第12号 平成20年4月16日(水曜日)
平成二十年四月十六日(水曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 竹本 直一君
理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君
理事 西銘恒三郎君 理事 山本 公一君
理事 川内 博史君 理事 後藤 斎君
理事 高木 陽介君
赤池 誠章君 遠藤 宣彦君
小里 泰弘君 大塚 高司君
岡部 英明君 鍵田忠兵衛君
金子善次郎君 亀岡 偉民君
北村 茂男君 佐田玄一郎君
島村 宜伸君 菅原 一秀君
杉田 元司君 鈴木 淳司君
薗浦健太郎君 谷 公一君
長崎幸太郎君 葉梨 康弘君
橋本 岳君 林 幹雄君
原田 憲治君 松本 文明君
盛山 正仁君 山本ともひろ君
石川 知裕君 市村浩一郎君
逢坂 誠二君 吉良 州司君
小宮山泰子君 古賀 一成君
長安 豊君 三日月大造君
森本 哲生君 鷲尾英一郎君
赤羽 一嘉君 漆原 良夫君
穀田 恵二君 糸川 正晃君
…………………………………
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
国土交通副大臣 平井たくや君
国土交通副大臣 松島みどり君
国土交通大臣政務官 金子善次郎君
国土交通大臣政務官 谷 公一君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小野 正博君
政府参考人
(警察庁交通局長) 末井 誠史君
政府参考人
(財務省主計局次長) 香川 俊介君
政府参考人
(文化庁次長) 高塩 至君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中尾 昭弘君
政府参考人
(農林水産省農村振興局企画部長) 飯高 悟君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総合観光政策審議官) 本保 芳明君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 榊 正剛君
政府参考人
(国土交通省都市・地域整備局長) 増田 優一君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 宮田 年耕君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 大口 清一君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 鈴木 久泰君
政府参考人
(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長) 辻岡 明君
政府参考人
(国土交通省国土交通政策研究所長) 渡辺 直行君
国土交通委員会専門員 亀井 爲幸君
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委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
徳田 毅君 薗浦健太郎君
若宮 健嗣君 橋本 岳君
石川 知裕君 市村浩一郎君
逢坂 誠二君 吉良 州司君
亀井 静香君 糸川 正晃君
同日
辞任 補欠選任
薗浦健太郎君 徳田 毅君
橋本 岳君 山本ともひろ君
市村浩一郎君 石川 知裕君
吉良 州司君 逢坂 誠二君
糸川 正晃君 亀井 静香君
同日
辞任 補欠選任
山本ともひろ君 若宮 健嗣君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案(内閣提出第一一号)
地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案(内閣提出第一二号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○竹本委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長榊正剛君、道路局長宮田年耕君、鉄道局長大口清一君、航空局長鈴木久泰君、航空・鉄道事故調査委員会事務局長辻岡明君、国土交通政策研究所長渡辺直行君、警察庁交通局長末井誠史君、財務省主計局次長香川俊介君及び厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。
○市村委員 おはようございます。民主党の市村でございます。
本日は、私はいつも所属は内閣委員会でございますけれども、この国土交通委員会、一時間いただきまして、質問させていただきたいと思います。
きょうは、例のJR福知山線の鉄道事故、脱線事故でございますけれども、事故調査委員会の報告書、実は去年の六月なんですね。本当はすぐにやりたかったんですが、去年はいろいろ選挙もあり、総理の辞任ということもあり、また後半いろいろなことがあって、結局一年ぐらいたって、きょう初めてでございます。後ほどゆっくりと議論をさせていただきたいと思います。
また、きょうは、冬柴大臣の地域に関することでもあることについて議論をさせていただきたい。本来であれば決算行政委員会の分科会の方でさせていただこうと思いましたら、ちょっとなかなかそこは難しいということでありました。それで、きょうこうした機会をいただきましたので、お時間をいただきまして議論させていただきたいと存じます。
まず、関西三空港のことについて議論をさせていただきたいと思います。
私は、この三空港、いろいろな経緯があってできてしまったと表現をせざるを得ない状況かもしれません。しかし、できてしまったものをあれこれネガティブに話をしていてもこれは仕方ない、できたものをどう生かしていくのか、活用していくのか、こういう発想に立たなければならないと思います。
特に、東京に一極集中、関東圏に一極集中が進んでいる今、政府とか議会、こういった国会は、地方主権だ、分権だといいながら、現実はもう一極集中が進んでいるこの状況を考えたときに、やはり関西がまたしっかりと復権していくということが求められていると思います。そのときに、今日的な意味においては空港の役割というのは大変重い、大きい、重要だ、こういうふうに思いまして、そういった意味では、この三空港をどう生かすか、この観点からきょうは議論をさせていただきたいと思います。
まず、関空でございますけれども、私はやはりまだ工夫が足りない、このように思っています。大体、関西で議論していますと、伊丹空港から関空に何か便を移せば事足りるような議論が進められているような感触、感覚を持っています。しかし、本当に伊丹空港から関空に便を移せばそれで関西がよくなるかというと、私はどう考えてもそれが納得できないのでありますが、改めて大臣の御見解をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 関西圏というのは、域内の人口はオランダの人口を超えておりますし、GDPはお隣の発展著しい韓国にも匹敵するような規模でございまして、首都圏に次ぐ航空需要を有しております。
こうした関西圏の航空需要について、関空、伊丹そして神戸、この三空港が適切な役割分担のもと、トータルとして最適運用を果たして関西圏の膨大な経済の発展と利用者の利便の向上に努めていく、そういうことが必要である、こういうふうに認識をいたしております。
このために、関西三空港につきましては、関西国際空港は西日本を中心とする国際拠点空港でありまして、また、関西圏の国内線の基幹空港でもある、このような二つの、国際、国内の面を持っている。伊丹空港は国内線の基幹空港でありまして、環境と調和した都市型空港、周辺に家が密集しておりますので、環境問題というのが非常に大事な視点があります。神戸空港は百五十万都市神戸及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港というような、各空港の役割と各空港相互の連携につきまして、国土交通省から地元自治体及び地元経済界によく説明をし、また了承もされているところでございます。
このように、関西圏における国際線は関空に集約することとしておりまして、利用者の利便を考慮し、関空へのアクセスの改善、関空での国際航空ネットワークの充実強化というものを図るとともに、大阪国際空港につきましては、今後も利用者の利便性を生かしまして、環境と調和した都市型空港として運用することで、関西圏全体の経済の活性化に資するものであるというふうに考えております。
そのような役割分担が相互に理解され、そして協力をされるということが、関西全体のためには、いわゆる関西は一つという意味でも非常に大事だというふうに思っております。
○市村委員 きょうの議論を先取りしたような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
三空港をとりあえずどう生かすかということなんです。今、役割分担の話をしていただきましたが、その役割分担も、以前に、一年前とかに比べれば大分議論が進んでいるかのように私は印象を持っておりますが、しかし、まだ足りないと私は思います。
やはり、伊丹、神戸というものをいわゆる一つの地方空港とか国内基幹空港という位置づけにとどめていること自体が、私はまだ発想が弱いというふうに思っております。やはりもう少し、そういう国内、国際とかいう垣根を取っ払って、伊丹、大阪国際空港の役割、関空の役割、そして神戸の役割、こういう議論をしていかなければならない時期にもう来ていると私は思います。
特に、関空と神戸は二十四時間運用ができるということが前提になっているわけですから、そして関空も、去年の八月には二期工事も終わって、滑走路が使えるようになっているわけですね。だから、こういうのをどんどん生かす、そのためには、しかし、空港だけのことを考えるのではなくて、やはりもっと先、冒頭に申し上げたように、関西をどうするんだという視点が要るんですね。
そのときに、やはり、特に空港に関して言えば、関西に空港を使って来ていただく方、また、関西から空港を使って出ていく方、ここをどうやってふやしていくかという観点が絶対必要になってきます。それはビジネスであり観光でありということになると思いますが、そういう観点からもう一度素直に、この三空港をどうすればいいのか。パイをふやす。関西に空港を使って来ていただく方、関西から空港を使って出ていく方、このパイをどうやって広げていくか、まずここに思いをいたした上で、では、そのためには、関空、大阪国際空港、神戸空港をどう生かすか、こういう観点でやはり根本的な議論をしなくちゃいけない時期に私はあると思うのですが、改めて大臣の御見解をよろしくお願いします。
○冬柴国務大臣 私の観点がまさにそれでございまして、私も自宅から伊丹空港まではわずか車で十五分ないし二十分で行きます。非常に便利です。そして伊丹空港は、後背地としては、これは伊丹と言っていますけれども、現実には大阪空港でありまして、大阪府民の利用、それから京都府民の利用というもの、それから兵庫県の東側の利用というようなものが中心をなしているわけですね。
そして、ここでは長い間、市街地が密集していて、騒音の問題で係争、訴訟がありました。そのために、午後九時以降の発着が禁止ということで折れ合っているわけでございまして、そういう意味では、関西国際空港が、昨年の八月二日、二本目の滑走路を供用開始しまして、そして、我が国で初めての二十四時間空港ということが実現したわけですね。しかも、陸地から五キロ沖合に出しているために、騒音という問題については全く考慮する必要がないというような面がございます。
神戸空港は、神戸市の沖合につくられておりますから、ここも騒音については心配がありませんけれども、ただ管制の関係で十時以降の発着はできていないというところが若干不便かなという感じはします。
しかし、そういう特性を踏まえながら考えたときに、先ほど私が申し上げましたように、関空はいわゆる本格的な国際規格の国際空港として、二十四時間空港として我が国で初めてですよ。成田空港も二本ありますけれども、ここも陸地でございますので騒音問題がありまして、二十四時間の供用は無理です。
そういうことを考えますと、大阪湾を核にして三つの空港があるのは多過ぎるという話がありますけれども、それはそうではなしに、韓国の経済をしのぐということになればこれはもう当然の話ですし、目を四国に移せば、兵庫県一県よりも人口は少ないし、GDPについてもそれはもう比較になりませんけれども、四つの空港を擁しているんですね。それぞれの県に一つずつあります。そういうことを考えますと、関西圏を支える、五つの世界遺産を持つこの関西圏、歴史も非常に古いわけです。したがいまして、ここは、この三つの空港を有機的に、そして利便性ということをより考えて使っていくべきではないか、そのように私は思っております。
○市村委員 今大臣から前向きなお話があったと私は受けとめております。まさにそうした、いわゆる物事は、これはいろいろありました。神戸空港の話も、私も個人的に言えば神戸空港は本当に必要だったのかという思いは持っておりますが、今日できておるわけであります。関空二期工事、これもできております。
私も関西でいろいろなお声をお聞きすると、恨み節もたくさん聞きます。何かおかしいぞという話も、特に関東圏の省庁あたりでも聞きますが、しかし、どういう経緯であれ、できてしまったというか、できているものをやはりどう生かすかという観点に立たないと、過去はこうだったからもうあんなのはだめなんだとかいうことをやっていたら、本当にもう足の引っ張り合いということになりまして、ますます関西が落ちていく、地盤沈下していく、こういうことになるのだろう、こう思います。ですから、そういう観点で、今大臣もおっしゃっていただいたように前向きにとらえていただきたい。
そのときに、特に伊丹空港なんです。私はもっとこれを、大阪国際空港です、済みません。私は兵庫の方なものですから伊丹空港と申し上げますが、これがややこしいんですね。伊丹空港はちょうど大阪府と兵庫県の境に位置する空港なものですから、どっちつかずの話になっておるような気がしてなりません。だから、やはりこれは大阪府と兵庫県がしっかりと協力しながらやっていくべきことだというふうに思います。
私も記憶がありますけれども、福岡空港と伊丹空港というのは同じような議論をたしか二十数年前されていたと思います。しかし一方、福岡空港は、福岡県がまとまって、あれはやはり残していく、そして活用していくということで、今や国際線も飛ばし、国際線ターミナルまでつくった空港で、大変利用者も多い。福岡は、アジアの玄関口ということで、やはり活気があるんですね。
ところが、関西に目を転じてみると、一番利便性の高い伊丹空港を、いろいろな流れの中で、結局、余りそれを活用するという方向じゃない。むしろネガティブな方向に物事を発想してきた。しかし現実は、利便性が高いものだから利用者は減らないということで、進んでいいのか引いていいのか、非常に微妙というかあいまいというか事なかれ主義というか、それで今までやってきたような気がします。しかし、もうそういう時期じゃなくて、伊丹をどう生かすか、大阪国際空港をどう生かすかという発想に立たないかぬ時期に来ていると思います。
もちろん、安全対策、さっき大臣からありましたように、密集地の上を飛んでいきます。それからまた騒音の問題、これについてはもう最大限の配慮を持っていくというのは言うまでもないことでありますが、なおかつ、それをしっかりとやりながらも、伊丹空港をもっと生かすという発想が必要だと思います。
去年は、伊丹空港、例えばブッシュ・アメリカ大統領、それから温家宝中国首相、伊丹におりられました。伊丹を利用して、まさに大阪、京都、また神戸、こうしたところに利便性が高いわけですから、やはり伊丹におりられているんですね。これから恐らく、いわゆる外国の要人の方は、関西に来られるときは伊丹を利用される流れができる、そう思います。もちろん、奈良とかに行かれる場合は関空が便利でしょうけれども、多分伊丹を利用するという流れが出てくると思うんですね。それだけ利便性が高い空港である。そこをどう生かしていくか。そのとき、私は、伊丹空港が国内基幹空港にとどまっているだけじゃなくて、やはり国際線も飛ばすべきだという考え方なんです。
ただ、国際線といいましても、欧米便を飛ばすという考え方ではありません。近隣の、例えば韓国、中国、台湾、モンゴルとか、そこぐらいは含めて飛ばしていく。これは、国際線というよりも、これから日本が二十一世紀の社会の中でしっかりとした国際的地位を占めていくためには、東アジアというものが重要な視点になってきます。そのときに、やはり東アジア諸国と緊密な関係を保っていくということが必要なんですね。
だから、これは国際線というよりも、私は運命共同体便だというふうに思っていまして、例えば韓国に行くのに、今、羽田と金浦が結ばれて大変便利です。だから、今どうなっているかというと、はっきり言って、韓国のビジネスマンとかはもう東京に集まるんですね。しかも、一方で、日本の企業の本社も皆どんどん東京一極集中が進んでいますから、結局、東京でみんな集まる。関西の人もみんな東京へ集まって韓国の方と話をして、みんなそれぞれ韓国に帰っていく、関西へ帰ってくるという流れになってしまっているんですね。
これでは、やはり関西、幾ら頑張ろうといったって来てくれません。伊丹空港と金浦、もしくは伊丹空港と釜山空港を結ぶような感じで、往復、いわゆる日帰りもできますよ、こういう流れをつくっていけば、私は需要は十分にある、こう思っています。
特に、聞きましたら、地方空港というのは国内線かと思ったら、結構違うんですね。地方空港の方がかえって自由に国際線を飛ばしているんですね。韓国の方はどうなっているかというと、ゴルフ場が少ないので、日本に来てゴルフして楽しんで帰られる方も多いんですね。例えば高松空港におりて小豆島に行くとか、千歳空港におりてゴルフを楽しんでいくとか。
考えたら、伊丹空港の周りというのは、ビジネスにとっても最適ですけれども、たくさんゴルフ場もあるんですね。もちろん有馬温泉もある、京都も近い、神戸も近い。だから、こういういわゆる観光という意味でも、ビジネス、観光両面で非常にアピール性を持った空港というのは、伊丹空港はすばらしい空港だと私は思っているんです。
だから、こうしたことをもっとアピールしていく、そして関西にもっと来ていただく、リピーターになっていただく。ああ、関西はいいところだと。そうしたら初めて、関西、例えば私なんかが大好きなのは、奈良であり和歌山が大好きなんですね。大好きなんです。
でも、最初から奈良、和歌山へ行ってくれと言ったって、日本人ですら行かないですね。普通はまず京都へ行きますよ。日本人は、関西なら京都、神戸、大阪、まずは三都ですね。そこからリピーターになって、いや、関西はいい、歴史もある、さすが上方だ、こうなったとき初めて、そういえば奈良もいいところだね、ちょっと足を延ばしてみると和歌山、本当にいい、熊野古道、これは世界遺産になった、すばらしい、那智の滝、これは本当に心洗われる、こうなるわけですね。(発言する者あり)滋賀も。ごめんなさい、大変失礼しました。滋賀も、琵琶湖ですね。こんな大切なものを忘れました。
だから、そういうふうにして関西もすばらしい資源を持って、皆さんも来たいとリピーターになっていただけるはずだと私は思います。私も今、関西に住ませていただいて十三年ですけれども、やはりいいところなんですね。生活するなら、それは関西です。仕事は東京圏がいいかもしれませんけれども、やはり生活というのは関西は大変いいところだ、こう思います。
だから、そういうところも含めてアピールする、アピール性が高い空港、伊丹、それはやはり国際線も視野に入れながら考えていくべきだと私は思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 そのような考えを持っている人は多いと思いますけれども、これはやはり時が解決する問題だろうと思いますよ。
伊丹空港が便利な空港だということはだれも知っているんですね。しかし、あそこの周りの十一の市は十一市協というものをつくって、ここからこのような騒音をまき散らす空港は出ていけという運動を長い間やったわけです。物すごくやった。その結果、関空ができたんですよ。
そういう沿革を考えれば、北の人間がそのことを言うのではなしに、南の、委員長の方とか、そういう大阪府の南の方の人が、伊丹もいいじゃないか、伊丹にも飛行機を飛ばしたっていいじゃないかということを言うような、関西は一つにならないと、今まで出ていけと言うておった人がそんなことを言ったら刺激するだけでございまして、私は、だから口が切れても言わないんです。言わないです。
それは役割を分担して、今、せっかくつくった関空というのは世界の人が評価しているんですよ。便利性というのはランク四位ですよ。それほど立派な空港になりました。しかし、まだ十二万九千回です。十三万回にしますという約束だったんですよ。それが今十二万九千回でしょう。
ですから、国際空港をあそこへ持ってくるというのは、関西が全部協力して、そしてあそこへ国際空港を、国際便を集めてやろうじゃないかということで、関空も堂々と東京の財務省に向かっても、十三万回達成したぞ、そういうふうにして、そして、二期島というのは、あれはまだ暫定供用なんですよ。ですから、二期島も完全なものにして、ターミナルビルもつくって、そういう空港に関西全体が協力してつくるということが大事じゃないでしょうか。
私も、今言われたのは、実際正論だと思いますけれども、市村議員が来られる前の関西のいろいろな長い闘いというのがありまして、そういうものが現状になったわけでして、私は、今できている現状というのは、どこの地域よりも立派な国際空港があり、地方空港があり、そして世界遺産もたくさんあり、経済力もあり、そして、今発展著しい、戦前から、戦争前から中国と韓国等のおつき合いは関西でやっているわけです。近いんですね。
したがいまして、伊丹空港へ釜山からあるいはソウルから飛ばしてくれというのは、私の顔を見たら韓国の人はみんな言います。それほどニーズはあるんです。あるんですけれども、沿革を考えれば、それは南の方の人が言ってくれることであって、北の人間が言ってはいけないと私は思っております。
○市村委員 今大臣おっしゃっていただいたように、過去の経緯があることは、よくよくこれもお聞きしています。しかし、あったけれども、今こうやって三空港できたではないかというときに、やはり未来志向ということです。
それで、大臣からおっしゃっていただいたように、私も関西は十三年です。だから、知らないんです。過去の経緯は知っていますけれども、ある種関係ないわけですね。だから、ある種、過去の経緯から私はフリーに物を言える立場だろう。
特に、地元の皆さんの声ももちろん聞きながらやっています。決して自分だけで考えてやっているわけじゃありません。皆さんにどうですかと意見を聞くと、ほとんどの方が、やはりそれは伊丹空港をもっと利便性を高めてほしい、むしろ、騒音でいろいろおっしゃる方も、やはりこの伊丹空港をもっと活用するという方向には反対じゃないんだ、ただ、しっかりと騒音問題とか安全のことをやってくれ、こういう発想なんですね。だから、そういうものを受けて、私も代表ですから、この議論をさせていただきたい、こう思っているわけであります。
だから、ぜひとも委員長、何か先ほどお聞きしていたら、別に反対でないというお話もありましたので、またこういう議論をさせていただきたいんです。やはり議論しないと、これまでタブーだったんですね。むしろ、私が最初に地元でそういうことを言ったら、市村君、そんなことを言っていいのか、こういう意見もあったぐらいなんですね。いや、言っていいも何も、私はそう思う、しかも、いろいろな方に聞いたら、皆さんそう思っているということを、何で言っちゃだめなんですかという話なんですね。それで、七年ぐらい言い続けてきて今日に至っています。
だから、ぜひとも議論をもっと進めていきたい。ぜひとも、関西を大切に思う方も、僕は別に関空をなくせとか、そんな意見をしているつもりはありません。三空港一緒にやるべきだ。関空もすばらしい空港です。しかし、二十四時間空港に運用できるにもかかわらず、実際二十四時間空港になっていません。
私は以前、フランクフルト空港とか、いわゆるテルアビブ空港とか、実際、文字どおり二十四時間空港に行ったことがありますが、夜中の三時台でも何便、何十便もずらずらずらっと並んでいるんですね、離発着便が。それでもうわいわいいっている、店もあいている、交通アクセスももちろん十分あるという話ですね。これが二十四時間空港なんです。関空はまだそれからほど遠い姿にあります。
だから私は、冒頭の近くでも申し上げましたように、関空はまだ努力が足りないです。やることはたくさんあると思います、関空のやるべきことは。やるべきことがたくさんあることをやらないかぬわけですね。しかし今、議論は、伊丹空港から移せば関空もよくなるという発想に立っているから、これはちょっと違うんじゃないですか、こういう発想に立ったって物事は解決しませんよと。
それで、関空で足の引っ張り合いをやっている間に、ますます東京一極集中が進み、かつ、関空なんか飛ばして、それこそ韓国の仁川空港からどこかへ行くとか、上海、香港に飛んでからどこかへ行くとか、そっちの方の流れがどんどんできているんです。だから、結局、漁夫の利を関東や世界のほかの都市が、韓国や中国の都市が得ているわけですね。だから、非常に多くなったと私は思うんです。これはめちゃくちゃ多くなったな。何でこんなことをやっているんだろうと正直思うんです。
こんな小さな足の引っ張り合いをしている場合じゃないんです。関西は力を合わせてやれば、絶対いいところなんですから。これは大臣のお考えということもわかっていますが、ぜひともそういう議論を進めていくことをやっていただきたいという思いです。
伊丹空港について最後に一点だけ。ダイバージョンの問題です。
結局、今大臣も御指摘いただいたように、伊丹空港は九時以降は運用できません。僕はこれはこれでいいと思います。多少、三十分ぐらい延ばすべきかなとか、できれば一時間ぐらいという気持ちはありますが、九時というのはいいと思います。これはこれで今のところはいいと思います。
ただ、羽田発の七時二十五分の便が九時を超える場合も多少、年間で十回ぐらいあるんです。この五年を見ても、一回、九回、七回、十七回、十一回、つまり、年に十日ぐらいはダイバージョンが行われているんですね。つまり、これは何が行われているかというと、皆さん、乗った人が、羽田空港から伊丹におりるはずが、もう九時を過ぎましたから関西空港におりてください、こういう話になっちゃうんですね。これは余りにもひどい、こう思います。
お聞きしたら、何かお年寄りの方とかお子さんが乗っている場合は無理やりおりるらしいですね。九時を過ぎてもおりているらしいんです。しかし、ビジネスマンとか本当に家路を急ぐ人たちにとってみれば、もうそんなラッキー、アンラッキーで関空におろされたらたまらないわけですね。
だから、大体定刻で八時半におりる便ですから、九時までは三十分の余裕があるんですが、もうあと三十分、別に三十分全部ずらせということではなくて、ダイバージョンをさせないように、そういう何か不測の事態に備えて、九時半まではいい、年十回ぐらいだけれども、これは地元の皆さん、御理解いただけないか、十回もないと思う、でも、これを、関空におりてもらうのは忍びないので、ちょっと九時半までの御理解をいただけないか、ダイバージョンさせない、ゼロ回にするための御理解をいただけないかという意味で、九時半までぐらい、九時十五分でもいいですけれども、そういう枠をちょっと設定することはできないか。それだけちょっと最後に、この伊丹空港の件については大臣のお言葉をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 その話は北の方が言うべき話だと思います。伊丹空港周辺の人間が言うべき話だと思います。十分考えたらいいと思いますよ。私にも、いいですよということをわざわざ言ってくれる人があります、伊丹の人で。ああ、変わったなと思うんですね。ですから、そういう雰囲気をつくることによって三空港が非常に円満に運ぶことになるんだろう、私はそう思います。
もう本当に、またそういう空気を醸成していただくことで、私もやりますけれども、市村議員もやっていただいたら、非常に乗客にとって利便性が高まるだろう、喜んでいただけるだろう、このように思います。
○市村委員 ありがとうございます。
それでは、引き続きまして、福知山線の事故について、事故調査委員会の報告書について議論をさせていただきたいと思います。
この議論は、きょう初めてですけれども、できれば、私はこの事件を風化させてはならないという思いもありますし、まだまだ補償交渉もこれからだということであれば、これはしっかりと私は議論を続けていくことだと思っています。きょうは第一回目です。
それで、実は、この事故直後にも国土交通委員会でお時間をいただいて、私は福知山線の脱線事故について議論をさせていただきました。そのときに、やはりJR西日本自体が独自調査すべきだ、こういう話をしましたら、いや、これは事故調査委員会の調査に協力し、かつ警察にも協力していくことによってJR西日本自体は調査はしません、こういう御回答がありまして、それはちょっと私は違うんじゃないかということで議論がありました。これは二回ぐらい、別の内閣委員会でも議論させていただいております。
そのとき私は、国土交通省さん、事故調査委員会にも、それから警察にもお聞きしましたら、いや、それは我々は我々の調査がある、捜査もある、しかし、それは当然、当事者が調査するのは当たり前じゃないですか、こういう話だったと思いますが、しかしながら、結果としては、JR西日本の方もこの事故調査委員会に協力することによって、すべてしっかりと自分たちの情報は出した、こういうお話なんです。
ということは、もうこれがすべてなんです。この事故調査委員会の報告書がいわゆるこの事故の原因をまとめたということになっていますが、これがすべてなんですね。だから、この中身がちゃんとなっていればいいんですが、私は読ませていただいて、やはりかなり僕はまだ尽くされていない議論もあると思っていますので、このことを少しずつまた議論させていただきたいと思います。
きょうは、時間がある限り、まず大臣と議論をさせていただきたいと思いますが、まず、この事故はまさに大臣の御地元である尼崎で起こりました。しかし、この事故に遭われた方というのは、例えば兵庫県三田の方、あとは私の地元である宝塚、川西、伊丹の方が圧倒的に多いんですね。なぜかといいますと、宝塚駅で折り返しをして尼崎方面に向かっていたときに、尼崎で事故が起きたということであります。ですから、ちょうど私の選挙区を越えた段階のところで事故が起きていますけれども、ほとんどの乗車した駅というのは私の選挙区なんですね。すべてそうなんです。そういった意味で、私がこの問題を取り上げていかないとだれも取り上げないという話になりますから、私がやらせていただきます。
それで、まずはこの事故の遠因は何かでありますが、日勤教育のことが言われます。これは大変重い問題といいますか、重要な問題です。しかし、きょうは議論はしません。これはまた改めて関係者も来ていただいて日勤教育については議論をしなくてはいけないと思いますが、その日勤教育がありながら、しかし、まずこの日の一番のきっかけは何か。実は宝塚駅なんです、これは。宝塚駅が全くきっかけになっているんですね。
すなわち、あの電車は回送電車として宝塚駅に入って、宝塚から折り返しで出ていくというのがあの電車でした。宝塚駅に近づいた段階、後で踏切のこともちょっと議論したいと思いますが、まさに宝塚駅直前の信号に差しかかった段階でスピードがどうもオーバーしたようなんですね。本来であれば、信号機が、どうも、とまれみたいな話になっていて、確認ボタンを押さなきゃいけなかったらしいんですが、あの高見運転手は確認ボタンを押さなかったために非常ブレーキがかかったということがあった。それで、一たんとまって、宝塚駅の構内に入っていった。回送電車です。
そこで、折り返しますから、運転手は、普通ならば先頭車両から、逆方向になりますから、一番先頭であった運転席が一番後ろになっていますから、一番前の運転席に移らないかぬわけですけれども、車掌さんが来るまで実は運転席にとどまっていたそうです。二分数十秒、二分三十秒ぐらいとどまっていた。普通だったら、もう即車掌さんが行くと同時に、途中ですれ違うぐらいになっておかなくちゃいけないのに、なっていない。
すなわち、まず、ここが高見運転手にとってみればすごく心にひっかかったんだと思いますね。日勤教育が頭に浮かんだんですね、ここで。浮かぶわけです。これはまずい、どうしよう。どうも交信を聞いていたみたいです、指令との交信を。こういう非常ブレーキがかかったという交信がされているのをどうも高見運転手は聞いていたようですね、そこで。結局、そこで、どうしよう、日勤教育かな、そういう気持ちになったんじゃないかと思います。
そこで、なぜ高見運転手がそこで確認ボタンを押さなかった、この原因なんですね。この事故調査報告書には、眠気ということが指摘をされています。ただ、眠気に関してはそこの確認ボタンを押す前の話が眠気なんですね、可能性がある。確認ボタンを押さなかったのは、どうも間違えたんじゃないかという言い方をしているんですね。間違えたんじゃないか、押す場所を。
まずお聞きしたいです。そんな眠気もない普通の状態でボタンを押し間違えるような位置に確認ボタンと違うほかのボタンというのがあるんですか。そんな配置になっているんでしょうか。まずそれをお聞きしたいと思います。
○辻岡政府参考人 お答えいたします。
本調査報告書の中では、今先生おっしゃいましたように、いろいろな動揺もございまして、本来確認ボタンを押すときにどうもその近くの別のボタンを押したんではないか、そういう人的要因はあるんじゃないかというふうなことは記載しております。
済みません、ちょっと、なかなか具体的に別のボタンがどこにあってというところまで申し上げようがないんですけれども。
○市村委員 事故調査委員会の報告書は、要するに、押し間違いの可能性、あと、確認ボタンを押したが確認ボタンの接触不良等の設備的要因で確認扱いが完了しなかった、機械の故障、この二つの原因ですね。
ということは、機械の故障というのは整備不良ということにまずなりますね。あと、押し間違いだとすると、今隣からすごい詳しい三日月委員が、いや、そんなはずない、そんな押し間違えるような位置に配置しているはずないということなんですね。
とすると、この事故調査委員会の二つの原因ではないかと思われるものは、整備不良だったらこれはもうけしからぬ話でありますし、かつ、押し間違いではないかというのもそんなはずないという話なんですね。ということは、これも僕は、極めて確認不足ではないか、こういうことを原因と書くことはいかがなものかとまず思います、ここについて。
それで、私はやはりこれは眠気じゃないかと思うんですね。これは、随所にわたってこの事故調査報告書にも眠気の問題が出てきます、可能性ありということで出てくるんですね。
実は、きょう厚生労働省さんに来てもらっていますが、眠気に関しては、例えば睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるわけです。ところが、この事故が起きたのは四月二十五日、そのさかのぼること二カ月前に、高見運転手は睡眠時無呼吸症候群の診断のためのチェックシートというのを受けています。それで、異常なしというふうに事故調査報告書に書いてあります。
厚生労働省さん、このチェックシート、私は極めてあいまいなチェックシートだと思いますが、これで本当に睡眠時無呼吸症候群の可能性をしっかりと判断できるんでしょうか。お答えください。
○中尾政府参考人 お尋ねのJR西日本のチェックシートでございますけれども、鉄道事故調査報告書によりますと、定期健康診断の問診の際に本人が記入して提出するものでございますが、その問診の結果、医師の判断により必要な者に対して睡眠時無呼吸症候群の精密検査等を実施し、医師の判定により必要な対応をとることとしているというように記載をされております。
それで、睡眠時無呼吸症候群の診断につきましては、問診のほか、必要に応じて睡眠検査機器等による検査を行って医師が診断をするというものでございまして、このチェックシートのみによって睡眠時無呼吸症候群であるかどうかが確実に判断されるというものではないと承知をしております。
○市村委員 まさにきょうの夜中のNHKスペシャル、これは再放送ですけれども、睡眠時無呼吸症候群のことをやっていたんですね。私は再放送じゃないものを録画して見ましたけれども、これは実は極めて大きな問題なんです。潜在的に日本人の五百万人から一千万人、つまり十人に一人ぐらいは睡眠時無呼吸症候群の疑いありなんですね。
睡眠の質というのは重要なんですが、実は、この睡眠時無呼吸症候群というのは、今まさに厚生労働省からもありましたように、いろいろな検査器をつけて一泊してみないと、実はそのひどいか、軽いか、もしくはそうじゃないかというのはわからないんですね。これはチェックシートだけじゃわからないんです、こんなのだけでは。
恐らくこのことが、私は、この事件だけの問題じゃなくて、睡眠時無呼吸症候群の問題はまた改めて厚生労働委員会でもお時間をとっていただいてやるつもりなんですが、やろうとしたやさきにNHKもそういう話を出しているし、事故調査報告書にも、前からちょっと読んでいましたけれども、そういうことが書かれてあったということも含めて、これはちゃんとやらないかぬと思っていたところだったんです。
それで、これはぜひとも大臣、もう大臣はあと五分で行かれなくちゃいけないので、この睡眠時無呼吸症候群、これは特に運輸関係を預かる大臣としては極めて重要な問題だと思っています。こんなチェックシートじゃ、とても無理なんです。
だから、運輸を預かる大臣から、特に、電車だけじゃありません、飛行機もそうです、車もそう、トラックもそうですね、これはしっかりと国が、検査も一泊しなくちゃいけないし、お金もかかるんです。二、三万ぐらいかかるんですね、大変なんです。メタボ検診もいいんですけれども、こっちの方も重視しないといけない。これは重篤な事故を起こすんですね。
まさに、僕は、この福知山線の事故も、これだけじゃないと思いますが、これがあったんじゃないかと。しかも、事故調査報告書にもそういう可能性ありということがちりばめられているんです、この中に。だけれども、はっきり言えないんですね。というのも、残念ながら、御本人は亡くなられていますから今さら検査しようがないんです、本当にそれがそうだったのかどうか。だから、可能性としか事故調査報告書にも書かれていません。
それで、友人の証言もあります。友人の証言でも、やはり高見運転手がいびきをかいていた、一緒にどこか旅行に行ったときには大きないびきをかいていたと。
いびきというのは、無呼吸症候群と違うと思われるかもしれませんが、気道が狭まるということでは同じなんですね。次の気道が全く閉じた段階が無呼吸ですから。つまり、いびきをかくということ自体がその段階で睡眠の質を落としているわけですね。だから、やはり眠りが浅い、眠っていても眠っていないという話になって、日中ぼうっとして、ふっと落ちるんですね。これが睡眠時無呼吸症候群及びそれに類する病症なんですね。
だから、どうも宝塚駅で、回送電車です、緊張感が緩んでいます、回送電車で入っていきますから。きのうお聞きしたら、宝塚駅のところというのは特に眠気を催すところらしいんですね、あのあたりは。ということを聞いていたんですよ、そうらしいんですよ。(発言する者あり)どうか知りませんけれども。
それで、特に眠気を催すようなところであり、かつ回送電車であったということは、ひょっとしたらぼうっとしていた可能性が高い。そこで、確認ボタンを押せなかった、急ブレーキがかかった、そして、しかしそれが指令との交信で、まずい、日勤教育を受けないかぬのじゃないか、こういう精神状態になってしまったことが結局あの事故を起こしてしまう一つの、まずその日のきっかけになっているんじゃないか、こう思います。
大臣、いかがでしょうか。もう行かなくちゃいけませんので、この睡眠時無呼吸症候群につきましても、ちょっと大臣の御見解をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 その睡眠時無呼吸症候群が一躍有名になったのは、私の記憶では、JR西日本の運転手が眠ったまま何キロか走っちゃったんですね。これは自動制御がききましたから事故にはなりませんでしたけれども、これははっきり睡眠時無呼吸症候群であるという断定をされました。
したがいまして、運転手については、何万円かかるかは私は知りませんけれども、これをやるようにしていますし、それから、国土交通省としても、営業用自動車の運転者、長距離を走る大型車を運転している人たちについてこれをやっていただきたいというようなことも業者にはお勧めをして、やっていただいているところはたくさんありますよ。
そういう意味で、私どもは、このような公共交通、特にたくさんの方々がお乗りになるそういうものについて、運転手さんがそういうことで大事な運転中に居眠りをしちゃうということは大変危険ですから、こういうものをまた、きょうのお話もあり、お勧めをしていかなきゃならないというふうに思っております。
○市村委員 大臣、ありがとうございます。本当にこれは重要な問題だと思っています。
大臣、行かれる前に、実は、一九九〇年の初頭に、私もアメリカにいたときに、ちょうどウエークアップ・アメリカという運動があったんです。何かというと、まさに睡眠の質を高めようという意味なんですね。ウエークアップ・アメリカというものです。
しかし、これが物すごくきいたというふうに私は聞いているんですね。やはり機械をつけて寝るんです。人工呼吸器をつけて寝るということによって、気道を無理やり押し上げて空気を通す、そして睡眠の質を高めていくということによって、やはり日中すごく覚せいしていますから、仕事中眠気に襲われないんですね。すごく生産効率が上がったということでありまして、これはウエークアップ・アメリカです。
私は、こっちはウエークアップ・ジャパンだと思っております。やるべきだと。ウエークアップ・ジャパンというのは、まさに、実利的にも、人々の睡眠の質が高くなりまして生産効率が上がると同時に、やはり日本自体の今の状況を考えたときに、まさに覚せいせよ日本なんですね。大きな意味でいっても、日本は一体何をやっているんだという話でもあるんです。
私は、やはりウエークアップ・ジャパンなんだと思っていますので、オープン・ジャパンであるし、ウエークアップ・ジャパンだという思いでおりますので、大臣、ぜひともまた議論を続けさせていただきたいと思います。
○竹本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前九時五十分休憩
――――◇―――――
午前十一時十三分開議
○竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。市村浩一郎君。
○市村委員 引き続きまして、質問を続行させていただきます。
事故調査委員会の報告書につきましては、これからまたやらせていただくということを先ほど申し上げました。実は、この分析に大変僕は甘いところがあると思わざるを得ないところがあります。例えば、日勤教育の問題にしても車両の問題にしても、または車両編成の問題にしても、ぜひともまた改めてこの機会をいただければ議論させていただきたいんです。
先ほど、確認ボタンの押し間違いとありましたけれども、実は、確認ボタンをEB装置のリセットボタンと押し間違えた可能性があると書いてあるんですね、この事故調査報告書には。ところが、写真を見ると、そのEB装置のリセットボタンがないんです、あのときの車両には。だから、ないものを押し間違えるはずがないんですね。これ、その資料に載っているんです。だから、こういうところも非常に甘い分析を私はしているんじゃないかと思わざるを得ないんです、この事故調査委員会が。(発言する者あり)うそですか。まあ、そこまでは言いませんが、だから、改めてやはり、先ほど申し上げたように、この事故調査報告書がすべてですから、このときの正式な文書、正式な見解としてはこれがすべてですので、これについてもっと議論を進めたいと思います。
事故調査委員会の方、またぜひとも改めて御見解を聞かせてください。では、一言。ちょっと、時間がないので短くしてください。もう時間がもったいないので。
○辻岡政府参考人 お答えいたします。
先ほど先生おっしゃいましたEB装置でございますけれども、附属の方に、写真で先生ごらんになっておると思いますが、ちょうどそれはATSの確認装置のすぐ左斜め上のところにございまして、EB装置のリセットスイッチ、もし先生、御本をお持ちであれば、Aの三十四ページでございます。Aの三十四ページ付図十六でございまして、それの左下にございますATS―SW形の確認ボタン、それの左斜め上の、ちょっと黄色いのとオレンジで見えているのがございますけれども、EB装置のリセットスイッチ、これでございます。
○市村委員 よく見てください、ないんです。あのときの事故車両一両目は古い形だったので、七両目にはあるんです、このEB装置の、今おっしゃった位置にあるんですけれども、あの事故車両と同型のものということで、写真にはないんですよ、そのEB装置のリセットスイッチが。まあいいです、これはまたやらせてください。一回、またやらせてください。
それで、きょう議論したいのは、また宝塚のことなんです、宝塚駅のことなんですが、要するに、そういうきっかけを起こした宝塚駅というのは、私もよく利用している駅でありますけれども、乗降者数が多い割には両側に踏切を抱えている駅でありまして、この踏切の問題ももちろんあるんですけれども、この踏切の結果、いわゆる国道百七十六号線というのがあるんですが、それが大渋滞を起こしているんです。特に土日の朝夕、平日の朝夕、大渋滞を起こしているんですね。国道の問題であります。
宝塚といえば、例えば宝塚東トンネルを先頭に渋滞何キロとか、いわゆる高速道路も渋滞の代名詞、国道百七十六号線でも渋滞の代名詞。非常に東西交通をあそこで滞らせているというのが宝塚の今の状況なんですね。これは大変申しわけない。特にこれは国に関することなんですね、国道ですから。その国道の渋滞に拍車をかけるように、踏切の渋滞を起こしている部分が国道に一部分はみ出すという構図になっているんですね。特にあの事故以降大変慎重になっていますから、踏切が閉じたまま二十分以上あかないことが結構あるんですよ。私も何回かあそこにはまっていますけれども、もうずっと待っているのに三十分ぐらいあかないんですね。
そうすると、どんどん車が踏切渋滞をし始めて、それが国道にはみ出して、ただでさえ込む宝塚交差点、宝塚歌劇場前の交差点があるんですが、ただでさえ込むのに、そのところにまた踏切渋滞が輪をかけて渋滞を引き起こして、あそこの宝塚駅周辺を通過するだけで二十分ぐらいかかってしまう、こういう状況になってしまっているんですね。極めて経済効率上も悪い、あと環境対策上も悪いというふうになっています。ですから、この大きな事故を起こした福知山線、宝塚線と地元では皆さん言っていますが、宝塚線であれば、ATS―Pの設置も進められましたけれども、やはりこの踏切解消ということもしっかり進めていかないかぬ。
やはり、ちゃんとしたことはちゃんとしていかなくちゃいけないということですね。無駄な道路とか無駄なことはやる必要がありませんが、やるべきことはたくさんあるんです。特に関西ですね。関東で普通にやっていることが、関西ではなかなかできないんですね。例えば関東なんて、もう上で営業しながら、地下を掘りながら線路を地下化して、しかも駅もつくって、どんどんやっているわけですね。もう幾つもそういうことをやっています。今度は高速道路さえ地下化をしました。あと、新しい地下鉄は、もう網の目を縫うように掘っていきながら地下鉄をつくっている。関東では当たり前のことが、関西に行くと、いや、そんな大げさなことできぬわという話になって、非常に心がしぼんでいるんですね。これじゃいかぬと思います。
これから大阪駅の北ヤードの問題が、北ヤードのいろいろな再開発もありますし、やはり関西が復権していくためには、先ほど空港の問題も言いましたけれども、そうした公共交通機関がもっと円滑な運営をできるような、そうしたことも考えていかなくちゃいけませんし、例えば関東だったら環状道路、鉄道の環状線があります。そういうこともいろいろと考えていく必要が私はあるだろうと思います。
関東では、例えばJRと私鉄の乗り入れを簡単にやっていますよね。関西の場合は、広軌と狭軌の違いでなかなか乗り入れがうまくいかない、こういう問題もありますが、しかしそれも、人間、知恵があります。絶対に解決できます。だから、どんどん関西もそうやって鉄道ネットワークも、JR、私鉄に限らずどんどん進めていく、そうしたビジョンというか思いを持っていくことが必要だと思っています。
ですから、宝塚駅に関しても、やはり私は、踏切解消のための高架なり地下化、普通は高架なんですが、あそこは阪急と交差、クロスしていますから高架できないので、地下に潜らせて踏切解消をしていくということが大切だと思います。
特にヨーロッパでは、今、鉄道を地下化させていく、例えば道路を地下化させていく、こういうことがやはりビジョンとしてどんどん言われて、実際にそういうふうになっているんですね。だから、そうしたことも含めて考えていただきたい。
大臣としても、この宝塚駅周辺だけじゃありませんが、踏切解消についてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 兵庫県には、あかずの踏切が四十カ所、それから交通が集中する踏切が四十カ所存在しておりまして、この踏切問題の解決というのはほんまに喫緊の課題だというふうに思っておりまして、この点は市村議員と全く同じ考えであります。
ちなみに、しかし、東京二十三区には六百七十三の踏切があるんですよ。ですから、関西はどうだとか言うけれども、関東もひどいんです。
したがって、こういうものの解決を私はこの十年間にやりますということを言っているのがこういうことでございますので、ぜひ御理解を賜らなきゃならないと思っております。
交通が集中する踏切の一つに、御指摘のJR宝塚駅付近に位置する、これは学校前踏切と呼ばれています、これがあります。一日当たり実に一万二千台の自動車交通が集中するために、混雑時には、踏切遮断に伴い、市道の渋滞が国道百七十六号まで達して、そういうところまで渋滞を巻き起こしているというのが現状でございます。
そのために、現在、宝塚市がJR福知山線に並行する市道五百六十一号線で整備を行っておりまして、平成二十年度内、来年三月までには完成予定であります。これにより、学校前踏切に集中している自動車交通が分散されまして、渋滞の緩和が図られるものと聞いております。
しかしながら、なお市道整備後はその効果を確認し、さらなる対策が必要な場合には、地域の実情を踏まえ、まずは宝塚市、それから兵庫県からそのような御要望をいただくことになると思いますが、国に対しても、これを検討する場を設定して前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○市村委員 きょうは実は警察の方にも来ていただいているのはなぜかといいますと、道路交通法の第一条というのが、警察にも言っていただきたいんですが、やはり交通の円滑な運行に資するというようなことも書いてありますが、ちょっと警察、きょう局長さんがいらっしゃっていると思いますが、今どういう状況なのか、道路交通法第一条に照らしても大変この渋滞はまずいと私は思っていますので、警察の方から一言いただきたいと思います。
○末井政府参考人 お答え申し上げます。
現状につきましては先ほど大臣から御答弁がございまして、警察としても、交通管理を預かる立場、すなわち交通の安全と円滑を担当する立場から申し上げまして、この点につきましては、まず考えましたことは、周辺に適当な迂回路が現状ではないという観点、これがありまして、交通規制をするということは難しいであろう。
さらに加えて、周辺の交通信号機の調整等を行ってはおりますけれども、踏切対策として実効ある対策になっていない状況であるということを兵庫県警から報告を受けております。
私どもは、道路と鉄道の立体交差なり何らかの対策というものが必要であろうということで、従前から関係市町村あるいは鉄道事業者等に要望を行っておりますけれども、宝塚警察署におきましても、こういったことを宝塚市の方にお願いをし、また要請をしておる、こういう状況と聞いております。
○市村委員 さっき大臣から市道のことがありましたが、私も近くに住んでおりますが、市道は多分あれじゃないかという道路はあるんですけれども、私は、それが開通したからといって、あの渋滞が解消するとはとても思えないですね。かえって別の渋滞を、あれも解消しないにもかかわらず、かつ別の渋滞も引き起こすというような気がしてなりません。また新たな渋滞を引き起こして、逆に混乱を深めるということだろうと思います。
それで、先ほど、東京の方がたくさんあるんだと。東京は東京でたくさんやっていらっしゃる、それでいいんです。だから、別に東京をやるなという話じゃなくて、東京で当たり前にやっていることが、なぜか関西に行くと、もうそんなことやらなくていいと。非常に内向きというか、もう何か新しいことをやりたくない、もうそんなことをやる必要ないみたいなことになってしまっているのが問題だということを私は申し上げているわけであります。
だから、関西ももっと前向きに、きょうのテーマの一つでありますけれども、関西ももっと前向きに未来を見据えてやっていかない限り、空港の問題も道路の問題も鉄道の問題もやっていかない限り、要するにインフラ整備ですから。つまり、これでは東京に行ってしまった本社は帰ってこないんですよ。東京へどんどん本社が移ってしまっているんですね。だから、やはり本社が帰ってくることができない。
○竹本委員長 時間ですので、手短にお願いします。
○市村委員 はい。だからそういうことをやる、そういう思いがありますので、大臣に最後に一言だけいただきまして、終わりたいと思います。
○冬柴国務大臣 関西も東京も頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。
○市村委員 ありがとうございます。
○竹本委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 民主党の吉良州司でございます。
国土交通委員会では初めて質問させていただきますので、よろしくお願いします。
きょう質問させていただく趣旨は、冬柴大臣には、先日、予算委員会で、三十分という短い間でしたけれども、入札改革を提案させていただいて、真に必要な道路を限られた予算の中でできるだけ安くつくるについての具体的な提案をさせていただくということで時間をいただきました。
その中で、具体的には、国土交通省さん御自体それからその関連機関で研究をされておりますPFIの発想、手法を利用した形の入札改革を実施できないものだろうか、こういう問題意識で提案をさせていただきました。
私自身、今この職につく前、海外における一種のPFI事業、電力事業だとか上下水道、空港、港湾それから道路、特に高速道路、こういったものを、PFIの一種でありますBOT方式、ビルド・オペレート・トランフファーという方式で事業をやって、実際に手がけておりました。
その際、私の経験からいきますと、例えば道路建設とかにしましても、例えば一九八〇年代の前半までは日本企業の向かうところ敵なし、国際入札を行ったならば一番、二番、三番が全部日本企業になるというような状況でありましたけれども、これがだんだん、一九八〇年代の後半になってきますと韓国企業が台頭してくる。そのときの価格というのは、それこそもう七掛け、六掛けであります。これが九〇年代に入ってきますと中国企業が出てくる。それは本当にもう信じられない、半値八掛けというような価格で実際に応札してくるわけであります。
当然ながら信頼性、経験というのが非常に大事でありますから、初期段階は安かろう悪かろうという評価もあって、そういう韓国、中国企業は受注できなかったわけですが、次第にやはり国内またいろいろな場所で実績をつけて、評価にたえ得る提案をしてくるようになりました。
こういうことがあって、私の問題意識としては、道路か道路工事かというときに、本当に必要な道路をつくるんだという方向に集中するならば、国際競争入札をある意味では徹底させることによって本当に安い道路をつくることができる。同じ百億円の予算で、今までは十キロだったものが二十キロつくれるようになる。
これは、ある意味では納税者の立場、国民の立場、それから国土交通省の応援団を余り配慮しなければ共通の利益なんだろう、このように思っておりまして、国際競争入札をも視野に入れたPFI的な発想、手法を利用した入札改革ということを提案させてもらったし、きょうまた再度させてもらおうというふうに思っています。
冒頭、さらに私の質問の趣旨を追加させていただきますならば、世界でこういう公共工事、またBOT、PFI的なビジネス手法でもって契約をとっていくということになると、最終的には非常に提案力が向上してくるということと、価格競争力が非常に向上してくるということもあって、日本において必要な道路をつくりながら、そういう提案能力を高めていく。これはアジア、特に東南アジア、中国あたりで、将来的には日本と同じように限られた財源の中でインフラ整備が必要というような時代になったときに、そういうビジネスを日本で鍛えた会社、コンソーシアムが受注しに行くことができる。まさに地域主権の時代、地方の時代においても、地場企業、日本企業を育て海外に飛躍させる絶好の機会の提供になるであろう、こういう観点から提案を申し上げる次第であります。
そこで、まず冬柴大臣にお聞きしますけれども、公共工事、公共施設を効率的に実施、運営する取り組み、コスト削減の取り組みとして、国交省としてこれまでどういう研究をし、また取り組んでこられたのか、その辺について答弁いただければと思います。
○渡辺政府参考人 先生御質問の御研究につきましては、社会資本整備におけるPFIの活用方策を検討したものでございます。
PFIにつきましては、当時、事業者の資金調達等につきまして課題が指摘されておりましたので、そのような状況を踏まえまして、この研究では特に事業者の資金調達の多様化に焦点を当てまして検討を行った次第でございます。
研究の結果でございますけれども、資金調達の方法といたしましては、債券発行ですとか株式の発行などさまざまなものがあるということ、それから、実際に、イギリスですとかオーストラリアではそういった方法が積極的に活用されているということがわかったところでございます。
この研究結果につきましては、報告書にまとめまして、国土交通省、地方公共団体など、省の内外に幅広く配付をいたしております。また、研究所のホームページにおきまして全文を掲載しておるところでございます。さらに、研究成果の一層の周知を図るために、報告書をもとにいたしました勉強会等も開催をしたところでございます。
○榊政府参考人 我が省におきますPFIの取り組み状況ということでございますが、民間の収益事業の活用に向けた検討など、これまでさまざまな調査検討を行ってきておりますが、先ほど申し上げましたように、その調査結果を公共団体に配付するとか、ホームページで公表しているほかに、公共団体や民間事業者に対して普及啓発を図るためのPFIセミナーというのを実施いたしております。
それから、港湾施設に関しての税制の特例措置ですとか、無利子貸し付けによる融資制度をつくっております。個別事業の補助金の取り扱いについても、分割じゃないかというような御指摘がございましたので、一括交付することが可能だというようなことも公表いたしております。
これらの取り組みによりまして、この三月末現在で、国土交通省関係のPFI事業件数は六十八件になっております。公営住宅が十九件、公園が六件、下水道関連施設四件、道路関係の事業三件ということになっておるところでございます。
○吉良委員 ありがとうございます。
ただ、私、一点最初に断らせていただきますけれども、PFI形式によるということは一言も言っておりませんで、PFI的発想、手法ということを申し上げています。
私も、今、参考人から出ました「社会資本整備等における資金調達に関する研究 PFIの資金調達」というもの、二分冊を全部読ませていただいておりますが、一つ言えることは、この研究は資金調達というところにかなりの焦点を置いております。極端に言ったら、プロジェクトファイナンスとは何ぞやということの解説が半分だと言っても過言ではないというふうに思っています。
もちろん、純粋なPFIでやるとすれば、この研究成果に基づく資金調達というところにスポットを当てることは何ら問題ないのですが、私が実は提案しようとしているのは、あくまでもPFI的な手法、発想ということでありまして、道路について、純粋なPFI、要は料金収入をすべての収入源として投下資本それから運営コストをすべて賄うということは、この日本においては現実的には不可能、非常に難しいというふうに思っておりますので、PFI的手法ということなんですね。ですから、プロジェクトファイナンスそのものの手法を取り入れるということではありません。
要は、応札者が応札をして、最終的に落札した場合の資金源はあくまでも国なり自治体の予算措置であります。ただし、PFIというのは何ぞやというと、本来は収入源を事業量に負うということからして、投下コストが高くなり過ぎれば自分の首を絞めることになる。したがって、安全で実質的に供用できるものをできるだけ安くしなければ自分の首を絞めてしまう。そういうところに基づいて、できるだけ安く提案をする、ここに私自身の主眼を置いているわけであります。
そこのところは、PFI、PFIというふうに突っ込んでいきますと、ちょっと今後のやりとりが間違った方向に行きかねませんので、冒頭、そのことを申し上げておきたいと思います。
先ほど、参考人の方から幾つかの取り組みについての話がございましたけれども、私も調べさせてもらったところ、先ほど一部出ましたけれども、道路局の方で道路政策の効率化、重点化の取り組み、それから、平成十二年に道路政策の進め方の改革というものを出しているし、総合政策局においてやはり重点計画、その中でPFIによる民間資金、能力の活用というようなことで、これらの取り組み、改革方針の中で強調されていることは、大きく言えば二つあると私自身は思っていますけれども、事業評価の厳密な実施ということと、入札と契約の適正化ということであります。
それで、またいろいろ国交省さんのホームページ等を含めて資料を調べさせていただきますと、私が提案しようとしていることをかなり取り込んではおられるんですね。
例えば、公共事業コスト構造改革プログラムという中にあって、やはりコスト縮減のための新しい契約方式として技術提案つき価格合意方式。それから、双方向提案型入札時VE方式、これはバリューエンジニアリング方式。それから、先ほども出ましたけれども、複数年工事の一括発注方式。双方向技術提案型、入札時の双方向技術提案型と契約後のVE方式、こういうような取り組み事例が実際にあるということも知っております。
ただ、件数が極めて少ないということと、大型道路工事には、柱とか一部に技術提案は入れられていますけれども、道路工事全般、運営も含めた全般について、今言いました新しい入札方式、契約方式、PFI的手法、発想を使ったことが道路工事建設においてはほとんど行われていないというのが実態だというふうに思っています。
そういう意味で、まずは大臣にお聞きしたいんです。どうして道路工事については、ここまで研究を重ねながら、そして一部には具体例が出てきていながら、大胆に道路工事の中にこれを取り入れようとしてこなかったのか、今していないのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
○冬柴国務大臣 直接的にお答え申し上げれば、我が国の特性だと思います。
これは、建設段階におきましては、急峻な山地が多い、用地が限られていること等による地形、地質条件への対応、環境対策に伴う設計変更などが建設コストの変動を呼び起こすわけです。もう一つ言えば、用地買収というのも非常に困難が伴って、長期化する場合がたくさんありますね。これが一つ。
それから、二番目には、維持管理も含めてPFIにかけた場合に、その段階において、長期間に及びますから、つくった道路が地震とか台風などに伴う被害を受けた場合に、その災害復旧ですね、そういうものは予測が不可能でございまして、その費用をどういうふうにして負担していくのか。民間企業だけに責任を負わせるべきではないものが多いというところから、現在まで実施例がほとんどないというふうに考えているわけであります。
国土交通省としては、海外の事例とか民間企業側の動向についても調査を行っておりますので、引き続き、吉良委員の過日の提案もあり批評もありまして、検討はしてまいりたいというふうに考えております。
ただ、外国の例をちょっと見ても、これはもう御専門ですからそちらの方がお詳しいですけれども、英国では大変これをやっています。ですけれども、やった時期が一九九六年に集中しているんですね。これは保守系のメジャー首相のときに物すごくやられた。ところが、労働党のブレア首相になった九七年以降はほとんどありません。二〇〇三年二月十三日に一件、拡幅工事があっただけで、メジャーさんのときのわあっとやられたこととは物すごいさま変わりしているんですね。
何でそういうことが起こったのか、こういう面もやはり見なきゃいけませんけれども、我々が今そういうものを勉強してみますと、選定基準が不明確だった、どういうものをだれにやってもらうか、入札に要する時間とコストが非常に多大であったということ、それから、先ほど私も言いましたけれども、官民のリスク分担の基準があいまいだったというようなことが、物すごくわあっと短期間にメジャー首相がやられたんですが、ブレアさんになった途端に物すごいブレーキがかかっているというのは、そういうところに原因があったようでございます。
我が国におきましても、こういうようなものを他山の石としますか、こういうことが起こらないように研究をしながら、しかしながら限られた資源を有効に使うためにはいろいろな工夫をしなきゃならない。これはもう事実でございますので、こういうものも乗り越えられるのであれば、十分、国土交通省としても考えていかなきゃならないというふうに考えているところでございます。
〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
○吉良委員 今、いろいろな答弁をいただきました。当たっている部分もないとは言えないと思いますが、私も実は大分における契約書というのも読ませていただきました。
それで、先ほど幾つかの日本の特殊事情、地形だとか地質だとかいうような話、用地買収の話、災害復旧の話、こういうのが出てきました。ただ、実際、先ほどイギリスあたりのことを出しました、それはちょっとまた後で触れさせてもらいますけれども、海外の事例においては、その辺の官民の分担だとか発注者と事業者の役割分担というのは非常に明確ですね。
それで、唯一、おっしゃったように災害復旧関係は、よくフォースマジュール条項といって、不可抗力については双方、若干のり代として残すわけでありますけれども、それ以外のところは基本的に契約段階できれいに分けていくわけです。逆に、契約交渉というのはそれがすべてですから。よくスコープ・オブ・ワークと言われますけれども、それをどっちがどう分担するか、その交渉が実は価格に全部反映される、当たり前のことでありますけれども。
それで、そういう事例もちゃんと研究をされておるわけですか。先ほどそういう事情をおっしゃいましたけれども、海外も、平たんなところもあれば、山がちのところ、トンネルがいっぱいあるところ、いろいろあるんです。そういうところでもすべて今言ったBOT方式というような形で実際やられているんですね。
ですから、そういう海外における、さっき大臣がお答えになった官と民の役割分担、どうしてもその時点では決着のつかない不可抗力、その辺についての研究をされて今発言をされておるんでしょうか。
○宮田政府参考人 まさに委員、PFI、BOTの、リスク分担を官民でどうするか、発注者側と受け手側がどうするかというのが最も大きな課題でありました。まさに、きれいに仕分けができる部分というのは日本でできる。これも委員は多分お読みになったと思いますが、平成七年ぐらいから、PPPでありますとかBOTでありますとか、そういう研究を民間の方々も入れて国土交通省で研究をいたしました。
そこで、やはり不可抗力に係るリスク分担というのは相当勉強をした。特に、大臣が答弁申し上げましたが、災害に係るときに、話をわかりやすくしますと、オペレーションを担っている社の管理は妥当で雨が降ってのり面が崩れたのか、あるいは管理が不定期で崩れたのか。多分、不可抗力の部分の中にもいろいろ仕分けをする部分があるんだろうと思います。
そこをまさに平成七年からずっと繰り返し勉強しているところでありまして、委員御指摘の、立ちどまっているわけではありませんで、幾つかの事例、非常にリスク分担が明確な事業については、例えば駐輪場でありますとかあるいは道の駅でありますとか、そういうものについてはPFI的手法を用いてやっている。
それから、これも御理解を賜りたいと思いますが、VE提案型の発注というのは、これは道路事業でもかなりの部分そういうことをやっております。
それから、今総合評価のところでも、発注者が、提案しているデザインよりも機能を充足していれば提案を受け付けるという発注方式に変わっていますので、完全にPFI的PPP、そういう領域までは達していませんが、それに近いデザインビルドでありますとか総合評価でありますとか、そういう準備、そういうリスクを横に置いた広げ方に非常に取り組んでいるというところは御理解賜りたいと思います。
○吉良委員 私自身も言いましたように、全く国交省として取り組んでいないわけではないというのは私も理解をしておりますが、道路への、それもかなり金額の張る大型工事への応用といいますか、実施例がほとんど見られないということで私は申し上げているんです。
私、いきなり先走りましたので、委員の方にも御理解いただくために、私自身があえて再度提案を申し上げている方法について、ちょっと整理をさせていただきたいというふうに思っています。繰り返しますが、これらを国交省が全くやっていないというわけではないけれども、今まさに問題になっている中期計画の妥当性だとか、それからコストの妥当性だとか、そういったものを議論していく際にやはり確認していく必要があるんだろうと思っております。
まず、その第一は、私の了解では道路建設と維持補修、メンテナンス、それから金融と書いていますけれども、今現在は、このファイナンスが全部ばらばらであるということですね。ですから、先ほど来PFIそのものではなくてPFI的手法と言っているのは、建設と維持補修と金融を一体化させて入札に付すべきだ、こういうふうに申し上げております。
皆さんには釈迦に説法になりますが、二ページ目に書かせてもらっているんですが、初期コストが百億円で毎年の維持補修に五億円かかるプロポーザルよりも、初期コストは百二十億円でも毎年かかる維持コストが一億円の方が、六年を経過すれば安い提案ということになりますので、そういう意味では、初期コストだけで評価するのではなくて、維持コストも一体にするというのは当然のことだろうと思っています。
それと、なぜ運営まで、維持まで一体とさせるかというと、みずからがいいかげんにつくったとすればそれだけ維持コストがふえるわけであります。ですから、当然ながら、建設段階でその後に控えている維持コスト、これは自分の負担になりますから、責任になりますから、それをも安くするためには初期投資も安くしなければいけない、と同時に維持コストをできるだけ安く抑えるような工事をしなければ自分の首を絞めるということになるわけであります。そういう意味で一体化したものとするということです。
なぜ金融をこれに入れるかというと、ここにも書いていますが、一般的には道路は税金でやられる、したがって金利コストはつかない。道路特定財源であれば特にそういうふうに言われるんでしょうけれども、実際自治体も含めてやっているのは、国債発行も含めた財源が渡っていますから、国債発行というのは当然金利がついているわけでありますから、そういう意味では、できるだけ早く工事を仕上げるとか、ファイナンスコストを安くするということも国民負担を軽減することになるというふうに思っています。
それと、金融を一体にすることの非常に重要なことは、確かにコストの面では国債でやるのが、金利がつくお金という意味では国債が一番安いのはだれもが承知していることでありますが、ただ、問題は、単年度主義のときに、全区間一千億円の道路があったときに、いきなり単年度で一千億つけられませんから、ここで二百億、ここで百五十億、こうなっていくわけですね。
けれども、二番目にもかかわってきますけれども、ぶつ切りにせず、小さなくくりとせず、大きなくくりとしていって大きな事業金額にしていく、この意味は、やはり受注者側にスケールメリット、資材調達を含めてスケールメリットを発揮してもらって、より安いコストにしてもらうということなんです。
となれば、いきなり建設段階で一千億必要というようなことになりかねません。その際に、単年度予算主義とどう整合性をとるのか。
それは、例えば、よくPFIとかでやられる手法でありますけれども、スペシャル・パーパス・カンパニー、SPCをつくってそこに社債を発行させる、そこが銀行団から資金を調達する。その際、高くなりそうでありますけれども、さっき言ったように、純粋なPFI、通行料が収入源ではありません、国なり自治体の予算措置が収入源になりますので、お金は比較的安いコストで借りられるというふうに思います。
そうなると、一千億円なら一千億円をとりあえずは事業者が調達する。そして予算措置、発注者に対しては、ことしは二百億、ことしは百五十億、来年百五十億、こういう形で分散できるわけです。ということになれば、大きなスケールメリットを得させて、結局は国民が安い買い物ができると同時に、現時点での単年度予算主義というのにも合致するわけであります。そういうことも含めて、建設、維持補修、金融を一体事業とするということと、大ぐくりの入札対象とするということであります。
三番目は、先ほども申し上げましたけれども、国際競争入札を促進する。先ほど私の経験で言いましたように、韓国、中国企業等々が入ってくるということになれば、それは相当なコスト削減効果が期待できます。世界のどの国もが入りやすくすることによってコストを低減していく。
四番目の私の提案は、さはさりながら、政治的配慮をした場合に、やはり同じ税金を使う、同じ国民負担になるのであれば、地場企業だとか国内企業に受注させたいと思うのは親心であると思っています。
では、どうやって国際競争入札によるコスト低減効果と、そして、地場企業への、ある意味では保護といいますか配慮を両立させるかというのは、入札評価上の優遇措置を容認するということであります。
これは、あくまでも入札評価上の優遇措置でありますので、例えば二〇%の優遇措置を認めるとなった場合に、例えば中国企業が八十一億円で提示してきました、それで、大分なら大分の地場企業が百億円でした、二〇%の優遇評価を認めるということになった場合には、百億円で地場企業に発注するということではなくて、そのときには交渉権を地場企業に与えるということなんです。
後は、ガラス張りの交渉、入札評価の中で、県民なり国民が理解される中で、では地場企業が八十五億円まで落としてくるのであればこの八十一億円の企業よりもやはり国内企業に、地場企業にやりましょうと。そういう、透明性を高めつつ、海外企業にぐっと削減のイニシアチブをとってもらいながら、できれば国内企業に、また地場企業にとってもらう、そういう配慮で、四番目の入札評価上の優遇措置を認めるということを提案しているわけであります。
五番目の、応札者による支払い条件というのは、非常に財務的に強い企業が応札するような場合には、ファイナンスコストもほかよりも安く提示できるということで、さっき言った建設、維持補修、ファイナンス、これは全部国民の負担ですから、そのファイナンスコストを少しでも安くできるという趣旨であります。
六番目の、道路構造令からのデビエーションを容認し、応札者の構造提案も認める。これは、先ほど言いましたように、国交省さんの方でも技術提案つき価格合意方式というような形で実際に実施されておりますけれども、これをもっともっと徹底するということであります。
私の大分にも、まだネットワークは完成していませんけれども高速道路がありますが、山がちの地形ですのでトンネルが多うございますけれども、夜走ってもトンネルの中に入ったら真っ昼間のように明るい。けれども、残念ながら、私の地元ではありますけれども、すれ違う車はほとんどない、トンネルを出たならば真っ暗。そういうときに、やはり交通量の少ないところはぜいたくをせず、ちゃんとその上を高速走行できるそういう道路があればいいわけですから、ほかのところでぜいたくをする必要は全くないと私は思っているんですね。
そういう意味も含めて、いろいろな構造令を含めた国交省側の基準に対するデビエーションを提案して、そこで少しでも安い価格を提案し、また受け入れてもらう。
この六点を提案させてもらっているわけであります。まずこの六点、先ほどの私の提案と重複するところもございますけれども、この六点の提案についての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
○冬柴国務大臣 我々も、それと同じような考え方のもとに総合評価方式というものをやっておりまして、地場企業が受けられるというようなこと、建設業者は中小企業が多いんですね。しかしながら、非常にいろいろ工夫をされる人が多いわけです。しかも、重要なのは、日本は災害の国ですから、災害が起こった場合に一番に駆けつけてくれるのは中小の建設土木業者なんです。その人たちは、自分の家が壊れていてもやってくれているんですよ。そういうものについては、私は、総合評価の中で評価点をもっとたくさん渡すべきだと。それから、やはり地域における基幹産業ですね、この人たちは。地域の若者をたくさん雇用してくれているんですよ。
したがって、そういうことも含めて、総合評価の評点をやはり上げてあげるということが、この人たちにそういう機会をとっていただけるんじゃないかということで、私どもは今総合評価方式というのを、物すごい手数がかかるんですよ、物すごい手数がかかる。それで、定員はどんどん削減されますし、されると言ったらおかしいけれども、国の方式として、純減の中で、それは本当に、一億ぐらいの仕事でも机の上がいっぱいになるぐらい書類をつくっているんですよ、徹夜して。それぐらいやりながら、提案されたもの、あるいは地域貢献度というものをはかりながら、値段以外のところでも落札できるようなことも国土交通省は今一生懸命勉強させていただいております。
吉良委員の御提案、大変いろいろな、海外での御研究とか、あるいはみずからお仕事としてやられたということを踏まえての提案でございますので、今後も我々は重く受けとめて、これからの我々の政策の中に入れていきたいと思います。
ただ、そんなに金融まで含めた提案ができる業者というのは、日本の建設業者の中では、まあ、それは日本にも大型の業者がたくさんおりますからできるだろうけれども、中小企業はお呼びでなくなりますよ。そこのところももちろん考えていただいて、受注可能な企業がごく少数に限定されるような形は、しかし、それはまた吉良さんはいろいろと工夫をされて、そういう人たちも入ってこれるようにされるんでしょうけれども。
例えば大分県の道路の十カ年分をやるとか、そんな提案もちょっとしていられることを知っていますよ。だけれども、十カ年じゃなしに、例えば中津から日田まで、今これは国じゃないとできませんよ、あれは。わかりますか。それでも一生懸命直轄でやっているんですよ。そのやり方をもしPFIとかでやった場合、僕は全然違うものができるんじゃないかなということを心配はします。
しかし、先見を持ってそのようなすばらしい提案を、拒否するような狭量なことはいたしません。いろいろ研究はさせていただきますが、そういうことの実態を見ながら考えると、非常に難しいなということを私は感じるところがあります。
例えば、福島県に相馬というところがあるでしょう、相馬盆唄の相馬市。あそこから福島市まで行く道には、物すごく、阿武隈山脈があるでしょう、阿武隈東というところは、本当に蛇のような道なんですよ。そして、それを越えて霊山道路というところも、またそれなんですよ。ですから、相馬から福島まで、急患でも行けないんですよ、お医者さんが救急車で酔うてしまうぐらいのところですから。そこを、採算ということじゃなしに税金で道路をつくっているわけですよ、直轄で、その部分は。そういうことは日本国じゅういっぱいあります。
したがって、そういうところの道路をつくるためにも相当な時間と覚悟が要るわけでございまして、そういうことから、今一生懸命こういうことができるようなことをお願いしているのが私の今の心境でございまして、一日も早くそのようなことができるようにお願いをしたいと思っております。
○吉良委員 まず、大臣、私先ほど言いましたように、採算ではないんです。私は、あくまでもPFI的手法ということで、入札段階でいかにいいものを安く提案するかという方法を論じているのであって、これは採算的に合う合わない、ある区間の道路を採算に合わせるようにつくるということを提案しているのではないんです。ですから、国直轄なんです、ある意味では。国がやるとなれば、国直轄なんです。
ただし、その際の入札方法を、繰り返しますが、私が今言っている六項目を採用することによって、今まで例えば五百億かかっていたのを三百五十億になるようにしないか、こういうことを申し上げているので、別に直轄とか採算の、民間ベースの道路をつくれと言っているわけではないということを御理解いただきたいと思います。
それと、大臣の答弁の中で、総合評価方式ということで、中小企業がいざ災害のときに、それは確かに評価されてしかるべきでありますけれども、やはり今までのいろいろな意味での道路建設、維持補修にかかわる世間の厳しい目というのは、そういう名のもとに裁量権が国交省なり各都道府県の道路課等にあったのではないか、そこにいろいろな意味で政治家だとか、よく言われる癒着だとかが入り込む余地があったのではないかというふうに思うんですね。
ですから、そこはやはりガラス張りにしていかなければいけない。どういう優遇を認めるかというのはきちっと、だれに見せても納得できるようなものにしなければいけない、こういうふうに言っている。
大変失礼なんですけれども、最近大分変わってきているのだと思うんですが、私、地元でよく言っていることは、さっき冒頭にも言いましたけれども、道路が欲しいのか、道路工事が欲しいのか。やはり、道路工事の場合が多いんです。先ほど大臣が中小建設業界も大事にしなければいけない、確かにそのとおりであります。そのことに異論を唱える気は全くありません。ただし、ほかの産業部門は、みずから時代の変化に合わせて絶えず自分を変革してきている。
ところが、政治的に圧倒的な発言力を持つ建設業界は、おい、与党の何々先生よ、おれは何で食っているか知ってるな、おれは道路工事で食っているんだ、最近道路工事が周りにないじゃないか、何か理由つけて道路工事を持ってこい、おれは道路で食ってきたんだからと。これがやはりまかり通っていると私は思っているんです。
いや、今大分変化してきてはいますよ。だけれども、まだまだベースはそういうことがあるので、我々民主党も、本当に真に必要な道路なのかということと、事前入札段階でも事後評価でもきちっとしているのかということを提案させてもらっているわけです。
そして、先ほど来言っていますように、大くくりにすると、確かに元請業者としての中小企業が元請になることは極めて難しいと思っている。ただし、我々は国民のために道路をつくっているわけです。建設会社のために道路をつくっているわけではないんです。ということになれば、やはり安くいいものをつくるというところに特化しなければいけない。
そうした場合に、当然ながら、大ぐくりの数百億とかいうような受注金額になれば、非常に限られてきます。今であれば中央のゼネコンしかできないかもしれません。ただし、これを徹底させることによって、実は、少なくとも地場の大手、地場の中堅がコンソーシアムをつくって、そこがコンソーシアムとして元請できる。
先ほど言いましたように、エバリュエーション、評価も大変です。応札も大変です。けれども、そこに耐えてこそ実力がついていくんですね。それをやれる力をつけるためには、銀行であったり、エンジニアリング会社であったり、またはコンサルタント会社あたりもコンソーシアムに入れなきゃいけないでしょう。
私は、もうちょっと言うと、応札時の余分なコストといいますか、通常の入札に比べてかかる分は、私はそれこそ補助をしてもいいと思っている。それこそ地域活性化であって、それぞれの地域の地場企業の能力を高めるわけですから、その応札費用の一部を補助するということはあっていいと思っているんです。ただし、今までと違って、元請は中央の元請がとる。第一次下請に地場の中堅がとる。その下にさらなる地場の会社が二次、三次下請でいく。それも、ある意味では飲み友達になってやってきていたのを、やはり提案と価格競争によって下請を組成していく、でないとそもそもの入札に勝てないような仕組みにしましょうというのが私の提案なんです。
大臣、私は政治として手を差し伸べることは大変大事なことだと思っていますけれども、一方では、どういう風が吹こうがあらしが吹こうが、やはりその企業がきちんと生き残っていける、それだけの強さを養える、そういう機会を与えることも大変大事なことだというふうに思っているんですね。その辺についてはいかがでしょうか。
○冬柴国務大臣 総合評価は、もう先生御存じのとおりですけれども、提案型なんですね。どういうことを問題に提案されるか。そこは企業秘密ですよ。しかし、政治が介入してその結果が変わるようなことは絶対ないですよ。見てください。その総合評価をずっとやった、今閲覧させていますから。
その企業秘密の部分は、なぜそうだったかということはしませんけれども、あとはすごい評点をつけて、皆さん、応札された方が納得されるような手続を進めていますよ、国土交通省は本当に。それは一度閲覧してください。私は、そこへ政治介入があるような言い方はとんでもないと思うんですよ。それは、マスコミでそういうことが喧伝されたことはあるけれども、私はまだ一年半の新米ですけれども、私はそういう面で勉強もしたけれども、ありません。
私自身、国土交通省にいますけれども、何のかかわりもないですよ、だれとも。東京でパーティーをしたこともないですよ、私。ですから、そういうところでクリアにやって、改善して、そして中小企業も生き残れるような、もちろん中小企業も工夫しなきゃ生き残れませんよ、それは。当然の話です。
今中小企業がたくさん倒産されていますけれども、できるだけ中小企業は保護しなきゃならないけれども、無償でお金を上げるようなことは一切していないじゃないですか、中小企業には。資金を融通する、政府系金融機関から安い融通をする、あるいは保証をする、そういうことはやっていますよ。しかしながら、いろいろな、例えば入札価格に、物すごく金がかかるんですよ、実際は、総合評価をやろうと思えば。そういうものに対する補助とかはしていません。しかし、それで入札できなかったら会社としては大変な負担になってしまうわけですけれども、十分耐えられるようなものをやっていこうと。今はまだ改善途中ですね。
したがって、吉良委員のような、多くの経験とかそういう意味での学殖もお持ちの方々の御意見も伺いながら勉強をさせてもらいます。自分がやっていることがいいんだとかいうことじゃなしに。しかし、誓って言えることは、いろいろな圧力をかけられて、そういう、道路をつくるんじゃなしに道路工事をつくっているんだということは、私はここで毅然として否定をさせていただきたいという気持ちでございます。
○吉良委員 先ほどの、今というよりもその前の、今の大臣の答弁、承っておきますけれども、私自身はなかなか納得できないものが、前半は特に多うございますけれども、大臣御自身としてはそういうことは一切ないんだろう、その辺は信じたいと思います。
先ほど、やはり日本は災害も多い、いろいろな気象条件の中で、工事がおくれるだとか、思うように進捗しない場合があるということで、なかなか難しいんですという話がございました。確かにそうだと思いますが、一方で、中期計画を正当化する際に、費用対便益ということを盛んに言われておりますね。その中で、この道路が開通したら何分早くなって、その経済効果は幾らだということがよく書かれております。これまで国交省さんが実施されている契約の中で、アーリー・コンプリーション・ボーナス、これは早期完成ボーナス、また逆にディレーペナルティー、遅延損害、これを科されたことはございますでしょうか。
○宮田政府参考人 突然のお尋ねでございますので、不正確になるかもしれません、記憶だけで答弁申し上げますが、まさにVE提案型の考え方というのは、例えば路面の道路工事をやっておりまして、それが早期に開通すると利用者に利便がある。その早期に開通した利便の度合いに従って、上がった費用については折半するとか、ある一定の割合で施工者の方に還元する。まさにそれがVE提案の根源だと思います。したがって、おくれればそういうペナルティーも科すという契約になっていたと。記憶だけで申しわけありません、まさにVEというのは。
それからもう一点だけ。先ほどの御質問の中で、私、お伺いしていて、いろいろ勉強してまいりたいと思っておるんですが、首都高の品川線、これはまさに、民間会社になりました首都高速が低利の資金調達をして、一本一千億近いシールドトンネルを発注した。まさに資金調達でスケールメリットを追求した事例です。今までは多分、少し区間を分けておったんだろうと。それは、先ほどから申し上げておりますように、シールドトンネルという、限られたそういうリスクが、用地買収のおくれというリスクが回避できる、そういうことで一気にたくさんの金を投下して、スケールメリットをねらえる事例だったんだろうと思います。
もう一点だけ。大臣の答弁にもありましたが、総合評価方式は、評価項目を決める際にも、点数をつけた際にも、どの発注機関も、第三者機関で、第三者の人に入ってもらって、まず、こういう評価項目でよろしいでしょうかということも含めて、それから、評価点はこういう観点で複数の人間が点数をつけましたけれどもよろしいでしょうか、これは大学の先生とかそういう方々が入られた委員会でやっております。そういうことを申し上げたいと思います。
○吉良委員 今の答弁の中で、バリューエンジニアリングの中で、早期完成に対するボーナス、また遅延に対する損害請求というのが出ているということでありました。
私は、そのところをもっともっと徹底させて、御承知と思いますけれども、本当に海外の例では、これが、さっきから言っています、私の提案はPFIそのものではないんですが、海外ではまさにPFIそのものでやっている。要は、料金収入でやっているところというのは、オペレーションをする会社が発注者ですから、当然、工事が早く完成すれば早く用に供して、早く収入が入ってくるということで、非常に大きなアーリー・コンプリーション・ボーナスというのを規定しているんですね。それをやはり目標に元請は必死になって早期完成をしていく。
日本の場合は、大臣もおっしゃっていました、確かに地異天変、ここは大変な国土でありますけれども、そこを余り強調し過ぎると、やはりそこにどうしても甘えが出てくる。私がさっきも言いました単年度主義の一つの問題は、一度やってしまったら、工事に仕掛かってしまうと、仕掛かり品ですから途中でやめるわけにいかないだろうということで、おくれようが何しようが、次の予算をつけていかざるを得ないという運命になってしまっているんですね。
けれども、先ほど言いました、やはりリスク分担、特に今おっしゃった災害時におけるフォースマジュール条項についての規定をはっきりさせる。両方ともの責任ではないといった場合には、よく海外でもありますけれども、第三者ですね、そのリスクを分担する会社をつくってでも、またはもちろん折半にするというような規定を設けてでも、余り裁量の余地を残さずにやはり早期完成させる仕組みをつくることが国民負担の低減につながる、このように思っているところであります。
それと、時間も大分限られてまいりましたけれども、私、冒頭に申し上げたんですけれども、大臣は、中小、建設、土木会社に対する深い愛情をお持ちで、それはそれでよしとするんですけれども、繰り返しますが、やはり本当に彼らが、今後、自分の地域だけではなくて、ある意味では、もう合併等を繰り返しながら、東南アジアにも出かけていける、そういうような素地を、つくってやると言うと上から物を見ているようで恐縮ですけれども、それがやはり本当の親心なんではないかというふうに思っているんですね。
当然、この入札方式を徹底していきますと、先ほど言いました、まずコスト管理意識というのが非常に強くなります。それと、何よりも提案力がつきます。
結果的に、さっき言いましたように、なぜ、八〇年代後半に韓国勢が強かったのか。プラザ合意前は日本が強かったわけですけれども。それ以降中国が強いのかというと、やはり現場労働の部分が圧倒的に安いからなんですよね、当たり前の話ですけれども。彼らの場合は、例えば海外に出かけていくときも自国から労働者を連れていくこともあるわけですよね。
けれども、やはり日本はだんだん、そういう意味では今言った現場労働だけではそういうところにもう太刀打ちできないし、そこを全部費用で賄っていれば国民負担が非常に大きなものになる。それよりは、日本人または日本企業は付加価値の高い部分を請け負うことによって、より高い収入とより高い競争力を持たせていく、そういうある意味での親心になると思うんです。最初は確かに応札するだけでも大変厳しい、そして価格競争も大変厳しい。けれども、そこを乗り越えるようにチャンスを与えていくのが私たちの役割ではないかと思うんですけれども、その点について大臣の答弁を伺いたいと思います。
○冬柴国務大臣 今、建設大手の名前の上がっているところ、あるいは電機メーカーでも、戦後ですよ。ですから、中小企業が、今はとてつもない会社になっていますよ、世界的な企業になっているけれども、それは日本人というのは僕はすごい力だなと思います。
特定の名前は挙げませんけれども、あるプレハブメーカーが建てた家は、阪神大震災で一戸もこけなかった、つぶれなかった。自慢していますよ。耐震構造をきちっと守っていますよ。そして、そこの会社の商品というのは、もう本当に小さな一戸建てですよ。戸建てでも、耐震構造をきちっと研究して、売り物にしていますよ。そしてまた、環境についても、開口部を二重ガラスにするとか、遮へいする塗料を塗ったもので室内温度が物すごく違うんですね。そういうことも私は見せてもらって、すばらしいなと。
では、これはいつからできたんだ、戦後でしょう。戦後と言っても六十年もたっていますから、短い期間ではありませんけれども、そういうことを考えれば、切磋琢磨して、そしていい会社がそこにできてきているんですよ。
私の地元だって、建設ではありませんけれども、雷のことであれば世界じゅう絶対負けないというオンリーワン企業がありますよ、中小企業で。雷のことだったら、電発から航空機から新幹線、そしてまた小さなノートパソコンまでつくっていますよ。それが日本人だと思うんですね。
ですから、国が育成するとかどうとかよりも、切磋琢磨して、中小企業は物すごく伸びているところはある。伸びないところはもちろんありますよ、淘汰されますよ。だけれども、そういう中で、私はやはり、経済産業省は補助金という形でそういうところへお金をばらばらまかなかったというのは物すごくすばらしいことだと思っています。自分の危険でお金を借りて、そして工夫をして返していく、日本の企業はそういうガッツがありますよ、私はそう思っています。
○吉良委員 もう時間が来ましたので、本当に最後ですが、今大臣がおっしゃった、私自身は補助金をばらまいて育てるなんて一言も言っていないですよ。逆に、ある意味では厳しい試練だけれども企業が育つチャンスを、国民のためになる道路をつくりながらそういうチャンスを与えていきましょうということを申し上げておるので。
それと、それに関して、こういう提案も含めて研究してまいりますというよりも、現に国交省さんの中で、具体的な、ここに私が六項目を挙げましたけれども、それに近いことはもう既に盛り込んでおられるわけですから、それを道路の工事の中でもっと積極的に推進していってくださいということを申し上げたいと思うんです。
この発想、特に国際入札はいろいろ抵抗があるのはわかっているんですが、この点も含めて、私の提案を前向きに道路建設、道路工事に応用するということを答弁いただけませんでしょうか。
○冬柴国務大臣 きょうは道路局長も来ておりますし、あなたの提案というのは私はとても全部理解できるような能力はありませんけれども、何か斬新ないい案のように思われます。
したがって、前向きに道路局長も考えているわけですから、それをどういうふうにやっていくか。日本には日本の固有の問題がありますけれども、ぜひ、きょうのことは、この間も予算委員会で言っていただいたわけですから、重く受けとめて、そして検討してくれる、そのように私は期待もいたしております。
○吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。
質問を終わります。ありがとうございました。
○竹本委員長 吉良君の質疑はこれにて終了いたします。
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
――――◇―――――
午後一時八分開議
○竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
早速質問を始めさせていただきたいと思います。
まず、今国会の予算委員会で、私の方から大臣に対して、平成十八年度の道路特別会計の支出先の民間企業、工事契約の金額上位三百社、さらには工事以外の契約金額上位三百社に対して、国土交通省の出身者がどのくらい再就職、世間的に言えばいわゆる天下りをしているか御調査をいただきたいということをお願い申し上げたらば、大臣の方で鋭意調査をするということで御答弁をいただきまして、昨日その調査の結果をいただきました。
その調査の結果について、まず大臣の方から教えていただきたいというふうに思います。(冬柴国務大臣「もういいでしょう、数字ですよ」と呼ぶ)
○平井副大臣 平成二十年二月二十八日、予算委員会において委員より依頼がありました平成十八年度道路整備特別会計の契約相手上位三百社における契約金額につきましては、工事契約は約五千五百九十四億円であり、その他契約が約二千四百七十一億円、合計で約八千六十五億円となっております。
国土交通省出身の役職員につきましては、計六百社の企業に個別に聞き取ったところ、工事契約上位三百社中二百九十六社、その他契約上位三百社中二百九十三社から御回答をいただいたところであり、平成十八年四月一日時点で、工事契約の上位三百社については国土交通省出身の役職員数千五百二十三人、その他契約の上位三百社については国土交通省出身役職員数千百十八人、合計六百社の合計の国土交通省出身の役職員数は二千六百四十一人でございます。
○川内委員 いや、大臣、数字だから副大臣でいいじゃないかとおっしゃるけれども、今までさまざまな談合事件の後、国土交通省としても、契約相手先企業に対する再就職は自粛をしようねということでさまざまに御努力をされてきたという経緯があると思うんですね。橋梁談合のとき、あるいは水門談合のとき、それ以前にもそうかもしれない。
そういう中で、では、今現在というか、平成十八年当時どのような実態になっているのかということについては、国土交通省を所管する大臣として、私は大臣にお答えをいただきたかったということをまず前置きとして申し上げておいて、今、国土交通省の方から御答弁をいただいた数字は、工事契約においては、約五千六百億円の平成十八年度における契約金額に対して、千五百二十三名が国交省出身者として契約先相手企業に再就職をしている。その他契約については、約二千五百億円の平成十八年度の契約金額に対して、国土交通省出身者が千百十八名再就職をしている。合計で、道路特別会計から約八千百億、平成十八年度においては契約があるわけでございますけれども、八千百億の契約で二千六百四十一名の国土交通省出身の再就職者がいるということが今回明らかになったということであります。
それでは、従前から私どもの方で求めていた、道路特別会計に関連する五十の公益法人に対して国土交通省出身者が何人再就職をしているか、天下りをしているかということについては、もう既に数字が出ておりますので、その数字を、では、平井副大臣から御答弁ください。
○平井副大臣 平成十八年度道路整備特別会計から一件当たり五百万円以上の支出がある五十の公益法人における国土交通省出身の役職員の総数は、平成十八年四月一日時点で千二百六十一人であります。また、このうち、役員は三百十九人であり、常勤は百四十三人であります。
道路特別会計からの支出額は、五十法人に対して六百七十三億円、これはもう既に何度も発表させていただいている数字であります。
○川内委員 そうすると、民間企業六百社に対して二千六百四十一名、公益法人に対して千二百六十一名、合計で三千九百二名の方が、国土交通省出身者が道路特別会計より支出をされている団体に再就職をしているということでよろしいでしょうか。
○平井副大臣 先ほどお話しさせていただきました民間企業六百社と五十の道路関係法人の役職員のうち、国土交通省出身者については、平成十八年四月一日時点で三千九百二人でございます。
○川内委員 三千九百二名の国土交通省出身のOBの方が道路特別会計の支出先で御飯を食べているという状況だということでございます。
ちなみに、済みません、先ほど漏らしましたけれども、工事契約とその他契約で役員と職員の内訳をちょっと、平井副大臣、改めておっしゃっていただけますか。
○平井副大臣 工事契約上位三百社の方で、役員が二百十三名、職員が千三百十名であります。その他契約上位三百社で、役員が二百八名、職員が九百十名であります。合計しますと、役員が四百二十一名と、二千二百二十名ということになります。
○川内委員 大臣、道路特別会計の支出先のいわば法人、公益法人あるいは民間法人に対して、国土交通省出身者が三千九百二名再就職をしている。この数字はきょう初めて明らかになるわけでございますけれども、大臣は、この改革本部をお立ち上げになられて、鋭意、国土交通省の組織の改革あるいは道路特別会計の改革に精励をされていらっしゃる。それは、心から敬意を表させていただきたいというふうに思います。
しかし、職業選択の自由があるということはあるにせよ、発注先に人を送り込むということに関しては、人を送り込んでいるという意識はないのかもしれないですが、そこに国土交通省出身者がいるというのはやはり世間の常識から見て余り好ましいことではないだろうということは、大臣にも御同意いただけるというふうに思うんですね。
それが証拠として、国土交通省自身も、自粛措置として、指定職経験者は退職後五年間は国交省発注の公共工事の受注実績ある企業への再就職は自粛というふうにしているし、国交省発注の公共工事の受注実績ある企業においては、退職後五年間は国交省退職者を営業担当部署に就任させないよう要請とか、御努力はしていらっしゃる。しかし、よくよく読むと、公共工事の受注実績あるところにはだめよ、自粛しようねということしか書いていなくて、その他契約というのも、この道路特別会計あるいは道路特定財源の問題では、物すごく膨大にその他契約というのがあるんだねということが、さまざまな議論を通じて明らかになっているわけでございます。
そうすると、この国土交通事務次官の通知にしても、あるいは国交省の自粛措置にしても、さらに精緻に書き込んでいく必要があるのではないか。公共工事の受注実績あるじゃなくて、国交省発注の工事、あるいはその他契約の受注実績ある企業への再就職を自粛しましょうね、さらには、国交省発注の公共工事その他契約の受注実績ある企業においては、退職後五年間は営業担当部署に就任させない。まあ僕はほかの部署も余りよくないとは思いますが。
とにかく、この自粛措置について、国交省として三千九百二名の方々が再就職をしている。しかし、今も、先ほど吉良さんとの議論でも、入札改革もさまざまに国交省の中でも進んでいると。そうすると、一般競争入札あるいは総合評価方式という形で、経営について、技術力と経営にすぐれた企業が仕事を一般競争入札の中で受注していくという中にあっては、国交省出身者が会社にいなくても、私は十分にそれらの企業はやっていけるのではないかというふうに思いますので、この再就職問題についての大臣の御所見を承っておきたいというふうに思います。
○冬柴国務大臣 ちょっとバックグラウンドの話をさせてもらいます。
私は、一年半、大臣を拝命してから国土交通省のもとにおりますが、六万三千人の職員がおります。そして、その人たちが、年間に、定年退職される方六百人、自己都合でやめる方が三百人、勧奨退職が九百人、千八百人が国土交通省を去っていくわけです。
それで、勧奨退職というのは何だと。これは、きょうは傍聴に来ておられる方もいらっしゃいますけれども、十五年から十九年、十五年では五十二・四歳ですよ、本省での勧奨退職は。五十二歳でやめておられます。それから、地方整備局では五十六歳でやめておられる。私は、それはいけない、もっと引き上げなきゃだめだ、六十歳まで働けるようにしなきゃと。六十五歳まで働かなかったら、共済年金をもらえないんですよ、六十五歳からですよ。
では、それをやめてから六十五歳まで、どうして生活していくのか。国家公務員であった人も、職業選択の自由もあれば、そういう人たちについては、大学を出てからずっと専門職としてやってこられた方は大変な知見、経験を持っているわけですね。そういう人たちをやはり企業は、社会は求めていますよ。
しかしながら、癒着とか、今川内さんがおっしゃった切り口は、多く行っているところへ多い金額の契約があるじゃないかということを指摘されているけれども、これは、まさかそれが違法だということは言っておられるわけじゃないでしょう。(川内委員「そんなことは言っていないですよ」と呼ぶ)そうでしょう。適法の行為をやっておるわけでしょう。
あなた、上位六百社の調査といったら、どれほど国交省の職員が徹夜したか。これは当たり前ですよ、議員から求められているんですから誠実にやりましたけれども、この国の上位六百社を挙げれば、日経平均でも二百二十五社ですよ、日経平均の株価で上場している会社は。その六百社に通知をして、国土交通省におった人が勤めておられるかどうかということを全部照会しまして、そして回答をいただいたんですけれども、それが、そういうところへ発注してはいけないということになりますと、仕事できなくなるでしょう。(川内委員「そんなこと言っていないじゃないですか」と呼ぶ)言っていないけれども、暗に、それではなぜこれを調査させたんですか。これがこのままラジオやテレビで流れたら、えっ、そんなに癒着しているところへ金が流れているのか、こういうことになりかねないわけですよ。そうでしょう。私は違いますよ、これは。それは言います。
それから……(川内委員「ちょっと待って、何を言っているんだよ。ここに自分たちで書いてあるじゃないですか」と呼ぶ)
○竹本委員長 ちょっと発言はやめてください。
○冬柴国務大臣 自粛……(川内委員「何を言っているんですか」と呼ぶ)ちょっと待ってくださいよ。
○竹本委員長 静かに。
○冬柴国務大臣 再就職に係る自粛措置については、ゼネコン汚職をやった、私はこういうものについては、日建連加盟六十一社には、本省課長相当職以上、十級以上の再就職は自粛する、その他の職員は上記に準じた抑制をする、いずれも退職後二年間はそういうふうにする。それから、平成五年八月からは、これはずっと現在も自粛を続けております。したがって、六十一社、入っていませんよ。
それから、これも恥ずかしい話ですが、橋梁談合、水門談合ということがありました。重大な法令違反に関与した企業への再就職は自粛いたしました。これは、橋梁談合は四十七社です、水門施設工事談合社は二十三社です、重複分もありますが。今後、同様な事件に関与した企業に対しても、全職員、就職をさせません。退職後の期間を問わず、させない。これは相当きつい話ですけれども、そういうふうにいたしました。
それから、幹部職員の直轄工事受注企業への再就職を自粛いたしております。それで、対象者は、指定職経験者以上はそうです。退職後五年間、行ってはならないということにしてあります。これは、直轄工事受注企業というのは相当な大きな会社ですよ。そういうところへ行ってはいけないということになっているんですよ。
それから、今の早期退職慣行は、何ぼ何でも五十二歳できょうびやめろというのは、十三年も年金もらうまである、僕はだめだと。今五十五・四歳まで延ばしていただきましたけれども、そうなっています。それから、地方整備局は五十八歳です。これもきついですよ。
私は、そういう自粛を、これは悪いことをしたんだから、した企業にはもう行かせない、こういうことでやっているわけでございます。しかしながら、残念ながら大きな批判を受けて、私も自分自身も処分もしましたけれども、本当にこういうことは残念至極です。それで、職員の再就職については、権限、予算等を背景とした押しつけ的な再就職があってはならない。国民からあらぬ疑念を受けるような状況は決して好ましいことではないからやめようということで、自粛しているわけです。
ですから、今後は、今やっていますけれども、官民人材交流センター、こういうことで、あっせんの一元化等の再就職に関する規制の導入を含んだ改正国家公務員法の趣旨を踏まえて、的確に対応してまいりたい、このように思っています。
また、道路関係公益法人につきましては、現在、そのあり方改革本部、私が本部長ですけれども、平井さんが主になって一生懸命やってくれています。この公益法人の組織のあり方、公益法人に対する指導監督の徹底などについて検討を行っておりますが、その内容を踏まえて的確に対応していきたい。
これについては、川内さん初め民主党の議員は大変すばらしい勉強をされましたよ。そして、それを取り上げていただきましたから、反省を込めて、指摘されたことを私は全部やる、全部やろう、それ以上のことを野党に指摘されずになぜやれなかったのか本当に残念に思っているんですが、与党におきましても、プロジェクトチームをつくって、先ほどの五十社については全部ヒアリングをしてくださいました。そして、問題点を我々について指摘をし、それについての改善を期待する、このように言っていただいておりますので、私は、なるべく早くこの結論を公にしたいと思っております。
こういうことで、こういう数字が出ると、これ、テレビではひとり歩きするんですよ、新聞でも。私はそれが残念でたまらぬわけです。この人たちも、退職した人たちも生きる権利はありますよ、生きる権利は。職業選択の自由もありますよ。こういう国家から注文を受けたところには行ってはいけないようなことは、私はそれはいけないんじゃないか。ただ、我々が自粛しているところへは行ってはいけないと思いますよ。そういう意味でございますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
○川内委員 いや、もう大臣、物すごい問題をすりかえられて御答弁になられて、長々と演説を聞かされましたけれども、私は非常に心外ですね。五十二歳で早期退職勧奨があるんだ、地方整備局は五十八歳だ、それは会社の内部の事情でしょう。そんなことを私にここで、五十二歳と五十八歳だと言われたところで、そんなものはおたくの会社の中の事情であって、我々には関係ないですよ。それは、制度として議論するのであれば、公務員制度のあり方についてしっかり議論しましょうねということは別な場でやられるべきことであって、それを私に文句言ったってしようがないですよ。それは政府がみずからそうしてきたことでしょう。それを、そんなことを私に文句言うのは全く筋が違うということをまず申し上げておきたい。
さらに、発注先に再就職してどこが悪いんだと開き直られましたけれども、民間企業であれば、関連会社に対して発注します、さらにはそこに天下ります、再就職します、それは民間企業だから、民間の企業の中で勝手にやればいいでしょう。しかし、そのかわり、全部コストは上乗せされるんですよ、再就職者の面倒を見る。これは、道路特別会計は税金を使うものだから、そこに、道路特別会計の支出先に国交省出身者が再就職していれば、その再就職者の面倒を見るためには、それはコストに全部はね返るんですよ、当然に。当然にはね返るんですよ。そうは思われませんか。思いませんか。(冬柴国務大臣「思います」と呼ぶ)
だったら、では、もう一度、その六百社に対して調べてください。大臣は、その企業が求めたんだと答弁しましたから、本当にその企業が求めたのか、その六百社に対して再就職をしている二千六百四十一名が、今在籍をしているであろう二千六百四十一名がどのような経緯でその会社に就職するに至ったのかという事情についてお調べをいただきたいと思います。そうしなければ、大臣の答弁の正当性は証明されませんよ。
○冬柴国務大臣 それは無理でしょう。違いますか。六百社に今あなたがおっしゃったことを全部聞くんですか。
○川内委員 大臣、それでは答弁を取り消してください。その企業が求めたのだというふうに答弁されましたね。企業や社会が求めているんだ、だから再就職をしているんだと答弁されましたね。その答弁について、その根拠もないのに、調べられないのにそのように御答弁されたということですから、答弁を取り消してください。
○冬柴国務大臣 委員長、今の趣旨であれば、私は取り消します。取り消します。しかしながら、社会がそういう長いキャリアを持った人たちを求めていることは事実じゃないでしょうか。個別的な、あなたの企業はどうですか、この人はどうですか、そういうことまで調査をするということは、私は、そこまでしなきゃならないのであれば、私の発言は撤回させていただきます。
私は、しかしながら、社会も求めていることは事実ですよ、と思います。
○川内委員 いや、大臣、国交省の中にいらっしゃる方々は十分に意識を持っていらっしゃるんですよ。この平成十九年三月八日の「国土交通省の「当面の対策」」という、この談合事件を受けた再就職問題のペーパーには、「コンプライアンスの徹底」ということで、「職員からの内部通報制度の整備」あるいは「OB等からの不当な働きかけの記録・報告・公表」とか、さまざまにコンプライアンスを徹底させていこうねという意識がきちんとあるわけですね。
大臣、これだけの人が道路特別会計の発注先に再就職できるというのは、何らかの仕組みがそこにあるからなんですよ。何らかの組織がそこにあるからなんですよ。国土交通省は、建前的には、それは知りません、その人が勝手に再就職しているんです、だから調査しなければわからないんですということで六百社に個別に聞いていただいたわけですよね。ところが、そこにはたくさんの国交省出身者が再就職していましたねということが本日わかったということは、何らかの再就職の仕組みがあるということだと私は思いますよ。
その再就職の仕組みがどのようなことになっているのかということを、今後、これは税金を使っているんですから、国交省が独自に道路予算を集めてきて、独自にそれこそ営業活動をして一生懸命お金を集めて、それで道路をつくっているんだというのであれば文句も言いませんけれども、税金という形で強制的に徴収をし、そしてそれを特定財源という形で、特別会計という形で使っているわけですから、それはコストに上乗せされているのか否かという問題を含めてしっかりと調査をしていただくべきだというふうに思いますが、大臣は、いや、そんな調査はできないということですが、私が幾つかアンケート調査の項目をつくりますから、こういう理由で再就職を受け入れたんですかと、幾つか項目をつくってそのアンケート調査に答えていただく形式にしますから、ぜひ一緒に調査しましょうよ、大臣。どうですか。
○冬柴国務大臣 その書類をいただいてから考えさせていただきます。会社の名前も全部書いてあるから、川内さんがやられることは自由ですから、やっていただくことは。一緒にやるかどうかは、それをいただいた上で私は考えさせてください。
○川内委員 一緒にやるかどうか考えさせてくれというところまで進みましたから、きょうは私もそのアンケート調査の項目はまだ考えていませんので、それを大臣とまた御相談をさせていただいた上で、一緒にやるかどうかお考えをいただくということにさせていただきたいというふうに思います。
いずれにせよ、私は、国交省で知見を積まれた方あるいは技術を磨かれた方、そういう方であれば、別に発注先でなくても、さまざまな場所で御活躍をいただける方であろうというふうに逆に思いますよ。それで、そういう方であれば、それこそみずから起業をしてもいいだろうし、さまざまな形が考えられると思います。
したがって、税金を使って仕事をしている以上、国交省さんみずからが、再就職については自粛をしますよというふうにみずからおっしゃっていらっしゃることなので、きょう、こうして議論をさせていただいたということを、大臣、余り気を悪くしないでくださいね、私も一生懸命、よくなるようにしていこうという思いで言っていることですから、ぜひその辺は御理解をいただきたいと思います。
さて、次の話題に移らせていただきたいというふうに思います。
東九州自動車道の椎田南―宇佐区間についてでございますが、昨日の議論で、平成三年に国幹審で基本計画が決定され、平成十一年に都市計画決定、整備計画決定がされるまでの間、その原案のもとになるルート選定などの調査検討業務を行った、その調査検討業務を行ったのは九州地方整備局長の指示を受けた国道事務所である、恐らく北九州国道事務所であろうというふうに思いますが、そのルート選定などの調査検討業務はいつから始まったのでしょうか、また、その調査検討業務の予算は何年度に幾らついて、最終的にはどのくらいの費用がかかったのか、教えていただきたいと思います。
○平井副大臣 東九州自動車道椎田―宇佐間の調査検討については、整備計画が策定された平成十一年より前に行っていたと考えられますが、調査検討のための業務契約書については、文書管理規則に基づく保存期間五年を過ぎておりますので、現在存在しておりません。
また、業務の成果報告書につきましても、文書管理規則に基づく保存期間を三年過ぎており、現時点では存在しておりません。
○川内委員 幾らお金を使ったのかということについてはいかがでしょうか。
○平井副大臣 契約書がないので、その金額はわかりません。
○川内委員 契約書がないので幾らお金を使ったのかわからない、さらに、そのルート選定等の調査検討を行った成果物もないということでございますが、契約書も成果物もないということでは、現時点において、今整備をしようとしているルートが最適なルートなのだ、これ以上のルートはないのだということを私たちが検証をする資料は何もないということになりますが、それでよろしいのでしょうか。
○冬柴国務大臣 残念ながら、そういう書類の保存期間が切れますと、膨大なものでありまして、廃棄されるわけですけれども、しかしそれは、その都度都度、関係者が検討もされているわけです。
例えば都市計画決定というのは、これは福岡県と大分県とまたがっておりますから、それぞれ都市計画決定は両県においてとられているわけでございまして、その際にもそういうことは検討はされているわけでございます。
ちなみに、県が地元説明会は十四回、福岡県で九回、大分県で五回開催をいたしておりまして、国と地元市町村は県と一緒に参加をして、そして説明を行うなど、ルートに関しての地域の理解が得られるように努めて、そしてその上で、もちろん一部の反対の方はいられますから、後にそれは裁判にもなっておりますけれども、しかしながら、おおむねそれで、普通の場合としていいということで都市計画決定も行われているわけでございます。
したがいまして、現時点において、そういう川内議員がそのときの書類がないとできないじゃないかということはそのとおりですけれども、しかしながら、過去において手続の流れがあります。環境アセスメントもとられております。再三のいろいろな会議もやられているわけで、その時点では関係者はそういうことは全部知っているわけでございます。
○川内委員 いや、関係の方々は皆さんわかっていらっしゃるのでしょうが、しかし、その関係の方々も、今となっては、いや、こういうことだったんですよと説明する資料は何もない、現時点において何もないということは、私はこれは文書保存の問題なのかなというふうにも思いますが、やはり現時点において、そのルートが最適なルートなのだということを、国民の皆さんにこうなんですよということをしっかり説明する資料が残っていないというのは、ちょっと信じられない思いなんですよ、何もないというのは。
ルート選定の調査検討業務をした契約書ももうなければ、たった、平成十一年、まだ十年ぐらい前の話ですよね、十年もたっていない、九年前の話ですが、その契約書もなければ成果物もない。それで、いや、このルートが一番いいんだと口で幾ら説明されても、にわかに、はあ、そうですか、わかりましたわと言うわけにはなかなかいかぬわけで、もう一度大臣にこの場でお願いをしたいのですが、もしかしたら、そのルート選定の調査検討業務の成果物が国道事務所あるいは地方整備局あるいは本省の倉庫に眠っているかもしれないと思いますので、それはちょっともう一度お調べをいただきたいというふうに思いますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 ルート選定は、その都市計画決定で、起終点はもとより、幅員はどれだけで、それは現地のどこだということで決まらないと、道路は進みません。例えば、地権者がどなたなのか、そしてその人にはどうなるのかということもわかりません。したがいまして、手続はずっと流れているわけですね。その時点その時点で多くの利害関係の方に説明をしながらやっているわけでございまして、いろいろと川内議員からの質問通告その他で調べた結果を、今、こちらの副大臣が言っているわけでございます。
そして私も、公文書が、そのような短い時間、例えば工事が終わってから五年間とか、そういう決め方もあると思うんですね。契約締結後五年とか三年じゃなしに、そういうものはずっと工事が続く限り残して、そして、竣工後何年とか、そういう考え方もとり得るんだろう。しかし、何しろ膨大ですから、そういうものについて検討した結果が、契約締結後五年とか三年とかいうことの決まりだと思うわけです。
しかしながら、今、福田総理は、総理になられる前から、公文書館、これを充実させよう。日本の場合は、アメリカとか韓国に比べても物すごく貧弱だと。私も何かその副会長とか頼まれて、全く普通の議員のときに一生懸命やられましたね。そういうことで、総理になられてから、公文書をきちっとやろうということで、今、閣僚の中で担当者も決めまして検討しているところです。
したがいまして、今、川内委員が御指摘のように、もう少し公文書というものは後々見ることができるような体制を整える方がいいという結論になればそのようにすると思いますが、現時点では残念ながらないということでございます。
○川内委員 私たちは、過去さまざまに文書になっているもので議論をしていくしかほかに議論をするすべがないわけでございます。
椎田南―宇佐間、今テレビなどでも大変話題になっていますけれども、ミカン農家のおじさんが独学でさまざまな研究をされて、今現在計画されているルートよりも一・五キロ山側にずらせば物すごい安いコストで、低いコストで整備ができるのではないかと。
一般的に、道路建設に対する市民運動というと、反対反対と反対運動が多いわけですが、この人のはルート変更運動、反対運動ではなくてルート変更運動をこのミカン農家の岡本さんという方はされていらっしゃるわけであります。本当に細かくいろいろなことをお調べになられていて、独学ですけれども、さまざまな専門家の応援も得て、独自に、こういうルートでやれば物すごい安くできるんだというふうにおっしゃっていらっしゃるわけであります。
高速道路株式会社法の一条には、効率的に高速道路の整備を進めていく、効率的な整備をするということが出ております。すなわちコストはなるべく低くしようねということだというふうに思いますし、さらには国土交通省さん御自身も、ルートや工法や規格を見直すことによって大幅に工事コストが削減できるのだということをおっしゃっていらっしゃるわけです。
これらのことを勘案すると、私は、この椎田南―宇佐間について、この岡本さんの提案というものは一考に値するのではないかというふうに考えておりまして、岡本さんのルート変更運動、あるいは岡本さんの岡本ルートについて国土交通省として、一体どのくらい安くできるものかということは、ケーススタディーとして、椎田南―宇佐間を整備計画どおりに整備するということは国幹審で決められた国の方針でしょうから、それはそれとして方針としてある、しかし、ケーススタディーとして、地元をよく知っている、地元の野山をよく知っているおじさんが独学で一生懸命勉強して、こういうルートが安くできるんだということをある程度の知見を持っておっしゃっていらっしゃることに関して、では、どのくらい本当に安くなるものかどうか検討してみるというのも、今後の道路行政にとって非常に大事なことであるというふうに思いますが、大臣の御所見をいただけますか。
○冬柴国務大臣 この岡本さんは、国土交通大臣の許可、これについての行政訴訟を起こして、そして、そこで今おっしゃったようなことをずっと主張していらっしゃるんじゃないですか。それに対して国側としては、今から私が申し上げてもいいですけれども、素人だからとおっしゃいますけれども、積算にはさまざまな大きな問題点があります。これは訴訟でちゃんと答弁しているわけですから、裁判所で判断されるんじゃないでしょうか。
そして、これはもちろん岡本さんの御不満もあると思うんですけれども、この決まった道路は岡本農園を横断しちゃうんですね。岡本農園の真ん中を行くあれですから、大変御迷惑をかけるわけです。もちろん補償はするにしてもです。地権者として大変大きな問題があることは我々も十分承知していますし、岡本さんの本当の御協力がなければこれはできないわけです。
しかしながら、そういうことだけれども、もしルートを変えるということになりますと、都市計画決定されていますので、あるいは環境影響評価をやり直さなきゃいけないことになりますね。これはお認めいただけると思うんです。そうすると、手続時間とか費用が莫大なものがかかります。そして、供用が六年から八年程度はおくれるということ、これも事実だと思います。そうすると、早期供用を望んでいらっしゃる多くの方々、あるいは両県の行政の方々もそうですけれども、この方々の意思に沿うことにならないと思うんです。
したがいまして、ある人がその中で、地権者であるとはいえ、一人が反対すればすべて工事がとまってしまうということもこれは困ることでありまして、あちこちでいろいろありますよ、飛行場もあります。しかしながら、この問題については、長い時間をかけて、環境評価、あるいはそのように、先ほども説明会を十五回したことも申し上げましたけれども、利害関係者の意見を十分聞きながら、道路の区域というのはもう決定されているわけです。したがいまして、今からやることは、その土地の買収とかそういうことになるわけですけれども、そういう意味では、ぜひ協力をお願いしたいな、そういうのが私の率直な気持ちでございます。
○川内委員 私は、椎田南―宇佐間についてルートを変更せよとか変更すべきであるということは言っていませんよね。整備計画として国幹審で決定をされ、そしてまた大臣がもう事業認可を出していらっしゃるということは私も承知しています。それは国としての方針ですよねということを確認した上で、しかし、今後の道路行政に生かしていく上で、その地権者である岡本さんが一生懸命独学で勉強をされて、そしてさまざまな専門家の手助けも得てルートを考えていらっしゃる、そのルートが果たして本当にコストが低くできるのかどうかということは、もし高ければ、ほら、岡本さん、やはり高いよ、あなた、あきらめなさいということになるでしょうし、安ければ、ああ、あなたの言っていることは正しかったね、しかし、国としてはこういう方針でやるということを決定しているのだという、ただそれだけのことだと思うんですね。私は今後のことを言っているわけです、今後のことを。
地元の方々の意見を、説明会を十五回というふうにおっしゃられたけれども、それは、十五回というのは設計協議のことですか。事務方の方、後ろの方、設計協議のことですか。
○冬柴国務大臣 都市計画決定に関する説明会でございます。
○川内委員 地元の方々の意見も聞いたと。どういう地元の方が集まっているのかということにもかかわりますけれども、それはきょうはおいておいて、私が申し上げたいのは、国土交通省がやっていることは正しいのだ、間違っていないのだということは、その主張は主張としてわかりますけれども、しかし、他方で、今回、道路特定財源あるいは道路特別会計の支出に対して、国民の皆さんの中からさまざまな疑問が出ているわけですよね。果たして本当に効率的に、適正なコストで整備をされているのだろうかという疑問に対して、こうなんですよということを示していくためにも、あるいは今後の道路行政に生かしていくためにも、私は岡本ルートというのは一考に値するものではないかなというふうに思います。
それでは、ちょっと質問の見方を変えさせていただきますけれども、平成二十年の四月十一日、ついせんだっての政府・与党決定の中で、「新たな整備計画は、二十年度道路予算の執行にも厳格に反映する。二十年度予算における一般財源としての活用は、各党から現実的な提案があれば協議に応じる。」さらには、「道路関連公益法人や道路整備特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除する。」とか、「道路の中期計画は五年とし、最新の需要推計などを基礎に、新たな整備計画を策定する。」最新の需要推計などを基礎に、「など」がついていますから、最新の需要推計並びに最新の費用便益分析マニュアルということであろうと思いますが、これらでもう一度中期計画をつくり直すということが政府・与党決定として、方針として示されているわけです。
そうすると、この椎田南―宇佐間についても、最新の需要推計、最新の費用便益分析マニュアルでBバイC評価をもう一度やって、中期計画の中に盛り込まれていくという理解でよろしいでしょうか。
○平井副大臣 そのとおりでございます。
○川内委員 ありがとうございます。
では、そのBバイCの結果をまたいろいろ見せていただいて、教えていただいて、ことしの秋にもう一度この問題について議論をさせていただきたいと思います。
この費用便益分析マニュアル、最新の費用便益分析マニュアルを策定するために、既にコンサルに業務を発注されているようでございます。平成二十年版の費用便益分析マニュアル、三月二十一日に企画競争実施の公示がなされて、三月三十一日が提案書の提示期限ということでございます。
同じ時期に、道路事業評価システムについての企画競争も公示をされているようでございます。
この二つの企画競争についての公示、それぞれ何社企画競争に応募をしてきたのか、そしてそれぞれの社名も教えていただきたいと思います。
○平井副大臣 まず、道路事業評価システムに関する調査・検討業務に関しては、公募資料をとりに来た社は七社でございます。道路整備による効果の推計に関する調査研究に関しましては、公募資料をとりに来られた社は八社でございます。
それで、平成二十年度道路事業評価システムに関する調査・検討業務は、道路事業の評価システムの改善に向けた検討等を実施する業務であり、企画提案書の応募のあったのは日本総合研究所の一社でございます。
また、道路整備による効果の推計に関する調査研究は、費用便益分析に用いる時間価値原単位、走行経費原単位の改定の検討等を実施する業務であり、企画提案書の応募があったのは三菱総合研究所の一社でございます。
○川内委員 それぞれ、企画競争で公募をしたけれども、一社ずつの応募であった。
さらに、今お聞きしますと、時間価値原単位、私が予算委員会でさまざまに大臣と議論をさせていただいたものについては、平成十五年版の費用便益分析マニュアルを策定した三菱総研、同じ社であった。さらにもう一つ、道路事業評価システム、日本総合研究所、こちらも一社が応募した。
日本総合研究所には、国土交通省に在籍した方がいらっしゃいますね。
○平井副大臣 平成十八年四月現在で、国土交通省出身の役職員はいないと聞いております。
○川内委員 国土交通省に在籍をしたことのある方がいらっしゃいますねと聞いています。
○平井副大臣 国土交通省出身の役職員はいないと。在籍をした方がいらっしゃる、ちょっと意味が私はよくわかりませんが、どのように、詳しく御説明願いたい。
○川内委員 入省は建設省、その後経済企画庁に移られた方が一人いらっしゃるようです。
要するに、大臣、何を言わんとしているかというと、土木学会なんですよ、全体を仕切るのが。要するに、土木学会のさまざまな委員会のつながりの中で、国土交通省の道路局の方々も、土木学会のさまざまな委員会の委員長をされていたり、あるいは委員であられたりするわけでございます。その土木学会のつながりの中で、さまざまな、それこそ調査検討が行われ、そしてまたそれが仕事にもつながっていくという仕組みなのかなというふうに思いますけれども、そういう細かいところを大臣には目配りをしていただきたいなというふうに思います。
私は、大臣、誤解のないように言っておきますが、土木学会がいけないとか悪いとか言っているんじゃないですよ。土木学会は土木学会として、道路について一生懸命研究をしていらっしゃる、その研究をきわめていらっしゃる。それはそれで大変すばらしいこと。しかし、ある意味でいえばマニアですからね。要するに、道路は整備すればするほどよいのだという方たちなんですね。それはお金に糸目はつけないということにつながるわけで、しかし、これは税金を使うことですから、税金を使ってやっていることですから、だからこそ、コスト意識とかあるいは規律とかいうものが必要になってくる。
そういうものをどうしっかりと規制していくかということが……
○竹本委員長 時間が来ておりますので、御協力お願いします。
○川内委員 国土交通省改革の中で大変重要になると私は思います。
きょうは、まだ質問はたくさん残っているんですけれども、今後も私も道路についてあきらめずにやっていくということを申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思います。
――――◇―――――
○竹本委員長 次に、内閣提出、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案並びに地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、都市・地域整備局長増田優一君、警察庁長官官房審議官井上美昭君、警察庁長官官房審議官小野正博君、文化庁次長高塩至君及び農林水産省農村振興局企画部長飯高悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
さて、我が国では、城郭や武家屋敷、町家、神社仏閣などの歴史的建造物をよすがとしながら人々の生活が営まれ、その歴史の流れの中で、城下町、門前町、宿場町といった地域固有の市街地が形成をされてきております。このような地域の歴史を伝えるまちづくりは、そこに暮らす人々の誇りやアイデンティティーにつながるものであると同時に、有力な観光資源として地域の活力の源になるものでもあると認識をするところであります。
近年、地域の活性化が以前にも増して求められておりますが、ライフスタイルの変化などによりまして、このような地域資源となる貴重な歴史的な建造物が滅失をしている事例や、人口減少や高齢化によりまして、伝統的な行事、活動なども維持が困難となっている事例が多々見られるところであります。地域の歴史的、伝統的資源をいかに保存して生かして、活力ある地域づくりを進めていくか、これが大きな課題になっていると考えます。
このような状況を踏まえ、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案、いわゆる歴史まちづくり法案について、何点かお伺いをいたします。
まず、歴史的な地域資源を生かしたまちづくり、これは意欲のある地域では既に取り組まれているところでありますが、なぜ今歴史まちづくり法案が必要なのか。大臣、大変お疲れの状況だと思いますが、その背景、目的についてお伺いをいたします。
〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
○冬柴国務大臣 この法律案は、文化財行政とまちづくり行政の連携によりまして、次世代に継承すべき貴重な資産である歴史的風致の維持及び向上を図るためのまちづくりを推進する地域の取り組みを、国が積極的に支援することをその目的としているわけでございます。
我が国には本当に各地ですばらしい町があります。例えば、小里委員の選挙区だと思いますが、鹿児島県の出水市出水ふもとの伝統的建造物群の保存地区のように、伝統的な家屋等が数多く残されて、歴史的な町並みを形成しているところが多く存在しています。
しかしながら、全国的に見れば、近年、地域の歴史的風情、情緒、たたずまいといった良好な市街地の環境が、相続等を原因とし、またあるいは高齢で空き家になってしまうというようなことから、急速に失われつつある状況があります。中には、そのような一画が壊されてマンションが建つというような、全く似つかわしくないようなことも起こりつつあるわけでございます。
このような状況を踏まえまして、歴史上価値の高い建造物を核として、地域に固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動が行われることにより形成されている良好な市街地の環境を歴史的風致と定義をいたしまして、その維持及び向上を図ろうということでこのような法案を提出させていただいたものでありますし、また、論及されましたように、観光立国推進基本法というものが成立をいたしまして、国内外の方々にそのようなすばらしいものに触れていただく機会、そういうものも必要だというふうに考えているところでございます。
○小里委員 ありがとうございました。
今本当に御丁重に、我がふるさとの特に出水の武家屋敷を念頭に置いた御紹介をいただいたところであります。そのように、我が鹿児島県には、歴史的な価値の高い、国民共有の文化的資産としての建造物が残されている、そういった市町村が多く見受けられるわけであります。
本法案におきましては、重点区域の中核として、重要文化財建造物あるいは重要伝統的建造物群保存地区が挙げられております。例えば、鹿児島県内ではどのようなものが想定をされるか。文化庁にお伺いをいたします。
○高塩政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。
今、先生御指摘のように、歴史的風致の維持及び向上を図るための対象となります重点区域につきましては、国の重要文化財や重要伝統的建造物群、これらが対象となるわけでございまして、鹿児島県内には、例えば建造物の重要文化財といたしましては、霧島神宮や二階堂家住宅など十件が国の重要文化財に指定されております。また、重要伝統的建造物群保存地区につきましては、今、冬柴大臣からお話のございました出水市の出水ふもとのほか、薩摩川内市の入来ふもと、さらには知覧町の知覧、いずれも武家を中心とした町並みでございますけれども、この三地区が指定をされているところでございます。
これらの重要な建造物や伝統的な地区を中心に、計画というものが練れていくというふうに考えているところでございます。
○小里委員 ありがとうございました。
そのような、御紹介をいただきましたような地域におきまして、歴史的建造物を保存し、それに象徴される地域の歴史や伝統文化を生かした個性豊かなまちづくりを促進する、そして地域の歴史的風致を後世にしっかりと継承していくことが望まれるところであります。
例えば、重要伝統的建造物群保存地区を中心にして、本法案に基づいて具体的にどのような措置を講じることができるか。国土交通省にお伺いいたします。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
この法律案で定めております特例措置を活用するためには、市町村は歴史的風致維持向上計画を策定いたしまして主務大臣の認定を受ける必要があるわけですが、御指摘ありました重要伝統的建造物群保存地区を核としたエリアにつきましては、その周りの建造物と一体として重点区域に指定するというふうにさせていただいております。
その重点区域の区域内におきましては幾つかの特例を設けておりまして、二、三御紹介いたしますと、一つは、今御指摘ありました、いわゆる重要文化財と一体となって地域の歴史的風致を形成し、歴史的風致の維持向上のためにその保全を図る必要がある、そういった周りの町家等の建造物につきまして歴史的風致形成建造物という新しい制度を設けまして、これによりまして保全あるいは修復等の予算の支援をするという制度が一つございます。
それから、そういった地域を維持するためには、どうしてもやはり使っていただかなきゃいけないわけでございまして、そういった地区につきましては、これは地区計画の一種でございますが、歴史的風致維持向上地区計画という制度を新たに設けまして、この中におきまして、地域の伝統的な工芸品を販売するお土産店でありますとか、あるいは地域の郷土料理を提供する料理屋さん、これは、用途地域によってはぱっと行けないというような地域もあるものですから、そういったところでも、歴史的風致を維持するために必要であれば特例で認めようという地区計画も設けさせていただきました。さらに、電線共同溝の法律の特例をいたしまして、こういったところで無電柱化を促進する特例も設けたわけでございます。
こういった特例をこの重点区域につきましては支援してまいりたいということで考えております。
○小里委員 ありがとうございました。
地域の期待は非常に高いと思います。ぜひ実効あるものとなるように、具体的な推進を図っていただきたいと思います。
町家あるいは武家屋敷、そういった建造物群などにとどまらず、例えば、歴史的な農業用水路や水門等、周囲の施設と一体となって歴史的風致を形成している事例もたくさんあると思います。
農林水産省としても、このような歴史的風致を維持し、さらに生かしていくように積極的に取り組んでいくべきと考えますが、いかがでありましょうか。農林水産省にお伺いいたします。
○飯高政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、我が国では、農業用水路など農業用用排水施設の中には、歴史的価値が高く、現に周辺の市街地と一体となって地域において歴史的風致を形成し、その維持及び向上を図ることが必要と認められるものが各地で見られるところでございます。
農林水産省といたしましては、これまでも、農業用用排水施設の歴史的な価値に配慮しつつ、その機能の維持向上を図る事業を実施することによりまして、そのような施設の適切な修復、更新を支援してきたところでございます。
そこで、それら歴史的価値の高い農業用の水路などが本法案の歴史的風致維持向上計画に位置づけられますれば、農用地区域内でのそれら施設の増改築を行うような場合には、歴史的風致の維持向上が許可の要件となってまいりまして、例えば石積みの水路など価値の高い水路を増改築するときに、コンクリート張りといったことがなかなか難しくなっていくというようなことがございます。また、先ほど申しました農林水産省の関連の事業を活用いたしまして、修復、更新をこれからも支援してまいりたいと考えております。
そういった取り組みによりまして、積極的に地域における歴史的風致の維持向上、これらにつきまして全力を挙げてまいりたいと考えてございます。
○小里委員 ありがとうございました。
次に、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案についてお伺いいたします。
週末、地元に帰りまして地域を歩きますと、豊かな自然はもとよりでございますが、由緒ある関所跡や街道など、今まで知らなかった歴史スポットや個性ある商店街あるいは昔ながらの田園風景、誇りある伝統文化、そして豊かな農産物など、多くの地域資源があることに気づかされる思いであります。
このような地域の潜在力を生かして地域活性化を図っていくことが大事な課題であるということは言うまでもないと思います。そのためには、地域がその特性と潜在力をいかに認識し、その魅力を高め、発信をしていけるかが問われております。この努力が、地域の人々が誇りと自信を持てる国づくり、ふるさとづくりにつながっていくものと信ずるところであります。
この法案は、そのような地域の取り組みを支援し、内外からの観光客と地域の人々との交流の拡大、特に長期の滞在の促進を図ることで、地域活性化を目指すものであると認識をしております。そのような観点から、幾つかお伺いいたします。
まず、観光を通じた地域経済の活性化のためには、宿泊を中心とした滞在型観光の促進が重要であると言われます。客観的な数値としての観光旅行消費額の観点から、国内における宿泊旅行促進の重要性はどのようにあらわれているのか、国土交通省にお伺いいたします。
〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究というものを行っておりますが、これによりますと、平成十八年度の国内の旅行消費額は約二十三・五兆円になっております。そのうちの約三分の二の六六・六%が宿泊旅行に伴うものということでございまして、日帰り旅行による消費額は四・七兆円、割合にして二〇・一%でございますので、宿泊旅行が大きな経済的効果を持っているということがわかるのではないかと思っている次第でございます。
○小里委員 宿泊旅行の促進が経済効果の観点から重要である、そういう数字の紹介でございました。
そこで、この法案におきましては、滞在型観光を促進するために、地域におけるどのような取り組みを支援しようというのか、具体的事例も含めて国土交通省にお伺いいたします。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、宿泊を伴う観光旅行の促進が経済効果が大きいということでございますので、魅力のある観光地づくりという観点からは、宿泊そのものの魅力に加えまして、例えば二泊三日以上の滞在もできるような観光メニュー、こういうものを充実していくことが大変重要だと思っているところでございます。
一例を申し上げますが、例えば、お地元じゃなくて恐縮でございますけれども、長野県の飯田市の事例を申し上げますが、こちらでは、地元の農家と連携いたしまして、地域の自然でありますとかライフスタイルを生かした体験型の観光メニューを充実させておりまして、こういうものによりまして、平成十六年度には約六千六百人であった農家民泊への宿泊者数が十九年には約三割増の八千五百人になる、こんな成果を上げているところがございます。
こうしたものも踏まえまして、今回の法案では、地域固有の観光資源を生かした体験、学習、交流メニューの充実を中心としながら、観光地におきます宿泊の魅力向上、観光についての情報提供の充実、交通の利便性の向上など、地域におきます創意工夫を生かした観光圏整備に向けた取り組みについて支援をすることとしております。また、関係者一体となった広域的な取り組みが重要でありますので、協議会などが中心となった取り組みについても、これを促進するようにしているところでございます。
こうしたものを盛り込みました今般の法案によりまして、今申し上げたような観光地づくりに取り組む地域をしっかり支援し、宿泊を含む滞在型観光の促進を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
○小里委員 ありがとうございました。具体的事例を交えて御紹介をいただいたわけであります。
そこで、制度としてどのような支援制度を創設しようということか。すなわち、予算補助とか税制優遇措置等、この法案そのものには規定されていない支援制度もあると思います。具体的メニューとしてどういうものがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。国土交通省、お願いします。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
この法律案では、観光圏の整備に取り組む地域に対しまして、さまざまな支援制度を用意しているところでございます。
例えば、ホテル、旅館によります宿泊客への旅行商品の販売を可能といたします旅行業法の規制緩和などを法律案において規定いたしますとともに、観光圏整備計画に記載された事業について、農林水産省が所管いたします農山漁村活性化の制度による支援、こういうものも受けることができるように規定しております。
また、予算措置でございますが、観光圏整備事業費補助によりまして、体験型プログラムなどの魅力ある観光商品の開発、ガイドなどの人材育成、情報提供の充実、こういったソフト事業の支援もさせていただくことになっております。
このほかに、御案内のとおり、宿泊施設関係は金融的に大変厳しい状況にございますので、中小企業金融公庫による低利での融資もこの法律によって実現することとしております。
その他、税制面での支援措置も予定しているところでございまして、法制度以外の支援措置も各種含めまして、観光地づくりに取り組む地域のニーズを踏まえながら、総合的な支援をしてまいりたいと思っております。
○小里委員 ありがとうございました。
そこで、農林水産省にお伺いしたいと思います。
農山漁村部の衰退によりまして、耕作放棄地の増大や森林の荒廃のみならず、農山漁村の景観やかけがえのない伝統文化も廃れてまいります。高齢者や小規模農家も含めて地域総参加で地域活性化を図る、そのための農村政策を展開すると同時に、農山漁村の持ち味を生かして都市と農山漁村の共生、対流を図ることがまた大事な課題であると認識をいたします。
本法案は、国土交通省と農林水産省が連携をして、観光地の魅力を高めつつ、国内外からの観光客の来訪や滞在を促進するに当たりまして、農山漁村の地域資源を活用していこう、そういうねらいがあると認識をいたします。また、評価をするところであります。
そこで、本法案によりまして、都市と農山漁村の共生、対流の推進を図る観点からどのような効果が期待されるか、農林水産省の視点からお聞かせをいただきたいと思います。
○飯高政府参考人 お答えいたします。
この法案に基づきまして観光圏整備の取り組みを行うことは、観光地の魅力向上のみならず、農山漁村の活性化にとっても大変意義のあることだというふうに私どもも認識しております。
観光圏の中に農山漁村での体験交流が位置づけられまして、農山漁村活性化のための施設整備の支援のほかに、情報発信ですとか交通アクセス改善の取り組みなどが支援の対象となりますことで、来訪者の人口の拡大などによる活性化などが期待されるところでございます。
例えば、鹿児島県の例を出しますと、観光関係業者、交通関係業者、農林水産業者などが連携をいたしまして観光ルートをつくり、行うことによりまして、従来、幕末維新関係の史跡ですとか桜島を訪れていた観光客、そういった方々が周辺の農山漁村にも訪れて、農林漁家民宿に宿泊したり、あるいは農家レストランでの食事、棚田の景観、あるいは農作業などの体験、こういったことを楽しんでいただくようなことも期待できるのではないかと考えてございます。
こうした各地での取り組みによりまして、都市と農山漁村の共生、対流の一層の促進が図られるものと私どもは考えてございます。
○小里委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
本当に成果のある観光地づくり、そのための支援を行うには、単に地域にお任せをするということではなくて、国が幅広く助言をし、地域と一緒になって、一体となって汗をかく、そういう姿勢が観光行政に求められていると思います。
そういった視点において、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、地元にすべてを任せきりにするということではなくて、国もある意味では腰を入れてしっかり支援をしていく姿勢、こういうものが大事だと思っております。
とは申しましても、これは地域の自主性も大事なところでありますから、その兼ね合いをとりながらということになりますので、基本的にはコンサルティングの機能を強化していくことが重要と考えまして、従来からいろいろな形で相談には応じてきておりますけれども、より制度的にやろうということで、実はこの四月一日から、国土交通省観光部門内、それから運輸局に観光地域づくりの相談窓口というものを設けまして、事例の紹介をさせていただくとか、それから、各種の政策メニュー、これは国土交通省のみならず関係省庁のものも含めまして、観光関連のメニューの紹介をするとか、場合によっては調整のお手伝いを関係省庁分もさせていただく、こんな取り組みを始めているところでございます。
○小里委員 ありがとうございました。
最後になります。観光立国の実現のためには、この法案による観光圏整備だけではなく、人材育成や休暇の取得促進など、観光立国推進基本法に基づくさまざまな施策を着実に実施すべきであると考えます。
関係省庁や官民の総力を挙げての観光立国の実現に向けての、国土交通省の見解をお伺いいたします。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、豊かな観光地づくり、あるいは観光立国の実現ということを進めていくためには、いろいろな意味での環境整備が必要だと思っております。この中核をなすものの一つが人材育成かと思っておりまして、さまざまな形での人材育成策に努めているところでございます。
人づくりという観点では、例えば高等教育が重要であるということで、これは大学で数が大変ふえてきておりますし、また専門学校も充実している、こういう現実がございますが、なお、教育カリキュラムの内容等に不足の面もございますので、産学官で連携をいたしまして、カリキュラムの充実、あるいは進路の確保、こういった問題について取り組んでいるところでございます。
休暇の取得につきましても、厚生労働省を初めとする関係省庁と連携をいたしまして、休暇をとって旅行に行きやすい環境づくりの形成に努めているところでございます。
○小里委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○竹本委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
本日は、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案、さらに、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案という二つの法律案を審議するということで、質問させていただきます。
まず最初に、観光圏の整備の問題でございますけれども、これは先日も、この委員会そして本会議を通じまして、観光庁の設置についての国土交通省の設置法改正案、これは衆議院を通過いたしました。全会一致でありました。ああ、全会一致じゃありませんね、原案は共産党が反対していました。済みません。
それで、観光というのはまさにこれからの二十一世紀の日本産業を支えていく大きな役割を担っていく、そういうお話をしてまいりました。その一貫として、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのが今国土交通省を中心に展開をされている。特に、訪日の外国人旅行者の数というのは、平成十九年は八百三十五万人、これは順調に伸びておりまして、数年前はまだ五百万人前後だったのが、着実に一千万人を目指して伸展をしている。
そういうところで、訪日の外国人旅行者というのは、我が国においては主にどのような地域を訪問、宿泊しているのか。やはりどうしても、空港が、成田、関空、さらには中部国際、こういった拠点空港が大都市にございますので、そういった部分では首都圏等の大都市に集中しているのが現状ではないかと思うんですが、その点についてまず最初に伺いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
外国人が訪れている先の把握の仕方についてはさまざまな統計がございますが、宿泊統計が一番正確かと思いますので、これをベースに申し上げたいと思います。
平成十九年の数字で申し上げますと、これは全体を申し上げると煩瑣になりますのでベストファイブを申し上げますが、一番が東京都、二番が大阪府、三番が北海道、四番が千葉県、五番が愛知県、こういう状況になっておりまして、委員御質問の趣旨に沿いまして、これを三大都市圏とそれ以外という区分で整理してみますと、七が三大都市圏で、三がそれ以外の地域、こういうふうになります。
数字だけを申し上げますと三大都市圏に大変集中しているような印象になろうかと思いますが、他方、別の見方をいたしますと、外国人旅行者は三大都市圏以外でも大きなインパクトを持ちつつある、私どもこういう分析をしております。
全体の宿泊者数に占める外国人の割合が大きいところほど大きなインパクトを持っている、こういう見方で申し上げますと、例えば一番多い東京は、全宿泊者数の二一%が外国人でございます。これに続く大阪は一六%になっております。
こういう数字をベースにいたしまして、三大都市圏以外のところの数字をちょっと申し上げたいと思いますが、七%から一〇%というかなり高い割合を外国人が占めている地域は、長崎、熊本、大分、福岡、山梨、こういったところと北海道が七%から一〇%ということで、かなりの割合を外国人が占める、それだけ大きなインパクトを持つ地域になってきている、こんな分析をさせていただいております。
○高木(陽)委員 今外国人の訪日は三大都市圏が七〇%、そしてその他が三〇%。旅行者、いわゆる宿泊者等々の外国人の占める割合が多いところはかなりインパクトが強くなってくる、こういう御指摘でございましたけれども、そういうことを考えますと、例えば七%から一〇%の長崎、熊本、九州ですね、こういったところは、例えば韓国がかなり近い、また来やすい状況になっていると思います。
そういうような地理的な観点、地政学的な観点からいってふえていくという、これはこれで当然なんですけれども、やはり地域経済の起爆剤になる、地域経済の活性化という観点からは、首都圏にまず来るわけですね。集中する訪日外国人旅行者を、今度はここで終わるんじゃなくて地方に誘導していく、こういう取り組みが必要じゃないかと思うんですね。ビジット・ジャパン・キャンペーン、先ほど申し上げました、国交省が中心となってやっていて、首都圏または三大都市圏で終わらせるんじゃなくて、それをその次のステップに持っていく、こういうようなことをするという認識、また取り組み、ここの点について伺いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から、九州には韓国の方が多いのではないかという御質問がございましたが、まさにそのとおりでございまして、実は、韓国の方が九州にたくさんおいでになる前は台湾の方も多くいらっしゃっていまして、その台湾の方々は今北海道に大変大勢行っております。実は、このことは、一度日本に来られた方々は、日本にほかにいいところがあれば、これを求めて行かれるという姿を示しているものと思います。
そういう意味で、リピーターをいかにふやして、この方々に入り口になる東京、大阪からそれ以外の地に行っていただくかが重要ということでございまして、この点は委員御指摘のとおりでございます。リピーターをふやすためには、マーケットのニーズに応じまして、ニーズにふさわしい地域の魅力を発掘してプロモーションを展開していく、こういうことが必要だと思っております。
こうした観点から、国土交通省では、地方の努力を促すという意味も含めまして、自治体などの地方の関係者と連携いたしまして、マーケティングを十分行いました上で、地方の観光魅力を活用したプロモーションに取り組んでおります。
例えば台湾向けに、実は現在、立山黒部アルペンルートというのは大変人気が出てきておりまして、手ごたえがあるということで、これをターゲットにして、自治体それから国が一緒になったいろいろな新しいキャンペーンを行っているところでございます。
こういった形で、現在御審議いただいております観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案に基づく、要するに魅力ある観光地づくりというベースと、それから、これと組み合わせたビジット・ジャパン・キャンペーンによる海外へのプロモーション、この連携によりまして地方への訪日外国人の一層の増大を図りたいと考えております。
○高木(陽)委員 今リピーターが重要だというお話がありました。これはまさに、海外から来られる方だけじゃなくて、日本の旅行者もそうなわけですね。
これも前回のときにちょっとお話し申し上げました湯布院の例で、観光カリスマがいて、ここはやはりリピーターが多いわけですね。いろいろな雑誌だとかそういうような広告宣伝というよりも、結局、リピーターが今の湯布院という町をつくり上げてきたという指摘もあると思います。そういった部分では、行ったはいいけれども、また次来よう、あそこはよかったよということをちゃんと言ってもらわなきゃいけないわけですね。
そのためには、ではどういう努力が必要なのかということでこの観光圏整備法案というものがいろいろと考えられていると思うんですが、今回の観光圏の整備法案というのは、地域における観光圏の整備を支援するということなんですけれども、日本人の観光客のみならず、首都圏などに集中する、先ほどから指摘している訪日外国人旅行者を地方に誘導する視点、こういうのは反映されているのか。例えば、観光圏の整備事業として、訪日外国人旅行者に向けた受け入れ、そういう環境整備なども支援されることになるのかどうか、この点も踏まえてお答え願いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のように、観光地として本当に魅力あるためには、外国人のみならず日本人からも選ばれることが重要だというふうに御指摘いただきましたが、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案、これは基本的に国際競争力のある観光地づくりを目指すということで、内外のお客様から選ばれるような観光地づくりをすることによりまして、日本人、外国人ともに来ていただけるような地域づくりを目指したいということでありますので、理念としてはまず対応をしていると思います。
その中で、御指摘のように、外国人の受け入れにつきましては、特に受け入れ対策の充実が重要だ、このように理解をしております。現実にその重要性を理解して、大変うまくいっている地域もございます。
一例を申し上げますと、北海道の富良野、美瑛の地区でございますが、こちらでは、通年型の体験観光の充実に加えまして、外国人の一人歩きを支援いたします広域観光案内所をつくりまして、積極的に外国人に呼びかけをしております。また、アクセスや回遊性を高めるためのバスの運行でございますとか、関係六市町の広域観光推進協議会の設立によりまして、ブランドイメージの確立とプロモーションの強化などの取り組みをしております。
まさにこうした取り組みをする地域を支援することによりまして内外のお客様の増加を図りたいというのがこの法律の目的でございまして、そのために外国語による案内表示の整備などの受け入れ環境の整備につきましてさまざまな支援措置を講じてまいる、そのような仕組みになっているところでございます。
○高木(陽)委員 今富良野の例を挙げていただきましたけれども、どうしてもこういった観光地、観光ゾーン、圏を整備していこうとなると、ハードの面ばかりどうしても強調される。また、自治体の方も、ハードの方がわかりやすい、お金を使いやすい、お金を引っ張ってきやすい、こういうような発想が往々にしてあると思うんですよね。
ただ、やはり大切なのは、先ほどから申し上げている、ああ来てよかったなと。これは、外国人の方がよかったなと思うというのは、日本人がよかったなと思わなければ思わないと思うんですよね。そういった点、やはりソフトの面も含めて、きめ細かいバックアップ体制が必要なんじゃないかなと思うんです。
そういう中で、訪日の外国人の旅行者数を確実に増加させながら、地域経済の活性化も考える。ただ単にこのビジット・ジャパン・キャンペーンを実施するだけじゃなくて、受け皿としての地域における取り組みを強力に支援すべきだと思うんですね。今までの何か、まあこれは一応メニューありますよみたいな、そういう形じゃなくて、かなり集中的にやらなきゃいけないんじゃないか。
そういう点からいくと、今回の法案というのは、受け皿づくりを支援する点では一定の評価はできますけれども、観光地域づくりという点、これは本当の成果が出せるのか、この法案の実効性、これについてどのように考えているのか伺いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
この法律案には、大きく四つの特徴があると考えております。第一は、農林水産省との共管によりまして農山漁村活性化制度による支援ができることでございます。第二は、国土交通省としての総合力を生かしまして、ソフト、ハードの連携による支援を行うことでございます。第三は、事業の成果が出ますように、事業者が観光庁長官に政策の改善を提案できることでございます。第四は、ホテル、旅館による宿泊者への旅行商品の販売を可能にするなど、民間セクターの活力再生のための規制緩和を導入したことでございます。
特に、今般の法制度では、この観光圏整備に取り組む事業者が観光施策の改善につきまして観光庁長官に対して提案できるという制度を規定しております。このような制度を通じまして、個々の要請に応じてきめ細かな対応が機敏にできるようになりますとともに、より円滑な観光圏整備に取り組めるように、関係省庁との調整が円滑に進められることができる、このように考えている次第でございます。
また、既に行っていることでございますが、先ほども少し申し上げましたけれども、具体的なサポートという意味で、気軽に観光地域づくりのコンサルタントができる場が必要ということで、この四月一日から、私どもの観光部門と地方運輸局に観光地域づくりに関する相談窓口も設けさせていただいたところでございまして、民間のコンサルタント並みとはなかなかまいらないかもしれませんが、できるだけレベルの高い、また幅の広いサービスができればと考えている次第でございます。
こうした観光地づくりへの支援が具体的に成果が出ますように、関係省庁ともよく調整をいたしまして、しっかり取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
○高木(陽)委員 どうしてもお役所が考えると、縦割りという考え方の中、今度観光庁ができまして、ある意味では省庁横断的にさまざまな観光施策を融合させていく、それはそれでしっかりやってもらいたいんですが、例えば旅行に行く人の立場から見ると、これは外国人だろうが日本人だろうが、余り県だとかこだわっていないんですよね。別に何々県に行こうなんて思っていないわけです。
一つの例で、関東近県で言うと、箱根というのは神奈川県にあるわけですね。それで、その近くでまた有名なのは例えば熱海、これは静岡県になるわけですね。もうちょっと足を伸ばすと今度は伊豆まで行く。こういうことを考えた場合に、県というのは全く関係ないわけですよね。
ところが、どうしても行政がいろいろとそういうテーマを出していく、そうなると、せっかく観光圏というゾーンをとらえていこうというときに、やはりそこら辺の自治体との兼ね合い、そしてまたそれぞれの観光地自体の兼ね合いということで、ここら辺のところはもっとフレキシブルにやっていっていただきたいな、これは要望しておきたいと思います。
さて、時間も限られておりますので、もう一つの法案の方の、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案です。
近年、地域のさまざまな風情、情緒、たたずまい、市街地の環境、そういう歴史的風致が失われつつあるとずっと指摘されているわけですね。文化財もなかなか、いろいろな法律で守られてはきたんですけれども、そういったものに対して、その失われつつある状況、その原因等々、これをどのようにまず考えているか、そこから伺いたいと思います。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
歴史的風致は、その核となる重要文化財等の歴史上非常に価値の高い建造物と、それからその周辺で一体となってその市街地を形成している古くから立ち並ぶ町家の存在、さらには、そこで地域の歴史、伝統を反映した人々の営みが行われている、そういったことで醸し出される風情なわけでございます。
こういった歴史的風致を形成する要素のうち、核となる重要文化財等は、文化財保護法等によりまして、現状変更規制でありますとか、一定の税制上等の支援措置があるわけでございますが、周りの町家等と一体として歴史的風致を形成している建造物等につきましてはそういった制度がない。
それから、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、そういったところでは、やはり相続の段階でありますとかあるいは高齢化等で人口が流出するということで、そういった貴重な町家そのものの維持が非常に難しくなっている。
さらに申し上げますと、そこでの人が減るということで、地域の伝統産業の担い手でありますとかあるいは伝統文化、お祭りの担い手、そういったものがコミュニティーの崩壊等によって損なわれているということで、急速にそういった歴史的風致が失われている。
さらに申し上げますと、これまでの法律、例えば古都保存法でありますとかあるいは景観法、都市計画法は、現状をある意味では凍結的に保全するという仕組みでできているんですが、一たん壊れたものを回復、復元するという仕掛けを持っていません。
そういったことでどんどん失われているというふうに理解しているところでございます。
○高木(陽)委員 時間が限られているので、ちょっと短目にお願いします。
今回、歴史的風致のことで、基本方針をまず国の方がつくる、それで市町村が計画をする、国が認定する。この認定をして何がプラスになるのか、ここのところをちょっとまず伺いたいと思います。
○増田政府参考人 御答弁申し上げます。
さまざまな取り組みをもう既に今、市町村は歴史的風致を維持、再生するということで取り組んでおります。
今回、この法律で認定制度を設けましたのは、そういった国家的見地から見ても貴重な歴史的風致を国が積極的に支援しようということで法案を出させていただいているわけでございまして、法律上は、重点区域につきましての歴史的風致形成建造物の制度でございますとか、先ほどありましたような農業用用排水施設の特例でありますとか、あるいは都市公園法の特例でありますとか、あるいは電線共同溝の特例等、さまざまな法律の特例を支援措置として設けているわけでございます。これは法令上の措置でございます。
あわせまして、今年度予算におきまして、新しい支援制度といたしまして歴史的環境形成総合支援事業という制度も設けたところでございます。
あわせて、既存の都市公園事業でありますとか、あるいはまちづくり交付金事業につきましても拡充をいたしまして重点的な支援をするということで、全体を仕組ませていただいているところでございます。
○高木(陽)委員 あと、文化財の周辺に残された町家などの歴史的な建造物が失われているということが課題となっているんですけれども、今回の法律案で歴史的風致形成建造物制度の概要をちょっと伺いたいのと、その効果、これはどういうふうになっているのか、お願いします。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法律案の中で、歴史的風致形成建造物制度というものを新たにつくらせていただきました。市町村は、そういった地域の歴史的風致を形成している建造物を、一定の手続を踏みまして歴史的風致形成建造物として指定することが可能となります。そうなりますと、当該建造物の所有者等におきましては、一定の管理義務を課すということになります。
一番問題は、これまでは非常に立派な町家がいつの間にか壊れてしまっているということがあるものですから、そういった指定をされた建造物につきましては、増築等の一定の行為を行おうとする場合には事前に市町村長に届け出をしていただく、市町村長はその際、保全のために必要であれば設計の変更等必要な措置を勧告ができるということにさせていただきました。
ただ、規制だけですとなかなかこの指定に手を挙げていただく人がいないものですから、先ほど申し上げましたように、あわせまして新しい予算として歴史的環境形成総合支援事業を創設いたしまして、そういった歴史的風致形成建造物の復原、修理、場合によっては買い取り、あるいは移築等につきまして、公共団体が行う行為につきまして支援する制度を設けさせていただいたということでございます。
○高木(陽)委員 今回の法律で、歴史的風致の維持及び向上ということで文科省と国交省が共同で取り組む。役所の壁を越えて一緒にやっていくということはすばらしいことだと思うんですけれども、まちづくり行政と文化財行政の連携ということで、その内容について簡単にお願いします。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、国のレベルでございますが、やはり地域の歴史的風致のうち、国家的見地から保全、活用すべきという非常に貴重な歴史的、文化的遺産についてどのように考えるかということにつきまして、まず、文部科学大臣、文化庁と、私どものまちづくり部局、それから農林水産省の農山漁村地域における歴史的風致ということにつきまして、まず基本方針を作成するということにしておりまして、その際、一定の基本的認識を共有するということで連携した取り組みをしたいというふうに考えております。
その上で、市町村は、国が定めます歴史的風致維持向上基本方針に基づきまして歴史的風致維持向上計画を策定することになるわけでございますが、市町村のレベルにおきましても、文化財行政とまちづくり行政を一体として取り組むように私どもとしても取り組んでいくというふうな形で運営をしてまいりたいと考えております。
具体的には、先ほど言いましたコアになる文化財につきましては、文化庁の行政としてその規制でありますとかあるいは支援措置をやっていただく。周りの建造物につきましては、私どもが例えばまちづくり交付金等によって支援する。さらには、全体としての歴史まちづくりを推進するために必要な施設につきましても、これはまちづくり行政の中でしっかり支援するということで、連携した上で推進してまいりたいということでございます。
○高木(陽)委員 大臣、済みません、通告していないんですけれども、これはお願いということでちょっと聞いていただきたいなと思うことがあります。
今回の歴史まちづくり法案という形、また観光圏の問題、結構いいことをやるわけですね。いつも問題だなと思うのは、そういういいものをつくっても、結局やるのは現場ですよね、それを生かすも殺すも。前に景観法という法律をこの委員会で審議したときもありましたけれども、せっかくいろいろなテーマを設けて、いろいろとメニューを用意して、やるんですけれども、なかなか現場の自治体だとか、または当事者の人たちがそれだけのノウハウを持っていないという現実も結構あるんですね。何とかしたいなとは思っていても何をどうしたらいいんだろうと。本当にそんな自治体でいいのかと思うんです。
再開発なんというテーマをやると、大分最近は知恵を出し始めているんですけれども、一昔前は、どこもかしこも駅前の再開発というのはビルを建ててそれで終わりという、横並び、右へ倣え、こういうパターンだった。ここはやはり、かなり自治体の、自治体だけじゃありませんね、観光地の問題だったら観光業者の方々がいっぱいいますから、そういう人たちにどう材料を与えていくか。
これは、まさに国交省というのは出先を持っておる、整備局も運輸局も持っている、今度は観光庁という形もつくる。そういったのと、それぞれの現場、今も一生懸命やっているんですけれども、ルーチンに追われて、せっかくいい知恵があったときになかなか伝わらないという現状が多々あるだろうなと。結構、私も現場で、まちづくり交付金の使い勝手はいいんですけれどもどう使っていいのかわからないみたいな自治体というのを目の当たりにしまして、そういうのを、やはり大臣の指導のもとで、今度この法律が成立していよいよ実施をしていくときに現場へ伝えていく。
国の役所というのは、今回の後期高齢者医療制度もそうなんですけれども、制度がこう変わりました、一生懸命説明しました、自治体も通知はしました、でも当事者はわかりづらいという問題も今指摘されておりまして、こういう点は大臣のリーダーシップで徹底の仕方を御検討いただきたいなと思うんですが、最後に一言。
○冬柴国務大臣 まさに大事なところだと思うんですね。そして、日本のお役所は頭のいい人ばかりですけれども、その人がつくったものは九割まで読んでもわからないというのが多いんですね。
ですから、その点、一つ自慢できるのは、公明新聞は字が大きくてルビが振ってあるんですね。そして、お年寄りの方が読んでもわかるように、難しい、高齢者医療制度なんかでも、厚生労働省がつくったものよりは公明新聞を読んだ方がわかりやすいというのは、それで随分公明新聞は売れたんですね、私からも。
そういうことで、今、審議官、いろいろとやっていただきまして、これは成功しているなと思うのは、やはり観光百選のようなものをつくりまして、そしてそこで頑張っているカリスマの、観光カリスマというようなものをつくって、その人がどうしてこの地域を売り出したかという体験談を含めた、その地域のことをやっているんですよ。それから、外国人がたくさん来た地域についても、代表的なところをそういうふうにしまして、その苦労話等がその中にあります。
ですから、こういうことも一つの方法だろうし、今御指摘いただいたようなことは一番、制度をつくって大事な、命を吹き込む作業だと思いますので、頑張らせていただきます。
○高木(陽)委員 せっかくいい法律だと思いますので、今の大臣のお言葉のように、それを生かしていっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○竹本委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。
本日は、二本法律が出ておりますので、この点に関しまして質疑をさせていただきます。
まず一本は、宿泊施設を中心とした内外の観光旅客を引きつける滞在力の強い魅力的な観光地の形成のためということで、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案と、先ほどから、ずっと朝から出ておりますけれども、やはり急激な社会変化、また歴史的風致が失われる、町家などが失われるということから出てきた、文化財保護行政とまちづくり行政の連携のもとに起こる、市街地の形成をトータルにとらえたまちづくりを進めるための新たな法案としての、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律案、この二本であります。
大変、どちらもそうですし、今、観光政策の関係でずっといろいろ質疑をしておりますと、どれもこれもある意味リンクをしてまいりますので、本日質問する中においても、両方の法律に係る内容のこともありますし、片側に係る内容のこともあります。この二本を一つとして一緒に質疑するということに関しては、ある意味、意義深いものがあるのかなという感じはしております。
いろいろ出ておりますけれども、今、各地で町家とか町の風景そして町並みというものが崩れつつある。その要因というのは、やはり高齢化であったり、社会変化であったり、また人口減少社会という、そういった中においての変化によるものと思っておりますし、また、相続の問題であったり、いろいろな要因が考えられます。
しかし、その町並みという歴史を重ねてつくられてきた私たち日本人の、日本の文化や生活というものが、自然との共生があったりして非常に豊かなものであるのも事実だと思います。であるからこそ、本日この歴史的風致の維持及び向上に関する法律案が出てきたとも認識をしております。
では、実際にその保存というものに関して言うならば、今まで文化庁が建造物、文化施設というものを点で守ってきた、それが今度は国土交通省として、伝建等も今までもありますけれども、面として、エリアとして、地域として保全をしていく、また振興させていくという意味においては、非常に大きな発想の転換というもの、またこの中に大きな将来的な可能性というものを私は見出すに至ります。
しかし、それでは、町並み、私の住んでいます川越も古い町並みで有名ではありますけれども、町並みを維持するというのはやはり個人に頼る部分もあります。また、新しくここに観光客がふえると、そこにはまた新たに資本が入ってきてそれらしきものをつくってしまう、また行政の方が、交通量がふえたりすると、新しくもう少しきれいな舗装がいいといってカラー舗装にしてしまうということもあり、とてもとても江戸時代とは違うようなものもでき上がる。
全体にきれいにはなるんだけれども、あれっと思うような、生活臭がなくなっていくというふうに、私は非常に寂しさも覚えますし、これで百年後とかそういった時代になったときに、どれだけこのいい法律が通ることで、保存ができ、そして何度も何度も訪ねたくなるような、心のふるさととなる方もいらっしゃるでしょう、そういった地域づくりができるのかなということを心配もしております。
その中で、保存するに際しての技術の問題であります。
卵が先か鶏が先かというのがありますけれども、文化財としてしっかり守られたりする、また町並みを保存するにも、今、古い町並み、木造建築物、これに関しては、場合によっては消防法との兼ね合い、また昨今であれば耐震化の問題、こういったことがありますと、なかなか昔のままをつくるというのは難しくもなっている。
しかし、先般、山口県に私が行ってきたとき、錦帯橋を見ました。地元の方がいわく、これは明治時代から大型公共事業ということで五十年に一遍のかけかえがあると。これは経済的なものだとは思うんですが、今三回目なので百五十年、百五十三年ぐらい前から始まったことではあると思うんです。これをかけかえる前は、錦帯橋の太鼓橋の連なったような状態というのは二百七十年もったんだ、当時の職人の技術というものはやはりすばらしいものがあるということを大変誇らしげに地元の方がおっしゃっていた言葉が私としては非常に印象的でもありました。
振り返ってみれば、私の地元の蔵の町並みですけれども、ここにおいても、しっくい、つまり左官の方の非常にすばらしい技術があり、店蔵が防火の機能をした。しかし、実際に今はそういったものをつくる技術というのは伝承されていないということもあります。
そこでお伺いしますけれども、歴史的建造物の維持、保存のためには、職人の技術の継承とその活用の場というものが大変重要になってくると思います。そのための取り組みということ、また本法がその活用の場をふやすことになるのではないかと期待もしております。それは、できるだけもとのままで残せるような、そういったマーケットができていく、市場ができていくという起爆剤にこの法律がなればと思います。
今、職人の皆さん、特に建築業の方、なかなか昔ながらの工法等を学んでも使う場所がない、だからこそ非常に苦しい場になります。この点に関しましても、地域の経済においてこの法律が果たすべき意義は非常に重いと思っておりますので、この点に関しましてお聞かせください。
○冬柴国務大臣 私もそういうところは非常に関心の高い人間でございまして、奈良へ行きますと、まずは薬師寺、法隆寺で、金堂の建てかえのところへちょうど行き合わせまして、二度とそんなところへ上がれないようなところ、まだ屋蓋があって、そこで木組みとそれからかわらをふいているところを見せていただきましたけれども、すごい技術ですね。本当にこういうものが、法隆寺は六百五十年代ですから、今から千三百五十年ほど前によく日本人はああいうものをつくったんだな、本当にそういうものが今に残っているということは誇りです。ですから、こういうものもやはり有限ですからメンテナンスが必要になるわけで、そういうところにはそういう人たちがやはりいるんですね。それから、お伊勢さんの、二十年に一回遷宮をしますから、全部建てかえるんですね、そういう技術も残る。
そういうところは残るんですが、では、一般的に、川越もすごいところですよ、私も関心がありますけれども。そういうものに備えて、例えば財団法人住宅産業研修財団というところが、国土交通省からも補助を出しているんですけれども、講義と実習によって大工技能者を育成しているんですね。今、六期生まで卒業して、四百七十九名の方が卒業しておられます。東京、大阪、名古屋、福岡の四カ所で、研修期間は三年ということです。
こういうこともやっておりますが、私ども、この法律、歴史的建造物の維持、保存を担う職人の技術の継承というものは非常に大事だ、それから活用の場の確保、これも必要ですね。木づくりの軸組み工法の担い手、こういう人たちの育成、地域における伝統的な技術の承継、向上のための研修活動等の取り組み、あるいは歴史的な町並みの保全、整備への支援というところを通じて、ぜひこの技術は残していきたいし、そういうところには助成をしていきたいと思っております。
この法律案とあわせて、平成二十年度に新たに創設した支援事業、歴史的環境形成総合支援事業でございますが、それにより歴史的な建造物の復原それから修理等についても積極的に支援を行うこととしまして、川越市のような歴史的建造物の多い都市において大工技能者の技術の活用の場となるように、伝統的な技術の承継に寄与する活動を積極的に進めていきたい、このように思っております。
〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
○小宮山(泰)委員 ぜひ積極的な、物を残すというのは、ある意味、これは文化庁のテリトリーかもしれません。これからやるというのは、恐らく文化財だけではなく、そこの次にある日常のものを生かしていく、それがあって初めて面的整備というものと地域の価値が、一足す一が二ではなく三にも四にも膨れ上がるものになるんだと考えております。
ぜひこの点は、残すではなく日常に適用されるような、正直、国土交通省のいろいろな地域づくりとか活性化という言葉の資料を見ますと、書いている方が同世代なのか、鉄腕アトムの時代のような高層化の絵とかイラストが非常に多く、高層化というのは高度化という表現を文章ではしますけれども、大体縦に縦に伸びるものですよね。でも、そうではなく、地域のためということを考えれば、やはりこの点は日常にできるような、もっとそこは、これから少子化に入っていくという中において、高度化でたくさん面積が使えるからいいのではなく、地域というものを、土地の価値は、歴史地区というんでしょうか、風致地区ができたからこそ高くなるというような、そういった発想の転換につながることを期待しております。
それでは、実際には核となってまいります文化的建造物の維持、保存というもの、またそれを発展させていくか、そういったものもぜひ、文化庁に来ていただいていますので、ちょっとお話しいただければと思います。
○高塩政府参考人 お答え申し上げます。
今先生からお話のございました重要文化財などの文化財建造物の保存、修理におきましては、非常に高度な専門的な調査や特殊な技法によります再現、修復ということが必要なことから、文化財保存のために欠くことのできない建造物修理、あるいはひわだぶき、こけらぶき、さらには左官、しっくい塗りなどの伝統的な技術者、技能者によります施工が不可欠でございます。
文化庁におきましては、これらの技術を選定保存技術として選定いたしまして、その技術の体得者を保持者に、また保存技術を持つ関係団体を保存団体に認定いたしまして、その技術の保存、伝承を図るとともに、保持者、保持団体が行います後継者の養成事業、さらに技術の記録保存、自己技術の錬磨などの事業に対しまして、国としての補助を行っているところでございます。
また、文化庁といたしまして、ふるさと文化財の森システム推進事業といたしまして、文化財建造物の修理資材のうち、特に、こけらぶきですとかカヤといったものにつきまして、植物性資材の安定的な確保を図りますとともに、資材に関する技能者の育成、普及啓発を図るために、資材供給林の設定、資材採取等の研修、さらに、普及啓発のための施設の整備などの事業を行っているところでございます。
こうした事業を通じまして、文化庁といたしましては、これらの技能者、技術者の確保とともに、後継者の養成に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小宮山(泰)委員 今の現状としましては、技術を生かすところが非常に少ないので、文化庁においては、維持または伝承というものに対しての研修も含めまして、ぜひ頑張っていただきたいと思います。あわせまして、ぜひ国交省も、いずれは、保存ではなくて、やはり技術が生きている、日本にはこういう伝統的な技術、長年の先達たちがつくり上げた技術というものが日常に生きるような、そういう木造建築であった、もともとは二階建てぐらいまでの建造物がほとんどだと思いますので、そういった地域づくりができる施策というものを省庁全体においてさらに推進をしていただければと思います。
そこでお伺いいたします。
この法案ができることによりまして、市町村の都市計画というものの見直しが進むのではないかというふうに考えております。なかなか昔の都市計画、また、道路の計画等が進まなくて、計画だけは残っているけれども、実際には費用の問題であったり地権者の問題であったりすることによって変わらなくて、逆に言えば工事が進まないからこそ町並みが保存されてしまう。結果としては、観光資源というか資産が残って非常によかったんだとは思うんですが、そこが意外に、何年かに一遍しか見直しができない部分も市町村等はありますので、この点に関しまして、ぜひ国交省の御意見を伺わせていただきたいと思います。
これからどんどん都市計画とか、その見直しは、これをすることで進んでいくのか、本当の地域の実情に合ったものに進んでいくのか、簡潔にお答えください。
〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
○増田政府参考人 お答えいたします。
地域にとって非常に貴重な歴史的、文化的資産をポイントからメーンへ、それから、メーンからまちづくり全体へというのがこの法案の基本的な考え方でございますので、先生がおっしゃったように、そういうことになりますと、やはり都市計画全般についての考え方をしっかり見直していくということが必要になるというふうに考えております。
この法律の中でも幾つかの制度を用意しておりますけれども、基本は、やはり都市計画法全体をうまく活用するということでございまして、この法律の三条におきましても、公共団体はそういった都市計画制度をフルに活用するということをうたっているわけでございます。
例えて申し上げますと、そういった歴史的風致を維持する方針を都市計画のマスタープランにきっちり位置づけるでありますとか、あるいは、それに沿って既存の都市計画を見直すということが大事になるというふうに考えております。
○小宮山(泰)委員 ぜひこの点は、地域に合った、そして将来を展望するような都市計画にきちっとなることを願っておりますし、その点に関しては、ぜひ市町村に対しての支援等、また情報提供等をこれからもしていただきたいと思いますし、また、その中においては、この法案の中に、第三十条ですけれども、電線の地中化や無電柱化というものも入ってきております。
こういう点に関しては、私、地中に埋めるものというのは、見えなくなるというのは非常にいいことだとは思うんですが、実際に工事をしていくと、振動であったり、道路を掘り返したり、地中に埋めますので、非常に近代的なものとして望まれることだとは思うんですが、それによって建造物自体が非常にダメージを受けることもあります。
これは、たしか四国の松山の商店街は、商店街の軒のところに電線とかそういうものを全部入れて、ぱっと見た目には見えない状態、人間の死角みたいなところを利用してやった、それによって物すごく経済的にコストが下がったという実例もあります。
そういう意味では、これから限られた予算の中で最大の効果を、風致地区の景観というものを守るという意味においては、ぜひこれからも創意工夫もしていただきたいなと思っております。
さて、次ですけれども、時間もだんだん迫ってまいりましたので、今まではハード面ということで質問させていただきました。当然、この歴史的風致の維持ということにおいては、その町が持つ伝統的な文化であったりお祭りだったりという無形のものもあってこそ、町というものが生きていくんだと思っています。
そういう中において、観光圏整備法の中でどのように支援をしていくのか、簡潔に述べていただければと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
地域のお祭り、文化、伝統芸能、こういうものは、大体地域に長く根づいてきて、愛郷心の源になっているものだと思います。こういうものが非常に個性を発揮して、内外の訪問者に選んでいただけるということは、観光地づくりのために大変重要なことだと思っております。
そうした意味で、地域において、今申し上げたような文化、芸能等の関係者が参加いたしまして、観光資源を生かした学習、交流プログラムの開発など、観光圏整備事業の一部としてこれが盛り込まれてくれば大変望ましいことでありますので、宿泊を含む滞在型観光の促進に資するというような要件を満足すれば観光圏整備事業費補助金の対象になる、こういうふうに考えております。
ただ、こういう形での直接補助も大事でありますが、それ以上に、結果としてたくさんのお客様が訪れて、文化、芸能、お祭りを見ていただき、活躍の場が与えられていくということが、元気を与えるという意味でも一番大事なことではないかと思っております。
○小宮山(泰)委員 お祭りというのは一年に一回かもしれません。しかし、そのお祭りがあるから、そのお祭りの期間であったり、そこに住む人たちや、そのお祭りを支える方たちがいてこそ、町の雰囲気というものも生まれてきます。これが一つの大きな資源でもあり資産でもありますので、この無形のものに対しても、ぜひ多くの支援もいただければと思います。
また、できるだけその点に関しては、本当であるならば、お祭りの日、大体は十四、十五とか、神社関係であったら日付が決まっておりましたが、今、働き方の問題もございまして、土日に移動させたりとか、非常に観光客向けのお祭りというものにシフトするということも多々ございます。
そうではなく、本来のお祭りの意義というもので日付が決まっていて、年に一回とか、来年も何日だとぱっと言えるような、そういったものも、大阪のだんじりがたしか日付が決まっていて、平日でも関係なく集まる。こういったものができるような休暇制度というものも、観光庁ができるという中においては、あわせて推進もしていただきたいと思いますし、この法案の中にも多少絡むところはあると思うんですが、ぜひ、この点もさらに深く振興していただければと思います。
ちょっと時間の都合で、農水省さんに来ていただいておりますので、聞いていきたいと思います。
当然その中において提供するものの中には、飲食であったり、それは地域の地場産業にもつながります、地産地消であったりとか、また、田園風景など多くの、目に見えるけれどもその地域よりもちょっと遠いところにあるもの、昔ながらの棚田があったりとか、そういう意味においては、農村資源の活用というものもこれからは重要になるかと思います。
支援策として、今、グリーンツーリズムであったり、エコツーリズムだったり、アグリツーリズムだったり、また、ブルーツーリズムというのもあるらしいんですけれども、こういったいろいろな施策がありますが、この点に関しまして、これから農水省はどういうふうにしていかれるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○飯高政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、棚田などの美しい農山漁村の景観を維持保全していくために、また、こうした地域の資源を活用して、より多くの人々がゆとりと安らぎのある生活を楽しめるようにするため、さらに農山漁村の活性化を図るためにも、グリーンツーリズムなど、こういった都市農村交流というのは大変重要だと認識してございます。
このようなことから、私どもは、これまで、地元農産物の直売所、農家レストラン、こういったものを整備するとか、あるいは、メディアやインターネットを活用してグリーンツーリズムに関する情報を発信するとか、さらには、各省と連携いたしまして、農林漁家民宿ですとか滞在型の市民農園に関する規制を緩和していく、あるいは委員お話しの、地域が一体となって地産地消に取り組む、そういうモデル的な活動に支援をする、こういう各般の施策を講じているところでございます。
私どもは、この法案を受けまして、今後一層地域の実情に即したグリーンツーリズム、都市農村交流、こういうものの振興策を講じてまいりたいと考えてございます。
○小宮山(泰)委員 この観光という問題に関しましては、これから農水省のやるべき課題はたくさんあるんだと思います。それは、やはりこの土地に行かなければ食べることができない、先週の観光庁設置のとき、食いしん坊と言っていただきました大臣の言葉にもありますが、やはり、旅をしていて、その土地の風景であったりお祭りであったり、また地場のものを食べるということは非常に楽しいものでもあります。
その点におきまして、私も、先週も言いましたけれども、一昨年、イタリアにおきましてのアグリツーリズムの視察を、民主党の観光政策をする有志で行ってまいりました。このときに非常に感じたのは、これはもともと観光政策で私は見たつもりではあったんですが、実際、内容的にはアグリツーリズムというのは農業政策でもある。
農業というものは当然一年じゅう作物がとれるわけではないので、とれない時期の現金収入ということで自分たちのつくった農産物を提供する。オリーブオイルであったりとか、いろいろなものを提供する場ということで、宿を提供し、そして、そこの中で飲食も提供する。その中においては、これは州によって違うんですけれども、場合によっては、そのエリア、地域でとれた農産物を六割使ってつくられたものを提供することが義務づけられていたり、農家の人でなければ開業ができないというものもあります。
また、実際に行ってみて伺いましたら、非常に感銘を受けましたのは、今アグリツーリズムの中において、これはアグリカルチャーとツーリズムを合わせた言葉ではありますけれども、この中において、町の中の普通のホテルをとらずに、大体私が行ったところは、町と言われる集落から大体三、四十分ぐらい山の中に入っていって、朝目が覚めて、見ると、もうそこらじゅうずっと牧草地帯という、正直、街灯も何もないような場所ではあります。しかし、そこには小さなプールがあって、非常にすばらしい、イタリアで言うマンマの味というか、おふくろの味というものが提供される非常に心地のいいすてきな空間を提供されていた。
ある意味、こういうものというのは非常に参考にもなると思いますので、ぜひこの点に関しましては、今後さらに調査検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○飯高政府参考人 先生の御指摘を踏まえて、今後努力いたしたいと考えております。
○小宮山(泰)委員 ありがとうございます。
努力検討ではなく、ぜひ調査検討していただく、もう一歩先に進んでいただきたいなと思います。
これは本当に、消費する場所がなければ、今農水省さんがいろいろやっていらっしゃいますけれども、現実には、大規模農業みたいなところは優遇というか守っているけれども、また品目とかも限られたりしていて、少量つくっているような農家というのは、消費する場所を確保することに本当に苦労しています。この法律でまたかかわるからこそ、ぜひこの点は真剣に取り組んでいただき、新しい市場を農家の方や漁業の方につくり出すというその思いをぜひ強くしていただきたいと思います。これは要望です。
さて、もう時間もないので、最後になりますけれども、これは第二十六条のところにあります、歴史的風致の方ですね、地下駐車場整備計画概要ができるということになっております。路外駐車場を歴史的風致向上施設とすることに関して、非常に不思議な面もあるのはあります。また、これによって本当に運営管理の問題が今後どうなるかということも不思議に思います。
そこで、私は二年前からずっと追っております、財団法人駐車場整備推進機構、これは大臣がトップダウンで大変な英断をされたというふうに聞いてはおりますが、今度、二年後の解散の方向ということで、三月七日ですか、記者会見か何かで発表されていらっしゃいますが、これは今後どうなるんでしょうか。グリーンピアなど厚生労働の方においては、二束三文で売り飛ばされてしまったという経緯も見ておりますし、ここに関しては、九百九十五億円もの税金を、道路財源を使って国土交通省が建築してあげて、そして運営して、売り上げは全部その財団が使ってしまうという現実があります。
これが今後どうなっていくのか、非常に気をつけてやらなければいけないことだと思うんですが、国土交通大臣、英断されたということは評価いたしますが、非常にこの点、危惧するところもありますので、お聞かせいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 いろいろなことをおっしゃったんですけれども、まず、九百九十五億円使って駐車場をつくってあげたというのじゃなしに、都心の大変な一等地ですからなかなか駐車場をつくる場所がないというところに、広い道路空間があります、その地下を使うということで、これは駐車場だけではなしに商店街をつくる場合もあるわけですけれども、あるいは電線の地下埋設というようなことも道路敷地を使ってその下を利用する、いわゆる空間をつくるという意味でこの九百九十五億円というものは使われて、十四の駐車場、二千台収容のできる空間をつくったわけです。その後は、今問題になっているところが、駐車場として空調施設を備えたりそれから料金の徴収の場所をつくったりいろいろしているわけで、それには四十二億円その会社が出しているわけです。
しかし、御指摘もありまして、私は、もうこれをやめるということで、その手続をとるように、三月七日に私どもの道路関係業務執行のあり方改革本部会議を開催いたしまして、財団法人駐車場整備推進機構を含む四法人ですが、この駐車場整備推進機構は、先行的な改革方針及び四月中の最終的とりまとめの中でこれはもう解散をするんだということを決めました。
これにつきましては、平成二十一年度中に十四駐車場すべての運営業務から撤退して解散をしてもらう、駐車場の運営業務は、今後、我々の方から民間に委託をしていこうということを決定いたしました。そして、財団法人駐車場整備推進機構におきましても、これは独立法人ですから、この五月十五日に評議員会を開き、五月十九日には理事会を開催するということを決めていただきまして、私どもの決めた本部の決定方針を受け入れていただける方向で各種の調整をしていくということを明らかにしていただきました。
そういうことで、今、小宮山議員が大変熱心にここを取り上げられまして、そういう結末になりますけれども、これで大損をするとかいうことにはならないように私は頑張っていきます。ただし、九百九十五億円が原価のように言われるのは、これはちょっと勘弁してもらいたい、こういうふうに思います。
○小宮山(泰)委員 そうはいっても、建設費がかかったというのは事実でもあります。これを民間に委託していくということであるならば、これからは、道路占有権等とかでは、橋の下、家も建てられないところに荷物を置かせていただくとそこでお金を取っているんですよ、収入にしているんですよ、民間とかにはやっている。
しかも、別に営利団体ではないようなところからも、ちなみに私が言っているのはスポーツ団体です、そういうところからでもちゃんと年間の利用料というのは取っているのに、この財団法人は持っておきながら取っていなかった。国庫に戻していくことはできないとずっとおっしゃっていたわけですから、今後検討するに関しては、ぜひ民間委託するときには建設費が戻るぐらいの、そういった収益が上がるようなことも含めて、絶対に考えていただきたいということを御提言いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○竹本委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。
それでは、早速質問に移らせていただきたいと思います。
きょうは二法案の審議ということで、質疑の状況を聞いておりました。そこで、国土交通省設置法等の一部を改正する法律案、この間、衆院通過して、観光庁もできるよということが決まったわけですので、改めまして、国交省の皆さんに、観光立国推進基本法にもあります国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成について少し見解をお聞かせ願いたいと思うわけでありますが、国際競争力の高い魅力ある観光地、「国際競争力の高い」というのはどういうことだと政府としてとらえているのか、まずもってそこをお聞かせ願いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
「国際競争力の高い」ということにつきましては、このように考えております。国内、国外の観光旅客にとって、ほかの内外の観光地と比較いたしまして訪れてみたいという強い魅力を有していて、結果として、ここが大事でございますが、訪問先として選ばれるような観光地というふうに考えております。
○鷲尾委員 結果として選ばれる、すごく重要なことだと思うんですね。しかも国際競争力が高いわけですから、国際的、今、各国から観光客が日本に来て、それこそ二〇一〇年に一千万人突破という目標に向けて一丸となってやられているわけですけれども、国際競争力があるということは、世界いろいろなところがあるけれども、その中でも日本のここが魅力があるからここに行くよ、そういうことを観光政策として推進していくんだ、そういうことだと思うんです。
では、今おっしゃったような、結果として選ばれるというのは、具体的に、観光庁がこれからできますし、国交省としてはどういう指標、目標としてやっていきたいと考えているのかもお聞かせください。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、国際競争力の高いということの定義について御質問があって、やや抽象的にお答えしておりますが、やはり具体的なイメージがつかめるようにということでは、具体的な取り組みをしているところ、あるいはほかの参考になるものを示していくことが重要でございまして、観光立国推進基本計画の中でも、今申し上げたような取り組みを奨励し、他の参考となるよう、一年に一度、すぐれた事例を選定して、内外に発信する、こういう規定が置かれております。
これに基づきまして、国土交通省では、平成十八年度に、地域いきいき観光まちづくりといたしまして、歴史的町並みを生かした取り組みあるいは体験交流を生かした取り組みなど、地域の創意工夫のある取り組みによりまして成果を上げている事例を百例紹介させていただいております。
このような先進事例の紹介は、対外発表させていただきますとともに、地方自治体や地域の観光地づくりに携わっている方々に機会をとらえて周知をするということで、独立行政法人の国際観光振興機構のホームページにおいて四カ国語でも掲載をさせていただいております。
また、同じように、平成十九年度におきましても、「滞在力のあるまち」や「外国人で賑わうまち」について六十九例紹介をさせていただいたところでございます。
○鷲尾委員 優秀な事例で載っている、国際観光振興機構のホームページにも挙げていますよと。それはどういう基準で挙げているのかということが先ほどの私の質問だと思うんですけれども、何を具体的な基準にしているのかというところですね、何を目標にするのかというところです。
○本保政府参考人 実はたくさん要素がございまして、これはというのは必ずしも明確でないところがございますが、一つは、やはりお客様の数がふえているということで結果が見えていること、それから、具体的な取り組みとして明確なものがあって、他の参考になるような先進的な部分がある、こういうような要素を加味して選ばせていただいております。
○鷲尾委員 事例の選定にもございますように、やはり最終的には、日本に来る、観光地各地で生き生きする人がふえる、それで海外から来る人がふえる。結局、人数がふえるというのは一番の目標だと思うんですよ。一番の目標だと思います。
では、例えば、外国人の来訪者がふえるために、これは国内でいろいろ基盤整備するのも当然必要ですけれども、そうはいったって、お客さんがいなかったらこれはどうしようもない話ですから、どんなに地域振興してこれだけ海外の人が来やすくなっていますよなんといっても、それが海外の人にとって魅力がなかったら何の意味もないわけですよね。
海外にとって魅力があるということを、観光庁を国交省の外局でつくるわけですから、どういう方針で海外の観光客にとって魅力ある日本の資源というのを見つけようとしているのか、どういうやり方をしようとしているのか、それについてもお聞かせ願いたいと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、魅力があるだけではお客様においでいただけません。したがいまして、積極的に売り込みというんでしょうか、プロモーションをしていく必要がございます。
この国際的なプロモーションの試みといたしましては、ビジット・ジャパン・キャンペーンの名前のもとで展開をしておりまして、これを展開するベースはマーケティングにある、このように理解しております。海外の各市場ごとのニーズを的確に反映いたしまして、これにこたえるような形で私どもの魅力を売り込んでいく、こういうことが重要だと思っております。
これを実施いたしますために、国土交通省並びに、私どもの外郭団体にもなります独立行政法人の国際観光振興機構、ここに十三の海外の事務所がございまして、この海外事務所を通じて、海外の旅行会社あるいはメディア、こういうところのネットワークをつくりまして、必要な情報をできるだけ仕入れて、そこに基づいたマーケティングを展開しているところでございます。
非常に抽象的ですので、一例を申し上げますが、例えば、私どもにとって最大のマーケットになっております韓国について申し上げますが、韓国につきましては、私ども、今は、ターゲット層は二十代から三十代の働く若い女性だ、このように考えております。と申しますのは、経済力がついてまいりまして、海外旅行に出かける割合がふえている、これがマーケットの牽引車になりつつあるという実態がございます。
また、このようなターゲットに対して、競合関係がどうかということも分析してございますが、この点については、中国が一番の競合というふうに考えております。と申しますのは、最近、週休二日制の普及が進んでおりまして、これを利用したいわゆる週末の休暇旅行がふえてきております。週末の休暇旅行でございますから、どうしても近いところにということになりますので、日本、タイ、中国、こういう構図になりやすいということでございます。
そういう中で、今度はどう売っていくか、私どもの魅力を差別化して売り込むということになりますが、この点につきましては、今申し上げたターゲット層がショッピングやグルメ、これに非常に高い関心を示している、また、この点においては中国に対して私どもが比較優位にあるということで、この点を強調したプロモーションというものを展開しているところでございます。
これを踏まえまして、今申し上げた世代を対象に、トレンディーで最新のショッピングとかグルメなどの観光魅力を楽しむ旅行を提案しておりまして、韓国の方は映画に行く機会が多いものですから、映画館でのフィルム上映などの媒体を活用したプロモーションを展開しているところでございます。
○鷲尾委員 今、韓国の事例をお引きいただいていろいろ説明していただいたんですけれども、そういう形でマーケティングに力を入れてやっている。マーケティングをやっていて、見えてくるものというのはある程度あると思うんですよね。
例えば、韓国なり中国なりの人たちというのは、やはり大都市圏で買い物を楽しむとか、先ほど質疑を聞いていましたら、三大都市圏とか千葉に観光客が、これは千葉は東京ディズニーランドに決まっていますから、こういうところに人が集まるよと。そういう各国のニーズを見てみて、では、日本でどういうことをやっていったらいいのかというところがまずなきゃいけないと思うんですよ。
いろいろな人の質疑を聞いておりまして思ったのが、まず地域の活性化ありきだと観光客はちょっと呼べないんじゃないかなと私は思うんです。まずニーズの把握で、それは国内の旅客もそうだと思います。この地域にどういう魅力があると思いますか、旅行に行った人から聞いてみて、アンケートをとってもう一度行きたいかどうかとか、そういうところから初めて地域の活性化もできる話であって、まず地域振興策みたいな形ではあってはいけないんじゃないかと私は思いますよ。
観光庁で観光を重視してやるわけですから、そこら辺の認識を少し問いたいなと思うんですけれども、私の話を聞いて、ちょっとこれは実際通告していませんけれども、冬柴大臣、どう思いますか。
○冬柴国務大臣 すごく大事な視点だと思うんです。
私は、日本の国というのはすごい歴史があるんですね。例えば平城遷都、これは二〇一〇年で千三百年ですよ。西暦七一〇年に平城遷都しているんですね。したがいまして、その後、七一二年には古事記、七二〇年には日本書紀ができて、七五二年には大仏開眼、七五四年には鑑真大和上が日本へ来ているんですね。
その鑑真大和上はどこから来たかといえば、中国の揚州なんですね。揚州に大明寺というお寺がありますが、そこの住職が六回目に、失明をしながらも、日本へ来られた。そして、その人を、日本人としては、すごい人だということで、唐招提寺、今に残る唐招提寺ですね。そういうものがありますので、私は中国の揚州へ行きました。そして、日中交流の源流、原点は揚州と奈良にある、これを力説したところ、奈良へ揚州の方が今度五十人来ますよ。それで、こちらからも、奈良県知事を初め、揚州へ行ってくれました。ですから、そういう両方の歴史の共通点を見出すことにより、すごいことが始まるわけですよ。
そして、実は、大仏開眼をした人はインド人なんです。菩提僊那という、これは七五二年に、奈良の大仏殿、世界に冠たる大仏ですね、あの開眼供養をしたのはインド人。当時、今から千三百年前にインドから来ているんですね。その話を私はインドへ行ってシン首相としましたら、そうなんだ、我が国の誇りなんだと。それで、私もつられて、今、日本では、仏教徒というのは、私も仏教徒だけれども、それはブッダの生まれたところだし、ブッダガヤというのは悟りを開いたところだと言ったら、客人、今から案内するから一緒に行こうかと言われたんですよ。
ですから、それほど共通点というのは、私は、その土地を考える上において、歴史というものはすごく重みがあると思いますね。
だから、フランス人も、京都が大好きだけじゃなしに、京都が好きなのはどこも好きなんですが、飛騨の高山が好きなんですよ。それはおもしろいですね。そういうこともありまして、今度、日仏の外交関係が開かれて百五十周年をことし刻んでいるんです。日仏観光交流年にしようじゃないかということで、この間フランスからも来てくれまして、今度私も国会の了承を得られればパリへ行って、交流年を日本が主催でやろうと。
この人たちに何を訴えたらということでいろいろな人に聞きますと、やはり金沢とか、それから安芸の宮島とか、そんな地方のことをよく知っているんですね。それから熊野古道。それから、直島というのは御存じですか。瀬戸内海にありまして、その中に、瀬戸内海の景観を壊してはいけませんので、安藤忠雄さんが地中美術館というのをつくったんです。景観を壊さずに美術館をつくる。そこにモネの「睡蓮」があるんですよ。そのことを言ってやったら、フランス人は絶対行きたいと、こういうことです。
私は、そういう視点が必要だし、それにあわせて、観光地というのは訪れてよし、住んでよしのまちづくりをする、そういう営みであろう、こういうふうに思います。
○鷲尾委員 大臣も十分、魅力あるところに人は来るんだと。それをやはりつくっていくというか、今大臣から聞いたところは私も直島以外全部知っていましたけれども、だから、やはりそういう知っているところに人は集まるんですね。
国際競争力の高いということを考えると、これは日本全国見渡して、そんなにいっぱいあるかなというところはあると思うんですよ。日本全国、全部国際競争力が高い観光地だらけだなんてちょっとあり得ない話ですから、地域の活性化も大事ですよ、大事だとは思っていますけれども、観光庁ですから、そこはぜひともしっかりと認識しながらやっていただきたい。海外から人が来なかったら意味がないんですから。
そこはぜひ、観光庁がこれからどういう組織になるかわかりません。それこそ、国際観光振興機構、先ほど審議官の方からお話ありましたけれども、国際観光振興機構が今、海外で十三。これはどういう組織になっていくのか、これから観光庁がまたできるわけですから、それもすごく重要だと思うんですよ。きょうはちょっと時間がないので余り話はしませんけれども、この人たちにかかっているわけですから。
私は、日本にいて、海外でどういうプロモーションをされているか知りませんし、海外の方のニーズなんか知りません。この国際観光振興機構が十三、海外に事務所があって、今体制を組んでやっている。この人たちが本気で海外の人たちを日本に連れてこよう、しかも、全然海外の人は知っていないけれども、海外の人から認められるこういうニーズの場所が日本にあるんだよと本気でやってくれなきゃ困るんですよ。
だから、本気でやってほしいということを、大臣も、そして審議官も、ぜひ認識していただきたいと思うんです。
それと、次の質問に移りますけれども、昨年、外国人の観光客が、七百五十万人ですか、八百五十万人ですか。(冬柴国務大臣「八百三十万」と呼ぶ)八百三十万、八百三十五万ですかね。二〇一〇年までに一千万人ということですけれども、近年、当然、お隣の中国が物すごい経済成長をしていて、中国からの観光客が来ている。二〇一〇年、一千万人も何とか達成できそうじゃないかという話を今聞いているわけですけれども、外国人観光客誘致のために、あちらの国に入国緩和策というのもとられているという話を聞いています。
国交省として把握している入国緩和策について、過去どういうことが行われてきたか、近年の例で結構ですので、お話しいただけたらと思います。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、中国からのお客様は大変ふえておりまして、昨年、約一六%増加いたしまして九十四万人を超えて、我が国への来訪者の中では第三位になっております。
これは、一つには、今御質問にもありましたが、訪日団体観光ビザ、これが発給されるようになったことが大きなインパクトを持っていると思います。二〇〇〇年の九月に、北京、上海、広東、こちらを対象に団体ビザの発給を開始しておりまして、これを段階的に拡大して、二〇〇五年の七月に中国全土を対象として、中国のどこからでも団体観光として日本に来れるような形にしたところでございます。
○鷲尾委員 済みません、その入国緩和策ですけれども、それによってどれぐらい入国者がふえたかというのはわかりますか。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
団体観光ビザで申し上げておりますので、団体観光ビザで来られた方の数をまず申し上げたいと思いますが、二〇〇〇年スタート時点では一千二十六人でございました。この数字が、二〇〇七年には二十二万七千七百十五人に達しているところでございます。
○鷲尾委員 大変なふえっぷりであると大臣も御認識いただけたと思うんですが、これは、当初、二〇〇〇年から二〇〇五年に一段階あるんですね。二〇〇五年にちょっとまたビザの発給地域の拡大を行っているわけですけれども、その拡大のときに、こんな新聞記事があったんです。
これは二〇〇五年の六月の新聞の記事なんですが、「日中両国の旅行代理店を通じてビザを取得し、日本国内で行方不明になった中国人は、国交省が追跡調査を行った結果、計四十四人に上ることが判明した。特に、愛知万博が始まった三月から五月末までの三カ月間だけで二十五人と、十三人だった昨年同時期の約二倍となった。」と。
要するに、ビザを取得します、取得して観光目的で日本に来ます、そこでいなくなっちゃう。これはゆゆしき問題じゃないかなと思うんですけれども、この失踪者はどれぐらいの数に上っているかというのは、国交省さん、把握していますか。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
二〇〇〇年の九月に訪日団体観光ビザの発給が開始されましてから、途中、二〇〇五年の七月に中国全土への拡大ということをやっておりますので、この二〇〇五年を前後してどうであったかで申し上げたいと思いますが、二〇〇〇年から二〇〇四年までの間の失踪者数を観光客数で割りました失踪者の発生率で申し上げますと、これが〇・三八でございました。この数字が、二〇〇六年には〇・一四%、二〇〇七年には〇・一〇%となってきております。
○鷲尾委員 済みません、それは減ったということですか、率で見て。(本保政府参考人「そうです」と呼ぶ)
ただ、数はふえていると思うんですよ。だって、旅行者が千人から二十二万人にふえているわけですから。不法滞在者の数というのは絶対的にはふえているということですね。そういう認識でよろしいですね。
そういう認識のもとで、不法滞在者というのがふえると、最近本当に外国人の犯罪というのが大分ふえている。きょうは警察庁さんにもお見えいただいているので、不法滞在者の犯罪件数というのは近年どういうふうに推移しているかということについてお聞かせ願いたいと思うんですけれども。
○小野政府参考人 来日外国人ということでお答えさせていただきたいと思いますが、平成十九年中で申し上げますと、来日外国人の犯罪の検挙状況は、総検挙件数が三万五千八百件ございます。総検挙人員は一万五千九百二十三人でございまして、ここ一、二年、検挙件数、人員ともに減少には転じておりますが、長期的に見ますと、依然犯罪情勢は厳しい状況が続いているというふうに認識しております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
長期的にはふえていると。観光客がふえるということで、来てもらうのはいいと思います。まず来るのが第一です。来ていただいて、では、例えば中国のビザの発給地域拡大に伴って、実際に不法滞在する人がふえてしまっている可能性もあるわけですね。そうなってくると、要するに、観光で呼ぶけれども、今度、国内でのそういう取り締まり状況も含めてやはりしっかりしていかなきゃいけない。観光で来い来いと言って、日本で犯罪がふえちゃったといったら、これ、しゃれになりませんから、そういう部分にもぜひ配慮していただきたいなというふうに思うところであります。
ちょっと時間がないので、国交省さんに、そういう面もあると、これは観光庁を所管するんですから、外局として、三条機関として位置づけるわけですから、そういう部分も、他省庁も含めてしっかりと連携してやっていくという言葉を、大臣、一言お願いします。
○冬柴国務大臣 これまでも、韓国に対するビザ免除、中国に対するビザの発給要件の緩和、また最近は家族だけでも来れるようにもいたしました。
こういうことをするためには、治安対策、出入国管理等の観点を踏まえた対応が必要でありまして、外務省、あるいはきょうは警察庁も来ていただいておりますが、警察庁、法務省と緊密に連携しながら進めていくということでございます。
○鷲尾委員 済みません、きょうは文化庁さんにも来ていただいていますので。
観光客が増大すると、歴史的建造物の周囲に観光客がどんと集まるということですから、人が来ないよりは人が来た方がやはり毀損されるような可能性も少しは多いだろうというふうに私は考えるわけですけれども、そういう防災対策というのですか防火対策というのですか、そういう部分について今どういう取り組みがなされているのか、簡単でいいですから、お話しください。
○高塩政府参考人 お答え申し上げます。
これは、外国人の来訪者ということとは直接関係はないわけでございますけれども、我が国の文化財は木造文化財が大半でございますので、その防火対策というのが一番重要でございまして、文化庁では、消火器や自動火災報知機の消防法で定められている設備に加えまして、国庫補助事業によりまして、いわゆる放水銃、貯水槽等のいわゆる消火設備、さらにはセンサー等の防犯設備、こういった防災対策を計画的に行っているところでございまして、今年度につきましても予算の増加をいたしておりますけれども、この防火防災対策に引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
○鷲尾委員 お隣の韓国のあの南大門が焼失しましたけれども、あんな事件が日本であってはたまらないと思っていますので、ぜひとも関係各位、鋭意取り組んでいただけたらと思います。
最後に一つだけ。五月雨式になって申しわけありませんが、今回、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案ということですけれども、平成九年に、外客来訪促進地域の整備について法律が一本できているんです。この法律は今回どうなるのと。
要するに、観光庁をつくって、これからこういう法案をもとに観光庁でいろいろ施策を執行していくよという中で、過去の経緯でそれにかぶさる法律もあるわけですから、そこの法律がどういう位置づけになって整理されていくのか、最後にお答えください。
○本保政府参考人 お答え申し上げます。
今御言及のありました外国人観光旅客の来訪地域の整備等の促進による国際観光の振興に関する法律でございますが、今回の観光圏整備法の整備に伴いまして、その附則の第六条で、この法律を改正しております。今回の法律案に発展的に盛り込まれました観光地づくりに関連する地域観光振興計画、それから地域観光振興事業などにかかわる部分については、これを削除して整理しているところでございます。
結果としまして、今申し上げた法律に残りますのは、平成九年の法律でございますが、公共交通機関への外国語表示などの計画策定の義務づけあるいは地域限定通訳案内士制度などの、いわゆる外国人の旅行の容易化にかかわる部分に限られてまいりますので、名称もこれを体した形に改正しているところでございます。
○鷲尾委員 時間がなくなりましたので終了させていただきますが、観光庁ですから、国土交通省の外局というのは私もちょっと違和感があるんですが、でも観光庁ですから、観光資源を発掘するのも大事ですけれども、ぜひともお客さんを引っ張ってくるという観点で施策に取り組んでいただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○竹本委員長 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時九分散会