衆議院

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第5号 平成23年3月25日(金曜日)

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平成二十三年三月二十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 小宮山泰子君 理事 田村 謙治君

   理事 中川  治君 理事 長安  豊君

   理事 若井 康彦君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 高木 陽介君

      阿知波吉信君    井戸まさえ君

      石関 貴史君    糸川 正晃君

      小川 淳也君    小原  舞君

      川村秀三郎君    小泉 俊明君

      古賀 敬章君    近藤 和也君

      斉藤  進君    坂口 岳洋君

      下条 みつ君    高邑  勉君

      富岡 芳忠君    橋本 清仁君

      畑  浩治君    三村 和也君

      三井 辨雄君    向山 好一君

      森山 浩行君    矢崎 公二君

      柳田 和己君    赤澤 亮正君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    塩谷  立君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      二階 俊博君    林  幹雄君

      三ッ矢憲生君    竹内  譲君

      穀田 恵二君    中島 隆利君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

      田中 康夫君    中島 正純君

    …………………………………

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  井手 憲文君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  林田  博君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  辻元 清美君     坂口 岳洋君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     井戸まさえ君

  糸川 正晃君     小原  舞君

  沓掛 哲男君     近藤 和也君

  津川 祥吾君     小川 淳也君

  向山 好一君     森山 浩行君

  谷田川 元君     柳田 和己君

  赤澤 亮正君     塩谷  立君

  小渕 優子君     竹下  亘君

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     市村浩一郎君

  小川 淳也君     斉藤  進君

  小原  舞君     糸川 正晃君

  近藤 和也君     沓掛 哲男君

  森山 浩行君     向山 好一君

  柳田 和己君     谷田川 元君

  塩谷  立君     赤澤 亮正君

  竹下  亘君     小渕 優子君

  下地 幹郎君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  斉藤  進君     津川 祥吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長川本正一郎君、海事局長井手憲文君、港湾局長林田博君及び観光庁長官溝畑宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三村和也君。

三村委員 おはようございます。民主党の三村和也でございます。(発言する者あり)

古賀委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

古賀委員長 速記を起こしてください。

 定足数二十三名、達していますね。確認いたしましたので、議事を進めたいと思います。三村和也君。

三村委員 震災発生後、二週間が経過いたしましたけれども、当委員会で私どもの会派としては初めての質問ということで、私からも、この場をおかりいたしまして、今回の震災でお亡くなりになられた方々へ心からの哀悼の誠を表するとともに、また、今なお避難地で被災をされた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。そしてまた、きょうお忙しい中、政務三役初め国交省のスタッフの皆さん、日々懸命の御努力をしていただいていることにも感謝を申し上げたいと思います。

 今、震災から二週間でございますから、今現在は喫緊の、緊急の対応ということに全力を尽くすということであると思いますけれども、一方で、同時に私たちは、中長期の復興復旧ということにもしっかりと目を向けていかなければならないということで、きょうは十五分という短い時間ですけれども、せっかくの機会をいただきましたので、この復興ということについて議論をさせていただきたいと思います。

 一つ目ですけれども、今回の未曾有の震災に対しての復旧復興ということについては、私は、これは単なる復興ということでは決していけないという考えを持っているわけでございます。

 それは、つまり、壊れた道路を直す、住宅を直し、港湾を直し、壊れたダムをすべてもとどおりにするというような発想ではなくて、もう一度東北地方、東日本をつくり直すという意気込みで、特に国土交通省、国土交通大臣というお立場はこれから東北地方の復興を最も主管をして主導をしていかれる立場でございますので、ぜひともグランドデザインをこの復興復旧に当たっては国交省の方で御検討をいただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 今回の震災で、例えば、工場の拠点を海外に移してしまうとか、また、今回港湾法の改正ですけれども、海外の船会社が日本を抜いてしまうとか、そういったことがないように、もう一度、東日本を日本全体の経済の発展のためにどうしたらいいかという視点で、ぜひともグランドデザインを描いてから復興の事業に具体的にお当たりをいただきたい。ちょっと時間の関係でこれは答弁を求めませんけれども、国交省の大臣官房のどこかに、例えば、そういったチームを編成するとか、非常に自由闊達にゼロベースで議論をするようなチームを編成するというようなことを、ぜひとも提言としてお願いをしたいと思います。

 きょう私が一番議論をさせていただきたいのは、財源の問題でございます。

 三月十一日の震災が発生をしたその前と後で、これは私どもが編成をしてきた予算ですけれども、この予算のプライオリティーというのは劇的に変化していると思います。

 おとといでしたでしょうか、内閣府の方で、十六兆円から二十五兆円の今回の震災の被害額というのを算定いたしましたけれども、あれはマクロのベースで机上の計算をしているんでしょうから、国土交通省の関係ですと、具体的な事業の積み上げをこれからなさらなければいけないというふうに思いますけれども、非常に相当額に上るということは容易に想像できるわけでございます。

 復興事業にプライオリティーを移すために、例えば港湾の関係でも、港湾法の改正に基づいて予算を計上されているわけですけれども、それも含めて、やはり二十三年度予算の優先順位の大幅な考え方の変更というのはゼロベースでやるべきだと思うわけでございます。

 おととい、国交省、国交大臣の方で、平日高速二千円という事業は当面の間延期するという御決定をされましたけれども、私は、これは非常に妥当であって評価をすべきだと思います。

 それに加えて、一昨日の公明党の高木委員からの御指摘もありましたけれども、自公政権時代に始まった土日千円という高速道路の料金体系というのは、これは利便増進事業で一年間約五千億円使っているわけでございます。これをもう一度考え直すことによって、今、利便増進事業三兆円の枠のうち二兆円余っていますから、これを復興事業に回せないかとか、例えば、私どものマニフェストでやったものですけれども、高速道路の無料化実験、二十三年度予算については一千二百億円の予算を計上しているわけですけれども、これらの中止も含めてゼロベースで予算の優先順位の変更ということをぜひとも復興に向けて考えるべきだというふうに考えるわけですけれども、これについての御見解をお願いいたします。

池口副大臣 まず、冒頭ですけれども、今回の大震災に合わせまして、復興についてはグランドデザインをつくりながら復興すべきだということについては、我々も同じように感じておりますので、しっかりやっていきたいというふうに思っております。

 あと、高速道路の件でございますけれども、高速道路の割引については、四月一日からどうするかということを検討してきたことは事実でございます。その後、三月の十一日に大震災が起こりまして、国交省の中でも再度検討しましたし、きょうお集まりの皆さんからもいろいろな御意見をいただきました。その上で、我々としては、今、最優先というか、唯一考えるのは、この大震災をどう乗り越えていくかということが最優先、唯一の課題であるということで考えまして、今回の四月一日からの高速道路の料金の問題についても、二十三日の日に、被災者及び移動手段を奪われた被災地域の方々の心情を重く受けとめて、現在の料金制度をそのまま継続するというのが当面の間の措置としては妥当だろうということで発表をさせていただきました。

 この後、当然、今言われた高速道路の料金割引をどうするのかということと高速道路の無料化実験をどうするかというのは、既にいろいろな御意見をいただいております。我々としても、一つは、被災者の方々の心情ということですし、もう一つは、今言われた財源的な問題というのは当然これから議論になってきますので、やはりこれは、与党、野党の中での議論の経過を踏まえて、再度国土交通省としては検討すべき内容だろうというふうに思っております。

 ただ、一点だけ言いますと、一つは、利便増進事業についてはこれは使途が限られております。割引とスマートインターチェンジということで限られておりますので、これについては財源を回すということになると法律改正が必要になるということ、もう一つは、料金システムを変えるときには、システムの変更のために一定期間、高速道路会社からは約二カ月と言われていますが、二カ月間は手間がかかる。その間は今の制度が続かざるを得ないという背景があることだけは申し述べておきたいというふうに思っております。しっかり我々としても検討させていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

三村委員 ありがとうございました。慎重ながらも非常に前向きな御答弁をいただいたと思います。我々与党の方でもしっかりと、復興に向けて財源をなるべく確保できるように議論を重ねてまいりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、次なんですけれども、復興に係る財源といって来年度予算を切り詰めようということを議論しても、やはりそれだけでは足りないほどの大規模な財源が必要になる程度の、これは未曾有の災害だったわけでございまして、きょう、尾立政務官にも財務省からお越しをいただいていますけれども、復興特別国債を発行するということについてぜひともお考えをお聞きしたいんです。

 これはいろいろな報道や議論もございますけれども、財政法五条ただし書きによって日銀に直接受け入れさせる復興特別国債というのを発行するという議論は、もちろんこれは非伝統的な手法であるわけでございますが、十分真摯に検討すべきテーマではあるというふうに考えておるわけでございます。

 私、財務金融委員会にも所属をしておりまして、既に財務大臣また日銀総裁には御答弁いただいているわけでございますけれども、やはり財務大臣や日銀の立場ですと慎重な答弁にならざるを得ないのはわかるわけですけれども、今回の震災が未曾有の災害であって、国家として責任を持って対応する必要があるということ、また、我が国は二十年以上にわたってデフレが続いて、貨幣の価値が異常に高まっているという特殊事情もあるわけでございます。

 そういった特殊事情にかんがみて、財政再建の計画をしっかりと同時に立てるというような条件つきで、また必要であれば大量に保有している米国債を日銀に担保として供与するというようなことも考えられると思いますけれども、こういったことをやった上で、直接日銀に引き受けさせる特例国債を発行するということについて、ぜひとも前向きに少し検討してみようというような御答弁をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

尾立大臣政務官 まず、私からも、被災に遭われた皆様にお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになられた方に本当に心から、衷心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 その上で、今御指摘の点でございますが、現在、各関係府省におきまして、被災地の皆様方の支援に全力を挙げるとともに、被害状況等の迅速な把握に努めておるところでございます。必要な対策が判明次第、予備費の使用や補正予算をつくることでこの復旧復興に全力で努めてまいりたいと思っております。ただ、補正予算等の財源等については、必要な対策というのがまだ十分わかっておりませんので、判明次第、この財源等についても考えていかなければならないと思っています。

 その上で、今委員御指摘の日銀直接引き受けの国債についてどうかという御質問でございますが、もう委員十分御承知のとおり、現在の財政法におきましては、日銀による公債の引き受けを原則禁止しております。そういう中で、公債の市中消化というものをこれまた原則としておりますので、なかなか、今市中消化が順調に進んでおります。といいますのも、震災発生以降二回の公債発行が行われましたけれども、これも四倍を超える順調な消化でございますので、まずは、この市中消化で対応していくものだと思っております。

 以上でございます。

三村委員 ありがとうございます。より財源についても議論を深めたいんですが、ちょっと時間が押しておりますので、ありがとうございますということで。

 最後に大臣にお聞きしたかったんですけれども、時間の関係で、私から申し上げて終わりにしたいと思います。

 今回の港湾法改正で、今回、東北の中核である仙台の港湾も被害を受けているわけですけれども、例えば、阪神大震災のときは阪神港が壊滅的な被害を受けて釜山に全部持っていかれちゃったわけですね。今回の災害があっても、世界の船会社、日本の船会社が日本を離れないように、今回、京浜と阪神、横浜と神戸を指定して国家戦略としてしっかり政策を集中していくということは極めて重要ですし、港湾法の改正が正しい方向だということであると思いますので、ぜひとも国家戦略としてこれらの港湾をより強化していただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、向山好一君。

向山委員 民主党の向山好一でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 まず、私からも、今回の震災でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますと同時に、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私の出身は神戸です。ですから、十六年前の阪神・淡路大震災のときに私も被災をいたしました。本当に途方に暮れ、絶望の中で暮らしていたことをよく思い出します。しかし、町の復興ができたのは、全国の皆さんからの励まし、そして国からの支援のおかげで本当に今復興したことを考えると、この東日本の復興も、国全体で取り組めば間違いなくよみがえると私も確信をしております。

 そして、あのときの私の思いというのは、本当に、二度とあんな惨状を起こしてはいけないという強い思いと同時に、こんな震災というのはもう二度と起こらないんじゃないかというような、ある意味の一つの油断というのがあったんじゃないかというふうに思います。あの十六年前のときに日本全体でもっと危機感があれば、この惨状の被害が少しでも和らいでいたんじゃないかというふうにも思うわけであります。

 そういう中で、今回の震災の大きな特徴はやはり津波被害ということでございましたので、海岸線が特に被害が集中しております。大臣も恐らくテレビで、船舶が、漁船であろうと貨物船であろうと旅客船であろうと、流れていくその姿を見られたと思いますけれども、そのときに私はびっくりしました。というのが、十六年前の阪神・淡路大震災のときも、家屋は焼失したら保険適用じゃなかったんですね。地震は適用除外ということでしたから、あの船舶の被害の補てんはどうなるのかということを考えたところ、国交省の担当の方に聞きますと、ほとんど保険に入って、そして地震によってもそれは保険対象だということを聞いて安心はしたんですけれども、またそういうフォローもぜひともお願いしたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、やはり海岸線の、港湾の被害を受けたときの、岸壁あるいはバックヤードの設備、これの被害というのは甚大で、港湾事業者にとってみたら、今後どうなるのかということを物すごく心配されていらっしゃると思います。

 これも十六年前の経験を申せば、神戸の港も壊滅的な被害を受けました。そして、物流がストップしたんですよね。そのときに神戸港の取扱貨物量の激減が始まりました。それが当分の間とまらなかった。そして、今なお全体的な回復をしておりません。その大きな理由というのが、外貿の航路がなくなったということなんですね。内航船はある意味、港湾が復旧すれば戻ってこられます。しかし、外航の、特にコンテナ貨物の定期便というのは、そのときにほかに流れてしまったらもう二度と戻ってこない。特に、外国に一回その定期航路の拠点が移れば二度と戻ってこないということがあの十六年前の阪神・淡路大震災の大きな教訓で、非常に悔しい思いをしたことを私は思い出すわけであります。

 そう思えば、今回の震災で被災した外航航路は八戸、塩釜、大船渡、小名浜、茨城、鹿島で、その合計は週十二便あるというふうに聞いておりますけれども、何とかこれをもう一度同じように定期航路を回復できるようにやっていくというのは国の責任でもあるというふうに思いますけれども、その辺の対策というんでしょうか、取り組みはどう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

三井副大臣 今、向山委員からお話がございましたように神戸港も阪神大震災のときの、今お述べになりましたけれども、まさに今回の大震災におきまして、六港湾のうちの十二便が外貿でございました。

 いずれにしましても、今回の災害におきまして港湾は甚大な被害を受けておりますことから、やはりこれをまず復旧することが最優先かな、そういうぐあいに思っておりますし、この間、やはり復旧するまでの間はしっかりと内航海運の方で、あるいは鉄道ですとか陸路の方でこれを埋めなきゃならないなと思っております。また、当然、東北、北関東におきましては、外貿というのは経済的にも大変大きな、大事な問題であると思っております。

 いずれにしましても、外貿の定期航路が継続的にできますよう、私たちもしっかりまた取り組んでまいりたい、こういうぐあいに思っております。

向山委員 ありがとうございます。

 自然は時々人間の想定外の被害をもたらすものでございますので、被害を受けないようにするというのは不可能かもしれませんが、やはり危機管理という発想で、被害が起こったときでも、何らかのバックアップがあるということは人間の力で備えることができるわけですから、そういった観点でこれからも取り組んでいただきますようにお願いをしておきます。

 次は、本題の港湾法の改正について二点ほど質問させていただきます。

 まず、この港湾法の改正の背景というのが、国際競争力が非常に落ちている日本の港を何とか選択と集中で回復させようということがその背景にあります。そして、今回の改正の、国際戦略港湾を二つ選んだ、去年の八月でしたけれども、このことは、今となったら非常によかったなというふうに思うんですね。やはり、東と西で二つつくったということは、今申し上げましたが、危機管理の面で、東がだめになったら西がいけるじゃないか、そういう意味で、二つ選んだことは非常によかったなというふうに思います。

 一方で、国際戦略港湾を選定したねらいというのは、東アジアに流れている内航の貨物をせめて国内に集めて、その国内に集めた港から海外に持っていこうじゃないかという戦略があるというふうに思いますけれども、そういった国の大きな方針と逆の動きもあるということを一つ指摘しておきたいんですね。それは、地方港では逆に、海外に荷物を持っていこうとする誘導策がある。地方自治体の独自策として、港を、外航の貿易になったら何らかのインセンティブを与えようという独自策があるわけですね。これは、国がアクセルを踏んで地方がブレーキを踏んでいるというような状況になっているんじゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、これは自治体の独自策ですから、国がとやかく言う立場じゃないということなのかもしれませんが、外航の定期航路がなくなれば日本全体の経済が当然衰退していくわけですから、これはオール・ジャパンで取り組むような政策なんですね。そのことを考えれば、国は傍観者であるべきじゃないというふうに思いますけれども、今、地方港の独自策の外航航路に対するインセンティブ策についての何らかの対策というのを国は何か考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

三井副大臣 今御質問ありましたように、荷主の企業に対してインセンティブ等を与えている地方自治体が存在しているということを私たちも認識しているところでございます。また、国内フィーダー輸送網については、釜山の航路あるいは外貿コンテナ航路に比べまして、まずはコスト、それから利便等の面で相対的に劣っているということは私たちも認識しているところでございます。

 また、国際戦略港湾におきましては、当然、コストの低減やあるいは利便性向上に努めていただくとともに、地方の港湾から国際戦略港湾への国内フィーダー輸送網を強化する方策については、やはり各自治体の協力を得ていくことが必要だろうと思っております。

 あわせまして、内航フィーダー航路と、また釜山航路等の外貿コンテナ航路の競争条件の平等化を図るように、各地方自治体に再考していただくことも必要でないかと私たちは考えております。

向山委員 外航航路を持つ地方港の約五割以上は独自策を持っていらっしゃるということでございますので、あるいは地方の負担というのは、当然公金ですから、公金を使って国と整合性のとれない政策をやっているということに対しては、やはり何らかの整合性を持たすように対策をお願いしたいというふうに思います。

 次は、二点目ですけれども、今回の改正の一つの大きな柱が特定外貿埠頭の管理運営の改正ということになっていまして、その柱というのが、運営主体を効率化して、民の力を活用しようということを目的としているわけでございます。もちろん、そのためには、民間からの資本参加とか人材登用というのが非常に大切な視点でございまして、その一つは株式会社化しようということでございますけれども、プラス、やはり肝心なのは、民間による独立性とそしてガバナンス、これを確立していくことだというふうに思います。

 私の地元の阪神港では、四月一日から、神戸埠頭株式会社の代表取締役社長に神戸製鋼の前社長が就任する予定です。一方の大阪埠頭株式会社には、野村証券の経営者が就任をされる予定でございます。大畠大臣も民間企業御出身でございますので、今後の港湾運営会社の民の視点からの経営に対しては、今そういうことの動きを踏まえて、どういうことを期待されていらっしゃるのか、大臣のお考えをお伺いします。

大畠国務大臣 向山議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 先ほどからいろいろと、日本における経済の一つの大きなポイントであります港湾に関する御質問をいただきました。

 私も、今回の法律案を提案する中で、さまざまな観点からのお話を伺いましたが、かつては無条件にアジアでナンバーワンの力を持っておりました。ところが、韓国、中国等の経済力が非常に高まりまして、日本の位置づけというのが相対的に下がってきてしまったようにも感じます。そういうことから、かつては、日本の港にまず寄って、そしてアジアに行くという流れがございましたが、残念ながら、韓国や中国の港に荷がおろされて、そこから小分けして日本に来るという流れが強まってまいりました。

 そういう観点から、日本の国内の港においても、いわゆる特定重要港湾という部類を国際戦略港湾あるいは国際拠点港湾というものに分けて、選択と集中という形で、アジアの中でも魅力がある港をつくっていこうということでこの法案を出したところでありますが、その港湾の運営の中に、民的な、民間の知恵というものあるいは工夫というものを生かすことが私も大事だと思います。

 日本の中にはさまざまな民間企業がありまして、御存じのとおり、その中でみんな工夫して、かなりの競争の中でさまざまな工夫をして経営をやっておられます。そういう独自のといいますか、民間の知恵というものをこれからの港湾の運営の中に生かしていかなければ、日本という国の経済の、いわゆるアジアの中における相対的な地盤の低下というものを防げないのではないか。そういうことから、御指摘のように、民間の知恵を港湾の運営の中にも大きく生かしていきたい、そういう意味でこの法律案の中に規定をさせていただいたところでありますので、ぜひまたいろいろな意味での御指摘を賜れればと考えております。

向山委員 大臣から、民間の知恵と工夫を生かしていきたいというお答えをいただきました。

 本当にそのとおりでございまして、そういう意味では、一つ要望させていただきますのは、埠頭株式会社というのは土地所有が非常に大きくて、資本金が、例えば阪神港では六百億円ぐらいになっているんですね。いわゆるずうたいが大きいわけですよ。そこの中でやはり民間の工夫を生かそうと思ったら、スリム化していかなければいけないんですね。そういった工夫というのを、四月から、まだ生まれていませんけれども、生まれて以降、そういうことにも配慮いただけたらな、このように思います。

 そして最後に、国交省さんはこの復旧でやることが多岐にわたっています。ぜひとも、復旧というのはもとへ戻すということでございますので、そうじゃなくて、創造的復興というんでしょうか、町に戻すだけじゃなくて、新たな魅力をそこに加えるという視点で復興事業に全力で取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。ありがとうございます。

古賀委員長 次に、金子恭之君。

金子(恭)委員 おはようございます。自由民主党の金子恭之でございます。

 港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案に対して質問させていただきますが、その前に、東日本大震災に対しても何問か質問させていただきたいと思います。

 本日で災害が発生をしましてちょうど二週間になりました。お亡くなりになられた方々に対しまして心より御冥福をお祈り申し上げ、お悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 二週間たって、テレビや報道等で、被災された方々がいろいろなところでつらい生活を強いられておられます。特に、大きな体育館等々で、電気が来ない、あるいは水がない、食料がまだまだ不十分である、おふろにも入れない。あるいはプライバシーが守れない状況の中で、もう心身ともに限界に来ているのではないか、いち早くこの環境を解消してあげなければいけないというのが喫緊の課題であると思います。

 災害救助法において、応急仮設住宅というのは厚生労働省が所管をして、設置をしなければいけないわけでありますが、とはいっても、国土交通省は住宅局を持っており、これまでの住宅政策の中でいろいろな経験や知識を持っておられます。阪神・淡路大震災と違って、広い範囲にわたっている、あるいは、まだ水とかガスとかが来ていない、安全性が確保できていないという意味では、仮設住宅をつくるというのは、かなり限定的なものになっておりますし、困難なところもあると思うんですが、ぜひ仮設住宅の一日も早い建設あるいは供給をしていただきたいと思います。

 そのことについて、住宅局長、どういう状況であるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘がございましたように、今回の震災で住宅をなくされた方、今なお避難所で避難をされている方、こういった方々には、当面住まうことのできる場所を提供するのは極めて重要な事項だというふうに考えております。

 御指摘の応急仮設住宅につきまして、供給を急ぐということで、被災後すぐ、三月十四日の日には、国土交通大臣みずから、住宅生産団体連合会の会長以下役員を呼んでいただきまして、おおむね二カ月で少なくとも約三万戸の供給をしてくれ、そういう要請をいただいたところでございます。既に、岩手県、宮城県、福島県などの被災の各県からは、当面の戸数として三万三千戸余の要請もなされておりまして、私ども、さらに供給の促進を図るということでハッパをかけているところでございます。今のところ、岩手県では陸前高田市などの二地区、福島県では国見町などの二地区で着工が始まっておりまして、宮城県でも用地の選定を終えて早期に着工する予定でございます。

 一方で、用地をどう見つけるかというところ、なかなか難しいところがございまして、そういったことを支援するために、三月十二日の日には国土交通省から職員四名を各県に派遣いたしまして、ノウハウの提供と用地取得の手助けをする。さらには、三月十七日からは東京都、大阪府、兵庫県、それから都市再生機構からも人を出していただいております。二十四日の時点では応援体制二十一名という格好になっておりまして、用地の確保と建設の支援に当たっているところでございます。

 いずれにいたしましても、関係省庁や団体と協力をいたしまして、各県の要請にこたえられるように、応急仮設住宅の供給の促進を図ってまいりたい、このように考えております。

金子(恭)委員 ありがとうございます。ぜひ、皆さん方に行き渡るように、住宅局、全力を挙げて、仮設住宅の一日も早い建設をよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、今住宅局長から、応急仮設住宅につきましては、頑張っているけれどもなかなか、ある程度時間はかかるということがわかるわけであります。そこで、今回の大震災が発生してから、旅館とかホテルとか、東北、関東地方はもちろんでありますが、全国的にキャンセル等々が出ているように聞いております。空室も目立っているというふうに聞いておるわけでありますが、仮設住宅が間に合わないのであれば、そういう旅館とかホテルを活用するということは非常に有効であると思います。そこには個室があってプライバシーは守れるし、食事も、あるいはトイレもおふろも、そして従業員がおられますので、緊急的な連絡もできるわけであります。

 私の地元、九州もそうでありますが、全国各地の旅館やホテルから、うちで受け入れたいというような御要望もあるというふうに聞いておるわけでありますし、また、昨日東京都が、グランドホテル赤坂ですか、三月末で営業を中止するんですが、そこで受け入れたいというようなお話もございました。そういう意味では、観光庁というのは、全国各地にそういうネットワークがあるわけであります。

 もちろん、被災者の皆さん方の公平性もあります。また、いろいろな方々が受け入れたいと手を挙げていられるわけでありますが、そういう公平性等も含めて、調整作業というのは大変難しいところはあると思うんですが、今、避難所で大変御苦労されている皆さん方をそういう旅館やホテルで受け入れるということは非常に重要であると思います。

 ぜひ、そのことについての現況と取り組みの意欲について、御答弁をお願いしたいと思います。

溝畑政府参考人 まず、このたび、東北地方太平洋沖地震によりまして亡くなられました皆様に対しまして心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げたいと思います。

 今回の地震におきましては、議員御指摘のとおり、たくさんの避難所の確保が必要になってまいりますが、実際、確保が非常に困難な状態になっております。このような中、観光庁におきましては、厚生労働省など関係省庁とも連携をとらせていただきまして、旅館、ホテルにおきまして、県をまたいだ被災者の受け入れということについて支援することにしております。昨日、その具体的な通知をさせていただきました。議員御指摘のとおり、この間、九州各県、沖縄県初め全国から被災者の支援を受け入れたいと非常に心温まるお声をいただきまして、改めまして、日本国民の皆さんのこの震災に対する温かい思いに対しまして大変感謝いたしております。

 観光庁におきましては、災害救助法の避難所の制度を活用いたしまして、まず、関係団体、自治体の協力を得まして、受け入れ先になっていただきます旅館、ホテルを確保しまして、被災した県の要望に対して連絡調整を行います。要するに、受け入れたいという県と被災された県のいわゆるマッチングを行います。そして、その経費についてでございますけれども、被災された方々が負担することなく、避難所を要請した県が負担するということでございまして、国がそれに対しまして必要な財政措置を講ずるということになっております。現在、関係自治体そしてまた宿泊団体との調整を行っておりまして、スムーズに被災者の皆様を快適に、そして安全な状態にできるように努力してまいりたいというふうに考えております。

 受け入れの旅館、ホテルについても、できるだけ多くの宿泊施設の皆さんに幅広く参加いただけるようにしたいと考えておりますし、その際、やはり都道府県等自治体、そして旅館団体との連携が大変必要になってまいります。今後とも、被災者の皆様の救援に少しでもお役に立つように、関係省庁、自治体、団体の方と連携をとりたいというふうに考えております。

金子(恭)委員 ぜひ早急に調整をしてお願いしたいと思います。住宅局長と観光庁長官、どうぞお帰りください。

 今回の東日本大震災では、かつてない規模の地震と津波によってかなりの、膨大な甚大な被害が起きております。それも広範囲にということでありますが、茨城から青森にかけては地域にとって必要な港が数多くあるわけでありますが、その港湾の被災状況についてお答えいただきたいと思います。

林田政府参考人 港湾の被災状況についてお答えを申し上げます。

 今回の地震及び津波によりまして、防波堤、岸壁などの港湾施設の崩壊、航路、泊地の埋没、荷役機械の損壊などによりまして、青森県から茨城県に至る太平洋沿岸地域の重要港湾十五港のうち、青森港を除く十四港が甚大な被害を受け、港湾機能が停止したところでございます。

 例えば、宮城県の仙台塩釜港におきましては、コンテナターミナルの埠頭用地が広い範囲で一メートル程度沈下するとともに、地下に大きな空洞が発生いたしております。また、岩手県の大船渡港、釜石港の津波防波堤につきましては、全壊あるいは大部分が崩壊するという被害を受けております。

金子(恭)委員 もう本当にテレビの映像を見てでもその甚大な災害の状況がわかるわけでありますが、今局長からお話がありました、釜石港とか大船渡港に整備をされております世界に誇る津波防波堤でございますが、決壊をしたり、あるいは残っている部分があるのでありますが、その効果というものはあったんでしょうか、そのことをお答えください。

林田政府参考人 お答えを申し上げます。

 津波防波堤には、津波高を低減すること、あるいは津波の流れを弱めその破壊力を弱めることなどの効果がございます。

 今回の地震発生後に、釜石港沖合の波浪計では約六・六メートルの津波高を観測しております。理論的には、津波高は、沖合から沿岸に近づきますと約二倍から三倍に増大するというふうに言われております。例えば釜石港の津波防波堤がなかったとした場合、釜石港へは六・六メートルの約二倍の十三メートル程度の津波が襲来することになったものと推定をいたしております。

 一方、今般、独立行政法人港湾空港技術研究所が現地調査を行っておりますが、その調査結果では、私どもの現地の釜石港湾事務所の浸水状況から推定される釜石港内の津波高は八・一メートルとなってございます。この数字を見ますと、津波防波堤には津波高を低減する効果があったものと推定をいたしております。

 なお、今後、津波防波堤の効果につきまして、数値計算などによる詳細な検討を行う予定でございます。

金子(恭)委員 今局長からお答えがあったわけでありますが、聞くところによると、津波というのは、見える海面上もそうなんですけれども、海面の中で物すごい水の塊がぶつかってくるということであって、今お話があったように、やはりある程度力を弱めるという意味では効果があったんだろうと思います。しかしながら、完全な防災とはなりませんでした。もちろん、減災という意味では、この防波堤というのは完全に効果を示したんだろうと思います。予想されないような今回の津波というふうによく言われているわけでありますが、今回のデータを含めて、東海、東南海、南海と地震が予想されている中で、防災あるいは減災という意味で、少しでも被害を少なくするためにぜひ早急に取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、この港というもの、港湾というものは、物流という意味で非常に重要な役割を示していると私は思います。今回の災害におきましても、自由民主党からは、物資の輸送を早急に確保するため、港湾機能の速やかな回復を図るということを政府に申し入れをさせていただいて、政府も、そこはきちんと受けとめていただいて御努力をいただいていると思うわけでございます。ようやく高速道路等々の災害復旧も終わって、いろいろな緊急物資等々も現地に着いているようでございます。先ほどお話がありました被害を受けた港湾というものは、災害復旧も行われていると思いますが、今利用可能な状況にある港があるのか、そのあたりのことをちょっとお答えいただきたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 震災の直後から、早期の緊急物資輸送ルート確保のため、航路内の障害物撤去等の啓開活動、これは航路を船がちゃんと通れるようにするということでございますが、さらに施設の応急復旧に全力で取り組んでございます。その結果、被災地域の重要港湾以上の十五の港湾において一部の岸壁が利用可能な状態に復旧をしてございます。喫水制限などを受ける施設がございますけれども、緊急物資の輸送ルートは一応確保できた状態となってございます。

 今般の震災によりまして、その被害が甚大かつ広範囲にわたっておりますことから、全面復旧には相当の時間を要すると見込んでおりますが、被災者の生活支援、施設の応急復旧、資機材の輸送、地域の復興支援のため、できるだけ早期の復旧に努めていきたいと考えております。

金子(恭)委員 この物流の拠点としての十五の中心的な港が、とりあえず、制限はあるにしても、すべての港が使えるという意味では本当によかったと思っております。

 今、緊急物資、食料とか水とかいろいろな、衣類とか要るわけでありますが、港湾の威力を発揮するという意味では燃料ですね。灯油とか、あとはガソリンとか、そういったものを一気に大量に運べるという意味では、今深刻化しております、多少被災当時より解消はしているといってもまだ油不足というのが言われている中で、油をいかにして確保するかということが重要だと思います。という意味では、港にそういう施設がなければガソリンは運べないわけでありますが、その取り扱うことができる港というのはあるのか。

 あるいは、きのうちょっと農林関係で聞きましたら、家畜の飼料がなかなか運び込めなくて大事な家畜が餓死をしてしまうということも考えられるということでありましたので、そういう緊急的に必要なものをぜひ運べるようにしていただきたいと思います。そのことについて御答弁をお願いしたいと思います。

林田政府参考人 被災地域の港湾のうち仙台塩釜港及び八戸港に石油取扱施設が立地してございます。そういう観点から、これらの港湾の啓開作業を最優先で行ってきたところでございます。その結果、仙台塩釜港の塩釜港区におきましては三月二十一日に、八戸港におきましては三月二十二日にタンカーの接岸が可能となってございます。三月二十四日までに両港へ延べ七隻が入港し、ガソリン六千七百キロリットル、灯油二千四百四十キロリットル、軽油二千八百八十キロリットル、プロパンガス三百八十トンを陸揚げしたところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、家畜のえさ、飼料でございますが、これを大量に輸入する施設が太平洋岸の各港に立地をしてございました。これらの施設も現在全部使えない状態になってございます。

 そこで、従来ですと、平常時でありますと、ばら物という形で飼料は輸入をされてございますけれども、それがなかなかかなわないということで、現在のところ、我々、農水省さんとも相談をいたしまして、九州あるいは北海道から、袋詰めというふうに言っておりますが、一たん袋に詰めて、陸揚げ後直ちにトラックで畜産の農家ですとかそういう利用者の方々に運ぶことができるようにしようということで、この袋詰めによる北海道、九州からの輸送ということを行ってございます。ただ、これも量が限られるということから、ばら物の状態で陸揚げができるような荷役施設の復旧というものに現在取り組んでいるところでございます。

金子(恭)委員 ぜひその取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 それから、復旧という意味で大変大きな問題があります。それは、膨大な瓦れき等々の災害の廃棄物なんです。これをどこに持っていくか。持っていかないとそこの復旧ができないという意味では、この瓦れきの処理というのが喫緊の課題だと思っております。

 このことも自民党から政府に対しては申し入れをさせていただいているわけでありますが、阪神・淡路大震災で発生した災害廃棄物につきましては、港湾の海面処分場で受け入れていただいたというふうに聞いております。今回も、多分、海で受け入れていただかなければ、すべてを陸上で処理するというのは難しいと思うんですね。そのことについてお答えをお願いしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の震災におきましては、大量の瓦れきが広範囲に発生する、委員御指摘のとおりでございます。そういった状態の中で、瓦れきを処理処分するための海面処分場が必要不可欠になってくるものと我々も考えております。そういった海面処分場の候補地、受け入れ能力につきまして、既に調査を終えたところでございます。これから具体的な処分、受け入れの方法について検討を行っていきたいというふうに思ってございます。

 ただ、今回震災で被害を受けました東北太平洋側の地域は水深が沖合に向かって急に深くなるというようなリアス式の海岸でございまして、海面において受け入れ可能な量が限定されるということも予想されます。迅速な対応が求められる中で、県境を越えた広範囲な災害廃棄物、瓦れきの処理というものも検討する必要があるのではないかというふうに考えてございます。

金子(恭)委員 早急に、いろいろな困難な点も含めて頑張っていただきたいと思います。

 大臣、今お話をしたように、広域にわたって港湾機能が低下をしている。しかしながら、被災地域の復興を進めるためには港湾機能の早期の回復が必要だと思っております。そこについての大臣の決意をお願いしたいと思います。

大畠国務大臣 金子議員から、国土交通省の副大臣の経験を踏まえて、広範な御質問を賜りました。まことにありがとうございます。

 私自身も、国土交通大臣を拝命し、今回のいわゆる大震災に際して、先ほど各委員からの御質問にもお答えしましたが、何とか生活支援のための支援物を輸送する道をつくろうという意味で、道路や鉄道や港、空港の復旧作業に全力を挙げてまいりました。

 特に私は、テレビ等で、港に大型タンカーが接岸した、それでそこにガソリンや重油がたくさん積んである、そういう映像がどれほど被災された方々の心情に、ああ、私たちの生活を支える物資がやっと届き始めたと、大変大きな明るい話題として受け入れられたことを存じ上げております。また、鉄道でも、タンクローリーの貨車が届いたということで、これも大きくマスコミでも取り上げました。

 そういう意味からも、港の役割というのは非常に大事でありますし、海上保安庁も頑張りましたし、港湾局も頑張りましたし、特に、東北地方整備局や運輸局の皆さんが本当に頑張って頑張って、瓦れきを一生懸命除去しながら、取り除きながら港の開設もいただきました。本当にありがたいと思います。

 港の役割というのは、本当に、金子議員からの御指摘のとおり大変重要でありまして、これからの東北地方の経済的な立ち上がりのためにも大変大事でありますから、私たちもそういう意識を持って、意思を持って、一生懸命に港湾の再建のために力を入れて取り組んでまいりたいと思います。

金子(恭)委員 今大臣のお気持ちを聞きました。本当に、我々もお支えいたしますので、頑張っていただきたいと思います。

 そこで、実はもう時間がなくなってしまいまして、幾つか懸念事項をお伝えした上で、最後に大臣にお答えをしていただきたいんですが、今回の法律において、国際コンテナ戦略港湾の整備ということであるわけでありますが、今、港湾行政、選択と集中ということで、もちろん優先順位をつけながら限られた予算の中でやられているわけであります。まず、私も地元に八代港という重点港湾に指定された港を持っているんですが、国際戦略港湾も必要なんですけれども、選択と集中の中で、こういう災害のときに命綱となるような港湾というものも必要だと私は思っておりますので、そのことをぜひ、大臣には切り捨てのないようによろしくお願いしたいということ。

 それと、自民党の部会の中でもいろいろな懸念事項が出たんですね。要は、今回、港湾運営会社制度の創設ということで民にそれをお任せするということなんですが、今回のような災害が起きたときにきちんとその役割を果たしていけるんだろうか、そういう不安があるわけでございます。そのことも我が党においては心配をしているところでございますので、そういうことがないようによろしくお願いしたいと思います。

 そこで、最後に質問ですが、今回の法案でありますが、世界的に地盤沈下をしてしまった日本の港湾、国際的な地位として深刻な事態にあると思います。これまで国土交通省はスーパー中枢港湾を推進して国際競争力の回復に努めてきたわけでありますが、このスーパー中枢港湾の総括もなしに、また今度は新しい国際コンテナ戦略港湾ということを進めるわけでありますが、そこについての、何が足りなくて何が必要だったのか、そのことを踏まえた上で、最後に大臣の決意を表明していただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

大畠国務大臣 非常に大事な視点を今御質問の中でただしていただきました。

 私も、十数年前にシンガポールの港に行きまして、十四、五年前ですが、もう既にかなり進んだ港でございました。改めて日本の港を見てみますと、コストの問題、あるいは港に入ってきてから荷揚げするまでの時間の問題、こういう点では非常に諸外国におくれをとっているという実態を改めて知りました。そういうことから、選択と集中ということで、東京地区と京阪地区等々でここのところを重点的にやって、国際的にも競争に勝てるだけの港をつくろう、こういうことで力を入れておりますが、今お話しのように、これまでの日本の港の何がどうだったのかというのは大変大事なところでありますから、検証をしながら、今回の法律案で通していただきました拠点港の強化というものを図らなければならないと思います。

 同時に、先ほど御質問の中で津波防波堤のお話がありましたが、地域においても、そういう地震に強いというか津波に強い港を、拠点をどう整備していくかということは大変大事な視点だと思いますので、そういうものを踏まえてやっていきたいと考えております。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 先日も申し上げましたが、今回、震災で亡くなられた方々に対して心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 本日は港湾法の改正の質問なんですが、この質問に当たる前に、ちょっと一言、与党の委員の皆様方に申し上げたいと思います。

 冒頭、定足数のことで私は発言させていただきましたけれども、今回の委員会は、まさに震災のときに行われている委員会でございます。しかも、日切れ法案ということで、与党の方から、ぜひとも年度内にこれを成立させたいと審議の要請がありました。そういったことで、私たちは、本来であれば震災一本でやらなければいけないんですが、この法案をしっかり審議しましょうということでこの委員会が開かれています。

 にもかかわらず、特に一年生の議員が多いと思うんですけれども、私たちは採決要員ではないと思うんです。この委員会でどんな審議がなされているのか。委員会の運営というのは国会対策委員会とその理事だけがやることではなくて、委員一人一人が、この国土交通委員会で何が今議論されているのか、こういったことをしっかりと認識しなければいけないのに、採決の時間だけ来ればいいだとか、そういった発想がもしあるとするならば、それは改めていただきたいと思います。そういった委員会における一人一人の委員の存在というものをしっかりと認識をして委員会に参加していただきたい、このことを一言申し上げたいと思います。

 その上で、今回の港湾法でございますけれども、そもそも、この港湾のあり方、民主党もモーダルシフトの問題というのを重要視されている。その中で、特にCO2の問題等を含めた場合に、海運の役割というのは大変重要だと思うんです。しかも、これだけグローバル化された時代にあって、日本というのは貿易立国でもございますから、港湾によって物が入ってくる。これは本当に重要な視点だと思うんです。

 そういった流れの中で、今回、港湾法を改正するということですけれども、その基本的な認識ですね。特に、先ほど自民党の金子委員もお話がありました。スーパー中枢港湾の話もありましたけれども、アジア諸国の急激な経済発展が今されています。その中で、世界の海運環境というのは大きく変化している。ところが、我が国の港湾の置かれた地位というのはだんだん下がってきている。このような問題に対して大臣はどういうふうに認識されて、日本の港湾の地位が下がってきた原因をどのように考えているか、最初にお伺いをしたいと思います。

大畠国務大臣 高木議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 先ほど金子議員の御質問にちょっと触れさせていただきましたが、日本という国がアジアの中において大変高い経済力を持っておりまして、言ってみますと、自動的に日本の港が一番アジアの中ですぐれていたということで、世界の交易の中でも、日本の港というものを使い、そこからアジアの方に荷分けして中国や韓国に行っていた時代もあったと思います。

 しかし、いつの間にか、韓国の港、あるいは中国の港が、いわゆる両国の経済力の大きな発展の中で、日本の港の機能、あるいはサービスというものを超えて大きく飛躍をしていました。こういうことに日本の港のあり方がおくれをとっていった、そのように感じます。

 具体的に私も資料を見せていただきました。京浜港等のいわゆるコンテナ取扱料金の国際比較というものを見せていただきましたが、日本が一〇〇とすれば、釜山関係では新港では五九、あるいはシンガポールでも八五等々で、日本の港のコストが高いというのが一つ。

 それからもう一つが、いわゆる輸入貨物のリードタイム、港に入ってきてから荷揚げをするまでの時間というのも日本が非常にかかっているという事実もございます。

 そういうことから、日本の港に着くよりも、韓国や中国の港に着いて急いで荷物をおろした方がコストが安くなるということで、日本の港を基点としたアジア戦略というよりも、韓国や中国の港を、サービスがよくコストが安いところを中心として荷揚げをして、必要であればそこから日本に物を運ぶ、そういう流れになってしまったようにも私は受けとめております。

 そういうことから、日本としても改めて拠点の港をつくって、今、中国や韓国に流れている物流の流れを取り戻さないと、日本の経済も大きくそれに影響を受けてしまう、こういうことからこのような形で対策をとらせていただいた、そう受けとめております。

高木(陽)委員 今大臣が認識をお話しいただきましたけれども、私もそういうふうに思います。もう少し申し上げると、私たち公明党も十年間与党をやりまして、この港湾政策についてもっともっとドラスチックにやらなければいけなかったんだなと反省しています。

 そういった流れの中で、これは港湾だけじゃなくて、今大臣が、コストの問題、またそういった荷揚げの時間の問題を言われました。これは、港湾だけじゃなくて空港もそうですね。ハブ空港が、結局韓国だとかに行ってしまった。これも、成田、関空、中部、そういった国際空港の着陸料が高いだとか、そういった問題もあると思うんですね。

 きょうは港湾法のお話ですから、改めて別の機会にこの空港の問題もしっかりと議論したいと思いますし、そういった手を打っていただきたいなと思うんです。

 さらに、その中で、これも自民党の金子委員が最後に質問をされていたスーパー中枢港湾ですね。

 私自身は、ずっと思っていたのは、戦後、自治体港湾だった。ところが、荷物が入ってくる船においては、別に県は関係ないんですよね、湾で入ってくるわけですから。そう考えると、今回もそうですけれども、湾でとらえていくという発想が必要であった。にもかかわらず、この自治体港湾という形の中で、しかも今、地方分権という流れですから、それをもう一回国に吸い上げて、それで全部やる、なかなかうまくはいかないんですけれども、やはり一体的に取り扱わなければいけないんだろうな。

 そういった中で、このスーパー中枢港湾政策、こういうのをこれまでどういうふうに総括するかということ。何が足りなかったんだろうか。今回、新たな形をつくろうとするんですけれども、何が足りなかったのか、ここのところをちょっとお伺いしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のスーパー中枢港湾政策につきましては、港湾コストの三割低減、リードタイムを一日程度まで短縮を図るというような目標を掲げて政策の遂行を行ってまいりました。

 コストにつきましては、平成二十年度までの数字でございますが、約二割程度低減をしております。リードタイムの短縮につきましても、ほぼ実現に近づいているという状況でございます。

 ところが、基幹航路に就航します大型コンテナ船は、一度の寄港で大量のコンテナの積みおろしを行います。したがって、広域的な貨物の集荷、ポートセールスの強力な推進といったことを行っていく必要がございます。こういったことを行っていくためには、民の視点による港湾運営が必要不可欠と感じております。

 また、こういったコンテナ貨物を取り扱う港湾の施設につきましても、大胆な選択と集中のもと、幾つかの特定の港に政策を集中していくということが必要かと認識をしてございます。

高木(陽)委員 今、選択と集中というお話がございました。

 例えば港湾の予算配分、これまでも京浜、阪神といったところにも力を入れてきたんですけれども、どうしても、各自治体港湾ということで、日本全国、それぞれ拠点としてそこに予算配分をしていった。この委員会で何度も申し上げているんですけれども、お金がたくさんあれば一遍にやればいいんですが、ない場合には、政治的決断をして優先順位をつけなきゃいけないわけですね。そういった中で、まさに今回、この京浜と阪神にしっかりと集中していこうという流れができてくるわけですから、ここはしっかりと大胆にやっていただきたいな、こういう要望を申し上げたいと思います。

 もちろん、それ以外の地域の港湾についても、やはり地場産業、さらにその地域の経済の発展等々を考えた場合には、少しでも力を入れてもらいたい、こういう要望はあると思うんです。ただ、これは、今回の震災を踏まえた上で考えたいと思うのは、今、東日本の震災という言い方をしていますけれども、計画停電がこの夏さらに大変になり、電力の復旧を考えた場合には、来年以降もこれは継続せざるを得ないんだろうなと。

 そういった中で、では、日本の製造業を初めとする経済はどうなっていくのか。原発の問題もなかなか収束しない中で、農林水産業に対する影響も出てきている。そうなりますと、本当に、日本の経済、GDPもこの一年でかなり厳しい状況になるだろうなと。まさに、この日本の復興をしていくといったときに、物流を含めたことを考えなきゃいけない。その中で、世界から富をまた集めてこなければいけないといったときの港湾の役割というのは大きいと思いますので、この点をしっかり踏まえていただきたいと思います。

 次の質問でございますが、今回、港湾法の改正の大きな柱の一つに港湾運営会社の制度がございます。これは、現場でいろいろと仕事をされている方々、特に港運関係をずっと、荷物を扱っている方々は、どうなっていくんだろう、こういうような不安等々を感じていると思うんです。この港湾運営会社の制度について改めてお伺いをしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 コンテナ埠頭の運営、荷役機械の整備、さらにはポートセールスなどの港湾運営につきましては、これまで、地方公共団体でございます港湾管理者あるいは埠頭公社、こういった組織が行ってまいりました。

 今回の法改正に盛り込ませていただいております港湾運営会社制度は、コンテナ港湾の運営について、地方公共団体や公社による集荷、営業には限界があることを踏まえ、港湾運営に民の視点を導入し、港湾運営会社が行政財産を借り受けて一元的に港湾運営を行う体制を整えることを目的とするものでございます。

 こういった点を踏まえまして、国または港湾管理者による港湾運営会社の指定、事業基盤となる行政財産の港湾運営会社への長期貸し付け、内外の特定の者による影響を防止するための大口株式保有規制、さらには港湾運営の公益性確保等のための監督命令など、さまざまな規定を設けてございます。

高木(陽)委員 大臣、今、港湾局長から港湾運営会社の説明をいただきましたけれども、御存じのように港湾というのは歴史がありまして、港湾がそれぞれ発展していく、この長い歴史の中で、例えば船会社または港運事業者、さまざまな形で一つの秩序をつくり上げてきた。そういった中で、国際競争にさらされてはいるんですけれども、多くの関係者が働く場で、歴史的経緯もあって、その秩序の保持については十分注意をしないと、これができたことによってそれががらがらと崩れてしまう。長期的に見ればそれでいいんだという言い方もあるかもしれませんけれども、現実に働いている人がいるわけですね。

 そういったこともしっかりと踏まえた上で、新たな港湾運営会社の制度について、まず、埠頭というのは公共財ですね、公共財である主要な埠頭を一体的に運営するものとして、逆に民業圧迫、まさに今働いている方々の民業圧迫につながるのではないか、そういった声もあるわけです。

 この点について大臣はどういうふうにお考えになるか。

大畠国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、確かに、港というものを利用して運営するというところを民間企業にということでございますが、高木議員から御指摘のように、港というのは歴史的にさまざまな経緯があります。高木議員も、国土交通政務官を務められ、国土交通政策についても精通されておられますが、港というものは確かに大事なものだし、歴史があります。ただ、先ほども申し上げましたように、世界の流れにおくれてしまったということは否めないと思います。そこで、港というものが一つの公的な形できましたけれども、そこに、公的なもののよさとそれから民的なよさも複合させて、国際的な競争下で立ち向かっていかなければならないと思います。

 今回の法律改正では、確かに港湾運営会社制度というものを導入しますが、これが、今御指摘のように、この力を利用して周りの運送会社とか何かに拡大していって民を圧迫する、こういう他の民を圧迫するということは考えておりませんけれども、私は、今回の背景は何なのかということをよく理解して港湾運営会社はやってもらいたい。つまり、自分の任務に専念してもらいたい、私はそう思っております。

 したがって、他の民間企業にいろいろと影響を与えるようなことはないと思っておりますが、十分注視をしていかなければならないと思っております。

 したがって、働いている方々にも、そういう意味での法案の改正ということで、運営会社をつくるということでありますから、その趣旨についてもぜひ御理解いただきたいと思いますし、私たちもそういう懸念がないようにしてまいりたいと思います。

高木(陽)委員 今大臣がしっかり注視していきたいという、まさにこの港湾の問題というのは、本当に公共性の問題もありますので、その点、しっかりと、注視というか指導もしていっていただきたいと思うんです。

 ただ、もう一つ、港湾の公共性、公益性の担保、これは確実に行う必要があると考えているんですけれども、世の中、何でも民間を導入すればいいという発想がかなりあるんですね。物をつくって売るだとか、まさに市場原理で生きているところはそれで結構だと思うんです。ただ、港湾というある意味では公共財のところにおいての民間資本の導入、これが本当に必要なのかどうか、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘の点でございますが、私も過去においてこういう経験がございました。ハローワークのところでありますが、私の地元で、八百人働いていた会社が突然倒産いたしまして、八百人の方が失業いたしました。その近くのハローワークに行きましたら、昼休み、十二時から一時まではお休み、どんなに人がたくさん来ていても五時以降は窓口を閉めてしまう。

 こういうことで、私のところに参りまして、何とか、これだけ大量の失業者がいるんだから、こういうときはハローワークも柔軟にやってもらったらいいんじゃないか、こういう意見がありまして、私もかつて予算分科会でこれを取り上げたところ、予算がない、こういう話でありました。しかしその後、十二時から一時までも窓口をあける、それから五時以降も仕事を探している方がいたら残業してもいい、こういう制度に切りかえたわけですが、ここのところだと思うんですね。いわゆる行政のいいところと、民間の柔軟な考え方を導入すべきところと、二つあると思うんです。

 したがって、今回においても、民間のサービスの向上ですとか柔軟な物の発想、そんなものを取り入れて、やっている方も使う方もお互いにウイン・ウインの関係になるような考え方、運営の導入というのは、そういうところに非常に効果があるのではないかと私は考えておりますが、議員から御指摘のマイナスの面が出るんじゃないかということについては、注視だけではだめだ、指導しろという話でありますから、十分そこら辺については考えてまいりたいと思います。

高木(陽)委員 いいところはどんどん導入した方がいいと思うんですね。まさに民間のいい部分、そういうお役所的じゃないところ、ここはしっかりとやっていただきたい。ただ、何度も申し上げますが、これまでの歴史的経緯を踏まえた上で、現実問題、今、港運業者の方を初め現場でやっているところに対しての圧迫、もしくはそれが崩れてしまうといったことに対しては、本当に丁寧に、またしっかりとやっていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 この港湾運営会社、ちょっとまだこだわっているんですけれども、国の直接貸し付けによって行政コストが増大するんじゃないかなと。今まではある意味では官がやってきた部分、これを民間にするのはいいんですけれども、逆に、直接貸し付け等々ができる、これによって、民間というのはコストカットをどんどんしていくんですけれども、やはり港湾の運営としてどうしても最小限必要なものはあると思うんですね。そういう部分での行政コストが増大していく可能性、ここら辺のところはないんだろうか、こういった疑問もあるんですが、その点はどうでしょうか。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 国の直接貸し付けにつきましては、従来の港湾管理者への管理委託制度が、一たん国の施設を港湾管理者に管理委託して、それから民間の事業者に使用させるというような仕組みでございました。

 今回の制度改正によりまして、民間の事業者の方々に国有港湾施設を直接貸し付けることで、港湾管理者の管理委託に係る中間コストの削減や、複数の施設、複数のバースの一括した運営を通じてスケールメリットが生まれるものというふうに思っております。これによりまして、港湾コスト低減が可能となるのではないかというふうに考えております。

 港湾施設を安く長期安定的に利用することが可能となる直接貸し付けによりまして、民間事業者による創意工夫を凝らした運営効率化によるコスト低減も期待できるものと考えてございます。

高木(陽)委員 時間も限られてまいりましたので、今回の被災を踏まえてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 港湾の防災機能、これは本当に重要な問題だと思うんです。そういった中で、今回、港湾運営会社制度ができて、防災面ですね、いろいろな震災が起きた、今も東北の港湾は港湾局を中心に一生懸命復旧をしていただいている、ここら辺のところは運営会社制度のもとで大丈夫なんだろうかと。民間になるわけですからね。

 今回の原発を見ていても、東京電力という会社は本当に大丈夫なのかなと。まさにそういうときは政府が乗り出していくんですが、今、政府と東電の関係、一体かなというふうにまだ疑問を持たれている。そういったときに、今、東北の港湾は、本当に一体となってというか、国が全面的に出ていっていろいろとやっているわけですね。

 だから、運営会社になった場合に、もし東海地震または東南海・南海、これは阪神も影響しちゃいますし、このときに果たして大丈夫なんだろうか、こういった素朴な疑問があるんですけれども、この点はどうでしょうか。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 被災時の救援物資の輸送、あるいは被災した施設の応急復旧のための資機材の輸送、さらには産業の復興のための支援には、物流ネットワークの確保は必要不可欠でございます。委員御指摘のとおりでございます。

 今般の法改正におきましては、例えば具体的な被災時におきましても、港湾の運営を担う港湾運営会社に対しまして監督命令等必要な措置を講ずることによりまして、迅速かつ確実に物流を確保するとともに、公共性、公平性が担保されるよう措置をしてございます。

 社会資本の整備の面につきましても、国際戦略港湾に対する支援制度において、マイナス十六メートル以上の耐震岸壁、これは地震に強い岸壁でございますが、こういったものの整備に対する国費負担率の引き上げを行うほか、港湾の防災機能につきましても、今回の震災の教訓も踏まえ、しっかりと強化を図ってまいりたいと考えてございます。

大畠国務大臣 先ほどの公益性の問題について、ちょっと追加で答弁をさせていただきます。

 この公益性、公共性というのは非常に大事でありまして、注視だけではだめだ、私も指導していきたいと言ったんですが、さらにちょっと明確に申し上げさせていただきます。

 この港湾運営会社については、大口株式保有規制及び港湾運営会社に対する監督命令あるいは指定の取り消し等の措置により、公共性、公益性を確実に担保するようにしてまいりたいと思います。

 以上、ちょっと追加させてください。お願いします。

高木(陽)委員 今、最後に大臣が命令まで言っていただきました。まさに港湾運営会社で先ほど局長のお話しになられた防災面、これも、いざというときは本当に国が前面に出て指導していかないと、こういう震災みたいな大変なときにしっかりとそれが生かせない。もしくは平時もそうですね。何度も申し上げますが、平時のときでも、いろいろと今までの港湾の秩序が崩れ去っていくような段階には、しっかりとそこには国が乗り込んでいって指導していただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 最後に、これは質問じゃなくて私個人の意見として申し上げたいんですが、冒頭に申し上げた湾での取り扱いですね、今回、京浜、阪神という形となりますけれども。

 やはり、この戦後六十五年間、自治体港湾によってプラスの面もあったでしょう。ただ、例えば私も地元は東京ですから、東京港と横浜、川崎、湾でいいますと千葉港もありますし、それがそれぞれ独自でやってきた歴史というものがありました。本当に、国際競争力、これがやはりクローズアップされたのはもう十年、二十年前からだったんです。そのときにここをしっかりと手を打ち切れなかったということに対して、先ほど冒頭でも申し上げたように、私も与党を十年間やって、改めて反省をしています。

 ただ、平時のときに国際競争という、これも厳しいんですけれども、今回は震災を受けてのこれからの復興ですから、まさにここにしっかりと力を入れていかないと本当に日本は沈んでしまう、こういう気がしてなりません。

 そういった意味では、もちろん国がしっかりとやる、また自治体もしっかりやる。今度、それぞれの現場にいる事業者の方々も頑張っていただくんですが、まさにここの連携をしっかりととって、これを奇貨としてというか、これを一つのきっかけとして、逆に世界に誇れるような港湾をつくり上げていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 これにて高木陽介君の質疑を終わるわけでありますけれども、高木委員の方から冒頭御指摘のありました委員の出席の件について、至極もっともな話でありますので、与野党を超えて、委員各位、理事の皆さん方もしっかりと御自覚をいただき、委員会、単なる採決要員ではない、我々がまさに国民にかわって議論するんだという点を、ここで私の方からも確認させていただきたいと思います。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、前回に続いて質問します。

 改めて、東日本の大震災で亡くなられた方々に哀悼の意を表し、そして被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 きょうは、港湾法の問題について質問します。

 まず、東日本大震災との関係で被害を受け壊れた港湾施設等の被害総額は幾らか、復旧するのにどれだけの費用が必要と想定しているのか、お聞きします。

三井副大臣 お答えさせていただきます。

 重要港湾十四港が、青森港以外は、今先生からも御指摘がありましたように、大変甚大な被害をこうむっておりまして、港湾機能が停止しているという状態でございました。また、十四港で、緊急物資を輸送する船舶等が入港可能な状態にするために、今全力で復旧に取り組んでいるところでございます。

 また、現地調査を早急に完了させると同時に、被害額及び復旧額の算定をしてまいりたいと思っております。

穀田委員 簡単に言えば、わからぬということですか。しかし、莫大な費用になるということは明らかだと。それは簡単に言うと、一兆円を下らない可能性があるということは既に明らかとなっているところであります。それだけにとどまらず、これは、漁業関係者のそういう被害額を入れればどれほどの大きな額になるかということは、見てのとおりであります。

 そこで、では、今度の国際戦略港湾事業に係る期間と、総事業費は一体全体幾らかかって、二〇一一年度予算は幾ら計上しているのか、報告願いたい。

三井副大臣 お答え申し上げます。

 国際コンテナ戦略港湾政策に係る平成二十三年度の予算といたしましては、公共事業、非公共事業合わせまして、事業費で五百十四億円、そのうち国費が三百二十七億円の予算を計上しているところでございます。

 また、今後の事業量といたしましては、水深十六メートルの大水深コンテナターミナルの整備等に、二〇二〇年までに約五千五百億円を見込んでいるところでございます。

穀田委員 東日本大震災による未曾有の国民的被害、インフラも相当な打撃を受けており、そして漁業関係者も甚大な被害を受けている。国民生活を立て直す上で、物流の拠点、漁業の拠点である港湾を一刻も早く復旧させるのは喫緊の課題だと思います。

 私は、この際、国際戦略港湾事業予算を災害復旧に回すべきではないかと思いますが、大臣の所見を問いたい。

大畠国務大臣 非常に大事な御指摘だと思います。

 しかし同時に、今、委員も御承知だと思いますが、日本に立ち寄らないで、日本を拠点とするのではなく、中国や韓国に迂回しようというような動きもございます。それから、経済的に、日本の部品を使っていたアメリカやヨーロッパでも、日本に依存し過ぎた、こういうことで、他に拠点を考えようというような動きもございます。

 震災対策も大変大事でありますし、私どもも全力で取り組んでまいりますが、同時に、全体的な日本における経済力を衰退させてしまったのでは困るわけでありまして、今回の予算関係でも、これはこれとして充当しながら、同時に、どのような形で復興のための予算をつくり出していくか、これについても、さまざまな形で、与党、野党、各党のいろいろな御意見もあると思いますが、政府としても工夫をしながら両方やらなければならないと考えております。

    〔委員長退席、長安委員長代理着席〕

穀田委員 経済力の衰退、こうきますけれども、港に立ち寄らないわけじゃないんですよ。減っている程度の話なんですよ。

 そして、部品のつくり、構成だとか言っている。これはもともと、今、大企業全体が海外にシフトするということの中で起こっている事態なんですよ。これはすべて港の話で起こっているわけではないわけです。

 私は、悲惨な事態に直面し、あすをも知れぬ避難生活にあえぐ国民生活の改善よりも、国際競争力、事実上そう言っているわけですが、と銘打った大型港湾事業が大事だとは思いません。今直ちに必要な、国民生活に欠かせないインフラにそのお金を回せと言っているわけです。それは常識だと私は思います。

 港にかかわる労働者で組織されている全国港湾労働組合連合会、略称全国港湾と、全日本港湾運輸労働組合同盟、略称港運同盟の二者は、この間、私どもの部屋にも来ていただいて、要請がありました。

 全国行動、三月十日、十一日の直後、東日本大震災が発生し、直後の大津波によって、当該地区の組合員はもとより、多くの港など職場も壊滅的な打撃を受けました。したがいまして、今次春闘も一たん中断し、救援活動に全力を挙げるとしています。そして、復興のために蓄積した能力のすべてを傾注するという心意気を語っています。本当に大事な申し出だと私は思います。そしてさらに、現国会で審議されている港湾法の改正は行わず、その予算を損壊した港湾施設の復興に振り向ける措置をとるよう提案すると訴えています。私もこれが常識だと思います。

 そもそも、百歩譲って、この法案をきょうあした急いで通さなければ国際競争力が落ちてしまうなんということはありません。大体、日切れ法案などといって、日切れ扱いと言っているけれども、三分の二の補助率を十分の七にするのをきょうあしたやらなければ港がつぶれるとか国際競争力が絶対負けてしまうなんということはあり得ないんです。そういうものをしっかり議論して、どうするかということをやること自体が大事なんだということを改めて私は申し上げたいと思います。

 そこで、では国際戦略港湾について少し聞きましょう。

 この趣旨を一言で言えば、国際競争力を強めてアジア諸港に奪われた貨物を取り戻すということだと思うんだが、本当に取り戻せるのか疑問です。

 二〇〇五年四月、港湾法改正が行われ、私はスーパー中枢港湾について質問しました。そのとき、アジアの巨大港湾に集まっているコンテナ貨物が日本の港に戻ってくるのか、そして、巨大貨物が必ず日本の港に入港するという確約があるのかと聞きました。

 このスーパー中枢港湾プロジェクトの結果はどうだったか、確認をしたい。事業費の総額は幾らだったか。

    〔長安委員長代理退席、委員長着席〕

三井副大臣 事業費の予算で申し上げますと、平成十六年度から目標年次であります平成二十二年度までの間に、事業費は約五千百億円でございます。そのうち、国費が約三千三百億円となっております。

穀田委員 当時の事業費は四千三百十二億円。これが、実際に使われたお金は五千百億円ということですな。

 どれだけの貨物がふえたのか、アジアの諸港から取り戻せたのかということについてお尋ねしたい。

三井副大臣 平成十六年から平成二十年にかけまして、スーパー中枢港湾全体の外貿コンテナ取扱個数は、千百八十四万TEUから千三百七十二万TEUへ約一六%増加いたしたところでございます。

 一方で、我が国の発着コンテナの貨物のうち、海外の港で積みかえられて諸外国との間で輸送されました貨物の率は、スーパー中枢港湾施策実施前に比べまして増加傾向は緩やかになりましたが、しかしながら、引き続き増加傾向はとまっておらず、平成二十年には一八%となっております。さらに抜本的な競争力強化策が必要な状況にあります。

 スーパー中枢港湾政策を発展させる上にも、民の視点によります港湾運営が必要と認識しておるところでございます。

穀田委員 三井副大臣が余り言っていないことも言っておきますと、基幹航路就航回数はスーパー中枢港湾全体でマイナス三%、スーパー中枢政策前のマイナス一八%に比べて減少傾向は緩やかだと。だから、えらい成果が上がっているように見えるけれども、はっきり言えば、スーパー中枢港湾全体でマイナス三%であり、マイナス一八%の全体に比べると減少傾向は緩やかだということであって、何か調子よくこんなになっているという話じゃないんですよ。

 みんな、聞いていると何となくえらい調子がいいなと思うんですが、違うんですよ。大したことないんですよ。はっきり言えば大したことないということなんですね。要するに、先ほどありましたように、むしろ五千百億円もつぎ込んでこの程度かということなんですよ。これだけ巨額の税金をつぎ込んで効果がなかったということが、はっきり言えば結論なんですよね。

 私、そのときも言ったんですよ、二〇〇五年のときも。そもそも、九〇年代にも、大交流時代を支える港湾構想というのがあったんですね。そして、その後構想して、そのとき、中枢・中核国際港湾という名前なんですよ。そして、そのときも、アジアの国際ハブ港湾にするというふれ込みなんですよね、九〇年代に。

 次、そのときに大体何ぼ金を使ったか。七年間に七兆四千九百億円を使った。それでも、アジアの諸港に貨物が奪われ、日本の港湾の貨物取扱量の順位は下がり続けた。それで、自公政権の時代だけれども、〇四年からスーパー中枢港湾プロジェクトが取り組まれた。

 今度、国際コンテナ戦略港湾も、何を言っているか。国際競争力を強めてアジア諸港に奪われた貨物を取り戻す。何のことはない、大交流時代を支える港湾、スーパー中枢港湾、国際コンテナ戦略港湾、三回とも同じことを言っている。よくも何回も同じセリフを使って、莫大な税金を惜しげもなくつぎ込んで無駄をつくるということを恥じないことだなと、私はあきれ返る。

 では、もう一遍聞きますけれども、もう一度三回目のせりふを聞こうというんですけれども、政府が言うところのアジアの港に奪われた貨物を取り戻すことができるのか、その保証はあるのかということについて聞きたい。

大畠国務大臣 穀田議員の、実に過去の歴史を踏まえた御質問をいただきました。

 私自身の一つの考えを申し上げさせていただきますが、これまでのことが無駄だったんじゃないか、無駄金を随分投入してその程度なのかというような感じのお話でございますが、私はそうは思わない。なぜかというと、例えば、私もスポーツの世界で学生時代やってきましたが、一生懸命けいこをします。けいこをしてけいこをして、強くなろう強くなろうというけれども、相手もけいこをしているんです。

 結果的には確かに今のような状況かもしれませんが、では、けいこした、あるいは努力したことは無駄だったのかというと、そうじゃなくて、さらに努力をして、競争社会でありますから、言ってみますと、日本の港湾の対策よりも、アジア全体の経済の動きあるいはアジア諸国の港の整備というのが非常に進んだ。

 先ほどもちょっと申し上げさせていただきましたけれども、日本のコストもアジア諸国に対して高い現状にある。先ほど金子先生のお話のときにも申し上げましたが、日本の京浜港のコストが一〇〇とすれば、現在、釜山は七九、シンガポールが八五、釜山新港では五九という状況にあります。今、一生懸命努力してもこういう状況なんですね。

 だからここに予算を使うことが必要ないんじゃないかというんですが、逆に今、さまざまな形で、私たちが想像もしないような形でアジアの経済が非常に大きく飛躍しています。この中で日本がどうするかというと、やはり、その状況を見ながら適切に港の整備をしていくことは非常に大事だと思います。

 しかしながら、ただ投入するだけじゃなくて、いわゆる過去の政策の反省をしながらあるいは検証をしながら適切にやることが必要だと思うんですが、この中で今回御提示しています、いわゆる東京地区、阪神地区の二港に的を絞って国際的に競争できるような港をつくろうという一つの流れは、決して無駄ではないと私は思うし、大変大事だと思っています。

穀田委員 私、ふえるかと聞いたんだけれども、無駄じゃなかったか無駄かという論議になっているんだけれども、では、無駄はなかったのかと。少なくとも、百二十六も重要港湾をやって、御承知のとおり船の来ない港などというのを何ぼでもつくっている。福井港などは、何百億円とかけて、あそこの地元紙は釣り情報の中に福井港と書いている。徳島港もつくった。ありとあらゆるものをつくりましたよ。それが無駄じゃなかったなどとだれが言っているか。みんなが無駄だと思っているんですよ。そういうものに何ぼ金を使ったんですか。合計で七兆円も使っているし、この間も五千億も使っている。こういうことでやっていいのかということを言っているんです。そして、その結果、戻っているのかと言っているんですよ、今後戻るのかと。

 しかも、その問題の中心は何か。けいこの話をしました。けいこじゃないんです、これは。国民の税金が使われているんです。しかも、この税金の使われ方が、こんな形で事実無駄なところがいっぱいあるといって、しかも、私が二〇〇五年にしたときには、政府が外郭団体からもそういう形で無駄が多いと指摘までされたということまで私は引用しているんです。そういう経過を見なければならない。

 ましてや、皆さん、今、そういう事態の中で、国際競争力、国際競争力と言って何が問題か。その経済力が、国民のところに豊かになる、港湾労働者が豊かになる、そういったことの結果として結実するのかどうかということが問われているのであって、けいこの実った話とそういった話を混同させちゃならぬということをあらかじめ言っておきたい。ふえるのかと。

大畠国務大臣 確かに、穀田議員がおっしゃいますように、港の整備の中で、私なんかも、何か港湾を整備して釣りをするような港湾もあるとか、そういう話も随分ありました。

 確かに、過去の整備については無駄もあったと思います。したがって、そういうところは反省をしなければならないと思うし、検証もしなければならないと思うんです。そういう状況を検証しながらも、国際的な経済の大きな流れの中で、日本の港を集中的に、まさに選択と集中という形で整備していくことも大事だと思います。

 これでふえるかどうかという御質問でありますが、これも、世界的な、あるいはアジア全体の流れの中でありますから、確約することはなかなか難しいかもしれませんが、しかし、少なくとも、アジアの経済の大きなうねりの中で日本が対応すべきものとして、一つの選択肢として大変大事だと思います。

 ただ、先ほど、けいこの話とは違うじゃないかというのは、それは私も、御指摘をいただいて、そのようにも感じます。そういう状況もありますが、ただ、いわゆる競争社会というものの例えをしたわけですが、余り適切じゃなかったかもしれません。そういうところは十分私も心しながら対応してまいりたいと思います。

穀田委員 二〇〇五年のときは、コストそれからサービス重視、そして大きな船で引き続き日本に寄港するのは維持できる、海上コンテナ輸送が海外トランシップされている状況を変えていくという、まだ具体的にあったんですが、今回は展望も何も余り示されない。本当に、前回は期待を述べていた、今度は期待さえもないということにちょっと驚きましたけれども、余りないということがわかった。

 そこで、私は、港湾政策の根本を変えなくちゃならぬと思っているんです。二〇〇五年のときにも私は指摘しました。当時は、スマトラ沖地震などで津波災害などに対する備えが緊急性を増していたんです。ところが、港湾や海岸の安全を確保する海岸事業に関する国交省関係の総事業費は、二〇〇三年に比べて二割も減らされたんです。そして、選択と集中、重点化といってスーパー中枢港湾など大型事業の予算をふやし、国民の命を守る海岸事業などの予算を減らすということもやられたんだ。まさにその結果がこれだ。

 私は、今回の東日本大震災、津波による戦後最大の被害がこの日本を襲ったとき、この復旧はもちろんだけれども、港湾政策が国民の命、安全を守ることを中心に据える、根本に据える、この発想の転換が必要だと思いますが、この際、聞いておきたい。

大畠国務大臣 港湾政策の中で、命を守る、これを中心にすべきじゃないかということでありますが、そのことについては私も同感であります。

 同時に、これまでの港湾政策の柱を四点申し上げますと、産業競争力の強化のための港湾の国際競争力の強化、あるいは地域の暮らしの確保や経済の活性化、三点目には大規模地震への対応などの安全、安心の確保、四番目には地球環境問題への対応、こういうことを中心にしてきたということでございますが、今御指摘の国民の命あるいは暮らしを守る、これは今回の大震災でも私も非常に実感をいたしました。同時に、離島の交通もそうでありますし、地震対策等でも、地震に強い、あるいは津波に強い港をつくるというのは非常に大事だと思います。

穀田委員 四つの柱を言われましたけれども、その中で、さっき言ったように海岸線を守ったりすることを減らしたということが問題だと言っているんですよ。だから、そういうところに転換しなくちゃならぬ。

 そこで、今、地方の問題を言いました。今、地方の問題も大事だと言っていました。国際ハブ港など東京一極集中、さらには首都圏、大都市集中を生む政策ではなくて、本当に、地方都市、地方経済の活性化、再生を中心に据えた政策への転換が必要だと思います。港湾が地方の経済にとって重要であることは論をまちません。大震災の被災地である東北地方はもちろんだけれども、地方に目を向けた政策への転換が大事だと考えます。

 アジア諸国との連携の問題についても、二〇〇五年の当委員会で、私は、地方の港への無駄な投資を重ねるべきではないが、今ある地方港も活用し、分散配送の方が効率的になる、今あるストックを活用することに港湾の行政を転換すべきだと指摘しました。

 奪われた貨物を取り戻すとか、そのためにより大きな船が入れるバースの整備を競い合う、競争一辺倒では私はだめだと思います。アジア諸港との協力、そして協調する発想への転換が必要だと思いますが、いかがですか。

大畠国務大臣 今御指摘の点も私は大事だと思います。単にアジア諸国と競争をして勝ち抜くというだけの視点ではなく、アジアの、いわゆる韓国や中国の港とも、共存共栄、お互いに連携をとってやるという視点も私も大事だと思います。同時に、そういう中で、韓国の港あるいは中国の港との役割分担というのをどうするかということも大変大事な視点だと思います。

 そういう中で、やはりアジア全体の経済というのが世界の経済を引っ張り上げていることも事実でありますから、そういう中で日本の港はどうあるべきかということを考えることは大変大事だと思います。

穀田委員 この問題について少し言っておきますと、そういうコンテナ取扱量低迷の主要な原因というのは、国内的には、やはり日本の通商構造の大きな変化、特に、大企業などが生産拠点を海外移転するという産業空洞化、こういったことが起きていることが大きな原因だ。そして、対外的にはアジアの経済の成長。その意味で、国際物流の非効率によって引き起こされているわけじゃないんです。それだけじゃないんです。問題は、やはりグローバル経済との関係を見て、その結果にほかならないということをしっかり見ないと、競争力、競争力という形でのやり方が、それは必ず落とし穴に陥るということを言っておきたいと思います。

 私は、最後に民営化の問題について一、二質問したいと思うんです。

 そもそも港湾が地方管理の公共財とされてきた理由は何かということであります。いかがですか。

大畠国務大臣 これは過去の日本の歴史とも絡むと思いますが、港湾の管理というのは、さまざまな状況から非常に膨大なお金もかかるということで、いわゆる地方公共団体、または、地方公共団体が単独もしくは共同で設立する港務局というのが行うようになってきたと思います。

 港湾が、島国である我が国の国民生活や経済活動を支える上で不可欠の社会資本であるということ、防波堤あるいは航路等の収益性を求めることができない施設等が一体となって機能を発揮する社会資本であるというような状況から、公的主体が管理を行うことが適当であるという考え方に基づいて行われてきたと受けとめております。

穀田委員 ですから、そういう点でいいますと、法律にあるように港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るという点と、効率化が追求されるということは必ず矛盾する。この十年間の規制緩和は何をもたらしたかということに私は思いをいたさなければならないと。

 今後もそういう形で効率化一辺倒できますと、必ず、秩序ある港湾運営の崩壊と働く労働者へのさらなるコスト削減、合理化を招く、そういう危険性があるということを今から指摘し、今後も私は皆さんと議論をしていきたいと思っています。

 既に、日本港運協会の会長なども、港湾管理会社に民間資本を入れる国がどこにあるか、港を理解しない資本家が資本を入れれば日本の港にどのような結果をもたらすかは自明であるという懸念を表明しているんですよね。こういうことをしっかり見て、やはり公共財としての活用が大事なんだということを肝に銘じてやらなければならないと思います。

 最後に、非核神戸方式について聞きます。

 船舶の入港に関して、港湾運営会社の許可権限はどのようなものか。例えば神戸市は、核兵器積載艦船の神戸入港に関する決議に基づいて、外国の艦船、軍が管理する船ですね、が神戸港に入港する際に、核兵器を搭載していないことをみずから証明する非核証明書を提出することを義務づけています。

 非核証明書を提出しない場合でも港湾運営会社が入港を認めることがあるのかどうか、お聞きしたいと考えます。

大畠国務大臣 穀田議員からの御質問ということで、私もいろいろ、調査といいますか、調べさせていただきました。

 港湾法においては、港湾管理者たる地方公共団体が港湾を管理している。一方、港湾法第十三条第二項においては、何人に対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し不平等な取り扱いを禁止しているところであり、港湾の適正な管理及び運営に支障が生じると認められるときに限って、港湾管理者は港湾施設の使用を拒否することが可能であります。この考え方については、港湾運営会社が指定された港湾においても同様と考えております。

穀田委員 わかりやすく言ってください。

 要するに、簡単に言えば、入港の届け出管理義務、そういう港湾管理事務というのは、本来運営会社がやるんじゃないんだということですよね、わかりやすく言えば。

大畠国務大臣 言ってみますと、民間企業になったとしてもこれまでと同じです、こういうことだと思います。

穀田委員 ということは、非核神戸方式について影響を及ぼすことはないということですね。

大畠国務大臣 基本的に、港というのは、世界的に、何人も入港することを拒否してはならない、あるいは平等にしなければならないというものがありますが、地域のさまざまな歴史がありますから、そういう意味では、港湾管理者は、遅滞なく、言ってみますと、民間会社になったとしてもおおよそ同等の形でとり行われるだろう、私はそう受けとめております。

穀田委員 そういうふうに理解をして、終わります。

古賀委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 東日本震災で亡くなられました方々にまず心からお悔やみ申し上げ、また、被災を受けられました方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、今回の東北地方を襲った地震と津波では、多くの港湾労働者の方々も、亡くなられたり行方不明になられて大変な状況にございます。そういう中にありましても、港湾関係で働く労働者の団体の皆さん方は、現在の救援物資の海上ルートの確保やあるいは救援物資に係る港湾荷役作業に全力を挙げて今取り組んでおられます。

 港湾関係で働く労働者は、今回の法改正による港湾経営の民営化や規制緩和が自分たちの労働条件にどのような影響を与えるか、大変に危惧をされております。被災しながら懸命に働く港湾労働者を前にし、しかも、これから甚大な被害を受けた港湾復興に取り組まなければならないこの状況の中で、この法案を今審議する必要があるのかどうか、我が党も大変に疑問に思っております。このことをまず申し上げながら、質問に入りたいと思います。

 まずは、港湾の震災、津波の被害についてでありますが、第一番目、港湾の被害状況につきましては、先ほど、自民党の金子議員、あるいは穀田議員、それぞれお尋ねがありました。そこで、答弁では、青森から静岡までの重要港湾十五港については詳しく報告がございました。しかし、この間には地方港がたくさんあると思うんですが、この地方港の現状、どれくらいあってどれぐらいの被害があっているのか、これについて港湾局長にお尋ねしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、青森県から茨城県に至る地域にも重要港湾以外の地方港湾がございます。こういった港湾におきましても、今般の地震によりまして、防波堤あるいは岸壁といったものに大きな被害が出てございます。また、津波そのものによりまして、港湾施設の建物でございますとか、あるいは荷役機械でございますとか、こういうものが流されたりする、あるいは倒壊をしてしまう、こういった被害が出てございます。

 青森県から茨城県まで、これは一部もちろん漁港を含んでおりますけれども、何らかの形でそれぞれの港湾が大きな被害を受けているというのが実情でございます。

中島(隆)委員 今の御答弁ですが、何らかのということで、数も出ないし被害の状況もまだ把握されていないということではないかというふうに思うんです。

 これに加えまして、今話がありましたように、漁港が百十八カ所あるんです、岩手、宮城、福島三県。もう漁港はほぼ壊滅的です。これは国土交通省の所管じゃありませんけれども、今後、この復興には、地方港も含めて大変な復興事業があると思います。

 今回の法改正で、国際戦略港湾あるいは国際拠点港湾の工事費用、先ほど穀田議員が質問されて、五百数十億、もう二十三年度からこの予算が積まれている、これはこれとして確保したいと大臣が回答されたわけでありますが、私は、このような被害をこうむって、恐らく何兆円とかかる復興予算になると思うんです。こういう状況になって、本当にまず復旧をやって、その次の復興も計画していかなならぬわけですね。そういう状況にあって、私は、災害対策を優先すべきではないかというふうに思うんです。大臣、再度この点についてお答えを願いたいと思います。

大畠国務大臣 中島議員の御指摘については、私もよく理解するところであります。

 先ほど穀田議員にも御答弁を申し上げましたが、しかしながら、アジア全体の、あるいは世界全体の状況というものも見ながら対処していかなければならないと思います。

 したがって、国際的な競争力というものを考えたときに、今回御提案している、集中的にここは競争力を持つ港をつくろうということも大変大事な視点だと考えております。そういうところを強化しながら、その港を中心として、震災を受けたところの港に対する支援の手を差し伸べるというのも大変大事なキーポイントになりますので、その両方を整備していくことが大事だと私は思っております。

 当然、今御指摘の、被災した港湾施設の対策、復旧、あるいは、被災者の皆さんに対して生活支援物資を届ける、こういうことも大切でありますし、その地域の、東北地方の経済あるいは産業をもう一度立て直して、そこにいわゆる仕事の場、仕事をつくっていくということも大変大事だと思います。

 そういう意味からも、連携をとりながら、何とか被災した地域の復興にも役立てることができるようなことも十分考えて対処してまいりたいと考えております。

中島(隆)委員 次に、港湾の復興なり、費用負担の手法についてお尋ねしたいと思います。

 阪神・淡路大震災では、神戸港では大きな被害をこうむりまして、平成七年の運輸白書でも述べられておりますが、被害総額一兆四百億円、平成六年から平成十一年まで、二次補正で、震災関係の予算が神戸港だけで六千七百億円支出されています。防波堤や岸壁、臨港交通施設、これらについては激甚災害の適用がされまして、国の補助率は九一・八%、こういう国からの支援がされています。しかも、民間の神戸港埠頭公社、あるいはコンテナ埠頭等ですが、これについては、新法を制定して国庫補助の対象にされています。

 こういうことがされていますが、今後の復興に対してこのような国の負担が進められるのかどうか、特に、阪神・淡路大震災のように国の財政負担中心で考えられる対応がされるのかどうか、その点について、港湾局長、お尋ねいたします。

林田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘がございました被害の実態の把握ということでございます。

 これは私ども、確かに初動が非常におくれてございます。これは、私どもの現地の港湾事務所、あるいはそこで働く職員そのものが実は被災を受けているということもございまして、非常におくれたことをおわび申し上げたいと思います。

 今、実は、その被害の実態がどうであったかということを詳細に把握するという作業を行ってございます。その被害の実態の把握がしっかりまとまりますと、今後は、復旧復興の費用負担の問題になります。これも委員御指摘のとおり、阪神・淡路の震災のときにどうであったかということも、これは私ども今しっかり勉強してございます。

 今後、港湾管理者の方々やら港湾所在の市町村の方々の御意見、御要望をしっかり伺いながら、これまでと同じ制度でいいのかといったことも含めて早急に検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

中島(隆)委員 特に各港湾管理の自治体については、復興その他の震災の被害に大変な財政的な問題がございます。ぜひ阪神・淡路大震災以上の国の支援策で対応していただきたいと思います。

 次に、これまでの港湾の規制緩和の問題についてお尋ねいたします。

 特に港湾の規制緩和、これまで数々取り組まれてまいりました。その規制緩和の波にさらされてきたわけであります。一九九九年の港湾運送事業法の改正によりまして、参入の規制が免許制から許可制、あるいは料金制度についても許可制から届け出制。その結果によりまして、港湾の競争力を高める方向に作用したとはとても思えません。

 逆に、港湾で働く人たちに強いしわ寄せが寄せられています。港湾労働者の賃金は、他の技術系労働者の基準内賃金と比べまして、月額でも十万円程度低くなっています。所定内の労働時間も、月間百五十一時間、全産業の平均よりも十五時間も多いのが現状であります。

 港湾関係の事業の十年にわたる規制緩和を国交省はどのように評価をされているのか、お尋ねいたします。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 港湾運送事業におきます規制緩和のことについてお尋ねでございます。

 まず、港湾運送事業の取り扱っております貨物量につきましては、日本の貿易の拡大に伴い増加を続け、規制緩和以降の一般港湾運送事業者の売上高も増加傾向にございます。そういった意味で、港湾運送事業者の経営状況は堅調に推移をしているものと考えてございます。

 また、これは厚生労働省さんの調査結果でございますが、港湾労働者の方々の現金給与額につきましては、全産業平均を上回ってございます。また、労働災害の発生率といったものも減少してきているということでございます。

 これらを勘案いたしますと、規制緩和による港湾運送事業や港湾労働者の方々への悪影響は生じていないのではないかと考えています。

中島(隆)委員 今の御回答では、規制緩和後、貨物量もふえ経営状況もよくなった、そして全産業の賃金を上回っている、災害も減っている、こういう御回答ですが、私が聞く範囲ではそういう状況認識ではないんですね。本当に厳しい状況の中で港湾労働者は働いているんですよ。もっと重要に今の点を調査していただき、本当にどうあるのかを踏まえて規制緩和後の総括をしていただきたいと思う。これは厳しく求めておきたいと思います。

 特に、港湾の規制緩和によりまして、二〇〇〇年に、衆議院の運輸委員会あるいは参議院交通・情報委員会で、需給調整規制の廃止の際に決議がされています。港湾運送の安定化が保たれるように努めるとか、あるいはダンピングの防止に努める、港湾労働者に過度のしわ寄せが及ばないように配慮する、こういう決議がされているわけです。ということは、これだけしわ寄せが起こっているということを、国会の中でも審議をされて決議されているんです。

 規制緩和を憂慮する意見や、これらの多くの配慮された意見があるわけですが、今後、この法改正で港湾経営の民営化や効率化がさらに進むと私は思うんです。このような状況の配慮をどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の行政改革委員会最終意見や衆議院、参議院委員会での港湾運送事業法改正法案に対する附帯決議におきまして、さまざまな御指摘をちょうだいしております。

 こういった御指摘を踏まえまして、国土交通省といたしまして、悪質事業者参入防止のための欠格事由拡充、罰則の強化、あるいは、港湾運送事業者、港湾管理者、国などから成ります港湾安定化協議会の設置、開催、さらには、ダンピングによる港湾運送の混乱の防止策としての料金変更命令制度及び緊急監査制度の創設、運用といったセーフティーネット策をこれまで講じてきたところでございます。

 今回の港湾法改正におきましても、港湾運営会社について、大口株式保有規制や港湾運営会社に対する監督命令、指定の取り消しなどの措置を設けることによりまして、港湾の公共性、公益性を確保することとしております。

中島(隆)委員 安定協議会の協議ですけれども、これは港湾運営の経営の安定のための協議でありまして、先ほど、港湾労働者へ過度のしわ寄せが及ばないように、こういう配慮の指摘があるわけですが、港湾労働者、働く方々へのしわ寄せなり、こういう労働条件の問題について、やはり規制緩和によって非常に過酷な状況に立たされているわけで、こういう問題についての検討と対策が必要ではなかったか、こういうふうに思っております。これは指摘しておきたいと思います。

 次に、今回の規制改正についてですが、特に、中国あるいは韓国のハブ港との競争力を大臣が盛んに指摘をされました。しかし、この競争をやるとしても、ターミナルにしても、背後地物流、上海の一平米四十円という借地料、こんなところと競争して、特にコスト的なことで、相互依存でも大変難しいと私は思うんです。であれば、逆に、安全性の軽視とか働く人たちの条件、こういうしわ寄せをやることがますますこの民営化によってふえると思うんですね。

 ですから、私は、日本の港湾政策というのは、安全性や利便性を強く打ち出して、日本の港湾の特色を国際的に認知させる、こういう意味での港湾改革が必要ではないかというふうに思うんです。これは港湾局長にちょっとお尋ねしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、港湾を取り巻く状況が厳しい中にありましても、港湾で取り扱います貨物、実際にこの貨物を扱っていただいております港湾労働者の方々の安全というものをしっかりと確保していくということは、私どもにとっても極めて重要な政策の一つと考えております。

 そういった中にありましても、実は、繰り返しになって恐縮でございますが、国際コンテナ戦略港湾におきまして、コスト低減策というものをやっていくということに加えて、コンテナ貨物を集約する、内航を初めとするフィーダー網の抜本的な強化でございますとか、あるいはゲートオープンの拡大によります二十四時間化の推進でございますとか、こういった荷主サービスの向上、さらには、民の視点と活力を有する港湾の広域的な経営の実現、こういった施策を総合的に進めるということが必要だと考えてございます。

 こういった施策を総合的に進める中で、港湾労働者の方々の安全というものもしっかり確保した上で国際競争力強化というものに努めていきたいというふうに考えてございます。

中島(隆)委員 これは、今回の法案改正に当たって、交通政策審議会なり、あるいは交通政策審議会に港湾分科会というのがあるんですが、ここの審議がされたのかどうか、港湾局長、お尋ねしたいと思います。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の港湾法改正に盛り込んでおります内容につきましては、いわゆる私ども国土交通省に設置されております審議会では、報告をし意見を聴取するということは行ってございます。ただ、実務的に内容を詰める中では、別途、国際戦略のコンテナ港湾というものを進めるための委員会を設けまして、その委員会の中でさまざまな有識者の方々から御意見をちょうだいしながら政策をつくってきたということでございます。

中島(隆)委員 私も国土交通省のホームページで見たんです。交通政策審議会でも議論されていません。それから、港湾分科会でも、過去何回も開かれていますが、議事録にも載っていません。別途委員会を開いたということでありますが、管理権を民営化に移し、しかも重要港湾を拠点港湾に組みかえる、そして新たな財源を使う。これは、港湾分科会の目的で、港湾、航路及び港湾運送に関する重要事項について調査審議するという重要な課題があるわけですね。審議会でも議論されていない、しかも分科会でも審議されていない。こんな重要法案を審議するのに、全く審議会にかかっていない。これは、各地方にも管理者の港湾審議会があるわけですね。そこの意見も聞かずにこういうのがされているということは大変な問題だと私は思うんですが、大臣、ちょっと、このことについてどう思われますか。

大畠国務大臣 今の御指摘というのは、非常に大事な御指摘だと思います。特に、働く人の立場というものをどういう形で考えていくのかということは非常に大事だと思いますので、今の御指摘を受けて、できるだけそういう形がとれるように努力をしていきたいと思います。

中島(隆)委員 特に、今回の法案を見てみますと、効率的な運営、運営の効率化という言葉がほとんど出てきているんです。それから、法案の三条の二の二項に、「民間の能力を活用した港湾の運営」あるいは「港湾の効率的な運営に関する基本的な事項」、しかも、三条の三の二項には、港湾計画の項ですが、「港湾の効率的な運営に関する事項」、こういう国土交通省の基準に適合していなければならないということが盛られていますけれども、非常に効率化一本がこの法案の中心になっています。港湾の公共性、安定性を確保することは重要であるけれども、こういう効率一辺倒でやることについて非常に危惧をするわけですが、この点について、港湾局長、どうなのか。

林田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、港湾におきまして、港湾の持つ公共性、安全性をしっかり確保していくということ、これは基本的な原則として極めて重要なことかと認識をしております。港湾というものが国民共有の財産であるということでございますので、こういった港湾の機能が最大限発揮されますよう、その効率化を図るということも極めて重要なことと考えてございます。

 現在取り組んでおります港湾政策の中でも、運営の効率化を図るということが国際競争力強化のために非常に重要だということで、私ども、公平性、安全性の確保ということ、これをしっかりと実現していくという政策を進めながら、運営の効率化に取り組んでいるところでございます。

 今回の法案におきましても、委員御指摘のとおり、公平性あるいは安全性といったものを最大限確保しつつ取り組んでおりまして、あわせて港湾の運営の効率化ということによる国際競争力の強化というものを図っていきたいというふうに考えてございます。

中島(隆)委員 先ほどから法案の中身について指摘しましたが、効率化については当然必要です。必要ですが、効率化をやることによってそこに働く労働者の皆さん方が犠牲になるというのが今までの規制緩和です。安心、安全というのは、港湾では一番必要な課題です。そこに働く方々のそういう効率化については、やはりできるだけ安全性を確保するという前提でぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 そこで次に、港湾管理者の地方自治体の管理権の問題でありますが、国際戦略港湾を指定されて、今度民営化されます。業務に関しては、監督上必要な命令をするということも盛り込まれています。地方自治体に属していますが、国の監督権限の強化で逆に侵害されるのではないかというふうに判断をするわけです。地方分権にも逆行するような形になるのではないかと考えるんですが、そこの点について、港湾局長。

林田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の港湾法の改正におきましては、国際戦略港湾という港格を新たに設け、国際戦略港湾及びその港湾運営会社に対して国の施策を集中するとともに、その会社の運営の効率化が最大限図られるよう、港湾運営会社の指定及び必要最小限の監督は国が行うこととしてございます。

 港湾運営会社制度につきましては、まず、港湾管理者が作成いたします法定計画でございます港湾計画に位置づける必要がございます。こういったプロセスの中で、港湾管理者の意思決定がその導入に不可欠なものと認識をしてございます。また、国際戦略港湾の港湾運営会社の指定、監督に当たりまして、国は、それぞれ港湾管理者の同意あるいは意見を求めることとしてございます。

 このように、国家戦略を実現するための国際戦略港湾の港湾運営会社につきましても、港湾管理者の意向を踏まえ、かつ、十分な調整を行った上で指定、監督をすることとしてございます。

中島(隆)委員 時間がありませんので、次に、今までも質問いたしましたが、港湾労働者に与える影響の問題で一つだけ質問させていただきたいと思います。

 今回の法案の中に、国際戦略港湾運営効率化協議会というのが新設されています。これについては、経営効率化協議会という内容になっていまして、構成が、港湾管理者、関係行政機関、民間の港湾運営会社です。この協議が、今までと同じように効率化のための協議であって、本当にここに働く港湾労働者の皆さん方の意見を反映する場になっていないんじゃないかなと思うんですけれども、その点はどうですか。

林田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘の協議会でございますが、これは、私ども今、制度設計を行ったところでございます。御指摘の過去に設けておりました協議会につきましても、もちろんこれは効率性を追求するためだけのものではございませんで、港湾労働者の方々の安全性、あるいはそこで取り扱われます貨物というものがしっかりと安全に取り扱われるというような、さまざまなことについて議論をさせていただいております。

 今回設けます協議会につきましても、もちろんそれぞれの港湾においてつくっていただくわけでございますけれども、参加をしていただくメンバーはもちろん、そこで議論をしていただく内容につきまして、港湾労働者の方々が安心して働いていただけるような、そういったことについてしっかりと議論をしていただく、そういう協議会にしていきたいというふうに考えてございます。

中島(隆)委員 その点は、特に港湾労働者の皆さんの意見が反映できる協議、そういうことをひとつ検討いただきたいと思います。

 時間がありませんので、最後に大臣にお伺いいたします。

 特に港湾運送事業法の問題、これは再三質問しているんですが、大臣の御地元であります常陸那珂港、これは非常に取り扱いが多いんですが、対象になっていません、指定されていません。その他多くの重要港湾で指定されていないところがあるんですね。あるいは、三島川之江港あるいは志布志港。こういう貨物量の多いところは早急に指定すべきではないかというふうに思うんですが、大臣、どうですか。

大畠国務大臣 今回の港湾法等の改正では、今御指摘をいただきました港湾運送事業法を改正しておらず、直接的に指定港の見直しに結びつくものではありません。ただ、私も、今回の御質問の背景についてもいろいろ報告を受けました。いろいろと状況をしっかりと調べて、現行の基準に照らして適切に判断をさせていただきたいと考えております。

中島(隆)委員 時間が参りましたので、最後に要望だけ申し上げておきたいと思います。

 この法案改正については、我が党としては、働く皆さん方の問題、あるいはさらに効率化一辺倒の規制緩和が進むのではないかという心配を非常にしています。

 そこで、お願いでありますが、特に港湾というのは、港湾に働く皆さん方があってこそ港湾は振興するんですね、物流も興るんです。ですから、ぜひ、港湾会社の運営に当たっては、十分な監督、指導をされるわけでありますが、その中で、この港湾に働く皆さん方の雇用環境、条件確保、あるいは意見を十分反映する、そういう方を厳しく指導して体制をとっていただきたい。最後に要望して、終わりたいと思います。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部改正案ということで、日本の港湾の岸壁使用料はアジアの主要港に比べ二、三割高いということが言われている。国際競争力を失いつつあるわけです。先ほど大畠大臣自身がおっしゃっていましたけれども、例えば北米から新潟に行くという場合に、東京港に陸揚げして陸上で運ぶより、釜山に寄ってコンテナを積みかえて新潟に行く、その方がコストが安いので釜山を経由する、こういうことが言われている。

 今回、京浜港と阪神港を国際コンテナ戦略港湾、国際戦略港湾として、世界で戦える港湾として、選択と集中の上、育てていく。港湾運営会社制度を導入して、民間の資金と経営力で港湾の国際競争力を高めていこう、こういうことについては、私たちも基本的に賛同するところであります。

 まず、コスト競争力を高める必要がやはりあるというふうに思うんです。こういうものは、私は、目標値を定めてやっていくことが大事だというふうに思います。アジアと比べて二、三割高いと言われる岸壁使用料の水準を、いつまでにどれだけ下げるという目標を持っているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

林田政府参考人 今委員御指摘の岸壁使用料ということでございますが、これは、それぞれの港湾管理者の方々が利用料金を定めてございます。その使用料そのものにつきましては、それぞれの港湾管理主体の方々が判断をされるということではございます。

 ただ、岸壁使用料を含めた港湾のコストのことでございますが、これについては、実は、国際戦略港湾においては、貨物を広域的な範囲から集約をするということ、あるいはまたこれによって大型化する基幹航路のコンテナ船をより多く寄港するように促す、こういったことを行いましてスケールメリットを発揮させるとともに、港湾運営の効率化、ヤード整備の直轄事業化等によりましてコスト低減を全体として図っていくということかと考えてございます。

 加えて、港湾の二十四時間ゲートオープンでございますとか、あるいは民の視点による港湾運営等でございますとか、総合的な政策を推進することによりまして、二〇一五年には釜山等東アジア主要港でのトランシップ率を現行の半分に縮減し、さらには、二〇二〇年には東アジア主要港として選択される港湾となることを目標といたしまして、国際競争力の強化及び基幹航路の維持拡大を図っていきたいと考えてございます。

柿澤委員 私たちは、この法案に賛成をするわけです。先ほど穀田先生から御指摘があったように、これまでの港湾競争力を高める政策は必ずしもその効果を発揮してこなかった、こういう歴史があるわけであります。そういう中で、私は、今のトランシップ率を半分にするとかあるいは東アジアの主要港になるとか、こういう抽象的な目標ではなくて、きちっと数値目標を、いつまでにどれだけのことをやる、これを示した上で施策を講じていくことなくして、私たちはこれまでの港湾政策の繰り返しをこれ以上是とすることはできない、こういう状況に立ち至っていると思うんです。そういう意味で私は数値目標をお伺いしたかったんですけれども、残念ながらお示しをいただけませんでした。

 次の質問に移ります。

 東京では、いち早く埠頭公社を民営化しております。私もちょうど都議会議員をやっていたころですけれども、これは臨海副都心開発をめぐる三セクの救済の側面もあったと思います。埠頭公社が現物出資をするという形でその三セクの債務超過を解消する、こういうことが背景にあったというふうに私は思いますけれども、いずれにしても、日本初の港湾運営会社として東京港埠頭株式会社というのが平成二十年四月に立ち上がることになったわけです。しかし、これは官の公社が形式的に民になっただけじゃないかというふうにも言えるような気がします。社長も都の副知事経験者がやっているわけです。言ってしまえば、天下りと言ってもいいかもしれない。

 ここまで三年間、埠頭公社が東京港埠頭株式会社という民間会社になってやってきましたけれども、経営の効率化ということを港湾運営会社制度の導入で目的として掲げているわけですから、この三年間、東京港埠頭株式会社でコスト縮減、経営効率化の効果がどれだけ出ているのかということをお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 東京港埠頭公社というものが株式会社にされてどのくらいの効果があったのかということでございます。

 調べてみましたが、平成二十年四月一日の株式会社後、経営の自由度が一定程度向上し、従来の公社バースでの貸付料の引き下げも可能となりました。その結果、貸付料の約一五%低減、それから大型コンテナ船入港隻数等では四十二隻増加、コンテナ貨物取扱量では約六十五万TEU増加等の効果を上げることになりました。

 しかしながら、御指摘のように、東京港の周辺でのトラックの待ち時間が長期化し渋滞が深刻化していることや、外貿ターミナルと内貿ターミナルが隣接していないという、利用者ニーズに合致した運営がなされていない面も承知しており、より一層民の視点を取り入れた運営を強化するために、今回、国際戦略港湾政策の推進を図り、これらの課題を克服して、まさにアジアに負けない港づくりをしていきたい、そう考えておるところであります。

柿澤委員 この京浜港においては、東京港埠頭公社が先行して民営化をしたわけでありますけれども、今後の方向性としては、京浜港一体で港湾運営会社をつくって運営していく、こういうことを目指しているというふうにも聞いております。

 世界のメガターミナルオペレーターという港湾運営会社は、こういう形でかつて官の事業としてやっていたものが民営化をされて、今や世界の名立たる港湾運営会社になってきたというものがたくさんあるわけです。例えばシンガポールのPSAもそうですし、ドバイのDPWもそうですし、こういう港湾運営会社に伍していくという考え方が基本的には将来のビジョンとしてはあるんだろうというふうに思いますので、そうしたことにぜひ鋭意取り組んでいただきたいと私は思っております。

 その関連で、今、PSAとDPW、ドバイとシンガポールのメガターミナルオペレーターの話をしましたけれども、今回の法案では、いわゆる外資規制は行っていないわけです。議決権の保有制限の百分の二十、こういう制限はありますけれども、外資が入ってくることについて基本的に制限をかける、そうした法律になっておりません。

 こういう輸送インフラの運営を外資にゆだねていいのかということは、これは空港ビルなんかでもあった議論でありますけれども、そういう外資に関して制限をかけるべきじゃないかという意見があります。一方、先ほど申し上げたようなシンガポールやドバイのオペレーター、香港でハチソンというのもありますけれども、こういうところにむしろ積極的に入ってもらって官営港湾の経営改革を進めるのがいい、こういうふうに考えている人もいるように思います。

 港湾運営会社に仮に外資が入ってくるということについて、今回この法案を提出している国土交通省は、推進というか受け入れるという側なのか、あるいは必ずしも好ましくないと考える側なのか、それをちょっとお伺いしたいというように思います。

三井副大臣 お答えいたします。

 港湾は、当然、我が国の経済活動あるいは国民生活に広く密接にかかわっている基幹インフラであることは、柿澤委員も御存じだと存じます。その歴史的な経緯から見まして、港湾運送事業法におきまして、港湾運送に関する秩序の確立が法目的といたしまして定められているところでございます。特定の者による港湾運営会社の恣意的な運営を排除する必要がある、こういうように思っているわけでございます。

 いずれにしましても、内外の者を問わず、恣意的な運営がなされないようにするためにも、今回の港湾運営会社におきましては、外資規制を導入することはせずに、内外無差別の大口株式保有に対する規制を導入することといたしております。

柿澤委員 震災関連で、二点、お伺いをしたいと思います。

 今回の震災は大変甚大な被害を東北、東日本にもたらした。犠牲になられた方々、そして、きょうも非常に寒い日になっておりますけれども、被災地で今避難生活を送っている方々、その支援や捜索活動に当たっている皆さん、そうした皆さんに本当にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 そして同時に、今、原発の問題などもあり、この東日本地方の経済が停滞をし、とまってしまっている。このことがもたらす影響が深刻化しているというふうに思います。いわば経済災害、経済被害が始まっている。

 そういう意味でいうと、仙台塩釜港のバックアップとしては京浜港が非常に重要な役割を担うことになると思うんですけれども、原発事故の深刻化で、この京浜港に風評被害が大変影響を及ぼしているというふうに聞いております。特にヨーロッパやチェルノブイリのあったロシアの船や船員が京浜港に寄港しなくなっている、こういうことを聞くんですけれども、ただでさえ地盤沈下だ、退潮ぎみだと言われている京浜港に、これは追い打ちをかけることになりかねない。

 風評被害の実態がどうなっているかということをお聞きすると同時に、それに対してどう対応していこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

大畠国務大臣 ただいまの柿澤議員からのいわゆる原子力事故に関する風評被害対策についてでございます。

 私も、この原子力発電所の事故については、大変、毎日状況については注目といいますか、現在どこまで来ているのか、こういうことをしっかりと把握するように努めているところであります。

 御指摘の、原子力発電所の事故による放射線に関する風評被害というものが大変広がっておりまして、これは、私どもも反省するところがあるんですが、この事故に対応するということで、そこに集中していたために、英語あるいは中国語、韓国語、在京の大使館に対して正確なメッセージを早期から出していたかというと、どうもそこら辺は明確に出していなかったんじゃないか、そういう反省から、一生懸命今対策をとっているところであります。

 今御指摘の、京浜港への寄港取りやめというのがどういう実態かということでありますが、北米、欧州、中国などの国際コンテナ航路について、九便取りやめたという確認がされております。そういうことから、国土交通省としては、京浜港への寄港取りやめを防止するため、国土交通省のホームページを通じて、港周辺の放射線量について正確な情報提供を日本語のほか、英語、中国語、韓国語で実施させていただいております。

 それから、このホームページについて広く周知するため、国内外のプレス、日本国内のマスコミだけではなく海外のマスコミに対して、あるいは在京の大使館の館員に対してブリーフィングを行うとともに、外国にある日本の公館、いわゆる大使館等を通して外国政府に対しても正確な情報を提供しているところであります。

 なお、日本国内からの情報提供だけではなかなか信用が難しいというところもありまして、国際海事機関、IMOというものに要請をして調査していただいて、日本における放射線に関することについては特に支障がない、そういうメッセージを出していただきまして、外国政府に対してもIMOを通して日本への渡航制限がない旨発信をさせていただいております。

 今後とも、御指摘をいただいた風評被害、大変大事な課題でもございますので、東日本地域における物流が滞ることがないよう、また港に関しても御指摘の懸念がないように一生懸命努めてまいりたいと考えております。

柿澤委員 今、九便取りやめになったという話がありました。九便かということですけれども、しかし、大体十五日からですからね、原発事故が深刻化してきたのは。きょうは二十五日で、十日間で九便取りやめですから、これはこのままいくと大変大きな経済的打撃をこれからこうむることになりかねない。このことは極めて重要だと思いますので、再度指摘しておきたいと思います。

 最後に、震災関連でもう一点、仮設住宅の話をちょっとお伺いしたいと思います。

 仮設住宅は極めて重要だと思います。大畠大臣も二カ月で三万戸を供給するというふうに宣言をされて、被災地のために頑張っていただきたいと思いますけれども、自治体からは、二万戸足りない、そしてとにかく早く、こういう話が来ております。宮城県東松島市から要望をいただいたんですけれども、仮設住宅の必要数が三千五百戸、避難民が一万人いるらしいんですけれども、宮城県の一次整備分の東松島市への割り当てはたった百戸だったというふうに聞いております。

 瓦れきが山積みになっている中で、仮設住宅の設置に当たって自治体が頭を悩ませていることがあるんですね。町中は瓦れきの山で、広い土地が必要ですが、しかし、農地への仮設住宅の設置というのは、農地法五条で、農地の一時転用について、農業委員会への届け出、許可を得なければならないわけです。甚大な津波被害で自治体機能が壊滅をしている中で、農業委員会を開会して、一時転用を許可する、これはもう事実上不可能だと思います。政治判断でここを緩和しないと、仮設住宅を建てる場所が確保できないという声が次々に上がっております。

 もちろん、これは農地法ですから、農水省に言わなければいけないんですけれども、早期、大量の仮設住宅の供給を大畠大臣もコミットメントしたわけですから、ここはきっちり政府内で農水省との交渉、要望、早期の決定をしていただきたいというふうに思います。見通しも含め、大畠大臣の政治家としての、これはきっちりやりますという御決意をお伺いしたいと思います。御答弁をお願いします。

大畠国務大臣 現在、たしか二十七、八万の方が避難所での生活をされている。当初三十数万になったんですが、現在のところ、二十七、八万と聞いておりますが、大変不自由な状況の中で生活をされております。

 いずれにしても、生活を再建するためには住むところが大変大事であります。そういうことから、約二カ月間で三万戸の仮設住宅をつくることを要請いたしまして、関係団体も努力する、約束する、こういうことで今進んでいるところであります。現在、まずは、三月十四日に私が要請いたしましたが、岩手県が陸前高田市などで二地区三百戸、福島県が国見町などで二地区百十五戸の工事着手がなされました。それから、宮城県においても、用地確保を行いまして、早期に着工する予定であります。

 なお、これまでに三万二千戸を超える仮設住宅のお申し込みといいますか、要求が県から来ておりますので、現在の三万戸でも足らないということで、さらに準備をしようとしているところであります。

 そこで、用地の確保でありますが、基本的には各県がこの用地の確保をするということでございますが、御指摘の農地の転用という形であります。これについて私も調べさせていただきましたが、現在、農地を応急仮設住宅に活用する場合には農地転用の許可は不要とされております。現に、平成二十年の岩手・宮城内陸地震においては、応急仮設住宅として農地を活用したことがあるということも調査させていただきました。

 したがいまして、農地を活用することも含めて、全力で各県と連携をとって仮設住宅の用地というものを確保できるように努めてまいりたいと考えております。

柿澤委員 ここは、わかっていない自治体が大変多いように感じておりますので、きちっと周知をいただければというふうに思っております。

 以上です。終わります。

古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、新成長戦略に基づき、国際戦略港湾、すなわち京浜港、阪神港に港湾の整備予算を集中するとともに、港湾運営、経営までも民間会社に任せることができるようにするものです。

 しかし、今行うべきは、東日本大震災により多大な被害を受けた港湾や漁港の復興、再生に優先的に財政を投入することであります。総事業費五千五百億円もの巨額の費用を注ぎ込む国際戦略港湾を推し進めるときではありません。そんなお金があるなら、まず被災者の救援、インフラ復旧に回すべきであります。

 港湾で働く労働者を組織する全国港湾労働組合連合会と全日本港湾運輸労働組合同盟は、震災直後から救援、被災対策を行い、救援物資輸送に全力を挙げるとともに、現国会で審議されている港湾法の改正は行わず、その予算を損壊した港湾施設の復興に振り向ける措置をとることを提案しています。これが国民多数の声ではありませんか。

 反対する第二の理由は、京浜港や阪神港に巨額の税金をつぎ込んで港湾整備を進めても、コンテナ貨物が集荷する保証はなく、地方港を抱える地方経済の衰退ばかりが進むからです。これは、この間、進めてきたスーパー中枢港湾プロジェクトの結果を見ても明らかです。今、アジア諸港との関係で必要なのは、国際競争力の名による競争優先ではなく、協調できる方向を探ることです。国際戦略港湾への一極集中政策を改め、地方の地域経済の活性化に資する港湾政策への転換こそ必要です。

 反対する理由の第三は、港湾運営の民営化により、国民の財産、公共財である港湾が、特定の民間事業者のもうけの場として提供されることになりかねず、効率化、もうけ第一優先で、港湾の秩序ある運営と公共性を損ねることになるからです。これまでの民営化手法を含む規制緩和で、コスト削減競争が激化し、港湾で働く労働者に犠牲が押しつけられてきました。港湾運営会社による効率化優先の港湾運営や港湾運送事業への参入も想定され、さらに港湾労働者の雇用、労働条件が破壊され、深刻化することが懸念されます。

 また、外国の資本による港湾支配への歯どめもなく、公有財産である港湾が投機の対象になることで、港湾の公共性と安全性が脅かされかねません。

 以上、反対の理由を申し上げ、私の討論を終わります。

古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより採決に入ります。

 港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、長安豊君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党及び国民新党・新党日本の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。福井照君。

福井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 東北地方太平洋沖地震の被害が港湾において甚大であることに鑑み、被災した港湾施設の早期復旧を図るとともに、緊急支援物資及び復旧復興資機材等の輸送体制を早期に確保し被災者への支援に万全を期すこと。

 二 東北地方太平洋沖地震による被害に関し、特に津波による被害の発生実態を調査・分析し、今後の防災のための措置に万全を期すこと。

 三 今回の大震災に鑑み、災害時における港湾運営会社に対する国の指導を徹底するとともに、港湾運営会社は重要な社会基盤である港湾の運営主体であることを十分自覚し、国家に貢献するという観点でその対応に万全を期すこと。

 四 港湾の国際競争力の強化が我が国の産業活動及び国民生活を支える重要な課題であることに鑑み、国際戦略港湾に関する施策については、これを国家戦略として効率的かつ集中的に実施すること。

 五 港湾が地域経済の活性化や産業再生などの重要な役割を担っていることに鑑み、国際戦略港湾以外の港湾についても、引き続きその機能強化に努めること。

 六 港湾の効率的な運営を確立するため、港湾運営会社の設立に当たっては民の視点が十分確保されるよう、適切な指導を行うこと。また、港湾運営会社が埠頭群の運営を行うに当たり、港湾の一元的な運営を円滑に遂行できるよう、適切な指導を行うこと。

 七 港湾運営会社が公共財である港湾の一元的な運営主体となることに鑑み、特に公共性の確保について必要な措置を講じること。

 八 港湾運営会社に対する指導に当たっては、港湾管理者と港湾運営会社との連携が十分に図られるよう努めること。

 九 港湾運営会社の設立が港湾の秩序の確立に混乱を生じさせないよう港湾運営会社の指導に努めるとともに、港湾労働者の良好な労働環境の整備が図られるよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣大畠章宏君。

大畠国務大臣 港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御質疑の内容や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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