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第8号 平成22年3月19日(金曜日)

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平成二十二年三月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 阿久津幸彦君 理事 小泉 俊明君

   理事 田中 康夫君 理事 橋本 清仁君

   理事 村井 宗明君 理事 岸田 文雄君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    石井  章君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    川島智太郎君

      川村秀三郎君   菊池長右ェ門君

      熊田 篤嗣君    黒岩 宇洋君

      小林 正枝君    中川  治君

      中島 正純君    長安  豊君

      畑  浩治君    早川久美子君

      平山 泰朗君    馬淵 澄夫君

      三日月大造君    三村 和也君

      向山 好一君    谷田川 元君

      若井 康彦君    赤澤 亮正君

      金子 一義君    金子 恭之君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      徳田  毅君    野田 聖子君

      林  幹雄君    斉藤 鉄夫君

      穀田 恵二君    中島 隆利君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     平山 泰朗君

同日

 辞任         補欠選任

  平山 泰朗君     早川久美子君

    ―――――――――――――

三月十九日

 国土調査促進特別措置法及び国土調査法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川村秀三郎君。

川村委員 民主党・無所属クラブの川村秀三郎です。議題となっております法律案につきまして、質問させていただきます。

 この直轄事業の地方負担金の問題ですけれども、その廃止が全国知事会から強く要請されておりまして、地方分権と絡みまして、近年、大変な議論になっていたということも記憶に新しいところでございます。その重要性から、民主党のマニフェストあるいはインデックスにも明記されておりまして、今回のこの法案はまさにマニフェスト実行の一環でありまして、着々と進んでいるなということを実感するわけであります。今回、第一歩として、都道府県の維持管理負担金の廃止ということになりましたけれども、都道府県の負担を軽減する、そういう意味では大変結構なことだと思うんです。

 ただ、懸念もございまして、都道府県の負担が減る一方で、今度は国の負担がふえるということですので、直轄事業の進捗に影響するのではないか、おくれるのではないかということを懸念するわけでございますけれども、まず馬淵副大臣に、この点、どういう配慮をされたのかをお伺いしたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の維持管理負担金の廃止ということで、直轄事業の進捗へのしわ寄せの御懸念ということでございます。

 維持管理費の地方負担廃止ということで、確かに、国の直轄事業量、これは減少することになります。しかしながら、平成二十二年度の公共事業予算が大幅な削減となることを踏まえまして、事業量の確保を求める地方の声に配慮いたしまして、経過措置として、維持管理のうち特定の事業に要する費用につきましては、二十二年度に限り負担金を徴収するとしたところでございます。

 この特定の事業と申しますのは、安全性の確保のために速やかに行う必要のある特定の維持管理と称される事業でございまして、道路事業におきましては、施設、工作物の復旧、あるいは防雪、防護施設等の防災対策、橋、トンネル等の補修などでございます。また、河川等におきましては、堤防、護岸、これらの監視、また、ダム、排水機場等の施設の更新、貯水池の地山の安定化工事、ポンプ車、照明などの建設機械の更新などでございまして、これら特定の事業として、平成二十二年度、広義における維持管理という名目の中では、約五百七十九億円を計上させていただいているところでございます。

川村委員 今、お答えいただきました。進捗への影響はある程度やむを得ない、そしてまた、特定事業ということで御配慮いただいたということでございます。

 さて一方で、この都道府県の負担金の裏打ちとなっておりました地方の財源、地方交付税はどうなるんでしょうか。マニフェストやインデックスには、都道府県負担金の廃止に伴う地方交付税の減額は行わないということが明記されております。先日、この法案が本会議にかかりましたときに、原口大臣の方から、これは維持、確保するという明確な答弁をいただいておりますので安心をしておりますけれども、どういう形でこれが確保されたのか、また、その確保された財源がどういうふうに使われるのか、そういったものについてお伺いしたいんです。

 そして、特に、この財源を地域の社会資本の整備に、その拡大に使ってほしいなと希望するわけでございますけれども、こういった点、どういう配慮をなされておりますのか、確保の問題を含めて、総務省の小川政務官にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

小川大臣政務官 お答え申し上げます。

 交付税の考え方ですけれども、基本的な需要額を見積もりまして、基本的な収入額との差額分を交付するという考え方です。需要額から、直轄負担金の廃止に伴いまして、その分、直轄負担金用の需要額は減るわけですが、同額分を今度は地方の単独分として積み増すことで、ここの財源の目減りをとめるというふうに工夫をいたしております。

 使途でございますが、お気持ちなり御指摘の趣旨はよく踏まえたいと思いますが、最終的には、自治体の一般財源でございまして、地域の実情に応じてお使いをいただくということに制度上はならざるを得ませんが、いただいた御指摘はしっかり踏まえたいと思います。

川村委員 その負担金の裏づけ、地方単独事業ということでの積算をされたように聞いておりますけれども、そういった趣旨といいますか、メッセージをぜひ都道府県に伝えていただきたい。そういうことで、もちろん都道府県の中で使途は縛られないわけでありますけれども、できるだけ地域の社会資本の整備に使ってほしいなというのがかなりの希望ではないかと思いますので、その点、よろしく御配慮をお願いしたいと思います。

 さて、今回の維持管理負担金の廃止というものが第一歩になるわけですね。ただ、残っておりますのは新設なり改築など、いわゆる公共事業の本体なんですが、これにつきましてはいつまでに結論を出されるおつもりなのか。また、本体事業ですので、これまた非常なインパクトがあると思いますけれども、検討に当たりまして、どういった論点があって、どういった配慮が必要なのか。検討チームにおられます長安政務官に、ぜひこの点、御説明いただきたいと思います。

長安大臣政務官 川村委員の御質問にお答え申し上げます。

 御存じのように、維持管理の負担金につきましては、二十二年度から廃止ということで今回法案を提出させていただいたわけです。一方で、新設、改築につきましては、今後の社会資本整備のあり方また国と地方の役割分担のあり方、さらには地域主権の実現に関するさまざまな課題と密接に関連するため、整合性を確保しながら、諸制度の取り扱いを含めて、マニフェストに沿った形で現行の負担金制度の廃止とその後のあり方について平成二十五年度までに結論を得ることとしております。

 直轄事業負担金に関しますワーキングチームを関係省の大臣政務官で立ち上げてこの間議論をしておりまして、必要に応じて地方の意見を賜りながら検討、議論を進めてまいりたいと考えております。

川村委員 今後検討していただくわけでありますけれども、やはりこの負担金の問題というのは、本当に、今後の社会資本整備のあり方、特に国と地方の役割分担等、地域主権の実現に関するさまざまな問題があると思うんです。

 ただ、現状のままで仮にこれをストレートに廃止しますと、先ほど冒頭に質問しましたけれども、直轄事業の進捗に大きく影響を与えるんじゃないかということをやはり懸念しておりまして、そういった抜本的な見直しをされる中で、こういうゼロベースで検討されたわけですので、例えば、地方がある程度負担した上で直轄事業を行う仕組みを残すとか、そういう選択肢もあり得るんじゃないかと思うんですね。

 マニフェストの精神はもちろんあるわけですけれども、そういった地方への配慮ということも今後しっかり検討していただきたいと思うんですが、この点、いかがでございましょうか。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 今申し上げましたように、マニフェストに沿って直轄事業負担金を廃止する方向というのは、これは皆さん一致しているわけでございます。しかしながら、今御指摘ございましたように、社会資本整備のおくれている地方への配慮、さらには社会資本整備の円滑、着実な推進方策といった課題につきましても検討していく必要があると考えております。

 現行の負担金制度を単純に廃止した場合、直轄事業の事業量が大幅に減少することは避けられないわけでございます。そういう意味では、議員の御指摘も踏まえまして、今後、幅広く検討をしてまいりたいと考えております。

川村委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、今回の法案でさまざまな公共事業の手当てがなされているわけでございますが、今回の法案とは別に政令レベルで対応する事業があると理解しております。例えば、農水省所管の土地改良事業、これについて、その概要はどうなっておるんでしょうか。そしてまた、他の公共事業と歩調を合わせて検討されるのだと思うんですけれども、この問題、予算の大幅な削減があった中で非常に厳しい状況でございます。事業の進捗確保という観点から、よく検討していただきたいなというのが切なる願いでございまして、地方の意見もよく参酌をして慎重に検討していただきたいなと思うんです。

 きょう農水省からは佐々木政務官に来ていただいておりますけれども、政務官自身農業をやっておられまして、大変現場をよく御存じでありますので、この点、今後、土地改良事業、どういう方針で臨んでいかれるのか、その方向とそしてまた政務官の御決意をぜひお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

佐々木大臣政務官 農業の土地改良事業、直轄事業についての御質問をいただきました。

 今委員御指摘のように、農業の直轄土地改良事業については、河川法や道路法と違って政令で定めるという特性が一つございます。同時に、土地改良事業は、他の公共事業と異なる特性として、事業の受益者、いわゆる農業者でありますが、農業者ということが特定をされているということ、それから同意と申請に基づいて事業が実施される、こうした特性を持っているわけであります。

 こうした特性を踏まえて、維持管理に係る直轄土地改良事業の地方負担については、道県の負担分を、国庫負担残のうち県は二分の一、道は三分の二という今までの方法だったんですが、それを廃止させていただき、受益者負担については引き続き県を通じて求める仕組みというものを維持させていただきたい。具体的には、国庫負担を都府県については五五%から七七・五%、北海道については三分の二から九分の八に引き上げるという土地改良法の施行令を改正するという仕組みに変えようとしているところでございます。

 今後の対応方針、決意ということでありますが、農業農村整備事業、対前年比三六・九%ということで大変厳しい状況でございます。この限られた予算の中で、できるだけ食料の安定供給に不可欠と言われるような事業に重点化をさせていただきたいというふうに思ってございます。事業執行に当たっては、早期発現が認められる箇所に予算を重点配分していきたい、それから、老朽化等の対策あるいはまた施設の長寿命化、こうしたものに重点化をさせていただいて進めていきたいというふうに思ってございます。

 さらにまた、地域の創意工夫というものを生かす農山漁村地域整備交付金というものを、千五百億円ですが、これを創設させていただきました。この交付金では、地方の裁量によって事業が遂行できるわけでありますので、緊急性など、必要なところに予算の重点化ということが可能になるということであります。

 いずれにいたしましても、地域のそうした実情というものをしっかりと反映できる、しかも、地域の裁量で事業が実施できるというような仕組みをしっかりとつくり上げていきたいというふうに思っているところでございます。

 以上です。

川村委員 ありがとうございます。

 今、佐々木政務官からお答えをいただきまして、やはり現場は将来に対してどうなるんだろうかという気持ちでおりますので、今度基本計画もつくられるということでありますので、その中でもしっかり位置づけをしていただいて、安心して取り組んでいただきたい、そういうメッセージをぜひ現場へ伝えていただきたいなということをお願いいたします。

 ただいま議論をさせていただきましたけれども、こういった答弁の中でも明らかなように、この地方負担金の問題というのは、これを契機に、地方の役割分担など、今後の公共事業のあり方が問われていると思います。この問題、まさに地域主権の問題とも非常に絡むわけでございまして、この問題の解決が地域主権の成否を決すると言っても過言ではないのではないかというふうに思います。

 ただ、私、地方の社会資本の整備の現状を見ますと、基礎的なインフラについて地域間で非常に格差があるなということを感じておりまして、この競争条件をイコールフッティングにする意味でも、地方での整備の平準化といいますか、不均衡是正というものが非常に必要だなということを感じます。

 私、地元が宮崎でございまして、宮崎のことを例に挙げて申しわけないんですけれども、御存じのとおり、高速道路もつながっておりません。道路整備率も、残念ながらびりから数えて二番目、港湾の整備もおくれております。高速がつながれば二時間から三時間でほぼ九州全域がカバーできるという条件がありますので、そういう意味では、将来に向けてかなりポテンシャルは高いと思うんですね。ただ、残念ながら、現状は九州の中でも一番おくれた地域になっておるところであります。今回、新政権で、コンクリートから人へということを標榜されておりますけれども、私、この考え方はもちろん賛成であるわけであります。ただ、宮崎に関する限り、人の命を守る、そして生活や産業を支えるコンクリートが足りないというのが私の実感でございます。

 そこで、前原大臣にお伺いしたいんですが、先月十八日に全国知事会で取りまとめられております、地方の社会資本整備PTの提言があります。この内容は私も全く同感なんです。お読みになっていると思いますが、その要点をちょっと御紹介いたしますと、地域主権の実現には、基礎的な社会資本が一定の水準で整備されることが不可欠であるということをまず提言されております。地方の工夫や努力、こういうものが発揮できる、まさに基礎的な条件を整えることが必要ではないかという指摘ですね。

 そして、特に二点が強調されております。地方におきます生活の安全、安心の確保ということで、これはもう言うまでもないことですが、地方では日々の交通手段を自動車に依存している、生活道路というのは防災対策あるいは緊急医療等々の非常に基盤となっている、いわゆる命の道となっているわけでございまして、こういった点の配慮が必要なのではないかということがまず一点として挙げられております。

 それから、先ほども宮崎で触れましたけれども、高速道路等広域的な交通網の完成が必要だということで、戦後、経済効率性の重視ということで、都市部における整備が優先されて、その結果、今ミッシングリンク等が存在するということであります。企業誘致とか観光振興にも大変大きなハンディになっているということであります。今、策定中の新成長戦略でも、投資効果の高い大都市圏への重点投資ということの方向性が出ているんですが、このままではやはり都市と地方の格差が拡大するばかりではないかということを私も懸念しております。

 特に、この二点については、中長期的な整備の考え方を明確にして、六月に策定予定の新成長戦略に位置づけるべきというような提言になっておりますけれども、前原大臣のお考えをぜひお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

前原国務大臣 川村委員にお答えをいたします。

 人口減少、少子高齢化、財政赤字という制約要因の中で、公共事業のあり方を全般的に見直して、そして税金の使い道を変えていくというのが、我々鳩山政権の使命であると思っております。その中で、地域には、公共事業費の削減ということで大変御苦労をおかけしているというふうに思います。

 その中で、我々は、やはり二つのことを考えていかなくてはいけない。

 一つは、国際競争力とかあるいは安全というものをしっかり守っていくものについては、それは必要なインフラとしてこれからも重点的に整備をしていくということでございますし、今委員のおっしゃったミッシングリンクの解消ということはその中の大きな一つに含まれるだろう、このように考えております。

 もう一つは、今までつくってきたインフラの維持管理、これがこれから相当ウエートが高くなってまいりますので、こういったものについてもしっかりやっていく。あるものはしっかりと維持管理をし、使うということをもう一つの大きな柱にしているわけでございます。

 いずれにいたしましても、総花的な大盤振る舞いの時代はもう終わった。したがって、今の二つの観点を注視しながらしっかりと必要なインフラ整備はやっていく。

 もう一つは、きょう議題になっておりますように、地方主権というものを進めていく中で、今回、この直轄事業の負担金の廃止というものと同時に、社会資本整備総合交付金というものを設けて、できるだけ地域が使い勝手のいいものに変えていくということもあわせてやらせていただいておりますので、今委員がおっしゃったことも踏まえて、必要な事業はしっかりやっていくということで対応させていただきたいと考えております。

川村委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、今回のこういった見直しを機に、地方が必要としております整備を確実に実施する、それから地域間の格差を解消していくという方向で御検討いただくことを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

川内委員長 川村君の質疑を終了いたします。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島でございます。

 川村議員の質問に重複する点があるかと思いますが、私の視点で質問させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 昨年来、国の直轄事業に対する地方負担の問題では、大阪府知事や香川県知事など都道府県から厳しい意見が噴出しました。このことが今回の法案に強く反映されているものと推察をいたします。

 負担金問題をめぐっては、昨年だけではなく、過去におきましても都道府県から見直しを求める意見といったものが出されてきました。平成九年の地方分権推進委員会第二次勧告を見ますと、直轄事業の維持管理費の負担金については、段階的に縮小を含めて見直しを行うとされております。負担金の積極的な公開、直轄事業の対象範囲の明確化など、踏み込んだ改革案が出されていました。

 だとすると、今日まで、国の直轄事業の地方負担について抜本的な見直しがおくれてきたわけでありますが、今回された原因、どこにあったのか、そこをお尋ねいたしたいと思います。

長安大臣政務官 御質問にお答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、直轄事業負担金につきましては、昨今、地方の厳しい財政状況を反映しまして、知事会などからも直轄事業負担金の廃止の要望というのが高まってきたところでございます。

 直轄事業負担金自体は、その事業が行われる地方公共団体に受益が発生するという意味から、従来は負担をお願いしてきたわけでございますけれども、今般、この直轄事業負担金の廃止ということを、維持管理部分についてまず進めさせていただいたわけでございます。

中島(隆)委員 今回は、先ほどもありましたように、国の直轄事業の維持管理負担金が廃止の対象であります。なおかつ、平成二十二年度につきましては、一部特定事業で地方負担を残すことになっております。維持管理負担金だけが廃止対象になった理由、簡単に説明を願いたいと思います。

 あわせて、来年度限り、特例として、砂防設備、道路、河川管理施設に係る工事等について一部負担が残っております。恐らく地方の側から、負担があっても事業を急いでほしいと、先ほども緊急的な事業だというふうな御説明がございましたが、地方負担が残った。どういう形でこれが残ったのか、改めてまた御答弁を願いたいと思います。

長安大臣政務官 中島委員よく御存じのことと思います。要は、維持管理の地方負担を廃止することによって、直轄事業の事業量が減少することになるわけであります。平成二十二年度の予算案では、公共事業の大幅な削減となったわけでございます。

 そういった中で、直轄事業の事業量の確保というものを求める地方の方々の声に配慮をし、経過措置として、まさに激変緩和として、今回、特定の事業に要する費用については平成二十二年度のみ負担金を徴収することとなったわけでございます。

中島(隆)委員 今回は特に直轄事業の業務取扱費と補助事業の事務費の全廃となっておりますが、特にこの直轄事業の業務取扱費には、職員の基本給や手当、あるいは退職金、さらには非常勤の、短時間の勤務職員の給与等が含まれております。なぜ国の職員の給与や退職金までを地方の負担にしなければならなかったのか、こういう声は当然でありますけれども、こういう地方負担が廃止されるわけでありますが、業務の地方負担を全廃していく理由、今の声がほとんどだと思うんですが、その点を改めてお尋ねしたいと思います。

長安大臣政務官 業務取扱費の地方負担、さらには補助事業の事務費の交付を全廃とした理由でございますけれども、直轄事業負担金の業務取扱費と補助金の事務費の廃止というのは、やはり事務の合理化を図るために行うこととしたわけでございます。

 業務取扱費につきましては、この間さまざまな首長の方々からも御意見がございましたけれども、都道府県ごとに案分する計算方法が非常に複雑でございます。また、都道府県にとりましても、内容の精査、確認には膨大な労力が発生するわけであります。そういう意味で、今回、業務取扱費の廃止ということを決めた。

 さらには、補助金の事務費についてでございますけれども、これは、会計検査院がこの間検査を行ったところ、地方公共団体で二年続けて不適正経理というものが発生しているわけでありまして、制度自体のあり方を見直す必要があったわけであります。

 そういった経緯を踏まえて、今回、この業務取扱費と補助金の事務費を廃止ということにさせていただいたわけでございます。

中島(隆)委員 今御指摘もありました、特に会計検査からの指摘、あるいはこれまでの直轄負担金に対するいろいろな疑惑、指摘が、国民から批判がございました。これが廃止されることはもちろんいいことでありますが、地方の業務に関する点について、以下御質問をしたいと思います。

 特に、先ほどもありましたが、維持管理費の地方負担廃止の関連で、地方交付税の関係が出てまいります。基準財政需要額の算定の根拠になっておるわけでありまして、先ほどの説明の中でも、その分については地方交付税の中で対処されるということでございますけれども、これについては、民主党さん、私たちも含めて、その減額になる分についての補てんを十分に行う、地方財政に負担をかけないということを掲げております。これについて、国の方の今後の対応を改めてお尋ねしたいと思います。

小川大臣政務官 恐れ入ります。川村委員への御答弁と若干重複をしますことをお許しいただきたいと思いますが、具体的に申し上げますと、二十二年度で一千六百七十億円、直轄負担に要する経費が割り落としになります。その分、単独事業にしっかりと経費を見込むことで、全体の財源の目減りを防ぐという手だてを講じております。

中島(隆)委員 それでは、負担金全廃に向けた今後の工程についてでございますが、地域主権戦略会議の第一回会合で原口総務大臣が示しました地域主権戦略の工程表、あるいは直轄事業負担金制度に関する国土交通省のワーキングチームの工程表を見ますと、平成二十五年までの目途で直轄事業負担金の廃止に向けて検討を進める、こういうふうになっております。

 原口総務大臣が地域主権戦略会議に提出した工程表では、二十二年度が、夏ごろまでに直轄事業の建設費分について検討を関係府省で始める、こういうことになっております。国の直轄事業の建設については、地方負担を全廃することを前提としたものと考えますが、地方の負担金全廃に向けた今後の道筋、これについて説明をいただきたいと思います。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 直轄事業負担金の問題につきましては、まず、先ほど来御指摘もいただいておりますように、この負担金をなくした形でどのように社会資本整備を進めていくのかという、社会資本整備のあり方ということも大きくかかわりますし、また、国と地方の役割分担のあり方、さらには地域主権の実現に関するさまざまな課題、こういったことにも密接に関連するわけであります。こういった関連する諸制度の取り扱いを含めまして検討を行って、平成二十五年度までに結論を得ることとしております。

 先ほども申し上げましたが、関係省の大臣政務官による直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームにおいて、必要に応じて地方の御意見を賜りながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

中島(隆)委員 今後は、直轄事業の地方の負担が今のように平成二十五年までに進められるわけでありますが、今後、補助事業についての、一括交付金という形で進められてまいります。そういたしますと、現在も検討されています来年度から始まります社会資本整備についての交付、こういう形で、地方に使い勝手のいいそういう交付金がおりるわけでありますが、そうしますと、今後、国の責任と地方の役割分担、そういう中で、国と地方との議論をする場、これが非常に重要になってくるというふうに思います。

 そこで、この国会で提案されてまいります地方と国との協議の場、これの法律案が提出されるわけでありますが、こういう協議の対象として、国と地方公共団体との役割分担に関する事項がこの法案にも含まれています。今後交付されるでありましょう社会資本整備費、あるいは国の補助交付のあり方についての協議、これを、国と地方の協議をどういう形で進めていかれるのか、その点を大臣にお尋ねしたいと思います。

前原国務大臣 中島委員にお答えをいたします。

 今委員が御指摘をされましたように、ことし、平成二十二年度においては二・二兆円の社会資本整備総合交付金、そしてこれからは一括交付金ということに順を追っていくわけでございまして、国と地方の役割分担の議論というものをさらに進めていかなくてはなりません。その前提として、我々は今、直轄事業負担金制度の今後さらなる見直しに当たっては、大臣政務官から成る直轄事業負担金制度等に関するワーキングチームにおいて、必要に応じ地方の御意見も伺いながら、検討を進めていきたい、このように考えております。

 委員御指摘のとおり、国と地方の協議の場につきましては、先日、法案が閣議決定されまして、協議の対象には、社会資本整備に関する政策に関する事項のうち、地方自治に影響を及ぼすと考えられるものなどが含まれているところでございます。今後、この法案については国会で議論がなされるものと考えておりますけれども、国土交通省としても、その議論等を踏まえて適切に対応していきたい、このように考えております。

中島(隆)委員 今後の国と地方との協議の場、特に、今後の関係は、上下ではなくて対等な関係という立場でこの場が設けられますし、それから、今後の社会資本整備、いよいよ来年度の予算から始まるわけですが、こういう予算につきましても、特に、地方の要望あるいは地域の整備計画、これについての国との協議の場が非常に重要だというふうに思います。そういう面で、今後、国と地方との協議を、ぜひ地方の声が十分反映できるようなそういう協議の場にしていただきたいと思います。

 以上を要望して、私の質問を終わります。

川内委員長 中島君の質疑を終了いたしました。

 次回は、来る二十三日火曜日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十六分散会


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