衆議院

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第16号 平成19年5月9日(水曜日)

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平成十九年五月九日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    伊藤 忠彦君

      石田 真敏君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    梶山 弘志君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      桜井 郁三君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      徳田  毅君    冨岡  勉君

      長島 忠美君    原田 憲治君

      松本 文明君    松本 洋平君

      御法川信英君    宮澤 洋一君

      山本ともひろ君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      江田 康幸君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     御法川信英君

  薗浦健太郎君     松本 洋平君

  長崎幸太郎君     伊藤 忠彦君

  盛山 正仁君     冨岡  勉君

  若宮 健嗣君     山本ともひろ君

  伊藤  渉君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     長崎幸太郎君

  冨岡  勉君     鈴木 馨祐君

  松本 洋平君     薗浦健太郎君

  御法川信英君     坂本 剛二君

  山本ともひろ君    若宮 健嗣君

  江田 康幸君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     盛山 正仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長榊正剛君、自動車交通局長岩崎貞二君、厚生労働省大臣官房審議官森山寛君及び厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村茂男君。

北村(茂)委員 自由民主党の北村茂男でございます。

 本委員会に提案をされておりますタクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思います。

 質疑に先立って、一言触れさせていただきたいと思います。

 去る三月二十五日、私ども、能登半島を襲いました、今回のマグニチュード六・九という、これまで経験したことのない極めて大きな地震に襲われました。私自身、当日、自宅でその地震の直撃を受けた者でありまして、これまで地震に対する認識は、揺れるものというような認識でありましたが、これまでの自分が体験してきたそのような認識を一変させるものでありました。今回自分が感じましたのは、地震とは振り回すものというような、そんな印象を本当に受けました。まさかと思われる、家の中の機材は倒れるというよりも飛んで歩くというような状況でありまして、結果的には私も被災者の一人でありますが、倒壊をすることなく、周辺を見れば、とてもとても被災者とは言えない惨状でありました。

 冬柴国土交通大臣におかれましては、直ちに現地入りをしていただき、つぶさに被災地を御視察いただきました。そして、被災者の皆さん方には励ましのお言葉をかけていただきまして、被災者の方々がどれだけ力強く感じたことかと思って私も同行させていただいておりました。心から厚く感謝とお礼を申し上げたいと思います。

 被災地の状況は、当時は茫然自失という状況下での視察であったと思いますが、今では若干落ちついて、この先どうなるのかという思惑と、ある意味では開き直りの被災者の方々の姿も散見できるようになりました。

 全壊家屋が六百を超え、半壊が一千戸を超え、これらを含む住居、事業所の倒壊は一万二千カ所に及ぶと言われている状況下でございます。もちろん公共施設あるいはその他の資産の損壊等はこれからどんどんどんどん金額的にはふえてくるのではないかと思っております。幸いにして、私どもが望んでおりました激甚災害の指定も政府として早々に御決定をいただきまして、本当に感謝にたえないところであります。

 この上は、大臣の指揮のもとに、国土交通省所管の復旧あるいは復興対策について万全を期していただきたい、このことを強くお願い申し上げ、重ねて、迅速なる対応に感謝の言葉を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。

 さて、早速でありますけれども、本日の審議事項でありますタクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。

 タクシー事業については、需給調整規制の廃止を柱とする規制緩和から既に五年以上の年月が経過をいたしております。新規参入やサービスの多様化が進む一方で、輸送人員や輸送収入は決して伸びていないという状況もあるわけでありまして、こうした規制緩和後のタクシー事業の状況について、国土交通省としてはどのような認識をされておられるのか、この辺から大臣に伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 答弁させていただく前に、能登半島沖地震で被災をされました北村議員、御家族に対してもお見舞いを申し上げたいと思います。

 幸い、能登空港は、飛行場が安全であるということを国土交通省の航空局におきまして確認ができましたので、発災の翌日から正常に今日まで運航を続けることができたということは、地元の方にとっても大変喜びであったと思います。

 上空から見まして、寸断された道路というものを、どれぐらいかかるんだろうというふうに本当に心配いたしましたけれども、石川県あるいは国土交通省の所管七十五名の技術者も派遣をいたしまして、連休前の二十七日には一応全線を開通させるということができましたし、また、被災されました和倉温泉初め観光地の皆様方も正常に営業を、連休はもちろんのことでございますが今日まで続けていられるということ、私は、これを国の内外に発信して、風評被害等がないように、そういうことで、被災はしたけれども地元は元気ですということを、特に台湾、韓国等にも発信させていただいているところでございます。

 一日も早い復旧復興を遂げられるように頑張りたいというふうに思います。

 タクシー業務の適正化法に関して、どのような認識なのかというお尋ねでございます。

 タクシーにつきましては、御案内のとおり、平成十四年の二月、規制緩和をいたしました。これには光と影の部分があるということを私申し上げているところでございますが、光の部分といたしましては、福祉タクシーというような、いわば弱者の方に対する足としてお役に立たせていただくということが、平成十三年度には二千三百三十九台でございましたけれども、平成十七年度にはこれが三・九倍の九千百三十七台まで伸びました。また、観光タクシーというようなものも相当たくさん出てまいりましたし、あるいは多様なサービス、あるいは多様な運賃と申しますか、例えば五千円以上乗ってもらえばその超過分の二分の一をまけますというような、大阪の深夜、そういうような長距離割引といいますか、それから、一番よくわかっているのは五百円のコインタクシー、こういうものが出たり、通勤タクシーというのもあるようでございます。

 自由化されたということから、そのようにいろいろなものが事業者の創意工夫によって、需要を喚起するべくいろいろな工夫をなされたというところは、一定の成果、すなわち光の部分であろうというふうに思います。

 しかし一方で、輸送需要が停滞する中で、運賃収入も伸び悩んでいるのも事実でございますが、厳しい経営環境等を背景として、特に流し営業が中心の地域、すなわち東京とか大阪では事故や苦情が増加する傾向にあることも事実でございます。また、これが、政令指定都市の流し運転をしているところにも同じような現象が起こってきたわけでございます。

 国土交通省といたしましては、規制緩和で、先ほど述べましたような、いい点は生かしながらマイナスの面の是正を図っていく必要がある、こういう考えのもとに今回の法改正に及んだわけでございます。今回の法改正の詳しいことはまた後ほど述べるといたしまして、法改正を提案するに至った背景、認識は以上のようなものでございます。

北村(茂)委員 私どもの地元でも、代行運転者がタクシー業に新規参入するなど、さまざまな現象が起こっていることも事実でありますし、過日、私が乗りました地元のタクシーの運転手さんに聞けば、とてもとても現役世代がやれるような運収は上げられない、もう二十万円を切るような状況だ、したがって、一度リタイアをした人が年金をもらいながらやるような職業になってしまったというようなお話もあったところでもあります。昨日の参考人のお話を聞いても、置かれている状況は極めて厳しいということは、今、大臣の御認識と私どもの認識も変わらないのではないかというふうに思っております。

 そこで、タクシー運転手の労働時間や賃金は、今申し上げましたように、全産業平均と比べて依然としてその差が大きく、タクシー運転者の労働条件は厳しいものとなっていると思っておりますが、国交省として、このような状況についてどのような対応をされようとしているのか、この辺について伺っておきたいと思います。

冬柴国務大臣 先ほども述べましたように、運輸事業が停滞する中、運送収入、タクシー売り上げでございますが、大変影響を受けております。ちなみに、全国平均の年間賃金は五百五十二万円であるところが、タクシー運転者の全国平均の年間賃金が実に三百二万円というようなものでございます。また、一般産業労働者の労働時間は全国二千百八十四時間に対して、タクシー運転者は二千三百八十八時間、いわゆる長く働いて半分ぐらいしか収入がないという大変厳しい状況があると認識いたしております。

 いずれにいたしましても、最低賃金を割るとか労働基準法に定める長時間労働が許されないようなものにつきましては、厚生労働省と連携をいたしまして、指導強化を図ってきたところでございます。

 また、運賃改定について、今、申請があちらこちらからなされておりまして、一部もう認可をしたところもございますけれども、そういうものにつきましても、運転者の労働条件の改善という観点からは、政府内でも十分な調整を行いながら適切に対応して、そしてこの運転者の劣悪な収入あるいは労働時間というものの改善を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

北村(茂)委員 それでは、時間の関係で先に進めますが、特に輸送の安全というような立場からいえば、それぞれ一般乗用車、貨物自動車等いろいろな指数があるわけでありますが、特に、タクシーの事故件数はその他の運送部門と比べて増加傾向にあるというふうに言われておりますし、その数字もそのように示されております。

 こうした現状に対して、国土交通省としては、これまでどのような対応、施策をとってこられたのかということを、岩崎自動車局長に伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、タクシーの事故でございますけれども、規制緩和をいたします直前の平成十三年と平成十八年を比較いたしますと、死亡事故は五十七件から四十九件と減少しておりますけれども、全体の人身事故の件数が、平成十三年二万六千五十二件だったのが二万六千七百四件、二・五%増加をしている、こういう状況でございます。

 私ども、安全対策は重要であると思っております。平成十四年の規制緩和をするときに合わせまして、事故を起こしたような運転者、あるいは初任、高齢の運転者、こうした人にちゃんと適性診断を受けてもらう、これを義務化いたしました。それから、こういう事業用自動車では運行管理というのが大変重要だろうと思っております。点呼をちゃんとやるとか労働時間をちゃんと管理するとか、こういう運行管理者の人をちゃんと置いてください、その人の資格についても試験制度を導入した、こんなことをやったところでございます。

 また、その後、特にここ一、二年でございますけれども、監査、処分、こうしたものの厳格化をやっておるところでございます。先ほど大臣から述べさせていただきました、厚生労働省との合同監査を実施するでありますとか抜き打ちで監査を実施するでありますとか、そんなことをやっております。また、悪質な違反を起こした事業者に対しては厳しい行政処分を最近適用しておるところでございます。また、昨年のこの国会で、これはタクシーだけではございませんけれども、運輸モード全体で運輸安全マネジメントの導入などもやらせていただいたところでございます。

 今後とも、少しタクシーの事故件数は最近横ばいになってきておりますけれども、それに安心することなく、安全対策については状況を見ながらきっちり的確な対応をやっていきたい、このように思っておるところでございます。

北村(茂)委員 昨日の参考人質疑の中でも、特に運転者の労働組合の代表の方の言にもありましたように、タクシーを取り巻く環境が厳しければ厳しいほど、運転者側に押しなべてそのしわ寄せが行っているんだというような話でありました。したがって、規制緩和がされ、タクシー業界がある意味での被害をこうむり、そのしわ寄せは運転者に行き、さらには事故がふえる、こういう悪循環は何としても断たなければいけないというふうに思います。

 タクシー業界、大都市のタクシーもそうですけれども、とりわけ私どもの過疎地のタクシーは、ある意味で高齢者や障害者という人たちのなくてはならない公的な交通手段であることは、もう申し上げるまでもありません。それだけに、タクシー業にかかわる人がいなくなったり、あるいはタクシーという産業が衰退をしてしまったりということはあってはならないという立場から、国土交通省としても、万全の育成対策、あるいは指導監督を万全にしていっていただきたいということをあえて申し上げておきたいと思う次第であります。

 そこで、今回の改正において、安全、利便に関する講習の修了をいわゆる登録要件とするなど運転者の登録制度を強化した上で、今後その対象地域を拡大していくこととしているわけでありますが、これによりどのような効果が期待できるのかということを、岩崎局長に伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 今回の法律でございますけれども、法律の対象となる指定地域、これについては、今まで利用者利便を中心にやっておりましたけれども、輸送の安全の観点も追加したいと思っております。それから、タクシー運転者の登録要件として、今申し上げた輸送の安全、利用者利便の確保に関する講習の修了、これを加えております。また、登録の取り消し要件についても、重大な事故を引き起こした者を追加する。こうしたことをしながら、現在、指定地域は東京、大阪でございますけれども、主要な政令指定都市等まで拡大していきたい、こんなふうに思っているところでございます。

 こうしたことによりまして、運転者について、輸送の安全、サービスの一定の質の確保、向上を期待しているところでございます。

 それから、タクシーの運転手の方々、大部分の方はちゃんとやっておられると思いますけれども、やはり一部の余りよくない運転者がおられるのも事実でございます。過労運転、乗車拒否等の法令違反、あるいは酒酔い運転とか、そうしたことをして一定の重大事故を引き起こしたような悪質な運転者、こうしたものの排除を効果的に行うということをやっていきたいと思っております。

 こういうことを行いまして、道路運送法による事業者に対する規制、こうしたものと相まちながら、利用者から望まれております輸送の安全、利用者利便の確保、こうしたものをよりきっちりやっていきたい、このようなねらいでございます。

北村(茂)委員 つい先日でありますけれども、報道によると、運転手をしている人が眠気が差した、したがって、後ろのお客が、おれがかわって運転してやろうというので、運転をして、飛行場かどこかまでお客が運転をしていったというような報道がありました、つい先日であります。運転する方もする方でありますが、運転をしてもらう、眠気が差したから運転をかわってもらうという運転手も運転手だという思いがいたしたわけであります。

 今局長のお話にありましたように、いわゆる運転者の質の向上、そして公共性の高い職業意識を常に持っているかどうかというようなことも、今後大いに、業界を育成する立場とすれば、私は大事な分野として取り上げていかなければいけないのではないかというふうに思っているところであります。万全を期していただきたいと思います。

 次に、今回の改正の中でも、いわゆる運転者の地理知識については、利用者から悪くなっているとこれまでいろいろ評価もあるわけであります。今回の改正では、すべての指定地域で運転者に講習の修了を義務づけることとし、地理試験については、これまでと同様に、東京、大阪のみ実施されると聞いております。すべての指定地域で地理試験の合格を求めるのではなく、講習の修了を義務づけることとしたその理由、どのような理由でそのようにしたのかということを伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 先ほど申しましたように、今回新たに指定する地域は、主要な政令指定都市等を予定しております。

 地理の問題につきまして、東京、大阪と、その他の今回指定を予定しています政令指定都市等と比べますと、苦情の件数などにつきましても、やはり東京、大阪の方が相当多くて、比較的今回の新しい指定地域は、東京、大阪と比べますと、そんなに多くないという実情がございます。また、例えば京都でありますとか札幌でありますとか、そうした都市につきましては、比較的地理に関する苦情も少ないし、また地理も非常にわかりやすいという状況もございます。

 こうした状況を踏まえまして、一方、地理に関して、全体的に言えば、政令指定都市等でもある程度の苦情はありますので、どうした制度が適切か、こういうようなことを我々検討したところでございます。このため今回は、地理試験ということではなくて、講習の修了ということで効果を見よう、このように考えているところでございます。単に講習を受けていただくというだけではなくて、講習の中で効果測定等をやっていきたいと思っております。こうしたことで知識の確認を行うことによって、講習制度が実効のあるものになるよう対応していきたい、このように考えているところでございます。

北村(茂)委員 それでは次に、タクシーサービスのいわゆる質の向上を図るためには、悪質な事業者や運転者について厳格に対処していく必要があると思います。そのためには十分な事後チェック体制が必要と考えます。国土交通省における事後チェック体制は十分確立されているのかどうか、さらなる体制強化に努めるべきではないか、現状で十分なのかどうか、伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 事後チェック体制については、需給調整廃止後、頑張ってきているところでございますけれども、必ずしもまだまだ十分ではないと思っております。

 私どもの方も、これはタクシーだけではなくて、バス、タクシー、トラックを含めての監査体制でございますが、監査要員、平成十四年七月は全体で百八名だったのが、この十九年度には、厳しい状況の中徐々にふやしてまいりまして、約倍の二百名という体制までこぎつけることができました。

 こうしたことによりまして、監査できる数も、今タクシーでありますと一万三百ぐらいの法人タクシーの事業者がございますけれども、これに対して大体三年半に一回ぐらいのペースでやっているところでございますけれども、二百名の体制になりますとかなりの頻度でできるように、ある程度の体制は整うかと思っておりますけれども、まだまだ今後も努力していきたい、このように思っているところでございます。

 必要な要員の確保に努めるとともに、ちゃんとやっている人はいいわけでありまして、特に悪質な事業者というのを見つけて、そうしたことに効果的な監査をやっていく、こういう手法が重要だろうと思っております。新規参入の事業者に対しての早期監査の実施でありますとか、労働基準監督署との合同監査でありますとか、こんなことをしながら、効率的なきっちりした監査をやっていくという体制の充実につきまして今後とも努力してまいりたいと思っているところでございます。

北村(茂)委員 監査体制について、今、人員の体制の強化という意味では、十四年七月現在で百八名のものを十九年度末には二百名に増員する、厳しい財政状況の中でもこういう増員体制にするんだということについては理解ができました。

 そこで、監査体制そのもののことでありますが、これは、それぞれの運輸局とか全国に配置をして、そして、どのような具体的な監査をしておるんでしょうか、伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 今先生御指摘のとおり、全国に運輸局がございますし、各県単位で運輸支局がございます。そうした局、支局にこうした監査要員を配置しております。

 それから、監査のやり方でございますけれども、従来は、監査をするときにあらかじめ通告をして、いついつ行くよということで監査をしておったわけでございますけれども、それだけではなかなか重大な違反とかを摘発できませんので、無通告の監査というのも取り入れたりしております。

 それから、一回監査に行きまして、監査のしっ放しというわけではなくて、監査をして、いろいろなことを指摘し、処分しますけれども、その後、しばらくたって、フォローアップ監査と申しておりますけれども、その状況が改善されたかどうかというのをチェックするような監査、こうしたものを取り入れることによりまして、監査手法をできるだけ効率的、効果的なものにするよう努力をしているところでございます。

北村(茂)委員 これまた万全を期していただきたいと思っております。

 次に、一部の都市では、規制緩和後にタクシーの増車が急激に進んで、いわゆる需要に対して供給が大幅に上回っているというふうに聞いております。道路運送法においては、このような場合については緊急調整措置があるというふうに聞いておるわけでありますが、これまでこの緊急調整措置は沖縄しか発動されていないというふうに聞いております。せっかくの措置があって、地域によっては需要と供給のバランスが崩れている、産業として成り立たない、あるいは地域社会もまたそのことによって影響を受けるというようなことがあるとすれば、このような措置があるものとすれば、もっと適宜これを発動してもいいのではないかという思いがあるわけでありますが、国土交通大臣に最後に伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 平成十四年の道路運送法の一部改正におきまして、需給調整規制の撤廃を実施した際に、今委員から御指摘がありましたように、著しい供給過剰状態となって、輸送の安全及び利用者の利便の確保というものが困難となるおそれがある場合には、新規の参入あるいは車両の増加を一時、一定期間停止するという緊急調整措置をとることができるという規定を設けておきました。

 この措置の発動の要件といたしましては、規制緩和という大きな流れがあったものですから、大変厳しい要件が課せられております。一日一車当たりの実車キロ数及び営業収入が相当程度低下していること、延べ実働車両数が二年連続して増加していることのほか、事故件数の二年連続の増加、あるいは道路交通法違反件数及び利用者からの苦情件数の増加というようなものを、選択的ではなしに、アンドで、そういうものが全部充足されているようなことを要件としているような厳しいものがございます。

 御指摘のように、沖縄本島におきましては、これらの要件をいずれも満たしたということで、もうその直後でありまして、十四年九月から十八年三月まで緊急調整地域の指定をしたところでございますが、その結果、現在は非常に落ちつきまして、指定は解除されているところでございます。

 確かに、現在も一部の都市におきましては、規制緩和後、事業者において大幅に増車が行われ、競争が激化しているというのは今までるる述べてきたところでございまして、そのような認識をいたしております。したがいまして、緊急調整措置について、その弾力的な運用につきましても検討をしてまいりたい、このように思っているところでございます。

北村(茂)委員 持ち時間が終わりました。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、まず、本日の議題でございますタクシー業務適正化特別措置法の一部改正に関する法律案について質疑を行わせていただく前に、通告はしておりませんが、去る五月五日、大阪のエキスポランドで発生をいたしましたジェットコースターの死亡事故について、一点だけ大臣に御質問させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、今般の事故でとうとい生命を落とされました小河原良乃さんに対しまして、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。また、御遺族の皆様、そして今回負傷されました三十余名の方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 今回の事故で私たちが初めて知った、若干違和感があったことは、遊戯施設の定期検査というのはどの法律で定められているかというと、これは建築基準法で定められている、大変ちょっと違和感を感じたわけでございます。建築基準法で六カ月から一年に一度の検査が義務づけられているわけでございますが、ただ、具体的な検査方法については財団法人日本建築設備・昇降機センター作成の定期検査業務基準書やJISにゆだねられていて、法令上の位置づけは若干あいまいなのではないかといった感想を感じました。

 私は、このような死亡事故が発生をしながら法令違反にならないというのは、やはりどこか間違いがあるのではないかというふうに感じておりまして、最近の遊戯施設というのは、本当に命の危険を感じるような、だんだんだんだんエスカレートしていっているというふうに私は率直に思うんですが、遊戯施設の定期検査の強化というのを本当にしないと、似たような事故が二度三度起こってくるのではないかということを大変危惧しておるわけでございます。

 部品の亀裂の有無を詳細に調べる、探傷試験というんですか、傷を探す試験の義務づけをぜひ行うべきだ、これは大臣のリーダーシップで、ぜひそういった指導性を発揮するべきだというふうに思うのが一つ。

 もう一つは、遊戯施設というのは、だんだんだんだんエスカレートしていく中で、要するに国土交通省住宅局の所管でいいのかどうかということですね。今回、あのジェットコースターが、最初にビスが飛んだ、普通ならそういったことで一時ストップするというような危機管理があっていいのではないかと思うんですが、そういったことを無視して事故に突入してしまった。何か製造上の問題がやはりあるのではないか。これはひょっとすると経済産業省の所管になるかと思うんですが。

 どうか、今回の事故を機に、この二点についてぜひ大臣として前向きに御検討いただきたいと思いますが、御所見をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 連休の中日、しかも五月五日、こどもの日という、若い人たちにとっても子供にとっても楽しかるべきこのような日に、しかも遊園地でこのような悲惨な事故が起こってしまったということにつきましては、私も、そのような遊戯施設をつくるに当たって、先ほど御指摘のように、建築基準法に基づいてそのような建築許可を与え、そしてその後の検査等についても一定の検査を、特定行政庁を通じてでありますが、行うという官庁に身を置く者として、大変遺憾であり残念であったと心から思います。

 お亡くなりになられた方に対する御冥福、御遺族に対するお悔やみ、そしてまた重軽傷を負ってしまわれた皆様方に対し、お見舞い申し上げますとともに、一日も早い御快癒をお祈り申し上げたい、このような思いでございます。

 御指摘のありましたように、建築基準法でございます。私もびっくりしたんですけれども、そのような遊戯施設につきましても、その安全性を法律に基づいて確認した後に建設されるものでございます。その後の検査におきましては、特定行政庁におきまして半年ないし一年に一回の割で検査をするということが建築基準法上決められておりまして、その特定行政庁たる吹田市におきましては、この遊戯施設については一年に一回検査を行うということといたしておりました。

 この検査の方法につきましては、先ほど言われましたように、建築基準法及び日本建築設備・昇降機センター作成の定期検査業務基準書における標準様式を用いて行うというふうにしておりまして、その基準書の中には、検査項目ごとに建築基準法及び日本工業規格、JISの検査標準に基づいて検査を行うこととされております。

 問題は、吹田市は、そのような検査を行った結果、どのような報告書あるいは必要な書類を提出するかということにつきましては、「市長が必要と認める書類」というふうになっておりまして、JIS規格に基づいて行われた検査結果を報告しなきゃならないかどうかということは直接に規定がそこで切れてしまって、あとは運用に任されていたというところがあったと思います。

 そして、JIS規格の中ではいろいろな点が詳しく書かれているんですが、車輪とか車輪軸、軸受け、台車及びそれらの取りつけ部のさび、腐食、摩耗、亀裂、欠損等について確認しなきゃならない。特に車輪軸については、一年に一回以上探傷試験を行うことと定められていたわけでございます。しかし、その結果をどう報告するかどうかということでは切れてしまっておりまして、運用で吹田市長に報告しなさいということになっていたようでございますので、非常にあいまいになっていたということは事実だと思います。

 そこで、やはりこのような重要な部分につきましては、もっと明確な規範、施設の所有者も製造者ももちろんですが、特定行政庁も、これは探傷試験を行わなければならない、一年に一回はしなきゃならないんだというようなことが明確に認識できるような形で措置をしたい、そのように私は考えているところでございます。

 以上のような形で、何とかここは、本当に申しわけない事故だったと私も遺憾に思うところでございますが、本質的には、このようなどんどんエスカレートする遊戯施設の所有者が民法上も設置、保存の義務というものを負っておりまして、無過失で損害賠償責任を負うことになっておりますが、それだけではなく、やはり関係者がこのような悲惨な事故が起こらないように不断に努力をされるような規範もつくっていきたい、このように思っております。

赤羽委員 ぜひ事故の未然防止という観点からしっかりとした法令をつくっていただきたいと強く申し上げたいと思います。

 それでは、タクシー業界に関する業務適正化特別措置法について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、タクシー業界に関する需給調整の規制緩和から五年以上が経過をしたわけでございます。この規制緩和の目的は、事業参入、退出を自由にする、そして、そのことによりまして競争原理を働かせ、業界の利便性向上というかサービスを向上させる、こういったことが目的であったというふうに思っております。

 しかしながら、この五年間を振り返りますと、基本的には日本の景気の低迷というのが非常に影を色濃く落としておりまして、恐らく利用者、輸送人員、輸送距離、こういったものの全体のパイが大きくならない中での規制緩和ということで、結局、事業参入の自由化に伴い競争が激化した。そこでサービス向上につながるというよりも、各社がそれぞれの総体的な利益を確保するために車両の台数がふえた。結果として、需要と供給のバランスが崩れ、供給過剰になった。その結果、今起こっていることは、運転手それぞれ一人一人の水揚げも極端に下がって、加えて経営者自身もそんなに幸せではない。

 こういうことになりますと、私は需給調整の規制緩和自体はやってよかった、全くやらない方がいい、もともとの方がよかったんだと主張する方もいらっしゃいますが、私は、こういったことによって経営者のビジネスに対するマインドというものは随分変わってきたと思いますし、安閑としてはいられないというような中で、プラスももちろんあった、これは決して否定するわけではございません。しかし今、はっきり言いますと、この状況が悪い中での五年間、やはり悪循環の輪の中に入り込んでしまっているんじゃないか。

 ですから、需給調整の規制緩和の光と影、このように大臣も先ほど御答弁がありましたが、率直に言って、全体で光は二割ぐらい、影は八割ぐらいなんじゃないか、そういう状況であるというふうに私なんかは地元を歩いていると思うんです。

 この点について、まず、国土交通省の五年間やってきた、光と影、何割ずつかというのをちょっとぜひコメントを聞いてみたいと思うんですが、どういった状況認識であるのか。原因については、私が今申し上げた原因と同じであればそのような御答弁をいただければと思いますが、どういったことを分析されているのか。簡単に、また適切に御答弁いただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 委員御指摘のとおり、また大臣が答弁させていただきましたとおり、やはり光と影の部分はあろうかと思っております。

 従来、免許制でありましたときは、こういうサービスをやりたい、新しい事業をやりたいという方が全然入ってこられなかった、こういう事情でございましたが、福祉のタクシー、観光のタクシー、いろいろな形で多様なサービス、運賃の導入が進んでおります。

 現に、十七年九月でございますけれども、利用者の方にアンケート調査もいたしました。昔と比べてよくなっているということで、料金の多様化でありますとか待ち時間でありますとか運転手さんの接客態度でありますとか、こういうものについてはよくなったという好意的な評価をいただいている方が非常に多うございました。ただ、利用者の方からも、運転者の運転技術でありますとか運転手の道の詳しさとか、こうしたものについては否定的な評価がございましたし、現に事故や苦情も増加しておりますし、また先生御指摘のとおり、一部の地域において、特に深夜の盛り場なんかを中心に、今タクシーがあふれ返って交通渋滞が生じている、こんな状態もございます。

 よかったのが何割か、悪かったのが何割かというのはコメントは差し控えさせていただきますけれども、こうしたいい部分、悪い部分があったということは事実だろうと思っております。

 この背景でございますけれども、やはり一つの大きな背景は、残念ながらタクシーの輸送需要が、これも先生御指摘のとおり、ちょうど景気の後退時期と重なったこともございまして、なかなか需要が伸び悩む、減少傾向にあるというのが大きな原因の一つ、このように思っているところでございます。

赤羽委員 私は、光は二割、影は八割というのは全体的なことで言っていて、東京はかなりそれでも相当ましな方なんですね。きのうの全乗連の方たちの御答弁を聞いていまして、やはり東京的な発想だなと。

 私、実は一昨日、地元の兵庫県のタクシー協会の役員会がたまたまありましたので、この御報告をしに行ったら、ほとんど袋だたきに遭ってきたというか、どこのことを言って法改正をしているんだと。

 神戸でも、政令指定都市でありますけれども、はっきり言って東京と全く環境が違いますね。経済状況も違いますし、タクシー会社も、一社当たり、東京は大きいところですと千台という規模があるんだけれども、神戸はほとんど五十台前後ですね。だから、この千台と五十台の経営規模の違いを無視した話というのはなかなか厳しいですし、神戸で長距離を乗るといってもたかが知れている中で、供給過剰は地方に行けば行くほどさらにシビアになっているということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 先ほどの同僚議員の質問にもありましたが、緊急調整地域という一つの手段があったけれども、これは大臣の御答弁にあったように、まさに規制緩和をやるというときの附帯事項ですから、なかなか伝家の宝刀として抜きにくいシステムになっております。需給調整規制緩和をよりよく効果を発揮していくという意味で、この緊急調整地域という制度は、通達というふうに聞いておりますので、もう一度ここで改めて、やはり適切に指定ができるような形で、もっと作動しないと、これは書いただけ、沖縄県で一回、本島で一件だけあったというのは、私は余りにも制度活用としては無策であったのではないかというふうに思うんです。

 先ほど大臣から御答弁もありましたこの緊急調整地域、大変煩雑で、ほとんど発動できないような状況になっていると思うので、五年間やったことに対しての反省というか経験を踏まえて、この緊急調整地域の指定要件の見直しというのをぜひ考えていただきたいと思いますが、局長、どのようにお考えでしょうか。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、緊急調整措置の発動要件は通達で決めておりますけれども、基本的に需給調整を廃止したわけですから、こうしたものへの緊急調整措置の発動というのは例外的、限定的にしていきたい、こういうことでございまして、かなり厳しい要件を定めているのが実態でございます。

 こうした具体的な要件、それぞれ数値等々定めておりますけれども、こうしたものが今のタクシーの実態に合っているのかどうか、こうしたものについては前向きに検討させていただきたい、このように思っているところでございます。

赤羽委員 この規制緩和、すばらしいですけれども、業界が死に絶えてしまっては、何のための制度かということが問われると思いますので、ぜひ緊急調整地域の指定要件については再考していただきたいということを改めて申し入れたいと思います。

 次に、現状で事故がふえてきているという御報告がありました。いろいろ読んでおりますと、やはり流してお客を乗せていない空車の事故が多いんですね。これは多分、客を乗せるために、お客がいないかとわき見をする、そしてお客がいると思って急に左に寄ろうとするときに接触事故みたいなことが多いのではないか。結局、とどのつまりは、お客の数に比して供給側が、車両の台数が多いことによるものが、やはりこの事故のふえている原因になっている。

 こういうことを言っていくと、この需給調整の規制緩和、やはり影の部分と言わざるを得ないと思うんですね。ここを私は、やはりどう考えても、適切な需給バランスをとれるような制度というのを、総量規制というのではないんだけれども、少し知恵を出さないといけないのではないか。

 その中で、これはかつて、以前の制度で、新規参入するときの免許申請をするときに、車両一台当たり、運転手、人員を二・三六人用意しなければいけない、こういった制度があるというふうに地元の兵庫県のタクシー協会の皆さんから指摘されて、そういった制度があるということは、一台の法人のタクシーに対して十分な要員を確保しなければ安全運転ができないという意味では、私は大変大事な点だったんじゃないかと思うんです。

 こういった点も、今そういった制度がないというようなことも聞いておりますし、かつてもあったかどうかちょっと確認できないというのが事務局のあれだったんですが、こういったような配慮をして、むやみやたらに増車できないと言うとちょっと語弊がありますけれども、そういった形のことを考えないと、結局は事故もふえる、一人一人の運転手の労働環境も厳しいものになってくる。

 結局、神戸なんかは、先ほど年間三百万円という話がありましたが、神戸の大体のところは毎月十二、三万円ですね。ですから、実態は年金をもらっている方たちしか運転手になれない。高齢化率が五十五歳というのは全国平均であって、恐らく神戸なんかですと六十歳を超えているような状況だというふうに私は実感をしております。

 こういった職場の環境というのを何とか直すことというのはすごく大事だと思いますが、この法制自体が労働環境の改善に資するものになっているのかどうか、なっていなければ、労働環境の改善に向けて新たな施策の実施を検討したのかどうか、この点について局長から御答弁いただきたいと思います。

岩崎政府参考人 事故の状況でございますけれども、先ほど答弁させていただきましたとおり、人身事故の件数は、平成十三年と十八年を比較すると二・五%増加をしております。

 御指摘のとおり、タクシーの事故というのはやはり特徴的でございまして、実車と空車の別で見ますと、空車中の事故がそのうちの二万一千百五十三件でございまして、七六%が空車中の事故でございます。特に、空車で二輪車とか自転車との接触事故が多い、こういうことでございますので、恐らく、空車時に運転者が利用者を探している、そうしたことで車線変更をして二輪車、自転車と接触する、こういうのが非常に多いというのが特徴だろうと思っております。

 私どもは、こうしたことについて、一次的には、こうした事故が多いということを運転者に対して教育してもらって、そうした事故を防止するということがございますが、あわせて、労働環境の改善というようなことについても心を砕いていかなきゃいけない、このように思っているところでございます。

 特に、一つやっておりますのは、新規の台数制限、量的制限というのは私は今の段階で好ましくないと思っておりますけれども、最近やっておりますのは、新規の事業者の方なんかにつきまして、本当に安全対策はちゃんとしているかどうかということについて監査を重点的にきっちりやっていくというようなことをやっているところでございます。こうしたことを通じて安全の確保を図っていきたいと思っております。

 それから、今回の法律自体は、そうした安全に対する講習なんかも充実していきたいということでございますので、事故の防止等々の効果はあるかと思いますけれども、これだけですべてが解決する問題だとは思っておりません。先ほど来大臣が答弁させていただいておりますけれども、運賃改定に対する適切な対応等々を含めまして、あるいは労働時間の遵守等についての監査の強化等々も含めまして、タクシー事業がよくなるようにいろいろな手段を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。

赤羽委員 次に、今回の法改正の目玉でありますタクシー運転手の登録制度について、何点か質問させていただきたいんです。

 今回、この登録をするために講習制度を実施する。これはいいことなんですけれども、やり方によっては非常にお手盛りになる、実効性が図られないという懸念があります。どこがこの講習の実施主体になるのか。会社でやるんだったら、とてもそんなことは内容を伴わないと僕は思いますし、卒業試験みたいな試験をやらないと、ただ何時間だけ座っていれば居眠りしていてもいいような、そんな話だったら何のための法改正かわからない。私は、しっかりとした第三者の権威あるところが講習の実施主体となって、そして、卒業試験、今、地理試験だって東京は三七%しか通らないという実態ですね、しかし、その三七%通ってきた運転手がどれだけ東京の地理をわかっているかというと非常に心もとないのが実態であって、そういった試験を課さない指定地域での講習制度というのは相当考えないと、この法改正の目的に資さない、これが第一点です。

 第二点は、特定地域しか登録者制度をしないと、例えば、神戸で講習を受けない非適格な人は、大臣のところの尼崎市内ならそれでも運転手ができるんですね。何かこういう話はおかしな話だと思うんです。全国一律にこの講習制度とか登録者制度をするというならわかるんだけれども、法の網の目みたいなことができないように、やはりしっかりとした運用をしていかなければいけないのではないかと思います。

 この懸念の二点について、的確に御答弁いただきたいと思います。

岩崎政府参考人 講習の実施主体でございますけれども、現在、東京と大阪ではそれぞれのタクシーセンターというのがやっているところでございます。今回、政令指定都市等を指定する予定にしておりますけれども、これらの地域では既に事業者団体等が自主的にやっている講習なんかがありますので、そうしたものを見ながら、こうした事業者団体等を講習の実施主体として指定しようと考えているところでございます。

 ただ、これだけに限定するかということで必ずしも考えておりませんで、民間の会社で立派な講習をやっているところ、これについて排除することは考えておりません。ただし、そのハードルというのはかなり厳しいものにして、きっちりした講習をやってもらう主体を指定する、こういうことで運用していきたいと考えているところでございます。

 それから、試験は実施いたしませんが、講習の最後に効果測定を行う、ここでちゃんと十分な効果が出なかった、こう判定された人には随時補講を受けてもらう、あるいは再度効果測定を受けてもらう、こんな制度にしたいと思っております。

 それから、地域の件でございますけれども、例えば、先生今御指摘のとおり、今度、神戸市を指定しようと思っているところでございますが、大阪市と神戸市だけを指定して、その間の阪神間の地域をどうするか、こういう問題がございます。

 現在でも、例えば大阪市を指定しておりますけれども、周辺の堺市等を含めておりますので、今回もそうしたことで指定を考えております。すなわち、神戸市域交通圏全体、尼崎、西宮、芦屋、神戸、それから明石あたりまで、このあたり全体として指定して、法改正の目的が達成できるように運用してまいりたい、このように考えているところでございます。

赤羽委員 ぜひ地域指定は、今御答弁ありましたように、運賃ブロックというようなことも考慮しながら一体化の指定をしていただきたい。

 あと、講習制度について、民間でやられているというのは、私そんなに詳しくはありませんが、やはり自社による研修というのは私は個人としてはいかがなものか、こういうふうに言わせていただきたいと思います。

 最後に、大臣に総括的にお伺いしたいのですが、タクシーは、これからの高齢社会にとって、高齢者の皆様のスペシャル・トランスポーテーション・サービス、高齢者の皆さんの特別な足の手段としては、タクシーに役割を期待するところは大きなものであるというふうに私は思っております。また、ビジット・ジャパン・キャンペーンといったような観光の部門においても、タクシーの果たす役割というのは、今よりもさらに大きなビジネスモデルというのが恐らくあるはずなんですね。あと、福祉タクシーについても、もう実施されておりますが、当然まだまだ広がる余地はある。

 役割が大きいんですが、一方では、そこに働く職場としての魅力というのは、現在、大変その魅力に乏しい、若い人が入ってこない。結局、所管ではありませんけれども、厚生年金基金の問題というのは、実はもう大変な経営者の負担、圧迫になっておりまして、そういった問題も、厚生労働省の話というようなことではなくて、ぜひ厚生年金基金なんかについても、所管ではありませんけれども、事業者の所管官庁である国土交通省として、しっかりとした総合的なフォローもしていただきたい。

 加えて、新しいビジネスモデルをつくっていただくために、いいサービスをする。観光では、例えば英語をしゃべれるタクシーが料金が高くなっても、それは私個人は当然だというふうに思っておるんです。そういった運賃体系の自由化というのは、動こうとしておると先ほど答弁にありましたが、少しビジネスモデルができるような柔軟な制度設計をしていただきたいし、経営者が今大変抱えている問題についても、役所の縦割りの壁を乗り越えて、ぜひしっかりとフォローしていただきたい。

 なぜならば、高齢社会にとって、タクシーというのは大変重要な公共的な役割もしていただかなければいけないということはだれが考えても同じだと思いますので、ぜひこういった点を踏まえて、最後、総括的に大臣の御所見をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 タクシーというものは、ドア・ツー・ドア、大変便利な、日常生活において欠くことのできない公共交通機関でございます。また、先ほど来申し上げておりますように、タクシーも経営環境が厳しい中でもいろいろな創意工夫をしてくださいまして、弱者すなわち福祉というような面、あるいは身重なお母さん、子育て中のお母さんたちが使っていただけるような福祉タクシーというようなものも出てきたことは大変喜ばしいことであります。先ほど言われましたように、観光、ビジット・ジャパン・キャンペーンを担当させていただいている私にとりましても、最初に出会う日本人がタクシーの運転手だというふうに考え、そういう人たちが少しでも外国語に通ずるというようなことになれば、その外国人観光者は大変旅行が豊かなものになるだろう。

 そういう配慮から、我々も、福祉輸送普及促進モデル事業ということで、そう多額ではありませんけれども、予算措置をとっておりまして、例えば福祉車両につきましては、それを導入するにはリフトとかスロープ等特殊な部分を加工しなきゃならないわけで、それについても補助をさせていただいております。また、共同配車センターの設立を手助けさせていただきまして、何台かの福祉タクシーが共通にお客様からの電話注文を受けて、そしてそれを配車できるようにするためにセンターを設置する費用とか、放送設備あるいは車載設備というようなものについても補助をさせていただいております。また、コーディネーターの育成補助等もさせていただいているところでございます。

 したがいまして、そういう光の部分をできるだけ市民に役に立つように我々も助成をさせていただきたい、このように思っております。

 将来にわたって健全な経営を維持することができる条件を整備するために、運賃改定申請に対しても、今いろいろなところから申請が出ておりますので、適切に対処したいというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、タクシーというものは非常に市民生活にとって欠くことのできない公共交通機関であるという認識のもとに、健全育成を図ってまいります。

赤羽委員 私は、今回の法改正でこの業界の現状が好転できるほど生易しい状況じゃないということを重ねて申し上げ、ぜひこの法改正以降もしっかりとフォローしていただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 土肥隆一君。

土肥委員 民主党の土肥隆一です。

 私も、タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 私も国会生活十八年目に入りましたけれども、国土交通委員会に所属して、今回のタクシー業務適正化法案というこの法案ほど気持ちの乗らないというか、意欲を持てないタクシー業界の中にあって、あるいは運転手さんたちの中にあって、一体国会が何をすることができるのか、この状況にあって行政が何をすることができるのかということを思うわけでございます。余り元気がない法案だと私も思っております。

 きのう参考人のタクシー業界の方とそれから労働組合の方に聞いたんですけれども、規制がかかっているときにはもうかったのか、こう言いましたら、いや、規制が解除された以降よりはよかったけれども、規制のときも、がんじがらめの料金体系を含めて、規制の中でそんなに業務拡大をするような状況にはなかったと。運転手の皆さんは、どんどん下がって、もはや生活できる賃金を得ていないと。

 規制緩和をしまして車の数が拡大して、景気的な状況もありましたけれども利用者が減って、運転手に対する歩合制による賃金がどんどん下がっていく。一体これを法的に行政的にどう解決したらいいんでしょうか。日本の経済状況、景気状況にもよるわけでありますけれども、結局は運賃を上げる以外ないんじゃないかというふうに思うわけです。

 ところが、きのうのある学者の方の意見によれば、いや、日本のタクシー運賃は内外価格差からいって高いんだ、こうおっしゃるわけですね。日本は高物価状況にありますから何でも高いんです。観光事業にいたしましても、ビジット・ジャパンをやっていただけるのはいいんですけれども、やはり日本は物価が高い。あるのは安全ぐらいだと思うのでありますけれども、安全とてこのごろは、外国人の英語教師が殺されたり、そして、親が飛んでやってきて、日本というのは何という国だというふうに思うわけでありまして、決して安全な国ではなくなった、そういうふうに思うわけであります。

 そうした中で、今回の法案は、端的に言えば、運転手さんの数を減らそうという政策ではないのか。そのためには、講習をして、特に地理試験などやって、それが運転手さんの資質にかかわる、こういうわけでございます。私は、接遇や法令や安全なんというのは当たり前の話であって、講習でお客さんの接遇方法を教えるんですかね、中身はよくわかりませんけれども。そういう意味で、地理試験だけが一種のふるいにかける材料に使われるというふうにも思うんです。

 結局は、日本のタクシーの状況は、運転手さんの資質というか人間的な質というか、そういうところに帰着するわけでありまして、それを講習や試験なんというのをやったって、余り質に関係ないんじゃないかなと思うのであります。

 そういう私の一般的な感想をまず申し上げまして、大臣の反論をお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 タクシー業というのは、大きな会社で営まれておりましても、自動車の中で運転する段階になりますと、雇用主体から一々指示を受けたり指揮を受けたりすることはありません。タクシーの中では運転手さんが社長さんでございまして、我々が運輸事業者に対していろいろとこうあるべきという指導をいたしましても、運転手さんそのものが経営者のような立場で、特に流し運転ということになりますと、営業所、管理体制から離れて一人でやられるわけでございますから、相当程度は運転手さんの裁量、考え方ということで事業が動くことになってしまいます。

 そのような中で、いろいろな競争激化、あるいは長時間労働、あるいは低廉な、悪い賃金というようなことが重なりまして、特に流し運転の地域では、事故等が多発したり、あるいはお客様に過当な運賃を要求したり、中には、行く先が悪いということで乗車拒否をしたりという、大変我々にとっては悲しい事件が起こるわけでございます。

 そういうところから、それを講習したから直るのかというふうにおっしゃるわけでございますけれども、では、それを放置していいかということになりますと、運転手さんの自由な行動で、それはもう良心に任す以外にないという見方もありますけれども、我々といたしましては、やはりこのような機会をとらえて、高齢者に対するあるいは女性のお客様に対する接客態度とか、身重なあるいは子供を連れられた女性に対する接客態度とか、身障者に対する接客態度とか、外国人に対する接客態度、いろいろなものが、我々は理想形が考えられるわけでございまして、そういうものを一緒に勉強していただこう。試験をするというよりは、そういう講習を受けて修了していただくということが重要であろうというふうに思っているわけでございます。そういうことで一歩でも前進させよう。

 そして、例えば、そんなものは意味ないんだということで受けない方に対しては、私の方は、受けてくださいという命令をすることができる。それでも受けないということになれば、もちろん免許の問題にかかわってくるわけでございます。

 また、過去では、そういうことは取り消し事由にはしておりませんでしたけれども、与えた者に対して試験を受けていただいたということで、指定地域内では、その運転手さんがそこで運転手として働くことができるというシステムをとる以上、その秩序違反として、重大な事故を起こした場合にはその指定を取り消させていただくというような制度もあわせ入れることによって、運転手さんにも、自分の良心だけではなしに、ある程度他律規範というもので、こうあるべしということもそこに入れて運転をしていただくということも必要であろう。

 そのような観点から、今回の法改正を行っているわけでございます。

土肥委員 若干反論させていただきますが、年収二百万とか三百万しか稼げない人に、優良な運転手でありなさい、質の高い運転手でありなさいなんて、私が経営者なら言えませんね。では、平均給与五百万ぐらい稼げるような会社にしろよ、こう言われたら、もう反論の余地はないわけでございまして、やはり労働者に対する条件を整えた上で、それをもとにしてというか、良質な、常識のある運転手さんになってくださいというならいいんですよ。その辺はどうなんですか、大臣。

冬柴国務大臣 我が国は自由経済社会を採用しておりまして、民民の話でございます。したがいまして、運転手になるかならないかも自由意思でありますし、どの人を採用するかどうかも、これも雇用者としての自由裁量でやられるわけであります。

 要するに、我々は、過当な労働時間、法定労働時間を超えて働かせるとか、あるいは最低賃金を割るような賃金にするとか、そういうようなことに対してはもちろん法をもっていろいろ介入することはできますけれども、雇用契約の内容について、賃金を五百万保障せよとかいうようなことは、これはするわけにはまいりません。

 そこには、競争社会で、余りにも低廉になれば、そこからやめていきましょう。したがって、そういうような運転手さんが払底してくれば、当然に、やはり高額の賃金を払わなければ採用することはできませんし、また優良な人を求めれば求めるほど、そういうものは高額な賃金を払わなきゃできないということになると思います。

 しかしながら、パイも小さくなっているわけでございます。したがって、今、運賃を値上げしていいかどうかということを政府内で検討しているというのが現状でございますけれども、タクシー事業者に対して取り分を多くするという問題ではなしに、やはり十六時間も働きながら、そしてその所得が、年収がそんなにも、三百万というようなことは、先ほど赤羽委員もおっしゃったように、何か年金かあるいは副所得がなければやれない仕事だ、これではいけないんだろうと私は思います。

 したがいまして、その点については、政府内でも今それをどう対処するかということを検討しているところでございます。

土肥委員 自由経済であることは当然のことでございますけれども、結局、この法案を通して、これに応じて研修を受けてもらう。これはもう強制するわけですね、研修を受けなさいと。どういう人たちがこれに参加するか。タクシーの業界において、結局、低きに落ちていく、低きに流れていく業界なのかなと。本当にプロの運転手として誇りを持って自分の仕事をやっていただいて、胸を張って運転するときに初めてよき接遇も生まれるし、自分の運転のやり方についても、反省もあれば工夫もあるだろう。展望が開けない状況の中でこの法案を通すことは、結局、タクシーの運転手の皆さんに、いわば無理なお願いをしているというふうにしか私には思えない。

 しかし、状況が状況でありますし、景気が悪い時代、少しはよくなったかと言われておりますけれども、少しは向上してくる中であって、多少の希望を持ちながら、この法案を審議してまいりたいと思っております。

 やはり下部構造が上部構造を規制するわけでありまして、自分の生活が危うい中で立派な接遇ができるとは私は思わないんですね。だから、これは困った話だというふうに思っておりまして、事業者に対するいろいろな注文もありますけれども、後で質問をいたしますが、福祉タクシーなども実に規制が多いんですね。本当に、NPOがやろうと思ったら、あらゆる書類を出して、そして最後は宣誓書まで書いて、いかなる罰則も受けますみたいな形でやるわけでありまして、これは、やはり国土交通省あるいは運輸行政の、何か心配の余りに継ぎ足していった福祉タクシーの現状ではないかと思っております。

 幾つか質問を申し上げますが、この指定地域という考え方、今は大阪と東京だけということになっております。これは、指定地域を指定して、その地域にある業者だけが登録して、そして運転手もまたそこで登録をするということだろうと思いますが、タクシーというのは移動しているわけですね。指定地域を越えて何ぼでも行くわけですよ。また行ったところでお客さんを拾って帰ってくる、こういうこともあるわけですね。

 指定地域の基本的な考え方は何なのか、交通局長の説明を聞きたいと思います。

岩崎政府参考人 タクシー事業、営業区域というのを定めております。お客さんは、その営業区域内、例えば東京ですと二十三区を一つの営業区域にしておりますけれども、その二十三区内でお客さんを拾って、そのお客さんをその中でおろすということは、営業区域内での営業ということで認めております。また、営業区域内で拾ったお客さんをその他営業区域外へ運ぶ、これも認めておるところでございます。さらに、営業区域に帰ってくるお客さんを拾うことも認めております。

 ただ、東京のタクシーが神奈川の川崎から横浜までお客さんを運ぶ、これは営業区域違反として認めておりません。そうした営業区域の規定をしておりますので、その営業区域の制度と連動する形で指定区域というのを定めておる、こういう実情でございます。

土肥委員 何でこんなものを決めたんですか。理由は何なんですか。

岩崎政府参考人 やはりタクシーにとって安全と安心というのは重要だろうと思っております。

 例えば東京でいいますと、今地理試験を課しておりますけれども、やはりタクシーの運転手、一つの例でございますけれども、地理をちゃんと知っていることは重要でございます。東京のタクシーが東京都内の地理を知っているから安心してお客さんも利用できる、このように思っておるところでございます。そうした地理に不案内の人が例えば川崎から横浜まで運送するということについては適切ではない、このように考えておるということで、こういう営業区域の規制をやっているところでございます。

土肥委員 これも一つの規制なんですね。タクシーの運転手さんは、タクシーの運転手資格がどういうものかは別にして、プロのタクシー運転手ですよということであればどこへ行ってもいいと私は思うのでございますけれども、やはりそこに区域を区切らないと規制ができない、あっちゃこっちゃ行かれたんじゃかなわないということなんでございましょう。その考えはわかりますけれども、それでどんな成果が上がったんですか、局長。

岩崎政府参考人 今回の法案は、前身がタクシー業務適正化臨時措置法という法律でございまして、昭和四十五年にできた法律でございます。先生も御案内のとおり、昭和四十年代と申しますと、非常にタクシーのサービスについてさまざまな批判が出たところでございます。神風タクシーというような言葉もあった時代でございます。スピードをどんどん出していく、あるいは乗車拒否をやる、近距離のお客さんを断る、こんな問題が非常に多発をしていたころでございます。特にこれは東京、大阪で非常に当時多かったものですから、こうしたタクシー業務適正化臨時措置法という法律をつくっていただきまして、これについて、悪質な運転者を排除し利用者利便の確保を図る、こういうことで制度を運用させていただいたところでございます。

 おかげさまで、少し手前みそになるかもしれませんけれども、一時、世界に冠たる日本の安全、安心たるタクシーという言葉もあったと私は承知をしております。そうした形で、苦情などにつきましても、悪質な運転者の登録件数をとりましても、昭和四十九年は年間三百件に上っておりました。こうしたものは、現在は相当に激減をしております。タクシーの安全、サービスの質の向上が、この間、こうした法律の制度の運用とあわせまして、もちろん事業者の方あるいは運転者の方の努力もあろうと思いますけれども、できてきたもの、このように思っているところでございます。

土肥委員 わかりました。

 これを、政令指定都市、最近のは除いてというような話。だけれども、地方の都市にあって、いわゆる指定地域が必要なのかどうかということですね。少し、国土交通省の皆さんもやや弱腰というか、これでやり抜いていいのかどうか、あるいは、最近政令指定都市になった都市は除くのか。先ほどの質問の中で緊急調整区域の話が、これも私も後で質問しますけれども、そういうもので対応できないのかというようなことでございます。

 もう少し都市を絞ったらどうか、今後起きそうな都市も含めて、あるいは評判の悪い都市も調査して、そんなに指定地域をふやすことで地域のタクシーの運送業務が活性化するのか、かえってマイナスがあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。その点は、私の意見として申し上げておきます。

 もう一つは、運転者の登録制度を今度はっきりさせようというわけでございます。これは大事なことだと思うんですね。これだけ運転手が過剰な時期に、やはりプロとして、専門職として公共交通の一翼を担う、そういう意識を持ってもらうことは非常に大事なことだと思うのであります。

 先ほどの賃金の問題とも重なってくるかもしれませんけれども、一応登録だけしておこうというのは許されないわけでございまして、登録者、登録制度ですね、その法の目的は利用者の利便性の確保というふうにうたっております。運転手の登録制度をある意味で厳格化するということによって利用者の利便が確保されるということでございましょうけれども、利用者の利便といって法案にすぐ出てくるんですね。これがよくわからないんです。

 我々タクシーを利用するときには、自分の利便性でいえば、とにかく早く行きたいとか、そこには公共交通機関がないからタクシーを利用しようとか、あるいは地理が不案内だからとにかくタクシーに乗っていこうとか、プライベートな自分の側の利便はあるわけですけれども、タクシーの側で、特に運転手資格制度というか登録制度、資格制度じゃありません、登録制度ですね、資格制度は二種とかなんとかあるわけですけれども、登録制度をつくることによって利便性が確保される、拡大するとすれば、どんなところに利便性があるんでしょうか。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

岩崎政府参考人 今回の法律は、講習を受けていただくことと非常に不適切な運転手さんに対して登録を認めない、あるいは登録の取り消しをするといった制度を盛り込ませていただいているところでございます。

 今回の講習の中身でございますが、先ほど大臣が少し答弁させていただきましたけれども、タクシーについては、接遇についても、もちろんサービス業としての一般的な接遇だけではなくて、高齢者の方、障害者の方、いろいろな方を一対一で運ぶという交通機関でございますので、そういうことのサービスのあり方についても身につけてもらうということが利用者利便にもつながると思っております。

 また、地理につきましても、やはりお客さん、急いでいきたい、こういうようなニーズが非常に強うございますから、道路状況、利用者の要望に応じた臨機応変の経路選択、こうしたものも必要だろうと思っておりますし、そうした意味で、こうした講習を受けていただくことがお客さんのニーズに合うのだろうと思っております。

 それから、一部やはり悪質な運転手さんが残念ながらおられるのも事実でございます。例えば、乗車拒否を行うであるとか、よい話ではございませんけれども、わざわざ遠回りをして高い運賃を請求するとか、こうした運転手さんがいないわけではありません。そうした運転手さんに対して、再講習を受けていただくとか、余りにもひどい場合は登録の取り消しをするとか、そうしたことをすることによって、繰り返しになりますけれども、タクシーの質の向上を図ってまいりたいというのが我々のこの法案を提案させていただいた理由でございます。

土肥委員 これもまた、利用者の側の反応というのは全く業者や運転手の皆さんにはフィードバックされないんですね。非常に不愉快な思いをしてお客さんがおりていく場合もありましょうし、運転手さんが非常に不愉快な思いをする場合もあると思いますが、それは仕事ですから耐えていただかなきゃいけませんけれども。

 私、東京駅で、一人の障害者が自分の車いすを持ってきて、後ろのトランクに、もちろんトランクをあけてもらって、その後は松葉づえをついて車に乗るんですけれども、自分で一生懸命車いすを畳んで後ろのトランクに入れようとしているわけですね。運転手さんは乗ったままなんですね。相当な時間がかかりましたよ。相当といっても五分ぐらいだと思いますけれども。

 なぜおりてきて手伝わないのか。私は、はらはらしているうちに車いすがトランクへ入りましたからやれやれと思って、その後、その障害者の人は松葉づえをついて後部座席に座る。これは接遇や何やらよりも人間性の問題でして、そこに手を差し伸べない運転手さんがいるとすれば、それはもう初めから雇っちゃいけないんです、そういう考えの人は。

 運転手は運転するだけだから運転席に座っていればいいんだというようなことでは困るわけでございまして、そういう風景を見るにつけ残念に思うんです。何とかやはり利用者の側の意見を集めて、そして業界なりあるいは役所の国土交通省に対してもさまざまな意見が集約されるような方法をとらないと、結局利用者の利便というのは、ほとんどサービス提供側の考え方ややり方に依存せざるを得ないというわけでございます。

 タクシー運転手の登録をなさった、講習もオーケーになってよかったということですが、その後の対応はそれで終わりですか。局長、どうぞ。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

岩崎政府参考人 先生のおっしゃった、利用者のニーズをやはりちゃんと吸い上げていくということは大変重要なことだと思っております。我々のやり方で足りなければ、こういうことについてはさらに努力をしていきたいと思っております。

 ただ、現在でも、必ずしも十分ではないかもしれませんけれども、各事業者団体でありますとか、東京、大阪でありますとタクシーセンターというのがございますので、そうしたものについていろいろな取り組みがされておるところでございます。

 例えば、タクシーサービスアドバイザー制度を東京の事業者団体ではつくっておりますし、また、先生見かけられると思いますけれども、タクシーに乗られますと、はがきがあって、アンケートを書いてくださいとか、あるいは苦情があったらここに連絡してくださいといったことをやっているところでございます。また、財団法人のタクシーセンターでございますけれども、意識調査、モニター調査というのをかなりの規模で毎年やっております。

 こうしたものを参考にしながら、利用者の意見を酌み上げていくということについて努力はしているつもりでございますけれども、なお一層そうしたことについては頑張っていきたい、このように思っておるところでございます。

土肥委員 それは努力は多といたします。

 だけれども、タクシーに乗りまして、このごろ、お忘れ物はありませんかと必ず言ってくれますね。大変結構ですね。私、物をよく忘れるんです。同時に、何か御意見がありましたら、御不満がありましたらどうぞそのアンケート用紙に書いてくださいと一言言えばいいんです。あるいは渡したらいいんです。お金をもらったらそのペーパーを渡して、どうぞ御意見をお寄せくださいと。

 どこで集約するかというのは問題がありますけれども、そこに住所なり、切手を張って出す人はなかろうかとは思うんですけれども、何かやはり電話なり何なりで意見を聴取するとか、もう少しお客さんの反応をとるような方法をやるべきだと私は思っております。そうしないと、つまり、現場は運転手さんしかいないわけですから、そこでいかなる反応をとってくるか、お客さんの満足度をいかにしてとってくるか。それを蓄積することによってタクシー業界はよくなると私は思うのであります。

 そういう現場にいることでタクシーの運転手さんに対する期待が大きいんですけれども、講習で接遇やら何かがあるそうですから、そういうことも加えていただいて、とにかく、前を向いたままちらっと横を向いておつり渡して終わりというのでは、これは世間の反応はとれないわけであります。ですから、そういう努力をしていただいて、ユーザーの側のいろいろな期待や要望が今後の業務展開に反映されるであろうというふうに私は思っておりますので、どうぞお考えいただきたいと思うのであります。

 もう一つ、運転手さんの皆さんは、登録運転者業務経歴証明書の交付を受けるわけですね。局長、これのシステムを説明していただけませんか。

岩崎政府参考人 登録運転者業務経歴証明書のシステムでございますけれども、登録運転者本人の申請があった場合に交付することとしております。事業者が直接交付を受けることはできないということでございます。

 それから、どういうことを経歴証明書に書くかということでございますが、記載事項の内容につきましては、重大事故を起こしたかどうか、それから登録取り消しのような処分を受けたかどうか、こうしたものについて限定するといったようなことを現在タクシーセンターではやっておりまして、こうしたセンターシステムを今回の法律でも盛り込ませていただいたところでございます。

土肥委員 これは重大な交付書だと思うんですね。運転手自身が自分の過去の運転歴を記入して、それをタクシーセンターに出して、受理されたらそれが運転手さんに交付されるわけですね。そういうシステムですね。

 私、六法全書に載っておりました登録原簿というコピーを持ってきておりますけれども、これには名前とか住所とか写真とか、でも運転歴というのはないですね。運転歴というのはございません。もしあるんだったら教えていただきたいと思いますが。ところが、今回はそれに運転歴を入れて、過去、自分が犯した交通違反だとか事故などを記入するわけですね。

 これからタクシーをやろう、タクシー運転手で働こうというときに、いわば負のイメージというか負の記録を自分で書いて出すんですか。その辺はどうでしょう。

岩崎政府参考人 どうした処分を受けたかというようなことについては我々の方で情報がございますので、それを我々つけ加えることになろうと思っております。

 それから、重大事故などを起こしたかどうかということにつきましては、運転手さんの申請もございますけれども、私どもの方でもこうした事業用自動車の業務中の事故についてはそれなりに把握をしておりますので、そうしたデータも活用しながら経歴に反映させていきたい、このように思っておるところでございます。

土肥委員 ちょっと待ってください。それは我々の方で入手するとおっしゃったんですか。例えば、重大な事故を起こして裁判所に係争中であるとか、あるいは相当重い交通違反を起こしたとか、そういうのは国土交通省がファイルしているわけじゃないでしょう。国土交通省はそういうデータを持っているわけじゃないので、どこからその情報をおとりになるのでしょうか。

岩崎政府参考人 失礼いたしました。

 重大事故の報告というのは制度がございまして、警察庁の方から私どもの方に通報いただくというシステムがございます。その内容につきまして私どもは把握しておりますので、それを業務経歴証明書の方に記載する、こういうことでございます。

 それから、処分の方につきましては、私どもの方で処分をいたしますので、その処分歴について経歴証明書の方に記載する、こういうことで考えております。

土肥委員 そうしたら、申請した運転者自身は、自分の過去の経歴を書く必要はないんですね、違反経歴を書く必要はないんですね。

岩崎政府参考人 先ほど少し答弁が間違っておりましたけれども、そういうことでございまして、警察から通報を受けた事案について私どもの方が記載をする、こういうことでございます。

土肥委員 国土交通省と警察庁の間で、運転手さんの過去の運転違反歴が自動的に送られてくるんですか。

岩崎政府参考人 こういうことを通報してもらうという法律がございまして、その法律に基づいてやっていただいております。

土肥委員 それは何という法律なんですか。

岩崎政府参考人 道路交通法の中にそういう規定がございます。

土肥委員 道路交通法の中に、運転者の過去の経歴を警察庁が国土交通省に送付する、オンラインだろうと思いますが、そういうシステムなんですか。

岩崎政府参考人 一定以上の重大事故がありましたときに、こういう重大事故がいつ、どこでありました、そこの事業者はどういう事業者でありました、それから、そのときの運転者はだれでした、こういう情報が私どもの方に、オンラインではございませんけれども、一定期間ごとに我々に通報いただく、こういうシステムがございます。

 こうしたシステムを活用して、監査に利用したり、今回の経歴などに利用したり、こういうことをさせていただいているところでございます。

土肥委員 私も過去に交通違反を何度もしたことがあるんですけれども、そういう記録はどこに残っているんでしょうね。国民の交通違反の運転歴、交通違反歴なるものが警察庁に保存されているわけでしょう。そして、それを国土交通省が照会した場合には警察庁から送られてくるということなんでしょうか。

岩崎政府参考人 連絡がございますのは、例えば、タクシーの運転手さんが起こした事故でも、勤務中の事故にもちろん限られておりまして、プライベートの事故について我々が通報をいただくというわけではございません。

 それから、そうした事故があったという通報につきましては、今、東京、大阪ではタクシーセンターの方で管理しておりますけれども、今度新しく広げるところにつきましては、原簿あるいはコンピューターシステムなどによって管理するようにしていきたい、このように思っているところでございます。

土肥委員 ちょっとわかりませんけれども、それはタクシーセンターに保存されるということですか、それとも国土交通省に保存されるということですか。原簿です。

岩崎政府参考人 国土交通省に保存されて、今のシステムでは、タクシーセンターを経由してその証明書が発行される、こういうシステムでございます。

土肥委員 これは私も、行政手続の中で、どういう法令ないしは規則に基づいてこういうシステムが構築できるのかということは深く存じません。

 私は、以前、住民基本台帳法のときに委員をしておりましたが、これは住民基本台帳でありますから県も国も見ることができるようになりましたけれども、交通違反歴、しかも業務中の違反歴は直接は警察庁にあって、それが国土交通省に原簿として写され、それをタクシーセンターに交付し、それを業者が閲覧することができるのではないかと私は思うんですが、いかがですか。

岩崎政府参考人 業者は閲覧できないことになっております。

土肥委員 私は、いろいろな運転歴があると思うんですね。めちゃくちゃな人はどうにもこうにもなりませんけれども、タクシー運転手をしていて重大な事故を起こしてしまった、それは全部自分が悪いわけじゃない、車の事故というのは、お互いに走っているわけですから、四分六とか五分五分とか言うわけですけれども、それが原簿に載って、重大事故ですよ、載って、それが国土交通省に保存されて、それがタクシーセンターにも送付され、業者が、もしその中のだれかが自分の会社に就職したいと言ったときは、それが参考になるわけですね。それは間違いありませんね。

岩崎政府参考人 業者は直接その原簿を見ることはできませんけれども、経歴証明書の提出を雇用のときに求めることはあり得ることだろうと思っております。

土肥委員 安倍総理は再チャレンジ政策をやるんだとおっしゃるわけですね。私は、人間だれだって幾つかの経歴の中にあって瑕疵はあるわけでございますが、事故を起こしたタクシーの運転手さんの再チャレンジがこれで閉ざされるのではないかなと思うんです。

 これはよほど慎重に、しかも、事故経歴をそのまま載せただけで反論の余地もないでしょうし、警察が処分した後の記録でございましょうから、あのときはこうだった、ああだったという話にはならないわけで、確定しているわけですね。そういうタクシー運転手さんの登録に当たっての、これが第三の規制といいますか、物すごい規制だと思うんですよ。

 それは、どうにもならない運転手さんに退出していただくというのはわかるんですけれども、再チャレンジというのは一体可能なんでしょうか。その辺の局長の感想をお聞きしたいと思います。

岩崎政府参考人 私どもも、今先生がおっしゃっていただいたように、こうしたことで運転手さんの就職の道を閉ざすようなことは本来の目的と考えておりませんし、そういう形で運用したいとは思っておりません。

 ただ、残念ながら、先生がおっしゃっていただいたとおり、どうしようもないと言うと語弊があるかもしれませんけれども、タクシー業界の中で長年運転手さんをされていて、しょっちゅう事故を起こす、しかも、それも果ては酔っぱらいとか物すごいスピード違反であるとか、あるいは乗車拒否なんかもしょっちゅうやっておられるというような運転手さんがやはり一部おられることは事実でございます。そうした人が続いて再びまたタクシー運転手をやっていただくことがいいことかどうか。それは最終的には雇用する事業者の判断ではございますけれども、そうしたものを防ぎたいということでございます。

 先生がおっしゃったことはよくわかりますので、この制度の運用に当たりましては、そうしたことは心がけていきたい、このように思っているところでございます。

土肥委員 いや、私は心配ですね。もうこの一枚で決まり。採用、非採用が一枚で決まり。

 運用について配慮するとおっしゃいますけれども、タクシー業者、社長さんが五名採用する、応募が十名あった、では、その五名に絞るときに面接なんかなさるんでしょう。そして、この過去の経歴を見て、ああ、これはもうこっちからと、自動的に外されるという可能性の方が極めて高い、こう思うのであります。

 だから、結局、過去の重大事故の経歴を重大となぜ考え、かつ、それが今後も引き続き起きるかもしれないような事例、よほど詳細にしないと、警察庁から送られたものを自動的に原簿に載せるということを私は非常にちゅうちょするわけでございまして、そういう意味では、この一項だけで私はこの法案に賛成できるかどうかというくらい考えております。

 ですから、運用に当たって配慮するというよりは、何かきちっとした施行細則でもつくって、これでプロのタクシーの運転手さんの人生が閉ざされるという疑念を私は持たざるを得ない。その辺の措置はどういうふうに考えられますか。

岩崎政府参考人 特に、やはり記載事項をどの程度のものにするかということが一つの議論だろうと思っております。こうしたものをどうするかにつきましては、この施行までに考えていきたいと思っておりますが、先生御指摘の、省令でやるか、あるいは運用でやるのか、そうしたことを含めまして、御意見を踏まえながら適切に対応してまいりたい、このように思っておるところでございます。

土肥委員 もうこれ以上は申し上げませんが、この一項を見たときに、私は最も緊張感を持って見た条項でございます。

 乗り物に乗って、タクシーに乗って動いているわけですから、事故は起きるわけですね。全く事故の回避はできないわけでありまして、ゴールドカードとかなんとかという免許証がありますけれども、それは運転していない人の話だろうと私は思うのであります。そういうふうなことを考えるときに、ぜひともこの辺だけは念入りに配慮をしていただきたい、このように思っております。

 大臣、今の議論について大臣の御意見をお願いいたします。

冬柴国務大臣 タクシー事業者としては、運転者を雇用する、雇用契約を締結するわけですから、その人がどういう人であるかということは、どのような契約関係を締結する場合でも履歴書の提出、その中には学歴、経歴、賞罰等も書くのが通常でございます。

 特に、このような運転者の場合には、特性として、経営者の支配を離れて、長時間の間、会社の名前がきちっと書かれたタクシー、自動車を運転して、そして事故なく帰ってきていただく。もし事故が起これば、会社は損害賠償の請求を当然受けるわけですし、事業者として我々からの処分も受ける。ということですから、それを運転する運転者の素質なり、運転技術なり、あるいは過去にどういう経歴があったかということは、重大な視点だろうと思うわけでございます。

 反面、今からある会社に就職をして、運転者としてもう一度やろうというふうに頑張っておられる方にとって、過去引き起こした大きな自動車事故というものを持っていた場合に就職を阻害してしまうというようなことになる。非常に難しい、人生の非常なせめぎ合いの場面がそこにはあると思われるわけであります。

 私は、雇用主である運転者を採用する会社の人事なり、あるいは小規模であれば会社の社長が、やはりよくその運転手と話し合われて、そして、過去に重大事故が起こっていたということを知らずに採用するよりは、知っても、それはどうだったんだということを、プロですから、そこはやはり話し合われて、また、運転者としても、そこで十分そういうものと真っ正面に向き合って就職しなければ、そういうことを隠した上で就職されるよりは私はベターだと思います。したがって、大変厳しいけれども、そういう中で人生というものが運ばれていくんだろうというふうに私は思います。その点について行政が介入するというようなことはできないところであります。

 ただ、私どもとしましては、事業者に、そういう重大事故というものの事故歴、違反歴というものがあっても、そういうものについて採用のときには十分配慮してほしい、そういう指導をすることはできるだろうというふうに思います。

土肥委員 大変結構な答弁だと思います。

 ですから、運転手を採用する場合のいわば採用のあり方なんですね。社長以下、人事担当がちゃんと面接して、私、できるならば、そこに働いている会社の代表、あるいは労働組合の委員長でもいいですけれども、そういうところを入れて採用していらっしゃるところもあるやに聞いております。やはり多角的な目で新規採用者と面接をして、そこで、本当に確信を持ってこの人には働いてもらおうということであれば、堂々と、今大臣がおっしゃったようなことがあり得るわけですけれども、ペーパーでいわば審査されちゃうともうどうにもこうにも手が出ないということになるんじゃなかろうか、そこには一種の差別が起こるということも申し上げたいと思います。

 最後に、福祉タクシーについて質問をさせていただきたいと思います。

 最近、福祉タクシーがかなり普及してまいりましたけれども、私が一番中心に思っているのは、一つは、国土交通省的な考え方。それから、お年寄りや障害者のお世話をしていただくわけですから、厚生労働省サイドとの間のやりとりが非常に大事だと思うのであります。

 国土交通省サイドの福祉タクシーのあり方については、もう助成金もついているくらいでございますから、余り深く立ち入りませんが、一つ問題になるのは、十九年度の予算で、地方公共団体、タクシー事業者等の関係者から成る協議会を設置し、これが前提になっているんですね、そして計画的な、計画的ですよ、福祉車両の導入など、先進的な取り組みに対して補助を行う、福祉輸送普及モデル事業と。一億円、たった一億円ですけれども、ついているようでございまして、これは税制的にその福祉車両を買ったときの減税であるとかということを考慮しておられるようでございます。これは物のサイドですね、車のサイド。

 それから、運転手についても幾らかの条件がつけてありますけれども、特に、福祉有償運送という、NPOなどによるボランティア組織も福祉輸送にかかわっているわけでございまして、この手続が非常に煩瑣でございます。それから、非常に限定的でございます。

 結局、NPOが運べるのは、身体障害者福祉法であるとか介護保険法であるとかの法的な対象になったお年寄りや障害者を運びましょうというわけですね。しかも、メンバーシップをとりなさい、会員制をとってその人たちを運ぶことはよろしいと。あと、料金がおおむね実費の二分の一程度とか何かいろいろございますけれども、民間による、いわば白ナンバーというんですけれども、自分の自家用車を使って障害者やお年寄りを移送しようというときに、一番の大事な視点は、だれがこれにかかわるかというよりも、もっと具体的な状況に応じて展開されなきゃならない。会員制度というのは、私は余り賛成しないんですけれども、国土交通省サイドの話はわかりました。

 今、厚生労働省で知的障害者やあるいは障害者及び高齢者の移送事業について、どういう状況にあって、どういう制限があって、今言ったような介護保険法上の措置とか自立支援法上の措置がなければ送れないのか。それから、それに対する補助金などはどういうふうに出しておられるのか。その辺をお聞きしたいと思います。

御園政府参考人 お答えいたします。

 NPO法人などのボランティアによる有償運送等につきまして、昨年、道路運送法の改正によって制度化された、これで、今委員御指摘のいろいろな制限があるというようなお話もありますけれども、各地でいろいろなそのような事業が着々と展開されているところは、私ども厚生省としても、その件に関して、国土交通省と協議をしながら来たところでありますので、今後これからも展開していきたいと考えているところであります。

 それで、御指摘の介護保険法なり障害者自立支援法体系の中での移送に関する私どもの現況について御説明させていただきたいと思いますが、基本的には、介護保険法の世界では、要介護状態にある高齢者に対する日常生活のための介護サービスを提供するという考え方でございますし、障害者自立支援法においても、介護や訓練といった直接利用者を処遇するものを給付の対象としているところでございますので、輸送に係る運賃のような移送費自体については、これは御承知のように、給付の対象とはしていないところであります。

 しかしながら、在宅の要介護高齢者だとか、それから障害者の皆さんが病院などに通院する場合の乗降の介助などに係る部分については、訪問介護サービスにおける給付の対象として給付費が支給されるようにしているところでございます。

 それから、要介護者なり障害者の移動が困難な方々について、直接どのように対応していくかということにつきましては、制度をつくるときにも私どもの中で議論があったことは御承知のとおりでございますが、今申し上げましたとおり、そのものを制度的には直接はとらえておりません。

 ただ、私どもの基本的な考え方、それから制度の中のことを申し上げますと、要するに移動が困難な方の状況というのは、地域の実情によって違うだろう、都会と過疎地も違うだろうというようなことを前提にいたしまして、国として統一的に費用の助成をするというよりも、今申し上げましたような、地域の実情をよく知った地域の方が、地方公共団体が適切に対処していく方が適当であろうという考え方に立っております。

 具体的に申し上げますと、まず介護保険制度の中で、保険者である市町村の判断で、市町村特別給付という仕掛けをつくっておりまして、これは保険者である市町村がその財源を拠出することを前提に輸送サービスを給付対象としてもいいという仕掛けをつくっておりまして、現在四十市町村ほどがこのサービスを条例化して提供しております。

 それから、これは今、介護保険の仕組みの中でそういうことをやってもいいというのでやるということがありますけれども、それ以外に、地方の単独事業として、例えばタクシーチケット等を給付するというようなサービスを提供している団体があることも御承知のとおりでございます。

 それから、障害者につきましても、地域生活支援事業の移動支援事業というのをつくってありまして、これは昨年の十月からでございますけれども、その中で、地域生活支援事業はメニュー化しておりますので、そのメニューの中に車両移送型という巡回バスなどによる移送支援を行うことが可能なように措置をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、各自治体の状況に応じていろいろな取り組みが進められていくべきものであろうというふうに私どもとして考えているところでございます。

土肥委員 時間が来ましたので、本当はここをもう少し時間をとるべきだったと今反省しているわけですけれども、要するに、国土交通省はタクシーあるいは自家用車の使い方については決めますけれども、どういうふうに使うかというところになりますと、今お年寄りだと介護保険法、障害者だと自立支援法の認定を受けて、その部分についてはお金を、幾ら出すかはちょっと聞き忘れましたけれども、一回八百円とか何か出すんだそうでございます。タクシーの運賃そのものについては一切見ないんですね。

 これが一番大事なんです。ここを障害者に全部かぶせますと、月に五日間ぐらい通所して、タクシーで通所をしたら、距離によりますけれども、五万も六万もかかると思いますね。そうすると、障害者年金なんというのは吹っ飛んでしまうわけですよ。

 ですから、ここはタクシー業界のためにも、運賃の部分に、国土交通省も厚生省も歩み寄って、そこをやはり補助してもらわないと結局本人負担、こういうふうになりますので、ぜひともそういうやりとりをやっていただきたいということをお願い申し上げます。

 今国土交通省では厚生省に対してどういう話をしているんでしょうか。運賃の問題については議論しているんでしょうか。今、ちょうどお二人いらっしゃるので、答えてください。

岩崎政府参考人 こうした福祉輸送分野では、厚生労働省さんと我々とが連携していくことは重要であろうと思っております。

 たしか、介護保険ができたときに、どれだけ運送費を見るかといったような議論がございました。そのころから含めて、いろいろな形で議論させていただいておりますが、介護保険での考え方もございますし、私どもも地域の輸送をちゃんとやっていきたいという考えがございますので、よくこれからも意見をすり合わせていいサービスを心がけたいと思っているところでございます。

土肥委員 厚生省、一言どうですか。

御園政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、高齢者の方あるいは障害者の方の移動ということは大変重要な問題でございますので、従来からも国土交通省と私ども厚生労働省と連携をとってまいりましたけれども、これからも同様にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

土肥委員 終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 きょうは、かねてより私も関心が高くありまして、道路運送法の改正のときにも思いを込めて質問したこのタクシー問題について、今回も質問させていただきたいと思います。

 まず、その前に、安全とは何か、あるいは規制とはどうあるべきかということを教える悲しい事故がせんだって大阪の吹田市でございました。エキスポランドのジェットコースターの死傷事故でございます。

 端的にお聞きいたしますが、これについて、いわゆる安全、それにかかわる規制、検査、そういうものについての教訓と反省点、そして、今後、危険な遊戯施設に対する国土交通省としてのかかわっていく方針、これについて大臣にお伺いをいたしたいと思います。

冬柴国務大臣 楽しかるべき連休の中日、しかもこどもの日にこのような大変悲しい事故が起きてしまったことはまことに遺憾でございまして、犠牲となられた、亡くなられた方の御冥福を祈り、また、重軽傷を負われた方々の一日も早い御快癒を祈るものでございます。

 お尋ねのとおり、遊具は、コースターのようにレールの上を、鉄軌道の上を高速で走行するものや、あるいは観覧車のように上空で回転するもの等がございますが、いずれも、これを設置する場合には、建築基準法に適合したものでなければならないということで、建築基準法に基づく建築主事、特定行政庁もあるんでしょうけれども、適合しているかどうかという専門的な方の検査を経て、そして建築許可等が行われてつくられるわけです。

 その後、そのままほっておくわけではなしに、定期的な検査を受けることを義務づけているわけでございます。それは半年以上一年以内ということで、それぞれ特定行政庁が決める期間ごとに検査を受け、そしてそれを特定行政庁は報告を受けるという形で、適正にそれらの保守管理が行われているということが確認される仕組みとなっているわけでございます。

 そういうことを考えますと、私は、建築基準法、あるいはそれに附属する政令とか通知とか、そういう、外から見ていわゆる規制の内容が何人にもはっきりわかるような形でやらなければならないなという深い反省を今しているところでございます。

 特に軸受けとか車輪軸というような、経年することによって劣化していく、これは常識の話でございますので、そういう部分については特に、定期的に取りかえるとか、あるいは、そうでなくても、検査のときに年に一回はいわゆる傷をしていないかどうかという探傷試験を行うというような手法が日本工業規格、JISでは決められているようでございますから、そういうところで決めてある、それはそれとして、もう少し我々が、建築確認をし、そしてそれをその後定期的に検査するということであれば、その範囲の人は全部わかるように、それはしなきゃならないんだということが周知されるような形の法規範というものが必要ではないか、私はそのような反省に立っているところでございます。そのような検討をしたいというふうに思っております。

古賀(一)委員 私もジェットコースターには二回、三回乗ったことがあるんですけれども、恐らく、ジェットコースターに乗られる国民の皆さんは、要するに、死ぬほど危ないとか死ぬほど怖い、だからこそ絶対安全なことになっているという前提で実は乗っていると思うんですね。

 今大臣がおっしゃったように、実は建築基準法の規定がある。それは年に一回、特定行政庁が決める期間にしなさいとなっているけれども、具体的な点検方法については規定がないと思うんですよ。それで今度はJISに任せていると。JISだって、車軸について、傷を探す探傷検査というんですか、これをやるというけれども、これをしなかった場合の罰則を含めて義務なのかどうかも定かでない。

 こんなことで、あの恐ろしい、我々が命がけで乗るような気持ちになって乗る、しかし、前提には、絶対それは安全が一〇〇%確保されているということで乗っているこれについて、これほどの体制であったのに私は愕然として、今後当分の間、私も子供も、孫がおれば孫にも、乗るな、こう言わざるを得ない規制の現状ではないかと私は思います。

 今大臣が、新たなそういう法制強化というものについての検討が必要だと言われまして、それはぜひやっていただきたいと思います。しかし、この問題は、実は、今から申し上げます、今度は、いわゆるタクシーにおける輸送の安全の確保というのが今回の法律で提示されておりますけれども、私は、規制と安全、安全確保についての規制というものは本来どうあるべきか、それに政府はどうかかわるかという問題では共通しているように思いますので、冒頭、このジェットコースター事件についてお聞きをしたわけであります。

 今のとおり、ジェットコースターについては法制度は不十分と思う、今後検討を進めると理解しましたので、それはそれで了解をいたしたいと思います。

 それで次に、二〇〇二年の規制緩和、需給調整規制の廃止以来、直ちにタクシー過剰、タクシー運転者の労働条件の悪化というものがずっと今日まで言われてきました。国会のみならず、新聞にもたくさん載っておりますし、現場からの声もたくさん私は聞いております。

 そういう中で、今回、法律の改正、いわゆるタクシー業務適正化特別措置法の改正ということで出ましたけれども、私が今まで道路運送法で質問したこと、あるいは皆さんが質問してきたことにこれが答えているかという点については、私は大変な疑問としなければならないと思っています。

 そこで、今回の、これまでこれだけ指摘された問題について、タクシーサービスの将来ビジョン小委員会、これを立ち上げてやっているんだ、やります、こういうのが、前回、私が道路運送法で質問したときの政府の答弁であったんですけれども、これについての目玉というか、改正案じゃなしに報告書ですよ、報告書の提言の体系はどういうふうになっておるんでしょうか。

岩崎政府参考人 平成十七年の十月に交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会で、タクシーサービスの将来ビジョン小委員会というのを設置いたしまして、先生今御指摘の規制緩和後の状況を踏まえ、輸送の安全、利用者利便等々を考えながら、今後のタクシーはどうあるべきかというのを御審議いただきまして、昨年の六月に報告書がまとめられました。

 タクシーのサービス、もちろん、迅速に安全、快適に二地点間を輸送するというのが根本でございますが、残念ながら、特に、やはり地方部などを中心に、だんだんタクシーの輸送需要が減少しているという実態もございます。それから、高齢化社会が進んでいく等々で新たなニーズなどもいろいろ生まれてきております。

 そうした状況で、従来のサービスを基礎としながら、今タクシーに期待されている役割、今の輸送需要が減少している現状、こうしたものを踏まえつつ、さらにタクシーが将来ビジョンを持って発展していくにはどうすればいいかというようなことを中心に考えていただいた、このように認識をしております。

 総合生活移動産業への転換が必要だ、こういうことで提言をいただいておりまして、繰り返しになりますけれども、公共交通機関として安全で安心なサービスを提供するというのを軸としながら、高齢者の方の輸送にこたえていく、あるいは障害者の方の輸送にこたえていく、あるいは観光案内ができる、あるいは子育てタクシー、こういういろいろな視点で、新しいニーズなどについても対応できるようにタクシーサービスはなってください、こういうことを提言をいただいたところでございます。

 安全、安心のためには具体的にどうしていくか、あるいは多様化、高度化するニーズに対してどう対応していくか、それから、渋滞や環境問題への対応をどうしていくかというようなことを幅広く提言をいただき、行政がやること、事業者がやること、団体がやること等々、まとめてもらったところでございます。その中の一部に、今回の運転者要件の見直しあるいは登録制度の拡大というのもまとめていただきまして、今回の法律の改正を見た、こういうことでございます。

古賀(一)委員 まず二点、今の答弁を聞いて指摘しなきゃならぬと思うんです。

 タクシーの需要減あるいは低迷というものが続いてきた、そういうのも踏まえて検討とありますけれども、これは二〇〇二年、需給調整規定の撤廃のときに、その以前に、こういうことはもう既に組み込んで、読み込んで検討して、需給調整規定の撤廃というか、政府は一気の撤廃をやられたんですね。それを段階的にやるべきだったかとか、そういうことをその時点で検討すべきだったと私は思うんですよ。その後ににっちもさっちもいかないこういう状況になったから、タクシーの需要が伸びない、減少でというのは、やはり今後、法規制を考えていく上でも、ぜひ政府にはそういうスタンス、将来をもっと総合的に予測していくという立場から議論して政策なり法案をつくってもらいたい、私はきつく申し上げたいと思うんです。

 その中で、今度提言された中に総合生活移動産業への脱皮というか転換、こう言葉は大変夢があるんでありますけれども、その中の一部としてこの法案を出した、安全、安心にかかわるものとして出した、こういうふうに今説明があったと思うんですけれども、そうならば、今後、残された課題あるいは改正、どういうものを予定されているんですか。積み残しがあるんでしょう。

 私が一番心配しますのは、このタクシー業界の問題についてこれだけ問題がある、これだけ各界から提言をされ、悲痛なる叫びも聞こえてくる、その対応は、今回、この法律です、タクシー業務適正化法ですと。これでちょんになりはしないかと私は大変危惧するわけであります。

 今後、この提言を受け、この小委員会の報告のみならず、これまでの国会審議等々を踏まえて、タクシー業務の適正化として、今回はこの運転手に着目した法改正をしたけれども、後は何が残って、何を改正として手だてをしていかなきゃならぬと認識しておられるのか、それをぜひお聞きしたいと思います。

岩崎政府参考人 幾つかの点があろうかと思っております。

 まず、安全、安心の点について申し上げます。

 今回も安全、安心ということで、運転者の質の確保ということでこの法律を出させていただきました。これまでの議論に出ていますとおり、この安全、安心というのは運転手さんだけにしわ寄せするということではないんだろうと思っております。やはり事業者の方でも、この安全、安心というのをきっちりやってもらわなきゃいけない。これは重要だろうと思っております。

 このために、これは昨年より、繰り返しになりますけれども、監査体制を強化し、あるいは処分体制を強化しというようなことで、安全、安心を一層推進していく、あるいは運輸安全マネジメントをやっていくといったことで、施策を重ねているところでございます。今後とも、必要に応じ、安全、安心のための適切な対策を打っていきたいと思っております。

 それから、多様化、高度化するニーズに対応したサービスの提供の促進でございますけれども、こうしたものについて、タクシー事業者の方でも、今申し上げた福祉のタクシーが普及してきたとか、あるいは、子育てのために保育園の送迎なんかについてタクシーを利用されるとか観光とか、いろいろな面での新しい動きが出てきております。こうしたものをやはり普及していきたい、こう思っておりまして、それは別に法律ではございませんけれども、そうした事例を私どもがいろいろ把握をして発信をしていく、こんなことなんかもやっていきたいと思っております。

 それから、特に、やはりタクシーというのは、一つの問題として、いいサービスと悪いサービスがなかなか選択がされない、こういう問題がございます。

 来たタクシーをつかまえていくという、特に流しの世界ではそういうことでございますけれども、なかなか、良貨が悪貨を駆逐してくれればいいんですけれども、どちらかというと悪貨がまだ残っちゃう、こういうことがございますので、これは今申しました今回の規制強化とあわせて、やはりいいタクシーとかいい運転手さんを褒めてあげる評価とか、そういう制度なども考えていかなきゃいけないと思っておりまして、法律制度の話ではございませんけれども、そういういろいろな取り組みを総合的にやっていきたいと思っております。

 それから、運賃に対する問題でありますとか、午前中の審議でも出ておりましたけれども、緊急調整措置の運用でありますとか、タクシー産業についていろいろな問題が出ていることは我々も承知をしておりますので、この法律もその一つだと思っておりまして、いろいろな手段を組み合わせながら、日本のいいタクシーサービスというのをいい競争環境の中で育てていくということをぜひ心がけていきたい、このように思っておるところでございます。

古賀(一)委員 安全、安心が重要で、今回は、全部とは言わないけれども、運転手については対応をした、今後の課題はあるというふうに聞こえたわけです。

 私は、これを第一発目のといいますか、前回の道路運送法は、いわゆるボランティア団体、NPOによる福祉タクシー的な改正措置だったんですけれども、いわば今の、需給調整規定撤廃以来のいわゆるタクシーの過当競争と、とりわけその結果としての運転手の皆さんの低賃金、過重労働。生活保護世帯よりも低い現状が山ほどあるんですよ。そういう現状に対する答えとして、直接じゃないんだけれども、一つの答えがここに出された。

 私は、この機にもう少し、これだけの法体系ではない、新しい仕掛けをぶっ込んでおくべきだったと思います。低賃金、過重労働について厚生労働省とも協議をして、もう少ししっかりとしたそこの下支えをする仕組みを考えるとか、そういうものは私は必要だったと思うんですよ。

 それで、今の答弁で、いろいろあと課題はあると、検討するような雰囲気でもありましたけれども、再度私は申し上げますけれども、今回の改正は、ある面では、意地悪く言えば当面これで目くらまし、やりました、これでちょんになりはしないかというのを一番私は心配しておるんです。

 運転手の皆さんの御意見も私は聞いたんです。聞きました。こんなことでは困る、本来は我々運転者の、運転手のこういう資質とか登録とか取り消しとか、あるいは指定地域の拡大じゃなくて、本質的な、もっと根源的な部分、需給、いわゆる行き過ぎた新車導入というか新規参入ですよ。自動車、タクシー業界の産業構造として、これは本当に低廉にどんどん参入できると、きのうの参考人の御意見でありました。そういう特殊事情から見て、必ずこうなってくるんですね。

 そうしますと、私は、運転手の皆さん方はこれは反対だとおっしゃるんじゃないかと思ったんです、そういう論理で。ところが、現実はそうじゃありませんで、三歩前進でも一歩前進でもないけれども、でも、少なくとも半歩前進ぐらいにはなると。

 それは、結局、運転者の資質の部分で、資格の部分で、一つのエンクロージャー、バリアをつくれば、今みたいに、うちの会社の社長が、あるいは業界全体が、労働力は幾らでも来るといって、それを目当てに新車をじゃんじゃん買っていく、ふやしていく、運転手は後からどんどん募集する、こういう構造に少しなりとも運転者の資格というバリアで歯どめがかかるだろうという意味において、皆さんは、しようがないというか、賛成だ、こう思っておるように私は見受けるんです。

 だから、ある面では私は非常にせつない賛成だと思うんですね。本来は、もっときちんとしたタクシー業界の全体の秩序をつくってほしいけれども、とりあえず運転手の資格にかかわるこういう制度でも、少しは過当競争というものが防げるかもしれぬというような感じで賛成していると私は思うんです。そういう面で、私はそれでは満足しないんですね。

 道路運送法改正のときに私が懇々と一時間以上申し上げたように、規制緩和、車の台数制限といった本質的な部分についてもう一度、ドラスチックにもとに戻るわけにいかないでしょう、私は、本来、段階的規制緩和というもので瀬踏みをしながらやるべき分野だと思うんですよ。それを、今までは完全に需給調整でやって、二〇〇二年に突然ぱっと業全体を、全国にわたって、全都市にわたって規制を引っぱがしてしまった。ここに問題があったと私は思うんです。

 そこで、私は、今の本質的問題については、適正台数、きのう参考人の方で御指摘がありましたよ、適正台数をどう見るのか、適正運賃は何なのか、そして運転者の資質はどうあるべきか、この三点で初めて、私は、運転する方も事業者も国民も、これならいいとなると思うんです。今、運転手に全部しわ寄せが来ているように思う。

 この点について、大臣、私の指摘を踏まえて、いわゆる台数についてもう少し、二〇〇二年に需給調整を完全に放棄してしまった、もとには戻らぬ、戻れないというお考えなのか、少しなりとも本質部分にもう一回検討の目を注いでみようというお気持ちがあるのか、それをただしたいと思います。

冬柴国務大臣 御指摘は、専門家の方もそうでありますように、非常に車両が過剰で、乗客も少なくなって、したがって、運賃収入、タクシーの売り上げも著しく下がっている、こういう事態が生じていることは事実でございますが、これと規制緩和との直接的な因果関係がどこまであるのかという問題については、私はちょっと違うんですね。

 例えば、公共交通自体、私鉄とかバス、地下鉄、いろいろありますが、それと乗用車、問題は自家用乗用車ですね、この普及が余りにも著しくて、規制緩和の時点の以前、平成十年時点ぐらいと比べてみますと、公共交通機関に乗っていた人が五〇%ある、そしてそのときには自家用乗用車も五〇%ぐらいだった。これが現在ではどうなったかといいますと、一六%しか公共交通機関を使っていなくて、残りの八四%はすべて自家用乗用車に乗っている、そういう時代を迎えてしまったわけでございます。

 したがいまして、その自家用乗用車に乗れなかった人、例えばそれが旅行者であり、あるいは福祉等で、自分で移動することが困難な方々が公共交通機関なり福祉タクシーなりを利用しなきゃならない、そういう人が大宗を占めるようなことになってきているというような事態だと思います。

 ちなみに、十三年末からの車両数の伸び、車両というのはタクシーですけれども、全国で二十万八千五十三だったものが、十七年度末では二十二万一千五百七十一、確かにふえているんですが、これは一〇六・五%、六・五%ふえているわけです。ただ、地域によっては、仙台市におきましては一三七・三%ふえています。それから、金沢も一二一%、東京は、もちろん三多摩も含めて一一二%、大阪は一〇九・四%という、これは客観事実なんですね。

 ですから、規制緩和したから倍にもふえたというわけではないわけです。しかしながら、客は、物すごく自家用乗用車を利用する人がふえた。それからもう一つは、やはり不況ということで、タクシーに乗る方が他の交通機関にやはり乗りかえた人が多くなった。

 私は、そういうものがずっと競合して、今日のタクシーの、特に運転者の方々の目を覆うばかりの低賃金というのはそういうところから出てきたんだろうというふうに思います。

 では、これはどういうふうにしたらいいのか。参入規制を前のようにやるかということになりますと、これはなかなか難しいと思います。ここは国民もなかなか納得しないだろうと私は思います。一たん規制緩和したものをもとへ戻すことはできない。しかし、そこには一つの安全弁がつけられてあります。それが供給過剰がある場合の緊急調整措置でございます。

 緊急調整措置は、もちろん地域を定め、沖縄なら沖縄県というところを地域を定め、そして期間も切って、その間の新規参入とかあるいは増車、既存業者の増車をそこで一たんとめるという緊急措置でございます。これは行使できると思いますけれども、しかし、これは大きな規制緩和の流れの中でこういう例外措置を決めたものですから、大変要件が厳しくなっております。

 したがいまして、私は、ここでこの部分をどういうふうに考え直したらいいかという検討をやはりしかるべきところでしてもらう必要があるだろうと思います。そして、本当に過当な、例えば先ほど言いましたように、一三七%といえば全国平均の一〇六から比べれば非常に大きな台数が町にあふれているということが想像されるわけでございますから、こういうところはどうしたらいいのかということも、これは視野に入れて検討するべきであろうと思います。

 そのほか、運転手さんの所得については、今、各地でタクシー料金の値上げ申請が出ております。この問題につきましては、物価に対する影響等も大きいものですから、法でも、その手続上、政府内でも検討するような機関が設けられておりますので、そういう手続を経ながら、私は、そういうものを通じて、運転者の所得というものがもう少し増額される方向に働くようにやっていかなければならないのではないか、このように考えております。

古賀(一)委員 いろいろな論点、御説明を大臣からいただきましたけれども、その点でちょっと気になるところ、否定しなきゃならぬところを私は申し上げたいと思うんです。

 マイカーの話が出ました。これは、いわゆる国民のライフスタイル、志向の問題、モーダルシフトといいますかそういう問題で、確かにそういう面はあるでしょう。

 でも、現在起こっているタクシー業界の構造的な問題、つまり不況がある。会社は自由競争になったから幾らでも増車をできる。だから、経営者としては金さえ出せば車はふえる。それだけに労働集約型のこの産業に皆さんが来て、要するに過当競争の中で人件費が一番でかいものだからこれを抑えにかかる。そして現に、生活保護基準よりも年収が上回っている県は十二しかないというんですよ。あと三十五県は、タクシー運転手の皆さんの平均年収が生活保護世帯以下だという現状が現にあるんですよ。

 自家用車がふえたというようなそういう状況は、もっともっと大きな問題。しかし、所管の、もう現にそういう問題があるというところには、人権の問題、福祉の問題、もちろんひいては安全の問題、そういう視点から、先ほどの緊急措置みたいなきついあれではなくても、それに見合う何かの手だてをしても私は国民は納得すると思いますよ。

 道路運送法のときに私は申し上げましたけれども、繁華街に行きますと、夜、景気のいい金曜日であっても、例えば六車線のうち往復四車線がタクシーの空車でずっと埋められておる。これはもう外部不経済ですよ。一般交通までできなくなるぐらい過剰なタクシーがあふれている。そこまで私は来ていると思うんです。

 これは、ヨーロッパにおいても、きのうの参考人のお話で、ソーシャルダンピングだ、社会的ダンピングと言われるぐらいやはり問題にされているという御意見もありました。

 規制緩和の流れだからそれには逆らえないと。あとは知恵の出しようですよ。別の切り口からの規制というのは当然あっていいわけでありますから。ジェットコースターがいい例です、薬がいい例です。国民の安全にかかわることはやはり政府が規制しなきゃだれも規制しない。政府はそのためにある。規制をするために、ある面で政府はあるという分野もあるわけですよ。

 そういう面から見れば、今のタクシーの現状を見たときに、もっとひとつ、この運転者の資格にとどまらず、今後の適正台数というものはどうやったら確保できるのか、すべきなのか、そういう視点をやはり国土交通省は、このタクシー産業と、あるいはそこに働く労働者の皆さん、経営者の皆さんに対して責任を持っているわけですから、国民に対してと同様、そちらにも所管庁として私は責任があると思うんですね。私は、そういう発想で少なくとも検討を始めてもらいたい。

 私が心配するのは、おととい私はイラク特で一時間質問したんですけれども、中東情勢も本当にどうなるかわかりませんよ。本当にわからない。これは原油が、まあ、今OPECはおとなしくしていますけれども、何があるかわからない状況の中でガソリンはどんどん上がっている。あと数年後に、LPGであろうと軽油であろうとガソリンであろうと、暴騰するかもしれない、高騰するかもしれない。そのときにまた今のような問題意識で、運転者の質だどうのこうの言っておれば、結局、原油高という、それは運転手の皆さんにまたしわ寄せが来ると私は思うんですよ。

 だから、そういう意味で私は、今後、今大臣がマイカーであるとかおっしゃった中には、なかなか規制緩和については見直す余地はないというふうに受けとめたので、私はそうではないと言って、この点、ぜひもう少しいろいろなシナリオを今の時点から考えるべきだろうと思っております。それがトータルとしてのタクシー業務適正化というものにつながるんだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 同じようなことが建設業でもあるんですね。ですから、だからといって建設業者の数を規制するわけにはいきません。

 そして、先ほど古賀委員は、ジェットコースターでも規制があると。これは社会規制、危険な部分については当然規制するのは当たり前で、我々がそれは責めを負っております。

 しかしながら、商売がうまくいかないからということでその数を規制するということは数量規制でありまして、これは過去やっていたわけです。しかし、それは自由主義経済のもとで非常に異常だということをずっと言われていたところです。したがって、それを撤廃した。

 これは、古賀委員がおっしゃるように、一挙にやったということは、これはやはり段階的にやるべきだったかもわからないという反省はあるとしても、だからといって、今もう一度そういう事業者の数を規制するような形は私はできないだろうと。

 これはやはり、やるとしても非常に例外的で、緊急の調整措置のような形で、部分的に、非常に過剰になっている、そして、それが事故も起こしている、売り上げも下がっている、そういうようなところについて規制することは許されると思います。しかも、場所と時間を区切ってですね。

 ですけれども、一般的にこれは成り立たないということで、そして、過剰になっているその事業者の数を規制によって抑えるということはできない。我々は、そのことによって生ずる安全、安心というものに対する、国民をそこから守るというためには、厳しい事後規制をきちっとやる、私はそれしかない。

 それで、厚生労働省と我々が共管して、労働基準法に違反するような労働が行われていないかどうか、最低賃金を割るような賃金体系になっていないかどうかというようなことで、我々は事業者に対して厳しく指導もし、そして持てる力で対処もしなきゃならない。けれども、それから進んだ形では、それは安全、安心というんじゃなしに、総量規制なりそういう事前規制というのは、資本主義社会の中ではそぐわない形になっている、私はそのように思います。

古賀(一)委員 それでは、再度お聞きしますけれども、この法案で、今回、運転者の資質について、新しい地理試験であるとか指定地域の拡大とか相なることになりました。これで、野方図な運転者がふえるとか、新車がまずは経営者の意向でじゃんじゃん増車されるとか、こういった今の流れに歯どめは一部なりともかかると予測しておられますか。

岩崎政府参考人 私ども、今回の法律を提案させていただきましたのは、一部ではありますけれども、タクシーの運転手さんの方に非常に悪質なあるいは危険な運転をする、こういった人がおられるので、そうした人を排除したい、それから、タクシーの運転手さんの質を講習などを通じてレベルアップしたい、こういうことでございまして、反射的にあるいは副次的に、今先生おっしゃっているような、供給制限につながるようなことは、ゼロとは申しませんけれども、そこを別に期待しておるわけじゃなくて、本当にタクシー全体の内容をよくするために、質の向上を図るためにこういう制度を提案させていただいた、こういうことでございます。

古賀(一)委員 いや、私はもう本当にそういうことで期待しているんですよ。私は期待すべきだと思うんですよ。

 規制緩和、緩和というものはもとに戻れない。今度、運転手の皆さんに講習を受けろとか、取り消し要件を課すぞとか、地理試験だよ、勉強しろ、こういうのを課すわけですから、やはり私は今後の運用にもかかわってくるので言いますけれども、この制度によって、ある程度エンクロージャーというか囲い込みというものができて、優秀な者しか、一定の資質を持った者しか入ってこないということによって需給調整的なというか、今のような、仙台あたりはもうタクシーの運転手さん、大阪もそうですよ、客取りのけんかをやったり、こういう状況まで起きているわけです。

 そういうことと、生活保護以下にまでなっているという現状を、こういう手段によって、政策目的として減らしていくんだ、改善していくんだというのをはっきり持っていいと私は思うんですよ、二つの政策目的を。だから、今後これが運用の問題につながってくると私は思いますので、次にお聞きをしたいと思います。

 その前に厚生労働省ですね、せっかく来てもらいましたので。これはもう現状の報告になるかもしれませんけれども、大変厳しい状況というその実態を政府の方からお聞きしたいと思うんです。

 この産業は労働集約型ですね、そして人件費の比率が非常に高い。しかし、それがしわ寄せの対象になる。そういう状況の中で、今労働行政の視点からいえば、ほかにないような大変厳しい状況があらわれていると私は思いますけれども、厚生労働省として、タクシーの労働条件、賃金、最近のトレンド、そういうものをどういうふうに真剣にお考えであるか、認識を伺いたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 タクシー労働者の労働実態について申し上げるならば、平成十八年の年間の総実労働時間、これにつきましては二千四百十二時間でございまして、全産業と比べまして二百四十時間長くなっております。また、年間の賃金でございますけれども、これは三百二十八万円でございまして、全産業と比べまして百六十一万円少ないという状況でございます。また、近年、収入低下に伴いまして最低賃金を割り込むなど、労働基準関係法令上の問題も生じているというふうに認識をしているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、タクシー事業主に対しまして、これまでも積極的に監督指導を行ってまいりましたけれども、賃金、労働時間等の労働条件について、労働基準関係法令違反が確認された場合には厳正に対処してきたところでございまして、引き続き、その的確な実施について努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

古賀(一)委員 今の数字を見ても大変厳しい状況が生まれている。先ほど生活保護以下の話をしましたけれども、これもそうです。私の地元で、九州です、福岡で、私は、ハイ・タクの組合の皆さんと、かなりしばしば現状を聞いたり、意見を聞いたり、苦しみを吐露されたりしておりますけれども、本当に月収十万に手取りなりませんよという人がたくさんいるんです。

 きょうもここに来るとき、私はタクシーで来たんです。もうわずかな六百六十円の一区間でしたけれども、いつも聞くんです、どうですかと。給料、失礼だけれども今手取り幾らですか。地元では十万以下という人もおる。きょうお答えになった方は二十万。しかしながら、私は、月給十万で、地元、田舎とはいえ大変だなと思う。

 しかし、タクシーの運転手の皆さん、昔に比べれば、本当に低賃金なんだけれども、サービスは私はよくなったと思う。もうあきらめなのかどうか、まあ、しようがないですよ、お客さんどこですかと言って、割と昔よりも私は明るい感じもする。

 そういう面では、規制緩和の一部の効果もあったのかもしれないけれども、苦しいながらも、みんな、ここしかないんだと思ってやるのか、殺伐とした感じはない、それは救いなんですけれども、それだけに、私は、今後の原油の問題、社会全体の問題から見て、やはりこの法案で終わりということじゃなしに、もっと、国民の足ですから、公共交通と言っているんですから。

 スウェーデンは何か半分が福祉タクシーだそうですね。もう福祉、介護関連のお客さんが半分だそうです、スウェーデンは。これからはそういう時代になっていくわけで、やはり重要な、地域、国民の、とりわけ困った人の足であるという中に、私は、運輸行政の一環として、これはやはり温かく、誇り高くとまでは言わないけれども、しっかりと生活できる産業として成るように諸条件を今後検討していただきたい。

 規制緩和、規制緩和と言ったって、私に言わせればちゃんちゃらおかしいと思っているんです。規制緩和のあの特区なんというのは、私はもう本当に何が特区だと。私はしょっちゅう幾つかの特区を見て思います。逆にこれこそ規制じゃないかと。本当にそう思いますよ。

 もう一回言ったけれども、もう一回言いますと、私の地元でカブトムシ特区というのがあるんですよ。カブトムシおじさんというのがおりまして、私の友達なんです。家畜ふん尿処理法というので、今度、野外では野積みしちゃいけなくなったんです。屋根をつけないといけなくなった。ところが、その家畜のふん尿を野外へ置いておくと、塩分が薄められてカブトムシの幼虫が山ほど発生するんです。それをみんな子供たちに配っているんです。

 これが、今度、法律違反になりまして、屋根がない、今後こういうカブトムシのつくり方は家畜ふん尿処理法違反だ。そこで、特区を申請したんです。そうしたら、小泉総理が、わざわざ、はい、あなたは今のとおりカブトムシをつくってよろしいという特区をいただいたんですよ。

 こんなカブトムシのつくり方まで、できないと言って、許してあげる、特区だ、こんな上っ面の規制なり規制緩和論、特区論じゃない、本当の意味で、何のために規制があり、何のためにそれを緩和していくのかという原点をもう一回私は見詰め直していくべきだろうと思います。タクシーは特にそうだと申し上げて、ちょっと具体論に入りたいと思います。

 それで、今度、講習をやることになっていまして、講習の修了をしなければ登録にならない、こういう仕掛けになっておるわけですが、この講習というのは具体的に、地域が拡大するわけでありますが、どこが担当をするんでしょうか。

 そして、もう一つ次に言いますと、講習の修了ということになっていますけれども、これは何をもって講習の修了と確認するのか。

 この二点、ちょっと仕組みを教えてください。

岩崎政府参考人 講習の実施主体でございます。東京と大阪でございますが、既に東京のタクシーセンター、大阪のタクシーセンター、これが運転手に対する研修業務をやっております。そういう業務をやっておりますので、このタクシーセンターを想定しております。

 それから、新たに主な政令指定都市等に指定地域を拡大する予定にしておりますが、そうした地域でもかなりのところではタクシー協会、業界団体でございますけれども、業界団体が自主的に研修制度を今でもやっているところが幾つかございます。そういうことがございますので、基本的にその他の地域については、新たな法人をつくるのもなんですから、こうした事業者団体にお任せするのがいいのかな、このように思っているところでございます。ただ、ただお任せするというだけではなくて、その講習の内容についてはちゃんとチェックをする、質の高い講習をやってもらうということが重要であろうと思っております。

 それから、大手のタクシー会社等で非常に講習なんかがしっかりしているというのがもしあれば、そういうことについて排除することは考えておりませんで、そうした講習の内容、レベルをちゃんとチェックしながら、そういうところがもし御希望があれば、そういうところについても講習を認めるということは考えていきたいと思っております。

 それから、講習の最後の測定でございますが、効果測定というのを考えております。効果測定をやりまして、ありていに言いますとテストみたいなものですけれども、それについて十分、講習を受けたにもかかわらず講習の成果がなかったという人については、補講を受けてもらうでありますとか、さらにもう一回効果測定を受けてもらうでありますとか、そんなことをして、きっちり、講習を単に受けっ放しという形にはしないように運用してまいりたい、このように考えておるところでございます。

古賀(一)委員 今のお答えで、したがって、確認ですけれども、講習の修了というのは、はい、講習の三日間が終わりました、参加した人は全部合格、修了ということではなくて、必ずテストをする、そして、合格をもって修了というふうに確認をさせていただいたということで、それでよろしいですね。はい、うなずかれましたから、そういうことだということで。

 結局、立法趣旨からいっても、やはり安全の資質を高めていくという面と、だれでも、どんどん入ってきても、結局、講習とは、建前はそうだけれども今までと変わらぬぞじゃ、何のためかわからない。それで、先ほど私が言ったように、これが一つの、本当に優良な運転手さんということで、もうだれでも来られるというのは、社長が社員を募集すれば幾らでも来るような体制になったらもとのもくあみですから、意味がないわけですから、その点は、私は、こういう講習制度、登録制度というのをやるならば、きちんと実施をして効果の上がるようにお願いをしたいというふうに思います。

 それからもう一つ、登録諮問委員会というのがタクシーセンターにあるんですか。結局、問題は、登録の取り消しの問題が今後出てくる、当然法案にもそうなっているんですけれども。これはやはり、登録をして運転手をしていた、今度は取り消しのとき、それは不当な取り消しというのがあってはならないわけで、これは、違法行為審査会というのが今後各地域に求められるのでありましょうか。その場合、ここに運転者代表というのは当然私は入るんだろうと思うし、今、大阪、東京については入っているんだと思いますけれども、今後、拡大した地域について、この取り消しにかかわるときに、運転者代表、働く人たちの代表はどういう取り扱いになるかを確認させていただきたいと思います。

岩崎政府参考人 登録の取り消しでございますけれども、登録のいろいろな事務につきましては、タクシーセンターでありますとか協会でありますとかに委託することは考えておりますが、登録の取り消し自体は、これは地方運輸局、国の方でやっていきたいと思っております。

 したがいまして、私どもの方が、もちろん、そうしたタクシーセンター等々からのいろいろな情報、これも一つの、こうしたトラブルがありましたとか、こういう苦情がありましたというのを情報の端緒にはいたしますけれども、それ以外にも幅広く利用者あるいは安全の問題で問題を起こすような運転手についての情報を収集して、この情報をもとに地方運輸局の方で調査をし、行政手続法に基づいて聴聞等の手続をやっていく、このように考えております。

 したがいまして、ここにつきましては、私どもの方、国の方で公正にやっていく、このように運用していきたいと思っております。

古賀(一)委員 それは、最終的には運輸局長が行政処分としてやるということになるんでしょうけれども、今のタクシーセンターから自主的に上に、運輸局に上がっていくんじゃないんでしょうか。つまり、大阪ですね、大阪も自主的な点数制度ということで、運転手の取り消しについて基準を設けてあるんですね。それで、私は見させてもらいましたら、つり銭がないとマイナス三点とか、ちょっと汚い話ですけれども、立ち小便をしたらマイナス三点とか、もちろん乗車拒否は一発で二十点とか、こうあるんです。

 だから、サービスとか安全にかかわらないものも、大阪の点数制度による減点法で、そういう直接関係ないことが減点対象になっているんです。二十点に達しました、はい、運輸局長に上申します、こういう仕組みになっているんじゃないですか、大阪の場合。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、たしかこれは一昨年からと思いましたけれども、こういう点数制度をつくりまして、違法行為あるいは不適切な行為、こうしたことをやった人について、一定の累積点数に達した者を地元の近畿運輸局に報告をいただいてという仕組みを大阪タクシーセンターはとっております。

 私ども、ただこれだけの事実で処分をするとか取り消しをするということではございませんで、そうしたことの情報があったことを端緒に、繰り返しになりますけれども、運輸局でちゃんと調査をし、聴聞等の手続を経て公正に登録の取り消し等の、不利益処分でございますので、きっちりした手続でもってやっていきたい、このように思っております。

古賀(一)委員 この法律の実が上がるように、厳しくという面と、この登録の取り消しについては、そういったようにしっかりと手続と、一面矛盾するような言い方をしているように聞こえるかもしれませんけれども、法の的確な、立法趣旨の実施というところを、えてして、これはバイアスというか、かかってくる可能性があるんです。

 君はこの前つり銭を出さなかったな、ほかのことで君はもう十八点まで来ているな、君はそろそろやめたらどうかとか、下手なものに、首切りに使われたりしたらたまらない話でありまして、そういうことはゆめゆめないと思いますけれども、適正な法の運用というものを、この法律が通るならばしっかりとお願いをしたい、国会の一員として申し上げたいと思います。

 時間を守るためにも最後にしますけれども、つらつら思うに、きのうの参考人の御意見でも、これだけ供給過剰の態勢にありながら、なお増車が続く、普通の産業、経済分野ではあり得ないことがタクシーに起こるという話が幾つもあったんですね。そうなんです。結局、良貨が悪貨を駆逐するという話もありましたけれども、ユーザーから見れば、どのタクシーを選べばいいかという情報はないんですよ。我々があるとするならば、早く来たタクシーというのが要するに一番いいタクシーなんですね、特に雨が降っておれば。あとはわからないんです。乗ってみたら、昔は多かったですよ、何そんなに近いのなんと言って、ハンドルをわざときゅっきゅきゅっきゅ切る運転手さん、昔はいましたよ。最近は少なくなったと思うんですけれども。

 そうなりますと、私は、運転手の人たちも、誇りというかそういうものを与える、持ってもらう、そういう仕組みもやはり運輸行政の中で考えるべきじゃないかと思うんですね。ロンドンのタクシーは誇りを持っている、ステータスがあると、きのう参考人の方はおっしゃいました。たしか二十数年前ですけれども、オースチンに乗って、帽子をかぶって、なかなかやはり威厳もある。そこまでいかないにしても、日本のタクシー事業あるいはタクシーの運転手さんがもっと評価され、誇りを持てるような何か仕組みはないかと思うんです。

 我々から見れば、向こうから走ってくる五台のタクシー、どれにしようかな、もちろん一番早く来たのが一番とめやすいんですけれども、やはりあんどんでしょうね、見える唯一の情報は。我々から見えるのは法人か個人か、あの個人のものは何か新しそうだとか、そういう情報はありますけれども。

 今後、これは冗談も半分あるかもしれませんけれども、やはり市民から見て、このタクシーはよさそうだ、優良運転手、地図を何でも知っている運転手のあんどんはピンクマークで光っているとか、そういう何か表彰制度も含めて、エンカレッジ、勇気をつける、そういう仕組みもやはりいろいろ、国土交通省あるいはハイ・タク協会あるいは働く労働組合の皆さん、前向きな、そういうタクシー業界の元気になる政策も、今回の法律の改正で終わらず、私はまたぜひ検討していただきたいと希望を申し上げまして、終わります。

 以上です。

塩谷委員長 鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 まず冒頭、五月五日、エキスポランドで風神雷神というジェットコースターで大変悲惨な事故が起こりました。一名、十九歳の若い女性がお亡くなりになったということでございます。こどもの日に起こったということでありまして、負傷された皆様方にお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた女性にお悔やみを、そして御遺族の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。

 こういうことが二度と起こらないように、ぜひとも国交省、そしてその他の関係省庁を含めて、適切なる指導を行っていただきたいと思う次第でございます。

 この遊戯施設の定期検査では、その検査結果は良好である。ところが、定期検査の五カ月後に、約四カ月ちょっとですか、こういう事故が起こってしまった。これは本当に、この検査の実効性は一体何なのかと改めまして私から指摘させていただきまして、私の質問に入らせていただこうと思います。

 今回のタクシー業務適正化特別措置法の一部改正案ですが、指定地域の拡大をやるという話でございます。この点、諸先輩が午前中からるる質問されていると思うんですが、この指定地域の拡大について、新たな地域の指定は、どのような基準にのっとって、だれが具体的に行っていくのかということについて、御答弁をお願いしたいと思います。

岩崎政府参考人 指定地域につきましては政令で定めたい、このように思っております。

 どういうところを指定地域にするかということでございますけれども、やはり問題が多いのは、流しの営業が多いところで事故あるいは苦情等が多いのが実態でございますので、流しの営業が中心であるところ、それから、過労運転あるいは乗車拒否、苦情等々いろいろな状況から見て、こうした指定地域にしてその講習等が必要と考えられる地域、こういうものを政令で定めたい、このように思っているところでございます。

 現在考えておりますのは、東京、大阪のほかに政令指定都市等を考えておりますが、具体的に言いますと、新潟でありますとか静岡でありますとか浜松でありますとか、このあたりの地域を見ますと、流し営業の比率が必ずしもそんなに高くないものですから、すべての政令指定都市ということで予定しているわけではございません。

 そうしたところを含めまして、繰り返しになりますけれども、タクシーの営業の実態をそれぞれ見ながらやっていきたいと思っております。

 それから、午前中の質問でもいただきましたけれども、例えば、東京と千葉の間にある船橋等の地域をどうするか、大阪と神戸だけを指定しても、芦屋、尼崎等々の地域を外すのはいかがなものかということでございますので、政令指定都市を含めたある程度のタクシーの圏域を一体的に指定するということを考えているところでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 若干重複する質問はお許しいただいて、私からも一言質問したいということで、重ねて御答弁をお願いしたいと思います。

 今回、登録要件としての講習に加えて、実際にしっかりと安全という面での講習を法人が行うということで制度設計がなされるわけでありますけれども、講習命令に基づく講習、もう一つ登録要件としての講習、これはどのように差異があるのか、どういう意味で異なってくるのかということについてもお聞かせ願えませんでしょうか。

岩崎政府参考人 講習の具体的内容につきましては、今後、改正法の施行前までに決めていきたい、このように思っておるところでございますが、まず、登録時の講習につきましては、法令、接遇、地理、安全、こうしたものについての全体的な知識の習得を図ることを想定しております。全般的にやっていきたいと思っております。

 ただ、これも一般的なものではなくて、できるだけタクシー業務の実情に即した内容とするように持っていきたいと思っております。例えば安全でございますと、一般的な車の運転技術ということではなくて、むしろ空車時で事故が多いとか、お客さんが急にここでとまってくれとか急に曲がってくれ、こういうことがよくあるので、そういうタクシーの運転の実態にできるだけ即したような講習等々も盛り込んでいくというふうなことで内容を充実していきたい、このように思っているところでございます。

 それから一方、講習命令における講習でございますけれども、講習の命令を出すのは、一定の不適切な行為をやった運転手さんに出すわけでございます。したがいまして、その内容に応じたものにしていきたいと思っております。接遇がひどければ、それに応じて、どういう接遇あるいはどういうことをしなきゃいけないのかということに重点を置きますし、安全についての問題があれば、そこについて取り出してやっていきたいと思っております。

 また、これについては、少人数のケーススタディーあるいは実習方式、こんなものも取り入れられるかなと思っておりまして、再発防止等を効果的に図るための高度な内容ということに持っていければなと思っているところでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 先日の参考人質疑でもありましたが、入り口での運転手の質の確保が非常に大事であるというふうに意見がなされたわけですけれども、この入り口の時点でできるだけ質の高い運転者の確保に努める上で、その登録要件、新たに導入される講習制度、この講習を受けたことで、やはりプロの運転手として恥ずかしくないような質の確保がなされるような講習をしなければならないことは当然なわけですけれども、輸送の安全そして利用者の利便の確保を目的として講習が実施されたとして、講習は実施されるけれども、受講者が実施したことによってどれだけ理解が深まったかということの方が、逆に講習をするよりもより重要なのではないかというふうに思っております。

 現在でも、それこそ東京、大阪の地域で流しのタクシーに当然乗りますけれども、やはり地理が不案内、接客態度も全然だという実態も私も経験としてありますし、そういったことをどれだけ全体としてレベルを底上げしていくのか。そのための、講習というよりも修了要件といいましょうか、その設定が、講習の実施だけはなく、重要になってくると思いますが、この点についてどのようなお考えで臨まれるのかについて、お答え願いたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、講習をただ受け流してもらってもと思っております。

 講習については、その実効性を高めるために、講習によって本当に習得した知識、理解、これの確認を行うことも重要であると思っております。講習の最後に効果測定等を実施することで受講者の理解度の確認というのを行ってまいりたい、このように思っておるところでございます。

鷲尾委員 この講習ですけれども、講習を実施することと、受講者の実施された講習の理解度について評価するということは、実質的にはワンセットでやっていかなきゃいけないというふうに思うわけでございますし、その点、御理解いただいていると当然ながら思っておるわけです。とすれば、この講習を実施する法人というのが、当然ですけれども、ある程度、人員、規模を含めましてそれ相応のものがないと、登録地域における実施というのも現実性を帯びないわけであります。

 何を聞きたいかといいますと、まず、講習を実施する法人というのは具体的にどういうところになるのかということについて、私のコメントを含めました答弁をお願いいたしたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、講習の内容、レベルというのも重要だろうと思っております。

 今、東京と大阪では、東京タクシーセンター、大阪タクシーセンターという法人がございまして、そこで講習をやっております。したがいまして、東京、大阪では、この東京タクシーセンター、大阪タクシーセンターを想定しているところでございます。

 それから、新たに政令指定都市等を指定地域として拡大すると申し上げましたけれども、こうした地域でも、地元のタクシー協会が中心でございますけれども、既に幾つかのところでは自主的な研修をやっておられます。こうしたタクシー協会等を講習の実施主体としては想定をしております。

 ただ、こうした団体だけに限るということではございませんで、自社でも、タクシー会社でも大変立派な講習をやっておられるというところがあれば、その内容、レベルを見て、講習の実施主体として指定することも視野には入れているところでございます。

鷲尾委員 通告に従って質問をさせていただきますけれども、講習実施には、先ほども申し上げましたとおり、評価をどうするかという問題を含めまして、講座をどのように運営していくか、かなりその関連の業務が必要になるわけであります。新たな講習をするということを決めた場合にいろいろな業務があるわけで、その業務にどういうものが想定されるのか。

 加えまして、今おっしゃっていたタクシーセンターやタクシー協会というのがそれに足る、実質的に見てそうするというふうな答弁をおっしゃったと思うんですけれども、今現状、タクシーセンター、タクシー協会がこれに足る規模、人員、内容が適切かどうかも含めてコメントをいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 例えば、大阪のタクシーセンターでございますが、現在、六十六名の体制でございます。ただ、こちらのタクシーセンターというところは、駅での街頭指導とかそういうこともやっておりまして、その人員が約半数以上ございますので、こうした登録でありますとか研修でありますとか、ここに携わっているのは登録課と研修所という組織で、合わせますと十二名でございます。

 一般の管理部門なんかを含めて、ある程度の体制がないとできないというのは御指摘のとおりでございますので、そうした一定の体制が確保されているということもこの講習の実施主体として必要だろうと思っております。

 講習をやりますのも、一般論でございますけれども、やはり講習のカリキュラムをちゃんと組んでいく。それから、教える講習の先生の質というのも大変重要でございますので、いい講師、いい講習をやっていくための体制というのも重要だろうと思っておりますし、あと、いろいろな手続がございますので、そうしたものの一定の人員、組織も必要だろう、このように思っているところでございます。

鷲尾委員 今、実際に大阪の例をおっしゃっていただきました。携わるのは大体十二名程度であろうというお話をいただいたと思うんですが、これは、新たに講習の内容を、やはり若干変わるという話だと思うんですね。今までやったことのない人たちを含めて、利用者の利便、安全の確保という点での講習内容の不断なる改善というのは当然ですけれども、やはり変わっていくだろう。そういうものに従って、やはり新たな人員なりお金なりが実施主体としても必要になってくるのではないかというふうに思います。そうしますと、やはり講習料を今度設定して取らないとやっていけないだろう。

 この講習の実施料についてお聞きしたいんですが、これは、だれが今どのようにして設定しているのか。当然ですけれども、だれがその適切性について、監査と言ったら変かもしれませんが、例えば講習料が高過ぎじゃないかとか安過ぎじゃないかとかいうことについて、だれが意見するようになっておるんでしょうか。このことについてお聞かせ願いたいと思います。

岩崎政府参考人 講習についてコストがかかるのはおっしゃるとおりでございますので、基本的に、講習の受講料で賄っていくということだろうと思っております。

 今は、各政令指定都市でもやっておりますけれども、任意の講習でございますので、私どもが直接関与しているわけではございません。今後、講習をこの法律に基づいてやっていただくわけでございますから、私どももある程度かかわっていかなきゃいけないな、このように思っているところでございます。

 適切な水準にされるようにしたいと思っておりますけれども、まだ具体的な制度設計までしておりませんが、こうした講習をやられるということについて、どういうことをやられるのかという計画なんかを出していただくことになろうかと思いますので、そこで講習の手数料についても見ることができるかな、このように思っているところでございます。

鷲尾委員 講習のことについてお聞きしました。この価格設定については国交省さんがある程度関与されるという御答弁だったというふうに認識いたしております。

 なかなかタクシー業界としても痛しかゆしであろうかと。この点については、乗客にもっと利用してもらうためにはやはり運転手の質を含めて講習を受けさせた方がいいでしょうし、ただ、それはコストがかかるだろうということで、非常に難しい、それこそ経営上また難しい問題になってくるのではないかと思いますが、ぜひとも、視点といたしましては、やはり利用者の利便や安全の確保が第一義的にあるわけですから、こういう講習を受けた業者さんがやはりいいんだと。今任意で、これからそれこそ強制といいましょうか、皆さん受けてもらうことになるわけですけれども、しっかり受けているよというところを国交省さんがある程度認証するというか、しっかりと見てとって、それが利用者利便、安全性の向上につながるような制度設計というのも考えていただきたいですし、そういう意味において料金設定もしっかりと適切に指導をしていっていただきたいと思います。

 今講習の話をさせていただきましたが、登録料というのは今現状どうなっておるんでしょうか。価格設定というのもどうなっておるんでしょうか。このことについてお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

岩崎政府参考人 現在、東京の例で申しますと、登録料は、一件について千七百円、タクシーセンターというのがちょうだいをしております。

 この業務につきましては、講習と違いまして、国の業務を代行していただくということでございますので、事務規程について国交大臣の認可を要するとしております。設定された登録料の適切性についても認可の際にチェックするということでございますので、今後ともそういう形でやっていきたいと思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 この講習の実施主体ですけれども、タクシー協会というところがやるという話でありますが、一つ懸念を申し述べさせていただきたいと思うんですが、この講習の適切な実施ということで、やはり俗に言う天下りがふえるのではないかというふうに懸念をしておるところです。

 このことにつきまして、どのように考えておられるのか、大臣にお聞かせ願いたいというふうに思いますが、いかがですか。

冬柴国務大臣 天下りについては、法あるいは自粛規制等で規制をいたしていきたい、このように思いますが、現在、指定登録機関である東京、大阪のタクシーセンターについては、四名の役員が国土交通省から退職後に就職をしているということでございますので、御報告を申し上げておきたいと思います。

鷲尾委員 大臣、この天下りですけれども、今後どのようにされるおつもりなのか。講習の実施、これは確かに適切に実施することは重要ですけれども、ここに決まったポストとして国交省の例えばOBが天下っているというのはやはりちょっとおかしいんじゃないか。民間に任せて、それこそ民間で業界のある意味いろいろな状況の向上のために講習を受けるわけですから、そこに国交省OBが常に天下っておるというのはやはり問題ではないかというふうに思うんですが、今後どのようになされるお考えなのかということについてお聞かせ願いたいと思います。大臣、お考えをお願いいたします。

岩崎政府参考人 大臣の考えの前に、実情等がどうなっているかということについてお話しさせていただきます。

 先ほど来御説明させていただきましたとおり、今回、講習の実施等も各地域のタクシー協会等にお願いするという一つ想定をしておりますけれども、繰り返しになりますけれども、幾つかのタクシー協会でも現に、自主的にではありますし部分的ではありますけれども、そうした業務をやっておりますので、新たにこの講習を実施するということで直ちに物すごく業務量がふえる、それが国交省のOB職員の増加につながるというものではない、このように認識をしております。

冬柴国務大臣 今局長が答えたとおりでございまして、新たにこういうことを行うことにより天下りをふやすとか、そういう思想は全くありません。全くございませんので、よろしくお願いします。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 タクシー運賃の値上げということで最近報道がなされているところであります。このタクシー運賃の値上げですが、どのような認可手続になっておるのかというところを一点お聞かせ願いたいのと、今の状況を考えて、今後どの程度の業者が値上げ申請するというふうになっておるのか、見込みについてもお聞かせ願いたいと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

岩崎政府参考人 タクシーの運賃でございますけれども、運賃ブロックというのを設定しております。全国を九十に分けて、九十の運賃ブロックごとに設定されておりまして、それごとに地方運輸局長が認可をするというシステムになっております。

 東京は関東運輸局長が認可でございますけれども、この東京地区の認可については、物価への影響等々があるということでございますので、有識者から成る物価安定政策会議、これは旧経済企画庁、今内閣府でございますけれども、内閣府の所管の物価安定政策会議、それから、関係の閣僚をメンバーとする物価問題に関する関係閣僚会議の議を経て認可をするというシステムは東京だけ特別になっております。

 運賃改定の手続でございますけれども、運賃改定は各業者ごとに出てくるわけでございますが、ある程度地区全体で運賃改定をしたいという意思が示された段階から審査を開始するという運用にさせていただいております。最初の運賃認可申請がある地区のある事業者からありましたら、その三カ月の間に、当該地区の法人車両数、このうちの七割を超える人が運賃改定をしたいということがあれば、審査を開始するということにさせていただいております。

 今九十地区の運賃ブロックがあると申し上げましたけれども、現在までのところ、そのうち五十一地区からこうした改定についての申請が出されております。既に長野、長野県は二つに分かれて、長野市を中心とした地区とそれ以外の地域で分かれておりますが、長野のA地区、B地区、それから大分県、これは全県一地区でございますが、この三地区については上限運賃の改定というのにもう認可をしたところでございます。

 今、五十一の地区のうち三つを認可したわけでございますが、残りがございますので、今後適切に対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。

鷲尾委員 大分値上げがなされるような印象を受けましたが、この値上げの要因というのがどういうものなのか。当然国交省さんとしても実態を把握の上で認可されると思いますが、主な要因はどういうものなのか、考えておるのかということをお話しいただきたいのと、値上げ申請されるということが業界で働く皆さんの労働条件の改善につながっておるかということも非常に重要な点でございます。

 業界平均で見ても、タクシー業界、運転者の皆さんは厳しい雇用条件、労働条件のもとで長時間勤務されているわけでありまして、労働条件の改善に、値上げがしっかりと労働者の方に分配されているかどうかというところも、経営者のモラルと言ったらそこまでかもしれませんが、大変重要な論点だと思います。この点はどのような指導を行っておるのかについてもお聞かせ願いたいと思います。

冬柴国務大臣 今回のタクシー運賃改定における申請はほぼ共通をいたしておりまして、運賃収入が低迷する中で、良質な労働力を確保したい、タクシー運転者の労働条件の改善を図る必要があるということは共通をいたしております。そのほか、近年の燃料費高騰によりコストが増大している、こういうことが挙げられておりまして、我々もその基礎調査をいたしておりますけれども、おっしゃることは事実そのとおりだというふうにも理解できます。

 国土交通省としては、タクシー事業の適正な運営と輸送の安全ということを確保するために、年間賃金が全国平均で三百二万円となっているタクシーの運転者の適切な労働条件を確保することは非常に重要だ、そういう認識をいたしております。

 今回の運賃改定につきましては、運転者の労働条件の改善を図る観点も踏まえまして、政府内で十分調整を行いつつ、適切に対処しなければならないというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 時間がもうなくなりまして、最後に一問だけ質問させていただこうと思います。

 参考人の意見陳述の中でもお話があったところでございますが、経営者のモラルが非常に求められる、市場原理がうまく働かない中で経営者のモラルが求められるというコメントがございました。やはり国交省としても、経営者のモラルを引き出すような行政指導、制度設計が必要だというふうに思います。

 我が党の三日月議員が、以前、運輸労働者の労働時間の法制化について、法制化されたらどうですかという旨の質問をされているわけですけれども、この点、大臣はどのようにお考えか、最後にお聞かせ願えませんでしょうか。

冬柴国務大臣 運輸労働者の労働時間の法制化という問題でございますけれども、国土交通省におきましては、輸送の安全を確保するために、タクシー事業の運転者の労働時間等に対しまして、日勤勤務者の一カ月及び一日の最大拘束時間や休息期間、あるいは隔日勤務者の一カ月及び一日の最大拘束時間や休息期間、休日労働の制限等に関する基準を定めておりまして、自動車運送事業者がこの基準の範囲内において運転者の勤務時間や乗車時間、乗務時間を設定することにより、運転者の労働条件が確保されていると考えております。

 このようなことが守られているかどうかということに関しては監査を徹底させる、あるいはそれにもし違反しているという場合には行政処分の厳格な適用を行う、そういうことで労働時間等に係る基準の遵守を徹底していきたいというふうに考えているところでございます。

 輸送の安全というのは、乗客の利便の向上とともに二本の柱でございまして、やはり過労ということが、重大な事故を起こしてはならない、その原因にもよくなるわけですから、我々としてはこの点をきっちり監視していきたいというふうに思っています。

鷲尾委員 労働者の雇用状況というのが安全に直結するという問題でありますので、その点、経営者のモラルを高める制度設計、行政指導を引き続き、これからさらなる努力をしていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 ジェットコースター事故についてまず聞きたいと思います。

 亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げ、また、御遺族の方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。負傷された方々に対しては、心よりお見舞い申し上げます。

 あってはならない事故であり、私、いつもこういう事故が起こったときに言うんですけれども、未然に防ぐ手だては本当になかったのかという立場から点検する必要があるんじゃないだろうかと思っています。

 事故原因などはこれからですが、管理者であるエキスポランド社、さらには監督すべき吹田市の責任も問われます。そして、探傷検査も義務でなかったなど行政の対応や制度面など管理体制も不十分であって、その点でも、きちんとしていれば未然に防ぐことはできたのではないかという思いを私は強くしているところであります。

 そこで、国民の安全、安心が問われている中で事故発生が相次いでいまして、極めて異常だと思っています。

 建築基準法関連の事故も多いわけです。特に、点検検査の問題では、四月、六本木ヒルズで火災が起きたエレベーターも、保守会社がワイヤのさびや汚れを放置していたことが問題になっています。エレベーター事故については、昨年、港区の住宅で中学生が亡くなりました。原因がいまだに特定できていません。

 この事故を受け、点検検査のあり方について、国交省は、社会資本整備審議会の建築分科会の中の建築物等事故・災害対策部会で議論してきました。私どもも再発防止に関する申し入れを行ったところです。その中で指摘したことですが、昇降機の維持及び運行の管理に関する指針がありますが、これについて、私は、内容の充実、改善を行った上で法令化すべきであると提案しました。

 今回の遊戯施設について、検査基準のあいまいな位置づけを正すためにも、年一回の探傷検査を規定した、遊戯施設、いわゆるコースターですね、この検査基準、JIS規格を法令化することをあわせて提案したいと思うんですが、その点についての御所見を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 委員からその名前も言われましたけれども、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会等にお諮りをいたしまして、今御提案がありましたような点につきましても、今のJISに決められている部分というのは、探傷試験ですね、こういうものがもっと明確な法規範の中に入れられるべきであろうと私は思っておりますけれども、専門家に諮りまして、検討させていただくことをお誓いします。

穀田委員 この問題は私ももう少し勉強をさせていただいて、事態がいろいろわかるでしょうから、引き続き質疑をしていきたいと考えています。

 そこで、議題になっているタクシー業務適正化特別措置法についてお聞きします。

 大臣に、タクシー問題の一連の問題ということの基本認識についてお聞きしたいと思うんですね。結局のところ、今、タクシーをめぐる問題で解決すべき問題は何なのかという点について、まず大きな立場から御所見を承りたいと思います。

冬柴国務大臣 自家用乗用車の普及が急でありまして、それ以外の公共交通につきましては、程度の差こそあれ、同じような問題を抱えているところであります。民間鉄道あるいはバス等、地方に行けば行くほど、そういうようなものが採算が立たずに廃業をしていく、廃業を申し出ているということ等が起こっているわけでございます。

 私は、視点は、余り明瞭ではないけれども、タクシーにつきましても、やはり乗客が極端に少なくなってきているというところ、それからもう一つは、バブルにおける非常に極端な経済の落ち込みというものがタクシー離れを引き起こしたと思われるわけでございまして、それがなかなか回復しない。しかしながら、新たな需要としましては、乗用自動車をみずから運転したりできない人たち、そういう人たちの需要は、タクシーというものが非常に貴重な存在だというような、今タクシーを取り巻く事情があろうと思います。また、不況の中でリストラに遭われた人たちが、私もタクシーに乗りますが、そのようなことを選択している人もあります。

 こういう中で、ちょっとほかと違うのは、不況だからということで倒産するかというと、倒産しないんですね。それは、事業者の利益というのは、本当に物すごく薄い利益率だけれども、利益があるんですね。そういうことで、そのしわ寄せは、非常に極端な歩合とか成績給を採用しているために、売り上げの減少というものがもろに労働者の賃金にはね返ってくる、そういう非常に特殊な業態になっているというのが私は一番大きな問題だと思います。

穀田委員 最後の方は同感なんです。前の方は状況なんですね。

 私は、前の方から行けば、総合的な交通政策をどうするかという問題と、移動の権利をどう守るかという角度からどうやって全体の交通政策を考えるかという問題だと思うんですけれども、タクシー問題に限って言えば、やはり最後におっしゃられたように、極端な歩合制がやられていて、どういう形態かはもう少しあるわけですけれども、働く労働者の収入が低過ぎる、これを全体としてどう上げるかということと、二つ目には、安全性を向上する、この二つがはっきり言えば焦点なんですね。

 私は、こういうパンフレットもいただいてきたんですけれども、自交総連の「もうひとつのタクシー 確かな再生へ」というものをいただいたんです。その中にも書いているんですけれども、私が思ったのは、タクシーの運転手の劣悪な労働条件はタクシーの安全性に重大な影響を与えている、ここは明瞭だということだと思うんですね。だから、ここからすべて立て直すということが必要なんだという立場に立つことが出発点ではないかというのが私の考えなんです。

 その上でもう一つ、では、市場の競争を促進した規制緩和はどういうものだったかという問題について、先ほど因果関係はわからぬと言っていましたので、私はそうじゃないという意見なんですが、どうなのかということだと思うんです。

 当時、利用者サービスは向上する、需要の拡大によって事業は発展する、働く労働者の労働条件は向上するというのが道路運送法改正の際のうたい文句でした。私どもは、過当競争と運転者の労働条件の低下を生み出し、安全が脅かされると反対しました。

 規制緩和の後どうなったかというと、タクシーの最大のサービスである安全は向上したか。事故件数は〇三年から〇五年の間で二万七千件を超えて高どまり、タクシー労働者の低賃金は大問題としてメディアでも取り上げられるほどであります。先ほど大臣もお話あったように、〇五年の所得は三百二万円で、年間所得でいいますと、九一年をピークに減少していまして、全産業平均の五五%しかない。労働時間は二千四百時間を超えるといったひどい実情です。

 そういうもとで、タクシー小委員会の報告書がまとめられて、市場の失敗というものを認めたのは初めてなんですね。その中で、輸送サービスの質の確保、向上のための新たな仕組みを構築するとされました。その具体化とされる本法案で、輸送の安全、運転者の質の確保、向上のためにどのような改善が図られるのか、お聞きしたいと思います。

岩崎政府参考人 一つは、登録制度の指定地域の拡大でございます。東京、大阪に限定しておりましたけれども、主な政令指定都市等にも拡大をしていきたいと思っております。

 それから、今まで東京、大阪でやっておりました登録制度等につきましては、輸送の安全の観点が抜けておりました。利用者の利便について、それを損なうようなものについていろいろな規制をしておりましたけれども、今回は輸送の安全についての観点も取り入れたところでございます。

 重大事故、重大な違反を起こした悪質な運転者を排除するということによりまして、タクシーの質の向上、安全の確保というものにつなげてまいりたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 これは、働く運転手に着目しているというのが一つの特徴なんですね、それはわかるんです。でも、きのう参考人質疑で議論になったのは、悪質な事業者が退出しない、本来退出されるべきものが機能しないというふうに言われたことも一つの特徴なんですね。本来、供給の側が絞り込むということをしないとだめなんですね。それをできないから、たまたまそういうところに着目しているというのが本質じゃないかなと私はふと思ったところであります。

 そこで、そうはいってもあれですから聞きたいんですけれども、今言った運転手の登録制度についてです。

 先ほどから議論になっていましたが、タクシー小委員会の報告では、安全運行のために地理試験の合格を運転者登録の要件とすることが必要とされていました。ところが、先ほど来お話あったように、地理試験は現行どおりで、東京、大阪だけだ、拡大される政令市では実施されない。なぜ地理試験を外すのか、骨抜きではないかと私は考えるんです。これはみんな質問しているところなんですね。

 先ほど局長はいろいろ言うんですけれども、確とした話をしてほしいんですよ。岩崎さんはこう言うんですね、効果測定と言うんです。やるのかと言うと、うなずく。うなずくじゃ困るんです。それで、補講をやると言うんですね。だから、効果測定をやる、補講をやると言っているんだけれども、それだったら、例えば補講するといって、大学の試験を例に出すのがいいかどうか、そんなところはないといったらしかられるのであれですが、赤点をとって補講を受けたら合格させるというわけにはいかないんですよ。だから、そこのところをもう一度はっきり言ってくれと。

 私は、講習の成果を総合的に確認すると言うんだったら試験したらいいじゃないかと。あなたは効果測定、補講と言っているんだけれども、ペーパーの試験をするんやな、テストをするんやな、もう一遍はっきり言ってください。

岩崎政府参考人 今度拡大する地域につきましても、全般的に言いますと、地理についての利用者の苦情もある程度の数に達しておりますので、タクシー運転者に地理に関する知識をきっちりしていただくことが重要だろうと思っております。

 ただ、東京、大阪と比べますと、例えば札幌とか京都なんか典型的でございますけれども、そんなに都市構造が複雑じゃないということで、いわゆる東京、大阪でやっているほどの厳しい試験をやるということについては適切ではないと思っております。

 ただ、繰り返しになりますけれども、こうした地理についても講習をやりますが、その講習の中で、本当にちゃんと知識を習得したか、理解したかということについてチェックすることが必要だろうと思っておりまして、先ほど来申しておりますように、講習の中で効果測定等によって知識の確認を行って実効性のあるものにしていきたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 そこでうなずいてくれずに、テストするんですね、はいと言ってください。

岩崎政府参考人 テストというやり方も含めて、効果測定の方法について、きっちりしたものにしてまいりたいと考えております。

穀田委員 そのとき、いつも局長は札幌と京都という例を言うんだ。そんなもの、私は京都に住んでいるけれども、あそこはそう簡単じゃないんや。多分、札幌も京都も南北東西がわかりやすい、それだけの話で言っているから困るねん。そんなもの、あなた方の調査によっても、京都に行く人のニーズは何か。北と南と東西じゃないんですよ。お寺はどこかという、名所やそういうところに対する希望が一番多い。それが答えられないというところで、多いわけなんですよ。だから、それぞれの地域に従ってそれぞれの要求があるんだということが大事なんですね。だから、それに基づいて試験をしなさいと言っているわけなんですね。

 札幌と京都なんて、私は京都に住んでいるんだから、それをごまかしちゃ、そんなこと通用すると思ったら大間違いですよ。そんなもの、山科だとか伏見なんてわかりゃしないんだから、私だってわからないんだから。だから、そういう話をしちゃだめなんです。だから、講習であってはならない。

 まして、おたく、自社でも結構だなんて言っているけれども、それ本気で思ってはるのか、本当にそれでいいわけですか。ちょっともう一遍。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、単に講習の受けっ放しということにはしたくないと思っております。そういう意味で、講習の効果測定なんかをやって、きっちり実効性のあるものにしたいと思っております。

 それから、今の御質問の自社のことでございますけれども、自社でやりたいということを排除するというような制度にはしたくない、こういうことでございまして、もしやりたいという希望が出てきた場合に、自社でやるものの内容、どういう講習をやるのか、どういうレベルの講習をやるのか、どれぐらいの水準のものをやるのかということをちゃんとチェックした上で認めていきたいと思っておりまして、野方図に、どんな講習でもだれがやってもいいよという制度にはしたくないと思っております。

穀田委員 これも、あなた、現場を知らぬということの証明なんですよ。タクシーの運転手を募集します、行ったらどうすると思いますか。そんな講習をまずすると思いますか。違うんです。きょうから動けるか、こう言うんだよ。そういう現場を見て、それでこんなこと、自社で講習するなんということがほんまにええかということなんですよ。

 次、どう言うか。どういう教え方をするか知っていますか。初めてやさかいに教えてくださいと言えばいいから、こう言って教えるんですよ。そこまでやっている実態を知ってはりますか。それを自社の講習でやるなんということで逃げたらあかんということを言っているんですよ。そういう現実を見て対処しなかったら、本当の安全を確保するということについて、だめだと。

 だから、労働者を一刻も早く運転業務につかせたい事業者に任せたらハードルを下げることになりはしないかという不安と、現実を見て対処せなあきまへんよと言っているんです。どうですか。

岩崎政府参考人 確かに先生のおっしゃるとおり、タクシー事業者は中小零細な方も多いわけでございますので、なかなか十分な講習が行き届かないところもあるかと思います。

 ただし、私どもが幾つか聞いているところでは、必ず事業規模に応ずるわけではございませんけれども、運転者を雇用して、直ちに乗せないで、十日なりそれ以上のちゃんとした講習をやって、それも、例えば地理なんかについて、指導運転者がつきっ切りで何日か実習させるというようなことをやっているという事業者も、最近なかなか厳しくなってできないとこぼしておりましたけれども、ないわけではございません。

 繰り返しになりますけれども、どんな講習でもどんな内容でもいい、そんなことを我々は考えているわけではございませんし、具体的にこの会社のこういうものと想定しているわけではございませんけれども、今後、制度設計をするに当たって、本当にいい内容の、いいレベルの講習をやっているところがあれば、それを排除しないようなことにはしていきたいと申し上げているところでございます。

穀田委員 そういう場合、私が自社でやったらあかんと言ったら、すぐ中小企業の例を出して、そういうこともあるんだからというようなことを言って、何となく矛先を鈍らすような話をしてはあきまへん。

 やはりこういうものは、あかんものはあかんのです。中小企業がそういうことをやっているわけじゃないんですよ。そういうところはそういうところで本当に生き抜くための努力をしていて、また事業者としての矜持、それから働く運転手の協働という努力をしているところもあるわけだから、それは当たり前なんですよ。問題は、そういうときに厳しいハードルをつけてやるということをしっかりやれということであります。

 しかもそれは、私としては、利用者のそういう意見が反映されるかどうかというのが一つのポイントではないかと思うんですね。安全や安心を確保するためには、今言った、省が頑張ります、それはそれでいいけれども、講習の内容や認定基準を定めるときにも利用者が参加すべきじゃないかと思っているわけです。そこの点について意見を聞きたい。

 特に、実際、その点との関係で見たいのが、各地で規制緩和の法改正を受けて事業の適正化を推進するための協議会が設置されているわけですね。その協議会には、国交省の通達で、事業団体、労働者団体などに加えて、利用者代表、関係行政機関、地方公共団体等が参加することが望ましいと書いているわけです。

 ですから、私は、今言ったように、講習の内容や認定基準も地域ごとに違うだろう、だから利用者も参加する。そして、そういうもので言いますと、おたくのところがやっているタクシー事業の適正化を推進するための協議会でもそうなっておるんだから、そうしたらどうやという点についてはどないですか。

岩崎政府参考人 講習の内容、レベルを考える場合に、やはりそこは、安全の確保、利用者の利便の向上のためにやるものですから、今、利用者がどんなふうな苦情があるかとか、利用者の声を反映させるという仕組みを考えていくというのは重要なことだと思っております。

 どんな形で具体的にやっていくかということにつきましては、先生御指摘のタクシー業務適正化の協議会というのが設置されておるのを承知しておりますので、まだこれからの制度設計でございますけれども、利用者の意見を反映するような形で、どんな仕組みにするかは考えていきますが、いいものにしていくように努力していきたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 今私が言いましたように、現実にある協議会などでそういう経験が出ているわけですから、一番大事なのは、先ほど言いましたように、この問題については、それを受ける側の利用者の意見を聞くということが大事かなと思っています。

 そこで、大きな二つ目に、私は労働者の賃金を上げるという問題について一つだけ質問しておきたいと思うんです。

 これはやはり歩合制に手をつける必要があるんじゃないかと私は思っています。この報告書では、運転者の賃金体系は歩合制が主流となっている、こういったタクシーの特性を背景に、「経済学で言ういわゆる「市場の失敗」が生じ、問題のある事業者がなかなか市場から退出せずに温存されてしまう」、こういう点をきのう参考人の方々はずっと言っていたわけです。さらに、報告書は、「そもそもタクシーは車両価格が相対的に低く増車が容易な上、歩合給の賃金体系を採っている場合には、増車リスクを運転者に転嫁することが可能であることから、事業者が安易に増車を行い、」と指摘しているわけですね。

 大臣も、一番最初に極端な歩合制という問題について発言がありました。だから、この点についての改善のめどなり方策はとられているのかという点についてお聞きしたい。

岩崎政府参考人 どういう形で給料を支払うかというのは、基本的には労使の問題だろうと思っております。歩合制をとるというのは、タクシー事業の今の事業者それから運転手が外で働くというような中で、ある程度こういうことが定着しているのは事実でございます。

 私どもの方は歩合制自体についてとやかく言うことではないんだろうと思っておりますが、そうしたことは、渋滞でありますとか、増車でありますと環境問題でありますとか、いろいろな形で影響が出ていることはある程度あろうかと思っておりますので、そうしたものについて、安全の問題を含めていろいろな対策を考えていきたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 この辺になりますと、もごもご言って、さっぱりやね。やはり一番肝心なのはここなんですよ。極端な歩合制ということで、累進歩合制をとっているところが広くあるということも御存じでしょう。そこにメスを入れなきゃならぬと思うんですね。それが一つある。だから私はこの問題を今後もずっと追及していきたいと思うし、歩合制というやり方でいけば、結局、供給の側の、タクシー会社としての車をふやす側のという意味での供給ですが、これがいつでもできるということなんですよ、自分に響かぬわけだから。ここにメスを入れない限り供給過剰の現実をなくすことはできない。だから、運転手の質に着目するのは大事だけれども、ここにも書いているわけだから、ここもしなさいよということを言っているわけです。

 もう一つ大事な点は、先ほども同僚議員からありましたように、運賃の値上げの関係で、労働条件の改善を理由にしているということが先ほど大臣からもありました。そうすると、労働条件の改善を理由にしている以上、そういうときだけ労使の関係だと逃げずに、この問題が本当に、自分たちの運賃値上げの申請がそういう理由である以上、労働者の条件の改善が確実に行われるべきである。その点については、当然、そういう申請があるわけだから、それをちゃんとしなさいよという点での保障はどうとるのか、お聞きしたいと思います。

岩崎政府参考人 今回の運賃改定は、先生御指摘のとおり、労働条件の改善をしたいということで事業者から申請が出てきたものでございます。

 既に長野と大分では運賃改定を認可いたしましたけれども、そのときの認可の際に、地方運輸局長から事業者団体に対しまして、各事業者において適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること、それから、運転者の労働条件改善についての考え方を利用者に対し積極的に表明すること、それから、しかるべき時期に運転者の労働条件の改善状況について自主的にその実績を公表することということを指導しているところでございます。

 さらに、事業者団体における労働条件の改善状況の公表の結果を見まして、運賃改定の趣旨を逸脱するようなものと認められるときには、その事実関係の公表、必要な指導等を考えてまいりたいと思っております。

穀田委員 ですから、今の通達を国民にもしっかり知らせ、守らせるということについては責任を持っていただきたいと思います。

 最後に、一番最初に大臣は、日本のもとで、バブルだとか、それから公共交通の利用者が減っているという問題があるということを言っていました。私は、それはそれで一理あると思うんですね。しかし、需要が減っている、だけれども車両は規制緩和以後二万数千台ふえている、だから規制緩和の因果関係がわからぬというんだけれども、そうじゃなくて、規制緩和後はどうなったかというと、参入が自由になったということでふえ出したということなんですよ。ふえ出すことによって起きている事態なんですね。

 単に、需要が減っている、そうしたらパイが小さくなるわけですから、当然車両が減るというのが普通であれば市場の原理なわけだけれども、そうじゃなくて、規制緩和をそこに入れることによって、参入自由という形で行うことによって、事業者の側は、損はしないという歩合制をてこに、それで参入するという事態が生まれているということなんですね。

 だから、そこをやはり改善しなければ、先ほど大臣自身も、労働者の賃金が上がることが大事だとおっしゃっていたわけですけれども、結局一台当たりの収入が減るのは当然なわけですから、ここのところの悪循環に歯どめをかけるためには、やはりもとへ戻って、もとへ戻ってというのは全部すべて戻せという意味じゃないですよ、需給調整をして、そういう車両がどんどんふえるというやり方を規制しないとあかんという意味での、市場の失敗を労働者にしわ寄せしちゃならぬという角度から物を考える必要があるんじゃないかと思うんですが、その見解を最後にお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 先ほど来、大変難しい問題と思って考えているところでございます。

 やはり、自由主義経済をとっている以上、本質的には、どういう事業にだれが参入していくかということは、職業選択の自由もあれば、本当にそういう中で起こっている問題でして、極端な歩合制度というものは、この世界でこういう事態を招いていることも事実、私はそう思っています。だからといって、ではその歩合制度をやめさせるような法制度、仕組みというのができるのかどうか、これも難しいんですね。

 しかしながら、これが労働者にしわ寄せされるということは客観的に事実ですから、そこら辺を労働省とも考えていただいて、単に労働時間とあるいは最低賃金が守られておればもうそこからは一歩も出られないということじゃなしに、何かそこに考えるところはないのか。きょうの委員の御質問もその趣旨があると思うんですけれども、私は、委員のように、もうちょっとそこを規制して、もう一遍参入規制をきちっとせいと、そこまで言っていませんけれども、そういうふうなことを私の方では、ちょっとその点は考え方が違いますので、よく考えさせてください。

穀田委員 よく考えていただくのはあれなんですけれども、一番肝心なところは、労働者の働く条件をよくする、そのことによって安全性が保たれる、そのことによって業界全体をうまくする、軸はそこだと思うんですね。だから、その意味で規制緩和は見直すべきだということだけ主張して、終わります。

塩谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。三日月大造君。

三日月委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 需給調整規制廃止後、タクシー運転者の労働環境が悪化し、タクシーの事故が増加していることを踏まえ、タクシー輸送の安全及び利用者の利便を確保するため、タクシー業務適正化特別措置法その他関係法令の厳正な運用に万全を期することにより、タクシー事業の適正化を図ること。また、タクシー事業及びタクシーに対する規制の在り方について、今後の指定地域の拡大も含め、引き続き検討を行うこと。

 二 タクシー輸送の安全及びタクシー事業の適正な運営を確保するため、新規参入の許可に当たっては、最低車両台数や車庫の確保等輸送の安全のための適切な事業計画、道路運送法をはじめとする関係法令に関する知識等的確な事業遂行能力等について、十分な審査を行うとともに、新規参入事業者に対する早期の立入検査や行政処分等を受けた事業者に対する改善状況の検証、指導のための立入検査を適切かつ効果的に実施するよう、体制の強化を図ること。また、労働基準関係法令が遵守されるよう、関係行政機関とも連携の上、監査体制を構築すること。

 三 タクシー運転者に新たに課される講習が、タクシー輸送の安全及び利用者の利便を確保するため真に効果的なものとなるよう、その適切な実施に努めること。

 四 タクシー事業者の定める運賃及び料金に対する認可に当たっては、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであることその他の認可基準に従って、厳格に審査を行うとともに、運転者の適切な労働環境が確保されるよう、タクシー事業者に対する必要な指導を行うこと。

 五 タクシーにより行われる福祉輸送サービス及び福祉有償運送について、高齢者及び障害者等の移動制約者にとって利用しやすいものとなるよう、必要な施策を講じること。特に、輸送の安全を図るため運転者の確保が適切に行われるとともに、運賃及び料金が適正なものとなるよう、環境の整備に努めること。

 六 登録実施機関及び適正化事業実施機関が、タクシー輸送の安全及び利用者の利便の確保に資する業務を適切に実施するよう、必要な指導・監督を行うこと。特に、登録実施機関及び適正化事業実施機関が、いわゆる天下り機関としての指摘を受けることがないよう特段の配慮を行うこと。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣冬柴鐵三君。

冬柴国務大臣 タクシー業務適正化特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

塩谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塩谷委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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