衆議院

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第13号 平成19年4月13日(金曜日)

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平成十九年四月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 石田 真敏君 理事 後藤 茂之君

   理事 中野 正志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    片山さつき君

      木原  稔君    桜井 郁三君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      土井  亨君    徳田  毅君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    原田 憲治君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     片山さつき君

  北村 茂男君     土井  亨君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     木原  稔君

  土井  亨君     稲田 朋美君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     北村 茂男君

  木原  稔君     亀岡 偉民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案(内閣提出第四二号)

 港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案及び港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土計画局長渡邊東君、都市・地域整備局長中島正弘君、港湾局長中尾成邦君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 この法案についての初の質問ということで、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律ということで、これまでは全総と言われる計画があったわけで、それが国土形成計画という形に進展していく中での、その具体的な一つの流れだというふうに認識をしております。

 確かに、これまでのような全総形式ではなくて、そろそろ我々は、例えば環境への配慮ですとか、ここにも書いてありますが、国土の一極一軸の発展ではない形の、そしてまた事業規模だけを求める形ではない新たな計画というものを考えていかなくてはならないということではあると思うんですが、その具体像、まだまだわからない部分もございます。きょうはそういったところについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、早速質問に入るわけですが、これまでの全総というものが繰り返し、八年ですとか十年ですとか十五年という形でつくられてまいりました。一方で、前回の、橋本内閣からでしょうか、多軸型の国家というものが提言をされるようになりました。しかし、その二十一世紀の国土のグランドデザインというものが目指した多軸型の国土というものが、果たしてその計画が実現したんだろうかということを、やはりまず大臣の認識を聞かなければならないと思っております。

 まず、そのことについての御見解をお願いいたします。

冬柴国務大臣 二十一世紀の国土のグランドデザインというものが、平成十年、閣議決定されました。その中では、一極一軸型から多軸型国土構造への転換の基礎を築くことを基本的な目標として、地域連携軸の展開あるいは広域国際交流圏の形成など、四つの戦略による国土づくりを行うこととしておりました。

 その結果としてでありますが、工場等の地方分散あるいは国際交流などについては一定程度進んできたと評価できると思いますが、一方で、金融や情報等の諸機能は引き続き東京に集中しております。また近年は、東京圏への人口の集中傾向があらわれる一方、地方圏では転出超過が続いております。これを二〇〇五年で見てみますと、ちょうど東京で十一万五千人ふえて、地方で十一万五千人減っているというような象徴的な数字も出ております。

 このため、現在策定を進めております国土形成計画では、広域ブロックを単位とする地方が、その有する資源、すなわち、その土地土地には独自の歴史や伝統、文化、自然景観、あるいはそこに住む人のかたぎ、そういうものがございます。したがいまして、そういう土地土地の特色というものを最大限に生かして、そして地域戦略を描いて特色ある独自の発展を目指す。

 少子高齢時代を迎え、そして本格的な人口減少社会というものを迎えたときに、このまま放置すれば、日本は、各ブロックが先進国の一国に相当するような人口や経済力を持っているにもかかわらず、それが縮小していく傾向に進まざるを得ないわけでございますが、これを、近隣諸国の、発展する中国、韓国等の活力というものを取り入れることによって、日本は、人口は減少していても、なお経済については拡大あるいは持続的な拡大ということが図っていけるというふうに考えているわけでございまして、広域地方が独自にそういうものを受け入れるような、港湾とか空港とかあるいは道路のネットワークとかいうものを固有に開発していただくことによって、我々がそれを支援することによって、多極型の国土が形成できるというふうに考えているところでございます。

泉委員 まさにそのことを、平成十年の三月三十一日に閣議決定されました二十一世紀の国土のグランドデザインということが訴えていたのではないのかなというふうに思うわけですね。地域連携軸というのもそうですし、多自然居住地域、農山村ですとか中山間地域とかに居住をつくっていくというようなこともそのときにも言われていた。

 しかしそれが、先ほど大臣が言われましたが、工場の分散はできたけれども人口は集中をした、あるいは富も集中しているのかもしれませんし、事実、国土審議会計画部会の「中間とりまとめ」、これは昨年の十一月ですが、「一極一軸型国土構造の現状」ということで、現在も一極一軸型の国土構造が続いているというふうに明確に書かれております。

 そうしますと、やはり前回のグランドデザインというものの計画については目標を達せなかったというふうに、だから責任の追及がどうこうではなくて、客観的な総括として、残念ながら、平成十年に閣議決定したものについては目標を達し得なかったというふうに判断すべきと私は思いますが、いかがですか。

冬柴国務大臣 残念ながら、そのように言わざるを得ない。

 例えば、東京圏といいますか、首都圏の人口は全国の人口に対して二七%を占めているとか、名目GDPは三一・五%、約三分の一を占めているとか、国内銀行貸出残高は四九・八ですから五〇%、約半分を首都圏で占めているとかいうような数値を見てみますと、目標として掲げたところはよくて、それなりに進んだとは思いますけれども、もう一度原点に返って見直す必要があるというのが現状ではないかと思います。

泉委員 率直な御見解、ありがとうございました。

 我々は、このグランドデザインで果たし得なかったものを次こそはしっかりと本当の意味で果たしていかなければならない、そのことをやはりこの委員会の中でも共通認識として持たなければならないというふうに思います。

 だからこそ、本当に、いわゆる多軸型の国土構造をつくっていくんだということが新たなこの計画の中には随所に入っていかなければならない、そういうふうに思うわけですが、一方で、私が広域的地方活性化のこの法案あるいは国が今つくろうとされている国土形成計画の一端をのぞかせていただくと、まだまだその部分が弱いんじゃないか、また同じものの繰り返しになるのではないかという懸念も持たざるを得ないというふうに思っております。そういったところを少しお伺いしたいと思います。

 平成十八年、昨年の十一月、「中間とりまとめ」というものが出ております。その中に、例えば「一極一軸型国土構造の現状」ということで、人口減少を克服する新たな成長戦略の構築が求められており、機能の陳腐化した国土基盤の質的向上が必要だというふうに掲げられています。機能の陳腐化した国土基盤の質的向上、これは例えばどんなものを指すのか、お答えいただけますか。

渡邊政府参考人 例えばの例でございますけれども、構造物、いろいろな建築物等につきましては、時間がたってきておりまして、そういった中で、これから大きな地震が起きる、こういったものに対して十分耐えられるだけの力があるかどうかといいますと、そういった力がないものがある。こういうようなものが例えばの例として申し上げたものでございます。

泉委員 そういう場合は陳腐化と言うんでしょうか。耐震強化ができていないから陳腐だということですか。なるほど、わかりました。そういうものを向上させていくということですね。

 もう一つ、同じくこの「中間とりまとめ」の中で、「いわば、美しく信頼され性能の良い「日本ブランドの国土」を形成することを目指すべき」というふうに書いてありますが、日本ブランドの国土、この具体的な中身を教えていただけますでしょうか。

渡邊政府参考人 「日本ブランドの国土」というのは、実は、計画部会の先生方の御審議の中で、こういったものを目指したらいいんじゃないかというようなことで出されてきたアイデアでございます。

 その一番大きな点は、まさにここに書いてありますように、「美しく信頼され性能の良い」ということで、例えば、交通機関でありましても非常に時間はパンクチュアルである、またいろいろな災害に対しても地域がしっかり守られている、そういったことがまさに「信頼され性能の良い」という意味であって、こういったものは世界に対して日本が誇れることではないか、これを「日本ブランドの国土」ということで、それをさらに追求していこう、こういう趣旨で述べたものでございます。

泉委員 言葉じりをとらえるつもりはないんですが、この「中間とりまとめ」の中に、実はその「日本ブランドの国土」というものの前段に、美しい田園風景、清潔で安全な都市等、「我が国の国土が本来持っている魅力を世界に対してアピールし、誰もが住んでみたい、訪れてみたいと思う、いわば、美しく信頼され性能の良い「日本ブランドの国土」を形成することを目指すべき」と書いてある。

 訪れてみたいはわかるんですが、だれもが住んでみたい、これは外国人の居住を促進させようというお考えが国交省の方にもあるということなのか、それとも住みたいという願望のレベルのお話なのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

渡邊政府参考人 実際に住みたいと思われる方もおられるかと思いますけれども、願望として、日本に来たときに、ああ、この国に住んでみたいなと思うような、そういうことを感じていただけるような国土にしていきたいという趣旨で書いたものでございます。

泉委員 さて、大臣、先ほど私、冒頭申し上げましたけれども、本当の意味で一極一軸型を多軸型に変えていかなければならない、そういう強い決意があると思うんですね。

 しかし一方で、国土交通省は、もちろん国としてインフラ整備というものも一生懸命に取り組んでおられまして、例えば高速道路の建設、これは最低限のインフラという位置づけで恐らくこれからも推進をされていくんだと思いますが、一方で、いわゆるストロー効果、ストロー現象というものが、大臣もお言葉は御存じかと思いますが、実例を挙げれば切りがないほど、交通機関が整えば整うほど、確かに逆ストローという現象も一部にはございます。

 ですから、それをもってすべてよしということにはならないということを前提に、高速道路ができた、都市部からの日帰り圏が広がった、それが事実上、都市の力が小規模都市に比べ大規模都市の方がまさり、そして大規模都市の方に居住をするというような、あるいは大規模都市の方へ生活基盤あるいは経済活動の中心が移ってしまう、そして実は高速道路の通った小さい都市が衰退をする、こういう現象を今後も引き起こしていく可能性がやはり強いと思います。

 このストロー現象を、高速道路の建設とあわせて、どのように防止されていくか、その方策を教えていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 この国の政治体制が、明治期以来、極端な中央集権型行政システムによって構築されてきたと思うんです。そういうことが原因になって、狭い東京に、政治も経済も金融も、文化あるいは学校、若者も吸い寄せられて、そして先ほど言ったように、狭い首都圏に人口の四分の一以上が住むというような、過度に集中が進んだと思うんですね。

 これを改めようというのが地方分権の推進であり、そしてまた今回の国土形成計画。これは二層になりまして、一層は全国計画ですけれども、下の方には広域地方計画をつくって、そこで自主的、自立的に、その地方の持つ力、資源というものを生かした、地方に分散していこうということが、地方分権推進と軌を一にして今ここに出てきたと思うわけであります。

 したがいまして、今のストロー効果というもの、これは、そういうふうに便利にすればするほど中央に吸い寄せられる効果だと思いますけれども、そうならないように、地方に、例えば本州、四国、九州を八つのブロックに分けて、従来の圏域を超えて、その中で一国に相当するような力を持っているそのようなゾーンが独自に中心軸をつくって、そこを中心に、その地方が外国からの力も吸い寄せながら発展していこうという考えだと思うわけであります。

 したがって、このような形で、東京へ吸い寄せられるストロー効果が、東京へ入ってくるということじゃなしに、各地域地域の中心都市というものを中心に国土が形成されていくようにしようというのが我々の思想であります。

泉委員 本当にそういったものの実現をぜひお願いしたいと思うんですが、一方で、それこそ国交省の地域活性化戦略というものの中には、確かに私も必要性はよくわかるんですが、例えば、羽田の発着をふやすために再拡張ということで、地方便の増便ということが書いてあるわけです。これはいかがお考えですか。

 確かに私も、この法案がなければ、羽田の再拡張というのを、ぜひ機能強化していただきたいと思う反面、まさに地方と羽田の便をふやす、それは、いわゆる東京一極集中、現状を、何とか機能がいっぱいいっぱいなところを打破していこうというお気持ちはわかるんですが、一方では、さらなる一極集中という状況をつくっていくという御認識はございますか。

冬柴国務大臣 日本はGDPにおいて世界で第二位の経済力を持っているわけでございまして、世界各国から日本に対して、例えば航空機であれば乗り入れたいという申し出が殺到しておりまして、成田に至りましては、今ウエイティングしているのが、四十カ国近くの航空会社が入れてほしいと言っているわけです。

 反面、成田と羽田とのすみ分けというものも必要でございまして、やはり事実として、住民の四分の一が首都圏にあり、そして経済、金融、貸出高の半分が首都圏の会社に対して行われているというような具体的事実を踏まえますと、そこへ人が寄ってくることは、当面、やむを得ない現象だろうと思います。したがいまして、羽田に対する航空需要も非常に大きくて、四本目の滑走路をつくらざるを得ない。

 諸外国を見ましても、イギリス、フランスにしても、アメリカはもちろんですけれども、首都周辺に多くの航空需要があって、飛行場が、滑走路の本数も我が国とは比べ物にならないほど多くのものを持っているわけでございます。

 では、それとこの国土形成とどう関係があるのかというお尋ねでしょうけれども、日本の全国には約九十の地方空港があります。そのうちの約五十近くが国際便をチャーターとか受け入れています、二十五が定期便を受け入れております。その一番大きいのはやはり関西国際空港ですし、中部国際空港もそれに次いで大きな空港ですけれども、しかし、札幌とか北九州の飛行場では外国航路を週に百便以上受け入れているわけでございまして、首都圏の羽田を強化するとともに、地方空港についても我々はその充実を頑張っているというふうに思います。

 したがいまして、そのような形で国土を形成していかなければならない。一挙にはなかなかできないけれども、そういうふうにしていかなければならないというふうに思っています。

泉委員 今、確かに関空も機能充実を図っているところです。大臣も関西の御出身でもありますし、ぜひ関空、あるいは、やはり今考えられている八つの圏域の中でそれぞれそういった空港ができるぐらいの均等な力の配分、予算の配分というものを私からもぜひ要求させていただきたいというふうに思います。

 さらに、国交省の活性化戦略の中には、日本風景街道、シーニック・バイウェイ・ジャパンを推進するということがございます。

 大臣が思い浮かべられる日本の風景、いろいろあると思うんですね。私もいろいろ日本の風景を思い浮かべるんですが、確かに、テクノロジーというものをその風景に加味すれば、富士山の横に新幹線が通っていたり、瀬戸内海を走っているフェリーとわざと瀬戸大橋を一緒に写真を撮って、それがいわゆる日本の風景だと言うこともできるかと思うんですが、恐らくここで言う日本の風景街道というものは、古きよき日本的な農村であったり海であったり、そういった自然あるいは人の温かさが映るようなものというイメージではないのかなというふうに思うわけです。

 ただ一方で、残念ながら、大臣、思い浮かべていただきたいのは、やはり全国各地の駅の姿、駅前の顔かたちというのがほとんど同じになってしまっている現状。あるいは、インターチェンジのおりたところの雰囲気、これもまたほとんど同じになってしまっているということ。そして、それぞれ都道府県の県庁所在地からちょっと出たところの郊外、その風景すら同じになってしまっているということ。実は、独自性を出すというのが今非常に難しくなっているのではないのかな、どうしても全国均一な国づくり、顔が見えない国ということになってしまっているのではないのかなと私は思うんですね。

 実は、そういうものを解消するためにということで国土交通省の方で立案をしていただくと、なぜか、さらに道路を整備する、空港、鉄道を整備する、観光拠点を整備するという話になるんですが、例えば、私が感動した観光地というか、環境の視察で行った先なんですが、フィリピンのいわゆるライステラスというのがございます。ルソン島の北部で、イフガオという民族が住んでいるところなんですけれども、大変きれいな棚田がある。そこには現地の暮らしがそのまま残っているからこそ、ヨーロッパからのいわゆるツーリストがたくさん来られるということになっているわけでして、日本からもよく行かれているわけですが、隔絶された社会あるいは古いものがそのまま残っているからこそ価値がある。そこに恐らく、道路や空港、そして民族衣装じゃなくて普通の服を着た方、どんどんと普通の暮らしになってくると、残念ながら観光地としての魅力というのは薄れてしまうのではないのかなというふうに思うんですね。

 一方では、日本の中での政策、国土交通省の政策を見ると、「観光地へのアクセスの強化」ということで、「道路等の整備を強力に促進する」というふうにこの国交省の取り組みにも書いてありまして、果たしてどうだろうか。もちろん、同じ国交省の中でもパーク・アンド・ライドという実験も進められている中で、観光地に道路をなるべく引いていく、それを強力に促進するというような取り組みを戦略として書かれていることは、私はちょっといかがなものかなという気がしております。

 大臣、御見解をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 ただ、観光で来られる方はそんなにたくさん時間を持っていないと思うんですね。

 例えば和歌山の熊野古道、すばらしいもので、世界遺産にも登録されました。そこへ行くために何日かかるかということを考えますと、やはりその近くまで自動車なりあるいは鉄軌道で行って、そこから、熊野古道というのは本来歩くものですね、昔はアリが歩くようにたくさんの参詣者が歩いたということが言われておりますけれども、そういうものを味わっていただくためにも、限られた時間でそういうものを味わっていただく、深山幽谷の中に入って、すばらしい景観なり、宗教心といいますか緊張を覚える、そういうようなことを味わっていただくためには、少なくともその近くまでは道路を整備しなきゃならないのではないか。

 また、奈良の古都、これも世界遺産に登録されておりますけれども、法隆寺の仏閣を回るにしても、自分の足だけではなかなか難しい。そういう実情に合わせて我々としては整備を、そんな前までという意味ではなしに、そういうものを見ていただけるように整備をし、そしてまた、そこの中で、公共交通機関によってそういうところを廉価で便利よく回っていただけるようなものを整えることも必要ではないかというふうに思います。

泉委員 時間が限られていますので、さらに進めさせていただきますが、今回のこの法律では、いわゆる施設の充実に対しても支援をしていく、都道府県が実施する公共施設の整備ということが書かれておりますけれども、その例としてよく挙げられているのが、国際会議場ですとか、いわゆる会議場みたいなものを挙げられております。

 ただ、大体、大方の圏域の中には既に大きな会議場というのは現存しているのではないのかなという気がしております。今回は都道府県ごとの計画ですから、確かにまだ大きな最新の設備を備えた国際会議場というのはないのかもしれません。しかし、では本当に四十七都道府県にいわゆるハイレベルな国際会議場をつくるということが、これまた均一な、それぞれの地域の特色というのは何もなくなってしまう結果になってしまうのではないかというふうに思うわけです。

 メニューとして会議場というものは、私は、今余り積極的に取り組むべき、今ですら国際会議の誘致合戦で大変厳しい状況、私たち京都にも宝ケ池国際会議場というのがありますけれども、大変厳しい状況で競争している中で、さらに会議場の整備というものを行っていくのか。これはちょっと時代に合わないのではないかなというふうに思いますが、いかがですか。

冬柴国務大臣 今回の、我々が広域的地域活性化というふうに目指すところで国際会議場というのが例示されているのは事実ですけれども、それは、民間が考えて、民間がそのようなものをつくりたいとおっしゃるときに、その都道府県なり関係者が寄って、これは確かに必要だということになれば、都道府県とかは、民間がつくられる会議場に至る道路の整備をするとか、あるいはその周辺の景観を整えるために公園をつくるとか、そういう思想でして、あわせてその地域を活性化しよう。

 その例示としては、それ以外にも工業団地とかそういうことも考えているわけで、そういうものは民間の方でやっていただく。そして、それに至るアクセスといいますか、そういうものについて都道府県が主体になって整備する、もちろんそれに対しては国が助成をするというような思想でございます。

 その核になるのは、重点地区の中の設備というのは民間でやっていただく。それに対して、我々が、それは必要だ、いいなということになれば、我々もそれを確認して、民都機構等からの出資をするとか、そういうことで民間の計画というものも支えていこうというのが今回の思想でございます。

泉委員 最後の質問にさせていただきますけれども、今回、不思議なのは、事前に説明を受けると、圏域ということが一つの設定になっていながら、一つの都道府県による事業であっても、事実上人や物は流通するからそれは広域なんだという設定になっている。ちょっとそこは何でもありというような状況になってしまわないのかなということを懸念しております。そういった意味で、計画は都道府県がつくるということを、これは都道府県だけではなくて広域で計画をつくれるようにする、そういったことにもぜひ道を開いていただきたいと思います。

 あるいは、今、広域地方計画協議会の準備会というものが各地で開かれておりますが、政令市も参加していますけれども、政令市自身も割かし広い面積を持っていたり、影響力のある政令市あるいは有力な拠点を持っている政令市があるわけですが、政令市が発議をするというような状況にはない。このこともやはり私は改めていただいてもいいのではないのかなという点でございます。

 そして、最後に一点ですが、従来ですと、こういうさまざまな事業というものは、今回も予算が二百億、そして百五十億、十億、合計三百六十億という形ですが、殊さら政治家の関与というものも中には指摘をされてきた事例もたくさんございました。その意味では、ソフト、ハード、いろいろな事業がございますけれども、その計画が出てきた際に、やはりこれからの時代は、鳥取県のような形で、議員がそれぞれのことに対して要望なり、口ききというと印象が悪いかもしれませんが、働きかけがあった場合は、それはやはり国土交通省としてもしっかりと記録に残しておくということはぜひ忘れずにしていただきたい。そのことについての御答弁をいただいて終わりたいと思います。

冬柴国務大臣 きっちりと記録しておりますので、みんな心していただきたいと思います。情報公開を求められましたら、公開されます。

泉委員 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 私も、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案、御質問させていただきたいと思います。大局的な部分、そして目的部分、チェック部分と、時間の範囲内でお答えをいただければと存じます。

 それで、まず、私が御省のレクをいろいろ受けた中で、要旨にある目的というもの、これをいただきまして、これについてちょっと一つ質問させていただきたいと思います。

 この法律の目的は、幾つか分かれて、大きく言うと二つである。人口、経済力等で欧州一国に匹敵し東アジア等との直接の交流を深めつつある地域ブロックの自立、活性化を促進する。東アジア等との直接の交流を深めつつあるという部分であります。もう一つは、アジア地域や国内各地の広域にわたる経済活動等の促進により地域を活性化すること等が挙げられる。大きな目的が三つあるうち、二つが東アジアとアジアということであります。

 東アジア、これを例えば取り上げてみますと、もう言うまでもなく非常に大きな促進をしている地域でありますし、特に、きのうみたいに中国の首相がいらっしゃって、ああいうことで、これから非常にいい方面へ向かいながらというふうに思っております。一方で、別な話、言うことはきちっと言うべきだなということは思いますけれども。特にその中国などは、二〇三〇年までに年平均で六・九%成長する、急速な成長が見込まれるということであります。

 そこで、今言った目標が東アジア、アジアということですから、私はちょっと調べてみました。

 例えば、東アジアですから、日本でいえば日本海の沿岸になるということでありますけれども、国際コンテナ貨物量というのは、日本海沿岸にいろいろ出ていて、その貨物量が平成七年から十六年にかけて年平均一三・四%ずつどんどん上がってきた、これはすばらしいことだと思います。

 ということは、それによってもう既に、全国の平均でいう貨物量の増加量は約四・六%ですから、非常な勢いで、日本海を使った東アジア、アジアとの交流はもう取り組みができた上で相当進んできているなというのが、明確な数字によって出てきているんじゃないかというふうに思います。ざっくり言ってしまえば、東アジアとのパイプはもう既に太くなっているんじゃないかというふうに私は思うのであります。

 そこで、最初の目的の話に戻りますと、私もアメリカにいたりして、当然南米があり、南米、ブラジルを含めて日本と友好関係、また、アフリカも含めて向こうが助けを求めているところ、それについて都道府県別に見てもいろいろな、太いパイプを持ちたい、また持っているところもありますが、今度のこの法案の目的の部分に、特にこのアジアというのが二回も出てきているわけですね。

 ですから、ざっくり言ってしまえば、アジアはもうあるからいいじゃないかという言い方もできるし、アジアをもっともっとふやして、一六パー、一七パーになるところもあるんだからもっともっと行けばいいじゃないかという言い方もあるんですが、この辺、少し、なぜここまでアジアに固執する必要があるのかなという感じがいたしております。二点とれますよね、出てきているんだからもっとつなげばいいじゃないかという話と、それから、まだまだ足りないところがあるからと。

 ただ、そこで、一つは、アジアにそれほど形容詞をつくってしまうと、アジアと関係ない四十七都道府県はいいのかというもう一つの議論も成り立ってくると思うんですが、出だしですので、ちょっと疑問に思ったので、目的の部分でなぜここまでアジアに固執しているか、そこの方向感をお聞きしたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 アジアというものを明示しているわけでございますけれども、二つの面からあると。アジア以外にもほかの国があるじゃないかということが一つと、それからもう一つは、アジアとの関係が非常に深い地域と、日本の国内でも、信州は海がありませんので直接触れていない、そういう地域もあるじゃないかという御指摘、二つあると思うんです。

 ただ、日本の場合は、今人口減少社会を迎えてしまって、このままいくと経済も、あらゆるものが縮小均衡の方に行ってしまって、持続的な経済の発展というのが期待できなくなってしまう。そういうことをおもんぱかって、日本の場合は、四面環海、あらゆる部分がすべて海に囲まれているわけですね、そういう意味で、海を越えて貨物も人も、人流も物流も行わなければならない。そういう意味では、海を越えた経済活動というものが、海を越えてその活力を日本に引き入れるということが必要だ。

 そう考えたときに、アジア・ゲートウェイ構想ということを総理はおっしゃっておられますけれども、日本がアジアのゲートウエーになろうじゃないか、全世界に向けてアジアから出発するについては、日本がそのゲートウエーになろう、ゲートになろうというようなこともおっしゃっているように、まずは、一衣帯水、日本と至近の距離にあり、二千年以上の歴史を共有してきた隣国というものが今経済発展が著しいわけです。

 そういうことで、日本の資本も出資され、技術も移転され、今驚異的な発展を遂げつつある近隣のアジアというものと日本とがいわば一体となって、この日本が縮小均衡しそうなところをなお持続的な経済の拡張を期待するためには、そういうところの活力を取り入れるためにゲートウエーとなろう、そういうところを、四面環海ですから、国際港湾とかあるいは国際空港をつくることによってこの力を取り入れてこよう。

 それは、首都圏とか、あるいは関西とか中部とかに限らず、あらゆる日本の国内の八つの広域地方が、そういうところと連携しながら今後の発展を期していこうというのが我々の考え方でありまして、今回の法案も、そういう思想に立ちながら、これはブロックではなしに、各県単位ででもそういう思想を取り入れていってはどうかということで、ちょっと行き過ぎた表現になっているかもわかりませんけれども、今言おうとしたことをあらわしたものでございます。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 アジアということを二度書いておるということにつきましての御答弁は、大臣から申し上げたとおりでございますけれども、法案の第三条におきましては、「アジア地域その他の地域」というように規定しております。これはアジア地域を例示として世界の地域を指しておりますので、当然南米も入ってくるということでありますし、また、もともとこの法律の中で言っておりますように、都道府県を超えた人の流れ、物の流れ、こういったものによって地域を活性化していくということでありますから、当然、国内の他の地域との連携を通じた活性化、こういったものは入ってくるということでございます。

下条委員 丁寧なお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 私は、ゲートウェイ構想でアジアを取り入れる、これは隣国ですし仲よくしなきゃいかぬ、また、いろいろお互い、きのうの首相の発言じゃないですが、相乗効果によって雪解けをしてどんどんふやしていく、これも必要でありますが、一方で、それの陰に隠れてアジアと全く持っていない地域についてもまた、今局長からもお話しいただきましたけれども、この枠の中に入れていただいて交付金を送り出していただきたい、そういう意見でございますので、ぜひ進めていただければというふうに思います。

 次に、総理が所信表明演説等で重要課題として地域の活性化を入れられた、これは大臣からもお話がありました。昨年十月に推進検討チームを設置して、この二月に地域活性化政策体系を決定して、いよいよ今回の法案に至ったわけであります。

 そこで、この基盤整備計画の第五条第一項に、都道府県は、その区域について、基本方針に基づき整備計画を作成することができると。条文上では、計画の作成は都道府県の裁量に任せているということであります。つまり、私がここで質問したいのは、第五条第一項のこの整備計画を作成することができるという文言なんですね。

 何かというと、キャンというのはハフツーじゃないということなんですよ。できますよという、言いにくいですけれども、ある意味でやわらかい通達である。言い方を変えれば、全くの自由裁量に任せてしまう。ということは、どうですか、やる気のあるところはどんどん言ってくる、やる気のないところ、もしくは力がないところは、本当は整備が必要なのにこの申請を言えないようなこともあり得るということであると思います。

 そこで、先月の密集市街地整備法で私が質疑をしたときに申し上げたんですけれども、市町村長が指定する防災街区整備推進機構について、要件を満たしている法人、NPOがあるにもかかわらず、この十年間で密集法での指定がたったの一件しかなかった。これは当然きょうの話題とは違うんですが、いろいろな要件がある中の一つとして、各市町村が余りよく知っていなかったということなんですね。

 ですから、私は正直これは、レクを受けていて、本当にいい法案だと思っています。交付金も直轄でもいい、はっきり言って。温かいですよ。そして、それをサポートしていく、これは結構だと思う。民間プロジェクトも結構。後でちょっといろいろ細かく時間内に質問しますけれども。

 ただ、要は、法案はいいんですけれども、それがでは私の地元の長野、青森、岩手、沖縄の奥地まで周知徹底されているかなという感じが、例えばの例を引くと、この間の整備法の中の認定がたったの一件しか十年間でないということは、言いにくいですけれども、逆に言えばプロパガンダ、宣伝と指導が少し足らなかったなということはある。

 実を言うと、いろいろな要件が、この間の質疑でも大臣からもお答えいただいたとおりで、いろいろある中の一つとしてそれがある。これだけいい法案ですから、ある意味では今回も同様に、気づいて出してきたところだけやるというような形ではなくて、本当に必要である部署もたくさん、さっき言ったブロックの中にもありますし、これの周知徹底を私は、先月に続いてですがお願いしていきたいなと思っていますが、その方向感をちょっとお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 今、広域地方計画についても、準備会で協議会が開かれておりまして、こういうものについての意識は相当高くなっております。

 そしてまた、現在、今きょう審議をしていただいているこの法律ですが、これについても、もう現在二十を超える都道府県から照会なりいろいろ来ておりまして、私は、これはもっと、今委員が指摘されるように周知されるべきだろうと思いますが、私は、この法案が成立し施行されるころには相当数、手を挙げてこられるだろう、そのように確信するものでございます。

渡邊政府参考人 この制度でございますけれども、やはり地域の活性化というのは、地域の実情に応じ、地域が主体的に取り組むことが重要であるために、本法案においては、都道府県の自由な発意による取り組みということで、先ほどもお話がありましたように、計画は作成できるというような形になっておるわけでございます。

 しかしながら、この仕組みについてお褒めいただきましたように、この制度というのは、地域の活性化のためのいろいろな活動、これは非常に幅広く書いてあります。いろいろな活動ができるということで、これはそれぞれの地域がまさに、必ずやこういったものがあるだろうというようなものでありますし、また、使う仕組みとしましても、非常に使い勝手のよい仕組みにしておるということでございます。

 ですから、各地域どこでも使えるような制度になっていくんじゃないかという期待をしておるわけでございますけれども、今までまだ十分PRができていないというところはまたそのとおりでございます。これから、予算も通っておりますし、そういった中で、今まで広報してまいりましたけれども、今回法律が成立いたしましたらば一生懸命広報に努めていきたい、この制度は大変いいものだということを訴えていきたいというように思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

下条委員 ありがとうございます。

 大臣の心意気、そして局長の進める法に向けての意欲をお聞きしました。とにかく法案はいいですから、ぜひ隅々まで、利用しやすい、また知っているということで、プロパガンダ、宣伝に尽くしていただきたいとお願い申し上げます。

 続いて、拠点施設関連基盤整備事業、特に促進する部分は重点地区になるわけですけれども、そこで、この基本方針の中に、拠点施設の選定、重点地区の設定に関する基本事項というのがありますけれども、その中を見てみると、「拠点施設の整備を特に促進することが適当と認められる地区」ということですね。

 基本的には、地域の実情もあるので個別具体的な基準というのは全く設けない、都道府県の裁量に任せてしまうというところなんですけれども、私は、ここの重点地区の裁量を各都道府県に任せてしまうというところが何となく、この法案を読んでいて、ちょっとぴんとこない。確かに、今言ったように、プロパガンダをしなくちゃいけない一方で、簡単に言えば、ハードルが重点地区にないような形になってしまっているということだと思うんですよ。これは、直轄、交付金合わせて、また出資合わせて三百六十億の話です。これは大きい話でございます。

 そういう意味で、重点地区のハードルがないというのもちょっと、確かにこれから、お答えは、予算が通って、それについてその後で方向感ということになるんでしょうけれども、ただ、いろいろな意味で、設定基準、ハードルをある程度つくっておかなきゃいけないんじゃないかと思います。私は、この重点地区の設定のハードルが今回の根幹になっていると思います。この部分のハードルについて、ちょっと局長の方から御意見をお聞きしたいなと思います。

渡邊政府参考人 実は、ここで書いてございます拠点施設というのは、先ほど会議場の例がございましたけれども、そのほか研修施設あるいは一団地の観光施設、スポーツ施設、教養文化施設、工場団地、いろいろあるわけでございます。

 これは、必ずこれからつくらなければいけないということにはなっておりませんで、既にあるものであればこれを大いに活用していただきたいということでございまして、そういった場合には、特にこの拠点施設をつくるということによって重点地区を設けるという必要はございません。しかしながら、新たに拠点施設を整備して地域の活性化を図っていこうという場合に、重点地区を設けるということでございます。

 したがいまして、そういうことでございますから、例えばの例で言いますと、既に拠点施設がある場合には、逆に重点地区は要らないということでございますが、そのような形で、非常にそこは柔軟な形の仕組みとしているということでございます。

下条委員 御意見はそうだと思いますが、今後の話として、ぜひ局長、余り自由裁量に任せるといろいろな問題が出てくるんじゃないかと思いますので、その重点地区の審査というのは、やはりある程度、向こうに言わなくても、手前の方で、裁量の部分でハードルを設けておかないといけないなという感じはします。そうしないと、せっかくいい法案でお金を出すのに、結果的には無駄なものができてしまったら困る。そこがこのポイントだと思いますので、そのチェック機能についてはぜひ推し進めていっていただきたいというふうに思います。

 それで、時間の関係でもう次に移らなきゃいけないんですが、次は、実際、ではこの交付金をいろいろ出した後の評価体制についてお聞きしたいと思います。

 計画に記載された対象事業への国費の充当は自由ということですね。年度中の事業間の国費の融通に係る変更手続不要、民間プロジェクトの進捗状況に合わせた事業間の国費の融通可能という地方の自主性、裁量性、先ほどからいただいている話であります。

 そこで、問題は、それで交付金を払った、もしくは直轄の部分がこれに付随してくるんですが、成果はどうだったかということなんです。広域的地域活性化基盤整備計画に記載された目標が達成されたかどうかの交付金の事後の評価体制というのは、やはり問題になってくると思うんです。計画を出しました、実際は、後は知らないよというわけにいかなくなってしまうと思うんですね。

 幾つかの交付金を調べてみました。例えば地域住宅交付金制度。これは、地方公共団体がみずから目標を設定した計画を作成し公表して、計画期間終了時に目標等をもとにした事後評価を自分でやって公表するということですね。きちっと公表していく、こういうふうになったよと。まちづくり交付金。これはもう釈迦に説法ですけれども、これも市町村は、交付期間終了時に都市再生整備計画の目標の達成状況について評価を行い、これを公表するとともに、国土交通大臣に報告しなきゃいけない。公表して報告するということですね。

 今回もある程度想定されていると思います、もちろんのことだと思いますけれども。ただ、評価しただけで目標を達成しないということも、これはあると思うんですね。評価して、済みません、うまくいきませんでしたと。公表して、済みません、済みません、こういうこともあると思うんですけれども、それだと、やはりちょっと、私が最初申し上げた重点地区の審査が甘いという、要するに、逆に言えば、ブーメランが国交省に戻ってきてしまうことになります。そういう意味では、こういう計画の目標、そしてその審査というのは非常に重要になってくる、事後評価を国交省さんがやるにしろ市町村がやるにしろ。

 そこで、二つにちょっと話を分けて御質問したいと思います。

 一つは、非常にこれは評価が、これに限らず難しいと思うんですが、ソフト事業というのがありますね。ソフト事業というのは、例えば、地方と都市の交流事業やイベントの開催に活用されていく、広域的地域活性化にどれだけ効果があるかと。この部分は、これはもう数字で、ソフト事業がどれだけ効果があったかというのはなかなかちょっと難しいと思うんですよ。

 だから、これは、例えば国交省さんとしてこういうふうに評価するというのを持っていなければ、いや、ソフトはいいや、垂れ流しでいいや、うまくやってくれやということだとちょっと、たとえそれが一千万でも一億でも、我々の、国民の方々が払っている税金でございます。そういう意味では、そのソフト事業の目標に対する評価がまず第一点目の質問。次が、二番目は数字目標の方に行くんですけれども、それはどういうふうにお考えか、ちょっとお聞きしたいと思います。

渡邊政府参考人 まず一点、ソフト事業の評価の点でございます。

 本制度におきまして、地域活性化に資する基盤整備事業と一体となってその効果を高めるために必要なソフト事業についても、地域自立・活性化交付金の対象としているわけでございますけれども、都道府県には、計画の策定時に、基盤整備事業とソフト事業を総合的に進めることにより達成する目標というものを設定していただくとともに、計画完了後にその達成状況について評価していくわけでございます。

 そういうことで、今回の仕組みにつきましては、ソフト事業だけを単独でというよりも、ソフト事業と基盤整備事業合わせた全体の事業として、三年ないし五年の中でどういった成果が出てきたのか、最初に立てたその目標に対してどこまで進んでいるのかということを評価していくものであります。

 また、評価の仕方につきましては、先ほど委員のおっしゃられたような形で進めるとともに、公表していくということによって国民の目でしっかり見ていただくということを考えていきたいというように思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 今のお答えは、ソフト単独ではない、一緒である、だから、ソフトでこれだけほしいよと発意を言ってきても、それは一緒くたじゃなきゃだめだというお答えだったと思います。ここはまたでも難しいんですね。共同事業だけれども、ソフト部門は実を言うと二億かかって、共同事業、百万でいいよと言っても、共同事業と一緒になっちゃう。だから、そこら辺が僕がさっきから言っているハードルという部分なんですね。いい法案なんだから、それを生かすためには、ぜひその部分を国交省の方でよく御検討いただきたいというふうに思います。そういうことで、御一緒であるということであれば構わないんですが。

 次に、具体的に、箱物がさっきからちょこっと出ていますけれども、例えば、観光活性化のために美術館をつくった。美術館だけじゃあれだから、それはもう美術館が都市部の真ん中にできれば道路は整備されていますけれども、でかいものをつくると、やはりある程度郊外になる。そうすれば、公園とか道路を整備していくわけですね。

 それについては、恐らく、私ども幾つかヒアリングをした中では、お客さんをどうやって見込んでいくか、それについて交通量はこうだという計画を出してくると思うんですよ。これもやはり具体的な数字です。

 つまり、美術館という観光活性化のものをつくるということはすばらしいことだと思います。ただ、無駄なものをつくってもらっちゃ困る。また、新しいものをつくると、そこに公園、直轄の道路をつくって、それを国費で百五十億分の幾らでやっていくということになりますね。そうすると、これはもう本当に今度はソフトと違って具体的な目標設定になってくる。計画期間は三年から五年の中で毎年出していくわけですけれども、そのときに、またどういうたがを入れていくかですね。

 例えば、何でもそうですけれども、回転ずし、僕は大好きなんですけれども、オープンしてすぐはすごくいいネタで来るんですけれども、二カ月後ぐらいに行くと大トロがちょっと落ちちゃったり。要するに、最初は何でもいいわけじゃないですか、オープニングで。客がそのときはばっと来る。いろいろ声をかけて関係者も来る。ところが、しばらくすると、大体、私の地元、言いにくいけれども、いろいろなところに行くとぐうっと落ちてきちゃって、結局、閑古鳥が鳴くような美術館になっちゃって、それで市町村は人件費だなんだとかかってきて大赤字を抱えて、はい、さようならと言って民間に行っちゃう。それじゃ困るなと。

 だから、こういういい法案をつくる以上は、申しわけないけれども、僕は民間に二十年いましたけれども、やはりチェック機能を入れていく必要があると私は思います。

 そういう意味では、こういう具体的な数字事例について、例えば今、一年か二年かかもしれないけれども、三年の計画で出してきて、三年は達成して四年以降どうだというところも話題になると思うんですが、その辺を含めて、これはこれからだとは思うんですけれども、方向感をぜひお聞きしておきたいと私は思います。お願いいたします。

渡邊政府参考人 委員御指摘のとおり、まさにこの制度におきましては、都道府県が計画を立てるときに、具体的に目標を立てていただく。例えば、観光客の入り込み数の拠点になる施設であればその利用者数とか、あるいは企業の立地であればそれに伴う雇用者数とか、こういったものを目標を立てていただくということでありまして、これをしっかり目標として立てていただいて、それを目指して実行していっていただくということだと思っています。

 その結果としてどうなったかということは、一つの期間、三年なり五年という期間で一つの成果として当然評価をしていただくわけでありますけれども、さらにその後どういうふうになっていくかということは、やはりフォローアップということが必要だと思います。そういったフォローアップの中で、何かさらに改善すべき点、そういったものが出てくれば、またそこで新しい仕組みを考えていく、あるいはそこで新しい方策を考えていく。

 こういったことで、よりよいものにしていくということが常に努力として必要だと思いますので、その点は十分考えてみたいというように思っております。

下条委員 ぜひ局長、今おっしゃった、終わった後もフォローアップなさるということでありますので、ぜひそこをフォローアップすると。僕は、これをプロパガンダに入れてもらいたいんです。市町村は、恐らく三年、五年、建築指導課を含めて三年ぐらいでぽっとかわっていっちゃいます。でも、三年、五年たった後も一応フォローアップしていくよということを通達の通知の中に入れていくと、これはやはり厳しくなると思うんですよ、自由裁量の中でも。

 ですから、この辺をぜひ、お財布が小さい中でこれだけ大きい金額を出すわけですから、ぜひその対応をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。宣伝の中にも入れて、フォローアップするよという感じで。

渡邊政府参考人 本制度をこれから活用していっていただくためには、やはり完了したものについてしっかり評価して、それがまた次の活性化の取り組みに生かされていくということが必要でありますので、そういった点では、十分勉強しながら、次にその成果を結びつけていくということが必要だと思います。

 ただ、各地域それぞれの事情もございますので、その点についてどうやっていくか、またこれから十分考えてみたいというように思っています。

下条委員 ありがとうございます。

 私、いつも思うのは、本当にこれだけ優秀な方々の頭脳集団が集まって、大きい金額をいろいろな人のことを考えてやる。これはいつも物すごくいいと思うんですよ。ただ、私は民間サラリーマンを二十年やりましたけれども、民間の場合は、それをやって、それが例えば漏れてしまった、結果が出なかったとなると、当然夏の六月のボーナスは削られ、もしくは配置転換になってしまう。結果責任を必ずやった本人がしょっていくことになります。

 そういう意味では、指導すれば、結果責任は地方分権ですからある意味で市町村になりますけれども、こういうことをやるよということによって、彼らは、いや、これはまずいな、前と違うぞというふうになります。

 ですから、今局長がおっしゃったように、ぜひ検討して、そして、フォローアップすることに対して前向きに進めていっていただきたいというふうにお願い申し上げておきます。

 そこで、私は何でこういうふうな話をするかといいますと、例えばもっと怖い例を出すと、それぞれの市町村がやったことでございますけれども、例えば、拠点施設関連基盤整備事業で、郊外に民間プロジェクトとして民間事業者がドームをつくりました。ドームを民間がつくった。これはいいなということで、都道府県はそれにフォローして、アクセスするものや公園とかいろいろやってきた。それに対して、国がアッパー四五%をフォローしていく。それも郊外だというので非常にいいので、直轄事業としてもそれをフォローして、百五十億分の幾らでお金をつける。これはいいですね。

 ところが問題は、私もきのうレクしていてそう思ったのですが、民間プロジェクトの審査というのは必要だと思うんですよ。私もアメリカへ行ってプロジェクトファイナンスをやっていました。大臣も弁護士先生でございますのであれだと思うんですけれども、海外の場合は、何があってもということで、このぐらいの契約書を一つのプロジェクトをやるごとに七つぐらいつくるわけですよ。私のように頭が悪い男でも、少し英語を勉強できちゃったなと逆に思っているぐらいで、そのぐらいまでプロジェクトというのは詰めてやっていって、民間としてやっていく。

 ところが、国がお金を出す部分はその民間プロジェクト以外の部分になっていることが、実を言うと、結構この法案の盲点になっている。

 ということは、この民間プロジェクトは、もし、やった業者が、いや、申しわけない、ちょっと会社がほかのところに手を出し過ぎちゃってどかんといっちゃったよ、それで倒産しちゃったということになった場合は、簡単に言えば、郊外にあるドームが全く機能しない状態になって、そこに行く橋、道路が直轄含めて交付金でできて、公園もできているけれども、郊外だからだれもそれ以外行かない、ただ道路があるだけになってしまうとしたら、これはえらいことだなと。

 ここが実を言うと盲点で、民間プロジェクトの審査がちょっと欠けていると私は思うんですよ。民間は自分でやるんだからそこはいいじゃないか、それに対して、市町村がこれはやってやろうじゃないかとやる。だから、民間プロジェクトのドームの運営部分、実を言うとこれがやはり一番しんになっているわけです、このプロジェクトの活性化について。

 だから、私はたまたまそういうところにいましたので、これは、プロジェクト自体、民間のドーム自体には金を出さないけれども、道路とか公園とか橋とかアクセスは全部出すわけじゃないですか。だから、プロジェクトについても、ぜひこれは厳しい審査、もしくは後ろ盾、例えばバックファイナンス。必ずファイナンスが入っていますから、会社はキャッシュでやりませんから。

 いろいろなものを取り入れて、銀行の部分の評価証明とかを取り入れて、これは絶対大丈夫です、このプロジェクトはと言った上で、そこまで詰めたエビデンスを徴求した方が――どかんといっちゃったら、僕は言いにくいけれども、民間がだめになっちゃった、では、その分フォローするのはどうするかといったら、しようがないからほかの業者を探すけれども、だめだ、ああ、しようがない、では税金を入れるかと市町村にまた起債を発行させて、どうだとやるんじゃ、せっかくのいい法案がだめになってしまうと私は思うんですよ。

 そこで、ちょっと時間が来ちゃっているのであれですけれども、これは非常に根幹部分なので、私の意見としては、民間がやった部分は国から金が出ていないけれども、ぜひ審査を厳しく、銀行からエビデンスをとる方向を含めて対応していただきたいと思います。いかがでございますか。

冬柴国務大臣 非常に大事なところの御指摘だと思います。

 この法案では、そのような民間拠点施設整備事業計画というものを徴しまして、国土交通大臣がこれに対して認定をするかどうかということが一つあります。それで、認定しますと民都機構から出資があったり、したがいましてそこでも審査がされるわけであります。

 今おっしゃっているような、アメリカの企業がつくるような、どうなのかはわかりませんけれども、我々も大臣認定するからには、これはもう相当きちっと審査をして、今言われたような恐ろしい結果が生じないように十分審査をしたいと思いますし、民都機構におきましても、そこへ出資するということになりますと、それは事業の確実性とかそういうものを十分審査することになると思いますので、十分配慮しながらやっていきたいと思います。

渡邊政府参考人 この制度の中で民間の果たす役割が非常に大きいということで、委員の御指摘の点が非常に大きいというように思っております。

 したがいまして、都道府県が、例えば企業の立地や民間による拠点施設の整備が行われることを前提として計画を作成する際には、事業の無駄や手戻りが生じることなくその実効性が確保されるよう、当該民間事業者の進出の蓋然性というものについては十分な吟味をしていただくということが必要だと思っておりますし、私たちも、都道府県から出てきた計画につきまして、それがしっかり実行ができるものであるかどうか見きわめていきたいというように思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 時間が来ているのでこれで終わりにしますが、要は、そこが根幹でございますので、そこをスルーして、金を出さないからいいじゃないか、また都道府県も、いや、こっちとこっちは、五五パーで、四五パー来るし、直轄が来るからいいやと。僕は、この肝心のプロジェクトの部分が非常にポイントになると思うんです。ですから、これは非難ではなくて、これからさらに、こういういい法案を実行する上で、そこはきちっと見ていくよということをぜひ国交省さんの方から各都道府県の方にプロパガンダ、指導していっていただきたいと思います。

 時間が来てしまいましたので、本当に温かい意見をありがとうございました。ぜひフォローしていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、赤池誠章君。

赤池委員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 国土交通委員会、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案、そして港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきたいと思います。

 まさに現在、統一地方選挙が行われております。その中で、私も地元で地方選挙の応援に入る中で、小泉内閣から安倍内閣、地方の活力なくして国の活力なしということを地方選挙の応援で話をさせていただいているわけでございます。

 そんな中で、昭和三十七年以来、全国総合開発計画、五次にわたる策定、そして平成十七年に国土形成計画、それを現在策定中ということの中で、さらに、国土交通省にも昨年十一月に、地域活性化戦略会議を設置して、国土交通省としての地域活性化の戦略を公表したところというふうに聞いております。

 そんな中で、その地域活性化の具体的な中身、内容として、本法案を提出して、さらに予算も国費三百六十億円というお金をつけていらっしゃるわけであります。そういう面では、先ほど大臣の方でも、残念ながら全総計画の限界ということも率直にお認めになる中で、現在、国土形成計画が策定をされている、そしてことしじゅうには策定をされて、それにあわせて、二段階として、広域地方計画が現在審議が進められているさなかですね。そのさなかで、それを言ってみれば前倒ししてこの法律をつくり、そして予算をつけるという、その意義、意味を教えていただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員のおっしゃられるとおり、地域の活力なくして国の活力なしという考え方のもと、魅力ある地域の実現に向け、独自の施策やプロジェクトについて、みずから考え、前向きに取り組む地域を後押しする地域活性化施策の総合的な取り組みを政府一体として推進するということが大変重要かつ緊急の課題となっております。

 このため、都道府県が地域の自立と活性化の目標を実現するために実施する基盤整備等の一体的な推進を図る地域自立・活性化総合支援制度を予算として創設するとともに、この制度のうち地域自立・活性化交付金の執行に必要となる法的措置につきまして盛り込んだ法案を現在御審議していただいているところでございます。

 現在、広域地方計画の作成に向けまして、広域地方計画協議会の準備会合、私どもはいわゆるプレ協議会と言っておりますけれども、これが立ち上げられまして、広域的な地域戦略に向けた議論が進められており、関係者間の連携や共通認識が深まりつつあるというように思っております。また、広域地方計画の作成過程において、本法案による支援措置が制度化されることによりまして、広域的な視点からの地域活性化策に対する都道府県の関心や意欲を高める大きな契機となり、広域地方計画の作成作業に対する都道府県等のより積極的な参画や計画の実効性の向上が期待されるというように考えておりまして、この制度をこのような形でお願いしている次第でございます。

赤池委員 そのときに当然、広域地方計画、現在議論中ということで、非常に熱を帯びているという御説明をいただきましたが、逆に、この法案が通り、予算がつくことによって、各都道府県がそれぞれ計画を策定するわけなんですが、それが広域地方計画の中に当然整合性をつけて、全国の計画、広域ブロックの計画、都道府県の計画というように整合性がつけばいいんですが、ともすると逆に、先に走って、せっかく広域地方計画の方が、方向が違うようなことが、ずれが出ないように、十分国土交通省としてもさまざまな形で指導、監督そして助言、せっかく非常にいい法案、いい予算措置だというふうに思っておりますので、その辺、せっかくのことが結果的に広域地方計画なり全国形成計画とずれが出ないように、ぜひ御指導いただきたいと思います。

 具体的な中身についてお伺いをしたいんですが、今回、都道府県、非常に柔軟性に富んだ交付金制度をつくるということもありますし、それから、活性化事業推進費とか民間とか、相当柔軟性に富んで、地方の自立性を高めようということはすばらしいことだと思うんですが、今まで国土交通省がやっていたまちづくり交付金とか中心市街地活性化なり、道路、鉄道、橋、さまざまな法案、助成金があると思うんですね。その辺と今回の広域的地域活性化の促進の部分の関連とか、例えば同じ地域に中心市街地活性化でやっていたときにこれがどういう形で連動したり、または連動できないのか、その辺の役割分担みたいなものがございましたらお伺いをさせていただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域自立・活性化交付金制度は、地域の活性化に資する民間活動に合わせて必要な社会基盤整備をタイミングよく効率的に実施するために、都道府県を対象に、必要な基盤整備とソフト事業等の地域づくりの一体的な推進を支援する制度として創設するというものでございます。

 一方、既存の補助金制度につきましては、例えば地域高規格道路など、長期的な視点から計画的に実施することが必要な事業を着実に実施していく上で不可欠のものでありまして、本交付金制度とは相互補完的な役割を果たすものだというように認識しております。

 地域自立・活性化交付金とまちづくり交付金でございますが、これはどちらも地方の自主性、裁量性を高めた仕組みということで、道路や公園等の基盤整備を対象とするものでありますが、本交付金が、都道府県を対象にしている、また広域的な地域活性化活動に資する基盤としましてまちづくり交付金にはない補助国道や港湾、空港などを対象としているといった点が、まちづくり交付金との役割分担ということで、違いでございます。

 さまざまなこれらの支援制度というものは、同一の事業に対する二重の補助とならない限り、同じ地域で適用することが可能であるというように考えております。これらの支援制度が一体的に推進され、その相乗効果が高まるように、国としても十分な連携を図っていきたいというように考えております。

赤池委員 今回の交付金が都道府県、今までのいわゆるまちづくり交付金が市町村、その中で、同じ事業には当然二つのお金を入れられないけれども、地域として一体となる場合には、組み合わせる中でそれが反映できるということをお伺いさせていただきました。

 そういう面では、何といっても、計画づくりというのが非常に重要になってくるのかなということを今感じております。都道府県が基本方針を踏まえて一体どういう形の計画をつくるのか。計画がすばらしければこの三年から五年に成果も出てくると思うんですが、その辺の調査、それから計画立案に対して、本法案に基づく予算措置が、国の方で支援措置みたいなものがあるのでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域の活性化は、地域の実情に応じて地域が主体的に取り組むことが重要であるということで、本法案において、都道府県の自由な発意による取り組みを支援するということにしております。国土交通省としましても、都道府県からの相談等に積極的に応じる等、都道府県の主体的な取り組みに対してはしっかりと対応していきたいというように考えております。

 なお、計画の作成に当たって調査、分析、民間との連携構築等の準備を行う際には、条件が合えばでありますけれども、地域自立・活性化事業推進費あるいは国土施策創発調査費、こういったものがございます。こういった調査費を活用することも可能でありますので、都道府県からの相談に応じていきたいというように考えております。

赤池委員 地域自立・活性化交付金そのものとしては調査、計画作成はできないけれども、それ以外の、事業推進費とかその他の事業で国交省として、ワンストップサービスであったり、さまざまな専門家の派遣であったり、アドバイザーということでフォローすることができるということでよろしいんですか。

渡邊政府参考人 そのとおりでございます。

赤池委員 ありがとうございます。

 具体的にもうちょっとイメージがわくようにお伺いをしたいんですが、例えば、私の地元の山梨県の甲府市で、今、甲府市役所、市庁舎を、公有地が八千五百平米ぐらいあるんですが、そこを大分古くなったので建て直したいという話が持ち上がっております。そういうときに、当然、町中で、甲府駅から繁華街五百メートルのところに市役所がありまして、非常にいい土地だということで、市庁舎だけにするにはもったいないんじゃないかということの中で今議論が進んでいるんですが、ここに、広域的な地域活性化のこの法案にのっとって、例えば地場産業のそういう産品とか、山梨ですから、ほうとう、ジュエリー、ワイン、ブドウ、桃、そういった地場産品を並べたり、それから複合型の、商業施設と公共施設を組み合わせたような施設をつくるという形とともに、駅からその新しい複合施設のところに街路とか、そういった道路とか河川とかということもあわせて整備するということを都道府県が計画をしてやった場合、これは対象になるということでよろしいんですか。

渡邊政府参考人 具体的な事例でどうかということになりますと、今即答はなかなか難しいんですけれども、一般論としてお答えしたいと思います。

 本支援制度は、民間と連携した地域の発意に基づき、広域的な人や物の動きを活発にすることを通じて地域の活性化を図るということが目的でございます。具体的には、そのような場合に必要となる基盤整備事業、ソフト事業、こういったものに対しましての支援を行っていくということでございます。

 今のお話のような場合につきましても、拠点施設の一つとして広域的地域活性化基盤整備計画に定められるよう措置する予定にしておりますので、したがいまして、都市計画区域の整備とかあるいは開発と保全の方針等と調和していれば、中心市街地におけるそういった施設につきましても拠点施設ということにいたしまして、それに関連して、道路、公園、河川等の整備事業ということも実施していけるというように考えております。

 国土交通省としましては、おのおのの地域の実情に応じて知恵を出すことにより、都道府県が本制度を効果的に活用していただくことを期待しております。いろいろなアイデアがあると思いますので、そういったものをたくさんいただいて、御相談に応じていきたいというように考えております。

赤池委員 ぜひそういう際はまた御指導を賜りたいというふうに思います。

 ただ、このときの大前提があるのかなというふうに思っていまして、それは、今法案では、いわゆる高速道路とかJR線に関してはこの交付金は活用できない。つまり、これはあくまで都道府県が計画して、都道府県が実施するものに対して応援しようと。ということは、やはり地方に行けば、例えば、高速道路をもっとつくってほしい、四車線だったら六車線にしてほしい、さらに、鉄道をもっとスピードアップしてほしいとか、便をよくしてほしいという声は相当あるわけなんですが、そうすると、本法案は残念ながらそこは対処ができない、その周辺に関してはやりましょうということでありますから、根幹は国がきちっと基幹となるJRであったり、JRそのものというのは民間会社にしても、高速道路、高規格道路を含めてきちっとやっていくということがないと、せっかくのこの制度が生かされないということにもなりかねないと思いますので、その辺の方針をぜひ改めて聞かせてください。

渡邊政府参考人 委員も御案内のとおり、国土形成計画につきましては、国土審議会に計画部会を設置して、検討を行っているところでございます。

 昨年十一月に報告いたしました「計画部会中間とりまとめ」におきましては、広域ブロックを単位とする地方が、その有する資源を最大限に生かして地域戦略を描き、特色ある独自の発展を目指すとともに、これらの広域ブロックが相互に交流、連携し合うことで、その相乗効果により活力ある国土を形成していくということにしております。

 そのための広域的、基幹的な基盤として、交通体系などのインフラ整備というのは重要な役割を担うものというように考えております。

 また、「中間とりまとめ」におきまして、国は、国家戦略上の見地から必要とされる施策の実施及び広域ブロックの自立的発展と競争力の強化のための支援を図ることが求められているというようにしているところでございます。

 今後、このような考え方を踏まえまして、国土形成計画の策定に向けて、国土審議会における調査審議を鋭意進めてまいりたいというように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

赤池委員 既に大臣も何度か表明なされておりますが、道路特定財源を含めて、真に必要な社会資本はしっかりつくっていく、それがあって初めて、本法案、またこの総合支援制度が生かされてくるというふうに思いますので、ぜひ引き続き努力をお願いしたいというふうに思います。

 その中で、先ほども御質問がございましたが、一つは、民間というのが非常に大きなポイントになってくるのかなと。やはり民間の事業がなければいけない。

 それから、残念ながら、ともすると、こういった制度をつくると、既に先行している地域、いわゆるやる気のある地域ですね、都道府県、市町村が、ああ、これはいい制度だということですぐに活用できるけれども、やる気のないと言ったら語弊がございますが、民間プロジェクトが少ない、活力が、力が弱いところになると、こういった制度があってもなかなか生かされにくいという点もあるのかもしれないなというふうにございまして、ともすると、地域格差の是正が逆に地域格差を広げかねない、そんな問題点もあるのかなというふうに思っております。その辺の課題をどうクリアしていくか、お聞かせを願いたいと思います。

渡辺(具)副大臣 先生御指摘のとおり、地域の活性化というのは、一番基本的に大切なのは地元のやる気だというふうに思います。

 そこで、今回提案しております地域自立・活性化交付金を中心とする新しい制度というのは、特に交付金の方は、都道府県に対する包括的な交付金としては初めてでございますし、大変使いやすいもので、都道府県におかれては、こういうものを周知していただければ、特に民間等に対してもこういうものがあるということが周知されれば、地元のやる気を起こさせるに十分な枠組みだというふうに思っております。

 したがいまして、この新しい制度を、都道府県はもちろんでございますが、先ほどから議論になっております地方の協議会等々を通じまして周知徹底を図っていきたい。あるいは、この制度に対する相談窓口なんかも積極的に活用させていただいて、新しい制度についての理解が深まれば、これまでこの面に関しては比較的おくれていた都道府県においても、十分にやる気を発揮してもらえるのではないか、またそうなるように我々も努めていきたいというふうに考えております。

赤池委員 ありがとうございました。

 今法案、それから地域自立・活性化総合支援制度が広域ブロック計画の具体的な実現につながり、それが全国形成計画に打ち出された一極一軸構造の改善ということになると思うんですね。そしてそれが、今安倍内閣で議論が進んでおります道州制という問題が、三年以内にめどをつけ、十年、十五年先に実現をというときに、こういった広域ブロックの計画が実現をすることが道州制の先駆け、先導になれば、これは非常にすばらしいことだなというふうにも感じております。

 それから、国際会議場とか観光地の活性化はもちろんなんですが、今一番大事なのは中心市街地活性化だと思うんですね。そういう面では、こういった制度を使って、周辺部に使うなとは法の建前から当然言えないんですが、都道府県を指導するときに、やはりこれを真っ先に中心市街地活性化に活用してほしいというような視点を、ぜひ国交省としても指導していただければなというふうに思います。

 次の、港湾法の問題に移らせていただきたいと思うんです。

 ちょうどこの広域的地域活性化も、いわゆる人の流れだけではなくて、物の流れをよくしていこうということで、港湾を拠点施設として、またその周辺の基盤整備にも活用できる部分もあるなというふうにも読ませていただいたわけなんですが、そんな中で、国土交通省として、国際競争力の確保のために、現在いわゆるスーパー中枢港湾政策を打ち出していらっしゃっております。

 私は、山梨県を選挙区としておりますので、内陸部ということで、港湾というと日ごろ縁が薄いんですが、実は、そうはいいながらも、御案内のとおり、日本の貨物の九九・七%は港からでありますし、食料が六割、エネルギーは九割、そして山梨県においても、内陸とはいえ、輸入は東京港、輸出は横浜港という形で、内陸だから、また海がないからということは全く関係なくて、まさに海洋国家日本、貿易立国日本にとって、港湾というのは本当に大事だなということを改めて感じているところであります。

 そんな中で、残念ながら、今、上海またシンガポールというアジアの発展に伴って、日本の港湾が地盤低下も起こしかねない。まさに、入り口、出口が閉まってしまったら、肝心の日本経済そのものも立ち行かなくなるのかなということで、スーパー中枢港湾政策が出てきているというふうにも聞いております。

 そんな中で、その具体的な施策に関して、まず基本的な形で教えていただきたいと思います。

梶山大臣政務官 委員御指摘のとおり、国際競争力の強化というのは安倍内閣の大きな命題であります。四面環海の我が国におきまして、アジアなど海外の成長や活力を取り込み、我が国の国際競争力を強化するためには、港湾の機能を強化することが不可欠であります。

 そこで、港湾と海運に関する現状認識でありますけれども、委員御指摘のように、近年、アジア地域の急激な経済成長に伴い、アジア諸港のコンテナ取扱貨物量は急増し、我が国港湾は相対的にその地位を低下させております。アジア地域と北米、欧州を結ぶ基幹航路について、我が国への寄港回数が減少するといった状況も起きております。

 例を挙げますと、一九八〇年には、世界の中で貨物取り扱いの上位五港を挙げますと、一位がニューヨーク、以下ロッテルダム、香港、神戸、高雄でありました。二〇〇六年の速報値でありますが、一位がシンガポール、二位以下が香港、上海、シンセン、釜山と、アジアの諸港が上位五港を占めているわけであります。そして、一九八〇年当時四位でありました神戸港は二〇〇六年には世界三十九位、そして日本で一番取扱量が多い東京港も二十三位という状況であります。

 その扱い量でありますが、今シンガポールは神戸の十倍以上、そして東京港におきましても、一位のシンガポールと比較しますと、シンガポールは東京の約六・七倍という状況にあります。

 そしてまた、基幹航路におきましては、輸送の効率化のために、二十フィートコンテナに換算しまして八千個を超えるコンテナを積める大型コンテナ船が就航しておりまして、最大のものでは、今、二十フィートコンテナ換算で一万一千本の船も登場してきております。

 こうした状況に対応するため、国土交通省としましては、我が国の産業の国際競争力及び国民生活の質の向上を図るために、アジア主要港をしのぐコスト・サービス水準を実現し、基幹航路の維持拡充を図ることをねらいとして、京浜港、伊勢湾、阪神港を指定いたしまして、スーパー中枢港湾プロジェクトを今推進しているところであります。

 スーパー中枢港湾では、基幹航路に就航する二十フィートコンテナ八千本を積む船の対応ということで、水深十六メートル級の大水深のコンテナターミナルの整備、そしてこれを一体的かつ効率的に運営するメガターミナルオペレーターの育成を図るなど、ハード、ソフト一体となった総合的な取り組みを推進しております。

 さらに、コンテナの円滑な陸上輸送を確保するために、先ほど委員が御指摘ありましたように、内陸部への輸送ということで、アクセス道路や、鉄道輸送と海上輸送の円滑な接続を図るための鉄道積みかえ施設の整備を推進するなど、国際・国内輸送モードの連携の強化に取り組んでいるところであります。

 また、けさの日経新聞の記事にもあったんですけれども、昨年の下期で中国の輸出量は世界二位になったという記事がありましたが、このように、アジア地域からの輸入貨物が増大しているということにかんがみまして、大消費地に隣接するコンテナターミナルの背後に大規模な物流拠点、荷さばき施設等の物流拠点を形成することにより、輸送の効率化を図り、必要な公共インフラの整備、民間事業者への支援等に取り組んでまいります。

 今後とも、国土交通省としましては、我が国の国際競争力の強化を図るために、港湾機能の一層の強化に取り組んでいく所存でございます。

赤池委員 ありがとうございます。

 やはり根幹の部分で、港湾行政の中で、御案内のとおり港湾法という法律がございまして、昭和二十五年、いわゆる占領中、GHQの指導の中で、いわゆる弱体化政策の中で、港湾が国直轄ではなくて地方に任されてしまった。それがそのまま根幹としてここまで来てしまっていて、いわゆる岸壁は国、管理者は地方、こういう形ではなかなか整備が進まないのかな。そういう意味では、ぜひ国交省としても港湾法の抜本改正にも取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 今回の法案の中で、廃棄物の埋立護岸の補助率を現行四分の一から三分の一に引き上げるということが眼目になっているわけなんですが、その辺の補助率を引き上げる理由、背景を教えていただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、今回の法律改正で、廃棄物埋立護岸等の補助率を四分の一から三分の一に上げるということでございます。

 その背景でございますけれども、近年、一般廃棄物の最終処分につきまして、内陸部の方の処分場の確保が非常に難しくなってきております。このため、海面において処分されるものの割合が非常に高くなってきておりまして、平成十年には一三%が、平成十六年は二四%程度になっております。今後もさらなる海上処分の増加が見込まれるということがその背景でございます。

 今般の法改正によりまして、海面処分場の計画的な確保を進めていくこととしております。よろしくお願いいたします。

赤池委員 そういうときに、やはり環境への配慮というのが非常に問われてくるのかなというふうに思います。

 そういう面では、遮水性を含めて、対応はしっかりなされているとは思いますが、循環型社会の形成への取り組みを初め、港湾としての環境対策についての取り組みをお聞かせください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 廃棄物の処理に関しまして、循環型社会の形成には、減量、再使用、再資源化、焼却など減量化のための施策を講じるとともに、最終処分場を計画的に確保するということが重要でございます。

 こうした中で、廃棄物の海面処分場は、必要性とかその規模を検討した上で、港湾の利用、特に物流でございますけれども、それとの利用の調整を図られて、秩序立った空間利用を行うということから、港湾の長期計画の港湾計画というのがございまして、その中に位置づけて、この計画に基づいて整備が行われております。

 港湾におきましては、減量化してもなお最終的な処分が必要となるものの処分場として、海面処分場の整備を適切に進めまして、循環型社会の形成に資したいと思っております。

 さらに、遮水性の話でございますけれども、海面処分場においては、処分場を構成する護岸とか底質地盤、埋められる底質地盤でございますけれども、そこから汚濁水などが漏れ出さないような構造となっております。

 具体的には、護岸本体の背後に遮水シート、水を通さないシートでございますけれども、それを敷設するとか、底層、下のところには不透水性地盤、粘土のようなものでございますけれども、そのようなものを利用することなどによって必要な遮水性の確保をしております。

 また、港湾のしゅんせつ土砂とかそういうのを投入する際には、水質管理などを実施することによりまして、周辺海域に影響を及ぼさないこともやっております。

赤池委員 ありがとうございました。

 広域的地域活性化法及び港湾法、この改正はぜひとも必要だというふうに感じました。ぜひ速やかな成立を希望します。

 質問を終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 ここまでの質問と若干趣旨が重なるところもあろうかと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず初めに、国土形成計画と本法案の立法趣旨、こういった観点から御質問をいたします。

 戦後の日本の国土開発計画、この中心的な役割を担ってきた国土総合開発法、これが一昨年、国土形成計画法に改められました。現在、国土審議会の計画部会が全国計画策定中であると聞いております。この国土総合開発法に基づくいわゆる全総、昭和三十七年の第一回目から、その後、四回に及ぶ改定を重ねてまいりました。戦後の国土復興や高度経済成長を背景にした、経済大国日本、これを実現するために、国土基盤整備、国民の所得向上にこの計画が貢献をしてきたことも事実だと認識をしております。

 一方で、深刻な公害あるいは環境問題、過疎と東京の一極集中、こういった負の側面もあろうかと私は認識をしております。功罪相半ばしながらも、今日の国土構築をした国土総合開発法から、我が国が現在直面している人口減少社会、そして地球規模での地域間競争時代の到来、これに対応した新しいビジョン、これを示すべく、国土の開発から整備、こういう方向に大きく方針転換をした、そのタイミングが今であると思っております。この国土の未来像を構築するための検討を進めております。私どももこの点についてしっかり注視をしていきたいと考えております。

 さて、この一連の流れの中で、昨年の十一月、国土審議会の「計画部会中間とりまとめ」が発表をされ、本年中ごろ全国計画策定に向けていよいよ議論も煮詰まってきたことと思います。その「中間とりまとめ」の中で、広域地方計画区域等を一つの単位とする広域ブロックについて、自立的に発展する国土構造への転換を目指すべきである、こうしておられます。このような方向性を示すに至った背景について、まずお伺いをいたします。

 また、それと同様に、こうした背景に基づいて、本法案の提案理由説明においても言及のありました広域ブロックの自立、活性化に着目をする考え方や、本法案の提出のねらいについてもあわせてお伺いをいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 まず、全総それからその後の国土形成計画に至った状況、これにつきましては、全く委員と同じ認識をしているものでございます。

 多様な広域ブロックが自立的に発展する国土ということを今度の「中間とりまとめ」で打ち出しておるわけではございますけれども、我が国の各広域ブロックというのを見ますと、欧州の中規模国にも匹敵するということは大臣からもお話を申し上げたとおりでございます。例えば、中部でありますと、人口、GDPでオランダを上回っている、また九州や東北でありますと、それぞれスイスやベルギーを上回る人口、GDPを有している、こういう状況がございます。

 また、近年のアジア経済の成長に伴いまして、貿易、観光などさまざまな面でアジアの各地域と国内各地域とが直接交流する機会がふえております。さらに、経済活動の広域化に対応するための交通体系の整備、国内外からの観光客を誘致する広域観光ルートの形成など、県境を越えた広域ブロックを単位とする取り組みの重要性が高まっておるというように認識しております。

 このような背景を踏まえまして、新たな計画では、東京中心の一極一軸型の構造から、広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に生かしまして、特色ある地域戦略を描くことにより、自立的な圏域を形成し、各ブロックが相互に、またアジア地域等と直接交流、連携することで活力ある国土を形成する、広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すべきというようにされたところでございます。

 このような国土構造への転換を実現し、現下の最重要の政策課題の一つであります地域活性化を図るため、民間と連携した地域発意の計画に基づき、広域的な経済活動等を支える基盤整備と地域づくりに対するソフト面での支援等を一体的に促進するための地方の自主性と裁量性の高い財政支援制度の創設その他を講じるということにしたものでございます。

伊藤(渉)委員 この広域ブロックの設定、またその自立、歴史というものは振り子のように繰り返すものでもございますので、今また大きく、時代の流れも反映をしながら、こうした考え方を推し進めていくことは、私も重要であると思います。

 その上で、この立法にあわせて、地域自立・活性化総合支援制度という予算措置もなされたと思います。先ほど赤池委員からもありましたが、総額で三百六十億、まだまだ予算規模自体は大きくはありませんけれども、知恵の出し方次第では、とても興味深い、またおもしろい制度だなと思って私も見せていただきました。

 そこで大事になってくるのは、これも赤池委員がおっしゃっていたとおりで、これを使いこなせるかどうか、ここが最大のポイントになってくると思います。つまり、自治体の計画立案能力、こういったところが最大のポイントになる。制度はいいけれども、使いこなせなければ、これは宝の持ち腐れになります。

 そういう観点から見ても、どの自治体でもそういうノウハウがきちっと備わっているか、これは大変微妙でございまして、そうした自治体ごとの能力差をきちっと埋めるように、国土交通省としても、例えば相談窓口等を設定するなど十分なサポート体制をしいていただかねばいけないと思いますけれども、国土交通省のお考えをお伺いいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域の活性化はまさに現下の最重要課題であるということで、政府全体としても、官民の専門家が出張相談を行う地域活性化応援隊派遣制度、相談窓口のワンストップ化、地域活性化に係る施策や取り組み事例などの情報提供などを実施して、地域の主体的な取り組みに対してきめ細かく支援することとしているところでございます。

 国土交通省といたしましても、本制度につきまして、予算のPR等を通じて周知徹底をしてきたつもりでございますが、先ほどからの御審議の中で、まだなかなか行き渡っていないんじゃないかというお話もありました。この点は深く反省しておりますとともに、今後、この制度がお認めいただけるようでありますれば一層周知徹底し、また、まさに委員がおっしゃっていただきましたように、この制度は非常に使い勝手がいいと思います。どこの地域でも何らかの使い方ができるんじゃないかということを私どもも期待しております。そういったことをぜひ各地域に十分理解していただく、こういった努力をしていきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。

 前回、この委員会では、違う法律で参考人質疑を行いました。そのときに富山の市長がいらっしゃっていて、公共交通に絡む政策で非常におもしろい取り組みをされている。これは、まさにその自治体に非常に適したブレーンが存在をするからだと私は思って聞いておりました。

 そういう意味では、これからの時代は、行政も、どこまでも待ちの姿勢では政策の実現は非常に難しいと思います。大変人数も限られた中でお忙しいとは思いますけれども、積極的に、ここぞというところはぜひ国交省みずから出向いていただきまして、一つのモデルケースをどんどんつくっていっていただきたい、そのように思います。

 この制度と非常に類似したような形に見える、例えばまちづくり交付金制度というのがあります。これも大変好評を博していて、地元愛知でも、この取扱説明じゃありませんが、そういうことについてもしょっちゅう問い合わせが私のところにもあります。非常にいい。このまちづくり交付金制度とも非常にダブるところもあると思いますし、また、若干農村部に行きますと、今年度予算では農村地域の活性化というものも支援をされている。

 こういった地域的には重ねるような政策をこういうふうにさまざまつくり出してきていると思いますけれども、そんな中で、今回のこの制度を創設している理由についてお伺いをいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域の自立、活性化を促す交付金制度として、本制度はまちづくり交付金と似たところがございます。

 まちづくり交付金につきましては、地域の実情を熟知した市町村を対象に、全国都市再生の一層の推進を図るべく、地域の創意工夫を生かした個性あるまちづくりを支援するための制度であるというように認識しております。

 一方、本交付金につきましては、より広域的な地域活性化策に責任を持つ都道府県を対象にいたしまして、広域的な地域活性化活動を支える基盤整備とソフト事業等の地域づくりの一体的な推進を支援するために創設した制度でございます。

 どちらも地方の自主性、裁量性を高めた仕組みとして、道路や公園等の基盤整備を対象とするものでございますけれども、本交付金は、都道府県を対象に、広域的な地域活性化活動に資する基盤として、まちづくり交付金にはない補助国道や港湾、空港などを対象としているなど、まちづくり交付金との役割分担を図っているところでございます。

 二つの交付金制度は、その目的、交付先、交付対象事業等に違いがございますが、まちづくり交付金による市町村事業と本地域自立・活性化交付金による都道府県事業を一体的に推進することで相乗効果が高まる場合には、都道府県、市町村の連携のもとで国としても適切に支援していきたいというように考えております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

伊藤(渉)委員 今御説明いただいたとおり、確かにまちづくり交付金は対象を市町村としている、今回の地域自立・活性化交付金は都道府県を対象にしている。まさにこうした助成制度を逆にインセンティブにして、市町村と都道府県の連携を高めていくというねらいもあろうかと私も思います。これも、そういうふうに重ねて使えるということを自治体が存知でないとねらったとおりの働きになりませんので、ここもあわせて、自治体、都道府県に対しての働きかけといいますか、それをお願いしていきたいなと思います。

 その一方で、確かに、私は、聞けば聞くほど非常に興味深くおもしろい制度だなと思います。その上で、ともすると、交付金制度、単なるばらまきだという批判を浴びかねないというリスクも背負っております。つまり、事後の評価、これをきちっとやる仕組みを整えておかないと、出しっ放しという批判を浴びかねませんので、この事後の評価制度について、国土交通省のお考えをお伺いいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 事後の評価ということは、この制度の中で非常に重要なことだというように認識しております。このため、地域自立・活性化交付金の運用に当たっては、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成する段階で、例えば、観光客の入り込み数等の拠点となる施設の利用者数、あるいは企業の立地に伴う雇用者数、こういったものを、できるだけ数量化された明確な目標を設定してもらうということをまず検討しております。

 また、初年度の交付金の交付を行う時点において、都道府県に、作成した広域的地域活性化基盤整備計画をインターネットの利用、印刷物の配布等都道府県の定める方法で公表していただくこととしております。また、国においても、提出された計画をまとめて公表するというようなことを考えております。

 さらに、計画が終了した時点におきましては、都道府県において、事前に設定した目標の達成状況を評価し、その結果を公表していただくこととし、あわせて国においても公表を行うこととしたいと思っております。

 国土交通省といたしましては、これらの措置について適切な運用を行いまして、交付金の効果的、効率的な活用を広く国民に明らかにし、国民の目から見てもこの効果というものがわかりやすく出る形で対応していきたいというように考えております。

伊藤(渉)委員 この点もぜひよろしくお願いしたいと思います。

 通告の順でいくと一つ飛ばしますが、民間事業者への支援という点について質問をいたします。

 先ほど下条委員も最終的にこの点を確認されておりましたけれども、今回のこの交付金制度では、民間事業者への支援策、これも総合支援制度の中で盛り込まれております。具体的には、民間都市開発機構を通じての出資という形となっております。

 この民都機構からの出資については、公共施設の整備資金の範囲内というふうに聞いておりますけれども、いずれにしても、民都機構から株式を取得するにせよ、いわば余り物を言わない株主というか出資者になるわけで、これは事業を行う側からすれば大変ありがたい話だと思います。

 一方で、今の交付金の事後評価制度と同じように、もとは税金なので、民間事業者への支援について審査、下条委員の質問と重なってきますけれども、出資したはいいけれども、途中で存続が不可能になってしまえばこれは大変なことでございますので、まず、民間事業者への支援を行う理由、今回の制度の中でなぜ民間事業者への出資というのも合わせたのか。またその上で、審査、その対応について、国交省のお考えをお伺いいたします。

中島政府参考人 都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成して、そこに記載したいわゆる拠点施設をどうやって整備するかというのがこの計画全体の大きなテーマ、中心的な事項だと思いますけれども、これは必ずしも民間でやる必要はないのでありますけれども、それを民間に期待するというときに、これを支援しようというのが民都機構からの出資制度のねらいでございます。

 非常にポテンシャルの高い地域は別にいたしまして、民間のある程度スケールの大きいプロジェクトにどうファイナンスをするかというのは大変大きな課題だと思います。特に、リスクをだれがとるかというところで、通常、ファイナンスでありますと、担保をとるとか保証をとるとかいうリスクヘッジの方法がございますけれども、そうじゃなくて、一番リスクの高い出資のところをカバーしていきたいというのが制度のねらいでございまして、その出資のところをある程度サポートすることによってほかの資金も集まるだろう、それがプロジェクト全体の立ち上げを促進するだろうというのがこの制度のねらいでございます。

 公共性の高いプロジェクトを、民間の力もかりながら、基盤整備は公共事業でやるとして、促進していこうということでございますが、片や、委員おっしゃるように、そのプロジェクトは民間のプロジェクトでございますから、当然リスクがあるわけでございまして、まさにリスクをとっているわけで、そちらの方の審査をどうするのかということであります。

 認定を国土交通大臣がいたします。そのときに、もちろん公共性、県の計画と合っているかということも十分見ますが、あわせて、事業自体の物理的な実行可能性、用地は買っているかとか事業期間はちゃんととっているかという話と、経営体としての経済的な基盤、財政的な基盤があるかどうかを見ます。

 あわせて、民都機構が実際に出資しますので、金融機関類似の機関としての民都機構にしっかり審査してもらうということが重要だと思っております。民都機構は、項目は多岐にわたっておりますけれども、法務的なチェック、契約がちゃんと権利関係がきれいになっているか、法的なデューデリをやる。あと、現地も見て物理的なことも審査する。あるいは、事業スキーム自体が物理的にまず成り立っているかどうかということがございますし、最も重要なのは収益性ということでして、テナントがついているか、いつごろつくのか、賃料設定がどうなのか、空室率をどう見るかというようなことを見て、その後、すぐに配当は無理でも、十年ぐらいの間には配当があるだろうということをチェックした上でやる。さらに、事業後も定期モニタリングをして、ちゃんと計画どおりやっているかということを見ていくというようなことをしております。

 いずれにしても、幸い、都市再生特別措置法で類似のスキームがございまして、若干の経験を民都機構も積んでおりますし、それも踏まえて、要は公共性と採算性のバランスをどうとるかということだと思いますので、しっかり両者の両立を心がけて、間違いのない審査ができるように指導していきたいと思います。

伊藤(渉)委員 行政が、こうした投資、その事業の判断能力というか、こういうこともきちっと身につけていき、資金の運用とまでいきませんけれども、配当も将来的には獲得していく、これも非常に重要な観点だと思いますので、民都機構も含めて、ノウハウの蓄積もぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今回の交付金、地域自立・活性化交付金とあるとおり、地域活性化対策の一助でもありますし、国全体を見ても非常に重要な課題でございます。今国会を見ましても、地域活性化についてはさまざまな法案が提出をされているわけでございますけれども、この地域の活性化というのがまた非常に、日本語で言うのは簡単ですが千差万別、その状況によって全くやらなきゃいけないことが変わるわけで、実は非常に難しい問題だと思います。

 本法案の施策の実施に当たって、ほかの地域活性化施策、これは省を超えますけれども、これは当然連携をしていかなきゃいけない。この点について、国土交通省のお考えをお伺いいたします。

渡邊政府参考人 大変重要な点を御指摘いただいたわけでございます。

 地域活性化に関する取り組みにつきましては、意欲ある地域に情報やノウハウを提供し、活性化に前向きに取り組む地域を政府一体となって後押しするため、国の施策を、知恵、担い手、資源、交流、基盤という五つの視点から、地域活性化政策体系として体系化したところでございますが、本制度も、この五つの視点の中で地域の知恵を引き出して生かすという中に入っているものでございます。

 また、これらの施策を地域にとって一層選択、利用しやすいメニューとして体系化するため、地域再生総合プログラムを策定し、本法案による支援制度を含めて、地域再生計画に連動して一体的な支援を行う諸施策を取りまとめ、政府一体となって地域活性化を推進することとしているところでございます。

 このような政府一体の取り組みに加えまして、さらに、本法案では、事業活動の立ち上げ支援に関する施策、都市、農山漁村交流の促進に関する施策等、地域活性化に関する経済産業省や農林水産省が取り組んでおります施策を連携して取り組むべき施策として特に例示するとともに、関連法の運用面におきましても、各省に地方公共団体からの相談を受け付ける窓口の設置、また、地方公共団体から各相談窓口に対しまして他の法案の施策もあわせて活用したいというような相談があった場合には、その相談内容を速やかに伝達するなどの相談のワンストップ化、また、地方公共団体に対しまして、説明会それから相談会等、こういったものを合同開催するというような予定で準備をしているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 時間が押してまいりましたので、この広域的地域活性化の法律案については、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 この多様な広域ブロックが自立的に発展する国土の形成、非常に大きい取り組み、そしてその進展に向けて、今回一つの助成制度も設け、国土交通省としてリーダーシップをとっていこうということだと思いますし、またとっていかなければならないと思います。

 大臣がお戻りになるというふうにはちょっと予測をしていませんでしたので、これは副大臣にお聞きをするつもりで質問通告しましたが、将来のこの日本の国土像を踏まえて、国土交通省としての御決意をお伺いいたします。

渡辺(具)副大臣 地域の活性化あるいは自立につきましては、国土交通省として全面的に支援し、また、時に必要な場合にはリーダーシップを発揮していきたいというふうに思っております。

 現在、国土形成計画の全国版を策定中でありますが、ブロック版の計画策定に当たりましても、地方協議会の準備会等を通じまして、全面的に支援をさせていただいておるわけであります。

 ブロック計画に盛られます各地域の目標とする姿を実現するために、今回も新しい交付金を含んで新しい制度を提供したわけでありまして、こういった制度の活用、そして、これまで持っておりますいろいろな手だてを総動員いたしまして、地方と一緒になって、ともに考え、ともに知恵を出しながら、あるいはともに悩みながら、時には強いリーダーシップを発揮して、地域の自立、活性化に向けて国土交通省としても全面的に支援をしてまいる所存であります。

葉梨委員長代理 冬柴国土交通大臣、一言お願いします。

冬柴国務大臣 全く同感でございまして、同じ、もう何もつけ加えるところはありません。頑張ってまいります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 残り三分ありますので、最後一問だけ、港湾法等の一部を改正する法律案についてお伺いします。

 これも何度となくこの委員会で質問してきました。また、私の地元愛知、名古屋港、スーパー中枢港湾、現場も、何度となく足を運び、見させていただいております。

 先ほども答弁の中にありました港湾の国際競争力の強化、これは重要な課題でございます。その一つの大きな柱として、このスーパー中枢港湾政策を国土交通省は進めておられるわけですけれども、ハード面とソフト面の連携あるいは港湾手続の簡素化、統一化、これは非常に大きな課題でございます。

 この点について、今後どのような対応を行っていくのか。法案の内容とは直接的に関係ありませんけれども、この点についてお伺いをして、私の質問を終わります。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、京浜港、伊勢湾、阪神港におきまして、アジア主要港をしのぐ港湾コストとかサービス水準の実現を目指しまして、スーパー中枢港湾プロジェクトを推進しております。

 具体的には、ハード面では、コンテナ船の大型化に対応した次世代の高規格コンテナターミナルの早期整備を行っております。またソフト面では、これを一体的かつ効率的に運営する、メガターミナルオペレーターと呼んでおりますけれども、それらの育成を図っております。そのような中で、官民連携のもとで、ソフト、ハードが一体となった総合的な施策を実施しているところでございます。

 また、港湾手続の簡素化、統一化でございますけれども、まず、輸出入とか港湾関連手続の電子申請窓口を完全に一本化するということで、次世代の、シングルウインドーと呼んでいますが、一回入れれば全部できちゃうようなものでございますが、これを平成二十年の十月、来年の十月に稼働する予定でございます。そのときには、入出港に必須な手続についてはその中でやっていくということでございます。

 さらに、港湾管理者ごとに実はいろいろな違いがございまして、入出港に必須の手続以外の手続というのがございます。それらにつきましても、今後、港湾管理者の協力を得ながら統一化を行っていきます。それを、先ほど言いましたシングルウインドーの中に追加して機能させるということでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 未来の港湾も含めて、国家像、これのビジョンを示し、それをつくり上げていくのが、まさに国土交通省の一番大きな仕事であろうと思いますし、国土交通省として、いわば国のハード面の大半をつかさどる省庁としての重大な使命だと思います。

 先ほど大臣からも御決意をいただきましたけれども、私自身もしっかり応援をさせていただきながら、未来ある我が国づくりにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。

葉梨委員長代理 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 先生方の質問に続きまして、私も同様に質問を続けさせていただこうと思います。何分、朝から質疑を聞いておりまして、重複する部分等もございますが、今回については、私も通告どおりに質問をしたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案につきまして、まず、この広域的地域とは何かというところについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺(具)副大臣 広域的地域の内容、概念についてお尋ねでありますが、これは、プロジェクトの地域の範囲を言っているわけではなくて、人、物、情報の活動の広がりを言っているわけであります。

 その広がりのイメージでありますが、国土形成計画の検討におけるブロック計画というものがあります。そういう広域ブロックなども念頭に、少なくとも、広がりとしては一つの都道府県を超える空間的範囲ではないかというふうに考えておりますが、何もこの範囲は確定するものではない、それぞれのプロジェクトにおいていろいろな形があり得るというふうに考えております。

鷲尾委員 今のお話にありましたように、都道府県よりもより広いのではないか、プロジェクトとしての広がりであるというお話がございました。

 それでは、この法案に想定されている制度では都道府県が計画を申請するということになっておりますが、これは、国交省としてはどの程度計画の申請があると想定しておるのかというところについてもお聞かせ願いたいと思います。

渡辺(具)副大臣 委員御指摘のとおり、これは地域の発意に基づくものでありまして、交付金の申請件数をあらかじめ想定しているわけではございませんが、現在のところ、二十を超える都道府県から、どんな内容になるのかという具体的な問い合わせを受けておりまして、最終的には相当数の都道府県からの申請があるのではないかというふうに思っております。

 先ほど来議論になっておりますように、今回の制度につきまして、いろいろな手だてを通して情報の周知徹底に努め、あるいは窓口の設置もやりまして情報の徹底を図りたいというふうに思っておりますので、そういうものが進めばもっと申請があるのではないかというふうに思っております。

 せっかくこうやってつくった制度でございますから、積極的な活用が図られることを目標に頑張っていきたいというふうに思っております。

鷲尾委員 都道府県を超えた広がりのあるプロジェクトというのを念頭に置きながら、都道府県がその計画を立てるということになりますと、若干やはり制度としての使い勝手、行政側が計画を作成するわけですから、民間業者を巻き込んでと、そういう中での活動の広がりというのはある程度想定されるとはいえ、都道府県自体が計画を策定する以上は、都道府県以上の広がりというところでは、この法案が想定するようなプロジェクトが上がってくるかどうかというのは、私自身は若干の不安があるなというふうに思っておる次第でございます。

 そこでお聞きしたいのが、広域的地域活性化基盤整備計画をつくるという話になっておりますが、この計画はどのような計画になる予定なんでしょうか。このことについてもお聞かせ願いたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 広域的地域活性化基盤整備計画でございますけれども、地域の発意により、民間と連携した広域的な経済活動を支えるために都道府県が行う基盤整備事業と、これと一体となってその効果を一層高めるために必要なソフト事業などが、一つのまとまりのあるプロジェクトとして盛り込まれた計画でございます。計画期間としまして三年から五年というのを想定しているところでございます。

 具体的なプロジェクトにつきましては、地域の自主性と裁量に基づいて立案されるものでありまして、さまざまなケースが考えられると思いますが、典型的なものとして、例えば、生産・流通機能強化プロジェクトといたしまして、アジア・ゲートウェイの形成に向けた企業誘致、物流センターの立地等の支援とそれを支える道路、港湾等の一体的な機能、ネットワークを整備するもの、あるいは、観光活性化プロジェクトといたしまして、観光立国推進に向け、集客施設整備、中心都市の修景整備等と広域観光ルートの形成、発掘を支える道路等交通体系を整備するもの、こういったものが想定されるところでございます。

 また、計画の姿でございますけれども、計画の目標、拠点施設に関する事項、拠点施設関連基盤施設整備事業に関する事項、拠点施設関連基盤施設整備事業の効果を高めるために必要な事業等、また計画期間、こういったものを定めることとなっております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、民間事業者が作成する予定となっております民間拠点施設整備事業計画は、どのようなものになるというふうに想定されておるのでしょうか。

中島政府参考人 ただいま説明がございましたように、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を策定しますが、その中に必ず拠点施設というのが書かれるわけでありまして、その拠点施設というのは、これはもう今御説明させていただきましたように、商業施設だとか交通ターミナルとか、そういう施設が書いてある。

 それをだれが整備するかということでありますが、必ずしも民間が常に整備するということもございませんし、既存のものを活用する場合もあるんですが、その拠点施設を民間が整備しようという場合に、その民間事業者がつくる計画が民間拠点施設整備事業計画でございます。その計画を大臣が認定をすることによって民都機構から出資が受けられる、こういうスキームでございます。

 したがって、その計画の中身は、やろうとする事業のことを書いていただく、当然でございますけれども、事業の位置及び区域、それと、県の計画と合っているかどうかというのが一つの重要なポイントでございますので、拠点施設性といいますか、拠点施設の概要、さらに、当然、多くの場合は建物と敷地の整備でございましょうから、そういう要件もあるのでございますけれども、建築物、敷地の整備の概要、公共施設の整備の概要、あるいはどの時期に幾つ着手してどういう概要でやるか、そういう事業計画に伴うようなことを記載したような計画ということでございます。

鷲尾委員 この民間の拠点施設整備事業計画ですけれども、この計画が申請されるということは、広域的地域活性化基盤整備計画とあわせてという話になるんでしょうけれども、この民間の活用という意味での民間事業者作成の計画、これはどれぐらい提出されるということで想定されているところなんでしょうか。

中島政府参考人 現時点で幾つとお答えするのは大変難しいのでございますけれども、都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画をつくれば、必ず拠点施設が記載されますので、最大はその県の計画の数ぐらいは民間の認定が期待されるわけでございます。ただ、そのすべてを民間がやる場合、公共がやる場合もございましょうし、既存の施設を活用する場合もございましょうし、そういう場合は抜けてくるわけでございまして、最大、県の計画と同じぐらい、ほぼそれと同じぐらいの数を期待しつつ、若干マイナスアルファぐらいかな、そんな見当で今のところいます。

鷲尾委員 広域的地域活性化基盤整備計画は、想定されるのが、副大臣が件数を御答弁いただいたんですけれども、相当数であるということで、ちょっとわからないというのが現状なんでしょう。

 ということは、次に私が質問させていただきたいと思っておるのが、この地域自立・活性化交付金というのが年間二百億円、そしてそれにまつわる事業推進費というのが百五十億円程度予算措置されております。これは合わせて三百五十億円くらいになっているわけです。つまり、これは一件当たりの計画に投入される予算がどの程度の規模になるのかというところをちょっとお聞きしたかったんですけれども、これはいかがですか。

渡邊政府参考人 本交付金制度でございますが、都道府県の自主的な取り組みを基本とした仕組みでありますこと、また地域の自立、活性化のための施策につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、生産、物流機能の強化、観光活性化、都市農村交流など非常に多岐にわたっております。また、それぞれの性格によりまして、事業規模というものもかなり違うのではないかというように想定されます。したがいまして、現時点で一カ所当たりの配分額をお示しすることはなかなか難しいというように思っております。

 参考までに、まちづくり交付金の実績から見ますと、計画期間が三から五年ということで、平均総事業費が二十億円程度だということのようでございます。

 本制度につきましては、既にかなりの問い合わせがあるということでございます。ここから全く仮の計算でございますけれども、仮にほぼすべての都道府県がこの計画を作成してきたというようなことになりますと、極めて逆算的でございますけれども、このまちづくり交付金の事業規模よりもかなり大きくなる、倍程度近くにはなる、それでも対応できるというように考えておりますし、また、事業推進費につきましても、仮にすべての地域で計画が出てきても、十分対応できるんじゃないかというように思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 局長がおっしゃるとおり、なかなかこれは都道府県の計画が、各都道府県が一つ計画するというわけではないと思いますので、民間も元気で、それこそ都道府県自体、特に今は中部地方ですか、愛知とか非常に元気であるというところですので、そういう元気な都道府県であれば、なお一層こういう民間の活力推進という意味での計画が上がってくるところでありましょうから、事業規模という意味ではなかなか難しいところがある、お答えしにくいところがあるんだなというふうには思います。

 次の質問をさせていただきたいと思いますが、この今回の整備計画で、結局国が補助する補助率というのはどれぐらいになるのかというところをお聞きしたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 本交付金の交付限度額でございますけれども、広域的地域活性化基盤整備に基づいて実施される、基幹事業という道路、港湾などの各種基盤整備の事業費と、提案事業のソフト事業などの地域づくりの事業費の合計に対しまして、最大四五%というふうにしているところでございます。

鷲尾委員 この最大四五%というのをもうちょっと詳しく教えていただきたいんですけれども、四五%と決めたのは、何かこれは理由があるんですか。

渡邊政府参考人 四五%の根拠ということでございますけれども、今回の交付金はさまざまな補助事業を対象としております。こういった補助事業の補助率を勘案いたしまして、また、ソフト事業ということで提案事業を入れてございます。こういったものは、いわゆる公共事業ではないわけでございますけれども、こういったものにつきまして、全体の一〇%程度ぐらいの交付金を交付することができるというような仕組みになっておりまして、そういったものを合わせまして、全体で四五%を最大という形にしたものでございます。

 なお、この四五%が最大だという趣旨でございますけれども、提案事業については、全体の交付金の一割程度ということになっています。それ以上の提案事業を計画として都道府県が出すことはできますけれども、その場合には、全体としてこの率が低下するということになるわけでございます。

鷲尾委員 私が一つ思いますのは、この補助率について、今、都道府県でもいろいろ力の差があるわけでございます。先ほど来、委員の先生方、そして大臣、副大臣含めて御答弁いただいたのは、やはり地域の活性化について全力を挙げるということが、我々立法府、行政府あわせての総意であるというふうに私自身思ったわけですけれども、地域の活性化をする上では、当然体力差があるわけですから、その体力差に応じて補助率もやはりもうちょっと弾力的にしていくべきなんじゃないかなというふうに思います。

 やりたいけれども、補助率が四五%程度だったらちょっと手が出ないなという自治体が当然あってしかるべきだと思いますし、そういう意味におきまして、これはちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、補助率の弾力的な運用ということもぜひとも御検討いただきたいなと思うんですが、いかがでございますでしょうか。

冬柴国務大臣 限りある財源の中からいろいろな目的によって事業を営むわけでありますから、この補助率の設定というのは、大変難しいと申しますか、財務当局との非常に難しい交渉の中で決まってくるものでございます。

 したがって、今回の部分につきましては、従来のように一つ一つの事業を査定して決めるのではなしに、計画全体を我々の方で見て、そしてそれの四五%ということにしているわけでございますから、その中には道路もあるでしょうし、公園もありましょうけれども、例えばそれを初年度十億ずつというふうにしていても、道路の方が早く進んで十五億必要であった、公園の方はちょっとおくれて五億だったという場合にも、それもそれでいいというような、従来の補助金とは違う、すごく使い勝手のいいものとなっておりますので、補助率を弾力化するというのは、これは大変難しい問題であります。

 ただ、おっしゃるように、都道府県を単位に発意していただくということですけれども、その体力差によって、例えば阪神・淡路大震災を受けた我が兵庫の中を見てみましても、大きな震災の傷跡は今も残っておりまして、財政状況はみんな違います。そういう中でこういうものをやっていくという場合に、今委員がおっしゃったような、もう少しそこのところをきめ細かく考える必要があるのではないかという発想はわかりますし、共有できるんですが、実務として今これを引き上げるということは大変困難だというふうに言わざるを得ないわけでございます。

鷲尾委員 大臣、ありがとうございます。

 申し上げたいのは、余り画一的に補助率四五%と決めるのではなくて、事業推進費でも予算百五十億円とっているわけですから、実務上どうなるかというのは、私も正直言って行政に携わっているわけではないので細かいことはわかりませんけれども、そういう予算措置がある以上は、ある程度傾斜配分して、若干でも体力に応じた形で計画を立てやすくするのが、一つは、制度を広く、要するに窓口をつくってやるんだという御決意のほどがあるわけですから、そういう格好で運用していただけたらと思った次第です。(冬柴国務大臣「ちょっといいですか。ちょっと追加させていただけますか、今さっきの答えに」と呼ぶ)

 わかりました。大臣、どうぞ追加してください。

冬柴国務大臣 よく似た交付金の中で、まちづくり交付金というのがありますが、現在まで六百六十四の市町村が使っていただいているということにかんがみれば、もちろん体力差がみんなあるけれども、便利なものはそのように使っていただいているということにかんがみれば、今回のものも四十七都道府県ひとしく使っていただけるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いします。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 次に移らせていただこうと思いますが、民間の拠点施設整備事業計画というのは、先ほど局長が答弁していただいたとおり、広域的地域活性化基盤整備計画と当然セットでという話でございました。もうセットなわけですから、県の方が計画を作成するに当たって、ある程度、民間の業者さんを含めてかなりちょうちょうはっしというかけんけんがくがくというか、当然いろいろな議論をされると思います。

 実際、そういう事業計画を民間も作成して、それはもう県が提出する計画とマッチする形で当然県も責任を持って国に提出すると思うんです、交付金をいただく以上は。そういう立場からすると、民間拠点施設整備事業計画をさらに国交省が認定するというのは、私自身はかなり重複する部分が多いんじゃないかなというふうに思うわけですが、この点の国交省としてのお考えをお聞かせ願いたいと思うんです。

中島政府参考人 おっしゃるとおり、もとの計画は県の計画でございますので、委員もお話しになったように、恐らく気のきいたところは、あらかじめある程度見通しをつけて記載することも十分考えられます。

 ただ、大臣の認定としたのは、その認定の効果として法律が想定しておりますのは、民間都市開発推進機構による出資でございまして、いわゆる国の機関、国費が入って、そこから一〇〇%国費だけでサポートする仕組みになっておりますので、したがって、その結果として大臣が認定する。

 しからば、では補助的なスキームといいますか、国が金を出さなくても、違うやり方もあったのかもしれませんけれども、やはり出資ということで、国が全額持って出資する、しかも、ある程度、これも先ほど来議論がありましたけれども、プロジェクトファイナンスということで、全国的な公平性とか専門性というのがあった方がいいということで、特定の機関に集中してやるようにしております。その結果、国土交通大臣が認定するという仕組みでございます。

 確かに、おっしゃるとおり、もとの計画が都道府県の計画でございますし、現場がございますので、市町村もございますので、大臣が認定するときには、幅広く関係地方公共団体の意見を聞くという規定が法律に載っておりまして、公共団体の意見は十分に尊重して認定を行うようにしていきたいと思います。

鷲尾委員 どうしても重複というか、使い勝手という意味におきまして、また別のところに同じ書類を提出して、また大臣から認定を受ける。確かに、出資というスキームがある以上、ある程度改めての認定という部分が必要になってくるという考え方も非常に理解するところではあるんですが、実際に計画を立てて国交省に提出する、そういう作業がある以上は、余り重複というのをやってしまうのもいかがかなというふうな、制度の基本設計としてそういう考え方もあろうかというふうに思います。

 というのは、以前、こういう計画、すべて国がお金を出すんだから、やはり計画もしっかりと審査して、都道府県が出す計画も審査して、それに対してちゃんと判こを押して、判こを押してという言い方が適切かどうかは別として、それで国がお金を出すんだという格好だったと思うんです。

 それは、もう今は計画を提出してそれでおしまいということになっているわけですから、都道府県を信頼してというか、民間業者を信頼してという言い方が適切かどうかはわかりませんけれども、そういうことで、都道府県に権限を移譲するというわけじゃないですけれども、都道府県がつくってくる計画というのはしっかりしたものなんだという前提に立った制度設計というのもあろうか、今そういう流れになってきているんだと思いますけれども、さらなるそういう行政の効率化といいましょうか、使い勝手のよさを重視する、そういう制度設計もあろうかというふうに思う次第です。

 続きまして、伊藤先生そして赤池先生、そして我が方の下条先生も泉先生も質問した点ではございますけれども、まちづくり交付金との違いが余りないのじゃないかなというふうに思います。先ほど冬柴大臣も引き合いに出されたとおり、まちづくり交付金となぜそもそもこういう似たような制度をつくるのか、そういう区分はどういう趣旨で区分しているのかというところについて、国交省のお考えをお聞かせ願いたいんです。

渡辺(具)副大臣 委員御指摘の御疑問は、他の委員からも同じような、似た質問があったように、ある意味ではもっともな御指摘だというふうに思いますが、まちづくり交付金の方は市町村、それからこの交付金は都道府県を対象にしているわけであります。それからまた、この交付金は、広域的な地域活性化活動に資する基盤として、まちづくり交付金にはない補助国道やあるいは港湾、空港なども対象にしております。まちづくり交付金との役割分担が違うわけであります。

 つまり、本交付金は、まちづくり交付金とは別の目的、また別の性格を持つものでありまして、新しく創設する意義があるというふうに考えております。

鷲尾委員 私、思いますのは、最初、まちづくり交付金を創設しました、さらにこういう広域的地域活性化というのを創設しましたと。いろいろな制度があるのもいいと思うんですけれども、包括的に地域活性化に役立つためには、何か案があったら全部持ってこい、それに対してできるだけのことをするよというような心構えの制度設計もあってもいいのかなというふうに思いました。

 最初、そういうまちづくりという趣旨でつくった、今度は広域的地域でつくったと。これは全部統合して、市町村、都道府県含めて、どこからでもいいアイデアがあったら来なさいよという制度設計の仕方も私はあってしかるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 都市再生というのは、一番最初はまだ法律もなしに、平成十三年に小泉内閣のときに、いわば、本当に土地がどんどん下がっていってどうにもならない、しかしながら国は借金だらけでどうにもならない、GDPも下がりっぱなしという中で、民間の力をかりて、そして都心部を元気にしようというような発想があったと思います。そういうことから、都市再生本部、次には都市再生法というのができてそれなりに、この間も、ミッドタウンと言うんですか、大変な防衛庁施設跡の開発等、これがやはり牽引力になって地価の下げどまり等も起こったと思うんです。

 しかしながら、これはやはり余りにも都心部に集中したことでありまして、そこで次に、稚内から石垣までという、市町村を対象にした都市を元気にしようという発想でまちづくり交付金というような形で、これが、先ほど言いました六百を超える市町村がそれに手を挙げ、そして事実、今もやっていただいている。それなりに効果を発揮していると思うんですね。

 そうすると、大都市圏と市町村はできた。今、都道府県をこのように元気にしようと。そして今、渡辺副大臣からの答弁もありましたように、それとはまた違うものを盛り込んだ、使い勝手のいいものをここでつくろうということですから、これを全部合わせたら、委員がおっしゃるように都市再生ということが起こるし、また、後二者については、首都圏だけじゃなしに地域について元気になる、活性化する、そういうことに裨益できるのではないか。それなりに工夫して段階ごとにやってきておりますけれども、合わせれば、おっしゃるように隅々まで行き渡った制度になるのではないかというふうに思っています。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 済みません、ちょっと時間がないもので、次の質問に移らせていただこうと思います。

 今度は、港湾法の改正についてお伺いさせていただきたいと思います。

 きょうは環境委員会が開いておりますところ、環境省さんにも来ていただいておりまして、順次質問をさせていただこうと思いますが、まず、国交省さんにお尋ねしたいと思っております。

 廃棄物埋立護岸、海洋性廃棄物処理施設に補助をするわけでございますが、この廃棄物埋立護岸というのは何なのかと、補助している理由は何なのかというところについてちょっとお聞かせ願いたいと思います。

冬柴国務大臣 今回の改正法におきまして廃棄物埋立護岸等の補助率を引き上げようということでございますが、その理由は、一般廃棄物の最終処分につきましての内陸部における処分場の確保がますます今厳しくなってきております。そういうことで、海面において処分されるものの割合が、平成十年で一三%であったものが、十六年には二四%と倍近くに増大してきたわけでありますし、今後もさらなる増加が見込まれるということが挙げられるわけでございます。

 そのために、今回の改正法によりまして、海面処分場等の整備を促しまして、計画的な確保を進めていかなければならない、そういうことが立法の理由でございます。

中尾政府参考人 委員御指摘の廃棄物埋立護岸という意味でございますけれども、廃棄物埋立護岸とは港湾法上の廃棄物処理施設の一つの類型でございまして、護岸で仕切られた海面で廃棄物の埋立処分を行う機能を有する施設ということでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、環境省さんにお伺いしたいと思うんですが、廃棄物処理について、環境省が所管しておられる循環型社会形成推進基本法があると思うんですが、これに基づきまして循環型社会形成推進交付金制度というのがあるというふうに聞いております。これは、制度設計当初は四分の一くらいの補助率であった、こういう趣旨の交付金というのは当初四分の一だと。ところが、この制度が創設された時点で、これは平成十七年度に創設されたという話なんですが、三分の一になったというふうに聞いておるんですが、この設定経緯についてお伺いしたいと思うんです。

由田政府参考人 御説明させていただきます。

 従来、国は、市町村の一般廃棄物処理施設の整備に対しまして補助金を交付し、支援してきたわけであります。いわゆる国庫補助負担金、税源移譲を含みます税源配分のあり方、それから地方交付税の三つを一体的に見直す三位一体の改革におきまして、こうした国の補助金を見直す検討が行われてきたところであります。

 この補助金見直しの検討におきましては、国と地方の協議を経まして、平成十六年十一月に政府は、三位一体の改革の全体像につきまして与党の合意をいただきました。この合意に基づきまして、一般廃棄物処理施設整備に対します国の補助金は交付金化の改革を行うということになりまして、平成十七年度から循環型社会形成推進交付金を創設することになったものであります。

 また、補助金から交付金への改革に際しましては、これまでの公衆衛生の向上や公害防止を目的とする事業から、廃棄物から資源とエネルギーをできるだけ回収し、循環型社会の形成を目的とする事業への転換を図ったものでございます。

 この過程におきまして、このような性格を変えることによりまして、補助金から交付金への移行とあわせまして、交付率を三分の一というふうにさせていただいたものでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 この循環型社会形成推進交付金の交付対象施設に最終処分場というのが含まれておるというふうに要綱上あると思うんですけれども、この最終処分場というのは、概念上、海面処分場、すなわち、港湾法上規定されている、今回の補助率を上げようとしている廃棄物埋立護岸を含んでいるのかどうかということについて、環境省さんにちょっとお伺いしたいと思うんです。

由田政府参考人 港湾区域の海面に整備される最終処分場の護岸が廃棄物埋立護岸ということでございます。したがいまして、廃棄物埋立護岸は最終処分場に含まれております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 現時点において、環境省の制度である循環型社会形成推進交付金によると補助率は三分の一でございますが、国交省の制度である港湾法の補助によると、現時点ですけれども、四分の一の補助率になっている、そういうことでよろしかったでしょうか。これは国交省の方にお聞きしたいと思います。

中尾政府参考人 現在においては四分の一ということになっております。

鷲尾委員 それでは、改めまして環境省さんにお聞きしたいと思いますが、現在、港湾に存在する海面処分場または廃棄物埋立護岸におきまして、循環型社会形成推進交付金制度に基づいて三分の一の補助を受けている、そういう場所はあるんでしょうか。

由田政府参考人 循環型社会形成推進交付金によりまして整備を行っている港湾に存在する海面処分場につきましては、東京都が東京湾内に整備している新海面処分場など三カ所がございます。

鷲尾委員 国交省さんにお伺いしたいんですけれども、最終処分場というか、似たようなと言ったら語弊があるかもしれませんが、環境省さんの制度が一方で三分の一の補助率であるということなんですけれども、これは、環境省さんの方の制度で対応できるという理解はできないでしょうか。大臣、どうですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 海面処分場というのは、通常、港湾区域内にあって、物流とかいろいろな機能がある港湾の中にあるということでございまして、港湾管理者がその港湾内の長期計画をつくっております。その中にやはり廃棄物処分場というものを位置づける必要がございます。

 さらに、廃棄物処分場、海面の場合は非常に高額なお金がかかります、大規模なお金がかかります。そうすると、やはり港湾整備事業に入れてそういうことをやっていく必要があるんじゃないかと思っておりますし、さらに、その後の跡地の利用につきましても、港湾管理者が一義的に関与するわけでございます。そのために、やはり港湾管理者を介在した形での港湾の整備という形で廃棄物処分場が必要じゃないかと思っております。

鷲尾委員 では、ちょっと質問の視点を変えさせていただきたいと思います。

 環境省さんの方にお伺いしようかと思っておりますが、一般廃棄物の海面処分比率が上昇しているというのは、これはどういう理由があるのかということをお聞かせ願いたいと思います。

由田政府参考人 一般廃棄物の海面におけます最終処分場への埋立量につきましては、平成十年度から十六年度にかけまして約二割減である一方、内陸部におけます最終処分場への埋立量は約六割減と大幅に減少しております。このように、海面処分場への埋立量の減少が他の内陸部の埋立処分場に比べて緩やかであるために、海面処分場への処分比率が上昇しておる、こういうことでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、最終処分場の残余年数というのが増加しているというふうに聞いておるんですけれども、最終処分場の残余年数が増加しているその背景といいますか、理由についてもお聞かせ願えませんでしょうか、環境省さん。

由田政府参考人 一般廃棄物の最終処分場の残余年数につきましては、平成七年度には八・五年であったところが平成十六年度には十三・二年と、十年間で約一・五倍となっております。

 この理由といたしましては、一般廃棄物の最終処分場の残余容量が、平成七年度には約一億四千万立方メートルであったところが平成十六年度には約一億三千万立方メートルに減少しているものの、最終処分量は、容器包装リサイクル法の施行など主にリサイクルの推進によりまして、平成七年度の約一千三百六十万トンから平成十六年度の約八百九万トンへと、約四〇%減少しております。このことから、残余容量と毎年の最終処分量から計算される残余年数は増加したものと考えております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 そこで、今まで環境省さんに質問させていただいた流れからいきますと、今の時点で港湾法の改正を行う主な理由というところで、私は、ちょっと納得しがたい部分もあるのかなと。四分の一から三分の一へと補助率を今なぜ引き上げるのかというところが、まだちょっと納得できないところがあります。

 その点について、では政務官、お答えいただけますか。

梶山大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど環境省から答弁がありましたように、残余年数というものは増加をしておりますが、これはあくまでも全国平均の数値でございます。

 委員御承知のように、市町村の排出者としての責任、それぞれの市町村で処分をするべき責任がありまして、それぞれの市町村によって、単体で行っている場合、また広域で行っている場合、また他県に運び込む場合もあろうかと思いますけれども、押しなべて考えますと、それぞれの市町村ではやはりこれは不足ぎみであるというのが現状であります。

 先ほど大臣の方からも答弁がありましたけれども、内陸部における処分場の確保がなかなか難しくなっている、また、それぞれの市町村、自治体においてはそういった不足の感覚があるという中で、今後も最終処分場を確保していくことは大変に重要なことであり、海面処分場の整備を促進するために今般の改正を行うものと思っております。

鷲尾委員 政務官、お答えいただいたんですけれども、余りよくわからないわけでございまして、要するに、改正を行うタイミングとしてなぜ今なのかという話だと思うんです。

 改正すること自体についての意義というのは、るる皆さん申し述べられたとおりだと思うんですけれども、循環型社会形成推進交付金制度というのが創設された時点で、それまでの補助金の補助率は四分の一だったわけですね。それから三分の一に交付金創設と同時にやりましたよと。いわゆる今までの最終処分場を含めて、リサイクルの関係もあったんでしょう、ごみの処理、これを推進するために四分の一から三分の一にしましたよと。海面処分場は当然国土交通行政にはかかわってくる部分でございますから、そのときになぜ歩調を合わせて改正することができなかったのかというところが私の問題意識としてあるわけです。

 当然、港湾には港湾行政の中身、先ほど局長が答弁されたとおり、それこそ長期計画で港湾行政が立てられている中で海面処分場というのがつくられていく。そういう中にあって、リサイクル推進というのが一方で昨今の問題意識としてかなり高まってきた。そういう中でのこういう交付金制度、補助金のかさ上げということがなされているわけで、では、なぜそこで歩調を合わせて行政府一体となってこういう制度を創設できなかったのかというところが私の問題意識でございます。大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 もう一つ、スーパー中枢港湾等、今非常に大深度の港湾をつくり、またそれに至る航路のしゅんせつということで、しゅんせつ土砂というものの処分が今非常に大きくなってきているわけですね。

 国際上、今までは海中に投棄してもよかったわけですけれども、国際条約によって海面投棄はしてはならないということになりました。そうしますと、莫大なしゅんせつ土砂の処分というものがやはり言われる港湾、これはロンドン条約というもので、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約ということで、平成十九年四月一日に施行されておりまして、しゅんせつ土砂の海洋投入処分が原則禁止になったということがありまして、これは大変膨大な量になるわけです。

 そういう意味で、こういうものも港湾でしゅんせつ土砂を処分するということの必要性に迫られてきていまして、先ほど局長が言いましたように、それには莫大な費用もかかるわけでございますので、この際、このような措置をとったということでございます。

鷲尾委員 大臣、今のお話をするのならば、実際に海洋投棄の実績がどれぐらいなのかというところの問題もあると思うんですね。海洋投棄の程度によっては、今般改正する必要性というのも改めて検討しなきゃいけないというふうには思います。

 その話をすると、今回は時間がないのでやめさせていただこうと思いますが、要するに何を申し上げたいかといいますと、港湾行政で今、国際競争力を高めるために、今大臣がおっしゃったようなスーパー中枢港湾整備というのを推進している最中であると。当然、国の予算が限られている中で、国際競争力強化のために、関係部署を含めて、港湾であれば例えば環境省さんとの連携をとりながらやるとか、そういう、いわゆる縦割りではなくて、省庁間の連携をもっととりながら、先ほども申し上げたとおり、行政府一体で港湾行政というものもやっていかなきゃいけない、そういう視点ももっとあっていいんじゃないかな、そういう問題提起でございます。

 この点を、ちょっとこれは通告していないですけれども、大臣、私の言葉を聞いての感想をちょっとお聞かせ願いたいんです。やはり縦割りじゃいけない、これからはあらゆるところと連携しながら、国際競争力を高めなきゃいけないし、港湾行政もやっていかなきゃいけないんだというところで、ぜひとも大臣の御決意をいただきたいんです。

冬柴国務大臣 御指摘のとおりでございまして、そのようなものについては、同じような目的で、海洋投棄というのは環境省の部分については少ないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、東京湾で三カ所あるという御答弁もいただきまして、そちらの方へ使えば三分の一、こちらでは四分の一ということではいけないと思います。

 そういう意味で、今回、三分の一、同じまで引き上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、今後とも、環境施策の展開に当たりましては、必要な連携を図っていかなければならない、御指摘も踏まえましてそのように考えます。また、そのように連携をしてまいります。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 もうちょっと突っ込みたかったんですけれども、時間が終了しましたので、これで私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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