衆議院

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第18号 平成19年5月15日(火曜日)

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平成十九年五月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    坂本 剛二君

      桜井 郁三君    篠田 陽介君

      柴山 昌彦君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    徳田  毅君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      原田 憲治君    松本 文明君

      松本 洋平君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板谷 憲次君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          松原 文雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            藤本 貴也君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     篠田 陽介君

  亀岡 偉民君     松本 洋平君

  鈴木 淳司君     柴山 昌彦君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     石田 真敏君

  柴山 昌彦君     鈴木 淳司君

  松本 洋平君     亀岡 偉民君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 測量法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、測量法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官佐藤直良君、土地・水資源局長松原文雄君、航空局長鈴木久泰君、国土地理院長藤本貴也君、法務省民事局長寺田逸郎君及び文部科学省大臣官房審議官板谷憲次君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 測量法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。

 まず、プレートの移動ということがあります。プレートの移動によりまして、ハワイ諸島が我が国に近づいているという話をよく耳にいたしますが、測量法の観点から見た場合、この現状はどうなっているのか、国土地理院長にお伺いをいたします。

藤本政府参考人 お答えさせていただきます。

 プレートの移動に関連するお話でございます。

 国土地理院では、地球上の二点、例えばつくばとハワイ、そういう二点で、ほぼ無限大に近い位置からの星の電波、これはほぼ平行線になります。平行線になります電波、光ですね、これが電波になるんですが、これを受けまして、片方に非常に厳密な原子時計を置いておきます。同じ電波が平行して来ますけれども、ハワイと日本ではちょっと位置がずれておりますので、微妙に到達の時間差がございます。この時間差をはかることによりまして、ハワイと例えばつくばの間の距離を測定する、こういうことにしております。

 その電波をはかるために、つくばには直径三十二メートルのパラボラアンテナの大きいものがございまして、そういうもので各国ではかっているわけでございます。そういうことでそういう位置関係を測量する、こういうふうにしております。

 先生お話しの、つくばとハワイの観測局との間、これは一九九八年から九十八回観測を行っております。それによりますと、年間おおむね六センチずつハワイが日本側に近づいている、こういうことがわかっております。

 地理院といたしまして、引き続き、こういう世界のいろいろな測量機関等と協力しながら、我が国の位置の監視を行うとともに、地殻変動等の詳細な把握のために、こういうVLBI等の国際的な観測、こういうものを進めてまいりたいと思っております。

西銘委員 年間に六センチずつ近づいてくるということが、測量法、今の最新の技術でも判明したというふうに理解をしますと、何年先かわかりませんけれども、将来はハワイ諸島が我が国の国土にくっつくというようなことも起こり得ると考えていいんでしょうか。余り考えたくないんですけれども、どうなんですか。

藤本政府参考人 恐らく何億年、何千万年というスケールの話でございますので、理屈上はそういうことになってくるのではないかと思っておりますけれども、遠い将来であります、どうなるか、そこまではちょっと想定しがたいところがございます。

西銘委員 測量法の質問をするということで、日ごろなじみがなかったものですから、こういう質問から入らせていただきました。

 次に、今回の法改正によりまして、地震など自然災害等に対しまして国民の安全がどう確保されていくのかという点、それからまた、国際協力の時代でございますので、国際協力や国際貢献等についても含めて、今回の法改正がどう影響してくるのか、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

藤本政府参考人 今回の法改正、幾つかございますけれども、一番大きな眼目は、インターネットの活用をできるだけ促進できるように幾つかの施策を盛り込んだわけでございます。

 今さまざまな分野でデジタル化というのが進んでおります。そういう意味で、例えば地震などの自然災害、こういうものの事前対策だとかあるいは発災直後の対策だとか、いろいろやる場合に、そういうデジタルの地図を割と使う場合がだんだん多くなってきております。

 災害の事前対策という意味では、私どもでは、日本列島の上の土地の利用の状況、土地条件、あるいは過去のいろいろな履歴、昔が川であったとか軟弱地盤であるとか、そういういろいろな情報をインターネットで提供していくことになりますと、事前に比較的たやすくそういう情報を得ることができるようになってくる。そういうふうなことで、地震による揺れやすさとか、あるいは水害になりそうだとか、そんなようなことの状況を推測しやすくなってくるというようなことが一つございます。

 それから、大規模な地震が起こりますと、あるいは災害が起こりますと、現地のいろいろな状況が変化をいたします。例えば、地殻変動で、能登半島の場合でも一番大きいところでは二十センチ近く地殻が移動しておりますし、あるいはがけ崩れ等でいろいろな地形の変形がございます。そういうものを発災直後に直ちに測量いたしまして、そしてそれを関係者の皆さんに配信する。これも、やはりデジタルでやりますと非常に素早くできるというふうなこともあるのではないかと思っております。

 いずれにしましても、そういうインターネットの活用というのが進んでまいりますと、いろいろなデータのやりとり、入手、こういうものがやりやすくなる基礎ができてくるのではないかというふうに思っております。

 また、国際協力というお話でございました。

 今回の法改正が直接国際協力とどうかというところがございますけれども、最近の事例でいいますと、平成十六年にスマトラ島沖の地震がございました。このときも、どういうところで津波被害が起きそうかというのを、我々が皆さんと一緒に取り組んでいる地球地図というものを活用しまして、これは事後でありますけれども、そういう場所を皆さんにお示しする。あるいは十七年のパキスタンの北部地震、これによりましても、どういうところで断層が起こったんだというような調査を行いまして、被害場所の推定だとか、あるいはいろいろな復旧復興対策をやるのにお役立てをしていただいている、こんなことでございます。

西銘委員 基本測量や公共測量、これらの測量成果がインターネットで流通することに伴いまして、国民の生活や、また新たなビジネスチャンス等が生まれてくるのかと想像いたしますが、その辺はどうお考えでしょうか。

藤本政府参考人 先ほど申しましたように、今回の改正の一番のねらいが、最新の地図がインターネット上でできるだけ容易に入手できるようにしようということでございますので、さまざまな分野で地図の活用が図られるのではないか、こう思っております。

 先ほどちょっと申し上げましたけれども、地震時の災害のとき、地元の市町村で、あるいはそういう関係行政機関で、インターネットを介して、ややリアルタイムといいますか、できるだけ早くそういう情報を入手することができるということで、的確な対策をとるというようなこともありますし、もうちょっと幅広くいいますと、経済社会活動の分野では、地理院の最新の地図、従来は紙の地図を配っていたものですから、更新に非常に時間がかかりました。インターネットですと、非常に早く更新ができるようになってくる。そうなりますと、最新の情報が容易に入手できるようになるということもございます。

 それから、営利目的でも一部利用できるようにしよう。従来は、我々の出している地図をそのままコピーする、それで商売をする、これは一律禁止をしておりましたけれども、インターネットの背景地図に活用したり、あるいはハンディーナビといって山歩きする人などが地図を見ながら使うものがあるんだそうですが、そういうものの背景情報にそのまま使う、こんなようなことも今後認めていくというふうにしようと思っております。

 そうしますと、そういう意味での国民生活の向上、あるいは新たなビジネスチャンス、こういうものも出てくるのではないかというふうに思っております。

西銘委員 このように情報通信の革命的な社会になってきておりますが、インターネット上における位置の情報あるいは地理の情報等を利用していく国民が非常にふえているということになりますが、こういう利用者の利便性を向上させるために国土地理院で具体的にどういう施策をとろうとしているのか、御説明をお願いしたいと思います。

藤本政府参考人 今回の法改正でインターネットの活用をできるだけ促進しようということでございますけれども、これまでもデジタル化の動きは随分ございましたので、いろいろなことをさせていただいております。

 具体的には、平成十一年から十四年にかけまして、おっしゃいました位置情報であります基準点、そういうものの位置がどこにあるのか、その座標がどうなのか、あるいは地理情報でありますところの地図でありますとか、あるいは地図をつくる前段で撮影します航空写真、空中写真、そういうもののインターネットによる閲覧、これも順次していただけるようにしつつあるところでございます。

 また、平成十六年、測量成果あるいは測量記録の複製とか使用承認あるいは謄本交付、e―Japanの一環でありますけれども、こういうものを電子申請で手続ができるようにする、こんなようなこともさせていただいております。

 さらには、電子国土というバーチャルなコンピューター上での国土というものを地図であらわしていく、こういうもので地理情報をコンピューター上の地図の上に提供しまして、その上にいろいろな情報を載せていくというようなことができるようなこともやっております。

 いずれにしましても、今回の法改正を契機にいたしまして、より一層インターネットが活用されるようにやってまいりたいと思っております。

西銘委員 今回の法改正にはワンストップサービスの向上という視点が盛られております。地方公共団体すべてが国土地理院に委託をする、それを想定しているんでしょうけれども、現実それがなされない、委託をしない地方公共団体も出てくるという話も聞いております。

 利用者からいたしますと、利用者は、国土地理院にすべてワンストップで窓口を一つにしてアクセスをすれば、公共測量の部分で地方公共団体の部分にも接続ができるという利便性があった方がいいと思うんですけれども、窓口委託をしないと想定される地方公共団体に対しても、利用者が国土地理院にアクセスをすればつながっていくというようにすべきではないかなと思うんです。

 このワンストップサービスの向上という点で、国土地理院のお考えを説明していただきたいと思います。

藤本政府参考人 ワンストップサービスの件でございます。

 インターネット上に地理院としての窓口を設けまして、地図の使用の承認あるいは複製の承認、こういうものをしたいというときに、各地方公共団体もいろいろな地図をつくっていますので、そういうものも地理院に一括申請してもらえればワンストップでできるようにということで、そういう承認の手続の委託を今回認めるようにしよう、こういうことでございます。

 先生おっしゃるように、全公共団体がやってくれるかどうか、あるいはいろいろな測量をやっているところすべてがそういう委託をしていただければ非常にいいんですが、それについては今の段階でどの程度かというのはちょっと定かではございませんけれども、できるだけ多くの機関に御参加いただけるように、いろいろな形での説明をしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

 仮に、申請受理に関する事務の委託をいろいろな事情でされない、できないという場合におきましても、公共団体がインターネットによる承認申請をやろう、公共団体として電子化による承認申請をやろうということになった場合には、例えば地理院のところのホームページにリンクを張るとか、そんなようなことも含めて今後検討させていただきたいと思っております。

西銘委員 ぜひそういう利用者のワンストップサービスの向上に資するように対応していただきたいと思います。

 先ほどお話が出ておりましたけれども、今回の法改正で、測量の成果に対して、営利を目的としてコピー、複製することも可能になるというお話がございました。昨今、著作権とか知的財産権を守っていこうという大変大きな流れにある中で、そういう営利目的のコピー、複製をするときに料金や著作権との関係はどうなっておりますか、説明をしていただきたいと思います。

藤本政府参考人 そのままいわば海賊版的なものをつくるというのを複製、こう言っておりますけれども、そういうものを専ら営利で販売する行為は、国の刊行する地図と紛らわしい、あるいは品質の問題もあるかもしれない、あるいは刊行の仕組みにいい影響を与えないというようなことで、一律にこれまで禁止してきたわけでございます。

 近年では、先ほども言いましたように、インターネットの背景図だとかあるいはハンディーナビゲーションの背景地図だとか、そんなような需要もございますので、地図をそのまま利用するというのも一部認めてもいいのではないかということで、今回改定をさせていただこうということにしたわけでございます。

 こういうような、国が刊行します地図が複製されていろいろな用途に活用される、これは地図を活用していただくという意味ではいいことだと思いますけれども、そういう地図の内容をそのまま営利目的で複製するということになりますので、地図の著作権ということもございますので、適正な対価をお払いいただくように今検討を進めようと思っております。

西銘委員 インターネット上でこれらの測量成果が流通あるいは公開することに伴いまして、昨今よく言われております個人情報の保護、あるいは測量、地図等に関する問題、軍事の関係がどうしてもかかわりが出てくると思いますが、国家の安全保障上の情報の保護、この辺について今回の法改正でどうなっておりますか、御説明をいただきたいと思います。

藤本政府参考人 現在、地理院が刊行しております地図、紙の地図ですとか、あるいは部分的にはCD―ROMでデジタルの地図も今刊行しておりますけれども、そういう地図は、一番大きいものといいますか、一番詳しくはかるものは一万分の一であります。それだと十メートルが一ミリの大きさでございます。そういうことで、それほど大きくはないということもありまして、これまでも国の安全保障にかかわる情報あるいは個人情報が公開されるという問題は指摘されているわけではございません。

 これから行おうとしております地図のインターネット提供、これも今まで提供したのと同じものを今度インターネットに載せようということでございますので、それだけだったら問題は生じないのではないかというふうに思っております。

 ただ、空中写真のようなものについては、現在、刊行しているもの、皆さんの手元に届くようにしているものがあるんですけれども、こういうものにつきましては、個人そのものが明確に識別できるような、そんな解像度ではございませんので、そんなこともありまして、これも従来、これまでも国の安全保障に関する情報とかあるいは個人情報の問題が指摘されたことはございません。

 ただ、今後、解像度の高い空中写真なんかをインターネット上でだれでもが利用できるように公表しようとしていくという場合には、いろいろな問題が生ずる可能性もあるかと思っております。そういう場合には、例えば解像度を少し下げるとか、そんなような工夫を今後検討していく必要があるんじゃないか、こういうふうに思っております。

西銘委員 防衛省のイージス艦の情報がああいう形で問題になったり、我が国全体として情報に対する、公務員、私たち国会議員も含めてでしょうけれども、法の規制がまだまだ弱い、安全保障上の日米同盟に関してもその辺が指摘されるような時代でございますので、あらゆることを想定いたしまして、国家の安全保障上の問題がないような形での対応を切に希望しておきたいと思います。

 少し話はかわるのでありますけれども、私は週末、地元に帰るのでありますが、那覇の空港の沖合に、離陸、着陸時に、潮が引いて干潮時になると、陸と思われるような現象がよく見られます、これは国土がだんだん広がっていくのかなという感じで飛行機の上からいつも見ているのであります。あるいは、観光地としても割と有名になってきた、宮古島の沖合に年に一回の大潮に大陸のように干上がってくる八重干瀬とかいうところもありますが、干潮時に陸上にあらわれる地域、こういう地域について、国土として測量されているのか。あるいはまた、このように潮の干満によって陸地とみなされるような地域が我が国全土でどのくらいあるのか。その辺についてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

藤本政府参考人 国土地理院で行っています測量というのは、満潮時に海水面の上にある陸地、これが測量の基本になっておりますけれども、そのときにあわせまして、干潮時、一番潮が引いたときに海面上に岩とか島があらわれるような地域につきましても、必要に応じまして写真測量で一緒に測量し、そしてそれを地図上にも記載するようにしております。

 こういう、満潮時には水面の下、干潮時には水面の上に出てくるような地物を隠顕岩というふうに呼んでおるようでございます。先生お話のありました沖縄の空港沖の地域にも隠顕岩がございまして、これも地形図にそういうふうに表示をさせていただいております。

 どの程度分布しているかということでございますけれども、隠顕岩というのは、これもちょっと先生の御質問がありましたので調べたんですが、サンゴ礁の多い奄美群島あるいは南西諸島、そういうところで非常に多く見受けられるそうでございますけれども、海岸からちょっと離れたところに小さな島があったりしますと、そういうものがやはり同じような状況になっておりますので、全国で三十八の都道府県に存在をするということだそうでございます。ちなみに、海がある都道府県は三十九でございまして、大阪府だけが隠顕岩がないそうでありまして、それ以外の海岸線を持っているところはみんな何がしかの、海岸線のところに、そういう島といいますか岩といいますか、そういうものがあるということのようでございます。

西銘委員 宮古島の幻の大陸と言われるところなどは非常に広大な地域に及びますし、また、飛行機から見ておりましても、これは将来国土となっていくと二百海里の経済専管水域上も大変国益に資するのかなという感じで見ておりますが、こういう地域は、地球温暖化で海面が上昇してくるという話は聞くんですけれども、私たちは、飛行機の上から、確実に将来国土になるのかなと見ております。

 こういう地域の観測は、定点的に何年か置きにやるとか、あるいは地震とか災害に関係ありそうなときにやるとか、そういうルールがあるんでしょうか。調査の頻度について御説明をしてください。

藤本政府参考人 先ほど申し上げましたように、陸地の測量とあわせて陸地周辺も測量いたしますので、そういう意味では、通常の地図の更新にあわせてそういうものも測量するというのが一般的でございます。

 ただ、先生おっしゃいましたように、例えば、大地震があって地殻変動があって何かあったようだ、そんなときには、当然、我々としても必要な調査をしてまいりたいというふうに思っております。

西銘委員 この那覇空港、週末のたびに、離発着しながら、沖合の方が陸として出てくるという現状を見ながら考えるのでありますが、仲井真県知事が誕生しました。また、きょうは、沖縄が復帰をして三十五周年という節目の日でもあります、私も忘れておりましたが。那覇空港の沖合展開を選挙公約に掲げた仲井真知事からいたしますと、空港の沖合が干上がったら陸になっていく、これはもう一本滑走路をつくるのに適しているのかなというふうに私たちは感じながらこの政策を進めております。復帰の記念日でもありますし、那覇空港の沖合展開、あるいは総理が唱えておられるアジア・ゲートウェイ構想、海外からの観光客を一千万人受け入れるのであれば、南の沖縄の那覇空港の沖合も滑走路をふやして、その一割でも受け入れる体制になれば、これまた沖縄の振興の礎になるのかなという思いで見ております。

 那覇空港の沖合展開につきましては、パブリックインボルブメントがもう三段階に入ってきております。ことしの十二月、今年度で調査も終了すると考えておりますが、これから次年度に向けてどう展開していこうと考えておられるのか、冬柴大臣の基本的なお考えを聞かせていただければありがたいと思います。

冬柴国務大臣 将来的に需給が逼迫すると予想される那覇空港につきましては、平成十四年十二月の交通政策審議会航空分科会答申に基づきまして、平成十五年度から、国と沖縄県が連携をいたしまして、住民等の意見も聞きつつ、滑走路増設を含む抜本的な空港能力向上方策について総合的な調査を進めているところでございます。

 離着陸回数は十一・四万回ということで、これは全国五位でございますけれども、滑走路が一本でというのは、福岡空港の十三・七万回に次いで全国で二位というぐらい、込み合っているという空港でございます。

 総合的な調査におきましては、昨年度、那覇空港の将来需要予測、能力の見きわめにつきまして検討を終了いたしましたが、これによれば、航空機の機材構成など現状の利用条件のもとでは、二〇一〇年から一五年のころには、夏季、夏においては滑走路処理能力に余裕がなくなるということが予想されるわけでございます。これらの検討を踏まえまして、平成十九年度から、将来の対応策及び対応策の評価について検討を行っていく予定でございます。

 先ほど言われましたように、一般的な調査の実施状況は、平成十七年度に第一ステップ、十八年度に第二ステップ、十九年度に最終の第三ステップ、将来の対応策、対応策の評価の調査に入っているところでございます。

 沖縄県の発展のためには、那覇空港の能力増強は必要と考えております。今後できるだけ早期に結論を得て、具体策を講じてまいりたい、このように考えているところでございますし、安倍総理の公約でございますから、選挙のときの発言等も踏まえまして、私も積極的に、前向きに考えていきたい、このような決意でございます。

西銘委員 那覇空港の沖合展開、これも沖縄の将来の発展の大きな基礎になるものと思っております。大臣の御答弁、ぜひ力を入れて前向きに取り組んでいただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 今回の測量法の改正について質問させていただきます。

 今回の改正は、昭和二十四年の法制定以来初めて抜本的な改正ということなんですけれども、最近のインターネットの普及またはデジタル地図の時代の到来、こういったことを踏まえての改正と受けとめておりますけれども、特に最近、デジタル地図の普及というものは本当に目覚ましいものだなと。多くの人たちも利用しているカーナビ、これは日進月歩の進化をしておりまして、最近では携帯電話にGPS機能がついている、こういった形で、まさに地図というものが私たちの身の回りに大変普及をしているんです。

 ただ、このデジタル地図が国民の間で広く、そして深く浸透している時代の中で、やはり大切なのは、そのもととなる、大もとの地図の提供をするそのことであると思うんですね。その上で、正確な地図、これをまた迅速にしかも手軽に入手できるようにする、この必要性は高まっていると思う。

 そういった中での今回の改正だと思うんですが、まず最初に大臣にお伺いしたいのは、今回の測量法の改正がこのようなさまざまな経済社会活動に具体的にどのように寄与するのか、この抜本的なところをまず伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 国家の三要素として、国土、国民、そして統治機構、これは三つの要素だと言われております。したがいまして、国土あるいは国民、例えば国民を公証するというのは、戸籍謄本等、国家がこの人は日本人であるということを証明するわけでございますが、同じように国土につきましても、国家が、現在これは国土地理院でございますが、領土、領空、領海のどの部分、どういう名称のこの部分が日本の国土であるということを公証するのは、国土地理院、国家の仕事であります。

 そういう観点から見まして、このような最新の地図がインターネット上で迅速に入手できるというふうにする、容易に利用できるようにする、災害時の緊急対応やその後の災害対策、それから官民におけるGIS、地理情報システムの普及など、国土の管理を初めとしたさまざまな分野での地図の活用が促進されることになります。すなわち、日本の国土の領域というものが明確に示される、国民が手軽にそれを入手できる、こういう状況になってきたわけであります。

 具体的にというお話でございましたが、地震のとき等の災害時に、地元市町村などの関係行政機関へのインターネットを介した迅速な地図データの送付、それから、各地方公共団体における防災マップや、地方公共団体や民間において取り組まれているGISの基礎となる地図データの更新頻度の向上ということが図られます。それから、これらの取り組みを行う主体が、国土地理院や地方公共団体等さまざまな地図データを入手するに際し、国土地理院の総合窓口に一元化をいたしまして、インターネット上でワンストップサービスの手続を受けることが可能となるといった効果が期待され、実りある社会経済活動の支えとなると思っております。

 大変画期的な改正だと自負をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。

高木(陽)委員 今、災害対策等にも役に立つというお話もいただきました。さまざまな分野での経済社会活動について役に立っていくんですけれども、その一方で、地図そのものが持つ根源的な意義、そういった価値にも目を向ける必要があると思うんですね。

 地図といいますと、やはり学校で習う地理の時間で、地理を理解するということは、地域の風土、また歴史を含めた文化、こういったものを理解していくことにつながりまして、教育の面におきましても多大な効果があると思うんです。皆さん方もそうだと思うんですが、やはりいろいろと地図を見ながらさまざまな勉強をしてきたと思うんです。

 我が党がことし二月に教育問題について提言をさせていただきまして、「教育や子育ては“社会総がかり”で取り組むことが重要」、このように述べておりますけれども、地理教育についても、学校の授業だけではなくて地域社会で取り組む必要があるんですけれども、そういうことから考えまして、国土地理院として、地図、ひいては地理の普及という観点から、国民に向けてどのような取り組みを行っているのか、これをちょっと伺いたいと思うんです。

藤本政府参考人 先ほど大臣からお話がありました国の構成要件、国土というのが一つございましたけれども、国土を具体的に形にあらわしたものが地図だろうと思います。その地図には、御承知のとおり、行政界ですとか地名とか、そういう目に見えない部分と、それから、いわゆる地上に分布する地形、地物、こういうものを表現、その位置とか形をあらわしているわけでございます。

 地図というのは、地理教育の基礎ということだけではなくて、いろいろな事業をやる上で、ビジネスの分野あるいは観光の分野あるいは国民生活の分野、さまざまな分野で頻繁に利用されるわけでございます。そういう意味で、地理院としても、地図の役割、内容を正しく理解あるいは活用していただくための普及啓発活動は非常に重要だと思っております。

 具体的には、私ども、つくばに地理院がございますけれども、そのつくばの地理院の横に地図と測量の科学館というのをつくらせていただきまして、そこにいろいろな皆さんに来ていただいて地図の理解をしていただく、そういう情報を発信するというものもございます。あるいは、六月三日を測量の日というふうに定めさせていただいています。全国で講演会とかあるいは測量体験等の啓発活動、こういうものをさせていただいております。それから、各ブロックごとに年一回、地図展というのをやらせていただきまして、その地域にありますいろいろな古い地図ですとか特色のある地図、そういうものを皆さんに御紹介して、地図に対する関心を高めていただく。あるいは、社会科の教育の一環でありますけれども、いろいろな地図を子供たちにつくっていただいて、全国児童生徒地図優秀作品展、こういうものを毎年開かせていただいております。こんなようなことで、いろいろな普及啓発活動をやらせていただいております。

 また、平成十七年度でありますけれども、地図に対する関心を高めるために、風車それから老人ホーム、これの新しい地図記号を定めさせてもらいました。これも皆さんに公募をしまして、皆さんからアイデア募集で、小中学生の公募で決定をしております。十二万件の応募がございまして、十八年六月に、そういう風車と老人ホームの記号を新たに決めさせていただく。

 こんなようなことで、今後とも、いろいろな機会をとらえまして、地図、地理に関する普及啓発活動をやっていきたいと思っております。

高木(陽)委員 今いろいろな啓発活動をやっておられるということで、例えば北方領土にしろ、または竹島にしろ尖閣にしろ、我が国の固有の領土なわけですね、これは地図に載っているわけです。こういったものをしっかりと認識していかなきゃいけない。結構授業でも、こういった部分というのは何かナーバスになって、しっかりと伝えられていない、こういう気もしますので、ここら辺のところもしっかりやっていかなければいけないなと考えております。

 その上で、もちろん情報というものをしっかりと公開していく、これが一つの流れであり、その一方で、ネットの普及によりまして情報がどんどんどんどん垂れ流しされていく。

 先ほど西銘委員のときにも質問がありましたけれども、例えば、先ほど申し上げました北方領土または竹島、尖閣、そういった境界線のところというのも、結構、私たちの固有の領土でありながら、これはまたいろいろと外交的なかかわりも持っている。その上で、地図といいますと、やはり安全保障の問題、さらには個人情報、この問題について、やはり公開をしながらも、こういった問題というのはしっかりと考えていかなければいけない問題であると思うんですが、その点について、先ほど西銘議員も質問がありましたけれども、再度お伺いをしたいと思います。

 特に、空中写真というのは上から撮るわけですけれども、そういった中での対応についてどのようになっているのか、伺いたいと思います。

藤本政府参考人 地理院でいろいろ測量いたしました成果、その成果の一番わかりやすいものが地図ですとかあるいは空中写真、そういうものだと思っておりますけれども、そういうものはできるだけ皆さんに活用していただこう、そのためにはできるだけ公開をし、皆さんに使っていただこう、こういう姿勢でおるわけでございます。

 その中で、先ほどもお答えさせていただきましたけれども、地図あるいは空中写真のセキュリティーの問題、個人情報の問題であります。特に、先ほど先生の方から空中写真についてということでございますので、若干繰り返しになりますが申し上げさせていただきたいと思います。

 空中写真につきましては、現在刊行しております空中写真の解像度は、個人が特定できるような解像の状況にならない状態で今公開をしております。そんなことで、これまでもそういう安全保障、個人情報の問題は余り指摘されたことはございません。ただ、今後、解像度の高い空中写真をインターネットで提供する。そうすると、だんだんみんなが自由に使える、あるいは組み合わせができるようになってくる。こうなりますと、そういう問題が出てくる可能性はございますので、そういう場合には解像度を下げるだとか、そんなような工夫を今後していく必要があるのかな、こういうふうに思っております。

高木(陽)委員 よく住宅地図、航空写真という言い方でしておりますけれども、これなどは今、個人情報保護法ができて以来、それぞれ、この家はだれだれさんの家、そういった部分でかなりナーバスになってきて、今まではそんなの当たり前だと思っていたのが、やはりそれを特定してしまうということについての当事者の問題というのもあると思います。

 その上で、空からの画像の技術というのは、これは本当に解像度がどんどん技術としては増していくと思うんですね。ただ、道具も使いようで、例えば人工衛星による地表の正確な把握、これはいろいろな可能性があるわけです。我が国の科学技術の進歩を妨げるようなことがあってはならないんですけれども、最近では、高い分解機能を持つ、宇宙からの撮影機能を備えた「だいち」という人工衛星、これは宇宙航空研究開発機構、JAXAが打ち上げて運用しているんです。

 そこで、きょうは文科省にも来ていただきましたので、「だいち」を初めとする人工衛星による我が国の国土の様子、その変化の把握、これにどのように取り組んでいるか、まず伺いたいと思います。

板谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の陸域観測技術衛星「だいち」でございますが、これは地球観測衛星と呼ばれる分野に属するかと思います。この地球観測衛星でございますけれども、観測手段としての広域性、そして耐災害性というものがやはりその特徴でございまして、御指摘の地図作成を初めさまざまな分野での利用が行われているところでございます。

 さて、その陸域観測技術衛星「だいち」でございますけれども、昨年の一月二十四日に、御指摘ございました独立行政法人宇宙航空研究開発機構、JAXAでございますけれども、それによって打ち上げられた衛星でございます。そして、初期機能確認を経まして、昨年の十月二十四日から本格運用に入ってございます。

 この衛星でございますけれども、御指摘のように、地図作成、地域観測、そして災害状況の把握、資源探査、こういったところを目的としておる衛星でございます。さまざまな分野での利活用、貢献が期待されているところでございます。

 そして、その目的の一つでございます地図作成でございますけれども、現在、JAXAと国土地理院との共同研究として進められております。具体的には、国土地理院におきまして、二万五千分の一の日本地図の作成及び修正の実証に関する研究等のために「だいち」が取得したデータを活用していると承知しております。

 私ども文部科学省といたしましては、JAXAと協力して、今後も、「だいち」の運用に万全を期し、地図作成等に役立つ衛星データの提供に努めてまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 今、地図作成等にも利用している、また資源探査、まさに科学技術でしっかりいろいろと役に立つことをやっているんですけれども、これも、やはり技術がどんどん進むと、その解像度が進んで、まさに人工衛星から撮影した場合、これは空中写真もそうなんですけれども、撮られる側というのはそんなのを認識していないわけですね。上からいつの間にか撮られている。それが、これぐらいの広さで、また庭に何があってだとか、いろいろと情報としては撮られる可能性があるわけですね。

 国土地理院、先ほど、空中写真の場合には解像度がそうでもないので、ただ、その後解像度が増していった場合には、そこはしっかりと配慮しながら、注意しながらやっていきたいという御答弁もありましたけれども、こういう情報というのは、今、国土地理院と文科省の間、JAXAの間でまた連携をしながら研究しているのはいいんですが、逆に、第一次情報としてこれがまたいろいろと漏れたり、または個人情報、先ほどの安全保障の問題、こういった観点もしっかりと取り組まなければいけないのではないかなと思うんですが、その点について、文科省はどのような対策、考えがあるか、伺いたいと思います。

板谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 「だいち」のデータということでございますが、これにつきましては、先ほどお話ししましたように、地図作成や災害状況の把握などの分野におきまして、衛星データ利用を促進して社会への貢献を図ることを目的とした衛星でございまして、この観測データというのは、原則としては公にし得るものというふうに私どもは考えております。

 ちなみに、分解能でございますけれども、光学のカラーで約十メートルの分解能、そしてレーダー部分につきましても十メートルということでございます。これの詳細度というのをどういうふうに考えるかというのはまた一つあるかと思います。

 ただ、私ども文部科学省といたしましても、国の安全保障や個人情報保護に関する対応につきましては極めて重要と考えておりまして、必要に応じ関係省庁と連携しつつ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 例えばアメリカ等の軍事衛星というのはもっと解像度が鮮明であって、そういったことから考えますと、技術的にはできると思うんですね。しかも、先ほど公にしているという話がありましたから、もちろん、そういう情報、公に利するものはどんどん公開していかなきゃいけないんですけれども、そういった観点は絶えず意識をしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、今度、地震災害の軽減という観点から伺いたいと思うんです。

 実は、私の地元の立川、東京の立川市でございますが、立川断層というのがあるんですね。これは関東では最大規模の断層というふうに言われておりまして、平成十五年の政府の地震調査委員会で立川断層の評価が行われておりまして、将来、マグニチュード七・四、阪神・淡路大震災がマグニチュード七・三でございますから、同規模、それ以上のものが起こる可能性がある、この発生確率も日本の活断層の中ではやや高いグループに属していると。

 実は、この立川断層の真上に政府の防災基地があるわけですね。何で断層のところに防災基地があるのかなと思うんですけれども、立川基地が返還されて、それだけのスペースがあるということでそうなったんでしょうけれども。

 そういった観点から、地震の備えを万全にするということでいろいろなことに取り組まれているんですが、この防災対策の観点で、災害対策基本法をもとに体制が整備されており、国土地理院というのは、この法律に規定する指定行政機関、こうなっておりまして、この地震対策にもしっかりと対応していただかなきゃいけないんですが、この立川断層での地震防災対策に関する国土地理院の対応状況、これをちょっと伺いたいと思うんです。

藤本政府参考人 先生御指摘のように、地震防災対策は政府全体として取り組むべき重要な課題だというふうに思っておりますし、その中で地理院も重要な役割を果たしていくべきだ、こういうふうに思っております。

 今お話がございました立川断層でございますけれども、少し自慢をするわけではございませんけれども、昭和五十年ごろでございますが、国土地理院の職員が空中写真を見まして、がけがずっと連続的につながっているというのを発見いたしまして、それで立川断層というふうに命名をさせていただいて、発表させていただいたというふうに聞いております。これも活断層でございます。

 活断層というのは、プレートが移動しましてどんどん落ちてくる、その圧力によりまして地殻に蓄積したひずみが、弱いところで繰り返し解放されるといいますか、そういう形で何度もずれて動いて、その痕跡が断層になる、したがってこれは航空写真にもあらわれてくる、こういうことでございます。

 活断層につきましては、これは動きますと地震が起こる、そしてその断層周辺で大きな被害が生ずる、こういうことでございますので、地方自治体におきましても、活断層の位置ですとか大きさですとかあるいは活動度、こんなものを十分把握する必要があるわけでございます。また、一般の住民の方も、そういうものをあらかじめ知っているということは避難活動等の上でも非常に重要だというように思っております。

 そういう意味で、地理院といたしましても、こういうものにこたえるために、地震による大きな被害が予想される都市域あるいはその周辺について、活断層の位置を詳細に表示した二万五千分の一の都市圏活断層図というものを作成させていただいております。立川断層を含みます活断層図「青梅」という形で活断層図をつくっております。これを平成八年、発行させていただいております。

 それとあわせまして、地理院では、GPSを使いまして常時地殻の変動をとらえております電子基準点というものを設けておりますけれども、その電子基準点を立川断層の周辺にも複数個設置しまして、地震の発生の原因となる地殻のひずみあるいは蓄積の監視、こういうものに今用いているところでございます。

 この電子基準点の観測データは、地震が発生しますと、その発生後地殻がどう動いたかというのが直ちに入手できるというふうになっております。能登半島の地震においても、これを入手しまして、どういうふうに地殻が動き、断層がどういうふうな形だったか、こういうものを推定させていただいておりますし、また、被害の範囲だとか復旧のためにも非常に重要だ、こう思っております。

 いずれにしましても、これらのいろいろな技術を用いまして、地殻変動の観測あるいは地震発生メカニズムの解明、こういうものに努めてまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 今までいろいろと全体的な話で伺ってまいりまして、また、立川断層のこと、地震災害のことも伺いました。

 今回の測量法改正に関する具体的な話なんですけれども、今回、デジタル地図がネット上でダウンロードできる、これは大きな目玉なんですけれども、実際どのような地図がダウンロードが可能になるか。また、今回の改正によりまして、承認が要らなくなる。今まで承認が必要だったわけですけれども、それはどういう場合か、またそれがどのような効果があるか、それを伺いたいと思います。

藤本政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、地図につきましては、できるだけ皆さんに活用していただこうということでございます。そういう意味で、従来、刊行というのが義務づけられておったわけでございまして、紙地図だとかあるいはCD―ROMの形で刊行をさせていただいておりました。今回の測量法の改正で、国土交通大臣の義務といたしまして、刊行だけではなくてインターネットによる地図情報の提供、これも制度的に位置づけをさせていただいたわけでございます。

 それはどういうものかということでございまして、現在、いろいろなものを刊行しておりますけれども、その中で、例えば二万五千分の一の地形図、これが一番汎用性の高いものでございますし、あるいは、物によってはCD―ROMの形で既にデジタル化して提供しているものもございます。そういうものの中で、できるだけ皆さんのニーズを見ながら、順次インターネットでのダウンロードができるようにしてまいりたい、こう思っております。

 また、我々のそういう地形図とか基本的なものだけではなくて、先ほど申しました災害現況図だとか、そういうたぐいのものも、ニーズを見ながら、ダウンロードできるような措置も今後検討してまいりたいというふうに思っております。

 それから、複製承認の関係でございます。

 測量法ができましたのは昭和二十四年でございますけれども、当時は、正確に複製をするというのは非常に大変なことでした。ほとんど手書きでトレースをする、こんなことでございまして、最近は技術が進展いたしまして、非常に正確な複製がやりやすくなってきた、こんな背景もございます。

 測量にいろいろ使うために測量成果を複製しようというときに、刊行したり、あるいはインターネットで不特定多数の人が使えるような状態にするものについては、そうはいっても、不正確なものが出回りますといろいろ問題が出てくるということで、これは複製承認をしてもらおうということでございますけれども、そうでないようなもの、個人的に使われるようなもの、こういうものについては、刊行への影響も少ないということで、複製承認を不要にしていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 地図を複製しようとする人が、事前にどのような基準で複製承認が必要かそうでないか、これが判断できないと困るわけですね。規制緩和の流れの中で、ここら辺の基準だとかそういったものをしっかりと認識しないといけないんですが、そのあたりどういうふうに考えているのか、これを伺いたいと思います。

藤本政府参考人 委員御指摘のとおり、どういうものが複製承認の対象になるのか、あるいは複製承認の必要がなくなるのか、あるいは複製承認の考え方はどうか、こういうふうなことでございますけれども、そういうことを容易に判断ができないと、手続を合理化してもその効果は十分じゃない、こういうことになろうかと思います。

 そういう意味で、私どもといたしましては、この法律を通していただきましたら、できるだけ早く具体的な事例を示したガイドラインを作成いたしまして、インターネット等で公表していくということを予定したい、こう思っております。

高木(陽)委員 やはりガイドラインというのが必要だと思うんですね。この点、しっかりとやっていただきたいと思います。

 最後の質問になりますが、地図の複製また使用承認手続、これはワンストップサービスについてですけれども、その実現のためには実際に連携をとる公共団体の協力が重要だ。この公共団体が全般的に困難な財政状況にあるわけですね。協力関係というふうには言うんですけれども、どういった形で公共団体との関係を保っていくのか、この点について最後伺って、質問を終わりたいと思います。

藤本政府参考人 複製承認のためのワンストップサービス、これをできるだけ広く皆さんに活用していただくということは非常に重要なことだと思います。

 ワンストップサービス実現のためには、国土地理院と各地方公共団体等との間をオンラインで結びまして、インターネット上の手続がスムーズにいくというふうにする必要があるわけでございます。

 そのためにいろいろ負担も要るわけでございますけれども、この法を施行するまでの間に、地方公共団体等にできるだけ大きな負担がかからないように、既存のシステムを極力有効活用するなど、実現可能なシステムのあり方についても、各公共団体等と十分調整しながら、ワンストップサービスの実現に努めてまいりたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 この測量法の改正でございますが、地図という私たちの日常生活に大きくかかわっているものでございますので、今後も国土地理院としてはしっかりと対応していただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 情報化社会の進展のもとで、インターネットで測量成果を提供できるようにするなど、今回の法改正は当然のことだと考えています。

 私は、国土地理院の役割などについて質問します。

 この測量法改正案とあわせて、地理空間情報活用推進基本法案が議員立法で審議されています。藤本国土地理院長は、この二つの問題についても日刊建設工業新聞などでインタビューに答えて発言をしていますから、そこを少し聞きたいと思うんです。

 これらの法案ができることによって、国民サービスの向上がどのように図られるのか、国土地理院がどのような役割を果たすのか、この点について、国土地理院長にまず聞きたいと思います。

藤本政府参考人 今回の法改正は、デジタル化社会への対応ということが一番のメーンでございます。

 そういう意味で、今回の測量法の改正におきまして、具体的には、一つは、地理院の最新の地図、これがインターネット上で手早く容易に入手できるようになるということが一点目でございます。

 それから、営利目的でも、先ほど来申し上げておりますように、インターネットの背景図ですとかあるいはハンディーナビの背景図、こういうものにそのまま私どものつくった地図を活用していただけるという道も開こうということでございますので、いろいろなビジネスチャンスがまた出てくるのではないかということがございます。

 それから、内部利用につきましては、そのまま使うものについては、従来は複製の承認手続が必要だったのですが、それを不要としようということでございますので、地図をいろいろ活用したいというふうな個人的な御利用をされる一般の皆さんあるいは地方公共団体等の事務の軽減、あるいは容易に入手できる、このようなことになろうかと思います。

 それから、ワンストップサービスの実現ということでございますけれども、これによりまして、ユーザーの皆さんあるいは測量会社や地図会社の皆さんが、地理院のインターネットの窓口に来れば、ワンストップで他の機関の作成した地図も活用できるようになる。

 そんなことで、いろいろな形で利活用が進むのではないかというふうに思っております。

穀田委員 今るるお話がありました。それは今度の測量法についてはそうなんだけれども、今私が聞いたのは、地理空間情報活用推進基本法案との関連でどうか、そこはいかがかという点が少しないと思うんだけれども。

藤本政府参考人 いろいろな情報通信技術が発達をしてまいりまして、流通する情報も、非常に膨大な情報が入手できる、あるいは送ることができる、こういうふうになってきておるわけでございます。

 そういう意味で、そういう大量の情報をどういうふうに分類、整理するか、あるいは有効活用するか、そのためには、地図というものをベースにしていろいろな情報を整理していく、これが非常に有効だというようなこともありまして、GISシステムというようなものも随分使われるようになってきたということだと思います。

 ただ、その場合に問題は、そういう地理空間情報を皆さんが十分にお使いいただくためには、そういうデジタル地図というものが十分流通をしないといけない、あるいはインターネットの活用が十分されないといけない。そういう意味で、地理空間情報の活用と今回の測量法の改正がセットになりまして、地理空間情報の活用を側面から支援するという形になるのではないかというふうに思っております。

穀田委員 そこで、私は、測量と地図という問題についての理念というか、戦前と戦後の違いというか、その哲学について少し聞きたいと思います。

藤本政府参考人 余り戦前のことに詳しくないのであれでございますけれども。

 地図につきましては、明治維新以来いろいろな組織の変遷がございますけれども、たしか明治の十七年ぐらいだと思いますけれども、参謀本部の測量局、ここに地図の作成が一元化されまして、そして、第二次大戦が終わるまでそこが所管をしておりました。その間は、軍事的な観点から、みずから測量をする、あるいは地図を作成する、こういうことでございまして、地図につきましても、その機密性が重視されたのではないか、こう思います。そんなことから、公開という部分について、不完全な部分が随分あったのではないか。具体的にどこがどうというのは、ちょっと今持ち合わせておりません。

 戦後、直ちに内務省の地理調査所という形に改組されました。軍の組織から内務省の組織に移管をされました。その後、いろいろな変遷をたどりまして、昭和三十五年に現在の国土地理院という名前になっておりますけれども、性格は同じでございます。

 特に、昭和二十四年に測量法が制定をされました。これによって、測量とかあるいは地図作成に従事するための資格制度が確立される。これは、当時は軍部が自分たちでやっておった、今度は民間の皆さんができるようにということで、資格制度が完備されたということでございます。

 それで、この測量法によりまして、地図につきまして、あるいは測量につきましては、測量の正確さ、そして重複の排除、無駄な測量をしないように、これが二つの大きな眼目でこの測量法ができております。そういう形で、地理院が一番基本になる基本測量をやる、公共団体等が公共測量を行う、こういう役割分担を行いながら、広くその結果を公開するということで、性格が変わったのではないかというふうに思っております。

穀田委員 今お話がありましたが、基本的に地図、測量、そういうものがやはり戦前と戦後で大きな性格の違いがあるということだけは確認しておきたいと思うんです。

 次に、先ほど説明がありましたが、基盤地図それから位置情報などの基礎的インフラ、これを整備していくのが国土地理院の役割ということですが、基本法について、少し国交省に聞きたい。

 基本法の中に、人工衛星を利用して位置情報等を取得する衛星測位の利用の促進、つまり準天頂衛星システムがあります。国交省もこの計画に参加しているが、これはどういった内容でしょうか。

佐藤政府参考人 準天頂衛星システムは、日本付近で常に天頂方向に一基の衛星が見えるように、都合三基の衛星を準天頂軌道に配置した衛星システムによりまして、GPSシステムを補完ないしは補強し、山陰やビル陰等に影響されず、高精度な測位を可能とするものでございます。

 このシステムは、GPSの利用に制限が生じるなどの不測な事態においても十分な測位を可能とする、将来的な自立性を持った衛星測位システムの構築に資するとともに、災害時等における救援ないしは対処作業において、被災地点などの位置情報の把握に有益な、官民の安全、安心にかかわる社会基盤として大きく期待されるものでございます。

 国土交通省におきましては、列車など高速移動体における測位を高精度かつリアルタイムで可能とするための技術開発及び電離層や大気の影響を補正して精密測量を可能とする技術開発等を行っているところでございます。

穀田委員 この準天頂衛星システム計画の事業費は全体で幾らか、そして国交省の負担は幾らか。

佐藤政府参考人 平成十八年三月の測位・地理情報システム等推進会議、ここで、準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針が取りまとめられたところでございます。

 この基本方針におきまして、まず第一段階といたしましては、一基目の衛星、技術実証、利用実証のための衛星打ち上げを行います。その結果を評価した上で、追加二基の準天頂衛星を打ち上げるような第二段階のシステム実証段階に移行する計画となっております。

 第一段階におきましては、準天頂衛星初号機のプロジェクト経費は、約三百三十億円と見積もられております。なお、このほかに、平成十五年度からの研究開発費の累計が約四百二十億円と見積もられており、これらを合計すると約七百五十億円となります。

 現時点で、第二段階までの準天頂衛星三基体制のプロジェクト経費の正確な見積もりを行うことは困難でございますが、昨年三月に試みの概算が行われております。三基体制全体で約九百五十億円との数字がございます。これに研究開発費の累計約五百億円を合計いたしますと、約千四百五十億円となります。

 そのうち、国土交通省の平成十八年度までの合計の予算額は、約二十一億円となっております。

穀田委員 莫大な費用を投じたプロジェクトだということがわかります。

 先ほど説明がありましたけれども、もう一度そのことを踏まえながら聞きたいと思うんです。

 現在は、測地基準点測量などはGPSなどを利用して行っていると。先ほどあったように、いろいろなところが見えるんだということも言っているんですが、見えないという意見の人たちもいるんですね。この衛星を利用して、特にメリット、先ほどの話はわかりましたが、その上でメリット。あわせて利用する可能性ということについて、先ほど将来性があるんだという話がありましたけれども、現在もそういう見解ですか。その可能性と見解についてお聞きしたい。

藤本政府参考人 基準点測量ということでございますので、私の方からお答えさせてもらいます。

 先生御指摘のように、基準点のいろいろな測量をする際に、最近ではGPSを使うケースが非常にふえてきております。ところが、先ほど来のお話のように、都市部とかあるいは山合いのところ、ビルや急峻な地形の厳しいところ、そういうところではGPSからの信号が遮られるわけでございます。それによって、受信のできる、見通し線上にあるGPSの衛星の数が少なくなる。この結果、少なくとも四つぐらいのものが見通せないとだめなものですから、測量できる時間が制限をされる、あるいはGPSが使いにくくなるというふうなことがございます。

 準天頂衛星がもし上に上がりますと、ほぼ天頂に常時もし一つあるとすれば、それだけそういう障害の影響が少なくなってくるということになろうかと思います。そういう意味で、測量という立場でいえば、測量が可能な時間がふえて、作業効率は高まるということがございます。

 また、もう一つ、準天頂衛星がもし仮にあるとすればどういう使い方ができるかということでありますけれども、GPS測量をいろいろなところでやります、これはある程度補正をしないといけない、その補正の信号をそれを使って皆さんにお届けをするというふうなことも可能性としては技術的にはあり得る、そういうふうな利活用の方法はあるのではないかというふうに思っております。

穀田委員 上の方にある衛星がふえてGPSを補正し、そして信号等については補強できるということですね、簡単に言えば。

 しかし、測位精度は現行のシステムで余り支障はないということですか。そこはどうです。

藤本政府参考人 先ほど申しましたように、いろいろな測量をする場合に、GPSだけで測量するわけではないので、GPSが使いづらいところは従来のトータルステーションとか、いわゆる望遠鏡のようなものを使いまして、見通し線と角度をはかって測量をする、そういうやり方を併用したり、いろいろなやり方をすることになろうか、こう思います。

穀田委員 このシステムの状況について、大体十省庁が参加しているんですけれども、それは、皆さんのところでいくと、国土交通省は、この「準天頂衛星システムに関して」という報告の中において「各省庁として、S帯測位補強・通信の整備をする必要性の有無」というところには、「なし」こう答えているんですね。そして、「測位精度は現行システムで支障なし、通信も既存のシステムで十分」だ、こういうふうに言っているんですね。

 ですから、各省庁も、十省庁のうち余り必要がないと言っているのが圧倒的なんですね。だから、さして、それだけ金をかけてやる必要があるのかということだと私は思っていまして、余り役に立たないというのが現実ではないかと思っています。

 〇一年に、日本経団連が、宇宙の産業化ロードマップというところで提案したのが発端でありました。ねらいは衛星を使った放送通信事業、総事業費二千億円、民間が半分を負担する話だったのがもともとの話だったんですね。

 ところが、インターネットや地上デジタル放送網の普及で計画が瓦解をする。六年の二月には、もう民の側は撤退を決定する。結局、測位だけに絞った衛星を一基打ち上げて、費用は先ほど言った三百億円、全額国が負担するということになっちゃった。

 だから、その意味では、余り利用のめどがないこういう事業に参加すべきでない、こういうことだけに金を使うようなプロジェクトはやめた方がいいと私は思っているんですが、大臣にそこだけ聞きたいと思います。

冬柴国務大臣 私は、ニュートラルにこの問題を考えますが、ただ、今日本で衛星測位というものは本当に普及していますけれども、これはアメリカのGPSをただで使わせてもらっているんですね。それが第一点あります。

 それから、ヨーロッパも測位衛星ガリレオを二〇〇八年に運用開始の予定ということで現実に進めている、そういうことが背景にあります。

 問題点ですけれども、ただで使わせていただいているGPSは、常に日本の上空にあるわけではない。場所や時間帯によっては、精度劣化や測位不能が発生する場合がある。そして、GPSに不測の事態が生じた場合、例えば、アメリカですから、アメリカの考え方によって、ただで使わすということをやめるということだって自由であると思いますが、日本の衛星測位が機能停止してしまう、そういう背景があると思います。

 そこで、準天頂衛星システムは、GPSシステムを補完、補強して、山陰やビル陰等に影響されずに高精度な測位を可能とする、常に日本の上空に衛星がとどまるために三基の衛星が打ち上げられるわけですが、平成十八年三月の測位・地理情報システム等推進会議で取りまとめた準天頂衛星システム計画の推進に係る基本方針におきましては、第一段階として一基目を技術実証、利用実証のために打ち上げて、その結果を評価した上で、追加の二基を打ち上げるような第二段階のシステムの実証段階に移行する計画というふうにしているわけでございます。

 したがって、国土交通省が担当する高精度測位補正に関する技術開発を確実に進めることにより、準天頂衛星システム計画の着実な推進に協力はしてまいりたい、こういうふうに考えております。

穀田委員 アメリカの思惑は思惑でありまして、ヨーロッパでもちゃんと独自にやっているということは、それはあるんですよ。それはわかっているんですよ。だけれども、そういうものと協力してどうするかということはよく考えなきゃあかん。アメリカがただでやっているのは、ただでやっている理屈があるわけで、うまく後でやろうというふうな。

 最後に一つだけ質問したいと思うんです。

 そういう意味では、国土地理院の役割はすごく重要だと思っています。定員削減計画がありまして、その合理化計画の中に外部委託というのがあります。結局、業務量を減らすということになるんでしょうけれども、ふえるわけですね、業務量は。しかし、この五年間の人員削減計画で経費はどのくらい削られるのか、減らす人件費は幾らで、ふえる委託費は幾らかということについてだけ、最後にお聞きしたいと思います。

藤本政府参考人 行政減量・効率化有識者会議というところの検討がありまして、政府全体の方針といたしまして、平成十八年度から五年間で七十人の定員を削減する、こういうふうになっております。

 こういう中で、定員の厳しい中で多様なニーズにこたえていくということで、業務の合理化ですとか外部委託の活用ですとか、あるいは電子処理の推進ですとか業務処理の集中化等々で、効率的、効果的な業務の遂行に努めていきたい、こう思っております。

 それで、先生御指摘の、減員分の人件費がどれぐらいで、それに関係するコストはどれぐらいだ、こういう御質問でございます。

 減員分の人件費の削減額、あるいはそれに対応した形でいろいろ外部委託等をやっていくための費用、これにつきましては、例えば削減される人員の役職はどうであるのかとか、あるいは外部委託等の業務の内容をどうするのか、どういう割合にするのか、そういうことによっていろいろ変化をしてまいります。

 そういう意味で、直ちに算定することは難しいわけでございますけれども、いずれにしましても、限られた予算、人員の中で、与えられた責務を精いっぱい全うするように頑張ってまいりたいと思っております。

穀田委員 算定できないことはないんです。大体こういうめどでやっているという、人件費削減をやってくるから方針が出るわけで、私は、実際はそうやって定員は削減するけれども、外部委託して仕事をやって、経費全体は減らないということは言っておきたいと思うんですね。

 だから、そんな経費、当たり前の話であって、仕事はふえるわけだから、きちんと使ってよろしいと。そういう話の方で、準天頂衛星プロジェクトなんかは膨大な金がかかるんだから、そっちの方をやめたらええやないかということを言っているわけですよ。

 以上です。終わります。

塩谷委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 今回のこの測量法の改正につきましては、我が国におけるインターネットの急速な普及、そして、ネット回線のブロードバンド化、こういう時代の趨勢を踏まえたデジタル地図の一層の普及、活用を図るため、国土地理院の地図のインターネットによる提供、測量成果の複製承認にかかわる規制の合理化、そして、測量成果のインターネット上でのワンストップサービス、これを図るもので、国民生活のさまざまな場面で活用が期待されるのではないかというふうに思っております。

 特に、昨今の安全、安心な生活についての国民の不安という観点で申し上げれば、まだ記憶に新しいところでは、能登半島地震の地震災害、そして、たび重なる水害、土砂災害に対する国土の危機管理策としても、この地理情報の活用が重要となっているところであります。

 例えば、私の地元でございますと、福井市におきましても、福井県におきましても、平成十六年、大規模の堤防決壊と浸水害が発生いたしまして、これは激甚災害に指定されました。こういう過去の自然災害を踏まえまして、GISを活用した洪水ハザードマップ、これを公表しているところでございます。

 このような問題意識を踏まえて、今回のこの測量法の改正が、こうしたGISを活用した地震対策、そして水害対策にどのように寄与するのか、まずはお伺いをしたいというふうに思います。

藤本政府参考人 GISをいろいろな方々が自由に活用できるためには、デジタル地図のデータ、これがもちろん必要不可欠でございます。地震対策、水害対策、そういう場合も、最新の地図データが復興復旧にも非常に重要な役割を果たすわけでございます。

 今回の改正によりまして、インターネット提供が行われるようになります。それによって、従来のいわば更新の頻度といいますか、紙地図に比べてインターネットにおきます更新の頻度は相当高くなってまいります。そういうことで、新しい地図が提供できるようになるということになろうかと思います。

 それから、いろいろな大規模災害で現地の状況が大きく変わります。そういう場合には、災害が発生した後、復旧復興するためにも、現地の地形の変わった状態での地図が早急に整備されないと諸対策が立てられないということになるわけでございまして、そのためにも、紙地図による刊行とかそういうことだけじゃなくて、デジタル地図によるインターネットによる提供、こういうものも迅速な対応という意味では非常に効果的ではなかろうかというふうに思っております。

糸川委員 今御答弁ございましたけれども、災害対策を初めとした国土管理において地図が非常に重要であることは理解いたします。ただ、一方で、地方公共団体の財政は非常に厳しいわけでございまして、地方公共団体が、この財政の厳しい中、どの程度やる気を持ってこのGISの整備を進めていくのかというのが課題になるわけですが、これは大臣、しっかりとまた応援をしていただきたいというふうに思います。

 また、国土地理院が、これまで地方公共団体におけるGISの整備についてどのような取り組みを行って、今後どのように普及を図っていくおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

藤本政府参考人 地方公共団体では、河川とか道路あるいは上下水道等の公共施設の管理等々をやっておりますけれども、そういう関連でもGISを利用するということが非常に重要なテーマになっておりますし、そういう形で地方公共団体でも幅広く活用されているわけでございます。

 そのGISの構築のためには、デジタル地図のデータの整備が必要になってくるわけでございます。各公共団体がいろいろな測量をしたり地図をつくったりする場合には、公共団体が適切な精度で地図を作成するために、地方の方から地理院の方に公共測量作業規程というのを提出していただいて、内容を私ども見せていただいて、精度とかその辺が大丈夫かどうか、そういうのを確認した上で承認をさせていただくというふうな仕組みになってございます。

 また、地図データをGISの基盤にするためのマニュアル、こういうものもつくらせていただきまして、地方公共団体にいろいろな情報提供、指導といいますか、そういうことをさせていただいているということでございます。

 それとあわせまして、GISの活用につきまして、GISに関するいろいろなセミナーを各地方公共団体の担当の皆さんを対象に開催をし、その普及に努める、あるいは、データの相互利用の促進を図るために、データの標準化、そういうようなこともやらせていただいております。

 今後、GISの利活用はますます進んでいくわけでございます。これらの取り組みをさらに強化しまして、地方公共団体と連携をしながらGISの整備を進めてまいりたいと思っております。

糸川委員 さまざまな面で、正確な地図、デジタル地図というものがしっかりと提供されていくということが大事だということはわかるんです。

 ただ、地図の情報というのは、最新なものだけではなくて、例えば江戸時代、明治時代にここはどんなところだったのか、例えば沼だったのかとか池だったのかとか、そういう情報もこれは非常に重要なものでして、その後、埋め立ててしまえば、中は空洞だったとか、今、福井でも、昔坑道だったのではないかというところが大きな穴があきまして、これは足羽山の陥没事故というのもございました。

 ですから、そういう、もう今では得られない情報というのも、昔の地図、これは重要でございますので、そういうものもまた提供していただくというのは重要なのかなというふうに考えております。

 そこで、お伺いいたしますが、国土地理院が明治以降作成してきた膨大な量の地図、それから航空写真、これを保管されているというふうに聞いておりますけれども、今これをどのように活用されていらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

藤本政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、国土地理院も、特に明治以降、我々の先輩が作成しましたいろいろな膨大な地図、航空写真、こういうものを保管させていただいております。

 これらの古い地図、先生御指摘のとおりでございますけれども、国土の履歴といいますか、あるいは作成当時の社会状況、あるいは文化的な状況、あるいは災害の状況、こういうものも読み取ることができる非常に貴重な、いわば文化的な財産ではないか、こう思っております。

 防災の観点でいいますと、先生の御指摘のとおりでございますけれども、開発あるいは埋め立てを行う前の湿地帯ですとか、あるいは旧河川、旧河道ですとか、そんな場合にはやはりいろいろな防災上の課題もございます。そういうふうなことを検討する上でも、過去の地図というのは非常に重要な役割を果たすのではないか、こう思っております。

 また、国土開発とかあるいは自然保護、こういう観点でも、各時代の地図を比較することにより、いろいろな整備による変遷あるいは自然の変化、緑地の変化、こんなものもそこから見ることができるわけでございまして、こういう地図につきまして、あるいは航空写真につきまして、適切に温度あるいは湿度の管理を行っております私どもの地理院の倉庫にきちんと保管し、また整理をし、そして皆さん方に閲覧、提供をさせていただいているということでございます。

糸川委員 自然の保護という観点からも、今後、国民の安全、安心に対する地図という意味だけではなくて、環境対策にも本格的に取り組むという意味では、地図というのは非常に重要になってくるのかなというふうに考えております。

 例えば、福井県でも、越山若水という言葉もございます。越前の緑豊かな山々とそれから若狭の清らかな水の流れ、こういうことを代表した言葉になっておるわけでございますが、特に、二〇〇五年にラムサール条約に登録されました三方五湖がございまして、四季を通じて非常に景観のすぐれた名勝でございます。

 このような野生動植物の豊かな生息地であります水辺の環境についても、国土地理院が調査を続けているというふうにも聞いておりますけれども、今まで国土地理院がどのような調査を行ってきたのか、そして、その成果というのはどのようなものだったのかというのをお聞かせいただけますでしょうか。

藤本政府参考人 先生のお話のとおりでございまして、二万五千分の一の地図というのが一番基本になる地図でございますが、そういうものだけではなくて、そういうものを作成する中で、昭和三十年以来、湖沼の水深を測量することによりまして、湖沼の底の地形の調査、こういうものもさせていただく。そして、湖底が水草に覆われているだとか、あるいは砂地であるだとか、あるいは岩が露出しているだとか、こんな調査をし、それを地図に表現しまして、公表させてもらっているということでございます。

 また、先ほど申しました、明治以来我々がつくりましたいろいろな地図がございます。この地図の中には、植生の一種でありますけれども、湿地というのが記号で書かれております。そういうことで、平成十二年に、明治、大正時代以降の七十年から九十年ぐらいの間の湿地の分布の変化、こういうものをまとめさせていただきまして分析をしたことがございますけれども、その結果、当時と比べまして湿地面積が約四割にまで減少したというふうな環境の変化もそこで判明をしております。

 このような成果を、我が国におきます水辺環境の現状と変化を示す基礎資料ということで、国、自治体の環境保全にも活用していただく、観光、レジャー活動、あるいは地域開発、自然再生、いろいろなものに御利用いただければと思っております。

糸川委員 最後に大臣に一問御質問いたします。

 環境問題というのは今もう日本国内だけの問題ではなくなっておるわけでございまして、我が国は、平成九年の地球温暖化防止京都会議で議長国を務めたわけで、各国に対して地球温暖化の原因となる温室効果ガスの数値目標を提案するなど、率先して地球規模の環境問題に取り組んできたわけでございます。

 先ほど来、質問の中でも言いましたけれども、地図というものは、このような環境問題を論じる上でも必要不可欠なわけでございます。そういうさまざまな情報を提供するものでありますけれども、では、地球環境問題について国土地理院はどのような取り組みを行っているのか、そしてまた、このような国土地理院の取り組みの意義について大臣がどのように思われているのか、御所見をお聞かせいただきたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 私どもは、これは世界に誇る業績を上げつつあると自負をいたしております。

 熱帯雨林がどんどん小さくなり、そしてまた砂漠化が広がっているというようなことも大きな環境問題でございます。

 そういう意味で、一九九二年でございますが、国土交通省国土地理院が、各国の地図作成機関に対しまして呼びかけ、地球環境の現状を正確にあらわす地図を地球地図として整備、提供しようという地球地図プロジェクトというものを提唱したわけでございます。これは大変大きな反響がありまして、国土地理院がこれまで中心的な役割を担い続け、これまでに百五十六カ国が参加する大きなプロジェクトに育ってきております。

 それで、地球地図を整備、提供することで、地球環境問題、先ほど言いましたように、熱帯雨林等が小さくなりつつあるとか砂漠化が進んでいるとかいうような重大な問題が目で見えるわけでございまして、地球環境問題の監視、解明、対策立案に役立つものと期待されているわけでございます。

 また、地球地図のための地図作成を含めた測量、地図作成の技術協力が必要な発展途上国に対して、国土地理院は、豊富な経験と技術力を生かしまして、測量・地図作成分野について、専門家の派遣あるいは研修員の受け入れ等の技術協力を行い、大きな実績を上げてきております。

 ちなみに、累積でございますが、専門家の派遣は三十四カ国に派遣をし、派遣人数は二百二十四名に上っております。また、研修員の受け入れは、国数では八十九カ国から受け入れ、研修を受け入れた数は五百九十七名にも上っております。

 今後とも、我が国の先端的な測量・地図作成技術を生かしまして、地球環境問題の対策に資する地球地図プロジェクトの推進及びそのための各国への測量、地図作成に関する技術協力に積極的に取り組んでいくべきだと思っております。

糸川委員 災害対策ですとか環境問題に対しては、地図というのは非常に重要な情報を含んでおりますので、今後とも国としてぜひ責任を持って取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。終わります。

塩谷委員長 黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 まず、測量法の一部改正の質疑に入る前に、地籍調査、国土調査についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 人に戸籍があるように、土地についても、筆界の位置であるとか地番であるとか地目であるとか、こういった地籍が整備されておるわけであります。戸籍は市町村ですか、そしてこの地籍の成果は法務局といいますか登記所にあるわけでありますけれども、人口や国土の面積ということで、とても大事な基礎的な情報だと思っておるわけであります。戸籍についてはともかくでありますけれども、地籍についてはまだまだ整備がおくれているのではないかと思っておるわけであります。

 私も市町村職員をやっておりましたので、登記というもの、嘱託登記といいますか、そういうことにかかわったことがあります。登記所に行きますと、公図、地図に準ずる図面というんですか、そういうふうな言い回しをされますね。何か公の図でありますからかなり確かなものじゃないのかと思うわけでありますけれども、参考資料だというふうな言い方もあるわけであります。

 明治時代に、地租改正によって税金を取ろうということで、しっかりとした測量をしなきゃいけないということなのでしょうけれども、和紙に書いてありまして、いわゆる赤線とか青線、道路が赤線、水路が青線ですか、そういう状況になっているものがついこの間まで使われている、あるいはまた、今でも境界確認であるとか訴訟になった場合にはそういうものが生かされるというふうな状況にあるかと思っております。

 そういうことで、土地取引であるとか、少子高齢化の中で、私なんかは地方に住む者でありますから、山の境界がどうなっているかとか、昔であれば親子三代、四代、五代と田舎にも暮らせたのでありますけれども、なかなかそうもいかない状況になって、この境界の確定なんかもいろいろな課題が出てきているのではないか、こう思っております。

 そういう中で、この問題解決は、やはり市町村などの国土調査をしっかりやらなきゃいけないということだと思っておりますが、この地籍調査事業、国土調査事業でありますけれども、これは一体いつから行っておるのでありますか。そしてまた、その進みぐあいといいますか、進捗状況はどうなんでしょうか。

松原政府参考人 お答えを申し上げます。

 地籍調査事業でございますが、昭和二十六年に公布、施行されました国土調査法というのがございまして、これに基づいて営々とやっておるところでございまして、平成十七年度末の進捗率でございますが、面積ベースでございますけれども、四七%という状態になっております。

黄川田委員 今の答弁にあるとおり、昭和二十六年からもう五十年以上にわたって行われていること、実施主体は市町村などであるということ、それから、進捗率は、全体といいますか、四七%という話であります。

 全体ではそうでありますけれども、この地籍調査の実施、都市であるとか地方であるとか、あるいはまた地方にあっての境に対する意識であるとか、あるいはまた土地の価値といいますか、そういうものがさまざまあって、地権者の合意を得られなければなかなか進まないものでありますので、その進捗状況にもばらつきがあるといいますか、例えば都市であるとか、あるいはまた農村であるとか、あるいはまた地目によっては、こういうところは済んでおるけれどもこういうところは済んでいないとか、そういう状況があるかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。

松原政府参考人 御指摘のとおり、地域によりましてかなり差がございます。

 一般的に申し上げますと、人口集中地区、いわゆる都市地域、DID地区と言われておるところでございますが、ここら辺のところは、まず、それぞれの土地の面積当たりの筆の数が非常に多い、それから、先ほど御指摘のありましたとおりで、権利関係の調整がなかなか大変ということもございまして、進捗率がかなり低うございまして、一九%ということになっております。

 それから、林地、山の方でございますが、これはまた別の理由でございまして、かつては山の方にいろいろな方々が入って仕事をされておられましたが、最近は、登山は別といたしまして、山に入られる方がかなり人数が減ってきておりまして、そういったこともありまして、要は優先順位の面で後回しにされているというところがございまして、進捗率で約四〇%ということでございます。

 比較的進捗率の高いのが農用地でございまして、これは今までいろいろな形の基盤整備が行われたところが多うございますので、進捗率六九%ということになっております。

 人口集中地区、DID地区以外の宅地もございますけれども、これの進捗率が四九%ということになっております。

 以上でございます。

黄川田委員 それでは、国土調査事業ということで、たしか国が二分の一の補助ですか、それから都道府県が四分の一、実施主体の市町村等が四分の一ですか。一体この国土調査にどのくらいのお金がかかっているのか、今年度の国土調査関係予算の概要についてちょっとお尋ねいたします。

松原政府参考人 平成十九年度の予算でございますけれども、まず、先ほど先生のお話にありました、国が二分の一を負担いたしておりますが、その経費といたしまして百二十三億円を措置していただいております。これは、各自治体、都道府県を通じまして、各市町村の今年度実施したい、あるいはできる見込みというものを全部私どもヒアリングをさせていただきまして、それに対して十分こたえられる金額ということでこういった金額を予定させていただいておるところでございます。

 それから、先ほども申し上げましたが、都市部それから山の方でございますが、これがおくれておりますので、これにつきましては、都市再生街区基本調査、土地活用促進調査、これは都市地域でございますけれども、国の直轄事業といたしまして四十億円、今年度予算措置をしていただいておるところでございます。

 それから山の方でございますが、山村境界保全事業ということで、平成十六年度からやっておる事業がございますが、これは、予算金額そのものはそう多くございませんけれども、二割アップをいたしまして、一億三千万円ほど予算措置をさせていただいておるところでございます。

黄川田委員 国土調査には大分お金をかけていただいているところでありますけれども、ちょっと戻って質問なんですが、全国レベルで都市部が多分地籍調査がおくれていると思うのでありますけれども、四十七都道府県の中で、私は東北に住む者でありますが、全国の中では進みぐあいはどうなんでしょうか。

松原政府参考人 総括的に申し上げますと、やはり地方といいますか、農地の進捗率が高いということを申し上げましたけれども、そういったエリアの広いところは割と進捗率が高うございます。例えば東北地方でございますとか、それから九州地方でございますが、このあたりはかなり進捗率が高うございまして、先生御地元の岩手県は進捗率八八%ということで、それからさらに、陸前高田市はもう一〇〇%で既に完了しておるという状態になっております。

 片や、大都市地域で人口が非常に稠密で、なかなか境界なんかについても簡単には調整ができそうもないだろうなと思われるような関西地域の大都市地域におきましては、非常に進捗率が低い状態になっております。

 ただ、これらの地域につきましても、昨今この重要性を御認識いただきまして、特に防災でございますとか都市再生でございますとか、そういった観点から、進捗率はまだ上がっておりませんけれども、新しく、着手と私どもは呼んでおりますけれども、この地籍調査事業に取り組もうということで体制を組んでいただいているところは順次ふえてきておるところでございます。

黄川田委員 それから、単年度で百三十何億ですか、そうしますと、昭和二十六年からでありますので、これまでどのぐらいの事業費を費やしたというふうな、あらあらでいいですので、何千億というふうな形になるんでしょうか。ちょっと通告していないので申しわけございませんが。

松原政府参考人 申しわけございません。手元にございません。

 十カ年ごとに十カ年計画というものをつくっておりまして、それぞれ進捗率を見ながら進めておるところでございます。あらあらで申し上げますと、これは進捗率の方でございますけれども、この十カ年に大体進捗率が、それぞれ、例えば大都市地域といいますか、非常に筆数の多いところを手がけておりますと、進捗率は当然のことながら面積ベースではなかなか上がりませんし、それから、やりやすいところをやっておりますときはぐっと上がるということでございますが、大体、十年やりまして進捗率が一〇%上がるというようなことでございます。

 経費そのものは、申しわけございません、ちょっと私ども今手元に積み上げた数字がございません。お許しください。

黄川田委員 いずれ、多額の公費が費やされていると思いますし、これはまた、個人といいますか、民間がお金を出すわけじゃないですから、これは公の金でやるものですから、その成果が国民にしっかりと返していただけるものでありますから、どんどん進めていってほしいと思うんです。

 土地の境界が公図と一メートル以上ずれている、都市部の六割がそうだというふうな形で、東京、大阪などの人口集中地域の全国三十八市区を対象に実施した結果が出ておるようでありますけれども、例えば市町村の税の主たるものは固定資産税なんでありますけれども、税をかけるとしても、その地積がどのぐらいあるのかというはっきりした数字がないと、ややもすると、明治の時代でありますから、地租、お金をとられるという、税金を払わなきゃいけないということで、いや、うちは余り面積がないよということで、多分、しっかりした測量をするとふえるというようなのが多いんじゃないかと思うわけなんであります。

 そういう結果を踏まえて、国土審議会のもとに、さまざま土地取引の活発化とか、大都市はあるでしょうから、その部分で何か専門家による小委員会を設けて、そして地籍調査の実施を促すような対策をしたいというふうなことも言われておるようでありますが、この辺、ちょっと具体的にお話しいただけますか。

松原政府参考人 地籍調査につきましては、非常に昨今いろいろな方面から急ぐべきだという御指摘をいただいておりますのと同時に、各市町村の御担当の方に伺いますと、やはり地権者間の調整というものが非常にまた厳しいということがございます。ある意味では、行政サイドが幾ら頑張っても、行政サイドの都合だけで進捗率が上がるという状態に必ずしもないわけでございます。

 そういった中で、いかに住民の皆さん、権利者の皆さんの御理解をいただくかというようなことで、先日来、これは順次でございまして、まだ日本全国あちこちやっておるわけではございませんけれども、公図が実態とどのくらいずれておるのかというようなことを私どものインターネット、ホームページで公表させていただいております。そのことによって、それぞれの住民の皆さんが、自分のところは、えっ、こんなにずれているのというようなことで、こういった調査を急がなきゃならないねということについての御理解をいただければありがたいというふうに考えておるところでございます。

 こういった活動、それからそれ以外のPR活動も通じまして、住民の皆さんに御認識を高めていただいて、御協力をいただくような雰囲気をつくっていきたいというのが一つでございます。

 それから、あわせまして、やはりこれからまさに人口密集地域ですとか大変なところに本格的に切り込んでいかなきゃいけない。でないと、今後の都市再生でございますとか、あるいは今予想されております地震後の災害復旧でございますとか、そういったものに対しての十分な準備ができないだろうということで、そういったエリアでなるべく短い期間で地籍調査を進めていくためには行政としてどこまでまずやらなきゃいけないのか。

 ある程度段階を踏みまして、例えて言いますと、道路境界と民地との境、各ブロックがございますが、街区というのがございますけれども、それとその外側の道路境界との境界の確定というのは、比較的、中の地権者同士の調整ということをやらずに進捗をさせることができるわけでございますので、まず第一段階としてそういったことをやってみたらどうだろうかというようなこともアイデアとしてはございまして、そういったことも含めまして、先ほどお話のありました検討メンバーで新しく、まだ実はスタートしておりませんが、近々検討を始めたいと思っておるところでございます。

黄川田委員 都市部でさまざま進めていかなきゃいけないところがあるんじゃないのかと。

 例えば東京の六本木ヒルズの再開発事業ですか、何か十七年間ぐらいかかったもののうち境界の確認に四年もかかっておるとか、あるいはまた境界問題がなかなか決まらないために公共事業がとまってしまうとか、いろいろなことが出てくるわけであります。

 今の答弁でちょっと触れられたと思うのでありますけれども、都市部においての地籍調査のおくれといいますか、スムーズに済むために、街区の基点を設けて調査するとか、個々の民地の境というよりも、まず初めに国土調査がしやすいような形の仕組みをつくってやるというような形だと思うんですが、もう一度、その辺の都市部の地籍調査の推進についてお願いいたします。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

松原政府参考人 都市部についてでございますけれども、実は、平成十六年度から三カ年かけまして、国直轄で、全額国費でございますけれども、公図四隅の官民境界点の座標を整備するということで、公図の四隅が決まっておりますと、その内側というのはそこを基点にその後調査をしていけばいいわけでございますので、その意味では次の段階の地籍調査が非常にやりやすくなるということで、この公図の四隅の座標、DID地区につきまして全国で打つという作業を三カ年かけてやりました。都市再生街区基本調査と言っておったものでございますけれども、これが昨年度で、三カ年、一応終了いたしました。

 今年度からは、こういった成果を踏まえまして、さらにエリアを絞り込みまして、密集市街地ですとか、あるいは都市再生の具体のプロジェクトが予定されているようなところでございますとか、そういったところを対象といたしまして、さらに街区の外周の境界情報をもう少しきちっとより詳しく整備していこうということで、その後の、その中に入っていく地籍調査をさらにやりやすくしようという土地活用促進調査、これは先ほど今年度の予算の中で四十億円というふうに申し上げましたけれども、その予算を確保いたしておりまして、これは単年度で終わる性格のものではございませんので、来年度以降も要求はさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 それから、当然のことながら、住民の皆さんの御理解ということでございますので、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたインターネットでの公表ですとか、そういった努力をしていきたいということでございます。

 いずれにいたしましても、第一線に立ちますのは市町村の担当者の方でいらっしゃいますので、そちら辺にも十分に働きかけをいたしまして、事の重要性それから努力のほどを、私どもといたしましても全国行脚をいたしまして今働きかけを強めておるところでございますので、よろしくお願い申し上げます。

黄川田委員 都市部もそうなんです。

 また一方、林地といいますか森林の部分、山の部分でありますね。高齢化社会になってきて、山の境をわかっている人たちがどんどん少なくなってくるということ。それから、森林の多面的機能であるとか公益的機能、この部分で、天然林は別なんですが、人工林は手を加えなければ本当の機能を発揮できないということでありますので、そうすると、農林水産省、例えば林野庁の事業の導入とかでも、やはり個々の事業を展開するには境がはっきりしなきゃいけないとか、さまざまな状況があると思うのであります。

 そういう中にあって、自治体によっては森林の境界の調査を早くしなきゃいけないとか、さまざまな声が聞こえてくるわけでありますけれども、国としてはこれに対してどのような取り組みをしておるのか。

 それから、山村地域の山村境界保全事業というものがあるみたいなんでありますけれども、この実施はどうなっておりますでしょうか。

松原政府参考人 山林につきましては、先生今御指摘のとおりでございまして、山に入る人が減ってしまったということに加えまして、昔のことを御存じの方が非常に高齢化されておられまして、このまま十年あるいは二十年たちますと、山の中のことがまるでわからなくなってしまうというような懸念が各地で聞こえてきておるところでございます。

 私ども、これも実は本来の地籍整備事業ということで、国費二分の一、都道府県それから市町村四分の一ずつということで、対象エリアではございますけれども、率直に言いまして、なかなか各自治体、熱心なところもございますけれども、必ずしもそうでないところもあるというような状況になっておるところでございます。

 これにつきまして、現在、平成十六年度から、国の直営によりまして、お話のありました山村境界保全事業を実施いたしておるところでございます。

 この事業は、具体的に言いますと、山のことをよく御存じの方、地元の方の御協力をいただきまして、そういった方に御案内をいただいて、GPS、これは背中にしょって歩けるものがございますので、そういったものを担当の方が持って運びまして、昔ここがこうだったというようなことをもとにいたしまして、大ざっぱな境界をとりあえず座標として確定をしておく。これが将来本当に必要になったときに、あるいは地籍調査の優先順位がそちらに回ってきましたときに、これが基本になりましてその地籍調査がやりやすくなるということで、今のうちにとにかく確定できるだけの情報を確定しておこうという性格の事業でございます。

 ただ、予算的には限られておりまして、今年度、全国十地区程度を対象に調査を行う予定ということにいたしておるところでございます。

 ただ、こういった事業をきっかけといたしまして、地域の皆さんに山の地籍の重要性ということを御理解いただきまして、全般的な地籍調査が山林についても進んでいくことを期待いたしておるところでございますし、私どもも、関係省庁あるいは関係自治体とも連絡をとりながら努力をしていきたい、このように思っております。

黄川田委員 ちょっと通告していないんですけれども、局長はすぐわかるでしょうから。

 事業を着工しているところ、実施中といいますか、あと完成したところ、もう一つ、休止中というんですか、ちょっと休んでいますよという市町村がたしか一九%ぐらいあるみたいなんでありますが、休んでいるという状況は、これはどういうわけなのでしょうか。それぞれ事情はあるかと思いますが、二、三挙げられるのであれば、お願いいたします。

松原政府参考人 事情はそれぞれかと思いますが、ざくっと申し上げますと、やはり地方財政の事情が非常に大きいようでございます。むしろ都道府県の方が厳しいのかもしれませんが、実は、これは負担割合が、国費が二分の一、都道府県が四分の一、市町村が四分の一ということが法律上決まっております。したがいまして、このうちどこかが欠けても全体ができなくなるという仕組みになっておりますから、その意味では、各都道府県も努力はされているんですが、傘下の市町村全部の要望にこたえられるところまで至っていないというようなところもあるようでございます。一応国の方の予算は、そういったことを踏まえまして、都道府県、市町村が対応できるものについては国の予算は全部対応できるような形で今整理をしておるところでございます。

 各都道府県にとって、予算そのものの総額は、そうどでかい、県の財政を大きく圧迫するようなものではないかと思いますけれども、やはり、今直ちにやらなくても、ほかの事業も急ぐしということの陰で、後回しにされているのかなというような印象も持っておりまして、私ども、率直に申し上げますと、そういった都道府県上層部につきましても、私どもの方で手分けをしてお願いに回っているところでございます。

黄川田委員 それでは、地籍調査の成果品がどのように利用されておるかということで、ちょっと法務省の方にお尋ねいたしたいと思います。

 地籍調査の成果は登記所に備えつけられるわけでありますね。二〇〇五年四月時点で、「登記所に備え付ける地図の状況」というのがありまして、総枚数が六百四十六・五万枚という、公図ですかね、地図があるわけなんでありますけれども、公図、地図に準ずる図面が四四%、正確な地図、地籍調査した成果品だと思うんですが、これが五六%ということで、いまだに公図というものが生きているという状況なのでありますが、順次国土調査が進めば、これに取ってかわられるということであります。

 そしてまた、三千二百の市町村がありましたけれども、今は平成の大合併によりまして千八百ということになっておりまして、あわせて法務省の方でも、登記所の統廃合といいますか、これはもう何十年来やられておることだと思います。

 ただ、個人個人の住民が登記所に行くというよりは、家屋調査士さんであるとか司法書士さんであるとかを通じてですから、さまざまあるのでありますけれども、それでも利便性が低下するということは、やはり国民一人一人にとっては、地域にあって、国の機関といいますと、一番身近なのが郵便局ですか、あるいはまた職業安定所、そして昔は登記所、登記官といいますか、そういうことになって、家族が住んで、一人登記所といいますか、事務方と登記官とで、地域に密着した、国の、法務省の組織だったということであります。しかしながら、行財政改革の一連の流れの中で、登記所の統廃合ということになっておるのであります。

 この登記所の統廃合に先んじて、利便性を高めるために、登記簿情報のオンライン化といいますか、そういうところが進んでいて、そして地域住民の利便性を損なわないような形で動いているのかどうなのか、その実態をお尋ねいたします。今後、どの省庁でもアナログからデジタルといいますか、そういう流れになっておりますが、どうも法務省は、一番権威があるといいますか、あるがゆえになかなか進んでいないという状況が、ちょっと私自身は思っておるわけでありますので、その辺、どうでしょうか。

寺田政府参考人 今委員が御指摘いただきましたとおり、登記所、これは法務局の本局、支局、出張所がございますが、全国で合わせまして五百四十七、現在ございます。いずれも、おっしゃっていただいたとおり、地域に非常に親しまれて、密着型の組織でございますので、これまでも地域のためにいろいろな配慮をいたしまして、私ども、登記所のサービスを考えてきたわけでございます。

 ただ、他方、今まさに委員も御指摘になられましたとおり、国の組織の減量化、事務のやり方の効率化ということで、定員面あるいは予算面で非常に厳しい情勢にございまして、登記所もできるだけ整理統合するようにという、再三、閣議決定等を踏まえまして、実施を迫られているところでございます。

 ただ、こういう時代でございますので、私どもは、できるだけ住民の方に御不便をおかけしないように、その登記所の利用の目安になります申請の件数でございますとか、あるいはその登記所に行くのに地域の方々はどれだけ時間を使われるかというようなことを考慮いたしまして、その統廃合の方針を決めておりますけれども、やはり他方、何といいましても、御不便をできるだけ最小限にしたいということも検討しているわけでございます。

 御指摘のとおり、平成元年からずっと登記所のコンピューター化を進めておりまして、現在もうそれが既に九〇%を達成いたしております。本年度末で、登記本体についてはほぼコンピューター化ができる状況にございます。今後も地図のコンピューター化を進めまして、今まさにおっしゃいました登記所の備えつけの地図でございますけれども、それもコンピューター化によりましてオンラインで情報を提供できるようにということを現在進めてきているわけでございます。

 統廃合に先立ってということでございますが、できるだけコンピューターを置く場所というものを節約したいということもございまして、現実には、統廃合と同時にコンピューター化する、あるいはオンライン化するというようなことで進めてきております。

 今後もできるだけそういうサービスの面で、オンライン、コンピューター化だけでなく、さまざまな面でいろいろな検討をさせていただいて、地元の御理解を得た上で統廃合を進めていきたいと考えております。

黄川田委員 登記簿本体については平成元年から順次行っておるということで、そしてまた、地図は、技術革新によりましてこれからしっかりと連動するような形で進めていくということであるようでありますけれども、一番困るのが首長さんなんですね、市町村長さん。いつも、国の機関がなくなってしまうということで、そしてまた平成の合併によって市町村も大くくりになってきましたから、登記所の再編もさまざま、しっかりした説明をしていけば、あるいはまた遜色ないサービスがきちっとできるんだよということの説明をすれば理解してもらえるんでしょうけれども、首長もまた住民に説明しなければいけない、そういう状況になっておるわけなのであります。

 ですから、再配置となれば、地元の反対ということでさまざまあるんですが、そこのところ、住民にしっかりと首長が説明できるように、法務省にも説明責任を果たしていただきたいと思うのでありますけれども、この点について再度お尋ねいたしたいと思います。

 余談でありますけれども、登記所の再配置の室長さんというんですかね、歴代、検事さんが何か必ず来てやっているんですね。何かそんな感じもしまして、権威があるところなんでしょうけれども。

 どちらかというと、各省庁の中では、法務省というとやはりお上の中のお上という感じがしますので、地域住民に愛される法務省として生き抜いていくためにも、その辺の説明責任の仕方もいろいろとあると思うんですが、答弁いただけますか。

寺田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、法務局、登記所と地元の市町村とはいろいろな面で切っても切れない関係にあるわけでございます。市町村の方も、先ほど統合のお話がございましたとおり、行政改革の総論的な意味というのは十分に御理解いただいているところでございますけれども、しかし、何といいましても、具体的にサービスが低下するということになりますと、やはり地元にとりましては大変なことでございますので、その点をいろいろな考慮でバランスをとりながら、できるだけそのサービスに支障がないように御説明を申し上げ、大多数の方々には御理解をいただいているところでございます。

 しかし、今後も、担当者の、今おっしゃいましたとおりここに専門の室長がおりますが、その室長のみならず、課長、私にとりましてもこれは非常に重要な仕事でございますので、たびたび地元の方にもお会いして御説明を尽くし、その上で、御理解を得て統廃合を実施する、この姿勢に変わりはございませんので、今後なお一層努力をいたしたいと考えております。

黄川田委員 大臣には通告していないのでありますが、総括で大臣にちょっと答弁いただきたいのであります。

 今までお話があったとおりなのでありますけれども、市町村も、大事な事業だから継続してしっかり事業をやりたい、そして、国土交通省としても、もう何十年とやっている大事な事業だ、その成果品が法務局に備えつけの地図となるとか、本当にしっかりやっていかなきゃいけないのでありますけれども、どうも三位一体改革であるとかさまざまな動きがありまして、それからまた、肝心かなめの、国と市町村の間にある都道府県が、かさ上げ補助、かさ上げというか、もう決まっている補助率でありますが、そういう部分にしっかりと対応できなくなっている等々あるわけなのであります。

 具体を言えば、地方交付税も、今までは調整機能と財源保障機能とあったわけなのでありますけれども、どうも財源保障機能の方がちょっと薄れているような気もしますので、大臣には、本当に大事な事業の主管の大臣でありますので、法務省あるいはまた総務省の各大臣とも、この成果が本当に国民にひとしく生かされるような仕組みにしなきゃいけないと思いますので、その辺の決意などをお尋ねいたします。

冬柴国務大臣 日本には伊能忠敬さんという大変誇るべき方が出まして、一八〇〇年、日本全図というものをつくられて、私も見せてもらいましたけれども、そのときから星の観測までしながら、日本全国を六十歳を超えてやられたという大変な偉人がおります。

 それ以外にも豊臣秀吉による地検とか行われたようですけれども、その後、明治時代、明治九年から十一、二年にかけて、地租改正、先ほどちょっと言われましたけれども、地租改正図というものが全部つくられて、今法務局にその部分が保管をされている。ちょっと位置づけがはっきりしていなくて、これは現地復元性がないわけですよ。

 したがって、不動産登記法が施行された際に、たしか十七条だったと思いますけれども、十七条地図ということで、現地復元性のある地図をつくるように規定されておりますが、それが当分の間、百年を超えて今日までできていない。一部、もちろん法務省の中にはきちっと復元性がある地図ができている部分もありますけれども、先ほど来、私の方の局長の答弁がありますように、なかなか進まないというような事情もあるようです。

 その中にあって、国土地理院は、一筆限りの面積を、位置を特定するわけではありません。けれども、公の河川とか道路とかそういう面につきましては、地図の中にきちっと落としているわけです。

 そしてまた、先ほど言われましたように、平成十六年から三カ年の事業計画、国直轄事業として、公図四隅の官民境界点の座標など地籍整備に必要な基礎データを整備する、これは非常にすばらしいことだと思うんですね。官民境界をそういう動かない赤線、青線、そういうもので特定されれば、それに囲まれた中の一筆限りは、地権者同士の話し合いとかそういうものによって決めていくことができると思うんですね。それ以上は広がらないわけですから。縄延びとかそういうものはありましょうけれども、それは徐々にやっていけると思います。だから、そういうものを早急につくっていくということが大事だ。

 それから、山林についても、地租改正図というのは大変手がかりになって、山頂とか尾根とか迫とか、そういうものが基準になっているわけですね。一本の墨で書かれた線が、現地に行けば、驚くほど現地と符合している場合があります。

 私は、そういうような手がかりをつかみながら、国土地理院も今GPSを使いながら日本全図をしながら、一筆限りも、記入登記は物すごく正確ですね、日本の地図は。日本の不動産登記は、一筆限りの権利の記入は物すごく正確だけれども、その土地がどこかという現地復元性がないというのが欠点でありまして、こういうものもぜひ、先ほど言われましたように、法務省あるいは総務省、国土交通省と力を合わせて、一日も早く、明治のときに不動産登記法が施行されたときの思想に立って、一筆限りの現地復元ができるような地図ができるように、公に備えられるように頑張っていかなければならないというふうに思います。

黄川田委員 突然の質問で申しわけございませんでしたけれども、いずれ事業をやるには予算がつきものでありますので、国土交通省の予算とともに、菅総務大臣なりに、自治体がしっかりと仕事ができるようにその予算の確保もという話もよろしくお願いいたしたいと思います。

 もうずっと国土調査で終わってしまいそうでありますが、本来的な測量法の一部改正の方に移っていきたいと思います。

 国土地理院といいますと、学校では、地図ということで地図記号とかはなじみがあるのでありますけれども、一般的に社会には、地図情報ということで利用しているのでありますけれども、国土地理院、院というと、何か大きな建物があって仰々しいことをやっているんじゃないのかという気がしますので、国土地理院の歴史といいますか役割であるとかその機能について、改めてお聞きしたいのであります。

 領土の管理であるとかあるいはまた国土の管理、危機管理、そういう国家として基本的な部分を下支えしておるのが、地図の行政を所管している国土地理院だと思っておりますので、改めてその歴史、役割、機能をお尋ねいたしたいと思います。

 特に国土調査もそうでありますけれども、例えば五万分の一の地図を全国つくるといっても、一日でできるわけじゃありません。何十年とかかっているはずです。二万五千の地図でさえも、一九八三年あたりですか、全部できたのは。何となくそんな感じだと思うんですね。ですから、歴史を伴っての国土地理院だと思いますので、その辺をわかりやすくお願いいたします。

藤本政府参考人 私ども地理院の歴史、役割ということでございます。

 歴史のことを申し上げますと、地理院というのは、測量あるいは地図作成を行う国家機関ということで、明治二年に民部省の中に戸籍地図掛というのがつくられました。国の基本ということで、新政府早々にこれができたわけでございます。その後、内務省地理局という名前を経まして、その後は、軍の機関であります参謀本部の測量局の方に一本化されます、たしか明治十七年だと思いますけれども。戦後は、昭和二十年の九月一日に、終戦直後でありますけれども、内務省の地理調査所ということで改組をされております。昭和三十五年には、現在の国土地理院という名前になっているということでございます。

 地理院の業務でございますけれども、先生のお話のとおりでございますけれども、一番基本は、大げさに言うならば、地球上におけます日本国の位置をまず確定しないといけない。そのために、世界じゅうの皆さんと協力しながら、いろいろな測位、測量をしまして緯度、経度の基本を決める。それをベースに日本国土のそれぞれの地域、地形、地物の位置を決定していく。決定するための基礎的な基準点を決めていく。こういうものが基本の仕事でございます。それをもとに図面にあらわしたものが地図、こういうことになろうかと思います。

 そういうものをやるために、当然、国内でいろいろな測量をすることが必要になってまいります。地理院は極めて基本的な部分の基本測量というものを受け持っておりますけれども、公共団体もいろいろやっております。そういうものの指導助言等もさせていただいている、これが二つ目でございます。

 それから、あと二つありまして、そういうものを活用しまして、一つは、防災に対していろいろな地図を活用していただくための基礎的なデータをつくる。あるいは、地盤の変動なんかも測定できますから、地震メカニズムの解明ですとか、そういう防災にいろいろな観点で貢献をさせてもらう。

 それからもう一つは、特に最近は大きくなってきておりますけれども、地理情報につきましての共有化あるいは高度利用、こういうものを通じまして国民の皆さんに利便を提供する。こういうような四つの大きな役割があるのではないか、こう思っております。

 引き続き、我々としましても、こういう役割を精いっぱい果たしてまいりたいと思っております。

冬柴国務大臣 ちょっと一つだけ訂正させてください。

 先ほど私、不動産登記法十七条と申しましたのですけれども、何かその後改正されまして、平成十六年の改正で、今、内容は同じだけれども十四条になっているそうでございまして、ちょっと訂正させてください。

黄川田委員 測量法の改正は、大きな改正は二度ほどといいますか、たしか昭和三十六年ですか、測量業の登録制の導入でありますか、それから、何度も言いますけれども、私は今回から国交委員なものですから、平成十三年に世界測地系へ移行したという測量法の改正があると思うんですが、この平成十三年の測量法改正により世界測地系が導入された背景と、具体的にはどのような改正で、そしてまた改正によって何が変わったのか。たしか二万五千の地図とか五万分の一には、世界測地系だとこうだとかという何か印がついていたかと思うのでありますけれども、その辺、御答弁いただけますか。

藤本政府参考人 先ほど申しましたように、国土の位置を正確に決めるというのが我々の役割の一つであります。

 測量法では、測量の基準を定めまして測量成果の規格を統一しまして、それによって表現をするということであります。

 平成十三年の測量法改正以前の位置の基準の体系、これは明治時代に決めたものでございます。当時の技術は、国際的な基準である世界測地系、こういうものを定めるだけの技術的なレベルになかったというふうなこともあったようでございまして、当時の測地系では、地球をどういうふうに近似するか、楕円形でございますけれども、それをどう近似するか、この形によって微妙に位置が変わってくるわけでございます。そんなことで、平成十三年に世界測地系に移行しまして、緯度、経度を世界に合わせるようにしたということでございます。

 先ほど来いろいろ出ております、GPSというものが出ておりますけれども、これも世界測地系に基づきまして地球規模の測位システムが行われているわけでございます。これは、旧の測地系を持っておりますと、いろいろ複雑な変換計算とかそういうものが必要になってくる、リアルタイムに位置決定をするのに非常に不都合がある、こんなこともありまして、GPSを使用した高精度の測量を非常に円滑に取り込むというようなこともねらいとしまして、平成十三年にそういう改正をさせていただいたということでございます。

 これによりまして、測量作業の効率化、あるいは世界測地系による情報基盤の確立、あるいは国境を越えていろいろな情報交換がやりやすくなるというようなことができるようになったということだと思います。

黄川田委員 たくさん通告していたのでありますけれども、残り時間があと三分ぐらいになってしまいましたので、参議院先議の法律でありますし、もうさきの委員さんが皆さん聞いておりますので、ちょっと一つだけ確認でお聞きしたいと思います。最後であります。

 公共測量成果のワンストップサービスについてお尋ねいたしたいと思います。

 このワンストップサービスなんですが、測量成果を住民がきちっと共有できるようにするということは、市町村レベルでは本当に大変なことでありまして、その体制が整っていないというのが大多分じゃないかと思います。もちろん、三百五十万の横浜市もあれば、千人弱の市町村もありますから、自治体を十把一からげに言うわけにはいかないのでありますけれども。

 たしか国土地理院も、公共測量実態調査報告といいますか、さまざま調査をして、その出た成果を十二分に共有できるとかできないとか、いろいろな調査をしておって、ただ、先ほど言ったように、体制が十分でないのでなかなかできないんだと。いわば道路台帳とかあるいはまた都市計画図とか、いろいろなものが自治体でもあるわけなんでありますけれども、それらが国民ひとしく共有できるような形ということで、今般、公共測量の成果のワンストップサービスということでありますけれども、改めて、ワンストップサービスとは何か、また、ワンストップサービスが進むことでどのような利点があるか、最後にお尋ねいたします。

藤本政府参考人 お時間がありませんので、簡潔にお答えさせてもらいたいと思います。

 何度か申し上げさせていただいていまして、重複しますけれども、今回の改正によりまして、国土地理院がインターネット上に総合的な窓口を設ける、関係機関の方から申請の受理についての事務の委託を我々が受けさせてもらう、そういうことにしまして、承認手続を国土地理院のサイトで一括して行う、これをワンストップというふうに申し上げております。ユーザーの皆さんにとっては、いろいろなところに手続をしなければいけないというのが従来の形でしたけれども、今後は、国土地理院の窓口にアクセスをするとそういう手続は省略をできるということになると思います。

 その際に、各公共団体の皆さんに委託をしてもらわなくてはいけないということになります。今後、どの程度皆さんが委託をしてくれるかというのはこれからのことでございますけれども、いずれにしましても、公共団体にいろいろな負担ができるだけかからないように、関係機関とも御調整しながら進めてまいりたいというふうに思っております。

黄川田委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

西銘委員長代理 土肥隆一君。

土肥委員 民主党の土肥隆一です。

 今まで通告しておりました質問を全部撤回しまして、けさ書きかえて、手書きの質問状を地理院の担当者に送りました。そうしたら、もう変更できませんと言われまして、そんなことはないだろうと言って、なぜなら、もう私が最後ですから、法律の一条一条を挙げてどうだこうだ言うのではなくて、私の率直な経験それから感想を申し上げたいと思うのでございます。

 私が国土地理院の院長初めスタッフの皆さんとお会いしたのは議員生活初めてでございまして、測量法などというものがあることも知りませんでした。ただ、測量ということをいえば、伊能忠敬、今大臣もおっしゃいましたけれども、並外れた人物が江戸末期に登場しまして、一八〇〇年、五十歳になって、まず蝦夷地に行く、北海道に行く。そうなると、私は、北方領土は行ったのかなとか、そんな感想も持ったり、すごい人だ、こう思うわけでございます。

 その一派が、その伝統をくむ国土地理院がおいでになったんだろうというふうに構えておりましたら、何と内容は非常に科学的な、衛星を使った、あるいはナビの援用でありますとか、そういう技術的な話なんですね。これもまたさっぱりわからないということでございまして、私はもう一度、日本の測量の問題について自分なりに考えたんです。

 私は、三十年ほど前に、兵庫県の山村の土地を一万坪買い求めまして、そこで身体障害者の施設を開所したわけでございます。一万坪を田舎で買いますと、百五軒ぐらいの地権者がいらっしゃるわけですね。皆目わからない、だれがどこで住んでいるのかというようなこともわからないわけでございまして、一人の担当者が一年かけて一軒一軒訪ねていって売買の契約をしてきたという経験をいたしまして、これは一体何事なんだ、どうしてこんなに不毛な努力をしなきゃいけないかということを感じたわけでございます。

 そこで、やっと施設ができましたら、一昨年のあの台風二十三号で土砂災害に遭いまして、危うく私どもの障害者が七、八人亡くなるところでございました。昔の農業用の堰堤が、小さい石で組んだ堰堤があったらしいんですね。それが全部崩壊して、崩れてきたわけです。そんなものが山の上にあるなんて、当該市町村の担当者も、そんなもの聞いたことがない、見たことがないという話でございます。ですから、地理とか測量というのはやはりきちっとしなきゃ人命にかかわるということを強く感じました。

 もう一つは、最近のことなんですけれども、ここはもう場所を言いませんが、あるお寺の境内地がございまして、ずっと一般の参道があるんですね。その横に空き地がございまして、だれの土地かわからないわけです。そこを公園にしようかという話がありましたときに、中に住んでいらっしゃる方がいるんですね。どういう登記をしたのかということもわからない。その方たちがそういう動きを見てこのお寺のお坊さんを憎みまして、前を通るとにらみつけるというんですね、檀家じゃないようでございます。だから、この日本には測量あるいは地権をめぐってのトラブルがいっぱいあるんだなというふうに感じているわけでございます。

 今の国土地理院が伊能忠敬の伝統をくんでいらっしゃるだろうと勝手に思っておりましたが、要するに、地上にはいつくばって測量して、一つ一つ確かめていった、伊能忠敬がそれをしたわけですね。伊能忠敬の測量は第十次に及んだと。今回は、国土地理院は第六次の基本測量長期計画というのを発表していらっしゃるわけでございまして、調査室でつくっていただいた資料を見まして、よくわからないんですけれども、いずれにしても、営々として日本の測量事業を担ってこられた。

 もう一度、この歴史、地理院がおつくりになった「国土地理院概要」というのがある。よく見てみますと、伊能忠敬が江戸時代にやった研究というものは、今日の地理学というか、あるいは暦学などに基づいて、相当な民間のサイドでの知識が凝縮しているわけですね。そういうことを考えると、この年表によりますと、一八六九年に民部省に地図掛ができるわけですが、その二年後、七一年に兵部省陸軍参謀局に間諜隊を設置しまして、そこへ籍を移したようですね。

 これは院長、どういうことでこの兵部省に置くことになったんでしょうか。地理あるいは測量という点からいって、そんなに軍事的な要素はないんじゃないかと思うんですが、その辺ちょっと御説明いただけませんでしょうか。

藤本政府参考人 今先生お話しの「地理院のあゆみ」の中に、一八六九年、民部省に戸籍地図掛を設置と書いてあります。七一年には、兵部省、これは軍の組織でありますが、陸軍参謀局に間諜隊を設置した。これは、もともと性格の違うものが、両方の組織ができている、こういう状況でございます。戸籍地図掛は、全国の地理、戸籍、こういうものを掌握するということで、明治二年にそういう組織がつくられたということでございますし、間諜隊につきましては、これは軍の組織でございますので、平時においては、地理の偵察、調査と地図の編集、精査を行うということを任務としておりますけれども、この間諜隊がいずれ参謀本部陸地測量部という形に発展をしていくということで、参謀本部陸地測量部となった段階で、民部省のものが、組織は変わってきますけれども、合体をするというふうになっております。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

土肥委員 軍事情報は地理と関係がある。もう明治に入りましたら、中央省庁ができて、中央集権化できた段階でございますから、なお、なぜ軍隊に地理部門を入れたのか、今の院長のお話でやや理解はできるのでございますけれども、もう一つしっくりこないのでございます。伊能忠敬はそんなことは全然考えていなかったようでございまして、明治政府は何か誤解をしたのではなかろうかと思っておる次第でございます。

 しかし、そういういわゆる旧地理院が測量部となっていくわけですけれども、何かそこで役割をしたのかどうか。別に戦国時代でもないわけでありますから、どこからか地方が中央を攻めるとか、それで地理情報を得るというような話でもなかろうと思うのでございますが、何しろけさ通告した問題でございまして、何かその辺、お考えはございますか。

藤本政府参考人 ちょっと補足をさせてもらいたいと思いますが、地図とそういう国防とのかかわりみたいな話、伊能図も、先生御承知かどうかあれですけれども、シーボルトが伊能図を海外に持ち出したというので、結局、その持ち出した張本人、伊能忠敬の恩師の息子さんが獄死をしているとか、何人もつながれたとかいうこともございますし、明治に入っても、地図が機密漏えいをしたということで、いろいろな事件が起こったりしております。それだけ地図というのは国家の、当時、特に軍隊においては非常に重要な機密情報という側面はあったのではないか、こういうふうには思っておりますが、少なくとも戦後は、地理院としては、できるだけ情報は公開をする、皆さんにお使いいただくということを基本姿勢にやらせていただいているということでございます。

土肥委員 シーボルトが持ち出したのは、これはやはり日本の機密情報、地図情報を持ち出したわけでございまして、それはとがめられるところがあるわけでございますけれども、江戸幕府が伊能忠敬に計測をさせて、それは立派な日本地図が初めてでき上がるわけですから大変結構なことですけれども、何か軍事情報と関係があるのかなということを懸念しただけでございます。

 というのは、ずっとこの現代に戻ってまいりまして、御承知の武力攻撃事態法ができまして、これが二〇〇三年でございますが、そこに地理院が指定行政機関になるんですね。これはどういう役割をするために指定行政機関になったんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

藤本政府参考人 武力攻撃事態法の中で地理院に与えられた役割というのは、特に国民の保護、国民保護計画という観点でございます。地方公共団体等の関係機関と連携しまして、所管する分野全体にわたって被災情報あるいは応急復旧の実施状況の情報を収集するために、必要に応じて緊急測量調査等の実施を行う、非常事態があったときに、地形あるいは地物の改変があったものについての情報を直ちに調査するという役割。あるいは、武力攻撃に対して地域の災害復旧復興の基本方針を検討するための、あるいは災害復旧復興をするための基礎資料として、基盤となる地理情報を提供する、こういうものが地理院の主たる役割だと理解しております。

土肥委員 私は若干気になる方でございまして、大臣に、突然のお話でございますけれども、こういう緊急事態法の中に、地理的貢献をすると今院長はおっしゃったんですけれども、どうなんでしょうか。

 例えば、実態を言いますと、国土地理院の中には、定員、定数は七百八十八名しかいらっしゃらないですね。そして、ほぼみんな技術者です、大変な技術者集団ですね。私も驚きました。

 では、政府は、この武力攻撃事態法で地理院にそういう役割をさせて、それでその役割をきちっと果たすことができるような組織なのかどうか、大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 これは、武力攻撃事態が発生しますと戦災ですね、先ほど災害と言われたけれども、それから天然災害の場合の地震災害、そういう場合にも、国土地理院の情報というものは、発災の前後からもう国土地理院に期待されているわけです。

 したがいまして、例えば天然災害の場合、地震とか河川のはんらんとかありますけれども、そういうようなもののハザードマップというものは、正確な土地の高低というものの測量の上に立って、初めて、どこまで水が来るか、どの範囲かということがわかるわけです。それと同じように、武力攻撃事態が発生した場合には、どの部分に発生するかわかりませんけれども、そこで受ける被害とか、その後の復旧復興とか、そういうものについては詳細な地理情報が必要になります。

 私は、先ほどの、明治時代に兵部省陸軍参謀局の間諜隊にこの地図というものがゆだねられたというのは、今のような平和な時代でも武力攻撃事態ということに対処しなきゃならないという考えですけれども、当時はやはり外国からの侵攻というようなことも当然考えられたと思うわけでありまして、地図情報というのは、そういう意味では、国家の範囲、先ほども言いましたけれども、国の構成要素である国土、国民、そして統治機構、この三つが三要素になりますけれども、そのうちの一つの国土というものの情報をきちっと把握する、これは軍事的にも大変意味の大きいことだと思います。

 日本が敗戦になりまして、アメリカ軍が一番最初にしたことは何か。日本じゅう航空写真で全部撮ってしまった。それが今、国土地理院に残っていますけれども、全部ストリップしたということが、それはゲリラだとかそういうことを予想すれば、当然、日本の正確な地理を戦勝国としては把握しようとしたんだろうと思いますけれども、そういうふうに大変軍事的な意味がある。

 私は、今、平和な時代ですから、先ほど穀田さんの質問だったか、前と後で全然違うんじゃないかというお話がありましたが、まさに違うと思いますね。現在はインターネットで詳細なものを全部公示するわけですから、戦前の思想は違ったというふうに思います。

土肥委員 航空写真の話が出ましたけれども、今、インターネットのグーグルを引いたら、モスクワのクレムリンの建物の、中はわかりませんけれども、その配置図から何から全部見えるんですね、人まで。だから、災害はわかりますけれども、非常事態で、何か軍事的なものに使う余地というのはほとんどないと私は考えておりまして、では、二〇〇三年にこの事態法の中で指定機関になりましたけれども、地理院では何をなさっているんでしょうか。

藤本政府参考人 先ほどもちょっとお答えさせていただいたように思うんですが、武力攻撃そのものに対してどうこうするというのは我々の責務ではないわけですけれども、一たん事が起こった場合の復旧復興のためには、どうしても地図がないといろいろな活動ができない。救援活動も含めてそうでありますけれども、そのための基本的な地図をつくるための調査を行う。そして、できるだけ早く地図を作成し、皆さんに提供し、それを活用していろいろな活動をしていただくというのがメーンになると思っています。

土肥委員 それは一般的な測量とか地図を充実させるのは結構ですけれども、ある一点で、どこの国かわからないけれども、外国の軍隊の攻撃があった、あそこだといって、何枚もその地域の地図を引っ張り出して、これで戦略的に、この山のところから大砲を撃って攻撃しようとか、そんな話にはならないわけでございまして、また、そういう研究をしていらっしゃるとは到底思えないわけでございます。

 ですから、一般的な地理情報の精度を上げよう、正確な地図をつくろうというのが国土地理院の趣旨でございますから、それはそれでいいんです。だけれども、事態法のときにそういう機関に入ったというところに、指定行政機関になったというところに、私は、一体、国土地理院はそんな能力があるのかなというふうに思うわけでございます。

 例えば、北方四島。実は、一九九〇年に北方領土関係地図を刊行していらっしゃるんですね。それをどうやってつくったのかというようなことも聞きたいところでございますが、もう時間がございませんので省略しますが、北方四島の地図づくりは、測量をやって、中には入れないはずですから、外からいろいろな衛星を使ったりなどしてなさったんだと思います。

 私も、いわゆるビザなし訪問で、議員枠というのが毎年二名あるようでございまして、そこに一人入れてもらいまして、国後、択捉と行ってまいりました。本当に自然の残されたすばらしい島です。北方領土問題というのは非常に微妙な話で、あそこに施政権がないということで、ビザなし渡航しか北方領土に入れない。船の途中でロシアの海域関係の警察が入ってきまして私たちを調べる、やっと入ってよろしいということで北方四島に入るわけです。

 そういう地図をおつくりになったというのはどういう目的なんでしょうか。

藤本政府参考人 北方四島につきましては、今、五万分の一の地図の中にそういう四島の地図が記載されておりますけれども、これは、戦前に測量いたしました、その成果をもとに、一部おっしゃいました衛星測量などのものを修正いたしまして、そういう形で掲載させていただいておる。日本の国土をきっちり地図としてあらわすという観点からつくらせていただいております。

土肥委員 それもいいでしょう。だけれども、国土地理院が北方四島の地図を完結したい、完成したいという思いがここにあふれているわけです。

 竹島問題なんというと、これはまた非常にセンシティブな問題でして、私も国土交通委員になって視察に行ってまいりました。これは上陸しちゃいけないんですね。海上保安庁の、ヘリポートを持っている巡視船が待っていてくれて、そこへヘリコプターで行って、そして周辺を回るだけ。これは恐らく国土地理院できちっと測量は終わって、確立された日本領土として承認していらっしゃると思うんですけれども。

 つまり、私が申し上げたいのは、国土地理院という、言ってみれば純粋なというか、国民の本当の安定した生活を保障するために、なるべく地理上の問題が起きないように客観的な判断で測量事業をやっていらっしゃる。そういうときに、時々こういうことが出てまいりますと、例えば北方四島の話にいたしましても、私は北方四島を返してほしいと思っているんですよ、早く返してほしいと思っている者ですけれども、そういう地図が作成される、あるいは有事事態に地理院が協力するというようなことは、政府としては当然のことかもしれませんけれども、私は、国土交通省を預かる政府は、余り特定の刺激的なお仕事はなさらない方がいいのじゃないかなと、政府から言われればやらざるを得ないかもしれませんけれども、そういう感じがいたします。これは私の個人的な意見を申し上げておきます。

 災害対策からいえば、これはもう当然のことでございまして、冒頭私が申し上げましたように、もっとあの辺の地理状況を、地理的、測量的情報が欲しかったんですね。山の上にそんな、昔、段々畑で使った堰堤があるなんて聞いたこともない。それが全部崩れて落ちてきたという状況でございます。そういうことで、大いに頑張ってほしい。

 それにしても、この役所のサイズの小さいこと。国土地理院は、先ほど言いましたように、定員が七百八十八名とこの資料には出ております。予算たるや、口に出すのも恥ずかしいぐらいの予算でございまして、私は国土地理院を励ます議員連盟をつくろうかな、こう思っておるわけでございまして、これから世界的な規模で地理情報あるいは測量をしなきゃならない中にありまして、そう思うのでございます。

 それで、二〇〇一年に国土交通省ができるわけですけれども、そのときに、この年表によりますと、国土交通省がこの国土地理院を、特別機関と書いてあるんですね。これは何なんでしょうか。院長の御理解をお示しいただきたいと思います。

藤本政府参考人 私は組織の方の専門ではございませんので、ちょっと不正確かもしれませんが、昭和五十九年に特別の機関という制度が発足をしたということでございます。それで、建設省の特別の機関というふうに位置づけをされた。それで、議員御指摘のとおり、平成十三年に国土交通省が発足いたしましたときに、引き続き、国土交通省の特別な機関というふうに位置づけられたわけでございます。

 それで、特別の機関というのは、ちょっと法律の名前を言いまして申しわけないんですが、国家行政組織法第八条の三というところに、八条の審議会あるいは八条の二の施設等機関、これには該当しない機関ということでの位置づけになっているようでございます。

 ちなみに、他の特別の機関という意味では、文部科学省の地震調査研究推進本部だとか、警察庁も何かそうらしいのでございますけれども、随分たくさんの機関が特別の機関にはあるように伺っております。

土肥委員 どうも、行政改革で省庁再編がございまして、国土交通省は統一して大きく膨れ上がったわけでございますけれども、今になって思うと、こんな巨大な役所をつくってよかったのかなと私も感じているところでございますが、その中で特別機関、何かまま子扱いされているんじゃないかなと、私は情緒的な人間ですからそういう思いがいたしておりまして、もう少し国土交通省としてはきちっと位置づけをして、名前はどうでもいいんですけれども、国土地理院という非常に伝統ある、私に言わせれば、伊能忠敬を引き継ぐ国土地理院にしては少し寂しいんじゃないかというふうに思っております。

 与党の皆さん、どういうお気持ちか知りませんけれども、ぜひ大臣、もう少し懇ろなというか、その意義も認め、それからまた、非常に時間のかかる粘り強い仕事をしなきゃいけないわけでございまして、そういう意味で、国土地理院というのをもう少ししっかりと国民のみんなに知らしめ、かつ議員の皆さんも認識を新たにして、私は初めて認識を新たにしたんですけれども、これからは地理院の仕事をちゃんと覚えておきたいとは思っておりますが、今後の国土地理院のあり方について、大臣の御意見を聞きたいと思います。

冬柴国務大臣 今もまま子扱いをしておるわけではありませんで、国家行政組織法八条として、いわば政治とかそういうものから中立の立場できちっとした仕事をしていただいて、私も先ほど言いましたけれども、地球地図というような大変な提案もしたり、今回もインターネットで地理情報を全部外に出す。しかしながら、本質的には、国家の構成要素である国土、国民、そして統治機構、この三要素のうちの一つを公証する国家機関である、私はそのように思っております。

 したがって、いろいろな思想とか信条で左右されることなく、与えられたきちっとした仕事をきちっとやっていく、それをやっていただいているものと思います。

土肥委員 最後にしますが、国土地理院が、珍しいというか、私びっくりしたんですけれども、地図の一つの応用として触地図原稿作成システムというのをおつくりになって、ホームページに出しておられます。それを引っ張ってみますと、盲人の方あるいは視力障害者がどこかに出かけたいというときに、その地図上に点字で、しかも道路地図も手でさわって自分が行くところの土地柄を確認できるというふうなものでございます。

 私は大変立派な試みだと思いまして、実は、これから、視力障害者というのは、私もそうでありますけれども、年をとったらみんな視力障害者なんですね。しかも、一千万を超える糖尿病予備軍がおるわけでございまして、ばたばたと目がつぶれていくわけですね。そういう時代にあって、この触地図の応用は非常に重要だというふうに思っております。

 実は、これは晴眼者が持って歩く地図なんですね。私は、もっと高度な、その地図をさわりながら、視覚障害者あるいはお年寄りがそれを読みながら自分で歩けるというふうな地図にしてほしいと思うし、この地図を読めない、つまり、これは指先で点字を読んでいくわけですから、それができない人には音声が入っておりますと、それに音声が入っていて、地図上をさわりながら音声が備えられれば、大体一人で出かけられるんじゃないかというふうに思うのでございます。

 そういう意味で、今後ぜひともこの分野での力も入れていただいて、その辺でまた予算をふやして、ぜひやっていただきたい、このように申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 測量法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塩谷委員長 次回は、明十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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