衆議院

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第5号 平成22年11月12日(金曜日)

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平成二十二年十一月十二日(金曜日)

    午前十時四十分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 小宮山泰子君 理事 田村 謙治君

   理事 辻元 清美君 理事 中川  治君

   理事 長安  豊君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    市村浩一郎君

      大島  敦君    加藤  学君

      川村秀三郎君    沓掛 哲男君

      古賀 敬章君    下条 みつ君

      津川 祥吾君    橋本 清仁君

      畑  浩治君    松宮  勲君

      三井 辨雄君    向山 好一君

      森本 和義君    矢崎 公二君

      谷田川 元君    吉田 公一君

      若井 康彦君    赤澤 亮正君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    徳田  毅君

      林  幹雄君    三ッ矢憲生君

      竹内  譲君    穀田 恵二君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君    田中 康夫君

      中島 正純君

    …………………………………

   国土交通大臣       馬淵 澄夫君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           山田  亮君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  佐藤 直良君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   参考人

   (株式会社企業再生支援機構常務取締役)      河本 茂行君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  下地 幹郎君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として株式会社企業再生支援機構常務取締役河本茂行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省河川局長佐藤直良君、海上保安庁長官鈴木久泰君及び厚生労働省職業安定局次長山田亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤学君。

加藤(学)委員 おはようございます。民主党の加藤学です。このたび質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。委員会の質問は初めてですので若干緊張しておりますが、私は、海の問題ではなく、陸上の交通について質問いたします。

 まず初めに、高速道路料金の見直しについてお伺いします。

 私の地元、長野県の南部、伊那谷地域は、中央自動車道が地域の縦軸として通り、生活に欠かせない道路となっています。このため、料金体系の見直しは、生活に直結した重要な関心事でございます。

 高速道路の活用を促進し、地域の活性化につなげるというのが原則無料化の基本的な考えでありました。しかし、現在行われている休日上限千円などのさまざまな割引制度は、前政権が始めたとはいえ、地域経済活性化のための物流コスト削減や移動コストの削減に必ずしもつながってはいません。また、上限制そのものが、地域生活で高速道路を活用する短距離利用者には便益が少ないという議論もされてきました。

 来年三月に上限千円などの生活対策割引の期限が迫る中、新たな料金体系をつくり上げることが急務ですが、このたびの見直しに備えて、どのような哲学、理念で料金の見直しに取り組むのか、馬淵国交大臣にお尋ねいたします。

馬淵国務大臣 四月九日発表の高速道路の新たな料金制度についての理念ということでお尋ねをいただきました。

 現行の高速道路料金制度は、今日までに複雑な割引制度が、これはさまざまな理由もございますが、付加されてまいりました。また、さらには、前政権、麻生政権時のいわゆる利便増進事業、この休日千円等の割引を初め、深夜あるいは早朝また通勤といった割引の中で、私どもとしても、一定程度この料金体系というものを見直さねばならない、このように考えてまいりました。

 とりわけ、この利便増進事業に関しましては、来年の三月末で期限が切れてしまいます。ユーザーの皆さん方に定着しているとはいえ、休日千円あるいは早朝、深夜といった割引も含めまして、こうした料金制度が切れるということは、突然に負担が重くなる。このようなことが発生しては経済の混乱も招きかねないということで、私どもとしても、新たな料金制度の設定ということには腐心してまいりました。

 一つに考えましたのは、突然に切れてしまうということもありますので、一時的で持続可能ではない、こういった料金はやはり変えなければならない。さらには、割引内容が非常に複雑です。これもさまざまな経緯がございました。多くは申しませんが、過去においては、それこそ地域の方々の声やあるいは業界団体の声といったものも反映されたのかもしれません。こうした、内容が複雑になっているということ、さらに、特定の曜日や時間帯ということで、渋滞がより加速されてしまう可能性があるといったことがございました。

 これらの課題を解決する料金制度として御提示したのが、四月九日発表の新たな料金制でございます。この料金制度の中では、上限料金制というものを導入いたしました。また、さらには、車種別も含めて徹底した簡素化を図り、そしてエコカーなどを対象とした割引も含めて、いわゆる地球環境に配慮といった観点も盛り合わせたところでございます。

 私どもは、高速道路の無料化というものを段階的に実施していく、この原則無料化の段階的実施の中で、社会実験を一年目に行いました。それ以外の約八割の路線に関しては、料金を見直すということで、改めて生活者の皆様方の利便にしっかりと見合うような体系をつくるということを考えて発表したところでございますが、今現時点におきましても御審議あるいは議論の俎上にのらないという状況の中では、私どもとしてもこのことについては大変懸念を抱いております。しっかりとまた取り組みを進めさせていただきたいというふうに考えております。

加藤(学)委員 今大臣の方から、高速料金の見直しは、複雑な料金を改め、簡素で、そして公正な新たな制度をつくる、そういった御発言がありました。

 しかし、この複雑な今現在の時間帯割引や上限制がある一方で、いまだに不公正な料金制度が温存されているという実態があります。それは、一例を挙げますと、きょう資料をお配りしておりますが、全国で三本のトンネル区間だけに課せられた、長大トンネルの区間の特別料金というものであります。

 この資料をごらんください。恵那山、関越、飛騨の三トンネル区間の料金ですが、一般区間の一・六倍に設定されております。恵那山トンネルは、私の地元から岐阜県の中津川に抜けるトンネルであります。中京圏に抜ける重要な道路で、地域の生活には欠かせません。現在、一時的に割引が行われておりますが、これは恒久的なものではありません。地元では、トンネル特別料金の根本的な見直しが長い悲願であります。

 では、伺います。こういった料金の設定、どういった根拠でこの三区間について特別料金が設定されているのか、お答えください。

池口副大臣 加藤委員の方から長大トンネルの料金設定の根拠について質問がありました。

 この料金設定の根拠ですが、昭和四十七年の三月二十四日に高速自動車国道の料金制度についての答申というのが出されておりまして、現在は、その答申を踏まえた料金設定になっております。

 中身としては、原則としては全国同一水準で設定をするということになっておりますが、長大トンネル、海峡連絡橋、大都市近郊など、建設費が著しく高く、その利用による受益が極めて大きい区間については、利用者の負担の公平性から、他区間より割高の料金を設定しておるということになっておりまして、長大トンネルにつきましては、委員の御指摘の三カ所になっております。

 この後大臣と質疑をされるというふうに思いますが、私としては、委員の質問の背景については十分理解をしているところでございます。

加藤(学)委員 どうもありがとうございます。

 今、長大トンネルの建設費が著しく高い、そして受益者に応分の負担を求めるという原則があるという説明がありました。しかし、中央自動車道を実際に走ってみると、長大ではなくても幾つもトンネルが重なる部分、あるいは車線が多い部分などがあり、感覚的に建設費はこっちの方がかかっているんじゃないかなと思われるような箇所が多くあります。配付した資料で、中央自動車道の他の区間との建設費を比較してみました。中央自動車道の区間の建設費は、今データが入手しにくいために、整備計画の事業費を使って類推しております。

 資料によりますと、トンネル建設費は、三本のトンネルともざっと一千億円前後でありますが、一番古い恵那山トンネルのある園原から中津川の区間はキロ当たりの建設費が四十億円、供用が同時期に行われた資料二の3の勝沼―大月区間、これも三十六・八億円で、比較してもそう著しく高いとは言えません。また、利便性を高めるために、平成十五年には、資料二の5に示しました大月―上野原区間で六車線化の工事が行われて、その事業費だけでキロ当たり六十一億円かかっております。従来の路線とつけ足した路線を合わせますと、二十九・八足す六十一で九十億円を超えてしまうわけであります。

 もちろん、維持管理費や交通量の違いもあり、単純には比較できないわけでありますが、こういった区間をふやしたことで、当然、その地域の利便性は上がり、渋滞は緩和されたということでありますから、受益者負担、応分の負担ということを考えれば、この特別料金と同じような形で料金を上げてもおかしくないわけであります。しかし、実際には普通の一般の料金となっているわけであります。

 このように、そもそも、受益が大きいからといって特定の地域に負担を押しつけるようなやり方は、全国一律料金の原則からいっても大変不公平だと私は考えます。高速料金の体系の見直しは簡素化を前提としておりますので、ぜひともこういったことも含めて料金の見直しを進めていただきたいのですが、大臣の御見解をお願いいたします。

馬淵国務大臣 この長大トンネルは、御指摘のように、建設費が高かったということでの特別割り増しということで料金も高くなっている。しかし、現時点におきましては利便増進によりまして三割引きの割引を行っているんですが、現行を見ますと、こうした割高感の高いトンネルを避けて、一般道、並行する道路がある場合はそちらに回避するといったこともございまして、国道等に回避した場合は、当然ながら沿線住民の方々の住環境、あるいは事故の多発といったことも懸念されますので、私どもとしても、これは考え直さねばならないな、このように考えております。

 改めて、この料金の制度につきましては、四月九日に提示をさせていただきましたが、これは再考が必要だということを、私、就任時に申し上げました。この長大トンネルのみならず、現行さまざまな形で特別加算がされている区間、これを再度きめ細やかに見直しを図る必要があると思っておりますので、委員の御指摘の部分に関しましては、しっかりと検討を重ねて御提示をしてまいりたいというふうに思っております。

加藤(学)委員 ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

 それでは次に、私の地元でもう一方大変関心の高まっておりますリニア中央新幹線の整備に関係して質問いたします。

 このリニア中央新幹線の整備は、一昨年、二〇〇八年に鉄道・運輸機構とJR東海に対し四項目調査が指示され、その結果が昨年出され、そして今春からは交通政策審議会の中央新幹線小委員会での審議が始まっております。きょうもその審議が行われているということでありますが、リニア新幹線の整備に向けて着々と手続が進んでいるところでございます。

 こうした手続は一貫して、従来の新幹線と同じく全国新幹線鉄道整備法にのっとって進められているわけですが、今回は今までの上下分離方式とは若干違いまして、JR東海が自己負担で行いたいということを表明しております。こういった面から、この整備は一体、国家プロジェクトと言えるのか、あるいは民間プロジェクトなのか、その整備の主導権はどちらにあるのか、その点について大臣のお考えをお聞かせください。

馬淵国務大臣 国家プロジェクトか民間プロジェクトかというお尋ねでありますが、多分委員もよく御存じだと思いますけれども、これは、全国新幹線鉄道整備法におきましてしっかりと基本計画が定められたものでございますので、我が国の基本的な高速輸送体系、これを形成するプロジェクトであるということは言うまでもございません。

 今後、営業主体あるいは建設主体、そして整備計画につきましてしっかりと定めていくということで、現在、交通政策審議会、交政審への諮問を行っているところでございまして、私どもとしても、この中央新幹線の整備については国としての当然ながらの関与がございますので、これをしっかりと踏まえた適切な判断をしてまいりたいと思っております。

 今回、資金の面でJRさんからの御意見がございますが、私どもとしては、これは法に定められた高速輸送鉄道の体系の一つであるということをはっきりと申し上げたいというふうに思います。

加藤(学)委員 現在、この審議会が行われているわけでありますけれども、過去の議論を見ますと、南アルプスルート、伊那谷ルートの費用対効果の比較や、名古屋まで一たんやって、それから大阪をやるわけですが、一気に進めるケースと名古屋でとめたケースとの比較、こういった日本の経済効果、あるいは他の交通機関、飛行機との競合があるわけですから、そういった他の交通機関との比較なども行われて、まさにこの中央新幹線は日本列島の交通の屋台骨を転換する大きなプロジェクトとして位置づけられているわけであります。

 試算によれば、二〇四五年に東京―大阪間のリニアができますと、東京―大阪間の交通の九三%はいわゆるリニアと従来の新幹線で担うということになって、広島や山口、岡山方面の交通につきましては航空需要が著しく下がると予測されているわけであります。そういったことを考えると、まさに日本の経済の基軸である東京―大阪間を、これはまだ決まっていませんが、JR東海一社に独占的に担わせる構造になってしまうわけであります。

 こういったことを考えると、競争の公正性、あるいは航空会社の経営問題、それから地方空港の存続問題、あるいは駅周辺の基盤整備等のさまざまな課題が生じてくるわけで、ぜひとも、審議会にお任せしてちょっと距離を置いているのではなく、国家ビジョンを描いた上で、国としての確固たる位置づけというか意思を示していただきたいと思うのです。

 それから、いろいろな調整には政治の関与が欠かせません。そういった意味で、政治でのいろいろな主張というか、いろいろなリーダーシップをとっていっていただきたいと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

馬淵国務大臣 このリニア新幹線、かつて現行の新幹線は夢の超特急と言われましたが、それを上回る、それこそ次世代の高速輸送体系だというふうに思います。大きくは三つの観点で私は評価されるべきだと思っております。

 一つは、代替性。現行の東海道新幹線にかわる代替機能を果たすということ。そして二点目は、経済活性化。東阪間の物流、人流という移動が全国の移動の大半を占めるとも言われております。大変大きな経済活性化というものが図られると思います。また、三つ目には、我が国が誇る鉄道技術の確立というもの、これも、実際に軌道整備を行うということ、また輸送体系を運行させていくということでこれが確立される。海外インフラの展開などを我々もしておるわけでありますが、大きく寄与すると思っております。

 こうしたリニア中央新幹線につきましては、先ほど来申し上げているように、営業主体、建設主体、そして整備計画、これの決定を私どもは答申を踏まえた上で行っていくということでありますので、まさに御指摘のとおり、答申を踏まえた上での政治の判断がそこで行われるわけでありますから、私ども政務三役、政府全体の中でも、これはしっかりと議論を踏まえた上での決定を行ってまいりたいというふうに思います。

 いずれにしましても、ようやく交政審の議論の段階に入ったわけであります。私もたびたび交政審での議論を拝見しております。議事録等でも見ておりますが、闊達な御議論をいただいておりますので、こうした答申を踏まえた上で国としての適切な役割を果たしてまいりたい、このように考えております。

加藤(学)委員 時間が迫ってまいりましたので、最後の質問に行きます。

 今の、答申を踏まえて政治的な判断をするというお話、ぜひとも政治的なリーダーシップをこの後とっていただきたいというふうに思っております。しかしながら、一つだけ懸念があるのが、ルートについてあるいは費用負担について、全国新幹線鉄道整備法によれば、もし民間、JRに建設主体を任せるということになれば、その負担については何の明記もこの法律にはされておりません。

 つまり、JR東海と地元、つまり路線のある地域とのガチンコの交渉によって、その負担、あるいは地域でのルートの位置、あるいは駅の位置というものが決定されてしまうということになります。JR東海は民間会社ですから、利益追求を第一に考えます。一方、地元、地域は、いろいろな駅を利用したまちづくりを第一に考えています。なかなか、その意見というのは平行線をたどるのではないかということが予想される可能性があるわけであります。

 また、費用面について、JR東海が全部自分が出すと言えば、そのバーゲニングパワー、交渉力が非常に強いわけであります。ですから、一方的にその要求を地域がのまされるのではないか、そういった懸念がある。そういったことになると、地元で調整をして用地買収などをやっていく地方自治体にとっては、非常に地元住民を説得しにくい、そういった面も予想されるわけであって、かえって進捗がおくれてしまうという懸念もあります。

 ですから、ここでやはり頼りになるのは、国の確固たる国土計画ビジョンに裏打ちされた政治のリーダーシップが必要だと思います。地域のまちづくりの構想やJR側の営業会社としての戦略をうまく調和させる役割をぜひとも国に担ってもらいたいと思うのですが、そのことをぜひとも国に要望を、地域からもやってほしいという声も上がっております。この点について、最後に大臣の方から御所見をお聞かせください。

馬淵国務大臣 現時点におきましては、JR東海、そして鉄道・運輸機構がさまざまな地域との調整を行っております。そして、営業主体、建設主体、これをどのようにしていくかということについては交政審の答申ということでありますが、今後もこの調整の推移というものについては私どももしっかりと見守ってまいりたいと思っております。

 さらに、在来線あるいは高速バス、こうした活用も含めた総合的な検討というものも必要でありますので、この審議を踏まえつつ、先ほど来御指摘のように、国としてのリーダーシップということもお話がございましたが、私どもとしても、総合交通体系の中での高速輸送のあり方というものも位置づけてまいりたいと思っておりますので、しっかりと御指摘の部分を踏まえて対応してまいりたいというふうに思っております。

加藤(学)委員 リニアは日本のまさに新しい動脈をつくる重要なプロジェクトですので、その投資効果のみならず、日本の社会構造、経済構造を大きく変える可能性があります。最後にもう一度、ぜひとも活発な国民的議論が起こるように、人々それぞれが夢を描けるように、政府のリーダーシップを発揮していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、佐田玄一郎君。

佐田委員 自民党の佐田玄一郎でございます。質問をさせていただきます。

 実は、尖閣の問題なんですけれども、これは大臣が所管をされておるわけでありますけれども、今回の件、毎日毎日本当に新しい情報が出てまいりまして、この情報管理は一体どうなっているのか、私は、国民の一人として非常に危惧をしておるわけでございます。

 今回の件につきましては、このビデオを公開しなかった、それによって大変な国益を損じた。そしてまた、中国側は、自分の方の都合のいいことをどんどん報道して、国際的な世論を喚起し、そして日本の国民の国益を失った、こういうことが私は考えられると思います。

 そしてまた、重ねて、別の問題ではありますけれども、まさに情報管理、そして監督責任、こういうことも問われておるわけであります。

 所管大臣として、馬淵大臣はこの辺の責任についてどう思われますか。

馬淵国務大臣 この尖閣ビデオ流出問題につきましては、捜査機関におきまして、海上保安庁職員が任意の事情聴取を受けているという状況でございます。仮に故意にこうした情報の流出があったとすれば、これは絶対にあってはならないことである、このように強く思っております。

 今後は、私どもとしては、海上保安庁は捜査機関でございますが、これは海上警察権ということであります。陸上での警察権を有しておりません。したがいまして、内部での調査には限界があるということから、警視庁そして東京地検に告発を行い、現在、この陸上の捜査機関によって聴取が進められていると承知しております。

 私どもとしては、調査は引き続き捜査への全面協力という形で移行したと考えておりますので、私どもは、まずは事実の徹底究明、そのための捜査への全面協力、さらには、仮にこのようなことが起き、そして起きたことに対しての事態が明らかになれば、その再発防止に対する策を講じることが私どもの最大の責務である、このように考えております。

佐田委員 再発防止をするということは当然のことであります、学習能力がなければ困りますから。そうではなくて、私の申し上げているのは、所管大臣としてどういう責任を感じておられるかということを聞いているんです。

馬淵国務大臣 繰り返しになりますが、私どもは、捜査機関として海上警察権を有しております。その捜査機関が、現時点においては、陸上警察、さらには地検という捜査機関にその捜査をゆだねております。私どもの果たす責務は、まずは捜査の全面協力によっての事実の徹底究明であり再発防止、これをしっかりと講じる。とりわけ、政府としても、改めて情報保全システムをしっかりと見直すということで、有識者による検討会の立ち上げを表明いたしました。

 政府全体、さらには国土交通省、また捜査機関たる海上保安庁、これにおいての情報保全システムの構築というものも極めて重要な責任であると思っております。引き続きこうした責務を全うしていくことが私どもに求められている、このように考えております。

佐田委員 委員長、私の聞いていることにお答えいただいておりませんので、それは私はおかしいと思いますよ。要するに、今回、神戸の海上保安官がこういうふうな漏えいをした。また、これを情報公開しない関係で国益を損ねた。この二点でありますけれども、所管の大臣が責任を感じておるのかどうかということを聞いているのでありまして、調査はするのは当たり前ですから、この辺のことをお聞きしたいと思います。

馬淵国務大臣 情報公開に関しては、これも再三私は各委員会でも申し上げておりますが、検察当局、そして海上保安庁が協議の上で、さらには、刑事訴訟法第四十七条に基づいてという判断にのっとって、国会の求めで提出をしたということでございます。この情報公開については、今申し上げたように、現行の法規の中での判断だということであります。

 したがいまして、情報公開についての責任というふうにおっしゃっておられますが、現時点において、私どもとしては今事実を究明する立場にあります。今、こうした経緯がどのように起きたのか、このことを明らかにしていくことが最大の責務である、私はそのように思っております。

佐田委員 ということは、大臣、自分の責任は感じておられない、そういうことですね。

馬淵国務大臣 菅総理初め内閣官房長官、仙谷長官も、政府としてこのような情報流出については責任を当然受けとめなければならない、このようにおっしゃっておられます。

 私は、所管する立場の中では、まずは海上保安庁、これは捜査機関でありますから、重ねて捜査情報の徹底管理ということを申してまいりました。そして今日、捜査を受ける立場でありますので、私どもとしてはこれに対してしっかりと対応する責任がある。今繰り返し申し上げていますが、この徹底的な事実の究明と再発防止策、このことをしっかりつくり上げることが私の責務である、このように考えております。

佐田委員 全然答えていないんだよ、委員長。

 要するに、責任があるのか。自分に責任がないのなら、ないと言っても構いませんから、ちゃんと答えてください、大臣。

古賀委員長 受け取り方の評価はあろうと思いますが、現実、ルート、原因、動機等々まだわからないところで、私自身は、大臣はそれなりに一生懸命答弁していると思っておりますが、再度、馬淵国土交通大臣。

馬淵国務大臣 繰り返し申し上げます。

 今現時点で事実が明らかになっていない、そして、この事実の究明に私どもは徹底して捜査に協力をしていくということ、これが我々の取り組むべき責務であると申し上げてまいりました。そして、さらには再発の防止策です。このことを行うことが私どもの責務である。このことは、繰り返しになりますが、私の思いでございます。

佐田委員 大臣、では私は、そういうことで、要するに、大臣は責任がないと自分で思われているというふうに判断してもよろしいんですね。だって、そういうふうに言ってますよ、私が聞いていることに全く答えていないわけでありますから。

 私は、そういうことを考えたときに、今回の件につきまして、所管の情報漏えい、または情報管理、そして監督責任、こういうことを考えた場合、当然のことながら大臣はやはり辞任に値すると思いますよ、はっきり申し上げまして。これは大変な問題だと私は思っております。国家管理、要するに危機管理、こういうことを含めて大臣はどのようにお考えになっているのか、そして、自分の責任がどの程度のものとお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。

馬淵国務大臣 まず、国家管理という御指摘がありましたが、当然ながら、国家公務員の守秘義務というものは、これは相当に重く課せられるものであります。一方で、捜査機関でありますから、捜査情報の秘匿ということに対しても大変重い責務があると考えております。

 したがいまして、私は先ほども申し上げたように、政府全体としての情報保全システムの構築というものは極めて重要であり、さらには国土交通省、さまざまな行政庁における情報保全、これもしっかり考えなければならない。

 一方で、捜査機関、これは、海上警察、陸上警察、さらには国家の安全保障上の立場に携わる防衛省、あるいは外務省、それぞれ危機管理レベルに応じた情報保全システムをしっかり構築していかねばならない、このように思います。

 したがって、私どもは、まずは国土交通省としての情報保全システムのあり方というものを見直す。そして、捜査機関としての海上保安庁、どのような原因があったのか、どのような問題点があったのか、このことを明らかにせずして、今、繰り返しになりますが、その再発防止というものはつくることができません。

 私どもとしては、まず、事実の徹底究明と、そしてその事実に基づいた再発防止策、人的なものなのか、あるいは組織的な問題があったのか、あるいはそれこそ技術的な問題があったのか、こうした観点から防止策を設けることが私どもの責務である、こう考えております。

佐田委員 全く言っていることが、ちょっと話がずれているんですけれども。

 私はとにかく責任問題について言っているにもかかわらず、調査をします、そしてまた再発防止をします。そんなことは当たり前のことですよ、大臣。大臣が言うべき話じゃないですよ、はっきり言って。

 大臣は、十一日の参議院国土交通委員会で、海上保安庁から一報を受けた時刻を九時四十分として、首相官邸に秘書官を通じて報告したのは昼休みと。危機管理と今言いましたけれども、こんなこと、三時間も間があいて、これで危機管理と言えるんですか。

馬淵国務大臣 鈴木長官が第一報を受けた。これは、船内における船長への、ある意味告白という形で受けたということであります。それを私も受けましたが、当然これは捜査情報でもあります。さらには、船内における状況の中で、これは、その当該者がどこかよそに行くという状況にありません。洋上における船内ということであります。この状況の中で、果たして具体的な話があったのかということも明らかでない、いわゆる一次情報。こうしたものを、私どもとしては、捜査情報としてより確実なものとして確認をした上でこれは報告すべきものだという判断がまずは行われたと思っております。

 そして、昼過ぎに、昼休みに入るちょうどそのときに、関係捜査当局が事情聴取の態勢が整い、いよいよ入るという段階で、そのことを私どもとしては報告をしている。

 私は、それこそ、例えばこういう情報がこのパソコンから出ていった、あるいは具体的にこのような形でという、これは内部調査のことでありますから、私どもに正確にすべてが上がっているわけではありません。こうした一次情報というものを、それぞれ個別に、またあいまいな段階で上げることが果たして適切なのかということは問われるべきことだと思っております。

 まずは、これは捜査の手にゆだねられております。そして、捜査機関が事情聴取の態勢を組んでいる。そして、現時点で、聴取をされる保安官、その者が帰航し、洋上から戻り、聴取の態勢がとられた。これがまさに捜査の段階として一つの次のステップに上がったということで、報告に上がってきたと思っております。

 また、これももう御承知だと思いますが、予算委員会の中で私ども時間を拘束される中で、十時から予算委員会の第一委員室におりました。そこでの状況では、私どもとしては、外部からの情報も含めて、先ほど申し上げた一次情報、これがすべてでありましたので、より確実な情報が上がった段階でこれを伝えた、私も伝えられた、こういうことでございます。

佐田委員 大臣、要するに、官邸に報告をしたとき、事情聴取が始まるような時間なわけですよね。そういうことを考えたときに、本当にこれは、機敏性がないというか即時性がないというか、かなり危機管理がないというふうに私は思うんです。

 よく調べてから。では、それは一日たってもいいんですか、調べられなかったらば。どういうことなんですか。こういうことがあったということをまず最初に報告すべき問題じゃないんですか。

馬淵国務大臣 一日たっていいというお話を私は一切申し上げておりません。

 繰り返しになりますが、捜査の手にゆだねられているんです。捜査機関の手にゆだねられております。そして、洋上という特別な状況の中で本人からの話があったという、第一報であります。これが果たしてどれほどの確度があるものかというものを何も確認できない状況である。

 先ほど私申し上げたように、一定の調査を、私ども海上保安庁、長官の命によってこれを行ってまいりました。さまざまな情報があると思います。先ほど来申し上げるように、那覇地検の求めに応じてつくったCD、DVDですか、こういったものがある。このものは一体どういう経過でつくられていったのか、あるいはどういう形でCDなりDVDなりの媒体に移されたのか、これも情報としては調査として当然ながらあります。しかし、こうした細かな情報というものについて、捜査機関の中ではしっかりと把握をしておりますが、それを一つ一つすべて上げていくというものではないと思っています。

 私は、こうした情報というものは、捜査の手にゆだねられて、事情聴取という具体的な段階になったということが明らかになったところで、私にも入り、そして官邸にも入ったということでありますから、情報の伝達の過程においては何ら問題はない、このように思っております。

佐田委員 それでは、大臣は、情報が九時四十分に入って、そしてまた官邸に知らせるのがお昼になってしまった。三時間ぐらいかかっておるわけでありますけれども、それでもいいというふうに、要するに、情報管理の立場として、確認してからでいいのであるから少しぐらいおくれてもいい、こういうふうなお考えですか。

馬淵国務大臣 これも繰り返しになりますが、おくれてもいいというようなことを私一言も申し上げておりません。

 あくまで、洋上というそういった地域において、これは、その者が逃げることもない、もう確定しているわけです。船の中です。船内において、しかも、どういう状況かわからない中での第一次情報です。それを、しっかりと捜査当局が事情聴取という捜査の枠組みの中で受けとめる状況ができてお伝えするというのは、私は何ら問題ないと思っております。

 逆に、繰り返しになりますが、先ほど来申し上げるように、どのパソコンでどうだ、どの者がどのように使ったか、こういった情報を一々、捜査当局たる、あるいは調査をしている海上保安庁が細かに上げてくるということは、私はむしろ情報管理の面で極めて問題であると思っております。

 私どもとしては、今後も捜査機関に協力をしながら事実の解明をしていくということでありまして、今現時点においては、この保安官が事情聴取を、今現在どのような状況か私承知しておりませんが、少なくとも昨日までも聴取を受けております。こうした中で、まず実態が明らかになること、これが最も重要であると思っております。この実態を明らかにしていき、その上で再発防止をする、本来求められている役割はそこであると考えております。

 繰り返しになりますが、捜査の手にゆだねられた段階で、捜査機関が一定の手続に基づいて進めていくことに対して、途中の捜査情報というものが漏えいされてはならないというのは、海上警察権をつかさどる海上保安庁ではありますが、捜査機関としての当然の判断であると思っております。

佐田委員 そういうことで、官邸に報告がかなりおくれたことは事実であります。

 また、前の委員会のときに大臣は、ビデオにつきましては、石垣の海上保安部と那覇地検の二つしかない、二つある、こういうふうに言われておりましたけれども、今回、相当に出ていたということが判明したわけでありますけれども、この件についてはどういう判断をされておったのですか。

馬淵国務大臣 流出がなされるまでには、一定の調査を、もちろん情報管理の徹底ということを指示しておりましたので、報告として、石垣とそして那覇地検、このように報告を受けておりました。

 しかしながら、あってはならないことではありますが、故意の流出という可能性がある。そして、例えばどの段階でどの者に渡ったのか、あるいはどの部署に、これはわかりません。まさに今、捜査の中で明らかにされているということであります。そして、事情聴取におきましては、二日を過ぎて、現時点において、まだ私どもも、捜査情報として、当然ながらこれは秘匿のものでありますからわかりませんが、報道でも上がってこない状況であります。

 この問題については、かように丁寧に情報の流出過程というものを調べていかなければならない問題だと私は思います。少なくとも、私どもが当初に承知した情報については国会で答弁をしたとおりでありましたが、現実にはこのような流出があったということで、私どものうかがい知れない状況があるならば、この事実を徹底的に調査すること、これが捜査機関たる海上保安庁、そして、捜査をゆだねてはいますが、私どもの責務ではないか、こう考えています。

佐田委員 大臣は、前回の委員会からいろいろ答弁されておりますけれども、誠実性に欠けるんじゃないかと私は思うんですよ。例えば、もちろん責任逃れでもありますし、この二つありますというふうに言っておった。それと同時に、我が党の方からの質問に対して、ビデオを見られたと。見てどうでしたかと言ったら、二つの船が走っておって、ぶつかったのを見ただけですと。私も後に、流出した四十四分と編集された六分のもの、両方とも見ましたが、明らかにこれは追突されておる。こういうことに対して、この間の委員会でなぜ誠実にそういうことをお答えにならなかったんですか。

馬淵国務大臣 これも、私は主観を述べるべきではない、このように思っております。まずは現実ということをしっかりと踏まえる。繰り返し申し上げますが、国土交通省、そして海上保安庁、それぞれその役割を担っている中で、私がどのように感じたということではなく、まず事実というものをしっかりとお伝えする、その役割だというふうに思っております。

 誠実であるか否か。これは、申しわけありませんが、佐田先生御自身の受けとめ方、そしてまた、私に対してさまざまな方々の受けとめ方であるというふうに思いますが、私自身は、国土交通大臣として、しっかりと、お答えできることを私なりの思いで誠実にお答えをしているつもりであります。

佐田委員 前の前原大臣は、これはビデオを見ればもう明らかだ、こういうふうに言っておりました。この間、私は六分間のビデオを見たときに、説明の中で、追突するときには船が傾く、ですから当然これはぶつかってきたんだ、こういうふうに解説されているんですよ。大臣がそれを知らないわけはないわけですから、この委員会によってそういう答弁をされたんじゃ誠実とは言えないと私は思うんですけれども、どうでしょうか。

馬淵国務大臣 これも、航跡の解析あるいは航行上の状況、さまざまな専門的な知見によって判断されるべきものだと思います。

 繰り返しになりますが、私自身はそのビデオを見てどのように感じたかということを、私が、捜査当局あるいは所管する立場の中で、何か予断を持ってお伝えをするべきではない、このように判断をしたわけであります。それぞれごらんになった委員の方々、予算委員会の委員の方であればごらんになられたと思いますし、また、もちろん、既にユーチューブで流れたネット上のものをごらんになった方もいらっしゃると思います。それぞれがそれぞれの方々の思いで受けとめられたと思います。

 私は、繰り返しになりますが、行政の立場として、海上警察権をつかさどる海上保安官があのような場面に即して冷静沈着な対応を行ったということに対して、私自身が評価をすべきことだと思っておりますし、今後も、かような状況の中で、非常に過酷な状況です、過酷な状況の中でも、保安官が、それこそ士気低下をもたらさずに、みずからを鼓舞し、この領海警備に当たっているという状況の中では、私が、あるいは海上保安庁長官が、この衝突映像に対して何か言葉を発することが、行政の長たる立場として果たして適切なる発言なのか、私はむしろそう思います。

 それよりも、状況を所管として申し上げるよりも、こうした中でしっかりと対応しているということについて、職員に対してその言葉をかけていくことが重要であり、繰り返しになりますが、事実の解明というものを今後徹底的に行うということの発信こそが誠実なる対応であると私は思っております。

佐田委員 大臣、短く言ってくださいね。

 大臣の言われた、海上保安官の皆さん方が大変に努力されている、私はもうこのビデオを見てよくわかりました。命がけで、相手が武器を持っているかわからないのに、海上保安官の人たちは丸腰で立入検査をする、殉職者が出るまで領海の警備の問題に国は向き合わない、こういうふうな本当に厳しい状況の中でやられているんですよ。

 であるからこそ、今回、確かに情報漏えいの問題はありますけれども、義憤という気持ちもあるんですよ。そういう中において、大臣はそのように、非常に思いはかっているような答弁を今されましたけれども、では、大臣は、そういう事件が起きないように、これは公開すべきビデオだったんじゃないのか、公開をしてくれ、それだけの思いやりがあるならなぜ閣内でそう言わなかったんですか。

馬淵国務大臣 閣内における発言というものは非公開となっております。しかし、私が今申し上げられることは、現状において、このような検察並びに海上保安庁、ここでの最終的な判断、並びに、刑事訴訟法四十七条に基づいての、法規に基づいた判断ということで政府が判断した、このように思っております。

 義憤というお言葉がありました。まさにその義の思いというものをそれぞれ一人一人の方々がお持ちでいらっしゃいます。義憤というものを軽々に口にして、そしてその後のさまざまな状況というものを勘案せずに発することは本当に政治家たる立場として適切なのかということを、私はみずからに常に問うております。みずからの思いを自由に語りたいならば、それこそ、議員という立場を離れてさまざまなメディアに出てお話しすることも可能でしょう。私は常に、政治家たるものは、行政の長として、行政を所管する立場としてしっかりとコントロール、ガバナンスをしていくために、その発言は厳に慎まなければならないと思っております。立場としての発言ということは義憤とは全く別のものである、私自身はそのように思っております。

 佐田先生は義憤ということをおっしゃいますが、多くの方々がそういった思いを持っておられることを十分に勘案しながらも、行政の長としての立場として発言を行っていくことが私どもの役割である、このように思っております。

佐田委員 大臣の言われていることは、要するに、議員として客観的に物事を言うべきだというふうに言っていますけれども、では、なぜ先ほどそういうふうな答弁をされたんですか。私は、幾ら国会議員といえども、今度のビデオを見て、国民の知る権利ということも考えて、海上保安官の人たちが本当に命がけで国を守っている、こういうことを見させていただきました。そして、私の周りの人間も、それは確かに大変な仕事だね、こういうふうに言われました。大臣も今、そういうふうな答弁をされた。それならば、なぜこういう事件に至らないように努力をしなかったのか。

 確かに、刑事訴訟法四十七条はあります。これは、官房長官は年がら年じゅう言っていますよ。では、これによって、刑事訴訟法四十七条ただし書きで、公益ではその限りでない、公益性についてはその限りでないということがあることは大臣もよく御存じのとおりでありますけれども、私は、今回の件というのは、一般論で語れるような問題じゃないと思っているんです。これは、まさに今回の特異性にかんがみて、本当の意味で国益を損ねたかどうか、これはしっかりと反省しなくちゃいけないことだ、こういうふうに思っております。

 どう思いますか、大臣。

馬淵国務大臣 まさに、国益というものについては、政府全体で考えていかなければならない課題だというふうに思っておりますし、常にそのことを考えて、菅二次内閣一丸となって取り組んでいると承知しております。私もその一員として、国益が何たるかを決定し、そしてその方向に向いたときには、しっかりとその考え、方針を受けとめて堅持をし、皆様方にお伝えをしていく、これが私の役割だと思っております。

佐田委員 大臣の言われていることは、答弁がつながっていないわけですね。先ほどは、そういうふうな、海上保安官の方々が大変な仕事をしていると言っていながら、そしてこういう事件になった発端は自分の責任にあるにもかかわらず、自分を擁護して責任を認めない。こういうふうなことを繰り返されているんですよ、答弁の中に。

 ところで、大臣、大臣はこの間、ビデオが石垣海上保安部と、あと那覇地検にある、こう言われた。しかしながら、それが本庁に回ってあるものは消去させた、こういうふうに答弁されたと思うんですけれども、このビデオの秘匿性ということでそういう処分をされたのは、指示を出したのはいつですか。

馬淵国務大臣 済みません、突然のお尋ねでしたのですが、私は、大臣を拝命してすぐに、二十日にビデオを見ました。これは五分程度のものです。そして、当然ながら、情報の管理というものについては徹底するようにという話をしました。また、情報管理というものについては、流出等、これは十分に気をつけなければならないということでありますので、それは既に行っているという報告を受けておりましたが、再度改めて、一つ一つ、パソコンを一台一台、あるいはその保管状況を含めて、またさらにはDVDあるいはCD等々、こうしたメディアに移したものがあれば、その所在も含めて確認をし、その点検を行うということを指示いたしました。これは十月の十八日付で文書で出しましたものがありますが、これは文書といいますか通達ですね、内部通達という形で出したものでありますが、十月の十八日の段階では、徹底をするために、各場所場所における責任者というものを明定したということでございます。

 ただ、これはもう既に九月の七日段階で、前原前大臣時代に、事案が発生をした後に情報管理の徹底というものはなされていたと私は承知をしております。当時は副大臣でございましたが、担務ではないために、私はビデオも見ておりませんし、また状況というものを詳細に把握はしておりませんが、このこと自体は、捜査機関である海上保安庁、継続的に情報の管理というものは行われていたと思います。

 十八日に私が改めて指示をしたということについては、情報管理の責任性というものをより明確にしていくということによってその場所場所によってより具体性が定まっていくということで、情報管理が徹底できる、このように考えたわけであります。

 しかしながら、事実として今回このようなビデオの流出があったということでありますから、私どもとしては、その経緯、どのような状況だったかということをより具体的にしっかりとこれを把握していかなければならないと思っております。

 恐縮でございます、十八日は長官からの口頭での通達ということでございます。十月の十八日に、今申し上げたような、責任の所在というものもより明定をして、今後の徹底管理ということをしたわけであります。

 また、こうした状況の中で私どもが把握できていないもの、これは捜査段階でより明らかになると思います。残念ながら内部調査では限界があるということで、告発に至ったわけであります。その意味では、捜査機関による捜査によって一歩一歩解明が進んでいるということであると思いますが、情報管理につきましては、今申し上げたような形で今日まで行ってきたということであります。

佐田委員 つまり、この事故が起きた、要するに、尖閣列島で中国船が海上保安庁の巡視船に衝突したのは九月の七日、そうですよね。そして今、大臣が秘匿性を持たせるように指示を出したのが十月十八日。この一カ月間、一カ月以上ですね、ほとんどほったらかしだった、こういうことですよね、はっきり言って。これで情報管理だとか危機管理なんて言えるんですか。

 それともう一つ、この期間中は何か。大臣もあれでしょう、権力闘争をやっていたんですね。党首選をやっていたんですね、大体この時期というのは。九月七日から、九月の十五日でしたか、投票が。そういうことで、本当に大臣、危機管理ができていたのかどうか。

 今回、神戸の海上保安官の方の話ですと、今、事情聴取をされているようでありますけれども、共用パソコンでもこれは見ることができた、こういうふうに言っているんですよ。こういうことに対して、大臣、これが危機管理と言えるんですか、情報管理と言えるんですか。

馬淵国務大臣 まず、二つの点で事実を先生には御確認いただきたいと思うんですが、九月の七日から代表選挙とおっしゃいました。九月の七日から十四日であります。九月の七日、事案が発生して、そして十四日までは民主党の代表選がございましたが、この間も、当時はこれは前原前大臣であります。あるいは担務である副大臣、政務官。当然ながらに情報の徹底管理というのは指示をしておりましたし、また、捜査機関でありますから、当然そのことはなされておったと承知をしております。

 そして、私自身は、九月の十七日に大臣を拝命いたしました。初めてこの段階でこの事案に対して担務ということになりますから接することになるわけでありますが、具体的に、そのビデオを見、そしてその情報の保管状況というものの報告を受けました。これは、繰り返し鈴木長官が申し述べているように、金庫において保管、あるいは原本、マスターと呼ばれるものについては封緘をし、あけられない状況にしている。そうしたものもすべて写真等々で目視できるような状況での報告もございました。

 こうした厳重な管理を行っているというその前提の中でも、私は、再度一つ一つ確認を行わねばならないとして、改めてこの十月の十八日に鈴木長官から口頭通達を行うように指示したわけでありまして、その間、ずさんであったかどうかということについては、私は、これはまだ明らかではないと思います。

 そして、二つ目の点でありますが、事実として申し上げれば、今まさに事情聴取のさなかであります。どのような供述があったかということも、今日において捜査機関が明らかにしているわけではありません。報道でさまざまに上がることについて、私ども、委員の皆様方がさまざまに報道を用いて質問されること、私も野党の時代、情報が、それぐらいしか頼るものがありませんでしたから、たびたび行っておりました。あくまで報道でございます。そして、私どもは行政機関です。行政機関として、現時点において、そのような供述があるという事実については確認はとれていません。したがいまして、確認をとれていないことに対してお答えはできないということであります。

 さまざまな報道がある中で、皆さん方の御質問、報道ベースでいただくこと自体、私は何も問題ないと思っておりますが、そのことについては恐らく繰り返しの答弁になってしまうので先に申し上げておきますが、そのような事実を今承知はしておりません。したがって、それに対してのお答えというものはできない、このようになるかと思います。

佐田委員 いずれにいたしましても、七日から十月十八日までは共用パソコンで見られた、こういうことは事実でありますから、これはまさに、危機管理、情報管理が全然できていないということは事実であります。

 私は、今、こういう一連の質問をさせていただきましたけれども、原点にあるのはやはり体質だと思いますね、はっきり言って。(馬淵国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、私が質問しているんですから。

 まず最初に言えば、普天間の問題。私も沖縄北方の理事をやっておりましたから、沖縄にも北方領土にも行きました。沖縄の県民は、まさに民主党の皆さん方に振り回されて、最低でも県外、こういう言葉に踊らされて本当にひどい目に遭った。最低でも県外、こういうことに振り回されて、中には、皆さん方は我々沖縄県民を犠牲にして政権をとったんじゃないか、ここまで言われた方がおりました。そしてまた、一方、その中において日米同盟がぎくしゃくし始めた。そして、今回のいわゆる尖閣の問題。

 北方領土にも私、先日行きました。今まで、ビザなし渡航であるとか、非常にうまく交流がとれておったのが、本当に今、ぎくしゃくしているそうです。メドベージェフ大統領がこの間来ました。その前には、対日戦勝記念日が九月の二日、こういう法律をつくった。非常に屈辱的だと北方領土に前にいた方が言っておりました。これは大臣、御存じですか、この法律のことは。

馬淵国務大臣 詳細は承知をしておりませんが、私も、一方で沖縄北方対策担当大臣を拝命しております。その中で、今回のメドベージェフ大統領の国後訪問ということに対しては、極めて遺憾であるということのコメントも発させていただきました。

 今御指摘のさまざまな外交上の課題というものについては私も政府の一員として十分に承知をしておりますが、一方で、私どもとしては、今日において取り組むべき課題についてしっかりと前向きに取り組む、これが私どもの使命でありますので、今現時点においては、私どもの所管における職務に精励すること、これを心がけてまいりたいというふうに思っております。

佐田委員 つまり、八月十五日に終戦で、その後に、来てみてアメリカ軍もいないということで、占領したのが、占有したのが九月の二日だ、こういうことであります。まさに屈辱的。これは一連の事件であるわけであります。

 今回の尖閣の問題もそうであります。右往左往しながら、結局、私個人の意見からすれば、当然のことながら、最初からこのビデオは公開すべきだった。そして、国際的な世論の中で日本の国益を守っていかなくちゃいけない。大事な判断だったんじゃないかと思っているんです。確かに四十七条、四十七条と口が酸っぱくなるほど言っていますけれども、そうじゃなくて、国益ということを、共益というものを考えたときに、やはりこれはしっかりと判断をしなくちゃいけなかったことです。判断が間違っていたんですよ、はっきり言って。

 その中で、海上保安官の方々は一生懸命働いておられる。所管の大臣としては、これは公開すべきだ、国益に照らして公開すべきだ、それを言わなかったんですか、大臣。

馬淵国務大臣 繰り返しになりますが、政府として、検察当局並びに海上保安庁、協議の中でこのような判断に至ったということであります。

 閣僚がそれぞれ閣議あるいは閣僚懇の中でさまざまな思いを述べるということはございますが、これについては非公開ということになっておりますので、申し上げることは差し控えさせていただきます。

    〔委員長退席、長安委員長代理着席〕

佐田委員 つまり、口では海上保安官の仕事に対する評価をしていながら、やっていることは保身に走っているというふうに解釈されてもおかしくない、私はこういうふうに思っております。現場は本当に悲しい思いをしておられると私は思っておりますよ。

 それで、予算委員会で菅直人首相は、今回の件につきまして、監督する立場のそれぞれの部局に責任がある、管理責任が不十分だったことについて最終的責任は私自身にもある、政治家のトップがそう言っているんですよ。直接所管している大臣の方が責任を感じないというのはどういうことなんですか。

馬淵国務大臣 まさに内閣を総理する総理大臣が、今回のこの事案については責任がある、このようにおっしゃっておられます。そしてそれは、政府全体として、こうした状況の中での国家機密、この保全に対する仕組みをつくらねばならないとして、まずは、有識者の皆さん方の御意見を賜る、情報保全の仕組みを考える、こうした検討会を立ち上げる。私ども国土交通省としても、そのことに取り組みを行う。捜査機関たる海上保安庁は、当然その独立性を担保しながらもそれを行う。これが、今日における内閣の責任のあり方として、まず私どもとして取り組まねばならない課題である、こう思っております。

 これに関しては、責任の重さというものをしっかりと受けとめるという総理の思いを私どもそれぞれ所管する立場が受けとめて取り組むべき課題である、このように思っております。

佐田委員 それでは、総理に責任があって所管の大臣には責任がない、こういうふうな御判断なんですか。

馬淵国務大臣 まさに政府全体としての取り組みをその責務の中で御指示いただいたというふうに思っております。私どもは、官房長官からの御指示でありましたので、これは内閣としての意思ということで、再発防止に向けた情報保全システムの確立、あるいは、こうした国家機密の、今後の新たなIT時代における対応というものも含めて議論をなされていくと考えておりますので、内閣全体の中での位置づけとして、私ども、しっかりとそれを承り、努力していくことが必要だというふうに思っています。

佐田委員 それで、時間もなくなってきまして、先日、仙谷長官が、政治職と執行職のトップは責任のあり方が違う、政治職の方が軽いみたいな発言をされました。これはとんでもない発言だと思いますよ、はっきり言って。民主党全体の皆さんもそう思いませんか。民主党は政治家主導なんでしょう、政治主導なんでしょう。もちろん責任もそこには伴うわけでありますよ。

 それで、大臣、大臣も民間企業におられたわけでしょう。民間企業にいたとき、部下が不祥事を行ったときに、再発防止をやります、そして事実を確認しますで済んだことがありますか。民間企業でそんなことが通りますか、大臣。お聞きしたいと思いますね。

馬淵国務大臣 民間企業にいました私自身、これはさまざまなケースがあるということを実感しております。

 小さな会社でもありましたが、私の経営過程の中で、不祥事というものも幾つかございました。当然ながら、その責任の所在というものを明らかにし、そして再発の防止や、あるいはさまざまな、かかわる職員のメンタルケア等々行っていく。そしてさらには、関係する者の責任のとり方というものが議論されるという場面もありました。ただ、これはあくまでケースによってさまざまでありました。

 佐田委員が責務のあり方ということを繰り返しお問い合わせいただくので、私は、今とるべき責務のあり方というものは申し上げているとおりであります。民間企業でも、一律に、何か事が起きたときの責任のとり方が決まっているわけでも何でもありません。一つ一つのケースに応じてしっかりとその応分の責任を負っていくということが当然ながらに行われていると思っておりますし、今後も、私ども、行政を所管する立場として、そのように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

佐田委員 この事案につきましては、私は非常に重大な事案だと思っております。そして、もう時間がなくなりましたからまたもう一度やらせていただきますけれども、とにかく情報管理、これも、先ほど申し上げましたけれども、全くなっていない。そして、危機管理も全くない。そういう結果として、最初からビデオも出しておけばよかった。四十七条はあるかもしれませんけれども、二十五日には釈放して、公判がもう成立しないわけでありますから、早く出せばよかったんです。いまだに三時間三十分のビデオも公開されていない。その反面では、九月七日から十月十八日までほったらかしにしておる。私は、まさにめちゃくちゃな対応である、こういうふうに思っております。

 この責任、この所管の責任は、これはやはり、はっきり申し上げまして、大臣、辞任に値すると思いますよ、本当に。大臣の辞任に値するものだ、私はこういうふうに思っておりますけれども、大臣は本当に責任についてどう思われているか、もう一度、再度お聞きします。

    〔長安委員長代理退席、委員長着席〕

馬淵国務大臣 事実を申し上げれば、まず、九月七日から十月の十七日までほったらかしにされたということもございません。厳正な捜査情報の管理というものは行われておりました。加えて言えば、九月の七日の事案発生以来、前原前大臣によってその指示がなされておりました。また、私が大臣を拝命して以降も、同様にこうした情報管理の徹底を行ってまいりました。

 ただ、こうした状況の中で情報流出があったという事実はございますので、それについての原因究明、徹底した捜査並びにその協力というものが求められており、そのことを行うことが私どもの責務であり、再発防止をしっかりと国民の皆様方に提示をしていくこと、これも私どもの責務である。

 重ねて申し上げれば、今も日夜、二十四時間、三百六十五日、この海域で領海警備に当たる私どもの職員、保安官、この職務の精励と、そして士気をみずから鼓舞していただくためのしっかりとした我々のケアというものも当然ながら必要であるということも、これは申し述べておきたいと思います。そのことをしっかり我々は伝えていくことが責務であるということを改めて申し上げたいと思います。

佐田委員 結局、大臣は、最後まで自分の責任について言及しなかった。私は、はっきり言って非常に無責任だと思いますよ。どんな社会においても、こういうことについて責任を感じる。総理まで責任を感じていると言っているにもかかわらず、担当大臣の馬淵大臣が責任論は全く言及しない。こんな無責任では、行政の方々、また、海上保安庁だけではなくて行政の職員の皆さん方も、本当にやっていけないと思いますよ。現場は泣いていますよ、本当に。

 大臣、責任をとるのならやはり辞任すべきですよ。辞任しなくちゃこれはおさまりませんよ、はっきり言って。ぜひそれを申し上げたいと思います。

 もう時間が一分か二分しかありませんけれども、八ツ場についてちょっと。

 この間、大臣には来ていただきましたけれども、八ツ場に来たときは、前は、前原さんは、中止の前提で予断なく検証を進めると言っていた。こんなむちゃくちゃな話はないんです。中止というふうな予断がある。その日本語を、大臣が、中止というものを入れないで客観的に検証すると言われた。そして、秋までに結論を出すというふうに言われたと聞いています。

 しかしながら、私は、もう今、地域の方々、東吾妻そして長野原の人たちは、一日も待てないような状況なんですよ。そしてまた、なおかつ、民主党の幹事長の方は、住民と話すための下地をつくっただけであって方針は変わっていないと、全く水をかけるようなことを言っておるわけであります。まさに翻弄し続けられておる。

 私は、一日でも早く結論を出してもらって、そしてこれを再開して、中止撤回をしていただきたい、こう思っていますけれども、大臣、どうですか。

馬淵国務大臣 正確を期したいと思いますので。前原大臣は、中止の前提でなく、中止の方向性とおっしゃっておられました。

 その上で、予断なく再検証をということでありましたが、私自身は、改めて予断を持たずに再検証するというステージに入ったわけでありますから、このことをしっかりとお示しする姿勢として申し上げたわけであります。そして、今後も一刻も早くこの結論を得たいというふうに思っております。遅くとも平成二十四年度予算編成の要求までにということでございますので、秋ということで申し上げました。

 もっと早くできないかという声もよく存じ上げております。そのことも踏まえながら迅速に取り組みたいと思っておりますし、また、地元の住民の方々には、お許しをいただければ、私も一刻も早くお会いをし、お話を伺いたいと思っております。

 すべてこうした形で一つの解決の方向に向かい、そして、住民の皆様方の御労苦に、あるいは関係者の方々の御理解をいただきながら前に進めてまいりたい、このように思っております。

佐田委員 終わります。

古賀委員長 次に、福井照君。

福井委員 JALで五分、尖閣で五分やらせていただきます。

 行くも地獄、進むも地獄、引くも地獄という状態についに入ってきました。次のステージですね。十一月十九日にはメガバンクが新規に融資をするかもしれないというタイミング、そして十一月末には東京地裁が認可するかどうかというタイミングを迎えまして、前回の質問で機構の方から御答弁をいただきましたが、ふにゃふにゃと抽象的で、数字をもっての御説明がございませんでした。そこで、理事会で、理事限りで結構ですから、マンスリーレポートその他データをお示しいただきたいということをお願い申し上げたら、出していただけました。感謝申し上げます。

 しかし、そのデータだけですとわからないので、今後、三千五百億、それ以上の国費、税金が役に立つのかどうかわからないので、きょう資料をお配りいたしました。この資料をぜひ出していただきたい、その上で集中審議をしていただきたいということを委員長に後ほどお願い申し上げたいと思います。

 お手元の資料でございます。

 更生計画案の開示、これが今、三社別々になっておりまして、連結ベースで出していただきたいということ。そして、エリア、路線別の計画、これも、北米、欧州、中国、その他、こういう表頭、表側に従って出していただかなければ、データがごまかされているのではないかという疑義があるんですね。ですから、自信があるんだったらすぐ出せるはずでございます。

 二枚目の、国会への実績開示ということになっておりますが、これも連結ベース。特にクラス別。やゆする人は、どうもビジネスクラス、ファーストクラスにばかり乗客がシフトすることを前提に業績が回復するということになっているんじゃないかということを言っている人が私も含めてたくさんいますので、ぜひこの表頭、表側の表を埋めて、実績と計画、それぞれお示しをいただきたい。そうでなければ実現性の見きわめができない。

 そして、その実績も、会計事務所等の第三者機関の証明が要るということです。それぞれアプルーブしてもらって、そしていわば強化資料を出してもらって、その上で、このデータに基づいて、私たちは、JALが本当に再建するのか、この方向でいいのか、税金が無駄遣いをされないのかということを議論させていただきたいということで、きょうお願いしたいと思います。

 まず、大臣の方から、今、JALの再建についてどういう状況になっているのかということについて三十秒ぐらいで御答弁いただいて、あとは委員長にお願いしたいと思います。

馬淵国務大臣 御案内のように、十一月末までの更生計画の決定、認可ということに向けて、今、JAL、日本航空は最大の努力をしているというふうに承知しております。

 御指摘の情報についても、開示をすべきだということで、こうした表もお出しいただいておりますが、一方で、企業の経営戦略、営業上の重要な計数等が含まれる中で、こうしたものについての開示というものは、再生に支障が生じる場面であれば、これはなかなか難しいというふうにも思っておりますが、可能な限りの情報提供に努めているというふうに私ども承知をしております。

 今後、今取り組みを行っている最中ということでありますので、国土交通省としてはその推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。

福井委員 ありがとうございました。

 今の政権、特に前の大臣の仕切りで法的整理をした、それは透明性、公平性を担保するからだということなので、公平性、すべてのステークホルダーに公平な情報が透明に与えられるというのが前提になっておりますから、当然今の情報を与えてくださるものと信じておりますけれども、委員長、理事会でこの情報についてお出しいただきますことを検討していただきますように、お願いを申し上げます。

古賀委員長 理事会で協議をいたしたいと思います。

福井委員 あと四分ですが、尖閣で、前回も御質問させていただきましたが、今の御答弁をいただいて、大臣の熱い思い、一端を御紹介いただいて、さらにまた私の信念が確定をいたしました。私は大臣をアキューズいたします。絶対に、断じて許すわけにはいかないという確信をさっきさせていただきました。

 それはどうしてかと、今から三分ぐらいしゃべらせていただきたいと思います。

 大臣は今まで何をやってきたんだ。何回も何回も国会で答弁の機会がありました。何日も何日もたちました。組織を守る、海上保安庁を守る、その職員を守るというメッセージを国民に発する機会がいっぱいあったんじゃないか。何かおっしゃいましたか。何かされましたか。何にもしていないじゃないですか。組織を守る、全くしていない。民主党を守る、政権を守る、そのことに終始をしているということでございます。

 大臣たるものは、組織を守る盾になって、職員も生身の人間です、職員の心を守るのが仕事だと思います。そのことは多分アグリーされると思います。はしごを外されたらどうやってやる気を保つんですか。船に飛び乗って、事情聴取して、そして逮捕して、石垣で、那覇で検察に渡した。そこまで完璧にパフォーマンスをした。そして、はしごを外されたわけです。今までどおりどうやって命がけで国土を守るんですか。この五十分間ずっと我が党の同志が、不規則発言という形ですけれども、お伝えしました。この職員の怒りと絶望は、もう限界を超えているんです。

 権力にある人、権力にある者は、その権力に応じた謙虚さを備えないといけないと思います。権力を支える組織への深い敬意がないといけないと思います。権力の座に対する出処進退の潔い覚悟がないといけないと思います。

 どうか、命がけで守ってきた海上保安庁を守ってもらいたい。このままでは、データ管理システムがレガシーだという理由だけで、過去のパフォーマンスまでレガシーだとやゆされかねません、言われかねません。職員のやる気を失ってしまいます。アキューズすべきは政治的な決断ですよ。船長の解放、そして証拠書類だからという名目によって領土侵犯の実態、その証拠を隠ぺいした、ここにあるんですね。海上保安庁の活動に何ら瑕疵はないことは余りにも明らかなんです。もし長官だけやめさせて政務三役が何ら責任をとらないということになれば、私は絶対に大臣を許しません。国民全体からも多分圧倒的なアキューズがあるでしょう。

 今大臣がやるべきことは、当然わかりますよ、官邸からやめちゃいかぬと言われているんでしょう。わかります。だけれども、その圧力をはねのけて、みずから、きょう責任をとって、起訴をされたからとかそういうタイミングではなくて、きょう責任をとってやめることであります。そして、今おっしゃったじゃないですか、野にあれば言いたいことはいっぱいあると。だから、このビデオを流出させた職員の権利回復、尊厳の回復という市民活動の指揮をとるべきですよ。それが人としての道だと私は思っています。

 どうか、組織を守っていただきたいと思います。どうか職員の士気、心を守ってほしいと思います。海上保安庁の歴史を守ってほしい。朝鮮戦争のときに出動している、そんな命がけの歴史から始まって、そしてきょうの日々、やっておられる。それはもう大臣がさっき紹介されました。どうか、歴史を守り、これから海上保安庁の未来を切り開けるような環境をつくってほしい。きょうやめること、それがあなたの政治の集大成、それが人間としてのノーブレスオブリージュ。どうかよろしくお願い申し上げます。

 もう時間が過ぎましたけれども、まあ、ここで、ではやめますということは、そんな答弁は期待していませんけれども、さっきおっしゃった、今だから、この立場だから言えない、だけれども言いたいことがある、その一端をもう一回聞かせていただきたい。職員にこのまま聞こえる、そんな覚悟で、三十秒ぐらい御答弁いただきたいと思います。

馬淵国務大臣 私は、先ほど、今は言えないけれども野にあれば言えると申し上げたのではありません。正確にお聞き取りいただきたいなと思うんですが、野にいて自由に発することは可能でしょう、このように申し上げた、そういう意で申し上げたと思っております。

 そして、今、私は行政の長であります。行政の長として、しかるべく事実の徹底究明、そして当然ながら海上保安官の職務の精励というものをしっかりと訴えて、また再発防止策に取り組んでまいる、このことを責務として全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げて、私の答弁とさせていただきます。

福井委員 ありがとうございました。

 これからも同じ問題で何回も答弁させられるでしょう。しかし、この国会以外で、海上保安庁の職員と綿密なるコミュニケーションをぜひとっていただくように心からお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。きょうは質問事項がたくさんありますので、端的にいきたいと思います。

 最初に、財団法人高速道路交流推進財団についてお尋ねをします。

 これは、日本道路公団時代に、財団法人道路サービス機構と財団法人ハイウェイ交流センターが前身でございまして、この二財団がさまざまな事業を譲渡して、その譲渡代金二百八十億円をいただかれて、そして設立されたものであります。

 平成二十年一月二十三日の参議院本会議で、当時民主党の工藤堅太郎議員が質問されまして、当時の公明党の冬柴国土交通大臣はこういうふうに答えているんです。高速道路交流推進財団は、平成二十年度から順次事業を整理縮小し、五年以内に解散し、その保有資産は高速道路利用者へ還元すると答弁をしておるわけでございまして、これは間違いなく平成二十四年度末までにきちんと解散するということに変わりはないか、まず馬淵大臣にお尋ねします。

馬淵国務大臣 お答えいたします。

 国土交通省としては、従来どおりこの財団を平成二十四年度末までに解散する、その旨を伝えて、要請をしているところであります。方針に変わりはございません。

竹内委員 普通、特例民法法人の解散には、定款を変えて法人の存続期間を盛り込まなければならないんですが、定款は改定されていますか。

馬淵国務大臣 現在のところ、定款の変更はされていないと承知しておりますが、今後、この財団に対しましては、高速道路の利用者への還元をしっかりと進めていただいて、評議員会の議決等、解散に必要な手続を行うと考えております。

竹内委員 これをしっかりと、定款変更も含めてやっていただきたいと思うんです。民主党の方から質問をいただいて、我が当時の冬柴大臣がお約束したものですから、攻守ところを変えていますけれども、しっかりやり抜いてもらいたいというふうに思います。

 それで、残すところ二年四カ月しかないんです。五年あったのが、もう二年六カ月もたっている。二百九十億円の使途を早急に決めないといけないんですよね。さまざま使ってきたけれども、まだ二百九十億円残っている。これは大変な話でありまして、最終的に時間切れで他の財団に二百九十億円を移して終わりなどというようなことをすれば、それこそ批判されますから、本当に政権にとっても大変なことになると思います。ぜひ、これはしっかりやっていただきたいと思います。

 現在、交通遺児への支援事業とか障害者の方々への支援事業などに使っているわけですが、それだけではとてもこの二百九十億円を使い切れるようなものではないと思っております。その辺も含めて再度大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

馬淵国務大臣 今日までも、利用者への還元ということにつきましては、要請をしてまいりました。既にこれは七十三億円、平成二十一年三月から、ETCの車載器助成百二十万台分支出をしてまいりました。ただ、二百九十億円というまだまだ大変な資産があるわけでありまして、これにつきましては、この資産を有効に活用するということも踏まえながらの解散ということをしっかりと要請してまいっております。

 この二百九十億円の使途ということにつきましては、道路利用者へのさらなる還元、そして交通遺児、障害者への支援、この実施を行っていく。これは、この組織は解散を要請しているわけでありますから、当然ながら新たな仕組み、枠組みというものが必要だというふうに考えておりますが、形を変えて存続というようなことは決して認めるわけにはいかないと考えております。また、残余財産が生じた場合の処分の方法、これも国土交通省としてもしっかりと検討してまいらなければならないと思っております。さらに、職員がおります。この雇用の確保についても適切な措置が必要だと考えております。

 いずれにいたしましても、私どもとして、解散の権限というものを有しておりません。要請という形になりますが、一方で所管する立場でありますので、これにつきましては、このスケジュール、二十四年度末を目指して進めてまいる所存でございます。

竹内委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 その上で、次に質問いたします。住宅金融支援機構の事業仕分けにつきましてお尋ねをしておきたいと思うんです。

 国土交通省が所管する住宅金融支援機構は、三つの事業が仕分けの対象となり、このうち住宅資金貸付業務と住宅融資保険業務が廃止となり、また証券化支援業務は、継続は認められたが、不要な出資金の国庫返納という結果になっているわけでございます。

 しかしながら、まず住宅資金貸付事業につきまして申し上げますと、特にまちづくり融資関係では、これは、もし廃止されますと、実際には中小の分譲住宅事業者によるマンション建設事業というのは大変困難でございまして、多くの事業者に倒産など企業経営上重要な影響が出てくるというふうに思っています。また、地域経済に与える影響が大きい。

 実際に、平成二十二年度の第一・四半期の利用者に対する調査でも、もし融資がなかったならば事業遂行は困難であったというのが五〇%強を占めております。また、この融資がなかったら、倒産など企業経営に重大な影響が出たというのが三分の一というアンケート調査も出ているわけでございます。

 次に、賃貸住宅融資の件につきましても、これは廃止という評価をいただいているんですが、しかし、もし廃止された場合に、政策的に誘導すべき良質な賃貸住宅の供給が困難となるのではないかなというふうに思っております。いまだに持ち家や分譲住宅の着工も非常に、今八十万戸というような大変な低水準に落ちておりますし、さらに賃貸住宅市場も低迷している中、本当に、特に地方の経済にとっては、この融資のパイプがなくなったときは大変なことになるというふうに思います。

 特に、高齢者向けの賃貸住宅などは、これから大変な超高齢化社会を迎えるわけでございまして、本当に喫緊の課題だと思っています。今後、高齢者専用住宅とか、こういう新しい概念で高齢者のためのさまざまな住宅をつくっていこうという政策も追求されているわけでありますから、そういう意味でも、単に廃止というのはいかがなものかというのが、二番目の私どもの考え方でございます。

 それから三番目に、住宅融資保険事業というものがございます。多くの方が御存じだと思いますけれども、これも、経済対策、大変なデフレ下で平成二十三年度まで保険料率の引き下げなどを実施中でございまして、民間住宅ローンの供給量が縮小している中で、本制度の活用は伸びておるわけであります。もし廃止された場合には、特に自営業者などへの融資が縮小して、特にフラット35のつなぎ融資などでは、つなぎ融資などは民間単独ではほとんど無理だというふうに言われております。それからまた、フラット35のつなぎ融資のほかにも、フラット35と変動金利型のパッケージ融資なども実際には大変よく利用されているわけでありまして、非常に大きな影響が出てくるというふうに思っています。

 百十の金融機関への調査でも、この融資保険がなければ融資保険の対象となっていた案件への融資は行わない、そういう割合が七〇%という結果が出ているわけですね。これも大変な影響力があるというふうに思います。

 このように、本当にいろいろな御評価をいただいているわけでございますが、この住宅金融支援機構が行う融資や住宅融資保険は、良好なまちづくりや居住環境の形成に大きな役割を有しているというふうに思います。事業仕分けには強制力がないと一応は言われておりますけれども、このデフレ経済からの脱却や、本当に国民生活の向上を図る観点から、このあたりは少し慎重に考えて対応してもらいたいというふうに思いますが、御見解をいただきたいと思います。

市村大臣政務官 お答えいたします。

 竹内委員御指摘のような、さまざまな御意見があります。

 まず、まちづくり融資につきましては、これは、先生が今おっしゃっていただいたような御意見も踏まえながら、さまざまな御意見を踏まえながら、平成二十三年度までの経済対策は堅持しつつ、現在の経済状況や住宅市場の動向等に十分配慮いたしまして、融資対象を民間では対応が困難な組合や中小事業者が実施する事業等に限定することも視野に入れながら、政府内で調整を進めてまいりたいと存じます。

 また、賃貸住宅融資につきましても、さまざまな御意見があります。事業仕分けで廃止ということでもありますが、さまざまな御意見を賜りながら、事業仕分けにおける御指摘やこれらの御意見も踏まえながら、例えば高齢者向け賃貸住宅につきましては、来年度の通常国会に提出することとしております高齢者住まい法の改正に基づく医療や介護と連携したサービスつきの高齢者向け賃貸住宅に融資対象を限定するなど、政策的に必要性が高く、民間では融資がなされないものに施策対象を限定することも視野に入れながら、政府内で調整を進めてまいりたいと存じております。

 また、御指摘がありました住宅融資保険につきましても、これもいろいろな、先生御指摘いただきました御意見、多々あります。仕分けにおきましては廃止ということでもありますが、いろいろな、さまざまな御意見を踏まえながら、平成二十三年度までの経済対策は堅持しつつ、現在の経済状況や住宅市場の動向等に十分配慮いたしまして、フラット35関連融資やリバースモーゲージ型融資など民間の保証会社では対応が困難なものに対象を限定することなども視野に入れながら、政府内で調整を進めてまいりたいと存じております。

竹内委員 本当に、今大変なデフレ下でございますし、お金が回っていないということでございますから、やはりお金を回していく。資金供給のパイプを閉じるばかりではだめでありますから、やはりできる限りお金を回転させるようにいろいろ考えていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、日本航空の再建問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 日本航空の問題につきましては、通常国会のときから大変論議を呼びまして、集中審議等も行い、また参考人聴取も行ったりして、何度も議論をしてまいりました。予算委員会等でも、私も当時の菅財務大臣にいろいろ議論をさせていただいたこともございます。いよいよこの十一月末に更生計画が認可される可能性が高い、こういうふうな時期に入ってきたわけですけれども、現状、追加融資のことについて一つお尋ねしたいと思っているんです。

 政投銀や国際協力銀行またメガバンク等に対しまして、三千二百億円弱の融資が残っております。これを借りかえる形で返済して更生債権をなくしたい、終わりにしたい、こういう計画のようでございます。銀行団が融資する条件として、民間の増資とかそういうことも言われておりまして、もう一つ、リストラの問題があります。それからもう一つは、今申し上げる企業再生支援機構の保証を求める動きがあるというふうに伺っております。

 しかしながら、更生債権を返済するのに民間から借りかえて、そこにまた支援機構が保証をするというのは、結局、またずうっと長期にわたって公的保証をつけることになるわけですから、本当にこれで事実上の更生手続が終結したと言えるのかどうか、これは本当にいかがなものかと思うんですよ。

 そういう意味では、日航の自助努力で借りかえ資金を調達する、あるいはそのほかの手段を考える、これがやはりこの自由主義社会での原則ではないかというふうに思うんですね。いつまで政府が丸抱えでやるのか。三千五百億円の出資も実際政府がやるわけですから、支援機構が出すわけですから、それに加えて、まだ民間の融資にも保証をするというのは本当にいかがなものか、このように思うんですが、これは支援機構ですか、お答えできますか。

河本参考人 企業再生支援機構河本より、ただいまの御質問についてお答えをさせていただきます。

 借りかえは、更生債権、更生担保権を弁済するための新規融資であり、日本航空が早期に更生手続を終結させ、早期に再生を進めていく上でも重要であると認識しております。借りかえについては、現在、企業再生支援機構と金融機関等との間で協議を進めております。借りかえを行う上で保証を行う必要性また合理性等については、慎重に検討の上、最終的には公正中立な機関である企業再生支援委員会の判断に基づきまして、企業再生支援機構として適切に今後対処していく所存でございます。

 以上です。

竹内委員 しっかりとこの辺、さまざまな意見を踏まえて御判断をいただきたいと思います。

 もう一つは、一応日航は一たん破綻をしたということでございますので、そこへ公的資金をことしに入っていろいろ入れて助けて、何とかここまで来ているわけでございます。そういう場合、しかし、モラルハザードが起きるのではないかということがずっと指摘されてきたわけです。要するに、ある意味、経営を失敗したところの方が助かって、また今度は見事な会社に再生される、まじめに一生懸命、苦しい中を同じような条件でやってきた他社は何のメリットもないということでは、本当にこれは公正な競争と言えるのかどうか、このように思うんですね。

 EUなんかでは、皆様よく御存じのように、公的資金が投入された航空企業には、同業他社と公正公平な競争条件を維持確保するために、資産の圧縮とか、生産キャパシティーの削減であるとか、市場シェアの削減であるとか、不当廉売の禁止など、一定の制限規則を設けております。違反した場合には課徴金を課される場合もある、こういうことでございます。EUとはもちろん違いますけれども、しかし本当に、ある意味、いつまででも国の丸抱えでやるところが救われて、一生懸命頑張ったところがかえって厳しい状況に陥るというのでは公平ではないと思うんですね。

 当委員会でもさんざん議論してまいりましたけれども、そういう意味では、やはり今後も、日本航空の更生計画の詳細情報の開示ということが必要であるというふうに思いますし、それから、定例的に実績確認をして、公的資金がどのぐらいきっちり回収されておるとか、計画と実績の乖離をチェックする、そういうことも必要です。それからまた、これからも野方図に公的支援を続けるというのではなくて、三点目としては、その辺の上限もやはり考えていかなければいけないというふうに思います。そして、四点目としては、日本独自のそういうルール、EUのような公正な競争のルールのめどというものもやはり一応出す必要があるんじゃないかな、こういうふうに思うわけでありますが、国交大臣はどのようにお考えですか。

馬淵国務大臣 公的資金を投入された企業が、それこそ一生懸命に頑張って市場の中で苦しい思いをしている企業よりも優遇されるような状況というのはあってはならない。イコールフッティング、そして公平公正な市場の形成というものは、当然ながらに求められるものだと思っております。

 今回の日航に関しましても、以前にもバースデー割引などで、いわゆる運賃の引き下げ競争ということで、市場環境をゆがめるおそれがあるといったことの御指摘もございました。短期的な運賃の値下げによって、いっときはそれによって顧客の獲得ができても、経営の再建にはほど遠くなってしまいかねないということで、構造的な経営悪化の要因の除去にはつながらない、こういったことは私どもも考えてきたものでございます。

 その意味では、国土交通省として、ことし二月五日には、公的資金を投入して行われる日本航空の再生に向けての取り組みが、航空会社間の公正な競争環境や日本航空の構造的な改革を阻害するものとならないよう、指導監督を行っていく旨の文書を日本航空あてに発出したという経緯もございます。

 いずれにしましても、公的資金を投入された企業の優遇ということにならないような市場環境の監視というものは極めて重要であるという認識に立っておりますが、一方で、御指摘の、EUの公的資金ガイドラインに倣って、我が国でも何らかの制定が必要ではないかといった御議論なんですが、EUの場合は、欧州共同体ということで、国々ではなくその地域、経済域内での競争ということでありますので、ある意味、加盟国が自国の事業者に対する補助の方針について統一化するということが当然ながら求められてきた。ある意味、私どもの日本の国の置かれている状況とは違った事情があるということが制度の前提としてあるんだというふうに私は思います。

 今般、私どもとして、まず航空産業の新たな集中改革期間ということで、航空産業がより世界へ、アジアへと羽ばたいていただくように、規制の見直しやあるいは航燃税の見直し等を含めて、改めて集中改革期間を設けております。こうした中でのガイドラインというものは、現時点においては国土交通省が考えるべきではないというふうに思っておりまして、引き続き市場の公正な状況というものの監視を行っていくことが重要ではないかと思います。

 ただ、私も民間におった立場からいえば、公的資金が導入されることの責任の重さというものを一方で企業は十分に踏まえなければならない。先ほどファイナンスのお話もございましたが、そのことは、現に航空会社がそのことを十分に踏まえての更生計画の実施ということについて今邁進している、このように思っておりますので、立場としては、見守っていくということをしっかり堅持してまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 今申し上げた点を含めて、いろいろさらに検討していただきたい、お考えをいただきたいと思います。

 それで、八ツ場ダムにつきましても一つだけお聞きしておきたいと思うんです。

 当委員会でもさんざん白熱した議論をやりました。前原前大臣は、中止の方向性を堅持するだったんですね。それを、今回言い回しを変えられました。大臣としては、一切、中止の方向性という言葉には言及しないと。前の前原大臣は、マニフェストに書いてあるから中止する、こういうふうに最初から決めておられたんですね。それを、今回そういう言い回しを変えられて、予断なく検証するというふうに変えられた理由をもう一度お尋ねしておきたいと思います。

馬淵国務大臣 昨年の政権交代でまさに政策転換が図られたのだと私は思っております。

 前原大臣が、こうしたできるだけダムに頼らない治水あるいは利水というもののあり方に対して、有識者の皆さん方に御参加いただいての御議論、そして最終的にはダムの再検証という中間取りまとめを行っていただき、国土交通省が持ついわゆる公共事業の再評価、これは事業評価法の仕組みの中に定められたものでありますが、この再評価の細目を変更して実施をするということで政策転換が図られた。

 その段階になっていよいよ予断を持たずの再検証が始まるということであれば、私は、そこに予断を持たないということをより改めて認識していただくためにも、今般、長野原、八ツ場ダムに参りまして、地域の方々あるいは知事を初めとする関係者の皆様方に、一切の予断を持たずの再検証を行いということで、中止の方向性というものについては言及しない、それはむしろ予断を与えるものになりかねないんだということで申し上げた次第です。すなわち、昨年の政権交代時、政策転換を図り、より具体の検証の作業に入ったということで、ステージが変わった、私はそう思っております。

 今後は、これを来年の秋までに検証を進めるとしておりますが、できるだけ早くという御要望もいただいておりますので、迅速にそれを進め、さらには、ダムの再検証のみならず、利根川水系においては過大となっていた基本高水の見直しも改めて河川局に指示をし、これも客観性、透明性、公開性を高めて、多くの方々の御議論をいただいて最終的に結論を見出す、こうした仕組みを御提示したところであります。

 今後も、私どもとしては、地域の方々の御理解をいただきながら、わかりやすい検証というものを進めてまいりたいと思っておりますし、引き続き、御負担をいただいてまいりました一都五県の皆様方にもしっかりと調整を行いつつ、生活再建支援事業も進め、再検証を行うということで御議論、御理解をいただきたいというふうに考えております。

竹内委員 これについては、私は一言も二言も言っておきたいんですが、結局、予断なく検証すると言いながら、前の大臣は八ツ場ダムは例外だったんですよ、マニフェストに書いてあるからやめると。そういう意味では矛盾していたんですよね。それを整合性をとろうという気持ちはわかるけれども、しかしながら、予断なく検証した結果、再開する、つまり事業を始める可能性があるわけですね、はっきり言うと。ということは、これは完全なマニフェストの変更でありますから、ほぼ二年ですか、かけて、住民を含めて国民に大変な混乱をもたらした、ここは謝罪をしなければいけないことになる。大変な責任が生じると思いますね。仮にもし予断なく検証してやはり中止だということになったら、これもまた住民に対して物すごい裏切り行為になりますよ。大変なことだと思うんですね。

 八ツ場ダムというのは民主党のシンボルだったと思うんですよ、マニフェストの。それを最初から中止すると書いて、しかも前原前大臣も中止するということを変えなかったんですから、これはよほど予断なく検証されておられたんだと我々は思っていたんですよ。しかし、今回いろいろ経緯を明らかにすると、この基本高水の問題や個別のダムの検証もそんなにされてはいなかった、こういうことが明らかになったわけでありまして、そういう意味で、今回、馬淵大臣の方針転換は、実は大変な問題をはらんでいるということを指摘しておきたいと思うんです。私は、少なくともこの時点でも国民に対して謝罪すべきであるというふうに思っております。この点は指摘するにとどめておきたいと思います。

 そして最後に、残った時間で私の方からも、尖閣の中国漁船衝突映像流出事件につきましてやはりただしておきたいと思います。

 午前中の質問の中でも、国土交通大臣としての責任をどう感じているかという質問がありました。その中では、先ほどお述べになりましたのでもう大臣に答えていただくまでもなく、捜査への協力と再発防止がみずからの責任である、こういうふうにお答えになっているわけであります。

 そこで、幾つかお尋ねしたいんですが、十一日の参議院国土交通委員会で、この映像流出の問題で、九時四十分ごろに話を聞いたと。実際には昼休みに入ってから官邸へ報告を上げたということを先ほど答弁されているわけです。

 一つは、平成二十年の二月二十六日の安全保障委員会の議事録で、当時、馬淵民主党議員が石破防衛大臣に、イージス艦の漁船との衝突事件で聞いておられるんですね。そのときに、渡辺委員の言葉を引用しながら自分の考えを述べておられると思いますが、「連絡が、イージス艦の衝突から大臣への一報、九十分もかかったということも含めて、これについては、九十分の間に口裏合わせでもするために時間稼ぎをしていたんじゃないかと思われるところです、」こういうふうに渡辺委員の言葉を引用しながら述べておられるんですね。

 これは三時間ぐらいかかっているわけですよね、実際に官邸に上げるまでに。そういう意味では、かつておっしゃっていたこと、口裏合わせでもするために時間稼ぎをしていたんじゃないかと疑われても仕方がないと思うんですが、まあ、これは指摘をしておくにとどめたいと思います。

古賀委員長 指摘だけでいいんですか。

竹内委員 これは指摘でいいです。

 次に、先ほどもいろいろあったんですが、捜査への協力、調査中でありますから、さまざまなことについてはお答えできない、こういうことでございました。そのときお答えであったんですが、同じ安全保障委員会の議事録、またこれも石破大臣との話の中で、「これも調査中、あれも調査中と言うのはやめろということを私は申し上げました、」こういうふうに石破大臣の言葉を引用しながら自分の考えを述べておられると思うんですね。ですから、この辺、非常によくかみしめていただきたいというふうに思います。

 その上で、私が一つ申し上げたいことは、午前中にいろいろ情勢がまた変わっておりまして、いろいろな大臣の発言が出ております。仙谷官房長官が、この事件に関しまして、組織の長たる人にもしかるべき責任は当然想定されるというふうにおっしゃっているんですね。また、海江田経済財政担当大臣も閣議後の会見で、政治家は自分で出処進退を決める、馬淵さんがよく考え、決めることではないかというふうにおっしゃっているわけであります。

 午前中には捜査への協力と再発防止が責任だとおっしゃっていたんですが、今後、この発言を変更される可能性はないか、絶対に変えないかということをお尋ねしたいと思うんですね。

 実は、馬淵大臣の二〇〇八年二月二十七日のブログを拝見いたしました。このときに、前の漁船とイージス艦とのことにつきまして、「僕自身、「進退」については政治家自らが決するものとの考えは一貫している」、こういうふうに潔くお述べになっているんですね。そういう意味で、今後さまざまな情勢変化があると思います。問責決議案が出る可能性もあるし、それから罷免される場合もある。そういう中で、これからも先ほどお述べになった責任についての考え方は絶対変わらないと言えますか。

馬淵国務大臣 まず、私の質問をお引きいただきまして、ありがとうございます。

 私は、常に事実に基づいて質問をしてきたつもりでございます。その意味では、若干の前提が異なるのではないか、いや、私としてはかなり大きく異なるのではないかと思っております。

 さきの質問に関しましては、事件発生後ということであります。事件発生後に速やかに情報が伝達されるべきであるということは、今も変わらなく思っております。一方で、今般におきましては、捜査の状況の中にございます。捜査の状況、その過程の中で捜査情報について、しかも一時的に、極めて限定された場所で、そして当然、告白したとされる者も逃避などということがあり得ない状況、こうした状況の中で、あいまいな情報、捜査情報が伝えられるべきかということについての議論は、私はなされるべきものだというふうに解しております。

 少なくとも今回は、捜査という中で捜査機関が事情聴取というその次のステージに上がる、それを十分に準備し得た段階で、私も予算委員会終了後に事情聴取がいよいよ実施されるということを耳にし、そのことの情報を官邸に上げたというふうに聞いておりますので、私は、先ほど私自身が過去に質問をした状況と全く違う、このことだけははっきりと申し上げておきたいと思います。

 そして、繰り返しになりますが、現時点における私の責任のとり方というのは、事実の徹底究明であり、そのための捜査状況に対しての調査における協力であります。私どもが調査してきたことについて捜査に対して提示をしていく、協力であります。

 さらには、事実を確定させていかなければならないわけです。先ほど来も、繰り返しの質疑の中では、報道ベースで、これが事実だとある種確定的におっしゃられる、そういった質疑もございました。私は、憶測をもって事実でないことも含めて質問されること自体に対しては、質問権として何も申し上げません。ただ、本来明らかにされるべきは、事実をもって、さらには、その上で行政たる立場がどのような施策を講じるかということがこの国会で問われるべきものだと思っております。その意味で、繰り返しになりますが、私は、現時点において、徹底究明とそして再発防止策を講じること、これが私の責務であります。

 そして、さらに申し上げれば、こうしたさまざまな場面において、当然、責任のとり方というものは、状況に応じて変化していくのは、これは過去さまざまな事例、いや、人が生きていく中で起こり得ることです。それをもって、私は、常にそのときそのときの判断として申し上げているつもりであります。

 この先変わらないのか、永久に変わらないのかと言われれば、あす私は命を落とすこともあるわけですから、何が起きるかわかりません。ただ、国土交通大臣として今の使命は、徹底的な原因究明、事実を確定させることです。このことが私の責務なんです。幾ら変わらないかどうかと問われても、変わる可能性もあれば変わらない可能性もある。これは、常にそういったことを考えながら、政治家としてみずからに襟を正すということを問い続けております。

 出処進退のお話もございました。変わりません。私も常にこのことを申し上げてきた。そして、そのことと、今日における、今現在における私の責任のとり方というのは、これも何ら変わらない。繰り返し申し上げますが、私自身は、この徹底的な原因追求とそして再発防止策、これに全力を講じる、このことを申し上げたいと思います。

竹内委員 時間もだんだん迫ってまいりましたので、私どもの考えをまとめて申し上げたいと思います。

 組織論としても常識論としても、機密であろうがなかろうが、捜査情報という本来外に出てはいけないものが流出したということが問題であると考えています。それから、捜査員自身による捜査情報の流出で、国民の信頼が低下することは間違いないというふうに思っています。また、政府が一般に公開しないと決めた映像ですね、高度な政治判断で。それを政府機関の一員である保安官が決定に反して流出させたということになります。現時点での外交関係を踏まえてのそういう高度な政治判断を一職員が独自の考えで無意味なものにしては、行政は成り立たないというふうに思います。

 本来、規律が保たれる必要がある国家公務員が独断で漏らしたならば、政府組織のモラルの崩壊につながります。鳩山前総理は霞が関によるクーデターと述べたと言われておりますが、これでは組織の体をなさない。捜査情報の漏えいは、言い逃れができない行為ではないかというふうに思います。仙谷官房長官は執行責任と政治責任は違うんだというようなことで、暗に海上保安庁長官の責任だけを追及するような発言もありましたけれども、私は、それはだめだ、あくまでもこれはやはり政治責任の問題だと思います。

 そういう意味で、私どもといたしましても、先ほどのブログにありましたように、出処進退はみずから決める、後でどうのこうの言われる前に馬淵大臣はここは潔く職を辞するべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

古賀委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 馬淵国交大臣に、きょうはまず八ツ場の問題についてお聞きします。

 大臣は、六日、八ツ場ダム建設について、中止の方向性という言葉に言及しないと表明されました。この発言の真意を尋ねたいと思います。この発言は、中止しない、つまりは八ツ場ダムの建設を進めるという意味に解釈される方もいますが、そういうことですか。

馬淵国務大臣 前原前大臣が、まさに政策転換を図るということで、一年弱でありましたが、予断を持たずに再検証という枠組みを決めていく、できるだけダムに頼らない有識者の会議というものを設けて議論を重ねてまいりました。

 そして、いよいよ実施の段階に移ったんですね。改めてここで予断を持たずに再検証するということで、これは関係者のみならず、かかわる、もちろん反対される方も賛成する方も含めて、さらには学識者という方々、主体は地整局であり、あるいは自治体であったりするわけですけれども、こういった場で幅広く議論をするわけでありますから、一切の予断を持っていただかないようにしていくためには、私は、今後この中止の方向性という言葉は言及しないんだということをはっきりと申し上げなければ、それこそ、この検証そのものが何らかの恣意的な方向に向いてしまいはしないかということを考え、こう申し上げたわけであります。

 したがいまして、現時点においても、私には一切の余談もなく、しっかりと再検証を行ってもらいたい、こういう思いでおります。

穀田委員 私どもは、この八ツ場ダムについて、利水面でも治水面でも不要なダムであり、無駄で環境破壊につながるダムであるという立場に立って中止を求めてまいりました。

 この国土交通委員会でも、また各委員会などにおいても、例えば塩川鉄也議員も報告していますが、何度も現地に足を運び、長野原の町長さんや町議会議員の方々と率直な意見交換を行ってまいりました。その際にも、私どもは、自分たちの中止という立場について表明した上でお話もさせていただいたところであります。

 したがって、私どもは、住民の不安や要望に謙虚に耳を傾けて、ダム中止の理由を丁寧に説明するべきだと指摘もしてまいりました。そして、何度も、生活再建、地域振興策を住民とともにつくり上げることなども提案してまいりました。今大臣も発言ありましたが、建設ありきでも中止ありきでもない、予断を持たずにということで検証する、そのとおりの言葉を言っているというふうに受けとめたいと思います。

 その意味では、やはり改めて再検証することが重要だし、その検証が、だれもが納得いく形でしっかりやる必要があるという結論ではお互いに一致できると思うんです。

 そこで、予断を持たずに再検証する上で、洪水時に流れる最大流量、いわゆる基本高水の見直しが必要です。利根川の基本高水、利根川の治水基準点である八斗島では毎秒二万二千立方メートルとされているが、これを算出するもとデータの一つ、飽和雨量、これは森林などの保水力を示す係数ですが、これを小さく設定されていたことが明らかになっています。大臣も、この利根川の基本高水がどうやって算出されたのかを調査したが資料が見つからなかったという報告をされています。十分な検証が行われず、大変ずさんだったと陳謝しています。その上で、利根川の基本高水について見直す、改めて検証すると述べておられます。

 利根川の基本高水を改めて検証する理由について、簡潔にお答えいただきたいと思います。

馬淵国務大臣 一年間、ダムに頼らない治水のあり方ということを議論いただく中で、私の中にもずっとひっかかっていたのはこの基本高水の問題でした。

 河川整備計画を見直すということであり、河川整備の基本方針は見直さないということであれば、そもそもその前提となる基本高水の議論がなされない、これでいいのかという思いもございましたが、私自身、その中で有識者の方々がつくっていただいた検証の枠組み、これも利用しながら、何らかの糸口で見直すことができないかということで調べておりました。

 そうしたところ、御指摘のこの二万二千トンに対して、平成十七年度に策定した検討報告書の中で、その具体的な計算過程というものが明らかにならなかった。私はその資料を捜すように指示をいたしましたが、資料がないことが問題ではありません、検討した経緯すら見当たらないということ、まさに二万二千トンありき、ずさんだったとしか言いようがないんですね。私は、だから河川局にも、もうやり直そう、見直そう、このように言ったわけです。

 建設を要望される方もいらっしゃいます。反対される方もいらっしゃいます。これを私は、押しなべて皆さん方に納得できる形で検証を進めるべきだと思っておりますので、その意味で、基本高水の見直しというものは極めて重要だと思っております。

 今回は、この再検証と、さらにはこの基本高水の検証ということをあわせて皆さん方に開示をしながら、納得いくプロセスで進めてまいりたい、こう思っております。

穀田委員 今お話ありましたが、私どももこの高水の問題について一貫して指摘してまいりまして、やはり建設先にありきということが実はこの高水の計算をずさんにしたんじゃないかという見解を私どもは持っています。

 予断を持たずに再検証するという中にこの基本高水の検証は含まれているのか。有識者会議の中間取りまとめに基づいて検証がやられていますが、この中には基本高水の検証は含まれていません。予断なく再検証するからには、当然この基本高水の検証も含むべきだと思いますが、結論だけでいいですから。

馬淵国務大臣 公共事業の再評価実施要領細目に定めたということでありますので、この基本高水の再検証という部分には含まれません。しかし、これは並行して行いたいというふうに考えております。

 ただ、穀田委員が先ほど御指摘のように、いや、この二万二千トンありき、建設ありきじゃないかと言われますと、それはまさに予断になりますので、私自身は持たずでと思っております。

穀田委員 いや、それは、従来のやり方の際にそういうことが言われてきたことを私どもは考えて指摘しているということで、今大臣がどう思っているかなんという話をしているんじゃないんです。それは言っておきたいと思います。

 中間取りまとめが出された後で基本高水の根拠の不透明さが明確に出てきたわけであります。もともと、基本高水というのは過大じゃないかという指摘は、運動団体初め、私どももしてまいりました。また、民主党も言っておられたし、前原大臣も野党の時代は指摘してまいりました。その意味では、大臣の発言によれば、八ツ場ダムが第一歩、また、並行してやるということも言っておられるわけですが、それでとどまるべきじゃないと私は思っているんです。対象となっているダムの再検証について、この基本高水の見直し、つまり河川整備基本方針の見直しを位置づけて再検証すべきではないかと考えますが、いかがですか。

馬淵国務大臣 河川整備基本方針を策定するとなると大変な時間がかかるということも、先輩方からお聞きしております。

 私は、まず、これほどまでに社会的な注目の的となった八ツ場ダム、とりわけ、明らかに二万二千トンありきということで、この十七年度の報告書がずさんだったということが明確になったわけですから、これについての見直しを指示いたしましたが、その他の水系については、今現時点でそれをすべて広げていくとなると、私は、せっかくの再検証自体も大きく滞ってしまいかねないと思っております。現時点においては、他の水系というものについては、まずは再検証を進めていただく。

 もちろん、この八ツ場ダムにかかわる利根川水系の基本高水の再検証も時間をかけずにしっかりとやっていただかないかぬですが、こうした、具体の検討の結果がないといったような、明らかな瑕疵なりが認められるものについては、これは行うべきだと思います。ただ、現時点において、私ども、そこまですべて行うということには考えは至っておりません。まず再検証、枠組みを進めていただきたい、こういうふうに思っております。

穀田委員 なぜ私こういうことを言っているかといいますと、つい先日も新聞に出ているんですけれども、想定流量は河川法が制定された一九六四年当時から四十年間で約一・五倍になっている、それは全国の百九の一級河川のうち八十水系を分析した結果であるということで報じられていることもあります。

 私は、先ほど大臣がおっしゃった、この二万二千トンだけではなくて、全国でそういった形でいつの間にか基本高水自身が上がっていったという事態がある、だからこそ、単に、この問題で高水がいつの間にか上げられた、本当かというだけじゃなくて、では、ほかも本当かということが問われているということを申し上げたいわけですよね。

 だから、滞ってしまいかねないというよりは、このことが今、国民のそういう流域水系における安全とのかかわりで、正確なものを出して、どうしたら本当に治水ができるかという基本的な根拠となるそういうものを確かめることが、もちろん何も利根川水系を後にしてなんて言っているんじゃないですよ、それはそれでやりながらほかだってできるんだから、それはお互いにきちんとやろうじゃないかということを言っているわけであります。

 その点、いかがですか。そんなに長くなくていいです。

馬淵国務大臣 今御指摘のような形で、全水系までも実はそういった見直しが必要じゃないかという御指摘は、十分傾聴させていただくに値すると思っております。

 ただ、先ほど来申し上げているように、まずは利根川水系、具体的な瑕疵が明らかになったということでありますから、私はそこをしっかりと検討させることを優先したいというふうに思っております。

穀田委員 私も繰り返しになりますが、優先することについてとやかく言っているんじゃないんです。ただ、わざわざ陳謝したことは、こういうずさんなやり方が国民の生命と財産にかかわる問題だからでしょう。そうすると、ほかだって、そういうことがもしあったら、それをやらなくちゃならぬということを提起しているわけです。それは御理解いただけると思います。

 では、それは御理解いただいたということで、次へ進みます。

 次に、JALの問題について企業再生支援機構に尋ねたいと思います。

 第一に、更生計画案においての人員削減の目標とその内訳について、現在のそれぞれの到達点はどうなっているかということを御報告いただきたい。具体的には、内訳は、第一、希望退職募集、第二、定年退職等自然減、第三、子会社切り離し等及びその他。中身としては、パイロット、客室乗務員の削減目標は幾らだったのか、つまり職種について。大きく言うとこの二つの点についてまず報告をいただきたい。

河本参考人 ただいまの御質問について、企業再生支援機構河本より御回答申し上げます。

 まず、更生計画上の人員削減計画人数としては、JALグループ連結で、いわゆる希望退職にて約六千四百人、子会社の再編で約六千人、その他、契約終了、定年退職及び自然減で約三千七百人の削減を計画しております。その達成状況につきましては、本年十月二十二日までで、いわゆる希望退職で約五千六百人、子会社再編で約三千百人、その他、契約終了、定年退職及び自然減で約二千九百人となっております。

 また、職種別の内訳についての御質問もいただいておりますが、この点につきましては、更生計画上の人員削減計画人数としては、JALグループ連結で、運航乗務職で約九百人、客室乗務職で約二千七百人、整備職で約千九百人、その他地上職で約一万六百人の削減を計画しております。その達成状況につきましては、本年十月二十二日までで、運航乗務職で約七百人、客室乗務職で約二千百人、整備職で約千九百人、その他地上職で約六千九百人となっております。

穀田委員 今の数は、この間の報道ではいろいろ言われていますが、正式に言われたのは国会では初めてだと思います。

 数字を見ますと、今お話があったように、子会社の切り離しの問題やその他地上職というところが余り数字としては伸びていない、切り離しの部分が残っているのが中心だというのが見てとれます。

 そこで、次に、早期希望退職の二次募集、目標が千五百に対して実態はどうなっているかについてお聞きします。

 まず、職種別の目標と到達はどうなっているか。職種別とは、今お話がありましたけれども、パイロット、客室乗務員、整備職、事務系地上職に分けてお答えいただきたい。もう一つは、日経新聞によりますと、希望退職ということで、その応募状況を見ますと、合計は千五百二十人に到達しているということがありますけれども、これは事実なのか。この二つについてお答えいただきたい。

河本参考人 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。

 JALグループ会社のうち日本航空インターナショナルについて、いわゆる二次募集、これは十月二十二日までに行われたものですが、これを含む約千五百人の希望退職計画について、計画と達成人数の状況はこれから申し上げるとおりでございます。

 まず、運航乗務職について、希望退職計画数としては約三百七十名、二次募集までの実績としては約二百四十名、最終募集の計画数として約百三十名でございます。客室乗務職につきましては、希望退職計画数は約六百十名、二次募集までの実績につきましては約四百七十名、最終募集計画数につきましては約百四十名。整備職につきましては、希望退職計画数が約四百八十名、二次募集までの実績が約五百二十名、最終募集については行っておりません。地上事務職につきましては、希望退職計画数が約百名、二次募集までの実績が約百十名、最終募集については行っておりません。合計で、希望退職の計画数は約千五百六十名、二次募集までの実績は約千三百四十名、最終募集の計画数は約二百七十名でございます。

 また、もう一つ御質問いただきました点につきまして、約千五百二十名の応募という点につきましての御質問ですが、休職している方など現在稼働していない方を含めると、おおよそその人数となります。

穀田委員 そうすると、日経のところと今お話あった応募数の違いの中心は、客室乗務員のところを、今常務の方は四百七十と言い、そして日経は六百五十と言う。

 六百五十という数字、これは確かなんですね。

河本参考人 その点につきましては、いわゆる頭数ベースとしては御指摘のとおりでございます。

穀田委員 頭数というのは、非常に何か、人のあれを言うときに考えなあかんと私は思うんだけれども、在籍数と言ってもいいだろうと思うんです。

 そうすると、今お話あった稼働というのはあれですか、乗務員というのは稼働時間で判断すると。というのは、一人を一人と数えないということですか。

河本参考人 いわゆる希望退職の募集数は、更生計画案に盛り込まれた事業計画を実行するための人員計画に基づいて算定した人員削減の計画数でございます。事業再生を図る上で、人員の規模は事業の規模に見合ったものである必要があり、こうした点を踏まえ、削減計画数は、実際に稼働している人の人数をベースに策定しております。このため、稼働していない休職者の方は数の対象に含めておらず、いわゆる希望退職の応募人数を集計する際にも休職者の数は含めてございません。

 なお、労働組合に対しましても、当初より、客室、乗務職に限らず削減計画数は休職者等を除いた人数にて御説明をしているところでございます。

穀田委員 では、更生計画にある一万六千人の削減というのは、当初から在籍数と違うということを今あなたはおっしゃったんですか。どこにそれを書いていますか。

河本参考人 先ほど御説明申し上げましたとおり、更生計画での削減人数の予定数は稼働ベースで算定をしてございます。その点につきましては当初よりそういう御説明をさせてきていただいておりますので、御理解をいただければと思います。

穀田委員 いや、だれも理解できないですよ。どこにそれを書いているかと言っているんですよ。人員の削減の問題について、最初から一万六千人と書いているのは知っていますよ。それが稼働ベースだなんてどこに書いているんですか。相談はいいから、どこに書いているかと言っているんだ。

河本参考人 更生計画にはその旨までの記載はしてございませんが、労働組合に対してはその旨御説明をさせていただいております。

穀田委員 公的に明らかにした更生計画の中に、一万六千人を削減すると書いている。この数字の中にもあるように、それは一人一人、パイロットについても、客室乗務員についても、整備職についても、事務系地上職についても、あなたがおっしゃっているような実績、計画の中に全部入っていないなんということをどこに書いていますか。書いたことはないですよ、一度も。

 みんな知っているのは、例えば人員削減するときに、はなから休職者は別扱いなんという、そんなことをした例がどこにありますか。そういうのを、本当に人を人と思っていないというやり方なんです。だって、三万何千人のうちの半分にすると。では、三万六千人という中に稼働の人数しか入っていないんですか。もともとの分母には稼働人数しか入っていないんですか。

河本参考人 更生計画ではその旨の記載はしてございませんが、組合及び職員の方々につきましてはきちんと御説明をさせていただいてございます。

穀田委員 聞いていることにきちっと答えなくちゃだめですよ。そのことばかり書いているメモを言ったってだめなんです。

 あなた方は、三万何千人という中で一万六千人削ると言ってきたんですよ。半分にしたいとか三分の一にしたいと言ったんですよ。では、その分母には稼働人数しか入っていなかったのかと。そして、満天下に、仮に三万六千人いるとすれば、稼働人数は三万人だ、そして削るのは稼働人数一万六千人だ、こう言ってきたのかと言っているんですよ。

古賀委員長 しばしお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

古賀委員長 速記を起こしてください。

 河本常務取締役。

河本参考人 在籍数については在籍数として御説明し、削減の予定数については稼働ベースにて御説明をさせてきていただいているところでございます。

穀田委員 今、皆さん聞いてわかりましたか。自分の説明はそうだとわかっているんですよ。あなたが説明しているのは、稼働ベースでやっているという話を何回もしているだけなんですよ。それを組合にも言ったと言っているだけなんですよ。満天下に、三万数千人というのは稼働ベースか、それを削って一万六千人とやるときに、これは稼働ベースの話だと言ってきたのかと言っているんですよ。はっきりしているじゃないか、質問の内容は。

河本参考人 三万二千とおっしゃる数字につきましては、これは更生計画で予定している最終的な在籍数ということでおっしゃっておりますでしょうか。

穀田委員 まあ、いいから。簡単に言えば、在籍数で計算してきたのか、明らかにしてきたんでしょうと言っているんですよ。

河本参考人 ですから、在籍数のものにつきまして在籍数であると御説明している……

穀田委員 考えてごらん。人数、僕は正確じゃないけれども、全日航で、全体で何万人いる、これを何万人にしますと言っているときに、分母もあるでしょう、削る分の分子があるわけでしょう。分母も分子も、満天下に、国民向けに、これは稼働でやっているんですということを言ってきたかと言っている。言ってきていないでしょう。言ってきていないか言ってきたか、はっきりしろと言っているだけじゃないか。(発言する者あり)

河本参考人 その点については明示はしておりません。

穀田委員 今質問ありましたように、これを人員削減するというときに、何百人という人数を出した。ところが、休職者だとかそれから欠員になっている人たちなんかを含めてやるんじゃなくて、千人在籍しておられる、このうち五百人削ると言っているので五百人を募集した。応募している中に休職者があったらそれは除外よ、こういうやり方はないでしょうということを言っているわけです。

 だから、最初、分母も分子も在籍数で計算しながら、少しやり方を、ちょっとうまく出てこないといったら、それは、削るために在籍だとか在籍でないという区別をして、休職者は最初から省いてしまう、そんな世界がどこにありますか。休職者といったって在籍なんですから、その人たちを含めて応募したら、あなたはだめよ、違うよというような話、そんな世界がどこにありますかということを言っているわけです。

 これは、こういうやり方を含めて、要するにどんなことを言っているか。だから、現場でいくと、やはり出ているんですよ。稼働ベースの人数でいけば、フル稼働は一カ月丸々乗務している人を一名として計算する、休職者はゼロと計算する、部分就労は〇・五で計算して、今度は、達成の分子だけはそれではかる、分母は最初から、おられる方をしている。こんなあほなことがあるかと言っているわけです。だから、組合の方々も、説明した、説明したと言っておられるけれども、そんなことを当初から広く天下にだれも言っていなかったでしょうというふうなことで怒っているわけであります。

 そして、私は、全体の数字から見れば、一万六千人という数字から見れば、達成されていない数字はごく微々たるものですよ。一万六千人の中の、そちらから言わせれば二百数十名ですよ。たったそれぐらいの数字なのに、もともと計画遂行期限というのは、十一月末ではなくて三月末のはずです。

 しかも、私は前回、国交大臣所信質疑で指摘しましたが、退職強要がやられていると。それについては、認識の問題はいろいろあったとしても、事実を私は何度もお知らせしました。一つは、整理解雇をちらつかせるやり方。二つは、退職に応じないと仕事をさせない、パイロットや客室乗務員を乗務させない。三つに、繰り返し複数回にわたって執拗な面談を行う。四つに、退職勧奨対象者の構成問題で、パイロットでは退職勧奨対象者は五十五歳以上がほとんど、客室乗務員も同様だ。以上のような問題点を前回私は述べました。

 さらに調べると、その対象者の実際を見ると、組合つぶしと言われても仕方がない指名解雇的やり方だと組合から批判が上がっている現状であって、私、全く許せないと思うんです。

 大臣、報道されているような整理解雇、これを認めるおつもりかどうか、最後にお聞きしたいと思います。

馬淵国務大臣 報道で上がっていることは承知しておりますが、現時点においては、これはまだ応募状況の集計中だということであります。これらを正式に分析した上で今後の対応を検討すると聞いておりますので、現時点において、お尋ねの件は仮定の話でございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 いずれにしましても、日本航空が再建をしていくためには、こうした労使問題をしっかりと解決していかなければ、当然ながら、健全な経営などは望めません。私は、そのことも踏まえてしっかりと取り組んでいただけるということで、推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 中途でいろいろ時間が飛びまして失礼しましたけれども、私、人が人として存在しているのを、在籍している人たちをどうするかという話をしているときに、首を切るときは、休職者が応募したらあなたは数えないよというような話、そんな世界がどこにありますか。それを満天下に公表もせぬと、そして組合にだけはそんなのは初めからなっているんだなどというような話をしてやっていこうとする。こういうこそくなやり方、しかも、日本政府が関与している事態のもとでこんなことが行われているというようなことは、私は全く許せないと思うんです。

 大臣がおっしゃるように、再生というものを目指している点とすれば、もし整理解雇すれば安全がさらに脅かされる。大体、整備職は先ほどお話があったように既に人員不足になっておって、現場に聞いたらわかりますけれども、サービス残業しないと追いつかない危険な状況です。そして二つに、整理解雇すれば、労働者のモチベーション、コミュニケーションが一層低下する。そして、今あったように、三つに、労使できちんと話し合ってとありましたけれども、再建JALの信用に傷がつく。

 そして、私は、先ほど述べましたように、日航というのは、山崎豊子さんが書いているように、「沈まぬ太陽」でも指摘されているように……

古賀委員長 穀田委員、時間が過ぎておりますので、よろしくお願いいたします。

穀田委員 わかっています。

 闘う労働組合、活動家に対する不当労働行為を平気でやってきた前歴があります。そういう体質が今回の破綻を引き起こした要因の一つだと私は思います。ましてや整理解雇など断じて許さぬということを述べて、質問を終わります。

古賀委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社民党の中島隆利でございます。

 本日は、港湾関係を最初に質問、そしてまた大臣に冒頭にと思いましたが、中座されますので、二点目の方から質問をさせていただきたいと思います。

 来年、港湾法の改正が予定をされております。そこで、この問題を取り上げるために、我々社民党は博多港を視察しまして、本日、私は、何点か質問を予定しております。

 そこで、二点目の、民営化に当たりまして、港湾の公共性の関係について副大臣にお尋ねしたいと思います。

 博多港を先日視察いたしました。ここはもう既に、平成五年でしたか、第三セクターで運営をされております。福岡市が資本五一%を保有、残りの四九%を民間会社が保有する株式会社の形態で埠頭会社を運営しております。民営のメリットは、機械設備の投資やあるいはメンテナンスが効率的に行われており、利用料金の設定も比較的自由度が高いということが挙げられておりました。現行体制のまま、すなわち市が株式の過半数を保有していても問題は生じておらず、重要なことは、官と民そして港湾労働者、この三者が、すなわち官民労ですね、この連携でしっかりと行うことが必要である、こういうことも申されておりました。

 この点、参入する民間会社が株式の過半数以上を占めるということになりますと、極端な場合は、自由化されますと、これは想定されることもあると思いますが、外国資本が日本の埠頭設備を牛耳る、こういうことにもなりかねないのではないかというふうに危惧をするわけであります。

 特に島国である日本の場合、資源、産業あるいは生活物資の約九割を海上輸送に依存しているわけであります。国民の生活に直結をしている。公共性が必要でありますので、とりわけ今回の民営化を構想するに当たって、港湾の持つ公的機能の維持とどのようなバランスを考えられておるのか、あるいは、大口株式保有者への規制をどういうふうに考えておられるのか、その点をまず副大臣にお尋ねいたします。

三井副大臣 ただいま委員から御質問ございましたように、来年度におきまして、通常国会で港湾法の改正法案を提出することを検討しているのは今お述べになったとおりでございます。いずれにしましても、外国資本なり、いろいろな問題が出てくるかと思います。その中で、やはりこれからの港湾民営化についてはきちっと制度設計をしたい、こういうぐあいに我々は検討しているところでございます。

 公共性についてでございますけれども、いずれにしましても、御存じのとおり、日本は海に囲まれているわけですから、そういう中で、物流の根幹を担うという意味では重要な海洋インフラ、また、国民共通の公共財であるということを認識しているところでございます。

 また、我が国の港湾管理制度においても、地方公共団体等が港湾管理者として港湾の適正な管理を行う制度となっているところでございます。

 港湾経営民営化の推進に当たっては、港湾経営会社に対する監督や、今お話がございました大口株式保有制度についてもしっかりとした措置を講じて、港湾の公共性を確保するようにいたしてまいりたいと思っております。また、港湾管理者においても、港湾を適正に管理していくことが必要かと考えております。

中島(隆)委員 質問が前後になりましたが、冒頭に大臣に、この民営化の内容、民間の資本の株式保有率等について基本的な考えをお尋ねする予定でありました。

 特に、選択と集中で港湾の見直しが今回も行われました。民営化することによって、競争力の強化、メリットの半面はありますが、そこに働く港湾労働者の労働条件に与える影響が非常に大きいわけでありまして、このことについて、先進的な第三セクターで経営されている博多港を見てきょう質問したわけですが、大臣に、港湾経営の民営化の概要、今後どういう形で考えておられるのか、あるいは民間資本の参入について、その観点について大臣の御回答をお願いいたします。

馬淵国務大臣 今回、この民営化につきましては、いわゆる公設民営化の考え方をもとに港湾経営の業務に民の視点を取り込み、さらには、一体的経営を実現するために、港湾ごとに限って港湾経営会社制度を創設するということを主な内容としております。これは、法案として次期通常国会に提出を検討しているところでございます。

 私も民間経営がすべてよしとするわけではありませんが、一方で、公的セクターによる経営というものが、いわゆる収益を高めていこうとするインセンティブに欠けるのではないか、あるいはガバナンスにおきましても、競争という中の、極めて進取の、新しいものを取り入れる姿勢というものがおくれてしまうのではないか、こういった懸念が示される中で、今回の民営化ということを一つの大きな柱として掲げているわけであります。

 もちろんこれは、民にすればよいということではなく、市場というものをしっかりと見る目を与えていくんだ、つけ加えていくんだという観点でございますので、今後も、私どもとしては、制度を変えたからよいというわけではないというふうに思っております。

 民間資本の参入というものが十分になされて、さらに、民営化の制度設計というものを、十分にガバナンスがきくように、あるいは市場の中で競争力がしっかりと働くようにということも踏まえての議論を進めてまいりたい、このように考えております。民間資本の参入、これはなかなか簡単に手を挙げてくれるということにいかないかもしれませんが、私どもとしては、まずは制度をつくること、法的な体制を整えることが第一義だというふうに考えて取り組みをさせていただいている次第であります。

中島(隆)委員 特に港湾に働く労働者の皆さん方は、港湾労働法によって、港湾の重要性あるいは安全性も含めて労働者の保護がなされているわけです。しかし、これが民営化になりますと港湾労働者にどのような影響を与えるのか、非常に大きな問題でございます。その点がどうなのか。

 それともう一つは、港湾に働く皆さん方は、一月一日の正月だけを除いて三百六十四日、二十四時間稼働というのが、大きい港はほとんどそういう稼働であります。そういう面で、日本の場合、三交代制ではなくて一直制のままで今行われています。外国等ではそれぞれ港湾の三交代制の導入も行われているわけでありますが、こういう港湾労働者の労働条件が安定するための施策が必要ではないかというふうに思います。これについて副大臣の方からお考えをお尋ねいたします。

三井副大臣 今大臣からお述べになりましたように、特にこの民営化においては、やはり集荷力の強化ですとか、あるいは質の高いサービスを提供できる、こういうぐあいに考えております。

 また一方では、今お話ございましたように、すべて民営化がいいというだけではございません。また、国際競争力という意味でも、これから我が国発着のコンテナ貨物を我が国港湾に取り戻していく、釜山港から私たちは取り戻していこう、こういうことを考えているわけでございます。

 特に、労働者の問題についてお話がございましたけれども、二十四時間については、大変きつい労働になるということも私たちは承知しております。特に今、民営化によって港湾の利便性ですとかそういうことを積極的に進めて、さらに、労使間の協議を通じて就労条件の維持とか改善に向けた取り組みがなされるように促しているところでございます。

中島(隆)委員 今後、法案を来年の通常国会に出されて検討されるということでありました。先ほど博多港の例を申し上げましたが、第三セクターで、株保有が、市が五一%以上保有ということで、官の港湾運営に対する責任を果たされる環境をつくっておられるわけであります。特に、そこで視察でありましたように、官民労、やはり港湾労働者がいかに安全に働くか、そして港運に貢献できる環境をつくるか、これが一番前提だと思いますので、株保有の問題も含めて今後慎重に検討いただきたいと思います。

 そこで、港湾の関係三点目でございますが、港湾労働法の適用が、六大港、大規模の港湾、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門、これが労働法に定められております。しかし、それは現業労働者だけに限定をされているわけであります。それから、六大港以外、百数十あるわけですが、六大港以外の地方港であれば、事務職あるいは検査職、こういう港湾労働者がたくさんおられるわけでありますが、港湾労働法を適用外の港あるいはすべての職種に適用すべきではないかというふうに思っております。

 それから、港湾運送事業法施行令でありますが、これの指定港も限定されています。特に、指定されていない港がたくさんございますし、今回重要港湾に指定をされました四十三港の中でも七港が指定をされていない、こういうことでございます。

 この指定港をすべて考え直す必要があるのではないかというふうに思いますが、労働法あるいは港湾運送事業法の指定についてお尋ねをいたします。

山田政府参考人 港湾労働法を全港、全職種に拡大すべきではないかというお尋ねでございます。

 私ども、労働政策審議会という審議会がございますが、その下部組織に港湾労働専門委員会というものがございまして、これは港湾労使も参画をしている専門委員会でございます。

 そこで出された報告書の内容をちょっと御紹介したいと思いますが、適用港湾の範囲について、

 港湾労働法に基づく港湾労働対策をどの港湾において実施すべきかについては、港湾の荷役量、港湾労働者の数等を考慮しつつ、国民経済に占める港湾の重要性又は港湾における必要な労働力の確保その他港湾労働者の雇用の安定等に関し、特別の対策を講ずる必要性が高い港湾であるか否か、関係労使の合意が得られている港湾であるか否かといった点などを勘案して決定すべきものである。

というくだりと、

 その範囲の変更について関係労使の合意が得られていない状況にあることなどから、当面、現行通りとし、港湾労働を取り巻く諸情勢の動向や関係労使の合意形成の進展を見極めつつ、引き続き検討していくことが適当である。

こういう報告書の内容になってございます。お尋ねの適用職種についても、やはり、関係労使の合意が得られるかどうかというところが判断の基準であるというくだりがございます。

 こういった報告書もございますので、我々としては、この報告書の趣旨を踏まえまして、現状ではなお関係労使の合意が得られていない状況にあるということから、引き続き検討していくことが適当であるというふうに考えております。

中島(隆)委員 先ほど指摘しましたように、重要港湾の中でもまだ指定を受けていない、あるいは大規模の港湾でも指定を受けていないところがたくさんあるということでございます。基本は労使の協議ということでございますが、特に、働く港湾労働者が安全に、そして港湾が正常に機能するためには、こういう労働法適用が当然必要だというふうに思いますので、今後、指定の方向で検討、十分考慮していただきたいというふうに思います。

 それでは次に、JALの問題で質問させていただきます。

 これについては、ただいま前段にも再三質問がございました。希望退職千五百二十名、目標をほぼ達成しているという状況も報告がございました。

 しかし、問題は、希望退職を募る日本航空の労働組合、働く方々に対する対応が大変深刻な問題を起こしております。特に、病欠をしたり、体調が悪く休まれた方を対象にするとか、あるいは年齢の高い人を名指しで希望退職の面談をする。最近は、新聞報道にもございますが、整理解雇をも視野に入れながら説得をする。こういう状況があっているようであります。私も先日、航空労働組合の方々の現状をお聞きいたしました。大変な精神的な負担、あるいは、安全問題を含めて大変な危機的な状況をお尋ねしました。

 そこで、大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、十月八日に航空労働組合が馬淵大臣に要望をされています。日本航空の異常な希望退職募集の実態が訴えられて、指導強化を要求する要求書が出されております。これについて、さきの十月二十六日の国土交通委員会での馬淵大臣の答弁では、事実かどうかについては詳細を把握していない、こういう御答弁がございましたし、もし違法があれば厚生労働省で監督されるべきだと、非常に他人事のような答弁がなされています。

 十月八日、労働組合から指導強化要求が出されておりますが、これについての事実と、それから、現場の状況についての実態把握をどの程度されているのか、改めて大臣にお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、田村(謙)委員長代理着席〕

馬淵国務大臣 前にも申し上げましたが、日本航空はまさに更生計画のさなかにあります。当然、労使関係も適正に対応されなければならない状況にある、このように考えております。

 さまざまな報道が上がっておりますが、具体の事実についても、もちろん、日本航空側が、労使関係並びに経営再建に向けた多くの国民の皆さん方のコンセンサスというものを得られるような行動というものが問われていると思います。

 私どもは、国交省として所管する立場として、更生計画案にのっとって取り組みをしている日本航空、この今後の推移を見守るという立場、これ以外にないと思っておりまして、先ほど来、他人事のようだ、このように御指摘がありましたが、あくまで、現在、裁判所所管における更生計画の認可を待っての事業再生の渦中にある企業でありますので、私どもが何らかの手だてを加えるということは、むしろ、この更生計画が認可される過程において何らかの作用を及ぼしてしまうことになりかねないと思っております。

 違法性があるとか具体のものがあれば、これは当然ながら適切に対処ということも求められると思いますが、現時点においては、私どもへの報告は、繰り返しになりますが、日本航空としても、この人員削減も経営再建のための大きなステップの一つであるということで、そのことの報告を受けておるゆえ、推移を見守ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。

中島(隆)委員 更生計画中ではあるわけでありますが、しかし、私は、航空行政の最大の課題は航空運送事業者の安全の確保であると思いますし、この管理こそ国土交通省の重大な責任だというふうに思っております。

 特に、航空法第百三十四条に、安全監査立入検査の項がございます。これは、航空運送事業の安全の確保を国土交通省が監査する任務であるわけですが、運航の安全確保に係る日常業務の現状を的確に把握し、実態を踏まえた監督指導を行うために行う。しかもそれは、検査の視点は、要員の配置あるいはその資質の適切性がその監査の指摘になっています。

 先ほど、十月八日の組合の指摘の文書の中にも、まさに退職の強要、精神的な負担で、この前聞いた話では、家族が命も絶たなければならない、こういうところまで追い込まれている、ヒヤリ・ハット事故も含めて大変な状況である、こういうことまで述べられております。

 そういう状況の中で、この百三十四条における航空の安全監査立入検査、責任があるわけでありますが、これについて、そういう状況に対しての実態把握を今後なされる意思があるかどうか、お尋ねをいたします。

馬淵国務大臣 国土交通省としましても、制度にのっとった適正な検査というものについては適宜行っております。当然ながら、その検査の過程の中で違法行為あるいは不当行為があれば、これは監督官庁としてしっかりと対応していかねばならないと思っております。

 繰り返しになりますが、現在、こうした更生計画案、その中での再建をしようとしている、再建の過程の中の日本航空のガバナンスについても、そのものがまさに問われているわけでありまして、労使関係への適正な配慮並びにこうした人員削減に対する取り組みというものが日本航空の再建の大きな使命として一つあるものだと私は思っておりますので、私どもとしては、その推移を見守るということに尽きると思っております。

中島(隆)委員 人員削減については、更生計画を受ける中で、労働組合の皆さん方も希望退職に積極的に応じておられますし、そういう対応もされております。しかし、対応が異常な状況で、職員のまさに精神的な負担、あるいは安全面で大変な問題が生じつつあるという報告もあるわけでありまして、特に安全管理を、航空事業の問題については安全が基本でありますし、そういう状況がございますので、この実態把握については、ぜひひとつ、監視だけじゃなくて、実態の把握をしていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、ダム問題の質問をさせていただきます。

 これも前段質問がありましたが、八ツ場ダムの問題であります。これは、先ほど説明がありました、中止に言及しないと。これは、予断を持たないことだからという括弧つきがあるんですが、中止に言及しないということを改めて言われたということは、それでは建設をするのかというふうにとられるわけでありまして、ダムによらない治水を進める前原大臣あるいは民主党のマニフェストからしますと、一歩後退かなととれるわけであります。

 私は、中止の明言や、あるいはつくるということを含めて、これは中止の方向だけを言われることではなくて、こういう表現をされたことについてもう一度その趣旨をお尋ねしたいと思います。

馬淵国務大臣 中止の方向性、そしてもう一つ、予断を持たずに再検証、これについては、当委員会でも、御議論として、意見として、矛盾に満ちてはいないかといった御提言や、あるいはどちらなのかといった質問等、再三にわたり前大臣にもされていたかというふうに思います。

 その中で、私どもとしては政策転換を図ってきたのだ、そして、具体的なプロセスとして、有識者による、できるだけダムによらない治水、これは利水も含めますが、その検証の枠組みをつくり、改めてそのステージに上がったということでありますから、私は、一切の予断を持たずに再検証という、本来皆様方からの御議論にあった、私はそのステージに上がったというふうに思っております。

 今後は基本高水の見直しも行うわけでありますから、八ツ場に関しましては、建設推進派の方々あるいは反対派の方々も含めて幅広く意見を出していただき、また、検証の過程も透明性を持ってプロセスを提示してまいりますので、十分な御議論の上での結論が得られるというふうに思っております。

 繰り返しになりますが、今この時点で中止の方向性ということを私自身がもう言及しないと言うことによって、より一層予断を持たずということが改めて示される、このように考えております。

中島(隆)委員 時間も来ておりますので八ツ場ダムの問題については終わりますが、これについて、先ほど穀田議員からもございました。八ツ場ダムについての最大流量の観測の資料が確認されないとか、あるいは流域分割図、流出モデル図が公開できない、こういうことが表明されていますが、今申されましたように、やはり検証の段階で、ダム賛成、反対、やはり両派、あるいは学識者も入れて、本当に納得のいく検証をぜひしていただきたいというのを要望しておきます。

 最後に、川辺川ダムの検討の問題であります。

 これも再三質問させていただいていますが、全国のモデルとして、熊本県知事も、あるいは流域五木村も、この生活再建を具体的に進めていただくという方向で、ダム中止の、納得する方向で今見直し、検討がされています。国、県、流域市町村で今検討されているわけです。現場、地元の皆さん方の意向は、国の方の対応はスピード感を上げてやってほしい、全国のモデルとしてダムによらない治水の検討を早く進めてほしい、こういう要望があるわけですが、これについての現状と今後の取り組みについて、大臣の決意をお願いいたします。

馬淵国務大臣 川辺川ダムにつきましては、昨年一月に県と共同で設置した、ダムによらない治水を検討する場、これを八回開催いたしました。こうして議論を重ねてまいっております。さらに、本年七月に、県と五木村で、五木村の今後の生活再建を協議する場、これについても三回開催しております。今後も引き続きこうした協議を真摯に進めてまいりたいと思っております。さらには、スピードアップも当然ながら図ってまいりたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、今後の他のダムの検証にも大きな影響を与える課題でありますので、ぜひ全国のモデルとして推進していただきますよう心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田村(謙)委員長代理 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、尖閣ビデオ流出事件についてお伺いをいたします。

 尖閣諸島の衝突事件、その映像を写したものがインターネットのユーチューブで流出をした、そしてそれを流出させたと言っているのが神戸海保の職員の方だった、こういう形で今事件として捜査が進んでいるわけであります。大変衝撃的な出来事だというふうに思います。結果として、非公開にしてきたビデオが、非公開という判断をした政府の足元から漏れてしまった、大きな、ゆゆしき出来事だと思います。

 まずお伺いをいたしたいと思いますが、神戸海保の職員が今取り調べを受けているわけですけれども、この方が船上で私がやりましたと自首した後、菅総理は次官らを集めて、情報管理の徹底をということで指示をされておられます。これを受けて、馬淵国土交通大臣は省内に対して情報の管理等に関して改めて指示などをされたかと思いますが、どのような指示をお出しになられたのか、お伺いをしたいと思います。

馬淵国務大臣 尖閣諸島沖衝突事件の映像が流出したということを受けまして、菅総理が十日夜に、総理官邸に各省事務次官らを緊急に招集して、綱紀粛正と情報保全のあり方を検討する指示がございました。私は、役所の方に残っておりまして、会議終了直後に事務次官及び海上保安庁長官から総理の指示についての報告を受けました。そして、その場にて私からは三点指示をしたところでございます。

 一点目は、海上保安庁全体における情報管理を改めて徹底すること。二点目は、尖閣ビデオ流出事件の捜査に関し、捜査当局に全面的に協力すること。三点目が、引き続き現場の海上保安庁職員はしっかりと職責を果たし、業務に精励することでございます。

 海上保安庁におきましては、この私の指示を踏まえて、長官から本庁各内部、また全管区海上保安本部等の長に対して緊急通達を発出した、このように聞いております。

柿澤委員 十日夜の菅総理からの各省庁事務次官を集めての情報管理に関する指示を受けて、馬淵大臣も事務次官また海上保安庁の長官をお呼びされて、海上保安庁においては情報管理の徹底、そして捜査への全面的な協力、また現場においては職責を果たして業務に精励してほしい、こういうことを指示されたと。その上で、鈴木海上保安庁長官から、指示の通達を現場にも流されたということであります。

 自分の足元から情報が流出して、情報管理の徹底が総理から指示をされ、大臣みずからも部下に指示をしていた、その上で情報管理ができていなかったとしたら、それはだれの責任になりますか。大臣、お答えください。

    〔田村(謙)委員長代理退席、委員長着席〕

馬淵国務大臣 現在、事実関係も含めて、捜査の過程にあると思っております。

 これも、繰り返しになりますが、こうした情報が流出したということについては、総理が内閣の代表としての責任を持つ、このようにおっしゃっておられます。私も同様に、こうしたことに対して、まずは徹底した情報管理、これは繰り返し申してきたわけでありますが、そのことをさらに伝え、再度、捜査への全面協力と再発防止ということにおいての私の責務を果たしてまいりたいというふうに考えております。

柿澤委員 もう一度お伺いをいたします。

 徹底した情報管理を馬淵大臣も指示された、その上で情報管理が徹底できていなかった、こういうことがあったとすれば、これはだれの責任ですか。お答えください。

馬淵国務大臣 国土交通省全般に対して私がこの指示を出し、さらに海上保安庁に対しては長官に対し指示を出し、さらにその捜査機関である海上保安庁におきましては長官からの徹底指示ということがなされております。今後、私どもとしては、この捜査において全面協力をすることによって、徹底的な事実の究明と再発防止に努めるということでございます。

 情報管理というものは、まさにこれから、その情報保全システムのあり方というものが問われておりますので、政府全体として新たな取り組みをする、このような御指示がございました。今後は、この御指示に基づいて取り組んでまいる所存でございます。

柿澤委員 いろいろるるお答えになられましたけれども、国土交通行政を統括される国土交通大臣が責任を負われる、こういう趣旨のお答えがあったというふうに理解をいたします。

 この事件が起きて以降、ビデオの流出の作業を行ったとされる漫画喫茶、ここをマスコミの皆さんが突きとめて、事件の捜索直後から前にカメラを並べているじゃありませんか。そして、私も古巣ですけれども、NHKのニュースの記事では、海上保安庁の関係者への取材から明らかになったとして、次々この事件にかかわる事実が報道されているではありませんか。

 十一月十一日、NHKです。事情聴取を受けている海上保安部の海上保安官は、衝突事件の映像を流出したと巡視艇の船長に打ち明けた際、罪を犯した認識はないと話していたことが、海上保安庁関係者への取材でわかりました。そして、産経新聞。これに関しては、証拠などの重要資料のデータを保管するパソコンにパスワードなどのアクセス制限がかかっていなかったことが、海上保安庁関係者への取材でわかった。

 情報管理の徹底を指示されて、NHKのニュースに至っては翌日です。翌日、海上保安庁関係者への取材でわかった、こういう記事が報道されている。しかも、今取り調べを受けている方が、罪を犯した意識はない、こういうことを言っていたんですよということを話しているじゃありませんか。全く情報管理の徹底などできていないではありませんか。

 このことについて、馬淵大臣、先ほどの御答弁を踏まえて、どのようにお感じになられますか。

馬淵国務大臣 事実をしっかりと御認識いただいた上での質問をしていただきたいというふうに思うんですが、漫画喫茶の撮影等々、お話がございましたが、これは、警視庁あるいは東京地検において、捜査機関の手によって今捜査がなされております。したがいまして、現時点においては、私どもは捜査という状況には、ここはかかわっておりません。あくまで協力をするという状況であります。こうした中で、どのような過程で情報がマスコミにということについては、私どもとしてはお答えする立場にありません。

 繰り返しになりますが、捜査情報というのは私どもにも秘匿されております。これは、だから、まさに委員に申し上げたいのは、事実の解明こそがまずは急務であるということなんです。残念ながら、事実に基づいて質疑をしていただいていない。報道によればということであれば、私は、そのことは報道ベースですとお答えする以外にないんです。

 私は、報道による質疑をとやかく申し上げるつもりはございません。それ以外になかなか情報が入らないというのも、野党の立場では事実だということをよく承知しております。しかしながら、それが事実だと決めつけて質疑をされるのはいかがなものかと思います。私自身は、そうしたことの事実かどうかの確認をされるべきであり、もしそのような確認をされれば、事実でない、あるいは、現時点において捜査機関による情報のゆえ、私どもとしてはお答えする立場にない、このように申し上げるのが本来の筋である。

 繰り返しになりますが、委員が御自身の思いで、それこそ、この国会の委員会の中の皆様方、あるいはこうした委員会を通じて発信をされたいという思いでいらっしゃることも、それも私は否定をいたしませんが、質疑という立場で申し上げれば、質問をいただいて、そのことについてお答えするということになります。繰り返しになりますが、報道によるものについては、私どもは承知をしていない、このようなことしかお答えができないということを御理解いただきたいというふうに思います。

柿澤委員 捜査機関が捜査をしていることについては、私たちは存じません、それはそうでしょう。だから、私は、海上保安庁関係者への取材でわかった、そういうことを記事として引用させていただいているんです。

 そして、私もNHKで記者をやっていましたからわかりますけれども、海上保安庁関係者への取材なくしてこんな記事を報道するはずないんですよ。それがもし間違いだ、事実無根だというのであれば、NHKを抗議するなり訴えたりすればいいじゃないですか。

 さらに言えば、こういう報道が行われている、情報管理の徹底を馬淵大臣みずからが指示をした翌日に報道されているんですよ。内部調査をされたらいいじゃありませんか。そういうことをやらないで、事実かどうかわからないじゃないか、報道をベースに質問するのはおかしい、どうしてこんな話になるんですか。(馬淵国務大臣「おかしいとは言っていないですよ」と呼ぶ)理解ができるけれども、それでは不十分だ、こういうような話だったと思います。

 いずれにしても、情報管理が問われているときに、海上保安庁のクレジットで次々この事件にかかわるニュースが流れている、このことについて馬淵大臣は何もお感じになられないんですか。報道機関が悪い、こういうことなんですか。

馬淵国務大臣 言葉は正確に聞き取って、正確に使っていただきたいですね。

 私は、先ほども、報道によっての質問はおかしいとは申し上げておりません。そのことも私自身は野党時代に何度も行ってまいりました。報道によれば、これは事実かと尋ねて、そしてそれに対しては事実でないという答弁を引いて、さらにみずからの思いを伝えながら質疑を繰り返す。

 繰り返しになりますけれども、私は報道によるものについては承知もしておりませんし、捜査上の中での情報については、一切私どもが知る立場にありません。そして、このような状況の中で指示を出した、情報の徹底管理の指示を出しました。そして、出した端から漏れているというのも、委員のあくまでも御自身の意見としての御指摘であります。報道で上がっているという事実は承知をしておりますが、それが具体にどこからどのように、取材あるいは違った方向で漏れている、あるいは伝えられたかということもあわせて、現在捜査機関の中での捜査の過程にあります。

 私どもとしては、立場として、徹底的にその情報管理を伝えること、さらには、政府全体として情報保全システムの構築に対する有識者の検討会の立ち上げが表明されたわけでありますから、国土交通省として、持てる知見をすべて集約して、そして新たなそのシステム構築に取り組むべきであり、また一方で、独立した捜査機関たる海上保安庁は、また独自の知見を持って、こうした情報漏えいを防ぐシステムの構築に徹底的に取り組むこと、これがすべてであります。

 先ほど来、端から漏れていると御指摘がありますが、私どもとしては、その漏れているかどうかも含めた事実がまさに捜査の過程の中で明らかになるということだと思っております。申しわけありませんが、報道の中身について私どもがすべてを承知しているわけではございません。

 そして、報道に対しても抗議をせよ、こういう御意見をいただきました。なぜ抗議をしないんですかといただきましたが、私どもとしては、報道機関に対して、何か誤報があったとしても、これが直接的に公益を著しく損なうものでなければ、報道の自由というものを重んじているつもりでございますし、今後も報道のあり方に対しては、私どもなりに判断をして、適切な場面で適切な対応をさせていただくというふうに考えております。

 今日においては、私どもとしては、捜査機関の手によるものでありますから、まず捜査の手でしっかりと事実解明をしていただくこと、これがすべてであると申し上げたいと思います。

柿澤委員 それは全く違いますよ。捜査の話は捜査の話でしょう。これは、情報管理の徹底を指示した、その海上保安庁が、それは見方はあるでしょう、主観だと言われればそうかもしれませんけれども、しかし、マスコミに対してそのそばから情報を提供しているかもしれない、こういう話でしょう。これに関しては、情報管理の徹底を指示したそばから漏れているという問題が一つある。それと同時に、指示を受けた国土交通省なり海上保安庁の方々がその大臣の統制に服していない、こういう問題にもなるというふうに思うんです。これは重大な問題だと私は思うんですよ。

 これ以上答弁を求めてもまた結局同じことを言うだけでしょうから、もう答弁は求めませんけれども、情報管理の徹底を指示しながら、こうやって情報流出がまた海上保安庁の足元で起きているかもしれないケースについて調査もしない、事実でないとするなら、その報道をした報道機関に対して抗議もしない、全く無責任ではありませんか。大臣としての職責を全く果たしておられないというふうに思います。

 次にお伺いをいたします。

 この衝突ビデオ、もともと非公開にしたこと自体が私は間違っていたというふうに思いますが、この衝突ビデオの非公開を最終的に決定したのはだれなんですか。教えてください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 検察当局と私どもが協議をして決定をいたしました。

柿澤委員 海上保安庁は、当初、マスコミ公開用に何か五分ぐらいのDVDをつくって、それをコピーして配る準備をしていた、こういうふうにも言われております。そして、それがとめられて廃棄処分になった、こういうことが言われています。事実ですか。お伺いします。

鈴木政府参考人 衝突事件発生直後、政府部内で関係者に視聴していただくために約五分のDVDを作成した事実はありますが、これは公開を前提としたものではございません。

柿澤委員 私は、これは、パスワードをかけていないとか機密管理が甘いとかいろいろなところにあった、こんなことが今言われていますが、そういうことよりも、要するに、当初は海保としては非公開にするつもりがなかったんじゃないかというふうに思うんですよ。

 現に、例えば平成十三年十二月の九州南西海域不審船事案、いわゆる不審船事件ですね、このときは、この映像を積極的に公開しているではありませんか。平成十三年の不審船事件では、では、なぜ積極的にビデオの公開を行ったんですか。このときは、相手との銃撃戦まで写っているんですよ。なぜこのときと今回で対応が違うんですか。お尋ねします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年の九州南西沖不審船事案におきましては、この工作船に対しまして、最初は上空、続いて海面、それから最終的には船体への威嚇射撃を行いました。船体への威嚇射撃というのは、船首と船尾をねらって、乗組員には当たらないようにするための威嚇射撃でありますが、そうしましたところ、最終的には向こう側が、工作船側が銃撃をしてまいりまして、これに対し我が方の巡視船が正当防衛射撃を行ったところ、相手側は自爆して沈没するといった事案でございました。これは極めて異例な事態でありましたので、私どもとして積極的に公開すべきであると考えた次第であります。

 それから、今回の事案でございますが、これにつきましては、まだ刑事処分がされていない段階にあったこと、海上保安庁における海上警備・取り締まり活動の秘匿性や映像に記録された関係者の名誉、人権の保護に配慮する必要があることから、海上保安庁と検察庁が協議をして、刑事訴訟法第四十七条に基づき公開しなかったものでございます。

柿澤委員 刑事処分が云々という話がありましたけれども、いいですか、この平成十三年の不審船事案のときは、発生した十二月二十二日から二十四日にかけて、長官の指示により、送信されてきた映像を抜粋、編集する形で広報ビデオをつくって、それをマスコミに提供している。この段階で、刑事処分が下ったわけでも刑事捜査が終わったわけでもないはずなんですよ。だから、今回と前回で対応が違う理由は、先ほど御答弁をされた、異例だったという一つしかないと思いますけれども、今回は異例の対応ではなかったということを鈴木海保長官はおっしゃったんですか、ちょっと信じられませんが。

鈴木政府参考人 今回は、中国漁船が尖閣諸島周辺海域で我が方の巡視船にぶつかってきたという、ケースとしては初めてでありますが、通常の公務執行妨害事件として処理すべき案件だと考えておりまして、北朝鮮の不審船、工作船事案とはまた別の話であると考えております。

柿澤委員 そういう御答弁をいただくというのは、とても信じられないと思います。

 次に行きます。

 職員の自首が報道されて以降、海上保安庁または国土交通省に一般からの電話、ファクス、メール、こうしたことが多数寄せられているというふうに聞いております。その内容、当該職員を擁護する内容あるいは非難する内容、いろいろあるでしょう。また、国土交通大臣、総理、官房長官、こうした方々の責任を問う内容、いろいろあるでしょう。それぞれどのぐらいあったか、お伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 十一月五日以降、本庁に対して、電話が約千件、メールは二千三百件寄せられておりますが、さまざまな御意見がございまして、さらに一つ一つ文章形式で来ますので、それを一律に分類することはいたしておりません。

柿澤委員 これは当初、数を発表しておられたのではありませんか。なぜ今、内容については一切の言及がなくなるということになってしまったんですか。お伺いします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、電話が千件、メールが約二千三百件という状況でございまして、これを一律に区分けをして分類する、御意見の内容もさまざまな表現を使われておりますので、こういう作業は今いたしておりません。

柿澤委員 都合の悪い結果が出ているから隠している、こういうふうに解釈せざるを得ないというふうにも思います。

 さて、時間も残り少なくなってまいりました。ほかの事項もちょっと質問したかったんですけれども、残念です。

 馬淵大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 今回自首した海上保安庁の神戸海保の職員の方、この方は、それこそ報道によればですけれども、罪を犯したという認識はない、国民が見るべきビデオで、そのためにやった、こういうことを、御自身も何かテレビの取材を受けてお話しになられているし、さまざまな形でニュースで報道をされています。

 いずれにしても、馬淵大臣が所管をする海上保安庁の職員が、こういう形で自首をして、今取り調べを受けているわけです。この職員に対して馬淵大臣はどのような感情を抱いておられますか。それをちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

馬淵国務大臣 まさに今、捜査の過程の中で取り調べを受けている、しかもこれは任意の取り調べでありますから、今まだそういった状況の中で、職員であることは事実でありますが、私の心象風景を申し上げる立場にないと思っております。

 一方で、こうした取り調べの中で、仮にその者の故意によって流出されたということであれば、流出経路、経緯、また動機も含めて、事実が捜査によって明らかにされること、これが最も重要であると考えております。

柿澤委員 今回のことは、私は、ビデオを非公開にした、こうした判断がもともと間違っていたと思います。結果として、こういう形でのビデオの流出が起き、そしてその流出をさせた職員は今取り調べを受けている、こういう事態が起きてしまった。そして、情報管理の徹底をおっしゃっているにもかかわらず、NHK等のメディアで海上保安庁関係者の話としてさまざまなことがその後も報道されている。情報管理のあり方を徹底すると言いながら、それが全く行われていないのではないか、今後これで再発防止などできるのか、そういうふうに思えてなりません。そのことを最後に申し上げまして、質問は終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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