第1号 平成21年1月9日(金曜日)
本国会召集日(平成二十一年一月五日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。委員長 望月 義夫君
理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君
理事 中山 泰秀君 理事 福井 照君
理事 山本 公一君 理事 川内 博史君
理事 後藤 斎君 理事 高木 陽介君
赤池 誠章君 稲葉 大和君
江崎 鐵磨君 遠藤 宣彦君
小里 泰弘君 大塚 高司君
太田 誠一君 岡部 英明君
鍵田忠兵衛君 亀岡 偉民君
北村 茂男君 佐田玄一郎君
七条 明君 島村 宜伸君
杉田 元司君 長崎幸太郎君
長島 忠美君 西銘恒三郎君
原田 憲治君 藤井 勇治君
松本 文明君 盛山 正仁君
吉田六左エ門君 若宮 健嗣君
石川 知裕君 小宮山泰子君
古賀 一成君 高木 義明君
長安 豊君 三日月大造君
森本 哲生君 鷲尾英一郎君
上田 勇君 谷口 和史君
穀田 恵二君 亀井 静香君
平成二十一年一月九日(金曜日)
午後一時開議
出席委員
委員長 望月 義夫君
理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君
理事 中山 泰秀君 理事 福井 照君
理事 山本 公一君 理事 川内 博史君
理事 後藤 斎君 理事 上田 勇君
理事 高木 陽介君
赤池 誠章君 猪口 邦子君
江崎 鐵磨君 大塚 高司君
岡部 英明君 鍵田忠兵衛君
亀岡 偉民君 北村 茂男君
島村 宜伸君 杉田 元司君
長島 忠美君 西銘恒三郎君
西本 勝子君 葉梨 康弘君
原田 憲治君 藤井 勇治君
松本 文明君 盛山 正仁君
安井潤一郎君 若宮 健嗣君
石川 知裕君 石関 貴史君
加藤 公一君 小宮山泰子君
高木 義明君 長安 豊君
三日月大造君 森本 哲生君
谷口 和史君 穀田 恵二君
糸川 正晃君
…………………………………
国土交通大臣 金子 一義君
国土交通副大臣 金子 恭之君
国土交通大臣政務官 谷口 和史君
国土交通大臣政務官 西銘恒三郎君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 金井 道夫君
国土交通委員会専門員 石澤 和範君
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委員の異動
一月九日
辞任 補欠選任
稲葉 大和君 安井潤一郎君
小里 泰弘君 猪口 邦子君
太田 誠一君 葉梨 康弘君
七条 明君 西本 勝子君
古賀 一成君 加藤 公一君
鷲尾英一郎君 石関 貴史君
亀井 静香君 糸川 正晃君
同日
辞任 補欠選任
猪口 邦子君 小里 泰弘君
西本 勝子君 七条 明君
葉梨 康弘君 太田 誠一君
安井潤一郎君 稲葉 大和君
石関 貴史君 鷲尾英一郎君
加藤 公一君 古賀 一成君
糸川 正晃君 亀井 静香君
同日
理事高木陽介君同日理事辞任につき、その補欠として上田勇君が理事に当選した。
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一月五日
交通基本法案(細川律夫君外五名提出、第百六十五回国会衆法第六号)
離島振興法等の一部を改正する法律案(山田正彦君外七名提出、第百六十九回国会衆法第二八号)
同月六日
平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案(内閣提出第三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国政調査承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案(内閣提出第三号)
――――◇―――――
○望月委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事高木陽介君から、理事辞任の申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に上田勇君を指名いたします。
――――◇―――――
○望月委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
国土交通行政の基本施策に関する事項
国土計画、土地及び水資源に関する事項
都市計画、建築及び地域整備に関する事項
河川、道路、港湾及び住宅に関する事項
陸運、海運、航空及び観光に関する事項
北海道開発に関する事項
気象及び海上保安に関する事項
以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○望月委員長 内閣提出、平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣金子一義君。
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平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○金子国務大臣 ただいま議題となりました平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
地方道路整備臨時交付金の総額は、各年度の揮発油税収の予算額の四分の一に相当する額を限度とするとされております。平成二十年度第二次補正予算により、平成二十年度の揮発油税収の予算額は減少することとなりますが、地方道路整備臨時交付金については、最近の地域経済の状況等を踏まえ、当初予算に計上された交付金の総額を減少させることなく確保する必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
平成二十年度においては、地方道路整備臨時交付金の総額の限度額を、補正後の揮発油税収の予算額の四分の一に相当する額とはせず、当初予算における揮発油税収の予算額の四分の一に相当する額とする特例措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
以上です。(拍手)
○望月委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○望月委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長金井道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○望月委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。奥野信亮君。
○奥野委員 自由民主党の奥野信亮でございます。
今、アメリカで発生いたしました百年に一度と言われる金融市場の混乱、これがヨーロッパ、アジアへ飛び火しまして、本来余り影響を受けないだろうと思われていた日本も大変経済の混乱を来しているというのが今の実態ではないかと思います。
こうしたときに、やはり、昨年の十月末に麻生総理が、生活対策という意味合いで、生活者の暮らしの安全を図るために雇用対策等々いろいろな手を打たなくちゃいけない、あるいは金融の安定化ということを含めて中小企業の経済活性化もしなくてはならない、あるいは地方の力をもっともっと活性化させて元気づけるために地方にお金を回さなくてはいけない、こういうような策が講じられてきたわけであります。
今この日本に必要なことというのは、地方を含めて日本の全国津々浦々にしっかりとしたお金を補給し、そして、経済を含めて全体が元気になるような策を講じることが一番大事なことだろうと思います。
そういう意味で、二十年度の補正予算案第二次分、加えて二十一年度の本予算、これは大変国民の期待している、国民が、日本が死なないための策なんだ、こういうことで理解を深めていると思いますけれども、国会でも、このニーズに沿って、与党も野党もできるだけ早くこの予算というものをしっかりと議論し、決定をし、社会へお金を補給していくということを考えなくてはいけないのではないかと思います。
きょう議論しておりますこの平成二十年度の臨交金特例法案、これは皆さん方御承知だろうと思いますが、昨年、二十年度の予算案を議論したときに、原油先物市場が大変な投機の目的で使われていた、その結果として原油の価格が大変な暴騰を来していた。そうしたときに、一時的に、暫定税率というものを少し考え直して、本則税率に戻ってやった方がいいのではないかという世論の力が大きかった。そのこともあって、予算案が三月の末までに通らないで、結果として一カ月間暫定税率が本則税率に戻った、こんな事態が起こったわけであります。
そして、発生したのが揮発油税の減収という問題であります。そしてその後、国民の経済感覚といいましょうか、消費に対する考え方が少しずつ変わってきて、ガソリンを無駄に使うということに対する戒めといいましょうか、そういう考え方が出てきた。そして、その結果として、揮発油税の全体の徴収額も、この二十年度は予定していたよりも少なくなるのではないか、こんなことが予想されているわけでありまして、こういったものを、地方の道路を整備する上でやはり必要だという認識から、この法律案をつくっているわけであります。
地方の道路整備というのは、地方の底力を発揮していく上で欠かせないものであろう、こういうふうに私も認識しております。地方の町に活気と勢いを呼び戻して、災害に強くて安全な地域づくりを進める上では、道路整備を着実に進めることが重要でありまして、産業の誘致等で地域の経済基盤を強化し、地域が自立発展する機会を確保するためには、高速道路などの高速交通体系の整備も重要であろうと思います。私の地元であります奈良県でも、京奈和自動車道を初めとした基幹ネットワークの早期整備を待ち焦がれております。
一方で、地方には、救急車のすれ違いができないような道路とか、あるいは、子供さんたちが通学のために歩道を使いたいんだけれども歩道もない、そんな地域もあります。大雨のたびに通行どめが発生して集落の孤立が発生する地域など、国民の日常の安全、安心な暮らしが確保されていない地域があることも事実であります。
地方にとって必要な道路整備とは、高速道路の整備だけではなくて、このように、日々の生活に直結した身近な生活道路の整備をあわせて推進していくことではないかと思います。
これまで地方の身近な道路整備を支援してきたのは、地方道路整備臨時交付金であろうかと思います。この交付金については、昨年末の一般財源化に関する議論の過程でも、全国各地から、制度の枠組みを維持してほしいという大きな意見が出されました。このことは、交付金が地方の道路整備を推進する上でまことに有効な制度であるということのあかしであろうかと私は思っております。
そこで、国土交通省に一つお尋ねします。簡単で結構でありますが、地方道路整備臨時交付金というのは、どんな制度であって、どのように活用されているかを説明していただきたいと思います。
○金井政府参考人 地方道路整備臨時交付金の概要について御説明を申し上げます。
地方道路整備臨時交付金は、今御指摘ございましたとおり、地域の生活に密着した道路整備を推進するために、地域のニーズに応じて、地方団体にパッケージとして一括交付される交付金でございます。
この交付金でございますが、例えばメニューとしましては、高速道路のインターチェンジができるのでそのアクセス道路を重点的に早急に整備しなければいけない、もしくは、総合病院ができるのでそのためのアクセス道路を重点的に整備しなければいけないというような大きなパッケージとしてもお使いいただけますし、今御指摘いただいた身近な道路整備という観点からいきますと、例えば、歩道の整備であるとか老朽橋のかけかえ、橋梁の耐震補強、道路の側溝の整備、街路樹の整備、街灯の整備、こういった非常に身近なことに至るまで自由に地方自治団体によって活用していただいて、道路整備の推進に資するものであるというふうに考えております。
また、本年度から、地方公共団体の財政力に応じまして国費の割合を引き上げる、補助率の割合を引き上げるという措置も講じさせていただいておりまして、財政状況が厳しい自治体においても道路整備の着実な推進を図る制度というふうに言えるのではないかと思っております。
なお、平成二十年度におきましては、全国で大体千二百の地方公共団体、全体の約三分の二の地方公共団体でこの制度を活用していただいて、道路整備を推進していただいておるというふうに認識をいたしております。
○奥野委員 今言われた中で、私も非常に気になったんですが、地域に人数比とか面積比とかということで単純に配賦するのではなくて、ぜひ、地域の財政力を見て、財政力の弱いところには膨らませて出していただくのが一番いいのではないかなと思います。
今お話しいただきましたように、現行の臨時交付金は、原資として揮発油税の四分の一を充てるということになっております。先ほども申し上げましたが、昨年の四月には揮発油税収の暫定税率が一時的に失効するなど、国費約六千八百億円の当初予算を当てにして、地方公共団体の中には当初計画どおり必要な道路を進めるところが多々あるわけであります。いかなる状況になろうとも、このように国会審議の影響を地方がこうむるといった事態が発生することは、断じてあってはならないことだろうと思います。
また、昨今の極めて厳しい地方の経済雇用情勢を受けて、道路整備を初めとする公共事業の執行の前倒しや追加によって雇用機会の創出に取り組んでいる地方公共団体もあるわけでありますから、当初予算の全額執行を担保するためのこの法律案が成立しない場合は、地方には大きな影響が出てしまうということが危惧されるところであります。
そこで、そもそも、今回のような措置がこれまでに講じられたことはあるのか、また、この法案が成立しない場合、具体的にどんな問題が地方に生じてくるのか、御説明をいただければと思います。簡単で結構であります。
○金井政府参考人 地方道路整備臨時交付金、昭和六十年に創設をされた制度でございます。それ以降につきまして、増額もしくは減額の補正というものが行われたことはございません。それ以前でございますと、昭和五十五年に第二次石油ショックの関連で揮発油税収を減額補正したという事例はございますが、今申し上げましたとおり、地方道路整備臨時交付金創設以降は、そのような減額補正もしくは地方道路整備臨時交付金について特例措置を講じたという事例はございません。
今回法案を出させていただいた趣旨でございますが、先ほども御指摘ございましたとおり、地方道路整備臨時交付金の総額の限度額が、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律によりまして揮発油税収の予算額の四分の一以内とされておりますので、第二次補正予算において揮発油税収の予算額が減額補正されるということになりますと、本交付金についても減額補正が必要となるところでございます。
今回、二千二百九十億程度減額補正がされるということになりますので、この額が非常に大きな額でございまして、既に地方公共団体に交付した額もしくは減額補正後の予算額を非常に上回る大きな額でございますので、本法案が成立しない場合、既に交付済みの交付金の一部を地方公共団体から返していただくということも場合によっては必要になるのかなというふうに考えております。
したがいまして、今御指摘いただきましたとおり、非常に地域は厳しい状況でございまして、雇用、経済に対する活性化という面からも公共事業予算の的確な執行が要請されておりますので、このような情勢にかんがみて、地方道路臨時交付金につきましても当初どおりの配分をお願いするような法案を出させていただいたというのが趣旨でございます。
○奥野委員 日本の経済状況というのは皆さん御案内のとおりでありますから、今局長の御答弁がありましたように、できるだけ地方の雇用対策にもつながる話、中小企業対策にもつながる話でありますから、ぜひ皆さん方の御理解をお願いしたいところであります。
さて、昨年十二月八日に道路特定財源に関する政府・与党協議会、道路特定財源に関する関係閣僚会議合同会議が開催されました。そのとき、話題になっておりました道路特定財源の一般財源化について、政府・与党で合意がなされたわけであります。
道路特定財源の一般財源化というのは、半世紀にわたり継続してきた制度を廃止するという大変画期的なものでありまして、また、特別会計に直入されていた地方道路整備臨時交付金の廃止は、特別会計改革にも資するものであろうかと思います。あわせて、道路整備費の見直しを行うとともに、道路を中心に、関連する他のインフラ整備やソフト事業も含め、地方の自由度を高めた一兆円の地域活力基盤創造交付金という名前で平成二十一年度予算について創設することになっております。
これも、いろいろ国会の中で与野党が議論して、一般財源化の議論をし成果を導いたわけでありますから、特にこの交付金は、道路整備以外に使えなかった現行の地方道路整備臨時交付金とは違って、一般会計から出るわけでありまして、道路に関連する事業その他にも使用できるわけでありますから、これまでよりもはるかに使い勝手がよくなる、まさに一般財源化ということであります。
道路特定財源の一般財源化により、道路に関連する予算は不要であるようなこと、そんな議論もありますけれども、やはり、救急医療への対応や企業誘致、観光振興、地域経済の活性化のために、地域にとって必要ないろいろな道路、生活道路を含めたいろいろな道路を効果的に整備することについて強い要望が地域ではあるわけであります。
このような要望、地域の声は、私の地元であります奈良、特に奈良県は道路は全国一おくれている県でありますけれども、いまだに全国至るところにあるものでありますので、これはぜひ具体的に一般財源化の中でもしっかりとしたシステムを組み立てることが肝心ではないかなと思います。
ぜひ、今回の政府・与党合意に基づきまして、必要な措置を講じて、地域において必要な道路整備を効果的に進めていただきたいと考えておりますけれども、その前提として、私は、道路特定財源の一般財源化とは、これまでの揮発油税収等の使途の義務づけをやめて、予算査定によって、他の予算項目との比較においてニーズ、緊急度等を判断しながら必要な予算をつけていく、そういう考え方だろうと思います。この点について、金子大臣の御見解をお伺いしたいなと思います。
○金子国務大臣 奥野委員御指摘のとおり、従来は、道路整備費の財源等の特例に関する法律、つまり財特法と従来言っていますけれども、ここで、特に三条で、揮発油税収を道路整備に充てなければならないとしていたものを今般外させていただくということで、道路関係の今までの財源が道路関係諸税と切り離されることになります。
また、今御議論ありました地方道路整備臨時交付金、これも、今申し上げました財特法五条で、揮発油税収の四分の一をこれに充てるとしていたわけでありますけれども、それも今度は廃止をいたしました。その結果として、新しい地域活力基盤創造交付金という制度をつくらせていただきました。
ただ、これは基本的に、今まで地方臨時交付金というのは、予算のシーリングの外、これは道路財源があったがゆえの措置でありますけれども、シーリングの外で措置しておりましたけれども、今度新たにつくりましたこの地域活力基盤創造交付金というのは、全部一般財源としてシーリングの中で、財政規律に従って毎年毎年つくり上げていくという制度であります。
しかし、一方で、これを一般財源化というのを議論しておりましたときに、私も全国の市町村長、あるいは知事、あるいは議会の皆様方からお話、御陳情、地域の実情をお伺いいたしましたのは、やはりそれぞれの地域の道路というのを非常に継続的に、時間をかけながら、かからざるを得ない、したがって、必要な道路を地方でつくっていく上で、安定した財源を道路に向けられる枠組みをぜひつくってほしいというのが全国から寄せられました。
そういう意味で、道路に使える財源そのものは非常に厳しい状況にさらされておりますけれども、そういう中であっても、地方の自治体の真に必要な道路をつくっていくという御期待にこたえられる最低限の枠組みは確保できたのかなと。特に、今委員お話ありました、奈良の市町村長や知事さんも含めて本当に御熱心においでになっておられますけれども、奈良だけじゃなくて、全国それぞれの地域のそういうニーズに地道にこたえられるようにしていきたいと思っております。
○奥野委員 道路財源はすべて一般財源化するということになりました。私の解釈は、一般財源化というのは、税金を特別会計にほうり込んですべてが道路に使われるということじゃなくて、一般会計の中に入れて、一般会計の中から必要な道路をつくるという考え方に変わるわけであります。しかしながら、そこにはやはり地方も、あるいは日本全体を見て、道路は必要なインフラなんだということをみんなが認識して、それぞれお互いに納得するような道路整備計画というものをつくっていくことが、一般財源化されたときの道路費用をどれだけ要るかということを考えるという上では、一番大事なことだろうと思います。
今の大臣のお答えで、必要な財源はしっかりととるぞ、こういう御発言の趣旨もあったように思います。さまざまな努力を重ねて必要な道路整備を着実に進めていかれる方針をお聞きしましたので安心しておりますが、私がもう一つ懸念していることは、既存道路の老朽化の問題であります。
今月アメリカ合衆国大統領に就任するオバマ氏も、演説の中で、ぼろぼろの道路や橋梁では中国やヨーロッパと、日本も含めてでしょうが、張り合っていくことはできないとして、道路や橋の建設、修繕など、全米で一九五〇年代以来最大規模の景気対策を準備されていると報道されております。
道路整備がおくれている、あるいは老朽化しているという状況では、地方は、必要な地域戦略、将来ビジョンを描くことすらできません。私は、これまでに整備された多くのストックを従来にも増して適切に維持管理し、必要に応じて更新をしていく必要があると考えておりますけれども、これが道路特定財源の一般財源化の影響を受けて進まなくなることがないように、国土交通省も地方との連携を一層強化して、必要な道路計画というものをしっかりと組み立てていただきたいな、こう思っておりますが、この点について、国土交通省の御見解がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
○金井政府参考人 お答えいたします。
ヨーロッパ、アメリカにおきまして、老朽橋、古くなった構造物のメンテナンスで非常に大きな問題を抱えておるというのは御指摘のとおりでございまして、例えばアメリカに関して言いますと、新設、改築に関する予算より、既にいわゆる維持更新に関する予算の方が大きくなっているというような状況であると承っております。
我が国におきましても、かなりの構造物が高度経済成長期につくられておりますので、現時点では、例えば五十年以上経過した橋梁というのは一〇%に満たないわけでございますが、二十年後で計算してみますと、既に半分近い橋梁が建設後五十年を経過するというようなことで、近々、確実に維持更新の時代に入っていくのではないかというふうに考えております。
維持更新に当たりまして一番重要なのは、場当たり的に補修をする、更新をするということよりは、事前に十分予防保全といいますか、事前に手を打ちまして、施設の健全性をちゃんと確保しつつ、長寿命化、ライフサイクルコストの縮減を図るということが一番重要かと思っておりまして、この点、十分な計画性、それから技術力が必要であるというふうに考えております。
一方、現実に自治体、特に市町村の現況を見ますと、市町村のうち、調べてみますと、やはり九割程度は適切な点検はまだ行われていないということで、人材も不足しているということで、今後、さっき御指摘がありました予算の確保ということと、そういったものに対応する人材の確保というものが一番大きな課題になるのではないかというふうに考えております。
したがいまして、一般財源化された後においても、こういったもの、いわゆる維持更新に関する必要な予算の確保ということは重要でございますし、ぜひ、自治体におかれて、新たに創設される地域活力基盤創造交付金も十分御活用いただいて、予防保全ということに的確に取り組んでいただきたいと思いますし、私どもも、技術力の点で自治体を御支援できるように最大限の努力をして、予防保全に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
○奥野委員 今お話ありましたように、やはり、地方のいわゆる技術力なりあるいは知恵の出し方、必ずしも十分でないところがあると思います。国土交通省はそれなりの経験と実力を持っている組織でありますから、ぜひ、地方と一体となって、きっちりと将来の道路計画というものを詰めていただきたいな、こんなことを感じております。
最後に、地方の道路整備の必要性についてでありますけれども、地方は、先ほど来申し上げているとおり、極めて厳しい経済状況に直面している中で、地域活力を掘り起こし、地域経済の立て直しを図ろうと一生懸命必死になっているのが今の実態ではないかと思います。この際、やはり、経済活動の基盤となる社会インフラ、特に道路整備は必要不可欠な社会資本であり、それを整備することは今喫緊の課題ではないかと思います。
私の地元の奈良県でも、地域の活性化や救急医療施設へのアクセス向上を図るために、京都、奈良、和歌山を結ぶ京奈和自動車道を国において整備中でありますけれども、こうした高速道路のインターチェンジ、学校や病院、工業団地へのアクセスなど、地方で生活する上で安全、安心な道路は必要不可欠であります。地域が元気を出して底力を発揮していくためには、活動の基盤として、また地域の安全、安心を守る社会インフラとして、道路整備が生命線になると考えておりますけれども、改めて大臣に、今後の地方の道路整備に対する決意をお伺いしておきたいと思います。
○金子国務大臣 活力ある地方を創出するためには、様々な活動の基盤となります道路が果たす役割は大変大きいものがあると思います。
麻生内閣でも、今度の予算でもそうでありますが、地方というのを一つの大きな柱にしております。来年度予算も含めて、あるいは今度の地域活力基盤創造交付金につきましても、地方に道路あるいは今お話ありましたインターチェンジ等々にも関連事業として使っていただきながら、必要な道路を御期待にこたえるような整備ができるようにしていきたいと思っております。
○奥野委員 大臣の道路に対する執念といいますか御意見をお伺いして、私も安心いたしました。
奈良県というところは、先ほどもちょっと触れましたように大変道路整備のおくれている地域でありまして、これからもぜひ御支援を心からお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○望月委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十二分散会