衆議院

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第19号 平成20年5月27日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十年五月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君

   理事 西銘恒三郎君 理事 望月 義夫君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    金子善次郎君

      亀岡 偉民君    木原 誠二君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      島村 宜伸君    菅原 一秀君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      谷  公一君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      松本 文明君    松本 洋平君

      武藤 容治君    盛山 正仁君

      山本ともひろ君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    太田 和美君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    長安  豊君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    漆原 良夫君

      富田 茂之君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 塚越 保祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 伊藤  茂君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     武藤 容治君

  鍵田忠兵衛君     山本ともひろ君

  亀岡 偉民君     稲田 朋美君

  鈴木 淳司君     萩生田光一君

  徳田  毅君     木原 誠二君

  長崎幸太郎君     松本 洋平君

  鷲尾英一郎君     太田 和美君

  赤羽 一嘉君     富田 茂之君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     亀岡 偉民君

  木原 誠二君     徳田  毅君

  萩生田光一君     鈴木 淳司君

  松本 洋平君     長崎幸太郎君

  武藤 容治君     赤池 誠章君

  山本ともひろ君    鍵田忠兵衛君

  太田 和美君     鷲尾英一郎君

  富田 茂之君     赤羽 一嘉君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

同日

 国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を求めることに関する請願(市村浩一郎君紹介)(第三三五八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第三三五九号)

 同(古賀一成君紹介)(第三三六〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第三三六一号)

 同(松本龍君紹介)(第三三六二号)

 同(綿貫民輔君紹介)(第三三六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、河川局長甲村謙友君、海事局長春成誠君、港湾局長須野原豊君、政策統括官伊藤茂君、海上保安庁長官岩崎貞二君、内閣官房内閣審議官福島克臣君及び財務省大臣官房参事官塚越保祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本哲生君。

森本委員 おはようございます。民主党の森本哲生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、きょうは、港湾法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まず、入港料に関する規制緩和についてからお伺いをさせていただきますが、我が国は四方が海に囲まれておりまして、重量ベースで九九・七%の貨物を国際海上輸送に頼っていることを考えましても、港湾というものの重要性、特に経済社会に果たす役割の重要性は言うまでもありません。しかしながら、周辺アジア諸国の急速な経済発展などに象徴されますように、我が国の港湾を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そうした中で、我が国の港湾の国際競争力をいかに強化していくかは最大の課題であると言っていいと考えておるわけであります。

 今回の港湾法の改正案には、大規模災害への対応力強化や保安、安全対策といった視点も盛り込まれておりますが、本日は、主に国際競争力という観点から政府のお考えをお聞きしてまいります。

 まず最初に、入港料の問題についてお聞きをいたします。

 今回、改正案には、特定重要港湾の入港料率の設定に関して、国土交通大臣の同意を要する事前協議制を、上限の範囲内での設定について事前届け出制に緩和するとなっています。私は、この入港料の設定に関する規制の緩和がどのような効果を果たすのかに関心を持っておるわけでありますが、もちろんこれがプラスに作用してもらいたいわけです。

 まずは、基本的なことでありますが、今回の改正によって、国、港湾管理者、港湾利用者にとって、それぞれどのような効果、メリットがあるのか、お伺いをいたします。

冬柴国務大臣 今回の入港料制度の見直しによりまして、上限内での料率の設定、変更が事前届け出制となることから、港湾管理者による港湾管理の自主性が向上すると考えております。

 また、港湾管理者が料率を引き下げる場合におきまして国の同意が不要となることから、利用者のニーズにこたえ、迅速かつ柔軟な料率設定が行われることとなり、利用者にとっても望ましいものと考えられます。

 さらに、国といたしましては、近隣アジア諸港との国際競争によりまして、我が国港湾において港湾コストの低減が求められている中、今後、港湾管理者が料率を引き下げる場合においては国の同意が不要となることから、港湾管理者の政策的な判断のもと、迅速かつ柔軟に料率の引き下げが行われるのではないかと期待しております。スーパー中枢港湾施設を初めとした港湾の国際競争力強化にも資するものである、このように考えております。

森本委員 ありがとうございました。

 今、自主性ということも答弁にございましたが、今回、上限の変更については、国土交通大臣の同意と運輸審議会への諮問が残されておるわけであります。

 自主性という観点からいえば、この上限もなくしてしまってもいいんじゃないかという思いもあるわけでございますが、いかがでございますか。

冬柴国務大臣 入港料につきましては、港湾管理者がその料率を定めるものですけれども、国際海上輸送網の拠点として国の利害に重大な関係を有する特定重要港湾の入港料につきましては、港湾管理者のみによる料率の設定が物流コストに影響を及ぼし、ひいては国民経済にも多大な影響を及ぼすおそれがあるということから、その上限につきましては事前に国土交通大臣の同意を得るということにしたものでございます。これによりまして、我が国の港湾の国際競争力の確保の観点も踏まえた適正な料率が設定されるものと期待されているところでございます。

森本委員 その上限というものがそれほど大きなネックになるというふうには私は思っておらないわけでございますので、時間がありましたら、これはまた後で議論をさせていただきます。

 現在二十三港ございます特定重要港湾の入港料を見てみますと、外航船舶に係るもので、四月一日現在で一総トン当たり一番下が一・五円、上が二・七円ということで、かなり幅はあるわけでありますが、非常に難しい質問かもわかりませんが、今回の改正に伴って、各港湾の入港料はどの程度引き下げられると見込んでおられるのか、お聞かせください。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 近年、入港料の料率変更はほとんどない状態ですけれども、近隣アジア諸港との国際競争により、我が国港湾においては、今後、港湾管理者が入港料率を引き下げる場合において国の同意が不要になることから、港湾管理者がユーザーの意向も踏まえながらみずから判断するものと考えています。

 このため、現段階では、各港湾の入港料がどの程度引き下げられるか定かではございませんけれども、国としましては、港湾の利用促進の観点から、港湾管理者みずからの政策的な判断のもと、入港料率を引き下げる場合には、迅速かつ柔軟に料率の変更が行われることになるものと期待しているところでございます。

森本委員 期待感ということで承っておきます。

 大臣、もし入港料が引き下げられるとすれば、それはもちろん、それによって港湾利用をふやそうとする動きが出てこないと、トータルの収入はふえないわけであります。

 果たしてそのとおりいくのかどうか、見通しでございますが、例えば入港料を引き下げても利用がふえない場合は、今申し上げたように、収入が全くふえない。このことについて、国土交通省としてはどのように認識しておられますか。

冬柴国務大臣 入港料を引き下げた場合、どのぐらい利用がふえるか、収入がどのようになるかにつきましては、まさに港湾管理者の経営判断によるところでございます。

 港湾管理者におきましては、当該港湾の利用促進に加えまして、港湾物流の活性化あるいは地域振興の観点等も踏まえて入港料率を設定しているものと考えており、港湾収入の観点のみで入港料率が設定されるものとは考えておらないところでございます。

森本委員 ありがとうございます。

 それでは、細かい話ですが、次に港湾の財政についてお聞きをいたしたいと思います。

 手元に主要八港の財政収支の推移が表にあるわけですが、それを見てみますと、二〇〇五年の収入で合計で約三千四百六十億円、うち使用料等の港湾収入は九百九十八億円で、全体の二八・八%であります。

 ちなみに、事実関係ですが、この九百九十八億円のうち入港料収入がどのぐらいになっておるのか、お聞かせください。

須野原政府参考人 入港料収入でございますけれども、東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港等の主要八港の平成十七年度におきます使用料等の港湾収入、約九百九十八億円であります。そのうち、入港料収入は約二十二億円でございます。

森本委員 この港湾収入の構成比を歴史的に見ますと、戦後、比較的低いところからスタートして、一九九〇年代の初頭まで傾向的に上昇をしております。その後、バブルの崩壊などが影響したのか急低下して、九〇年代後半になってから再び上昇したという動きになっておるわけであります。

 お聞きしたいのは、港湾財政において、この港湾収入というものをどのように位置づけておられるのか。それを明確にしませんと、今回の入港料に関する規制緩和も適正に評価することができないと私は考えます。

 ちなみに、一般会計からの繰り入れや、また地方債の発行などで、地方財政負担の構成比は全体の六〇%弱の高い水準で推移をしておるわけであります。このことをどのように考えればいいのか。港湾財政にとって、港湾収入だけでは到底採算というのはとれないわけであります。せいぜいが経常的収支、といってもそれ以下なのかもしれませんが、地方が恒常的に多額の資金を投入しなければやっていけないというような現状をあらわしているんではないか、そう言っていいんじゃないかと思います。

 港湾の経営の独立採算の確保に向けてどうしていくのか、地方財政負担をいかに低減させていくべきなのか、これらの点を踏まえて、国土交通省としては、港湾財政のあり方、そして特に港湾収入の位置づけ、地方の財政負担のあり方についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。

冬柴国務大臣 大変鋭い質問でございまして、港湾管理者におきましては、港湾という公共性の高さから、港湾に要する費用すべてを港湾収入で賄うという現状にはなっておりません。起債や一般会計からの繰り入れということで補てんをしているという状況でございます。

 しかしながら、港湾と一体となった企業立地や港湾利用による物流の活性化等、港湾から派生する地域への波及効果が大きいことから、このような点も踏まえて港湾管理者は港湾の管理運営を行っていると考えられます。

 ちなみに、私も視察させていただいたのですけれども、大分県の中津港は、これがつくられまして、その港湾に接続してダイハツ工業が、第一工場、第二工場、約一千億ほどの投資をしておられると思いますが、五千三百人の若い人たち、その近隣のところから就職の機会を得ているわけですね。これは大変なことでございまして、これは成功事例ですけれども、ほかにも、道路とか港湾、このような公共施設ができることによって、地域が非常に再生し、あるいは活性化するということがあるわけです。

 したがいまして、この港湾というものの効用、港湾だけ切り取って出せば、まさに森本委員がおっしゃるように全く商売になっていないですね。しかしながら、その波及効果は非常に大きなものがある。そういうものもあわせ考えていられるというふうに思います。

 ちなみに、港湾管理者はそこの地方公共団体の長でございますから、そういうものを総合考慮して判断をしていられるというふうに考えます。

森本委員 ありがとうございました。

 特に、先般も、この今回の私の質問の中でも、阪神、京浜、それと私どもの中心の名古屋が出てくるのですけれども、もう少し九州がどのようになっているんだという議論もいろいろしておったわけでございますが、きょうはそこのところは省略させていただきますが、そうした効果は非常に大きいということも聞いておりますし、そこのところの議論はまた時間がありましたらさせていただきます。

 あと、地方港についても少し、厳しいものがありますので、お伺いをさせていただきたいと思います。

 基本的には、地方自治体が港湾の管理者、港湾の整備は国が公共事業として大きな役割を担っておられるわけであります。主に国の直轄事業で、補助事業で整備されるわけですが、近年の大幅な公共事業の削減の中で、港湾整備費も毎年減っておるわけであります。

 中でも地方港湾に対する整備事業費の削減幅は大きく、例えば平成二十年度予算について、平成十四年度から全体として二五%ぐらいの減少なのですが、地方港湾の整備事業費はほぼ半減の状況になっています。こうした状況の中で、地方港湾の維持管理がどんどん難しくなっております。

 今、地方港湾というのは全部で九百十四でいいと思うのですが、あるそうでございますが、財政的な負担を減らすためには地方港湾の統合が進められておるわけです。統合によって効率化する側面もありますが、先ほど申されました大臣の話ではありませんが、地方の方にとっては不便になる面も当然あるわけでありますので、この統合のあり方等も含めての、国土交通省としての、地方港の現状を踏まえての大臣のコメントをいただけたらと思います。

冬柴国務大臣 ちょっと先ほど挙げられた数字と違う、それは平成十七年四月時点では八百八十八港でございますが、これを二十年四月時点では八百五十二港、三十六港がいわゆる削減されるということでございます。

 このように港湾統合が行われているわけでございますが、今後とも、投資の重点化や効率化を図る観点から、引き続き港湾統合を推進していく必要があると国土交通省としては考えております。

 しかしながら、統合の結果、港湾の利用に不便が生じたり必要な投資が行われなくなるというようなことがないように、港湾管理者とも十分相談しつつ進めていかなければならない課題である、このように考えております。

森本委員 ちょっと局長、参考までに、先ほど私の申し上げた数字は以前の数ですか。

須野原政府参考人 港湾の数でございますけれども、今先生がおっしゃった数は、地方港湾が八百五十二、それに、港湾区域の定めのない港湾で都道府県知事が水域を定める港湾、いわゆる五十六条港湾と申しますが、それが六十二港ございまして、これを入れますと先生おっしゃいました数でございます。

森本委員 了解しました。

 それでは次に、国際競争力の強化についてお伺いをしてまいります。

 我が国の港湾の国際競争力の問題について、近年低下しつつあるというのはさまざまな調査でも明らかになっておるわけであります。一方で、アジアの港湾の台頭には目を見張るものがございます。二〇〇六年の世界の港湾別コンテナ取扱個数ランキングを見ますと、世界の上位六位までがアジア勢で占めて、上位三十港のうち七割がアジアの港湾であります。

 そうした中で日本はといいますと、東京の二十三位が最高で、横浜が二十七位。しかし、横浜の二十七位が、この二〇〇七年の資料を見ておりますと、これ以下に下がってしまったんじゃないかというふうに思うのですが、一九八〇年には世界四位だった神戸は、今や三十位以下になっております。しかも年々下がっていく傾向があるわけでありますが、EU、アジア、北米間をつなぐ国際コンテナ基幹航路が我が国を遠ざけていくと申しますか回避する、いわゆる抜港問題も表面化をしております。非常に憂慮すべき状況ではないかと思うわけであります。

 国交省としては当然こうした危機感を持っておられると思いますが、十六年度からスタートしたスーパー中枢港湾プロジェクトもそうした問題意識からだと考えます。問題は、今の取り組みで十分なのかということだというふうに思います。

 プロジェクトでは、平成二十二年までにアジアの主要港をしのぐコストとサービスを実現するとして、港湾コストは釜山、高雄港並みになる約三割の低減、リードタイムは、現状の三日から四日が一日、シンガポール港並みの短縮をやろうという目標を掲げておられます。

 そこでお聞きいたしますが、現時点で、この途中経過として、港湾コスト及びリードタイムについてはどのような状況で推移をされておるのか、お聞かせください。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 スーパー中枢港湾政策は、我が国港湾の国際競争力強化のため、京浜港、伊勢湾、阪神港におきまして、平成二十二年度までに、港湾コストを約三割低減、リードタイムを約一日程度に短縮することを目標にいたしまして、官民連携のもと、ハードとソフトが一体となった取り組みを鋭意進めております。

 このような取り組みのもとで、港湾コストの低減については、コンテナ貨物を大量かつ効率的に取り扱い、スケールメリットを発揮する等によりまして、コンテナ一個当たりの港湾コストの低減を図ることにしておりまして、平成十八年度時点での港湾コストは、平成十四年度と比較して約一割低減されております。

 また、リードタイムの短縮につきましては、メガオペレーターによる効率的な荷役機械の導入でありますとか、港湾手続の簡素化、電子化等の取り組みを進めており、平成十八年三月の財務省関税局調査によりますと、約二・一日まで短縮されており、週末を含まない平日のみで見ると約一・一日まで短縮されています。

 今後も、スーパー中枢港湾において、コンテナターミナルの機能強化に取り組むとともに、次世代シングルウインドーの実施など、引き続き施策の充実強化を図っていくこととしております。

森本委員 局長、リードタイムについてはいいところまで来ておるということをお伺いしましたが、やはりこれは、事務手続とか、今までのこうした官僚的な考え方をできるだけ経営的に考えていくというようなことで、ぜひこれからも迅速にお願いしたいというふうにお願いをしておきます。

 それと、三割のうちまだ一割、このあとの二割をあと二年間でというのは大変な数字だと思うんですが、そこのところを少し簡単に、今後の意気込みをお聞かせください。

須野原政府参考人 先ほど申しましたように、各種施策を講じまして、当初の目的に沿ったコスト削減に精いっぱい頑張ってまいります。

森本委員 それと、スーパー中枢港湾のプロジェクトでは、岸壁水深十六メーター級の整備が進められておるわけであります。これも大変結構なことでございます。ところが、世界の港湾整備の流れを見てみますと、もっと先に行っているわけであります。

 例えば欧州の主要ハブ港であるロッテルダム港の開発では、コンテナ船の一層の大型化に対応できるよう、水深二十メートル級のものが整備されつつあります。さらに、中国に至っては二十五メートル級の港湾が登場していると聞いておりますので、これは現実、しっかり確かめたわけではございませんが、もしこれが世界の流れとなっていくのであれば、スーパー中枢港湾のプロジェクトが掲げている目標も、その都度、世界の流れを見ながらバージョンアップを図っていかなければならない。

 ここのところは非常に厳しい環境になるわけでありますが、航路や水路を深くしていけないと大変だというふうに、このことは口で言うよりも随分大変なことだと私は思うわけでございますが、ここのところの全体の環境と今の私の考えに答弁をしてください。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の、欧州の主要港でありますロッテルダム港やハンブルク港におきます主要な岸壁水深はおおむね十六メートルから十七メートルになっております。しかしながら、欧州や中国の港湾におきまして、水深がそれ以上ある岸壁でありますとか、あるいは地形的特性から例外的に水深が深いものもございます。

 我が国におきましても、今後、我が国港湾に寄港するコンテナ船の船型の動向、あるいは世界におきます港湾整備の状況、さらにはコンテナ航路の動向等を見きわめつつ、適宜適切に施設整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

森本委員 局長、ここのところですが、実際、今、十六、十七まで言われた。しかし、二十メーター、二十五メーター、この流れはかなり進んでいくというふうに認識はしてよろしいのですか。ちょっとそこのところはしっかり聞き取れなかった。

須野原政府参考人 我が国に定期的に寄港しますコンテナ船は基本的に十六メートル程度の水深を必要とするということから、当面、スーパー中枢港湾プロジェクトにおいても水深十六メートルの岸壁の整備を進めているところでございます。

 先ほど申しましたが、今後とも、コンテナ船の大型化の動向でありますとか、世界におきます港湾の整備状況等を見ながら、我が国港湾への寄港の見通しというものを見きわめつつ、適切に対応していくというふうに考えております。

森本委員 これは後で、コンテナ、四十フィートから四十五フィートのところでまたお伺いをさせていただきますので、ここはここでとめておきます。

 我が国の港湾は一バース当たりの生産性が低いと言われておるわけであります。特に横浜、大阪、神戸などは、取扱量の割にバース数は多い、こういう状況だと思います。こうした状況を考えますと、新たに建設するよりも既存のものを改善した方がいいのではという考え方でございますが、いかがですか。

冬柴国務大臣 ターミナルの生産性についてのお尋ねでございますが、ターミナルの形状などの規格やトランシップ、積みかえというような比率の大小などの利用特性など、多くの要素が影響するわけでありまして、一概には比較はできませんけれども、日本の港湾が港湾コストを削減するためには生産性をさらに高める必要がある、これはお説のとおりでございます。

 このため、大規模ターミナルを一体的に運営するターミナル事業者の育成を推進するとともに、内航船や鉄道、コンテナターミナルとの円滑な接続を可能とする施設の整備、港湾手続の統一化、簡素化等のソフト施策を推進してまいります。

 これと同時に、基幹航路に就航するコンテナ船の大型化が進んでおりますので、これに対応したコンテナターミナルの整備が必要となっています。このために、横浜港の本牧埠頭地区BCコンテナターミナルに代表されるように、既存のターミナルを改良しつつ大水深化を図っている、改良では対応できない場合には新規ターミナルの整備を行っているということになります。

 横浜の本牧埠頭の、特にコンテナターミナルとか、それから積みかえしているクレーン等を視察させてもらいましたけれども、これは世界最新だと思います。一列二十個、これは非常に大きな船でございますが、横に二十個のコンテナを積んでいる船が入港した場合、これは一挙に二十個、こちらのオペレーターが一人で釣り上げて、そしてそれをトラックに積み込むような、あるいはこちらへ移して積載するというような、最新のものを見せていただきました。これは、そのときにも自慢していましたけれども、ほかには見られないものであるということを言っていました。

 そのように、これからも、御批判はございますが、既存のものを利用しながら近代化を進め、そしてできるだけ生産性というものを高めてまいりたい、このように思っております。

森本委員 先ほど大臣からも、港湾のオペレーターの問題も出てまいりました。この方々をどう育成していくかということも大事な問題だというふうに認識しています。アジアなどでもどんどんオペレーターの寡占化が進んでいるわけでございまして、一方、我が国では、競争制限的、業界保護的な政策の結果、新規参入が少なく、中小零細企業が中心であったわけであります。

 ようやく政府がメガオペレーターの育成に乗り出しましたが、そこで、今どこまで進んでいるのか、そしてその今後の課題についてお教えいただけたらありがたい。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 京浜港、伊勢湾、阪神港におきまして、現在、五つの特定コンテナ埠頭のメガターミナルオペレーターが設立され、効率的な運営に向けた取り組みが進められております。

 国土交通省としましても、各メガターミナルオペレーターに対しまして、高規格荷役機械の整備に対します無利子資金の貸し付け等により、その育成を支援しているところであり、今後とも、これらの施策を通じまして、メガターミナルオペレーターによる効率的な運営を促進してまいりたいというふうに考えております。

森本委員 今後の課題については余り明確なお答えはいただけなかったように思うんですが、これはいろいろこれから後でまたお聞かせください。

 時間が少し迫ってきておりますので、急ぎます。

 それと、今も大臣か局長が申された物流のネットワーク、大臣でしたでしょうか、こうしたことは非常に大事な要素でございまして、ここのところは一つ飛ばしていきますが、インターチェンジと直結する港湾が二〇%、欧米では五〇%程度がここまでネットワーク化されておるというような現状の中で、こうしたネットワークも当然これからは必要だというこの認識はお互いに一致するものだと思いますので、ここのところはもう答弁は結構でございますので、私の意見として申し上げておきます。

 また、世界では、スケールメリットを発揮する観点から、今出ましたコンテナの長大化の流れがありますが、我が国はそれにうまく対応できていないという指摘もあるわけであります。横浜港のことを紹介いただきましたが、流れは四十フィートコンテナから四十五フィート、さらには欧州では六十フィートコンテナも一般化しつつあると言われております。中国でも、国内物資輸送の二〇%程度を四十五フィートコンテナが占めるようになってきたとも聞いております。

 一方、我が国はどうか。我が国の道路事情を考えれば四十フィートコンテナがやっとだと認識しています。そこ、今笑っているんですけれども、道路事情が非常に問題だということでございます。

 スーパー中枢港湾では四十五フィートも運べるようになるそうでありますが、例えば道路に出た途端に右折、左折ができないような状況にぶつかってしまうという、このことを国土交通省としてはどのように認識されておるのか、お答えください。

須野原政府参考人 四十五フィートのコンテナにつきましては、二〇〇五年にISO規格に加えられまして、世界における現在の保有量シェアは二〇〇四年で二%程度と少ないものの、今後徐々に利用が拡大する可能性があるというふうに認識しております。

 四十五フィートコンテナ積載車両につきましては、我が国の一般公道においては、専用のトレーラーを用いて、特別なルートでの走行について、道路法、道路運送車両法等による審査を受け、許可、認定を受けることによって走行することとなります。

 さらに、スーパー中枢港湾等におきましては、コンテナターミナルと隣接する地域に高機能な物流施設が集積する臨海部の物流拠点を形成することとしておりまして、コンテナターミナルと臨海部物流拠点の区域内において四十五フィートコンテナ積載車両等の通行を可能とするため、各港におきまして必要な措置について今検討を進めておるところでございます。

 今後、この検討を一層進めるとともに、国際物流の動向等を踏まえまして、関係部局とも連携して、国際海上コンテナ輸送の効率化を図ってまいりたいというふうに考えております。

森本委員 ありがとうございました。

 それでは、大臣、コンテナに対する関連ですが、一九八〇年代後半以降、地方においてコンテナ港湾の整備が急速に進められましたが、景気がかなり後退をしたということもあって、一港湾当たりのスケールメリットが低下してかえって競争力を低下させているのではないかという見方もされておるわけであります。

 コンテナ貨物も上位五港で約八〇%が集中をしておりまして、地方港などでは財政的な課題を残しただけで、果たしてどれだけの効果があったのかということもあります。

 先ほど地方港の問題を指摘させていただきましたが、地方のコンテナ港湾のあり方、このことは簡単に触れていただいて、もう時間がありませんから。

 あともう一つは、マルチモーダル化を推進する上で障害となっているのが、港湾、道路、空港などのインフラ整備政策が縦割りになっていることではないかと思っています。

 この港湾、道路、空港などはこれまで別々の特別会計でやっておられて、旧運輸省と旧建設省に分かれていたこともあるでしょうが、近年、特別会計改革の中で社会資本整備事業特別会計として統合されたわけでありますが、実態はといいますと、個別に別勘定になって、縦割りはなくなっておらないという思いをいたしています。

 港湾をその一部とする総合的な交通体系の整備に向けて、どのようにこれから取り組んでいかれるのか、最後にお聞かせください。

冬柴国務大臣 これまで個別に行われていました港湾、空港、道路など九つのいわゆる社会資本整備分野、これを平成十五年に一本化いたしまして、社会資本整備重点計画ということを作成いたしました。これに基づいて港湾整備を推進しなければならないということにいたしております。

 また、十七年十一月に閣議決定された総合物流施策大綱におきましても、国際港湾と都市を結ぶ道路、鉄道の整備など各事業分野間で密接な連携を図るように位置づけたところでございますので、これからはそのような方向で頑張ってまいらなければならないと思っております。

 また、地方のコンテナのこともおっしゃいましたけれども、これはアジアなどの近隣の港湾との間にダイレクト航路サービスを確保するとともに、国内のスーパー中枢港湾における基幹航路との接続を確保するための内航フィーダーサービスの充実をさせていこうというふうに思っております。

森本委員 大臣、ぜひ縦割りからこれからは連携、どうぞそのように御尽力をいただきますことをお願い申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。

 きょうは、港湾法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まず最初に、今月の十二日に発生しました中国の四川省の大地震の被災者の皆さん、またミャンマーのサイクロンの被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、まさに今、世界規模で自然災害に対応する体制づくりというのは求められていると思います。

 特に今回、世界じゅうで協力をし合うという体制をつくり上げているにもかかわらず、なかなか受け入れができない環境もあったようです。そういう意味では、自国の体制づくりというのは非常に大事だと思いますし、そういう中で、今回、日本もいつ直下型地震が起こるかわからないという中で、国土交通大臣が港湾広域防災施設の管理をしっかりするということはまさに的を射た法律案だと思います。

 そういう中できちんと国が一元管理をするという法案をつくるときに一番大事なのは、その施設が災害に遭ったときにどういうふうに使われていくかということも大事なんですが、多分そこで被災者の方の救済や救援物資、救助隊の受け入れということを実際に行わなければならない、そういう役割もたくさん出てくると思うんですね。

 せっかくこういう法案をつくっても、その法案が生かされるようにどうしたらいいかというのは、今回指定をするそれぞれの区域がお互いに国内で連携をとり合って、どこかが被災地になってそこが管理になるということが決まっても、今度ほかの港湾からそれが生かされるような環境をつくらなければまさにこの法案をつくった意味がなくなってくると思うんですね。

 どうもそういう意味ではこの法案の中にそれはきちっと盛り込まれているわけではないので、ぜひこれを、せっかくこの法案を通すわけですから、今度はその港湾のそれぞれの連携をしっかりとる、国が一元管理をする中でその連携をとる体制をつくり上げなければいけない、まさに早急にそれをしなければならない環境があると思われますが、この中にちょっと盛り込まれている環境が少ないのじゃないかと思います。

 港湾局の局長に、この辺きちんとした体制がとれているのかどうか、そして今後どういうふうな体制をとっていくのか、御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

須野原政府参考人 お答えいたします。

 複数の港湾が近接する地域では、大規模な災害により岸壁等の港湾施設が被災した場合、利用可能な岸壁や耐震強化岸壁を相互利用するなど一元的に活用する等によりまして、連携して緊急物資等の海上輸送を確保し、地域の早期復旧を支援することが重要というふうに考えております。

 このため、災害発生時における初動の行動計画に国と港湾管理者の連絡体制の確保を位置づけたり、ある港湾の岸壁が使用不能となった想定で別の港湾に緊急物資を輸送する机上訓練を実施するなど、具体的な取り組みを今進めているところでございます。

 さらに、今後はこれらの取り組みを継続して拡大していくとともに、災害発生後の岸壁の利用可否等に関する情報を、関係する港湾管理者相互あるいは事業者の間で速やかに共有するシステムを整備するなど、さらなる連携強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、今お話しになったように、災害が起こる前にきちんと連携をしっかりとり合っていただいて、そして、それぞれの利用価値が高まるような環境をつくり上げていただきたいと思います。

 実は、阪神大震災のときも、一部の港湾がかなり液状化して使えなかったり、それで救助隊が入れなかったり、もう港湾の利用が全くめどが立たなかったという環境がありました。もし、あれがもう少ししっかりしたものになっていれば、そして常日ごろからそういう環境を考えてつくっておられれば問題なかったんだろうというふうに思いますが、国がせっかくつくりながら地方の管理下にある現状においては今まで厳しかったのかなと思うわけです。しかし、これからしっかり国が管理をしながら、まさにそういうものに対しての援助をしていく必要があるんだろうと。

 ぜひここで、震災を実際に経験され、そして県民として港湾の利用状況もしっかり見てこられた谷政務官に、ぜひ、これからまさに港湾の整備も含めて管理者となる、災害時に国土交通大臣がしっかり管理をするわけですが、そこがきちんと使えるような環境も含めて、今連携をとることはわかったんですが、しっかりと使える環境をこれからも整えていくという意味で、経験者としてこれからの展望とお考えを述べていただければと思うので、谷政務官、よろしくお願いします。

谷大臣政務官 亀岡委員御指摘のとおり、十三年前の阪神・淡路大震災では、神戸港の埠頭なども、今一部と言われましたが、一部ではなくて大部分被災して、ほとんど役に立たなかったということであります。ただ、その中でも、例えば摩耶埠頭の第一突堤のように耐震補強をしている岸壁はほとんど被災を免れて被害がなかった、そういう事実がございます。

 こうしたことから、国土交通省におきましては、災害に強い港湾システムの構築に向けて順次整備を進めてきたところであります。

 このうち、特に耐震強化岸壁につきましては、平成十八年三月に緊急整備プログラムを策定いたしまして、二十二年度までの五年間に耐震強化岸壁の整備率を当時の五五%から七〇%に向上させるということを目指して整備を進めているところでございますけれども、引き続き重点的かつ着実に整備を進めてまいりたいと思っております。

 あわせて、岸壁に接続する後背地の臨港道路の耐震補強、特に橋梁ですね、その辺にも力を入れる、あるいは、いざというときの避難地として利用される避難緑地の整備、これらについてもしっかりと力を入れて、臨海部全体の防災拠点機能を向上させるように、国土交通省としても全力で頑張ってまいりたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、被災地を体験した政治家として、これからもしっかりとこの港湾法に沿った取り組みをしていただきたいと思います。

 次に、出入国管理システムの導入をこの法案の中でうたっております。私は、これはもっと以前からしっかりやっておくべきだったと思うんですね。国際競争力を高める意味でも、これから日本の港湾は世界の中で重要な位置づけを占めなければいけない、そして、アジアの中でもトップ港湾としての位置づけをこれから獲得しなければいけないというときに、もっと早くこの出入国管理システムの導入、そして、できればこれは出入国だけではなくて、私は思うんですが、荷物や搬送等の情報についても、せっかく電子化するんですから一緒にやってしまって、きちんと対応できるような環境をつくるべきだ。

 これはなかなか難しかったんだろうということはわかるんですが、早くこういうものに取り組んでおかないと、災害が起こったときもそうだと思うんですが、そういう情報が一元化されていれば、積み荷の振り分けや、逆に言えば、今度は航路も含めて災害者の搬送においてもいろいろな場面で活動できる、まさに安心、安全、なおかつ手際よくできる、そういうことができれば国際港湾としての位置づけというのはさらに高まると思うんですね。

 ですから、ぜひ、こういう意味では、今回の電子一元化に関していろいろな情報を入れていただく、そして、できればそれをスムーズかつ円滑にできるように早急に取り組む、この法案をつくってそれに参加するわけですが、ぜひ即効性のあるものにしていただくためにどうしたらいいかということも踏まえて、考えを局長にお聞かせいただければと思うので、よろしくお願いいたします。

須野原政府参考人 国土交通省におきましては、国際競争力強化のために、港湾物流に携わるすべての関係者が、積み荷、搬送等も含む情報を電子的に共有できる環境、いわゆる港湾物流情報プラットフォームの構築が必要であるという認識のもとに、民間事業者とも協力いたしまして、港湾手続の電子化、海上輸送貨物の管理におきます電子タグの活用などに取り組んでいるところでございます。

 今回の埠頭出入り管理システムも、こうした取り組みの一環として推進するものでありまして、今後とも、国際競争力の強化に向け、先ほど御指摘いただいた点も含めまして、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っています。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ電子情報の一元化をお願いしたいと思います。

 実は、それだけでは私は足りないと思っているんですね。というのは、どうも港湾の情報を聞いていますと、それぞれの情報が、例えば今の荷物の問題もそうですが、それだけじゃなくて今度は税関の問題、検疫の問題を含めて、本当はもっと一元化した方がスムーズに、荷物の待機時間が今は平均二・一日ということでありますが、もっと短く、簡素化できるんじゃないかと。

 これは、多分縦割り社会の弊害もちょっとあるんじゃないかと思うんですが、本来であれば、情報はすべて一元化をして、もっと早急に対応すべきというのが求められるんだろうと思うんですが、これは私は国土交通省だけの問題ではないと思うんです。この際、この法案を通すときに、国土交通省が積極的にリーダーシップをとっていただいて、検疫も税関も含めて全部情報を一元化して、例えば、待機時間がまさに世界で一番短い、国際競争力においては、あそこに荷物を持っていくと一番簡素化できて何でも早く搬入できるんだ、そうすると、受け入れ体制もインフラ整備上もしっかりしていく必要があると思いますので、そういう意味では情報の一元化に向けて、他省庁に先駆けて国土交通省がリーダーシップをとって私はやっていくべきだと思っております。

 ぜひこの辺の考え方を松島副大臣にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

松島副大臣 亀岡委員が御指摘のとおりでございます。外国から入ってきた船から荷物が実際に日本の中へ入ってくる、おっしゃいましたリードタイムが今二・一日かかっておるところを、目指しているのは平成二十二年度末に一日以内になるように、そのために、国土交通省を中心としまして、これまでにも法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、六省庁で個別に運営されたのを一本にするという努力を重ねてまいりました。

 今回の国会におきまして、これはたまたま議論したのは財務金融委員会でございますけれども、我々国土交通省が中心となって一緒に進めた法律としまして、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部改正、これが平成二十年、ことしの五月二十三日に既に成立いたしました。

 これはどういうことをやるかというと、この実現のまず第一弾として、この十月に、一カ所に届け出を出すと、港に関して言いますと、港に入るということ、港湾の手続、入出港の届けと、それから係留施設の使用許可申請、港に関しては、私どもの立場としてはそれでございます。

 それ以外に、税関の手続や、それから経産省が所管しておりました貿易管理、厚労省の食品衛生、農水省の植物検疫、またもちろん動物検疫もそうです。さらに入国管理局、すなわち法務省がやっておりました乗員上陸許可支援システム、こういった検疫などすべて、一つの窓口に申請書を出せば全部それぞれのところがやってくれる。もし、一つのことで、例えば上陸する乗員に問題があるといったらこれだけが問題なんだとか、あるいは植物の検疫で一つがひっかかったらそれだけが問題だということが、たちどころに申請者のパソコンを通じてわかるようなシステムがことしの十月にスタートいたします。

 これが大きな前進でございまして、さらにシステムの改良に努めまして、来年の秋、十月には、次の段階として、我が省に関することでいいますと、細かいことでございますが、入港料の減免申請だとか還付申請だとか、あるいは、港の中でもフェリーや客船ターミナル施設使用の許可など、より細かいことまで一つの窓口で電子的に解決できるということが進んでまいります。

 こういったことによってずっと時間が短縮できる、それを私ども国土交通省がリーダーシップをとってやっていきたいと思っております。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ副大臣にもお願いします。

 確かに、これから国土交通省の手続に関しては、今のように多分しっかりとした体制をとられていくんだろうと思うんですが、せっかく電子化をするときに、全部窓口を一元化するときに、先ほど言ったようにその電子化の中に情報もぜひ入れて簡素化できるように考えていただくと、今度は物すごいほかの面に関しても便利になる。食品の偽装問題も、輸入問題で検疫のときも、これもかなり手続が簡素化できると思いますし、縦割り社会ではなくて、まず、その中心的な役割としての国土交通省が、電子化に向けて先駆けて情報をみんな入れるという体制をしっかりつくっていただきたいと思いますので、その辺をよろしくお願いいたします。

 それから、先ほど私も港湾の連携をとることが大事だということを言わせていただきましたが、私の地元には相馬港というのがあるんですが、せっかくすばらしいバックヤードを持っていながら、ほとんど利用されていない現状があります。

 今もそうなんですが、例えば隣の仙台港なんかは、かなり荷物があふれている状況の中で手続がおくれてしまっているという環境があるわけですから、もし、これからも宮城沖の災害が起こりかねないというときに、最初からこういうところも完備をしておく必要があると思うんですね。

 そして、ほかの港湾ではなかなか広げられることができないような、相馬港なんというのは、その裏にかなり広い土地があって、バックヤードがかなりたくさんありますので、例えば、荷役の方々が夜中に仕事ができないとかコストが高くなるというときに、オペレーター一つでレールウエイでコンテナが全部運べてしまう、そして、今度はトラックの積載までがレールウエイで一元化されていって、それが全部搬送されていくということになれば、災害に遭ったときの大都市の受け皿としても生かされますし、今度は救援物資の搬入にも生かされる。まさにモデル地区として、これから地方の港湾は生かされるような場面というのはつくれると思いますので、相馬港というのはすごく利用価値が高いんじゃないかと私は思うんですね。

 ただ、今は、せっかく耐震の三号埠頭があるにもかかわらず、石炭しか運ばれていないということであれば、もっともっとこういうものも利用しながら、国民の安心、安全性を高めていく必要があると私は考えておりますので、ぜひそういう地方港湾のこれからの生かし方、そして、それが地方の都市に与える経済効果というのは物すごく大きなものがあると思いますので、その辺の取り組みを局長にお聞かせいただきたいと思うので、よろしくお願いします。

須野原政府参考人 港湾におきます効率的な荷役あるいは貨物配送システムの構築につきましては、多様化する荷主ニーズにこたえるため、スーパー中枢港湾はもとより、今先生御指摘の相馬港を初めとします地域の港湾におきましても非常に重要であるというふうに考えております。

 既に、横浜港のコンテナターミナルと鉄道貨物駅間の海上コンテナ貨物の円滑な積みかえあるいは横持ち輸送に資する施設の整備に対する支援制度を創設したほか、名古屋港のコンテナターミナルにおきまして、自動化荷役システムの導入に向けた取り組みが進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、港湾の特性を踏まえつつ、先ほど御指摘がありましたレールウエー方式も含めまして、港湾における効率的な荷役・貨物配送システムの構築に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

亀岡委員 今局長が言われたように、レールウエー方式というのは世界ではかなりやられていますし、ちょっと私、記憶に今なかったけれども、日本でも何カ所かやられていますよね。これは局長、わかりますか。日本でも何カ所かやられていて、ただ、規模がまだ小さくて、世界的な規模には到底かなわないという環境がある。ですから、そういう環境がつくれるところには、ぜひ国策として積極的にこういうものに取り組んでいただきたいと思います。

 逆に言えば、それが今度は世界の、アジア・ゲートウェイ構想ではありませんが、まさにトップセールスの港湾として生かされていく可能性が高い。そして、安心、安全も受け入れやすい環境ができるということになると思いますので、地方の港湾も、もしバックヤードが生かされるというか、その港湾に合った生かし方ができるようなものは個別にしっかりと検討して取り組んでいただいて、しかし、それは震災が起こったときには国土交通大臣の管理下に置かれるわけですから、そういう体制もつくっていただきたいと思いますので、ぜひもう一回だけ、その取り組みについて前向きな姿勢で発言をいただきたいので、よろしくお願いします。

須野原政府参考人 先ほど申しましたように、港湾における効率的な荷役・貨物配送システムは本当に大事だと思っています。そういう意味で、各港湾の特性をよく把握しながら、必要な対応をしていきたいというふうに思っているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございます。前向きな答弁をお聞かせいただいたと思います。

 それから、災害発生時の緊急輸送活動等の広域的な災害応急対策の拠点として今回運用させる港湾施設について、国土交通大臣が必要と認めるときには、一元的にみずから管理を行い、迅速かつ円滑な災害応急対策を図ることとされております。

 実は、今回も中国で何が起こっているかといったら、きのうもきょうも大問題が起こっておりましたが、災害泥棒です。火事場泥棒じゃありませんが、子供たちを誘拐したり、いろいろなことが起こっているというのは非常に残念な話なんですが、まさに災害時は何が起こるかわからないというのが今現状だと思います。

 そういう中で一番大事なのは、災害時に、被災された人たちの安心、安全もさることながら、救助隊の安心、安全も守らなければいけない。これは僕は非常に大事なことだと思うんですね。だから、常日ごろからそういう活動が行われていないと、緊急時には対応できないと思います。平成十七年の福岡県の西方沖地震では、海上保安庁の巡視船艇で、玄界島から自主避難する住民を博多港まで輸送したという報道がありました。そして、そのときに港湾の治安対策もパトロールして行ったというふうに伺っております。

 まさに、そういうことが何か起こったときには一番大事な体制だろうと思うんですが、常日ごろこれはやっておかないとなかなかできない。しかも、今、船舶同士の衝突事故が起こったり、逆に言えば、日常でも何か事故が起こってしまうということがあるわけですが、本来であれば、日常でもそういう事故は起こり得ない、起こしてはいけないことでありますし、今度は災害時には、もしその国土交通大臣の管理する港湾が有効に生かされる、または救援物資がどんどん入ってくる、先ほど言った、これから援助隊が入ってくるというときに、常日ごろからやっていないものはできるわけがないのであって、しっかり治安を守りながら、そしてまた、その港湾が使われるとなれば、そこから犯罪者が出ないような環境もつくらなければいけない。これは私は、海上保安庁にとって一番大事なことだと思うんですね。

 今回の法案も、災害時にいかに対応するかというためにつくられた法案でありますので、当然、それに対する治安の維持というのはこれから一番考えなければならないということを考えております。それに対して海上保安庁がどういうふうに考えているか、そして、どういう体制をつくり得るかというのは、しっかり対応されているとは思いますが、その考え方をお聞かせいただければと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、安全、治安の確保というのは大変重要だと思っております。それから、これはやはり災害時だけじゃなくて、ふだんからちゃんとやっておくということが重要だと思っております。

 私ども、これも海上保安庁だけじゃなくて、税関でありますとか警察でありますとか、あるいは港湾管理者でありますとか、港にはいろいろ関係者も多うございますので、そういう方と連携をとりながらやっていきたいというのを基本にしております。

 具体的に、合同訓練などにつきましては、例えば東京港ではここ数年は年数回単位でやっておりますし、枢要な国際港湾だけじゃなくて、全国百十七カ所の国際港湾でこうした訓練を実施しているところでございます。こうした訓練をしながら連携強化を図って、災害時にもきっちりできるように鋭意対応したいと思っております。

 また、実際に災害が発生しました場合は、こうした枠組みが既にございますので、この枠組みを利用しながら関係機関と連携を深めて、また、私どもも必要に応じてその体制を強化してきっちりした対応をしていきたい、このように思っているところでございます。

亀岡委員 日本は島国ですから、当然、何かあるときは海上から、治安の維持も含めて対策を考えなきゃいけない、まして災害が起こったときには、先ほど阪神大震災のお話もありましたが、海上からの救援というのは物すごい重要な役割を果たしてくると思います。そういう意味では、海上保安庁の役割というのは、普通の治安対策だけではなくて、まさに緊急災害時には他の国にないぐらいその治安体制を求められてくると思いますので、通常からしっかりそういう体制をつくっていただきたいというふうに考えております。

 この法案も、通った後にしっかりとした体制をとることが国土交通省に一番求められていることだと思いますし、その求められていることに迅速に対応することが国民の信頼をしっかりと回復することになると思いますので、国土交通省として、この法案に対し迅速に対応でき、そしてなおかつすぐに結果が出せるような環境にぜひ全員で取り組んでいただいて、国民の信頼回復に努めていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

竹本委員長 次に、杉田元司君。

杉田委員 自由民主党の杉田元司です。

 引き続いて、港湾法の一部を改正する法律案について順次質問を行わせていただきたいと思います。

 今亀岡委員からも出ました中国四川の大地震、我が国土交通委員会のメンバーには、災害の苦い体験、苦しい体験をされた同僚の長島委員や、あるいは北村委員もおられる。そんな中で、私も都度都度、災害の復旧という現状を聞く機会を持たせていただいております。

 そんな中で、今回の中国の大地震から、我が国も幾つも指定を受けた地域というものがあります。その切迫性というのはかなり強まってきておる、そんな実感があります。それだからこそ、こうした港湾法の一部を改正する法律案、並びにそうした岸壁の、今局長答弁でもありましたが、港湾、海岸の耐震強化、そうしたものになお一層国としての力を入れていただきたい、そんなことを思いながら質問に立たせていただきたいと思っております。

 かつての阪神・淡路の震災で最も象徴的であったのが、当時はたしかライフラインの道路の寸断であったと思います。緊急物資等々が被災地に届かないという混乱、こういう状況が今もはっきりと思い起こされます。そういう意味では、道路の寸断があっても、今回の改正法は港湾から緊急物資の輸送を行おうということが含まれております。そのため、港湾管理者に対して国土交通大臣がこれから、今もお話があった一元的な管理を強力に推し進めるべきだ、私もまさに同感でありますし、その意を強く持っておる一人であります。

 そこで、今回の改正法案でありますけれども、「港湾の適切な管理を通じて」「非常災害が発生した場合に国土交通大臣が広域的な緊急輸送等の災害応急対策の拠点となる港湾施設を管理することができる」としてありますけれども、災害発生時における港湾の具体的な機能というものについてのお伺いを最初にさせていただきます。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 大規模地震等の自然災害発生時において、港湾は以下の機能を発揮すると考えております。

 まず一点目としまして、船舶による緊急物資や避難者などの輸送、避難などに資する広場あるいは緊急物資の保管基地などの臨海部の防災拠点としての機能でございます。

 二点目としまして、大規模災害によりまして、被災地域を通過します陸上交通の機能が低下した場合、海上輸送により被災地域を迂回して行われる貨物や旅客の輸送支援機能。

 三点目としまして、津波や高潮からの港湾機能の防護と港湾労働者や来訪者の安全を確保する機能。

 さらに四点目としまして、被災地域におきます早期の経済復興と産業の国際競争力維持の観点から、基幹的な国際海上コンテナ輸送など、経済や産業に重要な役割を継続して担う物流拠点の機能。

 今申し上げました四点の機能が災害発生時の港湾の大きな役割というふうに考えております。

杉田委員 ありがとうございました。

 今も御答弁の中にありましたが、基幹的な広域防災拠点でありますけれども、地震に強い港湾というのはあくまでも岸壁の耐震強化だと思っております。その整備は早急に進めていかなければなりません。

 そんな中で、耐震強化岸壁が、物資の海上からの搬出入も踏まえて、先ほどの話の経緯の中で、陸上、海上、こうした観点からもこれからさらに一層必要になってこようと思いますけれども、現時点での耐震強化岸壁の全国的な整備状況、さらには港湾における液状化対策の取り組みについての御所見をお伺いしたいと思います。

須野原政府参考人 今御指摘ございました耐震強化岸壁につきましては、全国においては耐震強化岸壁として三百三十六バースの整備が計画されております。そのうち、平成二十年四月現在、百六十一バースが整備完了、四十九バースが整備中となっておりまして、整備中のものを含めまして、計画に対する進捗率は六三%となっております。

 また、港湾における液状化対策につきましても、耐震強化岸壁を中心に実施しており、今後も引き続き必要な対策を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

杉田委員 六三%の進捗状況、先ほど谷政務官の御答弁にありましたが、十八年度から二十二年の間に目標七〇%という答弁がございましたが、ぜひ七〇%を超えるような勢いでの耐震強化岸壁の整備を進めていただきたいと思っております。要望も兼ねましてお願いをいたします。

 続いて、今回の港湾広域防災区域、これは「広域災害応急対策を実施するために特に必要があると認めて国土交通大臣があらかじめ告示した区域」とされておりますけれども、その「特に必要」とはどのような区域をお考えなのかをお示しいただきたいと思います。

須野原政府参考人 港湾広域防災区域とは、港湾において非常災害発生時に広域的な災害応急対策に使用される区域として国土交通大臣が定める区域でありまして、非常災害発生時に国土交通大臣による広域的な災害応急対策を実施する上で支障となる物件の除去等や直轄工事で整備した港湾施設の管理を可能とする区域として定めるものでございます。このように、港湾広域防災区域は、支障となる物件の除去等、権利の制限を伴うことから、広域的な災害応急対策を実施する上で特に必要がある最小限の区域を定めるものです。

 具体的には、非常災害発生時に基幹的広域防災拠点として運用される緑地及びこれと一体的に運用される岸壁等が存在する区域を定めることを予定しております。

杉田委員 ありがとうございました。

 なお、今後は、特に定める地域の指定の枠を、柔軟性を持って、さらに広く、日本的見地からお考えをいただいて、まだまだ特に定める地域の指定を求めておる港湾あるいは地域、管理者というものも随分とおるはずでありますし、私どもの地元でも、やはり港湾に対する期待というものは大変高いものがあります。それは、地域経済の中枢部ということに限らず、港湾を取り囲む緑地帯あるいはオープンスペースといったものが、いろいろな意味で活用が多岐にわたることができる。

 それは、人のコミュニティーの場にもなりますし、あるいは、こうした災害等々における緊急避難、仮設住宅設置や、いろいろ多岐にわたるスペースが必要でありますゆえに、災害のときには一層その持つ意味合いというものが大きくなってくると思います。ぜひ、そういう意味でも、大臣の指定する地域の広範なお取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 次に、今回は、港湾広域防災施設については、首都圏では川崎港東扇島地区、近畿圏では堺泉北港堺二区の二カ所となっていますが、どうしてこの二カ所に限定をされたのか。また、港湾における防災拠点の全国的な配置について、今後どのようなお考えを持っておられるのか。お伺いをいたします。

須野原政府参考人 非常災害発生時に国土交通大臣が期間を定めて管理を行うこととしています港湾広域防災施設は、中央防災会議の防災基本計画や都市再生本部の都市再生プロジェクト第一次決定によりまして、基幹的広域防災拠点として位置づけられたものでございます。現在のところ、港湾広域防災施設の整備が完了しています地域または整備中の地域は、これらの計画に明記されました東京湾臨海部及び京阪神都市圏のみとなっております。

 全国の港湾においては、これまでも地域の要請に応じて、災害発生時に市民等の避難地として使用される避難緑地や耐震強化岸壁の整備を進めてきたところですけれども、これらの施設の活用によりまして、災害発生時に海上からの支援が可能となっています。今後とも、必要に応じ、避難緑地や耐震強化岸壁の整備を進めてまいりたいというふうに思っています。

 なお、全国の港湾における港湾広域防災施設の整備の必要性につきましては、地域における防災体制のあり方の検討を行う中で議論されるべきものというふうに考えております。

杉田委員 ありがとうございます。

 なおまた、基幹的な防災拠点としての港湾というのは、海上輸送における総合的な基地になります。そういう意味で、災害時において、緊急物資の海上輸送を初めとして、私の愛知県ですと名古屋港があります、三河港があります、衣浦港があります、さらには蒲郡港があります。さらに、隣に行けば、三重県の四日市港、静岡の清水港というふうに、今回は指定を受けておりませんけれども、かなりのエリアにそうした港湾の機能を有するものが点在をしております。

 そうした港湾間の連携というものについて、先ほど少し亀岡委員の方からも御質問がありましたけれども、この連携についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

須野原政府参考人 御指摘いただきましたとおり、複数の港湾が近接する地域では、大規模な災害によりまして岸壁等の港湾施設が被災した場合、利用可能な岸壁でありますとか耐震強化岸壁を相互利用することによりまして、協力して緊急支援物資等の海上輸送を確保して地域の早期復旧を支援することが重要というふうに考えております。

 このため、災害発生時における初動の行動計画に国と港湾管理者の連絡体制の確保を位置づけたり、ある港湾の岸壁が使用不能となったという想定で別の港湾に緊急物資を輸送する机上訓練を実施するなど、具体的な取り組みを進めております。

 さらに、今後はこれらの取り組みを継続して拡大していくとともに、災害発生時の岸壁の利用可否等に関する情報を関係する港湾管理者相互や事業者の間で速やかに共有するシステムを整備するなど、さらなる連携強化に向けて進めていきたいというふうに考えております。

杉田委員 わかりました。

 先ほどから一元的という言葉が何度も出ておりましたけれども、港湾管理者である私の愛知県の場合は、名古屋、衣浦、三河というのは一元的に管理者。ただ、触れましたように、静岡の清水港やあるいは三重県の四日市港になりますと管理者が当然違ってまいりますので、そういう意味でも、まさに国の指導的な一元的管理を切に期待させていただきたいと思っております。

 続きまして、入港料率の事前協議制度の見直しについて、若干の質問を行わせていただきます。

 現行法では、「政令で定める重要港湾の港湾管理者は、前項の入港料を徴収しようとするときは、料率を定めて、あらかじめ、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。」とされています。入港料率について、現在、特定重要港湾に限るとなっておりますが、この事前協議制となっている理由、そして説明を求めさせていただきます。

須野原政府参考人 入港料につきまして、特定重要港湾に限り事前協議制となっているところでございますけれども、現在、国際海上輸送網の拠点として国の利害に重大な関係を有する特定重要港湾の入港につきましては、港湾管理者のみによる料率の設定が港湾利用者の不利益を招き、ひいては物流コストに影響を及ぼし、その結果国民経済に多大な影響を及ぼすおそれがあることから、そのような事態が生じないよう、国土交通大臣の同意を必要としているものでございます。

杉田委員 なおまた、この事前協議制から今回は事前届け出制に改正をされるわけでありますけれども、なぜ届け出制に改正をされるのか、その説明を求めたいと思います。

須野原政府参考人 そういう中で、我が国港湾の国際競争力強化のために、入港料につきましても、利用者ニーズに柔軟かつ迅速に対応することが必要であると思います。そのため、国民経済に悪影響を及ぼすことのないよう措置しつつも、サービスを享受する利用者の意向等を反映して、港湾会社が柔軟かつ迅速に料率設定ができるよう、上限の範囲内であれば事前届け出で足りるという制度を今回導入するものでございます。

杉田委員 上限の範囲内でということでありますよね。これは従前からの方式と変わらないと認識してよろしいんですか。

須野原政府参考人 従前は、その都度、上限ということより下げる場合につきましても協議をやっていたところです。今回は、上限につきましては従来のとおりでございますけれども、その範囲であれば事前届け出で足りるという形に改めるものでございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問になります。

 我が国の港湾、これはお二人の委員からも出ておりましたけれども、国際競争力をさらに一層強めていかなければならない、そのためにスーパー中枢港湾等々の取り組みにも努力を払っていかなきゃいけない、こうした質問、また答弁がございました。私もそのとおりだと思っております。ランクづけもありましたけれども、神戸を初めとする港湾の量も質も、今世界の国々に比べまして劣るものが出始めている日本の港湾、どんなことをしてもさらなる協力を進めていかなければいけないと思っております。

 そこで、最後の質問になりますが、国際競争力を強化する上で港湾コストの低減は極めて重要だと思いますけれども、国並びに港湾管理者はどのように取り組んでこられたのか。そしてまた、今後どのように取り組みをしていこうと考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

須野原政府参考人 御指摘ございましたとおり、我が国の港湾につきましては、アジア地域内において港湾間競争が激しさを増す中で相対的に地位を低下させていますことから、港湾コストの低減あるいはサービスの向上によります国際競争力の強化を図ることが喫緊の課題となっております。

 このような状況の中で、国土交通省におきましては、スーパー中枢港湾政策を初めとします我が国港湾の国際競争力強化に資するハード、ソフト両面の各種施策を通じて、港湾コストの低減に取り組んでいるところでございます。

 また、港湾管理者におきましても、入港料や施設使用料につきまして、各種インセンティブ制度の導入等により、港湾コストのサービスの向上に努力しているところでございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 私の質問の時間の中では、本来、大臣は御到着になれないというようにお伺いをしておりました。お見えをいただきまして、私も、港湾法の一部改正につき、るる質問をさせていただいてまいりました。中国の大地震、我が国の国民も、八万を超すと言われている死傷者、そして、被災後の復旧の現場を見てじくじたる思いであります。

 そんな中で、阪神・淡路の苦い経験を積まれました冬柴国土交通大臣、最後の質問はスーパー中枢港湾でありましたが、これはまさに、岸壁の耐震強化を強めながら、強くて、そしてまた競争力のある港湾をつくっていかなければならない、そういう国民への安全と安心と、さらには新たなる経済の指標を見出す、そういう改正法案だと思っております。

 ここで、せっかくでありますから、大臣、きょう、この港湾法改正に当たり、被災を経験された大臣として、なおまたこれからのスーパー中枢港湾の取り組みに対する意気込みについて、お伺いをさせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 ありがとうございます。

 私も、平成七年、今から十三年前になりますけれども、阪神・淡路大震災を経験した者でございます。

 先ほどの質問の中にもありましたけれども、神戸港、港湾はほとんど壊滅しました。ただ、耐震岸壁とされておりました摩耶埠頭、ここは本当に傷つかなかったんですね。威力を発揮しました。対岸の大阪湾の方から、土運船とかを利用していろいろな資材を神戸に陸揚げしようとしましたけれども、なかなか難しかったんですね。しかしながら、生き残った摩耶埠頭等を利用し、それから、壊れた中央突堤に仮設の桟橋などをつくって陸揚げしたことを記憶いたしております。

 こういう災害のときに耐震岸壁というものは非常に威力を発揮するということを体験したわけですが、最近の新潟県中越沖地震のときも、岸壁が生き残ったがゆえに、そこに海上保安の巡視船が接岸をいたしまして、それには一千トンの飲み水を積むことができたんですね。したがいまして、これで四千数百トンにも及ぶ上水を被災地に供給することができたわけです。

 そこの耐震岸壁のところへ給水車等の小さなものが来まして、海上保安庁の巡視船から給水を受けてそれを家庭へ配ったわけでございます。テレビではその小さな給水車が被災民に水を配っているところだけが映っていますけれども、実は、その水はどこから来たかというと、耐震岸壁に接岸した巡視船から来ていたわけでございます。

 そういうことから、震災と耐震岸壁、私は非常に重要なものだと思います。

 今回この法律で、我々が、国が直轄でつくったものについて、これは港湾管理者が管理するわけですけれども、いざというときには国に管理を戻していただいて、そこを救援物資の集積所とか、あるいは、ある場合は被災した人たちの避難所にするとか、そういうような非常に重要な役割を果たすわけですが、こんなことは予想するのも嫌ですけれども、首都圏直下型の震災等に備えまして、東京湾、そしてまた大阪にも堺に一カ所そういうところをつくる。これは本当に適切だし、威力を発揮するだろうというふうに考えるところでございます。

 今回も、四川省の、三国志で有名な蜀の国でございますが、ここで大震災がありました。そこへ海上保安庁の特救隊を中心に国土交通省では十三名の職員を国際緊急援助隊として派遣をいたしましたけれども、出発が外交関係等の調整で一日おくれたのが本当に残念でしたけれども、しかし、着くなり、もう新聞でも報道されていますが、親子の、若い二十七歳のお母さんとその幼児を直ちに引き出して、もう亡くなっていたものですから、この人たちに敬意を表するために黙祷を捧げた。この写真が新聞にも載りましたけれども、中国でもこれはテレビとかインターネットで広く配信されて、中国人の感動を呼んだようでございます。

 私は震災というものを経験いたしましたけれども、あの阪神・淡路大震災こそボランティア元年と考えていいのではないかと。あのときにボランティアがたくさん来てくれましたが、その後、これを契機に、日本人があちらこちらで、そういう震災が起こればボランティアが駆けつけるというすばらしいあれが展開されておりますが、この法律もそういう震災に備えた一つの法律でございますので、御議論をいただいてこれの成立をお願いしたい、こういうふうに思っております。

杉田委員 大変丁寧に、そしてまた力強い御答弁、ありがとうございました。

 私も、今、大臣の答弁を聞かせていただきながら、実は昭和三十四年の伊勢湾台風を思い起こしておりました。まだ子供のころでありましたが、阪神・淡路がボランティア元年とおっしゃられましたけれども、岸壁の強化元年はあの伊勢湾台風ではなかったかと思っています。

 死者五千名を超す、なぜそれが大きな被害に及んだかといえば、台風そのものよりはむしろ岸壁が崩れ、名古屋港は今は鉄鉱石を初めとして自動車の輸出入が主でありますけれども、当時は大きな貯木場でありました。木曽三川から送り出されてくる貯木を名古屋港に集積をしていた。その岸壁が弱かったために、その貯木がみな流れ出してしまった。それによって多くの命が、本来の台風以上の命が奪われてしまった。また、その貯木につかまったために命を救われた方もおる。

 そんなことも今、大臣の阪神・淡路がボランティア元年、したがって私は、伊勢湾台風がそういう意味では岸壁の耐震強化の元年ではなかったのかなと。そういう教訓もぜひ大臣にこれからの国土行政に生かしていただきたいことを最後にお願いをさせていただき、質問を終わらせていただきます。

竹本委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 きょうは、港湾法について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今ほど杉田先生の方からも御質問されたこととは思うんですが、耐震強化岸壁の整備について少しお聞かせ願いたいと思うんです。

 私の地元でもございます柏崎で、中越沖地震が起こりました。その間の経緯は今ほど大臣がおっしゃられたとおりでございまして、この柏崎という地域が、三年前に起こりました中越大地震、あの長岡の山の中で起こった地震と大きく異なったのは、海岸線があったおかげで救助物資、援助物資を含めて、非常に潤沢に市内に供給することができた。

 特にその物資の中でも必要である水が、実は水道管復旧にはかなりの時間を要した。七月の十六日に地震が発生いたしましてからその月末に至るまで、水が安定して供給されなかったわけであります。ガスになりますと、もうちょっとおくれて、八月の半ばまで結局復旧されなかったということでございます。

 この中において水の不安が、それは当然多少不便はあるんですけれども、水が潤沢に運び込まれていたということは大きく評価されるべきところでありまして、これは何が重要だったかというと、やはり港湾整備。港に海上保安庁の艦船もありましたし、本当に港にいろいろ艦船が来て、私もよく停泊しているのを何日も何日も海岸線を通って見ていましたので、非常に安心感がありました。そこから水を積んで、各避難所を含めて、仮設トイレを含めて、水が重要なところに行き渡ったということは非常に大事な点だったと思います。もし岸壁が壊れていたらと思うと、本当にこれは被災者の皆さんを含めて、防災上大変なことになっていたんじゃないかと思っております。

 この耐震強化岸壁整備について、現状と今後の展望について、これは災害が本当に多い日本では死活問題である。今の現状と、この先どういうふうに本気で取り組んでいくんだ、そういうことをちょっと大臣を含めて、また事務方から詳しく、そしてその本気さを今ここで御披瀝していただきたいと思います。

冬柴国務大臣 国土交通省では、大規模地震対策として、緊急輸送活動を支援するために、臨海部防災拠点機能の強化を進めております。その中でも耐震強化岸壁の整備を推進するとともに、それに接続する臨港道路の耐震補強、市民等の避難地として利用される避難緑地の整備ということを進めているところでございます。

 御指摘のありました耐震強化岸壁につきましては全国で三百三十六バースの整備が計画されておりますが、平成二十年四月現在では百六十一バースが整備を完了し四十九バースが整備中となっておりまして、整備中のものも含めて計画に対する進捗率は六三%となっております。

 現在、平成十八年三月に策定した耐震強化岸壁整備プログラムに基づきまして、平成二十二年度までに耐震強化岸壁の整備率をおおむね七〇%に向上させることを目指しておりまして、平成二十年度の予算としては百六十六億円を計上しているところでございます。

 今、鷲尾さんもおっしゃいましたように、新潟県の中越沖地震で柏崎港は岸壁が生き残ったために、本当に、例えば震災直後、柏崎と新潟市とは陸上はすべて道路が破壊されてしまいました。したがって、急病人を海上保安艇で運ぶことができました。そのほか、救急物資とか水を岸壁を通じて被災地に供給することができたということは、この生き残った耐震岸壁が本当に被害を減殺をしたというふうに思うわけでございまして、今後も力を入れて頑張ってまいります。

鷲尾委員 今、大臣おっしゃいました、今進捗率は六三%である、平成二十二年度までに七〇%にし、今年度は百六十六億円お金をかけますよと。私は、こういうことにはしっかりとお金をかけて国民の皆さんに安心をしてもらうということが大事だと思います。

 ただ、お金をかけるといっても、これから地震が起こりそうなところですとか、崩れてしまって全然機能しないところですとか、いろいろ基本的な方針といいましょうか、地震が起こりそうなところの岸壁はしっかりと守っていくべきだと思いますし、そういうお金をかけるべきだけれども、そのお金のかけ方として、やはりある程度選別をしていかなきゃ財政も許されないと思うので、そういう点も当局としてぜひとも勘案をしながら、鋭意整備を進めていっていただきたいと思います。

 もう一つ質問があります。この岸壁といいましょうか生活を守る堤防、実はことしの冬、二月に佐渡島の方で高波の被害があって、高波が来るとどうなるかといいますと、海岸線よりもせり出した波を防ぐ離岸堤ですとか、そういう堤防が波が来ると全部崩れてしまうんですね。波が高いと全く機能しなくなってしまうわけです。

 私も現場を見て思ったんですけれども、堤防の伸びている足の部分がところどころ抜け落ちているような状態なんです。ですから、そこから波がどんどん入ってくる状況です。波が高いのでさらにその向こうに離岸堤を置いてあるわけですけれども、その離岸堤のあのテトラポットというブロック、あれも海中に沈んでしまっている。波が物すごいので、それが全然、波が強くて海上にせり出している部分がもう海中に沈んでしまうぐらい力が強いわけですね。

 ですので、こうなってしまいますと、次に波が来たときもう耐えられないわけですよね。すぐにでもやはりそれは復旧しなきゃいけない。一つは、海岸線より奥にある住宅をしっかりと守るためにも必要でしょうし、もう一つは経済的な部分も考えなきゃいけない。要するに、堤防がなきゃそこの中に船を置いておけないわけですよね。船を置いておけないということは漁にも出られないということで、これも経済的な損失を含めて大変なものがある。この生活を守る港や海岸の防災や復旧についても、あわせて今回お伺いしたいなと。

 特に、これは適時に、素早く応急措置していかなきゃいけないということも考えますと、制度としてどういうものがあって、この先、今例えば問題点があるんだとすればどういうふうに改善していくおつもりなのかということも含めて、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

冬柴国務大臣 今委員がお話しになりました北陸地方のすごい高波、高潮。あれは北海道の利尻の方で吹き寄せられたものが、あの長い距離を渡ってどんどん増幅されて、そしてあそこへ打ち寄せた、寄り回り波と呼ぶらしいのですけれども、そういう非常に希有な自然現象で大変な災害を引き起こしてしまいました。

 私どもも、港湾というものは、災害時には緊急物資の輸送、被災者の避難地、支援部隊の基地等さまざまな機能を持つ災害の拠点として機能するということを前提に、どう整備していくかということで考えているところでございますし、また、海岸堤防あるいは護岸などの海岸保全施設は、津波や高潮などの自然災害から市民の生活や財産を守っていくためにはどうあるべきか、こういう観点で整備を進めているところでございます。

 これらの設備は、自然による外力に耐えられるように十分な強度を確保して整備しているところでございますが、先ほどのような寄り回り波となってきますと、これは予測をはるかに超えるような強烈なものであります。したがいまして、そういうような災害が発生した場合には、応急復興を行うとともに、遅滞なく災害復旧事業を実施して、従前の機能を回復するようにしようということに努めているところでございます。

 なお、災害復旧事業につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というような法律等に基づきまして、応急復旧に要した費用を含めて、必要な予算措置を講じております。施設の速やかな復旧を行ってまいりますが、なお現行制度のもとで対処しているところでございますが、今後、こういう希有な自然災害というものに遭遇をいたしますと、こういうものについても改善点があるかどうかということを関係機関とも協議していかなければならない、このように思っているところでございます。

鷲尾委員 大臣、ありがとうございます。

 この件については本当にすぐにでもやらなきゃいけない。すぐにでもやるということになりますと、やはり先立つものがないとどうしてもできないよと。そうなりますと、では、国の制度を利用したいけれども、すぐには利用できないし、実際かけたお金が後でどういうふうに担保されるかもわからない。これが現場の市町村や都道府県の管理者のやはりつらいところでもある。住民のことを考えたらすぐやりたいけれども、なかなか手を出せない。

 この手を出せないという現場の実務上のものを、やはり制度の運用である程度改善していただいて、すぐにでもできるよということをこれからもやっていってほしいですし、その運用がきかないのであれば、やはりある程度法律を改正していかなきゃいけないというふうに思いますので、ぜひとも、応急措置といいましょうか、適時に政府としてもやっていくのだというところを、一言、大臣から御決意を述べていただけたらと思います。

冬柴国務大臣 激甚の災害につきましては特段の配慮をいたしますし、今回の中越沖地震におきましても、過去最速、一カ月以内に激甚災害の指定をすることができました。こういうものも、国土交通省の職員をもう八方からかき集めて、そして、災害による公共施設の破損状況等の評価を短期間にやったということが要因だったと思います。今までだったら次の補正まであれしているわけですけれども、今回は一カ月以内にそういうことができた。

 今後もそういうふうに、被災民の立場に立って、その目線で頑張ってまいらなきゃならないというふうに思っております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 では、続いての質問に移らせていただきたいと思います。

 今回、港湾法の改正ということでございますが、一つ、その港湾を利用するという意味でも、日本でのモーダルシフトという視点が今どうなっているかということについて、少し話を進めていきたいなというふうに思います。

 モーダルシフトという言葉で示される省エネ効果とか、交通渋滞の緩和ですとか、排気ガスの大気汚染の削減ですとか、CO2削減ですとか、少子高齢化の時代における労働力不足の緩和ですとか、交通事故の防止、本当にモーダルシフトを進めていけばいろいろなメリットがありますよという話で、このモーダルシフトを何とか進めていこうという形で政府も施策に取り組んでおられることとは思うんですが、この今の日本におけるモーダルシフトの進捗状況というものをひとつお聞かせ願えませんでしょうか。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 モーダルシフトでございますが、先生よく御存じのとおり、トラックと鉄道と内航海運、この三者のいわゆるトンキロ当たりのCO2排出量を比較してみますと、鉄道ですと七分の一、内航海運ですと四分の一ということで、大変CO2の削減効果が大きいわけでございます。そういった意味では、物流分野での地球温暖化対策ということにつきまして、モーダルシフトは大変有効な手段であると思っております。

 モーダルシフトを推進するための国の視点として、二つほど挙げさせていただけるのではないかと思っております。

 一つは、このモーダルシフトの受け皿になります海運あるいは鉄道の輸送の供給力をちゃんと確保して、さらにはそれを増強していく、これが一点でございます。それから二点目は、そういった輸送モードを荷主の方が積極的に選択していただかなければいけない。この二点がモーダルシフトを推進していくためのポイントであるというふうに考えております。

 まず、インフラをしっかり維持あるいは増強していくという点で申しますと、鉄道につきましては、コンテナ列車をさらに一層長期編成をする、このためには退避線の問題とかございまして、こういったインフラ整備が必要不可欠でございます。これを推進しているところでございます。

 それからもう一点、船の方でございますが、船の場合は、環境に優しい船に代替していくという点で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が船舶の共有建造制度というものを持っておりますが、この中でモーダルシフトにふさわしい船の建造支援を実施しております。

 それからもう一点、荷主様がこのモーダルシフトにふさわしいモードを積極的に選択していくという点では、荷主と物流事業者が共同で行うCO2削減事業、これは実はモーダルシフトに限らないわけでございまして、共同輸配送とか拠点集約といったさまざまな工夫が必要でございますが、モーダルシフトもその一つでございます。

 こういったモーダルシフトを実現していくために、実は、経済産業省、国土交通省、さらには関係する民間の事業団体と一緒になりまして、グリーン物流パートナーシップ会議という組織をつくっております。この枠組みを利用しまして、荷主と物流事業者が共同で行うCO2排出量削減事業に対しまして支援を行っているところでございます。

 今後とも、これらの施策を通じまして、モーダルシフトなどの一層のCO2排出量削減策に取り組んでまいりたいと考えております。

鷲尾委員 政策統括官からお話しいただいて、そのグリーン物流パートナーシップ会議というので、今いろいろな利害関係者を集めてお話し合いをしているという話がわかったのですけれども、例えば、モーダルシフトについて、具体的な目標といいましょうか、現在はこうで将来こうしていくんだ、その目標と現状がどうかというところもひとつお聞かせ願いたいなというふうに思うのですが。一言で結構です。

伊藤政府参考人 我が国は、物流に限らず、CO2削減の計画を、京都議定書の関連の目標達成計画というのをつくっておりますが、この中で、モーダルシフトにつきましても、対象になります貨物が雑貨であって、それから輸送距離が五百キロ以上の距離につきましてモーダルシフトを推進していく、こういうことで数値目標を実は定めてございます。

 これの進捗状況でございますが、基本的には順調に推移をしておるということでございまして、ちょっと数値を申し上げますと、鉄道につきましては、二〇〇〇年を基準としまして三十二億トンキロを二〇一〇年までに増強する、こういうことでございまして、二〇〇六年の数値としましては、今十八億トンキロふえてございます。

 それから内航でございますが、九五年を基準年として、五十四億トンキロを二〇一〇年までにふやしていくということでございますが、今二十五億トンキロ増加しておるということでございます。まだ達成値までは、時間もございますし、達成の数値にはなっておりませんけれども、これからも、先ほど申し上げましたような施策を通じまして、この達成に向けて努力をしてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 昨今、本当に地球温暖化が叫ばれておりますし、聞くところによりますと、いろいろな要因があるのでしょうけれども、EUと比べまして、やはりモーダルシフトは我が国は進んでいないということもございますので、ぜひとも目標を前倒しするぐらいのつもりで鋭意取り組んでいただけたらというふうに思います。

 続きましての質問に移らせていただきたいと思います。

 今回の港湾法の改正によって、事前協議制度の見直しがなされます。ちょっとお聞きしたいのですけれども、事前協議制度を見直した結果、どんな効果があるのか。国、港湾管理者、港湾利用者にとってどういうメリットがあって、手続が簡素化されるということで港湾管理者や利用者のニーズにどういうふうに対応していくことができるのか、具体的なこの制度の効果という面について、政府からお考えをお聞きしたいと思います。

須野原政府参考人 入港料制度の見直しによって上限内での料率の設定変更が事前届け出制になることから、港湾管理者による港湾管理の自主性が向上するものと考えております。また、港湾管理者が料率を引き下げる場合においては国の同意が不要になることから、利用者のニーズにこたえて迅速かつ柔軟な料率設定が行われることになり、利用者にとっても望ましいものと考えております。

鷲尾委員 この入港料の上限とかの設定変更というのが、結局最後は大臣の同意が必要だという話ですが、大臣は設定変更する際には運輸審議会にちゃんと諮るよという話になっているのですけれども、では、この審議会はどういう観点で、例えばその入港料変更の適否を判断するということになるのでしょうか。

須野原政府参考人 運輸審議会におきましては、港湾管理者が設定した入港料率につきまして、当該料率が必要な費用を基礎として適正に算定された料率を超えないものであること、あるいは特定の利用者に対し不平等な扱いを行うものでないこと等につき、中立的、専門的立場から審査がなされているものと承知しているところでございます。

鷲尾委員 わかりました。

 そうしたら、ちょっと時間もありませんので次の質問に移りますが、我が国の港湾の国際競争力ということについて少し、特にコンテナ輸送というものについて、国際競争力が今どういう水準にあるのか、この港湾法の改正によってどういうところが影響を受けてくるのか、国際競争力を高めていくということで、政府は今までどういうふうな施策をとり、これからどうしていきたいのかということについても、この際お聞かせ願いたいと思います。

須野原政府参考人 港湾におきますコンテナ取扱貨物量につきまして、一九九五年と二〇〇五年、十年間の推移を比較しますと、日本におきましては一・六倍に伸びていますけれども、アジア諸国におきましてはそれを上回る三・四倍もの伸びをしております。また、我が国発着の国際海上コンテナ貨物のうち、近隣のアジアの港湾において積みかえられる割合、通常トランシップといいますけれども、その割合は増加してございます。

 この原因としまして、幾つかの複合的な要因が関係していると推測されるわけでございますけれども、一つは、アジア諸国が急激な経済発展を遂げたこと、また、二番目としまして、アジア諸国におけるコンテナターミナルの整備が急速に進んだことに加えまして、アジア諸国と比較して、コンテナ一個当たりの取り扱いコストが高く、船舶の接岸から貨物の搬出が可能となるまでの時間、いわゆるリードタイムと言っていますけれども、それを初めとしますサービス水準が低いこと等が考えられます。

 このため、アジア主要港をしのぐコスト、サービス水準を実現すべく、京浜港、伊勢湾、阪神港におきまして、大水深の高規格コンテナターミナルの早期整備あるいはターミナルの大規模一体運営などのスーパー中枢港湾プロジェクトを進めているところでございます。

鷲尾委員 国際競争力をより高める、内航だけではなくて、内航も当然外航と密接に絡んでいるわけですけれども、今お話があったとおり、アジアよりも伸び率が鈍い、これはやはり、どんどん日本をもっと伸ばしていく、アジアの各国よりも伸ばしていくというつもりでやっていただきたいと思います。

 スーパー中枢港湾、大いに結構だと思いますので、ぜひとも、もう財政が大変だ、財政当局というか、財政上の問題が非常にあると私は思うのですね。今はもう選択と集中して、どんどん集中してやっていかないと日本自体がつぶれていっちゃうのじゃないかという思いがありますので、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きまして、港湾の保安確保という点から質問を進めさせていただきたいと思います。

 改正SOLAS条約を踏まえまして、平成十六年に国際船舶港湾保安法が施行された。施設の保安確保のために必要な措置を的確に国際埠頭施設の管理者は講じなきゃいけないという話になっていますが、この取り組み状況がどうなっているのか、そしてまた国として今後の課題をどのように考えているのかということについてお聞かせ願います。

須野原政府参考人 平成十六年に施行されました国際船舶港湾保安法に基づきまして、平成二十年五月現在、全国百三十港にあります重要国際埠頭施設等におきまして、不審者の侵入を阻止するためのフェンスあるいは監視カメラ等を設置するともに、制限区域内に立ち入る人、車両に対して、警備員による確認等の埠頭保安措置が講じられております。

 国際埠頭施設において発生します保安事案は、船員の不正な出入りが増加する等の傾向が見られることから、引き続き保安体制の強化を図る必要があるほか、現在、コンテナターミナルの出入り管理システムに起因する車両混雑等の問題が発生しているので、保安水準を維持しつつ、物流の効率性を向上させることが今後重要というふうに考えております。

鷲尾委員 恐らく、今回の港湾法の改正は、かなり、サービスという意味での水準を維持しながら、保安という意味でも役立つというふうに私自身も考えているわけですけれども、今局長もおっしゃっていただいたような、保安を確保するためには本当にいろいろな関係者との横の連携も大いに必要になってくると思うんですね。不法在留者の取り締まりですとか、今度はそれこそテロリストをどうするとか、水際でどうしていくかということが、非常に多岐にわたる皆さんと協力しながらじゃないと有効な対策が打てない、これが現状だと思うんです。

 きょうは、内閣官房の福島審議官にもおいでいただいていますので、今の水際での対策の現状をお話しいただいて、今後どういう取り組みをさらにやっていくというふうになっているのかということについてお聞かせいただけたらと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、港湾における水際対策には、港湾管理者、入管、税関、警察、海上保安庁等多様な主体がかかわっていることから、関係機関における連携が重要であると考えております。

 このような観点から、内閣官房におきまして関係省庁を構成員とする水際危機管理チームを設置しておりますほか、枢要な国際港湾六港湾、これは東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門、及び二空港、これは成田と関西国際空港でありますが、ここに危機管理官を配置いたしまして、現場機関を含めた関係省庁間の情報共有や警戒、検査の強化等に当たって、連携の確認等、横の連携を図ってきたところでございます。

 また、これら以外の国際港湾、空港につきましても、当該港湾等を管轄する都道府県警察または海上保安庁の職員を危機管理担当官として指名し、現場、各機関相互の連携を強化しているところでございます。

 今後とも、テロ対策を初めとする各種水際対策を推進するため、関係機関の緊密な連携の確保に一層努力してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 こういう水際危機管理チームの皆さんの、これは最終的には人だと私は思いますので、高い意識と、本当に水際を自分たちが守るんだという高い志で、ぜひとも皆さんに取り組んでいただきたい。そうすれば、横の連携もすぐできるんじゃないかなと。チームがあっても人が連携していなかったら、結局、器があっても連携がならずということになりますので、そういう観点からも、ぜひとも努力をしていっていただきたいと思います。

 続きまして、埠頭出入り管理システムについて少し話を聞きたいなというふうに思っているんですが、このシステムについては、港湾管理者じゃなく国が設置を行うということにしているんですけれども、この理由は何なんでしょうか。

須野原政府参考人 港湾におきます国際競争力の確保が喫緊の課題である中、国際コンテナターミナルの混雑の緩和や世界水準の保安性の確保を早急に図ることが全国的な課題でございます。

 地域ブロックを越えて各地の港湾に出入りする例えばトラック運転手の利便性を確保するため、全国共通のシステムとする必要があること、また、これらの状況を踏まえて、システムの根幹となる中央サーバー及びリーダーについて国が基盤整備を行うものです。

 なお、国がシステムの基準等のみを決め、その構築等を港湾管理者や公社ターミナルの借り受け者らに任せた場合、短期間でのシステム構築が困難になると考えております。

鷲尾委員 実際、これを設置する費用というのはどの程度になって、具体的にどんなところにこのシステムの設置を予定しているのか、その規模もお聞かせいただきたいと思うんですが。

須野原政府参考人 埠頭出入り管理システムにつきましては、六十五港湾、百二十一ターミナルについて導入を予定しております。また、システムの根幹となる中央サーバー及びリーダーを国が整備することとしておりまして、このような前提で総事業費を試算しますと約二十億円となります。

 埠頭出入り管理システムの設置及び管理に係る分担関係については、根幹となる中央サーバー及びリーダーについては国が基盤整備を行って、管理運営に関する費用については便益を受けるコンテナターミナルの管理者に負担していただくことを基本と考えております。

鷲尾委員 この設置に関する費用というのは、港湾管理者も含めて一部負担するということになっているんでしたか。

須野原政府参考人 設置につきましては国が整備しまして、港湾管理者には、コンテナターミナルの管理者として、管理運営にかかる費用を使用料として負担していただくというふうに考えております。

鷲尾委員 了解いたしました。

 このシステムなんですけれども、当然、システムですから完璧なものはないんじゃないか、いろいろと、故障を含めてもしかしたら起こるかもしれない。そうなったときには、これは国家としてももしかしたら大変危険な事態になり得ることですので、この危機管理対策をどういうふうに考えているかということをお聞きしたいと思います。

須野原政府参考人 埠頭出入り管理システムは、一つは共通カードを読み取るリーダー、二つ目としてリーダーから入力された個人識別情報を照合する電子計算機、三つ目としてリーダーと中央サーバーをつなぐ電気通信回線から構成されまして、既に汎用化された信頼性の高い技術を活用することを考えております。

 システムのメンテナンスにつきましては、できる限り故障しないよう的確な保守点検を実施するとともに、充実した修理体制を組むことといたします。さらに、システム全体への影響の大きい中央サーバーの万一のトラブルの発生を想定しまして、バックアップシステムをあらかじめ整備して速やかに切りかえられるようにするなど、安定した運用に必要な危機管理対策を講じてまいりたいと思っています。

鷲尾委員 システム自体がそんなに難しいシステムではないということは、私も想像するのにかたくないのでありますが、油断大敵でございますので、導入に当たっては緻密に、厳格に、しっかりと導入していただけたらと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

西銘委員長代理 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤です。

 大臣、連日お疲れさまでございます。きょうは、大臣には二、三しかお聞きをしませんから、ゆっくりお聞きください。

 まず、今まで私も、港湾行政について、正直言って、なかなか難しい点があって、よく理解できなかった点があったんですが、幾つかの非常にベーシックな点をちょっとお尋ねしたいので、冒頭、局長に御答弁をお願いしたいんです。

 まず、戦前は港湾行政というのは国が国営でやられた、戦後から地方自治体が基本的にやられるというふうに仕組みが変わってまいりました。ただし、そんな中でも、税投入という意味では、かなりの金額を港湾整備という部分に今まで投入してまいりました。

 二月二十一日に道路の問題で福田総理に御質問したときには、昭和二十四年から平成十九年まで十兆円を上回る税投入を港湾整備にやられているというお答えをいただいています。また、最近の数字を見ると、平成十五年には五千億近い税投入をし、最近ではそれが一千億くらい減少して四千億程度になっているんですが、局長、なぜ港湾整備に税投入をする必要があるのかどうかという一番ベーシックな質問で恐縮ですが、まずお答えをいただきたいと思います。

須野原政府参考人 委員御承知のとおり、我が国は貿易立国でございまして、輸出入貨物の九九・七%は港湾を経由して運ばれてございます。こうした中、我が国の活力の源泉である産業の国際競争力を支えるとともに、国民の生活物資の安価かつ安定的な輸送を支える国際、国内交通ネットワークの提供は国の根幹的な責務と考えております。

 こういった責務を果たすため、税金を用いて我が国の港湾整備を進めていくことが必要でございます。

後藤(斎)委員 それであれば、局長、実際、一般会計を投入しているにもかかわらず、昭和三十六年から特別会計で港湾整備の重立った会計の処理をなされている理由は何でしょうか。

須野原政府参考人 特別会計に一般会計から繰り入れることによって、使用を明確化しているということでございます。

後藤(斎)委員 使用の明確化ということだと、基本的に運営管理は地方自治体がしている。それでは、国が関与をする理由というのは何でしょうか。

須野原政府参考人 先ほど申しましたように、我が国は貿易立国として輸出入の大半を港湾から、さらに、国際物流、国内物流をきちっと提供するというのは国の仕事というふうに認識しているところでございます。

後藤(斎)委員 局長、そうではなくて、もともと特別会計が基本的に現行でも存在するというのは、道路のときにも繰り返し大臣も御発言をいただいているように、受益と負担の関係がある意味では明白になっていなければいけない。そういう部分での特別会計の処理の方が、費用対効果も含めてより明確であるということの方が存在が明確になるというふうに私自身は思うんですが、その点についていかがでしょうか。

須野原政府参考人 港湾の整備に当たりまして透明性ある投資効果を行うということから、委員の御指摘にもありましたように、港湾の整備と目的をはっきりした上で特別会計で管理しているものでございます。

後藤(斎)委員 それでは、少し数字についてお尋ねをしたいんですが、戦後、国が関与をしながらも、原則的には地方自治体がメーンで管理をしていく手法に変わってから、トータルとして、税投入をして、そのうち国費をどのくらい入れたかというのを、簡潔で結構ですからお答えいただけますか。

須野原政府参考人 戦後の港湾整備につきましては、昭和三十六年度の第一次港湾整備五カ年計画以降、本格的に実施されています。

 その中で、昭和三十六年度から平成二十年度までの四十八年間の港湾整備事業費は、総額で約二十兆六千億となっております。また、このうち国費につきましては約十一兆五千億円でございます。

後藤(斎)委員 後ほどもうちょっと集中的にお聞きをしますが、先ほど来同僚議員からもお話があったように、ある意味では、日本の港湾のコスト増ということも含めて、国際競争力がなくなっているというふうに言われて久しい部分があります。

 それでは、過去十年間の港湾整備の予算の推移とあわせて、局長、三年前の港湾法の改正のときから、先ほど来もお話がありますように、スーパー中枢港湾として六港ですか、港を指定して、そこでは、釜山や上海やシンガポール港よりも港湾コストも削減をしサービスも充実をする、予算を要するに選択と集中するというふうに決められましたが、過去十年間の推移の中で、それでは、スーパー中枢港湾も含めた重要港ということでも結構ですけれども、全体の予算の推移と、そのうち国際競争力を強化するという予算にどのように使われてきたかということをあわせて御答弁をいただけますか。

須野原政府参考人 過去十年でございますから、平成十年度の港湾整備事業予算は、当初予算と補正予算を合わせて事業費ベースで九千七百七十六億円となっております。平成十年度以降、港湾整備事業予算は毎年減少しておりまして、本年度、平成二十年度の港湾整備事業予算は、当初予算で事業費ベースで三千九百二十六億円と、平成十年度予算額の約四〇%でございます。

 その中で、スーパー中枢港湾ということでございますけれども、スーパー中枢港湾につきましては、平成十六年度にスーパー中枢港湾として、京浜港、伊勢湾、阪神港を指定しまして、当該港湾への投資の重点化を図っております。

 具体的には、スーパー中枢港湾六港の平成十五年度当初予算額の合計は八百二十五億円で、港湾整備事業費全体の約一六%でございましたけれども、平成二十年度では一千七十億円で、港湾整備事業費全体の約二七%とその割合を増大させています。

 今後とも、選択と集中によりまして予算の重点化を図り、国際競争力の強化等の課題に的確に対応してまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 冒頭に港湾の大切さというのを局長が御答弁していただいたとおりだと思うんですが、この十年間で、ほかの公共事業の予算と比べるとどうかというのもあると思うんですが、三分の一に低下せざるを得なかったという理由は、一番のメーンは何でしょうか。

須野原政府参考人 全体の予算の中での港湾整備も含めた削減の中で、現在削減されているというふうに考えておりますけれども。

後藤(斎)委員 大臣、ちょっと聞いておいてもらいたいんですが、もちろん、大臣も、今までも道路も必要だということで、道路なんかは明確に中期計画をつくって五年ごとに今まで対応してきて、今は十年の長期計画があるわけですよね。港湾整備も、ある意味では、私は過去の歴史を見させていただいた中で、やはり確かに戦後の日本が経済復興した歴史というのは、港湾整備をし、隣接したところに臨海工業地帯をつくり、できるだけ距離的にも短い中で加工をし製品として輸出し経済成長をした、これは私は非常に正しかったと思うんです。

 ただ、それ以降、ある意味では、選択と集中ではなくて、全国では漁港を除いて約千あるというふうに言われている港を、やはり予算を、それぞれの地域の政治的な力なのかどうかは別としても、一律にやらざるを得なかったというふうなところがあって、この十年間、この五年が特にですけれども、韓国やシンガポールや中国のように押しなべて港湾整備をするのではなくて、予算を集中して国が税を投入する、上物をというか運営管理を民間に近い部分がして、できるだけいいサービスを安いコストでするという部分でやはり立ちおくれてきたという歴史はあると思うんです。

 今回の法律の改正も、確かに、防災について大臣もみずから対応が直轄でできるようにするであるとか、重要港についてはその出入りについて円滑な管理をする、これ自体は私は全然異を唱えるものでもありませんし、ある意味では、どなたかもおっしゃっていましたけれども、遅きに失したという感じはあると思うんです。

 ですから、トータルとして、これからの港湾行政というものが、ある意味ではハード部分だけの整備をしてもだめであって、ソフトの部分と一体化をして、日本の港はスーパー中枢港湾も含めてすごいなというふうにこれからも含めて思い続けていただかないと、これからちょっと中身に入りますけれども、国民の皆さんから見て、四十八年間で全体で二十兆円、国費投入だけでも十一兆円使ってきた、予算の執行をしたということがやはり評価をされない部分があるのではないかなと私は思うんです。全部ではありません。

 この間の海上運送法のときにも大臣にも御質問申し上げましたけれども、やはり物流というのは、特に国際物流、海上物流なんというのは、直接私たちが消費者として、例えば中小企業の地方にいる経営者の方も、もちろん製品価格で反映はしますけれども、そういう製品価格とか食料品や製品の価格がどれだけ低減をするかどうかというところが明確に見えにくい部分、何で十一兆円も国費投入したのかな、トータルで二十兆円の予算を投入して、港湾整備、要するにハードの仕組みだけつくったのかなというふうに、普通の方であれば、そういう評価をする方がたくさんいらっしゃると思うんです。逆に私は大切だと思うんです。これからもアジアの主要の港に伍して、それ以上のサービスも含めてやっていくというのが、大臣もこの委員会でも繰り返し御答弁になっているように、では将来の港湾行政というのはどうあるべきかというのがなかなか見えにくいんです。

 ですから、国際競争力を高めようとか、ICタグを使って出入りをしやすいようにするとかいうのはパーツとしては正しいと思うんですが、トータルとして、これは最後の部分ではないんですが、今税投入をこれだけしてきた、それをどういうふうに国民の皆さん方に評価をしていただくかということについては、大臣はどのようにお考えになられますか。

冬柴国務大臣 戦後、やはり港湾管理者を地方自治体に全部ゆだねたというところで、私は、それぞれに地域で港湾が必要だということで、ついに八百八十八、大変な数の港湾が日本にできてしまったんではないかと素人考えで思います。今、反省で、それを統廃合していこうという流れがあります。

 その中で、選択と集中でスーパー中枢港湾というものをつくって、近隣のアジアの港とまさるとも劣らないようなものをしよう、こういう壮大なことをやっているわけで、それは必ず実現しなきゃならないと思います。

 しかしながら、我が国に運び込まれる貨物の九九・七%は外航海運ですけれども、それ以外に、運ばれる貨物の四〇%、特に基礎資材その他は八〇%まで、エネルギーもそうですが、内航海運が運んでくれております。

 スーパー中枢港湾というのはやはり外向きでございますので、その外と内航とをネットワークをきちっと組んで、そしてそれをするようなことが必要であろうと私は思います。

 内陸の生産、消費地との輸送を円滑化するために、船だけではなしに鉄道輸送との連携強化も必要でしょうし、そのような有機的なものをスーパー中枢港湾を中心に展開していく、こういうことが必要であるというふうに私は思っております。

後藤(斎)委員 局長、もう一回戻って、では、なぜ日本の港は国際競争力が低下をしたんでしょうか。端的で結構ですから、お答えください。

須野原政府参考人 幾つか理由がございますけれども、先ほども申しましたように、全体のコストが高かった点、あるいはリードタイム、取り扱い等の時間がかかった点等があって国際競争力が下がってきたというふうに思います。

後藤(斎)委員 では逆に、国際競争力を増し、国民経済にプラスになるためには何が必要なんでしょうか。

須野原政府参考人 先ほどから申しますように、まず一つはいろいろな手続の一元化、簡素化、さらには、コストを削減するためにいろいろな施策をとっていくということによって国際競争力を高める、さらに、先ほど大臣から申し上げましたスーパー中枢港湾といった拠点的な港湾につきまして、集中的に投資をして高めていくというふうに考えております。

後藤(斎)委員 局長、先ほどもトータルとしてお尋ねをしたんですが、港湾行政というのは、ハードだけではなくて、局長もちょっと触れていただいたソフトの面、特に荷役の二十四時間とかいうものも今もうスタートしているわけですね。

 きょうは税関の方にも来ていただいていますが、税関の方の二十四時間体制がおくれたというふうにも一時期言われていました。これも今積極的に、創意工夫で荷役の部分とタイアップして、できるだけ早く通関サービスをするというふうなことにしてきているというお話を聞いています。

 財務省、今、荷役の部分で、スーパー中枢港湾では特に二十四時間体制で荷役をする、それとタイアップというか、一時期税関の方の通関業務が二十四時間でなくて、特に土日の部分で通関手続がおくれて、荷主さんから見ると、すぐ欲しいものが入らないとかコスト増になったとかいう話があるんですが、税関業務の二十四時間化について、現状と今後の方針について、簡潔で結構ですから、お答えをいただけますか。

塚越政府参考人 税関におきましては、これまで、主要な空港や港湾で夜間、休日等にかかわる常駐体制を整備するなど、通関需要に対応した体制を整備してきたほか、臨時開庁手数料を順次引き下げるなどの取り組みを行ってきたところでございます。

 近年、企業の国際競争力が激化する中で、輸出入貨物のリードタイムの短縮の要請が一層高まっておりまして、港湾の深夜、早朝利用等の推進が重要な課題とされているところでございます。

 このため、平成二十年度関税法改正におきまして、臨時開庁手数料を全面的に廃止するとともに、職員の常駐時間帯については申請手続を廃止するなどの見直しを行い、本年四月一日より実施しているところでございます。

 税関といたしましては、このような形で港湾の夜間、休日などの利用を推進するほか、貿易手続などの改革や港湾の情報処理システムの改革につきまして、関係省庁と連携し、民間利用者の視点に立った利便性の高い制度、システムを構築するなど、国際競争力強化のために諸施策を進めてまいる所存でございます。

後藤(斎)委員 参事官、そういう方向性はお聞きはしているんですが、実際、東京湾以外にニーズが非常に少ないというのは事実でしょうか。

塚越政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、税関としましては、順次、通関需要に合わせて常駐体制を整備しているところでございます。

 そういった中にありまして、空港につきましては、主要港については既に三百六十五日二十四時間体制をしいております。また、東京港につきましても、三百六十五日二十四時間体制でございます。

 そのほか、横浜、神戸、大阪、名古屋、そして博多港につきましては、平日は二十一時まで、さらに、土曜日、日曜日、休日につきましても十七時まで港をあけて常駐体制をしいているところでございます。

後藤(斎)委員 参事官、もう一点ちょっとお尋ねをしたいんですが、このニーズの把握というのは、どのように例えば税関ないし参事官の方に要望があって、どういう判断基準で、二十四時間じゃなくても、例えば時間帯を早朝であるとか深夜であるとかあると思うんですけれども、どういう形でその受け入れ体制というか、税関の職員の方をそこに置くという体制づくりができるんでしょうか。判断基準について教えてください。

塚越政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、実際の通関需要ということは統計的に把握しております。また、数年おきに、コンテナヤード等、全国において、私どもとしましては、所要時間調査といったような形で把握しているところでございます。

 それを踏まえました上で、さらに各港湾の管理者及びその地域の取り組み体制等を考慮いたしまして、将来需要が見込めるといったような港については、私どもの体制を整備させていただいているところでございます。

後藤(斎)委員 参事官、これは要望なんですが、確かに、管理者の方もある程度はおわかりになっているのかもしれませんが、一番必要なのは、例えば輸入であれば、輸入をして、それを自分の工場で組み立てをするなり最終製品にするなりし、輸出であれば、通関業務を経て、できるだけ早くそれを輸出する。ですから、最終ユーザーというか、メーカーであるとか、それは個人なのかもしれませんけれども、そういうところの需要調査というのが一番本当は必要なんじゃないですか。

 そこの点については、今後取り組むおつもりなのかどうか、もし今現状をお答えできるんだったら、お答えいただけますか。

塚越政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしましては、先ほどちょっと触れましたが、通関手続、貿易手続の制度自体の改革も進めているところでございます。

 二十年度税制改革におきましては、いわゆるAEO制度、オーソライズド・エコノミック・オペレーターという形で、輸出者、輸入者に加えまして、倉庫業者、さらには通関業者や荷役業者、フレーター、キャリアといったサプライチェーン全体にかかわる参加者を取り込んで、さらに貿易のセキュリティーとファシリテーションを促進させていただいているところでございます。

 こういったような取り組みの中で、実際の港湾等の需要者の方々からも意見を聞きながら、制度の改革に今後とも取り組んでいきたいと考えているところでございます。

    〔西銘委員長代理退席、河本委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 そんな中で、先ほど松島副大臣もお話をされたように、関税法が改正された中、できるだけやはり緊密に、ソフトの面でどういうサービスを提供していくかということがこれからの港湾行政全体の中で非常に大切になってくると思いますので、その点については、ぜひ、連携を深めながらきちっとした対応をできるようによろしくお願いをしたいと思います。

 先ほど局長が、国際競争力が低下をした理由について幾つかお話をいただきました。いろいろな資料を拝見させていただく中で、それだけだとやはりだめであって、要するにハード面の整備というのは、先ほども森本議員もお話をされたように、いろいろな国は、日本以上に、例えば港に対して税投入ができるという財政的な前提があるということで、シンガポールにしても上海にしても釜山にしても、いまだなおかつ、大量に、できるだけコストを安く、要するに、荷役コストも含めて港湾コストを下げていくという努力はしているわけですね。

 以前、昨年の五月に、立命館大学の高先生がまとめた、日本におけるコンテナ港の国際競争力に関する考察というふうな資料を拝見させていただきました。その中で先生が幾つか指摘をしているんですが、私がああそうかなと思ったのは、今もお話や御指摘をしたように、例えば、幾らハード面のことをやってもなかなか難しくて、低いコストでということは当然あるんですが、やはり日本の経済全体が以前のようにアジアの中で力を持つことができるかどうか、裏返しの議論でもあるんですが、そのときに、例えばスーパー中枢港湾と遠く離れている地方の港は、むしろ釜山の方に行った方が低コストで、陸上運賃を考えると低コストであるといえば、実際そちらの方に行ってしまう。

 私は、スーパー中枢港湾で六港を指定したのになぜ九州が入っていないのかということと、日本海がなぜ入っていないのかというのを非常に不思議に思ったんです。

 これからアジアの時代だといって、中国に一番近いのは多分日本海側の、どこかというのは私はよくわからないんですが、どこかだと思うんです。あわせて、韓国や中国の南の方であれば、例えば博多港であるとか北九州であるとか、要するに九州です。これからアジアの連携というのを政府全体でも、ある意味での経済協定、連携協定も含めて対応していくような時代になる、もうならざるを得ないということですね。

 そういうときに、六港だけをスーパー中枢港湾に指定したというのは、大臣、やはり三年前の部分ではそうかなと私は思うんですが、今、平成二十年になったときに、九州についても日本海の方にしても、やはりその部分については機動的に見直しをし、確かに予算はこの十年間で三分の一になったかもしれませんが、それをきちっとした指定をしながら、同等に、選択と集中ということはわかるんですが、やはり陸上運賃を考えれば、一つくらい日本海にあった方がいいに決まっているでしょうし、九州の方にあった方がいいに決まっていると思うんです。

 その点を含めて、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

    〔河本委員長代理退席、西銘委員長代理着席〕

須野原政府参考人 委員おっしゃるとおり、近年、全国各地域の臨海部において企業が立地しまして、中国、韓国等アジア地域との直接貿易が増加しております。そのため、地域の近隣に位置する企業が、陸上輸送コストの削減でありますとかCO2排出量削減等の観点から、各地の港湾等を通じてアジア地域との直接貿易を行うことは大変重要だと思っております。

 そのため、これらの企業の経済活動を支えて、我が国地域の活性化を図るために、地域の港湾とアジア地域の直接的な物流ネットワークの強化については取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、スーパー中枢港湾ということでございますので、基幹航路の寄港を前提として所要の施設を整備するために、ターミナルにおきましてコンテナ貨物を相当量扱うということから、今回の三地域においての指定をしているところでございます。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 大臣、ちょっと質問時間がなくなってきましたので、最後にまとめてお聞きをしますが、先ほどの税の負担もそうなんですが、要するに、受益者はだれかというときに、国民全体がプラスになるということで今まで税投入をしていたというこの事実、これからも維持管理も含めて、ある意味での税投入というのはやむを得ないという部分はあると思うんです。それをやはり国民の皆さん方にもう少しわかりやすく、例えば白書も含めてだと思うんですけれども、説明をしていただきたいというのが一点要望です。

 あわせて、スーパー中枢港湾も平成二十二年度ですよね。ですから、あと二年で港湾のコストを二割弱下げなければいけないという前提の中で、確かに、では二年間はよしとしても、その後のポストスーパー中枢港湾ということをもう当然議論なさっていると思うんですが、そのときに、ハードの競争だけではなくて、よく言われていることですが、日本の港に来て得したな、よかったなということが、プラスアルファの付加価値としてあるというようなことも含めて、そのビジョンというものを私はどうしても策定していただきたいんです。

 その点について大臣の御決意とお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

冬柴国務大臣 従来、我が国の港に入港するためには、行政縦割りで、たくさんの書類を日本語と英語とで出さなきゃならないというのは大変不評でしたし、そしてまた、沖待ちというようなことまでさせられるということで、実際問題、人気が悪かったんですね。

 そういう意味で、ハードとソフト、ワンストップサービスで、すべてのものを一つの窓口で処理をする、こういうことで、この費用を下げる。釜山とか上海に比べて三割まで下げる。また、沖待ち、そんなことなしに、シンガポールのように一日で入出港ができるというようなことになれば、日本もこれは相当競争できるということで、まさるとも劣らない港をつくろうということで始めたのがスーパー中枢港湾、それに向かって頑張っているところでございます。

 しかし、今おっしゃいますように、私はこの間、岡山で日中韓物流大臣会合というものを主催いたしました。そこで、やはり東アジアがGDPの二〇%を稼ぎ出している、貿易量の一六%をここで動かしている、そういう地域にある、この北東アジアの中枢国である日中韓が物流というもので連携していこうじゃないか、シームレスに動かせるようにしようじゃないかというようなことで、これからそれぞれに頑張っていこうということを、個々具体的な政策もつくったんですけれども、そういう方向性を考えますと、スーパー中枢港湾ができ上がった後の政策も見えてくるのではないかと思います。

 今後、海洋国家日本でございますので、これに恥じないように頑張ってまいる所存でございます。

後藤(斎)委員 以上であります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 港湾法改正案には、国際コンテナターミナルへの出入りについて、全国共通のICカードと生体認証により本人確認を自動化するための措置が盛り込まれています。省の説明では、全国共通ICカードと生体認証の導入で、渋滞の解消とドライバーの利便性向上、なりすまし防止を図り、制限区域への人の出入りを確実かつ円滑に管理するとしています。

 そこで、出入りの確認に時間がかかり渋滞が発生していると言うけれども、それはどういう実態なのかという点の説明を求めたいと思います。

須野原政府参考人 各コンテナターミナルにおきましては、ターミナルの管理者が出入り許可証の提示や本人への質問によるトラック運転手の本人確認に一定の時間を要しているので、ターミナルゲート付近の車両渋滞の一因となっております。

穀田委員 一因は、それはそうやろうけれども、出入りに時間がかかり渋滞が発生しているというのは、どんな渋滞の実態になっているんやと聞いているわけですやんか。

 私は、聞いてみると、本人確認より貨物の受け取りに時間がかかることが問題だという現場の声があることも聞いております。だから、東京などでは、港の中、内部が狭いために、積み荷待ちの車両が入り切れず、一般道まで並び、渋滞になっている。車両の流れやスペースをどう確保するのかという点の改善が必要と違うのかと思っているわけです。

 もう一遍お聞きするけれども、渋滞で大体どのぐらいの時間がかかっているのかということを言っていただくのとあわせて、そういう点はどうかということを質問していますので、よく答えてくださいね。

 それからまた、貨物受け取りの伝票処理を手作業で行うために時間がかかると。例えば名古屋港のように、各ターミナル共通のコンピューターシステムを導入し、手続が自動化されれば、ずっとスピードアップになる。共通カードをつくるんだったら、貨物の搬入搬出のために必要な情報も自動的にゲートで処理できるようにしてほしいという声もある。したがって、こうした点も改善しないと、出入り管理の電子化だけでは渋滞解消はできないのと違うか。

 その二つについてちょっとお答えいただけますか。

竹本委員長 港湾局長、少し詳しくお願いします。

須野原政府参考人 渋滞につきましては、もちろん港によって大分違いますけれども、港によっては一時間ぐらい、あるいは一時間強待たせる港もございます。

 そういう中で、今回、出入り管理のためのシステムを導入するわけでございますけれども、それによりまして、ゲートにおきます手続のための時間は相当短縮できるということで考えています。それによって、ゲートで待っていますトラックが一般道等をふさぐ形によって渋滞が起きるということは大幅に改善できるというふうに思っているところでございます。

穀田委員 それは短縮の方は、まあええわ。

 一時間ぐらいかかるというのが現実にある。これは重大な事実です、大臣。だって、何でこんなことを言いたいかというと、前、皆さん、高速自動車道のインターチェンジと港をつないで十分にするんだ、こう言ったわけですよね。十分に縮めるのに何百億とかかるねんけど、一方じゃ、港の出入りで一時間かかっているという事実があるということを私は勉強した、これは大変やなというふうに思ったということです。

 もう一つ、今言うたのは、出入り管理の電子化だけでは渋滞解消はでけへんのと違うかと言ったわけです。それは改善が必要ではないかと。つまり、港の中での車両の流れのスペースの問題や、貨物の受け取りのそういう処理のシステムだとか、そういったところも必要でしょうと言っているわけです。そこはいかがかと。

須野原政府参考人 全体の情報を、先ほども、シングルウインドー化をやる中で、必要な手続につきましても取り組んで、手続についてもスムーズにやるようにというふうに考えております。

 この十月からNACCS等の一体となりましたシングルウインドー化も進みますので、それの中でも、貨物につきましても手続を簡素化することによって扱いをスムーズに進めたいというふうに考えております。

穀田委員 私が言いたいのは、一つのことを考えて電子化ということで、これができればできるんだというふうに言うのは、ちょっと大丈夫かという気がするんですよ。

 そういうもののもろもろの実情というのは、どこに焦点があるかというと、やはり現場に声があるんですね。その点はよく大臣おっしゃっているわけだし、私は、それはやり方の問題でいうと、率直に言って本人確認よりも受け取りに時間がかかるということが問題だという発言がある点は、そう言うと、担当者の皆さんは、それは本人確認をきちっとしてもらわなきゃ困りますというようなことを言うわけですけれども、それをあかんとは言っていないんだけれども、それらも含めて現場の声をよく聞いて対応してほしいということです。

 それともう一つ。たんたんたんと行きますから、じゃ、まとめてお答えいただきたいと思うんですけれども、電子化にかかる費用について、どの程度見込んでいて、埠頭管理者や利用者の負担はどの程度になるのか。

須野原政府参考人 出入り管理電子化にかかる費用の関係でございますけれども、埠頭出入り管理システムにつきましては、重要港湾であってコンテナを取り扱う六十五港湾、百二十一ターミナルについて導入を予定しております。また、システムの根幹となります中央サーバー及びリーダーを国が整備することにしておりまして、このような前提で総事業費を試算すると、約二十億円となります。

 その中で、重要国際埠頭管理者やシステムの利用者にかかる使用料金は、現在、埠頭出入り管理システムの全体設計とともに検討中でございます。

 費用負担の基本的な考え方としては、埠頭出入り管理システムの根幹となります中央サーバー及びリーダーにつきましては、国が基盤整備を行いまして、その管理運営費用については、便益を受けるコンテナターミナルの管理者に使用料として御負担していただくことを考えております。

穀田委員 だから、その仕組みと全体の費用はわかったけれども、問題は、管理者や利用者の負担はどの程度になるのか。

須野原政府参考人 使用料の水準につきましては、今後、国とターミナルの管理者より構成されます協議会を設置しまして調整を図ってまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 それで、要するに、便益はそれで受けるわけだけれども、そのことによって負担が今までよりも高うなったら困るわけじゃないですか。そこはどないやということを暗に言っているわけやから、ちょっとそこを簡単に言ってほしいんやな。

 それで、言ってほしいついでに言うと、それともう一つ、ICカードですよね。情報管理について聞きたいと思うんですね。カードにはどんな情報が盛り込まれるのかということと、カードを持つ労働者はその内容をチェックできるのかということも含めて、あわせてお答えください。

須野原政府参考人 共通カードに盛り込まれる情報についてでございますけれども、共通カードの表面上には、顔写真のほか、氏名、所属を表示、掲載することとしまして、共通カード内に搭載されますICチップにはID番号を入れることを考えております。

 また、共通カードを所有します方は、個人情報保護に関する法令に基づく開示請求により、その内容情報について確認することができます。

穀田委員 あわせてと言ったのに。本当に困るな。

 要するに、もし、皆さん、負担がどの程度になるかわからないということだったら、実際に導入ができるかどうかもわからないじゃないですか。だから、費用が高くなれば、中小企業や零細業者や地方自治体は負担できへんじゃないですか。そこはどないやということで、後半はこれ、あわせて言ってくれと。だから、前の方をすぐ忘れんと答えてほしいんやけれどもな。

須野原政府参考人 先ほども申しましたけれども、使用料の水準につきましては、いずれにしても、利用者等の御意見を聞きながら決めていくことになりますので、今後構成されます協議会等の中で調整を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。

穀田委員 だから、言っているのは、協議会の調整はわかっているんだけれども、要するに、今の取り組みの中で安くなるのか安くならぬのか。それが肝心じゃないですか。だって、協議会をやったって、高うなったらそれはあかんと言うに決まっているじゃないですか。そういうシステムをつくるんだけれども、こういうことで全体の、今の経過からすれば、安くなるんでしょう。そう言ってくださいよ。

須野原政府参考人 現在の実態を踏まえまして、極力低減するように努めてまいりたいと思います。

穀田委員 ちゃんとやっていただいて、先ほどの情報の問題については、適正な管理と保護を求めたいと思います。

 最後に、明石海峡衝突事故について聞きたいと思うんですね。三月五日、明石海峡で起きた、ゴールドリーダー、第五栄政丸、オーシャンフェニックスの衝突事故についてです。

 ふくそうする海域での事故として黙過できないことであると私は考えます。航行安全対策、事故再発防止対策が必要と私は考えているんです。どのような対応を今されているか、事故を未然に防止できなかった国としての責任をどのように議論しようとしているのか、お尋ねしたいと思います。

岩崎政府参考人 事故の再発防止でございますけれども、まず一つは、やはり、船の見張りが必ずしも十分でなかった、見張りが不十分だったというのが一つございます。

 それから、この海域は、先生も御案内のとおり、大阪湾の海上交通センターというところで船の動静を監視していたわけですけれども、それに対して、私どもが船側に呼びかけたけれども、十分答えがなかったというのが二つでございます。

 それから、ここは明石海峡でございますので、航路に指定しまして交通方法を決めておりますけれども、ちょうどその航路の入り口でございましたので、そこの船の動き方について少々問題がなかったかというのを検証しております。

 とりあえず、事故が起こりました直後に、私どもの第五管区海上保安本部の担当部長から、こうしたことについて緊急に、見張りをちゃんとすること、あるいは、私どもの海上交通センターからの呼びかけをちゃんと聴守することといった対応を通達したところでございます。

 本格的な対応につきましては、今、本省、中央レベル、それから地方レベルで、私どもなり関係の機関が集まりまして、対応策を勉強しているところでございます。そうしたものがまとまり次第、政策に反映していきたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 お聞きすると、明石海峡衝突沈没海難にかかる安全対策検討会というのと、それから明石海峡航路東口における航行安全対策検討懇談会というのをやり出しているということですわな。そこを言ってほしかったんですけれども。

 そこで、今回の事故で漁業被害は甚大ですから、大臣に聞きます。

 五月十八日、明石海峡のそういう油被害抗議の漁業者の集会が開催されて、事故被害の発生源の除去を含む油どめ対策ということが一つと、もう一つは、特定航路の事故対策としての基金創設の決議を採択しています。私は、この要求については当然だと思うんですね。

 この漁業被害を考える根本に、漁業者に落ち度はあるのか、責任はあるのかということだと思うんですね。それについて御意見をお聞きしたいのと、私は、国としても漁業被害への最大限の努力で対応すべきじゃないのかと。根本的な考え方、哲学をちょっと聞いておきたいと思います。

冬柴国務大臣 漁業者には全く責任はありません。

 これは、二重衝突によって、最後にぶつけられた船が沈んでしまったという事故で、この帰責事由につきましてはまだはっきりしておりませんけれども、先ほど長官が言いましたように、大変困難な場所で起こった海難事故であるというふうに認識はいたしております。

 ただ、その沈んだ船から油が漏れ出しているんですね。これは、いわゆるタンカー、油送船ではないわけでございまして、普通の船が推進のために使う燃料がタンクから恐らく漏れているんだろうと思うんですね。そういう場合に、こういうものをどうするかということについての国際的な取り決めがないということがまず一つです。

 タンカーとかそういうものについては、これがもし沈んだ場合には、流出する油が大量でありますし、損害が非常に大きくなることが予想されますから、こういうものについては国際的な取り決めというものがあるんですけれども、無数に走り回っている船舶というものの持っている、蓄えている油が漏れ出した場合について補償をどうするのかという国際取り決めがないということ。

 それから、海は航行自由ですから、どこの船が入ってくるかわからないというようなこともあって、日本の国だけでするわけにはいかない。

 そういうことを考えますと、非常に冷たい結論ですよ。ですけれども、これはやはり、加害者と被害者の、民法七百九条、損害賠償の話になってくる、要するに司法で解決せざるを得ないというところにあると思います。

 ただ、それについて保険はありますよ。しかし、その保険にも限度がありまして、無限に広げるわけにいかないものですから、非常に困難な状況になっていると思います。最後は漁業共済だろうと思います。

穀田委員 はっきりしたのは、漁業者には責任がない。だとすると、どないしたら漁業者の被害を救うことができるのかという立場に立つ必要があるというのが一つですね。

 国際的な取り決めがないと。そうしたら、国際的取り決めをつくろうという努力をする必要がある。すぐは解決でけへんのやから、それはありますけれども、これはこうだと。

 三つ目に、国に全く責任がないのか。とすると、先ほどあったように、困難な場所だ、ふくそうする地域だと知っている、しかも、呼びかけがあったけれどもうまくいかなかったというふうなことを初めとして、そういうシステムがうまく作動したのかどうかということからすると、国に責任がなしとは言えないという問題がある。これらのことを踏まえて、私はきちんと対応すべきじゃないかと思うんですね。

 そこで、言っているように、船主責任制限制度はあるが、船主が申し立てをしなければ、船主の責任が制限されるものでないと理解して間違いはないということですよね。だとすれば、多分そうだと答えてくれるんでしょうけれども、事故の当事者への積極的な働きかけなどあってしかるべきではないか。二つお答えをいただきたいんですが、明石海峡航路衝突沈没海難対策連絡調整会議があると聞いているが、政府としてどのように対応されていますか。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、船主責任制限の関係でございますけれども、船主責任制限法によりますと、船舶の所有者が事故等によって損害賠償責任を負った場合に、裁判所への申し立てによりましてその責任を一定の限度額に制限することができるという制度になってございます。したがいまして、船舶の所有者がこの申し立てを行わないということであれば、委員御指摘のとおり、そうした責任制限という法的効果は生じないというふうに理解しております。

 それからもう一つの、事業者に対する指導の点でございますけれども、これは、海上保安庁あるいは私どもの関係も含めまして、現地において事業者に対する適切な措置、具体的に言いますと、主として現在やっておりますのは油防除の関係の措置でございますけれども、指導を行っているというところでございます。

穀田委員 先ほど述べた、縮めて言えば調整会議、これに三つの船の船主は来ていますか。

岩崎政府参考人 先生御指摘の連絡調整会議でございますけれども、今までに六回開催しておりますけれども、船舶所有者は出席しておりません。沈没した船舶のPI保険会社が契約した油の防除業者、これが参加している状況でございます。

 海事局長からも答弁ありましたとおり、私どもとしても、この会議にきっちり船舶所有者が出るように強く要請しているところでございます。

穀田委員 今ありましたように、調整会議は出席を呼びかけていると。船主は、それは過失割合についてどうするかという問題はありますよ、だけれども、こういう問題について、船主は出てこない、何をやっているんだ、はっきり言ってそう思いますね。私は、こういうことこそ公に明らかにすべきで、六回も開催しているのに船主は一度も来ていないという点はけしからぬと思うんですね。

 もう一つ。その船会社は、調べると三井系であるし、さらには韓国の関係者とも聞いています。そういったところにも、最終の過失割合は、分担がそれはあるでしょう、だけれども、それが決まるまでも、まず補償のために責任の一端を担わせて、そのための解決にどんなことができるのかという相談をして、きちんと指導するぐらい当たり前じゃないですか。その点はいかがでしょうか。

岩崎政府参考人 一義的な防除責任というのは沈んだ船の船主にあるわけですから、そちらに働きかけるのはもちろんのことでありますけれども、関係する船舶の所有者の方にもこの会議に出てくるように、あわせて強く指導しているところでございます。

竹本委員長 穀田君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

穀田委員 会議に出てくればええねんけど、私が言っておるのは、そういったところにもきちんと負担を負わせるべきと違うかと。

 最後に言っておきたいのは、基金の設立の問題が、この間ずっと議論があります。国際的な条約とか枠組みが存在していないと。でも、それだけではだめで、さっき言ったように、そういう意味でいうと、イニシアチブをとって頑張ってほしいというふうに思うんですね。

 しかも、この問題では、油濁の際は被害額が大きいからということでありましたけれども、今回は例えばナホトカ号の際に匹敵するような漁業被害が起きているんですね。だから、油濁の場合は被害が大きいというのじゃなくて、こういう場合も被害が大きいわけですよ。だから、そういう意味での、何としても救済するという立場での接近というか、何ができるかということについていろいろな知恵を集めるという努力が必要だということを述べて、終わります。

竹本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹本委員長 次回は、明二十八日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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