衆議院

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第8号 平成18年3月29日(水曜日)

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平成十八年三月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      後藤 茂之君    坂本 剛二君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      田村 憲久君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      高木 義明君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鉢呂 吉雄君

      馬淵 澄夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    太田 昭宏君

      斉藤 鉄夫君    穀田 恵二君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            小神 正志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  高市 早苗君     赤池 誠章君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     萩原 誠司君

  斉藤 鉄夫君     太田 昭宏君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     鍵田忠兵衛君

  太田 昭宏君     斉藤 鉄夫君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 個人住宅の耐震化に対する補助制度の拡充と避難所の耐震の強化を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八七一号)

 同(石井郁子君紹介)(第八七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八七四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第八七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八七七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八七八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八七九号)

 日本のタクシー再生に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第九二二号)

 同(日森文尋君紹介)(第九二三号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第九三八号)

 同(重野安正君紹介)(第九三九号)

 同(辻元清美君紹介)(第九四〇号)

 同(保坂展人君紹介)(第九六二号)

 同(荒井聰君紹介)(第一〇〇四号)

 同(菅直人君紹介)(第一〇〇五号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一〇〇六号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇〇七号)

 同(村井宗明君紹介)(第一〇〇八号)

 同(赤松広隆君紹介)(第一〇一一号)

 同(細川律夫君紹介)(第一〇五五号)

 同(前原誠司君紹介)(第一〇五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長柴田高博君、河川局長渡辺和足君、鉄道局長梅田春実君、自動車交通局長宿利正史君及び航空局長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。

土肥委員 皆さん、おはようございます。土肥隆一でございます。

 きょうは、都市山麓グリーンベルト事業についていろいろとただしてみたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 私は神戸でございますので、六甲山を背中にしていつも、背中というか向かって生きているわけでございますが、六甲山というのは、皆さんも御承知かと思いますけれども、神戸市というのはウナギの寝床みたいな地域でございまして、六甲山を挟んで南側と北側で住んでいて、六甲山に張りついて生きている、へばりついて生きているような感じ、よくもこんなところに住めるものだと思うようなところでございます。

 きょうの質疑は、ややローカル過ぎて申しわけないのでありますけれども、私も国土交通の委員になりまして三年でしょうか、まことにローカルな質問をしても笑われない、そういう確信を持っておりまして、きょうは質問をさせていただきます。県議会のような感じもして質問を用意しておりまして、これは県会議員がやるんじゃないかなと思いながらも、この国政でやらせていただきたいと思います。

 先ほど言いました都市山麓グリーンベルト事業というのは、これは何も六甲山だけではございませんで、全国十六の地域で実施されている、一種の河川局の仕事でございますけれども、土砂崩れや土砂災害、急傾斜地などの補強工事をしょっちゅう日本はやっているわけでございまして、治山治水なんていうのは永遠の課題でございまして、これは終わる仕事では決してないのでございますが、それでも平成七年の阪神・淡路大震災を経験いたしまして、そこからこの都市山麓グリーンベルト事業が始まったのでございます。

 ちなみに、札幌、小樽、仙台、足利市、ずっとおりまして鹿児島まで、その名前に、例えば札幌都市山麓グリーンベルトというのがあります。もちろん兵庫では六甲山系グリーンベルトというのがあるわけでございます。これができましてもう十年近くなっているわけでございますけれども、私ども神戸市民は、あらしが来れば山を見る、すると、どこかでがけ崩れがあるわけです。ちょっと距離を離れて見ますと、ああ、またあそこが崩れている、ああ、またあそこが崩壊しつつあるというようなことを見ながら生きている市民でございます。きょうは、この六甲山系のグリーンベルト事業を、大変私は高く評価しているということを前提に申し上げたいのでございます。

 治山治水は終わることのない事業だといいますけれども、やはり今度のこの六甲山麓グリーンベルト事業というのは、いわばトータルに六甲山全体を見て、そしてこの山をどうするか。そして、そのどうするかという視点の一つに、市民がこの六甲山の山ろくに住みついている、しかも土砂崩れや災害が起こりやすい。もう何度も神戸では、鉄砲水と言いますけれども、川が急流でございまして、しかも短いものですから、一気に水がやってきて、神戸市街を水で埋め尽くしてしまうというようなことがあるわけでございます。

 しかしながら、私は、きょうは一つの視点として、河川局の予算あるいは防災予算だけでいいのかと。つまり、このグリーンベルト構想というのは、可能な限り土地を買い上げまして、そして今度はそれをくくって、ずっと六甲山を全部くくってしまって、いわば公有地にして、そして徹底的な防災事業をやる。あそこが壊れたから直す、ここががけ崩れになったから補修するというのではなくて、六甲山全体を眺めながらというか、管理しながら防災対策をやるということでございまして、この発想は、私は高く評価しているわけでございます。

 つまり、神戸市民は、山ろく地帯というのは日本はどこでもそうかもしれませんけれども、最も親しみを持って山とつき合って、山と一緒になって暮らしているわけですね。土日、祭日になりますと、物すごいハイキングに行く人が駅に集まっております。大阪あたりからもおいでになるわけでございまして、本当にみんなトレッキングの用意をしまして、弁当を持って山に登るわけです。あちこちの登山ルートがありまして、大変親しまれている山でございます。

 ところが、この六甲山をよくよく見ると、ほかにも心配事がいっぱいあるわけです。まず、六甲山の山の中を東西に新幹線が走っているわけです。そう大した高い山じゃございません、三百メートルか四百メートルぐらいの山ですけれども、東西に新幹線が走っている。そして、南北にはトンネルが三つ四つございます。そこも六甲山をぶち抜いているわけです。地下鉄も六甲山を通って北区の方へ行くようになっています。もう六甲山をいじめっ放しなんですね。これは神戸市民が悪いのか、どこが悪いのか知りませんが、あんなに山をいじめている、あるいは山としては、いじめられている山はないんじゃないか、このように思っております。

 東京の地下鉄もそうですね。もう心配で、私はなるべく余り深い線には乗らない。大江戸線なんて余り乗らないようにして、あそこで地震が起きたらどうやって逃げようかと思うくらいでございます。耐震構造偽装問題がありますと、今度はビルを眺めながら、もう東京には余り長くいない方がいいみたいな、そんな感じでおるわけでございますけれども。神戸も大震災を経験しましたから、どんなビルが危ないかというのは大体目ききができるようになったんですね。それで、これは危ないビルだななんていうことが素人でもわかるわけでございます。

 ですから、六甲山は壊れやすい、花崗岩が風化して、もうぼろぼろなんですね。にもかかわらず、山をいじめている。にもかかわらず、山ろくに張りついて生きている。最も六甲山を愛しながら、利用しながら六甲山をいじめている、このようにも思うわけでございます。

 そうしたときに、このグリーンベルト構想というのは、その山ろく地帯の、いわばがけ崩れや何かが起こるところに張りついている、グリーンベルトに密着して暮らしている市民生活というのがあるわけでございまして、その市民たちは、いろいろな山に対する危惧の念を持っております。それは、乱開発でありますとか、こんなところによく建物を建てるものだと思うくらい、六甲山の山肌にマンション等が建つわけでございます。そこへ出入りする道路は、昔からの散歩路であるし、山歩きをする細い道なんですね。

 そういうふうに、そんな暮らしをしている市民と私ども日常的におつき合いをしておりまして、今度のグリーンベルト構想というのは大変評価が高いんです、とてもありがたい方策だと。つまり、公有地にしてほかにいじらせない、余計なスプロール化はさせない、そしてトータルに六甲山全体を眺めて、植林でありますとか防災等に、いわば市民とぶつかることなく、言ってみれば心置きなく工事ができるというふうにも思うわけでございます。

 しかし同時に、グリーンベルトというのは大変ありがたい方策なんですけれども、平成七年の阪神・淡路大震災以降に線引きをいたしまして、最も山ろくの部分を一番注意しなきゃいけないAゾーンというふうに決めました。その上に、土砂が流れてくる可能性もある、しかし工事はまずは緊急的なものをやってそれから奥地をやるというBゾーンと分かれておりまして、これもすばらしい発想だと思うんですね。私が感じますのは、余りにも市民と接した部分でのゾーニングをやりますから、そこにはやはり市民の願いとそれから国土交通省の願いがぶつかるところがあるわけです。きょうはそれを一つ取り上げて、なぜこういうゾーニングをやったのかということも含めて質問をしたいと思っております。

 六甲山というのは、明治の初めごろははげ山だったというんですね。今は木が茂って本当に和みのある山でございますけれども、あれは昔はげ山だったというんです。その昔なぜはげ山になったかという説がいろいろございますが、豊臣秀吉が大阪城を築城するときにあそこの花崗岩をみんな持ち出したというんです。そして、本当かどうか知りませんけれども、あとは好きなようにしていいよ、伐採も自由よというようなおふれを秀吉が出したらしいんですね。それで、みんな市民はそこに、燃料のない時代ですから、山へ行って木を全部切っちゃうわけです。それが見事にはげ山になりまして、明治の十七、八年ですが、国から視察官がやってきて、そして、この山はひどいじゃないのと。木を植えようということで、今度は市民が逆に、勝手にいわば木の苗木を持ち込んでどんどんどんどん植えていったんです。

 これもすばらしい発想だと思うんですね。だから、今日の六甲山の林の美しさは市民が全部植えたんですね。それで今日の六甲山があるわけですけれども。

 そういう山の歴史もあるわけでございまして、全国十六カ所、十六地域ある山麓グリーンベルトもそれぞれの問題点を抱えているのではないかというふうに思っております。

 私は、六甲山系グリーンベルトが成功するかしないかによって、グリーンベルト構想の結果がわかるのではないか、それから将来も予測できるのではないかと思っております。なぜならば、最大の広域の山麓グリーンベルトであるからでございます。私もグリーンベルトの歴史を調べながら、平成七年からですから、本当に若い歴史、短い歴史しかないのでありますけれども、やはりいろいろ問題があるなということを考えておりまして、その点についてきょうはいろいろと御質問をしたいというふうに思う次第でございます。

 私もいろいろ調べてみますと、土地利用の規制とかあるいは緑地帯をつくるためのいろいろな法律がたくさんございまして、グリーンベルト構想には、市街地に隣接する一連の緑地帯を恒久的に担保すると書いてあるんですね。これはすばらしいことですね。緑地帯を確保して恒久的に担保する、それから土砂災害などを直接的に抑制する、こういう目的が書いてあります。

 それから、もっと上のBゾーンになるんでしょうか、上部から流出する土砂流出に対しては山ろくのグリーンベルト地帯が緩衝的役割をするんだと。そして、これは都市の真ん中にある山でございますから、グリーンベルトというのはみんな都市部にあるわけでございまして、良好な都市環境をつくるんだ、風致景観なども大切にするんだ、その上に、そこにすむ、森にすむ生物の多様性を保全するんだ、また健全なレクリエーションの場にも使うんだと。

 私、きょう申し上げたいのは、無秩序な市街地化への防止、この辺について質問をしたいと思うのでございます。

 グリーンベルトにしますと、いろいろ土地利用に関する法律がございまして、私も勉強したんですけれども、保安林というのがございますが森林法、国立公園特別保護地区というと自然公園法、緑地保全というと近郊緑地特別保全地区あるいは都市緑地保全法、近畿は近畿圏の保全区域の整備に関する法律、そのほか緑化の保存地域あるいはきょう問題にします市街地化区域のスプロール化を防止する都市計画法、砂防関連では砂防法だとか急傾斜地崩壊災害の防止に関する法律だとか、いろいろ法律がありますから、グリーンベルトとして公有地にしてしまえばいろいろな法律は中で解消したらいいわけで、これもこういう山ろくに住んでいる市民にとってはいい法律だな、いい仕事だな、こう思っているわけでございます。

 ただし、これは公有地にするわけですから買い取りになりますね。買い取りということは大変なお金がかかるわけでございます。普通の河川局の防災工事であれば、砂防工事であれば、それぞれの大体の予算がついているわけですからそれで工事をやればいいんでしょうけれども、これを面的に囲ってしまうというとその土地を買わなきゃいけない。

 私、今日、経済財政諮問会議の谷垣大臣の答弁なんかを見ておりますと、売る売る、早く処分して国の財政支援に充てます、公務員宿舎を売ります、いよいよせっぱ詰まって、十億でも百億でもとにかく売れるものは売りますというようなことを言っておりまして、しかも、国有地の未利用地、利用していないところも売ると言うんですけれども、こんなものは売れるはずがないのでございまして、実はグリーンベルトで公有化する土地というのは買う方なんです。売る方じゃないんです。買う方の予算をちゃんととらないと、グリーンベルトはグリーンベルトにならないというのが私のきょうの質問でございます。

 まず、大臣にお聞きしたいんですが、このグリーンベルト構想に見合った予算は毎年出ているんでしょうか。大臣の感想をお聞かせください。

北側国務大臣 私も六甲に近いところに住んでおりますので、子供のころよく六甲に行きました。六甲というのは本当に私も大好きな山でして、ハイキングするには最高の山ですよね。また、夜は夜でも、六甲の頂上からの夜景というのはすばらしいですよね。この六甲の山ろくにある、神戸を中心とする都市があるわけでございますけれども、その都市を守るために、この都市山麓グリーンベルト整備事業というのは非常に大事な事業であると、私も今土肥先生のお話を聞きながら改めて感じたところでございます。

 今、この都市山麓グリーンベルト事業というのは、先ほど委員の方からも御紹介いただきましたけれども、市町村からの申請に基づきまして実施される事業で、全国で十六カ所登録をされているのですが、実際事業をしておりますのはそのうち二カ所でございまして、今お話の出ましたこの兵庫県の六甲山系のグリーンベルトと、あともう一つ静岡県の方で事業を実施しているだけでございまして、あとはまだ構想中という段階でございます。

 砂防事業としては、防災事業としては非常に新しい考え方に基づく事業でございまして、六甲のは阪神の震災の直後から事業が始められたわけでございまして、この都市山麓グリーンベルト事業の中でも六甲のこの事業をぜひ成功させていくことが大切であるというふうに思っているところでございます。

 この予算につきましては、砂防事業を中心といたしまして、関連事業等を組み合わせながら、考え方としては土砂災害から地域を保全していくという考え方に立ってこの事業ができておりますので、基本的には防災対策の一環として実施をされているところでございます。そういう中で、防災対策、砂防事業という中で、しっかりと、厳しい予算でございますけれども、予算の重点化をさせていただきたいと考えております。

土肥委員 今の時点ではその程度だろうというふうに思いますが、これをやるのには二十年どころか、五十年、下手すると百年ぐらいかかるんですね。これを営々としてやるためには、相当足腰を強くして本格的に取り組まないとグリーンベルト構想というのは先行き危ないんじゃないか。その構想の中に、時々の国の財政事情において変更することもあるなんてことがただし書きで書いてあるんですけれども、これは逃げでございまして、やはり国土交通省としては、新しい形の面的な山麓グリーンベルト構想をぜひとも展開していただきたいというふうに思っております。

 今、静岡と六甲山だけだということでございますが、生駒山もグリーンベルト構想がございますので、生駒山も大臣頑張っていただいていい自然環境をつくっていくと。生駒山もそうでございますけれども、市民に親しまれる山、しかし、その山が脆弱であるということでございまして、これらは都市山ろく、こうなっておりまして、一つ弱いのは、では、どこもここも山崩れあるじゃないか、山古志村もあるじゃないかと言われると、やや、手を広げてしまうと今度は政策が集中できないということでございまして、私は、六甲山を背負っている者として、ぜひともこのグリーンベルト事業を積極的に行っていただきたいというふうに思います。

 さて、実は問題があるのでございます。

 皆さんの手元に、雑なコピーでございますけれども、地図をお渡ししております。途中からでございますけれども、グリーンベルトが囲っている地域がずっと左から、西側からずっと下りまして、そして一番下ったところから今度は急に縦に上がりますね。それからまた東へ、右へこのグリーンベルト境界線があるわけでございます。

 こういう線引きを決定しているんですけれども、この地図で御承知のように、このグリーンベルトの線引きはもう全く住宅のそばをずっと縫うようにして囲っておりまして、そして住宅に接しながらと言っていいぐらい線引きが行われておりまして、この真ん中の、突然ぎゅうっと上に、北に、縦に線引きがあるわけです。そしてまた、緩やかな東側、右側に線引きがつながっていくわけでございますが、このコピーではザフクケ原と書いてあるんです。どういう日本語かわからないのですけれども、渡来人でも来たんじゃないかというような感じもしないでもないんですが、その頂上に宗教法人であります保久良神社というのがございまして、そこを左手に見ながら縦にこの境界線があるわけですね。そして、グリーンベルトですから、グリーンベルト内は市街化調整区域、右側、東側は市街化区域なんです。

 こういうグリーンベルトの線引きをいたしますと、この右側の市街化区域は今大変なんです。この保久良神社に向かって縦割りして、右側に市街化区域、左側に市街化調整区域、これは山まで市街化区域が続いているわけですね。確かに市街化区域ですから、東の方などは住民が住みついておりまして、三、三、三とあるところは、これはマンションでございます。もうがけっ縁に建てたマンションでございます。

 こういうふうに市街化区域を残してグリーンベルト地帯をおつくりになったということは、住民に大きな不安を与えるわけです。左側の方は河川や、天上川ですけれども、河川や住宅に沿ってグリーンベルトを線引きして、もうこれ以上開発はありませんよということを言いながら東側、つまり市街化区域に来ますと、山のてっぺんまで市街化区域なんです。

 どうしてこういう線引きをなさったのか、その理由、そして市街化区域というのは恐らくグリーンベルトをやる前から神戸市が決めていたんでしょうから、恐らくグリーンベルトに入れるときの左側、市街化調整区域、ここも恐らく市街化区域ではなかったのかというふうに思うわけでして、こういう線引きがこの市街化区域の地域住民に物すごい不安を与えているわけです。私も現地に参りまして、こんな山のてっぺんまで、等高線を見ていただきますと相当な傾斜地なんですね。山頂まで市街化区域。これは市街化区域の決め方がまずいのか、そして、しかも真っ二つにこの山を割るようにしてグリーンベルトが市街化区域と離れて市街化調整区域になっている。こういう線引きはなぜなさったのか、おわかりになればお答えいただきたいと思います。

柴田政府参考人 六甲山の関係についてのお尋ねでございますが、私も大臣と同様、六甲山の近くに住んでおりまして、平成六年から九年、三年間、兵庫県庁奉職時代は六甲山のふもとに住んでおりました。六甲山にはしょっちゅう、休みのときに登ったりしておりました。そういう意味で、六甲山に対する先生の御指摘については、よく理解できるものがたくさんございます。大変市民から愛されている、多分全国で一番市民から愛されている山ではないかと思います、大都市のすぐ真ん中にあるわけでございますし。

 ただ、先生御指摘ございましたように、阪神・淡路大震災のときにも至るところで崩落しましたし、仁川なんかは大崩落、大きな災害があったわけでございまして、非常に脆弱な山でありながら、そういう中でもすばらしい姿を保ち、市民に愛されている山であるというぐあいに思っております。また、山中に行けば、イノシシのつがいだとかウリコですか、子供連れのイノシシと会うなんというのは日常茶飯事ということで、大変楽しい山だと思っております。私も、非常に山登り、好きなんですけれども、六甲山は大変愛している山の一つでございます。

 今、線引きの話がございました。私も、当時、県の都市住宅部長ということで担当いたしておりましたので、この辺はよくわかるわけでございまして、御答弁させていただきたいと思います。

 神戸の都市計画区域の六甲山ろくにおきます市街化区域と市街化調整区域のいわゆる線引き、これは昭和四十五年に当初線引きをしました。そのときまだ高度経済成長期でございまして、都市がどんどん大きくなる時期でございましたので、計画的な開発が見込まれた地域につきましては市街化区域に指定するという方針で臨みました。しかし、その後、結果的に開発が行われなかった山林が広く残っております。御指摘の地域もそうでございました。

 そこで、一たん市街化区域にしたんですけれども市街化調整区域に、逆線引きと呼んでございますが、逆線引きをしようということをいたしました。特に、阪神・淡路大震災以降につきましては、今御指摘のグリーンベルト等、都市の防災という観点から、都市計画決定権者でございます兵庫県及び神戸市におきまして、市街化調整区域の線引きをするということ、それから特別緑地の保全地区の指定、この地区の指定をしましていろいろな開発行為を規制するということ、そして砂防の施設を決定するというこの三点セットで都市計画の見直しを行う方針を固めまして、地権者の理解が当然必要でございますので、地権者の理解の得られたところは順次これらの都市計画決定を行ってまいりました。

 今御指摘の地域、この保久良神社周辺地域につきましては、決定権者でございます兵庫県によりますと、市街化区域、市街化調整区域の線引きの境界が山林を南北縦に分けるように定められております。これはちょっと普通余りない決め方であることは御指摘のとおりでございますが、これは、従前一つの山林が市街化区域に指定されておりましたのを、地権者との協議により山林の保全に協力が得られた区域、西側でございます、それで西側を市街化調整区域と逆線引きを行ったのでございますが、東側の区域につきましては、開発意向のある区域ということで、市街化区域のまま存続することにしました。結果として、このように山林を東西に分ける決定となったということを伺ってございます。

土肥委員 大体私は、市街化区域の線引き、あるいは調整区域もそうでございますけれども、こんな乱暴な線引きをするんだったら、都市計画の中の県あるいは政令市がやる線引き、これは今度国土計画の改正で調整区域をなくすというふうな、それはまた別の機会、今度の法案のときに私も質問させていただきますけれども、むしろ、こういうことが起こるならば、調整区域あるいは市街化区域の線引きそのものの考え方というか、単に地権者がいたので話がつかなかったので、山頂まで縦に引いて、西側の方は協力的だった、東側は協力的でなかった、だからその真ん中で、しかも旧市街化区域が保久良山を越えましてもっと高いところまで、つまり三角形のとんがったところまで市街化区域だ、こんな乱暴な市街化区域指定もないんじゃないかと思うんですね。

 このグリーンベルトをつくるときに、国土交通省と市街化区域指定をした神戸市あるいは兵庫県、そして地権者、恐らく話し合ったんだろうと思います。だから、私が冒頭言いましたように、相当お金をかけないとこういう事業はこういう矛盾を残しますよということなんです。だから、市街化区域の指定もおかしいけれども、それを国土交通省が、今度はこういう位置にするんだといって、いわば金がかかるところは避けて、では、真ん中で線を引きましょうというようなことであれば、これはグリーンベルト構想自体も私はまゆつばものじゃないかなという不安を持つわけです。

 実際、この中間のところの宅地開発が進んでいるところへ私は行ってみました。もうそれこそ傾斜地ですから、水平面を獲得するためには、住宅でいうと、狭い住宅で五、六十平米の土地が三つ四つとれる、そういうくらいの傾斜地のところでございまして、あとはもう山なんですね。許可を得ていないところの山肌が削れておりまして、ブルーシートがかけられておったわけです。もっとその奥に、どこかの測量が行われているんですね、人がごそごそごそごそ動いているわけです。ですから、市街化区域に一たん決まったら民間事業者は何をするかわからない、そういう感じがしてならないんで、なぜもう少しでも南の方に下がって、そして緩やかなカーブをつくれなかったんだろうかと。

 縦にしたという理由は、金だけの話ですか。柴田さん、どうぞ。

柴田政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、昭和四十五年に一たん市街化区域に指定したものを、その後、開発ができない地域、原則開発を抑制する地域でございます市街化調整区域ということで逆線引きをしていくということにしたわけでございまして、それまでの住民の、土地の権利者の皆さんは、ここは開発できるんだと思っておられたものができなくなっていくということで、やはり住民の理解というものも求めていく必要があるんではないだろうか。もちろん都市計画決定全体のときもそうですけれども、とりわけそういうような経緯があるものですから、住民の理解を求めながら逆線引きをしていった、そういう経過があるわけでございます。

 御指摘のように、区分の、線引きのための土地の境界というのは、普通は、原則といたしまして、鉄道その他の施設、河川、海岸、がけその他の地形、地物等、土地の範囲を明示するのに適当なものにより定めるということになっておりますので、そう変な形のものには普通はならないわけでございます。これが難しい場合には、町の境だとか字の境、こういうものでやっているわけでございますが、この地域は、市街化調整区域に変更する区域との間には明確な地形、地物は存しませんが、地番界が明確となっていたため、やむを得ずこれを境界として決めたということで、あくまでもやむを得ずこういう格好になったということでございます。

土肥委員 もう地権者もどんどんかわっているんですね。私、土地の基本台帳を引っ張っておりますけれども、次々かわって、今だれがやっているのかわからないくらいの状況でございます。銀行に移ったり、あるいはどこかの会社が買って、どんどん移転登記をしていく。

 こういうのは、市民にとってはグリーンベルトに対する不信感を持つわけです。何でまともに公有地化しなかったのと。だから、ここはもう、住民は、すぐ砂防事務所に電話したり県に電話したりしても来ませんからね。ほら、どこかの業者が今入っていますよといって連絡したって来てくれないから、では、もう国土交通省はこれでいいのね、ほったらかしねというふうな感じになるわけです。

 それから、神戸市あるいは兵庫県に対して、市街化調整区域というのはこんなものなのと。山のてっぺんまで、そのてっぺんを越えてもっと先まで市街化区域というふうにいうのならば、いわゆる都市計画上の市街化調整区域であるとか市街化区域だとか、余り意味がないんじゃないの、行政の都合でこの線引きが行われているんじゃないのということでございます。

 私は、この線引きを見て、やはり余り自慢できるグリーンベルトじゃないなと思うわけでございます。つまり、この今の市街化区域を早く神戸市が指定して、兵庫県ですか、指定して、それに乗っかってやる。逆線引きは西の方でやったんですね。逆線引きをせっかくしたなら、もう少し努力して住宅地になるべく近いところに線引きをして、乱開発、スプロール化を許さない、とめるという発想はあったんだろうと思うんですけれども、ここでは実現していない。

 どうなんでしょうか、これはこのままほっておかれるんでしょうか、それとも、値段交渉もしながらもう一遍逆線引きなどをなさる考えでありましょうか。お答えください。

柴田政府参考人 六甲山を守り、それから災害から守っていくという意味では、今のような線引きの形が望ましいものであるという感じは、やはり御指摘のとおりだろうと思います、望ましいとは思えないというぐあいに思っております。

 都市計画につきましても、一回やったからといって終わりではございませんで、その後の見直しというものもやられていくわけでございます。地元の公共団体の判断によって、必要な場合に変更が行われることになっておりまして、兵庫県と神戸市によりますと、六甲山ろくの未開発の山林については、今後とも地権者の理解を得る努力を行いつつ、引き続き、順次、市街化調整区域の逆線引き、特別緑地保全地区の指定等、都市計画の決定を行う方針と聞いてございます。もともとがそこを逆線引きしようという方向で動いているわけでございますので、今後ともそういう方針だと聞いてございます。

 市街化区域におきましても、特別緑地の保全地区の指定等によりまして山林等の乱開発を防止することももちろん可能でございますが、いずれにしましても、地方公共団体において必要と判断した場合には、住民等の理解を得ながら適正な対応をなされるものと考えておりますし、そうあってほしいというぐあいに考えております。

土肥委員 地元住民は納得しないでしょうね。日常的に自治会はパトロールをしているわけです。絶えず業者の出入りがありますし、ここに何か箱物をつくろうと思えば、言ってみれば、保久良山に行く登山道を通って機材、資材を入れる以外に建てられないわけでございまして、それが神戸市の道路であれ、地域住民はもろにこの市街化区域の開発に神経をとがらせているわけです。

 ちょっとお聞きしますけれども、山頂、保久良神社を越えて次の山の中腹まで市街化区域にするなんという行政の線引きというのはあるんでございましょうか。そこここにあるんでございましょうか。

柴田政府参考人 当時の御判断によって線引き、市街化区域と抑制する調整区域とを決められているわけでございますので、個別具体的に違う、ケース・バイ・ケースだろうと思いますが、六甲山のこの地域については、やはりかなり山の上の方まで市街化区域に編入をしてしまったのではないだろうかという感じは私も持っております。

 そういう意味で、県の方も逆線引きというような動きで進めてきているわけでございますので、必ずしも、六甲山の今回のこういうようなところまでやったのが、どこでもこういう格好でやられているのかと言われますと、決してこれが一般的な線引きの姿ではないのではないかと思います。

土肥委員 ちなみに、私は、県会の議事録、委員会の議事録を読みまして、グリーンベルトに関する議事録を読んだんですね。今私が言っているようなことは何にも言わないんです。問題意識もないのかもしれません。とにかくいい構想だから県も頑張るようにというふうに、予算が足りなければ国からとってこいというふうな議論ばかりでございまして、それで県議会の委員会みたいな質問を今しているわけでございまして、退屈な皆さんには大変恐縮でございますけれども。

 しかし、私がやはり警告したいのは、市街化調整区域にしろ市街化区域にしろ、この線引きというようなことは、一自治体の、余り十分な検討を加えないで、鉛筆と定規を出してきて、ここまでとかといって線引きしているんじゃないか。今の中東問題は、宗主国の勝手な線引きで国ができているわけでございまして、国境線なんというのは、すぱっと通っているものは全部怪しいものなんですね。一直線の国境線なんてあり得ないわけでありますけれども、全部定規で線を引いたような形で国境ができている。日本というのは実に細やかな、山ひだに住むようにして住んでいる境界線というのは、それはいろいろトラブルがありますよ。ですから、地権者の御意向で、地権者との話し合いがうまくいかないでと言われると、何もかもうまくいかない。さあ、国が出てきたら金を取ろうと思うのが地権者です。

 そういうことでございますから、私も十分な知識はないんですけれども、地権者が開発行為をする、この開発行為を抑制する法体系をお示しいただきたいと思います。全部でなくて結構ですから、こういうもので抑制ができると教えていただきたいんです。

柴田政府参考人 開発行為の抑制につきましては、冒頭、委員の方からいろいろな御紹介、法律の御紹介、制度の御紹介ございました。それら等の規制の網がかかれば抑制ができるわけでございますが、今御質問いただいていますように、市街化調整区域に編入されれば、当然、原則開発は抑制される、もちろん一部例外的なものについては開発許可をいただければできるわけでございますが、原則開発抑制をされます。

 また、三点セットと申し上げましたが、県、市の方で、三点セットでもって都市計画の決定を打ってそこを保全していこうとしているわけでございますが、特別緑地保全地区の指定がなされますと、当然、指定の効果によりまして、これは都市計画で決定します、抑制がされるわけでございます。

 特別緑地保全地区制度につきましては、都市緑地法第十二条によりまして地域の指定がされ、無秩序な市街化の防止等のために必要な遮断地帯、緩衝地帯または避難地帯として適切な位置、規模、形態を有するような地域を指定する、あるいは神社、寺院等の建造物、遺跡等と一体となって、または伝承もしくは風俗習慣と結びついたものを指定するといったようなもの等々でございまして、これが指定されましたら、行為の制限がかかるわけでございまして、建築物、工作物の新築、改築、増築、宅地の造成、土地の開墾、土砂の採石、木竹の伐採等々規制がかかるというようなものもございます。

 現在、兵庫県、神戸市としては、逆線引き、あるいは特別緑地保全地区、あるいは砂防施設を指定していくというようなことで規制をしていこうというぐあいに考えているところでございます。

土肥委員 ありがとうございます。

 大臣、今お聞きになっていて、極めてローカルな話ですけれども、線引きがもたらす市民への影響というのは大きいんですよね。それだったら、初めからグリーンベルトなんか引かなきゃ、市なり県なりと調整区域やあるいは市街化区域という線引きで問題提起ができるわけですけれども、グリーンベルトというまことに夢を描いたような、六甲山を愛する者にとってはこんなすばらしい線引きはないと思わせるから、逆にここの住民は問題を感じているんです。

 こういう問題について、御感想をちょっとお聞かせください。

北側国務大臣 今のお話をずっと聞いておりまして、やはり高度経済成長の時期に、これはもういろいろなところにひずみが生じているなということを感じます。昭和四十五年当時にあえてこんなところまで市街化区域にしなきゃよかったのに、調整区域のままでおいておけばよかったのにというふうに、まあ今から言っても仕方がないわけでございますが、ただ、そのときに市街化区域にしてしまった、そして、その後、開発の予定がないということで、市街化調整区域への逆線引きを神戸市、兵庫県が努力をされてなされているということでございます。

 ぜひ、このグリーンベルト事業をこれから成功させていくためにも、今、委員の方からおっしゃっておられます、その市街化区域になっている場所について、逆線引き等々、先ほど、また特別緑地保全地区制度の指定という手法もございますし、よく県、市と連携をとらせていただいて、そういう方向で進めるように、これは地権者の理解が必要なわけでございますが、しっかり連携をとって取り組みをさせていただきたいというふうに思います。

土肥委員 ありがとうございます。

 それで、先立つものは金なんですね。限られた予算というのは、我々普通、行政の皆さんもおっしゃるけれども、やはりこれは最後は資金力の勝負になるんだろうと思います。そうすると、金がないからというのは、いかにも寂しい限りだと思うんですね。

 先ほど言いましたように、線引きが、ここまで来て突然山頂まで行って、ここは市街化区域ですよなんと言われたら、市民はたまったものじゃないですね。だから、そこここにそういう線引きの問題を検証しなきゃいけないというふうに思っておりますし、全国で十六カ所これをやるわけですから、グリーンベルトの宣伝をしなさい、PRをしなさいというのがこの指針の中に出てまいりまして、国民にこんないい事業をやるんですよというふうに言えば言うほど、そこここにほころびが見えてくる。自分のところは直接家があったり、直接そこに住んでいますから、問題が非常に先鋭化してくるということでございまして、地域の人に言わせると、国のやることなんかにはもうぼろくそですよ。だから私はあえてこの問題を取り上げて、今後に期待をする以外にないのでございますけれども。

 しかし、何といっても、日本という国は山国ですし、山肌に住んでいるわけでございます。神戸というのは極限的な住宅環境でございまして、あの阪神・淡路大震災のときに、私のおります須磨区というところに、四段階に段々畑になっているようなところに一軒ずつ家が建っていまして、地震で一番上が崩壊して、その崩壊した家が下を押しのけて、三段目も押しのけて、四番目が山陽電鉄に倒れ込むという、私、そこへ行きまして、もうこんなところに住むのはやめなさいと言ったんですけれども、そんなところに住んでいるんですね。後の人がどうしているかというと、また大変な擁壁の工事をやりまして、ぱんぱかそこに住んでいるわけですよ。何か独特な愛着があるんだと思いますね。

 私はずっと奥地の住都公団が建てた団地に住んでおりまして、これはびくともしなかった。ただし、おもしろくもおかしくもない箱物でございまして、私の家の前に震災復興住宅がどっと建ったんです。なかなかカラフルな、デザインもさまざまでして、大変いいビルが建って、女房があそこへ行こうよと言うので、冗談じゃない、あそこは震災復興住宅なんだと言って笑ったわけでございます。

 こういうグリーンベルトの一端を申し上げました。どうかこの事業が成功するように願っております。もうこれで六甲山系の住民は安心して暮らせるわけでございまして、ぜひともほころびは少しずつ修正しながら、よきグリーンベルト事業をやっていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

林委員長 鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 おはようございます。民主党の鉢呂吉雄です。

 安全のための航空法の改正、これも衆議院で通ったわけでありますが、今参議院で審議中かと思いますが、その後もたび重なる航空事業のトラブルが頻発をしておるのは、もう委員の皆さん御案内のとおりでございます。

 きょうは五十五分間、この問題一本に絞って、その後の対応、特に、最高責任者としての国土交通大臣、この問題についてどう適切な対応をして、今、乗客の皆さん、もうおちおち飛行機に乗っておられないと。皆さんの中でも、私は毎週乗っておるわけですが、最近はちょっとすぐ寝られないような状況、本当に大丈夫かなと思うわけでありまして、選択はできません。そういった中で、大臣がこの事態をどのようにとらえ、そしてどういうふうにこういったトラブルを皆無にさせていくのか、この考えをお聞きいたしたいと思います。

 まず最初に、スカイマークエアラインズの関係であります。

 もう皆さん御承知のとおり、ボーイング767型機、これをリースで引き受けたスカイマークは、車でぶつかって損傷しておったこの機体を、応急手当てはしたんでしょうが、期日内に恒久的な修理をするようにということをブルネイ航空から受けたにもかかわらず、これを全く失念して、この期限を守らずに、そしてこの三月になって、九カ月おくれて、ですから、引き渡しを受けてからはもう二年余りこの手当てをしないで運航しておったという状況でございます。

 大臣に、それぞれ細かいことは私の方でお話ししますから、どういった感想を持つのか、考え方をとるのか、こういった視点でお答えをいただければと思います。

 なぜ失念しておったのか。これは、コンピューター登録はしておった、修理が必要だと。しかし、いつまでに整備するかの入力はしておらなかったというような形であります。

 きのう、整備本部長・副会長が国土交通省に来て、三月十四日に厳重注意を文書でしておったものですから、これに対する再発防止策について来たようでございます。これは国土交通省からきのう聞いておりますが、いわゆる複数におけるチェック、担当者だけでなくて、上司あるいはその上の者、ダブルチェックをしていくというような形でありました。

 この再発防止について、あるいはこのトラブル、スカイマークエアラインズの対応、これの全般について大臣はどのように受けとめておるか、まずここからお聞かせをいただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員の方からおっしゃったように、修理期限でございます二〇〇五年の六月を過ぎて、九カ月間、再修理を怠りまして運航をしておったということでございます。

 この事実自体、極めて遺憾なわけでございますが、なぜこうした修理をすべきという情報が適切に社の中で管理をされておらなかったのかというところがまた問題でございまして、そこのところをしっかりと、今集中的にスカイマーク社の方には点検に入らせていただいておるところでございますけれども、整備管理体制がどのようになっておるのかということをしっかりと見てまいりたいと思っていますし、また、スカイマーク社の方からも、この整備管理体制について問題がないのか、そこのところをやはり事業者として明らかにしていただきたいというふうに思っているんです。

 スカイマーク社は、非常に整備士の出入りが多く、また人数にも必ずしも余裕があると言えない状況になっているところでございまして、そうしたことが整備に係るさまざまなふぐあいの背景になっているのではないかというふうな心配をしているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、三月十七日から、七名の特別監査チームをつくりまして、羽田空港の方にこの七名を常駐させまして、集中的に立入検査を実施しているところでございます。昨日報告されました再発防止に向けての対策が着実に実施されているかどうか、これももちろんしっかり見ていきたいと思いますし、スカイマーク社全体の整備体制がきちんとなされているのかどうか、そこを厳しく監視してまいりたいというふうに考えております。

鉢呂委員 同時に、きのうの朝のNHKニュースで、これは初めてそこで報道されたわけでありまして、いろいろ聞いていますと、スカイマークをやめられた整備士がマスメディアに、こういう状態がある、こういう実態があると。

 それは皆さん御案内のとおり、昨日の報道は、おととしの十二月に、これはこの社ではなかったんですが、いわゆる飲料水を貨物室付近できちっと凍らないようにするヒーター、これが損傷した事例があって、可燃物に引火した、燃えたというようなことであって、この同じ社のスカイマークのものについて三カ月以内に、九十日以内にこれを点検せよというメーカー側からの指示があった。しかし、これも、引火のおそれがあるにもかかわらず全くこれをやらずに、ことしの一月に国交省の検査で初めてわかって点検をした。

 ここに二つ問題点があって、一つは、国交省が一月に見つけたのは大変結構だと思いますが、これを全く公表しておらない。大臣、同時に問題なのは、三月十四日に厳重注意を文書でされました。これは、先ほどの例で、文書を見ましたら厳重注意しているんです。この一月の、同じように期限を見落としたままになっておる問題について、あわせて厳重注意するのが本当じゃないですか。

 厳重注意の問題については、三日月委員のこの前の質問で、大臣は今後公表するというふうに明言をされました。私はそれでいいと思いますが、どうも国交省の中に、厳重注意あるいは指摘について、やはり昔ながらの護送船団的な考えがあるのではないか。なぜ、三月十四日の厳重注意の中でこの一月の問題についても指摘をしないのか。私は、そこに大きな問題があるのではないか。

 そして二つ目の問題点は、この中でも、なぜ失念したのか。整備管理の方、いわゆるこういったメーカーからの指示、飛行機会社のメーカーからの指示に対して、全く、整備現場の部門にこれを落とすことを手間取っていたということなんですね。先ほどの、単に期限をコンピューターに入れずに忘れてしまったということでなくて、まさに、九十日以内というのは、普通は、この飛行機会社は八機とか非常に少ない機材なんです。そういう中で、なぜ、こういった引火のおそれがあるような事態に対して、三カ月待たずしてきちんと現場部門におろす、こういった基礎的なことがなされておらないのか。

 大臣、二つの問題、今、国交省の問題とスカイマークエアラインズの整備管理体制、これをどういうふうに受けとめますか。私のを受けた感じだけでいいです。何も私、うそを言っていませんから。国交省の厳重注意に全く一月の問題が入っていない。わからなければ、NHKが放映しなかったら、この問題は全くやみのような形なんですよ。

北側国務大臣 前回のこの委員会でも申し上げましたが、厳重注意という行政処分をとった場合には、これは、今後はきちんと公表をしていくという体制をとらせていただきたいというふうに思っております。国民の皆様、利用者の皆様からもしっかりと監視をしていただくことが必要だと思います。そういう意味で、厳重注意のような行政処分をせざるを得ない、そういう状況のような場合には、そうした事実をきちんと公表していくということが大切であると思っておりまして、そのようにさせていただきたいというふうに考えております。

 今、飲料水の配管ヒーターの点検の実施時期の期限超過のお話もされました。

 これは、ちょっと事実関係が今委員のおっしゃった話と少し違っているところもあるんですが、航空機メーカーであるボーイング社、これはほかの航空会社において引火する事例が発生しまして、ボーイング社の方からヒーターの損傷等の点検を求める技術指示書、SBというんですけれども、これが二〇〇四年の十二月に発行をされたわけでございます。

 この技術指示書というのは、いわゆる耐空性改善命令、ADと言われているものだとか、それから耐空性の改善通報、TCDというんですが、これは義務化されるんですけれども、このSBというものについては、今申し上げたADとかTCDは発行されておりません。

 スカイマーク社は、このSBを二〇〇四年十二月に受領いたしましたが、おっしゃっているとおり、社内処理がおくれまして、点検実施期限の二〇〇五年の三月を約四カ月間超過いたしまして、実際点検しましたのは二〇〇五年の七月、昨年の七月に点検を実施しているところでございます。そのことを、ことしの一月に実施しました立入検査において、このSBの処理が、二〇〇五年七月に点検を実施したが、処理がおくれてしまったということを指摘いたしまして、再発防止をしっかりとるようにということを指導したところでございます。

鉢呂委員 私は、大臣と同じ事実経過の認識を持っております。

 ただ、問題は、メーカーからの指示、それは今言われたSBというような指示でありますが、やはり期限があり、それを全く失念して、皆さんの指摘でようやくわかった、実際は四カ月後には点検はやっておりましたが。したがって、厳重注意の中には全くそれが入っておりません。ですから、大臣もわからなかったでしょう。しかし、対応としては、期限があるものについて、これを行うことがない、行わなかったという面では、最初に言ったトラブルと同じ形であります。

 むしろ、そういった、中身についてはそれ以上わかりませんが、手間取っていた、受けた整備管理部門から現場に指示するのを手間取っていたという表現になっておるんですが、本当にそういったものがたび重なっておる状況でいいのかどうか。やはり三月十四日の厳重注意、文書でやったわけでありますが、これも含めてきちんと厳重注意すべき問題ではないか、私はこういうふうに思いますが、大臣の見解はどうですか。

北側国務大臣 今回、こうしたたび重なることもありますので、極めて異例でございますが、三月十七日から、今もやっています、きょうもやっております、四月の下旬までやる予定でございますけれども、一カ月にわたりまして、集中的に立入検査をまさしく今実施しているところでございます。スカイマーク社の整備管理体制、航空交通事業者としての整備管理体制、そこに問題があるのではないか、そこをしっかりと現場で、今羽田空港に常駐をして、飛行機にも乗っています。そして、本社にも立入検査に入っております。整備の現場にももちろん行っております。

 今そういう集中的に立入検査をさせていただいておりまして、私の方からは、今行っておりますメンバーに対しましては、ぜひ現場の方々、整備士の方々の声もよく聞いてもらいたいということもお願いしているんです。そういう中で、現場の方々の声も聞かせていただきながら、一体、この社の整備管理体制のどこに問題があるのか、どこを改善しなきゃならないのか、また、スカイマーク社、事業者としてどのように考えているのか、そういうところをこの一カ月間、しっかりと監視、監督をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 皆さんも御案内のように、ことし三月十六日には、いわゆる落雷があって機体がリベット等が損傷しておったにもかかわらず、そのまま見過ごして、見逃して運航するという事例も、最初の、機体が亀裂を起こして応急措置しかしていないということがわかった時点でも、この航空会社はこういった形で、落雷の損傷もなかなかきちっとチェックできないという事例が発生しております。

 私は、国土交通省に、この会社が発足をした二〇〇〇年から厳重注意したものをすべて出してくれと言ったら、きのうの段階では出ませんでした。我々国会議員よりも新聞社の方がいいのか、きょうの日経新聞は、二〇〇〇年以来、三件厳重注意をしておると。例えば二〇〇〇年の、未検査の高度計を使用したまま、これは先ほど大臣が言った耐空改善通報、これがきちっと守られていなかったということで厳重注意がされておる。その他、三件行われておる。

 どうも、これまでの航空局の検査自体が、何か指摘をすれば改善をしてよくなっていくのではないかという形の答弁も多いんですが、しかし、本当にそれで大丈夫なのかねと。こういうふうに次から次と、例えば、去年の十二月にも鹿児島空港で発生した、右エンジンに焼けて穴があいた。こういうエンジンが外からも見えるような、焼けて穴があくというのは極めて珍しい事例だ。これは今事故調で、大臣、調査をしているんです。

 いずれにいたしても、こういうものが頻発をする。これを単にダブルチェックをするとか、そういった以前の問題で、こういう通報を受けたり指示を受けた場合は最優先に点検をするというのは、航空会社の安全性からいけば基礎的な、大変初歩的なものではないでしょうか。こういった形で、厳重注意、そして改善をしているのを見た、こういう形の繰り返しで本当に大丈夫なのかどうか。

 後でまたお話ししますけれども、日航系についても、昨年ああいう形があって、もう長期間、立入検査、抜き打ち検査をやってきましたが、後でも示しますが、一向にトラブルは減っておりません。同じぐらいの形で頻発をしておると言っても言い過ぎではない状況でありまして、そういった形で、本当に厳重注意の繰り返しでいいのかどうか、この点について大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

北側国務大臣 今、昨年の十二月の鹿児島空港の件をおっしゃいましたが、これは原因がまだ不明でございます。必ずしも整備不良であったかどうかというのはわかりません。むしろ機体の方に問題があったのかもしれない。そこのところを今事故調査委員会で調査中であるということでございます。

 ですから、先ほど申し上げましたように、これは、こういう形でとるのは極めて異例な措置だと思っておるんですけれども、三月十七日から集中的に立入検査を実施させていただいているところでございます。そこの現場での整備体制がどんな状況なのか、しっかりと見させていただきたい。そこでの問題点があれば、当然改善をしてもらわないといけないわけでございまして、そういう異例の措置を今とっている最中であるということをぜひ御理解をお願いしたいと思います。

鉢呂委員 この整備の体制についても、冒頭大臣からお話ありました。その方に若干行きますが、一つは、例えば昨年十二月に、ここの最高責任者、整備本部長という方が辞任をされております。あるいはまた、技術部長兼副本部長という方も辞任を申し出ておる。きのう来た方は副会長、会長の下の副会長が国交省に来たようでありますが。あるいはパイロットの方も、自社養成をするということで、この間十人ほど自社養成した方、これがすべてやめられておる。あるいは、昨年一年間だけ見ても、整備士、確認整備士と言われている方が現在四十三名、きのうは四十二名というふうに言っておりましたが、そのうちの十二名が一年間で、これは三割弱ですが、やめられている。

 きのうの記者会見でこの副会長さんは、やめる方もいるけれども、また入る方もいるんだから、そこは問題ないというふうに言っていらっしゃるんですけれども、本当に、こういった最高責任者が辞職をする、あるいはパイロットも、あるいは確認整備士も四十三名のうち十二名も一年間でやめられるという形で、運航会社、航空事業者として最善の対策になっておるのかどうか。ここは、大臣、どういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

北側国務大臣 昨年の四月以降、減員が十二名。この十二名の内訳は、退職が十一名、社内異動が一名。増員が十五名。新規入社が七名、社内養成七名、社内異動一名ということで聞いておるところでございます。

 確認整備士の必要人員は四十一名でございます、スカイマーク社の場合。(鉢呂委員「今ですか」と呼ぶ)今これが四十三名、私が今確認しているのは四十三名でございますが、こういう状況でございまして、今委員がおっしゃったように、この整備体制について、過去一年において十名以上の整備士がやめるなど、整備士の出入りが非常に激しくなっております。そして、整備士の数にもとても余裕があると言えるような状況にはなっていないわけでございまして、そのことを私どもも大変懸念をしているところでございます。

 スカイマーク社の整備管理体制が、実態が今どうなのかということを今調べさせていただいているところでございまして、ここのところにやはり大きな問題があるのではないかというふうに思っているところでございます。

鉢呂委員 これも問題になりましたが、昨年の五月、十八便の便について、規定では整備士が、飛行間、離陸する間に見回り点検をする整備を一機に一名でやらなければならないものに対して、複数機を一名が見るというのが十八便。十八便ということは九回ですね、複数を見ましたから。九回そういう事例が出ておる。これも、国土交通省は厳重注意をしたんですが、そのときは公表されておらないということでありまして、これは大臣、やはり、このときは三十八名に確認整備士が少なくなっておるときでありましたが、昨年の五月、こういったものがもろに出ておるのではないか。

 ここの社長さんは、ある新聞に、今月二十二日、そうはいっても事故を起こしていないじゃないかと。トラブルを頻発しても、事故というのは私もよくわかりませんが、二人以上亡くなった以上のものを事故というのかどうかわかりませんが、そういったものの事故は起きていないじゃないか、トータルで整備部門には五十八億を投じて、売上高に対する割合は大手よりも高いんだというような反論をしておるようでありますが、私は、本当にこれで大丈夫なのかねと。単なる厳重注意で、このまままた改善をしましょう、言葉では、複数チェックをいたしましょうとか管理をしますとかということで済むのかどうか。

 昨年の、一人で複数機を見たということに対して、大臣として改めてどういう考えでいらっしゃるか、お考えをお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 そのこと自体、極めて遺憾なことと言わざるを得ないと思います。

 この委員会におかれましても、先般、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案、委員会で全会一致で通させていただいたわけでございますが、この法律の一つのポイントは、やはり公共交通を担っている事業者は、まず、みずからが安全管理体制というものをしっかり構築してください、その安全管理体制を構築していくために、例えば安全統括管理者を選任するだとか、また安全管理規程を作成するだとか、さまざまやってください、こういう社として安全マネジメントをしっかりやってくださいよというのが一つポイントなんですね。

 事業者として安全マネジメントをやるためには、大前提として、その事業者のトップの人が安全に対する強い意識を持ってもらわないと、物事が始まりません。トップの方が、経営トップの方が、公共交通においては何よりも安全が最優先である、そういう意識を強くまず持っていただいて、そして社のそういう安全管理体制を構築するに当たって、経営者の方がコミットメントをしっかりやってもらわないといけないわけですね。そうした体制、まず経営者自身がそういう意識改革、そしてそうした行動をとっていただかないと、こんな安全管理体制なんかとれるわけはありません。

 そういう意味で、私は、スカイマーク社につきましても、まずは経営者の方がそういう意識をしっかり持ってもらいたい、そして具体的な行動をとってもらいたいということを強くお願いしたいというふうに思っておりまして、そういうことも念頭に置きつつ、今、集中的な立入検査をさせていただいているところでございます。

鉢呂委員 今の状態を見ますと、きちっと安全を担う条件、体制にないのではないか。ですから、この三月まで二十八便、全国を飛んでおるダイヤになっておるんですが、処分というよりも、こういった整備体制あるいは安全の体制からいけば、この状態で、二十八便ではちょっと難しいのではないか。複数機を一人で見るようなこういった実態から勘案すれば、減便をしてきちっと体制を組み直す。

 これは毎日毎日運航することでありますから、大臣、何カ月かたって直ればいいというものでもないわけでありまして、私は、運航停止処分というのが処分ではありますが、処分ですればそれでやれるか、一日二日休めばやれるかというものでなければ、ある程度皆さんが見て、この便数であれば今のところやれる、そしてきちっと体制を整えれば二十八便にふやすとかいう、処分というよりも、そういった安全のための体制から出た現状の営業といいますか、運航体制、運航便数というものをやはり指示するような必要があるのではないか。

 従来からいけば、立入検査をやっていた、やっていたと。しかし、結局は、何とかやっていけるだろうというような形でどうも来た嫌いが強い。ぜひ、大臣とか副大臣、政務官は、そのあたりをきちんと判断をすることも私は必要になるのではないか。これは大事故になってから、やあやあだった、これはむしろ国交省の責任も問われることになるわけでありますから、そうはならないためにも、事前の措置というかそういうものを私は頭に置いていいのではないか、こういうふうに思いますが、大臣、いかがですか。

北側国務大臣 このスカイマーク社というのは、今鉢呂委員おっしゃっていただいたように、今、二十八便飛んでおります。これも御承知のとおり、この四月の下旬から路線が変更になるんですね、変更になる予定なんです。今は羽田―鹿児島、羽田―徳島、羽田―関空の便があるんですが、これがなくなるわけですね。そして、新たに羽田―新千歳、これがふえてくる予定になっておるんです。こういう路線が大きく変更する時期に入っておるということも、私どもが今集中的に立入検査をさせていただいている大きな背景、動機になっているところでございまして、この集中的な立入検査で今現場の実態を監査をさせていただいております。

 何をするにしましても、実態をやはり当局の側が掌握しないと行政処分等もできないわけでございまして、今その実態について調査、監査をしているところでございまして、これを踏まえて、このスカイマーク社に対してどうしていくのか、どう当局として対応していくのか、また、スカイマーク社自身がどうしていくのか、そこをしっかりと見させていただきたい。その上で、さまざま判断をしていきたいと考えております。

鉢呂委員 大臣の言われるとおりです。一カ月後の四月二十八日に、私も毎週のように乗っています羽田―新千歳間が十便、これは全く新しくそっちの方に、徳島だとか先ほど言っていたものをやめて、関空もやめて、鹿児島もやめて、まあドル箱なのかわかりませんが、札幌―羽田間という形で予定をしておる。まだ正式の申請はこれからというふうに航空局から聞いておりますが、その場合は、当然、変わるわけですから事業計画の変更、どういった変更でなるのか、それから二つ目は、この施設、体制の検査、こういったものをきちっと行って、認可するかどうかの最終判断をする、こういうふうに航空局から聞いております。

 したがって、私は、この事態は、先ほど言ったように、やはりきちんと見て、本当にやれるのかどうか、二〇〇〇年から出てきた厳重注意、昨年、ことしのこういった実態を見て、本当に大丈夫だ、こういう形でこの便数であれば大丈夫だとか、そういう判断を大臣としてしていただきたい、こういうふうに思います。単に実態を見てとかという段階でなくて、それなりの厳しい、大臣としての現状の判断もやはり国民に示してもらう時期ではないかな、私はそういうふうに思いますので、もう一度その点について御答弁をいただきたいと思います。

北側国務大臣 私、ここのところの閣議後の会見では、このスカイマーク社についてよく問われますので、私の方からはその都度厳しいコメントをさせていただいておりまして、そういう中で、集中的な立入検査、異例の検査も行わせていただきますと。また、今具体的に実施をしているというところでございまして、私自身もスカイマーク社に対して、そういう意味ではしっかりアナウンスをさせていただいているつもりでおるわけでございます。

 今行っておりますこの集中的な監査、その結果をよく踏まえまして、きょう委員からさまざま御指摘いただいたこともよく踏まえまして、適切な判断をしてまいりたいと考えております。

鉢呂委員 先ほど言った西久保会長といいますか、社長も兼ねているんですが、ある新聞のインタビュー、この三月二十二日ですが、新千歳―羽田間の就航について、準備は予定どおり進んでおり大丈夫だと思うと。この就航、認可についてですが、不備は指摘されても、トータルの便数での制限になるはずと。これはよくわからないんですが、二十八便が少し減ることも、期待はしていないけれども予想しておるのかどうかわかりませんが、こういった発言をしておるわけであります。

 私は、新しい航空会社が進出することは歓迎だと思います。ここは、普通は我々、今、一便二万八千円ぐらいする、これを一万六千円以下で通年運航できる体制は整ったというような言い方をしておるわけですが、しかし、命を、お金が安いからという、断じてそういったことではならないわけでありまして、低料金が安全体制を損なっておるということであってはならないわけでありまして、そういう形で、大臣は厳しく見て、安易な形にならぬようにしていただきたい、こういうふうに思います。

 同じく、日本航空ジャパンの方のDC9型の点検期限超過の問題であります。

 この問題も、新聞等に出ておりますから御案内のとおりだと思います。着陸回数四百五十回ごとに主脚の検査を行うと。これはまさに、JALの関係で、一昨年の一月、徳之島空港の離陸の際に主脚が折れておるということで乗客二名がけがをした事故をきっかけとして、この会社は、航空局にも指示して、お願いをして、耐空性改善通報というような形で、四百五十回を過ぎた場合には検査を行うということであったわけであります。

 これ自体は、中身は、まあこれは国土交通省から聞いておる話ですが、コンピューター上に期限も登録されておったんですが、作業を行う指示者が点検指示をするその指示書でしょうか、これが管理部門の棚に放置されたままになっていたということで現場の方に届かず、それに気づいて三月の二十日に判明したということで、点検をしたということなわけでございます。

 これについても、大臣として、まだ再点検ではなくて、たなざらしになってきたということについて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 この件は、今も委員がおっしゃっていただきました徳之島空港での事故を受けて、二〇〇四年の三月十五日に指示をしたところでございます。今委員のおっしゃったように、着陸回数四百五十回以内で検査を繰り返し実施するようにという指示を出したわけでございまして、その主脚の点検の予定日を過ぎて点検未実施が判明をして、四百五十回を超えて運航をしてしまったということでございます。

 これにつきましても、今委員がおっしゃっていただいたとおり、現場作業員に点検指示の書類が伝達されなかった、ここが原因なんですね。ですから、これについても事業者としての整備管理体制にやはり問題があるわけでございまして、しっかりとこの整備管理体制、具体的な指示どおりに、具体的なルールどおりにやっていただけるような、そうした管理体制をしっかりとってもらわないといけない、そこにやはり問題点があるというふうに思っております。

鉢呂委員 そして、点検をするということで、これが新千歳空港にあるということで羽田から担当の整備士が夜飛んで、夜の十一時三十分ごろからその次の日の二十一日の午前二時ごろまでかかって点検をした。ところが、点検の方法が二種類、その二種類とも行う点について、一種類の点検のための現像液が、東京から送ることを、まあその発送の指示はしたんでしょうが、その現像液が届かなかったということで、もう一つの検査はやったんですが、もう一つの方の現像液を入れて現像処理する方が実施しておらなかったにもかかわらず、この二つとも検査を実施したように作業表にチェックをして提出をしたということであります。

 これは、聞いてみますと、東京から向かった検査部門の整備士一人とそれを確認する主任者、確認主任者、それから補助者一人と、三名で夜かかって行ったわけであります。ところが、この一つをやっておらないのに、やったように見せかけた。これも国土交通省の航空局の書類等の審査で、二日後に、どうも現像液の配送のところを見ますと配送したことになっておらないということで、これは非常に航空局のチェックがよかったと思うんですが、発覚をした。二日間、十二便、これは北海道を中心に秋田、女満別、三沢等の地方の空港に向かっておる十二便が、二日間にわたって検査が不備であるにもかかわらず飛んでおったという状況でございます。これは、次の日に、検査当日に飛行機の運航が計画されておるということが当然頭にあったのではないか。

 こういったふうに、まさに期限を切れて、このように期限を遅くなって、この大事な、重要な点検、さらに、全体重がかかるという主脚の部分について、きちんと厳格に点検が行われないということはあってはならないことだ。JALは、この間さまざまな厳重注意、あるいは事業改善命令、昨年から起きて、航空局からの国の徹底した検査も行われ、社長も安全の意識を徹底すると言いながら、この大事な点検の一つを逃して、それも、まあ悪意があると受け取られてもいいような、これがチェックされたような形で済ましてしまう、ここに大変大きな問題があると思うんですが、大臣はどういうふうにお考えですか。

北側国務大臣 今回のJALの点検期限の超過、こちらも当然問題なわけでございまして、こちらの方は、いわばうっかりミスという側面が強いと思われます。後者の方の点検ミス、こちらの方は、私は、今委員がおっしゃったように、やはりこちらの方は問題が多い、より問題が多いというふうに思っているところでございます。

 詳しい説明は省かせていただきますが、点検内容が一部十分でなかったということでございまして、それが千歳の方で点検をしておりましたので、その必要な薬品が、現像液が現場に送付されていなかったということらしいんですね。当該薬品を用いずに点検を実施したということでございまして、そして、翌日にはその飛行機を運航させなければならないという状況に置かれている、こういう中で不十分な点検であったのではないかというふうに思われるわけでございます。

 そういう意味で、こちらの点検ミスの方は、いわゆるうっかりミスではなくて、整備士の方がその行為に伴うリスクというものを認識しながら意図的に行ったものではないかと疑われるわけですね。こういうのを不安全行動というふうに言うらしいんですけれども、私はやはり後者の方が問題が多いと。

 こういう不安全行動がなぜ生まれるのかといいますと、それは単に整備士個人の問題ではなくて、私は、この問題は整備士個人の責任だけの問題ではないと思っているんです。やはり、そういうことをしても大丈夫だろうとか、いや大丈夫なんだ、また翌日には運航させないといけないんじゃないか、そういう必要性が高いじゃないかとか、そういう判断をしてしまうような社のその空気といいますか、そこに問題があるのではないかと思うんですね。

 そこのところを、やはり整備管理体制、安全第一、安全最優先ということをもう去年から一貫して言っているわけでございますけれども、それが必ずしも、こういう個別の事例を通して見ますと、本当にJALグループの中で安全管理体制が現場まで徹底をされているかというと、そうじゃない。そういう職場環境、企業風土がきちんとつくられているのかというと、やはり疑問を持たざるを得なくなってしまう、こういう事例を見ますとね。

 そういう意味で、私は、この点検ミスの方の問題につきましては、その背景まで考えますと、やはり相当問題が多いというふうに思っているところでございます。

鉢呂委員 識者もやはり今の大臣と同じようなお考えで、特に脚の部分ですから、主脚には全体重がかかるということで、破損すれば機体がバランスを崩して横転などの大事故につながるおそれが強い、そして、この程度でいいだろうという甘い考えがやはり組織全体に染まっているのではないか、こういうふうに航空評論家の鍛冶壮一氏や東大名誉教授の加藤寛一郎氏等が述べておられるところであります。

 大臣も三月二十四日の記者会見で、日航グループの安全に対する意識の程度がこの後者のところではかれるのではないかということで、単なる見誤り、見過ごしやうっかりミスでは済まされないということで、整備も含めて安全管理のあり方全体を本当に反省してほしいというふうに述べられておるんですが、反省反省はいつでも大臣も言ってきておるわけですが、本当にこれだけでいいのかどうか、そういうふうに考えるんですね。

 今のこの意図的といいますか、まあ、その日の運航がもう迫っているということはもちろんあったかもわからぬけれども、そんなものは運休してもやはりきちんとした整備を行う、薬剤を持ってきて行うということの徹底が頭の方にもないというふうに思わざるを得ないわけでありまして、委員長にもお願いしたいんですが、ぜひこの航空トラブルの集中審議をお願いしたい。私ども三分の一勢力ですから、なかなか集中審議も必ずしも、理事の皆さん、頑張っているんですが、できません。

 また、航空局には現社長と次期社長が陳謝に来たというふうに報道に出ていました。次期社長も、次期社長という立場で来たというふうに私は思います、西松氏は。ですから、当委員会で、やはりもう間近に迫って次期社長になる方が、この委員会に来てきちっと空の安全について自分の所信を訴えるのは私は必要だ、こういうふうに思いますから、西松次期社長も含めて参考人招致をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

林委員長 理事会にて協議いたします。

鉢呂委員 もう時間がなくなりましたから、大臣、JALについては、運航停止処分とか、やはりそういう厳しい法に基づく措置も必要じゃないか。厳重注意ということを盛んにやっております。これを法律の根拠はあるのかというふうに航空局にただしましたら、これは結局のところ行政指導の範疇だということでありまして、何回やっても厳重注意。しかも、いわゆる事業改善命令というのを去年出しましたが、なかなかその効果は実際のところあらわれておらないと言わざるを得ないと思うんですね。

 昨年の委員会でも、航空局長は運航停止処分について決して否定はしなかったと思います。ある程度、どういった形でやるのか、これはやはり大臣、副大臣、政務官がきちんと判断をして、そして事務段階にもきちんと命令、指示をするということがなければ、こちらの体制も覚悟のほどが私は問われておるのではないかなというふうに考えるわけでありまして、単に本当の意味で反省してほしいということだけでは済まないような状況に来ておるのではないか、こういうふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。

北側国務大臣 JALにつきましても、昨年来、本当にトラブルが続いているわけでございます。幸いにして事故にはつながっていないわけでございまして、こうしたトラブルが続いている中で、事業改善命令を出し、さらには厳重注意等の行政指導も行っている中で、今回またこのようなトラブルがあったわけでございまして、本当に極めて遺憾というふうに言わざるを得ません。

 行政当局といたしましては、今委員のおっしゃった運航停止処分も含めまして、さまざまな手段を持っております。しっかりと、今おっしゃった件につきましても、四月五日までに原因究明、再発防止策をまとめてくるようにというふうに航空局長から直接通知をしているわけでございまして、そうした結果もよく踏まえまして、適切な判断をしていかなければならないと思っております。いずれにしましても、厳しく監視をさせていただきたいと考えております。

鉢呂委員 終わります。

林委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、また次回以降の委員会につなげようということで、地方空港の活性化ですとかトラックの事業者、下水道の地震対策などについて、飛んではいくんですが、質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 大臣はこの後本会議ということでございますので、どうぞ、きょうは大臣への質問はございませんので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

 まず、地方空港の活用に向けた取り組み状況についてお尋ねいたします。

 福井を初め全国にはいわゆる地方空港というものがございますが、これらの空港では、利用者の低迷等による減便ですとか、それから路線廃止といった、そういうニュースを時々耳にするわけでございます。一方で、地方空港の利用促進を図っていくということが、航空ネットワークの維持による地域住民の足を確保することはもとよりも、地域振興の観点からも重要であろうというふうに考えておるわけでございます。

 こうした地方空港の活用に向けた取り組み状況について、まず最初にお聞かせいただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 御指摘のとおり、我々も、地方の空港、せっかくできた空港ですから、それを活用していただくのは大変いいことだろう、こう思っております。

 そういう意味で、私どものできることといたしまして、例えば、羽田空港への地方路線からの発着につきましては、幹線空港から羽田空港へ乗り入れる場合の着陸料よりも安くするといったような措置を講じまして、地方空港の路線のネットが張りやすいような形にさせていただいたところでございます。

 それから同時に、私どもの措置だけじゃなくて、地方空港を活用する場合には、その地元の地方公共団体の方が一生懸命取り組まれるということが重要だろうと思っております。

 私どもも、国の管理空港につきましては、国と地方で一緒になっていろいろなことを勉強させていただいておりますけれども、地方の空港、多くは地方公共団体が設置管理をされておりますので、そういう方がいろいろな取り組みをやっておられます。これらにつきまして、私どももできるだけその事例なんかを紹介しながら、より活性化に取り組んでもらいたいということを常々申し上げている、こういう状況でございます。

糸川委員 今地元による取り組みが重要だというふうにおっしゃられたわけでございますが、これからは地方が努力しなければ利用促進も図られないということではないのかなというふうに考えておるわけでございます。

 例えば石川県の能登空港などのように、空港の利用促進に積極的に取り組んでいるという例があるというふうに聞いておりますが、これは具体的にどのような取り組みを行われているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 能登空港でございますけれども、いろいろな取り組みをされておられますが、幾つか御紹介させていただきますと、なかなかアクセスが能登空港は悪いわけでございますけれども、空港から周辺の観光地へのアクセスの向上を図るために、ジャンボタクシーというのを運行されております。なかなかそれでもやはり採算がとれないものですから、安くするためには赤字が出ますけれども、そうした赤字も地元で負担しながらアクセスを便利にさせておられる。あるいは、観光客のために、抽せんでございますけれども、地元の特産品、お土産なんかを進呈しよう、そういういろいろな形のプロモーションをやっておられます。

 また、やはり路線の維持のためにはどうしてもエアラインに飛んでもらわなきゃいけないということで、羽田と能登の間の便でございますけれども、一便はエアラインの責任でやっておりますけれども、二便目につきましては地元が搭乗率保証というのをされておりまして、今六三%でございますけれども、六三%を下回っていれば、その赤字は地元で補てんします。六三%を逆に上回れば、エアラインから還元があります。こんな形のことをやっておられまして、それが大変地元の取り組みの熱意の方にも伝わったようでございまして、この搭乗率保証をやられてからは、いつも保証した搭乗率を上回って、逆に地元の方にエアラインからキックバックがある、こういう状況でございます。

 こうした取り組みを、我々も各地方公共団体で、置かれた空港によって違うかと思いますけれども、積極的にやっていただくことを期待しておるところでございます。

糸川委員 ぜひ、地元による取り組みの足かせにならないようなアイテムというのをどんどん出していただければなというふうに思います。

 次に、トラックの事業者に対する監査や行政処分の強化についてお尋ねいたしますが、近年、トラック事業につきましては、死亡事故等の重大事故が発生しているということとともに、事故の発生件数が減少しない傾向にあるというふうに言われております。

 こうした中、過積載ですとか過労運転等の法令を遵守しない悪質な事業者に対して監査や行政処分の強化が必要であって、そういう強化を通じて、トラック事業者の輸送の安全を確保するべきだというふうに考えておるわけでございます。このことに対しまして、国土交通省としての見解というのがどのようなものなのかをお聞かせいただけますでしょうか。

宿利政府参考人 トラック事業者による交通事故の発生件数でございますけれども、平成十六年、十七年と微減しておりますが、糸川先生御指摘のように、平成十二年以降、毎年約三万二千件前後ということで高どまりをしております。また、トラック事業者による死亡事故の件数でありますけれども、平成十三年以降、減少傾向にありますが、なお、平成十七年で五百八十七件でございまして、自動車運送事業者が起こします死亡事故件数の九割がトラックによるものということで、非常に残念な事態だと思っております。

 私ども、トラックが事故を起こしますと、大きな被害になりやすい、国民あるいは社会的影響が大きいということで、トラックの事故防止対策は極めて重要な課題だと思っております。

 このような観点から、平成十六年の八月に、悪質、重大な法令違反については厳しく処分ができるように、基準の見直しを行いました。具体的には、例えば、点呼を受けていない運転手が酒気帯び状態で死亡事故を起こしたというような場合には、直ちに事業停止処分ができるようにいたしましたし、これらの違反が繰り返されるような場合には、事業許可そのものを取り消すというようなことにいたしております。

 さらに、これはトラックだけではありませんが、昨今のタクシーあるいはバスの状況などを考えまして、規制緩和後の事後チェック体制をより確実なものにして、輸送の安全を確保するという観点から、この二月から、監査方針、処分基準の見直しを行って実施に移しております。具体的には、原則無通告で監査を行うこと、あるいは新規事業者への早期監査を初め予防的監査に重点化すること、再違反の場合の処分の加重などめり張りのある行政処分を行うということで、運輸局、支局におきまして、現在、厳しく対応しているところでございます。

糸川委員 こういう重大事故のことについて、本当は保険のことも聞こうかなと思ったんですが、これはまた次回以降に聞きたいなと思いまして、最後に下水道の地震対策についてお尋ねします。

 世界じゅうで起きる地震の約二割が日本で起きているということで、今、東海地震など、大規模地震というものがいつ起こってもおかしくないというふうに言われているわけでございます。記憶にも新しいところの新潟県の中越地震で千四百カ所以上のマンホールが浮き上がるということも、これで下水道施設にも大規模な被害が発生したわけでございます。

 下水道というのは国民生活や社会経済活動において必要不可欠なライフラインでありまして、下水道地震対策に積極的に取り組む必要があるというふうに考えますが、下水道地震対策の現状と対策状況はどのようになっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

柴田政府参考人 下水道でございますが、下水道が被災しますと、各家庭のトイレが使えないということで、住民生活に大変大きな影響を与えます。また、未処理の下水が流出いたしまして公衆衛生被害の発生というのも起きますし、雨水排除機能の喪失によりまして浸水被害というものも起きます。国民の生命財産にかかわる重大な事態を生じるおそれがあるわけでございます。これは、阪神・淡路大震災のときもそうでございましたし、また中越地震のときもそうでございました。下水道地震対策を積極的に進める必要がございます。

 兵庫県の南部地震による被害を踏まえまして、平成九年度に耐震指針を改定いたしました。それ以前の下水道施設につきましては依然としてちょっと耐震化が進んでございませんが、それ以降の下水道施設については耐震化が進んできてございます。

 国交省では、新潟県中越地震を踏まえまして、これまでの地震対策の内容について見直しを行うため、学識経験者等から成ります下水道地震対策技術検討委員会を設置いたしまして、審議を進め、昨年八月には提言を取りまとめております。

 この提言を踏まえまして、昨年の十月には下水道法施行令を改正いたしました。埋め戻し土の締め固めなど埋め戻し土の液状化対策、またマンホールと下水道管との継ぎ手部の可撓性、フレキシビリティーの確保など、地震によって支障が生じないようにするための措置を追加しました。これらによりまして、下水道の地震対策をより明確化したところでございます。

 今回成立しました十八年度予算におきましても、新規施策といたしまして、下水道地震対策緊急整備事業を創設いたしてございます。これによりまして、地震対策を強化すべき地域におきまして、下水道が最低限有すべき機能を地震時でも確保するとともに、避難者を支援するために、消毒施設の耐震化ということや、トイレがないと非常に問題がございますので、マンホールとトイレを直結しましたマンホールトイレシステムの整備等を、今後、計画期間五年以内に重点的かつ緊急的に進めてまいります。

 今後とも、下水道地震対策を積極的に推進し、国民の安全、安心の確保に努めていきたいというぐあいに考えております。

糸川委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

林委員長 次に、内閣提出、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土計画局長小神正志君、都市・地域整備局長柴田高博君、住宅局長山本繁太郎君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 よろしくお願いをいたします。

 まず最初に伺いたいのでありますが、要望と言ってもいいんですが、東京においては二十三区という基礎的自治体があります。この二十三区は、かつて東京都の内部団体、こういう位置づけでありましたけれども、近年、法改正等々、基礎的自治体としての立場というんでしょうか、位置づけをちょうだいして今日に至っております。

 例えば、この国会議事堂のある千代田区は、夜間人口三万人でありますけれども、夜間人口三万人に対して昼間人口二百万を超える、そういうところで、特異な基礎的自治体としてその職責を果たしているのであります。

 この法律案の中に、市町村という言葉は出てくるわけでありますが、区という言葉はどこにも出てまいりません。しっかりと区市町村と明記をいただきまして、東京二十三区の立場というんでしょうか、その職責というものを法律の中にも明らかにしていただきたい、こう思うわけでありますが、答弁を求めます。

柴田政府参考人 今回のまちづくりの関係で、市町村がその計画等をつくることになっておるわけでございますが、市町村というのは、今委員の方から区の御指摘がございましたが、区は当然含むものでございまして、この法律というよりも、地方自治法上、区は市町村というぐあいに読みかえられることになってございまして、そこで区も入るということにいたしてございます。御理解をいただきたいと思います。

松本(文)委員 局長の説明は説明としてわかるわけでありますけれども、やはり、東京二十三区、多いところでは七十万を超える人口を抱えて、自治体としての仕事を、鋭意、日々行っているわけでございますから、法律にもしっかり、単なる市町村、市の中に含まれるんですよ、こういうようなやり方ではなくて、はっきり区市町村と明記をいただきますように重ねてお願いをしておくものであります。

 一昨日、長島忠美議員の御案内をいただいて長岡駅前を視察してまいりました。まことにきれいに整備された駅前の町並みであり商店街でありましたけれども、お昼どき、人影がまことにまばらでありまして、どこにも日本の景気回復を思わせるようなにぎわい、光景は見ることができませんでした。

 これは単に長岡駅前に限られたことではなくて、東京二十三区、全国の商店街、こういったところで今大きな悩みになっているわけでありまして、今や中心市街地、これの再生は早急になし遂げなきゃならない我が国の重要な課題であります。

 そこで伺うわけでありますが、中心市街地あるいは都市の再生、こう言った場合に、中心市街地というのはこの国に一体どの程度あるのか。どこまでがこの法律で言うところの都市ということになるのか。県庁所在地だけなのか、そうではなくて、それぞれのJRあるいは私鉄沿線を含めて、駅前のにぎわいの必要なところすべてがそうであるのか。そういったところへの人口の集中、あるいは産業の集中、こういったことを含めて、ここで言うところの都市あるいは中心市街地の定義というものは一体どういうことになっているのか、そこら辺を国民にわかりやすく御説明を願います。

柴田政府参考人 中心市街地というのはどういうところなのか、あるいは都市はどういうものを考えているのかというお尋ねでございますが、今回改正を行います中心市街地活性化法の対象となります中心市街地は、これは非常に具体的にどこどこと、もちろん法律でございますので決めておるわけではございませんが、定義といたしましては、都市の中心の市街地でございまして、一つは、小売商業者や都市機能が相当程度集積しており、その市町村の中心としての役割を果たしているということ。二つ目には、土地利用や商業活動の現状をかんがみまして、いわゆる空洞化している、あるいはこのままほっておくと空洞化していくおそれがあるということ。三つ目は、そこが活性化されれば当該市町村及び周辺地域の発展にも有効であると認められるというようなことを要件といたしております。

 そういう意味で、具体的に、どの都市であって、どの都市のどの地区が中心市街地ということを法律で決めておるわけではございません。具体的にどの地域が中心市街地として設定されるかは、その地域の地理的、自然的、文化的、経済的状況に応じてそれぞれ異なるし、それぞれその地域が選択されるものであろうというぐあいに考えておるところでございます。

松本(文)委員 諸施策を展開するに当たって、市街地あるいは都市、中心市街地、この決定はそれぞれの地域ということでありますが、その決定権者というのは都道府県になるんでしょうか、市町村になるんでしょうか。明確にしていただきたいと思います。

柴田政府参考人 この法律、まちづくり、中心市街地活性化法では、市町村が中心市街地の活性化を図るために基本計画をおつくりいただくということにいたしてございます。そういう意味で、特に御熱心な市町村については、この地域を発展させようという基本計画をおつくりになる、そこを中心市街地というぐあいにお考えになって決められるわけでございます。

 今回、法律の内容になりますけれども、今までの現行法は、市町村がお決めになって、それを国の方にいただくということでございましたけれども、これからさらに中心市街地の活性化を国も積極的に進めていくという観点で、市町村がおつくりになりました基本計画を、国の方で、非常にいいもの、効果があるものについては認定をし、積極的に国としても支援していこうというぐあいに考えておるわけでございます。

松本(文)委員 柴田局長、お願いをいたします。市町村というのが口になじんだ言葉なんだろうと思うんですが、区市町村と、一番最初に区をつけていただきますように、ぜひ心がけていただきますように、心からお願いをいたします。

 都市計画区域外の無秩序な開発を抑えて、望ましい環境保全、あるいは望ましい地域発展へと誘導していくために、準都市計画区域の指定というのは大変意味のある制度であります。しかし、この準都市計画区域の指定制度というのは、今回新しく提案をされたものではなくて、かつてからあった制度であります。

 まず最初に聞きたいのでありますけれども、かつてあった制度の中で、準都市計画区域の指定というのがどの程度行われて、どういう効果を今日日本にもたらしてきているのか、そして、それをなお今回変えようとしているわけでありますが、変えなければならない理由というんでしょうか、原因というんでしょうか、そこら辺について、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

柴田政府参考人 都市計画区域の外は基本的には都市的な開発がなされないというようなことで、何も規定はございませんでしたけれども、準都市計画区域というものを新たに設置することができることにしたわけでございます、現行の準都市計画区域でございますが。

 これは、市町村が準都市計画区域を現行では置くことができるということになってございます。これはどういうために置いたかということでございますが、都市計画区域外におきまして相当数の住居等の建築が既に現に行われまして、用途の無秩序な混在が進むおそれがあるなどの地域につきまして、農林漁業との調和を図りつつ市町村が指定をしていこうということでございます。

 これにつきましての実績でございますが、これまでのところ三地区でございます。良好な住宅市街地をそこに誘導していこうとする場合、あるいは、都市計画区域外、開発許可の対象、一万平米以上でございますが、それの引き下げをねらってきめ細かい対応をしていこうというようなこと等で、三カ所で行われたわけでございますが、そういう意味では、全国三地区、百八十ヘクタールということで、三十七万平方キロメートルの中でほんのわずかしかされておりません。それほど使われてきてなかったという事実があるわけでございます。

 今申しましたようにスポット的に市町村が指定しておったわけでございますが、しかし、今回、法律改正、我々が都市計画の改正をしようと考えておりますものは、都市構造に大きな影響を及ぼします大規模集客施設につきまして、現在、原則的には都市計画区域の中で相当の地域で立地ができます。また、都市計画区域外でも都市計画法の規制というのはないわけでございますが、一たんそれを今回は立地を制限した上で、まあ逆転しよう、都市計画手続を通じて、立地する場合にはその地域の判断によって適正な立地を確保しようとするものでございます。そのような立地制限を行うべき地域としまして、この大規模集客施設の立地が想定される地域に、市町村の目で見るのではなくて、もっと広域的な目で見よう、場合によっては市町村の区域を超えて広く指定する必要があろうと考えております。

 このため、今回の改正におきましては、準都市計画区域の指定要件を、土地利用の整序、環境の保全が必要な区域について広域的観点から広く指定するというぐあいに改めます。そのような趣旨から、指定権者を広域的行政主体でございます都道府県に改めるというぐあいにさせていただいております。

松本(文)委員 大臣、御出席ありがとうございます。

 この準都市計画区域というのが、今の局長のお話ですと、かなり広域にわたるというようなお話がありました。さはさりながら、その地域を最も知悉していらっしゃるのはやはり地元区市町村であります。そしてまた、その地域に対して、その発展、あるいは保全、こういったものに強い関心を持って、そしてその将来に期待をし、そして具体的計画を遂行するに当たって汗を流していただくというのもまた、そこに暮らす地元市町村民、こういうことであります。

 その一定の地域指定、これを具体的な現場である区市町村から広域行政権者に変更する、こういうのはどうも合理的ではないのではないか、地方分権の流れにも逆行をしているのではないか、こう思うわけでありますけれども、あえて広域行政権者に譲らなければならないというのでしょうか。変えなきゃならないということの理由をもう少し国民にわかりやすく御説明いただきたい、こう思います。

柴田政府参考人 先ほど御答弁いたしましたとおりでございまして、これまではスポット的に、委員おっしゃいますように、区市町村が決定していたわけでございますけれども、やはり大規模集客施設ということになりますと、当該区市町村に影響を与えるのみならず、非常に広域的に影響を与えます。

 非常に大きな大規模集客施設ができますと、当該市町村外の、外からも多くの人々を集めることになる、交通の混雑も起こるというようなこともあるわけでございまして、そういう観点から、先ほど申しましたように、広域的に準都市計画区域というものを設定する必要がある。そのための、だれがやるかということになりますと、区市町村というよりも都道府県がやる必要があるわけでございます。

 ただ、都道府県が準都市計画の区域を設置する場合にも、決定する場合にも、関係の市町村の意見は当然聞くことになってございます。一方的に都道府県が設置できるわけではございません。地方分権、進んでございます。おっしゃるとおりでございまして、まちづくりについては基礎的自治体でございます区市町村のお仕事だということもよく存じているわけでございます。

 そういう意味では、身近な行政主体である市町村ができる限りまちづくりを行うものでございますけれども、今申しましたように、広域的観点が必要な行政につきましては、都道府県が広域的行政主体としてその役割を果たすことというのもまた必要であろうかと思っておりますし、それを否定するものでもないだろうと思っております。

 今回の改正が、そういう意味では決して地方分権に逆行するものではない、それぞれの役割をそれぞれの主体に持ってもらうべきものであろうというぐあいに考えております。

松本(文)委員 開発整備促進区、この創設というのも大変に時宜を得たことであって、私は大賛成であります。

 しかし、今日の都市計画の決定手続の現状には大変に辟易しております。

 具体的に申し上げますと、区市町村がこういう都市計画決定手続をやりたい、こう思い立ちましたら、まず、その町内で計画、検討して、その案をつくるのに数カ月から、場合によっては数年かかる。そして、それを区市町村の議会に相談をしていかなくちゃいけない。もちろん地元民に相談をしなくちゃいけない。そして、地元の都計審、都市計画地方審議会に諮らなければならない。そして、まずまずいいだろう、こういう話になって、今度は都道府県議会に、都道府県の窓口に諮り、都道府県議会に根回しをし、都道府県の都計審、都市計画地方審議会に諮らなければならない。そして、ようやく国との協議に入っていく。こういう、非常にまどろっこしい。

 この中で失われる事務量というのは大変なものでありますし、これにかかわる人力というんでしょうか、これも大変なものであります。かかる経費もまたばかにできない。もっとスピード感のあって、そして効率的で合理的な都市計画決定手続というのは行われないんだろうか、方法はないんだろうか。

 少なくとも、それぞれの区市町村で、議会に都計審に、そして地元、都道府県の議会に都計審、そして国、こういう五つも六つもハードルを越えなくちゃいけない。もうちょっとスピーディーにやる方法はないものだろうか、こう思うのでありますが、そういう観点から国として検討をされたことはあるのかないのか。あるとしたら、こういった問題点をどう把握し、どう解決されようとしていらっしゃるのか、そこら辺のことについてお答えをいただきたいと思います。

柴田政府参考人 都市計画の手続についての御質問でございますが、都市計画というのは、その土地に関する権利に相当な制約を課します。住民等の生活に大きな影響を及ぼすものでございますので、その決定等に当たりましては、慎重な手続を経る必要があるということは事実でございます。

 このための必要な手続として、必要に応じた公聴会の開催、都市計画の案の公告縦覧、都市計画審議会の議を経ることとされております。なお、都市計画審議会も、市町村決定のものでございますと、市町村の都市計画審議会の議を経ればいいわけでございます。

 また、議会との関係についてのお話もございましたけれども、議会との関係につきましては、都市計画審議会の委員として議会議員に参画していただいております。それで、議会の議決というお話ございましたが、都市計画の決定、変更に当たりましては、法律上は議会の議決までは求められておりません。ただ、スピーディーに機動的にやるべきではないかということにつきましては、我々もそのように思っております。

 今回の改正では、大規模な集客施設につきましては、商業地域等を除きまして、その立地を一たん制限しようということにしております。立地する場合には、都市計画の手続を経ることにより地域の判断を反映した適切な立地を確保しようというぐあいに考えてございます。そのためには、この手続が確実にスピーディーに機動的にやられる必要があるというぐあいに考えております。

 確実に行われることが必要であると考えておりますし、また、民間事業者にとっては、都市計画の決定、変更について速やかに判断をしてもらうということも非常に望まれていることも事実でございます。

 このため、今回の改正では、民間事業者のイニシアチブというものを認め、都市計画提案制度、現在あるわけでございますが、それを拡充しようとしております。現在は、地権者、NPO法人等が提案できることになってございますが、地権者でなくても一定の開発業者に都市計画の提案権を認めることにいたします。なお、この都市計画提案が出された場合には、法律上、遅滞なく、都市計画の決定、変更をし、または、当該決定、変更をしない旨の通知をすべきこととされてございます。

 さらに、これは法律上ではございませんけれども、運用面でも、この大規模集客施設の立地を目的とする都市計画の提案に対しましては、遅くとも一年以内に結論を出すべく地方公共団体に技術指針等で周知徹底していきたいというぐあいに考えてございます。

 これらによりまして、都市計画決定手続が機動的でスムーズになるように努めていきたいというぐあいに考えております。

松本(文)委員 区市町村が策定した市街地基本計画、これを国が認定して全力を挙げて支援しようという今回の提案ですから、これには大賛成であります。

 たくさんの支援事業が提案をされております。まちづくり交付金の拡充、暮らし・にぎわい再生事業、空きビル再生支援、まち再生出資業務等の拡充支援、共同住宅供給事業、居住再生ファンド、区画整理事業、活性化促進税制などなどであります。

 一つ一つはすばらしい提案でありますが、市街地活性化をなし遂げるためには、これらをすべて駆使しなくちゃなりません。しかし、関係する省庁も、これは国土交通省であったり、経済産業省であったり、財務省であったり、もちろん都道府県、区市町村の裏負担ということを考えますと、担当する窓口がこれまた膨大に分かれておりまして、これをすべてうまく使い切るということになりますと非常に難解なパズルを解くような話でありまして、協力をいただかなきゃいかぬのだけれども、どうやったらいいのかと考えるだけでも大変なことであります。

 支援メニューを有効に活用するために、この計画にはどの支援策とどの支援策、これが合っています、これが一番いいですよ、そのためにはといったような指導窓口というか、国の方の窓口を一本化することによって、利用者、利用しようとする区市町村の利便を図る、これは大変重要なことだ、こう思うのでありますけれども、そこら辺のことについてどういうような計画、お考えをお持ちなのか、御説明をいただきたい。

柴田政府参考人 中心市街地の活性化を推進するのは八つの府省庁にまたがってございます。委員御指摘のように、ばらばらばらばらやられたのでは非常に関係の区市町村も大変困る、わかりにくいとおっしゃるのはそのとおりだろうと思います。

 このため、今国会に提出しました改正法では、従来の関係八府省庁がそれぞれ協力はしておりますが、それぞれ連携をしながら対応を図ってきたわけでございますが、今回は総理大臣を本部長といたします中心市街地活性化本部というのを内閣に設置することにいたしてございまして、政府を挙げて中心市街地の活性化を総合的かつ効率的に推進しよう、そしてまた多様な政策ツールを活用していこうというぐあいに考えております。

 それで、窓口の話でございます。それぞれの役所に行くのは当然、本当に大変なことでございますので、それぞれの中心市街地活性化を考えておられます熱意のある区市町村に対しましては、中心市街地活性化本部事務局、ここがさまざまな施策に関する情報というものを集約して持っているわけでございまして、ここを政府の統一的な相談窓口としていこうというぐあいに考えてございます。個々の中心市街地の状況に応じたきめ細かな対応をここに来て御相談をしていただき、それによって対応ができるのではないかというぐあいに考えております。

松本(文)委員 今局長から、受付窓口は本部の事務局に一本化する、こういう御説明をいただいたわけでありますので、ぜひ、全国から知事、副知事あるいは課長さん、担当者が上ってきたときに各省庁を陳情して回らなくても一カ所に行って相談をすればきちっと対応できる、こういう体制をしっかり整えていただきたい、こう重ねてお願いをするわけでありますが、その事務局を責任を持って回していこうという省庁は国土交通省、こう予定をしてよろしいかどうか、大臣、ちょっと答えてみてください。

柴田政府参考人 もちろん国土交通省は関係省庁の中でも中心の省庁の一つでございますし、経産省もその中心の一つでございます。我々、中心省庁であるということを自覚してやっていきたいと考えております。

 また、事務局をどこに置くかというのはまた別の話であろうと考えておりますが、国土交通省としては最大限真っ正面から取り組んでいきたいというぐあいに考えております。

松本(文)委員 その支援スキーム、数あるスキームの国の負担割合、あるいは総事業費に対する負担割合、そして都道府県、区市町村の裏負担と言われる部分、これがまた難解至極な制度になっております。かつてこの国が何とか景気対策を継続するために、それぞれの地方は景気対策を借金してでもやらなくちゃならぬ、こうやったことがございます。今回の地域活性化を支援するこういうスキームに対して地方自治体に過酷な裏負担を要求することのないように、さはさりとて財政がしっかりしている自治体もそうでない自治体もそれぞれが地域の活性化に前向きで取り組めるように、そこら辺の財政的な枠組みといいましょうか、そこら辺への国としての目配りをしっかり行っていただきたい、こう思うのでありますが、大臣に所見をお願いして私の質問を終わります。

北側国務大臣 先生、裏負担というふうにおっしゃっておられるんですけれども、まちづくりとか中心市街地の活性化だとか、これはまさしく地方の市町村の主体的な事業がまちづくりであり中心市街地の活性化、主体はあくまで市町村だと思います。それを先ほど委員の方がおっしゃっていただきましたさまざまな手法を通じて国が応援をしていくということだというふうに思うんですね。何か国の事業があってそこに地方がついてくるというのじゃなくて、まちづくりに対する地方の主体的な事業というのがまずあって、それに対して国がしっかり応援をしていく、こういう体制をとっていきたいというふうに考えております。

 まちづくり交付金につきましては、非常に予算が抑制される中、この十八年度予算につきましても大幅に予算を認めていただきました。このまちづくり交付金、単にこれまでのさまざまな補助事業だけではなくて地方公共団体の独自の提案事業についてもこのまちづくり交付金が使えるようになっておりますし、特に中心市街地活性化の基本計画の認定制度を創設しまして、これが認定されますとさらにこの提案事業について今までの倍交付金が使える、このような仕組みもつくらせていただいているところでございます。

 地方財政が大変厳しい状況にあることはもう私もよく知っているところでございますが、やる気のある、意欲のある市町村を応援、財政的にもしっかりサポートできるように国としても頑張ってまいりたいと考えております。

松本(文)委員 ありがとうございました。

林委員長 太田昭宏君。

太田(昭)委員 公明党の太田昭宏です。

 同僚議員の御配慮をいただきまして、質問に立たせていただくことをうれしく思っております。

 まちづくり三法ということについて、実は八年前、当時の審議にかなり積極的に加わって、一番数多く質問させていただいたのが私ではないかというふうに思っているわけですが、この八年、町が一体どうなっているかということについてはいつもいつも大変懸念をして今日まで来ました。やっと今回、この三法、まあ二法になるわけですが、改正に至ったということについて、かなり心の中に迫るものがございます。

 私は、今回非常に大切な改正だと思っているわけですが、この間に、単に商店街あるいはまちづくりというだけでなく、日本の国土をどうするかという観点で大きな変貌があったと思います。

 例えば、グローバル時代ということについて国土をどのようにつくっていくかということ、また、全総あるいは五全総ということで国土の均衡ある発展ということを主題目にしながら来た、今、国土をどうつくるかという一番大事な思想性というものは一体どうするのかという観点、さらにまた、少子高齢社会を迎えるということについて果たして町をどうやってつくっていくかという、歩いて暮らせるまちづくりとかコンパクトシティーということが、私はそれ自体が、きちっとした思想性のもとで、この審議の中で明らかにするということが大事だというふうに思っておりますが、これまた今の変貌ぶりでございます。

 また、にわかに安全ということが大きな課題になりまして、防災、あるいは地震、水害、豪雪ということに対してどのような国づくりをしていくかという、そこの思想性というものを、まず、きょうは幸いにして冒頭の審議でありますから、国としてはこう考える、そしていわゆる地方自治体というところが、まあ、松本さん流に言えば区市町村、ここが主体的に国土をどうつくるか、その参画の機会というものをどう得るのかということが、この法を改正した後、一番大事なのは、町や都市をどうつくっていくのかという主体的な参画の仕方、そして構想力、こういうものが必要になってくるというふうに私は思っております。

 今から四百年前、日本の土木事業というものは大変大きな前進をしました。江戸に移封された徳川家康は、四百年前に、例えば東京湾に注いでいた利根川を銚子の方向に大きく変えていったということの中で、この東京というところを稲穂が茂るというような大変な石高を誇るところにしたのも、家康の隠れた、また、ある意味では一番大きな仕事だったかもしれません。大阪においては大和川の改修があり、伊達政宗は北上川を物流という観点から大きく変えていくというような工事が行われて、日本の江戸時代は人口がふえていないというふうに言われていますが、実は、一六〇〇年から一七二〇年ぐらいまでの百二十年間に約二倍の人口を誇るということになったのは、まさにそうしたことがあったからでございます。

 私は、国土というものは我々国民がつくり、そして政府がつくってきて、そしてそれが経済の発展につながっていくと。昨今は公共事業悪玉論というようなことがございますし、国土というものをみずからの手でつくっていき、そして、コンクリートをどう使ったか、何がどう使ったかというようなことの中で、この公共事業の乗数効果というものではない、もう少し幅広い観点から、未来の日本の子孫に残すためにも今こそ国土をしっかりつくるという、その参画の機会というものが今回の法案改正で極めて重要であるという認識のもとで、きょうは一番最初の質問になったことを幸いということで、私はこういう話をさせていただいております。

 そこで、国土のグランドデザインということについて、グローバルな時代にあって、どう国土を考えるのか。空港、道路、港湾、そしてまちづくり、観光、物流、こういうような、三月号の「時評」というところでは、国交省は、人間に優しい国土をつくるんだということを論文としてまとめておりますが、まず第一問として、このグローバルな時代にあって、どう国土を考えていくのかということを、空港や道路や港湾、まちづくり、観光、こういう観点からお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 非常に大きな御質問をいただきました。今、日本という国、日本という社会は、間違いなく大きな転換期に来ているというふうに思っております。

 今おっしゃったように、昨年から人口減少時代、恐らく、これから長い間人口がずっと減少していく、こういう歴史というのはかつての日本の中ではなかったと思うんですね。初めての経験をするわけでございますが、こういう人口減少時代に突入した。そしてまた、来年だったでしょうか、団塊世代がいよいよ六十歳、定年退職になるんですね。昭和二十二年から二十四年までのこの団塊世代の方々というのは、当時、三年間で八百万人生まれまして、その方々がいよいよ六十代に突入していく。

 我が国社会が、ほかの国では例を見ないような本格的な高齢社会にいよいよこれから突入をしていく、こういう人口構造を見ましても、かつての日本の歴史ではなかった、そういう大きな転換点に今来ていると思います。

 また、今委員のおっしゃったように、そういう我が国が人口減少そして高齢社会に突入する中で、一方では、我が国の隣国の東アジアの国々が著しい経済発展をしている。我が国にとりまして、中国にしても韓国にしても、そして台湾にしても、この近隣の東アジアの国々というのは、外国とはいうものの、もう準国内化をしてきている、そういう時代に入ってきているわけですね。これは経済の分野において特にそうでございますけれども、それだけでは私はないと思います。さまざまな分野において、私は、そういう意味では大交流時代に入ってきているのではないかというふうに思っているわけでございます。

 そうした大きな時代の変化の中で、我が国のこれからの国土の形成を、どういう国土形成を図っていくのか、そのビジョンというものを、今委員のおっしゃっている哲学、理念というのをしっかりと明確にしていかないといけないというふうに私は思っております。

 また、これから御審議をいただきますまちづくり三法の見直しも、そういう大きな時代の変化というものの中で、従来型の、人口がどんどん増加をしていく、都市にどんどん人口が集中をしていく、経済がどんどん成長していく、そういう時代の中のまちづくり、都市計画ではなくて、やはりこれからは人口減少、高齢化にふさわしいまちづくりというのが合うのではないか。そういう大きな転換点にあるということを意識しまして、このまちづくり三法の見直しの法案をこれから御審議いただくわけでございます。

 そういう意味で、私は、今回の都市計画法等の見直しというのは、単に都市計画だけの問題ではなくて、大きな社会経済情勢の変化の中で象徴的な法案、法律であるというふうに思っておりまして、ぜひ、この委員会におきまして、委員の皆様方の積極的な御論議をちょうだいしたいというふうに思っております。

太田(昭)委員 私がそういう質問をしますのは、国はこういう国土づくりをしますよという構想力とイメージ、そしてビジョンというものを示す。示すからこそ、今回は、松本さん流には区を入れろということで、区市町村の人たちがどういうふうに考えるかということがあわせて提起できる。ここの構想力とか参画の仕方というものが、今回は一番大事なポイントになるんですね。

 中心市街地活性化でも、そこにいる人たちがどういう構想力を持って町をつくろうとするかという、自然状態の中から、資本主義社会の中で市場原理の中から町が形成されてくるのではなくて、いよいよ二十一世紀の我が町をどうつくるかという、主体者というものがどういうまちづくりの構想力を持つかということが実は一番大事なので、私はそういうことを申し上げているわけです。

 政府として、全総から五全総、地域格差の是正、国土の均衡ある発展ということでずっと来たわけですが、ここで一体、それにかわる一つのビジョンというか方向性というものは、国土総合開発法というのが昨年できたわけです。もう一度ここの、今までのいわゆる全総というものにかわって、国土の均衡ある発展というのではない、こういう考え方で国土づくりをしますということが研究されていると思いますが、その辺についてお述べいただきたいと思います。

北側国務大臣 おっしゃっているとおり、金太郎あめのような、そういう整備ではないと思います。やはりこれからは、各地域地域に特性というのがありまして、その特性に応じたまちづくり、都市計画を進めていくというのが大事なんだろうと思うんです。

 私、全国各地を回らせていただいておりますけれども、全国各地あちこちで、我が地域のまちづくりはこういうふうにしたいという、これは市町村というよりは、むしろそこにお住まいの地元の住民の方々、ここがまず主体者となって、そして地元の行政を動かし、NPOなんかをつくられまして、非常に積極的なまちづくりを市町村と連携をとりながら進めようとしている動きが、全国あちこちで見え始めてきていると私は思うんです。

 私は、そういう地域住民の方々の、また市町村のそういう積極的な取り組みというものをしっかりと支援していく、また、その支援をしていく中で、先ほど申し上げました大きな時代の流れ、大きな時代の変化の中で、やはりこういう方向性が大事だ。

 それは、例えば、これから本格的な高齢社会が到来するわけでございますので、町がどんどんどんどん郊外に出ていって、車を使わないと生活ができないという社会であってはならないわけでして、やはり自分の住んでいるそういう居住空間の中で、ちょっと自転車に乗って、ちょっと鉄道やバスに乗って、必要なものがすべて満たされる。学校もある、文化施設もある、病院もある、役所もある。我々それをコンパクトシティーというふうに呼んでいるわけでございますが、そういう歩いて暮らせるまちづくりというものをやはりこれからの時代は志向すべきではないかというふうに考えております。

太田(昭)委員 安全ということでいいますと、一九三〇年代にアメリカでニューディール政策というのをやりまして、十年で実は、橋からいきますと、橋が五万つくられたんですね。ニューディール政策は我が党でもよく引いて、一つは、右の輪がいわゆる公共事業、左は文化芸術、これが一九三〇年代の大事な両輪としてアメリカのニューディール政策というものの骨格になっているわけですが、それが今、荒廃するアメリカということで、この五万つくった橋が崩壊寸前といいますか、限界に達しているということで、相当アメリカでは、また世界各国そういうことなんですけれども、この管理とか維持をするということについて予算を計上している。

 私は、こういうようなことについて、本当に世の中の人たちがなかなかよくそれを理解しないのは非常に残念だというふうに思っていますが、北側大臣を初めとして、現場に行って、本当に国交省がよく頑張ってくださっていると思いますが、この辺の安全ということと、そうした公共事業のさまざまな橋を初めとするものが、アメリカは荒廃するアメリカということを何とか変えようとしているということについて、日本はどういうふうに今考えているのかということについてお示しいただきたいと思います。

北側国務大臣 コスト縮減、もちろん限られた予算の中でございますから、コストを縮減していくというのはとても大事なことだと思います。

 しかし、コストをどんどんどんどん縮減していきまして、それで、例えば橋でいいましたら、債務償還はきっちりやりました、債務償還が終わった時点で橋はもう使えなくなってしまいましたというのでは、一体何のためにその橋をつくったのか、何のために債務償還したのかわからないわけでございまして、やはりこれから今委員のおっしゃった維持管理を適切にやっていく、また適切に更新をしていくということがすごく大事な、社会資本整備の中でも重要な分野になるというふうに私も思っております。

 例えば、道路の話でいいますと、首都高は昭和三十八年から整備され始めたんですね。もう四十年以上たってまいりました。

 これから、道路であれ、いろいろな構造物であれ、建築物であれ、私は、大事な観念として、ライフサイクルコスト。やはりできるだけ長く、安全で、かつ長く活用、利用できれば一番いいわけでして、それが国民負担が一番少なくなるわけですね。短期間での、短視眼的な、そういうコスト削減、コストが幾らかかったのかというのを見るだけではなくて、やはり全体としてのライフサイクルコストを考えるということが非常に大事なんじゃないかと思っているんです。

 そういう維持管理をやはり適切にすることによって、長く使えるようになって、結果として国民の皆様への負担が軽くなってくる。そういうことをきちんと検証し、また国民の皆様に説明をしていくということがこれからとても大事になってくるというふうに私は思っております。

 先輩方の努力で、日本も社会資本については、相当レベル社会資本は整備されてきたと思うんです。しかし、それがだんだん老朽化してきます。ここを適正に維持管理、そしてうまく更新をしていくということが、これから社会資本整備の中で非常に重要なテーマだというふうに考えております。

太田(昭)委員 国土交通省で働いていました、河川局に所属して、がんで亡くなりました関さんという、後ろに座っている方は皆さん同僚でよく知っていると思いますが、「天空の川」「大地の川」という二冊の大変感動的な本でありますが、この中に、日本というのは、国土を与えられるわけではなくて、それをどういうふうにつくっていくかということが大事であるとともに、例えば川であるならば、治水という、川を治めるというよりも、川をなだめるというような、日本の文化というものの延長線上で環境も含めたそういうことをしていかなくてはいけないという、まあ遺言にも似た本で、僕は感動して読んだわけです。

 国土は与えられたものではなくて日本人がみずからつくっていくものという、私は、この今回の法案は、今まで何となく与えられてきたり、あるいは政府から、国からこうだよと言われるというのではなくて、まさに今回一番大事なのは、区市町村そして区市町村長さん、そしてそこのブレーンが、こういう町をつくるんだということについての体制ができるかどうかということが一番のかなめじゃないかというふうに思っています。

 そういう意味で、都市計画、まちづくりの主体が、我が町は我々の手でつくるんだ、二十一世紀の未来のためにという、そういう力強い、町をこうやってつくっていくんだというものをサポートする体制というものが私は非常に大事で、これは法案の中にはなかなか書きづらいものですが、今回はそこのところのサポートというのが非常に大事だ。そこの意欲、姿勢、人材、体制、ぜひともこういうことについて政府としてサポートする体制をこの法案の審議というものの中でつくってもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

柴田政府参考人 このたびの法案、まちづくりあるいは都市計画法の改正というのは、これまでの物の考え方を、大臣御答弁されましたように、百八十度変えるものでございます。そういう意味では、まちづくりを担っていく区市町村の皆さん方にとっても、十分その物の考え方をよくわかっていただく、あるいは法律の趣旨もよくわかっていただく。

 都市計画法でございますと、大規模集客施設、これまでは原則立地可能であったものを、今回は逆転しまして、原則立地は抑制、立地する場合には都市計画の手続でやってくださいというようなことをやるわけでございます。非常に制度が大きく変わるわけでございます。また、思想も大きく変わるわけでございます。そういう意味では、委員が御指摘のように、区市町村長さん、あるいはまちづくりを担当される職員の皆さん方に、この法律改正の趣旨というものを徹底していく必要があろうかと思います。

 このために、国土交通省といたしましても、まずは当然、運用のためのガイドラインというものをつくってまいります。また、説明会というものを開催いたします。また、本省、それから地方整備局もまちづくりを担当いたしてございますので、地方整備局等におきます相談体制の充実というものをやってまいります。また、国土交通大学校等の各種の研修機関におきます研修の実施、これらによりまして、都道府県及び区市町村に対するきめの細かい支援を行ってまいりたいと考えております。

 例えば、景観法が一昨年策定されましたけれども、景観法のときも、新しい法律ができたわけでございまして、同じような取り組みをやりまして、非常にきめの細かい熱心な取り組みを我々はやってまいりました。その結果、景観行政に取り組む機関が徐々にふえてきているというようなこともございます。

 一生懸命頑張っていきたいというふうに考えております。

太田(昭)委員 まちづくり三法の改正に主体的に取り組んだ者として、何が欠陥で、何が足らざるものであり、何を是正しなくてはいけないかということを常に考えてきたわけですが、それが今回、都市計画法の改正ということになってきたというふうに思います。

 経済産業省はいらっしゃいますか。私が特に八年前の審議で言ったのは、生活環境概念ということについて、かなりの時間を使って質問したりして討議をしました。

 町というのは、コミュニティーというようなことで、例えば学校が廃校ということになると、町がばらばらになるんですよ。商店街とかそういうものは、実は買い物というだけではない、人と人とのつながりというようなことで、高齢社会になってくるともっと大事になってくると思うんですが、そういうものが崩れてきてしまう、そこに大きな店舗が出る。これを今度は市区町村の人たちが、こういうふうに自分たちはやるという構想力を持てということが一番大事な法律のかなめなんですが、今回は中心市街地活性化と都市計画法の改正なんですが、私が一番実は三法で不満に思っているのは大店立地法なんです。

 そこで、大店立地法の附帯決議は、実は私がゴールデンウイークのときに国会に来て自分で原案をつくったりして、自民党の方々とか、当時僕は野党でしたけれども、その中で生活環境概念、幅広い概念でなくちゃだめだ、騒音とか渋滞とか廃棄物が出ますよというようなことだけで規制をするとかいうことであってはならないんだと。町をどうつくるか、生活環境概念の幅を広げるということが、これが少しも私は効果を発していないということを非常に懸念しているわけなんです。

 今回のこの二つの法律の改正ということではなくて外れております、大店立地法の中の、迷惑防止規制というようなことにとどまっているというその生活環境概念、まちづくり概念というものを、私はぜひともこのまちづくり三法というものの審議の中で、見解というものかあるいは物の考え方というのをしっかりしておいてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 太田先生の前回の御議論につきましては、私どもも、その後もいろいろ精査をいたしておりまして、大変幅広い観点からの御指摘であろうかと思います。

 大店立地法そのものの構想が、あの当時から、実は先生のおっしゃっている、部分についてだけしか引き受けられないような基本思想になっていたものでございますので、十分な対応ができなかったということはあろうかと思います。

 ただ、今先生が御言及されました附帯決議を私どもはその後拳々服膺して、それなりに運用の中で対応してくる、例えば、町並みづくりに対する配慮であるとか、あるいは、先ほどもお話が出ましたけれども、防犯とか、そういった幅広い観点からの町のあるべき姿についても、できる限り運用のところで対応していきたいということでやってきたわけでございます。

 今回の三法の見直しに際しまして、幾つかの点は立地にかかわる部分があるわけでございまして、そういった点につきましては都市計画法で再び対応していただくということであるとか、それから、逆に申しますと、中心市街地活性化法の方につきましては、従来のものが商業振興に著しく偏っていた、それが町全体のあり方との関係で十分機能しなかったというような反省に立って、町のあり方と商業あるいは商店街のあり方というのを考えるというようなところで、例えば事業者の責務みたいなものを法律の中に盛り込んでいくというようなこともいろいろ工夫をいたしました。

 運営にかかわる部分がかなりあろうかと思いますけれども、今後の御議論の中で、先生の御指摘も再び踏まえまして、私どもとしては、いかなる運営が適切におこたえできる話かどうか考えていきたいと思います。

太田(昭)委員 中心市街地活性化についても、今回は、国はどういうふうにまちづくりとか国土づくりを考えるか、市区町村はどういうふうに構想力を持つか、中心市街地の人たちはどういうふうに主体的にまちづくりに参画するという構想力を持つかというところが、今回の法改正の一番大事なところだと思うんですね。

 同じように、中心市街地活性化ということについてのインセンティブ、これをどう考えているのかということについてお聞きしたいと思います。

望月政府参考人 今回の法案は、これまで法案の機能が十分果たし得なかったという反省に立ちまして、先ほども国土交通省の方から御答弁ございましたように、内閣に中枢的な機能を持ち、その内閣の調整の上に各国務大臣が参画をして調整をしていくということになっているわけでございまして、そういう意味では、さまざまな各省の施策がこの思想の上に合致したものであるかどうかということを前提にして施行されていくということでございますので、国の力を、ある意味では、ここに関係する施策についてはこの基本思想の上に乗ったものをやっていくということになるわけでございますので、そういう意味では大変大きなインセンティブになるのではないかということを期待しているわけでございます。

太田(昭)委員 以上で私の質問は終わりますが、都市再生本部というものが小泉内閣で、発足した直後の五月にスタートを切ったわけですが、実はその前の四月に、当時の公明党政調会長、北側現大臣が主導的な役割を果たして、町をどうつくるかというようなことで御尽力があってこそそうしたものがスタートを切ったというふうに、私たちは党としても自負をしています。

 私、きょうはちょっと大きな話をしましたけれども、僕は正直言って、今回、本当に町は自分たちでつくるんだというふうに中心市街地の人も市区町村の人も国も思わないと、もうチャンスを失うという危機感を持っているわけで、ぜひともリーダーシップを大臣に発揮していただきたいなと思うと同時に、経産省の人についても、二階大臣も中小企業やいろいろなことで御尽力をいただいて、よくその辺のことについての町の状況がわかっている大臣でもございますものですから、ぜひとも、北側大臣、二階大臣を中心にして、いい論議と、そして本当に町は自分たちでつくるんだという、いいスタートが切れるということを心からお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

林委員長 次回は、来る三十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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