衆議院

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第9号 平成20年4月9日(水曜日)

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平成二十年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君

   理事 西銘恒三郎君 理事 望月 義夫君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      島村 宜伸君    菅原 一秀君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      谷  公一君    徳田  毅君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    林  幹雄君

      原田 憲治君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    大串 博志君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    長安  豊君

      三日月大造君    森本 哲生君

      赤羽 一嘉君    漆原 良夫君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房運輸安全政策審議官)     福本 秀爾君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長)  辻岡  明君

   政府参考人

   (船員中央労働委員会事務局長)          宮武 茂典君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     大串 博志君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     小宮山泰子君

  糸川 正晃君     亀井 静香君



    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国土交通省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、大臣官房運輸安全政策審議官福本秀爾君、道路局長宮田年耕君、自動車交通局長本田勝君、海事局長春成誠君、航空・鉄道事故調査委員会事務局長辻岡明君及び船員中央労働委員会事務局長宮武茂典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三日月大造君。

三日月委員 おはようございます。

 早朝からの委員会ですけれども、元気に頑張って質疑に臨んでまいりたいというふうに思います。

 また、冬柴大臣初め副大臣、政務官の皆様方は連日本当にお疲れさまです。どうか、立法府、政治、ひいては国民の意思と心を行政に反映、注入すべく、今後とも御奮闘いただきたいというふうにまず一言激励を申し上げておきたいと思います。

 その上で、週末、私、本会議にも立たせていただいて、冬柴大臣初め閣僚の皆様方に何点かお伺いしたんですが、道路政策について、まず冒頭、大臣に御確認をさせていただきたいと思います。

 年度末、福田総理から、道路特定財源制度について、ことしの税制抜本改革時に廃止をする、二十一年度からは一般財源化するんだという方針が示されました。しかし一方で、その前から衆議院で道路整備財源特例法案が可決をされ、そして今参議院に送られております。

 この法案との関係について、冬柴大臣、どのようにお考えですか、どう整理されているんですか。週末の本会議では、この総理からの御提案は与野党間の議論を前進させるために行ったものと理解しておりますという、何かちょっと、そのためだけかよという感も持つような御答弁をいただいておりますが、まずお聞かせください。

冬柴国務大臣 御案内のように、国会法五十九条では、一の院で可決された法律案につきましては、提出者はそれを撤回したり修正したりすることはできないという規定がございますので、衆議院で可決して参議院へ送っております道路整備財源特例法について、これを政府の方で撤回したりあるいは修正したりすることはできません。

 しかしながら、両院議長のあっせんでもありましたように、与野党が協議を重ねて、そしてそれで議員提案等で修正するということはもちろん可能なことでございます。したがいまして、この法律以外の部分につきましても、与野党の間で協議をされて、そしてその結果、結論を得て修正されるということであれば、我々はそれは従わなければなりませんし、もちろん従います。

 しかしながら、そういうことが起こるまでは、私は提案者として、現在提案している法律が最善のものとして、真に必要な道路は整備しなきゃならないということは、与野党を通じて、これはもうコンセンサスがあると思うわけでございます。そういうものを進める上におきましても、現在提案している法律を成立させたいというのが私の現在のスタンスであり、私の気持ちでございます。

三日月委員 いや、ソフトな語り口の裏に何か強固な御意志が感じられたんですが、我々、与野党の協議を否定しているわけではありません。しかし、与党と野党が協議しようと思ったら、政府と与党がどういう方針を示すのかということがまず大前提になると思うんです。したがって、それがなくて与党と野党の協議を促進するための御提案だと言われても、それは我々乗れない話ですよということだと思うんですね。

 したがって、冬柴大臣、今後のスケジュールについて、道路行政を預かるお立場としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。無駄遣いの是正についてもやります、最新データを用いた中期計画につくり直さなあかんという指摘もされております。そういう中で、平成二十一年度、来年度から一般財源化するんだという総理の御方針があるわけです。

 これを受けて、大臣、どのようにこれから政府と与党の協議、そして与野党の協議、こうした約束したことの実行をなされていくおつもりでしょうか。

冬柴国務大臣 三月二十七日、「道路関連法案・税制の取り扱いについて」ということを総理が一枚の紙で示されました。

 これは七項目ありますが、第一項目については、「地方財政や国民生活の混乱を回避するため、平成二十年度歳入法案の年度内成立。」という、年度内はもう過ぎてしまいましたけれども、これは早期成立と読み直さなきゃならないのではないか、私はそう思っております。

 ずっと下まで行きますと、七には、与野党協議会を設置し、一般財源としての使途のあり方、道路整備計画などを協議して決定するというのがあります。一番最後に書いてありますけれども、私は、順番的に、一の次にはこの七があってしかるべきじゃないかなと。

 それで、二番の徹底した無駄の排除、これはもうどういうことがあっても、二番目は、一番とか二番とかでなしに、何としてもこれはやらなきゃならないことであり、今も進めておりますし、私は当初は六月ぐらいまでかかるかなと思いましたけれども、総理のお進めもあって四月中には結論を、あとわずかですけれども最終的に取りまとめて、きちっとしようというふうに思っているところでございます。

 それから、三番目は、道路特定財源制度はことしの税制抜本改正、税制改正というのは、普通は十二月に行われております。したがいまして、ことしは異例でございますからもっと早くやるかもわかりませんけれども、いずれにしましても、年の後半にはこういう抜本改正ということが行われるだろう、そしてそれが廃止ということになれば二十一年度から一般財源、こういうことになります。

 その一般財源にするときにも、これは真に必要な道路はつくらなきゃならない、先ほども申し上げたとおりです。これはつくらなきゃなりません。したがいまして、それの使途のあり方とかこういうものは与野党でやはり協議をしてもらわなければならないと私は思います。

 次に六番目が来るんですが、「新たな整備計画は、二十年度道路予算の執行にも厳格に反映。」というのは、どうしたらいいのかちょっとわかりませんけれども、これは「二十年度予算における一般財源としての活用は、民主党から現実的な提案があれば協議に応じる。」ということを総理が言っていますので、そういうことを踏まえて、二十年度、すなわちこの四月から始まっていますけれども、これについても考えていかなきゃならないというふうに考えております。

 その次には、一般財源化されるということになりますと、次は四項めの「暫定税率分も含めた税率」についてどう考えるのか、これを検討せないかぬという作業があると思います。これは与野党でやっていただくのに加えて、政府もやはり考えなきゃならない大きな問題だろうと思います。

 今まで道路財源というのは、道路をつくりますということで一般ユーザーの方にお願いをして暫定税率を上乗せしていただいているわけですから、それを一般財源にするという場合には、どこまでそれができるのか。また、そういう方々に御納得いただかなければ、これは勝手に進めるわけにいかないと思います。

 その中で、総理としては、「環境問題への国際的な取組み、地方の道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況」、こういうことを例示していられますけれども、しかしながら、暫定税率は自動車ユーザーにお願いするわけでございますから、その方々のニーズである道路整備ということが、これにどういうふうに表現されるのかということが非常に大事だと思います。

 そしてその次に、「道路の中期計画は五年として新たに策定」する、こういう順番になってくるのではないかというふうに私は思いますが、その新たな中期計画は、私が約束しているように、年末までに将来交通需要予測というようなものを、これは大変膨大な作業でございますけれども、平成十七年の道路交通センサスを資料としてつくり直さなきゃならない。それから、BバイCにつきましても、十五年にもやっておりますけれども、これを見直しをしようということを国会でも私答弁しておりますので、その作業も要ります。こういうものができ上がったら、その最新情報をもって中期計画というものはつくらなきゃならない。

 こういう作業がこの年末にかけて、年度末といいますか、そういうところまでかかると思いますけれども、そういう作業がメジロ押しだと私は思っております。

三日月委員 御丁寧に答弁いただきましたけれども、私、福田総理の踏み込まれた御提案は、遅きに失したとは思いますけれども、個人的にも評価をしています。ただ、これがきちんと政府・与党において案としてまとめられて与野党協議のテーブルにのせられるかということについて注視をしたいと考えています。

 さらには、今大臣は、新たな需要予測に基づく推計は年内、いや年度末と、何か期限が三カ月ぐらい御答弁の中でずれましたが、当然、使途はどうするんだ、特定で使うのか一般財源化するのか、そして、どれだけつくるのかということについてまずありき。そしてさらには、後で観光について述べますけれども、国民は休暇もとれない、旅行に行きたくても行けないのに、国交省の役人は税金から丸抱えの旅行なんて行けていいなという方々もいらっしゃるぐらい、使途について理解のできない使い方があった。こういうものの是正があって、その上で、では収入についてはどうしましょうか、税についてはどうしましょうかということがあってしかるべきだと思うんです。

 そういう意味からいくと、期限を迎えて一たん下がった暫定税率については容易に引き上げるべきではないというふうに考えますけれども、大臣、先ほどの御答弁との整合性も含めて、その点、短く御答弁いただきたいと思います。

冬柴国務大臣 今、二兆六千億、これは年間を通じてでございますが、一日に国で四十億とか地方で二十億とか税収の欠陥が生じておりまして、四十七都道府県ほとんど押しなべて、そのうち三十六は道路工事をやめたということとか、いろいろな影響が出ているわけですね。

 改革するにしても、総理がおっしゃっているように、二十年度はこの法律を通していただきたい、そうでないと本当に税収の欠陥が生じておりまして、私もガソリンスタンドも行きましたけれども、今売っているのは全部、税金を払った分を身銭切って下げているんですということを言っていました。心配なのは、もう一遍上がった場合また混乱するんじゃないかなということも言っていましたけれども、いずれにしても、これは本当に大変な状況が生じておりますので、なるべく早く、私は、二十年度の早期に税収が入るようにしていただいた上で、年末の税制抜本改革においてこれは解決を図っていくべきであろうというふうに思います。

三日月委員 時間の関係もありますので、これ以上、一致しない見解を一致させようとすることはいたしませんが、しかし、計画については一年かけてやる、無駄遣いの是正についてはこれからやるけれども、収入だけは何とか下さいというのは、私は都合がよ過ぎると思います。

 そして、年度末にこういう混乱が来ることは予想されたことであり、再値上げに伴って、増税に伴って年度末以上の混乱があるだろうということも、きょう関係者からの証言が報道されておりますけれども、その点をよく踏まえた上で政府としての御判断をいただくように私は強く求めておきたいというふうに思います。

 それでは、国土交通省設置法改正法案について質疑をいたします。

 内容は、皆様方御案内のとおり、観光庁の設置、運輸安全委員会の設置及び船員労働委員会の廃止等々盛り込まれた内容と承知をしておりますけれども、まず、観光庁の設置について一点だけお伺いをしたいと思うんです。

 多くのことは同僚議員にゆだねるといたしまして、観光立国推進基本法を制定したときに、私も法文なり決議をつくることに参画をいたしました。このときに多くの決議項目を付して、中に、費用の低廉化、旅行に行こうと思ったら、道路を含めて交通機関の費用の低廉化というものが必要なんだということでありましたけれども、一部、今宙ぶらりんになっております道路整備財源特例法案に高速道路の部分については御提案をいただいておりますが、それ以外の交通機関の費用、料金の低廉化について、どのような対応をしてこられたのか、されているのかということについて一点お伺いいたします。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、観光立国推進基本法制定の際に八つの決議項目をいただいておりまして、その中に、料金の低廉化に努めるということが含まれております。

 これにつきましては、今も御指摘がありましたように、道路特定財源の見直しの中で高速料金の値下げを図る、こういう項目を盛り込んでおりますほか、例えば民間の活動でございますが、東日本旅客鉄道株式会社が、成田エクスプレス、ここにおきまして、Suicaと成田エクスプレスを組み合わせたカードを発行いたしまして、外国人旅行者向けに割引での旅行ができるような措置を講じております。

 また、共通乗車券の発行等につきまして努力をしておりまして、現在提出をさせていただいております観光圏整備法の中でも、容易に共通乗車券が発行できるような仕組みをつくるような努力をしているところでございます。

三日月委員 この点については同僚議員の質問、提案にゆだねますが、今御報告のあった話は、共通化までなんですね。低廉化にはつながっていないんです。費用の低廉化、料金の低廉化にはつながっておりません、弾力化にはつながっているもしれませんが。

 したがって、このあたり、海外から来られる方には、日本の交通料金、移動料金が非常に高いという御評価もいただいておりますので、さらなる取り組みを、もちろん民間企業を巻き込んだ話ですから、政府だけでは決められない話だと思いますけれども、ここの踏み込みなくして訪日外国人旅行客のさらなる増加は見られないのではないかという観点から、より踏み込んだ対応を求めておきたいというふうに思います。

 船員労働委員会についてお尋ねをいたします。

 この船員労働委員会、本会議でも質問いたしましたが、船員の労働の特殊性については変わりはないと。要は、長期間陸上から孤立して、二十四時間、労働と生活の場が一致した状態が続くという船員労働の特殊性については変わりないし、労使関係の特殊性についても変化はしていないんだけれども、紛争の件数が減ったから、また、十分他の組織等で手当てをするのでこの船員労働委員会を廃止するということで御提案をいただいております。

 特に、中央船員労働委員会だけではなくて、地方の船員労働委員会を地方の労働委員会に移管することに対して、全国知事会等々から、これは年が明けてから、一月十一日、現時点ではその是非を判断することが困難だ、したがって、速やかに情報提供、説明してくれということがありました。労働委員会の組織体制の整備、経費の負担方法及び普及啓発等に関しての国と都道府県の役割分担についても、まだ考え方が示されていないじゃないかと。一月十一日です。

 一月二十一日に、何ら回答がないままであることはまことに遺憾だという意見がさらに出てきて、それを受けて、一月二十五日に回答が知事会に対してなされておりますが、今私が申し上げました組織体制の整備ですとか、また経費負担の方法、普及啓発についての国と都道府県の役割分担等についてこの回答の中では示されておらないんです。この点について、都道府県とのもっと密な調整が必要だと考えるんですけれども、状況を含めて御答弁いただけますか。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、船員労働委員会の業務の県労働委員会の方への移管に当たりましては、事前の十分な調整が必要であるということは十分認識しておりまして、昨年の秋以来でございますけれども、事実上の御説明をやってきております。

 また、今委員御指摘のとおり、ことしの一月に、今の日付にありましたようなやりとりを行ってきているのは事実でございます。特に、法案の閣議決定いたしました後においても、情報提供、資料提供等、御説明を含めてさせていただきたいところでございまして、今御指摘のありましたように、県の、全国知事会を通じた御意見の中では、特に十分な説明をするように、情報提供するように意見聴取をする、今おっしゃったような体制整備の問題を含めて、御意見をいただいているところでございます。

 私どもとして、一月の二十五日付で私どもが厚生労働省と連名で御回答申し上げた中にもありますように、私どもの方から、実際に移管するに当たって、私ども所管しております海事労働関係法規についての十分な説明、あるいはその特殊性についての御説明、あるいは実際に移管した後においても、私ども、今度は、地方に運輸局がございますけれども、運輸局の側からのバックアップ体制に関して十分協力させていただきたいという御回答を申し上げております。

 ただ、まだ法案の段階でございますので、今後さらに密に連絡をとらせていただきまして、誠心誠意、関係の調整を図ってまいりたいというふうに思っております。

三日月委員 きょうは皆様方に資料をお示ししておりませんので御確認いただけないと思うんですけれども、今の春成局長の御答弁では、事前の説明は必要だと考えた、秋からやっていると。しかしながら、年明けに、先ほど私が申し上げたような、知事会から、説明が不足しているやないか、回答も来うへんやないかという指摘があって、それで回答をされました、厚生労働省と連名で。しかし、今局長がお答えになったような回答内容にはなっていないんですよ。情報提供等を実施する、情報提供を行う、連絡体制の構築を図るということは書かれているんですが、だれが、どのような責任で、どのような費用分担で行うということについての回答がないんです。

 法案の段階だからそれが示せないと言われますが、法案の段階でないと、その賛否について、本当に大丈夫なのかということの担保がとれないんです。したがって、法案の採決までにその道筋をきちんと示すべきだと思いますし、さらには、これ、もし法律が通ればことしの十月一日からやりたいんだという御提案をいただいておりますが、このような状態で、しかも都道府県の予算等々についてはもう今三月議会、二月議会等々で審議、可決がされてきている中において、私はちょっと急ぎ過ぎではないかというふうに考えるんですけれども、この実施時期の再考も含めて、もう一度答弁をいただきたいと思います。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、十分、今後とも、この法案の審議の過程におきましても、精力的に御説明ないし調整を続けてまいりたいと思っております。

 なお、これまでこういった先ほど申しましたような御説明等やってきておりますけれども、今後、十月一日の施行ということを前提に私ども考えておりますけれども、現在の船員労働に関します集団的紛争の件数というのを考えますと、大昔に比べますとかなり減ってきておりまして、年平均、この五カ年の平均で一年当たりを見ますとおおむね五件ということでございますので、おおむね従来の地方労働委員会の業務処理の範囲内におさまるのではないかという考え方を持っておりますが、いずれにしても、今後とも誠意を持って調整業務を続けてまいりたいと考えております。

三日月委員 今後ともではなくて、法案採決までにその道筋を示してくれと私は申し上げたんです。

 それで、やるやると言いながら、そうはいっても件数が減っているから大丈夫なんですと必ずそこでつけられるから、私は何か危惧を覚えるんです。これから船員をふやそうとしているわけですよね、日本の国策として。その過程において、特殊性が変わらないのであれば、やはり船員のさまざまな問題については、例えば政策的にどうなのか、労使紛争、労働争議としてどうなのかということの調整を、中央においても都道府県においてもきちんと手当てがされて、一方で手当てをされて、その上で船員をふやしていくということが、私は車の両輪として必要だと思うんです。

 そのことに、都道府県についても、国の方針に従って向き合おうとしているけれども、まだまだ情報提供が足りないという指摘がされているわけです。十分、慎重な説明と対応を求めておきたい。その道筋を、私は、この法案審議の過程においてしっかりと示していただきたい。大臣には、うなずいていただいておりますので、その確認をよろしくお願いいたします。

 その上で、運輸安全委員会について何点か御指摘、御提案、質問をさせていただきたいと思います。

 三年前の四月二十五日のあの事故からもうすぐ三年がたとうとしております。この事故以来、私たちは、事故調査のあり方をそばで見守りながら、今のままの事故調査機関でいいのだろうか、事故調査のあり方でいいのだろうかということについて、党内でもずっと検討を重ねてまいりました。その検討内容をもとに、六項目の政府案の修正提案をさせていただいているところであります。そういった趣旨や項目も踏まえながら、お伺いをしたいと思うんですけれども、まずは行政からの独立性についてどのように考えるのかということです。

 今回の改正案で、国交省所管の三条機関にすることになりました。この点が、国交省、単なる所管の八条機関ではなくて、人事権でもより独立性を高めたことになるんだという御説明をいただいておりますが、何がどのように変わるのか。

 私は、事業官庁である国交省の監督行政のあり方についても、もっと踏み込んで調査ができる、勧告ができる、そういう運輸安全委員会にすべきという観点から、国交省の所管から切り離す必要があるのではないか、具体的に申し上げれば、内閣府所管の委員会にすべきではないかという提案をさせていただいておりますが、この点についての御見解をお伺いいたします。

冬柴国務大臣 三条機関にすることによって、今委員も御指摘のように、職員の任免等の人事権を持って、主体的に専門的人材の確保、養成が可能になる、二つ目には、独自の規則制定が可能になる、三つ目には、事故の原因関係者に対して直接勧告を行い、さらに報告徴収を求める権限を有すること等により、より高度な独立性が確保されるというふうに思っております。

 今までも、もう御案内のとおりですけれども、委員長とか委員の職権の独立性についても規定がされておりましたし、それから我々に対しても、勧告、建議、これは積極的に、事故ごとにまた半年ごとに報告もいただいておりますし、緊密にやっていきたい。

 それから、国土交通省の外局にあるがゆえに、国土交通省の有する航空機、鉄道車両、船舶等に係る最新の情報とか、あるいは我々業法を担当させていただいておりますので、事業者に関するさまざまな情報を即時入手することができ、そしてこれは事故調の方に、今度は運輸安全委員会といいますが、そちらの方に伝達をすることができる、それから、事故が発生いたしますと、その現場の地方運輸局と各地方機関があります、その支援を円滑に求めることができる等のメリットがありまして、これを私の方から外して内閣の方に移されるということになると、これは我々は協力はするけれども、今のような点で非常に緊密に行われるということで、私の方の外局にあることは大きなメリットだと思っております。

三日月委員 この事故調査委員会についても昭和四十年代に航空について発足をし、平成十三年に鉄道についても付与されて、だんだんよりよくなってきている、よりよくしようとしている機関であることは承知をしております。

 当然、国土交通省の外局にあるがゆえの、例えば持っているものが使える、そういうメリット。その中において、三条機関にすることにおいて、人事の任免、規則の制定、勧告権の付与等々でちょっとだけ独立性を高めたということについては理解をいたします。

 しかし、今般、例えば労働分野の業務の行い方が事故の発生にどのような影響を及ぼしたのだろうかという観点の調査の必要性が指摘をされておったり、国土交通省が例えば鉄道会社、航空会社にどのような監督を行ってきたのかという調査も必要ではないかという指摘があったり、はたまた、国土交通省が持っている、防衛省が所管をしている航空管制についてもより踏み込んだ調査が必要なのではないか、それは別に国土交通省の外局にあるからできないということではないけれども、より客観的で科学的な調査が必要なのではないかということが指摘をされておりますが、その将来のより独立的な調査機関を設けることの可能性や必要性についての御見解はどのようにお持ちでしょうか。

冬柴国務大臣 御指摘の趣旨は私は理解はできるんですけれども、しかしながら、私は今、外局にあるから防衛的に申し上げるわけではありません。

 この事故調、これが運輸安全委員会というふうになりましても、我々の全国的に展開している運輸局等の人材とかあるいはそこが持っている知見というものは非常に貴重なものだと私は思っておりますし、今までも、事故調から中間報告とか、最終報告はもちろんのことでございますけれども、その中で、また建議で、我々が運輸安全マネジメントでやっているような問題についてもお触れになるということがありまして、本当に独立性は担保されているし、今の状態でもそうでございますので、三条機関にすれば、これは国家行政組織法上も我々からの独立性が非常に高まるわけでございますので、この今の制度はそう捨てたものではない、私はそう思っています。

三日月委員 私も捨てたものじゃないと思っていますよ。物すごく一生懸命やってくださっていると思いますし、そして、こういう機関が余り頻繁に活動することがない、そういう状態も願っております。

 しかし、起こった場合に、またそれを未然に防ぐ場合に、よりよい組織としてどのような組織であるべきかということについての研究は不断に続けていきたいというふうに思っておる観点から、今の確認をさせていただきました。

 もう一点。捜査や司法からの独立性についても、これはこの間ずっと訴えられてきましたし、懸念も一部ではされてきました。やはり、捜査の過程で自分に責任が来るのではないか、また、調査の過程で一方の捜査の段階において刑事責任が問われるのではないかということのおそれから、再発防止に資する証言がなかなか得られなかったり、それが対策に結びつかなかったりということが懸念をされております。

 今、警察庁との覚書というのがあって、先週の大臣の御答弁で申し上げれば、これまでの運用を踏まえて警察庁と調整をしてまいりますと。では、今度海難と一緒になりますが、海上保安庁とはどうなんですか、このことについても、運用実績を踏まえ、海上保安庁と調整が図られるものと考えておりますと。要は、何をするのかさっぱりわからないんですけれども、この点、警察庁の捜査、海上保安庁の捜査と運輸安全委員会が行う調査をどのように整理をされるのか。

 私は、公共交通の安全をつくり上げていくためには調査の優先をもっと強く打ち出すべきではないかということと、もう一つ、調査段階において得られた本人の口述ですとか、また事故調査機関が行った推論については、これは目的外、具体的に言えば司法段階で証拠として使うべきではないということについても担保すべきではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 今までは、警察庁の行う捜査との関係につきまして、事故調査との関係を覚書に基づいて行ってきまして、事故現場において何ら支障なくここまでやってこれたわけでありまして、それぞれが円滑に捜査あるいは調査を遂げてきたという事実がまずあります。

 それで、海上保安も今度海難ということになりますとどうするのかというお尋ねでございますが、私も、この法施行までに何らかの形で文書にしよう、覚書のような文書にした方がいいというふうに思っております。そういう形で円滑に実施されるべきである、このように思うことは委員と同感でございます。

 ただ、その事故調が行った調査報告を司法がどう判断するか、これはやはり司法の独立性がありまして、採証の原則も司法が独立に行うべきものでありまして、立法がそこへ関与をするということは、その採証原則について例外を設けるわけですから、相当慎重でなければならないというふうにも思います。

 事故調の調査というのは、本当に科学的で客観的であるがゆえに、司法でも高くこれを評価して採証してきたというのがこれまでの経過でございますので、それを法律で、採証原則の例外をそこへつくるということは相当慎重であるべきであろうと私は思います。

三日月委員 今の大臣の御答弁の中で、これまで行ってきた調査については、警察が行った捜査とのかかわり合いにおいて、何ら支障なく、何ら支障なく行ってこれたという事実がありますとえらく強調されて御答弁いただきましたが、そこまで踏み込んで言い切ってしまっていいのか。

 もう少し謙虚に省みて、現場段階においてどのような支障があるかもしれないとか、また、今度は原因関係者への勧告も行えることになりますので、原因関係者からの聴取というものも非常に重要になってくると思うんですけれども、この点について、これから文書で整理をするということですので、その際にはぜひ、何ら支障なく行ってこれたというところからスタートされてしまうと、より捜査、司法からの独立性を保つために、もちろん一方で司法の独立性があることも私は承知をいたします、しかも刑事訴訟法を含めて日本の司法において今のルールがあることも承知をいたしておりますが、より強く、しかも海難についても海上保安庁との関係についてもこれから整理をしていくという段階においては、もう少し謙虚に省みていく必要もあるのではないかなというふうに思います。

 一つ参考になるのは、今般検討されております医療事故調の中で、捜査機関への通知ということについては、医療事故の特性にかんがみ、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限定をするんだと。具体的にどういう場合かというと、医療事故が起きた後に改ざんや隠ぺいが行われた場合、また、過失による医療事故を繰り返している、リピーターですね、悪い意味でのリピーター。故意や重大な過失があったということが認められた場合に限定しようじゃないかという提案が行われています。

 医療と公共交通は違いますが、ある意味ではそのそれぞれが持つ特殊性というもの、捜査と一線を画しておくことが今後の再発防止につながるということにおいては共通した面もあるのではないかと考えます。こういう事例を参考にされながら、今後の捜査や司法との関係についても整理をされていくべきだと考えます。いかがでしょうか、短く。

冬柴国務大臣 医療過誤については、それを訴追されるということでお医者さんが、特に産婦人科とか小児科の医師が今やめていかれる大きな理由の中にそういうことがあります。したがって、過誤があったからといってすぐ捜査が乗り込んでくるということは、これは自制すべきだし、立法上も考えないといけないと私は思います。

 ただ、今の事故調、今度の運輸安全委員会が扱う事例は、それぞれ運輸事業者の職員、現場にある人たちの故意とか過失とかヒューマンエラーもありますが、そういうものがあるわけでありまして、そういうものに捜査が、故意過失があった場合に刑事法令に照らして訴追をするということは必要なことであり、であるから運転手が少なくなるというようなことは、お医者さんの場合とはちょっと違うんじゃないかなという感じはいたします。

 しかしながら、委員の御指摘もあり、これから我々海上保安との間では覚書をつくりますので、これは謙虚にそういう問題点があることも認識しながらやらせていただきたいというふうに思います。

三日月委員 その上で、海事補佐人ですね、ずっとこの間長い歴史を持つ海難調査、海難審判、昔は海員懲戒と呼ばれた時代もあると承知をしておりますが、原因関係者の、言ってみれば当事者の権利擁護の観点からもこういう補佐人の同席を認められてきた経過があります。この点について本会議でお尋ねしたところ、運輸安全委員会の海難調査における原因関係者からの意見聴取については、原因関係者の希望があれば、公開での意見聴取、本人以外に補佐して意見を述べる者の同席を認めることとしたいと踏み込んだ前向きな御答弁をいただいておるんですが、これは認めることとしたいんだったら法律に書いて提案すべきだし、そういう条文はどこにもないし、それをどう担保されるおつもりか。

 またさらに、これは海事だけでいいんでしょうか、海難だけでいいんでしょうか。こういう制度を調査段階から認めるのであれば、私は、航空ですとか鉄道の原因関係者への調査についてもこうした本人以外に補佐して意見を述べる者の同席を認めるという措置も必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸安全委員会設置法の船舶事故調査に係ります原因関係者の意見聴取につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、本会議で大臣が御答弁いただいたとおりでございます。具体的な措置でございますけれども、今般、三条委員会ということで規則制定権がございます。ということで、これは委員会規則で具体的な手続等を決めたいと思っておるところでございます。

 それから、あわせまして、海難については海事補佐人の同席ということをもし認めるのであれば、航空、鉄道でもそのようにすべきではないかという御指摘でございます。

 今般、海難と統合というようなことになるわけでございますが、委員先ほど御指摘いただきましたように、もう既に昭和四十九年以来、航空の世界、あるいはその後鉄道の世界でも、具体的には事故に関係いたしました原因関係者から直接非公開という形でお話を聞くということをやらせていただいておりまして、それはそれでかなり定着をいたしておりますし、航空関係者あるいは鉄道関係者からの十分な御理解もいただいておるところでございます。

 ということで、海難につきましては、これまでの百年にわたる実績といいますか、そういう制度がございましたものですから、いわば特例としてそういう形をとらせていただこうというぐあいに考えておるところでございます。

三日月委員 以前事務局長をお務めいただいた方らしく、非常に事務的で間違いのない御答弁をいただきましたが、海難について過去からやっているから特例として認めるんだ、航空、鉄道についてはもう制度として理解されているからこのままいくんだというお話がありましたが、それは違うと私は思います。

 より今後の再発防止のために有益な情報を得るためにどのような調査がいいのか、そのために海難が行ってきたこと、せっかく統合するんですから、海難が行ってきた調査、審判につながる調査でよいものがあるとするならば、それは航空や鉄道の調査においても取り入れていくということもあっていいのではないかというふうに思うんです。したがって、何もしませんということだけでは非常に不十分だなというふうに私は思います。

 済みません、ちょっと時間がありますので次の質問に移りたいと思うんですが、調査範囲の拡大についてどのようにお考えかということです。

 今回、私たちの提案にも合致する形で、航空、鉄道だけではなくて海難についても統合していこうということが提案をされております。しかし、累次、運輸の安全についての法律改正の折にも、海だけではなくて自動車についても広げていこうじゃないかと。最近ずっとタクシー、バス、トラックについても事故がふえているではないか、もっとこういった事故について勧告などの一定の行政権限を有する形で調査対象として含めていくべきではないか、自動車事故を運輸安全委員会の調査対象に含めていくべきではないかということについて、どのようにお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 自動車事故は大変、百十万件ぐらい起こっています。それで、運転者の安全の不確認とかわき見運転等が大半でございまして、統計分析とかあるいは事例分析による検討が有効であるということから、現在は、財団法人交通事故総合分析センターにおいて、発生した事故内容や運転者に関する情報をもとにした統計分析、類型化や事例分析による事故原因の究明、再発防止策ということを講じているところでございます。

 さらに、事業用自動車事故につきましては、国土交通省にも設置されている自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会というところで事例調査等を行いまして、事故分析、具体的な安全対策の検討がなされているところでありまして、当面は本検討会の機能強化を図るということが重要であるというような認識でおります。

三日月委員 当然されていると思うんですけれども、現在、自動車交通局内で行っている要因分析検討会の検討状況がどうなのか、またさらには、財団法人交通事故総合分析センターによる調査分析がどうなのかという御評価はされていることと思いますが、今大臣がいみじくもおっしゃいました、当面はということでありますので、ぜひ国会の意思として、自動車事故についても調査対象に広げる、業務範囲の拡大を検討しようじゃないかということを示しているわけですから、その観点からの検討を私は求めておきたい、さらには含めていくべきだというふうに思います。

 もう一点、被害に遭われた方々への支援機能をどう考えるのか。

 私は、事故調査委員会、また、今度つくる運輸安全委員会についても、被害に遭われた方々への支援を、特に運輸安全委員会が行い得る、行うことが効果的だと思う役割を果たしていくべきだというふうに考えて、特に情報提供、今調査はこういう段階です、ここまでわかりましたということ等々については、運輸安全委員会が例えば加害企業や原因関係者とは別の形で、また、メディア、報道機関を通じて間接的に伝わってくるということではないお伝えの仕方というのがあるのではないかと考えますが、しかも、それを機能として、所掌事務としてきちんと今回の法律にも明示をしていくべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

冬柴国務大臣 事故調査は、民民のいわゆる不法行為による加害者と被害者の間の調整機能とか、そういうものを持っているわけではありません。いわゆる事故がどのようなことで起こっているのかということを客観的、中立的、科学的に明らかにするということが使命でございますので、それを害さない範囲では、今までの例えば福知山事故につきましても、私は、積極的に事故調査の結果あるいは中間の報告でもいいけれども、誠心誠意被害者の方々に対して説明をしてほしい、こういうことを申し上げまして、そのような説明会を何回も開いてしてきた経過があります。

 しかしながら、私は、その中の中立性とかそういうものを害さないように、公正性ということが害されないように、そこはけじめをつけてほしいということも申し上げてきたところでありまして、したがって、事故調査官が直接そういうことを担うということは、これは僕は避けるべきだろうと思うんです。しかしながら、事務局において、あるいはそういうところで行われていることを十分に説明できる人が誠心誠意してあげる、そういうことは必要であろうというふうに思って、今日までやってきたところでございます。

三日月委員 今日まで行ってこられたこと、特に、被害の大きさから、福知山線列車脱線事故後において事故調査委員会の皆様方が被害に遭われた方々に対して行ってこられたことについては私も承知をしておりますが、今後発生し得る事故等についても、おっしゃったように、原因究明の観点から、客観性や科学的な調査、中立性等々をゆがめない形で、それをゆがめてしまっては私は本末転倒だと思うんですけれども、ゆがめない形で、さりとて求められている情報提供を可能な限り行っていくということを運輸安全委員会の役割として今度から持たせていこうじゃないか、こういうことを措置していくことが必要だと私は考えております。したがって、この点については、御答弁はいただけませんでしたけれども、少し主張をさせていただきたい。

 さらには、それ以外に多くの確認をさせていただきたい事項があったんですけれども、ちょっと同僚議員との時間調整もありますので、私の質問はこれにて終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 まずは、この国土交通省設置法等の一部を改正する法律案につきまして御質疑させていただきたいと思います。

 本法律案は、大まかに申し上げますと、事故調から運輸安全委員会への衣がえと観光庁の新たな設置、この二点が大きなポイントだと思います。その中で、本日は、特に観光庁の設置に関する部分について、大臣から、また関係者の方からお伺いしたいと思っております。

 私は、日本が先進国として今後成熟していく中で、海外から日本を訪れる外国人の方々をふやすということ、また、そういった方々に日本で消費をしていただくことは、日本経済の成長戦略を考える上で重要なポイントだと思っております。これは、単にお金を落としていただくということだけではなくて、外国の方々の行動様式やさらには消費様式といったものも含めて文化を受け入れること、さらには外国人の方々とコミュニケーションを図っていくということは、日本人あるいは日本企業のあり方に対してもプラスの影響を及ぼすのではないかなと思っております。

 そこで、まず大臣にお伺いさせていただきます。

 私は、個人的にはこの観光庁に期待するところ大でございます。しかしながら、昨今、行革、行政機構のスリム化ということが叫ばれている中でございます。そういう中で新たに外局という形で観光庁を設けるわけでありますけれども、そういう意味では、国民に対して観光庁設置の意義と必要性というものをしっかりと説明責任を果たさなければならないと思っております。

 なぜ今観光庁が必要なのか、逆に言うと、これまでの国土交通省の組織ではどこがどうだめであったのか、それが観光庁の設置によってどのように解決されていくのか、わかりやすく御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

冬柴国務大臣 観光立国推進基本法というものを両院の議員各位の御努力によってつくっていただきました。立国という以上は、二十一世紀の日本の大きな政治課題の一つとして観光というものを議員が両院で取り上げていただいた、これは非常に大きいと思うんですね。そして、それに基づきまして、昨年六月二十九日には、推進計画が策定され、閣議決定もいただいているところでありまして、まさに政府が一丸となってこれに取り組んでいこうという姿勢がそこにあらわれていると思います。

 それで、この内容につきましては、そのときにも明らかにしてあるように、住んでよし、訪れてよしの国づくり、日本の美しい自然、あるいは歴史、伝統、文化、食というものを広く国内外の方々に知っていただいて、日本のよさというものを周知していただく、そしてまた来ていただく、また、そこに住んでいる人もそれに対して自信と誇りを持っていただくということが非常に大事なことだろう。

 そういうことで、我々としては、観光で日本へ来る方を、二〇一〇年というところを一つの基準にしていますけれども一千万人、外へ出ていく人を二千万人にしよう、あるいは使っていただくお金を三十兆にしようとか、あるいは旅行先で泊まっていただく泊数を四泊にしようとかいう大きな目標を掲げているわけでございます。こういうことをするためには、第一には、外局にしますと、観光庁の長官という人が外国政府との間で効果的に、今のように国土交通大臣が観光立国の担当だとかいっても、もう直接的に担当しているんだということで円滑な交渉や協議ができるということは非常に大きなメリットだと思います。

 それから、政府部内におきましても、長官のリーダーシップのさらなる発揮によって関係省庁へのより強力な調整とか働きかけがなされるし、非常に単純化して行えるということであると思います。

 第三には、地域、国民向けの観光に関する相談窓口の一本化がなされるということも非常に大きなメリットだろうというふうに思っておりますので、いずれにいたしましても、そういうふうにして政府が一丸となって取り組むことによって、我が国がより愛され、そしてまた信頼される国となるということを目指していきたいという決意のもとに、これを提案させていただいているところでございます。

長安委員 先週、私の地元にございます大学、大阪観光大学という観光に特化した大学の入学式がございました。私もそこで祝辞を述べさせていただきまして、観光というものに対する考えを述べさせていただきました。さらには、今国会では観光庁の設置が議論されるということもお話し申し上げたわけであります。今大臣がまさにおっしゃられたように、観光というものを国を挙げて、今までの縦割りの弊害というのももちろんあったでしょう、それを乗り越えて一元的に管理していく、また行っていく、推進していく観光庁にならなければならないということを申し上げたわけです。

 そういった学生の方々が今後観光の分野に携わっていくのを我々国としても全面的に支えていきたいという決意も、私、申し上げさせていただきましたので、大臣からの今のお話、まさにそのとおりでございます、ぜひそのような観光庁になるように今後取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、今回のこの法改正におきまして、国土交通省の新たな任務として、観光立国の実現に向けた施策の推進が加えられております。大臣、今お話ございましたけれども、観光立国というお言葉を使われました。観光立国とは日本のどのようなありようを考えておられるのか、端的にお答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、私は、観光ということが二十一世紀の日本の政策の中でも際立って重要な政治課題であるということの宣言だと思います。

 立国という言葉は、経済立国とか文化立国とか、いろいろな言葉の中で平素使われておりますが、法文の中で立国という言葉を使っていただいたのはこの観光立国というのがもって嚆矢とするものだと私は認識をいたしておりまして、それほどに重い政策だということを、提案くださった両院の先生方がそのような認識でいらっしゃる、私はそれを重く受けとめて、我々もそれを政策の中で生かしていかなきゃならないというふうな決意をしているところでございます。

長安委員 観光立国、観光産業ということで国を立国させていこうじゃないかという多分意思のあらわれなのではないかなと思います。そういう意味で観光産業ということを考えたときに、通常、民間企業であれば、物を販売するあるいはサービスを提供するというときには、当然まず考えるのは市場調査、マーケティングということであります。

 観光に関して言いますと、我が国は当然観光庁を持っている、世界の多くの国々も観光庁を持っているわけですから、世界の国々と競合関係にあるわけです。とりわけアジア諸国とは厳しい競争関係にあると言えるわけであります。例えば、ヨーロッパの方々がアジアに旅行をしようとするときに、日本を選ぶのか、韓国、あるいは中国を選ぶのか、さらにはマレーシアやタイを選ぶのか。さらに、その国々をそれぞれ周遊する形にしようとするのか、さまざまなプランの中から外国人の旅行者の方が選んで来るわけであります。そういった競合の中で、あえて日本に行きたい、日本を選んでもらう、さらには日本に一度来た方にまた何度も来ていただく、つまりリピーターになってもらうということが観光立国を考える上で重要な要素だと私は思っております。

 そこでお伺いいたしますけれども、国交省は、この観光立国の推進に向けて、我が国の観光面での強み、弱みというものをどのように分析されておられますでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘ありましたように、韓国や中国を初めとするアジア諸国との観光面での競争というのは非常に厳しくなってきております。この競争を勝ち抜いていくためには、我が国の競争条件の強み、弱みを踏まえた対応が必要だということは全く御指摘のとおりでございまして、今お話がありましたような、観光資源の特徴でありますとか価格競争力、交通手段の特徴、それからプロモーションのよしあし、こういったことが競争力を決める上で大事な要素になっているというふうに理解をしております。

 ただ、残念ながら、すべてのマーケットでこれらの競争条件においてすべて勝っていくということは事実上難しいことであると思っております。やはり相手国のマーケットの特性に応じて、競合条件を見ながら、競争優位の面を差別化してうまく売り込んでいく、こういうことが重要だと思っております。

 例えば、我が国につきましては、都市とかテクノロジー、こういった面では現代的な部分があること、一方で、寺社仏閣を初めとする伝統的な要素もあわせ持っている、こういうところは非常に強みになっているというふうに理解をしております。また、ホスピタリティーにつきましても、我が国独自の観光資源でありまして、我が国の強みをなしていると思っております。

 他方で、物価につきましては我が国は高いというイメージがございまして、この点が弱みといえば弱みになっているかと思いますが、一方で、近年のデフレあるいは円高の状況は、若干今変わってきておりますが、こういったことを踏まえていきますと、現実以上にちょっと高過ぎるという認識をされているところもあろうかと思っております。こういうマイナスイメージの転換ということもあわせて図っていく必要があると思っております。

 交通の面では、我が国の公共交通機関の運行の正確さや頻度について、これは高い評価を得ていると思っているところでございます。

 こうした我が国の強み、弱みを把握しながら、市場ごとにテーマとターゲットを明確に設定したマーケティングを重視し、実施しているところでございます。一例で韓国について申し上げますと、夏は、日本に関心が高くて、また海外旅行を牽引しております二十代、三十代の女性をメーンのターゲットとしまして、トレンディーで最新のショッピングやグルメなどの観光魅力を楽しむ旅行を売り込んでおりますし、冬は、韓国ではなかなか楽しめないスキーでありますとか温泉、こういったものをウインターライフを楽しむ旅行として売り込むというようなプロモーションを実施しているところでございます。

 今後ともこうした戦略的なプロモーションを展開することで観光立国の実現に努めてまいりたいと考えております。

長安委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたような分析を踏まえて、先ほど大臣がおっしゃられた、平成十九年六月に閣議決定された、観光立国推進基本計画を立案されたんだと思います。日本の強み、弱みというものを分析する、つまり環境分析の結果と、今申し上げた、基本計画の五つの基本的な目標の関連性といいますか、ちょっといま一つわかりにくいなと私は思っております。

 この五つの目標、今お話ありました、外国人の旅行者の方を何人にふやすとか、あるいは日本人の海外旅行者数を幾らにふやすというような、この五つの基本的な目標は、はっきり申し上げて、これだけを見るとすごくわかりやすいですね。ビジット・ジャパン・キャンペーン、日本への海外旅行のお客さんを一千万人にふやすという、わかりやすい。それを達成するために、政策を動員して実現していくということは極めて重要なことだと思います。

 しかしながら、この五つを実現したから、果たして日本が観光立国になっているのか、あるいはなったのかというところの関連性というのは、ややわかりにくいところが残ると思います。先ほどの強み、弱みという分析も踏まえて、この点についてわかりやすく御説明いただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨年六月に閣議決定いただきました観光立国推進基本計画では、五つの数値目標を基本的な指標として定めておりますが、このほかにも、我が国の観光競争力の分析を踏まえまして、四つの柱、具体的には、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、二つ目には観光産業の国際競争力の強化、観光の振興に寄与する人材の育成、三つ目には国際観光の振興、四つ目には観光旅行の促進のための環境の整備、こういう柱につきまして、それぞれ具体的な目標と政府が講ずべき施策を網羅的に定めております。これらを全体として実施することで、観光立国の実現が図られる仕組みになっているところでございます。

 したがいまして、これらの施策を関係省庁とともに着実に実施することによりまして、かつ、それぞれの目標を達成することで観光立国の実現が図られる、このように考えているところでございます。

長安委員 先ほど、日本の観光資源の強みというものも御説明いただいたわけであります。これから当然、各国が観光競争というものをしていく中で、あえて日本を選んでもらう、そのためには、日本はほかの国と違うんだという差別化をしていくことが重要になっていくわけであります。

 そういう観点では、先ほども観光大学のお話をしましたけれども、いかに観光立国を担う人材を育てていくかということが当然重要になっていくわけであります。人材というと、昨今よく言われるわけでありますけれども、きょう育ててあしたでき上がるというようなものではありません。当然、時間がかかる。そういう意味では、ある程度中長期的な戦略あるいは計画というものが必要になってくるわけであります。

 人材育成に関して、もちろんこれまでも国土交通省として取り組んできたということもあるでしょう。それの御説明をいただくとともに、今回、観光庁を設置することによって、さらに充実させていくお考えがあるのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

本保政府参考人 人材の育成についてお答え申し上げたいと思います。

 御指摘のように、観光立国の推進のためには、その基盤となる観光分野の人材確保が緊急かつ極めて重大な課題だと認識しております。国際競争力を備えた観光関連産業を担う人材でありますとか、あるいは魅力ある観光地づくりを担う人材など、幅広く人材を育成し、その活用を図っていく必要があると思っております。

 とりわけ、その根幹になります大学などの高等教育段階における観光の振興に寄与する人材の育成ということが重要であると考えております。幸い、近年、大学などにおける観光関係の学部・学科が急速にふえておりまして、平成十九年度には、先ほども御言及がありました大阪観光大学を含めまして三十三の大学に観光関係の学部・学科が設置されるに至っております。

 そういう意味では量的に相当の充実が図られているというふうに見ておりますけれども、一方で、教育内容とかカリキュラムの充実度合い、あるいは卒業後の進路などにまだ相当の課題がある、こういうように見ております。産業界など現場のニーズを踏まえた教育の充実をさらに図る必要がある、こういう考え方から、例えば、観光関係人材育成のための産学官連携検討会議というようなものを開催いたしまして、インターンシップに関する枠組みづくりを進めるなど、産学官の連携を図りながら人材育成に努めているところでございます。

 観光庁ができましたら、こういう分野にさらに一層力を入れて、長期的な競争力の強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

長安委員 観光をメーンで習う学校というのが、今御説明あったようにふえていっているわけです。一方で、定員割れしている学校もあるというのが現実であります。学校がふえている、供給サイドはふえているけれども、需要サイドがふえていない、これはなぜかということです。

 観光学というものを体系的に学んだらどうなるんだという道筋がまだまだ国民の皆様に伝わっていないのではないかなと思います。人材育成というと、学校をつくる、学部をふやすということだけに陥りがちなものを、その中で学んだことがどうやって生きていくのかをしっかりと国民一人一人にわかるように説明していくということも、これからの観光庁に託された仕事の一つではないかなと私は考えております。

 先ほど、日本の強み、弱みというところで、価格競争力ということも御説明いただきました。確かに日本は物価が高い。デフレでちょっとは値段が下がっているだろうからというようなお話もございましたけれども、私も学校を卒業してから商社におりましたので、海外のいろいろな国々に行ってまいりました。

 そういう中で感じるのは、そうはいいながら、私の実感ではヨーロッパの物価というのは高いんですね。でも、ヨーロッパに旅行される海外旅行者は多い。一方で、もちろん昨今、中国がふえているのは中国の物価が安いからというのは当然であります。

 しかしながら、私の経験、恐らく皆さんも経験があると思います。海外旅行されたときに、その国の物価が高いとか安いとかの判断はどうするか。頭の中であるいは電卓で自国通貨に計算し直して、ああ、日本で百円で買えるものはこの国では百二十円なんだなという感覚で物事を見られて旅行されるはずなんです。

 そういう意味では、外国人の旅行客の方は、海外旅行をするときには自国通貨建てで計算しているということを考えていかなければならないと私は思います。今後、対円ベースで円安・自国通貨高になることが想定される国というのは、当然、重点的にプロモーションしていかなければならないと私は考えております。もちろん、為替だけがすべて前提条件となっているというわけではありませんけれども、一つの有力な指標であります。外国へのプロモーションを行っていくときには重点にする項目の一つであると私は考えております。

 そういう意味では、為替レートの動向を考慮して、臨機応変に機動的に対応しているということが今言えるのかどうか、この点について、対応できているというのであれば具体例も挙げて御説明いただきたいと思います。

本保政府参考人 ビジット・ジャパン・キャンペーンについてお尋ねがございましたが、キャンペーン全体の推進という観点からは、限られた資源を活用してということになりますので、どうしても重点的、効果的な取り組みが必要だということで、実は現在、十二のマーケットに絞った対応をしております。

 若干経緯的に申し上げれば、ビジット・ジャパン・キャンペーンを開始しました二〇〇三年度は韓国、台湾といった五市場だけを対象にしてやっておりましたが、二〇〇四年度に八市場に拡大いたしまして、今十二市場ということになっております。それぞれの市場に取り組む際には、当然、そのマーケットの特性、動向を見なければいけないわけでありますが、その中で、御指摘ありましたように為替の動向ということも非常に重要な要素になっているというふうに考えております。

 ただし、また委員の御指摘もありましたように、観光旅行の動き方と申しますのは、為替レートだけではなくて、各国のGDPでありますとか人口規模、観光、海外旅行の動向、あるいは他国との競合関係、こういったものがすべて作用して決まってきているところでありますので、これらを含めた市場特性に応じたプロモーションの計画を定めるということは重要だと思っております。

 そういうことを踏まえて実際的な対応をしているところでございますが、これらの要因の変動については、大きな動きがあれば機動的に対応してまいりたいと思っております。

 昨今、円高の方向に振れておりまして、例えば韓国のウォンとか、あるいは台湾の元といったものが安くなってきている動きがあることは事実でございますが、まだこのことがどの程度当該マーケットに影響を与えているかということの見きわめがつかない状況でございますので、動向を見ながら、必要に応じてプロモーションの内容を変えるとか、場合によってはほかの市場に資源を移すということを考えてまいりたいと思っております。

長安委員 今御説明あったように、各国の通貨の水準、さらにはGDPの水準なども考慮しているよというお話がございましたけれども、このビジット・ジャパン・キャンペーンの当初からの重点地域というものを見てみると、現状、多く来られている国は重点地域に入れてというような安易な発想というものを私は感じるわけです。そこはやはり機動的に、柔軟に対応していく必要があるのではないかなと私は思います。

 もちろん、為替が急激に変われば日本の経済にネガティブな影響を与えるのは当然でありますけれども、しかしながら、観光という部分においては、今申し上げましたように、自国通貨が高くなった国の国民というのはどうなるか。海外旅行を積極的に始めるわけですから、当然そういったことを、ネガティブな部分もあるけれども、日本の観光にとってはビッグチャンスなんだととらえていくということが私は必要だと思っております。

 続きまして、この観光立国の基盤をなすのは交通インフラの整備だと思います。海外から旅行客を受け入れる空港の整備、さらには空港から観光地までの交通網の整備というのは、これは重要であります。成田空港を見たときには、成田から都心、東京圏へのアクセスというのはここ数年大幅に改善されております。

 この間の日曜日に、大臣、航空保安大学の竣工式にお越しいただきました。国土交通省が行った式典ですので、お越しいただいたというのはおかしいのかもしれませんけれども。そのときに、私、大阪の果てまでわざわざお越しいただきましたというお話を大臣にさせていただいたわけでございます。私の地元、大臣御存じのように、関西国際空港がございます。しかしながら、関空から大阪、京都、奈良といった観光地へのアクセス、交通網の整備ということを考えたら、まだまだ脆弱ではないかなと思っております。そういう思いも込めて、大臣にあえて大阪の果てまでという表現を使わせていただいたわけでございます。

 もちろん、この議論をしていくと、鶏と卵どちらが先かという議論になるわけです。関空は不便だから利用者が少ない、あるいは、利用客が少ないから航空や鉄道、バスの連絡が充実しない、この両方の考え方があるわけであります。

 いずれにせよ、日本に一つしかない、二十四時間、複数滑走路を持った国際空港から観光地へのアクセスというものをしっかりと整備していく、これは集客ということを戦略的に考えたときには当然なされなければならないポイントの一つだと思っております。この点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 もうお説のとおりでございまして、観光立国の実現に向けましては、国際空港からのアクセスの向上は、訪日外国人旅行者の受け入れ体制を確保する上では極めて重要な要素でございます。

 そのようなところから、観光立国推進基本計画の中でも、今関空のことをおっしゃっていただきましたけれども、そのようなところから都心部へ三十分以内に到達するようにということで、例えば成田の場合、今五十分ぐらいかかりますね。これを三十分にしようということで鉄軌道の計画をしているところでございまして、そのように、もうお説のとおりでございますので、国際空港から都心へ三十分で行けるような交通手段を何とかつくろうということで頑張っているところでございます。

長安委員 ぜひ、今回この観光庁設置を契機に、お役所仕事から顧客志向のマーケティングができる組織になるようお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、道路特定財源と一般財源化の問題について、少し冬柴大臣に質問をします。

 四月一日から、暫定税率が期限切れで、ガソリン税などの暫定税率上乗せ分がなくなって、ガソリンの価格が値下げされました。同時に、ガソリン税である揮発油税を道路整備に充てなければならないとしてきた道路財源特例法も、三月三十一日で期限が切れました。その結果、四月一日からは揮発油税は道路特定財源ではなくて一般財源となっている、この点は、確認したいんですが、間違いありませんね。

冬柴国務大臣 私どもは、法案を提案して、今、参議院で道路整備の財源特例法についても審議をお願いしているところでございますので、これがなくなったからもう、税収は今入っていませんけれども、しかしながら、道路特会、特別会計というものは厳然としてあるわけでございますので、今おっしゃったように、それが一般財源になりましたということではないと私は思っております。

穀田委員 それはおかしいですね。財源のそういう根拠法がなくなっている、切れている現実のもとで、じゃあ何なのか、一般財源しかないじゃないですか。だから、法律家として聞いているわけです、大臣に対して。法律が三月三十一日で失効している、そのもとで新しい法律が通っていない段階で、じゃあ特定財源なんですか、お答えください。

冬柴国務大臣 今入らなくなっておりますけれども、未来永劫入らないというわけではなしに……(穀田委員「今の段階を聞いているんです」と呼ぶ)今の段階では入っていません。切れています。したがいまして、年間にすれば暫定税率の部分だけでも二兆六千億失っていますし、財源特例法がない限り、地方の道路整備の臨交金も交付できない、そういう状況に陥っております。

穀田委員 要するに、今の段階では一般財源になっているということなんですね。

 それは大体、税を管轄する人たちはちゃんと言っているんですよ。これは私どもの佐々木憲昭議員が二月二十二日に財務金融委員会で、道路整備特定財源の法律ができなかった場合はガソリン税や石油ガス税は一般財源になるなと。それに対して主税局長は、税法上の使途の制約はございません、そのとおりですと言っているんですから、そこはちゃんと、現実はどうなっているかということをはっきりしなくちゃならぬということを言っているわけですよ。

 そうすると、現在提出され、大臣がおっしゃった、参議院に回っている道路財源特措法というのは、四月一日を境にして性格が変わったということになる。なぜか。三月三十一日までは、提案趣旨にあるように十年間延長する法案だった。しかし、期限は切れてしまった。そうすると、四月一日から、財源を縛る法律の延長ではなくて、一般財源化されたものを改めて特定財源として縛る法律を復活するという性格だなということは確かですね。

冬柴国務大臣 私はそう理解していないんですが。三条には、その税収は道路整備に充てなければならないと書いてありますし、超えた部分があれば、その部分については一般財源とするということが三条のただし書きに書いてあります。それが私どもが今提案している法案の内容でございますから、性格は変わっていない、私はそう思います。

穀田委員 変わっているんですよ。だって、法案は成立していないんですから。今現在は法律がないんです。そのことを自覚せなあきまへんで。

 だって、今までの法律が三月三十一日で切れた段階で、延長するという法律は、それが生きていたら延長なんですよ。そうじゃなくて切れた。全く今は白紙の段階になって一般財源になっているんですよ。したがって、新しく法律をつくらなければ、それはできないんですよ。したがって、性格が変わったと言っているんですよ。わかりますか。そこの法律論をはっきりさせなくちゃだめですよ。

 そこは大事なことでして、例えば総務大臣は昨日の参議院総務委員会で、地方税法改正案が、暫定税率の期限切れで、維持、継続する法案から税率を引き上げる性格の法案になったことを認めているんですね。ほかはちゃんと認めているのに。しかも、切れている、新しい法律は通っていない、そういう段階での性格をはっきり認めなければ、では、あなた方は、提案しているということについて言うなら、その責任がないということに下手するとなりますということをあえて言っておきたいと思うんです。

 そこで、福田康夫首相は二十七日の記者会見で、道路財源制度はことしの税制抜本改正時に廃止し、二十一年度、私に言わせれば二〇〇九年度から一般財源化すると述べました。さらに、七日の参議院予算委員会で、道路特定財源を平成二十一年度から一般財源化する新方針については、いずれ閣議決定することになると改めて明言しています。

 首相は、与野党協議が不調に終わった場合の一般財源化の方針についても、変わらないと表明しました。この首相の方針について、国土交通大臣は同じ立場ですか。

冬柴国務大臣 この「道路関連法案・税制の取り扱いについて」という一枚紙が総理の意思であるというふうに思います。

 したがいまして、この三項に書いてあるように、「道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に」、ということは、そのときは、ことしの年末、後半を指していると思いますよ。それまでは廃止していないですよ。廃止した場合に、「二十一年度から」、二十一年度というのは二十一年四月一日からということになるんだろうと思いますが、「一般財源化」と書いてあって、あとマルを打ってあるだけです。ですから、これをどうするかを与野党協議会を設置してやってください、こういうことを言っているわけでございます。私は、それが総理の真意である、そのように理解いたしております。

穀田委員 どうもニュアンスが違うということがはっきりした。要するに、首相は方針だと言っている、与野党協議が不調でもその態度は変わらないと言っているということを、私は同じかと聞いているんですよ。廃止するとか廃止しないの話じゃなくて、そう言っていることについて同じ方針かと聞いているんですよ。どうもわかっていないみたいだから。いいですよ。

 そこで、文章にもあるように、先ほど私が述べたように、特定財源をいわば復活するそういう法案というのは、特措法は今後十年間という期限を設けています。そうしますと、総理が示した〇九年度、来年から一般財源化するということで、この復活法案を通すということは、総理の一般財源化という方針とは相入れない、全く矛盾するんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

冬柴国務大臣 今、通常会が開かれて、参議院で今この審議をお願いしているわけです、始まっていませんけれども。ですから、これは、総理が言っているのは、ことしの末にそういうふうにすれば来年から、こういうことでございますので、それまでは、協議が成立するかせぬかというようなことと、我々は成立しないようなことを前提に話はしていません、考えもしていません。ですから、総理が言っていることと私は矛盾していませんよ。

 時間的に考えてください、時間的に。今やっているわけです、参議院で。そして、変えるのは来年の四月一日のことを、年末の税制協議でやりましょう、それに向けて与野党で協議をしてください、こう言っているわけですから、時間的にはそれでいいんじゃないでしょうか、時系列的に並べれば。

穀田委員 法律は、今後十年間という時間なんですよ。その最初の一年間の中で一般財源化するという考え方なんですよ、総理は。そうすると、先ほど来質疑の中でありましたように、そういうものを担保するということになりますと、十年間は実行するという法律を通しちゃえば、法律があるんだから、一年間だけという担保がなくなるということじゃないですか。そうでしょう。

 だって、今出されている法律は、十年間という法律ですやんか。総理は、どんなこんな言ったって一般財源化は九年度にするんだと。ということになれば、九年度以降はその法律は要らないということになるじゃないですか。それが時間というものですよ。だから、時間と経過というものをよく見なくちゃならぬと。

 だって、総理大臣が、〇九年度やるんだから、それ以後は法律は要らないということになるじゃないですか。その法律を通そうということに無理があると。私どもは……(発言する者あり)わからぬ人やな。十年間しか……。まあいいわ、そんなの、どうせわからぬのやから。

 要するに、私らは、特定財源を直ちに一般財源化すべきだという意見ですよ、私らは。でも、福田首相の新提案のように、今の道路特定財源を〇九年度以降に一般財源化する以上は、今出している法律は使途を道路だけに限るという法案なんですから、そうすると、その使途を道路だけに限るという法律は、〇九年度以降は一般財源化するわけだから、要らないということになるわけなんですよ。そこを私は言っている。それはわかりますよね。どうですか。

冬柴国務大臣 〇九年まではどうするんですか。〇九年までのことを言っているんですよ。それは、現在の法律を提案しているわけですから、それは、道路特定財源としてそれを道路整備に使いますという約束をしている法律を今審議していただいているわけですから。そうでしょう。それが通った後、九年からどうするかは別問題じゃないでしょうか。

穀田委員 だから総理の提案とあなたの話は違うと言っているんですよ。〇八年度どうするんですか。簡単じゃないですか。予算は通っているんですよ。一般財源にしているということは、予算で使えばいいというだけの話ですやんか。それを道路に使うかはそれは勝手だという、理論上はそういうことなんですよ。なかったって別にできるんですよ。総務大臣も財務担当の大臣も、それはできると言っているんですよ、それ自身は。財政担当の人たちが全部できると言っているんですから、それを、できないなんということはあり得ないということだけは言っておきましょう。ですから、とんでもない話だと思っています。

 問題は、結局、あなたの言うことは、要するに、そうなると、総理の提出している新提案とは、逆に言えば、実行しようとしている人たちは話が違うということだということが我々には見えてくるということになりますわな。皆さん、そうでしょう。

 だって、十年間続けるという法律を通して、いや、実際は一年間だと。では、法律を通さなくてもできる一年間だけやればいいじゃないかという理屈があるのにもかかわらず、それを通すということは、まさに衣の下によろいじゃないけれども、それは話としては違うんだということを言っているにすぎないと私は思うんです。

 したがって、一般財源である揮発油税を特定財源として復活させて、今お話ししたように、十年間も道路に縛る法律を通しておいて、一年後に縛りをなくしますよというふうに、法律は通す、総理大臣は口約束すると言われても、だれも信用できないということなんですね。

 どうするんだと。先ほどありましたように、それは一般財源として使ったらいいんだと。そして、手続としては、先ほど大臣がおっしゃったように、政府は修正できないんだというわけなんです。どうしたらいいか。道路財源のそういう復活法案は廃案にすべきだ。そうしたら、別にどうもならないんですよね。

 だから、通してくれ通してくれということ自体の中にそういう矛盾があるんだということをしっかりとどめなくちゃならぬじゃないですかね。どうですか。

冬柴国務大臣 総理提案の第一項には、「地方財政や国民生活の混乱を回避するため、平成二十年度」、〇八年ですね、「歳入法案の年度内成立。」これが書いてありますよ。そして、しかる後に第三項とか第七項があるわけでございまして、総理は第一項をちゃんと入れてありますよ。私はそれを言っているんです。

穀田委員 だからあかんと言っているんですよ。だから、法律は年度内に成立させて十年間をやるということは、それはおかしいじゃないかとみんな言ったわけですよ。

 そこで、では別な点から聞きましょう。既に予算は成立しているわけです。予算の執行というのは、それはできるわけです。歳入法案が欠陥が生じていると。それは、入ってくる金が何ぼか減るという話ですよ。それで地方自治体がどうのこうの、それはあるでしょう。そのことについて言えば、普通、家計だってそうですよ、収入が減ったら支出を直すのが当たり前なんですよ。支出はこうだから絶対にそれに合わせなくちゃならぬ、そんなことありますかいな。

 国家財政だってそうですよ。歳入が減った場合には、それに合わせて歳出を縮める、地方自治体に対しても、そういうことについて責任を、国家としてそういうものについてはどうしたかというのは、何回もやっているわけです、今まで歳入欠陥あったわけですから。それはやっているんですよ。そんなこと別に、お互いに知っている話なんです。

 そこで問題は、今言いましたように、道路財源は法律上既に、理論上は一般財源化しているわけだから、本当に必要な道路整備だけ〇八年度に予算措置でやればいいんじゃないですか。それは確かでしょう。

冬柴国務大臣 予算措置するためには、するという政治決断が要りますし、そのためには財源をどこから持ってくるかという手当てがなければ、空手形は振れないじゃないですか。そして今の状況で国債発行してそういう欠陥を埋めるということは、総理はしないと言っているんですよね。そういう状況でもないと言っているわけですよ。したがって、できないわけです。

穀田委員 そこはそこで議論をするとして、では、もう一つ聞きたいんですけれども、一般財源化と道路中期計画について聞きたいんです。

 一般財源化するということは、法案の第三条にある、道路整備の事業量を閣議決定する必要はなくなるはずなんですね。道路整備の事業量は、特定財源であるガソリン税などを納めた納税者、ユーザーに説明する目安として示したものだと答弁してきたわけです。そうすると、実際、道路整備だけに使うわけではないわけだから、一般財源化するということは、事業量を決める必要はないということになりますよね、理論上は。いいですか。

冬柴国務大臣 それはそうですけれども、真に必要な道路は、まだつくらなきゃいけないものは日本国じゅうたくさんありますよ。穀田さんの地元の京都だってありますよ、私はよく知っていますよ。日本じゅうありますよ。

 ですから、それをどういう財源で、いつ、どういう方法でつくっていくかということが大問題なんですよね。私はそう思っています。

穀田委員 今、最初に認められました、理論上はそうだと。私が言っているのは、事業量を言っているんです。どこをつくるかどこをつくらないかというのは議論したらいい。少なくとも、特定財源があって、何兆という金が入ってくる、それを使いますという事業量の関係はなくなると言っているんです。それは確かですね。

冬柴国務大臣 今提案している法律の中には、閣議決定するという規定がありますから、これがある以上、こういう法律があれば、今まだないんですよ、まだ成立していない、成立すれば閣議決定する必要は出てくるでしょうね。しかしそれは、その後、与野党協議とか、あるいは年末の税制改正で違う決定、政治決断が国会において行われた場合にはどうするかというのは、また新たな問題として考えなきゃならないのではないでしょうか。

穀田委員 必要な道路についていろいろ検討する、それは道路をつくるときにどうすればいいかと検討するのであって、一般財源化するということは、特定財源がこれだけ入ってくるというわけじゃないわけですから、理論上はそういうことはないんですよ。それは先ほどお認めになったとおりです。

 そこで、では、福田首相の新提案は、中期計画を五年にすると言っていますけれども、十年で五十九兆円という事業量はどうなるのか何も言っていないんですね。そこで、事業量はどうするのか、五年間にして示すのか、それとも示さないのか、そこだけお聞きします。

冬柴国務大臣 もし一般財源化するということになれば、大変困難になりますね、幾ら使うかという。

 しかし、今までの社会資本整備という観点からは、直近の過去では、五年間で三十八兆を道路整備に使うということは決めていました。したがいまして、そういうものは決めなきゃならないだろうと思う、真に必要な道路をどれだけ今後つくっていくのか、例えば五年なら五年の間にどれだけつくるのか。三十八兆といったら、十年に伸ばせば七十六兆ですから、すごい金額ですね。しかしながら、今、直近の五年間ではそのような取り決めがされておりました。

穀田委員 それも違うんです。道路計画という前の法律がありまして、それで、少なくとも、収入がこれだけあるからこれだけ使いますとあったんですよ。一般財源化するということは、事業量について言えば、示す必要はないんです。今ありました社会資本整備重点計画だって、道路を含めて、少なくとも成果目標による計画を示しているわけで、河川だって上下水道だって全部、それは必要なものはあるんですよ。それも、これだけの事業量でやりますというのはないですよ、ほかは。ありませんよ。それは、これだけのパーセンテージを目的にしようという計画はありますよ。だけれども、事業量を決めたのはないんですよ。

 だから、一般財源化するということは、道路も同じようにしなければ一般財源化している意味がないということだけは、それはまさに総理大臣の方針との関係でそのようになるんですよ。

 だから、もし、今冬柴大臣が言っておるように、三十八兆円を五年間使ってきたということは、それは過去の事実はそうかもしれないけれども、そういうことを今後やるという表明だというふうにはならないですわね。だとしたら、一般財源化という、少なくともことしは、大臣が言っているように生きているかもしらぬけれども、一般財源化する来年からはそういうことはなくなるわけやから、そういう方針については、また今度は相入れないということになりまっせ。それはいいですよね。

冬柴国務大臣 まだ通っていないんですよ。これは、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律というものを今提案しているわけですよ、私は。そして、今審議をお願いしているわけです。

 したがいまして、この中には、揮発油税は、「毎年度、次に掲げる額の合算額に相当する金額を道路整備費の財源に充てなければならない。」ということまでこの中に規定されているのは、今まだ私がこれを審議してくださいとお願いしている法律の内容なんです。衆議院ではこれは可決していただいているわけです。

 そういうものを全く無視して、そういう秩序というものは全く無視して、総理がおっしゃっていることですから現実味はありますよ、ですけれども、それは通した上でどういうふうにするかということをおっしゃっているわけであって、私は、この法律を通してくださいということを、私は今最良だと思ってやっているわけで、その中では、道路の事業量も閣議で決定するということになっているわけですから、それを前提に考えてください。

穀田委員 それは残念ながら、総理の方針として、もしそうだとすると、総理の方針は、簡単に言えば口約束にすぎなかったということになるんですよ。なぜか。十年間ということで特定財源を決めて、そのことによって事業量を決めるということになっているんです、法案の仕掛けは。その法律は今ないんです、通っていないんです。そうすると一般財源になっているんです。それを復活する以外にないんです、その方法は。

 そのときに、一年間だけは堪忍させてくれというのが総理の提案なんですよ。新提案というのはそういう内容なんですよ。だって、来年度でやめちゃおうというんだから。そこをあなたは十年間通そうというから、それは矛盾になるよと。

 そうすると、一般財源というのは、結局、十年間、道路特定財源を続けることになる、十年間、事業量を決めることになる、五年間ですけれどもね。それはおかしいということを言っているんですよ。それはわかっていただけると思います。

 ほかに方法は、今言いましたようにあるんです。それは、廃案にして、一般財源になっているのを予算の執行をするという関係で、もちろん歳入の問題はありまっせ。そこで、実は総務大臣はきのうこう言っているんですね。総務大臣は、一般財源化すれば地方の裁量が広がる、減収により歳出構造の見直しのきっかけになる、こう言っているんですね。だから、現実はそういうところにしっかり目をやることが必要だし、可能だということを言っておきたいと思います。

 最後に、国土交通省設置法案について質問をします。

 今回の国交省組織再編は、一つは観光庁の新設、二、航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁の改組、三、船員労働委員会の廃止の三つの内容があります。私は、それぞれの組織の必要性、あり方について十分検討した上で個々に法案を出すべきと違うのかということを思うんですが、大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 今挙げられたいずれの組織の改廃も、本年十月一日、実施を予定しております。

 さらに、行政改革の趣旨を踏まえまして、政府予算上も、海難審判庁及び船員労働委員会等を廃止して観光庁及び運輸安全委員会を設置するスクラップ・アンド・ビルド、この関係として整理されていることから、同時に成立する必要があります。

穀田委員 今、わかりやすく言うと二つおっしゃっているんですよね。

 同時に成立させる必要があると。私が言っているのは、法案は、本来組織の内容も違うのだから、別々に出して審議すべきと違うかという話をしているんですよね。

 もう一つ言っているのは、スクラップ・アンド・ビルドだと。観光庁を設置するために組織削減をセットで提案していて、どういう組織であるべきかの議論よりも、今言ったように、仄聞するのは、全体の人員削減の縛りがかかっているのだということなんかも初めとして、しかも、はしなくも言われたように、スクラップ・アンド・ビルドという考えが根底にあるということが出されたと私は思うんですよね。

 それは、あなた方国土交通省が、この時期までに一緒にやらなきゃならないという出口を決めている。それは、全体としての人員を動かすときとかはそうでしょう。だけれども、問題なのは、大臣は、国民の要望や、組織をどうするか、今観光庁はどういう任務があるのか、それから航空・鉄道事故調査委員会というのはどうあるべきか、その変更をどうするべきか。それは、たまたま人数をこっちから異動する、こうするということはあるかもしれない。しかし、今大事なことは、それぞれについて法案を出して個別に審議をしてやる必要があるのじゃないのかということを言っているんです。それはいかがですか。

冬柴国務大臣 それは一つの考え方だと思いますよ。

 しかし、国土交通行政をより適切、効果的に行おうということから、いろいろ考えた末、私の方でこのように三条委員会というものを二つつくる、これはなかなか認めていただけません。したがって、既存のものをこのようにしてということで、スクラップ・アンド・ビルドというのを、そういうふうにみんなが呼んでおりますけれども、そういうことで、今回同時期に、しかもそういう精神でやるということを明らかにするために一本の法律で、しかし、その中にはきちっとそれぞれの目的とかそういうものが書かれてありますので、これで御了解をいただきたいというふうに思います。

穀田委員 もう終わりますから。

 国民の側からしますと、やはりこういう問題というのは一つ一つ個別に出すべき話だ。スクラップ・アンド・ビルドというのはそちらの都合であって、国民の側からすれば、海難審判庁どうするのか、組織のあり方どうするのかというしっかりした議論をすることこそ求められているのだということだけ述べて、質問を終わります。

竹本委員長 次に、徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。三十分と時間も限られておりますので、早速でございますが質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、海難審判所と運輸安全委員会の設置について御質問させていただきたいと思います。

 経済のグローバル化というものが進み、中国を初めとするアジア諸国との経済交流が活発になる中で、外国船舶が多数日本の領海を行き来するに伴い、近年、海難事故が増加傾向にあります。その原因はヒューマンエラーや気象等さまざまにありますが、その多様化、複雑化する中で、原因究明機能の強化及び事故調査体制の充実が求められていることからこのたびの設置法改正に至ったのだとは思いますが、その中身について数点質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、本法の改正で、現在海難審判庁が有している懲戒機能と原因究明機能を新たに海難審判所と運輸安全委員会の二つに分離させるに至った背景及び理由をお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

福本政府参考人 お答えいたします。

 現行の海難審判庁におきましては、海難に係ります原因究明と船員に対します責任追及ということの双方を行っておるところでございます。船舶交通の安全の向上のためには、これらを分離いたしまして、事故の再発防止に向けまして事故調査、原因究明機能の強化を図るということが実は国際的な流れになってございます。既に先進海運国ではこのような体制が整備をされておるところでございます。

 また一方、委員御指摘いただきましたように、多発する海難の発生を防止するためには、その背景要因も含めまして多角的な原因究明を実施する必要がございます。そのためには、さまざまな知見を有しておられます多くの専門家によります委員会形式で事故調査を行うことが望ましい、こういうぐあいに考えたところでございます。

 このような国際的な流れを踏まえ、かつ我が国においても、原因究明と責任追及を目的とする現行の海難審判に関しまして、原因究明については運輸安全委員会において委員会調査という形で実施をいたしまして、責任追及につきましては国土交通省に新たに設けます特別の機関である海難審判所というところで実施をいたすことにいたした次第でございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 次に、国家行政組織法第八条の合議制の機関である航空・鉄道事故調査委員会を、このたびの運輸安全委員会では国家行政組織法第三条の外局として設置する目的は何であるかという部分をお答えいただきたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど国土交通大臣の方からも御説明ございましたとおり、今般新たな運輸安全委員会を、国家行政組織法第三条に基づく委員会、いわゆる三条委員会と言われておりますが、そういう形で設置させていただくことになりました。これによりまして、運輸安全委員会は、職員の任免、採用いたしましたりあるいは懲戒処分をしたりというようなこと、あるいは教育研修を行う、こういった人事権のほかに、先ほども申し上げましたが独自の規則制定権というものも有することになります。こういうことから、より高度な独立性が確保されることとなるというぐあいに認識をいたしてございます。

 また、航空・鉄道事故調査委員会は、現在は調査結果に基づきまして国土交通大臣のみに勧告を行う、こういう形になってございますが、今般これが三条委員会になることによりまして、直接、原因関係者、具体的に申し上げますと事故を起こした当該本人に対しまして勧告を行う、あるいは、さらにその報告徴収を求めるということで、事故防止のためにとりました措置に関しまして報告を受ける、こういう権限もいただくことによりまして再発防止に向けたフォローアップ体制がきっちりできるというぐあいに認識をいたしております。

 そういう意味で、三条委員会になりますれば、組織の独立性が確保され、かつ、事故の再発防止機能の強化ということに大変な役割が果たせるものと認識をいたしております。

徳田委員 ありがとうございました。

 次に、海難は、全国各地で年間四千件以上発生している状況にあります。また、航空事故及び鉄道事故も各地域で発生している。事故の的確な原因究明のためには迅速な調査を行うということが不可欠でありますが、運輸安全委員会ではどのような体制整備を図る予定かをお答えいただきたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、海難につきましては、ここ数年、年間四千五百件程度発生をいたしております。先般も、青森の方で痛ましい漁船の事故も発生いたしております。

 また、平成十九年に航空・鉄道事故調査委員会が調査を行ってございます件数につきましては、航空事故、重大インシデントで三十五件、鉄道事故、重大インシデントで二十二件ということで、まさに北は北海道から南は沖縄に至るまで全国各地で発生をいたしておる、こういう状況でございます。

 委員御指摘いただきましたように、こういう海難あるいは航空事故、鉄道事故の的確な原因究明を行うためには、やはり何といいましても事故発生時の初動調査が極めて重要でございます。先般起きましたJR福知山線の脱線事故の際も、事故調は即時に委員あるいは職員を派遣しまして詳細な調査を実施したところでございます。

 そういうことで、今般の運輸安全委員会におきましては、より迅速な初動調査を行うために、横浜、神戸、門司等々、全国八カ所に地方の事故調査官を設置いたしまして、初動調査の支援を行うということにいたしております。

 さらには、事故調査官の調査業務を後方から支援する専門の職員を配置する、調査官だけが行けばいいというものではございません、それを補助する職員も派遣する必要がございます。そういう要員も確保いたしまして、いわゆる即応体制の強化というものを図ってまいることといたしております。

徳田委員 ありがとうございました。

 次に、事故原因究明分野において、特に海難船舶事故は国際的な視野と連携というものが必要だと考えます。これまで航空事故調査や海難調査の分野でどのような国際的な取り組みをしてこられたのか、また、運輸安全委員会では新たにこれからさらにどのような取り組みを行うことができるのかという部分についてお聞かせいただきたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、航空あるいは船舶というものは国境を越えて往来をいたすものでございます。そういう意味で、航空事故調査におきましては、事故機の製造国あるいは運航国等が参加をするという制度がございまして、昨年八月、御記憶に新しいかと思いますが、那覇空港で発生をいたしました中華航空機の炎上事故につきましても米国及び台湾と共同調査を実施してきておるところでございます。また、海難調査につきましても、必要な場合は外国との共同調査というものを実施いたしてございます。

 一方で、航空・鉄道事故調査委員会につきましては、各国の航空事故調査機関で構成されております国際航空事故調査官協会というものがございます。あるいは、独立した事故調査機関で構成されております国際交通安全協議会、こういったような組織にも加盟をいたしております。また、海難審判庁は、アジア海難調査官会議というものを開催いたします等、世界各国の事故調査機関との緊密な連携というものも図ってきたところでございます。

 さらに申し上げますと、航空・鉄道事故調査委員会に関しましては、航空事故調査の分野で関係の深いフランス、オーストラリア、韓国、中国という四つの国の調査機関との関係で、より緊密な協力関係を築くべく覚書の交換をいたしておる。あるいは、海難審判庁につきましては、お隣の中国、韓国との間で同様の文書を交換する等、そういう意味で、かなり国際的な協力関係の構築が図られてきたところでございます。

 そういう中で、今般設置いたします運輸安全委員会におきましても、新たに国際渉外を担当する組織を置くなどいたしまして、これまで以上に国際的な連携を強化するとともに、事故の原因究明に役立つような活動を展開してまいりたいと思っております。

徳田委員 ありがとうございました。

 運輸安全委員会及び海難審判所を新たに設置することにより、これまで以上に原因究明というものが効果的に行われ、事故の再発防止につながることを大きく期待したいというふうに思います。

 次に、観光庁の設置について御質問をさせていただきたいと思います。

 平成十八年十二月には観光立国推進基本法というものが成立し、その後、政府の取り組みが大きな成果を上げ、昨年は訪日外国人旅行者数が八百三十五万人と過去最高の水準となりました。

 しかしながら、世界観光機関の二〇〇六年の発表では、日本は五十カ国中三十位と、世界の国々から取り残されているような状況です。トップのフランスからすると十分の一の水準、アジアの中でも中国や香港、タイにも劣るような水準です。

 そうしたことから、観光立国の実現は、我が国の経済社会の発展のためには不可欠な国家的課題と言えます。また、地域間格差、少子高齢化、過疎化にあえぐ多くの地方からすれば、観光を通じて交流人口を拡大し、そしてさらには地産地消を推進することによって地域の活性化を図るということが重要な課題となっています。

 そのために、観光立国の実現に向け、政府にもしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、まず、国土交通省として、今回観光庁を設置することの意義はどのようなものか、観光庁の設置によりいかなる効果があるものと考えておられるかをお答えいただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光立国の必要性につきましては委員からも御指摘をいただいたところでございますが、観光は、国内外における交流人口を増大させることによりまして、我が国の地域経済を活性化させるとともに、国際的な相互理解の増進を通じまして世界に愛される国づくりを目指すものであります。

 こうした考え方に基づきまして、今御指摘ありましたように、一昨年十二月に観光立国推進基本法を全会一致で成立させていただきまして、また、昨年の六月には、同法の規定に基づきまして、観光立国の実現に関する基本的な計画であります観光立国推進基本計画を閣議決定していただいております。

 基本計画では、一つには訪日外国人旅行者数を一千万人にする、二つには日本人の海外旅行者数を二千万人にする、三つには観光旅行消費額を三十兆円にする、四つには国内旅行による一人当たりの宿泊数を年間四泊にする、五つには国際会議の開催件数を五割以上ふやすという目標を、年ごとに定めまして掲げております。また、その達成のために必要な政府の施策を定めているところでございます。

 この基本計画に基づきまして、政府一丸となって、観光立国を推進する施策を総合的かつ計画的に実施していく必要があると思っております。

 観光庁の設置によりまして、一つには、我が国が国を挙げて観光立国を推進していくという姿を明示し、これを発信することができます。また、長官によりまして、外国政府との間で観光交流拡大に関する交渉や協議、こういうものを効果的また円滑に行うことができますので、当該政府との関係強化ができると思っております。

 二つ目には、国土交通省が、観光立国に関する数値目標の実現に向けましてより強力なリーダーシップを発揮しまして、関係省庁との調整、働きかけを強力に行うことができると思っております。

 また、第三には、政府が一体となって、住んでよし、訪れてよしの国づくりに取り組むことを発信するとともに、相談窓口の一本化や関係省庁への調整、働きかけの機能の強化によりまして窓口機能を十分に果たしまして、地方公共団体、民間の観光地づくりの取り組みを強力に支援することができると思っております。

 こうしたことによりまして、観光立国の実現に向けた施策を政府が一丸となって強力に推進するための体制が整う、このように考えているところでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 次に、新たに外局を設置するということで、行政機構のスリム化を図ろうとする行政改革の流れに逆行するのではないかとも受け取られかねません。先ほど申し上げましたとおり、この観光立国の実現というものは国家的課題であると思いますので、やはりこれまで以上に取り組みをし成果を残すということが何よりも重要だとは思いますが、観光庁の予算及び人員について、どの程度の規模になるのか。

 また、民間登用や他省庁との人事交流ということも観光庁に大きく期待するところでありますが、どのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁の組織及び定員につきましては、国土交通省内の振りかえでこれに対応しておりますので、行政改革の趣旨にも沿ったもの、このように考えております。

 予算と定員について問いがございましたが、平成二十年度の観光関係予算は約六十三億円になっております。このうち、独立行政法人に対する運営費交付金というのがございますが、これを除きました主に政策の実施に充てられる経費について見ますと約四十三億円ということで、おおむね対前年度比三%の増加になっているところでございます。

 観光庁の定員につきましては、現在、観光部門の定員が七十九名でございますが、二十四名増加いたしまして百三名ということで予定をしているところでございます。

 人事交流についての御質問がございましたが、御指摘のように、観光立国の推進には官民を挙げた取り組み、体制が重要だと思っております。こうした観点から、観光行政に関係の深い他省庁に加えまして、地方公共団体や民間企業との人事交流を、現在もやっておりますが、さらに観光庁ができましたら積極的にこれを推進したい、このように考えております。

徳田委員 ありがとうございました。

 また、観光を通じて地域経済を活性化させるためには、言うまでもなく、観光庁という器だけではなくて、やはり魅力ある観光地づくりに取り組む地域への具体的な支援策というものが必要だと考えておりますが、どのように取り組まれるのか、例についてもお答えいただきたいと思います。

本保政府参考人 地域の取り組みについて御質問がございましたので、お答え申し上げます。

 観光庁は、御案内のとおり、観光立国の実現に向けまして、魅力ある観光地の形成や国際観光の振興を目的として設置するものでございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、地域経済の活性化のためには、魅力ある観光地づくりに取り組む地域に対して支援をするということが大変重要である、このように認識しております。

 このため、宿泊を伴う滞在型観光を促進するために地域の関係者が連携して行う取り組みを支援する、こういう観点から、この国会に観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案を提出したところでございます。

 同法案に基づきます旅行業法などの規制緩和措置や予算補助制度の創設などによりまして、魅力ある観光地の形成に関する国の支援を充実するということを考えているところでございます。これによりまして、観光庁の設置にふさわしい内実の伴った施策の推進が可能になると考えております。

 この法案は、観光業はもとより、地域の産業が一体となって観光収益の拡大を図り、地域経済の活性化という具体的な成果につながることを目指した法律案であると考えておりますので、ぜひ、この早期の審議をお願い申し上げる次第でございます。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

徳田委員 ありがとうございました。

 各地域において、地方自治体やNPO団体など、さまざまな主体による観光地域づくりの取り組みというものが今積極的に進められておりますが、こうした活動も支援していくべきではないでしょうか。

 また、地域の側からすると、気軽に相談できる場があるとよいと思いますが、先ほど窓口の一本化という話もありました。この点について、今回の観光庁においてはどのような取り組みをしていかれるのか、お聞かせください。

本保政府参考人 地域への支援策ということでございますが、委員御指摘のとおり、観光地域づくりの取り組みというのは、自治体のみならず、NPOなどの団体、観光関係者、商工労働関係者などさまざまな主体がこれに取り組んでおります。これらの積極的な取り組みをされている地域の方々の活動を支援するということはまことに重要だと思っております。

 このため、国土交通省といたしましても、観光地域づくりの取り組みを支援するために、さまざまな地域の方々が気軽に観光地域づくりを相談できる場が必要だ、こういう考えから、本省の総合政策局観光部門と地方運輸局の双方に、この四月一日に観光地域づくりに関する相談窓口というものを開設させていただいたところでございます。

 この窓口では、地域の方々の相談の内容に応じまして、参考となる事例の紹介をすることはもとよりでございますが、関係省庁も含めた支援制度の紹介や助言をする、あるいは関係省庁などに必要な調整をお願いする、こういうことで、縦割りではなく横の連携をしながら、地域の方々に助言、提案をし、また積極的な支援をする、こういうことで臨んでいるところでございます。

 先ほど観光圏の整備に関する法律案について申し上げさせていただきましたが、こういう制度面の充実に加えまして、こうした相談窓口を通じた実体的な支援も充実させるということで、魅力のある観光地づくりを通じた地域経済の活性化に向けてなお一層尽力をしたいと思っております。

徳田委員 ありがとうございました。

 もう一点、この観光立国の実現、または観光圏の整備のためには、各地域の特色のある豊かな自然や歴史、風土等を活用した新たな旅行を創出、流通させていくことが必要だと考えますが、その具体的な取り組み状況はいかほどか、教えていただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、旅行者ニーズというのは大変多様化しておりまして、こういう中で、豊かな自然、歴史、風土など、地域独自の魅力を生かした体験型とか交流型の観光というものを新たに促進していくということは観光立国の推進という観点から大変重要だ、こういうふうに認識をしております。

 こうした観点から、国土交通省におきましては、各地域における地域密着型の新しい形態の旅行につきまして、モニターツアーの実施の支援などによりましてノウハウの蓄積、普及を図りますとともに、地域密着型の旅行商品の流通を促進するためのデータベースを構築するニューツーリズム創出・流通促進事業、これを平成十九年度から開始したところでございます。

 具体的には、十九年度におきましては、モニターツアーの実施について申し上げますと、ヘルスツーリズムとか産業観光、グリーンツーリズムなど四十七件を採択しているところでございます。

 本年度も引き続き同事業を行うこととしておりまして、今後とも、こうした地域密着型の新しい旅行の活性化を図りたい、このように考えているところでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 最後に、私の地元の話を少しだけさせていただきたいと思います。

 私の地元に指宿という温泉地があります。皆さんも御存じのとおり、知名度も高く、また、現在NHKの大河ドラマにて「篤姫」が放映されているため、観光客は増加傾向にあります。

 しかしながら、この指宿市と県都鹿児島市、また、空港とつなぐ国道二百二十六号線は慢性的な渋滞状況にありまして、せっかく来ていただいた観光客の中にも、余りの渋滞にもう来たくないという声も上がるほどです。観光の振興または地域の活性化を願う地域住民からすれば、道路整備というものは切実な悲願でもあります。

 ここで改めて道路について議論するつもりはありませんが、やはり真に必要な道路の整備というものは着実に推進していただきたいと思います。

 暫定税率についても一言だけ申し上げさせていただくと、ガソリンが安いにこしたことはありません。しかし、税源の確保もせず、また法整備もせず、自治体や地方経済に影響を及ぼすような形で、ただガソリンを安くするということは余りにも無責任だと言わざるを得ないというふうに思います。

 これ以上は申し上げませんが、時間もありませんので、新たな観光庁については、やはり地域のそれぞれのニーズというものを確実に吸い上げていただくために、各地方自治体や民間との連携を密にとっていただき、そして、ハード、ソフト両面での取り組みをしていただくことで地方にも大きく夢や希望を与えていただきますように心からお願いを申し上げ、終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 以上で徳田君の質問は終わりました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、国交省設置法の改正案ということで、大きなテーマとして観光庁の設置、そしてもう一つが運輸安全委員会の事故調からの改編、こういったテーマだと思います。

 まず最初に、観光庁の問題について質問させていただきたいと思います。

 この観光ということ、実は、今から五年ほど前ですか、私も国交省の政務官を務めさせていただいて、そのころにビジット・ジャパン・キャンペーンというのがスタートいたしました。二〇一〇年までに外国人の訪日の観光客を一千万人にしよう、そういう流れ、これは着実に進んでいると思うんですけれども、そういった問題をさらに促進していく。さらに、これからの少子高齢社会、このときの日本の経済の基盤をどうしていくかといった問題に立っての観光の位置づけ、これは大変重要な問題だと思います。

 これはもういろいろなところでも言われてきたと思うんですけれども、少子高齢社会の中で、特に人口減少社会に突入している。日本のGDPは約五百兆円。この五百兆円の中で六割から七割を占めるのが個人消費である。人口が減るということは個人消費のパイが減るということですね。そうなってくると、今後どうしていくのか。これは本当に政府を挙げて考えなければいけない問題、また、私たち国会議員も真剣に考えなければいけない問題だと思います。

 そういった中で、これまでの、物をつくって売る、もちろんこれも大変大きな、中心的な役割を担わなければいけないんですが、まさに個人消費が人口減少とともに減る可能性のある中にあって、交流人口をふやそうというのがこの観光のメーンだと思います。人が移動する、人口は減るけれども、移動する人口がふえることによって、ある定点においての人口は延べ人口でいいますとふえていくということになるわけですから、こういった観点の観光というのは大変に重要である。

 その一方、すそ野の広い分野が観光であるとも言われております。これまで、すそ野が広いというと建設関係ですね。建設関係というのが今、中小零細企業も含めて五十万社、そして約五百万人が関連している企業に勤めている、人口の五%弱の人たちがそこに従事している。

 観光といいますと、観光業というとすごく限られるんですけれども、交流人口をふやすことによって人がそこに集まってくることによって影響する問題としては、例えば交通の問題、宿泊の問題、飲食、さらには農林水産業、製造業、幅広い分野に影響を及ぼしてくる。例えば、中部地方は産業観光という一つのカテゴリーをつくってやっていますね。こうなってきますと、ただ単に史跡、名所を見るということだけではなくて、さまざまな観点からこの観光というものを広げていく可能性が大であるというふうに思います。

 そういったことを踏まえて、雇用の誘発効果も大きいと考えるんですけれども、この観光庁設置によって、観光ということで今後どのような効果があるのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、観光は大変広い分野に対して経済上の波及効果を持っております。狭義の観光関連産業であります旅行業や運輸業に加えまして、農林水産業とか商工業などに対してもその効果があるわけでございます。

 これを具体的に経済効果の数値として把握する観点で、国土交通省では、旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究というものを実施しているところでございますが、これによりますと、十八年度の我が国の国内旅行消費額は二十三・五兆円になっておりまして、この旅行消費がもたらします生産波及効果は五十二・九兆円、雇用誘発効果は四百四十二万人と推計されております。これはそれぞれ、我が国の国内生産額につきましては五・六%、総就業者数につきましては六・九%に相当する数字かと思います。

 これを産業別に見ますと、農林水産業に対しましては五十一万人、製造業につきましては四十六万人の雇用誘発効果があると推計されておりまして、相当大きなインパクトを持っている、こういうふうに言えるのではないかと思っております。

高木(陽)委員 雇用誘発効果で四百四十二万人、農林水産業で五十万人強等々、今お話がありました。

 これは、本当にそうなるといいなと思うんですね。なかなか役所の出している数字というのは、予想と実態というのが数年たってみるとかなり乖離がある、こういう部分がございまして、ここのところは、二十一世紀における日本の産業分野として観光というのを位置づけるのであれば、本当にしっかりとチェックをするというか、見続けていかなきゃいけない。結果的にできませんでしたとなると、冒頭に申し上げました、GDPが五百兆、しかも個人消費が減る可能性がある中で、これは大変な痛手となる。まさにここに、ある意味では突破口を切り開いていかなきゃいけないという状況だと思うんですね。

 そういうような状況の中にあって、観光の施策というのは、これは何も国交省だけじゃなくて各省庁もやっている。今まで国交省の中にあった各部局をしっかり統合しながら観光庁という形にして、各省庁との連携を密にしながら政府としてやっていこう、総合窓口を設ける、そういう考え方だろうと思うんですね。

 ただ、これも、マスコミというところはなかなか厳しいところで、ある雑誌には、観光庁をつくるということで逆に焼け太りをしていくんじゃないかだとか、そういった批判もあるわけです。もちろん、人員的な問題でいえば、スクラップ・アンド・ビルドをして観光庁の設置となるんですけれども、結果的には観光庁長官というポストが一つできる。結局、それが、どういう人を人選するかはこれから大臣の最終的な御判断だとは思うんですけれども、そういった中で、官僚の皆様方がそういうところで何か一つのポストを維持していくんだ、こういった批判もあるのは確かなんです。

 そういったことから考えますと、観光庁の設置は、各省庁をまとめ上げていく、連携をとっていく、本当に重要なものなんだということだとは思うんですけれども、そこら辺のところをどう実現しようとしているのか、お伺いしたいなと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 組織に加えて内実の充実を図れ、こういう御趣旨だと思っております。その一つとして、窓口機能の強化と申しましょうか、関係省庁との調整機能を強化することが必要だ、こういう御指摘と受けとめたところでございます。

 確かに、観光に関する施策につきましては、政府部内で大変多くの省庁がこれを担当しているところでございます。このために、政府の観光に関する窓口が少しわかりにくいという御指摘を地域の方々あるいは国民からいただいているところでございます。また、諸外国との関係でも、交渉や協議という面で少し不十分なところがあるというのが現状ではないか、このように認識しているところでございます。

 こうした観点から、今般、国土交通省にまさに観光という名前を冠した組織である観光庁を設置することといたしまして、これによりまして、どこが地域あるいは国民の皆様に対して政府の窓口になっているかということを明らかにできると思っております。これに加えまして、関係省庁との連携、調整機能を実質的に強化するということで、ぜひ地域、国民の皆様の御期待にこたえたい、このように考えているところでございます。

 また、長官という非常にわかりやすいポストができますので、これによりまして、外国政府との交渉、協議を効果的かつ円滑に行わせることが可能になるものと考えております。

 観光立国は地域活性化の目玉でありますので、観光庁の設置によりまして、各省庁をリードしながら観光立国の推進のため全力を尽くしたい、このように考えております。

高木(陽)委員 観光庁自体は私も大賛成なんですけれども、大体、行政がやるいろいろな観光の問題、どうしてもお上発想というか、民間から比べると、どうも何かかたい、なかなか柔軟性のない、そういう場面があると思うんですね。

 例えば、観光、ある意味では、旅行をする、移動をしていく、そのためにはやはり日数が必要になる、宿泊ということを考えた場合には一日じゃだめだ、二日、三日欲しいな。そうなると、やはり休日の問題もあると思うわけですね。日本というのはなかなか働き過ぎというふうに言われる中で、特に役所の皆さん方もよく働いておられると思うんですね。

 これも私が政務官時代だったんですけれども、ある省議で、ちょうど年末年始の前でありました。皆さん、年末年始の休みをとられるという。そのときに、局が十三局ありますから、局長級の方々が大体二十人ぐらいで省議をやっていました。私が質問したんですね、この年末年始の休みで旅行へ行く人というふうに。そうしたら、局長の方々はだれ一人いなかった。国土交通省という、観光の推進をしよう、ビジット・ジャパン・キャンペーンをやっているんだ、こういうような役所の中心的な、トップを占める方々が、まさに仕事に追われる中で観光のカの字もないわけですね。これが現実なんですよ。

 じゃ旅行に行けという話じゃないんですけれども、やはりそういった観点、これをやはり実感していないとわからないと思うんですね。それは、役所の皆さんがみんな旅行へ行っていいか、こういう話もあると思うんですが、まさに観光というのを国を挙げてやっていくんだ、そのためには休みもしっかりとれるようにしなきゃいけない、労働問題にもなるでしょう、そういったところも視点として僕は持っていただきたいと思うんです。

 ただ単に、観光庁として、宿泊施設の問題、交通の問題、それだけをやるんじゃなくて、どんどん広がってくると思うんですね。まさに観光に携わるというか、その当事者である一人一人の国民または訪日をする外国人、その人たちの立場に立って、何が必要なんだ、何が足りないんだ、こういう観点を観光庁として持っていかないと、ただ単に役所として、その行政組織が変わりましたね、システムは全く変わっていませんね、こういうふうになりがちだなということで、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そういった観点も踏まえていただいた上で、観光立国推進基本計画、これは二〇一〇年までに一千万人の訪日の外国人旅行者をふやす。順調に伸びている。特にことしは北京オリンピックもありまして、欧米からもかなり来る。これは冬柴大臣もいろいろと御尽力をいただいて、北京との直行もできる。こういうのをうまく利用しながら、ただ単に日本から北京オリンピックに行くんじゃなくて、北京オリンピックを見に来た人がそのまま日本に来る、こういうようなシステムもつくらなきゃいけない、まさにそういった、まずは日本に入ってくるシステム。

 もう一つは、来てからの交通移動機関。外国人の方が、例えば成田におり立ちました。どうやって東京まで行くか。遠いわけですね、これがまた。関空におり立ちました。そこからどうやって大阪、京都に行くのか。ガイドブックを手にいろいろと移動すると思うんですけれども、そういった観光案内の件も含めて、外国人の訪日観光客をふやしていくという観点からどうやってこれを拡充していくのか、その点について伺いたいと思います。

本保政府参考人 利用者、消費者の目線に立った行政システムを持て、こういう御指摘だったと思っておりますが、外国人のお客様の誘致に関しては、まことにそれは重要なポイントだと思っております。

 委員御指摘のとおり、どうしたら外国人が本当に旅行しやすい環境をつくっていくかということが非常に重要だということで、特に案内標識というところが重要でございますので、日本語、英語あるいは案内図の記号によります表示を基本といたします観光案内標識の指針を策定いたしまして、地方公共団体にこれの周知を図っております。また、外客来訪促進法に基づきまして、公共交通機関に対しましては、英語がベースでございますが、外国語による案内表示などの計画の策定を義務づけまして、その実施も促進をしております。

 特に、主要な空港等での案内などが非常に重要でありますので、これは実際に外国人の方に見ていただくのがいいということで、ひとり歩き点検隊と名づけておりますが、こういうグループを派遣いたしまして、状況を見ていただいて、改善策をいただいて、具体的な対応をする、こんなこともやっているところでございます。

 また、外国人観光客に対応可能な案内所でございますビジット・ジャパン案内所というのがございますが、これにつきましては、平成十八年度末時点の百五十五カ所から、平成二十二年度までに三百カ所に増加させる、こういう目標を立てまして、関係者と協力してその増加に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、観光立国の推進のため、二〇一〇年の一千万人という目標を目指しまして、外国人が旅行しやすい環境の整備ということで頑張ってまいりたいと思っております。

高木(陽)委員 そういう外国人訪日客のいわゆる拡充ですね、ふやしていくということに対する手当て、これはしっかりやってもらいたいと思うんです。

 例えばフランスなどはまさに観光立国で、フランスに訪れる外国人の方というのはフランスの人口より多い。日本で考えますと、一億二千万人以上の人が日本に来る、これは大変なことだと思うんですね。もしそこまで来れば、本当に観光産業だけで日本の国というのは成り立っていくんだろうな。一遍にはいかないまでも、逆にそれぐらいの意識を持つ。

 ただ、フランスの場合には、大陸で、国境が陸地でつながっている、鉄道でも道路でも自動車を使ってでも行ける。こういった利点はあるにしろ、やはりここのところは、観光庁を設置するのであれば、ただ単に二〇一〇年の一千万人でとどまることなく、その先をどうするんだということまでしっかりとビジョンを持ってやっていただきたいなと思います。

 もう一つ、観光立国の実現のために、観光分野の、ある意味ではソフトの部分ですね。

 どうしても、今までの観光というと、観光地をどう整備するか、まさにまちづくりなんです。これはこれで重要だと思うんです。ハードの部分というのはすぐ思いついて、道路をやります、バリアフリーにします、こういう発想でどんどんやっていく。交通網にしても、それをもっと便利にしましょう。

 ところが、やはり重要なのはソフトの部分、そのソフトを担う人ですね。この人材という観点で充実させなければいけないと考えるんですけれども、この人材、これは、新たにつくるということもありますし、今いる方々をどう活用していくのか、こういった点もあると思うんですが、この取り組みについてはどのようにお考えでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、長期にわたって観光立国の推進をしていく、こういう観点からは、人がその基盤になると思っております。したがいまして、さまざまな人材を育成し、またその活用を図っていくということがまことに重要だと思っております。

 そうした観点からは、特に大学を中心とする高等教育段階における観光関係の人材の育成というものが大事だと思っております。幸い、近年、大学などにおける観光関係の学部・学科の設置がふえておりまして、先ほども申し上げましたが、平成十九年度には三十三の大学に観光関連の学部・学科が設置されるというところまで来ております。

 その意味で、数あるいは量の方は相当充実がされてきておりますけれども、まだ教育内容とかカリキュラム、あるいは卒業後の進路、こういった面では課題を残している、こういうふうに認識をしておりまして、産業界など現場のニーズをよく踏まえた教育の充実というものが重要だと思っております。このため、観光関連の人材育成のための産学官の連携検討会議というものを持ちまして、こういうものを通じて、インターンシップに関する枠組みをつくるなどの施策を推進しているところでございます。

 また、先生からも御指摘がありましたように、育てるだけではなくて、今ある人材を活用するということも大変重要だと思っております。こうした観点から、観光振興を通じまして地域の活性化などに成功されたり貢献されている方々をリーダーとして活用し、観光立国を支える人の輪を広げていく、こういう取り組みもしているところでございます。

 このために、例えば、観光地づくりに実績を上げた方々を観光カリスマとして、また、訪日外国人観光客の誘致に成功されている方々につきましては、ようこそジャパン大使という形で、それぞれ任命をさせていただいております。また、地域の観光振興の牽引役となる方々につきましては、観光地域プロデューサーというものを設けまして、これに選定し、任命をさせていただいております。

 その活用の仕方でございますけれども、観光カリスマの方々については、直接講義を受ける機会をつくるということで、観光カリスマ塾というものを全国各地で開催しております。ようこそジャパン大使の方々についても、その活動を広める機会をつくるということで今努めているところでございます。また、観光地域プロデューサーにつきましては、これはまだスタートでありますので、モデル事業を展開するということで国が間に入りまして、人材が不足する地域に観光に関する知識経験を有する方々を派遣するということで、この方々に観光振興のための牽引役になっていただいている、こんな取り組みをしているところでございます。

高木(陽)委員 今、さまざまな形で人材の育成そして活用ということでお話をいただきました。

 今お話のありました観光カリスマですね、これもいろいろな方々を任命されてやっていると思うんですが、大分にある湯布院で有名な玉の湯の溝口さんですね、この人が観光カリスマになられて、私も行って、お話を伺ったことがあります。

 この溝口さんがお話しされていたのは、終戦直後からこの湯布院という町をつくり始めたと。その当時というか、江戸時代から明治維新以降も、別府の方はすごくメジャーなところで、結局、江戸時代に隠れキリシタンの里だったのだ、そういう部分では、いわゆるお上から全く無視をされ続けてきたところだ。そして、そういう歴史と伝統がある中で、昭和二十年以降、終戦後に、あそこで亀の井別荘の社長と二人でつくり始めた。例えば、竹を植え始めた。竹は一年、二年で育たなかった。これが三十年、四十年たったら見事な竹林になっている。自分たちで外国の、例えばドイツだとかに行って、連泊という考え方を取り入れてきた。それでリピーターをつくっていく。まさに、あそこの町というのは行政がタッチしなかった、行政がタッチしなかったから発展した、いわゆる見事な観光地となった、こういう視点なんですね。

 これはどういうことを意味しているかというと、本当にまちづくりもそうなんですが、一年、二年じゃそう簡単にいかないですよ。やはり十年、二十年、もっと言ったら三十年、五十年かけて、そうやって一つの流れというものをつくってきているんですよというお話だったと私はとらえました。

 本保審議官も観光のことでずっと今タッチをされているんですが、どうしても行政というのは、人事異動がありますから、観光をずっとやっている人というのは少ないんですね。旧運輸省の中にあって観光の分野に行った人もいるけれども、また次の人事異動では全く別の、自動車交通局に行っているだとか海事局に行っているだとか、それをまた生かして観光をやっていけばいいんでしょうけれども、なかなかそういう中長期でずっと見ている人がいないというのもこれは大きな問題があるかなと。では、その人はずっとそのままいろということじゃないんですけれども、その点も、大臣、戻ってこられましたから、人事のときには考えてもらいたいなということを一つ要望しておきたいと思います。

 さて、時間も限られてまいりました。あとわずかしかなくなったんですが、運輸安全委員会のことをちょっとお話を伺いたいと思います。

 これまで事故調査委員会、航空事故、鉄道事故ということで、今度は海難も加わって原因究明を行う、この改編の背景、意義、これはいろいろあると思うんですけれども、お伺いしたい。

 もう一つは、平成十八年、この委員会の附帯決議で体制の機能強化、こういうことがありましたね。今回の運輸安全委員会の設置で、具体的にどのような体制強化が図られるのか、この点を伺いたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸安全委員会への改編の背景につきまして御質問がございました。

 現行の海難審判庁におきましては、海難に係ります原因究明というものと、船員に対します責任追及というものの双方を行っておったところでございますが、船舶交通の安全の向上を図っていく、このためには、これらを分離いたしまして、事故の再発防止に向けた事故調査、原因究明機能の強化を図る、こういったことが実は国際的な大きな流れでございます。この夏にも国際海事機関、IMOにおきまして関係の条約が採択をされ、二〇一〇年の一月からは発効をするという状況になってございまして、いわば待ったなしの状況になってございました。既に先進海運国におきましては、このような体制が構築をされておるということでございます。

 一方で、航空・鉄道事故調査委員会につきましては、今委員御指摘いただきましたように、これまでの国会審議や附帯決議等におきまして、事故調査を迅速かつ適切に行うための調査体制の一層の充実ということが求められておったわけでございます。

 こういうことを踏まえまして、今般、海難審判庁と航空・鉄道事故調査委員会を改組いたしまして、海難、航空事故や鉄道事故を対象としまして、多様化、複雑化いたします事故の原因究明機能の高度化、あるいは原因関係者に対します勧告制度の創設といったことによりまして、事故再発防止機能の強化を図るということで、運輸安全委員会の設置をお願いいたしておるところでございます。

 これによりまして、意義といいますか、効果といいますか、陸海空におきます事故の要因に共通をいたしております知見、いわばヒューマンエラーでございましたり、金属疲労の問題、さらには気象、海象、こういった問題につきまして共有化、有効利用化が図られるということによりまして、背景要因まで含めた徹底した事故原因究明が図られていくものと期待をいたしてございます。

 あわせまして、運輸安全委員会の体制の強化でございますが、今般、航空・鉄道事故調査委員会との統合ということでございますので、事務局の職員が五十四名から百八十一名ということに拡充をさせていただきます。あわせまして、事故調査官の調査業務の後方支援を行うための専門の組織でございましたり、データの蓄積あるいは再発防止に寄与する情報の分析、提供等を行うための専門の組織、こういったものもつくらせていただくということで、大幅な事故調査体制の拡充強化が図られるものと期待をいたしておるところでございます。

高木(陽)委員 もう時間が参りましたが、大臣が戻ってきたので、通告はしていないので、これはちょっと意見として聞いていただきたいということで、お願い申し上げたいと思います。

 先ほどから各委員も、国交省設置法の質疑なんですけれども、道路の問題も触れられました。この道路の問題は、今、参議院の方でこれから審議がさらに深まっていくと思うんですが、この委員会で前も言ったんですけれども、どうしてもテレビでの発言というのが、結構イメージづくりをされてしまうというような中で、実は、日曜日に民主党の小沢代表がテレビの討論番組に出られて、いろいろと発言されております。

 その中で、例えばこういうのがあるんですね。NHKの「日曜討論」、これはテープを起こしてみました。外国と比較しますと、日本はイギリスとフランスの道路密度の倍です、アメリカと比較すると三・五倍です、だから日本の道路はかなりできているんです、こういう話がありました。

 これを聞いていたキャスターの方は、それについてはさらっと行っちゃったから、多くの視聴者の方は、道路密度は日本の方が稠密にできているのでもう要らないんじゃないかというイメージがある。

 この委員会でも質問させていただいたのは、これは国交省の外郭団体でもある道路協会が出した数字をベースにして、そういうのは違いますよというのがあって、これは大臣が、そういったことをちゃんとさせていきますと。つまり、日本の場合には国道そして県道、市町村道まで入れた数字です、欧米の場合は国道だけなので、密度からいうと日本の方が濃くなる、こういうのは当たり前ですね、こういう話だったんです。

 もちろん、ここでの委員会の審議について小沢代表が全部細かくチェックをしているわけではないので、こういうことをテレビで言ってしまわれたと思うんですけれども、この点、やはり数字の部分というのは、今後もしっかりと国交省、また指導していただく中で出していただきたいなと思います。

 もう一つは、これはキャスターの方が、暫定税率がなくなると必要な道路整備ができなくなるということではないんでしょうかと質問すると、小沢代表が言うには、それは全然違いますと。年度が新しくなったので、今までのあり方を前提で予算を組んでしまっているので、ここは何とかしてくれとなります。暫定税率のうち九千億円が地方に行くと言われている。三千億円が市町村、六千億円は都道府県。だから、市町村に行く三千億円を手当てしてあげれば事実上大丈夫。道路特会には資産で七兆円、現金で一兆円近い金がある、一般会計でも一兆円以上繰越金が残っている。ですから、そこの分から三千億円市町村の財源に充てれば済む話というふうに、結構乱暴な話かなと私は聞いていて思いました。

 というのは、二兆六千億円が、このまま暫定税率が下がったままいきますと、なくなってしまう。その中で、九千億円は地方税ですから、これはこれで手当てしなきゃいけない。これについては直轄負担金を減らせばいいという民主党の主張でありますけれども、一方で、臨時交付金として交付している金、これが七千億円あります。これについては触れていないわけですね。要は、二兆六千億円なくなった大もとの、その歳入欠陥については言われていないわけです、地方に迷惑をかけないという話だけで。

 だから、ここら辺のところも、これは参議院でこれから法案の審議、または税制の審議等をやられる中でまた出てくると思いますので、ここは国交省として、また大臣として、明確に数字を挙げながら答弁をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

竹本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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