第22号 平成19年5月23日(水曜日)
平成十九年五月二十三日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 塩谷 立君
理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君
理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君
理事 山本 公一君 理事 伴野 豊君
理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君
安次富 修君 阿部 俊子君
赤池 誠章君 新井 悦二君
石田 真敏君 上野賢一郎君
遠藤 宣彦君 小野 次郎君
大塚 高司君 大塚 拓君
鍵田忠兵衛君 梶山 弘志君
亀岡 偉民君 北村 茂男君
桜井 郁三君 島村 宜伸君
杉田 元司君 鈴木 淳司君
薗浦健太郎君 徳田 毅君
長崎幸太郎君 長島 忠美君
西本 勝子君 原田 憲治君
松本 文明君 宮澤 洋一君
盛山 正仁君 やまぎわ大志郎君
吉田六左エ門君 若宮 健嗣君
泉 健太君 小宮山泰子君
古賀 一成君 下条 みつ君
土肥 隆一君 長安 豊君
横山 北斗君 鷲尾英一郎君
赤羽 一嘉君 伊藤 渉君
穀田 恵二君
…………………………………
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
国土交通副大臣 望月 義夫君
国土交通副大臣 渡辺 具能君
国土交通大臣政務官 梶山 弘志君
国土交通大臣政務官 吉田六左エ門君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 宿利 正史君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 榊 正剛君
国土交通委員会専門員 亀井 為幸君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
小里 泰弘君 小野 次郎君
鍵田忠兵衛君 阿部 俊子君
坂本 剛二君 やまぎわ大志郎君
鈴木 淳司君 新井 悦二君
薗浦健太郎君 西本 勝子君
黄川田 徹君 横山 北斗君
同日
辞任 補欠選任
阿部 俊子君 鍵田忠兵衛君
新井 悦二君 鈴木 淳司君
小野 次郎君 大塚 拓君
西本 勝子君 薗浦健太郎君
やまぎわ大志郎君 坂本 剛二君
横山 北斗君 黄川田 徹君
同日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 上野賢一郎君
同日
辞任 補欠選任
上野賢一郎君 安次富 修君
同日
辞任 補欠選任
安次富 修君 小里 泰弘君
―――――――――――――
五月二十三日
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案(内閣提出第六七号)(参議院送付)
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)
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○塩谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長宿利正史君及び住宅局長榊正剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。
○鈴木(淳)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木淳司でございます。
久々に法案質疑の機会をいただきまして、光栄に存じます。
さて、姉歯元建築士による耐震強度偽装事件の発生は一昨年の十一月でありましたけれども、私にとりましても、初めて国交委員会に所属をした直後の問題でありましたので、大変印象深く当時のことを覚えております。
改めて私から申し上げるまでもなく、本事件によってもたらされた既存のマンションの安全性や建築行政全般に対する不信と不安の蔓延は大きな社会問題となりました。事件発生以来、国交省も対策に御尽力をされまして、社会資本整備審議会等でのたび重なる議論を経て、これまでに国会でも、建築基準法等の一部改正、建築士法等の一部改正を済ませ、今回この法案提出をもって一連の対策を終えようとしているところかと思います。
そこで、今回、この機会に改めて、あの耐震強度偽装事件とは一体何であったのか、我々はまさにそこから何を教訓として学んだのか、また学ぶべきであるか、さきの耐震強度偽装事件が投げかけた課題とそれへの対策として、今回この法案提出に至るまでの一連の政府の対応についての経緯を確認したいというふうに思います。
○榊政府参考人 構造計算書偽装問題の発生によりまして、建築確認検査、指定確認検査機関等の建築行政上の課題と申しますか、見逃したということ、建築士の資質、能力、建築設計の専門分化の建築士制度上の課題、それから、瑕疵担保責任履行の実効性という消費者保護の課題が明らかになったところでございます。
こうした課題を解決するために社会資本整備審議会で議論、答申をいただきまして、昨年の通常国会では、建築確認検査の厳格化、指定確認検査機関の業務の適正化のための建築基準法等の改正を行うと同時に、続く臨時国会では、建築士の資質、能力の向上、高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化のための建築士法の改正が行われたところでございます。
今回の法案は、残された最後の課題に対応するためのものでございまして、新築住宅の売り主等に対して瑕疵担保責任の履行を確保するための資力の確保を義務づけ、新築住宅の購入者等の利益の保護を図っていくということにしているところでございます。
○鈴木(淳)委員 さて、今回、対策の最終の第三弾として提出されましたこの法案は、今お話がありましたとおり、住宅供給業者の瑕疵担保責任の履行のための資力確保を主目的とするものでありますけれども、本法案をまとめる過程における議論の経過、そして、今も一部お触れになりましたけれども、法案の概要について改めて提出者の方から説明をいただきたいと思います。
○榊政府参考人 法案をまとめるに当たりまして、社会資本整備審議会における議論のほか、専門的な議論を行うために、昨年の四月以降、大臣の私的諮問機関といたしまして、住宅瑕疵担保責任研究会というのもあわせて開催して御議論をいただいたところでございます。
この研究会からは、保険、供託、信託といったような手法を活用した資力確保措置の制度設計における課題と検討の基本的方向性について具体的な提言がなされたところでございます。
今回の法案でございますけれども、社会資本整備審議会の議論並びに同研究会からの報告も踏まえまして、建設業者及び宅地建物取引業者に対しまして、新築住宅につきましての瑕疵担保責任の履行の確保を図るため、住宅建設瑕疵担保保証金等の供託または住宅瑕疵担保責任保険契約の締結を義務づけるということにいたしました。
国土交通大臣は、住宅に係る瑕疵担保責任の履行の確保を図るための保険契約の引き受けを行う法人を、住宅瑕疵担保責任保険法人として指定することができることにするということと、住宅瑕疵担保責任保険契約についての紛争の迅速かつ適正な解決を図るための処理体制を整備するということを主な内容としているところでございます。
○鈴木(淳)委員 さて、住宅の瑕疵担保責任につきましては、平成十二年に施行されました住宅品質確保法、これは正式には住宅の品質確保の促進等に関する法律でありますが、それに既に定められております。また、その履行確保の手段としては任意の住宅瑕疵担保保険があります。
しかしながら、現在、その住宅瑕疵担保責任保険の加入率は、最近向上したとはいうものの、それでもわずかに一割強にとどまっているようでありますが、果たしてその理由は何か、問題はどこにあるのかについてどう御認識か、お尋ねをいたします。
○榊政府参考人 既にございます住宅瑕疵担保責任保険、任意保険という形でございまして、御指摘のように、利用率が新規住宅供給戸数の約一割というふうな状況でございます。
その原因といたしまして、事業規模の大きなハウスメーカーとかディベロッパー等は毎年の事業収入により自社保証が可能と考えており、彼らの言によれば、ブランドで勝負をしている、こういうことを言っております。
それから、地域に密着した工務店というのは、逆に、引き渡し後、きめ細かな住宅メンテナンスを当然のこととして行ってきている、まさに信頼を基礎として事業を展開しているというようなことがございまして、こういった事柄についての問題が実は顕在化してこなかった。一方で悪質業者等はいろいろあるものの、大半がそういったような形で整理をされているということがございまして、顕在化してこなかった。
一方、今回の構造計算書偽装問題を契機にいたしまして、住宅の瑕疵問題、保証制度につきまして、住宅購入者や事業者等の意識が高まりまして、特に共同住宅について保証制度の申請戸数が大きく伸びているというのが実態になっているところでございます。
○鈴木(淳)委員 今、加入率の低い理由の説明、分析があったわけでありますけれども、それでは、今回の耐震偽装事件が発生するまで、住宅の瑕疵担保責任の履行に関して大きな問題は発生してこなかったのか、それはどうでありましょうか。
今、悪質な業者が顕在化しなかったというお話がありましたけれども、国交省では、これまでの瑕疵担保責任の履行に係るトラブルの発生状況というものはどの程度把握をしておられるのでありましょうか。それとも、民民の問題として大きく関与してこなかったのか。どちらでありましょうか。
○榊政府参考人 構造計算書偽装問題が発生するまでの間におきましても、住宅の瑕疵についての問題は存在してございます。そのために、平成十一年の品確法の制定の際に、新築住宅の売り主に対しまして十年間の瑕疵担保責任を課したところでございます。
例えば、注文住宅ということでありますと、各都道府県とか本省にございます建設工事紛争審査会に上がってくる案件ですとか、それから、不動産販売ということであれば、各都道府県の行政部局なり国土交通省の総合政策局にありますような紛争相談というような形で住宅瑕疵問題がとられてきたところかと思っておるところでございます。
このような瑕疵担保責任を課しているというものの、新築住宅の売り主が十分な資力を有さずに瑕疵担保責任が履行されないといったようなケースに住宅購入者が極めて不安定な状態に置かれるということが判明いたしましたので、今回の法案を提出するということに至ったわけでございます。
なお、これまでの住宅瑕疵担保責任についての事故の発生でございますけれども、実は、私どもの方でやっております財団法人の住宅保証機構における実績によりますと、十年間の瑕疵担保責任期間中の瑕疵の発生率というのは〇・七五%程度という形で低いということと、一件当たりの補修費用は約二百三十万円というようなのが実態でございます。
ちなみに申し上げますと、十年経過住宅が八万六千七百五十一件ございまして、瑕疵発生件数が五百十九件というような形でございますので、そのままで見ると約〇・六%ぐらいの発生率になるわけですが、当初二年間免責といったようなこともございまして、そういったことを掛け合わせると〇・七五というような感じで、低いという実態にはあるということでございます。
○鈴木(淳)委員 住宅瑕疵担保責任の履行を確保するための資力確保措置の方法としては、保険や供託のほかにも信託や保証等の方法も考えられまして、現に審議会ではその議論もされたというふうに聞いておりますが、本法案では供託と保険の二つに集約をされました。きのうの参考人質疑でも、ある参考人から、外国では類を見ないユニークな内容だというコメントがありましたけれども、本法案では何ゆえに保険と供託のどちらかを義務づけるということになったのでありましょうか。
○榊政府参考人 本法案の検討に当たりまして、住宅品質確保法に定められました新築住宅に関する十年間の瑕疵担保責任の履行の確保をどのようにして図るかという観点から検討を行いまして、そのために必要な資力確保の方策として、まず、保険の仕組みを中心にしながら検討を進めたというのが実態でございます。
こうした検討の中で、保険以外の仕組みであっても、瑕疵による損害が生じた際に必要な費用が支払われる、保険と同様に消費者保護が図られるというものであれば、資力確保の方策として有効ということもございまして、昨年八月の社会資本整備審議会の答申も踏まえまして、保険の仕組みのほか供託等の仕組みについての検討も進めまして、結果、供託と保険の選択制といったようなこととしたところでございます。
信託については、瑕疵による損害発生時に備えて自己資産を確保しておくという意味では供託と同じなのでございますが、信託の場合は手数料がかかるというような側面がございますし、例えば銀行保証ということでいいますと、売り主等の負う瑕疵リスクを第三者が保証するという意味では基本的に性格は保険と異ならない、それに対して、特定業界への与信を増加するという形になりますので、そういった意味で、むしろ銀行業界の方が困難ではないかと。
こういったようなことを踏まえまして、資力確保措置として供託と保険というような選択制にしたところでございます。
○鈴木(淳)委員 大変詳細な説明をありがとうございました。
それでは、その保険と供託でありますけれども、なかなか難しい予測ではありますけれども、本法案が施行された場合、果たして、事業者というものは保険と供託をどのように選択することになるというふうに予測されるのでありましょうか。もちろん予測は困難でありますけれども、保険と供託の選択の割合も含めて、どのような想定をされているのかについてお尋ねをしてみたいと思います。
○榊政府参考人 業者の方がどちらを選択するかというのは各事業者の判断でございまして、きのうの参考人の質疑でもやはり決めかねているというようなお話がございました。
私どもが思っておりますのは、供託の場合は、みずからが供給する住宅戸数をもとに算定される保証金を供託する、それを十年間固定させるということでございますので、いわば自己資金といいますか自己資本を十年間凍結させるということについて、経営上大丈夫かどうかという点、それから、十年間の瑕疵担保責任期間中に自己資本が凍結されるという一方で、保険は、掛け捨てといいながら、凍結はされないということでございますので、その辺を総合的に考慮して選択していかれるのかなというふうに思っているところでございます。
ちなみに、保険料自体は、発生率、損害を踏まえ、保険金支払いに対応する純保険料に検査手数料とか事務手数料等を加えて設定ということになりますので、参議院の方でも御答弁させていただきましたが、大体、平均的に八万円ぐらいになっているということでございますので、その程度の掛け捨てと十年間の自己資金の凍結とどちらを選ぶか、こういう御判断かと思っております。
○鈴木(淳)委員 保険または供託の義務づけによりまして、住宅供給事業者、いわゆる建築会社並びに販売会社の負担がふえて、これは結果的には、最終的に住宅価格に転嫁をされるものになるというふうに考えられます。
このように、本来は事業者自身が負うべき責任に要する費用というものが、結果的に消費者に転嫁されるということになるわけであります。これについてはおおむねやむを得ないかなという感じもいたしますけれども、これにつきましては担当者の方としてはどのように御認識をされておるのでありましょうか。
○榊政府参考人 本法案では、瑕疵担保責任履行のための資力の確保を義務づけということにいたしておりますので、売り主の負担が生じるということになります。売り主がその費用をどのように調達するかということにつきましては個々の売り主の判断ということになりますが、市場における競争、消費者における理解等を勘案して適切な対応がなされるだろうと考えております。
特に、供託の場合は、みずからの自己資金を供託するということでございますので基本的にはコストはかからない構造だと思いますし、保険の場合で申しますれば、審議会の場でも、中小業者の団体の方からは、こういった保険を活用することによってむしろ大手の方と対等に戦えるようになるんだ、こういう前向きのお話もございました。そういったようなことも考えますと、適切な対応がとられるのではないかなというふうに私どもとしては期待しているところでございます。
○鈴木(淳)委員 それでは、供託と保険、それぞれにおける問題点についてお尋ねをしてみたいと思います。
まず、供託につきましては、これは保険と異なりますので、住宅検査、瑕疵の発見につきましてのチェックが行われないということになります。もちろん、瑕疵担保責任の履行の確保のための資力確保が法案のねらいでありますから、供託である以上、資力が認められますから、結果として検査は不要なのかもしれません。それは理論上は理解できるわけでありますけれども、検査がないということは住宅政策上、後に問題とならないのかについて、まずそれが一点目。
そして次に、保険についてでありますけれども、これは常に議論になりますけれども、モラルハザードの問題がつきまといます。保険の存在によって、とりわけ、今回は故意、重過失も含まれるわけでありますから、結果的にモラルハザードが発生するおそれはないのかという、その懸念についてのお答えをいただきたいと思います。
○榊政府参考人 供託でございますけれども、通常、みずからの資金で瑕疵担保責任についての損害修補、賠償を行うというのが基本原則でございまして、その基本原則をちゃんと私は履行するよという証拠として供託をしていただくということになります。したがって、私は大丈夫なんだということを消費者に見せるわけでございますので、大丈夫じゃないというのを見せられると、供託をしたその業者にとってみれば、自己の信頼にかかわる問題だということでございますので、事業者の自己責任によりまして的確に検査が行われるものだというふうに考えております。
保険については、御指摘のモラルハザードというのは私どもが制度設計をする際に一番心配したところでございます。と申しますのは、故意、重過失に対応するということで考えたときに、これがないと、とても故意、重過失には対応できないということかと思っております。
それで、私どもとしては、まず、損保業界ではなくて新たに指定する法人ということを考えまして、その法人に検査業務と保険業務を一体としてやっていただくというようなことを考えまして、そこで現場審査をきちっとやっていただくということと、売り主への保険金支払いについては、縮小てん補率を設定して一定割合を売り主が負担するんだということと、故意、重過失の場合については、売り主が倒産していない場合は、この保険は働かない、売り主が全部やってください、倒産するとか、もしくは全然支払う意思がなくて非常に困っている、こういったような場合には、当然のことながら逆にこの保険から支払えるというような形で、モラルハザードを防止するというふうにしたいと思っているところでございます。
○鈴木(淳)委員 保険を選択した場合におきまして、保険であれば、当然に検査が付随するものと考えられますが、本法案による保険における住宅の検査というものはどのようなものを想定しておられるのでありましょうか。また、当該検査の信頼性というものはいかにして確保がされるのか。今回の義務化によって、飛躍的に多くの住宅の保険を手がけることになるというふうに思われますけれども、果たしてこれは実務上の問題はないのか、もし課題があるとすれば、それについてはどのように対応するのかについてお尋ねをいたします。
○榊政府参考人 現在、任意保険という形で実施しております住宅性能保証制度でございますけれども、この場合は、基準法に基づきます中間検査とか竣工検査に加えまして、基礎配筋が完了したときに地盤や基礎の配筋状況をチェックする、それから屋根工事の完了時に、柱、はり、屋根、外壁等の施工状況につきまして、保険引き受けの適格性の観点から現場検査を行っておるということでございますので、本法案に基づく保険法人につきましても同様の現場検査を行うことを想定しております。
この検査の適正の確保のための体制でございますけれども、法律的には大臣が保険法人を指定する際に審査するということになっておりますが、加えて、当該検査は、保険法人が検査を手抜きすれば自分がお金を支払わなきゃいかぬ、こういうことになりますので、その信頼性は直ちに経営に影響を与えるということでございますので、検査の信頼性も保険法人がみずからきちっとやっていただけるものだというふうに考えておるところでございます。
保険について、先ほどもちょっと御指摘がございましたけれども、大体八十万戸から百万戸ぐらいが保険の対象になるんじゃないかというふうに私どもは思っておりまして、そういった意味では、検査体制の確保というのは重要な課題だというふうに思っております。現在の任意保険が年間約十六万戸というふうになっておりますので、相当な倍数になるだろうということでございます。
民間の指定確認検査機関とか、品確法に基づきます検査・評価体制がある程度充実してきておりますし、これらの機関における検査員を活用するというような方策ですとか、新たな研修を実施して検査員の能力を有する者を育成するというようなことをやりまして、十分対応できるものというふうに考えておるところでございます。
○鈴木(淳)委員 ぜひしっかりお願いしたいというふうに思います。
今回の法案の施行によって、紛争処理機関に持ち込まれる案件は飛躍的に拡大するものというふうに考えられます。これまでのところ、住宅品質確保法に基づく住宅紛争処理機関の紛争処理はまだまだその実績が少ないというふうに聞きます。きのうの参考人質疑におきましても、事例の蓄積のある自動車事故の処理と対比した話がありましたけれども、果たして今後の紛争処理体制をいかに構築していかれるのかについてお尋ねをいたします。
○榊政府参考人 昨日の参考人質疑の中でも、必ずふえるだろうというふうに御指摘がございました。
私ども、この紛争処理のバックアップ体制につきまして、現在でも住宅紛争処理支援センターが紛争処理の業務の支援を行う機関として指定されておりまして、本法案によりましても、同様にこの支援センターの業務を拡大したいというふうに考えております。
具体的には、住宅瑕疵担保責任保険契約につきましての紛争処理の業務の実施に要する費用を助成するということ、それから、紛争処理に関する情報、資料を収集、整理いたしまして、これを紛争処理機関に対して提供するといったような業務を行うことにいたしておりまして、簡易迅速な紛争処理体制の十分な整備が可能になるように支援していくということにいたしたいと思っております。
制度創設当初ということもございますので、平成十九年度予算では、紛争処理のための資料作成や人材の養成に向けた講習会のために二億円の国費を措置しておるところでございまして、この法律が成立し次第、速やかに取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木(淳)委員 法案に対する質疑を少し離れまして、次に、観点を変えてお尋ねをしてみたいというふうに思います。
今回の第三弾に至るまでの一連の対応で、今後新築される住宅についてはおおむねの措置がなされて、新築物件に対する信頼性はかなり高まるものというふうに思われます。しかしながら、過去の物件に対する不安は依然として存在をするわけであります。
五月十四日付の読売新聞で既に報じられましたように、先ごろ国交省が実施をした無作為抽出の調査として、二〇〇一年以降に建てられた全国の中高層マンションをサンプル調査した結果、驚くことに、一割が耐震強度不足の問題があるという結果が出、強度不足が確定した物件からは、施工ミス、構造計算書の改ざん、設計ミス等が発見されたというふうに報じられております。
新築物件への対応が一段落した次には、過去に建築された住宅の安全性の確保が大きな課題になろうかというふうに思われますけれども、こうした物件に対する国民の不安感の解消については国交省はどのようにお考えでありましょうか。
○榊政府参考人 構造計算書偽装事件の発覚以降、サンプル調査なり、問題のある建築士が関与した物件の調査を進めてまいりました。新たな偽装物件なり不適切な構造設計が行われている物件が発覚していることも事実でございまして、まことに残念だというふうに思っております。
特に、委員御指摘の一割という新聞報道は、無作為に抽出いたしました三百八十九件のサンプル調査、その結果に基づきまして、問題があるかもしれないと言われた部分が、四百件程度のうちの約一割、こういうような御指摘がございました。
実は、三百八十九件のうち四十件について、財団法人日本建築防災協会から構造計算に疑問があるかもしれないという指摘を受けたのが四十件あったということで、一割というふうに言われております。この四十件の中身を見ますと、これまで、二件について耐震性を有することが確認されまして、三件について耐震性不足が判明したところでございます。
三百八十九件のうちでいえば、調査済みが二百八十物件で、残り百九物件がまだ調査中ということでございますので、引き続き、関係特定行政庁に対しまして早期の調査完了を要請したいというふうに思っておりまして、耐震性の不足する物件につきましては、速やかな是正に努めていきたいというふうに思っております。
また、みずから所有するマンションの耐震性について不安のある方々につきましては、関係機関における相談体制を充実するとともに、耐震診断の助成制度を活用いたしまして、耐震診断の普及徹底を図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
○鈴木(淳)委員 それでは、最後に大臣にお尋ねをしてみたいというふうに思います。
昨年成立しました住生活基本法におきましては、良質な住宅ストックの形成と流通の促進といった方向性が明示をされたわけでありますけれども、それを実現するためには、適正な住宅の性能評価や家歴の整備が不可欠であります。とりわけ、中長期住宅を考える場合や高齢社会に対応した所有と使用の分離、住みかえなどの際、適正な住宅の性能評価と表示というものは不可欠なものになるというふうに思います。
今後、住宅性能評価制度の普及充実を初めとする信頼性の高い住宅市場の整備というものが一層重要となるわけでありますけれども、その整備に向けての大臣の御決意についてお尋ねをしてみたいと思います。
○冬柴国務大臣 安全な住宅を安心して国民に購入していただくために、これまで建築基準法あるいは建築士法の改正及び今回のこの瑕疵担保法の制定によって、住宅の瑕疵の発生を抑制するとともに、万一瑕疵が発生したという場合でも確実に瑕疵担保責任が履行される体制を整備したところでございます。
これら一連の措置によりまして安全、安心な住宅を供給するとともに、昨年制定されました住生活基本法を根幹として、住生活の基盤となる良質な住宅の供給を行うための政策を積極的に講ずる必要があると考えております。
御指摘にありました住宅品質確保法に基づく住宅性能評価制度の普及充実を初めとしまして、信頼性の高い住宅市場の整備にも今後努めてまいります。
○鈴木(淳)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○塩谷委員長 盛山正仁君。
○盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁でございます。
まず、渡辺副大臣にお尋ねをしたいと思います。
この法案は、昨年来ずっとやってまいりました耐震偽装の関係での構造計算書の偽装に端を発しました建築基準法と建築士法の改正、そして今回が第三番目の法律の整備であるというふうに承知しているところでございますし、また、昨日の参考人質疑でも、その内容について、専門家であります参考人と質疑がなされたところでございます。
やはり今のこの段階で再度副大臣から御答弁をいただきたいと思いますのは、仮に、悪意を持った忌まわしい事件のような、耐震偽装といったような、そういうたぐいの問題が起こった場合、損害が発生した場合、戸建ての住宅もそうでしょうが、やはりもっと深刻なのはマンションといった共同住宅ではないかと思います。そういう共同住宅にお住まいの方であっても、今回の法律ということで、買い主あるいはユーザーの救済が十分に図られる内容になっているのかどうか、そこについて、政府側からのしっかりとした答弁をいただきたいと思います。
○渡辺(具)副大臣 この問題については、盛山委員もう熟知しておられるところでございますが、委員御指摘のように、今回の法律案はいわば三番目のパラダイムだというふうに思います。
昨年の通常国会あるいは臨時国会におきまして、建築基準法そして建築士法等を改正いたしました。これによりまして、建築確認検査の強化、建築士の業務の適正化を確保したところであります。このことによりまして、大規模な損害の発生の可能性は極めて少なくなったというふうに認識しております。しかし、先ほど冬柴大臣が答弁されましたように、さらに安全、安心を確保するという意味で、今回のような法律案を準備したところでございます。
今回の場合によりますと、まず、保険によります場合は、保険金額を二千万円以上とするということを要件にいたしましたとともに、さらに、支払いが確実に履行されるように、保険会社が再保険にかかるということも求めているところでございますし、また、この制度を創設しました当初は、資金がショートしやすいのではないかということに対しても、そういうことがないように、国の補助により造成しております住宅保証基金から無利子の貸し付けが行えるように、平成十九年度予算で措置したところでございます。
また一方、供託につきましては、仮に倒産しても、供託金のみで瑕疵担保が図れる額を供託することとしております。つまり、額の算定に当たりましては、保険と同様に二千万円程度の住宅を念頭に、過去の瑕疵による損害発生率や損害額をもとにいたしまして、統計的手法により、極めてまれにしか生じない事態にも対応できる額を売り主が供託すべきだというふうにいたしております。
このように、万一発生しました瑕疵による損害に対しても、本法律案によりまして、委員御心配のようなことはない、買い主の救済がしっかりと行われる制度にしたというふうに思っております。
○盛山委員 ありがとうございます。
今の御答弁のように、建築基準法と建築士法でまずこういうことが起こらないようにし、さらに、フェールセーフというんでしょうか、二重三重で、ユーザーの負担がないようにする今回の法改正であるということで安心いたしましたが、やはり姉歯でお困りの多くの方々、ああいうような方々がこれから出ませんように、ぜひとも国民の、あるいは被害者の身に立った、そういう温かい行政をというんでしょうか、政策を打っていただけるように心からお願いしたいと思います。
それでは、続きまして、榊局長に伺いたいと思います。
今回の瑕疵担保の対象のところでございますが、この法案の保険あるいは供託の対象となりますのは、住宅の構造耐力上主要な部分また雨水の浸入を防止する部分、こういうふうになっております。これも、耐震偽装を踏まえてこういうような形になっているというふうに承知しているところでございます。
局長も一緒に御参加していただいております二百年住宅のプロジェクト、そういうことでも議論されているところでございますが、スケルトン、構造が一番重要であるということは論をまたないわけでありますけれども、それとあわせまして大事なのが水回りではないかと思いますね。水回りの関係はやはり傷みやすいところでもありますし、それから階上から階下へ、水は上から下へ落ちるということでございますので、そういう部分。
私も、前に入っていた共同住宅で、結露なのか、あるいは新築のマンションだったのでマンションからコンクリートの水気が十分に抜けていなかったせいか、下との間でトラブルが起こりまして、床をはがしてみると、水をかい出すぐらい床下に水がたまっていた、そういうようなこともございました。
また、お隣あるいは特に階下、下のフロアの方との騒音のトラブル。これは壁や床の厚さとの関係でございますが、これについてもなかなか難しい問題でございます。家族あるいは親子、そういうのであれば、上で例えばお子さん、お孫さんが走っていても、ああ元気でいいなということになるわけでありましょうが、仮に関係が悪くなるような赤の他人ということになりますと、一体何だ、こういうことになります。
個人的な経験ですが、私の場合には、台所の引き出しをあけるとフォークやナイフの音が聞こえてうるさい、あげくの果てには電気のスイッチの音が聞こえた、こんなことまでトラブルが起こったような個人的な体験もございます。今のは相手さんの関係もありまして、ちょっと端っこの方の問題で、失礼しました。
いずれにせよ、構造耐力上主要な部分そして雨水の浸入というところだけではなくて、もう少し広げておきませんと、特に共同住宅の場合なかなか手を入れられないということもありますので、そのあたりをいかがなものかなと。現在の法案の対象で十分かどうかということについてお伺いをしたいと思います。
○榊政府参考人 この法律案でございますけれども、住宅品確法に基づきます瑕疵担保責任の履行確保を図るために、売り主等に対して資力確保措置を義務づけている。
品確法はどうかといいますと、実は、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分につきまして、居住者の生命、健康、財産の保護のために不可欠で、かつ十年間の義務づけを行うことが技術的に合理的であるといったような理由で、十年間の瑕疵担保の義務づけというのが品確法で行われておりまして、それを受けた形でやっておりますので、当然のことながら、資力確保の対象となる瑕疵の範囲も、同様、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に限定せざるを得ない、こういう形になっております。
ただし、現在やっております住宅性能保証制度、これによりまして、保険なんか任意保険でやっておるわけでございます。紛争につきましては、瑕疵の生じた部分にかかわらず、紛争処理機関のあっせん、調停、仲裁を受けることが可能だというようなことになっております。したがって、この法案でも、それを殺すというわけじゃありませんが、だめと言うつもりはないのでございまして、任意のものとして、保険法人がこういったような保険契約、すなわち構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分以外についての瑕疵担保保険契約も可能だということになっておりまして、こういったような契約を結んでいただければ、また紛争についての簡易性というのも図られる、こういうことになろうかと思っております。
○盛山委員 ありがとうございました。
オプションでということかもしれませんが、くれぐれもユーザーさんにとって不利益をこうむらないような、そういう制度にこれから関係者の皆さんでしていっていただきたいなというふうに思っております。
局長にまたお尋ねをしたいんですが、昨日からもお伺いしているところですが、土地価格を除く建物建築部分について、二千万円といったようなことでこれまでお話を伺ってきております。建物部分が二千万円で、例えば、三LDKかどうかわかりませんが、そういうような典型的なマンションの場合、二十戸の共同住宅であれば、建築価格は建物部分四億円ということになるわけでありましょう。
それで、先ほどからの御説明のとおり、建築基準法、建築士法の改正が今回なされておりますので、前のような、耐震偽装のような悪意のある事件は多分起こらないというようなことになるとは思っているわけでございますけれども、万々が一、悪意のある建て主あるいは重過失その他で抜本的に建て直しをする必要が出てきた場合、買い主の損害が今の制度あるいは保険、供託で十分に救済されるのかどうか、再度確認をさせていただきたいと思います。
○榊政府参考人 御指摘のように、先般の建築基準法、建築士法等の改正によりまして、住宅の瑕疵の発生を大きく減ずることができるというふうに考えております。特に、耐震偽装のような根幹部分についての瑕疵によりまして、共同住宅全体に影響を及ぼすような瑕疵が発生する可能性は極めてまれというふうに認識しているところでございます。
これを前提に今回の法案の立案作業を行ったわけですけれども、耐震偽装のような例外的な場合を除けば、過去に二千万円を超える損害は発生していないという実態がございまして、保険金額二千万円以上の保険または供託を事業者に義務づけるというような形にしたわけでございます。したがいまして、万一発生した瑕疵による損害についても、十分に買い主等の救済が図られるのではないかというふうに考えております。
それから、万一、売り主の故意、重過失でそういったような瑕疵が発生した場合でございますけれども、売り主等がみずから修補するというのが原則ということでございますので、そういった場合には金額的には余り関係ない。ところが、倒産するといったときには、瑕疵担保責任の履行ができないということになりますので、そういった場合にも、買い主等が保険法人に対して保険金の直接請求ができるということになります。
先ほど何度も申し上げておりますが、基準法なり建築士法の改正で相当なチェックが入るということと、保険法人でさらに現場検査が二回ぐらい余分になされるというようなことで、検査だけで見ても、いわば五重の検査というような形になっておりますので、そういったことには十分たえ得るのではないかというふうに思っているところでございます。
○盛山委員 ありがとうございました。安心できる制度というふうに考えたいと思っております。
それで、きのう来、いろいろ御議論ございますけれども、今回、供託と保険と二つの制度があるうち、保険の方は、供託を採用されるであろう一部の大手企業を除く、中小を含め多くの方々が保険制度を使うのではないかというふうな議論でこれまで来ていたかと思います。売り主さんそして買い主さん双方が、これで、便利な、困らない、安心できるような制度設計が大事であるというふうに思っております。昨日来、そういうようなお話が参考人からも出ていたかと思います。
この法案では、大臣が保険法人を指定する仕組みがとられております。具体的にどのような法人の指定を予定しているのか。そして、万々が一の場合、指定保険法人の確実な保険の支払いを確保するためには、民間の損保会社の協力が必要であると思います。その辺の制度上の位置づけ、その辺はちょっと明確には見えていないんじゃないのかなと思うんですけれども、そのあたりにつきまして局長からお答えいただきたいと思います。
○榊政府参考人 実は、保険制度を創設するに当たりまして、故意、重過失を対象にするかどうかというのは大変問題になりました。損保業界の方からは、故意、重過失を対象にするのは保険の考え方になじまないんだ、こういう御指摘がございました。故意、重過失に対応しなければヒューザーのような案件には対応できないという私どものジレンマがございまして、これを解決するために、いわば共済組合的な保険と同じように、金融庁の監督する損保会社から離れた形で保険法人を設立する、したがって、新たに大臣が保険法人を指定するという仕組みをとりまして、故意、重過失にも対応できるというふうにしたところでございます。
したがって、今回の保険法人につきましては、保険業務を長期安定的に扱ってくれる、いわゆる十年間の瑕疵担保ということでございますので、長期安定的に扱っていくという法人でございます。かつ、損保といいますか、保険が支払われないことが一番でございますので、そういう事態にならないように現場検査をきっちりやっていかないかぬ、こういったような現場検査能力の有無、それから長期安定的ということでございますので、保険業務について必要な財産的基礎の有無、それから役員の構成による公正な保険業務の実施への支障の有無といったような観点から、厳格な審査を行った上で指定をしていくというふうに考えております。
具体的な保険法人の指定は、任意の制度として現在ございます法人がございますので、そういったような法人の方が手を挙げてくれるのではないかというふうに期待をしておりますが、申請のある財団法人、社団法人、株式会社の中から、この指定基準の該当性について判断をして指定していくということになろうかと思っております。
それから、保険金支払いを確実にするために、保険法人は責任準備金の積み立て等の措置を要するということになっておりますので、その有力な手段として、御指摘のような、損保会社に再保険を受けていただくということが考えられるというふうに思っておりまして、きのうの参考人質疑でも損保協会の方からは前向きなお話がございましたので、私どもとしても、損保会社の再引き受けというようなことを前提に置きながら具体的な仕組みを構築していきたいというふうに思っておるところでございます。
○盛山委員 ありがとうございました。
今の局長の御答弁と昨日の損保会社代表の参考人の方の御答弁と、ちょっと温度差があるのかなと思いましたが、自賠責、自動車損害賠償ですね、これについても、スタートのときには大変な議論があったと私は伺っております。やはり新たに制度をつくるというのは、まだ手探りの状態で見えないものですから、なかなか難しいと思います。特に、この故意過失という普通の損害保険になじまないものを今回入れるのが、逆に一番大事なところという局長のお話のとおりかと思います。損害保険会社その他、関係の機関の皆様とよくお話をしていただいて、買い主そして売り主ともに、みんなが満足できるようないい制度に、この法律の後の実態の話になるんでしょうけれども、いいものに仕上げていっていただきたいなと心から希望を申し上げる次第でございます。
それからまた、局長にお尋ねをしたいと思います。
今回、きのうも参考人からの御意見が出ていたところでございますけれども、損保会社、この保険会社がリスクをどのように判断していくのか、あるいはリスク管理をどうするのかということで、きのうも話がありましたけれども、住宅はでき上がってしまうと中が見えません。よって、姉歯のときもそうでしたけれども、後で壊してみないと、本当に中に鉄筋が何本入っているのか、ある程度レントゲンその他で見るにしても、実際詳しいところはわからない。上のお化粧がうまくなっている、いや、きれいだな、そんなふうに見えてしまうというようなお話もあったところでございます。
この保険会社の関与に当たりましては、特定行政庁が行います建物の検査、こういったものとタイアップしてというんでしょうか、本来別の観点からの検査あるいは確認という行為になるんでしょうけれども、損保業者も一緒になって検査をするというようなことができれば、その損保会社にとってのリスクの管理も安全になりますし、ひいては施工主の方の対応もよくなっていくんじゃないか、そうすると買い主さんの方にとってもメリットがある、そういうふうになるんじゃないのかなと愚考するわけでございますけれども、そういう住宅の検査についての損害保険会社の関与あるいは便宜ということについて、局長、いかがお考えでしょうか。
○榊政府参考人 御指摘のとおり、建築基準法等における中間段階の検査に加えまして、保険法人が、この保険を引き受けるに当たりまして、保険引き受けの適格性を判断するという観点から、現場検査を行うことが重要でございます。きのうの参考人質疑でも、この点が随分、損保協会の方からは強調されていたかと思います。
具体的には、基礎配筋時なり屋根工事の完了時におきまして現場検査を行うということにいたしております。例えば、三階建て以上のマンションに限って申しますと、まず、建築確認でチェックをします。それから中間検査というのは、三階建て以上のマンションについては中間検査は義務づけになっておりますので、そこでチェックがされる。現場検査は、これに加えて、基礎配筋の完了時にやりますということと、これも共同住宅だけですが、中間階の床の配筋工事が完了した時点でチェックをする、それから屋根工事、屋根の防水が完了したときにもう一遍チェックをする。それから、基準法上の完了検査が入る。こういったような形で、基準法に基づきます検査、確認検査といったようなチェックに加えて、二段階なり三段階のチェックがさらに加わるということになります。
したがいまして、こういったような観点から申しますと、こういう検査があるからこそ保険が受けられる、こういった仕組みになろうかと思っています。
なお、建設業者なり販売を行います宅建業者でございますけれども、この保険を受けなければ、実は受け入れもできないし新築住宅を販売できないということになりますので、この保険の申し込みをあらかじめ工事着工前に行う必要が出るということから、先ほど申し上げたような段階でのチェックができるということかと思っております。
○盛山委員 ありがとうございました。
繰り返しになりますが、売り主にとっても買い主にとっても使い勝手のいいような、そういう制度になるように、できるだけ今後とも御努力をお願いしたいと思います。
吉田政務官にお尋ねをしたいと思います。
保険あるいは供託を導入するという今回の制度によって、住宅の瑕疵担保というんでしょうか、消費者保護が図られるということは大変ありがたい、大事なことだと思っております。しかしながら、同時に、こういう改正によりまして、売り主側の負担もやはりふえてくるというのは否めないことであるかと思います。
この点、きのうのお話にもありましたが、一部の大手事業者さんは供託の制度を使うということで、経済的な負担は保険を使うことに比べて少ないのかな、そういうふうに考えられるところでございます。それは、別の言い方をしますと、中小の事業者さんは保険を選択せざるを得ないということになるでしょうから、保険料の負担その他、中小事業者の方にとって大手の業者さんと差がつく、不利になるというふうなことを懸念する向きもございます。
くれぐれも、中小零細事業者にとって、この法律によって余計に格差が広がる、負担が広がるということがないようにしていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○吉田大臣政務官 委員おっしゃるとおりでありまして、中小、もっと言えば零細、これらの方々は、中には供託を選ばれる方もおられるかもしれませんけれども、その多くはやはり保険、掛け捨てですけれども、まとまった大きなお金を用意することができないということで、そっちを選ばれることが多いと思うんですね。
こうした中で、住宅保証機構による既存の保険制度、これを参考にしますと、一千六百万円くらいの建物に対して、基金の割引などもありますし、あるいは団体管理というようなこともありまして、大体八万円、九万円くらいの保険金が最終的には四万円くらいの負担で行われているという現状であります。このことは、今の方向を、まさにこれにのっとっていくことが大事なのではないのかな、そのように思っています。
簡単な御答弁でありますけれども、具体的には、各保険法人の保険料の設定によることになりますが、今後も、現在のような割引制度を引き続き活用、充実して、優良な中小事業者による保険加入の負担軽減に努めてまいりたい、そのように思っております。
○盛山委員 政務官、ありがとうございました。
それでは、最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
耐震偽装に端を発しまして、このように三つの法改正をするということで、これまでどちらかというとちょっと目が届かなかった部分について対応が行われる、そして全体を通してよい制度ができるということは大変結構なことであろうかと思います。
住宅は、私も住宅ローンを今でも払っておるわけでございますけれども、国民、普通の人にとっては一番大きな買い物の一つではないのかな。一生のうちでそう何度も買い物をするということではない、本当に一回、あるいは買いかえということで二回ぐらい、そういうような、思い切って清水の舞台から飛びおりるような形で、いろいろ悩みながら皆さん選んで買われる、あるいは建てられる。こういうような、個人にとっては大変思い入れの強い大きな買い物ではないのかなと思います。
それぞれの生活設計について、姉歯の事件のような、そういうような本当に不幸な事件が起こらないように、今後とも安心して任せられるそういう住宅政策、こういうことをこれからもお願いしたいと思うわけでございます。
今後、さっきも言いましたが、二百年住宅といったような問題ですとか、あるいは賃貸住宅と持ち家政策、これをどういうふうにしていくのか、住宅政策についてはいろいろな課題があろうかと思います。ちょっと漠とした聞き方になりますけれども、国民にとって安心のできる、よりよい住宅政策を今後とも展開していっていただきたいと思うわけでございますが、大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。
○冬柴国務大臣 姉歯事件という、とんでもない事件が起こりまして、大変多くの方に御迷惑がかかり、心が痛みました。こういうことを契機に、こういうことが二度と起こらないようにということで、いろいろな方面で検討を推し進めたわけであります。
その第一弾は、やはり建築基準法。これは世界に冠たるものではありますけれども、これをもっと確実なものにしようということで、ピアチェックということで、二重の審査をするというような画期的なことを導入させていただき、また中間検査、竣工検査等をきちっと義務づけるということで、建築基準に、法規にのっとった建物が施工されているかどうかということをきちっとチェックするという方法をとりました。
それからもう一つは、建築士の資質でございます。従来、建物が非常に大きくなってしまったために、無限定と申しますか、下請にどんどん出された。構造計算というのは大変複雑で、私も見せてもらったんですけれども、十センチぐらいの図書の中に細かい数字がいっぱい並んでいるというような作業でございます。したがいまして、そういうものを下請に出してしまう、だれが下請をして、そういう計算をしたかということが必ずしもつまびらかではなかった。そういうことから、関与した建築士の名前がそっくり購入者なりあるいは発注者にわかるように告知をする、またこれをきちっと記載するということで、その責任感なり自覚をきちっと強める。あるいは、研修をして最新の技術をきちっと習得していただくというような、建築士の資質というものについても改正を行ったところでございます。
しかしながら、そのようにいろいろしたとしても、万一、今回のような問題、そんな大きな問題でなくても、瑕疵担保責任、これは売り主の場合は隠れた瑕疵、それから請負人の場合にも、構造耐力あるいは水関係での瑕疵というようなものについては、住宅の品確法によって十年間、民法では売り主の瑕疵担保責任はたった一年の除斥期間ですけれども、それを十年間というふうに延ばしたわけです。その十年間の間にそのような売り主なり請負主が倒産をしたという場合に、その瑕疵担保責任履行ということが絵にかいたもちにならないようにということで今回の法案を提案しているわけでございまして、私どもとしては、あらゆる観点から、二度と再びこのような事件が起こらないようにという配慮でこのような措置に及んでいるわけでございます。
細かく言えば、悪意また重過失の場合も、これは保険理論では担保できないわけですけれども、そういうものについても配慮して、履行が確保できるように、この法案では設計がしてあるわけでございます。
いずれにいたしましても、このようにして私どもは、本当に生涯に一回か二回というような大きな買い物をされたときに、それが思わぬ不幸を招かないような措置を講じてきたつもりでございます。安全なものを安心して買っていただける、そういう制度をつくってきたつもりでございます。
また、成立をいたしました住生活基本法は、今までのように住宅の量だけを確保するというのではなしに、その品質、そしてまた、いいものをつくって、適時適切に手入れをして、そして長く使っていただく、これが私は大事だと思います。
そういう意味で、現在、我が国では中古住宅市場というものが非常に狭いわけです。しかしながら、建物の命数を延ばすことによって、それが一代限りではなしに数代の人に利用していただけるような、そういう市場も我々は環境を整えていかなければならないと思っています。
このようなことを通じまして、国民に快適で豊かな住生活を確保する、保障する、そのようなことに努めてまいりたいと思っております。
○盛山委員 ありがとうございました。これで終了します。
○塩谷委員長 伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
引き続き、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案について質問をさせていただきます。
改めて申すまでもありませんけれども、本法律案は、姉歯事件を初めとする一連の耐震偽装事件を受けた再発防止策のうち、昨年の通常国会で成立をした建築基準法改正、同様に昨年の臨時国会で成立をした建築士法改正に続く、最後のセーフティーネットになるような法律であると認識をしております。
過去をさかのぼってみれば、平成十年、秋田県の木造住宅株式会社の破産による千葉県での欠陥住宅被害の発生を契機とした、欠陥住宅に対する世論の高まりを受けまして、平成十一年六月の通常国会で、住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法が成立をし、この品確法に基づき、売り主等が新築住宅の基本構造部分の瑕疵について十年間の瑕疵担保責任を負うこととなったと理解をしております。
しかし、姉歯事件を契機とする一連の耐震強度偽装事件によって、売り主等が倒産した場合など十分な資力を有さない場合には瑕疵担保責任が履行されず、最終的に住宅購入者が極めて不安定な立場、平たく言えば泣き寝入りせざるを得ないような状況に置かれるということが明らかになったわけでございます。
私も、初当選直後の平成十七年十一月、この姉歯事件に遭遇をしまして、党としてすぐさま墨田区のマンションを訪問し、住民の方の訴えを聞かせていただき、その声を当時の北側国土交通大臣に申し入れるなど、以来、今日まで、当委員会のメンバーとして耐震偽装の再発防止に携わってまいりました。
耐震偽装再発防止策の三本柱、この最後の法律が、今国会、約一年半かけてようやく審議に付されたことは大変喜ばしいと思います。これら法律案は、どこまでいってもその立脚すべき原点は消費者保護である、こういう観点から質問に入らせていただきたいと思います。
まず初めに、改正建築基準法について御質問をいたします。
この一連の耐震偽装再発防止の中で初段となる建築基準法改正では、一定規模以上の建築物にピアチェックを義務づけして、これらピアチェックを行う構造計算適合性判定員の講習が本年三月に実施をされ、千五百人弱が判定員として認められたというようにお聞きをしております。そこで、主にどのような方が判定員になっているのかということをお伺いするとともに、この千五百人という数字は、一定の判定員が確保されたと理解をしていいのかどうか。
またさらに、講習で認定をされず、再演習というものを実施された方が約四百名程度おられたとお伺いをしておりますけれども、この再演習となった事由また演習の結果について、住宅局長より御答弁をお願いいたします。
○榊政府参考人 六月二十日に予定いたしております改正基準法の施行に向けまして、今懸命の準備をしているところでございます。
御指摘の構造計算適合性判定業務を担う構造計算適合性判定員でございますけれども、国土交通省令で定める要件を満たすということになっております。一つは、大学におきまして建築構造を担当する教授、それから、試験研究機関におきまして建築構造分野の試験研究に従事して、高度の専門知識を有する者、三番目に、同等以上の知識及び経験を有する者として国土交通大臣が認める者というふうになっております。
この大臣が認める者ということに関しまして、この三月に構造計算適合性判定に関する講習会を実施したところでございます。そこでは、改正法令の内容の把握ですとか、構造計算における問題点を的確に指摘する能力があるかどうかといったような点についての講習なり実技演習というのが行われました。
そこでは、実技演習の結果、審査能力を有すると判断された方が千三百十五名おられました。講義のみ参加した大学の教授等が百七十四人でございますので、合わせて千四百八十九名、こういったような形で、約千五百名弱というふうになっております。この千三百十五名の方は、主として、建築設計事務所なり大手の建設会社で構造設計に従事されていた方々でございます。
そのときに、問題の指摘はできたんだけれども、要因の指摘が不十分であったために、審査能力についてまだ判断は確実にできないという方が実は四百三十一名おられました。それに対して再演習を実施いたしまして、二百四十六名の方が受講修了という形になっております。
したがいまして、現在では、合わせまして千五百六十一名に先ほどの大学教授等を加えますと千七百三十五名体制という形になっておりまして、全国的に見ますと、構造計算適合性判定員の候補というのは確保されたかなというふうに思っております。
判定員がこういう形になりましたので、あと、県の方では、検査機関の指定なり、みずからどういう体制でやるかというのを今準備中という状況でございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
では、これを受けて、都道府県による構造計算適合性判定、いわゆるピアチェック機関の指定が本格化をしていると思いますけれども、その現状についてどのように把握をされているか、御答弁をお願いいたします。
○榊政府参考人 まず、都道府県知事がみずからやれますというのと、知事が指定する者に構造計算適合性判定の全部または一部を行わせることができる、こういうふうになっておりまして、現在、各都道府県で、構造計算適合性判定機関としての指定を受けようとする者からの申請の受け付け中、こういう形になっておりまして、その申請内容が指定基準に合致していれば指定を受けるということになります。
具体的な指定の状況で申し上げますと、実は、東京都がこの五月十八日付で九機関の指定をしたというふうに報告を受けております。私どもの方で先週、どういう状況かというふうな調査をいたしまして聞きましたところ、七道県で、機関を指定せずに知事みずからが適合性判定を実施するというふうに答えてきております。その他の府県におきましては、今月いっぱいで指定をするというのが七県、それから六月上旬の指定予定が二十二府県、六月中旬の指定予定が十県というふうに聞いているところでございます。
○伊藤(渉)委員 姉歯事件発生当時、また一つ議論に上ったのが指定確認検査機関というものでございましたけれども、この指定確認検査機関の人数要件、これも厳しくすると聞いておりますが、どの程度人員増を図るのか。また、検査機関の人員の確保についての現状について御教示をお願いいたします。
○榊政府参考人 今回の基準法の改正によりまして確認検査の厳格化をするということになりましたので、指定確認検査機関において確保すべき確認検査員の人数を実は見直しました。建物の規模に応じまして、どのぐらいの人数が必要かというのを算定していっているわけですが、従前よりは〇・九ぐらいでいいよというところから、従前、例えば木造戸建てというのは構造計算審査省略みたいな制度をとっておりましたが、今回は全部チェックをするということになりますので、そこは相当ふえるというので三・七倍ぐらいになるとか、こういったような形になっております。
結果的に見ますと、私どもの試算でございますけれども、年間の業務量について、常勤でおおむね三千五百人程度の確認検査員が必要になってくるというふうに考えております。現在、指定確認検査機関の確認検査員と特定行政庁の建築主事を足し合わせますと、平成十八年度で三千四百人でございますので、単純計算すると、ちょうど倍増ということになるかと思います。ただし、これを含めました有資格者、つまり建築基準適合性判定者として登録されている者は全国で一万二千七百人おられるということでございますので、一万二千七百から三千四百を引いた約九千三百人が今、資格は持ちながら、そういう形ではされていないということでございます。
現在、指定確認検査機関の確認検査員の中には非常勤の者も含まれているということで、機関ごとにばらつきもあるということでございますので、一部の機関で人員体制の充実が必要となっているというふうに考えておりますが、総数としては、今回の基準法の施行によりまして厳格化いたしました確認検査を遂行する必要な人数は十分確保できるというふうに考えております。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
現場は相当ばたばたしているという声も聞きますので、またしっかり相談等に乗ってあげていただきたいと思います。
続いて、改正建築士法についてお伺いをいたします。
先ほど申し上げたとおり、昨年の臨時国会で成立をしました建築士法の改正では、建築士試験の見直しや建築士に対する講習制度の義務づけ、構造及び設備の一級建築士制度の創設が盛り込まれ、昨日の参考人質疑においでいただいた建築士制度小委員会の村上委員長のもとで議論が開始されたとお伺いをしております。
この点について、今後の方向性について国土交通省の見解をお伺いするとともに、建築士の業務報酬基準の見直しや工事監理、ガイドラインの作成等の検討状況についてお伺いをいたします。
○榊政府参考人 昨年十二月二十日に公布されました建築士法等の一部を改正する法律の施行に向けまして、政省令に規定される事項を含む具体的な制度設計につきまして専門的な検討を行うために、社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会に建築士制度小委員会それから業務報酬基準・工事監理小委員会を設置いたしております。
建築士制度小委員会では、建築士試験の受験資格の見直し、それから建築士に対する定期講習、管理建築士講習、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士に対する講習といったような形で、受験資格と講習のあり方について議論をいただいております。それから、業務報酬基準・工事監理小委員会では、業務報酬基準の見直しと工事監理のガイドラインの作成といったような形で、工事監理の適正化の方策について議論をいただいております。
いずれの小委員会も本年中に結論を取りまとめていただきたいというふうに思っておりまして、これを踏まえて、政省令なり告示の改正作業を行いまして、公布より二年以内、すなわち平成二十年十二月までにされます改正法の施行に向けて準備を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○伊藤(渉)委員 では、本題の今回の法律案について入っていきたいと思います。
今回のこの法案、建設業者と宅建業者に対し、瑕疵担保責任の履行の確保のために供託または保険による資力確保という新たな規則を設けようとしているところでございますけれども、消費者保護はもとより、業界の信頼性の向上にも大いに資するものと考えております。
一方で、先ほどもこの質問はありましたが、改めてお伺いしますが、保険に入る業者はおよそ中小企業でございます。業者にとって大きな負担になる可能性は否めないと思いますし、この保険料をやはり購入価格に転嫁せざるを得ない、きのうの参考人質疑でもお伺いをしましたが、私はそのように考えるわけですけれども、制度設計の段階ではどのようにお考えであったか、御答弁をお願いいたします。
○榊政府参考人 瑕疵担保責任の履行を確保するための負担ということでございますが、供託金の場合は自己資本から積み立てるという形になりますので、別でございます。
保険についてどうかというお尋ねかと思いますが、基本的には、自己責任の中で吸収するという方もおられれば、どうしようかと今迷っておるという方もおられるということでございますので、市場における競争なり消費者による理解等を勘案して適切な対応がなされるというふうに考えておりますし、実は、消費者の意識調査結果からも、安心を得るための一定の負担は理解が得られるというふうに考えておるところでございます。
それから、売り主の資力の確保を義務づけることによりまして、国民が安心して住宅を取得できるようになることが、結果として円滑な住宅の供給に資するというふうに考えておりますし、中小業者の方からは、むしろ保険でもって大手のブランドに対して対抗していくんだ、こういったようなお話も聞いているところでございます。
現在でも、中小事業者の保険料負担につきまして、中小業者による保険加入の促進を図るための基金制度を設けておりますので、ここで中小業者の割引をやるということと、一定の品質管理体制なり現場管理体制を有する団体の会員につきましては団体割引、こういったようなことがございまして、先ほど大臣政務官の方からも御答弁させていただきましたが、大体八万円が四万円程度にまで割引できる、こういうふうな状態になっております。
具体の保険料の設定に当たっては、こういったような制度なり割引制度を引き続き活用、充実させていきたいというふうに思っているところでございます。
○伊藤(渉)委員 通告をちょっと一つ飛ばさせていただいて質問します。
本法律が適用されるのは、本法施行後に引き渡しされた物件からということになっております。新法の施行は公布後二年六カ月以内ということですので、最長二〇〇九年半ばということになりますが、これ以降に引き渡された物件でないと遡及をされないわけでございます。つまり、極論を言えば、本法施行日の前日と施行後で引き渡しをされた物件では、たった一日ですけれども、大きな差が出てくる。これは法律等の仕組み上、仕方がないことだと思いますので、消費者保護という観点からは国土交通省としても大いに周知をしていく必要があると思いますが、この点の取り組みについて御答弁をお願いします。
○榊政府参考人 御指摘のように、実は、この法案の施行が公布後二年六カ月以内というふうになっております。保険法人の指定とか業務についての規定が、今現在、全く法人が法制度上ないという前提でかかっておりますので、保険法人の指定関係は公布後一年以内に実施するという形にいたしております。したがって、保険法人が一年でできてから、そのときに例えば着工すると、大規模マンションですと約一年半近くかかるというようなことも考慮いたしまして、一年プラス一年半で、二年半ぐらいをめどになら確実に施行できるというようなことで、公布後二年六カ月以内といったような施行日という形になっております。
このような義務規定の存しなかったときの引き渡しの新築住宅についてまで遡及はできないということでございますので、御指摘のように、いずれも施行後に引き渡しのなされたものが対象となるということでございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、保険法人は公布後一年以内には施行するという形になっていますので、今から一年後には保険法人は指定しているという状況でございますので、資力確保の義務づけがなされた後に引き渡されることを見込んだ任意の保険は、実は可能な法体系にはしてあるということでございます。
いずれにしましても、こういったような情報提供を進めることが極めて大切だというふうに考えておりますので、しっかりとした対応をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
先ほど申し上げました、資力確保の義務づけの対象となる時期が二年半先だよということとか、一年後からは任意の保険が可能にはなっていますねというようなことも含めまして、供給業者ではもちろんのこと、消費者に対しても、本案に基づく制度内容や施行時期についてきっちりとした周知をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
また少し通告を一つ飛ばしでいきますが、次は、保険の内容ということでちょっとお伺いをいたします。
住宅建設、また販売業者、さまざまあるわけで、優良な業者といわばそうでない業者、こういったものについて保険料率に差を設けていこうというような想定をされているのかどうか。
また、それらの保険料設定は、業者の優良性あるいは安全性、つまり格付に近いものになり得ると考えております。それらについて、もしそういうことになっていくのであれば、買い主が十分その点を判断できるような情報の公開が必要だと思いますけれども、この点についてのお考えを、御答弁をお願いいたします。
○榊政府参考人 基本的に、瑕疵担保保険の保険料自体は各保険法人がそれぞれ決定するということになろうかと思っております。事業者に品質向上の努力を促し、またモラルハザードの防止をする等の観点から、優良な業者については保険料の引き下げ、それから事故を起こした業者については料率の上乗せといったような措置が重要だというふうに考えておりまして、こうした措置の結果として、買い主が売り主に対しまして保険料の水準を照会するといったことによりまして業者選択の参考とすることが可能になるのではないかと思っております。
実際の保険料設定では、瑕疵の発生確率なり損害率といったものと、検査手数料や事務手数料といったようなものを勘案して決めていくということでございますので、個々の業者の保険料設定についても、過去の当該業者の保険金支払いの実績も踏まえた設定という形にならざるを得ないと思っております。
現在も、住宅保証機構が提供しております住宅性能保証制度でございますけれども、各業者の過去の損害率に応じて保険料の割り増し、割引というのを行っておりますので、こういったような仕組みを通じまして、結果として、むしろ不良業者の排除なり優良業者の育成が図られることになるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
保険業界ですけれども、別の業界で保険金の不払いということが問題になっております。今回の住宅瑕疵担保責任保険法人、このような問題が起きないようしっかり国土交通省としては監督をしていかなければいけないわけですけれども、消費者保護という観点から、こうした監督をきちっと達成していくために、保険法人を指定する立場からどのように監督していこうとされているか、この辺の考え方についても御答弁をお願い申し上げます。
○榊政府参考人 今回の住宅瑕疵担保責任保険法人でございますけれども、瑕疵担保責任期間が十年ということでございますので、十年以上にわたって有効な保険を長期的、安定的に取り扱う法人であるべきだろうと思っております。
したがいまして、検査体制なり査定体制が保険業務を的確に実施することが可能なものになっているかどうか、それから保険業務を的確に実施するために必要な財産的基礎を有しているかどうか、役員等の構成が保険業務の公平かつ適正な実施に支障を及ぼすおそれがないかといったような観点から、十分な審査を行っていこうと思っているところでございます。
さらに、保険引き受けや保険金支払いに関しても、適切な保険料の徴収、適正な保険金の査定等が行われているかどうかについて、適宜報告を求めたり、立入検査を行うなどいたしまして、しっかりとした監督をいたしたいというふうに思っているところでございます。
○伊藤(渉)委員 次に、紛争処理のことについて確認をさせていただきます。
保険つき住宅については、売り主と買い主との間に瑕疵をめぐる紛争が起きた場合は、これを迅速、的確に解決することが当然重要になってきます。この法律では、指定住宅紛争処理機関による紛争解決のための制度が設けられておりまして、弁護士会がその役割を担うこととなっているわけでございます。
これも、消費者保護の観点からいえば、紛争処理に際して、被害者であるはずの買い主に過度の負担がのしかかるようではなかなか困るわけでございまして、そのために、紛争処理に必要な買い主の負担を軽減するような仕組み、これはどのようになっているのか。この点についても御答弁をお願いいたします。
○榊政府参考人 指定紛争処理機関の紛争処理に要する費用は、原則として、紛争処理支援センターからの助成金と申請者からの申請手数料で賄われるということにいたしております。
この住宅紛争処理支援センターからの助成金でございますけれども、これは指定保険法人からの負担金によって賄われるということにいたしております。実は、現在行っております住宅性能表示制度では戸当たり四千円をいただいております。指定保険法人が保険を引き受けた住宅の戸数に応じて、四千円掛ける戸数という形が今現在でございますので、恐らく同じような形で運用されていくのではないかと思っております。
それから、申請者が負担する費用ですが、原則として申請手数料のみを予定いたしておりまして、現在これが一万円という形で任意の保険の場合運用されておりますので、こういったようなことを考えれば、申請手数料につきましても同程度になるということを想定といいますか考えておるところでございまして、買い主に過度に重い負担が生じないようにしたいというふうに考えておるところでございます。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
最後に、大臣にお伺いをいたします。
一連の構造計算書偽装問題以降、国民は住宅購入に不安を感じてきたわけでございますけれども、国民が安心して住宅を購入し生活できるよう、この第三弾目の本法案を初めとして、ここまでの法律改正も含めて諸制度を正確に運用していくことが何よりも重要であると考えますけれども、この点について、大臣の御決意をお伺いいたします。
○冬柴国務大臣 委員が今おっしゃったとおりでございまして、三つの制度改正等を行い、消費者保護に万全を期し、高い買い物、そういうものが、事件に巻き込まれて二重ローンを負担するというような悲惨なことが二度と起こらないように我々はやっていかなければならない。そのためには、この法を制定した、改正したというだけではなしに、これをしっかりとその立法の趣旨に従って確実に監視しながら実行していくということが必要だと思います。
今後、国民が安心して住宅を購入していただけるように、国土交通省挙げて努力をしてまいります。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○塩谷委員長 長安豊君。
○長安委員 長安豊でございます。
本日は、先ほど来議論となっております特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案につきまして、御質疑させていただきたいと思うわけでございます。
一昨年、耐震強度偽装により多くの国民の方が不安に陥れられた、この問題を解決するために昨年来、法改正に取り組んできたわけでございます。建築基準法、建築士法、また今回の特定住宅瑕疵担保責任の確保ということで、一応結論を得るわけでございます。時間がかかったわけでありますけれども、何とか国民の皆様には一定程度の安心を取り戻していただくことができたのではないかなと思っておる次第でございます。
一方で、先般、ゴールデンウイークには、大阪のエキスポランドであのようなジェットコースターの事故というものがございました。これも、これから夏休みに向けて多くの皆さんが不安に感じられることでございます。きょうは、後段においてそういったことに関しましても御質疑させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、現在の住宅市場を見ておりますと、都心の中では高価な物件が人気を博して、募集をしたらすぐ埋まるというような状況に入っております。一方で、郊外を見てみますと、まだまだ厳しい状況にある中小の事業者さんを初め、住宅を供給してもなかなか売れないという現状があるのも事実です。これはやはり、先ほども申し上げました一昨年の耐震強度偽装の問題があってから、購入者の皆さんも厳しい目で住宅を選ぶという状況になっているのも一つ足かせになっているのではないかと私は感じておるわけでございます。
また、さらには、今申し上げました多くの中小の事業者の方々というのは、依然、財務体質も脆弱で、厳しい経営状態にあるというのも現状であります。そういう意味で、今回、この法律によりまして、保険あるいは供託というものが導入される、義務づけられるわけでございますけれども、当然新たなコストが発生するわけでございます。このコストを本来であれば売り主が負担するというのがそもそもの筋であります。なぜならば、売り主が責任を負う瑕疵担保を補うものであるからということであります。にもかかわらず、先ほど来の議論を聞いておりますと、間違いなく消費者、買い主の方にこのコストが転嫁されるのではないかということが考えられるわけでございます。
安易にこういったコストを住宅の取得者、買い主に転嫁することは筋違いと私は考えるわけでありますけれども、その点について御意見をお伺いしたいと思う次第でございます。
○榊政府参考人 売り主の瑕疵担保責任の履行の確保のための負担ということでございますので、売り主が負担するのが原則でございますが、その費用をどうやって調達するかということについては、個々の売り主が判断をして、いわば原価計算の中に入れていくのか、経費といいますか、今までの販売促進費の中の一部として観念するかということかと思っております。いずれにしても、市場における競争なり消費者による理解を勘案しながら適切な対応が図られていくんだろうというふうに私どもは思っております。
そういった意味で申し上げますと、姉歯事件の当時の消費者の意識調査結果から見れば、安心を得るための一定の負担はやむを得ないというような意識調査もございます。私ども何も転嫁を前提として議論しているわけではなくて、売り主負担が原則でありますが、その負担がみずからの経費の中で吸収されるか、もしくは原価計算という形で構成して消費者の方に幾らか負担してもらうか、こういったような経営判断そのものの話になりますので、業者の方でその辺は的確に判断していくということと、逆に言うと、消費者の方から見て、どういうふうなことになっているんだろうというのを見ていくのではないかというふうに思っているところでございます。
いずれにしても、消費者に対して、本法案の施行後に引き渡されます新築住宅につきまして、保証金の供託なり保険契約がなされるということが一番重要でございますので、こういったことをしっかり周知していきたいというふうに思っているところでございます。
○長安委員 おっしゃるとおり、経営判断でございます。しかしながら、そもそも論、やはり瑕疵担保の責任というのは基本的に売り主にあるんだから、売り主が負担すべきものなんだよということはしっかりと徹底する必要があるのかなという気がいたします。
確かに、この委員会の審議をしっかり聞いていれば、そういうことだなと業者の方々も理解していただけるんでしょうけれども、法律が施行されれば、ああ、保険を掛けたらええだけやなという印象になるのではないかなと。そうなったときに、では費用をだれが負担するのか。うちの会社が負担するのか、お客さんに負担させるのかという判断になってくると、今局長がおっしゃったように、大きな意味での判断というのがなかなかできなくなってくるのではないかなという気がいたします。
例えば、局長、飲食店でクレジットカードで飲み食いをされたことがあるかと思います。そもそも、例えば一万円の買い物をする、一万円の飲み食いをしたときに、クレジットカードで一万円払うといって一万円払えば問題ないんですけれども、一部の、悪質なとまで言ったら厳しいのかもしれませんけれども、カードなら一〇%高くなるんですよなんて言われた御経験があるかと思うんですね。あれは恐らく、加盟店とカードの発行会社がカードの手数料分を上乗せしちゃいけないよというあくまでも契約を結んでいるはずなんですが、にもかかわらず、一部の加盟店さんは、自分のところの売り上げがカード会社に持っていかれるというような認識でオンしてくるという現状がございます。
それを考えたときに、やはりこの瑕疵担保の保険料というものも買い主に転嫁されないということが、私は、何かしらのルールづくりが必要かなと思っております。もちろん今回議論しているような法律に書くべきことでは当然ないと思います。そういった意味では、業界の自主ルール的なもので定めていくべきではないかなと私は思っております。ただ、自主ルールを定めろということを国土交通省が挙げて業界に対して働きかけていくということは私は必要ではないかなと思っておりますので、その点ぜひ取り組んでいただければと要望させていただきます。
次に、中小企業の住宅販売会社といいますか、住宅事業者への影響について御質問させていただきます。
大手企業にとってみれば、恐らく供託あるいは保険というものは吸収可能なものだと思うわけでございます。昨日の参考人質疑におきましても、転嫁することなくしっかりと吸収していきたいというような御意見も出ておりました。一方で、中小企業について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、郊外においては価格競争が激化しております。また、さらには、中小企業特有の財務体質が弱いという現状もございます。
この供託、保険の義務づけというものが住宅市場から中小企業を締め出してしまうということになっては元も子もない話になってしまうのではないかと思っておるわけでありますけれども、中小の事業者の方にもこの制度を円滑に利用していただくためにどのような支援メニューを考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○榊政府参考人 実は、制度を創設するときから、私ども、この中小事業者についての議論が一番重要かなというふうに思っていたところでございます。
中小業者の団体の方からは、むしろ保険で大手と対等に戦えるようになるので保険はぜひ創設をしてほしい、ただし条件があるんだと。それは、今やっておられる任意の保証制度でやっている、実は保険料を二段階で割り引いていただいています、この二段階の仕組みをぜひ継続してほしい、そういったようなことがございまして、私どもとしても、そういったような優良な中小業者、特に地場業者の育成というようなことも考えますと、そういったことがぜひ必要だろうというようなことを考えて、それならこの制度創設に当たってそういった配慮を、今現在やっているような配慮は原則として残そうというふうに考えているところでございます。
現在やっておりますのは、財団法人住宅保証機構によりまして、中小業者についての保険加入促進という観点から基金制度を設けておりまして、それで約一五%カットをいたしております。それから、団体割引と申しているんですが、一定の品質管理体制なり現場管理体制を有する団体の会員につきまして、団体を通じて申し込みをするということになりますと、団体の方でいわば現場管理体制のチェックができているということでございますので、検査の効率化なり事務の省力化が図られるということで、ここで実は四〇%の割引を実施しております。結果として、通常八万三千円のものが四万円程度という形になっておりますので、こういったような各種の割引制度を引き続き活用、充実していきたいというふうに思っているところでございます。
○長安委員 今御説明ございましたように、基金の制度、従来の制度というものを残してほしいという中小企業の皆さんの声があるというお話でございます。まさに、中小企業の皆さんにとっては保険料が半額ぐらいになるわけでありますから、当然これは重要な制度だと思っておるわけであります。
一方で、民間の保険法人も今回乗り出してくるわけでありますから、そういったところがどういった料率設定、保険料設定をしてくるのかなというのは、ちょっとまだ具体的に制度が立ち上がったわけではございませんので見えてこないわけでありますけれども、これは引き続き、逆に注視していく必要があるかなと私は思っております。
さて、今局長の御答弁の中から、優良な業者というお言葉がございました。やはりこれからの住宅の供給ということを考えたときには、このマーケットをいかに成熟したものにしていくかということが当然重要であります。住宅のマーケットを成熟したものにする、つまり、悪質な業者は締め出していく、一方で優良な業者の方々は伸張できるような環境を整えるということが重要であります。
そういう意味で、今回の制度という観点から、まず、悪質な業者がこの基金や保険というものを隠れみのにするようなことにして消費者に不利益を与えるような事態をどのように防ぐのかということを御答弁いただきたいと思います。
○榊政府参考人 この制度創設に当たって、モラルハザードを生じないようにということが常に頭にあったわけでございます。
本法案における保険法人でございますけれども、保険業務と検査業務を一体として行う者を指定するということでございます。保険法人は、引き受けに当たりまして、建築に関して高度な知識を有する者によって現場検査を行うということにいたしておりまして、これによって、明らかに悪意に基づく建築行為は排除されるというふうに考えています。
それで、供託もしくは保険がなければ請負も販売もしてはいけないということになりますので、こういうところで検査でひっかかるようなところについては保険引き受けが行われない、保険引き受けが行われないと請負も販売もできない、こういったような形で、入り口といいますか、保険を受けるか受けないかというベースで悪質な業者の排除ができるのではないかというふうに思っております。
それから、それでも保険を引き受けちゃったというようなことがありますので、そういった場合には縮小てん補率を設定いたしまして、売り主が一定の割合を自己負担、一割なり二割は自己負担ですよと。全く善意無過失で瑕疵が起きているわけじゃないと思いますので、過失において出てきた部分はある程度負担していただくというようなことで、縮小てん補率みたいなものを設定したいということがございます。
したがって、そういうような方が何度もそういう事故を起こしたということになりますと、事故の多い業者の方には保険料の割り増し、先ほど申し上げました優良な方については保険料を割り引く、こういったような形で差をつけていくということが必要ではないかと思っております。
さらに、故意、重過失による瑕疵については、先ほども御答弁申し上げましたが、倒産していないというふうな場合は原則保険金は支払わない。ところが、業者が逃げ回っている、どうしても話し合いがつかないといったような場合には、例えば裁判所で確定判決を受けていただければこちらで支払います、こういったような仕組みにせざるを得ないというふうに思っているところでございます。
さらに加えまして、瑕疵担保責任を履行せずに買い主に損害を与えた売り主については、建設業法なり宅建業法に基づく処分もやっていくといったようなことで、保険引き受けの入り口から引き受けた後の差別の仕方というようなことも含めて、悪質な業者の排除をやっていきたいというふうに思っているところでございます。
○長安委員 この制度を導入することによりまして、今、悪質な業者をいかに排除していくかというお話がございましたけれども、選別していくかということでありましょうが、一方で、優良な事業者にとりましてはメリットを享受できるはずであると私は考えておりますけれども、この点いかがでしょうか。
○榊政府参考人 そういった意味で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、保険料率が割引できるというようなことでございますし、地場の中小業者の方にとってみると、保険料がこんなに安く私どもやっているんですよというようなことを逆に宣伝することによって、ブランドのある大手業者に対しても十分対抗できるような仕組みとして運用できるのではないかというふうに思っているところでございます。
○長安委員 今の局長の御答弁、まさにそのとおりだと思いますけれども、うちはこれだけ保険料を安く売っているんだよというぐらい明確に請求書に載っていたら逆に問題になるのでおかしいですからね。それであれば、やはりまた新たな、みずからの会社の信用度というか事故率というものがある程度開示できるような仕組みにしないといけないかなと私は考えております。それはちょっと後段で質問をさせていただきたいと思います。
一方で、ここまでは一応、供託と保険というものを一からげと申しますか、一緒に質問させていただいたわけでありますけれども、供託と保険というものの役割の違いについて御質問をさせていただきたいと思います。
基本的には、供託と保険というものは業者の皆さんが自由に選択できるという制度でございます。こういった制度でありますけれども、次の三つの観点から御答弁賜りたいと思っております。
まず、事業者のコスト負担の態様です。要は、供託の場合はどうだ、保険の場合はキャッシュが出ていくのがどうだというような具体的なお話をいただきたいのと、品質管理機能、これは先ほどもちょっとお話がございましたけれども、明確に品質管理機能の部分。あと、買い主の方々が、もし瑕疵があった場合の請求の方法、紛争の解決の仕方等につきまして、御答弁賜りたいと思います。
〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕
○榊政府参考人 委員御指摘のように、供託と保険というのは、業者のみずからの資力確保方策という形で選択をしていくということでございます。
供託の場合は、みずからの資力で、供給戸数をもとに算定する供託金を支払うということに必要な資金的な能力が求められるということと、品質管理を自助努力でやっていく必要があるということでございます。
コスト負担の態様という意味では、保険の場合は保険料は掛け捨てという形になりますし、供託の場合は積み立てた供託金が十年間凍結されるということでございますので、いわば自分の資産を思うように使えないという部分等、利害得失があるのかなと。
それから、品質管理という意味では、先ほど来、保険の場合には検査が別途あって、その検査がないと引き受けられないということになりますので、検査が入りますが、供託の場合は、基本的な原則に戻って売り主の自己責任の貫徹ということでございますので、どちらかというと供託の場合は、私は自分で直せる業者なんです、ではそのあかしを見せてください、だからこれだけのお金を供託して積んでいますよといって見せているわけですから、いわば自分が自分で責任をとれる体制だということを消費者に対してアピールしているわけでございますので、それに対応した自己責任としての品質管理が必要ではないかというふうに思っておるところでございます。
それから、請求なり紛争の問題でございますけれども、そういった形で申しますれば、供託の場合は自己責任の追求という形になりますので、基本的には売り主と買い主さんが協議をしていただいて、売り主の瑕疵担保責任の履行という形で実施をしていただく。それがどうしても話がつかないということになりますと、確定判決なり公正証書なりというようなものをつくっていただいて、それに基づいて支払うということになると思います。それに対して、保険の場合には、ADR装置といいますか、そちらを今回の法案に位置づけておりますので、紛争処理機関で簡易迅速な紛争処理が図られる、こういったような利害得失があろうかと思います。
○長安委員 ありがとうございます。
品質管理のところに関しましては、恐らく、今お話がございましたように、自分でお金を積んでいるんだから品質を上げようというインセンティブが働くであろうというお話でございました。さらには、今回の制度で考えますと、保険の場合ですと検査が行われる。そういう意味では、当然、保険の商品についても、検査が行われているという意味では品質が確保されていくのかなという気がいたします。
ただ一方、問題点としてぜひここで問題意識をお持ちいただきたいのは、供託の場合、もちろん自身の供託を積んでいるから品質が上がるというような考えもありますけれども、一方で、アメリカ等の現状を見てみますと、供託という制度はありません、すべて保険でいっているわけであります。なぜ今回の供託という制度が導入されたのか。
当初は、私も新聞報道で見ておりましたけれども、保険でいくのかなという認識を持っておりました。それが、ある時期から供託という話も浮かび上がってきたわけでありますけれども、この点、局長、御答弁賜れますか。
○榊政府参考人 委員御指摘のように、この法案を検討する当初の段階で、まず、保険の仕組みを導入してはどうかということがございまして、それを中心に検討を進めてきたところでございます。
ただ、今回の中身が性格として、売り主の瑕疵担保責任を貫徹するという前提に立ちますと、売り主の瑕疵担保責任を貫徹した上で消費者に迷惑をかけないんだということであれば、いわば自己保険といいますか、ある業者の方が、私は確実に自分の売り主としての瑕疵担保責任を履行できるだけの資力もあるし意思もあるんだというような形で、供託金を消費者に対して見せていただくということであれば、それがいわば法制度としては、売り主の瑕疵担保責任を徹底化されたような形ではないか。
だけれども、それがとれないような方々もいる。特に宅建業者というのは、どちらかというと、ストックをつくってはいるんですが、ストックを売ってはという意味で、フロー産業なんですね。したがって、例えば中小の方が自己資本をたくさん持っておられるというわけではありませんので、そういった方について、いわゆる供託というのを義務づけるのはいかがなものかと。そういった場合には保険を掛けていただいて、その保険を掛けたら掛けた分だけ供託する必要性はないんだよ、もちろん供託金はゼロでも構いません、こういったような形の制度構成にしたわけでございます。
いずれにしろ、売り主等から見て、資力確保の義務づけがどちらでも選択できる、もしくは併存、両方とってもいいというような仕組みになりますので、売り主等にとってみれば選択性があっていいのかなというふうに思っているところです。
○長安委員 では具体的に、どういった事業者がどういった理由で供託あるいは保険というものを選んでくると今の段階では予想されておられますでしょうか。
○榊政府参考人 どちらを選択するかというのは、選択の話でございますので、あくまで各事業者の判断であると思いますが、供託の場合には、いわば供託金を十年間固定させるということでございますので、自分の経営判断としてそれでいいかどうかということと、損害が十年間発生しなければ、その供託金は取り戻すかもしくは十一年目の供託金という形でそのまま置いておけばいいというのに対して、保険料は毎年毎年掛け捨てになるということでございますので、こういったところでの経営判断になっていくのかなというふうに思います。
ただ、そういった意味で、一年間に数戸売っているような方々と、一年間に千戸、二千戸売っているような方とは、経営判断が相当違ってくるのかなと。例えば、一年間千戸ですと、十年間でいうと一万戸という形になりますので、供託金も相当な額にはなると思いますけれども、ある意味で、そういった中から、財務的に余裕資金のある企業が供託を選択していくのではないかというふうに思っているところでございます。
○長安委員 ありがとうございます。
ただ、今のお話をお伺いしますと、当然、供託の場合は、資金をとめおく、資金がアップフロントでかかってくるということですね、もちろんそれは返ってくるわけですけれども。一方で、保険の場合は、キャッシュが出ていく、キャッシュフローが間々悪くなるということはもう明らかであります。
ただ、そもそもこの法律自体、何のためにやっているのかということなんですね。売り主のための法律ではなくて、買い主のための法律だと思います。
今申し上げました保険の場合の瑕疵があった場合というのは、恐らく買い主さんは売り主さんに、ここはおかしいじゃないかということで修理あるいは費用というものを請求される。売り主さんからすると、当然、もう保険料は払っていますから、求償を求めて、そのお金で補修をするあるいはお金を支払うという形ですんなりいくかと思うんですね。
一方で、供託の場合は、買い主さんが売り主に対して、これは瑕疵じゃないか、直してくれと言ったときに、要は、保険の求償という裏づけがなければ、その時点で初めて売り主の方のコストとして発生するわけでございます。そういう意味では、売り主側からすると、なかなか瑕疵というものを認めたがらなくなるのではないかと私は危惧するわけであります。
先ほど、確かに供託の場合でも、確定判決があれば、あるいは公正証書があればというお話でございます。ただ、一民間人が裁判をして確定判決をとってというのは、これは手間のかかることであると同時に、恐らく供託をされる業者さんというのは法人で、そこそこの規模であると考えられる。それを考えたときに、当然会社の専門の顧問弁護士がいて、一方で、片や相手は弱い立場の民間人、おまけに瑕疵というものを立証しないといけない、立証責任まで負わされるというのはなかなか厳しいのではないかという気がするわけであります。
ちょっと話が長くなりましたけれども、今申し上げた、供託をなぜ追加したのかというところが私はいまだ理解ができないわけでございます。アメリカでは保険だけで何も問題なくいっている。どうして日本は供託という制度がないとうまくいかないのか。
これから制度を導入しようとしたときに、普通であれば、アメリカでうまくいっている制度は何だろうというのをまず役所としては勉強されたはずです。当然、アメリカの制度をまねてつくってみよう、それでやってみよう、ああ、やはり足りないなというものがあって、供託を新たに追加するというのなら理解はできるんですけれども、当初から、アメリカでうまくいっている制度があるにもかかわらず、最初からそれに供託というものを付加した形で制度設計したというのにはちょっと疑問を感じるところがあるんですけれども、その点、局長の御意見はいかがでしょうか。
○榊政府参考人 再度の答弁になってしまうかもしれませんが、今回の法案でございますけれども、従前と異なる点は、百三十万戸の新築住宅について、保険なり供託がなければ売っちゃいけない、建てちゃいけないという、いわばある意味で、すさまじい義務づけの制度なわけです。その制度をいかにうまく軟着陸させるかという意味でいえば、消費者の理解もそれから売り主側の理解も必要だというふうに私どもは考えているところでございます。
そういった意味で申し上げますと、例えば、地域で中小の方で頑張っておられる方がいて、資産もあるという方であれば、そういう方はひょっとしたら供託を望むかもしれません。それから、大手の方で、おれは震災にも強いハウスメーカーなんだ、もう信頼を得ているんだから瑕疵担保については絶対の自信がある、そうおっしゃるなら、それについてのお金をちゃんと見せてくださいというような形で担保されるというケースもあるだろう。それから、普通の場合は保険という形になっていくのではないかな、こういうふうに私どもは考えます。
そういった意味で、売り主側から見れば選択ということではございますけれども、今回、新築に対する義務づけということでございますので、そういったことを考慮いたしまして、いずれの売り主も義務づけを乗り越えられるような制度として構成したということでございます。
○長安委員 局長からの今の御説明でございますが、この制度を見てみますと、供託するのは大企業になるかと思います。保険を掛けてくるのは中小の事業者さんという流れが恐らくできるでしょう。この法案の制定過程で大企業の方々からさまざまな御要望があったということは推察されます。それはやむを得ないことだと思うわけでありますけれども、一方で、私もみずからの家を、約七年前、建てたわけでございます、現在も重い住宅ローンを背負ってここで質疑をさせていただいておるわけでありますけれども、それを見ますと、大手の住宅メーカーというのは中間検査等はみずからでやっている。要は、保険を掛けてしまうとよその検査というものが入ってくるということを実は嫌がっているんじゃないのかなという気もいたします。その辺の問題がある。
しかしながら、私が申し上げたいのは、だから大手がだめだと申し上げているわけではなくて、大手は以前から独自に、このような保険や供託がなくても、一方で独自に十年保証、二十年保証、構造部分については三十年というところもあったんじゃないですか、そういったことをやっているところもある。それは、独自で品質管理をして、うちはこれだけ保証するんですよとやっているわけでありますから、私は許されるのではないかと思うわけです。
そういった現状を踏まえたときに、この制度を導入したから終わりではなくて、供託と保険というもの、二つを設定したわけでありますから、それぞれにおいて瑕疵の発生、あるいは求償というものがすんなりいっているのか、また紛争はどちらが多いのか等も含めて、しっかりと国土交通省の方でチェック、監視していく必要があるのではないかなと私は思っております。これは御答弁は結構です。
供託と保険というものがセットで導入されて、今言いましたように、事業者さんの方で自由に選択する。一方で、先ほど局長の方から、うちの会社は供託を積んでいるから大丈夫なんですよと例えば消費者さんに説明されるというお話がありましたけれども、一般の消費者の方からすると、供託なんという言葉も身近なものじゃないし、保険と言われた方が実はぴんとくるのではないのかなという私は個人的な見解があるわけであります。何か瑕疵が発生したときに、それを補修してもらう、あるいは求償していくという形になるかと思うんですけれども、その制度が消費者にとってはちょっとわかりにくいものになるのではないかなという危惧がしております。
この辺、そういった懸念がないのか、御答弁賜りたいと思います。
〔中野(正)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕
○榊政府参考人 昨年の基準法等の改正というような形で、実は宅建業法も建設業法の方も、保険契約の締結の有無の説明の義務づけということがなされているということでございますので、いずれにしろ、どちらの方式でいくかということは、契約の締結の際に、こういうふうになりますよということを説明することになります。それと、売り主の倒産時におきましても、最終的に保険金の支払い請求なり保証金の還付請求ができるんですよということも説明することになりますので、消費者側について、新築住宅の選択においてそんなに混乱は生じないのではないかというふうに考えておるところでございます。
○長安委員 局長の御答弁は、そんなに混乱しないだろうというお話でございます。当然、住宅の販売のときには重要事項説明の中に含まれてくるじゃないかというごもっともな答弁なわけでありますけれども、昨今の損保、生保の不払いというようなものを見てみると、では、国民のお一人お一人の方が裏の裏面約款の特約条項の小さいところまで読んでいるか、説明を受けたことを理解しているかというと、なかなか難しいのが実情であります。それを考えると、ちょっと私は不安かなという気がいたします。
一方で、ちょっと視点を変えて御質問させていただきたいわけでありますけれども、私は、なぜ供託と保険という二本立てが複雑だと言うかというと、実は一本にしてしまえばさらなるメリットがあるんじゃないかという思いでおります。
要は、皆さんが保険に加入する、それによって、瑕疵の発生率というものが保険会社さんの中でデータが蓄積されていくと思います。それを例えば開示してやることによって、消費者の皆さんが住宅を買おうとしたときに、みずから選んだ業者さんは瑕疵の発生率はどれぐらいなんだ、全国レベルで、地域レベルでどれぐらいの順位に位置しているのかという判断ができる。
まさに、よく言われる、あの耐震強度偽装のときにも、一部の方からは自己責任という言葉も叫ばれたわけであります。ただ、自己責任ということを叫ぶ場合には、やはり自己責任を発揮できるだけの情報がないといけないと私は考えます。そういう意味で、保険であれば当然できるからという思いでお話し申し上げたわけです。
一方で、今回、恐らく大半は、保険に加入されるという中小業者さんは多く発生するわけです。こういった業者さんの瑕疵の発生率、あるいは事故率という言い方がいいのかわかりませんけれども、そういったデータを開示するというような方向に業界を指導していくということについては、御意見、御所見、いかがでしょうか。
○榊政府参考人 事故発生率データにつきましては、主として保険で活用状況を踏まえて蓄積していくことが重要だなというふうに考えているんですが、それぞれの業者の事故発生情報を開示するというのは、若干、個人情報保護みたいな観点からすると、なかなか議論があるなというふうに考えております。
ただ、事故発生実績の多い業者と少ない業者では保険料の割り増しなり割引を行う、こういう実態になっているものですから、こうした情報をむしろ業者の方から、私は実は、あなたには負担を求めないけれどもこんな安い保険料で設定をやっていただいていますよということが、信頼できる業者としてみずからをコマーシャルというか宣伝しているということにもなると思いますので、そういったような形で適切な判断がなされていくんだろうと思っております。
先ほど、供託の場合の事故データというところでございますけれども、まさに自己責任の貫徹する中に入ってしまっているところでしょうから、多分、紛争相談みたいなものも、行政側に入らずに、ほとんど自前の企業の中で処理されていっているんだと思います。むしろそうすることが、逆に言うと、彼らが信頼産業として生きていくためのすべだというふうに思われますので、自分みずからのささいな瑕疵で仮にそういうようなものが出てきた場合には、みずからの責任で対応していただくというようなことかなというふうに思っております。
○長安委員 こういうデータ開示というお話をしますと、個人情報保護というような御答弁を多々いただくわけでありますけれども、だからこそ、そうであれば、中小の事業者さんの方からも、情報開示をしていいかどうかというのを保険契約のときにマル・バツで選ばせればいいだけのはずですね。マルの業者さんに関しては公開するということをしていかないと。
今おっしゃったように、確かに業者さんによっては、うちはこれだけ保険料が安いんですよ、保険料率、例えば二千万円の家に対して、先ほど八万円というお話がございましたが、だから大体〇・四パーぐらいですか、保険料率が〇・四パーですと。でも、〇・四パーというものを一社がみずからのところで開示して、それを、たったと見せるのか。たった〇・四パーと思えば、購入者の方からすると、ここは立派なものをつくっているんだなと思われるでしょうし、こんなに高いのかと思われる方からすると、ここは信用が置けないなという、ある意味、比較の基準がないと。
恐らく局長はインターネットもされるでしょうけれども、これだけ情報化社会でございますので、電気製品一つ買うにしても、比較コムとか価格コムというような、比較できるようなサイトがあるわけですよ。それを、いやいや、それぞれが情報開示しているから消費者さんはわかるでしょうと言うと、余りにも、本来この法律の趣旨からいうと、消費者の方の視点に立って法改正しようよというのがそもそもの大前提だということを考えると、ちょっとそこは今後検討の余地があるのかなと思います。さらに省内においても検討していただきたいと思っておるところでございます。
この法律につきましては、最後に大臣から御答弁をお伺いしたいと思います。
先ほど申し上げました、一昨年の耐震強度偽装の発覚以来明らかになった課題に対しての取り組みの最後の区切りの法律でございます。これによって消費者の皆さんが安心して住宅を購入できる仕組みが整ったと大臣が胸を張っておっしゃることができるのか、御所見を賜りたいと思います。
○冬柴国務大臣 胸を張って国民に申し上げます。安心して買っていただきたい。そして、悲惨なことが起こらないように、我々はつくっていただいた法律を確実に運用するように努力をいたしますと胸を張って申し上げられると思います。
それから、先ほど来私聞いていたんですけれども、保険と供託、確かに二つの、世界にない制度ができるわけですけれども、供託の場合、やはり保険危険というのが、自分の会社はそういうものは絶対つくらない品質管理をやっているんだという人にとっては、そうでない業者と一緒に、保険危険というのは係数であらわれるわけですから、保険料を納めさせられるというのは酷だろうと思います。
供託というと、何か現金を供託所に積まなきゃならないような感じがしますけれども、それはそうじゃなしに、国債でも、認められる優良な有価証券でも積めるわけであって、その果実、配当は供託した人が受け取ることができるわけです。したがいまして、例えば大手で十年間、二十万を超えて三十万以下の人でも三十二億積めばいいわけで、大法人にとって有価証券を三十二億ほど持っているというのはざらにありますね。私は、そういうニーズにこたえようとしているものだと思います。
また、そういうような会社の中で、万一、躯体部分とか水漏れとか、だれが見ても明らかな瑕疵があった場合に、これを直さない、へ理屈を述べて直さないということは、通常私は考えられないと思います。
したがいまして、中小の企業にとって、そういう問題が起こった場合に保険の方でてん補するという制度は、そういう選択肢があるということは、私は非常に合理的な、よく考えた体系ではないかと思います。
要は、そういう事故が起こったときに、十年間ですから、倒産をするとか夜逃げするとかいうような人が、どういう会社で起こるのか。そういう場合にも、買った人は二重ローンに苦しめられるようなことはないということを我々はきっちりやっていかなきゃならないというふうに思っています。
○長安委員 ありがとうございました。
この法律ができて、国民の皆さんが、ああ、やっと住宅に関して耐震偽装の問題というのは一区切りなんだなという安心感をまず持っていただく。これはいたずらに危機感をあおるということでもいけませんし、逆に、だまして安心させるというのもいけないわけでありますけれども、とりあえずはこれでまた状況を見て、さらにこの法律も必要であればバージョンアップしていくということをまた考えていかなければいけないかなと私は思っております。
続きまして、ジェットコースターのお話、もう時間がございませんので、ここからはちょっと早口でさせていただきます。
先般、一般質疑におきまして、エキスポランドのジェットコースター事故に関しまして、私、御質疑させていただきました。私、偉そうに、国土交通省さんに対しまして、やはり現場の意見を聞いて、現場を見ないとだめですよと質疑の中で発言させていただいたわけでございましたので、その週末に早速、私みずから地元の遊園地を見に行ってまいりました。
実際、行ってみると、ジェットコースターの車軸の部品が分解されて、探傷試験をしている真っ最中でございました。私、やはり来てよかったなという印象でございます。現場の、実際検査されている方の生の声を聞いてみると、今までの問題点というのも浮き彫りになってまいりました。
先般の事故以来、国土交通省さんは、緊急点検ということで、同機種のジェットコースターについては十一日まで、それ以外のジェットコースターについては十八日までに報告せよということでございましたけれども、この結果と現状について御答弁賜りたいと思います。
〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
○榊政府参考人 点検の結果でございますが、事故を起こしたものと同種の四施設で、三施設が問題なし、一施設が点検中という形で報告を受けております。
その他のコースターでございますが、点検の対象となる施設が三百六施設ございまして、二百四十九施設が問題なし、七施設が問題ありという形になっておりまして、五十施設が点検中という報告を受けております。それから、問題ありとされました七つのうち、六施設については是正済みということで、一施設については部品の交換中ということでございます。
それから、車輪軸における探傷試験の実施状況でございますけれども、設置後一年未満の施設がございまして、それが九基ぐらいありますので、三百六から九を除くという形になりますが、一年以内に探傷試験を行っていない施設が実は百十九基、約四割に達しておりました。そのうち七十二施設、約二四%になりますが、これは実は、設置以降一度も探傷試験を行っていないということが判明をいたしました。大変憂慮すべき事態が明らかになったということで、さらにこうした是正について努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○長安委員 先般、あの一般質疑をさせていただくときに、私も国土交通省からいろいろ現状についてのお話を聞かせていただいたわけでございます。私もそうでしたけれども、恐らく国も、ほとんどのジェットコースターはちゃんとJISに基づいて点検されているんだ、今回のはたまたまのことが重なったんだという認識でおられたと思います。
しかしながら、この結果を見てみると、四割が探傷試験を一年以内にやっていない、そのうち一度もやっていないものというのは全体の二四パーですから四分の一ということを考えると、実は、このJIS基準でやるということは全然きっちりと現場には徹底されていなかったんだなということが明らかになったとこのデータは物語っていると私は読みます。
そういう意味では、このデータはあくまでもジェットコースターだけです。本来、遊戯施設は点検、報告をしなければならない、つまり、ジェットコースター以外の遊戯施設もしなければいけないわけです。
もう五月の下旬であります。この夏休みに遊園地に行って家族で楽しもうという方々が多くいらっしゃる。その方々が安心して遊園地で遊べるためには、それ以外の、ジェットコースター以外の遊戯施設についても至急、点検を、緊急点検というものを実施すべきであると私考えますけれども、大臣、御所見はいかがでしょうか。
○冬柴国務大臣 もう委員がおっしゃるとおりでございまして、本日にも、ジェットコースター以外の、例えば回転ブランコとか観覧車、それからローター、ずっと回りながら倒れたり、そういうようなもの、あるいは海賊船とか、いろいろあるんですが、そういうものにつきましても、特定行政庁を通じて、遊戯施設の所有者等に対して日本工業規格の検査標準に基づき緊急点検を実施するよう要請をいたします。
○長安委員 即断即決、ありがとうございます。やはりこの緊急点検は、まず、国民の皆さんに安心して乗り物、遊園地という、遊戯施設というものを利用してもらうためには、今しなければならないわけであります。
しかしながら、大臣、この問題、ぜひ考えていただきたい。この問題が発覚し、特定行政庁の管理監督というものが適切に機能していなかったということは明らかであります。事故後、特定行政庁から国への要望を、特定行政庁もするばかりで、遊戯施設の安全というものをみずからの問題なんだととらえる意識は少し足りないのではないか、希薄ではないかなという気が私いたします。ここはやはり、国が、国土交通省が指導力を発揮して、こういった点検の基準あるいは報告のあり方についてしっかりとしたものをまとめていくということが必要だと思います。
それで、私、現場で話を聞いて、現場で点検されている方、いろいろな声がございました。JISに基準はある、でも、その基準というもの、JISの検査方法というものが現場にそぐわないものも実際あるんですという声が出ていました。やはり実際の現場の点検をされている方々の声を入れる形でこれからの制度改正を見詰めていかなければならないと思います。それに取り組まずに、単に上層部だけで報告方法を決める、あるいは点検方法を決めるというやり方では、いつまでたっても今までと同じことが繰り返されるという危惧を私は持っておるわけであります。
そういった現場の声を吸い上げて、安全確保の施策に反映する取り組みに乗り出すべきと私は重く考えておるわけであります。大臣の御所見を最後にお伺いして質疑を終わらせていただきたいと思う次第でございます。
○冬柴国務大臣 楽しかるべき五月五日、こどもの日に悲惨な事故が起こりました。私は直ちに開いていただきたかったわけですが、十日、五日後には、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会、長い名前ですけれども、そうそうたる先生方に集まっていただきまして、この問題について、それまでの報告、資料、あるいは第一回を開いていただきました。
そこによって、今おっしゃったように、建築基準法で定められているところとJIS規格による探傷試験までのその必要性が、その位置づけが必ずしも明確ではなかったという反省を踏まえて、この探傷試験というものは、少なくともこういうものについて、建築基準法規の中ではっきりした位置づけをしようというふうな方向が一つ打ち出されました。
それから、検査の方法とか報告につきましても、現場へ行かれたらわかったと思うんですが、悪いところがあれば直してAになるわけです。したがって、出てくる報告書は全部Aになるわけですね。しかしながら、過去の経過とか、それを直したとかいう経緯が明らかにされていない。それからもう一つは、その報告書を出してから次の検査までの間に、経時変化によっていろいろなものが金属疲労を起こしたりするというようなものについても、そこが明らかになっていないというような、検査の方法、報告等について改善すべき点がある。それからもう一つは、その検査員の資質の問題でございます。
そういう問題を今真剣に検討していただきまして、わかりやすい、そして、どういうところでも探傷試験が行われなかったというようなことが今後起こらないように、きっちりしていきたいというふうに思っております。
○長安委員 今大臣がお話しされたとおりでございます。そのために、まず緊急点検を遊戯施設全般にわたってやっていく。これはやはり、今までの制度にある意味不明確な部分があったわけでございます。これが、例えば国土交通省が悪いとか特定行政庁が悪いとか現場の検査をされている方が足りなかったとか、そういう次元の話ではなくて、やはりこの三者が協力して、遊戯施設というものの安心、安全に対する信頼というものを取り戻そうということであります。
ぜひ、この緊急点検に関しても、国から出す緊急点検すべきことというのは、指導というよりも、ぜひ真摯に、国も現状足りなかった部分は理解しているよ、だからみんなで取り戻そう、安心を取り戻そうという意思表示をその中にしていただいた方が、現場の方々もそれはそうだと納得いただけるのではないかなと思います。
どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 三日月大造君。
○三日月委員 民主党の三日月大造です。
同僚議員に引き続き、私も本法案に対する質疑を行いたいと思います。
参議院先議でしたし、かつ衆議院でもこの午前中ずっといろいろな観点から質疑が行われてまいりましたので、問題点等、懸念事項等はもう大体出尽くしたのかなという感もありますが、とはいえ、出ていない観点や現状の確認をさせていただきます。
そもそも、この平成十七年十一月に発覚、発表されたこの問題は、背景、要因はどうであれ、ある心ない建築士が、倫理観なき建築士が、構造計算書を偽装、改ざんされて、本当はチェックをすべき、改善すべき機関でそれを見過ごされてしまって、まさかという事件が発生をしました。そのことによって、今もそうなんですけれども、多くの住民の方が退去を余儀なくされ、引っ越しせなあかん、二重のローンを抱えるということで、経済的、精神的な負担を強いられてしまっているということだと思うんです。
国会でも、建築基準法、建築士法の改正等で二度とこういうものが起こらないような対策について検討されて、実施もされてきています。
そもそも、こういう問題が起こったことは残念ですし、保険、供託、万が一の場合とはいえ、こういう制度をつくらなければいけない状況になったこの建築業界、建築行政、このあり方についても私は大変残念にも思います。
きのう、参考人質疑の中で、紛争処理やさまざまなものを設けるけれども、充実させるけれども、開店休業状態にあることを願っているという表現もありましたが、私もそう願う一員です。そのためには、今も鋭意取り組んでいただいていると思うんですが、そもそも問題の実態はどうなっているんだろうかということをきちんと調査することがまず前提にあると思います。
ある方が、余り調査し過ぎるとマンション業界がつぶれるというような趣旨の御発言をされた方もいるように承知をしておりますが、私は、何ちゅうこっちゃと、信じられないような思いでその発言を聞きましたし、この問題が発生して以降、国土交通省の住宅局の方もそうです、特定行政庁の職員の方もそうです、不眠不休の調査活動や、そして対策、検討に御尽力をいただきました。その御苦労を私は多としながら、また、まじめにやっている人たちは大変迷惑をこうむった事件でもありました。
こういう観点から、限られた時間、質問させていただきます。
まず、これは今なお日報という形で、構造計算書の偽装とその対応についてということで順次報告をいただいています。以前の委員会で、見にくいから見やすく変えてと言ったところ、ちょっと見やすくなりました。その点は改善を認めたいと思うんですが、先ほどの質疑にもありました、今なお調査中の案件がやはりあるんですね。また、このサンプル調査、今回の事件を受けたサンプル調査で四十件疑問があるという指摘がなされてもいます。このあたり、今の進まない調査の状況、今後の対応等についてどのようにお考えでしょうか。
○冬柴国務大臣 ちょっと細かい数字になりますが、既に御案内のとおり、姉歯元建築士の関与物件、それから姉歯物件に関係していた業者、例えば木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所等でございますが、それから浅沼元建築士関与物件につきましては、調査はすべて終わり、済みということで、その情勢が分析をされつつあります。
それ以外、残念ながらその後にもいろいろな問題が起こっております。
例えば、サムシング株式会社関与物件につきましては、四月三十日現在ですが、関与が把握された八百八十物件のうち、三百二十七物件は調査が済みましたけれども、五百五十三物件については依然としてまだ調査中でございます。
それから、田村水落設計関与物件でございますが、本日五月二十三日現在、調査対象物件二百二十八物件のうち二百十物件が調査が済みましたが、あと十八物件について調査を進めているところでございます。
それから、全国の既存分譲マンション三百八十九物件をサンプルとして抜き出して調査をいたしましたが、本日五月二十三日現在、二百八十物件が調査が済みましたが、百九物件が今なお調査中でございます。
いずれも、早期に調査を終了するよう関係特定行政庁にも要請しているところでございます。
これらの調査では、構造設計者や元請設計者それから建築主等からヒアリングを多数実施した上で、特定行政庁等において再計算も行い、また、必要に応じては、専門家の助言も求めながら法適合性及び偽装の有無について再検証を行っているところから、時間を要しているところでございます。ちなみに、京都の物件については、五十回というようないろいろな調査を重ねたところでございます。
国土交通省といたしましても、今年度から、各地方整備局に建築安全担当者三十名を増補いたしまして配置してフォローアップを強化するなど、調査の促進を図っているところでございますが、速やかに調査を進めるよう全力を挙げているところでございますし、最終報告が早急に出るように努力をしてまいります。
○三日月委員 これ以上偽装だとか問題があったり不整合があったりする物件がないことを願いつつ、私がいただいている五月二十一日現在の調査報告では、サムシング物件で五百五十五、今の大臣の御報告だと五百五十三に減った、また、田村水落設計は三十件だと伺っていたのが十八件、サンプル調査については百七十七件であったのが百九件だということで、この一カ月間でさらに確認をされ把握されて調査中の物件が減ってきていると承知をしております。
とはいえ、この福岡の五百五十三件というのは非常に多いように思います。このあたり、進まない状況はどこに問題があるんでしょうか。
○榊政府参考人 新聞報道でもございますように、サムシングが福岡を中心にやっていた設計業者ということもありまして、実は非常に数が多いということで五百幾つとなっているというのはありますが、中に、実は設計図書がもうないというものがございまして、ないところからいわゆる耐久性を再計算するというのは非常に困難というところがございます。再現できるものは早急にという形で今やっておりますが、既存の資料を紛失したものについては、ちょっと計算の仕方がないかもしれないというようなことで、それについては今後どう対応するかというのを今現在考えているところでございます。
○三日月委員 これまでの決まりで設計図書の保存期間があって、こういう五百五十件を超える物件が今なお調査中で、設計図書がないから構造計算また強度について再調査することができない、したがって、今その方法について考えていると。私、以前委員会で質問をさせていただいたときも、同種の御答弁だったように記憶をしております。もちろん、この調査中である物件についても耐震強度に問題がないことを祈っていますが、しかし、問題があったりしたら大問題でもあります。
このあたり、今後さらに急いで、どうやって調査をするんだ、図書がないんだったらもうそれぞれの物件に対して強度の調査を、図書なき調査をしていくというようなことも、やはり踏み込んでやっていかざるを得ないんじゃないかというふうに思います。このあたりも含めて、ぜひ万全を期していただきたいと思います。
局長にもちょっと御認識を改めていただきたいし、我々も自戒を込めて申し上げますが、先ほど、全国のサンプル調査の状況について、調査中は百九件になりましたと。財団法人日本建築防災協会の調査では、四十件、不整合だとか不自然な構造計算のモデル化だとか、疑問があると指摘をされていますという御答弁もありましたし、ここにも表記があります。四十件もあるのかということで、先ほどは、問題があるかもしれないということで指摘をされている物件が四十件ありますと、さらっと御答弁をされました。
しかし、今なおこれほどあるんだということの実態についてもう少し重く受けとめないと、二年前にこの問題が起こって、さんざん注目もされ、議論しましたが、やや、のど元過ぎて、もう何か当たり前のように感覚が麻痺してしまっているんじゃないかというようなことを感じたりもします。
ぜひ、この四十件の再調査も含めて、現状、どの程度こういう構造計算の不整合があったり、また、耐震強度の面で問題がある物件があるのかということについての調査を急いでやってもらいたいということを、あえて答弁を求めませんが、要請をしておきたいと思います。
それでは、具体的な中身についてお伺いをいたします。
まず一点目。建築基準法、建築士法の改正等によって、瑕疵担保責任を履行することを確実にするための施策の前に、そもそも住宅の瑕疵の発生を防止するための対策を種々講じてきましたし、今後も講じようとしています。
具体的なことはもうお聞きしませんが、その中で、先ほども、適合性判定機関、適合性判定員の確保等の状況を御報告いただきました。現時点で、再研修も含めて千七百三十五名が確保されているという状況でしたけれども、先ほども、局長の答弁の以降、各都道府県における適合性判定機関の指定状況、五月中旬が七県、六月上旬までにやろうとしているところが二十二府県、六月中旬、ぎりぎりになるけれどもやろうとしているところが十県というようなことで御報告をいただきましたが、一定基準以上の建物で、エリア内でピアチェックができない可能性がある都道府県というのはどれぐらいあるんでしょうか。
○榊政府参考人 多分、青森県みたいなところは、判定の能力がある方というのは実はゼロになっております。鳥取、島根県も三人、三人、こういったような状況になっておりまして、そこにおける二十メートル以上の建物の確認申請状況にもよりますが、そういったようなところでは、自前でやるというのはなかなか県としても難しく、県外の指定機関を指定するということになるのではないかというふうに思っていますが、具体にどこまでというところは、確認申請との比較考量になるものですから、ちょっと私ども、まだ把握いたしかねております。
○三日月委員 地元でこういう業界に携わる専門家の方と話をしていると、今局長の御答弁の中にありました専門家の偏在ということの問題点を指摘される方と、そして、より安全な建物を建てるためにピアチェックをすることを義務づけました、しかし、それが自前で、自県内でできないことによるロス、新たなコストを懸念される声があります。このあたり、どうお考えになられますか。
○榊政府参考人 例えば、建築主事とか指定確認検査機関から判定機関へ設計図書を郵送していただいて、構造計算書なり設計図書が送付されるというようなことですとか、いわゆる地元に在住する判定資格者をどう活用するかということですが、県外の指定業者を指定するんですが、その機関の方が嘱託みたいな形で現地の方を雇用するような形で、いわば出張所というんでしょうか、事実上そういった形でやっていただくとか、そういったようなやり方によりまして対応していきたいというふうに思っております。
多分、申請者の方にとってみれば、それによって遅くなるとか負担がふえるということはないと思うんですが、逆に、判定する方にとってみると、いわば、図書を郵送せないかぬとか、現場の人とのやりとりをずっと密にとらないかぬとかいうようなことが生じるかと思っています。
○三日月委員 より安全に、より実態に即した形で新たな制度の運用がなされることを期待したいと思います。新しくつくった制度ですから、当初の混乱は予想されるかもしれませんし、より安全な建物を建てるために、そのためのチェックを行うために、それぞれがコストだとかリスクを負担し合っていかなければならないということについても理解をいたしますが、そういう現状があるということをお伝えいたしますので、ぜひ御認識をいただきたいと思います。
もう一つ、私は、この問題が発生して以降、この委員会でも取り上げる一つの問題に大臣認定プログラムの問題があります。これは事前に通告をしていませんが、一年前の新聞になります、この構造計算ソフトの認定についてもやり直しをしようという方針が国交省で持たれ、検討されているというような報道もありますが、この大臣認定プログラムについて、どのような方策を講じてきたのか、また、いるのかについて教えてください。
○榊政府参考人 実は、大臣認定プログラムでございますけれども、きちっとした新しいソフトをつくるべく今準備中でございます。
そこで申し上げたいところは、六月二十日に間に合うか間に合わないかという点に関して言うと、今委員も御指摘のように、きちっとした制度として発足せないかぬということもあって、実は六月二十日にはそういったものがひょっとしたら間に合わないかもしれないという状況に立ち至っておりますが、現在、既存のソフトを活用した上で、きちっとできる体制を全国的にとれるような体制を、これも当然のことながら六月二十日までにつくらなければいけませんので、それについて現在準備中のところでございます。
○三日月委員 繰り返しになりますが、新たに設けられる制度であったり、改善ですから、多くの関係者の皆さんや行政担当者の方も大変現場で御苦労いただいていると思うんです。
しかし、六月二十日というものを決めてみんなで取り組んできて、特に今回発生をした問題でいえば、大臣認定プログラムのあり方というのも一つの大きなかぎだったと思うんです。これがブラックボックス化されて、しかも検査する側に情報の共有化、知識の共有化が図れていなかったのではないかという問題に対して、国交省内でも検討されたと承知をしておりますが、しかし、その対策がどうも間に合いそうにないということについては、私は少し、これは問題だと思うんです。
現状、どういうことがネックになっているんですか。
○榊政府参考人 いわゆる構造計算のソフトを開発しているのはたった一社じゃなくて、それが複数社あるということでございまして、その複数社の方が、例えば一社の方が先行者利益を得るためにさっとやっていただければいいんですが、実は複数の業者の方があるがゆえに、だれが先にやるかといってお互い見守っているみたいな感じになっていまして、それじゃ困るんだという意味で、私ども、けつたたきと言うとちょっと言葉が悪いんですが、早くやってくれということをお願いしているわけです。
そういったものにようやく取りかかったような感じになっていますが、実は二十日に間に合わないという状態になっていますので、少なくとも現在のソフトできちっとできる体制をどうしたらとれるかということを、なおかつ、それが全国的にピアチェックができるということでございますので、それができる体制を今準備中ということでございます。
○三日月委員 当然、専門家の皆様方が取り組んでいただいていることですから、この構造計算ソフトについても、プログラムについても熟知をされて、それで計算をされ、検査をされることになろうと思うんですが、私は、特に特定行政庁を中心に、この大臣認定プログラムの情報の共有化が図れていないのではないかという懸念、危惧を持っています。指摘をさせていただいておりました。
ぜひ、これから検討して、間に合わないけれども急いでやっていくんだということですが、検査する側に対する配慮というのですか、もちろん、開発するソフト会社の皆さん、どうされますかということだけではなくて、そのもの自体が検査する側に与える影響というものを加味して、考慮に入れて対策を講じていただくことを要望しておきたいと思いますが、何か答弁があれば。
○冬柴国務大臣 御指摘のとおりでございまして、六月二十日厳守でやろうとしていたところ、その後、田村水落事件というのが出まして、この人は相当高度な知見を持った人なんですが、この人のいろいろな言いわけが大変複雑だったわけです。
そういうものにも対応できるような、特定行政庁がそういうものについて見破れるようなソフトでなければならないということで、いろいろバージョンアップするための追加注文というか、そういうものもありまして、おくれたことはまことに申しわけないと思いますが、しかし、そういう高度な知識を悪用されたような、言いわけをするような人たちに対しても見破れるような、バージョンアップされた大臣認定プログラムをつくろうという努力をしていることを御理解いただきたいと思うわけです。
私は、一連の改正をして、これで事足れりではありませんで、新しい制度ですから、これを使う我々の方がこれを十分に活用できるように、みんなが努力をしていかなければならないと思いますし、そのように努めてまいりたいと思います。
○三日月委員 人間生活、およそ仕方のないことかもしれませんが、このイタチごっこのような状況を私は大変残念に思います。
もう一点、確認をさせていただきます。
構造計算の方法について、これは参議院の国土交通委員会での御答弁で、この委員会でも問題になりました、保有水平耐力計算と限界耐力計算によって数値に違いが出てきてしまう、どれでもって耐力を計算していくのがいいんだろうかということについて、これは局長の御答弁で、五月中にその告示を明確にしたいというような趣旨の御答弁をされておりますが、これはどのような形で表現をされるんでしょうか。
○榊政府参考人 表現というとあれなんですが、むしろ、一般論で申すならば、限界・保有耐力計算というのは、地盤に即して、この土地だったらどれかという計算方法と、一般的な方法でやっているという方法でございます。どちらも正しいということが前提になっています。
○三日月委員 いや、そういう計算方法があることについては私も承知をしております。そういうダブルスタンダードで検査をしたり耐力をはかることがどうなのかということで、この委員会でも話題になりました。
参議院の委員会の御答弁の中で、パブリックコメントを二月、三月にかけてやってきたし、できれば来月中にその告示をきちっと決める形にしたいという局長の御答弁があったものですから、どういう形できちっと表現をされるのかということについてお伺いをしたいと思う。こっちは間に合うんですか。
○榊政府参考人 実は、告示はもう既に出しておりまして、ちょっと日付が、私、失念をいたしまして、先週出したはずでございます。その表現ぶりも今持ってきておりませんのでお答えできませんが、既に告示をいたしているところでございます。
○三日月委員 供託、保険の問題について確認をしたいと思います。
先ほど局長は、百三十万戸に保険、供託がなければ建てて売れない制度にした、すさまじい内容だという表現がありましたが、今回導入される供託、保険については、それぞれの事業者によって経営判断で行われる選択になるんでしょうけれども、供託にしろ保険にしろ、どれぐらいの規模で掛けられていくことになるのか、それらのものが形づくられていくのかということについて想定をされていますか。
○榊政府参考人 先ほど私どもが申し上げましたのは、約百三十万戸についてのおおむねの私どもの推測といいますか見込みといいますか、そういったような感じでございますが、恐らく、供託は大体二十万戸から三十万戸ぐらいのベースではないかと思っていますので、その年その年の住宅の戸数にもよりますが、多い年で百万戸、少ない年で八十万戸ぐらいが保険対象になるということを前提に制度を構成していくだろうなというふうに思っているところでございます。
○三日月委員 この供託、保険というものが導入されたことによる消費者への負担については、先ほども議論がありました。もちろん経営判断で行われ、市場における競争に付され、消費者の理解も進んでいく中で、おのずと適正なところに、最適なところに収れんされていくんだろうという趣旨の御答弁をいただいておりますが、それについては聞きません。
私は、今回の構造計算の問題で、建築主から建築士に対してさまざまな圧力だったのか、何か下請に行く特殊な関係だったのか、こういうことについても見逃せない問題があるのではないかと思っているんですが、この供託だとか保険という瑕疵担保責任を果たすための資金担保の義務化が、こういう売り主と建築士との関係においてどのような影響をもたらす、もしくはもたらしてほしいとお考えでしょうか。
○榊政府参考人 むしろ、一戸当たり、例えば保険でいうと、二千万円以上というような形で、保険料八万円というようなことが実態だというふうに申し上げましたけれども、そういったベースから申し上げると、でき上がった住宅に対する瑕疵担保責任保険ということでございますので、設計士に対して転嫁とかなんとかという議論はまずないのではないかというふうに思っております。
○三日月委員 設計士、建築士に対する転嫁ということではなくて、建築設計をされる方と、それに基づいて建てる人と売る人との緊張関係の中において、今回、供託、保険というものを導入することがどのような影響をもたらすとお考えでしょうか、もたらしてほしいとお考えでしょうかということなんです。
○榊政府参考人 そういった意味で申し上げますと、さきの通常国会で建築基準法なり建築士法の改正をいたしましたので、瑕疵みたいなものは極めてまれになっていくというふうに考えておりますが、実はその部分が、設計ミスによるような瑕疵が仮に出てきたとすれば、当然、売り主から設計士の方に対して、これは一体どういうことなんだというようなこともなされるということでございますので、こういったような事柄も通じて、さらに一層設計士さんの技量が上がっていくんだろうということを期待しておるところでございます。
○三日月委員 中小事業者への配慮だとか優良事業者への優遇措置については先ほど御答弁をいただきましたので、あえて聞きません。中小企業の皆さんへの一定の割引そして団体割引を活用すれば、約五〇%、こういう保険料についても削減することができるだろうということがありました。
私は、一点、消費者への情報開示ということで確認をさせていただきたいと思うんです。
既に宅建業法、建設業法の改正によって、契約締結前の説明であるとか契約時における書面交付を義務づけています。さらに、こういうものをわかりやすくするために、ガイドラインをつくって徹底をしていきたいという趣旨の御答弁をせんだっての本会議で冬柴大臣からいただいているところです。
既にこういう締結前の説明であるとか契約における書面交付が決められているわけですけれども、現状、どういったところに問題があり、それをわかりやすい内容にするために出すガイドラインというのはどういったことを盛り込む御予定でいらっしゃいますか。
○宿利政府参考人 お答え申し上げます。
消費者に対します情報開示につきましては、今、三日月委員から御説明がありましたように、既に昨年の宅建業法、建設業法の改正で手当てがされておりますし、今般の法律改正によって資力確保が義務づけられますと、それについても説明あるいは書面交付がきちっと行われるということになるわけであります。
私ども、ガイドラインを検討していると申し上げましたけれども、これは当然、供託であるとか保険の措置内容がわかりやすく消費者に伝わることが必要であると考えておりますので、こういった今回新たに導入される供託の部分につきまして、消費者にとって必要な情報がわかりやすく表示されるような、そういうことを徹底できるような内容のものにしたいと考えております。
○三日月委員 何か随分あっさりとした御答弁だったんですけれども、それは私も同感で、よくわかっています。
しかし、前回の通常国会の中で、マンション販売、一戸建てにしろ、広告にも、こういう保険に加入していますよ、今の制度でいえば供託に入っていますよということについて表示を義務づけたらどうかという提案を我が党からさせていただいた経緯もあります。
今の重要事項説明において、どういった点がわかりにくくて、それをどのように改善しようとしているのかということについて私はお伺いしたかったんです。
○宿利政府参考人 既に昨年の法律改正によりまして、昨年十二月二十日から施行はされておりますが、この中で必要な情報開示が行われるように私ども措置しておりますし、今回新たにこの法律で手当てされる部分については、それに載せるようなことで徹底をしていきたいと思っておりますから、現状について大きな問題があるとは思っておりません。
しかしながら、今回の新しい手当てがやはりきちっと消費者に伝わるということが極めて重要でありますから、供託額などを初め必要な情報が徹底できるようにしたい、今そのガイドラインの案について検討しているということでございます。
○三日月委員 この重要事項説明がどのような書面でどのように行われているのかということについては、残念ながら、私もマンションを買ったこともありませんし、そのものを持ち合わせているわけではありませんので、今後検討される過程の中で、私なりに把握したことを申し伝え、そして提言をしていきたいというふうに思っています。
一点、ノンリコースローンについて、前通常国会で私どもが出させていただいた法案、居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法改正、この中でも、やはり金融機関にも一定このリスクとコストを持ってもらうような、こういう制度が必要ではないかという提案をさせていただきました。
実は、この法案を研究された研究会では、銀行保証ということについて、一つの選択肢として認めるけれども、銀行において瑕疵発生リスクについてのノウハウがないし、十年間の保証は現実的に困難であり、信用力の高い一部の企業に限定せざるを得ない可能性がある等々で、履行確保措置の選択肢に含めることについては慎重な検討が必要だということで、後ろ向きな回答になっています。
ところが、せんだっての本会議で冬柴大臣から、泉議員の質疑に対しまして、耐久性、耐震性にすぐれた住宅が適切に評価される手法の検討など、個人向け住宅ローンについて、ノンリコースローンを導入することが可能となるような条件整備に努めてまいるという驚くほど前向きな御答弁をいただいているんですが、これはどのような仕組み、内容になるんでしょうか。
○榊政府参考人 基本的に、私ども、今現在の住宅ということを前提にしますと、年数経過に伴って価格が大幅に下落するという傾向がございます。アメリカの場合は、例えば中古住宅でも、手入れをしておけば、ほとんど、逆に言うと、価格が上がっていくみたいなところがございます。
そういった意味で、住宅に担保価値があるということが前提の市場と、何となく時間がたつと市場価値がどんどん落ちていくんだよねという私どもの国の市場とおよそ差がございますというのと、例えば保険とか銀行がつくるときに検査、チェックをしていないということもあって、現在の段階でいわばノンリコースローンの導入というのは大変難しいというふうに思っているところなんです。
ところが、私ども、住生活基本法の中で、早く壊してつくるよりも、いいものをつくって長くということを言っておりまして、そういった意味では、きちっとした長く住む住宅をつくった上で、維持管理、修繕体制も全部きちっとやって、アメリカ型の、いわば手入れさえしておけば、住宅価格が経年劣化とともにどんどん落ちていくといったような状況ではないというような、いわば建設から管理まできちっとした体制がとれるようになると、そういったような金融もワンセットで考えられるということで、これは将来の課題だというふうに思っております。
そういった意味で、住生活基本法がせっかくできましたので、そういったものが、今回もこういった形できちっとした住宅が出てきますので、それについて言えば、次は、維持管理体制というものをきちっとしていった上であればそういうことが可能だということで申し上げた趣旨でございます。
○三日月委員 もちろん各国の市場のそれぞれの違いがあるんだと思います。
しかし、我が国としても、住生活基本法の趣旨にもありますように、住宅をストックとして長もちしていける、そういう住宅市場にしていこうじゃないかという決意もあるわけで、私どもも提案をさせていただいたこのノンリコースローンについて検討を開始されているということであれば、それは歓迎をしたいと思うんです。
局長が今御答弁の中で、二つ、違いがあったり、なかなかできない限界があるんだと言われた、金融機関がつくるときに検査、チェックをしていない、当然、検査、チェックしていないからそこにノウハウも蓄積されていない、情報もないんだというようなことがありました。
今回の保険制度の中でも、この検査を保険法人が行っていくことになると思うんです。制度さえ決めれば、それぞれの業界ごとに、お金を貸すんだったらちゃんと検査をしなければいけないということに持っていくことは私は不可能ではないと思うんですけれども、金融機関にも一定この検査、チェックを義務づけていくということも可能性として考えられるということでよろしいですか。
○榊政府参考人 ノンリコースローンという制度を導入することが可能だろうということを前提に、導入するためには何が前提条件だというようなことについて、今実は検討し始めている、こういう段階でございます。
今回、銀行保証についていえば、瑕疵担保と保険とそれから銀行保証みたいなものが、逆に言うと保険と同列に導入することが可能かどうかという点で検討したという経緯がございまして、今回の保険法人というのは、検査機能があるから大丈夫だ。ところが、銀行に検査機能をつけて大丈夫かということになると、銀行に検査機能が現状であるとも思えませんし、仮にあったとして、一定の個別の業界に対して保証をするということになりますと、与信関係が、一定の業界について与信枠がどっとふえるという形にもなります。そうすると、BIS規制上、今の銀行でもつのか、こういう議論がございまして、少なくとも現状では難しいというようなことから銀行保証はやめたという経緯があります。
今後の課題としてどうかといいますと、今回の保険制度と瑕疵担保制度がきちっとでき上がってきて、いいものが間違いなくでき上がるといったことと、先ほど申し上げましたように、経年劣化に伴うような市場価値の下落がないような維持管理体制がきちっとできるというようなことの条件が整ってくれば、そういうノンリコースローンみたいなことが考えられてくる。そうなると、銀行については、物についての物的担保だけになりますので、そこについてはまたいろいろ議論があるのではないかと思います。
○三日月委員 国土交通省の住宅局の御決意はわかりました。内容についても、また課題についても理解をしました。
しかし、本会議では、山本金融担当大臣、金融機関を所管される大臣が、各金融機関がみずからの経営戦略の中で判断していくべき事柄でありますなんて、何か突き放したような御答弁をされておりますので、ぜひこのあたりの検討については、金融庁も含め、住宅をストックとして長もちさせていける、また最終的に、瑕疵が発生した場合のリスクとコストを消費者に過度に負わせることのないような制度づくりのために頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
一点、見方を変えて、今回制度化されたさまざまな制度で関係する法人、財団法人含め公益法人が幾つかありますが、国土交通省の方々の再就職状況を確認しておきたいと思います。
今、内閣委員会でもこの公務員の方々の再就職問題、天下りバンクの問題も含めて議論をされておりますが、財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターにおける国土交通省職員の方の再就職状況を教えてください。
○榊政府参考人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターへ再就職している者の数は、役員が二名、それから嘱託職員が一名ということでございます。
○三日月委員 それはいつ時点ですか。
○榊政府参考人 現在時点でございます。
○三日月委員 財団法人住宅保証機構はどうですか。
○榊政府参考人 保証機構につきましては、役員が三名でございます。常勤理事で三名、職員としてOBが一名行っております。
○三日月委員 今のも現在時点だと承知をしておりますが、よろしいですね、局長。うなずいていただくだけで結構なんですけれども。
私どもが調査をしましたこの国土交通省から各公益法人への再就職の状況で見ますと、これは平成十八年四月一日現在なんですが、財団法人住宅保証機構には国家公務員の再就職者数として十名、うち、常勤の皆様方で役職員数に占める割合は六六・七%、そして、住宅リフォーム・紛争処理支援センターについては七名の国家公務員の方の再就職、そして常勤に占める割合は一〇〇%ということで把握をさせていただいております。
その後、退職されたり、また新たに再就職し直された方々もいらっしゃるんだと思いますが、きょうはここではあえて議論をいたしませんが、今申し上げた二つの法人の再就職状況について詳しく資料提示を求めたいと思いますが、いかがですか。
○榊政府参考人 結構でございます。
○三日月委員 この今回整備する法律が、趣旨の目的に沿ってきちんと運用されることを願い、そのために我々も確認することを誓い、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○塩谷委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十五分休憩
――――◇―――――
午後一時十五分開議
○塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。下条みつ君。
○下条委員 民主党の下条みつでございます。
いよいよあと二人のバッターになりました。長い審議でございますが、最終的には消費者のためでございますので、ぜひ大臣、副大臣、政務官の方々を含め、いい答弁をいただければとお願い申し上げたいと思います。
また、おそばもそうですけれども、練れば練るほど腰が出て、腰がきいたいいおそばになる。私の地元の長野でもそうでございますが、おいしいおそばを食べたいなという気持ちで、きょうは、申しわけございません、私にとっても最長の一時間十分でございまして、ぜひおつき合いいただければというふうに思っております。
それでは、質疑に入ります。
その前に、私としては、一連の耐震偽装の被害について、私の手元にある資料をちょっと一読させていただきます。
五月の国交省の資料でいきますと、姉歯関連の物件は二百五、そして九十九が偽装になっていた、そのほか、例の浅沼元二級建築士の物件、これも百四十三あって、そのうち二十九件が偽装であるということであります。
その中でちょっと抽出してどんな状況かというと、例えば、建築主がヒューザーである危険なマンションとされた分譲物件が十一件。建てかえ推進決議の段階はそのうち二件で十一分の二、区分所有法に基づく建てかえ決議または建てかえの全員合意の段階が三件、除去工事着手が四件ある。その中で本当に工事に着手したのはたったの一件ですという段階ですね。
私も住民の方に直接お話を聞きまして、はっきり言って資金面でもつらいと。世帯で約二千万から三千万の新しい負担がかかってくる。二重のローンですね。その上に、建てかえは今言ったように十一件のうち一件しかまだ進んでいないんですから、どんどん時間が延びれば、建てかえの部分の金とそして仮住まい家賃の二重負担がどんどんかさんできてしまっているというのが現状である。
あともう一つは、これは日本では余り多くないとは思うんですが、精神的な部分ですね。大臣はもう弁護士先生でございましてあれですけれども、精神的な部分について、日本は割と軽い感じがいたします。海外の場合は精神的負担が、約三分の一は被害に対して弁償が出たりするのが通例だと思います。そういう意味では、せっかくマイホームを手に入れたのに今こういう状態になっている、そういう非常に精神的な苦痛を訴える方も、私の耳に相当入ってきておるのが現状でございます。
そんな中で、国交省さんの御努力によって、建築確認の厳格化とか設計の専門分化、罰則の強化等々によって、なるべくこういう事件が起きないようにというたがができたこと、これについては、被害に遭った方を救済するという意味では非常に進んできているなと思っております。
また、今回の法案についても私は、自分としては賛成の立場でこれから質問させていただきたいというふうに思っております。
そこで、供託制度についてお聞きします。
本制度というのは、何回ももう同僚の方が聞いておりますけれども、新築の戸建て住宅とかマンションの販売業者は、供給戸数に応じて法務局に保証金を供託する、販売後十年以内に判明した瑕疵は業者が購入者に補修をする責任を負う、倒産などで責任を果たせない場合は購入者は法務局から保証金を受け取る。また、供託金の金額については、もう何回も出ていますが、戸数の区分ごとに上限、下限を示していって、この額については、戸数の増加によって、でかいことをやった方については、供託金額は増大していくけれども戸当たりの供託金額は逓減をしていくということですね。よくいうパターンでございます。
保険と違って供託の場合は、ポイントは保険法人の検査がないということであります。要するに、金を積めば、保険法人の検査をなくして自分と購入者の間だけの関係になってしまう、検査なしでやってしまうというところがこの供託の欠点であると僕は思っております。ある意味では、それだけ供託を積むんだから、大会社であるし、大きなディベロッパーであったり、そういうこともあると思います。
そこで、私は、言いにくいんですけれども、供託さえ積んでしまえば、その部分について、鉄筋の瑕疵があったり構造図と施工図が違っていたり、何か不備が幸いにも十年間出なければ、スルーしてしまうというふうにもとれると思うんですね。そういっても、特定行政庁の中間検査とか完了検査でチェックして瑕疵がないようにするんでしょうけれども、簡単に言えば、お金の授受の問題については、そこの検査が終わってしまえば、だれもチェックしないで、供託の金さえ積めば、十年間なければ金は戻ってくるということですね。この部分がちょっとううんという感じがいたしております。
そこで、十年間で何でも出れば私はいいんだと思うんですが、例えば、何でもオーケー、十年というのではなくて、姉歯事件のように故意的なものについては、十年でなく、何か違う尺度があってもいいんじゃないかなと僕は思っております。まずこの辺の切り口から局長の御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでございますか。
○榊政府参考人 構造計算書偽装問題を契機といたしまして、昨年の通常国会なり臨時国会におきまして、建築基準法、建築士法を改正いたしました。建築確認検査の強化なり建築士業務の適正化等が行われたところでございまして、これによって、構造計算書偽装問題のときのような大規模な損害の発生の可能性は極めてまれになったというふうに考えております。
供託金の金額ということでございますけれども、実は供託というのは、午前中も申し上げましたけれども、自己責任をまず徹底的に追及するんだということでございますので、保険金のように上限、例えば二千万円以上の保険ですよといったときに、二千万の保険契約をすると二千万しか保険金は出ないわけでございますけれども、供託金の場合は、売り主の瑕疵担保責任の徹底追及ということでございますから、例えば、五千万円の損害が仮に出たとすれば、それは五千万円かけて修補するというのが売り主の本来の責任でございますので、そこに限度というのが、保険契約みたいに契約で限度を切っておりません。ただ、供託金の額を幾ら納めるのかといったときに、二千万円を計算上の根拠として、いわゆる数理計算で計算をした額を供託する、こういうふうになっているわけでございます。
したがって、供託金の額自体は、まれにしか発生しないような瑕疵の集中発生に対しても修補費用が確実にできるように、過去の損害発生率なり損害額をもとに、統計的手法による保険数理の考え方で決めておるということでございます。
供託をすると十年たったら取り戻せるというのですが、その会社にとってみると、十年たって会社を、いわゆる不動産事業をやめるわけじゃないと思いますので、十一年目のお金にまた充当するというようなことで、十年間続けて納めてきた供託金額が十一年目からは転がっていくといいますか、そういう感じで積み重なっていくんだろうなというふうに思っているところでございます。
○下条委員 それはそうなんですけれども、私が質問したのは、悪役が出てきて、姉歯さんみたいなのが出てきてやった場合、本当に十年の中だけでやっていいのかなということを提言したというふうに、局長、思ってください。ですから、そういう意味では、僕は、違う尺度があっていいんじゃないか、例えば悪者については十年じゃないぞとか……(冬柴国務大臣「ちょっといいですか」と呼ぶ)大臣、どうぞ。
○冬柴国務大臣 不法行為による損害賠償というのは民法七百九条で損害賠償を求められるわけでありまして、委員がおっしゃいましたように、アメリカの懲罰的損害賠償というものは日本の場合は見ておりませんけれども、しかし、相当因果関係の範囲にある損害については賠償を求められるわけです。
そして、その損害賠償について、供託金は、他の債権者に先立って、いわゆる先取特権というものが認められております。そして、しかし、そのものを超えた損害があった場合には、これは一般財産に対して請求できるわけであります。
ただ、これは、その損害を知ったときから三年間、あるいは行為があってから二十年間という時効、消滅時効あるいは除斥期間の定めがありますから、その間に訴訟を起こして、そしてその額を確定できれば、供託金については先取特権で他の債権者に先立って賠償を求められますし、それ以外の分については一般財産について請求ができる、こういう仕組みがございます。
○下条委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。後でちょっと順序立てて、なぜ私がこういう案を出したかというのをまた後で御説明させていただきます。
たまたま今ちょっと局長が、ちらっと出た話をさせていただくと、例えば、これから一年、二年、法が施行されて三年、十年とやっていくと、単純な供託金の計算をすると、例えば一年間で住宅を千戸つくる、共同住宅といえば、極端な話、三百とか四百とか幾らでもありますから、ぽんぽんぽんとつくる大会社というのは結構あると思うんですが、千戸ずつつくると、十年で一万戸になります。供託金は、この場合、いただいた資料でいくと四億四千万円以下ですけれども、四億四千万円にしましょう。そうすると、供託金の金額は一戸当たり四万四千円ですね。一戸に対して四万四千円。仮に、これは全部じゃないけれども、世帯が大きいマンションで構造上の瑕疵が見つかっちゃったといった場合に、その補修額が供託金より高く、不足分が発生するというのは僕は自動的に考えられると思います、四万四千円ですからね。
先議の参議院で局長がお話しになりました。供託について二千万円の住宅を想定している、そして修補費用が確実に支払えるように保険数理の考え方で定めて、修補に十分な金額を確保していると考えているとおっしゃっています。その場合、僕は、ちょっとどうなのかな、四万四千円で賄えるかなという感じがします。
なぜそういうことを言うかというと、例えば、四万四千円で、三百戸にしろ四百戸にしろ、複数の支払いとか、いろいろなところからあったり、瑕疵が発生した場合は、私は、これは何となく、どのぐらいこれから新築住宅があってというのはあくまで想定になりますけれども、本当に、さっき大臣が民事で追っかけられると言いましたけれども、供託金がからからになっちゃうんじゃないかな、不足してしまうんじゃないかということが考えられると思うんですね。
この辺の想定をどういうふうに住宅局でお考えか、この委員会の議事録に残しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○榊政府参考人 供託というのは、午前中も申し上げましたが、一種の自分で自分に保険を掛けているみたいなものだというふうに申し上げましたけれども、一万戸という相当程度の数があれば、一万戸とか一千戸単位で瑕疵が出てくるわけではなくて、その中のほんの数十戸とか数戸というレベルで出てくるだろうというふうに私どもは想定しているわけです。どのくらい想定するかという意味で、先ほど申し上げましたように、保険理論に即して計算をしているということでございます。
現に、財団法人がやっております過去の瑕疵実績で見ますと、大体平均的に二百三十万ぐらいの瑕疵修補ということでございますし、事故率が〇・七五とか、場合によっては〇・六%、こういったような見方もできるということでございますので、現在の計算でカバーはできるものだというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○下条委員 これは想定問答の押し問答になっちゃうので。ただ、これを残しておくことによって、今後何年かたって、甘かったとすれば補充部分でブラッシュアップしていく必要があるなと思います。
私は、局長がいろいろこれをお考えになる枠の中にもう一つ入れてもらいたいのは、共同住宅はぼんと物を建てるじゃないですか、その建てたものが瑕疵によって壊れたり何かするということも確かにありますけれども、それによって、私もこの間の偽装事件でいろいろ見てみましたのは、周りの建物に影響してきちゃうんですよ。
例えば、三十階建てのマンションに瑕疵があった。横に二十階建てが四棟建っていた。何かの作用によってその四棟にまで作用が行っちゃうと、これは膨大な瑕疵の費用。私は、そういう場合、販売業者、宅建業者とかそれに携わっていた人たちは、みんなバンザイしてバイバイする可能性もあると思います、どこかの事件みたいに。だから、そういうことも想定して、この部分について絡めていっていただきたいというのが実際私の気持ちでございます。
ぜひ局長、そういうこともあるんだぞ、その建物だけじゃないぞ、周りの民家、その周りに建てられているもの、その部分まで、何かの作用によって、地震でも何でも作用によって壊れて危険性があるものが、今もう商業地域なんていうのは近接して随分物が建っていますから、そういうことが発生してしまうぞということもぜひそのテーブルの上にのっけていただいて、考慮していただきたいというふうに要請しておきます。
次に、もう一つある保険制度の問題であります。
これはもう既にきょう何度も出ておりますけれども、この保険制度の瑕疵というのは、住宅品確法の九十四条一項と九十五条一項の瑕疵担保責任であります。構造耐力上主要部分または雨水の浸入を防止する部分についての瑕疵と。保険金は補修に必要な八割、残りは売り主負担。売り主が相当期間で払えない場合、瑕疵担保責任を履行しない場合もしくは経営破綻した場合は、買い主が保険金を直接請求していく、こういう話であります。
各住宅の保険加入時、保険法人は、建築確認の審査と別に瑕疵の有無をチェックすることになっています。保険料は一戸当たり数万円の見込みで、現在任意でやっている住宅保証機構が行っている住宅性能保証制度では大体住宅価格が千六百万円の戸建てで八万円ぐらいの数字を一般的な形ととっているということで、これはそちらからの資料であります。
ただし、保険は、耐震偽装のように故意や重大な過失があった場合は支払いが対象外になっていますね。要するに、前のヒューザーや姉歯事件のようなことがあった場合は支払い対象外ですよ、こういうことでございます。こういう事態に備えるため、一部を積み立てて基金をつくりますよ、これが今回の保険の部分のお話でございます。
そこで、一般的に、建築物のふぐあいには瑕疵と劣化があると思います。私も辞書を引きましたら、瑕疵は傷とか欠点であります。要するに、人為的にしろ何にしろ瑕疵は欠点、その建物の欠点である。劣化というのは、長い時間が経過して材質のよい性能、品質が失われて劣化していく。だから、瑕疵と劣化は全く別であるということであります。
そこで、僕は思うんですけれども、この瑕疵と劣化の判定というのは非常に明確にしなきゃいけないと思うんですね。例えば、住宅購入者が瑕疵であると言っているのに、売り主側が、いや、それは劣化なんだ、これは瑕疵じゃない劣化だと言えば、住宅購入者は救済されないわけです。その場合は基金の方に行ってそちらから調整する、そういうふうになりますね。
僕は何を言いたいかというと、だれも金はもらっても払いたくないんです。だから、この瑕疵と劣化という部分を基準できちっと区分分けしておかないと、購入者が、これは何とか会社の瑕疵だと言っても、いや、これは劣化です、関係ないです、私たち責任ありませんと。その部分の判定基準をきちっとしておかなかきゃいけないというのがこの法の中に眠っておりました。
そこで、四月の先議の参議院で局長がおっしゃったのは、紛争処理機関における住宅紛争の参考にするために技術的基準を現在でも示しており、例えば、その技術基準によりますと、床が傾斜するといった場合に千分の六以上の勾配の傾斜は瑕疵だぞと。だから、千分の六未満は責任がない、もしくは劣化、要するに責任がない部分であるということですね。そういう基準を示してやっていくという答えを出しています。
この技術的基準については見直しの検討委員会みたいなものも開かれているということでございますが、私は何が言いたいかというと、これをきっちりとこの法案をつくるときに明確につくっておかないと、絶対これは後でもめます。瑕疵だ、劣化だといって、結局は法の札を使っていく先が違ってきちゃって、最終的には、劣化で悩む購入者がたくさん出てきて、泣きを見るのは、この法案をつくる前提にあった、つくる人のためではなく購入者、消費者を守るための法律の主目的が外れてしまうということであります。
この瑕疵と劣化の判断基準について御意見をちょうだいしたいと思います。
○榊政府参考人 委員御指摘のように、何が瑕疵であるかということを判断するのは大変重要なことかと思っております。
具体に保険制度の場合ですと、瑕疵を判断すると申しましても、一たん紛争みたいなものが生じるということでしょうから、まず紛争処理機関の方で調停、仲裁というようなことになるんではないかというふうに思います。
したがいまして、参議院の方でも御答弁させていただきましたけれども、そういったような技術的基準をきちっとつくりたいと思っておりますが、例えば千分の六が、未満だったら瑕疵があるかないかということを実は言っているわけではなくて、千分の六あるとこれはもう瑕疵が明白だというふうに言っているわけでございます。
当該紛争処理機関の場合は、実は弁護士さんだけじゃなくて建築の専門家にも入っていただいて、そこにおいて瑕疵かどうかというのを判断していただくということになります。
何が瑕疵であるかということについては、当初の段階は売り主と買い主との間での議論になると思いますが、そこがもめると紛争処理機関の方へ行って、またそれが戻ってくるというような形になるのではないかというふうに思っておりまして、そういった意味では、今までの積み重ねに加えて、何が瑕疵かというような基準をやはりきちっと積み上げていくことが大変重要なことだというふうに私どもも認識しているところでございます。
○下条委員 検討委員会、見直し委員会をつくってということでございますが、大臣、実を言うとこれは重要な部分なんですよ。この部分は判例とかの問題もあるんですが、今回のこの法案は、僕に言わせてもらうと九割が金融ですよ。それと法律ですね。
ですから、そういう意味では、大臣、局長はおっしゃっていただきましたけれども、ぜひリーダーシップをとって、この検討委員会で、ここは今、千分の六は明らかに瑕疵だけれども、千分の五・九以下は、今度は劣化だから責任をとらなくていい、ただずるずるっといくような感じでは、最後は、消費者の弱い立場の人が、例えばお年寄りで一人で住んでいる人はみんな泣きを見てしまうと私は思いますが、ぜひ大臣、御決意をお聞きしたいと思います。
○冬柴国務大臣 瑕疵か劣化か。劣化というのは経時変化ですね、退化とか言いますけれども。瑕疵というのは、設計図書に示されたとおりにつくっていなければ、たとえ〇・一ミリでも、それは瑕疵です。
しかしながら、瑕疵でも責任追及できるのは、このときに書いてありますように、「住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」、この部分について、今言うように設計図書に示されたものとでき上がりが違っている、これは瑕疵です。
しかしながら、その後、例えば地震とかあるいは風水害とか地盤の沈下とか、そういうものによって、きっちりつくってあったんだけれども経時変化によってそのように変わったもの、これは経時変化、劣化であり、瑕疵担保に言う瑕疵ではありません。
ですから、民法が瑕疵担保責任をたった一年、しかも売り主の場合は、隠れた、外からはわからないものについて一年間だけとしたのは、今おっしゃっているような問題がありますから、後になって、そのときにどうだったかということは大変難しくなるので、非常に短い一年というような期限を切ったのだろうと思います。
しかし、それを十年に延ばしたということは、住宅の品質確保の促進等に関する法律で、九十四条、九十五条でそれを十年に延ばしたということは画期的なことでして、その間に、おっしゃる、きちっとつくっていたんだけれども他の事情によって変化したという部分との非常に難しい問題が起こると思うんですね。しかし、それは、やはり裁判の上で双方が、それはもともと設計図書と違うつくり方がしてあったんだということは立証しないとだめだろうと思います。
○下条委員 ありがとうございます。
これは、委員会でこういう提言をして、大臣から法的な部分、民事部分、そして局長さんから見直し検討委員会の部分で、さらに、さっき言った千分の六から始まって、だけれども、局長御自身が、お子さんが買った、お父さんと一緒に買ったものか知りませんが、やったり建てたりしたものが傾いていたら、自分に置きかえると、これはもうどう見ても、千分の五でも四でも瑕疵ととれるような、やはり厳しい目を、ぜひ御省がリーダーシップを持ってやっていただきたいというふうに僕は御提言しておきます。よろしくお願いします。
次に移らせていただきます。
今のは区分けについてでございますが、それ以外に、この検査法人の行う検査でございます。
現在、住宅保証機構が住宅性能保証制度で、基礎配管完了時の地盤や基礎の配筋状況のチェック、屋根工事の完了時の柱なり、はりなり、また屋根といった外壁の施工状況等のチェックを現場で検査している。本法の保険法人についても同様の現場検査を行うことを想定して、そうした場合は、保険引き受けの適格性を判断する重要なポイントであるので、専門知識を有する一定の有資格者に検査をしてもらうということで、一定の有資格者でございます。
私は、なぜこの問題を出すかというと、実を言いますと、もう何回も出ていますけれども、保険法人は、住宅品質確保法に基づいて登録している法人で、財団と株式、七社ある。検査を受けなきゃ売買もできない。また、そういうことだったら、この七社の保険法人を通らなきゃいけないわけですから、もし検査員が足りなくなったり、不足によって検査がおくれたり、また、検査をしなければならない住宅が多くて、一つ一つの検査が逆に言えば手薄になってしまうということも僕は考えられると思います。
例えば、検査員の方にどんどん集中してきます、七社しかないですから。今、新規住宅がどうだと何日か前のテレビでも出ていましたけれども、日本人は新しい住宅が好きですから、新しいもの新しいものとどんどんふえていくと、どっと通過するために、案件が一遍に来てしまう可能性がある。そこに僕はちょっと、姉歯事件のもとになった、処理するために薄くなっていく、そして偽装していってしまうという、何かちらっとそういうものが浮かんできてしまうと思います。
そこで、昨年の建築士法改正の質疑で、構造計算適合性判定機関のチェック役となる専門家の確保について私は質問させていただいて、局長から、ことしの六月に間に合うように準備万端にしていくよとおっしゃっていただきました。結果的に、この三月と四月、講習会をやって、最初は、今ちょっと手元にないですけれども、千二、三百人であって、四百人が追試みたいな感じで、僕もよく知っていますでしょう、局長。三百何人が追試して、結果的に千五百何人になったわけですよ。これは僕は、局長そして御省に大変感謝したいと思うのは、ちゃんと昨年の約束どおりに人数をクリアしてくれたんです。これは僕はすばらしいことだと思います。
一方で、この保険法人についても、僕はやはりこれは提言をしておきたいと思うんですよ。こういうふうになりますよ、一遍に来ますよ、それについて七社で賄えるんでしょうかと。こうすれば皆さんの方も、当然頭にあるでしょうけれども、あのとき下条が言ったなということで目を光らせてもらえると思って私は提言させていただいていますが、この検査員不足というのも、これは大臣の保険法人の指定基準の中に入っていますね、適格なものをやらなければいけないということで。
この検査法人の業務量とそれに付随する検査員の想定、これを私は今お聞きしておきたいと思います。それが結局、大臣が判こを押すときに影響してきますから。足りないぞ、少しスピードアップしろよということによって、最終的には検査する検査員の数が賄えるようになっていくと僕は見ております。その辺、いかがでございますか。想定を教えていただければと思います。
○榊政府参考人 保険法人につきまして、国土交通大臣が審査して指定するということにいたしておりますが、指定に当たりまして、検査体制なり検査方法、保険業務を的確に実施することが可能となるかどうかについて、しっかりした審査をやるというふうにして指定をしようと思っているところでございます。
一方、現在の任意の保証機関による保険ですが、年間約十六万戸が活用している、こういう実績がございます。実は、この性能評価員の状況でございますが、評価員の講習の修了者数は約一万六百名ぐらいいます。現在、評価員に選任されている方が三千三百七十名ぐらいおられまして、そういった意味でいうと、まだ七千人近くの方が、資格は持っているけれども評価員という形では活動をしておられない、こういうことかと思っています。
先ほど年間十六万戸と申し上げましたが、先ほど来、ひょっとして保険制度自体が八十万戸から百万戸になるかもしれないということを申し上げておりますが、それについて言うと、約五倍から六倍ぐらいにふえるということでございます。なおかつ、この制度自体が二年半後施行ということと、保険法人自体は一年後に施行する、こういうことでございますので、そのときの見込みを想定しながら、新しい検査員の能力を有する者の育成もあわせて行いながら対応していくことを考えているところでございます。
残念ながら、どのぐらいの人数になるかというところについては、一概に、現在の三千三百六十名掛ける五というわけではないのではないかというふうに思っておりまして、もう少したちましたら、この法律が通りましたら、その辺もきっちり精査をして、どのような体制でいくかということを考えていきたいというふうに思っております。
○下条委員 非常に正直な御答弁でありがとうございます。
まさに私の気持ちが伝わったと思いますけれども、要するに、今の状態の人数では、どかんと来るこの五倍の、五倍になるかこれはわかりません、どうなるか。それをやらなきゃ通らないわけですから、そうすると、どかんと来る可能性があるとしたら、この一、二年スピードアップして検査員をきちっとふやして、これももうちょっと細かくいくと、検査員のばらつきがあったり都市部に集中したり、何だかんだ出てきちゃうんですけれども、それはちょっとおいておいて、少なくともボリュームを維持しておかなければ、とても検査がミスが多かったり手薄になったり、したがって、ほとんど通過するだけになってしまうと、僕は、結果的に、検査員が手薄になれば、最終的には保険機構に負担が来る。保険機構に負担が来れば、保険の部分が爆発する。基金に行っても爆発してしまう。結果的には、それを補てんするのは何かといえば、最後に残った税金になる。
こういう順番になりますので、ぜひこの関所の人数を、またここの委員会の議事録に残しておいていただきたいんですが、このいい法律をつくった以上は、ふやすことをきちっとやっていただいて、関所でチェックするんだという局長のかたい御決意だと思って聞かせていただきました。よろしくお願いします。
そこで次に、今回の制度は、故意、重過失を原因とする瑕疵があった場合は、売り主が倒産していない場合には保険金の対象にならず、売り主負担でやるわけですね。売り主が負担するわけですよ。一方、売り主が倒産はしていないけれども相当期間たっても責任を果たさない、履行しない、買い主が保険法人に直接保険金を請求する、売り主が倒産した場合については、保険法人は基金をバックに買い主に対して保険を支払う、こういうことですよね、こういうスキームになっていますから。
これもまたちょっと法律的になりますけれども、瑕疵にも、故意、重過失を原因とするものとそうでないものとがあると思うんですね。どのように故意または重過失であるかを判断するのか。
ここもまたこの判断基準によって、最終的にこのツケが回ってくるのは、僕が一番懸念しているのは、これは一連の金融の方の話ですけれども、不払いが多いじゃないですか、保険というのは。大きな会社でも払わなかったり、そこなんですよ。
そこで、やはりこの区分けを明確に定義をしておかないと、最終的には、いやいや、違う違うと逃げて、さっきの劣化とあれの部分じゃないけれども、いや、これは劣化なんだから購入者になっちゃうぞというふうになれば、こういういい法案をつくっても全然生きてこないような気もいたします。
そこで、先月、先議の参議院で参考人質疑があって、こちらの衆議院でも四人の方に来ていただきましたけれども、参議院の質疑で犬塚弁護士がこういうふうにおっしゃっておりました。
故意、重過失の認定というのは、実は住宅欠陥の分野では判例がありません、例えば火災保険とか交通事故の保険では重過失認定というのは判例の集積がありますが、瑕疵担保責任の分野においては、今まで保険が存在していないので、故意、重過失の判断はまだ裁判所が基本的に今までしたことがないので、一体どういう場合に故意、重過失を認定するのか未知数ですよ、こう言っています。
もちろん、だからといってこの法案をとめるつもりは僕はないんですが、こうやって、判例がない、全く未知数だよということを犬塚弁護士が先議の参議院の参考人でおっしゃっていることは、僕はこの法案をつくる上で非常に重要なキーポイントになってくると思うんです。
では、どうするんだといったときに、起きてからにしようというのでは、せっかくいい法案をつくっておいて生きてこないというふうに私は思っています。
そういう意味では、この委員会でどこまで局長はこの部分についてお話しできるのかわかりませんが、この弁護士がおっしゃっているとおり、瑕疵担保責任、今まで判例はないんだよと。したがって、判例がなければ判例がないなりにどうやっていくのかということだと思うんですね。ですから、それはあくまでやはりリーダーシップは国交省の住宅局がとっていって、これからこういうふうにしたらいいじゃないかというものを有識者を集めた中で判断していくしかない。これはこれからの話です。
さっきおっしゃった、施行は二年後ということでございますので、そこら辺でどういう方向感でこの判断をなさっていくかを、この場をかりて御意見をちょうだいしたいというふうに思います。
○冬柴国務大臣 判例がないというのは、民法七百九条の損害賠償を求める場合は、故意または過失により他人に損害を与えた者は、その損害の賠償の責めに任ずると書いてあるわけで、重過失とか軽過失とか区別していないんです。したがいまして、その集積がないのはもう当然の話です。
故意、すなわち結果がこう生ずるというのがわかっていてやった、これが故意なんです。それから過失は、認識すべきであるにかかわらず、そういう認識をせずにやってしまったということが過失であります。
したがいまして、そのうち重過失というのは、例えば、よく判例で出てくるのは、夫婦げんかをして、そしてそこにあるストーブを腹立ち紛れにけ飛ばした、そうすると火災を引き起こしますね、これは重過失だと言われるんです。火をつけるつもりでけ飛ばしたら、これは故意なんですね。火をつける、家に放火するつもりで燃えているストーブをこかしてする場合は、これは故意による放火になります。しかし、放火する意思はないんだけれども、女房に腹立ち紛れにけ飛ばした、これが過失。これはよく教科書に引かれる事例なんです、重過失の。ですから、これは、これから判例の集積が行われていくわけであります。
それで、保険の場合はそういう故意とか重過失は除くというのは、例えば生命保険の場合、保険を掛けて自殺するというのがありますね。死亡した場合に、死亡保険ですから、そういうものまで保険を払っておったのでは、これは保険危険としては、それは計算の基礎になり得ないわけですから、普通は病死とか過失で死んだとか交通事故で亡くなったというような死亡原因であって、みずから命を絶つというのは故意なんですね。ですから、そういうものまで計算の基礎に入れて保険料は計算できないということなんです。
今回のこの法律で、故意または重過失は保険の対象にならないと言っているのは、そういうことによって生じた住宅の瑕疵まで保険に入れますと、巨額になっちゃうわけですね。ですから、そうではない、過失、軽過失といいますけれども、そういうもので生じたものを保険でてん補するということを前提に計算しているわけです。ですから、発生率は極めてまれになってくるわけです、姉歯とかそんなのは省くわけですから。
では、省かれた人は賠償を求められないのか。それでは消費者保護になりませんから、それは、保険とは違う別の基金というものをつくって、そこから補償しましょう、こういう構造になっているのがこの法律でございます。
したがって、重過失であろうが過失であろうが故意であろうが、てん補されることは間違いないわけですけれども、そのてん補するのが保険でやるのか基金でやるのか、そこの違いが生じてくるということでございます。
○下条委員 大学の法学部で講義を受けているような鮮やかな御答弁でありがとうございます。
そこまで大臣が法案、法律について、今までの大臣がそうじゃないというわけではないけれども、卓越してすぐれていらっしゃることは大変ありがたいことですし、僕は余りこの後強くは申し上げませんが、前例がないということの難しさというのは私なんかの数十万倍大臣の方が御存じだと思いますが、その部分で、やはりきちっとある程度指針を、判定基準を設けておくことがこの法律の執行権者である国交省として必要である、こういう御提言でございます。
そこで次に、今ちょうど大臣から出ました基金の問題に移らせていただきたいと思います。
まさに基金、保険で払えない場合、基金だとおっしゃったものですから、基金の規模について私はちょっと調べさせていただいた。そうしますと、大体一件当たり五百円ないし千円ぐらいを保険料から拠出して、その部分を基金として積み立てていきますと。
四月に先議の参議院で局長が、例えば十八年度ですと、住宅の新築戸数、着工戸数は百三十万戸である、その七割から六割ぐらいが保険対象になるとすると約八十万戸で、五百円に八十万戸を掛けますと、それだけで四億円になる、十年間で申し上げると四十億円積み上げられるので、それで十分対応できるのではないかという話をしています。
ただ、私は、こういう言い方をするとあれなんですが、日本全国でヒューザーの物件だけなのかなという感じもしているわけですよ。そういうクエスチョンを持っちゃいけないかもしれない、あと全部完璧だよと言うかもしれない。ただ、例えばヒューザー、姉歯の事件では何百億という被害が出ているわけであります。
おととしの十一月の国交省の局長の御発言では、損失はそのとき百四十億円と想定なさっているという意見もいただいています。十年間で基金の方は四十億ぐらいいくかもしれないけれども、膨大な部分も想定されるということだと思うんですね。だれも先を読めないから法律をつくるわけでございますし、法律は何か起きてしまったときにカバーするためだと僕は思います。
これは例えばの話でございますが、第二の姉歯が出てきた、この基金で対応することになったけれども、基金の額では到底足りないよ、一体どういうふうに対処するんだというふうに御省へ問い合わせると、国交省では、既存の住宅保証基金からの無利子貸し付けによって不足分を補う、既存の住宅保証基金から無利子で貸し付けをする、そして補いますよということでございます。
そこで、私もこの住宅保証基金というのを調べましたら、去年の四月で約八十六億円の基金があって、そのうちの約半分、四十一億円がお国から入ってきています。金が四十一億入ってきているということであります。
そこで、私もたまたま二十年金融機関にいましたので、無利子貸し付けかと思いまして、それと、今までこの基金は貸し付けをやっていないんです。まあ、釈迦に説法でございますが、やっていないですね。やっていないところが無利子で貸し付けをしていく。一体どういうふうにやっていくのかなと僕は非常にクエスチョンです、単純に。
金融関係でずっとやっていれば、どういったものをどういうふうにしていって、どうやって押さえていって、先をどのぐらい読んで、その貸し金が倒れちゃったら、その貸し金をやった融資担当者は、ボーナスは減らされ、飛ばされちゃうわけですよ。それが民間でございます。そういう意味では、この無利子貸し付けというのは非常に僕は危惧を持っているんですよ、体制について。
こうやってお貸し出しをする、無利子貸し出しで保証基金からやるということは決まっているわけです。したがって、今後、この基金にとって、どういうふうに審査体制をつくって人員配置をして審査基準を設けていくか。これまたきちっとしておかないと、最終的に、保険じゃないぞ、それは基金だよと。
基金でも、実を言うと、始まったばかりで、基金の金額は、さっき言いました一年間で四億円です。本当に四億で足りない場合、十何億、八十億、九十、百何億になったときに、いやいや、ちょっと待てよ、じゃ、無利子で貸してやろう、基金から引っ張るぞと。基金も、今言ったように八十六億しかありません。そのときに、この審査体制を一体どういうふうにしていくかが僕はまたそこでネックになってくると。
これは申しわけないですけれども、本当に八割が今度の法案は金融でございますので、そういう意味では、非常にその部分に僕は危惧を持っているわけです。どんどん貸しちゃって、いや、いいじゃないか、補助金でフォローしちゃえばと。
結局そこを補助金でフォローするのであれば、結果的には、一般の国民が、補助金の裏は一般の国民の税金でございますので、そういう一、二、三のラインに入ってきてしまうとしたら、これはあくまで想定です、これから一生、姉歯、ヒューザーは出ないかもしれない。でも、今のこのままでは、この無利子貸し付けの審査体制、審査基準、人員体制をきちっと国交省が命令の中でとっておかないと、これは、言いにくいですけれども、大変な垂れ流しになってしまう危惧を私は持っております。あくまで想定でございます。
それで、その基金だって、このままでいって、今までの基金の主目的である保険の保証部分が、この法案の基金の部分がなくなっちゃって無利子の方で取られていくのであれば、住宅保証基金の本来業務がおかしくなっちゃうし、また、返ってこない焦げつきの貸し金もふえちゃう。それが今度は、民間でいう不良債権ですよ、焦げつきになります。
私は、本当にこの法案はいいと思っているんですよ。だけれども、その関所が、僕が金融をやっていた限りだと、まあ、これからですけれども、ぜひその部分の審査体制、審査基準、人員配置の部分について、局長の御決意と想定をお聞きしたいと思います。
○榊政府参考人 若干この制度の仕組みについて申し上げたいと思いますが、一つの保険契約の中に故意、重過失部分とそうでない部分がありまして、そうでない部分というのは、どちらかというと、現在損保業界でやっているような方々が再保険を受けてもいいと言われている部分なんです。
故意、重過失部分について、各指定法人ごとにまず基金をつくっていただくんですが、これはばらばらに、例えば今七つの法人が全部出てきて、七つで運営しても仕方がないだろうということで、それを一つの法人に再保険という形で集めたいと思っています。そういう形で、故意、重過失用の保証基金というのがそこで造成されるんじゃないかと思っています。それが、トータルで言うと、五百円掛ける八十万戸というのを申し上げましたけれども、四十億ぐらい、こういうふうになっているというのが、今の想定の試算みたいな部分でいえばそういうことです。
それと、基準法なり建築士法の改正で、ピアチェックもやるし、いろいろな制度改正をしておりますので、そういった意味で、今回のヒューザーのような、もう全部建てかえしなきゃいかぬような案件がその一つの会社について数件出てくるということはほとんどまず想定されないという制度の仕組みになっているというのを御理解の上で、かつ、基金造成当初というのは、そうはいっても、何か出てくると大変だということがありますので、こっちに持っております財団法人で運用しております住宅保証基金の方から、これは現在、委員が十八年度ベースでいうと八十数億円というふうに御指摘ございましたが、十九年度当初ですと九十二億円ございます。その九十二億円から無利子で貸し付けをする。
貸し付けするということは返していただくということでございますので、当然のことながら、指定保険法人が、言ってみれば、保険料収入の中で上がった収益の中から返していただく、こういうことになるのではないかというふうに思っておるところでございまして、そういった意味でいえば、保険法人の審査体制、いわば基準法等の改正によってきちっと厳格に検査をする分に加えて、今回の保険法人の検査体制、要するに、二段階、三段階における検査体制をきちっとするということが一番肝要かというふうに思っているところでございます。
十九年度の予算措置を含めまして、九十二億円という保証基金になっております。
〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
○下条委員 住宅保証基金の、基金が足りなかった分の無利子の貸し付けの部分についての審査体制と審査基準についてはいかがでございますか。
○榊政府参考人 現在のところ、制度が一年後施行ということもございまして、十九年度と、恐らく来年度もお願いしたいと思っておりますが、そういったような形でこの住宅保証基金の充実を図ってまいると同時に、来年、ちょうど一年後に施行になりまして、そこから保険法人がスタートする、場合によってはそこから任意保険というものがスタートするということになろうかと思います。
実際の故意、重過失部分について言えば、二年半後の施行という形になると思いますので、そのときまでにどういったような試算見込みがあるかということをきちっと私どもの方で算定いたしまして、必要な場合には、御指摘のようなことについても検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○下条委員 確かにまだ時間があるので僕もこういう案を出せるのでございますが、いい法案なんだけれども、関所にちょっとという感じがあります。それをさらにその一年、二年の間に磨きをかけていくことだと思います。
私は、二十年、金融機関で融資業務等を含めたものを行ってまいりまして、海外も僕はやりました。三千六百件ぐらいやりました。逆に何か御質問があれば、方法論について、いつでも胸襟を開いてノウハウを伝授していきたいと思いますので、優秀な行政府の方に僣越ですが、おっしゃっていただきたいと思います。
そして、もう一点だけ今の保険制度について質問させていただきます。
ちょっと戻るような話ですけれども、先議の参議院の委員会の局長の答弁で、ヒューザー事件でヒューザーが倒産したがゆえに建てかえについてみんな困っているにもかかわらず、故意、重過失が対象にならない保険をつくって意味があるのかという思いもある、これは局長がおっしゃった。保険料に即した保険をつくると同時に、この保険料に即した保険というのも必要だと思いますけれども、故意、重過失にも対応できるような保険でなければならないというようなお答えをなさっている。これはもう答弁書に出ております、この部分についてはここでもう切りたいと思いますが。
そうであるならば、一体、今までの部分はもう今までの部分ですけれども、ここでは局長は、故意、重過失に対応できる保険も何かあらなきゃいけないんじゃないかと自分では思うと、ヒューザー案件についてカバーできていないということもあって。
その辺の御意見をぜひ大臣と局長から方向感をお聞きしたいというふうに思っております。
○榊政府参考人 先生の御指摘のように、ヒューザーが倒産したがために二重ローンというような問題が起きて、大変皆さん、精神的苦痛も含めて苦労されているわけです。
新しい制度をつくる以上、故意、重過失を除いた形での保険をつくっても、ヒューザーさんの場合は倒産をしたということでございますので恐らく故意、重過失に相当該当する場合だ、それに対応するはずの制度改正をするのに、実はそれに対応できていない制度ができてしまうというのはいかがなものかということでございますが、損保業界の方に聞きますと、故意、重過失というのは、損害保険の論理としてそういうのは受け付けないんだ、あり得ないんだという御指摘でございました。
それなら、金融庁の監督下にある会社ではなくて、制度外保険というような形になるかもしれませんが、一つの、国土交通大臣が指定する保険の中で、故意、重過失にも普通の過失にも対応できる保険という形でさせていただいて、その中で、故意、重過失部分と、再保険で金融庁所管の損保会社が受けられるような部分とそうでない部分とを分けて、別々に区分経理をしながら、トータルとしては一つの保険という形で運用していきたいというふうに考えまして、制度を創設するということにしたわけでございます。
○冬柴国務大臣 もう局長の言われたとおりでして、出てくる財布が一つは保険、保険理論ですね、一つは基金ということで、すべてをてん補する、そして消費者を保護する。いやしくも、建物の瑕疵を泣き寝入りしなきゃならないという人が出ないようにしようと。希有な事例にはなりますけれども、そういう事例についても、保険それから基金ですけれども、それを包括して保険法人が事務を扱う、こういうことでございます。
○下条委員 ありがとうございます。
ぜひ、そのお言葉どおりに、局長御自身がおっしゃったように、保険でカバーできる、再保険、国土交通の中から出してきて、総括的にやっていくということですから、ぜひ知恵を絞りながら、モラルハザードみたいな部分というのはこれは絶対起き得るわけですよね、いつどこでも起き得てくる。ですから、それをカバーするのが法案の理由であると思いますので、ぜひ、その言葉どおり少し検討していただいて、進めていっていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
そこで、時間が迫ってあと十分しかないんですが、私も、一連の耐震偽装を少しずつ絡ませていただきながら質問してまいりました中で、最後に二点、耐震偽装防止についての質問をさせていただきたいと思います。
まず、私が一連の耐震偽装事件を通じて一貫して問題にしてきたのが、工事監理の部分と施工段階、工事現場での手抜きであります。要するに、いろいろな法案がずっと通ってきて、いろいろなものが関所も通ってきた。最後に現場での手抜きがあったら、しっぽで元も子もなくなってしまうということであります。
例えば、コンクリートのひび割れとか、構造図と施工図の違い、柱と柱の間にあるはりに、一番その根っこのところに穴ぼこがあいていて、つなぎががくがくになっているマンションを僕は現場まで行って見てきました。これはもう自分でそこの八階に上がって寒けがしたぐらいのマンションでございます。
そういうのが平然と建っていたのは、最終的には、すばらしい能力を持っている建築士、設計士、設計事務所と建築会社でつくっていっているんだけれども、現場でのチェックが抜けているがためにそういう現場の現物が残ってしまった、犯罪の遺跡だと私は思っております。
そこで、私が見ていて、建物施工中にいろいろな代行が、建築士の代行として監理者が施工、品質のチェックを行うことになっているけれども、実際には行われていなかったり、ずさんな監理となっていたり、監理者が行うべき業務を施工者に押しつけて責任を回避してきた、その結果だと私は思います。
そこで、昨年来ずっと委員会で指摘してきたんですけれども、工事監理の徹底と建物の品質の確保というのは僕は本当に最後の部分で重要だと思っております。そこで、この部分について、昨日の参考人質疑でもありましたけれども、施工中の品質検査を専門とする施工検査機関の新設とか、建物の構造体に対する中間検査を複数回、また、施工段階で統括監理者を決め、その下に機能別に設計、構造、設備の会社を明確にしていくというのを僕は提案しました。
これらの提案に対して、去年の十一月に住宅局長からこういう御答弁をいただきました。
工事監理に設計をした構造設計一級建築士をちゃんと活用したらどうかという話について、まことに賛成ですが、実は、この構造一級建築士がそこまでやっていると本当に人数が足りなくなっちゃうと。むしろ、構造設計一級建築士をきちっと制度として位置づけて、ちゃんと設計できるようにして、人数がふえた段階でそういったことを検討したいというふうに思いますと。そういう意味では、工事監理業務についてガイドラインみたいなものをつくって、こういった構造設計一級建築士の関与を促すといった方向の検討を、いわばこの制度が根づいたときにそういうことをきちっと自分たちも検討したい、こういう答弁をいただきました。
そこで、そういう答弁をいただいたんですが、一体、人数がこれからどれだけふえていく段階でこの制度が根づくと想定しているのか。制度が根づかないと言えば、まあ五年、十年、二十年たってしまえば、この現場、例えば一戸建ての住宅を新築でつくる場合というのは、必ず施主である人間がそこでチェックしに行くから、柱がどうだ、まあ見えにくいけれどもチェックはできます。でも、共同住宅とか建ててしまったものを売る場合については、購入者は全然チェックできない状態が続くわけであります。
ですから、僕は、ぜひこのチェックの部分について早く進めていってもらいたいと同時に、チェックする人が足りないので現場の監理は後回しでいいという言い方に僕はとれちゃっているので、それでは困るわけですね。
これは去年の十一月、今から五カ月前ですか、たったの五月しかたっていないという顔を局長はなさっておられて、だけれども、どのぐらいまで進めて、どういう想定でこの部分をやっていくかということをお聞きしたいと思います。
○榊政府参考人 この六月にも基準法の改正が施行されるということでございます。
この場合には、工事監理を行った建築士の責任の明確化を図るために、中間検査なり完了検査の申請書に当該業務を担当したすべての建築士の氏名、所属する建築士事務所の名称を記載させるように措置をしたということでございますし、三階建て以上の共同住宅についても中間検査の義務づけをした。
それから、建築士による工事監理の状況を具体的に記載させようということで、国土交通大臣の定める指針に従って、中間検査なり完了検査の厳格な実施の徹底、こういったようなことを図ることによりまして、主事等の第三者が、設計どおり施工しているかどうか、要するに工事監理が適正に行われたかどうかをチェックするということにいたしております。
それから、昨年の建築士法の改正でも、建築主においても契約内容を理解した上で契約を締結しようということで、書面交付の義務づけ等も行いましたし、工事監理業務の適正化を図るために、監理契約締結前に、管理建築士等から建築主への重要事項の説明なり書面の交付の義務づけということをいたしております。
現在、工事監理業務についてのガイドラインを作成するとともに、建築主に提出される工事監理報告書の記載内容も充実させようということで、工事監理の実効性を高めていきたいというふうに考えているところでございます。
現在、改正建築士法の施行に向けまして、政省令に規定される事項を含みます具体的な制度設計について専門的な検討を行うための基本制度部会というのを社会資本整備審議会の中に設けていただきまして、その中に業務報酬基準・工事監理小委員会というのを設置いたしております。ここの中では、業務報酬基準の見直しと、先ほど申し上げました工事監理のガイドラインの作成といったような方策について議論をいただいております。
この十二月、年内ということでございますが、十二月を目途に議論を取りまとめていただきまして、これを踏まえて、政省令や告示の改正作業を行いまして、来年の十二月ということになりますが、来年の十二月までに改正法の施行に向けまして準備を進めたい、かように考えているところでございます。
○下条委員 ありがとうございます。
ぜひ工事監理、局長も、御親族がマンションに住むときに、全く中を見ていない例というのは本当に驚くほどあるんです。ですから、やはり工事監理はそのガイドラインに沿ってスピードアップしていただきたいというふうに思います。
そこで、一時間十分ですが、あとたったの三分になってしまいまして、まだまだ山のように聞きたいことがあるんですが、私は、最後にこれを聞きたいんです。
今回の一連の事件の根本は、建築士の報酬問題なんです。私も、この数週間、そして先月も、もう随分の方に会って、建築士の方と話をしました。何かというと、結局、姉歯さんがああいうふうになったのは、簡単に言えば、業務量は大きくなったけれども、奥さんの問題があったかもしれないけれども、所得を入れたかったのです。所得なんです。どうしても殺人マンションをつくりたくてつくったわけじゃないのであります。食べるためにやっていた。その原点は私は建築士の報酬基準だと思っております。
そこで、先般、大臣から、今後、所要の実態調査を行った上で報酬基準は見直していきたいという答弁をいただいた。局長からは、例えば、設計のことですと、意匠、計画、構造、設備といったような分野ごとに、工事金額じゃなくて延べ床面積で報酬の基準を決めていったらどうかと。つまり、随分昔につくったものですから、それ以後随分中身が変わってきてしまっている。
私は、言いにくいですけれども、建築士の虐げられた立場の方々の報酬基準をぜひ見直していただきたい。ちょうど時間が来てしまいましたので、これを最後に大臣に申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
○冬柴国務大臣 それは根本的な問題だと思います。そういう意味で、社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会というところに業務報酬基準・工事監理小委員会というものを設置いたしておりまして、今検討をいただいております。ここにおいて、業務報酬基準、告示第一千二百六号、これをどう見直したらいいのかということで、その適正化の方策等について論議をいただいております。
したがいまして、これはことしの十二月を目途に議論を取りまとめていただき、これを踏まえて政省令や告示の作成、改正作業を行って、公布より二年以内、すなわち平成二十年十二月までとされる改正法の施行に向けて準備を進めてまいりたいと思います。
業務報酬をきちっとするということはまことに大事なことだという認識は委員と全く同じでございますので、そのように進めてまいります。
○下条委員 ありがとうございます。
ぜひリーダーシップを持っていただいて、お約束どおり進めていっていただきたい。期待しております。よろしくお願いします。ありがとうございました。
○西銘委員長代理 穀田恵二君。
○穀田委員 国交省は、耐震偽装事件の再発防止策としては、被害者救済対策である本法案が、まず建築確認制度、それから建築士法に続く第三弾の仕上げ段階と位置づけています。しかし、建築確認検査を民間にゆだねる枠組みはそのままにして、この間何度も議論してきましたけれども、さらに安上がりの経済設計を初め、安全を軽視し、行き過ぎた低コスト競争をあおる住宅の市場化を促進するなど、抜本策としては極めて不十分であると私は考えています。結果として、事件の被害者はいまだにもとの生活に戻れず、解決していません。
さらに、姉歯事件以降も、構造計算の偽装、不適切事例が相次ぎ発覚し、アパグループの田村水落設計、静岡の月岡設計など、ことしになってもとどまるところがありません。
国交省が実施したマンションのサンプル調査でも、約一割が不適切なものであった。また、大きな住宅状況を見ますと、一千万戸を超える旧耐震対応の既存住宅の耐震診断や耐震改修も思うように進んでいない。
こういうことを見ますと、まさに建築行政の失った信頼を取り戻すためには、まだまだこれでよしという状況にはない、こう考えているところであります。
そこで、建築行政に関連して、一件だけ、例のカラオケボックス問題について、最初に質問しておきたいと思うんです。
これは、耐震偽装事件というのは建築物の設計段階で起こる問題ですが、エレベーターなど、カラオケもそうなんですけれども、確認後の検査、維持管理の問題です。そこで、対処が迫られている問題として、違反に対して是正の行政指導が行われたにもかかわらず改善されない事態について、カラオケボックスについて、どういう現状であるのかということを最初にお聞きしておきたいと思います。
○冬柴国務大臣 平成十九年一月二十日に発生しました兵庫県宝塚市におけるカラオケボックス火災を受けまして、全国の特定行政庁に対して、カラオケボックスに関する緊急点検を依頼したところでありますが、三月末日現在で、建築基準法令への違反件数は二千九百七件でございまして、是正済みが、うち三百九十六件となっております。
現在、特定行政庁におきましては、違反建築物の所有者等に対して、例えば一、二カ月の期限を設けて是正計画書の提出を求め、是正指導に従わない場合には建築基準法第九条に基づく是正命令を行うなど、厳正に対処を進めていただいているところでございます。
違反内容によりましては、防火区域の設置など大規模な改修工事が必要となるものもあるために、一律に期限を設けることはできませんけれども、特定行政庁では、事案に応じ、粘り強く是正指導に取り組んでいるところでございます。
国土交通省としましては、特定行政庁に対し、引き続き違反是正に取り組むよう要請するとともに、定期的にフォローアップ調査を行って、是正の促進に努めてまいりたい、このように思っているところでございまして、建築基準法令に関する違反を把握した件数のうち、是正したものがその一三・八%という少ないものであることはまことに遺憾でありますが、今申し上げたとおり、粘り強くこれを進めなければならないというふうに思っております。
○穀田委員 粘り強く進めなければならない、それはそのとおりなんです。要するに、全部やってしまわなあかんということだと思うんです。
ただ、私驚いたのは、今ありましたように、是正したのは三百九十六件、一三・八%だったと。大臣は、この間は、違反には是正指導するなど厳正に対処すると答弁しました。きょうは、その意味でいうと、各地方公共団体は、改修だとか大きなところもあるからなかなか大変だと言うんですけれども、でも、問題は、九割方がやはり是正指導しても、八割七分ですか、一三・八ですから八六・二が是正していない。これは放置されれば、法令規制が意味をなさなくなります。
この分野でなぜこんなふうに法令そのものが守られないのか、是正指導すら守られないのはなぜか、こういった問題について国交省としてはどのようにつかんでおられますか。
○冬柴国務大臣 今申しました数字は十九年三月末日現在のものでございますが、十九年二月十六日現在におけるものについては、是正済みは八十七件にしかすぎなかったわけでございます。それが三百九十六件まで来たということは、一生懸命やっているけれども、大きい数字の中でございますので、一生懸命取り組んでいるということは御理解いただきたいというふうに思います。
○榊政府参考人 実は、違反内容なんですけれども、非常用照明設備を未設置みたいなところとか、防火区画に関する違反だとか内装制限に関する違反というような形で、違反の態様に応じて、すぐできるものと、それから防火区画ということになりますと、すぐにはできずに一カ月、二カ月かかるというような工事内容もございますので、違反が把握されているにもかかわらず、それが是正されないというのは大変問題だと思いますので、それが是正されるまできちっとしたお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
○穀田委員 今、それは態様で時間もかかると。これは大体つくるときにきちんとやっておかなあかん話です。そういうふうに言っちゃうと、一たん是正指導しておるときに、そんなことがあるんだからというふうに言っていたんじゃ、聞いている人はそんなに、自分のところはこれでええなとは思わへんとは思うけれども、ちょっと余り勧められる話じゃないなと私は思うんですよ。
というのは、これは建築行政の一つなものだから言っているだけで、人の命と安全を守る建築物にかかわる安全規制というのを本当に機能させていく上で、一歩も引かないということが大事なので、そこは、実際の指導ではいつやるんだ、できるんだということを確認しながらも、やはり厳正に、何か甘やかすような言い方じゃなくてやらなあきまへんよということを指摘しておきたいと思うんです。
これは私は、やはり建築行政全体の安全規制に対する、私どもみんなが問われている、そういう行政の監視もしなくちゃならぬし、行政としては、そういうことが建築行政全般にとって見直しが必要なんだという受けとめをする必要があるということだけ指摘しておきたいと思うんです。
次に、今度の法案について、一、二質問をいたします。
もう今までいろいろ議論されてきまして、根本は住宅の瑕疵に対する消費者保護の行政、対策であることは論をまちません。そこで、住宅供給者である販売業者や建築業者に対してそういう義務づけを行うという新たな制度を設けるものであります。
実は、私どもも昨年の四月、耐震偽装事件の再発防止に今何が必要かということで、うちの議員団としても提案を発表していまして、そのときに、「住宅の購入者の保護を図るため、瑕疵補償制度の拡充をはかる」と提案してきたところであります。
そこで考えなければならないのは、この制度をつくるきっかけとなった偽装事件の被害者の救済の問題です。まず、被害者の救済の問題がこの法案をつくる際に考慮されたのでしょうか。そこは局長にお聞きしたいと思うんです。
○榊政府参考人 今回の事案への対応の中ということでございますと、最も緊急かつ重要なのは、危険な分譲住宅の居住者の安全の確保と居住の安定確保でございました。居住者に速やかに転居していただきまして、その安全を確保すると同時に、建物を早急に解体して近隣住民の安全と安心を確保することは、極めて緊急性、公益性が高いというふうに認識してまいりました。
しかしながら、売り主でございます建築主の方で瑕疵担保責任が果たしかねるということでございまして、当初よりその瑕疵担保責任が果たせるかどうかというのが不明な状況でございました。刻々と時間が経過する中で、分譲住宅の居住者にすべてのリスクを負わせることはできない、こういう状況ではなかったかと思っております。
私どもとしてみますと、建築確認審査という公の事務の中で、結果として構造計算の偽装を発見するに至らなかったという特別な事情にかんがみまして、これを純然たる民民の問題と割り切って分譲の居住者にすべてのリスクを負わせることは適当ではないだろうということで考えまして、災害時における類似の財政措置との均衡に配慮しつつ、最大限の、できる限りの支援を行うという考え方で制度を考えたわけでございます。
したがいまして、こういったような危険な分譲マンションにつきまして、このような考え方に立ちまして、既存の地域住宅特別措置法に基づきます地域住宅交付金を活用いたしまして、類似の財政措置とのバランスにも配慮した上で、相談、移転から除却、建てかえといったような総合的な公的支援措置のスキームを設けたものでございます。
こうした支援の結果、各物件で、全居住者の退去、建てかえに向けた事業や検討が現に進められてきているということから見て、特別な立法による措置は必要ないと考えていたところでございます。
現に、今回も瑕疵担保責任の義務づけという形で新しい立法も考えているわけですが、これも新しい立法措置をとるからこそ義務づけができるということでございまして、いきなり遡及適用といいますか、新しく立法するには至らなかったというのが素直な実情でございます。
〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
○穀田委員 榊さん、悪いんだけれども、特別立法のあたりから言ってくれれば別にええよ。だって、前の話はもう何回も議論しておって、どんな対処をしておられるかということについて、被害者対策を講じてきたということはお互いに知っているわけだから、そういう上に立って、これは自民党もプロジェクトチームをつくって、先ほど言った、特別立法はどうだ、うちも特別立法についてこの委員会でも協議の場を設けてはどうかという話を議論してきたわけで、そこからしゃべってくれれば、別に前の方はいいんです。時間を稼いでもらうとちょっと困るんだな。
要するに、私が言いたいのは、そういう被害を受けている人にとっては新しい制度の恩恵はない、残念ながら考慮しなかったということなんですよ。そのことだけ言ってくれればいいんです。そういうことでいいますと、災害時だとかということで、阪神大震災を初めとして、さまざまなバランスの上になっているし、遡及はなかなかできない、このぐらいですね、そこを言ってくれればいいんだ。
そこで、私は、その意味では、今回の被害者というのは、自然災害、震災被害者とはまた違うということはあると思うんですね。明確に加害者がいる、そういう犯罪被害者としてとらえるべきだと思っています。だから、各党も含めて、特別立法措置などの救済策を提案されたりしたわけであります。国にとっても、ある意味では立法不作為の責任があると思うんですね。
だから、今回の保険制度創設というのは、そういうもの全般として、先ほど局長からありましたように、今までそういう体制がなかったということを初めとして、立法化しているわけです。今後は保険等で安心できる、でも被害者は救済されない、その辺が残念だ、情けないと思いませんか、大臣。
○冬柴国務大臣 非常に気の毒だとは思いますけれども、先ほどもおっしゃったように、阪神・淡路大震災を我々は経験しました。甚大な、自分の所有する家、家財一切を失い、なお家族の命まで失った人もたくさんいます。そういう人に対して国家がとったものと、今回の姉歯のような特定のいわば犯罪の被害者のような立場にある人と区別して、今回つくっている法律の遡及効を認める、それはやはり難しいと思います。
○穀田委員 その気持ちといいますか、そこはお互いに阪神大震災を経験した者同士として、ただ、いわば瑕疵担保ということをつくろうというきっかけになっているわけですから、そういう瑕疵でやられた、しかもそのことが、実際に救うことができない、二重ローンに困る、こういう現状を何とかしたいと思うのもまた当然だと思うんです。
そこで、今回の瑕疵担保責任保証制度を考える上で、礎石といいますか、基本に据えるべきだと思うのは、やはり私は、事件の背景にあった住宅の安売り競争を進めた住宅建築販売業界、それから住宅ローンを扱う銀行など、関連業界などが社会的責任を自覚することがまず必要だ。その上で、あわせて、安全規制の整備を怠った国や、確認検査で見逃した特定行政庁が役割を果たしていなかったという事実を真摯に反省すること。つまり、単に個々の企業の責任だけではなくて、その人たちだけでは成り立たない保険制度を実効性あるものにしようとするわけだから、業界ぐるみで保険制度を支え合うことだとか、国や自治体などもそのために保険制度が役割を果たすように責任を果たすことが必要だ。要は、みんなで支え合おうということだと思うんですけれども、そういう点が基本にあるんだろうと思うんですが、そこのところは、大臣いかがですか。
○冬柴国務大臣 その思想はよくわかります。ただ、この瑕疵担保責任というのは、まさに製造者あるいは売り主が責任を負うべきものでありまして、そういう人が倒産したとか夜逃げしたとか資力がないとかいう問題が生じたときに、だれが責任を負うのかという問題に尽きると思うわけです。その際に、融資をした銀行に法的責任を負わせるということは無理があるように私は思います。
しかしながら、こういう気の毒な方に対してどうするのかという立場から、例えば、返済を猶予する、金利を減額するというような形で、その被害を受けた方の損害を軽減するということについて、それに関与した、関係した一人として金融機関がそのような手を打つということはまことに好ましいわけでありますし、我々国土交通省としてもそのようなことを奨励いたしておるところでございます。
したがいまして、住宅金融支援機構の既往ローンの返済に係る特例措置を一昨年の十二月二十日から講じたとか、あるいは、昨年一月二十三日に各民間金融機関団体に負担軽減措置を我々は要請しまして、これに基づきまして、二月十四日に、全国銀行協会あるいは全国信用金庫協会等、五団体・機関の連名の申し合わせによって、返済期限の延長、最大三年でございますが、あるいは返済据置期間の設定、最大三年、あるいは返済据置期間中の金利の引き下げ等、そういうものを申し合わせによって決めていただき、実行していただいているところでございます。
したがって、法的責任というのはちょっと無理があると思うんですけれども、関係した一人として、気の毒な人の損害を軽減しようということについてそのような合意がなされ実行されているということは、私は歓迎すべきことだと思っております。
○穀田委員 そう言われると、私はちょっと、前半の方は、一番最初の結論はいいんですけれども、後半の方になりますとちょっと異論がある、それは御承知のとおりです。
というのは、私は、この問題について、たしか二〇〇五年にも質問したと思うんですけれども、そのときにも言ったんですけれども、銀行の社会的責任はどうなのかということがあるんですね。それは、ヒューザーのマンションを購入する際に、被害者の方々はどう言っていたかというと、現地見学会にヒューザーと提携した銀行が来ていて、その場でローンが可能かどうか確認して、契約と同時にその銀行とローン契約を結ぶというのがほとんどだった、このぐらいまで言っているんですよ。だから、そういう意味でいいますと、銀行というのは、瑕疵、欠陥住宅をヒューザーと一緒になって売っていたじゃないかということに現実は見えるわけです。
私は、今大臣が、いろいろなことをやっているということで、返済の猶予だとか利子とかと言っていましたけれども、実際はどうかというと、若干の支払い猶予は確かにしたでしょう、でも、結果的にはローンの利子すらまけていないんですよ、そんなに。結局、銀行は、ローンの利子でもうけて、ヒューザーに資金を貸し付けてもうける、担保価値のなくなった偽装マンションでももうける、さらに今後建てかえのローンでももうける。被害者から見れば、まさにもうけをむさぼる連中じゃないか、こういうふうに見えちゃうわけです。
そういう点を私は、実際、市民の目から見て、被害者の目から見て、どうかと。そういうふうに言うんだったら、法的にはいろいろと言いますけれども、逆に、この担保物件に瑕疵、欠陥があれば、何らかのリスクを銀行だってしょって、その保険の関係について一部分を背負ったっていいじゃないかというふうに思いませんか。
○冬柴国務大臣 この貸し付けは確かにリスキーな貸し付けでして、担保物件がもう毀損しちゃっているんですよ。ですから、今二重ローンとかいろいろ言っているけれども、その人たちが払えないときは、それは貸し倒れ、損失は銀行が負うわけでありまして、それが最大の責任だと思います。
○穀田委員 これをやっていると、この論は尽きないわけですけれども、そこで、先ほど言った、要はみんなで支え合うという感じの中で、これは先ほどもずっと議論になっているんですけれども、関係業界の関与の仕方について聞きたいと思うんです。
今回の法案では、残念ながら、保険制度を業界が一丸となって支えるというスキームではないんですね。資金力のある者は、簡単に言うと、先ほど出ていましたが、信用してくれ、お金を見せてくださいということなんだ、そういう人たちは供託でもよいという仕組みだと。
法案の中身を見ていますと、供託する場合、仮に年間三十万戸建てる場合、十年間でいうと四十五億円ですから、一戸当たり一万五千円の負担なんですね。中小業者の場合には大体一戸八万円の負担となる。
それで、供託の場合は、先ほど来議論になっていますように、故意、重過失による瑕疵についても消費者保護ができるように、新たに設ける基金制度、住宅購入者等救済基金、仮称ですね、これへの拠出が免除される、また紛争処理機関にかけなくてもよいなど、簡単に言えば、保険制度の枠外になっちゃう。保険は掛け捨てだけれども、先ほど来大臣はおっしゃっていましたが、供託というのは、十年たてば戻ってきて、供託している間の国債やその他の利子や配当は受け取ると。これらはそのとおりですね。
したがって、僕は、そういう意味でいうと、みんなも議論しているように、大手が実際には、当初から問題になっていた保険をつくるというところの議論から出発をして、途中から供託が入ってきたんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですね。
そういうあたりの経過と、そして不公平感はないのかという点について聞きたいと思います。
○冬柴国務大臣 やはり大手が、性善説をとるわけじゃありませんけれども、何十万戸を供給する能力のあるところは、そういうところでいろいろな瑕疵のあるようなものをつくればその信用自体が毀損されるわけですし、ですから、その監理についても、自分の中できちっと監理をして、瑕疵のあるようなものをつくらないという努力をするわけです。そういう人たちと、瑕疵が生ずるかもわからないという人たちとは、保険危険、要するに瑕疵というものが生ずる度合いが、割合が変わってくるわけです。したがって、自己保険、自分でこれはやらせてもらうという自由があって、僕は正当だと思いますよ。
そして、その人たちは、故意、重過失の場合も、供託金で、先取特権、それは供託金から被害者は回収することができるわけでございまして、そこら辺から、保険と供託はバランスがとれていると私は思います。
○穀田委員 それは大臣の見解なんですけれども、もう一遍、経過の中で、なぜそういうことになってきたのかというあたりはどうですか。
○榊政府参考人 昨年の段階では、保険制度について検討するということが先行したことは事実でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、保険ということであれば故意、重過失を外さざるを得ないではないか、ヒューザーは倒産したから問題になったのに、故意、重過失なのに、実は、新しい制度をつくったら故意、重過失が抜けている制度をつくっていることになるではないかということがございまして、保険制度トータルとして、故意、重過失も含んだような保険制度にしたいということで制度を考えていったわけでございます。
次に、今回の法律というのは、売り主の瑕疵担保責任のある意味で徹底追及なんだということであれば、売り主がまず瑕疵担保責任を負うというのが原則でございまして、その基本的な考え方に立てば、売り主がそれだけ、みずから自分の財産でもって、自分の自己資本によって対応できるということを証明できるならば、いわば自己保険という形で供託をしていただくという法制度が妥当なものではないか。なおかつ、供託ということであれば、これは故意、重過失を含めてすべて対応できる。逆に、保険制度を盛るとそれがおっこちてしまうというようなこともありまして、保険の方にも故意、重過失に対応できるような仕組みを入れて、供託、保険が並び立つ、こういったような制度にしたわけでございます。
○穀田委員 二つ言っておきます。
大臣は、大手は、性善説をとるわけじゃないけれどもと言っていましたけれども、私は、この負担の違いというのは随分大きいと思うんですよ。中小業者だって、私のところだってそうですね。地場で工務店をやっている人たちは、それこそ地元でそんな失敗をしたら飯を食えないわけで、ですから、そういうことはないんですよ。
そういう意味でいうと、皆さんがるる前段で、そういう保険の関係で中小業者に対しては一定の優遇をすべきだと言っている理屈があるわけでして、それは当然なんですよ。だから、今、大手の企業だけがそういう苦労をしているわけじゃなくて、中小業者だって苦労してやっている。しかも、その額でいえば、ならせば、負担の額は中小業者の方がはるかに大きい実態になる、幾ら減らしても。そういうことがあるから、私はおかしいと言っているんですよ、不公平じゃないのかと言っているんですよ。
もう一つ、先ほども議論になっているけれども、もともと供託と保険という問題でいえば、それはいろいろ説明はありますよ、だけれども、先進国であるアメリカだって、住宅の瑕疵担保をどうするかという問題でいけば、これはちゃんとやっているわけですから、保険であそこだって賄っているわけですから、その辺の差異はきちんと見なくちゃならぬと私は思っています。
そこで、先ほど言いましたように、銀行の問題をもう一つだけ聞きたいんですけれども、結局、住宅瑕疵担保責任研究会報告書を見ますと、保険以外の措置を活用した制度設計における課題と基本的方向性という文章の中に銀行保証の項目があるわけですが、その結論として、「履行確保措置の選択肢に含めることについては慎重な検討が必要と考えられる。」ということで書いています。そこで、きのう、全体の部会の中ではどんな議論をされたかと言ったら、いや、一つもしていませんというのが部会長の参考人質疑での議論でありました。
その後、省としてはどのように検討されたのかということと、もう一つ、先ほど言ったように、住宅ローンという関係から、確かに保証制度は銀行は見送られているわけだけれども、今お話ししたように、住宅ローンという関係から、今回の保険制度、故意、重過失の場合の基金制度に、保険料の一部や基金への拠出金を銀行に課してもいいんじゃないかというふうに思うんですね。その二つだけ言ってくれますか。
○榊政府参考人 瑕疵担保研究会の報告書の中でございますけれども、基本的には、銀行保証も保険も客観的に見れば余り変わりがないという部分はあるんですが、私どもの保険の場合は、指定保険法人制度ということで、検査というチェック機能と保険という機能を合わせたような形の法人ということを考えております。銀行については、瑕疵発生リスクについてのノウハウがないということと、検査をする人をちゃんとそろえられるかということが問題だということと、十年間の保証ということになりますので、彼らのBIS規制上でいえば、それがどういう扱いになるかという問題点もあるということと、信用力の高い一部の企業に限定せざるを得ない可能性が高くなるということと、特定業界の与信枠を増加させるというようなこともあるという御指摘を受けましたので、なかなか、選択肢に含めることについて慎重な検討が必要だというような結論になったところでございます。
それから、保険料の一部負担について銀行をという御指摘がございましたけれども、本法案自体が、先ほども申し上げましたように、売り主に対する瑕疵担保責任の履行のための義務づけということでございますので、保険料の支払いなり基金への拠出も、売り主の資力確保のための保険制度の一部でありまして、あくまで売り主が原則負担することが適切ではないかというふうに考えているところでございます。
○穀田委員 では最後に、私は、売り主ということだけじゃなくて、それを保証している、住宅ローンということで成り立っているところも関係者だ、だからそこを入れたらいいということだけは言っておきたいと思います。
そこで、最後に一つ。故意過失に起因する瑕疵に対応するための基金制度スキームについて聞きたいと思うんです。
生保、損保において、不払いという社会問題が生じています。指定保険法人の仮に払い渋りだとか瑕疵の過少見積もりなどを生じる心配はないんだろうかと、素人からしますと、思いますね。それで、査定をきちんと行う保証、それから査定の公正性を保つための研修や査定基準の公開、こういったことなどを含めた考え方はどうなっているか。そして、保険法人の監視など具体化すべき点が今後あるんじゃないか。その点についてだけお聞きしておきたいと思います。
○冬柴国務大臣 住宅の瑕疵担保責任保険法人というものは、瑕疵担保責任の期間である十年以上にわたり有効な保険を長期的、安定的に扱っていくべき法人でございます。
このため、保険法人について、国土交通大臣が審査し指定することとしておりますが、指定に当たりましては、検査体制や査定体制など、保険業務を適切に実施することが可能なものとなっているかどうか、保険業務を的確に実施するために必要な財産的基盤を有しているかどうか等の観点から十分な審査を行っていこう、そのようにしておるところでございます。
さらに、保険引き受け、保険金支払いに関しましても、適切な保険料の徴収、適正な保険金の査定等が行われているかどうかについて、適宜報告を求めたり立入検査を行うなどして、しっかりと監督を行ってまいりたい、このように思います。
○穀田委員 終わります。
○塩谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○塩谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。中野正志君。
○中野(正)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、構造計算書偽装問題等により、国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信が広がっていることにかんがみ、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 先に成立した「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」及び「建築士法等の一部を改正する法律」と相まって、建築・住宅行政を所管する地方公共団体との連携のもと、欠陥住宅や不良不適格業者の排除の徹底を図るとともに、住宅性能表示制度の活用等により、安全で安心できる良質な住宅が供給されるよう取り組むこと。
二 万一、故意・重過失による瑕疵事件が発生した場合でも、住宅購入者等の保護・救済に欠けることのないよう十分な対応を図ること。また、住宅購入者等を救済するための基金については、その運用について透明性と合理性を十分確保すること。
三 住宅供給業者が供託、保険のいずれかを選択した場合でも、消費者にとって不利にならないよう、両制度の詳細な設計及び運用に当たって十分に配慮すること。
また、本法律の運用に当たっては、中小事業者等に過大な負担とならないよう配慮すること。
四 住宅瑕疵担保責任の履行に当たって、消費者が瑕疵の立証や、修補方法・費用の判断を適切に行えるよう、住宅品質確保法に基づく住宅紛争処理支援センターによる技術的な支援や相談体制等の更なる充実を図り、住宅供給業者との話し合いに基づく瑕疵の修補がスムーズに行われるよう配慮すること。
また、住宅紛争処理支援センターによる指定住宅紛争処理機関への助成、情報提供等の拡充に努めるとともに、指定住宅紛争処理機関に対するあっせん及び調停の申請に時効中断効を付与することについて、速やかに検討の上、必要な措置を講ずること。
五 法律の施行後、制度の運用や瑕疵発生等の状況の詳細な把握に努め、それらを踏まえ、住宅の瑕疵担保責任の履行の確保に不足を来すことのないよう、保険制度、供託金額等の見直しを行うこと。
六 住宅瑕疵担保責任保険法人として指定される法人、財団法人住宅保証機構、財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター等、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に貢献すべき団体が、いわゆる天下り機関等との指摘を受けることのないよう指導を徹底すること。
七 この法律に基づく政省令、保険約款等の具体的な制度設計に当たっては、指定住宅紛争処理機関を運営する日弁連及び各弁護士会と十分な協議を行い、円滑な執行に努めること。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
○塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣冬柴鐵三君。
○冬柴国務大臣 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
大変にありがとうございました。(拍手)
―――――――――――――
○塩谷委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○塩谷委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。
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特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
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○冬柴国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件につきまして、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より六カ月間の期間を定め、北朝鮮船籍のすべての船舶の入港を禁止する措置を実施しておりましたが、北朝鮮が引き続き拉致問題に対して何ら誠意ある対応を見せていないことや核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢といったその後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認め、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第三条第三項の規定により閣議決定された「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づく特定船舶の入港禁止措置に関する閣議決定の変更について」に基づく入港禁止を実施しました。これについて、同法第五条第一項の規定に基づいて国会の承認を求めるものであります。
以上が、本件を提案する理由であります。
次に、本件の内容について、その概要を御説明いたします。
本件は、同法第三条第三項の規定による平成十九年四月十日の閣議決定に基づき、昨年十月十四日より平成十九年四月十三日までの六カ月間にわたる北朝鮮船籍のすべての船舶の本邦の港への入港禁止の実施を決定した従前の閣議決定を変更し、平成十九年十月十三日までの六カ月間にわたり、引き続き、北朝鮮船籍のすべての船舶の本邦の港への入港禁止を実施することについて、同法第五条第一項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。
以上が、本件の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十五日金曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十二分散会