第6号 平成21年3月18日(水曜日)
平成二十一年三月十八日(水曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 望月 義夫君
理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君
理事 中山 泰秀君 理事 福井 照君
理事 山本 公一君 理事 川内 博史君
理事 後藤 斎君 理事 上田 勇君
赤池 誠章君 稲葉 大和君
江崎 鐵磨君 遠藤 宣彦君
小里 泰弘君 大塚 高司君
太田 誠一君 岡部 英明君
鍵田忠兵衛君 亀岡 偉民君
北村 茂男君 佐田玄一郎君
島村 宜伸君 杉田 元司君
長崎幸太郎君 長島 忠美君
丹羽 秀樹君 西銘恒三郎君
原田 憲治君 藤井 勇治君
松本 文明君 武藤 容治君
盛山 正仁君 吉田六左エ門君
若宮 健嗣君 石川 知裕君
小宮山泰子君 古賀 一成君
高木 義明君 長安 豊君
三日月大造君 森本 哲生君
鷲尾英一郎君 高木 陽介君
谷口 和史君 穀田 恵二君
下地 幹郎君
…………………………………
国土交通大臣 金子 一義君
国土交通副大臣 加納 時男君
国土交通大臣政務官 谷口 和史君
国土交通大臣政務官 西銘恒三郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 望月 達史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 増田 優一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房建設流通政策審議官) 小澤 敬市君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 大口 清一君
政府参考人
(国土交通省都市・地域整備局長) 加藤 利男君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 金井 道夫君
政府参考人
(観光庁次長) 神谷 俊広君
国土交通委員会専門員 石澤 和範君
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
七条 明君 丹羽 秀樹君
若宮 健嗣君 武藤 容治君
亀井 静香君 下地 幹郎君
同日
辞任 補欠選任
丹羽 秀樹君 七条 明君
武藤 容治君 若宮 健嗣君
下地 幹郎君 亀井 静香君
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三月十八日
建設不況打開と資材高騰への緊急対策に関する請願(寺田稔君紹介)(第一〇〇〇号)
同(中川秀直君紹介)(第一〇〇一号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第一〇〇六号)
同(平口洋君紹介)(第一〇五七号)
同(保坂展人君紹介)(第一〇九六号)
同(三谷光男君紹介)(第一〇九七号)
同(神風英男君紹介)(第一一三一号)
新たなタクシー制度の確立を求めることに関する請願(奥村展三君紹介)(第一〇五四号)
同(日森文尋君紹介)(第一〇五五号)
同(細川律夫君紹介)(第一〇五六号)
同(大畠章宏君紹介)(第一〇九九号)
同(菅野哲雄君紹介)(第一一〇〇号)
同(小宮山泰子君紹介)(第一一〇一号)
同(田島一成君紹介)(第一一〇二号)
同(高木義明君紹介)(第一一〇三号)
同(田島一成君紹介)(第一一三二号)
同(照屋寛徳君紹介)(第一一三三号)
同(伴野豊君紹介)(第一一三四号)
八ッ場ダム事業の見直しと水没予定地域再生のための法整備に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇五八号)
同(保坂展人君紹介)(第一〇九八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
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○望月委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣金子一義君。
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道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○金子国務大臣 ただいま議題となりました道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
平成二十年五月に閣議決定いたしました道路特定財源等に関する基本方針に基づきまして、道路特定財源制度を廃止し平成二十一年度から一般財源化するため、道路整備費の財源の特例措置を廃止する等の措置を講ずる必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、毎年度、揮発油税等の収入額の予算額等に相当する金額を原則として道路整備費に充当する措置を廃止することとしております。
第二に、地方道路整備臨時交付金の制度を廃止することとしております。
第三に、揮発油税の収入の一部について、地方道路整備臨時交付金の交付に要する費用の財源に充てるため、毎会計年度、社会資本整備事業特別会計の道路整備勘定の歳入に組み入れるものとする措置を廃止することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願いいたします。
以上であります。
○望月委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○望月委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長増田優一君、大臣官房建設流通政策審議官小澤敬市君、総合政策局長大口清一君、都市・地域整備局長加藤利男君、道路局長金井道夫君、観光庁次長神谷俊広君及び総務省大臣官房審議官望月達史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○望月委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長崎幸太郎君。
○長崎委員 おはようございます。自民党の長崎幸太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案ということで、いわゆる道路特定財源制度を廃止するものであります。
もっとも、特定財源制度というのは、実際には、これまでも歳出面ではシーリングがかかっている中で、ガソリン税収等のいかんによらず、シーリングで対前年度何%という形でずっと落とされてきたわけで、実態的には、既にもうガソリン税収その他の特定財源歳入と道路歳出というのは分離されていたのではないかと思います。
今後、今回の法律によりまして、名実ともにガソリン税収等と道路歳出の関係が分離される。こういうことで、ガソリン税があるから無駄な道路がつくられるという悪口はとまるぐらいの効果はあるかな、そういうところが主なメリットじゃないかなぐらいにしか私は思えません。
ただ、現状におきましては、特に地方は、道路整備、補修というのはまだまだ必要で、待ち望まれております。私の地元でも枚挙にいとまがありません。国道百三十八号線、百三十九号線、西八代縦貫道。主要道路自体がまだまだ片側一車線で、トラックもすれ違えないような道ばかり。こういうところで、道路整備というのは本当にもう住民の皆さんは待ち望んでいるわけです。
無駄な道路をつくらないのは、これはもう当たり前なんですけれども、無駄な道路をつくるぐらいの余裕があれば、ぜひその分の財源は待ち望んでいる地域に回していただきたいと思います。
また、一般財源化することによりまして、むしろ、地方の納税者サイドにとってみると、これは不公平感がより大きく募るという副作用があると思っております。地方では、公共交通が発達していない中で、自家用車というものが日常の足になっている。したがって、ガソリンは生活必需品である。これに対して、都会などでは、地下鉄があり公共交通があり、むしろ、駐車場代その他を考えれば、車はぜいたく品である。こういう違いがあるのかもしれません。
このように、特に地方の住民にとっては、ガソリンというものは生活必需品であって、この生活必需品に、今大体百十円ぐらいでしょうから、約半分ぐらいの税金が課されている。大変高率の税が課されているという問題。さらには、今度一般財源化するということで、防衛費ですとか国債費ですとか、そういう国民全体がひとしく負担しないといけないようなものを結果として地方が重く負担する、ガソリン税については重く負担するようなことになっております。
本来、一般財源化する以上、私は、このガソリン税というものは撤廃するべきだというのが筋ではないかと個人的には考えますが、本日は揮発油税の議論の場ではないので、ここら辺で悪口はやめておきたいと思います。
ただ、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、歳入面がどうなろうとも、道路行政を預かる国土交通大臣におかれましては、しっかりと必要な道路はつくっていただきたい。これはしっかりと堅持していただかなければならないと思います。特に、先ほど申し上げたような、税制としての不公平感というものが起こり得る状況になれば、なおさら地方の声を聞いて、特に地方の道路を要望する声に、これまで以上にこたえていただかないと困ると思います。
こういう点で、大臣の今後の道路整備に対する基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 一般財源化になりましたけれども、地方の方々、特に地方の方々と申し上げていいのかもしれませんが、道路に対する需要は非常に強い。東京ももちろん外郭環状というようなことで、都会でも御要請がもとよりあります。そういう意味で、一般財源化されたとはいえ、都会、地方を問わず、必要な道路というのは何とか確保できる、着実に進められていくような枠組みを何とかつくり上げたいということで、今般国会に法案を提出させていただいているところであります。
御指摘のように、過去十年間でシーリングがかかっておりまして、道路予算は既に四〇%削減をされております。そういう中で、これから一般財源化、特定財源が切り離されます。したがいまして、揮発油税四分の一直入と地方道路整備臨時交付金、これはもうその関係がなくなります、断ち切られます。今度は具体的に全部国債で発行する、一件一件国債で発行するという対応になってまいりますだけに、道路をつくっていくということに対して、もう一つ採算性といったような面で厳しさを考えていかなければいけないと思っております。
しかし、小泉総理も、これは道路公団民営化のとき、それから福田前総理、道路財源を一般化するときも、必要な道路はつくるということはおっしゃっていただいております。
そういう流れの中で、今御指摘されました地方の道路、先生のお地元の山梨も大変な需要があるという声が寄せられております。そういう期待に着実にこたえられるように進めてまいりたいと思っております。
○長崎委員 ありがとうございます。ぜひ、財源確保にはこれまで以上に、大臣を先頭に国土交通省全体で努力をしていただきたいと思います。
今大臣のお答えの中に、採算性を考えるというお話がありました。これは道路建設に限らない話ですけれども、公共事業全体に及ぶ話かもしれませんが、その採算性を考える際に一つ、私はどうしても留意していただかないといけない点があると思います。それは、働く人の労務単価の問題であります。
昨年の二月二十日にこの場でも議論させていただきましたが、何でもかんでも安くなればいいというものではないんだと思います。やはりそこで働かれる人が、ある意味、国の事業で働いているんだ、こういう誇りを持てるような水準でないと困る。
ところが、今の労務単価というものは、年間一生懸命働いたとしても子供を学校に送れないぐらいの低い水準になっている。しかも、それが仕組み上、毎年毎年下がるようなことになっている。つまり、予定価格で労務単価を決める、そこで入札が行われて、一〇〇%ではなくて例えば九〇%、何%で落札される、そうすると、その圧縮されたベースで今度は労賃が払われるわけですから、また翌年はそこが基準になって予定価格が組まれるということで、毎年毎年下がる仕組みに、要はマイナスのスパイラルになっている。
今、公共事業はまさに地域のソフトインフラだと思います、そこに取り組んでいらっしゃる中小企業は。その人たちが、今なかなか国の事業では食べていけないという事態、これはぜひ解消していただきたい。先般、当時の冬柴大臣は、前向きに検討しますというお話をいただきましたが、ぜひ今年度からでも労務単価、しっかりと引き上げの方向で負のスパイラル問題を解消していただきたいと思いますが、お考えを賜りたいと思います。
○金子国務大臣 御指摘の問題は、私も大変重要な課題とこれまでも認識しておりました。
おっしゃるように、公共事業の発注、それによって安値で受注される、それが労務費の低下を招いて次の年の積算表に出てくる労務費単価を下げてくるという、負のスパイラルという御指摘を今いただきましたけれども、ここをやはり私の仕事としても、公共の発注のあり方ということも考えていかないと、そうでありませんと、全国でそれぞれの地域を支えている大事な優秀な技術を持った建設会社が今倒産しているという状況、ここはやはりきちっと対応していかなければいけない。
そういう中で、労務費単価、やはり安値受注、八五%の予定価格を下回った受注を見てみますと、建設会社の手抜き化、手抜き工事、あるいは下請の赤字に押しつけている。下請の赤字に押しつけているのが、かなりの部分、労務費単価にしわ寄せされている、こういう実態があります。
そういう中で、何とか、労務費単価が適正にきちんと積算されているかどうか、それから、それが現実に受注をされたときにちゃんと支払われているのかどうかまで踏み込んで調査していこう。それから、労務費単価、ちょっと後ほど担当局長から、かなり細かい、私が今申し上げる以上のことを踏み込んで、この年度末からやってもらうということを今進めております。
いずれにしましても、そういう、せっかく行われる公共事業、それを地方の皆さんで受注していただいて、そして地方を何とか支えてもらえませんと、これは本当に地方に元気がなくなる、そういう意識でやっております。
国だけじゃなくて、これは、最低基準価格も最低発注価格も、いずれ上げる検討を今しております。ちょっと今の段階では数字を申し上げられませんけれども、やはりそういう発注のあり方、国だけじゃなくて地方自治体、山梨県の発注も市町村の発注もやってもらう必要がある。
ですから、国である程度そういう方向が出てきたところで、地方自治体、これは今、埼玉県の上田知事がこれの部会長をやっていますけれども、これまでも上田知事、知事会の担当部会長ともお話しして、全体として適正な発注のあり方、一般競争入札をしてもらうんですけれども、そういう中での適正なあり方というのはどの程度であるかという議論を進め、国、地方ともどもに適正な発注、労務費単価が下がらないような状況というのをつくり上げていきたいと思っております。
詳細は、少し局長から答弁させてください。
○小澤政府参考人 ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますけれども、建設労働者の方へ適切な賃金が支払われるということを確保していくためには、やはり建設の企業が適正な価格で受注していただくということがまず大事だと思っております。
その意味で、先ほど大臣が申し上げましたように、実効性のあるダンピング対策といったことをきちっとやっていきたいと思っておりまして、国土交通省みずから積極的に取り組んでおりますが、特に最近は地方公共団体の発注が問題であるということもございます。そういったところについても、総務省と連携をいたしまして取り組みの強化を要請してまいりたいと思っております。
また、そのダンピング対策の中で、低入札の調査基準価格の取り扱い等々につきまして、今大臣が検討していると申し上げましたが、そういう検討も進めさせていただきたいと思っております。
また、取引の実態として、元請、下請の調査の内容を充実させまして、立入検査を実施するといったようなことによって、下請代金が適正に支払われて、労働者に対して適正に賃金の支払いが行き渡るというようなことについても、努力をしてまいりたいと思っております。
それから、公共工事設計労務単価でございますが、これは委員御案内のとおり、法令に基づきまして取引の実例価格である労働者の賃金支払い実態を調査して設定するというルールがございますから、その枠の中で、今御指摘をいただきましたような御意見、それからそのほかにも御意見をいろいろいただいておりますので、そういうことを踏まえつつ、現在取りまとめの作業をしておりまして、これはできるだけ早く、今月中にも取りまとめをさせていただきたいと考えております。
いずれにいたしましても、こういった対策を総合的に講じることによって適正な労働環境の整備といったものを図ってまいりたいと思っておるところでございます。
○長崎委員 ありがとうございました。取引の実例価格を参考にするというのは予決令の規定のものなんでしょうけれども、この実例価格自体が今もう既に不当な低い水準になっているということを十分踏まえて、やはりそこは、公共事業に携わることで、少なくとも生活ができて子供を学校に送れるぐらいのものがなければ、私はそれは効率性の問題以上に正義を欠く事態だと思いますので、ぜひともそこはしっかりと是正するように取り組んでいただきたいと思います。
次に、公共事業を道路建設も含めて重点化される際には、私は地方の今の経済あるいは雇用環境というものにぜひ配慮をしていただきたいと思います。
大きな工事をやるのは大変結構なんですが、それは大きな建設会社が持っていってしまいまして、本当に地場の、地域を支えている中小企業、地域の企業にはそれがおりてこない、参入できないようなことがあります。また、用地買収なんかでは、時間がかかったりすることであれば、せっかく公共事業をやっても、その経済効果というものが薄れてしまう、時間がかかる。この点、既存ストックの補修あるいは改修というものに重点を置いていただければ、これは用地買収の時間的ロスもないですし、地場の中小企業の参入というものももっと容易になるのではないかと思います。
今、地方にとって大切なのは、とにかく現金収入が得られる働く場であります。公共事業であれば、例えば農家の方、あるいはお年寄りであっても、そこに仕事を見つけて収入を得て、生活を守ることができる。こういうのが今の現状でありまして、ぜひ、補修ですとか改修、こういうものにも、経済波及効果の観点あるいは生活安定化の観点から、重点を置いて取り組んでいただきたいと思いますが、国交省さんの御見解をいただきたいと思います。
○金井政府参考人 お答えいたします。
維持更新の関係でございますが、よく言われておりますとおり、我が国でもあと二十年たちますと、アメリカと同じように五十年以上経過した橋が約半分ぐらいになるということで、非常に速いペースで施設の老朽化が進むということもありまして、今後の維持更新というのが非常に大きな課題であると思っております。
そのようなことから、今回の二次補正でも、防災対策、震災対策、それから特に道路ストックの緊急点検と戦略的維持管理の推進ということを重点で掲げさせていただいておりまして、自治体を含めて、技術力の確保も含めて、真剣に取り組ませていただいております。
先生御指摘のとおり、こういった事業については用地買収は基本的に非常に少ないシェアでございますし、また中小企業に配慮した発注ということも可能でございますので、御指摘のとおり、地域経済に、雇用の創出というような観点から、効果が早期に発現できるよう配慮して取り組んでいきたいというふうに考えております。
○長崎委員 ありがとうございました。ぜひその方向でお願いいたしたいと思います。
ちょっと毛色は変わりますが、道路というものの効果、効用というものを発揮させるためには、ハードの整備のほかにソフトの施策も重要だと思います。そのうち、最も主要なものとしては、やはりこれが観光振興に結びつくことが大変重要で、特に外国からの観光客を誘致する施策というものが地域活性化においても重要であると思います。
この点、特に中国語圏、富士山の周りは中国からも、中国語圏、香港、台湾、メーンランドからも多くの観光客がいらしていただいていますが、これらの中国語圏からの観光実務において障害となっておりますのが通訳ガイド試験であります。今現在、私も手元に用意しておりますが、これがいたずらに難しいものとなっておりまして、恐らく全部答えられる人はほとんどいないんじゃないか。
例えば、ここであるのは、豊臣秀吉が行った太閤検地では、個々の田畑を何等級に定めているかとか、承久の乱後に補任された新補地頭は、田畑一段ごとに何升の加徴米を徴求できることになっているかとか、まだ挙げればもう切りがない難問、奇問、珍問が並んでいて、これが何で通訳ガイド試験に必要なんだと思わざるを得ません。
例えば、香港なんかでも、約四十万人のお客様が日本にいらしていただけると聞きますが、このうち、ガイド試験有資格者はほぼゼロであると聞いております。今、このような試験では、既存の通訳ガイドの資格を持っている方の既得権益を守るために、あえて難しくしているんじゃないかなんという悪口を言われても仕方がない状態だと思います。
本来、この手の資格は、必要最小限の資質だけを要求して、その後商売になるかならないかというのは、もうその人のサービスの度合いによるべきであって、資格を制限するような形で参入障壁がつくられることは好ましくないと思います。何よりも重要なのは、観光地にお客さんが来ていただけることであって、それは消費者サイド、つまり旅行者が自国の通訳ガイドというものを求めているのであれば、それを踏まえた市場整備というあり方を考えていくべきだと私は思っております。
今、観光庁さんにおいても検討が進められていると承知しておりますが、インバウンドの活性化を図るためにも、この際、通訳ガイド試験、これがなければ通訳ガイドをやったら罰則がかかってしまいますので、この試験は、業務を行う上で最低限必要な知識の確認程度に限定、簡略化して、外国人に対しても広く門戸を開放すべきではないかと思います。国交省さんの御見解をいただきたいと思います。
○神谷政府参考人 お答え申し上げます。
通訳案内士でございますけれども、これはいわゆる民間外交官とも言われておりまして、言葉の障壁を除去するだけではなくて、我が国の旅行地としての魅力を正確、そして適切な形で外国人の旅行者の方に直接アピールするための大変重要なソフトインフラであるというふうに認識をしております。
先生今おっしゃいましたけれども、この試験でございますが、これにつきましては、いわゆる筆記試験と口述試験の二段階になっておりまして、筆記試験の方では外国語、それから日本の地理、歴史、そして一般常識ということで試験問題をつくっておるところでございます。
観光庁におきましては、最近の訪日外国人旅客、特にアジアを中心といたしまして大変ふえていらっしゃるという状況の中で、この通訳案内士の現状と課題につきまして、昨年十一月から三回程度、意見交換会で皆さんの本音を聞く場を持ちました。
今後は、二〇二〇年二千万ということを大きな目標として私ども掲げております関係上、この通訳案内士制度のあり方そのものにつきまして、抜本的な検討を加えていかなきゃいけないというふうに考えております。
そしてまた、その中におきまして、試験の内容につきましても、先生おっしゃいました難問、奇問のたぐいでございますとかをどう排除していくか、あるいは通訳案内業務を行うに際して必要最低限の知識あるいは能力を問うための試験とすべきではないかという視点で、特にアジアの地域を重点といたしました通訳案内士のすそ野を拡大する方向で前向きに検討を進めてまいります。
○長崎委員 ありがとうございます。
その中で、今の試験を見ると、もう大学入試なんかよりも多分難しいと思うんですけれども、例えば、その中でも標準的なテキストというものをつくって、出題はその中から必ず出しますというぐらいのことがなければ、ただでさえ外国語で受ける、まあ通訳士といえども日本人ですら答えられないようなものは必ず排除しなければいけない。その中でも、例えばテキストがあるとか講習をするとか、そういう形で、ぜひ外国語圏に、特に中国語圏、主なお客さんですので、門戸を開放していただきたいと思います。
まさに民間外交官ということであれば、この民間外交官は多ければ多いほどいいわけですから、今、抜本的な検討をすると言っておりましたが、それを早くやってもらいたいと思います。いつごろ検討の結果が出るのか教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○神谷政府参考人 検討会の方は二十一年度早々にスタートいたしまして、できる限り早く結論を出したいと思っています。
○長崎委員 できるだけ早くということで、これ以上聞くのは酷なのかもしれませんが、ただ、今景気が悪い状況の中ですので、可及的速やかにやっていただきたい。できれば今年中にでも、来年度中ですか、二十一年度中にでも結論を出していただいて……(発言する者あり)スピードが大事でありますので、もう一度お伺いいたしますが、いつごろをめどにやっていただくのか、もう一回お答えいただきたいと思います。
○神谷政府参考人 精いっぱいスピード感を持って、早急に検討、結論を出したいと思っております。
○長崎委員 ぜひお願いいたします。ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○望月委員長 次に、福井照君。
○福井委員 おはようございます。自民党の福井照でございます。
歴史的な道路事業の一般財源化の質疑に、この現場にいさせてもらえますことを大変光栄に存じている次第でございます。
私の方からも、一般財源化の定義をもう一回、この委員会の場で確認をさせていただきたいと存じます。ガソリン税その他の税収が自動的に全額そのまま歳出に向かうということをやめる、それが一般財源化という定義であるということでございます。何も道路事業の歳出を減らす、あるいはゼロにするということではないということを、もう一度この席で確認をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
まず最初に、道路事業の今までのレビューをさせていただきたいんですけれども、昭和二十七年に道路法ができました。二十九年に道路特定財源諸税の創設が行われました。三十五年には二百三十万台だった自動車保有台数は、平成十三年には七千二百七十三万台、三十二倍になりました。高度経済成長、そしてモータリゼーションへ必死で対応してきたということでございます。
私自身も、昭和五十一年に建設省に入りまして、道路交通量の予測なんかをしていましたけれども、どれだけ頑張って予測しても、現実の方が予測交通量を上回るというぐらい日本が強かった時代でございました。そういう時代、どんどんどんどん日本の成長に追いつくべく、一生懸命道路をつくらせていただいたわけですけれども、その幅も広げてきました。
昭和四十六年には交通安全の五カ年計画を開始し、そして昭和四十九年に暫定税率導入をして、もともと道路ユーザーの自動車関係の諸税ですから、車道にしか使わないぞということで、厳しく歳出のターゲットを絞ってきたわけですけれども、そうはいっても、歩道がなきゃ今風の道路にはならないということで、車道プラス歩道にして、そして駐車場も道路事業でできるようにしたということで、どんどんその時代に合わせてターゲットを広げてきたというのが昭和四十年代、五十年代でございました。
そして、昭和六十二年、一万四千キロのネットワーク計画をつくったわけですけれども、これはまだ道半ば、まだ半分ぐらいしかできていないという状況。そしてさらに、平成七年、阪神・淡路大震災がありまして、道路橋の設計基準を改定いたしました。当時、ロサンゼルス、サンフランシスコ、その映像を見ても、日本の橋だけは大丈夫ということで、私自身も信じておりましたけれども、物の見事にいわば自信が打ち砕かれたというのが、この平成七年一月の地震直後の現場の状況でございました。
それから、平成十二年にはバリアフリーそしてETCということで、さらにまた、インテリジェントにも、そして人にも優しくということで幅も広げてきたわけですけれども、そういう意味で、まだまだ耐震力も不足しているし、人にも優しくないし、これは道半ばでございます。東京都内、大阪市内、名古屋市内にもまだまだ密集市街地があって、地震が起こったらもう何千人、何万人、何十万人と亡くなってしまうという危険な市街地もまだまだ存在しているということでございます。
そういう意味で、成熟化していない、まだ道半ばの時期での一般財源化ということでございまして、なおかつ、公共事業すべてが無駄である、悪である、そして道路事業すべてが無駄である、悪であるという世論に、テレポリティクスになかなか抵抗できない状況にあるということで、大変せつない状況なんです。
実はちょっときょう御紹介したいのは、ムダどり学会というのができまして、東京大学の西成先生という「渋滞学」という本を書かれた人が、渋滞とは、マイナス四度の水のように、過冷却状態の水が、ある一瞬の擾乱によって一瞬にして氷になるという、相転移だと。渋滞という現象は、線形代数で解けるんじゃなくて、複雑系の数学で、非線形数学で一瞬にして変わるという相転移の状態だということで説明していただいた。
そういう数学、航空宇宙工学の専門家、この方がいっぱいいろいろな工場を見回って、リストラして無駄を取るという実践をしてきた年配の、無駄取りの資本主義の、いわば新自由主義の実践者とコラボレーションしまして、無駄取りとは何か、無駄とは何かということを研究しようとして、ムダどり学会というのができました。そこで行われたいろいろな成果というのが、非常にアナロジカルでメタフォリカルで、ちょっときょうは御紹介したいと思いますけれども、この無駄の定義というもの、無駄とは何か、公共事業は無駄だ、道路は無駄と言われておりますが、無駄とは何かというその定義をここでさせていただきたい。学会の定義をそのまま援用させていただくとこういうことなんですね。
ある目的をある期間で達成しようとするとき、計画上のベネフィットの差、計画上のインプットとアウトプットの差益、ベネフィットの差が、実際のベネフィットの差と比べた場合、その計画より実際が下回ったらそれは無駄だということなんですね。つまり何を言っているかというと、目的があって、デュレーション、期間があって、そして、コスト・ベネフィットのベネフィットを比べて、実際と計画とを比べて、もし計画より下回っていたら、それは無駄だということなんですね。なおかつ、ベネフィットとは何かということで、ここでもいろいろな御意見がございました。
今国交省で計算しているのは、もう単なる道路の切片にとって、実は消費者余剰を計算しているだけなんです。時間便益とか走行便益とか、交通事故減少便益という、もう本当にミクロ経済学の消費者余剰を計算しているだけなんです。諸外国では、環境の要因も、そして総合的な産業連関の経済的な要因も全部足して総合評価して、マネータームも全部足して、政治が、行政が、高度な判断としてそのベネフィットを評価しているということで、この無駄の定義からいっても、日本のコスト・ベネフィット分析のベネフィットはいかにも視野が狭い、ミクロに過ぎる、マクロの視野が足らないということがわかるわけですし、最も本質的な指摘は、デュレーションなんですね。
目的をある期間で達成するときにベネフィットを比べるという。ここが残念ながら日本の行政、特にこの戦後の行政、期間を示してこれなかったんです。五カ年計画で全体的には何兆円という産業連関があるとかいうことは示してきたわけですけれども、少なくともこの道路がいつできるとか、少なくともこの県の中の、あるいは九州の、四国のネットワークがいつできるかというその目標を示さなければ、どれだけいいことをやってもそれこそ無駄だったということがこのムダどり学会の無駄という定義に示されているわけです。
ですから、ホワット・ツー・ドゥー、正しかった、ハウ・ツー・ドゥーも正しかった、しかし、アップ・ツー・ホエン、アンティル・ホエンというその指標が、行政行為がなかったがために、今まで、ひょっとしたら私たちの努力、国交省の努力が、そして各県、各市の道路づくりの努力が水泡に帰していたのかもしれない。これを少しきょうは御紹介させていただきたかったわけでございます。
そしてもっと大切なことは、この資本主義の体現者が、各工場、工場で無駄取りをして、そして無駄取りの極意、この極意中の極意中の極意、これを発見したというんです。無駄取りの極意というのは、人を愛し、人を生かし切ることだと。ここはすごいでしょう。資本主義、新自由主義の体現者、究極の究極が、私たち村落共同体、農耕民族としてのやはり平等な生き方の価値観に行き着いたわけですね。
無駄取りの極意とは、人を愛し、人を生かし切ることだ、役に立たない人間なんて一人もいない、役に立たない中山間地帯なんてどこにもない、役に立たない地域なんかどこにもない、そういう覚悟で公共事業をやっていけば無駄とは言われないのではないかということで、ぜひその覚悟で、これからも道路局長、前を向いて行っていただきたいわけです。
たまたま明治二十二年か三年だったでしょうか、帝国議会の議事録を読んでみますと、インフラはゼロでした、そして憲法ができました、今から日本の国の形をつくっていくというときに、インフラ整備に当たって、まちづくり、国の形をつくるに当たって、道路、河川はもとなり、道路、河川は本質的根幹である、そして、プライオリティーが高い、道路、河川はもとなり、だけれども、公園、下水道、住宅は末なり、枝葉末節である、プライオリティーは低いよということで、帝国議会で御答弁がありました。
これが、だからベーシックポリシーになって、ずっと百年間、私たちのこの国の形を規定した。だから、ウサギ小屋と言われる住宅しかない。だから、まだ木造密集市街地が存在する。まだ、公園も下水道も道半ばである。
だけれども、河川も道路ももとと言いながら、先ほど言いましたように、まだ道半ばであるということですけれども、そういう意味で、百年後、この国会の議事録を読んで、ああ、こういうことで今まで国をつくってきて、そして今からどこに行こうとしているのかということで、議事録を読めばわかるという答弁を、今から道路局長に歴史に残る名答弁をしていただきたいというふうに思います。いわば一般財源化するわけですから、峠を越えて、一息入れて、お茶を飲みながら来し方を見詰めて、レビューをして、そして今から行く末をパースペクティブする、そういう御答弁をしていただきたいなということでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○金井政府参考人 先生御指摘のとおり、我が国の道路整備、第一次の道路整備五カ年計画は御指摘のとおり昭和二十九年でありますけれども、全くゼロの状態からスタートしたということではないかと思っております。
その当時、例えばアメリカで見れば、今のインターステートの骨格はかなりできていたわけでありますし、まちづくりという観点から見れば、例えばパリで見れば、昔、ナポレオン時代からつくった街路網が営々として築かれていた。日本はそういったものが全くなく、昭和三十年ごろからゼロベースでスタートをして、何とか五十数年努力をしまして、これも御指摘ありましたとおり、高速道路で見れば計画の約半分を越したところ。それから、例えばよく都市計画道路といいますけれども、これも約五五%ということで、いろいろ五十年強努力をしまして、大体道半ばまで達成したかなというところでございます。
ただ、いろいろこれも御指摘いただきますとおり、やはりゆとりが少ない。非常に急いでつくったもので、例えばまちづくりで見れば、ゆとりが少ない。ヨーロッパのまちづくりなんかに比べて、道路の余裕が少ない、まちづくりの余裕が少ないといったことは確かでございますので、今後、そういうところを地域と一緒に解決していくのが一番重要な仕事かなと思っております。
なお、ベネフィットとか期間とかいうことについていろいろ御指摘いただきました。大変そのとおりでございますが、私どもとしましても、今後、例えば高速道路の延長というのも一つの今までのカテゴリーでありましたけれども、例えば道路ストックが大分痛んできたということで、維持更新をどうするのか。それから、高齢化社会の到来に対応して、例えば高齢者でも安心して運転できる道づくり、地域づくり。さらに、公共交通をどうするのか。
また、よくまちづくり、先ほど紹介させていただきましたけれども、例えば無電柱化とあわせて、まちづくりをどうするのかといった、かなり多面的な効果といいますか、それが指摘されているわけでございますし、多面的な政策目標が掲げられているわけでございますので、よくアウトカム指標といいますが、どこまでどういったことをどう、いつまでに達成していくのか、これも御指摘いただきましたけれども、期間を限って、どういった施策をどうやって達成していくか、そういったものをちゃんと公示して、御理解のいただけるような、地域と一体となった道路整備を進めていきたいというふうに考えております。
○福井委員 ありがとうございました。
あと百年生きて今の議事録を読ませていただきたいなというふうに思っておりますけれども、次に、地域活力基盤創造交付金の執行体制、プロジェクトイメージについてお伺いしたいと思いますけれども、今局長からも御答弁ございました、一般財源化しました、峠を越えました、そこで、一般財源的な事業というのがこれから怒濤のようにできるわけでございます。
今まで道路本体、道路附属物にしか使わないということで、物すごく自主規制といいましょうか、みずから手足を縛ってきた道路事業でしたけれども、しかし、今までそういう一般財源的なことをしてこなかったかというと、そうではないんですね。
昭和四十二年に、今の細田幹事長のお父様、細田吉蔵先生が、国鉄改革の先頭に立って、そして、当時は高度経済成長、そして東京にどんどん人口が流入してきているというときに、すし詰め状態の国鉄の状態があって、線増しなければならない。線増するから、鉄道を交換しなければならない。そんなお金は国鉄にどこにもないということで、そうしたら、九割道路事業で、一割国鉄負担で、道路事業として線増をやる、通勤対策をするということで、千葉―東京断面、そして東京郡部と区部の断面、埼玉と東京の断面、神奈川県と東京の断面のそれぞれ、私鉄もですけれども、線増をして、通勤客を何とかさばいてきたということでございまして、今、三鷹―立川をやっていますけれども、菅直人先生のところぐらいまで中央線が線増したというのは、これは実は道路事業、ガソリン税のおかげなんです。
ですから、そういうまさに一般大衆のために、通勤客のために、政党と関係なく、政治的な傾向と関係なく、国のために、国の経済の発展のためにこの道路事業が尽くしてきた。まさに、一般財源的な使い方、そして、新交通システムとか都市モノレールもそうです。インフラ補助ということで、本当はもうちょっと補助していただきたかった。もうちょっと手厚い補助があれば、捨象された都市というのはいっぱいあるんですね。三十万都市、二十万都市でもう少し、車両まで、あるいは車両基地まで、道路事業で補助してさえもらえれば導入できた町というのはいっぱいありまして、それは今から考えると、すごいもったいなかったかなという気がします。
今、これから三年、五年で何をするかで国の形が決まります。やはり、低炭素社会の発展、基盤づくり、これはもう論をまたないところだというふうに思いますので、これから、公共交通ですね、都市内交通基盤に道路事業がどんどん交付金を使って乗り出していくということは当然のことだと思いますので、そういうことも今までの反省も踏まえてやってもらいたいし、それから、まちづくりも土地区画整理事業の三五%は道路事業です。ですから、区画整理をして、いろいろな新しいうちが建っていますけれども、そのうちの柱の、百本あったら三十五本は道路事業で新しいおうちが建っているというふうに思っていただいてもいいぐらい、まちづくりにも貢献している、再開発にも貢献している、それから、歴史的な風土づくりにも貢献している。
今、金子大臣、参議院に行かれましたけれども、金子大臣と一緒におわら風の盆を歩きまして、あの越中おわら悠久の胡弓が鳴りながら、盆踊りをずっとしている、夜中じゅう盆踊りをする、あの石畳は街路事業なんですね。歴史的地区環境整備街路事業という事業でやった、ガソリン税でやった石畳の上を今でも風の盆がさっそうと、そして優雅に踊っていただいているという状況、これもだれも知らない。本当に国家のために尽くしながら、だれにも褒められないという事業をずっとやってきたわけでございます。
もっと言えば、ハワイのワイキキのダイヤモンドヘッドも、アメリカ海軍がそのとおり設計をして、ダイナマイトでああいう地形をつくった。首里城も国営公園整備事業でつくった。小樽運河も道路事業でつくった。つまり、歴史、伝統、文化、観光目的地、これをつくることこそ公共事業、そして新しい交付金の目的だ。行政目的は、道路交通の最適化だけではなくて、地域の、そして未来の最適化ということになるわけですから、そういう意味で、この九千四百億円の執行体制とプロジェクトイメージ、まだ要望は受け取っていないんでしょうからなかなか難しいんでしょうけれども、今言える範囲内で、総合政策局長から、この交付金の執行体制につきまして御答弁いただきたいと思います。
○大口政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の地域活力基盤創造交付金でございますけれども、道路を中心にしながらも、さらに道路以外の関連インフラ整備とかあるいは関連ソフト事業にも幅広く使えるように、地方にとって使い勝手のよいものになるように、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
このため、国交省総合政策局、道路局を初め、関係各局が国交省として一体となって円滑な執行に努める方針でございます。
また、先生のお尋ねのいわゆるイメージでございますけれども、具体的制度設計については、現在、今申し上げたように検討中ではございますけれども、例えば、今お話に出てきたような軌道整備にあわせた路面電車、LRT車両の購入とか、あるいは通学路整備にあわせて防犯灯とか防犯カメラ、そうしたものを設置するとか、あるいは観光地の道沿いにある、いわゆる休憩用のしょうしゃな公園の整備とか、そうしたものを含めまして、これまで地方道路整備臨時交付金では対象にならなかったようなそうしたインフラ整備あるいはソフト事業にも幅広く使えるように、現在、制度設計をしているところでございます。
○福井委員 閑話休題というか、ちょっと話題をかえます。
総務委員会で、東京駅前の中央郵便局が取り壊し中で、鳩山大臣が行って、何だ、もう壊しているじゃないかということなんですけれども、残す部分を少しふやして高層ビルを建てるという計画は残したというふうに伺っております。もとはといえば、東京駅、辰野金吾がつくったもともとの赤れんがの駅舎、まさに歴史をつくり直して、歴史的にはあったんだけれども今はなくなっていた、もともとの赤れんがの東京駅舎を復元する、それにはお金が要る、JRはお金がない。なので、東京駅舎上の上空の容積率を前面の会社や日本郵政に売りまして、それでやっと歴史をつくり直すことができるということを今やっているわけでございます。
これは、容積率を移転し、そして売買することができるという、この都市計画制度、建築基準法の制度でやったわけですので、ぜひ、その辺も国民的にわかっていただきたいなということで、ちょっとその制度の内容そして経緯について、加藤局長から御説明いただきたいと思います。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生からお話がありましたように、東京駅や東京中央郵便局を含みます大手町、丸の内、有楽町地区につきましては、未利用となっている建築物の容積の活用を促進し、土地の有効利用を図るということを目的といたしまして、平成十四年に特例容積率適用地区が指定されたものと承知しております。
容積率規制については、先生は都市計画の専門家でございますが、あえて申し上げますと、この容積率規制は、一般的には、通常、個別の敷地単位ごとに建築物の指定容積をコントロールする、敷地単位でやるということでございますが、この特例容積率適用地区制度は、その地区全体の総容積をコントロールするということで、通常の敷地単位の容積率規制の手法とは違った手法が用意をされている地区だということでございます。
総ボリュームコントロールをやりますので、その範囲内で、個々の敷地の容積率は土地所有者等の申請に基づきまして容積率規制を当てはめるという意味で、地区内での容積率の活用について非常にめり張りをつけることが可能な制度ということでございます。
ですから、その際、その地区の中で容積を出す側と受けとめる側が必要になってくるわけでございますが、今お話がございましたように、例えば歴史的建造物の保全、文化的環境の維持向上とあわせまして、質の高い業務機能への更新ですとか、商業や文化機能の集積を図ろうとする場合に、出し手側と受け手側が同時に協議をいたしまして特例容積率制度を使う、こういうことになるわけでございます。
現在、そうした考え方のもとで、大手町、丸の内、有楽町地区について適用がなされておりまして、これも先生、冒頭お話がございましたように、東京駅の未利用容積が、東京中央郵便局のほか、新丸ビルなど四つの街区で利用されている、こういう状況でございます。
○福井委員 ありがとうございました。
それで、ニューディール、一段目のロケット、一次補正、二次補正、そして四月以降の予算、そしてさらにまた不足だったらGDPギャップを埋めるという努力が今必要でございます。
ちょうど八十年前のアメリカの失敗は、公共事業も福祉もやったんだけれども医療だけがなぜか抜けていて、八十年たってオバマが国民皆保険を公約せざるを得ないというぐらい、禍根を残したわけでございます。そういう意味で、今から三年、五年でやることが今後の日本の百年間を規定するという意味で大変大事な、抜けがないようにしなければならない。
そういう意味で、今回の経済対策に当たりまして、二つ質問をさせていただきたいと思います。
一つは、この二十二年度の、まだ予算ができていませんから答弁できないと言えばそれまでですけれども、前倒し執行、これを一次補正も二次補正もどんどん執行していかなければならない。そして、来年度の予算もどんどん執行していかなければならない。
一方で、一般競争入札が原則だということで、今までの数十年前の常識からいくと、非常に長く時間がかかりまして、前渡金を渡すまで、あるいは工事が完成するまでに経済を活性化するという目的から離れたような期間がそこに存在するということで、入札契約制度改善の必要性が高いわけですけれども、その状況、そして直轄負担金の話、あるいは補助裏の話、地方の財政は相変わらず悪いということで、今までは事業費最大化ということが目的だったわけですけれども、事業費は下がってもいいから、地方公共団体が受け入れやすいような国の財政的な援助、お手当てですね、そういうことについての準備作業について、官房長から伺いたい。
それから同時に、加納副大臣から、きょう参議院の本会議を抜けてきていただきまして、本当にありがとうございました。地方分権推進委員会の御指摘なんでございます。一番前倒しで、一番張り切って、もう徹夜徹夜でやってもらわなければならない地方支分部局、地方整備局、運輸局、そして各省庁の地方支分部局が発注機関としてこれからやっていただかなければならないというときに、合併はいいです。しかし、企画部門と実施部門を分ける。頭の部分と手足の部分とを分けるという原案が出ておりまして、その案に沿って工程表を立てなければならないというふうに今私たちは仄聞をしているわけでございます。
この頭の部分と手足の部分とを分ける、執行部門、企画部門を分けるというのは、これはもう本当にばかにした話でございまして、一つ実例をいつも申し上げるんですけれども、新潟で地震が起こりました。皆川優太ちゃんが、がけ崩れの土石の中に埋まった車の中から救い出されました。子供の命が救われました。確かにハイパーレスキュー隊が救い出しました。しかし、その現場でハイパーレスキュー隊を指揮していたのは国交省の職員なんです。国交省の、道路災害と砂防の専門家なんです。
どうしてかというと、ハイパーレスキュー隊さんは、浮き石かどうか、あるいは、余震があったときに、もう崩れるから逃げるべきかどうかわからない。ですから、斜面崩壊の専門家でなければ、そのハイパーレスキュー隊を指揮できなかった。もう本当に、事故でもいろいろなプリントが出ております。助かった、もう本当に感謝している、ハイパーレスキュー隊がその国交省の職員に感謝しているといういろいろな証拠がございます。
その国交省の職員はどうしてそういうことができたかというと、企画部門と実施部門、実施部門と企画部門、それをそれぞれ長い間経験をして、そういう知恵、経験、知識を身につけたから子供が一人助かったわけでございます。ですから、企画部門と実施部門とを分けるということは、助かる子供の命を殺してしまう案だということなんですね。
ですから、地方分権推進委員会の案というのが、全く人権じゅうりん、子供の命を無視、そういう案になっていると思うんですけれども、この工程表作成に当たって、加納副大臣から国交省の決意をあわせて、ちょっと官房長、副大臣の順番で御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○増田政府参考人 御指摘のように、今、我が国経済が大変厳しい状況にありまして、景気の回復あるいは雇用の確保、創出ということが求められているわけでございますが、そういった中で、公共事業の執行に対する期待も高まっているというふうに私どもとしては理解をしております。
このため、政府といたしましては、まずは平成二十年度の第一次補正予算、それから第二次補正予算をできる限り年度内発注をするということで取り組んでいるところでございます。御指摘ありましたように、そのため、早期執行という観点から、通常七週間程度要しておりました入札手続につきまして、何とか三週間程度に短縮する、そういう工夫もしながら、今、早期執行に努めているところでございます。
御指摘ありました二十一年度予算の執行につきましても、当然、年度を超えて切れ目のない執行ということが強く求められているわけでありますし、できるだけ早期に効果を発現するということが期待されているわけでございますので、計画的、機動的な執行を進めるということで、これから検討を進めてまいりたいということで考えております。
それから、御指摘ありました地方負担の関係でございますが、当初予算につきましては、地方財政計画あるいは地方交付税の算定等によりまして確実に措置がされているということでございますので、国と地方あわせて早期執行に努めてまいりたいということで考えております。
○加納副大臣 地方整備局、地方運輸局を初めとする国土交通省の出先機関は、今先生がまさにおっしゃったとおり、安全、安心の確保、成長力、国際競争力の確保、地域の自立、活性化など、国民生活に直結する重要な政策課題について、地方公共団体との適切な分担のもとで重要な役割を担っていると考えております。
国土交通省は、これまでも地方分権改革に積極的に取り組んできたところであり、例えば道路、河川の移管について、約半年間、都道府県や指定都市と精力的に協議等を行い、昨年十二月二日にその中間的な結果を取りまとめ、さらにその後も引き続き協議を進めているところであります。
一方、国の出先機関のあり方については、地方分権改革推進委員会が昨年十二月八日に公表した第二次勧告において、見直しの考え方が示されたところであります。
政府としては、出先機関改革に係る工程表を三月中に策定することになっていますが、地方整備局等国土交通省の出先機関が現在担っている役割が今後とも十分果たせるよう、国土交通省として適切に対処してまいりたいと思います。
○福井委員 ありがとうございました。終わります。
○望月委員長 次に、亀岡偉民君。
○亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。質問させていただきます。
今、福井先生の質問に加納副大臣の答えられた答えはすばらしいと思いました。まさに、地方の実際に執行されている人たちが、恩恵を受けている皆さんが、本当に今親切にやっていただいているときに、全く経験をしていない人が机上の理論で何かを改革しようというのは、すごい間違いが起きやすい。まさに地方が、今経済危機の中で、一番これから経済対策をしなきゃいけない、そのために一番相談できるのはだれかということの中で、机上の、改革という名前だけで変えられて本質がなくなってしまう、よりどころがなくなってしまうというのはまさに問題だと思いますので、加納副大臣、ぜひ頑張っていただいて、地方の声をしっかりと聞いていただきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
それからまた、これだけ経済活性化が叫ばれている中で、地方が求めているものはやはり社会資本整備事業であり、社会資本整備事業の、まず経済活性化に一番大事なのは道路ということは、どの地方自治体も叫んでおります。まさに、今回の法案がそれにきちんとこたえられる制度であるかどうかというのは、地方は不安になっているばかりであります。
この一般財源化する方針を決定した昨年十二月の政府・与党合意、これは、道路特定財源の制度を廃止するということ、そして平成二十一年度から一般財源化するというようなことに対して必要な措置を講じるものであると認識しておりますが、本当にこれがきちんと多くの地方自治体の期待にこたえられるような一般財源化なのかどうか、かなり不安を持っている地方自治体がたくさんいらっしゃると思っていますので、ぜひ、西銘政務官の方に、もう一度基本に立ち返って、この一般財源化と言われている、一般財源化とはどういう内容をあらわすのかというのを具体的に示していただきたいと思うので、よろしくお願いします。
○西銘大臣政務官 先生よく御案内、御承知のことだと思いますけれども、道路特定財源の一般財源化とは、揮発油税等の歳入を道路整備に使うという義務づけをやめることであります。この意味で、平成二十一年度から道路特定財源はすべて一般財源化されます。
平成二十一年度以降の道路予算の財源は、建設国債で賄うものと聞いております。これはまさに一般財源化を意味するものと考えております。
○亀岡委員 一般財源化というのはまさにそのとおりだと思いますが、一般財源化することによってこの道路特定財源だった揮発油税というのがどう扱われるのかというのは、多くの人の興味の的だったわけですね。本来であれば、きちんと道路を整備する、つくるという目的でつくられた税ですから、この税を一般財源化するときにどういう扱いになるのかという今現時点での考え方をしっかりとお示しいただきたいと思うので、よろしくお願いします。
○西銘大臣政務官 今回の法案では、毎年度の揮発油税等の税収を道路整備費に充当することとしている、いわゆる道路特定財源の根拠法でありますけれども、今般の道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、この法律の第三条の規定を削除することとしております。
そのため、揮発油税は国の一般財源となります。
○亀岡委員 一般財源化はされるわけですね。
それで間違いないんですが、これを一般財源化するときにいろいろな議論がなされました。では、しっかりと地方の道路は守られるのか、建設できるのか、これから必要な道路はできるんだろうかという議論がさんざんなされたわけですが、それにこたえて、政府が地域活力基盤創造交付金という、地方道路整備臨時交付金と比べどうなるかわかりませんが、制度をつくってきちんと対応するよというお話がありました。
私は、これが一番地方自治体の納得するところになったと思うんですね。それがなければ、地方自治体は納得できなかったんじゃないかと思うんです。やはりきちんと、目的税で取って地方の道路は整備していただけるということで今まで来ているわけですから、それが突然なくなるということに対する不安感、どうしても納得できないという多くの道路調査会の皆様方、これは地方自治体、市町村の皆様方も、ほとんど九十何%の方が反対をされておって、不安ばかりであるという。しかし、政府が出した地域活力基盤創造交付金、これでちゃんとやりますよというお話があって、多くの地方自治体が納得したんじゃないかと思うんですね。
これは、まさに、地方自治体が納得したというその納得の理由が、地方の自由度を拡大する制度になっているのかどうか、ここはちょっと明確にお知らせいただけると、よろしくお願いします。
○西銘大臣政務官 先生御案内のように、地方道路整備臨時交付金は昭和六十年度に創設をされております。揮発油税収の四分の一を限度に、地方に密着した道路整備を推進するために地方公共団体に一括交付される交付金であります。
一方、今般の地域活力基盤創造交付金は、その予算額は毎年の予算編成において決定をされます。その使い道でありますけれども、道路を中心に、道路以外の関連するインフラ整備やソフト事業にも幅広く使えるように、地方にとってより使い勝手のよい交付金となるように検討を進めているところであります。
現在、具体的な制度設計につきましては検討中でありますけれども、個別事業箇所への配分は地方公共団体の裁量に任せます。また、地方公共団体の財政状況に応じた国費率のかさ上げ措置はそのまま残します。現行の地方道路整備臨時交付金の制度に関しましては、地方公共団体から評価されている事項につきましてはそのまま踏襲するように検討をしているところでございます。
いずれにしましても、地方公共団体の裁量性の高い、使い勝手のよい交付金となるように検討を進めてまいります。
○亀岡委員 ぜひ、地方公共団体じゃないけれども、市町村がこれを納得した経緯というのは、多分、新しい制度は地方のために自由に使える裁量にしてありますよという説明のもとに納得した経緯があると思いますし、できれば、今かさ上げのお話がありましたが、後で私が話をしたいと思うんですが、お金のない自治体が、裏負担のできない自治体ほど厳しいわけですから、そういうところこそ、かさ上げじゃありませんが、もう国道と名のつくものは一〇〇%国がしてあげますよ、そして経済効果を上げてください、地方の発展をしてくださいというような考え方にも発展できるような制度にぜひしていただければ、地方自治体は大いに元気が出てくると思いますし、地方から経済の活力が生まれてくると思いますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。
それからもう一つなんですが、日本の道路は昭和三十年代に、ほとんど高度経済成長期に集中的に建設をされておりまして、まさに世界で一番短期間に高度経済成長を遂げた理由というのが、この道路整備事業にあったと私は思います。ただし、今になってみますと、ほとんど三十年代につくられたということは、今老朽化が進んでいるということは間違いありません。それぞれの老朽化した道路は、各全国にそういうものがたくさんあるんじゃないかと僕は思うんです。
この間、平成十九年でしたか、アメリカのミネソタ州の橋が突然崩壊したという経緯があります。あれも、老朽化により、崩壊すると思わなかった橋が突然崩壊して、多数の死者を出したという経緯があります。
まさに道路は、国民の貴重な財産であり、そして生命を守るものでもあり、将来、次代へ引き継いでいくものでもある。このきめ細かい手入れが間違いなく必要だと思うんですが、これを一般財源化して、本当に、では、これから老朽化したものを建てかえていく、そのときに、どうやったらこれを建てかえられるんだろう、ちょっと私は不安になっているんですね。多分、私ども、市町村や県に聞いたら、それぞれの市町村や県にも老朽化したものがたくさんあると言われています。それぞれがみんな、大体寿命が来ているんじゃないかと。
これからどんどん建てかえをしていかなきゃいけない。新たな災害が起きないようにするために、事故は未然に防ぐ、そして安全性を高めるために建てかえをしなきゃいけない。まさに、これからそういう必要性が生まれてくるわけですが、そのときに予算がしっかりと使えるのかどうか、そして、国土交通省としてそれをどういうふうに考えているのか、ちょっと道路局長にお考えを聞きたいと思うので、よろしくお願いします。
〔委員長退席、福井委員長代理着席〕
○金井政府参考人 御指摘いただきましたとおり、我が国の道路橋は、現在はまだ五十年たっていない橋が大半でございますが、あと二十年もたつと、大体半数の橋は五十歳を超えるということで、今後急速に老朽化が進むということが考えられております。
これも御指摘いただきましたとおり、例えばアメリカで非常に古い橋の落橋事故が相次いでいるのも確かでございますし、最近のアメリカの道路の関係の予算を見ますと、もう半分以上はこういう維持更新のための予算ということで、維持更新を重点的に進めるというスタンスで施策を進められているのかなというふうに考えております。
御指摘の点でございますが、地方が管理しておる橋で、大体四割ぐらいしか確実な点検がされていない。特に市町村が管理している橋ですと、二割程度しか点検がされていないということが非常に問題視されております。
こういった点から、二次補正で予算をいただきまして、いわゆる長寿命化修繕計画と言っておりますが、ちゃんとプロが見て、この橋をどうやってもたせたらいいのかという長期的なビジョンで計画をつくるということに対して費用が認められておりますので、こういった国庫補助も有効に活用させていただいて、早急に点検、それから、いわゆる長寿命化のプランをつくりたいというふうに考えております。
ちなみに、予算のほかに、やはり技術力ということも非常に大事だと思いますので、整備局の専門の職員が支援をする、その他技術的な支援のやり方についても十分考えたいと思っております。
○亀岡委員 ぜひ、今お話があったように、長期的ビジョンは大事なんですが、早く早急に対応できるような計画をつくってあげるということが大事だと思いますし、今、施工技術というようなお話、技術者というのもお話がありました。先ほどから出ていますが、しっかりと技術者が養成できるような、引き継げるような環境の中で、橋または道路の老朽化のしっかりとした改築、建てかえは考えていただきたいと思います。そういうものも経済対策にしっかりつながると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、きょうは皆さんのお手元に資料を配らせていただいたんですが、実は先日、私たち、命の道というものをつくらせていただきました。
ここに、ちょっと私の地元の例で申しわけないんですが、相馬というところがありまして、相馬の市長さんというのは病院の院長さんなんですが、この間、本当に重病患者をどうしても医大に運ばなきゃいけないというときに、自分が医師として付き添っていったけれども、この道路に一時間以上かかる、しかも、すごい曲線が多くて揺れが多くて、着くまでに亡くなったケースが三件あったと。命の道という意味では非常に大事な道があるんだ、それがマスコミ等では、交通量が少ない道路は無駄だということを言われてしまうと、その人たちはずっと助けられなくなってしまう、だから、単に交通量が少ないから道は要らないんだということではないということを多くの方々に認識してほしいということで、これは命の道ということで、道を命と例えて表現して、こうしてもらいたいというお話があって、我々がこうした経緯があります。
ここは物すごい大事なことだと思うんですが、災害でもそうですし、災害があって孤立した市町村なんかもたくさん出ております。ですから、道というものは、単に、これは余り交通量が少ないからつくる必要はないんだとか、改築する必要はないんだとかではなくて、それぞれの市町村の中で、それぞれの地域の中で、それぞれ、少ない命かもしれないけれども、しっかりとその道によって守られている、守られていくということがあります。
だから、ぜひ、地方が求めているような命の道という道路整備を着実に進めていかなければいけない。しかし、公共事業は悪だと言われてしまうと、みんなしり込みをしてしまう。マスコミまでがそれをたたき始めるということでは、地方は余計置いていかれてしまう、地方に住む人が余計いなくなってしまう。そうしたら、地方は本当に壊滅状態になってしまう。
そういうことのないように、私は、国土交通省としてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、道路局長は大変だと思いますが、道路局長がもしマスコミや何かに、少ないからこんなのをつくっちゃだめだと言われたときに、きちんと命の道として答弁できないと困ると思いますので、その思い入れを少し答弁いただければと思って、お願いします。
○金井政府参考人 先生御指摘のとおり、道路の効果として、命の道であるとか工業立地であるとか広域な観光であるとか、そういったものの効果を適切に評価して、きちっとわかりやすく説明しなければいけないのではないかという御指摘は、たびたび、いろいろな首長さん含め、いろいろ御指摘いただいております。
特に命の道については、最近開通した高速道路で、例えば医療機関への時間が数十分短縮をされて命が助かったというような例も随分報告をされております。そういったことから、高速道路のインターを追加して、もしくはスマートインターみたいなものをつくって、医療機関へのアクセス時間を短縮するという試みもあちらこちらで、各地で行われておりまして、そのような取り組みについて積極的に支援をしていきたいというふうに考えております。
先ほども申し上げましたとおり、やはり、命の道、工業立地、観光振興、それから防災、こういったものは、今、私どもがやっておる事業効果の算定の中に定量的には含まれておりませんが、いろいろ地域から、こうやって計算したらいいのではないか、こうやって説明したらいいのではないかという御指摘はたくさんいただいております。そのようなものをぜひ試行させていただいて、事業評価の中にも適切に組み入れられるように、また、適切に説明できるようにすることが何よりも重要かなというふうに考えておりますので、そのつもりで努力をさせていただければなと思っております。
○亀岡委員 ぜひ局長には、地方の声をしっかり聞いていただいて、どんなマスコミに何を言われようと、地方の声はこういうものだというのを明確に伝えて、地方の声にこたえていただきたいと思います。
関連なので順番を変えさせていただいて、政務官にまたちょっとお聞きしたいんです。
手元の私の資料をめくっていただくと、高速交通網と人口流出の相関という表をつくらせていただいております。これも私の地盤の東北で申しわけないんですが、高速道路ができたところには人口が大きく増加した部分がたくさんあり、人口がやや増加も含めて、ほとんど道路のできたところに人口が集約する。はたまた、ないところには大きく減少している傾向があります。ということは、いかに道路が大事かということと、その最後のページですが、雇用創出には社会資本整備が不可欠という意味で、道路ができたところに工業団地がいかに張りついたかという経緯の表があります。
実は、道路というのは、まさに、これから道路をつくることによって将来どういう効果が見込まれるかというのが社会資本整備上の一番大事なところなんですが、どうも最近のBバイC方式という話になりますと、走行時間の短縮とか走行費用の減少とか交通事故の減少だけで評価をしてしまうようなところもかなりあるんですね。
そうではなくて、例えば農業であれば農業生産性の向上や、通勤や通学、または先ほど言った命の道の病院なんというのもそうです。そして、今この表にあるように、工業集積地の促進や雇用の場が創出できる、まさに総合評価というのがBバイCになければいけないはずなんですが、どうもすべてがBバイC、BバイCということで、コストと、どれぐらい通ったか、通るようになったか。そうではなくて、それ以上に経済効果が上がった、上がるんだ、これから先十年間見込まれるんだというのを明確にしていきながら、そこの目標達成のために頑張っていくような評価方式につくっていかないと、私は難しいと思うんですね。
ですから、先ほど話したように、どうも交通量が少ないところは無駄だというのではなくて、まさにこの東北の図を見ていただいたらわかるように、道路ができることによってこれだけ工業集積地ができたんだ、さらにもっとつくることによってもっと地方はよくなるよねということがしっかりと見込まれるわけですから、この評価方式も、ぜひきちんと評価方法を変えていただきたいと思っておりますので、西銘政務官、その辺のお考えを聞かせていただければと思います。
〔福井委員長代理退席、委員長着席〕
○西銘大臣政務官 私の地元も先生の地元と非常によく似た状況がありまして、私は、先ほど福井先生のお話を聞いていて、無駄取りの極意が、人を愛し、人を生かし切ることというこの言葉が非常にじいんと来ました。
私の地元でも、このBバイC、三便益だけでは足りないんじゃないかという感じを私自身も強く持っております。今先生が御指摘されたように、先生の地元の東北七県を含め多くの地方公共団体から、このBバイCの三便益以外の効果があるんじゃないかというお話を聞いております。
私の地元でも、農村地帯ではありますが、道路が空港につながる、まだ開通ではないんですけれども、できたことによって埋立地に多くの企業が入ってまいりまして、雇用もふえる、何とこの市が全国一番の成長率の市に上がるぐらいの効果をまざまざと見ております。また一方、国境の小さな島で、BバイC、この三つの便益だけでいくと、どうしても港、道路の整備ができないという現実にも直面しております。
今先生が御指摘ありましたように、総合的な評価をやらなければならないんじゃないか。今、国交省の中でも、専門家の方々を集めて、この三便益以外の要素、外国の事例等も含めて検討をしております。
いずれにしましても、地方の意見をしっかりと受けとめて、コスト縮減に努めるところは努めながらも、必要な道路整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
○亀岡委員 ありがとうございます。
地方というのは、東京も含めて地方ですから、ぜひ、それぞれの地方自治体の要望にすべてこたえてあげられるような評価方式をつくっていただきたいと思うので、よろしくお願いします。
それから、関連で一つなんですが、実はちょっとびっくりしたのは、一般財源化されるということでちょっと不安になったうちの福島の例なんかを挙げますと、福島は平成二十年一月に自転車通行環境整備モデル地区として指定されまして、環境問題、CO2削減のためにも、では自転車を多く使おうじゃないかということで、道路にも自転車道をつくっていただいて、なるべく多くの自転車を活用する、それから健康にもいいからということでやってきたわけですが、一般財源化されるとそういうものは一切できなくなるんじゃないかなんという不安もあります。
これからまさに、一般財源化の中で関連事業でもきちんと使えるという、この自転車道というのは、逆に言えば、これからどんな地方にも、健康のために、またCO2削減のために必要な道路になってくるかもしれない。そういう自転車道の確保というのも必要になってくると思うんですが、道路局長、その辺で、これからしっかりと自転車道の取り組みというのも考えられているかどうか、お聞かせいただければと思います。
○金井政府参考人 自転車道についての取り組みのお尋ねでございます。
平成十九年現在でございますが、自動車と分離されている、さらに歩行者と分離された自転車道は、全国にまだ二千八百キロということで、非常に少ない状況でございます。
ヨーロッパの先進地、御承知のとおりでございますが、町中を安全に気持ちよく走れる自転車道がかなり整備をされております。例えばパリでは、最近、約四百キロ整備をされたというふうに聞いておりますけれども、あわせてレンタサイクルのシステムみたいなものも含めていろいろ検討されて、非常に成果を上げているというふうに承っております。
それを踏まえまして、私ども、警察庁さんとも御相談を申し上げまして、昨年の一月から、全国の九十八カ所をモデル地区として指定いたしまして、自転車道の整備を試行的に推進させていただいております。その辺で技術的な課題も抽出をさせていただきまして、今後やはり町の中一体として自転車で走れるというまちづくりをすることが一番重要と思いますので、そういった観点から自転車重点都市というものを指定して、ぜひ推進をしていきたいと考えております。
なお、費用の面でございますが、もちろんこれから作成いたします新しい交付金で対応することは、関連するソフトも含めて十分可能であるというふうに考えておりますので、ぜひ自治体と相談をさせていただいて、前向きに対応させていただければと考えております。
○亀岡委員 ありがとうございます。
最後に、今回の法律案は、五十年以上続いた道路特定財源制度を廃止するという、まさに道路行政に関する一つの大きな改革、区切りをつける意味深いものだと思います。本委員会において本法案についての有意義な議論が尽くされ、一刻も早く成立することにより、道路行政について新たな時代の扉が開かれることを祈念いたしまして、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○望月委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
本日は、道路特定財源を一般財源化するということで、この法案についての審議なんですけれども、道路行政全般にわたって質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、昨年四月、当時の福田総理が決断をされて、政府・与党で議論を重ねる中で、この一般財源化の流れというものができてまいりました。その中で、マスコミの報道等は、これは一般財源化されると自由に使えるお金なんだ、道路以外に使えるんだということで、何かあたかも五兆円にも上るこの道路特定財源がすべて、例えば社会保障に行ってしまう、またはそれ以外の教育に行ってしまうというようなイメージがかなり広まったと思うんですね。
しかしながら、道路というものは、これは国も、さらに地方も含めて継続でずっとつくり続けておりまして、もちろん無駄な道路はやめなければいけないんですが、そこら辺のところでの道路予算というものがどのように変わったのか。特に直轄事業ですね、これに関しましてまずは伺いたいと思います。
〔委員長退席、福井委員長代理着席〕
○金井政府参考人 予算についてお尋ねでございますが、特に直轄事業ということで申し上げますと、約一二%のマイナスということで、約千五百億円の削減になっております。したがって、効率的な執行に努める必要があるというふうに考えております。
○高木(陽)委員 今、局長の方から、一二%直轄事業が削減されたと。これは本年度の予算編成、昨年の十二月にやりました。その前に概算要求が夏にあったんですけれども、そのときには公共事業というのはマイナス三%という方針のもとで予算編成が行われてきた。にもかかわらず、道路のこの直轄事業だけを見ますと一二%、一割強の削減をしている。まさにこれは、道路特定財源だけですと道路の方に全部直入しますから、公共事業のマイナス分だけという考え方ができると思うんですが、今のお話だと、一割強の道路予算が削られている。
この部分というのはなかなかマスコミでも報道されておりませんし、野党の皆さん方もこの点はしっかりと認識をしていただきたいなと思うんですね。その減った分というものは、まさに一般会計の中でさまざまな分野に使われている。ここのところをしっかりと認識しないと、ただ単に、一般財源化されたけれども道路に使っているじゃないかという批判、これは誤った批判が蔓延してしまうということで、この点も国土交通省を含めてしっかりと周知徹底、広報を含めてアピールをしてもらいたいなというふうに思います。
そういった中で、先ほども少し申し上げましたが、道路というのは一年だけでできるというものではない、いわゆる継続事業で続いている、こういう話を申し上げましたが、特に地方自治体の道路整備というのはなかなか大変だと思うんですね。これまでの地方の道路整備の予算、地方に配分される特定財源、これはどのようになっていたのかということを、これは総務省ですかね、お伺いをしたいと思います。
○望月政府参考人 地方の道路関係の経費でございますけれども、平成十九年度決算で申し上げますと、起債の償還でございます公債費を含めまして、地方の道路関係経費の総額は十・二兆円となっております。
その財源の内訳でございますが、主なものを四点申し上げます。一点目は、地方の道路特定財源でございます軽油引取税などの地方税及び地方道路譲与税などの譲与税が二・一兆円ございます。二点目は、道路関係の国庫支出金、地方道路整備臨時交付金、これが一・六兆円でございます。三点目は、地方債でございますが、二・五兆円。四点目は、一般財源、地方税、地方交付税、これが三・二兆円となっております。
〔福井委員長代理退席、委員長着席〕
○高木(陽)委員 今、総務省の方から、地方の道路整備の予算の現状、これを伺いました。全体で十・二兆円、十兆二千億円を使っているという。地方の道路というのは、幹線道路だけではなくて生活道路、例えば通学路ですとか、または、さまざまな町の生活に直結する道路の整備もしていると思うんですね。
その中で、十九年度決算で見てみますと、まさに道路特定財源で二・一兆円と補助金等々一・六兆円、合わせて三・七兆円。十兆円の道路整備をしながら、道路特定財源は三・七兆円しか入っていないんですね。では、それ以外は何かというと、地方独自の一般会計の中で、または地方債を発行しながらやっている。こういう現状の中で、道路特定財源を一般財源化して、ではそれを全部ほかのものに使った場合には、地方の場合には、十兆の道路予算を組んでいながらその三・七兆円がなくなってしまう。これは大変なことですね。
ですから、何か一般財源化するというのはすごくバラ色の幻想のようなイメージがあるんですけれども、現実は、生活道路を含めて、地方自治体というのはしっかりとそういった整備をしているというこの現実を、私たち国会議員だけではなくて国民も含めてしっかりと理解をしながら、この予算の配分をいうものを見きわめていかなければいけないということを申し上げたいと思うんです。
そういった中で、今回の予算編成でもなかなか苦労をしていると思うんですが、これまでは、昨年までは、地方道路整備の臨時交付金、こういう形で、ある意味でいうと地方が自由に使えるような形での道路特定財源の配分というものがあったと思います。この臨交金の果たしてきた役割というものはどういうものだったのか。今回は臨交金というものはなくなって新しい交付金制度になりましたけれども、まずは、この地方道路整備臨時交付金の役割について、特に具体的な例を幾つか出しながらお答えをいただきたいと思います。
○金井政府参考人 地方道路整備臨時交付金の果たしてきた役割というお尋ねでございますが、御承知のとおり、地方道路整備臨時交付金、パッケージとしまして、地域の道路整備のニーズが非常に大きいところへ重点的に投入をいたしまして、比較的規模の大きい事業から身近な事業に至るまで、パッケージとして地域のニーズに対応して、有効に活用されてきたというふうに認識をいたしております。
あと、もう一つ特徴は、交付税と違いまして、交付税の不交付団体も対象とした補助金であったということかと思っております。
例えば、東京都でございますと、平成二十年度でございますが、JRの中央線の連続立体交差事業、三鷹と立川の間、このような大規模事業にも活用されておりますし、もちろんそれの事業にあわせた細かいネットワーク整備にも活用されております。一方、生活に身近な、例えば交通安全事業みたいなもの、そのようなものも東京都で約八十カ所活用されておりまして、先ほど申し上げましたとおり、大規模な改築事業からきめ細かな事業まで活用されているというふうに認識をいたしております。
なお、全国で見ますと、地方公共団体の三分の二に当たる約千二百団体において、この地方道路整備臨時交付金が活用されていたということでございます。
○高木(陽)委員 今、道路局長の方からこの臨交金の具体的な例、東京都でJR中央線の連続立体交差、これは以前この委員会でも私が質問させていただきましたけれども、東京都は不交付団体ですから、これは一般財源化される、一般会計の中に入って、そして地方にそれぞれ配分をするとなった場合に、不交付団体というのはなかなか来ないわけですね。そういった中で、道路整備ということに特化をしてこの臨交金というものがあった。
東京都でいえば、年間大体六百億円前後ぐらいの交付金をいただきながら、今指摘のあったJR中央線の連続立体交差を初めさまざまな形の事業をやっている。これは来なくなりますと、この工事は中断するわけですね。特に、この中央線の連続立体交差というのは、三鷹から立川までの間、踏切が十八ありまして、この十八の踏切、一番ひどいところは武蔵小金井という駅の都道、小金井街道というところは二時間で二分間しかあかない、こういう実態がありました。
そういうようなところをようやく解消しそうだ、来年度にようやくこれが全線高架になりますので踏切がなくなるんですけれども、これがあとわずかなところでとまってしまうとなると、これまた地元の人たちの生活または経済活動にさまざまな影響を与えるということで、特定財源がなくなるとともにこの臨交金がなくなる、これは新たな形でこの配分というものを考えてもらいたいということをこの委員会で大臣に対して申し上げてまいりました。
その結果、今回は、地域活力基盤創造交付金ということで、新たな交付金制度ということでやることになりましたが、これは臨交金との違いはどのようなものなのか、これを伺いたいと思います。
○西銘大臣政務官 地方道路整備臨時交付金は、御案内のように、昭和六十年度に創設されております。揮発油税収の四分の一を限度に、地域の生活に密着した道路整備を推進するため、地方公共団体に一括して交付される交付金であります。
一方、地域活力基盤創造交付金は、その予算額は毎年の予算編成において決定されますが、その使途は、道路以外の関連するインフラ整備やソフト事業にも幅広く使えるなど、地方公共団体にとってより使い勝手のよい交付金となるように検討を進めております。
例えば、過疎地域におけるスクールバスや福祉バス、救急車の購入等、また交通安全関連のボランティア活動の経費の支援、あるいは、命の道という言葉がよく出てまいりますけれども、公立病院の入り口から道路までのバリアフリー化等々のソフト事業にも使えるようにという検討を進めているところでございます。
○高木(陽)委員 今、政務官の方から、ソフト事業にも使えるようになっていると。これはこれで、地方にとってみれば使い勝手のいい交付金なんだろうなと思うんですね。使い勝手がいいということは、住民にとってプラスになる。
ここで一つ御提案及び状況をお伺いしたいのは、先月、公明党として大臣の方に、離島航路についてこの交付金をうまく活用できないものかと申し入れをさせていただきました。
今回の二次補正で高速道路料金の値下げというものが決まりまして、いよいよ二十日からアクアラインと本四架橋、そして、二十八日から段階的に、阪神高速、首都高速、そして地方の高速道路、こういう形で値下げがスタートするんですが、これは道路特定財源は使っていないんですけれども、高速道路が下がるということで、ドライバー、車の利用者にとってみれば朗報だと思うんですね。
ところが、離島の方々はこの朗報を朗報と思っていないんですね、高速道路はありませんから。ただ、ガソリン税、揮発油税含めて自動車関係諸税というのは離島の方々も支払っている。なかなか恩恵を受けることがない。こういったことで、生活の足でもある離島航路、フェリーも含めて、地域活力基盤創造交付金が使えないんだろうかということで大臣の方にも申し入れをさせていただきましたが、まだ具体的な形で要綱が発表されていません。
予算成立とともに要綱等具体的な内容については発表されるというふうに伺っておりますが、この離島航路の支援について、どのような状況になっているか、伺いたいと思います。
○金子国務大臣 高速道路の料金引き下げに伴いまして、いろいろ影響を受けるフェリーの事業者等々については、別途、支援対策を補正予算でも、あるいは本予算でも組ませていただいております。
先般、御党から申し入れをいただきました離島航路支援につきましては、関連する道路整備と一体的に実施する離島航路の船舶の購入ですとか改良ですとか、こういったようなものに対しても新交付金の対象とする方向で検討を進めてもらってあります。
細目は、今検討しております。
○高木(陽)委員 今、大臣の方から、離島航路の支援ということで船舶の購入等々に使う。船舶を購入することによって、その事業者の方が財政的負担が軽くなる。その分を例えば料金の引き下げに使う、こういうことが可能だと思うんですね。
ただ、交付金というのは、自治体の方がその交付金をどう使うか、これが一番大きな話になりますので、ここら辺の要綱が決まらないとなかなか自治体にも伝えられないんです。やはり、自治体が、そういったものも使う、例えば離島航路を持っているような県、こういったところには事前に情報をしっかりと伝えておいてあげて、そうしませんと、せっかく使えると言いながら、自治体の方がそれを知らなかったという形になりますと、恩恵を受けることもできないという形になります。
それは、自治体にとってみれば、道路整備、先ほど確認をしました、十九年度の決算で十・二兆使いながら、これまでは特定財源で三・七兆円しか入らない、残る七兆円近くは自前のお金でやっている。そうなりますと、この交付金も、道路を中心に使うというのは当然だと思うんです。しかしながら、せっかくそういったソフト事業も使えるようにするということでありますから、その情報についてはしっかりと自治体の方に伝えていただきたいし、自治体の方も知恵を絞ってもらいたいな、こういうことを申し上げたいと思います。
続きまして、国と地方の負担という問題について質問させていただきますが、これは大阪の橋下知事がマスコミを通じてかなり大々的にぶち上げまして、直轄事業の地方負担金、とんでもないというような、正確な言葉ではありませんけれども、かなり批判的な御発言がございました。
この直轄事業の地方負担、新しいものをつくる場合、さらにそれを維持管理する場合、それぞれ負担をするんですが、この地方の負担金の経緯というのはどういうものだったのか、さらにその現状について伺いたいと思います。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の直轄事業負担金は、国の直轄事業を実施すると便益が地元の公共団体に直接及ぶということから、これは、法令に基づきまして、受益者たる公共団体にその建設あるいは管理費の一部の負担を求めるということでございまして、受益と負担という意味では、私どもとしては合理的な制度であるというふうに考えております。
この経緯でございますが、実は、これは大正十一年にさかのぼるわけでございまして、旧道路法の大正十一年の改正で、主務大臣が国道の新設、改築を行う場合、その費用の一部を地方に負担させることができるという規定が入ったのが最初でございまして、この規定が昭和二十七年の今の道路法に引き継がれている。同じように、個別の事業につきましても、それぞれ法律で地方負担を定めております。
ただ、全体ばらついておりましたので、これは実は、平成四年に全体を整理するという閣議了解がございまして、平成五年度以降、原則として、いわゆる新設、改築の割合が国と地方が二対一、こういうことが大枠決められて、今日に至っているというところでございます。
○高木(陽)委員 大正十一年という大変古い時代からこういった流れがあったと。そんな中で、それぞれの法律、道路、河川法等々、公共事業にかかわる法律でそれぞれ負担割合が決められてきたのを、ある意味でいうと平成五年に統一をしてやったという。
この平成五年のときは、これは、ちょっと調べましたら、何か全会一致だったような気がするんですね。全会一致で、こういう割合をやろう、こういうふうに決めている。これは、十年たちますといろいろと事情は変わるのは確かなんです。
しかしながら、これは、知事会の方も、この直轄負担金について検討しようということで、その前に、橋下知事じゃなくて、麻生知事会の会長ですね、福岡の知事が申し入れをされたり、大臣といろいろと会われたり、そういう中で協議をするという、知事会は知事会の方でもそういうチームをつくってやっているというふうに伺っておりますけれども、そういった中で、知事会は負担金を廃止するべきという意見。これは、先日のマスコミ、新聞の報道でもそういう意見があるということで出てきました。これをどう考えるか。特に道路に関して、地方の負担金、またその補助金というのは一体幾らになっているのか。負担金をやめろと言った、一方で、補助金はくれと言う。これはなかなか矛盾する話でもあるのかなというふうに思うので、その点についてもお答えをいただきたいと思います。
○金子国務大臣 負担金割合はまた局長から答弁をさせますが、やはり、地元便益に相応した地元負担という考え方、それは進めてまいりましたけれども、地方自治体の財政が非常に厳しい状況になってきちゃったというものを受けて、あるいは地方分権、つまり、自治体でやるべきことは自治体に移すという地方分権の議論、さまざまな観点から議論が行われているんだと思います。そういう意味で、地方自治体の中でもさまざまな意見がありまして、直轄負担金ゼロだけがいいわけではないという御意見があります。ゼロにしてくれ、マスコミにはそこはもちろん報道されますけれども、それだけではない。
やはり、例えば道路について言いましても、地方整備局が関係の県の土木部長と相当事前に打ち合わせしております。来年度の予算はこれだけやりましょう、地域の、地元の負担はこれだけですと。それに対して、県の財政事情からなかなかそれは負担できない、それじゃどれを優先するかといったようなことを含めて、きめ細かくこれまでもやってきているとは思っているんです。私もそういう理解はしているんですが、一方で、知事に上がったときは、どうもそういう丁寧な打ち合わせをしていながらも、突然請求書だけ来るという、これはやはり、そこにも何か進め方、やり方にも問題があるんだろうと。
ほかにまだ様々なケースがあります。新幹線のようなものは、二十二年度に福岡に新幹線が開通します。そうしますと、一時的に負担金が物すごく、工事がふえますから。ですから、資金繰り的な意味で山が増加するといったような問題に対して、一方で、ではどうするのかといったような問題。
さまざまなそういう課題がありますので、知事会長とは、国交省とそれから関連の総務省、総務大臣も含めて、知事会からのいろいろな課題、御意見を伺う。そして、どういうふうに取り組んでいくのか、我々も今課題を整理し始めておりますけれども、そういうもので、事業をスムーズに進めていくということがやはり国民のために大事でありますから、そのためにはどういう仕組みがいいのか、あるいは地方分権の上でどういうふうに考えるのかということも、少し距離の長いことも考え合わせながら、これから議論を進めていこうと思っております。
○金井政府参考人 計数だけ補足させていただきます。
道路に係る地方の負担金と補助金ということでお尋ねでございます。直轄の事業負担金に関しましては、平成二十年度で見ますと、道路に関して五千九百七十八億円ということでございます。一方、地方公共団体への補助金ということでございますと、通常の補助金と地方道路整備臨時交付金を合わせまして一兆二千四百六億円ということでございます。
○高木(陽)委員 知事側の方の意見はさまざまあるという大臣からのお話で、これからもしっかりと話し合いをしていただいて、最終的に住民にとってプラスになる負担のあり方を考えていただきたいと思うんですね。住民の側から見たら、国が出そうが県が出そうが、または市町村が出そうが、自分たちは税金を払っているんだからしっかりやってくれよ、こういう思いだと思うんです。
その中で、今、道路局長が話しました、道路に関して、直轄事業、これは地方が負担しているのが五千九百七十八億円。一方で、地方に渡しているのは、補助金、臨交金合わせて一兆二千四百億。
これは一つの考え方で、国がやるものは国が直接やりましょう、地方は負担しなくて結構ですよ、一方で、地方のものは地方で独自でやってくださいというふうにいった場合に、今、直轄事業負担金の五千九百億、六千億円ですね、ではこれは出さなくていいですよ、そのかわり、この補助金等々、地方にお渡ししているお金も出さないで国で独自にやりますよといった場合に、地方はどうとらえるかというと、地方は大変になると思うんですね。ですから、先ほどちらっと申し上げました。地方の方も、負担は嫌だ、でもくれるものはちょうだい、こういうような発想ではなかなか成り立たないのではないかなということを指摘させていただきたいと思うんです。
もう一つ、この直轄負担金の問題、これはちょっと、野党、民主党の方では負担金をなくすというような御意見があるようですが、負担金をなくしてしまうと、事業としてその分減るわけですね。それを国が担うとなると、国はどこからかお金を持ってこなきゃいけない。事業量は減る。これでいいのかどうか。
また、一般財源化の冒頭の質問でも申し上げましたけれども、地方というのは十兆二千億円の道路事業をやっている。それで、特定財源をなくせ、なくせというふうに去年のこの委員会で、法案の中でやりました。民主党は、暫定税率も下げると言いました。
暫定税率を下げて収入が減った分、それは地方が大変になるじゃないかというふうに言ったときに、地方の事業は減らさないんだと言う。この十兆二千億を減らさない、しかも暫定税率は減らす、しかも直轄負担金をなくす。一体どうなっているんだろうかという、ここら辺のところの整合性というものをしっかり持っていかないと、政策論争というのはなかなか成り立たないなということをまず指摘させていただきたいと思います。
時間も限られておりますので、高速道路料金の引き下げについてちょっと伺いたいと思います。
先ほど、二十日からスタート、そして二十八日から段階的にスタートというふうにありましたが、これはマスコミでかなり勘違いしているんですね。勘違いした、誤った批判がなされている。
特に、地方の高速道路が千円で乗れる、こういった話の中で、首都高または阪高を含めて、都市部を通った場合にこれは二重払いになるんだ、こういうようなことがテレビや新聞等で報道されて、何だよ、安くなるんじゃないのか、二重払いなのか、こういうような思いを持った国民の方々も多いと思うんですが、この二重払いの批判について伺いたいと思います。
○金井政府参考人 いわゆる高速道路の料金引き下げの中で、地方部千円という取り扱いについてでございます。
詳細に御説明すると物すごい時間がかかるのでございますが、千円につきましては、いわゆる均一区間をまたぐとき、例えば東京でいいますと首都高であるとか東京外環であるとか、ああいう均一区間をまたぎますと、支払った段階で、当然でありますが、その先の情報は必ずしも全部は記録されておりません。オン・オフ方式で、出口、入り口で通過して料金を払う場合は、その間その道路を走っているというのはきちんと記録されておりますけれども、均一区間ですと、払ってしまうとそこで終わりということで、その先が記録されていない。
その先に、さらに対距離の区間に入って、では全体が幾らだというときに、その途中の記録がどうしても抜けてしまいますので、一番先に入ったところから最後抜けたところまでを一遍で、二区間千円を足して千円にするのは、それはそういう制度設計でございますが、それを瞬時に判定することまでは幾らETCでもできないということです。
それで、今どのようなシステムを組もうとしているかということでございますが、それぞれの料金所から通過情報を全部センターに取り寄せて、それを突き合わせて、例えば均一区間を走っている間の時間が六時間以内であれば、それはもうそこを走ったとみなして、仮にそこで昼食をとっていただこうが買い物をしていただこうが、例えば六時間で抜けたのであればそこは真っすぐ走ったと認定をして、それで、では合わせて千円にしようというプログラムを今組ませていただいております。
それで、その辺のプログラムは従来のETCのプログラムとかなり違いますので、若干お時間を要するということで、各高速会社にともかく至急やるようにお願いをしたところでございますが、この間発表させていただいたとおり、四月二十九日から通算の計算ができるということで、特定区間について最大限努力をさせていただきましたが、そのような運営になってしまうということで御理解を賜れればと思っております。
以上でございます。
○高木(陽)委員 この二重払いという批判、もともとは、例えば東北道、宮城・仙台からずっと来たとき、このときに料金を払っている。それで、大都市部、外環から中、そして首都高を通る。そして、そこを抜けて東名で走る場合に、東名の分も払うわけですね。今までちゃんと払っているわけです。
それが今回は、段階的にまずは千円、両方ですね。できればこれは両方とも、東北道で走っている方もまたは東名で走っている方も一括して千円にしたいですねという。だから、サービスがどんどん向上しているんですね。ところが、マスコミの方は間違えて、二重払いだと。もともと二重払いなんです。
そういったことを、これはもうマスコミが言っちゃったので、なかなか、浸透してしまったので、これは広報のあり方も問題だと思うんです。ある意味でいうと、三月の第一段階で、下旬にいわゆるこういう形になります。これが二十日、二十八、二十九、三十と日にちがずれるのは仕方がないと思います。ただ、これが全体として、三月下旬はこうですよ、さらに追加をして第二弾でこうなるんですという言い方をすれば、勘違いも生まれなかったのかなと思うので、この広報のあり方については今後も検討してください。
時間が参りました。最後の質問はなしにして、ETCの車載器について伺いたいと思います。
これは財団が頑張っていただきまして、ETCの車載器の助成というものをしていただきました。ただ、これは枠がありまして、百万台だ。ただ、ETCをつけていない車というのは、百万台どころか、もっともっとあるわけですね。
そうなりますと、財団が出したお金が、百万台申し込みが終わってしまった段階で打ち切られるのかどうか、これは早い者勝ちなのかどうか、ここでかなり今現場は殺到しておりまして、特に、ETCの車載器、オートバックスだとかそういったところでももうなくなっている、こういう現状があります。ですから、ここのところを待っているわけですね。
ところが、このサービスがスタートしてしまう、自分はサービスは受けられない、ETCをつけたい、百万台の申し込みが終わってしまう、では、あとは今までどおり出せというのか。ここのところについて、最後、お伺いをしたいと思います。
○金井政府参考人 ETCの車載器につきまして、御指摘のとおり、一部の販売店で品薄になっておるということで、御迷惑をおかけ申し上げております。先ほども聞き取り調査をいたしておりますが、各メーカー、増産に努めておるということでございます。
先ほどの、御指摘いただきましたETC車載器の助成の話でございますが、御指摘のとおり、高速道路交流推進財団が基金を取り崩しまして、約百万台のオーダーで支援をするということで今計画をさせていただいております。現在、三十万台を超えたぐらいのところであるというふうに考えております。
御指摘いただきましたとおり、車載器の品薄の問題、期間の問題がございますので、できるだけ期間についても融通をきかす、それから台数についてもできるだけのことをしていただくように今お願いをしておりまして、近々方針を決めさせていただければと思います。
御迷惑をおかけしているところもございますが、できるだけ早く解消するように努めたいと思います。
○高木(陽)委員 済みません、ちょっと時間をオーバーして。
最後に一言だけ申し上げたいのは、この車載器の助成も、一生懸命広報したと思うんですけれども、やはり三月の十二日、いよいよスタートだということで殺到する。そうなりますと、メーカーの方も事前の準備としてもっとふやしておく、こういったことも必要だったのではないか。
せっかく、いいことを国交省はやっているんです。高速道路料金を下げ、それで二重払いだとか言われて、さらに車載器の問題も、助成をする、応援しましょうと言いながら、品薄で、とんでもないという話になっている。いいことをやって批判される、こんなばかばかしいことはないですよ。
ですから、ここのところは、道路局だけで全部やるということではなくて、本当に国交省を挙げて、また政府を挙げて、そういった広報のあり方、本当にじかに国民がどういった情報を得るのかということも含めて、しっかりと今後も取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
―――――――――――――
○望月委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会