衆議院

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第4号 平成20年11月18日(火曜日)

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平成二十年十一月十八日(火曜日)

    午後三時一分開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君

   理事 中山 泰秀君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    稲葉 大和君

      江崎 鐵磨君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      太田 誠一君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      七条  明君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    原田 憲治君

      藤井 勇治君    松本 文明君

      盛山 正仁君    安井潤一郎君

      若宮 健嗣君    石川 知裕君

      逢坂 誠二君    北神 圭朗君

      小宮山泰子君    高井 美穂君

      長安  豊君    三日月大造君

      森本 哲生君    伊藤  渉君

      谷口 和史君    穀田 恵二君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田中 一穂君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            大口 清一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (観光庁長官)      本保 芳明君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  吉田六左エ門君    安井潤一郎君

  小宮山泰子君     高井 美穂君

  鷲尾英一郎君     北神 圭朗君

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     吉田六左エ門君

  北神 圭朗君     鷲尾英一郎君

  高井 美穂君     小宮山泰子君

  下地 幹郎君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房建設流通政策審議官小澤敬市君、総合政策局長大口清一君、道路局長金井道夫君、住宅局長和泉洋人君、観光庁長官本保芳明君、内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、総務省大臣官房審議官望月達史君、財務省大臣官房審議官田中一穂君及び財務省主計局次長香川俊介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 短い時間ですので、まとめて質問をしてまとめてお答えをいただくという形で、絞っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、一番初めにお伺いしたい点でございますが、公営住宅あるいは集合住宅、日本の住宅事情は、いろいろありますけれども、私たち、日本の社会の中でいまだに公営住宅というものが極めて大きな比重を持っている。そしてまた、そこに住んでいる方々の悩みはさまざまございます。

 私自身も、福岡一区という福岡の中心部で、いっぱい団地があります。

 博多区には、吉塚西とか堅粕とか千代町とか吉塚、那珂、板付南、諸岡、月隈、東月隈、板付、博多とか、十何個ある。

 また、東区の方にも二十個ぐらいありまして、それぞれの地域でコミュニティーをつくっています。

 東区には、若葉、千早、松崎、緑が丘、松香台、丸尾、御島崎、香椎台、香椎宮前、香椎団地、三の丸、名島台、香椎が丘、青葉、青葉台、蒲田、高松、米田、八田、津屋、土井、浜松、貝塚、奈多、香椎浜と、二十幾つかあるんですね。

 つまり、それぞれの地域で非常に大きなコミュニティーをつくっています。しかし、非常に近接したところに住んでいますので、快適に過ごせばいいんですけれども、時にトラブルがいろいろある。

 まず、住宅の位置づけからお伺いをしたいんですけれども、今、小泉内閣以来、ある種の民営化あるいは競争原理というものが世の中の流れになっておりますけれども、そもそも、やはり衣食住の住宅というのはある意味で生存権の一つであります。公営住宅というところが、URを初めとして、建てかえとか民営化を理由に居住者が追い出されるんじゃないか、あるいは便乗で家賃を値上げされるんじゃないか、こんな心配が絶えません。私自身は、地元で、いろいろなところでこういった方々にヒアリングをしているんですけれども、心配で心配で仕方がないと。

 まず、住宅の位置づけ、生存権の一つだという位置づけをはっきりしてあげないと、そもそも競争になじまない分野が競争に巻き込まれて非常に不安である。この点について御見解を伺いたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、住宅は生活の一番の基盤でございます。そういった意味で、今委員御指摘の公営住宅は、特に住宅に困窮する低額所得者の方々、こういった方々に対する住宅セーフティーネットでございますので、まさに委員御指摘のような趣旨で、国を挙げてあるいは公共団体の協力を得て供給している公的な賃貸住宅であると考えております。

遠藤(宣)委員 今お伺いしたように、衣食住の最後のセーフティーネットといいますか、本当に、住むところがなくなれば文字どおりホームレスということになってしまいます。

 先ほどるる申し上げたように多くの公営住宅があるんですけれども、幾つかの懸念を彼らは持っております。アスベストの問題あるいは耐震建築の問題。あるいは、もともと公営住宅というのは鳩山内閣で住宅不足を解消するという意味で供給を一生懸命やってきた。こんな中で、初期に入った方々が高齢化が著しいわけですね。

 こんな中で、公共機関へのアクセスが、若いときはよかったんですけれども、なかなか今は難しくなってきている、こういった配慮が必要なんじゃないかという声。そして、一番大事な話なんですけれども、昨今公営住宅で一番問題になっているのは孤独死。きのうですか、最近もテレビでよくやっていますけれども、しばらく顔を見ないと思ったら中で亡くなっていたという事件がいっぱい起きている。なぜこういった問題が起きるか。

 これをいろいろなところでお話を伺うと、まず一つは、これは内閣委員会でも取り上げたんですが、個人情報保護の行き過ぎ。最低限、やはりいろいろな住民の情報というものをしかるべき人が把握していなければ、今、地方分権とかあるいは三位一体の改革とか、地方にできることは地方にという流れの中で、地域社会にできることは地域社会にというふうに仕事が行っています。しかしながら、それがうまく循環しない、回らないのは個人情報保護法の行き過ぎじゃないかということを思います。

 もう一つ、地域の自治会とかそういったものにお願いをするときに委託関係になっていない。ですから、面倒くさいことは自治会の方にお願いをして、あとはよろしく頼むと。トラブっても行政は知らんぷりをするというのが多いんですね。

 それからもう一つは、これも瑣末な話かもしれませんけれども、地域社会、特に公営住宅は共益費というものが重要です。特に町会費。今いろいろなところで問題になっているのは、例えばURとかが町のど真ん中に建てていて町会費を払ってくれない。つまり、地域社会の阻害要因になっている。

 こういった意味で、あらかじめやはり行政が家賃の中に込みで天引きをしてくれるとかしないと、これは回っていかない。あるいは、入居者が、若い夫婦が入ろうと思ってもなかなか入れない。バランスのいい入居者を入れていかないと、いわゆる都心の限界集落になっていってしまう。こういったさまざまな問題が、今喫緊の課題として起きています。

 これらについて大臣のお考えと見解をお伺いできればなと思います。よろしくお願いします。

金子国務大臣 委員、お地元を歩いていろいろなお話を聞かれておられるなと思いましたけれども、確かに、公営住宅、また公的な賃貸住宅団地等々で、孤独死の問題ですとか、周辺コミュニティーとの調和の不足というのが問題になっております。

 団地自治会の活動を通じて、孤独死の防止、あるいは子育て世帯、新婚世帯の人たちを優先入居させるといったようなことで、バランスのとれたコミュニティーを形成して、団地の再生をさらに推進してまいりたいと思っております。

 もう一つは、今御指摘いただいたことが実現できるためには、大規模な公営住宅団地あるいはURの賃貸住宅団地、こういうところの建てかえ等に当たっても、福祉施設それから保育所、こういったものを積極的に併設していく、いわば団地を地域の福祉の拠点というような位置づけをもって進めていくということが、コミュニティーの回復のためにも大事なことなのかなという意識を持って進めております。

遠藤(宣)委員 国土交通省はまちづくりの総合政策官庁でございますので、福祉の機能も含めて、ぜひとも幅広く、そしてまた、この公営住宅というものを一つの拠点、モデルの地域として再生されていくことを願ってやみませんので、どうかよろしくお願いをいたします。

 では、時間が迫っておりますので、二問目に行きたいと思います。

 昨今、建設事業者のあり方というものがいろいろなところで語られるようになってきています。国土交通省では、規制緩和の行き過ぎということで、タクシー業界についても見直しをされたところでありますけれども、私は大賛成であります。今、我々が、規制緩和至上主義あるいは市場原理が支配的になっている中で、競争がすべていいというケースと、ちょっとこれは待てよというところがいろいろあると思います。

 例えば、一つ申し上げると、生産者あるいはサービスの供給者というのは同時に消費者でありますから、この生産者、供給者というものが非常に苦しい立場になると、消費も同時に落ちていってしまう。昔の話になりますけれども、日本の高度成長が達成された一つの原因というのは、実は農地改革にあった。つまり、そこそこの所得のある人たちがすそ野広く日本の中に存在するようになることが非常に大事だ。実は、いろいろな批判のある建設業界というのも、これと同じ役割を担ってきたと私は思います。

 しかるに、今どういったことが起きているか。私も、これは地元でいろいろな話を聞きます。まず、大きな会社ががばっと全部とっていく。彼らに言わせると、なべを兄弟でつついているときに、全部長男が食べちゃう。残りの汁を次男がすする。三男、四男というのは、もう本当になべの底をなめても味がするかしないかわからない。

 つまり、今財政が厳しい。公共事業を少なくしていくということは、これはもう財政の中で仕方がない。しかし、もう一方において、仕事の配分のあり方というのは非常に重要になってきていると思います。しかし、これを別の角度からいうと談合と言われる。しかし、どういう形で仕事の機会を与えるかということは、あつものに懲りてなますを吹くような形になると、本当に厳しくなるということをあえて私は申し上げたいと思います。

 そしてまた、この業界で一番問題になっているのは、ほとんど実質的に労働者であるにもかかわらず、企業の経営者ということで、労働者としての保護が行き届いていないとか、実態とかなり乖離している部分があります。あるいは、入札を一生懸命しようと思っても資格要件が厳しい。例えば測量の分野でありますけれども、資格のある人をそろえておかないと入札の頭のところで切られてしまう。こういったことで、初めに、前広にその参加の資格を上げるという視点が一つ。

 もう一つ、これは非常に極端な言い方でありますけれども、昨今、農業の世界で地産地消という言葉があります。地元でつくったものを地元で食べる、こういうような理念というのが、実は建設あるいは土木の世界でもあるんじゃないか。例えば、自分の会社の前で道路工事をやるのに、どうしてかなり遠くのところから事業者が来なきゃいけないのか。

 例えば、私の福岡であれば、福岡市内の工事、一次入札権は福岡市内の事業者、二次入札権が福岡県内、三次入札権が九州、そして四次入札権が全国というような形で、談合ではなくて、いい形でのすみ分けというものをそろそろ考えていかなければ、生産者の側の所得の分配というものが偏って、日本の社会はどんどんどんどん縮こまっていってしまうんじゃないかな、このように思います。

 こういった今までの視点を踏まえまして、ぜひとも国土交通省あるいは大臣の御見解をお伺いできればなと思います。お願いします。

金子国務大臣 一般競争入札を大原則としてやっていただく、そういう中で、行き過ぎた安値受注というのが労働コストを著しく引き下げている、特に地方においてそれが顕著であるという認識を持っております。

 そのために、できるだけ総合評価をやっていただいて、これは国の発注だけでなくて、地方自治体の発注についてもこれをやっていただいて、そして、地域を支えている建設会社については、地域を守るという災害協定等々を結んでいる、そういう要件を総合評価の中に取り入れて対応してもらう、これは国だけでなくて地方自治体にも働きかけて、適正な価格競争というのが行われるように進めてまいりたいと思っております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 日本人は、一つのことがありますと、本当に極端に振れてしまう。世の中がどうしても、何か談合で摘発をされた、こんなことがあった、すべてが悪だみたいな形でばっと振れてしまうと、今までいいものまで台なしになってしまう。こういったことを踏まえて、どうかタブーのないように、そして実態に合わせた形で、改めて、この建設あるいは土木の業界、これはすべてが悪ではなくて、どういう形で生産者であり消費者である彼らが食っていけるようにするかということも、そろそろ考えていく時期にあるんじゃないかなというふうに思いますので、どうか御検討のほど、よろしくお願いいたします。

 以上です。

望月委員長 次に、亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。

 今、政府が行おうとしている総合経済政策の一環の中で、特定道路財源についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 今、この総合経済対策の中で各地方の市町村長が一番関心が高いのは、まさに特定道路財源の問題だと思います。一兆円を地方に配るというお話の中で、これは特定道路財源の中から自動的に約四分の一は地方道路整備に回すという約束事があります。ところが、この特定道路財源法がなくなりますと、当然それは消えてなくなってしまう可能性が高い。地方自治体の皆さんは、本来は計画的に事業をやっていこうということで、この特定道路財源の中から四分の一回ってくる地方の整備特別交付金の配分をしっかりと見守っていらっしゃいます。

 そういう意味で、ここで、短い時間の中で大変申しわけないんですが、国土交通省として、地方の社会資本整備を守るという立場から、改めて、この今の状態、そしてこれから国交省が取り組まなきゃならないというような考え方をお示しいただきたいと思いますので、道路局長、よろしくお願いいたします。

金井政府参考人 お答えいたします。

 地方道路整備臨時交付金についてのお尋ねでありますが、地方道路整備臨時交付金は、地域の生活に密着した道路整備を推進するために、ニーズに応じて地方公共団体に一括交付される交付金でございます。内容としましては、バイパス整備から交通安全事業、雪寒、非常に身近な事業から、舗装や修繕、きめ細かな事業に至るまで、地域のニーズに応じて活用していただいております。

 また、本年度より、地方公共団体の財政状況に応じて国費の割合を引き上げる措置も講じておりまして、財政状況の厳しい地域において道路整備の着実な推進を図る制度となっていると認識をいたしております。

 この地方道路整備臨時交付金については、道路特定財源を前提とした現在の制度がそのまま残るわけではございませんが、依然として地方の道路整備のニーズが高いこと、それから地域の生活に密着した道路整備を推進するために必要な規模と内容を備えた予算制度であることから、同等の予算制度を確保する必要があると考えております。また、地方の方々からも同じような意見をたくさんいただいておりますので、ぜひ同等の制度を確保すべく努力をしてまいりたいというふうに考えております。

亀岡委員 ぜひ局長にはその姿勢を貫いていただきたいと思いますし、これは春先もそうだったんですが、約九九%の市町村長が特定道路財源堅持という要望書にサインをされておりました。まさに地方の声は、これから不景気になってくる中で、社会資本整備をしっかりとやらなければ地方の活性化はあり得ないということで、かなり期待をしていると思います。

 それで、ぜひ、予算を確保するに当たっては、特定道路財源がなくなり、ガソリン税と切れても、しっかりと地方に、今まで計画的に整備をされている、特に私ども、地元で立谷市長が道全協の常務理事なんですが、実は工場誘致にかなり成功して、優良な地方自治体として表彰を受けたわけですが、その中でも、企業が来ていただくためにインフラ整備事業をしっかりやりますよ、こういうふうにやっていきますという計画を示している。それが、お金が来なくなってしまうとできなくなってしまう、みんなに迷惑をかけてしまう。まさに地方自治体の長の悩みはたくさんあると思いますが、それにしっかりと期待にこたえられるように予算措置をしなければいけないと思います。

 一兆円の問題は別にして、財務省として、しっかりその地方の声にこたえるべくどう考えているか、ちょっとお答えいただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

香川政府参考人 地方道路整備臨時交付金制度でございますが、これまで地方の道路整備を進めるに当たりまして大きな役割を果たしてきたというように思っております。

 先般、政府で決定しました生活対策におきましては、「道路特定財源の一般財源化に際し、一兆円を地方の実情に応じて使用する新たな仕組みを作る」というようにされております。先日、与党におかれましても、道路特定財源の一般財源化に関するプロジェクトチームが設置されたようでございまして、これらについての議論を始められたというふうに伺っております。

 政府といたしましても、この与党の御議論を踏まえた上で、また、道路局、国交省とも調整をして、最終的にこれにかわるものがどういうものができるか検討していきたいというように思っております。

亀岡委員 余りはっきり明言をされなかったようでありますが、地方に迷惑をかけないとの当初の春先の約束事でもありますので、ぜひ、その辺は、交付金の一兆円のほかに、しっかりと地方のニーズにこたえていただきたいと思います。

 それから、道路事業には直轄事業と補助事業とあるわけですが、本当に地方自治体が真剣に考えて計画的にやっている事業、そして、それに伴う自動車業界の皆さんも含めて、皆さんがそれに協力しようという体制をとって今日まで来ております。

 一番大切な、この目的税として取った税金が道路に使われていくということが本来しっかり担保されて、今まで約束事としてきたわけですが、どうも最近はそれがもう全く違う状況になっている。それを今の財政逼迫の中で多くの国民に理解をしてもらうということでやっているわけですが、財務省として、今度は納税者に対して理解がもらえるかどうか、その辺をどういうふうにお考えになっているか、そこもひとつお聞きしたいので、よろしくお願いしたいと思います。

田中政府参考人 道路特定財源の税の面での御質問がございました。

 五月の十三日に、道路特定財源等に関する基本方針ということで閣議決定が行われております。この中では、暫定税率も含めました税率につきまして、一つは環境問題への国際的取り組みの必要性、それから地方の道路整備の必要性、最後に国、地方の厳しい財政状況等を踏まえて検討するということが決められてございまして、御指摘のようなさまざまな懸念があると思いますし、さまざまな御議論がございますので、予算編成、税制改正の中でしっかり御議論をいただくということになろうかと思います。

亀岡委員 なかなか皆さんきちっと答えにくい部分があると思いますが、もう一つ、それでは、せっかくですから、これは地方に七千億円とは別に一兆円の地方交付税を配分するわけですが、マスコミ等でいろいろ言われておりますが、この地方に対する交付税の問題で、本当に今まで以上にきちんとダブらないで配られるのかどうかという心配を皆さん持っておられるので、総務省の見解、お考えを少しお示しいただければと思うので、よろしくお願いします。

望月政府参考人 生活対策において示されました「一兆円を地方の実情に応じて使用する新たな仕組み」につきましては、現時点におきましては詳細が決まっているものではございません。

 いずれにいたしましても、この一兆円の地方配分につきましては、総理からの指示に従いまして、今後、政府及び与党において議論が行われることになります。地方からの御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。

亀岡委員 地方はこの七千億円が消えてなくなって一兆円の中に埋没しないようにということで皆さん心配をされていますし、実は我々も、この国土交通委員会の中で十四名の有志を募りまして、「市町村長と連携し、日本の底力を支える社会資本を創る会」というのを結成させていただきました。

 まさにこれから地方の経済を活性化させる、まさに元気が出る地方には欠かせないのが社会資本整備事業でありますので、この社会資本整備事業、どの市町村も計画的にやられております。もし万が一、今までやってきて来年度も再来年度も計画をしてきたことが、突然予算が来なくなってしまって、夢も希望もなくなるようなことがあったら、地方は余計格差が広がってしまいます。そういう意味では、これはきちんと今までどおり、地方に配分する道路財源はしっかりと道路事業に回せるようにしながら社会資本整備をやってもらう、地方に夢を持ってもらうということが大事だと思います。

 そういう意味では、我々十四名、せっかく国土交通委員会の中で支える会をつくったので、金子大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思います。金子大臣の新たな決意をちょっとお聞かせいただければと思うので、よろしくお願いします。

金子国務大臣 御指摘ありましたように、地方道路整備臨交金、これは地方の身近な生活道から、案外、幹線系、例えば都会の連続立体といったような大きなものにも使われている。したがって、継続して事業が行われていくという継続性を地方自治体の皆さんが求めるのは、これに対して物すごく強いと既に御指摘をいただきました。

 亀岡委員のお地元の市長さんは、やはり安定した財源というのを地方に失わせないでくれと地方自治体を代表されてお話をしておられますけれども、このことは私としても大変大事だと思っておりまして、この臨交金の仕組み自身はなくなりますけれども、新たにそれにかわる、こういう要請にこたえられる枠組みというのをつくって、地方の道路が、必要なものはきちんと整備されていくようにしていきたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、金子大臣には、我々もしっかりと支える会をつくって支えていきたいと思いますので、地方のニーズにこたえられるように、多くの地方の市町村長さんの皆さんの希望と期待にこたえられるように頑張っていただくことをよろしくお願いしたいと思います。

 それから、最後にもう一問だけ、ちょっと質問をさせていただきます。

 これは観光圏の問題なんですが、観光整備法というのを我々は春先からつくらせていただきましたが、まさに今十六カ所ですか、指定をさせていただいたということを聞いております。観光圏、これから地方の経済の活性化においてはまさに必要なことであろう。ですから、これに期待している部分はかなり多大なるものがあると思いますので、この今の現状と、これからしっかりと支えるような取り組みをどう考えているか、それを質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、観光圏整備法を前の通常国会で成立をさせていただきまして、七月二十三日に施行させていただいております。観光地同士や幅広い関係者が連携しまして、国内外の観光旅客が二泊三日以上の滞在を楽しめるようにということで、地域の主体的な取り組みを財政面や規制緩和などで総合的に支援をしているところでございましたが、御指摘のように、十月に十六の地域につきまして初めて国土交通大臣による認定を行っております。このうち十四地域につきまして本年度の観光圏整備事業費補助金の交付を決定したところでございます。

 具体的な取り組み事例を一、二紹介申し上げたいと思いますが、例えば、新潟、長野、群馬の三県にまたがります雪国観光圏では、旅館組合同士が連携いたしまして、共通ポイントカードを導入するなどによりまして、リピーターの宿泊客の獲得とかあるいは満足度の向上を目指しております。また、三重県の伊勢志摩観光圏におきましては、地域固有の文化を持つ観光資源であります海女さんをテーマにいたしました特産品の開発や販売を行うということで、各地で独自の取り組みが進んでおりますので、こういうものを横の連携をとりながら推進をしてまいりたい、このように考えております。

亀岡委員 本保長官は地方回りが好きなそうですから、ぜひ十六カ所全部回っていただいて、より具体的に指導して、予算がつけられるように頑張っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

望月委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 金子大臣、きょうはお世話になります。よろしくお願いいたします。

 国会へ来てからは金子大臣と質疑をするのは初めてなんですけれども、以前、ニセコ町長時代に、ある会合でお世話になったことがございました。そんなこともございまして、また改めましてお世話になります。よろしくお願いいたします。

 きょうは、十月一日にできました観光庁のことについて主に話をさせていただきたいと思います。

 初代長官になられました政府参考人、本保長官への期待も非常に大きいというふうに伺っておりまして、私もそういう期待をする一人でありますけれども、前段は本保長官の方にさまざまお考えなどを伺って、最後に金子大臣に観光に関するお考えを伺いたいと思っていますので、前段は政府参考人の方と主にやりとりをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、多くの皆さんの期待を担って十月一日に観光庁ができ上がったわけでございますけれども、観光は、皆さんにもう一々説明するまでもなく、非常に広がりのある産業、総合産業というふうに言われています。地域の活性化についてもこれは非常に有効でございますし、国と国との相互理解、あるいは国と国との経済を考える上でも非常に重要な産業が観光であろうというふうに思うわけですね。

 そこで、まず、非常に大きな期待を担って観光庁ができ、その初代長官としてきょうお越しいただいている政府参考人の本保長官にお伺いしたいんですが、今後、この観光面についてどんな取り組みをどのような形で行っていくのか、御自身の言葉でわかりやすく国民にまずお伝えを願いたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光の重要性につきましては、今、逢坂委員の方からもう既に御指摘をいただいておりますが、この重要であるという、あるいは国家戦略としてつくっていかなければいけない、こういう考え方のもとに、御案内のとおり、一昨年十二月には観光立国推進基本法が成立いたしまして、これを受けて、昨年六月末に観光立国推進基本計画が閣議決定されております。この中で、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者を一千万人にするなどの目標が定められておりまして、国を挙げた取り組みが進められている、このように承知をしております。

 こうした中で、この重要な施策を推進するために、官民を挙げた総合的かつ計画的な推進体制が必要だということで観光庁が十月一日に発足する運びになったもの、このように心得ているところでございます。

 したがいまして、観光庁の使命は観光立国の実現にあると思っております。より具体的に申し上げれば、観光立国推進基本計画に定められました五つの基本的な目標の達成が当面の責務であると考えておりまして、これに従って、ビジット・ジャパン・キャンペーンの展開でありますとか、国際会議の誘致、あるいは本年七月に施行しました観光圏整備法に基づく地域の認定等を進めているところでございます。

 特に、訪日外国人旅行者の増加を図るビジット・ジャパン・キャンペーンにつきましては、官民の連携によりまして成功裏に進んでおりまして、御案内のとおり、昨年は八百三十五万人という数字に達しました。二〇一〇年の一千万という目標の達成も視野に入ってきたということで、大臣の御指示をいただきまして、一歩踏み込んで、二〇二〇年には年間二千万人の外国人旅行者数を目指す、こういう構想を掲げて、その具体的な戦略の検討を進めているところでございます。

 こうした取り組みを着実に推進するためには、観光庁が関係者に信頼され、力強いパートナーとして認識していただくことが重要ではないかと考えております。こうした考え方から、スピード、効率性、成果を重視する新しい意識と職場文化の創造に努めてまいりたい、このように思っているところでございます。

 また、新しい組織に寄せられました国民各位の御期待におこたえするためにも、初動期のスピーディーな政策展開が重要と考えて、行政に当たっているところでございます。

逢坂委員 どうもありがとうございました。

 そこで、非常に大きな期待を担ってスタートした観光庁でございますけれども、観光庁のホームページを拝見させていただきました。長官のメッセージも載ってございます。そしてまた、今の答弁の中にも一部あったかと思いますけれども、スピード感だとか効率性だとか成果主義というような言葉もこの中に載っていたわけです。

 観光庁のホームページに載っている長官のメッセージの中で何点かちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、この中に「自らの変革」というようなことを長官のメッセージとして掲げられているわけですが、どんな現状を何を意図してどう変革をする、そう考えているのか、お伺いをしたいと思います。

 なぜこんなことを聞くかといいますと、それは、観光庁はまさに今スタートしたばかりですけれども、即変革という言葉が出てくるわけですね。若干それに対しても違和感を感ずるわけですが、どういう現状を踏まえて変革という言葉を使っているのか、御説明願えればと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、観光庁は国土交通省の外局といたしまして、平成十三年の省庁再編以来初めてつくられた組織でございます。行政改革の中で新しく庁ができたということでございますが、これは国としての観光立国の実現に向けた強い決意のあらわれである、このように受けとめておりますので、この決意にこたえるためには、私ども自身が相当の自覚、覚悟を持って臨まなければいけない、こういうことで、組織的には継続して展開をするわけでありますが、一つの心構えとして、みずからを変革するぐらいの強い気持ちが要るという意味で「自らの変革」という言葉を使わせていただいているところでございます。

 具体的には、観光立国の実現、これは多くの関係者がいらっしゃいますので、この方々の力を結集して一緒に仕事をすることで新しい力もできるし、また、これまでできなかったような事柄も実現できるのではないか、こういうことで、私ども自身としては、みずから持っている機能を最大限に活用して、これを信頼していただく、こういうことが重要ではないかということで、いわゆる役所的と言われるような従来の枠にとらわれずに組織運営を図っていきたい、こんな考え方を持っているところでございます。

 ややこれを具体的に示しますために、十月三十一日に、私どもが使っております新しい意識と組織文化の創造というものの具体的な中身ということで、観光庁の理念と職員一人一人の行動憲章を定めた観光庁ビジョンというものを策定いたしまして、十月末に公表をさせていただいております。企業であればビジョンをつくっているところはたくさんあると思いますが、恐らく官庁では初めての試みではないか、このように自負するところもないわけではございません。

 観光庁では、このビジョンに基づきまして、「開かれた観光庁」を合い言葉に、私どものモットーであります、住んでよし、訪れてよしの国づくりを進めていきたい、このように考えているところでございます。

逢坂委員 重ねてお伺いしますけれども、同じメッセージの中で「観光庁に相応しい新しい意識と文化」という言葉も盛り込まれておりますけれども、これも何となくわかるようなわからないようなところもあるんですけれども、これについては、長官、どのような思いを込めてこういう表現をされたんでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的な言葉遣いといいますか、モットーとしては「開かれた観光庁」という言葉を使わせていただいておりますけれども、意識と文化でございますから、いろいろな要素が含まれると思っております。仕事の仕方それから発想も含めてということになりますが、具体的には、先ほど申し上げたビジョンの行動憲章の中で、私どもの行動様式あるいはこうありたいということを申し述べさせていただいておりますが、例えば、情報公開の徹底による透明性の向上、産学官連携、省庁間連携の強化、戦略的、機動的な情報発信への取り組み、あるいは職場内のコミュニケーションや職員の専門性の向上、こんなことをうたって、対応を進めているところでございます。

 例えば、外との関係の強化あるいは開かれた仕事の仕方ということで、関係省庁、民間あるいは地方自治体から多くの仲間を観光庁に受け入れて、一緒に仕事をするという中で新しい文化の出会い、それを通じた相互の刺激、また、新たな専門性の発見、こういうことに努めているところでございます。

逢坂委員 非常に高邁なといいましょうか、高い理想を掲げてやられているわけでございますけれども、ぜひ、それがさらに具体的に動き出すように、御努力をいただきたいというふうに思うわけです。

 先ほど、冒頭の答弁の中に成果主義という言葉がございました。このホームページのメッセージの中にも成果主義という言葉が載ってございますけれども、この場合の具体的数値目標あるいは達成年度というのは、私は今手元に持ってきておりますけれども、観光立国推進基本計画に盛られたものというふうに理解をしてよいのかどうかというのを一つお伺いしたいのと、もう既にこの観光立国推進基本計画を策定してから一年と何カ月かが経過しているわけですが、現時点で、目標達成に向けて、若干この部分については問題があるな、困難があるなというふうに認識をしている項目、事項などがあれば、この時点でのお考えをちょっとお聞かせ願えればと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な当面の成果目標につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、昨年の六月末に観光立国推進基本計画が閣議決定されておりまして、その中に、主要な目標だけでも五つのものが盛り込まれております。これが政府の一員として私どもが果たすべき最初の数値目標だというふうに認識をしております。

 そういう中で、一つ一つについて申し上げれば、外客誘致につきましては、先ほども申し上げましたとおり、昨年末で八百三十五万人ということで、一千万人の数字が視野に入ってきたところでございますが、二つ目の目標になっております、日本人の海外旅行者数を二千万人にするというこの数値目標につきましては、実は二〇〇〇年以来、成長が見られず、横ばいの状況が続いてきております。むしろ出国率は低下の傾向がございまして、特に若年層にその傾向が著しいということで、現在、民間が中心になりまして、ビジット・ワールド・キャンペーンというものを展開いたしまして、新たな行き先の開発でありますとか機運の盛り上げということをやっております。政府も一体となって取り組むことで、その目標達成に向けて進みたいと思っているところでございます。

 それから、一つ飛びまして、四番目の観光宿泊日数を当時の二・七二泊から四泊に引き上げるという数字でございますが、実は、十八年度、十九年度の数字を見てまいりますと相当大きく落ち込んでいるのが現況でございます。これに対しましては、観光圏整備法に基づく、二泊三日以上の長期滞在ができる観光地づくりをする、こういったことを通じて少しずつでもこの四という数字に向けて進みたいと思っているところでございます。

 それから最後の、国際会議の誘致につきましては、表向きの数字は、二〇一一年に二百五十二件という数字であったのに対して四百四十八件ということで既にオーバーをしております。超えて達成をしているわけでありますが、実は、統計の基準が緩和されたこともございまして、従来基準でいくとまだ二百十六件と目標値に達していないということで、この勢いを維持し、さらに伸ばす努力をすべく、いろいろな措置を重ねているところでございます。

 なお、観光庁として具体的に何をするかということを明らかにすることが重要だと思っておりまして、年内には私どもの具体的な行動計画としてアクションプランを策定いたしまして、外にも公表してPDCAサイクルが回るようにしていきたいということで努力をしているところでございます。

逢坂委員 もう既に大分いいところまで行っている数値目標もあれば厳しいものもあるということでございました。ぜひ、国民の期待が大きいということもありますので、その目標に向けて、さらに具体的な戦略を練っていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、実は、私は今回のこの観光庁の発足には非常に期待をしておりまして、また初代長官ということで発言にも非常に注目をしておるところでございますけれども、ことしの十月二十九日付で毎日新聞に、長官とあれは二階大臣だったでしょうか、観光関係者の方との対談が載ってございました。この中で、本保政府参考人は「観光も、最後は人です。」と指摘をして、観光教育の重要性を説いているわけでございます。

 私も実は、かつて勤務しておりましたニセコ町という町に町立の高校がございまして、そこに観光の学科がございました。それから、現在、私自身も観光系の大学で一部授業をやっているというふうなこともあって、観光の人材の育成というのは極めて大事である、だがしかし、必ずしも日本においては十分ではない、例えば商業科の先生が来たり、必ずしも体系的にこの観光というものが学問の中で位置づけられているわけではないという気もするわけですが、観光教育が重要だというふうに説いているわけです。長官として、この分野についてどのように具体的に取り組むおつもりでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、観光は、観光地づくりも、それから産業の振興ということも、すべからく人だと思っております。私ども自身の行政展開を進めていく上でも、人材育成ということは非常に重要だと思っております。

 観光産業に関係する人材の育成、これも多数のプレーヤーがいらっしゃるわけでありますので、その中で国が行うことというのはその一部になるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、一というか最初からの人づくり、例えば大学における教育のようなことも大事でございますし、またあわせて、現在いろいろなところで活躍されている方を舞台に上げて、一層活躍いただき、その成果が広がっていく、こういう努力も必要だと考えております。

 そういう観点から、前者、大学などの高等教育につきましては、御案内のとおり、観光に対する関心、機運の高まりの中で、観光学部あるいは学科を持つ大学が大変ふえておりまして、二十年度には三十七の大学で観光関連の学部・学科が設立されるに至っております。そういう意味で、量的な拡大は大変すばらしいものがあるわけでありますけれども、他方で、カリキュラムでありますとか卒業後の進路、こういったところについてはまだまだ多くの課題がございまして、残念ながら、産業界のニーズを十分踏まえたものになっているというふうにはとらえておりません。

 こうしたところを踏まえまして、観光関係人材育成のための産学官連携検討会議を開催いたしまして、産学官の連携を図る中で、例えば経営環境の変化に対応できるようなマネジメント層の育成のあり方、これにふさわしいカリキュラムのあり方、こういうものをさらに、分科会的にワーキンググループを設置して検討するというようなことを始めているところでございます。

 それから二つ目の、今現在活躍されている方々の輪を広げていく、あるいはさらに一層活躍をしていただく、こういう点につきましては、御案内の観光カリスマ百人の仕組みがございますが、この方々、大変大きな活躍をされていますので、直接講義をいただくような観光カリスマ塾を全国各地で開催して、ノウハウの伝授を行っているところでございます。

 また、外国人の観光客の誘致に努力し、成功されている方々を、ようこそジャパン大使として任命いたしまして、その活動を広めていただくとともに、関係者のさらなる奮起をお願いしているところでございます。

 そのほかにも、地域の観光振興の牽引役となる方々については、観光地域プロデューサーとして任命するなどの措置もとっておりますし、また、それ以上に、実は、先進的な観光地の中には、地域独自の人材育成に向けた取り組みを進めているところがございます。このネットワーク化を図ることでその効果を上げていく、こんな取り組みもさせていただいているところでございます。

逢坂委員 観光における人材の育成というのは極めて大事なことだというのは私も改めて強く認識をしておりますが、かつてキューバの例を聞いたことがございます。キューバでは、すべての国民が実は観光の担い手になり得るということをある種の理念として、例えば、大学だとか高校などによる高等教育だけではなくて、小学校、中学校においても、人へのもてなしだとか接し方だとか、そういうようなことをやって、キューバがいわゆるソビエトから離れたときに国の元気をつけていこうというようなことをやったという話を聞いたことがございまして、そういう点もきっとこれからは大事になるのだろうというふうに思っているんですね。だから、観光というものを通して日本の国民のある種の意識レベルの底上げというようなことも可能になるのではないかというふうに思っていますので、ぜひその辺にもまた御配慮いただければというふうに思います。

 同じ対談記事の中で、もう一つ私は、長官が非常に注目すべき発言をしていると思っていまして、「観光は行政のできる範囲が限られていまして。」という発言をしているんですね。行政のできる範囲が限られていると発言している。この真意というのはどういうことなのかを説明していただきたいのと、あわせて、行政と、いわゆる観光をつかさどる観光協会のような観光関連団体がございます、それから民間の事業者というものがあるわけですが、これらの役割というのはどのようにお考えになっているか。

 特に私は、観光協会、観光関連団体の日本におけるあり方というのが、多様性があっていいという見方もあるかもしれませんけれども、若干あいまいで、場合によっては、せっかくのお金、資源、資金をちょっと浪費している部分もあるんじゃないかなという気もするものですから、このあたりも含めてお考えをお聞かせ願えればと思います。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は行政のできる範囲が限られているという発言をさせていただいておりますが、その意図するところは、先ほど申し上げましたが、観光は非常にたくさんのプレーヤーがいらっしゃいまして、それぞれが適切な役割を果たすことで初めて物事が実現する、このように考えておりまして、この点を、つまり各プレーヤーの役割の重要性を強調したということが一つでございます。それからもう一つは、やはり民間が主導してやっていくということが非常に重要である。そういう意味で、行政依存ではない、民主導あるいは官民連携が重要だ、こういうことでこういう発言をさせていただいたところでございます。

 実は、観光立国推進基本計画の中で、関係者の役割について相当詳細な規定をさせていただいております。よろしければその一部を読ませていただきますが、例えば国につきましては、観光立国の実現に関する施策を総合的に策定、実施し、全体的な立場から地方公共団体や民間の取り組みを支援するトータルコーディネーター役を担うとともに、日本ブランドとして我が国の魅力を発信して、外国人を我が国に引きつける役割を果たしている。それから、地方公共団体につきましては、自主的かつ主体的にその区域の特性を生かした施策を策定、実施する役割を果たす。こういう形で、実は、個人が果たすべき役割についても規定をしております。

 その中で、お問い合わせの観光協会などにつきましては、観光協会等は、数多くの交通・観光事業者たる民間と自治体とが協働してPR等を行う民間団体であり、行政のような制度を扱うというよりも、個別のプロジェクトを民の立場で実施する主体ということで、行政と民の間に立ってプロジェクトを推進する主体という位置づけがされております。

 御指摘のように、こういう役割を非常に適切に果たしているところもあれば、残念ながら不十分なところもあろうかと思います。また、県あるいは市町村等の枠組みを超えて広域で観光の取り組みをしている機構のようなものも出てきておりますので、より効率的で力が出る仕組みに変えていく、あるいは、そのための支援をするということが私どもの任務ではないかと思っております。

逢坂委員 観光は行政のできる範囲が限られているという発言ですが、私も実はかつて同様に感じていたことがございます。しかしながら、行政がある種リードをしなければいけませんので、範囲は限られているんだけれども、総合的に牽引する役割というのはやはり行政が持たざるを得ない部分もあろうかと思います。そういう点も頭に置きながら、これから具体的な仕事に当たっていただきたいということを申し添えておきたいと思います。

 次ですけれども、お手元に資料を用意させていただきました。ごらんいただきたいと思います。三枚物でございます。

 各国通貨と円とのレート、日本円一万円に対する各国通貨のレートを表にしたものでございます。一年前と現在ということで表にさせていただきました。これを見ると、米ドルは一・一五倍なんですけれども、例えばオーストラリア・ドル一・五六倍、韓国ウォンに至っては一・七三倍というようなことになっていまして、先ほど、訪日外国人数を一千万人にするんだ、二〇二〇年には二千万人にするんだということでございましたけれども、次をめくっていただきますと、これは地元北海道新聞の記事でございますけれども、「外国人ツアー客急減 不況、円高が観光産業直撃」と。そうですね。韓国ウォンに至っては一・七三倍ですから、これは大変なことになっているわけですね。

 それから、もう一枚めくっていただきますと、外国人観光客が多く訪れていた地域の、ある種象徴のようなニセコエリアの中でも、比羅夫という地区がございますけれども、「活況一転 円高の影」ということで、「豪からのスキー客 膨らむ滞在費 予約減、不動産投資も停滞?」というような記事になってございます。したがいまして、外国人観光客を誘致しようということは非常にいいことではあるのでありますけれども、為替、円の対外国通貨との相場によって随分と影響を受けやすいということだというふうに思います。

 特に、二〇二〇年に二千万人という目標を立てて、もし二千万人が達成されて、それでさらに影響がどんどん出てくるということになれば、国内観光産業には非常に影響度合いが高いわけでございます。したがいまして、何らかのバッファー装置みたいなものといいましょうか、そういうものを設けなければどうなのかなという気もしないわけではないんですけれども、このあたりについて、まず政府参考人、いかがでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、直近の状況を含めた最近の状況でございますが、本年の訪日外国人旅客の動向は、上半期だけ見ますと、実は前年同期比で一〇・〇%の増になっておりました。これが、今御指摘の世界的な景気後退あるいは円高、こういうものの影響を受けまして、八月にほぼ五年ぶりに初めてマイナスになりまして、九月にはそのマイナス幅が深まってマイナス六・九%になりました。結果として、九月末までの累計で五・六%ということですから、上半期に比べて鈍化をしているわけでございます。

 こうした状況を受けまして、先般政府・与党でお取りまとめいただきました追加的経済対策、生活対策の中で、即効性が期待できます訪日旅行の円滑化を図るべく、ビザの見直しによる外国人旅客の拡大というものをやろうとしているところでございます。中国等からは、ビザの制限で、日本に来たくても、あるいは来ようとする気持ちが少し弱まるというようなことでおいでになっていない方がいますので、即効性があるのではないかと期待をしております。

 また他方で、すべての層が今の経済状況等の影響を受けているわけではございませんので、まだ根強い訪日意向のある固定ファン層でありますとか、比較的景気の影響を受けにくい中高所得層、こういうものを対象にしたプロモーションも展開をしているところでございます。

逢坂委員 本保長官、いろいろとお考えをお聞かせいただきましてありがとうございました。

 きょうはまだ一回目でございますので、これからさまざまやりとりをする中で、さらにこの観光立国の推進に向けてブラッシュアップをしなければいけないというふうに思っています。特に、今の円高対策のところについては、ビザの点ですとか、あるいはまだリピーター層がいるからそこにターゲットをということだけでは私は弱いのではないかという気もするわけでございまして、この点についても、また後刻いろいろとやりとりをさせていただければというふうに思います。

 そこで、最後に大臣にお伺いをいたしますが、実は大臣、本題に入る前に一つだけちょっと、通告もないんですけれどもお話をしておきたい点がございます。

 それは、道路特定財源一兆円、これを一般財源化をして自治体に配るということを麻生総理が話されている、それできょうの朝日新聞を見ましたら、その一兆円を公共事業に限定するんだというようなことが自民党のプロジェクトチームの中で議論されているという記事が載ってございました。

 しかし、私はこう思うのでありますけれども、道路特財、御案内のとおり、自治体には、二・一兆が自前の税収で、臨交金が七千億の、補助金が六千億で、三・四兆ぐらいが自治体へ道路特定財源が回っているわけですね。このうちの自主納税、自分のところで収入として入っている、臨交金と補助金以外の二・一兆円の部分なんですが、この部分というのは、道路の建設に直接使われている部分ばかりではないということを、ぜひ大臣に御認識をいただきたいんです。それはどういうことかというと、道路の維持管理だとか除雪だとか、いわゆる資本形成のためだけに道路特定財源は使われていないということなんですね。

 にもかかわらず、今回もし一般財源化する一兆円の使途を公共事業に限定するということになると、自治体財源の自由度が場合によっては低下をしてしまう、一般財源化をねらっているのに逆効果になりはしないかという懸念もあるわけですね。この点をぜひ大臣にも御認識いただいて、これが、一兆円が公共事業中心のものになるのかどうかはこの時点ではまだわかりませんけれども、大臣、そういう御認識はございましたでしょうか。

 要するに、二・一兆は、実は資本形成だけではなくて、道路維持管理の一般財源的な使われ方をしているんだというような御認識があったかどうか。人件費にも実は回っているんですね。道路関係職員の人件費にも回っているというのが自治体の現実でございますので、質問の通告もない中で大変恐縮なんですけれども、もし御認識がないということであれば、きょうここの時点で御認識をいただきたいですし、その辺、どうでしょうか。

望月委員長 金子国土交通大臣、手短にお願いいたします。

金子国務大臣 二・一兆円は維持管理も含むものであるということはよく認識しております。認識した上でこれまで発言をさせていただいてまいりました。

 それから、与党のPTで一兆円がすべて公共事業にというのは、私はまだ伺っておりません。

 以上であります。

逢坂委員 そういう御認識がおありでしたら、一兆円を公共事業に限定するということになりますと、早速もう実は私のもとへ地元の自治体の首長さんから、そんなことをやられてしまったら、もう町じゅう公共事業だらけになって、本来やるべき道路の維持管理ができなくなるんじゃないかなんという話が既に来ておりますので、ぜひお考えを、また心にとめておいていただければというふうに思います。

 さて、そこで最後です。本当に大臣、政府参考人とやりとりをさせていただいて、それらを踏まえた中で、大臣のこの間の所信の中にもございました、訪日外国人旅行者を二〇二〇年に二千万人にするという新たな目標の達成のため戦略策定をするというふうにもおっしゃっておりますけれども、観光立国の実現に向けて、金子大臣の具体的な方向、決意というか、あるいは日本の観光がどんな形になれば大臣としてはよいと思っているのか、役所的な言葉でなくてイメージをぜひ御披瀝願いたいなというふうに思います。

金子国務大臣 先ほどニセコの今大変苦労されておられるというお話がありましたが、一方で町長のときに御苦労されたニセコというものが今十倍ほどオーストラリアの方が来られていると。円高で苦労というのは今の直下の状況で御苦労がありますけれども、しかし一方で、そういうニセコという一つのブランドがだんだんでき上がりつつあるというのはむしろ評価をしていいんじゃないか、海外の人にそういうブランドイメージ、情報というのを知ってもらうと。

 ことし、日仏百五十周年でありますけれども、フランスの方に来ていただきましたら、あなた方が思っているほどフランスでは日本の情報は入っていません、もっとどんどん発信しなさいということで、いろいろな、安芸の宮島、厳島神社とモンサンミッシェル、海に浮かぶ遺跡みたいなものとして、バックパックというようですけれども、バスの後部座席に宣伝としてくっつけるというような、日本からの情報をどんどんやはりもっと出していく必要があるんだろう。

 そこでも今申し上げたニセコという一つのブランド、特に海外の方、欧米の方は旅行会社よりも自分でプランをつくっちゃうというようなところがあるものですから、やはりそれぞれの我が国のそういうところの情報あるいはブランドというのをどんどん知らしめていく、発信していく、これはさっきお話がありました、やはり行政が手伝わなければいけない部分だろうと思っております。

 あるいはもう一つ、国内で先ほど本保長官から、少し革新というような変革みたいなお話がありましたけれども、これまでも観光についてはそれぞれのところがそれなりに取り組んできているんだと思います。農業観光ですとかまちづくりと観光ですとか、それぞれのセクションで取り組んできているんですけれども、全体として観光という視点から見たらどうなのかというところは必ずしも一元化されていない。各省庁、各局が、国交省の中だけでもみんなそれぞれ自分は観光をやっていると思ってしまっていますから、そうではなくて、やはりどこかで一つ観光というのを、農業という部分ですとか、あるいはまちづくりというようなものですとか、こういったところをまとめて切り口を見て、そして伸ばすべきところをさらに伸ばしていく、そういうところの機動力というところで観光庁の存在というのはこれから生きていくんだろうと思っております。

逢坂委員 これで発言を終わりたいと思いますが、かつて勤めておりましたというか仕事をしていたニセコのこともまた御認識いただきましてありがたく思っておりますが、実は私、選挙区が変わりまして、今度は函館が選挙区なものですから、今度は函館がどんどん売り出されるように、また観光庁の皆さんとも頑張ってやっていかなきゃいかぬなと思っています。

 きょうは初回の議論でございますので、今後さまざまな形でこの観光というものの議論を深めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございます。

望月委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党の石川知裕でございます。

 まず、冒頭大臣にお伺いをしたいわけなんですが、今回麻生政権で、十月三十日に生活対策ということが発表されました。この生活対策はどこに主眼を置いたのか、これを大臣からぜひお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

金子国務大臣 地方という観点で今ちょっと切り口をおっしゃられましたが、これは決して私の所管だけでなくて、地方、いわば中小企業の、特に地方で疲弊しておられる中小企業の皆さんに、従来九兆円、今度は三十兆というような保証枠をつくっているということ。

 それから、私の所管では、地方から御要望の強い道路整備あるいは高速道路料金の大幅な引き下げによる物流効率化を通じまして、地域経済の活性化を図っていくという点。それから、建設業、貨物の運送業の中小・小規模企業への支援といったようなものが今回中心となっております。

 それから、もう一つ大きな枠組みでありますが、直接の私のところの所管ではありませんが、地方公共団体への支援として、地域活性化につながるきめ細かなインフラを整備するための、仮称でありますけれども地域活性化交付金を組んで、地域がやりたい、あるいは取り組みたい事業をできる枠組みをつくっているということで、かなり多彩な部分が入っているのが今回の特徴だと思っております。

石川委員 今回のこの生活対策の中で、国土交通省所管に係る中で、「地方の底力の発揮」ということで、「少子高齢化が急速に進行する一方で地方は疲弊し、都市部との格差は拡大している。窮状にある地方に手を差し伸べ、その「底力」が発揮できるよう、高速道路料金の大幅引下げや」とありますけれども、この高速道路料金の大幅な引き下げは、今回、地域経済、地方にどういう影響があるのか、経済効果があるのか。どのように試算をされて今回このようなことに至ったのか。

 まず、内閣府からになると思いますが、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路料金引き下げの経済効果につきましては、物流の効率化あるいは観光の振興などのさまざまな経路を通じて、国民生活や地域経済に直接的あるいは間接的にさまざまな経済効果に波及するものと考えております。しかしながら、現時点で、内閣府の方でそれらの全体的な経済効果を試算しお示しすることは困難であると考えております。

石川委員 もう一点。せんだって、川内議員、後藤議員、小宮山議員とのやりとりの中で、道路局長の方から、五千億の範囲の中でやるようにと指示を受けたという答弁になっておりました。これはどこからの指示なんでしょうか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 生活対策における高速道路料金の引き下げにつきましては、政府・与党の方で基本的なメニューを検討されて、私どもの方に約五千億の規模で引き下げのメニューをつくるようにと指示をいただいた、そのように理解をいたしております。

石川委員 今回の高速道路料金の引き下げ、地方への経済効果というのは、大臣、どれぐらいあるとお考えでしょうか。いや、数字ではありません。今回の高速道路の料金大幅引き下げというのは地方にとってどういう効果があるのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。数字ではありませんので、お願いします。

金子国務大臣 大きく二つ三つあります。

 一つは物流効果。平日三〇%、トラックについて夜間のみならず平日引き下げをやります。従来、夜間に限定しておったのを平日割引をふやすということは、比較的日中の短距離の運送関係にも効果が及ぶという意味で、地方でのこういう物流。それからもう一つは、でき上がった交通のネットワークですから、こういったものを地域の方々が活用できるという効果。それからもう一つは、休日の料金の引き下げ。これは乗用車でありますけれども、引き下げるということによって地方に都会の方が入っていく。観光です。あるいは里帰りでもいいんですが。都会から地方に、より安くなることによって人が流入をされるという意味で、これは地方にとってもある意味大変効果のあることであると思っております。

石川委員 地方にとって効果がある、こういうお話でございました。

 その中で、せんだってのやりとりの中でも、ETC車のみに限定をするということでありました。大臣と道路局長の答弁、それぞれ拝見をさせていただきました。

 私は今回、まず一つ、この高速道路料金の大幅引き下げが地方経済に及ぼす効果というものは本当にあるのか。それは多少はあるかもしれません。でも、今本当に地方が求めているのは、こういう対策ではないのではないかと思います。なぜこういう施策が出てきたかというと、今回、麻生政権の生活対策はインパクトを求めた。先に数字ありきというのが余りにも走り過ぎて、定額給付金にしろ、今大変迷走していますよね。この道路特定財源の中の一兆円にしろ、これも迷走している。

 この高速道路料金の休日、祝日大幅値下げというのは数字ありきということと、もう一つは、後でまたこれについてはいろいろ御質問させていただきますが、ETCをつけさせよう、つけさせよう、そういう誘導策としか私には思えない感じなんです。

 まず、地方に対する経済効果でありますけれども、少なくとも私のような、北海道の十勝地方という地域ですけれども、高速道路の整備がおくれている地域、そして、きょうの資料の四ページ目をちょっとごらんいただきたいんですけれども、ETCの搭載率が低い地域、そしてもう一つは、その上でどうしても移動手段として車を使わざるを得ない地域、いわゆるマイカーの比率が高い地域。私のところはほとんど廃止路線です。ほとんどみんなが車で、おじいちゃんもおばあちゃんも病院に行かなきゃいけない。

 この間、日産自動車の地域のディーラーの方とお話をしたら、私の地域が恐らく七十代以上のマイカー比率というのは日本一じゃないかという話をされておられましたけれども、大臣の選挙区を見ても、高速道路の恩恵にあずかる方々というのは非常に少なくて、なおかつマイカーの比率というのは非常に高い地域だと思うんですね。

 こうした地域にとって、今回の対策というのは、まず一つは恩恵が少ないということと、ETC搭載率というのは、利用率は七割、八割になっているというお話ではありますが、実際の搭載率というのは全保有台数の中で二五%程度なわけですよね。ということは、ほかの七五%の車の保有者に対しては、その恩恵は行き渡らないわけですよね。

 そのあたりについて、それでもなぜETCなのかというのを大臣にお答えいただきたいと思います。いやいや、大臣にお答えいただきたいと思います。何も数字を聞いているんじゃないんですよ。ETCじゃなきゃだめなんだと大臣は言っているわけですから。

金子国務大臣 今の御議論の中で、ETC搭載車の数字の御提示がありました。二五%、これは全保有台数の比から見ればそうであります。ただ一方、全国で高速道路を走っている車両、これは七〇あるいは七五%がETCを既に搭載しておられる。その比率もここ数年で非常に高まってきている。

 なぜETCか。だれかをもうけさせるということでは決してありません。今の料金徴収の仕組みでは、時間帯、曜日というものの記録がETCによらざるを得ない状況になっております。これをもし今の料金所の人で手配をすることにすれば、割引の状況というのを全部一々チェックするということになりますので、明らかに渋滞が起きる。

 高速道路渋滞、渋滞というのは、これはもう先生も当たり前でしょうけれども、CO2を削減して温暖化に効果を上げていこうというのはある意味大事な課題であるということは当然御認識をされておられるわけでありますけれども、そこに向けてやはりみんなが努力をしていきたいということが今回ETCをお願いしている最大の理由であります。

石川委員 今、二酸化炭素の削減、こういう話が出ました。

 平成十五年に道路予算を決めるときに、これからETCの導入、普及促進を図っていこうと。大体何年ぐらいをめどに料金所の渋滞が解消されるのかということで、十九年度末ぐらいになるのではないかというのが道路局の予想でありました。

 そして、道路の渋滞の理由というのは、私も二千五百円出してORSEが発行している「ETC便覧」というのを購入させていただきましたけれども、この中に、全渋滞の中の大体三割ぐらいが料金所の渋滞であったということがありました。局長、今ETCの利用率が七割、八割。当時の予想ではETCの利用率が半分を超えたら渋滞はほぼ解消されるのではないか、また、この間の答弁でも今料金所の渋滞はほぼ解消されているということでありましたけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

金井政府参考人 料金所渋滞のお尋ねでございます。

 今先生おっしゃられたとおりで、平成十二年、ETCを導入する前におきましては、高速道路の渋滞のうち約三二%がいわゆる料金所渋滞というものでございました。現在、ETCの利用率が七割を超えまして、平成十九年度のデータでございますが、料金所の渋滞は約三%でございまして、従来、非常に大きな問題となっておりました料金所渋滞については、ETCの普及に伴ってほぼ解消されたというふうに理解をいたしております。

石川委員 ということは、もうETC普及率七割、八割ぐらいで料金所渋滞は三%まで低下をしたということですから、政策としては成果を上げていると。

 この間、高速道路の料金徴収業務に関する問い合わせをいたしました。ETCの一般運用、平成十三年三月の直前からの料金徴収業務の委託費の推移は以下のとおりですということで、国交省の方からちょうだいをいたしました。高速道路会社六社の合計ということで、平成十二年度が千二百八十三億円、十三年度が千二百八十四億円、ずっと来て、十六年度が九百七十七億円、十七年度が七百七十八億円、十八年度が七百五十億円、十九年度も同じく七百五十億円です。

 今後、ETCの普及率を上げていって、この料金徴収業務というのは、もちろん新たにインターチェンジがふえたりしたらそれに伴う人は若干ふえることはあるでしょうけれども、十六年から徴収業務というのはほぼ横ばいの金額になっております。今の利用率七割、八割、これが九割ぐらいまで、九五%までいったとして、どれぐらい減るんでしょうか、局長。

金井政府参考人 先生御指摘のとおり、平成十二年度料金徴収経費が千二百八十三億円、これが現在、ETC普及率が七割を超えまして、平成十九年は約七百五十億円ということで約四割削減をされております。この主な理由は、やはりETCによる人件費の削減というのが非常に大きいと思っております。

 御説明申し上げましたとおり、今後も開通の延長がふえまして管理延長がだんだんふえてまいりますので、本来であればこういう料金徴収経費はふえるところでございますけれども、今後もETCの普及に伴ってできるだけ料金所の徴収業務の費用を節減いたしまして、開通延長がふえても料金徴収経費はふえないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

石川委員 ということは、もうこれ以上抜本的に、それこそ全部ETCにしますよという以外、大体料金所には、スマートインターチェンジは別として、有人があって、そしてETCのゲートがあるということは、そんなに大幅には引き下がらないわけですよ。二酸化炭素の排出削減というのも、大体ETC利用率六〇%時点で料金所周辺のCO2削減率は三八%と推計をされたということでありますけれども、二酸化炭素の排出量削減にしろ、徴収業務の削減にしろ、ある程度達成をされてきたのではないかと思います。

 今回、これをETCに限定して、しかも、祝日または休日、観光を促進するんだよということで、乗用車や軽自動車のみに限ってということでありました。本来であれば、今一番厳しい、先ほど大臣からも物流の対策ということでありましたけれども、トラック事業にも同じように、まあ千円とまでは言いませんけれども、適用するのが普通は筋ではないかと私は思います。

 これをちょっとごらんいただきたいんですけれども、資料の三ページ、「車種別ETC利用台数およびETC利用率」ということで、大型車、特大車、中型車。一番右にB分のAということで、大型車は東日本高速道路株式会社の車種別ETC利用台数であれば九四・七%、特大車も九割、中型車も八割を超えている。一方で、普通車、軽自動車はまだ低いということであります。

 そうすると、どうも私には、千円ぽっきりでどこまでも行けますよと、そしてもう一つは、割引率を複雑にすることによって、ETCじゃなきゃだめなんですよということで、政策的にこの普及率の低いのを上げようとしているとしか思えないんですよね。

 大臣、本来であれば、先ほど地方の経済対策の発表でも、生活対策、この中で、「窮状にある地方に手を差し伸べ、その「底力」が発揮できるよう」にと。私の選挙区は除外されているわけですね、はっきり言って。私の選挙区のところのETCはゲートがついていないので、ETCカードを自分で出して、料金所のお父さんに、はい御苦労さまですとやらなきゃいけないところなんですよ。だから、二酸化炭素は当然削減できません、一回停止しないといけないですから。

 それと、千円乗り放題、いろいろ問題ありますよね。先ほど逢坂先生がニセコの地域のお話をされておられました。私のところは池田、足寄からずっと乗っていって、一たん夕張の手前のトマムというところでおりて、今度また夕張から乗っていかなきゃいけないんですよ。そうすると、また千円払わなきゃいけないのかという話になりますよね。それは、四国の方でもまだ細部のお話が詰まっていないようでしたから、こういう技術的な細かいところはこれからいろいろ詰められるんだと思います。

 そういう瑣末なところはいいとしても、ただ、もう一回大臣に申し上げます。ETCでなければならない理由というのが、例えば料金所の徴収業務を下げるだとか、またはCO2の削減だとかいうのであれば、例えば列車の料金を、休日だとか平日がくんと下げますよといって、今地方の鉄道なんて赤字でかんからかんですから、そうすることによって二酸化炭素の排出量も減る。そして、車に乗っている人、休日、夜中の特急に人を振り向けて、そしてさらに地域の観光を促進しますよということでもいいんじゃないでしょうか。

 地方で今一番困っているのは、マイカーに乗って、仕事場や病院までほかの交通手段がない人なんですよ。列車も、私のところは、先ほど申しました、ふるさと銀河線というのは廃線になりましたから、今バスしかありません。では、そういうバスしか乗れない人、もしくは車の運転ができない人はもうバスしか使えないわけですよね。そういう人たちに対策をしていくというのが生活対策であり、地方対策ではないでしょうか。

 そこまでして何でETC限定なのか。もう一度、大臣、何でETC限定が地方の窮状に手を差し伸べることになり、そして生活対策なのか。そして、七五%のETC非搭載車に関しては手を差し伸べないのか。もう一度お答えいただきたいと思います。

金子国務大臣 私、冒頭に委員にお答えさせていただいたつもりでいたんですが、地方の対策というのは高速道路網だけではありません。今切々と訴えられたように、地方の道路の整備というもの、これも今度の生活対策の中に入り込んでおります。あるいは、地方交付金になりますけれども、地方自治体に対して、それぞれの地方に、必要な事業に対して交付金として配分するという枠組みもつくって今度の生活対策の中に入れさせていただいております。

 したがいまして、ETCイコール地方生活対策ということでは決してない。全体として、地方の経済の活性化というのを図っていくというのが、冒頭の趣旨に戻りますが、今度の生活対策のことであります。

 ETCについては、やはり、新たに起こってくる渋滞というものを、あるいは今度のことによって起こっていくであろう渋滞というのを少しでも解消していきたいというのが趣旨であります。

石川委員 利用率が七割、八割になった、それで渋滞は解消された、二酸化炭素の排出も料金所の部分では排出が削減されたと。私は、そのことについて、いいことだと思いますし、車の保有者がそれを望むのであれば、別にそれは否定するつもりもありません。

 しかしながら、ETCをつけるつけないというのは、それはあくまでも税金を使ってETC利用に誘導していくというのではなくて、本人自身が、料金所ですいすい行けるからいいな、自分は雨の日でも窓をあけなくてこれで通過する、現金のやりとりもなくていいなとあくまでも車の利用者自身が選ぶのであって、誘導をこれ以上していくために国費を使うというのは、果たして本当にそれが理にかなっているのかどうかというのをお聞きしているのと、もう一つは、七五%のETC非利用者の方が、今度、千円でどこまでも行けるというので、それを利用するというときに、自分たちがETCの搭載器をつけなければいけないわけですよね。

 しかしながら、では、月に何回乗るのか、年に何回乗るのかという方もETCの搭載器をつけなければいけない。そして、今回の対策は二年間ですよね、千円ぽっきりというのは。そうすると、長期的な視点に立つとそれもできないというわけですよね。また戻るのであれば、それじゃ使わないやということになるのかもしれない。

 だから、私はどうしても、利用率が低い、搭載率が低い方々をどうやって誘導していこうかというふうにしか見えないというのが、今御答弁いただいても、なぜETCをつけた車でなければならないのかというのが見えてこないんですよね。それをもっと明快に本当はお答えをいただきたいんです。

 その次に、ETCにかかわる財団、道路システム高度化推進機構、通称ORSEというのがございます。この財団が天下り財団なのではないか、いや、そういうことではないと。金子大臣の記者会見においてもそういうことではないんだということでお答えをいただいておりますけれども、きょう配付をさせていただいた資料の一番最後に、ORSEの収支計算の主なものを抜き出して一枚にまとめたものを提出させていただきました。

 道路局長、資料で提出をいただいたのは平成十五年から十九年までで、その前は、五年間しか保存義務がないということで、確認できたのが十五年からなんですけれども、この中で、まず上から、かぎ使用料収入ということで、十五年が九億三千七百万円、かぎ発行事業費が五億四千四百万円。次の年が、かぎ使用料収入が十四億六千四百万円、そしてかぎ発行事業費が二億四百万円。その後も十七年、十八年、十九年と続いていくわけであります。

 このかぎ発行事業費に対して、余りにも使用料収入を高く取ってい過ぎとは思わないでしょうか、いかがでしょうか。

金井政府参考人 かぎ発行の手数料でございますが、ORSEとしまして、いろいろ、セキュリティーを確保するための各種事業であるとか実際にセットアップをするための各種事業、そういったものの必要経費を算定させていただきまして、かぎの使用料ということで利用者の方から御負担をいただいておる、そのように理解をいたしております。

石川委員 局長、利用者の方から負担いただいているにしては、その額が余りにも乖離をしているのではないかと思うんですよね。セットアップ収入とかぎ使用料においては、かぎ使用料収入が余りにも多過ぎる。特に十九年においては六倍以上、十八年においても三倍から四倍、十七年においても四倍以上かぎ使用料収入があるわけでありますけれども、かぎ発行事業費に対してこれが適正だと。大臣、どうでしょうか、この使用料収入と事業費。では、局長、お願いします。

金井政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、必要経費を賄うために利用者に御負担いただいておるというシステムでございます。

 なお、いろいろ、例えばコンピューターであるとか、かなりの固定資産を賄う必要がありますので、そういった経費も賄わせていただいておりますし、定期的にセキュリティーを確保するために、ソフトウエアそれからハードウエアをいろいろ入れかえてセキュリティーを完全なものにするような支出もしておりますので、そういったもの全般を賄えるように制度設計をさせていただいております。

石川委員 必要な経費ということでありました。

 では次に、セットアップ収入に対してお聞きをしたいのでありますけれども、十七年はがくんと下がっておりますけれども、この下がった理由を教えてください。

金井政府参考人 従来、セットアップのときに、利用者の方からセットアップのために五百二十五円の手数料をいただいておりました。そのことに関しまして、平成十六年の一定の時期から、普及促進ということもありまして、その手数料を無料にいたしております。

 そのようなことから、オンラインでセットアップする場合に無料という措置をさせていただきましたので、そのために収入が減っておる、そのように理解をいたしております。

石川委員 十八年と十九年には一転して十九億と二十億となっていますけれども、このふえた経緯を教えてください。

金井政府参考人 お答えをいたします。

 これにつきましては、一部、オンライン以外のセットアップについて手数料をいただいておるということと、民営化しました高速道路会社から一定の支出をいただいておる、そのように理解をいたしております。

石川委員 高速道路会社から一定の支出をいただいているということでありましたけれども、それぞれの高速道路会社からORSEに、セットアップ収入に関してどれぐらい拠出をしているんでしょうか。

 ETCをつけるとなると、大体平均で一万五千円ぐらい。車載器はそれぞれ安いものから高いものまでありますけれども一万円程度として、そして工賃、これはそれぞれのいわゆる取りつけるところの、町の車屋さんみたいなところで五千円ぐらい取られる。さらに、そのほかに三千円、セットアップ費用がかかる。ただ、その三千円のうち、二千六百二十五円は取りつけるところの事業所というか取りつけ事業者が収入を得るということで、ORSEに情報発行料として行っているのは五百二十五円ということでありました。

 私はそれを、担当者の方、きょうお見えでございますけれども、この五百二十五円というのは情報発行料としてORSEに行っているんですねとお尋ねをしたら、今はありませんということでありました。それは、キャンペーンということで、セールとして還元をしております、事業者の方々の中から五百二十五円還元をしているということでありました。

 ああ、そうなのか、では、ORSEに今収入は、そういうことで一人一人のユーザーの方からもう取っていないのかなということで認識をしておりましたら、その分を補うために、今、今度は道路会社からお金を取っているわけでありますよね。それぞれの道路会社からどれぐらいの金額が行っているか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

金井政府参考人 お答えをいたします。

 ちょっと各会社ごとの内訳は手持ちでございませんが、現在、セットアップ一台ごとに高速道路会社からORSEに二百九十四円という額を負担いたしておりまして、大体総計で、物すごい概数でございますが、約十五億ぐらいになるかなというふうに考えております。

石川委員 今回のORSEの資産なんですけれども、もともとETCの利用者の人は、再セットアップするときにもまたお金が取られるわけでありますよね。局長、そうすると、これは再セットアップのときにも同じように各道路株式会社からORSEに二百九十四円行くんでしょうか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、再セットアップについても新規のセットアップと同じような取り扱いとさせていただいております。

石川委員 ORSEの正味財産でありますけれども、平成十五年が二十五億円、十六年が三十一億円、十七年が三十三億円、十八年が四十八億、十九年が五十七億というふうに増加をしております。

 高速道路のETCの利用者の方々は、このセットアップの便覧をよく読まないと、本当になかなかわからないところがありました。まずは、ではETCをつけようと買って、車のナンバーが変わってもまた再セットアップ費用がかかる。当然、車を買いかえても再セットアップの費用がかかる。常に再セットアップの費用がかかっていくわけですよね。

 そうすると、一度、例えば中古車を買っても、自分でカードを持っていても、また今度ナンバーを合わせるために再セットアップの費用がかかっていくわけですよね。ずっとこれはかかっていっている。そうすると、これは全然還元しないで正味財産だけふえているという現状になるわけですよね。

 もう一つは、今キャンペーン中ということでありました。結局、キャンペーンといっても、高速道路会社から、本来は借金を返すための原資であるかもしれませんよね、それでも今道路株式会社からそれぞれORSEに手数料が行っている。要は、消費者に還元をしているよと言いつつも、ユーザーが払っている高速道路料金からまたORSEに来ているというのが今の現状だと思います。結局、キャンペーンで還元していますよといっても、還元をしつつ、料金から来ているというのが現状だと思います。

 普及促進キャンペーンということで情報発行手数料を還元しておりますが、キャンペーン終了後、またこれは再徴収するんでしょうか。

金井政府参考人 お答えをいたします。

 ORSEの正味財産が大きくなっているという御指摘でございますが、これにつきましては、従来、コンピューター等、リース契約をしておりましたものを資産として買い取りをしておるのが最近の現状でございますので、そのようなことも踏まえて、資産の額がふえているのは事実でございます。一つは、リース契約を解消して自分の資産にしたということ。

 それから、先ほど申し上げましたとおり、数年置きにセキュリティー向上のためにいろいろな機器を入れかえなければいけない、ソフトウエアも新たに開発をしなければいけない、そのような状況がございます。それに対して数年間準備をする必要がありますので、そのために資産が若干増加しているというような事情があると理解をいたしております。

 いずれにしましても、キャンペーンにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、利用促進のためにやっております。そういったことで、できるだけ現在の利用者からはセットアップ料金をいただかないというやり方は継続していく方向で検討させていただければと思っております。

石川委員 高速道路料金の年間の収入が大体二兆五千億から六千億円。今回、二千五百億円使って高速道路料金の値下げをするということですよね。ということは、大体一割引きということですよね、全体の中で一割引き。その一割引きを今、千円にしますよとか、いろいろ複雑にされているわけであります。

 高速道路料金の大幅値下げの中で、今回、ETCの問題を取り上げました。

 私はどうも、もう一度戻りますけれども、今回、定額給付金にしろ一兆円にしろ、この千円にしろ、最初に目玉ありきということでまず政策をぶち上げたけれども、細部にわたっていろいろ検討したりそういうことをしないまま、まずはぶち上げてしまった。そして、その中で本当に地域、地方に対する波及効果がどれぐらいなのか、観光に対する波及効果がどれぐらいなのかということをお聞きしても、今のところまだまだ数字が出てこないということでありました。ということは、まずはアドバルーンを打ち上げて、では選挙に行くぞというのが、だんだん選挙が先延ばしになって、その根拠をどうやって探していこうかというふうにしか見えないわけであります。

 ただ、この千円に関しては、私は、ETCの装着率やそういうものを上げるために、どうも、いわゆる業界側とそしてORSEの間で何か癒着をして、そしてそれを政策に反映させてきたような気がしてならないんです。ETCを装着すると同時に、当然カード会社にもお金が入りますよね。そして、ずっとそのカードを使い続けるわけですね。そして、先ほどの再セットアップにしても、ずっと再セットアップし続けていくような仕組みに今なっているわけですよね。

 これは、局長、済みません、海外にはこのORSEのような、情報を管理しているところを一つにしているところはあるのかということと、ほかに海外ではこういう形で再セットアップのたびに料金を徴収しているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

金井政府参考人 委員御承知のとおり、海外においても日本のETCに相当いたします自動料金徴収システムは大変な普及をいたしております。

 例えばアメリカでありますと有名なイージーパスというのがございます。有料道路会社の何社にもまたがって運用させていただいております。イージーパスについても、いわゆる高速道路会社は何社かにまたがっておりますけれども、統一して運用をするということでインターエージェンシーグループというのが設立をされておりまして、一つの会社で統一をして運用するというやり方をしておるというふうに理解をいたしております。

 例えばイタリアでもテレパス社というのがございまして、いろいろな有料道路の車載器の発行、セキュリティーの管理、そのようなものをしているというふうに理解をいたしております。

 いずれにしましても、ETCのように、会社にまたがり、それから例えば地方道路公社であるとか民間の駐車場であるとかいろいろなところで活用するということになりますと、やはり本来のセキュリティー管理は非常に重要でありますので、どこかで統一をしてそのように運用するということが大変大事かなというふうに考えております。

 セットアップ料については、御指摘のとおりでございますが、できるだけ利用者に負担をかけないということで今後ともやらせていただければと思っております。

石川委員 海外の事例をお話しいただきましたけれども、私も、海外の収支の決算までちょっと調べているわけではないので、きょうこれ以上突っ込んだ質問はできないわけでありますが、ただ、この収支の中で余りにも正味財産が、先ほどいろいろシステムを新しくすることによってそれで財産がふえてきている、こういうお答えでありました。

 そうした中、道路新産業開発機構でETCの仕組みというものを進めていこうという中で、このORSEという財団を設立した経緯があるということでありましたけれども、道路新産業開発機構、私はホームページでしかその概要というものは把握をしておりませんけれども、ここの中の一部局としてこれを行っていくということはできなかったんでしょうか。担当の方からお聞きしますと、この道路新産業開発機構というのは、どうも新しい仕組みを考える部署、いわゆる頭脳的なところだから、それを考え出すとまた新しいところで所管をしてもらうという御説明でありました。そうすると、今度ETCからITSということで、どんどんどんどん組織がふえてくるのではないかという懸念が非常にあるわけです。

 今回、高速道路交流推進財団が五年後をめどに解散をするということでありましたけれども、そのほかにも道路空間高度化機構ですとかいろいろな類似した財団法人、またはいろいろな所管の法人があるわけですけれども、このORSEに関して、またそのほかの財団に関して、統合をして節約していくということは考えられないんでしょうか。大臣、どうでしょうか。

金子国務大臣 ORSEの役割といいますのは、ETCの関連機器、路側機ですとか車載器、ICカードを製造し供給するために必要な情報の安全確保のための規格の提供、これが一つ。あるいは、ETCを利用する個人、車種の識別コードの付与。ETC技術の高度化に関する調査研究などによりまして、ETCシステムの情報セキュリティーについて一元的に管理運営をする、かつ全国またがってというのがORSEの役割であります。

 一方、今御議論いただきましたこの道路新産業開発機構の役割は、道路に関連する新しい産業分野について調査研究を行う。今、頭脳集団という表現がありましたけれども、ETCシステムの幅広い利活用方法についての調査研究は行っておるんですけれども、ETCシステムの情報セキュリティーのための技術的な特殊性に対応できる専門性までを持っているわけではありません。そういう意味で、両法人は役割が異なるものであると認識しております。

石川委員 時間もそろそろになってまいりましたので、今後時間があったら、このORSEと道路局が所管をするそのほかの非常に類似をしているような法人の問題についてまた質問させていただきたいわけであります。

 最後にもう一度、今回のこの高速道路料金の大幅引き下げと、また重ねての質問になりますけれども、これだけ地域が、特にこれから冬になってまいります。北国はどうしても暖をとるために、灯油には暫定税率はないわけでありますけれども、燃油の高騰に関して、大変下がっているとはいえ厳しくなっている。また、ガソリンの下げに比べて軽油の下げ幅というのが、だんだんガソリンと軽油の値段が近づいてきているぐらいに、軽油の下げ幅がガソリンに比べて小さいんです。運送事業者の方々からすると、やはりまだまだ厳しい現状にあると思われます。

 そうした中、今回の施策では、平日のみ三割割り引き、また深夜、早朝、そのほかの割引は、前回の安倍政権時からの政策がそれぞれ、フシュウではなくて踏襲をされているわけでありますけれども、大臣、今回のこのETCのみ割り引きというのは、もう一度お聞きをしたいんです。七五%のETC非搭載車の方が、あ、自分たちはETCつけた方が便利なんだな、それじゃつけましょうということになるような政策ならわかりますけれども、あくまでも今度の生活対策の中では、今後これからもやはりETC搭載車のみにこの割引は適用していくお考えは変わらないということを最後にちょっとお聞かせを願いたいんですけれども、いかがでございますか。

金子国務大臣 何とか国民の皆さんが、今御指摘のようにETCは便利なんだなということを御理解いただけるように、また、それに向けての施策というのも検討してまいりたいと思いますし、同時に、国民の皆さんが協力し合って渋滞を解消し、温暖化にそれぞれ取り組んでいくんだということも何とか御理解をいただけるようにしてまいりたいと思っております。

石川委員 渋滞はほぼ解消しているようでありますし、二酸化炭素も、また話が堂々めぐりになりますが、影響というものはそれほど大きくないと思います。むしろ、やはり地域で暮らしている方々にとっては、ガソリンや軽油、そういったものをいかに下げてくれるか、そういうことを期待していると思いますので、本当に、地方に住んでいる方々、地域に住んでいる方々にとって生活対策だと思えるものをぜひ打ち出していただきたいということをお願いしまして、私の質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

望月委員長 次回は、明十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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