衆議院

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第26号 平成18年6月9日(金曜日)

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平成十八年六月九日(金曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      木原  稔君    北村 茂男君

      後藤 茂之君    坂本 剛二君

      清水清一朗君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    田村 憲久君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    広津 素子君

      松本 文明君    松本 洋平君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      神風 英男君    高木 義明君

      土肥 隆一君    鉢呂 吉雄君

      細川 律夫君    馬淵 澄夫君

      森本 哲生君    山井 和則君

      伊藤  渉君    斉藤 鉄夫君

      穀田 恵二君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      松村 龍二君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 清水  治君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  福井 良次君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  小西 秀宣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松本隆太郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     清水清一朗君

  西銘恒三郎君     広津 素子君

  小宮山泰子君     黄川田 徹君

  長安  豊君     細川 律夫君

  馬淵 澄夫君     山井 和則君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     亀岡 偉民君

  広津 素子君     木原  稔君

  黄川田 徹君     神風 英男君

  細川 律夫君     長安  豊君

  山井 和則君     馬淵 澄夫君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     松本 洋平君

  神風 英男君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     西銘恒三郎君

    ―――――――――――――

六月八日

 厳原・福江両測候所の機能充実に関する請願(高木義明君紹介)(第二七七〇号)

 公営住宅に関する請願(日森文尋君紹介)(第二七七一号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第二七七二号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二七七三号)

 同(小平忠正君紹介)(第二七七四号)

 同(高木義明君紹介)(第二七七五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二七七六号)

 同(松本龍君紹介)(第二七七七号)

 同(宮下一郎君紹介)(第二七七八号)

 同(古賀一成君紹介)(第二八四七号)

 同(黄川田徹君紹介)(第二九四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九四二号)

 同(下条みつ君紹介)(第二九四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九四四号)

 同(辻元清美君紹介)(第二九四五号)

 同(森本哲生君紹介)(第二九四六号)

 公共事業を防災・環境・生活優先に転換することに関する請願(北橋健治君紹介)(第二七七九号)

 同(小平忠正君紹介)(第二七八〇号)

 同(中川正春君紹介)(第二七八一号)

 同(田島一成君紹介)(第二八四八号)

 同(武田良太君紹介)(第二八四九号)

 同(小川淳也君紹介)(第二九四七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九四九号)

 同(古川元久君紹介)(第二九五〇号)

 同(森本哲生君紹介)(第二九五一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二九五二号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(田島一成君紹介)(第二八四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九五三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九五五号)

 同(古川元久君紹介)(第二九五六号)

同月九日

 公共事業を防災・環境・生活優先に転換することに関する請願(高井美穂君紹介)(第三〇二七号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第三〇二八号)

 同(亀井静香君紹介)(第三一二二号)

 同(重野安正君紹介)(第三一二三号)

 同(仙谷由人君紹介)(第三一二四号)

 同(達増拓也君紹介)(第三一二五号)

 同(萩原誠司君紹介)(第三一二六号)

 同(川内博史君紹介)(第三二二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三二二八号)

 同(三ッ矢憲生君紹介)(第三二二九号)

 同(原口一博君紹介)(第三三一三号)

 同(岩國哲人君紹介)(第三四一六号)

 同(日森文尋君紹介)(第三四一七号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(古賀一成君紹介)(第三一一八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第三一一九号)

 同(林田彪君紹介)(第三一二〇号)

 同(三日月大造君紹介)(第三一二一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二二四号)

 同(岡本充功君紹介)(第三二二五号)

 同(長安豊君紹介)(第三二二六号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第三三一二号)

 同(西銘恒三郎君紹介)(第三四一四号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第三四一五号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三一二七号)

 同(吉田泉君紹介)(第三一二八号)

 同(長妻昭君紹介)(第三二三〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四一八号)

 公営住宅に関する請願(高木陽介君紹介)(第三三一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長竹歳誠君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、鉄道局長梅田春実君、自動車交通局長宿利正史君、警察庁交通局長矢代隆義君、総務省大臣官房審議官清水治君、総務省行政評価局長福井良次君、法務省人権擁護局長小西秀宣君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、厚生労働省社会・援護局長中村秀一君及び経済産業省大臣官房審議官松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉田元司君。

杉田委員 おはようございます。自民党、杉田元司です。

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案につきまして、幾つかの点、お伺いをしてまいります。

 我が国の総人口は、現在、一億二千七百六十九万人であります。このうち、六十五歳以上の高齢者人口は二千四百八十八万人、そして、総人口に占める高齢化率は現在一九・五%となっております。これが、二〇一五年には高齢化率が二六%、そして二〇五〇年には三五・七%に達すると見込まれております。

 なお、障害者人口でありますけれども、身体障害者が三百五十二万人、知的障害者が四十六万人、精神障害者が二百五十八万人となっており、障害者人口は合わせて六百五十六万人、総人口のおよそ五%を占めておる現状であります。

 このような社会情勢のもと、高齢者、障害者等が障害のない者と同等に生活し、活動し得る社会を目指すノーマライゼーションの理念の浸透が進んでおり、高齢者、障害者等の社会参加を妨げているバリアを除去し、自立した社会生活を営むことができるよう、建築物、公共交通機関を初めとした生活空間でのバリアフリーを進めることが我が国の重要施策の一つであろうと思っております。

 そんな中で、政府全体としてはバリアフリー化に向けた総合的な施策が推進される一方、国土交通分野においても、建築物や公共交通機関を中心としたバリアフリー化が進められておる現状であります。

 そこで、質問に移らせていただきます。

 平成六年からハートビル法が、そして平成十二年から交通バリアフリー法が施行され、建築物や公共交通のバリアフリー化について着実に進展しているものと考えておりますが、まず、これまでの進捗状況とその評価についてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、バリアフリー化の進捗状況でございます。

 平成十六年度時点のバリアフリー化の現状について御説明申し上げますと、まず旅客施設の関係でございますが、一日の平均利用者数が五千人以上の旅客施設における段差の解消率は四九%、視覚障害者誘導用ブロックの設置率は八〇%となっております。段差の解消率をバリアフリー法ができました平成十二年度末と比較してみますと、当時二九%でございましたが、これが約半分にまで改善されているということでございます。

 また、鉄道駅等の旅客施設の周辺等の主な道路のうちバリアフリー化されたものの割合は、平成十六年度で三一%、また、不特定多数の者が利用する一定の建築物、すなわち病院、劇場、ホテル等でございますけれども、このうちバリアフリー化されたものの割合は三四%となっております。

 次に、公共交通機関における進捗状況ということで、公共交通機関の車両等のバリアフリー化でございますけれども、平成十二年度末と比較して申し上げますと、まず鉄軌道車両につきましては、平成十二年度末一〇%でございましたが、これが二八%まで上昇しております。ノンステップバスについては二%が一二%、航空機については一%が四一%、旅客船については〇%が七%ということでございますけれども、最近の状況を反映しまして、旅客船についてはこの向上が低くなっているとなっております。

 以上のように、総じて施設別等を見ますと着実に進展しておりますが、幾つかの問題もございます。例えば、利用者の視点に立ったバリアフリー化が十分ではないのではないか。今申し上げましたように、施設ごとにはバリアフリー化が進んでいますけれども、それが独立して進められておって、連続したバリアフリー化が実現されていないのではないかとか、それから、バリアフリー化が旅客施設、駅の周辺だけで、より広くバリアフリー化すべきではないか、それから、心のバリアフリー化、こういう問題があるのではないかというようなことで、国土交通省では、ユニバーサルデザイン大綱というものを関係者の御意見も伺いながら作成いたしました。平成十七年の七月に発表しておりますが、今回の法案は、こういう反省にも基づきながら提出させていただいているところでございます。

杉田委員 今、御報告の中では、一定の評価が得られているものだと私も感じさせていただきました。

 そこで、きょう実は、大臣、閣議のため御出席いただけないものと思っておりましたが、こちらに大臣が御到着でありますので、大臣にお伺いをさせていただきます。

 今の一定の評価、このような状況のもとで、ハートビル法、そしてまた交通バリアフリー法、この二つの法律を統合した本法律案を提出する、その趣旨についてお伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 ハートビル法は、平成六年に施行されました。これは旧建設省の方の所管の法律でございました。また、交通バリアフリー法、これは平成十二年に施行されておりますが、これはどちらかというと旧運輸省が主管しておった法律でございます。

 交通バリアフリー法が施行されまして五年後の見直しの年に当たりまして、より総合的、一体的な法制度を構築していこうと、バリアフリー化のためのさまざまな施策を総合的に講じるために、今回、この二つの法律を統合そして拡充をいたしました法律案を御審査いただいているわけでございます。

 具体的に幾つか申し上げたいと思いますが、例えばバリアフリー化の対象の問題でございますけれども、従来は、公共交通機関の旅客施設、駅等ですね、それから車両だとか建築物であったわけでございますけれども、それを広げようと。高齢者や障害者の方々の自立した日常生活、社会生活に資する連続的また一体的なバリアフリー環境を実現していくためには、例えば、一定の道路だとか公園だとか駐車場についても、新たにバリアフリー化の基準への適合を求めるということにさせていただいた次第でございます。

 また、市町村が基本構想を策定するわけでございますけれども、面的なバリアフリー化を重点的に進める地区の要件としましては、従来は駅等の旅客施設を中心とした地区に限られておったわけでございますけれども、この法案ではそれ以外の、例えば高齢者や障害者の方々が利用する施設が集積するような地区についても対象とできるというふうにさせていただきました。

 また、基本構想の作成に当たりまして、やはり関係者の方々に参加をしていただくことが非常に重要であるというふうな観点から、協議会の制度、さらには提案制度というものについても法定化をさせていただきました。

 さらには、国民みずからが、高齢者、障害者の自立した日常生活、社会生活を確保することについての理解をやはり深めていただく必要が、大切でございまして、心のバリアフリーについて新たに規定を設けたところでございまして、こうした内容とさせていただいておりまして、この法律により、より一層一体的かつ総合的なバリアフリー化を進めさせていただきたいというふうに考えております。

杉田委員 次の質問に移らせていただきたいと思いますが、大臣が今事細かに御説明をいただきましたので、総合政策局長に、多少重なる部分があろうと思いますけれども。

 本法案は、単に二つの法律を統合するのみならず、内容を拡充しているとのこと。この内容につきましては、今大臣から御答弁がありました。さらに、その対象施設やあるいは対象者というものはどのようになっているのか、伺います。

竹歳政府参考人 今大臣が御答弁申し上げましたように、まず対象施設でございますけれども、従来のハートビル法、交通バリアフリー法で対象とされていました建築物や公共交通機関の旅客施設、車両等に加え、公共施設としては、一定の道路、それから路外駐車場、都市公園についても新たに本法案の対象施設としております。また、車両につきましては、福祉タクシーを新たに追加しているところでございます。

 さらに、それらの施設につきまして若干御説明申し上げたいと思いますけれども、どのような道路が対象になるかということについては、具体的には政令で定めることになりますが、基本的には、高齢者、障害者等が日常生活または社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設等の生活関連施設がございますけれども、その相互間の経路を構成する道路のうち移動が徒歩で行われるもの、こういうものを対象とする予定としています。

 それから、路外駐車場につきましては、一般の公共の用に供しているもので、五百平方メートル以上、それから駐車料金を徴収するもの、こういうものを対象にしますし、都市公園につきましては、これも具体的には政令で定めることになりますが、高齢者、障害者等が円滑に都市公園を利用するために特にバリアフリー化が必要な公園施設として、主要な園路でございますとか、トイレ、休憩所等を対象とすることとしております。

 次に、対象者でございますけれども、現在の法律で「高齢者、身体障害者等」と定めているところ、今回の法律では「高齢者、障害者等」ということで、「身体」という言葉を削っております。現在の法律でも、実はその解釈として知的障害者、精神障害者の方々も対象として入っているわけでございますけれども、よりその点を法文上明示するということで、「身体」という言葉を取りまして「障害者等」ということで、知的障害者、精神障害者、発達障害者、さらに、従来もそうですが、妊婦さんとか、けが人、こういう方も、とにかく体を動かしにくい方をすべて対象にするということにしているわけでございます。

杉田委員 実は、先ほども御答弁の中に、提案制度の創設、こうございました。私の地元におきましても、もう十数年前になりますが、駅舎の橋上化、ペデストリアンデッキという形で、高架駅であります、つくってしまったんですが、実は、障害者の方々から後々不満が出ました。障害者向けに何らの設備がなされていなかった。そこで、もう一度駅舎を改築せざるを得なかった、コスト面でも大変かさんでしまったというようなことが、失敗例でありますけれども、ございました。

 提案制度というのは恐らくそういう意味合いのことを触れておられるのではないかと思いますが、実は、バリアフリー化推進に当たっては、当事者、いわゆる高齢者、障害者等の計画段階からの参加が重要と考えておりますけれども、本法案ではこのためにどのような措置を設けていこうとしているのか、お示しをください。

竹歳政府参考人 今、先生御指摘のように、せっかく施設をつくったのに、バリアフリー化をしていなかったためにつくり直さなければならなかったというような話とか、それから、バリアフリーについて、きちっとつくったつもりであったんですが、そういう方に意見を伺っていなかったために使いにくいものができてしまった。それから、先ほど申し上げました、ユニバーサルデザインのいろいろな事前の御意見を伺っている中で、そのつくられた施設が、例えば障害を強調するバリアフリーだとか、障害を隠すバリアフリーだとか、無能力扱いのバリアフリーとかいうことで、そういう、障害者の方から見ると非常に問題のあるというようなことがあるんだ。だから参加ということが大事だということが言われたわけでございます。

 そういうことで、本法案では、こういう事例とか御意見等も踏まえて、参加の制度を新たに充実しているわけでございます。

 まず、市町村が定める基本構想でございますけれども、その作成に当たりましては、数多くの関係公共交通事業者、道路管理者、建築主等や高齢者、障害者等の利用者の方々が参加して協議を行い、理解と協力を確保する。それから、その実施に向けての関係者間の調整をより円滑に行うというそのための手段として、新たに協議会を法定化することとしております。

 そしてまた、提案という関係では、利用者や住民、あるいは公共交通事業者等のバリアフリー化のための事業を実施することとなる者が、基本構想の作成または変更についてみずから提案できる、その提案を採用しない場合にはきちっと理由を明示してお知らせするというようなことで、能動的に関係者が基本構想の作成に向けた提案ができる、こういうような制度もいろいろ用意をしているわけでございます。

杉田委員 最後の質問に移らせていただきます。

 バリアフリー化の推進に当たりましては、段階的、継続的に関係者が協力しながら、よりよいものを目指していくことが重要であろうと考えております。本法案では、このような考え方はどのように反映されているのか、そしてまた、させていこうとしているのか、お伺いをいたします。

竹歳政府参考人 我が国社会全体をバリアフリー化していこうということを考えますと、非常に長期間かかりますし、また、費用の面でも多額のものがかかります。したがって、優先順位を定めて重点的に進めていく。最終的には、我が国社会全体がバリアフリー化するというのが理想であると考えております。

 そこで、今回の法案では「国の責務」というところで定めてあるわけでございますけれども、新たに国が中心となりまして、関係者とともにバリアフリー化に向けた施策の計画、検証、実行のプロセスを進めることにより、持続的、段階的に発展を目指していく、スパイラルアップ、だんだんとよくしていく、そういう取り組みをすることとしておりまして、法律の第四条第一項では、国の責務として、適時に、かつ、適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めることを新たに定めているところでございます。

 スパイラルアップの具体的内容につきましては、バリアフリー化の継続的調査でございますとか評価等、さまざまな手段が考えられるところではございまして、さまざまな機会をとらえつつ、広く国民各層の御意見が反映できるように進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。

杉田委員 最後に、質問ではございませんが、要望をさせていただきたいと思います。

 先ほどから、心のバリアフリーという御答弁が何度も出されました。国民一人一人が、高齢者、障害者等の困難をみずからの問題として認識し、心のバリアフリーについての理解を深めていかなければいけないと思っております。例えば、視覚障害者誘導用ブロックの上に自転車を駐輪しておる、これは大変連続性を絶つことにもなりますし、このことはまさに心のバリアフリーの問題であろうと思っています。

 なお、その上でこれからも、教育的にもあるいは広報活動を通じても、そうしたことをぜひ国民の一人一人に知らしめるべく努めていただきたいことを御要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林委員長 盛山正仁君。

盛山委員 自由民主党の盛山正仁でございます。

 質問に先立ちまして、バリアフリーについての私の思い入れといったものをちょっとまず述べさせていただきたいと思います。

 バリアフリーがここまで進んだことに対しまして、まず隔世の感を私は覚えております。かつて運輸省で、担当課長としまして予算要求や法律の制定を私はいたしましたし、それから今回は、自民党のバリアフリー議連の事務局長としてこの法律の制定に参画できたことを心からうれしく思っているということなんでございます。

 具体的には、平成十年の夏でございますが、エレベーター、エスカレーターのバリアフリー化の要求をしようと思いましたが、シーリングの壁が厚くてとても予算要求できず、残念ながら断念をいたしました。

 それが、十年の秋になりまして、補正の動きが出てきました。補正予算はシーリングの枠がないものですから、国と地方と鉄道事業者それぞれ三分の一ずつ負担をするということで百億の要求をしようといたしました。ところが、鉄道会社の方からは、これは鉄道会社が負担するものではありません、国や地方といった公的な部分が負担すべきものであります、また、百億円の要求というようなほら話につき合っている暇は我々にはありません、忙しいんです、予算がとれたら相談に乗りますから、そんなぐあいでございました。それが、平成十年の末に五十億確保できまして、年度末までの三カ月であっという間に、その予算は三月で消化できました。

 そして翌十一年は、予算の次は法律だということで、暮れに向けて各省と調整をいたしました。なかなか各省調整は困難をきわめました。きょうのこの日を逃すともう法律ができないという年末のその日になりましてやっと合意が成り立って、法律を出せるということになったわけでございますが、あれも入れたい、これも入れたいといろいろな希望があったわけでございますけれども、そういうものをぐっと我慢しまして、駅を中心とするコンパクトなバリアフリー法という形でスタートしたわけでございます。

 交通バリアフリー法ができまして、その後六、七年でバリアフリーという言葉も定着いたしました。国会議事堂前の地下鉄の駅もそうですし、東京駅もそうですし、重立った駅のエレベーターやエスカレーターの整備が進みました。予想以上のスピードでバリアフリー化が進んだことに関しまして、まず関係者の努力に深く感謝をしたいと思います。

 さて、法律についてこれからお伺いをしたいと思いますが、今回の新法は、国土交通省になってのすばらしい、旧建設省、旧運輸省その他が統合した大きな成果であると私は思います。ハートビル法と交通バリアフリー法が一体化しただけではなく、対象範囲も広くなりまして、さらによい法律になってきたんじゃないかと高く評価できるものではないかと考えております。

 まず、今回の法律につきまして、新たに加わった点につきまして確認をしまして、そして、新法の成立前から、ちょっと気が早過ぎるんじゃないか、おまえと言われるかもしれませんが、今後の課題について伺っていきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 交通バリアフリー法を制定したときには、知的・精神障害者、その時点では対象にできなかったわけでございます。それが今回、法律の名称も高齢者、身体障害者という形から、高齢者、障害者のというような形になりまして、明確に位置づけをするということができましたこと、これは、障害をお持ちの方の御要望をすごく広く酌んで、喜んでいただけることではないかと思いますが、それでは、具体的にどのような形で施策を行っていかれるのか、お伺いしたいと思います。

北側国務大臣 まず、盛山委員におかれましては、当初の交通バリアフリー法の制定に至るまで、旧運輸省の幹部としてまさしく担当していただいたわけでございまして、ここまで我が国社会の中でバリアフリーという言葉、また、実際のバリアフリー化はまだまだこれからではございますが、進んできたということについて、これは盛山委員の御尽力が大変大きなものがあったということを、敬意を申し上げたいというふうに思っております。

 今、知的・精神障害者を対象者として明示するということをさせていただいたことについてお触れになりました。おっしゃったように、対象者の定義につきまして、「身体障害者等」という表現から「身体」を取りまして、「障害者等」という表現に改めまして、知的障害者、精神障害者、発達障害者の方々を含むすべての障害者であることを明らかにさせていただいたところでございます。

 知的・精神障害者の方々に対する具体的な対応でございますが、これはさまざまあるわけでございますけれども、例えば、幾つか御紹介を申し上げますと、疲れやすいというお話を聞いております。この疲れやすさに対応した休憩施設の設置について、これは既に基準に位置づけられているところでございますけれども、さらに知的・精神障害者の方々の負担に対応して見直す必要があれば、関係者の御意見を伺いながらしっかり検討してまいりたいと思っておりますし、また、表示がわかりにくいというふうな問題についても御指摘をいただいております。ピクトグラム、図記号ですね、の統一化を念頭に置きました基準やガイドラインの拡充につきまして、これまた関係者の方々の御意見を伺いながら進めていきたいというふうに考えております。

 さらに、ハード面だけではなくてソフト面での対応も重要であるというふうに思っております。マニュアルを作成して配布する等の対応を行っておりますけれども、今後とも啓発活動、これがやはり大事だと思います。啓発活動等の心のバリアフリーをさらに進めるほか、公共交通事業者の方々の接遇のあり方、また、各種システムの改善についても推進をさせていただきたいと考えております。

 知的・精神障害者の方々や発達障害者の方々が移動し、また施設を利用するに際しまして、安全性また利便性を向上することができる、そういう施策をしっかりと関係者の方々の御意見を賜りながら進めさせていただきたいと考えております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。

 ピクトグラムにつきましては、私、一般案内用図記号ということでJISマーク化をしておりますので、ぜひ普及の方をよろしくお願いいたします。

 それでは次でございますが、これも前回盛り込みたくて盛り込めなかったものにタクシーがございます。タクシーはその車両本体の価格に比べましてバリアフリー化をするというのが、ほかの大きな鉄道やバスに比べますと高過ぎる、こういったこともありました。また、日本全国何十万台と走っている、そういうのをどうやってバリアフリー化するんだ、そういうことで前回断念したものでございますが、今回はタクシーも新たに法律の対象になったということで、大変うれしく思っているわけでございます。

 それでは具体的に、タクシーのバリアフリー化について、どのように今後進めていかれるのか、お尋ねしたいと思います。

宿利政府参考人 要介護者でありますとかあるいは障害者の中で、一人で公共交通機関を利用することが困難な移動制約者につきまして、ドア・ツー・ドアの移動を提供する福祉タクシー、これの普及促進は、高齢化社会が本格的に進むことが見込まれている中で、大変緊急かつ重要な課題だと考えております。

 平成十二年に制定されました交通バリアフリー法の附帯決議におきましても、盛山委員よく御承知のように、タクシー等を活用したSTS、スペシャル・トランスポート・サービスの導入に努めることがうたわれておるところであります。

 このため、今回のバリアフリー新法におきまして、「公共交通事業者等」という中にタクシー事業者も対象といたしました。タクシー事業者がリフトつき車両あるいはスロープつき車両などを新規に導入するときに、省令で定めることとしております公共交通移動等円滑化基準に適合させなければならないということにしておりまして、福祉タクシーの標準化を図ることで導入を促進するということでございます。あわせて、情報の適切な提供、あるいは乗務員に対する必要な教育訓練の実施ということも法律に定めておりまして、この法案によりまして、ソフト面も含めて福祉タクシーの導入が進むものと考えております。

 さらに、今年度予算におきましては、福祉輸送普及促進モデル事業という制度を創設しております。これは、共同配車センターの設立や福祉車両の導入につきまして、国と地方公共団体が協調して支援をしていくという制度でございます。

 また、中小企業金融公庫などの低利融資制度も今年度から新たに設けました。税制上の特例措置もございます。

 これらの取り組みを通じて福祉タクシーの導入を促進していきたいと考えております。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 先ほどからも出ておりますとおり、高齢者、障害者の方はどんどんふえてきております。福祉タクシーに対するニーズも大変高まっているかと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、今後の課題に移らせていただきます。

 最近、ホテルですとかあるいはスーパーマーケットですとか、いろいろなビルに行きますと、障害者用のマークのついた駐車場、これがいろいろなところで、方々で見受けられるようになりました。ふえてきていいなというふうに思う反面、そういう障害者用の駐車場が、ビルの出入り口に近い便利なところにあるということもその理由かと思うんですけれども、健常者の方が、ちょっとだけとめさせてもらおうというような軽い気持ちの方も多いんじゃないかと思うんですけれども、意外にとめておられることがあって、障害者の方から、とめたいときになかなか実はとめにくいんだ、まずは障害者用のパーキングの数をもっとふやしてもらいたいし、あるいは、健常者の方がとめる場合には罰則を設けるのか、あるいは取り締まりを強化してもらうのか、障害者がもう少しとめやすくしてもらえるように何とか工夫をしてもらえないだろうかという切実な訴えが私の耳にもよく入ってまいります。

 こういったあたり、これは新しいバリアフリー法でとらえていくのか、あるいはほかの法律でとらえていくのか、なかなか難しい、各省にまたがるような課題でもあろうかなと思うわけでございますが、このあたりについての今後の取り組みというんでしょうか、方向づけをお答えいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 障害者用駐車スペースの整備及びその適切な利用ということは、非常に重要な課題であると考えております。今回の法案におきましても、障害者の方々が優先的にできるようにということで、一定の路外駐車場や、不特定多数の人々などが利用する建築物に附属する駐車場の整備については、障害者用駐車スペースの整備を義務づけるということにしているわけでございます。

 しかしながら、今御指摘ございましたように、実際の事例として、障害者が利用しようと思っても障害者以外の人が使っていたり、一方、その表示マークが車いすのデザインがしてあるため、車いすを使用しない障害者が利用できないのではないかというような誤解もあるという御指摘もございます。

 したがいまして、障害者用駐車スペースの適切な利用方法については、まずは国民一人一人の方がその問題を認識してマナーの向上を図っていただくことが必要不可欠だと思います。教育活動や広報活動等を行って国民の皆様方に御理解いただけるよう、心のバリアフリーをさらに推進していきたいと考えております。

 なお、今罰則の話をちょっと触れられました。障害者以外の者が利用した場合に罰則を設けるかどうかについては、その前提となります的確な執行体制等が問題になってくると思われます。ただ、既に大手スーパーなどでは、罰則ということではないんですけれども、別の方法でそういう実効性を、障害者用の駐車スペースがきちっと障害者の方に使っていただけるような体制をとっているところもあると聞いておりますので、そういうことも勉強しながらいろいろな方法を考えていきたい、こう思います。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 おっしゃるとおりだなと思うんでございますけれども、例えばトイレについても、身障者用トイレ、これは障害をお持ちの方だけのためではなくて、みんなが使っていいんですよ、ただ、障害をお持ちの方、高齢者の人が来たときに優先して使えるようにしましょうねと。身障者用のパーキングも同じだと思うんですね。ですから、罰則もなく、罰則が必要のない形で、みんなのマナーで、意識の問題で優先して譲り合って使いやすくなるというのは理想かなとは思っておりますが、なかなか現実はまだそこまでいっていないものですから、今後ともぜひ御検討のほどよろしくお願いいたします。

 それでは次でございますが、今度は歩道の話をちょっと伺いたいと思います。

 障害者がいろいろな形で、できるだけ人の介護なく外を動き回る、歩き回る、それによって社会参画の機会もふえていくことになるわけなんでございますけれども、点字ブロックが最近相当ふえたと思います。駅、ターミナルの中だけではなくて、歩道の点字ブロックも相当ふえていると思います。ただ、どこまでその整備をするのかというところとの関係もございますけれども、連続してうまく整備ができているのか、あるいは本当にわかりやすい形で整備ができているのかという点で、まだちょっと検討事項があるんではないのかなと私には感じられます。

 また、マナーの問題とも絡むわけなんですけれども、駅前の近いような歩道でありますと、点字ブロックの上に自転車がとめて放置してあったり、あるいは看板が置いてあったり、そういうようなことも残念ながらございます。

 また、石畳その他、私は、見ても美しいと思いますし、いいなと思うのでございますけれども、障害をお持ちの方によっては、石畳ほどではなくても、インターロッキングのようなブロックであってもどうしても少し段差があってがたがたっとするものでございますので、こういうのはなくしてほしいという方もいらっしゃいます。

 あるいは、車いすの方にとってはスムーズな方がいいわけなんですけれども、視覚障害をお持ちの方にとっては、例えば歩道と車道の間に二センチ程度の段差がないとわかりにくいといったようなぐあいで、障害をお持ちの種類によっても具体的なニーズが違うということで、すべてのニーズに対応したバリアフリー化というんでしょうか、ユニバーサルデザイン化はなかなか難しいなと私も感じております。

 こういった歩道についての整備、これからどのようにしていかれるのか、お伺いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 幾つかまとめて歩道についての御質問をいただきました。

 まず、点字ブロックの関係でございます。

 委員御指摘の歩道における視覚障害者誘導用ブロックの設置につきましては、昭和六十年九月に設置指針を策定させていただきまして、整備の推進を図ってきているところでございます。また、この間、平成十二年の現行交通バリアフリー法成立を踏まえまして、平成十四年には重点整備地区における視覚障害者誘導用ブロックの設置の考え方などを盛り込んだガイドラインを取りまとめ、整備の促進に努めてきました。その結果、平成十七年四月一日までに約二千七百万枚、距離に換算いたしますと約八千キロメートルのブロックが歩道上に整備されておるという状況でございます。

 新法案におきましては、現行の主要な旅客施設を含む地区に加え、旅客施設を含まない地区であっても重点整備地区として定めることが可能である等と規定されているところであり、今後は、関係者の意見を踏まえながら、新たに対象となるこれらの道路も含め、視覚障害者誘導用ブロックの整備をさらに促進していきたいと考えておるところでございます。

 また、委員御指摘の不法占用物件の撤去につきましては、置き看板等の不法占用物件の是正を推進するため、通常の道路パトロールに加え、直轄国道の例でございますが、昭和六十三年度から、人口密集地域を中心に、地方公共団体等と連携し、不法占用者への指導、不法占用物件の撤去、パンフレットの配布等の啓発活動等を内容とする道路占用適正化促進事業を行ってきておるところでございます。また、十二年の現在の交通バリアフリー法成立を受けまして、平成十三年度からは、道路占用適正化事業の対象として、現行交通バリアフリー法で位置づけられました主要な旅客施設の周辺の主たる道路につきましても、同事業を実施してきているところでございます。

 今回の新法案によりバリアフリー化の対象となる道路が拡大されることとなりますが、これらの道路につきましても、障害者等の円滑な交通を確保するため、道路占用の適正化を進めていきたいと考えておるところでございます。

 もう一点、段差のお話でございますが、歩車道境界の段差につきましては、平成十二年十一月に定めた道路の移動円滑化基準におきまして、視覚障害者が歩道か車道かはっきりわかるように、二センチメートルが標準とされているところでございます。

 なお、この段差につきましては、車いす使用者から、二センチメートルでは移動しにくいという意見をいただいているということでございまして、委員からも御指摘ございました、平成十四年十二月に策定しました基準の運用を示すガイドラインにおきましては、状況に応じて、より抵抗の少ない構造を弾力的に選択できるように改善をさせていただいているところでございます。

 また、歩道の路面につきましては、同じ移動円滑化基準におきまして、平たんで滑りにくく、水はけのよい仕上げとするよう基準を定めさせていただいているところでございまして、また、加えて、平たん部の十分な確保を可能とするため、セミフラット形式を標準とさせていただいているところでございます。

 一方、整備した歩道の平たん性を維持するため、適切な維持修繕を実施してきているところでございますが、さらなる徹底が必要であると認識をさせていただいております。本法案におきましては、整備した道路が基準に適合するように維持しなければならないという規定を追加させていただいているところでございます。

 これらの基準につきましては、障害者や福祉に関する専門家、有識者等の御意見を踏まえながら作成をしてきておりますので、これらの方々の御要望をお聞きしながら、必要に応じて改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

 今後も引き続き、障害者等の意見を広く取り入れさせていただきまして、必要に応じて逐次見直しを行いつつ、バリアフリー化を強力に推進させていただきたいと考えておるところでございます。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 新バリアフリー法になりまして、点的整備から面の整備へと広がっていきますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、その次でございますが、これも障害をお持ちの方から言われまして、その段階で私は気がつかなくて、はたと感じ入った次第でございますけれども、障害をお持ちの方、例えば今の法制度では普通の場合についての規定だけしかないんじゃないでしょうか、例えば、地震が起こったときあるいは火事が起こったとき、力のないお年寄りですとか車いすの方ですとか、今のままではなかなかうまく避難することができませんといったような、そういうような御意見がございました。

 とにかく、五年たってまたこういうすばらしい法律になってということですから、今後の課題であることは重々承知しております。ぜひ、今後、そういう緊急時対応ということで、高齢の方あるいは障害をお持ちの方がどうやったらスムーズに避難できるのか。例えば、重い防火ドアを押さなくてもいいようにするにはどうすればいいかですとか、あるいは、例えば私の実家も阪神大震災で壊れました。そういうときに、鉄のスチールの扉ですと、普通の男の力でも完全に動かないわけなんですね、閉め込まれて。そういうことをどうするのかといったようなことも含めまして、今後検討を少しやっていただきたいなという要望なんでございますが、いかがでございましょうか。

山本政府参考人 災害時におきまして、障害者の安全な避難経路を確保するということは大変大事な課題だと認識しております。

 建築基準法におきましては、高齢者、障害者なども含めた建築物の利用者につきまして、火災時などの緊急時の避難の安全を確保するために、一定の階数、規模の建築物につきまして、特別避難階段あるいは非常用エレベーターの設置を義務づけております。これらの特別避難階段あるいは非常用エレベーターにつきましては、階段やエレベーターの前に、火や煙が入らないように排煙設備などをつけた別室などを設けることを義務づけておりまして、障害者などがこれらの別室に一時的に避難される、避難に時間がかかる場合にも安全が確保できるように考えて、この部分は措置しているところでございます。

 災害時に、車いす使用者などが階段室やバルコニーに設けられた一時避難スペースに避難した上で、他の人の手助けを受けるなどして円滑に避難活動が行われますように、建築物の設計者向けのガイドラインにおきましては、災害時の避難経路の確保の方策などにつきまして対応例を紹介しております。

 設計者に対して、このガイドラインをきちんと周知するといったようなことがとりあえず取り組むべき課題だと思いますけれども、御指摘いただきましたように、地震等の大規模災害などに向けて検討すべき課題はたくさんあると思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 今局長から、設計者のお話が出ました。駅や空港といったようなターミナルでもそうですし、あるいはみんなが使うような公共の建物でもそうなんですけれども、設計の方が、何のためにバリアフリーの基準があるのかというのを残念ながらまだよく認識しておられない例があるんじゃないのかなと。

 最近の新しいビルは、とても使いやすくなっているのは事実なんですけれども、どうしてもデザイン優先になっていまして、例えば、黄色のぱっとしない点字ブロックのかわりに、御影石なんかできれいに床が張ってありまして、その上にステンレスなんかの点字ブロックにかわるものが設置してある。

 これはこれで見た目もすばらしいわけなんですけれども、視覚障害の方というのは全盲の方ばかりではありませんので、やはり黄色という色がはっきりしていていい、こういうようなこともあるわけでございます。また、障害をお持ちの方だけじゃなくても、我々健常な者であっても、遠くまで見通せて、例えば、こっちへ行くと、ああ、あのホームにおりれるんだなですとか、どこへ行けるんだなというのがわかる方が、やはりわかりやすいわけでございます。

 デザイナーの方は、独創的なデザインをというのは、やはりそういう習性なのかもしれませんけれども、駅にしてもビルにしても、利用者のためのものでございますから、何のためにこういうような基準があるのかということを、できましたら、例えば建築の方の協会ですとか、いろいろな形で設計の方に御指導していただいて、せっかく新しく今後できるものについては、みんなにとって使いやすい、ユニバーサルデザイン化が進みますように御指導をお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

 そもそも、建築物の建築計画を立案します設計者がバリアフリーの思想をきちんと踏まえて仕事に取り組むということが一番大事なことだと思いますので、建築士団体それから地方公共団体、それぞれ、先駆的なところが設計者の方々を対象にさまざまな講習会も開いてきております。こういうことが全国できちんと取り組まれて、バリアフリー化の基準とか設計標準、優良事例を紹介したガイドライン、そういったものを使ってきちんと普及啓発が行えるように、関係団体、公共団体と協力して取り組んでまいりたいと思います。

盛山委員 ありがとうございました。

 やはり、心のバリアフリーというんでしょうか、相手の立場をおもんぱかるということが何においても基本だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 それで、その心のバリアフリーとも絡むのでございますけれども、これは前回の交通バリアフリー法のときもそうでした、今回もそうでした。障害をお持ちの方から、私どもではなかなかよくわかっていない、こんなふうに応対をされたんだ、こんな悔しい思いをしたんだというようなことを、大分訴えをちょうだいしました。それで、移動する権利、自由に移動する権利というのを法律にぜひ盛り込んでほしい、こういうことも強く何度も言われた覚えがございます。

 それに対しまして、私の方からは、いや、そういうような移動の権利というのを法律に書けばそれで暮らしやすい世の中になるというわけではないんですよ、現在の法体系であってもちゃんとそういう対応はするはずになっているんです、例えば交通事業者さんの職員一人一人ですとか、みんな関係をする人が意識をして、相手の立場をおもんぱかってどうするべきか、こういうことが一番ベースなんですから、バリアフリーが始まって五、六年たって、こんなに進んできたじゃないですか、一足飛びにそんなに高いハードルを突きつけないでください、一歩一歩進んでいきましょうというふうに私は障害をお持ちの方にお答えをしたりしているわけでございますけれども、このバリアフリー教育の徹底というんでしょうか、先ほどは住宅局長から設計の方に対しての御指導という力強い御発言もありましたけれども、交通事業者さんですとか、あるいは関係の事業者、関係する分野はすごく幅広いと思います。

 ぜひ、国交省が中心になるんだろうと思うんですけれども、そういう職員の方に対しまして御指導をいただけるようにお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

竹歳政府参考人 高齢者、障害者の方々が公共交通機関を円滑に利用できるようにするためには、今お話がございましたように、ハード面の整備だけではなくて、交通事業者の職員が適切に対応する、必要な介助等を行う、こういうソフト面での対応が大変重要であると考えております。

 したがって、本法案におきましても、交通事業者は、その職員に対し、高齢者、障害者等に対する接遇、車いす用エスカレーター等関連設備の使い方等について、研修等による教育訓練を行うよう努力義務を課しているところでございます。

 また、このような交通事業者の取り組みをより一層効果的なものとするために、国においても、交通事業者における社内教育のボトムアップのために必要なプログラムを策定し、接遇方法についての留意点を網羅的に示すとともに、実際の教育においても、障害者の方や専門家による講義や実技指導を行うことの重要性を示すなど、交通事業者の職員に対する教育や周知徹底を促進するよう努めているところでございます。

 国土交通省では、知的障害者それから精神障害のあるお客様への対応ということで、「ゆっくり」「ていねいに」「くりかえし」というようなパンフレットをつくりまして、交通事業者の方にお配りしております。障害をお持ちの方々からも一定の評価をいただいているところでございまして、さらにこういうことを進めてほしいというお声もちょうだいしているところでございます。

 交通事業者の中には、職員の教育訓練の一環として、サービス介助士資格の取得を促進するなどの積極的な取り組みも最近は加速しているようでございまして、今後とも、関係者の協力を仰ぎつつ、ハード、ソフト一体となったバリアフリー化の推進に努めていきたいと思います。

盛山委員 局長、ありがとうございました。

 職員の方の過重な負担にならないようにハードの整備を進めるというのが一番ベースだと思いますが、職員の方についても、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、文部科学省にちょっとお伺いしたいと思います。

 きょうのこの質疑を聞いていただいても、心のバリアフリー、教育というのは大事だなということは皆さんから何度でも出てきていると思うんです。国民全員、大人も含めて認識するというのが一番だと思うんですけれども、なかなか大人に言っても始まらないところも残念ながら現状ではないかと思います。

 ぜひ、学校教育といったようなところで、幼児の部分から、子供のときから教育の中にバリアフリーといったようなことも含めていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 障害のある人あるいはない方についても、一人一人を尊重して、思いやりの心を持って、ともに助け合って生きるということの大切さを子供たちに身につけさせることは重要でございます。学校教育におきましては、社会科、道徳などを中心に指導に努めているところでございます。障害者に対する理解を深めて、社会生活の中で安全、快適に暮らせるよう、さまざまな障壁を取り除いていこうとするバリアフリーにつきましても、このような観点から教えていくことが重要な課題であると認識しております。

 学校におきましては、具体的には、障害のある方の御苦労を自分に置きかえて、車いすやアイマスクを利用して模擬体験をするという活動も多く行われておりますし、また、その体験を踏まえて、盲・聾・養護学校の障害のある子供たちとの学芸会、運動会などの学校行事を合同で行うという交流活動を行ったりしているところでございます。

 教科書におきましても、例えば、身近なバリアを見つけて、障害のある方にとって何がバリアになっているのかを考えてみようという内容が取り上げられているところでございます。

 今後とも、子供たちが障害のある人などに対する理解を深め、ともに生きる人間として助け合い、支え合っていくことができるような教育の推進により一層努めてまいりたいと考えております。

盛山委員 ありがとうございました。ぜひ、文部科学省として、今後より一層取り組みを強めていっていただければと考えております。

 それでは、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 交通バリアフリー法制定のときに、十年後の目標ということで、平成二十二年までということで目標を立てました。先ほども御説明ありましたが、この五、六年で相当バリアフリー化は進んだと思います。ただ、逆に言いますと、手をつけやすいところからバリアフリー化を進めていった。工事がしやすいところ、費用が少ないところ、設計が割合楽にできるところから進めていった。逆に言いますと、これから残されているところというのは、設計から含めて大変工事が困難であるところ、費用的にもかさむところというところが多く残っているのではないかと思います。

 今後のさらなるバリアフリー化の推進に向けて、どのようにお取り組みを力強くやっていただけるのか、最後に大臣の所見をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 交通バリアフリー法施行から五年たちまして、先ほど来御議論がありますとおり、一定の前進はしてきたというふうには思っております。

 しかしながら、まだ道半ばでございまして、今委員のおっしゃったように、これから、例えば構造の問題等、さらには費用の問題等、さらには、これが最も大事だと思うんですが、国民の方々の意識啓発、そうしたことが重要になってくるというふうに思います。

 この法律、大きく一体的、総合的にバリアフリー化を進めていこうということで、私は、この法律は非常に意義のある法律であるというふうに思っておりますが、この法律を成立させていただきましたならば、それを契機に、より一層、当初のこの目標をしっかりと実現できるように、達成できるように、関係者の方々とよく連携をとって、その目標達成に向けて進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

盛山委員 大臣、温かい御答弁ありがとうございました。

 これから、障害を持っている方も持たない人も、あるいは高齢者も、あるいは幼児連れの、お子さん連れの方も、みんなにとって暮らしやすい社会になるように、ユニバーサルな社会になるように、ぜひお取り組みを深めていただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 細川律夫君。

細川委員 民主党の細川律夫でございます。よろしくお願いをいたします。

 一昨日でしたか、新聞の方に報道がございました。ちょっと本題に入る前に要望しておきたいと思いますが、朝日新聞などに載りましたタクシーの問題でございます。タクシー運転手登録制で参入制限というような記事が掲載されまして、大都市では地理の試験あるいは接客講習などを義務づけまして、悪質な交通違反や事故歴があれば登録をしないということを検討している、こういうことが報道されておりました。

 私は、ことしの二月、予算委員会の質疑でも大臣と議論をいたしましたけれども、このタクシー、ハイヤーなどの規制緩和によりましていろいろな弊害が出てきております。したがって、その弊害を正して安全性とかあるいは利便性を向上させるためにはぜひこういう制度を導入してほしい、こういうことを要望したわけでございますけれども、今タクシー運転手の登録制が検討されているということでございますから、これはぜひこの制度を導入していただきたい。この場でひとつ要望をしておきます。

 そこで、本題の方に入ります。

 参議院の方でこれは先議をされておりまして、参議院では本会議あるいは委員会の中でいろいろと議論をされておりますけれども、まず私は、移動する権利についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほども質問の中にお話がありましたけれども、この法案の中に移動する権利を入れてほしい、あるいは触れてほしいという、当事者からの、障害者からの要望というのは大変強いわけでございます。そういうことについてのいろいろな要望も大臣も十分承知をされていることと思います。

 そこで、参議院での議論をいろいろ後で見ておりますと、なぜ移動する権利がこの法案の中に明記されなかったかという点につきましては、北側大臣の方から何点か理由を挙げられております。本会議あるいは委員会等で、まず、こういうことです。交通事業に対する国の関与権限の強化になるんだというようなこと、あるいは財政支出が大幅に増大するんだというようなことで移動する権利を明記しなかったというような理由になっております。

 しかしまた、大臣は、一方では、この法案そのものが、憲法十三条あるいはまた二十二条、この二十二条は居住、移転の自由でありますけれども、そういう十三条、二十二条の自由権の方からもきている、そしてさらに、憲法二十五条、健康で文化的な最低限度の生活をする権利を有するという社会権の二十五条の趣旨を生かしたのが今度の法案だ、こういうふうにも言われているわけでございます。

 しかし、私が考えるに、どうも大臣が挙げられているこの理由というのが、移動する権利を明記しない理由になるとは思えないというふうに思っております。少なくとも、二十二条の自由権的なことから考えれば、これは国の関与権限が強化されるということではありませんし、憲法二十五条にしても、当然国の財政などの制約があるということも、これもまた私は当然のことだとも思っております。

 したがって、この点について、移動する権利というのをぜひ明記してほしいといいますか、あるいはしなかった理由について、ちょっと大臣のお考えをもう一度述べていただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員の方からおっしゃっていただきましたが、この法律そのものが、憲法の十三条、個人の尊重だとか、十四条、さらには二十一条、それは表現の自由とも当然かかわってくると思います。そして、移動の自由である二十二条等々、憲法上のそうした権利に根差して、それを踏まえてこの法律全体ができ上がっている、そういう意味で、そうした憲法の思想に基づいているというふうに私は考えているところでございます。

 それでは、この法律の中に具体的な権利として移動権というのを位置づけるべきではないのかという御主張であるわけでございますが、問題は、当然、このバリアフリー化を進めていくに当たりましては、これはコストもかかってくるわけですね。では、そのコストの負担をどう負担し合うのかという問題もございます。それも、国や公共機関だけの問題ではありません。これは、民間の事業者の方々、また民間の、建築物でいうならば管理者の方々、そういう方々にも責務を負わせていこうとするわけですね。その場合に、コストの面、費用負担をどうしていくのかという問題が現実的には当然あるわけでございます。

 そういう意味で、もちろん予算も、先ほど来の御質問にあるとおり、ふやしてきているわけでございますが、権利として認めた場合に、じゃ、その点をどう考えていくのかという問題がまずあるというふうに思います。

 さらに、権利として認めるということは、そういう事業者の方々であれ、管理者の方々であれ、義務づけをさらにより強化していくことになるわけでございます。そうなると国の関与が強化されるというのはそういう意味でございまして、国として、その事業者に対して、ちゃんとやらぬとあかんやないかというふうにしていくためには、当然、監視、監督をさらに強化しないといけないということにもつながっていくわけでございまして、現時点では、そこまでのコンセンサスといいますか、それは形成されていないのではないかというふうに理解しているんです。

 ただ、大事なことは、具体的な施策をやはりしっかりと前に進めていくということだというふうに思っております。この交通バリアフリー法が施行されて五年たちまして、一応の成果が出てきました。これを、目標もございますので、その目標達成に向けてしっかりと前に進めていく、具体的な施策を推進していくことが大切だという観点で、今回の法律でもさまざま規定をさせていただいているところでございます。その点、ぜひ御理解をお願いしたいと思っております。

細川委員 バリアフリーがいろいろ条件が整えられて進んでいることは私も承知しておりますし、さらに進めていただきたいと思いますけれども、その条件を整えていくときに、権利性が明記されているかどうかということが、具体的に進めていく上で大変大きな要素になってくるのではないかというふうに私は思っております。

 そういう意味で、ぜひ、この権利性については、今大臣は、条件がまだ整っていないというか、合意がまだそこまではいっていないというようなお話をされましたけれども、一歩進めて、ぜひ、権利性については具体的に明記をされる方向でお願いをしたいというふうに思っております。

 そこで、これもまた参議院の答弁の中で大臣がお答えになっていることでちょっと気になることがありますので御質問をいたしますけれども、参議院の委員会の答弁であったと思いますが、この権利性を認めることは、場合によっては損害賠償訴訟なんかも起こってくるというふうなことも考えられるわけでございましてというような答弁がなされているわけでございます。

 私は、憲法の趣旨を生かすための法案であるならば、こういう具体的な移動する権利が侵害されているというような訴訟が起こることは決して悪いことではない、こうした権利意識が高まっていくということに対しては、現在も、それにこたえなきゃいかぬということで、司法制度の改革も進められているわけでございます。

 そこで、大臣が言われる損害賠償がたくさん起こると困るというような趣旨は一体どういうことで、こういうような御答弁になっているのか、ぜひちょっと答弁をお願いいたします。

    〔委員長退席、渡辺(具)委員長代理着席〕

北側国務大臣 これは、そういう具体的な権利として書き込みますと、移動権という形で書き込んだ場合に、例えば、一日五千人以上の乗降客がある場合にバリアフリー化をしていこうということで、事業者に対して言っているわけですね。現には、まだそんな全部できていないわけです。先ほど来お話があるように、バリアフリー化の目標というのを掲げて、実際バリアフリー化が進んでいる進捗率というのは、進んできたとはいうものの、まだまだこれからでございまして、道半ばでございます。

 そうすると、現にそのできていないところについて、具体的な権利として仮に規定をして、そして、これは解釈上必ずそうなっていくとは私は思いませんが、例えば、そういう具体的な権利があるから、まだやっていないじゃないかということで、鉄道事業者なり、さらには自治体なり国なりに対して、例えば、やっていないから自分たちは損害をこうむっているとして損害賠償請求訴訟というのが提起されるという可能性はあるわけですね。

 そういうふうな具体的な権利という形で位置づけることが現段階でできるかというと、先ほど来申し上げていますとおり、では、このコストを現実にだれがどのように負担をしていくのかという話がやはりきちんと合意形成がされていないと、これはできるわけではないわけですね。特に民間の方々が、事業者、管理者の方々が入っているわけでございますので、そこを全部国とか県とか市がやればいいんだというふうに決めておればいいですけれども、そこのところのやはり合意形成がまだできているわけではないというふうに思っているわけでございます。

細川委員 どうもちょっと本末が転倒というか逆になっているような気がするんですけれども、裁判が起こるということを心配されて明記をしないというのではなくて、私、先ほども申し上げましたように、この移動する権利が憲法二十五条の方からくるならば、財政的な制約もこれも当然であるという考え方なんですよ。何から何まですべて権利を認めたら、一切合財、財政、予算と関係なくやるべきなんだという考えではないんです。

 そういう意味で、この移動する権利というのは、もう衣食住と同じように、移動することは生活において必要不可欠なことですから、しかもこれから高齢社会がますます進んでいくところでありますから、ぜひ、この移動する権利については国土交通省としても考えていただきたいと思います。

 私ども民主党の方としては、以前にも私が筆頭提出者になって交通基本法というのを提出いたしまして、この委員会でも審議をしていただいたこともございました。移動する権利というのは、先ほども申し上げましたように、憲法の二十二条、自由権、そして憲法二十五条のいわゆる社会権、この両方から移動する権利というのを位置づけておりまして、また提出もしようというふうに考えておりますので、ぜひ大臣の方も、この移動する権利について、より積極的に取り組んでいただきたいというふうに御要望を申し上げます。

 そこで、それでは、権利が明記できないというようなことであるならば、せめて車いすなどの、移動のための装備というか設備を伴った移動に関して乗車拒否を禁止するということが規定できないか。移動する権利というのが明記できないのならば、今度は、そういう車いすなどでの移動について、これを乗車拒否なんかはできないんだ、乗車拒否を禁止するという規定を設けることができないのか。これは、実際に車いすなどを利用している人たちの強い要望があるわけでございます。

 そこでお聞きをいたしますが、現在でも、特にハンドルつきの電動車いすの乗車拒否事例というのが大変多いというふうに聞いておりますけれども、国土交通省としてはどういうふうに把握をしているのか、聞いているのか、お答えいただきたいと思います。

梅田政府参考人 ハンドル形の電動車いすの件でございますが、この件について、事業者などに対しさまざまなクレームが来ていることは私どもも存じ上げております。

 しかしながら、このハンドル形の電動車いすといいますのは、かねて、回転半径が非常に大きい、それから重たい、そういうことで、従来、鉄道などでは利用をお断りしている場合が多かったのが実態でございまして、私ども、平成十五年三月に、この関係の行政機関あるいは身体障害者の団体の方々あるいは公共交通事業の方々によりまして調査委員会をつくりまして、鉄道におけるハンドル形の電動車いすの利用要件を取りまとめて周知徹底を図っているところでございます。

 これを踏まえまして、ハンドル形の電動車いすを使用する必要があって操作することができる方につきましては、乗車口やあるいは車両内のスペースが広く、段差がない車両において利用ができる、また、利用可能の駅も、エレベーター等の整備が整いまして、逐次増加しているところでございます。現在のところ、平成十七年七月の調査でございますが、六十五事業者、千五百九駅において利用可能でございまして、これは一年前に比べまして、九事業者、百八十駅の増加を見ているところでございます。

 このハンドル形の電動車いすにつきましては、駅の入り口から車両の内部まで、すべての移動経路の空間の制約、あるいは一般の旅客の方々の流動の状況、非常に大きい、重いものでございますから、これを総合的に勘案する必要があります。また、物理的におさまるエレベーターがないといけませんし、また、ハンドルの、半径が、曲がらないような狭い通路があるようなところでは使用することができません。

 そういうことで、利用可能な駅につきましては、私ども、鉄道事業者におきまして、ここの駅は利用できますよというような情報をホームページ等で流しておりますし、また、当省の所管でございますエコロジー・モビリティ財団におきましては、そういう情報につきましても事前に流しておりますので、積極的に活用していただきたいと思っております。

 なお、このハンドル形の電動車いすでございますが、これは、実はまだ開発途上でございます。私ども、もともと鉄道利用を前提につくったものではございませんから、鉄道において広く御利用していただくために、ぜひとも鉄道利用に適した機器の開発、これを関係者にお願いしているところでございます。

宿利政府参考人 乗り合いバス事業者につきましては、道路運送法の十三条で、運送に適する設備がないようなときとか、あるいはやむを得ない事由によりまして運送上の支障があるときなどを除きまして、運送の引き受けを拒絶してはならないという規定がございます。具体的には、例えば車内に車いすを適切に固定するための装置を有していない場合であるとか、あるいは、装置はありましても、満員状態であってその使用が現実には困難な場合、こういったときには運送を引き受けることができないケースがございます。

 しかしながら、こういった場合に該当しないにもかかわらず、運送の引き受けを拒絶するような事実が認められた場合には、私ども、これを是正するように指導しているところでございます。

 また、こうしたやむを得ない事由によりまして運送の引き受けができない場合でありましても、運転者は車いすの利用者に乗車ができない理由をきちっと説明して理解を得るように努力することが必要だと思っておりまして、バス事業者におきまして、そのための必要な運転者の教育等の徹底を図っていただくことが重要であると考えております。

 いずれにしても、私ども、ノンステップバスの導入促進などを通じて、バスの利用におきまして車いす利用者の利便が損なわれることのないように努力をしていきたいと考えております。

細川委員 いろいろ御説明ありましたけれども、私どもの方には乗車拒否などの事例が数多く寄せられておりまして、その人たちの救済がなかなかできていないという状況もあるようでございます。したがって、ぜひ、そういうことのないように取り組んでいただきたいと思います。

 一方、法律の中にはこういうのがありますね。身体障害者補助犬法というのがあるのは御存じだと思います。この補助犬法の第九条にこういうふうに書かれております。「前二条に定めるもののほか、不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。」こういう規定があります。補助犬について拒否をしてはいけないという禁止規定でございます。「前二条」というのは、これは国とかあるいは地方公共団体などの機関、あるいは公共交通機関でございます。さらに、不特定多数の利用の施設を加えているわけでございます。

 そうしますと、障害者が補助犬をもっていろいろなところを利用する場合には、この補助犬を拒否してはならない、こういう法律がありますね。一方で、じゃ、車いすなどで利用する場合には、これを拒否してはならない、そういうあれはないわけですから、補助犬の場合と別の補助道具の場合には違うことになりますけれども、これはちょっとおかしいのではないでしょうか。大臣、どうでしょうか。

 補助犬を使う場合には、補助犬が入ってくることを拒否してはならないという拒否禁止事項があるわけですよ。だけれども、ほかの障害者が車いすを使ったりするような場合には、これを拒否してはいけない、そういうことにはなっていないわけなんですよ。これはえらい違いですね。どうしてこういう違いがあるのか、大臣、どう思われるか。

北側国務大臣 まず補助犬ですけれども、補助犬につきましては、これは当然訓練された、一定の基準にのっとった、公的認定を受けた補助犬について定めているわけでございます。そういうことによって、多くの不特定多数の方々がいらっしゃるところにそういう犬が入っても全く社会的にも問題がないというふうなことを前提にして、このような制度になっているというふうに考えております。

 それから、公共交通機関の場合は、そもそも、事業法において引き受け義務が規定をされています。正当な理由なしにそもそも乗車拒否をしてはならないわけでございまして、それがまず原則であるということでございます。ですから、車いすの方々につきましても、事業者側にとって物理的に何の問題もないんだ、問題がないにもかかわらずそれを拒否しているならば、それはもうこの引き受け義務自体に反しているわけです。

 問題は、先ほどからお話が出ていますとおり、施設の問題、公共交通機関側の施設だとか車両側の構造の問題、さまざまな仕様とか規格がありますので、それとの関係で、一律にそういう受け入れ義務があるというわけにはなかなかいかないわけですね。だから、これは構造の方も変えていかなきゃいけないんです。交通事業者側の施設や車両についても、先ほどノンステップバスの紹介がありましたが、そうした車いすを受け入れていけるようなことにしっかり努めていかねばなりません。

 また一方で、この車いすという用具、補助用具の側についても、私、ぜひ開発をしていく必要があると思うんですね。だから、そういう意味では、交通事業者にとっても、それから補助用具をつくっていらっしゃるメーカー、そこのところの協力も得ながら、そうした公共交通機関の利用にふさわしい開発をしっかりと進めていくことが大事だと思っておりまして、それはしっかり、関係者、私どもも含めて進めてまいりたいと考えているところでございます。

細川委員 この身体障害者補助犬法の中に、補助犬を同伴することを拒んではならないというふうに原則はなっておりまして、しかし、ただし書きがあるわけなんです。ただし書きで、いろいろな理由があった場合には、これはこの限りではない、こういう規定になっているわけなんですよ。だから、今大臣が言われたことは、やはりこのただし書きの部分だと思うんですよ。

 だから、今回のこの法律案なんかにも、拒んではならないという原則をまず打ち立てて、そして例外的に拒む場合を正当な事由として規定をしていく、こういうことだったら、補助犬法とこの法律なんかのところでの差異がないのではないかというふうに私は思いますので、ぜひ検討をしていただきたい。

 大臣、何かありましたらどうぞ。

北側国務大臣 先ほども申し上げたんですが、そもそも、どなたであれ原則は拒絶してはならないんですね、公共交通機関は。そもそも事業法にそういう規定があるわけなんです。その事業法の中に、例外としてこういう場合には拒絶ができますよというような規定の構成になっているわけなんです。そもそも拒絶をしてはならないのが、公共交通事業にあっては原則であります。そういうことはむしろ事業法に規定がしてあるんだということで、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。

細川委員 いろいろと質問させていただきましたが、やはり公共交通機関、あるいは公共施設、そして不特定多数の集まる建物、そういうところでは、そういう補助的な用具を使って利用しようとする場合に拒んではならないという原則をきちっと明言しておく方が、バリアフリーを進める上においても非常に多くの人たちが安心して移動できるというふうに思いますので、ぜひ検討をお願いいたしまして、私の質問は終わります。

 ありがとうございました。

渡辺(具)委員長代理 森本哲生君。

森本委員 民主党・無所属クラブの森本哲生でございます。

 通常国会もだんだん会期も迫ってまいりまして、最後になってしまうのかな、そんな中で質疑をさせていただきます。

 本日は、バリアフリー新法の法案審議ということでございますけれども、まず、六月三日、東京都港区のマンション、シティハイツ竹芝で、高校生が自転車を引きながらエレベーターからおりようとしたところ、扉があいたまま突然動き出し、エレベーターの床と天井に挟まれ死亡した事故について、少し質疑をさせていただきたいと存じます。

 一報が入りましたときには意識不明の重体ということでありましたが、処置むなしく、みずからの過失のない、まさに不慮の事故でとうとい命が犠牲になってしまったことに大変心を痛めておるわけでございます。私も高校球児としましていろいろお世話になった身でございますし、二年生の、非常にこれからというときにこうした不慮の事故が起こったということは、本人にとりましても大変残念な思いでございましょうし、御遺族の方々に本当に心より私自身もお悔やみを申し上げる、そんな思いでございます。

 今回の事故は既に全国に影響が及んでおりまして、エレベーターを製造したのはシンドラーエレベータ社という会社というふうに聞いておりますが、同社製造のエレベーターが既に緊急点検の対象となって、自治体が対応に追われておるということでございます。また、六月七日には、同社のほか、保守管理会社などの家宅捜査が始まっておりますので、近い将来刑事事件としての立証に向かっている、こう思っております。

 ですから、その軌道を狂わすような議論は慎みたいと思いますが、エレベーターというのは不特定または多数の人が利用するものですから、その適正な整備と安全管理の徹底は、ある意味ではバリアフリー以前の問題であるというふうに強く認識をさせていただいております。特に、私、運動神経の非常にハイレベルの高校二年生の方がこういった事態を起こすということが、想像を絶するような状態であったということを今考えておるわけでございます。

 通常国会、間もなく閉じようとしているわけでございますが、例えばマンションの耐震強度偽装事件のときも、ちょうど特別国会が閉じようというタイミングになってしまったわけですが、該当エレベーターの利用者に対して一日も早く安心を与えていただくために、政府としてこの一週間どのように取り組んでこられたのか、今後の方針も含めて、大臣から答弁をお願いいたします。

北側国務大臣 まず、本当に痛ましい事故が発生したこと、極めて遺憾であると言わなければなりません。亡くなられた市川さんの御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、御遺族、御家族の方々に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 エレベーターに関しましては、法令では、かご及び昇降路のすべての出入り口の戸が閉じていなければ、かごを昇降させることができない安全装置の設置を義務づけているところでございます。今回のこの東京港区のシティハイツ竹芝で起こった事故の原因が一体どこにあるのか、安全装置の不備に起因しているものなのか、それともその他の要因なのか、現在、事故原因を調査中でございます。捜査機関も入っております。この事故原因について、早く確定をさせることが大切だというふうに思っております。東京都、港区ともよく連携をとりまして、この原因究明を早くしていきたいというふうに考えております。

 それで、七日の日に、特定行政庁に対しまして、このメーカーでございますシンドラーエレベータ株式会社製のエレベーターにつきまして、所有者等に対しまして点検を実施させ、その結果を特定行政庁に報告させるとともに、過去の事故、ふぐあいを調査して報告させ、これらの結果を国土交通省に報告するように全国の特定行政庁に対して要請をしたところでございます。

 また、シンドラーエレベータに対しましては、全国に設置をされております同社製のエレベーターのリストを提出するように要請をしておりまして、近々提出されるものだというふうに考えております。

 この件につきましては、社会資本整備審議会の中でも論議をしていただこうと思っておりまして、状況を報告いたしまして、今後の対応について、六月十五日に予定しておりますが、御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 これらの調査の結果を踏まえまして、しっかりと事故再発防止対策を検討してまいりたいと考えております。

森本委員 大臣から今シンドラーのエレベーターのリスト一覧、整備のリスト一覧というお話もいただきましたので、それもお願いをしようと思っておりましたが、その点につきましては、くれぐれもよろしくお願いを申し上げます。

 また、一部報道によりますと、京都のある公共施設で、これは入札が適正に行われたかどうかは別といたしまして、安価で同社が落札して、貴省、国土交通省の近畿地方整備局から指導があったということを聞いておりますが、このことは事実でございますか。

 それと、シンドラー社は日本でのシェアは一%しかないということでありますが、シェアを伸ばすための戦略として低価格の設定をしている、コスト削減を進める行政側の利害が、ある意味では一致しているのではないかという指摘もあります。調査結果がすべて出そろえばわかることでございますが、きょうまでの情報では、確かに公共施設が目立っておるわけでございます。

 現在、事実確認中だと今もお話がございましたが、業者としての適格性が問題視されなければなりません。引き続き、このことについて大臣からお答えをいただきたいと存じます。

山本政府参考人 ただいまの件については事実を確認中でございますので、御指摘を踏まえてきちんと対応したいと思います。

森本委員 それと、これもあくまでもマスコミ関係のニュースでございますが、日本の場合は、待ち時間とかあけ閉めの時間とか、いろいろな面で非常に厳しい、そういう、エレベーターの設置に対して利便性をかなり高く問われるというようなお話もございました。しかし、それは当然のことだというふうに思っておるわけです、私どもとしましては。

 ですから、耐震問題でも、やはりコスト削減が非常にこういった大きな問題に発展したということが、実はよく似たケースでもあるのではないか。また、牛肉の輸入の自由化のような厳しいチェックというのは、ある意味では、牛肉の輸入と今回のエレベーターの、日本が望むチェックというのはよく似たところがあるんですけれども、コスト削減については非常にこの問題はよく似ておるなということを思っております。

 これは、調査の段階で、まだないということでなかなかお答えはできないかというふうに思いますので、このあたりについても精査をしていただきたい。これは、お答えはできないでしょうから要望にとどめます。

 現行のハートビル法における利用円滑化基準、利用円滑化誘導基準は、車いすの方の出入りがしやすくするための基準であるということは疑っておりませんけれども、エレベーターが安全に作動することは当然の前提ということであります。移動に不自由な方にとってとっさの危険回避はとても困難でありますので、このことを強く今回のこの法案を機に訴えさせていただいて、次の質問に移らせていただきますが、もう一つつけ加えるならば、国土交通省のあらゆる権限を十分に踏まえて最大限今回の問題にチェックをかけていただくこともあわせて要望させていただきますので、厳重に行っていただきたいというふうにお願いをいたしておきます。

 それでは次に、基本理念の部分について少しお聞かせください。

 今回の法律案は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進というタイトルがつけられておりますが、内容の実質は、現行のハートビル法と交通バリア法が合体したものだ、基本的にそのように受けとめております。昨年の七月にユニバーサルデザイン政策大綱が取りまとめられておりますが、いみじくもきょう局長、参考人の方から、スパイラルアップということがたびたび出てまいりましたが、使用されておるわけでございます。政策の相互関連と発展を言う以上は、政府自身がハートビル法と交通バリア法、相互を独立に所管しても仕方がないということは言うまでもないことでございます。

 参議院の委員会の答弁を伺っておりましても、まだ理解と納得が少しできない部分がありますので、基本理念は変わっているのか変わっていないのか、変わっているとすればどういう目標達成のためにどこを手直ししたかということを、具体的に答弁をよろしくお願いいたします。

    〔渡辺(具)委員長代理退席、委員長着席〕

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず結論から申し上げますと、基本理念を維持発展させたのがこの法律だということでございます。

 具体的に申し上げますと、一つは、今スパイラルアップの話を先生御指摘になりましたけれども、国が中心となって、関係者とともにバリアフリー化に向けた施策の計画、検証、実行のプロセスを進めることによりまして持続的、段階的な発展を目指す、こういうスパイラルアップを国の責務として新たに明記いたしました。

 それから、参加ということが非常に重要なテーマに今回の法律改正ではなっております。国民みずからが、高齢者、一つは、住民の皆様とか障害者の、利用者の方々の意見を聞いて、普通気がつかないようなことを計画に盛り込んでいくというような、参加ということが非常に大事でございます。

 それから三つ目は、心のバリアフリーということで、ハードの整備だけではなかなかバリアフリー社会というのが直ちには実現できないという中で、ハードの整備とあわせて、国民の皆様の理解を深める心のバリアフリーということも国民の責務として新たに明記しているということでございまして、ハートビル法、交通バリアフリー法の基本理念を維持しながら、さらにそれを発展させたというのが今度の法律でございます。

森本委員 ありがとうございました。

 そうしますと、あと、我が党の議員の方からもいろいろな質問があろうかと思いますが、厚生労働行政との政策リンク、自治体との連携ということが非常に大事になってくると思うんですが、そのことについて少し、簡単で結構ですのでコメントいただけたら。

竹歳政府参考人 厚生労働行政、すなわち福祉の政策との関連であると思いますけれども、ハートビル法におきまして、不特定多数、または主として高齢者、障害者の方々が使われる施設というのを特別特定建築物と位置づけておりまして、そういうことで福祉の施設はほとんどカバーができるということになっております。

 一方、今回、道路とか公園とか駐車場とかそういうところをバリアフリー化していくということで、その施設の利用がしやすくなるという意味で、総合的なまちづくりの一環として、福祉行政も含めてバリアフリー化を進めていきたいと考えているわけでございます。

森本委員 それでは、次に移ります。

 地方債の配慮についてお願いをしておきます。

 これも参議院で随分議論をされております財政の問題でございますが、法律案第四十条、いわゆる地方債配慮規定と呼ばれておりますけれども、「地方公共団体が、基本構想を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政事情が許す限り、特別の配慮をするものとする。」と規定をいたしております。

 法律案の第五条で定める自治体の責務ですが、具体的には、地域協議会の立ち上げ、基本構想の策定、事業化という流れの中で、財政的余裕を持ってインフラ整備に着手できる自治体は皆無でないかと思います。そして、政省令の詳細は法律の公布と施行を待たなければいけないのが現状でございまして、そこで、この配慮規定が置かれた趣旨、特に、「特別の配慮」とはどういう意味か、一定の指針を定めているものなのかどうか、御答弁をお願いします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新法の四十条、先生御指摘のとおり、地方公共団体が基本構想を達成するための事業に充てますために起こす地方債につきまして、資金事情それから財政事情が許す限り特別の配慮をするという規定でございます。この規定は、御案内のとおり、現在の交通バリアフリー法にも規定されていたものを今回の新法にも引き続き規定させていただいているものでございます。

 この地方債への配慮につきましては、従来から、地方公共団体が法による基本構想に基づき行います事業につきまして地方債を活用するものにつきまして、一つは、地方債計画の事業区分に基づく所要額の確保をしていくこと、また、地方公共団体の要望に基づきまして、財政融資資金、公営企業金融公庫資金など各種資金の迅速なあっせんを行うこと、あるいは、地方債の種類に応じまして適切な交付税措置を講ずるなどの配慮を行ってきているところでございます。

 今回の新法案におきましても同様の配慮を行いますことによりまして、地方公共団体が行います基本構想達成のための努力を支援してまいりたいと考えているところでございます。

森本委員 これはどなたに聞くのが一番いいのかどうかわかりませんけれども、例えば地方交付税の場合は、これだけ先に聞いておきます、特別交付税というのは考えられておりますか。

清水政府参考人 交付税の関係でお答え申し上げますと、一つは、市町村におきまして、交通バリアフリー法に基づく基本構想の作成に対しまして、交付税措置を講じているところでございます。

 あと、地方債、今も御答弁申し上げました、いろいろな基本構想のための事業の地方債についての元利償還金に対しての交付税措置等を、普通交付税の中で講じさせていただいているところでございます。

森本委員 繰り返しますが、特交のような配慮でなしに、普通交付税での配慮ということで解釈してよろしいですね。

 例えば、今これからつくられていくであろう地方の破綻法制、それと交付税の面積、人口割りの考え方のあり方、国の方は、交付税算入で今までほとんどそれで地方自治体の方へお話をされてきた。今後の動きの中で、方向としては、私はこの法律というのは非常に大事な部分だと思うんです。しかし、現実を見た場合、非常に地方の方では難しい状況があるという認識なんです。

 財政的に支援、これは、参議院の方の議事録を読ませていただいても随分そのことは触れられておりますが、この理想の方向と現実のギャップというところまで言ったら大変申しわけない話になるかもわかりませんが、ここのところはどのようにお考えになっておるのか、答弁をできたらお願いします。

清水政府参考人 先生御指摘の地方財政全体に関します問題につきましては、現在、地方分権二十一世紀ビジョンなど、総務大臣のもとでいろいろ検討が進められてございまして、その中で、例えば交付税の配分の問題について新しい仕組みなど検討が進められているところでございますが、全体として、各地方団体の財政運営に支障がないよう、交付税総額の確保について引き続き努力していくという基本のところについては変わりございません。

 そうした全体の中で、バリアフリー事業等については、先ほど御答弁申し上げましたように、地方債への配慮、あるいは全体としての交付税の所要額確保の中で、必要な所要の措置を講じていくというような考え方で対応していきたいと考えているところでございます。

森本委員 地方の方では、やはり現実に、いいことがわかっておってもなかなかできない部分がある。これは非常にデリケートな問題なんですね。表面には出てこない、しかし内面ではいろいろな問題がありますから、こういうことについては融資とかそういうことでなしに、ある面では支援をふやさないと、なかなか私は現実化、その進捗度合いは非常に難しいのではないかということを思っております。支援の方法についてはもう少し知恵を出していただかないといかぬというような、そんな思いでございますので、そのことを申し上げておきます。

 それでは、次に移ります。

 本年の一月のことでございますが、ホテル東横インが、建築基準法上の完了検査後に車いす使用者用駐車施設が撤去されていたという事実が判明をいたしたわけです。開き直りとも思える社長の不遜な態度が世間の非難を浴びたわけでございますが、このほかにも、容積率を超える増築などが行われていたことが明らかになっております。

 もっとも、今回の法律案では、是正命令に従わない場合の罰則が強化されたという説明は受けておりますけれども、やはり法制度の究極の目標が高齢者、障害者等の人権に密接にかかわる以上は、罰則では済まされない部分が出てくるのは当然だと思っております。

 さて、違法事実に対して法務省から改善勧告がなされたということを聞いておりますが、詳細を承知いたしておりませんので、経緯と内容についてよろしくお願いします。

小西政府参考人 お答えいたします。

 今委員御案内のとおりでございまして、株式会社東横インがいわゆるハートビル法に違反することとなる建築等を行っていたという情報を私どもまず新聞報道等で知りまして、二月六日に国土交通省が発表いたしました調査結果を踏まえまして、法務省の人権擁護局と東京法務局とが共同して東横イン側から事情を聴取するなどの調査を行いましたところ、同社は、十八のホテルで、車いす使用者用駐車施設があった場所にロビーを拡張する、それから誘導ブロックを撤去するなどの、いわゆるハートビル法に違反することとなる建築等を行っていることが確認されました。

 このことは、身体障害者の方々などが社会を構成する一員として社会活動に参加する利益を侵害するものであり、人権擁護上看過することができないということから、同月十六日、東京法務局長が、早急に違法な状態にある各施設を改善するとともに、職員に対しハートビル法を含む関係法令の周知徹底を図るよう、勧告をしたところでございます。

 これを受けまして、東横インは、勧告の対象となりました各施設の違法な状態を改善し、五月八日、東京法務局長に対して、改善が完了した旨を報告しているところでございます。

 以上でございます。

森本委員 ありがとうございました。

 あと、今回の法案審議に際して、今も細川議員の方からも御指摘があったと思いますが、ハンドル形の電動車いすの方がジョイスティック形と同じ扱いにしてほしいという要望が私の方にも届いておるわけでございますが、交通バリア法の事案で勧告がなされたという事案について、どのような勧告、そしてこうした勧告がどの程度なされたのか、簡単で結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。先ほどとダブるところは結構ですので。

小西政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点はJR東海に対するハンドル形電動車いすの件かと思いますが、平成十六年の十二月でございますが、当時、JR東海の方では、ハンドル形電動車いすの利用を一律に拒否するということをしておりましたので、その点は問題であろうということで、人権擁護局と大阪法務局が共同して調査を行いまして、一律に拒否するという取り扱いは障害者に対する不当な差別的取り扱いであると認めまして、大阪法務局長がJR東海に対し、そのような取り扱いは改めるよう勧告を行った事案がございます。

 JR東海では、勧告を受けまして、改善措置を講じたものと承知しております。

 以上でございます。

森本委員 ほかに事案はないというふうに聞かせていただいてよろしいですね。このほかにはないと。

小西政府参考人 お答え申し上げます。

 交通バリアフリーとかあるいはハートビル法関係では、ございません。そのほかに障害者の差別についての事案というのはございますけれども、今の関係ではほかにはございません。

森本委員 行政法では、授益的行政行為という用語があるわけでございます。この法律案は、授益的行政行為を定めております。高齢者、障害者等に対して円滑な移動という便宜を与えることが法律案の基本軸になっているわけですけれども、高齢者、障害者の不便さを救済する制度を担保されているようには思えません。これは、今、前段でも質疑がありました。

 それと、杉田議員からも、心のバリアフリーという表現が使われました。かけ声だけで終わらないためにも、ぜひともこういった方々の声や苦しみに真摯に耳を傾けていただきたい、そのことを強く要望させていただきます。

 法務省と総務省の参考人の方、ありがとうございました。お忙しい方でございますので、もうこれで結構でございます。

 それでは、現行制度で既に基本構想を定めている市町村、区市町村が主だと思うわけでございますが、バリアフリーマップというものが自治体でさまざまに取り組みをされておるわけでございます。紙の媒体、ネット媒体の両方があるわけでございますが、ワンサイド情報に偏ったり、今もホームページ等でのお知らせをしっかり見てほしいというようなことも答弁をされておったようでございますが、情報の新規更新が滞ったり、少し問題もあるようでございます。

 法律の所管官庁として、この実態をどう認識しておられるのか、新制度を進める上で何か改善をする点はないのか、御答弁をお願いします。

竹歳政府参考人 今回の法案におきましても、情報の提供ということを一つのテーマとして法律にも書いてございます。

 そして、今お話ございましたように、高齢者や障害者の方々が安心して外出できるようにするためには、どのような施設でどのようなバリアフリー化が実施されているかとか、どのような経路を選択すれば支障なく目的地に到達できるかについての情報を、これらの方々があらかじめ知っておくことは非常に大事なわけでございます。このため、国土交通省では、例えば駅構内のバリアフリー施設、乗りかえ案内の情報を統一的に提供するためのシステムの構築ということで、らくらくおでかけネットというような取り組みを進めてまいりました。

 御指摘のいわゆるバリアフリーマップにつきましては、各自治体やNPO団体等により作成されまして、冊子やインターネットにより配布されているものと承知しておりますが、今御指摘のように、更新がおくれているとかいろいろな問題があるという御指摘でございました。我々といたしましては、情報提供の手法として有用なものでございますので、その整備とか表示方法の統一化につきまして、我々としてどのような施策が講じられるかについて、大事なことですので、今後よく検討していきたいと思います。

森本委員 使いやすさ、わかりやすさ、そうしたことにぜひ力を入れて、いろいろな方々の御意見を取り入れながらマップづくりを行っていただきますことを、ここはもう要望にとどめます。

 それでは、バリア新法の審議でも確認をしておきたいと思いますが、歩道と車道の段差問題があるわけでございます。国の基準は段差二センチということになっております。視覚障害の方、車いす利用者の方、それぞれに段差に対する役割と意義が異なってまいりますが、自治体によっては一センチに下げたり、中にはゼロ、フラットというところもあるわけでございます。

 確認のために申し上げておきますと、段差は、車いすの通行性と視覚障害の方の安全性が反比例する関係にあるわけです。現実には二センチという基準が分水嶺のように機能しているわけでございます。

 私も、もう間もなくというか、あと十年もすると高齢者に入ってくるんですけれども、確かに最近、若いときはなかったんですけれども、スポーツをやっておりましてかなり自信を持っておったんですけれども、一センチとかちょっとのところでいつの間にか足が上がっておらないというような、この一センチ、二センチというところが、やはり障害者の方でなしに普通の者でもこれほど大事なものであるかということを最近ようやく私は認識をさせていただいたわけでございます。そういう面では、本当に、自分がその身にならないとなかなかわからないんだなということを自分でも痛感させていただいたわけでございます。

 今回の法案では、特定道路の新設、改築をする道路管理者に対して道路移動等円滑化基準への適合義務を課すという枠組みがありますが、この段差問題などは、ウイン・ウインの関係でうまく調整することも必要だと考えるわけでございます。あるいは、これまでのように寝た子を起こさないような形で済ますのか。改めて態度を明確にすべきでないかと考えますが、この点について、よろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 歩道のバリアフリー化につきましては、高齢者や障害者等の移動の円滑化を図るという観点から、歩道の拡幅、勾配の改善、今御指摘いただきました段差の解消等を進めさせていただいておるところでございます。

 歩道の構造につきましては、平成十二年十一月に定めた道路の移動円滑化基準におきまして、セミフラット方式を標準とし、いわゆる波打ち歩道の解消を図るなど、平たん部の十分な確保を図ってきているところでございます。

 お尋ねございました段差につきましては、この基準におきまして、視覚障害者が歩道か車道かはっきりわかるように二センチメートルを標準とさせていただいたところでございますが、その後、身体障害者や有識者による懇談会等において、今御指摘いただきましたが、車いす使用者にとって二センチメートルでは移動しにくいという意見をちょうだいしたところでございます。

 平成十四年十二月に策定しました基準の運用を示すガイドラインにおきまして、視覚障害者の識別性が確保される等の条件が満たされた場合は、歩道と車道を緩やかな勾配ですりつけるなどして、段差を、今一センチというようなお話も御紹介ございましたが、二センチメートル未満とすることも可能とさせていただいたところでございます。

 これらの基準につきましては、障害者や福祉に関する専門家、有識者等の御意見を踏まえて作成してきておりますが、これらの方々の御要望をさらにお聞きしながら、必要に応じてきめ細かな改善を図っていきたいと思います。

 今後も引き続き、障害者等の意見を広く取り入れ、必要に応じ逐次見直しを行いつつ、バリアフリー化を強力に推進させていただきたいと考えておるところでございます。

森本委員 ありがとうございました。これは、本当に微妙な、非常に難しい問題でもあろうかと思いますので、先ほど答弁いただいたようなことを精いっぱい取り入れていただいたらいいんじゃないかというふうに思っております。よろしくお願いします。

 それでは、悪質自転車と信号バリアフリーについてお伺いをさせていただきます。道路交通上の安全確保という問題がインフラ整備と切り離せない関係にありますので、きょうは警察庁にもお越しをいただいて、よろしくお願いいたします。

 ところで、一日から、駐車違反の民間取り締まりが始まりました。刑法の世界では権力的公務という概念があります。一般市民にとって最もなじみの深い権力的公務が交通規制と取り締まりでありますので、マスコミの取り上げ方も半端なものではありません。報道ベースでは全国レベルで一定の成果を上げているということで理解してよろしいかと思いますが、中には変わった視点の論評もございまして、違法駐車がなくなった分、道路の見通しがよくなることで、特に裏通りには二輪車、自転車の暴走を招いて危険だというものまで実はありました。

 いろいろな事象のとらえ方、これは、一つのことを変えていくとまた一つの問題も出てくるというようなことで、いろいろな事象が出てくるわけでございますが、歩道を自転車走行するというのは論外ですけれども、悪質な自転車走行に万全の対策をとることが求められていると思っています。過速度走行、携帯電話で通話しながらの走行、最近、メールを打ちながら走行しているということも珍しくないわけでございます。特に若い世代に顕著だと思いますが、明らかに前方不注意ということであります。

 高齢者や障害者に平均的レベルの危険回避行動を求めるのは酷だと私は思っています。マナーの問題にとどまらず、法令違反であるという認識を持たせなければいけないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりと私どもも認識しておりまして、現在、年間九十万件を超える交通事故が我が国で発生しておりますけれども、そのうちの二割近くが自転車関連でございます。また、この自転車事故のうち約七割では、自転車の利用者側に法令違反が見られるわけでございます。特に、一部の自転車利用者の無謀な運転、マナー違反に対する社会的批判が高まっておりまして、現実に自転車と歩行者との交通事故も逐年増加しておりまして、昨年は二千五百七十六件発生いたしておりまして、五年間で二割ほど増加しております。

 そこで、私ども、政府の第八次交通安全基本計画の目標を達成するために、警察におきましても、交通安全対策推進プログラムを策定いたしまして対策を進めておりますけれども、その中で悪質自転車対策の取り組みを強化することといたしております。

 具体的な取り組みといたしましては、まず、安全教育の面では、特に小中学校等を対象としました自転車教室、これは昨年は全国で二万三千回実施しておりますが、これをさらに強化いたします。それから、キャンペーンの面では、ことし五月には自転車月間に合わせまして全国的なキャンペーン活動を実施したところでございまして、相当数の方がこのキャンペーンに参加していただきました。さらに、自転車利用者に対します街頭指導でございますが、指導警告活動を従来以上に強力に推進することといたしておりまして、特に悪質、危険な違反につきましては交通切符によりまして積極的な検挙措置を講ずる、こういう方針でございまして、これらによりまして全体的な安全水準の向上に努めてまいりたいと考えております。

森本委員 自転車のマナーについては、十分これからもしっかりPRをしていただいて、チェックをしていただくことをお願いいたしておきます。

 あわせて信号機のバリアフリー化についてお尋ねをするわけでございますが、特定経路上のものということでございますが、社会資本整備重点計画で具体的数値目標が定められておりますので、その達成の見通しということをまず確認させていただきます。よろしくお願いします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 信号機のバリアフリー化につきまして、これは平成十五年十月の閣議決定、社会資本整備重点計画におきまして、交通バリアフリー法の特定経路上の信号機のバリアフリー化率を、平成十九年度までに約八割に向上するという目標を掲げております。対象が一万二千基ほどになるわけでございますが、平成十三年度以降毎年度五%ほどずつバリアフリー化率が向上しておりまして、平成十六年度末現在では約五割の信号機がバリアフリー化されているところでございます。

 現在、国、地方とも非常に厳しい財政状況の折、信号機全体の整備に係る予算が実は減少しておりまして、その中で、信号機のバリアフリー化に係る予算につきましては優先的に確保してきておりまして、予算額も増加しております。ただ、平成十九年度までに約八割の信号機をバリアフリー化することにつきましてはなお厳しい状況にございまして、引き続きの努力が必要でございます。

 今後とも、目標の達成に向けまして、各都道府県警察に対しまして、信号機のバリアフリー化を積極的に推進するよう指導してまいる所存でございます。

森本委員 バリアフリー化率の計上の仕方なんですが、道路が交差して交差点があるわけですけれども、横断歩道の信号機とその直角方向に信号機があるのが通常で、それと三差路があるわけでございますが、バリアフリー化が進んでいる信号機とそうでない信号機が混在している場合、バリアフリー化済みだとカウントしているのは、これは私の言うのが間違いかどうなのか、実態にそぐわない。

 つまり、ある人が必ずしもその経路を走行するとは限らないのでカウントすべきではないと総務省の方から勧告が出されておるようですが、この趣旨を十分理解していただきたいと思いますので、確認という意味で、再度このことについて答弁をいただけませんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 対象となる信号機でございますが、信号機といいますのは一つのセットでございまして、交差点がございますと、まず信号の制御機がございます。その制御機によりまして各灯器を制御しておるわけです。したがいまして、四差路ですと各八方向に車両用の灯器、それから歩行者用の灯器とつきますし、三差路でしたらそれが六というふうになります。そこで、灯器が幾つついておるかにかかわらず、信号機は制御機ごとに一基と数えておりまして、したがいまして、私どもはこれをベースに考えております。

 そこで、このバリアフリー化率、例えば音響装置などをつけるわけでございますが、ある一方方向につきましては必要でありますけれども、他方向につきましては幅員などの関係で必要ない場合もございます。したがいまして、その交差点ごとに必要な措置を講じて、それで必要な措置を講ずれば、それにつきまして、信号機一基につきましてバリアフリー化をなしたというふうに考えております。

 したがいまして、それを分解いたしますと、各進行方向でバリアフリー化の付加装置をつけるわけですが、幾つもつけていくわけですけれども、信号の交差点によりまして、全部の交差点方向につく場合もありますし、それから一部につきましてはこれはつけない、そういうことでございます。

森本委員 わかりました。

 それでは、最後にさせていただきますが、建築物のバリアフリー化で重要なことは、物理構造的な側面だけでなしに、設置物に点字をつけるなどソフト面のきめ細かさが必要だというふうに考えます。

 点字の表示方法については、これまで統一された基準がなかったということで理解しておりますけれども、現状はどうなっているのか、御答弁をよろしくお願いします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども経済産業省も、高齢者、障害者等の社会参加とか、あるいは安全かつ円滑に行動することを確保するというのは極めて重要だというふうに考えております。そういった観点から、今御指摘のありました点字の表示についても、その方法だとか寸法あるいは図記号等がばらばらでは困る、そういうことで、統一、これは我々は標準化という言葉で申し上げておりますが、それを図るため、日本工業規格、いわゆるJISというふうに申し上げておりますが、その整備を図っているところでございます。

 具体的には、高齢者、視覚障害者の方々のため、点字表示に関するJISを平成十八年三月、これは具体的には公共施設だとか設備の利用、操作方法に関しまして、点字の間隔ですとか形状等を規定したものでございますが、そういったJISについては本年三月。それから、これは非常に全国にあると思いますが、視覚障害者誘導用ブロックに関するJIS。これは歩道だとか駅等に敷設されております突起物の形状とか寸法、配列方法を規定しておりますJISでございますが、これについては平成十三年九月。また、文字だとか言語によらず円滑な移動を図ることを目的とした案内用図記号、これは案内に用いられます図記号に関します色だとか図柄を規定したものでございますが、そういったJISについては平成十四年の三月にそれぞれ制定しているところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、高齢者とか障害者の方々のニーズに対応した標準化を推進してまいりたいと考えております。

森本委員 先ほど一部お答えもいただけたというふうに思っておるんですけれども、法案も一応ユニバーサルデザインという理念に基づいてということなんですけれども、例えば、図記号なんかで外国人がどうとらえるかとか、わかりやすい、そうしたこともやっていただいておるわけでございますが、このことについてもすぐれたツールがあるというふうに認識しておるわけでございますけれども、このあたりについてもう少しお触れいただけませんでしょうか。案内用の図記号のこと。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のありました案内図記号のJISでございますが、これは案内に用います図記号の色、図柄を規定しておりまして、さらにそれは、交通施設、商業施設あるいは観光、スポーツ施設等に関する図記号、あと、安全だとか禁止、注意を意味する図記号、この二種類に分けて規定しております。全部で大体百十種ぐらい規定しております。

森本委員 時間が参りました。これで終わらせていただきますが、大臣、移動する権利とか、きょうお話が出ましたが、都市部と地方がある面では格差が出てくるように思うんです。整備の度合いというものが非常に広がってくるんじゃないかということがありますので、財政の問題とあわせて、道路の問題も、いろいろな問題が絡んでくるとは思うんですが、どんどんどんどん方向が、やはり中心部が、これは必要なんですけれども、それの格差が少し広がっていくんじゃないかという財政事情の問題もありますので、そうしたことをもう少し議論していただいて、検討いただくことをお願いして、終わります。

 よろしくお願いします。

林委員長 下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 大分ちょっと時間もあれしておりますが、なるべく端的に質問させていただきながら、時間の範囲内で温かいお答えをいただければというふうに思います。

 趣旨、法案については、大変すそ野が広がるということも含めまして、私はこれはいい法案だというふうに思っています。ただ、細部にわたっていろいろな意味で穴埋めをしていかなきゃいけないのかなというのは幾つかありますので、個別対処を含めて、時間の範囲内で御要請を申し上げたいというふうに思います。

 まず、実際に団体の方から私どもの方でヒアリングさせていただいた中で、ホームドア。ホームドアというのは、最近では地下鉄南北線とか、つくばエクスプレスとかに設置されていて、既に幾つかで設置されていますが、既存のところではほとんどございません。東京メトロでは、丸ノ内線で荻窪駅からホームドアの設置が始まった。ただ、いろいろ聞いてみますと、もう御省の方でもいろいろ情報が入っていると思いますが、視覚障害者が転倒して線路に落ちてしまったり、点字ブロックも、確かに防止はあるんですが、込んでいる中から押されたり等々を含めて、そういう事故が非常に多く最近出てきているという話でございます。

 現行の交通バリアフリー法の、移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準の中では、駅の新設の場合は、ホームドア等視覚障害者の転落を防止するための設備を設けると。ただ、既存についてはあくまでも努力義務ということであります。その中で、ワンマンなどはホームドアがよく見受けられますけれども、それにかかわらず、費用をかけても、安全確保と事故防止の観点から、ホームドアの設置を努力義務ではなくて義務化していったらどうだというふうに私は思っています。

 ただ、平成十五年の十二月に、ホーム柵設置促進に関する検討会で報告書が出されております。それによると、ホームドアの設置によって階段わきの部分が大変狭くなっちゃった、その問題もちょっと一方で出てきているよという報告を受けています。私も受けています。確かに、狭くなるのは込んでいるときは大変だけれども、一方で、線路に落ちているような転倒の事故も幾つか散見されるし多くなってきていることをかんがみた場合、努力義務というのは猶予期間もありませんし、頑張れや、この一言だと思うんですよね。

 そこで、すぐにやれというのはなかなか難しいんですが、猶予期間、例えば一年とか二年というのはなかなか難しい、予算の問題もあります。三年、五年かけても、猶予期間をやるけれどもどうか、義務化していってはどうかなというふうに思います。これは現場の身障者の方々の生の声でございますが、この辺について、猶予期間を設けても義務化していくべきじゃないかということについて、最初に鉄道局長からお話をお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 国土交通省といたしましても、先生御指摘のホームドアあるいは可動式のホームさくでございますが、この設置を進めるということは、ホームからの転落防止などの観点から見て望ましいというふうに考えてきております。

 御指摘のように、設置可能な駅におきましては個別に設置をしてまいりました。路線の新設時等を中心にしながら、現時点では、ホームドアは十二路線百十五駅、可動式のホームさくは二十一路線百八十三駅に設置されております。また、既設の駅では、東京地下鉄の丸ノ内線池袋―荻窪間におきまして、現在、可動式のホームさくを設置するということで、平成十九年度の供用を目指しているところでございます。

 しかしながら、ホームドアを設置するというのは、単にホームだけの問題ではありません。これは見ていただければわかるんですが、車両によっては三ドアの車両もあります。それから、五ドアの車両もあります。五個ついているものですね。こういう扉の位置が異なるさまざまな列車が走行する路線というのがございます。こういうようなものでは、対応可能なホームドアをつくるということはなかなか難しいというのが一つございます。

 それから一方、ホームの方は、ホームドアの設置によりまして旅客の安全に支障が出るというのは先生の御指摘のとおりでございまして、そういうこともございます。さらには、定位置に列車を自動的に停止させる装置というものを設置しなければならないような路線もございます。路線によってさまざまございまして、こういう技術的な理由というのが一つございますので、既存の駅に一律につけるというのは、単に資金からの問題だけではなくて、よく検討していかなければならないことだと思っております。

 したがって、現時点で一律に義務化するということはなかなか難しいとは思っておりますけれども、私ども、こういう諸条件の整いました路線を中心に、ホームドアあるいは可動式のホームさく、これは新設、既設を問わず、できるだけ早く整備できるように努力してまいりたいというふうに考えております。

下条委員 受ける側も努力義務、局長の方も努力していくというお話でございますが、私はもう既に御省のレクから、スリードア、そして混雑の部分で難しいというのはお聞きしております。例えば、いつかは目が弱くなり、足腰が弱くなるわけです。特に高齢化社会なものですから、ぜひ局長、その努力の部分を少しでも多く汗をかいていただいて、猶予期間については一律が難しい、これは私は存じ上げた上での質問をさせていただいていますので、その部分を含めて、私もこの委員会でお願いし続けていきたいというふうに思っていますので、ぜひお願いしたいと思います。

 次に、自然現象の部分の話であります。私どもも、ジュース、お茶を飲んでお手洗いに行きたくなる、これは障害者の方も同じだと私は思っています。

 その中で、コンビニエンスストア、もう釈迦に説法でございます、ここは例のハートビル法の特別特定建築物に当たっておりまして、床面積が二千平米以上のものについては利用円滑化基準の適合義務、未満のものについては、また出てきますけれども、努力義務になってしまう。

 全国で、アバウトですよ、これは毎日数が変わりますけれども、約四万二、三千店舗コンビニがあって、二千平米以上あるコンビニというのはほとんどないんですね。ということは、コンビニに行くと障害者の方々が利用できるおトイレがないということであります。つまり、ちょっとお手洗いしたいという私どもの気持ちとかけ離れた状態に今障害者の方はいらっしゃるというのが現状だと私は思います。

 一方で、京都府では、福祉のまちづくり条例で、コンビニの規模に関係なく、設置する場合は整備基準に適合しなければならない、既存のものについては、整備基準に適合しているかどうかを調査し、その整備状況の把握に努めるというところまで踏み込んでいると聞いております。あと、和歌山でも、すべてのコンビニの新築等に障害者トイレや点字ブロックの設置を義務化するように条例を改正している。各自治体でもそういうふうに動きが出てきている。

 これ以外では、ハートビル法に基づいてハートビル条例を制定している自治体もあって、二千平米という面積要件を引き下げて未満でもいいじゃないか、義務化対象を広げているという自治体もどんどん出てきております。これは、例えば、去年の十月二十五日現在では、東京、石川、横浜、世田谷等々、八つの地方自治体がそういうふうにし出しているということであります。

 逆に言えば、ハートビル法の条例制定だったり独自条例を設けていない自治体では、未満であっても既存の努力義務の範囲内で、どうかなという感じがいたしております。そういう意味では、高齢者や障害者に自立しろと言っていながら、一方で、いや、自立してコンビニに行ったって便所一つ使えないぞということでは、何か、せっかく温かい法案が出てきて、ちょっと私は実際の彼らにとっての距離感を感じているということであります。

 そこで、これもまた私はいつも言いたい、努力義務というのはどうなのかなというところですね。さっき鉄道の部分でも、ホームドアの話で努力していくということもありますけれども、私も努力という言葉は嫌いじゃないんですが、私もちょっと試合でけがして車いすだったときもあるんですが、やはりきついですよ。ほんのちょっとした段差が、まあ松葉づえでもそうですけれども。そういう意味では、自分の親族を含めて、いつかはなる可能性もあるんです。

 そういう意味で、この部分についてもうちょっと温かい回答をいただきたいというふうに思いますし、コンビニ、このままでいいのかな、東京都を含めてほかの自治体はやっているぞと。これをちょっと御意見いただきたいと思います。

山本政府参考人 全体の立場に立って非常にバランスのとれた御指摘をいただきましたので、答弁も御指摘をなぞるような形になってまことに恐縮なんですが、御指摘のとおり、コンビニエンスストアは特別特定建築物ではありますけれども、通常は、規模が足りませんので義務づける対象とはなっていないわけでございます。

 ただ、コンビニは大規模な小売店舗と違いまして、大規模な小売店舗はある程度の時間をその店舗の中で過ごすわけですけれども、一時的に滞在して御利用になる施設だということでございまして、通常のトイレの設置状況を観測しますと、急に用を足す必要が出てきたお客様に対して従業員用のトイレを使わせているというようなケースが非常に多いわけでございます。そういう実態にも照らして、一定規模以上の小売店舗と同じように一律に義務づけをするというのは難しいという考えでございます。

 ただし、これもまた御指摘いただきましたように、公共団体によってはいろいろ先駆的な試みをしているところがございます。京都、和歌山、御指摘いただきましたけれども、これは地方自治法に基づく条例で取り組んでおられるわけでございますけれども、この法律でも、公共団体の判断によって条例で用途を追加したり、あるいは規模を引き下げたりできますので、ぜひ私どもとしても、直ちに法律で義務づけるというのは難しいんですが、全国の先駆的な事例を紹介しながら、公共団体の取り組みを推進したいと考えております。

下条委員 従業員用のトイレを障害者の方が使えるかは、局長、ちょっとなかなか難しいと私は思います。

 ただ、ここで押し問答するよりも、こうやって議事録に残って、それに対して、徐々にですけれども、前に進むというのが僕は必要だと思うんですよ。昔はそんなもの一個もなかったんですから。そういう意味では、こういう意見が私どもの方から出て、それについて政府側が一つ一つ積み重ねて温かい法案にしていっていただきたいと思います。

 あともう一つは、デパートと違いまして、コンビニというのは非常に身近なんですね、障害者の方にとっては。ですから、デパートに行くのはなかなか距離があって、まあデパートの横に住んでいる人は別でございますが、やはりコンビニというのは、今は果物も売っていますし野菜も売っているし、ちょっとアイスクリームを食べたいな、自分で行ってみようかなということに対して温かさがあればなということでございますので、ぜひ、この辺については前向きに、またいろいろな審議会があると思いますが、局長みずから率先して入り込んでいただければというふうに再度お願い申し上げたいと思います。

 次に、これも昔はなかった話なんですが、最近、私を含めて周りでも非常に大きい問題が出ていると思うのは、キャリーバッグであります。

 これは、駅など、また公共交通機関施設で、キャリーバッグ、こうやってころころ引くものですね。昔は、あこがれのスチュワーデスさんとかパイロットさんが引きながら、見ていて、何とかというのがありましたけれども、最近では、まねしているのかどうか知りませんが、銀座ではやり出した後、いろいろな方々が引き出して、普通の人も引いてくる。ちょっとした旅行やあれでどんどん引くようになってきています。

 その中で、車内やホームなどでは、普通は後ろを見ながらなんて引かないんですね。そのまま引いて、カラカラカラとどんどん行く。自分もそうです。僕も海外勤務が多かったものですから、当然、ごろごろ引いたってそのままです。当然、後ろは見ないで引いていく。そうすると、混雑時は邪魔になったり非常に危険でありまして、実際私どもがヒアリングした段階で、お年寄りや子供がそのバッグにつまずいたりキャリーのタイヤでひかれたり、非常にこういう事故が散見されております。

 ここでまたバリアフリーの問題が出ますけれども、お年寄りなんかはちょっとキャリーにぶつかったら転ぶわけですね。これは今何にも法規制がない。例えば局長のようなお若い方であれば骨折しても三週間ぐらいで治りますが、ただ、お年寄りになってしまうと、骨密度が薄かったりして、私が聞いている話では、三カ月入院してしまったり、下手すると、それによって寝込んでしまう。例えばそれが親族、親だったりしたときに、あのときやっておけばよかったなというのじゃなくて、実際これはもう出てきているわけですね。

 そこで、私の一つの提案でございます。

 マナーとして気をつけなさいと言うことは簡単でございますが、今後の対応として、あくまでも今後ですよ、例えば、駅構内等でキャリーバッグ利用者に専用レーンを引いていくようなことはどうなのかなと。また、利用者が多い駅では、エスカレーターとかがあった場合、キャリーバッグはなるべくエスカレーターの前に置いて上がってくれとかいうことを、指導を検討していってはどうかなというふうに思っています。

 私がレクの中でお聞きしたら、所管しているのは国交省の局ではないというふうにお聞きしているので、ここで、本国会で最後の僕の質問になるかもしれません、大臣、ぜひ温かいお答えを、もしくは、福祉と温かい党である公明党でございますので。今言いましたように、キャリーバッグ、実際起きています。寝込んでいる人も私知っております。骨も、一回やったらもう三カ月治らない、四カ月かかってしまいます。こういう中で全く無法地帯になっている、この現状について、ぜひ温かい御答弁をいただきたいというふうに思います。大臣、お願いします。

竹歳政府参考人 今先生から御指摘ございましたように、直接の所管というのはないのでございますけれども、御指摘いただいた後、実は今の間にちょっと調べたことがございまして、それを先に御紹介させていただきたいと思います。

 民営鉄道協会というのが定期的にマナー問題について六千人のアンケートとかをやって、どういうことが迷惑行為かということをやっているということがわかりました。

 そういう中で、迷惑行為のランキングがあるわけでございますけれども、今の荷物というのが、平成十七年では五位でございます。一番は座席の座り方、足を広げたり手を伸ばしたり。それから二番目が携帯電話、三番目が乗降時のマナー、四位がヘッドホンステレオとなっております。

 五位の荷物の持ち方というので二つありまして、一つは荷物を座席に置くという行為、もう一つは、実は、背負っているリュックサックを、やはり今おっしゃったように後ろが見えなくて、それが迷惑行為の一つになっておりまして、キャリーバッグの話は直接にはまだ聞いておりませんけれども、そういう状況であるということを一つ御報告させていただきます。

北側国務大臣 委員のおっしゃったのは私も経験があります。駅なんかで若い女性がキャリーバッグを引いて、さっささっさ歩いて格好いいんですけれども、後ろをごらんになられていませんから、非常に通行人にとって危ない、危険だなというふうに私も思います。

 ぜひ、これは法令で規制するという前に、事業者の中でそういう呼びかけ、マナーを守るという中の一つとして、事業者から利用者の方々に呼びかけをしていくというようなことをまず始めるべきではないかというふうに思います。

下条委員 局長の方からも一位から五位までいただいて、ありがとうございました。

 ただ、それは私に言わせると本当に一般的な、荷物があるだとか携帯だとかというようなことはそれはそれなんですが、私は今回、ハートビル法に絡み、高齢者、障害者、そして子供たちを含めた、健常者じゃない方にとって非常に危険なものであるということなので、そういう意味では、今大臣の方から事業者がやってくれというお話でございますが、これは実際、法令では実に難しいことだと思います、いきなりは。ぜひ、検討、指導、努力義務の方に今後の課題として入れていただきたいなと思っておりますが、その辺、いかがでございますか、大臣。

竹歳政府参考人 このバリアフリーの問題については、あらゆる問題を取り上げていこうと思っておりますので、ぜひ今の指摘を重く受けとめていきたいと思います。

下条委員 季節も暖かくなってきたので、本当に温かい御答弁、ありがとうございます。ぜひ御努力をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、どんどん行きたいと思います、移動案内の問題についてちょっとお聞きしたいと思っています。

 地上線、JRとか何だかんだあります。私鉄もありますが、地下鉄線で複数の路線が交錯しています。乗りかえ等々含めて、非常にややこしいです。私も田舎者でございますので、何年かたちまして少しずつあれしましたけれども、何といっても、どこへ行って、どこの両からおりて、どの階段を上がって、何メーター行くか、全くもう右左わからないことも多くあると思いました。

 そこで、私が思うのは、健常者でさえそうだと。ところが一方、高齢者や障害者の人にとっては、ホームの端まで行く、もしくはエレベーターなどでホームの端へ行く、またエレベーターの場所もそうですけれども、そこに行くまでが、何か指示灯みたいなものがあったら、すごく、自分がなったとしたときも温かいし、また、鉄道局長の御親族がそういう状態で歩くときに温かい状態になるんじゃないかと私は思います。

 そこで、これは理想論を言っちゃいけないと思いますが、今できる範囲内で、障害者、高齢者にとって余計な距離を歩くというのは健常者の何倍も負担になるという体力消耗部分に対して、何とか温かい手を差し伸べていただきたい。

 特に私が申し上げたいのは、いきなり全部は無理です。今も方向はこうだというのがありますけれども、実際、あれはメーターが入ってなかったりしています、おりたところから何メーター行けばいいんだと。こっちへ行くと何メーターというのは明確に入っていなかったりします。そこで、順序でございますけれども、多くの人が出入りすれば、多くのまた障害者や高齢者の方も出入りすると思います。ぜひ、そういうところを中心に、そういう案内指示器みたいなものをもっと細かく設置していくようにプッシュしていただけないかなと思いますが、局長、いかがでございますか。

梅田政府参考人 先生御指摘のように、駅がかなりターミナル化してまいりまして、一つの路線だけではなくて複数の路線が、乗りかえ駅として最近大分整備されてまいりました。そういう点で、先生の御指摘は全く私も同感するところがございます。私自身もよく迷いますので、この点、案内については、事業者に対しまして的確にやるように常日ごろから指導しているところでございますが、なお足りないとは思っております。

 なお、先生御指摘の移動円滑化のための主要な設備の配置等の案内につきましては、既に基準がございまして、公共用通路に直接通ずる出入り口の付近には、案内板その他の設備を備えなければならないというふうに規定しております。

 また、その際には、表示すべき内容、高さ、配置、あるいはデザイン、色、記号、こういうものにつきましては、実はガイドラインというのがございまして、このガイドラインの中に規定しているところでございます。例えば、構内案内図は、出入り口付近や改札口付近からそれぞれ視認できる位置に配置しなさいとか、あるいは、経路を示す主要な誘導サインは、必要な情報が連続的に得られるように配置しなさいというような規定をしているところでございます。

 実際その表示が見やすいかどうかという点については、実際の駅で事業者の方でやっているところがございますので、利用者の方からいうと、なお十分でないというところはあるかと思います。

 今後、この法律ができましたら、ガイドラインの見直し等がございます。私ども、先生の御指摘を踏まえながら、きめ細かにわかりやすくやっていきたいと思っております。

下条委員 今局長の方から、指導を強めるというお言葉をいただきました。私もそれは実際、こういう発言をする前はきちっと見させていただいた上であります。やはりメーターが入っていなかったり、要するに、健常じゃない方の体力消耗をなるべく抑えてあげたいな、そういう気持ちでございます。局長、ぜひ指導を強化していただければというふうに思います。

 そこで、個別にちょっともう一点だけ私も言いたいことがあります。それは、障害者の中でも視覚障害者にとっては、乗りかえ、ホームの移動を円滑に行う、厳しいものが多いんじゃないかと私は思います。例えば博物館とか美術館というのは、それぞれの作品を展示する説明というのは、耳にぽこっと入れて、音声ガイドがあります。耳に入れる。そこの範囲内に入っている場合は、その音声ガイドを使って、何だ、ダビンチの絵だというのがあると思いますが、これを使ってうまく視覚障害者を誘導できないかなという感じが僕はしております。

 例えば、視覚障害者の方が駅まで来ました、出発地から目的地の出口まで駅の係員に言います、私はどこからどこまで行きたいんだと。そうすると、係員はその情報を音声ガイドにインプットして登録して、その機械を耳に当てながら、視覚障害者の方が駅や電車を使って動いていって、当然、目的地に着けば、そこでその機械をまた係員に改札で返していくということであります。

 例えば、これに若干近いけれどもそんなに遠くはないというのは、デンマークなんかで、主要な駅では視覚障害者向けに時刻表を読み上げる機械を設置、時刻表ですね、これは。だけれども、デンマークの鉄道の部分と、日本のもの、もう今わからぬですよ、僕も。銀座線がどうなって、どこで何が合体して、めちゃくちゃと言ったらなんですけれども、それだけ緊密になっています。そういう意味では、それを、視覚が見えない方に何か温かい手段はないか。

 それで、実を言うと、平成十四年の十二月に、公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン、これは釈迦に説法です、皆さん御存じでございますけれども、音声案内による誘導というのがあります。その音声案内装置が設置されているのは、一日五千人以上の乗客が利用する駅、改札口の設置率は三二%、エスカレーターの乗降では五%、ホームの階段で一四%、地下鉄の駅に限りますが、地下鉄の地上出入り口で二九%。移動ガイドラインというのが何か設置されているらしいです。

 今言いましたように、設置する率も、下手したら五%のところもありますし、二〇%、三〇%であるというのを見たときに、こういうせっかく温かい法案が出ているのでありますから、これをもっともっと後押ししていくべきじゃないかなというふうに思っています。

 これは非常にいいガイドラインの音声案内の部分なんですけれども、ある意味で眠っちゃっている。私がいろいろお聞きした視覚障害者の団体の方々、余り知らないんですね。どこの駅でどうで、どこがどう設置されているか、余り細かく知らない。ということは、やはりこのプロパガンダ、宣伝、そして指導の部分が薄いんじゃないかなという感じがいたしますが、この辺のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

竹歳政府参考人 二点お答えしたいと思います。

 まず、音声案内のような形でもっと自律的な移動が可能となるようなシステムができないかということでございまして、これは自律移動支援プロジェクト、ユビキタスと言っておりますけれども、神戸で実証実験をやったり、そういう新しいテクノロジーの世界、お金もかかるということでございますけれども、これは今後一生懸命研究もしていきたいと思います。これは何も障害者の方だけではなくて、外国人の方、まさに日本語が読めないという方にも対応するというようなことで、こういう新しい分野は取り組んでいきたいと思います。

 それからもう一つは、現実に今やっているお話でございます。今お話ございましたように、平成十四年十二月に、旅客施設における音による移動支援ガイドラインをまとめておりまして、これは、関係者の皆様からの生のお声をお聞きして、具体的に五つの場所、改札口、エスカレーター、トイレ、プラットホーム上の階段、地下鉄地上出入り口という非常に御要望の強い箇所について、音声によるガイドラインをやっていこうと。改札口では例えばチャイムでピンポンと鳴るとか、それから、トイレは音声案内で男女の別を区別するとかいうようなことをやっております。

 今後も、まだ十分周知が足りないんではないかというお話でございましたので、この音のガイドラインによって、視覚障害者の方の安全で円滑な移動のための整備を促進していきたいと思います。

下条委員 ありがとうございます。

 僕はいつも思いますけれども、法律は非常にいい法律ができていると思います。ただ、それが徹底できていないがために、生かしている部分が二割だったり一割だったり三割だったりということでございますので、局長が今おっしゃったとおりでありますので、海外の健常者の方に対してもそれはぜひ案内をつくっていただくと同時に、ぜひ研究を進めていただいて、音声ガイドみたいなものを含めて、また既存のものを含めて、さらに指導強化してブラッシュアップしていただきたいと申し上げたいと思います。

 次に、盲学校を除いた学校部分の特定建築物についてちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 これも、盲学校を除いた部分については、基準適合義務というのがあくまでも努力義務になっている。いろいろな部分で、バリアフリーについて、特定建築物について努力義務だけでいいのかなという感じが私はしています。

 そこで、石川県などは、義務づけ用途に学校を追加しているんですね。バリアフリーの部分に学校を追加している。学校は災害時に避難所として利用されることがあるので、学校に対するバリアフリーはもっともっと私は進めていくべきだというふうに思っています。

 学校は、そういったバリアフリーのハード部分と同時に、子供たちに実際に車いすに乗ってもらったり、高齢者と交流を持ったりというふうに持っていったらどうかなと私は思っているんです。というのは、私もちょっとだけ日本でないところに住んでおりました時期がありましたので、高齢者そして障害者に対するいたわりというのが、やはり子供時代に、うちのちびどももやりましたけれども、植えさせると大分違ってくると思いますね、そういう人たちがいるんだということで。

 それで、これはちょっと文科省にお聞きしていく話ではあるんですが、子供たちにもこういう機会、つまり、災害避難所としてのバリアフリーも必要、それはハード面であって、一方で教育部門について、それだったら何でこの学校にバリアフリーがあるんだという部分を、せっかくですから、バリアフリーを実体験してもらって、余りきれいごとばかり言えないんですが、弱者に対するいたわりの気持ちを芽生えさせていくということも教育上必要ではないかというふうに思っておりますけれども、文科省の御意見をお聞きしたいというふうに思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、学校施設は、障害のある児童生徒だけでなく、いわゆる地域の住民の方も利用するわけであります。また、災害時には避難場所として機能するわけでございますから、いろいろな方々が学校を利用するということでありますので、文部科学省としても、バリアフリー化の推進は重要であるというふうに考えておるところでございます。

 平成十四年にいわゆるハートビル法が改正されまして、学校施設が新たにバリアフリー化の努力義務の対象になっておるわけでございます。これを踏まえまして、文部科学省では、平成十六年の三月に学校施設バリアフリー化推進指針というのを策定いたしまして、事例集を作成するとか、そういうようなことでバリアフリー化を推進するように推奨をしてきているところでございます。

 現在のバリアフリー化の状況でございますけれども、全国の公立小中学校のうち何らかのバリアフリー化がなされているというものが、全体の分母が三万三千校ございますが、そのうちの七割以上の学校で何らかの配慮がなされているということでございます。具体的に申し上げますと、例えば、スロープについては五二%、それから障害者トイレにつきましては四八%の学校で整備がなされているところでございます。

 これで十分であるというふうに私ども全く思っておりませんので、引き続き、こういうようなものの整備について、これまでも国庫補助制度を設けまして、そういうようなものの補助も行ってきているところでございます。また、バリアフリー化の先ほどの推進指針で、各地方公共団体に対し計画を策定するようにお願いをしておりまして、それに基づいて整備を進めるよう強く要請するとともに、文部科学省としても積極的な支援を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

下条委員 災害時避難所について七割以上はもうおやりになって、これはいいことであります。ぜひそれは教育指針の中にも、恐らくお任せしていると思うんですが、子供たちに実体験をさせていただいたりということも再度お願いしたいというふうに思います。ありがとうございました。

 次に、電動車いすについてちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 これは、道路交通法では、身体障害者用の車いすに当たっては、高齢者の外出用として広く今使われていることは皆さん御承知でございますけれども、六キロ以上の速度は出せない構造等が基準で該当している。車いすに電動機がついていれば、一本で右に行ったり左に行ったり、こうやってやるわけですね。介護保険制度の対象商品になっていたり、レンタルも可能。これは皆さん御地元であったり周りでよく見かける姿であります。

 ただ、ここで問題を私は提起したいのは、障害者、高齢者にとって生活の幅が広がる電動車いす、これは結構でありますけれども、一方で、電動車いすの事故というのも結構ふえてきているということであります。

 警察庁からの資料ですけれども、電動車いすの交通事故は、毎年、平成十三年から約二百件以上で、二年前の平成十五年、二百五十七件も出てきているんです、表に出ているでかい事故だけで。私も、ビー、がちんとぶつけられたことが実を言うとありまして、結構痛いものでございまして、健常者でもそういうことであれば、いろいろな問題が事故でこれから発生するんじゃないかというふうに思っています。また、交通事故統計に含まれない電動車いすにかかわる事故というのは、四年前の平成十四年で十二人も死んでいるわけです。

 では、これから電動車いすの事故が減っていくのかというと、私は、これからどんどんふえていくんじゃないか。もっと便利でもっと使いやすくなると同時に、使い手もふえてくるということであれば、必然的に事故も上がってくるというふうに思います。

 ただ一方で、この事故の要因というのは、通院、病院に行ったりリハビリに行ったり、買い物に行くときに非常に多く発生しているということですね。車にぶつかったり、子供をどうだ、転倒したりとかお互いがぶつかったり、もう山のように今事故の報告が私の方に来ております。

 今のところ、業界団体である電動車いす安全普及協会、これは現在、会員事業者十八社になっていますけれども、行政機関や関係団体と連携して、安全利用講習会、定期的な点検整備の実施や、定期的な点検時に高齢者の運転能力をチェックし、操作方法のアドバイスをしている、これはあります。これはお聞きしております。

 また、警察庁は、高齢者の使用方法の改善により事故の増加を抑制するため、四年前から、電動車いすの安全利用の手引き、車いす安全利用ビデオを活用して広報活動をやっているというのが、私の方に報告が来ています。福岡県警なんかは、電動車いすを扱う業者を安全アドバイザーに指定して、販売、レンタル開始時の安全指導徹底に取り組んでいると。

 私が言いたいのは、国として、第八次交通安全基本計画で、高齢者が事故を起こさないようにするための対策を強化するとうたっているわけですね。それがどうあろうと、うたっている。ということであれば、今後、実際、十四年で十二人も亡くなっているこの電動車いす、確かに利用はすごく頻繁になってくると思うし、もっとふえてくると思いますが、これについて、例えば定期的に安全指導を、三カ月に一度とか、点検整備とか高齢者の健康チェックですね。

 つまり、乗っている人というのは、身体障害者であったらあれでございますけれども、例えば高齢者であったら、認知症にかかっていたり、余り覚えていない、どこに行ったらいいかわからない方も今度は出てくる。それの健康チェックは全く今ないわけです。ただ、あれは機械として動いていくということであります。

 ですから、そういう部分で、自分自身で転んだりすることもありましょうし、他人に与える危害も今後ふえてくるというふうに思われます。ヘルメット着用等々も含めて、今後の検討課題にしていただきたいと思いますが、警察庁の御意見をお聞きしたいというふうに思います。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 電動車いす、これは歩行者扱いになるわけでございますが、確かに御指摘のとおりでございまして、私ども承知しているところでは年間三、四万台ほどずつ出荷されておりまして、耐用年数五年といたしますと、二十万台ほどが使われている状況でございます。

 事故につきましても、ただいま御指摘がなされましたように、昨年でございますと、発生件数二百八十一件、死者数十一人というところでございまして、近年、増加傾向でございます。今後、当然、高齢化の進展に伴いまして、さらにこの増加が予想されるということでございます。

 対策でございますが、歩道の段差の切り下げその他道路環境の整備でございますとか、車いす自体の使いやすさ、あるいは安全の確保、これは当然必要でございますが、何よりも利用者の方々に正しく使っていただく必要がございます。これは、操作方法は当然ですけれども、一番大事なのは横断でございまして、横断のときに一番事故になります。横断箇所の選定をどうするか、あるいは段差や溝を通行するとき、これは直角に通行してございますけれども、その要領でございますとか、下り坂におきますクラッチの操作、あるいは踏切の通行ないし傾斜地、斜めのところの通行などでございます。

 そこで、私ども、電動車いすの製造メーカーの方々と一緒になりまして対策を進めておりまして、今ほど御指摘がありました、電動車いすの安全利用の手引きとそれを内容といたしましたビデオを作成いたしまして、これによりまして教育を進めているということでございます。

 また、警察が直接そういうことにつきましてなかなか限界がございますので、電動車いすの販売店の店員の方々あるいはホームヘルパーの方々などの一部に指導者としての講習をお願いいたしまして、これを高齢者の電動車いすの利用者の方々に対する知識の普及ということでお願いしております。直接的に私どもが関係者と協力しましてやっていますのは、昨年一年間では、全国で千二百三十五回、三万二千七十五人の方を対象として実施しております。

 どこまで行政の中でできるかというのはなかなか限界がございますけれども、大変大事な事項でございますので、引き続き力を入れてまいりたいと考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 何事も予防、そして既に毎年十何人亡くなっているという事実は警察も御存じでございますので、ぜひ、今後の課題として、さっきおっしゃった一番身近なホームヘルパーの方に、というのは、ホームヘルパーの方はもうしょっちゅう行きますから、どのぐらい高齢者の方々がいろいろな意味で衰えているかというのがよくわかると思うんですね。そういう意味では、そこの部分を含めて推し進めていっていただきたい。講習はいいと思うんですけれども、ただ、高齢者の方にとって、講習でやったことはすぐ忘れる期間がだんだんだんだん短くなってくる、これはまあそういうものだと思います。その辺を含めまして、ぜひ検討していっていただきたいと思います。

 時間がもう迫っていますので、最後は大臣に御質問をさせていただきたい。利用者の権利でございます。

 アメリカでは、十六年前の一九九〇年に、交通、建築、情報、就労などを含む障害者の差別を禁ずる包括的な法律である、障害を持つアメリカ人法、ADAという法律が制定されました。障害を理由にした差別を行ってはならない、社会参加の実質を保障したADAと、その外壁を整えるにとどまっている日本の規定との間に、極めて大きな違いが現状あるかなと思いながら、その部分については少し残念感を持っております。

 アメリカで障害による差別があった場合、これは最初の違反に対しては最大六百万円の罰金であります。乗車拒否があったり、いろいろな場合でも六百万であります。それ以降の違反に対しては最大一千二百万円の民事罰を科すというのが海外の場合の罰則規定であります。

 一方で日本の場合は、昨年の七月に、ユニバーサルデザイン政策大綱の基本的考え方の部分で、今後、身体的状況、年齢、国籍を問わず、可能な限りすべての人が、人格と個性を尊重され、自由に社会に参画して生き生きと安全で豊かに暮らせるよう、ハード、ソフトの両面から整備、改善していくという理念に基づいて、国交省さんが政策を推進していく、これが出ておりますね。身体状況を問わず、人格と個性を尊重して、自由に社会に参画という理念をうたっているのであれば、当然今言ったバリアフリーの整備部分は非常にこれも重要なのでありますが、ある意味で、バスの乗車拒否等々については何か甘く看過されてきているというふうに、今度の法律を私も読ませていただきますと感じます。

 そこで、今後の課題でありますけれども、障害者、高齢者の権利を尊重するという整備をやはり盛っていく必要があるんじゃないかという意味では、まあ、アメリカ並みにいきなりは難しいと思いますけれども、罰則をもう少し段階的に厳しくすべきではないか。そうすれば、僕は法律はすごくいいと思います。ただし、これを生かしていくのは、やはりそこにきちっとした関所を置いていく必要が僕はあると思います。それが法律にとっては罰則規定じゃないかなというふうに思います。それによってこのすばらしい法律が生き生きしてくるのではないかと思いますが、その辺を含めて、最後に大臣から御所見をいただければというふうに思います。

北側国務大臣 きょうは下条委員から、非常に具体的な、高齢者、障害者の方々の移動を円滑にしていくために、実際に障害になっている事柄につきましてさまざま御指摘をちょうだいいたしました。きょう委員からちょうだいした御意見につきましては、今後のさまざまな具体的な指針等の作成過程も含めまして、少しでも前に進めるように、しっかり反映をさすべく努力をしていきたいというふうに思っております。

 今委員のおっしゃったように、罰則の強化をすべきではないかというお話がございました。それにつきましても、今後の検討課題として受けとめさせていただきたいと思っております。

 今回の法律の中で、施設の管理者、それから国民の方々についても責務規定を置かせていただきました。第六条の方では、施設の管理者、これは民間の方が当然含まれるわけですが、に対して広く一般的な責務を課しているほか、第七条で、心のバリアフリーを国民一般の責務として位置づけをさせていただきました。

 やはり高齢者、障害者の方々の自律移動を円滑化していくためには、我々はもちろんですけれども、行政の側はもちろんでございますが、民間の施設の管理者の方々、また国民一般の方々の御理解と御協力が不可欠だと思います。その際に、やはりなかなかわからないんですね。その立場になってみないとわからないことが大変多いわけでございまして、そういう意味では、啓発活動といいますか、そういうことを地道にしっかりやっていくことが大切であると思っておりますので、そうした国民の理解が広まっていくように、しっかり国土交通省として取り組みをさせていただきたいと考えております。

下条委員 ありがとうございます。ぜひ、罰則規定の件と、そして啓発についても、おっしゃったお気持ちで続けていただければと思います。

 もう時間が参りましたので、以上です。ありがとうございました。

林委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十九分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則でございます。

 厚生労働委員会からこちらに差しかえで来させていただきまして、これから三十分間、北側国土交通大臣そして担当者の方々に質問をさせていただきます。また、後半は、厚生労働省の方からも自立支援法に関係して担当者の方に来ていただきましたので、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に申し上げたいんですけれども、今回のバリアフリー新法によって、駅や建物だけではなく、面として、障害のある方々がバリアフリーという形で社会に参加しやすくしていく、そして移動しやすくする、その権利性を高めていくということがこの法案の趣旨であるかと思います。

 しかし一方では、この四月から、これは厚生労働の担当でありますが、障害者自立支援法というのが導入されまして、原則一割負担という自己負担が今まで以上に導入されて、さまざまな軽減措置がございますが、そんな中で、それによって障害のある方々が社会参加しづらくなったのではないか、また外出しづらくなったのではないか、そういう不安の声、また現場からの悲鳴というものも起こっております。

 そういう中で最初に申し上げたいんですが、私は、車の両輪だと思っております。バリアフリー新法によってハードの面をバリアフリーに整備していく、それと同時に、ソフトの、サービスの面において、障害のある方々が社会参加、外出をしやすくしていく、これが車の両輪でなければならないと思っております。そういう思いから、前半では国土交通省に、後半では厚生労働省に質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初にお伺いをしたいと思います。

 私は、二十七歳のときですから今から十七年前、京都ボランティア協会というところに勤めておりまして、そこでボランティアのコーディネーターをしておりました。そこで視覚障害の方々に対して京都の観光案内をする、そういうボランティアのあっせんもしておりました。そんな当時から聞いておりましたのが、やはり視覚障害者にとって駅のホームが非常に怖い、危険であるということであります。

 ですから、第一問は、駅のホームのホームドアの設置ということについてお伺いし、要望したいと思っております。

 交通バリアフリー法の制定後も、視覚障害者などがホームから転落しているという事故が減少しておりません。私の知人の視覚障害のある方も、残念ながら数年前に駅から転落した。私もそのときにも彼から言われたんですけれども、こういう本当に転落をしないと、それを恐れていてはなかなか外に出ていけない、それぐらいホームは危険が多いという話を聞いたことがございます。

 その対策として視覚障害者の方々が求めているのが、ホームドアの設置であります。ホームドアを今回のバリアフリー新法においても計画的に進めていく必要があると思いますが、今回のバリアフリー新法で何らかの改善がなされるのでしょうか。あるいは、特に新設の場合などはホームドアの義務づけというものをやっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。点字もしくはホームドアという形になっているんですが、どちらかでもいいというとそれは点字の方が安くて簡単だからそっちに流れがちなんですが、ホームドアの設置を急ぐべきだと思います。答弁をお願い申し上げます。

梅田政府参考人 先生御指摘のホームドアあるいは可動式のホームさくの設置でございますが、この点につきましては、私どもも、ホームからの転落防止等の観点から整備を急ぐことが必要であるというふうに考えております。

 これまで、設置可能な駅におきまして設置を推進してきました。現在のところ、路線の新設時に設置されたものを中心といたしまして、ホームドアは十二路線百十五駅、可動式ホームさくは二十一路線の百八十三駅に設置されているところでございます。

 しかしながら、駅にホームドア等を設置する場合には、既存の駅につきましてはいろいろ問題もございますし、また新設の駅についてもやや問題がございます。仮にホーム上に十分な広さが確保できる新設の駅であったとしても、車両の面におきまして、例えば扉の位置が異なる、スリードアとかあるいはファイブドアとか、いろいろな列車が走行する路線、こういうようなところにつきましては、対応するようなホームドアをつくることはなかなか技術的に難しゅうございます。また、定位置に列車を自動的に停止させる装置、これもできるだけ設置可能な路線でなければ、ホームドアを設置することがなかなか難しいというようなことがございます。

 こういうことでございますので、一律に義務化をするということはなかなか困難であろうというふうに考えているところでございます。

 しかしながら、既存また新設を問わず、ホームドアあるいは可動式のホームさくを設置していくことは必要であるというふうに思っておりまして、例えば東京地下鉄の丸ノ内線、これはできてから相当古い地下鉄でございますが、ここにつきましても可動式のホームさくの設置を進めているところでございまして、平成十九年度の供用を目指してやっているところでございます。

 私ども、基本的に、この設備の設置につきましては、諸条件の整った路線を中心にしながら、ホームドアあるいは可動式のホームさくの設置を積極的に進めて取り組んでまいりたい、この設置につきましては今以上にしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 今以上にしっかりと取り組んでいきたいという答弁でございますが、まさにこれは、視覚障害者の方々が自由に移動するために、ある意味で死活問題でありますので、さまざまな課題はあるでしょうが、ぜひ整備を急いでいただきたいと思います。

 二番目に、当事者や市民参加ということについてお伺いしたいと思います。

 バリアフリー新法では、住民等による基本構想の策定、提案や、協議会の設置など、利用者の関与が促進されるが、なかなかその具体的な仕組みが明確には読み取れません。また、乗車拒否などの事例が後を絶たないことなど、法の精神と現場とが乖離しているという点も多々あるわけですね。そして、いざ設備ができてから、利用しにくいというふうな事例も起こってきているわけです。

 そういう意味で、この問題は、計画、実施、検証の各段階への当事者参画、つまり、障害のある方々が参加して、計画、検証の前に意見を言うということや、また、さまざまな乗車拒否などのトラブルやクレーム等の処理機関についても、当事者参画がなければ解決されない問題だと考えておりますが、このような点において、バリアフリー新法ではどのようになっておりますでしょうか。

竹歳政府参考人 まず、当事者参画の点でございますけれども、面的にバリアフリーを進めていく、そのために市町村が基本構想をつくるというようなときに、高齢者、障害をお持ちの方々からの提案とか、それから協議会のようなものをつくるということで、当事者参画を充実していきたいと思っております。

 なぜかと申しますと、その前提として、私どもの国土交通省の方でバリアフリーのあり方を考える懇談会というものを設けまして、さまざまな方の意見を伺いました。せっかくバリアフリーの施設をつくったものの、実際に障害者の方から見ると非常に使いにくい、それから、逆に障害を強調するバリアフリーになっているんじゃないかとか、障害を隠すバリアフリーになっているんじゃないか、御利用者の目から見るとそういう大きな問題があるというようなことがございました。ということで、今後つくる計画におきましては、実際にこういういろいろな問題意識を持っておられる方々からの意見を踏まえて、計画づくり、事業を進めていきたいというのが第一点でございます。

 それから、せっかく制度ができても、いろいろな問題が起きる、乗車拒否とか利用拒否の問題、これについて中立的な機関を設けてはどうかというお話がございました。移動や利用をめぐるトラブルやクレームにつきましては、当事者からお申し出があれば、行政としても適切に対応していかなくちゃいけないと思っております。

 国土交通省では、ホットラインステーションというものを設けまして、これは平成十六年七月に設けました。この十六年度の八カ月間の様子を見ますと、全体で七千五百件ございまして、そのうち苦情が四百九十件ということでございます。こういう苦情につきましては、私どもの方で、窓口で一元的に承って、担当課を通じて事業者に対する確認や調査等を行い、相談された方にその結果を回答するということを行っております。

 ただ、新たに中立的な機関をつくってということまではなかなか手が及ばないのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、今回、ハートビル法と交通バリアフリー法を一体化していくわけでございますので、窓口の一元化もして、こういう取り組みも強化していきたいと思っております。

山井委員 障害者の方々からは、乗車拒否等さまざまなクレームを言っても、トラブルがあってもなかなか改善されないという思いがあるわけです。それに対しては、今も答弁ありましたが、やはりできれば当事者が参画した中立機関のような処理機関が必要であると思っておりますので、重ねて要望したいと思っております。

 三つ目の質問に入ります。

 問題は、障害者や高齢者の方々等、移動制約のある方々が、自宅から駅まで、どうやって今回の新法に入っているバリアフリー化される重点整備地域に行くのかということが重要なわけですね。幾ら駅周辺がバリアフリーになっても、家からそこまで行き着けないケースというのがたくさんあるわけです。

 そこで、移動介護も含めた観点で、やはり新法に基づく基本構想に交通計画として、家からどうやって今回バリアフリー化される重点整備地域まで行くのかということも交通計画に盛り込むべきではないかと思います。この点についていかがでしょうか。

竹歳政府参考人 社会全体のバリアフリー化を進めるということになりますと大変長期間かかっていくということで、今私たちが進めておりますのは、まず優先度の高いところから進めていこうということでございます。

 そういう意味で、例えば駅につきましても、五千人以上の乗降客のあるところからと。これに対しては、例えば、大都市でバリアフリーの駅から乗ったけれども、地方に行っておりようと思ったらバリアフリーじゃない、こういうような御指摘もあります。それから、今先生御指摘のように、駅まで行くのにどうするんだということでございまして、将来的には、町全体がバリアフリーになるような構想というものをつくっていかなくてはいけないと思います。

 当面でございますけれども、自宅から駅までの移動について重要な役割を果たすと考えられますのがスペシャル・トランスポート・サービスでございます。今般成立いたしました道路運送法等の一部を改正する法律によりまして、NPO等が行うボランティア福祉有償に係る登録制度が道路運送法に位置づけられたところでございまして、基本構想の作成に当たりましても、このような制度と連携を図るということで、自宅から目的地までの切れ目のない移動が確保できるようにしていきたいと考えています。

山井委員 ぜひとも自宅から駅まで、そこまでの移動も確保されるようにしていただきたいと思いますし、それはまさに、後で触れます障害者自立支援法とも関連してくることだと思います。

 ここで、個別事例になって恐縮ですが、京都の京阪八幡市駅、これは私も国会で今まで二度取り上げているケースですが、このパネルにありますように、多くの急な階段があります。その結果、この地域は割と高齢化が急速に進んでいるわけなんですけれども、御高齢の方がもう駅を利用しづらくというか、足腰が弱ったらできなくなってきて、わざわざほかの駅までバスで行くとかタクシーで行くとか車で行くという、何とも不便なことになってしまっているわけです。

 それで、住民の方々もこの署名活動をずっとされておられますし、先日は八幡の市議会で森川信隆議員も質問されまして、市議会でも市長から、平成二十二年度までにバリアフリー化するという答弁も出ているわけなんですけれども、やはりなかなかこれはお金もかかることであり、まだまだ実現のためには時間がかかるわけなんです。

 そこで、このケースを通じて、今回の新法がこのようなケースにどう関係してくるかということについて北側大臣にお伺いしたいと思います。

 旧交通バリアフリー法に基づく移動円滑化の促進に関する基本方針では、平成二十二年度までには、京阪八幡市駅のような既存の駅も、ここも乗降客数が一日一万人以上いるわけですから、バリアフリー化を行うということになっていたが、今回の新しい新法においてもそのような目標は変わりないと考えてよいのか、いかがでしょうか。

北側国務大臣 変わりございません。

山井委員 一つ一つ確認していきたいと思います。

 今回の法案の中では、バリアフリー化は、古い法律よりもどのように取り組みが進めやすくなるのでしょうか。

竹歳政府参考人 今回の法律改正におきまして、いろいろな施設についても追加をしております。すなわち、基本構想をつくりやすくしていくということでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、基本構想を作成するに当たっては、関係する施設の設置管理者、すなわち、公共交通事業者、道路管理者、それから駐車場の管理者、公園管理者、建築主等、公安委員会といったさまざまな事業主体の連携が必要となります。同時に、高齢者や障害者等の移動や施設利用の実態を踏まえ、そのニーズに的確に対応した構想を作成することが求められるところでございまして、利用者が構想作成のプロセスに関与していく、関係者と利用者が一緒のところで議論をするということが、こういう構想を推進する上で極めて有効ではないかと考えているわけでございます。

山井委員 今御答弁いただきました法定化された協議会というのは、この関係者は正当な理由がなければ参加を拒否できないということになっていると思いますが、ここで北側大臣、改めて確認ですが、ということは、今まで以上に市町村が主体的にバリアフリー化を進めやすくなったというふうに理解してよろしいでしょうか。

北側国務大臣 そのように御理解いただいて結構でございます。

 市町村が基本構想を作成しようとする場合に、協議会を設けたときは、鉄道事業者等を含みます関係する施設設置管理者についても、正当な理由がある場合を除いて、協議会における協議に応じなければならないこととなっております。この正当な理由というのも、近々施設を廃止、譲渡するだとか、そういうふうな極めて例外的な場合に限られるというふうに考えておりまして、ほとんどの場合におきましては、協議会への参加が義務づけられるということになっておるわけでございます。

 関係者の協議会への参加が担保されていくことになりますので、これらの者と高齢者、障害者等利用者との間で理解と協力を踏まえながら、今まで以上に市町村がバリアフリー化に主体的に取り組むことができるというふうに考えております。

山井委員 これからの高齢社会においては、高齢者の方も足腰が悪い方がふえてこられますし、また赤ちゃんを抱いた保護者の方々も利用されるわけですので、ぜひとも急速にこれは進めねばならないと思っております。

 私の親しい友人も、実は、バリアフリー化が十分じゃないということで京都から東京にとうとう引っ越してしまいまして、やはりこういう地域間格差というのも非常に重要な問題となっております。

 そこで、もう一問北側大臣にこの八幡市駅に関してお伺いをしたいんですが、とはいえ、二十二年度までに義務づけても、やはり地方自治体も非常に財政的に厳しいわけでありますね。そういう意味では、これは要望になるわけですけれども、バリアフリー化という目標達成のために、起債への特段の配慮なども含めて、国土交通省としても市町村に対してさらなる支援というものを要望としてお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 関係省庁とよく連携をとらせていただきたいというふうに思っております。

 平成十八年度におきましては、これは国土交通省の関係でございますけれども、本法案の施行をにらみまして、重点整備地区において基本構想の作成を行う協議会に対して、バリアフリー環境整備促進事業によりその経費を新たに補助対象とする、このような対策もとらせていただいたところでございます。

 自治体へのより効果的かつ重点的な支援制度につきましては、よく関係省庁と連携をとらせていただきたいと考えております。

山井委員 まさに今各省庁と連携してということをおっしゃいましたが、国土交通省としての支援だけじゃなく総務省やあるいは財務省の支援も必要だと思いますので、ぜひとも後押しをよろしくお願いしたいと思います。そして、平成二十二年度までに多くの駅がバリアフリー化が完成するように、これから引き続き新法をばねに後押しをお願いしたいと思います。

 それでは次に、厚生労働省の方に御質問をさせてもらいたいと思います。

 ちょっと話題がかわりますが、この四月から障害者自立支援法がスタートをいたしました。冒頭に申し上げましたように、このバリアフリー新法で面的にバリアフリーにしていく。それと同時に、やはり障害のある方々が社会参加していく、あるいは作業所や通所施設で昼間活動する、働く、あるいは社会活動をするために外出する。生きがいをもっともっと持ってもらう。学ぶ、働く、自己実現をする。さまざまなためにも、障害者の自立を支援していくということは必要であります。

 しかし、この四月から原則一割負担の導入ということが、さまざまな軽減措置はもちろんございますが、実施されたりする四月からの自立支援法の施行の中で、さまざまな問題点が今出てきております。そのことについてお伺いをしたいと思っております。

 ちょうど、きょう資料を配付いたしましたが、昨日も新宿で二千人規模の障害者の方々の集会がありました。ここに書いてありますように、「とうきょうフォーラム 障害者自立支援法の施行 いま、私たちにできることは 見えてきた課題・問題点を解決するために」。新宿文化センターの大ホールが超満員でありまして、実行委員会形式になっているんですが、東京の重立った障害者の団体の方々が本当に集まっておられました。

 どういう呼びかけ文になっているかというのをちょっと読ませていただきます。

  二〇〇六年四月、障害者自立支援法は施行されました。

  東京都をはじめ多くの区市は、障害のある人とその家族の負担を軽減しようとがんばってきました。

  一方、こうした自治体の努力のさなか、国は「障害者自立支援法による基準・報酬(案)」を三月一日に発表しました。しかもその内容は、きわめて厳しい水準にとどまりました。たとえば、居宅介護や移動支援は、たいへん利用しにくくなりそうです。またグループホームや通所施設などでは、大幅なサービスの後退もありえる、そんな内容が示されました。わたしたちが自治体とともに、長年築いてきた福祉が維持できなくなるのではないか、そんな声もあがっています。

こういうふうになっております。

 ですから、私がなぜこの委員会でこの問題を取り上げるのかというと、バリアフリー新法でバリアフリーなまちづくりになっている一方では、こういう現場での不安というのは高まっているということであります。

 また、私も、毎週末京都南部の地元に戻りますが、私の京都南部は障害者の通所施設や作業所が多い地域でありまして、これはほかの委員の先生方も同じかもしれませんが、福祉バザーがいっぱいあるんですね。それで、この三月ぐらいからバザーに行くたびに言われるのが、山井さん、大変や、この四月から自立支援法で収入が減ると。私の近所の施設でも、年間一千五百万円減る、二千万円減る、ただでさえ職員の給料少ないのにどうしたらいいだろう、首を切るしかないんだろうか、そういう声。

 それと、一割負担の導入によって、私の近所の通所施設でも、もう通所施設に行くのをやめますというケースが出ておりますし、あるいは、一気にやめるということにならなくても、お金がかかるんだったら、週に五日間通っていたのを二日にしますというケースも出てきておりまして、これは、第一回の請求書が届くのが五月の二十三日ぐらいだったわけですから、そういう意味では、まさに請求書が届いて、今かなりの悲鳴が上がっております。

 例えば、通所施設に行くことによって、いろいろな作業をして、知的障害者の方が今まで工賃を一万円もらっていた。ところが、五月末に来た請求書を見たら、三万円払ってくださいとなっているわけですね、一割負担と食費とか含めて。働きに行って一万円もらっていた、四月までは。ところが、自立支援法で、一万円もらってくるかわりに、三万円別個に費用を払わないとだめになった。それはやはり、家庭の事情でやめようかという方とか日にちを減らそうかという方が出てくるのも仕方ないかもしれないんですね。

 こういうことに関しては、そうならないようにさまざまな軽減措置を厚生労働省さんも講じてくださっているわけでございますが、こういう実態があります。

 そこで、まず最初にお伺いしたいと思います。

 一つの理由は、施設に払われるお金が日割り計算にこの四月からなったわけですが、通所施設や作業所に対して、こういう日割り計算になったことによって報酬はどれぐらい減っているんですか。このことをお答えください。

    〔委員長退席、吉田(六)委員長代理着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法は四月から施行されております。事業者の方にお支払いします報酬、この報酬も四月一日から改定をされております。そういった中で、報酬の支払いルールにつきまして、今委員からお話がございましたように、これまで、例えばお一人の施設利用者の方がおられれば、月一回利用でも一月、満額、一定額を支払う仕組み、いわば月払いから、その方が何回利用したか、その利用した日に応じて払う、日払いと今委員からそういうお話がありましたけれども、そういう方式に改められました。

 これは、利用される方にその都度一割負担もお願いするということもございますし、こういう支払い方式は介護保険制度と同様でございます。提供したサービスの実績に基づいて支払うこととし、事業者側のサービスの提供量を評価する仕組みとしたところでございます。

 今委員の方から、そういった場合、切りかえによってどのくらい変化があるのかということでございますが、四月から施行されておりまして、現段階、まだ四月分の報酬請求支払い事務も完了していないため、つぶさには承知しておりませんが、大まかに言って二つのケースがございます。

 一つは、今まで人数掛ける一定額でございましたので、通う回数が少ない施設につきましては、これによって報酬が減るというのは当然考えられます。他方、今度の制度改正で、定員を超えた利用者の受け入れも可能とするよう、例えば通所施設の場合は二割を超えることも容認するという規制緩和を行っておりますので、例えば、新たな利用者の受け入れに努めたり、土日に開所するなど開所日数をふやしたようなところにつきましては、収入増のケースもある。こういう二つのケースがあると考えております。

 前の方のケース、月払いから、これまで一回でも満額払っておったわけでございますので、我々の想定では、月二十二日通所していただくということをモデルにして、これは実態調査に基づいてやっているところでございますが、そのような回数来ていないところは大きな減収になるということも想定されましたので、十八年度におきましては、八割は保障するという激変緩和措置を講ずるということを行っておりますので、今委員からの御指摘の減収分につきましては、一番減収した施設があったとしても、この八割保障で救済される、こういうふうに考えているところでございます。

山井委員 私がお伺いしたいと思っていますのは、今いろいろなことを想定しているということをおっしゃいましたけれども、実際、現場からは悲鳴が上がっているわけなんですね。ですから、厚生労働省としても、それが耐えられる痛みなのか耐えられないものなのか、やはりこれは実態調査を早急にしないと、私の近くでも、もう施設を畳まざるを得ないという、そんなケースも出てきているわけなんですね。

 やはり、法律を施行した以上、それがどういう結果を生んでいるかというのは早急に調べる必要があると思うんですが、この実態、ふえるところもあるでしょう、減っているところもあるでしょう、いつごろまでにお調べになるつもりですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 四月から障害者自立支援法を実施しております。当然、私ども、実施状況につきましては十分ウオッチしていかなければならないと考えております。具体的には、給付費の動向など、この前の制度でございます、平成十五年から実施いたしました支援費制度という障害者の制度がございましたが、これは給付費が大変ふえて、いわば一種の財政破綻に陥った、こういうこともございますので、給付費の動向など、できるだけ詳細に把握していく努力が必要だと思っております。

 ただいま申し上げましたように、四月実施分につきましては、五月に請求があり六月に大体全国の実績がわかるということでございますが、介護保険の例で申し上げましても、平成十二年四月、二〇〇〇年四月から介護保険をスタートいたしましたけれども、四月の統計は相当、事業者の方もなれていない、請求漏れもあるとかいうことで不確定でございまして、介護保険の例でもノーマルオペレーションになりましたのは六月程度ではないかと思っております。

 そういったことも配慮しながら、私ども、六月、七月、八月、そういう実績について、給付費の動向、新制度のもとにおける開所日数やサービス利用の状況がどうなっているかというようなことについて把握してまいりたいと考えております。

山井委員 これは余り悠長なことは言っていられないと思います。

 先ほども言いましたように、きのうも二千人の方々が集まっておられて、本当に、車いすの方を支えたり、必死になって、障害のある方とみんな地域で共生をしようとしていっている。この自立支援法が始まったらもう施設はやっていかれないんじゃないか、自分も首になるんじゃないか、そんな不安が高まっているわけですから、ぜひとも早急に実態を調査してほしいと思います。

 続きまして、それに関連して、この資料の二ページを見ていただきたいんですけれども、そして深刻なのは、それによって通所施設を退所してしまった人が出ているということです。これはできたてほやほやの調査ですが、昨日のフォーラムでも発表になりました。ここに書いてありますように、四月中旬の調査で、東京都セルプセンター、東京都社会福祉協議会、きょうされん東京支部などで調査実施したものであります。

 そこで、自立支援法に伴う退所等の影響、八十六カ所回答、三千百四人について調べたところ、既に退所をされたという方が十九人、日数を五日からもっと減らしていったという方が十九人、そして退所を検討している方が六十人。つまり九十八人の方が、日数を減らしたり、退所を検討したり、既に退所をされたということなんですね。

 考えてもみれば、十年、二十年前から、どうやったら障害のある人たちが社会参加できるのか、引きこもりや閉じこもりじゃなくて家から出てこられるのかということで、全国で作業所の運動や通所施設の運動が集まって、やっと地域に障害のある方が出てきたわけです。その方々が法律によって逆に通えなくなるということになったら、これはゆゆしきことだと思います。

 そこでお伺いします。これは東京の方々がやられた調査ですが、厚生労働省は、この四月施行によって通所施設、作業所等で退所された方々が何人ぐらいなのか、あるいは何%ぐらいなのか、その実態をどのように把握しておられますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法の施行に伴う、今例えば通所施設の利用状況等についてでございましたけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、施行後日も浅いこともございまして、詳細の把握は行っておりません。

 ただ、例年、例えば通所施設におきます退所の状況などは社会福祉施設調査等で把握しておりまして、例年の退所率というのは五・二九%というような状況でございますので、通所施設で年間五%程度の方がさまざまな理由で、死亡を除いてでございますが、退所されているということは確かでございます。

 また、今委員から御指摘の利用料の負担の関係につきましては、委員御案内のとおり、障害者等の家計に与える影響を十分考えまして、月ごとの負担の上限額を設定するとともに、その方の収入や預貯金の状況に応じて個別に減免するなど、きめ細かな負担軽減措置を講じさせていただいております。最大限の配慮を講じているところであり、サービスを受けることに支障のないようにというふうに考えております。

 いずれにしても、サービス利用につきましては、委員御案内のとおり、これまでの行政の措置ではなく、支援費制度以来、契約制度になっておりますので、利用者の方の選択によるものというふうに考えております。

山井委員 そうしたら、把握をしていないんですか、何人ぐらいがやめられていって、やめることを検討しているのか。そして、いつごろまでに把握されるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法施行後の施設利用者の状況につきましては、自治体のヒアリングを通じまして、まず現場の状況を把握してまいりたいと思っております。

 現在、自治体におきましては、先ほど来四月から実施されたと申し上げておりますが、委員御承知のとおり、新たに十月分の施行もございまして、障害程度区分判定等膨大な事務も実施しなければならない状況でございますので、自治体側の体制の状況も御相談しながら、利用者の動向等の把握をしてまいりたいと考えております。

山井委員 これもそんな悠長なことを言っておられる場合じゃないんじゃないですか。退所した子供はどうなっているんですか。今まで施設では、家に閉じこもってそもそも家だけで面倒見られないからということで、作業所や通所施設に行っていたわけですよね。ところが今回行けなくなった。その子供はどうなっているんでしょうか。

 次に移らせていただきます。

 正直言いまして、こういう質問を取り上げるのは私は非常に気が重いんですが、これは厚生労働省も御存じかと思います。三月十一日、福岡市におきまして心中未遂事件が起こりました。障害のある娘さんがお母さんから殺されてしまった。そして、お母さんも両手をかみそりで切って、また包丁でおなかを刺して、無理心中を図った。

 そして、この三ページ目にありますのが、この心中事件に対する、刑を軽くしてほしいという嘆願書であります。少しだけ読ませていただきますが、無理心中未遂事件について、母親である容疑者が娘さんを殺害するに至ったのは、

 自分自身も体に障害を抱えていながら、重度の障害を持つ娘さんの介護をし、今後増えていくであろう肉体的負担への不安に加えて、障害者自立支援法成立に伴う介護サービス利用料の利用者負担の発生による家計の圧迫等により将来を悲観してのものと思われます。また、本件行為に至るまでに、複数の福祉関係者が容疑者本人からの相談を受けており、深く思い悩んでいた様子であったにも関わらず、政府が発表した制度の概要が曖昧であった為に十分な説明が出来ず、満足に問題解決の手助けができなかったことも、事件に至った原因の一つと考えられます。

ということで、この嘆願署名も四千人以上集まっているわけであります。

 私が言いたいのは、前途を悲観して、ただでさえ障害のあるお子さんを育てるということは保護者の方々、本当に御苦労をされている、その方々に対して、今回の自立支援法が間違ってもこういう心中事件、心中未遂事件の引き金になってはならないと私は思っているんですが、非常に失礼な質問かもしれませんが、厚生労働省としては、今回のこの事案というのは自立支援法が引き金になったというふうに認識されておられますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 福岡市での御指摘の事件につきましては、現在裁判中であり、その事実の詳細については不明でございますが、五月二十五日の公判におきましては、母親は、行政側が負担額を七千五百円と説明したにもかかわらず、三万円になると思い込んでいたと検察側が指摘しているところであり、利用者負担についての誤解があったと報道されております。

 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、きめ細かな負担軽減措置を講じておりますので、こうした事件が起こることのないよう、制度の一層の周知徹底に努めてまいりたいと思います。

 また、地域において、障害のある方やその御家族が利用者負担を含め相談できる体制の強化が重要であると考えておりまして、今回の法律でも、相談支援事業ということを市町村が必ずしなければならない事業として位置づけられておりますので、市町村の相談支援事業の充実強化も図ってまいりたいと考えております。

山井委員 片や、バリアフリー新法で障害のある方々が社会参加、地域参加、もっと移動できるような社会にしていこうという議論があり、片や、今お聞きいただいておりますように、逆に、今まで通っていた作業所や通所施設に行けなくなってしまった。残念ながらお亡くなりになってしまったこの障害のある娘さんも、自立支援法の施行の前にそのサービスをカットしてしまわれたわけなんですね、自己負担増を心配して。

 そういう中で、本来は、バリアフリーの新法と、こういう障害者の方が町に出やすくする福祉サービスとは一体でなければならないと思っております。

 そこで、この資料の下に、新聞検索で調べたところですが、ことしの三月だけで、三月五日香川、三月十一日福岡、三月十二日愛知、三月二十八日山形、三月二十九日長野県というふうに、障害児者に関連した心中事件が五件起こっております。昨年の三月は一件でした。私は、もしかしたらこれは、障害者自立支援法に関連して、やはり前途を悲観したのではないかというふうなこと、これはわかりません、私もまだまだそこまで調べておりませんが、そういう心配はしております。

 厚生労働省に私がお願いしたいのは、もちろんこういうのは複合的な原因ですから、何が原因かなんてそんな簡単にわからないかもしれません。しかし、間違っても、この障害者自立支援法が施行されることを契機に障害者児を巻き込んだ心中事件がどんどんふえていったということになったら、これは大変なことになりかねない。ですから、私はきょうこの問題を取り上げさせていただいているんですが、厚生労働省にお伺いをいたします。

 先ほども言いましたように、初めての自己負担の請求書が来たのが五月末、それを見て私の知り合いの保護者の方々もショックを受けておられます。そういう中で、今後、まさかこういうふうに障害児者が犠牲になる心中事件がふえるということはございませんか。厚生労働省、いかがですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法で目指しておりますのは、障害者の福祉サービスを拡大するようにということでやっておるわけでございまして、現時点では障害者の福祉サービスは大変地域間格差が大きくて、都道府県の間でも最大のところと最小のところと七・八倍の差があるということで、障害サービスが全国に均てんしていないという状況でございます。

 そういった中で、障害福祉サービスを充実するということで、市町村に今年度から障害福祉計画をつくっていただきますし、二十三年度まで、国としては、サービスの目標、訪問サービスも一・八倍、日中活動サービスも一・六倍にするという目標を掲げております。

 また実際に、障害者自立支援法で、福祉サービスの費用も国費で一一%十七年度に比べて増加するということで、サービス量をふやそうとしているわけでございまして、そういう努力が障害を持った御家族の介護負担というものを軽減し、また、障害者の方の社会参加を促進するものと考えておりますので、不幸な事件というものが生じないことに資するもの、こういうふうに考えております。

山井委員 私は、中村局長を先頭に、厚生労働省の方々が障害者のために精いっぱい頑張っておられる、本当に寝る間も惜しんで頑張っておられること、本当にそのことにはある意味で敬意を表している部分はあるんです。

 しかし、残念ながら、やはりこういうものは問われるのは結果なんです。幾らいい法律をつくっているつもりだ、サービスをふやしたいという思いで法律をつくったといっても、もしかして心中事件がふえたとしたら、今まで通所施設や作業所に通っておられた方々が、あるいはグループホームにおられた方々が利用できなくなっているとしたら、残念ながら、やはりこれは見直さないとだめなんじゃないですか。

 だから、私がきょう、実態はどうなんですかと聞いているのは、今局長が答弁されたように、サービスがふえていっているのか、逆に減っていっている地域あるいは施設があるのか、まずそのことをきっちり把握しないと変えられないわけです。過ちを改むるにはばかることなかれという言葉がございます。私も実態をきっちりまだ把握しておりませんから正確なことを言えませんので、ぜひとも実態把握を急いでもらいたいと思います。

 それで、ぜひともお願いしたいのが、このような通所施設や作業所に通えなくなった障害者や障害児の方がその後どうしているのか、そのこともぜひとも調べていただきたい。その方が家族とのトラブルで虐待事件が起こったり心中事件が起こったりしたら、これはもう大変なことになりますよ。退所されていったケース、残念ながら全国でどんどん出てきています。そういう、利用者が退所してどういう暮らしをしているのか、そのことも調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げていますように、障害者自立支援法の施行は四月からでございます。まだ四月分の請求事務も終了していないという状況でございます。

 私ども、答弁申し上げておりますように、施行状況についてはウオッチしていく、注視していく。給付費につきましては、前の制度は破綻したわけでございますので、給付費について一番心配しておりますのは私どもでございますので、きちんと見てまいりたいというふうに思っております。

 それから、サービスの利用をやめられた方、先ほどの委員の御指摘の資料では〇・九%程度であったと思いますけれども、そういった方々についてどうなっているか。これは先ほど申し上げましたように、市町村に相談支援事業が義務づけられておりますし、また、成年後見制度など権利擁護事業も市町村がやらなきゃならない。その財源としては、地域生活支援事業ということで、障害者自立支援法の財源の枠内で市町村ができるようになっておりますので、私ども、市町村の方にそういう状況の把握に努めるよう申してまいりたいと思っております。

山井委員 ぜひとも御理解いただきたいのは、これを早急に実態把握して、必要な見直しを早急にやる。十月から新事業体系がスタートするわけです。そのときのタイミングで私は改善すべきだと思います。そうすることによって、一件でも二件でもこういう不幸な事件が事前に防止できるかもしれないんですね。そのことは強く要望をしたいと思います。

 そして、グループホームについてお伺いしますが、施設ではなくて地域社会で障害者の方々が暮らすための一番重要なサービスがグループホームでありますが、残念ながら、この自立支援法施行によって、私の知り合いの方々が計画していたグループホームも頓挫をしてしまいました。その理由は、報酬額が低過ぎる、そして、今まではホームヘルプをグループホームのサービス以外に別枠で利用できたけれども、原則として今度の法律ではそれは利用できなくなった。重度の方々が利用できる……(発言する者あり)

吉田(六)委員長代理 では、ちょっと時計をとめて。――山井君、質問を続けてください。

山井委員 こういうふうな大事な人の命のかかった議論はぜひ聞いていただきたいと思います。

 それで、こういうふうなグループホームの問題、こういう計画が頓挫したケースもふえてきているわけですけれども、このような状況を厚生労働省はどう把握しておられますか。たしかこの法律は、グループホームなどをふやして、地域で障害者が暮らしやすくなるようにという目標でできた法律であったはずでありますから、それが逆に、この法律によって計画が頓挫しているケースが出ていたら、それは趣旨が正反対なわけですから、そのような実態、厚生労働省としてはどのように把握しておられますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、グループホームやケアホーム、これは新しく障害者自立支援法に位置づけられましたけれども……(発言する者あり)

吉田(六)委員長代理 静粛に。答弁中ですから。

中村政府参考人 それの整備計画につきましては、先ほど申し上げましたように、障害者自立支援法で市町村の障害福祉計画がつくられます。その障害福祉計画の中で十八年度から二十年度までの整備計画も定められますので、市町村の方は、法律上は十月からこの作業が行われるということになりますので、その市町村の整備計画の積み上げで、全国のグループホームやケアホームの整備状況が把握できる、こういうふうに考えております。

山井委員 整備状況の把握というより、そういう、計画していたのがこの法律によって頓挫しているケースがふえているわけですので、早急にやっていただきたいと思います。

 そろそろ時間ですので最後になりますが、やはり障害者の御家族あるいは障害者を支えておられる方々の御苦労というのは、本当にこれは大変なものがあります。

 そんな中で、先週日曜日も私は保護者の方々と話し合いをしましたが、なぜこの法律は自立支援法という名前なんですか、自立を阻害しているじゃないですか、そういう声も聞きました。また、昨年の法案審議の中で尾辻大臣が、この法律はサービス水準を落としません、サービスの利用抑制を招かないようにしますと言っていたにもかかわらず、これだけサービス水準が低下して、利用抑制が自分の周りでは起こっている、これは国会での答弁というのは何だったんですか、そんな声も聞きました。

 やはり、十月から新事業体系というのがスタートするわけですから、ぜひともそれまでに早急に実態調査をして、一日も早く直すべきところは直していかねばならない、そうしないと、虐待事件、心中事件がふえていったら、本当にこれはもう国会全体の大変な責任に私はなってくると思います。

 バリアフリー新法ということで、障害者の方々が移動、外出しやすい、そういう方向性を目指すと同時に、ぜひとも、障害者に向けての福祉サービスも、それに沿った自立や社会参加を支援するものにしていっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

吉田(六)委員長代理 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 同僚議員に引き続きまして、バリアフリー法案関連質疑を行ってまいります。限られた時間ですので、各論で数点確認をしてまいります。

 まず冒頭、六月三日に起こりましたシティハイツ竹芝、シンドラー社のエレベーターの事故です、高校二年生で亡くなられた市川さん、本当に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 このエレベーター事故について数点御確認をいたします。今お手元に資料を配っております。四ページをごらんください。大臣、ぜひごらんをいただければと思います。これはシンドラーエレベータ株式会社のホームページからとったもので、英訳も日本文もともにそこに掲載をされていたものです。下線は私が引きました。別に私が訳したわけではありません。

 その一番最初の下線のところですね、「六月六日時点では、この事故がエレベーターの設計や設備によるものではない事を確信している旨を述べさせていただきたいと思います。」エレベーターで扉があいて、そのままで上昇して、そこに挟まれて亡くなられたというこの事実がある中で、この事故がエレベーターの設計や設備によるものではない事を確信している旨を述べているこのシンドラーエレベータ株式会社のこの見解について、大臣、どのようにまずお考えになられますか。

北側国務大臣 現在、事故原因については捜査機関初め調査をしているところでございます。事故原因を早く確定する必要があるというふうに思っております。

 現在のところ、この事故原因が安全装置の不備に起因するものか、その他の要因によるものか、まだ明らかになっていないという段階でございます。

三日月委員 いや、もちろん事実関係を把握中だということについては、私も認識を共有しているところであります。

 ただ、そうである段階で、「この事故がエレベーターの設計や設備によるものではない事を確信している」、この会社のこの見解についてどう思いますかという問いをしているんです。もう一度お答えをいただきたいと思います。

北側国務大臣 このシンドラー社のコメントそのものに私があれこれ言う必要はないかというふうに思っております。大事なことは事故原因を早く確定すること。今鋭意調査をしておるところでございます。

三日月委員 基準を定められ、そしてその指導監督をされるお立場にある行政、国土交通省のトップである国土交通大臣がこの見解に対してそのようなコメントしかできないということを、私は非常に恥ずかしく思います。

 次に、なぜ起こったのか、そしてほかは大丈夫なのか、これまではどうだったのか、そしてこれからは大丈夫なのかということについて、これからいろいろな検証がなされていくんだと思うんですけれども、その上で、十三件、要はモーターもそして制御装置も今回事故を起こしてしまったエレベーターと全く同じ十三件の物件についてはリストの提出がありましたけれども、その他のリストの提出、日本全国約七千台あると言われるこの会社のエレベーターの設置状況について、国土交通省は把握をされておりますか。

山本政府参考人 シンドラー社の設置したエレベーターのリストが先ほど国土交通省の方に届けられたということなので、今、中身を精査しているところでございます。

三日月委員 先ほど届けられたということですけれども、何件あったんですか。

山本政府参考人 リストを担当者において整理しているところでございます。

三日月委員 それは日本全国の今あるシンドラー社のエレベーターすべてのリストということでよろしいですか、確認させてください。

山本政府参考人 私ども、シンドラー社に対しまして、本邦でシンドラー社が設置したエレベーターのリストを出してくれということを頼んで、先方からリストが届けられた、それを今チェックしているところでございます。

三日月委員 今回事故を起こしてしまったこのエレベーター、こういうエレベーターというのは建築基準法上の基準がどうなっているのかということについては一ページ目の一番下のところに書いてありまして、そして、二ページ目のところに詳しい建築基準法と建築基準法施行令の条文について記しております。

 三ページ目に、二ページ目の第百二十九条の十、エレベーターの安全装置について定められているところに線を引かせていただいております。「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。」という規定がある中で、三ページ目をもう一度お開きいただいて、今回のシンドラー社製のエレベーターは認定物か否かという私の問いに対して、国土交通省から、この計画通知の段階では建築基準法の規定に基づく認定は受けておらないという見解をいただいています。

 平成十年に建築基準法が改正されて若干この部分の条文が変わったことを認識しながら、この認定を受けていないということについての詳しい説明をお願いいたします。

山本政府参考人 この平成九年の段階での認定というものは、特別な方法で建築計画を立てる、設備についても特別な方法で設置したいという場合に、直接国土交通大臣、当時は建設大臣でございますけれども、建設大臣の認定を受ければこれを用いることができるという三十八条の大臣認定の規定でございます。そういう特別の認定を受けて設置したものではない。したがって、大臣が法律、政令等によって定められている構造方法、それに従ってエレベーターを用意して設置する、そういうたぐいの普通のエレベーターであったということでございます。

三日月委員 その時点で定められた基準に合致していたエレベーターであったという今の御答弁からの内容だと思います。

 四ページ目のところに、シンドラーエレベータ株式会社のホームページに記されている見解の中に、二つ目の下線です、「お客様のエレベーター設備においても同協会の」これは日本エレベータ協会です、「基準に基づいて設計されております。」と。また、その次には、「エレベーターの設計は、最高水準の安全を確保するために定められております、国の規定や基準に基づき厳しい検査が行われます。」と。ここで言う同協会の基準というものと、今言われた建築基準法、当時のものでも結構なんですけれども、国が定める基準とはどのような関係にあるんですか。ダブルスタンダードになっておりませんか。

山本政府参考人 委員が出していただきました二ページの法令の定めがございます。まず、三十四条で、法律で昇降機の安全な構造等についての定めがございまして、施行令で構造方法等について、それぞれ規定を設けておりますが、これは、建築基準法が定める最低限の基準でございます。

 それで、昇降機についての仕事をする事業者が協会に結集して、事業者団体として、業界団体として基準法の最低基準をベースにした上で、さらにあるべき基準を設けて、シンドラー社もその協会のメンバーとしてその基準に従って仕事をしてきたということをコメントしているというふうに私ども受けとめております。

三日月委員 今回、事故を起こしてしまったこのシンドラー社のエレベーター、これまでどのような事故、トラブルを起こしていますか、何件、どこで。

山本政府参考人 事故、トラブルという御質問でございます。

 昇降機を運行する場合のふぐあいあるいは事故、それぞれあるわけでございますけれども、事故については、特定行政庁に対して報告をして、これを集約するという形になっておりますけれども、ふぐあい等につきましては、必ずしも特定行政庁に報告をして集約するという形にはなっておりませんので、ただいまの御質問に正面から全体的に答えることは今現在では難しいのでございます。

三日月委員 六月七日に国土交通省が各都道府県建築主務部長様あてに出された文書では、それぞれ、特定行政庁の協力を得て、「過去の事故、不具合等の発生状況とそれに対する対応状況について報告することを求めるようお願いする。」という文書を出されています。ということは、これからシンドラーエレベータ株式会社のエレベーターの事故とふぐあい等に関するデータは上がってくるという認識でよろしいですね。今の局長の御答弁と若干違うと思うんですが。

山本政府参考人 今回のことがありまして、改めて、シンドラー社が設置したエレベーターについて、特定行政庁において、きちんと所有者に検査をしてもらって報告を受ける、それから、ふぐあいと事故については報告を受けて、それを集約して国土交通省に集めようということをお願いしておりますので、それを集約して、また御説明したいと思っております。

三日月委員 そういう状況の中で、昨日、これまでわかっているだけでエレベーターの利用者及び作業者の事故等でどういうことがありますかと、平成十五年度以降ということで出していただいた資料が五ページであります。

 これは日本エレベータ協会の昇降機センターというところのデータだそうですけれども、この中にシンドラー社のエレベーターはありますか。

山本政府参考人 五ページにリストアップしております事故の中に、シンドラー社が設置したエレベーターに係るものはございません。

三日月委員 これをごらんになって皆様方どのようにお感じになられるかわかりませんが、私は意外に起こっているんだなと。これはすべてじゃないんですよ。すべての死亡やけが、そしてふぐあいということではなく、「主な事故事例」ですから、主な事例だけをピックアップしていただいた平成十五年度以降の件数だけでこんなにあるんです。うち、亡くなられた方が三名いらっしゃって、これは中身をよく読んでいただければ、概略なんですけれども、非常に痛ましいけがや、そして被害や何かもあるんですね。

 こういう建物の中にある自動で動くもの、それでいて多くの不特定多数の方々が利用されるものについては、事故、ふぐあい等について把握をしたり、そして基準を決めるときの参考データとして、国土交通省で蓄積をされたり分析をされたり調査されたりするようなことが私は必要ではないかと考えるんですけれども、局長、いかがでしょうか。

山本政府参考人 御指摘は非常に大事なポイントだと思います。

 今回の死亡事故におきましても、それからさきに大変皆様に御心配をかけました六本木ヒルズの回転ドアの死亡事故におきましても、事故の発生前に比較的小さな事故がそのサイトで起きているということがございます。

 このために、建築設備などにおきまして、ひやっとしたり、はっとしたというような情報を比較的軽度な段階できちんと集約をして、これを収集して分析して重大な事故の発生を防ぐということは非常に大事だと思いますので、システマチックにそういう対応ができますように、私どもの社会資本整備審議会でも建築物等事故・災害対策部会で今回のいろいろな事柄を見ていただいた上で、国民の皆様の不安を払拭できるような施策を充実することに努めていきたいと思います。

三日月委員 私は二年前に、今局長がおっしゃった六本木ヒルズの大型自動回転ドアで挟まれて亡くなられたお子さんがいらっしゃいました、その事故のときにも申し上げました。自動で動くもので、不特定多数の方が利用されるもので、建物の中にあるもの、こういったものの基準づくりや、そして、ふぐあい、事故、トラブルを情報集約して、その教訓を生かしていくような、そんなシステムをつくろうじゃないかと。

 実は、国土交通省でも、これまでの経験を踏まえて、今、来年度稼働に向けて、きょうの報道にも載っていましたけれども、いろいろなそういう利用者の立場からも情報提供がしてもらえるような、そういうシステムを立ち上げ中だと聞いています。しかし、情報が集まっても、それを分析されたり調査されたりというオペレーションの段階での人的なフォローがなければ、集められた情報も有効に活用できないということがありますので、ぜひ、この悲しい事件、事故を起こさないための取り組みを要請しておきたいと思います。

 本当にこの間、耐震強度偽装問題からいろいろな建築行政のトラブルが続く中で、省庁の皆様方も特定行政庁の皆様方も本当に大変な業務をなさっていることは、私はきょう、実は国土交通省に行っていろいろなお話を伺ったときに改めてわかりました。資料もぐちゃぐちゃです。電話も鳴りっ放しです。本当に大変な中で仕事をされていることは重々承知の上、ぜひこの教訓を生かしてまいりましょうということを呼びかけておきたいというふうに思います。

 続いて、六ページ、七ページ、八ページに、平成十八年一月に、「バリアフリーの推進に関する行政評価・監視」、総務省が行った評価・監視結果に基づく勧告というのが出されています。資料はつけていますので、細かい部分は結構です。きょうは総務省の担当部局の方にもお越しいただいていますので、簡単に概略を説明いただけますか。

    〔吉田(六)委員長代理退席、委員長着席〕

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 交通バリアフリー法に基づきます関係施策の実施状況を調査いたしましたところ、まず、市町村がマスタープランを作成する基本構想制度は十分有効に機能しているとは言いがたいこと、国土交通省等が公表しているバリアフリー化率は実態と差異があること、色覚障害者への対応が想定されていないことなどの状況を把握いたしました。

 このため、本年一月、国土交通省等に対しまして、基本構想の作成を促進するためのセミナー、プロモーター事業の効率的、重点的な実施、基本構想の作成からこれを具体化する特定事業計画の作成までの標準的な期間の設定、特定事業計画作成のための連絡会議の設置の推進、それから、国土交通省等の定めた移動円滑化基準に基づくバリアフリー化率の算出の徹底、色覚障害者に対応した移動円滑化基準等の充実などを勧告いたしました。

三日月委員 そうなんですね。一月に総務省の行政評価が行われているんです。時一カ月後に、今回我々が審議をしておりますバリアフリー関連法案の閣議決定が行われているんですね。

 この勧告内容は、どの程度、どのような形で反映をされておりますか。

竹歳政府参考人 まず、第一点目の基本構想制度がうまく機能していないという点についてでございます。今回の法案におきましては、より効率的かつ有効に機能させるための見直しをするということで、基本構想の作成、実施に係る連絡調整を行う協議会の設置、基本方針における特定事業計画の早期作成の重要性の明記、それから地方運輸局が行う基本構想作成促進のためのプロモーター事業の効率的、重点的な実施等の対応をいたします。

 それから二点目は、バリアフリー化率の実態把握の精度向上についてでございますが、これにつきましては、交通事業者に対して、移動円滑化の実績報告に当たっての留意点の指導を行う等の対応をいたします。

 それから、三点目の色覚障害者の方への対応の充実についてでありますけれども、今後、旅客施設における案内表示等について、色覚障害者に関する配慮事項をガイドラインに示すことの検討を行う等の対応をしていきたいと思っております。

三日月委員 これまで五年間、法を制定し、やってきたけれども、残念ながら余りうまく機能しなかった、もしくは、思ったほどの効果が得られなかった、計画、構想はつくったけれども、特定事業計画、いわゆる具体的な計画がつくれなかったので余り進まなかった。そして、いろいろなバリアフリー化率の実態把握の精度についても実態と差異があったんだということについて、今局長が御答弁いただいた内容ですと、むしろこれまでの内容と変わらない、言葉だけの明記にすぎないという印象がぬぐえません。

 せっかく今回ハートビル法と一緒につくり直して、建物も乗り物もバリアのない状態にしていくんだという法の精神のもと、この勧告内容についても、一月にこの勧告が出され、二月に法の閣議決定がされ、国会に出てくるという、少しタイミングの悪い、せっかくやるんだったら、この内容もタイミング的にも盛り込んだ形で法案の作成ができればいいなということを感じながら、これから運用面でぜひこの勧告内容をしっかりと担保していただきますように要望をしておきたいと思います。

 次に、三点目に、プラットホームの段差とすき間について見解をただしておきたいと思います。

 十ページに、移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準、新たに法が制定されたらこの基準がどのようになるのかということは、まだ私はつまびらかではありませんが、ここの第三節「鉄道駅」の第十九条「プラットホーム」というところに、プラットホームと鉄道車両とのすき間については「できる限り小さいものであること。」そして、その次の行に、プラットホームと鉄道車両との段差については「できる限り平らであること。」という規定がなされていますけれども、できる限り小さいもの、できる限り平らというのはどのぐらいですか。

梅田政府参考人 先生御指摘の点でございますが、我々といたしましては、車いす等の利用が支障なくできるようにする、そのためには、車両とホームの段差、すき間をできるだけなくすべきだ、こういう考え方に立っております。

 ただ、鉄道の場合は、速度あるいは車両の特性によりまして、通過時に車両とホームが衝突しないように考慮すべき余裕、これはそれぞれ異なっております。また、軌道が、例えばスラブ軌道か、あるいはいわゆるバラスト軌道か、こういうようなことによってレールは微妙に動いてまいりますから、そういうことで若干余裕のとり方も変わってまいります。そういうことでございますので、車両とホームが衝突しないような具体的な寸法といいますのは非常に区々ばらばらでございます。

 こういうことのために、今先生御指摘のとおり、移動基準におきましては、すき間はできるだけ小さく、それから段差はできるだけ平らにというふうにしております。

 しかしながら、こういう考え方を受けまして、私ども、鉄道に関する技術上の基準の省令がございますが、この解釈などにおきまして、大体車いすの使用者が円滑に乗りおりすることができない段差というのは五センチでございます。それから、間隔は十センチでございます。こういうのを一つの目安といたしまして、私どもとしては対応してきております。

 具体的には、個々の鉄道に対しまして、駅や車両を新設する際あるいは新造する際に、工事施行認可あるいは車両の確認等を行います。この中で個別に確認をしながら、こういうふうにできるだけすき間が小さくなるように、段差が小さくなるように努めているところでございます。

三日月委員 今局長の方から、ホームと車両との段差については五センチ、ホームと車両との間については二十センチ、車いすの場合は十センチというお話がありました。

 二つの点についてお伺いしたいと思うんですけれども、一つは、この目安でいいのかなという部分なんですね。

 私も、駅員をやっているときに、車いすのお客様を電車まで一緒にお連れしたり、また、運転士をやっているときに、列車からホームにおりられる方の介助をさせていただいたりしました。我々が介助をしても、この高さというのは非常に、いわゆるバリアという、単独で移動できる高さでは決してないというふうにも思いますし、我々がお手伝いをしたときに、ごめんね、ごめんね、申しわけない、申しわけないというようなことをしきりに言われる例えば車いすの方やなんかは、本当にお手伝いをしていても心苦しくなることがありました。

 先ほど局長に答弁していただいたように、いろいろな場合があって、施設にしても車両にしてもいろいろな形があって、安全上のことはもちろん最大限配慮しなければいけないという状況は私も存じ上げています。果たしてこの五センチ、二十センチというのが、車いすの場合は十センチというのが単独で移動なさるのに、安全に移動なさるのにバリアとしてどうなんだろうか、この目安でいいんだろうかということの検証はどのようにされておりますか。

梅田政府参考人 先ほどの数値でございますが、私ども、その程度の数値であれば車いす等の通行に対しまして支障になることはないだろうというふうに考えておりますが、先生御指摘のように、すき間はできるだけ小さく、それから高さの差はできるだけ小さくやった方がいいというのは御指摘のとおりでございます。

 私どもといたしましては、この基準につきましては、今後またガイドライン等の見直し等があろうかと思いますが、その際によく検討してまいりたいと思っております。

三日月委員 いろいろなことに、例えば車両にしろホームにしろ、改善するのにコストがかかることも存じ上げています。いろいろな御努力の中でいろいろな基準をつくられていることも承知なんですけれども、五センチまで縮めたんだったら、もうフラットを目指しましょうということを提案したいと思うんですね。逆に、プラスマイナス、高くするのも低くするのも、五センチまで来たんだったらフラットにしようじゃないか、目安をつくっているんだったらですよ。

 ぜひそういう観点で今後の検討をしていただきますようによろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、バリアフリー法の質疑ということで、午前中から午後にかけて行われておりますが、本日は私が最後の質問者となりますので、大臣もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、今回の法案でございますが、平成六年のハートビル法、そして十二年の交通バリアフリー法、この二つの法律を統合し、そして拡充させていくという、まさにこれからの少子高齢時代に適合した法案だというふうに私どもは考えております。

 特に、平成十二年の交通バリアフリー法のときに、私ども公明党が連立政権に参画をして、この交通バリアフリーについて主張をさせていただく中で法案ができてまいりました。その後、特に鉄道駅におけるバリアフリー化、エスカレーター、エレベーターの設置でございますが、これはかなり進められてきた、そういう成果が出てきている。しかしながら、まだ完璧でないということで、今回この法律の制定において、そういった問題をさらに一層進めていただきたいということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 その上で、今回のこの法案のポイントの一つとして、基本構想制度の拡充について説明があります。現行の交通バリアフリー法、ここでも、この法律に基づいて基本構想の策定というのがなされてきたと思いますけれども、その状況というものがどのような状況になっているか、まずお伺いしたいと思うんです。

 その上で、これは昨年とことしの予算委員会の分科会でも、私は地元の多摩地域のことでも質問させていただいたと思います。特に一つの例として、多摩地域の基本構想についての策定状況についてもお聞かせ願いたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行の交通バリアフリー法に基づく基本構想の策定状況でございますが、平成十八年五月末現在、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設のある自治体五百三十九市町村のうち、二百九市町村で二百三十二の基本構想が作成されております。このほか、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設が存在しない、すなわち五千人未満のところ等でございますが、そこで十二件基本構想がつくられております。

 多摩地区でございますが、六市におきまして基本構想が策定されております。羽村市、武蔵野市、八王子市、三鷹市、府中市、日野市でございます。

高木(陽)委員 今、五百三十九のうちの二百九という、大体半分近くということですね。私の地元の多摩の方はちょっとおくれておりまして、三十の市町村がございまして、その中でまだ六市ということで、そこから考えますと、まだまだこの基本構想が進んでいない。この構想はつくらないで、現実的にその場その場でしっかりとバリアフリー化をしている部分もあるんですけれども、やはり一つの駅だけの問題じゃなくて、そのエリア、周辺を含めたこういった構想というのはやはり必要であると思うんです。

 この基本構想策定が進まない理由、これについてどのように考えているか、また、今回の法律案によってその基本構想の策定というものがどのように促進されるか、その点について伺いたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 基本構想を作成していない市町村における理由につきまして調べましたところ、二三%が実は別の方向で、この法律ができる前に既にバリアフリーをいろいろ取り組んできて、もうバリアフリー化が済んでいる、だから構想をつくらないんだというのがございました。それから、地方公共団体の能力等に関する部分がかなりございまして、一つは予算が足りないというのが一七%、担当部署がない、ノウハウがないというのがそれぞれ五%ずつございます。それから、市町村合併後に検討するんだというところもございまして、さまざまな理由がございます。

 それから、今後この基本構想の策定を促進するためということでございますが、今回の法案におきまして、当事者が基本構想の策定等を市町村に対し提案することができる。市町村がいろいろな都合でなかなかつくらないときに、利用者の方々からつくった方がいいよというような提案をして、それについて動きが始まるというようなことがございますし、それから、市町村が協議会をつくるということで、関係者みんなが集まって、このまちづくりの基本構想、バリアフリーの基本構想をやるというようなことが可能になってくると思います。

 国土交通省といたしましても、公共団体の財政状況も踏まえ、協議会による基本構想策定のための経費を補助対象にするなど、市町村に対するまちづくりを支援していきたいと考えているわけです。

高木(陽)委員 もう既に二三%がこの法律ができる前に取り組んできた、これはこれでいいと思うんですが、それ以外のその理由の中で、今局長がお話しされた能力の問題、いわゆる予算の問題、ノウハウの問題等々ありました。

 特に予算が一番パーセンテージとして大きい一七%ですね。これは、今、歳出歳入一体改革の議論が進められている中で、これまでも公共事業はある意味でいうと削減対象。ただ、こういったバリアフリーだとかそういう問題に対して、これはやはり別枠で考えるぐらいなことをしていかないと、やはり今の地方自治体の体力または財政力、こういったところから、幾らいい法律ができたとしても、このバリアフリーというのが進むということは厳しいんじゃないかな、こんなことも考えております。

 そういった部分では、要望として、しっかりとこの点について大臣のリーダーシップを発揮していただきながら、このバリアフリー化への予算組み、そしてまた地方公共団体との連携をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、基本構想の作成に関する協議会制度、これはこの法律の二十六条ですね、法定化されておりますけれども、その促進策の一つとして説明されているけれども、これは任意の制度である。先ほど局長のお話の中にあった当事者の提案というのがあるんですけれども、やはり協議会というのがこれから大きな比重を占めてくるのかな、こういうふうに考えるんですけれども、この当事者の参加はこの協議会について担保されているかどうか、この点について伺いたいと思います。

竹歳政府参考人 今回の法律におきましては、この当事者の参加ということが極めて重要であると考えております。住民や利用者の皆さんの計画段階からの参加の促進を図るために、基本構想を作成しようとする市町村は、基本構想の作成に関する協議及び、計画をつくるだけじゃなくて、その後の実施についても連絡調整を行う、こういうための協議会を組織することができることとなっております。

 今御指摘のように、確かに、協議会の設置はできるということで任意になっているわけでございます。これは、やはり地方自治の建前から、市町村が必要と考えたらやる、もし必要でないと考えたら個別に権利調整をしなくちゃいけないというような考え方になっているわけです。ただ、現在におきましても、ほとんどの市町村で関係者の意見を反映させるための協議体が設置されている実績がございます。

 基本構想作成済み二百三十二件中でございますけれども、一件を除き二百三十一件で関係者が一堂に会して検討を行う、法律ができる前にもう既にこういう、実態的にはそういう形でないとなかなかこういうものは進まないんだということを反映しているんではないかと思います。したがいまして、法律上は設置できるというような任意になっておりますけれども、この協議会は非常に機能していくんではないかと思います。

 それから、協議会が設置されない場合も、今御指摘ございましたように、高齢者、障害者等の利用者から、基本構想の作成及び変更の提案ができるという制度も新たに設けておるわけでございまして、基本構想に対して十分に当事者の意見を反映させていくことができると考えております。

高木(陽)委員 なぜこういう質問をしたかと申し上げますと、やはりいろいろな、バリアフリー化を進めるに当たって、それを利用する側ですね、利用する方々、障害者の方または高齢者の方、そういうハンディを背負って、それでも移動を円滑化しよう、そういう目的なわけでありますから、その当事者が最も使いやすい、最も利用しやすい、これが一番重要なわけですね。そういった部分では、法定化されて協議会ができた、もちろんそれは自治体の裁量、自治体にお任せをする、自治体の方もそれはこの構想をつくる上においてしっかりとその当事者の声を聞く、多分そうなると思います。

 しかしながら、その前の質問で局長が答弁していただいたときに、能力の問題をちょっと触れられました。部署がない、またはノウハウがない、こういうところもあるわけですね。さあ、そういったときに、やっているところの公共団体、自治体のいろいろなパターンを学びながら、または参考にしながら、そういうこともあると思うんですけれども、やはりここら辺のところは、せっかく法律をつくった、そこにそれを実体化させていくというか、実のあるものにしていくという意味では、そういった指導というよりはアドバイスを、国交省としても地方整備局を通じてしっかりと行っていただきたい。ここら辺が、ひとつ提案というか要望を申し上げたいと思います。

 次の質問に移りますが、協議会を含めて、施策を推進するための財政的支援、これも先ほどの答弁の中にあった、予算がないというのが一七%、こういうことがあったわけでありますけれども、バリアフリー化の関連の補助事業の対象、補助率、今回の法律を通じて、交通と、そしてハートビル、いわゆる建築物、これを一体化しながらやっていこう、もっと言えば、まちづくりにそういう形で寄与していこうという考え方を持っているわけでありますが、財政的支援の部分、これがどのように改善されるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。

竹歳政府参考人 財政的支援の改善の部分でございます。

 平成十八年度におきましては、本法案の施行をにらみ、一つは、重点整備地区において、基本構想をつくる、そういう構想の作成を行う協議会に対しまして、バリアフリー環境整備促進事業というものによりまして、その経費を新たに補助対象としたということがございます。

 それから、駅周辺のバリアフリー化等を実施する都市再生交通拠点整備事業というのがございますが、この地区要件の一つである鉄道駅の一日の乗降客数が、今までおおむね一万人以上となっておりましたが、これをバリアフリー法と合わせて五千人以上に引き下げて緩和して、この事業がやりやすくなったということでございます。

 そのほか、もちろんまちづくり交付金というのが非常に大きな目玉でございまして、平成十七年度千九百三十億円であったのが十八年度は二千三百八十億円と、公共団体にとっては大変使い勝手のいい交付金というものも大幅に増額している。財政が厳しい中でめり張りのついた予算が設けられているわけでございまして、これも大いに活用していただけると思います。

 そのほか、福祉タクシー導入促進のためのモデル事業というのも新たに創設いたしまして、こういうまちづくりとそれから交通機関、こういうものが一体となったバリアフリーを進めるということ。このほかにも税制とか融資とか等々ございまして、あらゆる手段を活用してバックアップをしていきたいと思います。

高木(陽)委員 新たな仕組み、そういう形でも拡充されているというような答弁であったと思います。

 例えば、財政的な問題で申し上げますと、交通バリアフリー法ができたことによって、例えば鉄道駅エレベーター、エスカレーター設置の場合に、三分の一は国が負担しましょう、三分の一は自治体で、三分の一は鉄道事業者ということで。東京都の場合には、さらにそれを東京都と地元の市町村、これをまた折半しますので、六分の一、自治体が負担すれば何とかその流れに乗っかっていける、こういうのがあるわけですね。

 ところが、そこそこの一般市であるといいんですが、町村になってきますと、ここら辺の財政、六分の一でさえ厳しい、こういう現状もあるわけです。

 ただ、今御指摘のあったようなまち交、まちづくり交付金ですね、そういったものをうまく活用しながらというお話がございました。しかしながら、これも、地方公共団体の関係者、いわゆる首長さんを初め担当の部課長というか関係者がその趣旨を理解していないと、うまく生かされないんですね。せっかくいい制度がある。交付金制度、また補助制度等がある。税制のいろいろな措置もある。ところが、なかなかそれをすべてにわたって把握をしている自治体というのは、正直少ない。それをうまく活用して本当にフル回転している自治体もあるんですが、全体的に見て、そうじゃない自治体の方が多いんじゃないかなというふうに思うんです。そういう地方公共団体の意識を高めるために、周知活動、これをきちんと行うべきと考えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、バリアフリー化の推進に当たりましては、公共団体等の関係者がそれぞれに求められた役割をしっかりと果たしていっていただくことが重要であると思います。本法案におきましては、国、公共団体、施設設置管理者、国民の各関係者の責務規定を設けております。

 すなわち、地方公共団体につきましては、国の施策に準じて、バリアフリー化を促進するために必要な措置を講ずることと規定しておりまして、地域レベルで国の施策と同様の施策を実施する、あるいは国の施策の実施に当たり連携を図るといったことが求められております。

 確かに、公共団体によりましてはいろいろ課題も抱えているということがありますが、一方、都市間競争で競争しておられますから、やはり隣の町でやればうちの町でもということもあります。それから、利用者の方から、なぜうちはやらないんだというような突き上げもあるというような、そういういろいろなメカニズムが働くことも期待できるわけでございます。

 そういう中で、国土交通省としましては、例えば、基本構想の作成を促進し、地域における一体的、総合的なバリアフリーを推進するために、各地方運輸局等が中心になりましてセミナーを開催しましたり、基本構想未作成の市町村に対してバリアフリープロモーターの派遣を行う等の取り組みも行っているところでございまして、今後とも、全国の市町村におけるより一層のバリアフリー化のための施策を応援していきたいと思っております。

高木(陽)委員 今、セミナー等を開催しているというお話がございました。

 まちづくり三法がこの国会で成立いたしました。これは都市・地域整備局が中心となるんですけれども、経済産業省と共管で中心市街地活性化法もあって、そこでの補助金等もあるわけですね。このときに、都市・地域整備局長、柴田局長にも申し上げたんですが、先ほど申し上げたように、せっかくいいものをつくっても、現場がわかっていない、それを活用し切れていない、これは本当にもったいないなと。

 限られた予算、国交省の予算も毎年毎年厳しい中で、本当に削減をしながらやっている。でも、やはりまちづくりにとっては必要である。特にこのバリアフリーという問題は、本当にこれからの二十一世紀、少子高齢社会の中で絶対に必要なものである。それを国を挙げて推進していこうという中での予算または制度、こういったものを本当に現場の、合併をしましたので自治体が千八百等々まで減ってまいりました、それぞれの自治体がすべて、ある意味でいうと理解できる、理解するというよりは活用し切る。もっと言えば、それで予算が足りないんだ、さらにもっと必要なんだというぐらいな流れに持っていかないと、最終的なバリアフリーが完璧にできるというのは本当に何十年も先になってしまうという不安があるわけです。

 高齢社会というのはもう待ったなし、もっと言えば、人口減少社会に入って、どんどんどんどん高齢者の方がふえていく。障害者の方々も、現実、今ずっといるわけで、そういった部分では、この周知徹底というか、あるいは啓蒙活動をやっていただきたい。

 ただ、現実、地方整備局のメンバーを見ますと、人数の少ない中で、やる仕事はすごくたくさんあります。このバリアフリーだけをやっているわけではありません。そういった部分では、本当に大変な中でありますけれども、そこは何とか知恵を絞りながら頑張っていただきたい、こういうことを申し上げておきます。

 次に、大臣に、これは最後の質問になると思いますが、お伺いしたいのは、関係者の意識を高めることにあわせまして、情報の提供、また国民の、高齢者、障害者等に対する理解、協力といった、これはきょうの質疑でも何度も出てまいりました心のバリアフリーですね、これを進めることが重要と考えておりますけれども、これまでどうやって取り組んできたのか、またこれからどのように取り組むのか、お伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 バリアフリー化を進めるに当たりまして、ハード面の整備、もちろん必要でございますけれども、それだけではなくて、適切に情報が提供されること、また、国民の方々のバリアフリーについての御理解と御協力をしっかり得ていくということが重要というふうに考えております。

 これまでも、高齢者、障害者に対する理解を促進するために、体験学習の実施をしたりだとか、それから国、地方公共団体、交通事業者、NPOが連携をしまして、駅やその周辺において困っている方々に対し手助けを行うボランティア活動を普及するとか、それから交通事業者のやはり人材育成が大事でございますので、交通事業者向けの教育プログラムを作成したり、さらには駅構内のバリアフリー施設や乗りかえ案内の情報を統一的に提供するためのシステム、らくらくおでかけネットというんですけれども、こういうのを構築したり、こうした取り組みをこれまでやってきているところでございます。

 今後とも、こうした施策をしっかりと強化をさせていただきたいと思っておりまして、例えば、地域レベルでのバリアフリー化の取り組み推進のための人材育成事業、こういうのにも取り組みをさせていただきたいと思っておりますし、また、新たなバリアフリー化指標についても検討してまいりたいと思っております。

 これまで、例えば段差解消が何%というふうに、割とハード面によったことが多かったわけでございますが、利用者の視点に立ったバリアフリー化の評価の指標というものもぜひ検討をさせていただきたいと思っておりまして、そうした評価指標を、今、学識経験者等によりまして検討をしていただいております。これらの検討結果を踏まえまして、来年度には、具体的な指標による計測とか、また公表もしてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今、ハードの面だけではなくてソフトの面もしっかりと充実させていくという大臣のお話がありました。これは本当に車の両輪でございますのでしっかりとやっていただきたいということと、もう一つは、今回の法律、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、社会的弱者というか、高齢者、障害者の方々を含めて、弱者の方々に温かいまちづくりというのをしなければいけないのですが、もう一つ、健常者でも危ない部分というのもいろいろあるわけですね。

 どういうことかというと、先日、大臣、私の地元の立川に来ていただきまして、立川駅を見ていただきました。自由通路、これが一つしかなくて、改札口が一つしかなくて、一日三十万人の乗降客がある。三十万人という、中央線においては新宿、東京、中野に次ぐ、それだけの乗降客のある駅の中で、改札がたった一つしかないということで、そこに朝晩のラッシュに人が集中する。これはもう、もちろん障害者、高齢者の方々にも危険、または子供連れ、小さなお子さんも危険、普通の大人も危険なわけですね、健常者も。そういった部分では、ハードとソフト両面と言いましたけれども、まだまだハードがおくれている部分もたくさんあるんだということで、先ほどから何度か申し上げておりました。

 公共事業と一くくりにすると、何か今まで、公共事業というのは悪者なんだ、こういうような見方をする部分というのが多々あったと思います。しかしながら、やはり必要なところにはしっかりとやっていかなければいけない。それは納税者のためであり、国民のためであり、本当に、そこに住んでいる、利用している一人一人のためである。

 そういった観点から、またこれから、通常国会は延長しないというような、そういうような流れが多々ありますけれども、そうなりますと今度は、来年の概算要求のシーズンとなってまいります。そういった部分では、しっかりとこの点を踏まえて、大臣のリーダーシップを発揮していただいて、私どももそれをバックアップできるように頑張っていくことをお誓い申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 次回は、来る十三日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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