衆議院

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第14号 平成19年4月25日(水曜日)

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平成十九年四月二十五日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 石田 真敏君 理事 後藤 茂之君

   理事 中野 正志君 理事 西銘恒三郎君

   理事 葉梨 康弘君 理事 山本 公一君

   理事 伴野  豊君 理事 三日月大造君

   理事 高木 陽介君

      安次富 修君    赤池 誠章君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    梶山 弘志君

      亀岡 偉民君    木原  稔君

      北村 茂男君    坂本 剛二君

      桜井 郁三君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    徳田  毅君

      冨岡  勉君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    原田 憲治君

      広津 素子君    松本 文明君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      宮澤 洋一君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    北神 圭朗君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      長安  豊君    吉田  泉君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小滝  晃君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  冨士原康一君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     西村 康稔君

  鈴木 淳司君     石破  茂君

  小宮山泰子君     細野 豪志君

  赤羽 一嘉君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     鈴木 淳司君

  西村 康稔君     杉田 元司君

  細野 豪志君     小宮山泰子君

  大口 善徳君     赤羽 一嘉君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     広津 素子君

  遠藤 宣彦君     三ッ矢憲生君

  小里 泰弘君     木原  稔君

  島村 宜伸君     松本 洋平君

  盛山 正仁君     冨岡  勉君

  古賀 一成君     北神 圭朗君

  土肥 隆一君     吉田  泉君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     安次富 修君

  冨岡  勉君     盛山 正仁君

  広津 素子君     石田 真敏君

  松本 洋平君     島村 宜伸君

  三ッ矢憲生君     遠藤 宣彦君

  北神 圭朗君     古賀 一成君

  吉田  泉君     土肥 隆一君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     小里 泰弘君

同日

 理事石田真敏君同日理事辞任につき、その補欠として西銘恒三郎君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二十四日

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

同月十九日

 タクシー規制緩和の失敗を直視し、新たなルールの確立を求めることに関する請願(前原誠司君紹介)(第七九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案(内閣提出第四二号)

 港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事石田真敏君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に西銘恒三郎君を指名いたします。

     ――――◇―――――

塩谷委員長 内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案及び港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土計画局長渡邊東君、都市・地域整備局長中島正弘君、道路局長宮田年耕君、海事局長冨士原康一君、港湾局長中尾成邦君及び内閣官房内閣参事官小滝晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 区市町村の自立を促すまちづくり交付金制度に続いて、都道府県、広域ブロックの自立を促す今回の活性化交付金制度、これは、地方自治を尊重し、分権型社会の構築という安倍政権の公約実現に向けた着実な展開であります。心からの賛意を表した上で、以下、何点か質問いたします。

 提案理由説明で、東京中心の一極一軸型からの転換を目指す、こう述べられておりますが、今回の法案は、決して、首都東京の自立と発展を妨げるものではなく、むしろ、他の広域圏との連携を図りながら、首都機能の強化と発展に資するもの、こう理解してよろしいかどうか、御答弁をいただきます。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これは、首都圏を含む広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に生かした特色ある地域戦略を描くことにより、自立的な圏域を形成し、各ブロックが相互に、またアジア地域等と直接交流、連携することで活力ある国土を形成することを目指すということであります。

 本制度は、地域の自立、活性化を進めていく上で、企業の立地など地域の活性化に寄与する活動に合わせて、必要なインフラ整備をタイミングよく効率的に実施することが極めて重要であるという認識のもとに、都道府県が、民間活動の拠点となる施設に関連して必要となるインフラ整備を一括して効率的に行い、地域の知恵と工夫に応じた広域的な地域の活性化を進めるために、ハード、ソフト一体の幅広い支援を行うものでございます。

 本制度は、都道府県すべてを対象にしております。魅力ある地域の実現に向けて、地域独自の施策やプロジェクトについてみずから考え、前向きに取り組む地域を支援していきたいと考えておりますので、ぜひ積極的に活用していただきたいというように考えております。

松本(文)委員 この国の国土計画、御承知のとおり、明治以来、均衡ある発展を目指して、鉄路を張りめぐらし、新幹線を敷設し、高速道路を建設してきました。どの施策も、一極集中を目指したものではなくて、どこに暮らしても豊かに安心して暮らせる国づくりを目指したものであります。しかし、それでも、人の流れは都市へ都市へと集中を繰り返して、全く怒濤のごとくであります。人類文明の必然としか言いようがないわけであります。

 今回、広域ブロック間、都市間の均衡を図るという趣旨が高らかにうたわれているわけでありますが、もっと具体的でわかりやすい、それぞれのブロックが目指すべき方向というのを国土計画の中に持った方がいいのではないか、こんなことを考えるわけでございますが、御所見を伺います。

渡邊政府参考人 現在策定を進めております国土形成計画の全国計画では、広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に生かした地域戦略を描くことにより、広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すべきとの検討が進められているところでございます。

 また、新しい国土計画体系のもとで制度化された、ブロックごとに策定作業を進めている広域地方計画では、ブロックごとの国土の形成に関する方針、目標、また、広域の見地から必要とされる具体のプロジェクトを含む主要な施策を定めることとしております。

 その検討に当たってでございますが、昨年十一月の国土審議会「計画部会中間とりまとめ」におきまして、広域地方計画の策定に当たって五つの点、すなわち、第一に、国土におけるみずからのブロックの位置づけと東アジアの中での独自性の発現、第二に、各ブロックの特性を踏まえた域内の各都市や地域の連携方策のあり方、第三に、全国共通の課題に対するブロック独自の対応策、第四に、ブロック固有の課題への取り組み、第五に、独自の地域戦略に基づく重点的、選択的な資源投入、こういったことについて、広域的かつ分野横断的に検討を進めるべきであるとされているところでございます。

 広域地方計画については、広域ブロック自立型の国土構造への転換という全国計画の方針を踏まえつつ、ブロックごとに国土づくりの目標やその実現のための方策等の具体的な検討が進められるよう、地方の主体的な議論を期待しておるところでございます。

松本(文)委員 局長、六十年前、この国が焦土に帰した当時、この国の国民の皆さんの多くが第一次産業から生活の糧を得ていらっしゃった。そして、この国は物づくり立国を目指したわけでありますけれども、現実には、昭和三十年代だったと思うのでありますが、第二次産業に従事して生活の糧を得ている方は、たしか三五%ぐらいまで行ったと思うのでありますが、今またそれが減少して、二五%ぐらいになっている。そして、国民の多く、七五%前後の方が第三次産業、サービス業に従事して生きていらっしゃるわけでありますけれども、もうそろそろ、それぞれのブロックの、国の均衡ある発展の中で、物づくりを中心にこの国を引っ張っていこうとするところをどこら辺に立地させるのか、あるいは、企業誘致をそれぞれの自治体に任せるのではなくて、やはり国家戦略としてある程度の具体的な戦略を持つべきだ、こんなことを私は考えてこの質問をしたわけであります。

 もうちょっと国民にわかりやすく、国が考えているこの国の発展と具体的な国土計画、産業、それぞれの立地計画、目指すべき方向というものをもうちょっと具体的にお示しをいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、この国の目指すべき方向をもう少し明確にということでございます。

 昭和二十五年に国土総合開発法ができまして、それから全総計画というのをずっとつくってまいりました。平成十年に第五次の全総計画ができまして、国土のグランドデザインという名前でございますけれども、それまで、東京一極集中の是正ということで、さまざまな地域開発の政策を行ってきたということでございます。この政策自体はいい面もあったと思いますけれども、その中でいろいろな弊害ももたらした。そういう反省の上に立ちまして、国土形成計画というのを現在策定中でございます。

 この国土形成計画、非常に重要な点は幾つかございますけれども、その中でも、全国計画と広域地方計画というものをつくって、二層の計画体系でこの国を美しい国に、よい国にしていきたいということでやってきているわけでございます。

 その中の大きな考え方は、やはり広域ブロック、それぞれこれを見てまいりますと、欧州の中規模国にも匹敵する、それだけの実力があるところでもありますし、これからの世界経済を考えますと、それぞれの地域がアジアあるいは各地域と直接つながるということが極めて大事であります。そういった中で、物づくりあるいは観光産業、そういったものをそれぞれの地域で独自に考えていただくことが非常に大事だと思っております。

 そのために、国といたしましては、基幹的なネットワークとかあるいはアジアに対するゲートウエーとか、そういったものを整備していくことは当然でありますけれども、また各地域の主体的な対応を支援していくということが大事だ、こういうものが現在の計画の考え方だというように思っております。

松本(文)委員 広域ブロックごとの国土形成を進めるに当たって、ブロック内自治体の意思疎通、これは最も重要なところでありますし、ブロック内の自治体が共通の目的意識を持つということも大変重要だ。そのことを、共通意思あるいは共通目的を持つために大変重要な役割を担うのが、いうところの広域地方計画協議会ということだろうと思います。

 ブロック内の都道府県間の調整に当たる場合の協議会、あるいは行政区画、各都道府県内の区市町村との調整に当たる協議会、広域的に運営をする部分と県内で運営を図る協議会というのが何となく見えてくるわけであります。

 しかし、この協議会のメンバーというのは、どんなメンバーがだれに招集をされるのか、だれがまとめ役、座長を務めるのか。それらは恒常的に設けられるべきだと僕は思うんですが、恒常的なものになるのかどうか、そこら辺を具体的にわかりやすく御説明をいただきたいと存じます。

渡邊政府参考人 委員御指摘のとおり、広域ブロックごとに定める広域地方計画の策定に当たりまして、ブロック内の関係都府県等の意思疎通及び共通の目的意識の形成ということは極めて重要なことだと考えております。そのため、広域地方計画を実質的に立案する広域地方計画協議会は、ブロック内の都府県、政令市、国の地方支分部局、地元の経済界等をメンバーとし、地域の発意による広域的な地域戦略の構築に向けた議論を行うこととしております。

 広域地方計画協議会の会長でございますけれども、協議会において決定するということとされておりまして、また、協議会の庶務は国土交通省で処理するとされております。

 現在、正式の広域地方計画協議会は立ち上がっておりませんが、既に各ブロックにおきまして広域地方計画協議会の準備会合、私どもはいわゆるプレ協議会と呼んでおりますけれども、これを立ち上げまして、広域地方計画策定に向けた議論を開始しております。プレ協議会の長でございますが、地元経済界の代表、地元県の代表など、各ブロックでそれぞれ検討、決定しておるということでございます。また、その開催につきましても、各プレ協議会において主体的に決定していただいております。

 したがいまして、正式の協議会におきましても、そのような方向で運営されるのではないかというように考えております。

 また、広域地方計画協議会は、計画を策定するのみならず、計画の実施についても協議することとされており、計画策定後も、委員、大事であるというようにおっしゃっていただきましたが、恒常的に地域ブロックの意思疎通、共通の目的意識の形成に資するものと考えております。

松本(文)委員 局長、この協議会が、単なる名誉職の集まりみたいなものになったり、責任の所在が全く見えてこなかったりということのないように、そして、この協議会で行われる議論というのが、地域国民に対してはもちろんでありますが、全国民に対してもオープンであるというものにしていただきたい。強く要望をいたしておきます。

 広域ブロックの基盤整備を目指す法律でありますし、局長からの説明にあるとおり、この国の国土計画、国土発展に最も大きな、高邁な目標を持つ法律であります。しかし、この法律を後ろで支える予算面というのはどういうことになっているんだ、こう見ますと、驚くなかれ、これは全国の都道府県で割り算をしてみると、一都道府県五億程度ということであります。ちなみに、五億でこの東京のど真ん中に何坪ぐらい買えるのかなと思いますと、ほとんど何もできないという額であります。

 この予算と掲げる目標の大きさとのギャップ、アンバランス、これはどういうことなのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 本制度は、地域の活性化に資する民間活動に合わせて必要な社会基盤整備をタイミングよく効率的に実施するための制度として創設したものであります。

 ただいま委員から御質問のありました地域自立・活性化交付金に加えまして、広域的地域活性化基盤整備計画と密接に関連する直轄事業等を機動的に実施するための地域自立・活性化事業推進費を活用することにより、民間活動による地域の自立、活性化が効果的に図られるものと期待しております。

 また、基盤整備を図る上では、やはり何よりも重要な役割を果たしております既存の直轄事業、また補助事業、こういったものとは相互補完関係にございますので、これらとしっかり連携して本制度の効果を高めることが大変大事であるというように考えております。

 本年度予算につきましては、今後、都道府県からの提案を受け付けていくこととなりますが、本年度予算を効果的に推進することにより、意欲ある地域の提案にはこたえていけるのではないかというように考えております。

松本(文)委員 今までの制度の上で行われていた事業、これがやはりまだまだ、予算面からだけ考えると、圧倒的に基盤整備事業の基本を担うわけでありますから、それとのマッチングがうまくいくように、ぜひ御指導を要望いたしておきます。

 そこで、この制度を自治体が利用しようと考えるときに自治体が悩むのは、どの自治体も財政運営に苦労しているわけでありまして、地方負担分、いわゆる裏負担、こう言われている部分の予算をどこから捻出しようかということであります。

 そこで、これは当然行われているんだろうと思うわけでありますけれども、地方交付税の算定基準の中に、総務省、財務当局との折衝の経過を含めてなんですけれども、地方交付税の算定枠の中に加算をされるというふうに私は認識をしているわけですが、そこら辺のことについて明確な説明を求めておきたいと存じます。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域自立・活性化交付金の都道府県負担分に対する地方交付税措置につきましては、平成十九年三月三十一日の総務省告示に示されておりますとおり、通常の補助事業における措置と遜色ないものとなっております。また、運用に当たっては、総務省と連携して、手続の簡素化などの負担軽減が図られるよう努力していきたいというように考えております。

松本(文)委員 この交付金、それぞれの自治の力を示していただくという意味でも大変大きな意味を持っているわけでありますが、それが、わずかなと言うと失礼なんですが、予算措置上の問題の中でつぶれるということのないように、バックアップを強く要望しておきます。

 次に、港湾法関係でありますが、今回提案されております法律というのは、港湾工事の費用負担について、地方分を軽減して、その分、国の負担率を上げるというものでありまして、全く疑問の余地がないものであります。当然賛成でありますが、この機会に伺っておきます。

 港湾設備の充実は疑いなく重要でありますけれども、この二、三十年間、日本船籍の船は約千六百隻あったものが、驚くなかれ、今現在はわずか九十五隻しかない。千六百を超えてあったものがわずか九十五隻。そして、外国航路につく日本人船員、約五万七千人いらっしゃったものが、何と現在は二千六百人しかいない。日本外航海運、これの最も基本的な、重要な部分というのは、この二、三十年間で全く壊滅状態になってしまった。

 強い危機感を持っているわけでありますけれども、国交省の今後の対応、あわせて御認識を伺います。

冨士原政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現在、日本商船隊におきます日本籍船の総数は九十五隻ということでございます。また、日本人船員につきましても、平成十七年現在で二千六百人という状況になってございます。

 このような減少をもたらした最大の要因は、昭和六十年にプラザ合意がございまして急速な円高が進行したという中で、日本の外航海運は一気に競争力を喪失いたしまして、その中で、必死の生き残り策の中でやはりこういう結果が今日に至って出てきているということであります。

 ただ、これは、日本の経済構造、資源エネルギーの大部分を海外に依存しているという状況をかんがみますと、非常時における対応を含めて、やはり軽視できない重要な問題であるというふうに私ども認識してございます。

 したがいまして、このような認識に基づきまして、平成十九年度の税制改正要望におきまして、外航海運の国際競争力の確保はもちろんでありますが、日本籍船あるいは日本人船員の確保を図るために、現在、国際標準になっておりますトン数標準税制の導入の要望を行ったわけでございます。結果といたしまして、与党の税制改正大綱におきまして、トン数標準税制につきましては、平成二十年の通常国会におきまして所要の法整備を行うことを前提として、具体的に検討するという結果をいただいたわけでございます。

 このような状況を受けまして、私ども、ことしの二月に、交通政策審議会に対しまして、「今後の安定的な海上輸送のあり方について」という諮問を行ったところでございます。この諮問の中では、課題になっております我が国における外航海運の役割、外航海運事業者の役割を踏まえた日本籍船及び日本人船員の計画的増加策を含めた、安定的な国際海上輸送の確保に必要な施策について、六月をめどに中間取りまとめをいただくというスケジュールで現在作業を行っているところでございます。

 私どもといたしましては、この審議会の審議を踏まえながら、また、来年の通常国会への所要の法律の提出を前提といたしまして、現在作業に取り組んでいるというところでございます。

松本(文)委員 御承知のとおり、私たちの国は、原油の九九・七%を海外に頼り、天然ガスの九六・三%を海外に頼り、食料さえも六〇%を輸入に頼っている国であります。これら輸出入貨物、この貨物の九九・七%、これが船で日本に輸出入されているわけでありまして、飛行機に頼っている部分はわずか〇・三%でしかない。このことを考えると、外航海運というのは、こんな現在のような状況ではこの国を、国民の生活を守ることはできない。税制だけで何とかできるというようなものでもない、こう思います。

 ぜひ強い危機意識を持って、早急に強力な外航海運の復興プランニングというものをお示しいただきますように強く要望をいたしておきます。

 それから、もう時間ですので何点か余して質問を終わることになると思いますが、日本の港、活力と魅力にあふれた美しい港湾、こういうことにしていくためには、内航海運船や小型船舶、レジャー船などにとっても利用勝手のいいものでなければならない、こう思うわけでありますが、現実的にはそういうふうになっていないわけであります。

 例えば、東京港、東京湾内において、ヨットの帆を見ることはまずほとんどありません。そして、プレジャーボートが行き交っているという風景を見ることもありません。観光立国を目指す国の港ということであるならば、やはりそれにふさわしい風景があっていい、こう思うわけでありますが、国交省の御見解を伺いたい。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 港湾における小型船対策ということだと思いますけれども、まず、それが美しくないというのが、放置艇というのが一つあります。要するに、所有者がいなくなったものをそのまま捨ててしまうとか、そういう問題でございます。そういうのが港の中にあるということが非常に汚いということもあります。これは、景観上好ましくないだけじゃなくて、船舶航行の阻害要因とか、津波、高潮などのときに背後地の被害を増幅させるといった要因とも考えられます。そのため、その対策が必要となってきます。

 このため、放置艇の解消を図るよう静穏水域を利用した小型船の係留施設の整備を推進しております。また、平成十八年には港湾法を改正しまして、従来の水域に加えまして、臨港地区と呼んでいる陸域ですけれども、陸域での放置艇に対する適正な空間利用を促す制度も導入いたしました。

 そのような放置艇対策ということと、また一方、小型船が安心して利用できる条件整備というものが必要でございます。小型船の利用者とか地域住民などの関係者の意見を踏まえて適切に対応していく考えでございますけれども、平成十九年、今年度でございますが、沿岸域におけるプレジャーボートなどの小型船の水域の適正な利用に係るガイドラインの検討などをするために必要な調査を行うこととしております。

松本(文)委員 港湾局長、堀江謙一さんという人が「太平洋ひとりぼっち」という本を書いております。あのゴールデンブリッジをくぐったときの感動を、私は学生のころ読んで、すばらしいなと思ったんです。

 この国、周りが全部海に囲まれている海洋国家なんだ、そういう意識、船、海、水、こういうものに親しむ国民性、海に生きる男のロマンといったようなものを感じさせるような、そういう施策がなければ、さっきの、外航海運につこうという船員さんも育ってこないわけであります。ところが、世界のヨットマンが、世界の海にロマンを感じる人たちが、日本のどの港を目指すんだ。何にもないんですよ、ないんです。

 これからお台場、やかた船があそこに夕方どんどん集結をして、中でカラオケをやりながら一杯飲む。当然、飲めばそれは下から出ていくわけであります。しかし、そのし尿はどうなっているか。多分あそこは直下型ですよ、全部。そして、そこが日本の首都東京の、最も海に親しむお台場海浜公園、こうなっている。昼間はあそこでウインドサーフィンなんかやられる、しかし数時間前までそこにビールの残骸がどんどんやられている、こういう状況なんですよ。

 やはり船というのは、そういうし尿をタンクにためて、そしてそれを港に着いたときに桟橋でとらなくちゃいけないんですよ。そして、食料を初めとして必要なものを載せなくちゃいけない。そういう施設がないんですよ、どこにもない。

 局長、一回やかた船に乗られたらいい。そして、車いすで乗るときに乗れるかどうか。考えたら、こんな高い岸壁から、足場にするような板が張ってあって、その板が、滑らないように木を打ちつけてあるような階段をおりていってやかた船に乗るんですよ。こういうような環境を放置しておいて、今のような話を聞いてもぴりっとこない。

 やはりだれもが親しめる環境をつくらないと、物流だけを考えるような港であってはならない。やはりこの国の国民の心に、精神、魂を育てる、海に向かわせる、そういうスピリットを持った港湾政策を展開していただきたいと思うんですが、感想があればお聞きして、私の質問を終わります。

中尾政府参考人 ありがとうございます。

 我々も、物流だけじゃなくて親しまれる港づくりということで、もう十数年前からやっておりまして、例えば緑地みたいなもの、横浜港でいうと山下公園とか、そういうものをやっておりますし、あるいは小型船ということでは、公共マリーナというものをつくって整備をしております。

 ただ、公共マリーナというのは非常にお金がかかるということで、利用料とかが非常に高いということで、先ほど申しましたけれども、簡易なものを、小型船をそのまま収容できる簡易な施設というのもやり始めております、プレジャーボートスポットというんですけれども。ただ、そうしますと利用者が非常に少ないというか、大規模なものができないということで、確かに、先生の言われるようなし尿処理のための施設とかあるいはごみを焼く施設、そういうものはなかなかできにくいことがございます。

 ただ、大規模なものにつきましては、マリーナでも、優良なマリーナにつきましては、し尿処理とかあるいはごみの焼却、食料品の買い入れとかそういうことができるようになっております。できるだけそのようなものができるように努力はしていきたいと思っています。

松本(文)委員 終わります。

塩谷委員長 次に、鍵田忠兵衛君。

鍵田委員 自民党の鍵田忠兵衛でございます。

 さて、質問に入らせていただく前に、きょうは四月二十五日、ちょうど今大臣も尼崎の事故の慰霊祭に御参加いただいたと思うんですが、改めて、お亡くなりになった皆様方の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。そしてまた、おけがをなされた方、そしてまた心に傷を持たれた皆様方のお早い御快癒を心よりお祈り申し上げる次第でございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 日本は今や本格的な人口減少社会を迎えており、これからの国づくりには、これまでとは異なる非常に難しいかじ取りが求められていると考えております。そのためには、まず、人々の営みや生産活動が繰り広げられるこの国土の現状を見てみますと、これまでの当委員会での御審議の中でも言われておりますように、依然として、明治以降百年を超す時間の中で形成されてきた、東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に人口や諸機能が集中しております。しかし、さらにさかのぼれば、かつて都は京都そしてまた私どもの奈良にあり、その長い歴史を視野に入れるならば、このような国土の姿となっていったのはたかだかこの百年間のこととも言えます。私たちは決して現代の国土の姿を固定されたものとはとらえずに、国土のあるべき姿について新たなビジョンを描いていくべきだと考えております。

 そこでまず、国土のあるべき姿、これについて、大臣がお帰りになったので、大臣にお願いしてもよろしゅうございますでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

 本日審議している法律案の提案理由の説明の中で、我が国の国土像として、東京中心の一極一軸型の構造から広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すことが必要と述べておられますが、この広域ブロック自立型の国土構造とは何か、また、どのような理由からそのような国土構造が望まれておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 我が国は、明治期以来、極端な中央集権型行政システムをとった国家で発展してきたと思います。それは、短い期間の間に近代化を促進する意味においても、また敗戦後、灰じんの中から今日のような経済大国に発展するためにも、一つは、そういう少数の人が中心になってこの国を引っ張っていく、そういう制度がそれなりに効果を発揮したと思うんですけれども、今立ち返って考えてみますと、狭い東京に、一極に、政治も経済も金融も、文化までも、また若者までも全部が集中をしてしまった。そこには権限が過大に集中をしたということ。そして、その裏返しとして、我々の豊かな地方、歴史も文化も伝統もあるわけですが、そういう地方が、過疎、そして若者がいなくなったということで、土の香りのするような祭りさえすることができなくなってきたというような状況を招きました。そういうところから、地方分権ということがもう必然的に起こってきたわけでございます。

 今回、国土につきましても、全国総合開発計画ということで国が中心になって全国を開発する、そういうような思想から、地方を中心とした国土形成計画法というふうに思想が変わりました。これは、全国という部分と、それから広域地方ブロックというものを二層にとらえて、どちらかといえば、地方がそれぞれに権限を発揮していこうというような構造として国をつくっていこうというものだと思います。

 例えば、私や委員も所属します近畿、その一地方をとりましても、二府四県の人口はオランダ一国をしのぎますし、その経済はお隣の、今爆発的に発達している韓国のGDPをしのぐような力を持っているわけでございます。

 したがいまして、そのような全国を、北海道と沖縄を除く日本の国土を八つの広域地方に分けまして、それぞれが持つ歴史や伝統や文化というものを基礎にした発展というものをその地域みずからが考え、そして、人口減少社会の中にあって、近隣国との連携、その活力を取り入れるというのも、その地域地域が考えてやっていったらどうかというのが広域ブロックの思想だというふうに思います。

 私は、戦後の大きな流れを今大きく変えていこうとする、そのような転換点にこの国は立っているというふうに思います。

鍵田委員 冬柴大臣、突然で申しわけございませんでした。ありがとうございました。

 今おっしゃっていただいた国土形成計画、この十九年度中ごろに計画を策定して進めるということでありますが、私自身もそれは本当に大事なことだなと。今、道州制の論議もなされておるところでございますが、やはり地域間格差をなくすためにも、こういった広域的な考え方をぜひやっていただきたいと思っております。

 続いて、地域の活性化について質問をさせていただきたいと思います。

 私は、長年にわたり地方政治にかかわってきましたので、地域の問題、そしてまた地域の視点というものをよく理解しているつもりでございます。安倍総理大臣が今国会の所信表明演説で「地方の活力なくして国の活力はありません。」と述べておられるように、地域の活力の向上は喫緊の課題であると思います。そういった視点から、広域ブロック自立型の国土構造への転換ということを考えてみます。

 私の地元の奈良には千年以上の歴史の後ろ盾を持つ多くの世界遺産があり、そしてまた、さらにその視野を京都、和歌山などを含めた近畿と広げると、我が国が有する世界遺産の多くは私どものこの近畿にあり、また近畿というブロックが世界と直接交流していく上での大きな大きな資源を手にしていると思っております。私は、世界に誇れる奈良のあるいは近畿全体の豊富な観光資源を地域の活性化のために十分に活用すべきであり、また、そうすることによって広域ブロック自立型の国土構造というものもでき上がっていくのではないかと思っております。

 広域的地域活性化を目的に掲げる本法案が、地域の活性化や、それを通じた広域ブロックの自立の実現にどのように役立つと考えておられるのか、国交省の意見を聞きたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 各地域の自立、活性化に当たっては、地域がそれぞれの知恵と工夫により、豊かな自然環境、観光資源、産業集積など、地域ごとの多様な特性に根差した特色ある資源を生かし、個性と魅力あふれる地域の形成に取り組むことが重要だと考えております。

 委員お話しのとおり、委員御地元の奈良を初めとしまして、近畿地方は非常に厚みのある歴史を持っております。我が国の十三の世界遺産のうちの五つ、また国宝のうち六割、重要文化財の約五割を占めるなど、世界的に見ても有数の歴史的遺産を誇っておるところだというように認識しております。

 したがいまして、委員御指摘のように、地域の多様な観光資源を活用した広域的な観光の活性化に広域ブロック全体で戦略的に取り組んでいくといったことは、広域ブロックの自立、活性化に向けた一つの望ましい道筋だというふうに考えております。

 本法案は、基盤整備と地域づくりに対するハード、ソフト一体となった支援を行うことで、まさにこうした地域における取り組みを後押しできるものだというように考えております。

鍵田委員 渡邊国土計画局長、ありがとうございました。

 それぞれの地域のよさというもの、これを大事にしていかなければならないと私も思っております。

 地域の活性化を進めるためには、地方のやる気、そしてまた知恵と工夫を引き出して、地域に住むそれぞれの方のニーズを一番よくわかっている地方がみずから考え、実行することが重要であると思っております。

 一方で、地方の活力なくして国の活力なしというように、地域が活性化することは国全体の活力に直結することであります。地方分権が進められている中においても、国が国土の全体像や地域活性化のあり方について時代の変化に対応しながら一定の指針を示していくことは非常に重要であると考えております。国が国土づくりの計画をつくるということはもう不要であるとの極端な声が一部に聞かれることもありますが、国が国土計画を作成するということは、まさにこういった役割を果たすために行っているものであると思っております。

 また、財政状況を初め、地方の現状を見てみますと、まず地域の自主性を大切にするとしても、地域活性化にかかわることは何でもかんでも地域に任せて地域の自己責任でやりなさいというのではなく、国が頑張ろうとする地域に対して重点的、集中的に支援を行うことが望ましいと考えております。特に、地域づくりを具体的に進めるに当たっては、各自治体の主体性を発揮することはもちろん重要でありますが、国の出先機関がきちんとその役割を果たすということも重要だと考えております。

 そういった意味から、今回の国土計画、特に地域戦略の検討について、広域地方計画協議会が関係自治体、地元経済界とともに国の出先機関も入って構成されていることは有意義だし、また、事務局を務める国土交通省の地方整備局、運輸局の役割、これは責任が重大だと思っております。

 地域の活性化を図る上での出先機関を含めた国の役割について、望月副大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

望月副大臣 ただいまお話ございましたように、総理が、地域の活力なくして国の活力はない、大変大切なことでございまして、地域がみずから考え、実行することがまず大事である、そういうことは当然でございます。

 しかしながら、今御心配の向きもございました。国の方は本当に責任をしっかり持ってやっているのか、そういうことだと思いますけれども、まず、このような地域の主体的な取り組みを支援するためには、国土形成計画の策定等を通じて各地域の戦略的な取り組みを促すように、国づくりの全体像を示すとともに、全国的な見地から必要な広域的、根幹的な事業をまず国が実施するということにしております。

 アジア・ゲートウェイ構想では、もちろん、重要港湾あるいはまた道路の高速化、そういったものをすべてとりあえず国がそれぞれしっかり責任を果たす、ただ、頑張る意欲のある各地域が実情に応じて選択的に活用可能な地域活性化に向けた支援を行う、こういうことになっておりますけれども、先生御指摘のように、地方整備局、運輸局など機能を積極的に活用しつつ、国が責任を果たすことが第一義的に必要である、大切であるということを考えております。よりまして、本省、出先機関が役割分担をして地方と一緒になって考えていく、知恵を出しながら、地域が力を十分に発揮できるよう支援をしてまいりたい、このように思っております。

 先生の御地元でございます、平城京の遷都千三百年の事業の準備をしているという話を聞いて、私もせんだって訪問させていただきました。大変すばらしい事業を地域の皆さんがそれぞれ知恵を絞って推進しているということでございますけれども、こういったすばらしいイベントに対しては、国といたしましても前向きに応援させていただきたい、このように思っております。

鍵田委員 望月副大臣、ありがとうございます。

 やはり平城京遷都千三百年というのは、国が関与してやっていかないとなかなか大変な事業であると思います。今副大臣から非常に力強いお言葉をいただきまして、非常にうれしく思っております。

 さて次に、私は、地域の活性化、特に観光政策に特段の関心を持っておるわけであります。今副大臣からもお話がありましたが、二〇一〇年に開催すべく、奈良県、そしてまた奈良市、そしてまた関経連、これが進めております平城京遷都千三百年記念事業、これを私は、二〇一〇年を最終年としているビジット・ジャパン・キャンペーンと連携させなければならない。一千万人を、やはり国として観光客を呼ぶ、それはなかなか難しいことであると思います。そういった中で、ラストイヤー・イン奈良として、このビジット・ジャパン・キャンペーンの一環ととらえてやっていただきたいと思っております。

 地域の発意による事業と、そしてまた国全体のキャンペーン、これを連動させるということ。国、県、市、さらに関経連、民間団体も一体となって事業を推進すれば、もっともっと大きな効果を上げることができるものと考えております。

 多数の世界遺産など世界に誇れる奈良の資源を、イベントの開催を契機として、地域の活性化に存分に活用していきたいという思いを持っておるわけでありますが、日本じゅう、いや、世界じゅうから来られる多くのお客様のために、必要な道路や駐車場といった基盤の整備をする必要があるわけでございます。また、地域の住民の生活はイベントの開催中も平常どおり行われるわけでございますから、地域住民の生活に支障が出ないようにしなくてはなりません。そして、当然のことでございますが、こういった基盤整備は、イベントの実施までにタイミングよく整備が終わっていなければならないわけであります。

 地元の話を一つの例としてお話しいたしましたが、例えば、地域の活性化を図るために工場誘致を行う場合でも同様かと思います。二年後に工場の操業を開始して製品を出荷しようという民間企業にとってみれば、工場へのアクセス道路など基盤施設については、既存の施設がどこまで使えるものなのか、仮に未整備であれば操業開始までに供用されているのかどうか、立地場所を選定する上で非常に大きな判断材料となってくると思います。

 各地域においては、地域の活性化を図るために、イベントを開催したり、企業誘致をしたり、さまざまなことを考えるわけでございます。こういったこととタイミングよく基盤整備がなされること、これが非常に重要だと考えておりますが、国交省の御見解をお聞きしたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域の活性化を図るためには、具体的な地域のニーズに的確かつ柔軟に対応し、必要な社会基盤整備をタイミングよく実施することが重要であるというように考えております。

 このため、本法案におきまして、都道府県が企業立地やイベント開催等にタイミングを合わせて必要な基盤整備事業を一体的に進めることができる、地域自立・活性化交付金制度を創設しようとするものでございます。

 委員が例を挙げて御質問いただきましたが、例えば、この制度によりまして、製造業の立地に伴い発生する製品の出荷や部品の納入等の物流の円滑化のために、企業の立地状況と進度調整を図りながらアクセス道路や港湾施設の整備を一体的に進めること、あるいはイベントの開催に際し、来場者の来訪や移動などを円滑にするため、イベント開催時期に合わせて都市公園や周辺道路の整備を一体的に進めること、こういったことが可能となります。

 また、この交付金は、これらのインフラ整備の効果を高めるために必要なものであれば、いわゆるソフト事業についても充当できるなど、ハード、ソフト一体となった取り組みに活用できる、自由度の高い財政支援制度となっております。

 さらに、今般あわせて新設する地域自立・活性化事業推進費を活用することによりまして、国による基幹的な道路等の基盤整備との進捗を調整していくことも考えられます。

 このように、本制度は、民間の諸活動にタイミングを合わせた効果的な基盤整備という要請に十分こたえられる仕組みとなっており、地域の知恵と工夫による地域づくりを後押しできるものだというように考えております。

鍵田委員 どうもありがとうございます。

 続いて、本法案の具体的な施策として、地域自立・活性化交付金という制度の創設が盛り込まれております。

 先ほど申し上げましたように、現在、奈良県や奈良市では、二〇一〇年の平城京遷都千三百年記念事業を開催するための準備が進められております。地域の活性化を図るために、このイベントの開催を契機として、多数の世界遺産、また世界に誇れる奈良の資源を活用した、広域的な観光交流の活発化に必要となるさまざまな基盤整備を行うことに対して、この地域自立・活性化交付金を活用することはできるのでしょうか。御見解をお聞きしたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からお話のあった、平城遷都千三百年記念事業という大変歴史的なイベントの開催を契機として広域的な観光交流を活発化するための基盤整備を進めていくことは、基本的にまさに本法案の趣旨に沿ったものであるというように考えられます。

 都道府県には、本制度の趣旨を踏まえ、おのおのの地域の実情に応じて、個性的な計画を立案していただくことを期待しております。また、国土交通省といたしましても、都道府県からの具体的な相談等をいただいた場合には、しっかりときめ細かく対応していきたいというように考えております。

鍵田委員 今、都道府県からの具体的なそういったものを挙げてこいというようなお話であったかと思います。

 特に、五月三日から奈良県知事に就任をされる荒井前参議院議員は国交省の皆様方の先輩でもございます。荒井新知事は、そういった意味で、奈良の観光ということをしっかり考えてやっていただいておるわけでございます。ぜひ、奈良からそういった考え方を持って、国交省の方に県からまたお願いに上がりますので、そのときはこの地域自立・活性化交付金を使えるようにいろいろと御配慮いただければありがたいと思っております。

 さて、奈良の世界遺産は世界じゅうの人々が観光に訪れるわけでして、そういう意味で、まさに広域的な人の往来に結びつくわけでございますが、本法案によると、地域自立・活性化交付金、これを必要とする事業をまとめた計画は都道府県が作成することになっております。そうなると、事業としては、一つの都道府県内、例えば奈良県内の事業しか計画に記載できないと思いますが、これで広域性ということが担保されて、交付金が交付されるということになるのでしょうか。いかがでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 奈良県から御相談がございましたら、しっかりと対応していきたいというように考えております。

 本制度でございますけれども、計画の作成、実施主体は都道府県でありますけれども、本法案は、広域からの来訪者の増加、広域にわたる物資の流通を促す活動といった、都道府県を超える広域的な活動を対象としております。

 委員からお話のありました平城遷都千三百年記念事業を例に挙げますと、奈良の世界遺産には世界じゅうから多くの人々が観光に訪れることが予想されます。まさに広域的な人の往来に結びつくことから、仮にこの事業が奈良県内にとどまるものでありましても、この法案の趣旨にかなうものだというように考えております。

 なお、広域的な地域活性化のためには、近隣都道府県等との協力がありますとより効果的だというように思われますので、計画の作成、実施に当たっては、近隣の都道府県との連携ということが図られるのがより望ましいというように考えております。

鍵田委員 これまで私が地方政治にかかわってきた経験から申し上げますと、地域の活性化を図るための施策を企画する際には、こうしたい、ああしたいという思いが先にあるわけでして、当然のことながら、国の府省ごとに施策を企画するものではありません。例えば、企業誘致を進めようという場合には、企業にとって立地のコストを下げるための支援もあれば、道路など基盤を整備するということも出てまいります。

 そのように考えますと、地域活性化、これに関する施策は実に多くの府省の施策が関係してきておりますので、各府省がばらばらに実施するのではなく、政府全体で体系的に取り組んでいただく必要があると思っております。

 最後に、この点について国交省の御見解をお聞かせ願いたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、まさに地域活性化に関する施策は政府全体として体系的に取り組みを進めているところでございます。具体的には、意欲ある地域に情報やノウハウを提供し、活性化に前向きな地域を政府一体となって後押しするため、地域活性化政策体系、いわゆる地域力発掘支援新戦略におきまして、国の施策を五つの視点から体系化しておりまして、本制度もこの中の具体的な戦略の一つとなっております。

 このような一連の施策を地域が適切に組み合わせて活用できるよう、政府一体となって、情報発信を積極的に推進することとしております。

 このような政府全体の取り組みに加えまして、本法案におきましては、事業活動の立ち上げ支援に関する施策、あるいは都市、農山漁村交流の促進に関する施策といった、地域活性化に関する経済産業省や農林水産省の施策を、本法案による施策と連携して取り組むべき施策として特に例示してございます。

 関連法の運用面におきましても、各省に地方公共団体からの相談を受け付ける窓口の設置とか、あるいは地方公共団体から各相談窓口に対しまして、各法案の施策をあわせて活用したい、こういった相談があった場合には、その相談内容を速やかに伝達するなど相談のワンストップ化、また、地方公共団体に対する説明会、相談会等の合同開催、こういったことを通じまして、地方公共団体にとって使いやすい運用に努め、各施策の有機的連携を図ることによりまして、施策の相乗効果を発揮していきたいというように考えております。

鍵田委員 渡邊国土計画局長、ありがとうございました。

 今おっしゃっていただいたとおりなんです。本当にそれをやっていただければ、地域は、いろいろな使い勝手のいいものがある、その中で一緒になって使えれば一番ありがたいわけでございますから、今おっしゃっていただいたこと、どうぞ御指導よろしくお願い申し上げます。

 最後に、望月副大臣、そしてまた冬柴大臣も突然申しわけございませんでした。そしてまた、副大臣がさっきおっしゃっていただいた、頑張って国交省は応援するよという千三百年、この場でお約束をいただいたわけでございます。冬柴大臣、国を挙げて、ぜひこの千三百年記念事業、二〇一〇年という年はもう三年後でございます。奈良だけのことじゃない、日本国民にとって、平城京が遷都されて千三百年目を迎えるという、日本の国にとっても非常に大きな事業であると私は考えております。その節目にここで営みをやらせていただいておる、そしてまた、そのときに国会議員をやらせていただければ、これは非常にすばらしいことである。国民みんながそういった気持ちを持ってこの千三百年事業にかかわっていただければ非常にありがたいと思っております。

 大臣、よろしくお願いいたします。

冬柴国務大臣 サンクトペテルブルク建都三百年というのは、世界じゅうの元首級のクラスの方が集まってお祝いをしたということをつい最近経験しております。それから比べれば、平城遷都千三百年、千年の差があるわけでございます。また、我が国で最も古い歴史書とされている古事記、太安万侶とか稗田阿礼が大極殿の中でこれを編さんしたということを考えれば、我々の歴史の中で最も重い都であると思います。

 そういうところが、観光立国推進の基本法に基づくビジット・ジャパン・キャンペーンの一番最終年で千三百年祭を祝うことができるというのは大変意義が深いことであって、私も、観光立国推進についての責任を負っている一人として、大いに、これは奈良だけではなく日本国じゅうが取り組むべき大きな大きな課題だというふうに思っております。

 しかしながら、奈良県が主体となって頑張っていただくということが大事でございますし、また、広域ブロックである近畿圏、近畿広域ブロックがこれに一体となって取り組んでいかなければならないし、国はそれに対して全面的に後押しをしなければならない、そういう大きな大きな事業だと思っておりますので、みんなで力を合わせて大成功させていっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鍵田委員 最後に冬柴大臣にお礼を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

塩谷委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まずは、広域地方計画について大臣にお尋ねをしたいと思います。

 地域活性化についてはさまざまな手段があるものというふうに思われますけれども、その中から、今回、本法案を提出することとした理由は何なのか、そしてこの法案は地域の活性化に実際どのくらい役に立つのか、まず冒頭お答えいただけますでしょうか。

冬柴国務大臣 都市再生基本法を我々が平成十四年でございますがつくりまして、進めてまいりました。これはどちらかといえば、一番最初、首都圏と申しますか、大都市における民間の力を導入しながら、非常に落ち込んだ日本の経済、あるいは当時の土地の価格はずっと下落していたわけでございますが、そういうものに元気をつけようじゃないかという思想があったと思います。その中で、稚内から石垣までということで、まちづくり交付金というものをまたつくりまして、これは市町村でございますが、そういうものが発揮をして、日本の地方も活性化を進めてきたところでございます。

 今回の法律は、首都圏とかあるいは市町村という単位ではなしに、地方単位としては最大の都道府県というものが主体になって、そしてハード、ソフトを合わせて、地域を活性化するための基幹的な施設とか、あるいは道路とか、港湾、空港も含みますけれども、そういうものをつくるについて支援をしていこう、ハード、ソフトでしていこうということで、今回の法律を提案しているわけでございます。

 それはとりもなおさず、国土形成計画法による広域地方ブロックと相呼応しまして、それは今、また県を超えて一つの広域的な地方、これは外国の一国を超える力を持った、人口や経済力を持った地方が日本にはたくさんあるわけでございまして、そういうものが相互に連携をし、また直接外国と連携をしながら活力を高めていこうという制度が国土形成計画法による地方ブロックの活力ですが、それと相呼応して、地方としては今最大の組織であります都道府県が中心になって事業を進めていくについて国が支援をしていく、そういうツールをつくろうとするのが本法案であるというふうに理解いたしております。

糸川委員 私の県はまだ人口が八十万人ぐらいでございまして、非常に人口が少ないわけです。ですから、大臣が先ほどおっしゃられたように、諸外国の人口よりも非常に大きな町、市があるというようなことでございますけれども、我々の県はまだ非常に小さくて、なかなか発展しづらい。そういう中で活性化をしていかなければならないわけで、ぜひ積極的な御支援をお願いしたいなというふうに感じます。ぜひ福井にもまた視察に入っていただいて、まだまだ活性化するところがあるな、余地がたくさんあるなということを実感していただきたいなというふうに思います。

 この法案は地域における民間活動の活性化が施策の柱となるというふうに思われるため、民間活動が活発な大都市に制度の活用が集中するんじゃないかな、こういうおそれ、また懸念があるわけですが、その辺はいかがでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 都道府県が作成する計画に位置づける民間の活動は、地域外の広域から来訪者を増加させたり、広域にわたる物資の流通を促進するなど、広域的な地域活性化に寄与する活動であれば、幅広く柔軟に地域の発意を受けとめていくこととしております。

 したがいまして、地方部におきましても、例えば都市と農村の交流活動や地域資源を生かした観光など、民間と連携した地域の発意及び創意工夫に基づく地域活性化のための活動であれば、本法案に基づく支援は十分に可能であるというように考えております。

 そのような場合、活動の中心となる拠点施設でございますけれども、例えば、一群の工場やホテル、旅館といった民間施設ばかりではなく、公設の美術館や交流施設あるいは体験学習施設といった公的な施設を幅広く位置づけることが可能であります。民間活動が活発とは言えない地域において、このような施設を活用する民間の広域的な活動を促進する計画についても積極的に支援していきたいというように考えております。

 さらに、地域での民間活動の活発化を促すようなきめ細かな支援として、政府全体として、官民の専門家が出張して、行政職員のほかNPO等地域の担い手からの相談に乗る地域活性化応援隊派遣制度や、地域活性化に係る施策や取り組み事例などの情報提供などを実施することとしており、真に支援の必要な地方において本制度が活用できますよう、関係省庁と連携して取り組んでいくこととしております。

糸川委員 それでは、国土交通省における今回の基本方針の作成、それから都道府県による計画の作成がこれからだという中で、今年度は交付スケジュールが厳しくなるわけでございますが、都道府県が円滑に事務をとり行えるように実際には配慮していく必要があるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

渡邊政府参考人 委員御指摘のとおり、本年度はなかなか時間が少ないということがございますが、本法案の施行後、国土交通大臣が基本方針を定め、同方針に基づき都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成し、それを国土交通大臣に提出した後、交付金が交付されるという仕組みになっております。

 国土交通省といたしましても、制度の運用に当たって、基本方針を迅速に定めるとともに、可能な限り早い時期から都道府県からの相談等にしっかりと対応することによりまして、都道府県の事務が少しでも円滑に進むよう一生懸命努力していきたいというように考えております。

 なお、本交付金制度では、従来の補助金のような個別事業ごとの詳細な事前審査ではなく、都道府県が作成した計画の全体を総合的に判断することにより採択を決定することにするなど、都道府県の負担をより少ないものとすることを検討しておるところでございます。

糸川委員 ありがとうございます。

 ぜひ都道府県の事務の手続を軽減していただいて、そして、活性化に一生懸命取り組もうとしている県に関しては、ぜひ大臣に陣頭指揮をとっていただいて、積極的に取り組んでいただきたいなと思います。

 国土形成計画につきましては、全国計画の策定作業と並行して広域地方計画の検討も進んでいるというふうに思われますが、広域地方計画に関する現在の状況を御説明いただけますでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 広域地方計画は、広域ブロックの主体的な取り組みを尊重し、地域特性を生かした特色ある独自の発展戦略を示すものでございまして、八つのブロックごとに都府県、政令市、地元経済界、国の地方支分部局等により組織される広域地方計画協議会により実質的な立案作業を行い、国土交通大臣が決定することとされております。

 そのため、昨年からことし初めにかけて、各ブロックにおいて、広域地方計画協議会の準備会合、いわゆるプレ協議会というものを立ち上げまして、地域発意による広域的な地域戦略の構築等に向けた議論を開始しておるというところでございます。

 また、広域地方計画協議会の事務局を担当する各ブロックの地方整備局、運輸局におきまして、この四月一日から広域地方計画推進室を設置いたしまして、広域地方計画策定に向けた体制を強化したところでございます。

 今後、各ブロックが、その有する資源を最大限に生かして地域戦略を描き、特色ある独自の発展に資する広域地方計画の策定に向けまして、幅広く各界各層の御意見を伺いながら、精力的な検討作業を進めていきたいというように考えております。

糸川委員 この広域的な基盤整備について、新たな交付金の仕組み、これは県が行う基盤整備を支援するものでありますけれども、より広域的そして根幹的な基盤については、まず国が基盤を持って計画的に整備すべきだというふうに思います。その上で、広域地方計画に関しては、各県がばらばらに考えるのではなくて、基盤整備を行うのではなくて、隣県等の連携をしっかりと促すような仕組みを講ずるべきだというふうに思います。

 次に、港湾法等の改正に関しましてお尋ねをさせていただきます。

 今般の法改正は、廃棄物埋立護岸の補助率を引き上げることによりまして海面処分場の整備を促進するということでございますが、廃棄物の処理につきまして、循環型社会をいかにつくり出していくかという視点も重要であるというふうに考えております。

 こうした中、港湾において廃棄物を受け入れることや循環型社会の形成についてどのような方針で臨んでいらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 循環型社会の形成には、減量、リデュースと呼んでいます、再使用、リユース、再資源化、リサイクル、この三つの頭文字をとって三Rと呼んでいますけれども、これと最終処分による廃棄物の適正処理というものが両輪となって機能することが重要だと考えております。

 こうした中で、廃棄物の海面処分場でございますけれども、必要性とかその規模を検討した上で、秩序立った港湾空間の利用を行う必要から、港湾の利用との調整を図って整備が行われているものでございます。

 港湾におきましては、減容化、つまり、かさを非常に少なくするということをやってもなお最終的な処分が必要になるものの処分場として、海面処分場の整備を適切に進めまして、循環型社会の形成に資していきたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 港湾においても計画的に海面処分場を整備することの必要性、こういうものに対しては理解をしておりますが、例えば、港湾の持つ機能の一つである物流面でもこうした循環型社会の形成にしっかりと貢献していくべきではないかなというふうに考えるんですが、その辺はいかがでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりだと思っておりまして、港湾行政といたしましても、循環型社会の形成に向けまして、物流面でも総合的な静脈物流拠点港湾としてリサイクルポート施策というものを推進しております。これは、港湾を核として、生産活動とか社会活動から発生する循環資源を再資源化するまでの物流システムの構築を推進するものでございまして、これまでに全国でリサイクルポートを二十一港指定しております。

 このため、リサイクルポートにおきまして、循環資源の保管施設などの整備に対する支援制度も創設しております。今後とも、リサイクルポートを積極的に支援することによりまして、循環型社会の形成に貢献してまいる所存でございます。

糸川委員 何となくまだ意気込みが、そんなに元気がないような気がするんですけれども、局長、それはしっかりと取り組んでいただきたいなと思います。

 近年、東アジアとの間の国際水平分業の進展、それから企業の国内回帰の動きがしっかりと見られる中で、地域の産業振興のために、港湾を中心とした臨海部において今現在どのような対応をされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、臨海部におきまして、近年、製造業の新規立地とか増設が急速に増加しております。

 臨海部の工場の新規立地面積でございますけれども、バブル崩壊以降、大幅に減少しておりまして、おおむね年間百ヘクタールから二百ヘクタールの間で推移しておりました。しかしながら、平成十五年、四、五年前からですけれども、増加に転じておりまして、平成十七年、一昨年ですけれども、年間約五百ヘクタールの新規立地ができてきております。

 これら臨海部産業の国際競争力強化のためには、船舶の大型化への対応とか背後の道路ネットワークの確保など、物流ニーズへの迅速な対応が重要であると認識しております。

 国土交通省では、交通政策審議会における御議論などを踏まえまして、国、港湾管理者と民間との連携を強化しつつ、企業活動のスピードに対応した港湾の整備とか利活用を図りまして、地域の産業振興あるいは臨海部の再生を積極的に支援してまいりたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 これは最後の質問にしたいんですけれども、実際今、平成二十二年度までにアジアの主要港をしのぐコスト、サービスを実現して、港湾の国際競争力を強化するために、スーパー中枢港湾の政策を大臣は打ち出しておられます。これは実際どのような政策を講じていくのかということ。

 それからまた、スーパー中枢港湾ということで、船の往来が多くなることを期待しているということですけれども、その際、船舶航行の安全性、最近、非常に大きな船舶の事故が、接触事故であったり衝突事故であったりということが多くなっているような気がするんですが、実際に安全性をしっかりと確保していかなければならないわけで、港湾内外の航路においてどのようにハードを整備されていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

中尾政府参考人 まず、スーパー中枢港湾プロジェクトでございます。

 これは、我が国と欧米等への基幹航路の維持確保を図るために、平成二十二年度までに、港湾コストは釜山港とか高雄港並みの約三割の低減、それとリードタイム、これはサービスの一つの指標でございますけれども、これをシンガポール港並みの約一日程度に短縮することを目標としております。

 このため、京浜港、伊勢湾、阪神港におきまして、官民連携のもとで、ソフト、ハードが一体となった総合的な施策を推進しております。

 具体的には、まず一つ目は、コンテナ船の大型化に対応した次世代高規格コンテナターミナルの早期の整備、これはハード面でございます。もう一つは、このターミナルを一体的かつ効率的に運営するメガターミナルオペレーターの育成などを図ることとしております。

 また、スーパー中枢港湾と一体でございますけれども、航路の話でございます。次世代の高規格コンテナターミナルがその機能を十分に発揮して、安全かつ安定的な海上輸送ネットワークが確保されるよう、例えば東京湾口航路、浦賀水道とか中ノ瀬航路でございますけれども、それらの開発保全航路とか、港湾内の基幹航路、泊地についても同様に整備いたしまして、所要の幅員とか水深の確保を着実かつ計画的に行うように努めております。

糸川委員 局長、ぜひ安全性の確保、これだけは大臣とよく御相談していただいて、港だけを整備するんじゃなくて、一体的に航路も含めて整備をしっかりとしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案について質問させていただきます。

 まず冒頭、午前中は大臣、お疲れさまでございました。きょう、福知山線の事故から二年ということで、交通の安全や、そして多くの方のお命が犠牲になられたということに思いをはせながら、また、先ほど私も憲政記念館に行ってまいりましたけれども、憲法施行の六十周年の記念式がございまして、やはり政治の場というのが、国民の安全そして安心に向けて、政治がそれとしっかりと向き合って、そのために議論を尽くしていかなければいけないということを改めて痛感しております。

 大臣、何か一言ありますか。

冬柴国務大臣 私の選挙区の中で、二年前の本日、朝九時十八分にあのような大きな事故が起こって、百七名のとうとい命が失われたという事故が起こりました。きょうはその慰霊式にも参列をさせていただきましたけれども、本当に命というものの大切さ、一人の人に対して周囲の人がどんな思いでその人の命というものを見守っているかということを実感した、そのような気持ちでございました。

 したがいまして、公共交通機関というものを所管する国土交通省は、何よりも安全、安心の確立というものが大切だ、そういうことを所管させていただいている我々はそういうことを常に考えなきゃならないという決意を新たにした一日でございました。

小宮山(泰)委員 突然に発言をいただきましてありがとうございました。

 そういう意味では、理事の方や近隣の議員さんたちも参列されたと聞いております。二度とこういうことがないように、しっかりと私たちの委員会の方でも対応していければと思っております。

 さて、内閣は今回、地域活性化策にかかわる一連の新法、改正法を含めて九本の法律案、そして予算もつけていらっしゃいます。一連の地域活性化案は、知恵、担い手、資源、交流、基盤の五つの視点に分けて内閣は説明されておりますけれども、この中で、当広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案は知恵の分野に入っております。

 多少、基盤であったり交流であったりということでもよかったのかと思いますし、知恵の中を見ると、ほかにもあとの四分類に分けられたのではないかということもありますので、なぜこの知恵の分野に入るのかは、正直申し上げまして、明らかな思いはしておりません。

 内閣のこの一連の地域活性化策の中に当法案というのはどのような位置を占めているのか、どうぞ御説明ください。

冬柴国務大臣 地域の活力なくして国の活力なし、これは総理がよくおっしゃる言葉でありまして、我々も全くそのとおりでございます。そのような意味から、地域活性化に関する施策、政府全体として体系的に取り組みを進めていかなければならないというところでございます。

 具体的には、意欲ある地域に情報やノウハウを提供し、活性化に前向きな地域を政府一体となって後押しするため、地域活性化政策体系、いわゆる地域力発掘支援新戦略というものにおきまして、国の施策は五つの視点から体系化されたわけでございます。一つは知恵、二つ目は担い手、三つ目は資源、四つ目は交流、そして基盤、この五つから成っているわけでございます。

 本法案は、地域の自主的な発意による観光振興とかあるいは生産・物流機能強化など、広域的な経済活動等に不可欠な基盤整備を支援するというものでございます。五つの視点のうち、委員が御指摘のように、地域の知恵を引き出して生かすというふうなところに位置づけられているわけでございます。

 これはやはり、国から押しつけるということではなしに、本法案でいえば、地方の最大の単位であります都道府県が中心になって、そこの経済界、そしてまた国の出先機関であります地方支分部局等もそこに入って、そういうところで協議をして、知恵を出そう。その知恵は、いつも言いますが、地域には地域の歴史や伝統、そしてそれを踏まえた文化があります、またかけがえのない美しい自然もあります、そういうものを総合的に生かして、その地域をどう発展させていくのかということを引き出すということが主な目的であるというふうに御理解いただきたいと思います。

 このような一連の施策を地域が適切に組み合わせて活用できるよう、政府一体となって積極的に情報を発信し、地域活性化施策を強力に推進したいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

小宮山(泰)委員 ある意味、納得はいたします。

 ただ、本来であるならば、本当の意味で自立というならば、地域がやはり自分たちで企画をし、そして計画をし、実行ができる、そういった大きな意味での財源移譲というものが本来の一番のあるべき姿なのではないかなという思いをしております。

 結局のところ、今のこういったまちづくり交付金もそうですけれども、国に対して、こういった企画をしたい、だから認めてくださいというような、ある意味、形を変えたひもつきというんでしょうか、補助金的な要素、実際補助金なんだとは思うんですが、そういった要素が残るうちというのは、この地域活性化という本来の大きな目標の中ではずれていってしまっているのではないか、また、そこが逆に今後の問題点になるのではないかという思いがしてなりません。

 内閣官房の作成の法案の簡単な説明の冒頭に、基盤整備への交付金を創設とありますけれども、法案の十九条以下に、創設する交付金についての説明はありません。二条に「定義」ということできちんと示す条文はあるんですから、ここにさらに地域活性化交付金の定義というものを入れるべきではなかったのではないかということを指摘させていただきます。

 新たにこうやって創設されるという地域活性化交付金とは、これまでの交付金、補助金とどのように違うのか、また同じなのかという点を、ぜひ簡潔に御説明いただきたいと思います。

 そして、続けて質問していきたいと思いますが、やはりこうやって交付金や補助金というものを出していく後にあって、財政が厳しいと言われておりますので仕方がないところはありますけれども、万が一これがまた失敗をしたとき、その責任の所在がわかるようにするべきではないかという思いもございます。交付金を受ける側も出す側も後から高いツケが回ってくるのではないかということも心配されますので、ぜひ法案の骨格の中で国や地方自治体の責任を明確にすべきという点もあわせて、御見解も教えていただければと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 本法の交付金につきましては、第十九条で、広域的地域活性化基盤整備計画に記載された事業等の実施に要する経費に充てるための交付金というように規定しておりまして、国が予算の範囲内で交付申請をした都道府県に交付できる旨を定めております。

 広域的地域活性化基盤整備計画につきましては、第一条と五条で、全国各地域において広域にわたる活発な人の往来または物資の流通を通じた地域の活性化のための基盤整備に関する計画であることを定めております。

 このように、本交付金の趣旨、定義は法律上明確になっているというように考えております。

 本交付金に関する国と地方の責任の所在でございますけれども、都道府県が目標や実施する事業の設定を含めた計画の作成と実行を行い、国が計画実施に対し必要な交付金を交付するという財政的支援を行うということになります。これらの関係も法律上明確になっているというように考えております。

 また、地域の活性化のために必要な基盤整備でありますけれども、本制度だけで達成できるものではなく、既存の補助事業や国の直轄事業、地方単独事業等との適切な役割分担のもと、事業間の連携や組み合わせを通じて実現が図られるものと考えております。

 このため、本法案では、都道府県による取り組みが一層の効果を発揮するため、より広域的、基幹的な施設を国が責任を持って計画的に整備を進めること、また、国、地方公共団体等の関係者が相互に連携協力することに関し、努力義務を第三条において規定しているところでございます。

小宮山(泰)委員 努力義務等、また国が責任を持って行うということはいいことではあると思うんですが、それが本当の意味で、できれば、国が責任をとらなきゃいけないようなことになる、そういった方向にならないことを願っております。

 国土形成計画と本法案の関係について質問してまいります。

 国土形成計画は本年中ごろに閣議決定の予定ということで、昨年末には中間報告を出されておりますが、そのために各府県に計画の提案を求めていらっしゃいますけれども、各府県の意見を取り入れた国土形成の全国計画が決定されてから本法案を提出、また予算づけも行うというのが妥当な手順なのかということを、非常に短いスパンの中でやらなければいけません。

 ことし、参議院選挙が七月にありますので、そうやって考えますと、普通、県議会ですと、少し前倒しで六月の終わりぐらいには大体もうやっておりますので、七月議会があり、そして今度は九月議会がある。この計画とかいろいろ、言ってみると非常に慌ただしく県会の方も対応していかなければいけない。県庁で行政だけでやるのかもわかりませんけれども、この点に関しては非常に急いでいるなという気がしてなりません。

 国家百年の大計と言えば大げさかもしれませんけれども、新たな試み、これは広域という意味においては本当に新しい試みでもありますし、この法案というのは、思いというものを新しい二十一世紀のグランドデザインをつくる中では尊重していきたいと思いますけれども、地方の意見をしっかりと入れて全国国土形成計画が確定することになっておりますので、その後にこの法案を審議するという手順の方がより整合性のとれるものができたのではないかという感じがしてなりません。なぜこういうことをしなかったのか、御見解を聞きたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域の活力なくして国の活力なしという考え方のもとで、魅力ある地域の実現に向けて、独自の施策やプロジェクトについて、みずから考え、前向きに取り組む地域を後押しする地域活性化施策の総合的な取り組みを政府一体となって推進する、このことが大変重要で緊急の課題となっているということでございます。

 このため、都道府県が地域の自立、活性化の目標を実現するために実施する基盤整備等の一体的な推進を図る地域自立・活性化総合支援制度を平成十九年度の予算において創設するとともに、この制度のうち、地域自立・活性化交付金の執行に必要となる法的措置を盛り込んだ本法案を現在御審議いただいておるというところでございます。

 国土形成計画につきましては、昨年十一月に国土審議会でまとめられました「計画部会中間とりまとめ」におきまして、我が国の目指すべき国土像として、東京中心の一極一軸型の構造から、広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に生かした特色ある地域戦略を描くことにより、自立的な圏域を形成して、各ブロックが相互に、またアジア地域等と直接に交流、連携することで活力ある国土を形成する、いわゆる広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すべきことが示されたところでございます。本法案はこの考え方を踏まえたものでありまして、国土形成計画の実現に資するものであるというように考えております。

小宮山(泰)委員 いま一つ、まどろっこしい説明というんでしょうか、非常に長々しく答えていただきましたけれども、現実的には、全国計画も広域地方計画も、もちろん広域的地域活性化法も、そしてそこから出てくる地域での計画に関しても、基本方針策定に関しても、やはり整合性であったり調和がとれているべきであると思っております。

 そうやって考えますと、私、いただきました資料に「国土形成計画、広域的地域活性化法による施策のスケジュール(予定)」とありますが、これを見ても、全国計画は平成十九年度の中ごろをめどに閣議決定をしていくということで、まだであります。そして、同じころになるのか、閣議決定を受けてからという矢印なんだと思いますが、広域地方計画の方は広域地方計画協議会の設置というふうになります。それからずうっと、一年後を目指して広域地方計画の決定というものが来るわけですけれども、その決定をする間に、この図式でいきますと、平成十九年度は、法案が成立して公布されますと、いろいろな都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を国土交通大臣に提出となっておりまして、十九年度の十月ごろをめどに地域自立・活性化交付金交付決定となってしまうわけですね。

 これ自体は、正直申し上げまして、今、地方は本当に大変です、そういう意味では交付決定がされるというのは非常に朗報ではあると思いますが、先ほども言いましたけれども、余りにも拙速であるということを感じずにはいられません。

 本当に交付金ありきで、補助金ありきでというような、この場合は補助金的交付金というんでしょうか、そんなような性質を持っているとしか思えない部分もあるんですが、本当の意味で自立をするというならば、もっとしっかりと地域に、これはどこが使おうとも、国民の皆さんが一生懸命働いていただいて納めていただいた税金なんです。今回は、まだ広域ブロックというものが間に合わなければ、そういうのもあって県ごとぐらいの提出になってくるわけですけれども、そこで考えていくと、やはりしっかり、じっくり計画を練っていただき、将来的には、この広域ブロックでの施策というものはどういうものがあるかというのをある程度練った上で、税金というものは、国民の皆様の血税というものは使う方向に考えなければ、この交付金というものがやはり拙速に出されてしまう危険があるのではないかと思います。

 ぜひもう一度、この広域地方計画が固まっていないうちに予算づけまでしてしまうということは、どうも前後関係が逆になっていておかしいような感じもいたしますので、簡潔に御説明ください。

冬柴国務大臣 質問はごもっともに思います。

 ただ、広域地方計画協議会というのは、もう既に、プレではありますけれども、都道府県とか、それからその地方の経済界の代表、それからまた我が方の地方支分部局の者、いわゆる国の機関ですね、そういう人が入って、この地域をどうするかという検討を始めているわけでございます。一方、この法律に基づく、これは成立いたしますと、広域的地域活性化基盤整備計画というものを立てる協議会も大体同じようなメンバーが集まってやっているわけです。

 したがいまして、そういうプレ協議会という場を通じて、こういう法律が成立すれば、この地域は、このブロックはこういうふうにやっていこう、その中で我が県はこういうふうにやっていこうと。それにはもう予算づけもできるように準備されておりますので、大変問題意識が高くなっている。現在も二十以上の県がいろいろなことを、意見も言っていただいているわけでございますから。

 私どもは、なるほど委員がおっしゃるように、順序としては、論理的に、時系列的に並べればそのとおりだと思うんですけれども、しかし、このようにだんごのようにしてあることが、かえってそれぞれの制度について問題意識を発掘し、そしてまたそれが広域地方計画にもいい影響を与えるだろう、私どもはそういうふうに前向きにとらえてほしいなというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 これは私、大好きな本でもあるんですが、日本評論社さんから出ている「英国の地方分権改革 ブレアの挑戦」という本なんですね。この中で、いわゆるイギリスも非常に不況があり、地域が落ち込んだときに、これはまちづくり交付金とかにもこの精神は伝わっているのかもしれませんけれども、チャレンジ基金というのをつくられて、そして地域の活性化をされていきました。

 このときに、この著者の方々が書かれている言葉ではありますが、「日本では、民間投資の乏しい地域では、いまだに終戦直後の欠食児童のように公共事業待望論が根づよい。しかし、従来の公共事業は往々にして、土建業者と地方議員、そして国会議員のパイプに連なる関係者に主たる恩恵を施し、地域全体の経済的活性化にはつながっていない。むしろ、その産業構造を土建業というモノカルチャーで染め上げてきた。」「チャレンジ基金の大目標は、経済的に困窮している地方のニーズに応えることである。」ということを分析して書かれていらっしゃいます。ぜひ、この制度自体がそういったことにならないように、そして適正な運用をしていただきたいという思いがございます。

 そこで、今、いろいろなところからもちろん計画も聞いていらっしゃるということで大臣お答えいただきましたけれども、県からの計画提案についての御感想等を伺っていきたいんです。

 こちらの各県の中、例えば、私も拝見させていただきまして、大臣の出身地は三重県でいらっしゃいますし、選挙区は兵庫県ということで、こういういろいろな、私自身、ぱらぱらっと見させていただきますと、東京一極集中とともに、都市と地方の地域間格差が進行しつつある、そういう認識。これは兵庫県にあったんですが、兵庫県、全国で見れば、小さな県でないにもかかわらず、また大きな都市を持っているという意味においては都市間の中では強い方だと私は思うんですが、そういうところですらこういったことを述べるに至っております。

 そこの点で、ぜひ大臣に、いろいろなところも含めまして御感想を伺わせていただきたいと思いますし、傾向も何かありましたら、ぜひどういう認識でいらっしゃるのかをお教えください。

冬柴国務大臣 私ごとにも論究いただきましてありがとうございます。三重県は二十一項目、兵庫県からは二十八項目が挙げられておりまして、それぞれにすばらしい提案だと評価できますが、共通するのは、やはり地域主権社会の実現とか、あるいは東京一極集中の是正ということが両方とも書かれております。また、災害に強い、あるいは環境共生型とか、そういう意味では、現在の我々が考えていることがそこに盛り込まれているのは、地方もそのように考えていられるんだなということを感じます。

 また、国土の基盤をなす交通網の早期整備とかいうようなこともありまして、これが、私、国土交通大臣になりまして各地を回りますと、各県単位になりますと、県庁所在地周辺は道路整備が進むんですが、県境になりますと、両方から整備が物すごいおくれるんですよ。そういうような共通性もありますので、私は、広域ブロックというのは、そういうところを是正する意味では、それはいいなという感じをいたします。

 こういうすばらしい提案を十分検討させていただきまして、国土審議会における調査審議を経るとともに、地方自治体の御意見もまた改めてお伺いをしながら、早急に国土形成計画の全国計画を策定しなければならない、そのような思いでございます。

小宮山(泰)委員 私も、やはり地域の意見、そして現場の声というものを、しっかりと策定の中において、またいろいろな意味での基準においてもぜひ活用していただきたいという思いがございます。

 私は埼玉県でありますけれども、首都圏ということで分類がされておりました。そうなりますと、ことし、私が初めて県会議員になったときに出てきた圏央道はやっと東京都の方でつながってくるとか、非常に長時間かかっております。しかし、それによって環境負荷がなくなるとか、いろいろな意味で広域でやることというのはまだまだたくさんあります。私は、この法律というのは、広域的なもの、県を超えて、しっかりとした本当の意味で地域のグランドデザインを築いていく、大きな意味での転換点になるんだというふうにもとらえておりますので、ぜひこの点は気にとめていただきたいと思います。

 そこで、根本的なことを確認したいと思うんですが、法案第一条「目的」のところに「広域的地域活性化のための基盤整備を推進するため、」とあって、「もって地域社会の自立的な発展並びに国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」とありますが、条文上前提になる地域活性化、地域の自立とは、何をもって地域が活性化し、自立したと言えるのか。この点の定義をきちんと明確にしているということが審議をする上においても重要だと思っておりますし、また今後この法案が運用されるところにおいて非常に大きな意味を持ってくるんだと思いますが、この理念をぜひお聞かせください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 地域の活性化あるいは地域の自立、こういったものについて定義を明確にしておくことは大変重要だというのは、まさしく委員の御指摘のとおりだというふうに思っております。

 この地域の活性化でございますけれども、少し長くなりますけれども、地域における経済、文化等にわたるさまざまな営みが活発化することや、人口の定着、交流人口の増加、産業の振興、雇用機会の確保・増大、所得の安定・増加、生活水準の向上、生活満足度の向上等が得られること、また、人々が生き生きと暮らしを営むことができること、こういったものを意味するというように考えております。

 また、地域の自立ということでありますけれども、これは単に地域内での閉鎖的な存立ということを指すのではありませんで、人材の育成、歴史と文化の継承、知と財の生産、国土の保全、資源・食料の供給、美しい自然環境・景観の保全等のさまざまな機能を各地域が有すること、また、地方中核都市、農山漁村、温泉観光地などの特性に応じた、みずからの知恵と工夫による存立と発展の構想、ビジョンを描くこと、人材、自然、産業等の持てる資源を有効に生かして、例えば山紫水明の風景とか都市のにぎわいといったそれぞれの価値や魅力を発揮すること、それらの価値や魅力をもとに相互に交流、連携することによって、地域間の相互補完・互恵関係を築き、安定的で持続的な地域存立の基盤を確立すること、また、人々がそこで満足感、安心感を持って暮らしを営むことができること、こういった意味でとらえておるところでございます。

 それぞれの地域においても、地域の自立、活性化の意味を十分お考えいただいた上で施策に取り組まれることが重要であるということでありまして、国としてそのような地域の思いをしっかりと受けとめて支援していくことで、実のある施策の実行につながるというように考えております。

小宮山(泰)委員 非常に長いお答えをありがとうございました。正直申し上げまして、恐らく、このことは何を示しているのかと言って今のお答えを当てろと言われると、自立という言葉が出てくるのかと思うほどに長い御答弁で、すべては網羅しているとは思いますけれども、この点に関してはどういったものを目標にするのかというのは、私、先ほども大臣も目を通されましたこの計画提案の項目を見ますと、本当にさまざまな、地域で自立に対して、こういった地域づくりをするんだ、地方分権という中においてこういうふうな自立を目指すというか、地域はこうあるべきだということが、たくさんいい意見が出ております。ぜひこれは参考にしていただきたいと思います。

 何でも網羅する、全省庁網羅しなきゃいけないという思いがあるのはわかりますけれども、この点は今後この評価ということをとっていくにも非常に重要な点になると思いますので、ぜひお願いいたします。

 ちなみに、私、きのう、エコノミストの五月一日・八日合併号を読んでいて、非常におもしろい二つの記事がございました。

 一つは、森ビルで有名な森稔社長さんの言葉ですけれども、「再開発等で都心部は賑やかになってきました。しかし、浅草など、昔からの街の賑わいが失われつつあります。」そういった意味で、「私たちは六本木ヒルズなどを開発することで、これからの都市再開発のひとつの解答を示したと自負しています。」という、ある意味、大規模開発や、昔のものとか今あるものの価値観ではなく、新しい価値観をとっていこうという言葉。

 そして、関連が必ずしもないんですけれども、「ローマとヴェネツィアに学ぶ経済発展の条件」ということで、インタビューを塩野七生さんが受けていらっしゃいます。この中において、「強国マケドニアの王フィリップス五世は言っています。自立した市民の数が多ければ多いほど、その国は強く、」ということを書いていらっしゃいます。非常にいろいろなことをこのローマの記事からも私も思うことはございます。

 本当の意味で自立というのは何なんだろうか、そして地域で息吹いてくる力、そしてそれを受け入れていき、そしてその地域の人として自立する力をつけていくということが非常に大切だなということをこの二つの記事から思いましたし、そして、価値観によって随分と物の見方というのは違うんだなという思いをしております。

 そこで、プロジェクトごとの投入予算額の評価が示せるようにぜひしていただきたいと思うんですが、先般も質疑がありましたけれども、各省が横断的にかかわる中心市街地活性化事業や都市再生事業の例では、各省がどれだけ予算を投入し、どれだけ成果を上げてきたかという質問をさせていただいても、残念ながら明確な答弁を得られることはできませんでした。

 大きな旗を振っていらっしゃるという思いをされているというのはわかるんですが、この法案でも、この新法の中で、先ほど言った知恵の部分で、広域的地域の自立・活性化、予算が簡単には三百六十億、支援制度で使われるという点もございます。これだけあれば夕張市の再建はすぐにできてしまうという思いもするし、統一地方選で地域に帰られた多くの皆様は、恐らく久しぶりに地方自治体や自分の町の財政状況の話が随分と出てきたら、その財政規模を考えてみますと、この活性化の体系に記された関係だけでも五項目で九千八百七十八億円あります。そうやって考えると、本当に大きな予算を国は扱ってはいますし、しかし、もとの出るところは国民一人一人、それは市町村で住んでいる方もすべて一緒で、国民であります。

 そうやって考えますと、この評価というものが今後非常に重要になってくると思うので、内部の取り組みとか、今までシステムというものがなかったから旗を振るだけしかできなかったんだと思います。しかし、もう一歩、大きな枠組みを変えていくというのに際しては、それだけではもう済まない状態に入るんだと思っております。今回の地域活性化政策について多くの法律が予定され、多くのプロジェクトが計画されることになっていきますので、地域活性化策の推進に関する検討チームの取りまとめ役として、内閣官房でしょうか、各プロジェクトに投入される各省の予算、そして各プロジェクトの進捗状況、評価が明確に示せるように今後対応していただきたいと思いますが、その点の御見解をまず伺わせていただけないでしょうか。

小滝政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの地域活性化に関する政策体系でございます。これは、いわば地域力発掘支援新戦略というべきものなわけでございますが、この中では、各分野における施策内容に関しまして、別表という形で予算事項ごとの予算額を明示させていただいておりまして、施策全体に係る平成十九年度予算総額は九千八百七十八億円となっております。

 議員の御指摘でございますが、地域活性化に関するさまざまな施策について、その施策による効果の把握、評価が重要であるという御指摘かと存じますが、全くそのとおりであるというふうに認識しております。

 そうした中で、今回の政策体系でございますが、それぞれに異なる特性や実情を有するさまざまな施策を、地域力の発掘支援という共通の考え方に立ちまして、一つのパッケージとして足並みをそろえて実施していくという性格のものとなっております。そうした実情を踏まえますと、個別具体の施策につきましては、まず、各施策の実施主体となっている行政機関において、それぞれの施策の特性や実情に応じまして、適切な時期に政策効果を把握するとともに、必要性、効率性、有効性などの政策特性に応じて必要となる観点から政策評価を行っていくこととなるものと認識しております。

 内閣官房といたしましても、そうした状況を見ながら、必要がありましたら、施策の進捗状況や効果の把握、あるいは政策評価の実施に関する各省庁の共通認識の醸成や情報交換など、必要な取りまとめを行ってまいりたいと考えているところでございます。

小宮山(泰)委員 取りまとめだけなんですが、やはりそこはきちんとチェックをするということが大変重要になってくるんだと思います。広域的地域活性化基盤整備計画に基づく各プロジェクトの評価というのはどういうふうに出されていくのかというのをあらかじめ準備され、そして徹底されなければいけないんだと思います。

 例えば、先ほどもありましたけれども、チャレンジ基金の目標の中においては、いろいろなメニューは確かに使えるんですが、はっきりと政府の提案ガイダンスというのがありまして、雇用の増加、持続可能な経済成長、住宅ストックのレベルアップ、エスニックマイノリティーの支援、良好な環境、生活の質の向上といった目的をきちんとしておりまして、事業は、諸団体の連携を基盤に、経済活動を刺激する呼び水となることが期待されると明確にしています。

 また、ベストバリューという、要するに税金を無駄にしないという発想なんですが、この中の四つのCといって評価をつけておりますが、挑戦、チャレンジですね、コンペア、比較、コンサルト、協議、コンピート、競争、この四つのCという基準を持っています。このぐらいわかりやすくしっかりと明確な目標を立てるということも、税金を使う、そして補助金的交付金だと私は思っているんですが、そういった中においては、もう少しわかりやすく明確に各プログラムごとに挙げていただいて、そしてそれで精査をする、そしてうまくいったものはもちろんそのまま続ければいいでしょうし、そうでないものは早くに打ち切るなり方向転換をしていくなりということをやらなければいけません。

 自立的に地域の自由度を上げていくという意味においては、すべてこれを国がやるべきだと私は思いません。こういった交付金でやらなければいけないような状態を抜け出したときが自立をした地域であって、地域が活性化したという、そういった後押しだったこの法律の政策であるということが言えるんだと思います。いつまでもずるずるずるずると予算はつけないとだめなんだというような状態があってはならないと思います。

 ぜひ、そういった意味においても、税金がどこに使われ、どのような成果を上げるかわかるように徹底することというのを、大臣、どういうふうにお考えなのか、今後どう対応されていくのか、ぜひ伺わせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 整備計画には、達成計画、そして現状と、それから達成したときの、例えば、図書館をつくるという場合に、どれだけの人が何年後には来ていただくことが期待できるとか、あるいは観光で広域的に交流する場合には、現状はこれこれの人が来て泊まっている、しかしこういうふうにすれば何年後にはこういうふうにできる、こういうような目標値を出していただき、そしてそれを、各年度に達成度を公表して、そしてそれをみんなで反省していく。

 今までのまちづくり交付金にしてもそうですけれども、我々はこういうふうにして、予算は、今回の交付金につきましては、今までの補助金と違いまして、一々国がそれを評価するというのではなしに、この計画自体を認めればそれに対して交付金を出す。しかしながら、その中には、そうざっくりした、使い勝手はいいけれども、しかし目標とそれに対する一定年次後の達成度というものは数字を入れて出していただくということで、それを公表することにより、多くの目でこれを評価していただくことがいいのではないかというふうに思っています。

小宮山(泰)委員 ぜひしっかりとした目標設定と、またその辺が、そういったことを地域が自立的にできるようにしていただきたい。

 そして、もう一歩踏み込むならば、観光客が来るだけじゃだめなんです。それが継続的に来るような、または雇用につながる、もしくは地域に多くの人が住みたくなるというような、そういった意味において、もう一歩踏み込んだ目標設定というのを奨励していっていただいた方がいいかと思います。この点を提言させていただきまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

西銘委員長代理 三日月大造君。

三日月委員 四月二十五日、福知山線列車事故から二年が経過をし、私も、本日午前中に行われました慰霊式に参列をしてまいりました。現場にも赴き、改めて百六名の乗客の皆様方、乗務員を含めまして百七名、亡くなられた方々に対する御冥福をお祈りするとともに、五百名を超えるおけがをなさった方、今なお治療中でございますこの方々の一日も早い御回復をお祈りしています。

 わかっていた、もしくは見てきた、感じてきたつもりではありましたけれども、きょう、二年たっても、いえ、二年では到底無理だと思うんですけれども、いえない、大きく深い傷を負われている皆様方の多さに改めて思いを寄せましたし、御遺族のお言葉、ささげられる歌や演奏、そういったものを聞きながら、胸も詰まりましたし、自然と涙が流れました。

 私も元鉄道員でしたし、JR西日本の社員でした。電車の運転士もしておりました。そういう立場からも、何と表現をしていいかわからない思いを持ちますし、つらさもあります。とはいえ、亡くなられた方や、また御遺族の方々、おけがをなさった方はもっともっとおつらいんだろうなというふうに思いました。

 今は私は国会で仕事をさせていただいておりますので、この事故をやはり風化させずに教訓化すること、そして、二度とこういう悲惨な事故が起こらないようにするための公共交通、運輸行政をつくっていくこと、これが私に課された使命だと思います。

 事故直後に、ある乗客の方が私の胸ぐらをつかまれて、乗らない、利用しないということで抗議をしたいけれども、職場に行くために、仕事をするために、生活をするためにそういう手段がとれない、そういう人たちの抗議の気持ちもぜひしっかりと踏まえて行動してほしいということを言われました。公共交通というのはそういうものなんだろうなと思います。

 そこで、大臣、通告にはなかったかもしれないんですが、二点お伺いしたいと思います。

 一点は、再発防止のためにも、事故の要因、背景、事実が一体何であったのか、これを解明、調査することは不可欠だと思うんですが、この二年間、事故を起こしてしまった事業者、JR西日本の安全再生、信頼回復に向けた道のり、取り組み等をどのように見、感じ、考えられていますか。これが一点目です。

 二点目は、航空・鉄道事故調査委員会に今鋭意調査をしていただいています。意見聴取会や何かも開いていただいておりますが、現時点での事故調査の状況、そして、最終報告書取りまとめに向けた今後のスケジュール、わかっている範囲、おっしゃっていただける範囲で結構ですので、お答えいただければと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

冬柴国務大臣 けさは、尼崎は若干の小雨が降っていましたが、その中、三日月議員も献花の台の方にお進みになり、また慰霊式にも御参列になられていました。今お聞きすれば、JR西日本にも勤めたことがあるという、そういう思いもあり、また国土交通委員会の委員であるという意味もあってそのようにされたものであろうと敬意を表したいと思いました。私も、地元でもありますし、こういう立場でございますので、献花をし、そして、きょうは慰霊の言葉も述べさせていただきました。

 私は、本当に人の命の重さというもの、自分が意識するかどうかは別として、亡くなったときに、あの周辺の人が、二年たっても平成十七年四月二十五日九時十八分で時計はとまったままだとおっしゃいました。それほど、父親が息子を思う心、それからまた妻が夫を思う心、それから、未婚ですけれども、恋人だと思うけれども、若い青年の言葉、それからまた教え子を失った先生の歌等々を聞きますと、本当に命はすばらしい、こういう人たちをゆえなく突然に亡くしてしまったこの事故、公共交通機関だけにこれは許されないという思いを深くもいたしました。

 こういうことがなぜ起こったのか、そういうことを起こしたJR西日本はその後どう取り組んだのかということのお尋ねでございます。

 西日本は、その後、直ちに、こういうものを反省いたしまして、社長を中心に、我々がつくりました運輸安全一括法における運輸安全マネジメント評価に沿ったような仕組みをつくられまして、いわゆる事故の芽といいますかヒヤリ・ハットといいますか、そういうものも丹念に拾い出すという作業を進めていられる、そういう姿勢を私は見てとっておりますし、そして、社長以下、本当に従業員がこの問題を重く受けとめまして、それから、これから入ってこられる人たちに対してもこれを風化させてはいけないという思いから考動館というものを吹田におつくりになりまして、私も見せていただきました。そういうものも、この事故の重大さというものを新入の社員にも見ていただこうという思いも伝わってまいりました。

 しかしながら、私は、最近の報道を見ましても、このような亡くなった方の心に響くような行動がないのかなということを残念に思うわけですが、いまだに、二年たっても、示談、こういうものについての話し合いがほとんどまとまっていないという事実については非常に遺憾に思いまして、私は、一昨日ですか昨日ですか、社長とお会いしたときに、ぜひ、真心を込めて誠心誠意、あなたが先頭に立って御遺族と接してほしいということを申し上げました。JR西日本についてはそのような思いでございまして、一日も早く解決してほしいなという思いがあります。

 ただ、JRの方もそうだし、被害者の方々もそうなんでしょうけれども、事故の背景や動機、その真因はどうだったのかということがこの事故調査委員会の、これは非常に権威があるもののように思いますけれども、その調査報告書、最終の報告書を見た上でという、そうじゃないと気持ちの整理がつかないということをおっしゃっている方もあります。したがいまして、航空・鉄道事故調査委員会の最終報告が私は一日も早く出されることを期待したいというふうに思います。

 ただ、これは三日月委員も十分御存じのとおり、八条委員会、私の方の国土交通省には所属しますものの私どもから独立した機関でありまして、私からいろいろなことをサジェスチョンするのは適当ではないと思います。しかし、私は、一日も早い最終報告を期待するということは常々表明しているところでございます。

 これからは、事実調査報告書中間案というものが出ましてこれについての関係者や学識経験者の御意見も伺ったと聞いておりまして、これに対する関係者の意見、はっきり言えば、JR西日本なり、あるいはそれに携わったいろいろな人たちの意見を聞いた上で、委員会で最終的に取りまとめるのであろう。したがいまして、いつとは私は申しませんけれども、そのような段階に来ているんだろうというふうに思います。

三日月委員 事故が起こってしまったという事実や、多くの方が犠牲になられ、けがをなされたという結果、これと向き合われて、これらの苦しみや悲しみを何とかして乗り越えよう、問題点を解決していこうということで取り組まれる取り組みに私もしっかりと参画をしてまいりたいと思います。改めて、被害に遭われた方々の心情に思いをはせながら、これからの公共交通政策に取り組んでまいりますことを誓い、まず冒頭の確認をさせていただきたいと思います。

 それでは、本委員会で議題となっております広域的地域活性化法案及び港湾法等の改正について確認をさせていただきたいと思うんですが、まず、広域的地域活性化についてです。

 これは一条にも述べられていますが、全国各地域において広域にわたる活発な人の往来または物資の流通を通じた地域の活性化を図ることが重要であることから、そのための基盤整備を推進していこうということで行われることだと承知をしております。

 まず、これは事務局でも結構なんですが、広域というのはどの程度の区域を想定していらっしゃるのか。先ほども議論がありました、国土形成計画が今策定中で今年度中、そしてそれを受けた広域地方計画が来年度策定をされていくことになるんですが、その関係について、一部重複をいたしますが、改めて御答弁いただけますでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 広域の概念でございますけれども、本法案におきましては、広域にわたる人、物の交流を通じた地域の活性化を広域的地域活性化と位置づけまして、そのためのソフト、ハード一体の支援を講じようというものでございます。この場合の広域ということでございますけれども、国土形成計画の検討におきます、例えば東北地方とかあるいは九州地方等の広域ブロックなども念頭に置きまして、少なくとも一つの都道府県を超える空間という範囲ということで想定してございます。

 この法案につきまして、広域地方計画との関係でございますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、地域の活性化というのは政府にとって今大変緊急の課題になっているということで、広域地方計画に先立って予算措置また法案の御審議をいただいているところでございます。

 先ほど大臣からの答弁にもありましたけれども、やはりこれからは広域的に物事を考えていく、一つ一つの県ではなくて、一つのブロックがまとまってその地域の方向性を考えていく、そういったことが非常に必要である。それは国際的な、グローバル化の中で地域がそれぞれ直接、例えばアジアとつながっていくというようなこと、あるいは国内を見ましても、広域な観光ルートの設定とかあるいは環境問題とか、そういったものは広域に考えていく必要がある。

 そういうことで、これから広域的なブロックという形で物事を考えていく必要があるということで、国土形成計画の全国計画の「中間とりまとめ」の中でそういったことを取り上げているわけでございますけれども、これから広域ブロックにつきまして、広域地方計画協議会、現在、プレ協議会で既に御審議いただいております。こういったプレ協議会の場というのは今度の法律の中で初めてできた制度でございまして、今まで都道府県単位で物事を考えておられた方がまさに広域で物を考えていく、これはかなり新しいことでございまして、新しい経験でございます。

 そのために、やはりこういった制度を使って広域的な活性化の意義を御理解いただくことが新しい広域地方計画の策定に結びつくということを考えまして、広域地方計画とは一歩先になりますけれども、本法案につきまして御審議をお願いしている、こういうことでございます。

三日月委員 今最後におっしゃいました、先ほども議論がありましたが、時系列的には、法公布後三月以内に施行される本法案と、そして来年度、広域地方計画が定められる国土形成計画上の計画と、いい影響を与え合うんだという先ほどの大臣のお言葉をかりれば、ありました。

 私もそうあればいいなと思うんですけれども、ここで確認をしたいのが、その整合性をどうとられていくのか。法文上では四条、五条のところに「調和」という言葉で表現されています。この「調和」、整合性をどうとっていかれるのか、その仕組みについて教えていただきたいんです。その整合性がとれているな、調和がとれているなという評価はどこがどのように行うんですか。

 ちなみに申し上げれば、国土形成計画法では第十一条、十二条、十三条のところに、もう御承知だと思うんですけれども、「広域地方計画に係る提案」、そして「調査の調整」及び「広域地方計画に関する調整」ということで、都道府県だとか市町村までいろいろな提案ができる、調査の調整ができる仕組みになっています。こういうものとダブルスタンダードのような形で、二重で行われてしまうことがない仕組みをどのようにつくられているのかということについてお伺いできますか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 ちょっとお答えがダブるかもしれませんけれども、広域地方計画につきましては、都道府県、政令指定都市、国の関係地方行政機関等を構成員とする広域地方計画協議会の協議を経て策定され、都道府県は協議会のメンバーとして、現在ではいわゆるプレ協議会で広域的な地域戦略に向けた準備的な議論に参加しておる、こういうことでございます。

 このため、今年度に都道府県が広域的地域活性化基盤整備計画を作成する場合でも、広域地方計画に盛り込まれるべきブロック戦略を念頭に置きつつ、その実現に資するに足る内容のものを作成していただけるというように考えておりまして、広域地方計画と都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画、この整合性というのは実質的に保たれていくというように考えておる次第でございます。

三日月委員 この論点は最後にしたいと思うんですけれども、六条のところに、「広域的地域活性化基盤整備計画を作成した都道府県を構成員に含む広域地方計画協議会は、」「当該」云々について「協議することができる。」という項目があるんです。私は、広域的地域活性化基盤整備計画の策定段階から広域地方計画協議会がある一定関与をしていくということが、整合性を図る意味においても、調和を図る意味においても必要ではないかと思うんですが、広域地方計画協議会に都道府県も構成員として含まれているんだから、そのあたりはもう当然わかったこととして同じことを双方に対して言うだろうということでいいんでしょうか。簡単にお答えいただいて結構です。

渡邊政府参考人 委員御指摘のとおり、第六条におきまして、「広域的地域活性化基盤整備計画を作成した都道府県を構成員に含む広域地方計画協議会は、同項に規定する事項のほか、当該広域的地域活性化基盤整備計画の実施に関し必要な事項について協議することができる。」こういうように定めてございます。

 今般の制度におきまして、都道府県が広域的な活性化の効果がある活動を支援するための基盤整備を進めるに当たりましては、当然、周辺の都道府県とも連携をとっていくということが極めて重要だということでございまして、そのためには、ここに書いてございますように、実施に関してこの協議会を活用するということが大変有意義であるという趣旨でこのような規定を置いているところでございます。

三日月委員 ありがとうございます。

 次の論点に入りたいと思うんですが、これも多くの委員からも論じられました、十九条以降に書かれております地域自立・活性化交付金についてです。

 これはまちづくり交付金の都道府県版だと理解をしています。しかし、まちづくり交付金の中には含まれない交通でありますとか、広規模の基盤整備といいますか、そういうことが可能になる交付金だと理解をするんですけれども、改めてお伺いをいたします。

 この認定基準というのはどのような考え方をお持ちになっていらっしゃるのか。また、採択される、採択されないということも含めた透明性をいかに確保していかれるのか。私、まちづくり交付金についても議論をいたしましたが、その事後評価、果たしてそれが交付金に値する事業であったのかどうか、きちんとそれが行われているのかどうかという事後評価はどのように行われる御予定ですか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 本交付金の採択に当たりましては、採択の基準となる計画の評価基準を作成しまして、これを事前に明示するとともに評価の結果を公表するなど、客観的で透明性が確保された制度運用に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 この採択の基準となる計画、広域的地域活性化基盤整備計画でございますけれども、これの評価方法については現在検討中でございますが、例えば、第一に、地域の自立、活性化を図るという観点から、目標の設定が妥当か。これは、それぞれの活性化につきまして、例えば観光客がどのくらい入ってくるとかあるいは地域の就業がどのくらいふえるかというような、いろいろな目標をそれぞれの活性化の活動に対応して都道府県の方で立てられると思いますけれども、そういった目標の設定が妥当か。また、地域活性化に寄与する広域的な人流、物流を活発にする活動やその拠点となる施設の選定が妥当か。

 第二に、実施される事業について、全体として地域自立、活性化の目標に整合し、また費用効果も十分ありそうか。

 第三に、計画の実現可能性という観点から、地元が目標達成に向けて意欲的に取り組む機運があるのか、また、拠点施設整備の蓋然性など事業の熟度が高いか。

 こういったことについて確認しまして、その中で早期に効果の発揮が期待されるものなどから優先的に支援するということを考えておりますが、いずれにしましても、地域の自主性や創意工夫を不必要に阻害することのないよう、その辺は十分考えていきたいというように考えております。

 事後評価でございますけれども、この事業につきまして、大体三年から五年というように考えてございます。その計画期間が終了した段階で、先ほど申し上げました、都道府県が立てました目標の達成状況というものをしっかり評価していくということでございますけれども、それとあわせまして、その結果を公表してもらうこととし、またあわせて国においても公表を行うということで、国民それから地域の住民の目でしっかり見ていただくということが大事だというように考えております。

三日月委員 地域自立・活性化総合支援制度というのがありまして、この中には、今確認をいたしました地域自立・活性化交付金と地域自立・活性化事業推進費というのがあります。この交付金と推進費の関係、違い、かかわりについて確認したいのと、あともう一つ、まちづくり交付金との関係ですね。

 市町村で行うまちづくり交付金で、市町村に係る駅前整備だとかをやります。今回、広域的にこういう枠組みがつくられました。そことの重複をどのように排していくのか、同じようなことをやっているんだからこれはまとめてやりなさいよ等々のアドバイスはどのような形で行われるのか、お聞かせください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 まず、地域自立・活性化事業推進費と本法案あるいは交付金の関係でございますけれども、この地域自立・活性化事業推進費といいますのは、都道府県が作成する広域的地域活性化基盤整備計画に基づきまして、地域自立・活性化交付金を活用して実施される事業と密接に関連する国の直轄事業などの基盤整備事業を機動的に実施するための予算措置されました経費ということでございます。

 具体的には、本推進費を年度途中に充当しまして、国等が広域的地域活性化計画に関連して実施する事業の迅速な立ち上げとか進度調整を行うことによりまして、交付金を用いて実施する事業と一体的な実施を可能にし、事業効果の早期発現や向上を図るというものでございます。

 都道府県が計画を作成する際には、関連して実施する事業をできるだけ計画に記載することなどによりまして、事業の一体性というものを明らかにするよう要請していきたいというように考えております。

 また、まちづくり交付金との関係でございます。

 都道府県を対象とします地域自立・活性化交付金と市町村を対象としますまちづくり交付金、この点がまず違うわけでございますけれども、どちらも地方の自主性、裁量性を高めた仕組みでございます。そういう意味で、道路や公園等の基盤整備を対象とするということでございますけれども、繰り返しになりますけれども、本交付金は都道府県を対象にしているということ、それから、広域的な地域活性化活動に資する基盤としまして、まちづくり交付金にはない補助国道や港湾、空港などを対象としているなど、まちづくり交付金との役割分担というのは図ったところでございます。

 地域自立・活性化交付金による都道府県事業とまちづくり交付金によります市町村事業、これが相互に関連する場合でございますけれども、同一の事業に対する二重の補助ということにならない限り、同じ地域で適用することは可能であります。

 したがいまして、両方の仕組みがうまく連携をとれるということで相乗効果が働くわけでありますから、両者がその場合には一体的に運用できるようなことを進めていきたいというように考えております。

三日月委員 縦、横、斜め、二次元、三次元で関連し合う、また、市町村、都道府県、広域、圏域という中で、考える方も、それを評価して支援する方も、事前の認定、評価はそれぞれ難しいと思うんですけれども、新たな挑戦としてぜひ真摯に取り組んでいただきたいと思いますし、私はその過程をまた検証していきたいというふうに思います。

 最後に、港湾法についても確認をしたいと思うんです。

 近年、港湾における廃棄物処理の状況をかんがみて、廃棄物埋立護岸というんですか、海洋性廃棄物処理施設の整備促進を行うために国の負担割合を上げていこうという法律だと思います。

 これは二点だけ、簡単にお答えいただければと思うんですが、とはいえ、海洋水面の埋め立て、これを行うこと、また行うことを促進していくことが環境面において大丈夫なんだろうかという不安を私は抱きます。先ほどの委員の御質問からもありました。環境対策の技術的、制度的な対策は万全であるかということが一点。

 あと、埋立用地、どんどんごみを埋め立てないといけないからといって進めるのはいいんだけれども、後の活用策、未処分地の多さも大変指摘をされているところなんです。このあたりについての対策はどのようにとられていますか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 環境対策という面が第一点でございますけれども、海面処分におきましては、処分場を構成する護岸、これは今度の法律でやる廃棄物埋立護岸ですけれども、それとか底質、中で囲まれた部分を埋め立てて、その底質ですね、そこから汚濁水が漏れ出さないような構造としております。

 具体的には、護岸の本体の背後に遮水シートといって水を通さないようなシートを敷設するとか、あるいは中の方の下、底層ですね、それには不透水性層地盤、これは粘土みたいなものなんですけれども、それを利用することなどによりまして、必要な遮水性の確保をしております。

 さらに、廃棄物を投入した際に海面処分場から排水が出ます。それにつきましても、水質管理などを実施することなどによりまして、周辺海域に影響を及ぼさない措置をとっております。

 それと、埋め立てた後の利用でございますけれども、それにつきましてはいろいろなところで利用されております。それ以外にも、廃棄物埋立護岸じゃございませんけれども、臨海部土地造成事業でいろいろなところで埋め立てを行っております。それが、バブル以降、若干、売れ行きというか分譲、やはり新規の立地というのは落ちておりましたけれども、最近また臨海部の産業の立地が盛んになりまして、非常に活発化しております。

 例えば、バブル期以降、年間百ヘクタールから二百ヘクタールで、臨海部に新規立地がなかったんですけれども、この三、四年、五百ヘクタール毎年新規立地が進んでおりまして、これからもそういうぐあいにいろいろな面で臨海部の土地というのは必要になってくると思っております。

 廃棄物を埋め立てた用地につきましては、無害なところというのは、そういうふうに分譲した形で工場とかそういうのが利用できるんですけれども、それ以外に、一般廃棄物を焼却してそれを埋め立てた土地というのは、工場とかそういうのを建てるような地盤でもございませんし、いろいろな面で大変なところがございます。それらについては、公共用地、緑地などに利用するような形でやっていきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、廃棄物を埋め立てた土地というのも有効利用するようにこれからも努力してまいります。

三日月委員 終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 本日は、先ほど同僚議員からもるるありましたように、福知山線脱線事故から二年目に当たります。お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りすると同時に、御家族の皆さんに改めて哀悼の意を表したいと思います。

 私は、この点では、事故を風化させずに、特に、原因とJRの責任、そして再発防止、私は何度も質問してきましたけれども、やはり安全、安心が第一だという交通をつくり上げること、この点で我々政治の責任を果たさなければならないと考えています。

 特に、その点では、被害に遭われた方々の御回復をお祈りすると同時に、その方々が特に考えておられる、やはり、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、JRの対応が誠実さがないという声を出しておられることは事実なんですね。その声に耳を傾けるべきだし、何度も国会でもそういう議論をしたわけですから、そういう場もつくっていく必要があるんじゃないかと私は考えています。

 そこで、きょうは、広域的地域活性化整備法案なんですが、この法案が成立した場合、既に都道府県から二十程度の計画策定の意向があると言われています。

 どういう活用が計画されているのか調べますと、具体的には、観光インフラの整備、工場誘致のための工業団地へのアクセス整備、中心市街地活性化との連携、さらには、流通機能向上のための港湾施設整備などであります。

 これらは国土、地域開発政策、産業立地政策としてこれまでも種々取り組まれてきたものであります。とりわけ一九五〇年代以降、全国総合開発計画、新産業都市、工業整備特別地域、七〇年以降には、工業再配置促進、テクノポリス、そして民活、リゾート法などであります。

 こうした政策を進めてきた結果、どうなったかということを検証してみる必要があると思うんですね。地域の活性化どころか、私は、衰退に歯どめがかからなかった、無残な事態になったというのを随分見てきました。今日ではさらに深刻になっており、地域間格差も拡大している、これが紛れもない事実ではないかと考えているところです。

 それだったらまだあれなんですが、さらに、工業団地が各地で売れ残り、リゾート施設の破綻が相次ぐという事態の中で、地域、自治体に大きな負の遺産を残して、住民の生活に深刻な影を落としている。この点を見逃すことができません。これまでの政策がなぜ地域の衰退をとめられなかったのか、これを総括する必要があると思います。

 したがって、こうしたこれまでの政策をどう総括し、反省しているのかをお聞きし、これまでの政策と今回の法案はどこに改善点があって、負の遺産とならない保証、仕組みはどう担保されているのか、その大枠についてまずお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 従来の地域振興策は、国が地域の目指すべき姿を提示し、支援すべき産業類型や開発手法を指定するというものになっておりました。政策の意図、ねらいは妥当であり、また一定の成果を上げましたけれども、地域の有する特性や資源の多様性にもかかわらず、全国あまねく同じ開発手法によりがちだったという側面もあったのではないかと受けとめております。その意味の反省をいたしております。

 地域活性化には、それぞれの地域が、みずからの知恵と工夫で、地域ごとの多様な特性に根差した特色ある資源を生かし、個性と魅力あふれる地域づくりに取り組むといった考え方が重要になってきているのではないかというふうに考えるわけであります。

 そういうことから、本法案では、まず都道府県に、地域をどのような手段で活性化させていくのか、みずからビジョンを描いていただきます。その上で、活性化に資する具体的な民間活動等に合わせて、必要な基盤整備事業を計画で特定して、タイミングよく一体的に実施していただきたいと思います。国は、これに対し、地域自立・活性化交付金を交付し、適切に支援を講じたいというふうに考えます。

 企業立地や観光振興を初め、都市農村交流、地場産品振興など、活性化に向けた地域発意の多様な取り組みにおいて、時期をとらえた重点的な基盤整備を推進するもので、社会資本整備の重点化、効率化にもつながると考えております。

 さらに、地域の創意工夫により、地域産業活性化法等の関連施策と適切に組み合わせて活用されることにより、一層の相乗効果を発揮できるものと期待をいたしておるところでございます。

穀田委員 簡単に言うと、地域の特性を生かしてやらなかったから問題だみたいな話になるんだけれども、私、どうもその辺が違うんじゃないかと思うんですね。

 国が基本指針をつくって、活発な人的交流だとか物流を促進するという要件を示すことになって、その手段として、この法案に書いているように、工場や大型商業施設の誘致、観光などのリゾート施設などが当然計画される。だから、都道府県の自由裁量が広がったからといって、同じ発想なら中身が変わるわけではないということを、私は、あらかじめそういう点では警告しておきたいと思うんですね。

 だから、つまるところ、どういうことかというと、結局、国が音頭をとってやってきたことを、これからは都道府県の責任をより明確にしたということになりはしないかという危惧を言っておきたいと思うんです。

 そこで、この内容でいいますと、明確にしておかなければならないのは、同じようなことをやってきたというわけじゃないんですね。例えば工業団地が売れ残るなどの地域開発の破綻というのは、苫小牧東部開発、それから、むつ小川原開発を初め全国各地で起こったわけですね。これは必要だということでやってきたわけです。また、宮崎のフェニックスリゾート、シーガイアの破産を初め、リゾート法の破綻もこれは明確であります。日弁連が廃止を求める決議まで上げているのに、いまだに存続させたままであります。民活法によって各地にできた三セクも経営破綻が相次いでいます。

 これは、大臣も私も関西の方ですから、〇四年には大阪市が出資する三セクの大阪ワールドトレードセンタービルディングが金融機関に債権放棄を求めているなど、〇四年からさかのぼって、八八年からのを見ますと、累計では九十件にも達している。関西文化学術研究都市、これは株式会社けいはんなが金融機関に債権放棄してもらう再建策まで検討している。

 だから、結構いろいろな違いはあるんだけれども、結局、そういうものにとって事態が起こっている。関西なんかは、そういう意味でいいますと、テクノポリスから始まって、それから今言ったWTC、それから、けいはんな。

 どんなふうにこれを総括し、これ自身について率直に大臣の見解をお聞きしたいと思うんです。

冬柴国務大臣 全く御指摘のとおりなんですね。

 ただ、そこに、大きな要因は何かということになりますと、失われた十年、景気が物すごく悪くなりました。日経二百二十五銘柄が七千六百七円八十八銭まで落ちたわけですから。ですから、バブルで膨れ上がった過剰な雇用、過剰な施設、そして過剰な負債、こういうものが日本経済を破綻寸前まで追い込んだわけでございまして、そのあおりを食って、今おっしゃったように、第三セクターの惨たんたる状態あるいは工場団地の惨たんたる状況というものがそこにあったと思います。

 しかし、最近、最近というよりも、五年、六十二カ月に及ぶ景気の拡大が今進みつつあるわけですけれども、おかげで、先ほど港湾局長も言いましたように、港湾地域に対する工場進出も年間五百ヘクタールにも及ぶというような状態を迎えつつありまして、雇用についても明らかに回復をしております。もちろん地域間の違いはありますけれども、日本全体のマクロではそういうことになっております。

 そこで、大きな問題は、東京一極一軸についての余りにも大きな発展と、地方の消沈といいますか、そういうことが目立ち、そして、総理も言うように、地方の活力なくして日本の活力なしと言っているように、これは何とかしなければならない。もちろん地方分権の推進ということは非常に大きな考え方でありますけれども、我々は、これに対して、地方の発意による、地方の自主的、自立的判断による地方のもう一度の再生というものをお手伝いするという形でやろうというのが今回の発想でございます。

 事実認識は委員と全く同じだと私は思います。

穀田委員 事実認識は同じだ、原因が違う、こうなるわけですね。しかし、バブルのせいだけじゃないんですね。

 私は、特に関西文化学術研究都市にかかわって、私は京都ですから、当初から、これは学研都市というよりは宅建都市だと言って警告をしてまいりました。やはりそのとおりでして、民活方式、呼び込み型は危ないぞということを言ってきて、結局住民と地方自治体に財政負担が来るぞと言ってきて、当初から私なんかは言ってきたわけですね。案の定そうなんですよ。

 だから、何もバブルで踊ったというだけじゃなくて、国がやってきたというだけではない。また、これは関西の都市自身が、自治体自身が関与してきて自分たちで進めたものですからね。ですから、その原因たるや、そのやり方も含めて、単にバブルに踊っただけじゃなくて、民活方式や呼び込み型、それから、地方自治体の財政を考えない無謀なやり方を初めとした一連の問題があったということをしっかり見ないと、それは全般論としてマクロに、バブルがちょうどあったという時期だということもあるんでしょうけれども、それはそう単純ではないと思っています。

 そこで、そこからなんですよ。私は、以上のような状況から見て、やはり原因というものを、事実認識が一緒だとするのであれば、その原因についてよく分析をしてきちんとやらないと、えらいことになるということだと思うんですね。

 そうしますと、今度の法案で見ますと、地域活性化政策体系、こういうことの中の一つですね。民間企業の支援と、それを支える道路や港湾等の基盤整備を行う、こういう大体の筋ですね。これだと余り変わらぬということになると思うんですね。

 そこで、私は、大規模工場だとか大型商業施設の誘致を促進するために、実際上金融支援だとか、今述べた基盤整備支援を行うことになるんだと思うんです。これは、九〇年代末からこの四、五年前まで、工場閉鎖だとか大型店の撤退が相次いだわけです。先ほど大臣がおっしゃっていたように、過剰設備、過剰雇用だと言っているわけでして、そうしますと、そこで何が起こったかというと、今度はリストラと不良債権処理などを推進し、地方の疲弊と空洞化が出てくる、こうなるわけですね。

 その際問題になったことだけれども、具体的に聞きたいと思うんです。誘致、立地企業が退出、撤退する場合はどういうルールを想定しているんですか、今度の法案との関係で。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 本制度につきましては、地域の自立、活性化を進めていく上で、企業の立地など地域の活性化に寄与する民間活動に合わせて、必要なインフラの整備をタイミングよく効率的に実施することが極めて重要である、こういった認識のもとに、都道府県が、必要なインフラ整備を一体的に進めることにより、このような民間の活動に的確に対応することを可能とするものでございます。

 今回の制度の大きな特色といたしまして、これまでも御答弁申し上げておりますけれども、地域の活性化の対象というのは非常に広い。企業の立地もありますし、観光の振興、それから、都市農村交流あるいは地方都市の再生、地場産業の振興、そういったものを各地域の特色をもって実施する、こういったものを支援するということであります。

 また、拠点施設というものも、これは既存の施設を活用していくということもございますし、公的な施設を活用するということもございます。そういった中で、都道府県が企業の立地や民間による拠点施設整備が行われることを前提として計画を作成する、こういった場合もあろうかと存じます。そういった場合には、その実効性が確保されるよう、当該民間事業者の事業実施の蓋然性については十分な吟味が必要だというように考えております。

 万一、プロジェクトを構成する民間事業が頓挫するといった不測の事態が生じた場合には、整備される基盤施設が有効に活用されますよう、都道府県に機動的かつ柔軟に計画を見直していただくということも必要になると考えております。

 また、仮に計画期間終了後に民間企業が撤退した場合にも、計画に基づいて整備された施設が有効に活用されるよう、都道府県に一層の知恵を絞っていただくということなどの努力をお願いしたいと考えております。

 また、この制度、三年から五年たちました後、評価ということを行います。評価の中で、よかった点、問題があった点、そういったものが出てくるかとも存じます。そういった中で、いい点はこの制度の今後の運用に生かしていく、また、悪い点は反省してそこの改善策をよく考え、それをまた生かしていく、こういったことをやっていきたいというように考えております。

穀田委員 今の話を聞いて、大臣、後半、どう思いましたか。私は、えらいこっちゃなと思いますよ。要するに、結論は、不測の事態が起こったら有効に活用しようというだけの話ですね。みんな聞いてわかりましたやろ。そんなあほな、そんなこと言うておったらあきまへんで。

 これは結局、要するに、やるときはタイミングだ、それから、民間に対応してもらうんだ、いざとなったら、不測の事態のときには後は考えろ、もっと大変なときは知恵を出せと。そんなこと言うておったら、失敗することについてきちんと対応はできないと私は思いますね。

 というのは、二〇〇〇年から〇二年にかけて、製造業を中心に全国各地で工場閉鎖、縮小が相次ぎ、多くの地方自治体が悲鳴を上げました。当時、日経新聞に報道された上場企業の工場閉鎖など、リストラ報道を私たちは調べたことがあります。

 それを見ますと、〇一年から〇二年三月までに、全国では二百十の工場が閉鎖や休止をし、〇二年四月以降も百以上ありました。例えば、三協精機が突然閉鎖した長野県の伊那市長は、市の工業団地に誘致した工場で税の優遇措置もしてきた、事前に何らかの話があってもいいと思うのだがということで、突然出ていったり撤退したということに対し苦渋の声を上げています。

 私は、身勝手なこういう形の企業に振り回されてきたのがこの間の、やるときはいいんだけれども、やるという事実経過があるんじゃないか。だから、入ってくるときは整備費補助金を出す、ところが、撤退は勝手だ、後は知恵を出せ、有効活用だ、そんなことを言っておったらだめだ。私は、そういう問題について最低限ルールが必要だと。

 要するに、活用だ、知恵を出せ、それは当たり前の話であって、そうじゃなくて、最低限自治体に通知を義務づけるなど、それらのルールづくりが必要と違うかということを提起しているんですよ。大臣、それはどうですか。

冬柴国務大臣 そういうことで困った自治体というのはたくさんありますし、今深い傷を負っている自治体もあります。よく考えます。

穀田委員 これは本当によく考えてくれなければ、つまり、そういう経過をたどっているという歴史的な事実を見たときに、本当にこれはやらなあかん。

 しかも、何でこんなことを言っているかというと、今だってそういう、別に例を出して松下を憎しと言っているわけじゃなくて、松下なんかがどんどん撤退しているというようなことなんかが随分あるわけですね。それから、三洋もそういう撤退をしたりするということがあったりして、誘致するのは、立地するときにはそうなんだけれども、出るときは結構勝手に出ていく。最低、ヨーロッパでもそうですけれども、地方自治体でも企業の責任を明確にしているんですね。ある東北の場合は、撤退する場合、企業に最後の一人まで再就職をあっせんするなどの例も出ているんですね。

 だから、私は、そういうルールをきちんと決めるということが地域活性化を支えることになるよということを言っておきたいし、五年、十年たてば、どちらがそういうことについては正しかったかというのは必ず証明されると思っています。

 そこで、最後に具体的な問題で若干お聞きしておきたいと思うんです。

 私としては、地域活性化はどうあるべきかという考えはあるんですけれども、この間、都市再生特別措置法の審議の際に触れました、深刻な事態となっている集落壊滅、限界集落について聞きたいと思うんです。

 この間、大臣も訪問された能登半島の話がありましたよね。あのときに、輪島市門前町は高齢化率が四七%だと。典型的な過疎高齢化地域であります。こうした地域は、過疎化と震災という二重の苦しみにさらされています。その大釜地区は、過疎の暮らしに耐えかねて、産業廃棄物処分場を誘致し、集落を捨てる決心をしていたんですね。この地域は、被災地の復興が進んでも、仕事はないし、こんな不便な土地、だれも帰ってこないと心配されています。

 先ごろも議論しましたけれども、国交省は集落消滅の危機的状況について調査をしたとありました。国交省としてはどのような対策を実施しているのか、簡潔に述べていただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 限界集落について国土交通省がどういう対策を講じようとしているかという御質問でございますけれども、いわゆる限界集落といいますのは、六十五歳以上の高齢者割合が五〇%以上の集落であると定義されておりまして、調査対象六万二千のうち、この要件に該当するものが七千八百ということで、全体の一二・七%になっております。

 こういった集落におきまして、まさに農用地や森林の荒廃とか、あるいは高齢者を初めとする住民の生活への影響など、さまざまな問題が発生しているわけでありますけれども、その多くが地理的に中心部から離れた中山間地域に位置するなど基礎的条件が厳しく、住民ニーズが行政に反映しにくくなっているということであります。このため、住民の不安や要望に対して、行政がしっかりと目配りをしながら、各省連携のもと、対策に取り組んでいく必要があるという認識を持っております。

 地域のことは、そこに住む人たちが一番よく知っておられますので、現在検討中の国土形成計画の全国計画やその後の広域地方計画におきましても、地方の意見をしっかりと伺いながら、集落への必要な支援のあり方等につきまして、それぞれの地域の特性を踏まえて検討していきたいというように考えております。

冬柴国務大臣 私も、輪島へ行きまして、門前町も見せていただきましたけれども、あそこは四七%という高齢化でございますが、そういうところでも、観光ということで、能登半島全体が本当に何万人という外国人を受け入れ、そして、そういう過疎のところであるけれども、朝市を楽しみに来られるということがあって、それなりに活性化していたわけですが、しかし、今回の大震災で大変な目に遭った。

 委員の地元の京都の綾部におきましても、水源の里というんですか、そういう非常に中心から離れた、わずか何戸というところも、工夫することによって活性化するわけで、私どもはこういうことを進めたいというふうに思います。

穀田委員 そうなんです。私が言いたいことを最後に言ってくれて、私は水源の里は大事だと思うんですよ。つまり、地域活性化という場合、何でも、基盤整備と、それから大型店を入れるとか、そういうのじゃなくて、現実に起こっているところにめっこを入れてやるべきだという意見なんですよ。

 水源の里は、大臣も知っておられるから、私もよく行ってきているんですけれども、集落でいうと七戸とか十三戸とかですよ。そういうところで、新しい人に来ていただいて、水を大切にして、トチの実をつくったり、それからフキをみんなで栽培して、それで一定の収入を得ながらやっていこうとする、そういったところにきちんと支援の策をとるべきじゃないか。そういうものとして、私は、一つの活性化のあり方として提起したいということなわけですよ。

 今お話があった綾部に私も行ってきまして、そこは、一番若い方が七十三歳で、その方が自治会長ですよ。私は、だから、一つの小さい集落へ行きますと、有権者の四割に会うてきているわけですよ。五人しかいないわけだから、二人に会ったといったら有権者四割に会っているわけですから。そういったところが、自分の住んでいる間はその町を残したいということを言っておられるわけですよ。

 そうしたら、どうしたらいいか。やはりそれは、今お話があったように、地域の方々が、何も補助を受けたらやれるというんじゃないんですよ。補助を受けながらも、新しい人たちに来ていただく、そして自分たちのそういう地域をどうしたら生かすことができるかという知恵を出すわけですね。そういうことをしっかりやるのが必要ではないかと思っているわけです。

 私は、最後に私どもの考える点だけ述べていきたいと思うんです。

 私は、第一に、大臣は繰り返し言っていますけれども、東京一極集中に歯どめをかけるなど、やはり大都市への集中政策を抑制する必要がある、あわせて、都市づくりを市場任せにした都市再生政策をやめるということが必要だと思っています。

 それから第二番目に、深刻な事態にある今述べました限界集落など集落の消滅を食いとめ、維持、再生対策などに重点を置いた地域政策を進める。つまり、地域間格差の是正に正面から取り組むことが必要だ。

 その上で、この間も私は言いましたけれども、地域再生、活性化の基本的観点として一番大事なのは、居住、教育、交通、コミュニティーなど、住民の人権に配慮して、住民が住み続けられることを最優先した政策に切りかえることが必要だと考えています。

 だから、一生懸命るる、先ほど私は、活性化というのは、企業を大きいところを誘致するとか大型公共事業に依存するんじゃなくて、地場産業や地産地消など、地域内循環型の地域活性化策を中心に据える、こうした政策転換が必要だと考えています。

 その点でもし感想があれば、御所見があればお伺いして、質問を終わります。

冬柴国務大臣 私は大変すばらしい意見だと思いますよ。したがいまして、このようなことをそういう見方から、東京一極集中を抑制して地方を、そういうことは本当に地方から上がってくる意見の中でも共通した意見でございますし、限界集落についての歯どめは大変難しい問題だと思いますが、きめ細かくやっていかなきゃならないというふうに思います。

穀田委員 終わります。

塩谷委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 議題になりました両法案について、反対の討論を行います。

 初めに、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案について述べます。

 本法案は、政府の地域活性化政策体系の一つに位置づけられ、地域への工場誘致など広域的な経済活動を行う民間企業への支援と、それを支える道路、港湾等の基盤整備を目的としています。

 反対する第一の理由は、法案が目指す広域的地域活性化が、大企業立地を促進する地域産業活性化法などと一体になって、大規模な工場や商業施設の誘致を促進し、それを中心にした大規模プロジェクトなど、大型開発事業を推進、再燃させる口実とされかねないからであります。過去の反省もなく、立地大企業の身勝手な行動によって負の遺産を全国各地に残すことになりかねません。

 第二の理由は、本法案は、財界、大企業の要求に沿って、国土政策、国土形成計画の広域ブロック形成の方向を具体化、促進するものであり、大都市部と地方の地域間格差をさらに拡大することになるからです。

 東京一極集中の歯どめがなく、広域ブロック内でも大都市部に支援が重点化され、大規模プロジェクト中心の施策が進められると、一方の中山間地、過疎地は一層施策から取り残されることになります。例えば、中山間地・過疎地対策や地域公共交通対策など、地方自治体が実施すべき施策が縮小され、限界集落など消滅の可能性のある集落の維持、再生や、そこで暮らす住民の生存権、交通権等が一層保障されなくなるおそれがあります。

 真の地域再生、活性化を図るためには、第一に、東京一極集中に歯どめをかけるなど、大都市部への集中政策を抑制すること。第二に、限界集落などの集落消滅を食いとめ、維持、再生を重点に置いた地域政策を進めること。その上で、住民の人権に配慮して、住民が住み続けられることを最優先にし、地場産業や地産地消など地域内循環型の地域再生、活性化を基本的観点にした政策に切りかえるべきです。

 次に、港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案について述べます。

 そもそも、廃棄物対策は、循環型社会への取り組みを強化することを基本とし、海の自然環境を守るためにも、安易に海面埋立処分に流れるべきではありません。したがって、廃棄物埋立護岸工事費用など国の負担割合を拡大し、廃棄物の海面埋め立てを促進しようとする本法案には賛成できません。

 以上です。

塩谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中野正志君。

中野(正)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 国の地域活性化策が複数の府省に関連していることにかんがみ、地域の活性化策が効果的に実施できるよう関係府省が連携し一体的かつ総合的な取組が図られるよう努めること。

 二 広域的地域活性化基盤整備計画の実施が広域ブロックの自立的圏域の形成に資することにかんがみ、都道府県が計画を作成するに当たっては、広域地方計画を含む国土形成計画をはじめとする諸計画との整合性を十分に確保するため、関係都道府県及び関係機関との連携が図られるよう広域地方計画協議会の活用など適切な措置を講ずるとともに、目標達成に向けた効果的なフォローを行うこと。

 三 民間拠点施設整備事業計画の認定に当たっては、当該計画の内容及び実効性について、また、民間事業者が当該計画を適確に施行しうるかどうかについて厳正な審査を行うとともに、認定後においても当該民間事業者による事業の確実な遂行について実態把握に努めるなど適切に対応すること。

 四 地域自立・活性化交付金制度については、都道府県にとって利用しやすいものとなるよう、手続の簡素化や柔軟な対応などの措置を講じるなど、その運用に万全を期すこと。また、地域自立・活性化交付金の採択について透明性を確保するとともに、当該事業者に係る評価を適切に行うための仕組みを構築すること。

 五 地域活性化のためには、地方公共団体及び民間による地域の知恵と工夫が必要であることにかんがみ、都道府県及び民間事業者等に対して、計画策定に関することをはじめ、必要な情報の提供や支援などについて、地方支分部局の機能を活用しつつ国としての役割を積極的に果たすこと。

以上であります。

 関係各位の御賛同を心からお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣冬柴鐵三君。

冬柴国務大臣 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

塩谷委員長 次に、港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

塩谷委員長 次に、内閣提出、タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 ただいま議題となりましたタクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 タクシー事業は、ドア・ツー・ドアの機動的・個別的公共交通機関として重要な役割を果たしてきております。急速な少子高齢化の進行により、我が国が人口減少社会を迎える中で、個別輸送サービスを提供するタクシーに対する期待は大きくなってきており、多様な利用者のニーズにきめ細かくこたえ得る交通機関として、過疎地における高齢者等の生活に密着した移動手段として、また、鉄道やバスとともに総合的な公共交通体系を構築する交通機関として、その社会的重要性はさらに高まるものと考えられます。

 一方、タクシー事業においては、厳しい経営環境等を背景に、特に、運送の引き受けが専ら営業所以外の場所で行われている、いわゆる流し営業中心の地域において、輸送の安全性、利用者の利便性の低下が懸念される状況となっており、タクシー運転者の質の確保、向上を図ることにより、輸送の安全、利用者利便をより確実に確保していくことが喫緊の課題となっております。

 このような状況を踏まえ、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、タクシー業務適正化特別措置法の対象となる指定地域について、現行の利用者利便を確保する観点に加え、輸送の安全を確保する観点を追加し、その拡大を図ることとしております。

 第二に、指定地域のうち、特に利用者利便を確保する観点からタクシー事業の業務の適正化を図る必要があると認められる地域を特定指定地域とし、特定指定地域においては、適正化事業実施機関が適正化業務を行うこととしております。

 第三に、指定地域におけるタクシー運転者の登録要件として、輸送の安全及び利用者利便の確保に関する講習の修了を追加することとしております。

 第四に、タクシー運転者の登録の取り消し要件として、重大な事故を引き起こしたとき等を追加することとしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る五月八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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