衆議院

メインへスキップ



第4号 平成19年3月14日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年三月十四日(水曜日)

    午後一時三分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    桜井 郁三君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    原田 憲治君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    石関 貴史君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          松原 文雄君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         松野  仁君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

三月十四日

 自動車検査独立行政法人法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

同日

 耐震偽装問題の根本解決等を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四二七号)

 公営住宅建設等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局長松原文雄君、都市・地域整備局長中島正弘君、住宅局長榊正剛君、鉄道局長平田憲一郎君及び航空局長鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事松野仁君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。

 きょうは、提出されました都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について、ちょっとお尋ねをしていきたいと思います。

 特に、都市再生法は、平成十四年に制定されてから五年がたちました。まさに今、これが順調に生かされているかどうか。当初の目的であった、国際的な日本をつくる、または災害に強い地域をつくろう、そして都市の再生を図ろうという目的でつくられたこの法律ですが、ここに来てどうしても改正をする必要性が出てきたということであります。

 これに対して、ぜひ、平成十四年から五年を経過した今までの都市再生関連施策について、きちっとした取り組みがなされているのかどうか、具体的にちょっと教えていただければと思いますので、局長、よろしくお願いしたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 都市再生特別措置法に基づきまして私ども国土交通省でとった施策でございますが、まず、都市再生緊急整備地域の指定が六十五地域、面積でいうと六千六百ヘクタール余でございますが、されました。

 その中で、法律の中では、都市計画の特例、都市再生特別地区の設定ができます。この都市再生特別地区の適用を受けましたプロジェクトは二十三プロジェクトございます。

 さらに、民間都市再生事業計画の認定を受けて金融と税の特例が受けられますが、この認定を受けたプロジェクトが二十四プロジェクトでございます。

 重複がございますので、重複を除いて言いますと、四十三のプロジェクト、この五年間で、土地の区域が一万平米を超える大型のプロジェクトとして認定を受けたものが四十三プロジェクトということでございます。

 さらに、その後追加されました措置でございますが、まちづくり交付金、これは現在、六百六十四市町村、千百二地区で使っていただいております。

 さらに、まちづくり交付金から一年おくれまして、まちづくり交付金の地域で民間都市再生整備事業計画の認定を受けて、これも税と金融措置がつくという事業でございますが、これはまだ二年足らずでございますので、五つのプロジェクト、こんな結果になっております。

 この評価でございますが、当初、都市再生特別措置法が始まりますときに、一つの大きな課題として、当時、平成十三年、法律は十四年からでございますが、不況に苦しむ日本経済、特に資産デフレの色が濃い中で、都市の再生を起爆剤として日本経済を活性化させようという目的があったと思うんですが、そういう意味では、四十三のプロジェクトがこの五年間で立ち上がったということは、その点からはかなりの効果があったと評価できるのではないかと思います。

 また、まちづくり交付金も、制度ができて三年目でございますけれども、非常にたくさんの町村で使っていただきまして、市町村による公共公益施設の整備を通じた都市再生が進んでいると思います。

 今後、講ずべき課題もございますけれども、緊急整備地域を指定して、まだプロジェクトが実現していない地域が三分の二ぐらいございます、引き続きこの制度を維持して都市の再生を一層推進していくことが必要である、このように考えております。

亀岡委員 ちょっと聞きにくかったんですけれども、今、大型プロジェクト、六十五地域ということで、六千六百十二ヘクタールというお話がありましたけれども、小さい方が、まちづくり交付金を活用して六百六十四市町村というお話がありました。ただ、まだやっていないということで、今三分の二ぐらいという話だったので、ぜひこれから、まちづくり交付金というのをもっとさらに生かして、きちんと活用できて、そしてそれらがすべてうまくいくようにするためには、まちづくり交付金というのはもう少し使い勝手のいいような考え方が必要なのではないだろうかと思います。

 ぜひ、このまちづくり交付金をこれから使い勝手のいいような方向に持っていけるかどうか、ちょっと考え方を聞かせていただければと思います。

中島政府参考人 まちづくり交付金は、先ほど申しましたように、制度創設後三年目でございますが、現時点で、全国の市町村の約三六%に当たります六百六十四市町村、千百二地区において活用されております。今後も増加を見込んでおります。

 三年目でございますけれども、昨年度予算要求でございますが、十九年度予算案におきましても、対前年度比一・〇二倍の国費、二千四百三十億円を計上いたしますとともに、町おこしの中核となりますまちおこしセンターや、子育て世代の活動を支援する施設であります子育て世代活動支援センターなどを基幹事業として追加するなどの拡充を図ったところでございます。

 今後とも、活用市町村の御意見も踏まえまして、制度の充実を図ってまいりたいと思います。

亀岡委員 ぜひ残りの三分の二も円滑にできるように、まちづくり交付金の活用の仕方も運用の仕方ももう少し工夫を考えていただきたいというふうに思います。

 それから、今、まちおこしセンターとか子育て活動支援センターのお話が出ましたが、今この再生事業の中で、民間の活力を導入するということで、かなり民間の地域の団体や協議会にゆだねる部分がたくさんあると思うんですが、実は私、ここで一つだけちょっと疑問があるのは、実は私のところでも、飯坂というところで地域再生事業をやっているんです。全部、まちづくり協議会ということで町内会の皆さんを集めて協議会を運営するのはいいんですが、そこで不満がたくさん私のところに出てくるんですね。

 何かといいますと、まちづくり協議会で民間の意見を聞くといいながら、その事務局であるのは市がやったり何か公共団体がやっていて、こういうふうにやってくださいとか、こういうふうにしてくださいとかという指導があって、自分たちの意見が思うように通らないと。せっかく地方の意見を聞いて、やろうと国が言ってくれているのに、それはおかしいじゃないですかというふうに私のところに疑問がある。

 せっかくすばらしい法律をつくって、今、活性化事業、民間の力をまさに取り入れて、民間の皆さん方、地域に住んでいる方々のやりやすいように、住みやすいように活性化していこうというときに、その協議会が本当に民意を反映した協議会の会議が運営できるような方法論というのは僕はとらなきゃいけないと思うんですね。これは十分考えていただかなきゃならないんですが、そういう情報が入っているかどうか。

 そして、できれば、事務局が指導するんではなくて、協議会そのものが、地域の皆さんが本当に自分たちの意見が出しやすい環境をつくってあげて、そのもとにまちづくりがしっかりできるような方法論にすべきだと思いますが、どうお考えになるか、ちょっと教えていただければと思います。

中島政府参考人 大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 今回制度化します市町村都市再生整備協議会も、NPOなど、地域で行政とは一定の距離を置いて実施部隊として民間に近いところでやっておられる方をメンバーにして、その意見を吸収するとか、あるいはいろいろ意見の対立のあるときには調整して合意を得るとか、そういうためにつくるものでございますので、市町村の意向を押しつけていたのでは何の意味もないことだと思います。そういう所期の目的が遂げられますように、今後とも指導してまいりたいと思います。

 協議会はこれからの制度でございますし、実態的に、運用されているところの事例なども調べまして、これから取り組もうとしている市町村に的確な情報提供ができるようにしていきたいと思います。

亀岡委員 局長、ぜひその辺を十分チェック、配慮ができるように、制度的にも少し考えていただきたい。

 せっかく皆さんにたくさんの時間をつくっていただいて、協議会で集まって、自分たちの町をこういうふうにしようという知恵を出し合っているにもかかわらず、事務局が指導して、これはだめよ、あれはだめよ、こういうふうにしてくださいなんて持っていかれてしまうと、せっかく民意が、やったものが、集まったものが壊されてしまう。逆に、期待感が一遍に今度はすごい悲壮感に変わってしまうということがありますので、ぜひ協議会も民意がきちっと反映されるような、協議会がチェックできるようにしていっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、まちづくり交付金のお話と関連した話なんですが、この大きな、都市再生特別措置法の中にも一つあるんですが、民間の資金も導入してきちんと、民間の活力の中に、そういう金を導入しながらしっかりやっていこうというのが入っておるんです。

 その中で、民間のお金というのはなかなか難しいということで、民間都市再生事業に関する支援措置としての民都機構というのがありますね。きちんとお金が民間に融通できるような、活用しやすい方法論でこれを使っていくということであったわけですが、これがしっかり生かされているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うので、よろしくお願いします。

中島政府参考人 都市再生特別措置法の中で、民間のプロジェクトの立ち上げを支援するために民都機構が金融的な支援をするという枠組みがございます。制度は二つございますので、お尋ねがどちらの方だったか、両方のことをちょっと話をさせていただきたいと思います。

 先ほど、都市再生緊急整備地域で大型のプロジェクトが四十三と申しましたが、このうち認定を受けました二十四プロジェクトのうち、金融支援を受けたのは七件でございます。二十四のうち七が多いと思うか少ないと思うかということはございますけれども、大型のプロジェクトにつきましては、当初は、金目のロットが相当多いので金融的なニーズは高いかもしれないということで用意したんですが、七件という結果でございました。この間のこういう不動産投資に対する金融事情が反映されて、それなりに資金繰りは民間サイドでもついたのかなと思います。

 もう一つのスキームがございまして、これはまちづくり交付金、先ほどの六百六十四の市町村の区域内で民間のプロジェクトに対して出資するという仕組みをつくりました。これはまだ二年足らずでございますので、実績が五件でございますけれども、ただ、先ほど二十四のうち金融支援を緊急整備地域の中で使ったのは七件だと申しましたけれども、こちらは認定したうち五件とも金融的な措置を使っていただきまして、手元にある情報では、今後とも引き合いが多いものでございますから、今後、この事業に対するニーズは地方都市部を中心に強いんじゃないかと思っております。

 民都機構に蓄積したノウハウも生かしまして、民間の地方都市におけるプロジェクトの立ち上げについて推進していきたいと思います。

亀岡委員 今二つの施策を説明していただいたんですが、もうちょっと民都機構について。

 確かに民都機構が出資をするというのはわかったんですが、出資をするというシステムとか民都機構とは何なんだろうとわからない人の方が多いと思うんですね。まさに、民都機構のお金が自由に使える、その金が出資してもらえるという仕組みがなかなか理解してもらえないと思うので、民都機構のスキームだけちょっと簡単に教えていただければと思うので、よろしくお願いします。

中島政府参考人 余り煩雑にならない範囲で御説明します。

 民間のプロジェクトが立ち上がりましたときに、そのプロジェクトに必要な資金を調達します。大ざっぱに言えば二つ方法があって、借り入れるか資本金で集めるかということでございます。その二つの方法がございますときに、国から民都機構に無利子のお金を出しまして、そこから民都機構がそのプロジェクトに対して金融的な支援をするということでございます。

 出資という手法が民間都市再生事業という緊急整備の事業でも使われますし、都市再生整備計画の区域、先ほどのまち交の区域でも、名前が似ていて大変申しわけないですが、使われるということです。緊急整備事業の中ではさらに無利子貸し付けとか債務保証の仕組みもございますが、出資は両方の地区で使われるということでございます。出資でございますので、もちろん配当、負担はございますけれども、事業の立ち上げのリスクをとるという意味で広く使われていってほしいなというふうに思っています。

亀岡委員 ぜひ、せっかく民間都市開発推進機構というのをつくっているわけですから、今お話が出た無利子貸付業務が幅広く行われるように、また出資というのも、民間がせっかくやりたいというときに、お金が要るときに、それをしっかりと促してやろうというためにつくったものでしょうから、そこは民都機構がもっと民間にすり寄って、民間が使いやすいような制度にしてあげていただきたいと思います。

 これは多くの方が知らないと思うんですね。だから、それを知らしめて、民間の活力がもっともっと生まれやすいような体制はいかにつくれるかというのを考えてあげないと、せっかくつくっても利用価値がなければ、これは意味がない。また、三件、三件で六件ぐらいというのも見たんですが、もうちょっときちんと利用されるような方法論も考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますので、そこも考えていただきたいと思います。

 それから、この都市再生特別措置法の中にも密集地帯というのがある。これは、密集地帯を災害の危険から守るためにもきちんと再生しようという都市再生の中の一つの目玉になっておりますが、なかなか密集地帯というのは難しいと私は思うんですが、その密集地帯も、知恵を出せばいろいろな方法論ができる。

 特に、密集地帯というのは都会が多いわけですけれども、都会の方なんかは、例えば区画整理なんかもそうですが、減歩率、自分の土地を出すのは嫌だとかいうことがよくあるわけですが、その中のものをまとめていくには知恵が必要だと思うんですね。

 例えば、私は区画整理なんかでも思うんですが、本当に土地代が高い、自分の土地を出すのは嫌だというときに、そこに道路ができることによって容積率が上がる、用途地域も変えて容積率を上げてあげて、例えば今の建物以外に、容積率を上げた部分に関しては、公共用地か何かを使ってそこに集約をして、高層ビルを建てて、その分を自分のところが引き受ける、公共事業者が引き受けて、そして、その分、減歩なしでもきちんと広い道路がつくれるような制度とか、空中権もそうですが、そういうような知恵を出して、容積率とかそういう制度的なもので密集地の解消ができる方法論というのはたくさんあると思うんですね。

 その辺をどういうふうに考えていらっしゃるか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

中島政府参考人 今御指摘ございましたとおり、密集市街地では、通常の区画整理を適用しましても減歩というのはほとんど不可能な地区が多いと思います。そういう中で、住んでおられる方にどういう、メリットという言葉を委員は使われましたけれども、インセンティブを与えていくかというのは非常に重要なことだと思います。

 これまで密集市街地のためにいろいろな法制度や税制、融資といった支援措置をつくってまいりましたので、それは、補助金とか金融的な措置あるいは税制とか、そういうメリットももちろんあるわけでございますけれども、それに加えて、委員が今おっしゃったような容積率を使うというのも一つの方法ではないかというふうに思います。

 今回の改正でも、密集市街地において受け皿住宅を整備できる場合に、一たんまとまった数のアパートをつくって、そこに密集の人たちを収容する受け皿住宅をつくる場合に、あらかじめ地区内の未利用容積を移転して、多少高い容積で受け皿住宅をつくって、その後、道路でありますとかその他の地域の整備を進めるといった制度も盛り込んでございます。

 こういった方法も活用しまして、密集市街地の整備が少しでも進みますように、意を用いてまいりたいと思います。

亀岡委員 局長、ぜひ用途地域も含めた制度そのものをそっくり見直して、先ほど言いましたけれども、特に中心市街地というのは、皆さん、自分の土地を手放したくないという、その土地の価値観が高いわけですから、逆に付加価値をつける。先ほど容積率と言いましたが、中途半端な容積をちょっとじゃなくて、容積率を変えて、その分、今建物がない分を例えば公共用地として買い上げてあげる、そしてそれを道路に充てるとか、密集地の政策というのは、せっかく特別措置法でうたっているわけですから、そういう思い切った制度の改革というのは考えられるかどうか、ぜひその辺の考え方もお聞かせ願えればと思います。

中島政府参考人 思い切ったというのがどの程度のことかというのはいろいろ議論があると思います。密集地の場合、密集地であっても、余り具体名を言うとよくないかもしれませんが、事後的な土地利用が相当見込まれるところ、東京の都心に近いような密集地とか、現に有名なビルが建っているところ、従前は非常に密集したところもございましたけれども、そういうところであれば、容積ボーナスというのはそれなりのインセンティブがあるかと思います。難しいのは、割とポテンシャルの低いところで、たくさんの容積があっても使い切れないといいますか、床の需要がそんなに出ないようなところは、思い切った容積率だけではなかなか話が進まない面もあるかと思います。

 ただ、密集の場合、重要なことは、これと決めないで、状況に応じていろいろな手法を組み合わせるということが非常に大事だということを経験的に思っておりまして、委員御指摘のような都市計画の特例も含めて、あるいは事業制度とか税制とか融資とか、いろいろな手法を、総がかりで取り組んでいくことが必要なのではないかと思います。

亀岡委員 局長、ちょっと理解してもらっていないようですが、未利用地とかそういうところが付加価値が高くて事業が転換できやすいというのはわかるんですが、そうじゃなくて、一番の密集地、住宅地ですよ。住宅地だからなかなか道路が広くできないわけですから、それぞれの住宅地の権利関係がまとまらないというのがあるわけですね。

 だから、その中で、近くに公共用地があれば、例えば公共用地のどこかあいているところを買い上げて、用途地域を変更してそこに高層ビルを建てられるように少しでもしておいて、例えば区民のホールでも何でもいいと思うんです。そして、住宅地も容積率を上げてあげることによって、自分たちの道路を減らさなくても、公共用地でその分を買い上げてあげるよ、その分を上にもらうよと。

 だから、まさに住宅地、事業用ではメリットはないかもしれないけれども、密集した住宅地をうまく解消して、広い道路にしながら、安全、安心を高めていくような、制度としての容積率を上げるという考え方もあると思うんですね。それを地方公共団体が買い上げてあげる。減歩、本当に実際の土地を提供しなくても、それをしっかりと官公庁が引き受けることによって、密集地がなくなっていって、住みやすい環境が生まれる。特に都心部とかそうだと思うんですが、そういうやり方をしないと密集地というのはなくならないと思うんですね。

 まして、いい居住環境をつくっていくにはそういう制度もあると思いますので、ぜひその辺は、土地代がよくて事業用に転換できるところだけというのじゃなくて、逆だからこそ地方公共団体が国と一体となってやらなきゃいけないということがあると思いますので、その辺、考え方だけ御理解いただければ、一つだけお願いします。

中島政府参考人 おっしゃることはよく理解したつもりでございます。高容積の住宅地が配置可能なところは、制度としてはいろいろな制度がございますので、そういった制度を使って、思い切った手段を、現場の声も聞きながらとっていくような体制を組みたいと思います。

亀岡委員 今私もお話しさしあげたとおり、せっかく都市再生特別措置法の中で容積率の問題もうたっているわけですから、今みたいな、本当の密集地を解消するために容積率を大きく変える、用途地域も変えながら密集地をなくしていきたい、より安全で快適な生活空間をつくり出すということをぜひこれからも考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、密集地だけじゃなくて、いろいろな都市再生事業の中において一番大事なのは、先ほど言ったノウハウだと思うんですね。確かに官公庁でやるノウハウというのはたくさんあるかもしれないけれども、それ以上に、先ほどの民都機構であり都市再生機構であり、たくさんの経験を積んできているわけです。今回の耐震偽装問題でも活躍をされました。まさに密集地も含めて、これからの都市再生というのはそういう人たちの知恵もしっかり生かしていかなきゃいけない。

 そこに都市再生機構もきちんと活用するとうたってあるわけですが、都市再生機構の皆さんの取り組みいかんによっては、これが成功するかしないかということも生まれてくると思いますので、都市再生機構としてのきちんとした取り組み、しっかりした考え方を聞かせていただければと思うので、よろしくお願いします。

松野参考人 お答えいたします。

 地震時に大変大きな被害が想定されます危険な密集市街地がございますが、ここは権利関係も大変複雑でございます。狭小な敷地が多い、あるいは高齢者の方も比較的多く居住するというような状況がございます。したがいまして、民間による十分な取り組みがなかなか困難ということと思われます。

 そのために、私ども都市再生機構としては、我々の業務としてしっかり取り組むべきだと考えてきておりまして、これまで五十六地区におきまして取り組んでおりますが、その中で、地元の合意形成あるいは計画策定等のコーディネート業務を十三地区で実施しております。また、大規模種地を活用しました道路、公園等の整備あるいは建物の不燃化促進事業を十六地区、それから、木造賃貸住宅の建てかえ支援あるいは公団賃貸住宅の供給を四十八地区で実施してきております。また、防災街区整備事業の事業化に向けた権利者の調整を二地区で実施してきている。こういう状況でございます。

 今回、この法律改正におきまして、地方公共団体からの要請に基づいて、従前居住者用賃貸住宅の建設等の業務が位置づけられておりますので、都市再生機構としては、地方公共団体とさらに一層緊密な連携を図りながら、国庫補助制度を導入しつつ、これまで培ってきました私どもの権利調整等の市街地整備のノウハウあるいは賃貸住宅の建設、管理等のノウハウを活用して、今後とも、密集市街地の整備、改善に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

亀岡委員 松野理事、ぜひ今の取り組みの姿勢を貫いていただくということと、もう一つ、大型種地の問題で、いろいろ公園とかつくられて、まちづくりに今まで関与してきたと。ぜひ、その種地を使いながら、今度は、近くにある住宅密集地も含めた、その種地を使った利用方法論を考えていただいて、地域の公共団体と一緒になって、密集地解消をするには周りも含めて一緒になってやらなきゃいけないと思いますので、もう少し地域を広げていただいて、住宅だけの密集地も一緒に抱えて、それを解消できるような都市再生法にしていきたいと思いますので、その辺は頭の隅に置いていただければと思います。

 最後に、やはり住宅局が一緒にかまないとそういう制度は実現できないと思いますので、まさに住宅密集地解消に向けて、これから本当に取り組む姿勢を住宅局長からお話しいただければと思うので、よろしくお願いします。

榊政府参考人 現在、重点密集市街地、八千ヘクタールを指定しておりまして、平成二十三年までにこれを解消したいというふうに思っておりますが、現在のところ、今のままの推移でまいりますと、そのうちの約四割がやはり整備が二十三年までにはできない、こんな状況にございます。

 したがいまして、委員御指摘のような仕組みも考えつつ、今回の法律改正を通していただければ、それを契機に直ちに都市再生機構なり公共団体と連携をいたしまして、一日も早い八千ヘクタールの解消に向けて努力をしてまいりたいと思います。

亀岡委員 ぜひ、今お話しいただいたように、この法案がきちんと通ると思いますので、その中でこれから実現、本当に何年でどれぐらい実現できたかというのが国民が一番期待するところだと思いますので、密集地解消と都市再生事業というのは全力で取り組んでいただきたいと思います。そのことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の法案審議でございますが、昨日午前中に発生をいたしました全日空機のいわゆる胴体着陸について、航空事故関連で少し確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、きのう起こった事故、実質的な被害が出なかったということは大変よかったと思いますが、航空機事故は発生してしまった瞬間に多数の人命が飛んでしまうという極めて深刻な被害をもたらすということで、しっかりとした事実認識というか、きょうも各紙報道がされておりますので、確認をさせていただきたいと思います。

 まず、カナダのボンバルディア社ですか、このダッシュ8―400という同機は、就航わずか四年間でいわゆるイレギュラー運航と言われるトラブルが七十七件発生したという見出しがきょうは飛んでいるわけでございまして、その文章の中で、例えば、この機種は危険な機体だというような指摘があったり、橋本高知県知事は機種の変更要請まで踏み込んで全日空の社長にそういった要請をきのうされたというような話がある。

 一方で、私が聞いている話では、昨年の四月には国交省もカナダのボンバルディア社を訪問してわざわざミーティングをされているということであって、まず、このボンバルディア社のDHC8―400というのはそもそも危険な機体であったと今報道されていることについて、どのような認識があり、どのような対応をされているのかということを航空局長から御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 昨日のボンバルディア機の事故につきましては、私ども、大変重大な事態だと認識しておりまして、その対応をしっかりやりたいと思っておるところでございます。

 その中で、御質問のボンバルディア社製のDHC8―400型機、ダッシュ8―400と言っておりますが、これは七十四人乗りのプロペラ機で、性能は非常にいい航空機であります。ただ、平成十五年より我が国に導入されまして、それ以来、先生の御質問にもありましたように七十七件のトラブル、それからきのうの事故、それから平成十六年十一月に重大インシデントと言われるやや重大なトラブルも発生しております。これまでも、国土交通省として、その運航者に対しまして、原因究明と再発防止策の策定等を指導したところでございます。

 この七十七件の中には、必ずしも機材の故障ということではなくて、計器表示のところが誤表示して引き返したとか、そういうものも多数含まれておるわけでありますが、いずれにしても、ほかの型と比べてトラブルが多いということで、どうも設計の改善とか製造段階での品質管理の徹底というものが必要ではないかということで、昨年の四月に航空局の担当官をカナダに派遣いたしまして、ボンバルディア社に対しまして、トラブルの原因究明と再発防止策の策定、それからトラブル低減のための設計の改善等について強く申し入れを行いますとともに、責任当局でありますカナダの航空局に対しても、製造会社への一層の指導監督の要請を行ってまいりました。

 以来、ボンバルディア社は、当時トラブルが発生しておりました系統の設計を見直すことによりまして、改良型の部品を順次開発してきております。既存の航空機につきましても、その改良型の部品を用いた改修方法を運航会社に紹介いたしまして、日本の運航会社もこれに基づいて改良型部品の導入を積極的に行っているところでございます。

 その結果、最近のトラブル発生状況は、当時に比べますと若干改善をしておるという状況でございますが、今回は、過去になかった、二重の制御装置の非常用の方も動かなかったという重大なトラブルでありますので、これにつきまして、事故原因の調査結果等を踏まえまして、必要がありましたらボンバルディア社に対しまして是正対策を求めるなど、適切に対応してまいりたいと思っております。

赤羽委員 今、昨年の四月、カナダのボンバルディア社とのミーティングで設計の変更、改善を求めて、改良型の部品が使われるようになったというようなお話がございました。それで、ボンバルディア社の中でのそういったイレギュラーなことも少なくなってきたという御答弁だったと思いますが、きょうの新聞で、昨年四月からことし二月までの機材故障による欠航率が〇・一六三%だ、これは、より運航便数が多いボーイング777の約五・六倍に達したと。

 ですから、ボンバルディア社としては改善が見られているけれども他の比較としてはまだかなり悪い数字だ、こういった記事のあれは、評価としては正しい評価なんですか。どうなんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、他の機種と比べてまだ欠航率あるいはトラブルの発生率が多い状況にあると思いますので、そこのところは、メーカーあるいは責任当局でありますカナダの航空局とも力を合わせて、何とか事態の改善に力を注いでまいりたいと思っております。

赤羽委員 あと、けさの日経新聞に、今回の前輪を格納した扉をあける通常装置を動かす油圧系のトラブルが昨年二月九日と五月六日に計二件発生していたことが判明した、このようにあります。これは、判明したというのは、今判明したのかどうかということで、ちょっと確認で御答弁をいただきたいんです。

 これは当然、事故が発生したときに、国交省にはそういった報告が来ているはずでありますし、それなりに航空会社にも国交省からの指導というか、やりとりがあったはずなんですが、この点について、きょうの報道では何か今回で判明したみたいな報道がありますけれども、その事実確認を、どうなのか教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 過去のトラブルについてはすべてその都度承知をしておりまして、今までの足が出なかったトラブルも確認をしております。しかるべき対策を運航会社なりボンバルディア社と講じておるところでありますが、今までは、幸いにも非常用の手動の足下げの装置は機能して、手動で足がおりて事なきを得たという状況でありました。

 今回は、その非常用の手動装置も動かなかったという大変重大な事態でありますので、ここはしっかりと事態の原因究明あるいは対策に取り組んでまいりたいと思っております。

赤羽委員 また一方で、全日空自体の整備についてミスがあったのではないかというようなコメントを載せている方もいます。もちろん、今回の事案については航空事故調査委員会のあれを待たなければいけないかと思いますが、国交省としての認識ですね。今回は全日空ですけれども、整備状況、これは二年前、抜き打ち検査をやるようにしたとか、随分いろいろなことをやっているはずなんですが、その点についてどういう状況なのでしょうか、御答弁をいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 先生おっしゃいましたとおり、今、事故原因の究明につきましては、事故調査委員会の担当官が現地で調査するなど、これから究明がなされるところでありますが、私どもが全日空から聞いている限りでは、ボンバルディア社から提示されたマニュアルに従って整備がきちっとなされておる、それから、当日も運航前点検では特段の異常はなかったという報告は受けております。

赤羽委員 今回のことは調査結果を待たなければいけないということですが、今考えると、整備上そんなに問題があったとは考えにくいというような想像もつきますし、どうも、このボンバルディア社のこの同型機が、この機材がどうだったのかなというところは少し疑念の余地が残るのではないか。このことについて、ちょっと改めてでありますけれども、橋本知事から機種の変更についての要請が全日空社に出されたことについて、国土交通省として何らか関与していくのかどうか。

 なぜこんなことを聞くかといいますと、ボンバルディア社のこの機材は大変利便性がいい、プロペラ機だけれども静かでスピードも速い、地方を就航するには非常に適性が高いという、ややもすると、少々安全性を軽視してこれを使っているというような、そうとられるような傾向もあるんではないか。そのことを橋本知事は懸念されて、人命尊重というか、生命を第一にしてくれという当たり前のことを要請されたんだと思うんです。今すぐ結論を出す話じゃないかもしれませんが、この辺の感覚、認識についてはどうなんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、このダッシュ8―400型機につきましては、プロペラ機では非常に多い七十四人のお客さんが乗れる、それからスピードも通常のプロペラ機より少し速うございまして、六百五十キロぐらい出るということで、特に近距離の路線ではジェット機とさほど運航時間も変わらないということで、利便性は高いものと認識しております。

 特にこの高知便につきましては、今までは伊丹空港からジェットで飛んでおったわけでありますが、これをこのプロペラに切りかえることによってむしろ便数は倍近くにふえて、二時間に一本飛んだのが一時間に一本飛べるようになるとか、そういう意味で、お客様の利便性という意味では非常に高い飛行機だと思っております。

 しかも、なかなかそのエアラインの機種選定、これはエアラインが決定するものでありますけれども、一度決めますと、それに合わせてパイロットとか整備の要員もきちっと養成しておりますので、簡単に急にほかの機材に切りかえるというわけにはいかない事情がございます。

 したがいまして、我々としては、きちっと安全はしっかり守りながら飛んでいただかなければ困りますので、この機材につきましては、全日空だけではなくて、JALグループが持っておる九機、これも含めまして、二十二機全部に緊急に前足部の点検をするように指示をしたところであります。

 さらに、ダッシュ400ではなくて、ダッシュ100から300のもう少し小さい同じボンバルディアの機材がございますが、これも同じようなメカニズムで足の構造ができておるということで、そちらの方につきましても緊急点検を指示して、今やってもらっているところでございます。

赤羽委員 しっかりと安全第一で取り組んでいただきたい、当たり前のことでありますが、申し上げておきます。

 もしこれがきのう着陸を失敗していたら、七十名の命がなくなっていたら、こんな状況じゃ多分ないはずなんですね。全日空の社長も当然すぐ辞任をするというような事態であったと思うので、その事の重大さというのをかみしめてやっていただきたい。当たり前のことでございますが、言わせていただきたいと思います。

 一方で、やはりきのうは、テレビ報道を見る限り、パイロットと客室乗務員の方が、ああいう大変危機的な状況の中で、報道だけ見聞きしますと、すばらしい行動ができたんじゃないか、乗客の皆さんも余りパニックにならなかったというような話も聞いておりますし、別にくさしているばかりの質問じゃなくて、そういったことは大変よかったのではないかというふうに思いますが、そのことについては、局長としてはどのような評価、認識をされていますでしょうか。

鈴木政府参考人 おっしゃるとおり、こういう事故とかトラブルがまず起きないということが一番大事なことでありますが、もし万一起きた場合に、いかに冷静にそれに対応して被害を最小限に食いとめるかということも大事な点だと思っております。その意味で、きのうの事故につきましては、私どもも報道から間接的に知る限りでありますが、パイロットも客室乗務員もかなり冷静、的確に対応したのではないかなと思っております。

 特に胴体着陸のところは、報道では、横から見た、機首をなるべく保って、最後に接地してというところの映像が出ておりましたが、実は、縦方向、滑走路から逸脱するというのも非常に困るわけであります。なかなか制御しにくい状態であります。そちらの方も、後で状態を見ましたところ、滑走路中心線灯という灯火が三十メーター置きぐらいにありますが、これが十一個壊れておりました。ということは、まさに真ん中にきれいにおりたということでありまして、そういう意味でも、胴体着陸は非常にうまくいったんではないかと思っています。

 それから、お客さんがパニックにならないように、いろいろ機内アナウンスとか客室乗務員の指示とか、そういうことも冷静になされて、ああいう形で、おりた後の乗客のインタビューを聞いても、皆さんそれなりに冷静に対応されておったということでございますので、私どもとしては、そこのところは一定の評価をした上で、また今後の備えとしてしっかり検討してまいりたいと思っております。

赤羽委員 一方で、その数日前に、日本航空のイギリスからの国際線でパイロットが客室乗務員を乗せて写真を撮ったというようなことで報道されていました。私、まだこんなことをやっているのかと正直言って思いました。

 二年前、いわゆるヒューマンエラーというのが続出して、事業改善命令が出され、事業改善命令が大臣から発出された直後にまた似たようなヒューマンエラーが出るということで、当時は、JALといわゆるエアシステムの合併云々ということもあって、恐らくそういったふぐあいが生じているんではないかという、当委員会でも大変質問が続出したわけであります。

 ようやく改善傾向が出ているのかな、こういった認識の中で、多分、国際線の正操縦士というと相当ベテランでもあるはずで、それは個人的な問題というよりも、組織の緩みが出ているんではないか。やはり大問題につながる原因というのはどこかにあるんではないかということで、こういったことを、何か個人の問題ということではなくて、やはりしっかりしたことを、二年もたたずして組織の雰囲気が乱れる、緩むというのは、私は、五百人以上の人を乗せる国際線のパイロットとしてはやや不適格なんではないかと。

 屹立した国交省としての姿勢をちゃんと見せるべきだと思いますが、その点についてはどのような御見解でしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 日本航空におきましても、一昨年以来連続して発生した安全上のトラブルを受けまして、十七年三月に私どもから事業改善命令を発出したところでありますけれども、これを受けて、日本航空は、全社一丸となった安全意識改善等の措置を実施してまいりました。

 私ども、継続的に立入検査を実施するなど、日本航空の安全管理体制につきまして厳正な監視、監督を行ってきたところでありまして、その結果、一時期よりはヒューマンエラーなどによる安全上のトラブルというのはおさまりつつあるのかなと考えております。

 しかし、昨年十二月に機長が先生の御質問にあったようなそういう振る舞いをしたということは、非常に遺憾でありまして、これにつきまして、日本航空に対し、再発防止策の検討を指示するとともに、私どもとしても行政処分をこれから検討してまいりたいと考えております。また、日本航空に対しましては、もう一度きちっと社内の安全管理体制を見直すように、またよく指導をしてまいりたいと考えております。

赤羽委員 ありがとうございました。

 本当に人命の重さをしっかりと受けとめて、国土交通省としても万全の対策をとっていただきたいと強く要望したいと思います。

 それでは、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について伺いたいのですが、まず総論的な話であります。

 この都市再生特別措置法ということを立法化したときに、当時の、東京を初めとする大都市の国際競争力を高めていく、いわゆる都市の魅力を高める、こういったことが法律の趣旨の一つだったと思いますが、同時に、この特別措置法第一条の「目的」の中に「都市の居住環境の向上」、いわゆる町中居住の推進というようなこともうたわれたと思っております。

 一方では、当時から、都市が魅力を持つ、そうすると当然地価も上がる、結局、町中居住といってもなかなかお金持ちしか住めなくなるのではないか、矛盾しているのではないかというような指摘もありながら、この特別措置法が施行され、現在まで至った。

 確かに、これは経済の動向ともかなりリンクする話だと思いますが、東京なんかに生活をしておりましても、五年前とは様相が随分変わってきた、これは確かであります。私が今住んでいる高輪の周辺にも高層の四十階以上のマンションが建っていますが、なかなか普通の人が住めるような状況じゃない。しかし、当然、そこにも一億円とかといういわゆる億ションが完売をされているといったような状況があった。

 これは、町中居住ということと都市再生というのはやはりなかなか両立できないんではないか。都市の魅力を上げる、国際競争力を上げていくことによって、やはり住みかは郊外にという方向になっていってしまうんではないか。政府の考える今の都市政策、この辺の整理はどのように考えているのか。理想的に言うと、本当は山手線の中に住めるような東京というようなことをあの法案の審議のときには言われていたかと思うんですが、その点について、今経過した状況の中での認識を聞かせていただきたいと思います。

中島政府参考人 九〇年代初期のバブルのころも、オフィス需要が旺盛で、オフィスのビッドといいますか、つけ値が非常に高いものですから、混在した用途地域といいますか、住宅もできるしオフィスもできるようなところでは、オフィス需要が勝って住宅が追いやられるというようなことも指摘をされました。結果、バブルだったわけですけれども、それほど実需はなかったわけでありますけれども、そういう現象が広く見られるという指摘もあって、現に都心の人口が随分減った時期を我々も、先生もよく御存じのとおりでありますが、経験しておるわけであります。

 その後、都心居住という旗を掲げまして、あらゆる対策を、当時は非常に困難な課題に思えましたけれども、これまた先生今おっしゃったように、その後の経済情勢もあるかと思いますけれども、地価が安定したということも大きな要素だと思いますけれども、結果として、都心三区に人が戻り出し、都心にマンションが建ち始めて、かなりの好調と言われる時期を迎えたわけであります。

 我々としては、都市再生の一環として当初から居住のことを入れていたつもりでございまして、都市再生で業務都市として町が再生することが、結果として居住者にとって住みにくい町になるということにならないようにしなきゃいかぬということだと思います。

 もっとも、本当のコアの都心部といいますか、大手町、丸の内とかそういうところはそれなりの業務センターであっていいんだと思いますが、東京は何といっても広い。山手線なんかも広いですし、港区なんかは大住宅地と言ってもいいぐらいのところだと思いますので、そういったところに安定した居住が確保できるように、バブルの反省も受けて、マンション専用の住居地域なども用途地域で、第一種中高層住宅専用地域でしたでしょうか、そういうものもつくりましたし、その後、都心居住のためのいろいろな補助制度もつくってまいりました。

 ちょっとここへ来て都心のマンションの方は足が鈍って、地価の動向だとか心配されるということがありますけれども、私どもも状況をよく注意しながら、よい居住環境を備えた、プロジェクトとしては専らオフィスというのは結構少なくて、最近は、商業機能も入り、住宅も入り、オフィスも入るというものがございますし、都市再生の最初の認定はたしか青山の住宅のプロジェクトだったと思いますが、都市再生を進めていく上で、都心居住がともに満たされるような方向を模索していくつもりでございます。

赤羽委員 それでは次に、重点密集市街地の整備について質問を移させていただきたいと思います。

 先ほどお話がございました。これも、この都市再生プロジェクト第三次決定においてもそうですし、住生活基本計画の中でも「良好な居住環境の形成」ということで、対象の八千ヘクタールを十年間で解消していく。現状では、報告では約三割ぐらいしか重点密集市街地の解消が進んでいない。なかなかそんな、言うはやすく、先ほど局長の答弁にもありましたけれども、難しい現実のところがあると思うんです。このままですとこれは結局難しいんですね。

 結局、地震が来ないときれいにならないみたいな話というのは、阪神・淡路大震災の長田の例なんですよ。だからこれは、このままほっておくのかどうか、相当強制的な取り組み方をどうするかということなんじゃないかと思うんですね。

 まず一つは、その前提として、先ほどの質問にも出ていたので、出ていないところで聞きますけれども、そもそもそういうところは地籍調査とか進んでいないんじゃないか、そういったことをどうするかということが一つ。

 もう一つ。阪神大震災のときに密集市街地のところがこれだけ被害が起こってしまったんだということを丁寧に行政区単位ぐらいで啓蒙するというか、まず地方公共団体のところでどうするかということがあって、そこがなかなか進まないから国として法律を変えてくれという話なんじゃないかと思うんですよ。

 今の時代、国が密集市街地だからといって全部強制的にどけるなんということは、やりたくたってなかなかできない時代なんですし、このことについて、その辺にちょっとしっかりとした、今言ったことをまず前提としてやらないと、今回の法改正でもそんなに劇的に見通しが改善されるとは私は思わないんですが、この点について適切にお答えいただければと思います。

松原政府参考人 地籍調査につきましてお答えを申し上げます。

 御案内のとおり、地籍調査は、土地取引の円滑化、あるいは公共事業の用地取得のための期間の短縮でございますとかコストの縮減、さらには、民間が事業を行います場合にも、あらかじめこういったことがきちっと終わっておりますと非常に円滑に進むというふうに私も理解をしております。

 ただ、先ほど先生御指摘のとおりで、実は今、全国の面積ベースで、地籍調査の進捗率でございますけれども、四七%でございます。都市部におきましてはこれがさらに低くて、実に一九%ということで、おくれておるものと私どもも認識しておるところでございます。

 三年前、平成十六年度から三カ年間かけまして、都市再生街区基本調査というものをやらせていただきました。これは、地籍整備に必要なデータの収集でございますとか、あるいは地籍整備の前提となります全国のDID地区の街区の基準点を整備する事業でございまして、その意味ではかなり進んできておるものと思っておりますが、さらに今、国会で御審議中の十九年度予算案におきまして、街区外周の境界情報のさらに一層の整備を促進するための都市再生街区基本調査(土地活用促進調査)なるものをお願いしておるところでございます。

 こういった事業を通じまして、登記制度を所管しております法務省でございますとか、あるいは都道府県、それから、実際に地籍調査のためのマンパワーをお出しいただきまして、さらに住民との間でいろいろな調整をやっていただいております市町村とも連携をとりまして、さらに一層進めていきたいというふうに思っております。

 都市部におきまして急ぐべきだという先生の御指摘は、まさに私どももそのとおり認識しておるところでございますので、今後とも頑張ってまいりたいというふうに思っております。

榊政府参考人 委員御指摘のように、現在までの進捗状況が三割ということでございまして、このまま推移いたしますと、平成二十三年度末で四千七百ヘクタールということですので、おおむね六割の水準にとどまります。

 その理由としては、老朽建築物がございますが、そこに住まわれている方は家賃負担能力の低い居住者とか高齢者が多いということで、その地区内に移転の受け皿となる住宅が少ないということで、したがってなかなか立ち退けないんだ、こういうお話がございます。

 それから、関係権利者といいますか、地上権者とか借家権者の方がたくさんおられるということもございまして、道路等の公共施設用地を買っていこうという場合にも、なかなかその権利関係が複雑で進まない。

 加えて、狭小な敷地ですとか、法律で定められている接道条件を満たさないといったような住宅が多うございまして、では、自主的に建てかえでセットバックできるかというと、その建てかえもままならないので既存不適格なままなので、そのまま修繕、維持かなんかで済んじゃう、こんな世界がございます。

 でございますので、こういった隘路を打開せざるを得ないということで今回の法律改正をお願いしておるわけでございます。

 受け皿住宅の不足という点では、地区計画制度を活用して、容積率を、いわば移転をしていただいて、公共施設の整備を一緒にやりながら受け皿住宅の整備ができるんじゃないかとか、公共団体の要請で都市再生機構が受け皿住宅を整備できるようにということで、こういったような形で受け皿住宅を整備する。

 公共施設の整備については、強制力を備えた防災街区整備事業について、いわば非耐火に加えまして非耐震の建築物も合わせて三分の二以上であれば整備の対象事業になるよということとか、再開発事業につきましても、第二種でございますけれども、五千平米から二千平米に規模要件を引き下げましてそういった事業をやりやすくするといったような形で、道路の基盤整備と老朽住宅の建てかえを一体的に進めていけるのではないかというようなことも考えております。

 現状の建てかえが困難であるということにつきましては、先ほど申し上げました防災街区整備事業とか二種市街地再開発事業を活用するとか、それから、所管行政庁の認定を受けました建てかえ計画についての税制上の特例措置が新たに認められることになりますので、地権者の自発的な建てかえをこれによって誘発していくというようなことで、今回の改正ができますれば、それを最大限講じまして、何とか二十三年度までに解消を迎えたいというふうに思います。

 それから、都市再生機構も活用した、今既に都市再生機構の方でいろいろな調査なりノウハウの提供をいただいておりますが、そういったような形で、東京、大阪、兵庫、福岡といったようなところについては重点密集市街地が多く分布しておりますので、都市再生機構によるワーキンググループ、公共団体と一緒になってそういったワーキンググループを設けるなどして、すぐに検討に入れるような体制を組みたいというふうに思っているところでございます。

赤羽委員 榊さんが防災担当の政策統括官のときに、首都直下型の地震が起こったとき、具体的な被害想定の数字も発表しているはずなんで、そういった発表をしている以上、それに対応をとるような都市づくり、密集市街地の整理が進むことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 都市再生特別措置法改正案に関しまして質問をさせていただきます。

 本日ですけれども、この都市再生特別措置法に関連して、このプロジェクトに関連した本部の三人の副本部長の方に来ていただきたい、つまり官房長官、地域再生担当大臣、そして国土交通大臣が副本部長になっていらっしゃいます。お三名様、お話を伺いたいと思いましたけれども、この委員会に来られないと。また、所管のことも伺っていきたいと思いますが、委員会が重なっているということでございますので、ここはちょっと譲りまして、国土交通大臣、唯一の副本部長でもあられますので、しっかり御答弁いただきたいと思います。

 まず、質問に入る前なんですが、この法案、きのうの夕方になりまして所信が述べられ、非常に質疑までの時間が短い。これは本当に審議する気があるのかと思わないでもない。そして、さらにこれに関して言えば、すべて職権で立てられているということ、この点に関しては強く抗議を申し上げたい。

 そして何よりも、このもととなったのが、もともとといえば、やはり予算委員会を初め、本来、通念から見ても、国民の税金、今多くの皆さんが、無駄遣いがあるんじゃないか、いろいろな大きな怒りを持ち、そして、格差社会と言われる中で、物すごい負担を個人には強いている。高齢者の方においては、生活費が足りないからといって本当に痛ましい事件、心中まで起きている。また、障害者の問題においても、手当てはされましたけれども、その点に関しても本当に親子心中という事件まで起こっている。やはりこの点に関してはしっかりとした審議時間をとるべきであるということを強く、再度強く言わせていただきまして、質問に入らせていただきたい。

 質問の前にもう一つあるんです。大臣、第百四十五回国会において国会審議活性化法というのが成立され、これは、議会の中でもっともっと審議をしていこう、そして政治家同士もっと審議を深めていく、そういう大きな意味での国会の改革がなされたということであります。大変私にとっては、これは非常に国会の中においていいことだと思いますし、その趣旨はどんどん生かしていくべきだと思います。

 この中の新制度に関する両院合同協議会においての申し合わせ、「委員会のあり方」というところに、政務次官が質問取りの先頭に立つことの意味というのがございます。きのうの夜からというか夕方から、質問取りがしたいと言って、正直、私、ちゃんと通告はさせていただきましたし、大臣にもお答えいただきたいということで答弁者のお願いもいたしました。しっかりとその点はいたしましたが、それでもなおかつ来られるのは政務官の方ではありません。特にここに書いてあるのは……(発言する者あり)指揮をとった形跡はあるんでしょうか。

 大臣、その点に関してここに書いてあることは、「政務次官は法案の閣議決定後、各党(野党)の国対委員長に対し法案の趣旨の説明をする。」とあります。この点に関しては、大臣、ちゃんと政務官はやっていらっしゃるということを認識されているのか、まず伺いたいと思います。(発言する者あり)

冬柴国務大臣 申し合わせは誠実に履行すべきである、このように思いますので、もし足らざるところがあれば改めたいと思います。

小宮山(泰)委員 法案のことをやれと与党の方はおっしゃいますが、法案のことですよ。閣議決定をした後に法案の説明を政務次官の方がされるということがあるわけですから、法案のことじゃないですか。そんなことでやじ飛ばさないでください。委員長、こういったやじに関しては、ぜひ注意をしていただくことをお願いいたします。(発言する者あり)

塩谷委員長 御静粛にお願いします。

小宮山(泰)委員 さて、実際にこの法案、先ほどもちょっといろいろありますけれども、特別措置法という形で出されていたということであります。特別措置法、その期限の延長ということが今回の法案の大きな一つの意味でもあると思います。

 この点に関してですけれども、実際、この「都市再生の歴史」という、ホームページにあったものですけれども、震災からの復興であったり、これは関東大震災ですね、一九二三年、そして戦災の全国の都市においての一九四〇年代、五〇年代の戦災復興、また、オリンピックと高度経済成長期においての都市再生であったりとか、いろいろあります。

 都市再生本部というのは、こういう中においては、経済的な復興という形でこの都市再生というものが変わってきた、都市をつくるということから経済的な理由、そんなようなところも含んできたという意味では、ある意味、一番最初の都市再生という言葉とは随分様子は変わってきているのではないかという思いがしております。

 まず、基本的なことになりますけれども、この都市再生法、御説明いただいたときに、三つの法律が基本的には一緒になって出てきているものであります。大きくは、都市再生特別措置法、密集市街地整備法、道路法等の改正というのが合わさってきています。

 その中で、都市再生といって、都市再生プロジェクトというものを、二十二のプロジェクトがあります。そして、稚内から石垣までと非常に大きく、村と言えるところも恐らくこの中にはまじるんですが、この場合の都市というものの定義は国土交通省では何というふうにとらえているのか、まず伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 都市というのは、もちろん村とかとは違うと思います。多くの住民がそこにお住まいになり、そして都市としての、その人たちの共用する施設、例えば公園とか道路とか港湾とか、あるいはもちろん市役所とか、そういうものが整備された一つの地理的あるいは人間の集団としての集まり、そういうようなところが都市とされるんでしょう。

 それから、法律的には都道府県、市町村というものがありますから、その中の市、あるいは政令市、中核市というようなものが市と呼ばれているわけでありますが、それは、今述べたような、ある程度の人の集団があり、そしてその中には公共の施設というものが整備された、そのような地域を指すのであろうと思います。

小宮山(泰)委員 それでは、この都市再生という意味は、何をもって再生という言葉になるんでしょうか。都市再生の定義をお聞かせください。

冬柴国務大臣 それは、本来備えるべき機能というものが、その後の時代の変遷とかそういうものによって損なわれる、例えば、市街として非常に密集した住宅が立て込み、その中には、一朝火災が発生するとか震災が発生するといったときに、その避難路すらまともにないというような状況に密集しますと、これをもう一度、あるべき姿と申しますか、そういうようなものにつくりかえようというのが再生という意味だと思います。

 そのほか、例えば、たくさんの方がお住まいになりますと、そこに廃棄物、ごみというものの集積ができてしまいます。こういうごみの処理というものも大変重要な問題でございまして、これに対しての取り組みというようなことも、ごみの山の中に都市ということではあり得ませんので、これをあるべき姿に戻す、そういう作業もあると思います。

 そのほか、積極的に近代の科学というものに立脚したまちづくりをする、あるいはそこが持つ天然資源や文化、歴史を踏まえた町につくりかえるというのも再生という意味があると思います。

小宮山(泰)委員 非常に広範囲なんだということになるかと思います。密集しない、また歴史を生かしたところ、ある意味、もしかするとこれは矛盾しているのではないかと思わないでもない。

 また、この中で大きく掲げられておりますけれども、都市の負の遺産、これは密集地の方の法律に出てきますが、都市の負の遺産というのはどういったことを言うんでしょうか。定義をお聞かせください。

冬柴国務大臣 今ちょっと申し述べましたけれども、そういうような、家が低層であり、そして小さな家が密集することによって、地震とか火災、火災がいきますと、その一戸だけではなく、面的に密集市街そのものが類焼してしまうということになりますし、それから震災の場合にはそこから逃れることもできないような状況で、多くの人命が損なわれるというような状況が発生する可能性があるわけです。

 したがいまして、そういう密集市街というものをつくりかえる、あるべき姿につくりかえるという作業が密集市街地の改造だと思います。密集市街というのは、先ほど述べたような状況を指します。

小宮山(泰)委員 この言葉なんですけれども、非常に大切だと思います。私は、この法案を見ていてどうしてもわからないのが、何をしたいのかがわからない。正直なところ、村から都市、大都市まですべてまざっている。この定義なくしては、この法律が本当の意味で成果が上がったという法律にならないのではないかという思いがしております。

 また、負の遺産の定義というのは、今お話を伺っていましたけれども、防災上のことが主なのかなという思いがしております。

 お電話をかけられている議員の方、いらっしゃいますけれども、それは室外の方でやっていただくように、委員長、ちょっと……。おやめになりましたね。御注意の方、お願いいたします。よろしいですか。委員長、できれば電話で話すのは外、室外でやっていただきたいということを。

塩谷委員長 もうやめましたから。

小宮山(泰)委員 やめましたじゃなくて、それは注意をちゃんとしてください、委員長、お願いします。

 真正面で見えるものですから、さすがにこれはあれだと思います。

 さて、都市の負の遺産の定義に戻らせていただきます。

 これは本当に負の遺産なんでしょうか。この点に関しては非常に、負の遺産だと認定されるところの地域は負だとは思っていない、そこには綿々とした、活力ある、ドラマにもなるような多くの人生があり、そして生活があります。この定義というか、この言葉というものは不適切なんじゃないか、また負の遺産というもの自体が時代によって変わっていくんだと思います。

 この点に関しては、表現をぜひ変えていただきたいとまず冒頭お願いしたいんですが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 負の遺産というのは評価であります。したがいまして、その言葉をどのように解釈するかは、それぞれの人々の思いがあると思いますけれども、その内容は、私が先ほど申し述べましたように、震災で多くの人が被災をしないように、あるいは、それはもともとはもっと散らばった家が建っていたと思うんですけれども、そこに多くの人が、便利で土地が安いとか、いろいろなことがあるんでしょう、多くの人がそこに狭隘な、四メートルに接道しないような家もそこに建ち並ぶというような問題が都市の中で生じたわけであります。また、それは交通渋滞ということも、最近の交通機関の発達によって慢性的な交通渋滞というものができてきた。そういう問題が、二十世紀が生んだ状況であります。

 したがって、これは我々の子供や孫たちに残すのではなしに、それは負の遺産、すなわち、そういうものを負の遺産として直していこう、もう少し広い道に面した、快適な、そして豊かな住生活を保障しよう、あるいは交通渋滞をなくすように道路を整備しようというようなことが再生ということにつながるわけであります。

 したがいまして、私は、それを負の遺産と呼ぶのは、自分の住んでいる地域を負の遺産と言われたら腹が立つ人もあるとは思いますけれども、それには文化や伝統もありますけれども、しかし、客観的に見たときに、そこが都市として備えるべき機能を備えていないというような場合には、やはりこれを前向きに直していこうというのが政治ではないでしょうか。都市機能の高度化とか都市の居住環境の向上とかいうようなものを目指すものが都市再生だろうと私は思います。

小宮山(泰)委員 この点に関しては余り譲れません。負の遺産と言うのではなく、そこをあいまいにしていることであって、防災上危険な地区なら危険地区と言った方が適切なんだと思います。

 大臣のお近くになる、私は埼玉ですから、私から見ればお近くだと思います、法善寺横丁、あそこはやはり肩が触れ合うほど、「夫婦善哉」のあの場面になったところなわけですけれども、あそこはある意味密集地であったがために被害が増大した。しかし、結局のところ、やはりそうやって人が触れ合えるような密集地だからこそにぎわいがあるといって復興された。にぎわいという意味では、町の活性化、再生という意味においては非常にモデルになる場所だと思います。ここは密集しているからといって決して負の遺産ではない。あそこは密集しているからといってそういったことになるというのは、短絡的だと私は思います。ぜひ、負の遺産ということではなくて、その地域においての問題点は、災害であるのか、水がつくのか、そして火災が起こりやすいものなのか、そういったことを明確にあらわすべきだと思いますので、この点は指摘させていただきます。

 さて、今、いろいろな定義をお聞かせいただきました。先ほどからも指摘しているとおり、この問題、非常に広い範囲を扱う。その中において、大臣の諮問機関であります国土審議会で「中間とりまとめ」、東京を頂点とする一極一軸型国土構造を変えていかなければならないという問題提起がございます。平成十七年成立の国土形成計画法に基づいて、「国土審議会計画部会中間とりまとめ」でも発表されておりますが、ことし中ごろをめどに国土形成の全国計画を策定するとされております。

 この「中間とりまとめ」を読んでみましても、国土をめぐる状況として、東京を頂点とする一極集中、こういったことに関して、問題点としてあると思うし、これを助長させているのがこの都市再生事業というものではないかと思わないでもない部分があります。それは、民間都市再生事業計画の合計数のうちで、東京が半数以上の十三、大阪三、愛知二、私の地元埼玉、またそのほかで兵庫、香川、福岡も一カ所となっています。

 この法案ができてから、またその前、プロジェクトができる前からもいろいろありますけれども、きのうあたりですか、新聞とかでもそろそろ書かれ始めております。NHKの特集にもありました。全国で二千六百の集落が消滅のおそれという報道が出てきております。国土交通省のホームページの方でも発表されているかと思いますが、自治体アンケートをした調査の結果をまとめられていて、北海道の内陸部や東北地方の日本海側、中部地方の内陸部、中国地方の日本海側、四国内陸部及び半島部、九州の中央部、全国十地方で集落が消滅してしまう危機感を自治体は持っているということがホームページにも載せられていました。

 また、これは東京新聞二月二十日付の報道になりますが、山合いなど過疎地域は人口減少や高齢化が進み、今後、全国二千六百四十一集落で人が住まない消滅状態となるおそれがある、一定の範囲に数戸以上まとまった集落は全国に六万二千二百七十一、六十五歳以上の高齢者が半数以上の限界集落は、前回一九九九年調査で七・五%だったものが一二・六%に増加し、七千八百七十三あり、ブロック別では四国が二〇・六%と最高で、北海道や東北も高齢化が進んでいるという深刻な状況を指摘しています。

 こうやって考えると、一九九九年ですので年度的にはあれですけれども、稚内から石垣までの都市再生と言っている割に、一方で摩天楼のような高層ビルが建ち並ぶところができ、そして一方では限界集落ができていく、こういったアンバランスな状況というのはこの法律の趣旨として本当にいいのかという思いをしております。また、日切れ扱いといってこられていますけれども、この点に関しても非常に、扱いというのであるならばという思いもしております。

 大臣は、この特別措置法において、一極一軸型国土構造、実際そういう形になってきちゃっているんだと思うんですが、この東京一極集中を助長している状態というのは見直していかなければいけないという思いであるのか、もう一度確認します。

冬柴国務大臣 長い間、全総というふうな形で、全国の総合開発計画によって、全国を一律に、国の立場で、均衡ある発展というふうな言葉もありましたけれども、国土をつくっていこうという考え方から、今委員が指摘されましたように、そうではなしに、国土形成計画法という形で二層に考えていこう、全国計画と広域地方計画ということで、地方も自主的、自立的に、それを県の境を越えて地域で考えていっていただこうということに変わりました。

 私は、先ほど言いましたように、そういうような一極で一軸の国土というのは好ましくないという考えの中で、今回これを進めているわけであります。

 では、それとこの都市再生とどういう関係があるかといいますと、ここで言う都市というのは何も東京だけを指しているわけではないわけでありまして、例えば二十二のものを見てみますと、はっきりと、地方の中枢都市、そういうものについての先進的で個性ある都市づくりというのが十四番目に出てきますけれども、決してこれは地方を無視しているわけではありません。しかしながら、首都圏初め都市というものが、地方にもありますけれども、そこが抱える多くの問題、先ほど言ったような交通渋滞もありますし、密集住宅というような問題も抱えているわけです。

 そういう問題をここで集中的に、省庁の枠というもの、縦割りということがよく言われますけれども、それを超えて、内閣総理大臣を本部長とする都市再生本部がそこに光を当てて、そして各省庁がそれに一致協力をしてその解決に向かおうというのがこの都市再生法の法意であります。したがいまして、一極一軸の国土というものを目指しているわけでは決してありません。

 我々は、この国土形成計画法にのっとって、例えば、日本の本土と四国、九州を合わせてこれを八つの区域、広域地方に区切りまして、そして県境を越えて、例えば東北地方と新潟県というものがあれば、その地域で自主的、自立的に、ここには都市をどういうふうにつくるか、農村はどのようにするかというようなことを考えていただこう、国はそれを応援していこうという趣旨であります。したがって、これは一つも矛盾するものではないというふうに思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

小宮山(泰)委員 一極集中ではなくというお言葉がありましたけれども、現実には一極集中になりつつあるのではないかというほどに、投資額は大きいものになっているんだと思います。そして、その間に、現実に限界集落という、そういう過疎化、都市間の競争においては格差という問題が出てきているのも現実だと思います。

 大臣は、この過疎地に関してですけれども、エリアを越してというような御発言もありました。衰退に歯どめがかかっていない、都市との格差が出てきているということはどういうふうにとらえていらっしゃるのか、格差が出ているんだという御認識はあるのか、伺わせてください。

冬柴国務大臣 これは格差と呼んでいいのかどうかわかりませんけれども、明治期以来、この日本の国というのは極端な中央集権型行政システムがとられてきたことは間違いないと思います。それが日本の近代化とかあるいは終戦後の経済の発展というものに裨益したことは間違いなかったと思います。

 しかしながら、これが狭い東京地域に、首都圏というところに日本の人口の四分の一が集まってしまいました。そして、政治も経済も金融も、文化まで、あるいは若者まで狭い東京に集中してきた。反面、それは、地方において若者がいなくなって高齢化が進む、過疎が進む、東京、首都圏では過密が進むというような国土の形ができてきたんだろうと思います。

 それを直すのが地方分権の推進であり、そしてまた、私が先ほど言いましたような、国土形成計画法による地方に光を当てた国土形成ということが今行われようとしているのは、この一極集中、中央集権型行政システムを改めよう、そういう動きの中にこの法意があると思います。

小宮山(泰)委員 格差でいえば、本当に地方の鉄道とかそういったところは経営的にも困難が続いているし、また、バス路線もどんどん山間部等を中心になくなっていく。また、地方のタクシーの運転手さんは年収二百万円そこそこが多いということも出てきています。ある意味、移動の自由、バリアフリーというのは移動の権利の確保というふうに私はいつも定義づけさせていただいているんですが、こういったこともとれていない。

 それに加えて、東京を頂点とする大都市というものはどんどん繁栄してくる。私も、今、地元の川越から毎日電車で通勤しておりますけれども、この点、交通網に関しては、首都圏に関してはどんどん発達していく。またことしも地下鉄が新しく開通をしていく。

 そういった意味では、繁栄と消滅という非常に大きな意味での都市と地方の格差というものが端的にあらわれている事例なんだと思います。

 この法案の中で、先ほど、両方入っているというようなお言葉もありました。稚内から石垣まで、都市も地方も、過疎のところもすべて入っているんだというふうにとらえるのが普通だと思いますが、この都市再生法の中において、具体的にどこがこの両面が入っているとおっしゃるのか、もう一度お聞かせください。

 具体的に、過疎の視点ですね。どういった視点で、都市再生特別措置法の改正案の中において、この都市と地方、過疎の部分、これはどうして両方都市の再生という言葉でくるめていらっしゃるのか、具体的にどの点が一番だということをおっしゃりたいのかを聞きたいと思います。

冬柴国務大臣 これは、この法律自身は、平成十三年五月十八日、すなわち、小泉内閣が四月二十六日に成立しておりますから、平成十三年の五月に、小泉総理就任後、これはもう一番最初につくられた法律じゃないかと思いますけれども、そういう沿革があります。そして、それが五年たちまして、今回、その中で非常にいい実績を残しつつありますので、これをもう五年延ばそうというのが今回の都市再生法の趣旨、非常にいろいろ盛り込んでいますけれども、そういうところなんですね。

 一番最初は、小泉総理が平成十三年に都市再生ということを言われたときには、まだ根拠となる法律はなかったんです。法律は、その翌年、平成十四年にできていますね。したがいまして、そのときの思想としては、小泉総理は、それこそ稚内から石垣までという言葉をおっしゃいましたけれども、その中にあって、都市というのは、別に、我々が今言っているような、ある程度の人の集団があって、そこには伝統や文化や歴史というものをそれぞれ持っているわけですから、それが今、あるべき姿といいますか、そういうものにつくりかえるという、その住民の意思があれば、それを取り上げて我々でお手伝いしようじゃないかというのがそのスタートの趣旨であったと私は理解しております。

小宮山(泰)委員 一極一軸型国土形成から、地方都市を含む都市の再生、町、村も含めて国づくりということでなければいけないという、この点は私も当然だと思いますし、同意いたします。

 それでは、この都市再生法ができることによってどれだけのことが起きるのか、やはりこの点をしっかり評価しなければ、私自身、この法律がいいのか悪いのか、延長する意義があるのかどうかというのはわからないんだと思います。

 そこで大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の改正案を提出するに当たって、これまでの都市再生事業をどのように評価されていらっしゃるのか伺いたいと思います。行政機関が行う政策の評価に関する法律もありますけれども、これまでの都市再生事業についてどのような評価をされていらっしゃるのか伺います。

冬柴国務大臣 これは本当にいろいろな実績があったと思っております。

 例えば、都市再生緊急整備地域の指定というものは、六十五地域で六千六百十二ヘクタールという非常に広大なところですが、指定をされて、整備をされております。

 その中には、私ごとで申しわけありませんけれども、選挙区の中の尼崎の緑遊新都心二十三ヘクタールというものはまさにこの中の一つでありまして、今までそこは大きなビール会社の工場であったわけでございますが、それが引っ越した後、二十三ヘクタールを都市として再生しようということで、今、つち音も高く、来年、再来年には全部完成する。

 そしてまた、それに隣接する部分は、非常にお恥ずかしい話ですけれども、密集市街がありました。その部分は、今、本当に高層の、広い道路がとられ、公園がとられ、病院が真ん中にあり、周りには大きなビルの中に居住する住宅があり、快適で豊かな住宅を市民に提供できるような緊急整備がなされたということ一つ見ても、この法律が果たした役割は非常に大きかったと思います。

 また、都市再生特別地区の設置ということで、二十三地区が指定されました。この中に建物を建てる場合には、税制上の優遇措置としての特別な償却が認められます。これは非常に大きなインセンティブでありまして、あるいは、固定資産税、都市計画税が十年間二分の一に減額されるとか、大変大きなメリットがある以上に、この指定された部分については、従来の都市計画に基づく容積率とか建ぺい率というものについても大きく変わりまして、高層の住宅が建てられるというようなものもあるわけでございます。

 したがいまして、これも地元で申しわけありませんけれども、神戸市、JR三ノ宮駅の前には、ミント神戸という、神戸新聞社の大きなビルが建ちましたけれども、これもそういうようなものによって建つことができたわけでありまして、いろいろな利益は国民に及ぼしていると思います。

小宮山(泰)委員 今、御地元のお話をされまして、効果があったとおっしゃるんですけれども、それが何に対してどういう効果があったのかということが、具体的に、私、正直言って、すべてに対して適用するものだと思えなかったのです。正直、二十二もプロジェクトがありますと、何をもって評価をするかというのが随分違うんじゃないかという思いがしております。

 今、委員の皆様方には配付資料を出させていただいております。三枚目をめくっていただきますと、都市再生本部、本部長内閣総理大臣、そしてこの下に、今国土交通大臣いらっしゃいますけれども、副本部長としていらっしゃいます。今、融資の問題もございました。これは多分、民間都市再生事業計画という中に入ってくるんだと思います。どれだけの予算を使い、そしてどれだけのメリットがあったのかということも、実を言うと、余りこのいただいた資料には出てこないものですから、私、これを評価するのに非常に今苦労しております。

 次のページ、一番最後のページ、五枚目にございますけれども、これは、民間都市開発推進機構、先ほども答弁されていたようですけれども、こうやって国の資金が入るということで都市再生に寄与されるんだということが随分書いてあります。左の方の欄、「国の資金」といったところで、都市開発資金融通特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計、民間資金、国の資金、またあるいは無利子借り入れ、政府保証債とかまたいろいろ入ってくる。いろいろなところで、こうやって、国の資金、一般会計からもまち再生出資業務、基金とか、住民参加型まちづくりファンドにも国の資金、一般会計等入っていらっしゃいます。

 こうやって見ていきますと、どれだけの資金を使い町の再生がされていったのかということが、この事業を評価する上で一つ非常に重要なことなのではないか。

 どんな事業が行われたのか。この都市再生のプロジェクトを推進する主要な関係省庁、現在、二十二のプロジェクトがございますけれども、これは配付資料の三枚目までございます。各省庁、関係の省庁のここまでの資料はいただけたんですけれども、何の項目でどういった予算を使い、どういった評価があったのかということ、資料請求をずっとしているんですけれども、出していただけませんでした。最後の最後になりまして、では、出せない理由は何かということをお聞かせくださいと聞きましたら、それは出してこられました。

 何をもってこの都市再生というものを評価していいのか、そして、この法案が延長されることによって、どれだけ国民全体に対して、それこそ先ほどから言っている稚内から石垣まで、どれだけの国民に対してのメリットがあるのかということが私にはわかりません。

 ぜひ大臣、これは、もしよろしければ全部お聞かせいただけないでしょうか。場合によっては、中央省庁施設のPFIによる整備とか、このあたりですと関連省庁、おわかりになりやすいんじゃないかと思うんですが、この点、具体的には何をもってプロジェクトが成功したとおっしゃるのか、全体ではどのぐらいの予算を使ったのか、お知らせください。

冬柴国務大臣 この都市再生プロジェクトというのは、予算を使うとかどうとかいうことじゃなしに、先ほど冒頭申し上げましたように、小泉内閣が成立したときに、小泉総理の肝いりで、稚内から石垣までという言葉もありますが、全国津々浦々、その都市が抱えるいろいろな問題について、都市再生本部、本部長は内閣総理大臣でありましたけれども、その本部、あとは全部閣僚が入っておりますので、ここがこれをやろうじゃないかということを、いわば改革の旗を立てるということです。それに対して、各省庁が省庁の垣根を越えてみんなが協力をして、そしてその目的に向かってやっていこうということが目的なのでございます。したがって、そのために幾ら予算とか、そういうような思想はありません。

 ただ、それについての成果というものは評価をしなきゃなりません。達成率がどうなっているかとか、そういうものについては時々刻々報告をさせていただいておりますけれども、各省庁がこれに対して幾ら、どういう費目で予算を出したかということは、これは集計はいたしておりません。ただ、国土交通省におきましては、まちづくり交付金というもので、その中の、この道路とかあるいは公園を整備したとかいうようなことについては、もう明確にされるわけであります。

 しかしながら、それではどういう意味があるのかといえば、都市再生本部が指定することにより行政が一体となってやりますから、例えば我々が進める場合にも、その予算について財務大臣にお願いするにしても、この決定があるということは非常に大きいわけでございます。

小宮山(泰)委員 旗を立てるのが目的じゃいけないんですよ、これは。今お話を聞いていて、では、設定して、その達成率だというんですけれども、プロジェクトが進捗したから成功なんだ、評価するということなんですか。そうじゃないですよね。

 都市が再生される、にぎわいが出る、この再生という言葉も今まだあいまいです。人口がふえることなのか、それともオフィスビルとか、そういった就業するエリアであるならば稼働率であるのか、その辺もよくわかりません。何をもって評価とするのか、基本的なことを教えてくださいと言っているんです。

冬柴国務大臣 いや、それは今、委員も最初からいろいろなことをおっしゃっていますけれども、二十二の決定されたプロジェクトということを再三おっしゃっていただきました。その中には、例えば七番目に保育所待機児童の解消という、これを全部が取り組もうじゃないかと旗を立てたんですよ。これは何もそこで……(小宮山(泰)委員「その成果はどうなったんですか。その評価はどうなるんですか」と呼ぶ)できているじゃないですか。三年間で、一年に五万カ所ずつの保育所ができたじゃないですか。そして三年間で十五万カ所を超え、そしてなおもう一年延ばそうじゃないかということで、二十万カ所の保育所ができたじゃないですか。

 そういうインセンティブを与えて、これに対して、一つの省庁だけではなしに、国の省庁の垣根を越えて、あなたが配られた一番最初のには、どういうものについては何省がとかということを全部書いた資料をいただきましたけれども、そのように、プロジェクトごとに参加している省が違うんですよ。そういう人たちがみんな力を合わせてやろう、そういう趣旨なのでございます。

小宮山(泰)委員 それではなぜ、成果があるとおっしゃるならば、資料を出せないとおっしゃられたんですか。それは実際そうなんですよ。

 大臣からも、それであるならば、評価があるというならば、その評価基準、多分この二十二のプロジェクト、全部違うのだと思います、評価基準が。PFIで中央官庁をつくるのに、保育所の待機児童ということはないわけですから、きっと。まあ、全くないとは思いませんけれども。その評価の資料をきちんと出していただけないでしょうか。出させるように言ってください。やはりそういうものをきちんと聞かなければ、これは本当の意味で、この再生のものがわからない。

 また、進捗率とおっしゃいますけれども、これは民間に融資をしたりとかしています。そういったことも本部はまとめることはしないのでしょうか。する必要がないと思っていらっしゃるのか、その点を聞かせてください。

冬柴国務大臣 それでは、役所でつくっていただいたもの、その点について読ませていただきます。

 都市再生プロジェクトは、一つ、防災、交通、環境、国際競争力の向上など、都市における重要な政策課題について、都市再生本部の決定のもとに、関係省庁、地方公共団体、関係民間主体等が参加、連携し、総力を挙げて取り組むプロジェクトでございます。

 都市再生本部におきましては、例えば、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備、あるいは大都市圏におけるごみゼロ型都市への再構築、あるいは都市の安全、安心の再構築等、これまで合計二十二のプロジェクトが決定されております。

 また、決定したプロジェクトにつきましては、各プロジェクトの進捗状況を成果として把握しているところでございます。例えば、基幹的広域防災拠点の整備につきましては、東京臨海部有明の丘地区、川崎市の東扇島地区で、平成十九年度の一部供用に向けた整備が行われていまして、進捗率はそれぞれ五二・四%と五七・五%でございます。

 大都市圏における環状道路体系の整備につきましても、例えば、首都高速の中央環状新宿線が年内開通を目指して整備が進められ、圏央道八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジ間が本年六月開通を目指し整備が進められ、その結果、中央道から関越道までの環状方向ネットワークが整備されるなど、着実に広域的な環状道路ネットワークが整備されている状況でございます。

 こういうことが、この都市再生法の法意であり、実績なのでございます。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山(泰)委員 結局、ハードをつくったときの進捗率というふうに聞こえないでもないところがあります。道路であったり、のっぽビルみたいな、そういった新都心みたいなものであったりとか。

 それでは、この旗を上げるのは構いませんけれども、各省庁、旗を上げたらとりあえず振って、勝手に動いてよと言っているだけなんでしょうか。実際、では、この本部の中において、これだけの省庁がかかわっていて、どの制度をしているのか、どれだけ予算を突っ込んだのか。例えば、そういったことは全くにもって関知をしないということでよろしいのでしょうか。勝手にやれということなんですか。

冬柴国務大臣 これは、プロジェクトを決めますと、勝手にやっているわけじゃなしに、その省庁が集まって、担当者が集まって、それをどうすれば合理的にできるかという、協議に協議を重ねて、そして、それぞれ自分が持っている、我々であればまちづくり交付金もありますし、そういうものを活用してできるものをやっていく。

 例えば、我々もそのまちづくり交付金を……(発言する者あり)

塩谷委員長 静かにしてください。

冬柴国務大臣 児童待機所をつくる目的に使わせてほしいということで、昨年の予算編成時における大臣折衝で、復活折衝で、そういうまちづくり交付金を児童を預かる場所をつくるものにも使わせてほしいとか、いろいろやっているわけでございまして、その旗を立てた中にみんな省庁が集まってするからこそ、ここまでの進捗が図られているのであろうと思います。したがいまして、そういう理解をいただきたいと思います。

小宮山(泰)委員 それでは、民間にどれだけ融資を、投資をされたのか、そういったことは把握していらっしゃるんでしょうか。把握しているんだったら数字をお願いいたします。

冬柴国務大臣 民都機構から幾らか出すという場合には国土交通大臣の許可をもらえということが書かれていますから、それは私どもで把握できます。

小宮山(泰)委員 それでは、数字を教えてください。幾ら出したのか教えてください。

冬柴国務大臣 今急に言われても、質問通告も何もないわけでここまでやっているわけでございますから。金額は後日お知らせいたします。

小宮山(泰)委員 質問通告しておりますので、その部分は削除をお願いしたいと思います。質問通告はしております。逐条をしていないかもしれませんけれども、質問通告はちゃんとしておりますので、お間違えのないようにお願いいたします。

 昨年、中心市街地活性化の改正のときにもあったんですが、これは同じ部署ですし、同じメンバーが基本的に取り仕切られている。そのときもそうだったんですよ、全く一緒。はっきり言って、各省庁にやってどれだけ使ったかというのは、あのときには、特に政府は、毎年一兆円をこの中心市街地活性化のために投入していますと結構宣伝をされていらっしゃいました。

 今回、そういうこともほぼないんですが、その割には、ホームページで見ていきますと、予算が足りない地方自治体の方へ、こんな予算がありますといって提示をされている。予算はあるじゃないですか。こういったものでどれだけの予算をお使いになられたのか、全く把握されないんでしょうか。その点をぜひ教えてください。把握されているんじゃないんですか、本当は。

冬柴国務大臣 このプロジェクトにつきましては、取り組みの内容も、施設や基盤の整備に係るハード事業のみならず、各種制度改革、運用改善等のソフト的な取り組みがあることから、プロジェクトを決定、推進する目的は、関係する予算の執行を管理することではなく、また、必ずしも当該プロジェクトに要した予算額によってその進捗状況、成果を把握すべきものとは考えておりません。

 このため、都市再生本部事務局におきましては、関係省庁等の協力のもと、それぞれの都市再生プロジェクトにおいて定められた取り組みにかかわる進捗状況や成果の把握に努めているところでありますが、それぞれの都市再生プロジェクトにかかわる各省庁の予算額について、集計や計上しているものはありませんということです。

小宮山(泰)委員 それでは、成果の把握はされていらっしゃるんですね。

冬柴国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。

小宮山(泰)委員 成果の把握、取り組みというのはお知らせいただきましたけれども、成果の把握というのはどの点の、各プロジェクトはどういった状態なんでしょうか、詳しく教えていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 例えば、国土交通省でいえば港湾整備費とか道路整備費とかいうもので、予算の査定をきちっと受けております。公共事業費も受けております。来年度は、前年度比三・五%削減で六兆九千億円台まで下がっております。その範囲内で我々はいろいろなところの事業をやっているわけでありまして、都市再生ということだけに、固有のものがあるわけではなく、都市再生の中で道路整備とか公園整備とかいうようなものを、それぞれの予算の中から出しているわけであります。ほかの省庁も全く同じだと思います。

小宮山(泰)委員 都市再生でされるとおっしゃいますけれども、結局予算はかかるわけですよ、ほとんどの事業が。そういったものも把握もしないで、これだけやりました、ここまで進みましたと言うだけなんでしょうか。

 正直言って、与党の方とかは特に、何々をつくりましたと、昔ながらの議員さんというのはそういうのが非常に、自分のプライオリティー高くおっしゃるし、地元ではそういったことをやると偉い先生だと昔ながらによく言われたと思うんです。本当にそれでいいのかなと。

 この前の夕張市のあの破綻の問題を見ても、やはりいろいろな事業があって、つくったものがある。そして、これに関しても、本当にそれがちゃんとした都市再生になっているのかということになれば、結局のところ、必ずしもそうでもないんじゃないかという思いがします。

 密集地にしてもそうです。谷中は指定もされていますけれども、今ああいう昔ながらの密集したところ、木造であったり、昔ながら歴史を積んで生活があり、人々の暮らしがあったところというのが見直されている。負の遺産ではもうありません。

 そうやって考えていくと、大臣、本当に都市再生というものに関して、定義自体があいまい過ぎるから何でもありになってしまう。私は、これでは本当の意味で無駄遣いもなくならないし、本当の意味で国がしっかりと地域のことを考えているという、大きな意味から見て、ならないんだと思います。

 この中心市街地活性化……(発言する者あり)委員長、ちょっとうるさいので黙らせてください。お願いします。注意をお願いします。

塩谷委員長 続けてください。(小宮山(泰)委員「注意をお願いします、何度も同じ方ですので」と呼ぶ)静かにしてください。発言者以外、御静粛にお願いします。

小宮山(泰)委員 中心市街地活性化のときにも、一兆円投入したと言って、結局、その内訳を調べてみたら、中心市街地というからやはり人口十万人とか五万人以上とかそういった都市なのかなと思っていたら、過疎地にも使える項目をその一兆円の中の予算にも入れていました。

 今回、きのうからでありますので、そこまで調べる時間がなかった、正直言って。そしてまた、予算については出さないということでいらっしゃいますし、出す必要もないというような御発言でありますので、これでは本当の意味でこの評価というものがとれていないんじゃないかという気がします。つくればいいというものじゃないでしょう。そうであるならば、地方に行ったら先生方はみんな見ていると思います、そこそこ大きなところでもシャッターの商店街になってしまっている。これは本当の意味でいろいろな問題を含んでいるんだと思います。

 そして、何よりも大型プロジェクト、これを推進する中において、日切れ扱いと言ってきていますけれども、そんな毎日毎日申請があるんでしょうか。措置法といって期限を切ってやったのには期限を切ってやっただけの、その中で対策をとるという意味で、その期限にすごく大きな意味があったはずです。それを越してもまだやらなきゃいけないということは、本当の意味でこの法律が適正であったのか。もし本当にいいことであるならば、特別措置法ではなくて、またこれで延長するのではなくて、きちんとした普通の法律にもう一回つくり直すべきなんだと思います。

 そういったことの評価ができないままにこういった審議をしていくんでしょうか。正直言って、これは怠慢じゃないですか。しっかりとした評価、各それぞれの具体的目標とその評価についてぜひお出しいただきたいと思います。出すべきだと思います。

冬柴国務大臣 先ほど来、これが果たしてきた役割というのが非常に大きくて、なおこれを延長してほしいという国民の声が強いから今回これをやっているわけでありまして、実績がないということはありません。

 地方のことで例を挙げろとおっしゃれば、地方中枢都市、先進的で個性ある都市づくりというのは十四年の七月に決定された都市再生ですけれども、例えば札幌、札幌駅前通り地下歩行空間、エネルギー供給設備(熱導管ピット等)の一体整備、そういう事業をしたとか、すすきの地区における安全、安心なまちづくりを推進するために、官民協働の協議会を結成して、防犯、駐車対策、活性化の取り組みを展開したとか、そういうふうに全部実績が上がっているんですよ。仙台においては、百万本の森づくりを目指し、市民に一年一万本の苗木を供給し、植栽をした。十七年度から国道四号の植栽工事について、中央分離帯への植樹に着手した。大阪であれば、桜の苗木を一人一万円寄附することによって植えるということが行われています。これは国家予算じゃないんです。

 そういうことでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小宮山(泰)委員 都市再生、いいだろうと勝手に言うのはいいです。都市再生は要るんでしょう。しかし、地域の再生というものがあってだと思います。正直言って、何を再生しているのかよくわからないし、これは民間にどれだけこの法律ができたことで無利子で出していったのか。その間も、中小零細、個人企業等は、本当に苦しい中で全くそういった制度もつかないものもあります。

 そうやって考えると、何をもって優遇をしていくのか、そういった意味においては、まだまだこの点は審議も足りていないと思いますし、また、明らかにされていない。この評価の基準というものが明らかにされて初めてこの法律というのは延長される意義があるし、ある意味で有効に使われていくんだと思います。このままでいけば、毎年か何年かごとにまたプロジェクトがふえて、幾つまでふえるのかわからない。そして、過去にやったプロジェクトがどこまでしたら終わりなのかもわかりません。こういった、ずるずると踏襲していくような、各省庁に任せているようなものではなくて、本当の意味できちんと再生本部が機能していただきたい。

 特に、今、都市再生本部の副本部長の一人は、幾つもの兼務をしている。今度、社会保険庁の方も何か大臣は担当されるということになってきましたら、それこそ都市再生にどれだけ時間をかけられるのか。結局のところ、名ばかりの副本部長であると言っているようなものになってしまいます。この点に関しても、組織の見直しも間違いなく必要だと思います。その点はいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 命ぜられた仕事はすべて誠心誠意やるべきでありますし、それは、人間は体は一つですけれども、それを補佐してくれる人もたくさんいるわけでございますから、それは責めは果たされると思います。

小宮山(泰)委員 一つ密集地の問題も、道路の問題もまだ質問したいと思いますし、また、都市再生で、本当の意味でこの全部のプロジェクトがよかったと大臣は考えているのかも伺いたい。

 もし一番いいと思うところがありましたら、ぜひ、委員の方、全部これは見たわけでしょうか、私は見ていないと思います。やはり現地視察もするべきだと思いますので、この点、ひとつ大臣と委員長にお願いしたいと思います。理事会の方でこの現地視察というものも協議いただけないでしょうか。

塩谷委員長 その点について、また後ほど理事会で検討いたします。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、本当の意味で都市再生が進んでいるのかということは、私たちは議員としてしっかりこの目で見るべきだと思います。

 そして、最後になりますけれども、観光担当大臣としての立場としては、恐らく非常に重きを置いていらっしゃると思います。密集した地、昔からいた、確かに木造で燃えやすいかもしれない。また、今回は谷中とか根岸であったりとか、そういった東京都においての認定も、密集地として受けている場所もあります。そういった昔ながらの風情というものが、観光立国を目指すこの日本としては、観光の担当大臣としては、この点は観光資源になり得るかということをぜひお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 密集市街地が観光資源になるかどうかは、その人の価値観によるだろうと思います。密集市街地の定義をどういうふうにするかによると思いますけれども、私は、歴史や伝統、文化にはぐくまれたすぐれた景観を背景とした昔ながらの町並みであれば、十分に観光資源になると思います。

 しかしながら、我々の思い描く密集市街地というのは、そういう美しい昔ながらの町というものではなしに、地震とか火災に非常に危険がある、また交通渋滞もおびただしいというような地域を何とか再生して、美しい町並みにしようというのがこの趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。

小宮山(泰)委員 最後です。

 ぜひ、この地域活性化というものに関しても、再生というのも、価値を見直すこともその再生に入るんだと思います。防災については、その点に関してはいろいろな手法があると思います。その昔ながらの風景を残すことも、美しい価値観であるということをぜひ認識していただきたいと思います。

 また、ぜひ政務官の皆様方にもきちんと、政治の場が活性化するように、さらなる大臣からの御指導をいただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

塩谷委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 きょうは、三時間コース、最終バッターでございます。いろいろお疲れでございましょうが、ぜひいい御答弁と魅力ある御回答をいただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 それでは、まず、私の方からは、密集市街地の進捗状況についてちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

 もう何回も同僚議員の方からいろいろ御質問がありましたけれども、あえて言えば、全国で密集市街地と名立たるものは約二万五千ヘクタールある。地震等において大規模な火災の可能性があり、重点的に整備しなきゃいけないのが全国で八千ヘクタール、東京、大阪でそれぞれ二千三百ヘクタールあるということであります。

 この重点密集市街地については、十三年十二月に都市再生本部が決定した都市再生プロジェクトにおいて、十年後の二十三年までに最低限の安全性ということで不燃領域率四〇パーを確保する、これが目標になっています。四〇パーはやらなきゃいかぬ。一昨年の十七年度時点で、最低限の安全確保の進捗率は約三割となっていると聞いています。

 この三割の算定方法について御省にお伺いしましたら、いろいろな算定方法があるらしいですけれども、十四年の三月時点で、すべての重点密集市街地において不燃化された面積の割合が四〇パー以上になるために必要な不燃化面積を地区ごとに足し合わせる、こんなものでしょうと足し合わせていく、その全体が約八百五十ヘクタール。そして、昨年の三月時点で不燃化面積は約二百四十五ヘクタール増加したと推計していると。推計して、その割合が約三割、二九%ぐらいのところ、三割ということですね。

 ところで、私がこれを聞いたときに、推計という言葉がちょっとひっかかりまして、よく調べてみました。そうしましたら、この推計というのは、土地区画整理事業等で増加した空き地と道路整備等による建築物の建てかえにより不燃化された敷地の面積の推計値を合計すると聞いた。例えば、道路整備による建てかえの場合は、例えば六メートル道路を整備したら、一定の割合でそれに掛け率を掛けて、不燃化の敷地の面積を推定で出していくということでありますね。

 そこで私も、先ほど、いろいろな予算の金額の把握もありますけれども、二十三年までに四〇パーをきちっとやっていくということになりますと、やはりいつまでも推計でいいのかなという感じが少しします。

 その中で、御省にお聞きすると、例えばGIS、私も勉強を少ししまして、地理情報システム、GIS。これは人工衛星からデータを引っ張ってきて、植生データとか気象データ、土地被覆データとか、それに今度、固定資産データをくっつけるわけですね。それは釈迦に説法なのでございますが、そして、土地利用データ等を含めて、最終的に引き上げて、こうだと。つまり、推計ではないということであります。ただ、これは来年度から約千六百万の予算がつくという予定でございます。

 そこで、私は、このGIS、千六百万で本当に足りるのかなということで、それから、やはりああいう大災害がいろいろ今までも起きてきた中で、いつまでも推計に頼っていてはいかぬ。一つは、そういうGISのデータを空からと、実際の固定資産の部分のデータを吸い上げてやっていくことが一つ必要だと思う。私は、これはいい考えなので、どんどん進めていただきたいと思います。

 それともう一つは、実際人間が、どんどんやっていきなさい、きちっとこれを把握するようにということを御省の方からリーダーとしてアドバイスしていってもらいたい。

 この二点からまず御質問したいと思います。局長、よろしくお願いします。

榊政府参考人 委員御指摘のように、平成十三年度末の時点で把握しておりますのは二万五千ヘクタールで、重点密集市街地は八千ヘクタールということでございます。これの不燃化面積は四割だというふうに考えておりますので、三千二百ヘクタール。当初の二千三百五十ヘクタールがもう不燃化されておりましたので、差し引いて八百五十ヘクタール。御指摘のように、ふえた宅地なり道路整備に伴う建てかえ、個別の建てかえによる不燃化の建築物の敷地の推計が二百四十五で、約三割、こんな推計をいたしております。

 ただ、推計ではございますけれども、建てかえによる不燃化面積の増加分みたいなものは、道路整備により誘発される建てかえの発生率とか、個別建てかえの発生率につきまして、事業地区のサンプル調査を行った結果から推計をいたします。それは、地区ごとに実績値の積み上げという感じには実はなっていないわけでございます。

 実は、この八千ヘクタール、全国で四百地区でございます。したがって、今までのところに関して申し上げれば、そういったような推計でやってまいったわけですけれども、今回、法律改正をして抜本的に取り組むということでございますので、従来以上に整備の進捗状況を地区ごとに、より詳細に把握することが必要であるというふうに私どもとしても考えております。

 御指摘のように、平成十九年度からGISを活用したデータベースをつくっていこうというふうに思っておりまして、重点密集市街地における建築物の状況なり、道路、公園等の公共施設の整備状況に関するデータベースの作成というふうなものに着手することにしておりまして、このうち、可能なデータについてはGISを活用いたしまして、的確な進捗管理に努めたいというふうに思っておるところでございます。

下条委員 私は、こちらの方からGISをやれと言おうかなと思ったら、既にやっていらっしゃるので、ぜひ思い切り進めていただいて、やはり物事は、土台の足が一段目なのか二段目なのかによって、三段目に行けるのか四段目に行けるのかがあります。もとのデータをきちっと正確に把握することが必要だと思います。

 そこで、GISはこれからやる話でございますが、もう一つ、実を言うと、昨年度から三年度程度の経過措置を持ちながら、例のハザードマップの作成というのが出ました。それで、ちょうど約一年弱なんですが、そのハザードマップを、重点密集地の火災発生の場合、被害想定して盛り込んだものの作成、公表を要請して、その結果出てきたのは、私が聞いたところでは岐阜市のみということであります。市川市や東京都などは独自にハザードマップをつくっているというふうにお聞きしています。

 私は何が言いたいかというと、ハザードマップというのは、人間が参加して、そこで、この地域はこうしなきゃいけない、いろいろ防災も非常にやらなきゃいけない、だから、地域を、行政府を巻き込んだ上でハザードマップをつくっていく。ということは、地域に、また住民の方に防災、災害の認識を持ってもらうことになると思うんですね。

 ですから、今の状態はちょっと、やったばかりじゃないかというお答えが出ると思うんですが、ハザードマップが進んでいない、地域住民に災害、防災の認識が薄れてしまっている、したがって、ますます密集地の整備がおくれていってしまう。つまり、後で私はいろいろ質問していきますけれども、密集地の整備は、やはり行政府よりむしろその人たちがこれでいいのかなという認識を持つかどうかだというふうに思います。

 そういう意味では、今、マップがおくれ、そして住民の認識がおくれて、さらに整備がおくれて、またマップがおくれていく。まだスタートしたばかりとはいいながら、現状こういう状態になっていることについて、ぜひこれを後押しすることによって、あっ、災害がうちの近くにもあるんだ、この地区は危ないよ、では、少し、おじいちゃんがいなくなった後も私住んでいるけれども考えていこうじゃないかという意識が脳みそに入ってくると僕は思います。

 その辺、どういうふうにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 もうお説のとおりでございまして、ハードだけじゃなしに、そのようなハザードマップというような形でソフトの面もしなきゃならないと思います。地震だけではなしに、洪水についても、あるいは津波についても、ハザードマップというものがつくられ、つくられただけではしようがないわけでありまして、それぞれの住民が、もしここでこういうことが起こった場合には自分はどういうふうに逃げるか、どういうふうな対処をするかというようなことを平素から自覚する意味でも、非常に大事な話であると思います。

 宮城県のことを申し上げてあれですけれども、これは周知のことですから、今後三十年以内に実にマグニチュード七・五の地震が九九%の確率で発生する、こういうことが発表されております。地震の発生の可能性が高い七千ヘクタール、三百十五地区の中に、仙台市にも五地区ありまして、石垣町とか小松島、小田原、清水沼、平成というような、御存じだと思いますが、そういう地域について、三十年ですけれども、三十年確率ですが、その間に九九%で、七・五といったら非常に強い地震です。

 これが、行きますと、密集市街地、すなわち老朽化した木造の建築物が密集しており、かつ、十分な公共施設、いわゆる避難路等、公園とかそういうものがない、その他土地利用状況から、火事または地震が発生した場合において、延焼防止及び避難上の必要な機能が確保されていない地域だと言っているわけですから、我々としては、もう本当に一日も早く、そういうところの密集市街地というものを、もちろん歴史や伝統や文化もありますけれども、とにかく、そこに住んでいられる方の生命、身体、財産が安全に確保できるようにするというのが私どもの役割だと思っておりますので、これからも、そういう意味で、密集市街地のできるだけ早期な解消とともに、それまでにも、今御提案のありましたハザードマップというものについて、これをもっと周知し、そして国民がそれを十分に理解する、行動する、そういうようなことが必要である、そんなふうに思います。

下条委員 御丁寧な御回答をありがとうございました。

 せっかくそういうものがありますので、これはもう頭脳明晰な御省の皆さんがつくって流しているものです。それが実際はほとんど進んでいない。一件ですね。それと、今大臣がおっしゃった、そのハザードマップをやることによって、そこに住んでいる人たちが、自分たちが災害に近い地域、密集地域に住んでいる認識を持つ、それが何か業者が来て立ち退きをやるような感じじゃなくて、そういうふうないいシナジー効果が生まれることによって密集地の整備が進み、災害が最終的に抑えられるというふうに思います。ぜひ、今大臣がおっしゃったように進めていただきたい。

 そこで、もう一つつけ加えさせていただくと、私は、地震とか火事の発生の事例と密集市街地の整備ぐあいをちょっと自分なりに整理してみました。

 そうしますと、去年の二月に、国土審議会計画部会資料によると、さっき大臣がおっしゃった宮城県の沖ではマグニチュード七・五前後の三十年以内の発生が九九%もあると。それで、この宮城県の重点市街地を見ると、仙台が三十六ヘクタール、石巻は二ヘクタール、気仙沼は一ヘクタール。この市街地の整備見通しは、この地区に聞くと、まだ全くついていないということであります。これだけ重点市街地があって、九九%出るんだけれども、できていないよと。

 次に、例えば東京、幾らでもあるんですが、アトランダムに抽出しましたけれども、荒川区の東尾久一、二、六丁目において、平成十四年からことしの二月、直近の二月まで、震度一以上の有感地震を調べたら百四、五十件あった。つまり、がたがた揺れているということでありますね。南関東地震というのは、マグニチュード約六・七から七の発生確率というのは、先ほどの審議会の計画部会資料では約七割以上もあるということであります。この整備についても、事業中であるけれども全く、二十三年までの安全性確保がまだ難しいという状態であります。

 もう一つは、地震というのも自然にいきなりぼんと来ます。火事というのも、ある意味で自然の場合もあるし、いろいろな不注意もあると思いますけれども、大臣のお地元である、阪神大震災にかかわった神戸市の兵庫山麓地区、消防署の発災件数をちょっと調べさせていただきましたら、この三年間で火災は百二、三十件も上がっているということであります。ということは、密集市街地として指定された地区が、火災が多かったり、実際は大きな火災にまだつながっていないけれども火災が多い、また地震がたびたび重なっているということは、実を言うとデータでは出てきてしまっている。これは大臣のお地元でございますし、私の家内の母親の実家も兵庫でございますので、もう捨ててはおけないという話なので、あえて申し上げさせていただきました。

 そこで、まず私が申し上げたいのは、いつも申し上げますけれども、法律というのはすばらしい。この法律も、私個人そして私どもの政党としても賛成したいというふうに思います、これから再度、質疑、そして賛否を問うあれがありますが。非常にいい法律なんですが、これはどうも見た感じでは、こういうのがあるぞという感じで投げただけでありまして、今言いました、御省は要するに北から南まで全部把握できるデータを持っているし、そのプライオリティーもわかるわけなんです。ところが、受ける側の行政府というのは、実を言うと、自分たちのマンパワーや交付金、補助金の部分とか、極端な話、そのときの選挙ぐあいがあったりして随分順番がおくれたり、実際まだないからまた次に延ばしていこうという順番になっているような感じがします。

 そこで、私は思いますけれども、やはり取りまとめの指導者である御省の方からぜひ、もう少しこれは進めたらどうだという注意、厳重注意とかそんなんじゃなくて、指導を出すことによって、いやいや、今までこんなことはなかったけれども、お上の方も目を光らせているぞということになって、その目の向きが変わってくるんじゃないかと僕は思うんです。

 この辺をぜひ、大臣のお地元の部分も、実を言うと、今言いましたように火事が多発しております、しかし大火事にはなっていないけれどもということを踏まえて、御指導する部分の御意見をいただければというふうに思います。

冬柴国務大臣 すばらしい提案だと思いますので、早速にそのような方向で進めたいと思います。

 ただ、今まで、このような危険で密集の市街地、火災にも地震にも確率も非常に高いのに、これが進まなかった理由はやはりたくさんありまして、そこの家が狭隘で、しかも所有関係が複雑で、そしてまた、出てくださいと言っても行く先がないということでは、これはなかなかできなかったんですね。それで、今回これを、低層住宅の部分の容積を広い六メートル道路に沿ったところに移しかえて、これは類焼防止にもなりますから、そこへ高層のものを建てて、そしてその低層のところからここへ移り住んでいただくという手法をとりまして、全部じゃなしに、一部は残る部分もあるけれども、そのような形で、今までそれが進まなかった問題に切り込んで、容積率を移しかえて、移転先に高層の建物を建てられるという手法、そういうものがこの中に入れてありますので、今まで本当に危険だと思いながら進まなかったことがこのような手法によって進められること、これを強く期待しているものでございますので、よろしくお願いします。

下条委員 ぜひリーダーシップをとっていただいて、私も田舎者でございます、やはり地方では、中央からそういう声、そして目で見ているということは、厳重注意とか勧告ではないんですが、一生懸命になる、それを前提に動きやすくなってくるというふうに思います。そして最終的には、国が指導することによって大きな災害から免れていくという、いい循環になると思いますので、ぜひリーダーシップをとっていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の密集市街地の解消というのは、古きをたどれば、昭和五十七年度に、三大都市圏の木造賃貸地区を対象に、密集住宅市街地整備促進事業が制度としてまず創設された。この事業の運用そのものは知事以下の市町村の行政にゆだねられる、国としては予算面でフォローしていくということであります。その後、例の平成七年一月の阪神大震災を受け、整備を総合的に推進することを目的として、九年に整備法が制定されてきたということであります。

 この法律のポイントは、今もちらっと大臣がおっしゃいましたけれども、一つは、防災上危険である建築物についてできるだけ速やかに建てかえや除却を行っていく、そして二つ目は、居住の安定をきちんと担保してあげるということだというふうに出ております。

 そこで、これに付随して、第四条と十三条一項と十五条について、ちょっと専門的になりますけれども質問させていただきたいと思います。

 まず、第四条の「建替計画の認定」ということですけれども、今まで、この事業については、市町村から建てかえに要する費用の一部について補助を受けることができて、国は当該市町村に対して市町村が補助した額の二分の一を補助するということであります。これは皆さんがつくっていますからそのとおりでございまして、平成十一年の九月に東京都北区で認定された事例が一例あるということであります。

 そして、今度の改正案では、建てかえ計画の認定基準に、新築する建築物の敷地面積がそれぞれ国土交通省の省令で定める規模以上であることや、建てかえ事業の実施期間が適切であるということが追加になっております。十九年の税制改正によると、この部分について特例措置が設けられて、土地の譲渡、取得をした場合に、法人税、所得税、不動産取得税の軽減、軽くしてあげるということを盛り込んでいる。この部分は非常にいいと思うんですね、税制面を含めて。

 そこで、もう一つ掘り下げてこの改正案を見させていただきました。この中で認定基準の追加や税制の特例措置を創設していますが、活用されているのかなというのがちょっと私の考えであります。

 認定基準の中に、新築する建築物の敷地面積の合計が、先ほどちょっと大臣がおっしゃいましたが、新築する部分が二百平米以上であるという要件がある。今回そこに、新築する建築物の敷地面積がそれぞれ国土交通省の省令で定める規模以上、これは実を言うと、今まさに検討中ではあるんですが、約百平米の方向性というふうに現状お聞きしております。

 そこで、個別の敷地が、新しいのは二百平米、合計ですから二百平米、六十何坪ですか、個別の敷地については方向性として約百平米にしようというふうな話になっている。私も実際、密集市街地の方を歩きましたら、一軒当たりの敷地がやはり小さいんですね。個別に非常に小さくなっている。極端な話、例えば二十平米、三十平米というところも幾らでもあります。それは結構、密集市街地の中心のところに皆さんお住まいになっていたりしている。

 私は何を言いたいかというと、合計二百平米は合計するからいいかもしれないけれども、個別の部分が百平米で、果たして今の密集市街地の実態に即しているのかなという感じであります。

 大臣は日々公務で追われているのであれだと思いますけれども、密集市街地を私もとことこ歩くと、本当に小さいんですよ。やはり昔からの城下町を含め、昔からのそういう密集したところの方々というのは、小さいお宅にそれぞれ分担してお住まいになっていたりします。

 そういう意味では、法律は確かにいいとは思うんですけれども、実態がちょっと現状よりも厳しくなったときに、さっき言いました、認定がわずか一件だ、このものが果たしてこの法制が出たときに実際生きてくるかなというところにちょっと僕はクエスチョンを持っているんです。

 ですから、この部分はこのままでスタートしても構わないが、今後の話として、もう少し密集市街地の部分の、一戸当たり一体どのぐらいなのかを、実際皆さん見られていると思いますけれども、もっと深く入っていただくと、これではなかなか小さいところの方々が対象から外れてということがちょっと出てくるかなと思うんですが、その辺を踏まえて、どういうお考えなのかをお聞きしたいというふうに思います。

榊政府参考人 委員御指摘のように、現状の敷地が非常に狭い、敷地が狭いということは、まさに隣り合って家が建っている、したがって火災になりやすい、こういうことでございます。

 現在の基準は敷地面積の合計が二百平米ということになっておりますが、私どもの方では、一戸当たりの敷地が三十坪程度ないと、なかなか建物と建物の離隔距離がとれないのではないかということと、敷地面積の合計が二百ではなくて五百平米ぐらいないと、隣の街区への延焼というようなことを考えますと、必要ではないかということでございますので、敷地の面積合計が二百平米というのを、単体で百平米、合計で五百平米というふうにしていかないと、なかなか大火を免れることはできないのではないかというふうに考えておる次第でございます。

下条委員 その個別の方々の敷地がそれぞれ百平米の方向だというふうにお話をお聞きしているんですが、その辺はいかがですか。もう一度、そこの部分を。

榊政府参考人 そういう意味では、個別の敷地面積を百平米にいたしたいというふうに思っております。

 ただ、私ども、先ほど冒頭、不燃化率四〇%というふうに申し上げましたけれども、不燃化率四〇%ということは、実はあと六〇%は不燃化されていない住宅が建っている可能性が高いということでございます。したがって、すべての区域につきまして全面クリアランスをして、全部新築住宅に数年の間にやってしまうんだということではなくて、道路とか、延焼を遮断するような建物を建てている、その建物と道路とか公園の空地の合計が四〇%ということでございますので、すべてを全部つぶしていくということではないということも御理解を賜りたいと思っております。

下条委員 それは私も少し理解はしているんですが、大臣、要は、密集地の本当に災害が起きたときに動きにくい方々というのは、割と、恐縮でございますけれども、百平米以下の方々が非常に多うございます。

 そういう意味では、経過措置として、局長の方もそういうふうにおっしゃるのもすごくわかりますが、実際これをやっていく中で、本当に、当初のこのすばらしい法案の目的というのは、災害を起こさないために移すんだぞと。小さいところほど、動きにくい方、言いにくいですけれども、所得の割と低い方が多くいらっしゃる。果たして百平米でいいかなという僕の提案なんでございます。

 ここですぐそれを小さくしていくということではなくて、経過措置を見ながら、余りその動きがなければ、ぜひ今後この部分は、私は、歩いた感じでは、小さいところの方が非常に不便な方々が多く、危ない方が多いと思うんですが、大臣からちょっと御意見をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 この法律の目的とする趣旨、そういうものを注意深く見ながら、こういうものがこれでいいのかどうか、これは不断に見直していかなければならないと思います。

下条委員 それ以上、期限的なものはなかなかおっしゃれないと思いますが、私もずっとこれからもこれをウオッチしていきたいと思いますけれども、悪いということではなくて、よければいい方向に法案を改善していくのが私は必要だと思うんですよ。ぜひ鋭い眼光で見ていていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、十三条一項の「延焼等危険建築物に対する除却の勧告」と、十五条の「居住安定計画の認定」の部分でございます。

 これは、多くは語りませんが、要は、ここは危ないぞということで除却の勧告をした場合は、その賃貸し人、つまり持ち主さんが、自分の勧告された賃貸住宅に入っている居住者をどこに移すかを自分で計画して、そして、賃貸し人でできない、つまりオーナーさんでできない場合は市町村に代替住宅を依頼していく、こういう順番でございます。

 それで、この密集市街地整備法の制定された平成九年からの実績を調べました。つまり、十年間で一体この法律がどの程度の実績を伸ばしているか、全部見ました。そうしましたら、除却勧告は実績ゼロであります。そして、居住安定計画はゼロ件と私の方では聞いています。

 ということは、実際そういうものがなかったのか私はわかりませんが、実際にはどうもそこまで至らなかったかもしれないし、それに近いことには至ったけれども、賃貸し人、つまり大家さんたちが、いや、そんなものできないよ、金がないしということで、計画もしない。計画しなければ、責任は、その受けた、勧告された大家さんしかないわけです。勧告する方は、ただ勧告だけでございます。だから、結果的には十年間で実績がゼロというのは、やはり何かが足りないなという感じがいたします。

 そこで、もう一つの改正案である居住安定計画の作成についてもう少し見ていくと、今度は三十条の三で「居住安定計画の作成の業務を行うことができる。」としましたけれども、実際この中の範囲を見ていくと、現行では震度五強程度でも倒壊する木造から、震度六強、七で倒壊や外壁等の脱落のおそれがある防火づくりというふうに変更になっています。つまり、もうちょっと強目になっちゃっているということであります。

 そして、私は何を申し上げたいかというと、要は、実際に勧告をした場合、また勧告に近いことをしても、相手の受け取る側が認識がないし、別に勧告というのは、私もいろいろ読みましたけれども、一切の行政指導上の罰則も何にもないんですね。やりなさいよといって、それについてやらなくてもいいわけであって、したがって、結果的には、こういう法制度があっても、私はこの法制度にひっかかるのは幾らでもあると思いますけれども、実際はワークしていない、動いていない、これが結果的に出てきていると思います。私は、これではせっかくの、毎度申し上げますけれども、すばらしい法律も生きてきていないなという感じがいたします。

 この辺、まず住宅局長に御意見をちょうだいいたします。

榊政府参考人 委員御指摘のように、延焼等危険建築物につきまして、早急な除却を図る必要性が高うございますけれども、行政命令で直ちに除却の実現を図るといった場合には、借家人なり居住者の保護に欠ける面があるというようなことで、除却勧告といったような制度と、これに対応した居住者安定のための居住安定計画制度というのを設けたわけでございます。

 ただ、その居住安定計画の作成ということ自体が、実は民間の方がおつくりになるということで、近傍類地におきます公的賃貸住宅の空き室状況ですとか、その家賃状況を把握しなきゃいけないとか、賃借人や代替住宅の管理者との交渉を行わないかぬとか、そういったようないわばノウハウが必要となってまいります。ところが、そこにおられるいわば大家さんでございますけれども、そういった方がそういうノウハウを持っているかということになりますと、公的賃貸住宅の入居あっせんといったようなノウハウでございますし、なかなか個人、民間企業が持ち合わせにくいというようなことがございまして、この居住安定計画の作成が困難で、現状になっているというのが実態だと思っております。

 ただ、今回の改正は、そういった意味で、居住安定計画の作成のノウハウを持っているような方、例えばその地域でいえば地方住宅供給公社というところは、いわば公営住宅と連携しながら、低所得の方にも入っていただくとか、そういったような形で自己保有住宅を有しておりますので、そういったような従前居住者対策についてのノウハウが提供可能であるというようなことで、こういったようなところが、勧告を受けた方、大家さんの委託を受けて、そういった安定計画ができるということが用意されているということと、今度は、公共団体からの要請に基づいて、都市再生機構が受け皿住宅をつくれるということになっております。したがいまして、こういったような受け皿住宅をつくれる都市再生機構も実はみずからも賃貸住宅を持っておりますし、権利調整という意味でもノウハウを持っているということでございますので、こういった施策をあわせましてやっていきますと、公共団体の方も、こういう居住安定計画をサポートできる仕組みが今度新たに加わりますので、そういった意味でサポートできる仕組みができましたので、除却勧告並びに居住安定計画という制度の連動がうまくいくようになるんではないかというふうに思っておりまして、こういった制度を使いまして、密集市街地の整備の改善が進むということを期待しております。

下条委員 ありがとうございました。

 まさに今局長がおっしゃった連動、この部分が僕は非常に必要だというふうに思います。

 私は、物事は、国会が続く限り、前の法制度がいいかどうかわからないので改正していくというふうに思っているんですよ。ですから、前がいい悪いじゃなくて、悪かったらそれをよくすればいいと僕は思っています。ですから、責めるつもりは全くないんです。

 そこでもう一つ、実態の数字のことを申し上げると、例の防災街区整備推進機構、二百八十九条に指定という規定がありますよね。それについて、平成十五年の改正でNPO法人も指定をされることになったというふうに書いてあります。

 そこで、この防災街区整備推進機構の指定に、NPOが幾らでも、日本でもたくさんあります、その中のNPO法人にも指定をしなさいということで、法制度は今から四年前にでき上がっています。ところが、これで、その機構について指定されるということを聞いて、認可がおりたNPO法人というのは、大阪府都市整備センターの一法人だけ。つまり、平成十五年に追加されたNPO法人は一個もなかったということなんですね。

 私は、今まさに連動というふうに局長がおっしゃいましたけれども、いろいろないいものがあるんですよ、いろいろないい法律がそれぞれ釣り糸のように一本一本垂れちゃっている。ところが、それを連動するときに初めてそれがブラッシュアップ、磨きがかかってくると思うんです。このNPO法人も、これはもうNPOですから幾らでもそこにあるんですが、こういうふうに法律を利用してNPOに任すことができるということを、ほとんどNPO法人の方も知らないというのが実態です。

 ですから、今局長がおっしゃった連動、周知という部分が、これから、せっかくいいものをつくったときに生かしていくのに必要だと思いますが、このNPOに関して御意見をちょうだいしたいと思います。

榊政府参考人 実は、耐震改修についても同様のことがございまして、一昨年、耐震改修法を改正させていただきまして、予算をいただきながら、なおかつ税制をということで制度を始めましたけれども、では、全国的に耐震改修がどんどん進んでいるかということになりますと、実は余り進んでいないわけでございます。

 それは、一方で、皆さん、いつ大地震が来るかもしれないなというのはわかっているというお答えもありつつ、具体の話になると、まだ目が覚めていないといいますか、早くやらなくちゃという気分になっていないというところがございまして、私どもの想定よりもちょっとおくれている状況だということでございます。

 そういった意味でいいますと、実は御指摘のNPO法人も同様でございまして、こういったような問題については、どうやって避難をするかとか、どういったときに何をするかというのは、地域におけるNPO法人みたいな方がしっかりしていただいて、例えば耐震の診断もできる能力はあるよとか、こういったような密集市街地についてのノウハウも持っているよとか、そういったような形で地道に活動していただくことが肝要かと思っておりまして、実は我々もそういった方面でこれも力を入れていきたいというふうに思っておるところでございます。

下条委員 耐震の話をすると私と局長は大分長くなっちゃうので、この辺で耐震の方はちょっと控えさせていただきますけれども、今おっしゃっていただいた周知という部分をやることによって、垂れた糸がつながることになると思います。これがやはりこれからは、予算が少ない中でそういうものがあるわけですから、ぜひ徹底をこれからも一層進めていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 次に、都市再生整備機構についてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

 先ほどもちょっと局長も大臣もおっしゃっていましたけれども、改正案の三十条の二で、密集市街地における建築物の建てかえの円滑化を図る上で、従前居住者用の住宅の確保が重要であるという観点から、地方公共団体からの要請に基づいて、都市再生機構は、国交相の認可を受けて、所管行政庁から延焼等危険建築物として除却勧告を受けたこと等により当該建築物から退去することとなる従前の居住者のための賃貸住宅の建設、管理、増改築及び譲渡の業務を行うと。許可を受けて、新しく退去することになった人のためにやる、これは非常にいいことであるというふうに思います。それをさらに進めていくと、計画も練っていかなきゃいけない。

 そこで、私ども、では、受ける側の都市再生機構は今どんな状態かなと思って見させていただきました。そうしますと、平成十六年の七月に設立されてから、その中期計画において業務の効率化、スリム化を図ってきています、これはいいことだと思いますね。例えば、事業費については、その単価の見直しをしたり、事業執行方法の改善をしたり、不採算事業の見直し等をして、効率化を推進しております。また人員や人件費についても削減していって、また保有資産の売却促進やニュータウン用地、これはもう皆さんの方が、釈迦に説法ですけれども、計画を立てている。

 こういういろいろなものを努力なさって、十七、十八年の二年間で繰越欠損金を約千三百八十億円削ってきたということであります。平成十七年度には有利子負債を八千二百億円も削っている。これは経営改善に非常に努力なさっているんじゃないかと思うんですね。そこで、もう一度現状を見てみますと、十七年末段階では、有利子負債が十五兆五千億、繰越欠損が六千億あります。

 そこで、まず、監督官庁である国交省として、いろいろな業務を渡すということの前に、財政面とこの改善状況について現状どのようにお考えになるか、まずは局長からお考えをお聞きしたいというふうに思います。

榊政府参考人 実は、財投の繰り上げ償還ということを行いまして、それで相当の繰越欠損といいますか、そういったようなものを整理すると同時に、ニュータウン事業について、早期の事業完了と土地の売却ということを行いまして、さらにそれの圧縮をする。御指摘のように、経営改善というようなことで人員削減なり事業の効率化も図っていく、こういうことをやっております。

 当機構の、いわゆる都市再生機構の中期目標といいますか、そういったようなところでは、中期目標中に、この繰越欠損金をゼロにしていく、こういう目標を立てておりますので、着実にそれを実行していくということではないかと思っております。

下条委員 局長の方では実行しているということだと思いますね。

 そこで、私が調べますと、例えば、再生機構が東京八王子市の分譲マンション二棟の構造計算書を紛失したというのがありました。計算書の再計算ミスを繰り返していたので、冬柴大臣は昨年十一月に理事長に文書で厳重注意をした。そして、このマンションは、今から十七年前前後に発注をして、同機構が建設して、その後に構造計算書を紛失してしまった。そして、再計算のミスを加えた。一棟は耐震不足だった。まあ一連のものであります。そして、同機構で文書で全体が保存義務が義務づけられているのは五千九百六十八棟あって、そのうちの三割の千八百七十九棟で計算書が紛失してしまった。これはちょっと、住んでいる方が私の周りだったら大変なことだし、こういう状態の機構なのかなと、きょうは理事の方がいらっしゃって申しわけないのですが。

 その中で、私は、それは厳重注意で改善されているし、努力している、これは認めます。非常に繰り越しもあれしている。ただ、スティル、まだ十五兆六千億の負債を抱えているというわけですね。

 これはまず機構さんにお聞きしたいんですが、こういう実態の中で新たに業務を引き受けて、そして今、経営努力の真っ最中じゃないですか。つまり、簡単に言えば、重病患者が、手術が終わって点滴を外して、酸素吸入から、自分で、自力で少しずつ戻っているところに、また新たに、おまえ、ちょっと病院のベッドの上でバーベル挙げていけやというようになってしまうとしたら、これはマンパワー不足、管理不足になって、私もしばらくこれから見ていきたいと思いますけれども、この新しい業務に対して、本当にグリップがきいたことができるかな、もしくはもうちょっと悪くなってしまうのかなという懸念を私自身が持ってしまうのであります。

 そこで、まず、当事者である再生機構の方々から、これについていかがお考えなのか。やれるんだというのであれば、私はここで、速記の中にも映りますけれども、やれと。いや、ちょっともう少しこうしてほしいというのを、この機会にぜひ意見をお聞きしたいというふうに思います。

松野参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、経営状況が非常に苦しいスタートでございましたが、御指摘がございましたとおり、十六年当時に七千三百億円の繰越欠損金がございましたが、経営改善努力をいたしまして大幅に削減いたしまして、十七年度末では五千九百億円にまで削減してきております。平成十八年度におきましても、引き続き努力を続けているところでございます。

 ニュータウン事業については、早期の事業完了あるいは土地の売却を図る、一方で、都市再生に係る事業の推進に特化するということを機構の目的としております。

 したがいまして、私どもも、この都市再生の業務を進めながら経営改善をする一方で、また都市再生に私どものノウハウを活用していくということが私どもの使命だというふうに考えております。そうした観点から、私どもも今後、当然、国でいろいろな補助事業を用意していただいております、こういったものをうまく活用しながらこれに積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えております。

下条委員 それでは、松野さん、大丈夫と受け取ってよろしいのでございましょうか。わかりました。では、しっかり今の御意見はお聞きしたいと思います。

 それで、なぜ私がこれを言うかというと、確かに数字上の、大変な努力をして圧縮して、私は元銀行員ですので、相当圧縮して、先ほど局長がおっしゃったような、努力をなさった、これは認めます。

 そこで、都市再生機構の中に、計画をして、そしてつくっていくんですけれども、もし賃貸住宅に空き部屋が生じた場合どうするか。都市再生機構の管理業務を、万一すべて空き部屋になった場合、地方公共団体や民間に譲渡するということです。私は何を言いたいかというと、空き部屋になったときに譲渡する、こういうものがあるとしたら、つくったものが空き部屋になるかどうかというのは、保証はだれもないと思うんですね。

 そこで、ちょっといろいろな資料を調べていきますと、空き部屋になる可能性というのを、私はネガティブに物を話すのは好きじゃないんですが、今までのあれからいきますと、新しく入居する人たちは、五年間をかけて自分たちの負担基準額を増額していってしまうわけですよ。つまり、転居してくださいと言って、そこで、もともとの入居基準が月額三万五千円だったとしますね。新しいところは、周りの、近傍の家賃からすると六万ぐらいするけれども、激甚的に変わっちゃいけないから、補助金が入った分を含めて下げてくる。ですから、例えば目標値が五年で、もともと二万五千円ですけれども、四万円ぐらいだとしても、これをどんどん上げていくということが条件として入っているわけですよ。その近傍の住宅の家賃とは同じではないけれども、補助金をもらっていますから同じではないけれども、自分たちが最初に住んだときよりは相当上がっていってしまう。そうすると、やはり心理というものが働いてくると思うんですね。それだったら、結果的には、年金もどうなるかわからないし、おじいさんと二人だけでやっていたら、この先ちょっと不安だなということになると思うんですよ。

 そこで、こんなふうになってきたときに、収入が低い方の負担部分については、その部分について、要は、都市再生機構が最終的に負担になるというふうに私は見ています。

 というのは、低い方の家賃がどんどん上がっていく、そしてこの負担分の家賃収入の軽減は最終的には都市再生機構が負担していかなきゃいけないことになりますので、私は、先ほど言いましたけれども、本当に大丈夫かな、それをこの前提で私は言っているのであります。

 そして、地方公共団体がその分やってくれよというけれども、御存じのとおりで、地方公共団体も交付金、補助金を含めてがあっと落ちてきています。税源移譲といったって税源のもとがないわけです。そうなってくると、地方公共団体は、いや、おれは悪いけれどもできないやというふうになれば、結局は都市再生機構に、せっかく皆さんが努力をして削ってきた、有利子負債から含めて繰り越しも抑えているのに、また新たに負担が出てきちゃうんじゃないかなという懸念があるので、私はこういう話をしました。この辺はいかがでございますか。

松野参考人 お答えいたします。

 一般的な私どもの機構の賃貸住宅は、財投から資金を借りまして、建てて、それを新規募集するときには、市場家賃ということで募集いたします。しかしながら、今回この法律で改正していただく予定になっております従前居住者用賃貸住宅、これを市町村の要請を受けて建てる場合には、国の補助制度がございまして、建設時に、上物の工事費と用地費を合わせて、人口密度ヘクタール七十人以上のところでは三分の二の補助をいただけるという制度になっておりますので、基本的にその辺のイニシャルコストが非常に低くなるということ。

 それから、場合によっては、入居者に対する従前の家賃との均衡とかいろいろなことを考慮して、家賃を下げてあげないとなかなか入れないというケースがありますので、その場合に、さらに家賃低減が必要であれば、家賃低減に対する補助制度も用意していただいておりますので、こういう制度を積極的に活用させていただいて、今おっしゃったような、委員の御懸念のないようなことが可能な制度になっているんじゃないかと思います。そういう意味で、私どももこの制度を積極的に活用していきたいというふうに考えております。

下条委員 私も、宝くじも当たりませんので懸念も当たらないように祈りますが、今までのデータからすると、ちょっと心配はしていることを理事に申し上げたいと思います。

 そこで、もう時間が来ているので、あと三、四分しかないので、提案をさせてください。

 というのは、理事、また国交省さんも、別に私は非難しているわけじゃないんですが、実を言うと、この機構賃貸住宅の空き部屋状況というのがあります。これは平成十三年から十七年まで約五年間、管理戸数が約七十六万七千あって、募集あっせん中というのは約二万五千。そして、募集停止中、これはお聞きすると、募集停止中というのは、建てかえ事業やリニューアルのために募集を停止しているという話でございますが、結果的には、見てみると六万戸以上空き部屋になっているんですね。六万戸以上ですよ、六万人。一戸に一人以上住むと思いますから、一・五人としても九万人、十万人の方がそれで、現在あるもので救われるんではないかというものが現状あるわけです。

 もう一度申し上げます。募集あっせん中はいいんですが、募集停止中の部分も別に住めないこともないと僕は思いますよ、リニューアルも含めてどうかと。そして、これを追っていくと、五年間で数は減っていないんです、全然減っていない。ということは、この部分は、リニューアルしてまたやったのかもしれないし、また新しく停止になったかもしれないけれども、現状で六万戸以上の空き物件を持っているわけじゃないですか。それを少し知恵を使って使うというのも、私は別に都市再生機構の経営者じゃないんですが、一つの提案であります。

 これを使えば、もうそこにあるんですから、ここからここに移していったらどうかと。もしくは、この人はこれだけの、今ゼロなんですから、あいていれば入ってくるのはゼロ円です。でも、六万戸から一円もらったって六万円毎月入ってくるわけです、都市再生機構に。そうすれば随分経営上は楽になるんじゃないかと思いますが、この点について、まず住宅局長の方から御意見をいただきたいというふうに思います。

榊政府参考人 当然のことながら、従前居住者用賃貸住宅の確保につきまして、近くに利用、活用が可能な既存のストックがあるというのであれば、それは極力その有効活用を図っていくのが筋だと思っております。

 ただ、居住者が生活する近くで適正な賃貸住宅が存在しないとか不足しているような場合が想定されまして、そういった場合に、遠隔地の賃貸住宅の活用が可能な場合でも、高齢者の居住者によっては遠隔地への移転に伴う生活環境の不安が懸念されるというようなことで、こういったようなときにはちょっと強制はしがたいのかなというふうに思っております。近くで既存の賃貸住宅のストックの活用が困難な場合は、公共団体の要請を受けた上で、都市再生機構が新たに従前居住者用賃貸住宅を建設していかないかぬのかなというふうに思っているところでございます。

 それから、空き家住宅で停止中というのがありましたが、これは、建てかえ等々がありまして、一定の中で、言ってみれば転がしていくための余裕といいますか、そのための必要ストックということでございますので、そこに入っていただくと、実はそこが、また出ていっていただかないかぬ、こんなこともございまして、なかなかちょっと難しいかというふうに思っております。

下条委員 大臣、今の部分、ひとつ御意見をいただければと思います。

 要するに、空き家がリニューアルの部分を含めて約六万戸用意されています。新しいものを建てるのがいいのか、さっき言いましたように、人によっては非常に高い家賃を払っていかなくちゃいけないということですから、それを少しでも下げて、少し離れるかもしれないけれども、六万戸の中に移れる人がいたら、指導としてやっていくべきじゃないかという提案でございます。いかがでございますか。

冬柴国務大臣 理屈としてはまさに下条委員がおっしゃるとおりだと思うんですけれども、今局長が言いましたように、もう建てかえをするためにあいたところは入れないという部分には入ってもらっちゃ困るわけですね。そういうものもありますので、本当にまたあいて、次の人を入れるべくそこへ募集をするというようなものがあれば、これはそこへ優先して入れるべきだと思うんですが、いろいろとそれは、個々具体の問題になれば、私の近くにも公団がありまして、あいているところもあり、それをまた入れかえながら建てかえをやっていますので、そういういろいろな事情がそこにあるんだろうと思うんです。

 ただ、おっしゃる趣旨はよくわかりますし、そのとおりだろうと思います。ですから、あいているのに使っていないというものは使わなきゃならないというふうに思います。

下条委員 時間が来ましたので、最後に理事に御質問しますけれども、今のお話は、局長と大臣の方から、リニューアルの部分は入れかえたり建てかえたりしているけれども、募集中でまだ入っていない二万五千戸、三万近くあります。この辺を踏まえて、ぜひこれを念頭に置きながら移動することによって最小限のコストにして、あるのでありますから、それを活用していっていただきたいという御提案に対して、最後に御意見をちょうだいします。

松野参考人 お答えいたします。

 募集停止中、これは大臣からも局長からもお話がございましたとおり、建てかえが間近ということで、あけざるを得ないというケースがございます。それ以外の一般的にあいているところにつきましては、うまくこれを活用するということも委員の御指摘のとおりだと思います。

 なおかつ、それで、木造密集地の事業の近傍に全くうちの空き家がない、どうしてもこの近所に従前居住者用賃貸住宅を建てたいというときには、私どもの方に要請があって、それを建てるということになるのではないかと思います。そういう基本的な考え方で進めてまいりたいと思っております。

下条委員 どうもありがとうございます。ぜひその方向で今までの努力を進めていってもらいたいと思います。

 時間が来ました。以上です。ありがとうございました。

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.