第2号 平成18年10月18日(水曜日)
平成十八年十月十八日(水曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 塩谷 立君
理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君
理事 西銘恒三郎君 理事 山本 公一君
理事 伴野 豊君 理事 三日月大造君
理事 高木 陽介君
赤池 誠章君 石田 真敏君
遠藤 宣彦君 小里 泰弘君
鍵田忠兵衛君 梶山 弘志君
亀岡 偉民君 北村 茂男君
島村 宜伸君 杉田 元司君
長崎幸太郎君 長島 忠美君
早川 忠孝君 林田 彪君
平井たくや君 平口 洋君
馬渡 龍治君 松本 文明君
御法川信英君 宮下 一郎君
盛山 正仁君 吉田六左エ門君
若宮 健嗣君 泉 健太君
逢坂 誠二君 奥村 展三君
菊田真紀子君 小宮山泰子君
下条 みつ君 土肥 隆一君
長安 豊君 松原 仁君
横山 北斗君 鷲尾英一郎君
赤羽 一嘉君 伊藤 渉君
穀田 恵二君 日森 文尋君
糸川 正晃君
…………………………………
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
内閣府副大臣 林 芳正君
外務副大臣 岩屋 毅君
国土交通副大臣 望月 義夫君
国土交通大臣政務官 梶山 弘志君
国土交通大臣政務官 吉田六左エ門君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山浦 耕志君
政府参考人
(内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長) 河内 隆君
政府参考人
(防衛庁防衛政策局次長) 金澤 博範君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君
政府参考人
(外務省北米局長) 河相 周夫君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 清水 治君
政府参考人
(財務省大臣官房参事官) 森川 卓也君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長) 押田 努君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 中尾 成邦君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 鈴木 久泰君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 平山 芳昭君
政府参考人
(海上保安庁長官) 石川 裕己君
国土交通委員会専門員 亀井 為幸君
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委員の異動
十月十八日
辞任 補欠選任
大塚 高司君 平口 洋君
坂本 剛二君 御法川信英君
鈴木 淳司君 宮下 一郎君
薗浦健太郎君 馬渡 龍治君
宮澤 洋一君 平井たくや君
泉 健太君 逢坂 誠二君
黄川田 徹君 横山 北斗君
小宮山泰子君 菊田真紀子君
古賀 一成君 松原 仁君
井上 義久君 赤羽 一嘉君
亀井 静香君 糸川 正晃君
同日
辞任 補欠選任
平井たくや君 宮澤 洋一君
平口 洋君 大塚 高司君
馬渡 龍治君 薗浦健太郎君
御法川信英君 坂本 剛二君
宮下 一郎君 早川 忠孝君
逢坂 誠二君 泉 健太君
菊田真紀子君 小宮山泰子君
松原 仁君 古賀 一成君
横山 北斗君 黄川田 徹君
赤羽 一嘉君 井上 義久君
糸川 正晃君 亀井 静香君
同日
辞任 補欠選任
早川 忠孝君 鈴木 淳司君
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十月十七日
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
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○塩谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。
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特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
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○冬柴国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件につきまして、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
平成十八年七月五日、北朝鮮は一連の弾道ミサイル発射を強行しました。我が国を含む関係各国による事前の警告にもかかわらず北朝鮮が発射を強行したことは、我が国の安全保障や国際社会の平和と安定、さらには大量破壊兵器の不拡散という観点から重大な問題であり、船舶、航空機の航行の安全に関する国際法上問題であると同時に、日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアムにも違反するものであります。また、本件事案は、六者会合の共同声明とも相入れません。
このため、政府としては、本件事案を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認め、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第三条第一項の規定に基づき、万景峰92号の本邦の港への入港を禁止することとしましたが、この入港禁止の実施につき、同法第五条第一項の規定により国会の承認を求めるものです。
以上が、本件を提案する理由であります。
次に、本件の内容について、その概要を御説明いたします。
本件は、同法第五条第一項の規定に基づき、七月五日より六カ月間にわたる万景峰92号の本邦の港への入港禁止の実施について国会の承認を求めることを内容とするものであります。
以上が、本件の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○塩谷委員長 この際、お諮りいたします。
本件審査のため、本日、政府参考人として国土交通省港湾局長中尾成邦君、航空局長鈴木久泰君、政策統括官平山芳昭君、海上保安庁長官石川裕己君、内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長河内隆君、防衛庁防衛政策局次長金澤博範君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省北米局長河相周夫君、財務省大臣官房審議官清水治君、財務省大臣官房参事官森川卓也君及び経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長押田努君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○塩谷委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村茂男君。
○北村(茂)委員 自由民主党の北村茂男でございます。
きょうは、質問の機会をお与えいただきましたので、今ほど、世界じゅうこれほどの話題はないと言われております北朝鮮の地下核実験にかかわる問題に関しまして質問を行いたいと思います。
去る十月九日、北朝鮮は国際世論を無視して地下核実験の実施の強行を発表いたしました。これに直ちに国際世論が反応したことは当然であります。同時に、国連安全保障理事会においても直ちに、わずか発表後六日間という短時日の間で全会一致の制裁決議が採択されたことは御案内のとおりであります。
これら一連の流れにつきましては今さら私が申し上げるまでもありませんけれども、十月三日、北朝鮮の核実験声明後、国連安全保障理事会は、わずか三日間という短時日で、北朝鮮に対し警告をする議長声明を全会一致で採択をしていたところであります。にもかかわらず、今申し上げましたように、十月九日、北朝鮮は国際社会の強い懸念と非難をも押し切って、これら核実験を強行したとの発表をしたのであります。
このようなまさしく蛮行は、我が国は言うに及ばず、北東アジア、ひいては世界に対する重大な脅威であり、世界平和に対する深刻な挑戦であると言わざるを得ません。
政府は、直ちに事実関係を確認するとともに、同盟国であります米国を初め、中国、韓国などのアジア諸国、また、英国、フランス、ドイツ、ロシア等EU諸国とも連携のもとに、安保理における国連憲章第七章に基づく制裁決議の採択に向け精力的に努力をされたと聞き及んでおります。我が国は、議長国としての立場と、早期かつ強い意思を含んだ採決案の採択という複雑微妙な課題を立派に果たされたと伺っているのであります。
その結果、北朝鮮に対し、さらなる核実験及び弾道ミサイル発射の中止、すべての核兵器及び既存の核計画の放棄等を義務づけると同時に、軍関連及び核関連の特定品目等の北朝鮮に対する供給等の防止等、北朝鮮の核、弾道ミサイル及びその他大量破壊兵器関連の政策に責任を有する個人の入国禁止、これに関与する個人、団体の資金凍結等を決定する内容の決議一七一八号を全会一致で採択を見たのであります。
今や北朝鮮は、国際社会と協調して、ともに平和を希求する道を選択しなければならないと思います。六者協議に早期、無条件に復帰し、核、ミサイル、拉致などの問題解決に誠実に対応しなければならないと考えます。しかしながら、その後の動向をうかがう限り、十分に理解が得られているとは思えない節もないわけではありません。また、これ以上追い込めばという中国やロシアの考え方も一方ではあるのであります。
しかし、いずれにしても、北朝鮮が態度を改めない場合、国際社会はさらに厳しい強制措置をとらざるを得ないと思います。
そこで、国土交通大臣に伺います。本来は外務大臣にお伺いするところなのかもしれませんが、着任早々、政府の一員として精力的に御活動の冬柴国土交通大臣に、政府の一員として、今回の安保理決議に対する評価及び認識等について御意見をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 今、北村委員から御指摘のとおり、十五日、現地時間では十四日でありますが、国連安全保障理事会において、九日に北朝鮮が発表した核実験の実施の宣言を非難し、国連憲章第三十九条に基づく国際の平和及び安全に対する明白な脅威の存在を認定し、北朝鮮及び加盟各国がとる措置の決定を含む決議一七一八号が全会一致で採択されたことを心から歓迎したいと思います。
我が国は、安全保障理事会の議長国として理事国間の意見の調整に鋭意努めてまいりましたが、北朝鮮に対し厳しい内容の決議を迅速に発出できたことを高く評価します。本決議の交渉にかかわってこられた安倍内閣総理大臣、麻生外務大臣、大島国連大使を初め、外務省の努力に敬意を表したいと思うわけでございます。
北朝鮮による核実験は、我が国のみならず、東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できないものであります。今回の国連安保理決議は、我が国のこのような認識を広く国際社会が共有していることを示しているものと認識いたしております。
北朝鮮はこうした国際社会の強い懸念と非難を真剣に受けとめ、問題の解決に向けて、この決議において決定された措置を履行するため、具体的な措置を早急にとらなければならないものと考えております。
○北村(茂)委員 強い意思を、北朝鮮はもちろん世界に対して我が国の立場を発信すべきだと思っておりますので、その姿勢で臨んでいただきたいと思います。
次に、我が国は、今御提案になりましたミサイル発射に伴う我が国の制裁措置に上乗せして、しかも安保理決議に先立って追加措置が発表されました。その内容は、これまで万景峰92号の一隻のみの入港禁止でありましたが、今後はすべての北朝鮮籍船の入港を禁止する、また、北朝鮮からのすべての品目の輸入を禁止する、三つ目は北朝鮮籍を有する者の入国を原則禁止する、こういう大きな三本柱になっていようかと思っています。
そこで、国土交通大臣に伺いますが、これら我が国の追加制裁措置を着実に実施するために、とりわけ国土交通大臣所管の内容についてはどのように進めていく御決意なのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 十月九日における北朝鮮の核実験実施に関する発表を受けての政府としての追加措置につきましては、国土交通省といたしましても、政府の一員として、例えば港湾管理者と税関、警察等の治安機関との情報交換を行うなど、関係機関との密接な連携のもと、その確実な実施を図っていく所存であります。具体的には、北朝鮮籍船入港禁止措置については、既に各港湾管理者等の海事関係者に対しまして本措置の周知を図ったところでありまして、今後も適切な対応を指導してまいります。
また、海上保安庁におきましては、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律第四十四条に基づく船舶保安情報等による情報把握に努め、海上における警察機関として本措置の実施に適切に対応してまいる所存でございます。
この措置は、長い名前の法律ではございましたけれども、その四十四条に、本邦に入港しようとする船舶は、二十四時間前までに、いわゆる船名、船籍、保安措置の実施状況等、船舶保安情報を海上保安署に通告をする義務が課せられておりまして、これに違反した場合には罰則が規定されております。
以上、そのように適切に対応してまいる所存でございます。
○北村(茂)委員 それでは、以下、時間の関係もありますので、端的に伺ってまいりたいと思います。
北朝鮮籍船舶の年間の入港隻数はどれくらいになっているのか、また、十三日の、いわゆる今ほど追加措置の閣議決定後の入港状況はどのようになっているのか、伺いたいと思います。
○石川政府参考人 北朝鮮籍船舶でございますけれども、平成十七年には延べ七百六十九隻、平成十八年には、速報値でございますけれども、九月までに延べ五百七十八隻が我が国港湾に入港してございます。
今お話のございましたように、十三日の閣議決定時におきましては、我が国に入港しておりました北朝鮮籍船は二十二隻ございましたけれども、これは、十三日の夕方、十九時五十分までにこの措置に応じまして、すべての北朝鮮籍船が出港しております。現在、北朝鮮籍船はおりません。
○北村(茂)委員 今ほどのお話によりますと、十七年には延べ七百六十九隻、平成十八年には五百七十八隻という数字であります。一隻どれぐらいの貨物の積み荷があって、どれぐらいの金額になるのかは定かではありませんけれども、この隻数をもってしても、おおむね北朝鮮との交易量は推定できるところだと思います。
一説によると、平成十五年では二百十四億、正規の金額でこのような金額だと伺っております。また、私の知るところでも、北朝鮮籍の日本在住者が、中古自動車やバスやその他電気製品等、母国にということで頻繁に運んでいる実態も知っておりますので、これは交易、交流には入らないということを考えれば、日本からの持ち出し量はどれぐらいになるかということは本当に想像もつかないと言った方がいいのかもしれません。
そこで、今ほど大臣から御説明がございましたけれども、海上保安庁においては、厳密に二十四時間以内に、法律に基づいて入港禁止を通告する、事前通報を受けるということだそうですけれども、事前通報を受けるのには、みずからその船に乗り込んでいって、あなたは入っちゃいけませんと言うんですか。どういうような仕組みで二十四時間以内の通報を受けるんですか。
○石川政府参考人 二十四時間前の通報につきましては、これは、当該船舶の船長の方から私どもの方に事前に必要な事項について通報をいただくというものでございます。私どもの方から行くということではなくて、向こうから通報があるということでございます。
○北村(茂)委員 それでは、次へ行きます。
追加措置として入港禁止措置の対象を決められているわけでありますが、例えば、北朝鮮籍ではないけれども、北朝鮮のものを積み荷として、北朝鮮に寄港して、なおかつ日本に入ってこようとする船は、船籍はよその船籍、そして船積みされている貨物は多分北朝鮮のものもあるであろうと思われるものについてはこの対象となるのかどうか、この判断はどうするのかということを伺いたいと思います。
○梅田政府参考人 お答え申し上げます。
これからの措置につきましては、まさしく、本当にそういう追加措置が必要かどうか、それから、その場合に具体的にいかなる措置を講ずるべきかということがテーマになってくると思いますけれども、一つには、北朝鮮が今後どういう対応をとってくるのかということ、それからあと、安保理を含めます国際社会がどういうふうに北に対して対応していくか、そういったことを総合的に勘案して検討することになろうと思いますが、今先生から御指摘のあった点も、そういう状況になれば検討の対象にはなろうかと思います。
○北村(茂)委員 きょうの新聞で報じられているところによりますと、さらなる追加措置をも検討中との報道がございました。とりわけ、車とかたばことかあるいはぜいたく品と言われる奢侈品については、安保理決議に基づいてさらなる追加措置を検討中ということでありますが、その辺の検討の、どのような段階にあって、どのような検討をしているのかということをこの際お聞きいたしたいと思います。
○梅田政府参考人 お答え申し上げます。
先般採択されました決議のフォローアップとしまして、例えばぜいたく品とは何なんだということにつきまして、各国の考え方を一致させる必要がございます。そういった意味で、今日本も検討しておりますし、これから国連でできます制裁委員会というのがございますけれども、そこで品目を特定いたしまして、仮に日本が今までそういうものを対象にしていないということであれば、新たに対象にするというようなことはあろうかと思います。
あと、ミサイルとか大量破壊兵器の関係でも同様に、既に相当のリストが、輸出してはいけないというリストがございますけれども、それにつきましても、今国連を中心に改めて洗い出しをしておるという状況でございます。
○北村(茂)委員 一連の輸入禁止あるいは人の往来ももちろんですけれども、こういう措置をとることによって北朝鮮に制裁ダメージを与える、当然であります。しかし一方、受けて立つ日本側にも、これらの交流、交易の中で事業者としてかかわっている人たちもいるからこそ、それだけの物流の交易があるんだと思うんです。
したがって、日本側のこれら北朝鮮とのかかわりの深い事業者に、それ相当のダメージというか影響は避けられないと思います。しかし、国の存亡をかけたこれほどの大きな制裁でありますから、大事件でありますから、この制裁は断じてひるむことなく実行しなければならないことは当然でありますけれども、国内措置としての事業者への対応について若干伺いたいと思います。
本来、境港等、カニだとかエビだとか、海産物等の加工業者等が非常に打撃を受けるというふうに報じられていると聞きますが、きょうは農林水産省や経済産業省にお出ましをいただいておりませんので、外務省や国交省の範囲内でわかる、事業者への影響に対する対応はどんな措置を講じようとしておられるのか、伺っておきたいと思います。
○平山政府参考人 お答えをいたします。
いわゆる今回の措置に伴いまして影響を受ける事業者さんに対しまして、特に今先生御指摘のありました、影響が大きいと思われますのは水産加工流通事業者さん、そういう方に対しましては、経営指導あるいは原料転換指導等、農林水産省におきまして相談窓口を設置いたします。さらに、農林漁業金融公庫等の金融機関を活用いたしまして、いわゆる低利融資、そういうような支援措置をとるということを考えております。
また、それ以外に中小企業全体に対する影響等もございますので、そういうところに対しまして、いわゆるきめ細やかな相談窓口をつくる、あるいは政府系金融機関におきまして特別相談窓口を設置するというような、いわゆるセーフティーネットの貸し付けということも考えておるということを十月十三日の対北朝鮮輸入禁止等に関する緊急対策会議におきまして検討いたしたところでございまして、万全を期したいというふうに考えております。
○北村(茂)委員 本当に文字どおり万全を期していただきたいと思います。
次に、今回の安保理決議に伴う制裁措置が実行された際、船舶検査等の貨物の検査等は好んで行わないと表明した国もありました。しかし、その後、報じられるところによりますと、中国等についてはもう既に一斉検査を行っているという報道も一部にございます。
加えて、安保理決議の中身を幾つか吟味してみると、その文言の中に、必要に応じとか、あるいは必要と感じた場合とか、自国の法律上の許す範囲内で等々ございます。この安保理決議は、それぞれの自国の法律や制度や考え方を十分そんたくしながら、また一方で、それぞれの、各国の事情にも十分配意をしながらの採択の内容であるようにも思います。
したがって、今回の安保理の制裁決議の内容についてでありますが、中にはこれは遵守する義務はないのではないか、自国の判断でやらない、やりたくないという国にあってはやらないことも許されるのかどうか。私は、そうあってはならない、加盟国はこの安保理の決議を一〇〇%遵守する義務はあるという立場をとっているものでありますけれども、あの決議の後、各国の対応の中には一部、それはやらないとか、それはできないというような発言をした国のことを考えれば、改めてここでお伺いをしておきたいのでありますが、安保理決議は加盟国は一〇〇%遵守義務があるものと理解をすべきなのかどうか、伺いたいと思います。
○長嶺政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今回の安全保障理事会の決議でございますけれども、若干おさらいになりますけれども、北朝鮮のその行為を受けまして、安全保障理事会が国際の平和及び安全に対する明白な脅威が存在するということを認定しました上で、国連憲章の第七章のもとに行動する、それで、国連憲章第四十一条に基づく措置を具体的に列挙して、片や北朝鮮、片や国連加盟国全体に要求をするというものでございます。
このような国連憲章第四十一条のもとでの措置を履行するということは、すべての国連加盟国が負っている国連憲章上の義務であるということが基本でございます。
ただいま委員お尋ねの貨物検査の部分でございますが、この部分につきましては、決議の文言上、ただいま御指摘ございましたように、必要に応じということで、貨物検査を含む協力行動をとることを要請するという文言となっております。
この表現にありますように、その前に書かれております、物、人、金に関するいわゆる経済制裁措置の実施の部分に比べると、要請ということで若干弱い表現になっておるところでございますので、そこのところは、そのような表現であらわされているような形、すなわち必要に応じて各国において措置をとることが要請されている、こういうものとして受けとめております。
○北村(茂)委員 ありがとうございました。
そこで、もう一度改めて伺っておきたいことがございます。
それは、ここ数日の時点で、いわゆる安保理決議がなされましたことを受けて、北朝鮮はさらに再度の核実験の強行もあるのではないかとさえ言われているわけであります。
また、国内的には、周辺事態法に言う周辺事態にこのような状況は該当するのかどうかという議論がかしましいわけであります。民主党は、党三役では周辺事態に当たらないと言う一方、きょうの報道によりますと、前党首であります前原代表は周辺事態に当たるとの見解の表明もあったわけでありますが、改めて、周辺事態法の法律の精神からいって、今回の案件は周辺事態に該当し得るのかどうか。法律の精神からいってし得るのかどうか、周辺事態にするかしないかというよりも、し得るのかどうか、その可能性について、考え方について伺いたいと思います。
○河相政府参考人 お答え申し上げます。
御承知のように、北朝鮮の核実験というのが実施をしたという発表があったわけでございまして、それを受けて国連安保理決議が採択をされ、経済分野を中心とした制裁を行うという決定が行われたわけでございます。
この事実関係のもとで、現状が、こういう事態が周辺事態に該当するのかどうか、また周辺事態において、法律に基づいてどういう措置を政府、日本としてとっていくのかということにつきましては、政府としては、その時点での状況を総合的に勘案いたしまして主体的に判断をしていくということでございまして、今、この時点で、どういう条件があれば、どういうことが起こると具体的に周辺事態に該当するのかということを一般的に述べるのはなかなか困難であるというのが基本的状況でございます。
その上で、先ほど申し上げましたように、北朝鮮が核実験を実施したという発表を踏まえまして、今後、国連の安保理で制裁決議が採択をされた中でどういう措置をとっていくか、この周辺事態法との関連も含めて政府内部で現在検討をしているというところでございますし、今後、関係国との協議も重ねていきたい、その上で判断をしていきたいということでございます。
○北村(茂)委員 ありがとうございました。
まさしく今、我々国会、政府、政治に問われているのは、国益を守る、国民の生命財産がある意味で危険にさらされている、安全を脅かされているという状況にあろうかと思います。挙げて結束をして事に当たるべきだということを強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○塩谷委員長 伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
私の方からは、まず、万景峰号の入港禁止が閣議決定をされました七月当時に戻って、冒頭、若干質問させていただきたいと思います。
まず、危機管理という観点から。七月当時、北朝鮮が弾道ミサイルの発射に踏み切る数日前に、発射の方向の日本海に一定の水域を設けて、国内の船舶に立ち入りの禁止を発令していたことがわかっております。防衛庁はこうした動きに関する電波情報を傍受して、七月四日ぐらいから警戒レベルを引き上げていたということをお聞きしておりますが、まず国交省にお伺いをします。こうした事前の情報を受けて、国土交通省としてどのような対応を実施されていたのか、お伺いをいたします。
○平山政府参考人 七月五日段階でございますが、発射される以前から、各報道等から近くあるのではないかということは国土交通省としても承知をしておりました。
何があっても対応できるようにということから、まずは省内で事前に、何かあった場合の連絡体制をどうするのかということを徹底的に検証をいたしまして、連絡網をしっかり整備させていただいたということ。さらに、通常の勤務形態とは別に、休日等におきましても出勤等をさせる、いわゆる体制整備を図りまして不測の事態に備えていたという状況でございます。
○伊藤(渉)委員 事前の準備をしっかり行っていたということで、次は、ミサイルが発射をされた当日のことで、また報道ベースになりますけれども、少し確認をしていきたいと思います。
まず、自衛隊と米軍、これは平素から北朝鮮の動向監視のために緊密に情報を交換していた。特に、北朝鮮が長距離弾道ミサイル、テポドン二号発射準備の動きを見せ始めた六月初め以降は、イージス艦やレーダー、航空機による情報の収集、こういったところで連携を続けてきた。
日本政府は、一発目の発射、朝の三時半ぐらいだったと思いますが、この二十分後の三時五十二分、早期警戒情報を発令しております。五時には、当時の安倍官房長官、額賀防衛庁長官、麻生太郎外務大臣による情報分析を開始するとともに、六時四十分にはシーファー駐日米大使も加わって、対北朝鮮の対応を協議しております。
一方で、国交省は、七月五日の午前、ミサイルが落下した日本海などを航行する船舶及びその空域を飛行する航空機に対して、警戒や注意情報を出しております。
しかし、このミサイルの発射の一報や着弾点の情報がなかなか国交省に伝えられなかったということをお聞きしております。省内での対応にも手間取って、現実に、船舶への警報が一発目の発射から五時間以上かかるなど対応がおくれた。
また、ミサイルは同日の三時半過ぎから断続的に、まず六発発射されておりますが、海上保安庁が警報を出したのは午前八時五十二分。これについて、これも報道ベースですけれども、海保の方のコメントとしては、着弾点の情報が入らず、警報の対象地域が特定をできなかったという説明をされております。
また、航空局におかれても、首相官邸からの発射の一報があったのが四時五十分、航空機への注意情報は午前八時二十一分から九時四分まで計四回。注意情報の内容を検討するうちに事態が進んでしまったなどとのコメントがやはり新聞報道でされておりました。
この報道を見る限りでは、まず政府内の連携というのが、当然準備されていたと思うんですが、いま一つうまくいっていなかったのではないかという印象を受けますけれども、この辺の事実関係について確認をいたします。
○山浦政府参考人 本年七月五日の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に際しては、米軍からの早期警戒情報を含む諸情報を総合的に勘案した結果、北朝鮮が複数の弾道ミサイルを発射した旨の発表を行ったところであります。
早期警戒情報については、発射直後、短時間のうちに米軍が解析して伝達する情報であり、精度に限界があり、また今般、複数回にわたり発射された事案であったことから、確認作業を実施した上で関係省庁に情報を伝達したものであります。
いずれにせよ、本年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に際しては、関係省庁間において情報の共有、伝達を的確に行い、おおむね適切な初動対処を行ったものと認識をしております。
○伊藤(渉)委員 今、政府内のお話について聞きました。
省内という意味でも、注意情報を出すのに実際のミサイル発射から五時間程度かかった。さまざまな手続、状況の判断等があって時間がかかることも理解をできないわけではありませんけれども、一方で、そういった判断を待つ前に、例えば、対象海域ですとか危険だと思われる空域ですとか、そういうところの航空機の通過、あるいは船舶のそういったエリアへの進入を禁止するなどのリスクヘッジも行うべきではないかと思うわけですけれども、この辺の事実関係も御教示ください。
○平山政府参考人 今先生御指摘のとおり、若干警報を出すのに時間がかかっていたというのは事実だと思いますが、今内閣の方からもお話がございましたように、ある程度事実関係を確認しませんと、仮にそういう変更とかを出しましても、不測にかえって不安をかき立てるという心配もございます。
今回の場合、今、事前にある程度、例えば航空の変更とかできるのではないかという御指摘だと思いますが、今回の七月の段階では、やはり相当細かい情報が入っていなかったということもございまして、ミサイル発射以前にノータムを出すようなことはなかなか難しかったのではないかなというふうに認識をいたしております。
○伊藤(渉)委員 ちなみに、この七月五日、私はどこにいたかというと、日中の議会交流というプロジェクトの中で中国におりました。七月五日にちょうど帰国をする予定でございまして、間をあけて発射をされた七発目、これは午後五時二十二分だと思いますけれども、このときちょうど上空を飛行機で飛んでいたわけでございます。
素朴に、発射の報が中国で入ったときに、非常にシンプルに、きょう飛行機は飛ぶのかなというふうに思ったわけですけれども、航路ははっきり見えませんので、多分通常に運航していたんだろうと思いますけれども、朝その周辺でミサイルが飛んでいたにもかかわらず、その夕方、実際に普通に飛行機が飛んでいて、仮に同じ時間帯にミサイルも飛んでいたとすると、なかなか、危機管理という意味でどうかなというふうに疑問を感じるわけですけれども、この点についても改めて事実関係を御教示ください。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
航空局といたしましては、先ほどの先生のお話にもありましたとおり、五時前に打ち上げについての情報を得ましたが、なかなかその正確な着弾地点とかあるいはその時間等につきまして確たる情報を入手できなかったということで、ノータムの発出が八時二十一分から九時四分まで四回、事後的になされたということになりました。その後またミサイルの発射がとまってしまいまして、夕方また発射がされたということで、これも事前に情報が入手できなかったということで、事後的にまたノータムを発出させていただいたという状況であります。
先生が乗られた飛行機の関係につきましては、多分、中国の管制当局の方がまずその離陸の許可を出し、それから韓国の管制当局の方にバトンタッチをされ、それから我が国の方の管制の方に入ってくるという、多分、夕方の打ち上げの時間は韓国の上空のあたりだったと思いますが、そういうことでなされておりまして、それぞれの管制当局が問題ないと判断して許可をしたということだろうと思っております。
○伊藤(渉)委員 いずれにしても、危機管理というのは、今、この北朝鮮の問題を受けていわば有事の状況がさまざま議論をされておりますけれども、こういった日ごろの基本的な積み重ねがなければいざというときにも十分な対応は当然おぼつかないわけで、いま一度しっかりお願いしたいなと思います。
続いて、万景峰号、この船について幾つかお伺いをします。
報道ベースですけれども、この船の貨物で、北朝鮮がつくっているミサイルの部品が日本から持ち出されているですとか、乗客が携行する形でお金が大分出ているというようなことも言われております。
まず、過去三年程度で結構ですので、この万景峰号の運航の実績、そして現金などいわゆる携帯の輸出額、現金の持ち出しについて、その数値を教えていただきたいと思います。
○石川政府参考人 私の方からは万景峰号の入港実績について報告したいと思いますが、万景峰92号につきましては、平成十六年には十六回、平成十七年には十四回、平成十八年は、七月五日が最後でございますけれども、それまで七回ということでございまして、いずれも新潟港に入港しているところでございます。
○清水政府参考人 現金の携帯輸出の金額について申し上げますと、外為法十九条第三項によりまして、財務省といたしまして把握しております我が国から北朝鮮向け現金等の携帯輸出の総額でございますが、平成十五年度で約二十五億七千六百万円、平成十六年度、約二十四億八千八百万円、平成十七年度で約二十七億六千三百万円、平成十八年度ですが、六月末現在でございますが、約六億八千万円でございます。
以上の計数は、全国ベースの計数でございます。
お尋ねは、万景峰号との関係でのお尋ねかと存じますが、現金等の携帯輸出額につきましては、船ごとではなく各税関支署ごとで把握してございます。したがいまして、北朝鮮へ向けた携帯輸出額総額のうちの万景峰号で持ち出された額というのを正確にお答えするのは困難でございますが、ちなみに、万景峰号が入港いたします新潟港等を管轄してございます新潟税関支署に届けられた北朝鮮向けの現金等の携帯輸出額を申し上げますと、平成十五年度で約一億一千四百万円、平成十六年度、約三億二千五百万円、平成十七年度、約二億七千八百万円、平成十八年度は、六月末現在でございますが、約一億五千三百万円となってございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
この万景峰号、十八年度で約一億、七回ですね、全体で見ると七億ということで、この現金の額が多いか少ないかというところは判断する尺度がないわけですけれども、外貨を稼いでいると言われる中で、このような事実、万景峰号を中心としてお金が持ち出されているという事実について、これは外務省の方に、ちょっと見解というか、どのような考え、分析をされていたのか、お伺いをいたします。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
七月の五日の措置を決めるに当たりまして、特に万景峰号につきましては、北朝鮮と日本を結ぶ唯一の貨客船で非常に象徴的な存在であったということが非常に大きな要因でございますが、少しブレークダウンしてみますと、まさしく人、物、それから今委員から御指摘のありましたお金についてもいろいろやりとりが万景峰号を通じてやられている。それがとまるということは、北朝鮮にそれなりのインパクトを与えるのではないかというような判断があったのは事実だと思います。
○伊藤(渉)委員 今おっしゃっていただいたとおり、まさに人、物、金、こういうのが動いているわけです。
もう一つ、これも外務省の方にお伺いしたいんですが、極めて素朴な疑問なんですけれども、これだけ人間の往来があって、例えば日本という国に北朝鮮の方が出てくれば、この日本という国の状況、また世界の状況というものを見聞するわけで、そういう人が北朝鮮という国にも、大体年間で一万人ぐらいの人が日本と北朝鮮だけでも行き来していますから、いるんだなと。それなのに、そういうことを見れば、北朝鮮という国が一体どういう国なのか、その国の中にいる人も十分理解できるんじゃないかなと。いわば独裁体制といいますか非常に特異な国であるということを認識して、国の中からさまざまな問題が起こってきて自然ではないのかと普通に思うんですが、その辺は一体どういうふうになっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
例えば、北朝鮮から外国に行かれる方については必ず監視がついております。それから、北朝鮮に行った方についても同様に監視がついております。場合によったら、場合によったらというか、これはちょっと我々確証がございませんが、外国に行くに当たって、外国で見聞したことを国内でしゃべるなということを約束されているというようなこともあるようでございます。
それから、もう御承知のとおり、北朝鮮の広報機関というのは、報道機関はプロパガンダの機関でございますので、国民に対して真実が伝えられるということはまずない。それから、北朝鮮の中で政府に批判的なことを言うと、いわゆる国家保安部、秘密警察と言ってもいいのかもしれませんが、それに密告をされてえらい目に遭うというようなこともございます。
当然、他方で、こういう国内的にも食料事情が厳しい、それから、まともな仕事もない、脱北者の方がたくさん出てきているというような状況もございますので、相当やはり国内に金正日政権に対する不満が出てきているという情報もございます。ただ、それが本当にどういう形で顕在化するのかということにつきましては、先ほど申し上げた国内の状況を考えると、なかなか判断するのが難しいというような状況にあるのも事実でございます。
以上でございます。
○伊藤(渉)委員 今のお話を聞いても、独特な国ということで、ここを相手にどう制裁を、経済的な制裁を加えて今考えていることを改めさせていくかというのは非常に難しいんだなということがよくわかります。
先ほど、七月の時点での、万景峰号という象徴的な船、唯一の貨客船、これの入港を禁止したというお話がありました。それは、シンボリックな船であることなどがその理由だったということがございましたけれども、今回、この十月九日に北朝鮮は、先ほど来ありますとおり核実験の実施を表明しました。そして、我が国の対策として、次は北朝鮮籍の船を全部入港禁止にする。当然七月の段階でも、そういったことまで踏み込むべきなのか、あるいはこの万景峰号だけ、この象徴的な船だけを入港禁止にするのか、さまざまな議論があっただろうと思いますけれども、この七月の時点での判断に当たって、いわゆる核実験の実施など状況が悪い方に転んでいくというような想定というか、七月の時点のジャッジの段階で、どういった確率というか、また状況が悪化していくのはどの程度だと考えていたか、その辺がもしあれば教えていただきたいと思います。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
今の先生の御指摘はもっともな御質問だと思うんですが、非常にお答えをしにくい問いでもございます。
我々、いろいろなことを想定して今後の対応を考えております。当然のことながら、ミサイルを撃った後、国連でも決議ができ、日本独自に制裁をとり、各国も独自に制裁をとったところもありますけれども、そういうことを踏まえて、水面下で相当北朝鮮と、中国を初めとしてやり合っていたのも事実でございます。
ですから、もしかしたら六者会合に復帰してくるかもしれないということも想定しつつ、いろいろなことも考えておりましたし、しかし、今までの北朝鮮の行動からいえば瀬戸際外交的なものを続けていく可能性もあり得るというようなことは念頭に置きつつ、いろいろなことを考えたというのも事実でございます。
○伊藤(渉)委員 では、この十月十三日、今回閣議決定をされた我が国の北朝鮮に対する措置について、まず国交省にお伺いをします。
すべての北朝鮮籍の船を入港禁止するということですけれども、これは言うのは簡単だけれども実際にやるのは非常に難しいというか、どうやってやるのかなというところをちょっとお聞きしたいわけです。
例えば表明しただけで、そもそも入ってこれないということであきらめて船が入ってこなくなるのか、例えば変装をして、ありとあらゆる方法で入ってこようとするのか、その辺も定かではないと思うんですが、仮に、何とかして入ってこようとしている、実際には北朝鮮籍の船ですが、それが非常にわかりにくい形で入ってこようとする場合などは、どうやって発見をしようというふうに考えられているのか、これは国土交通省にお伺いをいたします。
○平山政府参考人 今先生お話しの中で、北朝鮮籍の船であれば、先ほど大臣からも答弁をさせていただきましたが、二十四時間前に、これは北朝鮮の船だけではなくて、すべての外国船が自分の船はどこの船であり船名は何であると通報することになっておりますので、例えば北朝鮮の船が今回の措置を余り承知していなくて入ってこようとした場合には、事前通報があった段階で、今こういう措置がとられているので入れませんということを申し上げてその時点で警告をし、さらにそれでも無理やり入ってこようとすれば、海上保安庁の方で船長を検挙するという実力行使をすることによって阻止をするという形になっております。
ただ、北朝鮮の船がほかの国の船を装って入ってくる場合となりますと、外見だけでわかるわけではございませんので、積み荷とか関係のいろいろな情報を、例えば税関さんあるいは警察情報、いろいろな関係省庁の情報を総合的に勘案いたしまして、不審な船であれば、日本の領海に入ってきた段階で検査をし、確定をするという形で措置をすることになるだろうというふうに考えております。
○伊藤(渉)委員 その辺ですけれども、どの程度厳格にこの閣議決定に対して対応するかというか、なかなか難しい問題であろうと思いますので、その辺もまたしっかりお願いをしたいと思います。
この核実験の表明を受けて、いわゆる周辺事態法の適用など議論が一気に白熱をしている感がありますけれども、こうした状況を私は非常に危惧しております。
この中で、船舶検査が話題になっておりますけれども、領海内の警備としては、これは海上保安庁において、従来から必要があれば実施をしてきた、あるいは実施可能なものと認識をしております。北朝鮮への経済制裁という観点から、公海での船舶検査を議論する以前に、我が国としては、領海の警備という足元もしっかり固めておかなければならないと私は考えます。
そもそも、海上保安庁の巡視船の老朽化など、この委員会でも議論をしてまいりました。不審船騒動のときも確認をさせていただきましたけれども、改めて、この海上保安庁の装備の充実、これが着実に進んでいるのかどうか、来年度の予算の要求状況等について御教示いただきたいと思います。
○石川政府参考人 御指摘のように、海上保安庁、さまざまな仕事をしておりますけれども、不審船の事案につきましては、十一年、十三年に不審船の事案がございました。そのときのさまざまな反省を踏まえて、装備の充実、能力の向上というふうなことに努めてきておりまして、現時点でも、例えばスピードであれば、従来二十ノットというふうなものにつきましても、三十ノットあるいは四十ノット以上というふうな船の整備というものも順次進めてきております。
ただ、海上保安庁全体として、巡視船艇の老朽化というものについてはまだそのような状況にあるわけでございますので、それによって海上保安庁が行う犯罪の取り締まりや海難救助に支障が生じているということでございまして、このような状態を一刻も早く解消したい、こういうふうに思っております。
さらには、今のお話がありました、あるいはその他の新しい業務というものもつけ加わってまいるわけでございますので、高性能化を図った巡視船艇あるいは航空機の整備というものは必要だろうと考えております。
そういう意味で、私どもも、十八年度予算あるいは十七年度の補正予算というところから整備を開始したところでございますが、平成十九年度予算要求におきましても頑張っております。
ちなみに、十九年度の巡視船艇、航空機の整備のための予算要求額は約四百十一億円でございまして、これは前年度、十八年度当初予算の約一・五倍の予算要求をしております。現在、鋭意財政当局と予算折衝をやっているところでございます。
○伊藤(渉)委員 最後に、この対北朝鮮輸入禁止、これに伴う当面の緊急対策として、国交省に関係してくるところとしては、港湾の運送事業者等への影響について調査をすることになっております。現時点で想定される影響について教えていただきたいと思います。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
港湾運送事業者、港湾の荷役業者でございますけれども、それらへの影響でございます。
対北朝鮮船舶入港禁止措置に伴う港湾運送事業者への影響、これについて、現在、鋭意調査中でございます。今後、この調査の結果を踏まえながら、各地方運輸局などに相談窓口を設置いたしまして、影響を受ける港湾運送事業者の相談に応じる体制を整備するなど、十分配慮していく所存でございます。
○伊藤(渉)委員 対北朝鮮の輸入禁止、これに当たって、さまざまな国内の事業者がマイナスの影響を受ける可能性が想定されております。十分な対策を講じることによって、北朝鮮の核実験ですとかミサイル発射ですとか、そういうこととは全く無縁の、普通に生活をする日本の国内の生活者の方々への影響が最小限にとどめられるように引き続きの対応をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○塩谷委員長 泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
国土交通委員会での質問は初めてになります。委員長また委員各位の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。また、大臣もどうぞよろしくお願いいたします。
私も、先ほどの伊藤委員ではありませんけれども、この七月五日に戻ってという観点から今回質問させていただきたいと思いますが、まずその前に、最近の北朝鮮と我が国の情勢をかんがみるに、やはり非常に日朝平壌宣言以降困難な状況が続いているんだろうなというふうに考えております。
そういった中で、七月五日のミサイルの発射ということについてですけれども、十月の十一日ですか、共同通信の取材に対して、北朝鮮のナンバーツー、金永南さんが、日朝平壌宣言はいまだ有効であるという発言をなされております。一方で、日朝平壌宣言に明確に反するというのがこのミサイル発射だったわけですが、これは、この日朝平壌宣言、いまだ有効だと言えるというふうに大臣はお考えでしょうか。
○冬柴国務大臣 私は、いまだ有効であるというふうに確信をいたしております。
○泉委員 その理由をもう少しお聞かせいただけますでしょうか。
○冬柴国務大臣 日朝平壌宣言にはいろいろなことが盛り込まれておりまして、ミサイルに対するモラトリアムというようなものもその一つでございます。また、朝鮮半島の非核宣言ということも一つであります。その他、拉致を解決するということも一つでありますし、また、そのようなものを総合考慮いたしまして日朝の国交回復交渉等を行うことも、いろいろなことが盛り込まれているわけでございます。
したがいまして、私は、その一事をもって、それがすべて解消された、解除されたというふうには判断はいたしておりません。
○泉委員 まさに今大臣がおっしゃられました核問題等も非核化もあるという中で今回さらにこの核実験が行われたということは、ミサイル問題に重ねてさらに核問題までもが、この平壌宣言には、核問題、ミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認したということになっているにもかかわらず、まさにこの核問題に関してまで我々は完全にそっぽを向かれたというか反するような行動をとられたという状況になっております。
それにおいて、さらには金融措置ですとか、さまざま我が国も対応をとりましたので、ということでは交渉、交流はほとんど今途絶えているという状況ですが、今大臣がおっしゃられた状況の中で、日朝平壌宣言に書かれている項目について、それが進展をしている、あるいは継続できているものが何かあるのだろうか、私はそういうふうに疑問を感じるわけですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
○冬柴国務大臣 総体的に、六者協議の場へ戻るべきであるという国際世論、多くの国、六者だけではなしに、安保理の一七一八でもそのように言われるわけでございまして、そういう意味では、国際社会はもう完全にあきらめているということではなしに、六者協議の場でそういうものは解決をされていくべきである、北朝鮮にはその義務があるというふうに認識をしているところでございます。
○泉委員 国際社会においては国連あるいは六者協議、六カ国協議の中でまだパイプというものがあると思うんですが、この日朝平壌宣言というのは多分に二国間のやりとりが多く含まれているわけであります。そういった中で、ミサイル発射モラトリアムに反するということをもってしては平壌宣言は有名無実化するものではない、しかし、核問題、これが今般起こったということについても、その認識は変わらないということで、重ねてになりますが、そういう認識でよろしいですか。
○冬柴国務大臣 核実験を行った、北朝鮮はそのような公式な発表をいたしておりますけれども、我が国といたしましては、真にそれが行われたかどうかということはまだ確定はいたしておりません。
いずれにいたしましても、我々は、その問題以外にも大きな問題として、主権侵害である拉致の問題の解決、そのようなこともあるわけでございますから、それだけですべてがもう解消されたというような見方はまだとるべきではないのではないか、私はそのように思います。
○泉委員 ちょっとさらにお伺いしますが、核実験は、まだ政府としては未確認、不確定であるということでよろしいんですか。
○冬柴国務大臣 いろいろな情報は総合考慮して、蓋然性はありましても、確定的に日本政府として行われたという認定はいまだしていないというふうに思います。
○泉委員 その場合、そうしますと、現時点では核実験が不確定、蓋然性が高い中で、この平壌宣言はいまだ有効であるというふうに私は回答としてとらえましたけれども、そうしますと、核実験がなされたということが明確になった時点で、その時点でもこの日朝平壌宣言、大臣は、揺るぎないもの、北朝鮮のナンバーツーの金永南さんと同じ見解を持たれるということでよろしいでしょうか。
○冬柴国務大臣 これは一国土交通大臣が判断すべきものではなく、政府が一体となって、どのような事態をとらえてどう判断するかということは、検討し、確定すべきことであると思います。
今私は、この段階におきまして、まだ核実験が追加して行われるかどうかというようなことも未確定の情報だけでございます。そういうような状況の中で平壌宣言の効力の有効、無効を論ずる、それをコメントするという事態ではないというふうに考えます。
○泉委員 その日朝平壌宣言という、今ここに文章があるわけですけれども、日本の過去の清算という観点の言及以外に、継続しているものというのはほとんどないんじゃないのかなというふうに改めて感じざるを得ません。経済協力、これも全く誠実に協議をする段階ではないというふうに思っていますし、ましてや、先ほども言いましたけれども、核問題も起き上がってきたという状況では、この日朝平壌宣言は、どこを読んでも私は有名無実化しているという認識を持っております。これは政府としてやはり対応を改める必要があるのではないか、これは民主党、私の意見ですけれども、そのことを改めて申し述べたいというふうに思っております。
さらに、ちょっと細かい話をお伺いしたいわけですけれども、七月のミサイルの発射において、やはり、先ほども別な委員からお話がありましたけれども、現場海域、現場空域、この状況、そしてまた対応がどうなっていたのかということを改めて検証しなければならないというふうに思っております。
そういった中で、日本政府として、このミサイルの落下した地点、その周辺にどれぐらい船舶がいたのか、これを確認できていることであれば、その内容をお聞かせいただきたいと思います。
○平山政府参考人 お答えをいたします。
七月五日段階でどのぐらいの船舶がその海域にいたかということについては、必ずしも明確なデータを所持しておりません。
私たちの方といたしましては、まず、ミサイルが発射されたということで、特に近辺にいる船舶、航空機に安全の観点から非常に問題があるということから、いわゆる航空関係ではノータムと呼んでおります航空情報、これをまず早期に出すということを考えておりまして、それを出させていただきました。航空機に対しましては、計六回の注意喚起をいたしております。
また、船舶の方でございます。これは、海上保安庁において、哨戒中の巡視船艇あるいは航空機による情報収集を実施したほか、航行警報を発令いたしまして、周辺海域に行く船、あるいは、いた船に対しまして三回ほど注意喚起を行わせていただいたところでございます。
○泉委員 今私が質問したのは、どれぐらいの船舶がいたのかということについて、それは具体的には把握をされていないという御答弁がございましたが、これは通常もやはり、船舶というのは移動が随分ある、大きいものから小さいものもある、定期航路もあれば不定期や漁船もある、さまざまそういう理由でこれは日常も把握をされていないということのお考えでよろしいんでしょうか。
○石川政府参考人 まず、先生御質問の海域というのがどの海域を指すかということにもよると思いますが、日本海全部であれば大変広い海域でもあります。あるいは、事後的にわかったミサイルの着弾地点、これもかなり広い海域であります。
そういう中で、あの辺に、その当時はイカ釣り漁船がいたということはありますけれども、その船が具体的に何隻どこにいたかということについて、私どもが逐一、すべての船舶について、その位置及び動向について把握しているものではございません。
○泉委員 いや、私は、そのお答えは想定はしていたんですね。ただ、改めて思うところなんですが、委員の皆さんにもぜひそういうふうに一度お考えいただきたいわけですけれども、やはりこういったミサイル発射、実際に発射が行われて、その時点では、日本政府としては通常の業務として船舶を一つ一つ把握する状況にはないというのはわかるんですが、せめて、ではどの船舶、各漁港に聞いても構わないかもしれません、各港湾に聞いても構わないかもしれませんが、どの船がこの海域にいたのかということは調査をなされてもいいのではないのかなというふうに思うわけですが、そういう調査も、事後調査もなされていないということでよろしいんでしょうか。
○石川政府参考人 今申し上げましたように、漁船というのはありとあらゆるところで漁業をしているわけでございますし、海域につきましても、今お話しのような海域の問題もございます。
いずれにしましても、今、事後調査をしたかというお話でございますけれども、特段の事後調査はしておりません。
○泉委員 それはやはり、私は一つ提案をさせていただきたいと思うわけですね。
もし現場海域近くにそういった船がおられたということであれば、場合によっては、今回はそうじゃないかもしれませんけれども、七発のうちに、近いところで何かしらの証拠となるような、現場の状況を知り得たり視認をしたりということはあり得たかもしれないわけですね。それはどれぐらいミサイルからその船が近かったかどうかわかりませんし、当たり外れはありますから、そんなことは限らないとは思うんですが、やはり情報収集としては、現場海域にさまざまな調査を防衛庁なり海上保安庁なりが行っていたと思うんですが、もし、その海域にさまざまな船舶がいた、ましてや日本国籍の船舶がおられたということであれば、それはやはり、事後的にさまざま意見を聴取するというか事情聴取をするということがあってしかるべきかなというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○冬柴国務大臣 物理的には、所管がありまして、水産庁等が何隻のイカ釣り漁船がどの方面に出ているかということは把握できるかもわかりませんけれども、海上保安とかそういうところでそういうものを検索するということは困難ではないかというふうに思います。
○泉委員 第五福竜丸ではありませんけれども、でもやはり、漁船が現場にいるということは十分にあり得る話でございます。
そういった意味では、私は、水産庁だ海上保安庁だと縦割りの話ではなく、やはり、事後的でも結構でございますので、漁船の方々からも乗組員からもしっかりと事情を聞くべきだということを提案させていただきたいというふうに思います。
さらに、飛行機、こちらの方も航空情報という形でお出しをされたということで言っておられましたけれども、このミサイルの落下地点の周辺、一応、防衛庁の方も、日本海の一部を丸で囲って、この辺ではないかということをもう資料として出しているわけですけれども、国土交通省として、その防衛庁がつくった資料の落下地点、落下ポイントを通る飛行機の航路、これを調べられてはいるでしょうか。どんなものがあるかということですけれども。
○平山政府参考人 いわゆる航空の安全という意味では、こういう地区にこういうものが落ちたからそこを通る飛行機は気をつけなさいという航行警報は出しますが、そこの航路というのは、どの航路が通っているかというのは、ミサイルが落ちたという着弾地点と上空の地点とは違うものですから、その上を通ったかどうかということについてそう簡単に認定はできないので、今回の場合も、どの航路かということを調べたというふうには聞いておりません。
○泉委員 私は、だれかは恐らく検討しているんじゃないのかなと思うんですが、北朝鮮から線で結んで、まさにその落下海域というものが防衛庁から示されているとなれば、そこの線をまたぐ形での航路がもしあれば、それはやはり、ただ単なるノータムという通り一遍の対応ではない形のものも考えてよかったのではないのかなというふうに思うんですが、これもまた現時点でも把握をされていないということなんでしょうか。
○平山政府参考人 航路というのは線が引かれておりますので、想定をした上で調べればそう難しいことではないと思っておりますが、現段階では、七月時点で調べたことはないというふうに聞いているということでございまして、現在の状況ではわかりません。
○泉委員 北朝鮮はまさに今後もミサイル発射実験を行っていくということを言っているわけですね。となれば、また同じ海域にミサイルを発射するということは十分考えられるということでございます。
そうなると、やはりまた、北朝鮮というのは無法国家だから、ならず者国家だから発射されないとわからないなんという話じゃなくて、ある程度発射する海域というのが予想されるということであれば、しっかりとその航空路を把握して、私は、事前からその対応、注意というものは、万全ではないかもしれません、しかし、やはり認識をさせておくかどうかというのは非常に大切なことかなというふうに思っておりますので、そこはぜひ私は提案を申し上げたいというふうに思います。
大臣、そのことを一度御検討いただけますでしょうか。
○冬柴国務大臣 各関係省庁と連携をとってまいりたいと思います。
○泉委員 さらに細かくお伺いをしたいと思います。
今回、船舶と航空ということでいいますと、二つの国際条約がございます。
まず一つ、船でいいますと、国際海事機関、IMOというところでの国際条約がございまして、海上人命安全条約ですとか、その中の世界航行警報業務基本文書というものがありまして、これによって、各国がもし何かしらの危険なというか、海上演習であったり海上構築物をつくったり、ミサイル発射も含んでいるわけですが、そういうときにはお互いに通報し合うというシステムができているわけなんですね。
これにはもちろん日本も加盟をしておりますし、北朝鮮も加盟をしているということなんですが、北朝鮮が本来であればミサイル発射をするということを日本政府に対して報告をして、そして、いついつミサイル発射をするから現場海域を気をつけろということを、世界を十六の区域に分けて、そのそれぞれの区域、海域を各国政府が担当して、日本の場合はちょうど日本海ですね、日本海が主になるわけですけれども、これはたしか十一番目の区域と呼んでいるはずですけれども、そこについては日本が世界各国に警報を発出するという立場にあるわけなんです。日本が警報を発するという立場にあるにもかかわらず、そのミサイルを発射した北朝鮮から全くの連絡がなかったということで、これは我が国も責務を果たせなかったということで、私は大変遺憾にこれを感じております。
そういった意味からも、この国際会議等ではそういったことへの懸念というのを表明されているようですけれども、このことについてもっと明らかに、政府全体として、国連の場でも抗議をする、あるいは論点としてしっかりと主張していくべきではないかというふうに私は感じておりますけれども、政府としてはこの問題についてどのように対応なされますでしょうか。
○平山政府参考人 先生今御指摘のとおり、国際関係の機関に対してでございます。今御指摘ございましたIMO、海の方は国際海事機関でございます。
今おっしゃいましたように、北朝鮮が航行警報を発することなくミサイルを公海に発射したわけでございまして、この行動は、当然ながら船舶あるいは人命を重大な危険にさらす行為であるということで、IMOに対しまして、そういうことをやったということをいたしまして、国際機関でそういうものに対して適切な措置をとってもらいたいという旨をここで訴えたところでございます。
○泉委員 適切な措置をとってもらいたいと。日本からはどういう代表団が、どういう立場の方がそこに行かれているか、もしわかればお答えをいただきたいんですが。
○平山政府参考人 今、手元に当時の代表団の名簿はちょっと持っておりませんが、少なくともIMOに対しましては、私たちの国土交通省から常駐した職員が派遣されておりまして、そういう意味では、連絡等おさおさ怠りなく、積極的に活動できるような体制が構築されております。
○泉委員 私は、これもまた二点提案をさせていただきたいと思うんですけれども、一つは、これまでの行政というか、国土交通省の実務的な代表団という形でのIMOの中での発言ということは、確かに一つやり方としてはあるんですが、それは平時の状況ではないのかなというふうに私は思っておりまして、こういったときの場合には、やはり政府からしかるべき方が、政務官なのか副大臣なのか、時には大臣なのか、それは政府の方でお決めになることかもしれませんが、やはり強いメッセージを出すということが大切かなというふうに私は思っておりまして、それはぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。
実は、この世界航行警報業務基本文書という中では、具体的に国名を挙げれば北朝鮮が今回のように、日本側に連絡をして、区域調整国である日本が警報を出すという形なわけですけれども、その北朝鮮からの連絡については義務になっていないわけですね。やはりそこは、国際条約ということでは緩い枠組みでしかできないのかもしれませんが、まさにミサイルを発射する国から連絡が来ない状況で、その警報を発する国としてはこれはどうしようもないわけです。
さらに言えば、もしそれによって何らかの被害が出た場合には、やはり区域調整国、責任を持つ、警報を発する側の我が国としては、これは我が国の名誉にもかかわる問題だというふうに私は思っておりまして、この条約というか基本文書の改定ということも含めて、私は日本が要求をすべきではないかというふうに思っているわけです。
そのことについて、今政府のお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○平山政府参考人 今の先生の御指摘も踏まえまして、特に関係省庁ともよく連絡をとらないといけない問題でもございます。いろいろ連絡をとりまして、航空機、船舶の安全確保にさらに積極的に努めていきたいというふうに考えております。
○泉委員 何か一気に抽象的なお答えになってしまいましたけれども、私は、事前の通報が義務になっていないということを具体的に今指摘をさせていただきました。やはりこれは政府として、この機会にIMOに対して、代表団の強化ということが一つ、そしてもう一つは、その中で、総会も今後開かれるでしょうから、しっかりと、努力規定ではなく義務規定に変えていくんだぐらいの要求をしていくということを私は提案を申し上げたいというふうに思います。
さらに、先ほども委員から話がありましたが、私は、海上保安庁のナバリア、ナブテックスという二つの警報、もっと言えば四つ種類があるらしいですけれども、特にこのナバリア、ナブテックスという船の航行の安全情報ですけれども、これについて、やはり出すのが余りに遅いんじゃないのか、何でこんなことになったんだという気がしてなりません。
なぜそう思うのかといいますと、まず一回目が、先ほど八時五十二分というお話がございましたが、私のいただいている資料では八時五十三分となっておりまして、その中では、一発目、二発目、三発目の事実について警報として伝達をしているわけですね。二回目の警報が午後三時二十六分です。ですから、かなり時間がたっていますね。七時間ぐらい時間がたって、七時二十分、七時四十分、八時三十分、恐らく落下しただろうと思われるそのミサイルについて、午後三時二十六分に二回目の警報が出されている。なぜここにこんなに時間の開きができたのかの理由を説明していただきたい。逆に、その最後、七発目は午後五時半に落下したわけですが、六時四十七分に警報が出されている。一時間後ぐらいに出されているわけですね。この二回目がなぜこんなにおくれたのかということの理由をお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人 海上保安庁が発します航行警報でございますけれども、これは従来、その警報を発するところの地点、これについて、普通の場合は極めて正確に、北緯何度東経何度などなどと出すのが通常であります。
したがいまして、あの日の場合で申しますと、落下地点などについての正確な情報あるいは正確な位置の確認ということについては、ある意味で政府全体としてもなかなか難しい状況であったわけでございまして、そういう意味で、航行警報を発出する現場の担当者としては極めてまじめに物を考えて、具体的な着地地点というものの確定がまだできないだろうかというふうなことにいわば心を砕いて、そういう意味で、ともかくも日本海に落ちたらしいよというぐらいの、ある意味では、細かい情報はわからないけれどもともかくも落ちたらしいというふうな警報を出しておけばよかったんではないかというふうな反省もございますが、当時の担当者としては、従来からの航行警報というものが極めて正確に、具体的に、技術的に出すということを追求したためにしばらく時間がかかってしまったものでございます。
○泉委員 今の御答弁、二つ問題があると私は思うんですけれども、一つは、属人的なものでとらえていいんだろうか。その方がまじめだったからとか、技術的に探求をする方だったからとか、そういう話ではないと私はやはり思うんですね。
もう一つは、地震の警報をやはりよく皆さん改めて確認をしていただきたいと思うんですが、まずこれはNHKなりで、どこどこに地震がありました、第一報はこれで十分ですよ。ですから、日本海にミサイルが落ちました、これで十分なところがまず第一報じゃないですか。まさか地震が起きてから五時間も六時間も後になってから、地震が起きました、どこどこ震度幾つですなんというものを聞かされても、多くの方々の不安というのはその間ずっと持続をしているわけですね。
これまでの業務としては、計画的にさまざまな、海上構築物であったりミサイル発射であったりというものが、位置も確認できていたでしょうから、そういうやり方でよかったのかもしれないけれども、これからは私は、一つ、さっき言いましたように属人的な扱いではいけないということと、今回のことを踏まえてしっかりと業務の行い方を変えなきゃならないというふうに今考えているところです。それをぜひお願いをさせていただきたい。
それで結局、では八時五十三分に出た日本航行警報、あるいはナバリア、ナブテックスというものがどういう警報になっているかというと、午前三時三十分ごろ、午前四時ごろ、午前五時ごろの三度にわたり北朝鮮から何らかの飛翔体が発射されたものと考える、いずれも我が国から数百キロ離れた日本海に落下したものと推定される、航行船舶は注意されたい。これだったらもっと早く出せるんじゃないですかね。
私はこれで十分だと思うんです、一回目は。だとしたら、これを発射から何時間も後に出すんじゃなくて、政府で確認がとれたらこんなものはすぐ出す、出せる内容じゃないですか。なぜそれを一生懸命探求をなされようとしたのかという、そこはやはり不思議に感じざるを得ないわけですよね。
さらに、警報の二回目が午後三時二十六分ということに至っては、七時間もたっているということは、これはやはり私は、業務の改善をしていただかなくてはならない、次こういうことが繰り返されたら必ずすぐまず警報を出すということをここで約束をしていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。その点だけで結構です。
○石川政府参考人 先ほどの御説明の中に、ちょっと個人的なという感じでお話ししたものでございますけれども、別に、特に個人のことではございません。航行警報を出すセクションというのは、さっき申し上げたような物の考え方をしているということでございます。
今御指摘のようなこともございまして、実は、今回の核実験の一報があったときには、まさにおっしゃるように、ちょっと正確に覚えていませんが、核実験があったと報道されたとあった、よって、その近隣の船舶については、以後の情報、報道、そういうものに十分注意されたいという意味での通報を速やかに出したところでございます。おっしゃるように、ともかく一報を出すというふうな形で、今後、この手の問題についてはそのように対応していきたいと考えております。
○泉委員 ぜひお願いをいたします。
先ほど、別な方への答弁で、おおむね適切な情報発信ができたものと考えているというふうにおっしゃられていましたけれども、私はやはりまだまだではないのかな。それはやはり海上保安庁の出すナバリア、ナブテックスというものと、今度は飛行機の方のノータムと、これもまたかなり時間がばらつきがあるわけですね。
これもまた本来同じ国土交通省の中でありながら、結局は飛行機の方のノータムが八時二十一分に、これは四発目と五発目のミサイルについて警報を出した。ですから、恐らく一、二、三発目はもう余りに前のことなので今ごろ出してもしようがないという認識だったと思うんですが、四発目、五発目について八時二十一分に飛行機の方は出ている。にもかかわらず、海上保安庁の方は八時五十三分が一番最初だということも、やはり私は、これから情報の共有、あるいは、これは何でこういうことを言うかというと、ノータムが結局のところは海上保安庁にも情報が届くようになっているからなんです。飛行機の情報、発した警報は海上保安庁や防衛庁にも届くようになっていて、何だか、海上保安庁が、自分たちが警報を発する前に飛行機の警報から教えてもらうという変な話になっているわけですね。これもやはり改めていただく必要があるのではないのかな、そういうふうに感じます。
その意味で、このノータムと海上保安庁のナバリア、ナブテックス、これはまず官邸が、例えば六時十五分に官房長官が発表を行っていますね、一度。そういう状況でいいますと、この官邸が行っている状況をもってすぐに、今後は、例えば両方とも同じ時間ぐらいに警報を発せられる状況にあるのか、それとも、両方ともやはり実はさまざま連絡経路が違っておりまして差が出るのはしようがないんですという話なのか、両方のセクションから現状をお聞かせいただきたいと思います。
○平山政府参考人 お答えいたします。
官邸の方からの情報は、私たちの危機管理担当のところに国土交通省には一元的に入りまして、私たちの方から関係各局へ、海上保安庁も含めて御連絡をするということでございますので、そこに大きな差があってばらばらな経路があるからおくれるということではないというふうに承知をしております。
○泉委員 だとしたら、出口というか、情報は届いているけれども、そこからの各セクションのやはり対応に時間がかかっているという、目詰まりをしているところがあるのだなというふうに私は今の御答弁からは判断をさせていただかざるを得ないわけですので、あとはぜひしっかりと、次、ミサイル発射があるかもしれないという状況がございますので、対応していただきますようによろしくお願いをしたいと思います。
さらに、航空条約、シカゴ条約においてもやはり同様に、代表団の編成、あるいはさらに制裁措置、こういった北朝鮮のように取り決めを破る国に対する制裁措置というものが、航空条約なり、船舶の方の海事機関の方にもまだないというふうに私は認識をしておりますので、何らか制裁措置の検討も含めて、これは主張していただきたいというふうに思っております。
それでは最後に、私の地元にちょうど舞鶴港というのが、私の選挙区ではございませんけれども、京都府にございます。先ほども話がありましたけれども、ぜひその業者への支援、これは大臣も一生懸命今取り組まれているというふうに認識をしておりますので、改めてそのことをお願いして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○冬柴国務大臣 ただいま、国家の政策として営業上の損害を受ける可能性がある人があるのではないかということで、調査中でございます。そのようなものが認められれば、誠心誠意、政府として一体となって対策を講じていく、そのような決意でございます。
○泉委員 どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 衆議院の鷲尾英一郎でございます。
今次国会より国土交通委員を拝命いたしました。今回質問するに当たりまして、このような貴重な機会をいただきましたことを委員長初め理事の先生方並びに委員の先生方に感謝する次第でございます。委員長そして委員の皆様方、また冬柴大臣初め、今回は林内閣府副大臣、岩屋外務副大臣及び内閣官房拉致問題対策本部事務局の河内総合調整室長にも御足労いただいております。何とぞよろしくお願い申し上げます。
早速質疑を始めさせていただきたいと思います。
私の地元は、拉致の現場、佐渡そして柏崎があるところでございます。そして、私自身も、横田めぐみさんが拉致された、国土交通政務官の吉田六左エ門先生の御地元でもあります新潟市の出身でございます。
佐渡では曽我さん親子が拉致されており、そして、曽我ミヨシさんについては、北朝鮮がまだ入国を認めていない、入国の事実がないというふうに主張しているところでございます。柏崎では蓮池夫妻が拉致されておりますし、そして、佐渡の新穂で拉致された疑いが濃厚とされている大沢孝司さんを初めとする特定失踪者の方々もおられます。私自身、横田めぐみさんが通っておられました新潟市の寄居中学校、ここには私も中学生時代何度も行きましたし、そのころから実は新潟市内では、浜辺を一人で歩くな、一人で歩けば北朝鮮に連れていかれるぞといううわさがまことしやかにその当時からあったのでございます。
さて、拉致被害者及び特定失踪者の御家族の方々は、常日ごろから、拉致という大罪を犯したことを国家として認めていながら何食わぬ顔で新潟港に入港する北朝鮮の万景峰号の入港、これを強く禁止することを政府に求めておりました。したがって、今回の措置の実施、この承認については私も全面的に賛成であることはもう言わずもがなでございます。ただ、当委員会での事後承認、これに当たりまして、北朝鮮のミサイル発射の事実、そして核実験も行われておるところでございますので、せっかく質問する機会をちょうだいいたしましたので、今回については、内閣府そして外務省の方々にも御足労いただいたわけでございます。
今回の入港の措置、その措置の入港禁止理由について、実はこのように書かれております。「我が国の安全保障や国際社会の平和と安定、さらには大量破壊兵器の不拡散という観点から重大な問題であり、船舶・航空機の航行の安全に関する国際法上問題であると同時に、日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアムにも違反するものであります。また、本件事案は、六者会合の共同声明とも相容れません。」そのように書いておるところでございますが、そもそも、ここに拉致問題への言及がないのはどういうことなのかと一つ疑問に思うわけでございます。
〇二年、当時の小泉総理が訪朝されて、日朝首脳会談をされました。そして、拉致問題解決に向けてそれから両国の交渉が現在も続いておるところでございますが、日本政府が〇四年から、実務者協議でございましたが、発表しております、安否不明の拉致被害者がすべて生存しているとの前提に立って、北朝鮮側から納得できる対応がない場合には、我が方として厳しい対応をとる方針であるというふうに公式発表しているところでございます。この厳しい対応というのは、そもそもこの万景峰号の入港の禁止も含めたものではなかったのかと思う次第でございまして、この点を冬柴大臣に御説明を求めたいと思います。
○岩屋副大臣 拉致問題は、言うまでもなく我が国国民の生命と財産にかかわる重大な問題でございますが、特に先生のお地元においては深刻な問題であるというふうに私どもも認識をしております。
その上で、ただいま先生から御指摘がありました、なぜ七月に閣議決定されたものには拉致という文言がないのか、こういうお尋ねでございますが、言うまでもなく、この措置はミサイル事案に着目をしてとられた措置でございます。しかしながら、この措置を決定するに当たりましては、拉致問題が極めて重要な問題であるということは、言うまでもなく大きな判断材料の一つになっているわけでございます。
そのことは、当時の安倍官房長官を初め政府としては明らかにしてきているところでございまして、平成十八年七月十日の北朝鮮による拉致問題等対策特別委員会における当時の安倍官房長官の答弁の中には、この制裁措置を科した理由の一つに、拉致問題について誠意ある対応をとってこなかったということにおいて制裁を科したわけであります、こういうふうに明言をしておりますように、政府としては拉致問題が極めて重要な判断材料であったということでございます。
○鷲尾委員 確かに答弁では私も存じ上げておりますが、北朝鮮に対して何かアナウンスをするときに、ミサイル発射がありました、我が国の安全を脅かしておりますということも一つではございますが、そこで北朝鮮に対して拉致問題ということを一つアナウンスしていただきたかったなというのがあるわけです。こういう措置の実施の承認、この実施に当たっても、北朝鮮に対して拉致問題を含めてアナウンスすることが一つ重要なのではないかと思うわけです。
実は、この閣議決定も変更になる決議がまた今後の委員会で恐らく検討されることになると思いますが、十月十三日にその変更が閣議決定されておりまして、この中にも拉致問題への言及が全くないわけでございます。そこの点をこれから変更されるというか、拉致問題について言及をこれから常にしていくという姿勢というのはお考えになっていただけないでしょうか。
○岩屋副大臣 今般の措置でございますけれども、これは言うまでもないことでございまして、これまで拉致問題に対して北朝鮮が誠意ある対応をとってこなかった、ミサイルを発射した、核実験を行ったと言っている、国際社会が一致協力をしてこの北朝鮮の行為を厳しく非難するという決議も安保理において採択をされたわけでございまして、そういうものを全部総合的に勘案をして、政府としても新たな追加措置をとったところでございまして、先生が今御指摘になった拉致の問題も、国連決議の中で人道上という言葉で盛り込まれた、日本が強く主張したことによって盛り込まれたというふうに私ども考えております。
今後とも、事あるごとに拉致の問題をしっかりと主張していくということで努力をしていきたい、こう思っております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
それでは、次の質問に移らさせていただきます。
拉致問題の解決についての体制、これについてちょっとお聞きしたいと思っております。
小泉政権下におかれましては、拉致問題の特命チームというのが組織されておりまして、そしてまた、内閣官房拉致問題連絡・調整室というのも存在しておりました。現在は、近時、新聞紙上でもにぎわせております、内閣官房の方に拉致問題対策本部というのが組織されておるところでございますが、この拉致問題対策本部だけではなくて、今までの例えば特命チームだとか調整室、こういったものはこの拉致問題対策本部とどのようなかかわり方になっているのかというところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○林副大臣 鷲尾委員の御質問をいただきました。今御指摘のように、前内閣におきましては特命チームというのがあって、今度は、安倍総理になられまして、御指摘のとおり、拉致問題対策本部というものが立ち上がったわけでございます。
これは、もとより安倍総理が先頭になって取り組んでおられたということもありまして、総理をまず本部長にいたしまして、そして拉致問題担当大臣、これが官房長官でございますが、官房長官が副本部長でございます。この本部長、副本部長ということで、まず今御指摘の本部を設置いたしました。同本部にはほかのすべての大臣が本部員として参画をしておりまして、総理の強いリーダーシップのもとで総合的な拉致問題の解決に向けた対策を推進していく、こういうことになっております。
ということでございますので、外務大臣もそこに入っておられて、本部員として入っておられるということでございますが、今御指摘のあった指揮系統は、副本部長の下に事務局長、これは総理補佐官の中山さんが事務局長に命ぜられたわけでございまして、今御指摘のありました前の特命チーム、これは実は、事務局長のもとに新たに幹事会、ここが関係省庁の対策会議ということになろうかと思いますが、あれに近いものが事務局長のもとに置かれていく、そういう指揮系統になっていく、こういうことでございます。
○鷲尾委員 特命チームのメンバーが拉致対策本部の事務局内に入るということでよろしかったのでしょうか。
○林副大臣 おっしゃるとおりでございまして、中に入るというよりも、事務局長の下に幹事会、関係省庁対策会議が置かれ、また、それに加えて政策企画室、情報室といったものを新たに今度置いていく、こういうことになるわけでございます。
○鷲尾委員 一つ確認させていただきたいんですけれども、この拉致問題の対策本部、当面の方針というのが発表されておりますが、一つは、現行法制下において厳格な法執行を引き続き実施するという方針、そしてもう一つが、拉致問題に関する国民世論を啓発強化するということが一点、そしてもう一点が、捜査、調査の結果、新たに拉致と認定される事案があれば北朝鮮に対してしかるべく取り上げるという方針が述べられておりまして、また、国際協調に基づいて拉致問題というのは解決されるべきであるというふうな報道もございました。
この国民世論を啓発強化するというのはどういうことを示しておるんでしょうか、お答え願いたいと思います。
○林副大臣 ありがとうございます。
今先生の御指摘のあった対応方針というのは、先ほど申し上げました対策本部の第一回目の会合を十六日に行いまして、そこで具体的に六項目の方針を決めております中の一つでございますが、国民世論の啓発、これは拉致問題に関する広報活動を積極的に展開するということを指しておるわけでございます。
これは申し上げるまでもないことでございますが、先生のように御地元で昔からずっと深い問題意識を持たれておられる方、また、そうでもない方というのが世の中にたくさんおられますので、やはり積極的な広報活動を通じてこの問題に対する国民の皆様の理解をより深めていくということが重要であるという認識で、こういうふうな対応方針を盛り込んだところでございます。
もとより、これまでもポスターの作成等広報に努めてきたわけでございますが、この本部を中心に、関係省庁、大臣は全部本部員になっていただいておりますので、各種の媒体を活用した広報、また講演会などの事業の実施により、国民世論の積極的な啓発に努めていきたい、こんなように考えておるところでございます。
○鷲尾委員 私思いますに、国民世論を啓発強化するということで、国民の皆さんは何が知りたいかというと、やはり、何で拉致問題が解決しないのか、何で横田めぐみさんがあれだけ話題になっていながら横田めぐみさんのお父さんやお母さんとの再会がかなわないのかという、その何でが聞きたいんだと思うんです。そこをどのように考えておられるか、林副大臣の方から一言お願いをいたします。
○林副大臣 大変難しい、かつ本質的な御質問だと思いますし、そこはこの拉致問題の根本にかかわることであります。
これは御通告もなかったので、私の今の考えを申し上げるわけでございますが、やはり相手があって、なぜ帰さないのかということを相手に一番聞きたいわけでございますけれども、今こういう状況で、そもそもああいう国でございます。そういった意味で、これだけひどいことが行われているということをまず啓発して、より皆さんに関心を持っていただいて、この活動に対して、また相手に対してやっていくことについて国民のみんなの強い世論がバックにある、このことをまずやっていこうということでございます。
そして、今申し上げました講演会や、実は、成立をいただきました北朝鮮人権法、六月でございますけれども、これに基づきまして、これは人権の侵害問題であるということで、十二月十日から十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間、こういうことに定めておりますので、こういうことを通じて、より一層強い世論を持って相手に対していく、こういうことを考えておるところでございます。
○鷲尾委員 ひとつ国民の皆さんに、外交の現場でどういうことが行われているのか、今までの経緯も含めてわかりやすく伝えるということも、一つは、皆さんが、外務省の方がどれだけ努力しているかということを理解するのにもつながりますし、それがまた国民一丸となって北朝鮮に対するということにもつながると思うんです。ですから、そういう観点もぜひこれからの活動でお含みいただけたらというふうには思います。
そしてもう一点、先ほど拉致対策本部の基本方針の中で、特定失踪者に対する調査、捜査もして、新たな事実、拉致認定をした場合にはしかるべく北朝鮮の方に申し入れをするというような話がありましたが、この捜査ないし調査というのは現在どこで行われているのか。そして、これからそれは安倍政権になってさらに強化するというメッセージなんでしょうか。そこをちょっと確認したいんですけれども。
○林副大臣 先ほど申し上げましたように、今までは、情報を収集する、それから幹事会という、特命チームというお話がありましたけれども、帰ってこられた方のお世話をする、こういうことが中心でありましたが、このたび、先ほど政策企画と申し上げましたのは、まさに今御指摘のあったように、なぜこういうことになっているのか、どうして解決しないのか、これに対してどういう手段があるのかということを、専任の部隊を、部隊と言うとちょっとあれですが、部屋を置きまして、常にこの部署はそのことを考えているということに新しく体制をしたわけでございます。
そして、本部長が総理、副本部長は官房長官、全閣僚が本部員でございますから、全省庁でもってこの企画をバックアップしていこう、こういう体制にして、そこで今からいろいろなことを先生の御指摘等も踏まえて検討していこう、こういう体制になったということでございます。
○鷲尾委員 捜査ですとか調査にも、では、専任の部署という組織構成にして、これから実施していくことになるということでよろしいでしょうか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
拉致問題につきましては、国民の生命と安全にかかわります重大な問題であり、かつ国家主権に対する大きな侵害だという認識を持っているところでございますが、現在、政府といたしましては、十一件十六名の方を認定しているところでございます。
しかしながら、議員御指摘のように、これまでに拉致被害者として認定しているこの十一件十六名以外にも、北朝鮮当局による拉致の可能性を排除できない事案があるというところでございます。したがいまして、この点につきましては、捜査機関等関係省庁が緊密に連携を図りながら、国内外の情報収集、関連する調査、捜査を強力に推し進めていくことが必要だというふうに考えております。
したがいまして、具体的な捜査関係につきましてはそれぞれの捜査機関が担うという部分が多いわけでございますが、あわせまして、このたび拉致問題対策本部事務局におきまして設置されました情報室等々においても、緊密な連携をとりながら、この問題について対応してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○鷲尾委員 では、拉致問題対策本部の情報室に聞けば調査状況もわかるということで、一つ安心をしました。
質問をかえまして、十月九日の北朝鮮による核実験の実施発表を受けまして、国連の安保理決議第一千七百十八号の採択が行われております。この決議の中で、すべての加盟国が、特定品目、奢侈品等の北朝鮮に対する供給等の防止をするというふうにあります。日本においては、せんだって、十一日に発表した内閣官房長官の当面の対応ですけれども、こちらで輸入禁止措置をしたということでございました。
これは経産省の措置によるものですが、経済産業省発表の資料によりますと、我が国の対北朝鮮貿易については、輸出品目第一位が輸送用機器、第二位が繊維関係、第三位が電気機器、第四位が一般機械、そして第五位が鉄鋼となっておるわけでございまして、いわゆる国連決議の中にある軍関連、核、ミサイル、WMD計画関連の特定品目に当たる可能性が否めないのではないかと思うものも輸出品目に含まれているわけでございます。
そこで、この十一日そして十三日に日本が発表した、意思決定を行った際に、なぜ輸出禁止措置をとらなかったのかというところをお聞かせ願いたいと思います。
○岩屋副大臣 ただいま先生の御指摘にありましたように、確かに、まず輸入の全面禁止という措置をとらせていただいたわけでございますが、この目的は、言うまでもなく、北朝鮮の外貨獲得手段を遮断しよう、これが目的なわけでございます。
先生御指摘の輸出についてでございますが、これも経産省の資料によりますと、二〇〇五年の実績は六十八億ぐらいで、中身は今先生がおっしゃったとおりでございますが、中古車がほとんど、バス約三〇%、トラック約五〇%、こういうことでございまして、確かに軍用品に転用できる可能性のあるものではございますけれども、ここはなかなか線引きが難しいところでございまして、民生用という使い方も、これは通常の使い方だと思いますが、今のところは輸出については禁止の措置をとっておらないわけでございます。
ただ、今後の事態の推移を見ながら、必要とあれば追加のさらに厳しい措置をとっていくというオプションも残されているわけでございまして、当面のところは全面輸入禁止、これも国連決議をさらに上積みした日本独自の厳しい制裁でございますので、これをとった上で状況をよく注視していく、こういうことでございます。
○鷲尾委員 そうしていただきたいんですが、輸出も、輸出する、たとえ中古車であっても、それを転売することによる外貨の獲得の可能性というのは当然残されておりますし、国連決議でも、供給の禁止といいますか輸出の禁止ということも行われているわけで、実は、報道で、一部輸出禁止するというような話も出ておるのでございますが、ここの話は、岩屋副大臣、いかがですか。
○岩屋副大臣 国連決議はあくまでも、まず、先生がおっしゃったように、核、ミサイル、大量破壊兵器、それから奢侈品、ぜいたく品等についてしっかりとした措置をとるということでございまして、我が方は、それにつけ加えて、船の入港の全面禁止と輸入の全面禁止とさらに上積みをして措置をとっているわけでございまして、今先生の御指摘があったことは、この段階では私どもは承知をしておりません。
国連決議の中に含まれているのは、今申し上げた措置を各国がそれぞれの国内法に応じてしっかりととる、こういうことだと承知をしております。
○鷲尾委員 ぜひ断固たる措置をお願いいたしたいと思います。
最後に、一つちょっと話を、これは通告していなくて恐縮なんですが、本日、ライス国務長官が来日されまして、韓国の方では、野党ハンナラ党が金大中、盧武鉉政権の路線を今厳しく批判しているところでございますが、アメリカそして韓国に対してこれから日本がどのような対応を求めていくのかということをお聞かせ願いたいなというふうに思います。
特に、盧武鉉政権の潘外相が今回国連事務総長に就任されました。拉致対策本部の国際協調を求めていくという路線、これについても少なからず潘さんの国連事務総長の就任というのは影響を与えるものではないかというふうに思うわけでございまして、この点をちょっとまた岩屋副大臣、通告していなくて申しわけないんですけれども、御見解のほどをお伺いさせていただけたらなと思います。
○岩屋副大臣 御指摘のとおり、ライス国務長官が来日をされまして、きょうの午後、私どもの麻生外務大臣と会談をする予定になっております。その後、今度、日米韓の外相会談も行われると予定されておりますし、また、ライス長官はさらに足を延ばして各国を回られて、今般の安保理決議一七一八、どうやって実効性を持たせていくかということを各国と綿密に調整をしていくということだと思います。その中身については、この段階で予断を持って申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。
それから、潘基文さんが国連の事務総長になる、韓国出身の事務総長ができるわけで、アジアからは久しぶりのことでございますから大いに歓迎をしたいと私ども思っておりますが、韓国の御出身でございますから、南北の問題もあるいは当方の拉致の問題も十分認識をしていただいている事務総長が誕生するということでございますので、一層私どもとしても、国連レベルでの拉致の対応ということについても新事務総長に働きかけを強めていきたい、こう思っております。
○鷲尾委員 その潘さんですけれども、盧武鉉政権の外交政策の要諦を担っていたわけでございまして、それこそ、今、盧武鉉政権は北朝鮮に対する不用意な援助をやったということで、拉致問題に対しても、ある意味不熱心だというところもあります。その外交政策を担っていたというところで、そこの御見解をちょっとひとつお伺いできたらなというふうに思ったのでございます。
○岩屋副大臣 国連事務総長というお立場につかれれば、これまでの政権の中での外務大臣という立場とはまた違ったスタンスでこれらの問題にも取り組んでいただけるものと期待をいたしておりますし、私どももそのようにしっかりと働きかけていきたい、こう思っております。
○鷲尾委員 きょうはありがとうございました。
これで質問を終わらせていただきます。
○塩谷委員長 穀田恵二君。
○穀田委員 北朝鮮のミサイル発射、続く核実験に対して、我が党は、国際社会の意思を無視し、六カ国協議や日朝平壌宣言などの国際的取り決めをじゅうりんする暴挙であると厳しく非難、抗議し、北朝鮮に、核計画を放棄し、即時無条件に六者協議に復帰することを要求してまいりました。そのために、国際社会が一致協力して北朝鮮に迫り、平和的、外交的に解決することが重要だという見地を強調してきたところです。日本独自の措置もこうした見地からあり得ると表明してまいりました。
本日の承認案件は、北朝鮮のミサイル発射に伴う万景峰92号の入港禁止にかかわるものであります。
七月、政府は、我が党の質問に、入港禁止措置の目的は、対話を通じた懸案の解決を図るためのものであり、六者会合の共同声明の履行と平壌宣言に基づき、諸懸案の包括的解決をしていく方針には変わりないということの答弁を安倍当時官房長官がされました。
私どもは、万景峰号の入港禁止措置が、いわゆる制裁のための制裁というんじゃなくて、北朝鮮を六者協議に戻し、平壌宣言に基づく対話の道に復帰させ、外交的解決を図る手段としてとられたことを了としたいと思います。日本独自の措置は、中国、韓国を初め近隣関係諸国と協調のもとで、国際社会の一致結束を強め、外交解決を図る方向で実施されるべきことを重ねて強調しておきたいと思います。
そこで、あわせて、国連安全保障理事会では、十四日、全会一致で、北朝鮮にさらなる核実験や弾道ミサイルの発射の停止、無条件での六カ国協議への復帰、さらに核兵器と核開発計画の放棄を要求するとともに、北朝鮮に対して国連憲章第七章四十一条に基づき経済制裁の措置をとることを決定しました。非軍事的措置によって北朝鮮に核計画の放棄と六カ国協議への復帰を求める国連安保理の決議が全会一致で採択されたことは、私どもも歓迎し、重要だと考えています。
ところが、非軍事的措置によって問題解決へ各国が外交努力を強めようとしているさなかに、自民党中川昭一政調会長が、核保有の議論は大いにしないといけないとの発言を行っています。それだけじゃないんですね。さらに、非核三原則のもとで、周辺に核保有国ができた中でどういう対応ができるか考えようということだと。結局、重ねて核武装論の促進を主張したという意味で、私は許しがたい暴論と思うんですけれども、大臣の見解はいかがか。
○冬柴国務大臣 今御指摘のように、自民党の中川政務調査会長がそのような発言をされたという報道は存じております。
しかしながら、我が国は、核兵器は持たず、つくらず、そして持ち込ませずといういわゆる非核三原則は国是としているものでございまして、この非核三原則を堅持すべきであるということは、安倍総理も別の機会に明確に答弁をしていられるところでございます。私といたしましても、今後とも非核三原則は堅持していくべきである、このように認識をいたしているところでございます。
○穀田委員 だとすると、そういう発言はよろしくないというふうに返せると思うんですけれども、ところが、先ほどあったように、発言は自由だなんという話があるんですけれども、そうじゃないんですよ。やはり、憲法の原則にのっとって、そして我が国の国是にのっとって発言するという、それは与党なり政権党なり、そしてまた大臣なりの本来の務めでなければならないと私は考えます。
ところが、麻生外務大臣の昨日の安保委員会での発言は、これまた重大なんですね。麻生外務相は、核保有問題で、日本において核兵器保有の選択肢は考えられないとしながら、だんだんだんだんと隣がみんな持っていくときに、日本だけが何の検討もされないのはいかがなものか、いろいろなものを検討した上で持たないというのも一つの結論ですからと述べているわけですね。これは議事録にちゃんと載っているんですよ。報道でしたとかじゃなくて、これは議事録なんです。
だから、これは、中川政調会長の発言と同じで、首相がどう言おうとこういうことを言っている。外交の責任者たる大臣が核保有議論をやってもよいと言ったことは極めて重大だ。先ほどありましたように、政府として議論する考えはないという安倍首相の発言とも異なるわけです。こうなりますと、外務大臣、外相としての適格性さえ疑われかねない、問われていると思いますが、いかがですか。
○冬柴国務大臣 非核三原則を堅持すべきであるというのが、安倍内閣の明確な立場でございます。
○穀田委員 それはわかっているんですよ。それに反していないかという話をしているんですよ。
しかも、その後、こんなことも言っているんですよ。そういった意味で、何の勉強もしないまま、無知のままでいくよりは、きちんと勉強した上で持たないというのも一つの選択肢だと。これが立場ですか。この発言と、今お話があった冬柴大臣の発言と、矛盾すると思いませんか。それを聞いているんですよ。
○冬柴国務大臣 国民がどう判断されるかでありまして、我が安倍内閣は、一貫して、非核三原則は国是であり、そしてこれは堅持すべきであるという立場に変わりはありません。
○穀田委員 それが答弁とはおよそ思えませんよね。国民が判断する、国民の意見を聞く前に、あなたの判断を聞いているんですよ、違うんじゃないかと。そんなこともはっきりできないで、それだけ棒読みしているようじゃ、それはだめですよ。事非核三原則にかかわる、国是にかかわる問題について違う発言をしており、しかも、そういう問題について勉強しないのは無知だとまで言っているというのは明らかにおかしいということを言っておきたいと思うんです。
万景峰号の入港禁止、それから、引き続く特定船舶の入港禁止の措置の目的は何かということですね。これは、核兵器と核開発計画の放棄、無条件での六カ国協議への復帰を求めるためと考えてよいですね。
○冬柴国務大臣 お説のとおりだと私は思います。
○穀田委員 そうしますと、この一連の措置、今回は万景峰号の入港の禁止、その後、すべての船舶の禁止、国土交通にかかわる問題はそういうことですよね。では、それらの措置を解除する条件とは何か、その辺を少し詳しく述べていただきたいと思うんです。
○冬柴国務大臣 それは、一国土交通大臣が判断すべきものではありませんで、国際社会とともに政府が一丸となって、北朝鮮の今後のこの履行の状況、いわゆる一七一八号に明記されたそのようなものに対する履行の状況等を総合考慮して、将来そういう時点が来たときに政府が判断をすることである、こういうふうに思います。
○穀田委員 そうすると、今お話があったのは、国連決議に基づく履行がどうかということが大きな一つの要件であると言っていいんですね。
もう一つは、今お話があった総合的にというのは具体的に、例えば、大臣は、一つの所管の国土交通大臣の認識じゃない、こうおっしゃいますけれども、だって、大臣は、単にいわゆる海上保安庁を初めとし、また港を初めとする、そういったところをやる措置だけではなくて、全体の措置に責任を負っている一人ですよね。ですから、国連決議はわかったんです、そうすると、もう一つの総合的に勘案してという条件の中身というのは、どういう点が列挙されるんですか。
○冬柴国務大臣 先ほども本件の提案理由の説明でも御説明申し上げましたとおり、六者会合の共同声明とも相入れない行為である、また、日朝平壌宣言に明記されたいわゆるミサイル発射モラトリアムというものにも違反する行為だという指摘をいたしております。
したがいまして、今後の北朝鮮の行動、挙措動作というものがどういうふうになっていくのかということが判断の資料になってくるだろう。まだ解除というようなこと、我々、今このような措置をとったところでありますから、ずっと将来の動きを総合考慮しながらそういうものは判断されていくもの、内閣が一体となって判断していくものだ、このように思います。
○穀田委員 それは、今私どもも、何が北朝鮮のそういう反しているのかといいますと、やはりみずから国際的取り決めに反すると同時に、日朝平壌宣言、これに反している。これを生かしていくためにも、そういう立場でやるんだということを改めて確認しておきたいと思うんですね。
そこで、最後に、今度の安保理決議の十三項は、国連加盟国、とりわけ六カ国協議の当事者に対して、朝鮮半島の非核化を誓約した昨年九月十九日の共同声明の速やかな履行を目指し、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎み、六カ国協議の早期再開を促進する外交努力、こう指摘しているんですね。その後さらに、関係諸国の取り組みを歓迎する、それをさらに強めることを求めていますね。この点も、国連が行った決議が、日本との関係でいうととても大事な点ですよね。
そこで、今回の一連の措置を実施するに当たって、関係国との連携をどのように考え、どのようにとっておられるのか、御説明願いたいと思います。
○冬柴国務大臣 安保理の議長国として、各国とこの決議をなすに当たりまして、調整をし、そして、我が国の考え方というものが国際社会が共有するところである、そういう結論に達して、本当に迅速にこのような決議が一七一八として結実したわけでございます。その中に今御指摘のような文言がございます。
このような国連安全保障理事会の決議は、国連憲章二十五条によって、加盟国のすべてがそれを誠実に履行しなければならない義務を負っていることは言うまでもありません。我々、その中でも、北東アジアのいわゆる中国、韓国そして日本というもの、そしてまた、我々が安全保障の基軸といたしております日米、そういうところが緊密な連携をとりながら、この決議に盛られたような状態に北朝鮮が履行する、すなわち、今までのことを悔い改めて戻ってくるということ、そういうことをどうすればいいかという連携を緊密にしているわけでございまして、その意味で、アメリカのライスさんがきょうもお見えになるというのもその一環でございます。
我々としては、外務大臣も電話会談等を通じて枢要な国連加盟国とこの問題については緊密な連携をとっていることは、報道でも明らかにされているところでございます。
○穀田委員 緊密な連絡をとっているというだけしかないので。
安倍首相が中国を訪問し、韓国を訪問する。その後、中国と韓国の首脳会談も行われていますよね。そこで中韓日三カ国の協力強化を求めていく方針、これを確認したと報じています。その意味で、この三カ国の、いわば一番近い、一番関係の当事者のところの協調が極めて大切だと思うんですね。そこを私は言っているんですよね。
ですから、もちろん六カ国全体の協調は必要なんです。ただ、実際にさまざまな措置をとる場合にその三国の連携というのはとても大事だ。だから、その点で連携をよくしていただきたいし、その中身を今後とも見守っていきたいということを述べて、質問とします。
○塩谷委員長 日森文尋君。
○日森委員 社民党の日森でございます。
私どもも、ミサイル発射、それからそれに引き続く、一方的ですが、核実験を実施したという北朝鮮の態度、これは国際社会の平和と安定に対する挑戦であり、断じて許しがたい行為であるということを前提に質問させていただきたいと思います。
最初に、原則的な問題なんですが、万景峰号の入港禁止措置、この措置と、それから海洋法条約の中で無害通航権というのが保障されている、この整合性は一体どういうふうにとられてきたのかということについて最初にお伺いしたいと思います。
○梅田政府参考人 お答えいたします。
国連海洋法条約は、公海における航行の自由及び領海における無害通航権について定めておりますけれども、船舶の入港の自由までを認める規定はございません。
ちなみに、北朝鮮の船舶の入港を禁じておりますのは、我が国に加え、豪州も同様の措置をとっているところでございます。
○日森委員 次に、ミサイルの発射が実際にあったわけですが、額賀防衛庁長官が九月の十五日ですか、記者会見で記者の質問に答えていろいろおっしゃいました。実験直後は防衛庁の方から絵が出てきて、きれいに着弾地点が並んでいて、これは何かかなりちゃんとミサイルが発射されたのではないかというようなことが、国民の中にも恐らくそう感じた方がいらっしゃると思うんですが、しかし、この記者会見の中では、必ずしもそうではなかったんではないかということを、時間がないので中身は余り申し上げませんが、おっしゃっているようです。
それで、このミサイル発射によって万景峰号の入港禁止という措置がとられたんですが、その実験が一体どの程度のものであったのか。防衛庁は調査をするというふうにずっと言ってきたわけですが、もう既に三カ月を過ぎたけれども、このミサイル発射の中身が一体どんなものであったのかという調査結果はいまだに示されていないわけです。最初に絵が出て、あの絵だけがひとり歩きをしているんですが、例えばアメリカのシンクタンクの研究者は、実は一・数キロ、高さ四キロメートルでだめになった、失敗だったんじゃないかとか、いろいろな意見があるわけですよ。
そういうことも含めて、国民の皆さん方の不安を解消するためには、この調査結果について報告書をきちんと公表すべきじゃないかと思いますが、防衛庁、いかがでしょうか。
○金澤政府参考人 お答えいたします。
七月五日のミサイル発射につきましては、発射当日、可能な範囲で分析結果を公表するとして、国民に御説明したところでございます。
その後の分析状況につきましては、情報能力の保全の必要性あるいは国民の高い関心等を総合的に勘案いたしまして、今御指摘の九月十五日の額賀長官の記者会見の場において、直接長官より、我々が把握している状況を国民に対して御説明したところでございます。
今の御指摘の新たな報告書といいますか、それを現在つくることは考えておりません。
○日森委員 それはやはりちょっと問題だと思うんですよね。ミサイルを発射したことによってこれだけ制裁措置をするわけですから、その具体的な中身について、それは公にする責務があるというふうに思うんですよ、国民の前に。
防衛庁長官の会見でもあいまいな点がたくさんありました。解明されていないですよ。解明されていないですよ。明確にするというのが、それはもう政府としての仕事だというふうに思いますが、どうですか。
○金澤政府参考人 先ほど先生から御指摘の、例えばアメリカが、ミサイルのうち一発は数キロメートルのところまで行って失敗したといったような御紹介がございましたが、実は九月十五日の額賀大臣の記者会見の際にも、七発のうちの三発目につきましては、数十秒飛翔し、高さ数キロメーターに行った後、破損して墜落したといったような御説明をしているわけでございます。
私どもは、その他についても大臣からそのとき御説明いたしましたけれども、それ以上、そこの場で申し上げた以上の事実関係を把握しているわけでもございませんので、改めて報告書をつくるということは今考えておらないわけでございます。
○日森委員 報告ができない、つまり、報告ができるような調査結果、分析結果を持っていらっしゃらないという意味でよろしいんですか。
○金澤政府参考人 この種の情報収集に係る問題につきましては、いろいろな情報収集手段を駆使して情報収集に努めるわけでございます。私どもが把握している事実をすべて明らかにするということは、いわば情報収集の手のうちを明らかにするわけでございまして、今後の情報収集活動に支障が生ずるおそれも私どもとしては考慮しなければなりません。
そういったことも勘案して、九月十五日の会見では、国民にお知らせすべきことを精いっぱいすべて明らかにしたというところでございます。
○日森委員 それでしたら、報告書にして国民の目に触れるようにした方がいいんじゃないですか。見ていない人もたくさんいらっしゃるんだから。それはお願いをしておきたいと思います。
時間がありません。七月五日の閣議決定の中で、「必要な人道上の配慮を行う。」ということが明記をされました。この人道上の配慮というのは具体的にどういうことを意味しているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思うんです。
これは、これから審議をされることになるであろう、万景峰号だけではなくて、すべての北朝鮮船籍の船が入港禁止になるということも当然あるわけですから、その辺も考慮に入れて、必要な人道上の配慮ということは一体どういうことを想定されているのか、ぜひ具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 万景峰号につきましては、この閣議決定告示をするその時点に、既に新潟港に入港をしていたわけでございます。これを接岸させるかどうかということを考えたときに、その乗客の中に、在日の朝鮮人の子弟であって、修学旅行で北朝鮮へ渡り、そしてその船に乗って帰ってきた人たちがいたわけでございます。こういう人たちをそのまま北朝鮮へもう一度送り返すということは、人道上いかがかという議論がありました。
私は、この人たちに限りこれは下船を認めるべきであろう、それが人道上の配慮だろうというふうに考えたわけでございまして、その範囲で接岸を許し、そしてその人たちだけの下船を認め、そしてそのまま北朝鮮へ戻ってもらったわけでございます。
後半の御質問でございますが、今後、全部の船舶という問題についてもそのようなことがあるかどうかというお話につきましては、船舶については入港がすべて禁止されますので、我が領海に入るわけにはいきませんけれども、しかしながら、その周辺におきまして災害あるいは故障ということもなきにしもあらずでございます、予想されるわけでございます。そのような場合に人道上の配慮をする必要があるかどうかということでございまして、それはそのときに、その事案に即して、万人が納得するような配慮のもとに入港を認めることがあり得るのではないかという配慮から、このような文言が盛り込まれたというふうに御了解願いたいと思います。
○日森委員 ありがとうございました。
○塩谷委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
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○塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施に関し承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○塩谷委員長 次回は、来る二十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二分散会