衆議院

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第9号 平成18年12月8日(金曜日)

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平成十八年十二月八日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 山本 公一君

   理事 伴野  豊君 理事 三日月大造君

   理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    坂本 剛二君

      桜井 郁三君    篠田 陽介君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      長島 忠美君    馳   浩君

      林田  彪君    藤井 勇治君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      矢野 隆司君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    黄川田 徹君

      菊田真紀子君    古賀 一成君

      下条 みつ君    土肥 隆一君

      長安  豊君    細川 律夫君

      馬淵 澄夫君    村井 宗明君

      鷲尾英一郎君    井上 義久君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       渡辺 喜美君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   防衛庁長官政務官    北川イッセイ君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  下川眞樹太君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房審議官) 道明  昇君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  冨士原康一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 平山 芳昭君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     矢野 隆司君

  葉梨 康弘君     篠田 陽介君

  宮澤 洋一君     藤井 勇治君

  泉  健太君     菊田真紀子君

  小宮山泰子君     村井 宗明君

  土肥 隆一君     細川 律夫君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     葉梨 康弘君

  藤井 勇治君     宮澤 洋一君

  矢野 隆司君     長崎幸太郎君

  菊田真紀子君     馬淵 澄夫君

  細川 律夫君     土肥 隆一君

  村井 宗明君     小宮山泰子君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     泉  健太君

    ―――――――――――――

十二月七日

 厳原・福江測候所の存続と防災情報発表業務の継続を求めることに関する請願(松本龍君紹介)(第一一九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件につきまして、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認め、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第三条第三項の規定により閣議決定された「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づく特定船舶の入港禁止措置に関する閣議決定の変更について」に基づく入港禁止を実施しました。これについて、同法第五条第一項の規定に基づいて国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件を提案する理由であります。

 次に、本件の内容について、その概要を御説明いたします。

 本件は、同法第三条第三項の規定による平成十八年十月十三日の閣議決定に基づき、同年七月五日より六カ月間にわたる万景峰92号の本邦の港への入港禁止の実施を決定した同年七月五日の閣議決定を変更し、同年十月十四日より平成十九年四月十三日までの六カ月間にわたり、すべての北朝鮮船籍の船舶の本邦の港への入港禁止を実施することについて、同法第五条第一項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として国土交通省海事局長冨士原康一君、航空局長鈴木久泰君、政策統括官平山芳昭君、気象庁長官平木哲君、海上保安庁長官石川裕己君、内閣官房内閣参事官下川眞樹太君、防衛庁長官官房審議官道明昇君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局審議官河野正道君及び外務省大臣官房参事官梅田邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認するに当たりまして、質疑を行います。

 また、委員長、理事及び委員の先生方の御了解を得まして、一般的な質問も一部させていただきたいと思っております。また、通告いたしました質問の順序と一部変わるところもございますが、答弁をお願いいたします先生方及び政府参考人の皆様におかれましては、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、下村官房副長官にお伺いさせていただきたいと思います。

 十月十三日付の閣議決定、そして七月五日付の閣議決定については、入港禁止の理由として、主に弾道ミサイル、核実験という、我が国の安全保障環境の変化が挙げられておるところでございますが、万景峰号を初めとする北朝鮮籍の特定船舶の入港の禁止については、拉致被害者の御家族を初め、これはかねてから関係各位が希望していたところでもございます。

 この点、なぜ入港禁止の理由に、拉致問題に対して不誠実な対応を繰り返す北朝鮮に対してこの措置を行う、こういう一言がないのか、私自身、かなり疑問なんでございますが、この点、なぜ列挙されておらないのか、官房副長官にお伺いいたしたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 今先生御指摘ございましたように、政府としまして、七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び十月の核実験実施は我が国の平和と安全への脅威であり、これら事案を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、諸般の事情を総合的に勘案いたしまして、二度の入港禁止措置を決定したところでございます。

 政府がこの措置を決定するに当たっては、北朝鮮が我が国にとって特に重大な問題である拉致問題の解決に向けて誠意ある対応をとってこなかったことが、この二度の判断材料の一つとなっております。このことは、十月十一日の塩崎官房長官による入港禁止措置を含む対北朝鮮措置の発表を初め、安倍当時官房長官の時代からも累次にわたって明らかにしているところでございまして、このような総合的な勘案ということで御理解をいただければと思います。

鷲尾委員 この閣議決定に加わっております冬柴大臣についても、どう思われるかというふうにお聞きしたいんですが、確かに総合的な勘案、判断材料としては使っているとおっしゃるのもごもっともだとは思うんですが、当然、内外に対して、北朝鮮の不誠実な対応もこの入港禁止の理由になっているんだというところを閣議決定にぼんと載せていただくということが、非常に強い政府としてのメッセージ、アピールになるんではないかというふうに思うんですが、冬柴大臣はどういうふうに思われますか。

冬柴国務大臣 当時、今委員が強く求められているような議論は、内部ではなされました。

 閣議決定そのものの文章の中には、「今回の事案を始めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、」云々というふうに書かれている中には、いろいろなことが含まれているわけでございます。それは、ミサイルを発射したこと、今回核実験を行ったと発表をしたこと、あるいは、我が気象庁で明らかに自然の地震波とは違う震動を検知したこと、そしてまた、国連でこの問題について、九日に行ったという発表を受けて、国際世論としてこれにどう対応するかという相当激しい北朝鮮に対する議論がなされているということとか、それから、我が国の拉致問題について誠意ある対応をとっていないというようなことがいろいろ議論をされた結果、そういうものを総合すれば、一番大きな脅威を受ける、今まで我が国は北朝鮮の軍事的な拡張政策によって脅威を受けてきましたけれども、その脅威が倍増したという認識を持ったわけでございます。

 したがいまして、閣議決定の文章には、そういうことを端的にあらわすために「今回の事案を始めとする」、というのは核実験をしたという発表でございます、「始めとする我が国を取り巻く国際情勢」という言葉が盛り込まれておりまして、決してこれを軽く見たとか、そういうことは一切なかったということを明らかにさせていただきたいと思います。

鷲尾委員 軽視していないということはよくよく私も存じ上げているところでございますが、こういったところにも拉致問題に対してしっかり取り組んでいるぞというアピールをするのも、また一つ政府としてもお考えになった方がよろしいのではないかという御提案にさせていただきたいと思います。

 続きまして、冬柴大臣にお聞きしたいと思いますが、実体的に北朝鮮の支配下にある船舶が入港されることも想定されるところでございまして、今回の閣議決定には、特定船舶としては、北朝鮮船籍のすべての船舶ということで閣議決定がなされているわけでございます。たとえ北朝鮮船籍ではなくても、実体的に北朝鮮の支配下にある、そういう船舶もあるところでございますが、この点、特定船舶として北朝鮮船籍に限定することが必要かつ十分であったのかというところを、ある意味、部隊を動かす冬柴大臣がどういうふうにお考えなのかというところをまずお聞きしたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 公海を航行する船がどこの船なのかということは、その旗を掲げることによって、すなわち、国籍を明らかにすることによって、どこどこの国の船だということを判断するわけでございます。それ以外に、北朝鮮と実質的に関係があるかどうかということを取り締まり当局として一律的に判断するというのは非常に困難なことでございます。したがいまして、今回、切迫もいたしておりましたし、北朝鮮船籍の船の我が国の港に対する入港を禁止するという明快な決定をしたわけでございます。

 いろいろ御懸念はありましょうけれども、その後、こういう決定をしたことを受けてと思いますけれども、北朝鮮船籍、あるいは実体的にそうと思われる船の入港は今日まで認められておりませんので、十分効果があったのではないか。なおその点も注意深く見ながら、取り締まりはきちっとしていきたいと思っております。

鷲尾委員 この点、下村官房副長官はどのようにお考えになられているでしょうか。必要かつ十分であったかという点でちょっとお答え願いたいと思います。

下村内閣官房副長官 先ほど御指摘がございましたように、まずは、七月の五日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したということをとらえて、特定船舶入港禁止に基づく措置、そして、十月九日核実験を実施した旨発表したことを初めとして我が国を取り巻く国際情勢を総合的に勘案した結果、北朝鮮籍すべての船舶の我が国の港への入港を禁止するということにしたものでございまして、今冬柴大臣からお話がございましたが、このような状況の中で、また、これからの国際情勢やあるいは北朝鮮の対応等を考えながら対応するにしても、現段階におきましては一定の成果、効果が上がっているものと認識をしております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、この閣議決定の内容について質問させていただきたいんですが、閣議決定第七号に「必要な人道上の配慮を行うとともに、法令の執行に支障を及ぼさないようにする。」と。これについては、前回の七月五日付の閣議決定からの変更がなされているわけですが、これは具体的にどういうことを示されているのかということについてお答えいただきたいというふうに思います。

平山政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、第七号で、その他入港禁止の実施に必要な事項ということでございます。今回、特に全船舶を入港禁止にしました関係上、こういう項目を置かせていただいたわけでございますが、二つの事項が書かれておりまして、一つは人道上の話、もう一つが法令の執行という形になっております。

 人道上の配慮という規定でございますが、これは、例えば、近くを航行しております北朝鮮船舶で事故あるいは故障があったような場合、港にどうしても寄らなければいけない、あるいは病人が出たとか、そういうような場合に、やはり例外的に、緊急的に港への入港を認める必要がある場合があるだろうということから、人道上というお話、この項目を置かせていただいております。

 もう一つの、法令の執行に支障を及ぼさないような場合でございますが、これは実は、北朝鮮船舶の中で不法行為あるいは犯罪行為みたいなことが想定されるような場合に、捜査をしなければいけない。その場合に、領海の中で捜査をするということもあり得ますが、やはり、港へ入港させてそこで海上保安庁が捜査を行うというような場合も想定されないわけではございませんので、そういう法令の執行を着実にできるようにということから、この項目を入れさせていただいております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 もう一点質問させていただきますが、この制裁措置をとったことによって、北朝鮮外務省は、制裁決議は宣戦布告であるという旨の表明をしているところですが、こういうような状況を踏まえて、国土交通省として、公共交通機関、これの警備体制というのはどのような対策をされているのかというところをお聞きしたいというふうに思います。

平山政府参考人 今回の核実験の事案を受けまして、入港禁止の措置をとりました。その結果、いろいろな反発等もあったわけでございまして、国内でいろいろなことが起きるという不安も、一部、報道の中でもございました。

 それを受けまして、私たちは、やはり国民の不安を払拭するという観点から、即日に、実は同日なんですが、所管の公共交通事業者に対して注意喚起をいたしまして、いわゆるテロに対する警戒ということを徹底するように指示をさせていただきました。

 ただ、一回限りそうやればいいというものではございませんで、こういう警戒というのは継続してやることが非常に重要でございます。そういうことも踏まえまして、さらに、年末年始に公共交通機関については安全総点検というのを実施しているわけでございますが、その際にあわせて、再度、公共交通機関においてテロに関しても警戒を実施し徹底するようにという指示をいたしておりまして、その報告を的確にするようにという指示をいたしたところでございます。

鷲尾委員 私の話になりますけれども、一度、九・一一テロの後で、大体、新幹線のごみ箱ですとか、常に地元との行き帰りで使っているものですから、新幹線のごみ箱というのは入り口を全部段ボールでふさいでいるような格好にもなりましたし、地下鉄もごみ箱が使えないというような状況があったんですけれども、最近、それが一部使えるようになっている。それは当然各社の判断ではあるとは思うんですが、北朝鮮に対して、北朝鮮が宣戦布告であるというような強い表明をしていながら、ちょっとどうなのかなというところもありまして、御質問させていただきました。ぜひ、この点についてもしっかりと監督をしていただけたらというふうに思います。

 続きまして、海上保安庁のことについてお聞きしたいというふうに思います。

 特定船舶の入港の禁止の実施におきまして、海上保安庁はどのような役割を担っておられるんでしょうか。

石川政府参考人 特定船舶の入港禁止でございますけれども、御案内のとおり、この決定がされました十月の中旬におきましては、当時、北朝鮮の船籍の船は日本に約二十隻ほど入港しておりました。この閣議決定を経て、私ども、北朝鮮籍の船に対して、入港禁止というのがなされたよということを周知し、徹底をして、彼らはそれに従いまして、すべての船が日本から出港していきました。それを確認しております。現時点においても、それ以降、北朝鮮籍の船は直接日本の港に入港していることはございません。

 今後、北朝鮮の船が日本の港に入港するかどうかということを私どもとしては確認していかなければいけないと思っておりまして、具体的には、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律というのがございまして、この法律に基づきまして、二十四時間前に船舶の入港の情報があります。こういう情報を確認しながら、仮に北朝鮮の船が日本に入港しようとする場合には、私どもは事前の警告を行い、あるいはさらに強行して入ってくるということであれば、この特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法の違反という形で検挙をしていくという形になろうかと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 海上保安庁としては、以前、北朝鮮の工作船の事件もございました。入港禁止にかかわることについての概要としては先ほど長官がおっしゃっていたとおりだと思うんですが、実際警備をするに当たって、この閣議決定にもありますように、国際情勢の変化、日本の安全保障環境の変化というのがあります。そうした場合に、不審船、工作船といった事件もこれから先どのように推移していくのかわからない、突発的に起こる可能性も当然あるわけで、それに海上保安庁の方が遭遇する場合も当然あり得るという中で、実際取り締まりをする立場の海上保安庁の装備というのは今どういう状況にあるのかというふうに思うんですが、その点もお聞かせいただけたらと思います。

石川政府参考人 御指摘のとおり、今まで過去に不審船、工作船事案がございました。何回かは海上保安庁の船艇のスピードが遅いというようなことで逃走されてしまったというケースもありますし、相手方から銃弾を受けたというケースもあります。そういうような形でございますので、そのような過去の不審船、工作船事案等を踏まえまして、海上保安庁としては、船艇、航空機の充実というものを図ってきているわけでございます。

 例えば、巡視船の機関砲につきましては、従来の手動照準ということから遠隔自動照準、あるいは遠距離から撃てる、そういうふうな四十ミリ機関砲を整備する。あるいは、速力についても、従来二十ノット程度であったので、これによって逃げられてしまったというふうなこともございます。そういう意味で、三十ノット、さらには四十ノット以上の速力を持つような船艇を整備していく。あるいは、今申し上げましたように防弾化、あるいは夜間における監視能力の強化を図るようなことをやってきておりまして、具体的には、特に日本海側につきましては、そのような装備の充実を図った二千トン級、一千トン級などの巡視船を、現時点で、いわば最新鋭の船を七隻日本海側に配備しております。さらにもう一隻配備していきたいと考えております。

 ただ、海上保安庁全体の船艇、航空機を見ますと、約四割ぐらいが老朽化をしております。スピードもまだ遅い。あるいは、銃器もまだ不十分である。さらには、配管、エンジンというものが非常に老朽化をして、いざというときにそれが出動できないというふうな事例もないわけではないという意味から、私どもとしては、海上保安庁全体の船艇、航空機の緊急整備というものについて力を入れていかなければいけない、計画的に進めていかなければいけないというふうに考えておりまして、十九年度予算につきましても、所要の予算要求をし、現在頑張っているところでございます。

鷲尾委員 隊員の安全にもかかわることでございますし、国際環境の変化があるわけですから、積極的に取り組んでいただいて、ぜひとも装備の至急の強化というのを図っていただきたいというふうに思います。

 もう一点、海上保安庁関係で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 国連の安保理決議一七一八号というのが採択されました。この国連安保理決議に基づく我が国の措置に関係することですが、この国連安保理決議にはいろいろな協力行動の規定があるわけですけれども、これに関して、海上保安庁というのはどういう役割を担うことになるんでしょうか。

石川政府参考人 国連安保理決議の一七一八号の履行につきまして、いろいろなことが要請されているわけでありますけれども、特に、私どもは、海上における法令執行機関としてやっていかなければ、恐らく海上保安庁が期待されているものについて言えば、その一七一八号の中で、貨物検査、これについてどうするかということだろうと思います。これにつきましては、その決議にありますように、国内法あるいは国際法に基づいて措置を行うということだろうと思っております。

 具体的なことを考えますと、私どもは、従来から、今申し上げましたように海上における法令執行機関でございます。したがいまして、例えば、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法等の国内法違反ということがあれば、こういうことに対して対処していくわけでございます。したがいまして、我が国の港に入港した船舶に対して、あるいは必要に応じては、場合によっては、十二海里以内の領海あるいは二十四海里以内の接続水域、こういうところにおいて、このような国内法令に違反する船舶というものがあれば、これに対して厳正な取り締まりを行い、必要があれば立入検査を行うというふうなことがあろうかと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 海上保安庁さんの御答弁に続きまして、この国連安保理決議に関しまして、内閣官房及び防衛庁さんにもお伺いしたいことがございます。

 先ほど海上保安庁さんの答弁にもありましたとおり、海上保安庁としては、決定に従いながら適正に業務を遂行していくという考え方なんだろうというふうに承りました。

 ところで、国連安保理決議の一七一八号ですけれども、いわゆる船舶検査、貨物の検査ということが含まれる、これをすべての加盟国が北朝鮮の船舶について要請されておるところでございますが、この国連決議に基づく協力行動というのが、日本国内でどういう省庁がこれを所管して行動に当たっていくのかというところがちょっといまいちわからないところでございますので、どの省庁が当たるかという議論は今どういう状況になっているのかというところを官房副長官にお聞かせ願いたいというふうに思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 御指摘のように、先般、全会一致で採択された安保理決議第一七一八号は、北朝鮮の核実験実施の発表を受けて、国際の平和及び安全に対する明白な脅威の存在を認定するとともに、加盟国に対し、経済制裁の実効性を確保するために、必要に応じ、自国の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で、北朝鮮と往来する貨物の検査を含む協力行動をとるということを要請しているわけでございます。

 この貨物検査を効果的に実施するためには、特定の省庁だけでなく、幅広い関係省庁が迅速かつ緊密に連絡、協力をすることが必要であると考えております。例えば、港湾、空港や我が国周辺の海上では、海上保安庁やあるいは税関などが大きな役割を果たすというふうに考えられますし、また、他の関係省庁による情報提供、これも大変重要なものとなると考えられます。

 いずれにしても、政府としては、米国等の関係国との緊密な連携を図りつつ、我が国政府全体として、今後いかなる措置が必要か、あらゆる観点から具体的に検討し、我が国国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で、総合的に適切な措置を講じることが必要であるというふうに考えております。

鷲尾委員 済みません、ちょっとこれは通告していなかったんですけれども、例えば海上保安庁さんですけれども、公海上の取り締まりというのはできるんでしょうか、できないんでしょうか。

石川政府参考人 公海における外国船舶に関する取り締まりということでよろしいでしょうか。日本国船につきましては当然できますけれども。

 外国船舶につきまして、海賊行為であるとか奴隷行為であるとか、そのような観点の違反がある場合は除きまして、基本的には、公海上においては他の外国船舶に対する取り締まり権限はございません。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと話が飛びますけれども、きょうは防衛庁の方々にもお越しいただいておりますので、少し質問させていただきたいと思います。

 船舶検査について、これを行う場合に、自衛隊は具体的にどういうことができるのかということもお聞きしたいというふうに思います。

北川長官政務官 お答え申し上げます。

 船舶検査法に基づく船舶検査活動といいますのは、まず、周辺事態に際して実施されるものであるということでございます。周辺事態と判断されない場合には船舶検査活動法に基づく対応はできない、こういうことでございます。

 いずれにしましても、政府としましては、米国などの関係国と緊密に連携し、今後いかなる対応をとるかについてあらゆる観点から検討していきたい、こういうふうに思っております。

 なお、一般論として申し上げますならば、周辺事態と判断されない場合であっても、例えば日米間での情報交換、あるいは、自衛隊が我が国周辺海域で実施しております平素からの警戒監視というものはもちろんできるというように理解しております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、周辺事態についてですけれども、現在どのような議論がなされているかというところもお聞かせ願いたいと思いますが、北川政務官、どうですか。

北川長官政務官 お答え申し上げます。

 ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、我が国がその時点の状況を総合的に勘案して、あくまで我が国の国益を確保するという観点から主体的に判断するということであります。国連安保理決議が採択されたことで直ちに周辺事態となるというものではない、こういうふうに思っております。

 いずれにせよ、安保理決議一七一八号の採択を受けて、政府としましては、米国などの関係国と緊密に連絡をして、今後いかなる対応をとるかについてあらゆる観点から検討していきたい、こういうふうに思っております。

鷲尾委員 例えばの話ですけれども、周辺事態に認定されたとして、自衛隊の船舶検査活動ですけれども、これはどういうことができるのか、実効性のある検査ができるのかどうかというところもお聞きしたいんですけれども。

北川長官政務官 お答え申し上げます。

 国連の安保理決議がなされております。そしてその上に、我が国で周辺事態ということで認定をされる、あるいはまた、相手の国、旗国の同意を得て船舶検査を行う、こういう場合に具体的にどういうことが行えるかということでありますが、船舶の航行状況を監視するということ、それから、船舶への停船、とまりなさいということで要請をすることができる、船長の承諾を得て乗船検査をすることができる、こういうことであります。それから、必要に応じて航路の変更を要請することができる、こういうことであると思います。

鷲尾委員 今のお話ですと、例えば船に乗り込む、そして検査をするという段階になりますと、船長の承諾が必要になるというお話だったと思うんですけれども、では、船長の承諾がない限りは船舶検査ができないということになりますと、周辺事態としての適用を受けて実際に自衛隊が動くという段階になったとしても、果たして実効性のある検査ができるのかどうかというところで大変疑問な部分がございます。

 そういう意味では、先ほどの北川政務官の御答弁では、周辺事態に直ちには当たらないんだというふうな御答弁をされていたと思うんですけれども、当たったとしても、船舶検査を行うに対して船長の承諾を得なきゃいけないということで、これも一つの不備なのではないかなというふうに思う次第です。

 それとは別に、周辺事態安全確保法において、自衛隊は米軍に対して後方支援できるという法案の構成になっていると思うんですけれども、米軍に対しての後方支援しか逆に言うと認められないわけで、国連決議に基づいていろいろほかの国々が、米国以外の国が船舶検査をするという活動の中で、例えばの話ですけれども、では、自衛隊がそれ以外の、それこそ韓国とか中国とかいう、米軍以外に後方支援することができない点については、どのようにお考えですか。

北川長官政務官 お答え申し上げます。

 まず、船長の許可を得なければ船舶検査できない、それならば船長が承諾しなかったらどうなるのか、こういうことだと思うんですが、経済制裁による貿易の禁止、そういうような経済制裁ということを目的にしておるわけでございますから、ほかの国と連携を十分にとることによってその船舶の包囲網をすることができるとか、あるいはまた、港へ着くわけですから、港で貨物の検査を行うとかいうことができるわけでございますから、経済的には十分に実効が上がるということではないのかなというように理解しております。

 それから、米国の船舶にしか例えば後方支援できない、こういうことでありますけれども、周辺事態法というのは、日米安保条約を効果的に運用する、そういうことを目的として立法されたものでございます。先般の安保理決議の採択を受けまして、我が国政府としては、米国との間で緊密な関係を持って、そして今後いかなる対応ができるのかということで協議をしていかなければいけない、そういうように思うわけでございますが、ほかの国に対してどうか、こういうことであります。

 これは、日米安保条約という条約に基づいて行う行為ではありませんから、例えば給油をするという場合に、油を貸すということ、あるいは売るということ、そういうことはできるんじゃないかなというふうに思っております。しかし、そういう条約に基づく無償提供とか、そういうことは無理かなというように思っておるわけでございます。

鷲尾委員 少々遠回りの議論をさせていただきましたけれども、要するに、何が申し上げたいかというと、船舶検査を行うに当たっては、ほかの国と同様な水準で実施するかどうかの議論も当然含めてあるということは認識しております。自国の国内での法律というのも、その範囲内でということが国連決議にも当然明文化されておりますので、その点についての議論もあるというふうに思いますが、実施するその水準によっては、国内法的にもいろいろな不備があるのではないかというふうに思うんです。

 先ほど海上保安庁さんの方からも、やはり公海上の取り締まりはできないとか、今北川防衛庁長官政務官の方からも、例えば、米軍の後方支援の話とか、船長の承諾を得ながら船舶検査をしなきゃいけない点とかいう答弁もございましたし、そういう不備も一部ある中で、では、これは、国際環境がこれからまた変化する、特に今流動的でして、北朝鮮の脅威が高まっているという時分でございますので、そういうことであれば、先ほど申し上げた海上保安庁さんの装備の早急な強化、改善というだけではなくて、いろいろな法整備も含めて行っていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思う次第です。

 この点を指摘させていただきまして、特定船舶入港禁止措置に係る質疑を終わることとさせていただきます。

 次に、一般質疑もさせていただこうというふうに思っております。今回の一般質疑については、日本航空に関連して幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 〇六年三月期の日航、JALの業績というのは、約五百億円の当期純損失を出しております。その際の経常損失というのは四百億円、本業のもうけを示す営業利益が、これは約二百五十億の赤字となっています。それに対して〇五年九月期、いわゆる前中間期ですけれども、純損失として約百二十億、しかし、これは経常利益が百億で営業利益が百五十億の黒字になっています。一方で、今期の中間期ですけれども、十五億円の純利益を計上しているものの経常利益は五十億円、そして営業利益は八十億円程度。

 何を申し上げたいかというと、中間期の業績が通期の業績に大きくかかわるものではありますが、前中間期と今中間期の業績というのは、特別的な要因を除けばいわゆる業績が半分になってしまっているというわけで、これはもうJALにとっては大変な状態になっているというふうに私は考えております。

 このJALの中間決算を見る限りでは、通期で今三十億円の黒字見通しというのが、JAL自身はそういうふうに言っている次第でございますが、当然、いろいろな報道でも市場関係者の話でも、これはなかなか難しい、達成するのは難しいんじゃないかというふうな指摘もあるわけでございまして、冬柴大臣はこの点どういうふうに見られているのか、御答弁をお願いしたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 JALの今年度、平成十九年三月期決算の通期見通しの達成可能性についてのお尋ねでありますけれども、民間企業であるJALの経営状況に関する問題でありまして、基本的に、国土交通省としてお答えする立場にはないというふうに考えます。

 ただ、事実関係として申し上げれば、JALは、去る十一月八日の中間決算を公表した際に、通期で三十億円の黒字を確保するという見通しを変更はしておりません。したがいまして、いずれにせよ、JALにおきましては、今後ともさまざまな経営努力をされまして、これを維持するように努力されるんだろうと思いますが、その努力は見守っていきたいということでございます。私どもも、安全運航ということについては重大な関心を持っておりますので、この点について注意深く見守っていきたい。

 ただ、どう思うかと言われましても、それについて論評する立場にはないということだけは申し上げたいと思います。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 大臣、今、注意深く業績についても見守るというお話でしたが、当然、これは民間企業のお話であるということは私も重々認識しておるんですけれども、特に国土交通省さんが経営について何か介入するとか、そういうことはない、あくまでも、安全な運航、こういうものを中心とした指導監督であるという、これについては、大臣、どういうふうに思われますか。

冬柴国務大臣 安全運航が第一でございまして、それから乗客の便益でございます。したがいまして、経営悪化ということが、機材の整備不良とか陳腐化とか、そういうことが事故につながらないようにもちろん注意深く見てはまいりますし、あるいは、運輸安全マネジメント評価等を通じて、ふだん、この安全という観点から立入調査もしますし、あるいは中へヒアリングもいたしまして、心配なことにつきましては事前に十分察知するように努力はしていくつもりでございます。

鷲尾委員 逆に言うと、では、安全にかかわることであれば、ある意味、経営指導的なことも国土交通省としてやっていく余地があるということなんでしょうか。大臣、どうですか。

冬柴国務大臣 振り返れば、日本航空におきましては、連続して発生した安全上のトラブルがありました。国土交通省におきましては、昨年の三月に、日本航空に対しまして事業改善命令を発出したこともございます。日本航空では、その後、全社一丸となって安全意識改善等の改善措置を実施してこられたことも事実でございます。国土交通省におきましては、立入検査を継続的に実施しました。ずっと張りつき状態でやったこともあります。

 そういうことで、同社の安全管理体制につきましては厳正な監視、監督を行ってきたところでありまして、今年度に入りましてからは、日本航空において、安全上の重大なトラブルは発生はいたしておりません。

 国土交通省といたしましては、先ほども論及しましたけれども、本年十月に施行されました運輸安全一括法に基づきまして、安全管理体制の構築状況をチェックする運輸安全マネジメント評価や、安全監査専従部門を設置することによる監査体制の強化というものを通じまして、航空会社に対する厳正な監視、監督を今も強化しているところでございます。

鷲尾委員 JALについて、業績悪化というのが大変報道等で知られておるわけですけれども、今おっしゃったとおり、大臣、国土交通省として、しっかり安全に対しては焦点を当てて指導していく、たとえJALさんが、この先どういう業績になるか私はわかりません、それはこの先のことですのでわかりませんけれども、万々が一つぶれることがあったとしても、その安全ということについての指導監督はしっかりやっていくという旨の御答弁を、ちょっと今その決意も含めてひとつお願いします。

冬柴国務大臣 もうそれは、先ほども申しましたように、運輸事業というものは安全が第一でございます。したがいまして、その安全というものを確保するという意味での監視、監督、それから、乗客の便益ということも無視できない一つの大きな目的でございますから、そういうものが会社の業績いかんによっておろそかにされるということは絶対にないように、厳正な監視、監督を重ねてまいることは当然であるというふうに思っております。

鷲尾委員 ありがとうございました。

 それでは、きょうはちょっと渡辺副大臣にもお見えいただいていますので、一つ御質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほど来からJALの業績について幾つか指摘させていただいておるところですが、十一月十三日付のJALの社内報で西松社長が、銀行貸し付け停止の可能性もあるということを、これは社内報ですけれども、おっしゃっております。それだけ会社が危機的な状況にあるので、これは全社一丸となって経営改善努力をしていこうという、当然そういうメッセージの文脈での話ではあったんですが。それは十一月十三日の話ですけれども、その四カ月前、七月の話ですが、JALは大型の公募増資というのを行いました。この際は千四百億円ほどの資金調達を行っております。

 この大型増資の経緯を申し上げますと、当初は二千億円見込んでいた。見込んでいましたが、その公募増資の発表が株主総会の二日後だったんですね、よく御存じだと思いますけれども。その二日後だったものですから、しかもそれが発行済み株式総数の四割に相当するぐらいの巨額の資金調達、公募増資だったということで、当然株価が下がりました。その結果、目標額を大きく下回る資金調達額であった。

 当然、JALとしてのある程度の思惑というのは外れたんでしょうけれども、二千億円から千四百億、そして、四カ月前に公募増資しておきながら、四カ月後にはまた、資金調達に大変危険が生じているというようなことが社内でも宣伝されているということで、まず、このタイミングですね。株主総会の二日後に発行済み株式総数の四割にも当たる公募増資を行った。これは、正直申し上げて、市場関係者の方からは非難ごうごうだったという話も聞いておりますが、渡辺副大臣はどのようにお考えでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 個別の企業の資本政策にかかわる問題ですから、一々コメントはいたしません。

 しかし、一般的に申し上げますと、鷲尾委員には釈迦に説法でございますが、授権資本の枠内での増資は取締役会の決議でできます。このことを使いまして増資をする場合に、株主総会をやって株主さんに集まってもらって、その二日後に大規模増資をやるというのは、まあ常識的には大いに疑問でございます。これは一般論でございます。

鷲尾委員 一般論として大いに疑問なことが起こっているわけですよね。その一般論として大いに疑問のあることが起こって、その結果、既存の株主に対しても大変迷惑がかかっている。そして、当然株価は下がっていますし、その結果、要するに増資に応じた株主、そして市場関係者も、こんなことがあるのかということで、これはある意味、大変市場秩序を乱す行為ではないかというふうに思うんです。これは、事実としてそういう行為があったということです。このことについてどうお考えなのかということをお聞きしたいんですけれども。

渡辺(喜)副大臣 JALの資本政策についてどうこう申し上げることはございませんが、御案内のように、来年から金融商品取引法が施行されます。日本版SOX法などと言われています内部統制の強化も盛り込まれています。アメリカだったら財務内容の適正さについて宣誓をするわけでありますが、日本では確認書というのを求めることになっているんですね。ですから、社長さんがきちんと確認書を出しまして、これは極めて適正なものですよと。こういう制度がスタートをいたします。

 もう既に四半期開示は当たり前になっているわけでございますから、一般論としては、きちんと適時開示を行っていくべきだろうというふうに考えます。

鷲尾委員 適時開示のお話もごもっともというふうに私自身は考えるんですが、こういう出来事が起こったことに対して、金融庁として、こういう行為はさすがに、渡辺先生おっしゃるとおり、これはおかしいわけですよ。おかしいこの行為をしたことについて、何がしかの指導監督というのは金融庁としてはしていかなきゃいけない筋なんじゃないかなというふうに思いますが、この点について、そういう行為がないようにという指導監督というのはされているんでしょうか。

 今おっしゃったとおり、大変問題だと思います。たとえ法令の範囲内であっても、株主総会の二日後に発行済み株式総数の四割にも当たる公募増資を行ってしまう、これはもう大問題だというふうに認識されていると思うので、この大問題であることが起こったということに対しての指導監督というのはしているんでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 いずれにしても、一般論でございますが、コンプライアンス上の問題がない場合でも、まあ常識的に考えれば問題がある、疑問があるというケースがございます。

 JALについては、個別のコメントはいたしません。

鷲尾委員 先般問題になりましたライブドアのニッポン放送株取得行為についても、金融庁としては、ある意味あいまいな判断をその当時はされていたと思うんです。

 やはり、法令違反ではないけれども、市場秩序にとっては大変迷惑だという行為については、これはある意味、金融庁自身がしっかりとアナウンスしていかなきゃいけないというふうに思うわけです。ですから、そのアナウンスをしたかどうかというところについてお聞きしたいんですけれども、渡辺先生、どうですか。

渡辺(喜)副大臣 一般論としては、疑問のあるところでございます。

鷲尾委員 渡辺先生が一般論として疑問があると何度も繰り返されるお姿を信頼して、一般論としての指導監督というのは、それはどの個別企業か開示しろとまでは言いませんが、されているということで、私自身、認識いたしました。

 続きましての質問ですが、リースの会計基準は、これは今国際化が進んでおりまして、日本だけがちょっといわゆるローカルルールであるというふうに言われて久しいわけですが、ちょっと専門的な話ですけれども、所有権移転外ファイナンスリースに関する賃貸借処理をこれは認めない、認めないという方向で議論が進んでいるというふうに認識しておりますが、渡辺先生、金融庁としては、リース会計の基準についてはこの先どういう落ちつきどころがあるというふうにお考えになっているんでしょうか。

渡辺(喜)副大臣 委員御案内のように、国際会計基準とのコンバージェンスという作業を今進めているところなんですね。日本のリース会計についてギャップがある、これをコンバージェンスの方向で今調整しているわけでございます。

 御案内のように、会計基準は、民間のASBJ、企業会計基準委員会で決めるわけでございますが、もう既に試案が出されて、パブリックコメントに付されたはずでございます。これは、御案内のように、税務会計との関係がございまして、税制がどうなるかというところも見ないとなかなか最終的な決定は難しいんだろうと思うんですね。

 いずれにしても、企業会計基準委員会としては、そうしたことを念頭に置きながら、会計基準の改定に努めていただいているものと認識をいたしております。

鷲尾委員 今、リースの話をしたのは、そのことが航空会社の資金調達にかなり影響を及ぼすというふうに聞いております。そのリースの税制によって、資金調達面でかなり便宜が図られているというお話も聞くところでございますので、航空業界として、このリース会計の基準の変化というのは、当然、ある程度決着点というのが、各業界からいろいろな意見を聞いてやられているところでございますが、国土交通省としては、この影響というのはどういうふうに聞き及んでいるのかということについてコメントをお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 渡辺副大臣の御答弁にもありましたように、リース会計制度の見直しにつきまして、現在、企業会計基準委員会において議論が行われていると承知しております。

 その内容につきましては、航空業界としても重大な関心を持って見守っているところでありますし、パブリックコメントなどに業界として意見を出したりしておりますが、今のところ、航空会社の方の反応を見ますと、現段階で航空会社の経営に大きな影響が及ぶというような結果で進んでいるという認識は持っておりません。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それは一安心なんですが、最後に、ちょっと一つだけ質問させてください。

 ちょっと話がかわりますが、成田空港のような混雑した空港における国際線の発着枠の話です。

 国際線の発着枠について、航空会社の配分要望がいろいろ競合した場合、どういう考え方に基づいてその発着枠を配分していくのかということについて、国土交通省にお聞きしたいというふうに思います。

鈴木政府参考人 御承知のように、成田空港につきましては、発着枠は満杯状態でございまして、かつ、乗り入れを希望する外国航空会社、あるいはその増便を希望する会社が多数あるという状況にございます。

 一方、先日、国内線の未使用枠を若干捻出いたしまして配分を行ったところでありますが、新たに発着枠の配分が可能な状況となった場合に、以前より、各国が持っております未使用輸送力の公平な実現を図るという観点から、我が国を含めまして、二国間協定上成田において増便可能な輸送力を有する国に公平に配分をするということでやっております。

鷲尾委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、増便輸送可能能力がある国に配分するということなんですか。外国に配分するということなんですか。どういうことなんですか。

鈴木政府参考人 済みません。外国だけではなくて、我が国の航空会社も、権益を持っておってまだ使えていない、発着枠が満杯のために使えていないというのがございます。ですから、我が国のエアライン、あるいは外国で、そういう権益を持ってまだ使えていないというエアラインに対して公平に配分をするということでございます。

鷲尾委員 済みません。中途半端になりましたけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は案件のみ質問します。

 十月十八日の質疑で、既にこの案件に対して私どもの基本的立場を明らかにしています。北朝鮮に、核兵器を、核計画を放棄し、即時無条件に六者協議に復帰することを要求し、そのために、国際社会が一致協力して北朝鮮に迫って、平和的、外交的に解決することが重要だという見地を強調してきました。それは本院の決議にも反映されました。日本独自の措置もこうした見地からあり得ると表明してきたところです。

 私は、万景峰号の入港禁止措置とそれに続く措置が、いわゆる制裁のための制裁ではなく、北朝鮮を六者協議に戻し、平壌宣言に基づく対話の道に復帰させ、外交的解決を図る手段としてとられたことを了とするということまで前回も明らかにしてきたところです。特に、日本独自の措置は、中韓を初め近隣関係諸国との協調のもと、国際社会の一致結束を強め、外交解決を図る方向で実施されるべきであることを要求してきたところです。

 そこで、まず、官房副長官にお伺いします。

 日本が行っている制裁について各国の反応はどういうものか、そして、日本独自の措置というのは、中韓を初め近隣関係諸国とどのような連携、協調のもとで行われているか、改めてお伺いしたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 北朝鮮の核実験実施の発表を受けて、十月十一日、我が国は、すべての北朝鮮籍船の入港禁止等の措置を発表いたしました。我が国のこの措置に関し、米国国務省は、プレスステートメントを発出し、これを支持するとの立場を明らかにしております。また、中国外交部は、関連の措置が六者会合の再開に資するものであることを希望する等としつつ、日本がいかなる政策をとるかは日本政府が決定すべき事柄であるというふうにしております。また、韓国政府、ロシア政府は、我が国の措置に関し、公式の論評等は発出しておりませんが、そのような措置をとった我が国の立場について理解しているものと考えております。

 いずれにしても、北朝鮮自身が核実験を実施した旨、既に発表していたこと、北朝鮮のミサイル開発とあわせ、我が国安全保障に対する脅威が倍加したものと認識されたこと、北朝鮮が拉致問題に対して何ら誠意ある対応を見せていなかったこと等の諸般の事情を総合的に勘案して実施したものでございまして、適切であると考えております。

穀田委員 どんな連携か、協調かというのを何で聞いているかというと、やはりAPECの際にもそういう中韓の方々がそういう点で表明されているということなんかも、私、言っているものですから、前回も冬柴さんは、うまくと言っては失礼ですけれども、なかなか答えないものだから言ったんですけれども、まあ、しゃあないですな。

 状況認識について、では、冬柴さんに聞きたい。

 自民党の中川昭一政調会長は、訪米した際に、北朝鮮核実験について、報道によれば次のように語ったと言われています。キューバ危機のように、キューバが核を持ち込もうとし、切迫した状況に似ているとしているんですね。政府も、これと同様の認識ですか。

冬柴国務大臣 私どもの認識は、十月の十一日に官房長官が北朝鮮が核実験を行ったという発表をしたことに対して論評したことに尽きます。

 したがいまして、我々は、我々の方の核というものについて一切論評をいたしておるわけではございません。我々は、核は持たず、つくらず、持ち込ませずでございます。

穀田委員 ちょっと違いますね。状況認識というのが、キューバ危機、いわば切迫していると。もちろん、核を持ち込んだという点での当時の現実はあります。というよりも、状況認識ですね。そういう切迫している状況なんだ、危うい状況なんだというふうに対処する状況認識としてとらまえているのかと聞いているんですけれども、そっちの方はどうですか。

冬柴国務大臣 切迫感というのはそれぞれの主観でございまして、我々の、私の主観といたしましては、先ほど言いましたように、十月十一日の官房長官談話のあったように、そういう発表をしたということ、そして、それにより我が国に対する脅威というものが倍加したという脅威はあります。しかし、それをキューバの問題と対比するということはいたしておりません。

穀田委員 そっちの方を聞きたかったわけです。

 ライス国務長官は、国連決議が行われた後に中国を訪問している際に、CNNのテレビインタビューやそれから同行記者団のインタビューに答えて、こう言っていますよね。何かキューバミサイル危機の再現であるかのような、北朝鮮の船舶を隔離か全面封鎖であるかのような話も含めて誤解が存在している、こういうふうにして、そう単純じゃないということを規定しているという点は、似たり、そんなものだということですな。

 では次に、そういうもとでライス国務長官も言っている、やはり大事なのは国連決議一七一八なんですね。だから、原則的な問題について改めて問いたい。

 国連決議の意義について、認識はいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 北朝鮮による核実験というものは、我が国のみならず、東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である、断じて容認できないという認識でございます。

 国連憲章三十九条に基づきまして、国際の平和及び安全に対する明白な脅威の存在が認定されました。これは全会一致で採択されたわけでございます。それは一七一八でございます。これはすべての国連加盟国の判断を拘束する法的効力があります。我が国は、このような認識を広く国際社会が共有しているということを示しているものであり、非常に意義深い決議であるという認識をいたしております。

 北朝鮮は、こうした国際社会の強い懸念と非難を真剣に受けとめて、問題の解決に向けて、この決議において示された措置を履行するための具体的措置をとらなければならない、そのような認識でございます。

穀田委員 この北朝鮮制裁決議というのは結構長いものでして、十七項目にわたっているものですよね。意義という点では、今、全会一致であるし、拘束するものだということもそのとおりです。

 私は、その経過にある、やはり非軍事的措置をとるんだといったことを何回も何回も確認していること、とりわけ、アメリカの当初案では第七章という形だけ書いていたものを、四十一条ということで限定的にしたという経過がとても大切だと思うんですね。そして、その上、とりわけ十三項などでは、六カ国共同声明、二〇〇五年の九月十九日に発表された共同声明の速やかな履行を目指して外交努力を強める必要がある、そして、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎み、及び六カ国協議の早期再開を促進するすべての関係諸国による取り組みを歓迎し、さらに奨励すると。

 ここはやはり、つまり、単に国連決議一般というだけじゃなくて、日本が六者会議と六者共同声明に負っている責任という意味からいいまして、それが一つの入り口なりかけ橋になっているという意味合いは極めて重大だと思う点は御異議ございませんね。

冬柴国務大臣 あなたのおっしゃるとおりでございます。

 なお、その中に、北朝鮮が国際社会の他の安全保障及び人道上の懸念に対応することの重要性も強調するという部分もありまして、これなど、我が国がこの一七一八決議がされることに尽力した足跡がここに残っていると思います。そういう意味で高く評価しているわけでございます。

穀田委員 では、その意味で、やはり六者協議というのがとても大切なルートになっているし、一番ポイントになっているということは一致していると。

 そこで、今後の六カ国協議の展望、見通しについて官房副長官に聞きたいと思います。

 アーミテージ元アメリカ国務副長官は、報道によりますと、ワシントンで行った講演の中で、部分的な核の放棄や核の凍結などの成果は期待できるだろう、しかし、北朝鮮に核を完全に放棄させることは難しくなってきていると述べた。

 これについて、どんな見解をお持ちですか。

下村内閣官房副長官 御指摘のアーミテージ氏の発言内容やその趣旨について必ずしも承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと存じます。

 いずれにしても、北朝鮮の核保有は断じて容認できるものではなく、このことについては米国政府を含め五者の間で一致しております。

 政府としては、再開される六者会合において、米国、中国を初めとする関係国と緊密な連携をしつつ、北朝鮮に対し、安保理決議第一七一八号及び六者会合共同声明に従って、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄するよう強く求めていく考えでございます。

穀田委員 もちろん、アーミテージ氏はアーミテージ氏の意見があるんでしょう。ただ、やはり重要な国際的な人物の発言ですから、私としてはどないかいなと思ったんです。

 では、もう一つ、重要な人も発言していますのでお聞きしたいと思うんです。

 小泉首相は三たび北朝鮮訪問の意向について述べたとこれまた報道されています。もちろん、真意はというようなことを言い出すと、またコメントを避けたいと思いますと言うのか知らぬけれども、しかし、この問題は、一回目、二回目訪朝されて重要な平壌宣言を結んでこられた当事者の発言ですから、それはいかがなものかというような話にはならぬと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

下村内閣官房副長官 御指摘の報道については承知しておりますが、一方、きょうの報道では別の報道もございまして、小泉前首相が正確にどのように発言されたのかは承知しておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。

穀田委員 では、もう一つ。

 私は、今官房副長官もそれから冬柴大臣も言っておられる、一番大事なのは、六者共同声明に基づいてどないして実行するかだと思うんですよね。

 それで、例えば拉致問題の解決という問題でいいますと、平壌宣言に基づいて、死文化されていると言う人もいますけれども、そうじゃなくて生きているんだ、だからこそこれに基づいて追及するんだというのが政府の立場ですよね。

 問題は、核問題の解決に当たってこの六者共同声明の意義をどのように理解するか、ここはやはり政治の要諦だと思うんですね。そこはいかがですか。

冬柴国務大臣 遠い過去ではなくて、昨年の九月十九日、六者会議が、もちろん北朝鮮代表も入って開かれ、そして合意された、それが共同声明でして、その中に、今官房副長官も述べられましたように、朝鮮人民共和国は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰することを約束した、こういうふうに明記されているわけでありまして、約束したことは守らないかぬわけでございます。したがいまして、単純な法理でございます、何人も守らなければならない普遍の原理ですから、この約束を守りなさいということを通じてこれは履行されるということに尽きると思うわけでございます。また、そう期待をいたしております。

 したがいまして、早急に六者会合が再開され、そして約束したことを守っていただくということでこの問題は処理をされなければならないというふうに思います。

穀田委員 その点は同感です。

 国連決議の一七一八にも、前文を含めてこの六者共同声明については三度も言及しているという、いわば国際社会としても、ここに礎石を置いているということは決定的なんですね。

 私どもも、この六者協議の再開を一日も早く望んで、その意味での朝鮮半島における非核化、東アジア全体の平和がつくられることを望んで、質問を終わります。

塩谷委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 十月九日、北朝鮮が、国際世論を無視しまして、地下の核実験の実施を発表されたわけでございます。冒頭、気象庁長官に質問させていただきたいと思いますが、十月九日十時三十五分ごろに北朝鮮北部で発生した地震につきまして、気象庁は、十月十一日、自然地震ではない可能性があることを発表されたわけでございます。

 関係機関との連携を含めて、どのような分析を行われたのか、また、今回、気象庁は第一報の報告までに二時間程度を要したわけでございますが、その後の監視体制の強化の状況につきましてお聞かせいただけますでしょうか。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 気象庁では、関連する情報を得て地震波の分析を開始しまして、地震発生の約二時間後に政府関係機関に第一報を御報告しました。また、中国や韓国で観測されました地震データを入手し、震源地付近で過去に発生した自然地震の波形と今回の地震波形を比較分析いたしました。その結果、今回の震動が自然地震ではない可能性があると発表したものでございます。

 今回の事例を受けまして、気象庁では、より微小な地震も迅速に検出できるよう、地震監視システムの改善に努めてまいります。

糸川委員 まだ強化はされていないというところなのかなと思いますので、その辺も踏まえてまたこれから大臣に質問させていただきたいと思います。

 今回の場合は、たしか集中審議のときに安倍総理も、こちらから核実験をやったんではないかと聞いたんではなくて、向こうから核実験をやったんだということを表明したんだから、それに対しての措置を講ずるのが適当であると。それは私もごもっともだというふうに思っておりまして、そこで、去る十月十四日より、入港禁止の拡大を含む追加措置がとられたわけでございます。

 我が国として、これらの措置を確実に実施していくということは重要であるとは考えておるわけでございますが、政府の一員として本措置を実施しております国土交通省におかれまして、これまでどのように対応されているのか、今後の決意も含めて、大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 十月九日における北朝鮮の核実験の実施に関する発表を受けまして、政府として追加措置につきましては、国土交通省としましても、政府の一員として、例えば港湾管理者や税関、警察等の治安機関との情報交換を行うなど、関係機関との密接な連携のもと、その確実な実施を図っているところでありまして、今後とも引き続き適切に対応していく所存であります。

 具体的には、北朝鮮船籍船舶の入港禁止措置につきましては、既に各港湾管理者等海事関係者に対しまして本措置の周知を図ったところでありまして、今後も適切な対応を指導してまいります。

 また、特に海上保安庁においては、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律第四十四条に基づく船舶保安情報等による情報把握に努め、海上における警察機関として本措置の実施に適切に対応しているところでございます。

 この長い名前の法律でございますが、四十四条というのは、入港二十四時間前までに、船舶保安情報、例えば船名、船籍、保安措置の実施状況等を船長が海上保安官署に通報することが義務づけられておりまして、これを通報せずに入港しようとすれば、この法令違反になりまして、船長を逮捕する、拘束するということになるわけでございます。

 そのような準備をいたしてずっと実施しておりますが、当日二十二隻いた船舶は、入港禁止命令が出ているから二十四時間以内に出港せよということを通告いたしまして、それはきっちり遵守されました。以降、今日まで、北朝鮮船籍の船舶は、我が国の港には入港をしようとしたり、したという実績はございません。

糸川委員 確かに、今回の措置を、入港禁止措置というものを出した後は北朝鮮船籍の船は入港していないんだろうというふうに、それはもう間違いなくそうであるというふうに私も感じております。

 ただ、この措置を回避するために、船籍を北朝鮮から他国に変えた船舶、そういうものが我が国に入港をしようとする場合があるんではないのか、実際には北朝鮮のものであっても名前を変えて入ってくる、そういうことはあるんではないかというふうに考えられるわけでございますが、政府としてはどのような対応をされているのか、お答えいただけますでしょうか。

平山政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、今回の措置では、北朝鮮の船の入港禁止でございますので、国籍を変えた、例えば別の国の船になっている場合には入港を即禁止するということはできません。

 しかしながら、今回の北朝鮮に対する追加措置でございますが、入港禁止だけではなく、実は、輸入品の禁止、さらに北朝鮮籍を有する方の入国禁止、ほかの措置もあわせてとられることになっております。そういう意味で、仮にほかの国籍の船でありましても、そこに積まれている貨物が北朝鮮のものであったり、北朝鮮の方がそこに乗っておられて日本に入国しようとした場合には、それを阻止するということで、警察、税関、入管等関係機関との密接な連携のもとで関係法令を厳格に執行いたしておりますので、いわゆる入港禁止に伴いますような実効性ということは担保されているのではないかというふうに認識をいたしております。

糸川委員 実際には入国は北朝鮮の船員はされないんだろうと思うんですが、接岸まではできるのかなと。接岸をして上陸はしない。ということは、そこまでは来てしまうということは、いろいろ隠れて何かを行おうとする人たちもいるかもしれませんので、その辺のしっかりとした取り締まりを行っていただきたいというふうに思います。

 やはり北朝鮮籍の方が洋上で積み荷を他国の船籍の積み荷に載せかえて、そこでまたカムフラージュを行う、そういう可能性もございます。そういう積みかえなどの行為が行われないように対策を講じる必要があるというふうに考えておりますけれども、その点につきましてはいかがでしょうか。

平山政府参考人 洋上で物を積みかえるというのは危険なので余りはやらないと思うんですが、仮に行うような場合には、正規の荷物ではなくて、仮に余り正規とは思われないようなものを積みかえたりするような場合というのは過去にも犯罪事例としてあるわけでございます。

 そういう意味で、その積みかえ行為自体が法令違反あるいは犯罪行為の見込みがあるような場合には、海上保安庁がしっかり監視をいたしておりますので、そういう中で取り締まりを厳正に行いたいというふうに考えております。

糸川委員 では、海上保安庁にお聞きしたいんですが、我が国は、この入港禁止措置を含めて、北朝鮮に対して厳格な対応を行うためには、海上保安庁の船それから航空機の監視能力などを強化する必要があるというふうに考えておるわけでございますが、北朝鮮の工作船に対しまして、監視能力の高い高性能な巡視船を装備そして整備されたというふうに、これは以前の国土交通委員会でも私もお聞きしたわけでございます。

 一方、海上保安庁の船それから航空機の約四割が老朽化している、こういう実態もあるというふうに聞いておりますが、それで、今おっしゃられたように、海上保安庁の警備が本当に十分に行えるのか、そしてそういう海上保安庁の体制というものが十分なのか、また保安庁の装備の充実というものが順調に進んでいるのか、それからまた、来年度の予算の要求状況についてお答えいただきたいと思います。

石川政府参考人 今御指摘のように、海上保安庁の船艇、航空機でございますけれども、昭和五十年代に整備したものがかなり古くなってきておりまして、現状においては、約四割ぐらいが耐用年数を超えているというふうな状態でございます。そのような船艇、航空機が、実際の監視活動あるいは取り締まり活動、さらには海難救助、さまざまな仕事をやっていく際に、この老朽化対策を早急に進めていかなければいかぬというふうに考えております。さらには、お話がありましたような北朝鮮対策ということもございます。

 そういうような形から、私どもとしては、このような老朽化した船艇、航空機の緊急代替整備ということを進めていかなければならないと考えておりまして、実は、十七年度補正予算あるいは十八年度当初予算、そういうところからこのような代替整備を進めてきておるわけでございまして、例えば十八年度当初予算と十七年度補正予算で巡視船艇二十一隻、航空機七機の代替整備を進めさせていただいております。

 平成十九年度以降におきましても、このような老朽、旧式化の進んだ船艇、航空機をできるだけ早く代替をしてまいりたいと考えております。当面、計画としては、老朽、旧式化した巡視船艇約百二十隻、航空機については約三十機、これの代替整備というものを緊急かつ計画的に進めたいと考えておりまして、十九年度予算要求におきましても必要な額を要求しておりまして、現在、大蔵省主計局と鋭意折衝しているところでございます。

糸川委員 今回のこの措置というものは、たくさん、関係各省庁と連携をしっかりととらないとざる法になってしまう可能性もあるわけでして、大臣、今、海上保安庁の老朽化の問題を含めて、やはり保安官が本当に身体を守ってくれる、我々の身体、生命そして財産を守るということもあるわけですから、装備も早いうちに最新にできるように、閣内の中でもしっかりと議論していただいて、そういう必要なものには早く予算をつけられるように、ぜひ、財務大臣にも大臣から言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。最後、決意を聞いて終わりたいと思います。

冬柴国務大臣 国土交通省で、強くそのような御要請があったことも背景にいたしまして、これを確保するために頑張ってまいります。ありがとうございます。

糸川委員 どうもありがとうございました。

 終わります。

塩谷委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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