんです。

 その点、その住民の負担についてどのような状況になっているか、伺いたいと思います。

山本政府参考人 この支援スキームの一番肝心なところが、建てかえのフェーズで居住者の方々にどれだけの負担をしていただくか、逆に言いますと、国と公共団体でどこまで支援できるかというところがポイントであるわけでございますが、逆に、今、公共団体とやりとりをしている現実の課題からしますと、この建てかえの部分について、まだ必ずしも、先ほど御紹介しましたワーキンググループの中で、公共団体と国の考え方がきちんと、あるいは公共団体相互間の考え方もきちんと一本になっているとは言い切れない状態でございます。

 やはりこの部分がきちんとしないと総合スキーム自体が前に進まないという要素があるわけでございますので、ぜひ分譲マンション居住者の方々の全体のバランスがとれる形で、公共団体の方々も御納得をいただきながら基本的な枠組みが提示できるように、公共団体とのやりとり、稠密に進めていきたいと考えております。

高木(陽)委員 住宅局の職員の方々は本当にそういった部分での公共団体との交渉も一生懸命やっているというふうに聞いておりますけれども、やはりここは、いわゆる住民の今の現状を考えた場合には、厳しい言い方かもしれませんけれども、さらに公共団体との折衝、合意、これを早くとらないと、先ほどから申し上げている、不安だけがずっと残っているということですね。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、これも先ほどからお話が出てまいりました売り主の部分ですね。瑕疵担保責任として、ヒューザーを初めとする売り主にある。本当にこの人たちが補償してくれるのか、そこの部分、計画倒産をするんじゃないか、こういった疑念。先日の参考人で私も質問させていただいたときに、ヒューザーの小嶋社長が前向きに倒れるというばかみたいな発言をしまして、倒れたら補償はできなくなるわけですから、そういった部分に、倒れる前に逆に財産をいわゆる保全しなければいけないんではないか、こういう考えもありますけれども、その点についてはどのように考えていますか。

山本政府参考人 本来、売り主であります建築主が買い主に対して一義的な瑕疵担保責任という契約上の責任を負っておりますので、この責任が誠実に果たせなきゃいかぬということはおっしゃるとおりでございます。

 ただ、今回、公的支援の枠組みを、国と公共団体が協力して用意いたしましたけれども、これが現実に実行されるということが、つまりキャッシュが出ていきまして初めて、国、公共団体も法的な世界で売り主に対して一定の立場に立つということになりますので、今の段階では、直接の債権を持っておられる買い主、居住者の方々に法的なアクションはとっていただくということでございますけれども、スキームが動き出せば、公共団体と一緒になって、しっかり、厳格に対応していく必要があると認識しております。

高木(陽)委員 だからこそ、早く公共団体との交渉をまとめ上げなきゃいけないわけですね。ここら辺のところがおくれればおくれるほど、補償の問題も、逆に取り立てができなくなる、こういうことになるので、この点はよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、これは、建てかえ、十棟、耐震強度が〇・五以下ということですけれども、〇・五以上の建物がかなりあるわけですね。

 実は、私の地元の日野市にもグランドステージ豊田というのがありまして、いろいろと計算し直したところ、〇・六。〇・六というのは建てかえられない。でも、やはり不安ですね。どうするか。今、管理組合を中心に住民の方々が、いろいろな住民集会をやりながら話し合いを進めております。

 さあ、この〇・五以上の、基本的には耐震改修になると思います、思いますけれども、これの公的な応援というものもしっかりと明示をしていかないといけないと思うんですが、この点はどうでしょうか。

山本政府参考人 耐震強度が〇・五を超えている、したがって、今回の建てかえの総合的な支援のスキームの対象とはならないという物件であっても、国、公共団体は一切手を出さないということであってはならないと考えていまして、実際には、具体的に一・〇を切っている物件についてどういう耐震改修が必要なのか、あるいは、〇・五を超えていても、もしかすると、いっそのこと建てかえなきゃいかぬという計画を立てざるを得ないような物件も個別にはあるかもしれません。

 したがいまして、きちんとした診断をして、耐震改修なりどういう措置を講ずるかという計画をしっかり立てる、その上で、それに対してどういう支援をするか、〇・五未満のものについて考えておりますスキームを横に見ながら、どういう形で支援していくかということをきちんと決めていく必要があると思います。

 私どもは、耐震診断とか改修のためのいろいろな助成措置について、例えば住宅・建築物耐震改修等事業というのを持っておりますので、それを通じて公共団体と一緒にやるか、あるいは、総合スキームと同じように地域住宅交付金を使ってやるかということを公共団体と相談しながら積極的に対応する考えでございます。

高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、今の、地域住宅交付金を使う、これは自治体が主体的にやらなきゃいけないことですね。それで、いろいろなスキームをつくっていく。

 しかしながら、国の方から見ますと、この地域住宅交付金があるということで、自治体がしっかり考えてくださいよと言っているんですが、やはり、しっかりした自治体と、正直、そういった問題に対応し切れない市町村というのがあるのは確かなんです。そういったところで、あ、なるほど、耐震改修、耐震診断にはこういうふうに使えますね、この改修にはこれぐらいの割合で使えますね、こういったことを、特に今回の物件があるその特定行政庁というか公共団体のところに逆に教えてあげてほしいんです、丁寧に説明をしてあげて。

 そうしないと、住民側は、例えば市役所に相談に行く、窓口に幾ら行っても、じゃ、何か公的支援のスキームというのはどういうのがあるのかな。窓口の人がしっかりと認識をして、こうなんです、だから、管理組合の皆さん、じゃ、まず耐震診断をしましょう、そのためには公的支援はこれぐらいありますというのが具体的に提示をしてあげられる。ここまでやるのが、やはり今の段階ではないかなと思うんですね。

 今クローズアップされているのは、〇・五以下の建てかえ住宅というのはすぐ注目されるんですけれども、そうじゃない人たちの方が人数的には多くて、でも、不安はある意味じゃ同じような形で持っているわけです。だから、そういったきめ細かさというのを、本当に住宅局、大変かもしれませんけれども、今回の問題というのは本当に国交省を挙げて、また、もっと言えば政府を挙げてやっていただきたいということで申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

林委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十五分散会


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