衆議院

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第10号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君

   理事 西銘恒三郎君 理事 望月 義夫君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    島村 宜伸君

      菅原 一秀君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    谷  公一君

      徳田  毅君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    原田 憲治君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      若宮 健嗣君    石川 知裕君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    三日月大造君

      森本 哲生君    鷲尾英一郎君

      赤羽 一嘉君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 深草 雅利君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 御園慎一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道上 浩也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房運輸安全政策審議官)     福本 秀爾君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            辻原 俊博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     石田 真敏君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     林  幹雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国土交通省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、大臣官房運輸安全政策審議官福本秀爾君、総合政策局長榊正剛君、国土計画局長辻原俊博君、道路局長宮田年耕君、自動車交通局長本田勝君、警察庁長官官房審議官深草雅利君、総務省大臣官房審議官御園慎一郎君、財務省主計局次長香川俊介君及び農林水産省大臣官房審議官道上浩也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤池誠章君。

赤池委員 おはようございます。自由民主党の赤池誠章です。

 本日は、前回に引き続きまして、国土交通省設置法等の改正案について質問をさせていただきたいと思います。

 人類の発展の要因を考えたときに、私は、その根幹は移動、交流にあると思っております。

 日本でも、かつては、ある場所で生まれ、育ち、働き、結婚し、そして子供を産み、独立させ、老いて亡くなっていくという人の一生を考えたときに、ほとんど同じ場所で終わっておりました。当然、物の移動も限定されたものでした。

 しかし、近世、近代以降、人の移動、交流は基本的に自由となり、技術革新によって陸海空の交通網が順次発達をし、市町村、都道府県、そしてさらに国を越えて人と物が移動する、交流する、それによって経済が発展をして、文化交流が進んでまいりました。その移動速度や頻度、また大型化が現在加速度的に進んでおります。私たちは、その利益を大いに享受している反面、残念ながら、人がけがをしたり亡くなったりするという事故、こういう事故はないにこしたことはないわけでありますが、絶対なくならない、またいつ起こるかわからない事故というものと私たちは一生つき合わざるを得ないという状況であります。

 そこで質問ですが、近年、鉄道、船舶、航空事故は、人間的な要因によるヒューマンエラー、金属または気象など、本当に原因が多様化して複雑化しております。だからこそ原因究明機能の強化が求められているわけでありますが、今回、運輸安全委員会が設置をされるということは、大変重要で、意義のあることではないかと思っております。

 特に、今回、事故の再発防止強化の観点から、原因関係者への勧告という新たなる規定が盛り込まれました。この規定の趣旨はどのようなものか、見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 原因関係者への勧告規定の意義についてのお尋ねでございますが、新たに設置いたします運輸安全委員会におきましては、事故の原因関係者に対しまして事故の再発防止の徹底を図るために必要な勧告を直接行う、さらに、当該勧告に基づいて原因関係者が実施をいたしました再発防止策の内容あるいはその実施状況といったようなことにつきまして報告を求めることといたしておるところでございます。

 委員御案内のとおり、現行の航空・鉄道事故調査委員会は国家行政組織法第八条の委員会でございまして、再発防止のために講ずべき施策を促すための勧告の対象につきましては、現在は国土交通大臣のみに限られておるということでございます。

 しかしながら、事故の再発防止の徹底を図り、改善措置を強く促すためには、やはり原因究明を行った機関そのものが直接に原因関係者に対しまして勧告を行うことが適切であると考えておるところでございます。

 さらに、勧告に基づいて講じました措置につきましての報告徴収を求めることも可能とするということで、事故の再発防止のためのフォローアップが適切に図れる仕組みが取り入れられました。

 これによりまして、公共交通の安全の確保が一層図れることとなると承知をいたしておるところでございます。

赤池委員 具体的に言えば、JR西日本の福知山線の事故など、JR西日本の日勤教育みたいなものが問題になったわけでありますが、運輸安全委員会ができれば、JR西日本に直接日勤教育を是正勧告し、そして報告を求めることによって、具体的な形で変わったというところまで今後運輸安全委員会でチェックができるということでよろしいんでしょうか。

福本政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年に起こりました福知山の事故、委員御指摘いただきましたが、今般法律改正ができました暁には、委員御指摘のとおり、原因関係者そのもの、端的に申し上げればJR西日本に対しまして必要な勧告が行えるということとなると承知をいたしております。

赤池委員 事故は本当にあってはならないわけでありますが、これもまたなくならない状況の中で、今回の運輸安全委員会の設置によって、限りなくゼロにしていくために引き続き御努力をお願いしたいと思います。

 続きまして、陸海空の事故の原因究明機能の強化、高度化のためには、事故調査官の知識、技能の向上、スキルアップが絶対不可欠だと思っております。今回、国家行政組織法の三条機関として職員の任免権を持つ運輸安全委員会というのは、どのような事故調査官の人材育成を行うつもりでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 事故調査官のスキルアップについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、大変多様化、複雑化いたしております事故の原因究明の高度化というものを図ってまいりますためには、事故調査官そのもののスキルアップということが極めて重要であると考えておるところでございます。

 このため、現行の航空・鉄道事故調査委員会におきましても、シミュレーターを使用いたしまして航空機の操縦研修あるいは各種解析機器の取り扱い等の研修を実施いたしておりますし、さらに、外国の大学の事故専門コースや海外の事故調査機関の研修、こういったものを積極的に受講させるなど、スキルアップに努めておるところでございます。

 新たな運輸安全委員会は、国家行政組織法三条に基づく委員会ということでございますので、職員の任免等の人事権を持ちまして、より主体的に専門的な人材の確保、育成といったようなことができることとなっておるところでございます。

 これを受けまして、私ども、運輸安全委員会におきましては、外国の事故調査機関における専門家の育成方法等も参考としながら、職員の任用からその後の育成に至りますまで計画的かつ長期的な研修プログラムの充実、こういったことに努めてまいる所存でございます。

赤池委員 ぜひ三条機関として、非常に独立性が高いわけでありますから、採用段階から優秀な人材を採って、長期にわたる専門的な育成に力を注いでいただきたいと思います。

 私は以前、福島県の白河市にあるJR東日本の総合研修センターを視察いたしました。年間一万八千人のJRの方々が安全教育を初め教育研修を受けております。その施設の中には、事故の歴史展示館というのがございます。実際に鉄道事故のパネル写真や現物が置かれて、社員の方々の研修に使われております。また、JAL、日本航空では、羽田空港に安全啓発センターというものもございます。ここも、私、視察させていただきましたが、御承知のとおり、昭和六十年、あの御巣鷹山に墜落をしたJALの一二三便、ジャンボジェット事故機の現物を展示してあるわけでございます。

 両方を見て私も痛切に感じたわけでありますが、事故機材の現物というものが、事故の再発防止、安全がいかに大事かということを本当に雄弁に語っておりました。そこで研修した社員の方々は、私たちは物を扱っているんじゃないんだ、人の命を預かっているんだという自覚が促されて、安全教育に多大な効果が出ているということも聞きました。

 これは要望なんですが、運輸の安全確保、国土交通、そして今回運輸安全委員会ができるわけですから、陸海空の事故の再発防止、安全啓発のために、JR東日本であったり日本航空という運輸事業者に任せるだけではなくて、すべての事業者また国民が事故の現物機材を直接学ぶことができる総合的な展示施設というのも整備すべきではないかと考えております。非常に厳しい財政難なんですが、事故の総合的なコストを考えれば、未然に防止できる事故の博物館のような施設整備の効果は高いと考えます。ぜひ国土交通省として御検討いただきたいと思います。

 次に、観光立国の実現に向けた観光庁の新設について質問をさせていただきたいと思います。

 私たちが生き生きと暮らすためには、働くという日常生活だけではなくて、そこから一歩離れた年中行事とか通過儀礼、いわゆる非日常的な時間と空間というものが両方大事だと言われております。そういう面では、観光というのは私たち人間にとって非日常的な空間と時間を体感できる必要不可欠なものではないかと思っております。観光は総合産業でもありますし、住んでよし、訪れてよしという地域づくりでもありますし、観光のもてなしの心というものが教育や福祉にもつながるものではないかと思っております。

 日本はかつて観光大国でありました。江戸時代、鎖国のもとで内需拡大、そして公共事業に力を入れることによって、当時世界で一番進んだ観光大国だと言われておりました。例えば、街道、宿場、本陣、旅籠、門前町、宿坊そして色町などが整備されて、当時移動が制限されていた庶民であっても、いわゆる社寺参拝は例外としてできました。人々は、お伊勢参りであったり、四国八十八カ所めぐり、湯治、花見、花火などを通じて体と心の安らぎそして楽しみを得ていたということであります。それによって各地で特産物やお土産、名物料理ができて、地場産業が発達をして、今日以上の先進的な観光産業が発達したということであります。

 しかし、明治時代になると、御承知のとおり富国強兵、殖産興業のために勤勉と貯蓄が美徳とされて、観光の位置づけは相対的に低くなりました。戦後は高度経済成長の中でレジャーの大衆化、国内観光が盛んとなりまして、八〇年代からは日本人の海外旅行というものが急激に拡大をしたわけであります。

 以上見てまいりますと、近代の日本の政治と行政というのは長らく日常生活中心でありまして、観光という非日常的な分野は、政策の柱、中心にはなり得なかったのかなというふうに感じております。そんな中で、観光政策の重要性をいち早く見抜き、日本の将来にとって科学技術とともに観光というものが国家ビジョンとして大事だということを昭和二十七年におっしゃった方がいらっしゃいます。

 それは、経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんであります。昭和二十七年の論文に、観光省と観光大臣の設置というのを既に提言したわけであります。私自身も松下政経塾で松下幸之助氏から直接教えをいただいた一人として、今回観光庁が設置されるというのは非常に意義があり、感慨深いものがあります。観光は、小泉、安倍、福田内閣と、日本の国家政策の柱になり、今後ますますその重要性が高くなるものと信じております。政策遂行のために今回観光庁ができるということを高く評価するものであります。

 そこで、観光庁が国土交通省に設置をされると、現行の国土交通大臣と新設される観光庁長官の関係は一体どのような形になっているのか、見解をお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁は国土交通省に設置される外局になりますので、観光庁長官は国土交通大臣の指揮監督のもとで観光に関する事務全般を統括する、こういう立場になります。そういう枠組みの中で、現在の国土交通大臣の権限につきましては、その一部が観光庁長官に属することになります。具体的には、通訳案内士法とか旅行業法等にかかわる権限ということになります。

 これらを含めまして、観光に関する重要な事項につきましては、観光庁長官から国土交通大臣に報告をし、その指示を受ける、こういう形になりますので、大臣と長官が一体となって観光立国の実現に向けて仕事をしていく、こういうことになるものと理解をしております。

赤池委員 観光は国際観光、国内観光という形であるわけですから、今まで世界各国の政府観光局、観光の代表と会っていたときは、現行であれば国土交通大臣がトップということでありますけれども、今後観光庁長官ができれば、観光分野の政府の対外的な窓口、トップ同士の話し合いになれば観光庁長官が当たるということでよろしいんでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には今議員指摘のとおりのことになると思っておりますが、例えば相手によりましては、大国の観光大臣などが訪れるケースもあると思いますので、ケース・バイ・ケースで判断をしてやっていきたいと思っておりますが、少なくとも、両輪で対応できるという意味では国際関係は今以上に円滑にできる、こういうふうに考えております。

赤池委員 そういう面では観光分野のトップに新たなる顔ができるということでありますので、ぜひ適切な役割分担のもとで観光振興に力を注いでいただきたいと思います。

 続きまして、観光にとっていろいろ重要なポイントがある中で、私自身考えるのは、何といっても宿泊機能の強化ではないかと思っております。

 滞在型観光の振興という部分なんですが、全国各地には温泉郷がございます。私の地元にも、甲府湯村温泉、それから塩山温泉、そして有名な石和と春日居温泉があるわけでありますが、それぞれの旅館、ホテルの方々のお話を聞くと、非常に経営が厳しいということであります。昨年、NHKの大河ドラマ「風林火山」で多くの方に山梨に訪れていただいたにもかかわらず、宿泊は信州だとか、日帰りだとかという形の中で、地域間競争、また温泉郷の中でも勝ち組負け組ではありませんけれども、なかなか苦労をしているわけであります。

 そんな中で、今後の観光振興の中ではやはり宿泊を、どう経営基盤の強化をしていくかということが大事だと思っております。今回の観光庁新設を受けましてどのような取り組みをしていくのか、見解をお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、滞在型の観光は非常に重要だと思っておりまして、そのためには、宿泊拠点である旅館がよいサービス、品質の高いサービスを提供していくことが重要だと思っております。そうしていくためには、やはり経営基盤が充実していなければ困難でありますので、経営基盤を強化していく必要があるわけでございますが、経営基盤の強化は基本的には経営責任のもとでやられるべきことだ、こういうふうに考えております。

 ただ一方で、旅館などの中小企業をめぐる融資環境というのは厳しいものがある、こういうふうに認識をしております。このため、現在でも中小企業金融公庫の融資制度などがあるところでございますが、今回、国会に提出させていただいております観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案に基づきまして、宿泊施設の設備投資に対して、これまで以上に有利な融資ができる仕組みをつくる、こういうことで取り組みをしているところでございます。

 また、宿泊と食事を分離します泊食分離などの宿泊産業の生産性の向上も必要ということで、そういう面での取り組みもしているところでございます。

赤池委員 当然、旅館、ホテルは民業でありますから、政府がどの程度支援をするかというのは難しい部分がある反面、旅館、ホテルというのは装置産業ということでありまして、多大な投資と、それから、一度つくった施設というのは簡単に直せない、つぶせないという問題もございまして、非常に長期的な投資を強いられるという側面もございます。今後、観光圏整備法の審議をこの場でもなされると思いますが、宿泊施設の機能強化こそが観光振興の柱であるという視点の中で、引き続き政策の充実をぜひお願いしたいと思います。

 そして、その一方で、ハード以外にソフトの面ということで、観光というのは人対人の比率が高いわけでありまして、人材育成というのもまた観光振興の重要なポイントではないかと思っております。国土交通省として、現行も観光人材育成のために産学官の連携によって取り組んでいるということを聞いております。しかし、ともすると、大学中心という形になっているのではないかと感じております。

 観光関係は、現在、旅行や通訳などの養成で全国に八十二校、学生数でいえば一万四千人以上の方が専門学校で学んでいるわけであります。そういう面では、観光人材育成に当たっては、長年多くの人材を輩出して実績のある専門学校も含めて、幅広い連携に取り組むべきだと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、観光は人対人の関係がございますし、長期的な発展を図っていくという意味でも人材育成が非常に重要だと思っております。そのために幅広い人材育成の措置を講じております。特に、高等教育機関での人材育成の充実が必要だということで、現在、大学関係では数も量も大変ふえてきているんですが、まだ内容的に不十分なところがある。具体的には、教育内容やカリキュラム、あるいは卒業後の進路に課題を残している。

 こういう観点から、先ほど御指摘がございましたように、産学官一体となってこの辺の改革が進められるようにということで、十九年一月から観光関係の人材育成のための産学官連携検討会議を開催してきているところでございます。

 そうした中で、専門学校につきましては、御指摘のとおりこれまで大変重要な役割を果たしてきておりますし、また、今後もそういう機能を期待しなければいけない、こういうふうに思っているところでございますが、今後どんな取り組みが適切なのかということを含めまして検討してまいりたいと思っております。

赤池委員 ぜひ専門学校も高等教育機関として位置づけていただいて、産学官連携の中で議論を、そして人材育成の強化を図っていただきたいと思います。

 最後に、冬柴国土交通大臣がいらっしゃっておりますので、観光庁設立に当たりまして、観光政策の目玉、観光政策強化の決意を含めてお伺いをしたいと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

冬柴国務大臣 ありがとうございます。

 五つの目玉がございますけれども、その中身におきましても、訪日外国人の旅行者、この方々が本当に満足をして、そして我が国の宿泊施設等に不便なく連泊をしていただく、そういうようなことが図られなければならないと思っております。そのために、今国会にも提案をいたしておりますが、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案、このようなものをぜひ御成立いただきまして、このような法律に基づきまして、観光客が安心して、そしてまた連泊をしていただけるような、そういうことを目指していきたいと思います。

 また、国際観光の振興、魅力ある観光地づくりというものも、観光カリスマというような人材も育成しながら、日本にはたくさんの観光資源がありますから、そういうものの魅力を内外に発信していきたい、このように思っております。

赤池委員 大臣、ありがとうございます。国内観光の強化、人材育成ということで、引き続きお力を尽くしていただきたいと思います。

 私、観光庁設立に当たって重要なポイントがもう一つあるのかなと思っておりまして、それは観光庁長官の人事だと思っております。観光というのは……

竹本委員長 時間が終わっておりますので、手短に。

赤池委員 はい、一言で終わらせていただきます。そういう面では、ぜひ内閣の顔、観光庁長官の人事にはすばらしい方を内外から選んでいただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

竹本委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは三十分の中で、最初に若干道路財源のこと、その次に国土交通省の組織と予算のこと、最後に時間がございましたら観光のことについてお伺いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。もしかすると観光のところは時間がなくて途切れるかもしれませんけれども、その場合は御容赦いただきたく思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、きょうは総務省から政府参考人にお越しいただいているんですが、お手元に配りました資料、ちょっと番号が振ってなくて大変恐縮なんですが、五枚目をごらんいただきたいと思います。五枚目に、三月三十一日に総務大臣が発表した談話のペーパーがございます。この五枚目をさらにもう一枚めくっていただきまして、六枚目の五の3、各地方団体の財政運営に支障が生じないよう国の責任において適切な財源措置を講ずる必要があります。具体的な対策については検討いたしますというようなことで、今回のこの道路特定財源にかかわる暫定税率のことに対して総務大臣がこういう談話を発表しているんですが、総務省からお越しいただいた政府参考人、このとおり、今後検討するということでよろしいんでしょうか。

御園政府参考人 今の御質問でございますけれども、三月三十一日の総務大臣談話において述べておりますとおり、暫定税率の失効に伴う地方の減収については、地方団体の財政運営に支障が生じないように、国の責任において適切な財源措置を講じる、これはもう基本的にこのとおりでございまして、そこにも書いてあるとおりでございますけれども、具体的な対策につきましては、暫定税率の失効による影響額だとか、それから補助・直轄事業の取り扱いがどうなるか、こういうものを見きわめる必要がありますので、そういうものを見きわめながら今後財務省とも相談して検討してまいる、そのとおりでございます。また、その際には、地方の御意見を十分聞きながら検討してまいりたいと思っております。

逢坂委員 今、総務省からそういう発言がございました。そして、お渡ししました資料をもう一枚おめくりいただきますと、今度は自民党と公明党、要するに与党から三月三十一日に、「地方自治を預る皆様へ」というようなことが発表されております。それで、さらにもう一枚おめくりいただいて、最後のページでございますが、八枚目の真ん中ほどに2というのがございまして、地方財政の歳入欠陥分については国の責任において措置することを明確にしたいと思いますというようなことが与党からも発表されているわけでございます。そしてまた、私ども民主党もかねてより繰り返しさまざまな手法を通じて地方の財源を確保するというようなことを、そういう方針を打ち出しているわけですね。

 したがいまして、今、暫定税率についてはさまざまな議論があるわけでございますけれども、自治体の財源に関しては、政府もしっかり確保したい、与党の皆さんも確保したい。かつまた我々民主党も、いろいろな手法はあるけれどもその方向でやるんだという話になっているわけでございまして、さらにまた地方団体からも地方の財源を確保してくれというようなことが声高に叫ばれているわけでございます。

 したがいまして、この政策決定の多くのステークホルダーが地方財源は確保するんだということを言われているわけですので、私自身は、どんな結果になろうとも、国の意思として地方の財源は確保するんだということは確認をされているような気がするわけですが、大臣、この点いかがでしょうか。まず地方の財源に関していかがでしょうか。

冬柴国務大臣 そのような方針で進めたいんですけれども、現実には、税収が、国においては一日四十億円とか、地方では二十億円というものが、欠陥が生じております。したがいまして、地方におきましては、四十七都道府県すべてとは申しませんが、そのうちの三十六団体が工事の発注等について制限的に動いているということは事実でございます。

 我々としましては、できるだけ少なくするために、当初予算の中では、道路の保守整備とか、あるいは今までの仕掛かりの工事がずっとあるわけでございまして、それには支払い約束がありますから、これについては今までどおりきちっと履行期には支払いをいたします。あるいは、緊急にしなければならない、出水期を迎えて、橋の橋梁等は先につくっておかないと、その期を迎えますとできなくなってしまいます。そういうものについては、当初予算の中でもいたしましたけれども、なかなかそれ以外のことについては、現時点では、いつまでこのような状況が続くのか、それについて将来どうなるのかということがはっきりとしない現状においては、それ以上の措置をとることはできない状況にあります。

 したがいまして、私は、地方の道路整備等についても順調に運ばれるように、現在提案している法律が一日も早く成立できるように、それを願い、また努力をしているところでございます。

逢坂委員 大臣には大臣の考え方があり、あるいはまた民主党には民主党の考え方がある。手法の違いはそれぞれあれども、最終的には地方財源をしっかり確保したいという点においては一致をしているのだというふうに私は認識をするところであります。

 そこで、道路局長にもお越しいただいておりますのでお伺いしたいんですけれども、今大臣からも若干話がありましたが、現在、いわゆる暫定税率問題で道路関係予算というのはどう扱われているのか。何か報道を見ていると、あたかも全部ストップするかのごとくに言われているようなところもある。あるいは、今の大臣のお話のように、部分的に何か予算が執行できるのかというような話もあるわけですが、現在の状況について簡潔にお知らせください。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣が答弁申し上げましたように、大きくは三つでございます。一つは維持管理、それからもう一つは支払いを約束している義務的経費、それから緊急を要する事業への対応ということでトータル五千六億、先生の資料にも出ておりますが、そういうもので執行をしております。

 さらに申し上げますと、余り威張った顔で言えないんですが、繰り越しの事業は動いておりますので、そういう意味では全体の二〇%ぐらいはとまっているかな、直轄で申し上げますとそういう感じでございます。

逢坂委員 宮田局長、正直にいろいろ話していただきましてありがとうございます。

 それでは、もう一点お伺いしたいんですけれども、今宮田局長からお話しいただいたのは、私が出しました資料の二枚目でございます。四月一日に「平成二十年度道路関係予算の当初配分について」ということで、全体道路事業費四兆二千億のうち約五千億、一二%程度を当初配分しているわけですが、この当初配分の原案というのはどこがおつくりになるんでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体と御相談申し上げながら、国土交通省で案をつくりまして、工事実施計画を財務省に出して、そこで承認をいただく、そういう手続でございます。

逢坂委員 そこで、今回、いわゆる道路財源の特例法というのが通過をしていない、歳入関連法案は通過していないということでありますけれども、今回のようなこういう、要するに予算の執行ですね、四兆の道路関係の予算があって、五千億当初配分をしたというような執行がやれるというのは、これは私の不勉強かもしれないんですけれども、きょうは財務省にもお越しいただいておりますので確認をしたいんです。

 お手元の資料の四枚目をごらんいただきたいんですが、これは特別会計に関する法律を抜き書きしたものでございます。

 特別会計に関する法律の抜き書きの中で、二百一条に「道路整備勘定における歳入及び歳出は、次のとおりとする。」ということで、歳入に関しては「一般会計からの繰入金」、歳出に関しては「道路整備事業、」云々と書いてありまして「に要する費用」と。それからさらに、二百三条に「一般会計からの繰入対象経費」ということで「道路整備勘定における一般会計からの繰入対象経費は、道路整備事業に要する費用で国が負担するものとする。」というふうになっているわけですが、今回、要するに、道路財源特例法が通らなくても今回のような措置ができるのは、ここに根拠があるというふうに思ってよろしいでしょうか。財務省の政府参考人、いかがですか。

香川政府参考人 そのとおりでございます。

逢坂委員 大変簡潔にお答えいただきましてありがとうございます。

 そこで、道路局長にお伺いをしたいんですけれども、またこの資料の二枚目、四月一日に国土交通省が発表した内容でございますけれども、例年のように年度当初から全体の予算の配分、執行が難しいということで、国民生活の安全、安心の確保を図るとともに、地域経済に無用な混乱を生じさせない、そういうことを目的にして今回この予算を配分したということであります。

 道路局長にお伺いしたいんですけれども、このことによって現時点で、先ほども今年度分は大体一二%ぐらい、繰り越しを含めると二〇%ぐらいの予算が配分されているというような話でございましたけれども、地域に当初意図したとおりの効果が出ているかというような点については、道路局長、いかがお考えでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時交付金が財源特例法に根拠を持っておりますので、この配分は県に対する一括配分でございます、箇所づけの方は県がされる。この約七千億が全く執行できていないというのが大きいかと思います。都道府県道、市町村道でいいますと、国から補助金それから交付金のうちの七割がこの臨時交付金でやってございます。

 これは総務省の方の調べでございますが、四十七都道府県の対応を調査されましたところ、四分の三に当たる三十六道府県において道路事業予算の執行を保留されている。それから、うち十一府県は道路関係事業以外の事業まで影響が及んでいること、四月一日現在でございますが、そういうふうに調査はなっております。

 この状態が仮に続きましたら、建設業におきましても、施工中の工事の変更協議、こういうものが円滑に進まない、そういうことによって工期に支障が出るということもありますし、受注見通し等の経営計画の策定にも影響を及ぼす、そういう懸念の声も既に業界団体の方から出ております。

逢坂委員 今、主に臨時交付金に関する部分についての話がございましたけれども、それ以外については、地域経済などについて、現時点では余りないというふうに理解ができるのかどうか、その辺は答弁ございませんでしたけれども、懸念があるということでありまして、将来に対しての思いだというふうに感ずるわけです。

 ぜひ私は皆さんに御理解をいただきたいと思うのですが、今私がるる話をしましたとおり、道路特定財源法、いわゆる今可決されていないあの法案がない状態でも、実は、特別会計に関する法律の中で、国土交通省のある種の裁量によって、裁量というのは、予算の配分案をつくるのは国土交通省でありますから、ある種やれる部分が大きいわけですね。

 そういう意味でいいますと、国土交通省としては、立法府のさまざまな議論はともかくとして、やはり、国民生活に支障のない、中立的な、ある種公平な対応をしていくということが大事なんだろうというふうに私は思っています。お聞きしますと、この四兆のうちの、今回、五千億の当初配分というのは、大体五十日分というふうに何かおっしゃっているようでありますけれども、ぜひこの点において、今後も現行法制の中でやれることについてはしっかりとやっていくということがやはり大事なのではないかというふうに思うわけでありまして、いたずらに混乱をあおるというようなことがあってはならないのではないかと思うわけです。

 資料の三枚目をごらんください。資料の三枚目は、これは読売新聞の宮城版、読売オンラインから引っ張ったものでございます。これを見ますと、「国交省整備局が開店休業状態」という見出しなんですね。これはどう見ても、今の話を聞くと、四兆円のうちの二〇%ぐらいが配分されている中で、こういうことはあり得ないわけであります。

 だれがどういうことでこの記事を書いたのか、私はその詳細は全くわかりませんけれども、こういう実態ではないのだということもやはりきちんと国土交通省としてアナウンスをする必要がある。懸念があるということもそれは確かにそうだけれども、懸念だけをアナウンスするというのは、決してよろしいことではないのではないか。

 逆に、こうした開店休業状態なんということになると、それでは整備局の職員にただ給料を払っているのかということになるわけでございますので、こういうところについては、そうじゃないんだということもあわせてやはり言っていくことが大事かなと思っているところです。これについては、また後で若干議論をしたいと思います。

 さてそこで、別の視点からちょっとお話をお伺いしたいんですけれども、社会インフラ、社会基盤の中にはさまざまなものがあります。道路もそうです、港湾、空港、公園、河川なんかもそういうものの一つに入るかもしれませんけれども、こういった社会基盤を国土交通省の組織の中で総合的に計画し、調整する組織や機能というものはお持ちになっておられますでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 私、総合政策局というところで仕事をいたしておりますが、実は、国土交通省組織令三十八条二号というのがございます。そこで政策課の所掌事務といたしまして、国土交通省の所掌事務に係る社会資本整備に関する基本的な政策の企画立案並びに当該政策を実施するために必要な国土交通省の所掌事務の総括に関することと規定されておりまして、私がおります局の政策課でこういう仕事をさせていただきます。

 これに基づきまして、実は、平成十五年に社会資本整備重点計画法というのをつくらせていただきまして、十九年まで五カ年でございますけれども第一次の社会資本整備重点計画というのをつくらせていただいております。それは、道路事業を含めまして九つの事業分野別の計画を一元化いたしまして、各目標といいますか指標をつくりまして、達成に努力をしておるというところでございます。

 それと同時に、いろいろな事業が連携することによって一層の効果が発揮できるようにということで、例えば、空港、港湾と都市とのアクセスをよくするような道路の事業といったような事業間連携の強化も図っているところでございます。

逢坂委員 そういう組織があって、社会インフラの整備が総合的な観点で行われているのであろうというふうに思うわけですが、せっかくそういう組織があるのでしょうが、私が提出した資料の一枚目をごらんいただきたいんです。行ったり来たりして大変恐縮でございます。

 国土交通省予算における公共事業関係予算の分野別シェアでございます。平成十六年から二十年まで並べてみました。治水から始まりまして災害復旧までございますけれども、これは多く言われているところでございますが、このシェアにはほとんど変化がない。治水であれば一六%程度でずっと毎年いく、道路であれば二九%、二八%ということでずっと進んでいく、港湾であれば九%というようなことで進んでいくということで、インフラというのは、常に、いつの時代も同じ分野のものが同じ割合で必要だというものではないというふうに思うわけですね。時には道路に力を入れなきゃいけないという時代があるかもしれないし、時には港湾だろう、空港だろうという時代があるかもしれない。

 せっかく総合政策局というようなところがありながら、実は全く機能していないというふうに言うつもりはありませんけれども、歳出予算のシェアを見るとそういう仕組みにはなっていないのではないか、予算の硬直化があるのではないか、あらかじめ確保した予算というのをそのまま使っていくという仕組みが、そういう慣習が役所の中にあるのではないかということを私は指摘したいのですね。せっかく組織があっても、それが有機的に機能していないということであります。

 この点については大臣、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 公共事業関係予算の分野別シェアは、事業の実施には時間を要するということから、委員が出されました五年間という比較的短い期間を見れば大きく変動していないことはこの数字を見ても明らかなとおりです。ところが、長期的に見れば、時代の変化や国民のニーズの変化を反映しまして大きく変動しているということがわかると思います。

 例えば、平成二年度の予算と平成二十年度の予算を比較すれば、住宅都市環境整備というものは、この表では二十年度は三一・一%と書かれておりますが、平成二年度では一六・二%にしかすぎませんでした。すなわち、ほぼ倍にふえているわけでございます。それから、事業規模は小さいけれども空港シェアというもの、これは一・五倍になっておりますし、問題の道路でございます、道路は二十年度では二八・一%ですが、平成二年度では三八・七%を占めておりました。

 したがいまして、そのようにスパンを広くとれば、そこにはその時代を映した顕著な変化があるわけでございまして、今後とも、地域の自立、活性化とかあるいは国際物流ネットワークの構築というようなことが、我が国の成長力の強化、防災、減災ということにつながるわけでございますので、真に必要な公共投資を選別し、めり張りをつけた予算配分をしてまいりたい、また、そうなければならない、このように思っております。

逢坂委員 今の大臣の答弁は、数字上を見れば確かにそういうことなのは私も理解をしているんですが、平成十二年に省庁再編というのがございまして、そのときに枠組みが大きく変わっておりますので、平成二年と今の予算を比較する意味はほとんどないわけであります。省庁再編がありましたからシェアは変わらざるを得ないんですね。だから、比べるのであるならば、やはり省庁再編後で比べなければいけないということは、大臣、御理解をいただきたいと思います。

 ただし、予算というのはやはり社会の必要に応じて柔軟に変化していかなければいけないということが私の主張でありまして、その点においては大臣と同じ考えだと思いますので、そのためにも、私は、道路だけ財源を囲い込むとかそういうようなことをしておくことはよろしくないのではないかというふうにも思っているわけでございます。

 きょう財務省からまたお越しいただきました。財務省にちょっとお伺いしたいんですけれども、今の日本の予算、一般会計から特別会計までございますけれども、これの総額、純計ベース、すなわち、会計間のお金のやりとりがありますから、それを単純に足したのではなくて、それを差し引きした純計ベースで予算の総額というのは幾らになりますでしょうか。

香川政府参考人 平成二十年度予算の一般会計と特別会計の純計額は、二百十二・六兆円でございます。

逢坂委員 済みません。ちょっと大臣が中座されると聞いていたものですから、大変恐縮でございます。

 それで、今、私ども、この道路財源の話をするときに、常に、二・六兆財源が足りないではないかというようなこと、予算に穴があくというようなことは言われるわけでありますけれども、今、財務省に確認をいたしましたら、現在の日本の予算総額、純計ベースです、まさに実際のお金として約二百十三兆円だということなわけですね。暫定税率の分というのは、この純計ベースから見ると、二・六兆、すなわち一・二%相当額であります。もちろん、二・六兆というお金は非常に大きい額でありますけれども、予算全体を見渡してみたら、実は一%相当という額なわけであります。我々の主張は、こういう大きな予算の中でこの一%の暫定税率の問題を議論し、そこをいろいろ変えていくことによって得られる効果は非常に大きいですよという話であります。

 それから、道路整備などに緊急度が本当に高くて二・六兆の財源が絶対必要だというふうにもしお考えになるのであれば、予算全体を見渡したら二百兆を超えているわけですから、その中でこれはやりくりをするということは、自治体などの考え方でいくと十分に可能なわけですね。

 例えば、予算総額二百億円の市があって、この二百億円の予算総額の市で二億の財源が足りないといって、それを捻出できない市長がいたとすれば、市長さん、一体何を考えているんですかということになるわけですね。しかも、自治体の場合はそういうときに何をするかというと、パッケージ議論はしないんです。すなわち、二億穴があいたから二億パッケージで探してくるということはしないわけであります。そんなことはできっこないんです。そうじゃなくて、医療や福祉や教育や介護やさまざまな分野から予算を寄せ集めて、最終的に二億を捻出して、予算としての精度を上げていき、さらに適切に予算を使っていこうということをやるわけでありますね。

 今、国がそういうことがなぜできないのかということは、タコつぼ予算といいましょうか縦割り予算の中で、その範囲の中でしか議論をしていないからそういうことができないわけでありまして、広い目線を持ってやるということが私は大事だと思うんです。

竹本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹本委員長 速記を起こしてください。

 逢坂誠二君。

逢坂委員 それでは引き続き。

 先ほどまでの話でございますけれども、一点目は、地方の財政、財源というのは、政府も与党も野党も、それぞれの多くのステークホルダーが守る、いろいろなやり方はあるけれども、守るということが言われているんだから、これはどんな結果になろうとも大丈夫だろうと。

 それから二点目の話は、確かに道路特財法が通らなくても、現行制度の中で予算の執行等がやれるところは相当ありますよ。それから、先ほど臨交金の話がありましたけれども、臨交金は確かに法律に基づく交付金ではありますけれども、世の中には法律に基づかない予算補助という手法もあるわけですから、そういうことだって、いろいろ考えればやれるわけですね。

 それから最後に、財源の話がございます。そんなことを言ったって二・六兆ないじゃないかという話でありますけれども、日本全体の予算の中から見れば一・二%程度の額だということであります。もちろん、それぞれのセクションの皆さんに予算を捻出してくださいといったらそれはできないけれども、政治の力で全体を見渡したときに一%の予算が捻出できないなんということはあり得ないわけで、こういうことをしなければ、少ない予算で同じ効果を上げていくというような財政の改革もしていけないわけですよ。

 プライマリーバランスをとるということは、予算を単に切り詰めていくということではないんです。少ない予算の中で同じ効果を上げつつ予算の効率を上げていくということをやらない限りは国民生活がどんどん切り捨てられるわけですから、予算全体を見渡した議論というのを常に政治家はしなければいけないというふうに私は思っているんですね。大臣、この点について最後にお伺いしたい。

 あわせて、資料の二枚目でございますけれども、国土交通省の発表したペーパーの中で、一の一番最後ですが、「関連法案が成立した後、速やかに執行手続きを行えるよう、」というふうに書いてあるんですが、行政府の皆さんは、立法府での議論はさまざまあろうが、行政府としては中立に淡々と仕事を執行しなければいけない。ここに「関連法案が成立した後、」などという書き方をすると、あたかも、今、国会で議論されている法案を再可決することを待ち望んでいるかのような、そういう姿に見えなくもないわけですね。

 行政府というのは中立な立場で、与党に対しても野党に対しても、国会の議論に向かっていかなければいけないのだというふうに私は思っています。確かに、議院内閣制ですから、必ずしもそうもいかない部分があることは私は理解をいたします。しかし、これから日本の国が政治改革をやって、小選挙区制を導入して、二大政党制を目指すんだということをやったわけですから、当然行政府としての中立性というのもしっかり守られなければいけない、そんなふうに思っているわけですが、大臣の御所見をお伺いしたい。

 最後に、松島副大臣、せっかくお越しいただいておりますので、大臣の発言の後で大変恐縮なんですけれども、観光について、観光庁の質を上げるためにどうしたらいいかについて御所見をお伺いして終わりたいと思います。よろしくお願いします。

香川政府参考人 先ほど純計額二百十二兆と申し上げましたけれども、この内訳を見ますと、過去の国の借金返済のための国債費が八十九兆円、それから年金医療等の給付に充てられる社会保障関係費が六十七兆円、それから地方交付税交付金等が十七兆円ございまして、半ば義務的に支出が必要となる経費だけで全体の九割ということでございまして、残りの政策経費は三十兆になります。その三十兆の中も防衛関係費が約五兆円、文教科学振興費が五兆円というようなことで、そういうところで二・六兆円の財源を捻出するというのは極めて困難であろうと思っております。

竹本委員長 質疑時間が過ぎておりますので、心得てやってください。

逢坂委員 私が聞いていないことを向こうから答えられましたので。

 そういう議論をするから日本の国の予算構造は直らないのだということなんです。例えば、道路についても、五十九兆絶対必要なんだというふうな議論からスタートしましたが、調べていったら出るわ出るわ、これは本当に道路ですか、ここに使っていいのですかというものがいっぱい出てくるわけじゃないですか。義務的経費だって、確かに社会保障関係経費として丸ごとひっくるめて何兆だというけれども、その中が本当に、それではすべてきっちり社会保障に全額うまく回っているのかどうかという精査はできない状況に今なっているわけですから、そういうパッケージ議論で入ると絶対に予算構造の改革はできないんですね。だから、私は、今のような議論ではない、全体を見て政治の力でやらなきゃいけない、そういう主張をさせていただいているわけでございます。

 大臣、よろしくお願いいたします。

冬柴国務大臣 しかしながら、私ども、予算要求をする場合でも厳しく査定を受けているわけです。五十九兆、五十九兆と言われるけれども、十年間の話でございます。しかも、それは上限でございます。したがいまして、二百兆の中で義務的経費というものが本当に大宗、八割を占め、残りでこれをどうしていくのか、プライマリーバランスをどうするのか、こういう議論で我々としても、それはこれ以上切り詰められるのは困る、限度だということを思いながらも、やはり前年度比で三%なり一%を削減しなきゃならない、そういうシーリングがかかるわけです。そういう中で二・六兆円というのは、実際、本当に莫大ですよ。ですから、これを、民主党さんの方は地方には迷惑かけない、こうおっしゃいますけれども、現実にはきょうかかっているように、私どももそういうことは避けたいけれども、なかなかできないというのが現実でございます。

竹本委員長 松島副大臣、手短に一言でお願いします。

松島副大臣 この秋に観光庁をスタートさせていただきます。国の役割ということについて申し上げますと、一つは、日本ブランドというものを外国のお客様に対して日本はやっていきたいんだ、それをアピールしていく、これは日本の国の政府の仕事ではないかと思っております。

 もう一つ、逢坂委員は御自身が北海道ニセコ町長としまして、これはパウダースノー等、いろいろな資質には恵まれているんでしょうけれども、町の売り込みということに成功されて、今やオーストラリアを含め海外からも人気のある町が、観光地ができ上がっています。

 そういった地域の取り組みを国が支援していく。このためには、私ども今国会に観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案というのを提出させていただいておりまして、地域が周辺のところと一緒になって、泊まって歩いていける、そういうようなまちづくり。そしてまた、今、団体旅行から個人旅行とか、例えば母と娘のぶらぶら歩く旅行、そういったことを考えますと、体験とかリピートしていけるような、そういうような今までの……

竹本委員長 時間を節約してください。期限が来ております。

松島副大臣 策もしっかり打ってもらえるように頑張っていきたいと思います。

竹本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 きょうは、私は観光庁の設置につきまして主に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 冬柴大臣、観光に対して大変思い入れもあるという思いもしております。衆参ともに、どちらかというと道路財源のことで、非常にそちらの分野にはお詳しくなって、全国津々浦々いろいろあると思います。観光庁ができるということにおきまして、もちろん民主党の方としても、私も民主党内におきまして観光政策をつくるという中におきましてのいろいろな視察等も重ね、また、観光というものにおきましては、やはり地域の活性化があってこそ、そこに多くの人が集い、そして観光につながっていくというふうに考えております。

 大臣、まず最初に、国土交通省の英語表記は、もうこれは一月におきまして、ことしの一月八日の閣僚懇の中で、大臣からアンド・ツーリズムというのをつけ加えられたというふうに発表がございました。つまり、現在、国土交通省の英語表記はMLIT、フルスペルでいくとミニストリー・オブ・ランド・インフラストラクチャー・トランスポート・アンド・ツーリズムと。直訳するならば、国土・社会基盤・運輸・観光省というんでしょうかね。もう既に観光という名を冠した省になっていらっしゃいます。

 そうなりますと、この点に関しましては、ぜひ後で伺っていきたいんですけれども、まず最初に確認をしていきたいのは、これだけ省の英語表記の方にももう既に入れられているということでもありますので、観光庁の設置の目的をもう一度確認をさせていただき、また、国土交通省と観光庁の英語表記について、観光庁の方はこの後どうなっていくのかということも含めまして教えていただければと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に省の名称についてのお問い合わせがありましたので、お答えさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、この一月からツーリズムというのを英語名称の最後に入れておりますが、これは国土交通省の所掌事務にツーリズムが、観光が入っておりますので、これを明示的に示すために変更したというものでございます。

 観光庁の英語表記につきましては、これからの検討事項でございますが、我が国の外局に対する英語名称のつけ方、あるいは諸外国における対応する機関の英語名称、こういうものを参考にしながら検討してまいりたい、このように考えております。

冬柴国務大臣 観光庁ができましても、国土交通省に観光政策がなくなるわけではございません。国土交通省を挙げて観光振興のために頑張るつもりでございます。

 我々としては、住んでよし、訪れてよしのまちづくり、これが基本だと思います。そこに住む人たちが、みずから住むその土地の歴史や伝統、文化、自然、そしてまたそこで産する食材、あるいは調理方法、そういうものがすばらしいものであれば、そこに住む人も自信や誇りを持てるし、また、来られた方も、すばらしいところだ、もう一度来たい、このようなまちづくりをするということが、やはり国土交通省の使命でもあり、ひいてはこれが観光政策の根幹でもあろう、このように思いますので、観光庁ができても、国土交通省、ツーリズムについて従来どおり頑張ってまいる所存でございます。

小宮山(泰)委員 大変頑張っていかれるという思いは、やはりこのツーリズムを省の名称の英語表記に入れたということにもあらわれていると思うんですが、ただ、残念なことは、それだけ思い入れがあるはずの観光に対して、国土交通省のトップページから観光の分類に行くと、ページが実を言うと結構がたがたで、正直ちょっとかわいそうなほどに、今手が回っていないのかなと言われる部分がありますので、この点はぜひ早いうちに解消していただいた方がいいのかなと思いますので、これは御依頼させていただきます。

 今そうおっしゃいますけれども、結構すぐ始まる分野でもございます。観光庁ができるということになっていきますと、もう早急に、やはりいろいろな、プレスとか外国に対してのものも出てくるわけですから、国土交通省の名称と同じものがやはりなってもいいというふうに、ビューローなのか、何になるのかというところもあると思うんですけれども、大臣はその点はどういうふうにお考えなのか。大体いつぐらいまでに発表されるのかという見解がございましたら、よろしくお願いしたいんですけれども。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁の名称につきましては、先ほど申し上げましたように、ただいま検討中でございまして、何よりも、法案が成立いたしまして観光庁の設置が決まりませんと、私どもとしても決定行為にも入れないということでありますので、法案の審議状況を見ながらまた検討を進めたいと思っております。

小宮山(泰)委員 この点は、法案が通ったらということではなく、当然、日本だけではなく海外に向けてのこともありますので、本来はある程度準備がされているものだと私自身は考えておりますので、ぜひ早急に考えていただくことだと思います。

 これが結局のところ、何を所管するのか、そういったところにもかかわってくる問題だと思います。海外から見るならば、確かに国交省の管轄下にあるかもしれません。しかし、どちらの方が優先なのかというと、何か似たようなものが二つあるというか、こっちには大きく入ってこっちに一つぽこっと入っているというのもなかなか紛らわしいことになると思いますので、ぜひその点は対応の方、よろしくお願いします。

 それでは、私自身ライフワークとしております障害者政策も絡めまして、ぜひこの点、させていただきたいと思います。

 日本もそうですが、やはり、高齢化社会という中において、障害をお持ちの方も含めまして多くの方に日本にも来ていただきたい。そして、日本の国内においても、そういったいろいろな要素をお持ちの方が日本じゅうを旅をし、そしていろいろな豊かな気持ちになっていただくということは大変重要だと考えております。

 昨今でありますけれども、ツーリズム・フォー・オールという言葉が結構世界的には使われているということを聞きました。これは季刊誌の「人間生活工学」というところに、今西正義さんの寄稿にありますが、「バリアフリー旅行の対象者」という中では、旅行には、大人や子供、高齢者など、さまざまな人が行くけれども、その中には、つえや車いすを利用する肢体不自由や視覚、聴覚など身体に障害がある人たち、知的や精神に障害のある人たち、また高齢により一般の旅行が困難になった人たちなど、何らかの配慮を必要とする人たちがいるということも書かれておりますし、また、草薙さんの寄稿にありますけれども、これはリハ研究の中にありますね。「わが国のアクセシブル観光の現状と課題」という中にもこのツーリズム・フォー・オールという言葉が使われております。この中では、「旅をするうえで何らかの配慮を必要とするすべての人々が対象」とございます。

 私の知り合いの中にも障害をお持ちの方がいらっしゃいます。しかし、彼女たち、きょうだいで車いすなんですけれども、ディズニーランドは非常にバリアフリーがきいておりますので行きやすい、また、日本国内を旅行するよりも海外に行く方がその点は非常にしやすかったということで、非常に楽しい時を過ごして帰ってこられて、私も写真を見ていると、本当に楽しそうにされている。残念ながら、日本ではまだまだいろいろな環境整備が整っておりません。

 先般も質問させていただきましたけれども、障害者専用のところにおきまして、一般の方や、またそういったことを考えない、余り使われないんだからと見込んで一般の方がとめてしまったがために、本当に必要とする、これは見たままでわかる障害の方もいるし、内蔵的な、ぱっと見た目ではわからない障害の方とか、とめたくてもとめられないという現状もある。この点は、まだまだ日本においては障害をお持ちの方たちに対しては理解が深まっていないのではないかと思いますし、私たち日本人の仲間が海外に行って旅行がしやすいと言われる中で、日本にも多くの障害をお持ちの方々や高齢になった方々が、日本で楽しい、すばらしいひとときを過ごしていただくことが、日本の理解にも通用するというふうに考えております。

 この点に関しての実態をどういうふうに把握されていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 ツーリズム・フォー・オール、恐らく日本語に訳すれば、すべての人には旅をする権利がある、こういうことかと思いますが、まさにそういう内容で平成七年の観光政策審議会の答申でうたわれているところでございます。

 これを受けまして、国土交通省といたしましても、平成十七年度に策定しましたユニバーサルデザイン政策大綱におきまして、「観光地や、観光施設、宿泊施設のバリアフリー化など、観光をはじめとする非日常的な行動も対象とした施策展開を図る必要がある。」こういうふうにいたしまして、観光のユニバーサルデザイン化は重要な課題というふうに認識をしております。

 ただ、御指摘のように、まだまだ解決すべき問題がたくさんございまして、例えばハード面でございますと、観光地における観光施設とか宿泊施設、改善の余地はまだございます。それからソフト面でも、バリアフリー情報の提供や介助ヘルパーとの連携なども、改善すべきところはまだあると思っております。また、旅行会社におきましても、障害者や高齢者が参加しやすい旅行商品の企画、造成、あるいはそのための商品案内ということをやっておりますけれども、まだ改善の余地がある、こういうふうに認識をしております。

 他方で、地域を見てまいりますと、岐阜県の高山市のように、バリアフリーのまちづくりを非常に積極的に進めて、観光政策の柱にしているところもございます。

 こうした課題あるいは現在の進捗状況、こういうものを踏まえまして、国土交通省では、有識者や関係者から成る検討会を開催いたしまして、観光のユニバーサルデザイン化の促進を図るためのガイドラインというものを今つくろうとしているところでございます。今後、このガイドラインができましたら、その周知を関係者に対して図りまして、実施が図られるよう関係者と連携協力してまいりたい、このように考えております。

小宮山(泰)委員 今審議官の方から指摘もありました平成七年、一九九五年の六月、観光政策審議会答申の中で、高齢者や障害者は、日常生活の範囲が限られており、旅による充足感がほかの人々よりも深い人々であり、このような人々が安心して手軽にできる旅行を促進することは極めて重要である、すべての人に旅をする権利があると明言されております。これは本当にすばらしいことだと思います。

 ただ、その後、余りその点に関して政策的な論議が深まったという感触もないのも事実であります。そして去年の、観光基本法の全面的な改定に際しての観光立国推進基本法の施行の中においては、観光旅行者の利便の増進として、高齢者、障害者への配慮についてわずかに記述されているというふうに認識をしております。

 しかし、この一方で、実際には障害をお持ちの方に対してのビジネスとしての旅行というものは、いろいろな意味で、三十五年ぐらい前から始まっていますし、その高まりというのは民間では行われているんだというふうに認識しています。一九七一年には石坂直行氏によって車いすヨーロッパ一人旅が行われて、そういうのも随分と話題になったというふうに聞いております。

 また、国内においては車いす利用者の泊まれるホテルや旅館の数が少なくて、泊まることのできる宿泊施設を調べた全国車いす宿泊ガイド、これは全国脊髄損傷者連合会がつくられたものが出ていたり。多少この中で残念なのは、アメリカにおきましては、一九九〇年に障害を持つアメリカ人法、ADAが成立した中でいろいろなものができています。これ以降、そういう意味では、アメリカのホテルでこういった方に配慮する部屋というのは大体百室に二十部屋というふうに聞いております。ただ、日本でそれと同じように考えると、百室でいえば二部屋ですね。そういう意味では非常にギャップもある。やはりこういったガイドをつくらなければならないほどに、まだまだ社会環境というものが整っていないというのも現実ではあると思います。

 しかし、そうはいっても、やはり需要がなければ、こういう点に関しては進むものも進まないんだと思っております。私の地元の観光旅行社さん、バス会社さんなんですけれども、平成五年にはそういった香港の団体と提携をして、外国人障害者の川越観光のツアー受け入れを本格化させて、そういったこともしたり、外国人ツアーの福祉バスを運行するノウハウを組み合わせて需要喚起をするということの努力もされていますし、また、日本旅行業協会においてもバリアフリー旅行の手引書として「ハートフル・ツアーハンドブック」とか、日本観光協会による「障害者・高齢者等の利用促進のための宿泊施設モデルガイドライン」などを作成して、旅行業界全体として積極的な取り組みは頑張っていらっしゃいます。

 ただ残念なのは、昨今、耐震偽造からこちら、いろいろございました。もうわかっているからあれですけれども、東横インさんのように、障害者のためのスペースとかを実際にはつくらなかったり、また、直してしまって泊まれないような状況にするというような民間業者も実際にあるのも事実でありますので、この点はやはり、こういう障害を持つ方、逆に言えば、高齢者になって機能低下をされた方々に対しても優しい町であったり旅行業ということにもつながると思いますので、この点に関してもっと力を入れていくべきではないかという思いをしております。

 そこで、この点に関しまして、ぜひ今後、やはり利用拡大の取り組みというものも大変必要だと思っております。

 一つには交通網の件がございます。私自身も地元やいろいろなところから伺っていくと、新幹線の車いすでの利用というのはなかなか困難を来しているというのが現実である。

 今度は、御夫婦で車いすの御夫婦がいらっしゃって、新幹線で一緒に本当は新潟の方に旅行がしたかったそうなんです。もちろん旅行先では御夫婦二人と介助者と一緒に行動はできたんですけれども、残念ながら、新幹線の座席とかの都合上、別々の新幹線に乗っていかれたということを聞いております。

 その後、いろいろな制度もあったということもありますが、なかなか、交通の運営業者の方とかの都合等もありますし、また、今でありますと、ちょっと今リコール問題も起きておりますが、ハンドル式の車いすのものに関しては、乗れるところと乗らせないところとか、いろいろな、現実的には本当に、スティックのものだったらいいけれどもハンドル式だったらだめであるとか、非常にそういったことを言う業者もあるというふうに聞いております。

 この点に関して今後どういうふうな対応をしていくのか、国土交通省の御見解をお聞かせください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 先年亡くなりました父が新幹線を利用しましたときに、そのときはつえをついて歩いていたんですが、途中で調子が悪くなって車いすをお借りして、田舎から東京まで出てきたときも、実は東京駅で結構遠回りになったりして、大変苦労いたしたことをよく覚えております。ぜひ、私としても、こういったような車いすが新幹線できちっと旅行ができるようにいたしたいということを基本にいたしたいと思っております。

 手動式車いすとかジョイスティック形の電動車いすというのはもうオーケーだというふうに聞いておりまして、先生御指摘のハンドル形電動車いすにつきまして、たしか外国のものの方がちょっとスマートにできていましてすんなりいけそうなんだけれども、日本製のものはまだいけそうなものが少ない、こういうふうな事情があって、回転半径が大きいところですとか、新幹線の中は非常に通路が狭いというふうなこともございまして、空間制約がありまして、現在のところ、利用が困難だというような対応をしているというふうに聞いております。

 しかしながら、私どもといたしましては、回転半径が小さいといったようなハンドル形の電動車いすが日本製でもでき上がってきたということでもございますし、先ほど、車いす、お二人で旅行されるということになりますと、N七〇〇系というのは、実は二台連続で車いすが置ける、こういうような新幹線車両になっておりますので、そういったような運行も踏まえまして、去年の八月から、学識経験者や障害者や鉄道事業者の参加によりますハンドル形電動車いす施設利用についての調査研究委員会を設置いたしておりまして、現在、この取り扱いについて検討を進めているところでございます。

小宮山(泰)委員 御自身の経験もお話しいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、残念ながら、まだ、そういう意味においては、どういったものが補助器具というんでしょうか、介助する器具としていいのか、この点に関しては、実は余り障害をお持ちの方々には伝わっていない、基準というものが明確に示されていないために、非常に混乱と憤りであったりとか、会社によっては大丈夫で会社によってはだめであるとか、そういう意味で一律でないのも確かでもありますし、また、サイズの問題でいうならば、やはりそれぞれ皆さん違う状態なものですから、もっと大きなものが実は乗れてもハンドル式がだめになるとか、そういったことも聞いておりますので、この点の整理を早急にしていただきたいなというふうに思っております。

 いろいろな審議会等また研究会等で今審議中ではあるというふうに聞いておりますが、こういう問題、そうかといって何年も何年も先までされていたのでは、その間に確かに今おっしゃった半径、回るのがすごく小さい、コンパクトなものができ上がるんでしょうけれども、現在のところとして、早いうちにこの結論というものと、メーカーのサイドもあるでしょうから、当然、この点に関してもう少し早く指針なり出せないものかと思いますので、もう一度、いつぐらいとかにそういった何か結論のようなものを国交省としては出せるのか、そういった見込みがあれば教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

榊政府参考人 昨年の八月から実はやっておりますので、一年を超えちゃいけないというふうには思っておりますので、夏ごろまでには結論を何とか出したいという方向で頑張りたいと思います。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。これによって多くの方が、できることならば旅行であったり移動の権利ということも含めまして、つながっていけばと思っております。

 と申しますのは、ハンドル式の車いすにおきましては、障害を持つ方だけではなく、高齢者の足として今いろいろなところに普及もしております。制限時速の問題というのは非常に私も悩ましいところだとは思いますが、この点に関しますと、これから多くの方、高齢化の中に入って、やはり自分で行きたいところに行けるということがこれからの経済の波及等を考えても大きなものになるのではないかと思います。

 そうやって考えますと、これは障害を持つ方だけではなく、高齢化社会、これこそ本当にツーリズム・フォー・オールという発想になると思うんですが、多くの方が移動ができる、そういう優しい日本の国土づくりというものに寄与していただきたいと思いますので、ぜひその点御検討いただきたいと思います。

 大臣、大きくうなずいていただいておりますので、何か御意見ありましたら、よろしくお願いします。

冬柴国務大臣 一貫して、障害者も旅行する権利があるんだということを訴えていただきました。大事な視点だと思います。

 我々も、国土交通省としましても、そういうバリアフリーに頑張っていただいている推進功労者を、ことしから、国土交通省へ来ていただきまして、大臣表彰させていただきました。

 その中に、委員の御地元のさいたま新都心バリアフリーまちづくりボランティアという団体がありまして、いろいろ調べますと、よくやっていらっしゃいまして、さいたま新都心において町の案内、ガイドヘルプ、車いすの補助、視覚障害者の誘導、手話コミュニケーション、あるいは疑似障害者体験補助、車いすを健常者に体験していただく、外国語通訳、それから手づくりマップ作成、各種イベントの企画、実施等の取り組み、実際に並べると大変な作業をやっていただいていて、私は模範になると思いまして表彰させていただきました。紙切れだけではありますけれども、大変喜んでいただきました。

 このほかにも、全国にあと四団体ありまして、皆さん立派な、きょう小宮山議員がおっしゃったような精神で町で頑張っていただいている方がいらっしゃるというふうに思いますので、今後もこういう人を顕彰もし、そして、あなたのところやりなさいというんじゃなしに、やっておられる方を褒めてみんなでまねてください、こういうふうな方法で進めていきたいと思います。

小宮山(泰)委員 表彰いただきまして、ありがとうございます。ちなみに、選挙区的には荒川を越したこちら側ですので、埼玉県民として感謝を申し上げたいと思います。

 さて、この点に関しては、ぜひ各省庁、国土交通省がこういった優しい地域づくりに、そして地域活性化に寄与するということで、さらにやっていただきたいと思います。

 ただ、この中で私、調べておりまして非常に難しいなと思ったのが、それではどれだけ障害をお持ちの方々が旅行に出ていらっしゃるのかという統計を調べるということになると非常に難しいものがある。

 私の地元、川越におきましても、私自身も調べようとして非常に難しかったのは、観光客と生活者というのが混在をする時代に入っております。観光地が観光客で占められるというのではなく、やはりその地域のもの、そして生活しているその空気感であったり歴史であったり生活感というものが非常に観光地として喜ばれ、また、それを大切にしているその地域の精神というものを味わいに行くというのが現実なんだと思います。そうなってきますと、生活者と観光客というものの区別が非常に難しい。つまり、統計というのは非常に難しいんです。

 これから観光政策というものをしていく中で、国土交通省の中におきましても、これから平成十七年のあたりで二十四兆円の観光産業の規模なのを二十二年度までに三十兆円に伸ばしていきたいということになったり、そういういろいろな統計的なものもとっていく中において、観光統計というものをどういうふうにとらえていくのか、非常に難しい点があると思います。しかし、この点を克服していかない限りは、やはり今後の施策の検証であったり、また、これから本当に観光政策というものを国土交通省、観光庁でしていくという中において、そういう指標というんでしょうか、基準を持つというのは難しくなると思います。

 そこで、観光統計というものについての取り組み、また国土交通省がどういった検討をされているのか、そしてどのように充実をさせていかれるのか、またどういったスケジュールでされていくのかということがありましたら、御提示いただければと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、観光政策の立案、それから実施した政策の評価、こういう観点から、観光統計というのは非常に重要なものだと思っております。そのことを踏まえまして、観光立国推進基本法にも、第二十五条でございますけれども、国は観光に関する統計の整備のための施策を講じる、こういう規定がございます。

 これを受けまして統計の整備を進めておりますが、実は詳しければ詳しいほど統計は役に立つんですが、他方で、記入する側の負担も非常に大きくなるということで、そのバランスをとりながらということでやらざるを得ないところでございますが、そういう中で、宿泊旅行統計調査というのを十九年から実施しております。二十年には調査項目を追加するなどしてその詳細化を図っているところでございます。

 それから、都道府県で入り込み客数の調査とか観光消費額の調査というのをやっておりますが、これについては、基準がばらばらであるとか、比較ができない、こういうような問題も指摘されておりますので、全国的な比較がきちっとできるようにするということで、調査の共通基準の策定を検討しておりまして、平成二十二年から実施できるようにするつもりで作業を進めております。

小宮山(泰)委員 観光学、この分野においても、まだまだ日本は、いろいろな大学等で学部等は設立はされていると聞いておりますけれども、ぜひこの点は進めるように頑張っていただきたいと思います。

 というのは、やはり統計で見ていくということは客観視をする意味で大変重要だと思いますし、これはある意味日本の経済にも大きく寄与する、何せ三十兆を目指すということで、もっと目指せるのではないかな、統計のとり方によっては実はもっと大きいのではないかと思うことも私自身ございますので、この指標に関しては、ぜひ、なるべく早くに出していただいてスタートされることを希望しております。

 といいますのは、海外を訪れた日本人は千七百五十三万人、外国人の受け入れ数でいくと本当に逆に少なく、今、平成十八年度の段階で七百三十三万人を二十二年度に一千万人にふやそうという計画をしております。過去に私も、予算委員会の分科会で、北側大臣だった当時に、これはもっとできるのではないかということも質問させていただきました。後ほどこの点に関しては大臣に御見解も伺いたいと思いますが。

 また、観光消費額、先ほど言った二十五兆円ぐらいのものを三十兆円に伸ばしていくといったところではありますが、旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究、七ですかね、二〇〇六年度の旅行・観光消費動向調査結果と、経済効果の推計と、国土交通省の総合政策局観光経済課でおつくりになられた資料の中を見ますと、平成十八年度になりますが、国民の国内旅行消費の内訳というのを見ていきますと、支出の順番でいきますと、一番目が交通費七兆五千五百七十億、宿泊費三兆一千八十億、土産物、買い物、二兆九千百六十億、飲食費二兆九百八十億という数字が出ております。

 つまり、これで見ますと、交通費が一番多くかかっているという意味においては、逆に言いますと、地域に落ちるお金というのは、飲食、土産物のところになりますので、宿泊もあるとは思いますが、ある面、非常に限定がされてしまうのではないかなという思いがしてなりません。

 この点に関しまして、ぜひ、私、これから観光庁ができるということにおいては、地域の経済に寄与する観光業というものも当然、企画立案、推進をされていくという中において、農水省におきましても、地産地消という問題もあります。やはり食べることの消費というのは、非常に、人間、旅行の楽しみでもあります。そういう意味においては、飲食費二兆九百八十億ということになりますと、割合としては非常に小さいと私自身思いますし、ではこの飲食の中でどれだけその土地のものが利用されているか。山の中へ行って魚を食べているというようなこともよく旅行に行くと聞かれますので、この点に関しますと、この分野をもっともっと進展させなければいけないなと思います。

 イタリアで起こりましたスローフード運動、地方品種のものを地域で消費をする、ゆっくりと食事をすること、人生を楽しむ、そういった運動ということも参考にしてとり行っていくべきだと思うんですが、農水省にも来ていただいていると思いますので、ぜひこの点、どういうふうに今後地域の活性化につなげていかれるのか、まず伺いたいと思います。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 地域で生産されたものを地域で消費するという地産地消の取り組みでございますけれども、観光客も含めた消費者の方々に、顔が見え、話ができる関係で地域の農産物を購入していただく機会を提供するとともに、地域農業の活性化にもつながるものとして、その推進を図っているところでございます。

 また、こうした地産地消の取り組みに対しましては、直売所におきまして、地域の農産物や手づくりの食品などを提供するほか、旅館や外食産業などと連携いたしまして、地場の農産物を活用した特色ある郷土料理を提供することなどを可能とするものでございます。

 こうした形で豊かな伝統食文化を生かして、これは委員がおっしゃったスローフードにもつながるものというふうに思われますけれども、地域の観光の振興にもつながるというふうに考えてございます。

 農林水産省といたしましても、農業だけでなく、地域の観光業などと連携して、地域が一体となって取り組む地産地消のモデル的な活動、すなわち地産地消モデルタウンの取り組みに対して支援を行っているところでございます。こうした取り組みを通じまして、観光などの地域経済の活性化にも役立つ地産地消の取り組みに努めてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 ぜひその点はもっと力を入れて、国交省に対してもというか、観光庁に対してもどんどん働きかけを農水省としてもしていただきたいなというふうに思います。

 なかなか今農業も大変なときでもあります。しかし、日本の農産物というものに関しては、また日本食というものに対しても、非常に世界じゅうからも健康的なものというとらえ方をされていらっしゃる点がありますので、この点はもっともっとアピールをされることが重要かと思います。

 これが需要につながっていくことによって、やはり日本のあの地域のあの郷土料理が食べたい、だからあそこまで行くんだというようなことも当然あるでしょうし、当然、食に関するもの、海からのものもあるし、山からの恵みもある。加工品であるみそ、大豆から始まり、お酒とか、日本酒もそうですし、しょうちゅうとか、日本にはいろいろ豊かな食材がたくさんございますので、そして歴史を重ねて自然とともにつくり上げる知恵がありますので、どうぞこれを生かしていただきたいなと思っております。

 その点に関しましても、多分大臣は何か一言おっしゃりたいんじゃないかなと思っておりますので、どうぞ大臣の御見解もあわせて、各省庁との連携もあわせてお答えいただければと思います。

冬柴国務大臣 食いしん坊の冬柴でございますので、観光の魅力の中で食の占める要素というのは非常に大きい。リピーターも、先ほどもおっしゃいましたけれども、あのときに食べたあれがもう一度食べたいということで行く、それは美しい自然も大事ですけれども、そこで食べたあれが大事だという非常に大きな要素があると思います。

 前も言ったかもわかりませんけれども、知多半島の先に日間賀島という小さな島がある。一周五・五キロです。二千三百人の住民。そこへ、平成十八年には二十五万八千人の観光客が押し寄せています。これは百倍以上ですから。これは何かというと、食ですよ。もちろん景色もすばらしいですけれども、夏はタコ、冬はフグなんです。フグは猛毒ですから、これを調理する免許が要ります。ここの島の方は、民宿も含めて、調理師の免許を取るために、先生を招いて免許を取っていらっしゃるんですよ。したがいまして、そこでとれるトラフグが、今までは下関に卸していたものを、全部自分のところで料理をして客に供する、こういうことが行われているわけで、私は、観光に占める食というものの要素が大きいという例にいつも申し上げているわけでございます。

 そういうことで、本当に言い出したら切りがないほどあちらこちらにあります。地産地消、そういうことで、農林水産省とも連携をとりながら、非常に積極的にそういうものも展開していきたいし、それから、今回、今国会に提出をいたしました観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案、これは農林水産省との共管としまして、連携して観光圏の整備を支援するということにいたしておりますので、この方面でも頑張ってまいりたいと思っております。

小宮山(泰)委員 食いしん坊の大臣ということで、そういう意味ではいろいろないいところをたくさん御存じだと思いますが、そうなっていきますと、先ほど二十五万人来訪者があるということですけれども、恐らく、こうやって積み上げていくと、実は一千万人という来訪者は小さな目標なんじゃないか、もっともっと見込めるのではないか。

 日本の今の経済を考えてみれば、もっと大きな数値目標を出すことの方がみんなやる気になるのではないかなと思いますし、そのためのいろいろな法整備を今進められるということでもありますので、この点はぜひまた再考していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 二〇〇三年に五百二十一万人であったものを二〇一〇年には一千万人にしようと始めたのがビジット・ジャパン・キャンペーンです。十八年には七百三十三万でしたけれども、十九年、昨年は八百三十五万まで来ました。したがいまして、おっしゃるように、あと目標まで、これを達成するのはやすいんじゃないかと言われるかもわかりませんけれども、これはもう必死にやってここまで伸ばしているわけでございます。

 そういうことで、ほかの、五つの目標も、先ほどちょっとお話がありましたけれども、旅行者が使っていただくお金三十兆という、これは大変厳しい目標のように思われます。二十四兆四千億だったんですけれども、何か日銀の統計の方法がちょっと変わりまして、二十四兆四千が二十三兆九千に変わってしまっているんですね。それだけでも私は大変なショックを受けているんですが、あと、二〇一〇年までに三十兆という目標を高く掲げて頑張っていかなきゃなりませんけれども、これはなかなか、目標によっては本当に厳しい目標であるというものもございます。宿泊数も、二・七七泊を四泊にするというのも、これはすべての国民ですから、これも大変な目標なんです。そのためにいろいろと頑張ってまいります。

小宮山(泰)委員 ぜひ、四泊と言わず、もっと長いバケーションがとれるようなこともしていかなければならないんだと思います、慣行的には。これは、イタリアが、長期休暇がとれるようになってから、労組とも話して、消費者がいい製品をつくるという理念に基づいてそういった制度ができ上がったというふうにも聞いておりますので、この点はこれからの課題なんだと思います。

 そして、できることならば、日本人が海外に毎年千七百万人出ているわけですから、やはり同じぐらいの方が日本にも来ていただけたらなというふうに思いますので、この辺は早く上方修正ができるように、さらに頑張っていただきたいと思います。

 それでは、最後になりますけれども、地域限定の通訳案内士について。

 当然、多くの方が来ていただきますと、日本の場合は日本語の問題がございます。今、地域限定通訳案内士の資格制度というものができましたけれども、まだまだこれからだと思います。各地におきまして御当地検定が今花盛りでもありますので、やはりこの点との共同するようなことというのもあり得るんだと思いますが、これから外国人旅行者、渡航者の拡大につなげるという意味においても、また観光客を増大するという意味におきましても、今後、この地域限定通訳案内士についてどのように進められていくのか、その点について御見解を伺いたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のありました地域限定通訳案内士の制度は、平成十八年に、通訳案内業法それから外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律という二つの法律を改正して四月から導入したものでございますが、基本的に、これは自治体、都道府県の自主的な判断と発意によって実施をするということになりますので、外国からのお客さんがふえていて通訳案内士が不足している、こういう認識があるようなニーズの高いところから順次導入が図られている、こういうふうに承知しています。

 具体的には、昨年度、十九年度は岩手県、静岡県、長崎県、沖縄県の四県でこの制度が実施されておりまして、今年度は北海道と栃木県で実施の予定と聞いております。また、今後実施を検討している、あるいはまだ決めてはいないけれどもそういう意向にあるという地域もたくさんございまして、制度としては着実に定着してきている、こういうふうに見ているところでございます。

 したがいまして、今後とも、活用状況も含めまして、きちっとまずフォローしていきたいと考えております。

小宮山(泰)委員 ぜひこれは、そういう意味ではもっと普及されて、そして多くの人が日本を訪れ、理解をしていただく一助になればというふうに考えます。

 そして、先ほども経済効果のところであったように、交通費が一番高いということを考えますと、道路財源の使い方もそうですけれども、やはりこの点も考えていかなければ、結局のところ、日本の隅々、いろいろな観光資源、すばらしいところにもかかわらず、アクセスをしなくなってしまうのではないかという懸念もございます。この点は今後またしっかりと議論をさせていただき、本当の意味で観光立国日本がつくれるようになっていくことを願い、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 私は、今回の設置法改正のうち、小宮山さんに引き続きまして、観光について、特に大臣及び担当審議官に質問したいと思います。

 それで、今の小宮山さんの質問を引き継ぎまして、ちょっと聞きたいことが冒頭ございます。

 今の地域限定案内士、これは都道府県が主体ということで、では、福岡県でこの制度を導入して認定をしたら福岡県以外は通訳案内はしてはならぬ、こういう制度でございますか。ちょっと質問通告していませんが、私の質問と関連しますので。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のように、試験の中身は、大きく言えば外国語の試験とそれから地理、歴史の試験になっておりまして、この地域限定通訳は、地理、歴史がその当該県内について試験をするという仕組みになっていますので、そこを超えては能力があるかどうかがチェックできないということになっていますので、おっしゃるように、福岡県でやられたら福岡県限定ということになります。

    〔委員長退席、河本委員長代理着席〕

古賀(一)委員 実は、きょう私が質問しようとした事柄は、いわゆる観光行政の根本的な体質というか、そういうものについて私はかねがね大変危惧するところを持っていまして、そういう論点できょうは一貫して質問したいと思っておりますけれども、今の答弁、地域限定の通訳案内士というものと大変かかわっておりますので聞かせていただきました。それは後ほど申し上げますけれども。

 まず、私は、観光庁が今回できるということは、ある面では大変時宜を得たものだろうと評価をいたします。しかし、問題は中身であり戦略であり、具体に何をするかというものが問われるものであります。

 さて、観光庁まで格上げをしてつくるというときに、日本は海外からの観光客が少ないという問題認識が根底にあると思うんですけれども、それはどうして少なかったのかという原因分析、これがやはりこの庁昇格の原点だと私は思うんです。この点について、所管大臣としてどういうふうに、海外渡航者がフランスの十分の一である、どんどん、年々歳々、観光客の誘致の数が世界各国に比べて、ふえてはいるけれども順位は下がっている、この現実をどう受けとめておられるか、御認識をお伺いしたいと思います。

本保政府参考人 古賀先生御指摘のように、フランスは世界最大の観光大国でございまして、二〇〇六年の数字で申し上げますと、七千九百八万の方が訪れていらっしゃいます。それに対して日本は七百三十三万人ですから、十倍以上の開きがあるわけでございます。

 どうしてこうなっているかということでございますが、まず一つには、地理的条件の違いも大きいと思っております。フランスは、陸続きでお客さんがたくさん来られる。六つの国、これがパリから五百キロメートルの範囲内にございます。これに対しまして、我が国日本は極東の島国でございますので、最も近い外国の主要都市であるソウルまでだけでも一千キロ、非常に遠いという意味で、地理的には厳しい条件にあると思っております。

 それから二つ目に、私ども自身の取り組みの努力が不足であった面もある、こういうふうに反省をしております。基本条件として、自然、歴史、文化、伝統、食など、観光の魅力に恵まれていると思いますけれども、こういう魅力を外国人に対して十分マーケティングをして売り込むという努力が不足していた面があると思っております。

 また、そのやり方におきましても、例えばフランスは官民一体となった大変上手なプロモーションをやっておりますが、この点についても不足があったというような認識を持っているところでございます。

 それからもう一つ申し上げますと、予算的にもプロモーションの予算が非常に少なくて、確保できていなかった、こんな反省をいたしまして、二〇〇三年のビジット・ジャパンのキャンペーンの開始以降は、この辺を大きく変えてきております。

 一つは、市場ごとにマーケティングが必要でありますので、外国人のニーズを分析しまして、これに基づいてテーマ、ターゲット層を絞ったプロモーションの展開をしております。

 それから、計画的な実施が必要でありますので、数値目標を設定して、これを着実にこなすということもやってきております。

 それから、官民一体が必要だということを申し上げましたが、これも、こういうことができるように、ビジット・ジャパンのキャンペーンにつきましては、官民一体となった実施本部をつくりまして、この中で連係プレーを確保しているところでございます。

 予算の面でも、ビジット・ジャパン・キャンペーンがスタートしましてから大幅な予算増額ができまして、実質的には、本格的な活動ができたのは、この意味ではビジット・ジャパン・キャンペーン以降だったのではないかと思っております。

 その意味で、周囲の状況もございましたが、訪日外国人旅客者数の増加という意味では効果が出ているもの、このように考えております。

古賀(一)委員 冒頭に、日本が置かれた地理的立場といいますか、こういう話がありましたけれども、いや、それは私はそうではないんだろうと思うんです。やはり、ファーイーストの神秘的な国という面では、アメリカから見ても、オーストラリアから見ても、ヨーロッパから見ても、やり方によっては引きつけられる十分な要素を持っている、私はこう思います。フランスは、お隣にオランダ、ドイツがあるといっても、同じ西洋人の社会であって、逆に言うと、あえて行くまでもないというハンディキャップになるのかもしれない。

 そこで、コンベンションの機能といいますか成果を見てみますと、これが私、大変な危機を感ずるんですね。日本は、平成十八年、国際会議数で世界第十八位。今国会の冒頭、大田大臣が、かつては二位だったけれども十八位になりましたという、まさにGDPと同じ十八位に転落をしておる。

 一方、地理的に同じアジアに属しますシンガポール、これは、資料によれば、二〇〇三年は国際会議百二十五件。そのとき日本は二百四十七件、つまり日本が倍ですよ。しかし、たった三年たった二〇〇六年、おととしでシンガポールは約三百件、日本は百六十六件。かつては日本が倍だったけれども、今やシンガポールの二分の一。

 わずかこれだけの時間に、同じアジアの諸国である、しかも人口三百万ちょっとのあの小さな国に、これだけ追い上げられ、楽々と追い越された。こういう事実から見ると、日本は、観光というだけではなく、いわゆる国際機能、コンベンション機能、そういうものを含めて、相当ふんどしを締めてかからないといけないトレンドにあると私は思います。

 そこで今、ビジット・ジャパンからようやく始まったと。私は本当にそう思うんです。そういう面では大変期待したいんです。私が役所に入りましたころ、ちょうど昭和四十六年ですけれども、その経緯を見ますと、かつては運輸省に観光局というのがありましたね、局があったんです。きのう資料をもらいまして、見ましたら、昭和五年、鉄道省に国際観光局というのがあった、鉄道省にあったんです。それが、時代が変わりまして、戦後、運輸省の大臣官房に観光部ができ、昭和三十年代に観光局に格上げになった。そして、これが四十三年に廃止になりまして、官房の観光部になったんですね。以来、ずっとこう来たんですけれども、局が部に格下げになったのが庁に格上げという例は今までにないと思うんですね。それだけ時代の変遷も感じます。

 私は、そういう面でこれから、つくった以上は本当に組織だけではなくて、先ほど言った、世界と闘うわけでありますから、新しい戦略、新しい仕組み、新しいセンスというか、そういうものをやはり糾合してやっていくようなそういう取り組みがなければ、今までにちょっと毛が生えた程度のもので大したことない、こうなりますので、この点は強く、観光庁設置をする以上は、これまでにない新しい知恵をありとあらゆるところから糾合して、新長官のもとで頑張ってもらいたい、こう思います。

 それで、二番目の質問に移りたいと思うのでありますが、問題は体制ですね。今回はとりあえず体制を格上げしたということなんです。観光部というのは最近はなかったんですけれども、今度は、いわゆる観光六課というものと独立行政法人国際観光振興機構というものが相携えてやっていくような関係になると思うんですね。それで、この数年、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、またVJCの事務局体制もあった。

 この三本は、今後、どういう関係、どういう連携になって、どういう相乗効果でこれをやっていこうと思っておられるのか。ちょっと、ここら辺が私は見えないので、ひとつ教えてください。

    〔河本委員長代理退席、委員長着席〕

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 今、古賀先生から、国交省、それから国際観光振興機構、VJC事務局、三者が一体となってビジット・ジャパン・キャンペーンを進めてきた、こういう御指摘をいただいたところでございますが、実は、この四月一日から、VJCの事務局の機能は国際観光振興機構に統合いたしまして、国際観光振興機構とそれから国土交通省、これが車の両輪になってビジット・ジャパン・キャンペーンを進めるという体制に移行したところでございます。

 その理由は、ビジット・ジャパン・キャンペーン事務局という形で、五年間、官民一緒になって仕事をしてまいりまして、成果が上がってまいりましたが、ある意味では、実施機関として国際観光振興機構とビジット・ジャパン・キャンペーンの事務局とがややダブってくる面も出てきたものでございますから、統合することによってより効率的にこれを進めようということでそういう変更を行ったものでございます。

 国交省と国際観光振興機構の関係について申し上げますと、国交省が全体の戦略を立て、その上で自治体とか民間と調整するという機能を行いまして、これに基づいて国際観光振興機構が具体的な業務を行うという関係でございます。

 特に、御案内のとおり、国際観光振興機構は十三の海外事務所を持っておりまして、これが最大の力の源泉になっているわけでございますが、この事務所を通じまして、海外の旅行会社やメディア等とのネットワークをつくりまして、メディア関係者あるいは旅行業関係者を日本に招待して日本をよく知っていただくとか、あるいは広告宣伝をする、こういうような実務を展開しているところでございます。

古賀(一)委員 そうしますと、VJCはアドホックにつくったビジット・ジャパン・キャンペーンの推進母体であったということで、私も知るところ、官民からいろいろな人が来て、新しいフィールドで新しい知恵を出そうじゃないかという感じはしていたんです、それが十分だったかどうかは別として。

 ところが、今度は、長い伝統を誇るといいますか、いわゆるでき合いのというか、ここに天下りの皆さんも相当行っているのではないかと私は思うんですけれども、この国際観光振興機構という既存の組織がやるということになると、新しい知恵をじゃんじゃん出して、ひとつ挑戦しようじゃないかというこのVJCの雰囲気から、既存の組織に統合されると、またもとに戻るんじゃないか、活力はあるんだろうか、そういうことを非常に心配します。

 では、その国際観光振興機構というのは、今度これだけの体制でやるというときに、どういう組織的な工夫というか、今までとは違うんだと。これまでも、振興機構の活躍ぶりというのは十分でなかったと私は思うんです。国民にも観光戦略というものを発信したようなことは余り感じないし、国民であってもやらない、海外にどれだけやっているんだろう。私は海外もよく行くけれども、余り感じない。

 そういうところになりますと、この国際観光振興機構というのは、今回の観光庁設立というときに、どういう体制的な、あるいは人事的なところで新しい船出をすることになるのか、そこら辺のところを御説明いただきたいと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私の説明が不十分だったことをおわび申し上げたいと思いますが、VJCの事務局を国際観光振興機構に統合したと申し上げましたが、最初の御質問にもありましたように、官民連携でこの仕事を進めていくことが大事だということは少しも変わっておりませんし、むしろ強化をすべきだということでございまして、全体の推進につきましては、VJC推進のための執行委員会というものを実施本部の中に置きまして、ここに官民が入って、戦略それから実行状況のチェック、こういうものを一緒にやる仕組みになっております。これを受けて、国際観光振興機構の中にあるVJCの実施推進部隊が仕事をする、こういう仕組みになっておりますので、官民連携のところは少しも変わっておりません。

 また、JNTOに移りましたVJCの推進機能、これを着実に実行するために、実は、民間から引き続き人の派遣をお願いしておりまして、振興機構の人間と民間の人間のいわゆる混成部隊で、お互いに知恵と能力を持ち寄って仕事をする、こういう形にしております。

 この際、国際観光振興機構の方も、より効率的な業務体制をとる必要があるということで、ちょっと細かな話で恐縮でございますが、それまで六つの部で仕事をするという体制をとっておりましたが、四月一日以降は二つの事業本部のもとに統合的に効率的に仕事をするというような体制変更をいたしまして、これまで以上に効果が出るようにしているところでございます。

古賀(一)委員 だから、ビジット・ジャパン・キャンペーンのメンバーを中心に官民での推進本部的なものをこの機構にも置くんだ、そして部の再編もするんだ、それは非常に可能性があるのではないか、こう思いますけれども、先ほどおっしゃった十三の海外事務所。やはり、今までルーチンになれてしまって、東京でそういう観光立国だ、こう言っても、いわゆる海外事務所では、そうめちゃくちゃ忙しかったのかどうかはわかりませんけれども、今までこれでやってきたというルーチンというか惰性というか、そういうものがあるんじゃないかと私は思う。

 観光庁までつくってやるということになれば、大臣、これは相当、時代はこうだと、しっかりと海外の職員まで含めて発想の転換をきつく指示をするようなことをやらない限り、なかなか成果が上がらない。つまり、これは今、観光客の誘致の戦争をやっているようなものですよ、シンガポールも中国も。私は、そういう面で、本当に心しての体制の実質的な運用をお願いしたいと指摘をしておきたいと思います。

 それで、組織論を今申し上げたんですが、次に、今度は問題は、国民、とりわけ海外のいろいろな人たちに、ようこそジャパンだ、日本においで、日本はいいところだよと観光誘致をする、コンベンションを誘致するという具体的な事業というものの追加というか、変更というか、創設というものが私は不可欠だと思うんです、観光庁をつくるというこの段階で。どういうような具体的な戦略というものを今現在でお考えなのか、私はそれをお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 国際観光振興ということは、一律ではなくて、その地域地域、個性があると思うんですね。

 昨年は日中国交正常化三十五周年ということで、日中観光交流年と銘打ちまして、いろいろ考えました。私は成功したと思うんですね。三万人の交流ということを銘打ちまして、日本から中国の十九の都市に航空定期便が就航しております、そして、中国の都市から日本には十七の都市にまた定期便が就航しています、その一つ一つに、日本から中国の十九に、一都市おおむね千人の客を運ぼうじゃないか。そうすると、単純にすれば一万九千人になります。向こうから十七の都市に千人というのはちょっと厳しいようでしたけれども、日本もするんだから協力してほしい、こういうことをやりました。

 結果は、日本からは一万九千人を超えること二万四千五百人が行ってくださいました。そして向こうからは、はっきりした統計がちょっとないんですけれども、一万人は超えています、一万三千人とも言っているんですがね。したがいまして、この三万人の草の根交流といいますか、そういうものが、我々のビジット・ジャパン・キャンペーンによって中国の方にも共鳴をしていただいて、そのような実績を上げることができました。

 その内容は、その都市によってすごく違いまして、ほとんどが歴史とか景観、風景、そういうものを中心にしておりますけれども、ある場合は音楽、ある場合は書道というようなもの、あるいは青少年交流という、子供たちが大人と一緒に行ってくれたり、あるいは企業が中心になって人を集めていただいて、たくさんたくさん行っていただいた、あるいは政治家が後援会を連れて行っていただいたというようなこともありまして、大変にぎやかにできたと思います。

 ことしは、フランスとの間で、日仏の間で、日仏の外交関係樹立百五十周年に当たるらしいんですね。そういうことで、我々は日仏観光交流年をやろうじゃないかということで、過日、フランスからも、フランスが東京で一つのフランスを売り込むあれをやっていただきましたけれども、日本もパリで、私も行こうと思っておりますが、その際も、フランス人は割合、日本の歴史というものに、あるいは伝統というものに非常に関心を持っておられまして、今、京都と飛騨の高山へたくさん来ていただいているんですね。それで私は、今回はそれに加えて、金沢とか熊野古道とか、それから瀬戸内海の直島とか安芸の宮島を売り込みました。大変関心を持っていただきました。

 私はそのように、長くなりますのでやめますが、昨年は朝鮮通信使四百年ということで、朝鮮通信使が通った町でそれぞれやりました。韓国から日本へ来ていただいた人の方が超過してしまいました。今までは日本人の方が多かったんですが、韓国から日本へ来ていただくお客さんの方がふえまして、そういう意味では非常に、そういう歴史とか伝統とか共通の話題とかいうものをとらえてやればいいなという感じをいたしました。

古賀(一)委員 今、大臣みずから国際観光あるいは観光客誘致というものにかかわっておられることに敬意を表します。

 私も、実は日中の交流は非常に長うございまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環を若干担わせていただいて、この国会に中国から高校生が来る、写真を撮るから古賀さん来てと、行ってみんなで撮ったり、一昨年でしたか、中国の漫画家の集団が来ましたよ。これを超党派でお迎えして、交流会も東京でやりました。そのとき、関東地域整備局の局長さんも来ておって、あなた観光に関係ないじゃないかと、本当はないんでしょう、専門が全然違う。でも、国土交通省が所管で、関東地域整備局の担当なものだから来ている。でも、それはそれでいいんですけれども、それが私は問題だと思うんですよ。つまり、役所が一々かかわらないと突破口が開けない。こういうことで本当の国際観光が進むだろうかというところが問題で、私は審議官に言いたいです。これは私は冬柴大臣にもかねて言いました。

 前回質問したことをもう一回繰り返して、その後のフォローを聞きたいと思うんですけれども、要はビジット・ジャパンで観光客誘致のために、シンガポールのホテルでビジット・ジャパン・キャンペーンのパーティーをやるぞ、ロンドンでやるぞと。大臣が行けないなら政務官が行く、あるいは機構の皆さんが行くといって、大使も呼ぶ、関係旅行会社を呼ぶ。そういう仕掛けでこれからのすそ野の広い、地に足がついた観光の拡大が本当にできるだろうかということを私は前から言っているんです。

 大臣にこの前提言をした、私は超グッドアイデアだと思っているんですよ。私は、世界各国に百カ所、二百カ所、大型液晶のパネルを出したらいい。今度、北京の空港だって日本のODAでできたんだから、日本のかなり大きい最高の液晶のパネル、薄いものを張れと。パリのシャルル・ドゴールだ、ヒースロー空港だ、ニューヨークだと。そういうことをすることによって情報発信は、皆さんがこの前つくられたアフォーダブル・ジャパンとか、あんなもので人は来ません。問題はビジュアルなんです。もっときれいな、本当に魅力的なコンテンツを映像で世界じゅうに発信し、一般の人が見られるという仕掛け、そういうことこそが本当の意味での日本へのあこがれ、日本への理解、そしてひいては日本への観光につながるわけで、だから私は何度も言っているんです。

 後ほども言うけれども、これが日本というスーパーハイビジョンによるデジタルの映像を、九州ブロックは九州の祭りをつくれ、京都の四季をつくれ、日本の最先端企業というものをつくれ、東北の祭りと。それをスーパーハイビジョンで各ブロックにつくらせてごらんなさいよ。恐らく、うっとりするような、すばらしい映像ができると私は思う。DVDをコピーするなんというのはもうただみたいなものだから、そういう大きい仕掛けを打つということが観光庁の仕事だと私は思うんですよ。だから、そういうことを私は前から聞きたかったわけです、それをやって欲しかったわけです。

 この前、私の国会質問の後に担当の方が、いいアイデアをいただきました、進めます、検討しております、こうなったんです。これなんか、本当に観光庁ができるならば、パンフレットをつくるとか、世界じゅうの事務所に五千冊か一万冊か知りませんよ、置いておくじゃなくて、こういう一般の人が触れる、一番伝達力の強い映像というものを一つつくっていくとか、そういう新しい戦略、そういうものを観光庁というものはつくるべきだと私は思うんです。

 そして今、国土交通省が直轄で、出先機関あるいは本省でビジット・ジャパン・キャンペーンをやっておられる。それでは賄い切れない。やはり地方ですよ、主体は地方なんです。うちにどういう観光資源があって、来てほしいという切実なる要望があるのは地方そのものですよ。それをどう観光政策に組み込むかというのは、もう一つの大変重要な問題だと私は思っています。

 冒頭聞いた通訳案内士については、都道府県限定だと。昔、観光基本計画ですか、つくれといったのを都道府県に命じたんです、法律で。でも、フランスの人は、私のふるさとの福岡県だけ来ませんよ。やはり、日本全体というと、ぼけ過ぎる。九州は阿蘇があるよ、火山もある、温泉もある。やはり、ちょうどいいのはブロックだと私は思うんですよ。市町村単位では絶対来ない。国際観光パンフレットをつくっても意味がない。県では小さ過ぎる、観光のメニューが少なさ過ぎる。ちょうどいいのは、東北ブロック、北海道、スキーがあるよ、温泉があるよ、サミットをやりましたよ、こういうブロックで国際観光というものを推進させるのが一番いいと私は思うんですよ。

 私も、かつて知事から担当したことがあるんです、地方に出向したときに。九州なんかは、もう知事は、国際観光だ、みんな手をつなごうと必ずなるんです、利益は共通ですから。そこで私は、先ほど言いましたような、そういう新しい広報ツールというか戦略物資を、今回観光庁ができたら日本で百本つくる、だから、ブロック単位で一本でも二本でもいい、つくれと。

 最初のスタートだから、まさに観光庁がスタートするときに、二十一年度でもいいですよ、本当は今年度つけた方がいいと思うんですけれども、一千万円ぐらい、一つのブロックに一千万円出す、一番いいものをつくったところには来年もまた出すといって競争させればいいんですよ。必ずそういう面でブロックというものは連携し、議論し、協力する。ブロック間の競争が始まる。そういう勢いの中に初めて日本の国際観光の発信ができると私は思うんですよ。

 だから、観光庁だけであれこれ考えても広がりがないと思う。私は、その点、絶対これは、いや、別に私は野党だからこんな心配することはないんだけれども、でも、やはり国家のために、そう思うから二度三度言っておりますけれども、大臣、これは大臣が命令すればいいんですよ、やれと。観光庁のスタートのすばらしいプロジェクトだと思いますけれども、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 これで二回お聞きしました。本当にずっと頭に残っております。ビジット・ジャパン・キャンペーンも、飛行機の中、国際線で映像を映してもらっていまして、非常にきれいに、途中で切れたりして僕は文句を言ったりしたことはあるけれども、しかし非常にいいんですよ。みんな見ている、暇だから全部見るわけですよ。その中で見ていただくというのは非常にいいし、おっしゃっていただいた、中部空港の中でもあれがあるんですね。そういうものを、やはり映像というのはもう強烈ですから、私は今の案をいただきたいと思います。

 それで、広域地方計画というのを今度つくります、今おっしゃるように。私、近畿ですけれども、近畿の中にも、近畿が一つ一つではいけないので、近畿は一つということで、これをやろうと。それで、古都京都とか古都奈良とか、そして熊野古道とか、兵庫にも姫路城というものもありますし、五つもあるんです。したがいまして、そういうものを、一つ一つじゃなしに近畿ブロックとして、そして、関空もあればスーパー中枢港湾もあるわけですから、外国からも来てもらったら、そこへ行くネットワークもきちっとして、そしてその中に必ず観光を組み込んでいただくということになれば、私は、外国とシームレスに、国とかそんなところがかかわることなくつき合いが始まるだろうと思います。

 したがって、今のお話はいただきますので、また、本当に、命令すればいいということですけれども、なかなか予算もそうそうありませんけれども、頑張らせていただきます。ありがとうございます。

古賀(一)委員 私は、前回よりも大臣の前向きの答弁をいただきましたし、これは本当に、クリーンヒットというか大ホームランというか、になると思います、自分で言うのもなんですけれども。

 いや、これはだって、毎年そういう発想に自治体がなるということなんですから、ここが大きいと思うんですよ。彼らは今まで当事者じゃないんですよ。ところが、そういう形で競争になってくると、自分たちの問題となって競争が始まるというところが本当にこの案のいいところで、この前申し上げましたけれども、大臣、アメリカの大統領が来たらお土産は何をやるんですか、中国に行ったとき、お土産は何をやるんですか。中国につぼを持っていくわけにいかないし、やるものがないんですよね。そうなると、このDVDを十枚持っていけば大したお土産になるというようなことも申し上げたわけですが、私はぜひそういうことで推進をお願いしたいと思います。

 それで、本当にあっという間に時間が過ぎるんですけれども、さて問題は、国際コンベンション機能を中心に日本の地位がこれだけ落ちてきた。経済だけではない。そうしたときに、実は今、新聞でもよく載っておりますけれども、自民党を中心に、他党のことを言って恐縮ですが、カジノ議連というものができて、自民党においては政調のあれになっています。これについて、私も、仙台だ、あるいは沖縄だ、北海道だ、地域活性化という意味もある、新しいエンターテインメント産業を育成したいというような思いもあって、勉強させていただきました。

 これはかなり悩ましいところもあるし、ある意味では可能性も秘めている。先進百二十カ国で結局カジノというものが一つもないのは日本だけになりまして、実は、シンガポール、小さい国ですけれども、先ほど言ったようにコンベンション機能では今や日本の倍に育ったこの国は、チューインガムをかんで捨てても罰金、たばこを吸っても罰金、チューインガムまで輸入禁止にしたようなドゥーノットの国なんですよね。あれもだめ、これもだめと。この国が、何と今、実はカジノ解禁というか、大カジノ基地を目指して大工事中だと聞いています。

 こうしたときに、カジノというのはギャンブルといえばギャンブルでありますけれども、ただ、私が、国際誘致だ、国際観光だ、こう言ったときに、私も赤坂の宿舎におりまして、たまに下に飯を食いに行くんですね、赤坂に。そうすると、八時、九時に外国人が四、五人でどこで食おうかといってきょろきょろしながら通っています。それで、よくよく考えると、コンベンションが東京であった、一週間滞在する、みんなでパーティーで飯を食った、仲間で飯を食った。その後、東京で遊ぶところがないですよね、何をするんだろうと。そうしたときに、メニューとしてあとは何があるか。こうなると、本当に日本において、東京はおもしろいよと言っても、実際のところ、夜過ごすメニューがない、八時以降。私はそういうふうに痛切に思うんです。

 昔は、何といいますか、SKD等がありましたよ。私は、外国のお客さんが来たらすぐ、役人のとき、国際会議をやった後、連れて行った場所です。夜、ないから。日劇のレビューを見せに行ったとか。ところが、今それもない。そうすると、結局、そこら辺も実は真剣に考えなきゃならぬテーマではないかと思うんです。

 今ここで結論は、方向性は出せないかもしれませんけれども、いわゆるカジノ・エンターテインメントというこの問題が、厳然としてマカオあるいは韓国、シンガポール、もちろんアメリカ、ヨーロッパ、全部の、ほとんどの国にあるという現実を踏まえて、観光誘致を国策として推進するに当たってどのような認識をお持ちなのか、今後どこまで勉強してあるのか、お伺いをしたいと思います。

本保政府参考人 カジノについて御質問がありましたので、お答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘のように、日本にはいろいろな観光魅力がございまして、非常に国際的にすぐれているものもあれば、まだ足りないものもあるとは思うんですが、その中で、カジノをどう位置づけていくかというのは、なかなか難しい問題があろうかと思っております。先生御自身が悩ましいところがあるというふうにおっしゃられましたが、やはりカジノ導入に伴う社会的影響というのはいろいろあるというふうに御指摘を受けているところでございます。

 したがいまして、この辺について、やはり慎重な議論が必要でありますし、幅広い視野からいろいろ御検討をいただく必要があるのではないかと私ども思っております。その辺も見据えながら、国土交通省としてどういう対応をしたらいいのかということを考えてまいりたい、このように思っております。

古賀(一)委員 国会議員もこれは真剣に、やはり世界の趨勢がそうだから、勉強します。しかし、これは一種のタブーだと逃げずに、観光として実際各国がこれを安全にするシステムをどうつくっているか、観光にどれだけの影響があるのか、そういうものはやはり憶せずに、観光行政の一環として調査研究、前向きな目で議論していくべきだと私は思います。

 我々も、私は実はそういうプロジェクトチームといいますか勉強会の一員でもありますし、大分勉強もしましたけれども、これはほっておくわけにいかない、うまくやればきちんとできる問題ではないだろうかと思いますので、今後、これは一つのメニューとしてしっかり政府の方でも頭に置いていただきたいと思います。

 それでは、最後、あと一分少々になりましたけれども、国土計画局長にお伺いをしたいと思うんです。

 先ほど私は、ブロックの役割というのは非常に大きいよ、こう言ってきたんです。それで、実は今度、国土計画局の方でいわゆる新しい交付金制度を十九年度からつくられました。これについては、インフラ整備プラス宣伝であるとか広報であるとか、ソフト事業にも一部これは資金を活用してもいいという、ある面では地方からいえば使い勝手のいい、都道府県に対する交付金制度なんですね。

 これを実は私の地元に、二〇一〇年、上海の万博がある年ですよ、この年、実は奈良は古都千三百年ということで、今本当にいろいろな論議の中にいろいろな準備を進めてあります。実は、私の地元にも、世界ツバキ博というものが来ることになっているんです。

 ところが、地方は、なかなかこういう国際的なイベントとかは経験がないんです。それで、ここら辺のところはやはり国の観光庁が一つの情報の中心となってアドバイスをするという機能も今後私は必要になってくると思うんですけれども、ただ、御多分に漏れず金がないという中に、こういった地方の国際イベントを通じて、国際的な行事の開催を通じて地域振興をやっていくというときに、国土計画局で昨年から稼働しております地域自立・活性化交付金というものはどういうふうに使えるのか。古都千三百年の例を引きながらでも、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

辻原政府参考人 委員から、平城遷都千三百年、それから御地元のツバキ博覧会のお話がございましたけれども、こういった大きなイベントの開催を契機にいたしまして、広域観光の活性化を図るための基盤整備などを進めていくためにこの交付金の制度を利用するということであれば、基本的に本制度の趣旨に沿ったものではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、本制度は、広域の地域の活性化を図るということが目的でございますので、県が対象になります。今後、地元の県から具体的な相談があれば、前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。

古賀(一)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、最後に総括する意味で、これまで観光行政は、運輸省の中で、いわゆる許認可行政の色彩が強かったと私は思う。国民に対して、ましてや世界に対して発信していくというところは、お題目では言いながらも、私は大変弱かったと思うんですよ。

 これからは、この行革の時代に異例とも言える庁昇格というのをお願いし、やる以上は、私は、時宜に合った国際観光だけに大変期待もするけれども、ぜひともこれは、これまでの旧習にとらわれず、新しい発想で、審議会もそうです、これはまたもう一回チャンスがあると思いますので申し上げますけれども、審議会のあり方も、きのう説明を受けたあれでは、私は不満です。今までどおりのパターンだなと思いました。

 今後、そういうことで、期待もしますけれども、しっかりと見守っていきたいと思いますので、頑張ってください。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

竹本委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、連日御苦労さまでございます。

 大臣、この改正法案に入る前に、逢坂議員が先ほど御質問した件に関連してちょっとお尋ねをしたい点がございます。

 確かに、暫定税率が四月一日以降廃止をされて、年度トータルで、国、地方合わせて二兆六千億の減収になるというのは、もちろん数字的にはよく理解できます。三月の下旬でしたから、もう一カ月近く前に、大臣と道路特定財源の特例法に関して御議論をさせていただきましたが、そうはいっても、基本税率部分が年度トータルで、国、地方合わせて二兆八千億あるというこの現実の中で、先ほども道路局長から、繰り越し部分を含めて約二〇%の分については頭出しをしたというふうなことであります。

 であれば、まず政府としてやっていただくことは、国、地方合わせて、少なくとも六カ月間の、全部平等に割り切れるかどうかは別としても、六カ月間は、財源的には道路整備に関する費用というものは基本税率部分だけでも大丈夫だ、あわせて、特例法が仮になくても、特別会計法の中で二百一条できちっと執行ができるというお話も先ほどいただきました。

 であれば、なぜ、地方自治体や、ただでさえ公共事業が平成十年から比べれば半減をしている、中小企業の建設業の皆さん方を不安にさせることばかりを今あおって、大変失礼な言い方ですが、私はあおっているような感じがしてならないんです。

 それは、確かに、四月の末か五月の中旬かは別としても、もう一度採決をし直すというような話もございますけれども、それとは別に、大臣が国土交通大臣としてやっていただくべきことは、地方自治体の道路工事にも、そして建設業者の皆さんにも、少なくとも半年分はきちっとした財源は基本税率の中であるので大丈夫だよというメッセージはまず出しながら、ただし暫定税率部分ではこうなるという、私は順序が逆だというふうに思うんです。これは、大臣のお立場では、はい、そうですかとは言えないと思うのは十二分に承知しておりますけれども。

 平成十年の補正後の国の公共事業のトータルというのは、大臣御案内のとおり十四・九兆円、十五兆円。昨年はそれが六・九兆円、七兆円、半分以下になっているというふうなこと。これはまさに、ある意味では、いや、その当時は、もちろん、いろいろな景気対策みたいなものもあってやらざるを得なかったということも、必要性は認めますが、公共事業を、ある意味では政府や自治体の意思で減少している。中小企業の建設業の皆さん方は、そうではなくて、当時の水準があればこんなに不況に陥っていないという裏返しの議論があるわけですよね。

 これは後でも触れますが、昨年一年間の倒産件数が一万件を超え、トータルの負債総額が五兆五千億を超え、その中で建設業が一番苦境に陥っている、この責任はだれかと問われたときに、もちろんそれは自分自身の経営努力も当然前提としてあるものの、公共事業に依存をしていたその体質自体の改善をしなかったということも当然あるはずなんです。

 だから、それも含めて、大臣が出していただくメッセージは、少なくとも、基本税率部分だけでも半年間の事業執行はきちっとできますよということをまず言っていただいて、自治体や建設業の皆さん方の不安をまずなくして、その上で暫定税率の問題を議論するというのが大臣の役割だと僕は思いますけれども、大臣の御見解をお伺いします。

冬柴国務大臣 予算が通れば直ちに四月から新しい工事に着手をして、そして年度内に完成するというものであれば、単年度主義の予算というものはそういう形態をとっているものですから。道路の場合はそうじゃなくて、十年、十五年かかっちゃうわけですね。

 したがいまして、現在も九割程度はもう既に着手済みの継続事業であります。約半分の事業を選定するということは、非常に、どこもみんな待っているわけです、次はおれのところでやってくれと。これは、選定作業は地方公共団体を巻き込んだ対応が必要でございまして、現場の混乱も予想され、相当時間を必要といたします。そういうことから、迅速な対応をすることは難しいというのが現状でございます。

 したがいまして、本則部分の税金に対応した実施計画を改めて作成し直すということは、ほとんど不可能に近いほど困難だと思うわけでございます。そういうことから、本則部分は入っているじゃないか、だからそれだけでも出せばいいじゃないかということにはなかなかならない。

 したがいまして、我々としては、財務省とも相談をしながら、とりあえず、四千億ほどになりますけれども、道路の補修、修繕、こういうものは今までどおりにきちっとやりますということとか、あるいは、いわゆる仕掛かりのものについては、支払い時期の約束をしております。したがいまして、それについては、その履行期をきちっと守っていきますということとか、もう一つは、出水期に川に橋脚を建てたりすることができません。したがいまして、そういう緊急事態の部分については何が何でもやらせてほしいということで、財務との協議をして、そしてここで五千億ほど捻出をして、当初予算、今税金は入らないにしても、これだけはきっちりやりますよということでしているわけでございます。

 そして、それとともに、もしこれが地方の、道路整備臨交金にしても、あの法律が通らないと、ここでは三月の十三日に可決して送っていただいたけれども、まだ参議院ではお経読みもできていないんですよ。したがいまして、この中に臨交金を配分する根拠があるじゃないですか。それから、地方の困っているところには一千億の無利子貸し付けのものもありますし、そういうものが入っているわけです。

 したがいまして、こういうものを組み合わせて、全体的に、次はどこをするということにしなければ、地方を巻き込んだ、これをどこで始めるとかどうとかということはなかなかしにくい、できにくいというのが現状でございます。

後藤(斎)委員 まず大臣は、本当は、自治体の皆さんや建設事業者の皆さん方も安心してくださいというふうにお願いもしたんですが、大臣がおっしゃっていることは全然わからないわけじゃないんです。

 ただし、私どもも、そうじゃなくて、トータルのパッケージとしてやはり議論をしなければ、減収だけという、自治体や国の税を徴収する視点から見れば確かに大臣がおっしゃるとおりであって、そうじゃない法案の体系も私ども出しているということをぜひもう一度御理解いただきたい。

 きのうの夕刊に、自動車センサーというのを、これは国交省じゃありませんが、経産省と警察庁が、五年後の実用化を目指すということで、これは自動車に積んだセンサーで、信号機を制御してスムーズに通行できる。これを例えば五年後に実用化ということで、これは二〇二五年のイノベーションビジョンみたいなものにも同趣旨のことが載っているんです。

 ちょっと議論が戻って恐縮なんですが、これだけで道路の話はやめますけれども、中期計画の中でも渋滞対策ということを二十一兆円、一番初めの五十九兆円の中で計上をしています。非常に大きなウエートだというふうに、この委員会でも大臣は繰り返しお話をされました。

 ということであれば、技術革新の進歩というものが一方にあって、そして、その中で必要な、では計画化という、道路特定財源法の、大臣がおっしゃるように臨時交付金の廃止もありますし、それが根拠法だということもよくわかっていますけれども、それ以外に、全体の事業量を閣議決定して、これも前回、大臣と一カ月ほど前に議論させてもらいましたが、決めて、収入が支出を上回れば一般財源化をする、そうじゃない場合は一般会計から繰り入れして事業執行しなさいという規定になっているわけですよ。

 という今の閣法の部分だけを大前提でやると、例えばこういう技術革新の進歩があったときの部分が、これは前提には全然していないわけですから、私は、違ったものが、大臣、秋、秋という話で、それが前倒しになるかどうかよくわかりませんけれども、少なくともそういうもろもろのものを一つの視点だけではなくてトータルとして見ていただいて、少なくとも今の時点では半年は十分あるんだということをやはりきちっと、繰り返しになりますけれども、自治体や建設事業者の皆さんにもメッセージを発するということも大臣の大きなお仕事だと思うんです。

 では、公共事業が減ったことの責任というのはだれにあるんですか。財政状況がという大前提があるのはわかりますけれども、それは最終的に行政の国土交通担当部門では大臣が責任を持ってお決めになっているわけですよね、当然。ということも含めて、少なくとも地方自治体の交付税だってこの六年間に五兆円も減っているとか、いろいろな部分があって地方は悲鳴を上げているという部分、建設事業者の皆さんも悲鳴を上げているという事実、それに対して大臣は、暫定税率の部分はおいておいても、やはり、そうではないよ、きちっと国としてもこういう施策でやるよというメッセージを発していただきたいと思うんです。

 大臣、本当に短くて結構ですから、あとちょっとたまっているので、一言だけお願いします。

冬柴国務大臣 後藤委員の政党がおっしゃっていることで、地方に今までどおり迷惑かけませんということをやってしまいますと、もう本当に、国の部分は三兆三千入っても四千億しか残らぬじゃないですか。そうすると、それがもう道路の整備費しか、雪おろしとか、今からは雪はなくなってきますけれども、本当に大変厳しい、厳しいものがありますので、今二兆六千をどこから持ってくるかということで頭がいっぱいなんですね。

 ですから、これは静かに考えて、一年を通せば今おっしゃるようなことも考えられますけれども、今急に、ここ一、二カ月で、まあ安心しなさい、仕事を上げますなんといったって、これは大変ですよ。それで、総務省も必ず地方には迷惑かけないということを言っていただいていますし、我々政党からもそのように言っていますけれども、これはやはりある程度の時間が要ると思いますよ。

 したがって、今、この瀬戸際で、今週どうするか、あしたどうするかということは相当困難だということを申し上げているだけでありまして、これも、いつ終わるのかということでこれは全部変わります。私どもは、そういう中で、今入ってくるものもあるんだから、それを分けたらいいじゃないかというのもよくわかるんですけれども、現実問題としては、きょうあす、今週来週というようなところで、そういう作業は非常に困難だということ、困難というよりも、もうほとんど不可能だということを申し上げているわけでございます。

後藤(斎)委員 また来週機会があると思いますので、これ以上やるとちょっと、私の所掌の分野ができないので、これはきょうで終わらせていただきますけれども。

 大臣、今回の国土交通省の設置法の部分で、私どもは今、大変恐縮ですが、閣法だけでは十二分でない点があるということで、修正の協議をさせていただいております。

 と申しますのは、大臣、前回の委員会の議論の中でも、大臣は、三条機関にしたということで、国土交通省の外局で独立性、中立性の部分は十分対応ができるというお話をなさいました。

 ただし、大臣、航空管制の話もそうですし、ある意味では車検等の規制の問題を監督しているのが国土交通省であります。基本的には、独立性の担保というものがどこまで図られるかということで、大臣の意思というものが、そこの委員長ないし委員の皆さん方にその意思が違った形で働けば大変よくない、きちっとした科学的、技術的そして中立的な見地に基づいて再発防止という勧告をすることも非常に難しくなるということは絶対避けなければいけないし、そういう意味で、私たちは、内閣府に置く中で、少なくとも国土交通省とはニュートラルな形で、距離感を置いてやっていただきたいというお願いをしています。

 ただし、今の部分で、人的な部分、予算的な部分を、先ほどの道路の話も関連をしますが、平成二十年度の分には当然入れ込んで対応なさっている、できたら十月一日からスタートをしたいという、いろいろなこともよくわかりますので、そういう部分で、大臣、独立性とか中立性の担保というものを、仮に外局、三条機関のままでやるにしても、将来の課題としては、アメリカの国家運輸安全委員会のように、やはり中立性、独立性をもっと高めるという手法も含めて考えていくことが必要だと思うんですけれども、後ろにいる皆さん方の方を見なくて結構ですから、大臣としての御見解をぜひお聞かせください。

冬柴国務大臣 全くこちらを向いて私は申し上げているつもりですけれども。

 今までの事故調、今度の運輸安全委員会というのは、今までも人事は国会同意人事になっておりますし、それから、事故が起こったときに私に対する建議とか、そしてまた勧告を出していただいていますよ、本当に。ですから、私がコントロールする、そんな気持ちもなければ、そういうふうにもなっていません。

 それから、国土交通省に置いた方がいい。私は本当に心からいいと思っていることがあります。それは、鉄道にしても航空機にしてもそうですけれども、業法を国土交通省は持っているわけでございます。したがいまして、JR各社にしても航空各社にしても、我々はそこの動きというものは全部掌中にしているわけでございます。したがって、そういうものは事故の原因究明のときに非常に役に立つ。

 それから、事故は、東京だけで起こるわけではなしに、日本国じゅうどこで起こるかわかりません。日本国じゅうに、例えば国土交通省の運輸局とかそういうものがおりまして、事故が起これば直ちにそこが駆けつけて、そしてあらゆる情報収集とか、そういうことのお手伝いもできるわけです。

 そういう意味では、この法律のように三条機関ということは、特に八条に比べて三条機関というのは我々から独立するわけですし、人事も、それから内部の規則制定権もお持ちになるわけですし、そういう意味では、私は見ていただきたいと思うんですね。

 外国がどうなっているということは別としましても、日本の場合、今まで事故調がどれだけ信頼されたか、そして、その結果、そういう事故調の報告というものが各所で、被害者も含めて高く評価していただいたかということを考えれば、国土交通省がそれに対して容喙をするとか、そういうことは考えられませんし、またすべきでもないし、それは十分に国会でチェックいただけるものだと思っております。

後藤(斎)委員 大臣のおっしゃることはわからないわけでもありませんが、実は、対象業務についても、大臣御案内のとおり、平成十三年の当委員会の附帯決議でも、平成十八年の当委員会の附帯決議でも、体制整備並びに対象業務範囲の拡大の必要性については今後の課題として検討を行う、その前提条件として諸外国の例も参考にするという規定がございます。

 一方の独立性については、八条から三条ということで、大臣おっしゃるように、独立性については少しはよくなったかなと思うものを、やはり対象事故については、確かに、海難審判の部分を、海難審判庁をスクラップ・アンド・ビルドということもあるかもしれませんけれども、観光庁設置の部分で振りかえをしたという中で、対象範囲については、平成十八年、二年前のときにも、自動車も含めてという、業務範囲の拡大の必要性について附帯決議に触れられていますが、これは今回も見送られたということです。

 これは、きょう警察庁がおいでになっていますが、今、警察庁と国土交通省の方で交通事故総合分析センターというものが共管で対応されていると思います。仮に、事故原因の調査、そして再発防止という観点で、運輸安全委員会に事業用自動車、それをもう少し限定して、例えば、重大事故、死亡事故につながったということの限定でも結構なんですが、それを入れ込んだとき、警察庁として何かお困りになるようなことはございますでしょうか。

深草政府参考人 現在、事業用自動車の交通事故を含めまして、個々の交通事故の原因究明と再発防止のための調査分析は都道府県警察において行われており、具体的には、都道府県警察の職員が、道路管理者の職員などとともに道路交通の状況を詳細に調査した上で、道路の改良や交通規制の見直しなどの再発防止策を行っているところであります。

 また、事業用自動車の重大事故違反については、その違反等が使用者の業務に関してなされたものであるときは、都道府県公安委員会から監督行政庁に対して、その違反等の内容を通知しているところであります。

 また、財団法人交通事故総合分析センターは、統計分析とこれを補完する事故例調査により、交通事故の特徴や傾向を総合的、科学的に分析し、交通安全対策の立案、実現に寄与しているところであります。

 このような現在の交通事故調査分析の仕組みは、交通事故死者数の減少に大きく寄与しているものと考えられることから、交通安全対策の観点からは、現在の仕組みを維持することが肝要であると考えております。

 他方、事業用自動車の交通事故の調査分析について新たな仕組みを設けることが必要かどうかについては、国土交通省において、当面、同省に設置された自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会の機能の強化を図ることとされていると承知しており、警察庁としてもこれに協力してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 大臣、今の秩序の中でやりたいというお話、それもそれとして、本当に交通事故の減少につながっていけば、それはプラスの面かもしれませんが、既に先ほどもちょっと触れさせていただいたように、財団法人交通事故総合分析センターは両省の共管になっているわけですよね。実際、役員の方が十四人で職員の方が二十七人。別に、この役員の数をどうこう言うのは今はしませんけれども。

 もともとの分析センターの中に、交通事故の被害軽減に対する必要な情報収集、その管理というのと、その次の事項で原因の科学的な究明を図るための調査ということがあって、運輸安全委員会が対応する原因究明であるとか再発防止という部分にかなり似通ったというか、ある意味で、私は、この二十七人の専門家の皆さん方が運輸安全委員会の中に入って、その知見も生かしながら対応するという仕組みに、確かに、今は難しいというのはよくわかる部分もあります。

 ただ、先ほどもお話ししたように、附帯決議でももう七年前からこう書いてあるにもかかわらずそこがなかなか進んでいないという現状と、この交通事故総合分析センターのあり方というものの事業の相似性というか類似性みたいなものを考えたときに、もっと本当に国民のためにプラスになることであれば、今これだけいろいろな形で、先週の金曜日ですか、新しい国家公務員の制度の基本法なるものも出てきて、抜本的にやはり行政制度というものをもう一度国民の視点から見直さなければいけない。これは、冒頭もあれして、この委員会でも何度もお尋ねをした。

 道路行政、国土交通行政全体についてやはり無駄や無理があった部分もあるし、それが国民の皆さんから見ればプラスになったものもあるけれども、そうでない部分もたくさんある、それを見直そうということで、大臣みずからが指揮をして、無駄遣いの見直しとか組織のあり方を、いろいろな御検討をなさっていると思うんです。

 私は、この問題も、運輸安全委員会という、やはり陸海空というものそれぞれがいろいろな観点から、もちろん専門家はいるにしても、委員も、スタッフにしても、専門家はいるにしても、それがトータルとして検討を加えるという視点があれば、もっと違った知見とか原因究明というものがもしかしたらできるかもしれない。それが、二十七人の専門家のこの分析センターの皆さん方が合体をすることがもし正しい方向であれば、私は、組織のあり方として、今ではなくても結構ですけれども、これからのあり方としてぜひ検討をしていただく、それも前向きに検討をしていただきたいと思うんですが、その点についての大臣の御見解をお伺いします。

冬柴国務大臣 これは、附帯決議の中でも入れられたことですし、民主党のマニフェストの中にも入っていたと承知をいたしておりますが、事故調査委員会、この運輸安全委員会は、対象が個性的、個別的なんですね。ですから、航空機事故にしても、あるいは鉄道事故にしても、海難事故にしても、海難事故もたくさんありますけれども、ここが事故調査に取り組むべき事案がそんなにたくさんあれば、これはなかなか難しいと私は思います。

 しかしながら、自動車事故の場合は、年間百十万件ぐらい起こっているんですね。そして、それに対して、特に事業用自動車の事故だけでも、平成十九年度で年間五万七千件という膨大な事故件数になってしまっているわけです。したがいまして、これについて、そのうちの重大事故と言われても、それのどれが重大事故に当たるのかということもありますので、この事故の原因の大半が今までのヒューマンエラー、安全の不確認、わき見運転というような運転者の安全運転に問題があったという面が非常に大きいわけです。

 したがいまして、そういう問題をグロスにとらえて、そして再発を防止するというような問題、それから、個々の自動車のクレームというのがありますね。そういうような問題については、そういう場面での要因分析等が行われているわけでございまして、私は、今はそれはいいんだ、将来のことなんだ、こうおっしゃるわけでございますが、もう少し考えさせてください。

 自動車までここへ入れるということになりますと、静かに、客観的に、公正中立に行う事故の原因あるいは再発防止というような問題に、個別事件を通じて深く研究をして、一件で二年ぐらいかかっていますよ、そういうような作業をしている事故調査、そうあるべきだと思うんですけれども、それを、発展している、運輸安全委員会の中に五万七千件も年間に起こる事故というものが対象として入るということ自体、私はちょっと性格が変わってくるんじゃないかという思いが今はしております。

後藤(斎)委員 大臣、私も全部の自動車事故をなんということは言っていませんし、例えば、アメリカの国家運輸安全委員会も、ハイウエーの交通事故ということで限定をしたもので自動車も入れるとか、あわせて、私たちが思っているのは、重大事故と言われた、例えば死亡者が三人以上の場合という特例をする、それで社会的影響が多いというものでは、年間三十件から五十件程度だというふうにも言われています。

 ある程度絞り込んで原因究明することが、事故の再発防止につながり、ひいては国民の皆さん方にプラスになるという、そこに絞ってやってくださいよということを私たちはお願いをしているわけでありまして、そういう部分を含めて、やはり検討を、私、どういうふうにしているのか、中のことは大臣しかおわかりになりませんから、改めてお聞きをします。

 そういうふうに対象を限定しても、今すぐは難しいでしょうか。それとも、今すぐが難しければ、将来の課題としては、できるだけきちっとした体制を組んで、そういう交通事故、重大事故の部分についてもこれから対象に入れるということは、今、少なくとも大臣の御見解としてイエスというふうには言えないでしょうか。

冬柴国務大臣 きょう現在は、私、ちょっと言いにくいですね。本当に、もう正直に申し上げます。

 それと、アメリカの場合は、そういうふうにして独立性をすごく担保しているけれども、アメリカ自身がこう言うんじゃないでしょうか。例えば、イギリス、ドイツ、フランス、これは典型的な国ですけれども、我が国と同じように本省の外局としてやっていますよ、ここは。そういう意味で、必ずしもアメリカが行っていることが普遍的なものなのかどうかは、私、にわかに判断できないんですが。

 自動車、自動車というと広過ぎるけれども、事業用自動車について、その重大事故とか高速道路上のものとか、いろいろ絞り込んでお話がありました。しかしながら、運輸安全委員会にやっていただこうという原因究明、再発防止作業というのは、非常に職人的といいますか、学究的というか、個性的なんですね。もうすぐに福知山の事故も三年が今月二十五日に来ますけれども、こういう問題を本当に深く掘り下げて研究して、そして、皆さんがこれに納得していただくようなリポートが事故調査委員会から出てくるわけでございまして、この制度は僕は下げたらいけないというふうに思うわけでございます。

 そういう意味で、きょう現在、後藤委員の提案でございますし、それからマニフェストにも入っている問題ですし、附帯決議にも入っている問題でございますけれども、私がこの問題について、では、前向きにとか、検討させますとか言う段階にきょう至っていないということを、残念だけれども申し上げさせていただきます。

後藤(斎)委員 済みません。時間が過ぎているのはわかっていますが、大臣、もう一点だけ確認させてください。

 大臣のおっしゃることもわからないわけではないです。今の行政のお立場はわからないわけではないんですが、それでは、なぜ陸海空合わせて合体をしてやるのか。それこそ変な話、観光庁をつくるために海難審判庁をある意味では廃止をして、まあ所にはしますし、実質的には関係ないといっても人員的には減る。

 そうではなくて、全体として、それぞれの知見というものを生かしながら相互共有もする部分と、そして警察庁も含めた関係機関と連携をし、勧告をしたものをきちっと生かしながら国民生活のこれからの向上に資するということが当然大目的なわけですから、大臣、今の御発言は、少なくとも僕はこの対象云々ということだけじゃなくて、これはほかの省庁の連携もそうですし、では、その委員会の勧告を受けたものを、大臣は外局の部分から来たらそれを受け入れるかもしれませんけれども、ほかの省庁だって連携という部分がきちっとできなければ、そうではないという結果、何のためにこの人たちが働いて、事故の再発防止というものに資する、そういう原因究明をするのかという、大臣がおっしゃるように、何年もかかる事例もあるかもしれません。ですから、そういう意味で、やはり柔軟にすべきは柔軟にして、これは組織のあり方もそうですし、対象の範囲もそうだと思うんです。

 いずれ、先ほど冒頭申し上げたように、新しい車のセンサーで渋滞もなくなる。今、技術が進歩して、車と車の車間距離を常にとり続けるような車も実際もう出ている。ハイブリッドカーも、今後あと十年たてば、販売台数の半分ぐらいがハイブリッドカーになって、実際のガソリンも軽油も消費量が減っていく。これは国全体の方向がそうなるわけじゃないですか。逆に言えば、そうならざるを得ない。そういうときに、組織のあり方やその対象範囲について柔軟でなければ、もうこれで決め打ちよといったら、例えば各省の連携をするといってやったってなかなか進まないのと同じで、だからそれは大臣が、そういうことも含めて前向きに検討しますということを私は最後に大臣に答弁していただきたいんです。いかがですか。

冬柴国務大臣 柔軟に対処させていただきます。

竹本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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