衆議院

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第2号 平成22年9月10日(金曜日)

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平成二十二年九月十日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 岡本 英子君 理事 小泉 俊明君

   理事 橋本 清仁君 理事 村井 宗明君

   理事 若井 康彦君 理事 岸田 文雄君

   理事 三ッ矢憲生君

      阿知波吉信君    石井  章君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    熊田 篤嗣君

      黒岩 宇洋君    小林 正枝君

      橘  秀徳君    津川 祥吾君

      中川  治君    長安  豊君

      畑  浩治君    早川久美子君

      藤田 憲彦君    馬淵 澄夫君

      三日月大造君    三村 和也君

      水野 智彦君    向山 好一君

      谷田川 元君    渡辺 義彦君

      秋葉 賢也君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    金子 一義君

      北村 茂男君    橘 慶一郎君

      徳田  毅君    西野あきら君

      林  幹雄君    塩川 鉄也君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   内閣府副大臣       平岡 秀夫君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   国土交通副大臣      三日月大造君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (株式会社企業再生支援機構代表取締役社長)    西澤 宏繁君

   参考人

   (株式会社企業再生支援機構常務取締役)      水留 浩一君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行取締役常務執行役員)  柳  正憲君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月十日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     橘  秀徳君

  熊田 篤嗣君     渡辺 義彦君

  早川久美子君     水野 智彦君

  赤澤 亮正君     橘 慶一郎君

  金子 恭之君     梶山 弘志君

  古賀  誠君     西野あきら君

  佐田玄一郎君     加藤 勝信君

  穀田 恵二君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     勝又恒一郎君

  水野 智彦君     早川久美子君

  渡辺 義彦君     藤田 憲彦君

  加藤 勝信君     佐田玄一郎君

  梶山 弘志君     秋葉 賢也君

  橘 慶一郎君     赤澤 亮正君

  西野あきら君     古賀  誠君

  塩川 鉄也君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     熊田 篤嗣君

  秋葉 賢也君     金子 恭之君

    ―――――――――――――

八月六日

 一、賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案(第百七十四回国会内閣提出第三六号、参議院送付)

 二、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第三七号、参議院送付)

 三、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第四二号)

 四、航空法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第四八号)

 五、高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第五一号)

 六、北海道観光振興特別措置法案(佐田玄一郎君外五名提出、第百七十四回国会衆法第一一号)

 七、離島の振興に関する施策の拡充のための離島振興法等の一部を改正する法律案(武部勤君外四名提出、第百七十四回国会衆法第三三号)

 八、離島航路航空路整備法案(武部勤君外四名提出、第百七十四回国会衆法第三四号)

 九、国土交通行政の基本施策に関する件

 一〇、国土計画、土地及び水資源に関する件

 一一、都市計画、建築及び地域整備に関する件

 一二、河川、道路、港湾及び住宅に関する件

 一三、陸運、海運、航空及び観光に関する件

 一四、北海道開発に関する件

 一五、気象及び海上保安に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、国土交通行政に関する実情調査、平成二十二年梅雨前線による大雨の被害状況等調査のため、去る八月三十日から三十一日までの二日間、広島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私から調査の概要について御報告いたします。

 冒頭、委員会を代表して、この災害により亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りし、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。

 それでは、調査の概要について御報告を申し上げます。

 まず、派遣委員は、民主党・無所属クラブの小泉俊明君、岡本英子君、石井章君、加藤学君、川村秀三郎君、熊田篤嗣君、小林正枝君、中島正純君、畑浩治君、早川久美子君、向山好一君、谷田川元君、自由民主党・無所属の会の岸田文雄君、金子恭之君、公明党の竹内譲君、日本共産党の穀田恵二君、みんなの党の柿澤未途君、国民新党・新党日本の田中康夫君、そして私、川内博史の十九名であります。

 また、委員以外では、民主党・無所属クラブの松本大輔君、自由民主党・無所属の会の河井克行君が現地で参加されました。

 次に、災害状況について御報告いたします。

 本年六月中旬から七月中旬にかけて、梅雨前線の活発化により、九州から東北にかけて広い範囲で激しい雨が降りましたが、広島県では、七月十一日から十五日にかけて、県内全域にわたって記録的な大雨となりました。

 特に、庄原市では、七月十六日、一時間でも九十一ミリですが、十分間に四十四ミリという未曾有のゲリラ的な集中豪雨を記録いたしました。

 広島県の被害状況は、八月四日現在、人的被害が死者五名、住家被害が、全壊十八棟、半壊二十棟、一部損壊六十五棟、床上浸水二百六十一棟、床下浸水千三百七十五棟でありました。また、公共土木施設、農地、農業用施設などにも甚大な被害が発生いたしました。

 次に、視察の概要について御報告いたします。

 八月三十日、庄原市役所において、有岡広島県副知事及び滝口庄原市長から広島県内及び庄原市内の被災状況を、福田国土交通省中国地方整備局長から庄原市におけるTEC―FORCEの活動状況をそれぞれ聴取した後、森林の土砂災害防止機能、土砂災害警戒区域等の指定の有無が警戒避難行動に与えた影響などについて質疑をいたしました。

 次に、庄原市の川北町大津恵地区に向かう車中で、高垣広島県土木局長等から被災状況を聴取いたしました。現地では、山肌が大きく崩れ、大量の土砂や流木により埋没した家屋や道路、河川を目の当たりにして、土石流災害のすさまじさを改めて実感いたしました。

 次に、川北町篠堂地区において、今回の豪雨災害により亡くなられた方の御自宅があった場所で、献花を行い、御冥福をお祈りするとともに、高橋庄原市副市長から被災状況及び復旧概要を聴取いたしました。

 次に、西城町先大戸地区において、高橋庄原市副市長及び蒲原広島県砂防課長から被災状況及び災害関連事業概要を聴取いたしました。

 最後に、再び庄原市役所に戻り、有岡広島県副知事及び滝口庄原市長から災害の早期復旧等についての要望を受けるとともに、豪雨災害を未然に防ぐための今後の取り組み等について意見交換を行いました。

 翌三十一日、まず、広島平和記念公園において、原爆死没者慰霊碑に献花を行った後、広島市西区観音地区において高潮対策事業概要を、太田川放水路において放水路事業概要を、広島市安佐南区相田一号堰堤において直轄砂防事業概要を阿部河川事務所長から聴取いたしました。

 次に、土砂災害防止法制定の契機となった平成十一年の六・二九災害の発生箇所の一つである広島市安佐南区伴東において、蒲原広島県砂防課長から、同災害及び同地区における土石流対策概要を聴取いたしました。

 最後に、廿日市市四季が丘において、阿部河川事務所長から、直轄砂防事業として今年度の完成を目指し建設中の砂防堰堤の概要を聴取いたしました。

 以上が調査の概要であります。

 最後に、派遣委員を代表して、ゲリラ豪雨対策のあり方、土砂災害対策のあり方、災害等に対する社会資本整備のあり方などについて、今回得られた知見を今後の審議の場に反映することをお誓いするとともに、現地が一日も早く復旧復興されることを祈念して、報告を終わります。

 お諮りいたします。

 委員派遣の詳細な報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川内委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房建設流通政策審議官大森雅夫君、航空局長本田勝君、海上保安庁長官鈴木久泰君、水産庁長官佐藤正典君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として株式会社企業再生支援機構代表取締役社長西澤宏繁君、株式会社企業再生支援機構常務取締役水留浩一君及び株式会社日本政策投資銀行取締役常務執行役員柳正憲君に御出席をいただくことになっております。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷田川元君。

谷田川委員 おはようございます。民主党の谷田川元でございます。

 きょうは、国土交通委員会で質問させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、早速質問をさせていただきます。

 まず最初に、尖閣諸島付近で、中国漁船の船長が公務執行妨害容疑で逮捕された件について質問したいと思います。

 これは言うまでもありませんが、尖閣諸島は我が国固有の領土であります。近年、中国漁船あるいは台湾漁船が違法操業をしているという話が大分ございます。そうした中、今回の事件が起きたわけでございますが、海上保安庁から大臣への報告は、適宜、迅速に行われたと聞いておりますが、漁船を九月七日午後零時五十六分に停泊させて立入検査を実施し、八日午前二時三分には船長が逮捕されております。この間、大臣はどのような報告を受け、何か指示を行ったのか、御答弁願います。

前原国務大臣 東シナ海におきましては、我が国は領土問題を一切抱えておりません。尖閣諸島を含め、我が国固有の領土の領海をしっかりと守る、また排他的経済水域をしっかり守るというのは、主権にかかわる問題でございますので、今までもしっかりとやってまいりましたし、これからも毅然と対応していきたい、このように考えております。

 その上で、お尋ねの件でございますけれども、九月七日、九時前から操業しているという話がございましたけれども、午前十時十五分、中国トロール漁船が巡視船「よなくに」に接触し逃走するという事案が発生をいたしました。当時、私は、午前十時から午後零時二十三分まで参議院の国土交通委員会に出席をしておりましたけれども、その際、後ろにおります秘書官から随時報告を受けておりましたし、また、ヘリの墜落の関係の質問もございましたので、海上保安庁長官もその場に同席をしておりました。その最中の午前十一時過ぎには私に報告がありまして、これを受けまして、同委員会の上野ひろし委員の質問にお答えをする形で、本事案について報告を受けた旨の説明を参議院でもさせていただいております。

 委員会終了後に、委員会室を出たところで、海上保安庁長官より事案の概要について説明を受けました。また、同日夕方にも、海上保安庁長官から立入検査の状況等について報告を数度受けるなど、随時報告を受けております。私からは、先ほど委員にお答えをしたように、東シナ海においては領土問題は一切存在していないし、我が国の領海内での事案であることから、しっかりと毅然と対応するようにということを何度も海上保安庁長官に指示をしたところでございます。

 その後、翌日八日午前二時三分に当該漁船の船長が逮捕されまして、九日午前十時四十一分に同人が公務執行妨害の容疑で那覇地方検察庁石垣支部に身柄つき送致をされておりまして、海上保安庁においては、本事案に対して、我が国の国内法令にのっとり、厳正かつ毅然とした対処がなされていると考えております。

 以上です。

谷田川委員 大臣のお考えはよくわかりました。

 にもかかわらず、東京新聞の九月九日の朝刊に、「漁船船長逮捕 中国配慮 決断まで半日」という見出しで、「七日夜、外務省と海上保安庁の幹部は仙谷由人官房長官らと約一時間半対応を協議した後、」「この場で、公務執行妨害の疑いで中国漁船船長を逮捕する方針が決まった。」と、領土問題は一切ないと大臣はおっしゃっているけれども、何か政府は中国に配慮しているというような内容の記事が載っております。

 この辺の事実関係について、海上保安庁長官、説明していただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本件につきましては、七日の十二時五十五分に、当庁の巡視船「みずき」が当該トロール漁船に強行接舷をいたしまして、海上保安官六名が移乗し、制圧をして、停船させました。一分後の十二時五十六分から立入検査を開始してございます。

 ただ、その後、本件は中国漁船でありまして、中国語の捜査官も我々おりますが、やはり中国語で検査をする必要があること、それから、公務執行妨害の容疑でやっておりますが、海上における公務執行妨害というのはなかなかまれなケースでありまして、これに慎重に対応する必要があったこと、それから、当時は台風の通過後で海上にうねりがまだ相当残っておりまして、静穏な海域まで当該漁船を任意で同行させて、そこで最終的に逮捕するということにしたものでありますから、時間を要したのは事実でございます。翌深夜零時五十五分、那覇地方裁判所より逮捕状の発付を受けまして、二時三分、巡視船「みずき」により逮捕状を執行して、当該船長を逮捕したということであります。

 ただいまお尋ねの判定の件でございますけれども、これはやはり中国側からも抗議がなされたような事案でありまして、外交面の問題もありますので、外務省と一緒に当庁幹部が報告に行っておったというのは事実でございます。しかしながら、逮捕の方針については、海上保安庁としてしっかり検討した上で厳正に対応するということで行ったものでございます。

前原国務大臣 時間がかかったことについてでありますが、また憶測の記事について一々私が答弁する立場にはございませんけれども、事実関係から申し上げますと、非常に離れた場所で行われたことでございますし、また外交案件に関することでもある。そしてまた、海上保安庁はそういったものを随時ビデオに撮っております。そういうものの照会もしっかりやっていく上で、我々の方針は一切ぶれずに、しかし慎重にやらせていただいたということでございます。

谷田川委員 今の大臣の御説明、そして海上保安庁の御説明でよくわかりました。公務執行妨害というのは、陸上にいると大体現行犯逮捕、みんなそう思いがちですけれども、やはり海上ということで、なかなかそれが難しいということで時間を要した、慎重にやったということがよくわかりました。

 そこで、今回の容疑は公務執行妨害でありますけれども、外国人漁業の規制に関する法律違反容疑もあると聞いておりますが、この辺の状況はどうなっているでしょうか。

鈴木政府参考人 今回の直接の容疑は、先ほどお答えしましたとおり公務執行妨害でありまして、逮捕後、慎重に捜査を進め、九日の午前十時四十一分に那覇地検の石垣支部に公務執行妨害容疑で当該船長を身柄つきで送致しております。

 ただ、ただいまお尋ねの外国人漁業規制法の違反の問題につきましても、発見時に網を入れていたという事実もございますので、これについても現在慎重に捜査を進めております。

谷田川委員 これまで、尖閣諸島周辺の我が国の領海内で、外国船に対して我が国が立入検査をしたり摘発した件数はどのぐらいあるのか、御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺の我が国領海内の事案について、海上保安庁が過去三年間に立ち入りをした外国漁船の数でございますが、緊急避難的に荒天を避けるために入域したような漁船を除きますと、平成二十年に二件、二十一年に六件、平成二十二年二十一件の合計二十九件でございます。ただ、立入検査した場所は、少し領海から外に出てやった事例も含まれております。あくまで領海内で発見した事案についてということでございます。

 それから、尖閣諸島周辺の我が国領海内において外国漁船を検挙したというのは、今回の事案が初めてでございます。

谷田川委員 近年、中国船あるいは台湾船が尖閣諸島周辺でかなり違法操業をしているという話が大分ございます。この事件の当日も、尖閣諸島周辺の我が国領海付近で二十隻から三十隻の外国漁船が存在したというふうに聞いております。

 こういった違法操業を防止するためにも、警備強化や漁業取り締まり船の一層の配備が必要だと考えますが、この辺の御見解はいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島周辺海域における警備強化、あるいは本件のような違法操業の取り締まりにつきまして、海上保安庁では、平素から常時巡視船を配備するとともに、定期的に航空機による哨戒を行っております。また、今回の事案のように、多数の外国漁船を認めた場合等につきましては、その情勢に応じて巡視船を増強配備するなど警備の強化を図っておるところであります。

 今回の事案についても、その配備中の巡視船が中国漁船による違法操業を発見したものでありまして、その後、当該漁船は停船命令に従わず、二隻の巡視船に接触しながら逃走を図ったため、最終的には、強行接舷の上停船させ、同船船長を公務執行妨害の容疑で逮捕したものであります。

 今後とも、当庁の巡視船艇、航空機の持つ哨戒能力と機動力を十分に活用して、尖閣諸島周辺海域の領海警備等に万全を期してまいりたいと考えております。

前原国務大臣 今、谷田川委員御指摘のとおり、我が国の主権をしっかり守っていくということは極めて重要でございますし、また、そういった違法操業が常態化しないような環境をつくることも極めて重要でございます。

 今長官から答弁をいたしましたように、状況に応じて警備強化などを柔軟に行っているところでございますけれども、この海域、日本の主権を守るために、今後も引き続きしっかりとした対応を状況に応じてやってまいりたいと考えております。

谷田川委員 漁業取り締まり船というのは管轄が水産庁でございますので、水産庁の方からも答弁いただければと思います。

佐藤政府参考人 尖閣列島の我が国領海内における外国船の違法操業につきましては、私ども、極めて遺憾な行為であると認識しているところでございます。

 これまでも、農林水産省としましては、外国漁船の違法操業の取り締まりにつきまして、海上保安庁等と連携して対処しているところでございます。

 外国漁船の違法操業に対する取り締まりにつきましては、他の水域における取り締まりの必要性とのバランスを図りつつ、今後とも、関係省庁等との連携をさらに密にして、外国漁船の違法操業の根絶に向けまして万全を期していく考えでございます。

谷田川委員 ひとつ海上保安庁と水産庁の連携を密にしていただきたいと思います。

 それでは次に、日本航空の更生計画について質問いたします。

 私も日本航空の再生についての参考人質疑で質問をさせていただきまして、そのときにかなりの参考人の方から、更生計画を急いでやるべきだ、一刻の猶予もならないということだったんですが、残念ながら更生計画が当初の予定よりも二カ月おくれました。そして、この八月に提出されたわけでございますけれども、これによって二次破綻を防ぐことが完全にできる、この更生計画の内容を見てその懸念は完全に払拭されているか、大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。

前原国務大臣 日本航空の更生計画案の提出が当初より二カ月おくれたという御指摘はそのとおりでございますが、ただ、人員の削減あるいは路線の縮小、こういったことは同時並行的にやってまいりましたし、そういう意味においては、二カ月おくれたことについての影響はさほどない、私はこのように思っております。

 今回、八月三十一日に裁判所に提出されました更生計画案については、今申し上げたように、路線、これは国内線、国際線も路線のさらなる深掘り、人員の徹底した削減、それと同時に機材の変更、今まで大型機材で大量に運ぶということでそれが極めてイベントリスク等に対応できない、そういった問題があったわけでありますけれども、これを変更していくといったところが案に盛り込まれまして、抜本的なリストラになるのではないかと考えております。

 さらに、今回、この更生計画案のところに、イベントリスクへの対応ということで、戦略リスク認定専任者を設けると。今まで設けていなかったことについて問題があるという意見もあるのでありますが、専任者は、マクロ経済における先行指標や自社予約状況、決算状況等を常時モニターして、イベントリスクの兆候の発見に努めるものとする。また、システム開発として、先行指標がJALグループの損益に与える影響の分析、リスクシナリオが自社の財務諸表に与えるリスクの定量化を行う。こういったさまざまな観点で新たな取り組みをしっかりやっていくということが盛り込まれておりますし、また、必要な場合には、企業再生支援機構が追加の財政上の支援、出資とか融資とかあるいは保証、こういったものを行うということが明記をされております。

 以上のように、更生計画案がしっかり着実にやられれば、日本航空の収益力の強化、危機対応力の向上が図られるということになっておりまして、確実な再生が実現されるというふうに考えております。

谷田川委員 まさにこれは大臣の政治生命をかけたというぐらいの大事な仕事だと思いますので、頑張っていただきたいと思いますが、大臣も今御指摘ありましたように、かなりの人員削減が更生計画案の中には盛り込まれております。

 せんだって、日本航空といえば八月十二日のあの墜落事故、ちょうど二十五周年ということで、二十五年前の当時の運輸大臣山下徳夫さんから数えて前原大臣はちょうど三十人なんですね。三十人の中で、御巣鷹山まで慰霊登山したのは大臣が初めてということで、非常に、安全は大事だということを大臣が身をもって示されたと思うんですが、日本航空の再生計画の中での人員削減は、やはり安全第一、安全運航することが大前提であるということが絶対必要だと思うんですね。

 そのことについて、改めて大臣の決意をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今回、八月十二日に御巣鷹山に慰霊登山をさせていただいて、そして追悼式典に参列をさせていただきました。

 その前に、御遺族の方々の御著書あるいは手記、あるいは「茜雲」という御遺族の方々の思いがつづられた文集、こういったものを読ませていただき、また、事故当時に群馬県の医師会の方々がどのような対応をされていたのか、消防団の方々がどのような対応をされたのかというような資料も読ませていただきまして、本当に壮絶な、悲惨な事故であったということを改めて私は思い知らされました。

 日本航空に限らず、あるいは航空業界に限らず、安全というのは運輸行政においては極めて大事でございますし、これなくしてはあり得ないというふうに思っております。

 したがいまして、今回の更生計画案にも、一番大事なことはもちろん会社の再建ではあるけれども、安全運航なくして会社の存続はあり得ないといったところを、私からも稲盛会長や大西社長に対しては徹底して申し上げたところでございますし、また、その認識を持って更生計画案をまとめていただいている、安全が何よりも大事なんだということをベースに更生計画案がつくられたものと考えておりますし、我々もしっかりと指導監督をしてまいりたいと考えております。

谷田川委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今回の更生計画には航空燃料税が、御承知のようにこの航空燃料税というのは世界各国で余り例がございません。アメリカでも、州によって設けられておりますけれども、大体日本の二十分の一程度。ある意味で、日本の航空会社の競争力をそいでいるわけですよね。今、日本航空に限らず、全日空も非常に経営状態は厳しいものがあります。やはり公租公課を低減していく、この方向性であるべきだと思うんです。

 今回、昭和四十七年から導入されてきたこの航空燃料税、来年度概算要求に当たっては、国の空港整備に充てる十三分の十一の部分の半額を減額するという要求をされました。この実現の見通し。私は、空港は全国に九十八カ所以上できて、ほぼ当初の目的は達成されているのではないか、そう思っています。そう考えると、やはりこれは将来的には廃止する方向に持っていくべきではないか、そう思っているのですが、その辺の御見解をお伺いしたいと存じます。

三日月副大臣 ありがとうございます。

 今、谷田川委員おっしゃったように、航空機燃料税については、来年度の税制改正要望で、空港整備勘定に繰り入れる税額を三年間半減するという形で要望させていただいております。

 その結果、御案内だと思いますが、自治体が空港対策に充てている航空機燃料譲与税を除く部分の半額ですので、例えば離島路線でいいますと、現行キロリットル当たり一万九千五百円、これが一万一千二百五十円、沖縄路線はキロリットル当たり一万三千円、これが七千五百円、そして、本則上はキロリットル当たり二万六千円になっているところが一万五千円という形で、軽減を三年間図ることにしております。

 これは、首都圏空港の容量拡大などによって、これから航空大競争時代を迎えます。したがって、平成二十三年度から三年間を集中改革期間という形で位置づけて、航空会社みずからのコスト削減努力とあわせて、この航空機燃料税の軽減を通じて我が国の航空企業の競争力強化を図ろうとするものでありまして、ぜひその実現に向けて委員各位の御理解と御支援を賜れればというふうに思っております。

 なお、この集中改革期間後の航空機燃料税の取り扱いについては、今後必要となる空港投資の規模でありますとか、そのための財源のあり方等について十分な検討を行っていく必要があるというふうに考えております。

前原国務大臣 今副大臣が答弁をしたとおりでございますが、若干つけ加えますと、私も谷田川委員のお考えと方向性は同じでございまして、新たにつくるというのは基本的にもうこれで終わりにして、それをいかに活用していくかということであります。となると、今までのつくることを目的にしてきたこの空港整備勘定、特別会計というものを根本的にあり方を見直すということが大事だと思いますし、今副大臣が答弁をしたように、これから全日空も別会社でLCCをつくる、そして大競争時代になってくるという状況の中で、公租公課の引き下げということは、日本の航空会社の競争力を高める上で極めて重要だと思っております。

 その意味では、この十三分の十一を半減するという航空機燃料税については、ぜひ財務省との折衝の中で実現をしていきたいと思っておりますし、三年のこの期間の後は、継続をすると同時に、さらなる引き下げ、あるいは着陸料も含めた公租公課の引き下げというものをやっていかなければいけないというふうに私は思っておりまして、その方向で航空行政をしっかりと定着させていきたい、また財務当局とも話し合いを今後も進めていきたい、こう考えております。

谷田川委員 財務当局はかなり消極的だという話も聞いております。一般会計から空港整備勘定に年間約四百億円の投入をしている、だから、それを減らすのならいいよという話もありますが、しかしこれは、今大臣もおっしゃったように、日本の航空会社の競争力をつけるためにも、やはり公租公課は引き下げるべきなんですよ。ぜひ財務当局との折衝に負けないでいただきたい。お願いしたいと思います。

 さて、今度は成田空港と羽田空港のことについて質問したいと思います。

 来月から羽田に四本目の滑走路が供用されます。この四本目の滑走路は、ぜひ委員の皆さんに御認識をいただきたいんですが、千葉県側が非常に協力をした。つまり、四本目の滑走路ができまして、その飛行ルートはほとんど千葉県上空を飛ぶんですね。その騒音の問題をしっかり解決しようとした。それから、四本目の滑走路は埋め立てです、まあ一部桟橋になっていますが。そうすると、漁業補償の漁業交渉もやらなきゃいけない。その漁業交渉も千葉県が主体的になってやった。そして、埋め立てる土砂を千葉県から搬入したんですね。その三つがあって初めてこの四本目の滑走路は完成できたと私は思っているんです。

 大臣も同じような認識をお持ちかどうか、まず御答弁願います。

前原国務大臣 これはもう本当に千葉県の御協力のおかげで四本目の滑走路ができたと思っておりますし、漁業交渉のみならず、千葉県上空を飛ばせていただく御協力がなければ、四本目の滑走路また容量の拡大もできなかったわけでございますので、谷田川議員の御地元も含めて、千葉県の皆さん方には心から感謝をしているところでございます。ありがとうございます。

谷田川委員 それで、結果的に、千葉県は四本目の滑走路に協力するという中で、では国際線を羽田に飛ばす、しかし、基本的にはその時点では、成田空港は国際線の基幹空港、そして羽田は国内線、いわゆる内際分離の原則がまだあったわけです。

 前原大臣は内際分離の原則を見直すという発言をされておりますけれども、しかし、千葉県が四本目の滑走路をつくるに当たって協力した段階で、国は、昼間国際線年間三万回、そしてその後、冬柴大臣になられて、あと深夜早朝プラス三万回、六万回です、そういう話をされて合意されているんですね。今回、成長戦略の中で、さらに昼間三万回プラスして、計九万回という話になりました。やはり、これは実施するに当たっては、千葉県との合意があるわけですから、千葉県と十分な協議をする必要があると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

前原国務大臣 千葉県の御協力もいただいて四本目の滑走路ができる。そのことによって、現在は年間三十・三万回の離発着をしているわけでありますが、それが、管制が習熟をしてくれば、四十四・七万回ということで十四・四万回ふえることになります。したがいまして、国際線であろうが国内線であろうが、十四・四万回、千葉県の御協力も得てふやさせていただくことになるわけであります。

 前政権のときには今委員のおっしゃったとおりでございましたけれども、内際分離の原則を排して、そしてよりハブ機能を強化するということで、九万回ということを今打ち上げているわけでございますけれども、これについても、これは冬柴大臣のときに堂本知事にも、二〇一〇年以降の将来の方向性として、国内、国際双方の需要の伸びを勘案して、こういう言い方でございまして、何も六万回で打ちどめよということにはなっていないとしております。しかし、千葉県の御協力なくして達成できないのも事実でございますので、これからも森田知事初め地元の皆さん方としっかり御相談をして、九万回に御理解をいただくように努力をさせていただきたい。議員のお力もぜひおかりをしたい、このようにお願いをしておきたいと思います。

谷田川委員 成田空港と羽田空港は、やはり首都圏の空港として一体的運用を図る必要があると私は思っているんですよ。

 実際問題、やはり乗り継ぎの便が悪いですよね、成田にしても羽田にしても。つまり、羽田におり立って、国際線が少ないから成田に乗りかえる、あるいは逆に、国際線で成田におり立って、じゃ、国内線の乗り継ぎが悪いからということ。そういうわけで、それが韓国の仁川なんかにとられているという面があると思います。ですから、羽田と成田をしっかり結ぶ、短時間で結ぶという意味で、今国交省の中で成田、羽田の空港のアクセスを改善することを検討しているというふうに聞いています。特に、成田―東京間三十分台、成田―羽田間五十分台を目標とする高速鉄道の敷設を検討されていると聞いておるんですが、その検討状況と実現の見通しについて御答弁いただきたいと思います。

前原国務大臣 委員御指摘のとおり、日本の首都圏の空港の兄貴分はこれからも成田であり続けるわけです。といいますのも、今、成田は二十二万回でございますが、これは地元の御協力で三十万回までふやしていただけるということでございます。仮に千葉県の御了解もいただいて成長戦略どおりふやしたとしても、羽田は九万回でございますので、そういう意味では、やはり圧倒的に国際線の離発着は成田で行うということになり、これからも成田の国際線の首都圏の玄関口としての位置づけは当然続いていくということになるわけでございます。

 そこで、お尋ねのアクセスの件でございますけれども、御指摘の観点は極めて重要な課題だと思っておりまして、東京から成田空港へのアクセスは三十分台。この間新たな、三十六分、これは日暮里でございますけれども、つながると。東京から羽田空港へのアクセスが二十分台でありますが、両空港間を何とか五十分台で実現できないかという方策として今調査を行っておりますのは、都営浅草線の押上の駅から泉岳寺の駅を結ぶ短絡線、これは約十一キロメートルでございますが、整備をして、途中に東京駅を通らせるという考え方はどうかということを調査しております。今年度においても、事業費や需要予測の精査等についてさらに調査を深めているところでございます。

 ポイントは、費用、そして事業主体はだれがやるのか。例えば、京成とか京浜急行とか都営地下鉄、あるいは自治体がどう絡んでくるのか。こういったことも、これから関係者との合意形成がポイントになってくるのではないか、そういう認識を持っているところでございます。

谷田川委員 時間がなくなりましたので、最後の質問にしたいんですけれども……

川内委員長 なくなりましたではなく、なくなっています。

谷田川委員 なくなりましたか。

 皆さんのお手元に、成田空港と羽田空港の費用対効果のBバイCが載っていると思います。中長期的な課題として新たな滑走路という話があると思いますが、財政が厳しい折、ぜひこのBバイCについてはしっかり、大事な柱という認識を持って計画を考えていただきたい。そのことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

川内委員長 谷田川元君の質疑を終了いたしました。

 次に、徳田毅君。

徳田委員 おはようございます。自由民主党の徳田毅です。

 まず冒頭に、広島県で豪雨災害によりお亡くなりになられた五名の方々に、心から御冥福をお祈りするとともに、全国で被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 また、八月十八日に香川県沖で発生をいたしました海上保安庁のヘリコプター「あきづる」の墜落事故において殉職をされた五名の方々においても、心から御冥福をお祈りするとともに、哀悼の意を表する次第であります。

 このヘリコプター墜落事故についても後ほど触れたいとは思いますが、まず、先ほども議題になりました、中国漁船が領海侵犯をして海上保安庁の巡視船に衝突をしたという重大な事案が発生しておりますので、この件についてお伺いしたいと思います。

 先ほどから、事実確認においてはお話がありました。自由民主党の外交部会におきましても、海上保安庁から説明を受けております。この件について概要を今改めて確認しようと思いませんが、先ほどのお話を聞いておりましても不思議に思ったことは、まず最初に、七日の午前十時十五分に「よなくに」と中国漁船が衝突をしている。それから次に、午前十時五十六分に今度は「みずき」と二度目の衝突を起こしている。そして、約二時間後の午後零時五十六分に巡視船「みずき」が当該漁船に強行接舷し、そして海上保安官六名が移乗し停船させ、立入検査を実施している。しかしながら、そこから逮捕に至ったのが八日の午前二時三分ということでありますので、約十三時間ほどかかっている。

 これについては、先ほどの話では、中国の漁船であり、そして海上での事案ということもありますし、またうねりもあったことから、それを安全なところまで引っ張っていったということでありますが、それにしても十三時間も本当にかかるものなのか。実際にビデオ撮影もされているということです。海上保安庁の巡視船に衝突されたという事実はあるわけですし、さらには我が国の領海内であるのも事実だ。そうすると、なぜ現場の判断で現行犯の逮捕ができなかったのか。

 もちろん、この問題については、外交問題に発展もしかねない、そういうことにおいては対応の協議も必要なんだということは理解ができます。しかしながら、まず確認させていただきたいのは、この件において、それでは海上保安庁だけで公務執行妨害としての逮捕の判断をされたのか、その公務執行妨害としての逮捕はどの時点で判断をされたのか、お聞きしたいと思います。

前原国務大臣 先ほど谷田川委員にもお答えをいたしましたように、東シナ海において我が国は領土問題を抱えておりません。したがって、領海侵犯については、毅然とした対応を行うということが大事なポイントであることは言うまでもございません。

 他方で、我が国の立場はそうでありますけれども、そうでない主張をしている国があるのも、これは委員御承知のとおりでございます。

 そういった外交環境の中で、しかも、これも先ほど同僚委員にお答えをいたしましたように、初めての事案でございます。公務執行妨害で結果的に逮捕に至るということは初めての事案でございまして、離れたところでもあり、そしてまた、そういったさまざまなものを考えた中で時間がかかったということについては御理解いただきたいと思います。

 なお、もう一つポイントとして挙げられますのは、我々海保の立場としては、明確に船を当てられて、そして身柄を拘束して、そして、委員も鹿児島の御出身でございますので大体の地理的なことはおわかりだと思いますけれども、尖閣から石垣に運ぶのには相当の時間がかかりますし、その連れていく過程の中で、石垣の方にもう向かっておりまして、その中で任意の事情聴取も行っていたということでございまして、そういう我々の意思、そして外交上の判断、そういうものも含めて、ある程度時間がかかったんだということは御理解をいただきたいと思います。

徳田委員 そのある程度時間がかかったということが問題なんだと思います。確かに初めての事案でもありますし、慎重に行動しなければならないということは理解できます。

 この夜には、仙谷官房長官や瀧野、福山両官房副長官、または河相副長官補、齋木アジア大洋州局長や海上保安庁の幹部の方が集まって協議をされたというふうな報道がありました。

 先ほどのお話では報告をされたということなんですが、それは何時にこのような協議が、この場が開催されて、夜だということですから、最初の衝突が起こってから、または立ち入りをしてからも、多分、最低でも七時間から八時間かかっている。報告をするのにも七時間、八時間かかるというのはおかしな話ではないか。また、この場に海保の幹部はおられるんですが、国交省の政務三役の方はだれもおられないんですよね。この件についても私にとっては不可解なんですが、何かありましたら。

前原国務大臣 私が報告を受けておりますのは、二回会議をやっていると思います。二回目が今委員がおっしゃったように夜の九時からでございまして、恐らく夕刻の早い時間に一回目はもう既に行われていると思います。

 その会議に出る前に、鈴木長官には私の部屋に来ていただきまして、現状の報告と、そして今から官邸で他省庁等も含めた話し合いが行われるということで、指示をということでございましたので、我々としては、私もそのときにはもうビデオを見ておりましたので、DVDを見ておりまして、完全に中国の漁船が体当たりをしてきているということで、これはもう明確であると。我々の意思というものについては揺るぐことなく主張をしたらいいということで、鈴木長官に任せて政務三役は出なかった。もしそれについて変わるようなことがあれば、すぐに私に報告をするようにということで、鈴木長官が出たということであります。

 また、内閣官房は総合調整をするところでございますけれども、後で伺ったところによりますと、外務大臣も含めて、日本の領海内で起きた事案については毅然とした対応を日本の国内法にのっとって粛々とやるということで、意見は全く他省庁も同じだったということでございます。

徳田委員 この件におきましては、これからまた外務委員会などでも議論されると思うんですが、ただ、先ほども話がありましたとおり、これほど時間がかかったことについて、やはり日本が弱腰ではないかという印象を国民に対してもまた他国に対しても与えるのは事実なんだということを思います。決してそうではないというのであれば、また大臣は毅然とした対応をとるべきだということをおっしゃられておりますので、この状況についてしっかりと国民の皆様に御説明するべきではないかということを思います。

 また、先ほどお話を聞いておりますと、この事案が起こってから翌日の朝にも、中国の漁船が二十隻から三十隻も領海侵犯をしていたという話もある。多いときは七十隻という話もあるんです。そういう状況に応じて警備を強化するということでありましたが、決して応じられていないからそういう現状があるのではないか。

 さきの参議院の国土交通委員会で佐藤委員からの質問をお聞きしておりますと、前原大臣も海上保安庁の予算や人員、装備などについてまだまだ不足しているのではないかというような印象を持たれているようにも感じましたが、やはり実際に、三万キロを超える海岸線に囲まれた日本において、多岐にわたる任務を遂行されている海上保安庁の予算が今で十分かということについては疑問が残ります。

 そしてもう一点、先ほどの参議院の国土交通委員会の議事録、私も読ませていただきました。その中で、やはり残念だなということを思うのは、海上保安庁のヘリコプターが墜落をし、五名の方、当時では四名が死亡、一人が行方不明という形で伝えられていたんだと思いますが、そのときに、前原大臣は鹿児島県の南大隅町の土石流災害現場で視察をされているときに第一報を受けられた。その後に、この報告を受けたにもかかわらず、種子島に移動されて、離島対抗の軟式野球大会また宇宙施設の視察を行われていた、この件が大きな議論になっていました。

 このことを考えると、海上保安庁の職員が四人も死亡している、一人が行方不明、今実際五名になりました。また、送電線に接触して墜落したということですから、一般市民にも停電などの影響があるのは間違いないことですね。

 それでは、そこで海上保安庁による重大な事故が発生したという認識があるのであれば、これは種子島の公務を優先されるべきだったのか。海上保安庁長官にすぐ戻るべきかと確認をとったということでありますが、これは大臣自身で判断されるべきだったのではないか。副大臣や政務官を現地に向かうように指示をして、そして情報収集に当たるべきだったのではないか。佐藤委員が指摘をされているように、他の省庁とは事故後の対応や初動に差があるのではないかという疑念が残ります。そして、佐藤委員が指摘をされていたとおり、やはり危機意識が欠けているのではないか。これを感じるのは私だけではないんだということを思いますが、大臣から御意見があればお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 佐藤委員にもお答えをいたしましたけれども、見直すべきところは見直していくということは大事でございますけれども、佐藤委員は自衛官としてみずからの体験をもとに質問をされていたんだと私は思います。ただ、実力組織ではありますけれども、例えば、自衛隊と防衛大臣、あるいは海上保安庁と国土交通大臣というのはおのずと立場が異なると私は思います。

 つまりは、防衛大臣というのは自衛隊を預かる、もちろん最高指揮者は総理でございますけれども、一対一対応なんですね。おわかりになりますか。つまりは、防衛大臣が自衛隊というものを持っていて、一対一対応になっている。私、政務三役も含めて、もちろん海上保安庁というのは大事な所管の一つではありますけれども、河川、鉄道、港湾、空港、住宅、あるいは不動産、あるいは観光、気象庁、さまざまなものの中に海上保安庁というものがある。だからこそ、海上保安庁には長官もいるし、次長もいる。こういうことだろうと思います。

 先ほどおっしゃったことで一つだけ事実と異なることがあるのは、種子島に行きまして、これは奄美大島からも来られていましたけれども、夜の離島振興のいわゆる会合には出させていただきましたけれども、翌日の離島振興の野球大会、それから宇宙担当大臣としての視察というのはすべてキャンセルをして、朝に東京に戻っております。

 そういう意味では、五人の方、その時点では四名の方が亡くなられて一人が行方不明だったということの重大さにかんがみて、他の公務をキャンセルして東京に戻ったことは事実でございますし、それぞれの、その時々の判断があったのであって、その危機管理の意識に問題があったとは私は考えておりません。

徳田委員 今のお話を聞いておりましても腑に落ちないのは、翌日にすべて公務をキャンセルして帰ったからいいという問題ではないと思います。また、防衛省は一対一対応だと言われましたが、国土交通省については海上保安庁は所管する一つだと。しかしながら、国民の安全を守るという任務については変わりはないことですし、やはり海上保安庁におきましても、このような重大な事故が起こっている、この重大さにおいても同じだと私は思います。また、逮捕権や捜査権など特別な権限を有するという部分をかんがみても、そこは所管の一つだからというのは私には納得いかないところであります。

 この件についてはもうこれ以上申し上げませんが、もう一つ関連して、恐縮ではありますが、私の地元で起きた案件について、地元といっても人命にかかわることでありますので、つけ加えて御質問させていただきたいと思います。

 これは、事前にもお伝えしてありますように、奄美の笠利町の土盛海岸で起きた事件であります。七月十九日に男性二人が流されたという案件であります。

 ここで午後四時に通報がありまして、そうした中で、消防隊は四時十七分、二十分後には消防水槽車が出動し、そして二十七分には救急車及び救急士も到着をしているんです。しかしながら、救助に当たる肝心の海上保安庁については、海路からでは時間がかかるということで、ここによると、いそなみ陸行班が陸路で現場に向かわれている。しかしながら、赤色灯の使用が認められていないことから、現場に着くのに一時間近くかかっているわけです。私は、こういう一刻も争う事態を考えると、なぜ海上保安庁に赤色灯を使用する権利が与えられていないのか、一分一秒を争うことというのはだれもが同じく共有するものだと思いますが、ここに矛盾があると思うんですね。

 ちなみに、鹿児島からも航空機の出動指示があるんですが、鹿児島から奄美まで三百八十キロぐらい離れているんですよ。ヘリで行っても一時間ぐらいかかる。これでは、とてもじゃないですが、救助できる状況じゃないわけです。このような事態が起こっていることについて、大臣としてどのように思われるか、お答えいただきたいと思います。

前原国務大臣 当該事案におきましては、海上保安庁は、一一八番通報を受けまして、直ちに巡視艇、航空機を出動するとともに、奄美保安部から職員を車両にて陸行し対応したと聞いております。先ほど委員のおっしゃった、いそなみ陸行班でございます。

 海上保安庁は、活動の場が主として海上でございまして、事案の対応は巡視船艇や航空機を活用することが多いため、緊急車両の指定は受けておりません。また、必要がある場合には、警察車両に誘導を依頼して今まで対応をしているところでございます。

 緊急車両の指定につきましては、警察庁と相談をしておりますけれども、平成十九年以降、警察車両による誘導事例は全国で二件だけでございまして、また、緊急車両の指定を受けた場合には車両の維持整備やいわゆる運転手の技能研修というものも必要でありまして、現時点では緊急車両の導入はなかなか難しいなというふうに考えております。

徳田委員 事例が少ないから難しいということをなぜ言われるのでしょうか。現実にこういう事態が起こっているからこそ、一人でも多くの方を助けなきゃいけないと行政が動くのは当たり前のことではありませんか。赤色灯を使うのにどれぐらいの予算が要るんですか。それは権限の問題であって、そして赤色灯を回すことによって何分でも早く現場に駆けつけることができる、要は、救助できる可能性が広がるということですから。そしてそれが、海上においての救助こそが海上保安庁の職務ではありませんか。その職務を、現場では一生懸命やっているけれども、権限がないからできない、それでは困るんだということを私は指摘しているわけです。

 そしてもう一つ、先ほどの話に戻りますが、奄美においては、二〇〇一年十二月には北朝鮮の不審船との銃撃事件も起こっている。やはり海上保安庁のこうした装備についても、私は不十分ではないかということを思います。まずは現状を把握された上で、海上保安庁の職務に最低限必要な予算や人員というものを確保する。これは努力するということではなくて、やはり政治の責任としてしっかりと行っていただくことをお願い申し上げたいということを思います。

 それでは次に、JALの再生問題についてお伺いしたいと思います。

 八月三十一日に企業再生支援機構から更生計画が提出をされました。この件について、大臣は会見されて、評価できる内容だということを言われておりますが、改めてこの更生計画案について所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 更生計画案につきましては、不採算路線からの撤退、ジャンボ機を初めとする非効率機材の完全退役、そして人員数を約五万人から三万人まで減らすという大幅な削減等によりまして、収益力の強化あるいは危機対応力の向上が図られていると考えております。この大幅なリストラを通じまして、計画初年度である二〇一〇年度から資産超過と営業黒字の双方を達成する計画となっておりまして、財務面の健全化が図られている点、こういった面は評価に値する計画であると考えております。

 大事なことは、これをしっかりと実行していただくということが私は大事だというふうに思っておりまして、この更生計画案に盛り込まれました施策を着実に実行していただくように、そして目標とされる業績を達成してもらうように、国土交通省としてもしっかりと指導監督を行っていきたいと考えております。

徳田委員 この更生計画について着実に実行していただくということは、確かに重大なことでありますが、ある意味では最低限なことなんです。着実に実行していただき、そして三年後の出口には、出資を予定されている三千五百億を間違いなく回収できるようにするということでありますね。しかしながら、実際私たちが見て、本当にこれが実現可能な案なのか。

 そして、やはり重大なことは、今までの集中審議などでも議論がなされてまいりましたが、この計画は民間金融機関を含めたステークホルダーの皆さんが納得してもらえるような案になっているか。これについては前原大臣も、公的資金を入れるということで、二次破綻は避けなきゃいけないということの前提条件の中で、より厳しい、そしてすべてのステークホルダーが納得していただける、そういった更生計画を今つくっている最中だと認識していると。

 ということは、あくまでこの更生計画そのものに対して民間金融機関にリファイナンスをしてもらうことが、裁判所に提出する更生計画の最低条件だったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 これは委員も御承知のとおり、この更生計画案については民間の金融機関も同意をされているわけであります。

 今委員がおっしゃったのはリファイナンスの点だと思いますけれども、例えばこの更生計画案、これは委員が資料としてお出しをいただいているもので、上の図でございますけれども、財務のところを見ていただきますと、債務免除というのがございます。五千二百十五億円。これはいわゆる民間金融機関による債権放棄でございまして、これを同意してもらわなければこの計画案そのものが成り立たないということで、これについては民間金融機関も同意をされているわけであります。

 しかし、債権放棄もこれだけさせられ、更生計画案の最初からリファイナンスというのはなかなか受けられないということで、企業再生支援機構がその間はバックアップをし、そして、本当に、先ほど私も答弁をさせていただいたように、これを着実に実行することが大事なんだというところを、民間の金融機関もそれをしっかり見たいという面もあるのではないかと思いますので、そういった面を含めて、これから更生計画案というものがまとめられ、そして着実に実行されることが大事であると考えております。

徳田委員 確かに、債権放棄をしていただいた五千二百十五億ということについては、民間金融機関には御理解をいただいていると思います。しかしながら、一月の再生計画の中では、リファイナンスを五千二百億ですか、受けて、そして出資される、その当時では三千億と合わせて、この二つのお金でDIPファイナンスと更生債権の二つを弁済するということでありますね。

 先日、企業再生支援機構からお話を受けたときには、この出資分でDIPファイナンスの弁済をすると。確かに、DIPファイナンスというのは第一優先弁済ですから、これを優先的に弁済しなきゃいけない。しかしながら、それでは更生債権は残るわけです。そうですね。

 では、もしリファイナンスを受けられなかった場合、着実に実行してもらうということは大事ではありますが、それでも受けられない可能性だってある。そうですね。それではどうなるんですか。どうなりますか。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、この更生計画案がまとめられました。そして、裁判所がこれについて認定をしていただくということになるわけでございますけれども、五千二百十五億円も債権放棄をする。そして、もちろん、一月十九日の中には書かれておりましたけれども、あれについては民間の金融機関は同意をしていないわけです。あくまでも会社更生法による管財人を決めたりする中での企業再生支援機構の案であります。今回の更生計画案というものは、民間の金融機関も含めて合意をしたものでありまして、その議論のプロセスの中でまとまったものでございます。したがって、一月十九日の案と違うじゃないかというところについては、それは加わった人たちの違いによってこういうものになってきたということでもあります。

 あと、お尋ねにあった、されなかったらどうなるんだということでありますけれども、私が今報告を受けておりますのは、これを着実に実行してもらうということが本当にやれるかどうかということを、ステークホルダーである金融機関もしっかり見ているということだと思いますし、大事なことは、日本航空が企業再生支援機構、管財人のバックアップを受けて、これを着実に実行してもらうことが大事だということを申し上げたいと思います。

徳田委員 一月の案と違うというのだけではなくて、これまでの委員会で大臣がおっしゃられていたこととも大きく違うと言っているわけです。

 リファイナンスについては、まだ金融機関も認めていないわけです。実際にリファイナンスをされない場合はどうなるか。これは、私たちが企業再生支援機構から聞いている話だと、七年間かけてこつこつ返すという話ですが、更生債権が残った場合は、更生手続が終了したとは言わず、この会社は更生会社としてい続けるわけです。そうしますと、企業再生支援機構が記者会見の中で言われたように、株式の再上場なんというのはとてもできない。できないということは、三年後の出口において三千五百億の回収というのはとても困難になる。ですから、リファイナンスが受けられるか受けられないかでは大きな差が出てくる。

 大臣が言われたとおり、これから実行されるかということを金融機関は見きわめられているんだということはわかります。しかしながら、私が頭取であれば、それだけではなく、一月の時点では五千二百億を見込んでいたのが、今回は三千億でも認めないと言っているんです。より深掘りした内容になって、それでも三千億でも認めない。そうですね。そして、その上で、やはりまだまだ金融機関は不信感を持っている。見きわめるだけではなく、私が頭取だったら、それこそ政府保証をつけろ、企業再生支援機構や政投銀の保証をつけろという話になってくるのではないか。そうしますと、政府としてはそれに対応することも想定されておるのか。私としてはそう考えますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 委員はおわかりになって質問されているんだと思いますけれども、企業再生支援機構は、トータルで三年間、再生支援、企業再生を、日航を支援するということで管財人にもなって、計画を主体的にまとめてきたわけです、日本航空と相談をしながら。

 したがいまして、今後この計画が着実に実行されるということ、これは必要条件であって、そして、先ほど何度か委員御自身が、自分が頭取であったらということでおっしゃっておりましたけれども、頭取であれば慎重になるのも当たり前だと思いますし、これがもうかる会社になるのであれば、積極的に関与していこうということにもなるわけであります。すべてはやはり今の計画が着実に実行されるかどうかというところと、あとは、委員がおっしゃったように、企業再生支援機構や他の公的金融機関も含めてどういった協力ができるのかできないのか、これは当事者間での話し合いになってくるのではないかと思います。

徳田委員 着実に実行されることは大事だというのはよくわかります。それは人員削減であったり、機材を変更し、ダウンサイジングであったり、さまざまな件があると思います。ただ、リファイナンスを受けるということを、努力すると。努力することが着実に実行されても、実際は行われるかどうかわからない。そして、今申し上げたとおり、リファイナンスされるかされないかでは、その後のシミュレーションは大きく違ってくるわけですよ。

 そして、もう一つ私が問題を感じているのは、やはりイベントリスクについてであります。ここで、この中にはイベントリスクが発生した場合について、柔軟的に政府支援を行っていくという一文も盛り込まれている。これで本当によいものなのか。もしリファイナンスが行われなくて、金融機関にも保証しなければならない、イベントリスクが起こったときには政府としてもまた支援を行っていく、これが本当にしっかりとした評価すべき更生計画かということに疑問を持つわけです。

 このイベントリスクというのは、過去のテロやSARS、インフルエンザ、リーマン・ショック、こうしたことが頻発したことにおいてJALは事実上破綻してしまった。だからこそ、このイベントリスクにも対応できるような経営構造をつくっていかなければならないということも大きなポイントの一つだと思います。しかしながら、イベントリスクというのはほとんど国際線に大きな影響をもたらすものでありますが、この国際線も十路便ほどしか減便をされていない。国内線におきましては三十路線以上削っている。しかしながら、収益構造から考えると、余りバランスは変わっていないのではないか。それでは、結局は、イベントリスクにも対応できるような収益構造になっていないのではないか。だからこそこのような、政府が支援するというような一文が加わっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 航空事業は、今委員がおっしゃったように、外的な要因、例えばリーマン・ショック、あるいはイラク戦争、SARS、こういう今まで起きたイベントリスクによって非常に大きな影響を受ける業界であることは、委員が御指摘をされたとおりでございます。

 そのために、更生計画案では、先ほど谷田川委員にお答えをいたしましたけれども、リスクイベント発生時に緊急的に固定費削減策等を機動的に発動できるようにモニタリング体制を整備する、今までなかったことも問題でありますけれども、これを整備するということ。そして、必要な場合には、企業再生支援機構が追加の財務上の支援、出資、融資、保証を含む諸施策を実施するということでございまして、これが計画上明記をされておりまして、イベントリスクへの対応が盛り込まれた内容になっていると認識をしております。

徳田委員 先ほどの谷田川委員からの質問でも、このモニタリングシステムということを言われておりましたが、こんなのは当然の話で、そういう事案が起こった場合、収益にどのような影響をもたらすか。しかしながら、こういうことを整備したからといって、一回こうしたリスクが起こったとき、五百億、七百億と、数百億単位で経常利益が吹っ飛んでいく。ではこれをどこまで回避できるのかということについては、私は疑問です。

 そしてまた、ここにあるように、イベントリスクに即応できるように強固な経営体質を構築するために財務上の支援、出資、融資、保証を行う、これを前提にしているというのはやはりおかしいのではないか。例えば、JAL以外でもみんなイベントリスクは受けるわけですが、それらの会社というのはこんな手厚い保証を受けられないわけです。それでは公正な競争に問題が生じるのではないかということも私は指摘をしているわけですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 日本航空は会社更生法を適用したわけです。そして、企業再生支援機構を管財人として、このバックアップのもとで、これからトータルで三年間で再生をさせる、こういうスキームで、今再生途上であるわけであります。したがいまして、他の民間の航空産業あるいは企業はそういった支援が受けられない、こちらは受けられているから不公平だということには当たらない。つまりは、これは会社更生法を適用して、企業再生支援機構という、国会でお認めをいただいた枠組みの中でこれをやっているわけでありますので、それを使ってやっていくということは、私はその点について何ら問題はないと思っています。

 他方で、委員がおっしゃるように、半官半民ではありますけれども、ある意味では、公的な支援を受けた企業とそうでない企業の公正な競争条件というものをしっかり担保することは極めて重要だと我々は認識をしておりまして、そのことについては今までも細かな事例も含めていろいろありましたけれども、そこは、我々としては、指導監督する立場として、しっかりと公平な競争条件が担保されるようにこれからも努力をしていきたいと考えております。

徳田委員 このJAL再生問題については、今までも国土交通委員会や、また集中審議などにおいて議論もされてきました。そこでは、はっきりと大臣自身がリファイナンスもしっかりと受けられるような更生計画でなければならないということも申されておりますし、イベントリスクについても、当時の辻元副大臣は、そうした不確実性を、できるだけリスクを回避できる更生計画を立てていただかなきゃいけない、要は、イベントリスクに耐え得る経営体質をつくっていただかなければならないと。それが今回の更生計画の大事なポイントだったのではないですか。しかしながら、二カ月おくれで出てきたこの更生計画では、そうしたところについては不備がある、問題がある、また今まで言われてきたところと大きく違うからこそ指摘しているわけです。

 また、今JALが再建中だからと言いますけれども、それはJALがひとり立ちしてもこうしたイベントリスクは起こり得るんです。でもたった三年間で、今の業界の情勢を考えると、やはりこうしたイベントリスクにおいて物すごく大きな損失を負う可能性はたくさんある、でも、JALだけが守られる。なぜ更生計画にこうした一文を盛り込まなきゃいけないのか。そうしたところに疑問を持つわけです。

 例えば、日本にはもう一つ、全日空がありますが、全日空でも有利子負債は一兆円を超えると思います。大変厳しい状況だ。LCCも参入して、そうした中で、業界は先行き大変不透明ですよ、メガキャリアにとっては。しかしながら、そういう中で、JALだけはこうして手厚く支援される。それが本当に公正な航空市場の競争環境をゆがめないか。それについては何も問題はないと言うことこそ問題があると思いますが、いま一度お答えいただきたいと思います。

前原国務大臣 委員は、では日本航空をどうしたらよかったとおっしゃるんですか。

 我々は、二兆円以上の債務を抱えて、これは前に理事が製造者責任は自分たちにもあるということはおっしゃっておりましたけれども、先延ばしをして、これだけの有利子負債を抱えるようになってにっちもさっちもいかなくなったからこそ、政権交代の後に、企業再生支援機構という枠組みを使って、会社更生法を適用し、思い切った治療をしようということで、放置をして問題を大きくしてきた自民党政権のツケを今我々が払っているんじゃないですか。それをしっかりとやっていく中で……(徳田委員「今政権を担っているのはどこなんですか。そんなことを言い出したら切りがないでしょう。今どうするかという話なんですよ」と呼ぶ)

川内委員長 ちょっと落ちついて。質疑をきちんとしてください。

前原国務大臣 それを我々は、企業再生支援機構の、これも自民党政権下でつくられた仕組みですよ、企業再生支援機構は。そういう仕組みを使って、そして日本航空の再生を三年以内でやっていくということを今やっているわけです。

 その中で、先ほど答弁をさせていただいたように……(発言する者あり)ちょっと聞いておいてください。先ほど申し上げたとおり、支援を受けない企業、でも、支援を受けない企業というのは、先ほど全日空の話をされましたけれども、DBJなんというところの支援は今までも受けていますし、これからも受ける可能性はあるわけですよ。しかし、公正な競争は確保しなきゃいけないということで、航空行政を監督する立場として、そこはこれから我々がしっかりと指導監督をしていくということでございます。

徳田委員 どうすればよかったんですかというよりも、この問題については、GMをモデルにして事前調整型の再建を、法的整理を行う。しかしながら、アメリカのGMのケースとも大きく、やはりスピード感についても全く違う。アメリカの連邦破産法十一条では、労働の契約でさえ破棄できる、組合さえ解体できる、それぐらいやっているわけです。それと比べても、二カ月おくれてこういう計画です。

 先ほども申し上げたとおり、銀行からのリファイナンスも、五千億借りる予定だったのに、三千億にしても貸してくれない。もっと言えば、二〇一〇年三月末の債務超過額の評価が、八千六百七十六億円から九千五百九十二億円にまでふえているんです。これほど差がある。もっと言えば、タスクフォースのときからこうやってころころ変わってきている、これも金融機関の信頼を大きく損ねているというのは事実なんです。先ほどの質問では、人員削減をしてきた、路線の縮小を行ってきた、おくれたけれども問題はないと言いますが、このおくれたことにも大きな問題はあるんです。そうした認識が足りないのではないか。

 いま一度申し上げたいと思いますが、今回の更生計画については三つの大事なポイントがあるはずです。金融機関、ステークホルダーなどが間違いなく納得できる、リファイナンスを行っていただける、そういう内容であること。二番目に、イベントリスクに対応できるような経営状況をつくり出せる、そういう内容であること。三番目の出口では、三千五百億を間違いなく回収できる計画でなければならない。しかしながら、これがすべて不確実ではないかということを申し上げているんです。

 もうこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に言うことがあればお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 私には質問権がありませんのでお答えをいただけませんでしたけれども、自民党政権下では、とにかくこれは先延ばしにしてきて、これだけの借金を膨らませたわけでしょう。それをどう処分するかということで、我々は企業再生支援機構というものを使って、そして二カ月は延びましたけれども、先ほどタスクフォースの話をされたけれども、自民党政権下ではJALがどんな体質かということをわかっていなかったじゃないですか。デューデリを行ってしっかりとした資産査定を行わなければ、対応策がとれないじゃないですか。

 そういうことをしっかりやった上で、企業再生支援機構を使い、我々としては、一月十九日にいわゆる会社更生法を適用し、それは二カ月おくれましたよ、おくれたけれども、いわゆる五千二百十五億円という債権放棄というものも同意をいただいて、そして計画案を出したわけです。これを着実に実行していくことがこれからのポイントであって、それ以外でもそれ以下でもありません。

 先ほどGMの話をされましたけれども、GMとの比較は全然違いますよ。GMの形をとるなんということを私は一言も言っていませんよ。しかも、チャプターイレブンも含めて全然法体系が違いますから。そういうこともわかって質問されているかどうか、それをしっかりと私は申し上げておきたいと思います。

徳田委員 確かに、今までの航空行政にも、私たちの世代からそれは問題があったかもしれないということは思いますよ。ただ、政権が交代して、JALをどうしようか、これだけの公的資金を突っ込むについても、皆さんが責任を持って行っていることではありませんか。(前原国務大臣「だから責任を持っている」と呼ぶ)そうですよね、責任を持っている。ですが、出てきた内容には問題があるんじゃないかということを申し上げているわけです。

前原国務大臣 そういう御指摘は承っておきますけれども、私はこれをしっかりと着実にやってもらうことが大事だということを申し上げております。

徳田委員 最後に申し上げたいと思いますが、今、政権を担っているのは皆さんなんです。今までがどうこうではなくて、皆さんが将来に責任を持っていかないと。この問題についてもそうです。議論の中で今までどうだったじゃないかなんて言い出すと、とてもそれは建設的な議論だとは私は思えません。

 もうこれで終わりにしたいと思いますが、今までもこういうことはたくさんありました、自民党時代はどうだったとか。しかしながら、どうか政権を担っているという自覚と責任を強く持った上での議論をお願いしたいということを思います。

 以上です。

前原国務大臣 その点はしっかり受けとめて努力をさせていただきたいと思います。

徳田委員 ありがとうございました。

川内委員長 徳田毅君の質疑を終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、アスベスト混入の再生砕石の問題について質問をいたします。

 この間、再生砕石へのアスベスト混入の問題が大きく取り上げられてきております。再生砕石というのは、御案内のとおり、建物の解体工事などで発生をするコンクリート塊、これは、破砕をして路盤材などとして使用するリサイクル材のことであります。

 この間、市民団体の浦和青年の家跡地利用を考える会が首都圏の駐車場や道路工事現場など百三十三カ所を調査し、そのうち分析に回した四十六カ所すべてでアスベストを検出いたしました。東京新聞を初めとして大きく報道されたところであります。いわば、有害物質を含むリサイクル材が流通をしていたことになります。

 そこで、まず確認で質問いたしますが、アスベスト含有の建材が混入をした砕石というものはそもそも販売、使用することができないと思いますが、お願いします。

伊藤政府参考人 先生御指摘の石綿等の非飛散性のアスベストの取り扱いでございますけれども、これは、廃棄物処理法上、そもそも破砕すること自体が禁止をされているわけでございます。また、他の廃棄物と区分して収集、運搬、積みかえ、保管を行うことなども決められているということでございます。

 したがいまして、再生砕石の中にアスベストが混入するということは、廃棄物処理法の規定を遵守していただければそういうことはあり得ないと思いますし、したがいまして、そういうものが販売されるということもあってはならないものだ、こういうふうに考えております。

塩川委員 アスベスト混入の再生砕石というのが販売されることがあってはならないということは、当然のことであります。

 ですから、それが現実にはリサイクル品として販売、使用されていたということであるわけですから、極めて重大であるわけで、大臣にその点でお尋ねしたいんですが、国としては、リサイクル率の引き上げなどもずっとこの間行ってきたわけであります。国としてリサイクルを促進しながら、そのリサイクル品に有害物質が混入してきた、このことについて大臣はどのように認識しておられるのか、この点をお尋ねいたします。

前原国務大臣 塩川委員にお答えをいたします。

 国土交通省といたしましても、循環型社会の形成に向けて、建設リサイクル法等によりまして、建設工事に係る資材の再資源化を推進してまいりました。

 しかし、今回、再資源化された再生材に、建設リサイクル法、廃棄物処理法等に基づき適切に分別処理されるべき石綿含有廃棄物が混入していた事例が確認をされたことは、極めて遺憾でございます。

塩川委員 この間、市民団体の指摘を受けて現場調査を行った埼玉県もアスベスト混入の再生砕石の存在を認めておりますし、神奈川県が実施をした廃棄物処理業者への立入検査でもアスベスト建材の混入が確認をされております。これまでも、さいたま市あるいは和歌山県で同様の事例があり、全国的な広がりのある問題であって、これは軽視することがあってはならないということは当然のことであります。

 そこでお尋ねしますが、この問題について、昨日、国交省と環境省、厚生労働省の三省が発表いたしました再生砕石に混入するアスベスト対策においてどのような調査を行う予定でいるのか、この点についてお答えください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、昨日付で都道府県・政令市あてに、解体工事現場等のパトロール、必要に応じた立入検査の実施、及びその結果の報告を求めたところであります。このパトロールなどを通じまして、実態把握をきちっと行ってまいりたいと思っております。

 特に本年、この九月、十月には、御指摘の石綿含有建材の分別解体等につきまして重点的に確認をし、報告をお願いしているところでございます。

伊藤政府参考人 環境省といたしましては、今、国土交通省からお話がありました解体現場に対する対応ということで、関係団体あてに通知を出してきちっと周知徹底を図るということに加えまして、破砕施設に対する対応と一般環境における対応を行っておるところでございます。

 破砕施設につきましては、そもそも、廃棄物処理法上、アスベストを含んだ廃棄物を受け入れること、そしてまたそれを破砕することは禁止されておりますので、そういったことがきちっとなされているのかどうかといったことを、都道府県を通じまして立入検査をお願いし、その結果については報告をいただきたいということで、昨日通知をしたところでございます。

 また、一般環境における対応といたしましては、環境省では、一部の破砕施設及びアスベストが混入した再生砕石の使用場所などを対象に、アスベストに係る大気環境モニタリングを実施することとしているところでございます。

塩川委員 今回のアスベスト対策は、解体現場と破砕施設と実際の一般環境における対応がそれぞれ書かれているわけですけれども、率直に言って、部分的な対応ではないかと言わざるを得ません。

 もともと、建設リサイクル法におけるリサイクル率の向上などの検討を行っていた社会資本整備審議会及び中央環境審議会の両専門委員会が平成二十年十二月に取りまとめた報告書の中におきましても「特定建設資材の再資源化に支障を来す有害物質等の存在」ということを指摘しておりまして、吹きつけ石綿やPCBなどとあわせて、この石綿含有建材の問題も取り上げているわけです。ここでは、「特定建設資材廃棄物に付着・混入した場合、特定建設資材の適正な再資源化を阻害するとともに、有害物質の種類や濃度等によっては、現場作業者や周辺住民の健康に多大なる影響を与えるおそれがあるという課題がある。」と指摘をしているわけです。

 ですから、当初からこういった課題があるということは承知をしていたわけであります。それが現実のものとなったということであるわけで、私、再生砕石の使用場所を対象にしたようなしっかりとした調査を改めて行う必要があるんじゃないのかと。

 つまり、今回のアスベスト対策におきましては、解体現場の方にはパトロールの実施を権限のある都道府県・政令市に依頼するということですし、あと、破砕施設についても、やはり都道府県・政令市にあてて立入検査などをぜひ行ってくださいということを要請するということですし、一般環境については、現在、環境省とすれば、一部わずかな地点の大気環境のモニタリングの実施を行っているわけですけれども、それを若干ふやして調べましょうという程度であるわけです。

 実際には、この再生砕石というのは全国で大きく使用されている。もちろん、路盤材などになっているのは、上にアスファルトを敷けば表に出るという状況ではありませんが、現状は、更地にしたところに再生砕石を入れて駐車場などで利用している場所というのは全国にたくさんあるわけですね。そういうところから、少なくないアスベスト含有建材を含む再生砕石が確認をされているわけです。

 そういった駐車場などを含めた再生砕石の使用場所を対象にしたアスベスト混入の有無に関する実態調査というのを全国的にしっかり行う必要があるんじゃないのか。まずは現況をしっかり把握する必要がある。このことを行うべきだと思いますが、この点についてはいかがですか。

鷺坂政府参考人 お答えいたしたいと思います。

 アスベスト含有建材の混入の有無についての調査ということでございますが、複数の専門家によりますと、アスベストが混入した再生砕石、そういったものが敷かれた駐車場等について、その利用者とか周辺住民のアスベスト暴露による健康の影響、健康リスクは極めて低い、こういうふうに考えられるところでございまして、現時点では、その混入の有無についての悉皆調査といったものは予定しておりません。

 しかしながら、住民の不安の声も事実あるわけでございますので、私どもといたしましては、関係自治体と連携をとりながら、必要な現場での大気環境測定といったことをさせていただきまして、健康リスクを引き起こすほどのアスベストの飛散が起こっていない、こういったことを確認することとしておりまして、住民の不安解消といったものに努めてまいりたい、このように考えております。

塩川委員 健康リスクが極めて低いという話をされましたけれども、今回の再生砕石の中でも、人体への有害性が極めて高い青石綿なども検出をされておりますし、もともと、健康被害が二十年とか三十年後に起こるという、静かな時限爆弾と言われているのがこのアスベストの健康被害であるわけです。ですから、そういう点で、こういうアスベストと隣り合わせで暮らすということについての不安が非常に大きいというのが市民の声であるわけです。

 ですから、私は、そこをしっかりと受けとめて対応しなければいけないと。つまり、市民の不安がるようなリサイクル品を国が推進しているというようなことであっては、これはやはり大もとが問われてくる話になってくるわけです。

 大気環境のモニタリングの話がありましたけれども、では、それは何カ所ぐらいやる予定なんでしょうか。それはそれとしてしっかりやってもらうとしても、まずは、このアスベスト含有の建材を含む再生砕石というのがあるのかないのかという調査は、これはこれでしっかりやる必要があるんじゃないのか。

 以上二点について、改めていかがですか。

鷺坂政府参考人 アスベストの大気環境のモニタリングにつきましては、今、数字で何点ということでは持ち合わせは、持ち合わせというか、これからのことでございますので申し上げることはできませんけれども、いずれにしましても、住民の不安の声が上がるようなところにつきましては、関係自治体と連携を図りながらきちっとモニタリングをいたしまして、そういった不安解消に努めてまいりたい。

 御案内と思いますが、既に例えば川崎市の駐車場あるいは埼玉県等がそういったモニタリング、大気環境の測定の結果を公表しておりまして、その結果は、いずれもリッター当たり一本未満のアスベスト濃度であると。大気汚染防止法上では、これは製造工場の敷地境界基準ではございますけれども、リッター当たり十本というのがございまして、これに比べても十分低い数字であるというふうに承知をしております。

 あと、混入の有無の調査ということにつきましては、我々といたしましては、大気環境の方のモニタリングをしっかりやるということで対応していきたいと考えております。

塩川委員 市民生活と隣り合わせの駐車場などにアスベスト混入の再生砕石が使われていたということを許容するようなことがあっていいのか。こんなことを放置していると、リサイクル品そのものの信頼性が問われてくるんじゃないでしょうか。

 大臣、この点で、調査で一点お聞きしたいんですけれども、市民団体の行いました分析の中でも、例えば、さいたま市内にあります国土交通省の荒川上流西浦和事務所が管轄をしています鴨川排水機場前の管理道路、国交省の管理の道路のところでも、このアスベスト混入の再生砕石、アスベスト混入の建材が、スレート片が確認をされているんですよね。こういったことについて、まず足元からしっかり調査したらどうかと思うんですが、大臣いかがですか。

前原国務大臣 御指摘の点については、私も詳しくは知りませんので、しっかりと調査をさせていただきたいと思います。

塩川委員 まず、大前提となる、こういうアスベスト混入の建材があるのかどうなのか、そういった実態調査をしっかりやっていただきたいというのを重ねて申し上げるものであります。

 それで、そもそも、石綿含有の建材そのものの廃棄がこれから大きくふえていくということが想定されているわけであります。その点でお答えいただきたいんですが、アスベスト含有建材の廃棄物の排出量はどのような規模になろうとしているのか、この点について教えてください。

伊藤政府参考人 社団法人日本石綿協会の調査結果によりますと、非飛散性アスベスト廃棄物の国内ストック量は四千万トン程度と考えられているところでございます。

 また、年間排出量につきましては、今後、百二十万トン程度で推移した後に徐々に増加して、ピークを迎える二〇二〇年ごろには百七十万トン程度になるものと予測されているところでございます。

塩川委員 今お答えいただきましたように、アスベスト含有建材の廃棄物の量はこれから増加をする、二〇二〇年までずっとこの十年間ふえ続ける。その後、漸減をしていくわけですけれども、それでもかなり将来にわたってアスベスト含有建材の廃棄が進むということになります。

 ですから、こういう意味では、結果としてリサイクル品も増加をするということにもなるわけですから、私は、大臣、そもそもリサイクル品として、商品として販売、流通、使用されるというものに有害物質があってはならないわけですから、リサイクル品の品質を保証する仕組みそのものをしっかりとつくる必要があるんじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。

前原国務大臣 その点については委員御指摘のとおりでございまして、再生砕石の品質確保のために、現在、アスベスト等の有害物質が混入することがないよう、解体時には建設リサイクル法によりコンクリート塊等の分別解体が義務づけられておりまして、また、処理時には、廃棄物処理法により、石綿含有産業廃棄物が他の廃棄物とまざらないような措置を講ずることが義務づけられております。

 再生砕石へのアスベスト混入を防ぐには、法令遵守の徹底を図ることが重要と認識しておりまして、今回、再生砕石に石綿含有産業廃棄物が混入している事案が確認された状況に対応して、国土交通省、環境省及び厚生労働省の三省において、昨日付で、関係団体に対し改めて法令遵守の徹底を依頼するとともに、都道府県等に対して、関係事業者への周知徹底と解体工事現場のパトロール及び破砕施設への立入検査を行うことを依頼いたしました。また、アスベストが混入した再生砕石の使用場所等の大気環境モニタリングを実施することといたしました。

 まずはこれらの対策の徹底を図りまして、その結果を踏まえ、さらなる対策の必要性があれば、関係省庁と協議してまいりたいと考えております。

塩川委員 いわば川上の解体工事の現場やあるいは破砕施設について法律に基づいたしっかりとした対応を求めていくということは当然のことでありまして、これはこれとしてしっかりやっていただいた上で、やはりリサイクル品そのものの品質がきちっと保証されるということなしには活用も進まないということにもなりますので、さらなる対応という点でも、この点、ぜひお願いしたいと思っております。

 その上で、こういった再生砕石にアスベストが混入する背景には、やはり解体工事の際の分別処理にかかるコストの問題がある。いわば解体工事現場を含めた建設産業における重層下請構造の中で適正なコストが払われていないのではないのかという懸念というのがあるわけであります。

 ですから、さまざま話を聞くところでも、そもそも解体工事というのは新規工事受注のためのサービスとして受けとめられていて、コストやあるいは工期などで不当な扱いを受けることがあるという実情なども聞いておりますし、現場の声では、解体費用が圧縮されて久しい。近畿のある解体業者は、見積もりも木造解体は坪単価三万円で出していたが、今は二万三千円ぐらいになっているというような話なんかもたくさん紹介をされているわけです。

 そこで、大臣に伺いたいのが、こういった解体工事現場の実態ですね、アスベスト処理の適正なコストが確保されないような、特に下請の現状についてどのように認識しておられるのか、この点についてお答えいただけますか。

前原国務大臣 一般論で申し上げますと、解体工事を含めました建設工事においては、適正な請負金額で契約が行われるべきではありますけれども、近年の厳しい受注環境のもとでは、委員が御指摘をされたように、下請企業へのしわ寄せが起こりやすい現状であるという認識を持っております。

塩川委員 下請へのしわ寄せが起こりやすい環境にあるというのがお話としてございました。

 実際に、事業者の声についても、平米当たりの単価がかつての三分の一以下に引き下げられている、その上、大手ハウスメーカーからの仕事でも廃棄物を処理する段階では下請業者にその処理費用が渡らないことが多い、それでも現場で出た廃棄物は時間をかけて分別しなければならない、こういった声なども出されているわけです。

 国交省として、このアスベスト除去を伴う解体工事のコストの実態、コストがどのぐらいなのか、こういった調査、実態の把握というのは行われているんでしょうか。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の解体工事のコストの推移でございますが、国土交通省としては詳細に把握をしておりません。

 ただし、代表的な取引価格の実勢を調査しております財団法人建設物価調査会発行の「建設物価」という冊子によりますと、近年、先生御指摘のように、解体工事に係る工事費は総じて下落傾向にあるものと考えられます。

 例えば、東京地区のRCの躯体解体の標準施工単価でございますけれども、立米当たり、五年前の平成十七年九月では九千五百円であったものが、本年のこの九月では九千二百円になっているというような事実もございます。

塩川委員 現場に行けば、下請、孫請になればなるほど単価がたたかれるという状況というのが結果として違法な事態につながりかねないという状況もつくり出しているわけですから、こういった解体工事に当たっての適正なコストを保障するような仕組みづくりが必要なんじゃないのかと思うわけですね。

 例えば、元請業者が必要経費を払わない場合はペナルティーを科すとか、下請まで確実に費用が渡るような契約の義務づけとか、ハウスメーカーの場合などでもハウスメーカーの責任できちっとした処分をする者を定めるとか、解体業者の仕事に見合ったコストを保障することが必要だと思うんですが、大臣として、解体工事に当たっての適正なコストを保障するルールづくり、この点についてぜひ踏み込んだ対応をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 委員御指摘の点は大変重要なポイントでございます。

 建設業法の第十九条の三に「不当に低い請負代金の禁止」というのがございます。「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。」こういう法律があるわけですね。ですから、法律がある以上は、これをどう遵守してもらうかということが極めて大事であります。

 契約は当事者間で決まるものでありますけれども、我々国土交通省においては、各地方整備局に設置した駆け込みホットライン、こういったものに寄せられた状況に基づいて、今のように、法律違反、不当に低い請負金額の疑いがある契約については立入検査を実施する等の対応を今までも図ってまいりました。

 今後とも、都道府県と緊密な連携を図りながら、解体工事を含む建設工事について適正な請負価格での契約が行われるように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今回の都道府県等に依頼をした解体工事現場のパトロール、破砕施設への立入検査の結果等を踏まえ、必要があれば、さらなる対策について関係省庁等と協議してまいりたいと考えております。

塩川委員 建設業法に基づく対応、ことしの通常国会で成立した改正廃棄物処理法におきましても、廃棄物処理に当たっての元請責任というのを明らかにするということが盛り込まれたわけであります。そういう点では、国交省や環境省、さらには厚生労働省と連携した取り組み、縦割りでない総合的な対策というのをぜひ大いに進めていただきたいと思っておりますし、今回の対策にとどまらず、踏み込んだ対応策をぜひ求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

川内委員長 塩川君の質疑を終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、海上保安庁のヘリ墜落事故関連について質問をさせていただきます。

 今回の事故で五名の方が亡くなっておられます。亡くなられた方に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 今回の事故では、海上保安庁に安全対策検討委員会、そして広報の改善に関する検討委員会が設置されまして既に議論が始まっておりますが、所管の国交省として、議論の経過に責任を負い、二度とこのような事故が繰り返されないように万全な対策をまず冒頭にお願いしておきたいと思います。

 そこで、ヘリコプターの飛行の安全対策についてお聞きいたします。

 今回の事故は、低空飛行したヘリコプターが送電線に接触をしたものと考えられておりますが、送電線を目視することは大変困難と言われております。送電線や鉄塔など航空障害物の設置状況を記載したマップ、あるいは障害物に対する安全マニュアルのようなものが海上保安庁に存在しているのかどうか、内部で徹底されているのかをまずお尋ねしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御質問の送電線が設置されている状況を示したマップでございますが、これは、送電線が設置された海域を受け持つ航空基地では、以前より、送電線の位置が記載された地図あるいはデータを入れたものをみずから調査、作成し、職員間で情報共有を図っていたところでございます。

 事故を起こしました第六管区本部の広島航空基地におきましても、職員がつくりまして、それをみんなで情報共有するとともに、部隊の航空機にパイロットが携行しておった状況にあります。

 ただ、送電線等の航空障害物に対する具体的な安全マニュアルというのはございませんで、海上保安庁航空機安全規則という訓令がありますが、これでも、航空法で定めた最低安全高度以上で飛行することを原則として、業務上必要な場合に限り最低安全高度以下の飛行をすることというようなことを定めておるだけでございます。

 今般発生いたしました海上保安官五名が殉職するという事故の重大性にかんがみまして、御指摘の八月二十三日に航空機安全対策検討委員会を立ち上げまして直ちに安全対策の検討を開始したところでございまして、八月二十六日には、送電線等の航空障害物件の再確認、飛行前ブリーフィングにおける当該情報の共有の徹底等を内容とする緊急安全対策を各管区海上保安本部長に対し通達したところでございます。

 御質問の安全マニュアルの作成も含めまして、この委員会で航空機の安全対策についてしっかりと検討してまいりたいと思っております。

中島(隆)委員 マップ等については情報を共有しているということでありますが、今回、低空飛行、百メーター以下で飛行されたということです。海上保安庁の最低安全高度は地上百五十メーターということで規定されているわけですし、それから、副操縦士が目視で確認をしながら安全飛行する、こういうのが安全対策になっているようですが、これにまさに違反して低空飛行した、しかも障害物の送電線に触れて墜落、こういうことでございます。

 特に問題は、今答弁ありましたように、安全マニュアルがないと。やはりこんな対応ではこういう事故が起きるのではないか。普通、民間で、私も電力出身ですから、送電線の管理をヘリコプターでやるんです。何十年か前、私の同僚が送電線にかかって墜落して死亡しました。こういう中で、通常飛行して管理しておってもやはりそういう事故が起きる。しかも、安全マニュアルがない中で、そしてどこにどう障害物があるか、マップは携帯したということですが、飛行する場合は飛行計画をして監視をするというのが当然だろうと思います、どこにどういう障害物がある、どういう飛行航路を通ると。だから、そういう事前の安全マニュアルに基づく対策、飛行計画、これがやはり徹底されなきゃならないというふうに思っているんです。

 今申されたように、航空機安全対策検討委員会で今後の対策が協議されるということでありますが、特にお願いしておきたいのは、やはり、もっと飛行前に十分飛行経路を把握できるようなマップ、それと安全マニュアル、飛行計画による安全マニュアルを徹底する、こういうことをぜひひとつ徹底していただきたいと思います。

 それから、送電線の標識の義務化についてでありますが、これは、二〇〇四年に長野県で発生したヘリ墜落事故を受けて、送電線等の航空障害標識のあり方検討会が設置をされて、その翌年に航空法改正がされたということであります。そのときに、送電線の両端の鉄塔に航空障害灯を設置するか、あるいは送電線に標識を設置する、しかも送電線の四十五メートルごとに標識をする、赤白ですか、こういう標識のどちらかをするべきだというのが法律で決まったそうであります。

 今回の事故の場所の佐柳島ですか、送電については、送電線にはされていないけれども、鉄塔の両端に点灯がされている。この距離が一キロ百ですか、一・一キロ、一・二キロぐらいのところ、かなり距離が広い。しかも、新聞報道によると、そのライトが木で覆われて見えなかったのではないか、こういう報道もされているわけでありますが、やはりこれは、先ほど私の体験から言いましたように、鉄塔の送電線なんかは非常に確認が難しいんですね、ヘリからは。だから、そういう面では、鉄塔標示だけではなくて、やはり送電線の標示も義務化をすべきではないかなというふうに思うんですが、その点についての御検討をよろしくお願いします。

三日月副大臣 先生御指摘のとおり、航空法の五十一条の二に「昼間において航空機からの視認が困難であると認められる煙突、鉄塔その他の国土交通省令で定める物件で地表又は水面から六十メートル以上の高さのものの設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に昼間障害標識を設置しなければならない。」というふうに義務づけられておりまして、それに基づく施行規則によりまして、現在、送電線に航空障害標識を設置する方法としては、今先生から御紹介いただいたように、送電線に球形標示物を設置する方法と、鉄塔の頂部に極めて強い光をフラッシュする航空障害灯を設置する方法という二つが認められております。

 これは、送電線及び鉄塔の強度でありますとか、保守管理上の問題、遠方からの視認性の観点から、球形標示物を設置するよりも航空障害灯を設置する方が適当であり得る場合があることによるものであって、国際民間航空機関、ICAOの勧告においても、球形標示物の設置が適当でない場合には航空障害灯を設置する方法というのが示されているところです。

 ただ、先生も御経験に基づいておっしゃったように、また、私自身、先般現場に伺って見てまいりましたけれども、非常に視認しにくい場所というのがあるものですから、いずれにせよ、今回の事故原因は今調査中ですので、運輸安全委員会が調査している結果を受けて今後の対応というものを適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 この問題で最後に海上保安庁に御答弁をお願いしたいと思うんですが、今回の事故についても、大変新聞でも問題になりましたし、関係者に対する大臣の処分もなされています。二度とこういう事故が起きないためにも、ただいま答弁がありましたマップの作成、安全マニュアルの作成等を行い、二度とこのような事故を起こさないように安全対策に万全を期していただきたいと思いますが、海上保安庁長官の対策と決意について再度お尋ねをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の事故は、私どもの仲間が五人殉職するという大変重大な事故でありまして、まずその点につきまして深くおわびを申し上げますとともに、二度とこのような事故を繰り返さないという決意でしっかりと安全対策に取り組んでまいりたいと思っております。

 先ほど御答弁いたしましたように、最後の一名が行方不明でありまして、それが二十一日の土曜日に見つかりまして、死亡が確認されました。その翌週の二十三日の月曜日に直ちに航空機安全対策検討委員会を立ち上げまして検討を開始したところでありまして、八月二十六日には緊急安全対策を通達いたしましたが、その中で、飛行前ブリーフィングにおける共有の徹底だけではなくて、マップの改善みたいなものも中に盛り込んでしっかりとここはやりたいということで、もう既に通達をしております。

 さらに、この問題は、そういう緊急的な対策に加えて、安全管理体制全体がどうだったのか、いわばうっかりミスみたいなものを二重、三重、四重にも防ぐような体制に我々の体制がなっておるのかどうかといった面も含めまして、これから、航空の専門家、安全マネジメントの専門家等の御意見を伺うなど、外部の方々の知見も生かしながらしっかりと検討を進めて、二度とこういう事故が起こらないようにきちんと対応してまいりたいと思っております。

中島(隆)委員 今後の万全の対策を、早急にひとつ体制を整えていただきたいと思います。

 それでは次に、日本航空更生計画案についてお尋ねいたします。

 先ほど来質問がされておりますが、コンプライアンス調査委員会の調査報告書もお聞きをいたしました。その中で、日本航空の経営破綻の一端にずさんな経営管理があると指摘をされています。実態以上の資産や営業利益を拡大させる会計処理、あるいは、巨額の損失をもたらしたデリバティブ取引や和歌山市内の土地の購入問題等が指摘をされています。

 過去の経営責任は法的には問えないという形で報告をされているんですが、しかし、このようなずさんな会計処理、経営体制が日本航空の再建をおくらせ、ひいては取引銀行、株主あるいは職員に多大な犠牲、負担を強いるという結果になっているというふうに思っております。

 このような体質を払拭しない限り日本航空の再生などあり得ないというふうに考えておりますし、この調査報告書をどのように受けとめ、またどのように生かしていくのか、政府の考え方をまずお尋ねいたします。

    〔委員長退席、橋本(清)委員長代理着席〕

前原国務大臣 前最高裁判所判事の才口千晴弁護士を初めとする外部委員五名によるコンプライアンス調査委員会から八月二十六日に管財人に提出されました調査報告書によれば、旧経営陣に刑事上及び民事上の法的責任は認めがたいとされておりますが、一方で、同報告書では、経営トップの責任ある経営問題への取り組みや経営判断の欠如並びに全社的な危機意識の欠落等が問題点の一部として指摘をされているのは、今委員がお示しのとおりでございます。

 このため、日本航空におきましては、これらの指摘を真摯に受けとめてもらい、再びこのような事態を招かないよう、更生計画案にも明記されているように、損益実態把握の早期化、経営方針共有の深化を通じた緊密な経営管理体制の確立と、各役員の数値責任明確化による強固な執行体制の確立によりまして、日本航空の確実な再生を図ることが重要だと認識をされておりますし、今まで京セラあるいはKDDIをつくられた稲盛会長がその徹底を図られているというふうに伺っております。

中島(隆)委員 更生計画に向け新社長を中心に再建計画がなされていますが、この過去の日本航空の経営管理の指摘された点を改善しながら、総力を挙げて、組織を挙げて集中できるような体制を整えていただきたいと思います。

 それでは、次の航空燃料税の税率半減、航空行政の全体的な見直しについてお尋ねをいたします。

 これまでも御質問と回答があっておりますが、特に私も参考人質疑で質疑をさせていただきました、航空燃料税の引き下げや、着陸料などの公租公課の高さが経営を非常に圧迫している、こういう課題を早急に適切な状況にしていただきたいというのが強く求められておりました。

 そこで、今後の航空行政の見直しですが、先ほど出ましたように、大臣が、税制改正要望、航空燃料税が三年間二分の一ということで要望されておりますが、私は、航空燃料税の引き下げだけではなくて、航空行政全般の見直しが必要ではないかというふうに思っております。着陸料とかその他いろいろな問題がございますが、これらの見直しについてどのようにお考えか、まずお尋ねいたします。

前原国務大臣 先ほども同僚委員にお答えをいたしましたけれども、公租公課の見直しというのは競争力のある我が国の航空業界においては不可欠だ、こう思っておりまして、まずはその第一弾といたしまして、三年間、地方譲与税分を除いた十三分の十一の航空機燃料税を半額で税制改正要望させていただいているところでございます。

 その背景にあるのは、やはり今までの空港整備勘定、いわゆる特別会計はつくることを一つの前提にしていたわけでありますけれども、かなり全国各地に空港整備は行き届きました。したがって、これからは、つくることよりも、それをどうやって生かしていくのか、使っていくのかということを考えていかなくてはいけないと思っておりまして、そのためには公租公課の見直しというのが不可欠であろうと思っております。

 なお、着陸料については今回は見直しを行っておりませんけれども、私は、これも必要なことだと思っております。羽田の第四滑走路をつくるのにかなり財投のお金を使っておりまして、その返済が行われているわけでありますけれども、それがある程度一段落終わった時点で、やはりこういった着陸料も含めた公租公課全体の引き下げということを空港整備勘定の見直しの中で行っていって、日本の航空産業の競争力の強化、そしてまた大競争時代に備えるということに取り組んでいきたいと考えておりまして、その第一弾として、航空機燃料税の半額を、今、税制改正要望させていただいているところでございます。

中島(隆)委員 日本航空の再生については、日本の航空行政の最大の課題であります。ぜひ、先ほど来指摘がある課題について、対策を立てながら、更生計画がスムーズにいくように取り組みをお願いしたいと思います。

 それでは、次のダムの本体工事の契約問題等についてお尋ねをいたします。

 これについては、去る七月、治水対策の中間まとめ、検証案が出されております。これによりますと、ダム本体工事の契約を行っているものについては除外をされております。残りの補助ダム等について、あるいは直轄ダムについて、これから検証するということでありますが、本体工事の契約が済んだといっても、ダムについて五カ所もう既に着工されております、対象外になっております。しかし、これらのダムにつきましても、周辺住民の方々から治水や利水についての問題点が指摘もされています。やはり建設に対する危惧がされているわけでありまして、この工事契約が済んだダムについても検証すべきではないかというように思っておりますが、これについてどういうお考えか、お尋ねいたします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今、中島委員からは、既に本体工事の契約が行われているものについても検証するべきではないか、こういった御指摘をいただきました。

 確かにそういった御議論があるのも承知をしておりますが、この検証作業につきましてはどこかでやはり線を引かせていただかなければならないということで、昨年の十二月、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を進めるときに、一定の客観要件を満たす事業を除くすべての事業の検証ということをさせていただいたところでございます。

 本体工事の契約を行っているものにつきましては、ダム予定地の地形の改変等によりもとに戻すことが事実的に非常に困難になる、あるいは仮に検証を行ったとしてもその結果を反映することが困難になるというようなことなどを踏まえまして、検証の対象から除外をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

中島(隆)委員 内部検証が難しいということですが、特に補助ダムについては二分の一国が補助をするわけですね。当然、国が補助をするわけですから、適正な補助金であるかどうか、これは検証する責務があるわけでありまして、着工したダムの中でも、特に計画そのものが治水あるいは利水についても問題ありと指摘されている課題もあるわけですので、ぜひこれは、この事業だけでも、補助ダムだけでも全体で約九千億の予算をかけて、そのうちの二分の一は国が出すわけですね。ですから、そのような税金を使ったダム事業でありますので、本体工事契約分についてもぜひ検証の検討方をまずお願いしておきたいと思います。

 それから、そのほかの補助ダムの検証義務づけでありますが、これも再三質問させていただいておりますが、大臣の答弁でも、都道府県の事業主体であり、検証は各都道府県の検証にゆだねるという形で、この取りまとめの中にも書かれております。そうなりますと、当然、この検証そのものが本当に補助金に沿った見直しがされるのかどうか。

 この二点について危惧をするわけでありますが、この補助対象の検証の義務化、これをもっと、ゆだねる、要請するということじゃなくて、義務化をすべきではないかというふうに思うんですが、これについての御回答をお願いします。

    〔橋本(清)委員長代理退席、委員長着席〕

津川大臣政務官 今、委員から御紹介をいただきましたとおり、先般、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議におきまして中間取りまとめ案をまとめていただき、現在、パブリックコメントをいただきまして、その集計をさせていただいているところでございますが、今委員から御心配として御指摘をいただいた部分として、補助ダムについて、実際に都道府県から検証を行わないというようなことがあってはならないのではないか、そういった御懸念であったかと思います。

 現在、この中間取りまとめ、この九月中を目途といたしまして取りまとめをさせていただくということで、今、会議の中で議論をしていただくことを予定しておるところでございますが、現時点におきまして、道府県からこの検証を拒否するというような御意見はいただいていないところでございます。

 以上でございます。

中島(隆)委員 時間も参りましたので、あと一問だけ質問させていただきたいと思いますが、今回の中間まとめで各都道府県に検証を求めるわけですが、特に検証の期限の明示がありません。ですから、いつまでにこの検証をやるのかというのが、これはそれぞれ都道府県がやるわけで、その日程が定まらないわけであります。しかし、補助ダムについては、現状の計画の事業は進めるけれども新たな段階には進ませないということだから、新たな事業の予算はつかないわけですけれども、現状の予算はそのまま続行されるわけですね。

 そうなりますと、事業が進んでいるわけですから、当然、検証をやる中で……

川内委員長 中島君、時間が来ていますから手短に質問してください。

中島(隆)委員 はい。こういう事業がそのまま継続されるという懸念がありますので、一時凍結をして、すべて凍結をして、期限を明示して検証を求めるということはできないのか、大臣。

前原国務大臣 熊本の御出身の中島先生でございますので、検証対象には含まれておりませんけれども、川辺川ダムで考えていただきますと、水没予定地である五木村については、道路のつけかえとか、あるいは代替地にもう移転をされている方、たくさんおられるわけですね。もうほぼ移転をされてしまっていて、そして両わきに代替地があって、その橋がまだできていないというのもあるわけであります。

 そういう意味においては、凍結をしたからすべての関連事業も凍結するということになると、ある一定程度まで進んでいて、生活が極めて難しくなるというようなことも出てまいりますので、そういう意味では、例えば本体工事が凍結されている事業でも、生活関連については続けている面があるというのはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 なお、期限を明示すべきだということでございましたが、できるだけそうしたいという思いはございますけれども、どのような代替治水案、利水案があるかという検討とか、あるいは、住民の方々からも御意見を伺って、その方々の御意見を踏まえた対応策というものもやはり必要でございますので、なかなか一定期限を区切るというのは難しいのではないかと思います。

 ただ、中島先生がおっしゃっているように、だらだらと長引かせて当該自治体の皆さん、住民の皆さん方に御迷惑をかけるということは、これは大変よくないことでございますので、できるだけ迅速にという御意思はしっかり踏まえて対応させていただきたいと考えております。

中島(隆)委員 それでは、時間が来ましたので終わりますが、お願いをしておきますが、この中間取りまとめ……

川内委員長 中島君、時間が来ていますから。

中島(隆)委員 はい。コスト中心ではなくて、ぜひ環境問題も十分考慮しながら検証をお願いしたいと思います。

川内委員長 中島君の質疑を終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 JALの更生計画についてお伺いいたします。

 予定の六月末を二カ月ジャンプして、八月末の期限に裁判所にこの更生計画が提出をされました。

 まずお伺いをしたいんですけれども、この更生計画が達成可能で、そしてJALは再生するということを、国土交通大臣として、責任を持ってこの更生計画案の提出をもって言えるかどうか、このことをまず大臣にお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 柿澤委員にお答えをいたします。

 この更生計画案というのは、管財人である企業再生支援機構、ここが中心となり、また日本航空とも相談をされながらまとめられたものでございまして、債権放棄も含めまして、ステークホルダー、民間の金融機関等も理解をいただいてこの更生計画案というのが提出をされたところでございます。

 この中身につきましては、路線、そして機材、人員の徹底した見直しによる抜本的なリストラ策が盛り込まれておりますし、また、イベントリスクが発生をしたときに対応できるような仕組み、モニタリング体制とか、あるいは管財人である企業再生支援機構が追加の財政上の支援、出資や融資あるいは保証を含む諸施策を実行することが更生計画案に明記されております。

 以上のように、私の立場で申し上げられるのは、この更生計画案が案のとおりしっかりと実行されること、これが大変重要でございますし、また、トータルで三年間という期限でございますけれども、企業再生支援機構がバックアップをしていただき、着実に再生をしていただきたい、このように考えております。

柿澤委員 ステークホルダーの一人としては、実行可能だということも含めてゴーサインを出したということでもあるんだと思いますけれども、その点もそれでよろしいですか。

前原国務大臣 着実に実行していただきたいと考えております。そのための指導監督をこれからも続けてまいります。

柿澤委員 今の御発言で、前原大臣もこの更生計画の着実な実行に責任を負っている、こういうことが改めて確認されたと思います、当たり前のことですけれども。

 では、管財人であります企業再生支援機構、どうでしょうか、この更生計画は着実に実行が可能で、これでJALは再生するんだということをはっきり言えるでしょうか。

西澤参考人 西澤でございます。お答え申し上げます。

 私どもは、これを確実に効果あらしめるべく、頑張ってやってまいるつもりでございます。計画も、いろいろな関係者の皆様の御要望等あるいは御指摘等も承りまして、いろいろと作業を深めまして、筋肉質の、いい会社にするべく、この案をつくってまいりました。

 そういう意味で、御指摘のような、今お問いかけいただきましたような、責任を持ってこれを実行できるべく、裁判所に提出したところでございます。

柿澤委員 続けて西澤社長に。

 この計画を着実に実行して、そして、企業再生支援機構が投じた公的資金、要は国民の税金です、この国民の税金を毀損することはない、こういうことを西澤社長の立場で責任を持ってもう一度はっきりおっしゃっていただきたいと思います。

西澤参考人 お答え申し上げます。

 そのように頑張ってやってまいります。

柿澤委員 そのように頑張ってやってまいります。これは、ありませんというのとは若干ニュアンスが違うというふうにも思いますが。

 さらに、この企業再生支援機構の三年間でのエグジット、本当に三年間でこうした再生支援が終了してエグジットが可能かどうか、これについてもはっきりおっしゃっていただきたいと思います。

西澤参考人 お答え申し上げます。

 私ども企業再生支援機構は法律に基づいて運営をしておりまして、その法律では、三年でエグジットをするということが原則になってございます。そういう法律的な縛りもあり、かつ、その法律の縛りを踏まえて十分可能なように会社の内容をよくしてやってまいる、こういうことでやっておるつもりでございます。

 したがって、三年でエグジット、エグジットというのは出口ということでございまして、いろいろな形が内容としてはございますけれども、何らかの形のエグジットをしっかりやってまいる、こういう覚悟でやっております。

 お答え申し上げました。

柿澤委員 先ほど来、この更生計画の着実な実行が必要だと、私は不可欠だと思いますが、前原大臣からもお話があります。西澤社長も最大限の御答弁をいただいているとは思いますけれども、しかし、頑張るとか、つもりだとか、こういう語尾がつく。こういうことについてどういうふうにとらえたらいいのかなということを今ちょっと考えておりました。

 続きまして、先般報道に上ったいわゆる財務省レポートについてお伺いをしたいと思います。

 八月十四日、TBSの「報道特集」でこれは報じられたものです。七月後半に財務省の幹部が野田財務大臣に示した極秘資料で、JALの更生計画について、このままでは金融機関から新たな融資を受けるめどが立っておらず、二次破綻のおそれが高まると厳しい見解を示したということが報じられています。私の手元にもこのペーパーというものが一応手に入ったんですけれども、この内容を見ていると、非常に私の問題意識とも重なりますし、理にかなった、そうした見解が述べられているな、こういうふうに私の立場からは感じられます。

 財務省が作成した極秘レポートだということでTBSで報じられたこの資料、この出どころは、大串政務官、財務省だということでよろしいですか。

大串大臣政務官 委員にお答え申し上げます。

 今、報道で流された資料というふうなお言葉でございました。そのような報道があったことは私たちも承知しておりますが、どのような具体的な資料で、どういったものか判然としないところもございますので、それに関して私たちのところで承知している、承知していないということをコメントすることは困難でございます。

柿澤委員 これは財務省でつくったものではないということをおっしゃったということでいいですか。

大串大臣政務官 どこのどういうふうな資料かということも判然としない中で、だれがつくったものかということを申し上げることは困難ですということを申し上げたんです。

柿澤委員 これは、現物を見てもらえばいいじゃないかという話がありますけれども、見せたって同じなんですよね、結局は。

 財務省から発出されたレポートだというふうにTBSの「報道特集」で、大々的にと言ったらあれですけれども、入手したということで報道された。中身は判然としない。でも、財務省がこう言っているということが一大手報道機関で報道されている。このことについて、例えば調べるなり、あるいは事実でないとすれば抗議をするなり、こういうことはされていますか。

大串大臣政務官 私たちの業務を行っていく中で、いろいろな分析を行い、検討を行い、その中でペーパーをつくって検討するということも多々ございます。その中で、こういった紙があるのではないかといったことの報道を受けたことも過去にもたくさんございます。その一々には私たちは対応はしておりません。日々の業務が適切に行われるように対応するだけでございます。

柿澤委員 これは、全然財務省と関係ないものがTBSさんに取り上げられて、こうだといって流されれば、もっと重大な問題だと思うんですよ。それを、今こういう答弁をされる。一々ペーパーをつくって部内で検討しているものを財務省がつくった資料だと報じられても、関知しない、こんなふうな答弁をされるというのは、私の感覚からいえば、否定をしないんだから財務省がつくったレポートなんだろうということになってしまうのではないかと思います。

 いずれにしても、このペーパーに指摘をされた内容について、一つ一つちょっと見ていきたいと思っております。

 まず、長期的なビジネスモデルの検証ということが書いてあるんです。先ほど前原大臣からは、この更生計画を着実に実行していけばJALの再生は可能だという前提に立った御答弁をいただいたと思います。今配付をさせていただいた資料に「更生計画案の概要」というのをつけさせていただきましたけれども、このグラフを見ると、「初年度営業黒字の達成」ということで、グラフで、絵にかいたようなV字回復のシナリオが書かれている。このシナリオについて、国交省として十分な実現性の検証を行ったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

前原国務大臣 この計画案につきましては、日本航空そして管財人である企業再生支援機構がつくられたものだという認識を持っております。我々は、これをしっかりと着実に実行していただくことで着実な日本航空の再生を図っていきたいと思っておりますし、国としてもその前提で支援をしていきたいと考えております。

 なお、この更生計画につきまして、収入の前提となる需要予測については、かなり保守的な、かた目な前提に立っているのではないかと思っております。例えば、全日空が使用している総需要成長率についてはIATAのものを利用しておりますけれども、日本航空のこの計画につきましては、IMFベースというもので、IATAよりも保守的、かた目のものを採用しているなどというものがございます。

 これはあくまでも一例でございますけれども、そういう意味では、この更生計画というのは、絵にかいたもち、あるいは楽観的な前提でやられているというよりは、むしろ、一月十九日の計画からもさらに深掘りがなされていることからもおわかりのように、かなり保守的なものを前提とされているのではないかと私どもは考えております。

柿澤委員 このグラフをもう一回見ていただくと、二〇一〇年から二〇一一年で劇的に収支回復をしている。これは何によって成り立っているのかということですけれども、大胆なコスト削減や不採算路線からの撤退、人員の削減、こういう思い切ったリストラの成果、こういうふうに言われるかもしれません。しかし、初年度にこうやってV字のカーブを示すというのは、多くが、結果的に清算価値によって財産評定で軽くなった減価償却費によるものだと思います。

 ここは答弁を求めたかったんですけれども時間の関係で割愛しますが、結局、減価償却費が軽くなる、要は、資産査定をするとそれだけ資産が圧縮されてその分減価償却の負担が軽くなる、これが何と七百九十七億円分もあるんですね。約八百億円減価償却費が減少している。これが営業収支の改善に大きく貢献しているわけです。二〇〇九年と二〇一〇年で、これはもう、ある意味では土俵の違う、前提の違う数字を比べているということになるわけで、言ってはなんですが、いわば倒産効果による上げ底。これを差っ引くとどういう数字になるかといえば、二〇一〇年は営業黒字六百四十一億円から百五十六億円の赤字、一一年は七百五十七億円の黒字から四十億円の赤字になってしまうんです。

 こういうところで見かけ上、営業黒字を初年度から達成しましたといっても、結局は、資産規模を縮小した分だけこういうことになったということにすぎない。結局、事業再生できるかどうかは、支出と収入のバランスを回復して、飛行機を飛ばすことによって利益が上がるようにしなければいけないということなんだと思います。

 今回の更生計画は、その意味で、そうした収支のバランスがとれるものになっているかどうかということをお伺いしたいと思います。

西澤参考人 お答え申し上げます。

 財産評定というのは、会社更生の手続に入ったときには欠くべからざる手続であることは御存じいただいているとおりでございます。そのことによって会社の財務内容の実態が明らかになるわけでございまして、明らかになったその実態に基づいて償却額も変わっていく、そういうものでございまして、上げ底という御表現がございましたけれども、私どもは上げ底とは思っておりません。そういう計画に基づいてつくったものが今の更生計画でございますので、そういう意味で、我々はこれを確実に実行していくつもりであると申し上げたわけでございます。

 そして、ちょっとついでにお答えさせていただきたいんですが、先ほど、つもりであるとか覚悟であるとかというのをどういうふうにとるかという御質問もございましたので、私個人の問題ではなくて、この計画作成に携わったあらゆる人間の、特にJALの苦労している現場の人たちの気持ちも踏まえまして、みんなで確実にこの計画を実行するべく覚悟しているということをお伝え申し上げて、御理解をぜひお願い申し上げたいと思います。

柿澤委員 とにかく、この更生計画で、飛行機を飛ばすことによって収益が上がる、こういう構造が回復できているのかどうかということが、今後永続的にJALの事業が再生をしていく上では非常に重要なところだというふうに思います。

 その点で、二枚目の資料をちょっと見ていただきたいですけれども、コスト構造について、航空会社の競争力をあらわすと言われるユニットコスト、つまりは一座席を一キロ飛ばすのに必要なコストです。配付資料は週刊東洋経済の記事のコピーですけれども、日本のエアラインはユニットコストが高い。ANAで大体十四円近く。しかし、アジアのLCCでは、エアアジアは三円、五倍も違う。日本のエアラインは圧倒的な高コスト構造で国際的な競争力がない、こういうふうにも言われております。

 ANAで十四円ということでありますけれども、JALのユニットコストというのは幾らになっているんでしょうか。

三日月副大臣 今御指摘の日本航空のユニットコスト、これは営業費用を提供座席キロで割った形で計算されるんですけれども、二〇〇八年度、十三・八円・パー・人キロとなっております。

柿澤委員 十三・八円・パー・人キロ。このユニットコストは、今回の更生計画でどのような手段でどのぐらい改善をする見通しであるのか、お伺いします。

三日月副大臣 更生計画案では、結論から申し上げれば、二〇〇九年度から二〇一二年度のユニットコストはほぼ横ばいで推移するというふうに聞いております。

 それは、御案内のとおり、営業費用の方は、規模縮小と人件費を中心とした各種施策の実行によって、大幅なダウンサイジングによって約三割程度削減されますが、同時に、機材の小型化等によって提供座席キロも約三割程度減少するということで、分母も分子も減少するということからして、ユニットコストはほぼ横ばいで推移するというふうに聞いております。

柿澤委員 結局、飛行機を飛ばすことによって収益が上がる、こういう構造には、この間、ユニットコストが横ばいなわけですから、なっていないということなんじゃないですか。これだと、規模をダウンサイジング、縮小しました、だけれども、同じコスト構造というか同じコスト水準でやっていくとすれば、結局は経営改善になっていないということになってしまうのではないですか。いかがですか。

三日月副大臣 いずれにしても、先ほど来、前原大臣初めそれぞれの方から答弁がありますように、更生計画案に書かれた路線の縮小、そして人員、機材の縮小、そういったことを確実にやるということもそうですし、今回、税制改正要望で出させていただいている航空機燃料税の引き下げも含めて公租公課をさらに引き下げていくということとあわせて、日本の航空会社が抱えているユニットコストの高い水準を引き下げていく、これは、政府も努力いたしますし、航空会社の方でも努力をしっかりと行っていくということだと思います。

柿澤委員 これから、ユニットコストを国際競争力を高める上で引き下げていくということについて、公租公課の点も含めて努力をしていく、こういうお話です。

 コスト構造は、残念ながら、計画ベースでいうと横ばいということになっている。では収入の方はどうかというと、これは、更生計画だと、一〇年から一二年の期間中、単価も搭乗率も基本的には上昇基調でいくという前提が置かれているようです。しかし、こんなのはあり得ないんじゃないでしょうか。

 航空業界は近年になって国際線を中心に需要の浮き沈みが激しくて、これでJALが行き詰まってしまったとも言われている。そういうときに、何で国際線のロードファクターが一本調子に上がっていくような楽観的見通しを立てられるのか。また、単価についても、LCCが参入してきて、国際線のネット単価が上がっていくような市場環境にないのは明らかなのではないかと思います。

 単価と搭乗率と、いずれも上昇トレンドでいくという前提を置いているというのは非常に非現実的ではないかと思いますが、いかがですか。

水留参考人 議員にお答えします。

 今御質問のありました、搭乗率、単価ともに上昇するのは無理があるのではないかというお話でございましたけれども、今般、この計画の中では、先ほど議員からもお話のありましたダウンサイジングという部分の効果をかなり多く見込んでおります。また、不採算路線からの撤退というものも多く見込んでおります。言うなれば、そもそも搭乗率の低かったところを撤退してまいりますので、計算上は自然と搭乗率が上がっていくということは、当然ながら効果としてあらわれるところでございます。

 単価に関して言いますと、採算の悪いところというのは、そもそも単価の安くてなかなか採算の合わないところ、例えばリゾート路線等々を今回かなり路線としては大きく削減しております。そういった部分が平均化すると単価がふえているように見えてまいりますけれども、実際に、売り値として、同じ路線の同じクラスの売り値を上げていく、そういうような前提で計画は組まれておりませんので、そこのところは御理解をいただければというふうに思います。

柿澤委員 ここのところは、聞いた人がどう判断するかに任せたいというふうに思います。

 政投銀の方に来ていただいているので、最後に質問させていただきたいと思います。

 政投銀は、資本金一兆一千八百十一億九千四百万円。今や、ポートフォリオの中でJALへの融資が五千億になっている、資本金の半分をJALにつぎ込んでいるわけですね。これから更生計画が着実に履行されればいいですけれども、もしそうでない場合、仮に追加融資を求められたら、政投銀は応じるべきでしょうか。応じられるんでしょうか。

 また、大串政務官、お答えできたら、政投銀の財務基盤の健全性、リスク管理の適切性を確保する観点から、一般的な監督権限を有する財務省として、このことについて、追加融資すべきかどうか、御答弁をいただければと思います。

 もう一つ、支援機構の皆さんに、借りかえ融資、リファイナンスについて、民間金融機関の融資を支援機構が保証するかのような報道がこの間ありましたが、そうしたことは今後選択肢としてあり得るのかどうか、そのこともあわせてお伺いをして、終わりにしたいと思います。

柳参考人 お答えします。

 今般の更生計画は、需要の回復に依存しない筋肉質な事業構造への転換を図るものとなっておるということが一つ、それからまた、イベントリスク等が発生した場合に、バックアップ体制も企業再生支援機構によって整えられるなど、当行としては一定の評価ができるものと判断しております。

 したがって、万が一御指摘のような要求があった場合には、更生計画の実行状況などを踏まえて、その時々、適切に判断をしてまいりたいと考えておりますが、現時点においては、御指摘のような事態の発生は特段想定しておりません。

 いずれにせよ、本計画の着実な実行がなされることが何よりも重要と考えています。

大串大臣政務官 今、柿澤委員より、追加融資という話でございましたけれども、先ほど来話がありましたように、まずは、更生計画の流れに向かって関係者の合意ができて進んでいるところでございますので、この着実な実行を図るということが一番大事なことであろう。

 これに向けて、リファイナンスや出資、こういったことをきちんと国の財務基盤も見ながら対応できるような実行を果たしていくということをまず考えるのが一番の課題ではないかというふうに思っておりまして、政策投資銀行に関して、個々ではなくて一般的な監督権限を持つ立場からも、このような全体的な進捗のところをしっかり見ていきたいというふうに思っております。

西澤参考人 お答えいたします。

 リファイナンス絡みで保証をやるのかという御質問でありますが、金融というのはあらゆるケースの議論が行われますので、今後どのような議論が進んでいくかは今のところよくわかりません。今の段階で、保証ということについては何らの決定をいたしておりません。

 それと、ついでに、という余計な発言はやめる方がよろしい。

 以上でございまして……

川内委員長 どうぞ、いいですよ。どうぞ、どうぞ。せっかくですから。

西澤参考人 ちょっと言い出しちゃったので言いますが、私もいわゆる銀行屋でございましたので、銀行の経営に携わっておりました。リファイナンスをめぐって、金融機関と更生計画作成側との対立云々という図式がいろいろ書かれたり言われたりいたしておりますが、それは、けんかしているわけではなくて、金融機関というものは常に客観的に厳しい立場で債務者の状況について物を言うべき、そういう仕事を預金者や株主に対して負っているものだということでございまして、そういう意味で、この更生計画がちゃんとつくられるのか、本当におれたちが思っている問題意識に基づいてつくられるのか、そしてこれを実行する気概が会社の人たちに生まれてきているのか、こういうことを厳しく問うものでございます。

 そういう意味で、いろいろな細かいことも、我々と、知らない人が見たら対立しているような激しい議論もするわけでございまして、あくまでも、そういうことで、極めてよきコミュニケーションを持って、激しい議論をやって、いい作業をやっていると考えております。よろしく御理解のほどお願い申し上げたいと思います。

柿澤委員 時間が過ぎていますけれども、今、西澤社長は重要なことをおっしゃられたと思うんです。

 今の時点で民間金融機関がリファイナンスに応じていないということは、まだまだこの内容じゃ不十分だということを言っているということじゃないですか、今のお話だったら。どうなんですか。だからこそ私たちは、こういう危惧をいろいろと申し上げさせていただいて、御答弁を求めているわけです。それを、着実な実行をしていかなければいけない、頑張る、こういうことで本当にいいのかということを私たちは問うている。

前原国務大臣 先ほど同僚委員にもお答えをいたしましたけれども、五千二百十五億円の債権放棄も含めて、この更生計画案についてはメガバンクも了解をしてもらっているところでございますので、我々はこの更生計画案を着実に実行していく、そのことに尽きるということを申し上げたいと思います。

川内委員長 それでは、質疑の時間がもう過ぎておりますので。いいでしょう。内容を実行するということ、実行すれば内容がちゃんと実現するということですから。ということだと思うんです。

 最後、まとめて。

柿澤委員 手を挙げているんですから、本当は西澤社長にここの部分は御答弁いただきたいんです。先ほどまさに答弁をしたその御答弁そのものが、この更生計画案では不十分だということを民間金融機関が言っているということを認めたことになってしまうんですよ。いいですか。

 また、リファイナンスに保証する可能性もあるような答弁を西澤社長は先ほどおっしゃったんです。これは大変重要なことなんです。ここについて最後に御答弁をお願いして、終わりにします。

川内委員長 それでは、大事な部分なので。

西澤参考人 銀行が今のタイミングで直ちにニューマネーを出しますよということが言えないということは、銀行の仕事の進め方としてそういうことは見られることなんだということを申し上げているわけでありまして、更生計画がまだ認可もされていないんです。今、更生計画を出したばかり。裁判所がこれをごらんいただいて、精査をしていただいているわけでございます。

 出した本人である私たち、私たち書き手の裏にたくさんの人の作業がありますが、その人たちがみんな、これでやっていこうという覚悟をして出させていただいたものでありまして、銀行の方も、自分たちの注文は言い尽くしたということで、これでやっていけるなということで同意をいただいて出したものでございます。ですから、先ほどから申し上げているように、いろいろと激しい議論をやってみんなで考え方をまとめ上げたものがこの更生計画だというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。

 そういうことでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

柿澤委員 終わります。

川内委員長 柿澤君の質疑を終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十三分散会


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