衆議院

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第28号 平成18年6月14日(水曜日)

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平成十八年六月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    後藤 茂之君

      坂井  学君    坂本 剛二君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      田村 憲久君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    葉梨 康弘君

      福田 良彦君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    園田 康博君

      田名部匡代君    高木 義明君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鉢呂 吉雄君    馬淵 澄夫君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      斉藤 鉄夫君    穀田 恵二君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      松村 龍二君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        奥田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     福田 良彦君

  田村 憲久君     坂井  学君

  古賀 一成君     北神 圭朗君

  高木 義明君     園田 康博君

  森本 哲生君     田名部匡代君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     田村 憲久君

  福田 良彦君     坂本 剛二君

  北神 圭朗君     古賀 一成君

  園田 康博君     高木 義明君

  田名部匡代君     森本 哲生君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、総合政策局長竹歳誠君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、鉄道局長梅田春実君、自動車交通局長宿利正史君、警察庁交通局長矢代隆義君、外務省大臣官房参事官辻優君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君及び厚生労働省社会・援護局長中村秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。

 いよいよ通常国会も最終局面を迎えました。この国会中、多くの困難な課題に対して、毎日真摯に対応いただきました国土交通省各部署の皆様に対して、まず深く敬意を表したいと存じます。また、常に前向きに心を込めた答弁をいただきました大臣に対して、心から感謝を申し上げたいと存じます。

 それでは、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案についてお伺いをいたします。

 まず、基本構想制度についてでございます。現行バリアフリー法と同様に、本法案におきましても基本構想の制度が大きな柱をなすと心得ます。この新たな基本構想制度の趣旨、内容についてお伺いをいたします。

 また、基本構想の対象となるエリアが拡大をいたしますが、新たにどのような地域が対象となるのでありましょうか。特に、都市部ばかりでなく、高齢化の著しい地方部におきましてもバリアフリー化への要望は極めて大きなものがございます。ちなみに、私の選挙区におきましては、二十六のJRの駅がございますが、利用客五千人を超える駅は一つもありません。そのような地方部の小規模な駅、今まで基本構想の策定が困難であった地方部のこういった駅周辺におきましても策定が可能となるのでありましょうか。あわせて国土交通省の見解をお伺いいたします。

竹歳政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、現行の交通バリアフリー法と同様に、面的にバリアフリーを進めるということで基本構想制度を設けております。この基本構想制度は、構想策定段階で多くの関係者が集まりまして、周辺環境をともに見回して、バリアを点検、認識を共有して、その解決策を基本構想という形にすることで合意形成を図るという非常に大きな意味を持っているものでございます。

 今御指摘のように、現在の交通バリアフリー法では、基本的には、一日の平均乗降客が五千人以上等、一定の要件に該当する旅客施設から徒歩圏にあることを要件としておりました。これに対しまして、本法律案におきましては、地域の実情に応じた総合的、一体的なバリアフリー化の推進を図るため、従来の特定旅客施設を中心とした徒歩圏ということを改めまして、市町村の判断で、より柔軟に重点整備地区を設定することが可能とされておりまして、一日の平均乗降客が五千人未満の旅客施設についても基本構想が策定される場合があると考えております。

 具体的には、高齢者等の利用する施設が集積をしている、しかしながら、特定旅客施設から徒歩圏外にあって、当該特定旅客施設、すなわち駅からはバスによって結ばれているような地区でございますとか、そういう高齢者等の利用する施設が集積しているけれどもその中に駅はないというようなところについても重点整備地区と定めて、これらの地区におけるバリアフリー化の一体的な推進を図ることが可能となります。

 したがいまして、一日の平均乗降客が五千人以上の特定旅客施設が存在しない、従前は基本構想の策定が困難であった地方の小規模な駅周辺においても、本法律案に基づきまして基本構想の策定が可能となるものと考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 地域の実情に応じた対応を図るということでございました。地方の活力なくして国家の繁栄はないと申します。ぜひこういった地方部にも温かみのある運用を図っていただきたいと存じます。

 続きまして、バリアフリー化に向けた現場のインセンティブをいかに確保するかが大事な課題であろうと思います。

 例えば、違反に対する改善命令に従わない事業者などに対しての罰則、これは、今回新たにどのように強化をされるのでありましょうか。また、財政状況が逼迫をする自治体あるいは事業者に対して、財政面、税制面での措置はどのように図られましょうか。あるいはまた、基本構想に沿ったその事業計画をいつまでに実施するのかなどといったような具体的なことについて、関係者間において確認をし、連携を図っていく、これも重要な要素であろうと思います。あるいは、事業者に対して、バリアフリー化に対するその適合状況、進捗状況について、国や自治体に対して報告を徹底させる、そういうことも大事であろうと思います。

 以上のような観点を含めて、制度の実効性をいかに図っていくのか、国交省にお伺いいたします。

竹歳政府参考人 制度の実効性を担保する件についてのお尋ねでございます。

 バリアフリー化に向けた関係者のインセンティブを確保するために、本法案では、単に施設管理者等に基準への適合を求めるのみならず、先ほど御答弁申し上げました基本構想策定制度でございますとか、これに基づく公共交通特定事業に要する費用に係る地方債の起債の特例、それから、よりレベルの高いバリアフリー化を行う建築物について容積率の特例や認定マークの表示を認める認定制度等々、さまざまなインセンティブを用意しております。

 一方、罰則の関係でございますけれども、本法案に違反し、改善命令にも従わない事業者につきましては、現在のハートビル法、交通バリアフリー法、いずれも百万円以下の罰金とされているところ、これを引き上げて三百万円以下の罰金とするということにより、法令遵守を徹底させたいと考えております。

 それから、財政措置につきましては、基本構想を作成するための経費でございますとか、福祉タクシー導入促進のためのモデル事業への支援措置等々、さまざまな財政、税制、金融の措置を講じておるところでございます。

 このほか、御指摘のような、事業計画の実施についての関係者間での確認に資するよう、基本構想の作成に関する協議のみならず、事業の実施に係る連絡調整をも行うための協議会制度を法定化するとともに、建築物等への立入検査や、所有者等に対して特定行政庁等が本法に基づいて報告徴収を行うための根拠規定を設けておるところでございます。

 以上のようなさまざまな取り組みにより、バリアフリー化がより一層促進されることを考えているわけでございます。

小里委員 目標の達成に向けて、制度の実効性が上がるようにしっかりと運用をお願いしたいと思います。

 続きまして、ユニバーサルデザインの考え方についてお伺いをいたします。

 高齢者や障害者などに配慮をしつつ、だれにとっても優しいデザイン、いわゆるユニバーサルデザインの考え方が普及をしております。例えば、昨日の視察でも拝見させていただきましたが、車いす用の広いトイレは、これは子供連れの御婦人あるいは大きな荷物を抱えた人にも活用できるものであります。よく階段わきにある車いす用のスロープでございますが、これも乳母車を押す御婦人あるいはまた旅行者、スーツケースを引く旅行者などにも活用できるものであります。こういった高齢者や障害者用の設備を専用化するのではなく、広く一般の人も恩恵を受ける対応とすることは合理性があると考えます。

 そもそもバリアフリー法は国交省の定めるユニバーサルデザイン政策大綱に基づくものと理解をいたしますが、このユニバーサルデザインの基本的な考え方、取り組み状況についてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 高齢者や障害者を含むすべての人々が安心して生活できる環境整備は重要な課題でございます。そこで、従来のバリアフリー施策に加え、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの考え方に基づき、まちづくりや交通環境整備を進めることが必要であると考えております。

 このため、昨年七月に国土交通省として、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、今後、身体的状況、年齢、国籍などを問わず、可能な限りすべての人が人格と個性を尊重され、自由に社会に参画し、生き生きと安全で豊かに暮らせるよう、生活環境や連続した移動環境をハード、ソフト両面から継続して整備、改善していくという理念に基づき、社会資本整備、公共交通分野における施策展開についてユニバーサルデザイン政策を取りまとめたところでございます。

 このユニバーサルデザイン大綱は十の施策の柱から成っております。一つは、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた多様な関係者の参画の仕組みの構築。それから二つ目は、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた評価、情報共有の仕組みの創設。三つ目が、一体的、総合的なバリアフリー施策の推進。それから四番目が、基準、ガイドラインの策定。それから五番目が、心のバリアフリー社会の実現ということで、ソフト面での施策の充実。六番目が、だれもが安全で円滑に利用できる公共交通の実現。七番目が、だれもが安全で暮らしやすいまちづくり。八番目が、さまざまな人、活動に応じた柔軟な対応。九番目が、ユビキタスネットワーク技術のようなIT等の新技術の活用。十番目が先導的取り組みの総合的展開ということで、幅広く施策を展開することになっているわけでございます。

 この中核をなすのがまさに今回のハートビル法と交通バリアフリー法の一体化に向けた法制度でございまして、このユニバーサルデザイン大綱に基づきましてこの法案を提出させていただいたわけでございました。

 今後、これらを展開することによりまして、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたまちづくりや交通環境整備が促進されるよう努めてまいりたいと思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 高齢者や障害者が特別であることを感じさせない社会、そんな社会こそ真のバリアフリー社会であると考えます。ぜひこのユニバーサルデザインの考え方、さらに推進を図っていただきたいと存じます。

 続きまして、移動情報の提供についてお伺いいたします。

 高齢者や障害者にとってのバリアは四つ存在をすると言われておるところでございます。物理的なバリア、制度のバリア、心のバリア、そして情報のバリアでございます。この中で情報のバリア、例えば、バリアフリー設備の設置場所がわかりにくいとか、あるいは視覚障害者にとってバスや電車の路線図がわかりにくいといったような指摘は多くあるところでございます。多様な情報を音声や表示など多様な方法で提供する、この考えが求められると思います。

 このような移動情報をどのように提供していくのか、取り組み状況についてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 高齢者や障害者の方々が安心して外出できるようにするためには、どのような施設でどのようなバリアフリー化が実施されているか、どのような経路を選択すれば支障なく目的地に到達できるかについての情報をこれらの方々があらかじめ知ることができるようにすることが重要です。

 このため、国土交通省においては、例えば駅構内のバリアフリー施設、乗りかえ案内の情報を統一的に提供するためのシステムの構築、らくらくおでかけネットと呼んでおりますけれども、これらの取り組みを進めてまいりました。このらくらくおでかけネットでは、駅の名前等を入力いたしますと、車いすでの移動のしやすさとかトイレの情報等のお出かけ情報が検索できるというようなものでございます。本法案でも第五十二条第二項によりまして、国は、移動等円滑化に関する情報提供の確保に努めなければならないこととしておりまして、バリアフリーに関するホームページの内容の充実を初め、御指摘のように、多様な情報を多様な方法で高齢者や障害者の方々へ情報発信されるよう、関係者の取り組みを促してまいりたいと思います。

小里委員 ありがとうございました。

 最後に大臣にお伺いしたいと存じます。

 少子高齢化と人口減少社会の到来を大きな時代背景として、環境問題や安心、安全への対応など、まちづくりは今大きなターニングポイントにあると認識をいたします。多様な国民ニーズにこたえながら、持続可能な、活力あるまちづくりが求められております。

 このような時代の要請に対応して、各種の制度上の整備が精力的に図られてきたところであります。中心市街地のにぎわいを取り戻し、歩いて暮らせるコンパクトシティーを目指してまちづくり三法の改正がなされ、一昨年は、地域の歴史や伝統、文化を踏まえて、美しく調和のある町並みを目指す景観法が制定をされました。あるいは、都市機能の高度化や居住環境の向上を図る都市再生特別措置法が制定され、先ほどは、建築物の安全を期す建築基準法の改正等もなされたところであります。そして、人に優しいまちづくりを目指す、今回の法案に大きな期待をまた寄せるものであります。

 これらの制度の適切な連携のもとに、新たな活力ある心豊かなまちづくりに向けて、国土交通行政、まさにその真価を問われておると思います。新たなまちづくりに向けての大臣の決意をお伺いいたします。

北側国務大臣 今小里委員がおっしゃったように、今大きな転換点にあるというふうに私も考えております。

 人口減少時代の到来、また本格的な高齢社会にいよいよ突入をしてまいります。そういう中にありまして、我が国のまちづくりのあり方につきまして大きく転換をしていく、変更していく見直しを、この数年来、今委員の御指摘にあるとおり、させていただいたところでございます。

 この国会におきましても、まちづくり三法について見直しをさせていただきました。これからの高齢社会、人口減少社会に対応するように、歩いて暮らせるまちづくり、コンパクトシティーをこれからは目指していくべき、そういう観点で改正をお願いしたところでございますし、また、これからの高齢社会を考えますと、ドア・ツー・ドアで移動ができるようにしていくべきである、そういう観点から道路運送法の改正もさせていただいて、NPOによるボランティア有償運送についても制度化をさせていただいたところでございます。

 やはりそうした流れの一環として今回の、今御審議をいただいております新しいバリアフリー法もあるわけでございまして、このバリアフリー法を通していただきましたならば、そうしたコンパクトシティー、コンパクトなまちづくりを進めていきますが、かつ、バリアフリー化された、面的な整備をこれからしっかりと進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 ただ、どれもこれも、すべてこれはまちづくりですから、主体は、やはり行政としては市町村でございます。市町村とよく連携をとらせていただいて、市町村が、今委員のおっしゃったように非常に多様でございます、多様なニーズに的確に対応できるように、市町村とよく連携をとって対応していかなければならない。まちづくり交付金、それから地域住宅交付金、こうした制度も創設させていただいて、こうした制度も活用できるような仕組みになっておりますので、市町村が使いやすいような、そうした助成制度にさせていただいているところでございます。

 こうしたさまざまな制度を総合的に有効に活用して、今後のまちづくり、時代にきちんと合うようなまちづくりを進めていけるよう、しっかり連携をとって進めさせていただきたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

林委員長 大塚高司君。

大塚(高)委員 自由民主党の大塚高司でございます。

 提案理由説明でも述べられているように、この法案は、高齢者、障害者等の自立した日常生活を確保することの重要性にかんがみ、バリアフリー化を推進していくこと、そのことが目的とされております。すなわち、バリアフリー化についてハード面での整備を進めていくことが、高齢者、障害者等の自立した生活の基盤になるという考えであろうかというふうに思います。

 一方で、自立ということから考えますと、高齢者や障害者が、それぞれの地域において、バリアフリー化を推進していくプロセスにおいて利用者として積極的に参加するようにできることが重要であるわけであります。本法案におきまして、市町村が作成する基本構想に基づいて、地域においてバリアフリー化を重点的、一体的に進める制度が設けられております。

 そこで、基本構想の作成に当たり、今回の法案では、協議会制度が法律上明確に位置づけられていることになっておりますが、その趣旨について改めて御確認いたしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、基本構想の作成に当たりまして、数多くの関係公共交通事業者、道路管理者、建築主等や、高齢者、障害者等の利用者の方々などが参加して協議を行い、理解と協力を確保するとともに、その基本構想の実施に向けた関係者間の調整をより円滑に行うための手段として、新たに協議会制度を法定化することとしております。

 協議会の構成につきましては、法案第二十六条第二項で、一つは、基本構想を作成しようとする市町村、二つ目には、関係する施設設置管理者、公安委員会その他基本構想に定めようとする特定事業その他の事業を実施すると見込まれる者、それから三番目に、高齢者、障害者等、学識経験者その他の当該市町村が参加が必要であると認める方々としているわけでございます。

 そして、同条第四項では、この協議会につきましては、関係する施設設置管理者等については、正当な理由がある場合を除いて、協議会における協議に応じなければならないこととしております。この正当な理由というのは、近々にもう施設を廃止してしまうとか譲渡してしまうとか、そういう場合等の極めて例外的な場合に限られるものでございますので、この協議会がつくられますと、関係者がみんなそこに集まってくるということになります。

 この協議会制度の活用によりまして、施設の設置管理者等と高齢者、障害者の方々、利用者との間での理解と協力を踏まえてバリアフリー化が推進できることになります。

 また、市町村による基本構想の作成に際しましては、市町村が個別に関係者と調整をしておりますと時間がかかりますので、この協議会の場を使うと、より迅速かつ効果的に基本構想の作成を進めていくことができることになります。

 また、単に基本構想をつくればそれでおしまいというわけではございませんで、基本構想策定後におきましても、引き続き実施に係る連絡調整を行っていくということから事業の着実な実施が担保できるということで、非常に大きな効果が期待できるものと考えているわけでございます。

大塚(高)委員 ただいま答弁にもありましたように、協議会制度というものは、関係事業者等、バリアフリー化の事業を行う側と高齢者そして障害者といった、いわばユーザー側が一堂に会する場を提供する制度になっておるというふうに思っておるわけでございますが、うまくこれが機能していけばバリアフリー化の推進の上で効果的であろうかというふうに考えられます。

 しかしながら、この協議会制度を今回法律上位置づけたにもかかわらず任意の制度となっているということにも相なっておるわけでございますけれども、この基本構想を作成する市町村には協議会制度を義務づけた方がよいのではないかというような話も出ておるというふうに聞いておるわけでございます。

 そこで、この協議会制度が任意の制度であることに関して、当事者参加はきちんと担保できるのかどうかといったこともお伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 協議会制度につきましては、任意の制度にすべきか義務的な制度にすべきか、私どももいろいろ検討を進めました。ただ、地方自治という大きな枠組みの中で考えますと、国の法律とはいえ、市町村に義務づけをするということはなかなか困難ではないかということで、任意の制度として仕組まれております。

 ただ、この協議会の設置自体は任意となっておりますが、実は、現在におきましても、ほとんどの市町村で関係者の意見を反映するための協議体が設置されているという実態がございます。ちなみに、数字で申し上げますと、平成十八年三月末現在でございますけれども、作成済みの基本構想二百三十二件中一件を除き、すなわち二百三十一件で関係者が一堂に会して検討を行う協議会等を設けているところでございます。

 もちろん、今回法定化することによって、先ほども申し上げましたように、正当な理由がなければ協議会への参加を拒めないということになっておりますから、今までの制度よりは一段と進歩して、より義務的というか、法律の枠組みとしてはしっかりしているということになると思いますが、実態としてはそういう状況があるということで、それをさらに法律でバックアップしていこうということでございます。

 それから、地方自治の建前ということを先ほど申し上げましたけれども、もし市町村が、協議会は必要ないよ、個別にいろいろ意見を伺ってやりますということもあり得るわけでございますが、そういう場合におきましても、法案におきましては、高齢者、障害者等の利用者からこの基本構想の作成とかそれから変更について提案できるというような制度も設けられておりますので、当事者の参加ということでは幾つかの道が用意されているということでございます。

大塚(高)委員 この協議会制度が地域のバリアフリー化を進めていく上で有効に機能するかどうかということは、運営に当たる市町村の力量によっても大きく左右されるのではないかというふうに思うわけでございます。そのような観点から見ますと、地方分権の時代とはいえ、やはり国土交通省においても市町村を何らかの形でサポートしていってもよいのではないかというふうに思うわけでございます。

 そこで、この協議会制度が今後有効に機能するように国土交通省としてはどのように取り組んでいくか、お尋ねをいたします。

竹歳政府参考人 協議会制度というのは、基本構想を作成するとともに、その実施に向けた調整を円滑に行う上で極めて重要でございます。

 基本構想というのは、先ほども若干申し上げましたけれども、やはり関係者の人たちが、自分の町がどうなっているのか、周辺環境を、自分の町をみんなで点検して、ここにこういう問題があるからこう直していこう、今は時間がない、お金がないということでここまでは手が届かないけれども、次はこういうことをやろう、こういうような大きな枠組みとしても機能する重要なものでございます。

 したがいまして、そういうような重要性について市町村の方々、関係者の方々にしっかり御理解いただくために、基本方針の中でその趣旨等についてわかりやすく示していきたいと思いますし、市町村によりましては、財政的な面からなかなかそういう基本構想を策定できないという場合もあろうかと思いますので、基本構想策定のための経費を補助対象にするなど、市町村において協議会制度が有効に活用されるよう国土交通省としても支援していきたいと思います。

大塚(高)委員 次に、我が町大阪の千里ニュータウンでは、北側大臣はよく御存じのとおりであるというふうに思っておるわけでございますけれども、全国初の大規模ニュータウンとして、緑豊かに成熟した町へと成長してきたわけでございます。昭和四十年以前に建築され、築後三十年から四十年以上経過した住宅が地域の九四%を占めており、人口構成においても、高齢者の占める割合が全国平均の一九・五%を超え、二四・九%にも達し、今後急激に増加することが予想されております。ニュータウンにおける新たな都市をつくり出そうという試みを継承し、日本の社会や都市の課題に挑戦し続ける町として、駅や医療施設といった公共公益施設も整備され、多様な人が職住共存のまちづくりという目標に向かって今努力している中、今回の法案に大きな期待が寄せられております。

 本法案によってどのような対応が可能になるか、お伺いをいたし、そしてまた、ニュータウンのバリアフリー化が構造上困難な古い駅や住宅等に対する対策はどのような方法があるか、お尋ねをいたします。

北側国務大臣 千里ニュータウンは日本で最初にできたニュータウンでございます。入居開始が、一番最初は昭和三十七年度でございますので、もう四十年以上前、四十四年前なんでしょうか。この千里ニュータウンだけではなくて、東京の方の多摩ニュータウン、そして、私の地元なんですが、泉北ニュータウンとか、そういう昭和三十年代から四十年代にかけまして造成され、当時若い方々が入居されたニュータウン、これが同じような状況になっております。

 一つは、お住みになっている方々の高齢化の問題、そしてもう一つは、建物自体が非常にやはり老朽化をしてきている。そういう中で、ニュータウンがある意味ではオールドタウン化をしておりまして、このニュータウンの再生をどうしていくかというのは私は喫緊の課題だというふうに考えておりまして、国土交通省内でもそうした検討を進めているところでございます。今回の法律につきましては、千里ニュータウンについても、こうした時代にふさわしいバリアフリー化をしっかり進めていく大きな端緒になるのではないかというふうに私は考えているところでございます。

 もともと、千里ニュータウンなんかもそうでございますけれども、非常に緑豊かでございますし、また下水道も道路も非常に整備がなされておる、そういう既存ストックは、十分に都市機能が集積をされているわけでございまして、これから目指すべきユニバーサルデザインの町のモデルとすべき地域じゃないのかなというふうに考えているところでございます。

 ぜひこの千里ニュータウンのところで、本法案で言う重点整備地区を設定していただいて基本構想を作成することによって、一体的、総合的なバリアフリー化を進めていっていただきたい、また、しっかり連携をとらせていただきたいというふうに考えているところでございますし、また、豊中市を初め地元の地方公共団体、施設管理者等や地域の住民の方々の参画を得まして、基本構想作成のための協議会の活用をぜひお願いをしたいというふうに考えているところでございます。

 こうしたニュータウンが今やオールドタウン化されているわけでございますので、なおさらのこと、この法案に基づきまして、面的なバリアフリー化が一層進むように、ぜひ市町村と連携をとり、進めさせていただきたいと考えているところでございます。

梅田政府参考人 先生御指摘の、ニュータウンの古い駅についてどういう方策があるのだろうかということでございますが、駅の構造にもよりまして、強度などの面で、エレベーター等バリアフリーの施設を整備していくという際には、今の施設ではどうも十分ではない、やはり駅の建てかえなんかをしなければならないというようなケースも出てこようかと思います。

 御指摘のような駅につきましては、今回の法律で、基本構想作成に際していろいろな提案制度あるいは協議会の仕組みができました。駅のあり方を考える際には、駅周辺と一体となって整備をするということが、バリアフリーの観点だけではなくて、やはり駅の事業者にとっても非常に意味のあることだというふうに思っております。

 そういう点から、今後、こういうような法の仕組みをうまく利用していただいて、バリアフリー化に向けて連携して取り組んでいただきたいと思っておりますし、私どもといたしましても、引き続き可能な限りの支援をしてまいりたいというふうに考えております。

山本政府参考人 住宅のバリアフリー化でございますが、公営住宅、都市再生機構の住宅につきましては、平成三年度から、新しく整備するものにつきましてはバリアフリー化を標準仕様として努力をしてまいりました。それとあわせまして、既存の住宅のバリアフリー化のためのリフォームにつきましても、積極的に進めてきたところでございます。

 ただ、住宅の形式によりまして、特に中層住宅の階段室型の住棟につきましては、エレベーターの設置がなかなか難しい。敷地の条件とか居住者の合意形成といったような問題がございますし、努力してつけましても、半階段ほど上らないと住戸にたどり着けないといったような技術的な課題があるのも事実でございますので、こういう課題にみんなで努力して取り組もうということで、昨年から国土交通省で、既存共同住宅団地の再生に関する提案募集というのを都市再生機構などと一緒になって進めておりまして、非常に優秀な提案もいただきました。設備の更新と一体的に外廊下をつけるということで、非常に効率的に半階段を解消するといったような提案も含まれておりますので、こういったことを公共住宅管理主体にも徹底して、バリアフリー化の一種の提案競争ということで、取り組みを一層推進したいと考えております。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 そういったニュータウンにつきましても、再生できるようにまた御尽力をいただきたいというふうに思っております。

 最後になりましたが、バリアフリー化を進めていく上におきまして、やはりお金がかかるというわけでございます。すなわち、この法制度が実際に機能するためには、財政面が本当に重要になってくるわけでございます。

 そこで、本法の施策を推進するための財政的支援はどのようになっているのか、最後にお尋ねいたします。

北側国務大臣 バリアフリー化を進めていくためには、制度が整うだけではなくて、各種のやはり財政的な支援策が重要であるというふうに考えております。

 十八年度におきましては、この法案の施行をにらみまして、重点整備地区において基本構想の作成を行う協議会に対し、バリアフリー環境整備促進事業により、その経費を新たに補助対象といたしました。

 また、駅周辺のバリアフリー化等を実施する都市再生交通拠点整備事業の地区要件の一つでございます鉄道駅の一日の乗降客数を、おおむね一万人以上から五千人以上に引き下げをしたところでございます。

 さらには、福祉タクシー導入促進のためのモデル事業への支援措置の創設だとか、また、まちづくり交付金についても大きく増額をさせていただきまして、既存の支援制度の充実を図っているところでございます。

 今後とも引き続き、この補助事業の対象等の改善を初め、より効果的、重点的な支援制度のあり方について検討を進めさせていただきたいと考えております。

大塚(高)委員 ありがとうございます。

 そういった意味におきましても、これから一人一人がその個性と能力を発揮できるような、そんな社会づくりに向けてこれからもまた御尽力いただきますように重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林委員長 遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 この法案についての自民党として最後の質問の機会をいただきまして、どういう角度で質問するかと非常に迷っておりましたけれども、バリアフリーという、これから社会がもっともっと進めていかなきゃいけないこの課題、多くの方々が質問をして、論点は随分出尽くしているというふうに思うわけでありますが、私自身は、今回、最後の質問ということで、ちょっと角度を変えて質問させていただきたいと思います。

 まず、そもそもバリアフリーというものがなぜ必要なのか、そもそも論から入りますが、日本は、基本的に資源も食料も乏しい、人間が最大限に力を発揮できるような社会でなければならない。したがって、高齢者も身体障害者も、その移動について、基本的な行動について制約がないような社会をつくっていくことが社会のためであり、またそれぞれの人のためになるということがまず挙げられると思います。

 しかしながら、もう一つのバリアフリー、つまり、省庁の壁、あるいは自治体がやるのか国がやるのか事業者がやるのか、そんなような壁を感じながら、高齢者、身体障害者の方々、時にはたらい回しになり、時にはそういった省益の壁、こういったものを感じている。私自身は、そういったものにとらわれずに、体系的に、障害者、高齢者の立場に立ってこの政策を展開すべきだというふうに思います。

 大臣がこの後参議院の本会議に行かれるということですので、冒頭にお伺いをしたいと思いますが、今回、ここは国土交通省でありますけれども、そういった省の壁にとらわれずに、体系的に今申し上げたようなことをやっていくべきだというふうに思いますが、改めて大臣のバリアフリーに対する思いといいますか御決意、所見をまずお伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 本格的な高齢社会の到来になるわけでございまして、高齢者の方々そしてもちろん障害者の方々が自由に社会に参画できるような、そういう社会を我が国はやはり目指していかねばならない、そのためには、バリアフリー化を一層促進をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 おっしゃいましたように、このバリアフリー化を進めていくためには連携が大事だと思います。国と地方公共団体、施設管理者を含めた関係事業者、利用者の方々、そして一般国民の方々、こうした方々が連携をよくとって、協力をしてバリアフリー化を進めていくことが非常に大切だというふうに考えているところでございます。

 この法案におきましても、第四条で国の責務を定めさせていただいておりまして、適時に、かつ、適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるように努めるというふうに、これはいわゆるスパイラルアップ、関係者が協力して、計画、検証、実行のプロセスを進めていく、こういう理念を第四条に規定をさせていただいたところでございます。

 関係者が協力をしてバリアフリー化を推進し、本当に障害者の方々も高齢者の方々も社会参画が自由にできるような社会を目指して推進をさせていただきたいというふうに考えております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 今、省の壁あるいは国と自治体の壁にかかわらず、障害者、高齢者の立場に立って施策を展開するという御決意を伺いました。

 この観点に立って、私自身、これからの質問、多少重複したり、あるいは今回の法案と直接的に関係がないところも含むかもしれませんが、別の角度で質問をさせていただきたいと思います。

 実は、私は、国会に来るのに毎日電車を使っています。駅まで二十分歩いて、そして二回乗りかえてこちらまで来る。そんな中で、改めて、自分が高齢者あるいは障害者だった場合にどこに不安を感じるだろう、どこに障害を感じるだろう、ここを直してほしいな、ここがこう変わればいいな、そんな角度で町を眺めてみました。

 障害者の立場に立ったとき、幾つかの段階があります。いろいろな障害者団体の方々とかいろいろな方々ともお話をして、また自分もそこに重ね合わせたときに、まず一番初めに、外出をするとき何を考えるか。移動手段があるか、タクシーは来てくれるだろうか、あるいはバスにちゃんと乗れるだろうか、そんなところにまず思いが行きます。外出をするときにタクシーを呼ぼう、そうしたとき、障害者、高齢者をきちっと乗せてくれるタクシーがあるだろうか。そして、電話をかけても必ず一定数あるだろうか。いわば、タクシー事業者に、一定数のそういったものに向けての車両が確保されるようなクオータ制度といいますか、一定数を義務づけるような制度というものが今あるのか。あるいは、ないとすれば、今後考えることはできないのか。今、タクシー事業者が非常に厳しい経営環境にあることは重々承知の上で、まず、その点はどうなのかということが一つ。

 そしてまた、設備と施設、あるいはそういったものと人的なサービス、それが結合しなければバリアフリーの施策というものは有効に展開をしません。厚生労働省等そういった役所と予算的に協力しながら、タクシーあるいはバス等について、そのサービスについての予算、こういったものについて配慮がなされているのか、まず、その点について伺いたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今、遠藤委員から御指摘がございましたような高齢者、障害者などの移動制約者がドア・ツー・ドアで本人が希望するとおりに移動できる、こういうサービスを確保するということはこれからの時代に不可欠だと思いますし、私どもの重要な施策課題の一つだ、このように考えております。

 今お話がございましたタクシー事業者に一定の保有義務を課すという考え方がどうかということでございますが、一つの考え方だということは私ども十分よくわかりますけれども、一つには、こういうタクシーの利用というのは、基本的には、利用者が電話で予約をしまして、そういう福祉タクシーを呼んで利用するということでありますから、利用者がそういうタクシー事業者を選択するということは可能であるということ。

 もう一つは、今、遠藤委員御指摘ございましたけれども、大半が中小零細事業者で、実は非常に厳しい経営状況に置かれておりまして、一律に義務を課すというようなことになりますと、コストはふえるけれども収益の増加につながらないということで、ややもすれば過重な負担を課しかねないという心配がございます。

 そういう意味で、私どもとしては、義務づけるというよりも、福祉タクシーの普及の促進について、政策的に誘導をし、あるいは支援をするという手法の方が適当ではないかと考えております。

 なお、それについての予算のお話もございましたけれども、今申し上げましたような観点から、平成十八年度の予算で、私ども、福祉輸送普及促進モデル事業という新しい制度をつくりまして、福祉車両の導入について地方公共団体と支援をすることにしております。あわせて、政策金融措置として、同じく今年度から、中小企業金融公庫などの低利融資制度も創設をいたしました。従前の税制上の優遇措置も引き続き講じております。

 こういった取り組みを通じまして、福祉車両の導入の促進を図ってまいりたいと考えております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、そういった視点で、さまざまなバリアフリーの施策を展開していただければなというふうに思います。

 そしてまた、身体障害者の重要な交通手段でありますバス、私の家のそばにもバス停があるんですが、非常に狭いところで待たなければならない。これは答弁は必要ありませんけれども、このバスを待つ場所について、身体障害者の方々が安全に待てるようなスペースの確保というものを考慮していただければなというふうに思います。

 さらに、重要な交通手段、電車というものがあります。私は自由が丘という駅から通っているんですが、身体障害者の方々からお話を聞くと、朝のラッシュ時はともかく、人の多いときには非常に引け目を感じる、助けを駅員さんにお願いしようと思っても、なかなか向こうの方も忙しい。こういったときに、どういう形で心理的な負担を軽減していくかということは非常に重要だと思います。

 そこで、例えばの話ですが、引け目なくスムーズに構内に入れるような、身体障害者の優先通路的なものは考えられないか、あるいは、バスをおりてから駅の構内に入るまでの誘導するようなものは考えられないのか、そういったものが一つ。

 それから、これは身体障害者の人が言っているんですが、駅員の助力を頼もうと思っても、てんてこ舞いになっていてなかなかお願いできない、ほかの普通の健常者のいらいらしている人にどなられている駅員さんに手を回してもらうということは非常にはばかられる。ですから、できれば、助けを呼ぶときに、通報といいますか、ベルといいますか、私はちょっと困っているんですというサインを出すような施設が何か駅の周辺にないかな、こんな話を聞きます。

 そして、駅員さんに聞きますと、身体障害者の方々に対応していると先輩に怒られる、そんなことよりいらいらしている客にちゃんと対応しないと困るじゃないか、こういうことになる。したがいまして、駅員さんの話によれば、社内においても、身体障害者の方々、高齢者の方々を優先的に対応しますということを社内の教育で徹底してくれればおれたちも動きやすい、あるいは、駅の構内に、身障者あるいは高齢者の方々の対応を優先させていただきますというような掲示あるいはアナウンスがあれば非常に楽に対応できるという指摘があります。

 こういったことを既に取り組まれているところもあるかもしれませんが、今の現状と、また今後の見通しについてお伺いをできればなというふうに思います。

梅田政府参考人 先生御指摘の、鉄道の駅で引け目なくスムーズに構内に入れるような優先通路みたいなものは考えられないのか、こういうお話でございますが、駅の場合は、御指摘のように、通路といいましても、車いすを利用される方々もおられますし、高齢者の方々もおられますし、それから荷物をたくさん持っておられる方、ベビーカーを持っておられる方、たくさんおられます。そういうことで、駅の通路に非常に余裕があれば、そういうようなことを考えるということも一つの御指摘だというふうに思いますけれども、御承知のように、非常に込んでいる駅といいますのはもともと非常に狭い駅が多うございます。

 こういうところで優先通路を設けるということになりましたら、今度はかえってほかの方々が移動しにくくなるということがございますので、駅の実情、いろいろあるかと思います、時間帯によって込みぐあいもまたいろいろ変わりますから、駅の実情を踏まえながら、現場の方でよく対応していく必要があるだろうというふうに考えております。

 また、身障者等を優先させるとの掲示、あるいは社内に徹底するということでございますが、御承知のように、実は車両には優先座席を整備しております。また、交通弱者の方々に対して席を譲るように働きかけるマナーキャンペーン、こういうこともやっておりますし、また、障害者の方々に対する駅員の教育指導、こういうことにつきましても、事業者に対して適切にやるように指導してきておりますし、十分ではないかもしれませんが、一時よりは大分改善されてきたものというふうに考えております。

 ただ、そういう呼びかけをするということでございますが、あるいはベルなどの設置をしたらどうかということでございますけれども、やはりこれは多数の方々の受けとめの問題あるいは流動の問題もございますので、私どもとしましては、一般の方々に、障害者に対して温かく親切に配慮するような、よく最近言われます、心のバリアフリーと言いますけれども、こういうようなものにつきまして、事業者の方からも働きかけをしていくというようなことが必要ではないかというふうに考えております。

 なお、昨年来非常に導入しております女性専用車両でございますけれども、これは身障者とそれから介助者の方は乗ることができるようになっておりますので、時々利用もあるようでございます。こういう点についても、さらにその啓発を進めていきたいというふうに考えております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 私も、実は弟が鉄道会社におりますので、いろいろな実情を聞いています。結局、このバリアフリーの問題というのは、健常者でも大変な人がいる、過剰に身障者、高齢者を優遇し過ぎると、逆差別じゃないか、常にこういうような批判が出てくる中での緊張感を持ってバランスをどうとるかということが恐らく問題の本質だと思います。

 今局長がおっしゃられたように、女性専用車両というのができた。場合によっては、身障者専用車両、車両の半分でもいいからあったらいいなという声が届いていますけれども、その女性専用車両を障害者、高齢者の方々にも優先的にできるというようなことを周知徹底することによって、両方の、逆差別じゃないかあるいは優遇し過ぎじゃないかということを緩和しながら、ひょっとしたら自分も年をとれば体が不自由になる、場合によっては、もしかしたら自分も体に障害を持って生まれてきたかもしれない、そういったシンパシーを持ちながら生きていける社会になればいいな。

 非常に俗っぽい話ですけれども、たまたま泳げない人間がプールや海に行くときに浮き輪を使う、それについて引け目を感じる人は余りいません。それと同じように、自分の体に障害、不自由があったとしても、そこの助けを得る、その助けを得るような設備を持ったとしても、そこに対しての違和感が余りないような社会になればいいなというふうに思います。

 そして、最後に、これは国土交通省の所管かどうかわかりませんけれども、盲導犬なるものがあります。目の不自由な方にとってはみずからの身体の延長であります。きょうの質問、自分の身体の延長について、自由に動けるようにすること、そしてそこのアクセス手段を持つこと、そして乗っているときにそこに支障がないようにすることという三段階で考えているわけでありますけれども、この盲導犬とかそういったものについての世間の理解、周知というものも、国土交通省の所管かどうかわかりませんが、身障者の体の延長という観点でひとつ目を配っていただければなというふうに思います。

 時間が参りましたので質問を締めくくらせていただきたいと思いますが、冒頭申し上げましたように、あらゆる人々がこの社会でみずからの能力が発揮できるような形にしなければならない、そして、このバリアフリーというものがその観点からなされなければならない。省庁やあるいは国と自治体、あるいは財務省の予算の費目が違うというような、そういったバリアをなくして、身障者、高齢者の立場に立った体系的な施策というものが展開をされる、そういったことを望んでやみません。

 きょう、大臣がお帰りになりましたので、最後の質問は省略をさせていただきたいと思いますが、ぜひとも、国土交通省におきましては所管にかかわらずどんどんどんどんこの観点で言っていただきたいというふうに思います。きょう、これで質問を終わらせていただきますが、ぜひともその方向で、皆さん、関係各位の努力をされることを心よりお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。よろしくお願いいたします。

 今回の法律のベースになっているのが、ユニバーサルデザイン政策大綱だと思います。国土交通省の中にユニバーサルデザイン政策推進本部を設けて昨年十月から大変精力的に検討した、その結果がこの政策大綱という形であらわれております。

 私、きょう、この政策大綱と法案の関係はどうなっているのかということを質問通告いたしましたが、先ほど小里委員の方から同じ質問がございまして答弁がございましたので、それは省略いたします。そのときの総政局長の御答弁は、五つの基本的考え方に基づいて十の施策を行うと。関係者の参画の仕組みの構築、これが一番に書いてありまして、ずっと十項目書いてあって、十番目にリーディングプロジェクトをつくるんだという、この十項目の施策を打ち出して、その中核をなすものが今回の新バリアフリー法だという御答弁がございました。

 ということで、その質問については省略をさせていただきますが、それでは、この政策大綱に基づいてどこまで現在政策が進んでいるのか、また、今回この法律ができることによってそれがどこまで進むのか、また、これが目標としている最終目標についてどこまで進むのか、どういう位置づけになるのかということをまず最初にお伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 ユニバーサルデザイン政策大綱に基づく諸施策の推進状況でございますが、この法案以外の点をまず最初に申し上げますと、だれもが安全で暮らしやすいまちづくりというテーマにつきましては、今国会で、まちづくり三法ということで、コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりということが大きく前進したと考えます。それから、だれもが円滑に利用できる公共交通の実現という点につきましては、乗り継ぎ利便向上のための広域的な共通ICカードの導入促進のために、十八年度中に、関東一都六県などにおきまして、バス事業者と民鉄のICカード共通化などを実施する計画でございます。

 そして、今回の法案によってどこまでユニバーサルデザインの政策というのが実現するのかというお尋ねでございますけれども、やはり、高齢者、障害者の方々の参加も得て市町村が中心に住みよいバリアフリーの町をつくるということが、まずこの法案で最大限実現を目指しているところでございます。

 ただ、この法案は「高齢者、障害者等」ということでございますので、外国人の方を意識したような、例えばユビキタスネットワーク、自律移動支援のような、外国語で案内するというようなのはまだ実証実験の段階であるということでございますとか、技術の開発とか、多額の設備投資を必要とする問題、まちづくり全体として取り組むべき課題、こういうのはまだ残されていると思っております。

 今後とも、この法案を中核としながら、ユニバーサルデザインが実現された社会を目指していきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、このユニバーサルデザイン政策大綱が目指す最終目標は、ここに書いてありますが、「一人一人がその個性と能力を発揮し、自由に参画し、自己実現を図っていけるような社会」、そういう社会を実現するために今回の法案はまさに中核をなすけれども、これだけで全部この政策大綱で目指すものができるわけではない、まだ残っている部分もある、そういうことも含めて今後検討していく、こういう理解でよろしいですね。はい、わかりました。

 それから次に、法案ですが、これはここでもう何度も質問にありますが改めてちょっとお聞きしたいと思いますが、今回の法案では、対象者の定義が「身体障害者等」からいわゆる「障害者等」、「身体」という言葉が外れております。その趣旨について改めてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 現行法におきましては「高齢者、身体障害者等」という表現になっておりますが、その解釈としては、身体の機能上の制限を受ける知的障害をお持ちの方、精神障害をお持ちの方等のほか、妊婦、けがをした人など、とにかくいろいろな原因で体を動かしにくい、そういう問題について解決しようということで従来から取り組んできたところでございます。ただ、この点をより明確にするために、法案におきましては「高齢者、障害者等」と定めまして、障害者の中に、身体障害者のみならず、知的障害者、精神障害者、それから発達障害の方々などすべての障害者を含むことを明らかにしたわけでございます。

 本法案では、バリアフリー化を推進することで、さまざまな障害により施設の利用等においてあらわれる負担を軽減し、当該施設の利用等に際しての利便性、安全性を向上することとしており、そのような負担の原因となる障害によるさまざまな制約を、法律上「身体の機能上の制限」と規定したものです。

 したがって、身体障害者のみならず、知的・精神障害者の方々など、その障害から生じる、例えば疲れやすさとか、のどの渇き、照明への反応等の負担も当然含むものでございまして、これらについて施設の設置管理に際してのバリアフリー化のための基準、ガイドラインを検討することとしておりまして、そのときにはそういう方々の御意見もちゃんとしっかり伺って定めていきたいと考えているわけでございます。

斉藤(鉄)委員 対象者が知的・精神障害者はもとより発達障害を含むすべての障害者であることが明確化されたわけですけれども、先ほどの答弁、非常に大事なことを含んでいると思います。

 第二条の「高齢者、障害者等」の定義のところに、「高齢者又は障害者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの」、「身体の」という言葉が入ったためにいろいろ誤解もあったようでございまして、ここに「身体の機能上の制限を受ける」と書いてあるから、やはり精神障害や知的障害、発達障害は含まないんではないかという強い心配がありましたけれども、先ほどの答弁で、そういう心配はないと。そういう精神障害、知的障害、発達障害の方の移動にかかわる物理的、空間的な障害に対してはバリアフリーの対象になるんだということが先ほどの答弁で明確になったと思いますが、そこはこれからも明確に社会に発信をしていただきたいと思います。

 では、具体的にどのような施策を行っていくのか。身体障害者だけではなくてあらゆる障害者を含むということで、具体的にどのような施策を行っていくのかということをお聞きいたします。

竹歳政府参考人 具体的にどのような施策を行っていくのかというお尋ねでございます。

 今先生からも御指摘ございましたように、原因はさまざまでございますけれども、その結果として身体上の動きにくいという問題について、この法案で解決しようとしているわけでございます。

 例えば、精神障害をお持ちの方、知的障害をお持ちの方等が疲れやすい、お薬を飲まれるのでということもあってのどが渇くとか、いろいろな症状が出てこられるようでございますが、こういう疲れやすさという具体的な問題につきましては、例えば休憩施設を適切に配置するというところで、既に基準に位置づけられているところでございます。さらに、いろいろな御負担があると思いますので、そういうことにつきましては、よく関係の方々の御意見を伺って、見直す必要があれば見直していくというようなことをしていきたいと思います。

 また、表示がわかりにくいといった問題につきましては、図記号、ピクトグラムの統一化を念頭に置いた基準やガイドラインの拡充ということが必要でございまして、こういう点についても、関係者の御意見を伺いながら検討していきたいと思います。

 なお、このような物理的、空間的な改善をまずやらなくてはいけない、ハードでできるところはできるだけハードでやるというのがこの法案の趣旨でございますけれども、ハードだけではカバーできないということがございます。ハードの整備には時間もお金もかかるということで、そのタイムラグをどのような形で埋めていくかということも非常に大事でございまして、それが心のバリアフリーということでございます。ハードの不足しているところをどのように対応していくかということで、既に、知的・精神障害者の方々の接遇についてマニュアルを作成し配布する等の対応も行っておりますけれども、今後とも、さらに努めていきたいと思います。

 乗車拒否の問題等々、具体的に問題も提起されているわけでございまして、教育の面も含めまして、公共交通事業者の接遇のあり方や各種システムの改善も推進していきたいと考えているわけでございます。

斉藤(鉄)委員 今、そこは大変重要なところだと思います。法案では「身体の機能上の制限」ということで、物理的、空間的な、ある意味で目に見える部分について今回の法律の対象にする、これはよくわかります。そのとおりだと思うんですけれども、現実には、その境目、ソフトとの境目というのは非常に難しいと思います。

 例えば、駅員の人に聞くということが気楽にできない、聞こうと思ったら汗が出て、のどが渇いて何も言えなくなってしまうという方もいらっしゃいます。そういう方に対しての対応というのは、今回のこの「身体の機能上の制限」というところではなかなか含まれないわけですけれども、ぜひそういうことも考慮に入れた対応ということを考えていただきたいと思います。

 こういう施策を行っていくときに、当事者の意見もちゃんと聞いてくださるわけですね。

竹歳政府参考人 その点が極めて重要だと思います。私たちが感じない、気がつかないことをたくさん障害者の方々が感じておられるわけでございまして、そういうお話をよく伺ってこの政策を推進しないと、せっかくやったつもりが、かえって使いにくいとか、そういう話も現実あるようでございますので、そういうことがないように、きちっと利用者の方々の御意見を伺って、政策の推進に努めたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 その点はきめ細かにぜひお願いをいたします。

 次ですけれども、今回の政策は、ある意味で交通社会資本整備政策の一環でございます。しかし、高齢者、障害者ということで、福祉施策という面もございます。この交通社会資本整備政策の一環としての本法、その本法に基づく基本構想と、それから地域における福祉施策のあり方を定める地域福祉計画、この連携が非常に大事だと思います。縦割りで連携が悪ければ何にもならないと思いますが、この基本構想と地域福祉計画の間の連携を確保するための取り組み、これについてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 このバリアフリーの問題は、まさに福祉施策そのものの面があるわけでございます。

 このため、高齢者、障害者に対する福祉施策を定める社会福祉法というのがございますけれども、この社会福祉法に基づきまして地方自治体が策定する地域福祉計画と、それから本法に基づいて市町村が定める基本構想、この調和が図られるよう、本法に基づく基本方針等におきまして明確に示していくことを検討してまいりたいと思います。

斉藤(鉄)委員 それから、情報提供ですけれども、これまで、いわゆる旧の交通バリアフリー法では、指定法人制度、ここそこにこういうバリアフリーの施設をつくりましたということを知らせて、それを社会への知識の普及徹底を図るということが行われておりましたけれども、今回はこの指定法人制度が採用されないということになりました。

 その理由と、それでは、どうやっていろいろな施策、ハードとして取りつけられたもの、施策されたものを社会に知らせていくのか、この点についてお伺いをいたします。

竹歳政府参考人 御指摘のように、今回の法律改正におきましては、一元的、効率的な情報提供を行うために設けられておりました指定法人制度を廃止いたしました。これは、平成十六年十二月二十四日に閣議決定されました今後の行政改革の方針により、指定法人制度について厳格な見直しを行うものとされたことから、新法においては、情報提供業務について指定法人制度を採用せず、任意提供業務と位置づけることとしたものでございます。

 ただ、この指定法人制度は廃止したわけでございますけれども、本法案の第五十二条第二項により、国は、移動等円滑化に関する情報提供の確保に努めなければならないということとしておりまして、この規定に基づき、現在指定法人が行っている情報提供業務についても、その実施に支障を生じることがないよう、国においても交通事業者に対し引き続き情報提供を働きかけるとともに、国においても、バリアフリーに関するホームページの内容をより充実させる等、情報発信に努めることとしておりまして、今回の措置により利用者への情報提供が後退することがないようにしていきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 今回、指定法人制度を採用しないけれども、情報提供について、それがおくれるわけではないということはよくわかりましたけれども、そこをしっかりお願いしたいと思います。

 それから、このユニバーサルデザイン政策大綱を読ませていただいて、一番ポイントはスパイラルアップという考え方だと思いますけれども、段階的かつ継続的な発展を図るということですけれども、具体的にどのような対応をされるのか、そこをお伺いいたします。

竹歳政府参考人 ユニバーサル社会を実現していくということになりますと、これには時間もコストもかかるということでございます。ただ、一歩一歩世の中をよくしていこうというのがまさにスパイラルアップの考え方でございます。冒頭、ユニバーサル政策大綱、まだまだやり残した部分があるというのは、まさに、今はここしかできない、だけれども次の日はここまで行こう、さらに次はここに行こうというようなことの、そういう基本精神が非常に大事であると我々考えているわけでございます。

 そこで、今回の法案におきましても、国の責務として、適時に、かつ、適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めるということを新たに定めております。公共団体についても、国の施策に準じて必要な措置を講ずるよう定めているところでございます。

 具体的にどうやっていくのかというお話でございますけれども、一つには、バリアフリー化の継続的調査、評価等が考えられると思いますし、また、基本構想をつくるときに関係者の皆さんが集まって、自分の身の回りにどういう問題が残っているんだろう、これはいつまでに直そうというようなことを議論して、少しずつでも直していくというのがまさにスパイラルアップでございまして、こういう仕組みを大いに活用してスパイラルアップのための具体化を図っていきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 きょう、警察庁の矢代交通局長に来ていただいております。駐車禁止の取り締まり強化の施策についてお伺いさせていただきます。

 これは新聞報道ですけれども、きのうの読売新聞に、この六月一日、道交法改正から始まった駐車違反取り締まりの強化の記事が出ておりました。私どもは、今回のこの道交法の改正そのもの、また取り締まりを強化させることそのものは、これからの日本社会にとって必要なもの、このような認識をしております。ただ、その実施に当たっては細かい配慮をしていただきたいという趣旨なんですけれども、きのうの新聞には、弱者への配慮が不十分なのではないかという記事がございました。

 福祉タクシーもしくは介護タクシーというのは、現時点では今回の規制の除外対象になっていないということで、例えば、ある福祉タクシーの場合は、五分以内で高齢者や障害者を迎えに行って車に介護して乗せるということができない、例えば高層アパート、高層マンションに住んでいらっしゃる方はとても五分ではできないということとか、最近は、コインパーキングや、人をもう一人ふやして介護、福祉のタクシーの業務を行っている、そういう意味で、今回この分野については適用見直しということを考えてもいいのではないかという趣旨の記事が載っておりました。

 今回のこの新バリアフリー法、障害者、高齢者の移動の円滑化ということでございまして、そういう意味では大変深い関係があるわけでございますが、介護タクシー、福祉タクシー、また介護の面についての移動について、駐車違反取り締まり規制を見直すということは考えられないのでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい駐車法制でございますが、多くの方々の御協力を得まして、まずは順調に運用されておりまして、感謝いたしております。

 ただ、お話しのように、駐車規制が行われている場所でありましても、社会生活上どうしても路上駐車が必要な場合があるわけでございます。緊急のお医者さんの往診ですとか、あるいは電気、ガスの緊急修理のような緊急的な業務、あるいは歩行困難な方々が使っておられる車両などでございまして、このような場合に駐車が可能となるような措置が必要なわけでございます。

 現在のやり方といたしましては、各都道府県公安委員会規則によりまして、身体障害者等の方々で歩行困難な場合、この方々が使用する車両につきましては、駐車禁止規制の除外の対象としております。つまり、規制そのものから除外するわけでございます。また、訪問介護のために使用するような車両ですが、これは、場所がほぼ特定されますので、その場所を定めまして駐車の許可の対象とする、このようなことをしております。

 福祉タクシーにつきましても、幾つかの県警におきまして、要件としましては、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けたものなど身体障害者専用の車両であること、それから、運輸支局から身体障害者等を輸送する事業許可証の交付を受けていること、こういう要件を満たす場合に駐車禁止除外標章を交付いたしまして、そうしますと除外対象になりますので、そのような措置を講じているところでございます。

 そこで、基本的には、このような措置により問題は解決されているものとは考えておりますが、社会実態の現実はさまざまな局面がございます。私ども、現在の各県警の駐車禁止規制の除外の対象としている制度の運用実態をよく調べまして、その制度が十全に運用されているのかどうか、あるいは改善すべき点があるのかどうか、これにつきましては検討してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。基本的には対応しているということだと思います。必ずしもこの新聞報道どおりではないと。

 しかし、申請しなきゃいけないというような手続も必要なようですし、その情報徹底もぜひお願いしたいと思います。また、現実の運用を見て、これからきめ細かに対応していくということでございましたので、ぜひこの新バリアフリー法の精神にのっとって対応していただきたい、このように思います。

 それから、きょうは文科省からも来ていただいております。

 学校のバリアフリーということが私はやはり重要だろうと思っております。一つ、その理由は、これから統合教育も進んでまいります。障害を持った方が学校にもたくさんいらっしゃるようになる。それから、学校は避難施設でもございます。高齢者がいわゆる公共施設として使うということもあります。

 ところが、学校は、いわゆるハートビル法の義務づけ対象となっております特別特定建築物ではなく、努力義務のいわゆる特定建築物という位置づけで、本当は学校は特別特定建築物とすべきだと私は思いますけれども、今後、学校のバリアフリーについての文部科学省の考え方、そしてどのような方向を目指しているのかということをお伺いいたします。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 斉藤先生御指摘のように、学校施設のバリアフリー化というのは私ども大変重要な課題だと思っております。

 例えば、障害のある児童生徒が地域社会の中で積極的に活動し、その一員として豊かに生きる上で、障害のない子供たちとの交流を通して相互理解を図るというようなことは重要なことでありますし、また、先生御指摘のとおり、学校施設が地域社会のコミュニティーの拠点になっております。それから、災害時には避難場所にもなるし、そういうようなことで、学校施設のバリアフリー化を進めるという観点から、これまで国庫補助を行ってきております。

 また、平成十六年には、いわゆる学校施設のバリアフリー化を推進するということを目的として指針を策定いたしました。その中で、各学校の設置者に対しまして、合理的な整備計画を策定し計画的に整備するように指導を現在しておるところでございます。それから、あわせて、いろいろな事例集も作成し、周知を図ってきているところでございます。

 現在、実際どのようになっているかということでございますけれども、平成十七年度の調査でございますけれども、全国の公立学校のうち、何らかのバリアフリー化の設備がしてあるというものが、七四%の学校で設置されているということが判明しております。具体的に言えば、スロープで申し上げれば五五%の学校で設けられているし、障害者トイレでいえば五一%の学校で整備がなされているということでございます。

 私ども、こういうような施策を積極的に引き続き進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

斉藤(鉄)委員 時間が来ましたので終わりますが、学校については耐震化も進めなきゃいけない、バリアフリー化も進めなきゃいけない、お金のかかることばかりですけれども、しっかりと我々応援をしていきたい、このように思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

林委員長 土肥隆一君。

土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。

 きのう遅くまで国土交通省の担当者の皆さんときょうの質問のやりとりをしておりまして、なかなか私が考えていること、言っていることの本質が届いたのかなというふうにも思っておりまして、きょうは竹歳局長、答弁書を離れて御自由に答えていただきたいと思うのでございます。

 実は、お互いに歩み寄りの余りなかった質問取りの結果、十時半ごろ宿舎に帰ったんですけれども、しかし、幸いというか偶然ですけれども、身長が一メートルぐらいしかない男性のサラリーマンが、両方とも松葉づえをついて、松葉づえをわきに抱えながらかばんを提げて、駅におりられて、私と同じ方向に歩んでいる。まだ三十五、六歳ではないでしょうか。いわゆる成長ホルモンが足りなくて、親御さんが努力なさったかもしれませんけれども、残念ながらそういう障害で、足にも障害が出ているという方でした。

 一緒にエスカレーターに乗りました。本当にやはりバリアフリーというのはよかったなと痛切に感じた次第でございまして、私とてとてもこの階段を上がることはできないぐらいのエスカレーターでございまして、彼もそれに乗り込んで、また帰っていきました。恐らくこの人は、バリアフリーがこれだけ都内で進んでいなければ仕事はできないだろうと思いますね。そういう意味で、私は、声をかけようかなと思ったんだけれども、遠慮して見送ったわけでございます。

 そういう意味で、日本の社会にバリアフリーというものがこれだけ発達して、頑張ってこられたということは大変すばらしいことだと思いますし、そういう方が何人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。そんな感じを持ちながら、もう一度きょうの質問をどうしようかと考えて今に至っているわけでございます。

 先ほど竹歳局長がこれはまさに福祉政策であるとおっしゃったときに、またちょっと私も何というような気持ちになったわけでございます。実は私はもう十七年目に入る国会議員ですけれども、大半は厚生労働省に関する福祉、医療、年金などを扱ってまいりまして、この厚生労働省行政というのは、一人一人の障害者、高齢者、病人に視点を当てて、そしてトータルとしてどんな政策が望ましいかということを考えるわけです。私は、どうして国土交通の委員になったのかよくわかりませんけれども、希望は第三希望ぐらいに出しているのに、やはりここに行け、こう言われて今も委員を務めている次第でございます。

 それで、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案、もう私、この法案名を見ただけで、中身は何だろう、国土交通省が何をするんだろう、障害者や高齢者のために何をするんだろうということを考えて、この法案を読み始めました。ところが、私はやはりそういう厚生省関係のような仕事を長くしているゆえでしょうか、いろいろひっかかるところがあるんですね。

 まず、定義はもう先ほど御質問がありましたからいいのでありますが、今日、福祉行政、障害者自立支援法というのができまして、三障害と言われている身体、知的そして精神、これはもう区別しないことになりました。そして、それぞれ地域にある作業所だとか授産所だとか施設だとかいうのを自由に選択する。ですから、障害を持っている人をだれでも預からなきゃいけないという時代に入っているわけです。

 と同時に、契約を結びますから、契約制度になっておりますから、障害者は利用者なんです。そして、施設なり作業所なりと契約を交わしまして、初めてそこで所属関係がはっきりする、こういうことになっておりまして、これは、障害者や関係施設も大変緊張してこの新しい制度の出発をしているところでございます。ただ、介護報酬が十月に決まるというので、お金のことは全然わからないで制度だけが先に進んでいますから、みんな持ち出しで今やっておりますが、これからは大変な状況になるだろうと思います。

 私は、今回の、いわゆるバリアフリーを完成させよう、ハートビル、そして交通バリアフリーを含めて、これを面的にとらえて、そしていわば障害者や高齢者に優しいまちづくりをしようという大変結構な話なんであります。ぜひこれは実現していただきたいという視点を持って質問させていただきます。

 私はこだわりを持つ人間ですので、特に障害者や高齢者に対してこだわりを持つ人間ですので、こだわったところを幾つかこれから申し上げたいと思うのでございますけれども、例えば、第二条で、面的な面も、通常徒歩で歩ける距離となっているわけですね。これは何だと私はすぐ思うわけです。こんなところにこだわるのもどうかとお思いかもしれませんけれども、いろいろな障害者がいる、いろいろな高齢者がいて、徒歩圏内で面的な整備をしますと言われると、だれが歩くの、こう聞きたくなるわけですね。同じ距離を歩いても、二十分も三十分もかかる人もおれば、すっと五、六分で歩ける人もいる。ですから、こういう定義の仕方はなるほど国土交通省的だなと思うのでございまして、何かもう少し違った表現があったらいいなというふうにも思います。

 さて、それは意見として申し上げておきますけれども、この法案のすぐれた面は十分評価しつつも、もうこれで最後の質問になりますので、私がこだわったところを最後に申し上げて、私の責務を果たしたいというふうに思っております。

 この法案は一貫して、「高齢者、障害者等の」、この決まり文句で出発するわけです。この高齢者、障害者という存在を、ハードが中心の国土交通省とはいえ、例えばそれが市町村に返って仕事が始まるわけでありますから、そういう意味で、やはりもう少し違った視点というか、先ほど局長が福祉とおっしゃったんですから、福祉的な視点で見てもらいたいものだと思うのでございます。要するに、十把一からげで扱えない人たちなんですね。したがって、そういうことを念頭に置きながらこの政策を実施していっていただきたい。私は大変期待しながら、そういう意見を申し上げたいと思います。

 この第四条に典型的にあらわれるんですけれども、第四条の二項で、国は、教育活動、広報活動を通じて、移動等円滑化の促進に関する国民の理解を求めるとともに、その実施に関する国民の協力を求めるように努めなければならないと。これは大変厳しい要求でございます。

 そこで、教育活動とは何なのか、広報活動は何なのかということをまずお聞きしたいと思うので、御答弁をお願いします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 この第四条に言う教育活動、広報活動でございますけれども、一つは、バリアフリー社会を目指していくという意味では、国民の御理解、御協力が不可欠であると考えるわけでございます。したがいまして、国民の皆様に、今まさに先生がおっしゃられました、この問題の本質である、それぞれの方々がそれぞれの問題を抱えているというようなことでございますとか、まさにこの法案審議の中でさまざま問題提起をされているような点、バリアフリー社会を実現するために何が障害になっていて、何をしなくてはいけないのかというようなことを幅広く国民の皆様にお知らせしていくということがあると思います。

 もちろん、教育というのは、先日、文部科学省の方からは、学校教育において、子供のころからこういうバリアフリー体験とかさまざまな形で社会体験を積んでいって、大きくなってこういう問題に十分理解を深めていくようなことを文部科学省としてはしていくんだというお話がございましたが、私どもは、学校教育そのものというよりは、学校以外の場も含めて幅広くそういうことをやっていかなくてはいけないということだと思います。

 それから、広報活動についても、同じような観点でございますけれども、パンフレットの作成でございますとかポスターとか、そういうような活動を通じて、このバリアフリーについて国民の皆様の理解、協力を求めていかなくてはいけないと思うわけです。

 実は、乗車拒否の問題等で、せっかくノンステップバスが運行しているのに、運転手の人が、通勤時で非常に忙しいとかいうようなことから、なかなかやってくれないんだというような苦情があるようでございます。

 そういう問題は、実は乗客の皆さんが、例えばそこで十分時間がかかったりするわけでございます。そういうことに時間をとったときに、そういうことが当然なんだと思っていただけるかとか、狭い道ですと、バスがとまって、十分とまると後ろは渋滞になるわけでございまして、そういう渋滞の方々が、今そういうことが行われているんだということを理解していただくというふうなことも非常に大事ではないかと考えておりまして、「国の責務」というところで、こういう問題についても国の責務として明記させていただいたわけでございます。

土肥委員 後でまた、運転手等の、移動にかかわる責任者の質問もさせていただきたいと思います。

 今、例えば出勤時、あるいは学校に出かける時間帯を見ますと、大量の高校生がエスカレーターを使っているわけですね。きゃあきゃあ騒ぎながら、エスカレーターを独占していると言ってもいいかもしれません。そのほか、サラリーマンもいらっしゃるわけでございますけれども。では、子供たちは元気なんだから健康のためにも歩けというようなことを言おうものなら、高校生たちに何を言われるかわからないような感じもいたします。

 交通機関を使った青少年のマナーというのはひどいものですね。電車に座り込んで食事をしている人もおれば、それは子供に限らず大人もですよ。この前、ある御婦人が何か焼きそばを食べていましたですね、電車の中で。すごい大胆な方だなと思ったんですけれども。

 ですから、交通マナーというのは、要はもっと根源的な問題でもあるわけですね。学校で、みんな、十三、十四、十五歳ぐらいのは元気だから、エスカレーターに乗らないで歩いたらあなたの美容のためにもいいよとか、ダイエットのためにもいいんじゃないのというぐらいの、いろいろなカリキュラムが考えられるわけでございますけれども、それを国交省がやろうとなると、これは大変なことだなというふうに思います。

 でも、しないよりはいいので、国交省レベルでの話と、それからやはり文科省レベルの話、その他あらゆるところで、教育活動、マナーと言ってもいいくらいの活動が必要でございます。それではまあ頑張ってやっていただきたい、だけれども、やはり文科省との話し合いを十分なさった方がいいんじゃないですかというふうに思います。

 国民の協力を求める、これは、今まさに言った、障害者が車いすで電車に乗ってきた、そうしたらどうしたらいいかということを、やはりその場にいる人がみんな考えるべきなんですね、お年寄りが乗ってきたら。席を譲らない人はいっぱいおりますし、二人分を一人で座っている人もたくさんいるわけでございまして、こんなのをどこで教育したらいいのか、途方に暮れるくらいでございます。何かやたら駅のアナウンスよりは、やはり障害者やお年寄りを大事にしましょうというような短いメッセージを流した方が有効ではないかというふうに思うこともございます。

 第七条の「国民の責務」というところに行きます。

 国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保する、そのために、その重要性について理解をしなさい、理解を深める、そして、そういう障害者やお年寄りに対して協力するように努めなければならない。これも広い意味で教育問題で、今度は大人の教育になるわけですけれども、こうなると、もう手が出ないというような感じも持つわけでございます。

 円滑な移動や施設の利用を確保するために協力を求めなきゃならない。どういう方法で協力を求めていかれるんでしょうか。国交省の考え方をお知らせいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 先ほど先生の方からも昨晩の御経験がお話にありました。実は私も、この法案を担当している中で、たまたまでございますけれども、そういう白いつえをついて人込みの中を歩いておられる方のお手伝いをするという経験をさせていただきました。

 非常に人込みの中で、駅前からデパートまで何にも点字ブロックのないところでございました。どうされるかなと思っていましたら、途中でやはり道がわからなくなられて、そこで大きな声を出されました。きのうの参考人の質疑の中でも、大きな声を出されるということが実は障害者の方にとっては非常に大事なんだ、それがきちっとできるかどうかというのが非常に大事なんだとおっしゃいましたが、まさにそこで大きな声を出されたので、私はお手伝いをしました。

 実は、そのとき、女性の方だったんですけれども、どういう形で手をつないだらいいかもよくわかりませんでした。腕を組むわけにもいかないだろうしというので、洋服のすそをちょっとつまむような形で御案内したんですけれども、まさに、こういう中で非常に大変だなということもみずから実感することができたと思うんです。

 まさに、協力というのは、そういうところは一人一人がやはりお手伝いをしないと問題が解決できないんだと思うんです。そのときもたくさんの人が歩いておられて、大きな声を出されるんですけれども、振り返る人はほとんどいらっしゃらなかったんです。それで私はお手伝いしたんですけれども、そういう困っている方、まさに白いつえをついている方なんというのはすぐわかるわけでございますから、そういうことに進んでお手伝いをするというようなこと、私も、今回いろいろな勉強をさせていただく中で、また障害者の方々のいろいろな意見をお伺いする中で、やはり自分がみずから動かなくちゃいけないというようなことを強く感じたわけでございます。

 そういうことをやはり国としては、時間はかかるかもしれませんけれども、そういう努力を重ねていかなくてはいけないという意味で、理解を求め、協力を求めるということをここに書いたわけでございます。

土肥委員 ついでに申し上げますと、盲人の方の誘導は、盲人に左なり右手のひじをさわっていただく、相手から。そうしたら全部、行程から速度から、それに合わせて歩きますから。手を引っ張るわけにもいかないですね。だから、それがやはり協力の一つとして、そういう盲人の方にはひじをさわっていただくというのが肝心なところなんですね。

 私は、過ぎた援助をしちゃいけないと思うんです。やり過ぎというのはよくないんですね。盲人の方は、困ったときには声を上げるけれども、あとは自分で歩けるという計算をして活動をしていらっしゃるわけですから、余りにも過剰なお世話をしない方がいいのでございます。それは独立心を阻害することになるからです。

 例えば、我々が駅頭で演説なんかしますね。盲人の方がつえをついて歩いてこられるときには、声をとめて信号の音を聞かせてあげるというのが一番いいわけで、親切な人は走っていってどうぞどうぞとやっても、あなた毎日それをやれると私は言うんですね。ですから、そういうマナーは、政治家は特に拡声器を使ってやるときには、盲人の方が来たら自分の演説をやめるというのが一番親切な協力なんですね。

 そんなことを考えますときに、やはりどこかでこういう協力を求めなきゃならないわけで、そういう基本的なマナーをどこで学ぶかということで、どういうふうにまた伝達していくかという問題点も含みながら、やっていただきたいというふうに思います。

 先ほど文科省の方に質問がございました。私も同じような内容になりますけれども、この質問が終わったらお帰りになれたら帰っていただいて結構でございますけれども、学校というのは何なのかということですね。私は神戸ですから、阪神・淡路大震災で、最大の避難所なんです。三十万近い人たちが、ほぼ七、八割は学校に避難するわけですね。

 そこで感じた幾つかの問題がありますけれども、一番の問題は排せつですよ。排せつの手段を確保する。下水道もつぶれておりましたけれども、そして水が出ませんから、もうどうにもならない。こんな扱いのできないものはないわけでございまして、そういう排せつの設備を学校で今どれだけやっているかということは、また後で確認したい。きょうは通告しておりませんからもうやりませんけれども、やはり重要な設備になりますね。文科省として気をつけていただきたいと思うのであります。

 それからもう一つは、障害者です。全部の障害者施設がつぶれたわけじゃございませんので、そこに廊下から何から詰めてもらってお預けしましたけれども、どうしても入り切れない。そうしたときに、ポータブルトイレがございます。もちろんポータブルトイレは後で処理をしなきゃいけませんけれども、それもないんですね。それで私は、かなり駆けずり回ってポータブルトイレを集めて幾つかの避難所に持ってまいりましたけれども、そういう設備の面と同時に、日常的な学校生活の中でバリアフリーというのはとても大事です。

 きのうも参考人の方に申し上げたんですけれども、やはり健常者の理解や協力を得たいとおっしゃるわけです。だけれども、小学校から、幼稚園もそうですけれども、公教育を受けている間、一度も障害者に触れていないなんという学生がごまんといるわけですね。障害者と一緒に食事をしたことがない、学校給食ですから一緒に食べたらいいんですけれども。そして、盲は盲、聾は聾、身体障害者は身体障害者、知的障害者は知的障害者として学校教育が区分されていて、それを超えた、つまり一般教育、普通学級でうちの子を迎えてほしいという親はたくさんいるわけです。だけれども、ほぼそれはかなわぬことになっております。

 今、学校現場で、先ほどの御答弁では、五一%身障トイレが整備されているのはすばらしいことですね。ですけれども、例えばエレベーターは今何%ぐらい学校に設置されているんでしょうか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 公立学校のうちの小中学校でありますけれども、エレベーターの設置割合は七・五%でございます。公立の高等学校の場合は一三・三%、それから、ちょっと観点が違うわけでありますが、特殊教育諸学校については六五・二%、こういうような数字になっております。

土肥委員 高校で一三・三%、小中学校では七・五%、非常に少ない設置数ですけれども、それはなぜですか。

舌津政府参考人 その事情というのが大変難しいところがあると思いますけれども、基本的には、エレベーターの設置というのが一般的な常識化はしていなかった、過去の話でありますけれども。そういうこととか、あるいは管理が大変である、いわゆるエレベーターになれない子供が、かつての話でありますけれども、そういうようなことも配慮したり、あるいは工事費がかかるとか、いろいろな理由があるというふうに考えております。

土肥委員 この前、防火シャッターの事件がございましたね。私は、防火シャッターよりもエレベーターの方が大事だと思うんです。それは火事が出たら大変ですけれども、学校というのは大体火事が出ない感じになっておりまして、木造校舎というのはほとんどございませんし。

 そうすると、例えば小学生あるいは高校生、中学生でもいいんですけれども、かなり重度の身体障害者が公立学校に行きたいと希望したときには、文科省としてはどういう対応をなさるんですか。

舌津政府参考人 文科省の基本的な考え方でございますけれども、障害のある児童生徒の就学に関することにつきましては、保護者や専門家の意見を聞きつつ、当該児童生徒の自立と社会参加のための適切な教育が行われるよう、総合的に判断するというような考えに立って学校を指定するというような制度になっているところでございます。

土肥委員 そうすると、ほとんど学校に行けないということではないかと思います。

 それでも入れてくれと言ったときに、これは私の経験から申し上げますけれども、いろいろな条件をつけてまいります。通学の保障、これは親がしなさいと言うんですね。それから、門を入って校舎の入り口まで車で来るのはよろしいと。ところが、そこから教室に行くまでも、それから、高校ですから科目によっていろいろな移動がございますね、授業中の移動も、それから排せつも、全部やってくれますかと。それをやらなければ受け入れることはできない、こう言うわけです。

 それで、このボランティアグループは何をしたかというと、男性がアパートまで行ってその女の子を車に乗せて、それから、おぶって階段を上がって教室まで連れていく。授業の移動の間も、時間数を見てそこへ出かけていって、体育をやるときにはまたおりていって運動場まで連れていく。水平移行は車いすでできるんですけれども、垂直は全部おぶってやりなさいと。

 問題はトイレです。どこかにスペースはないかということをお願いして、ある空き教室だったと思いますけれども、そこにカーテンを張ってポータブルトイレを置いて、そして、下のお世話は、女のボランティアの人が付き添って、そこまで連れてきて排せつの手伝いをする。そうすると、朝から、送る人、移動する人、排せつをする人、また自分の家に連れて帰る人と、大体四、五人のボランティアが必要なんですね。

 例えば、階段で移動なんてするのは、これは高校生ですからみんな力があるわけですよ。女の子ですから、女の子に、両足は補装具をつけておりますから非常におんぶしにくいんですけれども、だけれども何かいろいろな方法があるんじゃないかと言うと、いや、けがをさせたら補償できませんから全部おたくでやってくださいということでございました。

 そのときに、障害者トイレが半分は設置されているというのは大変うれしいことでございますね。それから、上下の移動が問題なんで、たとえ二階しかない学校であっても、簡便な、簡易なエレベーターが安くありますから、それで上がるようにしてくれたらどんなにか助かるということでございます。そういう、言ってみれば全部家族に押しつけて、それでも行きますという子だけが学校に行けるわけですね。

 私は、自立とそれから社会経験、社会教育的な意味で、それぞれの障害者諸学校で分離して教えた方がいいという面もあると思いますけれども、きのうの参考人の中では、やはり学校で障害者に日常的に触れていて、それは知的障害もあるでしょうし、いろいろな行動障害がある人もありますし、それから学習障害児もいるわけでございます。いろいろな子供に接して、昼御飯なんかもう絶好の教育訓練ですよ、食べさせてあげる。これは実にいい教育なんですよ。普通の体じゃありませんからいろいろ問題があることも知って、ああ、障害者というのはこういうものだなということを教えるには、学校に積極的に受け入れるということですよ。

 特殊な職業訓練などが必要な場合にはその部分だけ抜いて、例えば、盲人の方のあんま、はり、きゅうだとかというものは、近くに盲学校があればそこへ移動してもいいんですけれども、あるいは週のうち何日かを分け合って勉強したらいいわけでありまして、そういう学校制度が柔軟に行われることによって初めて、先ほどから国民の理解だとか教育活動、広報宣伝だとか、障害者を見たこともない人にどうやって障害者に協力しろというんですか。

 後でバス事業等の障害者の乗車拒否などについてもう一遍お尋ねしますけれども、そういう状況というのは文科省では議論になっていないんですか。お聞きいたします。

山中政府参考人 先生、障害のある子供たちの就学の問題でございますけれども、先ほどもお答えしたところでございますけれども、保護者あるいは専門家の御意見を聞きながら、子供の自立あるいは社会参加のために適切な教育が行われるようにということで、小中学校でございますと市町村教育委員会で総合的に判断しているところでございます。

 その際、盲、聾、養といった特別支援学校それから小中学校、それぞれの教育内容の特色あるいはその条件の整備の状況、こういうことにつきまして、子供本人あるいは保護者に対して十分説明をして、情報提供して、それらの中で相互に考えを述べ合いながら、理解を得ながら、どこに就学していくかということを決定していくということになっているところでございます。

 また、先ほど、先生、高等学校の例をお挙げになりましたけれども、高等学校におきまして障害のある子供を受け入れて教育するという場合、教育課程を弾力的に編成しますとか、あるいは指導方法を工夫して、こうした障害を持った生徒が適切な高等学校の教育を受けることができるように、こういう配慮をしなきゃならないというふうに考えております。

 一般論といたしましては、公立の高等学校でございますと都道府県の教育委員会という場合が多いわけでございますけれども、学校が講じる障害を持った子供に対する支援の内容、それは設置者の方で適切に判断していくべきと考えておりますけれども、例えば、身体障害のある子供について、施設や設備をバリアフリー化する等の改善をし、非常勤の教職員を配置するといった例、あるいは、介助が必要な生徒については介助員を配置するといった措置をとっているという都道府県もございます。

 財政状況等もございまして、先生御指摘のとおり、十分に対応ができていない、あるいは対応ができないといった場合もあるかと思いますところでございますけれども、高等学校といたしましては、障害のある生徒を受け入れるということでございますので、円滑な学校生活を送ることができますよう、教育委員会、学校あるいは保護者、生徒、その意見や要望も聞きながら、施設設備、人的な配置の状況、そういうものを総合的に考えながら必要な配慮をしていくということが望ましいというふうに考えております。

土肥委員 何でもかんでも学校のスタッフでやる必要はないんですね。団塊の世代でどっと元気な退職者が出るわけでございまして、学校にもっとボランティアを入れて、それこそ人的な問題についてはボランティアで十分なんですよ。そんなに難しい仕事でもないし。危険が心配だというんだったら保険か何か掛ければいいわけでありまして、もっとフレキシブルに教育問題を考えないと、今の子供の教育をどうあるべきか、これがやがて成人になるわけでありまして、登校拒否やニートやさまざまな問題を抱えている教育現場で、やはりこれは、そういうところに出ていって自分の経験を披瀝しようというボランティア、一言で言えばボランティアですね、を集める、各学校で集めるくらいの努力をしてもらいたいと思うわけでございます。

 文科省に対する質疑はこれくらいにさせていただきます。どうも御苦労さまでした。

 さて、本法案に戻りますけれども、私が一番気になるのは、やはり、市町村が基本構想を作成しなきゃならない、そのためにいろいろな関係者に集まってもらうということなんですね。その中心が協議会であろうと思います。協議会をつくりなさいと。この協議会は三つの要素から成っておりまして、まずは市町村ですね。それから、関係する施設設置管理者、公安委員会、それから基本構想に定めようとする特定事業者ですね。三番目に、高齢者、障害者等、そして学識経験者その他の当該市町村が必要と認める者。

 ここでまたひっかかるわけですね。ただ障害者、高齢者をこの協議会の中に入れますよと。ところが、この協議会は、よく法案を読んでみると、かなりの縛りがかかっていて、ちょっと御相談があるから聞きたいとかいうふうな話じゃなくて、基本構想をまとめる一つの重要な構成員になるわけであります。ここでまた高齢者、障害者等と言われますと、障害者といっただけでも、十も二十も障害の程度が違う人がいる。知的障害もそれぞれ違う。

 あるいは、今度は精神障害者も入れまして、精神障害者と日常的に触れる人なんてほとんど国民にはいない。日本の精神障害者の医療サービスというのは閉じ込める、隔離型でやってきまして、これは伝統的な日本の障害者治療の体制でございまして、もう一般市民として帰してもいい人たちが入院者の何割いるでしょうか。厚生労働省も数字を何回か挙げたことがありますけれども、七万人や八万人はもう自宅に帰っていいし、あるいは社会の中に住んでもよろしいと。そうしたらグループホームをつくろうかというとまた反対がありますから、精神病院の敷地内にグループホームをつくって、同じような隔離生活に入るわけですね。

 そういう多様な障害者、それから、お年寄りもまさに多種多様な、十人十色の高齢者がいるわけでございまして、こういうふうにぽんと高齢者、障害者等と挙げられると、どうやって選ぶんですかということをまずはお聞きしたいと思います。

竹歳政府参考人 当事者参画の観点から、さまざまな御意見を取り入れた基本構想というものをつくっていかなくてはいけないと思います。

 それについては二つございます。一つは、協議会の直接のメンバーになっていただいて意見を言っていただくというプロセスと、もう一つは、基本構想についてより広くいろいろな方の意見を聞く、いわゆるパブリックコメントという手法がございます。

 協議会の構成員になっていただくという方は、今先生御指摘のように多種多様な方がいらっしゃるので、全員になっていただくというわけにはなかなかいかないかもしれません。

 私ども、通常、例えば都市計画の審議会でございますとか、各種、利用者の御意見を反映させるような組織のときには、例えば地域での高齢者や障害者の団体というのがございますでしょうから、団体の方の代表として推薦された方とか、それから、地域で非常に熱心に活動をされていて、具体的にいろいろな御提言をされる方もいらっしゃるのではないかと思います。そういう意味で、市町村がこういう方にお願いしますということで協議会は組織されることになると思います。もちろん、そのメンバーというのは固定的なものでなくて、案件によっていろいろ臨時的に御意見を賜るというような、いろいろな仕組みもできると思います。

 いずれにしろ、協議会の構成員自体は限定的にならざるを得ないと思います。ただ、それですべてということではございませんで、冒頭申しましたように、より幅広い御意見をいただくようなプロセスもあわせて整備していきたいと考えております。

土肥委員 残念ながら、障害者団体はたくさんございますが、相互には余り知らない。身体障害者の団体は身体障害者に着目していますから、知的障害者がどういう暮らしをしているか、どういう考え方を持っているかというのはなかなかわからないですね。今度は精神障害も入ってまいりますから、じゃ、精神障害者というのは一体どういう日常生活をしているのかということになりますと、さっぱりわからない。

 どうか、私の希望としては、やはりよき人材が障害者の中にもいるわけです、そして、幅広く障害者の問題を考えることのできる、そういう人を探して声をかけてもらいたいなと思います。団体とか福祉施設の経営者とかいうことになりますと、何か通り一遍のことしか言わないんじゃないかなと心配をしております。ここは、その人、選ばれた人がどんな働きをするかによって随分と基本政策も変わってくるというふうに思うんです。むやみやたらに何か問題を起こすような人もいるかもしれないので、やはりじっくりと選択をしていただきたいと思います。

 協議会の話の中で都道府県公安委員会が出てくるんですけれども、ちょっと私もぎょっとしたんですが、一体なぜ警察が、公安委員会がここにかんでくるのかということを御説明いただきたいと思います。

竹歳政府参考人 公安委員会は、信号機等の交通安全施設、障害者向けの信号機等非常に関係が深いということで、公安委員会が入ってまいります。

 それから、この法律自体が実は国土交通省、総務省、国家公安委員会の共管の法律になっておりまして、主務大臣になっている理由も、同じ交通安全施設の整備という観点でございます。

土肥委員 それはやはり市民の皆さんにもよく周知をしておかなきゃいけないので、信号機の管理のためですよと言えばわかるんですけれども。

 交通信号機も、これはいろいろ問題がありますから大事だと思うんですね。町中の信号機のいわば設置の仕方のまずさで通行者が、特に障害者、知的障害なんかがある方が間違って交通事故に遭うということがあるわけです。警察庁の統計をちょっと見せてもらいましたけれども、車いすの方が事故に遭う件数というのがかなり高いんですね。死亡者も、ちょっときょう資料をここに持ってきておりませんけれども、二百数十名死亡者が出るというような話でございます。

 この交通の問題と同時に、障害者やお年寄りが町中に楽に出てこられるようにというのはいいんです。ところが、このごろは電動車いすなどはなかなか性能がよくて、行動半径が非常に広がっているわけでございます。これは道路交通法とかなんかの規定には入りませんから、どうしたらいいかなということなんです。むやみやたらにというか、ちょっと語弊がありますけれども、車いすを買って、相当高い値段しますけれども買って、そして行動の自由を得たいという人が次から次に出てくると思いますね。

 特に、お年寄りの人が車いすに乗るようになりますと、障害者の皆さんは、もう何度もひっくり返ったり、路肩から落ちたり、ぶつかったりという経験を積んでおりますから、怖さがわかるわけですね。ところが、お年寄りの人がいきなり車いすに乗るようになりますと、昔運転をしていた人がいるかもしれません。交通規則はわかっていても、車いすが持っている危険というものがどんなものかというのを本当はわからないんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 そういうことからいうと、車いすを利用する側の何らかの指導がないと、問題が、交通事故がしょっちゅう起きる。あるいは、車いすが通行人を突き飛ばすことだってあるわけでございまして、私はよく言うんですけれども、車いすというのは基本的には本人がブレーキをかけることになっていますけれども、介護する、後ろから押していく人にも必ずブレーキをつけるようにというふうに言うんです。それは、本人は大丈夫だと思っても、後ろの押す人がやはりコントロールをしてあげなきゃならない。ほぼペアになっているわけですね。

 そういうことからいうと、何らかの車いす対策を、これは国土交通省がやるのかどうかわかりませんけれども、例えば軽い免許制度だとか、あるいは講習を受けて交通規則を理解するとか、これから、飛ばし屋車いす、びゅんびゅん飛ばす車いすを使う人が出てくるのではないかというふうに思うくらいであります。あるいは、すごい荷物を積んで、これで廃品回収業をやっている人もいるわけでございまして、もう前が見えないくらい。

 もう一つついでに言いますと、構造的に、JIS規制がかかっていると思いますけれども、電車の乗りおりでサイズが今問題になっておりますけれども、それも将来解決しなければいけませんけれども、やはり低いから運転手が見過ごしてしまうわけですね。通常の車の運転手が見過ごしてしまう。そうすると、私がいつも言うんですけれども、ポールを立てて、そしてランプをつけて、ここに車いすが走っていますよというようなことを教えるような、そういうものの設置も求めるとか、何らかの対策を立てるべきときであろうと思いますが、これは通告どおりではないんですけれども、局長の御意見を聞きたいと思います。

竹歳政府参考人 今、さまざまな車いすの利用についての問題を教えていただきました。直接には私たち担当はしておりませんけれども、この問題、広く取り扱っておりますので、関係の皆さんともよく相談して、きちっとした車いすの利用ができるような環境整備をしていきたいと思います。

土肥委員 残された課題として、これは警察マターにするとどうも規制ががっとかかって、余りいいことではないのではなかろうかと思うわけでございまして、そういう意味では、協議会でこういう問題を取り上げていただきたいと思うのであります。

 路面についてもそうであります。歩道よりは車道の方が走りやすいんです。歩道は、波があったり、車の進入のために切り込みがあったり、それから舗装でも雑ですから、本当にあんな走りづらい歩道を車いすで走れといったら大変な話でございまして、私だったら隅の方の車道を走りますね。その方がすいすいと行けるわけでありまして、歩道の問題はこれは国土交通省でございますけれども、やはり日本は歩道をもっと大事に、そしていいものに変えていくべきだというふうに思います。このことについては、またいろいろとややこしいですから、答弁は結構でございます。

 さて、協議会ができた、そして、まさに地域のあるいはユーザーの気持ちを体したいろいろなニーズを組み込むことができて、そして面的な整備も行われるという願ってもない話でございます。この基本構想に基づく指示、命令のところで、ちょっと気になるんですけれども、基本構想ができてそれをいざ実施しようとすると、言うことを聞かない人が出てくるわけですね。まず、市町村長は要請をする。要請に応じないときには、主務大臣に言って勧告をしてもらう。大臣、どうぞ怒ってやってくださいというわけですね。それでも聞かない場合は、必要な措置をとるべく命令をすることができる、これは大臣がなさるわけですね。

 このことは、バリアフリーあるいはハートビルなどの発展段階として、実際的にどう行われるんだろうか、どういうふうな形態をとるんだろうかということを考えるわけでございますが、その辺の御説明をお願いいたします。

竹歳政府参考人 この基本構想をつくるための協議会のメンバーになることについては、正当な理由がない限り拒めないというお話をいたしました。

 そこでどういう話し合いが行われるかということでございますけれども、あれもしてほしい、これもしてほしいというお話がいろいろ出てくる中で、整理をいたします。そうして、協議が調ったということを基本構想に書きます。もちろん、こうしてほしいのに、事業者としてはまだそこまで手が回らないとかいうようなやりとりがあった結果、構想が決まるわけでございます。

 そこに書かれたことについては同意をしたわけでございますから、それを実行する必要があるということで、このような要請、それから、要請をしても、権限のある人にやってもらわなくてはいけませんので、通知をするとか、それから勧告、命令ということで、順を踏んで、最後は非常に厳しい是正命令というところまでいくわけでございますけれども、そのプロセスとしては、いろいろな要請、通知、勧告というようなことをとるということでございます。

土肥委員 ここが国土交通省的発想だろうと思うんですね。やはり仕事はしなきゃいけないんだ、完成するためにはそういう強制命令も含めた大臣命令を出すんだという、なるほどなと思うのでございます。こういうところが厚生労働省にない、余り表に出ないというわけで、あれだけの大借金の原因にもなるし医療費は高騰するわけでございまして、逆に、この法案で面的な整備までバリアフリーを実施しようとすれば、これくらいのことはやるんだよということを法文上決意なさったということは、私はいいことだと思っております。

 もう一つお聞きします。

 四十一条で移動等円滑化経路協定というのがございまして、これは、いろいろ利害関係者がいて、全員の合意がない限りやらないんだ、これはちょっとまた先ほどの協議会の方針とは違った面が見られるんですが、これはどういうことでしょうか。

竹歳政府参考人 この経路協定の仕組みでございますけれども、例えば、既にある地下鉄にエレベーターをつけようというようなときに、駅構内が狭いという場合があるとします。ところが、近くに民間のビルがあるというときに、民間のビルの御協力をいただいて、その民間のビルのエレベーターを経路として指定するというようなことによって、鉄道事業者だけに任せておいてはエレベーターがなかなかつかないということを一刻も早く解決できないだろうかというのが、この基本的な考え方でございます。

 そうである以上、実は保障とかそういうこともないわけでございまして、任意の協定ということになりますので、全員の合意ということでございます。似たような仕組みとしては、景観法に基づく景観協定とか、緑化協定とか、建築協定とかございます。

 ただ、一たん合意をして経路ができましたら、そのビルがたとえ他人の手に渡ってもその協定は有効であるということで、後から買った人も協定は守らなくちゃいけないというところが非常に大事でございまして、そういうような形で、任意の中にも強制も含めながらという制度を考えているわけでございます。

土肥委員 ここでは強制命令でないということでございますので、なる話があればならない話もあるということでございまして、協定を結べば合意しているわけですから、協定を結ばせるわけですね。これもそれぞれ私有財産でございますから、それはそうだろうというふうに思います。

 さて、ちょっと法八条に戻りますけれども、八条の五項で、公共交通事業者は、その職員に対して、移動等円滑化を図るため教育訓練を行うよう努めなければならないということでございます。

 先ほど竹歳局長がおっしゃったように、公共交通に携わっている運転手が乗車拒否をするというようなことがあるわけでございます。これはいろいろな理由があるわけですけれども、要するに、当該事業者がいわば教育訓練を自主的に行って、その努力にまっているところがあるんですが、これは強制力がない、努力義務ですからないわけでございますが、なぜこんなことを公共交通事業者に求めたのかということでございます。やはり実情が余りよろしくないということだろうというふうに思います。

 この辺はよほど科学的にも心理的にも分析して、運転手がそれを拒む、このごろはもう合理化、合理化で、いわば運転手は一人、職員はほかはだれも乗せない。ですから、運転手さんも、マイクで駅名を告げながら、とまってからおりてくださいねとか、気をつけてとか、片っ方では切符を売ったり計算もしなきゃいけない。もっとひどいときには、運転手がいない、要するに自動的に動いている鉄道もあるわけでございまして、私は、これは一人は必ず乗せないとぐあいが悪いなというふうに思うわけでございます。

 どうでしょうか。例えば、先ほど局長がおっしゃったように、バスがとまっちゃって後ろにいっぱいそれを待っていて大騒ぎになるとか、あるいは客室の中でパニックが起きるなんということもないとも限らない。例えば、一つ例を挙げますと、どの障害とは言いませんけれども、てんかんを持っていらっしゃる方がありますね。この人はてんかんの発作が起きるのは予測できないわけですから、普通に電車やバスに乗っているわけですけれども、突然倒れるわけですね。そうしたら、バスの運転手は何をするのか。

 その手順と、それから、その人がどういう状況にあるかということを見届けるような技術も必要なわけです。バスがとまっていて、そのわきを走ったり後ろについてきている乗用車や通行している人から文句は出るでしょう。文句が出たって、その処置に当たらなきゃいけない、ほっぽり出すわけにはいかないわけで、運転手みずからが、そこからおりて、運転席を離れて、そして処置に当たらなきゃならない、こういうことまで訓練してほしいと思うんです。

 そのときに、もう面倒くさい、乗らないでくれという気持ちになる可能性が十分にあるわけですけれども、この教育訓練について、当局、国交省はどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

竹歳政府参考人 今御指摘ございましたように、この人的な対応についてはさまざまな声を直接いただいております。

 例えば、バスの運転手さんや駅員さんが自分の会社の障害者割引制度をよく理解していないとか、それから、ハンドル形電動車いすの自社利用要件を駅員が理解しておらず乗車拒否をされたとか、階段昇降機の操作ミスによって危うくけがをしそうになったとか、事業者によって対応がよいところ悪いところの差が大きいとか、まさにバリアフリーを進める中で、この人的な対応、教育というのが非常に大きなかぎを握っているんではないかと思います。

 各公共交通事業者においても、この接遇、介助方法の習得等を目的とした教育訓練を行っておりまして、例えば、乗降用スロープや昇降機等の機器操作実習、高齢者や障害の種類ごとの接遇、介助方法等々、障害者団体との意見交換や、サービス介助士の資格の取得を行っている事業者もあるということで、それぞれ努力はしておられるわけですけれども、問題も依然として起きているというのが実際ではないかと思います。

 国土交通省では、このための教育プログラムをつくって、公共交通事業者の社内教育のボトムアップに応援をしていきたいと思っておりまして、今後ともこういう努力を続けていきたいと思います。

土肥委員 最後に、大臣に、長い間の私のやりとりをお聞きいただきまして恐縮です。ですから、障害者、高齢者と一言で言って片づけられないんですね。ですから、今後の、面的な面までバリアフリーを図ろうというこの理想を実施していくときに、余計なものをつくってもしようがないですね。それから、歓迎されないようなものをつくってもしようがないわけでございまして、お年寄りも多種多様、障害者も多種多様、しかし、お年寄りが積極的に町に出る、障害者がどんどん町に出てくるというのはとてもいいことなんですから、そういう意味で、ハード面でお得意の国土交通省にあっても、ソフト面と、いろいろバリアフリーなんというようなことを、心のバリアフリーなんとおっしゃるのももうこれには絡みませんので、そういうことをお願い申し上げて、大臣、ちょっと締めくくりをお願いしたいと思います。

北側国務大臣 きょうは私も勉強させていただきました。土肥先生の本当に御経験を通してさまざまなお話をちょうだいいたしまして、私も知らないことばかりでございました。目の不自由な方に付き添いするときには、ひじですか……(土肥委員「ひじです」と呼ぶ)ひじを持って、そういうことも私なんか知らなかったわけでございまして、知らないことが本当に多いんだと思うんです。

 健常者の方々から見ると、障害者の方々に対してどう対応をしていったらいいのか、もっと知れば、そういう気持ちがある人はたくさんいらっしゃいますから、知れば、もっとこうすればいいんだなということがわかるわけでございまして、本当にハード面ももちろん大事ではございますけれども、そういう教育、啓発というようなことが非常に大事だなというふうに思いました。

 特に、きょうの先生のお話の中で本当にそうだなと思いましたのは、学校ですね。障害者の方々に学校でほかの生徒と一緒に教育の機会を与えていくということが、ほかの健常者の子供たちにとっても非常にそれは大事な教育の機会になるんだというお話は、本当にそのとおりだな、また、そういうことがないとなかなかわからないんじゃないのかなというふうに思いまして、非常に大事な御指摘をいただいたなというふうに思っております。

 きょう、さまざま個別のいろいろなケースについてお話をいただきましたことをしっかり今後の施策に反映できるように、頑張っていきたいと思います。

土肥委員 終わります。ありがとうございました。

林委員長 田名部匡代さん。

田名部委員 民主党の田名部匡代でございます。

 厚生労働委員会に所属をしているわけでございますが、本日は国土交通委員会で質問の機会を与えていただきましたことを、委員の皆様にまずもって感謝を申し上げたいと思います。

 今、大臣の最後の御答弁をお伺いしていて私自身も感じたことではあるんですけれども、私も、恥ずかしながら、正直申しまして、大人にというか、つい最近まで、障害者の方々と理解し合う、また触れ合う、一緒に時間を過ごすということをしてこなかったわけであります。しかし、地元のボランティア活動に参加をいたしまして、ここ数年の間は障害者の方々とたくさん時間を過ごすことができまして、その中において、障害者の方々が何を望んでいるのか、また、どういったことで困っていらっしゃるのか、また、こちら側の思い、そういったことも伝えることができるようになったわけであります。

 それを考えたときに、まさに土肥先生の御質問にもあったようでございますし、大臣もおっしゃっておられましたが、教育というものは本当に大事だな、そのように私自身も感じているところであります。

 私の地元のある保育園で、障害児が一緒に過ごす、障害児を一緒に受け入れて教育をしているところがありました。その障害児というのは自閉症を持っている子でありまして、その子と一緒に過ごす周りの子供の反応というのは一体どういうものかといえば、あの子は突然大きな声を出す子なんだよという、それをある意味その子の個性ととらえているわけであります。それぞれの持つ病気、症状、そういったものを子供のころから理解して互いに知り合うということは、大変重要なこれからの課題だと思いますので、そういったことにもぜひ国として取り組んでいくべきではないかな、そのように思っております。

 先ほど申しましたように、私は厚生労働委員会でございまして、昨年は障害者自立支援法が成立をいたしました。我が民主党は、その法案に対しまして反対をしたわけであります。特にその中でも、障害者の受けるサービスに対して一割の負担を導入したということは、自立を妨げるだけではなく、だれもが平等に与えられた生きる権利を奪いかねない、そういった内容ではなかったかと私は思っております。健常者ならごく普通に自分で行っていることも、障害者であるがゆえにお金を払わなければならない、そういうことが日常生活のあらゆるところに発生をしているわけであります。

 昨年、その法案が議論されているときに、一人の小学校の男の子から手紙が届きました。その内容というのが、僕の友達は御飯を食べるのもトイレに行くのもただです、でも、僕は障害を持っているばっかりにそのことにお金を払わなければなりません、僕はおかしいと思います、そういった内容の手紙でありました。

 つまり、障害の度合いによって、重度であれば二十四時間その介護を必要としている人もいるわけであります。生きる上で当たり前の行為に対してお金を支払わなければならない。また、だれにでもいろいろな楽しみがあって当然だと思いますけれども、例えば、映画一つ見に行く、またお買い物一つ出かける、そういったことに関しても、健常者ならばかからない費用が、障害者であるがゆえに、その移動にかかるお金だとか介護にかかるお金だとか、そういったことを支払うことになるわけです。

 今回この法案が出されたときに、障害者にとっては、また高齢者にとっても、なかなか優しい社会というものがつくられてこないなという中にあって大変期待できる法案ではなかろうか、そのような感想を持ちました。法案にあるように、きちんとした整備がされて自立した生活を送れるようになれば、それはすばらしいことでありますし、社会全体で支え合う知識、またそういった仕組みといったものをしっかりつくり上げることで、障害者、そして高齢者、妊婦、子育て中のお母さんたち、そういった方々が大きな安心、豊かさを感じられる社会、そういったものに少しでもつながっていけばいいなという思いを込めながら、建設的な議論をしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、基本的なことでありまして、もう大臣何度も同じ質問をお受けになったかもしれませんが、いま一度お答えをしていただきたいんです。

 今回の法案に、公共の福祉増進に資することを目的とするものであるということが書いてあります。つまり、福祉政策の一環ということだと思います。これまでの質疑の中でも、ハード面だけではなくソフト面も大事だということをたびたびおっしゃっておられます。

 そうなると、本来は厚生労働省が中心となって取り組んだ方が、高齢者とか障害者のニーズ、そういったものにより多くこたえられたのかな、もしくは、現状をもっとしっかりと把握して、公平性といったものを保ちながら政策が進んでいったのではないかなということを思ったりもするわけでありますが、より全体なものが見えた取り組みというものを国土交通省としてどう考えているのか。つまり、大臣の考える国土交通行政においての福祉政策というのは一体何なのかということを、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

北側国務大臣 参議院の方ではいつもお父様に御指導いただいておりまして、ありがとうございます。

 もちろん、福祉政策と密接に関連する法案でございます。この法案提出の理念といいますか思想というのは、ユニバーサルデザインに基づくまちづくり、こういう観点から私どもこの法案を提案させていただいているところでございます。決してこの法案というのは、高齢者の方、障害者の方々、これはもちろんです、だけではなくて、やはり移動にいろいろ不自由があるという方々すべてにわたりまして、その移動の円滑化を図っていこうということが大きな目的でございまして、今おっしゃったように妊婦の方々だとか、あと、けがをされた方々だとか、これはさまざまあると思うんですね。だから、だれでも、どこでも、自由に移動ができるように、ぜひそういうまちづくりをしっかりこれから目指していきましょうと。

 これまでも交通バリアフリー法というのがありました。また、ハートビル法という法律があったんですが、その駅、駅周辺、また、不特定多数の方々が使われる建築物だけではなくて、これから本格的な高齢社会が到来するわけですから、もっと面的にバリアフリー化というのを整備していきましょうということで、今回この二つの法律を統合し、そして拡充をした法案を提出させていただいたところでございます。

 理念としては、ユニバーサルデザインによるまちづくり、さらには福祉政策と密接に関連します。したがって、厚生労働省ともよく連携をとって、今後具体的な施策も進めさせていただきたいというふうに思っております。

田名部委員 どこにいても、また一人でも多くの方が移動しやすい、そういった社会をつくるということだと思うんですけれども、そういった意味におきまして、私の地元青森県は大変雪の多いところでありまして、また、過疎地に行きますと交通の便も大変悪い。高齢者の方々は、行政が独自でその財源を出して、町の中をバスを走らせて病院まで運んだり、そういうふうなことをしているわけでありまして、ぜひそういった地方にも目を向けていただきたいなと思うわけであります。

 もう一つ、基本的なことをお伺いいたします。

 大臣のお考えになる心のバリアフリーとは一体どういうことでしょうか。

北側国務大臣 先ほどの土肥先生の質疑にもありましたように、幾らハード面で整備をしても、また制度を幾らつくっても、結局は、大切なことはやはり人、そこにいらっしゃる人でございまして、その人がバリアフリーの重要性ということを、意義というものをよく御理解していただくことが必要だと思いますし、また、高齢者の方々、障害者の方々、さまざま状況に違いがあるわけでございますけれども、そうした方々のニーズといいますか、そういうのがよく理解できるようにしていかないといけないわけでございまして、そういう意味でのやはり心のバリアフリーというのが不可欠であるというふうに思っております。

 これは施設の管理者はもちろんでございますし、また交通の事業者はもちろんでございますし、また広く一般の国民の方々がこのバリアフリーの重要性、意義というものを御理解いただけるように、しっかりと啓発、教育を進めていくことが非常に大事だというふうに思っております。

田名部委員 スーパーに買い物に行っても、障害者用の駐車場には平気で健常者の車がとめられている、こういった地域社会を見たときに本当にがっかりとした、また悲しい思いがするわけであります。まさに心のバリアフリーということを含めて、国全体で取り組んでいかなければならないと思うんですけれども、もちろん自立をした社会生活を送るための社会資本整備というものは不可欠でありますけれども、今お話にもありましたように、心の問題も含めて一体的な取り組みをしていかなければなりません。

 先ほど大臣が、厚生労働省とも連携をとってという御発言がありましたけれども、厚生労働省を含めて、他の省庁との連携というのはこれまでの間にしっかりとれているんでしょうか。

北側国務大臣 この法案のそもそも中身についても、当然、厚生労働省と連携をとってこの法案を決定させていただいているところでございますし、国土交通省は社会資本また交通インフラ等を所管しておりますので、そういう意味では、厚生労働省や先ほどの文部科学省等々、関係省庁との連携をしなければいけない場面が非常に多い役所でございます。

 そういう意味では、これまでも連携をとらせていただいておると思いますけれども、これからもなお一層、特にこうしたバリアフリー化の問題については、厚生労働省や文部科学省とよく連携をとって進めていく必要があると考えております。

田名部委員 私はちょっと不十分ではないのかなということを感じたわけであります。

 きのう、実は、文部科学省を含め他の省庁の方々ときちんと連携をとっているのかという、つまり話し合いを重ねてきたのかという御質問を役所の方にさせていただきました。もしもそういった議論また審議会のようなものがあったのであればその資料をいただきたいということで、資料をいただきました。

 ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会、これはメンバーを拝見したところ、国土交通省の各担当局長の方が六名、それ以外は警察庁、そして総務省、厚生労働省からは一人だけ、このメンバーの中に入っておりました。文部科学省は入っていないわけであります。後から役所の担当の方が、文部省とは事務的に話をさせていただいただけでしたという御回答があったわけであります。

 しかし、先ほど来お話がありますように、教育の中で心のバリアフリーというものにしっかり取り組んでいくことを私は大変重要だと思っていますし、今回のこの法案の中にも、小中学生向けの人材育成プログラム、また学生を含めた人材育成、それからボランティアの活動実施といったものが盛り込まれているわけであります。ですから、本来であれば文部科学省もこのメンバーの中に入っていておかしくないだろうと。

 そして、厚生労働省の中にあっては、障害者、また障害者の就職に関する担当の方、そして高齢者の介護の問題にかかわる方、そういった幅広いメンバーの中で深い議論をしていくべきだったのではないかなと思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 今御指摘のございましたユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会、確かに文部省の方には入っていただいておりませんでした。ただ、この懇談会自身は、学識経験者の方を中心に、また障害者の方々の御意見を、生の声を伺おうというものでございましたので、文部科学省は入っていなかったのかなと思います。

 ただ、今後、国として基本方針を定めたり大事なことをやっていきますし、それから教育の問題等、先ほどからも御審議の過程で出ておりますように、文部科学省とも十分相談しながら進めていきたいと思います。

田名部委員 ありがとうございます。

 これから議論をしていくに当たって、広い方々から御意見を聞きながら、また深い議論をしていくために、本当に高齢者、障害者のニーズにこたえられる、そういう中身にしていくためにもぜひメンバーの中に入れていただきたい、そのように思います。

 先ほど心のバリアフリーの話をいたしましたので、ちょっとそれについてお伺いしたいんですが、今回、予算が五千万円ついていると思いますけれども、これはどういった取り組みをしていくものなんでしょうか。どういったことにこの予算が使われるんでしょうか。

竹歳政府参考人 実は、予算はいろいろな分野で今回措置しております。

 例えば、今の五千万という部分かどうかわかりませんけれども、基本構想をつくる地方自治体への支援でございますとか、それから、今の心のバリアフリーの関係で申し上げますと、交通バリアフリー教室というものをやっております。これは、過去五年間に全国二百七十二カ所で一万三千名余の方々の参加をいただきまして、疑似体験、介助体験などをやっていただくものでございますし、それからバリアフリーボランティアモデル事業、全国五カ所で実施しておりますが、こういうものも十八年度引き続きやっていきたいということでございまして、いろいろな形で予算措置もしているところでございます。

田名部委員 私もちょっとだけ御説明をいただいていたんですが、交通バリアフリー教室、内訳というか、どういったものに予算が使われているのかということを中身を見たときに、謝礼とか職員の旅費、そして庁費。この庁費というのは何ですかと伺ったところ、会場費だとか印刷費だとか報告費といったものに使われているということでありました。

 しかし、こういったことというのは、例えば文部科学省の中でも、教育の一環としてもう授業の中で取り組んでいらっしゃるところもありますし、また、地域でもこういったことを独自に実施しているところがあるわけであります。私、地元のボランティアに参加をしていると申し上げましたけれども、私も実際、地元の社会福祉協議会にお世話になりまして、車いすの疑似体験をさせていただきました。

 決して悪い計画ではありませんので、否定をするつもりはありませんが、ただ、予算をできるだけ有効に、有意義に使っていただきたい。そういったことを考えたときに、同じような内容のものを各省庁で実施していても無駄なのではないか、そのように思うわけでありますし、地元で、また地域で、地方でこういったことをもうどんどん行っているところがあるのであれば、そこに必要な経費だけを渡して、より多くの人に体験をしてもらう、そういったやり方もあるのかなというふうに思いました。

 これは、今の御説明にもありましたように、バリアフリーボランティア事業に関してもそのとおりだと思うんです。昨年五カ所で駅のモデル事業としてやりまして、ことしから四億二千三百万の予算をつけて本格的に取り組みを始めるということでありました。これについても、本当に、地域によって駅がいいのかどこがいいのかというのもちょっと違ってくるんでしょうし、また、高齢者や障害者の側から見ても、どういうときにどういうところでボランティア、つまり人手を必要としているのか、こういったことを把握した上で事業を計画したのかどうかなと。

 では、その辺を先にお答えいただけますか。

竹歳政府参考人 御指摘のように、予算は限られておりますので有効に使わなくてはいけないと思います。

 交通バリアフリー教室について申し上げますと、国土交通省の地方運輸局等が、地方公共団体、教育委員会、公共交通事業者、福祉関係団体等と連携して実施しているということで、まだまだ私どもはいろいろなところでやっていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っておりますが、いずれにしろ、今御指摘ございましたように、ダブったりすることがあってはそれは無駄でございましょうから、そういうことのないようによく連携はとって進めていきたいと思います。

田名部委員 ぜひ、自治体の状況、実施状況なんかもしっかりと把握をした上で予算を有効に使っていただきたいな、そのように思います。

 今のボランティア活動に関してもそうなんですけれども、バリアフリーボランティアというのは地域に根づいた活動をしているところもありますし、その地域の実情、実態によって、どこがいいのか、先ほど言ったような違いもあると思いますので、ぜひそういったことも確認をしながら行っていただきたい、そのように思います。

 続いて、ちょっと具体的な話になりますが、ノンステップバスについての質問をさせていただきます。

 このノンステップバス、以前はワンステップバスの導入を義務づけしていたとお聞きしました。ワンステップバスでさえ十分に導入がされていない地域もあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、導入されない理由というものが、地域の財源不足、つまり地方にお金がないために、本来導入したいんだけれども導入できずにいる、そういったところがあるのではないか、そう思うんです。

 実は、恥ずかしい話ですが、私、地元青森の実態がどうなっているか調べました。ノンステップバス、全国で四十四番目、割合でいったら〇・一%しか導入がされておりませんでした。ただ、言いわけではございませんけれども、ノンステップバスというのは、車両の構造上の理由から、寒冷地また山岳地域の路線においては導入が難しい場合もある、そういうような実情、実態もあるわけですので、必ずしもノンステップバスがいいということには限らないと思うんですね。

 ただ、このノンステップバスに対して国が補助金を出すという話でありました。一体幾ら出すのかなと伺ったところ、ワンステップバスとの差額分だと。数字をお伺いしたら、大体四百万、国が二分の一、県が二分の一、二百万ずつぐらいという話でありました。しかし、実際、ちょっとバスの値段を調べてみましたら、そんなに違わないんですよね。二百万円違わない。つまり、八十万から九十万ずつ国が負担、そして県が負担、こういった負担。

 負担する補助の額が少ないからどうこうということではなくて、やはり私は国全体として底上げを図っていく必要があると思うんです。どんどん進んでたくさん導入されているところもあれば、そうではなくて、地方に行けばほとんど導入されないところもあるわけですから、やはりその底上げを図るような予算の使い方、方策というものが必要じゃないかなと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

宿利政府参考人 今、田名部委員から、地元青森の状況も含めてお話がございましたけれども、全国の状況をまず申し上げておきますと、平成十六年度末でありますが、ノンステップバスが、バス車両総数五万八千台のうちの約七千台ということで、一二%程度導入されておりまして、その後一年経過しておりますから、これがさらにポイントが上がっていると私どもは考えております。

 しかしながら、現行の交通バリアフリー法に基づく基本方針の中では、平成二十二年までにバス車両総数の二〇%から二五%をノンステップバスとすると決めておりますので、少なくともその目標達成に向けてさらに努力を官民で、地方公共団体も含めて進めていく必要があると思っております。

 また、地域差というものがありまして、全国の状況を見てみますと、導入がかなり進んでおります大都市部、特に東京都が全国で最も進んでおりまして、三六%まで進んでおるわけでありますが、今お話がありましたように、青森県を含めてかなり低率のところがございます。

 私どもとしては、なるべく全国津々浦々に普及するのが理想的だと思っておりますけれども、これは、バス事業者の経営の状況でありますとか、あるいは、先ほどお話がありました地理的なあるいは気候的な状況でありますとか、いろいろな事情でこういうことになっております。引き続き、ノンステップバスの補助制度、財政措置、税制措置を活用しながら導入に努めてまいりたいと考えております。

田名部委員 当選させていただいてから何度か質問をしてきたんですが、三十分がこんなに早いとは、時間の配分が何だかうまくいきませんで、本当は最後に防災についての取り組みをお伺いしたかったわけですが、私の意見として述べさせていただきたいと思います。

 例えば、災害があったときに、避難所というのは大体学校といったところが多いわけですけれども、こういった整備がそれぞれ、文部科学省の担当であるとか、例えば、耳の不自由な方、そして目の不自由な方に対して電光掲示板での緊急を知らせるやり方、また音声での緊急の情報を提供するやり方、こういったものはどこですかと言うと、各それぞれの省庁なんだという話をきのう教えていただきましたが、やはり、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、こういった社会をつくることに、障害者、高齢者の日常生活、平時のことだけを考えて取り組んではいけないんだと思うんです。

 つまり、いざ何かがあったときに、全体として縦割りの弊害に国民が苦しまされることがないように、やはり省庁を超えてしっかりとした体制をとることが大事だろうと思いますので、今後のまた議論の中でも、そういった災害対策に対して国土交通省としてどういったことをやっていくのか、また、どこを先に整備して避難所を確保していかなきゃならないのか、そういったことをぜひ調査して実施していっていただきたい、そのように思っております。

 私の知り合った障害者の方で、こんなことをおっしゃっている方がいらっしゃいました。どこでもバリアフリーになってほしい、そういうことを望んでいるんじゃないんだよと。正確な情報さえあれば、例えばトイレがない、段差がある、そういった情報さえあれば、自分はここに行けるな、行けないなということが判断できる、そして何よりも大事なことは人の心だということをおっしゃっていました。例えば、困難であろうと、多少そういう苦労があっても、周りにいる人たちが、いつでも受け入れますよ、いつでも支える気持ちがあるんですよ、そういう気持ちを伝えてくれるだけで自分たちは大変心強いし幸せなんだという話を伺ったことがあります。

 ぜひ、こういった国土交通省の新たなバリアフリー法の取り組みとともに、国民全体がそういう優しい気持ちを持ったすばらしい社会につながっていくことを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 引き続きまして、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案、質問をさせていただきたいと存じます。

 それに先立ちまして、私は、本来ならば、通常は厚生労働委員会に所属をして、籍を置いている者でございますけれども、与野党の理事の皆様の御配慮と委員長の御許可をいただきまして、この一時間を持ち時間といたしましてこの法律案に関する質問をさせていただきたい、そのように思っております。

 同時に、私は、民主党の党内で、障害者のワーキングチーム、あるいは、その後の、昨年成立をいたしました障害者自立支援法のいわば施行後のフォローアップチームという形で、そちらの担当もさせていただいておりましたので、その観点から、ぜひきょうは障害者施策を含めた広い視野でのこの法案への質問という形を行わせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞ御理解を賜りたいというふうに思っております。

 まず、その質問に入る前に、ことしの二月に判明をした事案でございますけれども、東横インの法令違反事件がございました。恐らくこの委員会でも審議になったのではないかというふうに思っておりますけれども、この東横インの法令違反事件、いわば前身でありますハートビル法でありますとか建築基準法の違反という事例が見つかり、大変悪質な事例であったというふうに私も認識をいたしているところでございます。

 この案件につきまして、今現在にわたって、その後どのような形になったのか、そして、違法改造にかかわった建築士及び建築士の所属しております事務所の処分に関してはどのような形になったのか、お聞かせをいただきたいと存じます。

山本政府参考人 東横インの事案は、ハートビル法などの法令に適合させて建築物を完成させて、完了検査を受けた上で、意図的に身障者用駐車スペースなどを撤去するといったようなことを行ったものでございまして、まことに悪質な行為が行われたと認識しております。

 当初、六十三件の東横インにおいて法令違反が確認されておりました。特定行政庁とも連携いたしまして、違反是正を厳正に実施いたしました結果、六月八日時点で違反是正が完了していない物件は四件となっております。このうち三件が建築基準法の容積率規制違反でありまして、残り一件は駐車場法に基づく駐車場条例違反でございます。

 また、こうした違法改造にかかわった建築士や建築士事務所につきましては、まず、関連会社であります一級建築士事務所、株式会社東横イン開発において、建築士法上専任が義務づけられております管理建築士の名義を貸しておりました一級建築士を免許取り消し処分といたしました。違法な改造工事の図面を作成しておりました一級建築士を業務停止四月とするとともに、株式会社東横イン開発の建築士事務所登録を取り消しました。それから、別途、違法な改造工事の図面を作成しておりました一級建築士を業務停止七月とするとともに、建築士の所属する一級建築士事務所を事務所閉鎖七月とする処分を行ったところでございます。

 今後は、関係します特定行政庁と連携いたしまして、いまだ違反是正がなされておりません四件の東横インの事案につきまして、是正計画を提出させ、あるいは期限を定めて是正命令をかけ、あるいは是正を指示しているところでございますので、早急に是正工事が行われますように引き続き厳正に指導してまいる考えでございます。

園田(康)委員 今御報告いただきましたように、まだ四件がそのまま残っているという形のようでございます。ぜひこれはしっかりと対処していかなければ、また、これだけの違反をしていた、全国で六十四件という大変大きな違反事例であったわけであります。しかも、それも大変悪質であったというふうに認識をしておられるという御答弁でございました。

 全国の障害者、あるいはそれにかかわる方々の怒りは大変禁じ得ないものであったというふうに私も伺っておるところでございます。そういう障害を持った方々に対する侮辱したような態度というものも、一方で許しがたいものがございました。

 したがいまして、この案件につきましては、より厳しく取り締まりをすると同時に、是正命令を厳しい状況の中行っていただくようにお願いをしたいというふうに思っております。

 そして、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、この事例をとりまして、今後そういった再発防止策というものを大臣としてどのようにお考えであるのか。また今般、バリアフリー新法というべきものでしょうか、この新しい新法に基づいて、こういう事案が、一体どういう形で対応策が盛り込まれているのかどうか。まず、この点を大臣からお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 この東横イン問題につきましては、今住宅局長から報告をさせていただきましたが、極めて遺憾な事件であるというふうに考えております。

 完了検査後に改造するということでございまして、私は、やはりこういう事案に対しては厳正に対処していくということが最も大事なことだ、中途半端にしない、厳しく処分等を行っていくということが大事だというふうに考えているところでございます。

 完了後の検査でございますので、行政側がそれを把握するというのはなかなか容易じゃないんですが、地方公共団体におきましても、利用者の方からの情報提供等を活用して違反実態の把握に努め、立入検査を適時実施をしていただきたいというふうに考えております。

 また、今回の事件の一つの反省なんですけれども、東横インのこうした違法改造というのはかつてもなされておったんですね。そうした情報が他の特定行政庁との間で共有をされていなかったという反省点もございまして、国や他の地方公共団体との違反情報の共有を積極的に図っていかねばならないということで取り組みをさせていただいているところでございます。

 今回の法律におきましては、現行のハートビル法では、罰則が、是正命令に従わない場合に百万円以下の罰金というふうになっておるんですけれども、これを、この法案におきましては、罰金の上限を三百万円に引き上げるというふうな対処をとらせていただいているところでございます。

園田(康)委員 今回は、罰則を強化して、再発防止と、それから抑制策といいますか抑止策を行うということであろうというふうに理解をさせていただきました。

 また、大臣からもおっしゃっていただきましたように、やはり今回は、この事案は条例違反あるいは他の法令違反という状況が複雑に絡み合っていたにもかかわらず、それがきちっと情報としてキャッチできなかったという面が、今般までいわば見逃されたまま来てしまったというところではないかなというふうに思っておりますので、あるいは消防法の規定にもございますように、きちっと毎年毎年検査をその都度行っていくということもあろうかと存じます。一度検査が完了したからといってそのまま野放しにということではなくて、ぜひそういう観点から定期的に検査を行いつつ、この抑制策といいますか抑止策をとっていただければなというふうに思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、この案件、もう二度とこのようなことがないようにお願いをしたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、今般の、今審議になっております高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案について何点か御質問をさせていただきたいと存じます。

 きょうは、少し私も障害者の観点から幅広い議論を原点に返って行わせていただきたいというふうに思っておりますので、具体的な法案の中身に入る前に、いわば障害者の持っておられる立場と権利をどう考えるか、その観点で少しお話をしたいというふうに思います。きょうは、恐縮ですが、外務省の方とそれから厚生労働省の方にもおいでをいただいているところでありまして、幅広い議論をちょっとしたいと思っております。

 大臣、障害のある人の権利条約、国際条約というものが今、いわゆるアドホック委員会、特別委員会というところで協議がされているまさしく最中でございまして、私も、早くこの障害者の権利条約というものが世界的にもつくられ、そして我が国も批准をされるという形に持っていきたいというふうに思っておりますし、今まで国際的な条約がつくられてこなかったことに対しても、いわば少し遅きに失したのではないかなという印象をぬぐえないわけでございます。

 そこで、外務省さんにちょっとお伺いをしたいというふうに思っておりますけれども、まず、この障害者の国際条約における障害者の定義というものはどのような協議がなされ、そしてその定義について外務省としてどのような姿勢で臨んでおられるのか、御説明をいただきたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございました障害者の権利条約、これは国連の総会決議に基づきまして、二〇〇二年から交渉を開始されたものでございます。現在までに七回交渉が行われておりまして、またことしの夏に第八回の交渉が行われる予定でございます。障害者の尊厳、個人の自立等をベースにして、できるだけ障害者の権利保護を図ろう、こういう条約でございます。

 今お尋ねのございましたこの条約におきます障害者の定義ということでございますけれども、先ほど申し上げましたアドホック委員会の場においていろいろと検討が行われておりますけれども、障害者の定義については、各国の意見が割れてございます。各国の多様な法制度を背景に、障害者の定義を設けるべきか否かというところで議論が分かれておりまして、現在のところ、収れんしてございません。一番最近開かれましたことし一月の七回会合におきましても、障害者の定義を設けることを支持する国、しない国ということが割れてございまして、引き続き夏の第八回会合が開かれます。

 最後に、御指摘のございました我が国の立場というところでございますけれども、我が国といたしましては、障害者の定義は、各国の状況、法制度の違いを反映し多様なものとなっていることから、かえって狭い障害者の定義を設けるよりは、障害者の定義というものについては、各国の基本的な法制度の中でそれぞれが決めることが適当ではないかとは思っております。

 仮に、もし障害者の定義を置くということでございましたら、障害者の権利保護という目的にそぐうような形で置かれるべきと思っておりますが、今のところは、我が国としては、各国の法制度の中でそれぞれが定義をすればいいということで、特に定義を置くことを支持はしておらない、こういう状況でございます。

園田(康)委員 今の外務省のお立場でございますけれども、私は、少し違う立場といいますか見解を述べさせていただきたいと思います。

 すなわち、今御説明にあったように、世界各国でもいろいろな意見というものはあるようでございます。そして、その中において我が国がとるべき道、あるいは世界に対してそれを先進的に進めていく、そういう立場で実は国連の中で発言をしていただきたいという思いでいっぱいでございます。

 すなわち、それは各国の施策の中でそれを行えばいいというところだけではなくて、それを乗り越えて、世界的な、ユニバーサル、いわば標準的な形で持っていければ、これは最高にいい状態になっていくんではないかというのと同時に、国土交通省の方でも、ユニバーサルデザインという概念を今取り入れて行う、推進をしていくという形が言われているわけであります。

 そういった中で、障害者の定義というものを狭く見るということではなくて、幅広い形の中で、いわば平等観念と同時に障害者の権利というものをやはり強調していっていただきたいというのが私の願いであり、その中から、いわば幅広い定義をつけることができれば、必然と、各国においてそれに対する方策が一つ一つ順番に見えてくるんではないか。最初から狭い概念でやってしまえば、それは当然その中だけで閉じ込めればいいという形になってしまいがちでございますので、私は、日本の立場で世界にお訴えをするのであるならば、広い視野に立って、この障害定義というものをぜひ主張していっていただきたいというふうに思っております。

 さらに、関連づけて、実は、これは文部科学省との関連になるのかもしれませんけれども、国連の障害者権利の条約の議論の中でもう一つ気になることがございました。それは、文部科学委員会の中でも議論になっておりましたけれども、二十四条の「教育」にまつわる権利でございます。

 この教育の分野で、いわゆる「一般教育制度から排除されないこと」という一文がございましたけれども、そのうち、我が国が主張した言葉の中に、「一般」を削除するような旨の発言をされたというふうに私は伺っておりますが、それは事実でしょうか。また、事実であるならば、それはどういう意図に基づいて御発言をされたのでしょうか。御説明いただきたいと思います。

辻政府参考人 答弁申し上げます。

 今委員御指摘のように、本件につきましては、文部科学委員会でもいろいろと御議論いただいたところでございます。障害者権利条約の第七回会合、ことしの一月でございますけれども、今先生おっしゃいましたように、二十四条にございます「教育」というところで、「障害のある人が障害を根拠として一般教育制度から排除されないこと」という文言の中から、我が国としては、「一般」という文言を削除することを提案いたしましたのは事実でございます。

 なぜそのように申し上げましたかということについて御説明申し上げます。

 今先生の御指摘にございました二十四条二項のaというところで、そういう、「一般教育制度から排除されないこと」、すなわち、障害のある方が通常の一般の方が受けられる教育制度から排除されないことという規定がございます。他方で、同じ二十四条の二項のdというところに、仮に、支援を提供した上でも一般教育制度が障害者のニーズに適切に対応できないような場合には、代替措置を提供することという規定がございます。我が国としましては、両者の整合性を図ることが必要であろうということから、「一般」という文言を削除した、これが一つの理由でございます。

 我が国の現行の教育制度、先生もう御案内だと思いますけれども、それを踏まえまして、文部科学省と協議させていただいた上で外務省としてはかかる提案を行いましたけれども、今次条約交渉でも、いわゆるインクルーシブといいますか、含めるような教育というのが大きな流れとなっているのも事実でございます。したがいまして、今後も文部科学省とも協議をしつつ、こういう条約交渉に向けまして政府の対応に遺漏なきを期したい、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

園田(康)委員 今参事官からお話をいただいたわけでございますけれども、いわば世界的な議論の中では、やはりインクルージョンといいますか、インクルーシブな教育制度というものを目指していこうという流れになってございます。すなわち、いわば統合的な、すべての子供たちを含めた中での教育制度。つまり、今の我が国のように、一般と、それから盲・聾・養学校のような特殊教育という形になっておりますけれども、それを分け隔てることではなくて、総合的な教育制度の中でこれが行われるのが理想の姿であり、そして、それに向かって施策を行っていくというのが国の責任でもあるのではないかというふうに私は思っているところでございます。

 ぜひ、その点を含めて、ここでのお願いではないかもしれませんけれども、そういう「一般」だけを除いてというようなけちくさいことは言わずに、もっと大所高所に立った施策を、我が国の姿勢としてやはりこれも同じく世界に広めていっていただきたいといいますか、自信を持って進めるような、そういう立場でいていただきたいというふうに思うわけでございます。

 したがって、今般の主張というものを私は大変危惧しておりまして、他省庁との連携、これは当然のことでありますけれども、その省庁の中もやはり外務省が、それでは世界標準あるいは世界的な観点からは日本が取り残されてしまうのではないか、そういう危惧を抱いているということを、逆に外務省さんから文科省なり厚生労働省なりに申し渡すといいますか申し入れをするというような形で、ぜひ引っ張っていっていただきたいというふうに思っております。

 大臣、済みません。ここまで障害者の国際権利条約の話をさせていただいてまいりましたけれども、お聞きをいただいて、まださまざまな議論の過程ではありますけれども、日本、我が国の考え方というのがやはりどうしても遅い対応になっているといいますか、この分野においては施策がまだ十分ではない、高齢者にしかり、あるいは障害者にしかり、対応がきちっとなされていないという部分が否めないわけでございます。

 しかしながら、国土交通省の中には、ユニバーサルデザインの大綱というものがなされて、そして世界標準的な形を進めていこうというのが、ある面、これは評価できる部分であろうというふうに私は思っておりますし、今般のこの改正案、いわば障害者の権利というものをきちっととらえていただけるのであるならば、これは大変すばらしい改正案になったんではないかなというふうに思っております。

 その点を少し大臣の御認識をお伺いしたいと思っておるわけでございますが、一般論といたしまして、障害者の移動の権利というものを大臣はどのように御認識されておられますでしょうか。御見解をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 私は、日本の憲法の中に、障害者の方はもちろんのこと、あらゆる方の移動の権利というものは保障されているというふうに考えております。

 憲法十三条の個人の尊重、また憲法十四条の法のもとの平等、さらに憲法二十二条の居住、移転の自由、こうした保障がありますし、さらにさかのぼりますと、やはり移動の自由というのが確保されて初めて自己実現というのは可能なわけでございまして、そういう意味では憲法二十一条の表現の自由にもかかわってくる問題で、そういう意味で、憲法上、この移動の自由ということは保障されているというふうに私は考えております。

 今回のこの法律は、こうした憲法上の今申し上げた規定に根差して、そういうことを踏まえて、今回の法案の理念があるというふうに考えております。

園田(康)委員 幅広いといいますか、憲法上の権利で、十三条、十四条、そして二十二条及び二十一条という形まで踏み込んで大臣にお話をしていただいたわけでありますけれども、中心となるのは、やはり個人の尊厳とそして平等権であろうなというふうに思っております。二十二条の居住、移転の自由の部分は、どちらかというと表面的な移動できるという部分ではないかなというふうに思っておりますけれども、その根底にあるのが、いわば十三条及び十四条の部分であろうなというふうに思っておるわけであります。

 そこで、これは事務方の方でも結構でございますけれども、平等の自由といった場合に、我が国の日本国憲法においては、いわば両性の平等であるとか、あるいは社会的な身分であるとか人種であるとか性別であるとか、そういったものは差別を受けないという形になっておるところでありまして、社会的なそういう差別を受けないということであるならば、障害者の方々も、通常の人間であるのは間違いないわけでありますので、当然のごとく平等に生活をする権利というものも持っているはずでありますし、あるいは、今度は二十五条の生存権の中で、いわゆる最低限度の生活を営む権利を有しているわけであります。

 そういった形の中で、本当にこの国の中で、障害者の方々も同時に平等な権利、移動をする権利、生活をする権利あるいは社会的な生活をする権利というものが、この中できちっと具現化されているかどうかというところから一つ一つの法律をとらえていかなければいけないんではないかというふうに私は考えているわけであります。

 そういった面で、残念ながらまだまだ、今の観点で申し上げるならば、この委員会の中でも議論になっていたようでありますけれども、障害者の方々が、通常の新幹線の移動であるとかそういった部分に、通常であれば当然のごとくその中で移動が許容されるはずでありますけれども、いわば車いすの中でハンドル式の車いすなどは、これに関して乗車拒否なるものがなされるという事案も幾つか報告も上がってきているようであります。

 この辺に関しての対応策といいますか、国土交通省としてはどのように考えていらっしゃるのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

梅田政府参考人 御指摘の、ハンドル形の電動車いすの件でございます。

 これは、以前は、回転の半径が大きいあるいは重いというようなことから、鉄道での利用をお断りしている場合が多々ございました。それで、私ども、あるいは身体障害者の団体の方々、それから公共交通事業者の方々によりまして委員会をつくりまして、平成十五年三月にその報告を受けまして、これを徹底いたしました。これは、鉄道におけるハンドル形の電動車いすの利用要件というのをまとめまして、事業者に対して徹底したものでございます。

 これを踏まえまして、ハンドル形の電動車いすを使用する場合、その必要があって操作することができる方につきましては、乗降口や車両内のスペースが広く、段差がない車両において利用が可能でございます。また、利用可能駅も、エレベーター等の整備に伴いまして順次増加しているところでございます。平成十六年の六月の時点で調査いたしましたところ、五十六事業者、千三百二十九駅が利用可能でございました。その一年後、平成十七年の七月に調査いたしましたところ、六十五事業者、千五百九駅ということで、一年間で百八十駅ほど増加しているところでございます。

 しかしながら、現在供用されております新幹線等のデッキつきの車両におきましては、乗降口あるいは車両内の通路が狭いという物理的な問題がございます。また、置き場所等の確保もなかなか難しいということでございまして、ハンドル形の電動車いすの御利用は困難であるというような状況にございます。

 そこで、JR東海でございますけれども、来年の夏以降、順次導入する予定の新型の新幹線車両、N七〇〇と言っているものでございますが、多目的のスペース、室をつくりまして、これに伴いまして、この新型の新幹線車両の乗降口あるいはデッキ、あるいは各駅のホーム、通路、こういうところで安全にかつスムーズに利用ができるかどうか、あるいはダイヤが混乱したときにはどういうふうに対応するか、そういうようなところの詰めをやっていると聞いております。

 こういう取り組みがございまして、鉄道事業者におきましても、新造の車両を整備する際にはハンドル形の電動車いすの利用を念頭に置いた車両開発ということで、これは車両メーカーの方にも大分お願いをしてきているところでございます。そもそも、電動の車いすにつきましては、余り鉄道利用ということを前提に開発されていないものが多うございます。したがいまして、私どもは、こういう鉄道の車両にもマッチするような電動の車いすを開発していただきたいというふうに思っておりまして、その働きかけもやってきているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような電動車いすの利用が十分できるように、今後とも対策を進めてまいりたいと思っております。

園田(康)委員 そうしますと、今の御答弁を伺いますと、来年の夏以降は、あるいはこれから開発される新型車両に関しましてはそういう対策がきちっととられていくんだ、今後、そういう乗車拒否といいますか、先ほどは困難というふうにおっしゃっておられましたけれども、そういうことがないような形になるというふうに理解をしてよろしいんですね。

 と同時に、これから業者に対して、ハンドル式の電動車いすを逆に乗降がしやすくなるような規格にしていくというようなお話がちらっと今見受けられたわけでありますけれども、それは逆であって、今の車いすの規格は大体奥行きで百二十センチ以内というふうになっておって、幅でいきますと大体六十から七十センチ以内という規格になっているわけでありますので、逆にそういう今の車いすの規格に合わせた形で、いわば車両等あるいはホーム等の改造がなされていくものではないかというふうに思うわけですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。

梅田政府参考人 先生御指摘の点でございますが、現在の電動型の車いすには大まかに言うと二種類ございます。一つはジョイスティック形といいまして、ハンドル形じゃないものですね、バーで動かすものです。もう一つ、最近だんだん普及してまいりましたのがハンドル形でございます。これの回転の半径を見ますと、ジョイスティック形というのが大体一メーターぐらいでございます。ハンドル形というのは一・一メーターから一・六メーターぐらい、いろいろございます。

 私どもといたしましては、こういう規格でございますので、できるだけ車両を新造する際に、特に、開放いたします一般の車両ではなくて、さっき言いましたようにデッキつきの特急車両だとか新幹線の車両とか、そういうようなものが幅が狭くてなかなか入らないという状況でございますので、そういうような車両の新造をする際にはこういう利用を念頭に置いて車両を製作していくということで、鉄道事業者側からも努力してまいりたいと思いますし、逆に、メーカーの方に対しましても、鉄道車両に合うような車いすの開発にさらに努めていただきたいということで今お願いをしているということでございます。

園田(康)委員 ぜひ、そのことは強くお願いをしておきたいというふうに思います。

 と同時に、本来的には、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、障害者の移動の権利というものをより保障していくということが今後の焦点になろうかというふうに思いますので、その辺もあわせてぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 一説には、この移動の権利というものをなかなか明記しづらいという部分もあろうかと存じます。それもさることながら、しかしながら、法律のつくり方としては、こんなことを言ってしまっては元も子もないかもしれませんけれども、憲法にも先ほど申し上げた生存権の二十五条というものがございます。これは、大臣も御承知のように、官僚的な言い方をすれば、いわゆるプログラム規定であるので努力規定ということにすぎない、法的な権利ではないという形になるわけであります。

 したがって、努力規定であったとしても、きちっと明記をしておくことによって、それを認識する、そしてそれが概念としていつしか広がっていく、そういうことを踏まえれば、この権利を明記するということは一歩進めてもいいのではないかというふうに私は思っておるところでありますが、もし何かそれについての御感想があれば、大臣、お聞かせをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 大事なことは、具体的な施策を前へ進めていくということが私はやはり非常に大事なんだと思うんですね。

 先ほど申し上げたように、憲法上は、やはり移動の権利というのはきちんと、移動の自由というのは保障されている。その移動の自由をできるだけ確保するような施策を推進していかねばならない。そういう思想に基づいて今回の法律があるわけでございまして、個々のさまざまな具体的な施策を前に進めていくことが非常に大切であるというふうに考えているところでございますし、また、ハード面だけではなくて、心のバリアフリーと申しますけれども、そうした政策を推進することも非常に大切でございます。

 また、今公共交通についてのお話もあったわけでございますけれども、乗車拒否の問題等が出ているわけですね。そういうことにつきましても、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練というものも非常に重要であるというふうに考えておるところでございまして、こうした個々の施策を、ハード面、ソフト面含めて、しっかりと進めていくことが大事であるというふうに考えております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ともすると、こういう権利なるものが明記されていないから施策を進められないんだというふうな御答弁が時に別の委員会などでは聞かれるところでございますが、殊さら北側大臣におかれましては、それよりもきちっと施策を進めていくんだという今決意をお聞かせいただいたのかなという気がいたしておりますが、個別な障害施策の推進として、ぜひ国土交通省におかれましても、お進めいただきたいというふうに思います。

 もう一つ、国土交通省の中にホットラインステーションというのがあるというふうに伺いました。これは、ホームページあるいは本省の中にもそういう苦情処理を受け付けるところがあるというふうに伺っております。

 その苦情処理を受ける中に、いわゆるバリアフリーといいますか、関連した案件は一体どのぐらい今一年間にお寄せをいただいているのか。あるいは、そのうち、先ほど議論をさせていただきました乗車拒否に関連するような案件は一体どのくらい出てきているのか。その内容を可能な範囲でお伝えいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

竹歳政府参考人 国土交通省のホットラインステーションに寄せられた相談等のうち、バリアフリーに関するものは、平成十七年四月から平成十八年一月までの間に四十六件ございました。そのうち、障害者の方の乗車をめぐる相談案件につきましては七件でございました。

 例えば、ある作業所へ通う身体障害を持つ方が駅でエスカレーターの使用を拒否されたということが、このホットラインステーションに寄せられました。これは非常に問題ではないかという相談事例でございました。この件につきましては、具体的な路線、会社名とか駅名も書いてございますので、直接私どもの方から事業者の方へ連絡して、事業者の方では、作業所へ出向き、今回の件について謝って、今後の対応についていろいろ相談したというような処理をしているということでございます。

園田(康)委員 すなわち、このホットラインステーションというものを使って、苦情処理といいますか、苦情に対してそれを是正する、そういうシステムをつくり上げているということですね。

 そうしますと、願わくは、その内容を、恐らく個人情報の保護の観点もあるでしょうけれども、例えばその部分をA市、B市あるいはA駅とかB駅とか、そういう形で、どういう苦情があり、そしてそれをどのように処理したのかというのを、せっかくホームページがあるのですから、すべてが無理だというのであるならば代表的な部分だけでもとらえて、それをこのようにしておりますよということを、情報公開という観点からすれば積極的に取り組んでいただけないかというふうに私は思うわけですが、そういうこれからの取り組みというのはいかがなものでしょうか。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、当事者の承諾の確保のあり方とか、共有可能な情報の内容等、個人情報の保護に関する課題等はございますけれども、この相談事例、非常に貴重なものだと思いますので、共有化について検討していきたいと思います。

園田(康)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 恐らく、当事者の方々からすれば、こういったものがあるんだけれども、一体それが機能しているのかどうかというような部分もあります。積極的にこういった事例をとらえて、そして利用して、さらによりよいものになっていくというそのサイクルができ上がれば、私は、大変いい話になっていくのではないかな、施策になっていくのではないかなというふうに思います。

 それからもう一点、この法案の関連でお伺いをいたしますが、これも既に議論になっていたのかもしれませんが、ホームドアあるいは可動式ホームさくの義務づけに関してであります。

 私も新幹線を利用いたしております。あるいは地下鉄を利用させていただいておりますが、この安全策という面からすれば、これは高齢者あるいは障害者に限らず、安全さくをきちっとこれからの駅の中に取り入れていくというのは、私は、市民の安全を守る観点からすれば大変重要なものであるというふうに思うわけでありますが、これについて義務づけというものは、ぜひお願いをしたいのですが、難しいものでしょうか。これを一点お伺いすること。

 それから、今回の法案の形式、骨組みから申し上げますと、基本方針を主務大臣が行うという形になっておりますけれども、この基本計画の中に、ホームドア、可動式ホームさくの目標値、すなわち、何年までにどれだけを設置するというような目標値をこの中で掲げていくということぐらいは私は可能ではないかというふうに思うわけですが、この点はいかがお考えでしょうか。

梅田政府参考人 国土交通省といたしましては、ホームドアあるいは可動式のホームさくの設置ということにつきまして、これを推進することは、ホーム等からの転落防止の観点から大変望ましいというふうに考えているところでございます。

 これまでも、設置可能な駅につきまして、個別に設置を推進してまいりました。路線の新設時に設置されるものを中心にいたしまして、現時点では、ホームドアは十二路線百十五駅、可動式ホームさくは二十一路線百八十三駅に設置されているところでございます。

 しかしながら、先生御指摘の点でございますが、駅にホームドア等を設置するということのためには、既存の駅は非常にホームが狭隘であるという問題点がございますが、仮に新駅のようにホームの広さが確保される場合であっても、扉の位置が異なるさまざまな列車が走行する路線というのがございます。例えば、相互乗り入れをしているとか、あるいは同じ路線でもスリードアとかファイブドアとか、いろいろな路線がございます。こういう路線では、対応可能なホームドア等をつくることは技術的になかなか難しゅうございます。また、定位置に列車を自動的に停止させる装置が設置可能な路線でなければ、ホームドアにきちっととめるというのはなかなかこれも難しゅうございます。

 こういう理由がございますので、一律に義務化をするということは困難であろうというふうに考えているところでございます。

 また、こういう技術的な問題でございますが、ホームドアの整備を行うためには、常日ごろ大体行われているところは路線単位で、路線ごとの全体のシステムを一度に変更するということになりますから、路線単位の投資をするということで、かなり多額の投資になってまいります。こういうことでございますから、エレベーターとかエスカレーターのように、一駅ずつ段階的に整備するというのが困難でございますので、整備目標を定めるというのは難しいというふうに考えているところでございます。一路線を全部変えるということになりますと、やはり事業者としてもかなりの金額がかかります。

 したがいまして、我々としては、現在、路線のホームドア、ホームさくの設置の促進は望ましいと思っておりますので、働きかけを十分やってきておりまして、十分でないと批判されるかもしれませんが、東京メトロ丸ノ内線におきましては、これは池袋―荻窪間の全区間でございますけれども、可動式のホームさくの設置を進めているところでございます。これは全駅まとめて直します。したがいまして、平成十九年度中に供用させるということでやってきているところでございます。

 諸条件の整った路線を中心に、ホームドアあるいは可動式のホームさくにつきましては、私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。(園田(康)委員「基本方針の中の設置目標は」と呼ぶ)基本方針の中で定量的な目標を書くことはなかなか難しいと思います。

園田(康)委員 積極的に施策を推進しているという努力は私も評価をしたいと思っております。ただし、ある程度の目標を掲げなければいけないのではないかと私は思っております。

 現に、先ほど御紹介があったように、九千五百駅ある中で百数十駅しかまだ設置をされていないということからすれば、あるいは、新しい駅あるいは新しい線に関してもすべてが設置をされるということではないということから聞くと、到底これは、大臣、ユニバーサルデザインというものを標準的なものとしてこれから推進していこうと、大綱まで出して国土交通省は掲げているわけですよね。

 そのユニバーサルデザイン、つまり、あらかじめ障害の有無や年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいようにこれを行っていく、そういった都市や生活環境をデザインする考え方を取り入れていくというのであるならば、当初から、これからつくる駅、あるいはそういった付随するような交通手段の際にはこれをしっかりと盛り込んでいくということを強力に、私は義務づけまでは言わないけれども、それに付随するような何らかの働きかけをしっかりと行っていただきたいというふうに思うわけであります。

 さらにもう一つ、この新法の中で、これは評価できる点だろうと思うわけでありますが、基本構想に関する住民提案制度というものが設けられております。

 この住民提案制度の中で実質的な参画をきちっと担保していかなければいけないのと同時に、もう一つ、住民とそれから市町村、あるいは障害当事者の方々による協議会を設置されますよね。この協議会の中で、先ほど申し上げた主務大臣の基本方針、これによっても、スパイラルアップ的に施策を事後チェックも含めて行っていく。本当にそれが実施されて設置されて行われたかというのを、事後チェックをしっかりと基本方針の中ではやるんだけれども、この住民の提案制度の中の基本構想、これにこのスパイラルアップ的な考えがきちっと含まれているのかどうかということをもう一度この場で確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 今回の法案改正におきまして、参加ということが非常に重要なテーマになっております。このため、利用者や住民の方々から基本構想の作成、変更について提案をいただいて、そして、もしその提案について採用しないというような場合にはきちっと理由を明らかにするというような形をとりまして、実質的な参加を確保しようと考えているわけです。

 また、協議会につきましても、さまざまな方の御参加をいただいて、その中でスパイラルアップを図っていくということでございます。構想をつくるだけではなくて、事後のチェック、事業の進捗状況等々を確認していくということで、非常に重要な機能を持っていると考えております。

園田(康)委員 その中で、一つこれは提案でございますが、恐らく国土交通省の中でも、バリアフリーリーダーというのでしょうか、そういったものをこれから構想として考えるというふうに少しお伺いをしたわけでありますけれども、この制度を、スパイラルアップをきちっと行っていくための、障害当事者のバリアフリーアドバイザーというふうに私からは御提案をさせていただきたいわけでありますが、そういった当事者の方々も含めた都市のデザインをきちっと行っていけるような、そういう人的養成の仕組みというものが必要であるというふうに私は考えておりますけれども、これはいかがでしょうか。これはちょっと端的にお答えをいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 バリアフリーリーダーの育成事業については、平成十七年度から開始したところでございまして、障害者団体、介助や支援を行うNPO団体等々関係者の方々と協力しながら進めておりまして、今後ともこれに力を入れていきたいと思います。

園田(康)委員 私はやはり、当事者参画という面を、そして当事者の視点に立ったそういう都市デザインというものがより深くなっていくのではないかというふうに思いますので、ぜひこの点をしっかりとバックアップをしていただきながら支援をして、つくり上げていただきたいというふうに思います。

 さて、この障害者の関係で、きょうは大変恐縮でありますが厚生労働省からも来ていただいているわけでありますけれども、障害者自立支援法との絡みで、今回のこのバリアフリー新法とそれから障害者自立支援法、理念はやはり障害当事者の方々が自立と社会参加をきちっと行えることができるように、そしてその根底には、今まで日本の、我が国の施策の中においては残念ながら冷たい政策でないがしろにされてきた、その部分にきちっと光を当て、それをより拡大させていく、その新たな取り組みとして、私は、今後、見直しも含めて考えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。

 昨年成立いたしました障害者自立支援法の中に、先ほど申し上げた障害者の定義の部分でありますけれども、今般、障害者自立支援法の附帯決議の中あるいは附則の中でも言わせていただいていたわけでありますが、障害の範囲というもの、これに関して、いわば障害手帳の有無であるとか、あるいは障害認定の範囲を含めて検討するというふうに約束をしていただいています。

 その約束が今どういう形で実際に検討されているのか、そして、今後その検討がどういう形で行われていくのか、その見通しも含めてお話をいただきたいと存じます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の定義につきましては、委員からお話ございましたように、障害者自立支援法の附則において検討課題とされているところでございます。

 まず、私どもの進め方についてお答えを申し上げます。

 昨年十二月に、省内に、事務次官を本部長とする障害者自立支援推進本部を設置したところでございます。ここにおいて、障害者の定義も、法律でも宿題になっておりますし、また、施行後、この障害者自立支援法は三年を目途に見直しをするということになっておりますので、この本部でまずは検討をしていくということ、それから、法改正に向けて、審議会等の場において関係者の御意見も十分伺いながら、障害者の範囲等の問題について検討していくというのがまず第一点でございます。

 現在どういうことをしているかと申し上げますと、厚生労働科学研究において研究をいたしております。

 何が問題かと申し上げますと、障害者の定義は、障害者自立支援法では、今委員から御指摘ございましたように、身体障害者福祉法に規定する身体障害者、これは手帳をお持ちでございます、知的障害者福祉法に言う知的障害者、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者、また、お子さんにつきましては、児童福祉法に規定する障害児及び障害者のうち十八歳未満の者、こういうふうに定義されておりますが、問題点といたしましては、身体障害者等については、障害が永続していること等を要件としているため、手帳というお話がございましたけれども、そうではない難病の方や内部障害の方がなかなか障害者には該当しないということで外れてしまうということ、知的障害については、法律上、知的障害の定義の規定がないためにその要件が不明確であるなどの御指摘がございます。

 また、発達障害、これも議員立法で法律をつくっていただきましたけれども、こういう新しい障害については今申し上げました従来の障害各法の障害では読み込めない、そういう問題もございます。

 こういった点を検討していく必要があるということで、厚生労働科学研究でやっておりますのは、今申し上げました身体障害者関係については、症状固定というような考え方がございますけれども、そういった考え方で手帳をお出ししていますが、そういうことと実際お困りになっている障害者の方々との関係がどうなっているか、そういったことを中心に身体障害者認定基準に係る厚生労働科学研究を実施しております。

 もう一点、知的障害につきましては、まず、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデン等における知的障害の定義の状況や文献、有識者情報を調査するとともに、そういう各国の事例を調べますとともに、どういう有効な知的障害についての定義があるかということについて厚生労働科学研究で研究しているところでございます。

 これらの成果を踏まえまして、先ほど申し上げました法律の見直しに向けて作業をしてまいりたいと考えております。

園田(康)委員 大臣、これは御感想を求めるということではありませんけれども、今聞いていただきましたように、そして先ほどの外務省からの障害者の定義という部分も含めて、私はどうも、我が国の施策の中で障害者に対する定義を狭くしよう、狭くしようという部分があるのではないかなという気がしてなりません。

 すなわち、昨年成立いたしました障害者自立支援法においても、先ほど中村局長からも御発言がありましたように、難病であるとか内部疾患であるとか、あるいは知的障害に関しても定義がまだまだあいまいな部分があって、その部分はどうしても、手帳であるとかそういった明確なものでないとこの法律の対象にならない、入らない、そして制度から谷間として抜け落ちてしまう。残念ながら、まだまだ我が国にもそういう落とし穴があるわけであります。

 そういった観点からすれば、この障害という定義を幅広く持つことによって多くの方々を救うことができ、そして、それによってこの社会の中においても自由な移動や社会参加、そういった生活が保障されていくものである。そうなってくれば、私も、本当に幸いなことに今障害を持っておりませんけれども、ひょっとしたら先天的なものではなくて後天的な形で、あす交通事故に遭い、そして歩けなくなるかもしれない。だれしも、そういう障害を持つ可能性だってあるわけであります。したがって、そういうふうになったとしてもしっかりと社会活動ができ、参加をでき、そして生きる権利を持っていくんだ、そういう我が国におけるグランドデザインというものをきちっと描いていただくことが今後の障害施策の大変大きな柱になっていくのではないかなというふうな気がいたしております。

 そういう意味で、私どもも、三年後の見直しというふうに言われておりますけれども、単なる介護保険との整合性を持つようなそういう見直しではなくて、もっともっと幅広い、社会的な障害者施策の総合的な法体系というものを、むしろ国土交通、あるいは文部科学、そして厚生労働、そしてさらに外務省も含めて、さまざまな観点から新しい総合的な施策というものを考えていかなければいけないのではないかということだけ御提起をさせていただきたいというふうに思います。

 申しわけございません、残りわずかになってまいりましたので、最後に、これはもう一度厚生労働省さんに確認をしておきたいと思います。

 少し飛ばして、障害者自立支援法の重度訪問介護の部分の定義の中で、外出時も含むということを私はこの場で一度確認させていただきたいというふうに思います。すなわち、現行の日常生活支援プラス外出介護という定義が、今回の障害者自立支援法の中の重度訪問介護の定義の中にきちっと含まれているのかどうか。

 そして、見守り介護というものが重度訪問介護の中に明確に含まれているということを、どこか委員の方にそのようにお答えをしたというふうに私も伺っておりますが、もう一度この場で明確に、見守り介護も含めてこの定義の中に含まれているということだけ御答弁をいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者自立支援法におきまして、本年十月から新しいサービス体系がスタートいたします。特に、重度の障害者の方を対象とした重度訪問介護というサービスが創設されることになっております。

 その中で、重度訪問介護に外出介護が含まれることを明確にすべきだという御指摘でございます。そのとおりでございまして、重度訪問介護は、これまで別々のサービスとして提供されてきました日常の生活支援、これは今お話がございましたように身体介護、家事援助、見守り等の支援を行う日常生活支援でございます、それにプラス、屋外での移動に著しい制限のある全身性障害の方々などに対しまして外出時の介護を行う外出介護、この両方を行うということで重度訪問介護というものはつくられました。したがいまして、当然、外出介護は含まれている。

 見守り介護につきましても、御質問がありましたので改めてお答え申し上げますが、従前より日常生活支援の一部として見守り介護は提供されてまいりましたので、重度訪問介護においても含まれております。

園田(康)委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、まず最初に、エレベーター事故の問題について聞きます。

 高層住宅やオフィスビルに住み、働く人々にとって、エレベーターは欠かせませんし、その安全は大前提です。高齢者、障害者など移動制約者にとってはなおさらです。エレベーターの安全を抜きにしたバリアフリー化はあり得ない、私はそう考えます。バリアフリー化を促進しようとするこの法案においても、今回の港区のマンションエレベーター死亡事故の持つ重大性ははかり知れないと言っていいと思います。

 きょうは、行政の責任について検証したいと考えます。

 エレベーターは建築設備の一部ということで、建築基準法の建築確認や完了検査の対象となっています。確認しますが、事故を起こした港区のシティハイツ竹芝のエレベーターはだれが建築確認し、だれが完了検査したのか。

 もう一点、建築基準法から見て、東京都、港区、公社、メーカーのシンドラー社、保守会社のSECのそれぞれの責任はどのように考えられるのか、お答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 事故のありましたエレベーターは、港区の公共住宅に設置されたものでありまして、平成九年五月六日に建築主である港区より計画通知があったものを東京都が確認し、平成十年三月二十三日に東京都が完了検査を行ったものであります。

 東京都より当該エレベーターについて計画通知や完了検査において問題点は認められなかったという報告を受けておりますが、事故原因については、現在、警察においても調査中であります。関係者の責任については、原因究明を徹底的に行った上で、その結果を待って判断されるべきものと考えております。

穀田委員 建築設備であるエレベーターも、建築確認し、そして完了検査もきちんとやって、安全であるということを確保しなければなりません。そして、今回の事故は、港区と東京都が確認し、完了検査済証を出しているわけです。だから、当然これは、行政がこのエレベーターは安全ですよとお墨つきを与えていたわけです。だから、もちろん原因究明の、原因の調査を含めた結果を待たなければなりませんが、管理という点からも、行政の責任は免れないことははっきりしていると言わねばなりません。

 そこで、なぜ事故は防げなかったのか。この間の事故の教訓を生かして必要な手だてを講じていれば、今回の事故は防げたのではないか。したがって、行政の責任はこの意味でも大きいと言わざるを得ません。

 二年前、同じ港区の六本木ヒルズで自動回転ドアの事故がありました。この事故を受け、国交省は、自動回転ドア事故防止対策に関する検討会を開いています。自動回転ドアの事故防止対策に関するガイドラインを作成するなどしてきています。あわせて、検討会報告書を出しています。そこでは、回転ドア以外の建築物等で生じている事故の情報等を収集し、事故防止対策に役立てていくために、地方公共団体等から、中略しますが、事故情報を収集し、事故防止対策に反映していく体制、方法等や利用者への情報提供などを検討すべきだと提言してます。

 ヒヤリ・ハットなど事故情報の収集、活用は、この間の運輸安全の議論でもはっきりしています。国交省として、事故以後、回転ドア以外のエレベーターなど建築設備についての安全対策をどのように進めてきたのか、お答えいただきたい。

山本政府参考人 エレベーターなどの建築設備におきまして、冷やりとしたり、はっとしたりした情報や、比較的軽度な負傷事故なども含めた情報を収集いたしまして、その分析を通じ重大事故の発生防止策を検討することや、事故の内容、原因、対策などについて関係機関が情報を共有するとともに、広く国民に周知し注意喚起を行うことは、極めて重要と認識しているところでございます。

 国土交通省では、六本木ヒルズの回転ドアの事故などを受けまして、地方公共団体の建築担当部局における消防機関などとの連絡体制整備などを要請し、事故情報の報告、提供を求める体制を整備するとともに、社会資本整備審議会に建築物等事故・災害対策部会を設置し、担当官も設置いたしまして対策を講じてきたところでございます。

 また、これらに加え、現在、建築物における事故情報を広く収集し、国民や設計者などに提供するインターネットを活用したシステムの整備の検討などの取り組みも進めてきているところでございます。

 今後、審議会のこの部会におきまして、今回の事故に関する情報共有などの経緯や、これまでの事故情報の収集、活用などに係る検討状況なども含めて審議をいただき、公共団体などの関係機関との事故情報の共有体制の充実に努めてまいる考えでございます。

穀田委員 今の答弁にもありました、ヒヤリ・ハット、軽度、これの収集が大事だ、それから、共有することが大事だと。この二つは基本中の基本なんですね。ところが、今回の公社についても、港区についても、共有もなければヒヤリ・ハットの収集も定かでない。そういう点では、この点での責任は既に明らかだということを指摘しておきたいと思うんです。

 二〇〇五年三月の国交省の通知では、回転ドアの事故等の教訓を踏まえということで、地域の建築物に係る、今ありました危険情報の共有化を図ることが有効かつ必要であると言っている。あわせて、管内特定行政庁に対してもこの旨の周知をお願いしますと、事故情報の把握だけじゃなくて共有化なんですね、消防との連携、事故情報に対する対応などが示されているんです。

 問題は、今、そういう話が、るるありましたけれども、ほんまに機能したかという問題なんですね。特定行政庁がその体制なり制度を具体化し、実施したのかということが問題です。

 この通知以後、特定行政庁がどのような対策をとってきたのか、国土交通省は把握していますか。

山本政府参考人 御指摘いただきました平成十七年三月の通知以降、この通知を受けまして、例えば岩手県、愛知県、鹿児島県といった特定行政庁におきまして、実際に消防機関等との連絡協議会などを設置し、地域の建築物等に係る危険情報の共有化などを図ることとしておりますほか、東京都それから大阪府におきまして、関係条例を整備いたしまして、事故発生時の報告などが速やかに行われるよう措置しているところでございます。

 なお、通知に基づく連携体制の強化などによりまして、例えば平成十七年度におきましては、六月に発生いたしました名古屋市内のエレベーター事故、それから七月に発生いたしました港区内の解体中のビルにおける外壁崩落事故などの情報について、事故発生後速やかに特定行政庁からの報告がなされております。

穀田委員 などと言っていて、それぐらいしか実際はないんですけれども、何か、いつも、などと言ってようけあるように見せているけれども、それだけしかないということを言わなあきませんで。だまされたらあきまへんで、ほんまに、皆さん、それだけしかないのやから。じゃ、港区はどうしたのかと聞きたい。

山本政府参考人 先ほど東京都が条例などを整備したということを申し上げましたが、東京都港区においては、六本木ヒルズの事故を受けて、特に独自の対策を講じたということは聞いておりません。

穀田委員 ということなんですよね。しかも、先ほど、事故がもう一回あるんですよね。

 連続しているにもかかわらず、肝心かなめの当事者のところは、条例化はもちろん、他の対策すらとっていない。公社からのふぐあいの報告も受けず、そして、住民の声を直接聞いても手を打たなかった。全くとんでもない安全軽視が行われていたということだけは確かだと。

 通知を出しながら、その後の追跡、確認というのが、その意味では、先ほどの数値にありますように、岩手、愛知、鹿児島、これはこれだけですわな、都もありますけれども。だから、自治体が本腰を入れていない。その間に、途中に今度の耐震偽装問題などあったりして、大変だとは思うんですよ。でも、国交省の指導が不十分だということははっきりしている。事は命、安全にかかわる問題なわけですから、行政の根幹にかかわることとして実効あらしめるように改善する必要があると思います。

 そこで、エレベーターに関しては、昇降機の維持及び運行の管理に関する指針、これが日本建築設備・昇降機センターから出されています。事故に関しては、特定行政庁への報告も入っているし、人身事故に限定されている点は、今問題となっている閉じ込め、それからふぐあいにも広げる必要があると思います。

 昨日、この国土交通委員会として関係者の意見聴取を行いました。保守点検の問題をめぐっての議論の中で明らかになったことがあります。それは、保守会社がかわるたびに事故やふぐあいの情報が引き継がれていないという問題点がきのう明らかになった。それから、メーカーが部品、機器の情報を保守会社に教えないという問題など、不備が明らかになりました。こういう改善が必要だ。

 したがって、これらを加えて改善するなど、今述べた点などを、大臣、法令化すべきではないでしょうか。

北側国務大臣 昨日は、ありがとうございました。私も報告を聞いております。

 参加された委員の方々と、シンドラー社、また保守点検会社、また港区、公社等との間でやりとりがあった内容についてもお聞きをしているところでございまして、今回の事故を通して、やはり改善をしなければいけないところが多々あると私も思っているところでございます。

 今回の事故の原因につきましては現在調査中でございますが、事故情報を正確にしっかりと収集させていただいて、今委員のおっしゃった保守点検のあり方も含めた再発防止策につきまして、検討をさせていただきたいというふうに考えております。

穀田委員 改善すべきことについて言えば、確かに、最後、事故の原因、遠因、全部明らかになってからという問題はあります。でも、私自身がきのう質問して討論する中でわかったことは最低限これぐらいあると。しかも、この指針などに見られるような実態では、人身事故しかない。それから、国交省がやっている点でいいますと、ヒヤリ・ハット、それから事故の情報の共有、この二つがありますから、私は、この点は、とても、すぐでも改善できることだし着手していただきたいと思っています。

 事故原因その他につきましては、機械そのものに欠陥がある場合、それから保守点検の不備に関する問題、同時に、行き過ぎた安売りやコスト削減の競争、入札のあり方など、事故につながった遠因等について検討、解明すべき点があると考えます。私は、国交省の調査もこれから明らかになることから、閉会中を含めた審査を改めて要求したいと思っています。

 委員長に御検討を要求します。

林委員長 理事会にて協議いたします。

穀田委員 次に、バリアフリー法案について質問します。

 法案は、施行後五年を経過した交通バリアフリー法を見直し、ハートビル法と統合して、高齢者や障害者の日常生活、社会生活のため円滑な移動と利用を確保することを目的としています。

 今回の見直しでは、法制定の際に問題になって、私どもも指摘し、修正案などを出した点などについて、一定の改善が図られています。例えば、対象者を身体障害者だけでなくすべての障害者に拡大した点や、当事者参加を明記した協議会制度の導入などがあります。しかし、だれもが自由に安全に移動できる環境整備を進めるために、さらに改善が必要な課題もあります。こうした点について、きょうは残り時間でただしていきたいと思います。

 私どもの基本的見地について一言しますと、目的に、やはり高齢者、障害者等が自由かつ安全に移動することが基本的な権利であるという理念を明記すべきだと考えています。また、高齢者、障害者の定義の中で、さらに「身体の機能上の制限を受けるもの」との文言については改善すべきであると考えています。

 それを踏まえた上で、まず第一番目に、住民参加の意義について議論したいと考えます。

 バリアフリー法、きょうの新法の審議に聴覚障害者が傍聴に来ておられます。このような委員会の審議を聞くためには、手話通訳の方がよい方もおられます。ただし、手話を自由に使える方は聴覚障害者の二割にすぎないとも言われています。となれば、要約筆記の体制も必要となります。それでこそ、参加と参画が保障されます。

 新バリアフリー法の審議に当たり、まさに審議のバリアを取り除くこと、要約筆記についても公費の支援体制を私は朝の理事会で要望し、さらに議運理事会についても要望したところです。委員会としても、実現を図るための努力を図ろうではないかということを呼びかけたいと思っています。

 この点は、実は、自立支援法でも手話と要約筆記については同等に扱われており、費用負担について、厚労副大臣は、公的な会合について、必要とする場合、主催する公的機関が負担することが望ましいということで、ことしの参議院予算委員会で答えておられます。

 私は、バリアフリー法案の当事者の参加を保障する意味でも必要ではないか、したがって、隗より始めよということで、この衆議院から始めていこうじゃないかということを、改めて委員長に提起しておきたいと思っています。

林委員長 はい。

穀田委員 では次に、昨日、参考人質疑で、兵庫県の阪急伊丹駅がバリアフリーのすぐれた見本であることがこもごも述べられました。この伊丹駅の復興に当たって、交通エコロジー・モビリティ財団のアメニティターミナル整備事業が適用されることになって、阪急伊丹駅アメニティターミナル整備検討委員会が設立され、このメンバーに高齢者、障害者団体の代表が参加したことによって、阪急電鉄のホームページによりますと、現在でもバリアフリーのモデル駅として全国的に高い評価を受けていると書いています。

 私も現地に行ってきました。ビル内の一切の段差をなくし、エレベーターは車いす二台が同時に入れる二十一人乗り、プラットホーム先端に避難用のスロープ、当時としては画期的だった視覚障害者の音声ガイドシステムの設置など、ほかにも細かいところまで、少しの工夫で使いやすくなるような、こんな形の工夫がされていました。

 大臣に聞きたいと思います。高齢者や障害を持つ方々、実際に利用者となる住民の意見を取り入れることの意義についてどう認識しておられるか、まずお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 バリアフリー化を推進する上では、やはり利用者の視点に立つということが大切であるというふうに思います。高齢者や障害者の方々の参加が重要なのは、そういう理由だと私は考えているところでございます。

 今回の法案におきましては、提案制度、また協議会制度というのを制度化させていただいたところでございまして、この協議会制度の活用によりまして、関係する施設の設置管理者等の協議会への参加が担保もされますし、これらの管理者等と高齢者や障害者の方々、利用者との間での協力を踏まえてバリアフリー化が推進できるというふうに考えているところでございます。

 また、基本構想策定後におきましても、引き続き実施に係る連絡調整もこの協議会が行ってまいりますので、事業の着実な実施が担保できるというふうに考えておりまして、大変大事な意義があると考えております。

穀田委員 そこで、意義あるものをどないしたら実効あらしめるものにできるかというのは、本当に考えどころだと思うんですよね。

 阪急伊丹駅の取り組みで、その後も取り組みをやっているわけですけれども、一定の総括の座談会などを見ますと、当事者参加について、行政側の率直な意見開陳を私は見ました。このように述べているんですね。今まで役所は市民の声を聞くときに、何々連合会の会長に参加していただいて審議会をやらせてきたわけですが、発言のないことが多かったように思いますと述べています。これを言うと、省の方は、そういうところが問題だと。それは問題やねんけれども、そういうものをずっと放置してきたことが問題なんですけれども、それを大きく変えて当事者の参画でつくり上げたわけです。

 すぐれた当事者参加を実らせた伊丹市でも、このような反省があります。昨日の参考人質疑で、ボランティア有償輸送に係る運営協議会、確かにステージは違うんですけれども、そういう問題についてどうだという話をしましたら、ビジョンなき協議会ということで、やはりそういうものの理解というものを深めないと大変だと。だから、形だけつくればよいという傾向についても指摘しておられました。だから、私は、実りあるように、行政の指導がかぎだということが一つです。

 もう一つは、伊丹のバリアフリー化に大いに力を発揮した障害者団体の代表の方の発言です。計画、設計、施工の各段階で、当事者である我々の意見表明の場所が持たれたのは非常にうれしかった、設計図の段階でこれは困ると計画を変更してもらった部分、これは当初エレベーター一台だったんですけれども二台にしたというものですよね、など多数あったと述べられています。ですから、計画、設計、施工のすべての段階で参加する仕組みにする努力が大切だと思うんです。

 この後、さらに進んだ問題としては、事後の点検それ自身の体制や、継続し、それをさらによいものにするという努力が求められているというのが新しい見地ですよね。こういう点についての見解をお聞きしておきたいと思います。

竹歳政府参考人 ただいま御指摘のように、せっかく当事者参画の制度をつくった以上、形だけのものにしない、実りあるものにする、それから、計画、設計、最後の段階まで、事後の点検も含めて当事者参画を進める、まさに我々そういうような運用をしてまいりたいと考えております。

穀田委員 その点でもう一つ注文がありまして、今あったように、実らせていくという点では、いずれにしても、当事者の参画が生きたものになるかという角度から、一方では、地方自治体における独自性、創造性の尊重が基本だということは言うまでもない、そこは改めて強調しておきたいと思うんです。

 といいますのは、やはり、現場現場でいろいろなことをもっとフリーにやるという意味では、今度の場合は、提案その他もありますから、そういうことが生かされていくんだろうということを見守っていただければと思っています。

 そこで、次の問題は、では、バリアフリーの推進の実効性をどう上げるかということです。

 例えば、バリアフリーの基準が十分でないことです。せっかくバリアフリー整備が進んでも、利用者にとっては使いにくい、不完全なバリアフリーとなってしまう事態が生まれています。具体的に幾つか指摘したいと思います。

 聴覚障害への対応が現行の基準では十分でない。ハートビル法では、文字表示や聴覚障害者用点滅灯つき音量増幅装置の設置または貸し出し、さらに、フラッシュライト及びバイブレーターによる非常警報装置の設置または貸し出しなどについて、望ましいとしているんですね。義務基準ではないわけです。

 駅のバリアフリー、私、調査に行きましたときに、駅員が改札口に不在の時間帯はインターホンで呼び出しとなっているんですよ。どないして呼び出すのかと。わかりますやろ。聴覚障害者がどないして呼び出すのかと。ふと考えるとみんなわからぬわけだけれども、よく考えるとわかりますわね。だから、聴覚障害者は使えないので困るということでありました。

 そして、災害時に危険を知らせるストロボつき電光文字表示などの設置も要望されています。昨年の新潟の中越地震の際には、避難所で放送による案内で聴覚障害者が情報から取り残されて困ったという事例もありました。したがって、聴覚障害者向けの光、音量増幅、振動、文字などの配慮、窓口での筆談対応などを基準に盛り込むべきではないでしょうか。答弁をお願いします。

竹歳政府参考人 御指摘の聴覚障害をお持ちの方への対応につきましては、今先生が御指摘になったように、義務的な基準と望ましい基準と二段階になっているわけでございます。

 例えば、緊急時に外部とのやりとりを可能にするために、駅の中にエレベーターを設ける場合は、ガラス窓を設けることにより外部から内部が見える構造にするということとともに、より望ましい対応として、かごの内部が確認できるカメラを設けること、それから、故障の際には、非常ボタンを設けること、それから、係員に連絡中である旨や係員が向かっている旨を表示する設備を設けることなどをガイドラインに示しております。

 それから、乗車券販売所、案内所においては、より望ましい対応という分野で、筆談用のメモ等を準備し、聴覚障害者とのコミュニケーションに配慮することをガイドライン上、示しているところです。

 本法案の検討過程におきまして、関係団体よりいろいろ御意見を賜りました。音声情報に対応した文字による情報提供の充実、特に緊急情報、それから、すべての窓口に筆談用具を設置すること、窓口のわかりやすい位置の配置、発車ベルの光表示等について、御意見、御要望をいただいているところでございまして、本法案が成立しましたならば、基準、ガイドラインに関する検討を行う際には、聴覚障害者も含め幅広い関係者からの御意見を踏まえて検討させていただきます。

穀田委員 ガラス窓だとかは、私もきのう見てきました。

 問題は、言っているのは、一刻を争うときなんですよ。今あったように、緊急情報とありましたけれども、私が言いましたように、災害時のそういう視覚情報提供などを、これは絶対ゆるがせにできないということだと思うんです。人の命にかかわっている、移動するだけじゃなくて、安全ということになってきますと事は重大なんだ、そういう構えで私はすべきだと思っています。そこはきちんと、私ども、今後とも基準に盛り込むということを要求していきたいと考えています。

 次に、最近新築されたりリニューアルオープンした大規模ビルでも、障害者、高齢者が利用できない事態が生まれています。この間、そういうことを、障害者団体の方々が点検に取り組んだ資料をいただきました。それによりますと、例えば、秋葉原駅に隣接した国内最大の大型電気店のビルで、入っている飲食店二十八店舗中九店舗で店内に段差がある。段差がない店でも、全席固定席で車いすをとめられる席が一つもない店が二店舗あったということをお聞きしました。

 ビルの入り口やそれから通路はバリアフリー化されているけれども、肝心の店の中は段差があって利用できない。食事したくてもできない。これではバリアフリー化されたと言えないんじゃないでしょうか。大臣、この点ぐらいは、せめて新築、大規模改造の際には、店の中も含めたバリアフリー化を義務づけるべきではないでしょうか。

山本政府参考人 特別特定建築物のバリアフリー化の基準としましては、道などから高齢者、障害者の方々が利用されることとなる居室までのバリアフリー化を求めております。車いすでも通れる幅の確保、段差の解消などを義務づけているところでございます。

 その際、高齢者、障害者などが利用する居室の出入り口につきましても、八十センチ以上の幅を確保すること、扉は自動扉など開閉が容易な構造とし、前後に高低差を設けないことという基準により、バリアフリー化を求めております。

 御指摘いただきました居室内についても、高齢者、障害者などが利用しやすい構造となっていることが望ましいということは間違いありませんけれども、一律に段差を禁止するなどの基準を定めた場合、飲食店などのような商業施設などの店舗内部の空間につきまして、店舗設計のいろいろな制約、自由度が制約される、魅力ある空間を生み出すことができないといったような意見もあるのが実情でございます。

 したがいまして、望ましい設計例をガイドラインとして示したり、設計者向けの講習などで普及啓発を図ることによりまして、適切な施設整備が促されますように努めてまいります。

穀田委員 私は、それこそコンセンサスをつくっていくという努力をすべきであって、何が自由度だと。それは自由じゃないんですよ。一方に不自由を与えながら自由が拡大できるということが間違っているという思想の問題、哲学の問題が不足していると言わざるを得ないと私は思うんです。

 では、次に、地下鉄の永田町の、私、見てきました。国会側にエレベーターはないんです。五分以上移動して都道府県会館が設置したエレベーターを利用しなければならないんです。ところが、エレベーターをおりても、案内表示がなく、駅の方向がわからない。照明が不十分、階段や通路が薄暗い。一緒に調査に参加していただいた障害者の皆さんは不便だし危ないと指摘しています。東京地下鉄では通路や階段、ホームの照明の基準を設けていますけれども、これは都道府県会館が所有、管理する階段だから対象外ということになるんですね。

 だけれども、駅と直結しているビルについては、これまでもエレベーターやスロープの設置の努力がされているけれども、照明や案内も含めて、駅と同様に、だれもが使いやすい安全な基準を設けて計画的に達成すべきではないか、この点についてはどうか。

 これは、きのう参考人質疑の中で、どないした経路を来てこの会場へ来はったかと言うたときに、栃木から来られた参考人は、東京駅でほんま迷ったと言うんですね。ほんまですよ、あれ。我々かてわからへんのやから。そういうぐあいの問題について本当に、単に都道府県会館だからというのではなくて、それこそ、そういうものを利用していただく側に立って直すというのは当たり前じゃないですか。

竹歳政府参考人 まさに御指摘のとおりでございまして、今までハートビル法、交通バリアフリー法とそれぞれ施設ごとにバリアフリーを進めてまいりましたけれども、各施設間の接続部に段差があったり表示が不統一であったりするなど、連続性が確保されていないというのが実情だと思います。

 今回、二つの法律を統合して新しい法律にしたわけでございまして、今御指摘のような点についても改善できるように努力していきたいと思います。

穀田委員 努力していきたいというんじゃなくて、やはりこれは、一つの例を引いて、何も都道府県会館を目のかたきにしてやっているわけじゃないんですよ。

 ついでだから言いますと、東京駅の近くの丸の内の新しいビルができましたね。それは立派なものなんです。だけれども、あそこに行ってごらんなさい。照明設備がやはり暗いんです。行った方はみんな、もちろん先ほどの局長の話によると、まさに自由度の範囲と、それから景観とか何かというふうに言っているんだろうけれども、ほんまかいなと私は思うけれども、そういうふうなことで平気でいるということの神経を私は疑っているわけです。

 だから、公共交通事業者や、それから多数の人々が利用する施設の管理者は、その公益性の高さを認識し、法制度、利用者や住民のニーズなどを踏まえ、設備の整備、サービスの提供、従業員の教育等に努めることが求められている。これはどこか。皆さんが設置した審議会の、ユニバーサルデザインの提起ですね。だから、そういう提起している内容に基づいて、国の法律で、駅と直結するビルについては対象とし、それを国の整備目標として盛って、計画的に改善を図るべきだと私は考えるところです。

 そこで、次に二つ目の、そういう実効あるバリアフリー化を進めるための問題は、目標が十分でないことだと思うんですね。

 例えば、利用者が五千人未満の駅というのは対象外だ、自治体任せだ。建物も二千平米以上の病院、劇場、ホテルなどに対象が限られています。

 この間の質疑でコンビニという話もありましたけれども、私は、災害時に避難場所となる学校や公民館など、これは二千平米以下であっても対象にすべきではないのかという点についてお答えいただきたい。

竹歳政府参考人 五千人未満の駅につきましては、今回の法律改正でいろいろなところに基本構想ができるようにしました。

 それから、小規模なものであっても避難場所となる公民館などはバリアフリーの目標にすべきじゃないかという御指摘でございます。

 法律上どのようにするかというのは少し議論が必要ではないかと思いますけれども、そういう小規模なものであっても避難場所となる公民館などは、バリアフリー化とか耐震化とか、それからトイレの問題とか、いろいろ、そういう避難場所となるようなところはきちっとすべきだと思います。

 公民館については、一般的に地域に開放される施設でありますから、集会所として特別特定建築物に当たって、地域の実情に応じて、公共団体の判断で、条例でそういう小規模なものでもバリアフリー化の義務づけができるとなっています。

 ただ、義務づけるといっても、自分で条例をつくるわけですから、自分でやればいいという話でございまして、全国一律、小さいものもすべてということはなかなか難しいと思いますけれども、避難所の機能を持つそれらの施設のバリアフリー化については、公共団体が適切に判断して推進していかなくちゃいけないと思います。

穀田委員 そういうときは、判断すればええやないかという話をする。それは聞こえませんでと言わなくちゃなりませんわな。

 つまり、こういうものを積極的に推奨する場合は大体義務づけしたり望ましいということを言っておいて、聞かれたら、そういうことについては、それは裁量の範囲ですと言うのは、そういう言い方をしていたのでは、それでも自治体が受けとめてくれればいいですよ。そういうことの精神をわからせるということは必要だ、私は大事だと思うんですね。

 法律上は議論する必要があろうかもしれぬけれども、すべきだという点については、やはりガイドラインその他でそういうことを積極的にやってほしいということを書くなりしてやってほしいと私は思います。

 次に、昨日の参考人質疑との関係で、先ほど鉄道局長がお話ししていた問題について一言聞きたいと思うんです。

 ハンドル形車いすを初めとした障害者に対する利用拒否が広範囲に起こっている実態が示されています。事業法で正当な理由がない拒否は禁止されていると言うけれども、機能していないのじゃないかと指摘されています。

 先ほども梅田さんは、百十センチ、それから一メーター、こう言っているんですよ。だけれども、それは、前の方はそういって聞いてはりましたけれども、きのう参考人はわざわざ、そういうハンドル形車いすの現実はということで、幅四十二センチ、長さ九十センチ、重量四十二キログラム、回転半径八十五センチという実態を示されたわけではありませんか。

 だとしたら、そういう話として聞いて、それも無理だというんだったらわかりますよ。そう言うべきじゃないですか。それを、一メートル十センチだ、一メーターだと話をして、きのう言われた話が八十五センチだったということをみんな、みんな知っているかどうか、それは聞いてはらへん人もいはるからわからぬけれども、聞いていましたわな。だから、やはりそういうものに対して本当に誠実でないというか、そういう感じがするんです。

 きのうは八十五センチとありましたけれども、多いのはこっちなんですとか、だから、なかなか苦労しているんですと。やはりこういうものを会社に、これに合わせるように。違うというんです、逆だというんですよ。そういうものがどんどん開発されてきた事態をしっかり認識させて、じゃ、それをどうしたら新幹線、つまりJR東海が了解してくれるかと。だとしたら、了解できるために、すぐわかりやすい方法をとろうじゃないか、そうして、じゃ、ワッペンでも張って、これは通れるんですよということをしようというぐらいのことをしてやりましょうというならわかりますよ。それを、百センチだ、一メーターだとまだ言っているとすれば、私は何をか言わんやだと思っています。

 そこで、その点を踏まえながら、使える環境が整備されているのに利用が拒否される現状をどうするのか。だれもが安全に、自由にできる権利があり、事業者はこれを保障する義務があると明記することは、こういった利用拒否を繰り返さないためにも重要だと思うんですが、その事実と、その理念の考え方についてお答えいただきたい。

梅田政府参考人 先生の御指摘、よく伺いました。私ども、しっかりやってまいりたいと思います。

竹歳政府参考人 移動の権利につきましては、もう既に議論が重ねられてきておるわけでございまして、先ほど大臣が答弁申し上げましたとおり、大事なのは具体的にバリアフリー化を進めていくことだと考えておりまして、私たちはそれに全力を尽くしたいと思います。

穀田委員 その言葉を、現に起こっているところで言ってほしい、それを言うのだったら。利用拒否されている、そこの現場に行って、そうじゃないんだということできちんと言うことがほんまにその声を生かすことだと私は言っておきたいと思います。

 最後に、交通バリアフリー法、そしてハートビル法で、事業者に対してバリアフリーが義務づけられましたね。しかし、一番最初にほかの方も言っておられた、東横インの障害者用設備不正改造事件で、事業者がこうした義務を全く認識していない事実が出たわけです。バリアフリー化は金がかかって困るという点が根底にあの方はありました。それで、だれもが自由に安全に移動、利用することは基本的権利であるという認識が徹底されていないということだと思うんですね。だから、障害者団体からも厳しくされましたけれども、私は、法律で再度権利であるということを明記して、事業者にも徹底する必要があると考えているんですよ。

 そこで、バリアフリー化の実効性を上げるためには、事業者の責任は極めて大きい。とりわけ既存施設の整備が進んでいないが、法律上はあくまでも努力義務。義務であることを明確にして計画を進めるべきだと思っています。したがって、二〇一〇年に五千人以上利用駅を一〇〇%バリアフリー化するという目標達成へ、どのように事業者に責任を果たさせるのか、最後に聞きたいと思います。

竹歳政府参考人 五年前と申しますか六年前でございますが、交通バリアフリー法ができたときと比べると、世の中大分変わったんだという御指摘も本委員会でもございました。今具体的な目標を示されて、一〇〇%達成すべきだというお話もございましたが、いずれにしましても、財政負担でございますとか事業者の負担、ひいては利用者の負担でございますから、やはり、できるものから順番にやっていかなくちゃいけないと考えております。

 そういう意味で、適合義務というのと努力義務と分けてやっているわけでございまして、いずれにしましても、スパイラルアップという考え方に基づきまして、一歩一歩進めていきたいと考えておるわけでございます。

穀田委員 私、こういう点で事業者の責任と言いたいのは、例えば、大規模な駅の改修のときに、地方自治体の負担なんか本当に大きいという現実があるわけですね。ようけもうけているのに、それで、けちくさくしかやらへんというのがあるわけやね。だから、こういう問題も、私は、事業者というのは本来は全部負担すべきなんだというぐらいのつもりでやっていく必要があるということと、コスト、コストと言うけれども、やはり、この伊丹の例で明らかなように、本当に議論してみると、何も障害者の方々が理不尽な、不当なことを要求しているんじゃなくて、その要求を実現することが逆に無駄を省いてしっかりとやることになって、節約もできるという例がたくさん出ているんですよ。そういう角度で物を見て、やはりきちんと現実を見ていただきたい。

 最後に、先ほどありましたから、決意だけじゃなくて、これが本当に試されるんだということを、皆さんの目で、また耳で、お互いにやっていこうじゃないかということを申し述べて、終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 もう既に質問があったかもしれませんが、シンドラーのエレベーターということについて最初にお伺いしたいと思います。

 もちろん、原因の究明というのはこれからの課題になると思いますが、死亡事故が起きて以来、シンドラー社のエレベーター、これのふぐあいが次々と明るみに出ている、報道されているということだと思うんです。新聞等によると、これまでは、こういう事故の情報について、国交省にはこれを収集するチャンネルがなかったということなんですが、しかし、もう一方の報道によると、国交省では、建築物やエレベーター等で発生した事故、トラブルのデータベース化を進めているということがありました。

 最初に、この内容について具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

山本政府参考人 国土交通省では、六本木ヒルズの回転ドアの事故などを受けまして、地方公共団体における連携体制の整備を要請いたしますとともに、事故情報の報告、提供を求める体制を整備していただくことを求めたわけですが、あわせまして、社会資本整備審議会に建築物等事故・災害対策部会を設置しまして、いろいろな対策を講じてきたところでございます。

 その中で、いろいろ御議論いただいたわけですが、現在進めております取り組みとしましては、建築物における事故情報を広く収集いたしまして、国民の皆様や設計者などに提供するインターネットを活用したシステムの整備の検討を進めているところでございます。

 このインターネットを活用したシステムにつきましては、一般の建築物利用者や設計者、施工者、設備メーカーなどから、インターネットを通じて、建築物で発生した比較的軽度な負傷などを含む事故情報や、冷やりとしたり、はっとしたりした情報について提供いただきまして、その情報を分析した上で公表し、広く共有できる仕組みを整備することを考えておりまして、この夏を目途に、一般向けの試験運用を行いまして、その結果を踏まえて、修正などを行った上で、来年度以降、本格的な運用を開始することを考えております。

日森委員 それが始まった途中で大事が起きてしまったということで、国土交通省もちょっとショックではあるのかもしれませんが、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 と同時に、このシンドラーという会社、会社の方は、自分のところのエレベーターに問題はないんだというふうに言い続けているわけですが、しかし、これも報道などによりますと、同社にかかわる海外での死亡事故というのも何点か報告をされていますし、また、北アメリカでは、一九八三年以降、シンドラー社が百回も訴えられているという報道もあったようです。こういう企業が、日本ではなぜか官公庁の施設において競争入札で勝ち抜いているということがあるわけですが、しかも、国土交通省もこの二年間で、シンドラー社のエレベーター、これを六件受注しているというふうに聞いています。

 私、埼玉なんですが、さいたま市にあるさいたま新都心というでかいビルが、三十一階の合同庁舎があるんですが、そこもシンドラー社のエレベーターだと。そこでもふぐあいが二ないし三回起きているということも言われているようです。

 こういう海外での事情等もあるわけですが、国土交通省自身が、海外でのシンドラー社の実績であるとか評判、評判というと、実際に百回裁判が行われるかどうかというのは確認をしなければならない話なんですが、こうしたことについて承知をしていたのかどうか。承知をした上で、いや承知をしていないで、どちらかわかりません、しかし、一説によると、大分入札価格も安いとかいう話があるようです。そういうことだけでシンドラー社のエレベーターを発注したのかどうかということについてお聞かせいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、発注の仕方でございますけれども、私ども、官庁営繕工事においてエレベーターを発注する際におきましては、そのエレベーターの当該工事の内容、この内容と申しますのは、例えば階数であるとか、かごの大きさであるとかスピード、こういった内容に基づきまして、施工業者に対して同種工事の実績を、また、配置される予定の技術者に対しましては同種工事の経験を条件として求めまして、適切な品質が確保できるように努めているところでございます。また、最近は、エレベーター工事につきましても、価格及び品質が総合的にすぐれたものを落札者とする総合評価落札方式を導入しているところでございます。

 御質問のありました、海外の事故等の情報については、現時点で必ずしも詳細に把握しておらないわけでございますけれども、少なくとも、国内において当該企業の責任による事故が生じた場合には、指名停止等の措置を講じることとしております。

 今後とも、しっかりした品質が確保できますように、安全性に関する情報等を幅広く収集して、適切な発注ができるように努めていきたいというふうに考えております。

日森委員 ちょっと話が戻りますが、先ほど住宅局長から、国内での事故等についてはインターネットで収集をして、分析をして、公表していくんだということがありました。これは一応もとは国内の企業だったようですが、外資系の会社になりますよね。海外でこういう事故が起きていたり、あるいは問題が生じていることについては、これはどういうふうな取り扱いをするのか。実際に、これも調査をし、情報を収集して、分析するようなことを同時に行っていけるものなのかどうか。

 これは、ちょっと質問通告をしていないんですが、国内だけで本当に大丈夫なのか。今はもう企業自体がインターナショナルというか多国籍になっているわけで、そういう意味から考えると、情報の収集、分析、公開について、もう少し幅広く考える必要もあるんじゃないかと思いますが、その辺は、住宅局長になるのかな、ちょっと今の段階でのお考えをお聞かせいただきたい。

山本政府参考人 先ほど御説明しましたように、今検討しておりますシステム自体は、国内で行われておりますいろいろな、もろもろの活動についての情報を収集して、これをシェアするということでやっておりますけれども、御指摘いただきましたように、建築生産自体が、資材の調達を初め、国境を越えた活動が非常に広がっておりますので、問題意識を踏まえて、どういうことが可能か、そのことも含めまして検討してまいりたいと思います。

日森委員 きのう、委員長以下、事故機、事故を起こしたエレベーターを見てまいりました。エレベーターを見たというのはおかしいけれども、現場に行ってきたわけですね。

 そこで、今回の事故を起こしたエレベーターのメンテナンス価格が四年間で四分の一になったというふうに公社側が報告をして、みんなびっくりされた。少なくとも私はびっくりして、四百四十何万円でやっていた仕事が百二十万円なのか、四分の一しか安全性は確保されないのではないかと思ったぐらいなんですが、これはちょっと驚きました。

 一説によると、エレベーター業界がいわば収益を上げていくのは、メンテナンス、この事業をちゃんと受注して、エレベーターを設置して納品した後も利益を上げるというところに実はある、そういう意見もあるわけです。したがって、メンテナンスを受注できないということになるとメーカーにとっては大分痛手になると。

 そういう事情が背景にあって、きのうも随分出ていました、マニュアルを出したのか出さないのか、要求がないから出さないとか、さまざまな意見があったんですが、メーカー側が自社製品のふぐあい情報をメンテナンス会社に伝達しない、あるいは修理部品の納品が遅くなる、こんな事例があるということも指摘をされているわけです。

 今回の事故、あくまでも何が原因かというのは究明中ということを前提にしつつも、今度の事故を契機に、メンテナンスをめぐる激しい受注競争、これがあるということが随分はっきりしたんじゃないか。これは民民の問題かもしれないですけれども、これによって安全性が損なわれるということがあれば、この間ずっと議論してきた耐震偽装の問題から何からそうなんですが、これは大変大きな問題ではないかというふうに思っているんです。

 そういう意味で、今、全部随意契約を調査していて、民も含めてやろうじゃないかというような話をちらっと聞いたような気がするんですが、こういう実態について、少なくとも官公庁だけでもそうなんですが、それはもう対象はシンドラー社に限らないと思うんですが、その実態をちゃんと調査をして、それを分析して、しかるべき処置をとる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、それについてはどうでしょうか。

奥田政府参考人 まず、国発注のエレベーターの工事の入札契約状況につきましては、現在、過去三年間のすべての国土交通省発注のエレベーター工事につきまして、シンドラー社及びその他の社の落札率等について調査をしておりまして、これは近々取りまとまり次第公表する予定となっております。

 それから、メンテナンスのことについては、直接メンテナンスの価格等について調査を私どもがしているわけではございませんが、現在、国家機関のすべての建築物を対象としたエレベーターのふぐあいについて実態調査を実施しておりますので、その結果を踏まえまして、必要に応じて対策を講じるとともに、エレベーターについて適切な維持管理がなされるように、今後とも各省各庁を指導していきたいというふうには考えております。

日森委員 ぜひ徹底してやっていただきたいと思います。

 またその話ですかというふうに言われるかもしれませんが、移動の権利、これはどうしても、せっかくバリアフリー法とハートビル法を合体させて、高齢者、障害者の移動をもっと円滑にしようということであるならば、もう一歩進めて、権利ということについて、やはり私はその明記をすべきではないのかというふうに思っているんです。

 それで、参議院の議論、今回の議論も、衆議院でこの委員会での議論もそうなんですが、移動の権利を明記ができない理由の一つとして、それを明記すると国が責任を持たざるを得ない、したがって、財政支出、これが増大するということを、そういう趣旨のことをおっしゃっていました。

 その移動の権利というのは、フランスなんかもそうなんですが、国民の権利、これをきちんと国が認めていく。そうすると財政支出が増大しちゃうからちょっとそれは遠慮したいということであると、これはちょっとおかしな話になるんではないかというふうに思っているんです。その権利を行使できる環境整備の義務、それは国が負担するというのは当然のことであって、それが嫌だから移動の権利を明記しないんだとしたら、これは本末転倒と言わなければいけないと思うんです。

 先ほどから御答弁は、いや、権利ということを書き込むよりも、実態として円滑な移動が可能になるような政策を進めることなんだと再三おっしゃっていますが、それはどうしてそういうふうにおっしゃるのかよくわからないんですよ。だったら、ちゃんと権利ということを明記して、国が責任を持ってやりますと言えばいいわけですよ。実態として、実態として、こう言っているわけで、そこにはやはり国が、国民の権利ということを私たちが責任を持ってやっていきますということを言えない事情があるということじゃないんですか。ここはどうも納得できない。納得できない。

 私は、政府は、円滑な移動を権利として認める、権利の行使のための環境整備を目指して、それはしっかり財政支出も行いますということを、そういう姿勢、これは明確にすべきじゃないかと思いますが、いや、では大臣じゃなくて結構ですよ、ぜひもう一度納得できるお話をしていただけたらありがたいと思います。

竹歳政府参考人 御納得いただけないということでございますけれども、繰り返しになって大変恐縮でございます。先ほどから大臣が申し上げておりますように、根っこには憲法の基本的人権に根差した理念があって、そのもとに障害者基本法というものがあってという流れで、この法律もその体系の中に入っていると思います。

 ただ、この法律自体は空間的な、物理的な制約をできるだけ取り除いていこう、これは定義の問題でもこういうことが論議されているわけでございますけれども、その全体の中で、そういう物理的な空間のバリアフリーを進めていこうという分野になると思うんです。

 実は、今、先生の方から、権利として位置づけて財政負担もきちっとやっていけばいいじゃないかというお話がございましたが、実は財政負担だけではなくて、公共交通事業者について言えば、事業会社が負担をしなくてはいけない、その事業会社の負担というのは結局利用者の負担でございますから、結局、税金か利用者の負担かでこれはやっていくということになるということでございます。それは、できるだけやれればいいということはあると思いますけれども、やはり財政も厳しい中、ただ、財政は厳しい中ではございますけれども、安全、安心な社会づくり、こういうようなものについては国として戦略的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、バリアフリー政策もそのような観点に含まれると思います。

 ということで、必ずしも御納得いただけないと思いますけれども、やはりできるだけ一歩一歩改善していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

    〔委員長退席、渡辺(具)委員長代理着席〕

日森委員 そうでしょうが、しかし、国の責任というのはどうなんですかね。最近、官から民とか、国から地方へ、地方にできることは、何かみんな丸投げしているんじゃないかという話があるんですよ。本当に、権利をきちんと保障していくというのは、それはもう国の責務ですよ、責任ですよ。そのことを明記しなさいと言っているんです。だけれども、いや、事業者が負担するとか地方自治体で基本構想をつくるとか、こう言っているわけですよ。そこが納得できない。なぜ、国の責任できちんとやりますと。大臣、何か反論がありそうなので、もし一言あったらお聞きしたいと思いますが。

北側国務大臣 今、竹歳局長がお話ししたように、恐らく委員も、例えば、公共交通の事業者が、例えばエレベーターやエスカレーターを設置しなきゃいけない、また、ホームについて広くしないといけないだとか、場合によっては列車の構造そのものも変えていかないといけないだとか、そういう費用、コストがかかるわけですよね。そのコストをまさか国が持てなんということをおっしゃっているわけじゃないと思うんですね。

 だから、申し上げたとおり、憲法上、そもそも基本的人権として十三条や十四条や二十一条、二十二条等の権利規定、自由権が保障されているわけで、そこにはちゃんと移動の自由というのは当然私は保障されているというふうに考えております。その趣旨に従ってこの法案もできているわけでございます。

 あと、現実問題としては、それは財政上の事情もある、一度にできないわけです。スパイラルアップと我々は言っているわけでございますけれども、いかにそれを前に進めていくか、その具体的な施策をしっかりと進めていくことが大事だというふうに考えているわけでございます。

日森委員 そういうことだそうです。

 次に、ちょっと具体的にお話を伺いたいと思いますが、バリアフリー化の現状について、国交省、総じて着実に進展しているという評価があって、私も確かにそうだと思うんです。本当に、駅などを見ていると、もう見違えるように確かに進んでいますよ。そういう意味では、僕は一定の評価をしていいと思うんです。

 現在公表されているバリアフリー化の達成状況、これを見ると、随分ばらつきもあると思うんですが、旅客施設については、一日の平均利用者数が五千人以上の施設であり、道路に関してもその旅客施設の周辺というふうに限定されているわけです。その五千人以上の駅をバリアフリー化していくと利用者の九割がカバーできるということになっているようですが、しかし、それで都市と地方の間で格差が生まれてはいけないというふうに思うんです。

 今回、五千人以下の駅でもやっていいよということになるんですが、今回の見直しに当たって対象を拡大していく、もう大胆に拡大する、五千人以下でもそれはやりたければやれよというような話じゃなくて、対象をきちんと拡大していって、全国という大枠で目標設定をするということではなくて、例えば都道府県別に達成目標を提示していく、その達成率まで明らかにしていって、そして、それはもう具体的に権利と書かなくても、こんなに進めていくぞという国の責任を明確にすべきではないのかという気持ちがあるんですが、これについてはどうお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 都市と地方の格差も踏まえての御質問でございました。

 現在、バリアフリー法における基本方針で五千人以上の駅を対象としているというのは、今先生もお話しされましたとおり、これらの旅客施設のバリアフリー化が実現すれば、全部の旅客施設を利用する利用者の約九割をカバーできるということで、限りある財源の中で優先度の高いものから進めていこうということで、一応五千人以上という基準を立てているわけでございます。ただ、現在でも、五千人未満でも高齢者の御利用が多いとかそういう事情がある場合には基本構想をつくるというケースもあるわけでございます。

 ちなみに、都市と地方というお話がございましたので、データを申し上げますと、五千人以上の駅というのは約三割ございます。全部で、鉄軌道全体で十六年度末で九千五百六十六駅がございますけれども、そのうち五千人以上が約三割、それから五千人未満が七割ということです。多くの場合、この五千人未満というのが地方の駅ということになる、もちろん仙台等大変大きなところもあると思いますけれども、大まかに言うと七割が五千人未満。

 そういうことからすると、五千人以上を対象としていると地方の方はどうなるんだというお尋ねになると思います。ただ、この五千人以上につきましては、目標として、平成二十二年、二〇一〇年でございますから、あと四、五年を目途に、もう五千人以上は完成しちゃおうということで、次は五千人未満というような話にもつながっていくと思います。

 そこで、今、国の責任でということで、地域別、都道府県別に目標を示して推進してはどうかというお話がございました。各地域における自主的な取り組みということになりますので、必ずしも国が目標を明示することができるかどうかということはございますが、ただ、実績については、地域ごとの取り組みの参考ともなる、都市間の競争、地域間の競争ということもございますので、そういう地域ごとの取り組みの状況については、データを収集して、都道府県別とか、それぞれのバリアフリーの状況についてホームページにおいて公表しておりますので、こういうことが一つの推進剤になるんではないかと考えております。

日森委員 そういう意味では、基本構想をしっかりつくってもらうということになると思うんですが、交通バリアフリー法に基づく基本構想、対象自治体五百三十九市町村ある、そのうち二百一自治体で作成されたということのようです。作成率三七%。参議院かどこかでは約半数弱とか答えたというのがあるんですが、三七%は半数弱かどうか議論のあるところなんですが、いずれにしましても三七%だそうです。

 この委員会でもなぜ作成できないのかということについてそれぞれお答えがございました。合併の問題があるとか区画整理事業があるからそれに合わせてやるんだとか、お金がない、関係者との調整が難しいとか、そもそも基本構想をつくるノウハウがない、担当部署がないとか、そういう理由についてお答えいただきました。

 まず、三七%という基本構想の作成率、これについて国交省がどういう評価をされているのか。それから、こういう理由で実は市町村の方でできなかったんだよという理由をたくさん挙げられたんですが、この理由について、国交省としては、いや、きっちりと基本構想をつくるために、そういうできない理由をどう克服していったらいいのか、どんな積極的な対応をしてこられたのか。それがないと、また基本構想といっても、そんなに事情は変わらないわけですよ。お金がないなんという事情はどこの市町村へ行ったって同じわけで、これは後で触れますけれども。また同じ理由で、基本構想なんか、やはり三割か四割しかできなくて、あとはどうでもいいじゃないかという話になる。まあ、それが選択と集中なのかもしれないけれども、そんな選択と集中はないですよね、こんな不平等になっちゃうわけだから。

 それについて、ぜひ、総括という意味でお答えいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 御指摘のように、五千人以上の旅客施設のある自治体五百三十九市町村のうち、百九十七市町村で二百四十四の基本構想が作成されているということです。

 このような状況について、なぜ基本構想の策定がおくれているかという理由を聞きましたところ、ただいま先生がおっしゃったこと以外に、実は、既にバリアフリー化が実施されているとする回答が二三%、それから他のバリアフリーに関する計画を策定済みとする回答が一四%ということで、何らかの形でやっているというものがかなりございまして、足すと半数に近くなるのではないかと申し上げたわけです。

 ただ、今までバリアフリー化が実施されているから基本構想をつくらないという中は、もう少しよく見ないといけないと思います。今までのは、施設別に単体にバリアフリー化を進めているのも、やっているからとおっしゃっているかもしれません。今度御提案申し上げているのは、町として、交通施設と町が一体となってバリアフリー化をしていくための基本構想で、それはスパイラルアップということで、常に点検しながらよくしていこうというような思想を盛り込んだものでございますから、既にもうバリアフリー化しているとお答えになったところに対しても、今度の新しいこういう考えをお伝えして、やはり基本構想をつくっていただく必要があるのではないかと思います。

 それから、予算の不足ということは、国、地方を通じて非常に財政が厳しい中ではございます。これに対しては、安全、安心の分野については、国土交通省としても重点的に公共投資をしていかなくてはいけないと考えておりますが、そういう中で、まちづくり交付金とか、地方にとっても使いやすい制度もつくり、また地方財政上の支援措置もやっていただきということも行っておりまして、こういういろいろな政策を組み合わせてバリアフリー化を進めていきたいと考えております。

日森委員 現行の制度でも、基本構想はこれまでよりも、法改正によって、もっとずっと出てくるという確信のもとに今お答えになったということでよろしいんですか。

竹歳政府参考人 当事者参画の仕組みをつくりまして、多分、もし熱心でない自治体の場合に、そういう利用者の方から、なぜうちはつくらないんだというような声も盛り上がってくると思いますし、私どもとしても、やはりこの問題の重要性を強く訴えて、基本構想を各自治体でつくっていただきたいと考えているわけでございます。

日森委員 もうお答えいただいたんですが、特に今度は一日五千人以下のところでもやるということになるわけですが、大体そういうところはお金がない。しかも、高齢化率が高いところですね。都市部よりも、そういうところの方が高齢者が多かったりするわけですよ。高齢化率が二五%なんというところも当然あるわけで、そこは、先ほどおっしゃったように、かなり積極的な支援をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほどの質問とちょっと重複するのかもしれませんが、東横イン。ハートビル法の矛盾というか弱点と言った方がいいかもしれませんが、随分はっきりしたんじゃないかと思うんです。入り口や駐車場はいいけれども客室は全然対象外になっているということで、これはいろいろな障害者の団体からも御意見をいただきました。

 先ほどありました。私も全く同じですが、ここの社長さんが何かしゃべっているのを聞いていたら、この人はユニバーサルデザインとかバリアフリーとか、特にユニバーサルデザインなんという感覚は多分ない人なんでしょうねというふうに思いました。それがもう全国に物すごい数のホテルを展開しているキャップであるわけだから、もう愕然とするわけですが。

 そういう意味では、今回法改正をやると、先ほどから御答弁ありました、移動円滑化基準、これをぜひ見直していきたい、その中でさまざまな障害者の方々の具体的な要求なんかについても実現をしていくような努力をするんだというお話がございました。その一つとして、客室のバリアフリー化というのは義務化できないのかと。一般の人が使い勝手が悪いからなんて例の社長は言っていましたけれども、そんな話じゃないわけですよね。

 これについてどうお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。

山本政府参考人 平成十四年にハートビル法を改正いたしましたとき、参考人などの御意見、いろいろございまして、最終的に客室のバリアフリー化の一律義務づけは見送ったという経緯がございます。ただ一方で、誘導的な基準におきましては、一定割合以上のバリアフリー化を求めているところでございます。

 ただ、問題意識としまして、高齢者、障害者の方々が安心して旅行や会合に出かけられるためには、ホテルの客室についても一定程度バリアフリー化を進めることが極めて重要な課題だという認識は持っているわけでございます。

 また、ハートビル法改正時に一律の義務化は見送りましたけれども、各公共団体におきまして独自の福祉のまちづくり条例を制定していただいておりまして、その中で、客室の一定割合についてバリアフリー化に努めることとしているものも多くなってきているという状況でございます。

 そういった状況を踏まえまして、ホテルの客室のバリアフリー化について一定割合を義務づけるという課題につきましては、障害者団体あるいはホテルの事業者等の関係団体から意見を広く聞いて検討していくことが必要であると考えております。国民の関心も高まっておりますので、この新法制定というタイミングをとらえて、関係者の意見をきちんと広く聞いた上で検討したいと考えております。

日森委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思うんですが、問題は、ユニバーサルデザインとかいうことについて理解していない事業者もいらっしゃるんじゃないかと。そこの意識改革から始めていかないとなかなか大変だなという気もするんですよ。そういう意味も恐らくあってだと思うんですが、二〇〇二年のときに問題になったけれども義務化が見送られたということもあると思うんです。そういう意味では、ぜひそこをしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、突然犬の話になるんですが、身体障害者補助犬法というのが施行されました。四年たったわけですが。この補助犬使用者の、補助犬を使っているというか、補助犬で介助されている方ですね、公営住宅の入居というのは受け入れ義務がある。これはもう徹底されているわけですが、それから、民間の借家や集合住宅、これは受け入れるように努めるものとするという努力義務にとどまっていて、入居を拒否されたりという例もあるようです。

 実際に身体障害者補助犬に介助されている、介助というとおかしいな、これを使っている方から、受け入れの義務化、民間の集合住宅等についても義務化できないのか、あるいは、その前提としてということかもしれませんが、身体障害者補助犬、これの役割を周知徹底してほしい、それを知らなくて入居させませんとかという話になってくると非常に問題だという要望がたくさん出ているわけです。国土交通省だけではないんですが、住宅の関係でいうと担当になるので。こういう当事者からの苦情、これをどういうふうに把握してきたのか、それから、特に補助犬の役割の周知徹底、こうしたことについて、啓発活動になると思うんですが、これはどのように行ってきたのか、まず取り組みをお聞かせいただきたい。

 時間がないのでちょっと一遍に聞いちゃいますが、今後、すべての住宅における身体障害者補助犬の完全受け入れに向けて、情報の収集、あるいは、人権問題も絡んでいるわけですから法務省やあるいは厚生労働省と連携を図っていくことが必要だと思いますが、この辺をどうしていくのか。これ、大臣、突然犬の話で申しわけないんですが、決意をお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 身体障害者補助犬を実際に見た人は一遍に変わるんですね。もう本当に賢いですし、おとなしいですし、普通の犬とは全く違うわけでございまして、そういう姿を見るだけで本当に啓発をされるわけでございまして、そうした理解をしっかり進めていくことが非常に大事だというふうに思っております。

 民間賃貸住宅の場合はどうしても私的財産という側面が強いもので、公共住宅と違った、努力義務という形で終わってしまっているわけでございますが、私どもも、補助犬の使用を理由に身体障害者に対する入居拒否が行われていることは、これは適切でないというふうに考えております。

 このため、分譲マンションにつきましては、平成十六年にマンション標準管理規約というものを改正いたしまして、ペット飼育を禁止する場合であっても補助犬は例外として取り扱う旨の規約条文を例示いたしたところでございますけれども、民間賃貸住宅につきましても、事業者団体を通じて、仲介事業者、管理業者や、また大家等に対する普及啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、厚生労働省を初め関係省庁と十分連携いたしまして、パンフレットやポスターの配布、掲示、または普及啓発イベントへの参加の呼びかけ等を行うことにより、補助犬に関する社会全体の理解が深まるように努めてまいりたいと考えております。

日森委員 これから恐らくふえてくる事例だと思いますので、ぜひ大臣の決意を実行に移していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、鉄道のバリアフリー化とメンテナンス費用、これこそ鉄道事業者が持っているものだからそんな金出せるかというのがずっと一貫した意見でした。確かにそのとおりなんですが、設備をつくるときは若干の助成はするけれどもあとのメンテナンスはそこの所有者がやるべきだ、これはもうそのとおりなんですが、実は、一番最初に申し上げたとおり、きのう行ったところは、四百四十六万円のメンテナンス料を百二十万円に削って、もう一度言います、もしかしたら安全が四分の一に削られたかもしれないというようなことがあったわけですよ。

 参議院でもうちの渕上が質問してきたことなんですが、これについて、例えば長い戒名の検討会がありますね。ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会という、何だか物すごい戒名の長い懇談会があるんですが、ここでも、設備整備が進捗することに従って、維持管理費や更新費の負担も増大することが見込まれるので、これについても検討が必要であるというふうに何か明記しているようです。明記している、検討が必要であると。

 検討した結果、出せないということなのかどうかわかりませんが、そういう答申もあって、これは全く関係ない人が、民間の人が言っているわけじゃなくて、国土交通省が関連する研究会がそう言っているわけで、そうしたことであるならば、少し具体的な検討を開始していくべきではないのかという思いがあるんですが、最後にこれをお聞きして終わりたいと思います。

渡辺(具)委員長代理 梅田局長、質問時間が終了していますので簡潔にお願いします。

梅田政府参考人 ただいまの先生の御指摘の件でございますが、鉄道事業者が所有するほかの、エレベーター、エスカレーター以外のいろいろな施設がございまして、この維持管理費というのは本来鉄道事業者が負担すべきものでございます。

 もともと、エレベーター、エスカレーターにつきましても、このバリアフリー法上は、既設、新設、それぞれ義務の性格は違いますけれども、みずからの負担でみずから整備しようという考え方によっておるものでございます。そういうものからいいますと、このエレベーター、エスカレーターの維持管理費だけを例外にするような特段の理由はないというふうに考えております。

 ただ、エレベーター、エスカレーターにつきましては、メンテナンスが大変だということも我々よく聞いておりますので、今後また勉強してまいりたいと思います。

日森委員 ありがとうございました。

渡辺(具)委員長代理 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 もう私で最後の質疑者でございますので、数点重なったりするところもあると思うんですけれども、確認をさせていただきながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今、我が国におきましては、ほかの先進諸国に例を見ない急速な勢いで高齢化社会というのが進んでいっているわけでございまして、高齢社会の対策というものが喫緊の課題となっておるわけでございます。また、ノーマライゼーションの理念に基づいて考えますと、障害者や高齢者を含むあらゆる人が平等に社会資源というものを享受できる、こういう環境をつくって社会参加の機会というものを平等に推進することが重要となっておるわけでございます。

 このため、高齢者、障害者などの移動上、それから施設の利用上の利便性と安全性、こういうものの向上を図る観点から、平成六年のハートビル法、それから平成十二年からの交通バリアフリー法、こういうものが施行されて、建築物や公共交通のバリアフリー化、こういうものについては着実に進捗しているというふうに考えておりますが、これまでの進捗状況と、それから評価、今までこれだけできてきたんだ、そういう評価について、まず御見解をお聞かせいただければと思います。

竹歳政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、進捗状況でございますが、平成十六年度時点のバリアフリー化の現状でございます。

 まず、一日の平均利用者が五千人以上の旅客施設における段差の解消率は四九%、視覚障害者誘導用ブロックの設置率は八〇%となっています。それから、こうした旅客施設の周辺等の主な道路のうちバリアフリー化されたものの割合は三一%でございます。不特定多数の者が利用する一定の建築物、すなわち病院、劇場、ホテル等のうちバリアフリー化されたものの割合は三四%となっております。

 また、公共交通機関における車両等のバリアフリー化の現状でございますが、鉄軌道車両については二八%、ノンステップバスについては一二%、旅客船については七%、航空機については四一%となっております。

 以上のとおり、建築物や公共交通のバリアフリー化につきましては総じて着実に進展しているものと考えておりますが、一方で、対象となる施設が公共交通機関と建築物に限られているということ、それから、施設ごとに独立してバリアフリー化に取り組まれているために各施設間での連続性が確保されていないこと、それから、当事者参画の仕組みが不十分であることというような課題が、ユニバーサルデザイン政策大綱において指摘されているというところでございます。

糸川委員 ありがとうございます。

 局長、私、友人に体が不自由な人がおりまして、彼らは足が思うように動かない人で、先日、一緒に船に乗ったんですよ。今、確かに、旅客船なんかは七%というふうにおっしゃられたんですけれども、非常に整備がおくれているなと。例えば、フェリーに乗せるのに、車いすだとなかなか乗らないんですね。担がなきゃいけないけれども、担ぐと、幅が細くて上がらないんですよ。非常に担ぎにくい状態。やはりそういうところというのは整備を、今、着実にというふうにおっしゃられていますけれども、まだまだ整備されていないところが多いということは御指摘させていただきたいと思います。

 そういう状況の中で、また、今のような評価の中で、今回、両法というものを統合した本法案を提出する趣旨について大臣にお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

北側国務大臣 これから本格的な高齢社会が我が国社会に到来してくるということが大きな背景としてはもちろんあるわけでございますけれども、御紹介いただきました交通バリアフリー法の施行五年後の見直しの年に当たっているということもございます。

 そういうこともありまして、これを契機に、交通バリアフリー法、これは昔の旧運輸省が主管なんですね、ハートビル法は旧建設省の所管であったんですけれども、国土交通省で一緒になっていますから、より総合的、一体的な法制度を構築してバリアフリー化のための施策を総合的に講じていこう、統合、拡充していこうというのがこの法律案を提出した趣旨でございます。

 どのように拡充をしているのかと申し上げますと、主な点だけ申し上げますと、従来はバリアフリー化の対象施設としては、駅とか駅周辺、それから公共建築物、不特定多数の方々が利用する建物、そして車両、そうしたことを対象とされていたんですが、今回は、一定の道路、それから都市公園、そして駐車場、そうしたものに拡充をさせていただいております。

 さらに、市町村が策定する基本構想に基づき面的なバリアフリー化を重点的に進めるために、地区要件を拡充させていただきました。

 さらには、ここが一つポイントだと思いますが、高齢者や障害者の方々を初めとする当事者の参画を確保していくことが大事ということで、基本構想の作成に関する協議会制度、また提案制度等を法定化させていただいたところでございますし、また、法文の中にスパイラルアップに関する規定や心のバリアフリーに関する規定も設けさせていただいたところでございます。

 この法律案により、より一体的かつ総合的なバリアフリー化が促進されるように努めてまいりたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 実は、私の祖母も体が不自由でして、もう高齢でもありますので、私の車がそういう福祉車両なわけです。リフトが後ろにおりる車なんですけれども、そういう車もありまして、今大臣が、駐車場とかこういう整備だというふうにおっしゃられたんですが、実際整備をしたって、例えば、車を駐車場にとめます、ところが、リフトを後ろにおろすものですから、そこの幅まで確保しておいてほしいわけですね。昨日、横浜の方を見せていただいたときにも、ここはそういうふうな意味合いなんでしょうか、こういうスペースはそういうふうに確保しているんでしょうかというようなことを聞きましたら、一応確保はしているんだということなんですね。

 ところが、きのうの施設なんかは非常に大きかったんですけれども、少し狭いところで障害者用の車のところにとめますと、後ろにおろせないんですね。ですから、かなり前に車をはみ出してとめないとリフトがおりない、そういう状況なんです。それは、当然、福祉車両をここにとめてくださいよという場所にしてもそういう現状がある。

 また、そういう車の場合は、自分の車の後ろに車をとめられてしまうと、もうリフトがおろせない。こういう現状もありますので、施設を利用して車をとめたときに、そういう車が来た場合にはそういう車の後ろにはとめない、ぜひ、そういう車の知識も係員にまで周知していただけるようにすることが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 次に、先ほど日森委員から、鉄道の駅につきまして、一日五千人未満の駅についても整備をするべきなんじゃないかということで、局長が、二〇一〇年までにバリアフリー化を推進するんだというふうにおっしゃられたんですが、実際、整備をしてくださいねと言っても、お金がない、難しいというところのこういう駅につきましては、今後どのようにバリアフリー化というものを進めていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。これは鉄道局長でお願いします。

梅田政府参考人 五千人以上の駅の段差の解消率は十六年度末でまだ四九%でございますので、私どもは、二十二年、一〇〇%を目標にしておりますから、まずはこの五千人以上の駅に優先的に取り組んでいきたいというふうに考えておりますが、一日の利用者の数が五千人未満の駅につきましてもできる限りバリアフリーを進めていった方が望ましいと思っておりまして、現在のバリアフリー法の基本方針でも、利用者の数のみならず、身体障害者あるいは高齢者等の利用の実態を踏まえて、可能な限りバリアフリー化しようという考え方に立っております。現実に、そういうような駅につきましても、地元でよく御相談されてお話がまとまったものにつきましては、私どもの支援もしているのが現状でございます。

 ただ、今回、この法律が新たに改正されますので、この五千人未満の駅につきまして、地元の方で非常にこういう関係者が一体となって取り組むというのがより積極的に進むんではないかというふうに期待しておりまして、私ども、そういった取り組みに対しましては可能な範囲で支援をしてまいりたいというふうに考えております。

糸川委員 局長、もしわかればなんですけれども、今の可能な限りの支援というのは、大体どういうあれなんでしょうか。例えば今何か決まっているのであれば、教えていただければというふうに思うんですが。もし決まっていないようでしたら、お答えいただかなくても結構なんですが。

梅田政府参考人 毎年、できるだけ、バリアフリーの予算につきましては増額をするように努めてきておるんです。

 先ほど言いましたように、五千人以上の駅の方がやはり私どもとしては優先するわけでございます。したがいまして、五千人未満の駅につきましては、これは個々の事情はいろいろありますけれども、どうしても予算の配分を考える上では劣位してしまうというふうになる。この点は、我々も頑張って予算を確保したいと思ってはおりますけれども、また引き続き努力していきたいと思っております。

糸川委員 ぜひそのようにお願いします。地方ではなかなか五千人以上の駅というのは少のうございますので、ぜひ五千人未満の駅についても整備をできるだけお願いしたいというふうに思います。

 次に、先ほどから話に何度も上がっているんですが、東横インのようなビジネスホテルですか、ホテルのこういう法令違反をするような建築主に対して、今後どのようなしっかりとした対策を講じるのかどうか、お聞かせいただければと思います。

山本政府参考人 御指摘の東横インの事案はまことに悪質な違法行為であったわけでございますが、このような違反に対しましては、地方公共団体において立入検査を適時実施していただくとともに、利用者の方からの情報提供なども活用して違反実態の把握に努め、違反が確認された場合には厳正な対応を図るよう要請しているところでございます。

 また、この東横インの問題のケースでは、一部の公共団体において違反指導を行っていた、にもかかわらず、他の公共団体がそのことを情報を共有していなかったために違反が拡大したという実態がございました。この点につきまして、公共団体に対して国等と違反情報の共有を図るように要請したところでございます。

 今後とも公共団体ときちんと連携をして違反の防止に努めてまいります。

    〔渡辺(具)委員長代理退席、委員長着席〕

糸川委員 ありがとうございます。

 それはもう防止に努めるのは当たり前なんですが、しっかりとやはり法令を守らせる、遵守させる、これはしっかりと周知していただいて、確認をしていただいてというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほどフェリーの話をしたんですけれども、フェリーの続きをしますと、フェリーに乗っかって旅行に行ったわけなんですけれども、次にホテルに当然入るときに、そこのホテルはバリアフリーのホテルではなかったんですね。先ほど、ホテルの客室についてもバリアフリーをするべきじゃないかというふうに日森委員が言っていたわけですけれども、これは検討するというふうに先ほどは御答弁されたわけです。

 でも、実際に利用している側から見てみると、これはもう検討するというレベルじゃないんじゃないのかなと。例えば、フェリーも全然バリアフリーになっていない。ホテルに入ったら、ホテルもバリアフリーではない。そうすると、本当に障害者に対して優しいのかなというふうに感じてしまう。お手伝いをしても、お手伝いをすることで彼らも非常に恐縮してしまうんですね。次に誘うときに、僕らは全然問題なく誘うんですけれども、受ける側が、いや、迷惑かけるからいいよと。やはりこういうふうにしてしまったのでは、日本というのは今後の先進諸国としてはおくれていくんじゃないのかなというふうに思うわけです。

 そこで、ぜひもう一度、このバリアフリー化を義務づけるべきであるというところに対しての御見解を御答弁いただきたい。

山本政府参考人 御指摘いただきました問題意識はよく理解できるところでございます。高齢者、障害者の方々が安心して旅行や会合に出かけられるには、ホテルの客室につきましても一定程度バリアフリー化を進めることは極めて重要な課題であると考えております。

 平成十四年のハートビル法の改正時には、一律の義務化については見送ったわけでございますけれども、その後、地方公共団体独自の福祉のまちづくり条例におきまして、ホテルの客室の一定割合についてバリアフリー化に努めることとしているものも見受けられるようになりました。

 こうした状況を踏まえまして、ホテルの客室のバリアフリー化につきまして、一定割合の義務づけを行うことも含めたあり方につきまして、障害者団体あるいはホテル事業者など関係各方面も含めた意見を広く聞いて、しっかり検討していく必要があると考えております。

糸川委員 ぜひしっかりと御検討いただきたいというふうに思います。

 このバリアフリー化の推進に当たりましては当事者の参加というものが当然重要というふうに考えておりますが、本法案ではこのためにどのような措置を講じられているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 本法案におきます当事者参加の仕組みとしては、大きく二つございます。一つは、基本構想にかかわる協議会制度、二つ目が、住民、利用者、関係者からの提案制度でございます。

 まず、協議会制度でございますけれども、基本構想を市町村が定めるに当たりまして、数多くの関係公共交通事業者、道路管理者、建築主等や高齢者、障害者等の利用者などが参加して協議を行いまして、理解と協力を確保するとともに、その基本構想の実施に向けた関係者間の調整をより円滑に行うための手段として、新たに協議会制度を法定化いたしました。

 この協議会の構成につきましては、市町村それから関係する施設設置管理者等、特定事業その他の事業を実施する事業者でございます。それから、高齢者、障害者等、学識経験者その他の当該市町村が必要と認める方々としているわけでございます。

 この協議会の制度の活用によりまして、関係する施設の設置管理者等の参加が担保されますので、これらの者と高齢者、障害者等利用者との間での理解と協力を踏まえてバリアフリー化が推進できることになると思いますし、それから、この構想をつくるだけでなくて、つくった後も引き続き実施に係る連絡調整を行っていくというようなことで、事業の着実な実施、さらには迅速かつ効果的な構想の作成もできるということになります。

 また、提案制度でございますけれども、利用者や住民あるいは公共交通事業者等のバリアフリー化のための事業を実施することとなる者が基本構想の作成または変更について提案できる制度も新たに設けておりまして、これらの関係者が能動的に基本構想の作成に向けた発意を行うことができることとしております。

糸川委員 ありがとうございます。

 やはり当事者が参加しないと、私も、つい二カ月ぐらい前ですか、福井に戻りましてちょっと地下道の視察をさせていただいたんですけれども、地下道は非常に広い、副大臣が福井でございますのでおわかりになるかもと思うんですけれども、国道の下に、国道が車の交通量が多いものですから、横断歩道ではなくて地下道を渡れるようにしてあるんですね。そこのスロープなんかは非常に長いスロープなんです。そうすると、おりるのはいいんです。ところが、今度は上る方が大変だと言っているわけですね。車いすの方が、休むところがないんですと。だから、ところどころに平らになるようなところを設けてくれないと、スロープが長い分、やはり上るときは大変なんですと。

 ですから、そういう健常者がつくるところでぜひそういう提案というものを聞いていただきたいなというふうに思います。(発言する者あり)おっしゃるとおり、設計が悪いというものもあるんじゃないかなというふうに思います。ですから、そういうものも、今、既存にあるものもまた見直していく必要があるのではないかなというふうに思います。やはり、しっかりと安全に利用できてこそのバリアフリーなのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 このバリアフリー化というものを推進していく、こういうことのためには、関係者がおのおのの役割、こういうものをしっかりと果たしていくということが重要であるというふうに考えておるわけでございますが、本法案では、関係者のおのおのの役割と責務、これに関してはどのように規定されているのか、お答えいただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 まず、国の責務でございますが、関係者とともにバリアフリー化に向けた施策の計画、検証、実行のプロセスを進めることにより持続的、段階的な発展を目指すこと、いわゆるスパイラルアップを規定するとともに、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、バリアフリー化の実施に関する国民の協力を求める、心のバリアフリーについてまず規定をしております。

 次に、地方公共団体につきましても、国の施策に準じて、バリアフリー化を促進するために必要な措置を講ずることを規定しておりまして、地域レベルで国の施策と同様の施策を実施する、あるいは国の施策の実施に当たり連携を図るといったことが求められております。

 次に、施設設置管理者でございますけれども、バリアフリー化のための施設整備のほか、ソフト面での対応を含め、広く必要な措置を講ずることを責務として規定しております。公共交通事業者につきましては、その職員の教育訓練ということも別途定めているところでございます。

 最後に、国民につきましては、高齢者、障害者等の円滑な移動や施設の利用を確保することへの協力のみならず、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性について理解を深めることをその責務として定めております。

 心のバリアフリー社会が実現し、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの考え方が体現されるためには、つまるところ、国民一人一人がいかにこの問題について理解を深めていくかがポイントでありますので、国等の取り組みと相まって国民一人一人がこの責務に基づいてバリアフリー化の推進について理解を深めていくことを期待しておるところでございます。

糸川委員 そうすると、このバリアフリー化の事業を進めていく上でもし関係者が消極的な態度である場合、こういう場合は本法案によってどのような取り組みを促すことができるんでしょうか。

竹歳政府参考人 例えば、協議会のメンバーにある施設設置管理者が入りたくないというような場合が想定できるわけでございますけれども、その設置管理者が実は自分はもうこの事業をやめてしまうんだというような非常に例外的な場合を除いて、それは正当な理由があるとは考えられないということで、これに参加しなくてはいけないというようなことがございます。

 それから、提案をせっかく利用者の方等からしても市町村がそれを無視してしまうというような消極性もあると思いますけれども、そういうことを握りつぶすというようなことを防ぐために、提案を採用しない場合にはその理由を明らかにしなくてはいけないというようなこともございます。

 いずれにしましても、当事者参画の仕組みの中で、みんなが見ている中で物事が動いていくということが、こういう消極的な取り組みをする人に対する一番の監視になるのではないかと考えております。

糸川委員 次に、バリアフリー化、こういうふうにされた施設が実際に有効に活用されるためには、障害者にしっかり情報提供する、こういうことが重要であるわけでございますが、実際、今までアナウンスという面でこれはどのような取り組みをされてきたのか、それから今度の本法案ではどのように促進されるのか、お答えいただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 日本の社会全体がまだまだバリアフリー化が不十分であるという現状におきましては、どこに行けばバリアフリー化が実施されているかとか、どのような経路を選択するかという情報が極めて重要になってくると思います。

 従来は、指定法人という制度を通じまして、国土交通省では、駅構内のバリアフリー施設とか乗りかえ案内の情報を統一的に提供するためのシステムの構築を進めてきました。ただ、行政改革という中で指定法人制度について見直しが行われるということで、指定法人制度自体は今度の法律では廃止をされました。ただ、既に蓄積もございますし、法律の中にも、国は、移動等円滑化に関する情報提供の確保に努めなければならないということにしておりますので、この法人を活用する等、従来にも増して情報提供に努めていきたいと考えているわけでございます。

糸川委員 ありがとうございます。

 もうほとんど時間がございませんのであれなんですが、バリアフリー化というものを実際今度進めていくに当たっては、ハードの整備だけではなくて、情報提供ですとか、国民の理解を得たり協力を必要としたり、そういうことで心のバリアフリー、こういうものが必要であるわけで、しっかりとこれに取り組むということが重要なわけでございます。

 最後に大臣にお答えいただきたいんですけれども、心のバリアフリー、こういうものも含めて、これからのバリアフリー化、こういうまちづくりに対しての大臣の御決意をお伺いしたいというふうに思います。

北側国務大臣 今回の国会では、まちづくり三法を通していただきました。一定の居住空間の中に都市機能が集積する、そうしたコンパクトシティーを目指すべき、今後のまちづくりの方向性について御議論をいただきました。

 このコンパクトシティーも、やはりバリアフリー化されたコンパクトシティーでないと高齢社会にふさわしいまちづくりとは言えないと考えるわけでございまして、これからしっかりバリアフリー化を面的に、また総合一体的に進めていくということは、これからの時代にとって極めて重要な課題であると思っております。しっかりと進めさせていただきたいと思います。

 それで、ハード面の整備だけではなくて、心のバリアフリーということがやはり極めて大事であるというふうに思っております。教育啓発活動をしっかり取り組みをさせていただきたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございました。

 先ほどからお話ししているように、しっかりとバリアフリー化というものを進めていく中で、実際、実用的に、例えば先ほどのように、スロープの角度、そういうものも今後しっかりと研究していただきたいなと思いますし、我々健常者が歩いても、例えば雨が降っていてそういうところを滑ったら逆に危険なんじゃないかとか、そういうところまでしっかりとした配慮をしていただきたいな。バリアフリーを進めた結果また別の事故が起きたとか、そういうことのないように、よいまちづくりになればいいなと思いますので、大臣、その辺をしっかりと取り組んでいただければというふうに思います。

 ありがとうございました。終わります。

林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、衛藤征士郎君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。渡辺具能君。

渡辺(具)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることとします。

    高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 憲法で保障されている権利の趣旨を踏まえて、高齢者、障害者等が自由かつ安全に移動し、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるべきであるとの認識の下、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図ること。

 二 高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図る必要性を念頭に置きつつ、適切に指導を行うこと。また、地域の判断により災害が発生した場合に公衆の避難の用に供される特定建築物が特別特定建築物に追加することが可能であることを踏まえ、適切に措置すること。さらに、バリアフリー化が必要な施設にホテルの客室を位置づけるよう検討すること。

 三 地方公共団体が責務として移動等円滑化を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるに当たり、総合的かつ計画的に行うよう、適切に指導すること。

 四 旅客施設及び車両等を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講じようとするときは、可能な限り高齢者、障害者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう、公共交通事業者等を適切に指導すること。

 五 移動等円滑化に係る措置が講じられた施設を高齢者、障害者等が利用する場合において、公共交通事業者等や特定建築物の所有者、管理者又は占有者が、標準形電動車椅子、ハンドル形電動車椅子その他の高齢者、障害者等が移動のために用いる用具を使用することを正当な理由なく拒むことのないよう、適切に指導すること。

 六 高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設における高齢者、障害者等の生命又は身体に係る事故のうち、当該施設の構造又は設備に起因するものに関する情報の把握に努めること。

 七 毎年、特定事業計画の作成・実施の進展の状況に関し必要な調査を行い、その結果を公表すること。

 八 エレベーター、エスカレーターその他の移動円滑化のために整備された設備における高齢者、障害者等の事故を防止するため、必要な措置を講ずるよう、施設設置管理者を適切に指導すること。また、車両とプラットホームの段差の解消を促進するとともに、プラットホームにおける視覚障害者の転落を防止するため、ホームドア、ホーム柵その他の設備の設置に努めるよう、鉄道事業者を適切に指導すること。さらに、プラットホームにおける高齢者、障害者等の事故に関する情報の把握に努めること。

 九 建築物が改造により移動等円滑化基準を満たさなくなることのないよう、特定行政庁が適切に建築主等を指導するとともに、適切に立入検査を行い、違反者に対し厳正に対処するよう指導すること。

 十 移動等円滑化を推進するため、適切な支援措置を講ずるよう努めること。また、交通バリアフリー法に基づく指定法人が実施してきた事業が、引き続き行われるよう、所要の措置を講ずるよう努めること。

 十一 移動等円滑化基本構想の作成を促進するため、市町村を適切に指導すること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

林委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣北側一雄君。

北側国務大臣 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変にありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

林委員長 次回は、来る十六日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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