第3号 平成20年2月22日(金曜日)
平成二十年二月二十二日(金曜日)午前十時二分開議
出席委員
委員長 竹本 直一君
理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君
理事 西銘恒三郎君 理事 望月 義夫君
理事 山本 公一君 理事 川内 博史君
理事 後藤 斎君 理事 高木 陽介君
安次富 修君 赤池 誠章君
上野賢一郎君 遠藤 宣彦君
小里 泰弘君 大塚 高司君
岡部 英明君 鍵田忠兵衛君
金子善次郎君 亀岡 偉民君
木原 誠二君 北村 茂男君
佐田玄一郎君 清水清一朗君
島村 宜伸君 菅原 一秀君
杉田 元司君 鈴木 淳司君
関 芳弘君 谷 公一君
永岡 桂子君 長崎幸太郎君
長島 忠美君 葉梨 康弘君
林 幹雄君 原田 憲治君
松本 文明君 盛山 正仁君
若宮 健嗣君 石川 知裕君
逢坂 誠二君 北神 圭朗君
小宮山泰子君 古賀 一成君
長安 豊君 三日月大造君
森本 哲生君 赤羽 一嘉君
漆原 良夫君 穀田 恵二君
亀井 静香君
…………………………………
内閣総理大臣 福田 康夫君
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
国土交通副大臣 平井たくや君
国土交通大臣政務官 金子善次郎君
国土交通大臣政務官 谷 公一君
政府参考人
(国土交通省国土計画局長) 辻原 俊博君
政府参考人
(国土交通省都市・地域整備局長) 増田 優一君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 宮田 年耕君
国土交通委員会専門員 亀井 爲幸君
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委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
小里 泰弘君 木原 誠二君
大塚 高司君 上野賢一郎君
亀岡 偉民君 関 芳弘君
若宮 健嗣君 清水清一朗君
鷲尾英一郎君 北神 圭朗君
同日
辞任 補欠選任
上野賢一郎君 安次富 修君
木原 誠二君 小里 泰弘君
清水清一朗君 若宮 健嗣君
関 芳弘君 永岡 桂子君
北神 圭朗君 鷲尾英一郎君
同日
辞任 補欠選任
安次富 修君 大塚 高司君
永岡 桂子君 亀岡 偉民君
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二月二十一日
道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
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○竹本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。
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道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○冬柴国務大臣 ただいま議題となりました道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
我が国の国際競争力の強化、地域の活性化、安全・安心の確保、環境の保全と豊かな生活環境の創造といった政策課題に対応するため、真に必要な道路の整備を計画的に進めることは、今後とも、我が国にとって重要な政策課題であり、このために必要な財源を、納税者の理解を得ながら、引き続き確保することが必要であります。また、地方財政が厳しい中にあっても、地域間格差への対応や生活者重視の視点から、地域の自主性にも配慮しつつ、地域の道路整備を着実に促進することが必要であるほか、地域の活性化、物流の効率化等の政策課題に対応する観点から、既存高速道路ネットワークの有効利用と機能強化を図ることが必要であります。
この法律案は、このような状況を踏まえて提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、道路整備費の財源等の特例に関する法律について、法律の題名を道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に改めることとしております。
第二に、揮発油税等の収入額の予算額を毎年度道路整備費に充てる措置の適用期間を平成二十年度以降十年間延長するとともに、揮発油税等の収入額の予算額が各年度において道路整備費を上回る場合には、必ずしも当該年度の道路整備費に充てる必要はないものとしております。
第三に、地方道路整備臨時交付金制度について、都道府県等が行う一般国道の整備事業を交付の対象とした上で、当該制度の適用期間を平成二十年度以降十年間延長することとしております。
第四に、道路整備事業の地方の負担の軽減を図るため、道路整備事業の地方負担分について無利子の資金を貸し付ける地方道路整備臨時貸付金制度を平成二十年度以降五年間の措置として創設することとしております。
第五に、高速道路の利用者等の利便を増進し、その負担の軽減を図るため、国土交通大臣が同意する計画に従い、高速道路株式会社による高速道路料金の引き下げとスマートインターチェンジ等の整備を目的として、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の債務を政府が承継することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、特別会計に関する法律の改正等所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○竹本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○竹本委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土計画局長辻原俊博君、都市・地域整備局長増田優一君及び道路局長宮田年耕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○竹本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若宮健嗣君。
○若宮委員 おはようございます。自由民主党の若宮健嗣でございます。
ただいまの大臣のお話もございました。そしてまた、昨日までの予算委員会での道路に関します集中審議、あるいは予算委員会でも多々、皆様方からも議論をされております。非常に大きな課題でございます。
私自身、予算委員会を通じまして、冬柴国土交通大臣のお人柄そしてまた御人徳が本当にあらわれているなという、いろいろな方々、議員からの質疑に対する誠意ある御答弁には、心から敬意を表しております。本日も何とぞよろしくお願いを申し上げます。
私自身、東京の生まれでございます。生まれも育ちもこの東京で、実は、自民党本部の目の前の永田町小学校、幼稚園を、今はもうなくなりましたが、卒業させていただきました。そういった観点から、きょうはちょっと、この東京の道路関連につきまして、中心に質問させていただければと思っております。
予算委員会でも、地方の道路、そして特に幹線道路、高規格道路等々についてのお話が議題としては多くなってきてございます。ただ、実際に東京にふと目を転じていただきますと、現在、あかずの踏切、あるいは電線等がもう本当に入り組んでしまっていて、地中化対策がおくれている。そしてまた、渋滞も激しいものがございます。私は子供のときから住んでおりますが、これはもう三十年前、四十年前から続いている状態でございます。果たしていつ解消することができるのか。そして、多くの課題を有しているのが現状ではないか、このように認識をいたしております。
これは、単に東京が一極集中をしているからという東京だけの問題ではなくて、都市部ではどこでも同じような問題が生じているのではないか。そしてまた、東京というのは、日本を代表する国際都市、ニューヨークやパリやモスクワやロンドン、そういったところとの比較での問題でなければいけないんじゃないかな、このようにも考えているところでございます。
こういったいろいろな、地方も含めた問題の解消のためには、実際のところ、現在、五十九兆円という予算、中期計画での整備量ということで挙げてございますが、私個人の考えとしては、例えば東京でいいますと、今現在進んでおりますマッカーサー道路、これは港区のあれでございますけれども、新橋の方へ向かっております。これも昭和二十一年に決めて、いまだに続いておりまして、まだまだ多大なる費用がかかって、解決を見ておりません。実際、五十九兆でも足りないのではないかなというのが正直な感想でございます。
もちろん地方の道路整備も大切ではございますが、今後の道路整備に当たって、特にこの都市部の道路整備に対して重点的な投資が必要ではないかというふうに考えておりますが、国土交通省としての御見解を伺いたく存じます。
○冬柴国務大臣 道路整備におきましては、地方、都市にかかわらず、さまざまな課題がございます。
御指摘のとおり、都市におきましては、特に東京におきましては、踏切が全国で三万五千あるわけですが、東京都二十三区だけで六百七十三もあるわけでございます。そのうち、あかずの踏切と言われる、一時間のうちに四十分遮断機がおりているというような著しい交通渋滞がそこには生ずるわけでございますが、そういうものが東京で二百七十カ所もある。これは、都市がつくられたときに鉄軌道が平面に敷設をされたところへ人口が集中したということが理由ではないかと思われるわけでございますけれども、ほかの、パリでは、あかずの踏切じゃない、踏切が十四カ所とか、それからロンドンでは十カ所というのに比べますと、東京がいかにそういう問題で悩ましいかということがよくわかるわけです。
したがいまして、我々も、地方とは違った、東京固有のそのような強いニーズがあることは本当に理解できるわけでございます。
これについては、あかずの踏切というものを含んだ踏切対策、それから、あかずではないけれども、人や自動車や自転車が集中する、それによって、周りに環境問題もありますし、騒音問題もありますし、中には交通事故が踏切で起こるというような危険な問題も生じます。
したがいまして、踏切を約六百、それから、それ以外の集中するようなものについては八百、千四百というものを抽出いたしまして、その約三割に当たる四百カ所は除却しよう、それは連続立体交差とかアンダーパスとかいろいろな手法がありますけれども、こういうことをやっていこうということがこの十年の計画の中に入っています。
どこをやるかということは、その年度年度に、財務省との協議、あるいは地元の御要請、都市計画決定もしていただかなければなりませんし、環境調査もしていただかなきゃならない。そういうようなものを経てこれをやっていくということでございます。
連続立体交差を考えてみたらわかるんですが、そこで毎日走っている電車をとめることなくそれを上へ上げるという工事ですから、時間も、そしてまた周辺の住民に対する手当ても、大変な作業が伴うわけでございます。したがいまして、こういうものを十年間にやっていこう、四百カ所やっていこうということがその中に決められているわけでございます。
それだけではなしに、都市部におきましては、電線類の地中化、これは道路が大変狭隘でございますのでそういうものも必要でありますし、首都圏の場合は、中央連絡自動車道等の環状道路、三環状がまだ全部完成していないわけですね。そういう問題もあるということで、こういう喫緊の課題が数多く残されているのが東京でもあると私は認識をいたしております。
このような都市のさまざまな課題を解消するためにも、今後十年間という、長期のようですけれども、このような見据えた道路の中期計画というものが必要である。そして、それを進めるためには、時間とそれから相当巨額のお金がかかりますし、そしてまた周辺の方々に対する手当てというような、多くの利害関係者がそこに生ずるわけでございます。
したがいまして、それを支えることのできる安定した財源の確保ということも必要でございますので、答弁が長くなりましたけれども、そういう観点から道路の中期計画というものを御提案申し上げ、都市は都市、地方は地方のニーズにこたえていこうという考えでございます。
○若宮委員 ありがとうございました。
ちょうど今大臣のお話にもございましたが、やはり、各地域によっていろいろな優先順位、あるいは東京でも、地域ごとによって、あかずの踏切であったり、それからまた別の、地中化であったり渋滞の解消であったり、いろいろな目的とかあるいはやってほしいこと、あるいは解決していきたい問題というのは異なってまいるかと思います。
そこで、地方公共団体で私が感じますところでは、それぞれの自治体で、自分たちで優先順位を考えて、ここでは私たちはこういった問題を解決したいんだ、こちらのエリアではまたこういった問題を解決したいんだ、そういったような形で、創意工夫をもって道路整備を進めたいというようなお考え、お望みが強いのではないかな、このようにも感じておるところでございます。
地方公共団体が進める道路事業に関しては、今後さらに、地方それぞれの、つかさつかさごとでの裁量を拡大すべきではないのかなというふうに私自身は思っておりますが、国土交通省としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。お答えいただければと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体が自由裁量な事業を展開するというのが本当に必要だと思っております。
これまで補助金ということで多くを地方の道路事業に出しておりましたが、今は地方道路整備臨時交付金ということで大半が賄われております。
その地方道路整備臨時交付金でございますが、個別事業の箇所をどこでやるか、あるいはそこの箇所の事業費をどうするか、あるいは事業内容をどうするかというのを完全に地方の方にゆだねる運用の改善を今しておりますし、さらに、個別事業の国費というのを、割合を自由に設定できる。県トータルでは十分の五・五、十分の四・五という割合になりますが、個別事業の国費の割合というのは自由とするというふうに、地方の自主性、裁量性を高めるように運用改善をやってまいりました。
さらに、平成二十年度以降は、この交付金の交付対象として、従来は都道府県道、市町村道でございましたが、それに加えまして、地方が主体である一般国道を追加する、そういう制度改善を図ることにしておりまして、そういうものを含めて自由裁量の幅が広がるというふうに考えております。
今後とも、地方のニーズを踏まえまして、地方の自主性のもと、創意工夫を凝らして地方の道路整備が進められるよう努めてまいりたいと考えております。
○若宮委員 ありがとうございました。
続きまして、おとといですか、長島先生の方からもいろいろ質問が、大臣の所信の中でのお話のことに触れておられましたが、平成十六年度に新潟で中越地震がございました。それで、その際に関越自動車道の一部の区間が通行どめになってしまいました。この関越自動車道が通行どめになったがために、磐梯そしてまた上信越それぞれの広域ネットワークが存在をすることで、迂回路として、いろいろな物資を運んだり緊急整備の体制を整えたり、支援をすることができたのではないかな、そして、その経済に与える影響を最小限に食いとめることができたのではないかな、このようにも考えるところでございます。
また、都市部の渋滞というのが、結局、トラックなどが通過をしなければならないということで、地方に発着する物流コストにも大きな影響を与えているのが現実ではないかな、このようにも感じているところでございます。
この混雑緩和のための、放射線状のものはそこそこ整ってきたような感じもいたしますが、環状道路の整備というのをまさにこれからさらに重点的に進めていっていただきたいなというところではございますが、このネットワークの多重化、渋滞解消の観点から、東京の外郭環状道路を含む首都圏三環状道路の整備をさらに充実させていくべきではないかと私強く考えておりますのですが、国土交通省としては、このあたり、いかがお考えでございましょうか。
○金子大臣政務官 お答えを申し上げます。
ただいま御指摘ございました首都圏の三環状道路でございますが、一つは中央環状、それから二つ目は外郭環状、そして圏央道というようなことで整備を進めているところでございます。これからも計画的に整備を進めることは当然でございますが、御参考までに、どういう効果が上がっているかというようなことをちょっと述べさせていただきたいと思います。
昨年の六月の二十三日に、圏央道の八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの延長九・六キロメートルが開通したわけでございますが、その後の四カ月間で、これから述べますような効果が出ているという調査結果が出ております。
まず、十六号では、中央道から関越道間の国道十六号でございますが、約三千八百台一日、約一〇%、それから国道四百十号、上り線でございますが、約二千台、日当たりでございますが、二一%の交通量の減少を見ております。また、国道十六号の小荷田交差点、それから国道四百十一号の丹木町三丁目交差点でございますが、大型車の交通量が約千台一日減少したというような渋滞の解消が確認をされているところでございます。
今後とも、高規格幹線道路、この目的そのものは国際競争力の強化あるいは地域の自立と活力の強化というような観点から整備されていくわけでございますが、それとあわせた地域のネットワーク、こういうことにこれからも力を入れてまいりたい、このように考えております。
○若宮委員 ありがとうございました。
それでは、またここで、振り返って大臣の方に御質問申し上げたく存じますが、私ども自民党の若手議員で、実は、昨年の六月から、力強い都市づくりと道路を考える会という勉強会をつくりまして、さまざまな各種の団体からのいろいろな御意見をちょうだいしました。あるいは、もちろん国土交通省の皆様方にもいろいろ御協力いただき、資料の提出なんかもしていただき、また、ともに勉強させていただいたような会合を持ちました。合計六回勉強会をさせていただきまして、十二月には冬柴大臣のところに私どもでお持ちをさせていただいたような次第でございます。
そういった中で、道路特定財源の一般財源化というこの大きな課題、今大変な問題になってきてございますが、私どもも、いろいろな各種団体、石油団体、自動車関連業界、お話をお伺いしました。直接お伺いしますと、JAFを初めといたしましていろいろな団体から、約一千万人以上の方々から、道路のために集めた税金は、道路整備以外に使うのであればやはり下げるのが筋なんじゃないだろうか、こういった御意見が非常に多かったというふうに感じております。この受益者負担の考え方に対する国民の関心が非常に高いということを踏まえ、この道路特定財源の一般財源化に対する大臣のお考えをお伺いできればと存じます。
○冬柴国務大臣 もうそのとおりでございまして、道路整備をするから払ってほしいということでお願いしているわけでございますから、それを例えば全然違うところへ使うということになれば、税を負担する方にとっては、そういう案であれば減税してほしい、こういうことで一千万人以上の方の署名も私の方にも届くわけでございます。
そこで、こういう難しい問題をどう解決していくのかということが大切でございまして、厳しい財政事情を勘案して、毎年度、道路歳出を上回る税収、この部分を一般財源として活用する。一千八百とか一千九百というオーダーで推移いたしておりますが、この場合であっても、その一般財源とされたものの使い道でございます。これは、自動車関連として、そして納税者の理解が得られる、そのような範囲の支出にするということでこの間の調和を図らせていただいているわけでございます。
例えば、今まで一般財源によって行われている歳出の中で自動車に関連するもの、すなわち、その部分であればということで納税者に御納得をいただけるのではないかというものを挙げてみますと、京都議定書の目標達成計画関連予算、十九年度では一兆一千億というものがあるわけです。この中で自動車のCO2排出部分、これが一七・四%を、すなわち一千億円はこの自動車のところで歳出を削減しなきゃならないということになっております。したがいまして、環境対策に一千億を、そのような形で一般財源に回した分から支出をするということは納得をいただけるのではないかということが一つ。
それから、信号機等の設置の安全対策ですね、これが一般財源から今までは二百億円出されていた部分を、我々の方からの二百億で充当することは御納得いただけるのではないか。
それから、交通事故に伴う財政負担というのがあります。救急医療体制の整備とかそういうものに九百億円程度の支出。昨年も半世紀ぶりに交通事故の死亡者が六千人を割り込んだということで明るいニュースではありますけれども、しかし、現に五千七百四十四人という方が亡くなっております。そしてまた、その十倍以上の人たちが、本当に長期入院をしなければならない重傷を負っていらっしゃるわけです。
そういう意味で、こういう使い方であれば我々の方の特定財源から一般財源に回されたものの使い道として御納得はいただけるのではないかということで、我々としましては、こういうものに支出をしていただくということで財務省と合意をしているわけでございます。
○若宮委員 大変わかりやすく御説明いただきましてありがとうございました。
引き続きまして、私は東京でございますものですから、どうしても首都高速というのにいやが応でも乗る機会が多うございます。この首都高速に関しての質問をちょっとさせていただければと思っております。
この高速道路の料金なんですが、現在、首都高速道路株式会社では、この平成二十年度秋の距離別料金の採用を今目指しておるところだと思います。昨年の九月に一応発表されておりますが、現在均一、七百円という料金を、四百円から千二百円の幅で、距離によって利用者からちょうだいしよう、そういう案が出ておりますが、現在までのところ、国民あるいはそれぞれの首長さんたちに対して意見募集を、あるいはいろいろな御批判なり御意見をちょうだいしているというふうにも伺っております。
今までのところ、どんな意見が寄せられているのか。そしてまた、どのような目的でこれを導入されようとしておられるのか。またあるいは、これも懸念されるところではあるんですが、実際のところ、短距離を利用する人よりも長距離を利用する人の方が多くなってしまって、特にトラック事業者などへの負担増ということになり得るのではないのか。あるいは、その上限の価格の値下げなどについての措置を講ずるべきではないかなというふうにも私自身としては感じておるところでございますが、このあたり三点、ちょっとまとめてお答えをいただければと思っております。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
最初のお尋ねでございますが、昨年会社が発表しました案についてどのような意見が寄せられているかという点についてでございますが、これまでに会社には二万件を超える意見が寄せられておりまして、最も多い意見が、上限の料金千二百円で会社が案を提示しましたが、八四%の方がもっと引き下げるべきという意見でございました。また、出資団体である東京都からも、上限の料金、これについて、上限が高過ぎるのではないかというような意見があるというふうに認識をしております。
二つ目のお尋ねでございますが、距離別料金はどういう目的で導入するのかということでございます。
東京線で申し上げますと、どんどんネットワークが広がりまして、各インターチェンジ、ランプで、例えば新宿―外苑は三キロでも七百円でございます。ネットワークが延びまして、東北道の接続の川口ジャンクションからアクアライン接続の浮島ジャンクションまで四十八キロ、これも七百円でございます。均一料金でこういうふうにやっておりましたが、ネットワークの進展、拡充に伴いまして、利用者間の負担の格差というのが拡大しておりますので、その負担の公平を図る、そういう料金制にすべきということが平成十五年十二月に民営化の際の政府・与党申し合わせで決まっております。それに沿って利用距離に応じた料金制度を導入するという考えでございます。
三つ目のお尋ねでございますが、トラック事業者など長距離の利用者にとっては相当の負担増になるという御指摘でございます。
確かに、平均的な利用距離というのは、普通車が十七キロでございますが、大型車は二十七キロ、トラック事業者が相応するとは限りませんが、大型車二十七キロということで考えますと、トラック事業者にとって相当の負担増になるということでございます。
したがいまして、昨年末の政府・与党合意、あるいは会社等がいろいろな意見を踏まえて昨年秋に出した案をさらに検討されると思いますが、そういうものを踏まえまして、首都高速の有効活用を図る料金引き下げにつきましても、料金の社会実験を今実際にやっております。そういうものを踏まえて検討してまいりたいと思っております。
なお、料金引き下げの具体的な内容につきましては、各会社、それと債務返済機構が御意見を伺って、今後計画を作成するということになろうかと思います。
○若宮委員 ありがとうございました。
いろいろな御意見があると思いますので、そのあたりは非常に慎重にいろいろ御検討いただき、前にお進めいただければと思っております。
それでは、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、この道路整備の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、予算委員会でもいろいろな話題、議題になっております。
私たちが忘れてはならないのは、日本の国民一人一人が、本当にこの先十年間、あるいは三十年後、五十年後、私たちの子供の世代、孫の世代、そのときに日本の国家が、国家として国力を、ほかの国に負けずに伍していける力を、国際競争力を蓄えていけるんであろうか。あるいは、観光立国を目指そう。
実は、昨年の大臣所信で質問させていただいたときにもちょっと申し上げたんですが、嫌でも人が集まるところ、魅力があれば人は集まります。嫌でもお金が集まるところ、魅力があればお金は集まります。お金は天下のめぐりもので、国境は完全になくなってきております。人も同じじゃないかと思っております。そして、企業の立地も、会社がやるいろいろなところへの投資も、すべて同じじゃないかと思っております。
このように経済秩序が大きな変化を遂げる中で、私たちの国日本がこれから先も、国際競争力の強化、そして観光立国として、外国人の方からも多くの方々に日本が魅力のある土地として、魅力のある観光地として来ていただくためには、いろいろな面でのハード、ソフト面の充実が必要ではないかなと思っております。これはもちろん道路だけではなくて、陸上、海上、そして航空、すべてが一体となって有機的な連合をしなければなかなか実現できないものではないかな。
そういった中で、道路整備の中期計画において、どのような目標を持って、国際競争力、観光立国日本の実現に前向きに大臣がお取り組みなさるおつもりで取り組んでおられるのか、その決意をお聞かせいただければと存じます。
○冬柴国務大臣 四面環海の我が国におきましては、人流、物流が全部海を越えて来なければなりません。その意味で、空港、港湾、そしてそれを結ぶ道路のネットワークというものがなければ、これは外国から来ていただく方にとっても不便になってしまいます。
そのような観点で、基幹ネットワークの整備の場合、拠点的な空港、港湾から高速道路等へのアクセス率を欧米並みの九割に改善するということを目標に、拠点的な空港、港湾七十一カ所の中で、十分アクセスが未達成な箇所二十二カ所のうち十五カ所について改善を図ろうとしております。
それからまた、生活幹線道路ネットワークの形成の場合におきましては、生活幹線道路十七万キロメートルのうち、急カーブや急勾配などによってすれ違いに影響を及ぼす箇所五千区間を選びました。一万三千キロメートルでございますが、これに対して集中的に対策を講じようといたしております。
このように、引き続き重点化、効率化に積極的に取り組みまして、国際競争力の強化や観光立国日本の実現に即応した道路整備を計画的に進めてまいろうと思っております。
○若宮委員 ありがとうございました。
本当にこれから先の十年間、大臣も最初におっしゃっておられましたが、これがこの後の三十年、五十年の私たちの国日本の大きな未来をつくる礎になるのではないかと思っております。その意味で、全力でいろいろなところでも御支援を申し上げたいと思っておりますが、どうぞ大臣におかれましても、あるいは国交省の皆様方におかれましても、全力で取り組んでいただきたいなと思います。
これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○竹本委員長 若宮君の質疑はこれで終わりました。
次に、遠藤宣彦君。
○遠藤(宣)委員 おはようございます。自由民主党の遠藤宣彦でございます。
今回、道路特定財源、冬柴大臣におかれましては、連日お疲れさまでございます。私自身は、今回の最大のテーマであります道路特定財源、午後からは福田総理も御出席されるということでありますけれども、多くの論客が今までいっぱい議論をしてきた。そこで、今さら重箱の隅をつつくような話ではなくて、国民の実感にこたえる形で、そもそも今回のことは何なのかというところからお話をしていきたいと思います。
余計なことかもしれませんけれども、かつて竹下元総理は、消費税の導入のときに、きちっと国民にわかりやすいような懸念を示して、そこを説明することによって大きな変革を遂げた、達成することができたということもございますので、そもそも論から入りたいというふうに私は思っております。
まず、今回の法案の意義。私自身の選挙区は福岡一区というところでありまして、福岡の博多区と東区、中心部で道路は比較的整っておるんですけれども、福岡県というところは、非常に大物の先生がいっぱいおられます。いわゆる派閥の長といいますか、政策グループの長が三人いらっしゃる。最近話題になっている大臣も含めて、現職の大臣が二人いらっしゃる。元大臣もいらっしゃる。本当に大物に囲まれておりまして、かつて小渕総理が、中曽根さんと福田さんの間にいる、ビルの谷間のラーメン屋というふうにおっしゃっていましたけれども、私なんぞは摩天楼の中にいるテント小屋みたいなものでありまして、もし道路が政治力で決まってくれば、私ごときが騒いでも仕方がないとあきらめなきゃいけないわけなんですね。
しかしながら、私は、今回の法案、この道路特定財源というものが、決してごり押しの政治力とかそういったものではなくて、ある種、国家国民にとって必要であるといういわば論理的、国民のだれもが納得のできるような形であるからこそ私はここに立って質問しているわけでありまして、本当に、摩天楼の中のテント小屋と今言いましたけれども、私ごときでも筋を通した議論をすれば、これはきちっといい道路が整備できるんじゃないかという願いを込めて今質問をさせていただいております。
そして、冬柴大臣にも以前お酒を飲みながら申し上げたと思いますけれども、国交省が、運輸省と建設省が一緒になって国土についての総合政策官庁に今なりつつある。今回、道路特定財源の扱いをどうするかということが、国交省が真に総合政策官庁、国土の均衡ある発展、国土をきちっと形成していく総合的な政策官庁に脱皮する非常に大きなターニングポイントだと思います。この地位を確立できるかどうかの瀬戸際だと思いますので、この点も踏まえまして、今回の法案におきます大臣の決意をお伺いできればと思います。
○冬柴国務大臣 国土政策に係る全府省横断的な調整事務というものは、省庁再編、平成十三年一月に行われたと思いますが、国土交通省が所掌することとされています。それまで国土庁が行っていた事務を国土交通省が担当させていただいております。
現在、国土形成計画の策定を進めているところでございまして、この計画は、複数の都府県から成る広域ブロックがその有する資源を最大限生かして地域戦略を描くことによって、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築することといたしているわけでございます。
私の地元は近畿でございますが、ここの二府四県の人口はオランダ国の人口をしのいでおりますし、GDPも今発展の著しい韓国をしのぐほどの力を持っております。ユネスコの世界遺産も、この狭い地域に五つあります。そういうようないろいろな資源があるところが、府県境を越えて一つの地域として、そこを広域なブロックとして発展する国土というものを構築していただくということはすばらしいことだと思います。
そういうことで、国と地方が協働しながら、特に、そこの地域の首長さんあるいは財界、あるいはその住民の代表の方々が自主的、自立的にそこの地域づくりを考えていただく。そういうことでございますので、私は、その中に道路のネットワークあるいは空港、港湾の位置づけ、こういうものがされていくと思うわけでございます。観光もそうでございます。
どうかよろしくお願いいたします。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。国土の形成においての道路の位置づけは本当に重要だと思います。
そもそも、道路というのは何なのか。いろいろな言葉がございます。すべての道はローマに通ずとか、桃李物言わざれども下おのずから道をなすとか、道にまつわる話というのは古来いっぱいあります。
そして、今申し上げたローマ帝国、最近は塩野七生さんのせいなのかローマについていろいろな話がありますけれども、なぜローマがあんなに広い版図を維持できたか。やはり、これは道がきちっとしていたから。ローマに行かれた方はおわかりだと思いますけれども、いまだに馬車のわだちがある。本当に、道というものがああいった広い帝国を長年にわたって支えた重要なものだ。
あるいは、シルクロード。今でも正倉院の中には、はるかユーラシア大陸を渡ってきた宝物がいっぱいあります。文化とか技術の伝達路だったということがわかります。
あるいは、アメリカのスーパーハイウエー構想、クリントン政権の副大統領だったゴアのお父さんですか。昔はアメリカというのは大陸横断鉄道を敷いて開発していったんですが、二十世紀になってくると、やはり道路が大事だと。
さらに申し上げれば、ヒトラーがアウトバーンをつくった。公共事業としてドイツの不況対策にもなった。そしてまた、しっかりとした国土をつくってきた。そういった意味で、道というものは国家にとって極めて大事だということがあります。
先日、私は、福岡の門司そして下関に七歳の娘を連れて行ってきました。関門海峡の下のトンネル、七百八十メーターあるんですけれども、そこを歩きました。上に橋がかかっています。調べてみると、今まで船で渡っていたのがなぜあんな大工事をしなきゃいけないのか、そんなことがいろいろ考えるきっかけになりました。
そこから一つの法則といいますか、真実が見えてきた。それは何か。物事は、まとまったり、つながらないと価値が出ないものだ。例えば土地にしても休みにしても、まとまらないと余り価値が出ない。道路も、キロ数を言うのはいいんですけれども、つながらなければこれは余り意味がない。そしてさらに申し上げると、どうせつながるなら循環型でつながらなければ効果が薄い。こういったことが、何か子供を連れながら、ああ、そうだよなということを思ったんです。
道路は距離だけでなくて、つながること、そして循環型になることが極めて大きな意味があると私は思うのでありますけれども、国交省としてはその点をどういう形で国民にわかりやすいように強調されているのか、そしてまたそれの経済効果があるということを示されているのか、改めてちょっとお伺いをできればと思います。
○金子大臣政務官 お答えを申し上げます。
先生御指摘のとおり、まさに道路は有機的につながっていかなきゃならない。まさに、それが私どもの言葉として中期計画でも使わせていただいておりますのが、ネットワークということでございます。これは、高速道路から市町村道に至るまで基本的なネットワークを形成していかなきゃならない、そういう考え方に基づきまして中期計画の策定を行っているところでございます。
そういう観点から申し上げまして、特に、地方の中心都市や拠点的な空港、港湾を連絡するようないわゆる基幹的なネットワークの整備、それから、地域的な観点から申し上げまして、救急医療施設への連絡などのいわば地域にとって不可欠な生活幹線道路のネットワークの形成、こういうような観点から中期計画の策定を考えているところでございまして、今後とも、先生御指摘のような線に沿いまして整備に努めてまいりたいと考えております。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。つながらなければ意味がない、循環型でなければ効果は半減だという点をぜひともより強調して、いい道路づくり、そして国土の形成に邁進していただきたいというふうに思います。
そしてもう一つ、道について、道路について改めて確認をしなければならないことがございます。
いつの間にか、道路というのは悪者の象徴で、福祉というのは神聖なものだ、道路を削れば国民は喜び、福祉を削れば国民は怒るみたいなイメージがどこかにあるんですけれども、改めて考えると、本当にそうかいなというふうに思います。
例えば、妊婦がなかなか病院に間に合わない、救急車の搬送が困難な地域もいっぱいあります。道路が来ないから企業も来ない、そんな地域は税収も上がらないから財源も少なくなる。改めて考えれば、福祉と道路というのは二律背反ではなくてむしろ表裏一体じゃないか。
私は頭を白紙にして考えると先ほど申し上げたつもりですけれども、道路イコール公共事業で悪というアプリオリな発想を一たん停止して、道路というのは、やはり生活インフラで、福祉を語る前の前提じゃないかとどうしても思うんですね。
そして、人間の体でいえば、例えてみれば血管だと思います。ほかの体の部分がぐあいが悪くなっても、血管で血が流れなければ点滴もくそもあったものじゃない。救急車が間に合わないところに福祉もへったくれもありません。荷物の搬送ができないところで産業誘致もへったくれもない。
実際に、一九四九年に、議員立法で田中角栄元総理が揮発油税を創設したときに何と言っているか。敗戦日本がこのような道路の状況では産業の復興はできない、産業の動脈である道路復興の急を考えているというふうに言っています。宮崎の東国原知事を初め、地方の首長さんが言っているのはまんざらうそじゃないし、ポーズじゃない。
ここで、改めての確認なんですが、福祉と道路というのは対立するものじゃない、むしろ生活インフラ、福祉の前提だということをまず確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○金子大臣政務官 お答え申し上げます。
まさにおっしゃるとおりであると私どもとしては認識をしております。したがいまして、救急医療機関等へのアクセス、こういうものにつきましても、中期計画におきましては政策課題の重点項目として取り上げているところでございます。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
そうすると、道路は福祉の前提であり、生活インフラだということをまず確認した上で、しかしながら、なぜ道路についてうさん臭さがついて回るか。このマイナスの部分をいかに説明していくかということも重要だと思います。
私自身は、長野県の佐久市というところの郵便局長で、九三年から九四年に行ったんですけれども、ここでどういうことが言われていたか。長野県の人間は、ずっと上に上がっていくと、どこから新潟県に入ったかわかるというんですね。道路が変わる、道路がきちっと整備されているところからが新潟県だとわかるというんですね。さらに、私の選挙区、福岡一区というところは、前に大臣にも御答弁いただきましたように、七・七キロの道路が三十八年つくられていなかった。それは与党の議員がおらぬからなというようなあきらめがあった。つまり、いまだに政治力によって道路が左右されるというふうに思われている。
今回のこの法案というものは、冒頭大臣にお答えいただいたように、そうではなくて、真に国民生活に必要なところをやるんだよという、今までの疑念を払拭する最高のチャンス。巷間言われているように、ピンチをチャンスに変えるという最高のチャンスだと思います。
そこで、改めて、今度は自動車の位置づけというものについて私は議論をしたいと思います。
もともと自動車というのはぜいたく品だったと思います。私は今四十四歳ですけれども、昔は、欲しいもの、三C、カーとクーラーとカラーテレビ。自動車というのはあこがれのぜいたく品だった。そしてまた、ちょっと言葉は悪いんですけれども、最近は結婚相手の条件、三高と言われていたのが十年ぐらい前にありましたけれども、昔は何と言われていたか。家つき、カーつき、ばばあ抜きというのがあったんですね、それはいい言葉かどうかわかりませんけれども。カーつき、つまり、車を持っているというのが非常に大事な要素だった。
さらに申し上げると、いまだに、車を持っているやつは、お金を持っているとかぜいたくだと。昔、大久保清という、車に乗って女の人を殺しちゃった人、あるいは宮崎何とかという、やはり車をいいものを持っていると、この人はお金持ちだと思われるのがついこの前まであった。
つまり、何を申し上げたいかというと、車というものがいまだにぜいたく品と思われて、だからそこに税金をかけるのはいいじゃないかと思われるのがあるんだけれども、しかしながら、現実には、車はライフライン、車と道路はセットで、ライフラインですね。無理をして乗らなきゃいけない人たちもいる。私の大学の友達なんか、ラーメンをすすりながら、一生懸命車のローンを組んで、払い終わった途端に彼女に振られてしまったというかわいそうな人間もいる。そのくらい無理をして車を買っている人たちもいるんですね。
こういった中で、ぜいたく品と位置づけられていた自動車というものが、必ずしもぜいたくをするために買っている人ばかりじゃないということを、一つまず確認をしなきゃいけないと思います。私も昔、千葉の交通の便の悪いところにいたんですけれども、父親が車で出払った後に遊んでいたら、いきなり野良犬におしりをかまれたんですね。これで母親は大変慌てまして、車を持っている人にお願いをして病院にようやく行ったという経験があります。
つまり、いざというときに車しかないというところがやはりありますので、車自体が生活のインフラであって、そして道路とセットであるということをまず確認したい。そして、これは次の質問に関係することですけれども、車に乗りたくても、高齢者とか免許を持っていない方は乗れません。
次の質問の公共交通機関との関係に触れたいと思いますけれども、こういった生活インフラたる道路と自動車の関係がありますけれども、住民が欲しいのは、それとあわせて、便利な交通が欲しい、便利な交通環境が欲しいということがあると思います。
私自身の住んでいる福岡で、あかずの踏切がなかなかあかなくて、小学生が渡って非常に危ない、三筑という地域なんですけれども。あるいは、美野島校区というところで、バスが廃止になったからむしろ川の水上交通をつくってもらいたい。あるいは、志賀とか西戸崎というのはバスの本数が減っちゃったんですね。車がいっぱい、みんな持っているから、バスの本数を減らしていいだろうというような話になる。あるいは、官幣大社の香椎宮という参道があるんですが、これは非常に格の高いところなんですけれども、踏切の前に交差点があって大渋滞なんですね。いつか大事故が起きる可能性がある。
こういった交通の不便さを感じている方々がいっぱいいる中で、次が非常に重要なんですが、二〇〇一年度からの五年間で、九百七十四あったバスの路線のうち百二十八路線が廃止になっています。旅客の輸送量に占めるシェア、一九八〇年度にはバスが一九%だったのが今七%、民間鉄道が二二%で今一五%、乗用車が四六%が今六〇%になっている。
長々いろいろ言いましたけれども、何が言いたいかというと、つまり、車がふえたことによって公共の交通機関が実は減っているという相関関係があるんじゃないか。前に地域公共交通のことでも質問に立たせていただきましたけれども、私は今回の法案が、本当に地域の住民の方々、国民の方々に理解を得られるかどうかということの一つのかぎは、公共交通機関との相関関係を踏まえた上で議論しているかということが重要だと思いますけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○金子大臣政務官 お答え申し上げます。
先生御指摘の点は私は極めて重要な視点だというふうに考えますが、この道路特定財源につきましては、御案内のとおり、納税者の理解を得た上でやっていかなきゃならない分野であるということを認識しているわけでございまして、これまでも、例えば、駅前広場でございますとか鉄道の自由通路の整備等、あるいは地下鉄、LRT、次世代型の路面電車、新交通システムの整備、あるいはバス走行空間の改善事業等にこの特定財源を活用させていただいてきているようなところでございます。
いずれにしましても、御指摘の点は重要な点でございますので、よく御趣旨を踏まえた上で今後対応してまいりたい、このように考えております。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
そういったことも踏まえて、改めて、過渡期にある道路特定財源の性質についてちょっと議論をしたいと思います。
自動車がぜいたく品だった時代の考えが残っている一方で、最低限の生活インフラとしての自動車及び道路があります。しかし、一般的なものになってきたことで、車を持っている人がふえたからほかのものを廃止すればいいじゃないかとか、あるいは、車がふえたらそれこそCO2がふえるんじゃないか。
何が言いたいかというと、時代の変化に伴って道路特定財源の性質を考える時期に来ている。つまり、ガソリンとか、車、道路の普及に伴う受益と負担の関係、外部不経済が新たなものが出てきたんじゃないか、自動車の普及、それからそれを走らせる道路の整備によって。一つは、新たな外部不経済、環境だと思います。二つ目が混雑、そして三番目が安全だと思うんですね。
一つ目の環境はよく言われて、環境税の話がいっぱい出てきています。ここでは長くなるので触れません。
二つ目の混雑。よく言われるのは、ドライバーが高速道路でこんな渋滞のところに乗るために金を払っているんじゃないよとかいろいろな話が出ます。渋滞を緩和するためには、実はほかの公共交通機関を整備して渋滞緩和というのも外部不経済の解消になりますから、その部分も視野に入れていいんじゃないか。
三番目。自動車がふえれば交通事故もふえます。こういった安全に対しても視野に入れる。
こういう特定財源の、車の保有、あるいは、買う、持つ、走らせるの三段階で課税をされているものでありますけれども、こういったものに伴う外部不経済をいかに解消するために使っているかという点を、PRをもっともっとするべき時期に来ていると私は思いますけれども、この点について御所見を伺えればと思います。
○金子大臣政務官 お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘の点をまさに踏まえた上で、現在、中期計画の策定を行っているところでございます。したがいまして、ただいま本当に御指摘あったわけでございますが、十六の政策課題ということで、いずれも道路関連と申しますか、そういう中で、外部不経済というお言葉でございましたが、私どもといたしましても、その辺を十分認識いたしまして、大きくは地球温暖化対策というようなところまで踏み込んだ政策課題を中期計画の上では取り扱っているわけでございまして、今後とも御指摘の点をよく踏まえた上で道路整備に当たっていきたい、このように考えております。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございます。
今、道路特定財源とか、こういったものが大きな過渡期にあると思いますので、私は、人によっては、道路に特定した、暫定とか、こういった言葉がぴんとこなくなってきている、いっそのこと、場合によっては、交通インフラ格差是正税制なんですよとか、あるいは、自動車使用に伴う外部不経済を是正するための税制なんですよ、そういった部分についてもそろそろ強調していく時期にあるのかなという気がいたします。
そして、次の質問に移りたいと思いますけれども、世の中で今いろいろ言われている暫定という言葉が、暫定で随分ずるずる長いじゃないかということが言われて、何度も質問を受けられていると思いますけれども、私は二つの要素があると思います。
一つは、今言ったような財源の性質がやはり変わってきているということ、それを見守らなきゃいけないという意味での暫定。そして、十年が、これは五年で見直すと書いてありますけれども、先ほど冒頭に申し上げたローマの道、もう二千年ですね。コロッセウムとかああいう建造物というのは千年、何百年、何千年の世界ですから、その中で、何百年も続くようなものをつくるときに、よく考えて、とりあえずという十年はそんなに長いというものではないはずなんですが、我々の感覚からすると長いんじゃないか、こういうふうに誤解を受けてしまう。つまり、建造するもの、道路、場合によっては千年、二千年続くようなものに対しての十年間、よく考えてやるということは、実は、暫定と呼ぶのはそんなに違和感がないはずなんですよということをぜひおっしゃっていただきたいと私は思います。
そして、時間がもうないので最後の方に行きたいと思いますけれども、特定財源であるべき理由もいろいろと議論がされています。私は、非常に自分自身が頭が単純なものですから、専門的なことを言うより、家計に例えるとどういうことかな、こう思うんですね。地元なんかでお話をするときに、こんな家庭を想像しながら言っています。
ある、お父さんの稼ぎがよかった、しかし兄弟が多かった、そんな家庭があった。お兄ちゃんは、お父さんが羽ぶりがいいときにどんどん物を買ってもらえた。しかし、弟の方が大きくなってきたときには、どうも家が傾いて、お金をいっぱいほかに払わなきゃいけなくなって、回ってこない。お兄ちゃんにはいい服を買ってあげたのに、何で僕は買えないの、こういうことを言ってくる。言うまでもなく、地方自治体、先に整備されたところはよかった。後の方は、何で僕らの番になってなくなってしまうの、こういうことを言う。おいしいものも食べたい、いい服も着たい、こういうことを言っているんですが、しかしながら、お金がない。
さらに、その家は、悪いことに、寒い地域にあったとします。電気がとまったらみんな死んでしまうんですね。そうしたときに、普通の家庭はどういうことを考えるか。絶対に積み立てておかなきゃいけない子供の教育費とか、絶対に確保しておかなければならない電気代とかは、大体別口座にするんですね。財布を置いておくと、余り物事の是非がわからない子供が勝手に抜き取ってしまうかもしれない、あるいは、お父さんがちょっと飲み代で抜いてしまうかもしれない。だから、別口座にする。そして、別口座にすることとその中で節約することは全く別問題ですから、ここの部分をぜひとも強調していただいた方がいいんじゃないかというふうに私は思っています。
冒頭申し上げたように、極めて重要な道路、生活インフラの、そして、これからの日本の生命線、これを今やる最後のチャンスだということは先ほど若宮さんもおっしゃられたと思いますけれども、地方に上げればいいじゃないか、一般会計にしてやればいいじゃないか。しかし、現実に、地方に行くと、近ければ近いほど歳出圧力が強くなるんですね。そのくらいあるんだから使っても大丈夫じゃないか、こうなる。だから特定財源にしているというふうに私は思っております。
いろいろと大事な局面にあって、こういった考え方はどうなのかなと自分自身も今考えていますけれども、大臣、今回の総合政策官庁として、そして、大事な局面において、こういった考えも踏まえて、改めて決意をお伺いできればと思います。
○冬柴国務大臣 非常にわかりやすい例を挙げていただきました。確かに、子供が生まれたとき、この子供が十八歳、十九歳になったときに大学へ行く、そのお金を今からためておこうというのが親心であり、なぜ貯蓄をするのかという問いに対してそのように答える親が非常に多いということを、奨学金等を拡充する法案のときに調べましたら、そういうことでした。
そのように、国におきましても、道路の整備というのは国家の基盤、基礎であります。そして、日本はそう広い国ではないけれども、その隅々に住む国民がほぼ同じような利益を共有できるためにも、このようなインフラの整備というのは非常に大事です。
特別会計で、それをだれに負担していただくかということを考えたときに、我々の先輩で頭のいい人が、道路というのは、特に自動車道路はドライバーが使うじゃないか、これが延長することによって最も利益を受けるのはドライバーじゃないか、だからドライバーに一部を特別な財源として負担してもらおうじゃないかというようなことを考えていただいた。そういうことが、これは随分長い期間になりましたけれども、しかし、過去においては、三年なり五年なり刻んで、これについてのいいかどうかということを法案も提案をさせていただいて、承認をしていただいてここまで来た。
今回、十年というのは初めてでございます。今までの流れの中で、予定されている路線のほぼ三分の二、六七%ができているんですね。残り三三%ということは三分の一でございますね。これは、今までのように全部四車線でつくるということになりますとなかなかできませんが、道路は、どなたか、通じなきゃだめだ、こうおっしゃいましたが、そのとおりでございます。あなたですね。道路は通じてこそ道路です。しかし、今の現状では、県境で全部切れてしまっているんです。したがって、あと十年、これはつながなきゃいけない。
これは四車線でなくても二車線でもいい、また、現道を利用する場合もあるかもわからないけれども、それは、道路として、骨格道路として姿が見えるようにするためには、十年という日と、そして、それをつくるための費用というものが非常に巨額のものが要ります。したがって、これを別会計にして、子供の大学の学資にしたように、本当にこれを受益者負担でやっていただくという思想をもう十年延長していただくことにより、私どもは残された十年を道路整備に尽くしたい、これが問いに対する私の答えでございます。
ありがとうございました。
○遠藤(宣)委員 ありがとうございました。
時間となりましたので質問を終えますけれども、大臣におかれましては、これが数年後に、あのときにいろいろさまざまな誤解が解けて本当にいい形になったなと言われるように、お疲れでしょうけれども、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○竹本委員長 次に、松本文明君。
○松本(文)委員 この国会議事堂の位置します私たち日本の首都東京でありますが、御承知のとおり、かつて江戸幕府の城下町として計画をされました。その次に大きな都市計画というのは、後藤新平市長の時代に、震災に倒れた東京を何とか立て直さなくちゃいけないと大変立派な都市計画ができました。しかし、これは無駄だ無駄だという大合唱の中で結局つぶされて、今残っているのは、昭和通りに面影がございます。
その次に東京の都市改造を試みられたのは、戦後の焼け野原の中からこの東京をどう復興させようか、こういう中で都市計画が試みられました。環状道路がたしか幅員四十メーターで計画をされたと思うわけでありますけれども、当時の進駐軍に、戦いに敗れた野蛮な日本にこんな立派な道路は必要ないと許可を得ることができずに、今日、四十メーター道路にするまで、大変な時間と労力、コストをかけてきた、こういうことがございます。
あの後藤新平市長の描いた都市計画が実現をしていれば、あるいは戦後考えられた都市計画が実現していれば、東京というのは今もっと快適で効率的な都市であったはずだ、そんなことを強く思うわけであります。
今、野党の前に立つ大臣を見ておりますと、まさしく、袋だたきに遭った後藤新平市長、大ぶろしき、こう言われていじめられた姿に似ているわけであります。しかし、この国の将来のために、歴史に学ぶまでもなく、四十年代だったでしょうか、政治家の先見性を語られるときによく出てきた逸話が、この後藤新平市長の昭和通りの話でございました。
大臣、ぜひ、勇気を持って、今回発表している中期計画はこの十年間で不退転の決意でやり遂げるんだ、こういう強い決意を聞きたいのでありますが、二、三日前の逢坂委員の質問の中で、大臣は十年間でできないかもしれないといったような大変弱気の答弁があったように思っております。ぜひ、方向転換を図っていただいて、不退転の決意でこの中期計画実現に向けて努力する、こういう力強い御答弁をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 大変な激励を賜りまして、本当にありがとうございます。
私は、絶対にぶれないつもりでございますし、中期計画に載ったものは私は最善のものであると思います。ただ、そのように全部できないかもわからないというようなことを言ったのは、決して私に自信がないからではありませんで、手続が残されているということでございます。
一万四千キロ、それをどこまでつくるんだということが非常に多く語られるわけでございますけれども、昭和六十二年六月の閣議決定に基づきつくられた国土開発幹線自動車道建設法の別表には、きちっと道路の名前も書かれ、起終点も書かれてあります。地方の方は、それがいつできるかは別として、予定路線として位置づけられたことに大変な勇気を持ち続けて、この二十年来ていらっしゃるわけでございます。
私がそれをこの十年間で全部仕上げるということを申すことができないのは、今後、今未着手である部分につきましては、BバイC等、その着工のときに客観的な評価をし、そしてまた、それについては国幹会議という会議の議を経なければならないわけでございます。そしてまた、道路をつくっていく上におきましては、地権者との調整というようなこともありまして、そういうものは、すぐに三年、五年という日を要するわけでございます。
しかしながら、私は、これについて、残されたものにつきましては、国土交通省としては、これは法律で示されたものであります、したがって、それが完成できるように全力を尽くします。そのような会議、あるいはBバイCという客観的基準、あるいは地権者の反対というような話等々を克服しながら、とにかく姿が見える、これは今こうなっているんだということの姿が見える程度には、何としてもしなきゃならない、そういう使命感に燃えているわけでございます。それは、この残された十年のことは、もう重複しますからここでは述べませんけれども、本当に大事な最後のチャンスのように私は思えてならないわけであります。
したがいまして、原油高でガソリンが高い、寒いところで暮らす人たちにとっては命の油、これが非常に高い、こういうような状況の中で私は御理解を求めているわけでございまして、本当に、我々の子供や孫たちが自信と誇りを持って暮らせるような、安全、安心の国をつくるためには、何としてもここは御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
私は、一切、将来ともにぶれませんし、その決意はかたいということを申し上げたいと思います。
○松本(文)委員 かたい決意を伺ったわけであります。
かつて、この東京に、一人でも反対があったら橋はかけない方がいい、こういう哲学を持って登場された知事がいらっしゃいました。その知事の在任期間中、東京の都市計画は大きくおくれました。結果として、世界を代表する国々の首都と比べたとき、道路混雑は離れて東京がナンバーワンであります。走る車の平均時速は、世界を代表する都市の中で十キロ以上遅い、そして、不経済きわまる、そういう都市になってしまいました。やはり、こういう歴史に学べば、やるべきことは途中でくじけずに最後までやり抜くんだ、このことが大変重要であります。
それにあわせて伺うわけでありますが、同じく、逢坂議員との質疑の中で大臣は答えられて、十年後にこの暫定税率が廃止されるのが望ましいのかどうなのか。大臣として十年後に暫定税率がなくなることが望ましいといったようなニュアンスの発言があったようにお聞きしたわけでありますが、やはり十年後は十年後の国会の判断に任せるべきであって、十年先までの税制のあり方まで今約束をされたのではちょっと困るな、そんな感じもいたしました。真意のところを改めて確認をさせていただきます。
○冬柴国務大臣 私も言い過ぎたことがあったかもわかりませんが、私はこのように述べております。
問いの中で、道路維持管理の王道を歩むためには、特定財源制度を今と同じように続けていくというのは、ここで一歩息をのんで見直すべきではないかと私は思うんですけれども、いかがですかと。たくさんの問いの中の一番最後のところでございますが、それに私が答えたのは、これを十年間でやらせてほしい、それが過ぎれば、十年後も暫定税率をどんどんやっていくんじゃないかというお話もありましたけれども、その思想は私にはありません、こういう答えでございまして、それが今おっしゃったようにとられている部分でございます。
私は、その後の税制をどうこう言う、そんな権限もありません。しかし、十年間はやらせてほしい。しかし、それでどんどんどんどんやっていくんじゃないかという問いに対しては、私は、そのどんどんどんどんやっていくという、そういう思想ではありませんということを申し上げているわけでございます。
税制についてどうこうということではありませんので、恐縮でございます。
○松本(文)委員 大臣、私たちの生活、身近なところで、大臣先ほどお話をいただきましたとおり、日本の首都にあかずの踏切が二百七十を超えて存在をする、狭い道路には電柱が立ち並んでいる、その傾きかけた電柱にトランス、大きいのが乗っかっている、見上げる空はクモの巣のようだ、これが幹線道路から一歩入った生活道路の実態であります。
震災に備えて安心、安全のまちづくりだとか、観光立国を目指して景観を整えましょうだとか、こういう言葉が私は大変空虚に響いてくる。しからば、こうした生活道路の改善、車いすを押して、安心して暮らすことができるノーマライゼーションの社会をつくるんですよ、首都東京のすぐ目の前にそういう環境が必要な状況が広がっている。
では、今回発表された、十年間で一体どれだけそこに措置をされるんだろうかと考えますと、今の制度、今の財源の中で到底十年でやれるようには思えない。だから、十年先も私たちはそういう暮らしやすい町、安全な町を目指して頑張らなくちゃいけないんだなという思いがあるから、改めて、十年間ですべてをやるから十年間はやらせてくれ、こういう言い方に対しては、大臣、ちょっと心の中で抵抗がある、そのことをぜひ御理解いただきたい、こう思うのであります。
ぜひ、この十年間で、それぞれ全国に広がる都市の暮らし、生活に密着をしているそういう部分。建築基準法では、四メーター以上の幅員を持った道路に沿っていないところには建築はできない、こう書いてある。しかし、実態はそうなっていない。二項道路、昔からある道路に沿って建った家、中心線から二メーター下がってということだけれども、実態は、東京に建っている住宅の半分は四メーター以下の狭小な道路に沿って建っている。そういう現状が十年間でどれだけ改善をされるのか全く見えてきていないわけでありますが、もし、この程度は改善したい、こういうものがございましたら、大臣じゃなくても結構ですから、お答えいただければありがたいと思います。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のように、大変狭い道路に面して木造家屋が建ち並んでいる。延焼による大規模な火災の心配もございますし、大規模地震の際には、家屋が倒壊して、道路がふさがる、避難もできない、消火活動もできないという市街地が大変たくさんございまして、これはいわゆる密集市街地ということでございます。
これは実は、平成十三年十二月に、政府といたしましても都市再生プロジェクトということで、こういった密集市街地を緊急に整備しようということを進めておりまして、現在、建物の不燃化でありますとか、あるいは道路整備で取り組んでおります。先生の御地元の中野区も大変たくさんございます。そういった中で、私どもとしては、まず、避難路になる都市計画街路をやろうということで、具体には補助第六十二号線などの街路整備に鋭意取り組んでいるわけでございます。
現在御審議をいただいております中期計画におきましても、十六の政策課題の一つといたしまして「安心な市街地形成」という柱を立てさせていただいておりまして、この中に、具体的には、区画整理等の面的な市街地の整備でありますとか、あるいは避難路として機能するような道路の整備というものを盛り込んでおりまして、こういったものをきちっとこれから重点的に整備してまいりたいというふうに考えております。
○松本(文)委員 大臣、しっかりやってほしいんですが、先ほど話題に出てきました事業等々は、地元で三十年以上の時間をかけて、長い長い要望を続けて、陳情活動を続けて、やっと今着手をされたということでありまして、大臣はよく、道路は大変時間がかかる、こう言われる。着手して時間がかかるということもさることながら、着手前に、同意をとりつけたり、あるいは用地を取得したり、こういうことに大変時間がかかるわけでありますから、やはり息の長い事業展開、そのことが必要だということを、改めて、しつこいようですけれども、大臣、十年間だけじゃ終わらないものが残る、膨大に残る、そのことをぜひ御認識いただきたい、こう思うわけであります。
ついでに、そこら辺のことについて聞くのでありますが、全国に都市計画決定をされながら、実施計画の検討さえも行われていない。自分の土地に都市計画線が引かれちゃっていますから、何世代にもわたって制限を受けて、泣かされている。自分の土地が利用できないから自分の人生計画ができないという方がたくさんいらっしゃるんですね。
やはり都市計画をやったんだったら、きちっとそれを時間もかけずに実現をしていかなくちゃいけない。これから先、五十年たっても着手、検討することもまずないだろうと思われるような都市計画線がいっぱいある。こういう線は早急に見直すように、ぜひ関係各位に指導というか通達というかやっていただきたいわけでありますが、都市・地域整備局長の前向きの答弁をお願いいたします。
○増田政府参考人 都市計画道路の長期未着手路線についてお答えいたします。
東京都の例で申し上げますと、十八年三月現在で、都市計画決定された路線は約三千キロございまして、やっとその五六%に当たる千六百七十キロが整備済み、今二百九十キロを事業中でございますので、残りの千四十キロが未着手ということでございます。
御案内のように、この都市計画決定道路は、戦後間もなくから高度成長期にかけて、かなり人口がふえる、都市が膨張するという前提で計画決定されたものもたくさんございまして、今から考えますと、これから本格的に人口が減っていく、あるいは都市の整備がなかなか進まないということを考えますと、中には必要性そのものを根本的に見直さなきゃいけない路線もあるというふうに私ども認識をいたしております。
このため、既に公共団体にはお示しをしておりますが、都市計画運用指針、ガイドラインを今お示しさせていただいておりまして、そういった都市計画道路の必要性そのものについてまず検証していただきたい。その検証結果を踏まえまして、廃止するものは廃止するということで、適切に見直しを行っていただくということで、今公共団体において取り組んでいただいております。
ただ、大変大事な街路もたくさんございますので、そういった見直しを踏まえまして、真に必要な道路、街路につきましては、やはり重点的に整備をして、早期に供用したいということで、今後、この中期計画の中でも盛り込ませていただいておりますので、鋭意進めてまいりたいということで考えております。
○松本(文)委員 よろしくお願いします。
日本は貿易立国でしか生きる道はない、そういう国だと私は思っております。
そこで、輸入も輸出も、その多くはコンテナによって移動をされております。このコンテナの大きさは四十フィートが今主流だと聞いておりますが、これが四十五フィートになりつつあるという話も聞いております。
これらのコンテナが、港から消費地、あるいは生産地から港に自由に行き来できる、そういう道路のネットワーク、これは欠くことのできない施設、インフラだ、こう考えておりますが、東京の場合、この四十フィートのコンテナさえ首都高が走れません。
今、日本全国で、高規格道路と言われてつくられている道路、本当に四十五フィートのコンテナが自由に走ってトンネルにぶつかったりすることがないのかどうか。一体、港と生産地、消費地との物流のネットワークにコンテナという発想があるのかないのか。今、例えば東京港をスタートしたとして、どういうルートをとれば四十五フィートのコンテナが北は北海道から南は九州までつながっていくのか。そこら辺の現状がどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
国際物流基幹ネットワークということで、今委員御指摘の国際標準コンテナ車が支障なく通れるルートということで指定をして整備に努めてきておりますが、平成二十年四月見込みで、三十二区間四百五十キロが、例えばトンネルの高さが足りないとか、あるいは橋梁の荷重が、十分耐荷力がないとかということで、四百五十キロが支障になるということでございます。
それにつきましては、全体のネットワーク、地図で二万九千キロを公示しておりますし、それから、ホームページで、今申し上げました三十二区間四百五十キロについては、ここが通れませんということをお示ししてございます。
なお、首都高速で申し上げますと、例の八重洲のところ、まさにここが高さが足りないということでありまして、迂回ルートが幸い今できておりますので、通れないところをお示しして、支障なく通れるルートで通っていただくということでございます。
いずれにしろ、中期計画の中では、今申し上げた橋梁の補強とか拡幅とか、そういうものを実施いたしまして、十年間でおおむね解消したいというふうに考えてございます。
○松本(文)委員 これは日本の物流の命綱ですから、ぜひここはしっかり対応していただきたいとお願いをしておきます。
最近テレビで、熱中人という番組だったと思うんですが、廃村、人が暮らさなくなった村を訪ねることを趣味にしていらっしゃる、そういう人の旅を見る機会がありました。
廃村というのは、木々の間に、雑草に囲まれて、そこに暮らした人たちの痕跡が残っておりまして、だれもふるさとを捨てたくて捨てた人はいないだろうな、そんなことを思って心が大変痛みました。ここにつながる道路があったならばこの人たちは自分のふるさとを捨てただろうか、こう思いますと、道路さえつながっていればふるさとを捨てる必要のなかった人たちもたくさんいらっしゃるんだろうと私は思います。
今、議論を聞いておりますと、コスト・ベネフィットですか、経済性が道路をつくるつくらないの物差しに使われているように思えて仕方がない。やはり、そうではなくて、暮らしを守るために必要な道路をつくるのであって、人の暮らしと命はコストだとか経済性の話じゃないよ、私はそう思うんです。
そのことを、大臣、きちっと、C分のBが一・二を超えなきゃつくらないとか、そんな話じゃない。そういう道路建設の選択肢もなくちゃいけないんだということだけは今回明確に御答弁をいただきたい、こう思うわけであります。
○冬柴国務大臣 事業採択に当たりましては、道路事業・街路事業に係る総合評価要綱、これは平成十七年二月にマニュアルとして制定しておりますが、費用便益分析に加えまして、高次医療施設へのアクセスの向上、すれ違いができない区間の解消、あるいは地域の観光や産業の促進など、地域の生活や社会に与える道路整備の多様な効果についても評価して、総合的に判断を行うこととしております。
ただ、コストを超える便益がないという場合には、その段階で、いろいろなところからたくさんの要望がある中で、これをつくるかどうかという判断は、まずそこはクリアしていただきたい。しかし、それだけではなく、道路事業・街路事業に係る総合評価要綱に盛られた今申し上げたようなもの、数字ではあらわせない、そのような社会的、文化的なものも十分配慮されるということは申し上げておかなければならないと思います。
私どもの百三十から百三十七ページに書かれているBバイCのところについても、その……(発言する者あり)今申し上げたような部分について、百三十から百三十七ページだったと思いますが、BバイC、いろいろやってありますが、その右側には、十六項目の社会的な問題、そういうものについての偏差値というものも考慮して評価しておるところでございます。
ただ、一・〇を超えるということは、これは当然の話だと思うんです。コストを超える便益というものがまずクリアできるということが大事でありますけれども、その中において、そういうところがたくさんあった場合にどう評価するかという場合にこのような考慮をする、そのようなマニュアルがあるということは申し上げられると思います。
○松本(文)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○竹本委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
本日から実質的な委員会での道路問題の質疑に入りますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
今回の道路特定財源の問題、さまざまな角度から予算委員会等でもずっと議論されてまいりました。道路をつくるつくらない、これは重要な問題なんですが、日本の現状を考えますとなかなか財政的に厳しい。必要だから何でもつくるんだ、こういうふうに一概には言えない部分があるのは確かです。しかしながら、やはり、その地域の事情、先ほど松本委員もお話をされておりましたけれども、BバイCだけですべて物事が解決するかというと、そういった問題ではないと思うんですね。
そういった意味で、今回、中期計画というものを国交省の方がつくって、そして、それをベースにして、今後の十年間の道路をどうしていくのか、また、それに基づく計画で、暫定税率を含めた道路財源をどうしていくのか、こういった議論になってくると思うんです。
その中期計画について、なかなか、マスコミの報道を国民の方々は見られて判断をされると思うんですが、どうしても、無駄なという形容詞、ここにばかり注目が行っている。もちろん、無駄は省かなければいけないと思います。しかし、必要な道路というのもあるんだというところ、ここもしっかりと認識をしていかなければいけないと思うんです。
私もテレビの討論番組等によく出させていただくんですが、どうしても論議をすると、一〇〇かゼロか、白か黒か、すべてそういうふうにとられてしまう部分があると思います。まずいところは直していけばいい、一方で、必要なところは与野党でしっかりと協議をしながらこれをつくり上げていく、こういった建設的な形が必要ではないかなと私は思っております。
そういった前提に基づきながら質問に入らせていただきますが、今回の中期計画の問題で、やはり一万四千キロの問題がクローズアップされております。もちろん、額として二十三兆円でございますから、高規格ネットワークというのは重要な議論のテーマでありますが、多くの国民にとってみれば、自分の住んでいない地方の道路、もしくは離れたところの道路のことを幾ら言われてもなかなか実感しない。
そうなりますと、みんな感じているのは、自分の生活をしている地域またはエリア、ここでどうなっていくのかというのは、自分が税金を払った分がしっかりと還元されているのか、こういったところが実感するところだと思うんです。そういった意味では、今回の中期計画では、それぞれ、安心、安全の角度、環境の角度、さまざまな視点に立って計画を立てていると思います。
その幾つかを質問させていただきたいと思うんですが、まず橋梁の問題ですね。昨年の八月ですか、アメリカのミネソタ州で高速道路の橋梁が崩れる、こういった大変な事故がありました。日本でも大きく報道をされて、ある意味では記憶に新しい部分でございますが、日本の橋梁の老朽化の現状ですね。国及び高速道路といったところはそこそこ点検をされているというふうに伺っておりますが、都道府県または市町村といった地方道における点検の状況、ここら辺はどうなっているのか。また、その現状を踏まえて、この中期計画では今後どのように取り組んでいくかということをまず伺いたいと思います。
○宮田政府参考人 お答えいたします。
全国で今、十五万橋の橋梁がございますが、五十年以上経過した橋梁の割合というのは現在六%でございます。これが十年後には二〇%、二十年後には約五〇%というふうに増加をしてまいります。
二番目のお尋ねでございますが、国、都道府県、政令指定市では定期的な点検がなされておりますが、先ほど申し上げました全橋梁の半数を占める市区町村で、実施している団体の割合は一割でございます。
三番目のお尋ね、中期計画の素案の中でこれをどういうふうに取り扱っているかということでございますが、目標は、安全な通行を確保できる道路橋の寿命を百年以上に長寿命化する、そのために、十年間で約三万八千橋について修繕や更新をペースアップして実施するということで、今以上のペースアップをしてこれに対処するということでございます。
以上でございます。
○高木(陽)委員 区市町村の橋梁の点検状況が一割ということは、多くの国民の方々が知らない事実だと思うんですね。日本は地震列島と言われて、直下型のことを考えますと、いつどこで大型の地震が発生するかわからない。こういった現状の中で、車で橋を渡っている、または徒歩で渡っているときにもし地震が来たら、この橋がそのまま崩れてしまう。これは、安心、安全の観点から、どうしてもやらなければいけない、早急にやらなければいけないことだと思うんですね。
ただ、これも中期計画を見てみますとやはり十年間と。その地域の当事者にとってみれば、そんな十年なんて言わないで、あしたやってよ、ことしじゅうにやってよ、こういうような思いがあると思うんです。しかし、冒頭に申し上げましたように日本の財政状況というのはなかなか厳しい。その中でどうやって優先順位をつくっていくか。これはまさに重要な課題であり、ここをしっかりとやっていく、その大前提として、今道路局長から御指摘あったような部分、スピードアップしながらやっていくということ、これは重要なことだというふうに指摘をさせていただきたいと思います。
続いて、これも中期計画の中に書き込まれておりますけれども、通学路。実は私の一番下、三番目の子供なんですけれども、小学校四年生です。毎日学校に通学しております。その通学路というのが、今回中期計画の中でしっかりと整備をしていこうという、特に車道と歩道の区別がない。大臣も昨日の予算委員会でもこのことをるる述べておられましたけれども、こういった現状も多くの国民は知らないことだと思うんですね。ただ、親御さんたちにとってみれば子供たちの通学の安全というのは心配の種でありますし、こういった問題もしっかりやらなければいけないと思うんです。
通学路、特に市町村道、この現状また対策というものはどのように計画の中に盛り込まれているのか、伺いたいと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、通学路の整備状況でございますが、事故の危険性の高い通学路のうち歩道等が整備されている割合というのは全道路で約六〇%でございます。そのうち御指摘の市町村道は五三%ということで、通学路の歩道整備というのが緊急の課題だというふうに認識をしてございます。
このために、中期計画では、多くの児童が利用するなど事故の危険性の高い通学路十一万キロ、これは具体的に抽出をいたしておりまして、このうち歩道等のない箇所四万四千キロメートルについて集中的に、歩道整備も含めて、何らかの対策を講じていきたいと思います。
特に市街地の道路や市町村道では幅員の狭い道路が多うございます。単純に歩道整備ができないということも考えられますので、防護さくの設置でございますとか、あるいは道路の両脇にカラー舗装をして明示するとか、そういう簡易な方法による対策も含めて歩道整備を実施してまいりたいというふうに考えてございます。
○高木(陽)委員 私は、地元は東京の多摩地区なんですけれども、結構、地域でいろいろとお話を有権者の方々にお伺いすると、例えば高速道路をいっぱいつくってくれよとか、そういうような話というのはなかなか出てこないんですね。でも、今言ったような通学路の、うちの子の学校までの道でここが危ないんです、ここを何とかしてください、こんな話はよく聞くんです。
ただ、道路、特に通学路の問題は、国道というのは少ないですね。市町村道が大半だと思うんです。そうなってきますと、今回の道路特定財源、国で使う分、そして地方で使う分、交付金等々、いろいろな形でありますけれども、特に区市町村にその特定財源が行っても、これはよく地方の自治体の首長さん等々がお話しされて、この間も民主党の菅代表代行と東国原宮崎県知事の討論会でもそこら辺がぶつかり合ったんですが、地方の場合には、道路特定財源だけで道路をつくっているわけじゃないんですね。一般財源、いわゆる自分たちの自主財源も投入して道路を整備している。
そうなってきますと、今回道路特定財源を法律で決めて、そして地方にお渡しをしても、どうしても幹線道路、例えば中心市街地の問題を含めて、まちづくりといった観点から、いろいろとそういった特定財源というのは使われがちです。なかなか路地だとか学校に行くまでの間の道の、幹線じゃない、でも危険な道路に特定財源が投入されるかというと、今のスキーム、枠組みでは使い勝手が余りよくないんじゃないかと。
ここら辺のところをもう少し、通学路といったもっと足元のところにも、特定財源として決めていくのであれば使えるようなスキームも考えていかなければいけないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの通学路を例にとって申し上げますと、歩道の整備等は、従来の交通安全事業に加えまして、地方道路整備臨時交付金でも対処できるようになっております。その使い道、制度改善をぜひ来年度やっていきたいと思っておりまして、今までは歩道整備等はそういうことでございましたが、この臨時交付金で、先ほど申し上げました、カラー舗装ができるようにする、あるいは通学路のネットワークの計画策定費にも使えるようにするということで、新たに補助対象を広げてまいりたい、交付対象を広げてまいりたいと思っております。
○高木(陽)委員 今局長にお話しいただいたように、やはり使い方をどんどん広げていく。これも予算委員会等々で野党の皆さんから、使い方として道路じゃない無駄なものにいっぱい使っているじゃないか、こういう指摘がいろいろありました。これはやはりだめだと思うんですね。でもやはり、通学路、もっといえば地域に根差した、本当にそこの地域で必要としている道路に使えるように、使い勝手がいいように、これをさらに進めていただきたいなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
もう一つ、これも中期計画の中でも書かれているんですが、医療機関へのアクセスですね。
やはり、私たち国会議員だけではありません、政治家としてやらなければいけないこと、政府としてやらなければいけないことは、国民の生命財産を守るというのが最大の眼目であると思います。そういった意味では、医療機関へのアクセス、これはなかなか重要な問題だと思うんです。
実は、今連続立体交差事業というのを全国各地でやっている。例えば、私の地元にもなります三鷹から立川のJR中央線の連続立体交差。武蔵小金井という駅が、あかずの踏切の定義というのはピーク時で一時間のうち四十分間あかないということですが、ここは一時間ずっと見ていてもほとんどあかない、一時間まるまる閉まっている、こういうような状況もあるわけです。そうなりますと、救急車がそこにとまってしまうという現実もあるわけです。
これは、都心部でもそういった問題があるんですが、地方に行きますと、拠点病院に搬送するのはなかなか大変だ、こういうお話も伺います。その中で、医療機関へのアクセス向上のため、どのように中期計画では取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
医療法に基づいて都道府県が策定する医療計画では、初期救急、二次救急それから三次救急ということで位置づけられておりますが、三次救急というのは複数の診療科にわたる重篤な救急患者に対して高度な医療を総合的に提供することが可能な医療機関でございまして、三次医療圏というのは県単位ということになってございます。
こういう県単位の整備になりますと、広域的なエリアを対象とした、バックアップといいますか、アクセスが必要になると思います。こういうアクセスが少しでも短くなるように、中期計画におきましては生活幹線道路ネットワークの形成というのを重要な政策課題にしておりまして、個々の対策を講じまして、命の道づくり、命に直結する搬送時間を短くするということをやってございます。
○高木(陽)委員 今御指摘をいただきました、医療の初期、二次そして三次の救命救急、こういう指摘がありました。三次救命救急の場合には県単位だ、ある意味では、拠点病院として大体県都を中心に置くわけですね。
これも、実は討論番組等々でそういったことを私が指摘したときに、ある野党の方が、そんな道路をつくるよりも病院をつくるべきだ、医者をふやすべきだと。もちろん、医師は、医師不足対策というもの、公明党も対策本部をつくって、さまざま政府に申し入れ、救命救急に関してのさまざまな提言もさせていただいて、今、法律も議員立法としてつくり上げよう、こういう準備をさせていただいておりますが、例えば、限界集落と言われるような小さな集落、過疎になっている、そういうようなところに拠点病院はつくれないわけですね。どう考えてもつくれません。
日常的な、軽い病気というか、風邪を引きました、ちょっとここが痛いです、そういったもののための診療所を含めた医師不足、これはしっかりやらなきゃいけない、これはこれでやる。しかしながら、本当に命にかかわるような、三次救命救急に搬送しなければいけないような場面で、それは道路をつくるよりも病院をつくるべきだ。県都にもあるわけです。それ以外に各市に全部つくるのか、各町につくるのか、各村につくるのかといったら、これこそどれだけ財政的負担をすればいいのか。無理な話なわけですね。そういう何か飛躍したことを言われる野党の方々もいらっしゃいました。
その上で、今言われたような、三次救命救急にしっかりと搬送できるような道路というのは、これは例えばどんな小さな集落であっても確保しなければいけない、まさにそこに住む人の命を守らなければいけないわけですね。これを、やはり多くの国民の方々は反対しないと思うんです。例えば、一人の人の命を救うためにこの道路をつくりました、それは無駄なんだというふうに言われる方がどれだけいるでしょうか。
ここのところは野党の方々も御納得をされると思うんです。そういった部分をしっかりと、今回の中期計画の中に盛り込まれているということを認識していきたいと思いますし、また、できれば、大臣は、いつも予算委員会、きのうは集中審議でテレビ中継の中でこういったこともしっかりとお話をされています。でも、予算委員会のテレビ中継というのは、視聴率は余り高くないんですね、視聴率は高くない。でも、その後の夕方、夜のニュースは視聴率が高いんです。でも、そのニュース番組ではこのことはなかなか触れられていないんですね。メディアというのは、大臣が追及されているところの方が視聴率がとれるんじゃないかと思っているかどうかわかりませんけれども。
ですから、こういったことも、やはり国交省として、また政府を挙げて、しっかりと伝えていく努力。特に、国交省の場合には出先がございます。整備局があり、国道事務所があり、現場でいろいろなことをやっている。そういった説明をしに行くと、これはこれで何か署名をとりに来たんじゃないか、こういうふうなうがった見方をされる方もいらっしゃるみたいですけれども、そういった部分で、この中期計画の実像、全体像をしっかりと伝えていっていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。
渋滞の問題も中期計画でいろいろと指摘をしていただいております。特に渋滞というのは都市部に多く見られる問題なんですが、先ほどもちょっと指摘をさせていただきましたけれども、私の場合は東京ですが、特に東京の場合には踏切での渋滞というのが大変な問題です。
これは物流を初めとする経済的な問題もありますし、もっと言えば日常生活で、先ほど武蔵小金井の例を挙げましたけれども、一時間ずっとあかない、そうなりますとどうすればいいんだという話になりますけれども、この渋滞の踏切をめぐる問題の現状と、今後の対策を中期計画ではどのように盛り込んでいるのか、これをお伺いしたいと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
東武伊勢崎線の竹ノ塚、ここで痛ましい事故が起きまして、国土交通省の方では緊急に全国の踏切を点検いたしました。そうしますと、あかずの踏切、それから交通が集中する踏切、合わせて千四百カ所が全国にあるという実態でございます。
中期計画でございますが、このあかずの踏切等の千四百カ所に対して、四百カ所は踏切を除却しよう、千カ所については緊急対策をする。一方で、どうしてもあかずの踏切は交通集中をする踏切でございますので、次の事業展開を考えてその準備に入る、その両方をやっていきたいと考えております。
そのほか、安全上支障がある踏切千九百カ所に対しても同様に緊急対策等を実施してまいりたいというふうに考えております。
○高木(陽)委員 千四百対策をされる、そのうち千が緊急対策ということでやられるというふうに伺いましたけれども、具体的な例をちょっと御紹介いただきたいなと思うんですね。
先ほどから何度か指摘している、例えば中央線の連続立体交差。これは、ただ単に踏切がなくなりました、よかったねという話だけじゃないんです。先ほどBバイCだけじゃないと言いましたけれども、ここのところもやはり見ていかなきゃいけない。経済効果というのはやはり、特に踏切渋滞解消をした場合にはあると思うんです。
そういった部分での、例えば東京都内での計画、着工されている連立の効果を教えていただければと思います。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
あかずの踏切は、東京都内では二百七十カ所ございます。現在、東京都内では、あかずの踏切等の解消に向けてJR中央線ほか八つの連続立体交差事業を実施しております。さらに、平成二十年度からは西武新宿線及び京王線におきまして新たに事業の着工準備に入っていきたいと考えてございます。
効果でございますが、幾つか事例がございまして、例えば今申し上げました京急でございますが、踏切自動車交通量二万三千台パー日、それから遮断時間九・八時間でございますので、交通遮断量というのは一日当たり二十二万六千台時ということでございますので、そこは解消していくということでございます。
○高木(陽)委員 二十二万台以上という、すごい効果になると思うんですね。
その中で、二〇〇三年でしたか、ちょうど衆議院選挙がありました。そのときに、中央線の連続立体交差が上り線、下り線、それぞれつけかえをして工事をしていくというときに、JRのちょっとミスもありまして、列車がとまっちゃったということがありました。大変な問題になったんです。その後、工事をすることによって、上下線の幅と別にもう二本分の広さになったので、踏切が長くなっちゃった。
そうなりますと、竹ノ塚の事故もそうだったんですけれども、特にお年寄りを含めて、遮断時間がありますから、一生懸命走る、危ない。こういったことで、何とかしろ、早くしろということで、その後、エレベーターつき歩道橋をつくったんですけれども、このときに、実は民主党の菅代表代行が、地元ですから、それをやれ、早くこの工事をやれ、こういうふうに主張をされているわけです。
実は、私が一九九三年に初めて衆議院に当選をしたときに、当時、与野党を超えて三多摩の議員連盟というのがございました。これは、この中央線の連続立体交差を促進しよう、こういうことを主張しまして、そのときは、私もいるんですが、菅さんもいらっしゃるわけですね、ここを早くやれと。これは、やはりお金がないわけですね。まさに道路特定財源でやってきているわけです。
もし今回暫定税率がストップされる、そうなりますと、この工事はある意味でストップをするわけです。下り線の方は高架になりました。今、上り線の工事をやっています。あと二年でできるんです、あと二年で。ところが、そういったことはどうするんでしょうか。
それを何とかするんだ、地方には迷惑をかけないんだと。ところが、地方には迷惑をかけない、これは東京都が事業主体ですけれども、国も出しておりますから、そうなりますとその部分はどこから持ってくるんだろうか。ここら辺のところがあいまいなままでは、やはり議論はかみ合っていかないんだろうな、こんなことを強く感じております。
これからまた来週も質疑がございますので、きょうはこの辺で、中期計画の問題はまた次の機会にさらに突っ込んで伺いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
以上で質問を終わります。
○竹本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。
○西銘委員 自民党の西銘恒三郎でございます。
お手元の資料をごらんになっていただきたいのでありますが、全国、北海道から沖縄県まで、ガソリン税が二十五円安くなった場合の影響ということで、ちょうど表の真ん中あたりに赤い数字で手書きで書いてある金額、この欄は、Bの欄とCの欄を加えた金額、すなわち暫定税率が下がった場合の歳入不足と臨時交付金を加えた金額をこの資料の真ん中の方に記入しております。御参考になりながら、質疑をしていきたいと思います。
ガソリン税がリッター当たり二十五円安くなった場合、私の地元沖縄県の歳入不足は、資料の一番下の欄、七十五億円になります。一方で、沖縄県全体の道路事業は、一年間で約五百五十億円なくなってしまいます。他府県より補助率が高いということもあってのことであります。沖縄県のGDPは約三・五兆円ですから、五百五十億円の事業がなくなることは、GDPの約一・五七%の減少になります。
この道路事業、五百五十億円の経済波及効果は、建設業の割合が全国で八番目に高い沖縄県では特に大きいのであります。二%台の経済成長を目指す昨今、マイナス成長になりかねないのであります。失業率が全国で一番高くて、県民所得が四十七番目、さらには、鉄軌道がなく、車社会の県経済は、離島も含めて大変な混乱になりかねません。
そこで、総理にお伺いいたしますが、道路特定財源の暫定税率は、国民の生活を守るためにも自信を持って維持していただきたいのであります。総理の御所見をお伺いいたします。
○福田内閣総理大臣 委員の御指摘のとおり、沖縄に限らず、地域にとっては、この暫定税率を廃止する、要するにガソリンを二十五円安くするということが起これば、はかり知れない影響を与えるだろうと思います。
地域は、地域ごとに、地域の自立、活性化のために努力しているわけでありますけれども、そのための基幹的な道路、そしてまた災害に耐えられるような橋梁の維持とか補修、また、緊急病院への交通の利便性の確保、環境対策、そういうような問題に対応することが困難になってくるということは当然でございます。地方財政に深刻な影響が生じるということでございまして、地方公共団体によっては、福祉とか教育といったような住民サービスの見直しを迫られるというような事態になることが予想されます。
そういうために、政府としては、現在国会で御審議いただいております税制改正法案が年度内に成立すること、このことが国民経済、また生活のためにも必要であり、社会に混乱を起こさないということになると思いますので、そういう点から、委員の御協力もお願いしたいと思っているところでございます。
○西銘委員 資料の二ページ目も参照していただきたいのでありますが、宮崎県の東国原知事は、公開討論の場で、暫定税率廃止なら百四十一億円の減収と発言をしております。資料一に戻りますと、宮崎県の欄を見てみますと、B欄とC欄を合計しますと百四十二億円という数字になっております。同様に、北海道では、一番上の欄をごらんになっていただきたいのでありますが、五百九億円の歳入不足、東京都では一千六十億円の歳入不足になります。
ですけれども、一方で、ガソリンが二十五円安くなりますと、北海道では道路事業は、北海道のホームページによりますと、何と約二千四百億円の事業量がなくなるということであります。東国原知事の宮崎県でも、約四百億円の道路事業がなくなると想定をされます。つまり、全国、北海道から九州沖縄県まで、歳入不足の金額そのものの二倍から四倍、沖縄県は特に補助率が高いせいで七十五億円の歳入不足で五百五十億円の事業量がなくなるということになりますが、このように大変な混乱になるのではないかと心配されます。
このことが、道路事業がなくなると想定した場合、北海道から沖縄県まで地域の経済に大変な悪影響を及ぼすものと心配いたしますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 暫定税率が廃止されますれば、国で約一兆七千億円、そしてまた地方で九千億円の税収減となります。また、自治体によっては、この表でございますとおり、八%近くが税収減として失われるということになります。また、先ほど申し上げましたように、道路投資額も大きな影響を受けますということも当然でありますけれども、道路整備そのものは、本来、地域の経済活性のストックでもあるんですね。そういったような意味で、地域の自立、活性化を阻害する要因になり得るということは十分考えられるわけであります。
○西銘委員 私は、歳入不足そのものよりも、道路事業の量がなくなるということの方が地域経済にとっては大変な影響を及ぼすものと懸念をしております。
世界の経済は、米国の株価の下落と景気の減速、あるいは我が国の個人消費と住宅建設の減少、我が国の株価下落と産油国のファンドの動向、原油高と物価高、数々の不安要因があります。こういう時期に、北海道から沖縄県まで全国津々浦々で道路事業が四兆円以上もなくなった。平成十九年で道路事業が全国で八兆円と言われておりますから、その半分以上、四兆円以上の道路事業がなくなった場合、経済の波及効果や、またそれぞれで生活がありますから、乗数理論、乗数係数等を掛けていくと、我が国の景気動向や世界経済にまで悪影響を与えかねません。性急な社会実験はするべきではないと考えております。
今回の道路整備特例法では、道路財源の余った分を一般財源にするという、より現実的で、真に必要な道路をつくり、国民の生活を守るための政策であると確信をしております。道路財源をすべて一般財源化するという政策は、ユーザー一千万人余の反対署名もありますし、納税者に対しても無責任ではないかと思われますが、総理の御所見をお伺いいたします。
○福田内閣総理大臣 政府案では、受益と負担の考え方を踏まえまして、暫定税率を維持した上で真に必要な道路整備を行う、それとともに、これを上回る額は、納税者の理解を得た分について、得られる範囲の中で一般財源として活用する、こういうふうなことになっているわけであります。
道路特定財源をすべて一般財源にするということになりますれば、これはユーザーの負担ですからね。その課税の根拠が失われるということになります、そして、この暫定税率をお願いするということは困難になる。すなわち、その分を、結果としてガソリン値下げという格好になるわけでございますけれども、その結果、国、地方合わせて二・六兆円の大幅な減収となって、道路予算、そしてまた、先ほど来御説明しているような、一般国民、経済、生活にも影響を与えてくる、こういうことであります。
また、世界経済というお話がございました。今、世界経済もいろいろな問題を抱えておりますので、我が国はしっかりと経済を守っていく、そういう責任があるわけですね。世界経済に対する責任もあるということを我々は自覚しなければいけないと思っております。
○西銘委員 今回の法改正では、無利子の貸付金制度が創設されます。先般の予算委員会で質疑を聞いておりましたら、この貸付制度そのものに何か裏があるような、不安を持っている質問もありましたけれども、例えば、沖縄県が十億円借りるといたしますと、一年間の返済額を五千万円、一年間五千万円の負担で二十年間負担するだけで、十億円で約百億円の道路事業が可能となります。
地方にとりましては大変助かる制度であると確信をいたしますが、年間一千億円の予算で地方の要望に対応ができるのでしょうか、冬柴大臣にお伺いをいたします。
○冬柴国務大臣 この制度は、平成二十年度以降、五年間、地方公共団体が直轄事業、補助事業及び地方道路交付金事業に伴い負担する額の一部に対しまして、無利子の貸し付けを行うものでございます。
この制度は、昨今の地方公共団体の財政状況が厳しいということを踏まえまして、道路整備に当たって必要となる地方負担の軽減と平準化を図るために創設したわけでございます。なお、貸し付けに当たっては、もちろん地方公共団体の要望をよく聞きながら、適切に対応してまいります。
平準化というのは、地方で、例えば関東を中心であれば、圏央道のようなものが、ずっと多くの県をまたいでつくられます。それについて地方が負担をしていただいているわけでございます。そうしますと、そのほかで大変な整備需要があっても、地方が負担し切れないというようなものもあります。そういうような場合に備えて、この貸し付けがあれば、財政力としては、ならせばあるけれども、その年に限ってということになりますと、大きな支出が重なっているとほかに手が回らない、こういうようなものも埋め合わせができるということでございますので、私は、地方の実情に合わせてこれを運用していきたい、このように思っております。
○西銘委員 我が国では、かつて、民主党の小沢代表が自民党の幹事長のころに、一九九〇年、湾岸戦争のときに、平和活動支援のために百三十億ドル、当時、一兆八千億円とも言われましたが、資金援助をいたしております。そのときの財源は石油税、ガソリンの原料になる石油税に上乗せしたものと思いますが、今般、どういうめぐり合わせか、ガソリンを二十五円安くするという議論が起こって、国、地方で二・六兆円の歳入不足が生じる、こういう議論をけんけんごうごうやっております。
不思議なめぐり合わせを感じますが、税金の無駄遣いをしないという一点では、私は、これは与党も野党もなく、合意点が見出せるのかなというふうに見ております。そういう意味では、税を政争の具にしてほしくないという気持ちでいっぱいでございます。
暫定税率を維持しつつも、歳出を無駄のないように厳しく精査すれば、余った分は一般財源としても使えるという今般の法改正だと思いますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
○竹本委員長 お静かに願います。
○福田内閣総理大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。
私が当選した途端に湾岸戦争が起こりまして、そのときに、当時、小沢幹事長でした。そして、大変指導力を発揮したと思いますよ。そのときには、湾岸戦争の対策として、百三十億ドルでしたか、その財源を、石油臨時特別税というようなものを創設されたんですね。大変責任のある対策を示されたというように思います。
今回、政府として提案しております、このお願いしている分につきまして、ガソリン税等の暫定税率の維持等を初めとします政府案、これが成立しないということは、では一体どうするのか、こういうふうなことになります。先ほど来申し上げましたように、その影響というのは、国民生活にも大きな影響を与えるということでございますので、そういうようなことがもしよろしいというのであれば、その具体的な法律を出していただきたいというように思います。
かつての小沢自民党幹事長がなされたように、責任ある法律案を出していただいて、国会で議論をさせていただきたい、このように思っているところであります。
○西銘委員 どうもありがとうございました。終わります。
○竹本委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
きょうは、道路財源の特例法の審議ということで、総理に御出席をいただきまして、ありがとうございます。時間が限られておりますので、総理にお話をお伺いしたいと思うんです。
まず、今回の道路財源の問題で、特定財源なのか一般財源なのか、こういった議論がなされております。野党の皆さん方は、一般財源化するべきだ、そういった御意見だと思うんですが、私も、公明党の国土交通部会長をやらせていただいて、昨年そして一昨年、特に一昨年のとき、政府・与党で合意をして、閣議決定をいたしました。
その経緯に携わった人間として、この一般財源化論というのは、財政が厳しいという観点からいうと、なるほど、それはそれで必要かもしれない、こういうふうに思われるんですが、やはり道路財源の問題というのは、そもそものスタート、昭和二十九年に特定財源化されて、五十年間ずっと続いてきている中にあって、受益者負担の考え方がございました。
今、この税金を納めていただいている、まさにこの揮発油税、自動車のエンドユーザーですね、この方々が税金を納めていただいているわけでありますけれども、実際問題、それは地域によってかなり差がある。例えば、これは昨日の予算委員会でも出ていたと思うんですけれども、東京の区部、二十三区、中野区が一番一世帯当たりの保有台数が少ない、こういう現状がございます。〇・三台を切っている。一方で、多い地域では、一世帯当たり三台ぐらいの自動車の保有台数を持っている地域もある。そうなりますと、保有台数だけでいいますと、十倍の差がある。
さらに、まさに走行距離も違いますけれども、いわゆる税金、単純に考えてみて、ガソリン税を、中野区の住民が払っているものの十倍を地方で払っている方々がいる。その地方のその道路を整備してもらいたいということで、その地域の方々も、この暫定税率を含めて納税をしていただいているという受益者負担の考え方からいきますと、もちろん財政が厳しいからさまざまなバランスをとりながらやっていかなければいけないという観点があるんですけれども、一概に一般財源化、一律にしていくというのは、この受益者負担の観点から、どうなっているんだろうか、こういうふうな疑問を呈することができると思うんです。
その点について、総理は、この一般財源化、単に一般財源化するという主張に対してどのようにお考えか、その御認識を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 道路特定財源につきましては、ユーザーの理解を得て一般財源化する、こういうことになっております。ですから、一般財源化というふうに簡単におっしゃるけれども、それは今の段階ではそう簡単なものではないんだ、まずユーザーの理解を得るということが必要なんだ。理解を得られなければその分減っちゃうわけですから、払ってくれないわけですからね、そのところはよく認識していただかなければいけないと思います。
そしてまた、今御指摘のように、自動車の保有率が少ないところもある、高いところもある。特に地方は保有率は高い、そういうことになりますけれども、こういうところは税負担も大きいですよ。大きいですけれども、もし暫定税率がなければ、こういう地方に対するいろいろな課題がございます、例えば地域の自立とか活性化に役立つような道路整備、それから救急病院への安全な道路とかいったような、そういうような交通の利便性の確保とかいったようなこと、こういう対策が地方でできなくなってしまうんですよ。そういうことを一緒に考えていただきたい、このように思っております。
○高木(陽)委員 今総理が、そういう地方のさまざまな整備、例えば病院へのアクセスだとか、そういったものがおくれてしまうという、まさにそのとおりだと思うんですね。財源が豊かで、高度経済成長時代のような形で余裕があれば、これは一遍にできるでしょう。でも、なかなか厳しい中、だからこそ優先順位をつけてしっかりやっていかなきゃいけないと思うんです。
そういった中で、これも野党の皆さん方はこれまで予算委員会を通じていろいろと指摘をしました。無駄な使われ方をしているんじゃないか。まさに国民の感覚からいうと、えっと思うような使われ方をしていた事実はあったと思います。これは、昨日も本会議そして予算委員会で冬柴大臣が、しっかりと、それをさせない、また、改革本部をつくって全部総点検をしていく、こういう言い方をされましたので、それをしっかりやっていただきたいと思うんです。
無駄な使われ方をするというんですけれども、例えば道路が全国各地、毎年毎年整備をしていく中で、これは実は、毎年シーリングという、キャップをかぶせられて、そしてその中で査定をしている、こういう現実もあると思うんですね。今後もそうだと思うんです。そして、政府が予算案をつくったものをこの国会でまさに審議をしている。予算というものは、もちろん政府が、総理が筆頭になってつくっていくものでありますけれども、最終的には国会が承認をする。
そういった現実から見ますと、ただ単に、無駄な使われ方をするんだ、今後も無駄なんだというような主張というのは当たらないと思うんですけれども、この点、総理、どうお考えか、伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 道路予算は平成十年度にピークでありましたけれども、平成十九年度におきましては、そのピークに比べて四割縮小しているんですね。一方、社会保障費といったら、これは年々増大しているわけですからね。そういう比較もしてもいいと思います。
さらに、今回の法案によりまして、道路特定財源は、税収の全額を道路整備に充てることを義務づけている今までの仕組みを変えまして、真に必要な道路整備を上回る税収については一般財源として活用することができるということであります。特定財源のままでは無駄な使われ方をするということではありません。そういうように本当に必要な部分に限って、これは国土交通大臣は、これから目を厳しく光らせてやる、こういう決意を述べられておりますので、そういうような中で無駄をする余裕はないというふうに私どもは考えております。
○高木(陽)委員 総理中心に、そして冬柴大臣、チェックをしっかりしていただきたい。まさにチェックをした後再チェックをするのが私たち議員の役割でございますので、それも私たち国会の責務として取り組んでまいりたいと思います。
次に、道路、社会資本でございますけれども、社会資本整備というのは日本の場合にはどうなっているのか、なかなかその実態というのがわからない。国際比較をよくするわけですね。
これも私、あるテレビ討論番組に出たときに、民主党の方がフリップを使って、日本の道路は欧米、特にヨーロッパと比べた場合にかなりできているんだ、こんなに延長距離があるんだという数字を出したときに、思わず私、そのテレビ番組の中で言いました。それは国道だけじゃないんだ、日本の場合は市町村道が入っている、そのヨーロッパの数字は国道だけで出している。こういった比較を平気でテレビに出して視聴者、全国の方々にアピールをするというやり方はいかがなものかなと思うんですが、そういったこともありました。
欧米と比較すると、社会資本整備、道路を含めて、どのように認識をしているか、伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 道路整備につきましては、よく、日本は随分よくなった、こういうふうに申しますけれども、しかし実際は、歴史的に見ても、例えばドイツは戦前、第二次大戦前から高速道路がある、アウトバーンがあるということでありますけれども、我が国では二十数年おくれて、ようやく昭和三十八年に高速道路ができた、こういうことがございます。
今日におきましても、例えば環状道路の整備、それから自動車千台当たりの高速道路延長というのは欧米に比べてかなり見劣りがするということでありますし、また、電線類の地中化とか踏切の数、これは圧倒的に悪いですよ、日本は。そういう現状がありますので、そういうことも考えていただかなければいけないと思います。まだまだそういう面における社会資本整備がおくれているということでありますので、その点についての御理解もいただかなければいけないと思っておるところでございます。
○高木(陽)委員 今総理、環状道路の話もされました。まさに首都ですね、東京、ヨーロッパでいえばベルリンまたはロンドン、パリ、それぞれ環状道路があるんです。ただ、日本はまだ環状道路というのは、今三環状を整備していますけれども、六〇%しかできていない、全部できていないんです。こういった現実もまだ多くの国民の方々は知られていないと思います。
さらに、高速道路でいえば、昭和三十八年、一九六三年に日本はできた、これが第一歩ですね。お隣の中国は、高速道路をつくり始めたのは一九八〇年代ですね。まだ日本の場合には、九三四二、これが全部できていない、こういう現実の中にあって、日本から後発の中国はもう既に二万五千キロつくっている、こういった現実もやはりしっかりと比較をしながら、また認識をしながら道路整備というのはやっていただきたいなと思うんです。
その中で、我が国がおくれている社会資本整備、道路整備を含めて、ただ、先ほどから何度か申し上げた、財政が厳しい中にあって、特に社会保障、さらにこれからの未来を担う教育または安全保障、さまざまなやらなければいけないことがたくさんあって、バランスをとらなければいけないと思うんです。何も道路だけ足りないからつくれという話じゃありません。バランスをとっていくということを考えた中での道路中期計画をどのように位置づけているか、これを伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 道路整備の話ばかりしていますけれども、実際は、日本の全体を考えた場合に、いろいろな支出項目があるわけですね。手当てしていかなければいけないことがある。そういう部分とのバランスを見るということは極めて大事なことであります。
そういう中でもって道路整備をどのように位置づけていくかということであります。道路整備につきましては、やはり経済にも関係しますので、ただ単に道路をつくって、そしてユーザーが便利になるというだけの話ではない。そしてまた、地方の活性化の問題もあるということでありますから、いろいろなことを考えていかなければいけない。
しかし、今我が国が一番お金を使っているのは社会保障ですよ。これは毎年ふえるんです、高齢化時代に。それから、あとふえているのは科学技術の予算です。これも我が国の成長の源泉だということで、これは毎年ふやしております。その他は全部減らしているんですよ。そういう状況の中で、厳しい状況の中でどの予算も減らしている、こういうことであります。
しかし、これはとても大事なインフラ整備だということを考えれば、全体とのバランスの中で考えるということはとても大事なことだと思っております。
○高木(陽)委員 今、バランスの中でやるのが大切だとお話がありました。これも、今回五十九兆円という数字が出て、年間、ならしますと五兆九千億になりますけれども、例えば社会保障が年間どれぐらい使われているか、二十兆円使われているわけですね。十年間でいきますと二百兆円になるわけです。そういったところを、なかなか光が当たらない中で、五十九兆円という道路というのは何か使い過ぎなんじゃないかみたいな風潮またイメージづくり、これは結構野党の方々はやられているんじゃないかなと思うんですが、そういう全体のバランスの中からしっかりと位置づけをする、これをどうかこれからの議論の一つの糧にしていただきたいなと思います。
最後に、冒頭にも申し上げましたが、地方との格差なんですね。負担が多い地方の中にあって、今格差の問題というのが昨年来からずっと言われていて、特に地方と都市の格差というのがいろいろと言われています。私は東京なんですけれども、やはり地方に行った場合に、なかなか経済的にも大変だなと。そういった観点からいいますと、道路をめぐる格差というのがさらにほかの格差以上に顕著なのではないかなと思うんですけれども、最後に、この点について総理の認識をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 自動車を保有するための負担に限って見ますると、それは、自動車保有の実態、公共交通のあり方などから、自動車利用への依存度が高い地方、これは先ほど申し上げましたけれども、地方の自動車ユーザーの負担が都市より大きいことは、これはみんなの認識しているところでございます。
そういうような実態を踏まえて、地域の自立、活性化に役立つ道路整備とか、また災害に耐えられるような橋梁の維持補修、救急病院への交通の利便性の確保といったような、地方における課題を早期に解消するための対策、これは、受益と負担という今お願いをしているその関係から考えても急務であるというふうに思っております。
現行の道路特定財源は、地方の生活に根差したニーズに対応した道路整備を行うために、特定財源の約四割を地方分といたしておりますほかに、国の特定財源であります揮発油税の四分の一を地方道路整備臨時交付金として、地方の使い勝手のよい交付金としているといったような配慮も行っております。
いずれにしましても、重点化、効率化を図りながら、真に必要な道路施策は計画的に進めていく考えでございます。
○高木(陽)委員 これで時間が参りました。
きょうはわずかな時間でございましたけれども、やはり、どうしても多くの国民は、この道路の問題というのはイメージで判断をしているというふうに思わざるを得ません。本当に必要なもの、なぜ暫定税率をお願いするのかといったこと、これをやはり発信力を強めていただきたいと思うんです。
そうしないと、無駄なものは絶対やめさせなければいけないんですが、どうしてもそれだけをもって何かすべて道路財源が悪者なんだみたいな、こういったイメージを払拭できるように政府を挙げてしっかりと発信を強めていただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○竹本委員長 高木君の質疑は終わりました。
次に、長安豊君。
○長安委員 民主党の長安豊でございます。
道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案の質疑をさせていただきます。
本日は、福田総理も御出席いただいておりますので、私も、一政治家として、さらには国民の代表として実りある議論をさせていただきたいなと思っております。総理の御見解を中心にお伺いしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
冒頭、総理に質問するつもりでしたが、昨日来、国交省の方々とさまざまなやりとりをしてまいりました。きょうのせっかく総理がお越しになる質疑でございます、実りあるものにしたい、国民の皆さんにきょうテレビを通して道路の整備についてのことをしっかりと御理解いただきたい、そういう思いで取り組んでまいりました。
私も、初当選からずっと国土交通委員会に所属してまいりました。今まで、この委員会のルールと申しますか、慣例に従って、一度も通告なしに質問をしたということはございません。しかしながら、あえて今回冬柴大臣にさせていただきたいと思います。
昨日、予算委員会の集中審議で、冬柴大臣、五十九兆円の事業量の中で高速道路株式会社の料金収入の中の部分があるんじゃないかという民主党の菅代表代行からの質問に対しまして、当初ないとおっしゃっていましたけれども、十兆円あるという答弁をされたかと思います。
まず、その中身についてお伺いしたいと思います。
○冬柴国務大臣 きのう、菅委員との議論の中で、高速道路の料金収入はどういうふうになるのかという話がございました。したがいまして、私は、それは、当時四十兆と整理された、いわゆる日本高速道路保有・債務返済機構というところがその四十兆を四十五年かけて返済をしていく資源になりますと。スキームとしては、返済機構が所有する高速道路というものを道路会社に貸し付けまして、道路会社がその中で通行料を徴収いたしまして、その中からある程度の経営費用というものも控除した後、その料金をすべて債務返済機構に入れていく、こういうスキームになっておりますと。したがいまして、徴収された料金というものがこれの収入に入るわけではありませんということを言ったわけです。
ところが、菅さんはさっと角度を変えまして、では五十九兆の中に入っているのかということを聞かれまして、それで私は、五十九兆の中には入っていませんということを申しました。それは、料金収入のことを考えたわけでございます。
しかしながら、これは角度がちょっと変わっていたのを私は気がつかなかったんですけれども、五十九兆の積算の中には、道路会社がつくった道路というものは、その費用は約十兆、十兆弱でございます、八兆九千ですね、八兆九千億というもの、これがその中に入っているというふうに変わったわけですから、積算するときに、その中に八兆九千億の道路会社がつくった道路の費用というものが五十九兆の中には積算される。
ただし、徴収する料金は、料金がこの中に入るわけではありませんけれども、つくった道路の費用というものが五十九兆の中に計算されるということで、私はそこで訂正をいたしまして、約十兆だけれども、それは入っていますと、注意も受けまして、そのように申し上げた次第でございます。
○長安委員 今の話は、八・九兆円分の事業量、今後つくる、建設するであろう事業量が含まれているということではないですか。大臣、もう一度御答弁お願いします。
○冬柴国務大臣 これは、事業整備計画九三四二の中の仕分けをした一一七七という部分でございますが、ややこしいんですが、そのうちの千二十、有料が千二十、ちょっと非常にややこしい整理になっているんですけれども、道路会社がつくった千二十キロ、それから新直轄でつくった八百一キロ、合計千八百二十一キロ、この事業中の八・九兆円というものがここに入るということでございます。
これは、新直轄で何でそういうお金になるんだという議論にもなると思うんですけれども……(長安委員「ちょっと、委員長」と呼ぶ)いいですか、もうこれで。
○長安委員 道路局長をきょう参考人で呼んでいますよね。ちょっと整理していただけますか。
今のは、つくったとか、これからつくる、事業量五十九兆円というのは、これからつくる話を今しているんですよね。それが何で、その中に入っていると言いながら、つくったという話になるんですか。それをちょっとしっかりと整理してもらえますか。
○宮田政府参考人 お答え申し上げます。
五十九兆、六十五兆で今まで説明しておりますので、そこでお答えをさせていただきたいと思います。
高速自動車国道、会社がやっていくものにつきましては千二十キロ、こういうものが今、機構と会社で既に協定が結ばれております。それがもう供用年度がはっきり協定上公表されておりますので、これが千二十キロでありまして、ちょっと今急なお尋ねで数字がありませんが、さっき大臣からお答えしましたように、高速自動車国道で有料、新直轄を合わせてトータル千八百二十一キロが事業中のキロ数でございますが、それの事業費が八・九兆ということでございまして、ちょっとそこの有料分の内訳は今、急なお尋ねなので手元にございませんが、今後つくるものがそういうことだということでございます。
○長安委員 急なお尋ねと強調していただきましたけれども、きょう、委員会が始まる朝から、国土交通省さんにはこの話はしておるんです。委員会中でも結構なので御回答いただければということを申し上げておりましたけれども、いまだ何も回答が来ないんですよ。せっかく総理が来られるから、こういうこともきっちり議論したいから、事前にお話をお伺いしているにもかかわらず、出てこない。そういう姿勢が、今回の質問取りを見ていると多々散見されたわけです。(発言する者あり)徹夜をしているから答えてこない、それならば、委員会をきょう開催しなきゃいいんじゃないですか。(発言する者あり)
○竹本委員長 御静粛にお願いします。ちょっと静かにしてください。
○長安委員 きょうは、これはここまででとめますけれども、大臣、こういった現状だということはぜひ御認識いただきたいと思います。
これからの日本のこの国のあり方を考えるときに、必ず議論の前提となるのが、少子高齢化あるいは人口減少社会といった社会情勢の変化であります。この法律は、今後十年のことを規定しているわけです。まさに、これから十年というのは、日本が再び活力ある国家に戻れるかどうかを決定づける大変重要な期間になるわけであります。そういう危機感を私は持って今回の法案に臨んでおります。
この間に、少子化を食いとめる、教育を再生する、医療を初め年金あるいは介護といった社会保障の仕組みを再生すること、国家としての基礎的な力を再生しなければ、二十一世紀の日本は衰退の一途をたどってしまうと私は思っております。
私は、ことし四十になります。私よりも年下の方々は、はっきり申し上げて、そういった危機感をもう通り越して、半ばあきらめの境地に陥られている方が多くいらっしゃる、少なくないと私は思っております。これは大変憂うべきことだと思っております。若い世代に夢や希望を持ってもらえる日本をつくっていく、これは我々政治家に課せられた使命だと思っております。これは、与野党の枠を超えてでも、政治に携わる者に与えられた使命だという認識を持ってこの法案を審議していくべきだと私は思っております。
この危機意識の中でこの法律を見たときに、道路特定財源だ、あるいは道路整備だ、道路の世界の単体だけで物事が完結されているこの考え方、本当に危機に直面した国家としての必要な資源配分を実現できるのか、大いに私は疑問を感じております。
昭和二十八年に道路特定財源制度が発足したわけです。それから、道路環境だけではなくて、交通体系そのものが大きく変化してまいりました。国民にとっては、道路だけではなくて、例えば鉄道、空港、船舶、そういった多様な交通機関の恩恵を受けながら生活をしております。車に乗っているからといって必ずしも道路を整備してほしいと思っているわけではなくて、その他の交通手段がないから車を使わざるを得ないという人も大勢いらっしゃる。また、最近では、環境負荷を考えて、公共の交通機関を利用されたり、さらには商品やサービスを購入したりという人もいるわけであります。
そういう考えに立ったときに、道路特定財源だから道路整備に使う、納税者の理解もそれなら得られるはずだというような単純な論理では、私は説明できないと思っています。国家としての変革や成長の機会を失ってしまう危険性を、私はそういった考えははらんでいると思っております。そういう意味では、交通体系のグランドデザインというものを考える中での道路整備でなければいけないはずなんです。
総理にまずお伺いいたします。我が国のこれからの総合的な交通体系のあり方をどのように考えて、その中で道路整備をどのように位置づけておられるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 道路以外の交通ということになりますれば、鉄道もありますし、それから海、空というのもありますね。港湾それから空港といったようなもの、そういうものが安心で安全で環境にも配慮した交通体系になっていくということが大事だというふうに考えております。
ですから、アジアの経済活力を取り込むというために、アジア・ゲートウェイ、そういう構想を政府は今推進しておりますけれども、そういう形成をしていくという中でもって、人、物の流れを円滑にするということです。
そういう観点から、国際空港、国際港湾、それから、近接の都市などを結ぶ道路がやはり必要なんですね、そういうものを整備するために。そういうような基盤整備をしていかなければいけないということでありまして、課題ごとに道路も含めた総合的な視点から施策の展開を図っていくということは当然でございます。
道路以外の交通基盤、空、海といったようなものについては、中期方針というものが社会資本整備重点計画の中で位置づけられておりまして、そこに考え方というのは書いてございますけれども、そういうものを総合的に勘案した上で、交通体系というものをつくっていくということが必要だと思います。
ただ、海、空の事業費、これはこの重点計画の中には入っておりません。
○長安委員 交通体系全体を考えるときに、なぜか道路だけの事業量というものが十年間、今回積算されたと言ってもいいんだと思います。本来であれば、すべての交通体系全体の事業量というものを把握して、その中で道路はどうなんだ、あるいは空港はどうなんだという議論がなされていくのが本来の筋ではないかなと私は思っております。
総理の御答弁にありました、まさに道路整備が必要だというのはわかります。単体の、例えば空港がある、空港に道路をつなぐ、空港だけがあっても道路がなければ利用できない、まさにそのとおりです。それぞれのものを道路を引くことによってネットワークとして利用していくというのは、それは当然なんです。
私の地元には、関西国際空港がございます。海上空港です。この関西国際空港、関空の連絡橋というものがございます。海上の空港ですから、陸側とつないでいる橋です。今般、この橋を、空港整備特別会計と道路整備特別会計、それぞれからお金を出して国が買い上げるということが報道されておりますし、発表されております。
そもそも、考えていただきたい。道路整備特別会計というのは道路をつくるため、空港整備特別会計というのは空港をつくるためのそれぞれの特別会計のはずなんです。今回、この関西国際空港の連絡橋の買い上げは、それぞれの特別会計からお金を出す、まさに垣根を越えている異例のことなんです。そういう意味では、まさに垣根を越えてやるのであれば、特定財源として使途を決めるということ自体がもう意味をなさなくなっている、まさに一般財源化をしなければならないのではないかと私は感じるわけであります。
この間の関空の連絡橋の買い上げ、道路特定財源で買い上げるべきだというような議論もこの国土交通委員会で私は大臣としたこともありますし、石原大臣、その前の北側大臣ともさせていただきました。それが実現したという意味では率直に評価はしておりますけれども、今申し上げました、特定財源制度というものの本旨からはそれていっているのではないかなと私は感じているわけであります。
今しなければならないのは、特定財源を守るということではなくて、特定財源を一般財源化する、つまり、よく大臣がおっしゃっている、納税者の理解をいかに得て一般財源化していくかということに政治家は本来力を注いでいかなければならない時期なんだと私は思っております。
さて、ここで、総理にもう一度お伺いさせていただきます。
平成十七年十二月の政府・与党合意がございます。その中に、「特定財源制度については、一般財源化を図ることを前提とし、」ということが書かれております。小泉内閣から安倍内閣、福田内閣へと変わったわけでありますけれども、この考え方は福田内閣でも引き継がれていると了解してよろしいですか。
○福田内閣総理大臣 はい、そのとおりです。
○長安委員 特定財源の一般財源化というのは、強いリーダーシップがないと私は実現できないものだと思っております。
今の道路特定財源というものを見てみると、道路整備にしか使わないという硬直的な部分と、一方で、道路以外の整備にも理屈づけをしてつくる、例えば、この間も本会議で意見が出ていました、モノレールつくったり、地下鉄つくったりというような弾力的な運用もしている。硬直的な部分と弾力的な部分、両方組み合わせて、まさにいびつな状況になっていると私は思っております。
さらに、平成二十年の予算では二千億円弱の一般財源化というのが今予算の中に載っております。私の感じでは、こういった二千億円ぐらいをやるというのは、まさに申しわけ程度の一般財源化だと思っております。これは、いわば一般財源化の偽装と言えるのではないでしょうか。おまけに、大臣御存じのように、一般財源化を一部するけれども、後年度以降にこれまた道路整備に充当できるようなからくりまでついているじゃないですか。こうやって一般財源化を偽装して埋蔵金化を図っているとしか今回の法案は言えないと私は思っております。
やはり、ここは福田総理の強いリーダーシップをもって一般財源化ということに本気で取り組んでいくということが必要だと思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているのですけれども、これは委員にではなかったですね、前の委員のときだったですけれども、特定財源、これは、自動車ユーザー、ユーザーの理解を得ながらということなんですね。そういうことでないならば、理解が得られないというのであれば、これは税率を下げるしかないんですよ。そういうことなのでよろしいのかどうかということもございますけれども、いずれにしても、一般財源化のためには、今現在は、例えば立体交差とかあかずの踏切とかいろいろな名目、児童の交通の安全対策とかいったような、そういうような自動車に関係するところでもっていろいろなそういう施策をさせていただいておる、こういうふうなことです。これはユーザーに理解が得られる、こういうことを前提といたしておりますけれども、今もそういう基本的な考え方は変わっておりません。
しかし、将来的には、自動車に関係するということについては、範囲はもしかしたら広がってくる部分もあるんじゃなかろうかなというふうなことも考えておりますけれども、しかし一方、道路整備予算というのは、これは本当に必要なものに限るという条件をつけておりますので、その残余の分について一般財源化を図る、しかし、それが自動車に関係すること、こういうふうなことでやっておりますので、御理解を賜りたいと思っております。
○長安委員 総理に申し上げたいのは、この一般財源化を図るという前提は、小泉内閣のときでしたよ。小泉総理があのときおっしゃったのは、道路特定財源を一般財源化する。一部をするという趣旨じゃないですよ。このときの閣議決定の文言を言っているんじゃないです。要は、多分、国土交通省の職員の皆さんも、国民の皆さんお一人お一人も、我々政治家一人一人も、ああ、道路特定財源が一般財源化されるんだと認識していましたよ。それが、結局はなし崩し的に、道路整備をして余った部分をというようなからくりをつくっただけですよ、これ以上申し上げませんけれども。
それでは、今度、この中期計画について、この素案ですか、ちょっとお伺いさせていただきます。
この間、さまざまな委員会でこの中期計画に関しては審議されて、数々の問題点というのが指摘されてきました。交通量の需要予測のデータが古かったとか、さらには事業量の積算のもとになる単価の精度が低いというような問題もその一例であります。
そもそもこの素案、先ほども大臣から冒頭で答弁ございましたけれども、これは六十五兆円の事業量を積算したものであります。昨年の十二月に政府・与党合意でそれが六兆円下げられて、五十九兆円ということに下がったわけです。まさに適当に数字をもてあそんでいるのではないかなと私は感じるわけであります。恐らく国民の皆さんもそう感じているはずですよ。ちょっと政府・与党で合意したら、当初六十五兆と言っていたものが五十九兆に、六兆円も下がるんですよ。少ない金額じゃないですよ。まけてと言ったら値切れる話なのか。八百屋で大根買っている話じゃないですもの、これは。
本来、そういう意味でいえば、道路を必要かと言われれば、それは必要じゃないと否定する方は一人もいないと私は確信しています。しかしながら、医療や介護やあるいは教育、先ほどお話ししましたけれども、そういったことも同等に見て、どれに優先度をつけていくのかという議論が本来されなければならない。その優先度をつけたものに重点的に予算の配分をしていくべきだと私は考えております。それを、国民の皆さんに、いやいや、道路は特定財源としておいて優先的にやる必要があるんだということを理解していただくためにこれをつくったということですよね、大臣。
○冬柴国務大臣 先ほどの、長安委員が読み上げられました、平成十七年十二月八日でしたかね、その読み上げられる前に、現行税率を維持しつつという言葉が入っていると思いますよ。特定財源として徴収している現行税率を維持しつつ、一般財源化の方向で、納税者に十分説明をして、そしてその御理解を得つつ具体策を立てる、こういうことが決められているわけでありまして、それと同じ内容が、その翌年の十八年に行革法として法律が成立をいたしております。その中にも、私が今言った言葉がそのまま入っております。
すなわち、小泉総理は、特定目的、すなわち道路をつくるという約束のもとに集めている税金、それについて、納税者に十分説明して、御理解を得て、そして具体策をつくる。これは物すごく難しい話ですけれども、それは、そのように閣議決定があり、法律が成立して、そしてまた十八年の十二月にもそれに基づいて、私も入って、そのとき私国土交通大臣になっていましたから、財務大臣と官房長官との三者で、それこそかんかんがくがくの議論をしたんですよ。
そのときに、真に必要な道路をつくるということでやろうじゃないかという話だったけれども、私は、それでは納税者は納得されないではないでしょうかということを申し上げた。それは、タックスペイヤーにその負担をお願いするからには、それに見合う受益と負担というものがなければこれは納得してもらえないんじゃないでしょうかと。そういうことから、その受益の内容、姿が見えるようなものを、去年です、十九年中に明らかにしますということで、そういう閣議決定になっているんですよ。
ですから、あくまでそれは、税をいただく方、納税者、いわゆるドライバーです、この人に納得していただける方法で一般財源化の方法を考えてくれということですから、私どもが本当に必死に考えた結果が現行法なんです。
ですから、それをそのままほったらかしにして、納税者の意思というものをたたかずに全部一般財源にしなさいというのは無理があるんじゃないでしょうか。税法の基本じゃないでしょうか。
○長安委員 私は、納税者の意思を無視して一般財源化という議論をしているのではなくて、この中期計画というものでまず納税者の理解を得ないといけないということが私は重要だと思っております。
ちょっと中身の議論をさせていただきます。
中期計画の中の十四ページ、この中に中期計画の事業量という項目がございます。一番から四番まで、二十四兆円、三十三兆円と、それぞれ項目がある。この中期計画、よくできていますよ。それぞれに幾らかかるのかというのはわからない。足し算してみると、これは百兆円を超えるんですね。それで、重複があって、きっちりやると六十五兆円になっていますというのがこの本です。でも、それがまた六兆円、政府・与党合意で減っているから、実際は五十九兆円というお話です。
では、五十九兆円になったのであれば、このそれぞれの金額は変わっているはずですよね。それぞれの金額は、大臣、幾らになっていますか。
○冬柴国務大臣 早急に出させていただきます。今積算をしておりますので、早急に出させていただきます。
○長安委員 要は、この本が、六十五兆でつくったものが五十九兆になって、五十九兆のその数字というのはどこにもないということですね。今精査しているというお話ですよね。
よく言われます。民主党の財源はあいまいじゃないか、無駄な工事を省いて予算を捻出するんだというのはあいまいじゃないかとよく言われます。しかしながら、昨日の予算委員会での大臣の答弁を聞いておりました。六兆円の減らす内訳というのは、三兆、二兆、一兆でしたかね、そういう御説明をされていましたけれども、はっきり申し上げて、国民の皆さんからは、ああ、鉛筆をなめているだけと違うんかというような不信感を招いているのは間違いない。
こういったいいかげんな中期計画をもとに暫定税率を十年間延長しようということを正当化できるのか。はっきり申し上げて、これだけ、日本の今後十年を決める、逆に言うと、今後五十年を決めると言ってもいいかもしれないこの十年のものを、こんないいかげんに議論するんじゃなくて、それこそ先ほど大臣が、国民の理解、納税者の理解を得ないかぬとおっしゃいました。
総理、ぜひ答えていただきたい。これをテーマに解散して総選挙をしたらいいんじゃないですか。総理の御意見をお伺いしたいと思います。
○冬柴国務大臣 道路の積算と、その積算と関係のない、例えば、四十人以上の学童が通学に使っている道路は十一万キロあります、その中の四万四千キロが歩車道の区別がないので、これを直しますということを言っていますけれども、十一万キロについては、見ていただいたらわかりますけれども、全部各県ごとに場所が特定されていますが、そのうち、四万四千をどこにするかということは、その時代時代で変わってくるわけでございます。
したがいまして、道路積算、これを下げたからこれが不確かになるとかどうとかいうような問題ではなしに、私ども、きちっと出しますから、もう少し……(発言する者あり)それはそういう問題ではない、私はそのように思います。
○長安委員 今、出ていないというお話がありましたけれども、それでしたら、大臣、いつ出していただけるんですか。
○冬柴国務大臣 予算委員会の方から先にずっと求められておりますので、予算委員会の理事会へ提出をさせていただくことになると思います。
○長安委員 ぜひ国土交通委員会にも出していただきたいと思います。
私が申し上げたかったのは、ただ単に、中期計画がいいかげんだから、この中期計画を問うという意味ではなくて、今後の日本の将来を決める十年間の予算配分の問題ですから、それをテーマに解散をする、総選挙をして国民の民意を問うというのに十分値する話だと私は考えております。
総理、ぜひこの御見解をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 国土交通大臣から答弁したとおりにさせていただきます。
○竹本委員長 長安豊君の質疑は終わりました。
次に、小宮山泰子君。
○小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。
総理には初めて質疑をさせていただく機会をいただきましたこと、ありがとうございます。
私も、今の問題は後ほど聞かせていただきますが、今まで、きのうの総理の答弁、本会議の後藤委員の質問に対しての答弁の中に、一九五四年、昭和二十九年から平成十九年までの、道路特定財源制度が創設以来、道路には九十兆六千二百九十四億円が投入されたという数字もございました。河川とかほかのものも合わせて百三十三兆円ほど使われているという答弁がありました。かなり大きな額だとは思います。
そういった中で、また無駄遣いということも連日予算委員会の方でも御答弁されて、冬柴大臣も含めて非常に苦慮されている姿も拝見させていただき、またそういった中で、冬柴大臣におかれましては、道路整備事業を総点検する改革本部をみずから本部長として立ち上げるという、また六月にはめどをつけられるというようなことも、きのうの答弁であったと存じております。
それでは、今までどれだけこの九十兆の中において無駄遣いというものがあったのか、道路以外に使われたのか。また地元の人も、ここは変だ、必要がないというような工事が行われたことがあるということは、これで大臣がトップでやられるということは、それはある意味認められているんだと私は思っておりますし、それは現実だと思いますので、速やかにその作業には入られるべきだとも思っております。
そこで、私、思い出しますのが、年金のときに、グリーンピアとかいろいろなものの建設に保険料を使われました。昨年、厚生労働省所管の独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOの鑑定結果によりますと、年金施設を、簡単に言えば、つくって売却をしたり、いろいろな処理をされていますけれども、一兆円もの保険料が結局戻ることもなく使い込まれたままになってしまうという試算が出てきております。
まだ四百十二物件、資産価値は約二千億円にすぎないということを考えても、こうやって今まで、私も、道路特定財源を使って地下駐車場をつくっていたり、また天下り財団だったり各地方自治体の地下駐車場も探してみておりますけれども、こういったものが本当に適切に使われたのか。特に、財団法人駐車場整備推進機構、これは九百九十五億円の建設費を国土交通省が出し、そして管理運営は財団がやる。
先日、水戸まで行ってまいりまして、渡部恒三大先輩とも行かせていただいたときに、駐車場に車が来てびっくりするのは初めてだという感想も漏らすほどに、大変静かな駐車場の様子でもありました。こうやって考えると、投資したものが戻ってくるような仕組みというものは今後検討するべきなんじゃないかという思いがしております。
過去にも冬柴大臣に聞いておりますが、この点に関しまして、国民の税金を使って、一生懸命働いて納めていただいている税金でもあります。これを無駄にすることなく、天下り財団とかそういった法人に差し上げるのではなく、これをきちんと回収するということもあわせて考えていかれるべきだと思いますが、その点、何かありましたら、ぜひ聞かせてください。
○冬柴国務大臣 九百九十五億円、このようなお金が駐車場整備のために費やされたというお話ですが、そうではないわけでございます。
というのは、都心の市街地、そういうところは大変車が混雑をいたします。そういうところは地価も高いわけでございます。もちろん例外もありますよ。しかしながら、そういうところに違法駐車とか、あるいはそういう道路上の危険も生ずるわけでして、公的な駐車場の必要性というのがあるわけです。
しかしながら、土地がありません。しかし、あいた土地があるんですね。それはどこかというと、広い道路なんです。駅前の道路なんですよ。公道なんです。したがって、その下に、道路の整備費として、要するに穴をあけたわけです、整備費として。そして、それを駐車場として使おうと。こういうものを全国で、民主党も視察をしていただいておりますけれども、全国で十四カ所、二千五百台を収容できる駐車場を都心部につくっているわけでございます。これは年間二百万台の車が十四カ所で、そういうところへ収容されているわけでございます。
したがって、これは、私は、この間の審議でも言いましたけれども、採算がとれていない部分については、今度は、それにかかった駐車場の整備費、駐車場自身をするためのお金が今三十一億円ほど残っておりますから、その部分について、一部、どれぐらい債務を引き受けいただくのかわかりませんけれども、民間にやっていただくようにすべきではないかということを私は申し上げました。
そして、先ほどおっしゃっていただきましたように、総点検をいたしまして、そういうものの改革についても切り込んでいきたい、私はそのように思っております。
○小宮山(泰)委員 駐車場のこと、これもまた月曜日、予算委員会でも質問させていただきますけれども、ほかのものとか、いろいろな支出をしています。それをきちんと取り戻せるのか、無駄であると認定されたら。やはりそういった仕組みというものをつくっていくべきなんじゃないかということを質問させていただいております。
特に、年金のことを見ても、全部、結局は保険料を払った国民にしわ寄せを押しつけるような結果にならないようにしてほしいということが私の質問の趣旨でもあります。
また、民間にしたら、民営化したら戻ってくるんですか。そうとも限らないと思いますので。いや、もういいです、この点は。
総理、もしよろしければ……(発言する者あり)戻ってくるんですか。戻ってくるんだったらお答えください。
○冬柴国務大臣 九百九十五億は、戻るという思想じゃなしに、道路を整備した費用でございます、道路整備費でございます。したがって、整備費が戻るというようなことはありません。(発言する者あり)
○竹本委員長 ちょっと静かにしてください。
○冬柴国務大臣 したがって、それを借りた人が駐車場としてつくるために空調施設をつくったり、そして、それをするために四十一億円かけているんです。それは戻らないかぬですよ、それは戻らないかぬ。しかし、九百九十五億というのは平面の道路の下にスペースをつくった道路整備費なんです。ですから、それを回収するという思想はありません。
○小宮山(泰)委員 回収する思想はないということを確認させていただきました。
やはり、今まで九十兆も使って道路をつくってきた、それに予算を費やしてきたわけです。これにどれだけ、本当に必要だったり、無駄だったもの、それは、多くの皆さんが無駄だと思うことがあると思います。これをやはり戻させるということも次に考えなきゃいけないし、今後、こういうような問題で無駄なものをつくらせないためにも、なぜそれが起こったのかということも検証できる、そういった仕組みをつくらなきゃいけないんじゃないでしょうか。
そして、二点目に行かせていただきます。
私自身、こういうのをいろいろ調べていまして、本当に悲しいというか、どうしてこんなものができてしまうんだろうと。また、場合によっては、地下駐車場をつくって、出口の予算がないから、追加で三十五億円予算を要求しているところもありました。そういうものに関して言えば、最初は九十八億ぐらいでやっておいて、百億超ししないような形をとっていたりする様子が見受けられます。
やはり、こういった意味では、地下駐車場に入り口は一カ所、出口がないというような工事で、こんなものが発注されて、それに対して道路特定財源が注ぎ込まれているという現実もあります。しかし……(発言する者あり)上野広小路。これは細かいことは月曜日やりますので、いいです。
そういう意味では、本当に道路特定財源がきちんと有効に使われているのか。有効に使われているならば、多分ここにいる与党の委員の先生方のところにももっともっとちゃんと予算が引けていたかもしれないじゃないですか。それがほかのところに行ってしまうから、結局のところ、追加予算だとかいろいろなもので使われてしまって、自分たちのところへ回らない。それで結局、各地方の自治体や、恐らく先生方もそうでしょう、陳情政治をやるしかなくなるんですよ。それの手間と労力とをコスト計算したら、物すごいものがあると思います。
やはり、きちんと配分されるという意味においても、まず最初に、なぜそういったことが起きたのかということを調べなきゃいけない。
特に、私も調べていて、大体、契約書は五年間の保存期間というもので、なくなっている場合がよくあります。これに関しましては、国土交通省に限らず、本日総理もいらっしゃいます、いろいろ各委員会で、厚生労働であったり、テロ特であったり。やはり契約書がないので、なぜそういった本来の契約があって、どこに責任があるのかが調べられないといった委員の発言も現実にはありました。
福田総理におかれましては、官房長官のときに、契約書や文書の関係に関しては非常に熱心に対応されたというふうにも伺っております。やはり、本来、計画書というものがあって、後ほどの協定書とかそういったもので、更新のときには修正したものが載りますけれども、最初のときに、無駄というか、後での追加費用が増大することを予見させられるようなものがあったのかどうか、検証することすらできなくなってしまっている現実もあります。すべてとは言いません。
また、先般、国土交通省の方から、百億円以上の現在工事中の一覧というものをちょうだいいたしました。その中は、大体五百七十二件の、百億円以上もの工事が現在進行形で行われているわけですけれども、こういったものの中にも、平成や昭和のころから、また終了期間が平成の三十年を越し四十年を越すという、長期にわたる事業計画のものもあります。
そうなっていると、工事が行われている真っ最中でも、最初にどういった契約で行われたか、最初の道路の見積もりというか、そういったものを検証する、本当にどこまで必要だったのかというのを明確にする、そのシステムを見るための仕組みというものが失われてしまうおそれがあると思います。
ぜひこの点で、総理、これは政治決断だとは思いますが、工事中のものの契約書はやはり残していくべきなのではないでしょうか。そういった点に関して、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 国土交通省の契約書は、国土交通省の文書管理規則で、竣工後五年間保存するものとなっているようであります。
これは、その五年間というのが適切かどうかということについて、昨年の十二月の関係省庁連絡会議で検討して、国土交通省においては、必要に応じて保存期間を延長するとかいったような検討をするということになっております。
それと別に、私、施政方針演説でも申し上げたんですけれども、行政文書の管理のあり方、これは基本から見直して、そして法制化をすることを検討しようということで、今その検討会議が開催されて、どのような文書をどれだけの期間保存するかといったようなことについてきちんとした法律にしようということで、作業を進めておるところでございます。
○小宮山(泰)委員 ぜひこれは早急に進めていただきたいと思います。きょうでも五年の期間を越していくというものがたくさんありますので、その点に関してはいつぐらいまでに検討されるのか、それもお聞かせいただけますか、結論を出されるのは。
○福田内閣総理大臣 今、検討の各省庁の会議をいたしておりますけれども、そうですね、何月までかかるか、なるべく急いでやりたいと思います。
○小宮山(泰)委員 急いでというのは、どのぐらいでしょうか。最近は暫定税率と恒久的減税の、日本語としては、的というんでしょうか、日本語的には何か逆転をしているところもありますので、急いでというのはどのくらいのことをおっしゃるんでしょうか。
○福田内閣総理大臣 これは、どれだけの文書を残すか、いろいろな文書がありますので、それの一つ一つについてその残存期間を決めていくといったようなこともあります。そしてその膨大な量の書類をどこに置いておくのかといったようなこともあります。したがいまして、この国会ではちょっと間に合わないかもしれぬ、その後なるべく早くということで、遅くとも次期の通常国会までには間に合わせるようにしたいと思います。
○小宮山(泰)委員 急ぐというのは、結構ゆっくりなのかなという印象もあります。
総理、ぜひお考えいただきたいんですけれども、工事に関しては、記録が失われる、特にこうやって十年間のものを出されているということになれば、これから十年の間かもしれませんが、これから三年後ぐらいに計画が実行されたとしても、十年後に次の法改正、政府から出しているものですから、といったときには、これは保存期間が終わってしまっては元も子もありません。ぜひ、工事中のもの、現在工事が続いているようなものは、早急にこれを保存するというような、そういった区分けもあると思いますが、その点はいかがですか。お二方、どうぞ。
○福田内閣総理大臣 国土交通省の建築中のもの、これは大臣にお聞きいただきたいと思いますけれども……。
大臣から聞いてください。
○冬柴国務大臣 工事中のものは残しておきます。それで、それが竣工いたしますと、瑕疵担保責任の問題もありますから、竣工、引き渡しを受けてから五年間でございますので、十年間工事がかかっておれば、当初の契約書はずっと、竣工が十年目であれば、それから五年間保存していますので、十五年間保存してあります。
○小宮山(泰)委員 大臣の答弁は国土交通省の場合ということでよろしいですか。
これは、当然ほかの省庁もされていらっしゃる、一番最高責任者でもありますので、総理、その点に関しましては、同じように、ほかの省庁に関しての建設のものもお願いいたします。
○福田内閣総理大臣 物によるわけでありますけれども、それは永久保存もありますよ。日本の歴史を伝えるものであるといったような、そういう文書もあるんです。例えば憲法の発布の……(小宮山(泰)委員「建設のものです」と呼ぶ)建設、各省庁のですか、各省庁の建設。これは国土交通省が所管しているんですよ、そのことは。
○小宮山(泰)委員 ぜひ、総理にも、国土交通省は引き渡しをしてから五年間ということのスキームを持たれるということですので、これはぜひ、総理、リーダーシップを発揮いたしまして、全省庁に、建設中のものに関しては早急に文書の、契約書の保存というものをしていただきたいと思います。
これは厚生労働省の管轄のものも入っているんですか。
○冬柴国務大臣 私の方は、営繕として請け負ったものは私の方の所管ですけれども、そうじゃないものについては、各省は、それはいろいろなものがあると思います。(小宮山(泰)委員「ほかの省庁はほかの省庁ですよね」と呼ぶ)
○竹本委員長 挙手をして発言してください。
○小宮山(泰)委員 この問題でいつまでもやるつもりはないので。
ぜひこの点は、ほかの省庁にも広げて、やはりきちんと、最初どういった計画だったのか、それが肥大をしていくということもよくあることでもありますので、この点をしていただくことは、総理におかれましては、リーダーシップをとってぜひやっていただくことをお願いいたします。
時間もなくなってまいりましたけれども、先ほど長安委員の方からもありました道路中期計画、これも連日、予算委員会の方でも質疑があります。私もどうしてもわからないんですよ。
現在私たちに配られている資料は、昨年の十一月に国交省が出した道路の中期計画(素案)というもの、これは六十五兆円をベースに書いているものでもあります。しかし、その後、十二月には政府・与党との合意ということで五十九兆円に減額され、また、五十九兆円を超さないというようなことで今回いろいろ提案されています。
しかし、実際には、中期計画の事業量というペーパー、今もいただいておりますし、この中期計画の素案の中にも書いてあるのは、合計すると百兆円を超す、これは重複もありますので。しかし、これはどこからどうしたらこの数字が、重複がどこまでなっているのかもよくわからない数字でもありました。
さらに、これが六兆円減るということになれば、どこをどうしたらこの全体像がわかるのかというのは非常になぞでもあります。ましてや、この点に関して、先ほど、早急に検討されている、予算委員会の理事会に出すとおっしゃっておりますけれども、大臣、いつに出すんでしょうか。予算委員会の理事会に出すというのは、いつの予算委員会の理事会に出すんでしょうか。
○冬柴国務大臣 きょうは開かれませんので、月曜日以降になるんだろうと思います。そこの理事会の中に出させていただこうと思っております。
○小宮山(泰)委員 では、二十五日の月曜日の理事会に出されるという……(冬柴国務大臣「以降」と呼ぶ)以降といっても、以降はずっとありますので。先ほど、早急に、早い対応と総理が言われたのは、ことしではなく来年になると思うんです。多分来年も予算委員会の理事会は開かれますので。大体来週中なのか、その点をぜひお聞かせいただきたいんですが。
○冬柴国務大臣 もちろん今国会中でございますし、だから、二十五日以降の時点で、我々としては、土日もありますから、徹夜してでもこれを整えて、そして、理事会は与党だけではありませんので、野党の方とも、これは問題を委員長を中心に話し合っていただいているわけですから、それにこたえられるように準備をして、そして理事会の求めに応じて出させていただこうというふうに思っておるわけでございます。そんなに長いわけではありませんので、御勘弁いただきたいと思います。
○小宮山(泰)委員 そうはいいましても、やはり、今私たちはこの国土交通委員会でも予算関連の質問をしております、審議をしているわけです。この現実の、予算のベースとなる根本的なデータというものがないままに、どんぶりのまま採決しろということはあり得ないとは思いますが。これは理事会の方でやることですけれども。
政府の合意とやっているわけなんですから、これに関しては早急に手直しをするべきであるということは、自民党の総裁でもある福田総理、十二月に政府・与党との合意で五十九兆に六兆円も下げたならば、十一月に出たこの計画は、素案ではなく本編は、去年のうちに出そうということで書かれてもおります。それを考えると、早急に見直すべきであるというような指示はされたんですか。
○冬柴国務大臣 まず、五十九兆を超えないものということになっています。それで、この中には、過去の実績に基づいて、箇所数を掛け合わせてつくってあるものでございますから、我々の方としては、相当詳細な計算その他をやって、今言ったように至急出させていただく、予算委員会の理事会でもそのように申し上げているわけでございますので、我々としては、その期待にこたえて早く出させていただこうと思います。
しかしながら、それではこれが何も意味をなさないのかといったら、それはそうではなくて、十六の政策課題ごとにそのようなものはきちっと出しておりますので、そのようなことでどうぞ御了解いただきたいと思います。
○小宮山(泰)委員 総理、ぜひ伺わせていただきたいです。
これは、十二月七日に政府・与党合意がされていらっしゃいます。そういうことで考えると、二カ月以上たっているわけですから、この点に関して、それに対して国土交通省がやっていないということは、与党としては、自民党総裁として、ぜひこの点、何で進めさせないのかということは、なぜしないんでしょうか。
正直、六十五兆円も大きいですけれども、五十九兆円も相当な額ですよ。これの中では、三月三十一日に暫定税率が切れたら、その後はまた新たに取り上げていく増税だと私は感じております。特に、生活保護を受けたいけれども、仕事をするために車がなければいけない、だから受給ができないといって、障害者を抱えた母子家庭であったり、そういったところの方々はその増税された部分をこれからも払い続けるという話でもあります。
五十九兆円、これだけあればいろいろなことができる、そう思う方も大勢いらっしゃると思う。地域においては、道路はもう大体大丈夫だからと言っているところも現実にはあるでしょう。やはり、そういう意味では、この論議の中でこの五十九兆円の根拠をきちんと示さない限りは、これからのこの法案の審議や、この法案の確かさというものははかれないと思います。
この点に関して、早急に出すということは、実際、自民党として、総裁として、また内閣総理大臣として、この整合性をとるために、早急に、素案ではなく、五十九兆円の素案を、パートツーというんですかね、出し直せということはやったんでしょうか。
○福田内閣総理大臣 今大臣の方から答弁しておりますように、来週、いつの日になるかわかりませんけれども、早急にその内容をお示しする、こういうふうなことになっているんですね。
先ほど来お伺いしておりますと、六十五兆が何で急に五十九兆になったのか、こういったようなことについての疑問がおありのようなので、これをわかりやすく申しますと、例えば渋滞対策というのは日本全国で九千カ所手当てしなければいけない、こういうふうにいろいろな調査によって明らかになってきている。それで、そういう九千カ所も本当にできるかどうかということで、そして本当に必要な分について重点化してその箇所を決めていく、こういうふうな考え方をしておるわけであります。
ですから、事業量をそういう観点から決めていくということはできるわけでありますので、六十五兆から五十九兆にするということについては、そういうものを調整していくということになるんです。その内容について後ほどお示しする、こういうふうなことでございますので、それはもうちょっと待っていただきたいということであります。
○小宮山(泰)委員 渋滞対策といいますけれども、六十五兆円の中期計画の事業量の中では、慢性的な渋滞への対策とかは、かなりあちらこちら重複されて、環境対策とも重複しております。やはり、そういう意味では、本当にどこを削ろうとしていたのかというのは、箇所づけを減らせたということでしょうか、そういった観点でされるのか。これはやはり予算委員会ともかかわってきますし、十年間の予算というものを提示する、平成二十年度は確かに道路関係予算、総額五兆四千四十三億円出されていますけれども、では、その後の二十一年度は単年度でどうするんでしょうか、その辺の積み上げがあって十年間じゃないんですか、これは年数もおかしいんじゃないでしょうか、その点を聞かせてください。
○冬柴国務大臣 私どもは目標を変えることなく、我々はそれにかかる六十五兆円で概算したものについて、工事のやり方とか、あるいは経費とか、そういうものを切り詰めて、そしてする部分。それからもう一つは、まちづくり交付金とか、あるいは地域づくり交付金というのがあります。そういうものは、その中で大きく道路整備というものが入ってくるわけでございます。したがって、そういう道路整備というものは重複してしなくてもいいから、そこはカウントから除いていけるんじゃないかというような問題点もございます。
それから、高速道路をつくることによって環境対策に資する部分も当然ございます。環境対策については一般会計で一兆一千億というものが今年度も計上されておりますけれども、我々はそのうちの一部分を、高速道路をつくり、そして渋滞を解消させ、そしてまた、そういうような相乗効果によってその部分を我々としてはこのカウントから取り除くことができる、そういう積算を今やっているわけでございます。
説得力のある積算をやっておりますので、それを見ていただきたいと思います。これは、目標は変えずに費用を削減したい、そういう意味でございます。
○竹本委員長 質疑時間が既に済んでおりますので、小宮山泰子君、簡潔に。
○小宮山(泰)委員 大臣、必ず来週頭にはもう出してください。出さなければ審議が恐らくあちらこちらできなくなると思いますので、ぜひその点をお願いいたしまして、質問とします。ありがとうございました。
○竹本委員長 小宮山君の質疑はこれで終わりました。
次に、穀田恵二君。
○穀田委員 政府はこの間、高速自動車道の整備の現状については、つながっていないとだめだ、ぶつ切りの道路が日本全国に見受けられる、そういうことでいいのかを含めて考えなければいけないと述べて、総理大臣もこの間、道路のネットワーク整備が重要であるという点を強調しています。ただ、一つ一つの道路の建設に当たっては、私は、財源や地域の環境や景観、安全、住民のニーズなど、さらには弊害に対する対応など、精査しなければならないことはあるんだと思うんですね。
そこで、総理に、基本的な考え方なんですけれども、手続の問題でも、行政内部だけで決めるのではなくて、客観的な手続を行う必要があると思うんですが、その基本的見解をお聞きしておきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 高規格道路の整備につきましては、これはやはり基幹的な問題、すなわち国際競争力の確保とか、また地域の自立、活力の強化を図る、こういうふうな観点から、極めて重要な役割を担っております。ですから、その機能を十分発揮させるために、ネットワークとしての全体としての広がりが必要であるということであります。
ただ、実際に、では全部つなげるのかといったときに、今ちょっと御指摘があったかもしれませんけれども、地域住民の意見を聞かなければいかぬとか、そしてまた環境アセスメントの結果といったようなことも配慮しなければいけませんね。そういうようなことも必要だし、また同時に、その費用を負担する自治体の意見を聞いて調整しなきゃいかぬということもございます。客観的かつ厳格な事業評価、こういうことも必要だと思っております。
○穀田委員 手続の問題も極めて透明で客観的でなければならないということは、再三にわたって冬柴大臣も強調しています。
実は、冬柴大臣は予算委員会における私への答弁で、道路の関係で、大きいものは国幹会議に諮るのは当たり前だ、抜けている部分があればそういうやり方について改正するということを述べました。
そこで、具体的に聞いてみたいと思うんです。皆さんのところに資料をお渡ししている一を見ていただきたい。この間の予算委員会でも使わせていただきました。京都、奈良、和歌山を結ぶ京奈和自動車道で、三つの府県にまたがっています。そこで、総理が述べた、つなぐという意味では、この前、予算委員会で指摘しましたけれども、将来構想としての関西大環状道路構想の一部であることは明らかであります。高規格道路である京奈和自動車道の内容について、これは国幹会議で審議、決定した路線ですか。
○冬柴国務大臣 これはそういうものではございません。それでいいですか。これは違います。
○穀田委員 そういうものではないと。しかし、これは今お話ししてわかりますように、三つの府県にまたがって、大きな道路だ。大きいものは諮るということからしますと、抜けている部分があれば訂正するという言質の実行をしてもらわなければならないと思うんですね。その点はいかがですか。
○冬柴国務大臣 国幹会議というのは最高であります、道路の整備については。しかし、社会資本整備審議会というものもございます。そういうところも弾力的に、ここにも立派な先生方がたくさん入っていらっしゃるわけでございますので、弾力的に利用する、またそれを、その結果を国幹会議に御報告を申し上げる、そういうようなものも組み合わせて、皆様方に御納得いただくような、そういうようなものを今後検討し、つくっていきたい、そのように思います。
高規格自動車道、そういうようなものにつきまして、一万四千キロにつきましては、それに編入するものについては国幹会議というものに諮ることになりますが、その外にある部分についてはそのような手続は今定められておりません。しかしながら、穀田議員からの御指摘もございましたように、県をまたぐような大きな道路、そういうようなものについては、私は、やはり第三者の公平な御意見も伺い、そういうものを経由して、そしてまたそれは透明性も図られるわけですから、そういう手だてが必要である、そういうふうに私は思っておりますし、そのように進めたいというふうに思っています。
○穀田委員 つづめて言えば、一般国道の自動車専用道路についても、そういう形で制度的にも保障していくということで理解してよろしいですね。
○冬柴国務大臣 私もそのような理解でございます。
ただ、私もその意味では素人でございますので、学者その他に諮って、その機会とかはありますけれども、しかし、今穀田議員がおっしゃったのは、私は同感でございます。そういうものは諮るべきだろうと思います。
○穀田委員 そこで、確認しておきます。
当然、一般国道も、この間お話があった、計画や整備を適切に判断するための手続を設けると。その際に、一般国道の自動車専用道路はほかにもありますが、圏央道などもその例なんですけれども、そこも当然同じ対象だということは確認できますね。
○冬柴国務大臣 そうだろうと思います。
○穀田委員 それを確認しました。
そこで、私は、京奈和自動車道は先ごろ調査してきました。そこで、資料の二を見ていただきたいと思います。
それは白黒なので見にくいんですが、この京奈和自動車道というものは、区切りがありまして、八つあるということがおわかりいただけると思います。これは、供用中、事業中、調査中とありますように、まだできていないところもある、工事中のところもあった。見直すというのは、これらがすべて対象だということになるのですか。そこははっきりさせてほしい。
○冬柴国務大臣 道路は、名前は京奈和とついていますけれども、それはそれぞれの区間でBバイCもとっておりますし、そういうような形で、区間で考えていくことになるんだろうと思います。
○穀田委員 それではだめなんですね。
つまり、一般国道の自動車専用道路計画決定の手続というのは、実は、決定は国土交通大臣が行い、そして基本計画決定は道路局長が行い、実行するに当たっては一般国道自動車専道の整備計画決定は道路局長が行う、こういう仕掛けになっているんですよ。これではだめだから、そういうものだとすると、今お話があったように、工事中のものも含めて見直すことにしないと、第三者が入っての精査がされないじゃないかということを言っているわけですよ。そこを。
○冬柴国務大臣 この地図でいったらどの部分を言っておられるのか、そこをはっきりしてもらった方が議論が早いと思うんですが、大和北道路という、丸が二つ打ってある、そこら辺のことを言っていらっしゃるんですか。
○穀田委員 それはまだ未供用で調査中のものなんです。供用している部分が既にある、工事中の部分が、例えばここにありますように、大和御所道路などの一部分は工事中である。ここは私は見てきましたけれども、そういうところがやはり見直す対象に入るのかということを言っているんです。
○冬柴国務大臣 事業中のものについては、それなりの行政の決定の手続を経てここへ来ているわけでございますから、これからの例えば見直し、この二重丸を振ってあるとかそういうようなところは、今からするという部分については、それは当然だろう。ですから、全体を一括してやるんじゃないということを言っておるわけです、私は。
○穀田委員 それは違うんですね。工事中のものであって、決定したって、それは、そういう第三者機関の審議を経ていないから見直すべきじゃないのかと私は言っているんですよ。そこで、今調査中のもありました。それは見直すということなんですね。それはありましたよね。
そうすると、総理大臣に少しお聞きしたいと思うんですけれども、そこで資料三を見ていただきたいんです。
大和北道路についてです。これも、今お話があったように、調査中の路線です。この高速道路計画は、平城京跡の地下を掘って道路をつくる計画なんです。地下水の流れが変化し埋蔵物遺産が壊される、悪影響を及ぼす。大体深さ四十メートルに近い道路など、安全の面からも極めて心配だ。だから、もともと高架の構想だったけれども、世界遺産にふさわしくないとして地下方式になったものだ。
こんな計画を古都奈良で進めていいと思われますか、総理大臣。
○福田内閣総理大臣 大和北道路は、平城宮の跡地の地下に埋蔵している極めて重要な史料でございます木簡というもの、これが影響を受ける可能性があるということで、木簡への影響を避けるために隣接する地下空間を通る計画をしている、こういうように承知しております。
日本の貴重な文化財を保全し次世代に継承されるように最大限努めていくことが我々世代の責任でありますので、道路整備に当たりましては、環境アセスメントの実施に加えて、継続的な地下水調査、埋蔵文化財調査などを実施してまいりたいと思っております。
○穀田委員 一応やったと言っているんですが、今からも調査するという意味ですね、今の話でいうと。だって、調査してまいりたいと思いますということは、しますということですよね。先ほど冬柴さんは、調査中ですからこれは対象です、こう言っておられる。そこはいいですよね。
そうしますと、私は、実は小泉さんの時代にも京都の問題を取り上げまして、京都の市内に高速道路はどないやと言ったら、それは余りにも無粋だと言ったんですね、小泉総理大臣は。今、福田総理も、そういう古都の木簡やその他の貴重な埋蔵文化の遺産を守るためにはよくやりたい、こうおっしゃっている。
トンネル案の推定工事費は何と三千百億円と発表されているんですね。有識者の委員会もこれは開かれていまして、複数のそういう別案も提示していて、トンネルを回避した案の工費は千六百億円と有識者委員会が試算しているんですね。ですから、今お話がありましたように、調査中のものであるから検証し直す、そして踏まえてそれを壊さないようにもするということがありましたので、私は、無駄だというだけじゃなくて、有害なこういう道路はやめるべきだということは言っておきます。
そして、もう時間が来ましたから一言だけ言いますと、こういう点での見直しをきちんとしないと、日本の道路というのは、つくり続けられること、特につなぐということだけでやっちゃだめだということを言っておきたいと思うんです。
中期計画自身が、先ほどの議論もありましたように、きっちり精査されたものではありません。そして、総額先にありきということでこの間道路整備を続けてきたことが、そのあり方をゆがめてきたことは明らかであります。そして、私は、手続のあり方、先ほど言いました、大臣も、総理大臣も含めて、そういうことについて見直す必要があるということを言っておられるわけだから、中期計画自身がきっちり精査された内容のものではないということを改めてお二人が述べたに等しいと私は考えています。
そういう意味で、今後の見直しときっちりとした精査、それから第三者検討委員会による精査、これらが必要だということを改めて申し述べて、終わります。
○竹本委員長 穀田君の質疑は終わりました。
次に、亀井静香君。
○亀井(静)委員 国民新党の亀井静香でございます。
きょうは、冬柴大臣、大変奮闘しておられるので、与党ではありませんが、激励を申し上げたいという意味も込めて質問に立たせていただきます。総理も頑張っていただきたいと思います。
道路問題について、連日、国会でいろいろ議論をされておりますけれども、必要な道路はつくらなければならない、無駄な道路は一道といえどもつくってはならない、当たり前のことだと思うんですね、こんなことは。こんなことについて、私は、国民もわかっておると思うんですね。それをがちゃがちゃがちゃがちゃ、毎日毎日、国会で議論をしちゃっていて、私は、国民の目から見て、こういうわかり切ったことについてはわかり切った結論を出してくれということだと思いますよ。
要は、必要な道路をつくっていこうと、国土交通省がきちっとやればいいだけの話です、本来は。予算が余った場合は使わなければいいんですよ。そういうめり張りをつけていくことが大事なのであって、この委員会で幾ら資料を出してああだこうだ、いい、悪いと言ったって、我々が北海道の果てから九州の果てまで、この道路が必要かどうかわかるはずないんだ、こんなことは。
また、今の、私は、ここにマスコミも来ているけれども、道路をつくるのが悪いことだみたいな妙な空気が醸し出されていると思います。はっきり言って、マスコミがあおっていますね。私は、これは本当に国家のためによくない。
この日本列島、言ってみれば災害列島ですよ。台風は来る、地震は起きる。ライフラインを日本列島の隅々まできちっと必要なものを張りめぐらせるというのは、私は政治の当然の責任だと思いますね。そういうことをきっちりとやっていくのが当然のことを、私は、ごちゃごちゃやったって、国民は、何をやっているんだというだけの話ですよ。
きょうは総理もおいでですけれども、そのことも大事だけれども、二十五円ガソリン代が下がるか上がるかという、与野党、うちとは別でありますけれども、やっているけれども、総理もおられますけれども、どうですか、今は。日本列島に大きな波が押し寄せているんじゃありませんか、原油高の。これは投機による原油高という要素が高いわけですから、福田総理といえども、御自分だけではなかなか制御できない。各国と協調して制御の御努力をされにゃいけませんけれども、しかし、そう簡単にいくはずもない。
であれば、この大波から国民生活をどう守るかという問題。私は、民主党も、二十五円ガソリン代を下げればいいという問題じゃない。灯油もあれば、軽油の問題もありますね。こうしたことについて、総理、政府として、みんなが安心する対策を今出しておられますか。また、政府も、自公も出しておられますか。また、民主党もそういう案を出していますか。(発言する者あり)聞いていないね、おれは。ちゃんとしたものは聞いていない。
手前みそで言うわけじゃありませんけれども、総理、国民新党はマスコミが相手にしてくれません。記事でも、ちっちゃいことしか出してくれない。だけれども、この緊急事態、やはり国民生活を守るという観点から、二十五円を下げるというだけじゃなくて、やはりきっちりと差額を、安定しておったときの、例えばレギュラーでいえば百二十円、それ以上については国が責任を持って、例えば領収書を市役所、区役所の窓口へ持っていけば、その差額を払うといいだろう。四、五兆円あれば足りるんですよ。
アメリカは、ブッシュ大統領は、国民が困ってきたという状況の中で、十六兆円の、御承知の、やるんでしょう。事実上、私が言っているのも減税かもしれませんが、これは原油高はどこで制御できるかわからない、そういう意味では臨時の措置になるかもしれませんが、財源、財源とすぐ口を酸っぱくして特に自民党の皆さんは言うけれども、埋蔵金だ何だかと、何もそんな名前つけなくたって、外為特会の運用利益の一部を使ったら、四、五兆円なんてすぐ出てくるじゃありませんか。なぜこれを使ったらいかぬのですか。そういうことをやってでも、困っている国民をちゃんとガードするということが私は今大事だと思うんですよ、緊急避難的に。
ぜひ、総理、二十五円どうというちまちました議論ばかり、総理も本当に、飽き飽きとは言いませんけれども、いいかげんにしろというお気持ちだろうと思うんですよ。必要な財源は必要だというのは当たり前だ。こうした大きな波からどう守るかという視点から私はぜひ対策を至急出していただきたい、このようにお願いいたします。
それから、冬柴大臣、あなたの母体の公明党は庶民の党だと言っているんだから、庶民が悲鳴を上げれば、もう悲鳴を上げています。国民新党と一緒に提案しませんか、共同提案。構いませんよ、我々は。
私は、やはり、今政治が大きく動くときだと思うんです。ちまちましたことで議論をしていくということじゃなくて、ぜひひとつ真剣に考えていただきたい。
まず、総理、どうですか。
○福田内閣総理大臣 私の大先輩から、今、御意見をいただきました。ちまちましたところにこだわらずに、どんといけ、こういったような趣旨だと思いますけれども、本当は私もそうしたいところです。したいけれども、現実はなかなか厳しくて、何しろこの国会でもって予算を通さなければいけない、関連法案も通さなければいけない、でないと国民生活に大変な影響、悪い影響を与えてしまう、そういうことが頭から離れないものですから、ちまちましたことになっちゃう。
しかし、これは、とはいうものの、大事なことですから、一つ一つ丁寧に御説明を申し上げるということに徹しておるわけでございます。
道路は、つくるべきものはつくるべきだ、もっともなことでございます。また、要らない道路をつくる必要はない、これもごもっともでございます。
そこで、私、昔のことを思い出しました。十年前ですけれども、亀井自民党政調会長のころ、ダム建設をやめようじゃないかということを提案されまして、これは随分やられましたよ。本当に力を入れて、私もその下で、部下で働かされましたけれども、でも、随分数多くやったと思います。ああいう、要らないものは要らないという、その精神だと思います。
これから私どもが道路をつくろうという提案を申し上げる。それは、やはり要らないものはつくる必要ないのでありまして、本当に必要なもの、これから日本の経済社会のために、そして国民のために必要なものに限ってつくらせていただこう、こういう精神でございますので、その政策実現のために、またひとつどうぞよろしく御協力を賜りたいと思っております。
今、原油高とかいったようなことで大きな問題がございます。原油高以外にも、サブプライム問題といったような問題も大きく取りざたされておりますけれども、その影響も我が国も受けていないわけはないんです。ですから、ここで何かしろ、こういうふうなことになるので、私ども、本当にやりたいですよ、やりたい。減税もしたい。だけれども、今のような国債残高のあの規模を考えますと、それよりも、何とかして財政の健全化ということも考えなければいけないなというようなことも、これも当然、両方考えるわけでございます。
そういうところで、余り思い切ったことはできません。しかし、今ある制度の中でどういうことができるかということは、いろいろ考えております。原油高対策ということでは、昨年の十二月に、寒冷地における灯油に対する支援をするとかいったようなことも決めました。中小企業対策も決まりましたし、また、おとといですか、中小企業対策として金融対策ということを取りまとめまして、これは三月末、もうじきですけれども、三月末に困ることがないようにというような、そういうことも今いたしております。
そういうような、小さい、けれどもしかし着実に実施できるような、そういう政策をいろいろ積み上げていこうと思います。あわせて、中小企業の足腰を強くさせるような政策も、これも同時並行でやっていこうというようなことをいたしております。
亀井先生から見れば、大したことじゃないじゃないかというふうに言われるかもしれぬけれども、そういう努力を今積み上げておる最中でございまして、また、今後も、日本の経済活性化ができるような政策を一つ一つ丁寧に、そしてまた、なるべく早く対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○亀井(静)委員 ありがとうございました。
冬柴大臣、ひとつ。
○冬柴国務大臣 亀井先生とは、先生が自民党、私が公明党のときに、大分いじめられました。そして、一緒に自公連立になったときには、大変御指導いただきまして、人柄にも触れました。今、こういうふうにして、郵政民営化以降でございましょうか、このように分かれていますけれども、先生との連帯感は本当に深いものがあります、私は。そして、尊敬もしています。
それは、たしか森内閣のときだったか、私も幹事長で先生と大変いろいろありまして、そのときに、不良債権の処理を急がなければだめだということで、緊急経済対策をつくりましたね。そのときに私がいろいろ献策をしたら、おまえ書いてこい、そのまま入れてやるということで、そのまま入れていただきました。
そういう思い出もあり、先生との政治上の、大変私は尊敬もし、そしてその発想についても尊敬しているところでございます。しかしながら、今私は、これが最良のものとして提案をいたしまして、そしてこれを年度内に成立させてほしい、ひれ伏してもこれはお願いしたい、これを国民に御理解いただきたいというのが私の今の立場でございますし、心からそのように思っています。
確かに私も庶民です。本当に、大臣になろうが、私は庶民であることは間違いありません。私は庶民の目線で見られる政治家だと思っています。その中で、いわゆるガソリンの暴騰あるいは燃料油の暴騰というものは本当に庶民の生活を直撃していて、大変苦しんでいらっしゃるということはよくわかっています。そういう意味で、今総理もおっしゃいましたけれども、年末の対策、あるいは今また中小企業が大変苦しんでいらっしゃいますからそれに対する対策、そういうものを万遺漏のないようにやろう。
それから、ドライバーについては、本当にささやかですけれども、強制保険の保険料、これはハンドルを持つ人はだれでも払わなきゃならないものでございますが、九千二百六十円、ガソリンの二十五円に換算したら三百七十リッターですか、それだけに相当すると思います。これは減らす。
それからまた、高速道路の通行料を減額させていただくということで、これもドライバーが使われるものですから、特に長距離のトラックで使われる方は、そういうものについて割引が厚くなるようなことも今考えているわけでございます。
そういう意味で、先生の御指導、大変ダイナミックでございますけれども、今私は、着実に、今私がやるべきことを国民の目線に立って頑張らせていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○亀井(静)委員 ありがとうございました。
総理も大臣も、今予算のことで胸がいっぱいだ、また今野党との局地戦で大変だということかもしれませんけれども、ぜひひとつ、これは同時にやれることですから、真剣にお取り組みをいただきたいと思います。
今、もう質疑時間が終わりましたといただいたんですが、まだずれ込んでおりますから、委員長、もうちょっとやらせてください。
○竹本委員長 はい。
○亀井(静)委員 委員長の許可をいただきましたので、ちょっと若干。
今、御承知のように、食の安全、空の安全、海の安全、陸の安全が言われておりますけれども、いろいろな事件、事故も起きておりますが、私は、国交省というのは、安全という意味においてはやはり最大の責任のある、また安全を確保できる省だ、このように思っております。
私は、かつて運輸大臣のときに、スチュワーデスをアルバイトにするという非常に強い動きが民間会社で出てきました。そのときに、お茶くみじゃない、緊急時においては大変な安全要員だから、定員まで決めて配置をしてもらっているんだ。それを、コストを下げるというだけでアルバイトに切りかえるということをしてはならないということで、航空会社にお願いをして取りやめていただきました。
私が運輸大臣のときに、函館でハイジャックも起きました。あのときのスチュワーデスの働きも私にはよくわかっています。お茶くみじゃないんですね。また、いろいろな事故が起きたとき、世界じゅうでも起きております、日本でも着陸時に外国の航空機がということもありましたね、やはり緊急事態において機長と一体となって乗客の安全を守るという面においては、私は重要な安全要員だと思っておるんです。
ところが、最近、私は運輸省がそれをやれと言っているとは思いませんけれども、大臣、御承知じゃないかと思いますが、またこれを派遣のスチュワーデスにかえようという強い動きが今出ていますね。私は冬柴大臣を信頼申し上げておりますから、そういうことはないと思いますけれども、コストダウンすればいいということだけで航空会社が黒字になるものじゃない。特に、人を大事にしないという、安く使えばいいというような経営だけやって、交通機関としての責任を果たしながら利益を上げていくということは、私は長い目で見れば不可能だと思います。
そういう意味で、私は、国交省の大変な責任というのが強いと思いますので、一言大臣から御所見をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 安全、安心の国土をつくる、また安全、安心こそ国土交通省の使命である、私は口を開けばそのように言っているわけでございます。そのような意味で、我々の子供や孫たちも自信と誇りを持てるような安全で安心の国土をつくるために、また、今おっしゃいましたいろいろな陸海空の運輸も担当させていただきますと、そういう特に安全ということが大事である、私はそのように心の底から思っておりますので、今お話しいただきましたことも重く受けとめたいと思います。
○亀井(静)委員 もうちょっと、本当に終わりにします、総理もお忙しいでしょうから。
それと、イージス艦の、これは私は、やはりたるみだと思いますよ、基本的には。緊張感がない。これは総理、幸いあなたのような人柄の非常にいい方が総理になられた、これは大変いいことなんです。一方では、それをいいことにして、冬柴大臣なんか立派だけれども、閣僚がちょっとたるんでいる面もあるんじゃないですか。政府がたるめば、やはり役人もみんな自然とたるんでいくんですよ。私は、ぜひ引き締めていただきたい。
それと、こういう事故が起きれば、被害を受けるのは大体ちっちゃい船なんです。ぜひ、大型船舶の航行アニマルといいますか、この安全アニマルを……(発言する者あり)私は語学がどうもだめなものだから。ぜひ安全マニュアル、これをおつくりいただいて、徹底をする御努力をぜひひとつお願いいたしたい。
以上です。どうもありがとうございました。
○竹本委員長 これにて亀井静香君の質疑は終わりました。
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○竹本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る二十七日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時九分散会