衆議院

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第21号 平成18年5月17日(水曜日)

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平成十八年五月十七日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    後藤 茂之君

      坂本 剛二君    篠田 陽介君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      田村 憲久君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    葉梨 康弘君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      若宮 健嗣君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高井 美穂君    高木 義明君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鉢呂 吉雄君    馬淵 澄夫君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      穀田 恵二君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           小宮山泰子君

   議員           下条 みつ君

   議員           田島 一成君

   議員           長妻  昭君

   議員           森本 哲生君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     篠田 陽介君

  小宮山泰子君     高井 美穂君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     薗浦健太郎君

  高井 美穂君     小宮山泰子君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)

 居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外四名提出、衆法第二二号)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案及び長妻昭君外四名提出、居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、住宅局長山本繁太郎君、内閣府政策統括官榊正剛君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君及び法務省大臣官房審議官深山卓也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。民主党、長妻昭でございます。

 まず、耐震偽装に関連する対案の質疑の前に、談合の容疑で、国交省の現職の職員時代の話で逮捕されたという報道がございましたけれども、この概要はどんなものでございますか。

北側国務大臣 私もけさ報道で知りまして、詳細な報告はまだ受けておりませんが、簡単な報告しか受けておりませんが、この報道の内容しか承知をしておりません。

 圏央道に関する測量業務に関係をいたしまして、国土交通省の元職員が予定価格を同じく元職員である測量会社社長に漏らしたとして、競売入札妨害の容疑で逮捕されたということだというふうに認識をしております。

 国交省としては、きょうこちらに来る前に短い時間でございますが報告を受けまして、警察の捜査に全面的に協力を行うよう指示をしてまいりました。また、公務員在職中の行為について、禁錮以上の刑となるような場合には、これは当然のことでございますが、退職手当の返納等を求めるなど厳格に対処をしてもらいたいということも申しておるところでございます。

長妻委員 これはいつも、個人的な不祥事であればこれは寝耳に水だということはあると思いますけれども、こういう容疑というのが毎回寝耳に水だと、国交省は。そういうはずは本当にあるのかどうか。現場でそういう情報が上司に上がっていないのかどうかということも含めて、ぜひ調査を徹底していただきたい。

 今回は三人逮捕が出たということでございますけれども、そのお二人は元国交省の方で、お一人、測量会社の社長という方も逮捕されましたけれども、この方は、測量会社に初め天下って、そしてその後社長になった、天下ってその会社の社長になるという報道もございまして、いろいろな、さらにこれまで表に出ていない問題もあると思いますので、ぜひ精査をしていただきたいと思います。

 きょうは五月の十七日でございまして、あの昨年の十一月の十七日の耐震偽装発表からちょうど六カ月目ということでございます。その意味で、本当に早く我々としても充実した中身の対策を立てなければいけないということで今議論をしているわけでございますが、その中で、懸案でございます、都議会議員がイーホームズの指定を受けるに際していろいろな働きかけをしたのではないか、こういう報道がございますので、それについて御質問させていただきたいと思います。

 この都議会議員からの働きかけというのは、国交省、何か御存じのことはございますか。

山本政府参考人 イーホームズの指定確認検査機関としての指定の申請は、平成十三年九月末ごろから相談がございまして、十三年の十一月八日に申請書を受け付けまして、十二月二十一日付で指定を行っております。

 御指摘いただきました東京都議会議員との関係でございますが、当時の職員に確認いたしましたところ、窓口の担当者の記憶では、名前は記憶しておりませんが、指定の基準についての問い合わせの電話と、指定期日についての問い合わせの電話が都議からあったとのことでございます。それ以外の職員は、その都議に関するやりとりの記憶はないということでございます。

長妻委員 電話を受けたのはどなたでございますか。

山本政府参考人 窓口の担当者でございまして、担当係長でございます。

長妻委員 お名前はわかりますですか。

山本政府参考人 担当係長の名前は小野信二でございます。

長妻委員 この電話の内容を今さらっと言われましたが、指定の基準についての問い合わせとさらっと言われましたけれども、具体的にはどんな基準の話でございますか。資本金とかそういうことですか。

山本政府参考人 担当者の記憶では、法令で定められている指定の基準についてどういうふうになっているかというお問い合わせであったと伺っております。

長妻委員 この都議会議員は記者の質問に対して、報道によりますと、国交省に訪問したというふうに話しておられるんですが、訪問してどなたかがお会いになったということは、これはもう絶対ないということでございますか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたその報道がございましたので、私どもも、当時イーホームズの指定確認検査機関の指定に携わりました職員全員に確認をいたしました。御指摘の都議に面会した記憶のある者はないということでございます。

長妻委員 一ページ目に国交省作成の資料をお配り申し上げておりますけれども、ここのやりとりの中で、御担当の方が、係長がイーホームズの藤田社長に対して、業務区域を限定してスタートして、順次、業務区域を拡大すればいいんじゃないですか、こういうアドバイスをした。つまり、イーホームズは、二つの整備局にまたがる業務区域で営業をしたい、こういうふうに申請をしていたんだけれども、いや、二つでなくて、おたくの体力から考えたら一つの整備局管内でどうでしょう、こういうふうにアドバイスをした。これが十一月の中旬か下旬。

 しかし、そのもう一カ月後ぐらいには、二つの整備局にまたがる、イーホームズの言い値どおりの指定が十二月二十日おりているということで、国交省は、二つの整備局にまたがる指定は、これは私、今の係長さんと直接お話ししてお伺いしましたら、イーホームズの申請は多少広いと感じた、そういうことで、こういう指導というかアドバイスといいますか、そういうことを言ったということでありますが、これを言ったにもかかわらず、何で一カ月ちょっと後に言い値どおりの営業区域になったのかというのは、どうしてでございますか。

山本政府参考人 指定時の審査でございますけれども、この審査の過程で、指定機関の審査能力はもちろん資格者の数が一番大事なわけでございますけれども、そういう意味での法律上の指定基準は満たしているわけでございます。したがいまして、指導したということではなくて、担当者から、関東地方と静岡県で業務を行うという申請に対しまして、確認検査員の数が三名であったということで、一番最初は業務区域をもう少し限定してはどうかというアドバイスをしたということでございます。

 担当からそういうアドバイスをしたことに対しまして、申請者から、予定しておる確認検査の件数に応じた人員の割り振り、審査の体制といった事柄について説明がなされたと伺っております。

長妻委員 これは、法律の規定と言われましたけれども、ほとんどが省令とか政令でその具体的な詳細は決まっているということでございまして、再度お聞きしますけれども、ですから、広過ぎる、一つの整備局に限定しろ、初めこういう立場だったのが、何で二つを指定してしまったのか。この点はもうちょっと具体的に。

山本政府参考人 繰り返しになりますけれども、法令上、業務区域についての規定は設けておらないわけですが、担当官がアドバイスをしました趣旨は、先ほど申し上げましたように、静岡県と関東地方全域で業務を行うという申請に対して、最初もう少し限定して出発してはどうかという話をしたというのは事実でございます。

 ただ、イーホームズの方から、実際に仕事を、業務をどういうふうにしていくという業務の計画について説明がなされた上で、この業務区域で仕事をしたいということでございますので、最終的には法令の基準に照らして指定をしたということでございます。

長妻委員 ちょっと私はそこは納得できないところでありますけれども、この資料で、そういうふうに業務区域が広いんじゃないですかと言った後に都議会議員から電話がある、そしてその電話の後に、これは全部十一月のことですが、イーホームズの藤田社長が国交省に訪問して、いや、大丈夫だから申請どおりのこの二つのエリアでやらせてくれと。そして、また電話が都議会議員からあって、そして、電話があった直後に、十二月中旬に二回目の電話があった直後の十二月二十日に言い値どおりの地域での指定がおりているということでございまして、十一月にイーホームズの藤田社長が国交省に来て、いや、広いエリアでも大丈夫だよ、こういうふうに説明をしたということで、これはかなり説得力のある説明がそのときあったということですか。

山本政府参考人 その時点で、どういう体制で業務区域において仕事をしていこうとするかということについて詳細な御説明があったと伺っております。

長妻委員 説明を聞いて、じゃ、大丈夫だ、こう一カ月で納得して、出す。藤田社長が国交省に訪問して説明したときに、その直前の都議会議員の電話というのは、藤田社長が行くからちゃんと話を聞いてやってくれとか、そういうたぐいの話もあったのでございますか、電話で。

山本政府参考人 そのようなやりとりがあったという報告は受けておりません。

長妻委員 そして、五ページを見ていただきますと、これも国交省からいただいた資料でございますが、民間確認検査機関といいますのは、大臣が指定するもの、そして整備局が指定するもの、そして都道府県が指定するもの、簡単に言うとこの三つに分かれます。この五ページの資料というのは大臣が指定した民間確認検査機関のリストでございますが、資本金と整備局の数、つまり営業エリアですね、複数の整備局、二とあるのは二つの整備局をまたがった営業エリアだということでございます。

 イーホームズは資本金が五千万円。株式会社の中では非常に、五千万という資本金はもう一社、ビューローベリタスジャパンとイーホームズだけです。ほかの会社の資本金を見ますと、多いところでは三億五千万円とか六千万円とか、あるいは日本建築検査協会株式会社、これはいろいろ特別な株式会社だと聞いておりますけれども、一千六百万円。これは日本全域をテリトリーとしているということでありますが。

 この五千万円というイーホームズの、ほかに比べると低い資本金で二つの整備区域をまたがるということで、資本金に関連して今回藤田社長が容疑で逮捕されたと聞いておりますけれども、ちょうどこの十月に架空増資をしたのではないかという容疑で逮捕されているんですが、この資本金に関してはどんなやりとりが、都議会議員あるいは藤田社長とあったとすれば教えていただきたいんですが。

山本政府参考人 具体的な報告は受けておりませんけれども、藤田社長がお見えになったときに、当然でございますが、指定要件等についても御説明していると思いますので、法令の定めは説明したと思います。

 都議会議員から電話で問い合わせがあった場合についても、法令の指定の基準について問い合わせがあったということでございますので、仕事の内容に応じて資本金の定めがある旨を説明していると思います。

長妻委員 今回問題になった耐震偽装問題で、特定行政庁も含めて民間確認検査機関も見過ごしたということがございますが、特に数が多いのがイーホームズ。そして、姉歯元一級建築士の国会での答弁によりますと、見ていないんだということで、イーホームズに建築確認の検査を移動していくような、そういう動きもあったというふうに聞いておりまして、そういう意味では、初めにこのイーホームズの指定の時点で、おかしければ指定を見合わせるとか、あるいは地域をかなり限定していくとか、そういうところが国の責任として今問われているというふうに思うわけでございます。

 私が出した質問主意書の答弁書で、伊藤公介議員が国交省に訪問したときの記録で、山本住宅局長の記憶によればということでございますけれども、これは、山本局長の記憶によればどんな話があったというふうに今の時点で覚えておられますか。

山本政府参考人 これは、長妻委員から質問主意書が内閣に対して出されまして、内閣から文書をもって答弁いたしたものでございまして、文書で答弁したとおりでございます。

長妻委員 今の記憶でちょっとお話をいただきたいんですが、文書のとおりと言わないで。

山本政府参考人 伊藤代議士が平成十七年十一月十五日に建築指導課長と面談した後、同日十五時五十分ごろから同局長と面談した際に、同代議士から、この件については、確認検査機関を指定した国にも責任があると思う、居住者の安全確保などが大事だと思うが、国としてどう対応するのかという旨の発言、同局長から、国としては、まずは居住者の安全確保と居住の安定が必要であり、公営住宅等を使った受け入れ等の検討を行っている旨の発言があったとのことであるというとおりでございます。

長妻委員 伊藤議員が、建築確認検査を指定した国にも責任があると。これはイーホームズのことを指していると思うんですが、いいかげんなところを指定するな、こういう趣旨の発言をしている。しかし、この都議会議員というのは、伊藤元国土庁長官が現職のときの秘書官も務めた秘書の方であるということで、非常にちぐはぐな印象を受けるわけでございます。

 この都議会議員は、国交省に訪問をしていると。これは御本人に不利なことですね、その話は。不利なうそをつくのかどうかというのもありますので、ぜひ御本人をお呼びして、国交省のだれにどういうお話をしたのか。そして、二つの地域にまたがったエリアは広過ぎる、こういうアドバイスをしたにもかかわらず、何でそのまま、その後電話が二回あり、イーホームズの藤田社長の説明を受けて、はい、わかりました、こうなってしまったのか。これは、このイーホームズの指定というところも、国の責任というところも非常に大きなテーマでございますので、委員長、これを解明するためにも、都議会議員の参考人の招致をぜひお願いします。

林委員長 再度理事会で協議します。

長妻委員 そして、もう一つ驚くのは、例えばイーホームズの例でいいますと、これを指定するときに、例えばイーホームズの申請書類を私もいただきました。申請書類がありますけれども、大したこと書いておりませんが、これだけを見て、ああ、申請でいいよということで、お配りした資料の三ページ目、この一枚ぺらの紙をイーホームズに出す。そうすると営業ができちゃう。

 簡単だなと思いますが、こういう申請書が出てきて、この中身が本当なのかうそなのか、例えば立ち入りして現地に行くとか、そういうことは一度でもやりましたですか。

山本政府参考人 立入検査につきましては、指定機関が仕事を継続する中で、当時指定をするときに審査をした要件を継続して満たしているかどうかという観点から、年に一回という頻度で行っております。

 御質問の趣旨が、指定時に立入検査をして調べたかという御質問であれば、そういうことは行っておりません。

長妻委員 いや、だから、これは本当に私はとんでもない話だと思います。指定するときに、例えばこの申請書類の中では、何人、人がいるという要件も書いて、八人、七人、五人、五人とかいろいろ書いてあるわけですけれども、これは本当かうそか、会社にも行かない、一度も行ったことない、ただ書類だけ見る。

 そして、実際は、この申請書類に謄本も添付されて、ここで資本金の額五千万円という、これが見せ金だったという容疑でありますけれども、紙に書いてあることを、紙だけで、指定するときが一番大事であると思うんですが、この紙だけで判断して、全く本社にも何にも足も運んでいないということですか。ヒアリングは、藤田社長と何人ぐらいの方をヒアリングしたんですか。

山本政府参考人 必要な審査は、書類で審査をいたします。ヒアリングということではなくて、申請者との窓口でのやりとりはあったと聞いております。

長妻委員 いや、ですから、これだけ重大な、広いエリアで活動する民間確認検査機関、自治体がやっていたものを、特定行政庁がやっていたものを開放する、非常に慎重でなければいけないはずなのに、安易な指定が、ただ紙を見て、一度も会社にも行ったことない、これで全部信用してそのまま判こを押す。しかも、これは賢明な判断だったかもしれません。国交省の係長さんが、おたくちょっと営業範囲の申請が広過ぎるよ、狭くしたら、こういう賢明なアドバイスもなぜか途中でかき消されてしまった。こういう非常に不透明でずさんな指定が行われていると思うんです。

 これは実務面で、今後、指定するときに、やはり省令とか政令とかそういうところで細かい規定が決まっているんでしょうけれども、せめて立入検査をして、そして、この地域、エリアも、エリアが広ければ広いほどある一定の要件を課していく、こういうような考え方をぜひ取り入れていただきたいと思うんですが、いかがですか。

山本政府参考人 法令で定める指定基準を文書によってきちんと審査をするというこの基本の部分は変える考えはございませんけれども、指定が一番肝心であるという御指摘はまことにごもっともでございますので、間違いのないように、きちんと要件を見て確認をして指定をするということに意を用いていきたいと思います。

長妻委員 このイーホームズを指定した責任というか、今から考えればちょっとまずかった、そういう御反省というのは国交省にあるんですか。

山本政府参考人 これは、今回法律の改正案をお願いしている事柄そのものでございますけれども、指定確認機関だけでなく特定行政庁も含めて今回の偽装を見逃したということについて、確認検査事務全体について徹底的に検証して、今回の再発防止策として改正案をお願いしているわけでございます。

 そういう観点から、同じようなことを繰り返しちゃいかぬという認識でございます。

長妻委員 再度、もう一回お尋ねします。

 イーホームズを指定したことはやはり国交省として問題があった、こういう反省というのは今ありますか。立入検査というか、現場も確認しないで、二つのエリアは広過ぎると言ったにもかかわらずこういうふうに指定してしまったことに対して、御反省というのは全くないんですか。問題なかったということなんですか。

山本政府参考人 法令の基準に照らして指定という行政行為を行ったこと自体は、法の求めるところに従って行われたというふうに認識しておりますけれども、そのイーホームズがさまざまな耐震偽装を見逃したということについては、そういうことは二度と起きないように責任を持って対応しなければならないという認識でおります。

長妻委員 今の話というのは、言い方というのは、イーホームズの藤田社長の言い方と似ていますね。いや、法令に違反しないで、見たから問題ないんだと。しかし、現地を確認しちゃいかぬなんという法律はないですよ。指定するときに、現場を確認して、本当にこういう人数がいるのか、営業所が本当に広いエリアにあるのかどうか、現地に行っちゃだめだという法律なんて当然ないですよ。やはり丁寧に現場に足を運んで、国交省の方、現場がこれほどあるのに、本当に霞が関にいる人は現場に足を運んでいるんでしょうか。非常に疑問に思うわけでありますけれども、大臣、イーホームズを指定した責任というのはどうお考えですか。

北側国務大臣 当時は、今住宅局長が申し上げましたように、法令の基準に従って審査がなされ、指定がなされたものというふうに考えております。

 ただ、このようなイーホームズが数多くの偽装物件について見落としてしまったという実態、また、今回強制捜査の事実関係になっております、そもそも資本そのものが偽装であった、偽装といいますか見せ金であったというふうな事実で今強制捜査がなされているわけでございますが、そうしたことを受けまして、結果として、やはり今後こういう指定検査機関の指定要件の強化をしっかりしていかないといけないし、また、指定検査機関に対する立入検査等につきましても強化をしていかねばならないというふうに考えております。

長妻委員 あくまで責任がないということでありますが、これは本当に責任を感じていただかないといけないわけであります。

 そしてもう一点、政治との関係で申し上げますと、これも先日質問で出ましたけれども、ヒューザーの小嶋社長が公明党の区議会議員の方に、娘さんに資金援助をしたということが、週刊朝日の二〇〇六年三月三十一日号に小嶋社長御本人のインタビューということで出ておりまして、区議会議員の方に、娘さんに二千万円か三千万円ぐらい援助されたということで小嶋社長が言われている。この区議会議員の方御本人のインタビューも同じ雑誌に載っておりまして、この区議会議員の方は、小嶋氏が国の建築行政に意見が言いたいから紹介してほしいというのを昨年十一月に話があって、そして参議院議員の秘書にその旨を連絡した、こういうことも報道でございます。

 これは、ほかの複数の報道でも、小嶋氏のインタビューで語られていることでございますけれども、これは大臣、大臣も公明党でございますので、一度、このお金が本当に適正なものなのか、あるいは政治資金規正法上問題があるものなのか、調査をするおつもりというのはありませんか。

北側国務大臣 私が聞いておりますのは、これは本人が受けたものではなくて、たしかこの週刊誌そのものにも、有川氏から言われたのではなくて、娘さん本人から事情を聞いて資金援助したというふうな趣旨のことが書かれておりますけれども、党の方から私が聞いておりますのは、これは、この週刊誌にも書いてありますけれども、本人に対する政治資金ではなくて、ピアノですか、娘さんに対する支援であったというふうに聞いております。(発言する者あり)

長妻委員 いや、これは私は、調査をきちっとされないというのは、逆に、今与党の皆様から何かやじが、くだらないことを質問するなというやじがありましたが、仮に野党の区議会議員がこういう話があったとすると、かなり与党は問題にされるんじゃないでしょうか。こういう二千万、三千万円というお金の話が報道に出て、今大臣もお話しになったように、その娘さん直接の話だから問題ないんだと。しかし、そういうことが普通、常識的に、説得力のある話として受けとめられるのかというと、私は首をかしげるわけであります。

 そして、小嶋氏に頼まれていろいろ動いておられるということも報道ではあるわけでありますので、再度申し上げますけれども、調査をして報告書なりを公明党として、しかも、まさに国土交通省の大臣として、公明党として調査をきちっとするおつもりというのはないんですか。ぜひしていただきたいと思うんですが。

北側国務大臣 党の方がこれまでも適切に判断をしてきたと思いますし、今後とも適切に判断されるというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、そういう調査の報告書なりなんなりというのは、これはもう今つくっておられるということなんですか。

北側国務大臣 私は全く承知しておりません。私が今申し上げたことは、党としては適切にそれぞれ判断して対応しているものというふうに思っております。

長妻委員 これはぜひ、これ以外の問題も本当にないのかどうか、党としても調査をしていただきたいということを強く申し上げておきます。

 そして今度、姉歯氏の報酬の件でございますが、国交省につくっていただいた六ページの資料で、これは私も初めて、姉歯氏の報酬というのは、一部でありますけれども、数字を今回初めて見ました。この六ページの表を説明いただきたいんですが。

山本政府参考人 この資料についての性格についてのお尋ねだと思いますが、この資料は、長妻議員からの要請に基づきまして、千葉県が姉歯建築設計事務所に立入調査をした際に姉歯元建築士から聴取した内容をまとめた報酬額などと、国土交通省が地方公共団体からの報告をもとにまとめました建築主、設計者等を合わせまして作成し、提出したものでございます。

長妻委員 これによりますと、姉歯氏の報酬は、サン中央ホームという会社が建築主の船橋市にあります十階建ての賃貸マンション、五十九戸ある、床面積が一千三百八十一平方メートル、これの構造図、構造計算の報酬が百二十万円。そしてもう一点、これも船橋市にあります九階建ての賃貸マンション、五十九戸、床面積が一千七百六十三平方メートル、これの構造図あるいは構造計算の報酬が、姉歯氏に入ったのが八十万円。こういうことが見てとれるわけでありますが、この報酬というのは安い、あるいは高い、どういうふうに御感想をお持ちですか。

山本政府参考人 報酬額が高いか低いかという点でございますが、これは姉歯元建築士が相手方と契約を結んで報酬額を定めております。国土交通省におきまして、民間の設計監理報酬の標準的な額などについていろいろな情報を整理しておりません。また、実際に当該建築物の建築に当たって姉歯元建築士が果たした業務の量がどの程度であったかということについても不明な点がございます。

 したがって、一概に申し上げることはできないわけでございますが、今回、資料にございます姉歯元建築士の報酬額について、社団法人の日本建築構造技術者協会に照会いたしました。この二物件とも、通常の業務を前提に、通常の業務を想定した場合の構造設計料の目安よりは低目であるという見解を同協会からいただいているところでございます。

長妻委員 私どもも試算をしてみました。七ページ、八ページに、これはいろいろな前提条件がありますので、三つの前提条件に分けましたが、きのうちょうど参考人で日本建築家協会の小倉会長が来ていただいたときに、構造のフィーは設計料全体の一五%程度だ、こういう御答弁がありました。

 いろいろな試算がありますが、我々の計算では、一応低く出ている計算では姉歯氏の報酬が設計料全体の六・九%、高いものでは一九・一%、これは船橋市の湊町のビルでございますが。船橋市の中央ビルに関しては、一番低い前提条件のケースでは三・六%、高いケースでも一〇・〇%ということで、この二番目の中央ビルに関しては、かなり低いのではないかというふうな印象を持っております。

 やはり我々が主張しているとおり、非常に立場的に構造設計士は弱い立場にある、そして価格もかなり低目設定にせざるを得ないということを私も感じるわけでございます。

 そして、これは九ページでございますけれども、日経アーキテクチュアという雑誌が非常に興味深いアンケートをしております。

 このアンケートではいろいろなことがわかりますけれども、法令に違反しても構わないとの指示を関係者から受けたことがありますかと。有効回答数が五百六十七人のうち、あると答えた方が百四十九人、二六・三%。だれから法令に違反しても構わないという指示を受けたのかということを聞くと、建築主から受けたんだという方が七四・五%、上司から受けた一一・四%、建設会社から受けた一〇・一%。そして、これが非常に驚いたんですが、これまで大小にかかわらず、確認申請図書の偽造、偽装をしたことがありますか、ある一二・七%、七十二人の方が答えておられる。こういう情報、データもございます。

 この十一ページにございますが、建築士法の十八条の四項にはすばらしいことが書いてあるんです、今の法律で。「建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」こういうことが書いてあるんですが、これは、施工者と建築主が同じ場合も日本ではある、あるいは建築主の下請的に設計士がなっている場合もあるということで、非常にすばらしい理想ではありますが、現実が全く乖離している。

 これを実効性あらしめるためにはどうしたらいいというふうに大臣は思われますか。

北側国務大臣 私は、今回の事件を通して感じていることの一つに、やはり建築士の方々の一つは独立性、そういうものをしっかり確保していけるような、そういう制度にしていかねばならないのではないか。

 また、建築士の方々といってもさまざまな方がいらっしゃいます。本当に有名な建築士の方々から、構造や設備に携わる本当に下請をされていらっしゃる建築士の方々まで、さまざまいらっしゃるわけでございますが、そういう建築士の方々の一つは責任関係を明確にしていくとともに、やはりそういう方々の地位をきちんと確保していくような制度をつくっていく必要があるんじゃないか。

 それをしていかないと、その独立性を確保していくといってもなかなかできないわけでございまして、制度的に建築士の方々の独立性を確保できるようにしていく必要がある。また、実態としても、責任関係を明確にするとともに、その地位をきちんと確保していくような制度に見直しをしていく必要があるのではないかというふうに私は考えております。

長妻委員 私も、今言われたことが一番重要なことじゃないかと。厳しくするというのも、いろいろ確認検査を厳しくする、これも必要でしょうけれども、限界がありますので、今言われたことが最も重要だと私は思いますが、今回の政府案にはそれは入っていないというふうに思うんです。これは秋にまた出されるということですけれども。

 今回の政府案、これは秋には必ず、どういう案を出されるんですか。本当は、我々民主党案は、もう今の時点ですべて我々が検討して、もう時間は猶予ないということですべてを出しているわけでありますけれども、非常に細切れ的な形で出されると、この二つの案を比較してきちっと議論するということが非常にできにくい今状況になっていると思うんですが、秋に出される案はこれを出すんだというのを、確定しているものをぜひ教えていただきたいんですが。

山本政府参考人 社会資本整備審議会の中間報告で、建築士制度についての課題を整理しました上で、引き続き検討を進めていくべきだとされております。

 建築士の課題につきましては、基本的には、仕事が非常に高度化する、技術も進展するということで、次第に専門分化が進んでいるということで、構造設計あるいは設備設計を担当する建築士が分野別の設計図書を作成して、それで必要な調整を行った上で設計図書というのはでき上がっているという実態にかんがみて、専門分野別の建築士の制度をどういうふうにするかといったような課題でございますね。

 それから、今御指摘いただきました課題、重層的な業務体制の中で、構造設計とか設備設計を担当する建築士が契約上弱い立場にある、十分な報酬が得られないといったような問題もある、対外的に設計への関与が明確になっていない、責任の分担があいまいになっているといったような課題が指摘されておりまして、これを解決するために、引き続き検討すべき課題として、今言いました専門分野別の資格制度それから報酬基準の見直しといったような課題が掲げられているところでございます。

長妻委員 非常に政府、これだけ現場はもう大変な状態になっておりますのにいまだに検討しているというのは、私はちょっと信じられない話でありますので、これはうやむやにならないように検討はしないといけないんですが、いずれにしても、これは遅いと思います。

 そしてもう一つ、政府が、国交省が建築士の実態をほとんど把握していないんじゃないか、これまで把握を怠っていたんじゃないかということでありますが、建築士というのは今現在何人いらっしゃって、実際にそういう仕事をされている方は何人おられるんですか。

山本政府参考人 昨年度末、十八年三月三十一日現在で、建築士の登録者数でございますが、一級建築士は三十二万二千二百四十八名、二級建築士は六十九万二千九百六十八名、木造建築士は一万四千九百五十名となっておりますが、御指摘いただきましたように、実際にどういうところでどういう仕事をしているかということについては、私どもこれまで把握できておりません。

長妻委員 いや、把握できていないというのは、本当にそれでいいのかと思うんですが。

 いろいろな数字があります。活動中の設計士は六十万人ぐらいだ。しかし、その中で、設計、工事監理を行っている建築士は全体の三割程度じゃないか、残りは事務手続等その他業務をされているんじゃないか。あるいは、資格のダブりもわからない。一級建築士でかつ二級の人が何人いるのか。今のを単純に足し算すると百一万人になりますけれども、そういうダブりもわからないということです。

 そして、本来は、構造設計に携わっている人は何人いるのかということも重要だと思うんですが、大体の人数はわかるんですか、構造設計に携わっている人は。

山本政府参考人 かねて、建築士の団体と協力をいたしまして、業務の実態調査を行ったことがございます。それによりますと、一級建築士の従事業務の内訳といたしまして、構造設計を行っている建築士は約四%とされております。したがいまして、一級建築士である構造設計者は、数字でいいますとおおよそ一万人程度と推定しております。

長妻委員 非常に何か大ざっぱというか、例えば建設会社の構造部門で働いている構造設計士というのは、大体どのくらいおられると思いますか。

山本政府参考人 御指摘いただきました構造を専門とする仕事をする建築士が構造設計事務所にいるのか、あるいは総合設計事務所にいるのか、あるいはゼネコンで仕事をしているのかといったことについて、詳細は把握しておりません。

長妻委員 これは、大臣、調査するおつもりはないですか。掌握しないと、実態がわからないと思うんですが。

北側国務大臣 建築士が実際にどこで業務を行っているのか等々、建築士の実態を把握するということはやはり重要であるというふうに私も認識をしております。

 今回の改正案におきましては、建築士事務所の開設者に、事業年度ごとに、事務所の業務実績の概要と所属建築士の氏名、当該年度の実績等について記載した設計等の業務に関する報告書を毎年度作成していただいて、都道府県知事に提出させるということにさせていただいております。これによって、その報告書等から相当、数等々につきましても掌握できるかというふうに思います。

 さらに、弁護士会とか税理士会とか、他のいろいろな会があります。本来は、そういう会、建築士会、建築士事務所会ですか、そういう職域団体の方で掌握をしていくということも私は重要ではないかというふうに思っているところでございます。

長妻委員 いや、本当に、言われた政府の法案では不十分でありまして、我々は、建築士は全員が加入する建築士の会をつくる、そこできちっと掌握できるようにする、これは地位を上げるためにも役立ちます。弁護士や公認会計士、税理士もそのとおりで、彼らも無限責任があるし、株式会社はつくれません、弁護士、税理士、公認会計士等々も。

 そういう意味で、大手資本あるいはゼネコンや建築主、ディベロッパーから下請的な関係にならないように、そういう形をとるというのが喫緊の課題なんですが、なぜか政府はなかなか腰を上げない。これはもうかなり大きな改革をしないと、これだけ大変な事態ですから、皆さんはいろいろ、そんなことはできっこないとかなんとかとか批判をされますが、それほどきちっとしたことをやらないと、ただ小手先の政府案みたいなことをやっていても問題先送りにすぎない。

 そして、この十三ページ目、現状の行政の問題点も御指摘申し上げますけれども、今現在、建築基準法の是正命令を受けて一年以上応じていない事例というのは何例ぐらい掌握していますか。

山本政府参考人 平成十三年度から平成十七年度までの間に、建築基準法上の是正命令を受けて一年以上応じていない建築物の総数は二百六十九件となっております。

長妻委員 そのうち、構造耐力、つまり、今回耐震偽装等々で言われた構造耐力に関する違反、これを是正命令を受けているのに一年以上応じていない事例は何例ぐらいありますか。

山本政府参考人 二百六十九件のうち、構造耐力に関する違反は三十件となっております。

長妻委員 ですから、こういう非常に、命令しても、その前段でも多分指導とかあるんでしょうけれども、構造耐力だけでも三十件もある。

 そして、この十三ページには、マンションだけピックアップしていただきましたけれども、六件、構造耐力上、是正命令を受けて是正しない。例えば川口市の三階建ての共同住宅は、三年十一カ月も、命令してまだ是正をしていないということでございまして、きちっと是正命令に従わないときは代執行とか告発とか、そういう手続があるんですが、なかなか行政は及び腰だ。

 十四ページに告発件数がありますけれども、平成十六年はたった三件だけ。代執行の手続をとった件数は、平成十六年は、実行件数でいえばこれも三件だけということで、これは消防法の議論のときも、歌舞伎町の雑居ビルで火災が出たときに、もう消防法の是正命令を出しても全然聞かないというか、是正命令すら出さないということで、雑居ビル問題が大変大きな問題になって、その後一定の改善は見られたんですが、同じ構造が、この命令、建築基準法違反に対しても、言葉は悪いですけれども、野放し的な状態になっているというふうに思うんですが、これは、大臣、国としてどんな対策を講じますか。

北側国務大臣 こういう違反建築物に対する対策というのは大変重要であると思っております。

 これまで、違反是正につきましては、当然のことでございますが、これは行政庁の方で主に対応をしてきているところでございます。警察機関との連携、また消防機関との連携というのも大事だと思っております。警察機関との連携を実施していくためのマニュアルを平成十四年に取りまとめたり、また、消防機関等の職員と合同で立入検査を実施して是正指導を行っていくためのマニュアルを作成したり、こうしたものを各都道府県に周知をしてきているところでございます。

 今回の改正におきましては、工事施工停止命令違反に対する罰則の強化をするなどしているところでございます。

 今後とも、消防、警察等の関係機関、また地方公共団体とよく連携をとりまして、違反建築物の是正対策をしっかりと推進させていただきたいと考えております。

長妻委員 なかなか本当に実効性が上がるのかと思ってしまう答弁でございましたけれども、ぜひよろしくお願いいたします。大きな事故が起こる前に、きちっとした措置をとっていただきたいというふうにも思います。

 そしてもう一点、最後十五ページに、これは我が党の法案が通ればこういうマンションの広告が町に出回るという事例でございますけれども、建物が保険に、売り主が保険に入っているかどうか、このあるなし、ない場合でも、ないと。文字の大きさも例えば十四ポイントとか、けい線で囲むとか、これも省令等で指定をするということで、非常にわかりやすく、見えやすくしているわけでございますが、これについて、大臣、こういうことは必要だ、あるいはこれは問題か、だめだというのか、どちらでございますか。

北側国務大臣 広告については、広告の義務づけを民主党案ではなされているというのは承知をしているところでございますが、一つは、広告をするかどうかというのを義務づけするということが果たしてどうなのか。今、任意でございますね。また、広告の仕方も、いろいろな広告の仕方もございます。さらには、請負建築の場合には、そもそもその時点ではだれが注文者であるか等々、建物の形態等もまだ明確でないわけですね。そうした問題点があるのではないかというふうに思っております。

 ただ、消費者の方々、住宅を取得しようとする方々に、やはり保険に入っているのかどうかということは非常に大事な情報でございます。買うかどうか、購入するかどうかを選択する際の非常に重要な動機づけになるというふうに私も考えておりますから、今回の改正でも、宅建業者等に対して、売買の際に、そうした保険に加入しているかどうか、その有無、加入している場合にはその内容をきちんと告知していくということは義務づけをさせていただいているところでございます。

 いずれにしましても、そうした保険に入っているかどうか、また、そもそも施工業者また売り主等がそうした責任を、瑕疵担保責任なら瑕疵担保責任をしっかり実行できるような、そういう責任を果たせ得るのかどうかということにかかわる情報について、きちんと消費者、住宅取得者の方々が知ることができるような体制はしっかり整えていく必要がある。そのために今回、法改正では、売買契約の際に告知義務ありというふうにさせていただいたところでございます。

長妻委員 最後に一点でございますけれども、これは我が党の案で、大臣が記者会見で、民間確認検査機関が検査した確認済証も特定行政庁の判こが必要だという我が党案に、多分率直に申し上げて特定行政庁は嫌がると思いますねということで、いや、私も嫌がる可能性もあると思います。

 しかし、これから、御存じのように中間検査も、政府案でも一定の規模以上義務づけ、我が党案はすべて義務づけでございますが、膨大な安全確認の仕事というのが建築関係で生じてきますし、これはしなければいけない最低限レベルが増加すると認識しております。特定行政庁は、もうどんどん民間に建築確認の実務は移っていかざるを得ない状況になる。

 ある市では、もうかなりの部分が民間、その市のエリアは民間で、市はある程度それを監督するような、そういう位置づけになっていることも聞いておりまして、現実問題としては、特定行政庁はもう民間確認検査機関を、特定行政庁に専門家、一定の人間を置いて指導監督するような、そういう位置づけに実態としてはなっていくんではないか。そのときに手綱まで手放してしまうと、これは何か非常に不自然な形、短い確認とか、あるいはいろいろな内部の告発等々が入った場合、きちっとそれを一たんとめて確認指導をする実効性が出てこない、こういう趣旨でこの制度を提唱しております。

 これから、野方図に、どんどんまた民間確認検査機関が実際必要になってくると思います。申請もどんどんふえてくると思います。第三者のピアチェックというのもございますので、そういう意味で、ぜひこれを御理解いただきたいと思うんですが、大臣、これに対して、前向きに導入というか、そういうことはどうですか。

林委員長 北側大臣、時間ですので簡明にお願いします。

北側国務大臣 特定行政庁と指定確認検査機関との関係をどう考えていくのかというのは非常に大事な課題であると認識をしておりまして、今回の改正法案におきましても、特定行政庁による立入検査の導入等々、さまざまな特定行政庁の監督権限の強化を規定させていただいたところでございます。

 特定行政庁の側も、このことについては非常に関心を持っております。ぜひ、特定行政庁が指定確認検査機関の確認行為につきましてもしっかりチェックができるような、そういう体制はつくっていく必要があると考えております。

長妻委員 以上です。ありがとうございました。

林委員長 田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久でございます。

 質問に入らせていただきますが、ちょっと質問が多うございまして、三十分ですべて質問できるかどうかわかりません。もしかしたら途中で抜ける質問が幾つかあるかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。

 今回のこの法改正でありますが、耐震強度偽装の事件に端を発して、二度とああいうような事件が起こらないように、もちろん、何が起こるかわからない世の中でありますから、すべてがすべてチェックできるかどうかという問題はありますが、しかし、それにしても悲しいのは、性善説に立っていた今までの制度、それがいいか悪いのかは別でありますが、性悪説に立っていかなきゃならなくなってしまった。そんな時代に入ってしまったことに、私自身、大変残念に思うわけであります。

 だれが一番悪かったのかというのは、これはそれぞれの役割分担をされた方々、それぞれ責任があったと思います。ただ、発端であるのはやはり姉歯建築士、国家資格を持った彼が、みずからの責任でありますとかプライド、また良識というものを全く捨ててこのようなことをしてしまった。これがなければ今回の事件はなかったわけでありますが、一方で、経済設計というような一つの流れの中でこういうようなことが起こってきたというのも、ある意味、必然とは言いませんけれども、流れの中で予測ができたことかもわかりません。

 そういう中で、もちろん姉歯建築士がやった今回の構造計算の偽装でありますが、これをチェックできなかった、これは大きな課題であると思います。指定確認検査機関、ここがしっかりとチェックしておればこの事件は未然に防げたわけであります。そこで、改正法の第七十七条の三十五の二に基づきまして、構造計算適合性判定機関、これを指定していくということになってきたわけでありますが、構造基準への適合性の判定、判断、これは、本来ならば指定確認検査機関がしっかりやれば問題はないといいますか、チェックできるはずであります。それゆえに、屋上屋を重ねるというような議論が全くないわけではありません。

 ただ、今回の事件、これをしっかりと防ぐためにというような意味合いで多分こういうような新しい制度を導入するということになったんだろうと思いますが、まずは、このような制度を導入することになった理由、どのような形でこれをしっかりとチェックを入れていくのか、このことに関しましてお答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 今回の偽装事件の偽装の内容でございますけれども、単純な差しかえを行ったというものだけでなく、コンピューターの計算途中の数値など出力結果の一部を巧妙に修正したものまで、非常に多岐にわたっております。

 しかしながら、これまで、指定確認検査機関などによる審査は、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物については、構造計算書の分量も非常に膨大にわたっております。ポイントを絞って要所要所をチェックしてきたというのが実態でございまして、単純な差しかえなどについては適切に審査を行えば発見することは可能であったわけでございますけれども、巧妙な改ざんについてはこれを発見することが困難であったというふうに考えているわけでございます。

 これらの巧妙な改ざんを含めまして、偽装を漏れなく発見しようというふうにしようとすれば、現在行われております審査に加えて、構造計算の過程などの詳細な審査あるいは再計算を行う必要があるわけでございますが、指定確認機関の資格者、あるいは特定行政庁でいえば建築主事においてこれを行うということになりますと、人員とか技術力とか限界があるわけでございまして、現行の審査体制では実質的には困難であると判断しているわけでございます。

 このために、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物の構造計算の適合性を的確に審査するためには、建築主事等が行う審査に加えて、第三者機関において一定の技術力を有する者が構造計算の過程等の審査や再計算を実施することによって、その適法性のチェックを行う体制を整備する必要があると考えまして、今回の法改正をお願いしたところでございます。

田村(憲)委員 この適合性判定機関でありますが、それはどういうところをイメージしているのか、どういう機関をイメージしているのか。ぱっと思うところは、指定確認検査機関、こういうところもこれに当てはまるのかなというふうなイメージがあるわけです。どういうところをイメージしてこの判定機関というものを指定していく御予定ですか。

山本政府参考人 指定構造計算適合性判定機関でございますけれども、構造計算の審査を専門的に行う公正中立な第三者機関でなければならないわけでございまして、実際に審査をしていただく専門家としては、大学の研究者、それから構造設計実務者、十年以上実務を経験した方、そういった方を構造計算適合性判定員として選任して、構造計算の過程等について詳細に審査をしていただくということを考えております。

 指定は都道府県によって行われます。私どもとしては、各都道府県には少なくとも一機関は指定していただく必要があると考えているわけでございますけれども、その際、具体的に想定される機関としましては、都道府県が建築住宅センターを持っております。東京ですと財団法人の東京都防災・建築まちづくりセンターがございます。それから、大阪でも財団法人大阪建築防災センター。兵庫県ですと財団法人兵庫県住宅建築総合センターといった組織がありますので、そういったところを念頭に置いているところでございます。

田村(憲)委員 わかりました。現在あるような指定確認検査機関ではなくて、もうちょっと公的な機関が担うという話であったというふうに理解をいたしました。

 七十七条の三十五の七の規定におきまして、これを判定する、今お話ありました構造計算適合性判定員を決めるわけでありますが、要件は省令で多分決めてこられるんだろうと思います。指定確認検査機関の確認検査員、この方々が有する資格、建築基準適合性判定資格者、これとはその要件においてどのような差異を今設けようと思われておられるのか、お願いいたします。

山本政府参考人 構造計算適合性判定員でございますけれども、建築に関する専門的な知識、技術を有する者として、お見込みのとおり、その要件を国土交通省令で定めることを考えております。

 具体的な要件といたしましては、例えば、大学あるいは高等専門学校で建築構造の科目を担当する教授または助教授、もしくはその職にあった者であるとか、あるいは、建築構造分野の試験研究機関において試験研究の業務に従事し、あるいは従事した経験を有する者で、これらの分野について高度の専門知識を有する者、さらには、建築構造設計に関して十年以上の実務の経験を有する者あるいは専門的な知識を有する者、これは社団法人の日本建築構造技術者協会の建築構造士などを想定しておりますけれども、こういった方々を構造計算適合性判定員に選任することを考えておりまして、性格上、特別な試験等は実施いたしませんけれども、建築構造に関する専門的な知識、技術、実務経験を求めることで審査能力を担保したいと考えております。

 今お尋ねのありました指定確認検査機関の確認検査員の要件でございますけれども、これは、一級建築士試験に合格した者で確認検査の審査業務に二年以上の実務経験を有する者から、国土交通大臣が行う検定に合格した者としておりますので、その点異なっております。

田村(憲)委員 構造計算の専門家といいますか、少なくとも指定確認検査機関の検査員よりかははるかに、この分野に関してはすぐれた能力を持たれた方々がしっかりとチェックを入れるということで理解いたしました。

 続きまして、指定確認検査機関の業務の適正化についてお聞かせいただきたいと思うんですが、七十七条の二十におきまして、指定確認検査機関の指定基準として、今回新たに、経理的基礎の要件、また公正中立要件、人員体制の要件、これを強化するというような形でつけ加わってきておるわけでありますけれども、具体的にどのような強化を図るおつもりですか。

山本政府参考人 七十七条の二十の指定要件の強化に具体的にどういうふうに取り組むかという点でございますが、まず、確認検査員の人数の基準でございますが、より正確に業務の実施能力を把握できますように、機関の確認検査員のうち中核的に業務を行う者である常勤職員を数えるということとする、あわせて、その必要な人数の引き上げを行いたいと考えております。

 それから、もう一点の経理的基礎の基準でございますが、経営の安定を確保して申請者を保護するという観点から、指定確認検査機関の財産の評価額について新たに法律で規定をいたしまして、資本金等の額、それから、業務に関して生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するために、資本金等の額あるいは保険契約を、損害賠償保険でございますが、保険契約を締結している場合における保険金額等を最高百億円程度まで引き上げることを考えております。

田村(憲)委員 経理的基礎でありますけれども、今、賠償能力というのがありました。保険という話もありましたが、保険は、どういうものをカバーするかというのはその保険によって違うんであろうと思いますけれども、今回のような、それぞれイーホームズでありますとかERI等々、集中的にいろいろな問題が起こったところの賠償能力というのはかなり問われるわけですね。この賠償能力というのは大体どれぐらいのオーダーを今お考えなんですか。

山本政府参考人 現行の資本金とか賠償保険の金額の上限は、かつて特定行政庁だけが建築確認をやっていた時代に、その建築確認事務の瑕疵のために損害賠償を求められたような事例を集積しまして、一定の目安を求めていたわけでございますけれども、今回の事案を前提に、ここはまだ最終的に意思決定しているわけではありませんけれども、おっしゃったように、特定の機関に集中的に問題事例が発生するようなケースも考えた上で、一番取扱件数が多い指定機関については最高百億円程度まで引き上げたいと考えているところでございます。

田村(憲)委員 しっかりした賠償能力というものを一つの基準にしていただきたいというふうに思います。

 今回この法律で新たに指定される機関に関してはこういうような体制の強化を義務づけるという話になりますが、既存の指定確認検査機関に関しては、これは現行法のままですよね。新たな法律がひっかかるということはないんだろうというふうに思うんですが、そうなってきた場合、ダブルスタンダードではないですけれども、現行、今指定されている機関に関しては、今までの基準によって指定されてきたわけでありますから、いろいろな意味で、体制的には、不備があるとは言いませんけれども、非常に弱い。

 当分の間ここが中心でやはりいろいろなものを確認検査していくわけでありますから、ここが結局、当分といいますか、こういう事件が起こったすぐですから、そんな極端なことはないだろうと思いますが、それにいたしましても、のど元過ぎれば熱さ忘れるというわけじゃありませんが、また経済性に走ってしまうところが出てこないとも限らない。そういう現行あるような指定確認検査機関に対して、省としてこれからどのような指導、対応をしていくおつもりですか。

    〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕

山本政府参考人 今回の法改正で指定基準を強化していただきますけれども、これにつきましては法律の附則で経過措置を措置していただいておりまして、施行後一年を経過するまでの間は、現行法に基づき指定された指定確認検査機関に対して改正法に規定する新しい指定基準は適用しないということにしております、一年間は。

 これは、しかし、当該機関はこの一年間に新しい基準を満たすように努力してくれという趣旨でございます。したがいまして、一年間に新たな基準をきちんと満たすように努力をして、満たしたことについての報告を求めようと思います。一年を経過して満たしていなければ、これは法令上基準を満たしていないわけでございますので、指定の取り消し等の処分を行うことになります。

田村(憲)委員 一年ということでありますけれども、この一年間に不備が起こらないように、これはしっかりとした対応をお願いいたしたいというふうに思います。

 立入検査というものを、立入権というものを今回改正の中に入れられたわけでありますけれども、指定確認検査機関に対する立入調査は今までもやっていなかったわけではないですよね。それが十分でなかったということで、さらに今回強化をされた。もちろん中身が変わらなかったらこれは意味がないわけでありまして、立入検査の内容等々、かなり厳しく、検査項目等々もふやされるんだろうと思うんですが、この具体的なイメージはどういうイメージですか。

山本政府参考人 従来の立入検査でございますけれども、毎年度定期報告を民間機関から受けました上で、年一回程度、数名の検査員が事務所に立ち入りまして、事業計画とか業務実績に応じた確認検査員、補助員が確保されているかどうか、それから事業収支とか基本財産の状況はどのようになっているか、それから役員とか確認検査員等の兼業の状況、そういったことについて、指定確認検査機関の指定の要件がその後も的確に堅持されているかどうかという観点から検査をしてまいりました。

 こういう定期立入検査のほかにも、指定確認検査機関による重大な違反が発生した場合とか、あるいは通報、内部告発みたいなものがあった場合には、直ちに緊急の立入検査を実施してきたところでございます。

 今回の改正案では、確認検査機関に対する個別の確認の事務について的確にやはり見なきゃいかぬということが非常に大事でございますので、特定行政庁の指導監督権限を抜本的に見直しまして、この強化を図ることとしております。

 具体的には、特定行政庁が個別具体の確認事務に関連して指定機関に立入検査ができる、それから、その際特定行政庁が不適当な行為を発見した場合は、指定した者、大臣とか知事に報告をして、報告に基づいて指定権者が監督処分をするといったようなことを考えております。それから、指定確認検査機関が確認をしたりあるいは中間検査の事務を行ったとき、その概要について特定行政庁に報告する中身を充実させるといったようなことを措置、お願いしているわけです。

 それから、具体的な立入検査の実務でございますが、今回の事案の教訓をきちんと踏まえて将来的確にやりたいという観点から、住宅局に検査機関等に対する立入検査検討会というものを設置いたしました。ここでいろいろな実務経験者、学識経験者の意見もいただきながら、立入検査時における検査内容あるいは検査体制について抜本的に見直して、きちんとやっていきたいと考えております。

田村(憲)委員 ちょっと質問を二問ほど飛ばさせていただきますけれども、工事監理の適正化についてお伺いをいたしたいと思うんです。

 今回の改正案でありますが、建築確認検査、こういうものの厳格化を行うことがメーンになってきておりますが、一方で、問題のある建物、施工業者が手抜きをするということも十分にあり得るわけですね、こういう事例も。もちろん、中間検査の一部義務づけ等々、完了検査の強化、こういうもので、こういうものをある程度チェックはできるんだと思うんですが、そもそも設計図書どおりに行われない工事、施工業者がそういうような手抜きをする場合、これをチェックしようと思いますと、当然のごとく工事監理をしっかりやらなきゃならぬわけでありますね。

 これは多分、社会資本整備審議会の建築分科会においてもこういう議論がなされてきておるんであろうというふうに思いますが、今回の事件に限らず、こちら側の問題建築物もあるんではないかというふうに思われます。いや、これからまた起こるんじゃないか、こういう危惧も持たれます。今、分科会でどういう議論がなされておるんですか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたように、工事監理の業務は建築物の品質を確保するという上で非常に重要な業務でございますので、これが適正に行われることが大切なことだと考えております。

 工事監理業務の適正化の課題につきましては、分科会の中間報告の中で、まず何よりも工事監理業務の中身を明確に示すということが非常に大事だ、工事監理業務の内容を明確化することを検討するということ、それからさらに、工事監理業務の適正化の一つの方法として、工事施工者と利害関係のない第三者の建築士による工事監理を義務づけることについて、その必要性あるいは実効性について検討する必要があると御指摘をいただいておりまして、これは今御検討いただいている最中でございますけれども、夏までに結論をいただき、所要の見直しを行いたいと考えております。

田村(憲)委員 こちらも大変重要なところでございますので、ぜひともしっかりとした見直しを行っていただきたいというふうに思います。

 保険の件に関してちょっとお聞きをいたしたいと思うんですけれども、住宅の売り主や請負人の瑕疵担保責任の確実な履行を確保するという意味から、保険への加入を義務づけるという議論も以前ありました。民主党さんもたしか、以前そういうようなことを政府の方に要望されておられたんだろうというふうに思います。

 一方で、先ほどの建築分科会でありますけれども、こちらで、中間報告の中で、たしか、保険というものの経済性といいますか設計の中において、重過失でありますとか、悪意、故意でやられたものに関してそもそも保険というものがなじむのかどうかという議論もなされたやに聞いております。

 確かに、保険というものを設計するときにそういうものまでは基本的に見ないというものが多うございまして、なかなかこれは難しいのかなという気もいたしますが、今回、政府案の中においても、これは宅建業者ですよね、これが契約を結ぶ前に一応有無を示さなきゃならないという話が入っております。

 そもそも、この保険の設計、どこまで保険に入れるのか、つまり、どこまで補償されるのかというものを基本的に今どう考えておられるのかということをしっかりしておきませんと、例えば保険に加入したということを表示した後、実は今回の例の耐震強度偽装のような案件は保険からおりないという話になりますと、これは保険に入っているから安心だということで購入された方々が、何だ、結局一緒じゃないか、だめじゃないか、こういう話になりかねないんですね。

 これは政府案の中に入っていますので、こういうものが含まれるのか、含まれないのか。今どういう形で検討をしておるのかというのは国民にしっかりと開示をしていきませんと、誤解が生まれる、混乱が生まれてくるんだと私は思うんですよ。今検討されているこの保険というもの、どういうようなところまで含めるおつもり、そういうものを設計するということを基本的に念頭に置きながら議論をされておられるのか、ここをお聞かせください。

山本政府参考人 まず、政府案との関係ではっきりしておりますのは、現行の損害賠償保険は、故意、重過失であれば損害は補てんされませんので、それははっきりしておりますので、現行の保険制度に加入しているかどうかということについて、あらかじめ重要事項としてきちんと説明をするということを義務づけるわけでございます。

 それから、政府の研究会でどういう事柄を研究しているかということでございますが、住宅の瑕疵担保責任の履行を担保する手段として保険制度がどうあったらいいかということを基本的に検討いたします。その検討する中で、検討課題の一つとして、故意または重過失に起因する瑕疵による損害についてどういう対応が可能なのか、対応の可能性についても研究会の中で検討するということになっております。

 検討を尽くした上で、最終的に結論が出ますれば措置していくことになるんですけれども、その際、御指摘いただきましたように、保険の性格から、保険制度の中でこれに対応するということはそんなに容易ではございませんので、そのことをきちんと整理した上で、整理した結果についても周知を図る必要があると考えております。

田村(憲)委員 ここのメッセージを間違えますと大変なことになっちゃいますので、国民は多分、今回のような案件でも保険でカバーされるのではないかというような誤解を招くおそれがあります。そこはちゃんとしたメッセージを出していただきたいと思います。

 時間が残り少なくなってまいりましたが、民主党さんの方にも御質問させていただきたいと思います。

 先ほど、民主党さんはたしか、政府に対してすべて保険の加入義務というようなことを要望されたというふうにお話をさせていただきましたが、今回の法律案にはそこは入っておりませんよね。これはどういう経緯で今回法律には盛り込まれなくなったのか、ここをお聞かせいただけますでしょうか。

小宮山(泰)議員 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、民主党も、昨年十二月六日に総理官邸を訪れて、耐震強度偽装問題に対する申し入れを行っております。もちろん、建築主への保険加入義務についても政府に検討するように申し入れを行ったところでございます。また一方で、民主党内におきましても、保険の専門家からヒアリングを行うなど、保険のあり方について検討を進めてまいりました。

 結果として、強制加入とした場合でございますけれども、悪徳業者についても保険加入が行われることとなり、保険料負担の点で優良業者と負担の不公平が起こりかねないことと、保険料を一律とした場合、モラルハザードが起こりかねないということ、また、三点目になりますけれども、政府再保険などコスト増ということと制度の肥大化が避けられないということなどの理由から、強制保険とすることはかなり困難であるという判断をいたしました。

 そこで、私どもは、保険加入の有無をきちんと表示させ、購入者の選択を促す方法を考えさせていただきました。ただし、契約時に説明させる方式では不十分で効果が得られないのではないかということを考え、特に、不動産購入というものに関しては、何度も何度も打ち合わせをして、話を聞いて購入の決意に至るということを考えますと、やはり最初の時点でこの条件というものを知っているということが重要なんだと考えております。

 そこで、初期の段階でということですので、民主党では、広告の段階で、住宅の品質確保の促進等に関する法律第六条一項及び三項に規定する設計住宅性能評価書及び建設住宅性能評価書の有無、また、同法に基づく瑕疵担保責任の履行に関する保険の有無について記載させることとさせていただいております。

 保険加入のことですけれども、もう一点だけつけ加えますと、任意ですので、悪徳業者の関係も保険加入を断れますので、大変有効だと思っております。

田村(憲)委員 時間がやってまいりましたので、最後、質問をして終わりにさせていただきたいと思いますが、民主党案は、今お話がありましたとおり、売買広告に保険の有無を表示する、義務づけるというお話がございました。広告という話になりますと、多分、新築のマンションが竣工する前、早い段階でこれを出す、義務づけるという話になるんだろうと思います。

 保険の設計を考えましたときに、ある程度の計画は立っているにしても、まだ建つ前のものに対して果たして保険というものを設計できるかな、なかなかこの点は難しいんだろうなと思うんですね。すると、これは、すべてがすべて、いや、ほとんどが、表示するときに保険はついていませんということになる可能性がありますよね。そもそも保険が設計されないんですから、それを保険があるとかないとか書けませんよね。保険契約を結べないんですから、保険会社の方も。

 要するに、これはどういうような建物で、竣工して動き出せばある程度わかりますけれども、そうじゃない間に保険を設計しづらい。すると、保険の表示はなしばかりになると、これは実際問題、販売業者は誤解を受けますね。要するに、何かすべてこれは保険がついてないんだから不良物件だなんというような、そういうようなことを感じられる、消費者にそういうような印象を与える可能性がある。

 ここはどういうふうに考えられてこの法律をお出しになっておられるのか、ちょっと詳細をお聞かせいただければありがたい。言っている意味はわかりますか。

中野(正)委員長代理 質疑時間が終了いたしておりますので、簡明にお願いいたします。

森本議員 簡単にお答えをさせていただきます。

 現在でも、共同住宅の場合は一・一、戸建ての場合は例えば二八とか、表示されておるのと、できるのとかは、今のところ保険に加入されているところはあるわけですね。ですから、保険にやはり加入されているか、その有無については、消費者の側に立ったら、極めて、それを表示するということは当然大事なことだというふうに私どもは感じさせていただいておるわけでございます。

 ですから、このことについては、ある面では政府案でも同じような心配が起こるんじゃないかな、そのように認識をさせていただいておるんです。

中野(正)委員長代理 質疑時間が終了いたしております。

田村(憲)委員 どうもありがとうございました。

中野(正)委員長代理 高木陽介さん。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 今回、建築基準法の改正案ということで、政府案と民主党が対案ということで出されております。民主党案について質問する場面というのは民主党からしかなかったので、今、自民党の田村議員の方からも質問がありましたけれども、私、まず最初に、民主党案から質問させていただきたいと思います。

 まず、民主党案では、指定確認検査機関が確認証または中間検査証などを交付した場合、申請者は、当該確認証や中間検査証などを添えて建築確認や中間検査を特定行政庁に申請するとされておりますけれども、確認済証や中間検査合格証などを発行する特定行政庁としては、その責任においては、申請書を最初から審査することになるのではないか、こういうようなことが考えられます。この審査、ある意味でいうと、二重審査になるのではないか、かえって非効率になるのではないか、これについてまずお考えをお聞かせ願いたい。

 もう一つ、指定確認検査機関に建築確認、中間検査など、いわゆる申請する側にとっては、指定確認検査機関から確認証、中間検査証などを受け取った後に、再度、特定行政庁に申請書及び当該確認証や中間検査証なども提出しなければならない。つまり手数料ですね、これを双方に納めることになると考えられないか。確認済証や中間検査合格証などの交付を受けるまでに指定確認検査機関において要した審査期間のみならず、その後、建築主事による審査期間を要すること、これもまた非効率ではないか。

 こういった民主党案でいきますと、いわゆる申請者側にかなり負担を増大させることになるのではないかということで、この点についてまず伺いたいと思います。

長妻議員 今、非効率というお話ありましたけれども、効率一辺倒の制度が今日の事態を招いたと我々認識しておりまして、効率だけを基準に議論をすると、これは確かに我が党案は今よりは効率は落ちる可能性は出てきます。これは否めません。しかし、安全性を高めるために、効率一辺倒でないというところがポイントでございます。

 これは、我々は、民間確認検査機関が確認済証を出すときの最終的な判こを、発行権限を特定行政庁に置いているということでございまして、何も一から全部審査をするということではございません。基本的に問題がなければそのまま発行をする。しかし、特定行政庁に、我々が求めている窓口に、不審情報、あるいは不自然に早い確認等々が起こった場合は、一たん立ちどまって民間確認検査機関に問いを発するということであります。その実効性でございます。今現在は、民間確認検査機関に問い合わせても、なかなかきちっと答えることが非常に難しいという声も聞いた上であります。

 昨年の最高裁の判決でも、結局、民間確認検査機関が確認済証を出したとしても、当該特定行政庁の建築主事による確認した事務と同様の位置づけになる、こういう最高裁の判決もありまして、今でも、あるいは我が党案でも、基本的には法的な責任というのは私は変わっていないというふうに思っております。

 そして、かなり役所に負担があるということでございますけれども、これは現実問題、政府案も、中間検査、一定の建物以上義務づける、あるいは完了検査一〇〇%にする、こういうこと等々が成りますと、もはや行政では賄い切れないというのはもうだれの目にも明らかでございまして、民間確認検査機関の仕事がこれからどんどんふえていきます。新たな申請も私はどんどんふえてくると思います。

 その意味で、特定行政庁は、実態としては、実務をするというよりは、そういう民間確認検査機関の書類を審査して、そして、我が党案では、建築主事の登録要件として、これは政府案にはありませんけれども、設計、工事監理、この実務を一定以上経験した人に限定するということで、そういうチェック役を非常に期待しているということで、にわかに事務量が膨大になってということではございませんので御理解いただきたいと思います。

高木(陽)委員 ちょっと短くお願いしたいと思います、時間が限られておりますので。

 その上で、今、問題がなければという言い方をしましたよね。いわゆる確認検査機関から特定行政庁、それで問題をチェックしていく。その問題をチェックするというのは、やはり時間がかかると思うんですよ。時間がかかるだけではなくて、やはり本当にやろうと思えば一からやらなきゃいけない。そういうのは二重になるんじゃないんですか。また、それがいいという意見だったら、それはそれでもいいと思います。

 その上で、確認検査機関がもしミスをした、それを特定行政庁がチェックできなかった、そういった場合に、責任の所在、これはどっちにあるんですか。これをまず聞きたいと思います。

長妻議員 これは、我が党案でも、先ほど申し上げました最高裁判決でも、今の時点でも、最終的には、建築主事の事務と同様に地方公共団体の事務であり、その事務の帰属する行政主体は、当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であるというふうに解するという最高裁の判決があって、最終的にはもちろん特定行政庁にあるというふうに考えますが、当然、我が党案でも、特定行政庁は、事態によっては、民間確認検査機関の問題があった場合は、行政、国に報告をして業務停止なり厳しい判断をやる。

 あるいは賠償についても、今の現行法令上でも、それを駆使して、賠償責任というのは、これは法的要件が合致すれば民間確認検査機関も免れないというふうに解しております。

高木(陽)委員 基本的には特定行政庁が最終責任を負うと。

 その上で、今賠償の話も出ました。これは、東京都、千葉県、横浜市、特定行政庁というのは、今回の問題を通じて、また、去年の横浜、最高裁の判決を受けて、指定確認検査機関の賠償責任の明確化というのも結構言っているわけですね。ここら辺のところ、特定行政庁、いわゆる実務を担っている、ここら辺の担当者並びにその首長なり、そういったものと調整はされたのかどうか。

長妻議員 首長と調整をするということは、御意見は聞きましたけれども、これは、特定行政庁は今、私の記憶では二百六十、七十あると思うんですが、そこすべての首長さんと合意しないとできないということでは当然ないと思うんですが、意見はお伺いをしております。

 確かにいろいろ意見がございます。これは事務がふえるのではないのかという御懸念がございますが、我が党案をきちっと説明して、ある程度御納得いただくところもございますので、これからも、法案成立の暁には、そういう説明をきちっとさらにしていきたいというふうに思います。

    〔中野(正)委員長代理退席、委員長着席〕

高木(陽)委員 質問通告を一つちょっと飛ばさせていただきまして、民主党案では、すべての建築物について中間検査を義務づける、すべての建築物についての中間検査義務づけということによって、特定行政庁や指定確認検査機関の業務量、これは先ほどから何度かお話が出ていますけれども、極めて増加すると考えるわけですね。具体的にどれぐらい、この中間検査義務づけによって業務量の増加を見込んでおられるか、現実的にそれが対応が可能かどうか、ここら辺のところもお伺いをしたいと思います。

小宮山(泰)議員 中間検査の強化という段階におきましては、御党の大口善徳議員も平成十年の建設委員会において御指摘をしていただいております。いろいろなケースは考えておりますが、大口議員の指摘の中にも、戸建て住宅の中間検査の義務化に前向きな御発言もございました。

 民主党案については、すべての建築物についての中間検査の義務づけをしておりますが、これは現実的に可能かという御指摘でありますが、例えば東京都の例でいきますと、中間検査対象物としての、今回、政府案よりも幅広い中間検査の義務づけを現実に行われているところであります。

 特に注目するべきところは、木造の三階建ても含まれているというところでございまして、そして、この点に関しては、阪神・淡路大震災の教訓をかんがみましても、中間検査をしている住宅の被災率は低く、また、中間検査が、木造、鉄筋、戸建て、共同住宅を問わずにいかに重要であるかということを、この中で私どもは教訓として記憶し、そして、この現実を生かしていかなければいけないと考えております。

 したがいまして、現実に、自治体によっては木造の戸建て住宅についても中間検査を義務づけているところでもありますので、このような自治体におきましては業務量の増大は余り見られないものと考えておりますし、また、民間指定確認検査機関も需要の増大に応じて参入がふえるということで、件数の増大に関しましては現実的に対応が可能であると考えております。

 この点に関しては、過去の改正の時点でも、中間検査の義務づけというのは随分と指摘を受けているところでもございますので、現在から見れば、確かに業務量の増加というのは御心配をされるところもあるかと思いますが、効率性というよりもやはり安全性ということで、居住者、利用者、購入者の安全、安心を第一に考えるということが私どもは必要であると考えております。

高木(陽)委員 今、我が党の大口議員の話が出ました、平成十年。このときにも、やはり理想としてみれば、各建物、全部中間検査した方がいいと思うんですよ。ただ、現実問題の中でどこまでできるのか、できなければ、ではどうするのか、こういった議論をしっかりしないといけないと思うんです。

 その上で、先ほど長妻委員が質問されたときに、イーホームズが、一つの整備局の管区を広げる、それは無理なんじゃないかという国交省住宅局のアドバイスというか、そういう中で無理をしたんじゃないかみたいな指摘もございました。やはり指定確認検査機関も、そういった部分では、業務量が拡大した場合に、逆に中間検査自体がいわゆる手抜きになる可能性だってあるわけですね。こういった現実をしっかりと踏まえた上で、やはりこの法律というものを改正していかなければいけないということをまず主張させていただきたいと思います。

 続いて、民主党案で、設計、施工、工事監理の分離を主張されておりますけれども、この点についてどのような仕組みを考えているか、これをお伺いしたいと思います。

田島(一)議員 お答え申し上げます。

 設計、施工、監理の分離、そして建築士の独立性の確保こそが、今回の耐震偽装であるとか手抜き工事の防止策の中心に位置づけられるべきだというふうに私どもは考えております。

 今回の政府案、拝見をいたしますと、さきの建築基準法の改正において、この点はかなり指摘をされたというふうに記憶しておりますけれども、残念ながら、この点についての措置は何らなされているところは見受けられません。

 建築士が建設会社に従属した立場で仕事を続ける限り、設計段階そして工事段階でのコストダウンの圧力から法令違反を犯すケースをとめるということは非常に難しいことだというふうに考えます。建築士の独立性を高めて地位を向上させていかなければ、どんなに罰則を強化しても、耐震偽装、構造の偽装や手抜き工事はなくならないのではないでしょうか。政府案のように、建築士の社会的それから経済的地位というものはそのままで罰則ばかり強化をしても、かえって建築士の皆さんが萎縮をされて、誇りを持つ仕事が本当にできるのか疑問にも感じておるところであります。

 私どもは、ぜひとも、この建築家の皆さんが誇りを持って仕事をしていただくために、民主党案の方では、建築士法の大幅改正に手をつけさせていただきました。

 建築士の独立性を確保するために、まず具体的に一点目として、工事を実施する建設業者との適切な役割分担というものをうたわせていただいております。次に、二点目としましては、建築士事務所の開設者を建築士に限定し、新たに建築士法人の設立を認めまして、建設会社が開設者である建築士事務所、それから建設会社と親子関係に立つ株式会社の形態の建築士事務所を排除することとしております。

 このことによって、建築士の独立性が確保されて、設計、施工、監理の分離が実態的にもなされ、偽装や手抜きのない建築物の質が高められるというふうに考えております。

 以上です。

高木(陽)委員 今、建設業界というのは何社あるか知っていますか。建設関連六十万社です。その六十万社の中で、ゼネコン、いわゆる工務店、いろいろありますね。その中で、自分の会社の中で設計部を持っているというのはどれぐらいあるか知っていますか。

田島(一)議員 私もかつて建築会社に勤務をしておりましたので、その大半が設計事務所を併設しているということは存じ上げております。申しわけございません、数値まではちょっとお示しできませんが。

高木(陽)委員 そうなりますと、全部分離するとなると、その設計部の人たちは別の法人をつくってやらないといけないんですか、現実的に。

 それですべて、例えばゼネコンでいいですわ、設計部でやって、ある意味では設計、施工、監理を一体とやってコストも削減しましょうと。そこは、いわゆる下請、孫請、そういう関係じゃないですよ。会社として責任を持って、設計から施工、監理までしっかりやろうという責任一体化しているわけですよ。そういうのはどうするんですか。

長妻議員 今の発想は、現実がこうだから変えるのは無理じゃないか、そういうふうに聞こえたわけですけれども、我々は、現実をやはり変えないと、これだけ問題がありますので変えられないという前提でありまして、そういう意味では、建設会社に併設している中にあるところも、外にきちっと出て、そして建築士法人という形で、建築士がリーダーシップをとって連携できるようなそういう仕組みをつくる、こういうことでございます。

高木(陽)委員 だから、実態を把握していないわけですよ。六十万社ある中でどれだけそれをやっているかという実態を知らないで、やれという。これ自体の方が無謀じゃないですか。それは理想はあるよ、理想はあります。それは考えていかなきゃいけないけれども、そういった点までしっかりと踏まえた上で法律というのを出してもらいたいと思うんですよ。その上で――いいです、いいです。この答弁は要りません。

 まず、ここではっきりさせておきたいのは、いわゆる今回の耐震偽装事件を通じて、これは与野党かかわらず、この問題は深刻な問題としてとらえているわけです。だから、国土交通委員会としてやはりこの問題を解決しなければいけない。

 一方、政府は政府としても、この問題について、この建築基準法を改正して、さらに次の段階として、建築士法等を含めた、秋を目指してやろうということで、社会資本整備審議会等々でも議論を進めながらやっている。一方、民主党は民主党として、対案として出してきた。これは、それぞれそういった思いの中でやっているということは、やはりお互い確認をし合いながらやっていかなきゃいけないと思うんです。

 しかし、今回の民主党案を見た場合に、実態をしっかりと把握した上で、実態をいわゆる認識してその上で変えていく、変えていくためのプロセスをどうしていくのかという、法律さえ変えれば、では全部やれと。これが実際問題、今、設計、施工、監理を一緒にやっている、今工事を進めているのもありますね、これから計画をしているのもありますね。これも、この民主党案が通った場合には、その段階で、施行日からできなくなるわけですね。

 そういったものも、やはり今、この現実の六十万社、しかも五百万人が建築関係で従事されていると言われる、こういった現状の中で、そういうところもしっかりと把握しながらやられなければいけないということを主張させていただきたいと思います。答弁は要りません。

 続いて、政府の方にも、限られた時間ですから質問させていただきたいと思います。

 まず……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。

林委員長 御静粛に願います。発言中でございます。発言者が発言中でございますので、御静粛に願います。

高木(陽)委員 民主党案はここでちょっと終わりにさせていただきたいと思います。

 その上で、政府案に対して質問させていただきますが、まずは、政府案では、今回、三階建て以上の共同住宅について中間検査を義務づける、ここが違うわけですね。それ以外の建築物については中間検査の実施をどのように確保していこうとしているか、この点をまず聞きたいと思います。

山本政府参考人 中間検査の制度は、平成十年の建築基準法改正において創設された制度でございます。特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向、あるいは工事に関する状況等を勘案した上で、一定の建築物を指定し、工事中に検査の必要な工程を指定するものでございます。現在、中間検査を実施している特定行政庁は約七割に達しております。

 具体的には、鉄骨造とか鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物につきましては、鉄骨の建て方工事の工程あるいは柱脚工事の工程、それから木造建築物につきましては、基礎の配筋工事の工程、柱、はり、筋交いの建て方工事の工程、鉄筋コンクリート造については、基礎、あるいは一定の階の柱、はりの接合部または耐力壁の配筋工事の工程が現実には指定されております。

 今回の耐震偽装事件を契機として、特にマンションにつきましては、全国共通の課題として厳格な検査を行う必要が高まったために、改正案において、三階建て以上の共同住宅について一律に中間検査を義務づけることとしております。

 同じく改正案で、その他の建築物につきましても、確認検査事務の民間開放ということで検査の体制が充実されてきておりますので、特定行政庁が、従来は、中間検査については、対象の区域とかあるいは期間を限定してこの工程を指定するという法律となっておりましたけれども、今回の改正案で、もっと一般的に、中間検査を特定行政庁が指定して義務づけることができるようにしております。

 すべての建築物について全国一律に中間検査を義務づけることにつきましては、特定行政庁の今の実施体制、それから指定確認検査機関の検査体制ではなかなか難しいのではないかというふうに判断しております。したがいまして、三階建て以上の共同住宅以外の建築物については、引き続き、特定行政庁がみずからの地域の実情に応じて対象となる建築物を指定して、適切に必要な中間検査が行われるように徹底してまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 続きまして、政府案では、指定確認検査機関に関する情報開示、現行制度を見直すこととされていますけれども、この情報開示というのはやはり重要だと思うんですよね。消費者に対して具体的にどのような情報が開示されるのか、この点についてお答え願いたいと思います。

山本政府参考人 現行制度では、指定確認検査機関に関する情報については、非常に限られた情報だけが公示されるという仕組みになっております。所在地とか取り扱う業務の区分、そういった基本的な事柄だけが公示されるという仕組みになっておりまして、十分な情報開示がなされているとは言えないと判断したところでございます。

 今回の改正案でお願いしておりますのは、指定確認検査機関に対して、事業報告書等の書類を事務所に備え置きまして、建築主とか購入者の求めがあればこれを閲覧させることを義務づけることにしております。具体的には、事業報告書、財務諸表など指定確認検査機関の業務及び財務の実績を記した書類、それから確認検査員の氏名、略歴を記載した書類、確認検査の業務に関し損害が生じた場合の賠償請求に対応するための保険契約の内容といったようなことを閲覧の対象とすることにしておりまして、情報開示の徹底を図ることとしております。

高木(陽)委員 住宅の購入者の保護。先ほども保険の話が出ておりましたね。保険の加入など、住宅の売り主がいわゆる瑕疵担保責任を確実に履行するための措置、これは必要だと思うんですけれども、やはり現実問題、なかなか保険会社の方もそういうような商品をつくり切れるのかどうか、政府保証をどうするのか、こういった問題等もあると思うんですけれども、もう一回、今後どのようにここを対応していくのか、この点を伺いたいと思います。

山本政府参考人 御指摘いただきましたとおり、住宅の売り主等に対して、みずからの責任でございます瑕疵担保責任を確実に実行してもらうための担保のための措置が必要であるということで、社会資本整備審議会の中間報告でも、検討する必要があるという御指摘をいただきました。

 今回の法案では、契約締結前に保険加入の有無等について説明を義務づけるということを措置しているところでございますけれども、御指摘の中にもありましたように、締結の有無という情報をお客様に開示するということからさらに進んで、保険加入を義務づけるとか銀行保証をとるとか、そういった瑕疵担保責任の履行の実効を確保するための措置もきちんと検討する必要があると考えておりまして、保険に限って申し上げましても、被害者救済に必要な保険金の支払いが安定的に確保できるのかどうか、あるいは、責任保険では対応が難しい、売り主等事業者の重過失とか故意に起因する瑕疵への対応をどうするかといったような課題がたくさんございます。

 住宅の瑕疵によって被害を受ける住宅購入者等の保護を図るというこの一点に立って、有識者の参画も得まして、研究会を設置して検討を始めました。もちろん研究会の御意見を伺って方向性を確保したいと思いますけれども、そのほかにも関係機関、金融庁とか財政当局とか連携を図りながら、国土交通省として、夏ごろまでにはこの取り扱い方針をまとめてまいりたいと考えているところでございます。

高木(陽)委員 この瑕疵担保責任について、本当に消費者がしっかり守られるようなことを早急に検討して、一つの結論を出していただきたいと思います。

 最後の質問ですが、これは民主党案と政府案が対立する部分で、設計、施工、監理、さっき民主党にちょっと質問をして私も意見を述べさせていただきました。

 これは局長で結構なんですが、設計、施工、監理、この分離について、やはり理想の部分、チェックをしていく、それを対等にしていく、それは民主党の考え方は考え方として一つあると思います。しかしながら、建築士でなければ法人をつくれない。もっと言えば、ゼネコンの設計部というのは、ゼネコンの社長または工務店の社長は一級建築士じゃない方も社長をやっている方もいますね。それで一つの形をとっているというのもあるわけですし、私はそういう経営的なことはやらないけれども、しっかりとその会社の中にあってやっていくという建築士の方もいらっしゃると思うんですね。それはもう、あなたは独立してちゃんとした法人にならなければ、事務所として別個にならなければ、設計、施工、監理、これを分離するということで、できませんよ、こういう考え方に立った民主党案について、局長、どういうふうに思われるか、最後に聞きたいと思います。

山本政府参考人 実際に、設計、施工、監理につきまして、現実に建築生産の場で一貫して仕事を効率的にやっているケースもありますし、分離してやっているケースもあるわけでございますけれども、設計と施工を一貫して行う方式につきましては、設計意図を十分に理解して施工する、あるいは施工方法も含めて検討された適切な建築計画の設計が可能になる、相互に、両方に矢印がつくわけですけれども、そういったメリットも考えられるわけでございます。そういう指摘もあります。したがいまして、設計と施工を人格的に常に分離することが望ましいという考えはとっていないところでございます。

 ただ、建築生産をきちんとやって質を確保するという観点からは、一貫してやる方式をとる場合であっても、あるいは分離して行う方式をとる場合であっても、設計図書どおりに施工が行われているかどうかを監理する工事監理が適正に行われるということこそ一番大事なことでございますので、この工事監理業務の適正化のためにどういうことが課題になるのかということを中間報告でも御指摘いただいておりまして、これは引き続き分科会で御議論をいただいて、一番正面に掲げていただいているのは仕事の中身ですね。これをきちんと明示するということでございますけれども、そういったような課題についてきちんと整理をした上で、建築士制度のあり方として、夏までに方針をまとめて所要の措置をしていきたいというふうに考えているところでございます。

高木(陽)委員 これで終わります。ありがとうございました。

林委員長 長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 本日、この建築基準法等の改正案についての審議で、政府案について準備をさせていただいたわけでございますけれども、ただいまの質疑を聞いておりまして、少し疑問がわいた部分がございますので、前段でちょっと御質問させていただきたいと思います。

 今局長の答弁をお伺いしますと、設計、施工工事というものが分離されていても一緒であっても、しっかりと監督されることが重要なんだ。ある意味、今のお話ですと、分離されていてもどちらでもそれは問題ではないという趣旨で私はとったわけでございますけれども、本件に関して、対案の提出者の方からは答弁ございませんでしたので、この件について答弁を賜りたいと思います。

長妻議員 今お話があったように、建築士の、設計図をかくこと以外にもう一つ重要な仕事というのは工事監理だというふうに認識をしておりますけれども、工事監理と一口に言っても、本当に実効性が確保できない。先ほど局長からも、いや、職務を明示化すればいいんだというようなお話がありましたけれども、そういうことは今までもずっとやっていて、それが確保できないというのが最大の問題で、我々としては、きちっとした、先ほど申し上げたような、開設者を設計士に限る、あるいは建築士法人をつくるとか、建築士の会への強制加入とか、そういうことを申し上げたわけです。

 先ほどの議論でも、建設会社にとって負担がふえるんだ、ふえるんだ、こういうお話が非常に強く出たわけでありますが、我々は「居住者・利用者等の立場に立った」というのを法律の名前の前段につけておりまして、これは、居住者の立場に立つと役所とか業界にとっては厳しくならざるを得ない、こういう判断をしておりますので、どちらの立場に立つか、立ち位置の問題も一つあるのかなと思いますので、我々はこういう立場に立つということでございます。

長安委員 ありがとうございました。

 今回の耐震強度偽装の問題というのは、昨年の秋以降起こってきたわけでございます。国土交通委員会も、閉会中の審査を行い、参考人また証人喚問ということも行って現在に至るわけでございます。この間、多くの方からも、マスコミ等、また、我々の審議の状況に対しまして御意見をいただいております。果たして自分が住んでいるマンションの耐震強度は十分なのか、こういう不安の声がやはり多いわけでございます。全国のこういったマンション、共同住宅にお住まいの方々の不安を取り除く、これがやはり我々政治の役目だという思いで、建築基準法改正に我々国土交通委員会としても取り組んでおるわけでございます。

 今回の問題の真相はどうかというよりも、やはり構造的、制度的に問題があったのではないかということをしっかりと踏まえた上での建築基準法の改正が一番求められているのではないか、そう私は考えるわけであります。確認検査体制自身が民間開放を平成十年にされたわけでございますけれども、この制度によって何かしら不備があったのではないかということがよく言われるわけでございます。

 先般も大手の監査法人が、金融庁から一部の業務の停止という命令が出たわけでございます。これはひとえに、検査あるいは監査される側が、検査あるいは監査する側を選択できる、選べるという仕組みが根底にあると思います。役所であれば当然そこの役所しか持っていけないわけですけれども、民間開放されたことによって、検査あるいは監督される側が選ぶというか自由な選択ができるということになったわけであります。その結果、監督あるいは検査をする側がある意味倫理観が欠如しているというようなことがあった場合に、このような不正が生じてしまうということが明らかになったわけでございます。

 そういう意味では、そういった検査監督機関というのが、所期の目的を達成するためには、やはりそれなりの倫理観、あるいはプロフェッショナル意識と言った方がいいかもしれませんけれども、そういうものを持ってしっかりと職務を遂行していくということが求められていると私は考えております。

 今般のこういった構造計算の偽装の問題の発生、あるいは指定確認検査機関の建築確認あるいは検査制度の創設に、国交省としては、ある意味制度設計自体に不備があったのではないか、そういったことを率直にお認めになるおつもりはあられるか、御意見を賜りたいと思います。

北側国務大臣 委員も御承知のとおり、今回の姉歯元建築士の偽装物件というのは九十八件ございますけれども、そのうち四十一件が特定行政庁も建築確認の際にその偽装を見落としてしまったということでございます。ですから、半数近くが特定行政庁。そういう意味では、指定確認検査機関だけではなくて、特定行政庁も含めて、建築確認そのものにやはり大きな問題があったというふうに私どもは認識をしております。

 したがって、建築確認の実態につきまして総点検もさせていただき、そして今般、第一弾として、建築確認の際についての確認検査の厳格化をしっかり進めていく、また、一定規模以上の建築物については指定構造計算適合性判定機関における構造計算適合性判定の義務づけをする、ダブルチェックをしていく、また、三階建て以上の共同住宅について中間検査の義務づけをしていく、こうした制度改正をお願いしているところでございます。

 しかしながら、今委員のおっしゃったように、指定確認検査機関についての制度導入、これは平成十年にされているわけでございますが、この民間開放というのは、それまで建築確認や検査の実施体制が行政では十分に確保できない、こういう状況を踏まえて民間開放をいたしまして、建築主事のみがそれまで行ってまいりました建築基準関係規定の適合を審査する確認検査事務について、新たな、必要な審査能力を有する公正中立な民間機関も行うことができるというふうにしたわけでございますが、これはこれで方向性としては、私は、間違っていない。実際に、現時点では六割の建築確認が民間でなされているだとか、完了検査率が導入時に比べますと倍増しているだとか、こうした成果もあるわけでございまして、その方向性は間違っていないと思うのです。

 問題点といたしましては、特定行政庁と指定確認検査機関、指定確認検査機関が建築確認をやる場合の特定行政庁との関係について、従来の制度ではやはり問題があるというふうに私どもも認識をいたしておりまして、今回の改正では、特定行政庁が指定確認検査機関に対して立入検査権限を持つだとか、こうした指導監督の権限の強化についてもお願いをさせていただいているところでございます。

 こうした制度改正により、再発防止を図ってまいりたいと考えております。(発言する者あり)

林委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

林委員長 速記を起こしてください。

 長安豊君。

長安委員 今大臣から御答弁ございましたように、指定確認検査機関がやはり顧客と癒着するというようなことがあったり、あるいは顧客の圧力に屈してしまう、こういうことになると、当然適正な職務の遂行ということができなくなるわけでございます。そういう意味では、そこをしっかりと監督する公の介入というのが必要になってくるわけでございます。

 そういう意味では、今回の改正案の中に盛り込まれた部分については、公の介入という意味では強化されている部分もあるわけでございます。ここはやはり私も同感であるということを申し上げておきます。

 一方で、今回のこの法改正におきまして、指定確認検査機関への特定行政庁の立入検査が盛り込まれております。

 従来から、特定行政庁は、建築確認あるいは検査業務に十分な人手がない、人員が足りないというようなことが言われておるわけでありますけれども、取り扱いの多い特定行政庁において、こういった立入検査等をする検査担当の専門官をしっかりと置いて、また定期的に立入検査するということを担保させる必要があるかと思うんですけれども、この点、御所見はいかがでしょうか。

山本政府参考人 非常に大事な御指摘だと受けとめております。

 平成十年の建築基準法改正によりまして民間開放を行いまして、私ども問題意識を持っておりますのは、地方における行政改革の流れがございます。そのこともありまして、この民間開放を契機として、建築行政職員の削減をする動きが散見されるわけでございます。これにつきましては、特定行政庁において的確で効率的な建築行政の体制を整備するという観点もあって民間開放しているわけでございますので、ことしの二月に、必要な執行体制の確保などについて遺漏なきよう措置されることをお願いする通知を発出しております。そういうことを私どもからお願いしております。

 御指摘いただきましたように、今回の改正案で措置していただくことにしております立入検査権限の付与、特定行政庁の仕事がふえるといいますか拡大するわけです。そういうことも想定されるわけですから、特定行政庁に対して、今まで以上に必要な執行体制の整備を図っていただくよう働きかけてまいる所存でございます。

 なお、立入検査などを通じまして、特定行政庁による指定確認検査機関の仕事の的確な指導監督を図る観点から、検査担当の専門官を建築行政部局に設置するということにつきましては、有意義なことだと私ども考えております。

 具体的な組織体制のあり方につきましては、実態に応じて各行政庁において判断されるものと考えておりますけれども、いずれにしましても、今回改正案が認められました暁には、特定行政庁に対しまして、的確な指導監督体制の整備について求めてまいる考えでございます。

長安委員 もちろん、都道府県に対してのこの通知というのは、あくまでもお願いレベルだと思います。これは、やはり地方自治、自治業務だということで、そこまで拘束するということはなかなか難しいと思います。

 一方で、ブロック等での会議を行われていると思います。そういう中にあって、ここの県さんは多くの方を置かれて十分な体制をとられていますよというようなことを横に、比較できるように、また、その場で促せるような仕組みをうまく利用していただければなと思うわけでございます。

 現在の仕組みにおきましては、指定確認検査機関の業務を検査あるいは監督するという仕組みはございます。一方で、特定行政庁の建築主事が適正な審査を行っているかについては、チェックする仕組みは全くない。そういう中にあって、先ほども大臣の御答弁にございましたように、特定行政庁でもこういった審査の甘さ、誤り、手抜きというものが見つけられたわけでございます。

 そういう意味では、特定行政庁の建築主事の業務についても第三者が監督するような必要があるのではないかと思いますけれども、これは制度上どのような対応を御検討されておるのでしょうか。

山本政府参考人 今回の事案で、指定確認検査機関だけでなく、一部の特定行政庁におきましても審査の過程で偽装が見過ごされたという事案が出てきているわけでございまして、今回の偽装事件の再発やさらなる不正事案の発生を未然に防ぐためには、確認審査などを行うに当たりまして、よるべき方法を一律かつ厳密に定める必要がある、確認検査の事務に当たって、これに従っていただくということが必要であると考えまして、建築確認等に関する指針を定めるということを改正案でお願いしております。

 今後、特定行政庁に対しまして、この指針に従って建築主事が確認審査等を行っているかどうかをきちんと調査する、定期的に調査する、審査の適正化に取り組むということをお願いする考えでございます。

 なお、仮に、建築主事が定められた指針に従うことなく確認検査などを行った場合につきましては、その建築主事については、建築基準適合判定資格者としての大臣登録を消除するといったような行政処分を行うことになるわけでございます。

長安委員 やはり、そういったガイドラインに基づいてチェックするということが必要だと思います。

 一方で、先ほどの話に戻りますけれども、人員が不足していれば、そこにやはり手抜きが起こってしまうわけでございますから、そこはやはり、しっかりと特定行政庁また都道府県と綿密な連絡をとりながらやっていただきたいなと思うわけでございます。

 次に、構造計算の適合性判定制度についてお伺いしたいと思います。

 今回、この制度を新たに導入するということになったわけですけれども、その意義をお伺いしたいのと、逆に、これまでの制度でどのような問題点があったのかということをお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 まず、今回の偽装事件に照らして、現在の制度の問題点でございますけれども、今回の偽装物件の偽装の内容ですけれども、単純に差しかえを行ったというだけではなくて、コンピューターの計算途上の数値など、出力結果の一部を巧妙に修正したものまでございます。

 しかしながら、これまでの建築主事あるいは指定確認検査機関による審査は、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物につきましては、構造計算書の分量が極めて膨大に上ります。それで、ポイントを絞って数字のチェックなどをしてきたのが実態でございまして、もちろん、単純な差しかえなどについては、適切に審査を行えば発見することは可能であったわけでございますが、非常に巧妙な改ざんについては、そのような審査では、要点だけを見ていくという審査では発見することは困難であったと考えているわけでございます。

 これら巧妙な改ざんを含めまして、偽装を漏れなく発見しようとすれば、現在行われている審査に加えまして、構造計算の過程などの詳細な審査や再計算を行うことが必要でございます。これを建築主事などが自分だけで行おうとすれば、人員とか技術力ともに限られておりますので、現行の審査体制では実質的には困難であると判断しているわけでございます。

 このために、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物の構造計算の適合性を的確に審査するために、建築主事等が行う審査に加えまして、第三者機関において一定の技術力を有する者が構造計算の過程などの審査や再計算を実施することにより、その適法性のチェックを行う体制を整備することが必要であると考えまして、今回の改正案におきまして、構造計算適合性判定機関による適合性判定を義務づけることとしたところでございます。

 ポイントは以上でございます。

長安委員 構造計算が、今までなかなか細かくチェックができていなかったという現状があるかと思います。

 一方で、この制度を置いたときに、果たして判定機関が十分な人員でそれをできるかどうかというのは、今後進めてみなければ実はわからないところだと思うわけであります。構造専門の建築士がなかなか少ないというのも現実にございます。また一方で、その背景には、もちろん、構造というのはもうからないからとか、いろいろ報道はされております。私も学生時代に構造を勉強したことがございますけれども、やはり技術の進歩、また、そういった理論の進化というのもございます。

 そういう中にあって、今は、先ほどもお話がございましたように、コンピューターで計算されるようになってきている。そういう状況にあって、常にそういった検査機関が柔軟に、新しいものが出ればそれに対応できるように整備していかなければならないと思うわけであります。

 この指定構造計算適合性判定機関の受け皿といたしまして、これはどのようなものがなるのか。また、その具体的な要件は何であるか。実態として、これは指定確認検査機関が重複でなるのではないかと思うわけでありますけれども、御所見を賜れますでしょうか。

山本政府参考人 指定構造計算適合性判定機関は、構造計算の法規適合性を確実に審査するために、建築主事などが行う審査とは別に、構造計算の審査を専門的に行う公正中立な第三者機関でございまして、建築構造を専門とする大学教授、構造設計の実務者などを構造計算適合性判定員として選びまして、構造計算の計算過程等の詳細な審査あるいは大臣認定プログラムを用いた再入力、再計算を実施することとしております。

 この判定機関の指定の基準でございますけれども、構造計算適合性判定員を含む職員、設備、構造計算適合性判定の業務の実施の方法などを定めた業務の計画が、業務の的確な実施のために適切であるかどうかというのを見ます。それから、構造計算適合性判定の業務の実施に関する計画を的確に実施するに足りる経理的あるいは技術的な基礎を有しているかどうか。役員、職員などの構成が、構造計算適合性判定の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないか。それから、親会社等が構造計算適合性判定の業務以外の業務を行っている場合には、その業務によって構造計算適合性判定の公正な業務の実施に支障を及ぼすおそれがないこと。そういったようなことを定めておりまして、これらの要件を満たす機関を指定することになります。

 具体的に想定される受け皿としては、都道府県の建築住宅センター、東京都でいえば東京都防災建築まちづくりセンター、大阪ですと大阪建築防災センター等がありますので、そういったところを想定しております。

 それから、もう一つの御質問でございます。

 申請者が、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関、それぞれの指定基準を満たしておりますれば、これらの業務を遂行する能力があるものとして、両方の機関を兼ねることは可能でございます。機関として両方の指定を受けることは可能でございます。

 しかしながら、同じ建築確認の物件について、同じ機関が建築確認と構造計算適合性判定の両方を行うということにつきましては、制度の趣旨に照らして不合理でございますので、指定の基準において、そういった行為ができないように規定しているところでございます。

 以上でございます。

長安委員 今お話がございましたように、この指定確認検査機関と指定構造計算適合性判定機関は重複することはある、ただ、同じ物件に対して同じ機関がやることはないというお話がございました。これはぜひ徹底していただかなければならない問題だと思います。

 現在までの状況を考えると、民間の確認検査機関というものは、例えば、住宅販売会社、住宅メーカーといいますか、の親会社のもとの子会社であったり、そういうところが確認検査をするから、当然、実態としては、中間検査といいながら、タクシーを借り切って、それで順番に現場を回っていく。回っていったときには、実は中間検査をするべく、例えば鉄筋の量を見ようと思っても、もう土間のコンクリートは打って、もう土間はコンクリートの中にあったというようなことがよくあったというのは、私は現場からの意見として聞いております。

 そういう意味では、親子というとなかなかそういうチェック機能が働きませんので、そういった部分も今後ぜひ御配慮いただければなと思うわけでございます。

 建築確認申請処理が今回複雑になったのではないかということを御指摘させていただきたいわけでございますけれども、今般の法改正によりまして、一定の建築物の確認申請につきましては、特定行政庁あるいは指定確認検査機関、次に構造計算適合性判定機関を指定した都道府県知事、それから指定構造計算適合性判定機関という三者が関与することになるわけです。

 そうなった場合に、この指定構造計算適合性判定機関は、例えば建築主事や、これは指定確認検査機関が直接指定するわけじゃないですね、都道府県知事が指定するという仕組みになって、今申し上げました三つのプレーヤーがあらわれるわけでございまして、こういった複雑な構造にした理由をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 やはり、特定の大規模な建築物については、構造計算については確実を期そうということを課題として掲げますと、どうしても高度な専門家の審査が必要になるということから、今回の事案を教訓として、再発防止を徹底するためにはどうしてもその部分のダブルチェックが必要だ、すべての建築物じゃありませんけれども、特定のものについては必要だと判断したところでございます。

 それによりまして、確かに、プロセスはこれまでよりは複雑になったことは事実でございますけれども、大事な建築物について構造計算は確実性を期してまいろう、そういう判断に立ってのことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

長安委員 こういった複雑な仕組みになると、今回の偽装の問題を思い起こしますと、今回の偽装の問題があったときに、果たしてどこに責任の所在があるのかというのが余り明確でなかったというか、お互い、うちは悪くない、うちは悪くないと押しつけ合いが起こったわけであります。いまだにそれがはっきりと解決していない。

 解決しない中にあって、一方で、国はある程度の公的資金を投入して、もちろん責任の所在がはっきりしたときには、そこに請求するという形になるんだと思いますけれども、こういった複雑な組織にしたがゆえに責任の所在が明確にできるのかという疑問があるわけです。この点、御所見をいただけますでしょうか。

山本政府参考人 責任関係でございますけれども、昨日の参考人質疑でも東京大学の神田先生の御発言の中にありましたが、建築基準法が定める基準が建築物の最低の基準であるということ、それから、これを実際に建築に着手する前に確認手続で法適合性を確認するというシステムがあること、このことが的確に事業者とか国民の皆様に御理解をいただいていない、あたかもそれが天下のお墨つきであるかのように扱われて、不十分な建築物がこの世に現出してしまう契機になってしまうという御指摘がありました。その点は、まず入り口で私どもの責任として的確に御理解いただく努力は必要であると思います。

 そういう努力を通じて、まず、建築確認を行うのは建築主事等でございますけれども、違法な建築確認が行われましたら、それは民間機関の資格者であれ建築主事であれ、違法な建築確認を行った当該建築主事等にまず責任がございます。ただ、もちろん、神田先生の御指摘がありましたように、建築主あるいは建築主のために建築計画を樹立する建築士が適法な建築計画を立てるということは大前提であります。そのことの上で、建築確認における瑕疵についてはこれを担当した者にございます。

 このために、仮に構造計算書の審査に誤りがありまして建築確認が違法だということになった場合に、居住者などから国家賠償法に基づきまして建築主事を置く公共団体等に対しまして賠償責任を問われることになるわけでございますけれども、これは、審査に誤りがあったということが確認できれば賠償責任を負わなければならぬというふうに考えます。それから、指定構造計算適合性判定機関が行うべき審査に違法があった、審査がきちんと行われなかったということが認められれば、この判定機関に公共団体が求償することになるというふうに考えております。

 なお、個別の建築確認、最終的に建築確認に問題があった場合の責任関係については、指定構造計算適合性判定機関を指定するのは知事なんですけれども、その都道府県知事は当該機関に対して報告徴収権とか立入検査権限等の監督権限を有しておりますので、仕事を的確に遂行するということを担保する責任は知事に、指定権者にあるというふうに考えております。

長安委員 ありがとうございました。

 ちょっと質問通告しておりませんが、もう一つ質問させていただきたいと思っております。

 今回の改正案を拝見しておりますと、何とか今回の偽装のような問題をなくすべく、確認検査機関への監督強化であったりというようなことが盛り込まれているわけでございます。

 一方で、今回の耐震強度偽装という事件があって、最初にやはり叫ばれたのは、被害者となった方々をいかに救済するかということが叫ばれたわけでございます。先ほども申し上げました、その過程でそれぞれが責任を押しつけ合った。その結果、被害者の方々は、果たしてどうなるのかが毎日見えない、いつ引っ越ししないといけないのか、年をこの家で越せるのか越せないのか、あるいはどこで年を越すのかもわからないというような報道もあったわけでございます。

 そういう中にあって、ただ単に監督を強化するということは確かに大切なんですけれども、それ以上に、そういった居住者、こういう事案があったときにいかに迅速に居住者の方々、被害者の方々の不安を取り除くということ、取り除くあるいは和らげるということが必要になるかと思うんですけれども、そういったことに対する取り組みというのは御検討されておりませんでしょうか。

山本政府参考人 今回の事件が発生しまして、現実に多くの世帯が住んでおられる分譲住宅が非常に危険な分譲住宅である、しかも、分譲住宅に居住しておられる方は、そういう危険な住宅がこの世に生まれてくることについて何ら責めを負っていない。しかし、目の前に、危険なものに住んでいる。それで、危険な建築物の周辺にも多くの方が住んでおられる。早く出ていっていただいて、これを除却して危険を防がなきゃいかぬということが、今回事案が明らかになったときの最初の、一番の正面の課題でございました。

 そういうことで、いろいろ既存の制度を活用しながらトータルな支援のパッケージを用意して、御理解をいただいた上で仮の住まいに移っていただいて、最終的には危険な住宅を除却して建てかえるというところまで支援をしているところでございます。

 こういう仕組みについて、全く同じような要件を満たす事案があれば同じような対応をしなきゃいかぬと思うわけでございますけれども、将来に向けてどういうふうな備えをするべきかということにつきまして私どももいろいろ検討しておりますし、今回事案が発生した直後に大臣のもとに第三者の緊急調査委員会が設けられまして、特に行政対応の問題で整理していただいておりますので、今回の対応の教訓も踏まえた上で、将来に向けてどういうふうな措置が必要かということは検討していきたいと考えております。

長安委員 まさにそのとおりだと思います。

 今回、大臣のもとに第三者協議機関ですか、協議会ですかを立ち上げられて、その中で大臣が公的資金の投入というのも御決断された部分だと思いますけれども、こういうことをしてしまうと、当然、マスコミの中でも、果たして逆に、被害者を救済という名のもとに公的資金が出てしまうというのはいかがなものかという論調があったのも事実であります。そういった意味でも、今後そういった、全く同じような事案があるかどうかは別としまして、いかに対応していくのかということも検討しなければならない課題の一つかなと私は考えておるわけでございます。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 これは消費者保護の観点からお伺いさせていただきます。

 建築確認制度を今回こうやって充実されるわけでございます。国として、安心、安全な建物が供給できるように制度を整えるというのは当然大切なことであり、また不可欠なことだと考えております。

 一方、住宅購入において、消費者が賢明な判断のもとに購入できるという市場環境を整備してやるということも同様に重要だと私は考えております。これまで、住宅性能保証制度や瑕疵担保責任保険等消費者保護の仕組みについて確かにあったけれども、十分な周知徹底というものができていなかったのではないかと一方で考えるわけでございます。

 住宅というのは、我々庶民にとってみて一生に一度の買い物でございます。そういう意味では、やはり万が一の備えが必要だと私は考えるわけでありますけれども、そういう意味では、今申し上げました住宅性能保証制度また瑕疵担保責任保険等をしっかりと周知するというのと、また幾重にもセーフティーネットを張るべきだと私は考えております。

 そういう意味において、今回、民主党案の方では、住宅の販売の広告についても瑕疵担保責任の履行等に関しての表示を義務づけるという項を加えておりますけれども、比較をしますと政府案としてちょっと不十分じゃないかなと思うわけですけれども、大臣の御所見を賜れますでしょうか。

北側国務大臣 今回の事件を通じて大きな課題の一つが、今委員のおっしゃった、住宅取得者、住宅を取得しようとする方々の利益をどう保護していくのか、その権利をいかに強固にしていくのかというところについて、やはり私は反省点があるというふうに思っております。

 おっしゃっているとおり、住宅性能保証制度がそのためにあるわけでございますけれども、今後とも、この住宅性能保証制度について、しっかりとその周知、普及をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。現在のところ、新築住宅の約一三%、戸建てだけ見ますと二八%なんですが、それだけの利用率でございまして、さらにしっかりと周知、普及を図ってまいりたいと思っております。

 また、そうした趣旨で今回の法改正でお願いしておりますのは、住宅を取得しようとする場合に、いわゆる売り主側が、また宅建業者等が情報の開示をしっかり図っていくということが重要でございますので、契約締結前に保険加入の有無等について購入希望者へ説明することを義務づける等の措置を講じているところでございますし、また、さらに進みまして、こういう保険への加入を例えば義務化できないのか、保険への加入等、瑕疵担保責任履行の実効を確保するための措置について今さらに検討しているところでございます。この問題につきましては非常に重要な問題だと認識しておりまして、この夏ごろまでには方針を取りまとめさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 民主党の案につきましては、広告における保険加入の有無等の表示を義務づけていらっしゃるわけでございます。

 しかしながら、広告というのは、一つは、現行は任意でございますし、また、広告の仕方というのもさまざまな媒体を通じて多様なやり方があるわけでございまして、そういう意味で、保険加入の有無等の表示を義務づけるということでいいのかどうか、私は検討を要するのではないかと思っておりますし、また、もう一点申し上げますと、請負工事の場合には、対象となる物件及び発注者が明らかになっていない段階で保険加入の有無を表示するということは、なかなか実態的には難しいというような問題もあるのではないかというふうに思っておるところでございます。

 いずれにしましても、住宅取得者への情報開示も含めまして、また、住宅取得者の保護をするためにどうすればいいのか、さらに検討をさせていただきたいと考えております。

長安委員 今大臣から御答弁があったとおり、確かに広告というものはさまざまなものがございます。すべてに義務づけるということは、例えばテレビのCMは広告かという問題がございます。これは物件は特定されておりません。ただ、広告の中でも、新聞の折り込みの広告からいろいろあるという中で検討の必要がある。

 まさに、我々、この対案を示して、やはり将来的に、今回の建築基準法改正で終わりではない、我々の提案した中でいいものがあったらぜひ取り上げていただきたい、そのための活発な議論をしていくということを目的に我々も提出しておるわけでございますので、ぜひ前向きに取り上げていただければということを最後につけ加えまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 国土交通委員会に質問のお時間をいただきましてありがとうございます。感謝を申し上げます。

 耐震偽造のこの問題を質疑するに当たって、初めていろいろなことを調べれば調べるほど多くの問題があるということに気づいて、まさに、まだまだ議論が必要で、これから時間も足りないなというふうに感じているところであります。

 馬淵議員も先般の質疑の中で指摘をしておりましたが、平成十年の改正からやはり何度も同じような問題点が指摘されていたこと、つまり、建築法制自体がざる法であって、これを機に建築基準法など根本から見直すべきという専門家や関係者が多いことにも大変私は驚きました。

 長妻委員もさきに出されたこの雑誌、日経アーキテクチュアという雑誌の中のアンケートによりますと、今回の改正で建築物の安全に対する国民の信頼は回復できるかという問いに対して、何と、そう思うという回答が一四・九%に対し、思わないという回答が五三・五%、読者のうちの過半数が、関係者が中心だとは思いますが、そう思っているというふうなアンケートを拝見いたしました。建築確認の厳格化や建築士の罰則強化だけでは不十分であり、建築制度全般の抜本的見直しが必要ということも書かれておりましたが、実にそういうふうに感じます。

 それで、そういう気持ちに基づきまして、きょうの質疑の中では、公的責任体制とか支援のあり方についてまずはお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。つまり、家、住まいという個人資産に対する支援、その点に関して、今回は、私が感じますに、少し異例の措置が早くとられたのではないかというふうに思います。

 その点に対して、まずは、政府が昨年十二月に決定された耐震診断及び耐震改修に係る支援の制度の概要と、平成十七年、平成十八年の予算措置について御説明をいただきたいと思います。そしてまた、これがどういう法令を根拠になされたかということもお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 今回、事案への対応の中で最優先の課題であります危険な分譲マンションの居住者等の安全、居住の安定の確保につきましては、政府として十二月六日に、既存の地域住宅交付金の活用を中心とした、相談、移転から取り壊し、建てかえに至る総合的な支援策をワンパッケージで提示したところでございます。

 具体的には、居住者の移転費や仮住居の家賃低減費用、マンションの除却費、建てかえマンションの共同施設整備費、建てかえマンションに係る新たな住宅ローンの利子相当分の軽減費用などの支援を行うこととし、補正予算において地域住宅交付金五十億円を計上したところでございます。

 法的根拠ということについてのお尋ねがございました。これは、地域住宅特別措置法に基づく地域住宅交付金を活用するということが基本でございますが、確認的に地域住宅特別措置法の省令を改正いたしまして、地域住宅計画の記載事項として、危険な分譲マンションの除却、建てかえの促進に関する事業を位置づけたところでございます。

 なお、平成十八年度の予算額につきましては、地域住宅交付金の予算額千五百二十億円の中で対応していきたいと考えております。それから、住宅・建築物耐震改修等事業がございます。これは予算額百三十億円で計上しておりますけれども、支援の内容に応じて、これも活用して適切に対応したいと考えております。

高井委員 今お聞きいただいたとおり、かなり手厚い支援というか、素早い対応における手厚い支援であるというふうに感じます。もちろん、こういうふうな公的支援については、実に柔軟であっていいと思うし、素早い対応はいいということは思うんですが、やはり、今までの例えば震災被害、同じく家というものを失われた人たちに対する支援という点からは、非常に今回は特別な感じがいたしまして、その点についても少し詰めてお伺いをしたいというふうに思っています。

 もちろん、大臣が今月、この前の十二日の当委員会の質疑の中で、建築確認という公の事務に見落としがあった、そこに公の関与があることは明らかで、行政として当然の責任であるというふうに述べられています。そしてまた、一方で、委員会質疑の中で、法律上の賠償責任が国や特定行政庁にあるとは一度も申し上げていないということも答弁をされております。

 国家賠償法第一条では「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」というふうに規定されていますけれども、今回の問題に関して、この国家賠償法の解釈について法務省の見解をお伺いいたします。

深山政府参考人 一般論としてお答えいたしますと、民間の指定確認検査機関が建築確認を行うについて、故意または過失によって違法に被害住民に対して損害を加えたと認められるときには、建築主事が置かれた自治体に国家賠償責任が認められることになると考えております。

 もっとも、今回の偽装の事案につきましては、個々の事案における詳細な事実関係を把握しておりませんので、具体的な自治体の責任の有無についてお答えをすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

高井委員 一般的解釈は今お聞きしたとおりで、私もなかなか、国に直接責任があるということはすぐには感じ得ない、わからないというふうに思っています。今回のケースは、特に、構造に欠陥のあるマンションの売り主や偽装した建築士や設計施工に関与した建築会社らに、当然第一義的責任はあります、民法上の不法行為責任、損害賠償責任は当然あります。しかしながら、今回、まだ裁判等も実際に始まっていない段階で、つまり国の責任がどこまであるということがまだわからない段階で素早く支援をこういうふうにするということは極めて例外的な措置であるというふうに感じます。

 この民間検査機関の不法行為、つまり計算書偽装の見過ごし等の監督責任者としての責任というのは当然わかるんですが、そうだとしても、これに関して国が特定行政庁などに補助金などの援助をするというのであれば、例えば、ほかの欠陥住宅被害者との公平性もある意味で必要ではないかというふうに感じますが、この点、いかがでございますか。一般欠陥住宅の方も大概はやはり裁判で争っておられるケースが多いというふうにも聞きますが、大臣としていかがお考えになられておりますでしょうか。

北側国務大臣 今回の耐震偽装事件と他の欠陥住宅問題との違いの一つは、やはり、今回の耐震偽装事件の場合は、今も委員がおっしゃっていただきましたが、特定行政庁や指定確認検査機関が、偽装された確認申請書類を出しているのにもかかわらず、それを見抜けなかったというところがあるわけですね。建築確認機関が建築確認の際にその偽装を見抜けなかったという事実があるわけです。

 そこには、私はこの事件の発覚当初から申し上げておりますが、そこには公の関与があるわけですね。法的に責任があるかどうか、これはもう今も法務省が答弁しておりましたが、それぞれ事実関係も異なりますし、その事実関係を確認した上で認定していくしかないわけでございますが、しかし、そこに公の関与があって、そこで建築確認という公の事務で見落としがあったということでございまして、そういう意味で、行政としてその責任問題が明らかになるまで自分たちは何もしない、そういう無責任なことはできないということを一貫して申し上げているわけでございます。

 そもそもそういう責任ありやなしやの判断というのは、これはもう最終的には裁判所で判断してもらうしかないわけで、その時間的なリスクがあります。そうした時間的なリスクを危険な分譲マンションにお住まいの居住者の方々に負わせるわけにはいかないというふうに私は判断をいたしました。

 かつ、中身は緊急性また公益性が大変強いというふうに私は判断いたしましたし、かつ、全く何か新しい制度、超法規的にやるわけじゃなくて、先ほど住宅局長が答弁させていただきましたが、既存の制度を活用して、その既存の制度に基づいて支援スキームというものを取りまとめさせていただいたということでございます。他の欠陥住宅の問題とは、そういう意味では少し性格を異にするのではないかと私は考えております。

高井委員 時間的リスクがあるというふうなお話でございましたし、それもよく私も理解をいたします。

 しかしながら、例えば、ほかの欠陥住宅に住んでいる人で、耐震偽造というか同じ程度の耐震度で危ない物件というのもほかにあると思いますが、恐らくそういう方々は裁判で時間をかけて争っている、かつ、裁判で結果が出てもその瑕疵担保責任が履行できなくて賠償が取れない、損害賠償をもらえないというケースもあるやに聞いています。

 この欠陥住宅関係にかかわる弁護士さんの中には、本当に長い時間をかけて、立証責任までみずからが果たさなければいけないために、なかなか実証できない、それで費用もかかり、時間もかかり、やはり悔しい思いをしている人がたくさんいるという中で、逆に、今回のこの措置がほかの欠陥住宅等にも対応できるのであれば、それはそれで被害救済という観点からはある意味で前に進むのではないかというふうには感じますが、なかなか、それについての疑問点も幾つかちょっとありますので、お伺いをしたいというふうに思っています。

 先に、今回の事件で、この偽造マンションの立ち退き、取り壊し命令はどのような法律的根拠に基づいているのか、教えていただけますでしょうか。通告と順番が少し変わりますが、お願いいたします。

山本政府参考人 建築基準法第九条におきまして、特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反した建築物等について、建築物の所有者等に対して、建築物の使用禁止、除却等の必要な措置をとることを命令することができるとされております。

 今回の偽装マンションの立ち退き、取り壊し命令は、この建築基準法第九条に基づいて行われております。

高井委員 建築基準法第九条に基づいて行われていると。しかし、命令権者は建築主事を置く特定行政庁ですよね。つまり、地方公共団体ということになると思います。国土交通大臣がそのように、国交省として、行政として指示をされたということではございますが、命令権者自身は国土交通大臣ではない。

 そういう中で、きょうの読売新聞の一面にも、地方自治体が、今回の法案の改正部分について等、対応が不可能であるということが一面に大きく載っておりましたけれども、この点に関しては、通告外ではございますが、いかが御認識でございますでしょうか。

山本政府参考人 建築基準法に基づく建築基準行政の事務は、もちろん法律に根拠を持つものでございますけれども、それに基づいて地方公共団体がとり行うということにされている自治事務でございます。したがって、これを執行するために必要な執行体制の整備等も含めまして、地方公共団体の責任においても整備し、法律上求められている権能を行使していくわけでございます。

 ちなみに、先ほどの御質問にありました、今回事案に係る危険な分譲マンションに係る使用禁止命令は、具体的にどういう基準を横で見ながら命令権を行使していくかという具体の振る舞いにつきましては、関係する特定行政庁にお集まりいただいて、私どもも参加して、いろいろ議論をした上で整理をして、基準法に基づくいろいろな命令権限を行使しているということでございます。

高井委員 当然さまざまに関係の方々と意見交換なりされてはおられるだろうとは思いますが、その上で、なおかつ、こうしたふうに自治体の方から国への批判が出るというのは、まだ十分ではないのではないかというふうに感じます。

 というのは、今回の公的支援の措置についても費用負担に関しても、自治体の方からも不満が出ているというふうな報道もございました。そしてさらには、きょうの新聞の中では、今回の法案改正の、国指定の民間確認検査機関に対し立入検査権限を与えるという自治体への権限移譲に対して、百二自治体が批判的で不満を訴えているということであります。いかに、国がこういうふうにしろというふうにしたとしても、現場は対応可能な職員が少ない、できないというふうな声が上がっている以上、実態がなかなか伴っていかないのではないかというふうに懸念をいたします。

 そうした中で、では、国としましては、現場の特定行政庁の建築主事の方の人数等、把握を十分にされておられるんでしょうか。

山本政府参考人 全国の建築主事の員数は毎年の調査によって掌握しておりまして、ことしの四月一日現在、全国で千八百二十五名の建築主事が働いております。

高井委員 多分、人口十万人当たり何人かというふうに数が決まっておるというふうなお話も聞いたんですが、全国で千八百二十五人という話でしたけれども、大変に少ないのではないかと。

 自治体の現場で検査というのはなかなか難しいというふうに思います。やはり、プロが見ても、ずっとつくったものを途中で見て二、三時間で判断するということはなかなか難しいのでしょうし、この少ない人数ではなかなか対応できないというのは、確かに、自治体から悲鳴が上がるのは当然のことであろうと思います。さまざまな面で予算措置等のさまざまな努力が講じられる必要があるというふうに感じます。自治体のこの不満の声をやはり受けとめていただいて、非常に尽力をしていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 では、次の質問に行かせていただきたいんですが、先ほどの他の欠陥住宅に関する件で、取り壊し、建てかえ代金賠償を認定されている欠陥住宅というのがあるそうです。一般的に、居住者が何もしないのに構造上問題があると認められている欠陥住宅で、今まで立ち退きや除去を命じられた事例はあるのでしょうか。

山本政府参考人 大変失礼しました。

 特定行政庁が違反建築物に対しまして建築基準法第九条第一項に基づきまして使用禁止、除却などの命令を発した件数は、平成十六年一年間で三十六件ございます。その命令を発した中の、具体の、詳細の報告は実は受けておりませんので、構造上欠陥のある住宅ということで整理はしていないんですけれども、建築物が利用者とかあるいは周辺の住民等に対して危険な状態にあれば、必要に応じて特定行政庁の判断で使用禁止とか除却命令を発することとなるわけでございます。

高井委員 そのケースは、今回のケースと同じようにマンションの撤去費用等を国や特定行政庁と言われる地方団体が出したわけでございますか。

山本政府参考人 基本的には、命令に従って建築主あるいは所有者等の負担において除却を行うというのが原則でございます。

高井委員 つまり、公的支援はないという御答弁でよろしいんですよね、今おっしゃった件に関しては。

 同じマンションという住まいに関する被害であっても、こうして公的支援にばらつきが出てしまうということに対しては、一般的に言えば、やはり憲法が保障する法のもとの平等ということに関して少し差があるんじゃないかというふうに思います。同じくマンションに住んでいても、姉歯物件であれば少し支援が出る、しかしながら、今までのほかの欠陥住宅等に関しては支援が出ない。そこら辺を統一しようというような試みはないでしょうか。大臣にお願いします。

北側国務大臣 最初の御質問で私答弁させていただいたんですが、今回の姉歯元建築士の偽装に係るこの事件は、建築確認、それは最も悪いのは姉歯元建築士でございまして、また、それを見過ごしてしまった親請の設計事務所、ここに大きな問題があることは明らかです。まして、さらに建築主、ここに責任があるのは当然の話、ここまでは明らかです。こういう建築サイドの問題。そして、建築行政の側の問題として、建築確認という公の事務のところでそうした設計段階での偽装を見抜けなかったということがあるわけですね。建築確認というところで、公のところで、公の事務のところで見過ごしてしまった。国賠法上の責任があるかないかという問題は別として、公のところで見過ごしてしまったということがあるわけです。

 一般の欠陥住宅というのは、なぜ欠陥が生じたのかというのはさまざま理由があると思います。しかし、そういう建築確認のところで何か見落としがあった、建築確認に何か問題があったということではなくて、そこは施工であったり、建築確認の後の施工だとか、設計どおりに施工しなかっただとか、さまざまな理由があるんだと思うんです。

 だから、そういう意味では、他の一般の欠陥住宅の問題と今回の姉歯元建築士の偽装案件とは少し本質が異なるのではないか。そこは公がかんでいるということを冒頭申し上げているわけでございまして、そういう意味では、事実関係が異なるというふうに考えているわけでございます。

 ですから、法のもとの平等に反するだとか、そういうことでは決してないんだということでございます。

高井委員 では、他の、例えば建築確認ができていないケースが生じた場合は、同じような対応をなさる可能性はありますか。

北側国務大臣 今回の支援には要件を明記しておりまして、その要件に該当する限りは、姉歯元建築士の物件であろうがなかろうが、当然それはほかの例でも適用になるというふうに考えております。

高井委員 それでは、大臣がそのようにお感じになられた、お考えになられているベースの、この根拠として、つまり、今回の事件は、姉歯氏が関与をした物件が著しく危険である、保安上危険であるというような根拠により出されていると思うんですが、この危険性をどこでどのように判断されたのか。

 つまり、普通は裁判等を待たなければ、その方の証言がどうなのか、合っているのか間違っているのか、なかなか一般的には検証できないものであります。大体は、やはり一般の欠陥等であれば、裁判の結果を待って、結果がきちんと検証されてから措置を講じるというケースが多いんだろうと思いますが、今回は非常に対応が早かった。

 つまり、この報告というか、姉歯氏が構造計算を偽造して、それに基づく構造設計がなされたという報告に基づいてこのように判断をなされたのか。どこから根拠として生じたものなのか、教えてください。

北側国務大臣 この案件が公表されましたのは昨年の十一月の十七日、ちょうど半年前になるわけでございます。

 その時点ではまだ、現時点では十一棟、耐震度が〇・五未満の分譲マンションというのは十一棟あるわけでございます。当時は、最初の段階では七棟ぐらいだったんですかね、まだ全容が出ていたわけじゃなかったんですけれども、ただ、〇・五以下の現にお住まいの分譲マンションがある。そこに人が住んでいらっしゃる、生活していらっしゃる。

 この〇・五以下というのは、震度五強以上の地震があったら倒壊するおそれがある、旧耐震基準も満たしていないような物件である、非常に危険な分譲マンションである。その時点では、震度五強以上の地震なんというのはいつ起こるかわからないわけでございまして、そういう意味で緊急性がある、また、分譲マンションですから、周辺にお住まいの方々もいらっしゃるわけで、公益性もあるというふうに全体として判断はさせていただいているところでございます。

 その上で、今回の支援策の要件といたしましては、要件を明確にさせていただいておりまして、一つは、構造計算書の偽装を原因として、違法建築物が建築されたこと自体について区分所有者に責任がない。二番目に、構造計算書の重大な偽装が建築確認において、先ほど来申し上げていますが、建築確認において発見するに至らなかった。三番目に、区分所有者がみずから居住する住戸が大部分である。要するに、店舗とかそういうのじゃない、居住している建物である。四番目に、保有水平耐力の指数値が〇・五未満で、耐震改修による対応は困難であり、除却命令を受けたものである。こうした要件を掲げさせていただいて、この要件に該当するものについて支援をするというふうなスキームをつくらせていただいたわけでございます。

 したがって、全くこれと同じような要件に該当するような案件があるならば、やはりそれは当然ほかのところについても支援をしていかねばならないというふうに考えております。

高井委員 要件を設けられたというのはよくわかります。というのは、すべての欠陥住宅に対応するわけにはまいりませんし。

 ただ、消費者というか、買う側からしてみれば、欠陥住宅を買ってしまった後、住んでしまった。〇・五以下という欠陥住宅というのは割と、裁判に携わっている方に言わせると結構あるというお話を伺いました。それは事実かどうか私は確認しておりませんが、あると。そうならば、安全上の不安、危険は全く同じであります。

 要するに、どの段階で瑕疵があったのか、それとはかかわらず、やはり住む側としては、危険度、安心できないという不安感という点からは全く同じだと思います。同じように適用していただきたいというふうに感じるのが、ある意味で、普通の国民としては、消費者としては素直な感情だというふうに思いますが、例えば、法定上の構造基準が手抜きされていることがわかっていても、悪い業者であったり悪い建築士さんが認めなかったら、普通は訴訟手続が進行して、被害者側が事実の立証をするという過程に入るわけだというふうに思います。立証責任に対する負担というのは、被害者の側が普通は、弁護士さんをお願いしたり、いろいろなことをするわけですから、かなりこれは大変なことであるというふうに思います。

 今回の件なんかも、特に国土交通省がこういう素早い対応をとらなければ、普通に考えれば裁判に入るのではないかというふうに思うんですが、ある意味で、政府がこれだけ対応が早かったというのは、関係者の言い分を十分にどこまでお聞きになったのか。つまり、裁判が起きれば、例えば民間検査機関にしても、本来ならば、みずからの正当性を立証するような場が与えられるというふうに思います。それで裁判で争って結果が出るわけですけれども、今回、早くこういうふうに措置をとったということは、立法と行政と司法の分立を超えて先に行政が踏み出して対応したということで、この三権分立からある意味ではみ出す措置ではないかというふうな懸念がありますが、大臣はいかがお思いになりますか。

北側国務大臣 まず、保有水平耐力の数値が〇・五未満の、そうした物件が私はそんなにたくさんあるとは全然認識をしておりません。

 例えば、今、国土交通省でさまざま調査をさせていただいております。問題のある物件が姉歯元建築士以外の設計士が設計した物件なんかにも出てきております。そういうのを幅広く我々も調べておりますし、あと、民間のディベロッパーの方もみずからやっていますし、特定行政庁なんかもやっておりますし、そういうのを今一般的に調べているわけですね。そういう中でも、問題のある案件はありますが、しかし、この姉歯元建築士のように、旧耐震基準も満たさないような、震度五強で倒壊するおそれがある、こういう保有水平耐力の数値が〇・五未満の物件というのは、今のところ、この姉歯元建築士の十一物件以外にはないんですね。だから、そんなにこの〇・五未満というのがちょっとした欠陥住宅であるとは私は考えておりません。

 だから、この〇・五未満というのは相当ひどい案件である、旧耐震基準も満たしていない、相当危ない共同住宅、分譲マンションであるんだということをまず御理解をお願いしたいというふうに思うわけでございます。だから、それだけ緊急性があるというふうに私ども判断したわけでございます。

 それと、今回の支援スキームというのは、これはあくまで既存の制度、地域住宅交付金制度を中心といたして、既存の制度というものを活用して、そして実際補正予算に予算額を計上して、補正予算について国会の方で御論議をいただいて、通していただいて実際執行をしているわけでございまして、まさか立法権を侵しているとか、そういうことでは全くないということもぜひ御理解をお願いしたいと思うわけでございます。

 司法のことは先ほど話したとおりでございますが、最終的には、姉歯元建築士の偽装案件だけで九十八件もあるわけですね、九十八件も。その一件一件が、それぞれ事実関係が全く異なるわけです。特定行政庁が建築確認したものもある、指定確認機関がやったものもある。施工業者もさまざまである、元請の建築士もさまざま、建築主もさまざま。こういう事実関係がさまざま多様な中で、それぞれ、一つ一つ司法の結果を待たないと行政の側としては支援はできないということではないと私は思うんです。

 今回、やはり建築確認という行政の関与のところで見落としがあったことは、これはもう客観的な事実なわけでございますので、そこをもとにして、先ほど述べたような要件で既存の制度というものを活用して、そして国会でも御論議をいただき、補正予算も御審議いただいた上で今回の支援スキームというものは執行させていただいているんだということで、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。

高井委員 姉歯物件のようなひどい物件がこれ以上ないということがあればもちろんいいんですが、あれば対応をしてくださるというふうな御答弁であったと思いますし、見落としがあるケースに対してはこのスキームで対応するということですので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 ただ、私が懸念しているのは、今回の、報道の中でも読んだんですが、いわゆる民間検査機関と言われるイーホームズの責任者の方の発言の中にも、構造計算書の検討については、国側、つまり省令に定める手順に従ってなしたので、姉歯氏の偽造が発見されなかったとしても無過失だとの発言がなされたという報道を聞きました。そうだとすれば、民間、一般の欠陥住宅被害者のように民事訴訟手続によれば、当然この検査機関は過失を否認するだろう。そういうふうなところも争われる一因となるであろうとは思うんですが、今回、早く措置をすることによって、裁判等の結果を待たずに、つまり、だれにどういった責任があるのか明確になる前に、つまり、犯罪性の根拠がきちんと裁判上で明らかになる前に行政側が踏み込んだ措置をしたということによって、かえって責任体制が不明確になってしまうのではないかという懸念があります。

 つまり、犯罪を犯した皆さんに対して責任があると思います。その部分は、公的責任が行われたから逃れてしまうような印象になってしまうのではないかというふうに思いまして、きちんとこの点は突き詰めてやっていただきたいと思うんですが、この間の逮捕は、例えば指定確認検査機関のイーホームズの社長は、何と電磁的公正証書原本不実記録という容疑で逮捕になっていますね。ということは、つまり、今回の指定確認検査機関としての機能をきちんと果たしたかどうかで裁判が行われるわけではないと思うんですが、この点はきちんと責任体制が明確になるのか、非常に私は心配をしております。

 その点はどのように御認識か、質問通告していないのですが、お伺いしたいんですが。

北側国務大臣 大事なことをおっしゃっていただいていると思います。

 今回の事件については、それぞれの案件について関係者がたくさんいるわけですね。その関係者の法的責任があるのかないのか、あるとしたらどの程度あるんだということについて、私は、それはしっかりと明らかにしていかないといけない。これは、刑事の問題もさることながら、やはり民事の問題なんだと思うんですけれども、民事の訴訟の中で、そうした責任についてやはり明らかにされていかないといけない。

 国といたしましても当然、第一義的にはこれは建築主に責任があるわけでございまして、このヒューザーという会社は破産をしたわけでございますが、もちろん、そこに対してもきちんと私ども請求はしていきたいというふうに考えております。

 ただ、何度も繰り返すようでございますが、こういう裁判、特に争いがあるような裁判というのは何年もかかってしまったりするんですね。今回の事件の場合、その決着を待つまで何もしないというわけにはいかないわけでございまして、半年たって、これはまだまだ道半ばでございますけれども、危険なマンションに居住している方々が、三百九戸の方がいらっしゃるわけでございますが、現時点で、三百九戸中二百九十九戸の方々がもう退去されたわけですね。

 私は、あのとき、十二月の上旬に支援策を出し、そして補正予算を通し、こうした対応をとらなかったならば、私は、まずは一番急いだことは、危ないマンションにお住まいの方々に出ていただく、しかし、お住まいの方々にとっては、単に、出ていけ、危ないから出ていけと言われたって、出ていけるわけないわけですね。当然、退去後の生活の問題、そして建てかえの問題等々について、もちろん満足いくものでないにしても、やはり一定の支援策、総合的なパッケージとして国が出して、そうしたものがあったからこそ、住民の方々も退去についてこれまでこのような形で退去ができたんじゃないのかなと私は思っているんです。

 もし、責任関係が明らかになるまでああだこうだなんてずっと言っていたら、恐らくあのときの状況がいまだに続いていたのではないか。それこそ大変危険な状態のまま続くわけでございまして、もちろんまだ道半ばでございますので、しっかりと地方公共団体と連携をとって、建てかえに至るまで、これについてはまだまだ時間がかかりますから、しっかり取り組みはさせていただきたいと思っております。

高井委員 大臣のお気持ちもよくわかりますし、本当に素早い対応でよかったというふうに思っております、私どもも。

 ただ、やはり例えば、今、裁判だけでも昭和三十六年以降でいえば百二十七件も、何かこの欠陥住宅にかかわるさまざまな裁判が行われておりまして、時間も費用も労して頑張っておられる方が多く、被害者がほかの件でもおるわけでございます。他の、きっと欠陥住宅を買ってしまった被害者の皆さんや、ある意味で家を失った、災害等で家を失った皆さんも、恐らく今回の法案を大変気になって見ているのではないかというふうにも思いますので、その点からも、時間が少なくなりましたので、最後に質問させていただきたいと思います。

 つまり、阪神・淡路の大震災のとき、それから中越大震災のときもそうでありましたが、災害対策特別委員会等で、北側大臣も御出席になり、当時の村田担当大臣も御出席になり、さまざまな財政支援等の話がこの中の議事録にも出てまいります。

 中越地震では、今なお二千三百世帯余り、約七千人の方が仮設住宅で暮らしているというふうにもお聞きをいたしました。この中には、財政面から自宅再建のめども立たず、仮設暮らしを続けざるを得ないという方も少なくないそうであります。

 私の地元の徳島県にしても、一昨年の台風では、全壊が十九棟、半壊が二百六十二棟、一部破損四百三十一棟と大きな被害が出ました。

 このような災害が起きたときにも、ぜひ被災者の再建に対する同様の支援をしていただければという思いで以下伺いたいと思うんですが、我が党は、以前から、ぜひ公的支援をできないかということで、議員立法の法案も出したり、質疑もやってまいりました。この点に関しては今でもお変わりないのか、お聞かせください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 典型的な個人財産でございます住宅の場合、災害への備えといたしまして、みずから耐震化を行っていただく、災害が発生した際に備えて地震保険等の保険に入っていただいて、自分の財産を守っていただく、こういうことが基本ではないかというふうに私ども思っておりまして、このような観点から、自助努力を支援しようということで、この平成十八年度から税制改正で地震保険料控除制度なり、耐震改修促進税額控除制度を創設するとともに、今年度から耐震改修についての助成制度も拡充強化をしたということでございまして、基本的に村田当時の大臣がいたしました答弁を変更しておるところはございません。

高井委員 自助努力とおっしゃいますが、やはり天災で、天災は特に不可抗力であります。しかも、家財全部失ってしまう、そういうケースも多くて、むしろ天災の方が手厚い支援が必要ではないかと思います。

 とりわけ民事上の責任はどこにも問うことができません。今回のケースなんかは民事責任を問うことができます。この点において明らかに違いがある。それでも自助努力を促すというのであれば、余りにも冷たいなというふうに感じます。

 村田大臣の答弁の中にも、一つの哲学といたしまして、個人財産の形成に税金を使わないということで今まで政府の施策は原則として動いてきたわけでありまして、そこが要するに一つの哲学としての境になっているというふうな御答弁がありました。

 さらには、北側交通大臣は、三日月委員の質問に、これは平成十六年十一月の質疑の中でございますが、直接的に住宅補修費等々についての支援ができないのか、支援すべきではないのかという御議論はやはり当初からさまざまな議論を経過してきた、私有財産である個人財産の支援について、これは税金でやるわけでございますので、そこをどう考えていくかという議論、公助としてどこまでやるのかという議論があるわけでございますというふうな御答弁をされております。恐らく御記憶だろうと思います。

 それならば、これを機に、住宅は大事だとさまざまな方からのお話がございました。だからこそ、特に天災等、困ったところで、大変な目に遭った人に対しては、特にとりわけ手厚い支援が必要であるというふうに思いますが、この点の、この今までの政府の施策の方針、個人財産の形成に税金を使わないという方針は、全くこれからも変わらない、変える方向ではないでしょうか。大臣、ぜひお答えください。

北側国務大臣 これまた委員もよく御承知かと思いますが、公助として政府が何もしていないわけじゃないんですね。仮設住宅、これはもう当然公費でやっているわけですね。それから、被災者の生活再建支援制度、最初はこれは議員立法でつくり、また議員立法で修正していくことで、これまでずっと国会で与野党を通じて議論をいただいて、今は最大三百万円までの支援を行うような制度、この三百万円がまだまだ不十分だという議論はもちろんあるわけですが、それでも三百万円までの支援を行うというふうな制度もできているわけでございます。

 また、阪神の震災のときも、今回の事件と同様な制度を活用して、共同住宅の場合に共同部分の補助をしていく、こういうこともやって、マンションを建てかえたり、また危ないマンションの取り壊しなんかも、あの阪神のときは、同様に解体なんかも公費を使ってやっているということもあるわけで、もちろん、これまで公助で何もしていないわけではなくて、さまざまな制度を活用してやってきているんだということでございます。

 今委員のおっしゃっているのは、それを超えて、もっと根本的に、災害があったときにその住宅そのものの補償を何かできないのかという議論、これについては、私の先ほどの答弁どおりでございまして、もう最初の段階からずっとこの議論を、私も当時参加して議論をさせていただいているわけでございますが、例えば保険制度とかそういう仕組みなんかも活用しながら何かできないのか、これは私も将来の大きな課題として今後とも検討しなければならないというふうに思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 周辺経費と集合住宅だけでなくて、住宅本体にまで踏み込んで、ぜひ支援を検討していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 最後に、保険制度の話が出ましたが、私も、やはり今まで消費者として、検査確認されているものは大丈夫だという過度の信頼といいますか、この事件が起きるまで本当に気づかなかったことがたくさんありました。建築業界自体が抱える問題点、法制度の問題点等、今回こういう質疑をさせていただく中で初めて知ったことがたくさんありました。

 建築基準法もこんなに厚い。現場の建築士さん自身も、変わる法案をすべてキャッチアップできているわけではないというふうな話も直接聞きましたし、今回の事件を機に、大変な事件ではございましたが、これを機に、さまざまな、この建築基準法を根本から見直すことも含めて、夏までと大臣がおっしゃるさまざまな検討委員会等における検討事項が本当に前向きに、保険制度も含めて前向きに取り入れられることを期待したい。我が党案のいいところもぜひ取り入れていただきたいということも重ねて申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 同僚議員に引き続き、建築基準法の改正、耐震強度偽装問題が判明をしてきょうでちょうど半年という一つの節目になりますこの日に、まだまだ多くの方々が不安に思っていらっしゃる、苦しんでいらっしゃるこの状況を真摯に踏まえながら、政府案も出てきていますけれども、民主党案も提出されてのこの国会審議に臨んでまいりたいと思います。

 まず冒頭、質疑に入らせていただく前に、大臣には三点、前提となります基本認識をお尋ねしたいと思います。

 きょうの十二時半に、当委員会ではないんですけれども、厚生労働委員会で医療に関連する法案の強行採決が行われました。これだけ多くの方々が不安に思っていらっしゃる医療、まだまだ審議時間が不十分だ。そして、がん対策、個人事で恐縮なんですけれども、私も父をがんで亡くしましたけれども、この国のがん対策はまだまだ不十分だ、国会でやろう、審議しようと言っているけれども、その法案の提出が政府側がなされていない。

 また最後、きょうの十二時過ぎの政府、小泉総理、厚生労働大臣の答弁を聞いていても、例えばお年寄りの方で、保険証が持てない、保険証を持っていても保険料を払えないし医療費も払えない、その医療費が払えない中で、病院が診療費未収のまま非常に経営難に陥っているというこの現状についてどう思うかという委員の質問に対して、保険証を持っているから大丈夫というわけのわからない答弁で逃げられて、実態すらも厚生労働省として把握していない中での強行採決が行われたことに対して、閣僚の一人としてどのようにお考えですか。

北側国務大臣 厚生労働委員会のまさしくこれは運営の問題でございます。立法機関の問題でございまして、それに対して私がコメントをする立場にはございません。

三日月委員 残念ですね。北側大臣はもう少し心のあるお方だと思っていました。

 そして、いろいろな法律の改正をするときに、まず、データ、現状、政府としても行政としてもきちんと把握をした上で、そして、業界の立場ではなくて、例えば医療を受けられる方、今回の建築基準法の改正でいけば住んでいらっしゃる方、そして現場で働いている建築士の方、施工現場で汗水垂らして働いていらっしゃる方々のために、法律改正が、再発防止のための対策ができるかどうかというのが非常に大きな観点なんです。

 二点目の前提条件に対する御認識をお伺いしたいと思うんですけれども、十一月十七日に耐震強度偽装問題について国交省として発表され、その一週間後に、事もあろうか某与党の幹事長が、こういう悪者捜しに終始するとマンション業界がつぶれますよ、ばたばたと、不動産業界も参ってきますよ、景気がこれでおかしくなるほどの大きな問題ですと御発言をされています。この発言について、改めて大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 振り返ってみても、こういう発言をする方が事もあろうか与党の幹事長としていらっしゃるということに私は怒りさえ覚えますし、一体、政治家たるもの、どちらの立場で物事を考えなくちゃいけないのかということの認識を改めて問いたいと思うんですけれども、北側大臣の御見解と、そして、半年たって、今この法律改正をしているというこの状況での改めての御決意をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 もっと明確に自民党の武部幹事長と言っていただいた方がいいんじゃないかと思うんですけれどもね。

 たしか、その後に私、記者会見で、その発言をどう思いますかという質問をやはり直後に受けまして、余りいい答えをしなかったと思いますね。いい答えというのは、当然これは事実関係を明らかにしていくことが大事だし、そうでなきゃ再発防止だってできないわけだし、そういう意味で、そうした発言をされることはいかがなものかというふうな趣旨の発言をしたというふうに記憶をしております。

三日月委員 全くもってそのとおりだと思うんです。いかがなものかの一点に尽きると思うんですけれども、今回、民主党案も出されていますけれども、民主党提出者の長妻さんにもお伺いしたいと思います。

長妻議員 やはり私も感じますのは、先ほど与党の方の質問も含めて、非常に立ち位置が民主党案と政府案、かなり違うということは実感をいたします。

 例えば、建設会社の負担増を非常に懸念して質問をされる、これも一定の理解はいたしますけれども、やはり居住者と業界と利害が相反することもあるんですね。そうしたときに、我々はあくまでも居住者の立場に立つ安全というのを重視する、これは役所とか業界にとって厳しいことになるかもしれませんけれども、我々はそういう立ち位置が違うということで、いろいろなそういう発想の延長線上での発言ではないかというふうにも感じております。

三日月委員 前提条件三点目について御認識をお伺いしたいと思うんですけれども、十三時過ぎに、報道、一報で、ヒューザーの小嶋社長に対して出頭要請が出たという情報が入りました。いろいろと政界、官界との関係についても指摘をされておりますこの小嶋さんの出頭要請について、大臣、お考えになることがあればお示しいただきたいと思います。

北側国務大臣 ちょっと私はまだその報道は聞いておりません。ヒューザーの小嶋社長だけではなくて、今回の案件について、私ども国土交通省といたしましてもしっかり調査をしなければならない、してきましたし、しなきゃならないというふうに考えておりますが、そこにはやはり限界があります。やはり捜査機関が強制力を持って事実解明をしていただけることを私は期待しております。

三日月委員 同じ質問を長妻議員にしたいと思います。

長妻議員 私のところにも時事通信から先ほどそういうニュースが入ってまいりました。これは、ヒューザーの小嶋社長はこの委員会でも証人喚問をさせていただいて、しかし、刑事訴追のおそれがあるを連発されて答弁を拒否された経緯もございます。特に政治家の関与の問題でも、刑事訴追のおそれ、こういうようなことで証言を拒んだケースも多いわけでございますので、ぜひ司直当局には、あらゆる観点から、政治の関与も含めた形での解明を強く要請したいと思います。

三日月委員 司法は司法、そして立法は立法ということで、再発防止のための法律を改正しようと思っても、そもそもどこが悪かったのかということについて明らか、つまびらかでなければ、そのための手当てができないという方針のもと、我々は、この立法府でも徹底究明を求めてまいりました。以下、質問をさせていただきながら、そのあたり、政府そして行政の考えを確認していきたいというふうに思います。

 まず、資料をお配りしています。十枚物なんですけれども、まず一枚目。これは、昨日の時点で、一体どれぐらい耐震強度偽装もしくはそのおそれがある物件があるんだ、今どれぐらい調査中なんだということについて、日々これは国土交通省で更新をされている情報です。本当に昼夜分かたず大変な作業、仕事を特定行政庁の職員の方々ともどもしていただいていると思うんですけれども、しかし、この資料、一枚目しか付していないんですけれども、非常にわかりにくい部分がございます。

 局長にも改めて御確認をいただきたいと思うんですけれども、今の時点で、姉歯さんであろうと、非姉歯、姉歯関連ですね、いわゆる木村、総研、ヒューザー、そういったところとの関連がある非姉歯物件、姉歯関連、そして、福岡や札幌でもまた次々と、サムシングだとか浅沼さんだとかというので明らかになってきています。一体、日本全国で今、耐震強度で問題あり、問題のおそれがありという物件は何件あるんですか。

山本政府参考人 せっかくの御下問でございますので、調査の状況について少し詳しく御説明をさせていただきます。

 まず、姉歯元一級建築士が関与した物件でございますが、二百五物件については既に調査が完了しております。偽装が判明したものが九十八件、その他誤りが判明したものが一件、偽装がなかったものが九十一件、計画が中止されたもの等十五件でございます。

 九十八件の内訳としては、共同住宅が五十七件、ホテル三十八件、その他三件でございます。七十六件は耐震強度が基準を下回っているものとして報告を受けております。

 それから、姉歯物件に関係していた業者、木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所が関与した物件については、五百三十九物件について調査をしておりまして、昨日の時点で四百八十三件が調査済みとなっております。偽装が判明したものが三件、その他誤りが判明したものが三件、偽装がなかったものが四百六十九件、計画が中止されたもの等が八件、調査中五十六件となっております。

 これまで偽装とか誤りが判明している六件は、いずれも木村建設が関与した物件でございます。用途は、共同住宅が五件、分譲一件、賃貸四件でございます。店舗併用住宅一件となっております。うち、偽装が判明した三件については特定行政庁において耐震強度の精査を進めておりますが、誤りが判明したとされております三件については、再計算によって、耐震強度が不足するという結果が出ております。

 それから、サムシングという会社が仕事をした、構造計算をした物件でございますが、木村建設が関与した物件の中で偽装が判明した三物件は、いずれもサムシングという会社が構造計算を行った福岡市内の物件でございまして、これらについては、福岡市から二月八日に、三物件に偽装がある、二物件は耐震強度が不足するおそれがある旨、公表されました。また、このほか、一物件について、偽装の有無は確認できなかったけれども、竣工図をもとに所有者が作成した構造計算書により再計算を行ったところ、耐震強度が基準を下回っているおそれがあると聞いております。

 その後、福岡県におきまして、サムシングの関与した物件を調査した結果、福岡市の公表物件に加えて、現在までに七件においてデータが差しかえられ、耐震強度が基準を下回っているおそれがあることが公表されておりました。

 これは、まとめて言いますと、福岡県を中心としてサムシングの関与物件の調査を行った結果、昨日までに、サムシングが関与したものは六百六十六件あるんですが、このうち十一件、先ほど言いました三件プラス一件プラス七件、十一件についてはデータの差しかえ等が判明しております。

 それからもう一つ、木村建設関与物件で誤りが判明した物件、横浜市内において分譲マンション一件、構造設計者である田中テル也という一級建築士の関与物件でございます。この田中テル也がほかに同様の誤りを行っていないか調査しておりまして、関与物件八件が特定されて調査を行っております。五件が調査済みで、いずれも偽装がなく耐震性にも問題ない旨、報告されました。

 木村建設でもう一つ。熊本県内において構造計算に誤りが判明した二物件がございます。これは構造設計者であるふなもと設計、本田建築デザイン事務所の関与物件、これは熊本県において耐震の検証等が進められていると聞いております。(三日月委員「そこはいいよ」と呼ぶ)

 あと一つだけ。浅沼物件の調査です、札幌の。これは、姉歯物件に関係していた業者が全く関与していない物件の偽装でございますが、浅沼二級建築士による偽装が報告されております。これまで札幌市により、札幌市内の十六物件、分譲十二件、賃貸四件でございますが、偽装が確認されております。

 それから、これとは別でございますが、小樽市から四月十八日に、一物件に強度不足のおそれがある、耐震強度も不足するおそれがある旨、公表されております。

三日月委員 いや、済みません、今のお話はこの表を見ればわかるんですけれども、局長。

 それで、私が何を聞きたいかというと、一体、日本全国で何件なんですか。今そんなくどくど言っても、要は百二十九件なんでしょう。問題がある、偽装がある、おそれがある、間違いであっても誤りであっても、耐震強度、構造計算書の面で問題があるのは百二十九件。

 そして、もっとお聞きしたいのは、姉歯関連、そして木村建設、ヒューザー、総研、そういったところの調査中はわかります、何件調査中であるか。福岡、そして札幌の件で調査中は何件なんですか。今、何件調査しているんですか。姉歯さん以外で偽装があるかないかの判断にとって非常に大事な福岡と札幌は、今、何件調査中なんですか。

山本政府参考人 浅沼二級建築士に関連いたしまして、調査中は四十四件でございます。それから、サムシングに関係しましては六百五十五件調査中でございます。

三日月委員 そういうことが載っていないんですよ、この資料に。国交省から発表されている資料では、サムシング関連、関係したのは六百六十六件という総数が出ています。浅沼さんが北海道でやったいいかげんな偽装物件は百十九件だというのは載っています。そして、問題があったのはそれぞれ十七件と七物件プラス三物件ということは載っていますけれども、何件調査中なんですかという情報が載っていません。こういうことを随時我々も確認できるような、そういう情報提供体制を求めておきたいというふうに思います。

 加えて、それ以外に、ほかは大丈夫だろうかという国民の不安を受けて、既存マンションのサンプル調査四百件と、国指定の指定確認検査機関、イーホームズ、ERIという名前は出てきましたけれども、それ以外の確認検査機関はちゃんと確認検査できているだろうかという問題意識のもとで、今、立入調査をされています、これは百三物件。

 資料の三枚目のところには、そうやって立入検査をし、抽出したマンション百三件の調査について、この下の方を見ていただければわかると思うんですけれども、十五件、百三件のうち十五件については、構造図と構造計算書の不整合だとか不自然な構造計算のモデル化など、構造計算に疑問のある点があり、強度不足の可能性があることが判明したと十二日に発表をされています。

 この四百件のサンプル調査及び百三件の調査状況について、お答えをいただきたいと思います。

山本政府参考人 まず、指定確認検査機関に対する立入調査を行いましたときに抽出してまいりましたマンション等百三件の調査でございますが、確認検査事務の総点検の際に立入検査をして、設計条件が特に厳しいと思われるものを抽出した上で、百三件、日本建築防災協会に依頼して検証作業を実施してまいりました。その結果、五月十一日に、うち十五件について、構造図と構造計算書の不整合など疑問のある点があると報告を受けたところでございます。昨日付で、指定確認検査機関それから特定行政庁に検証結果を伝えまして、問題点、法適合性等について精査を求めているところでございます。

 それから、既存の分譲マンションについてのサンプリング調査でございます。これは閉会中の当委員会の御審議の中でも御指摘いただいたやり方でございますけれども、過去五年間に建築確認をされました中高層マンション、主としてRC構造、鉄筋コンクリート構造、約六千件ございます。このうちから無作為に四百件を抽出しまして、日本建築防災協会に依頼して構造計算の再計算を行うこととしておりまして、これまで三百件のマンションの抽出、それから調査のための居住者、所有者の御了解をいただきまして、随時再計算を開始しております。

 これらの調査につきましては、耐震基準に適合しないことが確認されたものにつきましては、特定行政庁において是正指導を行う。国土交通省それから都道府県、特定行政庁により関係者の業務実態を掌握していきたいと思います。必要に応じて、それを踏まえた厳正な処分を行う考えでございます。

三日月委員 後段の部分は当たり前の話なんです。しかし、ちょっと局長、今の御答弁の中で追加してお聞きしたいんですけれども、今の、要はサンプル調査をやろう、過去五年間で六千件あったから、そのうち四百件抽出して、今調査中ですと。これはいつまでにやるんですか。

 そして、百三件の指定確認検査機関の抽出調査をやって、十五件が怪しいという結果が出ましたけれども、これはどこのどの建物ですか。どこが検査したんですか。

 そして、先ほどの福岡、札幌、それぞれ、これはまだまだ調査中のものが、福岡でいけば六百五十五件も調査中。六百六十六件確認できているうちの六百五十五件が調査中。そして、北海道の浅沼さんについては、二級建築士がやっちゃいけない建築構造計算をやったという部分で、百十九件のうち四十四件が調査中、これをいつまでにやるんですか。

 三つお答えください。

山本政府参考人 まず、百三件を調査いたしまして、構造計算に疑問があるとされました十五件につきましては、確認をいたしました機関、それから当該物件が所在する特定行政庁に事柄を今渡して、先ほど言いましたように精査を求めております。それぞれの十五件の調査自体は、私どもが調査を依頼しましたところから構造計算の専門家にお願いをして調査をしていただいた上で、受託機関で検討していただいたということでございます。それから、具体的な物件がどこにある何というマンションかということにつきましては、これは、指定確認機関、特定行政庁での法適合性の再確認、六月いっぱいかかると見込んでおりまして、事柄が確認され次第公表するということになります。

 それから、既存マンション四百件の調査ですけれども、既に同意をいただいて、再計算、実地調査等に入っているものにつきましては、六月いっぱいで内容の精査を終えて七月には完了させたい、そういう見通しで今調査に取り組んでおります。それから、まだ九十五件、同意を得られていないものにつきましては、今月いっぱい同意取得に努力をいたしまして、それから再計算、実地調査、内容の精査という段取りにかかっていきますので、七月からさらに後ろにずれてしまうと思います。

 それから、特定行政庁、福岡市とか札幌市、両県道に調査していただいておりますものにつきましては、事柄の性格から、極力急いでやっていただきたいということをお願いしておりますけれども、いついつまでに調査が完了するという見通しはまだ立っていない状況でございます。

三日月委員 一回こういう問題がある建物が建てられてしまうとこういう大変な状況になるんだなということを、局長自身もお感じになっていらっしゃるでしょうし、そしてお聞きになっていらっしゃる方々もお感じになっていらっしゃると思うんですね。

 この福岡のサムシングの物件については、我々はこの委員会にも、姉歯さん以外で偽装に関与していた建築士がいるのではないかという強い問題意識のもと、早く、どういう実態だったんですか、何件こういう物件があったんですかということについて説明を求めています。しかしながら、この間一貫して調査は進んでいないし、その随時の報告もいただけない状況であります。

 大臣、この調査状況をお聞きになって、いかがお考えですか。

北側国務大臣 今住宅局長から報告をさせていただきました調査につきましては、私の方からも、特定行政庁なり、また指定確認検査機関なりとよく連携をとって、できるだけ早く進めていただきたいということはお願いをしております。私も逐一報告も受けさせていただいているところでございます。

 やはり、できるだけ実態を解明していくことが、またそこを正確に把握していくことが再発防止の対策をさらに打っていくための大きな前提となると思いますので、できるだけ早く調査が終えられるように、また御報告できるようにさせていただきたいと思っております。

三日月委員 しかし、そういう質問をしようと思ってきょう来たところ、きょうの読売新聞ですか、先ほど高井委員の質問の中でも出ていました、自治体の四五%が対応不能になっていますと。

 ですから、次から次へと出てくるいろいろな、偽装ではないかという物件の調査、調べなきゃいけない物件の調査に特定行政庁も非常に苦慮されているという状況の中で、今大臣がおっしゃった、できるだけ早期にどこに問題があったのかということについて調べようということができる体制になっているんですか、特定行政庁は。そのあたりの状況認識についてお聞かせください。

山本政府参考人 全体の執行体制について、特に年度がかわりましたので、十八年度についてそれぞれの特定行政庁がどの部分をどういうふうに拡充してきているというのを、トータルに計数的にわかる形でまだ整理はしていないんです。していないんですが、それぞれの公共団体の議会でもいろいろな論議が行われております。審査体制を強化すべきではないかとか、少なくとも自分たちが確認をしたマンションについてはしっかり調査をすべきじゃないか、いろいろな議論が行われまして、そういう調査のニーズに対応すべく、もともと厳しい条件のもとではありますけれども、建築行政当局も努力をしてくれていると思います。

 幾つかの事例は私たちも掌握しておりますけれども、できるだけ整理をして、また、みんなで共有をして、前に進んでいくようにしたいと思います。

三日月委員 今回改めて浮き彫りになりました建築行政の問題点ですね、特に、特定行政庁の審査体制、検査体制、そして千八百二十五人しかいないという、あえて、しかと言わせてもらいますけれども、この建築主事の数のことも含めて、ぜひ、特定行政庁の確認や検査の実態についてこの機会に把握をされ、そしてこの改正やその後の改正に結びつけていただくように私の立場からも要請をしておきたいと思います。

 では、わかっていることについてお伺いをしていきたいと思うんですけれども、資料の四ページ。そもそも偽装が行われた手口、パターンについてどのように分析をされているのか。

 ここには四種類、こういう偽装の手口がありましたという四類型が記されて、それぞれ件数が書かれています。私は、これだけでは不十分だと思うんですね。例えば、こういう手口をどこの検査機関が、特定行政庁なのか民間なのか、はたまた、最初はどの手口でやっていたのか、だんだんこういう手口に移行してきたとか、姉歯さんだけじゃないんでしょうけれども、もう少し踏み込んでこの偽装の手口について分析をしなければ、今回の法改正に、どこにどう手当てをしていいかわからないという状況を生み出しかねないと思うんですけれども、このあたり、国交省としてどう分析されていますか。

山本政府参考人 御指摘のとおり、姉歯元建築士が行った偽装の内容も、時系列で並べてみますといろいろ変遷しております。したがって、当初は非常に憶病に巧妙に偽装していたものが、近年になって大胆に書類を差しかえるといったような形になっております。

 偽装案件を見逃してしまった特定行政庁に国土交通省がヒアリングをしております。姉歯元建築士の初期の偽装の手口については、構造計算書の一部を不適切なデータ入力をしたものに差しかえまして、保有水平耐力が大きく、また必要保有水平耐力が小さくなるようにして偽装しているもの、あるいは、エラーとか警告メッセージを消しまして、不適切な数値を切り張り等で修正したものなど、偽装を発見することが比較的難しい手口が多用されております。これらの偽装の物件は、主として特定行政庁において建築確認されたものに見られたものでございます。

 ところが、最近の偽装の手口としましては、構造計算書を途中からその後半部分を別の構造計算書と差しかえて、地震力を低減した結果、応力図と断面算定時の応力とが異なっているといったような大胆な偽装の手口となっております。そういう大胆な偽装の手口を見過ごしてしまったものは、大半がイーホームズにおいて建築確認されたものであったということでございます。

 なお、非姉歯物件の偽装手口としては、荷重を一割程度低減するということで構造計算が基準に適合するように見せかけていたサムシングのような事例も見られます。

三日月委員 いや、そういうことをぜひ我々に示す資料にも書いていただくべきだと思いますし、この法律改正の前段の議論をしていただきましたそれぞれの部会や緊急調査委員会ですか、そういったところでも、今回偽装はこれだけ行われました、その偽装の特徴はこうです、類型はこうです、それを見逃してしまったのはこの検査機関でしたということについてのもう少し踏み込んだデータがなければ、どこにどう手当てをしていいかわからないじゃないですか。

 そして、今ありました。お聞きになっていらっしゃる方、わからない方も多いと思うんですけれども、要は、いろいろと数値をややこしくいじくって巧妙にやる偽装の手口ではなくて、Aという計算書とBという計算書と出して、そのそれぞれ半分ずつ組み合わせて、結果、応力を下げてしまう、こういう簡単な偽装をだんだんやるようになったという今の御答弁だったと思うんです。それを、残念ながら、大胆、あからさまにやった偽装を見抜けなかったのがほとんどイーホームズだった。このイーホームズを指定されたのはどこですか。

山本政府参考人 イーホームズを指定したのは国土交通省でございます。

三日月委員 今回偽装された物件、最も多く見逃しをやっているのはイーホームズです。そして、あげくの果てに、偽装をやったけしからぬ姉歯さんに、証人喚問で、ほとんど見ていないんじゃないですかと薄ら笑いを浮かべながら指摘をされたイーホームズ。そこを指定したのは国土交通省。立入検査や監査はやられていたんですか。

山本政府参考人 指定確認検査機関からは毎年度定期的に事業の報告を受けます。それとあわせまして、定期的に、年一回の頻度で立入検査を行ってきております。イーホームズにも行っております。それから、特別、問題事象が内部告発等で通報があった場合は、緊急に立入検査を行います。そういうことも行っております。

三日月委員 そんなさらっと答えられて、それで終わりですか。

 要は、指定をしたのは国土交通省、定期的に立入検査もやっています、垂れ込みに基づく調査もやっています、それで見抜けなかったんでしょう。そのことの責任を国土交通省はどうお考えになっていらっしゃるんですか、大臣。

北側国務大臣 指定確認検査機関への立入検査等のときとか年度ごとの定期報告のときに何をしているかというと、指定確認検査機関の当初の指定要件がございます、この指定要件がその後も的確に維持されているかどうかという観点から検査をしておるわけでございます。もしそうしたことで問題があるならば、指定確認検査機関による重大な違反が発生した場合や通報を受けた場合などは、必要に応じて緊急の立入検査を行っている。これがこれまでの実態でございます。

 要は、当初の指定要件、ちゃんと検査員や補助員の人数が確保されているのかどうかとか、基本財産がどうなのかとか、役員や検査員の兼業の状況がどうなのかとか、そういう当初の指定要件がその後も維持されているかどうかということをチェックしている、こういうところに主眼があったんですね。

 今回、こういう事件が起こりまして、改正案では、一つは指定要件を強化させていただいたり、また、指定確認検査機関への立入検査権限を特定行政庁に置いていただいて立入検査をするだとか、また、不正行為があった場合には、特定行政庁の報告に基づく指定権者による業務停止命令が実施できるだとか、そうした指導監督権限というものの強化をこの法改正ではお願いをしているところでございます。

 さらに、立入検査の今後のあり方につきましても、やはりより効果的に立入検査できちんと見られるようにしていく必要があるという観点から、現在、専門家の方々、学識経験者の御意見などをいただきながら、立入検査時における検査内容また検査体制について、抜本的な見直しも含めた検討を今しているところでございます。

三日月委員 現行の検査内容については認識をしていますし、今回改正する内容についても法案を見ればわかります。しかし、結果的にイーホームズというとんでもない確認検査機関を指定してしまい、定期的な検査で決められたことが守られているかどうかの確認をしていたけれども、結果的にこれだけの偽装物件を見逃してしまったこの指定確認検査機関を野放しにしてきた結果責任は、国土交通省、大臣としてどのようにお考えになっていらっしゃるんですかという問いについての答えがありませんでした。お答えください。

北側国務大臣 それは今申し上げたつもりなんですけれども。

 これまでの検査というのは、指定要件が維持されているかどうか、そこをチェックするというところを見ているわけですね。そうではなくて、こういった事件が起こったわけでございますので、もう少し内容に立ち入って、例えば個々のイーホームズがやっていた確認検査、膨大な確認検査があります。そこまで立ち入って立入検査をしているわけじゃなかったわけですね、これまでは。むしろ、人員があるかどうか、財務的な基礎が整っているのかどうか、こうした指定要件があるかどうか。

 指定して監督するというのは、なぜ監督するかといったら、その指定要件がちゃんと確保されているかどうかということで監督権限が出てくるわけでございますので、指定要件がどうなんだ、ちゃんと維持されているのかというところに主眼があったということは、これは当然のことだと思うんです。

 個々の検査そのものについて、それは膨大な件数があります。それを、国交省から行っている職員でそんなのをチェックするというのはとても不可能な話、現実には。では具体的にどうしていくのかということを今まさしく議論をさせていただいておりまして、例えば、これは例えばの話です、立入検査に行ったときにサンプルをどこか一つでも持ってくる、同じような、今回の分譲マンションとよく似た共同住宅で、十階以上でちょっと危なそうだと思われるようなものをサンプルで一つでも持ってきて、それを検査するだとか、そういうことが検討できるのかどうか。そういうことを今まさしく議論をさせていただいているところでございます。

三日月委員 反省なくして対策なしです。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 加えて、私の資料の五ページ目。午前中の長妻委員、そして先日来、馬淵委員、その他委員から問題点について指摘をされております。また、きちんとこの委員会でも説明をしていただきたい。今ありました、これだけ多くの問題物件を見過ごしてしまったイーホームズを指定されるときに、都議会議員の方がお話を担当者の方になさっていたと。報道等によれば直接会って話もしていたんだということについての説明が、まだこの委員会ではなされておりません。

 国交省から出された、これは三日月太造になっていますけれども三日月大造の間違いですけれども、この説明資料によっても、「名前は記憶していないとのこと」ということしかありませんし、そういう名前も記憶していない、そして、結果的に、こういう見過ごしを起こしてしまったイーホームズという指定確認検査機関を一カ月そこそこで決裁してしまったこの過程については、ぜひこの委員会でも確認をしておく必要があると思うんです。

 委員長、この間ずっと求めております、この都議会議員の当委員会への参考人招致を私の立場からも求めておきたいと思います。

林委員長 先ほどの長妻委員からの発言のとおり、理事会で協議いたします。

三日月委員 当然のことながら、国土交通省としても、名前は記憶していませんから、どんな話があったということについて詳細なやりとりは記憶していないということでごまかされることではないということですから、国土交通省としても、引き続き調査をし、また、適宜報告をいただきますように求めておきたいと思います。

 それで、次に移りたいと思うんですけれども、まず偽装をやることがとんでもありません。そして、見逃してしまうこともとんでもありません。しかし、それが検査の段階でわかればまだ、指摘をし、そして是正をする余地もあったことでしょう。この検査のあり方についてお聞きをしたいと思うんですけれども、質疑に入る前に、まず、国交省としてデータをどう把握していらっしゃるのかということについてお伺いをいたします。

 まず、中間検査ですね。施工段階に建築物の法的適合性について現場で検査をするということで、平成十年に定められました特定行政庁及び指定確認検査機関の中間検査、どれぐらいの件数が行われているんですか。そして、建築確認されている建物の何%をやられていますか。加えて、特定行政庁と指定確認検査機関、いわゆる官民でどの程度分担ができていますか。最後に、その中間検査の行われ方について実態把握をされていますか。以上三点。

山本政府参考人 中間検査につきましては、件数ベースで掌握しております。

 平成十一年の数字で、中間検査件数が二万一千百三十件でございました。これは、建築確認の件数が八十五万五千件のオーダーのときでございます。それに対しまして、直近のまとまった数字がありますのが平成十六年ですので、十六年の数字を申し上げますと、確認件数が七十五万二千件のオーダーのときでございますが、中間検査で十四万九百二十二件行われております。

 中間検査を担いましたのが建築主事か指定確認検査機関かということでございますが、平成十一年の二万一千百三十のうち、建築主事が行ったのは一万七千三百六十四件、指定確認機関が行ったのは三千七百六十六件。これに対しまして、平成十六年は、十四万九百二十二件のうち、建築主事が三万七百四十九、指定確認検査機関が十一万百七十三件でございます。

三日月委員 いろいろと聞きましたのであれなんですけれども、その中間検査がきちんと現場で行われているのか、施工段階の検査がきちんとできているかという実態把握はされていますか。していないなら、していないで結構です。

山本政府参考人 基準法令で中間検査のやり方は定めておりますので、具体的に現場でどうやっているかということを聞いて調べてはおりません。

三日月委員 ぜひその中間検査の行われ方について、確かに完了検査と異なって法的に義務づけられておりませんが、でき上がってから見るよりも途中段階で見る方が、まだ偽装についても、おかしいところについても、手抜きについても確認できる可能性は高まるわけです。この中間検査のあり方について、現行どうなっているのかという現状の調査をぜひしていただきたいと思います。

 今局長がおっしゃいましたけれども、三万件ぐらいだったのが十四万件になった、しかも、特定行政庁のうち七二%の行政庁でやっているんだという言われ方をしましたけれども、建築確認されている物件の一九%しか中間検査できていないというデータとか、やはり数字だけうまく表現されると、ああ、そんなに中間検査をやっているんだと思われる、そこにどうかごまかされることのなきよう、委員の皆様には御理解をお願いしておきたいというふうに思います。

 この中間検査のあり方をどうするのかということが、今回、政府案と民主党案で違います。

 民主党案は、今回の問題を受けて、やはり中間段階で検査をすべきだという認識のもと、この中間検査をすべての建築物に義務づけていますけれども、午前中の議論の中にもありました、行政の負担が重くなるということについて指摘や懸念、不安があることについてどのようにお考えなのか、認識、理解を改めてお伺いをしたいと思います。

山本政府参考人 中間検査は、これまで、特定行政庁が地域の実情を勘案して対象となる建築物を指定する制度となっておりました。また、中間検査を導入しました当時は、確認検査事務を民間開放しようという問題意識とも関係するんですが、行政の執行体制が不十分だったということもありまして、中間検査は、対象区域それから期間を限って行う制度として導入されております。

 今回の耐震偽装事件を契機といたしまして、特にマンションについては、全国共通の課題として厳格な検査を行う必要性が高まったために、一律に中間検査を義務づけるとしたわけでございますけれども、すべての建築物について義務づけるということは、現状の執行体制あるいは特定行政庁の検査体制、民間機関の検査体制では困難であろうというふうに考えておりまして、三階建て以上のマンション以外の建築物については、特定行政庁が地域の実情に応じて指定することが適切だというのが私どもの考えでございます。

三日月委員 時間も限られていますので、民主党案については私も主義主張をわかっていますので、政府に問いたいと思うんです。

 では、完了検査。私の資料の六ページ目に、これは以前の国土交通委員会でも示された数字ですけれども、法的に義務づけられている完了検査が今都道府県別にどれぐらい行われているのかという数字、十六年度の数字で持ってまいりましたが、全国で七三%、ある都道府県については五〇%しかできていないというこの状況を受けて、ごらんになって、一〇〇%にならない理由をどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、これを一〇〇%に近づけるためにどういう対策をとられるんですか。

山本政府参考人 この点については私どもも強い問題意識を持っておりまして、特に完了検査の低い都道府県に対しまして調査をしております。

 その原因といたしまして、その当該地域の建築主、設計者、施工者等、関係者の意識が低いということのほかに、検査体制が未整備であるといったようなことを当局は挙げておりまして、現在、都道府県に安全安心実施計画というものをつくっていただいておりまして、完了検査率の向上のための具体的な数値目標を定めて、完了検査受検の案内はがきを送付するとか、現地パトロールを強化するとか、あるいは、特にローンがつけられるときに、金融機関が融資を実行するときに完了検査を前提としていただくといったような取り組みが非常に有効でございますので、金融機関との連携といったような形で取り組んで、完了検査が確実に受検されるよう努めてまいりたいと考えております。

三日月委員 完了検査だけではなくて、民主党案では、完成してから二年後に完成後検査を義務づけようという提案をされています。

 民主党提案者にお伺いしますけれども、これは、私は、例えばホテル東横インのああいうけしからぬ改造や何かを防ぐためにも、またさまざまな建築上、構造計算上の偽装や不備をチェックするためにも有効だと思うんですけれども、しかし、そもそもだれの負担でこの検査を行うんですか。また、そこで瑕疵、問題だということが発見された場合、その費用負担だとか責任の所在はどのような形でお考えなのか、お答えください。

下条議員 三日月委員の御質問にお答えします。

 まず、民主党案では、今おっしゃったように、完了検査を受けた二年後にもう一度検査を受けなければならないとしております。

 今おっしゃったように、東横インのケースなど、完了検査の後に違法な改造をやり、建築基準関係規定を潜脱した建築物が散見され、社会問題化しております。完了検査後においても、建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査が必要と大いに考えております。

 そこで、建物については、春夏秋冬の四季を二度経過すれば、隠れた瑕疵であってもおおむね発見できると考えられています。そこで、二年後の検査といたしました。これは、宅地建物取引業法の瑕疵担保責任規定の担保期間の設定理由と同様であります。

 検査は、建築確認や中間検査と同様、建築主が申請することとなっておりますが、実際には、販売会社や建築士によって申請がなされて検査がされることになります。

 また、瑕疵が発見された場合の補修に関する費用はもちろん売り主の責任になり、瑕疵担保責任の履行を担保する上でもこの二年後の検査は重要であり、建築する側の、引き渡せば終わりになるという認識を変えられるという点でも重要な意味があると私どもは考えております。

 以上であります。

三日月委員 ありがとうございました。

 続いて、特定行政庁の責任なり手当てについてお伺いするわけですけれども、その前に、ぜひ今回の質問で行政当局及び大臣の御見解をお伺いしたい、もしくは提案をしてみたいと思う事柄について提起をしたいと思うんですが、大臣認定プログラムのあり方についてです。

 これは、現在、私の資料でもつけさせていただきました、もう既に御案内のことだと思うんですけれども、七ページ以降、この国に大臣認定プログラムというのが百六プログラムあって、要は、構造計算を適正に行えるようにしよう、もしくは建築確認事務を合理化できるようにしようという目的で昭和五十二年に創設をされて、これまでだんだん広がってきている。特定行政庁においても、いや、その前に建築士が構造計算をするときに、そしてそれを審査する段階でも、この大臣認定プログラムというのが一つのお墨つきを得た形で運用、利用されているということがあるんです。

 今回ピアチェックということで、残念ながら見落としてしまった、先日の馬淵委員の質問の中でも、コンピューターを導入することによって複雑化し、審査する方も構造計算書をつくる方もそもそももう技術レベルが追いつかなくなってしまっているという状況がある中で、今回法案の中で設置をされようとするピアチェックをする適合性判定機関には最低限必要だと思いますし、確認検査をする特定行政庁や指定確認検査機関にも必要だと考えるんですけれども、この大臣認定プログラムを審査する側が最低限保有すること、そして更新していくことの必要性についてどのようにお考えでしょうか。

山本政府参考人 今回の改正案では、大臣認定を取得した構造計算プログラムを用いて構造計算を行った建築物については、建築確認申請時に入力データを提出させまして、指定構造計算適合性判定機関において入力方法等を審査の上で、再入力、再計算を行うこととしております。

 したがいまして、都道府県知事が指定する指定構造計算適合性判定機関におきましては、プログラムの更新も含めまして、大臣認定プログラムを常に使用できる環境を整備する必要があると考えております。

三日月委員 いや、なぜこういうことを聞くかというと、そもそも、構造計算プログラム、大臣認定プログラムを利用してコンピューターで構造計算書をつくる、非常に複雑で高度な構造計算書をつくる設計士、建築士がふえてきています。しかし、それを審査する側の例えば特定行政庁でこの複雑で高価な大臣認定プログラムを持っているかといえば、皆様方も特定行政庁なり指定確認検査機関へチェックに行かれたらわかると思うんですけれども、持っていません。そもそも、更新にもお金がかかるし、そして買うにもお金がかかる。

 私のいます滋賀県では、我々の指摘によって、レンタルでリースをして、しかもシェアが一番多い大臣認定プログラムを優先的にレンタルでリースをして、そして出されてくる確認申請の審査処理をしているという状況なんです。

 私は、提案として、大臣認定というぐらいなんですから、大臣がお墨つきを与えて使ってくださいというプログラムなんですから、この大臣認定の条件に、例えば審査機関には無料でこのソフトを提供すること、もしくは安価にそのソフトを提供すること、バージョンアップされれば、例えばA社のソフトがこういう形でバージョンアップされましたということで、利用する人はもうそれぞれで買えばいいんですけれども、少なくとも審査する機関ぐらいにはその提供を義務づけるという条件をつけてもいいんじゃないかと思うんです。(発言する者あり)そうですよね。

 どうですか、お考えをお聞かせください。

山本政府参考人 お尋ねのポイントが、指定構造計算適合性判定機関というよりは、むしろ確認検査機関についての御指摘でした。

 ポイントをぜひ御理解いただきたいと思うんですが、指定確認検査機関は、改正後も、再計算をしたりということはいたしません。指定確認検査機関あるいは特定行政庁にきちんとやっていただきたいのは、構造計算書についてもポイントは、要点はきちんと見てほしいと。そのための指針を大臣が定めて、それに基づいてやっていただきます。これは、すべての申請がありました建築確認についてそういうやり方でやっていただきます。

 ただし、非常に大きな建築物で複雑な構造計算が必要なものに限って、第三者の専門家の構造計算適合性判定を行っていただくというものでございます。これは、データで申請を出してもらったものについては、実際に再入力、再計算をして、機械を動かして適合性を判定するし、そうでないものについては、専門家が詳細に構造計算のプロセスを審査した上で適合性を判定するということを考えております。

 したがいまして、指定構造計算適合性判定機関の方はプログラムをきちんと持っていなければいかぬ、そのための環境は国も一緒になって整備をする必要があると考えているということを説明させていただきます。

三日月委員 今局長がお答えになりましたけれども、今回新たに設置を提案されています指定構造計算適合性判定機関と、そして特定行政庁及び指定確認検査機関のそれぞれの役割分担はあります。

 では、最低限、これからピアチェックをしてもらおうという指定構造計算適合性判定機関については、プログラムメーカーには、プログラムをつくり販売をするメーカーには少々負担になったとしても、審査をするために必要なソフトの提供及びレンタル、そしてバージョンアップも含めて、負担を含めて検討するということについて、踏み込んでやっていただくという認識でよろしいですね。

山本政府参考人 大事な御指摘ですので、検討はしたいと思います。検討はしたいと思いますけれども、商売でプログラムをつくっている機関ですので、大臣認定というだけでただで供出しろということが可能かどうか。検討はしてみますけれども、基本的には、今申し上げましたように、指定構造計算適合性判定機関は必ずすべてのプログラムにアクセスできるような環境を整備する必要があるということですので、その一点については、国も責任を持って環境整備をしていきたいと考えております。

三日月委員 まだまだ用意をした質問の半分もできなかったんですけれども、今局長がいみじくもおっしゃいました、商売なんでねというところなんです。商売でも、義務づけないといけないこと、網をかけないといけないこと、規制をしないといけないこと、これが問われているんです、今回の法改正は。そのことの御認識を改めていただくことを指摘し、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

林委員長 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十三分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 耐震強度偽装事件が発覚してちょうど半年で、また先ほどのニュースでは小嶋氏が逮捕されるというときに、この質疑をするというのはとても大切なことだと思います。

 そこで、私は、被害を受けたマンションに対する国の救済策の問題について最初に大臣と質疑を交わしたいと思います。

 昨年十二月に救済策が発表されて半年がまた過ぎようとしています。とりわけ、強度不足により使用禁止命令が出されたマンション住民の方々は、退去を余儀なくされながらも再建に向けて非常に苦労されています。

 この問題で大臣は、最も緊急を要する課題は、危険な分譲マンション居住者の安全と居住の安定の確保、最大限の努力をしてまいりますと答弁されました。進捗状況については、居住者の皆様の約九五%の退去が進むとともに、先ほども件数で三百数棟の中での二百九十幾らという報告がありましたが、ただ、建てかえが必要なマンション十一棟のうち一棟で除却工事が開始をされた、また六地区で建てかえ推進決議がということをこの間の答弁で明確にされています。

 私は、これだけ聞きますと、その後えらい進展しているなというふうに見えますし、そういう答弁なんですけれども、実際には何もめどが立っていないんじゃないか。建てかえ推進決議があっても、二重ローン問題など新たな負担は困難という点で具体的な方法はまだ決まっていないというのが多くの当事者の実感ではないかと思うんです。

 ここは大臣にお聞きしたいんです。そういう現状を踏まえて、被害者の救済のめどは立っているのかという点をどう認識されておられるのか、お聞きしたいと思います。

北側国務大臣 穀田委員おっしゃるとおり、危険な分譲マンションにお住まいの方々の居住の安全を確保していくこと、そして居住の安定を確保していくこと、これが、私ども、当初から一番最優先の事項だと考えて取り組みをしてまいりました。

 先ほど委員が御紹介していただきましたように、十一棟のうち九棟につきましては居住者の退去が完了いたしました。当初の入居戸数三百九戸のうち、九七%に当たります二百九十九戸が退去をしているところでございます。除却の方はまだこれからでございますが、一棟において除却工事が実施をされておりまして、六棟において建てかえ推進を決議されたというのが今の現状でございますが、これはまだまだ道半ばだという認識をしております。

 建物を解体し、そして建てかえを進めていく、そのためには、多数の住民の方々の合意を形成していく必要があるわけでございまして、これはそんな容易なことではないというふうに考えておりまして、国といたしましても、地方公共団体、特定行政庁としっかり連携をとって、これからも建てかえた建物に居住者の方々がお住まいになられるまでしっかり最大限の努力を国土交通省としてもとってまいる決意でございます。

穀田委員 大臣、これは大臣がずっと答弁されている内容なんですね、最大限努力と。それはそのとおりなんですよ。でも、国として、お住まいの、までやるんだと。そうしますと、解決に責任を持つというのは当然だと思うんですね。これはお互いに認識は一致しているんですよ。住民の方々の不安を取り除き、そして安心して再建に向かう話し合いの努力、土台というのが、先ほど住民の合意形成とありましたよね。だから、一番大事なのは精神的支柱だと私は思うんですよ。

 早期の解決に向けて最大限の努力、二度も三度も聞いてはいるんですけれども、国が責任を持つんだ、安心してくれという形で住民にお約束するような言質が必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。

北側国務大臣 全体としての支援スキームは、昨年の十二月、そしてこの一月の補正予算の審議の中で取りまとめをし、個々の状況というのは異なりますので、そうした総合的な支援策に基づいて、今個々の棟について特定行政庁と一緒になって合意形成を図るべく努力をしているところでございます。

 各論の話はいろいろあるんだと思うんです。あると思うんですが、総論といたしましては、私どもは、合意が形成を図られて建てかえがなされ、そしてそこに住まれるまでしっかりと責任を持って対応をさせていただきたいと考えております。

穀田委員 被害者救済のめどという点では、やはり道半ばだということだと思うんですね。私は、道半ばというよりも半分も行っていればいいんやけどね。一番肝心な点は方向性が見える、つまり、これで大丈夫だと見えればそれで半分なんですね。例えば物事の解決だとかそういうものというのは、何かという場合、ほとんど解決のめどが立つことによって半分と言うものですからね、普通は。ですから、私は、道半ばどころか道に入ったところだということだと思うし、安心して、やるから大丈夫だということが必要だと思うんです。

 そして、個々の問題や各論はいろいろある、こう言いますけれども、私は、では、共通している問題は何かということだと思うんです。

 私はここに、グランドステージ東向島耐震強度偽装対策委員会の各党に対する公開要望書を持ってきました。その要望書によれば、「国や墨田区の指導の下、マンションが再建できるものと信じていた。しかしながら、国の示したスキームが非現実的なものであることを目の当たりにし、自治体の協力も限定的である。」こういう率直な発言が、要望があります。そして、さらに、「国の発表では耐震強度が〇・三一で解体、建替えと言われた当該マンションも民間調査では〇・五五七となり、その根拠も不明瞭となった。そして、国交省はどちらの数値を採用し、建替えるか補強するかは自治体と住民にお任せすると回答した。」という点を指摘していまして、国交省や墨田区の対応に対して批判的意見を述べております。

 きょうの午前中の質疑でもありましたように、耐震強度が〇・五以下というのは相当ひどい物件だということを大臣は再三強調しました。私は、後半の方の、この公開要望書にある耐震強度の二つの数値と国交省の回答というのは事実かどうか、局長にお答えいただきたい。

山本政府参考人 御指摘いただきました件につきましては、国土交通省はイーホームズから十一月に偽装に関する報告を受けまして、イーホームズ社が保管しておりました確認申請図書の写しの提供を求めまして、緊急に安全性の検証、再計算を行ったところでございます。その結果として、強度について〇・三一という数値を特定行政庁に伝えるとともに、公表したところでございます。

 最終的な強度の認定でございますが、特定行政庁が関係者からの報告聴取あるいは実際の建築物の状況等を見て判断するものでございます。墨田区においては、その結果、国土交通省が当初発表いたしました強度の数値を妥当と判断しておりまして、その旨住民にも伝えていると聞いております。

 要望書にありますような建築関係の雑誌に掲載された民間調査の結果があることは、墨田区、それから私ども国土交通省も承知しておりますけれども、この民間の調査、建築関係の雑誌に掲載されたものの詳細については明らかになっておりません。

 強度の確定は特定行政庁においてなされるものでございます。住民に対しまして、どちらの数値を採用するかについて自治体と住民にお任せするという回答をした事実はございません。

 また、建てかえるか補強するかにつきましても、自治体と住民にお任せするという回答を我が省からした事実はございませんが、建てかえの支援の対象につきましては、保有水平耐力比が〇・五未満であり、かつ、耐震改修が困難であり、かつ、建築基準法第九条に基づく除却命令を受けたもの等としておりまして、保有水平耐力比が〇・五未満であることをもって直ちに建てかえ以外の方法を否定するものではございません。

穀田委員 だとすると、まず、国土交通省がどちらの数値を採用するか、どっちを選ぶかということは言っていないということですね。では、それはそれで結構です。

 ただ、そういう新しい数値が民間調査機関によって出されているということを知っているわけですから、そうしますと、どちらの数字が正しいのか、そして、選択をどうするのかということは当然問われるわけでして、それを単に特定行政庁の仕事だと言わずに、国が今支援の体制をとっているときに、これはどうなんだということで積極的に乗り出して、その数値を確かめる、そしてその不安をなくしてあげるということを積極的にするのが、先ほど大臣が最大限の努力をすると、これは最大限の努力ですか。私は最大限とは思いませんよ。最大限ということは、そういう不安が出たときに、いや、違うんだ、それは間違っています、大丈夫なんです、それをやりましょうという話をしてやってこそ最大限と違うかと。

 これが普通の人の感覚なんですよ。そう思いませんか。私はそうだと思うよ。普通の人から見れば、そんな、どこか後ろにおって、それは特定行政庁の仕事ですわというような話をして、それは民間の調査機関はそういうの出るでしょう、それはそっちの数字ですわなというような話をして不安を駆り立てることが、不安をなくすということが大事なんだと最初に私言ったでしょう。そういう点のことがだめなんだということを言っておきたいと思います。

 だから、どうしたらマンションを再建することができるか、住む人の立場に立ったら何が問題かということに対して、親身ということが最大限なんだということを心に命じていただきたいというふうに言っておきたいと思います。

 次に、そこでです。個々の話じゃない問題の最大の点は、二重ローンの問題なんですよ。これはなかなか進めない要因であり、最も大きな要因でもあります。東向島の住民の方も次のように言っているんですね。「何より補償が不確定な中、一世帯あたり平均二千万円超の経済負担を強いられている。 なんら責任のない純然たる被害者の私たちが、精神的、肉体的、金銭的負担を背負ったまま包括的な支援なく建替えを推進することは困難である。」と訴えているんです。

 私たちは、こうしたことを踏まえて、この間、本会議で二重ローンの問題について提案をし、大臣に質問しました。そのときに私は、住民の既往のローンの債務軽減のために銀行等と交渉すること、二つ目に、販売会社など加害者に損害賠償責任を果たさせること、三番目に、銀行や不動産関係業者などから基金等を募って被害者住民の債務返済に充てるなど、被害者住民個人が銀行と交渉することは困難だ、だから国が解決に責任を負うスキームを提案したわけだから、そういうことをしたらどうだという提案をしたわけです。

 本会議ではもう一つ明確な答弁がなかったので、改めて大臣に伺いたいと思います。

北側国務大臣 この住民の方々の支援スキームを考えるに当たりまして、既存のローン、それから建てかえをしようとしたときの新しいローン、この二重のローンの問題について負担の軽減をしていくということが非常に重要であるという認識は、当初から持っておったところでございます。

 昨年の十二月の段階で、これは金融の問題でもございますので与謝野金融担当大臣と会談をいたしまして、与謝野大臣にも協力を要請いたしまして、全銀協を初めとする金融機関団体に対しまして、この住宅ローンの負担軽減を図るために対応をお願いしたいということは要請をしてまいりました。

 こうしたことで、与謝野大臣も動いていただきまして、二月の十四日に全銀協等の五団体、機関の連名で申し合わせがなされまして、既往ローンについては返済据置期間の設定、据置期間中の可能な範囲での金利の引き下げ、ちなみに住宅金融公庫の場合は最大限一・五%の金利の引き下げをやっておりますが、可能な範囲での金利の引き下げ、さらに、危険なマンションの除却、建てかえを行うに当たりまして、抵当権の円滑な抹消への協力、さらには、再設定をする場合、新しい建てかえ後の建物に抵当権を設定する場合の再設定時の順位ルール、さらには、居住者から新規ローンの申し出があった場合の審査の弾力化等の措置が申し合わせで合意をなされているところでございます。

 さらに今般、居住者の方々が新たに住宅ローンを借り入れる場合には、その利子負担相当分として、借入額及び所得に応じて最大百九十二万円から三百五十四万円、特に支援が必要な方に対しては最大六百三万円までの助成を行うこととしたところでございます。

 これらの措置を活用することによって、住宅ローンに係る居住者の負担の軽減が相当程度図られるものと認識をしております。

穀田委員 大臣、先の方はもう前の話でわかっているし、私の時間というのは物すごい短いんやから、わかっておって、もうそれは短うしてな。

 私が言っているのは、要するに質問したのは、国が解決に責任を負うスキームを新たに提案しているわけですやんか。それに対してどないやということを言っているわけで、今まで言ったことについては、それは今までずっとやってきたことを知っていますよ、私も。だけれども、何でこんなことを言っているかというと、先ほど、山本局長もそういう話は多分聞いているんだろうけれども、各党に対して、耐震偽装の被害者救済を超党派で取り組もう、円滑な建てかえや補強を実行できる特措法を立法してほしい、それから、当面の経済負担をなくす無利子基金の設立を、こう言っているわけですよね。

 この点について言うならば、特別立法については自民党のワーキングチームも提案しているんですね。それで、都市再生機構による住宅ローン債権の買い取りを提起し、元本の一部免除も含まれているんですよ。だから、私どもも、そういう話としては、簡単に言えば、いろいろ立場は違うけれども、これのスキームと結構近いじゃないかということを言いたいわけですやんか。

 そうしますと、あとは、民主党さんが乗ってくれて、社民党さんが乗ってくれて、公明党さんが乗ってくれればできる話だと。もちろん、ワーキングチームですから、自民党全体の意見かどうかという問題はありますよ。だけれども、一番わかっている人たちはそこまで来ておるのだから、私はそういうことをやろうじゃないかと。したがって、各党に逆に呼びかけたい、ぜひともこの点は、特別のそういうことをつくろうじゃないかと。

 そしてまた、委員長にもお取り上げいただいて、理事会でもこういった問題について御協議いただければなと思っているところです。

林委員長 理事会で協議いたします。

穀田委員 今お話ししたように、私は、この問題は、本当に現実の御苦労という問題で困っている点を各党が協議してやれる土台はあるということを改めて強調しておいて、理事会でもさらに具体的に詰めていきたいし、そういうものに、具体化のために力を注ぎたいと思います。

 大きな二つ目に、では、今回の事件の問題との関係で論議を進めていきたいと思います。

 姉歯元建築士以外の新たな構造計算書の偽装や改ざん、耐震強度不足の建物もさらに広がりを見せていて、国民の不安は募る一方であります。同時に、建築物の安全を確保すべき建築行政に対する信頼は今や失墜しています。

 法案はこう述べています。耐震偽装事件の再発を防止し、建築物の安全性に対する国民の信頼を回復するとして提出されたわけです。果たして本当に国民の期待にこたえることができるのかどうかが問われています。趣旨説明では、耐震偽装問題が国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信を広げている、さらに、偽装を見抜けなかった現行の建築確認検査制度等に対する国民の信頼も大きく失墜していると述べています。

 これは、では、建築確認制度等の不備を放置し、建築物の安全確保ができなかった建築行政に対する信頼が失墜していると受けとめるわけですが、行政として制度的不備を改善してこなかったという責任は感じているということかどうか、明確にしていただきたいと思います。

北側国務大臣 今回の事件において、指定検査機関のみならず、特定行政庁においても偽装を見抜くことができなかったわけでございます。そういう意味で、これだけ広範に、また今委員のおっしゃったように、姉歯元建築士だけの問題ではありません、ほかでもあるわけでございまして、建築確認検査制度に対する国民の信頼が大きく失われているというふうに認識をしているところでございます。

 今回、偽装物件、姉歯元建築士の偽装物件だけで九十八件あるわけでございますけれども、その偽装内容というのはさまざまでございます。さまざまでございまして、単純な差しかえを行ったものだけではなくて、コンピューター計算途中の数値など出力結果の一部を巧妙に修正したものまで多岐にわたっておりまして、構造計算書の再計算や構造の専門家による詳細な審査を実施しなければ偽装を発見することが困難な事例もあることも事実でございます。

 こういう実態を踏まえまして、現在審議をしていただいております本改正案によって再発防止策をぜひ緊急の措置としてとらせていただきたいということで、本改正案についてお願いをしているところでございます。

穀田委員 私が言いたいのは、制度への不信があるということなんですね。

 今お話があったように、今後の再発防止、先ほど提起した被害者の救済においても、行政として制度的不備を放置してきたのは事実であって、ある意味では当然、不作為の責任があるんだ、ここをしっかり自覚してやる必要があるということをまず私は指摘しておきたいと思うんです。

 そこで次に、では、本来、こういう再発防止について言うならば、なぜ偽装が起こり、なぜ見過ごされたか、そういう今度の事件の構造と背景についてしっかりした分析が必要です。大臣が諮問している構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会の報告書では、なぜ偽装が起こったのかについて、「建築士制度の機能不全」として、建築技術の高度化に伴う建築士の専門分化、構造設計者の下請化による労働加重と地位の低下を挙げています。

 なぜ見過ごされたのかについては、「建築確認・検査制度の機能喪失」として、建築技術の高度化、専門化、確認申請件数の増加等による建築主事の技術的能力、処理能力の低下、民間確認機関の市場競争による審査の形骸化を挙げています。

 そこで、なぜ偽装が起こったのかについて大臣の見解を聞きたいんです。私が体制と言ったのは、そこなんですよ。今言った報告では、「わが国の建築生産システムでは、倫理・技術に劣る建築士でも構造設計業務を受注する機会が排除されていない。」として、建築生産システムそのものの不備を指摘しているんですね。だから、倫理、技術に劣る建築士が構造設計業務を受注できる仕組みが問題だという点の指摘だと私は思うんですが、この指摘に対する大臣の認識をお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 この緊急調査委員会の報告書で、今委員が御指摘になったようなことが指摘をされているということでございます。

 もう詳細、繰り返しは、述べるのはやめさせていただきますが、こういう倫理、技術に劣る建築士の排除については、本来は、建築士みずからが各自の業務実績等の能力を開示いたしまして、適正な競争の結果、市場による選別、淘汰が行われるというのが一番ふさわしいというふうに考えておるわけでございますが、そういう意味で、こうした調査委員会の報告を踏まえまして、今回の法改正では、専門分野別の建築士制度の導入だとか、建築士の資質、能力の向上、さらには建築士事務所の業務の適正化、さらには建築士会等への加入の義務づけ等の建築士制度そのものの見直しにつきましては、現在、社会資本整備審議会において引き続き論議をしていただいているところでございまして、これらにつきましては夏ごろまでに方針を取りまとめて、次の国会にぜひ改正案を提出させていただきたいと考えております。

穀田委員 そこはちょっと違うと思うんだけれどもね。市場の選別、淘汰がふさわしいと言うんだけれども、そういう市場になっていないということが問題なんですよね。だって、安く、早く、緩やかという形で市場が支配されているということが、これは参考人質疑の中でもこもごも言われたことですやんか。だから、そういう意味でいいますと、ちょっと違うなということを私は思っているんです。

 もう少し突っ込んでいきますと、そういうなぜ偽装が起こったかという問題で今言ったわけだけれども、こういう事態になる前になぜ手を打たなかったかという問題を私は提起しているんですよね。

 九八年の建築基準法の改定では、建築技術の高度化を促進するためとして性能規定化しましたよね、建築士の裁量を広げて自由な設計ができるようになると。当時の法案説明でも、性能規定化の効果として、設計の自由度が高まる、技術開発や海外資材の導入が促進され、より合理的で低コストの技術等の円滑な導入や市場の活性化が期待されるとしていたんですね。

 市場コストの低減要請などもあって、それこそ今指摘したように、耐震基準ぎりぎりの経済設計がもてはやされる一方で、技術力が追いつかない建築士が、ある意味ではパソコンさえいじればできるというふうな形で構造設計をする。こういう事態を想定して、建築士制度や建築確認制度によるチェック体制を十分に行うべきだったんだ。

 つまり、性能規定化する、自由化する。だとすると、それをチェックする体制を強化するということが大事だったのであって、これが建築物の安全確保に責任を負う行政、国交省での責任ではなかったんでしょうか。その点について見解を問いたいと思います。

北側国務大臣 今回の耐震強度偽装事件に係る物件につきましては、これはすべて従来から、この平成十年の改正によってではなくて、すべて従来から建築基準法令に位置づけられている許容応力度等計算を用いてなされている設計でございます。

 そういう意味では、何か新しい、この平成十年の改正による新しい基準で姉歯元建築士が何か設計をしたという事案ではございません。そういう意味では、性能規定化そのものが、この事件の直接の要因、背景になっているということではないと私は認識をしているところでございます。

 ただし、一般論として、今、穀田委員のおっしゃった、その性能規定化をしていくということについて、事後的にチェックする際にやはりチェックしやすいようにしていかないといけないわけでございまして、そこのところはよく念頭に置いて制度を、またさまざまな基準を、現場の特定行政庁の方々や、また指定検査機関がチェックできるような体制整備、これはこれまでも努力をしておりますけれども、しっかりと取り組む必要があるというふうに考えております。

穀田委員 そこまで言うと、ちょっと私は本当に言い過ぎだと思うんですね。

 だから、緊急調査委員会の先ほど述べた報告書は、建築技術の高度化に、僕は一般論で言っているんですよ、個別の、これがどうだこうだと言っているんじゃないんですよ。やはり、そういう体制のもとでできているということを指摘しているわけで、しかも、報告書は、建築技術の高度化に伴って建築士にも専門分野ができて進んだと。いわば、統括すべき元請建築士の管理機能が衰えて、共同作業をチェックできない状況が常態になっている、こう指摘しているんですよ。さらに、前にも指摘しましたよね、大臣認定プログラムについて、ここまで、特に、大臣認定の構造計算プログラムの存在が、構造計算の重要性を認識せずに、技術に劣る者が構造計算を行って、確認申請に必要な構造計算書を外形的に整えることが可能となった、こういう問題があるということを言っているんですよ。私は、そういうものが出てきていることを言っているわけですね。

 そして、昨日の参考人質疑では、神田東大大学院教授は、性能規定化に伴う高度化に検査の側がついていっていないということまで指摘しているわけですね。だから、総体としてそういう問題があったということを私は指摘しているわけですね。だから、そこの点はしっかり理解してもらわないとだめだと思うんですよね。それは、事務方もうなずいていますから、そのとおりだと思うんです。

 問題は、今、神田教授のお話をしましたように、また大臣からありましたように、そういうチェック体制というのを整備しないままに性能規定化を進めたというのは非常に大問題だったと私は思うんです。

 もう一つ、民間開放について改めて確認したいと思うんです。

 大臣は、この間の私の質問に対する答弁で、まあ簡単に言うと、制度の実効性が向上しておって、民間にできることは民間にという方向は間違っていないと。さらに、民間開放の進展によって建築行政全体として実効性は確実に向上している、だから間違っていない、こういうことですわな。

 だけれども、これは営利目的である民間検査機関をそのまま認める現行の枠組みを基本的に維持するということだと思うんだけれども、私は確認したいのは、民間検査機関の建築確認業務は、営利を優先させ、安易な審査に流れる傾向はないという認識かどうか。お答えください。

北側国務大臣 この平成十年の改正というのは、建築確認件数が年間七十五万あり、そのほかに中間検査もやらないといけない、完了検査もしないといけない。そういう中で、建築主事だけでは実際、適切な確認検査、建築確認検査ができないという状況の中で民間と一緒になってやろうということにさせていただいたので、その方向性はやはり間違っていないなということは、ぜひ御理解をお願いしたいと思うわけでございます。

 その上で、建築確認検査というのはやはり厳正なものにしていかないといけないということが今回の事件を通じての課題でございまして、この厳正な審査を確保されないといけない、それは民間の指定確認検査機関であろうとも同様でございます。

 したがって、今回の改正案では、確認検査制度につきまして厳格化を図る。そのために、国による確認検査の審査方法の指針を策定するだとか、それから、一定規模以上の建築物について、構造計算適合性判定の義務づけをピアチェックでやらせていただくだとか、確認審査期間を従来の二十一日から最長七十日まで延長するだとか、また、民間の指定確認検査機関に対する指導監督の強化とか、こうした確認審査の厳格化を図らせていただいているところでございます。

穀田委員 私の質問にずばり答えてほしいんですよね。前半の話はもういいので、厳正なものにしていくということは、厳正なものでないということを言いたいのかどうかですよね。私は、安易な検査に、審査に流れる傾向、営利を優先させる傾向、これはあるんじゃないかと聞いているんですよ。もう一度、簡単に。

北側国務大臣 今回の事件を通じて、民間の検査機関の多くはそういうことだという認識は私はしておりません。ただ、そういう問題点がある、今回の一部の機関の間にそういう問題点があるということは、当然これは認識をしておりますが、多くの民間機関でそういうことがあるとは認識をしておりません。

穀田委員 最初からそう言ってくれればいいんですよ。さっきの答弁は要らなかったんですよ。だから、それはもう調査委員会の報告だって、「営利企業であることから「建築主に好まれる低料金で早く」という経済原理に基づく安易な審査に流れる傾向を招いた。」と明確に述べているわけですからね。それを諮問を受けているわけだから、その事実を認める必要があると思います。

 大阪弁護士会も、この間、私、調査室がつくったものを見ますと、

 市場原理に基づく競争原理にさらされることになると、経済合理主義に基づく必然のベクトルとして、「安く」「早く」「緩く」検査を通すよう「建築主からの圧力を受けやすい立場」になる。

さらに、

  チェックする者がチェックを受ける者に雇われるシステムでは公正なチェックは期待できない。建築確認検査業務を全くの自由競争に委ねてしまえば、必然的に市場原理が導入され、「安く早く緩く通す」業者が生き残ることとなり、その公正中立性は瓦解することになる。

  したがって、真の民間開放は、民間の人材を活用しつつも、市場原理を排除する制度として再構築されるべきである。

という提言をしています。

 私は、一部であろうと、ここなんです、問題は。一部であろうと、今大臣が言われたけれども、こういう傾向が生まれていることを問題にしているわけです。だって、一部だって、多くの方々が住む事態に、安全にかかわっているわけだから、一部であってもその穴を許さないという角度で迫ることが必要だということを私は言いたいわけです。まして、姉歯氏はイーホームズ社は検査が素通りするだろうということまで逮捕される前後に言っていることから見ても明らかであって、穴をつくったことに変わりがないと私は思っています。

 ですから、私は、ここに最大の問題がある。膨大な確認業務をこなすには、先ほどありましたように、特定行政庁の人数が足りない、それで補佐する体制として民間検査機関をつくったと。しかし、九八年の法改正のときに、私どもは、営利企業だと安かろう悪かろうの検査になる可能性があると指摘したのに、心配ないと進めたのは国交省なんですよ。そのときにどう言ったか。そういう民間検査機関ができるかどうかぐらいのことを逆に問題なんだなんという話をして、我々が指摘したにもかかわらず、そういうことになったわけです。

 ところが実際は、建築主に好まれる低料金で早くといったことが競って争われて、偽装だとか強度不足の見逃しが現実に起こった、これが事実ですよ。したがって、私は、営利企業がこういう事態を生んだということに対する反省はないのかということだけ指摘をして、時間ですので、きょうは終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 もう一度質問の機会があるようですから、きょうは再確認などを含めて、参考人中心に質問していきたいと思います。

 最初に、報道によると、これは被害者救済の問題について幾つかお尋ねしたいんですが、建てかえが正式に決まったのは、国、自治体主導の提案に任せず、住民の独自案で建てかえを決めたというのが一棟であって、除却命令が出ているにもかかわらず建てかえが遅々として進んでいないということがあると思うんです。これはもうこの間の議論に出ていましたが、建てかえについては合意形成というのが大変重要なんですが、一つは、一番大きな問題は、ローンを新たに組まなきゃいかぬということが大きなネックになっていて、なかなかこれが進まないという現状があると思うんです。

 先ほど大臣は、最大限の努力をするということをおっしゃって、二月十四日、これも私たちも存じ上げていますが、金融庁との間で幾つかの合意事項を確認してきた、金利の問題や、あるいは助成の問題や、さまざまおっしゃいました。

 最初に、そのような二月十四日、金融庁との間で合意された内容、これを住民の側に示したことによって建てかえの合意というのが進んでいくというふうに国土交通省は考えておられるのか。具体的にそういう提起をされたと思うんですが、具体的にそういう例があったら、まず最初にお示しをいただきたいと思います。

山本政府参考人 建てかえの対象となりますマンション十一棟のうち、除却工事に着手しておりますのは一棟で、建てかえ推進決議が行われているのは六棟でございます。この建てかえに当たっての合意形成のための一番大きな課題といいますか、ネックの一つに住宅ローンがあるということは御指摘のとおりでございまして、全銀協を初め五団体の連名で御指摘をいただいたような措置を講ずることが決められたわけですが、既往の、この危険な分譲マンションに住んでおられる方々がそのマンションを取得する際に御利用になったローンはさまざまでございます。

 住宅金融公庫のローンももちろんあるわけでございますけれども、住宅ローンについての措置に見合った形で、民間ローンについても手当てされたということでございまして、この二月十四日の措置がなされたから推進決議が前に進んだ、それがなかったら推進決議がなされなかっただろうという意味でのクリティカルなものをここで御説明することはできないわけでございます。

 私どもとしては、建てかえ後の住宅取得についてのローンが二重ローンとなるという点について、建てかえ後のローンについては特に住宅金融公庫融資を御利用いただきたいということで、新たに住宅を取得する場合のローンについては、従来の公庫融資の金利に比べて低い水準で金利を設定するとか、あるいは融資率を最大で物件価格の十割までに引き上げるとか、それから毎月返済額の月収に対する割合というものについても引き上げるなどの融資審査の弾力化、それから融資手数料の免除といったような措置を講じておりますし、先ほど大臣からも答弁いたしましたように、新しいローンの借り入れについて、利子負担相当分を借入額あるいは所得に応じて支援をするというようなことも意思決定したところでございまして、これらを通じて住宅ローンに係る居住者の負担の軽減が相当程度図られるというふうに考えておるところでございます。

日森委員 軽減が図られるという国土交通省の思いはわかりましたが、建てかえの合意というのはこれによって進むというふうに理解してよろしいんでしょうか。

山本政府参考人 御説明いたしました措置を含めて、総合的な支援パッケージによって前に進めてまいりたいと考えております。

日森委員 国土交通省の決意としてそれを承っておきたいと思います。

 ヒューザー社、きょう何か逮捕されたようですが、先月二十六日の債権者に対する説明会で、破産管財人は配当の原資を約三十億円程度確保できるというふうに説明をしているようです。国、自治体による支援策に住民が応じた場合、これも話はもう新聞などで報道されていますが、一人二千万円程度の新たなローンが生じてしまう。しかし、この三十億円の原資が確保できるということが説明をされたけれども、住民がどの程度それを配分されるのかということについては、ことしの九月ごろにならないとわからないんじゃないかということも聞いているわけです。

 一方で、国土交通省は、長い戒名ですが、「構造計算書偽装問題に係る公的支援措置についての売主に対する責任追及について」という文書を関係者に出しました。この文書の中では、破産手続開始後に公的支出を行う場合は、弁済による任意代位により損害賠償請求権を取得し、破産債権の届け出を行うことになるというふうに説明してあって、つまり、住民がヒューザー社に補償を請求する権利の一部を国や自治体に譲渡してもらって、そういう形で対応しようということになっていると思うんです。

 こういう中身について、恐らく住民の方々にも御説明をしていると思うんですが、被害住民からどのような反応があるのか、あるいは、予想される反応は一体どういうものなのかということについてお聞きをしたいと思います。

山本政府参考人 今回の事案に関連して、本来、売り主である事業者は、買い主である居住者に対しまして第一義的に瑕疵担保責任という契約上の責任を負っているわけでございます。このため、今回の公的支援措置を実施するに当たりましては、その前提として、売り主である事業者に対して徹底した責任追及を行うということを決めているところでございます。

 この責任追及につきましては、買い主である居住者の方々の御協力を得て、公的支援措置に見合う額について、売り主に対する居住者の方々の請求権の一部を行政側が取得して請求を行うこととしているわけでございますが、こういうふうな措置を講ずることとしているのは、公的支援措置に見合う額につきましては、居住者の当該損害が補てんされるというふうに考えることができるわけでございますので、支援を行った行政が請求するのが納税者に対する責任からも妥当であると考えているからでございます。

 こういうやり方をすることについての居住者の方々の反応いかんという御質問でございますが、先ほど御指摘いただきましたように、もともと破産財産が限られておりますので、請求権を行政側に渡せば、その分だけ居住者の方々が破産財団から配当を受ける額が少なくなるということは当然のことでございますので、その点からの懸念が示されている、そういうマンションもあるというふうに聞いておりますけれども、一方で、例えば四月二十七日、連休前でございますが、中央区におきましては、マンションの全居住者から、この責任追及の趣旨について御理解をいただいた上で、その承諾を得て、移転費それから家賃減額に係る公的助成相当額について、売り主に対する請求権を取得いたしました。ヒューザーの破産手続において、破産債権の届け出を既に行っております。

 その他の地方公共団体におきましても、居住者の方々に、売り主に対する請求の趣旨等について重ねて説明を行いまして、鋭意、理解と協力を求めているところでございます。

 国といたしましても、今回の公的支援措置について国民の皆様の理解を得るためにも、きちんと売り主に対して責任追及を行っていくことが必要と考えております。その考えは居住者の方々にも最終的には御理解いただけるものと考えております。

日森委員 次は、ちょっと金融庁にお伺いしたいんですが、これは新聞報道でしか確認していないんですが、東京、千葉、神奈川にある偽装マンション十四棟、この住民の皆さん方が、ヒューザーに債権を持つ七つの金融機関に債権放棄をしてほしいという要求をしたというふうに報道されています。

 もちろん金融庁は承知をしていると思いますが、これはやむにやまれぬ住民の方々の行動というか思いがこういう形で発露したというふうに私ども考えているんですが、こうした動きについて金融庁自身、もちろん民と民の間の関係ですから立ち入った評価は難しいのかもしれませんが、しかし、今被害住民を何とか救済しなければならないというのは私たちも同じ思いですから、こういう動きについて金融庁としてどのような評価をされているのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ヒューザーが分譲いたしました十四件のマンションの管理組合が、ヒューザーと貸出取引を行ってきた七つの金融機関に対しまして債権放棄に応じるよう要望書を提出したとの報道につきましては、事実を承知してございます。

 今回の要望への対応は各金融機関において検討されるものと考えますが、ヒューザーにつきましては、先般、御承知のように二月十六日に破産手続の開始決定がなされておりまして、基本的には、今後、その手続の中で被害住民に対する対応も決まっていくものというふうに考えてございます。

 なお、金融庁といたしましては、本件被害者であります住宅ローン債務者の方々の窮状にかんがみまして、民間金融機関としても可能な範囲で協力することが望ましいというふうに考えてございまして、これは住宅ローンの方でございますが、例えば住宅ローンの方につきましては、過日、二月十四日に全国銀行協会等の金融業界団体が負担軽減措置等について申し合わせを行っておりますが、引き続き各金融機関においてその申し合わせに沿った対応を期待しているところでございます。

日森委員 ぜひ積極的な対応方をお願いしておきたいと思います。

 大臣が、私的諮問機関として、住宅瑕疵担保責任研究会というのを立ち上げているわけです。大臣は、瑕疵担保責任が一番重大だというふうに一貫しておっしゃっていますし、一方では、なかなか国、自治体の責任については言及されていないということもあるんですが、住宅瑕疵担保責任研究会を立ち上げて、新築住宅の売り主等に課せられた瑕疵担保責任履行の実効担保の仕組みを今検討しているということになっているわけですが、具体的にどのような議論をされているのか、瑕疵担保責任を実際に担保させる、確実にするためには、どのようなことが論点として今議論されているのかということについて、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

山本政府参考人 新築住宅の売り主等は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づきまして、住宅の主要構造部分の瑕疵について十年間の瑕疵担保責任を負うこととされておりますけれども、売り主などが十分な資力を持っていないような場合には、瑕疵担保責任の履行が全うされないということがあるわけでございます。今回、まさにヒューザーの件で明らかになっているわけでございます。

 このため、社会資本整備審議会の中間報告におきましては、住宅の売り主等の保険への加入など、瑕疵担保責任の履行の実効を確保するための措置を講ずる必要があるという御指摘をいただいたところでございます。このことを踏まえまして、今回お願いしております改正案におきましても、宅建業者に対して、契約締結前に保険加入の有無等についての説明を義務づけるといった措置を講ずることとしているところでございます。

 情報を提供するといいますか情報を開示することからさらに進んで、保険への加入等によって瑕疵担保責任の履行の実効を確保するための措置を義務づけるということにつきましては、被害者救済に必要な保険金が安定的に支払われるかどうか、それから、責任保険では対応が難しいとされております売り主などの事業者の故意、重過失に起因する瑕疵への対応といったような多くの課題があるわけでございます。

 したがいまして、研究会では、そういった課題につきまして、通常の瑕疵による損害に対する保険制度について、例えば保険制度を統一する必要があるかどうか、そういう話でありますとか、あるいは、保険のキャパシティーを建築物に瑕疵があった場合のリスクの規模に応じて最大化するための仕組みはどんなことがあるか、あるいは、保険を安定的、永続的に運営するために必要な仕組みはどのようなものであるかといったようなことを検討しておりますし、通常の瑕疵だけではなくて、故意とか重過失に起因する瑕疵による損害に対してどういう仕組みが可能性があるのかといったような検討、さらに、保険以外の賠償資力確保に活用可能な仕組みというのはどのようなものがあるのか、そういったようなことを検討課題として、四月十八日の第一回会合以来、検討を重ねているところでございます。

日森委員 その議論と関連して、現行制度のもとでも、建築士の賠償責任保険であるとか住宅性能保証制度などが存在をしている。しかし、この制度が現在十分に機能しているかというと、必ずしもそう言えない面があるんじゃないのかというふうに思うんです。当面の緊急措置ということであるならば、今回、一連の改正というのは緊急措置というふうに言われていますが、この分野でも何らかの改善を行うべきではないのか。きっちり見直して、もう少しこれが十分機能を果たすような、そういうインセンティブを示すとかいうことがあってしかるべきではないのかというふうに思いますが、その辺についての見解はいかがでしょうか。

山本政府参考人 この点については、御指摘いただいたとおりの問題意識を持って取り組んでおります。

 現行制度の活用状況は、例えば、日本建築士事務所協会連合会で実施しております建築士の賠償保険の加入率は二〇%でございます。これを伸ばしていかなきゃいかぬのですけれども、検討する過程で伺ってみますと、非常に誠実な建築士の方は、むしろ、保険を付していても、請求権を行使して実行するということにちゅうちょされるというような傾向もあると聞いています。今度の偽装のことと正反対の態度だと思いますけれども、そういうような気持ちを持っておられる方々もおられると聞いております。

 また、住宅性能保証制度の方でございますけれども、創設時の水準に比べますと相当伸びてきておりますけれども、それでも、戸建て、共同合わせて一三%にとどまっておりまして、決して十分な水準とは言えませんので、今までもいろいろな方法、イベントとかいろいろな媒体を通じて広報して活用を促しているところでございますけれども、今後もこの努力は必要であると思います。

 そのことも含めまして、先ほど御紹介いたしました、瑕疵担保責任研究会の方で検討を重ねまして、夏ごろまでには方向性を取りまとめてまいりたいと考えております。

日森委員 被害者救済の一番の課題は、先ほども話が出ました二重ローンの問題であって、これは昨年も大臣に質問をした記憶があるんですが、銀行責任というと銀行は嫌がるかもしれないけれども、しかし、銀行はディベロッパーに融資をして、ローンで融資をして、それで飯を食っているというところがあるわけですから、銀行の責任ということについて、これはやはり新たなスキームをきちんとつくって明確にしていく必要があるんじゃないかと思うんです。大臣も、それは検討に値するというか、検討していかなきゃいかぬというようなことを、昨年の十二月だったか十月だか忘れましたけれども、御答弁いただいたんです。

 この辺の将来展望も含めて、どういう格好で検討していくのか、金融庁と国土交通省にお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 住宅購入者やあるいは建設業者に融資を行ったということだけを理由といたしまして、銀行に対して住宅の品質保証について責任を問う仕組みをつくるというのはなかなか困難かとは思いますが、現在、たびたび、御承知のように、いかに住宅の購入者の保護を図るかといった観点から、国土交通大臣の諮問機関の住宅瑕疵担保責任研究会におきまして、さまざまな検討がなされていると承知してございます。

 この研究会には金融業界もメンバーとして参加してございますほか、金融庁もオブザーバーとして参加しておりまして、有意義な議論を期待しているところでございます。

山本政府参考人 基本的には今金融庁の方から御説明があったことと同様でございますが、住宅の瑕疵担保責任研究会において、金融庁ともきちんと連携をして、住宅ローンを行う民間金融機関において適切な消費者保護の強化に努めていただく、その方向性についてきちんと検討してまいりたいと考えております。

日森委員 ぜひ実効あるものをつくっていただきたい、検討していただきたいと思います。

 時間がちょっと少なくなりましたけれども、特定行政庁の問題についてお伺いしたいと思うんです。

 今回の法改正で、特定行政庁の権限といいますか、これが強化をされるということになります。一つは、指定確認検査機関が特定行政庁に提出をする書類、今まではペラとか一枚とか言われていましたけれども、これをもっとしっかりしたものにしろということですし、それから、問題があれば立入検査権限というのが特定行政庁に付与されるということになっているわけです。

 もう恐らくごらんになった方たくさんいらっしゃると思うんですが、一方、特定行政庁の側はどういう反応かというと、けさの読売新聞に幾つか出ていました。それはもう恐らくお読みになっていると思うんです。

 私も、地元のさいたま市なんですが、担当の建築主事等に話を随分伺ってきました。こういうふうに法改正をして権限が強くなるということなんだけれども、本当にこれは実効性を担保できるかどうか不安だという声が非常に大きいんです。御存じのとおり、千八百人いた建築主事が千七百人になっちゃったとか、さいたま市で言うと、八割から九割が民間の検査機関に出しているというようなことがあって、建築主事は五人しかいないとか、人口百三十万人ぐらいいるでしょうか、そんな状態が今続いていて、ここで法改正があってこういう権限を付与されてもなかなか厳しいということなんです。

 特に、今までペラであった書類が、今度はもう少し指定確認検査機関から出てくる書類がふえるわけでしょう。これだけでも事務量がふえますというふうに率直に言っているわけですよ。それから、中間検査を義務づけるということになるんだけれども、実際、今全国平均をとると七割がやっているというんだけれども、例えば、義務づけられた中間検査をきっちり、ということなんかについても、非常に事務量がふえてしまうということがあって、大変厳しいということがあるんです。

 本当に特定行政庁が監督権限をしっかり行使できるような体制、これをきちんと担保していくためには、当然、特定行政庁だけにお任せしますということじゃできないと思うんです。

 そこで、国土交通省、こういう法律を改正するのであれば、現在の特定行政庁の実態についてどういうふうに理解されているのか、少ないとかいろいろな話がありましたけれども、どう強化をしていこうとしていくのか。国はそのためにどんな手だてを打ってくれるのかということについて大変心配があるようですから、ぜひ具体的にお聞きをしておきたいと思います。

山本政府参考人 やはり、特定行政庁の建築行政上の執行体制をきちんと確保するという大きな課題がまずあると思います。

 しかし、現実に地方の行政改革の大きな流れの中で、建築行政を担当する職員を極端にふやすことはできない、その中で建築行政をしっかりやっていかなきゃいかぬということで、確認検査事務の民間開放をやって進めてきているわけです。

 その中で、民間開放をした指定確認検査機関がやる仕事と、特定行政庁がやる仕事の関係をどういうふうに規律したらいいのかというのが、今私たちの目の前にある課題であるわけですが、それに対する認識の差によって、御指摘いただきましたように、公共団体の中には、民間確認機関がやる仕事は最初から終わりまですべて民間確認検査機関だけで完結するように取り扱ってほしい、もういろいろなことを特定行政庁に持ってこないでほしいという声があることも事実でございます。

 一方、建築確認検査は、建築物がこの世に生まれる入り口の、そういう意味で非常に大事なところではありますけれども、部分についての確認であり、検査でございます。しかし、基準法が求める、適法な建築物をこの世に生み出して、これを適法に管理していくという建築行政の仕事は、それだけではありません。違反行為があればそれを是正していかなきゃいけませんし、建築基準自体が進化した場合には、既存不適格行政ということでいろいろやっていかなきゃいけません。不特定多数の方が御利用になる特定建築物についても、いろいろなことをやっていかなきゃいけません。したがって、現実の問題としては、民間確認検査機関が入り口で確認をやり、検査をやったからといって、特定行政庁は知らぬということは基本的にはできないんです。

 したがって、その部分についてきちんと理解をしている特定行政庁においては、今回の法律改正におきまして、確認検査事務を総点検して再発防止のために法律改正を抜本的にやるんだということに関連して、むしろ、民間確認機関の個別具体の確認について、的確に、必要な指導があれば指導できるように特定行政庁の権限を強化すべきだという御意見もいただいているところでございます。いろいろな行政庁の意見も整理した上で、社会資本整備審議会の御指摘をいただいて、今回のような改正案をお願いしているところでございます。

 中間検査につきましても、全体の中で見ていただきますと、今や大部分は民間確認検査機関が中間検査を行っております。今回、マンションについては、全国一律、中間検査を義務づけますけれども、そういう、民間確認検査機関も含めて、建築行政のトータルでこの大事な仕事を担っていかなきゃいかぬという問題意識を持っているわけでございます。その中で、特定行政庁の執行体制の確保についても遺漏のないよう措置することが必要だというふうに考えております。

日森委員 そういう決意を示している自治体もあるかもしれません、あるのだと思いますが、しかし、実際は、日進月歩で進んでいく技術進歩などで、構造計算、これ自体をきちんとできる職員がいませんとかいう自治体、たくさんあるわけです。二百七十ぐらいあるでしょう、特定行政庁。これは新聞によっても半分ぐらい、わかりませんという話になっているし、特に、新しい計算法なんかについては、えっ、聞いたこともありませんというようなこともあるわけですよ。

 そういう現実があるわけですから、ここをしっかり監督指導できるような体制に育てていくために国土交通省は何か支援しなきゃいかぬ、自治体の決意だけに頼っていてはいかぬのじゃないかというのがあるんです。しかも、数も少ないし、なかなか厳しい面があるので、そこはぜひ検討して具体的な支援策を出していただきたい。これは要望で結構です。

 それからもう一つは、中間検査が義務づけられた。しかし、この中間検査について、きのうも参考人の方々に質問しました。どういう格好でやるんですか、きっちりやるんだったら各階全部やらなきゃだめでしょうという話をしたんですが、いや、そこまでとてもできませんという話じゃないですか。これは、国土交通省が中間検査についてマニュアルを示すとどうも特定行政の方に言われているようなので、具体的にどんな格好でマニュアルをお示しになるのか、ここをちょっと聞いておきたいと思います。

林委員長 時間が経過していますので、端的に答弁願います。

山本政府参考人 これは、確認事務についても検査事務についても、その指針を法律に基づいて大臣の方で示した上で的確に仕事をしていただくということですので、特定行政庁と相談しながら、間違いのない形で示していきたいと考えております。

日森委員 ありがとうございました。

林委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 今回の構造計算書偽装事件では、姉歯元建築士による偽装が九十八件に及びまして、その被害は十八都道府県に拡大しておるわけでございます。住宅は、国民が毎日の生活を営む重要な基盤となるものでございまして、その安全性の確保のためにこの諸制度というものが有効に機能しなかった、そういうことで建築行政への信頼は大きく失墜しているということで、そういうことを言わざるを得ないというふうに思います。

 今回の事件では、本来、法令を遵守すべき資格者、そういう建築士が職業倫理を逸脱して構造計算書の偽装を行ったものでございますが、問題はそこだけにとどまらない。審査側の問題も当然ございまして、建築確認時の審査が厳格に行われれば構造計算書の偽装を見抜くことができたというふうに考えられます。

 そこで、今回の事件では、一部の指定確認検査機関におきまして偽装が繰り返し見過ごされてきた。この指定確認検査機関制度というものは平成十年の法改正で導入されたものでございます。この改正の際、建築確認検査事務を安易に民間開放してしまったために、今回こういう事件を招いてしまったのではないかなというふうに考えられますが、この点についての大臣の御所見というものをまずお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 この問題についても何度か議論になっておるわけでございますが、平成十年の改正によって建築確認検査の民間開放を行ったわけでございますが、そもそもその時点で建築確認件数が、当時はもう八十万件以上あったわけですね。そして、中間検査の問題も出てくる、さらには完了検査の問題もある等々、官の方の体制だけでは建築確認や検査の実施体制が十分確保できない、こういう状況にある中で、むしろ民間の力を活用していこうということで民間開放になったわけでございます。そして、その結果、実際、完了検査率にしても平成十年当時に比べて倍増しておりますし、また違反建築物件数も減少をしているわけでございまして、その方向性というのは間違っていないというふうに今も考えているところでございます。

 ただ、今回、民間確認検査機関においても建築確認の際に偽装を見過ごしてしまったということがある中で、これは特定行政庁もそうなんですが、建築確認そのものの厳格化というものをしっかりやっていこうということで、今回幾つかの法改正をお願いしているところでございます。

糸川委員 大臣、ありがとうございます。

 もうこれはずっと議論されてきておりますので、何度も繰り返しになっておるとは思うんですけれども。

 そこで、今回の事件では、一部の指定確認検査機関で偽装が繰り返し見過ごされてきた。これにつきましては、国の監督が不十分だったんじゃないのかというふうに考えますが、またこれも繰り返しの質問になるかもしれませんが、今回の問題を受けて実際どのような調査をされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

山本政府参考人 大臣指定の確認検査機関に対する監督でございますけれども、国土交通省では、毎年定期報告を受けまして、およそ年一回ぐらいの頻度で数名の検査員が事務所に立ち入りまして、事業計画あるいは業務実績に応じた確認検査員などの体制が整っているかどうかといったような指定確認検査機関の指定要件が、仕事を続けていく中で引き続き的確に維持されているかどうかという観点から検査をしてきております。また、定期的な立入検査のほかに、通報がありましたら緊急立入検査ということで、そういうことも実施してきております。

 基準法に基づくこういう必要な指導監督は実施してきたというふうに私どもは考えているところでございますけれども、ただ、今回の構造計算書の偽装問題に関連しまして、一部の指定確認検査機関で偽装が繰り返し見過ごされたということは非常に残念なことでございます。

 それで、民間指定確認検査機関だけでなくて、一部の特定行政庁においても偽装の見過ごしがあったということを重く受けとめまして、私ども、指定確認検査機関等における確認検査業務の実施体制を総点検するということで、昨年の十二月に緊急建築確認事務点検本部というものを設置いたしまして、緊急の立入検査を実施しました。

 この総点検の結果も踏まえまして審議会で御議論いただいた上で、今回の法改正案におきまして、指定確認検査機関に対する特定行政庁の指導監督権限を抜本的に見直しまして、その強化を図るということをまず目指しております。

 具体的には、特定行政庁による指定機関への立入検査制度の導入、それから、指定確認検査機関が不適当な行為を行っているということを特定行政庁が発見した場合には、指定権者へ報告をいたしまして、指定権者は報告に基づいて監督処分を実施する、それから、指定確認検査機関が建築確認とか中間検査などを行った場合の特定行政庁に対する報告内容を現在よりは充実していくといったような措置を講じて、指定確認検査機関による確認検査の的確な実施を担保することとしているところでございます。

糸川委員 この改正案では、建築確認等について国が審査方法の指針を定める、こういうことになっておりますが、何で今までこの指針がなかったのか。また、国が審査方法を示さなかったから今回の偽装見逃しにつながったのではないのかな、そう思うわけでございますので、なぜなかったのか、お聞かせいただければと思います。

山本政府参考人 まことにごもっともな御指摘でございます。

 具体的な審査方法の指針を今まで示していなかった理由でございますけれども、建築基準関係規定、建築基準法などに定めております基準関係規定の定め方でございますけれども、例えば、構造耐力規定でありますと、資格者、建築主事とか適合性判定のための確認検査員が持っております工学上の一般的な理論とか知識を前提にした上でですけれども、を踏まえていれば確認申請書によって適合性が判断できるように、関係規定では具体的、客観的に規定されているというふうに認識していたものでございます。建築基準関係規定に客観的、具体的に規定されているので、それに基づいて申請書をつくって持ってくれば、普通の資格者が備えているべき一般的な理論、それから工学上の知識を踏まえていれば適合性は判定できるという考え方のもとに、指針はつくっていなかったものでございます。

 国としては、技術基準を改正しましたり、いろいろなそういうアクションを起こしたときに、施行通知などを通じて技術的助言は発出してきておりますけれども、検査確認についての一般的な指針は特に示してきていなかったのはそういう理由によるわけでございます。

 ただ、現実に、現場で確認検査を行います東京都などの特定行政庁あるいは民間の確認検査機関においては、それぞれ審査のマニュアルとかチェックリストをつくって運用してきておりました。それから、仕事に取り組む日本建築行政会議という組織がございますけれども、この日本建築行政会議におきましても、幾つかの留意事項として建築構造審査要領なども定めてきておりました。

 先ほど御説明しました指定確認検査機関への一斉点検の結果から、こうしたマニュアルを持たないで審査者が個別の判断に頼った不十分な審査を行ったり、誤った審査を招きかねないような不十分なマニュアルが用いられたりしている実態があるということが明らかになりましたので、そういう状況を踏まえて、社会資本整備審議会の建築分科会でも御検討いただいた結果、中間報告で、審査方法を法令上の審査基準として定めるべきであるという旨、御指摘をいただきました。これを踏まえて、お願いしておる改正案で、確認審査等に関する指針を策定、公表するとしたものでございます。

糸川委員 大体、行政は事が起きないとなかなか改正をしていかない。ですから、きょう、別の委員会でも質問させていただいた際には、事件がないからこれは法律をつくらないんですとか、改正しないんですと。だから、事件が起きたら何か考えましょうという態勢じゃなくて、ぜひ事前事前に取り組んでいただきたいなというふうに考えるわけでございます。

 指定構造計算適合性判定機関、これは民間機関であるとのことでございますが、民間に公正かつ的確な審査が実際できるのか。今回のような事件がそれこそ再発するようなことがあってはならないわけですが、再発するようなおそれがないのか、お聞かせいただけますでしょうか。

山本政府参考人 構造計算適合性判定は、政令及び告示に定める基準に従いまして、構造計算が適切に行われているかを技術的に審査するものでございますから、一定の技術力を有する機関であれば、民間機関であっても実施することが可能なものでございます。このため、一定の技術力を有する機関を指定構造計算適合性判定機関として都道府県知事が指定して、都道府県知事にかわって構造計算適合性判定の仕事を行わせることができることと改正案ではしているところでございます。

 指定構造計算適合性判定機関につきましては、改正法の中で、まず、指定の基準として、公正中立であること、十分な経理的基礎を有していることなどを定めておりまして、さらに、構造計算適合性判定員の要件としまして、建築に関する専門的な知識及び技術を有する者から選任しなければならないとすることとしておりまして、構造計算適合性判定を行うについて十分な適格性を有しているものが指定されるということになります。

 また、公正かつ的確な適合性判定の実施を徹底するために、これにつきましても、適合性判定の方法に関する指針を国土交通大臣が定めます。この指針に従って、構造適合性判定を行わなければならないこととしております。指針を無視して判定を行った場合は、当然、都道府県知事による指定の取り消し事由に当たることになります。

 さらに、都道府県知事に、指定構造適合性判定機関に対する報告徴収権、それから立入検査権限を付与することによりまして、適切な業務の遂行を担保することとしているところでございます。

糸川委員 今、公正で的確な審査ができなかった場合は、当然、都道府県からの取り消しの事由になるということでございます。ただ、これは再発するおそれがないかということですから、再発したらだめなんですね。再発しないように、しっかりと監督の強化というものをしていただかないと、もうこれ以上信頼の失墜というものがあってはいけないわけですから、しっかりと監督の強化というものをしていただきたいなと思います。

 今回、建築規制の実効性の確保ですとか、それから住宅の買い主の保護を図る上で、特定行政庁において確認申請において提出された構造計算に関する図書というものをできるだけ長く保存しておくということが重要でございますが、本法案においては特定行政庁に対する図書保存の義務づけ期間は何年とする予定なのか、お聞かせいただけますでしょうか。

山本政府参考人 御指摘いただきましたとおり、建築規制の実効性の確保あるいは住宅の買い主等の保護を図る上で、地方公共団体において構造計算の確認申請に係る図書を保存しておくことは極めて重要でございます。

 現在、公共団体の条例で期間を定めておりますけれども、法律で特定行政庁に対する図書保存の期間を義務づけるということが改正案の中身でございますが、この義務づけ期間を何年とするかということについては最終方針を定めておりませんが、考え方としましては、まず、新築住宅の基本構造部分についての瑕疵担保責任が十年間義務づけられております。それから、マンションなんかで、新築後、統計的に見ますと、最初に大規模修繕が行われるというのが、おおむね十五年目ぐらいで大規模修繕が行われますので、この十年から十五年を念頭に図書保存を義務づけることを考えたいと思っております。

糸川委員 今回の偽装事件に関連すると、例えばURなんかが確認申請において出された図書の保存をしていなかったとか、そういうことでいろいろ問題が出てきたわけです。例えば、耐用年数を考えて、耐用年数の半分ぐらいは保存しようとか、そういうことがあってもいいのかなというふうに思いますので、またそこは御検討いただければと思います。

 今回の法案におきましては、三階建て以上の共同住宅についてのみ中間検査を義務づける、こういうこととしておるわけでございますが、何ですべての建築物に対しての義務づけをしないのか、そこに対して多少疑問があるものですから、お聞かせいただけますでしょうか。

山本政府参考人 現行制度、この中間検査は、特定行政庁が地域の実情を勘案して対象となる建築物を指定する制度となっております。

 今回の耐震偽装事件を契機としまして、特にマンションについては全国共通の課題として厳格な検査を行うことが必要であると認識しまして、今般、三階建て以上の共同住宅について一律に中間検査を義務づけることとしたわけでございますけれども、現状の特定行政庁の、あるいは指定確認検査機関も含めた建築確認検査事務の体制を考えますと、現状ではすべての建築物について全国一律に中間検査を義務づけるのは実務が大変難しいというふうに考えて、そういうことを今回お願いしているわけでございますが、三階建て以上の共同住宅以外の建築物については、特定行政庁が地域の実情に応じて対象となる建築物を指定することができますので、そういう形で取り組んでいくことが適切だと考えております。

糸川委員 規制は、ぜひ、厳しい方向へ、厳しい方向へというふうに少し持っていっていただければなと。緩和することも大事なんですが、今回のような事例に関しましては、なるべくしっかりとした、安全であるということが確認できるように、しっかりと義務づけを行っていっていただきたいなというふうに思います。

 もう時間がございませんので、最後に大臣にお尋ねしたいんですが、工事監理が適切に行われないということが違反建築物を生み出す原因の一つであるというふうに考えております。工事監理制度の抜本的な見直しが必要ではないかなというふうに考えますが、国土交通大臣としての基本的な考え方、これをお聞かせいただけますでしょうか。

北側国務大臣 おっしゃっているとおり、工事監理業務が建築物の品質確保という観点で非常に重要な業務であるというふうに考えております。

 この品質確保を図る観点からは、工事監理がしっかりと適正に行われることが重要でございまして、これにつきましては、現在、社会資本整備審議会で論議をしていただいているわけでございますけれども、中間報告におきましては、工事監理業務の内容をより明確化することを検討するとともに、工事監理業務の適正化の一つの方法として、工事施工者と利害関係のない第三者の建築士による工事監理を義務づけられないのかどうか、そういうことについてもその必要性や実効性について検討が必要というふうな中間報告がなされているところでございます。

 こうした論点を含めまして、工事監理業務の適正化につきましては、夏ごろまでに方針を取りまとめまして、その結果を踏まえて見直しをさせていただきたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございました。終わります。

林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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