衆議院

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第23号 平成20年6月4日(水曜日)

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平成二十年六月四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君

   理事 望月 義夫君 理事 山本 公一君

   理事 川内 博史君 理事 後藤  斎君

   理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      佐田玄一郎君    島村 宜伸君

      菅原 一秀君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    谷  公一君

      谷畑  孝君    土井  亨君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    橋本  岳君

      林  幹雄君    原田 憲治君

      平口  洋君    馬渡 龍治君

      松本 文明君    松本 洋平君

      盛山 正仁君    安井潤一郎君

      若宮 健嗣君    石川 知裕君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    長安  豊君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      漆原 良夫君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   衆議院調査局長      清土 恒雄君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 黒田大三郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     松本 洋平君

  北村 茂男君     土井  亨君

  佐田玄一郎君     橋本  岳君

  西銘恒三郎君     谷畑  孝君

  林  幹雄君     安井潤一郎君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  谷畑  孝君     西銘恒三郎君

  土井  亨君     馬渡 龍治君

  橋本  岳君     佐田玄一郎君

  松本 洋平君     岡部 英明君

  安井潤一郎君     林  幹雄君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     平口  洋君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     北村 茂男君

    ―――――――――――――

六月四日

 公営住宅に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第三六四九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七四五号)

 同(日森文尋君紹介)(第三七四六号)

 国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第三六五〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三七四〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七四二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七四三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七四四号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(金田誠一君紹介)(第三七三七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三七三八号)

 同(吉田泉君紹介)(第三七三九号)

 公共工事設計労務単価の改善を求めることに関する請願(細野豪志君紹介)(第三八一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官佐藤直良君、総合政策局長榊正剛君、海事局長春成誠君、航空局長鈴木久泰君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、環境省大臣官房審議官黒田大三郎君及び環境省総合環境政策局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原一秀でございます。

 空港整備法並びに航空法の一部を改正する法律案ということで、早速質問に入らせていただきます。

 言うまでもなく、空港というのはその国の顔であり、そしてまた心臓部でもある、こうとらえていいと思っております。きょう、この質疑に関しまして、私自身、いわば競争力の強化あるいは自由化、そしてまた国際化、こういった問題意識を持って質問をしていきたいと思っております。

 今申し上げたように、空港はその国の人、物、金が往来をする拠点でありまして、国家戦略としてそのグランドデザインをどう描いていくかということが大きなポイントになってくるのではないかと思っております。空港のあり方あるいは空港行政そのものが日本の経済と国力の牽引力であり、また、今申し上げたような自由化や競争力の強化、国際化という論点は、今の我が国を取り巻く環境を考えれば、極めて時代の要請であると思っているわけであります。

 それゆえに、この改正案は、当初、原案の中でいろいろと議論がございました。外資規制の問題や、あるいは羽田、伊丹から国際空港の国際という名前を取る、こんな論議もあったわけでございましたが、今回のこの改正案に盛り込まれていないということは、ある意味では自然の流れであったのかな、こうとらえているわけであります。

 そこで、この改正案、こうした論点に従って幾つか確認をしていきたいと思っています。

 まず初めに、第三条の「空港の設置及び管理に関する基本方針」において我が国の空港全体及び主要空港の中長期的な整備と運営について明示をされているわけでありますが、この中の、航空運送事業者に係る、例えばダイヤとか路線等の事業計画や運航計画そして運賃などについては、既にこれまでの航空法で規制をしていると思うわけでありますが、今回の改正によってある意味では二重の規制になるのではないか、こういう懸念が持たれているわけであります。

 ここのところ二十年間、長い時間と多少の紆余曲折を経ながら、ダイヤや運賃あるいは路線の計画といったものは、それまでの認可制や免許制からいわば届け出制に移行してきたわけでありまして、自由化ということが大変進んできた。それを決して無にしてはならないと思うわけでありますが、この点を確認したいことと、あわせて、基本計画のいわば決定や変更に関しては、交通政策審議会の意見を聞くこととされております。交通政策審議会というのはどちらかというと学者先生の集まりでありますから、やはり実際に空港運営に携わる航空運送事業者の生の声を聴取するかどうか、この辺の担保はどうなっているのか、この点について冒頭に伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案におきましては、空港政策の重要課題が整備から運営へシフトしていく中で、空港整備法の名称を空港法に改称いたしまして、国土交通大臣が空港の設置及び管理に関する基本方針を策定し公表するということで、運営面も含めた制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

 ただ、その中で、もう一つ航空法という法律がありまして、こちらの方でも航空関係全般についての制度をつくっておりまして、その関係につきましての御質問だと考えますが、委員御指摘のとおり、航空運送事業者に係るダイヤ、路線等の事業計画、運航計画、運賃その他の航空運送事業に直接かかわる事項は、基本的に航空法の方の規制対象となっておりますので、こちらの空港法の方の基本方針で定める事項には含まれないというふうに考えております。

 基本方針を作成する際には、関係者からのヒアリングなども行いながら、交通政策審議会の航空分科会で十分議論して、これを策定していくということになりますが、航空運送事業者の団体であります定期航空協会からも、個別にこの基本方針についての意見聴取及び協議を行うことを予定しております。

菅原委員 空港あるいは航空行政のみならず、やはり現場の声というのは非常に大事でありますから、今の御答弁の中、しっかり実行に移していただきたいと思います。

 また、十四条におきましては、空港利用者の利便性の向上のために各空港に協議会を設置する、こう明記をされております。

 現在、もう既に国内の各空港においては任意の協議会組織が機能していると認識をしているわけでありますが、何でここでまた改めて協議会の設置を法律で規定しなければいけないのかという疑問がわくわけであります。

 また、そのディテールを見ておりますと、協議会への出席義務や結果の尊重義務といった空港管理者による縛りがこれまでよりもきつくなるんじゃないかな、そんなふうな印象を受けるわけでありますが、これはある意味では規制緩和の流れに逆行するかのような印象を受けるわけですが、この点の御所見をいただければと思います。

鈴木政府参考人 今回の改正案におきまして、各空港にいわば法定の協議会を置くことができるという規定がございます。

 委員御指摘のとおり、これまで任意でいろいろな空港で協議会というのがつくられております。国が管理しております空港とか共用飛行場のうち二十三空港において空港利用促進協議会というのが任意で組織されておりますし、さらにそれ以外にも、全国の多くの空港で空港の利用促進等を目的とする団体が多数組織されておるわけでございます。

 ただ、本法案において、こうした協議会を法律的に位置づけることとしておりますのは、空港全体のマネジメントをきちっとするとともに、当該空港における関係者、利用者の状況を的確に把握し得る空港の管理者が主導して法律に基づく協議会を組織するということで、関係者が協議のテーブルに着きまして、利用者利便を向上させる取り組みに向けた合意形成を図ることとしているわけでございます。

 今既にできておる協議会との関係でございますけれども、目的は一にしておるわけでありますので、現在の任意の協議会を新たな法定の協議会に改組するということは十分可能でありますので、今後、それぞれの空港ごとに関係者とも調整してまいりたいと考えております。

 また、協議会における協議事項につきましては、空港アクセスの向上、あるいは空港を核とした地域の振興などの議論のほか、利用者の安全確保についての取り組みも考えておりまして、そういうものについて関係者の間で合意がなされれば、みんなでそれを尊重し合うというような緩やかな協議会制度を考えておるわけでございます。

菅原委員 ちょうど二〇〇〇年ごろから、先ほど私が申し上げたように、国内の運賃やあるいは参入、撤退について実質的に自由化が図られてきたことは大変喜ばしいことであったわけでありますが、この改正案によってまたそれが逆行するかのような流れ、あるいは、航空業界、航空行政関係者、管理会社のみならず、やはり一番大事なのは利用者、消費者の視点でありますから、競争力の低下等がそうした流れにならないようにしっかり留意をしていただきたい、このことをお話ししておきます。

 次に、十三条の着陸料と十六条の旅客取扱施設利用料についてお伺いをします。

 この内容を見ますと、両方とも国土交通大臣がその水準が適切なものかどうかを判断するとともに、不適切な場合には変更命令を行う権利を持つ、こうしているわけであります。

 今お配りをさせていただきましたA4の資料にお目通しをいただきたいと思うわけでありますけれども、これを見ますと、成田、関空、中部、これはロンドン、パリ、ニューヨークに比べれば大変安くなっております。ただ、ロンドンは、日本でその近辺のホテルに泊まるとツインで三万ぐらい、ロンドンだと九万から十万する。物価高ということもあると思いますし、また、ロンドンやニューヨークにおいてはテロがこれまで起こっておりますから、その辺の警戒態勢の充実ということがこういったものに含まれているのではないかな、こう予測をされるわけであります。

 ところが、アジアを見て、香港、シンガポール、ソウル、これに比べるとやはり若干割高になっている。今後のアジアの中で日本が空港をどう位置づけしていくか、あるいは向上させていくかということについてはやはり考えていかなければいけない。この点、どのような御認識をお持ちでありましょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員から配付していただきました資料にありますように、グラフの一番左側の濃い部分が空港の着陸料でございます。これで見ますと、我が国の空港、成田、関空、中部は、欧米あるいはアジアの空港に比較して、着陸料は残念ながら大変高いレベルでございます。これは、我が国の狭隘な国土の中で、空港整備に巨額の資金を投入してやっと進めてきたというところが反映されておる部分だろうと思っております。

 この棒全体のところは、お客様が一人当たり払う費用、実質的な負担を比較したものでございまして、それで見ますと、成田、関空、中部の右側の白いところでありますが、成田二千四十円とか関空二千六百五十円とか、これはいわゆるPSFCと言っておりまして、旅客サービス施設使用料、ターミナルビルなんかを使うときにそのコストをお客様にお願いしているという部分でございます。

 これが、ロンドン、パリ、ニューヨークはすごい高額になっております。ただ、これはPSFCだけではなくて、ロンドンでいいますと航空旅客税でありますとか、パリも空港税とか航空税とか、ニューヨークも航空輸送税とか入国審査施設使用料とか税関の使用料とか、そういったいろいろな名目でお客様に負担を求めている部分がありまして、こういうところが欧米は大変高くなっておりまして、旅客一人当たりの負担になると、欧米よりは日本の方が安いレベルにあるという状況にございます。

 ただ、委員御指摘のように、アジアとの比較におきますと、いずれにしても、我が国のお客様の負担はまだ高額なレベルにあるということでございますので、何とかこれを少しでも低減できないかというところが我々にとってこれからの課題であろうと認識しております。

菅原委員 欧米に比べて安いけれども、アジアに比べると割高である。やはり日本の場合、アジアを見なければいけない。アジアの中で、消費者あるいは利用者の利益に資する流れというものは極めて重要だと思いますから、この点はよくお含みをいただきたいと思います。

 韓国のソウル、仁川しかり、またシンガポールのチャンギ空港ですね。シンガポールのチャンギ空港は、いわば国家戦略として空港を位置づけして、あそこは港、海も、港湾も大変重要でありまして、そのダブルスタンダードでシンガポールが今や貿易の拠点として飛躍的な発展を遂げてきた。ある意味では、日本も、空港のあり方、戦略というものを国家的な見地でどうあるべきかということをしっかり頭の中にたたき込んだ、そうした行政が求められていると思います。

 チャンギ空港では、御存じかどうかわかりませんが、例えば空港で商売をする場合のテナント、そこに入居する際の契約書に、その空港内で販売をする物品を市内の価格よりも高く売った場合にはその差額の二倍を購入者に返金する、こういう極めて透明性が高い、しかも消費者の立場にのっとったスタンスを持っている。

 今の日本の空港は、駅で立ち食いそばを食ったらば三百円、空港で食ったら五百円、カレーライスは、その辺で食えば四百円、空港で食ったら千円、こういう空港ならではのカルチャーというものがあって、これがやはり諸外国から、特にアジアから日本に入ってきた場合、クエスチョンマークがつけられる。この点はやはりしっかりとしたパラダイムシフトといいますか、ぜひ起こしていただきたい、こう思っているわけであります。

 さて、話はかわりますが、戦後、日本が世界の先進国として飛躍的な発展を遂げてきた一つの背景として、経済の発展とともに、インフラとしての空港の存在というものが非常に大きかったと思っております。とりわけ、首都東京における羽田空港の進展が日本の経済あるいは国力の向上に極めて大きな要因となってきたということも事実かと思います。

 ところが、先ほど来お話し申し上げていますように、今日、アジア全体を見ますと、上海の浦東しかり、ソウルの仁川しかり、シンガポールのチャンギ等々がやはりハブ空港としてアジアのそれぞれの拠点、その地歩を確立してきた。人、物、金の流れをスムーズにするというその国々の国家戦略がやはりそうしたことに寄与してきたととらえられるわけであります。

 そこで、当然、日本の場合、羽田の国際化ということがアジア・ゲートウェイ構想の中でも盛り込まれておりますし、やはり羽田の国際化についてここで改めて確認をしていきたいと思っております。

 この発着枠についてでありますが、先般、五月二十日の経済財政諮問会議において、国交省の方から、昼間そして深夜早朝それぞれ三万回ずつ計六万回というような提案が出されました。しかしながら一方で、民間議員のペーパーを見ますと、昼間だけで六万回に倍増すべきだ、こういう提言が出されているわけであります。

 確かに、ペリメーターの問題、徐々に進歩はしてきたけれども、やはり香港、北京、台北で今とどまっている、こういった問題。インドのムンバイやあるいはシンガポール、マニラあたりまで羽田から直行便が出せるような仕組み、こういう流れというものは極めて大事だと思うんですけれども、この点、国としてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

冬柴国務大臣 成田と羽田の関係というのは、長く関係者の間で調整をしてきた歴史があります。

 平成十五年六月には、八都県市、すなわち東京、埼玉、千葉、神奈川の都県とそれぞれに有する政令市、それに国土交通大臣が加わりまして、その役割分担といいますか、そういうものを話し合い、合意をいたしました。

 その内容は、成田は我が国を代表する国際拠点空港、そしてまた羽田は、もちろん我が国を代表する首都圏の国内空港という位置づけを原則としつつ、羽田は、成田国際といいますけれども、あそこは内陸部ですから夜間は飛べません、そういう意味で国際拠点を補う空港という位置づけをしまして、そういうところから、今委員もペリメーターという言葉を使われましたけれども、そういう言葉は使わなかったけれども、国内空港として羽田から一番遠い空港である石垣空港、千九百四十七キロでございますか、おおむねそれで円を描いたところの範囲に入るような国際都市を結ぶ、そういうところに行くというような合意がされました。

 これは、羽田空港へ入ってくる飛行機はすべてと言ってもいいけれども、千葉の上空を飛ぶわけですね、千葉は騒音被害というものを受けるわけです。そして、羽田を埋め立てするにしても、千葉の漁業者が二十四組合あります。そういうところとの話し合いをしなきゃいけませんし、それからまた、今も行っている埋め立ても、その土は千葉から入れていただいて、これは日量、ダンプカーで七千台いただいております。

 そういういろいろな関係がありまして、そういう取り決めをし、関係者はそれを遵守しながら来たわけですけれども、今回、二〇一〇年三月には成田で二千五百メートル北伸、そしてこれによって二万回を飛べる、国際線で余裕ができる。それから、羽田の第四滑走路が二〇一〇年十月に供用開始いたしますと十一万回飛べる、そのうち三万回を国際線に振り向ける、こういうようなこととか、その後の空港に対する需要、利用者の利便の向上ということを考えますと、十五年の八都県市の役割分担に対する問題についても、千葉に御理解を得つつ、これは拡大をして、そして利便性というものを高めていこうというのがこの間の経済財政諮問会議で国土交通省が示した案でございます。

 それによりますと、二〇一〇年以降の羽田の増枠というものは安全を確保しながら段階的に実施する必要がありますけれども、というのは、羽田は井げたのような飛び方をせないかぬわけでありまして、大変危険が伴います。したがいまして、管制とかあるいは操縦される人たちになれてもらわなきゃいけません。そういう意味で、徐々に増枠をしていく。その場合にも、供用開始当初の増枠分はできる限り国際線に振り向ける、そして昼三万回を就航させる、それは国際線として。国内線の増枠は必要最小限にすると考えられますけれども、二〇一〇年の供用開始当初にこれ以上昼間の国際線の回数を増加させるということは無理だということで、六万回という民間議員のは無理がある、それで、夜間の方に、これはまた我々が考えたことですけれども、三万回を飛ばすような工夫をしたわけでございます。

菅原委員 大臣の今の御答弁でありますけれども、これはずばり、旧来の国交省の考え方からなかなかジャンプできていないと言わざるを得ないと思います。

 と申しますのも、やはり国内線がどうしても、少子化、あるいは、今度九州に鹿児島から博多に新幹線が通る、山陽新幹線が乗り入れれば空よりも鉄道へシフトする、これはもう自然の流れであります。

 しかし一方で、ビジット・ジャパン、二〇〇三年から始まったこのキャンペーンが二〇一〇年一千万人を目標に頑張っておりますけれども、去年は八百三十五万、スタート時から六〇%もふえているんです。つまり、アジアを中心として外国のお客さんあるいはビジネスマンをいかに呼び込むかという視点は、これはやはり羽田の国際化ということと相まって、きっちり進めていっていただきたい、このことは要望しておきます。

 特に総理からも、発展するアジアの活力を我が国の成長のエネルギーとしていくためにも羽田からアジアの主要都市への路線が早期に実現することが重要という発言もありますし、この点、官邸と国交省のそごがないようにお願いをしておきたいと思っております。

 今大臣がお話しされました、どうしても羽田の場合、千葉の房総半島を回って着陸をしなければいけないという現実、これは東京選出の国会議員でも直視をしなければいけないと思っております。

 その意味においては、現存する横田の空域、首都圏の羽田の西側の壁のような空域の解消のために、この秋には四割返還されるということになっておりますが、この全面返還に向けてぜひ粘り強く交渉していただきたいと思うんですが、この点、簡潔に決意だけお話しいただきたいと思います、あと二点ありますので。

冬柴国務大臣 我が国としては、民間航空交通の効率的な運航のために我が国が一元的に管制業務を行うのが適切であると考えております。従来から、米側が実施している進入管制業務の我が国への移管について、日米合同委員会民間航空分科委員会においても要請をしてまいりました。

 御指摘の横田の空域につきましては、羽田空港の再拡張事業に合わせた大幅な削減が合意されまして、本年九月までに実施される予定となっているほか、平成十八年五月に日米で合意された再編実施のための日米のロードマップにおきましては、平成二十一年度に横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討を完了するとされております。

 引き続き、全面返還に向けまして、関係省庁と協力しながら努力をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

菅原委員 ぜひとも力強く進めていただきたいと思います。

 羽田のことで話が終わってしまうとやはり東京の国会議員だと言われてしまいますので、関西のことも若干触れてまいりたいと思います。

 昨年、関空と伊丹と神戸、この合計の利用者が三年ぶりに減少してしまったという大変厳しい現実があります。伊丹のジェット機の発着枠を減らしたりあるいは大型機の乗り入れを禁止したり、国がこうした指導をした中で、これで関空や神戸にお客さんがシフトしたかといえばそうでもない。先ほどお話ししたように、九州の新幹線が全面開通をすれば飛行機から新幹線への需要のシフトということも考えられる中で、やはり今後、この関西の三つの空港のあり方、これをどう展開を図ろうとしているのか、これが一点。

 あわせて、竹本委員長が一議員個人としてよく部会でも御発言をされます、やはり伊丹の国際化といいますか一日生活圏。朝ソウルを出て、東京でビジネスをやって、その日のうちにソウルに帰る。こういうビジネスチャンスの拡大あるいは市場マーケットの拡大といったことを考えますと、やはりせめて伊丹から、仁川ですとか浦東ですとかこの辺に近距離の国際線を飛ばすということについてどのようにお考えか、この点をお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 関西圏の航空需要に対しましては、関空、伊丹、神戸という三つの空港が、適切な役割分担のもと、トータルとしての最適運用を果たし、関西圏経済の発展と利用者利便の向上に努めていくことが重要であります。

 このため、関西三空港につきましては、平成十七年十一月に開催されました関西三空港懇談会におきまして、関空は西日本を中心とする国際拠点空港であり関西圏の国内線の基幹空港、伊丹は国内線の基幹空港であり環境と調和した都市型空港、神戸は百五十万都市神戸及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港というような、各空港の役割と各空港相互の連携について国土交通省から地元自治体及び地元経済界に説明し、了承されたところでございます。

 このように関西圏における国際線は関空に集約することとしておりますので、利用者利便を考慮いたしまして、関空へのアクセスの改善、関空での国際航空ネットワークの充実強化を図ってまいりたいと考えておりますし、伊丹空港につきましては、今後も利用者利便性を生かしつつ、環境と調和した都市型空港として、関西圏経済の活性化に資するように運用してまいりたいと考えております。

菅原委員 東と西、西の経済圏である関西、この三空港の進展は、現実に目を向けながらも、やはり先手先手と打っていく、そういう航空行政であってほしい、こう思っております。

 なぜならば、今中国は、二〇二〇年までに今から九十七カ所空港をつくるんですよ。中国だけで二百四十四カ所空港をつくる。一年間で中国の海外への渡航者が一億人です。そのとき日本は、今の空港の現状で受け入れられますか。なかなかそうはいかない。やはりこれからは、日本は中国、韓国と空の自由化、協定を含めて議論しなきゃいけないと思いますし、ヨーロッパは既にアメリカに対してEUの上空を一つのものとしてとらえている。ASEANだってそうですよ。こういうふうに空というものが、空域というものがおのおのの国々ではボーダーレスになって、地域として既に動いている。この点やはり、日本はこうした自由化にも向けてしっかり進めていっていただきたい。

 こうした国家戦略あるいは国家目標というものをしっかり持って航空行政をつかさどっていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

竹本委員長 菅原一秀君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、小里泰弘君。

小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会を賜りまして、本当にありがとうございます。

 早速ですが、申し上げるまでもなく、航空市場におけるグローバル化は加速度的に進展をしております。今まさに航空再編の時代を迎えていると言われるゆえんであります。なかんずくアジアにおきましては、中国を初め新興国の経済発展や国際観光交流の増大等によりまして、今後飛躍的な航空需要の増加が見込まれます。アジアが早晩、世界最大の航空市場になると予想がされるところであります。このような状況にありまして、我が国における国際航空機能の拡充は喫緊の課題であります。

 去る五月二十日の経済財政諮問会議におきまして、羽田、成田両空港の国際航空機能を拡充するための、いわゆる冬柴プランが発表されました。そのねらい、目標につきまして、大臣にお伺いをいたします。

冬柴国務大臣 五月二十日の経済財政諮問会議におきまして、私から、首都圏空港、成田と羽田でございますが、国際航空機能の拡充につきまして提案を行いました。この提案は、世界と結ぶ成田、世界に開く羽田の一体的活用による国際航空機能の最大化を実現しようとするものでございます。

 具体的には、二〇一〇年に、羽田は昼間約三万回、深夜早朝約三万回、合計六万回、それから成田は二万回、合計八万回の国際定期便を実現し、首都圏空港の国際線発着回数を、現在の十八万回から二十六万回に、四四%増強しようとするものでございます。

 このうち、羽田の昼間は、羽田にふさわしい近距離アジア・ビジネス路線として、ソウル、上海等の都市、さらに北京、台北、香港まで就航できるようにしていきたい、このように考えております。また、羽田の深夜早朝は、欧米を初めとした世界の主要都市への就航を実現したいと考えております。

 これにより、成田からの全世界ネットワークに加えて、羽田からも、昼間は香港まで、深夜早朝は欧米や東南アジアの主要都市へ行けるようになりまして、首都圏からの需要の多い世界の主要都市へ成田、羽田からのダブルネットワーク、同じ都市に羽田からもあるいは成田からも飛べるというようなものが形成できます。成田、羽田の一体的運用により首都圏空港の二十四時間化が実現されることになると考えております。

 また、二〇一〇年以降につきましても、羽田空港の四十・七万回への段階的な増枠を実現しつつ、首都圏空港の可能な限りの容量拡大策を引き続き検討していきたいと考えておりまして、羽田については、国内線需要に適切に対応しながら、国内、国際双方の需要の伸びを勘案して、昼間は羽田のアクセス利便性を生かせる路線を中心に国際線の増加を推進し、深夜早朝は世界の主要都市に就航して、首都圏の国際航空機能の二十四時間化を強化していきたいと考えておるところでございます。成田につきましては、国際空港としての強みを一層強化する、そのように改善をしていきたい、このように思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 本邦航空事業の健全なる発展を図り、空の運航における安全性と利便性を確保していく、これが、観光やビジネスの振興はもとより、国家の危機管理と安全保障にも直結をし得る極めて大事な要素であると認識をしております。それゆえに空港は極めて公共性の高いインフラであると考えられまして、特に冬柴プランの中核となる羽田、成田両空港の重要性にかんがみるときに、少なくとも、これら基幹的空港の民営化に当たりましては何らかの外資に対する規制を導入する必要があると考えますが、航空局の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 四面環海の我が国において、羽田、成田両空港は、我が国の経済社会活動に不可欠な社会基盤であり、代替不可能な、取りかえのきかない施設であることから、公共性、公益性を十分に担保して適正な運営を確保する必要があると考えております。

 ただ、御指摘の外資規制につきましては、本法律案の国会提出に際しましてさまざまな意見がございまして、公正かつオープンな投資環境の整備による対日投資促進と安全保障のための空港などの基本インフラの機能確保の両立という要請にいかにこたえるかについて検討を行った結果、行為規制のあり方、資本規制のあり方等について、他の関係法令も含め、諸外国における政府の関与のあり方等も参考にしつつ検討を行い、年内のできるだけ早い時期に結論を得ることとされたところでございます。

 このため、年内のできるだけ早い時期に結論を得るべく幅広く議論していくこととしておりまして、外資規制を含めました資本規制のあり方についてもその中で十分検討してまいりたいと考えております。

小里委員 世界各国が規制をかけております。例外的に規制をしなかった国におきましては、安全性あるいは利便性において多くの弊害が顕著になっているところでございます。そのような中で日本が外資規制なり大口規制なり規制をかけない合理性というものを私は今に至るまで見出し得ないのであります。

 一般的に、外資は利益優先に走る傾向があります。また、他国への思い入れは薄いものがあると認識をいたします。その結果、利便性や安全性、国の安保にかかわる機能が損なわれかねないし、例えば、米国でも、石油メジャーのユノカルを中国の石油大手が買収しようとしたときに、米国議会がこれを拒否したという例もあるわけであります。

 市場の活性化のために外資を導入すべき、これはあり得べき、またあるべき方向性であろうと思います。しかしながら、長期投資に徹する安定的なファンドばかりではありません。例えば、ウェスティンホテル東京をモルガン・スタンレーが買収したものの、ほどなくシンガポール資本に売却したような事例もありました。そのような短期で利食いをして逃げるファンド、あるいは経営陣に株式の買い戻しを迫るおどし屋的なファンドもあります。こういったマネーゲームの世界に重要なインフラとしての空港をさらしていいものかどうか、極めて懸念をするところであります。

 重要インフラにつきましては公益性や国家安全保障の観点から規制をかけるべきでありまして、ガイドラインを策定する必要があると思います。世界のファンドが日本に注目をしつつある現在、その投資を促進すると同時に、これ以上は譲れないという一線を示すべきであると考えます。

 空港における外資規制につきましては、本法案には組み込まれておらず、先送りとなっているわけであります。改めて、現在の検討状況、今後の進め方についてお伺いをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、羽田や成田といった重要インフラについて全く無防備にマーケットにさらしていいのかという点については、どなたも御異論はないと思っております。ただ、それに対する規制のあり方について、いろいろな手法がございますので、どういう形がいいのかというのを年内のできるだけ早い時期に結論を得るべく、今検討を始めようとしているところであります。

 その検討に当たりましては、まずは有識者による研究会を立ち上げまして、有識者や関係者の意見を幅広く聞きながら検討を進めていく考えであります。この構成員の選び方も大変重要でございますので、そこを今十分検討を進め、できるだけ早急に改正できるように準備を進めているところでございます。

 また、その上で、関係省庁との連絡調整の場を設け、さらに議論を深めていくことが必要と考えておりまして、今後、年内のできるだけ早い時期に結論が得られるよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

小里委員 規制をかけない状態におきましては、経営陣は大変な苦労を強いられることになります。

 例えば、取引先に株式を保有してもらう、安定的な保有先を探すという、いわゆる株主安定化工作のために相当な苦労をまず強いられるでありましょう。あるいはまた、エクイティーファイナンスをしようと考えましても、そのために市場に新たな株式が出回ります。すなわち、敵対的な買収者にさらに株式を買い占められる、そんなおそれがあるわけでありまして、エクイティーファイナンスもなかなか思うようにならないわけであります。あるいは、買収者が大幅な増配を求めて、その原資として設備投資の削減を求めるといったような事態も考えられるわけでありまして、過去そういった事例もあるわけであります。

 すなわち、これほどの重要インフラにおきまして、資金調達も設備投資もままならないことになりかねないわけであります。さらに、重要インフラの経営を外資に握られるとすれば、国民感情としてもなかなか忍びがたいものがあろうと思います。外資規制につきましては早期の対応をいただきますように、積極的な議論を進めていただきますように、お願いをしたいと思います。

 続きまして、日本航空の経営改善についてお伺いをいたします。

 冒頭申し上げましたように、アジアにおける今後の飛躍的な航空需要の増加を初め、激変をする経営環境、複雑化、ボーダーレス化をする人や物の流れを考えた場合に、航空自由化への一層の取り組みがいや応なく迫られるところであります。

 さらなる航空自由化を見据えた場合に、我が国にとりましての課題は、大都市圏空港容量の拡大とともに、本邦航空会社の体力の問題があると認識をしております。航空自由化により激化をする国際競争に生き残っていくためには、航空会社における確固たる経営戦略と事業計画のもとに、大胆な経営効率化と運航の低コスト化を図ることが急務であります。特に日本航空は、国際テロや運航上の安全トラブル、あるいは社内紛争を大きな背景といたしまして、経営危機に陥りました。まさに青息吐息の状態から経営の立て直しに向けての努力を進めているところであります。

 日本航空は、財務体質の改善を進めながら機材も更新しなければならないといったような、難しい対応を迫られております。そういった中で、相次いで中期計画も修正を繰り返しているところでございます。管理職たる機長の組合を初めとする八つもの組合の存在は、リストラやコスト削減を進める上での調整の難しさをうかがわせるものであります。なかなか道は険しいと思います。

 日本航空の経営改善への取り組み状況をどのように評価しておられるか、国土交通省にお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 日本航空につきましては、委員御指摘のようなさまざまな問題がございまして、近年、大変厳しい経営状況下にあったと認識しております。しかしながら、現在の西松社長のもとで全社一丸となって経営改善に取り組んだ結果、十九年度の決算におきましては、国際旅客収入の増加や営業費用の削減等の取り組みが進んだことから、営業利益が過去最高の九百億円となるなど、大幅な改善が図られております。

 また、昨年度末には千五百三十五億円という増資もできることになりまして、経営基盤の確立に向けて着実な前進が図られているものと考えておりますし、また、御指摘のような機材の更新に向けての資金調達のめどもだんだん立ちつつあるのかなと考えております。

 ただ一方で、昨今の異常な燃油価格の高騰あるいは景気の動向等、航空を取り巻く環境には不透明な要素もあることから、日本航空においても、本年二月に策定した中期計画に従いまして、一層のコスト削減や生産性の向上等の経営改善努力を引き続きやってもらいたいと私どもは期待しているところでございます。

小里委員 お話にありましたように、燃油高騰等によりまして今後また経営が後に戻るんじゃないか、そういった懸念もされております。

 かつては、国策航空会社としてナショナルフラッグを掲げまして、世界一安全な翼あるいは世界一のサービスとして非常に高い評価を受けておりました。まさに世界に飛躍をする日本の象徴ともいうべき存在であったわけであります。ぜひその立て直しに向けて、また今後の取り組みを期待するところであります。

 国際的自由化を考えました場合に、私は、日本の航空業界と農業、これは似たような状況にあると考えます。すなわち、にわかに国際的自由化を図るには体力が心もとない、無原則に自由化を進めますとコスト競争面でついていけず国の安全保障にかかわる大事な基盤を失いかねないということであります。

 また、成田で見た場合、戦後の占領政策によりまして本邦航空会社の発着枠は当初三分の一でしかありませんでした。それを懸命の日米交渉を重ねまして、現在四二%まで戻しているわけであります。もし本格的にオープンスカイを進めて発着枠を取引できる、そのような状態になると仮定をいたしますと、なけなしの発着枠を資力のある外資に買われかねない。そして、本邦航空会社の経営への影響もまた懸念をされるところであります。また、発着枠が自由化をされることで、国内路線が例えば国際路線に転換をされまして、地方路線等の維持すべき路線を維持できなくなる、そういった事態も想定をされるわけであります。

 航空の自由化を進めるに当たりましては、本邦航空会社が対応できるかどうか、その経営改善と体力の状況をよくよくにらみ合わせながら進めていく必要があります。また、発着枠の取り扱いの仕組みなど、自由化の中身とテンポ、これをどう図っていくのか、難しいかじ取りを迫られると思います。国土交通省の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 航空自由化は、基本的には本邦航空会社のネットワーク形成の自由度を高め、国際競争力の強化にも資するものと考えておりますが、委員御指摘のような点、あるいは諸外国の自由化の動向を踏まえつつ、適切に対応していく必要があると思っております。

 特に、御指摘の成田の発着枠につきましては、本邦企業が四〇%を超えるまでに回復いたしましたが、依然として米国企業が二五%、四分の一を押さえておりますので、そういった面も十分配慮する必要があると思っております。

 それから、発着枠の取引制度につきましては、高値で発着枠を購入できる企業による寡占化が進むとともに、高収益路線に集中し地方路線が切り捨てられるおそれがありますし、また、取引価格の上昇が航空運賃に転嫁されて、ひいては利用者負担につながるというようなおそれもありますので、こういった面も慎重に検討する必要があると思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 若干地方の側からの視点に立ってお伺いしたいと思います。

 少子高齢化の急速な進展や地方自治体の厳しい財政状況等を背景といたしまして、地方の活力の減退が懸念をされております。そういった中で、地域資源を生かした地域活性化をいかに図っていくかが大きな課題となっております。そのような中、地域発展の核として空港が果たす役割に対する期待は極めて大きなものがあります。

 ところが、地方空港における国際定期便の就航はまだまだ少ないものであります。我が鹿児島空港も、週当たりソウルとの間に三便、上海との間に二便という、か細い状況でございます。鹿児島空港は九州の基幹的な役割を果たす重要空港として国際定期路線の充実を図っていくべきであると考えますが、国土交通省の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 地方空港において国際定期路線の開設や増便を推進することは、各地域と外国を直接結ぶ航空ネットワークを構築し、国際交流や地域の活性化等を促進する観点から大変重要であると考えておりまして、地方空港の国際定期路線の充実を図るための航空交渉等を推進してきております。

 具体的には、昨年八月以降、韓国、タイ、マカオ、香港、ベトナムとの間で、アジア・ゲートウェイ構想に基づき、我が国の首都圏空港関係路線を除く航空自由化に合意したところであります。また、昨年十一月には、自由化交渉の妥結前でも暫定的に地方空港への乗り入れを認める方針を外国航空会社に対して通知いたしました。

 これを受けまして、鹿児島空港におきましては、これまでソウル線が週三便、上海線が週二便であったのでありますが、本年四月から香港線が週三便就航するというふうなことで、地方空港の国際定期路線の開設や増便の動きが出てきております。引き続き、アジア・ゲートウェイ構想に基づく航空自由化を着実に推進し、地方空港における国際路線の充実を推進してまいりたいと考えております。

小里委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、離島航空の関連でございます。

 我が国における有人離島は四百二十三島、人口減少、高齢化が顕著であります。産業は一次産業に集中する傾向がある中で、沖縄、鹿児島県などは観光資源に頼る離島も多いと認識をいたします。このような状況にあって、島民の生活の足として、生活物資や農産物、海産物、郵便等の輸送手段として、そしてまた観光など地域振興の生命線として、離島航空の維持は不可欠の課題であると認識をいたします。

 しかしながら、各航空会社の経営状況は非常に厳しいものがあります。特に多くの離島が存在する鹿児島、沖縄、各県におきましては、十分な財政支援が行えず、路線の維持が困難な状況であります。公共性、社会性の観点から離島航空の維持は航空政策にとっての重要な課題の一つであると考えます。いかなる方針で臨むか、お伺いをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、離島航空路線は離島住民の方々にとってまさに生活路線でありまして、また観光振興等にとっても大変重要な路線であると認識しております。

 このため、国土交通省といたしましても、機体購入費補助や離島航空路線運航費補助といった予算措置に加えまして、離島航空路線に就航する航空機に係る航空機燃料税及び固定資産税の軽減措置といった税制措置、さらには離島航空路線に就航する航空機に係る着陸料の軽減措置等の総合的な支援策を講じているところでございます。

 今後も事業者の経営改善への自主的な取り組みを基本としつつ、これらの総合的な支援措置を適切に活用しながら、関係地方公共団体と連携して、離島航空路線の維持、充実に資するように取り組んでまいる所存でございます。

小里委員 ありがとうございました。ぜひとも、離島のまさに生命線でありますから、今後の存続に向けての取り組みをお願いしたいと思います。

 最後になります。

 戦後の占領政策の中にありまして、航空機の研究開発と生産が禁じられた、いわゆる空白の七年間があったわけでありますが、その後我が国の航空に関する技術はよみがえりまして、世界に冠たる航空機製造技術が、特に部品供給を主体にして生かされているところであります。そしていよいよ省エネ型の国産ジェット旅客機の本格生産、全機生産に向けてのプロジェクトが進んでおります。自動車に次ぐ次世代型産業として大きく期待をされるところであります。

 当面は七十人から九十人乗りの小型機ということであります。どれぐらいの需要を見込んでおられるのか、また今後、中型機の分野に対する期待も膨らんでいると認識をいたしますが、どのように視野に置いておられるか、お伺いをしたい。

 そしてまた、今後、国内の空港間の航空ネットワークを充実させる際に、開発が進むこの小型機を活用して、地域間の多頻度輸送、いわゆるシャトル便を積極的に実現していく必要があると思いますが、あわせて見解をお伺いいたします。経済産業省と国交省にそれぞれお願いいたします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 現在、委員御指摘のMRJ、七十から九十席クラスの、いわゆるリージョナルジェットと呼ばれる旅客機でございますが、このリージョナルジェット機につきましては、今後二十年間で約四千九百機の新規需要があると試算されております。

 この四千九百機の需要に対しまして、我が国MRJのほかに、既にリージョナルジェットを生産しているカナダ、ボンバルディア社、ブラジル、エンブラエル社、これに現在新規参入に向けて開発を進めている中国、ロシアを加えた五カ国が競合している状況でございます。

 MRJは、既存機と比較して、燃費、静粛性等の環境性能にすぐれた航空機でございます。最近の燃料価格の高騰などを背景に、こうした航空機に対する需要はさらに高まっているものと認識をしております。

 また、委員御指摘の国産の中型旅客機の開発につきましては、将来的な可能性はあると考えられますが、現時点では具体的な事業化の計画はないものと承知しております。

 この中型の旅客機につきましては、我が国は、企業がボーイング社との共同開発への参画などによりまして積極的に関与しているところでございまして、例えば、現在開発中のボーイング787におきましては、我が国企業の分担比率が三五%に達するなど、重要な役割を占めるに至っております。

 政府としては、まずは、YS11以来約半世紀ぶりの国産旅客機MRJプロジェクトの成功を契機に、航空機産業がさらなる飛躍を遂げ、製造業全体が高度化するよう、必要な支援を講じてまいりたいと考えております。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 半世紀ぶりの国産ジェット旅客機の開発ということで、MRJが本当に性能のいい飛行機となってマーケットに出ていただくことを私どもも期待しておりますし、航空会社の方でも、既に全日空がこれの導入を決定しております。日本航空の方は、ブラジルのエンブラエルという同じサイズの飛行機を既に発注済みでありまして、そういう事情からまだ導入を決定しておりませんが、引き続き検討を続けると聞いております。

 このジェット機でありますけれども、七十席から九十席ということで、採算の厳しい地方路線を維持するのにちょうどいいサイズではないかと私どもも思っております。現在の小型ジェット機の百三十席とか百六十席ぐらいで運航して不採算になっている路線が、この新しいリージョナルジェットでありますとちょうど半分から六割ぐらいのサイズになりますので、お客さんが少なくても一定のロードファクターが維持できるということで、地方路線に導入されて、地方路線の維持拡充に役立ってくれるということを私どもも期待しておる次第でございます。

小里委員 以上で終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 今回、空港整備法、航空法の改正に当たりまして質問の機会をいただいたことをまずもって感謝申し上げたいと思います。

 航空業界に関して思い起こしますのは、私が昭和六十年代の前半に官庁訪問をしていたときに、運輸省の先輩に呼ばれまして、航空問題について議論をした覚えがございます。

 当時、本当に航空業界が大きな転換期にあった。と申しますのは、一九七二年にいわゆる航空憲法、七〇年の閣議了解と七二年の運輸省通達というので、JALが国際線と国内幹線、全日空は国内線、東亜国内航空は国内ローカル線、こういったすみ分けがあったのが、八五年に撤廃された。恐らく運輸省の歴史の中で昭和六十年という年は、八月の御巣鷹山の事故、そしてこの航空憲法の廃止ということで、航空業界の大きな変化の節目になった年だと思います。

 そしてまた、九月にはプラザ合意がありました。一ドル二百四十円から百六十円になった。となりますと、為替が、円が高くなって、そして航空券に格安航空券が出てくる。海外旅行に対しての関心が非常に深くなって、飛行機を使うということが私たちにとって非常に身近なものになってきた。俗っぽい話ですけれども、エイビーロードという雑誌が出たり、そして「地球の歩き方」を持って海外をふらふらする、私もその一人だったんですが。飛行機というもののあり方を割と身近な問題として考えるようになった。それはすなわち、利用者の空港だとか飛行機についてのこだわりが非常に大きくなってきた。そしてまた、業界もそれにいろいろな形で対応しなければならなかった時代が到来したことを示している。

 さらに申し上げれば、一九八九年に天安門事件があったものの、中国は開放路線をとっていた。アジアの諸国がいわば日本にとっての競争相手として浮上してきたということが間違いなく指摘されると思います。すなわち、今まで最も安定した業界の一つだった航空業界とその環境というものは極めて厳しい時代を迎えることになった。鈴木局長が課長補佐か課長になられたかわかりませんけれども、そういった時代を恐らく昭和六十年の前後に迎えられたと私は思います。

 さらに申し上げれば、八七年にJALが完全民営化、こういったことから始まった大きな流れの中で、今回の改正が帰着点の一つとしてあるんだと私自身は認識をしております。

 さらに申し上げれば、航空会社、空港のプレーヤーについても若干触れさせていただきたいと思いますけれども、JALが昭和二十九年に国際線に進出して、昭和四十年にジャルパックというものが出てきた。コマーシャルに、トリスを飲んでハワイに行こうとかそんなのがあったらしいですけれども。さらに、航空憲法が廃止になった。完全民営化を経て、そして二〇〇〇年の二月に路線の参入、撤廃を自由化した改正航空法が施行された。さらに、後に申し上げますけれども、スカイマークとかそういったものが参入をしてきた。全日空は国内線から昭和六十一年の成田―グアムの就航を初めとして国際線に就航する。すなわち、業界の中での競争が極めて激しくなってきた。

 つまり、これは後の質問に関係することなんですけれども、二〇〇〇年の二月の路線の参入、撤廃を自由化した改正航空法の施行によってスカイマークとか新しいものが入ってきた。しかしながら、先ほど、小里先生は鹿児島の出身ですけれども、鹿児島―羽田間なんかは突然中止になってしまう、運航をやめる。先日も、私の福岡も含めて、パイロットが少ないということで急に欠航してしまう。

 こういった規制緩和というのは、ある部分、競争を促進して、市場を拡大して、消費者に便利さや低価格を提供するんですけれども、しかしながら、余りにも秩序のない形になりますと、すなわち、後で申し上げる空港の需要というものに対して大きな影響が出てくる。こういった航空会社の経営状況も空港利用の、需要の前提にありますので、国土交通省は、空港整備の前提として、航空会社の経営についてのレフェリー役をまずしっかりと務めていただきたい。規制緩和という流れがあったとしても、最低限、今回法案を審議するに当たってこのことをまずお願い申し上げたいと思います。

 さて、本題に戻りたいと思います。

 今回の法案の趣旨、目的。日本は言うまでもなく海に囲まれた国でありますので、空と港というものが外への入り口になります。近年、アジアが成長する中で、世界の活力を成長のエネルギーにするため、人流、物流の両面における世界に対する窓口である空港について国際競争力を強化する必要ということが記されています。そしてまた、地域活力を維持強化するためには、この人流、物流を強化して、観光振興や物流の高度化が必要だというふうに記しております。

 この提案理由にあるような、法案を提出される理由にアジアの成長というものが見込まれておりますけれども、法案の目的、趣旨について、特にその点について、まず大臣の御所見を伺うところから質問を始めたいと思います。よろしくお願いします。

冬柴国務大臣 世界各地におけるグローバル化が急速に進展している中で、とりわけアジア地域においては、急速な経済成長や国際水平分業の一層の進展など、域内における生産のネットワークの高度化が進んでおります。アジア域内で、アジアと世界の間を動く人や物は急速に増大してきていると認識をいたしております。

 このような状況の中におきまして、アジア各国においては近年、滑走路を何本も持つ大規模空港の整備が着々と進められている状況にあります。

 我が国が、国際社会において埋没することなく、このような動きに迅速に対応し、少子高齢化や人口減少が進展する状況下においても持続的な成長を実現していくためには、アジア各国を初めとする諸外国の活力を積極的に取り込み、引き続き、アジアにおける成長センターとして機能していくことが不可欠である、このように信じております。

 そのために、航空利用者の視点も踏まえつつ、国際競争力を強化するための基盤となる国際空港の機能強化や、あるいは航空ネットワークの拡充等を推進してまいらなければならないと認識をいたしております。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 空港というものが、それぞれの地域の活性化、観光の振興等に大きく寄与するということが目的に掲げられておると思うんですが、私自身、アジアというものについて、福岡が選挙区なものですから、大きな関心を持っております。

 福岡の地域資源と地域公共交通、あるいは空港の問題、これがどのような形で相乗効果となってあらわれているか。そこから派生するさまざまな問題。

 多少手前みそでありますけれども、福岡空港というのは、博多区の真ん中にありまして、私、その中の博多駅南というところに住んでいて、博多駅から歩いて十分なんですね。福岡空港から車で十分です。本当にこんな便利なところがあるのかな、こういうふうに思っているものですから、この福岡の空港のあり方が地域資源を生かしていくのにどのような形で役に立っているか、こういった視点で多少申し述べたいと思います。

 まず、観光資源とかあるいは食べ物、土産物や特産品、その他の公共交通機関との連携のあり方、この四点と、どういう形で空港あるいは飛行機の離発着がうまく絡んでいくかということが地域振興に重要なことかということを申し上げたいと思います。

 観光資源で申し上げると、私のところは、金印の発見された志賀島とか、あるいは昔、元寇がありまして、元が攻めてきた、それの祈りをささげる敵国降伏というものが掲げられた筥崎宮があったりとか、あるいは玄洋社の発祥の地であったりとか、官幣大社の香椎宮があったりとか、あるいは山笠の櫛田神社、あるいは相撲で有名な住吉神社、住吉の一番初めにできた神社ですね。とにかく観光資源は物すごくいっぱいあるんですね。

 しかし、今、宮崎で東国原知事が一生懸命頑張っている。私も、高天原とかによく行くんですけれども、宮崎空港から行くのは本当に大変なんですね、熊本の方から入っていく。つまり、観光資源プラス、そこに対してのアクセスというものがなければ、なかなか地域は振興しない。これがまず一番目です。

 それから二番目。多少地元の宣伝になりますけれども、博多ラーメンで有名なところなんですね、屋台がいっぱい出ていまして。ある有名な俳優さんが、女優さんにこういうことを言った。おい、これからラーメンを食べに行こうと。どこに行くか。羽田に行って、福岡にそのまま飛んでいっちゃった。それで、中洲の屋台でラーメンを食べて戻ってきた。

 こんなのは極端な話なんですけれども、おいしいものを食べに行きたいと思っても、なかなか一泊二日で行くというのは難しい。航空料金の話もありますけれども、日帰りで行けるぐらいのところだったら、行く人というのは出てくる。ちょっとの時間を使って、食べ物を食べに行きたい。そうすれば、そこの食べ物も、名産で、どんどんどんどん売れていく。

 三番目。土産物と特産品、博多織とか博多人形があります。なぜ売れているか。これは、一つには、日帰りができる距離でありますから、出張が多いんですね。出張に行ったら、とりあえず、職場の人間とか周辺の人間に気を遣いますから、お土産を買わなきゃいけない。そうすると、そこに行ったという証拠のものを買っていかなきゃいけませんから、当然名産のものを買っていく、そこで地域のものが売れる、こういうことなんですね。

 四番目の、地域公共交通機関との連携。先ほど申し上げたように、新幹線の駅が近い、始発ですね。それから港があります。韓国まで三時間ぐらいでぴゅっと行っちゃうんでしょうかね。ただ、うちの場合には、博多区、東区というのは公共交通機関がいびつだという話は地域公共交通のときにお話をしたんですけれども、この地域公共交通、ほかの公共交通機関との連携がうまくいくことによって、本当に人の行き来が活発になる。

 ちなみに、ゴールデンウイークにあった博多どんたくというのは二百万人、人が来ます。地域の人はほとんど、自分で出ている人以外は見に来ません、毎年のことですから。ほかのところから二百万人来ますので、こういったことを、何か空港整備をしていくとき、航空業界のあり方を考えるときに、一つどこかヒントがあるんじゃないかなというふうに私自身は思います。

 大臣の党の前の代表の神崎代表の御地元ですから、博多も来られたことがあると思いますけれども、地域の振興、観光の振興などと地域公共交通全般のあり方という文脈の中で、空港のあり方についての大臣の基本的な考え方をお聞かせいただければ幸いだと思います。

冬柴国務大臣 確かに、福岡へ参りますと、私は、もう地下鉄に乗らせてほしいということで、とにかく便利ですね。そしてまた、もちろん私は、いつも仕事で行くわけですから、観光というのはなかなかその機会に恵まれないんですけれども、ただ、食べ物は確かに特色があって、お土産はからしめんたいこですね。こういうものを考えますと、本当に空港の立地というものが、人、物、金、そしてそういうものを、人の思い出、心まで運ぶ、そのような意味合いが物すごくあると思うんですね。

 その意味で、福岡空港は日本で一番便利な空港と言っていいと思います。近いですからね。ただ、もうキャパシティーがないですね。ほとんど満杯状態。ですから、私ども、福岡へ直接すぐに行きたいと思っても、SPさんとかそういう人たちの飛行機の切符も考えれば、なかなかとれませんよ。

 そういう意味で、これはどうするかというのは大問題だと思いますが、私は、空港というものは、観光立国推進基本法もできまして、観光でこれから立国、国を立てようというときに、空港は非常に重要な拠点である、このように認識をいたしております。

遠藤(宣)委員 見て楽しい、参加して楽しい、食べておいしい、勤務して楽しい、そして行き来に便利だというような地域を日本各地につくっていただければ、日本の活力というのはもっともっと大きくなると思います。

 今大臣がおっしゃられたように、基本的に非常に便利でありますけれども、しかしながら、空港の整備に伴うさまざまな問題というのもございます。航空業界の特質と、どういうふうに外部不経済に伴うものに対して地域社会へ還元をしていくか、あるいは利便さに伴うものをお返ししていくかということが地域住民への配慮として非常に必要だと思います。

 まず、航空業界の事業の特性というものにちょっと触れたいと思います。

 一つは、安全のために、最低限の安全基準をクリアするために膨大な投資や専門技術を必要とする。二番目、空で飛んでも満員で飛んでも大きなコストの差はありませんから、そのために、最後の方になると格安航空券で投げ売りをする。三番目、しかし一方で、公共交通機関の役割を担っていますので、少ないからといって定期便を欠航にはなかなかできない。四番目が、事故が一たん起きると、その規模は極めて甚大ですから、常時その緊張感を持っています。五番目、また、建物の高さの制限など、建築物にさまざまな規制がかかる。六番目、常時騒音がある。七番目、空港は初期投資が極めて大きいために、鉄道の駅やバス停なんかと異なって、一たんつくったらつぶすことは極めて困難であります。また、維持費が駅やバス停と比較して膨大。しかし、先ほど申し上げたように、公共交通機関として極めて重要だ、こういった特性を持っていると思います。

 私は、多いときには週に日帰りを含めて三往復もしておりますけれども、気持ちの上では二時間あればドア・ツー・ドアで行って帰ってこられる。しかし、こういった航空事業の特性、そして周辺に対しての負担というものを常に頭に置きながらその利便さをかみしめなければならないと思います。この特性を踏まえて、便利さに伴う一定コストをどのように分かち合っていくかということが、空港を整備していく際に極めて重要だと思います。

 先ほど大臣が触れられたように、福岡の航空需要というのは非常に多い。今その中で上がっている問題が幾つかあります。五つばかりちょっと触れたいと思います。

 一つは、空港を移転した方がいいんじゃないかという問題がその中から派生をしております。私自身は今のところどちらがいいかということについては中立の立場、移転派でもそのまま置いておく方でも、どちらにも今のところまだ結論が出ていません。

 ただ、一般論として、移転するにしても、広大な空き地の用途をある程度明確にしてからじゃないと、空港というのは規模が大きいですから、そこのところにぼこっと穴があくんですね。いきなり地域環境が大きく変わってしまいますので、この跡地の利用見込みとセットでやらなければ、はしごを外されたといいますか、かなりむごい形になる。将来の公共に対する市民の協力に際しての信頼を担保するためには、移転するときには跡地利用のあり方とセットでまずやるべきじゃないか。これが一つですね。

 逆に、このまま置いておくにしても、需要がふえているということは便利さがふえているということですから、そうするならば、周辺住民に対しての騒音や落下物の危険といういわゆる外部不経済、周りに迷惑をかけるものに対してのよりきめ細かい周辺住民の安全や経済効果の還元をより一層行っていかなきゃいけない。頻繁に発着がふえるわけですから、そのくらい需要がふえているということだから、周りに不便をかけているところにしっかりと配慮をしていくということが極めて大事だというふうに思います。

 そして二点目が、これはぜひお聞きをしたいんですが、空港建設の際に重要な決定の要素、これは道路でもさんざん言われましたけれども、需要予測というものがあります。この福岡空港のもろもろの問題も先々の需要予測というものが必ず出てくると思いますけれども、今、旅客数、発着回数とも羽田、成田に次いで国内の三位、滑走路一本の空港としては旅客数、発着回数とも国内一位です。しかし、需要の根拠を考えるときに、私はさらに加えなきゃいけないことが幾つかあると思います。

 例えば、先ほど、アジアとの競争が激しくなった、ソウルとか上海とかシンガポールなどの空港がこれからどのくらい伸びていくのか、その国の経済がどのくらい発展していくか、上海万博の後も中国はずっと成長し続けていけるのか。

 あるいは、本当にアジアの発展と近隣空港との競争に日本の今の航空業界は勝つ状況にあるのか。

 あるいは三番目、一方で、先日の、スカイマークはパイロット不足から運航中止にするという便が多発したときに、需要は予測したけれども、航空会社自体が飛ばしませんよとなったときにどうするのか。

 あるいは四番目、原油の価格が高くなって航空運賃が値上がりすると、ちょっと時間がかかるけれども新幹線で行った方が早いや、こんなことにもなりかねない。

 こういうさまざまな要素の相関関係の中で航空需要というものを考えなければならないと思うんですけれども、その点について大臣の御所見を伺えればと思います。

鈴木政府参考人 技術的な問題でございまして、私の方から少し御説明させていただきたいと思います。

 福岡空港につきましては、将来的に需給が逼迫する事態が予想されることから、平成十五年度より国、福岡県、福岡市が連携して総合的な調査というものを実施しておりまして、パブリックインボルブメントという、住民の方々等の御意見を伺いながら調査をやっております。

 この中で、今ステップスリーというところまで来ておりますが、現在の一本の滑走路では将来的に需要に対応できないということを説明し、さらにステップスリーでは、新空港を建設して対応するのがいいのか、あるいは現空港でも滑走路を増設する用地が、ちょっと狭くて大変なんですが、ございます。そちらの方のやり方がいいのかというところの比較案を出させていただいております。

 新空港の場合には、当然のことながら玄界灘を埋め立ててつくりますので、事業費とか工期とかいうのが膨大になりますし、長期間を要します。それからアクセスも遠くなるという問題がございます。現空港の方は、工期等が短いあるいは事業費も安く済むというところがありますが、先生御指摘の周りの方々に引き続き御迷惑をおかけするとかそういった問題がございます。

 したがいまして、これからまたさらにこのパブリックインボルブメントの手法を使いながらきちっと合意形成を重ねてまいりたいと思っておりますが、その中で、御指摘の需要予測につきましては、平成十八年度に一度実施しております。ただ、それからまたいろいろな情勢が変化しておりますので、今後将来の対応方策に係る検討をさらに進めていく際に、最新のデータを用いてさらに精査を重ねていく、あるいは、いろいろな御指摘の要因につきましても考慮して、需要予測の精度向上を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

遠藤(宣)委員 需要予測、かなり難しい要素だと思いますけれども、先ほど指摘しましたように、空港というのは規模が大きい、そしてまた周辺への影響が物すごく大きいものですから、いろいろな角度から御検討いただければと思います。

 そして三番目に、空港建設と維持のコストということについてちょっと触れたいと思います。

 私が聞くところですと、福岡空港は騒音対策と地代に年間百五十億ぐらい使っている。後日で構いませんので、福岡空港に要する地代や騒音対策の支払い先の詳細をぜひとも教えていただきたいんですけれども、地元においては、騒音対策にこれだけかけるなら、いっそほかに移転した方が税金の無駄遣いがなくなるという声もあります。しかし、空港の利便性を適正な価格でまた適正な方法で我慢している人たちに還元していくというのが筋だと思いますので、ぜひとも空港の利便さを外部不経済を受けている人たちにいかに還元するかということがこれからの公共交通機関のあり方だというふうに思います。

 そして四番目に、周辺住民への配慮というのがあります。特に、飛行機が上を通っているというのは非常に怖いと感じている人が多いんですね。かつて自衛隊機が民家に墜落して一家が死亡したという事故があります。うちの地域でいいますと、千早とか吉塚という地域あるいは筥松、箱崎、松島、名島という地域なんかは上をぴゅうっと通るんですね。

 たしか私の選挙の年、二〇〇五年の八月十二日ですか、上から金属片が落下してきた。けが人が出た。これは金属片だからよかったものの、飛行機それ自体が落っこちてきたらどうなっちゃうんだろう。あるいは、一九九六年にガルーダですか炎上しまして、三名が死亡した。福岡空港は町中にあって便利な反面、一たん事故が起きたときには住民が巻き込まれるという恐怖感を持ちながら暮らしているわけですね。

 こういった意味で、空港あるいは飛行機の離発着に伴う外部不経済、騒音や落下物や墜落への心配などの配慮は一般的にはどのようになされているのか。そして、周辺住民に対しての配慮というものはどのような視点で行われているのか。この点についてお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 福岡空港は御指摘のように大都会福岡の真っただ中にありまして、周辺の住民の方々に騒音の被害を与えているのは事実でございます。伊丹と並んで騒音の激しい二大空港でございますので、私どもも、空港周辺整備機構という独立行政法人も使いまして、この環境対策には特に力を入れているところでございます。

 また、落下物あるいは飛行機の墜落といった面についての安全対策については、これも万全を期す必要がありまして、エアラインに対して十分指導監督を行うとともに、我々、管制面できちっと航空機の安全を図るようなコントロールというのをしっかり続けてまいりたいと思っております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、空港というのは公共交通機関の最たるもので、しかも規模が大きい、影響も大きい、そして危険度も大きい。しかし、利便さも大きい。この利便さに伴う果実を、我慢している人たちにいかに分配をしていくか、いかに実感をさせていくかということも非常に重要だと思います。

 最後に、前に博多バイパスの件でも触れましたけれども、土地提供者への配慮というのは非常に大事だと私は思うんですね。

 福岡の地図を見ていただければ、福岡空港というのは町の、博多区の真ん中にあるものですから、提供した方々がいっぱいいる。月隈、東月隈とか平尾とか席田という地域なんかは、逆に、空港があるために中心部と分断をされてしまっている。あるいは、土地を提供して、相続のときにいろいろ配慮しますよみたいな口頭の約束があったのが、いや、税務当局はそんなことはもう、次の代に余り関係ありませんよとか突っぱねられたり、私の選挙区だけじゃないかもしれませんけれども、余り公共のものに協力するとばかを見るんじゃないかという空気があるんですね。

 JRの話もそうなんですけれども、一生懸命協力したけれども快速もとめてくれないとか、いまだに返事が来ないとか、うちの地域だけなのかなと思うんですけれども、公共に対しての不信感がすごくある。こういったものをぜひとも払拭していただきたいというふうに、まずお願いをしたいと思います。

 今までるる申し上げてきたように、空港という大きな施設をつくるために土地を提供する人がいる。周辺の人たちが我慢する。しかし、それによって地域がすごく活性化をしてきた、多くの果実が地域にもたらされた。これを公のために協力した人たちにどうやって還元するか。そして、これをやったおかげでこんなによくなったんだよということを、ある部分、うまく説明をしていくことというのがすごく重要だと思います。ぜひとも、その部分を踏まえた上で、この施策を進めていっていただきたいと思います。

 最後に申し上げたいのは、空港とそこへのアクセスの問題があります。

 国交省の人間にも申し上げたんですけれども、私は質問に立つたびに申し上げているのは、国土交通の総合官庁ですから、国土形成の総合政策官庁に脱皮をされた。昔は、道路は建設省、車の車検と運行は運輸省、自動車本体は通産省、交通法規は警察庁、ばらばらだった。しかし、省庁の再編で大きな官庁ができました。

 さらに、道路の一般財源化の話とか出ています。将来的には、道路財源とか空港財源とかいうのではなくて、交通整備財源という大きなくくりの中で、例えば空港を複数つくるよりも空港間を、空港を一つつくって各地をリニアモーターカーでばっとつないだ方がいいんじゃないかとか、こういった日本の地域の活力、そして世界との競争力、これをどうやって引き出していくか。

 昨今、公務員改革がいろいろ議論されておりますけれども、スケールの大きな議論が霞が関においても、そしてこの永田町においてもできるような時代になってくれることを、そしてまた、今回の空港の話がそこの一つの大きなきっかけとなることを心より祈りまして、質問を終わらせたいと思います。

 以上です。

望月委員長代理 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、きょう議題となっております空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案、この審議をさせていただくわけでございますが、その前に、このテーマとはちょっと別なのですが、私の地元の明石海峡における民間船舶同士の衝突事故、こういったことについて御質問させていただきたいと思います。

 もうこれは、昨日も大臣のもとに地元の漁業関係の方とともに陳情に上がったところでございますので、改めて申し上げることもないんですが、衝突事故からもう三カ月が経過をしているわけでございます。いまだに何か、地震があれば沈没をしている船の中から油が漏れて出て、そこの漁業、イカナゴ漁とかノリ養殖業といったものが壊滅的な状況が続いているということでございます。

 漁業被害はざっと五十億円を超える、こう言われている中で、今の船主責任制限法で定められた事故当事者による補償というのはけたが違うぐらい小さいということが一つでございます。また、タンカーの海難事故などに対応する船舶油濁損害賠償保障法も、これは今回適用されない。これは当事者も皆よくわかっているわけでございます。

 今の制度ではなかなかがんじがらめになっている中で、罪のない善なる第三者である漁民の方が廃業に追い込まれる、こういったことは何とかしてあげたいな、しなければいけないな、この制度のはざまで泣き寝入りするしかないというのは、いささかやはり政治としてどうなのかということを痛感せざるを得ないわけでございます。

 この一つに、これは中期的な制度設計ということもありますが、まず、昨日も話が出ておりましたが、沈没船内に残っている油の抜き取り作業、これは大変難しいところで困難をきわめるわけでございますけれども、ここをしっかりやらないと、なかなか漁業の再開はできない。

 こういったことで、まず、地元の県ですとか関係の市がこのことについて積極的に実施しよう、こう決定した場合に、国として支援をする意向があるのかどうか。まず、この点について国土交通省の明快な御見解を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 一般に、沈没船内に残っている燃料油の抜き取り作業につきましては、沈没船の船主が責任を持って行うべきものであります。

 しかしながら、外国船舶、現在沈んでいるのも外国籍ですが、そういう船主が国内に存在しない、日本にいないということから、その作業が適切に実施されないという結果、やむを得ず、地方自治体、県や市、町が油の抜き取り作業を行うケースが存在するわけでございます。

 国交省としては、このような場合に、地方自治体の経済負担を軽減するために、一定の要件が必要でございますが、外国船舶油等防除対策費補助金という制度を持っております。

 具体的には、海洋汚染防止法四十一条の二、海上保安庁長官の要請に基づき地方自治体が作業を行った場合において、同法四十一条の三の規定に基づく措置等を講じてもなお油等を排出した外国船舶の船舶所有者から費用を徴収することが困難であると大臣が認めるときは、地方自治体に対して交付する、そういう制度がございますので、自治体がこのような決断をされれば、今回の明石海峡に沈没している船舶についても、そういう決断をされましたら、国土交通省としては補助金の制度を活用して支援してまいりたい、こういうふうに考えております。

 なお、現在、海上保安庁から船主に対しては適切な対応をとるよう要請を続けているところ、こういうことでございます。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 今大臣の御答弁にありましたように、まずは船主の責任だということは明確でありますが、そこで、その一歩として、今のルールがあるわけですから、ぜひ、国土交通省、海上保安庁、そして地元の兵庫県を中心に連携をよくとっていただいて、本当に漁民の方たちの立場に立った施策が早急に決定されることを強く望むわけでございます。

 次に、今回起こった明石海峡大橋も大変狭いところで、相当な交通量がある。こういったところは国も既に、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のこういった交通難所を十一カ所、特定航路として指定しているわけでございます。

 今回の衝突事故というのは大変不幸な出来事でありますが、ある意味では、今後似たようなことが起こらないとは言えない、起こる可能性が相当高いのではないか、そういう危険性をはらんでいるのではないかと考えているわけでございまして、この該当する地域の漁協関係者は、特定航路の事故被害救済のための何らかの基金の創設ですとか、そういったものの制度の確立というものを強く求められていると思いますが、この点についての国交省の見解について、局長からで結構でございますので、御答弁いただきたい。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としますと、今回のような原因者が特定されている、明らかな事故による燃料油の被害につきましては、当事者間において民主的に解決されるというのが基本でございます。

 したがって、この事業者の方は、基本的には、彼らが掛けている保険というものを使って補償を行うわけでございますが、これも委員御案内のとおり、船主責任制限条約あるいはこれに基づく法律によりまして、船主責任が一定の額に制限されております。

 そういうことから、被害額がこの船主責任制限額を大幅に超えるといった場合に、この超えた部分についての補てんが何ともならないということになります。

 その部分を基金という形で補てんするべきではないかという御意見だと理解しておりますけれども、実は、この超える部分の被害につきましては、油タンカーの場合については、既に世界的なお約束といいますか条約のもとで、我が国にも適用されております油濁損害賠償補償基金というのがございまして、これによって各国が拠出金を出しまして基金をつくりまして被害を補てんするという仕組みができてございます。

 船舶の場合は、特定の国の船舶だけが海を使うわけではありませんので、こういったものについては国際的な約束事の中で制度設計をして、それぞれが負担するという形になってございます。

 ところが、今回問題になっておりますようないわゆる燃料油の漏出による被害の責任制限額を超える部分についての補てんの仕組み、これについての国際的な約束事、制度がまだできてございません。したがいまして、これが私どもも委員御指摘のとおり一つの大きな課題であるとは認識しておりますが、今後の課題でございます。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽委員 今後の課題でございますと言っている答弁が実に気楽なんですけれども、国際条約の枠組みの中でやらなければいけないので、ボタンをどこでかけるかということなんだと思うんですが、外国船舶が通るというそこの部分とは別に、全額補てんできるということでなくて、少なくとも十一カ所の関係する日本の国内の地方自治体だけがそういった基金を拠出してもいい、このような意向がある場合、国交省としてはどうお考えになるのか、まだそれは検討されていないのか、その点について教えていただけますでしょうか。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のような、例えばそういったある種の我が国独自の基金という考え方は理解はいたすわけでございますけれども、これはなかなか、いろいろな問題点をクリアしなければいけないと思っておりまして、例えば一体どなたが、いわゆる拠出者ですね、負担を求める相手先、それから、例えば今回のように外国籍船による被害を我が国の方で補てんするのかということについての合理性、公平性といった問題もありまして、今後の検討課題としてはかなり多くのものがあろうかと思っております。

 なお、つけ加えますと、国際的な制度づくりという点をまず私答弁申し上げたんですけれども、私ども、もちろん大臣の指示のもと部内でも検討しておりますし、さらに非公式には諸外国との意見交換をしてございます。今後、いずれにしても、そういった形で検討を進めてまいりたいと思っております。

赤羽委員 ぜひ国際的な枠組みの検討を進めていただきたいと思いますが、私は、各国の事情も違うので制度設計はなかなか難しいのではないかと思うので、補完的なという意味で、この十一特定航路の関係団体等の意見交換というか検討会をまずぜひ、正式なものではないにしてもヒアリングをしていただきたい。地元の漁協からはそれなりの強い意見が出ていると思いますので、まずよろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、本日の議題でございます空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案について、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず総論として、これは私の感じですが、空港に対する行政というのは、その時代時代の、時代状況によって翻弄されてきたと言うとちょっと言い過ぎですけれども、その時代、民営化であるべきだとかこうするべきだというようなことであった。そして、その歴史に物すごくいろいろなコストがかかっている。コストというのは、お金だけではなくて人の労力ですとか。ですから、成田一つとっても、それまでの国交省の皆さんだって大変な手間暇というか、本当に相当使命と責任を持ってやっていただいた、そういういい意味でも悪い意味でも引きずってきたものがある中で、なかなか難しいなと。

 私も、空港も第一種、第二種、第三種みたいな分け方もどうなのかなと思っていたり、成田と関空と中部が、それぞれのあり方がそれぞれの時代によって決まったことであって、国の中心、国際空港としてこれでいいのかなと、さまざまな思いがある中で、今回の改正は、恐らくそういった中で、まさにアジアを中心とした経済のグローバル化の中で国際競争力を強めなきゃいけない、そういった強化策の中で本気で今までの航空行政の呪縛をリセットして、私の表現ではそういう呪縛をリセットして法改正をするものだ、こういったことであるならば高く評価をするんですが、これは本当にその辺の物すごく強い危機感から発せられたものなのかどうなのかということをぜひお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 近年の経済のグローバル化に伴いましてアジア地域が急速に今発展する中で、四面環海の我が国におきましては、世界の活力を成長のエネルギーとするために、人流、物流の両面における世界に対する窓口である空港について国際競争力を強化していくということが喫緊の課題だということは明らかであります。

 このために、現在は大都市拠点空港の整備を最重要の課題として重点的に進めているところでございますが、具体的には、成田空港については、平行滑走路二千五百メートル北伸事業ですね、あるいは羽田の空港について四本目の滑走路を整備する再拡張事業にそれぞれ全力で今取り組んでいるところでございます。

 また、空港政策につきまして、我が国の地方空港、九十七整備されております。そのうち二十三には定期便が外国から入っておりますし、チャーター便といえばもう四十四ですか、入っているんですよ。そこまで来ている状況の中で、ほぼその整備というものは地方空港については概成しているんではないかということから、運営というものにもう少しシフトしなきゃならないということで、空港整備法というものを今回空港法と改めるというのは、そのような思想がそこにあらわれていると思います。

 我々は、空港法に基づいて基本方針を策定する、そういうことを通じて空港の的確な運営を図ることによって、空港の国際競争力の強化、こういうものを推進していこうというのが今回の法案を提案する一つの考え方、哲学と申しますか、そういうものでございまして、これまでいろいろな変遷を重ねたことは委員が御指摘のとおりでございますが、そのような確たる考えのもとに今回このような整理をさせていただいたということでございます。

赤羽委員 ちょっと話はそれるようですが、先日、ちょっとあるものを読んでいたときに驚いたんですけれども、どのくらいアジアが急速に経済を伸ばしているのかという象徴的なことなんですけれども、上海市内に六十メートル以上の高層ビルが何本あるか、こういうくだりがあって、日本は二百本ぐらいらしいんですが、上海市内だけで千八百本もできている。これはもう大変な脅威で、上海で千八百本も今ビルができている、そういったところと伍していくという覚悟があって空港行政というか今回の法改正をしなければ、総論はいいけれどもなかなか各論で前に進まなかったという話になるのではないかということを私は懸念しております。

 その中で、今回のこの法案、国会提出に当たりまして、成田国際空港株式会社の外資規制、こういったところの規制関係の規定を先送りにされた、そのことについてどういう状況があったのか。政治とのすり合わせができなかったということでありましょうが、私は、私の見解よりまず、政府の中で今後これをどう進めていくのか、この点について、局長で結構でございます。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本法案の国会提出に当たりまして、政府部内あるいは国会の関係の先生方の間で、外資規制の是非をめぐってさまざまな議論がございました。

 先ほども答弁させていただきましたように、成田空港及び羽田空港のインフラとしての重要性につきましてはどなたも疑念を差し挟まないところでありますが、それを守るための規制の手法としてどういうものがいいのかというところについて、いろいろな御意見をちょうだいいたしました。

 特に、総理がダボス会議において対内投資促進の演説を打たれた直後であったというようなこともありまして、公正かつオープンな投資環境の整備による対内投資の促進という観点と、安全保障のための空港などの基本インフラの機能確保の両立という要請にどうしてこたえたらいいのかというところについて、もう少しきちっと検討するべきであるということになりまして、年内のできるだけ早い時期に結論を得るべく、この問題については引き続き検討することになったわけであります。

 この検討につきましては、有識者における研究会を立ち上げまして、有識者や関係者の意見を幅広く聞きながら検討を進めていく考えでありまして、早急にこれを立ち上げたいと思っておりますし、関係省庁ともまた調整を図りながら、年内の早い時期に結論を得られる努力をしてまいりたいと考えております。

赤羽委員 この問題について、私は、恐らく両論あって、この両論についてそれぞれ主張もよくわかるし、そこをすり合わせるというのは大変難しい作業であるということもよくわかるんですが、今回の法改正のそもそも論に対してどうなのかということで、やはり相当腹をくくって切り込むということも大事なのではないかということを私の意見として申し上げておきたいと思います。

 あと、日本の国際空港、競争力をつけるといっても、いきなり中国の国内並みの経済成長といってもそう簡単な話じゃございませんので、今ある優位性を最大限に利用して航空行政を進めるべきだ。

 私はかねてから言っているんですが、日本の国際空港の優位性というのは、例えばアジア地域からアメリカに行くとかヨーロッパに行く、そういった意味では、アジアの一番東端にありますから、トランジットという意味では一番の優位性があるんではないか。ところが、トランジットの客を引き込もうとする努力というのは日本の国際空港は一番怠けているんではないか、こう言わざるを得ないと思うんです。韓国の仁川でも、ああいう遠くにあると、トランジットの間の半日間の間にソウル市内への観光ツアーを無料で提供している、当たり前にやっています。

 私は、関西空港に対しても、関西は特に、京都も近いですし、奈良も近いですし、USJはありますし、私などの地元の有馬温泉もありますし、半日あれば相当楽しめる、こんないい国際空港はない、なぜ売り出さないのかと、もう何回も言ってきているんですけれども、全く努力をしない。

 ビザの問題とかなんとかと言っていますけれども、そんなことは、もうやらない言いわけにしか聞こえない。ゴルフだってやらせたっていいと思います。トランジットの客を世界じゅうから呼び込むという努力をしないと、ただでさえ国内の経済力が負けているんですから、もう上海なんかあっという間に全部とられますよ。

 加えて、今回、飛行機の大型化でアメリカとシンガポールが直行するようになりますと、日本はスキップされる可能性というのはたくさん出てきますよね。全部、シンガポールをトランジットにすればいいわけです。そうなると、せっかくの法改正をしても、実際どうなのかということを相当角度を決めてやらないと、できることは限られていますから、本当にそういったことが必要なのではないかと僕は思います。

 このことについて、私は、官民を挙げてトランジットの客を引き入れる、数値目標を持ってやる、そこに成田や羽田や中部や関空の四大空港についても協力させる、ビザ関係のことは政府として何とか調整する、こういったことはぜひやるべきだと思いますが、国交省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、国際拠点空港の競争力を強化していくためには、航空ネットワークの拡充とともに、おっしゃったようなトランジット客を引き込むような努力というのも大変重要だろうと思っています。

 ただ、トランジット客を引き込むためには路線網をまず充実することが大変重要でありまして、例えば関空でありますと、中国などアジアに近いという地理的な優位性がありますので、そちらに向けての路線網を充実させていく。そうすると、ヨーロッパとかアメリカのお客さんも、関空に来ればうまく乗り継げるんだなということでトランジットを考えられるということがありますので、それに向けて、二国間交渉による航空自由化等をどんどん推進してまいりたいと思っております。

 また、トランジット客に対するサービスというのも大変重要でありますので、現在、関空会社が地元関係者の協力を得まして、例えば今年度は、りんくうタウンの対岸の商業施設あるいは堺市内への低廉な料金でのトランジットツアーを実施したりしております。まだまだ不十分だと思いますので、今後とも、トランジット旅客の動向を踏まえつつ、トランジットツアー等のトランジット客へのサービスの充実について、空港会社や地元関係者と十分協力して進めてまいりたいと思っております。

赤羽委員 ビジット・ジャパン・キャンペーンというのは国交省の公約として掲げてやっているわけで、トランジットの客というのは数に入らないかもしれませんが、ぜひトランジットの客も視野に入れて、ビジット・ジャパン・キャンペーン、もうまさに大事な角度だ、私はそう考えておりますので、ぜひ関係各局、観光庁もできるんですし、御協力をいただいて進めていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、首都圏における航空需要が逼迫する中でいつも問題になってきているのは、米軍の横田基地の活用と空域の問題ということがありますが、この共用化に向けた調整というのは現在どのような段階にあるのか、御答弁をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 横田飛行場の軍民共用化は、首都圏西部地域の航空利便性を改善し、首都圏の民間航空需要の一翼を担う意義のあるものと考えておりまして、関係省庁及び東京都と一緒になって、今米側とスタディーグループというのをやりまして検討を進めているところでございます。

 アクセスも、最近、圏央道というのが八王子までつながりまして、山梨側とか埼玉側からも大変便利な位置にございます。さらには、横浜方面へもこの圏央道が延びますれば、どんどんどんどんアクセスが容易な地域というのは広がってまいると思っております。

 ただ、このスタディーグループにおける検討作業につきましては、開始から一年以上経過いたしましたが、日米間でさらなる調整が必要であると認識しておりまして、引き続き必要な協議、調整等に取り組んでまいりたいと考えております。

赤羽委員 この問題は、国交省だけという話ではなくて、政府とアメリカとの外交問題ということでもありますでしょうし、ぜひ政府部内として積極的に進めていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 今おっしゃられた首都圏にアクセスする道の話、これは、ちょっときょうの題とは離れますけれども、今後やはり道路の建設の中で、真に必要な道路という、私、これもかねてから申し上げておりますが、国際空港とかスーパー中枢港湾とか、そういったところのアクセスということを明確に評価づける、こういったことをぜひ、きょうは御答弁要りませんけれども、国土交通省の中で進めていただきたい、こう思うわけでございます。

 時間も迫っていますので、最後の問題になりますが、昨日のニュースで、スカイマークのパイロットが不足して、二人やめたことによって欠航が百六十八便だ。羽田と旭川はもう既に欠航しているんですか。これは神戸も飛んでいますので、羽田―神戸も欠航が出るのではないか、こういった話でございます。

 いろいろな報道があって、ちょっと通告はしていませんけれども、スカイマークのパイロットは週八十時間から九十時間の運航時間だ、日航やANAに比べると十五時間ぐらい多くて、労働時間が大変長くて過酷なのではないかというような、これは責任ある報道じゃない、テレビ番組で出ていましたので、そういったことは法令の中で定まったことだと思いますので、その点の確認と、私、このパイロット不足というのは、多分今後とも続いた傾向になるんじゃないかと。

 私は以前、防衛庁出身で民間機のパイロットになりたい、こう言っている人の話を聞いたんですが、そのとき調べたら、制度として何か縛りがあるんですね、防衛省と国交省の間で。ですから、再就職というのは非常に難しいという話があって、防衛省はやめているんだけれども、そのルールの中で民間航空会社に採用されない、こういったことがあるというふうに聞いております。

 この点について、事実認識とパイロット不足という構造的な問題についての対処の仕方についての御見解、また、このスカイマークについていろいろな行政指導をされていると思いますが、その点についても言及していただいて、御答弁をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、我が国航空会社のパイロット全体の問題でございますが、今後、団塊の世代が大量に退職するほか、航空需要のさらなる拡大等に伴いまして、新たに必要となる人数が一層増大することが予想されております。

 このような需要に対応するために、短期的には、航空会社において即戦力となる定年を迎えた操縦士の再雇用及び外国人操縦士の活用を中心とした対策、中長期的には、航空大学校による基幹的要員の安定的供給あるいは航空会社での自社養成の拡大、それから、最近では大学で操縦士課程というのが始まっておりますが、民間養成機関の育成、振興の推進というのが重要であると認識しておりまして、こういった総合的な施策を推進してまいりたいと思っております。

 なお、御指摘の、航空自衛隊からのパイロットの民間航空会社への再就職に関しては、私どもの方では特に制限は設けておりませんが、かつて航空自衛隊から大量に民間へ移転したということもありまして、航空自衛隊の側で一定の年齢に達していない若手については制限をされておるというようなことは伺っております。

 それから、スカイマークの問題は大変遺憾でありまして、突然私ども知らされたわけでありますが、二名のパイロットが退職したがために、予定されていたダイヤが組めなくて、一部の便が欠航するというやむなきに至ったということであります。

 これは、委員御指摘のように、スカイマークにつきましては、日本航空とか全日空などと比べまして、一カ月の乗務時間とか三カ月の乗務時間とか一年間の乗務時間というのは多少長くなってございます。我々が決めております基準には合致しておるわけでありますけれども、大手は少しゆとりを持って乗務割を組んでいるところが、スカイマークはぎりぎりでやっておった。そこへもってきて、最低限の体制を組んでおったところのパイロットが突然、病気等の理由でやめてしまったということで、ダイヤが組めなくなっておるところでございます。

 私どもとしては、安全運航の観点からは無理な運航はさせられませんので、やむを得ない措置と思いますが、どうしてそういう状態に至ったのか、あるいは、今後確実に補充できるような見込みがあるのかというところを会社からもヒアリングをして、指導を行っておるところであります。

 それから、お客様に対しては絶対迷惑がかからないように、他社便への振りかえあるいは自社のほかの便への振りかえというようなことで、御迷惑をかけないような措置を講ずるように指導をしておるところでございます。

赤羽委員 パイロット不足は構造的な問題であるので、ちょっと定年を迎えた人云々というのは、これはもみじマークのパイロットというのもなかなか心配なところもありますので。

 さっきの点、国交省的には制限がないと言われて、もちろん防衛省としては人材流出ということを心配しているんでしょうけれども、そこは一度よく話し合っていただいた方がいいんじゃないかなと。航空自衛隊をやめた人が、パイロットの資格を持っていながらそういった道に進めないということはやはり残念なことであって、その辺は少し見直しが必要なのではないか、ぜひ御検討いただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党の石川知裕でございます。

 きょうは、地方空港のあり方を中心に質問させていただきたいと思います。

 今回の法改正の提案理由として、グローバル化に伴う国際競争力を強化していくため、そして、地域の活力を向上させるために空港運営をより的確に行っていくため、この二つが改正の大きな柱の部分だと思います。

 今回の法改正で、空港区分の見直しを行っておりますが、根拠法である昭和三十一年の空港整備法では、従来の空港区分は、第一種空港が国際航空路線に必要な空港、第二種空港が主要な国内航空路線に必要な空港、第三種空港が地方的な航空運送を確保するため必要な空港と定められておりました。アメリカでは乗客数の規模で空港区分がされているようであります。今回の法改正で空港区分の見直しを行っておりますけれども、その理由と、どのような改革の効果を考えて行ったのか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現行の空港整備法上では、空港を、国際航空路線に必要な飛行場であります第一種空港、主要な国内航空路線に必要な飛行場であります第二種空港、地方的な航空輸送を確保するため必要な飛行場であります第三種空港の三種類に区分いたしまして、それぞれに応じた設置管理主体あるいは整備に係る費用分担のルールというものを定めております。

 しかしながら、近年、第二種空港における国際航空ネットワークの著しい充実、あるいは第三種空港においても国際航空ネットワークが形成されるというような状態になっておりまして、就航路線が国際線であるかあるいは国内幹線路線か国内地方路線かといったような点に着目して空港を区分し、設置及び管理を行う者や整備に係る費用分担ルールを決定する仕組みとしての合理性が失われつつあります。

 このような状況を踏まえまして、今般、航空輸送ネットワークの形成に際しての拠点性や役割といった観点からこの区分制度を再構築することとした次第でございます。

石川委員 この中で、旧来の二種B空港については、今回は経過措置として航空輸送網の拠点となる空港に位置づけられておりますけれども、経過措置後はどのような方向性で考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の第二種B空港につきましては、昭和五十四年から五十五年にかけまして、第三種空港のジェット化に際し、地方の負担割合を軽減するための特別な措置として、地方が引き続き管理するものの、その設置主体を地方公共団体の三種空港から国の二種空港に変更したものでございます。

 従来からの二種空港、二種A空港、このいわば格上げの空港を二種B空港と称しておるものでございますが、国が設置し地方が管理するというちょっと特別な形態になっておりますので、今回の法案におきまして、この第二種B空港の取り扱いにつきまして、本則では国が設置及び管理する航空輸送網の拠点となる空港と位置づける一方で、過去の経緯等を踏まえまして、引き続き地方公共団体が管理するということで、経過措置を置いておるわけでございます。

 この経過措置を終了した後に、国が設置、管理する空港とするかあるいは地方公共団体が設置及び管理する空港とするかは、財産の移管や工事費用の負担割合変更等の課題があるため、関係地方公共団体等と慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。

石川委員 空港の区分ですけれども、まず一つは果たして意味があるのかということと、もう一つは将来的にどういう方向性で向かっていくのかということでこれから質問したいと思います。

 平成十八年の空港別の乗降客数及び貨物取扱量というのを、資料の中にはないんですけれども、国土交通省の方から教えていただきました。二種Aと二種B空港について、この二種B空港、旭川、帯広、秋田、山形、山口宇部となっております。二種A空港と二種B空港を比べてみると、例えば旭川空港というのは乗降客数が百二十六万五千四百三十六人。では新潟はどれぐらいかというと、百二十四万二千七百六十人。そのほかの空港にしても、二種Aと二種Bで二種Bの方が乗降客数や貨物の取扱数量が多かったりということが多々見られるわけでございます。

 そうした中、今後、二種Bがどうなっていくのかとか、二種Aがどうなるのかということ以前に、この空港の区分というものを抜本的に見直さなければいけないのではないのかなと思います。

 我が国の国内航空ネットワークの確立のために一九五六年以来空港整備を続けてきた中で、空港整備の促進を図るために空港整備特別会計制度を設けて、そして空港整備計画により国内航空網の整備、地方空港の拡充、大都市空港の整備を柱に進めてきたと思います。

 国内空港ネットワークがおおむね形成された後で、近年国際化に対応するために大都市空港の整備、羽田、成田ですね、この拡充が、また地方においては国際線の乗り入れを進めるために滑走路の延長事業などを行ってきたと思います。その間、地域の要望による地方での空港建設も進み、拠点となるべきところかどうか吟味しながら区分を進めてきたと思います。しかしながら、人口減少社会に突入して、地方の過疎化が急速に進んで、東京への一極集中が進んだ結果、地方空港の収支は大変厳しい状況にあると思います。

 きょうは、資料の七ページに、これは日経グローカルというところが出した資料、「地方空港の収支状況」というものを提出させていただいておりますけれども、私は帯広空港というところでありますけれども、これだけ人口が減ってきて、需要も当然減ってきている。そういう中で、一番地方として懸念されるのは、鉄道と同じように、赤字になったところがどんどんどんどん厳しくなってきて、将来的に地方自治体の負担が余りにも重くなり過ぎて、自治体の中で、住民の中で、空港の存廃、それにかかわる議論が起きてくるんではないかという懸念が大変あります。

 自分も小さいときに、まさか自分の生まれ故郷の駅がなくなるなんて思っておりませんでしたので、そう考えると、早目にこの空港の問題というものに取りかかっていかないと、将来的に、抜本的にまず運営の見直しの仕方、そしてもう一つは航空路線、これの需要を喚起するためにさまざまな政策をとっていくような形にしなければ、道路の問題のときと同じように無駄なお金が使われていくという懸念があること。

 そしてもう一つは、まだ大丈夫だ、まだ大丈夫だといって、いよいよこれから改革に取り組もうといったときに、この間も公共交通機関の法案が通りましたけれども、もっと早くあの法案が通っていたら、全国の鉄道網でも救われたところがあったのではないかと私は思っております。

 今回の改正によっていろいろな効果があるのかもしれませんけれども、航空会社は民間であります。しかしながら、空港は税金が投入されてつくられております。航空会社は規制緩和後、採算がとれない地方空港間、ローカル・ツー・ローカルの赤字路線を次々と廃止しております。六ページに載せておりますけれども、十八年では全日空が五つ、JALが二つ、十九年では全日空が五つ、JALが四つ廃止をしております。

 それに比べて新規の路線というのは少ないわけでありますけれども、地方空港に関するネットワークのあり方について、どのような支援の方策を今後考えているか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 国内航空路線の就航につきましては、本質的には航空会社がその路線の需要動向等を勘案して経営判断によって決定することとなっておりますが、国土交通省としても、地方路線の航空サービスの維持、充実は重要である、このような認識はもちろんいたしております。

 このため、国土交通省といたしましては、地方路線に係る国管理空港の着陸料の引き下げ、それから国内線就航機に対する固定資産税の軽減措置や、関係自治体、経済界、観光団体、あるいは航空会社等の関係者から成る空港利用促進協議会を設置して空港の利用の促進に努めるなど、支援措置を講じているところでございます。

 特に、前にも言いましたけれども、能登空港における搭乗率保証制度というものをつくっているんですけれども、航空路線の利用促進に向けた地域の主体的な取り組みの成功事例であると私は思っております。それぞれの地域が能登空港のような事例を参考にしながら、地域にふさわしいやり方、工夫で搭乗者を増大する、そのような努力が必要ではないかというふうに思います。

 ただ、燃油の価格の高騰等を背景に、不採算路線の見直しが進められていることはまことに残念でございます。けれども、国土交通省としては、今後とも、さまざまな観点から、地方路線の維持、充実に向けた検討を行わなければならない、このように強く認識をいたしております。

石川委員 能登空港の件についてはまた後で質問させていただきたいと思うんですけれども、その支援措置として、着陸料の引き下げと、また、着陸料の減免等々を今されていると思います。しかしながら、これは一方で、地方管理空港においては空港の収入減につながるわけでありまして、現在、資料を見てみますと、当然、もう目いっぱいに着陸料の減免と着陸料の引き下げというのはそれぞれ空港で行っていると思います。

 国土交通省提出の資料で、五ページだったと思います、国管理空港と二種Aと二種Bの地方公共団体管理空港の収支状況の試算というものを航空局の方からいただきました。この中で、国管理空港の収支状況の試算によると、千二百六十六億円の「区分できなかった歳出項目」というものがございました。これはなぜ区分できないのか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員配付資料の五ページの試算は、国管理空港の代表的なものにつきまして、キャッシュフローベースで、それぞれの空港の収入、あるいはそれぞれの空港の費用として認識できる区分を差し引きで収支差を表示したものでありますが、どうしても全体の共通的な経費というものがございまして、そこのところは個別空港に割り振りができないという部分としてこの千二百六十六億というのが残ってしまったという事情でございます。これをもう少し配分できないかという努力はさらに続けてまいりたいと考えておるところでございます。

石川委員 全体の共通的な経費というのはどういうものでしょうか。

鈴木政府参考人 管制の方も含めた我々の職員の人件費でありますとか、あるいはいろいろな共通の施設の整備費等でございます。

石川委員 この五ページの資料の右側に地方公共団体の管理空港というものを五ついただきました。私は帯広市でありますので、帯広空港の歳出歳入についても見ました。その中で、旭川、帯広、青森、富山、岡山とありますけれども、地方公共団体の管理空港では、私は、何も赤字の空港を廃止しろだとか、そういうことを言っているのではありません。むしろ、航空ネットワークを守るために、どんどんどんどん赤字がふえていって、先ほども申しましたけれども、地域住民の間で空港の存廃問題みたいなものが起きないとは限りません。

 そうなる前に、きちんと空港の運営、整備というものを考えるような仕組み、スキームづくり、特に財務状況のスキームづくりを進めなければいけないと思うんですけれども、共通のもの、管制だとかいろいろあるかもしれませんけれども、地方でできているものを国でできない、これはおかしいと思うんですね。これを航空局長はどう考えますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 空港整備が概成する中で、今後は空港の運営に重点的に取り組む必要がありまして、今回の法案もそういう趣旨でお願いをしておるわけでございますが、その観点からも、個別空港の収支を把握するというのは重要になっておると認識しております。

 このために、共通的な経費の取り扱い等、技術的な課題を整理いたしまして、国が管理する空港につきましても、空港別の収支の把握及びその公表について十分検討してまいりたいと考えております。

石川委員 もう一度、資料なんですけれども、歳入項目で、着陸料等収入でその他国管理空港の合計というのは百二十五億六千五百万円なわけです。歳出項目、空港整備事業費というのが、その他国管理空港の合計で二百五十八億八千九百万円なわけですね。これは二倍、全体で見ても歳入の一・数倍に及んでいるわけでありますけれども、今後、空港ごとにそれぞれ指標を出していかないと、その空港がどういう努力をしていくのか、着陸料の減免をしていくべきなのか、それとも航空路線を確保するために、後でまた時間があれば能登空港のお話もさせていただきたいと思いますけれども、それぞれの空港によって努力の仕方というものがまた違ってくると思うんですね。

 大臣、この数字を見て、今後どれぐらいの期間で見直し、検討を行っていくのかということをお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 技術的な課題もいろいろございまして、鋭意検討を進めてまいりまして、確定的な期間を申し上げる状況にはございませんが、把握できる部分からお示しをしてまいりたいと思っております。

石川委員 大臣にもお答えをいただきたいんですが、よろしいでしょうか。

冬柴国務大臣 こういうふうに赤字がたまってまいりますと、我々の足であります空港が閉鎖に追い込まれる可能性だって将来考えられるわけでありますから、これについて、今後、赤字というものをどういうふうに国あるいは地方が負担していくのか。もちろん航空会社も、大型の飛行機で搭乗率が非常に低いということで赤字を出す場合もありますから、機種の選択とか、そういう面についても十分考えていただかなければならないと思いますけれども、そういう面についても指導しながら、赤字を早急に解消する方向で検討を進めてまいりたいと思います。

石川委員 私は、この千二百六十六億円が、まさに道路事業と同じような構図になっているのではないかという懸念がありますので、やはりこれは、本当に必要な道路をつくるという議論が道路問題のときになされましたけれども、本当に守らなければいけない空港、また航空路線を考えるためにも、きちんと財務状況を明らかにしていただきたいと思います。

 成田、羽田、中部、関空のような拠点空港や、また離島、そういう航空ネットワークを形成する上で、外部経済効果を入れて考えるべき空港もたくさんあると思います。ある程度、採算性を少し度外視してでも維持すべきところというのはあると思いますけれども、先ほど能登空港のお話がありました。

 地域活性化のために地域全体で空港のあり方を考えていくようにしないと、意外とまだ地域住民の方々というのは、まさか自分の地元の空港がそんなに赤字だったのか、これから大変なのかという思いというものを抱いている人というのは少ないと思うんですね。早目にそういうことを国から示さないと、地域の中でも、観光業者の方だとかそのほかの方々とかが協議会をつくるということでありますけれども、やはり一体となった取り組みというものはできないんだと思います。

 地域全体で空港のあり方を考えるためにも、地方に管理運営を移管できるように地方に責任と権限を移譲すべきではないかと思いますけれども、大臣、方向性としてはどのように考えていますでしょうか。

鈴木政府参考人 現在、地方分権の議論の中でもいろいろ御議論がなされておりますが、私どもとしては、やはり拠点的な空港については引き続き国が設置管理するような現在の状態が望ましいと思っておりますけれども、国内航空は特にネットワークとして機能しておりますので、個別の空港がばらばらに運営されて成り立っているというわけではございません。そこのところを十分認識する必要があると思っております。

石川委員 よくわかりました。けれども、もちろん空港同士のネットワークというものがあるのは十分わかります。だからこそ、空港同士、自治体同士でもいいですよね、離れた自治体同士で検討会なりいろいろな協議会を開いていくこと、これもまた大切だと思いますので、促進をしていただきたいと思います。

 能登空港について少し触れられておりました。二〇〇三年七月に開港した石川県の二番目の空港である能登空港では、地元石川県の手厚い支援と、ターミナルビルと行政施設との合築、また、空港を道の駅として登録したりと努力をしてきて、一番は、やはり搭乗率保証制度というものを導入したということが目立ったところだと思います。

 搭乗率保証制度は、目標搭乗率を下回った場合は地元自治体が航空会社に保証金を支払う、それで、上回った場合は地元自治体に航空会社が積立金を導入するということだと聞いております。一方、地元が地域の市民に、能登―東京間を往復した方に一人三千円の助成を行ったり、地域の中で税金を投入して空港の利用促進というものも行っております。

 そこで、今、ローカル・ツー・ローカルや、また、地方の空港が大変厳しい中で協議会をつくるということであります。ただ、協議会というのは、それぞれの地域間でばらつきはあると思いますけれども、今でもつくっているところが多いと思います。その協議会の中で、やはり協議会がより活発に意見交換をしていくために、私は、この搭乗率保証制度の中で、地域の空港協議会がこういう路線をやりたいんだ、航空会社とこれで折り合いがついたという段になったときに、国として何らかの助成をある程度、ずっとというわけじゃないですけれども、助走期間として二年なり三年なり行っていくという方策もあるのではないかなと思いますけれども、そのあたりについて国としてどのように考えるのか、お答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省としても、地方路線の航空サービスの維持、充実は重要であると認識しておりまして、先ほど大臣からも答弁いたしましたとおり、国管理空港の着陸料の引き下げ、あるいは固定資産税の軽減措置等をやっておるところでございます。また、利用促進協議会等についても国も一緒になってやっておるわけでありますが、能登空港の搭乗率保証制度のような、地元が空港の利用促進を図るために頑張ってやっていただいている制度というのはやはり地域が主体となってやっていただくべき制度であると思っておりまして、私どもは、路線維持のために、例えば離島路線については、機体購入費補助とか運航費補助とか、先ほど答弁させていただきましたようにやっておりますが、地方路線については、まず、地域の方々が主体となってその路線の維持、拡充の取り組みを進めていただくべき問題かなと思っております。

石川委員 これで終わりますけれども、地域の地方空港の起爆剤として、そういう方向でもぜひ取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 時間が余りございませんので早速内容に入りたいと思いますが、きょうは大きく三点お伺いしたいと思っております。

 まず一点目でございますが、お手元に資料を用意いたしました。資料の一番目、昨日の東京新聞の報道でございますけれども、スカイマークがパイロットが二人おやめになったということで百六十八便欠航するという、先ほども話題になっていた件でございますが、この点について少しお伺いをしたいと思います。

 実は、スカイマークという会社につきましてはいろいろな話があるようでございますけれども、一部の情報によりますと、二〇〇五年以降ですか、経営陣の方針に批判的なパイロットや確認整備士らが数十人規模で退職し、人手不足と指摘されており、国土交通省が抜き打ち検査を実施するなど、同社の安全管理体制を懸念する声が上がっているなどという、これは本当にそうなのかどうかは私は確認がとれないんですけれども、こういう情報もあるようでございます。

 そこで、最初にまず政府参考人にお伺いしたいんですけれども、スカイマーク社に対する安全監査、立入検査の実施というのは、どの程度これまでやられていたのか、あるいは、その中で抜き打ち検査みたいなことというのもあったのかなかったのか。このあたり、お伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 スカイマーク社に対しましては、本社部門及び就航している空港に対して安全監査を実施しているところでありまして、運航乗務員の乗務体制を管理している本社部門に対しましては、おおむね三カ月に一回の頻度で実施しております。

 その際、運航乗務員の乗務体制につきましては、その計画、実績等に関して、航空局の定める基準を踏まえて、運航規程附属書に定められた基準に適合しているかどうかについて監査しております。抜き打ち検査につきましても、それも含めて実施をしておる状況にございます。

逢坂委員 大変僣越ながら、局長、お願いなんですけれども、マイクの方を向いて明瞭に答弁していただかないと、どうもよく聞こえないんですよ、局長の答弁。大変恐縮ですが、委員長、よろしくお願いします。

竹本委員長 委員長としてもそう思っておりました。修正してください。

逢坂委員 それで局長、今、検査に入っているということでございましたけれども、そのうち、抜き打ちで入るような事態というのはどの程度あったのか、お知らせ願えますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度の監査件数が総数十三件。うち抜き打ちが五件でございます。十九年度は十四件中七件、それから二十年度は、まだ年度初めでございますが、三件中一件が抜き打ちでございます。

逢坂委員 抜き打ちのその事情はきょうは問わないことにいたしますけれども、結構な頻度で、定期的な監査をやりつつ抜き打ちもやっているということがこのスカイマーク社に対する実態ではないかというふうに思うわけです。

 そうした中で、今回、お二人のパイロットがおやめになって百六十八便が欠航するというのは、それほど監査をしておきながら、ある種、自転車操業状態といいましょうか、がけっ縁の運航体制だったのかなというふうにも思うわけですが、このあたりについての認識、実はスカイマーク社がこういう状況にあったということは、政府参考人、認識はされていたんでしょうか。

鈴木政府参考人 これまでの監査におきまして、スカイマーク社においては乗務安全の基準は満たしておったわけでありますが、委員御指摘のように、余り余裕のある体制ではなくて、かなりスタンバイの人間も少ない状況下でかなりぎりぎりの体制で運航しておったと認識しております。

逢坂委員 これは、例えば一機しか航空機を保有しないで、限られた路線を運行している会社だということであるならば、そのぎりぎりの運航体制ということも理解できるわけでございますけれども、やはり日本の幹線を担っている航空会社でございますので、少しく、いわゆる監査の体制といいましょうかあるいはその基準の持ち方といいましょうか、考え直す必要があるのではないかと思うんですけれども、政府参考人、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、基準を満たせばいいというものではなくて、安定的な路線を続けるということが重要であると思っておりますが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、現在全体的にパイロット不足の状況にございまして、特に外国人のパイロットなどは、中国などが今大変に発展をしております関係でかなり引っ張りだこの状況にございまして、なかなか確保が大変な状況にございます。

 したがいまして、スカイマーク社としてもパイロットの確保にかなり苦労しておったというような状況は認識してございますが、それも言いわけになりませんので、こういう事態が今後繰り返されることのないよう、乗務員の確保というのに対してしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

逢坂委員 それでは次に、二枚目の資料をごらんいただきたいんですけれども、これは五月二十四日の東京新聞でございます。

 〇六年に全日空機の中が急減圧をしたということでございますけれども、どうもこれの原因が、エンジン洗浄を行って、そのときの洗剤が残っていたためではないかというふうに言われています。しかも、それは海外で整備をしたと。この機体は、急減圧の四日前まで中国山東省の整備専門会社で約三週間の整備を受け、エンジン内を洗浄したというようなことが報道されているわけでありまして、これについて事故調査委員会もさまざま今調査をしている最中ということでございます。

 民間航空機が委託整備をするということに対する国の基本姿勢というのは、どういうことになっておりますでしょうか。政府参考人、お願いします。

鈴木政府参考人 御指摘の報道の事実につきましては、現在、事故調査委員会が調査中の事案でございまして、事故調査委員会が正式に発表したものではないと私ども承知しております。

 エンジン洗浄も含めまして、いろいろな整備を航空会社が委託するという面につきましては、経営の効率化の点からやむを得ないものでありますが、当然、委託先の指導監督も含めまして、安全が十分に担保できるような体制でなければならないと思っておりまして、私ども、そこは航空会社に対しても十分指導をしているところでございます。

逢坂委員 そこで、国土交通省にお聞きしましたところ、外で整備をするというようなもの、委託しているところというのは海外には二十社あるんだということで、それは資料の三に添付をさせていただきました。

 それから、国内にも、要するに運送事業者以外の国内の認定工場が八社ある。そして、航空運送事業者がやっているのが十八社ということでお伺いをしているわけですが、これらはどういう基準で認定をされているのか、あるいはどんな方式でその能力を確認しているのか、その点について、政府参考人、お伺いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御質問の事業場認定につきましては、航空法二十条によりまして、航空機及び装備品の設計、製造、整備に関して当該事業場が適切な能力を有していることを認定するものでありまして、我が国の航空運送事業者が使用する飛行機の整備を実施しているものは、御指摘の四十六事業者でございます。

 それを認定するに当たりまして、航空法施行規則三十五条で認定の基準を定めておりますが、必要な施設を有していること、組織の権限や責任分担が明確になっていること、能力を有する人員が適切に配置されていること、作業の実施方法が適切に定められていること、教育訓練、部品管理、作業記録管理、内部監査などの品質管理制度が適切であること等を書類検査及び実地検査により確認し、当該事業場の業務の能力を認定しております。

逢坂委員 書類検査、実地検査によって、今申し述べられたような基準について検査をしているということでございますけれども、お手元の資料三番目に、海外の事業場名二十社、これは国土交通省からいただいたものでありますが、こちらについても同じようにやられていると認識をするわけでございますけれども、これは一つの検査にどの程度の人員を派遣して、どれぐらいの期間をかけておやりになっているんでしょうか。その辺おわかりになれば、お教え願いたいと思うんですが。

 というのは、この質問の趣旨は、要するに、結構これから外部委託がふえてくるという中で、国土交通省の体制というのは果たしてしっかりしているのかどうかということも含めて確認をしたいものですから。お願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 認定事業場の実地検査につきましては、うちの職員を二名から三名派遣いたしまして、三日ないし四日かけまして実地検査を行っておるというふうに承知しております。

逢坂委員 多分、これからふえるのかどうかわかりませんけれども、でも航空機の機種が今度変わっていくとか、新規のものが導入されるとかいうことになりますと、またこれまでと違った検査技術みたいなものも必要になる場面も想定されるわけですね。そういう点におきまして、エンジンの洗浄の問題だけではなくて、ぜひ検査場の認定については、漏れのないようにしっかりやっていただかなければいけないというふうに思います。

 そこで、冬柴大臣にお伺いしますけれども、スカイマーク社のことにつきましては、抜き打ち検査も、どうもお聞きすると半分ぐらい抜き打ち検査をやっていた会社だったというようなこと、あるいは、その背景にはパイロット不足もあるというようなこと、この点それぞれ両方とも非常に大きな問題だというふうに思うわけですね。

 それから、海外への委託検査というようなことで、これまでは国内の航空会社も、それぞれ機体に対する整備のノウハウがあったからよいのかもしれませんが、新機種が導入されてきますと、そもそも航空会社自身にノウハウというものの蓄積がない中で外部に委託をしていくということになると、リスクも高まっていくというふうに思われるわけですが、これらの点について、大臣として今後どうお考えか、御所見をお伺いいたします。

冬柴国務大臣 スカイマーク社につきましては、ボーイング737の機長数は二十五名いられるようですが、二人、一人は病気、一人は金銭的労働条件が合わないということでおやめになったということが、これは突然の通知だったものですから驚いたわけですけれども、そういうことから乗客にも迷惑をかけるというようなことになったわけでございます。

 六月一日は運休はなかったんですが、二日には旭川と神戸で計四便の運休、これは片道ベースですが。六月三日には旭川、神戸、福岡の計六便が運休したということで、その対応として、我々も、自社便、他社便への振りかえで対応させるとかそういうようなことで、御乗客に対して極力迷惑がかからないように指導しているところでございますが、こういうことが明らかになったわけですから、機長というのは今大変希少な存在のようでございますが、営業をやるからにはそれはきちっと手当てをしてもらわなきゃいけない、その点について今後とも目配りをさせていただかなければならないと思います。

 それから、整備、特に海外での整備ということにつきましても、今局長が答弁いたしましたように、我が国の法令というものがきちっと守られる体制があるかどうかということについては検査をいたしておりますし、ここで指摘されたようなことが起こることのないよう、これは疑いでございますけれども、起こることのないように、これはもう万全を期していかなければならないと思います。

 ただ、外国の各航空会社もそうですけれども、委託ということ、国際競争力を高めるためにそういう整備会社に整備を委託するということは日常行われていることでありまして、したがいまして、ただ、国内ではないということ、そしてまた、今おっしゃるように新しい機種もどんどん出るわけですから、そういう際に我が方の法令をきちっと遵守できるような体制があるかどうか、ここについてはきちっとした目配りをさせていただきます。

逢坂委員 大臣、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 先ほども航空局長から答弁があったとおり、単に基準さえ満たしていればいいというものではないという点も踏まえて、実効性の上がる対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、第三種空港についてちょっとお伺いをしたいんです。

 第三種空港のエプロン、滑走路など、空港本体施設の収支の状況というのは国は把握をしているのかどうか、把握をしていればそれをお知らせいただきたい。政府参考人、お願いします。

鈴木政府参考人 第三種空港は地方管理空港でございますので、空港管理者である地方公共団体がその収支状況を把握し公表すべきものと考えておりまして、今私どもの方で正確な収支というものを把握している状況にはございません。

逢坂委員 私、第三種空港の仕事にもかつて携わったことがあるんですが、そのとき、昔ではございますけれども、費用対効果だとか需要予測だとか、維持管理費がどれぐらいかかるんだ、収入はどれぐらいなんだということを非常に強く求められて補助申請をした記憶がございます。

 国が補助するからには、その支出した費用に見合う効果が上がるかどうかというのをチェックするのは、ある種、国民の目線から見れば当然かなというふうに思うわけですが、第三種空港の費用対効果に関してどのようにお考えかということを国土交通省に問い合わせましたところ、資料の四番目にあるようなペーパーをいただきました。

 長い文章がたくさん書いてあるんですけれども、一番最後のところがどうも私は理解できないんですね。「空港の維持管理費用や、空港使用料や施設使用料等の空港収入についても、費用あるいは便益の一部として考慮することとしております」まではいいんですが、「これらは空港整備の費用対効果を評価するために、一定の想定も置きつつ考慮しているものであり、空港の収支自体を評価しようとするものではなく、また、各年の空港収支の実績把握のために必要な情報を網羅しているものではございません。」という日本語がどうもよくわからないんですね。

 地方空港の収支は把握していない、でも、費用対効果の上では考慮するようなことは書いてあるんだけれども、局長、これは一体どういう意味なんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 第三種空港の新規採択時評価あるいは再評価というところで費用対効果分析というのをやってございますが、その中の内容の一部として、費用の方で空港の維持管理費用、あるいは効果の方でその収入というのが出てまいりますが、それを比べて地方管理空港の空港別収支というものの全貌が把握できるものではないという意味だろうと認識しております。

逢坂委員 一般論として、やはり費用対効果を考えるときには、地方空港といえども、その維持管理費を含めてしっかり検討するというのは当たり前のことだというふうに思うわけですね。お聞きすると、たまたま地方だから収支は把握していないんだということだけれども、費用対効果という面で見れば、当然これは、補助をした主体として把握しておくべき必要があると思うんですが、政府参考人、いかがですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 地方空港の整備に際しましては、地域の活性化や地域住民の利便性の向上等の社会的な便益や効果について総合的に勘案し、整備を行うべきかどうかの判断を行っています。

 その中で、事業評価制度に基づく新規採択時評価、事後評価、再評価を行っておりますが、費用対効果の把握に当たって、旅客の時間短縮効果等の貨幣換算可能な便益のみならず、企業立地誘発効果、雇用創出効果等の貨幣換算困難な効果を含め、総合的な評価を行っているところでございます。

 その中で、空港のコスト及び収入というのも出てまいりますが、それだけに限らず、そういう貨幣換算不可能な社会的な効果というのも含めまして、総合的な評価を行うべきものと認識しております。

逢坂委員 質疑時間が終わりましたのでこれでやめますが、大臣、今の話、費用対効果を調べるといって実は地方空港の収支を把握していないというのは、一般的にはちょっと理解できないわけですが、この点、御感想をお伺いして終わりたいと思います。

冬柴国務大臣 私ももう二十年以上前になりますが、当選してここへ来て、予算書を見てびっくりしましたね。企業会計原則とは遠く離れている。これはもうゲルマン・ローマ時代から積み重ねられた多くの会計原則が一般社会では行われていますけれども、国の予算とかあるいは決算、まあ道路の改革のときも、一体どれだけの道路の評価があるのかということで大騒動しましたね。考えられないですよね。

 私は、そういう意味で、あらゆる面で、今、国の予算も随分企業会計原則にのっとった方策でやるようにしていますし、連結もできるように徐々にやっています。したがって、こういうものについても、一般人が見て批判できる、どこにロスがあるのか、どこに経営上問題があるのかがわかるような、そういう財務諸表というものが整備されるように、その方向で、これは大変大きな仕事でございますけれども、財務省にも御指導いただきながら、これはやらなきゃならないのではないかなという感想を持ちました。

逢坂委員 大臣、他人事ではございませんので、自分の問題としてしっかりおやりいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。

竹本委員長 次に、長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただきます。この間、多くの委員の皆さんから御質問がございましたので、極力重複を避ける形で質問させていただきたいと思います。

 今回、この法案には含まれなかったわけでありますけれども、成田空港、さらには空港施設関連の株式会社への外資規制という問題が法案提出前に多く報道されたわけであります。その中にあって、外資規制の規定を先送りしたわけでありますけれども、その理由というのを大臣にまずお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本法案の提出の際に、成田空港及び羽田空港における外資規制の問題についてさまざまな御意見がございました。

 公正かつオープンな投資環境の整備による対日投資促進と安全保障のための空港などの基本インフラの機能確保の両立という要請にいかにこたえるかにつきまして検討を行いました結果、行為規制のあり方、資本規制のあり方等について、他の関係法令も含め、諸外国における政府の関与のあり方等も参考にしつつ検討を行い、年内のできるだけ早い時期に結論を得ることとされたところであります。

 先ほどもお答えいたしましたように、この両空港の重要性が軽視されているということではなくて、どういうやり方がいいのかという手法の問題についていろいろな御議論がありまして、それについて改めて検討するということになった次第でございます。

長安委員 昨今よく言われます投資の自由化というものがある、一方で安全保障上の問題があるというのも、これは私も理屈としては十分理解しております。

 しかしながら、各国の空港の状況も踏まえながらという御答弁が今ございましたけれども、本来、国会に法案を出そうというときには、それは踏まえた上での結論が出ているものだと思います。それが急遽、国会に法案を提出する直前になって、やはり外資規制はやめておこうかというような議論になったというのは、私はちょっとプロセスとしてまずかったのではないかなと思っております。

 何とならば、今回、この空港整備法及び航空法の改正というのは、実は重要な法案だと私は認識しております。今国会で何としても審議しなければという思いでおりました。ただ、なかなか国会にそういう意味では提出されなかったという意味で、審議がおくれてきたわけであります。恐らく、今国会、この委員会でも審議される最後の法案になるのではないかなという状況になっております。ここはぜひ、もう少し、昨年の夏の参議院の結果以来、ねじれと言われておりますけれども、こういう状況を考えたときに、重要な法案は極力早く出すというような取り組みも必要ではないかなと思っております。

 次に、外資規制についてでありますけれども、では、外資が空港及びそういった施設関連の会社に投資をするというのはどういう目的で行われるのかということの御認識をお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、空港は独占的で代替不可能なインフラでありまして、かつ、堅調な航空需要の増加が見込まれておりますことから、経営における安定性あるいは成長性といったものが期待されます。また、多大な資産を有していることも投資対象としての魅力の一つと考えられます。また、成田空港や羽田空港が我が国の国際、国内航空ネットワークの重要拠点であるという点が投資家の興味の対象であることも考えられます。

 このように、投資家にとって空港の魅力というのは、経営上の安定性、成長性の観点や、基本インフラとしての重要性など、さまざまな観点があるものと認識しております。

長安委員 昨今、そういう意味では、外国人投資家という意味では、注目されておりますのは各国の政府系ファンド、さらには国内でもさまざまなファンドが生まれてきております。ある意味、そういうファンドが空港あるいは空港関連施設の株式会社に今後投資をしてくるということは当然予想される。

 一方で、外資に関しては安全保障上の理由があるからということで規制をしていくというときに、では、国内のファンドあるいは投資家というものは全くリスクがないのかというと、私は、そうではない、逆に、ある意味公平性を保つということも実は必要なのではないかと思っております。

 一方で、日本空港ビルデングの問題などはよく報道されておりましたけれども、実際、同社は独自で買収防衛策というものを取締役会で決議して導入している。個別企業のある意味そういった防衛策の整備ということにゆだねるという手もあるはずであります。

 今後、政府内でこの外資規制についてはどうしていくのかということを進められていくわけでありますけれども、そういった点も踏まえて御検討していただきたいなと思っております。

 最終的に年内ぐらいには結論を出されると思いますけれども、大臣、この外資規制に関する問題について、今後どのような方向で進めていくのか、取り組みについてお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 外資規制を含めた空港インフラに対する規制のあり方につきましては、大変重要な問題だと認識しておりますので、有識者による検討会を早急に立ち上げまして、関係省庁とも連携をとりながら、年内のできるだけ早い時期に早急に結論を出してまいりたいと考えております。

長安委員 それでは、法律の中身について御質問させていただきます。

 今回、空港基本方針、つまり空港の設置及び管理に関する基本方針を策定するということでございます。先ほど大臣の口からいみじくも道路のお話が出ましたけれども、道路に対しては、整備の中期計画、BバイCであったりというのがこの間多く議論されてまいりました。一方で、空港というものに対して、中長期的な計画というものが余り戦略的な観点からなされてこなかったのではないかなと、先ほど来同僚議員が質問しておりますように、私も感じております。

 そういう中にあって、この基本方針を策定するには、その前提として、今後の航空需要の予測、さらには費用対便益、俗に言われるBバイCです、この分析が必要になるわけでありますけれども、こういったことも基本方針の中に盛り込むのかどうか、盛り込むべきではないかと思っておりますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 基本方針の策定に当たりましては、平成十九年六月の交通政策審議会航空分科会答申の際に精緻に行った需要予測を踏まえて、空港の設置及び管理の意義及び目標などの事項を定めてまいる所存でございます。

 一方、BバイC、費用対効果の分析は、今言ったのは空港全体ですが、個別の空港の整備の新規着手や事業継続等の判断に当たって行うものでございまして、空港の設置及び管理に関する基本方針の策定に当たって特段の見直しを行うというものではございません。

 ただし、今般の法案における基本方針につきましては、空港の整備に関する基本的な事項も記載事項となっているところでございますので、需要予測の精度向上あるいは費用対効果分析の適切な実施については盛り込むことを検討いたしてまいりたいと思っております。

長安委員 もちろん、大臣のおっしゃるとおりで、整備のために費用対便益をしっかり見ていくというのは当然でありますけれども、ただ、具体的に整備をするという以前の問題として、航空需要というものも、国全体としてこれぐらい航空需要が伸びていくというのはよく言われるわけでありますけれども、空港ごとの需要予測というものの精度を高めていくということが必要だと私は思います。

 現在、羽田の沖展が進んでおります。先ほど来、発着枠のお話もございましたけれども、しかしながら、また今後十年もたてば発着枠が足りなくなるというようなことも言われているという現実を考えたときに、航空需要というものを各空港ごとにしっかり見ていくのと同時に、その需要に対応するための滑走路を例えば追加でまたつくるというようなときには、当然、費用対便益も含まれる、そこをやはり見ていくんだという意思といいますか、強い決意というものがこの基本方針の中に示されるべきではないかと思っております。

 そうしないと、だらだらと、足りなくなったからまたつくろう、足りなくなったからまたつくろうとやっていけば、チャンギにとられた、浦東にとられた、仁川にとられた、ああ、日本は気がついたら取り残されたなというような事態になってしまうのではないかなという危惧を私はしておるわけであります。

 先ほど同僚委員からお話がありました各空港の財務状況についても、少しずつではありますけれども、失礼かもしれませんが、データ開示されつつある。データ開示という言い方をすると、ほかは隠しているみたいな言い方に聞こえるかもしれませんけれども、データが明らかになってきております。しかしながら、先ほども大臣のお話でございましたように、キャッシュフローベースの、要は家計簿みたいなものが出てきているだけであります。

 本来、逆に言うと、キャッシュフローベースで出てくれば当然議論の範囲というのは限られてくるわけで、先ほども大臣のお言葉にあった、企業会計に近い形でのBSやPLというものをつくっていかないと真の意味での評価ができないのではないか。これは、私が申し上げるのは、単に一つ一つがもうかっているかもうかっていないかとかそんなことを見るためだけではなくて、今後、日本の空港を全体としてどのように運営していくのかという、いい判断材料になると思います。

 そういう意味でも、こういった取り組みが必要だと思うわけでありますけれども、今後、そういった作成に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 空港整備勘定では、企業会計原則に基づく経理を行っていないために、企業会計ベースでの空港別収支を作成するためには、いろいろな調整を行う必要があります。例えば、減価償却費を算出するためには、空港整備勘定が保有している膨大な固定資産の一個一個について残存価値を算定するなど、膨大な作業が要るわけでありますが、厳密にどこまでやれるかという問題はなかなか難しいものがあります。

 ある程度前提を置いて、概算でどこまでできるかとか、あるいは、それも余りラフな概算だとかえって混乱を招きますので、ある程度精緻なところまでどう持っていけるかというような問題につきまして、私どもも今いろいろ勉強を始めているところでありますので、何とか、委員おっしゃるような、空港運営の実態が少しでも利用者なり国民の皆様に明らかになるような形で適切な開示ができるように努力をしてまいりたいと考えております。

長安委員 この委員会では、それこそ前北側大臣、さらには石原大臣のころから、各空港の財務状況をしっかり把握すべきだということを私は申し上げてまいりました。都度、取り組み始めたよというような御答弁をいただくわけでありますけれども、はや四年がたっているわけであります。先ほども申し上げましたように、空港というのは、これは国益に直結する問題ですから、やはり早急に取り組んでいただくということが重要ではないかなと思っております。

 日本の国内のそれぞれの空港ということを考えたときに、どう運営していくのか、その重要な材料である財務状況のお話と、では今後運営をどうしていくのか、これは大臣の御意見をぜひお伺いしたいということでございます。

 つまり、日本国内には、さっきお話がありましたように、一種から二種A、二種Bまで三種ございます。そういう中にあって、関西、とりわけ大臣も関西でございますので御質問させていただきますが、関空、伊丹、神戸という三つの空港があります。関東に目を向けても、羽田と成田というような状況がある。もちろんそれぞれ地域の特性があり、空港の特性というものがあります。今まで叫ばれたのは、各空港ごとの役割分担を明確にしてやっていくんだということは言われている。

 しかしながら、私が先ほども申し上げましたように、この間のアジアの空港の整備の状況を見ていると、例えば、よく言われます、日本の横浜の港、さらには阪神港、アジアにハブとしての港の機能は奪われてしまっているという現実を考えたときに、果たして、日本の空港ごとがそれぞれの役割を演じるだけでいいのか。私は、羽田・成田チーム対関西の三空港対浦東であるし、仁川であるし、チャンギであるし、そういう戦い方をしていかなければならないと思っております。

 そういう前提であれば、今のようにばらばらに運営主体が違うというのでは当然マイナス部分が大きくなる、中長期的には一体的に運営をするということが私は必要になるのではないかと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 近畿と言ってもいいし関西と言ってもいいんですけれども、人口においてはオーストラリアをしのぎ、GDPにおいてはお隣の韓国に匹敵するほどの規模があります。そういう中にあって首都圏に次ぐ航空需要があるわけですね。

 関西圏の経済の発展と利用者の利便の向上を図っていくためには、こうした関西圏の航空需要に対しまして、関空、伊丹、神戸という三つの空港の有する五本の滑走路、これを活用して適切に対応していくことが必要だということは、もう論をまたないところでございます。

 しかしながら、これらの三つの空港は設置者がそれぞれ違うんですね。環境上の制約とか、あるいは空域上の制約などの立地条件を考慮しつつ、適切な役割分担と連携のもとに三空港を運用し、トータルとして最適運用を図っていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

 これは先ほども言いましたけれども、一体化するというのは意味がいろいろとあると思うんですけれども、この三空港は設置者が異なって、空港運営のあり方、考え方もさまざまでございます。大変難しい問題もあると思いますが、中長期的な空港の運営のあり方については、先ほど申しましたように、それぞれの持ち味を生かしながら役割分担をはっきりして、そして最適な運用が図られるように検討をしてまいらなければならない、私はそのように思っております。

 成田と羽田のことにつきましても、もう先ほど来いろいろな方に御答弁申し上げましたけれども、一体的に一つの首都圏の空港として運用するということで、ほとんど私は最適な運用ができるんじゃないかというふうに思っておりますので、今回、この羽田と成田では今五十二万六千回の運用がされていますよ。その上に十七万回を足すということは大変な、もう七十万近くになるんですね。では、先ほど言われた仁川、金浦はどうかといったら二十七万七千ですね、現在。

 ですから、私どもはいろいろ、周辺はそのかわりに余裕のある空港になっていますけれども、我々、持っているものを最大限利用してやろうとしているわけでございますが、そういう意味ではいろいろな反省もありますが、関西についてはこの三つをそのように運営していくということが当面の課題だと思います。

長安委員 答弁の内容を聞いておりますと、一体でやるけれどもそれぞれの役割を伸ばしながらというようなお話でございます。本当にそうなれば、うまくいけばいいのかもしれませんけれども、逆に言うと、今の現状を見てみると、各空港がそれぞれ競争し合う、競争というと聞こえがいいのかもしれません。言い方が悪ければ、足を引っ張り合っているという現実も、私は関西の中ではあると思っております。

 羽田、成田の一体化というお話もございましたけれども、やはり、関西が本当に一体運営していくためには、空港同士が私は結ばれてもいいのかなと。例えば神戸と関空なんというのは、海を超えていますけれども距離的には近いわけです。そういう意味では、トンネル一本つないでやれば、十分、十五分で車で移動してしまうことまでできるという考えもありなのかなと。

 例えば、それと同じことが、神奈川県の知事さんがおっしゃっておりましたけれども、羽田と成田をトンネルで結ぼうなんというようなことも、この間お話として出ておりました。これは、まさに一体運営することによるメリットを享受するための投資、これをしっかりと、逆に言うと費用と便益というものを見きわめながらやっていくということだと思います。ただ単にアイデアをつくるだけじゃなくて、そういう取り組みも計算しながらやっていくということが、空港をいかに使ってこれからの日本の国益を得ていくかということにかかわってくるのではないかなと思っております。

 次に、ちょっと関空のお話をさせていただきます。

 昨年の年末でございました、突然大きく報道されました。私もこの国土交通委員会で初当選のころからずっと主張してまいりましたし、また、国土交通省さんとも議論してまいりましたけれども、関空の連絡橋の国への移管という問題。これは大臣の御決断に本当に心より感謝申し上げたいと思う次第でありますけれども、国が買い上げるということとなった経緯と意義について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 関空連絡橋の料金引き下げにつきまして御説明させていただきます。

 関空連絡橋は空港と一体の施設として関空会社が建設、管理してきておりまして、平成六年の開港当初は普通車往復千七百円でスタートいたしました。しかも、必ず戻るので、着いた途端に往復分を取られるということで、高い高いと言われておりました。その後、平成十六年の料金引き下げの社会実験を経て、会社として精いっぱいの努力によりまして、平成十七年三月からは普通車往復平日千五百円、休日は千円ということで現在やっております。

 しかしながら、さらなる引き下げにつきましては、多額の有利子債務を抱える関空会社の負担により実施するには限界がございます。このため、省庁再編のメリットを生かし、道路局と航空局が連携して具体的な方策はないか探ってまいりました。その結果、空港サイドの関連予算も認められるとともに、関空連絡橋道路が有料道路ネットワークに組み入れられるということになりまして、今年度これを実施いたしますれば、普通車往復で八百円となるなど、現行料金が約半額程度に引き下げられる予定となっております。

 この料金引き下げは関空へのアクセス改善と物流効率化の実現を図るものでございまして、関空の国際競争力強化あるいは空港利用者の利便性向上に資するだけでなく、近畿圏の経済振興あるいは全体の国際競争力の強化にも資する施策であると考えております。

長安委員 この連絡橋の国への移管ということによって、一方で、地元の自治体であります泉佐野市は固定資産税がなくなってしまうということであります。そういう中にあって、過去減免を行っていたものを返してもらう、さらには空港島の固定資産税の税率を上げるというようなことも今大きく報道されております。

 せっかく国への移管が決まったのにこういう現状になっているというのは、私は残念な事態だなと思っております。今回の法律の趣旨であります空港周辺地域や空港関係者との連携強化という目標も、現状のこういうようなもめごとが起こっていては達成できないのではないかと思っております。

 これは財政の問題にもかかわりますけれども、大臣として、ぜひ総務省への働きかけ等にも御尽力いただいて、何とか地域が喜んで国の連絡橋の買い上げに賛成できるとともに、今後、地域を挙げて関空の発展のために連携できるように御努力、御尽力をお願い申し上げまして、私からの質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

竹本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑を続行いたします。古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 今、委員長からも御指摘がございましたけれども、国会最終盤になりまして、法案もまだ残っておる。しかも、きょう諮っておりますこの法律、大変重要な法律だと思っていまして、理事会で、ぜひ委員の出欠、いろいろ事情はあると思うんですけれども、出席の徹底につきまして、私も完璧ではないものですから余り大きなことは言えませんけれども、努めて出る努力はしているつもりでありまして、それは理事会の方で周知徹底をお願いしたいと思います。

 さて、きょうは、空港法、空港整備法から空港法と名前が変わるんですけれども、この法律、大変重要な転換期の法律なんだけれども、きょう一日で審議が終わるということに関して、若干、私はもっと時間をかけるべき法律ではなかったかと思い、今後も外資規制の話ほか、積み残された議論もありますので、そういうことに対して、私は、これまでの航空行政あるいは空港整備行政についてやはり総括をしっかりとしなきゃならないという思いで、限られた時間でありますが、幾つかの質問をしたいと思っております。

 実は、先週の金曜日に、民主党の国土交通部門のみんなで成田空港の視察に参りました。新管制塔ができ、そして例の二千百八十メーターの暫定滑走路も見に行きました。扇千景国土交通大臣のときも、例の滑走路のオープンに我々も国土交通委員会で、当時私は筆頭理事をやっておりましたけれども、参りました。

 そういうこれまでの経験を踏まえながら、本当に空港整備というものが万全であったのか、余りにもダッチロールというか試行錯誤というか、あるいは失敗というか、そういうものがあったのではないか。私は、これは今後やはり大いなる教訓にすべきものだと思い、そういう思いを強く込めながら申し上げたいと思います。

 たまたま、我々が先週成田空港を見に行った同じ週に、ある週刊誌で、「成田国際空港 開港から三十年」、ちょっと厳しい言い方ですけれども、「失笑の風景」ということで、いびつな空港だ、神社があり、滑走路と滑走路の間に民家がまだ残っている、こういうような、実は茶化してもあるし批判もしてある、事実でもある、こういう批判のグラビアの記事がでかでかと載りました。これも、ボタンのかけ違えということが何ともう四十年近く続いた結果が今なおいやされていないという状況であります。

 私は、まず冒頭にお聞きしたいんですけれども、日本の空港整備は本当に計画的で戦略的に進められてきたと評価し得るのか。とりわけ、ハブ空港の国際競争力という面では、この十数年、アジア諸国が物すごい勢いで整備をしてきました。かつては途上国が追いつけ追い越せだったけれども、もう今は、国際ハブ空港機能というような点から見るならば、日本は劣後しているのではないか、劣っているのではないか、そして今後はその差がどんどん開いていくのではないかという危惧すら私は持つのであります。

 成田空港、今進められております羽田の拡張、そしてまた今後の国際ハブ空港、いろいろ地域にもありますけれども、しかし、現実はまだ余り芳しいスピードでは進んでいない。一方で、上海の浦東、そして仁川、旅客の数あるいは発着回数を見てもすさまじい勢いで伸びてきて、実際、もう成田を追い越しているという空港も既に出てきた。

 こういう一連のこの十数年の動きを見て、私は、今度法律を変える、空港整備法ではない、空港法だということで一つの転換を迎えるわけですけれども、過去のそういう空港整備、とりわけ国際ハブ空港という面で見てどういうふうな感想、評価をお持ちか、ひとつこの際、大臣にぜひ所見をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 今言われたような批判は、甘受しなきゃならない現状だろうと思います。

 ただ、羽田、成田は、今、二〇一〇年の三月あるいは十月の供用開始に向けて拡張を一生懸命やっているところでございまして、これは十七万回の発着がふえるということになりますと、現在、両空港を合わせますと五十二万六千回飛んでいるんですね。その上に十七万回ですから、約七十万回ということになります。

 諸外国、近隣のソウルは現在、金浦と仁川を入れて二十七万七千回、それから上海は虹橋と浦東を入れて四十一万回、北京は三十七万七千回、香港が二十九万回、バンコクが二十九・一万回、シンガポールが二十一万八千回と比べると、現状において遜色ないところまで来ているように私は思うんです。

 回数から見たら七十万回ですから、それは非常に多いわけでございますが、しかし、我が国の土地は非常に狭隘でございます。そして、内陸部になりますと、そこに民家がありまして、ほとんどが脊梁山脈、山林でございますから平地が少ない。そういうようなところで空港をつくるわけですから、騒音問題を引き起こすということで、地域住民との深刻な摩擦が起こる。そういうことから、現在、二兆二千億の巨費を投じ、開港三十年ですが、その前を入れれば四十年の長期にわたって空港建設が行われてきたというのは、大変困難な事情がそこにあると思います。

 しかしながら、地方空港は現在九十七ございまして、その中に、国際定期便が飛んでいるのは二十三プラス三です。そしてまた、チャーター便は四十三プラス一です。そういうふうに地方も非常に頑張っておりまして、一時間以内で空港に行けるのは六八%、それから二時間以内の地域は九五%、三時間以内であれば九九・九%空港へ行けるというようなところまで我が国の空港は整備をされています。いわゆる国内空港は概成されたと見て、離島は別としまして、そういう状況にあると思います。

 しかしながら、御指摘のとおり、紆余曲折を経まして、私どもは今後、空港の整備だけではなしに、これをどう運用していくのかということが非常に大きな課題となってまいりましたので、今回は空港法と法律を改めまして、そしてまた、それに対する基本計画も立てようということで抜本的な改革をお願いしているところでございます。

 既設の一般空港におきましても、福岡空港とか那覇空港につきましては、近く、このままではもう余裕が全くなくなってしまうということが予想されますので、これについてどういうふうにするか、能力向上方策について考えなきゃいけないということでございますが、現状はそういうことであるというふうに申し上げられると思います。

古賀(一)委員 今大臣の方からは、いわゆる発着回数ということで、ほかの国も頑張っているけれども我が国も頑張っているんだというような、航空行政に深い反省はないようにも受けとめましたけれども、私はおかしいと思うんです。

 実は、私は、十三年前に予算委員会で当時亀井静香大臣、その後、歴代運輸大臣に、国際空港、ハブ空港論を、本当に心配して質問をしてきました。当時、上海浦東は全くの草むらでございまして、私は、いろいろなアドバイスをしに上海に何度も呼ばれて行った。だから、浦東はもう草っ原のところから私は見ております。そして、そのときに、ここに近々浦東の国際空港の建設が始まるというような話がありました。以来、ずっと私はフォローしてまいりました。

 それで、予算委員会でこれを聞いたときに、浦東、香港のチェク・ラップ・コック空港、仁川もまだできていませんでした。どういう設計で、どういう戦略でやっているかを説明してくれと言ったときに、当時の運輸省の担当局長の御説明は、浦東については二〇〇五年に開港するものと考えておりますと。結果としては、五年前に先倒しだったんです。私は、二〇〇〇年にはできますよと。それほど各国の国際空港、とりわけハブ空港争奪の戦争というものはすさまじくて、各国はそういう国際的な視野に立ってやっているんだと。それは運輸省の航空局たるものが、まさに成田の競争相手、関空の競争相手になる浦東の国際空港について、あと九年後、二〇〇五年、そんな発想だから、これは必ず後でしまったと思いますよと言ったら、案の定そうなったんです。

 今の大臣の答弁は、いずれも私は、航空行政、空港整備行政の体質をあらわしていると思うんです。それは、非常に内向きなんですね。国内事情がどうだ、背後人口がどうだと需要追随であり、内向き、国内の要請ばかり考えている。中国がどう出る、韓国がどう出る、マレーシアがどうだ、チャンギのシンガポールがどうだ、今後、経済がどうなるから、こういうハブ空港機能の争奪を国としてやらぬといかぬという発想が、この十数年全然ないんですよ。

 結果として、今大臣がおっしゃった発着回数はそれでいいですよ。しかしながら、これからもっと需要は伸びていくんです。アジアは特に伸びるんです。大航空時代というのが来るんです。そして今度、ジャンボをはるかにしのぐエアバスA380、あれは成田の開港三十周年の日に本当は成田に着陸する予定だったんだけれども雨で着陸しなかったとこの週刊誌に書いてありますけれども、こういう巨大な航空もどんどん就航していく。シンガポールはこれを買った。もっとすごい大きい飛行機が、大交流時代、大航空時代で来るんです。

 では、ハードはどうかと見たときに、何と、もうはるかにおくれて工事を始めた上海浦東は、四千メーター一本、三千八百メーター一本、三千四百メーター一本。つまり、大きい飛行機、ジャンボはもちろんのこと、これがもう全部離発着できる滑走路が三本ある。浦東がそうです。仁川は、我が福岡からすぐですよ。これは、四千メーター、三千七百五十メーター、そしてもう一本の三千七百五十メーター。

 あの香港は、今まで啓徳空港というのがあったんです。非常に香港は狭い、山が迫っている、あそこの代替空港たるチェク・ラップ・コック空港というのができたけれども、私はてっきり滑走路が一本かと思ったら、とんでもございません。これも何と、三千八百メーター二本を有する国際空港なんです。

 ところが成田ですよ。先ほど言いました、先週見に行ったこの成田は、四千メーター一本でずっと来たんです。そして、扇千景大臣のときにようやく滑走路が二本になった。我々みんな見に行った。大式典もあった。そのとき扇千景さんが、目の前でみんなに、一千名ぐらいの人たちに言った言葉を覚えていますよ。開港二十五年たって、でき上がったのが二千百八十メーターのこんな中途半端な滑走路といって、大臣が言ったんですよ、恥ずかしいと言ったんです。

 それが今、南伸ではなくて北伸ということで三百二十メーター延長ということだけれども、たった一本ですよ。開港二十五年たって、ようやくできたのが何と二千百メーター級。これは、今後の大航空時代、大交流時代、航空を通じてアジア、世界じゅうの人が交流するこの時代に、およそ対応できるインフラではない。

 今度の法律が、空港整備法から空港法になる、もういわば整備は終わったような感じの中で法律の名前が変わっていく。これは、航空行政、これまで何が教訓であったか、そういうことを本当に総括しなければ、今後、今まで以上に国際競争の激しくなる時代に、国際港湾のように、いつの間にやら、神戸は全世界で四番目のコンテナ扱い港だったんですよ、もう今は見る影もない、どこに行ったんだ神戸は、横浜はどこだ、そういうふうになってしまうんです。

 したがって、私は強く申し上げますけれども、今回、空港整備法の整備の時代は、まあ終わってはいないんですけれども、それから空港法と名前を変えて、何か次は、法案を見ると例の外資規制の話が飛んでいますから、あとは何かちまちまとした話で法律が変わっていくということに関しては、今後大きく航空行政は総括をすべきだ、かように思っています。

 したがって、こういう結果をもたらした航空行政の体質は、先ほど言いましたように、やはり内向きな空港整備論であり、機能分担とネットワークという発想が非常に希薄です。東京の需要が多い、滑走路が足りない、駐機場が足りない、では拡張、そこだけ見ているんですよ。そうじゃなくて、成田がこうなら羽田をこうしよう。例えば福岡空港の議論もあるんです。現福岡空港の駐機場満杯の議論があるんです。これも、佐賀空港がある、新北がある。ネットワークでどうしていくという発想が今後航空行政に一番必要なんですけれども、その地点における地元の陳情、そして背後人口が何ぼだ、あそこよりこっちが大きい、駐機場が足りないという非常に局地的な、属地的な発想で航空行政を見てきたそのツケが、今の成田であり羽田再拡張でもあると思うんですよ。

 したがって、私は、そういうネットワーク、そして国際的な、とりわけハブ空港については国際的な視野を持った上で航空行政をこれから再構築していただきたい。十月一日から観光庁ができるんでしょう。ようこそジャパン、日本にもっと来てくれ、そういう話も国策としてやっているわけですから、私は、もうくどくど言いませんけれども、これは強く指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、これは重要な点ですから、だめ押しのように確認したいんですけれども、今度、空港整備は、この法律を見た限り、名前から見ると何か終わったようにも見えるんですけれども、今後の空港整備についてはどういうふうに基本的にお考えなんでしょうか、航空局長。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 この法案の必要性の説明として、空港についての重要課題が整備から運営へだんだんシフトしていくということで、法律の名前も、空港整備の整備を取りまして、空港の運営も含めた全体を見られるような空港法という名前に変えたいということで御説明しておりましたが、整備を軽視しているということではありませんで、必要な整備は今後とも続けていくべきだと我々も思っております。

 ただ、せっかく苦労してつくってまいった空港をこれからなるべく効率的、大事にうまく使っていこう、そういう意味で、それをうまく活用していくという部分も大事な観点でありますので、そこも含めてやっていきたいと思っています。

 したがいまして、大臣が定める基本方針につきましても、空港の設置及び管理について定めますので、整備、運営両面について今後とも定めてまいりたいと思っております。

古賀(一)委員 時間があっという間にたつので驚いていますけれども。

 それでは、今後、今まで国土交通省航空局が考えてきた空港整備論では済まないような事態が恐らくいろいろ出てくるんだろうと私は思っています。

 それは具体的に何かといいますと、お手元に恐らく配ってあるんだと思いますけれども、五月二十日の日経新聞、タイトルは「エア・アジアX日本就航」、マレーシアの格安航空が、今整備をしております茨城空港、ここに何としてでも格安路線を張りつかせたいと。何と、東南アジア―日本が一万円だそうです、一万円。それでついに、アメリカとか東南アジアでも、マレーシア―バンコクが五千円とか、こんな、もう戦争が始まっているんです。それがついに、巨大市場日本に来る、こういう話があって、これは急速に、この茨城空港を中心に、地方空港にこの議論は広がっていくと私は思うんです。

 そうしたときに、茨城空港は滑走路は二千七百なんですね。ところが、あと五百メーター拡張するならばあそこの空港だってゲートウエーでいいじゃないかという話が、高い着陸料の既存の空港を避けて地方空港に来るという話が今後ふえてくるのではないかと私は思います。具体に、茨城の空港の話も、いろいろな、マレーシア、あそこは航空が強いんですけれども、そこら辺のルートの話も私は聞いていますし、九州だって格安航空が来たいという話があるんです。

 そうしますと、滑走路をあと五百メーター延ばせれば格安航空は入ってきたい、入ってくる、地方にとってはこんなうれしい話はない、こういったときに、今のようなパターンのときに、空港整備はどういうふうになるんでしょうか。地方がぜひやりたい、おらが地域の活性化だ、新法にも書いてある地域活性化だ、でも滑走路が足りない、こうしたときに、いわゆる今までの負担率でやっていくというパターンになるのか。その場合、外資が、要するに、我々も出資して延長に協力しようといったようなパターンも出てくると私は思うんですね。それがこれからの大航空時代だと思うんです。

 地方空港に、こういう格安とは言わぬけれども、海外の飛行機が乗り入れをしたいといったときに、これまでの定期航空の交渉とかそういうものはどう整理をされて今後進められていくのか、局長、御説明をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 地方空港の国際化についても我々は大変重要な課題だと思っておりまして、アジア・ゲートウェイ構想に基づきまして、各国との航空交渉においても航空自由化の推進を図っているところでございます。

 茨城空港につきましては、平成二十二年三月の供用を目指しまして、今、自衛隊の百里飛行場にもう一本横に滑走路をつくりまして、民間と共用化を図るという工事をしております。これは首都圏の守りのかなめでありますので、緊急発進、スクランブルのときに民間機がいちゃまずいので、やはり横にもう一本別なものをつくらないかぬということでやっておりますが、二千七百メーターありますと、東南アジアまで十分飛べます。成田の二千五百の滑走路でも東南アジアまで届きますので、長さの面で問題はないかと思っております。

 茨城県は、新しいターミナルも、二階建てでなくて平家のターミナルにして、物すごく安くつくって、そのかわり、お客さんはボーディングブリッジじゃなくても歩いて乗りに行ってもらうような、そういう低廉なターミナルを今は建設中でありまして、そういう意味で、そういう格安の海外の航空会社の誘致にも取り組んでおるところと承知しておりますので、そういう面が、うまく工夫が生きて実ってくればいいなと私どもも考えておるところでございます。

古賀(一)委員 茨城についてはわかりました。茨城は二千七百あるからいいですよ。

 では、今僕が後半に言いました、地方空港で、地政学的に見て、外国の航空会社もここに乗り入れたい、飛行場を整備したい、もうちょっと拡張したいといったようなパターンというものは今後どのように進められましょうか。

鈴木政府参考人 地方が管理しております空港につきましては、管理者が滑走路の延長等は行う、それに対して我々は補助等を行っていくというのが原則でございまして、外国の航空会社が延長についてお金を出したり何か取り組むということは、今のところ考えておりません。

古賀(一)委員 成田についても外資の話が出てくるような時代でありまして、むしろ私は、地方空港を舞台にそういう話があり得るような時代が来るんだろうと予言をここでしておきたいと思います。

 最後に、ちょっと時間が来ましたけれども、私は、決定的な、さっきネットワーク論を言いました。航空行政は、これは本質の一つだと思うんですよ。先ほど言ったように、地元からの陳情で空整に入れて、何年たって調査して、今度採択しましょうということで来ているわけですよ。

 では、ほかの国はどうやっているか。一番身近な韓国、これは十何年間、私は言ってきました。私はがっかりするんですね。

西村(康)委員長代理 質問の時間になっております。

古賀(一)委員 はい、わかりました。

 最後にこれだけ指摘をします。質問じゃない。

 日本のエアラインが、ハブ空港を目指している仁川とつないでいる路線は六路線ですよ。六路線三都市しかないんです。成田、関西、中部。日本のエアライン、全日空とJALですよ。ところが、韓国は何と二十四空港と二十八路線、これを、アシアナ、大韓航空は地方都市とこれだけ結んでいる。

 つまり、国策として、単一の路線で、これは赤字、黒字じゃない、仁川に何としても国際空港、ハブ空港機能を持たせるという国家戦略の中に、青森とつなぎ、地方都市とつないで、赤字路線もあるでしょう。しかし、仁川経由でヨーロッパに、アメリカに行かせるんだという、まさにハブ空港戦略で二十八路線を韓国の航空会社は日本と結んでいる。私は、ここのいわゆる設計といいますか、航空行政の発想の原点が違う。

 今後、私は、今度の法律の改正を機に、ぜひ、そういうグローバルな大航空時代の大競争時代という発想で航空行政をもう一回総括し、新たな旅立ちをしていただきたいと強くお願い申し上げまして、質問を終わります。

西村(康)委員長代理 次に、三日月大造君。

三日月委員 お疲れさまです。私も、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案について質疑に臨ませていただきます。

 まず、大臣初め局長にお尋ねするんですが、午前中も話題になっていましたスカイマークの欠航の話です。

 五月末で契約が切れた機長が二名いて、足りひんようになったから急に運休するんだという話なんですが、私はびっくりもしましたし、では、そもそも航空法の届け出なり運航計画の許可、それをどのように国交省は考えるのか。午前中、大臣は目配りをしていかなあかんとおっしゃいましたが、私は具体的に申し上げたいと思うんです。

 航空法百七条の二、運航計画、羽田のような混雑飛行場に係る特例は百七条の三、ここで運航計画については許可をするんだということになっているんですけれども、今回のことを教訓に、この運航計画の許可やその変更についての基準、定めを変えていく、もしくは審査を厳しくしていくということが必要ではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

冬柴国務大臣 予想外のことが起こってしまったわけですから、今指摘されたような条文というものをしっかりと我々も射程に入れながら現実的な行政を進めていかなきゃいけないと思いますけれども、今回のことは、本当に乗客に対して申しわけないと思います。

 したがいまして、運航計画の許可、変更、あるいは運航自身についての許可の取り消しとか停止とか、そういうものもあるわけでございますが、どういうふうに運用していけば一番適当か、こういうこともよく考えていきたいと思います。

三日月委員 今回のことを教訓に検討していくということでいいんですね、この運航計画のあり方について。もう少しはっきりとお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の問題は、乗務員の乗務割という、どのぐらい飛べるかという時間の問題でありますけれども、これを私どもはきちっとチェックして安全運航をきちっと確保しておったわけでありますけれども、乗務員をどういう路線にどういうふうに使うかというところはエアラインの経営の中身、運営の問題でありまして、そこのところの時間の管理なんかをきちっとやっておれば、その先のところは我々は関与するべきところではないわけであります。

 今回は、それをぎりぎりの綱渡り的な状態で乗員繰りをやっておったがために、二人突然退職したら運休が生じてしまったということでありまして、極めて遺憾な状態でありますが、その結果、我々の方に許可された運航計画が実行できなくなったということは事実でありますので、そういう許可された実行計画をどうやって担保していくかという点につきましては、今後とも、十分運用面でしっかりとチェックをしてまいりたいと考えております。

三日月委員 いや、ですから、私は具体的に、法の定めがあるんですから、その運用面を、特に百七条の三、混雑飛行場に関する特例、許可を出しているわけですから、その許可がきちんと履行される状態にあるのかどうかの審査も含めて、しっかり行っていくべきだと思うんです、やっているならですよ。

 幾つか改正法案について具体的にお伺いをいたしますが、改正法案の附則の五条に伊丹空港に関する特例があるんですけれども、これはどのように読めばいいんでしょうか。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 この空港法案におきまして、伊丹空港につきましては、従来一種空港であったわけでありますが、今回、一種、二種を統合して区分されます国際航空輸送網または国内航空輸送網の拠点となる空港として、引き続き国が設置、管理する空港として位置づけております。

 新たに滑走路等の工事に要する費用につきましては、三分の一を大阪府、兵庫県に負担していただくこととしております。これは今までの国内空港と同様の負担ということでありますが、伊丹空港に関する地元負担対象工事は、ここ数年は毎年度二十億円程度でございまして、地元負担はその三分の一となりますが、新たに負担が生じるということの激変緩和措置として、平成二十年度から二十四年度までの五年間においては、費用負担の対象となる工事を、地震に対する安全性の向上その他の当該空港の機能の向上に資するものに限ることとして、地元自治体の負担軽減を図っております。

 例えば、今年度、平成二十年度におきましては、地元負担対象工事が約十二億円。したがいまして、三分の一の地元負担は四億円程度ということで、五年間は負担の軽減を図るための経過措置を置いておるということでございます。

三日月委員 この五条に、「新空港法第六条第一項の工事であって地震に対する安全性の向上その他の当該空港の機能の向上に資するもの」なんといったら、ほとんどの工事が入るんじゃないかと思うんですけれども、「その他の当該空港の機能の向上に資するもの」というのはどのようなものを想定されておりますか。

鈴木政府参考人 例えば、滑走路の改良工事におきまして、硬質なアスファルトを用いまして滑走路の機能向上を図るといったようなものを想定しています。それは、これからの毎年度の予算措置の中で決めていくことになると思っております。

三日月委員 そのことも含めて、今後、伊丹空港の取り扱いをどのように考えていかれるおつもりでしょうか。大臣、お願いいたします。

冬柴国務大臣 伊丹空港は、我が国の国内空港の拠点空港であります。そして、伊丹というのは兵庫県伊丹市でございますけれども、現実には大阪府全域の人が国内線はお使いでありますし、また京都府の方々もお使いになっています。それから、兵庫県は東側の半分が、半分もいきませんけれども、使っているということで、千六百万人の方が後背人口としてある国内拠点空港だ、伊丹空港はそういうふうに位置づけております。

三日月委員 済みません。きょうはどうも大臣とかみ合わないんですけれども、今後の取り扱いについて国としての考え方を問うたんです。後の答弁であわせてまたお答えいただければと思うんです。

 着陸料についてお伺いをしたいと思うんですけれども、午前中の質疑の中でも着陸料についての議論がありました。日本の着陸料、国際空港の着陸料は比較して高いのではないかという指摘がありましたけれども、今回、法律案で十三条に着陸料について改めて定めております。

 こうやって改めて着陸料について定めた意義と、この国際空港、他国と比較をして高い着陸料の見直しをしていくべきだと私は考えているんですけれども、それについての国の方針、お考えをお聞かせください。

冬柴国務大臣 国管理空港の着陸料につきましては、規制改革推進のための三カ年計画というものが平成二十年三月二十五日に閣議決定されておりますが、それや、昨年の交通政策審議会航空分科会答申においても、「空港の適切な使用料体系のあり方について、今後検討を進める必要がある。」というふうに指摘をされているところでございます。

 したがいまして、空港の使用料体系のあり方の検討に当たりましては、空港整備、運営の財源として着陸料が重要な地位を占めているということを勘案しつつ今後あわせて検討を進め、結論を早急に得たい、こういうふうに考えております。

三日月委員 大体いつごろまでに結論を得たいという計画でいらっしゃいますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣からも答弁いたしましたように、空港整備や運営の財源として着陸料が重要な地位を占めていること等も勘案しながら早急に検討したいと思っておりますが、羽田の滑走路整備の状況等も勘案しながら、しかるべきタイミングで結論を得たいと思っております。

三日月委員 羽田の再拡張のタイミングだというふうに受けとめたいと思うんです。

 もう一点、航空会社の経営に多大なる影響を及ぼしていると考えられる原油の高騰に対する見通しと対策についてお伺いするんですけれども、シンガポールケロシンですか、物すごい勢いで航空機燃料価格が高騰しております。資料はつけておりませんけれども、数年前に比べますと三倍、四倍近い価格で上がっておりまして、先般航空会社の方々と意見交換をしていると、減便を航路によってはしていかなければならないということもありました。

 国交省としての見通しと、市場で動くものですから対策は難しいと思うんですけれども、どのような対策を講じているのか、いかれるのか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 燃油価格の高騰につきましては、航空業界だけでなく私どもも大変心配をしております。

 委員御指摘がありましたように、航空機燃料の代表的な指標でありますシンガポールケロシンの平均価格が平成十五年にはバレル当たり三十二・八ドルであったものが、本年五月二十八日には過去最高となる百七十四・三ドルというような形で急激な高騰が進んでおりまして、航空会社の経営にも大きな影響を与えておりますし、不採算路線の維持等にも深刻な状態になっております。

 このため、各航空会社におきましては、少しでも燃費効率のよい機材に切りかえるということで、新しい機材への切りかえを行ったり、それから、飛行機に積むいろいろな物品の重量を少しでも減らそうということで、食器や何かも軽いものに変えるとか、あるいは貨物機などはもう塗装をやめちゃうという、銀色のものがありますが、塗装の重さも飛行機全体だとばかにならないのでやめちゃうみたいなことまでやっておりまして、かなり涙ぐましい努力をしております。それから、話題になりましたエンジンの水洗浄というのも、水洗浄をまめにやると一%ぐらい燃費が違うということで、いろいろ頑張っております。

 我々といたしましても、管制の方の新しい飛び方で、RNAV、広域航法というのがありまして、これは、今まで無線施設を目指してジグザグに飛んでおったものが、カーナビのGPSのもっと高等なものを思い描いていただければいいんですが、飛行機にちゃんとした計器を積んでおけば、自分の位置が正確にわかりますので、そうすると無線施設に頼らずに直線的に飛べるというようなもので、RNAV航法によるそういう直線的な航空路の設定というのをやって少しでも効率的な飛び方をしようと。

 それからさらに、横田の空域が削減して一部返ってまいりますれば、羽田から西へ向かう飛行機が少し低く飛べますので、少しでも時間の短縮と燃料の削減になるというようなことも含めまして、いろいろな努力を積み重ねてまいりたいと思っております。

 ただ、委員御指摘のように、この先どうなるかというのは、本当に投機的な要素もありまして全く予断を許しませんので、我々としては、航空業界とともに、燃料の削減に向けて、あるいは地球環境の問題もありますので、そういう環境面の対応ということで総合的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。

三日月委員 確かに、需要と供給のバランスの中で市場において決まるものですから、そのことに対して国が応援していくことの難しさを私も理解をいたします。

 例えば、航空事業者が行っているヘッジ、先物で早目にまとめて買って、その分、燃料費を浮かせる、こういうことに対して何か公的な下支えをするだとか、もしくは旅行会社から要望が出ていますサーチャージ、サーでかけられる部分はしようがないけれども、もう少し期間を早目に提示、もしくは長期にその価格を固定化していく、そのことによって、旅行代金や何かを明示しやすくするというか、わかりやすくするということの御要望もあるようですので、こういった対策をぜひ国としても御検討いただきたいというふうに思います。

 十四条に規定されました協議会についてお伺いをしたいと思うんです。

 この協議会にどのような効果を期待されるのか。既に利用促進協議会というものが空港によっては存在していると思うんですけれども、改めてこれを法制化することの意味とあわせてお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 この法案の十四条で協議会というのを法律上位置づけることといたしておりますが、委員御指摘のように、今既にいろいろな空港で利用促進協議会とかあるいは別な名目の協議会が多数つくられております。

 この任意の協議会に私どもとしては法的な位置づけを与えて、空港関係者が、特に空港の利用促進とかあるいは安全の確保に向けた取り組みをみんなで進めていこうと。ただし、これは強制ということではなくて、みんなで合意した事項についてそれを尊重しましょうという緩やかな協議会であります。

 ただ、そういう形で法的な位置づけをきちんと与えてそういう取り組みを促進していこうというものでありまして、今回の法案の中で運営面を重視していくということの一環として位置づけておるものでございます。

三日月委員 この利用促進のための協議会が、逆に、例えばキャリアである航空会社に対して規制の強化につながるのではないかという懸念がありますけれども、その点に対しどのようなお考えをお持ちなのか、対策を講じていくおつもりか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 午前中もお答えいたしましたように、航空運送事業者に係るダイヤ、路線等の事業計画、運航計画、運賃その他航空運送事業にかかわる事項は、航空法の方の守備範囲でございまして、今回の空港法で設置されます協議会の協議事項には含まれないと考えております。その旨は、協議事項等を含む協議会の運営に関し、各空港に共通する事項についてガイドラインを策定しようと思っておりまして、これを関係者とも協議の上しっかり策定をして発出する等、必要な対応をしてまいりたいと思っております。

三日月委員 最後に大きく二点お伺いしたいと思うんですけれども、改正法案の新空港法の附則の二条に共用空港というのがあるんですけれども、この共用空港というのは何ですか。

鈴木政府参考人 いわゆる共用空港というものは、自衛隊や米軍が管理する空港を民間の定期便が利用する場合でございます。

三日月委員 おととい私、那覇空港から羽田に向かって飛ぶときに、滑走路で離陸待ちをしていましたところ、目の前を自衛隊機がぼんとおりてきて、パラシュートをぱっと開いて、とまっていたんですね。私はあの光景にちょっと違和感を覚えたというか、那覇空港は共用空港ですか。

鈴木政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、共用空港というのは自衛隊や米軍が管理する空港を民間側が使う場合でありまして、那覇空港は私どもが管理しておる空港でありまして、これを逆に自衛隊側に使わせているという状況にございます。

三日月委員 それを共用というんじゃないですか。

 例えば、空港別自衛隊機着陸回数というのを見ると、那覇空港というのは群を抜いているんですよ。平成十九年で九千四百四十八回、一日大体三十回ぐらいの着陸をしているんですね。もちろん安全保障上の意味はあるのかもしれませんが、同じ共用をするんだったら、例えば軍軍共用じゃだめなんですか。米軍基地もあるわけです。軍軍共用でやるとか、もう少し民の、非常にいい時間帯に離発着をするものですから、かなり民間機の航空ダイヤが制約を受けるということについてどのような対策をとられるおつもりか。第二滑走路というお話もあるようですけれども、私は、そういうものをする前に、今できる、自衛隊機との運用見直しをすることによるダイヤの見直しということで随分利便性を高めていけるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 ただいまお答えいたしましたように、那覇空港は、私どもが管理している空港を自衛隊が使用しているわけでありますが、こういう自衛隊機の空港使用につきましては、空港管理者の空港管理権の範囲内で、空港の混雑状況、民間機のスケジュール、自衛隊機の利用の必要性、周辺環境への影響、それから、協定がある場合にはその協定の内容等を総合的に勘案して適切に判断していると考えております。

 那覇空港の場合におきましては、私どもの民間のターミナルの横にかなり広範な自衛隊の基地もございまして、そこから同じ滑走路を使用して自衛隊機も一部使っておるという状況にございます。

三日月委員 状況はわかるんです。状況はわかっていますが、もちろん安全保障上の意味も私は理解をして聞いているんですけれども、もう少し、新たに滑走路をつくるということではなくて、今の例えば共用空港という意味からいけば、どこが持っているかは別にして共用空港なんですよ。そのあたりの意味ももう一度考え直して、この運用について点検をするということについてのお考えはありますか。私はするべきだと思うんです。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもの定義の問題で恐縮でありますが、私どもが共用空港と言っておるのは、自衛隊や米軍の飛行場を私どもが使わせていただいておる場合ということで整理をしておりまして、先生がおっしゃるように、事実上、私どもの飛行場を自衛隊が使うのが共用空港ではないかとおっしゃれば、そのとおりだと思います。ただ、その際に、どういう形がいいのかというのは、逆に自衛隊の飛行場を民間機が使う場合も含めてお互いよく協議をして整理していくべき問題だと思っております。

三日月委員 なかなか思うような答弁がいただけないですね。引き続き頑張っていきたいと思うんですけれども。

 最後にお伺いをいたします。

 午前中の質疑の中にもありました、空港ごとの収支の問題です。これから整備から運営に変えていくということは私も賛成なんですけれども、そう思って各空港別の収支を、例えばフローもストックも教えてくださいと言ったら、そういうものはありません、出したとしても何か分けられない収支がありますとか、例えば着陸料の問題にしても、空港の収益で非常に重要だとおっしゃいましたけれども、どの程度重要なのかということについての点検が空港ごとにできない。これでは、整備から運営といっても非常に欠けたる部分が多いのではないかと思うんです。

 やはり、空港別の収支を明らかにしていく、透明性を高めていくということが私は必要だと思うんですけれども、大臣、この点いかがお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 私も全くそのように思います。したがいまして、空港整備が概成して、これから空港運営にも重点的に取り組む必要があるという以上は、空港の整備、運営に国民の理解を得ていくためにも、個別空港の収支をわかりやすく把握して透明性を確保するということは必要だと思います。

 その際、これは役所の中では異説かもわかりませんけれども、私は、伝統的な企業会計原則等、そういうような技術を駆使した会計手法というものでそれぞれ整理した財務諸表というものができれば、これはだれが見ても、どういう資産があり、そしてどういう負債があり、そしてまたどういう資産が減価償却され、どういうものが引き当て勘定を持っているのかということもわかりますし、いろいろその間に、例えば損益計算書等がつけば無駄なものがどうであるかということも一目瞭然ですし、私はそういう方向へ進んでいくべきだろうと思います。

 ただ、先ほど局長からの答弁にもありましたように、膨大な資産、それは全部国じゃないですけれども、国内空港も九十七あるわけですし、それから、成田にしても二兆二千億、羽田でも二兆二千億、そういうものが三十年、四十年かけて投下されたものが今はどうかということですから、大変膨大な作業と手数はかかるとは思うんですけれども、目指すところはそういうような、だれが見てもよくわかる原則に従った財産の表示が必要であろうというふうに思っております。

三日月委員 進んでいくべきであろうと思いますとか、必要だろうと思いますではなくて、進めます、必要です、やりますというお答えを大臣にはいただきたいなと思うんですけれども、よろしいですか、そういう方向で。

冬柴国務大臣 今のところはその方向で検討させていただきますということでお願いします。

三日月委員 終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。早速、二十五分しかございませんので、私は、空港の周辺のことについて聞かせていただきたいと思います。

 国土交通省航空局所管の公益法人についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 きょうは衆議院の調査局に来ていただいていますので、航空局所管の二十七の公益法人のうち、国家公務員の再就職者がいる二十法人の再就職者数、金銭の交付状況あるいは正味財産について御説明をいただきたいと思います。

清土調査局長 国家公務員の再就職状況に関する予備的調査につきまして、平岡秀夫議員外百十二名からの要請に基づき、平成十九年十一月、内閣委員会から調査局長に対する調査命令を受けて、国家公務員の再就職状況を調査したものであります。

 本予備的調査の結果、平成十九年四月一日現在において、国土交通省航空局所管の国家公務員再就職者が在籍している公益法人数は二十法人であり、国家公務員再就職者数は七百十一人であります。また、平成十八年度におけるこれら法人に対する金銭の交付額は、契約額百十二億一千万円となっております。

 正味財産額については、本予備的調査の調査項目とされていないため、平成十八年十月一日現在において実施された総務省の平成十八年度公益法人概況調査に基づきまして、調査局において集計しましたところ、国土交通省航空局所管の国家公務員再就職者が在籍している公益法人二十法人の正味財産額の総額は、平成十七年度決算において二百八億二千五百八万円でございます。

川内委員 たくさんの国家公務員再就職者がいらっしゃる、正味財産についても二百億円ぐらい持っているということでございます。

 この国家公務員の再就職状況に関する予備的調査に基づき、国土交通省航空局所管の国家公務員再就職者がいる公益法人のうち、国家公務員再就職者数が多い上位三法人について、法人名、各法人における国家公務員再就職者数、金銭の交付額、正味財産額を教えていただきたいと思います。

清土調査局長 公益法人二十法人のうち国家公務員再就職者数が多い上位三法人は、財団法人航空保安施設信頼性センター、財団法人空港環境整備協会、財団法人航空保安協会であります。

 まず、財団法人航空保安施設信頼性センターは、国家公務員再就職者数が二百五人、契約額が十四億五千六百万円、正味財産額が一億六千三百九十七万円となっております。次に、財団法人空港環境整備協会は、国家公務員再就職者数が百八十人、契約額が二億二千六百万円、正味財産額が九十五億四千五百七十三万円となっております。次に、財団法人航空保安協会は、国家公務員再就職者数が百十七人、契約額が八十一億五千百万円、正味財産額が八億五千三百三十一万円となっております。

 以上です。

川内委員 それでは、国土交通省の方から御答弁をいただきたいと思いますが、国土交通省の方で把握をしている、この二十法人への国土交通省出身の役員数、さらに、上位三法人それぞれの国土交通省出身の役員の数、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 ちょっと質問の通告が定かではありませんでしたので、手元の資料で申し上げますと、今お名前が挙がりました三法人につきましては、所管省庁出身の役員数が、航空保安施設信頼性センターが三名、それから航空保安協会が三名、空港環境整備協会が五名でございます。(川内委員「二十法人全部では」と呼ぶ)二十法人全体はちょっと集計できません。

川内委員 きのう、私、レクのときに申し上げたつもりでいたんですが。

 国土交通省所管省庁出身役員が、ちょっと私もぱっと数えたところで約百名ですね。三法人について、今、三、三、五とお答えになられたのは、これは常勤理事の数を答えられていますね。とにかく、空港を取り巻く公益法人にもたくさんの再就職者並びに役員がいらっしゃる。そしてまた、そこに国費が投入をされているということでございます。

 では、その上位三社のうちの一つである財団法人航空保安協会についてお尋ねをいたしますが、平成十九年度、国土交通省から二十二の契約で合計八十一億五千百万円の契約が交わされておりますけれども、その二十二の契約の種別、随意契約、指名競争入札、一般競争入札、それぞれ何件であったのか、トータルの金額まで含めて御答弁をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁ありました平成十九年度に行われた衆議院調査局による予備的な調査において、今の二十二件というのが調べられておりますが、その内訳として、一般競争入札十一件、指名競争入札二件、随意契約九件と承知しております。

 金額はちょっと今手元にございません。

川内委員 済みません、金額もちょっと、大体でいいですから答えていただけますか。

鈴木政府参考人 一般競争入札の十一件の総額が四十一億四千万余り、指名競争入札二件の総額が六千四百万余り、それから随意契約の九件の契約総額が三十九億四千万余りでございます。

川内委員 一般競争入札十一件が四十一億、指名競争入札二件が六千四百万円、随意契約九件が三十九億円余りと。随意契約九件三十九億というのはびっくりしますけれども。

 それでは、一般競争入札十一件の四十一億の契約に対して入札応募者が何社ずつあったかというのを、契約一件ごとに何社というふうにお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 一般競争入札十一件につきましては、すべての契約において一者のみの応募でございました。保安協会のみの応募でございます。

川内委員 委員長、聞きましたか、今。

 十一件の一般競争入札で一者ずつしか応募がなかったと。これはちょっと、談合と言うにも談合以上のものがあるんじゃないかというふうに思いますが。

 それでは、この一般競争入札、それから随意契約、指名競争入札の平均落札率を教えていただけますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの平均落札率でありますが、一般競争入札が九七・〇二%、指名競争入札が九六・七四%、随意契約が九八・九三%となっております。

川内委員 非常に驚くべき数字でございますけれども、この航空保安協会について、一般競争入札でも一者しか入札に応募せず、平均落札率が九七・何%だということでございます。

 この公益法人を公益法人改革に伴ってどういうふうにされていくのかということは後で国土交通大臣に聞きますが、もう一つ、財団法人空港環境整備協会についてお尋ねをいたします。

 ここは、空港の駐車場を管理運営していらっしゃるところだということで、空港の駐車場事業の収入で何か周辺の方々への環境対策を行うことを目的とする団体だということでございますが、三百五十名ぐらいの職員のうち、先ほど衆議院の調査局から御説明がありましたけれども、国家公務員再就職者が百八十名いらっしゃるということでございまして、また、正味財産が九十五億ということで、航空局関係の公益法人トータルの正味財産のうち大体約半分をこの空港環境整備協会がやっているということでございます。

 この空港周辺の環境対策なるものをなぜこの財団法人がやらなければならないのか、そしてまた、この環境対策をこの財団がやることに何か法的根拠があるのかということを端的に御説明をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 航空機騒音対策は、昭和四十二年に制定されました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づきまして、航空機の離着陸が頻繁に行われる場合の障害が著しいと認められる空港につきまして、国または成田空港会社が、空港周辺地域における民家等防音工事とか移転補償とか緑地帯の整備等を実施しているところであります。

 しかしながら、空港周辺の住民の方々にとっては、そういう騒音基準、法律で定められた騒音対策だけではなかなか満足できないという場合がございまして、騒音基準が満たされても航空機騒音が気になる場合があること、あるいは、移転跡地が点在して地域コミュニティーが崩壊してしまうみたいなことがございまして、必ずしも国等が行う騒音対策では満足されないことが多くあります。

 そういった不満を除去して、空港を地域に認めてもらうためにはもう少しきめの細かい対策が必要だということで、騒防法の一年後の四十三年に、この協会の前身であります航空公害防止協会が設立されまして、以来、この協会に、名称は変更されましたが引き継がれまして、長年にわたり、航空機騒音等の直接的な障害を軽減するための事業と、空港周辺地域の生活環境の改善や地域の活性化に寄与するための事業というのを周辺自治体の要望を受けて実施しているものでございます。

 なお、法的な位置づけというのはございません。

川内委員 周辺自治体の要望を受けてというふうにおっしゃられましたが、周辺自治体がどのような要望をどこにどのような形でお出しになっていらっしゃるんですか。

鈴木政府参考人 周辺自治体が空港周辺の住民の方々の具体的な要望を受けて、自治体がそれを取りまとめてこの協会の方へ申請をしてきて、協会が助成やあるいは必要な事業を行っておるということでございます。

川内委員 聞くところによると、この空港環境整備協会というところは、周辺自治体の要望を受けて、サッカーボールを寄附したりとか、テレビの受像機を寄附したりとか、パソコンを寄附したりとか、そういうことをおやりになっていらっしゃると。私は、それが果たして空港に車をとめていただくお客様からいただく駐車料金でやるべき事業なのかということは、しっかりと吟味をもう一度されなければならない。

 昭和四十何年ですかに騒音防止対策法なるものが制定をされ、その一年後にこの財団が成立をしたときにはその役割は確かにあっただろうというふうに思いますが、しかし、現時点において、空港環境整備財団がやっている仕事が果たしてどこに出しても恥ずかしくない、我々はこういう仕事をしているんですよ、国家公務員再就職者が百八十人いるけれども、ちょっと高い駐車料金をもらっているけれども、こんなことをやっているんですよ、どうですか皆さんと胸を張って言えるような事業になっているかどうかは、この公益法人改革にあわせて見直されなければならないというふうに思います。

 それでは、この公益法人の問題についてはまた今後さらにいろいろお尋ねをさせていただきますが、まず航空保安協会、さらには空港環境整備協会、この二つ、さらにはもう一つ、ちょっと名前を覚えられなかったんですけれども、こういう航空局関係の公益法人の見直しに対する大臣としての御所見をまず賜りたいと思います。

冬柴国務大臣 公益法人の見直しにつきましては、現在、政府全体の中で、行政と密接な関係にある公益法人の集中点検ということを行っているところでございまして、民間参入など事務事業の見直し、役員報酬、職員給与、役員数などの見直し、それから随意契約の見直しなど競争的な契約方式への移行などの基本的方針に即し、点検を今行っているところでございます。

 航空局といたしましても、政府全体の方針に従い、所管の公益法人について点検を行っているところでありますが、必要な見直しを行ってまいる所存でございます。

 そういうことでございます。

川内委員 その見直し案が出たら、また議論をさせていただこうというふうに思います。

 次に、沖縄の新石垣空港についてお尋ねをいたします。

 まず、この新石垣空港については、土地収用についての手続が始まっているということでございますが、現在の状況について御説明をいただきたいと思います。

榊政府参考人 新石垣空港整備事業に関係することでございますけれども、まず、収用法二十五条の二の第一項の規定に基づきまして、国土交通大臣が、事業認定庁が行う処分と反対の内容の意見が提出されている場合には、社会資本整備審議会の意見を聞き、その意見を尊重しなければならないということになっております。

 現在のところ、そういったような法律のことだけを申し上げる形にはなると思いますが、実は、この収用法の改正がこの委員会で出されましたのは平成十三年でございますが、その際にも、社会資本整備審議会の関係でいいますれば、議事要旨の公開に努めることにしなさい、こういう附帯決議を受けております。

 と申しますのは、当時から、収用法の事業認定に関する審議ということになりますと、発言者が特定されるということになりますと、率直な意見の交換とか意思決定の中立性が損なわれるということがございますので、同分科会の会議、議事録は非公開、発言者の特定がされない議事要旨の公表をやるということで、当時そういう附帯決議もいただいていることもございまして、そういった運営方針で運営しております。

 したがいまして、今回の新石垣空港整備事業について、社会資本整備審議会の関係でどんな感じになっているかといいますると、今どの段階ですというのは、具体的にちょっと実は申し上げられない側面がございますが、反対意見があればこの社会資本整備審議会が開催されて意見を聞く、こういう手はずになっておるところでございます。

川内委員 事業認定庁は沖縄総合事務局長である、その沖縄総合事務局長は、反対意見が出ていれば社会資本整備審議会公共用地分科会への付議をお願いするということになろうかと思いますが、きょうは沖縄総合事務局から社会資本整備審議会に申請が出されたのか否かということをお尋ねしたかったんですけれども、それについてだれかコメントできる人がいるんでしょうか。

榊政府参考人 先ほど申し上げたことの繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、発言者が特定されない議事要旨の公表を行っているという形になっておりまして、そういった意味で、開かれるんだとかということになると、先生方の方にいろいろな意見書がどっと行ったり、そういったようなおそれがあるものですから、ここでは予定の有無も含めて明らかにしないというような運営方針でおりますので、御理解を賜りたいと存じます。

川内委員 土地収用法が改正されたときの附帯決議というのは具体的には成田を想定しているわけで、成田に関してはそういうことは十分に考えられるでしょうということは私も理解をいたします。

 しかし、本件新石垣空港についてそのような動きがあるというふうには聞いておりませんし、本来、審議会の議事については公開をされるべきものであるというふうな閣議決定もあるということでございますから、私は、進捗状況についてまた機会を改めてお尋ねをさせていただこうというふうに思っております。質疑者交代のお時間ですと、もう時間が来てしまいましたが。

 この法律には基本的には賛成ですけれども、やはり周辺の状況をしっかりとみんなが、世界じゅうから、あるいは日本の国内で移動するお客様についてもしっかりと対応していきましょうねということは、どんな小さなこともゆるがせにはしないよという行政としての意思が必要であろうというふうに思いましたので、この公益法人をきょうは取り上げさせていただきました。

 終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎です。

 法案の中身に入る前に一点だけちょっと確認をしておきたい点がございます。

 きのうも、燃料価格が高騰している中で、海上保安庁の船、飛行機がきちっとした仕事ができるように予算の確保について要請をしたところであります。

 同じようなことが、エネルギー価格だけではなく、資源と言われているものが押しなべて、鉄、金、いろいろな資源の価格が国際相場も非常に高騰しております。

 そんな中で、確かに、私もこの委員会で何度か指摘をさせていただいたように、建設単価というものは適正な形でできるだけ削減をしていくということは言うまでもありませんが、やはり行き過ぎた形であると入札が不落に終わるというふうなことが今全国でも非常にふえているというお話を聞いています。

 きのうも耐震化ということでお尋ねをしましたが、実は、山梨のある市の三つの学校の体育館の建設でも、全業者が入札を辞退してしまった、これは大前提として一般競争入札ということでありますが。それで、もう一度調整をして再実施をしたということであります。国交省にもお尋ねをしましたら、やはり国交省所管の事業の中でもかなり最近ふえているというお話をお聞きしております。

 その理由というものが、いろいろあって具体的に評価はできないというお話をお聞きしておるんですが、今、国交省、この一年ということで区切っても結構なんですが、どのような形でその不落というのが、パーセンテージも含めてお教えをいただきながら、それをどういうふうにこれから解決、余り時間が、再実施ということになると時間もかかるわけですから、緊急性のあるものは当然ですが、やはりそういうふうな入札の手法というものをきちっと検証しながら、よりよいものに変えていくということも必要だと思うんですが、その点について、一括で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度、私どもの国土交通省地方整備局発注工事でございますが、港湾、空港を除きますと約一万三千件の発注工事がございました。このうち、入札に参加する者がいなかったり、あるいは、入札参加者がおっても予定価格以下での応札がなかったということで入札が成立しなかった工事が約二千件ございました。全体の約一五%を超える状況になっております。

 この理由については、私ども、なかなか十分な把握はできておりませんが、競争環境が厳しくなっている中で、例えば市街地工事の施工効率の低さですとか、あるいは御指摘をちょうだいした材料費の高騰を背景にして収益性の低い工事への参加を手控えるなど、こういうような業者さんの応札行動というものが背景にあるのではなかろうかというふうに感じております。

 十九年度からは、こういう事態に対処いたしまして、私ども、毎月、資材等は最新の単価を用いて予定価格を設定しておりますが、業者さんの見積もりを尊重する新しい方式を試行させていただいております。

 ただし、既に発注している工事で、資材等の高騰により相当の影響が出ているということを認識しておりまして、この点につきましては、公共工事標準請負約款第二十五条五、いわゆる単品スライド条項について、現在、鋭意検討を進めているところでございます。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 今、審議官がお答えをいただいたように、ここまで材料価格、燃料も含めて、いわば増嵩するというのは、先ほど審議官がおっしゃっていただいた契約約款の二十五条の五というのは、昭和五十五年の第二次石油ショックのときに導入をされ、その後、基本的には運用というか適用されていないというお話を聞いていますので、やはり今の時期はある意味では非常時だという認識も踏まえて、きちっとした適用についての御検討をお願いしたいと思います。

 それでは、中身に入りたいと思います。

 先ほど来、いろいろな意味で国際競争力の話とか国益の話が出ていました。きのう大臣が法案の提案理由説明の中でもお述べをいただいているように、人流、物流の両面における世界に対する窓口である空港について、国際競争力を強化していくことが喫緊の課題になっておりますということで、確かにおっしゃるとおりだと思うんです。

 ただし、やはり国益というのが非常に、飛行機というのは、この間、港湾のときにも御指摘をさせていただいたように、ある意味ではわかりやすいようでわかりにくいんですね。どれだけ魅力がある国なのか、地域なのか、そして、そこに人が飛行機を使って移動をする、そこに着いてから観光であり、仕事であり、目的地にできるだけアクセスが短くてという、いろいろなサービス産業の何か集約みたいなものだと思うんですね。

 例えば、私たちも、全日空にも乗ればJALにも乗れば、ほかのヨーロッパのエアラインにも乗りますけれども、何をその基準に乗るかというときに、別にどこの飛行機会社でも、同じところに行くのであれば、同じサービスであれば、できるだけ価格が安いエアチケットを探して乗るというのが多分普通の人の感覚だと思うんです。

 そのときに、国益というのが何なのか。これも二月のときに総理にもお尋ねをしておるんですが、今まで税投入というのが、国税だけで五兆円近く多分入っているというふうに思うんですけれども、という中で、今まで建設は、要するに飛行場の滑走路の建設は税で、国税、地方税組み合わせた場合もありますし、そういう中で建設をしてきた。それが基本的には一巡をして、これからはもっと必要性の高いところに予算の集中投下をしようという変化だというふうには思うんですが、大臣は、航空並びに飛行機という部分での、航空産業という部分での国益ということについてはどのような御認識をお持ちでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 よく、昔、ナショナルフラッグキャリアという言い方を私どもしておりました。日本航空が日本の代表的な国際エアラインとして鶴マルというマークをつけて世界各国に飛んでおりまして、それは、私どもが各国と航空交渉いたしまして、お互いの航空権益を交換して、こっちは何便飛ばすからそっちは何便飛ばしていいよというような形で協定を結んで、その結果に基づいて飛んでおるということで、それを、JALだけが当時は国際線を飛んでおったもので、ナショナルフラッグキャリアというような言い方をしておりましたが、今は御承知のようにJALだけではなくて全日空も日本貨物航空という貨物専門会社も飛んでおるような状況にございます。

 したがいまして、それぞれの国際線を運航する会社が、我々が航空交渉で交換したそういう権益を使ってやっておるということで、そういう意味では国益を具現化するために運航してくれているんだなと思っております。

 アメリカとの間でいろいろ、成田の発着枠で不平等な状況があったり、それから、もともと航空協定自身が終戦直後の占領下から始まった歴史もあって非常に不平等であったりしたところを、だんだん今改善しておるわけでありますけれども、我々もそういったいろいろな苦労を重ねておりますけれども、それをうまく生かして、日本の航空企業にもしっかりと頑張ってもらいたいと思っております。

後藤(斎)委員 ちょっと後で大臣にはまとめてお聞きをしますが、では、局長、今、交通審議会の中でのレポートも見させていただきましたけれども、成田、羽田それぞれ、滑走路の増設をしながら首都圏需要の増大、今でもお話しのように足りないという中で、何とか受け入れ枠をふやす努力をなさっています。それは多分、首都圏がほかの地域よりも、外国から見れば仕事も観光も含めて魅力的だろう、そこの部分だと思うんです。

 そのときに、今自衛隊が使っているあの百里基地であるとか米軍が使っている横田の問題で、首都圏全体の需要を、今ある既存の施設を、今は使えませんけれども要するに軍民共用化という部分も含めて使っていかなければということが前提にあるんですが、今、横田が三千三百五十メートルの滑走路があり、例えばそういう滑走路を一つ持った飛行場というのを新たにつくった場合、どのくらいのコストがかかるんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 空港建設に必要な事業費としては、立地条件などで大きく変動するものでありまして、長さだけで決まるものではございません。したがいまして、横田と同規模の飛行場をどこにつくるかとか、どういうやり方でつくるかということで変わってくるわけでありますが、直近の空港新設における総事業費等の例といたしましては、例えば二千五百メーターの滑走路を持つ海上空港として平成十八年二月に神戸空港が供用されましたが、その事業費は約五百三十億円となってございます。

後藤(斎)委員 横田飛行場の隣に例えば用地確保ができた、例えば横田飛行場の隣接に新横田飛行場をつくって同じ規模というときには幾らかかりますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 これも、用地取得にどのぐらいの費用を要するかとか、あるいは当然、騒音対策も周辺に要りますので、そういうのにどのぐらいのコストを要するか、なかなか予測がつかないところがございます。

後藤(斎)委員 別に私は新たにそれをつくれと言っているわけじゃなくて、交通政策審議会の中の答申にもあるように、「その他の空港のあり方」ということで、「首都圏の航空需要の一翼を担う役割を果たすものとして、その活用を図る」、「共用化に向けた取組みを積極的に推進する必要がある。」というふうに明確に書かれて、その答申を踏まえてこれから、今回の改正も含めて対応されているわけじゃないですか。

 私は、空港整備に今まで幾らかかりましたかとお尋ねをきのうしたんですが、なかなか数字が出てこない。ただし、総理は、少なくとも、昭和二十九年から平成十九年までの間には四兆数千億、国税の分でかかりますというふうにお答えをいただきました。多分それを倍増ぐらいすると十兆円近くになるんですが、それは今までの建設ということである意味では非常に大切だったかもしれませんが、これから大きく切りかえる、そして新たにつくるときには、今、羽田の拡張部分だけでもやはり数千億の規模で一年間かけているわけですね。それが、では、共用化が仮にできるということであれば、要するにそういう施設はもうあるわけですから、あとは運用面でどうするかということで、非常にコストを削減した中で、なおかつ首都圏空港ということで非常にプラスに働くわけですよね、当然。

 前提はいろいろあるんですが、有効利用というものは、それは旧軍の部分かもしれませんし、今の米軍が使っている部分かもしれません。いずれ、その交渉も今されているという中で、やはりそれを共用化へ向けてもっと努力をするという中で、使えれば、今の羽田も成田も、羽田も今四滑走路ですから第四ですけれども、第五も必要かもしれない、これからの需要がふえていけば。

 ということで、もし横田が活用できれば非常にプラスになるという全体の財源とか需要予測の中で、やはり首都圏はこれからも魅力的であり続けるであろう、アクセスもいいであろう、アジアからも、これから十年たつと一億人くらいの中国の方々が観光で外に出られる、仕事で外に出られるという需要の確保という点では非常に大切な部分。

 きのうお尋ねをしたら、やはり成田や羽田というのは一番リクエストが多くて待っているんですよ、ほかの地方空港はそうではないんですよというお話を航空局からお聞きをしました。であれば、そこにやはりできるだけコストをかけずにやるという手法をもっと積極的にやっていくべきだと思うんですけれども、大臣、その点についていかがでしょうか。

冬柴国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。

 ちなみに、羽田は沖合展開以降で二兆二千億かかっていますよ。それから、今の成田は、これも二兆二千億、供用開始後三十年ですけれども、それから前を含めますと。そういうとてつもない巨額の投資がこれにはなされているわけでございます。

 ただ、私も外国の人から成田、成田と言われますね、入れさせてくれと。今、約四十カ国ぐらいのウエーティングがあるんじゃないでしょうか。そういう状況があると思います。

 したがいまして、まだこれを何兆円もつけてどこかへつくるということじゃなしに、やはり今進めている横田とか百里とかいうようなものが、首都圏のそういうものが活用できればそれにこしたことはないわけでございまして、その問題解決のために努力をする、これは当然のことだというふうに思います。

後藤(斎)委員 その努力をしていただくときに、やはりめどというのが当然あるわけですね。

 例えば、再来年、羽田の第四滑走路ができ上がると。そのときの需要というのは、基本的には受け入れの部分で大体わかるわけですね、離発着がどれだけできるか。そのときが一つのめどなのか、それとも、五年先なのか十年先なのか。やはりこれはできるだけ早期にやらないと。

 これは最後にお尋ねをするつもりだったんですけれども、やはりこれから、新幹線ものぞみで非常に高速化した、リニアも二〇二五年前には名古屋までは行く可能性が大になった。いろいろな鉄道との競争というのは、以前もこの委員会で指摘をさせてもらいましたけれども、やはりほかの国内の航空機の需要というものは、それぞれ競合する手段と競争関係に当然あるわけですね。というときに、できるだけ早期に結論を出せるのか出せないのかも含めて、やはり期限を区切ってアメリカ側と交渉をするとかいうことが必要だと思うんです。

 その点について、簡潔で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 成田の二〇一〇年三月とか、あるいは羽田の二〇一〇年十月末供用開始ということになれば、これは両方合わせると十七万回という大変な余裕、キャパシティーが出てくるわけでございますから、それが底をつくということはしばらく先になると思います。これは今、相手が米軍のことでもあり、こちらも一生懸命国土交通省もやっておりますし、東京都知事さんも大変熱心でございまして、私も再三みんなに言われるわけでございますが、その方向は決まっているわけですから、これを早く利用できるようにやっていきたい、このように思います。

 そういうことで、百里の方も、先ほど言いましたようにもう一本つくるということですけれども、それも完成の時期はめどが立っているわけでございますから、周辺道路の整備も要るだろうと思いますけれども、これに間に合うようにやっていかなければならない、このような決意でございます。

後藤(斎)委員 やはり今までの航空行政は、やはり需要予測の見方は、整備すべきものと整備しなきゃいけないというものより、むしろ全国一律で地方空港も整備をしてきた。これは事実だと思うんです。そのときに非常に需要が多い飛行場とそうではない飛行場の二つに大きく分かれたということで、今回いろいろな見直しもして、これから大臣が基本方針を出していくわけです。

 あるレポートによると、航空サービス品質賞とか世界最優秀貨物空港とかいうので、日本の場合は余り一位とか二位とか今とっていないらしいんですけれども、仁川なんかはその二つをとった。そのときの考え方というのは、国家の事業の一部と考えて良質なサービスを提供するということに高い優先順位を置いて整備をしたと。今の飛行場の整備がそういう整備の仕方かどうかというと、必ずしもそうではないというふうに私も思います。

 シンガポールでも、先ほど古賀先生からもお話がありましたように、やはりシンガポールでは、島国だから、港と航空は我が国の成長を左右するという一つの大きい戦略を掲げて整備をした。需要の余裕を持って飛行場を整備したということで、今に至っているということだと思うんですね。そのときにはサービスというものが飛行場のターミナルの中にもあると。では、今、成田も羽田もそうかというと、徐々にそうなりつつあるかもしれませんけれどもクエスチョンマークがつくと。

 それで冒頭に戻るんですが、そのときに、飛行場を整備するだとか航空産業を強化するであるとか、そういうものが国益という点で、先ほどもパイロットが足りなくて困っているというお話がありました。そういう人材の面も含めてこれからトータルとして航空政策の明確なビジョンをつくる。

 その中で、空港整備というものがインフラ部分であるという、そこにサービスであるとか観光であるとかいろいろなものがあって、地域活性化の部分で、先ほどもありましたように地方空港を上手に使って例えば農産物を輸出する。三%の重量比率が三〇%、要するに付加価値があるから、高いものでも飛行機でできるだけ早く輸出した方がいいということが需要としてあるわけですね。そういういろいろな総合的な使い方というものをするのが多分これからの基本方針の大きな前提であろう航空政策ビジョンというもので、飛行機の港の整備もどういうふうにしていくかということがパッケージとしてなければいけないというふうに思うんですけれども、最後にその点について大臣にお尋ねをしたいと思います。

冬柴国務大臣 もう仰せのとおりだと思います。そういうふうにして進めていかなければいけません。

 ただ、シンガポールは土地所有をさせていませんよ。みんな賃貸ですよ。九九年かな。ですから、それでいつでも収用できるわけですよ。日本の場合は、憲法二十九条で所有権の絶対が保障されておりますし、成田なんかは収用委員会ですらそれがあってできなかったという経過があって、大変狭い中に、また非常に困難な中をやっているということも御理解いただきたいわけですけれども、ほぼ概成したと見れば、これをどう有効に活用していくかという工夫、そういうものをやりながら、今おっしゃったような国益というものを中心とした、ただ単に空港だけではなしに、四面環海ですから、空と海で人流、物流はあるわけですから、そういうものを進めていかなければならない、このように思っているところでございます。

後藤(斎)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、大阪国際空港の騒音、環境問題と絡んで、国の財政負担問題について議論したいと思います。

 大阪国際空港の位置づけと空港区分の見直しについてお尋ねします。

 大阪国際空港は、全国三十二空港へと、羽田空港に次いで多い国内路線を有し、日本の骨格となる幹線ネットワークを形成している空港で、運用時間は十四時間、旅客数は年間千八百五十二万という基幹空港であるというのが大体の国交省の説明だとお聞きしました。それでよろしいか、位置づけについて。

 二つ目に、空港区分の見直し。つまり、役割や機能に応じた分類に変更するということなんですが、空港区分に対応した整備事業費、要する工事費等の負担について、唯一変わるのは大阪国際空港であるという点は間違いありませんね。

 その二つ。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 大阪国際空港は、年間一千六百万人以上の旅客数があり、関西圏の航空需要を支える重要な空港であると考えておりまして、本法案においても、国際航空輸送網または国内航空輸送網の拠点となる空港として位置づける予定でございます。

 工事費の負担につきましては、大阪国際空港について、今回、負担をお願いしておるということでございます。

穀田委員 今度の法律は、いろいろありますけれども、整備法を変えてやった、区分を変えたということで一番変化が起きるのは大阪国際空港であるという点は間違いないと。

 やはり、国管理の空港のうち、地方に管理が委託されている特定地方管理空港に係る経過措置や、それから自衛隊共用空港に係る暫定措置を含め、基本的には現状との異同はないということは確かですね。それは、そういうことでうなずいていただいたと。

 そこで、私は、大阪国際空港の歴史を少し振り返ってみたいと思うんです。

 大阪国際空港は、一九五八年の伊丹基地返還から五九年の一種空港への指定と拡張工事の開始のときには、地元住民の拡張反対運動が大きく展開されました。一九六四年のジェット機の運航開始からは地元自治体の騒音対策協議会が結成され、七九年には大阪空港騒音訴訟が提訴され、その後、訴訟と調停申請が相次いだという歴史があります。一九七四年には大阪地裁、翌七五年には大阪高裁、そして八一年には最高裁判決、その中で、空港供用行為を違法とする判決が出されました。

 空港について、この問題について裁判所は、確定したのは、どのような判断を行い、騒音被害について国に対していかなる判決を下したのか、改めてお伺いしたい。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 大阪国際空港における大型ジェット機等の運航による騒音被害を周辺住民が争ったいわゆる大阪国際空港訴訟の最高裁大法廷判決、昭和五十六年十二月十六日でございますが、これは、大阪国際空港が空港として使用されることによって周辺住民に騒音被害を与えていることをもって、本件空港の設置、管理に瑕疵があるとして周辺住民の損害賠償請求を認容したものでございます。

穀田委員 瑕疵がある、責任がある、つまり、住民は騒音被害を受けたわけで、それを減ずるというのは国の責任だということを明確にしたということですね。

 住民の騒音被害については、本当に大変な思いをして、国益との関係だとかいろいろあったりして、その当時本当に苦労なされたわけですよ。そして、それに対して国は環境対策の強化を約束したと。その際、よく見てみると、最高裁の判決は、この大阪国際空港をある意味での欠陥空港と指摘して、国家賠償法に基づく国の賠償責任を認めたわけですね。

 当時から今日まで問題になった騒音問題がどうなったかなんですね。一九七三年に環境庁の告示、航空機騒音環境基準が出されましたが、その概要について述べられたい。

鈴木政府参考人 済みません、今直ちには承知しておりません。(穀田委員「「数字でみる航空」にあるでしょう」と呼ぶ)失礼いたしました。地域の類型により違っておりますが、専ら住居の用に供される地域では、WECPNLといううるささ指数でありますが、これが七十以下、上記以外の地域であって通常の生活を保全する必要がある地域では、同じWECPNLが七十五以下となってございます。

穀田委員 今言ったのは航空機騒音環境基準なんですね。

 それで、B滑走路が供用開始になってから、今言われたWECPNL、これはうるささ指数といいまして、騒音の大きさと発生回数から計算された計算上のうるささの目安なんですね。これが九十を超えると生活破壊になるということで大問題になった。九四年の関西国際空港開港に伴ってジェット便を制限した結果、一定の改善を見たけれども、では、環境省が定めたこの基準を兵庫県の伊丹市と豊中市で満たしているのか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 伊丹空港周辺につきましては、騒防法に基づく環境対策、騒音対策をやっておりまして、WECPNL七十五を超える地域については第一種地域として民家防音工事を進めまして、その防音工事のなされた家屋の中では環境基準を満たしておるというような状況になっておると承知しております。

穀田委員 それは全然的を射ていないわね。ちゃんと聞く言うてるんやから、改善されているのかと。

 これはあなた方が出されている資料、WECPNLの推移ということで、伊丹市、豊中市、ありますよ。そこで基準にしているところでいうと若干下回っているところもあるという数値、おたくのところが出している一覧表で、例えば伊丹でいうと緑ケ丘、北野、それから豊中でいえば原田、利倉、こういうところがありますよ。そういうところでいうと、若干下回っているというふうには言うんだけれども、これは、伊丹の森本というところに母は生まれたものですからよく知っているんですよ。そんなもの、あそこの例えば北野とか緑ケ丘なんというのは計測値は低いというんだけれども、それは空港から遠い地域を計測しているからなんですよ。伊丹市自身が行っている西桑津、北村、大野という地域では、やはり七十八・八、八十三・〇、七十四・〇という数値が出ているわけですよ。さらに調べると、同じく豊中でも市の独自のところでいうと、ローズ文化ホール八十一・一、服部寿センター七十六・七、青年の家いぶき七十六・七、国がやっている利倉センターでは八十二・八、豊中市域では七十五以下はないんですよ。だから、こういう現実があるということを見なくちゃならぬと。

 大臣、最初の方で答えてもらうはずだったんだけれども、こうなってくると、もう今答えてもらわなしゃあないなと思うんだけれども、これらの地域では、環境基準が定められて何年たっていると思いますか。三十年でっせ。基準を超える騒音の中で生活を余儀なくされている。だから今度の問題で、今まで空港建設から騒音公害、環境の悪化などで地元住民を苦しめてきて、その苦しめられた住民に負担を求めるとはけしからぬという声が寄せられているんですね。そこをしっかり胸に刻むべきだと私は思っています。何かありますか。

冬柴国務大臣 伊丹は私の中選挙区時代の選挙区でもありまして、人一倍この問題については、例えば直下の中村地区の問題についても御存じだと思いますけれども、一生懸命解決に走ったことがあります。

 今、最高裁で設置、保存の瑕疵ということをはっきり言われて、それで、差しとめは棄却したけれども、損害賠償、後からした人は別だけれども先から住んでいる人に対しての損害賠償は認めたという結論で、その後の経緯としては、公害の調停団と航空局との間での長い長いあれがありまして、平成二年には大阪国際空港の今後の運用及び環境対策に関する協定、いわゆる存続協定というのが結ばれて、これによって今日まで来ているわけでございます。

 ただ、本当に今指摘されたような環境基準を超えるような問題について、いまだに違法だと指摘されたそういう問題が改善されていないところについては、こういう和解はしているけれども、非常に申しわけないと思います。

穀田委員 そこで、大臣が二つおっしゃいました、申しわけないということと、それともう一つは存続協定という話がありました。

 そこで、この存続協定をめぐる問題は、大阪国際空港を廃港にするかどうかの厳しい議論を経て、九〇年の当時運輸省は、大阪圏における国内航空需要の増大、周辺環境対策の進捗などにかんがみ、利用者の利便の確保と周辺地域との調和を図りつつ、同空港を存続することとするということで調査をまとめたわけですよね。そして、関係自治体の同意を引き出して、大阪国際空港の存続及び今後の同空港の運用等に関する協定、いわゆる存続協定を結ぶに至ったわけですね。

 そこで、その存続協定の基本点についてお聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる存続協定では、基本方針として、大阪国際空港については、周辺地域との調和と利用者利便の確保とを図りつつ関西国際空港開港後も存続することを運輸大臣の責任において決定すること、二つ目として、空港機能等として、同空港については、関西国際空港開港後も運輸大臣が直轄で管理運営する国内線の基幹空港とし、関西国際空港との適切な機能分担を図ることとすること、三つ目として、発着回数として、総発着回数を一日三百七十回、うちジェット機の発着回数を一日二百回とすること、四つ目として、環境対策として、具体的な発生源対策、周辺環境対策及び安全対策等の事項を定めております。

穀田委員 つまり、結論として言うならば、やはり今後とも環境基準の達成に向けて不断の努力をするということは基本方針に明示したということと、あわせて、機能との関係でいけば、お話があったように、運輸大臣が直轄で管理し運営するという約束を結んだということなんですね。

 問題はここにあるんですよ。大事なことは、存続協定の趣旨が、それに至る経過に照らせば、空港の運用を初め環境対策の実施、さらには空港の改修、改良に係る費用分担などについても、今後も国が責任を持って対応すべきと広く理解されたことなんですね。ここは大事なことなんです。

 この協定の趣旨と、今度の空港区分の見直しは、地方への負担ということになっているわけだから、明らかに反しているんじゃないのかということを思うんですね。それはいかがですか。

鈴木政府参考人 空港区分の見直しにつきましては、地元とも十分協議をした上で、今回の拠点空港という位置づけのもとに、大阪国際空港につきましては兵庫県及び大阪府に一定の負担をお願いする。ただし、最初から全部ということではなくて、五年間の経過措置として、耐震工事等に限定した上で負担をお願いするということで決着を見たものでございます。

穀田委員 私が言っているのは、その趣旨と新しい法は矛盾しているじゃないかと言っているわけですよ。矛盾しているから説得したんでしょう、当たり前じゃないですか。

 しかも、それは当面、その府県、要するに大阪府と兵庫県は一応納得しているみたいな話だけれども、多くの自治体は納得していないんですよ。現に関係地方自治体では、空港問題調査特別委員会等で空港の欠陥性の解消、環境基準の達成に向け抜本的な環境対策及び安全対策の推進を求めて決議して、活動しているわけですよ。

 だから、五年間ぐらい何とかこうとかなんかいう話じゃないんですよ。もともと国が大阪国際空港の存続を決めたんですよ。したがって、空港周辺の住民の安全の確保と航空機の騒音の防止と軽減の責任を果たさなければならないわけですよ。そのことに対して、私はいささかも譲るわけにはいかないということを言っておきたいと思うんです。

 しかも、存続を決めた結果、大阪国際空港は十万回を超える離着陸のある、だから一番最初に基幹空港と、おたくのところはそう言っているんだろうと言ったわけですよ。基幹空港として決めたのはおたくのところ、おたくというか国が決めているわけですよね。そこで役割を果たしているわけで、この現実というのは国の航空政策の結果であって、その点からも国が責任を果たすべきだと私どもは考えているわけです。

 その点の大きな立場から、私はやはりここは間違っていると。幾ら大阪府や兵庫県が納得している、それは国がこういう方向だからと納得するかしらぬけれども、さっき言ったように裁判という歴史的経過と存続協定という中身からすれば、これは国が責任を持つ話だということだと思うんですが、どうですか、大臣。

冬柴国務大臣 国が責任を持つ事項だと思います。

 ただ、その後、関空、関西国際空港をつくるについて、いろいろな協定をしているわけです。そしてこれを伊丹市も、ここは廃止宣言をしていましたけれども、撤回して、共生宣言をしておられる。そういうその後の事情の変更もありまして、そして今回の仕分けについても、今反対しておられることがあるというお話でございましたけれども、県だけではなしに、関係自治体とも話をしてこういうことの取り決めをしているわけでありまして、そういう時系列的な流れの中で今日があると私は理解をいたしております。

穀田委員 私は、国が責任を持つべきだと。確かに、伊丹は一九七三年に大阪国際空港撤去都市宣言というのをやって、その後いろいろな経過はありますよ。でも、その経過の中の一番最終は、もちろん審議会等で何度も何度も議論されるという経過はありましたよ。でも、依然として地方自治体の多くのところの希望は、いろいろなお金がかかる問題については運輸大臣が直轄して責任を持つという協定の精神は変わっていないはずだということを言っているわけですよ。私はそこは絶対譲れないということを主張しておきたいと思います。

 最後に、いわゆる外資規制のあり方についての検討が盛り込まれていることに関連して、一言しておきたいと思います。

 私は、空港の持つ公益的な機能に着目し、公共的役割や代替不可能性といった事業特性を言うのだったら、民営化を行うのではなくて、公共による維持運営によって、利用者に対する安全で安定したサービス提供の確保こそ追求すべきである、このことをあわせて主張して、質問を終わります。

竹本委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・そうぞう・無所属の会の糸川正晃でございます。

 私も二十分の持ち時間ということでございますので、質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 今回のこの改正法律案でございますが、空港の整備及び運営に関する基本的な事項等について基本方針を定めることとされております。

 そこで、大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、今後の日本全体の空港整備のあり方についてまずどのようにお考えなのかということ。そして、アジア地域において空港間競争が、もちろんシンガポールですとか仁川ですとか、そういうところで激化をしてきております。こういう中で、日本はハブ空港というものを目指していくのかどうか、我が国の空港の全体的な整備について今後のビジョンというのをお聞かせいただきたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 まず、一般空港の整備でございますけれども、これまでの空港整備によりまして、我が国の全人口の九五%が二時間以内で最寄りの空港にアクセスが可能となっております。空港の数も九十七ということでございますから、事業実施中の空港を加えますと、空港の配置的側面からの整備は概成している、ほぼでき上がっている、このように考えております。

 このため、一般空港につきましては、離島を除きまして新設を抑制する、新しく整備を始めるということは抑制するとともに、ソフト、ハードの組み合わせや既存空港の有効活用というものを中心とした質的な充実に重点を移すことにしているところでございます。

 なお、ハブ空港という、ハブ、スポークでございますけれども、我が国におけるハブというのはやはり拠点空港ということになろうかと思います。それは今整備を進めている成田、羽田、関西国際空港、あるいはそのままではどうかと思いますけれども中部国際空港等が、そういう役割を担い得る資格があるのではないかというふうに思います。

糸川委員 今大臣、新設の空港というのは今後抑制をしていくということですけれども、では、今、既存の空港で使われていない空港なんかはどうするのかなと。これは今後、またその後で質問させていただきます。

 そうしますと、東京国際空港ですとか成田国際空港、こういう整備を国際競争力の観点からは特に急いでやっていく必要があるわけでございますが、今後の首都圏空港の整備、このことについて今どんなようにお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 それについては、五月二十日の経済財政諮問会議におきまして、私から首都圏空港、成田あるいは羽田における国際航空機能の拡充について説明を、これからのイデアルティプスというものを説明いたしたわけであります。

 この提案は、「世界と結ぶ成田」、「世界に開く羽田」の一体的活用によって国際航空機能の最大化を実現しようということでございます。現在の両空港合わせまして発着回数は五十二万六千回にも及んでおりますが、その上に約十七万回を加算する、そのようなことでございまして、それを国際空港として使う場合については、もちろん成田が中心でありますけれども、羽田におきましても、昼間に三万回、そして夜間、それからもう少し、成田が大変不便と言ったらあれですけれども時間がかかりますので、それの二十二時台とか六時台というようなところも、そこへは事実上発着しないんですね、できないんですね、よそから来ても。したがいまして、それを羽田の方で引き受けようというような工夫を重ねまして、両空港合わせて国際航空機能の最大化を実現しようというふうに提案をしているわけでございます。

糸川委員 五月二十日でございますか、財政諮問会議で発言をされたということで、国際線を当初の計画から倍増するという方針を言われていらっしゃるわけですけれども、ただ一方で、地方の皆さんから東京国際空港への路線を増設してほしいという要望もかなりあるということを、大臣、ぜひまた御検討いただきたいというふうに思っております。

 地方空港のことについてお尋ねをしたいと思うんですけれども、地方空港も、地域競争力強化の観点ですとか利用者の利便性の向上、こういうものを図るために、空港整備は必要だというふうに考えております。

 ただ、先ほど大臣は、新しい空港は抑制をしていく方向にある、そういうビジョンを示されたわけでございます。政府は、今ビジット・ジャパン・キャンペーンを進められておりますけれども、外国人の旅行者、これをふやすためには地元へのアクセス、こういうものを確保していくと。先ほど大臣は、大体どこの県でも二時間以内にアクセスできるようにしているというようなことでございますけれども、さらに、そういう地方へのアクセスというのをしっかりと確保するということが欠かせないんじゃないかなというふうに考えております。

 例えば、私の地元の話になりますが、福井空港というのは、今、定期便が就航しておりません。以前は就航しておりましたけれども、今はもう就航していない空港でございます。地域の観光振興のために、この空港が活用できているとは言えないわけでございます。

 大臣も、この法案の提案理由の説明の中で、既存の空港を十分に活用する必要があるというふうにおっしゃられておりましたが、以前使われていて今は使われていない、こういうような空港の有効活用というものを図っていくために、今後どのような取り組みをされるのか。それから、地方空港の整備、このことについてどのようにお考えなのかをお答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの福井空港につきましては、滑走路が短うございまして、かつてはYSで定期便が飛んでおりましたけれども、その後、空港を移設する新空港計画等もございましたが、なかなかうまくいきませんで、現空港のままで定期便が飛ばないという状況が現在のところ続いております。

 せっかく残っております資産でありますので、何とかうまい活用の方策がないかというのは、地元福井県でもいろいろ考えておられると思いますが、私どもといたしましては、福井空港に限らず、今まで整備してまいりまして、それがなかなかうまく使われていないというような空港につきましては、また地元と御相談しながら、いろいろな知恵を出し合いまして、その有効活用に努めてまいる所存であります。

 また、離島空港を除きまして、新規の空港は原則抑制だということを言っておりますが、大臣から前に答弁させていただきましたように、福岡とか那覇のような、どうしても今の一本ではパンクしてしまうというようなところは、また能力増強を図る必要がありますし、それから、既存空港を有効利用する観点から、例えば計器着陸装置を高度なものにかえまして、就航率をよくするような取り組み等もやっておりまして、今度、広島でこの六月五日にILSのカテゴリー3という一番高いレベルの計器着陸装置が運用を開始することになっております。ちょうど梅雨どきで、欠航が割と多い時期でありますので、その欠航の低下が期待されておるところでございます。

糸川委員 大臣、既存の空港で使われていない空港をどういうふうに使っていくかということで、今の航空局長の答弁では、いろいろ知恵を出し合ってということですけれども、ぜひ、使われていない空港、これも使わなくても経費は、ランニングコストというのはかかっていくわけでございます。

 確かに、福井空港なんかの場合ですと、滑走路は千二百メーターしかない、コンクリート厚も非常に薄いものですから、何回も離発着するというのは非常に難しいんですけれども、そういうところを、今はもうプロペラもかなり高性能なものも出てきております。フォッカーですとか、事故が起きましたけれどもボンバルディアですとか、ああいうものもあります。ですから、いろいろな活用の仕方というのがあると思うので、またそういうものは御検討いただきたいなというふうに思っております。

 ちょっと私の地元ではございませんけれども、隣の県で石川県に小松空港というのがございまして、これは、六月一日から台湾便が就航をしておりまして、エバー航空が運航するものでございます。地方空港をオープンにして地方の活性化につながる、こういうことが望ましいなというふうに思っております。

 ただ、今後、規制緩和を進めて、外国の航空会社に国内路線、例えば小松に台湾の便が飛んできて、小松から羽田にそのまま国内線の運航をするようなことが認められる、そういうようなことが起きてしまうと、利益率の高い路線を外国の航空会社に持っていかれてしまったりとか国内航空会社の収益を圧迫してしまうのではないかな、そういうような危惧もあるわけでございますが、今後の国内線の航空路線のあり方について、どのような方針をお持ちなのかをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 今お尋ねの、外国航空会社による国内運送というのは、領空主権の考え方に基づきまして、我が国のみならず、国際的にもほぼすべての国、地域において国内航空運送事業者に留保しておりまして、外国航空運送事業者には国内運送というのは認めないということになっております。いわゆるカボタージュと称する問題でございます。

 したがいまして、外国航空会社が国内運送を行うということは想定しておりませんので、国内航空運送事業者が、外国航空事業者がどこかの空港に乗り入れてきた場合に、そこからまた、フィーダーサービスといいますか、連帯運送みたいなことでつなぎの運送を引き受けるというような形を考えてございます。

糸川委員 ありがとうございます。そういう考え方であれば安心できますので、継続していただきたいというふうに思います。

 先ほど逢坂委員の質問にも、スカイマークの機長さんが二人退職されたという質問があったと思いますが、二人の方が退職されたために、六月の百六十八便を欠航すること、これを国土交通省に届け出されたわけでございます。

 今後、中・小型機による多頻度の運航によって路線が増加していくというふうに思われますが、例えば、スカイマークのように自前でパイロットの養成施設というものを持っていないところの航空会社がしっかりと安定したパイロットを確保していくということは、非常に難しいんじゃないかなというふうに考えられるわけです。

 規制緩和によっての新規参入、こういうものが例えば利用者の利益になるというのは望ましいんですけれども、こういう例を見ますと、逆に利用者に迷惑がかかってしまうという状態になっているのではないかな。そのために、国としてパイロットの養成、育成に積極的に関与する必要があるだろうと思うわけです。

 しかし、航空大学校の飛行機操縦科の定員、これは平成十二年に、それまでの九十八名から七十二名、こういうふうに減員をされておられます。今後、国として、パイロットの養成、育成について、航空大学校をどういうふうに使いながら取り組んでいくのかということについての方針をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、航空大学校におきましては、年間七十二名のパイロットの養成をやっておりまして、今のところ、この人数が精いっぱいでございます。これを四半期ごとに分けまして、十八名ずつ順次卒業させていく。訓練の関係がありまして、一遍には入学、卒業できませんので、四半期ごとにローテーションさせてやってございます。

 ただ、航空大学校以外に、東海大学でありますとか桜美林大学でありますとか法政大学が操縦士課程というのを大学に設けていただきまして、それぞれ数十人ずつの操縦士の養成を始めてございます。こちらの方を我々としては十分育成させて、あるいは航空大学校とも連携を図ったりさせながら、今後のパイロット不足についてしっかり対応してまいりたいと思っておる次第でございます。

糸川委員 ぜひ、東海大学さんとか、そういうところが取り組んでいるからということだけではなくて、こういう航空大学校というものもしっかりと利用していただいて、もっと増員をするとか、そういう対応のあり方というのを、しっかりと取り組んでいただいて、良質なパイロットを育てるということでお願いをしたいなというふうに思っております。

 もう時間もございませんので、最後に、これは賛否もございますけれども、成田空港の民営化について大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。

 今回のこの法律案には、成田国際空港株式会社の資本構成に係る外資規制、この関係は含まれておりません。規制がない場合、その弊害として、例えば国内の緊急時の対応が心配される安全保障上の問題ですとか、利益追求、利益の配当が目的である場合、そういう外資の方々が多数を占めると、公共的な観点から空港運営というのがなされなくなってしまうのではないかな、そういうふうなおそれもあると思います。

 成田空港の民営化に関しては、私は、外資規制というのがあった方がいいのではないかなというふうに考えておりますが、外資規制について大臣がどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

冬柴国務大臣 四面環海の我が国におきまして、成田空港は我が国の経済社会活動に不可欠な社会基盤である、代替不可能な施設である、このような公共性、公益性を十分に担保して適正な運営を確保することが必要だ。

 これは先ほど来言っていますように、開港三十年、そしてその前を入れれば四十年の歳月を重ね、その中には紛争で亡くなった方もいる。三千五百万人が今使って二兆二千億という国費が投ぜられた。これが危殆に瀕するようなことは許されないと私は基本的には思っています。

 したがって、外資規制というのはさまざまな意見がございました。本法律案国会提出に際しまして、公正かつオープンな投資環境の整備による対日投資促進という一つの要請と、あるいは、私が言ったようなことを総合考慮した安全保障のための空港などの基本インフラの機能の確保というような、それが両立するという要請にいかにこたえるか、これを検討してきた結果、行為規制のあり方あるいは資本規制のあり方について、いろいろな形があるんじゃないか、もっと考えるべきだということで、他の関係法令も含め、諸外国における政府の関与のあり方も参考にしながら検討を行って、年内のできるだけ早い時期に結論を得るということで、今回、この法案に盛り込むことを控えたということでございます。

 ただ、諸外国の例を見ますと、例えば、国とかあるいは公的主体が設置、管理しているところというのは、アメリカ、スペイン、ポルトガル、フィンランド、アイルランド、アイスランド、スウェーデン、シンガポール等がありますし、政府が株式を保有しているというところは、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スイス、韓国、タイがあります。

 それから、外資規制を導入しているところは、オーストラリア、メキシコ、それからオーストリア、韓国、タイがあります。外資規制がないというのは、イギリス、デンマーク、イタリア、ベルギーですけれども、デンマークは政府が三分の一持っています。イギリス、イタリア、ベルギーについて、それぞれにいろいろな問題が起こっておる。

 私は、そういうことを考えても、ここは、冒頭申し上げたようなことを何らかの形で、全体のコンセンサスが得られる形で、対日投資というものをシャットアウトしているのではない、そういう中でこういうものを調整的にどうしたらいいか、これを真剣に検討したい。そのためには、学識経験者等の御意見を伺いながら、早く、年末までにもちろん結論を出したい、こういうことでございます。

糸川委員 ぜひ民営化の問題もしっかりと御検討いただいて、また協議していただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

竹本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。

 政府は、新規空港整備を進めてきたこれまでの空港政策について、空港整備は概成しており、今後は運営にシフトする必要があるとしています。これは当然のことです。

 問題は、今回の改正では、直面する問題に何らメスが入れられないということであります。

 全国の空港は二〇〇七年度末で九十七カ所に及びますが、整備中の静岡空港の場合、搭乗率が一〇〇%でも年間三億円以上の大幅な赤字となり、航空会社に対する運航支援のための税金投入、〇八年度だけでも六千万円や、搭乗率が低迷した場合の補償を開業前から投入、検討せざるを得ない状況にあると言われています。空港の建設費は空港整備特会からの補助と地方負担分の大部分を地方債と地方交付税で賄うというものであり、整備後の維持管理費が地方財政をずっと苦しめ続けるということになっています。さらに、羽田便への一極集中が進められ、その弊害が地方空港の経営を圧迫する構造となっています。

 これまで、採算性や環境立地面での疑問や反対意見が表明されても空港建設が進められてきたのは、国の設置許可があったからではありませんか。改正後の基本方針においても、既存空港の積極活用はうたうが、廃港を含めた空港管理のあり方や羽田一極集中の見直しなどは検討されることとはされていません。専ら国際便の開拓を地方に押しつけるやり方では、設置許可をした空港の適正な管理運営を追求すべき国の責任を果たすことにはならないからであります。

 第二は、騒音対策に対する国の責任を地方自治体に転嫁していることです。

 今回の空港区分見直しにより、大阪国際空港は、従来の第一種空港から第二種空港に事実上格下げされることになります。従来は全額国の負担であった工事費については、五年間の激変緩和措置を除き、国が三分の二、地方が三分の一とされています。

 大阪国際空港の位置づけについては、関西国際空港の開港に伴って廃港も検討の対象とされた経緯もありますが、一九九〇年に地元との間で存続協定が結ばれ、国が直轄で管理運営する国内線の基幹空港とすることとされてきたものです。これらの経緯に照らせば、環境対策の実施に係る費用負担などについて、今後も国が責任を持って対応すべきものであります。もともと国策として、東京と並ぶ国際空港として設置してきた空港であり、国の責任で騒音対策を行うのは当然のことであり、地方自治体に責任と負担を転嫁するのは本末転倒であり、断じて許されません。

 以上を申し上げ、私の討論を終わります。

竹本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより採決に入ります。

 空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、望月義夫君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・そうぞう・無所属の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してありますので、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 我が国の空港政策において、整備から運営へと方針を転換すべく空港整備法から空港法へと名称が改称されたことにかんがみ、今後は空港の設置、整備及び管理が効果的かつ効率的に、透明性を確保して行われるよう所要の措置を講じること。また、その際空港ごとの収支について明確にすること。

 二 基本方針の策定及び協議会での協議においては、航空運送事業者に対する規制強化につながらないようにすべきであるとともに、地域の活性化や空港の利用者利便の向上が図られるよう努めること。

 三 空港・航空の安全確保の観点から、航空機搭乗に係る保安検査の充実並びに航空機の確実な点検整備及び航空管制の的確な指示による安全運航の確保に努めるとともに、空港及び航空の保安に関する一体的な制度の検討を行うこと。

 四 我が国の国際競争力強化のため、特に、首都圏空港の整備を着実に実施すること。また、空港の利用者利便の向上を図るため、空港におけるバリアフリー対策等の施設整備、運用上共用空港となっている空港を含め、共用空港における民間機の発着枠の拡大等を着実に実施すること。

 五 関西三空港の有効活用について、今後の位置付けを明確化するとともに、関西三空港の相乗効果が発揮できるよう努めること。

 六 特別会計の不適切な使用実態が明るみにされたことにかんがみ、社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定について、その在り方の適正性及び透明性の確保を図ること。

 七 東京国際空港等の整備拡張に伴い発着枠が増加されることにかんがみ、航空機の効率的な運航を確保するため、首都圏の空域の返還と再編が早期に、かつ国益に資する形でなされるよう、関係国、関係箇所との交渉に引き続き鋭意努めること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

竹本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣冬柴鐵三君。

冬柴国務大臣 空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

竹本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹本委員長 次回は、来る十一日水曜日、午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


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