衆議院

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第17号 平成19年5月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月十一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 山本 公一君

   理事 伴野  豊君 理事 三日月大造君

   理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    桜井 郁三君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      冨岡  勉君    長島 忠美君

      原田 憲治君    松本 文明君

      宮澤 洋一君    盛山 正仁君

      吉田六左エ門君    若宮 健嗣君

      川内 博史君    黄川田 徹君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      下条 みつ君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鷲尾英一郎君

      赤羽 一嘉君    伊藤  渉君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           佐藤 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 平山 芳昭君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     冨岡  勉君

  泉  健太君     川内 博史君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     徳田  毅君

  川内 博史君     泉  健太君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

五月十日

 測量法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 測量法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長宿利正史君、国土計画局長渡邊東君、河川局長門松武君、道路局長宮田年耕君、住宅局長榊正剛君、自動車交通局長岩崎貞二君、港湾局長中尾成邦君、航空局長鈴木久泰君、政策統括官平山芳昭君、内閣府政策統括官増田優一君及び農林水産省総合食料局次長佐藤和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。

川内委員 おはようございます。民主党の川内でございます。

 委員長、各党の理事の先生方にお許しをいただきまして、発言の機会をいただきました。感謝申し上げます。冬柴大臣、きょうはよろしくお願いを申し上げます。

 私は、きょう、この国土交通委員会におきまして、地震災害発生時の地盤の液状化の問題と、最近大変に大きな議論になっております東京築地の中央卸売市場移転問題とのかかわりについて、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、委員の先生方のお手元に資料を配付させていただいておりますが、この資料の一番最後につけさせていただいております四枚目、A3、横版の紙に写真がございます。これをごらんいただきますと、この中央に写っているのが、築地の移転先であるとされる東京都江東区豊洲の埋立地、この埋立地に当時稼働していた大きなガス会社の工場でございます。

 この工場は、今から約二十年前、昭和六十三年にガス製造が中止をされましたが、この工場跡地に東京都が築地の中央卸売市場を二〇一二年度には移転させたいという計画を進めております。

 しかし、この工場跡地には、ベンゼン、シアン、砒素、水銀、鉛、六価クロムなどの有害物質が環境基準をはるかに超えて土壌や地下水を汚染しているということが、平成十三年の東京ガスのみずから行った調査でわかっております。この調査も非常に粗い調査でございまして、現在、我が国は土壌汚染対策法という法律を持っておりますが、この法律に準拠して調査をした場合には、さらに詳しい具体的なことがわかるのではないかというふうに言われております。

 そして、これは環境委員会で環境大臣に確認をしておりますが、土壌汚染対策法が豊洲のこの埋立地に適用されるとすれば、今現在行われている対策ではこの豊洲の埋立地の土壌汚染の指定を解除することはできない、すなわち土壌汚染地域であるということも政府の見解として確認をさせていただいております。

 そういう場所に、東京都民を初めとして全国の皆様方、全国民の食の安心、安全にかかわる卸売市場を移転させていくということで、食の安心、安全が保てるのかということで大きな問題になっているわけでありますが、さらに本日は、国土交通委員会でございますから、災害時、防災の観点からお聞きをしたいわけでございます。

 まず、政府の中央防災会議にお伺いをしたいと思いますが、首都圏に関東大震災クラスの大地震が発生をする可能性というものはどのくらいというふうに中央防災会議として見ていらっしゃるのかということについて教えていただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 首都圏で発生する大地震についてのお尋ねでございますが、御案内のように、相模湾から南東方向に伸びる相模トラフ沿いのプレート境界では、これまで、御指摘がありました関東大震災クラスのマグニチュード八クラスの地震が大体二百年から三百年間隔で発生をいたしております。前回の関東大震災、ちょうどことしから八十四年前でございますので、次のこのクラスの地震の発生は今後百年から二百年先ということで、その地震の心配は私どもそれほどしておりませんが、ただ、その間に南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が数回発生しております。これを非常に心配しておりまして、その切迫性がかなり指摘されているというのが地震の関係でございます。

川内委員 関東大震災クラスの大地震は百年から二百年は想定をしていない、しかし、マグニチュード七クラス、マグニチュード七でも私どもの感覚からすれば大地震であるわけでございますが、それは数十年のタームで起こり得るというふうに考えていいということでございましたけれども、例えば東京湾北部地震、マグニチュード七・三あるいは震度六強が想定をされるというふうに仮定すると、関東大震災まではいかないけれども、そのマグニチュード七クラスの地震に対しては、政府としても、中央防災会議としても、地震対策、防災対策を講ずる必要があるというふうに考えているという認識でよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、中央防災会議では、先ほど申し上げましたマグニチュード七クラスの首都直下地震というものを想定いたしまして、十八タイプの地震を想定した被害想定をしております。そのうち特に甚大な被害をもたらすものとして、東京湾北部地震、これはマグニチュード七・三と想定しておりますが、その地震につきまして被害想定を行い、その被害減殺のための戦略をつくっているというところでございます。

川内委員 そのマグニチュード七・三の東京湾北部地震の被害想定の中で、液状化による被害はどのように想定をされていらっしゃるのか。また、東京湾臨海部の埋立地においては、どのような液状化による被害が想定をされているのかということについて、御説明をいただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 中央防災会議で行われました被害想定のうち、御指摘のありました液状化については、地下水位の高い砂地盤のところにつきましては、震度五強程度でも液状化が発生するというふうに見込まれておりまして、首都地域のかなり広い範囲で液状化による被害が発生するというふうに想定をいたしております。特に、御指摘のありました東京湾岸地域やあるいは大河川周辺では、液状化しやすい地盤が広範に分布しておりまして、大きな被害が出るものと想定しております。

 被害の内容につきましては、まず、建物被害につきましては、約三万三千棟の全壊被害が発生するというふうな予測をしております。また、建物の被害はなくても、宅地周りの配水管等の設備が大きな被害を受けまして、居住に支障が生ずる可能性もあります。

 さらに、道路等の交通インフラ、あるいは電気、ガス、水道等のライフラインにつきましても、これは各事業者におきまして、現在かなり液状化対策を実施していただいているわけでありますけれども、液状化対策が不十分な場合には大きな被害が発生するおそれがあるというふうに考えております。

川内委員 液状化の被害というのは震度五強から発生をするのではないか、そしてまた、液状化しやすいこの東京湾北部の沿岸地域においては、さまざまな被害が想定をされているということでございます。

 そこで、国土交通省にお伺いをいたしますが、委員の先生方にはお手元の資料一ページをごらんいただきたいと思いますけれども、これは、液状化のメカニズムをわかりやすい図で御説明いただいたものでございますが、この資料にございます液状化のメカニズムについて、わかりやすく御説明をいただければというふうに思います。

中尾政府参考人 液状化現象についてお答えいたします。

 液状化現象とは、砂分を多く含む地盤で、余りよく締まっていない場合、こういう場合に、地下水面下の土層が地震動により攪乱されることにより強度が低下いたしまして、地盤が液体に近い挙動を示す現象をいいます。

川内委員 液状化というのは、地盤が締まっていない場合に、地下水層、要するに、その地盤全体がもう水のようになって噴出してくるという御説明であったというふうに思います。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいわけでございますが、液状化しやすい土地に対する液状化対策、液状化に対する対策というものはどのように理解をすればよろしいか、どういうことをすることが液状化対策なのかということを御説明いただきたいというふうに思います。

中尾政府参考人 対策についてお答えいたします。

 確かに、このような液状化現象が発生した場合には、地盤上にある重たい物体が沈下したり傾いたりといった変状が発生することがございます。そのために液状化対策を行うんですけれども、液状化対策の工法といたしましては、地盤内の水圧が高くならないようにする工法とか、砂の粒子が相互にばらばらにならないように締め固める工法などがございます。

 代表的な工法といたしましては、置きかえ工法、地盤を全部かえてしまうといった工法とか、サンド・コンパクション工法、振動をやって締め固めてしまうという工法、それとかドレーン工法、水を抜くような工法、そういうものがございます。

川内委員 今ちょっと追加で教えていただきたいんですけれども、液状化対策というのは構造物に対して行うものであって、例えば、埋立地全体に対して液状化対策を施すというのは、その埋立地全体の土壌を入れかえる、そして固めるということをしなければ液状化対策にはならない。

 要するに、私が申し上げたいのは、阪神・淡路大震災のときにポートアイランドは物すごい液状化をしたわけでございますけれども、建物自体は建っていた、しかし、建物以外のところはもう噴き出していたという状況であったわけです。液状化対策というのは構造物に対して行うものであって、地盤全体に対して行うということは、通常、建築法令の中などでもそれほど想定をされていないということでよろしいんでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 通常、液状化対策は、構造物が壊れないようにするとか傾かないようにする、そのために行うものでございまして、一般的には、地盤全体をやるといったことはやっておりません。

 ただ、物によっては、ヤードといって、例えば港湾施設の場合、背後の荷さばき施設、そこには構造物はほとんどございませんけれども、そこが壊れると困るといった場合には、そういうところもすべて液状化対策を行っております。

 一般的には、構造物が壊れないようにするための液状化対策といったものをやっております。

川内委員 もう一回ちょっと確認をしたいんですが、では、この御説明をいただいた液状化の発生のメカニズムの表からわかることというのは、液状化対策が行われたとしても、構造物、建造物は建っているかもしれないけれども、地下水が噴出する、液状化現象というのは、液状化が発生しやすい地域では十分に起こり得るという理解でよろしいでしょうか。

中尾政府参考人 そういうことで結構だと思います。

川内委員 私は、実は、東京都の港湾局から、東京都の液状化予測図という資料をいただきました。うちの事務所はカラーコピーの機能がなかったものですから、自分一人で見て申しわけないんですけれども、このカラーコピーを見ますと、東京都の築地市場は、東京低地の液状化予測によると、液状化の発生が少ない地域であるというふうにされておりまして、築地というのは、関東大震災に耐えた場所であります。当然なんですね、もうずっと昔からあるところですから、関東大震災にも耐えたというところでございます。

 移転予定地、築地が移転するであろう、東京都が移転させたいとしている江東区豊洲の東京ガス工場跡地は、この図によりますと、大部分が液状化の発生が少ない地域と分類されておりますが、しかし、その中の一部、一部といってもかなりの面積だと思いますけれども、液状化が発生しやすい地域が含まれているというふうに、私がいただいた図ではなっております。

 東京の港湾局に私は質問することができませんので、かわりに国土交通省の港湾局長さんに、東京都にお聞きくださいということで質問の通告をさせていただいておりますので、今申し上げました私の説明を確認していただきたいというふうに思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 再度の説明になるかと思いますけれども、東京都が平成十八年に策定した液状化危険度マップというものがございます。それによりますと、豊洲埠頭は、全体的には液状化の発生が少ない地域に分類されておりますけれども、部分的に、液状化が発生しやすい地域が含まれているという状況でございます。

川内委員 液状化危険度マップというものを平成十八年に東京都がおつくりになられたということでございますが、さらに、卸売市場の重要性、あるいは卸売市場の立地の環境というものを正確に予測する、液状化の予測をするためには、改めてこの豊洲の埋立地の地盤の調査というものをすればより明確になるというふうに御説明をいただいておりますけれども、そのとおりでよろしいでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 この危険度マップというのは、すべてのところの地盤を調査したというわけじゃなくて、類推して想定していると思います。したがいまして、ある程度、構造物を実際につくる場合には、必ず地盤の調査をして、液状化などがどうなっているかというのを調べるのが通常でございます。

川内委員 冬柴大臣、先ほど申し上げたとおり、豊洲の土地というのは、現行法でいえば土壌汚染地域なんですね。今やっている対策が行われた後であっても土壌汚染地域です。そして、今御説明があったとおり、液状化が発生しやすい地域、部分が含まれている。そして、震度五強の地震ぐらいから液状化をするであろうということも御説明をいただきました。

 そうすると、ここに卸売市場を移転させるとすれば、汚染された土壌あるいは地下水というものが噴き出すわけでございますね。そういうところに卸売市場があるというのは、私は、国民の皆様方に対する食の安心、安全という観点から、大きな問題を含んでいるのではないかというふうに思います。

 そこで、農水省にきょうは来ていただいておりますので、農水省さんにも御説明をいただきたいと思います。

 農水省さんは、卸売市場法という法律を所管していらっしゃいまして、食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会の意見を聞いて、卸売市場整備基本方針に基づいて中央卸売市場整備計画を決定し、開設の認可をする立場でいらっしゃいますが、卸売市場法の第一条「目的」のところに、「この法律は、」「卸売市場の整備を促進し、及びその適正かつ健全な運営を確保することにより、生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もつて国民生活の安定に資することを目的とする。」というふうに書いてございます。

 ここの「流通」という言葉の中には、大規模地震発生後あるいは発生時の流通の確保という概念も含まれていますかということをまず御確認いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省は卸売市場法を所管してございまして、今委員読み上げられたとおり、第一条で「流通」ということが入ってございます。それが災害ということを念頭に置いているかという御質問でございますけれども、念頭に置いてございます。

 私ども、卸売市場法に基づきまして、卸売市場整備基本方針を定めるというふうになってございます。これは、大臣が卸売市場の整備運営についての基本的な考え方を定めるものでございますが、その中で、災害時などにおいて、卸売市場が機能を確保し、生鮮食料品の安定供給のために適切な対応が確保されるように努めるというふうにしてございまして、災害時においても流通ということを考えているところでございます。

川内委員 それでは、築地市場の豊洲移転計画というものを中央卸売市場整備計画で決定された審議会、平成十七年三月十七日の食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会の議論の中に、大地震発生時あるいは大地震発生後の食料の集積、配送、流通の確保という議論、論点はあったのでしょうか。

佐藤政府参考人 委員ただいまおっしゃいました十七年三月の審議会、総合食料分科会の議事録を確認いたしましたけれども、大災害、大地震を想定した議論というのは行われておりませんでした。

川内委員 さらに、卸売市場法の中では、中央卸売市場整備計画を定めるに当たっては、審議会の意見それから地方公共団体の意見を聞くというふうに法律に書いてございます。審議会の中では、大規模地震発生時の流通の確保という観点からの議論はなかった。

 それでは、東京都から整備計画を決定するに際して農水省総合食料分科会に提出をされた資料の中に、大地震発生時あるいは発生後の生鮮食料品の集積、配送、流通の確保に関する記述というものがあったかなかったかということについて御説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 東京都が、中央卸売市場、今築地にございます市場を豊洲に移転する計画を定めました東京都の整備計画、平成十三年に定められておりますけれども、その中では、地震による災害、震災というものを想定した記述がございます。「卸売市場には、震災が起こったときにも、被災者に円滑に生鮮食料品を提供する役割を担うことが求められている。」というくだりがございまして、大地震による災害を想定したものも含まれた整備計画になっているところでございます。

川内委員 その記述をちょっと正確に読んでいただきたいんですけれども、どのように書いているのか。大規模地震発生時の流通の確保という観点が具体的に示されているのか否かということを私はお聞きしたいんですけれども、定性的に、情緒的に、いや、考えましたと書いてあるのか、それとも、大規模地震発生時にはこうこうこうしてこのような形で生鮮食料品の集積、配送という流通の確保を図る所存であるということが具体的に記述をされているのかということについて教えていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 十三年の東京都の整備計画の該当部分をそのまま読み上げさせていただきます。

 タイトルとして、「適切な施設整備の推進」という中でございますが、「卸売市場には、震災が起こったときにも、被災者に円滑に生鮮食料品を提供する役割を担うことが求められている。このため耐震工事を進めていくとともに、各市場において防災マニュアルの周知を徹底し、また、火災等の災害や盗難などに対するリスク管理・対応等の態勢を整えていく。」というくだりがございます。

川内委員 大臣、きょうの議論でおわかりいただいたとおり、建物自体は液状化対策をすれば構造物としての耐震性を得ることはできる。しかし、埋立地全体についていえば、液状化をし、豊洲について液状化をするということは、汚染された土壌、汚染された地下水というものが噴出をする。そして、それは、そこに生鮮食料品を集積するわけにはいかないから、何らかの、大規模地震発生時には、もし豊洲に移転するのであればその代替の手段というものを考慮しておかなければならないわけでありますが、しかし、今、農水省さんから御説明をいただいた限りでは、耐震構造の設計をいたしますと、ごくごく当たり前のことしか書かれていない。そういう意味では、大規模地震発生時の流通の確保という観点はこの東京都の計画の中にもないのではないかというふうに私は思います。

 そこで、農水省にもう一回、政府の認識として確認をしたいんですが、東京都の整備計画の中にも、大規模地震発生時の液状化の発生によるその後の流通の確保という観点については計画の中に示されていないということを農水省の見解として確認してください。そこには書いていないですからね。

佐藤政府参考人 委員御指摘のとおり、東京都の整備計画の中にも豊洲の液状化ということを直接記述しているものは一切ございません。

川内委員 しつこいぐらいに申し上げるわけでございますけれども、さらに、この江東区の豊洲の地域、豊洲埋立地は、四本の橋でつながれた陸の孤島であります。大地震が起こって、建造物そのものの損傷、橋の損傷、安全確認のための通行不能などによって、市場の機能は確実に損なわれるおそれが出てまいります。先ほど中央防災会議から御報告をいただきました。

 冬柴大臣は、阪神・淡路大震災を御経験になられて、埋立地が陸の孤島になったときの大変さというものは、もう身にしみて、だれよりもよく御存じだというふうに思います、ポートアイランドの件で。本来なら、そういう大規模地震、大規模災害発生直後の非常事態に多くの被災者に食料を供給する使命を負っている卸売市場がみずから機能不全に陥ってしまったら、これはもう全く話にならない。危機管理上、私は大変な問題が発生をするのではないかというふうに考えます。

 さらに、先ほどからくどいように申し上げていますが、液状化によって、汚染された地下水、汚染された土壌を市場全体がかぶるわけですから、この大地震による機能不全のリスク、そして液状化による汚染のリスクというのは、卸売市場整備計画を決定するに当たって当然考慮されるべきことだというふうに私は思うんですね。

 先ほど農水省さんは、流通という言葉には大規模地震発生時の流通の確保という概念も含まれるということをおっしゃられた。しかし、審議会の中の議論、さらには東京都の計画の中にも、大規模地震発生時の流通の確保、液状化に対する流通の確保という観点が含まれてはいないということをおっしゃられた。

 そこで、もう一度ここで農水省にお尋ねをするわけでございますが、この中央卸売市場整備計画、築地の豊洲移転を決定した平成十七年三月十七日の審議会の議論というのは私は不十分であったのではないかというふうに思いますが、農水省としても、この整備計画を決定するに当たって、大規模地震発生時の流通の確保という観点が当然考慮されるべきであったというふうにお思いにはなられないかということを御答弁いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 卸売市場は、国民の皆様に生鮮食料品の安定的な供給をするという基本的な機能を持っておりまして、これは災害のときにも非常に重要であると認識をしております。したがいまして、先ほど申し上げました基本方針の中にも災害時の対応ということも入れておるわけでございまして、できるだけ築地市場を、これは東京都を開設区域にしておる中央卸売市場でございますけれども、東京でそういった大災害が起こった場合でも、その市場が通常の卸売市場として機能が確保できる、あるいは市場内外に冷凍品、加工食品等の食品が貯蔵されておりますが、そういったものが利用される、さらに、ほかの地域から物資の受け入れなり分配なりそういった機能を果たす、こういったことも期待されておるわけでございます。

 それから、東京都の関係でございますけれども、東京都の方にまさに液状化について確認しておりますけれども、東京都からも、液状化を念頭に置いて建物の構造対策をやる、それを含めまして土地対策についても地盤改良等を行う、それによって液状化によって汚染物質が噴出するような事態を防止したいということがございます。また万一、液状化によって一部で水なり土砂なりが噴き出てくる、そういうことがあった場合でも、予定しております市場の設備でございますけれども、野積みという意味ではなくて、閉鎖された空間で扱われる、しかも床もしっかりつくる。そういった施設の中で食料品は取り扱われるわけでございまして、野積みをされるわけではないということから、直接それが直ちにかかってくるということはない。そういうことを考えながら、今後の話になりますけれども、今後の整備を進めていきたい、そういうふうに聞いておるところでございます。

 いずれにいたしましても、豊洲地区、もちろん市場予定地だけではなくて、人が住んだり、小学校、幼稚園があったり、そういう地域でございますので、大災害のときの対応をどうするかということはしっかり私ども念頭に置いて考えてまいりたいと思っております。

川内委員 今、東京都の対策として液状化対策も行うのだという御説明があったわけでございますが、私は、その東京都の行う地盤改良等の液状化対策というものがこの豊洲の埋立地全般を地盤改良するものであるのかどうかということが大きな論点になるだろうというふうに思います。そこまでやるのは大変なコストがかかりますし、とてもとても無理であろう。構造物に対する液状化対策、地盤改良という意味ではないかというふうに思います。

 これはもう、国土交通大臣はポートアイランドを経験していらっしゃるのでよくおわかりをいただけるというふうに思います。大地震が発生をし、人間の人知を超えたところに災害が発生をする。そのときに卸売市場というものが果たす機能、流通の確保、これは、人間が生きていく上で、食料を集積し集配する機能というものが万々が一にも失われることがあってはならない。築地は関東大震災に耐えた場所である。しかし、豊洲は、きょう議論の中で申し上げてきたとおり、汚染土壌が厳然として、今やっている対策が行われたとしても汚染土壌は残る。そして、その汚染土壌が残った土地の上で地震が発生すれば液状化をする。液状化をすれば、汚染土壌、汚染された地下水が噴出をする。そこに大規模地震発生後の都民なりあるいは首都圏なりの住民の皆様方の生命をつなぐ生鮮食料品の集積、配送という機能が果たして維持できるのか否かという問題。

 きょう、国土交通大臣にずっと話を聞いていただきました。実は私も、我が国において、この危機管理上の問題を政府のどこに聞けばいいんだろうと思って、中央防災会議さんとか国土交通省さんとか農水省さんとかさまざまに聞いたんですが、そういうときに、食料をしっかり供給するということを日本の政府の中で担当している部署がないということに気づいたんです。だから、農水省の卸売市場法でも、大規模地震発生時の流通という概念はあるけれども議論はしていないということだというふうに、みんなだれかがやっているだろうと思っているんですね。だけれども、だれもやっていないという状況がある。

 私は、国土交通大臣に最後に、きょうは豊洲の液状化対策、大規模地震発生時の対応についてずっと議論をさせていただいたわけでございますが、国土交通省としても、災害対応という観点から、この豊洲問題、築地の市場移転問題にも大いに関心を持つということを、大臣の御所見を最後に賜りたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 先ほど来、るる液状化についてお話を伺いました。

 私の体験といたしましても、神戸のポートアイランドの液状化は現に体験もしましたし、私の当時の中選挙区時代の選挙区の中でありました芦屋市の浜風町は全体が埋立地で液状化をした、そこももちろん体験をしました。それだけではなしに、現在の尼崎市、私の小選挙区の中ですけれども、そこの築地地区というのは、明治期以前の埋立地で非常に安定していたんですけれども、大変な液状化によって全体が崩れました。したがいまして、ここは土壌の入れかえ、上積み等をして、大変なお金がかかりましたけれども、町を全体をつくり直したという地域が私の方の築地地区でございます。そういう体験も踏まえながら今の議論を聞いてまいりました。

 今川内議員が御指摘のような危険性がもしあるとするならば、そこへ青果市場をつくるということであれば、相当注意深く、建築物はもちろんのことですけれども、その余のヤードにつきましても、どの程度の広さでどの程度の液状化の可能性があると今見ていられるのか。全体的な部分、そしてその全体の面積及び液状化が予想される面積の比率とか、そういうことは今示されておりませんので私はわかりませんけれども、そういう予測される部分については、液状化でいやしくもその下の水が噴き上げたり、あるいは砂が一緒に噴き上がってくることのないような技法というものが講じられなければならない、私はそのように思います。このような知見がある以上、もしそこへつくるという場合にはそういうものがきちっと行われなければならない、私はそのように思います。

 また、そういうふうに講ずることによって、液状化をその部分について防ぐという手法も今日持っていることも、私は体験的に今の築地地区のこととかで知っておりますので、そういう技術、安心できる技術というものに基づいてやられなければならない、このように思います。

川内委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございます。

塩谷委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 おはようございます。民主党の小宮山泰子でございます。

 まずもって、先般のジェットコースターでお亡くなりになった方にお悔やみを、そして負傷をされた皆様には早い回復をお祈りしたいと思っております。

 この事故を通して、国土交通省というのはいかに広い範囲を持っているのかということを改めて感じましたし、また、建築基準法の改正等、この中で随分、耐震偽装のことでございましたのでやりましたけれども、まさか遊戯機具までもこの法律にかかわるということは正直考えていなかった部分も申しわけないほどに思っております。そういう意味では、この国土交通省の所管の事業というもの、また所管していることに関しては、大所からも見て、また小さなところ、細かいところまでしっかりと私たちは審議をしていかなければいけないんだということを改めて思っております。

 通常ですと、やはり今話題のことを多くやるわけであります。特に、国際情勢でいえば、ブレア首相が十年間の任期を終えて今度退陣をされるということで国際関係の問題があったり、また、自民党の、これは私ども考えられない、迂回献金というんでしょうか、村岡被告の有罪判決が一審と変わり出たことを考えれば、政治とお金の問題というのは、残念ながらまだ、ことし予算委員会で強行採決された後に予算委員会でやるといったことが実行されていないということを考えても、やはり私たちは、多くの皆様の税金だったりいろいろな思いというもの、政治が決定権を持ったりという、大きな意味を持ってはそういったこともする必要があるとは思いますが、きょうはあえて大所のところから、日本がこれからどういう方向へ進むべきかということを考えて、港湾と空港ということで、国際物流というような形の中で質問させていただきたいと思います。

 日本においては、エネルギーの九割以上、食料の六割を海外に依存するという、資源小国と言われる我が国でありますけれども、製造業産品とかの輸出を初め、今、川内委員も言っておりますが、食料の輸入なども、安全という面においても、貿易ということに関しては、また、今思いますが、新潟もまだ復興支援がありますし、私も阪神・淡路大震災の後、青年会議所のメンバーとして神戸会議にずっと出ておりました。そして、先般の輪島でのあの被災の後においても、首長さんがおっしゃるように、やはり地域経済の活性化というものが何といっても復興には一番力強く影響するんだということを考えますと、それに寄与する物流というのは、国土交通省の所管のものというのは非常に大きな役割を今担っているし、ここをしっかりとつくり上げるということが、これからの日本の発展や、もし何か万が一のときがあったときの復興に大きく寄与する、そういった礎になるんだというふうに思っております。

 そこで、本日は三点を念頭に伺っていきたいと思います。

 空港や港湾にかかわる政策で、やはり将来展望をしっかりと国民の皆様に明示をしていくことが、今後の商社のことであったりとか、そういった意味においては、大変経済活動には重要であるという観点で質問させていただきたい。

 そして第二点では、日ごろからいろいろ施策を見ていて感じることでありますけれども、個別の政策がばらばらに提案されていて、果たして個別の政策の間に総合性とか統一性、そして整合性があるのか。ある意味、いろいろな白書が出たりとか政策は出てきますけれども、どれもいいことを言っているんです。でも、トータルで見ると、では何がやりたいのかというのがはっきりしない。国策としてどういう方向に向いていくのかという力強さを感じない。一つ一つはどれもいいことを言っているんです。そういった意味で、しっかりとこの点をやはり明確にしていただきたいという思いがあります。

 そして第三点では、新たな政策を提案する際に、これは今までの法案もそうですけれども、これまでとってきた政策についての反省点というものをなかなかうかがうことができませんでした。中心市街地活性化法のときもそうですし、地域復興再生のときもそうですけれども、いろいろいいことは言うんですけれども、では、実際余りうまくいかなかったじゃないかといったところの反省が余りにも聞こえない。

 私たちは、やはり過去の反省、歴史の上に乗っかり、そしてそこからよりよい未来をつくり上げるという責任がございます。政府のすべての事業において国民の皆様の税金を投入して行われるわけですから、政府がかかわったプロジェクトについてはやはり政策評価をしっかりとして、そして、今までのうまくいかなかった点、また時代によってうまくいかなくなった点というものをしっかり反省して検証した上で次に進むべきだと思っております。

 この三点を念頭に置いた上で質問をさせていただきたいと思います。

 そして、ことしは大きな意味で、国土形成計画ももう間もなく固まってくるんだと思います。国家百年の大計という意気込みでやっていただきたいと思いますけれども、国土形成計画の中にあります空港整備や港湾整備に関するもの、また道路、鉄道計画、そういうものがどうやって位置づけられているかというのが問われていくんだと思いますので、まずは空港の国際競争力について質問をさせていただきたいと思います。

 日本の国際空港、成田空港やまた関空などは、アジアの主要空港であります韓国の仁川、また中国は北京で浦東、シンガポールのチャンギなどと比較しまして、空港機能が脆弱ということは現実として否めないと思います。

 成田の滑走路は、A滑走路が四千メートル、B滑走路が二千百八十メートルで、現在、B滑走路を二千五百メートルに延伸する工事中と伺っております。完成は平成二十二年三月末の予定となっておりまして、また、このB滑走路延伸工事が完了すると、二万回の発着枠がふえ、発着能力は年間二十二万回にふえる。

 しかし、中国と比較しますと、着陸回数ですが、北京が三十・一万回、上海が十七・六万回と、中国は二つの空港で着陸回数だけで四十四万回を超します。成田の場合は延伸のB滑走路を加えても発着能力二十二万回となりますので、残念ですけれども、発着能力という意味においては中国に及ばないということも現実としてあると思います。

 また、年間の国際線の旅客数においても、約三千万人でありますけれども、中国では香港空港が成田空港を上回る三千六百万人、そして韓国の仁川、非常に立派になりましたけれども、これも国際旅客中心の空港では二千六百万人が利用しておりますし、中国では、オリンピックなど、またいろいろな意味で発展が今見込まれるわけであります。

 こうやって見ますと、現在でも、アメリカ、ヨーロッパから日本を飛び越して香港や仁川からアジア入りをするというお客様、旅客者というものが大変ふえてきているというのも現実だと思います。

 ぜひお伺いしたいんですけれども、成田空港を初め日本の国際空港をアジアの玄関口として、シームレスということ、また今、東アジア日帰りビジネス圏ということも提唱を始められておりますけれども、なぜこうやって国際競争力が落ちる結果になってしまったのか、また将来展望を含めてどうお考えになっているのか、ぜひ伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、アジア各国では、大規模な国際拠点空港の整備がどんどん進められております。国策として進められております。

 私どももこれまで大変な努力をして拠点空港の整備をやってまいったわけでありますが、残念ながら、我が国では、やはり国土が狭隘でありまして人口が稠密でありますので、なかなかその適地がない、頑張ってつくっても成田のようになかなかその整備が進まないというようなことがありまして、あるいは、関空や中部などは海上を埋め立ててつくります関係で巨額の資金が要るというようなこともございます。そういう中で精いっぱい今までやってきたところでございます。

 その結果、先生のお話にもありましたように、首都圏におきましては、二〇一〇年三月に、成田空港の平行滑走路を二千百八十から二千五百にする事業が完成いたします。それから、同年十月には羽田空港の第四滑走路が完成いたします。これが完成いたしますと、成田の方は二十万回から二十二万回へ二万回ふえます。羽田は現在二十九・六万回飛んでおりますが、これが四十・七万回ということで十一万回ふえます。この羽田の方で十一万回ふえるうちの三万回を、国内線の方を十分確保した上で三万回を近距離国際線に回すということで、合わせて五万回を首都圏では国際線の方に充てたいと思っております。

 それから、関西圏におきましては、関空の第二滑走路、本年八月二日にオープンいたしまして、我が国初めての本格的な二十四時間供用の空港になります。一本の滑走路ですと、夜、メンテナンス工事で週三日三時間ほどクローズしますが、二本ありますと交互にメンテナンスができるということで、本格二十四時間になります。

 中部の方も、一昨年に開港して大変順調にやっております。こちらも、アジアに近いという利点を生かして、今後、アジア方面を初めとする旅客あるいは貨物需要にこたえていきたいということで頑張っております。

 そういう関係で、なかなか時間がかかるという面は私どもも十分承知をしておりますけれども、その中で精いっぱい、我が国の国際競争力を確保する上で拠点空港整備に頑張ってまいりたいと思っております。

小宮山(泰)委員 ある意味、もしかすると、外国は国策で進めていたけれども、日本はその辺が弱かったんじゃないかとおっしゃっているのかなというふうにも聞こえないでもありません。はっきりと言っていただいた方が、進めるんだということをもっと私たちも強く言えると思いますし、実際、今のお話の中においても、ではなぜ国際競争力が落ちてしまったのかということの解決には今のはなっていないのではないか。

 努力していないとは言いません。実際、日本の場合は、後でやりますが、港湾の問題とか、山、丘陵地も多いということで、平地面積がほかの国と比べても非常に少ない。しかし、シンガポールとかを見れば、日本はなかなか大きな国でもありますので、そうやって考えていくと、まだまだできることはあるのではないかと思います。ぜひこの点は後ほど大臣に伺っていきたいと思います。

 もう一つの観点としては、日本に入ってこられたら、今度はそこからのアクセスが悪いという問題がございます。

 上海国際空港から中心市街地まで、タクシーだと五十分かかるけれども、リニアモーターカーをやっていくと七分という資料も実際あったりとか、国際空港と中心市街地のアクセスのよさというものがこれからは大変重要視されていく。

 特にビジネス関係、この人たちが、金融であったり、いろいろな情報であったり、日本を通過する貨幣をふやすということを考えると、先ほどちょっと触れましたけれども、東アジアの日帰りビジネス圏ということを国土交通省の中で提案されているということを考えますと、ここから見ても、正直言って、今、韓国は確かに遠いですけれども、これもアクセスをよくしていく、そうやって国策でどんどん空港の利便性を上げていき、外からのいろいろなものの誘致をされている東アジア、アジアというところと日本はどう対抗していくのかという思いがあります。

 現在、都心と三十分台で結ぶ成田新高速鉄道を整備中ということで、もう大分めどもついたというふうに聞いておりますので、大分アクセスの改善はあると思いますけれども、このアクセスの悪さというもの、中心市街地へのアクセスの改善のために今度どうされていくのか、その点も簡単にお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、空港のアクセスの充実というのは空港機能を最大限発揮するために重要なものと認識しておりまして、成田につきましても、今お話がありました成田新高速鉄道の整備で、都心まで三十分台で走れるような整備を二〇一〇年春の開業を目指して進めているところでございます。いろいろまだこれから課題もあろうかと思います。道路の方も、北千葉道路とか圏央道の整備でさらに改善が図られるとしております。

 そういうことで、空港からなるべく一時間で行けるぐらいの圏域を拡大するとかという形で、しっかり私どもも詰めてまいりたいと思っております。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 私は出身が埼玉でありますので、港も、実を言うと、空港もほぼ、ホンダが持っているところはありますけれども、あとは自衛隊になってしまうんですが、ありません。

 物流拠点ということを考えていくと、成田は、荷揚げというんでしょうか、魚とかも世界じゅうからやってくる、そして羽田も今後いろいろな意味で拡張されていくということを伺ってくると、また後ほど港湾のことを質問いたしますけれども、北関東やまた南関東も含めて大きな商圏の中にこのエリアはあります。そして、そこからいろいろな、自動車部品であったりとか多くのものが輸出されたりということを考えると、このアクセスというものをぜひトータルに考えて戦略を練っていただきたいと思います。

 そこで、先般、羽田の国際便自由化提言というようなことも報道がございました。五月七日、政府の規制改革会議で、二〇一〇年の秋、羽田再拡張に伴う国際化に当たり、羽田からの国際定期便は、ソウルや上海などの近距離便に限定せず、需要に応じて北京、香港、ホノルルなどへも広げる内容を提言されていらっしゃいます。

 ここに関しては大分国土交通省は慎重な態度ということもありますけれども、近距離便という意味では、羽田と石垣の間の千九百四十七キロというのを基準にされていますけれども、それから考えても、日本の空港からはソウルであったりとかは非常に近いということもありますので、この点に関して、今後どういうふうにされていくのか。私は、この点はもっともっと広げていくべきであると思います。

 枠に関しては、成田と羽田が一つの、もちろん国際空港、国内空港としての両輪があって、しかるべき発着数を考えてみても、乗客数を考えてみても、大きくとらえるのは大変重要だと思いますので、その点をぜひ大臣に伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 五月七日に規制改革会議が行った提言の中で、羽田空港から北京、香港、ホノルル、ムンバイ、インドですね、等への国際定期便やプログラムチャーター便の運航を年内、また遅くとも二年以内に実現すべきである、このようなこととされておりますけれども、平成十五年の六月十二日に、首都圏に関係する東京都、埼玉県、千葉県、そして神奈川県と、それぞれの県にあります政令指定都市の首長さん、合計八人に国土交通大臣が加わりまして、いろいろ協議をいたしまして、その結果、覚書がつくられているわけでございますが、再拡張後、いわゆる羽田ですね、二〇一〇年十月ということに今なっておりますが、その拡張後、国際定期便の就航を図ると合意しておりますので、二〇一〇年までに今提言されているような北京とか香港、ホノルル、ムンバイへ羽田から飛ばすということは、適当ではないと私は思っております。

 この合意は、再拡張事業によって羽田空港の発着容量が年間十一万回増加するんです。したがいまして、国内航空需要の伸びを考慮して、年間三万回程度を国際線に回せるだろうということで、これも合意をされたわけでございます。それで、再拡張を待たずに国際定期便を運航すべきではないと私は思っております。

 また、現在就航している羽田―金浦チャーター便、それから、今、私も中国へ参りましていろいろ協議を重ねてきているわけでございますが、早期実現に向けて双方で努力をしています羽田―上海虹橋チャーター便は、双方の国内空港同士を特別に結ぶものとして例外的に定期的なチャーター便として運航することとしているものでありまして、こうした例は他に出てくるとは当面考えられないわけでございます。

 我が国の国際航空ネットワークにつきましては、全国的な視野に立って、まず首都圏の成田空港の北伸、二千五百メートルですね、それから羽田空港の再拡張、第四の供用開始の整備を急ぐ、確実にそれを実行するということと、大都市拠点空港である関西空港、中部空港を戦略的にフルに活用しながら、地方空港についても、国際線の積極的な誘致に努めることによって、アジアを初めとする各国との戦略的かつオープンな国際航空ネットワークを構築してまいりたいと思います。

 首都圏の二つの空港及び関空、中部以外にも、二十五の地方の空港がそれぞれ外国便を受け入れているわけでございまして、ほぼこれは自由に入っているということでございますので、羽田、成田ができ上がるまでの間は、関空とか中部を戦略的に使っていくということが国益にかなうのではないかというふうに思うわけでございます。

小宮山(泰)委員 丁寧にありがとうございます。ぜひ戦略的をもう一歩さらに進めて、国策として、これからブロックとかいろいろな動きになる中でどうしていくのかというのをぜひさらに深めていただきたいと思います。

 ちょっと質問通告はしていないんですけれども、やはり世界じゅうからいろいろなビジネスチャンスを吹き込むためには、輸入関税の問題もありますけれども、今チャーター便の話をされました。それとは別に、プライベートジェットを利用するということが非常に世界じゅうでふえてきております。また、これを持っている企業というのはなかなか優秀なところが多い。ある意味ボーダーレスな時代になっていきますと、そういったプライベートジェット機の受け入れというものをもう少しきちんと入れていくというのも一つ、日本の空港の利用という意味においては大きなチャンスになるのではないか、受け入れ体制という意味では。

 その点は、成田なのか羽田なのか、もちろん関空や中部、いろいろありますけれども、その点に関しては議論がされている気配は私にとっては余り見受けられませんので、その点もぜひお考えいただけないか、お伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のプライベートジェットについても、世界的にどんどん今ふえておる状況を、私ども十分認識しております。ただ、残念ながら、首都圏につきましては、成田には若干枠があって一部受け入れが可能でありますけれども、いろいろな地上側の受け入れ体制の整備とかそういうものもございまして、まだ完全な状態ではないと認識しており、これからも十分勉強してまいりたいと思っております。

冬柴国務大臣 プライベートジェットについて議論していないというわけではなくて、その費用を全部一社が持つという場合には、今言うような技術問題は別として、これは原則的には受け入れるという体制だと思います。

小宮山(泰)委員 議論していないとは言っていないんです。余り聞こえてこないということでございますので、ぜひ受け入れ体制も、これも一つ、やはり日本が国際化の中において拡張をしていくというときにはビジネスチャンスであると思いますので、この点の受け入れというのもぜひさらに検討を深めていただきたいと思います。

 時間が大分なくなってまいりましたので、港湾のことに行きますけれども、日本は、ある資料によりますと、流通業では、予算というんですか、規模が百四十三兆円ぐらい、また自動車で七十兆円、また電機、そういうものの部品のやりとりでは八十二兆円、また食品では十九兆円というような、大きな規模であります。そして、この中では、日本だけではなくて海外との物流があるからこそ、そして販売等の経済の動きがあるからこそ、日本はある意味安定して発展をしてこれたんだと思っております。

 その中において、日本は当然、海に囲まれておりますので、海外とのつながりというのは、空から来るか、または海運で来るかということになってまいりますが、今までも、この点に関しても、残念ながら、一九八〇年と二〇〇五年のコンテナ取扱量を見ますと、神戸港は四位から三十位以下、横浜港は十二位から二十七位ぐらいというふうに競争力は低下をしていると言えます。そして、それと反対に、シンガポール港は六位から一位、釜山港は十六位から五位と伸びている現実もあります。

 我が国の港湾というのは、そういう意味では、アジア諸国の港湾に比べコスト高、またさらには、船舶が港に入り貨物が引き取り可能になるまで二、三日待たなくてはいけないというのが実情のようであります。これに関しては、随分とこれからリードタイムの長さは変えていくんだということを提言はされております。また、コスト高という意味においては、国際競争力を阻害している原因になってしまったというのも言えていることだと思います。ぜひ、この点は反省をし、そして検証をし、今後に生かしていただきたいと思います。

 また、その中において、スーパー中枢港湾の取り組みというのが目立ってまいります。予算規模が一年で大体五百億ぐらいということを考えても、今までの全体の、港を経由する額から見ればなかなかかわいらしい額なのかなと。もっともっとそういう意味では、もっと日本をアジアと世界の港湾の起点にするということにおいては、国策として考えていく、そういった位置づけをし直す時代に入っているのではないかと思います。

 時間がなくなったので、大臣に伺うようになってしまいますけれども、リードタイムの問題だけではなくて、やはりそういったコンテナ輸送とか総合的な物流、また、先ほども言いましたように、日本はアジアと非常に近い。日本海側の問題ももちろんありますけれども、そうやって考えると、アジアの中としての港湾の位置づけというのをもう一度改めて見直して、あと日本は港だけでも六百ぐらいは最低あるというふうに伺っておりますので、地域から大きな港湾に持ってくる、スーパー中枢港湾に持ってくるとか、もしくは釜山とかほかのところを使うとか、そういった大きな意味で、アジアの中での日本の港湾政策というものをもう一度見直していくべきなのではないかという思いがしております。

 その点に関して、もう既に育ってしまったアジアと競合するだけが、もう少し位置づけというものを、もう一回見直すべきなのではないかと思いますが、国土形成計画の決定が節目に来るということを考えると、本当に、この時点で大臣につかれている冬柴大臣の責任というか方針というものが、非常にこれからの日本の貿易ということに関しては大きな決定になっていかれるんだと思いますので、その点に関しまして、将来展望を明らかにするという意味においても、ぜひ大臣の所見を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 我が国は四面環海の国でありまして、人口減少社会を迎え、今後も安定的にして継続的な経済成長を遂げていくためには、近隣、特に中国等の活力を日本に取り込み、またそのような大きな市場を相手に我が国の経済を発展させていくということが非常に必要であります。

 そうなりますと、四面環海の国、先ほどおっしゃいましたように、食料も資材も、またでき上がった製品も九九・七%までが外航海運に依存している我が国でございます。したがいまして、このようなものを受け入れる国際港湾の必要性というものはもう言うまでもないわけでございます。

 しかしながら、御指摘のように、周辺国の投資は著しく大きいわけでございまして、そういうところから、日本の港湾の国際的なランクといいますか、そういうものが相対的に低下していることはまことにゆゆしいことではありますけれども、今、国として進めていることは、スーパー中枢港湾、京浜それから伊勢湾そして大阪湾、阪神港、こういうものについて、外国をしのぐようなサービス、ソフトとハード両方でございますが、そのようなものを現に進めているところでございます。

 いろいろな、リードタイム、船待ちをすることもなくなるようにするとか、あるいは多くの書類をたくさんいろいろな役所に出さなきゃならないというようなものをシングルウインドーで、そこで全部処理ができるようにするというようなこと、また、手数料が相当高いようでございますので三割は安くするとかいうようなことを今鋭意進めているところでございます。そのようなものが完成すれば、もちろんそれだけではありませんけれども、我が国の港湾というものは他国と伍していける、数量とかいうものではなしに質的にも伍していけると思っております。

 ただ、そこから国内の市場、消費拠点、生産拠点に対するネットワーク、道路のネットワークということも非常に大事でございますから、今後、そういう意味で、国際競争力を強化するという観点で、国土交通政策として頑張っていかなければならない、このように思っております。

小宮山(泰)委員 ぜひ国策として、これからの物流をどうするのか。これは体でいえば動脈というんでしょうか、非常に幹線となる、基幹となるところでもあります。ある意味骨の部分なんだと思いますので、この点はしっかり強化をし、そして順位というか、やはりきちんとした位置づけを持ち、戦略を持ってやっていくこと。

 そして、きょうは時間がないので残念ながらできませんでしたけれども、やはりそこから、港に入ってきた、飛行機で入ってきたその後、もしくはそこから出ていくための物流という国内の問題もきちんとやっていかなければいけない。何でもかんでも民営化をしたりとか独立行政法人化したりとかすればいいという問題ではないんだと私は思います。

 その点が、しっかりとした反省や国策というものが薄い。ないとは言いません。だからこそ、国際競争力が低下をするということになってしまったんだという一端はあると思いますので、ぜひその点を重視し、総花的ではない力強い政策というものを立てていくことを期待して、質問を終わらせたいと思います。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、杉田元司君。

杉田委員 おはようございます。自由民主党の杉田元司です。

 私からも幾つかの質問を行わせていただきたいと思います。

 まず、去る八日でありますが、午前九時三十分ごろ、広島県の三原市、山陽自動車道上り三原久井インターチェンジ付近で、大型トラックがマイクロバスに追突し、バスがガードレールに衝突し横転、乗っていた島根県の化学メーカー堀江化工の社長が死亡、重軽傷者二十名を出した。業務上過失傷害の現行犯で逮捕された容疑者は、前をよく見ていなかったと供述をしております。現場は下り坂でありました。

 そこで、まず最初に、山陽道の事故も含めた高速道路安全対策はいかがなものか、お伺いをいたします。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 五月八日に発生をいたしました山陽自動車道上り線三原久井インターチェンジ付近における事故でございますが、これに関します発生箇所前後の交通安全対策というのを過去会社の方でもやってきております。

 本郷インターチェンジ―尾道インターチェンジ間二十四・一キロございますが、中間の高坂パーキング付近が標高三百八十一メーターということで一番高くなって、前後下り坂になっているというところでございます。上下線とも四%程度の下り坂でございまして、過去に死亡事故も発生しておりますことから、大型の視線誘導標や注意喚起標識、赤色回転灯などを設置してきております。また、今回の事故を受けて、強化策として、速度抑制を促すレーンマークあるいは大型注意喚起標識を追加して設置することを検討中でございます。

 お尋ねの一般論ということで申し上げますと、高速自動車国道の交通死傷事故の発生率というのは億台キロ当たり約十件でございます。一般道に比べますと十二分の一ということで低うございますが、交通事故死傷者数で見ますと、平成十三年一万三千六百二十八人をピークにして、平成十七年は一万一千七百四十九人と減少傾向でありますけれども、なお高い水準にあるというふうに認識しております。

 このために、各高速道路株式会社におきましては、交通安全対策に一生懸命取り組んでいるというふうに認識しておりますが、具体的には、ハード対策として、排水性がよくて雨天時の走行環境が改善される高機能舗装あるいは速度を抑える凹凸のある薄層舗装、そういった舗装改良でありますとか、夜間でも視認性のよいレーンマークあるいは速度抑制を促すレーンマークといった路面標示の改善をやっております。あるいは、視線誘導標でありますとか大型注意喚起標識の設置がハード対策でございます。

 ソフト対策といたしましては、ハイウエーテレホンあるいはハイウエーラジオによります情報提供、安全運転の呼びかけ等をやってございます。

 国土交通省といたしましても、高速道路を管理する各高速道路会社に対しまして、各種の事故再発防止策を効果的に実施して、より一層の高速道路の交通安全の確保が図られるように指導してまいりたいと考えております。

杉田委員 きょうから春の交通安全運動週間が始まりました。きょうのまとめだと、三月末時点で千三百八十九名の方が死亡しておる。なお一層の事故対策等に努力を払っていただきたいとお願いいたしておきます。

 次に、政府の財政諮問会議が八日、二〇〇八年度予算編成に向け、歳出改革の本格的な議論に入ったと報じられました。

 同会議は、公共投資改革などについて議論をし、民間議員が歳出改革に最大限の努力が必要と訴え、二〇〇八年度の公共事業予算を名目で対前年度比三%削減するよう提案をしました。しかし、冬柴国土交通大臣が強く反発、さらに議論することになりましたが、冬柴国交相は、民間議員が提言をした三%削減に、ショックだ、公共事業関係予算の削減は限界に来ていると発言したと報じられております。

 まず、そのことにつきましての御所感をお伺いしたいと思います。

渡辺(具)副大臣 委員の御質問にお答えする一環といたしまして、さきの経済財政諮問会議において大臣がどんな発言をされたかということをまず御紹介したいと思います。

 冬柴大臣は、公共事業関係予算は、ピーク時に比べまして、これは補正を含めてですが、現在二分の一を下回る水準にある、一方、経済動向は、これまでのデフレ下の状況とは異なってきているということ、それから、成長力の強化と地域の自立、活性化、安全、安心の確保など、真に必要な分野での社会資本整備を進めるためには、公共事業関係予算の削減はもう既に限界に来ているという説明をされました。

 あわせて、その席上に、民間議員から提出されておりました三%削減を主張するペーパーについてでありますが、安倍内閣として歳出改革の意思を示すことは重要であって、引き続き改革に努力するとした上で、三%削減の根拠として挙げられている点はいずれも不適切であるということ、それから、昨年の骨太方針二〇〇六でマイナス一%からマイナス三%の範囲の中で削減するという方針を決めたところであって、最低限の三%削減とすることは余りにも影響が大きい、したがって反対であるという発言がありまして、民間議員の提案に対して、杉田委員御指摘のとおり、ショックであるという言葉で発言されております。

 私も全く冬柴大臣の発言のとおりだというふうに思います。

 社会資本整備の必要性は、私は、大きく言うと三つあると思うんです。一つは、既にある社会資本の維持、修繕、あるいは更新だというふうに思います。それから二番目は、日本の社会経済の競争力を高めていくための社会資本整備だというふうに思います。そして三番目が、地域の安全、安心、そして自立のための社会資本だ。大ざっぱに分けるとこの三つになるというふうに思います。

 特に、この中で、一番目と二番目は大変理解されやすいというか財政当局も非常にわかってくれるわけでありますが、地域のところがなかなかわかりにくくて、大変難しい状況にあるというふうに私は思っております。特にこれからは地域の社会資本整備が大切だ。地域も現在、地域間競争という競争を迫られる状態にあるわけでありますが、地域が公平に競争していくためには、インフラは競争条件としてある程度整えてやる必要があると私は思っております。

 ところが、私はインフラの地域格差というふうに申し上げたいんですが、地域格差があって、頑張りたくても頑張れないところがたくさんあるわけですから、こういうところの自立、そして競争のためのインフラというのはこれからも整備していかなきゃいけない、そのためにも、そういうことをやろうと思えば一年も早くマイナス三%からの底打ち宣言をしなきゃいけない、そういうふうに思っております。そういうことを冬柴大臣も強く主張されたわけであります。

 経済財政諮問会議において、冬柴大臣の発言というのは、日本国の社会資本整備の最高責任者としての発言であったわけでありますから、私は大変重いものであるというふうに思っておりまして、経済財政諮問会議でも大変重きを置いて受けとめていただきたい、こういうふうに思っております。

杉田委員 渡辺副大臣の大変力強い御答弁、ありがとうございました。

 実は、そのときに、我が国土交通委員会の理事でもあります自由民主党の中野正志国土交通部会長もこういう発言をされたそうであります。これ以上地方を疲弊させることがあっていいのか、せめて削減は一%にとどめるべきだと訴えたと聞き及んでおります。まさに渡辺副大臣の御答弁そのものに近い部会長からの発言、私どもも意を強くし、これからの諸施策に努力をしてまいりたいと思っております。

 さて、そこで、骨太二〇〇七の閣議決定が六月中旬と聞いておりますけれども、なお、渡辺副大臣そしてまた冬柴国土交通大臣、最高責任者として社会資本整備の努力をお願い申し上げたいと思っております。

 そこで、今副大臣の御答弁の中にありました三つの柱、その一番わかりづらい安全、安心、そしてまたインフラ、この戦略的な社会資本整備のあり方について、幾つかの点、お伺いをしてまいりたいと思います。

 昭和三十七年の第一次全国総合開発計画から、近年は、人口減少、高齢化、国境を越えた地域間競争、環境問題の顕在化、財政制約、あるいは中央依存の限界といった新たな時代背景を持ち合わせ、これから国土形成計画が策定されることになりました。

 国土審議会が発表した「中間とりまとめ」では、新しい国土像として、これまでの一極一軸型から地域ブロックの自立型の国土構造への転換を図ることとしております。

 昨日、スイスの民間調査機関、国際経営開発研究所、IMDが発表した二〇〇七年版の国・地域別の国際競争力ランキングでは、五十五カ国中、日本は第二十四位、前回調査の十六位から大きく後退。一位は米国、二位、シンガポール、三位、香港となっております。中国にも初めて抜かれたような状況だそうであります。このことに対する御所感をまずお伺いしたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、杉田委員からお話がありましたIMDの国際競争力ランキングでありますけれども、これはきのう公表されたということで、私どもも把握できるデータが限られておりますから詳細な分析はできておりませんが、御指摘のように、昨年と比較して日本の順位が下がったということは承知しております。

 手元の確認できるデータで見る限りでは、これは四分野について評価しているわけでありますけれども、一つは経済パフォーマンス、二つ目は政府の効率性、それから三つ目はビジネスの効率性、四つ目がインフラ、この四分野すべてで我が国の順位が下がっているということでありまして、結果として、委員御指摘のように、総合順位で五十五の国・地域中二十四位に評価されたということであります。

 このうちインフラでありますけれども、これは道路や鉄道などのいわゆる基礎的なインフラに加えまして、技術インフラ、科学インフラ、健康、環境、それから教育といった幅広いものを含めてインフラと言っているわけでありますが、残念ながらこの順位も評価では下がっているということのようであります。

 先ほど来の質疑の中で、冬柴大臣あるいは渡辺副大臣から申し上げたところでありますけれども、少子高齢化あるいは本格的な人口減少の進展、経済のグローバル化がますます進むという中で、やはり我が国が着実に安定的な成長を続けていくという意味では、アジアの活力、成長を取り込んでいく、そのための国際競争力の強化が不可欠である、このように考えております。

 実は、この点に関して、成長力の強化を目指す欧米各国はどうしているかということでありますが、これは既に戦略的に公共投資をふやしていくということにしておりますから、我が国も同様に、真に必要な分野については社会資本整備を着実に進めていかなければならない、このように認識をしているところであります。

 具体的には、先ほど来出ておりますような国際港湾や国際空港の機能向上、あるいは、これに接続する道路や鉄道などの整備、海上・航空輸送ネットワークの充実などでありまして、いずれにしても、ハード、ソフト両面から迅速、円滑かつ低廉な人流・物流体系の実現を目指す、これらを通じて我が国の国際競争力を全体として高めていきたい、このように考えております。

杉田委員 ありがとうございました。

 国際競争力の相対的な低下は日本の企業の海外流出という懸念も生じてまいりますので、何とぞ力強くお願いを申し上げます。

 さて、これも去る八日でありますけれども、羽田空港のあり方をめぐり、政府内での議論が熱を帯びてきておるということであります。空の自由化を掲げる政府のアジア・ゲートウェイ戦略会議は、羽田発着国際線の増便で利便性を高め、アジアの主要空港に対する競争力の強化をねらっております。七日に開かれた政府の規制改革会議も羽田の国際線拡大を後押しし、ただ、羽田を国内線の基幹空港と位置づける国土交通省は、慎重な姿勢を崩していないと聞き及んでおります。

 二〇〇六年、羽田空港の利用客数は約六千五百万人でアジア最大でありますけれども、国内線専用であります。一方、成田空港の利用客は三千百万人、シンガポール、バンコク、北京の各空港を下回っております。都心から五十キロ以上離れた成田に比べ、都心に近い羽田の国際化が促進されれば、アジアの拠点空港争いに対抗できるという考え方もありますが、首都圏空港の国際競争力の強化に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、現在、首都圏におきましては、国内線の基幹空港であります羽田空港において四本目の滑走路を整備する再拡張事業、国際線の基幹空港であります成田空港につきまして平行滑走路の二千五百メーター化事業をそれぞれ推進しているところでございまして、これによりまして、羽田空港においては約十一万回、成田空港においては約二万回の発着枠が増加することになります。

 現状におきましては、やはり羽田は国内線の基幹空港でありまして、これで満杯でございます。国内のお客さんを、北海道や九州に行くお客さんを成田から行ってくれというわけにもまいりませんし、九州、北海道から来られるお客さんを成田から来てくださいというわけにもまいりません。まずは羽田で受けなきゃいかぬというところであります。

 ただ、この新しいプロジェクトの完成後は、羽田の十一万回のうち八万回ほどは国内線に確保するとしても、三万回は近距離国際線に出せるだろうと考えておりまして、これをまず出しまして、成田の方の二万回と合わせまして五万回の国際線の枠を一体的にうまく運用して、首都圏全体としての国際競争力の強化を図ってまいりたいと考えておる次第であります。

杉田委員 ありがとうございました。

 国際競争力の強化のためには、さらに、空港とあわせて、港湾と高速道路の幹線道路へのアクセスが重要と考えております。国際物流に対応した道路ネットワークの不足は今日否めないものがあります。また、港湾とインターチェンジの接続を考えても、日本は十分以内の接続が六六%、アメリカは九一%、欧州は八四%となっております。

 これらのことを踏まえた道路行政としての取り組みはいかにありますか、お伺いをいたします。

宮田政府参考人 御指摘のように、国際競争力の観点から、いろいろな交通網がございます。船、飛行機、それから自動車、鉄道、そこの有機的な結びつき、そういうのが一番肝心なんだろうと考えております。

 そういった観点で、平成十五年に社会資本整備重点計画を作成いたしまして目標を掲げております。今先生御指摘の、重要な港湾から十分以内で高速道路等の自動車専用道路にアクセス可能となるような率が平成十四年五九%だったものを、平成十九年度、この整備計画の最終年度でございますが、六八%まで高めるという目標を掲げております。

 しかしながら、先生御指摘のように、欧米の大体平均十分アクセスの平均というのは九割でございますので、このアクセス率を九割になるように、今後十年以内に高めるということでアクセス道路の整備を推進してまいりたいと考えております。

 これ以外の港湾あるいは空港等からのアクセス道路につきましても、それぞれの地域の状況に応じて、いろいろな道路整備対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 さらに、アジア主要港に比べ、我が国港湾におけるコンテナの貨物取扱量が相対的に低下をしております。特に国際コンテナの輸送におきましては、アジア諸国間では熾烈な競争が発生をしており、コンテナ取扱量を見ますと、一九八〇年代は我が国が世界で中心的な役割を果たしてまいりましたが、この四半世紀、欧米のみならず近隣アジア諸国にも大きく水をあけられているような状況であります。

 そうしたことを考えて、港湾の国際競争力の強化につきましてお伺いをいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、近年、アジア地域の急激な経済成長などを背景にいたしまして、アジア諸国のコンテナ取扱貨物量は急増しております。そのため、我が国港湾は相対的にその地位を低下させております。

 こうした状況におきまして、我が国産業の国際競争力強化とか国民生活の質の向上を図っていくためには、港湾の機能を強化させていくことが極めて重要と考えております。このため、アジア主要港をしのぐコスト・サービス水準の実現を目標にいたしまして、スーパー中枢港湾プロジェクトを推進して、アジアのゲートウエー機能を向上させるため、国際港湾の機能強化に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、スーパー中枢港湾におきまして、大型コンテナ船に対応した次世代高規格コンテナターミナルの整備、これはハードの面です。それとか、コンテナを扱っている埠頭公社の民営化、あるいは国際・国内輸送の連携の強化など、ハード、ソフト一体となった取り組みを推進しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、港湾機能の一層の強化を推進いたしまして、国際競争力の強化に取り組んでいく所存でございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 一方、社会資本は、本来は豊かで安全な国民生活や経済発展の基礎となるもので、国民のニーズに的確に対応して整備すべきものであります。そのためには、安全、暮らし、環境といった国民の目線でとらえ直すことが重要であります。安全という視点でとらえれば、災害に強い国土づくりなど、国民生活の安全、安心を向上させる社会資本整備でなくてはなりません。

 かつて、一九七〇年代から八〇年代、アメリカでは橋がよく落ちる、落橋事故がよく起きました。荒廃するアメリカと言われ、その教訓から、先ほど副大臣の御答弁にもありましたけれども、安全、安心対策に多くの投資をし、強いアメリカを呼び戻しました。

 我が国でも、これまで蓄積されてきた河川管理施設あるいはダム、橋梁、トンネルといった社会資本ストック、今後、このストックの高齢化や老朽化が進み、効率的な維持管理が重要と考えられますけれども、国土交通省の対応はいかにあるべきか、お答えをいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、河川管理施設あるいはダム、橋梁、トンネルなどの社会資本でございますが、その機能を十分に発揮いたしまして、国民の安全や利便性、経済活動を確保する、これは重要でございまして、その中にあって、効率的な維持管理は極めて重要であると考えております。

 このような視点から、これまで整備されました施設を見てみますと、高度成長期を中心に集中的に建設されました社会資本の老朽化が進んでおります。これらの施設の機能を維持するためには、更新あるいは適切な修繕が必要になってきております。

 このため、日常的な点検、維持管理はもとより、施設の老朽化の著しいものにつきましては更新が必要でございますし、あらゆる視点から検討を進めて、施設の長寿命化を図っているところでございます。維持管理から更新に至るまで、ライフサイクル全体のコスト縮減を図っているところでございます。

 省全体といたしましても、今後とも、社会資本の機能を最大限に発揮できるよう、効率的、効果的な点検管理や計画的な更新、修繕を行うことによりまして、既存施設の機能確保に努めてまいりたいと考えております。

杉田委員 ある調べたデータによりますと、建設後五十年以上経過したダム、これは機械設備の大規模更新が想定されるダム等でありますが、二十年後には約十倍に至る、百七十基が傷んでくる。また、橋梁でありますけれども、同じく二十年後には現在の七倍、約六万六千三百橋がこうした状態に陥っていく。さらには、トンネルが現在の約三倍、二十年後でありますけれども、三千六百本に達する。こんなような状況を踏まえて、これからの施策、計画的、効率的な展開をしていただきたいとお願いをしておきます。

 最後になりますけれども、社会資本の本来の役割、これは長期にわたって国民生活を豊かにし経済を活性化することであり、その評価は、ストックとしてどれだけ有効に機能しているかという観点からなされるべきものであると思っております。しかしながら、バブル崩壊後は景気対策の観点から、また最近では財政再建の観点から、フローに偏った議論がなされる傾向が強まっております。ここでいま一度原点に立ち返り、ストックとしての社会資本整備のあり方について、正しい認識、戦略を確立すべきだと思っておる一人であります。

 そこで、中長期的な国土の姿を考える上で、これまでは、どちらかといえば都市と地方の二元論でいろいろな施策が展開をされてまいりました。有機的な連携をして全体として国土を形成するといったあり方を今後は目指すべきであろうと考えますが、御所見をお伺いいたします。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 現在策定を進めております国土形成計画では、欧州の中規模国にも相当する人口、産業の集積が見られる広域ブロックを単位とする地方が、その有する資源を最大限に生かして地域戦略を描き、特色ある独自の発展を目指すということとしております。

 また、これらの多様な広域ブロックが相互に交流、連携し合うことで、その相乗効果により活力ある国土を形成していく。先ほど委員からお話しいただきましたように、一極一軸型の国土構造から多様な地域ブロック、広域ブロックが自立的に発展する国土構造、こういったものに転換していく必要があるということでございます。

 さらに、広域ブロックの内部でございますけれども、大都市や地方中核都市のみならず、ブロック内の各地域が、固有の文化や自然、歴史といった地域資源を生かして、知恵と工夫による地域活性化を図るとともに、互いに異なる特色を持つ地域間で相互に補完し合うことにより地域の維持発展を図っていくということで、二元論ではなく、まさに連携をとっていくということが必要だというふうに思っております。

 このため、ブロック内の都道府県、政令市、地元経済界、国の地方支分部局等をメンバーとします広域地方計画協議会におきまして、まさに地域を担っている方々が主体的に、地域内の各都市や地域の有機的な連携のあり方を含め、広域ブロックが自立的に発展する地域の将来像を描くよう議論を深めていただきたいと考えておりまして、私どもといたしましても、このような取り組みに対してしっかり支援していきたいというように考えております。

杉田委員 大変ありがとうございました。

 どうぞ、中期にわたって今後とも公共投資がさらなる削減を続けた場合、将来に禍根を残さないような国土行政を要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

塩谷委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、エキスポランドで発生いたしましたジェットコースターの事故に関連してまず質問をさせていただきたいと思います。

 先日も我が党の同僚議員の赤羽議員が質問させていただきましたけれども、まず最初に、この痛ましい事故に遭われて亡くなられた小河原良乃さん、また御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げ、また、けがをされた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の事故に関しまして、遊園地、特に人気の高い一部の施設を除いて、少子化の影響などで客足が激減している、こういうふうに報道もされていますけれども、その上で、集客の目玉としてこういったスリルを売り物にする遊戯施設が設置されている遊園地も多いと思います。テレビだとかでこういうジェットコースター等の遊戯施設に乗りながらタレントが絶叫している映像というのはよく出るんですけれども、そういったものを見ながら、果たしてこの安全性は大丈夫かな、そういうふうに思っているのは私一人ではないと思います。

 その上で、今回の事故が発生しましたが、国交省としてこういった遊戯施設につきまして緊急点検を指示したようでございますけれども、どのような法律、安全基準に基づいて点検をするのか、また、どのような遊戯施設を対象としまして、どのような項目でいつまでに点検するのか、この点についてまずは伺いたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 コースター等の遊戯施設でございますが、建築基準法の第八十八条の規定によりまして、準用工作物ということになっておりますが、建築物に関する規定を準用する工作物という形で位置づけられておるところでございます。この規定に基づきまして建築確認を行ったものであるということでございますので、今回の事故を受けまして、五月六日付、実は日曜日だったのですが、特定行政庁に対して、基準法十二条第五項の規定に基づきまして、コースター等の遊戯施設についての緊急点検の実施を要請したところでございます。

 点検の対象でございますけれども、全国の遊園地にありますコースターその他これに類する高架の遊戯施設ということで、軌条を走行するもので勾配が五度以上のものを点検の対象とさせていただいております。

 点検の内容でございますけれども、車輪と車輪軸、軸受け、台車及びそれらの取りつけ部並びに軌条につきまして、さび、腐食、摩耗、亀裂、欠損、破損等の有無の確認ということでございますが、特に車輪軸については、一年以内に探傷試験を行っていない場合は、探傷試験を実施して亀裂の有無を確認してくれということにいたしております。

 点検の結果でございますけれども、都道府県において管内の特定行政庁への報告を取りまとめていただいて、私どもの方に、事故施設と同種の遊戯施設については実はきょうじゅうということにしておりますが、その他の遊戯施設につきましては来週の十八日までに国土交通省に報告をお願いしたいということにいたしております。

高木(陽)委員 今答弁にありましたように、建築基準法八十八条「工作物への準用」ということで、このコースター等が適用されているわけでありますけれども、最高速度が百キロまた百五十キロ等々を超えるようなものもあるというふうに聞いていますけれども、これは工作物の範疇でいいのかどうか。

 もちろん、つくった、建てたときというのは建築基準法の工作物なんですけれども、その後、いわゆる動いているわけですね。ここら辺のところで、先ほど民主党の小宮山議員の方も国土交通省というのは幅広いという言い方をされましたけれども、本当に、あらゆる何か事故が起きますと、大体国土交通省がかかわっているような、法律の範疇内でいうとそうなんでしょうけれども、果たしてそれがいいのかどうか、ここの点もいろいろと疑問が出てくると思うんですね。

 その上で、建築基準法といいますと、これは都道府県、市町村、特定行政庁の建築主事が建物と同じように建築確認、完了検査をするわけですけれども、遊戯施設の構造、これをどれだけ理解しているのか。もちろん、構造計算みたいな部分はいいんでしょうけれども、それが例えば何キロで何回やるとどれぐらいの摩耗をするだとかそういった部分、そういった専門知識、ここら辺は、一般の特定行政庁の建築主事がどこまで持っているのかというのは結構疑問だと思うんですね。

 そういった部分、実際問題、特定行政庁の方では書類のチェックのみにとどまっているのではないだろうか。審査、完了検査をどう的確にやるかというのが結構大きな問題だと思うんですけれども、この辺についてはどのように考えているか、伺いたいと思います。

榊政府参考人 ジェットコースターのように、いわば乗り物的な動くものというようなことで、委員の御指摘があったのではないかと思っております。

 建築基準法というのは昭和二十五年に制定されておりますが、こういったジェットコースターとか観覧車につきまして、準用工作物だというふうに申し上げましたけれども、それを追加いたしましたのは、実は昭和三十四年でございます。したがいまして、運用の実績としては四十年にわたってあるということでございますので、いわば特定行政庁についても四十年の積み重ねがあるということでございます。

 したがいまして、確認の際に、構造耐力上の安全性ですとか、客席部分から人が落下しないとか、非常どめ装置の設置に関する基準というものを私どもの方で決めまして、築造時にこれらの基準の適合について、確認、完了検査をするということにいたしております。

 基本的に建築物と同様に審査、検査ということになりますが、御指摘のように、すごいスピードで動くというようなものでございますし、その種類にもさまざまなものがあるということで、こうした点も踏まえまして、特に非常どめ装置の構造なり客席からの落下防止などの安全に関するものについては、慎重な検査を行うことが必要ではないかというふうに考えております。

 私どもとしては、こういった遊戯施設の特性を踏まえまして、的確な確認、完了検査が行われるように、今後とも、全国の特定行政庁なり指定確認検査機関で構成します日本建築行政会議等の場を通じまして、必要な情報提供、研修の実施等に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

高木(陽)委員 一昨年、耐震偽装問題が起きて、昨年一年間、この問題について、耐震偽装ということで建築基準法を含めてさまざまな法改正をやってまいりました。

 このときにいろいろと議論になったのは、一級建築士の方々というのはそれなりの資格を持っている、能力もある、偽装するという想定はしていなかったわけですね。性善説に基づいてやっていた。しかしながら、そういう偽装が起きて、やはりチェック機能というのをしっかりしなければいけないということで、昨年いろいろと法改正をして、今回も今国会において、今度は消費者側、住宅の瑕疵担保責任の問題について法律が提案されています。

 そういった部分から考えますと、乗り物的というふうに今局長はおっしゃられましたけれども、つくったときの基準、そしてその後の運行基準、ここら辺のところの差異という部分、このチェック機関またチェック機能のあり方というのはやはり検討していかなければいけないのではないかなと思うんですね。

 例えば、JIS規格、日本工業規格の検査基準が準用されているということで、これは法律上どのような位置づけになっているのか。また、今回の遊戯施設の設置者は、報道によると、探傷検査の義務づけを認識していなかっただとか、安全意識の欠如を強く批判されるのは当然としても、安全確保という角度からは、法体系の中で位置づける、整備をしていくという必要があるのではないかなというふうにちょっと思うんですね。

 今回の事故自体は、警察の方が業務上過失致死傷等々で捜査という形でやっていますけれども、この問題だけじゃなくて、やはり全国各地にある遊戯施設の問題も含めて、設置後の利用者の安全確保、この安全確保づくりというものが必要ではないかなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 楽しかるべき五月五日、連休のこどもの日にこのような悲しい事故が起こってしまったということについては、本当にざんきにたえないし、それを所管している私どもとしましても、本当に遺憾なことであったと思っております。亡くなられた方に対する御冥福、御遺族に対するお悔やみ、また重軽傷を負ってしまわれた方々の一日も早い御快癒を心からお祈り申し上げたいと思います。

 確かに、今にして思えば、JIS、日本工業規格の定めるところによって、そのとおりに検査が行われていなかったということのようでございますので、これに対して、この法律、建築基準法上どういうことになっているのかというお尋ねには、私はそこに、建築法上、特定行政庁が必要とする書類という中で切れてしまっていて、位置づけがはっきりしていない。客観的には、日本工業規格の定める手法によってきちっと、例えば軸受け部分についても探傷試験というような方法で検査をしなければならないという定めがあるにかかわらず、これの位置づけがもう少しはっきりしていた方がいいと思います。

 したがいまして、社会資本整備審議会の建築分科会建築物等事故・災害対策部会というところで昨日も審査をしていただきました。そして、定期検査の項目、方法、基準、あるいは定期報告の内容、それから定期検査資格者制度そのものについても踏み込んだ議論をしていただいておりまして、今後も早急に、きちっとこの報告をまとめていただければ、私は、少なくとも建築基準法上明確になるようないわゆる規範をきちっとつくるべきであろう、今委員からも御指摘がありまして、私はそのように対処したいというふうに思っております。

高木(陽)委員 今大臣の方から、しっかり対処していきたいというお言葉とともに、社会資本整備審議会の方でこの問題をしっかりと位置づけてやっていくということで、今後もしっかりやっていただきたいと思います。

 その上で、構造物ということで建築基準法という枠内はいいんですけれども、遊戯施設、これはいろいろある中で、例えばバンジージャンプというのがあるんですね。バンジージャンプの鉄塔というのは構造物なんですけれども、そこにつるされているゴムというんですかね、これは所管の官庁がないらしいんですね。

 これは、何度も何度も人がぶら下がって伸びたり縮んだりしながら、場所によっては事故があっても責任は問いませんみたいな一筆を書くところもあるそうなんですけれども、そういった問題ではなくて、ゴムの問題になるとこれは経済産業省省なのかなと。それの構造基準みたいなものはどうするんだろうかだとか、法律というのはまさにいろいろな事象について対処しているんですけれども、やはり時代とともにどんどん事象は変化していく。その変化に対してしっかり対応していかなきゃいけない。

 役所がすべてを管理するかどうか、こういう問題もあると思うんですが、例えば構造物ということで、このコースターの問題で乗り物的というふうに先ほど局長のお話で、私もそれを一回ちょっと指摘しましたが、ジェットコースターは定点でぐるっと回って同じところに戻ってくる。これはだから乗り物じゃないんですね。乗り物的なんですね。

 ところが、乗っている人数を、いわゆる乗客というか利用者の数を見ますと、毎日利用している方が例えば過疎地での鉄道の人数よりも多いわけですよ。そうなりますと、果たしてこれは構造物ということだけでいいのか。役所の部局でいうと鉄道になるのかなだとか、でもそれは定点に戻ってくるから、人を運んでいないということで鉄道とは別。

 しかしながら、例えば人を乗せて公共交通としての鉄道だとかまたは航空機だとか、安全基準はすごく厳しいわけですね。それは、不特定多数の人たちがいろいろと利用する、だからこそ厳密にやっていこう、こういった必要性があるんです。

 遊戯施設という単に言葉でくくるのではなくて、やはりそれを使っている人たちが、どれだけの人たちが使い、どれだけ安全性が高められるのか、こういった問題については、建築基準法は住宅局になりますし、乗り物になると鉄道局等々になるし、さっき言ったバンジージャンプのゴムはどこになるんだろう、こういった問題を、これは国交省だけなのかどうかも含めて、やはりここは政治がちょっと乗り出さないと、危険はそのまま放置されてしまうのではないかなと思います。

 その点についても、これは国土交通省なのかどうかという疑問はある中で、大臣のリーダーシップを発揮していただいて御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 御趣旨、重く受けとめます。

高木(陽)委員 コースター事故については以上で終わりにさせていただきたいと思いますが、まさに安全、安心というのが求められている時代の中で、こういった事故は二度と起こさないように、これは政治の分野でしっかりと対処してまいりたい、また役所の方もしっかりやっていただきたいと思います。

 続いて、後半の質問は空港の問題を伺いたいと思います。

 昨今、政府が規制改革会議というのをやっておりまして、羽田を国際化しろ、近距離便に限定しないで需要に応じて柔軟に発着枠を設ける等の提言をしている。また、アジア・ゲートウェイ戦略会議というのもありますね。これも、羽田発着の国際便の増便でアジアの主要空港に対する競争力の強化をねらっていけ、こういうふうに言っている。

 これは、聞くだけだとそうだなとは思うんですが、やはり現実というものをしっかり見ないといけないなと私は思うんですね。私も東京の選出ということで、羽田そして成田も関連する中で、消費者の利便性向上はもちろんですけれども、航空会社、アジアの主要空港に対する競争力を高めるために、この分野の規制緩和、これはこれで一つの角度だと思うんですけれども、それがすべてじゃない。果たして具体論でどこまでできるのだろうか、こういった部分がやはり必要な視点ではないかなと思うんです。

 その上で、まず羽田、成田、この現在の発着枠、これから二〇一〇年にかけて羽田の四本目、さらには成田の平行滑走路の延長、北伸ですね、これについて完成するんですけれども、その後の増枠、利用者数の現況、将来の増加見込み、この点について伺いたいと思います。

    〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御質問の羽田におきましては、現在の年間発着可能回数二十九・六万回が、二〇一〇年十月のD滑走路供用開始後は四十・七万回に約十一万回増加いたします。成田の方は、年間二十万回が、二〇一〇年三月の平行滑走路の二千五百メーター化に伴い、二十二万回に二万回増加いたします。

 利用客の方でございますが、現在、平成十七年度で羽田の国内線は五千九百四十八万人利用いただいております。今、交通政策審議会の航空分科会でいろいろ審議をしているところで、需要予測をやってございます。まだ残念ながら暫定値でございますが、この需要予測によりますと、平成二十九年度の羽田の年間旅客数については六千九百十二万人を予測しております。それから国際の方は、成田プラス羽田の数字でございますが、平成十七年度、国際線三千四百七十二万人が二十九年度には四千九百三十五万人と大幅に増加することが見込まれております。

高木(陽)委員 先ほどもこの問題について質問があったんですけれども、あえてもう一度お伺いしたいと思います。

 羽田―石垣間、これを一つの基準として、就航先二千キロ未満の距離規制、こういうことを撤廃して、北京、香港、ホノルル、需要増が期待できる路線の就航を認めるべき、こういった提言がなされておりますけれども、この点についての国交省の認識を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 平成十五年六月十二日に、東京、埼玉、千葉、そして神奈川、この四都県とそこにそれぞれ政令市がありますが、その知事及び市長の合計八人、それに国土交通大臣が加わりました九者でこの問題について話し合いました。

 現時点では、二〇一〇年十月に羽田の第四滑走路が供用開始されたときにこれをどう供用するか。先ほど局長から答弁がありましたように、この枠がふえますので、そのうち三万回を国際線に利用するということが一つ決まりました。その三万回を、国際、どこら辺までかということにつきましてこのようにその九者では合意をいたしまして、「羽田から一定の距離以内の路線とする。」「羽田発着の国内線の距離をひとつの目安とする。」こう書いてあるわけです。

 したがいまして、これをそのまま読みますと、一番羽田から遠い国内線というのは石垣空港でございますので、そこら辺、そんなことは一つも書いていないんですよ、いわゆる国内線の距離を一つの目安とするということですから。私どもは、この二〇一〇年十月以降これをどういうふうにするかというのは、これを目安にしながら、しかし、それから大きく出るとかいうようなことは現在まだ協議されておりませんし、それをする場合にはこの九者でもう一度話し合ってやるべきことだろうというふうに思っています。

高木(陽)委員 今、八都県市でいろいろと議論をしてきた、そういう経緯を述べていただきましたし、特に、成田の開港までのいろいろな経緯を考えますと、やはり千葉県の存在、特に今、羽田も千葉上空を飛んでいるという、かなり千葉の方はこの負担感といったものもあるという現実もあると思うんですね。

 そういった点を踏まえながらやらないと、やはり、ある側面だけで便利になるからということはなかなか、一方でそれに対してマイナスになる方々のことも考えなきゃいけないというのは確かだと思うんです。

 その上で、またこの提言の中で、成田の国際空港、羽田の国内空港という伝統的な位置づけ、これを撤廃しろ、こういう言い方をしているんですが、そういった経緯を踏まえますと、そう簡単なものではないなと私も認識しています。

 しかしながら、例えば、来年、北京オリンピックが開催されるということで、ビジット・ジャパン・キャンペーンのことを考えますと、これをどう使っていくか、そういった部分での羽田の効果的な使い方というんですか、やはりここら辺のところはまた考える必要もあるんじゃないかなと思うんです。

 やりたいこと、やらなければいけないことというのはたくさんあって、それを全部充足するというのはそう簡単ではないんですけれども、やはり、国家戦略としてのビジット・ジャパン・キャンペーンを考えた場合に、この北京のオリンピックというのはなかなか捨てがたいものがある。そういった中での羽田の効果的な使い方等も含めて、ここら辺はどう考えているか伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 羽田の再拡張、工事が完成するのは残念ながら二〇一〇年十月でございまして、それまで待っていられるかという御意見も十分わかるわけであります。

 このため、まずは今、羽田―金浦のチャーター便、大変好評でございますので、同じような関係にある上海の虹橋空港、これも国内空港同士で結べないかということで、安倍総理、冬柴大臣、先頭に立って中国側と今交渉しているところでございまして、これをまず早期に実現したいと考えております。

 それから、お尋ねの北京オリンピックにつきましては、来年、二週間ほど、夏に行われるイベントでございますので、この前後も含めまして、臨時のチャーター便みたいなものを検討すべきではないかなと考えておるところであります。

 さらに、これらにあわせまして、今、暫定の国際ターミナルという大変狭いターミナルがございますが、これは例えば、ターンテーブルという、スーツケースが出てくるテーブルが一個しかないとか、したがって二機同時に着いちゃうと一機は待たせないかぬみたいなことになるというのもございますので、これを拡張いたしましてターンテーブルを二基にするとか、あるいはCIQのブースをふやすとか、そういうことでお客様の利便を少しでも改善していきたいなと思っている次第でございます。

    〔中野(正)委員長代理退席、委員長着席〕

高木(陽)委員 効果的な使い方ということで今お話がありました、チャーターのことも考えておられると。一遍に全部変わるということはないんですけれども、やはり一つ一つのイベント等をうまく活用しながらやっていっていただきたいなと思います。

 もう一つ、この提言の中で、外資規制の問題、航空会社の外資規制について、外資をどんどん導入した方がいいみたいな、そういった提言もなされまして、ここはどうなのかなと。特に、航空法では、安全保障上の観点から、株式保有を三分の一未満、こういうふうにしていますけれども、ほかの外国も今やっていると思うんですね。何で日本だけそういうふうにオープンにするのかなというふうにも思ったんですけれども、この点についてどのように考えているか、伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 国家は、領空に完全かつ排他的な主権を有しておりまして、このため、国際民間航空条約、シカゴ条約と申しておりますが、この第一条において「締約国は、各国がその領域上の空間において完全且つ排他的な主権を有することを承認する。」と規定されております。

 この考え方に基づきまして、外国航空機が国内運送する、カボタージュと言っておりますが、これにつきましても、シカゴ条約第七条で、「各締約国は、他の締約国の航空機に対し、有償又は貸切で自国の領域内の他の地点に向けて運送される旅客、郵便物及び貨物をその領域内において積み込む許可を与えない権利を有する。」ということで、外国機に国内運送を禁止するというやり方を世界各国とっておるわけでございます。一部、EUの域内とかあるいはオーストラリアとニュージーランドというような国内に等しいようなところはこれを認めておるわけでありますが、それ以外は認めていないという状況にあります。

 こういうカボタージュの留保を受けまして、世界各国においてやはり外資規制というのが行われていまして、結局、カボタージュを禁止しても、エアラインが外資にとられちゃったのでは意味がないということであります。こういうことで我が国は三分の一未満という外資規制をやってございますが、特に米国におきましては、我が国より厳しい、四分の一未満、二五%未満というような厳しい措置も講じておる次第でございます。

高木(陽)委員 今、外資規制の現状について伺いましたけれども、まさに安全保障という観点から考えた場合に、そう簡単に何でもオープンにすればいいという話ではない。特に航空というのは、まさに領空の部分もございますので、この点はしっかりと対応していただきたい、このように思います。

 最後になりました。羽田、成田が拡張されていくということで、これはこれで大切なことでありますし、先ほどの質問でも、大臣が、中部、関西、これを戦略的にやっていく、もちろんそうだと思うんです。

 しかしながら、首都圏で見た場合に、首都圏に乗り入れたいという国内航空便、さらには国際便も多いですけれども、成田も羽田も、拡張してもこれはすぐにまた満杯になってしまうであろうと予測されるわけですね。そうなりますと、では、その次の段階というのもしっかりと視野に入れなければいけない。ここで出てくるのがやはり、第三空港という観点から、横田の軍民共用という発想だと思うんですね。私の地元でもあります。

 この横田というのは、実は交通の結節点にちょうどある。圏央道が間もなく中央高速と連結をする、そこのところにありますし、中央線の沿線というか、その地域にもあります。または、八高線という、北関東、群馬の方からも鉄道が入ってきている。そう考えますと、首都圏の北西部、さらに南部、神奈川の横浜線もありますので、南の方からも、成田、羽田に行くよりは結構近い地域でもある。

 そう考えますと、この横田の軍民共用というのはやはり必須ではないかなと思うんですが、何せ相手のあることで、アメリカがこれをちゃんと共用しなければいけないという、これは外交問題なんですけれども、この点について積極的な働きを、今までもやっていただいたと思うんですけれども、さらにすべきではないかと思うんです。この点について最後に伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 横田の共用化の問題につきましては、平成十五年の日米首脳会談におきまして、日米共同で検討していくということとされまして、その後、十八年五月のいわゆる2プラス2で、再編実施のための日米ロードマップというのが承認されたわけでありますが、この中で、スタディーグループをつくって検討して、この検討を十二カ月以内に終了するということとされました。これに基づくスタディーグループの第一回会合が昨年の十月に開催されて、我が省もこれに積極的に参画して鋭意検討を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、横田飛行場の共用化は、今先生おっしゃいましたとおり、多摩地域のみならず、その周辺も含めた首都圏西部地域の航空利便性を大幅に改善するという意義あるものと考えておりますので、今後、関係省庁及び東京都と一緒になりましてしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 しっかり検討したいというお言葉でしたので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 まさに空港をつくるというのはお金がかかるわけですね。しかし、これは、三千メーターの滑走路は、三千五百でしたか、一本もうあるわけですね。これは生かさない手はないなと思いますので、しっかりとやっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 今、高木委員からもエキスポランドでの事故につきまして御質疑がございましたけれども、私、もう少し掘り下げて、また違った観点からも御質問をさせていただきたいと思います。

 この事故に関しましては、お一人の方が命をなくされたという、この方につきましては心よりお悔やみを申し上げる次第でございますし、また、多くの方がけがをされております、けがをされた方にはお見舞い申し上げたいと思う次第でございます。

 さて、まず大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 このような痛ましい事故がなぜ起こってしまったのかということであります。乗り物的というお話が先ほどございましたけれども、当然、こういった遊戯施設の乗り物に対しては、定期報告という制度がとられていた。さらには、検査の基準という意味では、JISの基準に基づいてということが定められていたわけでありますけれども、なぜこのような事故が起こってしまったのか、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思う次第でございます。

冬柴国務大臣 この事故の原因でございますけれども、これは警察で捜査をされていると思いますし、我々も我々の立場で、特定行政庁を通じて、その事故の原因等について究明をし、そして再発をしないような防止策を講じなければならない、それは当然だと思います。

 どういう法制度になっていたかと申しますと、コースターや観覧車という遊戯施設については、昭和三十四年といいますからもう相当な時間がたっておりますが、一九五九年から建築基準法の対象になったということでございまして、遊戯施設のうち特定行政庁が指定したものについては、特定行政庁が定める期間ごとに、これは六カ月から一年の間でございますが、建築基準法に基づく定期検査が義務づけられております。吹田市では、本件に関しまして、一年に一回、定期報告を義務づけております。

 定期検査の内容につきましては、建築基準法施行規則に定められた報告書等に加えまして、特定行政庁が規則で定める書類を添えて行うということにされております。吹田市の建築基準法施行細則というものがありますが、そこでは、「市長が必要と認める書類」とのみ書かれてありまして、その書類の内容は運用に任されていたのが実情でございます。運用としましては、財団法人日本建築設備・昇降機センターが作成をいたしました定期検査業務基準書における標準様式を用いるべきということにされておりまして、これに基づき定期検査が実施されているというふうに聞いております。

 定期検査基準書の中を見てみますと、標準様式に基づく検査方法として、検査項目ごとに建築基準法令及び日本工業規格の検査標準に基づいて検査を行うこととされております。その中で、車輪、車輪軸、軸受け、台車及びそれらの取りつけ部のさび、腐食、摩耗、亀裂、欠損等について確認することとされておりますが、特に車輪軸におきましては、一年に一回以上探傷試験を行うことと定めておりました。

 したがって、定期検査は本来、日本工業規格の検査標準に従って行われるべきものであり、今回、本来行われているべきことが行われていなかった、特に車輪軸について探傷試験を行っていなかったということが、今のところ特定行政庁等の調査の結果明らかにされておりますので、事故の原因の一つはここにあったというふうに認めております。

長安委員 今回の事故に関して、私は、この事故を教訓としてといいますか、このような事故が再発しないためにいかに取り組んでいくかということを考えなければならない。そのためには、今回のこの事故の実際の原因というものを二つの切り口で考えるのがわかりやすいのではないかなと思います。

 一つは、この施行者であるエキスポランド、ここが安全に対する認識が欠如していたのではないか、つまり事業者側の問題。それともう一つは、こういった事業者側が安全意識が低かった場合でも、それを補える、あるいはしっかりと監視できるような制度の問題。この両面から見ていくというのが、一昨年あった、あの耐震強度偽装のときも同じだと思います。そもそも資格というものを与えた方は、悪いことをしないんだ、あるいはいいかげんなことをしないんだという前提に立っている。でも、実際は、あの耐震偽装では構造計算書というものが偽造されていた、偽造されている構造計算書が、本来建築確認時にチェックされなければならないところがチェックができていなかったという現状の問題でもあります。

 そういう中で、まず、今申し上げた一点目の、要は事業者側の意識の問題というのをちょっと御質問させていただきたいわけであります。

 この事故、やはりさまざまな報道等を見ておりますと、エキスポランドという事業者自身に安全軽視の組織的な体質というものがあったのではないかなということが、私は印象として持っております。それをしっかりと見きわめるためにも、まず、この遊戯機具というものを点検する、検査する、この昇降機の検査資格者、この人員がどれぐらいいらっしゃったのか。また、一人の業務割り当てというものが妥当なものだったのか。あるいは、業務量というものが他の遊戯施設と比較したときに著しく多かったとか少なかったとか、そのような現状がございますでしょうか。

榊政府参考人 エキスポランド社によりますと、現在、検査資格者が二十四名在職をいたしております。そのうち日常の点検ですとか定期検査の実務に携わっている職員の方が十九名ということで、これらの検査資格者が数名一組となって、遊戯施設の毎日の始業前の点検、一カ月、六カ月ごとの点検、それから建築基準法に基づく定期検査を実施している、こういう体制だというふうに聞いております。

 実は、他の遊園地の検査資格者数はまだ把握をいたしていないんですけれども、遊園地によっては、遊園地の運営者以外の者、例えば、遊戯施設の製造者が自社製の施設を持ち込んで直接管理をする、これを業界ではロケーションというふうに呼んでいるそうですが、そういう形態のものがありまして、そういった場合には、持ち込んだ人が管理をする、点検もする、こうなりますので、検査体制の水準がちょっと一概に判断しかねるかなという感じのところでございます。

 なお、エキスポランドの中の遊戯施設は、実は同社直営施設は九つでございます。したがって、先ほど申し上げました点検等は九つの施設についての議論になっています。実は、ロケーションという持ち込み部分が二十二施設ありまして、その二十二施設については別の方が定期点検をする。こんな体制で今やっているところと聞いております。

長安委員 今回、この遊戯施設、風神雷神2で事故があったわけでありますけれども、当然この施設についてはエキスポランドが直営でやっていたものだという了解をしております。

 この担当者、検査資格を持った担当者の方々の中で担当者は一人ですよね、報告書を出されている方。この方の資格についてはいつごろ取得されたものか。あるいは、今までにどのような実務あるいは研修というものを経てこられたのか。また、このジェットコースターを検査する力量といいますか十分な能力というものがあったのかどうか、どう御判断されておられますでしょうか。

榊政府参考人 今回の事故機を担当しておりました検査資格者は八名というふうに聞いております。このうち定期検査報告書に記載のある検査資格者の方ですが、この方は昭和五十七年十二月十四日に資格を取得しておりまして、資格取得後約二十四年の実務経験があるという形の方です。したがいまして、この検査資格者は、少なくとも過去五年間、毎年講習も受講しているというふうに聞いております。それから、それ以外の検査資格者も三年から十五年の実務経験を有しているというふうに聞いております。

 私どもから見ますと、個々の検査資格者が本当に検査を適切に実施するための十分な力量があったかどうかという判断はつきかねるところはあるんですが、今回のジェットコースターについて見ると、JISの検査標準に基づく検査が行われていないというのが実態でございますので、そういう意味では、検査内容に問題があるというふうに言わざるを得ないと思っております。

長安委員 今のお話ですと、昭和五十七年ですから二十四年、丸二十四年も検査の資格を持たれている。そういう意味では、十分な力量があるという御判断だということだと思います。

 一方で、今回の事故があったときの会社側の記者会見等を見ておりますと、当初は法的に全く責任がないという言い方ではなかったかと思いますけれども、要は、検査というものは、必要な部分は行っているけれども、車軸についての検査というものは目視でしか行っていないということが明らかになった。一方で、その後では、実際はJISに基づいて一年に一度探傷検査をしないといけないというようなことも明らかになってきたわけです。

 実際、私、今回この事故があって、国土交通省の方からも御説明を受けましたし、また、いろいろ自分なりにも調べてまいりました。そうしたら、明らかに今回の事故というのは、車軸が折れたということがまず一つですね。車軸が折れた、では車軸についてどういう検査方法を日ごろ行わなければならないのかというのは、一撃にという言葉が正しいかわかりませんけれども、JISで定められている、JISの項目でいうと、五の六の三のdに当たる、一年に一回探傷検査をしなさいということはすぐわかるわけで、十分な力量がある方が検査基準を、もう二、三行読めば、探傷検査をしなければならない、また、それをやったのかやっていないのかというだけで、一時間もかからずに、みずからの遊戯施設の管理というものがどうであったのかというのはしっかりと説明できたはずなんですね。

 にもかかわらず、会社側の説明を聞いていると、のらりくらりとまでは言いませんけれども、二転三転して、結局はJISでやっていなかったということが明らかになって、恐らく、今あの記者会見を見られた国民の方々はどう思われているかというと、もしかしたら、これはこの施設だけの問題じゃないんじゃないか、全国の遊戯施設は果たして安全なのか、安心なのかという疑問を感じられたと思うんですね。そういう意味では、あの耐震強度偽装のときの、マンションにお住まいの方々が集合住宅は果たして強度が足りているのかという全国的に不安に陥れられた、それと全く形が類似していると私は言えると思います。

 今お話ありましたJIS基準についても、JISは、一九九四年に従来のJISがあって、昨年二〇〇六年に新たなJISが改定されたわけでありますけれども、当然、改定されて内容が変わっている部分がある。その辺についてはどのようにこの昇降機の検査資格者に対して周知徹底されているのか。また、新たなJISを一〇〇%用いてしっかりと検査されているのか。その辺についての御所見をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 昇降機検査資格者というのは、私どもの省令に基づきまして、大臣が定める要件を満たして、かつ大臣の登録を受けた講習を修了した者というふうに規定されております。

 その講習でございますけれども、日本建築設備・昇降機センターが毎年実施しておりまして、講習では、車輪軸について年一回の探傷試験の実施を規定しておりますJISの検査標準、これも実は講習内容に含まれておりまして、ちゃんとした時間をとって講義を行っているところでございます。

 他の遊園地の探傷試験の実施状況でございますけれども、この六日付で要請をしております緊急点検の中で、車輪軸についての探傷試験の実施状況を確認しまして、一年以内に探傷試験をやっていないというところについて、探傷試験を実施していただいて亀裂の有無を確認するということになっておりまして、事故機と同種の施設についてはきょうじゅう、その他の遊戯施設については来週の十八日までに私どもに報告をしていただくようにお願いしているところでございます。

 もう一度申し上げますと、講習の際には、実はJISの検査標準というのは枠をとってちゃんと講習をいたしております。

長安委員 ありがとうございます。しっかり講習しているよ、だから周知徹底されているはずだというお話でございました。

 この新しいJIS二〇〇六、この原案作成委員会というものがございまして、ここには今回問題となったエキスポランドの方も入られているんですね。入られているということは、当然、原案をつくるときに内容を精査されて、すべての項目について理解、あるいは今回この制度に変えるに当たって、これでいいのかということまで検討されたはずです。当然一番知っているであろう人が社内にいるエキスポランドが、今回事故があったときに、JISの規定を用いていたか用いていなかったかがすぐにわからずに、それが法的にどうなのかということも余りわかっていないような記者会見を経営者の方々がされているというのは、これは一体どういうことなんだろうと私は疑問を感じております。

 さらには、今、講習はしているからというのはお話がありましたけれども、まさに行政のお立場としてはこれは難しい問題だと思います。講習をすることによって周知徹底するんだ、確かにそうだと思います。ただ、相手側が馬耳東風で、講習に来ても聞いていなければ頭に入らないという現状もあるのかもしれません。そういう中にあって、やはり今の制度をもう少し改めていかなければならないのかな。

 きのうも恐らく夕方、省内で会合を持たれて、そういった将来に対する検討というのもなされたと聞いております。今までの制度の中での問題点、ぜひ御理解いただきたいのは、大臣にもぜひ御理解いただきたい。これはチェック表のサンプルです。恐らく大臣も手元にお持ちだと思います。六十項目ぐらい、ざくっとあります。A、B、C、丸をしなさいという、これを書いたものを特定行政庁に出させるという仕組みになっているんですね。でも、我々一般人が見ると、ああ、この部分が悪いからBとか、この部分が悪いからCとかがついて出されるのかというと、実はそうじゃないんですね。BとかCのものがあったら、それを手直しして、全部Aに丸をつけて出してくるんです。要は、特定行政庁からすれば、全部Aの書類しか持っていないわけです。特定行政庁はどこを直したのか何もわかっていない。要は、全部Aの書類をもらって、穴をあけてファイルしているだけなんですね。そこがやはり問題である。

 今回のこの事故が起こって、JISという基準で検査を行わなければならないということは、これだけマスコミに報道されましたから、もう一般人にも理解できるようになった。しかしながら、果たして各施設が本当に検査基準に基づいてやってきたのか、ここは疑わしいところだと思います。なぜなら、今回、エキスポランドについても行政庁側は全くそのようなことを事前に察知できていないわけですから、何も問題ないと思っていた。そういう中にあって事故が起きた。現状をいかに把握するかということがまず第一だと私は思います。

 先ほど局長からもお話ございましたけれども、緊急点検を各特定行政庁に対して指示しているというお話がありました。でも、指示をしたときに、また同じように、うちはやっています、A、A、A、Aで上がってくるだけじゃないのかなと、私はある意味疑念を持っております。

 本来、事故があったときに、その事故の再発を防止するための事実関係の調査というのは、同じ当事者にさせないんじゃないですか。つまり、航空機等でも事故がある、鉄道でも事故がある、そういうときには第三者的に事故調が入って調査するから現状の把握ができるんですね。今までの報告の仕組みで問題があった、でもまた今までのルートで特定行政庁に対して調べなさいとしたら、同じことの繰り返しじゃないのかなという気がします。そういう意味では、国土交通省がもっと自主的に、みずから乗り出して調査を行うべきでないかなと私思っております。

 もちろん、特定行政庁は権限として立入検査はできるけれども、国土交通省は立入検査をする権限がありませんというお答えが返ってくるんだと思いますけれども、それは、特定行政庁と一緒に行けば立入検査はできるわけですから、そこの前向きな御見解をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 一種の地方分権議論になるわけでございますけれども、その権限は特定行政庁の方に国と地方との権限の分掌という形で渡してありますので、私どもが直接、例えば鉄道とか航空の場合は国土交通大臣の認可というのがあって、それを背景に現場に立ち入る、こういうことでございますけれども、今回の場合、そういう権限を持っている方は特定行政庁という形になりますので、私どもとしては、特定行政庁に依頼をしてその報告を受ける、こういう形にならざるを得ない。

 でも、安全管理とかそういうことについての基準とか、そういうのは国の仕事でございますので、そういったようなものを全部報告を受けた形で、それをまた分析して、それを基準なり制度に反映するというのが国の仕事かというふうに思っておるところでございます。

長安委員 もちろんそうなんですけれども、私も、これだけ国土交通省の皆さんが日々多大な業務量の中で業務をこなされているというのも理解しております。このようなことが起こって、全部の施設、全国的に約二千ぐらいつかまれているんですか、遊園地で約六十カ所というお話をお伺いしましたけれども、全部に調査に行くべきだとは思っておりません。せめて、例えば十カ所でもサンプル調査をしてみる。その中でやはり検査基準に基づいてやっていないということをしっかりと見つけ出していかないと、本当に特定行政庁からの報告を待っていて、十一日と十八日という二回に分けての報告だというお話も先ほどございましたけれども、制度の瑕疵というか制度の問題点というものが明らかになってくるかというのは、私はちょっと不安を感じております。

 この間も報道を見ておりますと、この施設も探傷試験をやっていなかったというような報道も実際なされておりますね。実際、私も、地元の遊園地がそんなのに載ったりしまして、実は驚いております。

 そういう意味で、やはり本来、国土交通省のあるべき姿というのは、現状をしっかり把握する、それに基づいて制度設計を行うということが必要だと思いますので、特定行政庁と協力しながら取り組んでいただきたいと思っております。

 それともう一点、最後になりますので、これは大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど来、耐震強度偽装の話と重ね合わせてお話しいたしました。耐震強度偽装も建築基準法違反でございましたけれども、今回の遊戯施設についても同様のことが言える。つまり、国が、一級建築士なり二級建築士、あるいは今回のような昇降機検査資格者というような資格を国家資格として与える、国家資格を与えた方に報告を求めるという資格制度であります。この制度自体が少し、少しというか大きく機能していないのではないかという気がしております。

 この制度自体を見直さなければならないのと同時に、先ほど局長からもお話がございましたように、これだけ技術的な進歩というものがスピーディーに行われているときに、果たして講習というような形だけで新たな技術というものを周知徹底していくことが可能なのか、その辺も含めた検討をしていかないといけないと思います。

 この制度の見直しということは、先ほども地方分権というお話がございましたが、地方自治体がほとんど今責任を持ってやりなさいという仕組みになっている、この流れは私はいいと思います。しかしながら、果たして地方がそれができる体制にあるのか、また能力があるのかということもしっかりと見きわめながらやっていかないといけないと思うわけでありますけれども、こういったことについて大臣の御所見を最後にお伺いして、時間ですので、私の質問とさせていただきます。

冬柴国務大臣 いろいろとありがとうございます。

 今回の事故を受けまして、大変問題点が明らかになってまいりました。したがいまして、社会資本整備審議会の中の建築分科会建築物等事故・災害対策部会というものが幸いありますので、その先生方に昨日、長時間にわたって、今まで収集できた資料をもとに説明もし、そして御論議をいただいて、問題点をまとめていただいています。

 もちろんそれは、最終的な報告をちょうだいして対策を講ずるわけですが、現時点では、例えば、定期検査の項目、方法、基準という問題が適切だったかということを考えますと、日本工業規格の検査標準といった検査基準の建築基準法上の位置づけが不明確であったということ。そしてまた、検査基準の中には、判断基準が定性的で、検査者の裁量にゆだねられている部分もあったというようなところの反省がありますから、こういう点をどうするのかという問題があります。

 対象となる部品等についても、劣化の進行の程度に係る基準が明確になっていなかったんじゃないか。また、検査時点の状態の適否の判断にとどまっているために、例えば次回の検査時点までに劣化が進むことが想定される場合とどう区別するのかというような問題もあります。

 また、定期検査の内容につきましても、これは長安委員が御指摘ありましたように、報告を求めているのは検査結果の概要のみになっている。それで、検査結果の詳細な内容とか、それを裏づけるための資料等の添付が特定行政庁の判断にゆだねられておって、報告すべき内容として明確に位置づけられていなかったということ。したがいまして、報告を受けた特定行政庁が確認することが困難であった。とじるだけとおっしゃいましたが。

 それからもう一つ、御指摘いただいたように、過去のふぐあいに係る情報がその報告に含まれていないために、検査者が変わった場合にはこれらの情報が引き継がれないのではないか。ふぐあいの情報を生かした効果的な検査が十分行われていないおそれもある。

 最後に、定期検査資格者制度がこれでいいのかという問題でございます。検査者の処分手続、罰則が建築基準法に規定されておりませんし、実務経験の詐称とか粗雑な検査が明らかになった場合の適切な対応というものが今の法制で困難ではないのか。

 こういう反省に立ちまして、引き続いてこの専門家の審査を求めて、適切にその結果を踏まえた法制上の手当てをしなきゃならないというふうに思っております。

長安委員 ありがとうございました。

 私も、この間、地震のあった、佐呂間に行ったりまた能登に行ったり、現場主義というものをみずからの主義としてやってまいりました。

 そういう意味では、今回の答弁をお伺いしても、確かに制度設計については前向きに取り組んでいただくということをお伺いできましたけれども、まだ特定行政庁にお任せしてそれが来てからということ以上の進展はなかったのかなと、ちょっと残念に思っております。

 そういう意味では、私も一度、現場をどこか見に行って、自分で現在の問題点、実情を把握して、さらにこういった審議も深めさせていただきたいなと思っております。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私も、去る五月五日のこどもの日に、大阪・吹田市のエキスポランドで発生いたしました事故について、まずは質問をさせていただきたいと思います。

 これは、五月五日というこどもの日で、ゴールデンウイークの真っ最中でございました。風神雷神2という六両編成のジェットコースターが高速走行中に二両目の車軸が折れて脱線し、一名が死亡、そして十九名が負傷するという痛ましい事故でございます。

 まず、この事故で亡くなられました小河原良乃さんの御冥福をお祈りしたいと思います。また、御遺族に対しまして、心からお悔やみを申し上げます。また、負傷されました十九名の乗客の方々につきましても、一刻も早く健康を取り戻されますよう願いたいと思います。

 ジェットコースターを初めといたします遊戯施設は、全国の多くの遊園地に設置されております。大人、子供を問わず、多くの国民の皆様がレジャーで利用されるもので、楽しさ、そしておもしろさもさることながら、何よりもまずは安全でなければいけないということは言うまでもないわけでございます。今後同じような事故がもう二度と起きないように、原因をしっかりと究明して、今後の事故を防ぐということにしなければならないわけでございます。

 まず、これは住宅局長で構いませんが、新聞で、定期検査報告においてエキスポランド社が事実と異なるずさんな報告をしていたという報道をされておりますけれども、事実関係がどうなっているのか、お答えいただけますでしょうか。

榊政府参考人 事実関係につきましては、五月五日の時点に、エキスポランド担当者によりますと、六両編成のジェットコースターに二十名が乗車して走行していた、二両目左側の車輪を支える合金製車軸が折れまして、車輪がレールから外れて落下し、車体が左側に約四十五度傾き、被害者が生じたという報告を受けております。

 現在、特定行政庁である吹田市の方で、施設の立入調査を行って、事故原因の究明なり点検、補修の安全対策の徹底をしているところでございます。

 それから、定期点検について聞きましたところ、この一月時点で問題はないという定期点検が出ていた、ただし、年に一回本来やるべきであった探傷試験はなされていなかった、こういう事実経過になっております。

糸川委員 おっしゃるとおりで、十五年間、車軸を交換していなかったというような事実もあるようでございまして、今後、大臣を筆頭として、ぜひしっかりとした原因究明をしていただかなきゃいけないと思います。

 また、新聞によりますと、自治体のチェックが形骸化している疑いが強い、こういうような報道もあるわけでございます。特定行政庁である吹田市がどのようなチェックを行ってきたのか、その内容自体に問題はなかったのか。局長、お答えいただけますか。

榊政府参考人 基準法は昭和二十五年に制定されておりまして、実は三十四年の改正のときに、コースターですとか観覧車といったような遊戯施設を準用工作物という形で確認対象にしているということでございます。したがいまして、四十数年、五十年近い間、そういう遊戯施設ができたときは基準法の確認を受けるというような形で、実績と言ったらおかしいですけれども、実態が積み重なっているということかと思っております。

 そして、遊戯施設のうち、特定行政庁が指定した施設につきまして、定期的に検査資格者による定期検査を受ける、その結果を特定行政庁に報告するというふうになっておりまして、この報告に基準法違反に該当する事項が含まれておりますと、特定行政庁は、その所有者、管理者に対して違反是正をするために必要な措置を講じようということになるわけでございます。

 多分、基準法の言っているところは、住宅、ほかの建築物もそうですが、建てるときにきちっと確認はするよ、あとは所有者の責任なんですよと。ただ、所有者の責任と言われても、所有者というのは、常日ごろ自分が責任を全うするためにどういうことをしたらいいかよくわからない。したがって、一年に一回定期点検をして、ああ、こういう状態なんだな、それがわかって、それをちゃんと特定行政庁に報告してくださいと。いわばその定期点検を契機に、自分の持っている、自分が管理している建築物なり準用工作物について、中身はどういう状態であるかということをチェックする、こういう制度ではないかというふうに思っておるところでございます。

糸川委員 この遊戯施設、特に高速で動くものについての構造耐力上の安全性それから運行上の安全性というものもしっかり見直していかなきゃいけないわけですけれども、今、日本国内にある遊戯施設というのは、もう既にかなりの時間が経過している、経年してしまっている遊戯施設が多いわけですね。ですから、当時、新しい構造物をつくった当初というのはしっかりとした基準に合っていたのかもしれませんけれども、大分年数が経年してしまってからは、もう今の基準にはどうもそぐわないようなものもあるようでございます。

 そういうことを見ますと、今度は、建築基準法の改正ですとか、それから制度面で改善すべき点というのがあるんじゃないか。これは、大臣、現時点でどのように認識をされているのか。そして、今後、コースターそして高速で動くような遊戯施設に対して、大分経年したものに関してはどのような措置を講じていかれるおつもりなのか。そこら辺をちょっとお答えいただけますでしょうか。

冬柴国務大臣 今回の遊戯施設の事故を含めまして、最近の事故等の事例を踏まえると、現行の定期検査報告制度については、定期検査の業務標準とかJIS規格、日本工業規格の検査標準等で定められている検査項目、方法、基準等について、建築基準法上の位置づけが必ずしも明確ではなかったという反省があります。それから二番目に、特定行政庁に報告される内容は検査結果の概要のみとなっておりまして、粗雑な検査が行われていなかったかどうかについて、特定行政庁において確認することが困難になっているという点。三番目には、一部に資質や能力が不十分な検査資格者が存在しているということ等の課題がある。今回の事案を通じまして、今回の事案だけではありません、エレベーターの問題もあります、そういうものを通じて、そういうふうな認識をいたしました。

 国土交通省といたしましては、これらの課題を踏まえまして、定期検査の項目、方法、基準等の明確化を図るために、探傷試験等の実施を含め、具体的な検査方法及び検査基準を建築基準法令上に位置づける必要があるのではないかというのが一つ。二つ目には、探傷試験のデータあるいは写真等の添付を含め、検査結果の詳細な内容について報告を求めることを建築基準法令上に位置づける必要はないかという点。三つ目は、講習内容や修了考査の見直し等による資格要件の強化や定期講習の実施等による検査資格者の能力の向上を図る必要があるのではないか。こういう対応が必要ではないかというふうに認識をするに至っております。

 そういうことから、昨日開催されました社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会におきましても、こうした方針についておおむね了解をいただいたところであり、今後、具体的な措置について検討を進めてまいりたい、このように思っております。

糸川委員 大臣、今回は、本来安全でなければならない遊戯施設でこういう痛ましい事故が起きてしまったということで、虚偽の報告というんでしょうか、どうも今回の定期検査報告は事実と異なるようなものを報告していたということもありますけれども、まず、こういう事実と異なる報告ができないようなシステムをしっかりと構築していただいて、そして今度また同じような、もし万が一同じような事故が起きた場合には、今度は大臣も責任を問われる可能性もありますから、それはしっかりと、もし基準に合わないような遊戯施設があるようであれば、直ちに運行をとめて、一たんその定期検査をきっちりと受けさせるぐらいの指導を行っていただきたいというふうに思います。

 話をかえまして、次は、エタノールの問題について質問をさせていただきたいと思います。

 私も、予算委員会で海外の方に、ブラジルに視察させていただきました。ブラジルは今、エタノール車をどんどん推進しておりまして、エタノールでは先進国かなというふうに感じております。

 エタノール車の推進に向けた現在の国土交通省の取り組みの状況というのは今いかがなものなのか、お答えいただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 バイオエタノールでございますけれども、CO2の削減のため、それから石油の代替燃料にもなるということで私ども認識しておりまして、関係省庁と一緒になって、今沖縄で実証実験がやられておりますけれども、積極的に参画しているところでございます。

 特に、私どもの方でやらなきゃいかぬと思っておりますのは、バイオエタノールを使った場合の車両の安全基準を定めていくということが必要だろう、こう思っております。

 今、エタノールを三%まで混ぜる、いわゆるE3と呼んでおりますけれども、これについては既存のガソリン車でも使用できるということで、安全性なり公害等の問題などは確認しておりますけれども、将来は我が国もE10、一〇%のエタノールを混合することができないかということで計画されております。その一〇%を入れたときに、安全の問題でありますとか、排ガス、公害の問題がないかどうか、こうしたことをチェックして車両の基準を定めていくという作業をしなきゃいかぬ、こういうことでやっているところでございます。

糸川委員 今現在三%なものを一〇%まで引き上げていくということでございますが、道路運送車両法に基づく道路運送車両の保安基準第一条の二で、この省令に規定する「燃料の性状又は燃料に含まれる物質と密接な関係を有する技術基準は、告示で定める燃料が使用される場合に自動車又は原動機付自転車の安全性の確保及び公害の防止が図られるよう定めるものである。」このように規定されておりますけれども、エタノール車の推進に向けて、この規定に基づいて保安基準などの技術水準を見直す必要があるわけです。また、その見直しを行うのであれば、保安基準や告示の見直しのスケジュールはどのようになっているか、お答えいただけますか。

岩崎政府参考人 今先生御指摘のとおり、保安基準の見直しが必要だろうと思っております。そのために、通常の手順といたしまして、まずガイドラインというのをつくりまして、それで公道で実験走行をしてもらう。実験走行をしてもらって、それで問題がなければ保安基準の改定という作業に入っていくというのが通常のスケジュールでございます。

 今、私ども、E10の対応車がどういうガイドラインが必要かということについて作業を進めているところでございまして、ことしの夏ごろまでにはこのガイドラインを策定したいと思っております。このガイドラインに沿って、沖縄を中心としたところでE10に対応しての走行実験をしてもらって、そこでデータをとりつつ、適切な時期に技術基準の見直しに取りかかっていきたい、このように思っているところでございます。

糸川委員 私がブラジルに行った際は、排気ガスが非常に甘ったるいにおいがするんですよ。これは長時間かいでいるとかなり頭が痛くなってくるというんですね。ですから、この辺をもう少し改善していかないと、日本の場合は、一〇%にしようがそれ以上にしようが、かなり問題が出てくるんじゃないかなというように感じます。

 最後に大臣に、エタノール車の整備の推進、これは原油価格の高騰に向けてしっかりとした対策になるだろうというふうに感じますが、一方、京都議定書において運輸分野の目標達成が厳しい状況の中、環境対策の面からもしっかりとした位置づけが必要だろうというふうに考えます。

 現在の京都議定書の目標の達成に向けた運輸分野における状況はどのようになっているのか。特に、自家用車から排出される二酸化炭素がどのような状況になっているのか。また、エタノール車の整備が推進された場合に、運輸分野における京都議定書目標達成への効果はどのようになっているのか。大臣、お考えをお示しいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 運輸部門からの二酸化炭素の排出につきましては、平成十七年四月に閣議決定された京都議定書目標達成計画におきまして、二〇一〇年度までに、基準年度である一九九〇年度の排出量二億一千七百万トンに対し、一五・一%増の二億五千万トンにとどめる目標とされております。

 これに対しまして、実際の排出量は、一九九〇年度から増加していましたけれども、二〇〇一年度をピークとして減少に転じております。二〇〇五年度においては、速報値ではございますけれども、二億五千七百万トンとなっておりまして、二〇一〇年度の目標を七百万トン上回っているのみということになります。非常に好成績で来ているわけでございます。

 御指摘の自家用乗用車からの排出量は、一九九〇年度から増加していましたが、燃費基準を強化したことによる燃費改善や自動車のグリーン税制等の効果によりまして、二〇〇一年をピークに減少に転じたということは非常に喜ばしいことでございます。しかしながら、依然として運輸部門の排出量の約五割を占めておりますので、目標達成のため、引き続き施策の着実な進捗を図っていくことが必要であるというふうに思っております。

 バイオエタノールを含むバイオ燃料を燃焼することによって放出される二酸化炭素、これは二酸化炭素は排出されるわけでございますが、しかし、バイオ、生物の成長過程で光合成によってCO2を吸収いたしますので、相殺して大気中の二酸化炭素は増加させないということから、京都議定書上、ガソリン等の使用とは異なりまして、二酸化炭素排出量としてはバイオの場合は計上されないということになっております。したがいまして、バイオ燃料の利用は、二酸化炭素排出量が計上されるガソリンの利用量の削減に資することとなりますので、京都議定書目標達成計画においても、その促進を図ることとされているところでございます。

 現在のバイオ燃料の利用量は、京都議定書目標達成計画に見込んだ目標を大幅に下回るものではありますけれども、国土交通省としても、関係省庁と連携しながら、バイオエタノールの普及に向けて努力をしてまいらなければならないということを考えているところでございます。

糸川委員 しっかりとした推進を目指していただきたいというふうに思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

塩谷委員長 次に、内閣提出、参議院送付、測量法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 測量法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 ただいま議題となりました測量法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年のデジタル技術の発達により、測量によって得られた地図等の測量成果についても電子データによる普及が進み、これらの電子データをより効率的に提供する手段としてインターネットによる迅速な提供が求められているところであります。

 また、国民に提供された地図等が円滑に利用されるためには、国や地方公共団体がその利用のための手続の合理化を図っていくことが必要であります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、基本測量を行う国土地理院が作成した地図等を、その刊行に加え、インターネットによっても広く国民に提供することとする措置を講ずることとしております。

 第二に、地図等の複製につきまして、これまで禁じていた営利目的の複製も承認できるようにするとともに、手続の簡素化を図るため、測量目的などの場合のみ国土地理院や地方公共団体等の承認を要することとする規制の合理化を行うこととしております。

 第三に、国土地理院におきまして、地方公共団体等が有する地図等の複製・使用承認手続の申請受理を行うことにより、インターネット上で地図等のワンストップサービスを行うための措置を講ずることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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