衆議院

メインへスキップ



第5号 平成21年3月17日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十一年三月十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君

   理事 中山 泰秀君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 上田  勇君

      赤池 誠章君    稲葉 大和君

      江崎 鐵磨君    遠藤 宣彦君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    太田 誠一君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      亀岡 偉民君    木村  勉君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      七条  明君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    徳田  毅君

      永岡 桂子君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      西本 勝子君    藤井 勇治君

      馬渡 龍治君    松本 文明君

      盛山 正仁君    安井潤一郎君

      吉田六左エ門君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    高木 義明君

      長安  豊君    松原  仁君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    江田 康幸君

      高木 陽介君    谷口 和史君

      穀田 恵二君    下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 久保田誠之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阪本 泰男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           及川  桂君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道上 浩也君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齊藤 政満君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 本部 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  伊藤  茂君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 柏木 順二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     永岡 桂子君

  稲葉 大和君     木村  勉君

  小里 泰弘君     安井潤一郎君

  亀岡 偉民君     小川 友一君

  佐田玄一郎君     馬渡 龍治君

  七条  明君     西本 勝子君

  原田 憲治君     徳田  毅君

  石川 知裕君     松原  仁君

  高木 陽介君     江田 康幸君

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     亀岡 偉民君

  木村  勉君     稲葉 大和君

  徳田  毅君     原田 憲治君

  永岡 桂子君     赤池 誠章君

  西本 勝子君     七条  明君

  馬渡 龍治君     佐田玄一郎君

  安井潤一郎君     小里 泰弘君

  松原  仁君     石川 知裕君

  江田 康幸君     高木 陽介君

  下地 幹郎君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

三月十三日

 道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君、自動車交通局長本田勝君、海事局長伊藤茂君、航空局長前田隆平君、総務省大臣官房審議官久保田誠之君、総務省大臣官房審議官阪本泰男君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、厚生労働省大臣官房審議官及川桂君、農林水産省大臣官房審議官道上浩也君、農林水産省農村振興局整備部長齊藤政満君、資源エネルギー庁次長本部和彦君、環境省大臣官房審議官柏木順二君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君及び防衛省大臣官房長中江公人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。徳田毅君。

徳田委員 おはようございます。自由民主党の徳田毅でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 平成十六年に改正をされたこの奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法が本年三月三十一日に期限切れを迎え、そうした中で、奄美にとってはこの改正、延長というものが最大の政治課題でありましたが、与野党の先生方の御尽力により審議に入っていただきましたことを本当に心から感謝申し上げたいと存じます。また、私の二区の地元でもあり、ふるさとでもあるこの奄美群島にかかわる重要な法案ということで、本日は、このように質問の機会をいただきましたことをあわせて心から感謝申し上げたいと存じます。

 私は、衆議院議員として活動をさせていただくようになりましてから三年になります。そうした中で、徳田が奄美だということはたくさんの先生に御理解いただいているのですが、たまに先輩方から、沖縄は暑いか、また、奄美は沖振があるから景気はいいだろうというような声もかけていただきます。そうした声を聞くときに、奄美自体が、そして奄振の重要性というものがなかなかまだ御理解いただけていないのかなと感じることもあります。

 そこで、奄美にとってこの法案がどれほど重要なものなのか、そしてまた、奄美においては沖縄との格差ということが強く意識されるわけですが、その辺を歴史的な観点から少しお話し申し上げたいと存じます。

 もともと、奄美は琉球王国に従属をしていました。奄美独自の伝統文化が存在する一方で、現在も与論島や沖永良部といった地域におきましては、沖縄と同じ「かぎやで風」、これは西銘政務官もよく御存じだと思いますが、お祝いの席では祝舞として踊られるなど琉球文化が色濃く残り、今も受け継がれています。

 一六〇九年、慶長十四年になりますが、薩摩藩が琉球侵攻を行い、そうした中で、奄美も琉球と同時に薩摩藩の直轄植民地となりました。くしくも本年で四百年目を迎えるわけですが、以後、明治維新後の廃藩置県までの二百六十年間、黒糖収奪と貧苦の歴史が続きます。

 一時は平穏な時代が続くものの、昭和二十年の終戦後には米軍が進駐、そして翌年の昭和二十一年二月二日、連合軍最高司令部の日本の領域に関する覚書により行政分離がなされ、北緯三十度以南の奄美、沖縄は、ともにアメリカの統治下に置かれました。奄美では、爆撃や艦砲射撃による戦争の傷跡が多く残る中、その上、たび重なる台風や、そしてまた疫病、さらには、行政分離から鹿児島からの物資の輸送というのができなくなりまして、物資が不足した、そうしたことから飢餓という貧苦の時代が訪れます。

 そうした中、奄美では祖国の復帰運動というものが起こります。祖国復帰の父と言われる泉芳朗氏を議長に奄美大島日本復帰協議会が発足しまして、全島において組織的な運動が広がりました。昭和二十七年には、市長に就任された泉芳朗氏が吉田茂首相や当時のアメリカ大使に要望活動を行い、また翌年には、ルーズベルト夫人が日本に来日した際に、奄美の婦人代表の二人が福岡において陳情を行うなど活動を展開しまして、そして昭和二十八年十二月二十五日、奄美は祖国復帰をかち取ることができたわけであります。

 沖縄は昭和四十七年に祖国復帰を果たすわけですが、奄美はいち早く復帰をしたことから、現在、鹿児島県に入ります。しかし、このように同時に薩摩藩やアメリカ軍に支配されてきた歴史的観点から、奄美群島民が隣接する沖縄というものを大きく意識する。与論からは実際にそばに島が見えるわけです。だからこそ、沖縄というものが大変近い存在であり、また、格差があることから遠い存在だということをどうか御理解いただきたいと存じます。

 そうして復帰した翌年の昭和二十九年六月二十一日に奄美群島復興特別措置法というものが制定され、そして、以後五十五年間にわたり、法に基づく特別措置が講じられてまいりました。

 最初に御質問させていただきたいと思いますが、この五十五年間の特別措置においての復興事業というものに対してどのように評価しているか、お答えいただきたいと存じます。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 奄美群島地域におきましては、ただいま先生から御指摘いただきましたように、特別措置法が制定されまして、同法に基づきます振興開発計画によりまして、自立的発展、住民の生活の安定等を目的として、積極的にこれまで支援を行ってきたところでございます。

 この結果、奄美群島地域におきましては、振興開発計画に基づいて、道路、港湾、かんがい施設など生活基盤や産業インフラの整備が着実に進捗し、島民の皆様方からも一定の評価を得るなど、相応の成果を上げていると考えております。

 今後、奄美群島の自立的発展をさらに促進していくためには、沖永良部の地下ダムなどの必要なインフラの整備に加えまして、地域住民等多様な主体による地域活性化の取り組みの定着と、Uターン、Iターン者を含めました就業の促進を図っていくことが必要不可欠だと認識をいたしております。

 このため、引き続き、法に基づきます特別措置を講じますとともに、一層の地域の自立的発展の促進のため、新たに、住民、事業者、NPOなど地域の関係者間の連携協力の確保と就業の促進を、今回、基本方針及び振興開発計画に盛り込むこととしているところでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

 確かに、奄美はこの法に基づく特別措置により、飛躍的な発展をインフラ整備という部分では遂げることができたと思います。生活基盤や産業基盤、社会資本、また教育環境と、さまざまな部分で整備をされ、それと同時に奄美経済の水準が向上してまいりました。そうしたことにかんがみると、この特別措置法によって多大な効果を上げられたというふうに思います。

 しかし、その一方で、現在も鹿児島や隣接する沖縄との格差が存在いたします。例えば、平成十七年度の一人当たりの郡民所得は百九十七万三千円でありまして、これは鹿児島の県民所得とは八六・八%、そして、一人当たりの国民所得との格差は六八・六%であります。二月一日現在の有効求人倍率は〇・三一と、極めて低い数字であります。

 また、このように島ではまだまだ仕事がない、所得も低いということから、若い人たちが島から出ていく、そうしたことから人口減少というのが大きな問題になっています。昭和二十二年の国勢調査では二十二万二千七百七十九人という数字が残っておりますが、しかしながら、これが現在、十二万九百七十六人と、約五四%まで減少している。

 まず最初に、こうした課題を克服するために、これからどのような方針に基づいて奄美群島における振興を図っていかれるのか、お伺いしたいと思います。

 そしてまた、奄美群島振興開発特別措置法は、沖縄振興法や離島振興法と違い、十年という期限ではなく五年という時限立法でありますが、今後の五年間でどのように奄美群島の基礎的な条件を図り、そして、うたわれている自立的発展等の目的を達成できるのかをお答えいただきたいと存じます。

金子副大臣 徳田先生においては、日ごろから、お父様のふるさと、そして先生のふるさと奄美のために積極的に御提言をいただき、また、この施策について御尽力いただいております。心より感謝申し上げます。

 また、今、苦悩の奄美群島の歴史についてお話がございました。本当に、この法律の重さ、重要さというものを改めて認識させていただいたところでございます。

 今、局長からも先ほど答弁をしましたように、奄美群島の自立的な発展を促すために、総合的かつ戦略的な諸施策の実施が必要である。そのためには、引き続き、ハード施策とソフト施策を一体的に実施することが必要であると思っております。

 ハード施策につきましては、奄美群島内の均衡ある発展という観点から、引き続き社会資本整備を各島におきまして進めていく必要があると考えております。また、ソフト施策につきましては、ハード施策の効用を最大化するために、産業の活性化、人材の育成、二地域居住等の地域間交流の促進を図りまして、奄美群島の魅力の増進を図る必要があると考えております。

 奄美群島におきましては、過去五年間の振興開発によりまして、自立的発展に向けた芽生えが見られるところであります。今後五年間の施策の総合的かつ戦略的な実施によりまして、奄美群島の自立的発展等の基礎となる、特に本当におくれていると思います社会資本整備や人材の育成を図り、持続的な発展が可能な環境を整備してまいりたいと思いますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。

徳田委員 ありがとうございました。

 本当に、この法律によって、これから私たちは自立的発展というものに取り組んでいかなければならないわけですが、やはり、自立的な発展をしていくためには、島の特色を生かした産業をしっかりと確立させていく。今は、せっかくいただいているこの特別措置法による予算を産業の確立に効果的に、有効に活用していくことが求められているんだということを思います。

 それでは、これからの奄美振興において不可欠な三つの産業について、個別具体的にお伺いさせていただきたいと思います。

 まず最初に、農業についてお伺いします。

 奄美振興にとって、農業というのは柱であります。特に、東京や大阪などと直行便でつながっていない小さな島々にとっては農業がやはり主でありまして、そして、奄美の農業においては、長年にわたり水との闘いでありました。

 そうした中、先ほども御答弁にあったとおり、沖永良部のダム、また徳之島でも今事業が進められているところでありますが、この徳之島の工期は平成二十三年、そして沖永良部が平成三十年になります。このダムが完成することにより、生産が向上され、そして、島における、奄美における農業生産額も本当に底上げになると期待しているわけですが、やはり一日も早い自立を促していくためには、こうした事業の前倒しというのが必要ではないかということを思います。

 そしてまた、この事業と並行して行われる附帯県営事業は、徳之島が、ダムの完成は二十三年なんですが、実は、附帯事業は平成三十九年までかかります。沖永良部では、平成三十年でダムが完成しますが、附帯事業は三十六年までとなっている。せっかくダムが完成しても、例えば、かんがい排水がしっかりと行き渡らなければ水は届かないということになります。

 なぜこのようなタイムラグが起こるかといいますと、やはり鹿児島県の厳しい財政状況にあるんだと思います。国として、こうしたところに補助率のかさ上げや予算の確保ができないものかと思いますが、見解をお伺いしたいと存じます。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国営土地改良事業徳之島用水地区は、約三千五百ヘクタールの畑を対象として、ダムを築造するとともに用水路を整備し、かんがい用水を確保することを目的として実施するものであります。

 また、国営土地改良事業沖永良部地区は、約千五百ヘクタールの畑を対象として、地下ダムを築造するとともに揚水機場及び用水路を整備し、かんがい用水を確保することを目的として実施しているものであります。

 このうち、徳之島用水地区は、平成二十三年度までの工期を予定しており、ダムの築造が平成二十二年度に完了見込みであり、その後、ダムの試験湛水を実施し、完成に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。

 また、沖永良部地区は、平成三十年度までの工期を予定しているところでございますが、既に平成二十年度には地下ダム工事に着手するなど、順調に事業を推進しているところであり、可能な限り工期の短縮に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、附帯事業として、県営畑地帯総合整備事業を徳之島十七地区、沖永良部十三地区で実施しており、それら関連事業の進捗率は、平成二十年度の金額ベースで、徳之島では二〇・八%、沖永良部では三一・五%となっております。

 これらの事業の補助率につきましては、奄美群島振興開発特別措置法に基づき、例えば、県営畑地帯総合整備事業においては、内地での二分の一に対して奄美では三分の二となっているなど、かさ上げが措置されております。

 また、予算確保につきましては、県、市町村等の要望を十分お聞きしまして、重点的な予算措置を行っているところであり、今後とも、早期に効果が発現するよう配慮してまいりたいと考えております。

徳田委員 可能な限り短縮を図っていただけると、大変ありがたい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。(発言する者あり)可能な限りというのは、やらないことなんでしょうか。

 実は、今、先ほど奄美の人口が十二万一千人弱だということを申し上げましたが、大体一年間で千七百人ペースで人が減っていっているんです。ですから、平成三十年となると、三十六年であるとかそういうことになると、もう十万人を切ってしまっていると言っても過言ではない。そして、奄美本島は大きいんですが、沖永良部や徳之島というのはさらに人口が少ないところであります。そうしたときに、もし少子高齢化というものが進んで労働人口がいなくなった場合、これだけの施設が整っていても、農業もなかなか進まない。だからこそ、このことをどうか前向きに考えていただければというふうに存じます。

 次に、情報通信についてお伺いしたいと思います。

 最近の沖縄においての情報通信産業の発達というものには目をみはるものがあり、これにより、情報通信産業というものは、基盤さえしっかり整えば、整備させれば、地理的不利性のある離島にとっても十分成り立つ可能性が大きい産業であることが証明をされています。このため、ハード、ソフト両面での基盤整備は不可欠でありまして、特に、光ファイバー網の整備が重要であります。

 奄美の幾つかの地域、これは沖永良部の和泊町や与論町、そして名瀬市中心部、そうした地域にだけは、今、自治体による光ネットワークの整備が国の支援を受けて進められておりますが、こうした動きを加速していくためには、やはり、これにおきましても情報通信基盤整備のための補助率というものもいま一度考えていただきたい、また、予算においてもしっかりと確保していただきたいと思います。

 国は、こうした自治体の要請に対して十分にこたえられるかどうか、お伺いしたいと存じます。

阪本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、情報通信基盤は、地域住民の生活の利便性の向上はもとより、地域の産業振興にも恩恵をもたらし、地域活性化に寄与するものと認識をいたしております。

 こうした観点から、総務省といたしましては、情報通信基盤を行います地方公共団体等に対しまして、地域情報通信基盤整備推進交付金、いわゆるICT交付金等により支援を行わせていただいております。

 具体的には、ICT交付金につきましては、本年度、予算措置をさせていただきまして、当初予算と合わせまして百六十七億円を計上させていただいております。また、平成二十一年度予算案におきましても、対前年度比約三割増の約七十九億円を計上させていただいております。

 奄美群島に関しましては、先ほど先生の御指摘がございましたように、与論町、和泊町等に対しまして約二・九億円の交付金を交付させていただいておるところでございます。

 今後、これらの予算を着実に執行することによりまして、情報通信基盤の一層の整備を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 予算の補助率のかさ上げなどの御指摘につきましては、今後、ブロードバンド整備を加速していくためにはどのような方策がとり得るのかということにつきまして、関係省庁とも相談をしながら検討させていただければと思っております。

 よろしくお願いいたします。

徳田委員 ありがとうございました。

 与論町では、南町長という方が大変頑張っておられまして、ブロードバンドまた光ファイバーというものがしっかり整備されれば来てくれるという企業も既にもう見つけているそうです。このように、本当に、離島においてもこれだけしっかりと整備されればそういう企業誘致でさえも見込めるということですから、どうか力強く取り組んでいただけますようによろしくお願いしたいと存じます。

 さて最後に、航空運賃についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 航空路線というものは、航路と同じく島民にとっては生活路線であり、さらに観光振興を図る上で重要な要素となっています。しかしながら、この航空運賃が、沖縄と比較しても割高である、また全国的にも大変高いということから、島民生活の向上または観光振興の大きな阻害要因になっています。

 この改正が行われてきた平成十一年、そして平成十六年の会議録を拝見いたしますと、やはりこの航空運賃についての議論が行われています。しかしながら、これだけ毎回問題提起がなされているにもかかわらず、沖縄との格差というのは拡大しています。

 郡民所得は、先ほども申し上げましたとおり、百九十七万円ぐらいと、この水準はこの十年間、変わっておりません。しかしながら、航空運賃は、平成十一年、羽田―奄美間が三万四千二百八十円でした。これが、十六年には三万九千五百円、そして現在は四万六千二百円まで高騰しております。

 こうした高騰する原因としては幾つかのことが考えられると思いますが、まず一つ目に、航空分野においては、平成十二年に航空法の改正により規制緩和が行われました。ここで、路線の設定や撤退、または、航空運賃が認可制から事前届け出制になるなど、航空会社の経営判断にゆだねられることになりました。

 この規制緩和によって、競争の促進がなされ、サービスの低廉化または多様化が進んだ面はありますが、運賃格差の存在やローカル線の減便、廃止など問題点も指摘されています。これは本当に、例えば東京―大阪といった便は競争も激しくなり、そういった意味では価格は抑えられてきた部分はあるかもしれませんが、奄美便などというところは、やはりこの規制緩和の負け組になっていると言っても過言ではないんだということを思います。

 今、この規制緩和からちょうど十年がたちます。十年近く経過した現時点において、いま一度この航空分野における規制緩和がもたらしたものについて検証を行う必要があるのではないかと存じます。

 もう一つ。今、離島航路の維持のために、運航費や機体購入費の補助または着陸料や航空燃料税の軽減措置を行うなど、相応の配慮をいただいております。しかしながら、こうした航空運賃が大変高いという現状を踏まえて、今後、例えば航空燃料税を沖縄並みに軽減するということなど、航空行政において国がどのような役割を果たしていくことが適切かということについてもあわせて議論していく必要があるんだと思いますが、いかがでしょうか。見解をお伺いしたいと存じます。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空分野の規制緩和、これは先生御指摘のとおり、平成十二年に行われまして、これによって、基本的には路線でありますとか運賃でありますとか、航空会社の経営判断に任されることになったわけでございます。これについて、先生が御指摘のように、功罪相半ばしておるという認識でおります。

 一方で、運賃全体の低廉化というのは全体としては進んだわけでございますけれども、地域による運賃の格差の問題、あるいは、昨今のように非常に景気が低迷してきた際には減便とか運休とか、こういったものが随所で行われるというような現象が出てきておりまして、これについて、やはりあくまでも航空会社の判断ということでございますので、なかなかこの実態を国として改善するのは難しいというような現状になっている、これも御指摘のとおりでございます。

 それから、航空機燃料税あるいは着陸料その他、これを通じて私どもとしてもいろいろな地方路線の維持に向けて努力をしてきたというのも事実でございます。ただ、これが十分であるかどうかといったことについては、これも従来からいろいろと議論が行われていることでございますので、規制緩和から大分時間もたっておりますので、規制緩和の功罪、これについての分析を行うとともに、国がこれからどのようなことを行っていくべきかについても十分な議論をさせていただければ、かように思っております。

徳田委員 ありがとうございました。

 確かに、現在、航空会社の運営というのは大変厳しいということを聞いておりますし、そうした中で会社の方としても努力をしていただけているんだと思います。

 しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、所得が百九十七万円ぐらいなんです。そこで四万六千円ぐらいの航空運賃というのは余りにも大きな負担でありますし、また、先ほどから申し上げてまいりましたように、奄美も自立をしたい。自立をするためには、交流人口が見込めるこの観光というのは可能性があるんだと思いますが、こうした航空運賃がやはり大きな阻害要因になっている。だからこそ、国として何をしていかなければならないのかということを、先ほど、十分ではないかもしれませんがということがありましたが、実際に十分ではないものですから、そこをいま一度考えていただければということを思います。

 きょうは、本当にありがとうございました。大変短い時間ではありましたが、しかし、こうした幾つかの質問を通じて、奄美がたどってきた苦難の歴史、そして今置かれている極めて厳しい現状を少しでも御理解いただけたら大変幸いに思う次第であります。

 昨年の六月二十四日、奄美振興会館におきまして、奄美開発特別措置法延長に向けての郡民総決起大会が、島民二千人が結集し、開催されました。そこには、当時の冬柴国土交通大臣も御出席を賜り、そして、自民党、公明党、そして民主党からは委員である川内博史議員にも、そして社民党、共産党からも参加をいただきました。この改正延長と内容の充実というものは、島では政党を超えてすべての群島民の総意であるということを、どうか国政におきましても御理解を賜りますようにお願い申し上げて、まだ時間が余っていますが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

望月委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 奄美の徳田先生に引き続きまして、この奄美群島の振興開発特別措置法の改正について質問をさせていただきます。

 私ども公明党も、この奄美振興については、党内で奄美ティダ委員会というものをつくりまして、長年にわたってこの奄美の自立発展を応援してまいったところでございます。

 奄振法、これは大変重要な法律でございまして、これからの奄美の振興、発展、自立に向けて大変重要な改正となる、また延長となるものでございます。本委員会において、また、早急にこの国会において延長が実現できますように、心から願うものでございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 奄美群島の振興開発のための法律は、昭和二十九年の法制定以来、五年ごとに延長されました。法律の名称は多少変わったわけでございますけれども、振興計画は国の計画としてなされてきたわけでございます。五年前の改正で、この振興計画は県の計画と変更されました。また、「自立的発展」という文言が第一条の目的規定の中に挿入されたわけでございます。これらは、昨今の地方分権の流れを受けて、地域の主体的な取り組みを一層引き出して、地域を活性化させるためのものであったと承知しております。

 そこで、自立に向けたこの五年間という期間における奄美の振興開発を振り返って、特に、計画の主体が国から県に変更され、自主的な取り組みをより尊重するようになった点を含めまして、この五年間の評価を伺いたいと思います。

金子副大臣 今、江田先生からお話がありましたように、公明党におきましても、奄美群島の振興開発におきまして御尽力いただいております。ありがとうございます。

 奄美群島地域におきましては、法に基づく振興開発計画によりまして、自立的な発展、住民の生活の安定等を目的として積極的に支援しております。この結果といたしまして、奄美群島では、振興開発計画に基づいて、着実な生活基盤整備や産業インフラ整備が進捗いたしまして、島民からも一定の評価を得るなど、その成果を上げているところでございます。

 さらに、先ほどからお話がありましたように、地域の創意工夫を生かしまして、例えば、豊かな自然を生かしたスポーツ合宿の誘致に取り組み、マラソンで有名な選手もかなり島に入っていただいているようでございますが、相当の実績を上げております。また、健康づくりと産業振興を目的に地域の長寿食材、徳之島の泉重千代さんを初めとして、長寿の島として有名でございますが、その長寿食材を活用したレシピが開発されるなど、自主的な取り組みが進められていると理解しております。

江田(康)委員 沖縄振興法や離島振興法の期限が十年となっている中で、この奄美振興法の期限は五年となっております。これは、奄美のような極めて限られた地域や人口規模では、今日のような激動の社会経済情勢のもとでは、これらの変動に機敏かつ機動的に対応していくことが求められていることと認識しております。

 そこで、今次の改正では、今後五年間、奄美法を延長するに当たりまして、基本的にはこれまでの体系を維持していくと聞いておりますけれども、奄美を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえてどのような点を変更しようとしているのか、お伺いをいたします。

金子副大臣 奄美群島におきましては、観光、自然保護などの分野で地域主体の取り組みが見られる一方、若年層の人口流出が続いていることから、地域住民等が主体となった地域活性化の取り組みの定着とU・Iターン者を含めた就業の促進を図ることが、自立的な発展をさらに促進するために不可欠と認識しております。

 このため、本延長法案におきましては、新たに、地域の関係者間の連携協力の確保と就業の促進を基本方針、振興開発計画に盛り込むこととしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、法に基づく特別措置を講じるとともに、情報通信産業等に対する税制優遇措置など新たなる施策の着実な実施によりまして、奄美群島の自立的発展の一層の促進を図ってまいりたいと思っております。

江田(康)委員 今、金子副大臣が申されましたように、今般の改正では、振興開発にかかわる関係者間の連携や協力の確保、また職業能力の開発など就労の促進等の事項、これが追加してあるわけでございます。

 そこで、この就業の促進に関する基本的な事項の追加に関してお伺いをさせていただきます。

 先ほど徳田先生からもありましたように、奄美群島におきましては、若年層を中心とした人口流出が問題となっておりまして、若年の雇用機会の確保が大きな課題でございます。

 高校生の奄美群島の中での就職率というのは約九%でございます。鹿児島県の四九%、沖縄県の五九%に比べれば非常に低い数字となっているわけでございまして、奄美群島内における雇用機会の拡充、そして職業能力の開発に関する施策を推進する必要があることからこれらの基本的な事項を基本方針に追加したわけでありまして、また、就業の促進についての配慮規定も設けられたところでございます。

 そこで、お伺いをいたします。

 国及び地方公共団体は、就業の促進を図るために、良好な雇用機会の拡充等のための施策の充実について適切な配慮をすることとなっているということでございますけれども、どのような配慮がなされるのか、お伺いをいたします。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、就業の促進を図っていくということが非常に重要だということであろうと考えております。先ほど金子副大臣からも御答弁いただきましたように、今回の法改正では、今申し上げましたように、良好な雇用機会の拡充等に資する施策を積極的に実施し、若年層を中心とした就業の促進を図るということにしておるわけでございます。

 具体的にどういうことをするかということでございますが、まず、平成二十年度に行いました奄美群島の雇用の現状調査の結果を踏まえまして、平成二十一年度に、就業の支援を含む定住促進支援策というものを試行的に実施する予定でございます。これは、直轄の調査ということで実施をいたす予定でございます。

 また、厚生労働省における良好な雇用機会の拡充、職業能力の開発向上に係る支援策とも連携をいたしまして、就業の促進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

江田(康)委員 簡単な答弁でございましたけれども、この就労問題、若者の就労の課題というのは、大変に大きな、これからの奄美が将来に向かって希望のあるものになっていくのか、ここにかかっているところでございます。

 定住促進支援策や厚労省の就労支援策を実効力のあるものとして支援していかなければこの問題は解決できない、そういうことでございますし、また、産業の振興とともにこれはあるわけでございますので、政府においてはしっかりとこれを支えていただきたい、そのように思うわけでございます。

 次に、奄美の市町村長の皆様からも要望の強い奄美群島振興開発関連事業についてお伺いをさせていただきます。

 一つは、学校の建てかえ、また耐震化等についてでございます。

 これは文部科学省にお伺いいたしますけれども、奄美群島というのは規模の大きくない集落が点在しておりまして、それに応じて文教施設も比較的多いわけでございます。昭和二十八年の本土復帰以降、精力的かつ短期間のうちに文教施設の整備が進められておりますけれども、現在では施設の老朽化が進んでおります。また、耐震化を施した施設への改修も焦眉の課題となっているわけでございます。さらに、耐震化に加えて、私は、太陽光発電システムや地上デジタルテレビなどの設置なども一括して施設整備を進めていく、こういうことが非常に大事だと考えております。

 奄美につきましては、まず、補助単価のかさ上げは、これは二八%のかさ上げが行われておりますので一定の配慮がなされているわけでございますが、補助率は十分の五・五、これは沖縄の十分の八・五に比べて低いままでございます。私はあえて言わせていただきたいと思いますが、このさらなるかさ上げが必要かと思っております。

 一方、予算につきましては、今般の補正予算で、大幅な新築、改築のための予算の増額が図られたところでございます。

 学校の耐震化は、緊急の経済対策でもあります。喫緊の課題でございます。地方の財政力も考慮した場合に、これらの施策で奄美の地方公共団体が新築、改修を必要としている施設に十分な対応ができるのか、伺いたいと思います。補助率のかさ上げ、また補助単価の加算などさらなる支援が必要ではないか、お伺いをいたします。

岡政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、奄美群島における公立小中学校の施設整備に当たりまして、奄美群島振興開発特別措置法の趣旨を踏まえ、先生のお話にもございましたように、補助率等のかさ上げ措置を行うとともに、補助単価についても、奄美群島における立地条件や物価水準など地域状況を勘案し、加算を行ってきたところでございます。

 また、平成二十年六月の地震防災対策特別措置法の改正により、地震による倒壊等の危険性の高い、いわゆるIs〇・三未満の公立小中学校施設の耐震補強事業について、奄美群島も含め補助率が二分の一から三分の二に引き上げられ、地方財政措置も拡充されたところでございます。

 文部省といたしましては、奄美群島振興開発特別措置法の改正に当たって、引き続き、奄美群島における公立小中学校施設整備に係る補助率等のかさ上げ措置及び単価加算を維持するとともに、必要な予算額を確保し、奄美群島の地方公共団体の事業計画を踏まえ、支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。

江田(康)委員 予算額をしっかりと確保してこれらを進めていただきたいと思います。補助率のかさ上げ等については、今後も前向きな検討を行っていただきたいと申し上げておきます。

 奄美群島の園芸振興対策についてお伺いをいたします。

 やはり、奄美といえば基幹産業は農業でございます。現在、奄美群島では、奄美農業創出支援事業によりまして、地域特産物を活用した高付加価値型の農業が着実に推進されております。

 例えば沖永良部島でございますが、私も何度も行かせていただきました。日本で最初に外貨を稼いだのは、この沖永良部島のエラブユリ、テッポウユリであったという歴史がございます。このエラブユリとかフリージアを初めとして、町全体、島全体で花卉栽培が盛んで、花いっぱい運動を展開されているわけでございます。島内の農業所得は、これは不確かではありますけれども、平均所得は一千万円以上と、高付加価値型の農業に成功しておられるところでもございます。

 今後も、奄美農業の振興のために、担い手の育成や営農支援施設等の整備などもさらに推進する必要があるということから、この奄美農業創出支援事業の継続と拡大を図るべき、そういう地元の強い御要望がございますが、政府の考えをお聞きしたいと思います。

 あわせて、畑地帯の総合整備事業における平張り施設の設置について伺いたいと思います。

 平張り施設というのは大きな蚊帳のようなものでございまして、暴風時の防風対策とか潮の被害の防止効果、また害虫対策とか農薬軽減効果、こういうものがございまして、畑地帯の総合整備事業においてもこれを設置できるように強い要望が上がってきているところでございます。

 これらについて政府のお考えをお聞きいたします。

道上政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美農業の自立的発展を図るためには、奄美群島の特性に即した農業生産を振興し、持続的な農業生産を確保することが重要な課題となっております。

 このような課題に対処するため、奄美農業の生産基盤を強化するとともに、付加価値の高い農業生産の推進、有機物の有効利用の推進等に必要な対策といたしまして、現在、御指摘の奄美農業創出支援事業を実施しているところでございます。

 本事業につきましては、奄美農業の振興の必要性を踏まえ、奄美群島振興開発特別措置法の延長とあわせまして、平成二十一年度予算案においては、これまでの支援内容に、推進事業については、農産物認証制度の普及、食育、地産地消の推進等、それから整備事業につきましては、農業用水施設、遊休農地の基盤整備、土壌土層改良等に対する支援を加えまして、平成二十一年度から二十五年度までの事業として拡充することとしているところでございます。

齊藤政府参考人 お答えします。

 先生御指摘の畑地帯総合整備事業におきましては、畑地帯における農道、区画整理等の生産基盤の整備と一体的に、農地の保全を目的とした防風林等の整備を行っているものでございます。

 先生お尋ねの平張り施設につきましては、防風対策や害虫対策などの農作物被害の軽減を目的とする営農施設であり、本事業による公共事業としての対応は困難であると考えておりますが、奄美農業創出支援事業、強い農業づくり交付金等におきまして、農作物被害の軽減を目的とする観点から、平張り施設の設置を推進しているところでございまして、これらの事業を活用していただき、農作物の被害の軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 ぜひとも、奄美農業創出支援事業は大変重要な事業でございまして、また、畑地帯の総合整備事業、これらを活用して、大いに奄美群島の園芸振興を図っていただきたいと思います。

 次に、本土との格差が奄美群島においては大きな課題として残っているわけでございますけれども、この経済格差の是正、また地理的条件に伴う不利性の解消についてお伺いをさせていただきます。

 一つは、やはり先ほどの徳田先生が取り上げられた航空運賃の引き下げについてでございます。

 奄美群島と県外を結ぶ航空路線における運賃というのは、先ほど来ありましたように、これは大変大きな差になっておりまして、各種割引制度も少なくて、沖縄と比べて大変割高となっております。また、観光振興とか域内企業の活動、島内外の交流促進等の大きな足かせとなっているわけでございます。海上の交通も含めて、奄美の航空の確保にどのように取り組むのか、率直に政府の考えをお伺いしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美路線について、離島住民の足を確保するという観点から、路線維持のために、私どもも政策的な支援を幾つか実施させていただいているところでございます。

 具体的には三点でございます。一点目が、機体購入費補助、それから運航費補助といった予算措置。それから二点目が、航空機燃料税、固定資産税の軽減措置といった税制措置。三点目が、空港着陸料及び航行援助施設利用料の軽減措置といった使用料の軽減。この三つでございます。

 これらの支援は、奄美路線の維持に貢献しているものと考えておりますが、先生御指摘のとおり、運賃引き下げに関する地元の要望は非常に強いものがあるということは私どもも認識しておりますし、今後も地域と一体となって利用促進に取り組むなど、奄美の航空交通の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

伊藤政府参考人 ただいま先生から、奄美の離島航路の維持、確保についての取り組み状況についての御質問がございました。

 奄美の離島航路でございますけれども、具体的に申しますと四航路ございまして、一つは、本土鹿児島から喜界島を経て奄美大島の知名に至る航路、それから、トカラ列島を経て奄美大島の名瀬に至る航路、また、島々を結ぶ航路といたしましては、屋久島を起点として種子島、口永良部を結ぶ航路、また、奄美大島近隣の島を結ぶ航路、こういう航路がございます。この航路で、運航によって生じる赤字を国と地方公共団体が協調しながら補助いたしまして、航路の維持を図っているところでございます。

 裏づけになる予算でございますが、離島航路につきましては、昨今の燃油高騰を踏まえまして、平成十八年は、当初の予算に加えまして、補正予算で約八・七億円、それから十九年度は十七・五億円、平成二十年度、昨年でございますけれども、原油高騰が大幅でございましたことも踏まえまして、一次補正で三十三億円を計上いたしました。したがいまして、二十年度で七十一億円ということでございまして、奄美を含めました離島航路の維持に必要な欠損補助を確保いたしました。

 もう一点でございますが、地域が主体となって離島航路の運航サービスの向上、また設備、施設の更新を図る取り組みに対しましても、国も地域公共交通活性化・再生事業の枠組みを活用して支援をすることとしておりまして、平成二十年の実績で申し上げますと、十五件の航路で取り組んでおります。

江田(康)委員 今私は、海上交通も含めて、奄美の航空の確保、また、この運賃等の引き下げについて質問をさせていただいたわけでございますが、やはりこの離島航路路線というのは住民の生活路線でありまして、先ほども徳田先生からありましたように、所得が低い中で高額な運賃を払って行くというのは、生活の足を一つもぎ取っていくようなことにもつながるわけでございます。これは、フェリー等においてもしかりでございます。

 今回の予算で、高速道路においては、本土においてどこまで行っても千円というような画期的な高速料金の引き下げが行われたわけでございますけれども、そこで鹿児島まで来ても、しかし、そこからもしくは別のところから奄美に向かうには、とても高額な運賃がかかる。それは、経済対策としても、またさらに本土との格差を広げてしまう、チャンスを奪ってしまう。そういうような意味でも、これについてはやはり早急な検討を着実に進めていただきたい、そのことを申し上げておくわけでございます。

 総合的な支援がございますし、航空機燃料税の軽減策が、今回は、伊丹―奄美に加えて羽田―奄美にも拡充されるわけでございますけれども、直接料金の引き下げに結びつく民間への支援をすることはなかなか難しいかもしれませんけれども、ここが一番大事なところでもございますので、しっかりと前向きな検討を進めていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 さまざまな本土との格差はあるわけでございます。例えば、地デジ放送の円滑な推進においても、中継局の整備とか辺地共聴施設の改修等にかかわる積極的な支援をお願いしたいし、また、家電及び自動車リサイクルに関する支援についても、進んではいるかと思いますけれども、やはり本土との格差があるところでもございます。しっかりと、奄美の本土との経済的格差、地理的条件に伴う格差等においては、政府としても積極的な支援をしていただいて、この五年間、次の自立的発展を支えていただきたいと思うわけでございます。

 時間がなくなってしまいましたが、世界自然遺産登録についてお伺いをいたします。

 我が国では、世界自然遺産には、知床、白神、屋久島、三地域が登録されておりますけれども、奄美地域は、また小笠原地域も、それに引き続き、世界自然遺産への登録に向けての取り組みが行われております。この取り組みについて、奄美の世界自然遺産登録についてしっかりと支えていただきたいと思うわけでございますけれども、これらにこたえるために、国の積極的な支援が必要と認識しております。

 そこで、世界自然遺産に向けての現状と課題、そして国の取り組みについて、簡潔にお伺いをいたします。

柏木政府参考人 お答え申し上げます。

 世界自然遺産の登録につきましては、世界的に見て貴重な自然があること、その自然を将来にわたって守るために必要な措置がとられていること、この両方が必要とされております。

 環境省としましては、アマミノクロウサギを初めとした多くの希少種や固有種が生息、生育しております亜熱帯照葉樹林に世界自然遺産としての価値があるというふうに考えておりまして、価値の精査と推薦範囲の検討を進めているところでございます。

 また一方で、貴重な亜熱帯照葉樹林が保護地域に指定されていない区域がある、あるいは、希少種や固有種が外来種による影響を受けているなどの問題も抱えているところでございます。そのため、地域の関係者と連携しながら、国立公園の指定などの必要な保全策の検討や、マングースを初めとした外来種の防除を進めているところでございまして、引き続き、世界自然遺産の推薦に向けたこれらの取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。

江田(康)委員 最後に大臣、一言。

 既に奄振法の成立から五十五年が経過いたしております。この自立的発展に向けての芽が見られる一方で、今議論しましたように、本土や沖縄との経済的、また生活面の格差がございますし、若年層の人口流出も続いている。産業の発展が大事でございます。社会資本整備もまだまだ本当に必要としております。このような中で、次の五年間はこれまでどの時期に比較しても大変重要な期間と認識しております。

 そこで、最後に、次の五年間の取り組みについて、金子大臣の思いを一言お伺いさせていただきたいと思います。

金子国務大臣 江田委員からさまざまな課題を御指摘いただきました。

 今度の五カ年計画では、基本方針及び振興開発計画の中に、地元の関係者のいろいろな意向あるいは連携協力というものをきちんと位置づけるということにさせていただいております。そういうものを通じまして、地元の意向を十分に取り込むということをやってまいりたい。

 さっき、テッポウユリの話、フリージアの話、それから世界自然遺産の話、黒糖しょうちゅうも非常に伸びていると。地域が持っているそういう資産をさらに伸ばせるようなことを何とかやっていきたい。そういう中で、航空料金の問題も今ありましたけれども、国としてどう対応するかというのもあわせ検討してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。以上でございます。

望月委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、奄振法の前に、大臣、JRバスの炎上事故に触れておかなければならないと思います。

 大変な、あわや大惨事になるかという、私もニュースを見て、こんなにバスというのは燃えるものなのかな、大変な事故だなというふうに思ったんですが、昨年の五月にも同じ型のバスが炎上をしているというふうに報道されていました。そのときの原因は何だったんですか。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の五月二十九日に名神高速上り線で、今回と同種の高速バスにつきまして火災事故が発生いたしました。その原因についてのお尋ねでございますが、当時、事故当日を含め四回にわたり関係者で実況見分を行いました。関係者と申しますのは、まず警察、それから消防、また私どもの運輸局、そして独立行政法人交通安全環境研究所、あるいは当事者が一堂にそろいまして実況見分を行いましたが、その結論は三点ございます。

 一点は、原因については最終的にはわかりませんでした。これは、事情から申しまして、バスの車体そのものが燃え尽きておりまして、目で見てもわからない状況であったというのが大きな要因になっております。ただ、詳しく調べますと、エンジンルームの上に取りつけてありますクランプと称する電気配線を取りまとめて束ねておくもの、それが壊れておった、それから電気配線にショートの跡が認められたということから、電気系統の故障の可能性がある、断定的ではございませんが、故障の可能性としてはそういった点が指摘されております。また、他方で、オイルとか燃料系統につきましてはそういった痕跡がないものですから、その種の故障は考えにくい。以上が当時の結論でございました。

川内委員 原因についてはわかりませんでした、こう重々しく言われても、何か頼りなさが募るばかりでございますけれども。

 大臣、同じような事故が同じ型のバスで続けて起こるというのは、これはやはり構造的な欠陥も疑われるわけですから、国土交通省として、本件に関してしっかりとその原因を究明する、原因を明らかにするということは、大臣としておやりいただかなければならない仕事であるというふうに思いますが、御所見をお聞かせください。

金子国務大臣 きのうの事故につきましては、現在、警察とも連携しながら原因の究明を行っております。

 事故原因が判明するまでの当面の措置でありますけれども、ジェイアールバス関東株式会社、及び、共同運行しておりますのが西日本ジェイアールバス株式会社であります、両社に対しまして同型車両の運行を見合わせるよう要請しますとともに、全バス事業者に対して点検と整備を徹底したところであります。

 いずれにしましても、原因究明の状況を踏まえて事故の再発防止に努めてまいりたいと思っております。

川内委員 それでは、奄振法について聞かせていただきます。

 私ども民主党も、次の内閣の長浜博行担当を先頭に、私自身を含めて奄美に視察団を編成し、現地の皆さんと意見交換をしてまいりました。市町村長さん、それから議会の責任者の方、そして商工会議所の会頭さんを初めとする市民団体の皆さん、さまざまな意見が出ました。

 そこで、簡潔に御答弁をいただきますが、基本方針の中では、奄美というのは、「他の地域にない風土的な魅力や資源に恵まれており、我が国にとって重要な役割を担っている。」「重要な役割を担っている。」というふうに基本方針の中に書かれておりますが、累次の奄振法の延長、もちろん否定をする気はありませんし、評価される部分もたくさんあるというふうに思いますが、十分であったのかということについての国土交通省としての評価をまずお聞かせいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、この奄美特措法においては各種の特例措置が設けられております。例えば補助率のかさ上げ措置でございますが、一般離島の特別な位置づけとして奄美群島を位置づけて、これにより、生活基盤施設の整備でございますとか産業インフラ施設の整備を積極的に支援してきたところでございます。

 これについてはかなりの効果を上げてきているというふうに考えておりまして、島民の皆様方からも一定の評価を得ているのではないかというふうに考えているところでございます。

川内委員 島民の皆さんからも一定の評価を得ているということです、島民の皆さんというのがだれを指すのか不明確ですけれども。

 私どもがお伺いして、市町村長さんあるいは議会の議長さんたちもおっしゃっていたし、そして市民団体の方々もおっしゃっていた、両者に共通する課題としては、先ほどから出ている航空運賃の問題というのが出ていたわけでございます。

 奄振法自体については、もちろん、議会の議長さんや首長さん方は、とにかく延長してくれ、延長してくれと。他方で、市民団体の方々は、奄振法で公共事業をいっぱいやったけれども、結局地元にお金が落ちていないと。これは沖振も同じようなテーマを抱えているわけですけれども、地元でお金が回っていないのではないか、したがって、本土との格差が拡大する一方なのではないかという問題意識を市民団体の方々は持たれている。しかし、両者に共通する思いというのは、航空運賃、これはとにかく高いんだということが言われている。

 この認識については、国土交通省としても、地元の皆さんがそれこそそういう要望をお持ちであるということは認識していらっしゃいますか。

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美路線の航空運賃でございますが、これは距離当たりの運賃で見れば、全国のいろいろな路線と比較いたしまして決して高い水準ではありません。ただ、先ほど来いろいろ比較の対象となっている沖縄路線との関係で見ますと、沖縄の特殊事情を踏まえた政策的な支援、路線の需要の多寡、あるいは競争環境が違う、こういったいろいろな事情から、結果として沖縄路線よりも奄美路線の航空運賃が高くなっているというのは事実でございます。

 この点について、状況の改善、地元から強い要望があるということについては承知しております。

川内委員 要望というのは、これは強い要望がある、めちゃめちゃ強い要望があるというふうに認識をしていただかなければならないわけでございます。

 それでは、先ほどから航空局長が、今はこういうことをやっていますよ、頑張っていますよということを御説明いただいているわけですが、それで十分だという御認識を持っていらっしゃるのか、今の策で十分なんですというふうに思っていらっしゃるのか、そこをちょっとまず聞かせてください。

前田政府参考人 先ほど御説明いたしましたとおり、路線の維持あるいは確保という観点からは、運航費補助等の予算措置、あるいは航空機燃料税、固定資産税の軽減といった税制措置、それから着陸料、航行援助施設利用料の軽減措置といった多面的な政策的な支援を行わせていただいているところでございます。これらの支援が十分かどうかということについてはいろいろ御意見はあるかと思いますが、奄美路線の維持に貢献しているというのは事実だというふうに考えております。

 ただ、運賃引き下げに関して地元から強い要望、先生は強い要望とおっしゃいましたが、強い要望があるということは認識しておりますし、これを踏まえて奄美路線の活性化を図ってまいりたいというふうに思っております。

川内委員 この奄振法は三月三十一日に期限が来て、奄美という地域は重要な地域であるということについては、もうすべての党がこれは認識を一致させておるわけであります。沖縄には十兆円今までお金が使われてきたが、奄美は二兆円である。たまたま本土に復帰するのが早かったということで大変な格差があるわけでございます。しかし、住民の皆さんが受けてきた苦難の歴史というのは、同じような苦難の歴史を経てきているわけでございます。私は薩摩の人間ですが、そういう意味では、琉球を搾取してきたという薩摩の歴史というか、じくじたる思いも込めてきょうは質問をさせていただいているわけでございます。徳田さんのためでは決してないということを申し上げておきたいと思います。

 奄美の人たちのために何ができるんだろうかということを考えたときに、この奄振法に基づいて基本方針というものが策定をされる。その中に、「交通の確保」というところに現在どう書かれているのかというと、奄美群島振興開発基本方針の3の3というところに、「道路、港湾、空港等の交通施設及び通信施設の整備その他の奄美群島以外の本邦の地域と奄美群島及び奄美群島内の交通通信の確保に関する基本的な事項」として、「(1)交通の確保」というところがございます。「道路、港湾、空港等の交通施設は、奄美群島の住民の生活圏の維持、人の往来・物流の活発化を通じた地域経済の活性化を図っていく上での重要な生活・産業の基盤である。 このため、奄美群島の景観にも配慮しつつ、安全かつ安定的な輸送のために必要な交通基盤の整備を推進するとともに、奄美群島と本土との間及び奄美群島内の航空路線・離島航路の安定的な運航の確保に努める。」というふうに記述をしてございます。

 私は、ここをもう一段書き込む必要がある。すなわち、この基本方針の中に、一層利用しやすい運賃の軽減というような言葉や、あるいは航空運賃の軽減という言葉、そして住民の生活の利便性の向上、観光振興に資していくんだというような言葉、そのためにこの奄振法の延長をきっかけとして実験するんだというようなことを書き込むべきであるということをずっと主張してきたわけでございます。

 国土交通大臣として、基本方針にそれを書きますということを、基本方針は国土交通大臣の告示でございますので、強い要望を受けて、そういう要望があるということがわかっていて、現在まだ十分ではないという認識のもとに、どういう基本方針の書き方をされるのかということをまず御答弁いただきたいと存じます。

金子国務大臣 盛り込む方向で関係者と調整してまいりたいと思っております。川内委員が先頭に立って本当にこの点について御努力されている、そういう御意見を盛り込めればと思っております。中身について申し上げますか。(川内委員「はい、お願いします」と呼ぶ)

 航空運賃の問題については、住民の方々の御要望が大変強い課題であると認識しております。この認識のもとで、今後、国において策定する基本方針におきまして、奄美群島と本土との間及び奄美群島内の航空路線、離島航路の安定的な運航を確保するとともに、交通利便性を確保し、交流の活発化を図るため、一層利用しやすい航空運賃の軽減について必要な措置を講ずる旨、及び、地方公共団体とともに奄美群島路線の航空運賃の軽減に取り組み、離島路線の航空運賃の軽減による離島における住民の生活利便性の向上、観光振興等に関する実証を行う、こういう方向で関係者と調整してまいりたいと思っております。

    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 ぜひ、私は国土交通省も新しいビジネスモデルをつくっていくべきであるというふうに思っておりまして、先ほどから航空運賃についてはさまざまな議論が出ているわけですけれども、圧倒的に高いわけですよね。東京―奄美は四万七千円です。往復で九万四千円です。九万四千円あれば、最近は新聞を見ると、外国どこだって行けますよ。そんな値段で一般の運賃が設定されているなどというのはあり得ない運賃である。これは国としてもしっかり取り組まなきゃいかぬわけです。

 今の基本方針について、国土交通大臣がこういう方向で盛り込むということを御答弁されたわけでありますが、では具体的にどういうことをお考えかということについてお聞かせをいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来いろいろ議論になっておりますように、それに対しまして航空局長からもお答え申し上げておりますように、航空運賃は届け出制でございまして、路線の収支状況等を踏まえた上で航空会社が自主的に判断するということとなっておりますので、航空運賃の軽減についてとり得る施策、措置というものは限られているというふうに考えております。

 ただ、その中で、私どもとしては、当面は、奄美の魅力を高め交流を促進することを通じまして需要が高まり、それが航空運賃の低減につながるような、例えばでございますがモニターツアーですとか物産展ですとか、いろいろな事業を行ってまいりたい。これは既存の制度、事業がございますが、それを積極的に活用していろいろやってみたいということでございます。

 その上で、今後についてでございますが、今後につきましても、航空の利用促進に向けました新たな取り組みの検討についても、ぜひいろいろ地元の御意見なんかもお伺いしながら検討を深めていきたい、検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

川内委員 そんな答弁では徳田先生は怒りますよ、本当に。

 航空運賃については、それは規制緩和とかあるいは自由化とかそういう流れの中で決めてきました、届け出制にしました、それがさまざまなところに弊害を起こしています、減便や廃線が起こっていますということを先ほど航空局長はおっしゃいましたね。では、そういう問題意識を持っているのであれば、離島航路については別に競合他社があるわけではない、ビジネスラインじゃないわけですよ。本当に、生活を維持していく、生活のための路線として、航空行政のあり方そのものについての議論をやはり加えていかなければいかぬというふうに思うんですね。

 航空局長にお尋ねしますが、今後、航空行政について、航空運賃のあり方について、ビジネスライン、いわゆる基幹となる路線と、それから離島路線のような、一社しか飛んでいません、いつでもやめたいです、いつでもやめますよというような路線については、運賃の仕組みそのもののあり方について考えていかなければならぬというふうに思うんですけれども、航空審議会できちんと議論するということでよろしいですか。

前田政府参考人 路線の維持については、先ほど来申し上げておりますとおり、いろいろな方策によって、奄美に限らず、いろいろな地方路線の確保ということを図っているところでございまして、奄美についてもそれは同様でございます。

 ただ、路線について、それぞれの特性がある、これはもう先生の御指摘のとおりでございます。規制緩和がもたらした影響というものがそれぞれの路線にどういう影響であったか、これもさまざまであるというふうに認識しております。

 今回、先生からの御指摘もございまして、規制緩和から大分年数がたったということもございますので、航空法の規制緩和がもたらした効果や問題点について検証、検討を行った上で、今後、航空運送事業について国がどのような関与を行うかについて検討していきたいというふうに考えております。

 航空審議会という御指摘がございました。航空審議会はいろいろ専門家が集まった、こういった問題なんかを話すのに非常に適当な場でありますが、どういった場で検討を行うかについてはまたいろいろと、それも含めて検討させていただきたいと思っております。

川内委員 検討する場を含めて検討するというのは、ちょっと私にはよくわからぬのですが。ほかに何か国土交通省設置法で定められている検討する場があるんですか。

前田政府参考人 航空問題についていろいろ検討する場は、名称は検討会、研究会、いろいろなものがございます。航空についていろいろな分野の専門家にお集まりいただいて、随時個別の問題についていろいろな話し合いを行う場というのは、航空審議会の場だけではございません。航空審議会で話し合うというのも一つの選択だとは思いますが、今どういう場が適当かということについては十分に考えさせていただきたい、こういう趣旨でございます。

川内委員 国土交通大臣に確認をさせていただきますが、航空行政、航空運賃のあり方について、規制緩和の影響あるいは自由化の影響を受けて非常に弊害を受けている路線については、航空運賃のあり方について検討の場を設ける、可及的速やかに設けて検討をするということを大臣としても御確認いただきたいと思います。

金子国務大臣 私は、航空の問題について、自由化するということでいろいろ格差が出てきている、奄美は特に御指摘のとおりだということで、大事な課題だと思っておりますので、航空法の規制緩和がもたらした効果、問題点については検討しようと思っています。

 ただ、同時に、離島全体の問題、飛行機だけじゃなくて船の航路の問題というのも、例えば奄美だけじゃなくて国境の島対策をどうするといったようなものも含めて、やはり、航空局長がいきなり航空審議会と言わなかったのは、政府全体としてこういう問題をどう取り扱うかという場がその前に要るんだろうと思いますので、それを踏まえて、私も、航空だけじゃなくて、いわば離島の足という問題も含めて検討をしてまいりたいと思っております。

川内委員 何かちょっとよくわからなくなったんですけれども、時間がないんですが、政府全体としてとか、航路もそうだし航空運賃もそうだけれども、要するに、国土交通大臣としては、そういう離島に生活される皆さん方の生活の利便性の向上や観光振興、さらには国家全体の安全保障の面も考えて、そういう離島の足についてはきちんと議論する場を設けるということでよろしいですか。

金子国務大臣 そういうことで進めていきたいと思っております。

川内委員 先ほど国土交通大臣が設けたいとおっしゃられた基本方針の中に、奄美では実証を行うということを基本方針としておっしゃっているわけです。一昨日、総理が経済対策を策定せよと与党に御指示をされたとかされていないとか新聞記事が出ましたけれども、私は、経済の対策として、あるいは二十二年度予算に向けてでも結構ですが、とにかくまずきちんと社会実験をするんだということを奄美においてしていただきたいと思っておるのでございます。

 奄美での大がかりな社会実験を航空運賃についてしていただきたいと思いますが、最後に大臣の御認識を伺いたいと思います。

金子国務大臣 御指摘のことは承らせていただきます。

 ただ、総理の指示は与党に行きまして、どういうことの中身というのは、今我々は本予算をやっている時期でありますので、与党でどういう項目を挙げてこられるのかというのはこれからでありますが、御指摘いただいた点は私も留意して進めさせていただきたいと思います。

川内委員 終わります。

望月委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁です。

 一つ目として、小笠原振興法でありますが、この小笠原諸島振興開発特別措置法、目的ということで二つ大きな目的がある。一つは、小笠原諸島の基礎条件の改善、地理的、自然的特性に即した振興開発。もう一つに、旧島民の帰島促進。これでよろしゅうございますか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 小笠原振興開発特別措置法は、ただいま先生からお話のありましたように、交通条件に著しい制限がある等の地理的特殊事情、台風常襲地帯である等の自然的特殊事情、戦後二十三年間において米軍軍政下にあったという歴史的な特殊事情による不利性を抱えていることから、小笠原諸島の自立的発展、住民の生活の安定等を図るとともに、旧島民の帰島を促進するために特別措置を講ずるものでございます。

松原委員 帰島促進事業ということが大きな冠としてあるわけでありますが、その進捗についてお伺いいたしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 旧島民の帰島に関しましては、国は、帰島者が本土から小笠原諸島に移住することに伴います不動産の譲渡、取得に際しまして、所得税、不動産取得税の特例措置を講じているところでございますが、東京都においても、帰島の際の引っ越しのための輸送費用の補助、資金の貸し付け等の支援を行って、いろいろ進めてきているところでございます。

 そこで、その結果でございますが、旧島民の帰島状況は、毎年十名前後で推移しておりまして、平成十六年度から平成十九年度末までを見ますと、この四年間で三十九名が帰島している状況でございます。

松原委員 小笠原諸島というのは、父島、兄島、母島、硫黄島、さまざまあるわけでありますが、それぞれに関して、帰島ができていない島というのがあるのかないのか、お伺いしたい。

加藤政府参考人 帰島ができていないところは、硫黄島がもともと地理的、自然的な条件からなかなか居住に適さないということで、硫黄島には帰っておりません。

松原委員 硫黄島は、昔は人が、いわゆる一般住民といいますか、住んでおられたかどうか、お答えいただきたい。

加藤政府参考人 昔は住んでおられましたが、昭和五十九年、当時の小笠原諸島振興審議会、ここでの審議会の答申の中で、火山活動による異常現象が著しいこと、産業の成立条件が厳しいこと等々から、一般住民の定住は困難であり、同島は振興開発には適さないと判断せざるを得ないというふうにされているところでございます。

松原委員 改めてそれを聞こうと思っていたんですが、硫黄島に帰島ができない理由は四点あると承っております。お答えいただきたい。

加藤政府参考人 今申し上げましたが、火山活動、それと産業の立地条件が厳しいことでございます。(発言する者あり)失礼いたしました。

 今申し上げました、火山活動による異常現象が著しいということ、産業の成立条件が厳しいこと、戦没者の遺骨が残存すること、多くの不発弾があること、この四点でございます。

松原委員 要するに、火山活動と産業と遺骨収集が進んでいないことと不発弾、この四つが小笠原における硫黄島の帰島が困難である理由であると。

 ただ、火山活動は昔からずっと継続をしておりまして、これはいろいろな議論があるところであります。戦前においてもそういった状況は変わっていなかったというふうに、きょうは気象庁を呼んでおりませんが、私は聞いているわけであります。呼べば、恐らくそういう答弁になるでしょう。ですから、私は、この条件というのは、どう判断するかというのはなかなか微妙であります。

 残りの三つ、人為的な部分の問題として、今言った産業の問題。ただ、産業は、さまざまな国のアクセス、また、そこに帰島者が行かない限り産業はできないので、卵と鶏みたいな話でありますが、国が意思を持たない限りはあり得ないので、産業が先にあって帰島は大丈夫ですよという話にはなかなかならない。

 そうしますと、排除しなければいけない二つの条件は、遺骨の収集と不発弾の問題である、こういう話になっているわけであります。

 きょうは防衛省の方にもお伺いしたいわけでありますが、一般的に考えると、きのうの事前の打ち合わせの段階でも、あそこに防衛省の、言ってみれば飛行場があって部隊がいる、そういった軍事上の問題があるがゆえに、防衛省としては帰島というのに対して、これは余り認めたくないということはないというふうに私は聞いておりますが、そういったことがあるのかないのかを防衛省にお伺いしたい。

中江政府参考人 お答えをいたします。

 硫黄島への帰島問題につきまして、防衛省として直接お答えをする立場にはないと思いますけれども、ただいま国交省の方から御答弁がございましたように、旧島民の方々の帰島にはさまざまな困難があると承知をしているところでございますけれども、自衛隊の基地の存在自体が旧島民の帰島を困難としている要因になっているというふうには認識をしていないところでございます。

松原委員 ということは、防衛省としては、防衛省の基地があるがゆえに帰島困難という理由はないのであって、国土交通省が帰島するということを認めれば、そこに防衛省の基地があることはその妨げにならない、こういうことでよろしいですね。もう一回確認します。

中江政府参考人 この帰島問題につきまして、国交省あるいは東京都、小笠原村などから何か具体的なお話が当省に対してございますれば、それにつきましてはよくお話を承りたいというふうに思っております。

松原委員 何か答弁が変わっちゃったような気がするんですが、ちゃんと最初の答弁をもう一回言ってくれればいいんですよ。防衛省は、防衛省の基地があるがゆえに帰島は困るということは言わないですね。そう言っていたんだから、もう一回そう言ってください。

中江政府参考人 私どもの自衛隊の基地があるから帰島は困りますということを私どもとして申し上げるつもりはございません。

松原委員 それで結構です。

 そして、先ほど言われたところの不発弾、この不発弾に関してはどういう状況になっているか、お伺いしたいと思います。これは防衛省に一応言ってあります。

中江政府参考人 不発弾の処理自体は内閣府の所管になっておりますので、私が正確にお答えすることはできませんが、実際には、遺骨収集の際に毎年不発弾が見つかっております。その際には、厚労省からの依頼を受けて、自衛隊が不発弾の処理をしているというふうに承知をいたしております。

松原委員 自衛隊が不発弾の処理をしてどれぐらい進んでいるとか、そういう資料はきょうは持ってきていない。まあ、急な要請でしたので。

 ただ、これは、不発弾を早くなくす。少なくとも、この小笠原の振興法があって帰島事業というのが書かれている以上は、帰島のために熱心に行政が動くというのは、これは戦後処理というか、いわゆる戦後を終わらせるというか、戦争によってさまざまな問題が発生したことにピリオドを打つという点で極めて重要でありますから、必ずこの不発弾問題、きょうは内閣府を呼んでおりませんので、気象庁、内閣府を呼ぶところまでいきませんでしたが、これはきちっと対応してほしいと思います。

 そうした上で、遺骨収集の問題であります。

 現状の遺骨収集はどういう状況になっているか、これは厚生省ですか、来ていただいていると思うんですが、お答えいただきたい。

及川政府参考人 お答えを申し上げます。

 硫黄島におきます遺骨収集につきましては、厚生省の時代から、昭和二十七年から開始しておりまして、これまでに延べ七十二回の遺骨収集を行ってきてございます。

 その中で、硫黄島におきましては、戦没された方が約二万一千九百人、これは周辺の海域で亡くなった方も含めてでございます。それに対しまして、これまでの遺骨収集事業によりまして御遺骨を収集して送還したのが八千六百六十四柱ということで、約四割の御遺骨を送還できている、そういった状況でございます。

松原委員 四割ということでありました。あえて比較をすることを、日本が余りにも、四割という数字なので申し上げたいんですが、米国においても硫黄島における戦没者というのは多数おられたと思います。その戦没者に関しては遺骨収集はどのようになっておられるか、お伺いをしたいと思います。

及川政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカにつきましては、戦勝国であったという事情もございますが、戦後かなり徹底して遺骨収集をされたというように承知しておりまして、戦場の整理を行いまして、硫黄島におきます戦死者の収容につきましてはおおむね終わっているというように聞いております。

 しかし、現在におきましても未帰還者が若干名いるということで、この点につきましては、アメリカの国防省を中心として行方不明者の捜索を引き続き続けているというように承知しております。

松原委員 きのうも、アメリカは戦勝国だからおおむね終わっているという話をするんだよね。日本は敗戦国だからなかなか終わらないと言うんだけれども、これはどういう理屈なんですか。ちょっとお伺いしたい。

及川政府参考人 お答え申し上げます。

 硫黄島におきます遺骨収集、先ほど申し上げましたように、約四割の送還にとどまっているということで、まだまだ多くの御遺骨が現地に残っているという状況でございます。

 国内にあります戦場ですから、さらに積極的に進めていきたいというふうに考えておりますが、困難な事情といたしまして幾つかございまして、やはり玉砕の島であったということで、生存者である戦友からの情報といったものが少ない、また、その後アメリカの施政下に入りまして、また火山活動等によって地形等も大分変わっているといった中で、現地の捜索が困難である、また、さまざまな地下ごうがございますが、地下ごうの形態等も随分変わっていたりする、そういった中でこれまでやってきたわけでございます。

 さらに申し上げますと、当時の主戦場となった地域、中央部、占領後のさまざまな施設ですとか道路、滑走路といったような建設、そういった中で収集が困難であるというような状況がございますが、さらにやってまいります。

松原委員 遺骨収集が四割というのは余りにも少ないと私は思っております。この遺骨収集が、しかし一〇〇%というのはなかなか難しいかもしれないけれども、アメリカも九五%以上恐らくいっているんだろうと思います。最低でも一定のところまで持っていくということが私は必要だと思っております。

 遺骨収集が一〇〇パーを目指す場合の問題点、どうしても乗り越えなければいけない点として、いろいろとお伺いすると、防衛省の施設があって、その下に御遺骨が埋まっているケースがあって、防衛省の協力がないとそこの遺骨収集が進まないという議論を聞いておりますが、このことはいかがですか。事実ですか。事実なんだから、事実と答えていただければ結構です。お答えください。

及川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、防衛省におきまして滑走路の移設について検討されているというように承知しております。二十一年度におきましては、移設の前提としての環境現況調査を実施するというように聞いてございまして、私どもとしましては、移設先の候補地、また、移設するとした場合に現在の滑走路の地下といったこと、これを計画的に、防衛省における検討とあわせて、収集、調査といったものに取り組んでいくという形でやっていきたいというふうに考えております。

松原委員 もう時間がないので、防衛省の方にもう一回確認します。

 私は、遺骨を収集する、アメリカは九割五分を超えている、日本は四割だ、それは、どこまでいけるかわからないけれども必死にやるというのは、これは我々の歴史を大事にしようという日本人として当たり前の姿勢だと思うので、防衛省としては、この遺骨収集に対してもちろん防衛省としても十分協力をする意思はある、これだけ確認したいと思います。

中江政府参考人 お答えいたします。

 遺骨収集につきましては、これまでもいろいろな形で、輸送ですとかあるいは施設の提供等で、自衛隊としてもできる限りの支援を行ってきたつもりでございます。

 今お話のあった滑走路の問題につきましても、その下に多くの遺骨が眠っているというふうにも聞いておりますので、滑走路の移設につきましても、厚労省ともよく相談をしながら進めていきたいというふうに考えております。

松原委員 金子大臣、私は、この硫黄島で玉砕した日本の兵隊の方々に対する最大の供養というのは、いろいろな供養があると思います。我々が誇りを持って日本の国を運営するということも大きな供養でしょう。

 しかし、硫黄島に日本の一般住民が住むということは、実は、私個人の思いとしては、こういった方々に対する最大の供養の一つで、戦後を終わらせて、あなた方のところで、確かにそこでは本当にまだ収集は終わっていない皆様もおられるけれども、日本の一般の人たちが生活をしています、これは私は一つの供養のあり方だと思うんですが、金子大臣の所見をお伺いしたい。

金子国務大臣 供養の仕方はいろいろあるんだと思います。やはり、遺骨収集をもっともっと努力することがまず必要なことなんだろうと、今お話を伺っておりながら感じております。

 ただ、地形的な状況、火山帯というような状況、そういうのはやはりありますので、住むということがどういう形態で住み得るのかということは、これはまた大きな課題だと思いますので、まずは御遺骨収集をさらに進めて、御仏前でお供えさせていただくということを努力していくのが先だろうなという感じがいたします。

松原委員 これは金子大臣の所感とはちょっとずれるかもしれないけれども、これは政府が意思を持って短期でやるということを示さなければ、やはり歴史を大事にしない国家というのは海外からそういう国家だと思われますから、我々が、アメリカはもうほとんどそういったことを終えているのに日本が終えていない、敗戦国だからというのは理由にならないと思います。

 質問のあとの時間が大分詰まってきたんですが、小笠原における交通アクセスの問題についてお伺いしたいと思います。

 当初、飛行機でということでありましたが、現在は二十六時間、二十七時間、小笠原に行くのに片道船で時間がかかる。これ以外に小笠原に行く方法は今あるんですか、お伺いしたい。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃられたとおり、交通アクセス手段としては、おおむね六日に一便運航されている定期船が就航していることだけでございます。

松原委員 そうすると、小笠原まで行くのに二十六時間かかる、これはアメリカの東海岸まで今行けてしまうわけであって、そういう意味では極めて異常だと思うんですよ。異常だと思うという点だけ、金子大臣、答弁してください。異常だと思うとおっしゃっていただいて結構です。大臣。(金子国務大臣「副大臣に、僕のかわりに、私が行けなかったので視察に行ってもらったんだよ」と呼ぶ)では、両方答えて、両方。

金子副大臣 昨年十二月に、審議委員の皆さん方とともに行ってまいりました。確かにおがさわら丸だけだということで、二十六時間、本当にそういう意味では大変な地域だというふうに認識をしております。

松原委員 これは、当初は兄島に飛行場をつくると言われ、父島の時雨山に移り、TSLになった、こういう経緯であります。

 ちょっとこれは大臣にお伺いしたいんだけれども、当初、兄島に飛行場をつくる、父島の時雨山につくる。飛行場をつくると大体二時間半ぐらい、三時間弱で行けるだろうと言われている。TSLに途中で移ったんです、計画は。自然環境の問題もあって、飛行機をやめて船にしようと。TSLになると、これは十七時間ぐらいなんです。

 いいですか、二十六時間が二時間になるという話で進んできたのが、ある瞬間に十七時間に修正された。これはかなり、客観的に見れば、十七時間が早いか遅いかという議論があるけれども、私は、この部分でなぜTSLというのが出てきたのか、これはわからない。なぜTSLというのがここで出てきたのかわからない。その理由は何ですか。

 そして、いいですか、大臣、十七時間と二時間じゃえらい差ですよ。二十六時間が十七時間と、二十六時間が二時間と。では、率直に、十七時間になるのと二時間になるのと、同じだと思うかどうか。全然違うと思うんだけれども、そこの部分は、大臣、教えてください。その後、TSLの経緯を教えてもらいたい。大臣、聞いてないの。二十六時間が十七時間になるというのは、それはTSLですよ。それまでは二十六時間を二時間にしようという飛行機の計画だったのが、それがTSLになった。これはちょっと議論としては、なぜTSLが出てくるかと普通疑問視するのが当たり前じゃないかというのを聞いているんです。

金子国務大臣 用地の問題とコストの問題というふうに聞いております。

松原委員 用地の問題、コストの問題、それは、大臣、悪いけれども答弁になっていないんですよ。なぜならば、二十六時間が二時間になるというのは、それは意味がありますよ。二十六時間が十七時間になるので妥協をした理由というのは、私は、それは二時間じゃなくて十七時間でいいと判断したというのは、普通の判断としてはどうしてもわからないんですよ、一般的に。十七時間というのは長いですよ。

 それで、なぜここでTSLなのかということですよ。では、副大臣。

金子副大臣 正確な答えになっているかどうかわかりませんが、私も現地に行ってまいりました。やはり、今先生のおっしゃるとおり、念願なんですね、航空路、飛行場をつくって飛行機を飛ばすというのは。しかし、用地の問題、どこに航空路をつくるかという問題がありました。それからもう一つは、本土から小笠原まで行くような今のような飛行機がなかったんです。

 そういうこともありまして、飛行機では無理だということで、それであれば、おがさわら丸よりも速いこの船になったということだと思います。

松原委員 いいよ、彼が答弁して。事務的な部分で本当のことを言ってくれれば結構です。

伊藤政府参考人 TSLの小笠原への就航の経緯というお話でございますので、私の方からちょっと御説明をさせていただきます。

 TSLは、そもそも技術開発としては、速力が五十ノット、それから積載重量千トン、航続距離五百海里ということでございます。こういった船を開発するという目標でございました。その当時は小笠原に焦点を置いた開発ではございませんで、むしろ、さまざまな用途に使える、例えば福岡から上海に荷物を運ぶというような物流用の船舶としても活用できる、こういうことで技術開発をしたわけでございます。

 技術開発自身は目標を達成いたしまして、この技術の普及あるいは実用化に向けて、実は、平成十二年に国土交通省が、いわゆるTSLを利用していただく第一船としての就航航路というものを国内で募集いたしました。幾つかの募集がございました中で、小笠原航路もございました。小笠原航路自身が本土から千キロ離れている、あるいは外洋を航行するというようなことで、TSL自身も十分に活用ができる、技術的には活用ができる、それによりましてこの小笠原航路の利便性の向上が図られるということで、小笠原海運あるいは地元の自治体がこの公募に応募をしたという経緯がございます。

松原委員 全然答えになっていないんですよ。

 いいですか。二時間で行く飛行機じゃなくて十七時間の船にした理由は何かということなんですよ、二十六時間が。二十六時間から十七時間、もちろん、そうすると週に二回航行できるとか議論がある。現地の小笠原に行くと、波の高さが五メートルを超えたならば就航できないこのTSLは技術的に問題があったんじゃなかったかとか、いろいろな議論がなされていますよ。真実はわからない。しかし、TSLというものが出てきて飛行場計画がなくなって、それは、自然環境の問題があるでしょう、世界自然遺産になるようなさまざまな草木があるわけだから。

 しかし、私は、そこに国の、国土交通省の強い要望が実態としてあって、実態としてあってTSLというものを決定した。表に出てくる形は別ですよ。実態として、三十億円かけてTSLの技術開発をして、それがあって、そして小笠原にやろうとした。

 しかし、現実にそれは、ここにいろいろな資料がありますよ、審議会の。できるのかという疑問を初めから感じていたと国土庁の元幹部の方が言っていますよ。もちろん、ガソリンの値段が、今回の高騰どころではなくて、その前の段階で一回高騰して、それでできなくなったとか、いろいろな、そういう技術的な問題、コスト的な問題。それから、例えば観光客が九万人になるということに対しても疑問が呈せられた。つまり、こういう状況だから大丈夫だといって国の方が提示した状況というのは、現実的に本当にそうなんだろうかと。つくってみたら大赤字になる可能性があるという、そういったリスクがあったのは事実なんですよ。

 私が申し上げたいのは、だから、二十六時間が二時間ではなく十七時間になったというこの段階で、小笠原の人たちは、こういったTSLの計画を含め、極めて翻弄された可能性があるということを私は言いたいんです。私の質問時間はもう終わっていますから、高木先生に迷惑をかけてもいけないので、ここで、このTSL問題は、この問題は極めて大きな暗やみがあると私は思っております。さらにこれは議論を進めていきたいと思います。

 最後に金子大臣に答弁をいただきたいのは、結果として、小笠原はこの十数年に及んで振り回されてきたんです。審議会でもその発言はされています、別の人から。兄島、時雨山、TSL、そして今四つの空港予定地、まあ、一番可能性があるのは旧軍が使っていた海岸部でありますが、実際、いつまでいくんだと。

 こういったことに対して、それは現場の地方自治体か、もしくは例えば事業者、それは、TSLを採用したとかされないとかいろいろな議論があるけれども、今言ったことに関しては私はいろいろと裏があると思うけれども、結果として、小笠原を振興しようという精神からいくと、この間、ずうっと二十年近く、この二十六時間が減っていないんですよ。

 このことに対して、私は責任を持つべきは国だと思うんですが、その国の責任に関してどのような責任をお感じか、金子大臣にお答えいただきたい。

金子国務大臣 これまでいろいろ検討をされてきた、それが実現に至っていないということは遺憾だと思います。ただ、交通アクセスの整備の重要性については十分認識をしております。

 そういう意味で、現時点では、航空路の開設の検討、これをまず東京都、先生のお地元でもありますけれども、東京都と小笠原村が進めております。国土交通省として、小笠原諸島における交通アクセスの改善、重要な課題であると認識しておりますので、東京都、小笠原村に対する支援、協力を進めてまいりたいと思っております。

松原委員 終わりますが、いいですか、最初は国土交通省が主体だったんですよ。五年前に東京都にそれをある程度変えたんですよ。しかし、国の責任は極めて大きいということを申し上げながら、同時に、遺骨収集のようなことはきちっとやらなければ戦後は終わらないということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、高木義明君。

高木(義)委員 民主党の高木義明です。

 私は、離島航路の充実、そして支援強化の立場から、以下お尋ねをいたします。

 まずは、先ほども話題になっておりましたが、テクノスーパーライナー、TSLについてですが、前回の法改正、平成十六年の五月、国の小笠原諸島振興開発基本方針、そして東京都の振興開発計画、これはいわゆるTSL就航を前提としておりました。しかし、燃油価格の高騰によって事業採算が見込めなくなった小笠原海運が、テクノスーパーライナーの用船契約を解除したため、平成十八年五月二十三日に、国においては振興開発基本方針の変更告示をし、その後、十一月二十八日には、東京都が開発計画の変更公告を行いました。いわゆる小笠原航空路の開設について将来を目指して検討する、こういうことが大きなポイントでありました。

 では、まず航空路の開設について、飛行場の建設あるいは環境アセスメント、航空運賃あるいは営業見通し、こういった課題がありますけれども、今の進捗状況についてどうなっておるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。

前田政府参考人 小笠原諸島への航空路開設についての検討状況についてお答えしたいと存じます。

 これは、平成十九年度でございますが、小笠原村が村民アンケートを行いまして、その結果、多数の村民が、これは約七割と聞いておりますが、航空路の開設が必要という意思表示をされましたので、これを踏まえて、東京都と小笠原村が、基本構想の検討とそれに関してのパブリックインボルブメントを実施するための協議会を設置して、今年度から検討を始めているところでございます。

 それから、現在、東京都においても、航空路の開設に関して、自然環境への影響はどうであるか、費用対効果はどのようなものであるか、あるいは運航採算性はどうか、こういったことについての調査が行われているところでありまして、こういったものを通じて関係者間の円滑な合意形成が図られることが重要であるというふうに思っております。

 国土交通省といたしましても、小笠原諸島への交通アクセスの改善は非常に重要な問題であるというふうに認識しておりまして、引き続き、こういったいろいろなところで検討が行われておりますけれども、当方としましても、技術面に関する助言、こういったことで支援、協力を進めてまいりたいというふうに思っております。

高木(義)委員 TSLの導入については断念をしたということになっておりますが、TSLについては、約二十六時間かかるところを十七時間で行ける、便数も増便が可能だ、観光客等も大幅にふえるであろう、こういうことでこの導入を決断したわけでありますけれども、現実には、航空路の開設というテーマを追求することになっております。

 しかし、今お話を聞いておりますと、航空路の開設については、まだクリアされなきゃならぬ問題点がたくさんある、時間がかなりかかる。しかし、その間にも、今もなお、おがさわら丸は航行しております。この現実の航路の高度化について、どのようなことに今努められておるのか、この点についていかがでしょう。

伊藤政府参考人 離島航路の高度化についてのお尋ねでございます。

 小笠原のように、千キロも本土から離れている、そこに到達する時間が大変短くなるような高度化というのは、離島の皆様の利便性を向上するという意味で大変重要な要素でございます。そういったことも考えまして、小笠原を特定したわけではございませんが、このテクノスーパーライナーというものを国も支援をして技術開発してきたところでございます。

 技術的にはめどが立っておるわけでございますが、一方で、離島全般の議論をさせていただきますと、やはりその離島航路が長期的にも事業運営が健全に行われるという事業採算性という視点も当然大変重要な視点でございまして、そういった意味で、両者をバランスして、また航路ごとの特性を生かしながら、高度化に向けて実現を図るということが適当だというふうに考えております。

高木(義)委員 先ほど議論を聞いておりますと、何やら国土交通省が強引にこの導入を決めたということが言われておりますが、実態、その導入の経緯について改めて聞きます。いわゆる地元住民はこの導入についてどうであったのか、そのニーズはどうだったのか、あるいは東京都はどうだったのか。

 このプロジェクトは、平成十一年、一九九九年でありますが、当時、小渕内閣が、新しい千年紀、ミレニアムプロジェクトの一つとして決定した、私はこのように承知をいたしております。実用化に向けましては、多くの資金、総事業費は百九十九億円、うち国費が五十億円ということですが、多くのノウハウも蓄積をされたと私は思っております。国として住民、島民のためにこの導入を決めたということについて、期待が大きかっただけに、今回これが断念をされたということについて、その導入の経過を含めてどのように考えておられるか、この点についていかがでしょう。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁を差し上げました、ちょっと重複になるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。

 テクノスーパーライナーの高性能の技術的な要素というのは、もう御説明したとおりでございます。その中で、実は、開発研究の段階で、七十メートルの大きさの大変大きなモデルシップをつくりまして、もちろん人も貨物も乗れるわけでございますが、そういったところまで、普及を目指したところまでの技術開発を実はいたしました。この船は、九州から上海までだったと思いますが、実際に走りまして、非常に円滑な運航まで確認をしたところでございます。そこまでやりまして、一応、国からの支援を含めました技術開発というのは終了いたしました。

 こういった新しい技術というのは普及をするのになかなか困難な面がございますので、実用化に向けまして、国土交通省は、先ほど申し上げましたとおり、TSLを御活用いただける事業者の方々を公募する形で、公募の機会を設けた次第でございます。その中に小笠原航路にTSLを活用するという案件が含まれておりまして、第一船としてこの公募を受けた形で、これからは民間契約になるわけでございますが、小笠原村、あるいは小笠原海運、建造事業者、こういった方々のいわゆる契約に向かった動きに進んだわけでございます。

 残念ながら、その後、平成十六年だったと思いますが、昨年の原油高騰ほどではございませんでしたけれども、そのころから原油の上昇の兆しが見られまして、事業者の皆様も、それをもとに将来の運航採算性を検討いたしました。多分、例えば入り込みの人口についての見通しもさまざま幅があったと思いますが、そういったことも含めて検討をしたというふうに伺っておりますが、その結果として導入を断念したというふうに伺っております。

高木(義)委員 大臣、これは、当時の小渕内閣の国家プロジェクトの一つであった。今の麻生内閣、金子大臣としては、私は、海洋立国の日本が世界に先駆けて開発したこの技術は次世代につなげなければならないと思います。これまで相当な投資をして、これを無駄にすることは決して許されない。したがって、私は、小笠原航路としては断念をされたけれども、むしろ、我が国にとって、次なる物づくりといいますか、技術といいますか、あるいは産業の新たな展開のために、ぜひこれは進めていただきたいものだと思っておりますが、この点についてどうでしょう。

金子国務大臣 この技術は、その後民間で建造されました高速艇などには活用されていると聞いています。ただ、今御指摘のように、こういうTSLの開発技術、技術力を持っているわけですから、さらにこれを生かしていくということは大事なことであると思っております。

 具体的に、TSLのこの技術のどういう部分で、どこでやればいいのかというのは、私、ちょっとまだノーアイデアなのでありますけれども、お話を承りまして、どうやって進めれば生かせるのかというのは預からせていただきたいと思います。

高木(義)委員 いわゆる輸送機関として、航空機は、速度は速いが輸送コストがかかる。船舶は、大量輸送が可能であるが速度が遅い。この二つの中間的な輸送機関としてテクノスーパーライナーが構想された、私はそのように承知をしております。

 まさに物流革命に対する挑戦なんですよ。東アジア地区との貿易は、今後も活発になることは十分考えられる。そういうときに、速力五十ノット、積載重量一千トン、航続距離五百海里、波高六メーターまで航行可能だというのがこの船舶の開発レベルなんですよ。

 既にお話がありましたように、実験船を、「希望」「疾風」「飛翔」、それぞれつくりまして、国内のそれぞれの港を試験的に航行してもおります。各地域においては非常に期待もされたわけでありますけれども、今回、このようなことになった。たまたま小笠原航路という、まさに旅客船にこれが採用されようとしたわけですけれども、むしろ私は、ある意味では大きな貨物輸送が一番適しているのではないかと思っております。

 したがって、私は、この機会にぜひ、改めて国土交通省として、いや内閣として、次世代につながるこのような技術開発を生かす努力をすべきだと思います。もし燃費が問題であるならば、燃費の改善のエンジンの開発研究も進めることもいいでしょう。このためにも、国として、民間ではできない部分においては官民協力をしてそれを支援するということは大事だろうと私は思っておりますし、また、輸送貨物についても、付加価値の高い貨物を輸送すれば、この燃費に関する問題は解決するであろう、私は、このようなことも思っております。

 そういう意味で、私は、さらにこのテクノスーパーライナーの実用化に向けて、国としてどのように考え、そしてこれから手を打っていくのか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のTSLにつきましても、その後、私どもが活用に向けて努力をしたことについても、ちょっと簡単に御紹介させていただきます。

 小笠原航路の就航断念が決まりましてからも、国で、完成したTSLの活用あるいは技術の普及を図るという趣旨で、私ども、実際にその船に国土交通大臣もお乗りいただいたり、各自治体の幹部の皆様にお乗りいただいたりいたしまして、このすぐれた性能を広く理解をしていただくというような機会を実証実験という形で行わせていただきました。

 また、国際的な分野では、平成十九年でございますけれども、ノルウェーの国際海事展で国土交通省のブースを設けまして、このTSLを初めとしたこういう技術について国際的な広報をしてまいりました。

 残念でございますけれども、TSLそのものは特に小笠原仕様の設計、建造になっておりますので、この船自身、他の用途への転用がなかなか進まない、あるいは他の航路への転売もなかなか困難というのが現状でございます。

 いずれにしましても、船というのは、特定の航路あるいは特定の目的で船が設計をされ、契約をされ、建造するということでございます。需要に応じて船の形等が決まり、建造されているわけでございますので、これから物流も含めまして、さまざまな需要に応じて、こういったTSLの活用の可能性があるかどうかも含めて勉強してまいりたいと思っております。

高木(義)委員 お話にありましたように、今、このTSL、おがさわら丸は、岡山県の玉野市に係留されております。これは、私は、せっかくこのような優秀な船舶を何か生かせるものがないのかと。例えば、緊急対応の災害時の輸送物資、あるいは国として、どうしてもペイしない、採算性に合わないけれども公共のために役立てる分野、こういったものについては、このような次世代に期待できる技術ということについて、国の保有も含めて検討してはどうかと私は思っておるんですよ。この点について、大臣、どうでしょう。

金子国務大臣 技術的にちょっと、私も余り詳細を承知しているわけではありませんので、余り軽々に申し上げるということも、断定的に申し上げることもできませんが、しかし、高木委員からの御指摘でもありますし、何か、国を挙げて小渕ミレニアムとして取り組んだ事業でもありますので、この一層の活用策につきまして、関係者と検討させていただきたいと思います。

高木(義)委員 これは真剣に、その活用策についても実現に向けて検討していただきたいし、そしてこの経過を踏まえて、これからこれが我が国の大切な技術として生かされるような、そういう方策についても考えていただきたいと強く要求、要望しておきたいと思います。

 終わりになりましたけれども、今回のこの法改正、五年間延長ということになりますが、海洋基本法が施行され、そしてそれに基づく海洋基本計画が閣議決定されました。そういう意味では、初めてのこの法の延長なんですよ。

 だからこそ、昨年の七月十八日に小笠原諸島振興開発審議会がまとめた、振興開発の重要な事項に関する意見具申というものがありますが、このように述べております。たくさんありますが、重要なことを私は二点、特に申し上げたい。

 一つは、「依然として、高速の交通・通信アクセス手段が未だに整備されていないことが、観光を始めとする産業の振興や、住民生活の安定に大きな影響を与えている。」二つは、「小笠原諸島は、我が国の排他的経済水域の約三割を確保していること、同諸島周辺海域を航行する船舶にとって緊急時の重要な寄港地である等の国家的役割を有している。」このことなんですね。

 したがって、これは対馬の問題もいろいろ議論されておりましたが、小笠原はまさに国境の離島なんです。したがって、例えば沖ノ鳥島の整備事業は、国の直轄事業で一〇〇%国費でやっておる。これは当然のことだろうと私は思っておるんですね。そういう意味で、国境離島への支援、とりわけ交通アクセスについては、国が全額欠損補助をするぐらい、これまでにない対策をとらなければ離島における交通アクセスの問題は解決しない、私はこのように思っております。

 最後に、どうぞ大臣、そういう意味で、新たな支援制度の創設についてその決意をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 海洋法ができまして、小笠原の位置づけ、先ほど川内委員から御指摘ありましたように、奄美だけでなくて全体のこういう国境の離島ということも含めて、我が国の政策に反映させていきたいということを申し上げました。そういう中で、国と地方のやはり役割分担というのもあるんだと思います。財政的に許される範囲で対策を講じてまいりたいと思っております。

高木(義)委員 強く要望いたしまして、終わります。

望月委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 私も同僚議員と一緒に、奄美群島、小笠原諸島の振興開発特措法の期限延長のための法改正の審議に参加をさせていただきます。

 これまで、長年にわたって奄美と小笠原の振興開発を行ってきました。まず、お伺いいたします。

 政府として、これまで行ってきた奄美、小笠原の振興開発計画をどのように評価していらっしゃいますか。政府としてどのように評価をしていらっしゃいますか。これまでの委員に答えていただいた月並みなお言葉は、もう結構です。政府としてどのように評価をされているか。

金子副大臣 お答え申し上げます。

 奄美、小笠原の両地域におきましては、法に基づく振興開発計画によりまして、自立的発展、住民の生活の安定等を目的として、社会資本整備あるいは産業振興策を積極的に支援してまいりました。

 この結果、両地域ともに、振興開発計画に基づいて着実な生活基盤整備や産業インフラ整備が進捗いたしまして、両地域の島民からも一定の評価を得るなど、相応の成果を上げていると思います。

三日月委員 副大臣、お言葉ですが、それを月並みな言葉と申し上げるのだと思うんです。

 例えば、国費を幾ら投入したんですか。人口はふえているんですか、減ったんですか。特に直近のこの五年間、どうだったんですか。そして、所得水準はどうなったんですか。物価は。私は、こういう評価をしているのかしていないのかということも問いたいと思うんですけれども、いかがですか。政府としての評価をお伺いしています。

加藤政府参考人 申し上げます。

 例えば人口ですと、奄美と全体の、例えば全国の増進率を比べますと奄美の方が落ちている。それとか、高齢者の割合についても、奄美の方が全国に比べて高いといったようなこと、各指標については点検をいたしております。

 多分、先生の御指摘は、これまでの奄美、小笠原振興開発について基本方針なり開発の振興計画で掲げた目標が十分に、私が今申し上げましたように、個別の指標をとってみれば一々こういうふうになっているということは検証はできるわけですが、もともと、この前の五年間の計画のときにどれぐらいの、例えば人口でも趨勢的には恐らくは減少傾向、マクロ的に見れば減少になります。ですから、その中で、例えば奄美の場合にはどのくらいにとどめようと。それと、若年人口の流出についても非常に厳しい問題がございまして、有効求人倍率の問題もそうでございます。

 そういうものを、今回私どもとしては、五カ年間の成果が、より数字というんでしょうか、検証しやすいような枠組みにぜひ切りかえていきまして、瞬間的にこの数字がこうなったということでなくて、目標数字で可能な限り設定して、それにたえられる、その方向でどのくらい成果があったということについても、ちゃんと明確に各方面にも御説明できるように切りかえたいと思っておるわけです。

三日月委員 何か迷走してきましたけれども、これまでがどうだったかということをまず問うたんです。

 ちなみに、国費にしますと、これまで奄美で一兆三千四百億円ですね、国費です。そして、小笠原には昭和四十四年以降、千三百八十四億円投入してきています。

 人口の増減を見ますと、先ほど徳田委員の方からもお話がありましたけれども、若年層の流出を含めて、残念ながら、小笠原は約二千三百名で安定しているんですが、奄美に至りますと、平成十二年から十七年までの五年間で約五千六百名減少しているんです。これまでは社会動態の方が多かったんですけれども、最近、この十年間ぐらいは自然動態、要は、出生と死亡でも約二千人の減少になり、これに社会動態、社会的な減少が加わって約五千六百名の減少ということになっています。

 所得を見ますと、奄美は所得格差が依然としてあるんです。鹿児島県内でもありますし、本土、全国ともあります。随分改善はされてきたんですけれども、改善ぐあいが鈍化しています。直近のデータで、平成十七年の数字で鈍化しています。

 物価を見ますと、よく引き合いに出されますガソリンの価格ですね。幾らか御存じですか、副大臣。きょとんとしてごらんいただいていますけれども、ちなみに、小笠原で、きょうの数字で一リットル当たり二百三十二円と二百六十七円なんですね、一リットル当たりです。ハイオクじゃないです、レギュラーですよ。奄美は、全国の平均が約百十円であるのに比べて、奄美大島で百四十四円なんですね。

 こういう形で、住民の方からは評価をされていますと先ほど御答弁がありましたが、これまで行ってきた振興開発計画が果たして、奄美にしろ小笠原にしろ、自立的発展に資するものであったかどうか。指標のとり方はいろいろあると思うんですが、私は、もう少し踏み込んだ検証をした上で延長が必要であり、延長するに当たっては、どういう内容が必要かということの検証が必要だと思うんです。

 ですから、まず冒頭にそのことをお伺いしているんですが、残念ながらそういった観点での御答弁はないんですけれども、これは、今までないんならないで、これからどうしようと考えていらっしゃるんですか。

 ちなみに、両審議会ですね、奄美にしろ小笠原にしろ、両審議会の意見具申で、これは定期的評価を行うことを目的としたフォローのための仕組みづくりが要るんだという意見具申をいただいていますが、そこもあわせて、これまでの評価とこれからの評価の仕組みについてどのようにお考えなんでしょうか。

加藤政府参考人 評価については、これまでも、例えば奄美の場合ですと、鹿児島県がいろいろな調査をやってまいりまして、先ほど一定の評価を得ていると申し上げましたのも、鹿児島県が行いました総合調査報告書で、住民のアンケート調査を踏まえて今申し上げたものでございます。小笠原についても同様でございまして、東京都が、小笠原村の御意見等も踏まえて、いろいろ検証に当たってきているということでございます。

 ただ、今後は、そういうことだけではなくて、振興開発計画の策定主体であります東京都、鹿児島県が主体となって、その成果を検証しやすく、それを公表して、皆さんに、住民の皆さんを含めてですが、関係者により理解してもらえるような姿に評価の手法を変えてはどうかというふうに考えております。

 具体的には、今後、本案がお認めいただきますと、基本方針を国において策定することになるわけでございますが、この基本方針の中で、振興開発計画の検証をより行いやすくなるように、都、県を初め地域の関係者の意向を十分に伺いながら、基本方針において、振興開発計画に可能な限り具体的かつ明確な目標を盛り込むべき旨を記載する方向で検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 これからはより検証しやすい仕組みづくりをするんだという御答弁だったと思います。

 そのときに、これは我々、奄美にしろ小笠原にしろ、住んでいない者が軽々に語るべきではないのかもしれませんが、両法とも目的にしている自立的発展というのはどういう状態を指すんですか。何をもって自立的発展をしていると、これはより検証しやすい仕組みの中で評価するんですか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 自立的発展というのは、その地域地域の特性に応じて、自分たちの力で持続可能な発展が図られるようになっていただく、そのための基礎条件を整備していこうというのがそのねらいだと私は思っております。

 そのために、ただ、そうはいいましても、基礎的条件が他の地域と異なりますので、それは自然環境の問題もございますし、地理的特性の問題もございますので、そういう観点から、必要な施策については十分手当てをして、その上で、今申し上げたような、地域の活力を引き出して、地域がみずからの力で持続的に発展できるようにしていくということが非常に重要であるというふうに考えておるところでございます。

三日月委員 それを今お聞きいただいた委員の皆さんは、御理解いただけたんでしょうか。

 両法に、二つの法律に、第一条、目的のところに、「この法律は、」から始まって云々かんぬんとあって、「もつて奄美群島の自立的発展並びにその住民の生活の安定及び福祉の向上」、これは両法ともこういう書き方をしているんです。もって群島なり諸島の自立的発展というのは、どのような指標でどう評価するんですか。これからより検証しやすい仕組みづくりをするという枠組みの中で、これはどのように行われるのか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでは、先ほど申し上げましたが、地域でおつくりになっていただきます振興開発計画の中に、五年間に取り組む事業、どういう事業を行うか、あるいはどういう施策を五年間で行うかということを計画に明示いたしまして、いろいろな支援措置も活用しながら、枠組みとして支援もするわけでございますが、それでその事業目的が、事業成果が上がるというようなことで取り組んできたわけでございます。

 ただ、そのときには、いわば事業については、事業を掲げて、ソフト事業なんかについてもいろいろ事業メニューはございますが、確かに事業はやっているわけですが、先ほど申しましたように、その効果として、より効果を検証しやすいというのは、その事業をすることによってどのくらい地元にプラスになって、先ほど申し上げた自立的発展のために、最低限これぐらいはやろうとみんなで決めたものをどのくらいまでできたのかということがわかるような仕組みに、可能な限りできればいいなというふうに考えているところでございます。

三日月委員 大臣も副大臣も今お聞きいただいたと思うんですけれども、計画の中に支援措置のある事業を盛り込みました、その事業が行われたかどうか、成果があったかどうか、これまでは確認してきましたと。

 私、ここで抜け落ちているのは、その事業そのものがもって群島なり諸島の自立的発展に資するものであったかどうか検証する例えば指標なり仕組みなりが、これまではなかったのではないかと思うんです。

 そもそも、自立的発展というのはどういう状態なんですかということの定義や、それを示すデータ、これは難しいことだと思うんですけれども、そういうものについても、やはりこの際しっかりと、国費を投入するに値するやり方の検証をどうすればいいのかということも含めて確認するために、私は整理する必要があると思うんですけれども、大臣や副大臣はどのようにお考えになりますか。

金子国務大臣 なるほど、御指摘の部分をやることによって、成果を得るという結果につながれば、より結果につながっていくためにそういう仕組みというものは必要なのかなと、今お話をお伺いしていながら感じておりました。

 多分、具体的には、さっき農林省の畑作整備の話が出ていましたけれども、あれも、テッポウユリが売れている、フリージアも売れていると。例えばでありますけれども、こういう花。あるいは平張りとかいう畑作のための施設といったようなものも、奄美大島特有の仕組みを導入している。その結果として、今までどちらかといえばサトウキビだったんですけれども、それ以外の野菜の方に相当、転作というんですか、新たな野菜づくり、農業が行われている。そういうものが結果として、農林省の畑作事業というものが成果としてどこまで上がってきているのかというようなものが出てくるといいんだろうなと。

 例えば、しょうちゅうも今非常に伸びてきていますから、黒糖しょうちゅう。これに対する施策は具体的にどういうふうに盛り込まれているのか、ちょっと私はわかりませんけれども、そういう伸びていくものに対する、今度は物流になるんですか、施設というよりも物流なんだと思いますけれども、こういったようなものも伸ばしていけるような、結果としてこういうものが伸びてきましたと、こういうものが検証できるようなことは考えてみたいと思います。

三日月委員 あと二点お伺いしたいと思うんですが、奄美の特措法の六条の九に、地域文化の振興等というのがあるんです。要は、地域文化をしっかりと振興していこうという、「奄美群島において伝承されてきた文化的所産の保存及び活用について適切な措置が講ぜられるよう努めるとともに、地域における」これは固有の文化だと思うんですけれども、「文化の振興について適切な配慮をするものとする。」

 これは奄美の特措法にはこの条文があるんですが、小笠原諸島の特措法にこの地域文化の振興という条文がありません。やはりこれは、固有の文化を有する群島なり諸島の文化振興、保存のために、私はこうした条文は必要ではないかなと思うのが一点。まず、この点、いかがですか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 結局は、文化が根差しているかどうかということで、小笠原に人が住んでいた、そこでずっと営々と生活していた期間と、奄美に住まわれて、生活に基づいて文化が形成されてきた、そういうもともとの人の住まい方、集積の違いが反映して、結果において、奄美にはございますが、小笠原にはそういう文化の位置づけが特に規定はされていないということでございます。

三日月委員 いや、規定されていないことを知っているから、規定すべきだという意見を私は申し上げているんです。

 これは昨年七月に閣議決定された国土形成計画の全国計画の中にも、奄美や小笠原諸島については、「それぞれ本土から隔絶した条件の中で培ってきた多様で個性的な文化を発信し、」というのがあって、人の多寡、そしてそこに根づかれた人の長さではなくて、やはりそれぞれ固有、個性の文化というものがあると思うんです。それがきちんとそれぞれの島で守られるような法体系にすべきだ。これはぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、先ほど来議論になっていました交通に対する配慮。これも条文にさかのぼって問いますと、いろいろな施策が、「適切な配慮をするものとする。」と定められているのに対して、交通については、「特別の配慮をするものとする。」と定められているんです。船にしろ航空にしろ、特別な配慮を今後どのように行うのか、その点だけ伺って、私の質問を終わります。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これは他の配慮規定と違いまして、交通の確保については、「特別の配慮」と書き方が異なっておりますが、これは、もともとその両地域が非常に本土から遠く隔絶した外海離島である、それと台風常襲地帯でもあるといったような各種の条件から、人の移動なり物資の輸送、通信の確保のために、とりわけ交通を確保するということが極めて重要だということで、例えば、他の文化とか雇用だとか農業の振興だとか、そういうところと書き分けて整理をしているというふうにぜひ御理解を願いたいと思います。

 この交通確保については、これまでもいろいろ御議論いただきましたように、道路、港湾、空港等の整備ですとか、不採算航路の維持確保等々、特別な配慮を行ってきておりますが、今後とも、海上、航空、陸上の交通の総合的かつ安定的な確保及びその充実については、地元の要望等も踏まえながら、特別な配慮を行ってまいりたいというふうに考えております。

三日月委員 路線の維持に努めてきていただいたことは理解をします。しかし、運賃が高過ぎるんです。その運賃の高さが島内の物価の高さに反映をし、それが島民の皆さんの生活を圧迫しているという事態もあります。

 ぜひ、運賃の低減化に向けても、先ほどの御答弁と同様に、この特別な配慮をしっかりと行っていただくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。

望月委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 奄美群島振興開発特別措置法の五年前の改正で、振興開発計画の策定主体が国から鹿児島県に移行したことによって、地域が主体となった振興開発計画の策定が行われるようになったとされています。今議論になっているこの奄振の結果がどうであるかという問題について、多くの方々から、同僚議員から議論されました。

 そこで、私は角度を変えて、今言ったように、結局のところ、地元の市町村、それから地域住民、関係団体等、多様な主体の参画が、今までとどのように違って進化したのか、充実が図られたのか、こういう点が必要だろうと思うんです。そこを聞きたい。

 あわせて、地域が主体となった取り組みでは何が行われて、どのような成果があったのか。だから、地域ということを考えた、いわば地域が主体という意味での、どこが前進したのかということについて、五年前に法律を変えた趣旨との関係で聞きたいと思います。

加藤政府参考人 前回の法改正におきまして、振興開発計画の策定主体がお尋ねのように国から都、県に移行しましたが、その際、具体的にどういう地域の主体的な取り組みをやってきたかということだと思います。

 具体的に申し上げますと、振興開発計画の策定に当たりましては、市町村が住民、関係団体等、地域の関係者に意見聴取を行いまして、その結果を踏まえて、奄美の場合ですと鹿児島県が計画を策定いたしました。小笠原の場合についても同様でございますが、東京都がパブリックコメントを実施いたしまして、その結果を踏まえて計画を策定したところでございます。これらを通じまして、地域の多様な主体の積極的な参画のもとに振興開発計画が策定されたものと理解をいたしております。

穀田委員 もう一つ聞いたでしょう。だから、何が変わって、どんな成果があったんやということも聞いたでしょう。二つまとめて聞いたんやから、よう質問聞いてなあきまへんで。

加藤政府参考人 実は、もともと、いろいろな事業がございますけれども、例えば振興開発事業なんかですと、地元の要望を聞いて、それで具体に、奄振と言っておりますが、奄振の事業については実施をしてきているところでございますので、個別の、皆さん、各地域の人方の意見を聞いた上で奄振の事業なんかは実施しているというふうに、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。

穀田委員 大臣、やはりこれは、何というのかな、大臣と話をせなあかんなという気がしませんか。結局、地元住民は一定の成果があったと言っている、こう言うわけだ。また、今の話のように、具体的には、市町村からお話を聞いています、それからパブリックコメントをやっていますと。そんな形式の話と違うねん。

 やはり地元が主体だ、それから、主体が参加してということでどのように変わって、その結果、目には見えないけれども、例えば、地域のいわば住民の力全体の活力がふえたとか、それから産業に取り組む姿勢が変わったとか、何があったのかということ。やはり数値の問題だけじゃなくて、何が変わってどう変化して、何がよかったと言われているのかという政治としての判断がないんだね。ちょっと私は驚くべき話だと思うんだよね。

 私は、前回の法案質疑の際に、あくまでも重心を下に置いた観点と、それから本当の主体は行政ではなくて住民でなければならないということを提起したんですね。

 奄美群島開発審議会の意見具申も、どう言っているかというと、「地元の発意による地域の個性と地元の創意を生かした地域主体の地域づくり」、地域づくりと言っているんですよ。

 だから、これは何なんだと。この大切さを説いて、このごろはやっている新たな公というんですか、それをはぐくむこと、これは言っていますけれども、それは、この間、政府が好きな言葉なんで私は余り気に入っていないんですけれども、地域の主体的な取り組みを一層進めるために、ボランティアやNPOの重要性を訴えているわけです。

 そこで私、調べてみたんですけれども、その開発審議会のいわば案を練る幹事会というのがあるんですね。そのメンバーは、奄美も小笠原も相変わらず全部役所の人間ばかりなんですよ。だから、こういうところに、やはりお役所の方でいうと中心的なところは何も変わっていないということが指摘できると私は思うんです。

 こういう点があるんだということを、まず大臣、認識していてほしいということ、これが一つ。

 二つ目。そこで、今、自立的発展というのがキーワードですよ。私は、自立的発展ということについて、先ほども同僚から大体こういうところにありましたよ。数値の問題というよりも、私は、次の三つが必要だと考えているんです、自立的という場合。

 一つは、主体者の自立の保障なんですね。二つ目は、自立する足場の確保。すなわち、産業の振興が基本となるのは言うまでもないんですね。今まで何度も指摘してきましたけれども、私は、公共事業中心のやり方で本当に自立が可能なのかと。上からのハードの押しつけではなくて、住民による産業興しが大切じゃないのか。つまり、自立の足場というもの自身をみんなでつくり上げる必要がある。三つ目に、財源の自立性というものを保障しているかどうかということだと思うんです。

 第一の問題は、今質問しました。

 そこで、自立発展のために、ソフトとハードとを一体とした総合的な施策の推進ということを一貫して奄振の審議会も指摘しています。これがどのように行われてきたと考えているのかを述べていただきたいのと、数字の問題だけ最初に聞きますから、では、手を挙げてはるからあわせて、振興の予算というのは、公共事業と非公共事業の費用の推移、すなわち、ハードとソフトの費用の実態について、この五年間の変化について、まず述べてください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 公共事業につきましては、平成十六年度、三百五十一億円でございましたが、平成二十年度におきましては二百九十六億円となっているところでございます。平成二十一年度予算案におきましては二百八十三億円が盛り込まれているところでございます。

 一方、非公共事業でございますが、これは平成十六年度、四・五億円でございましたが、平成二十年度におきましては四・一億円となっているところでございまして、平成二十一年度予算案においては同額の四・一億円が盛り込まれているところでございます。

穀田委員 大臣、今聞いてわかりますように、ソフトの費用が飛躍的にふえているとは到底言いがたいわけですよ。

 公共事業が全部悪いなんて私ども言っているわけじゃないんですよ。そういうふうに一体となってなどと言っていることでいいますと、現実は公共の割合が高い。そして、非公共とされている予算額の中でも、私調べてきましたよ、そうしたら、非公共と言われている中に、例えば人材育成支援というのがあるわけですね。この中身を聞いてみたら、これは非公共なんですけれども、実際は図書館の建設費用だというんですね。

 だから、この程度で本当に、非公共といっても何に使われているかということを見ますと、この実態をよく見ていただかなければならないと思っています。

 さて、この法律については多くのメディアも論じています。課題としてはおおむね共通していまして、特に中心的なのは、先ほど同僚議員からありましたように、結果として、人口の定着という問題が、つづめて言えば、そこに集約される。若者が定着するという問題でもしかりです。

 私は、そのために、農業の振興、地場産業の育成、高齢者施策の充実と言っていいと思うんです。若者の定着には、何といったって雇用先が要るわけですよ。したがって、思い切った産業振興策が必要だと私は思うんです。

 先ほども大臣が言っていましたけれども、確かに、例えば黒糖のしょうちゅうというのが随分出ていると言っていました。私は、それはいいと思うんです。だけれども、農業や大島つむぎの振興のために、例えば、生産に対しての所得補償、それから一定の価格保証、従事する若者がひとり立ちできる、一定程度、例えば五年ぐらいの生活保障と訓練の保障だとか、それから、つむぎの今日的ニーズの掘り起こしだとか、生産家への手厚い補助だとか、販路の拡大だとか、つまり、インキュベーションの強化等が必要だと考えるわけであります。

 そういうのが必要と違うかということと、もう一つは、柱はそこからなんです、それらの援助の費用を地元で自由に使える形に変えることが決定的じゃないのか。やはり全部上で決めるんじゃなくて、これだけのことをやりたいということをお互いによく考えて、それをどうしたら補助できるかという仕組みに思い切って変える必要があるのと違うか。つまり、すなわち財源の自立性という問題が最後は出てくるんじゃないかと。

 今、産業興しと財源の自立性の問題について言いましたが、大臣の見解を伺いたい。

金子国務大臣 自立的発展の部分で足場を固める、その主体が大事だということについて、私もよく認識をしております。そういう意味で、全部上から決めるんじゃないだろう、もっと地元でやりたいことをきちっとやれるように、予算の制度も交付金にしたらいいじゃないか、地元が使いやすいようにもっとしたらいいじゃないかというのが最後の一番の、きょうの委員のポイントだと思います。

 これはやはり、自立的主体というのがどんどんどんどん育ってきてくれて、そして、よし、これをやるよということでやってくれれば、上からなんて要らないんですけれども、ただ、まだなかなかそこは出てこないところがあるものですから、やはり公共事業というものをやって足場を固めようという発想になっているんだと思います。

 できるだけそういうことで、委員がおっしゃるように、地元がこれで伸びていく。ただ、さっき三日月委員からも御指摘ありましたけれども、この事業が、あるいは国の施策が成果を生ずるという検証というのは、やはりこれは大事だと思いますものですから、それがやれるような仕組み、今回、五年間の枠組みというのはそこを入れ込んだわけであります。

 それができるような財政の仕組み、そのためにはどっちがいいのか、今委員がおっしゃるように、交付金にしろよ、地元の人が何でも使えるようにしろよというお話はわかるんですけれども、そうなると、一方で今度は、この場合には、港湾にしても道路にしましても、補助率を非常に他の地域に比べて高くしているという部分がある。交付金方式ですとやはりちょっと違いが出てくるというようなことで、そういう財政的な部分は考えながら、検証できる枠組みというのをあわせて考えていく必要があるんだろうなと。

 ただ、言っている御趣旨はよくわかりますので、それは踏まえてやっていきたいと思います。

穀田委員 補助率その他の問題は、それは実際に施行する上で決めたらいいわけで、問題は、考え方の基本なんですよ。そこを言っている。

 産業振興自身にもっと力を注ぐ、そういう点のやり方と、それから、そこにお金を使えば、これは、今まで二兆円使ってきてこういうのをやっているということの反省が必要なんですよ。だから、私は改めてそういう抜本的な問題を提起しているわけで、きちんと理解をしていただければと思います。

 あと二つだけ、小笠原諸島の不在地主の問題について、私、これも前回も取り上げたんです。これは未解決の問題です。

 私はこの問題について言っておきたいんですけれども、二〇〇三年の小笠原諸島振興開発審議会で東京都が問題点として、農地法の適用がなくて農地の転用について規制する方法がないと訴えています。改めて聞いたけれども、私、尋ねたんですが、農地転用が規制されないため一定の農地が保全されないという懸念があると述べておられます。

 自然遺産登録に向けて、開発と自然環境との調和の問題もいよいよ重大な段階に入ります。五年前にも指摘しましたが、発端は戦争中の強制疎開にあります。農地法の適用を含め、国の責任でしっかり解決することが必要ではないかと思いますが、一言。

加藤政府参考人 小笠原の不在地主の関係でございますが、これは御指摘のように、農業適地の多くが遊休化しておって、その多くは不在地主の所有者であるというふうに考えております。

 このため、東京都、小笠原村あるいはJA、農協でございますが、連携して、新規参入者に農地が提供できますよう、農地の貸し手側の掘り起こしと借り手側の調整を行っていると承知しております。

 現時点においては、不在地主の存在が小笠原諸島の振興開発の大きな支障になっている状況にはありませんけれども、いろいろ、東京都を初め関係者と連携を図りながら、状況を確認し、適切に対処していきたいというふうに考えております。

穀田委員 支障になっているとは思わないって、それはだめですよ。だって、土地の半分を要するに不在地主が占めておるわけだから、今後の、例えば自然を生かす場合にしても、開発を一定行うにしたって、それが問題になることが明らかなんです。その程度の認識だから、五年間何も進めへんわけではないですか。これはまた時がたてばたつほど大変なことになるということ、五年後にまたこんなことを言わせないようにね。大臣、しっかりやっておいてよ。いいわ。もうあっちが答えたってしゃあない答えしかせえへんし……(金子国務大臣「承ります」と呼ぶ)はい。承っていただいて、実行していただきたい。解決のために、これは誠心誠意努力をしていただきたいと思います。

 最後に、奄美振興開発基金の問題について聞きたいと思います。

 この基金の問題というのは、五年前に独立行政法人化されて、二〇〇七年には、閣議決定された独立行政法人整理合理化計画で、業務の縮小、重点化、そして抜本的な見直しの方針が示されています。

 三つだけ聞きたい。

 一つは、今後、融資や保証をやめたり減らすことを考えているのか。二つ目に、閣議決定では、自己収入の増加で収入改善すると述べているわけですが、収入をふやすために貸出利率や保証料を引き上げるのか。三つ目に、こうした見直しで中小事業者が融資や保証を受けられなくなるんじゃないか。

 これらの疑問に対してお答えいただきたい。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、今後、融資や保証を減らすことを考えているかということでございますが、これは考えてございません。

 次に、整理合理化計画で自己収入の増加を挙げているけれども、これが結果として貸し出しの利率とか保証を引き上げることになるのではないかという御指摘だと思いますが、これについては、奄美基金の一般管理費の抑制、債権回収の向上、リスク管理債権の削減等による財務の健全化に取り組むことによって自己収入の増加を図ることとしておりまして、整理合理化計画を理由として、今申し上げた貸出利率ですとか保証料率を引き上げることは考えておりません。

 最後に、奄美の振興開発基金については、国等が行います各種施策と一体となって、奄美群島の産業振興のため金融面から支援を行うものでございますので、今後とも、奄美群島内の事業者の資金需要に十分対応できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

穀田委員 今、答弁では、変わらない、それから必要な融資や保証は続ける、こうなるわけですけれども、一方で、見直しをする、財政状況が厳しいということを言っているわけですやんか。

 本当に中小事業者への融資や保証が続けられるのかという問題を見ますと、基金は、独法化以降、担保設定が厳しくなって、一覧表を見たらわかりますよ、保証も融資も残高が減っているわけです。昨年末のセーフティーネット保証でも、奄美から百七十九件申し込んだけれども、借りられたのは三十七件だけ。

 今の大変厳しい経済状況のもとで「銀行その他の金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対する小口の事業資金の貸付けを行う」、これが基金の目的なんですよ。だから、その目的に沿って切実な要請にこたえて、奄美の振興という肝心な役割を果たすべきだと私は考えます。

 この役割を果たしていく上での、大臣に、最後、明快な答弁を求めておきたいと思います。

金子国務大臣 その目的にきちんとこたえられるように、奄美諸島産業振興のための金融支援ができるように、今後とも事業者の資金需要に十分対応できるように取り組んでまいりたいと思っております。

穀田委員 今、取り組んでいきたいと思っておりますと言ったので、そのとおりやってほしい。

 というのは、現実は、銀行で貸さないものをこれでやるんだという場合があるわけでしょう。そういう位置づけなんですよ。ところが、銀行で借りられないからこちらに頼んだらだめだったという例が実際には出ているわけですよ。そして、しにせの商店なんかがそこで倒産をしたなどという事態が生まれているのが現実なんです。だから、現実をよく見つめて、今の答弁が必ず実行されることを特に要求して、私の質問を終わります。

望月委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

望月委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、福井照君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び国民新党・大地・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。川内博史君。

川内委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 奄美群島及び小笠原諸島の振興開発基本方針の策定に当たっては、環境との調和に配慮するとともに、地元の創意や工夫が十分に発揮できる内容となるよう留意すること。また、両地域の振興開発に当たっては、地域主体で策定される振興開発計画を十分尊重し、ハードとソフトの施策が引き続き一体的に実施されるよう配慮するとともに、地域経済活性化の観点から、島内企業の受注機会の増大が図られるよう努めること。

 二 奄美群島の振興開発に当たっては、多彩で豊かな自然環境の保全に留意するとともに、世界自然遺産候補地としての推薦に向けた地域の取組に配慮すること。

 三 奄美群島における産業の振興については、新たな産業の誘致・育成を図るなどにより、若年層等の雇用機会の確保に努めるとともに、大島紬・黒糖焼酎等地域の特性を踏まえた地場産業のより一層の振興が図られるよう配慮すること。

 四 離島航空路線が住民の生活路線であること、他地域との交流の活発化に欠かせないインフラであること等にかんがみ、航空運賃の軽減による住民の生活利便性の向上、観光の振興等に関する実証を行うため、奄美群島路線の航空運賃の軽減について必要な措置を講ずるとともに、航空運賃を含む現在の航空政策の基本的な考え方について、今後検証・検討を加えること。

 五 小笠原諸島の振興開発に当たっては、世界自然遺産への登録実現に向けて自然環境の保全に積極的に取り組むとともに、観光産業や農水産業の振興など地域資源と創意工夫を生かした産業の活性化等が図られるよう、空港整備等本土との高速交通手段の確保に努めること。

 六 奄美群島及び小笠原諸島における振興開発事業については、両地域の自立的発展に資する効果的な事業が推進されるよう、事業について評価する仕組みを検討し導入を図っていくこと。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

望月委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

望月委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣金子一義君。

金子国務大臣 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心に御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員各位の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

望月委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

望月委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.