衆議院

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第11号 平成23年5月11日(水曜日)

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平成二十三年五月十一日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 小宮山泰子君 理事 田村 謙治君

   理事 中川  治君 理事 長安  豊君

   理事 若井 康彦君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 高木 陽介君

      阿知波吉信君    石関 貴史君

      市村浩一郎君    糸川 正晃君

      小原  舞君    川村秀三郎君

      沓掛 哲男君    小泉 俊明君

      坂口 岳洋君    高邑  勉君

      津川 祥吾君    富岡 芳忠君

      長尾  敬君    橋本 清仁君

      畑  浩治君    三村 和也君

      三井 辨雄君    向山 好一君

      矢崎 公二君    谷田川 元君

      山岡 達丸君    湯原 俊二君

      渡辺浩一郎君    赤澤 亮正君

      小渕 優子君    加藤 勝信君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    二階 俊博君

      林  幹雄君    穀田 恵二君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      田中 康夫君    中島 正純君

    …………………………………

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  久保 成人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           中田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            岡本  博君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   国土交通委員会専門員   関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     江田 憲司君

五月九日

 辞任         補欠選任

  江田 憲司君     柿澤 未途君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     長尾  敬君

  市村浩一郎君     湯原 俊二君

  古賀 敬章君     渡辺浩一郎君

  下条 みつ君     小原  舞君

  橋本 清仁君     山岡 達丸君

  三ッ矢憲生君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     下条 みつ君

  長尾  敬君     石関 貴史君

  山岡 達丸君     橋本 清仁君

  湯原 俊二君     市村浩一郎君

  渡辺浩一郎君     古賀 敬章君

  加藤 勝信君     三ッ矢憲生君

    ―――――――――――――

五月十日

 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)

 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)

 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件(東日本大震災への対応状況及び今後の復旧・復興の在り方)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に東日本大震災への対応状況及び今後の復旧・復興の在り方について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長小澤敬市君、総合政策局長北村隆志君、河川局長関克己君、道路局長菊川滋君、住宅局長川本正一郎君、鉄道局長久保成人君、自動車交通局長中田徹君、国土地理院長岡本博君、内閣府大臣官房審議官小田克起君、厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑浩治君。

畑委員 おはようございます。岩手二区の畑浩治でございます。

 本日は、震災から二カ月がたつ日でございます。この間、大畠大臣を初め国土交通政務三役の皆様、そして国土交通省の職員の皆様には、本当に復旧復興に御尽力を賜っていることを、被災地議員としてこの場をおかりして厚く御礼を申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、東北地方の高速道路の無料化でございます。

 四月二十九日の予算委員会で、同僚の橋本清仁議員の質問を踏まえまして、総理から東北地方の高速無料化について、元気な東日本をつくるため極めて有力な選択肢だという前向きな答弁がなされました。これは極めていいタイミングで東北を元気づけるメッセージを出していただいたと、私はありがたく思っております。また、ここに至る過程で、公明党の高木委員からも、本委員会で非常にすばらしい建設的な提言と議論がございました。このことについても改めて深く敬意を表したいと思います。

 こういう状況を踏まえて、大臣にお伺いしたいと思います。

 東北地域全体の高速を無料化するとすれば、北関東道以北の全区間で全日無料化を行うとすれば、これは、いろいろな場で、約千六百億かかると言われております。この財源措置も課題となりますけれども、東北地方の高速無料化について、こういう財源をしっかりと二次補正でとって、そして実現していくべきだと考えておりますし、その方向だと理解しておりますが、大臣いかがでしょうか。改めてお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 おはようございます。畑議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 畑議員からお話がありましたように、総理の発言等もございまして、内部的には、行うとすればどういう形でやるべきなのか、こういうことは検討しているわけでありますが、御指摘のように財源問題というのもございます。それから、復興構想会議というのも立ち上がっておりまして、その中でもかなりの論議が展開されていると承知しているところであります。

 ちょうどきょう二カ月目を迎えるわけでありますが、被災者の皆さんが避難所生活をまだされておられる、それから亡くなられた方あるいは行方不明の方々合わせて二万人を超えておりますので、そういう状況の中で、どういう形で私たちはこの復旧復興というものを考えなければならないのか、トータル的に考えながら進めなければならないと思います。

 御指摘の点につきましては、いずれにしても財源問題というのがございますから、そういうものをどうするのか、あるいはどういう形で行うべきなのか、そういうことを検討しているところでありますが、最終的には各党の御意見、そして復興構想会議等での御議論というものを踏まえていくべきだと思っておりまして、御指摘を踏まえながら検討しているところでございます。

畑委員 大臣の御答弁、慎重だなと思いました。

 これは、その方向で積極的に検討していただきたい、これが大前提だと思います。そのことをお願いするとともに、財源は、いろいろやり方はあると思いまして、どこを使うか、その辺もまたいろいろ議論しなければいけないんですが、各党の意見を踏まえながらとか復興構想会議というのがありますが、まず人の移動、物の移動というのは復興の基本でありますから、これはもう国交省としても積極的にやるんだというトーンで打ち出す。そして、復興構想会議なり、各党の集約というのはもちろん政党間の議論になりますが、そこはもう、復興に役立つことであればこれは党派を超えてやるべきだと私は思っておりますし、そういうことでやっていくべきだと思っておりますので、そこは頑張るつもりですが、国交省もぜひとも前向きな姿勢で検討の実現をお願いいたします。

 それで、それを踏まえて、無料化のもう一つの議論なんですが、無料化の時期であります。

 この無料化の時期が余り遅過ぎることになると、復興の立ち上げに効果がなかなかないんじゃないかと私は思います。二次補正でやるという議論になるかもしれないわけですが、二次補正だとおっしゃいませんでしたが、二次補正でも遅過ぎるぐらいだと思います。というのは、二次補正がいつ通るかわかりませんが、これは、下手をすると、システム変更に二カ月かかるという議論も今までありましたので、二次補正の後であれば、秋、晩秋になる可能性がある。私は、これは遅いと思います。

 そういう中で、例えば日本全体の高速の無料化の社会実験は六月で切れると思います、この前一次補正でああいうことになりましたので。一方、災害派遣等従事車両の無料通行措置というのがございまして、これが九月十日で切れるわけでございます。となると、復興だけではなくて復旧支援についても支障が出る可能性がある。つまり、そこから数カ月、有料の時期が出てしまうわけです。私は、これではまずいと思っております。できるだけ急ぐ必要がある。

 そういう中で、大臣、実施時期はいつごろからが適当だとお考えでしょうか。そして、システム変更に二カ月かかるということであれば、本委員会で高木委員からのいろいろな提案もございましたが、早期に開始可能となる方法を考えるべきではないかなと思っておりますけれども、その辺の御見解をお伺いいたします。

大畠国務大臣 もしやるということに決断すれば、御指摘のように、早期にこれは実施しなければならないと思いますので、そういう意味では、第二次補正予算というものも当然大事な視点でございますが、そのほかにもいろいろできることを工夫しながらやるということを総合的に、決断した場合には早期にそのようなことがとれるような、こういう工夫も必要だと思います。そういうことも含めて現在検討中でございます。

畑委員 大臣のお答え、いろいろ実務的に検討されているというのはわかりました。恐らく、範囲とか財源の絡みとか、あるいは高木委員のおっしゃったようないろいろなやり方、そういうことを踏まえて検討されていると思います。利便増進事業でとっているお金もあって、別の割引もあるんですが、そういうところも使いながらという議論もあるのかもしれないし、あるいは新規で、補正予算でとれるかどうか、財政当局のハードルもあるんですが、そういうことも含めて、できるだけ東北地方の復興に役立つように、そして全体の範囲でやるように、我々もバックアップしますので、そういうことで国交省もそこの検討と実現へ向けての努力をぜひともお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。首都機能の移転というか分散についてちょっと議論させていただきたいと思います。

 今回の震災で感じましたことは、これはいい悪いは別として、日本の国土構造を考えると、完全に安全なところはなかなかないというところであります。特に、近い将来にかなりの確率で首都圏直下型地震あるいは東海地震が起こることを考えれば、これは交通インフラも含めたインフラの重層構造、リダンダンシーは当然ですが、首都機能についても分散化することを考えるべきではないかなと私は思います。

 きょうはちょっと資料を、資料一、二で配らせていただきました。これはドイツの例であります。

 ドイツは、二重構造の首都にしております。これは二〇〇〇年に、東西ドイツが統一したのを踏まえてボンからベルリンに首都を移した。ただ、全部を移さずに、ボンに、従来の首都に半分弱の省を置いている、ベルリンに半分以上は持っていったわけですが、おおむねこういうくくりになっております。例えば、ベルリンに主たるオフィスを置いているところは実はボンにも置いている、ボンに主たるオフィスを置いているところはベルリンにも置いている。要は、局によって、同一省でも二つの都市にまたがった置き方をしているというのが結論であります。

 資料二をちょっとごらんいただきたいと思うんですが、これはドイツの連邦交通・建設・都市開発省の部局配置でございます。日本でいえば国土交通省ですが、これは大体の傾向は、大臣、政務次官、事務次官、それを支える管理・政治対応部局、官房、基本政策部局、国交省でいえば総合政策局ですね、こういうところはベルリンにおおむね配置してあって、下の方の、これは原局、事業局でありますが、こういうところはボンにあるという傾向が見てとれます。各省、いずれにしてもこういう分散化傾向をとっております。

 実は、私、この二〇〇〇年のときに在ドイツ日本大使館に建設アタッシェでおりまして、首都機能移転の調査担当官だったわけですが、このとき、こういう二重構造の首都は非効率だという報告をしました、そのときは。そのときの国土庁、建設省の見解もおおむねそのような感じでございました。これは、ドイツが二重構造にしたのは何も理想的な形を求めたんじゃなくて、ボンからベルリンに移す際にボンの反発があって、その妥協の産物として半分残したというのが実情です、本音を言うと。ただ、そういうことでありながらも、私は、首都構造の分散が必要だと今は思います。そういう思いに至りました。

 ここで留意すべきは、かつての議論のように、首都機能を全部どこに移すかという議論をすれば、その移転先とか範囲でコンセンサスができなくなって頓挫するというのが教訓であります。でありますから、首都機能移転ではなくて首都機能分散だと思いますが、これは、国会は東京にあっていい、中枢機能は東京にあっていいわけですが、その一部の機能をやはり他の地域に移すことを考えるべきではないかと思います。

 そういう前提を踏まえながらお伺いしたいんですが、首都機能、とりわけ政府中枢機能、行政機能の中枢機能の維持確保、そういう観点から、その一部を移転すべきではないかなと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。

大畠国務大臣 畑委員のこれまでの御経験の中で、ドイツの日本大使館に赴任されていたということを踏まえての御提言でございます。

 今回の大震災等を考えますと、どういう形で危機に対して対応するのか、危機管理の一環として分散すべきじゃないかという御指摘でございますが、確かにそのようなことも考えることが必要だと思いますが、ドイツはドイツなりの歴史というものからこのような形を選択といいますか、結果的にはこうなっているわけでありまして、日本の場合はどういう形で危機対応が必要か、こういうことは日本として改めて検討をすることが必要だと思います。

 いずれにしても、分散すれば分散したで、いいところもありますし、デメリットも出てまいります。したがって、今回の大震災を受けて、日本の場合にはどのような形で危機に対応すべきなのかということを総合的に検討して判断すべきだと思いますので、御提言を受けて、私たちも検討をすることが必要だ、現時点ではそのように考えているところであります。

畑委員 御答弁ありがとうございました。ぜひとも検討をお願いしたいと思います。

 歴史的事情と言いますけれども、これを超えて、今回の災害をかんがみますときに、やはり同じところに一極集中していると危ない、これはもうみんなつくづく思ったと思います。そういうことを踏まえて、バッファー機能も含めてというやり方があると思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。そして、国交省には首都機能移転企画課がございますので、まさに今、企画すべきときでありまして、これは積極的に引っ張っていただきたい、私はそのことをお願いしたいと思います。

 それで、次の質問、最後の質問に移らせていただきます。個別の議論になりますが、三陸鉄道の復興についてでございます。

 これは最大百八十億かかるという議論がございます。少なく見積もっても百億かかると。被災地の岩手県、それから特に地元市町村は、財政力が厳しい上で、今回壊滅的な被害を受けたわけでございます。そういうことで、お金を出すのは厳しいという実態がございます。現行の災害復旧補助制度は、国が四分の一、そして自治体が四分の一、事業者が二分の一ということになりますが、とても地元自治体と事業者の負担が困難であるという現状が率直に言ってあります。

 今回、一次補正では、道路、港湾、漁港等のインフラ復旧について実質上国が全額負担する、あるいは瓦れき処理についても実質上国が全額負担するということがなされましたが、私は、この三陸鉄道、地域の足を支える鉄道も重要な公共インフラだから、そういう考え方があってしかるべきだし、当然だと思います。そういう意味で、できるだけ実質的に全額国が負担するような支援拡充をお願いしたいと思うわけでございます。

 いずれにしましても、三陸鉄道再建のための現行制度を超えた支援の拡充についていかがお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 御案内のとおり、今回の震災では、東北地方、各鉄道事業者の多くが被災をしておりますが、その中でも、今御指摘をいただきました三陸鉄道につきましては、北リアス線、そして南リアス線とも大変甚大な被害が出たところでございます。

 今委員御指摘いただきましたとおり、現行法でも、鉄道事業者で応急復旧が著しく困難な場合には国の支援制度もあるわけでありますが、現行法だけでは不十分ではないかという御指摘、私も全く同感でございます。

 現在、お認めをいただきました一次補正の予算を使わせていただきまして、具体的な、復旧に要する金額ですとか手法、こういったものの調査をさせていただいているところでございますが、そういったものが固まり次第、国としても、現行法にとどまるのではなくて、本当に三陸鉄道をしっかりと復旧復興させていくために国としてできることについて、二次補正の中でもできることはあろうかと思いますが、積極的に検討させていただきたいと思っているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 今のお答え、二次補正に向けてしかと検討するということだと理解いたしました。何とぞよろしくお願いいたします。被災地の安心を支えていただく、それが政治の役割だと、私、今回つくづく実感いたしました。今後とも何とぞ御支援をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 与党統一会派、国民新党・新党日本の田中康夫でございます。

 開闢以来の事態に我が日出る国は直面しているわけでございまして、今までの慣例ではこちらは野党席だそうでございますが、まさに与野党を超えて私どもの日本を再興するという観点で、こちらの席から質問させていただきます。

 実は、きのう岩手県の大槌町というところで、遊覧船の「はまゆり」、これは釜石の遊覧船であったわけですが、大槌町で整備をしていた船が津波で何回転もして二階建ての建物の上に乗りました。そして、きのうこれを撤去するという作業が行われたわけでございます。

 これに関して、大畠章宏大臣、どのようにお感じになられたか、見解をお願い申し上げます。

大畠国務大臣 田中議員からの御質問でございますが、私も、過去の歴史といいますか、そのときそのときに生じた事実というのは、きちっと後世に残すことは大変大事なものだろうと考えております。

 それをどういう形で残していくかということでありますが、内陸部に、ここまで津波が来ましたという、自然石に刻んだものが、百数十年前のものだというんですが、そういうのが残されていた。それを見ながら、ここまで津波が来たのか、こういうことを後世の人々に知らせようという、その一つのあらわれだと思います。

 今回の大震災においてこれだけ甚大な、想像を超える被害があったということをどのような形で残すかなんですが、いずれにしても、そういう事実関係はしっかりと残しておくことが必要だと私も受けとめております。

田中(康)委員 大変心強いお話だと思います。

 産経新聞がこの遊覧船の機関長だった方の発言を載せております。その撤去を見守りながら、震災の象徴として残してほしい気持ちもなくはない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。

 これはかつても、大槌町の方々もやはり多くの方が亡くなった、私ども、貞観地震という平安前期の地震、四月二十九日の予算委員会でも述べましたが、その地震があった。しかし、そのことが記憶とともに薄らいでいく。あの広島の原爆ドームというものは、もちろん、原爆の悲惨さだけでなくて、歴史をきちんと刻む、そしてその場所に多くの世界の方々がお越しになる。私は、例えば気仙沼も、水産市場、漁港として再生すると同時に、これは地元選出の自由民主党の小野寺五典議員にも御賛同いただいておりますが、あの一角をきちんと国が買い上げて残す、そしてそこに津波研究所であったり震災博物館をつくるということ、これは生きた歴史教育の世界遺産として、世界からその場所に訪れる、そのことが結果として、皆さんに深く刻んでいただいて、観光資源にもなるのではないか。

 このことは、地域の方が思われていてもなかなか、よい意味で政治主導、トップダウンなのではなくて、やはり一人一人の国民に根差して、ぜひとも国土交通大臣がそのような場所を何カ所か設ける、私はこれはとても大事なことではないかと思っております。ミラノにも、ビアカルドゥッチという通りのところに魔女博物館というのがございます。これはまさに魔女狩りがあったことで、いわゆる好奇の目でつくられたのではなく、やはりそのような歴史をきちんと我々が刻み込んでいくということでございます。ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 そして、続いてでございますが、先日、連休前に、御存じのように、東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律案と東日本大震災により甚大な被害を受けた市街地における建築制限の特例に関する法律案、これが通りました。ですから、最大六カ月延びました。

 しかし、私が思うのに、都市の計画というものは、やはりよい意味で責任のある者がビジョンを示す。後藤新平だけではございません。パリの町も、皆様御存じのように、ルイ・ナポレオン三世というときに、ジョルジュ・オスマンという県知事であり都市計画家が、三十メートルの高さの建物にするというパリ大改造を行いました。そして、おおむね八階建てでございます。ファサードがついていて、そして並木のブールバードをつくる。ルーブル美術館もそのときにできました。これは都市における、パリの町には食べ物や洋服があるからだけ訪れるのではない、やはりその町自体が魅力があるからであろうと思います。

 私は、津波に遭ったような場所も、もちろん、都市の方々はその地域に根差して何かしようと思います。しかし、そのときに国が、頭越しなのではなくて、今申し上げたような、マスターアーキテクトと呼ばれますが、そうした一人の都市計画家であったり建築家であったりがきちんとしたビジョンを示して、その上で地域の実情をわかっている方々と一緒につくっていく。そうでありませんと、自治体がつくるもの、よいものもあるかもしれません、しかし未成熟なものもあるかもしれないときに、国の側はお金を出すだけで、何かそれに協力するという形では、手続は踏んでも、成果が出ないのではなかろうかと私は思っております。

 こうしたマスターアーキテクトという概念に関しても、大畠さんの御見解をお聞かせください。

大畠国務大臣 御質問の、マスターアーキテクトを起用して、今回の大震災の地域の町の再建に活用すべきじゃないかという御指摘でございます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、今回の大震災の事実というのは何らかの形で残さなければと思います。実は私も、田中先生のお話を伺っていまして、思い起こしたことがございます。ポーランドの町に行ったときに、名前はちょっと失念しましたが、ある大きな町の街角の建物の一角に、コーナーに、ここで二十数名の市民が戦争中に殺された、こういうことが刻まれた石が基石に置いてありました。日本の場合には戦争の傷跡というのがほとんど失われ始めておりますが、過去においてこういう事実があったということをきちっと残しておくことは大変大事だと思います。

 そこで、先生が御指摘のように、しかしながら国が押しつけるのではなく、自治体がどのような形でこの事実関係を残すかという意思を持ってもらうことも大変大事だと思いますので、自治体の意向というものを十分お伺いしながら、同時に、どんな形で残せるのかについては専門家の方の知恵というのもおかりすることが必要でありますから、そういう意味では、自治体の方でそのような御希望がある、こういうときには国としても、先生の御指摘のような専門家のあっせんというものも行って、きちっと今回の大震災の事実関係が後世に伝えられるように努めてまいりたいと考えているところであります。

田中(康)委員 民主党は地域主権ということをおっしゃっております。しかし、これは批判なのではなく、すべてが地域主権になってしまいますと、国が行うことは、国という概念が残っていた場合に、パスポートの発行と管理以外は全部地域がやるのかという話になります。

 やはりこれは、私たちは日本という国家を、まさに国民に根差した国家をどうするかということで、先ほど申し上げましたことも、あるいは今のことも、自治体の側でそういう御要望があればと、そういう慎み深さではなく、私たちが頭ごなしでなく、国はこういうことをやったらいいと一人の国民としても、大臣としても思っている、だからこのようなマスターアーキテクト、あるいは、その地域を保全して、そこに研究所も誘致するというようなことの、手挙げ方式というのは今までからあるわけでございます。これは押しつけではない、手挙げ方式で、それに対して、ひもつきの補助金ではなく、一緒にやろうということを宣言される。

 私も長野県というところの知事だったときに、軽井沢にいわゆるマンションがたくさんできてくる。大変語弊があるかもしれませんが、越後湯沢や熱海のようになりたくないとおっしゃったときに、法律を変えるということ、条例を変えるということになりますと、それまでの間に建築確認がたくさん出てくると、それは受け入れざるを得ない。そこで、町長と相談をいたしまして、軽井沢メソッド宣言という、軽井沢の良質な別荘環境は日本の貴重な財産だ、一部の人のものではない、そこで、いわゆる第一種低層住居地域だけでなく、第一種住居地域でもマンションは二階建て以下にする、二十戸以上のマンションを建設する場合には、二十戸以下に抑える、そして敷地面積を一戸当たり百十平米以上にする、このようなことをいたしました。

 これは法的な権限はございません。しかし、このことを宣言を出すことによって、単なるモグラたたきでなく、多くの方が理解をされると、企業の側も企業市民としてこれに従ってくださった。そして、法制度を維持してまいりました。ですから、今の私が申し上げた二点も、ぜひ国土交通行政のかなめとしてお願い申し上げたいと思います。

 続いて、今回、河川局に大変御尽力をいただいて調査費がついた内容がございます。というのは、堤防の中に鋼矢板という鉄の矢板を入れる。二枚お手元に資料がございます。このような形にするというのが、欧米を初めとする、あるいは韓国を初め、多くの国で行われております。

 今までの日本では、堤防の中が砂利と土砂だけでしたので、液状化しやすいという形がございました。今回、名取川の状況を見ても、やはり私たちは、科学を信じて技術を疑わぬ社会ではなく、科学を用いて技術を超えるという社会にしていく。その意味で、このような鋼矢板を入れるということの調査費がつけられ、現在、その調査をどのように行うかということを事務部局で検討中と伺っております。この点に関して、再び大畠大臣から御決意をお願いいたします。

大畠国務大臣 ただいまの鋼板の矢板を用いた堤防の強化工法に関する件でありますが、ただいま御指摘いただきましたように、今年度より河川局によりまして、最新技術の把握、それから性能の検証等にしっかり取り組むことといたしました。

 いずれにしても、御提案の新しい考え方でありまして、この工法を用いた場合に、維持管理あるいはコスト、そしてこれから時を経ることによってどういう形の変化が起こるのか、しっかりと検証をして、その検証の結果、大変すぐれたものであると言うことができれば当然ながら適用してまいりたいと思いますが、御提言をいただきながら、しっかりと検証をして進めてまいりたいと思います。

田中(康)委員 既に欧米でも行っていることです。そして、例えば、ダムをつくる、五十年かかってもできない場所があるときに、これはある意味ではICUの集中治療室に入れようというような川でございます。しかし、そのICUの集中治療室の中で手術が始まらないとすれば、どんなに医療崩壊の病院でも、その間にマッサージや点滴をいたします。私は、それが護岸の補強であったり遊水地であったり河床掘削、森林整備であろうかと思います。

 これは、検討というお言葉をお使いにならなかったので私は大変心強く思っておりますが、欧米や諸外国で既に行っていることです。そして、鋼矢板を入れることは、製鉄メーカーだけではなくて、地域密着の土木建設業の方々にも今すぐ携わっていただけることでございます。破堤を全く防ぐ。基本高水流量というようなものを超えるような場合も集中豪雨で出てきております。ぜひ、鋭意進める形でお願い申し上げたいと思います。

 最後に、同じく今回、道路局が大変御尽力いただいて、木の香りがする木製のガードレールというものを国が一緒に設置していこうという形になりました。菊川局長に、どのような形で進められる御予定か、お話しください。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 木製防護さくなどの整備で道路事業におきます木材利用につきましては、良好な景観形成や木材資源の有効利用という観点から大変重要な取り組みでありまして、引き続き推進する必要があると認識しております。

 このため、平成二十三年度から、地方公共団体と一緒に、自然公園など景観形成上配慮すべき地域におきまして、今お話がありました、木の香る道づくり事業モデル地区というものを設定いたしまして、木製防護さくなど、道路事業におきます木材利用を推進することといたしております。今年度、初年度でございますけれども、国立公園や観光地などで全国十九地区での取り組みを予定いたしております。

田中(康)委員 これは、ここに資料で記しましたように、間伐から設置まですべて地域の方々に携わっていただけますので、鉄の鋼製ガードレールと同じ強度でありながら、鋼製ガードレールは四社がつくっておりますが、御存じのようなこうした形は基本的に地元の費用でございますので、今回国土交通省の英断でついております。地域雇用が一キロ当たり五倍になる。

 今のお話のように観光地だけではなく、日本は、森林県で、またこのような地震の被害があり、そして放射能で世界への加害国になってしまった国が、都市においても、例えば皇居の周り、表参道やあるいは代々木公園の周り、まさにアーバンオアシスとして木のぬくもりのあるガードレールを設置していく。海外の方もこれをごらんいただいて、日本発の商品になっていくと私は思います。あるいは、公害というものを克服した、例えば川崎市であったり尼崎市であったり、こうした都市部においても、直轄国道あるいは地域の道路も、ぜひ鋭意一緒に設置をしていくという形を一歩進めていただければと思いますが、改めて御見解をお願い申し上げます。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がありましたように、町の骨格を形成する道路、あるいは地域にとってシンボルとなるような道路につきましても、景観的な配慮が大変重要であります。

 委員の御指摘、まことに貴重な御提案でございまして、大都市部の道路も含めた取り組みにつきまして、地域の意向なども踏まえながら、地方公共団体と連携しながら検討してまいりたいと思います。

田中(康)委員 ありがとうございます。とりわけ直轄に関しては、国が維持もさせていただいているところですから、お願いを申し上げたいと思います。

 富国強兵と言いましたが、強兵は、私ども、敗戦で終えんいたしました。しかし、今回、富国と呼ばれるものも、今までの科学を信じて技術を疑わずの二十世紀型の富国というものを大転換する。でも、これは日本が、オンリーワン、ファーストワンの物づくり産業の日本が、よい意味で実体のある経世済民という、科学を用いて技術を超えるという社会をつくっていける。これが鋼矢板であり今の木製防護さくであり、あるいは先ほどの震災の歴史をとどめる、あるいはマスターアーキテクトということではないかと思います。

 週刊スパというところで「復興のための田中康夫ビジョン」という形でも書かせていただいております。国土交通行政が本当に国のかなめでございます。ぜひ現場の職員の英知を、熱意を皆様と一緒に結集して、地域の方に喜んでいただける新しい社会的共通資本を再興していくということを尽力させていただきたいと思い、質問を終わります。

 ありがとうございます。

古賀委員長 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 ちょうど二カ月たちました。亡くなった方の御冥福を改めてお祈り申し上げたいと思います。そして、現場で二十四時間働いていらっしゃる福島原発のサイトの皆さん、そしてボランティアの皆さん、岩手県庁、宮城県庁、福島県庁、すべての市町村で働いていらっしゃる皆さん、本当にお疲れさまでございます。皆さん方の健康と安寧を心からお祈り申し上げたいと思います。

 そこで、二カ月たちまして、菅総理が八月中旬、お盆までとおっしゃった、その瞬間には聞いていらっしゃらなかったんですが、しかし、政府全体の方針として、八月中旬までに、お盆までに希望者全員に仮設住宅を提供するということを国として約束されたわけでございます。

 五月十六日に大畠大臣が見通しを出されるということは伺っておりますけれども、ちょうど五月二日に予算が通りまして、連休になりました。久しぶりの国土交通委員会という席でございますので、現在のところの見通しについての進捗状況、ぜひ具体的な数字を教えていただければというふうに思います。

大畠国務大臣 福井委員の御質問にお答えを申し上げます。

 現在の仮設住宅の状況について御報告を申し上げます。

 現在、着工した戸数、きのう時点でございますけれども、トータルしますと、二万九千六十九戸が着工いたしまして、そのうち、きのうまでに七千四百四十一戸が完成しているところであります。

 国土交通省として五月末までには三万戸の完成を目指しているわけでありますが、事実関係を申し上げますと、ここに千戸つくろう、こういうことで進めておりました結果、いろいろな、余震とか何かでその土地が使えない、あるいはいろいろ、実際に工事を始めてみるとそこに水が出てきて、ここは仮設住宅を建てるのには至らないのではないかということで、当初着工しようということで手をつけたんですが、結局ここは使えない。こういうことで、事実関係とすれば、千戸ぐらい、そこは不適格ということで、新たな土地を探す、こういうことを今やっているところであります。

 しかし、何とか今総力を挙げて、今避難所生活をされている方々に一日も早く安心して将来を考えることができる仮設住宅をまずは提供したい、そういうことから、五月末に三万戸提供できるように全力を挙げていることが現状でございます。

 さらに、ただいま御指摘いただきましたように、総理が、お盆までにすべての希望者が入れるようにというような方針を示されまして、それに従って私たちもできるだけ、思いは同じなんです。しかし、土地の確保というのが非常に難航しておりまして、ここのところを、どうなのかと、こういうことで全力を挙げているところでございますが、土地の中でも、特に宮城県、福島県の二県が用地の確保が非常に難しい。岩手県の方でも何とか今頑張って、まだ全部のめどはついておりませんが、現在のところ、七月中には一万八千戸の希望する仮設住宅の建設は完了するのではないかという見通しが出てきておりますけれども、宮城県の方ではまだめどが立っておりませんし、福島県の方でも大変苦慮しているというのが実態でございます。

 しかし、総理の強い決意もございますので、国土交通省としては、何とかお盆のころまでには仮設住宅に希望者の方々が入れるように全力で頑張っているところでありますし、特に、輸入住宅等も協力をいただいておりますし、また、地元の建設業関係の皆さんにも御協力いただいて、いろいろな状況がございますが、とにかく仮設住宅を希望される方々に一日も早く入居していただけますように、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

福井委員 ありがとうございました。

 大畠大臣には国民は全幅の信頼を置いていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。特に、今、岩手県は七月中にめどが立ちそうだということもおっしゃっていただきました。宮城県と福島県は大変用地で苦労しているということをおっしゃっていただきました。そこが大事なんですね。ここでこういうふうに苦労しているということをおっしゃらないから、後で原発もやりますけれども、ややネガティブな情報をまぜて言わないので、だから、これは広報の問題じゃなくて、むしろポリシーとか行政のあり方の問題につながると思うんです。

 ですから、八月中旬まで、お盆までということで、国を引っ張る指導者がそうおっしゃった。それに私たちはついていく、そして役所全体がその目標を達成しようとする。それは正しいことだと思いますけれども、しかし、こうこうこういうことで現場では苦労しているんだということは、ぜひ絶えず大臣の口からもおっしゃっていただきたいというふうに思います。

 そうじゃないと、本当に、用地を探している人、そして用地を提供する人が、その苦労の量として評価されないと思うんですね。これからもっとマンパワーを入れないと用地は多分確保できないし、後ほど、次の質問も、それから原発の問題もそうですけれども、やはり日本の底力というのは、もうとにかくうちに帰りたい、とにかく帰りたい、帰りたいというのが底力なんですね。これを力に変えないと日本を再生できない、東北も復興できないというふうに思いますので、とにかく、内陸へ一たん、仮設住宅だから内陸でいいでしょうというんじゃなくて、やはり一番近いところで仮設住宅も提供し、そして復興復旧に協力していただくということが大事だと思います。ただ、原発で本当に線量が高いところ、これはちょっと別の考えがないといけないと思いますけれども、しかし、ちゃんとモニタリングをして、何カ月かしたら帰れるようなところは、やはり近いところで、二番目の仮設住宅、二回目の仮設住宅というのを建設していかなければならないと思います。

 ですから、今の福島県ですと、二万四千戸は一たん最初の仮設住宅ということなので、また次というのも考えなくてはいけないわけですね。ですけれども、そちらの方がむしろ被災者の皆さん方の希望にかなうところだと思います。それも考えて、ぜひ二段、三段の御配慮を、優しくよろしくお願いしたいと思います。

 それで、同じ文脈で、お手元の、全国賃貸住宅経営協会という、この円グラフの資料をちょっとごらんいただきたいと思うんです。

 仮設住宅は仮設住宅、仮設住宅じゃなくて賃貸住宅に入っていただく方も、その賃料を災害救助という形で出していただくという仕組みをつくっていただきまして、本当にありがとうございます。そういうことで、この民間の大家さんの団体の方も、情報を提供して協力させていただいているという立場を体現して申し上げているんですけれども、県ごとに大分違うんですね。

 例えば、左の方の宮城県の円グラフですと、県の借り上げ予定戸数が一万戸、データ提供戸数、データ提供というのは民間の方から提供したという意味ですけれども、四千四百六十三戸、実際に今借り上げしていただいて住んでいただいている戸数がたった二百二十九戸という現状だという一方で、福島県の方は、それよりはうまくいっている。県の借り上げ予定戸数が七千四百九十七戸、データ提供戸数が四千三百二十三戸に対して、借り上げ戸数が二千五百九十九戸まで達しているということですね。このデータを提供している者からいえば、福島県はかなりうまくいっているけれども、宮城県の方はなかなかうまくいっていないということなんです。

 余り細かいことは住宅局の方から大臣にレクというか報告が上がっていないかもしれませんけれども、実は、大畠大臣が発災のときからおっしゃっていただいた、とにかく、国土交通省の所掌事務にとらわれず、必要なことは被災者の立場になってやってあげなさいということを命令していただきまして、現場でも、東北地方整備局でも、随分いろいろなこと、農地の内水排除まで今やっていただいているわけです。

 住宅局の方でも、この仕事は厚生労働省ですね、ですから答弁は今から厚生労働省にお願いしますけれども、とにかく少ない人数で、本当に日夜寝ることなく頑張っているという仕事のうちの一つなので、だけれども業界を抱えているのは国土交通省住宅局ということなので、のりを越えて、厚生労働省と、あるいは県庁と調整をした上で、こういうデータがあります、こういうふうにしたらどうですかということで、かなり、まさにのりを越えて仕事をしていただいているんです。その結果として、ここまでやっと出した。

 だけれども、もう一息お願いできないかということはどういうことかというと、それぞれ、もと内務省ですから、県庁に任せる、県庁はまた市町村に任せるという仕事の流れ、これは本質的にはしようがないんですけれども、任せるにしても、事務の手続とか、あるいは、被災者の皆さん方、避難所への、ここにこういう空き室があります、幾らです、幾らだけれども全額国が出します、そういう情報をどういうふうに提供するのか。

 あるいは、実際に連れていって、実際、宮城県の方は、連れていって見せてあげないといけないというふうに事務としてはなっちゃっているので進捗がおくれているんですよ。むしろ、いわば強制的に、ここに行ってください、ここの民間住宅に入ってくださいというふうにして、とりあえずとにかく入っていただいてというぐらいの気持ちでやっているのが福島県、そういうことなんですね。

 ですから、住宅局は、厚生労働省と一緒になって、むしろもうちょっと強制的に、どんどん入っていただくような事務の仕方というのを準マニュアルみたいな形でつくっていただいたら、データを提供する者としても、あるいは被災者としても、もっとうまくいくんじゃないかというのが、現場で働いている協会の皆さん方の声なんですね。

 そこで、厚生労働省にきょうは来ていただいていますので、四月三十日に、そういうことで大臣には余り報告がないかもしれませんが、住宅局と厚生労働省が、もう本当に現場の立場になって考えた通達を出していただいたんですね。その通達の趣旨と、その後の、まだ一週間、二週間しかたっていませんので、では何戸その通達のおかげで民間住宅に入ったかという報告はできないかもしれませんけれども、まず厚生労働省から、清水社会・援護局長から、民間住宅の借り上げについての通達の趣旨と、そして現状、ちょっと報告をしていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所生活を解消して、安心して被災者の方に生活していただくためには、応急仮設住宅などへの早期入居は非常に重要ということでございまして、現在、県にも御尽力いただき、国土交通省にも御尽力いただきまして、応急仮設住宅の建設、民間賃貸住宅の借り上げが進んでいるところでございます。

 私どもが四月三十日に被災三県に出した通知の内容をお尋ねでございますけれども、何点かに分かれてございます。

 最初の第一点、考え方でございますが、被災した県が、現に救助を要する被災者の方々に対しまして、応急仮設住宅として民間賃貸住宅を借り上げて提供する場合には、その費用は、災害救助法による国庫負担、最大九割でございますが、その国庫負担対象となる、これが基本的考え方でございます。

 二点目といたしましては、発災以降に被災者の方の名義で契約したものでありましても、県名義の契約に置きかえれば、被災者名義の契約時以降、やはり災害救助法の国庫負担の対象とするというのが二点目でございます。

 家賃は、さまざまな実勢価格によりまして区々あろうと思いますけれども、一つの参考としては、前例で、岩手・宮城内陸地震の際に一戸当たり六万円という形の過去の実例がございます。これを参考としてお示ししました。ただし、これは、これを超えるものでありましても、いろいろと御相談があれば柔軟に対応していく方針でございます。これが三点目でございます。

 四点目としましては、この応急仮設住宅がわりの民間賃貸住宅の借り上げ予定期間は二年間ということでございます。

 これらを通知としてお示ししたところでございます。

 現状でございますが、先ほど資料でお示しいただいたような、ここまでの丁寧な情報ではございませんが、そういう動向であるということは私どもも報告をいただいておるところでございます。

 いずれにしましても、私ども、県とも連絡を密にしまして、また国交省の住宅局ともよく御相談しながら、民間賃貸住宅の借り上げの促進ということに心がけてまいりたいと考えてございます。

福井委員 ありがとうございました。

 柔軟に現場現場で、被災者に優しくということをまさに通達という形で出していただけたので、本当にありがたいというふうに思いますので、その趣旨をさらにまた徹底して、県庁からまた現場におろす。ひょっとして県庁でとどまっている部分もあるんですね。そこをまず、もっと現場にということを心がけて、厚生労働省の方もしていただきたいと思います。

 もうちょっと言いますと、例えば一世帯当たり、普通、町の中ですから、賃貸住宅というのは一DK、二DKが主体です。ですので、おじいちゃん、おばあちゃんがいらっしゃって大家族という、この前質問させていただいた高齢者もいる大家族、多人数世帯が、やはり仮設住宅とはいえ、二DKといえどもちょっとあれかなというときに、たまたま二軒連続してあいていたら二軒分借り上げて入っていただいて、それを災害救助の対象というふうにしていただいてもいいかなと思いますし、そこのところがもう一つ進化した次の段階かと思いますけれども、それはそれで厚生労働省に検討をお願いしたいと思います。

 そういうことも含めて、そして浜岡原発の話もありましたので、たまたま埼玉県だけが、何か災害があったときに、県庁と業界との間で、賃貸住宅をこうやって利用しましょう、空き室は必ずありますから、空き室をこういうふうに利用しましょうという協定が、三月十一日現在では埼玉県しかなかったんです。

 その後準備を始めた県庁と業界というのは十何県か出てきたんですが、これを、浜岡原発までというふうに国としては行政が進化しているわけですから、では住宅局長、一体これは全国で今どうなっているんだと。あした新潟県で、あした山口県で何かあっても、それぞれの県で県庁と賃貸住宅の業界とで協定を結んですぐ入っていただく、極端に言えば仮設住宅を一軒も建てなくても空き室でどんと処理できるというような協定を早急に整備しなければ、これは一体何をやっているかということになりますね。

 今、三月十一日からこの二カ月間、もうすべて東北に集中しましたけれども、しかし、せっかく菅総理がああやって浜岡ということをおっしゃっていただいたんだから、それは少し視野を広げて、全国ベースで災害の準備というのをしなければならないというふうに思いますので、最初に申し上げました、住宅局を筆頭に、厚生労働省と国交省との横ぐしの行政も指導していただいたということも含めて、仮設住宅は今、最初におっしゃっていただきましたので、空き家の賃貸住宅の利用について、今まで二カ月間の御感想とこれからの指針を、もしございましたら御教示いただきたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘の点は大変大事な点だと私は思います。

 実は、先ほど御答弁をした中で少し漏れていたものがございますが、当初、仮設住宅の規模は七万二千戸でありました。しかし、私も、この休み中も含めて、もう一度実態をよく調べてみようと、それで調査をお願いしました。

 現時点、五月十日時点では、必要戸数が六万八千三百五戸と、約四千戸減ってまいりました。その背景は何かというと、御指摘のように、民間賃貸住宅等に入居される、こういう方もおられますし、また、御親戚のところに一時的に入られるという方もいろいろおられますが、いずれにしても、民間賃貸住宅というのはすぐ入れますから、そういう意味では、非常時のときの入居先としては大変大事である、こういう認識を私も新たにしたところであります。

 そこで、各県でも、民間の賃貸住宅のリストといいますかパンフレットみたいなものをつくっていただいて、こういうところがありますがここに御入居されませんか、こういう案内を避難者等にも通知をしていただきまして、仮設住宅よりも民間の賃貸住宅を希望される方はどうぞ、こういうことも今お願いをしているところであります。

 今、最後のところに、非常時に備えて、各県とも非常時の場合には民間の賃貸住宅を持つところと連携してはどうかということでありますが、借り上げのシステムというものを、改めて国土交通省としても、非常時の場合にこういう形でやろうということについてはしっかりと研究させていただきまして、今回の大震災を受けての教訓として、できるだけそのような仕組みを日常も維持できるように努力をしてまいりたいと考えているところであります。

福井委員 ありがとうございました。

 次に、最初、畑委員も質問されていましたけれども、高速道路の無料化ということで、出ては消え、出ては消えですけれども、連休中に官房長官が東北の高速道路を無料化するということを現地でおっしゃったというのを新聞で拝見させていただきましたので、出ては消え、出ては消え、だれかが言い、だれかが、否定はしませんけれども、ということで、そろそろもう決めた方がいいと思うんですね。

 それで、システムを変える、コンピューターの中身を変えるには二カ月かかるということは、これはもうしようがない。ですけれども、簡易に、料金収受員というのが必ずランプに、インターチェンジにいますので、目視で、この人はどこから来たから、あるいは車種がどうだから幾ら幾らにする、あるいはどこからどこまでは無料にするというのはできないことはないので、これはそれこそ政治決断ですね。

 ですから、北関東横断自動車道以北で、常磐道も含めてすべて一年間やると、大体千六百億ぐらい予算を別途調達しなければなりませんが、半年間だったら八百億。それを車種とかということで、いろいろなバリエーション、選択肢があると思うんですね。衆議院で補正予算が通るときに池口副大臣に財金で質問させていただいて、二千円はいいです、千円もいいです、そこから下の料金の割引については多段階、多層になっていますので、その次の割引はまさに地域の物流を支える平日の割引なんですね。それをなくしたら、地域の物流が、壊滅とは言いませんけれども、まさに困ってしまう。ですから、今から日本を再生する、東北を再生するというときに、その次の割引というのは絶対に死守しなければなりません。何となれば、まさに地域の物流を支える平日のトラックの割引制度だからですね。そこは守ると。ここはもう出口がありません。

 だから、別に財源は調達をして、全部だったら千六百億、車種車種でいろいろ割ったら、あるいは半年にしたらとか、何百億ということになるでしょう。その選択肢を決めて、それで、二カ月後からとかじゃなくて、今、もう来週からとかいうことで、まさに料金収受員のマニュアルと訓練だけですから、それはそんな一カ月、二カ月かかる問題じゃないので、ぜひ早くできる方法を。それは、もちろん与野党で話し合った上で大臣にお願いするというプロセスも承知はしておりますけれども、先ほどおっしゃった、財源の問題もあり復興会議の問題もありということですけれども、もう一度そういう選択肢も含めて考える。そして、何よりも大事なのは、すぐやるということだと思うんですね。すぐやる、そして希望に光をもうちょっとともすということの方がむしろ大事だと思うので、そういう意味で、再度で恐縮ですけれども、高速道路無料化についてもう一度ちょっと御答弁いただきたいと思います。

大畠国務大臣 ただいま御指摘を賜りましたが、きょうがちょうど大震災から二カ月目を迎えてしまいました。この間、応急的に緊急的な対策というのが続いてまいりまして、そして今、復旧復興に向けてどのような道筋をつけるか、こういう段階に入ったと思います。そういう意味では、その一つの基盤として、高速道路の無料化という御指摘を各方面からもいただいておりますし、総理も発言をいたしましたし、官房長官からもあのような形で発言をいただいております。

 したがいまして、国土交通省としては、どのような形でその御期待にこたえることができるかという具体的な検討に入ったわけでありますが、財源問題というのがございました。これを先ほど御質問いただきましたが、第二次補正かというお話もありました。これも当然ながら大事な視点だと思いますが、早くやることも必要であります。したがいまして、第二次補正というものも一つの検討課題でありますが、その第二次補正というものを待たずしてできることはどうなのか、こういうことも含めて検討をさせていただいているところであります。

 いずれにしても、御指摘のように各党の御意見というものを踏まえて、大方の御意見というのは伺っているわけでありますが、そういう状況、それから現地の復興に向けての状況を踏まえてしっかりと判断すべきときは判断する、こういう状況にあるのではないかと思っておりまして、きょうの御質問、御意見等も踏まえて、地域、あるいは国会情勢を踏まえて、適切に私としては判断していくべきだと考えております。

福井委員 本当にありがとうございます。

 次は瓦れきで、今度は仙谷副長官の発言を新聞で見たんですけれども、瓦れき処理は直轄でやると。直轄というのは国交省と農水省しかありません。農水省も最近ほとんどなくなってきましたけれども。

 直轄という意味は、多分、宮城県知事は、国の費用一〇〇%、そして、できれば環境省本省が、それぞれ市町村がやろうとしている、あるいは県がやろうとしている瓦れき処理について、発注業務までやってくれというふうにおっしゃっているのではないかと推察されます。しかし、そんなことを言ったって、環境本省にそんな、発注する、赤本といいまして積算をしないといけないので、そんな技術屋さんがおりませんので、それは不可能なんです。

 するんだったら、まさに直轄というふうにおっしゃっていただいたように、支出負担行為の担当官を環境大臣から国交大臣に移管して、それで東北地方整備局長にそれを命令して、東北地方整備局のしかるべき事務所から発注する。言うたら、普通、できる事務の流れになっているんです。仙谷副長官がどこまで考えてそういうふうにおっしゃったかどうか、あるいは宮城県知事の陳情の中身がどうかというのはよくわかりませんけれども。

 いずれにしても、瓦れき処理はもちろん国交省の所掌事務じゃありませんが、しかし、現場現場でやっているそのブルを押しているのは地元の建設業界であって、その業行政を担当している大臣として、決して捨ておけない。しかも、一番大きい問題、二千五百万立米というのは阪神・淡路のもう何百倍、それから関東大震災だって、辰巳地区で埋め立てただけで進んでいるわけですから、今回、史上最高の瓦れきの量になっているわけで、もう瓦れきが最大の問題と言っても過言ではない。そのときに、私は、もうこれで道路は啓開しました、もう河川の中は、港湾の中は大丈夫ですというわけには絶対いかないんです。

 なので、地元地元で、協議会で、地方整備局も入って、これから計画をつくる、あるいは処理する仕組みをつくる、一次置き場があって、二次置き場があって、そして最終処分場という流れもできつつある、しかし、国交省として、これから環境大臣にみずからむしろおっしゃっていただいて、こうやってしてあげますからぜひお任せください、予算は、財務省から来るのは一たんは環境省だけれども、実際に業務を発注するのは我々の方でやってあげるからということをぜひ申し込んでいただければ、これはすぐ流れますから。そんな発注はもう日常茶飯事で国交省の職員はやっていますので、ぜひそういうふうに、のりを越えて、大臣の方から命令していただく、あるいは環境大臣と協議していただく。

 そのお気持ちがあるかどうか、ちょっとお伺いさせていただきます。

大畠国務大臣 福井委員からの御質問でございますが、実は、私は当初、瓦れき処理も国土交通省の所管ではないかという誤認、認識を誤っておりまして、とにかく大変な業務だ、こういうことで受けとめておりました。

 この瓦れき処理をどうするか、こういうことを当初いろいろ思いあぐねておったんですが、瓦れき処理は環境省の所管である、こういうことがわかってまいりまして、しかし、現実問題、御指摘のように、これは所管外だからいいということにはなりません。私も現地に入りまして町の中に放置されている瓦れきを見て、早急に瓦れきを処理して、そして新しいまちづくりに向けて復旧復興が進むことが大変大事であります。

 そこで、今、現地の方でいろいろお話を伺っておりますと、知事がおっしゃったのはどうも、国直轄でというのは、一次の仮置き場のところまでは自治体で行いますと。そこに膨大な量の瓦れきが山積するわけでありますが、その最終的な処理については、処分については国の直轄でやってもらいたい、こういう御意見だという話を伺いました。

 しかし、町の中にある、民有地にある瓦れき処理もなかなか進まないというのも実態なので、ここら辺については環境省とも連携し、また、国土交通省の職員の皆さんもいろいろと気にとめておりますので、何らかの形で環境省と国土交通省が連携をして、自治体の係官の背中を押しながら、あるいは、今回、法律案でも、自治体がやるべきものは県とか、県がやるべきものだけれども国、こういう形で業務移管をすることができるという流れもつくっていただきましたので、状況に応じては、環境省、国土交通省が前面に出てこの瓦れき処理を行う、こういうことも自治体によっては必要なのではないか、そう受けとめております。

 ここについては、御指摘を踏まえて、結果的には一日も早く町の中から瓦れきが処理されて、新しい復旧復興に向けての機運が高まるような環境をつくることが大事なので、そこら辺は御指摘を踏まえながら適切にやってまいりたいと考えているところであります。

福井委員 ありがとうございました。

 次に、五十嵐先生、本当に済みません、お待たせしました。

 ちょっと細かい陳情で申しわけないんですが、二輪車が被災をしてなくなっちゃったということで、廃車の代替としての新車購入のときに、自動車重量税、ほかのは免除になっているわけですけれども、二輪車は捨てられているわけですね。これを何とかしてくれないかということで、地元からあるいはその業界から陳情がございます。

 それから、もともと自動車重量税の還付制度というのが、根元から二輪車についてはないんですね。それをつくっていただいて、そして、当然のごとく、今回の被災の二輪車にも還付するということもぜひあわせてお願いしたいと思います。

 どうしてないかというのは、もちろん、阪神・淡路のときには二輪車が二千台、今回は四十万台、二輪車を含めてですね。ですから、二千台と四十万台ですから、それは、地元が、それぞれの役所がパニック状態にならないようにということで徐々にというのもあったかと思いますけれども、それこそ二カ月たちましたので、ぜひ、二輪車も含めて、還付制度そして免除をお願いしたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 今、福井委員御指摘のとおり、震災税特法におきまして、四輪については、これは自動車リサイクル法をベースに特例としてつくらせていただいた制度でございまして、四輪車だけが義務がかかっているので、その手続を利用してつくらせていただきました。二輪車はそうではないということで外させていただいたということなんですが、悩ましい問題もございます。

 今先生御指摘のとおり、四十万台近い被災県における二輪車がある。これはニーズがどの程度か見なければいけませんけれども、殺到すると、運輸支局がこれをやることに、自動車リサイクル法を援用するとそういう仕組みになるわけですが、本当に処理し切れるのかというようなことが出てくると思います。

 ただ、二輪車も被災地における重要な移動手段になっているということをかんがみますと、やはり私どもとしても真剣に考えなければいけないということで、今後、第二弾の税制措置の中で工夫をしてまいりたい。せっかくの先生の御指摘ですので、前向きに取り入れるべく努力をしていきたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 前向きにお取り組みいただくということをおっしゃっていただいたので、五十嵐副大臣にはこれだけでございますので、どうぞ、お忙しいでしょうから。前向きにおっしゃっていただいたからということじゃございませんので。

 それで、続いて自交局長にお伺いしますが、出向けない人がいる。今、軽自動車協会の事務所に出向いて被災車両の検査証の返納手続をしていただいているんですが、出向くのが困難な被災者というのが現実にいる、そういう陳情が地元からございます。申し立て書とか必要書類の郵送で手続ができるようにしていただきたいということでございますので、これは先ほどの五十嵐副大臣と同じように、前向きにやりますというふうに多分御答弁いただけるものと期待をして、局長から御答弁いただきたいと思います。

中田政府参考人 お答えを申し上げます。

 軽自動車が滅失、解体等の場合に自動車検査証の返納手続というのを行うこととなっておりますが、今回の東日本大震災に伴う被災自動車につきましては、被災者からの申し立て書をもって罹災証明書にかえるなど、手続の簡素化の特例措置を講じているところでございます。

 それで、被災自動車に係る手続に当たりましては、自動車検査証自体が滅失していることが多いと想定されるために、軽自動車検査協会の事務所等の窓口において対面で、車両番号の一部とか車種などの情報をもとに、対象となる自動車を確実に特定していただく必要がございまして、先生のお話でございますけれども、書類の郵送のみで返納手続を行うというのは困難ではないかというふうに考えてございます。

 また、検査証の返納手続というのは、通常、被災自動車に係る自動車重量税の還付申請をされるということが目的であることが想定されてございます。さらには、代替取得される車両の新規検査の申請、車両の重量税の免税届け出等、いろいろな手続がございまして、これらは、被災者や代理人の方と、軽自動車検査協会の事務所において、また対面でいろいろとやりとりをさせていただくことが必要であると考えてございまして、先生のお話でございますが、何とぞこういう、対面でやはり確実に手続をしなければならないという事情をぜひ御理解賜りたいというふうに考えてございます。

福井委員 ちょっと残念ですが、きょうのところはそれでとどめておきます。

 十分しかないので、きょうは、いつもテレビで拝見する中西審議官とエネ庁の横尾部長からも御答弁いただけることになりまして、ありがとうございます。原発を国交委員会でという意味は、エネルギー問題も含めて、そして立地問題も含めて、国土計画、地域計画を所掌するからということでありますけれども、しかし、この福島県の問題、原発の問題抜きに復興は語れない、計画もできないということなので、本当はもっと集中して、原発集中審議というのもお願いしたいなという気持ちで、きょうは本当のさわりのさわりでありますけれども、原発問題について経産省の方から御答弁いただきたいと思います。

 これはもう大臣が一番得意なところなんですけれども、ちょっと迂遠しますが、珊瑚海海戦からミッドウェー海戦という二つの海戦の間に、日本軍とアメリカ軍と何が違ったかというと、ダメージコントロールなんですね。ダメージを前提として、ダメージというのはあるんだと。ですから、空母がやられた度合いは、珊瑚海海戦では引き分けだったんですね。両方とも同じように空母がやられた。しかし、もともとの空母の設計思想も、ダメージがあるということを前提としたのはアメリカ軍で、日本軍は精神論だけでしたから、ダメージがあったらもうこれはどうしようもない。あるわけがない、アメリカ軍にやっつけられるわけがないというのが日本軍の設計思想だったわけです。

 飛行機が飛ぶ甲板の下にもう一枚甲板を敷いて、もし燃えても、爆撃されても、燃えているものをブルでびゅびゅっと横に押して海に捨ててそれ以上の火災の広がりを防ぐ、そういう設計思想でアメリカ軍の空母ができていたものですから、もちろん大分やられましたけれども、すぐ修復できたわけですね。それで、ミッドウェー海戦に臨んで、そんなことを知らない日本軍がそこで負けたというのが太平洋戦争のときのいわば分岐点になったわけです。

 その後も、軍事的な思想もそうですし、それから、我々土木屋の思想もそうなんですね。ダメージを前提としてすべてのものを設計する、それを根本とするということはいまだにありません。

 もっと大事なのは、原子力工学科でずっと教えてきたことというのは、圧力容器の中から壊れることしか想定していなかったんですね。中から壊れることをどう防ぐか、では次は格納容器、そして建屋、そして外へ外へと、二重、三重、四重、五重の防護壁をつくってきたというのが今までの原子力工学科で教えてきた設計思想ですけれども、今回は外からですね。中から壊れたんじゃなくて外から壊れるということを一切考えてこなかったというのが、今までの原子力工学をずっとやってこられた、いわば学の欠陥ですね、学の欠陥。

 土木工学の欠陥は、想定する。マグニチュード九以上の地震というのは地球上に何回もあったわけですからね。日本には絶対に九は来ないということ自体が、もともと理屈じゃないんですね、むしろ社会的に受容できない。そんな、九が起こったら何十万人死ぬという予想をしなければならないということを恐れて、土木工学だったり地震予知だったりがしてこなかった、これはもう本当にざんきにたえません。それを、九を予想し、九・五を予想して原発の設計に生かすというのは、やはり土木の世界、国交省の世界としても反省しなければならないことだったと思います。

 いずれにしても、原発は内からだけじゃなくて外からも壊れるということ、だから、内と外と足してやっと一・〇になるわけですから、もともとは当たり前のことだったんですけれども、そういう根本的な設計思想が間違っていたということと、それからダメージコントロール、今回は、核物質が拡散をする、そして水がなくなるというダメージがある、そこからスタートをして、ではどうやってその被害を最小化するか、その拡散度合いをどうやって最小化するかというダメージコントロールの考え方というのがこの原発になかったというのがもう最大の問題なんですね。

 だから、戦後何十年もたって珊瑚海海戦からこうやって話さなければならないというぐらい、すべてのものと、それから物の立地、そして物を取り巻く周辺の計画、避難計画について、ダメージコントロールの思想、根本思想を投入しなければならなかったと思うんです。

 ちょっと迂遠になりましたが、中西審議官の方から、もしそういう人がいたらどう答えるか、現在の経産省の考え方をぜひ御紹介いただきたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方から御指摘いただきました、大きく二つぐらいあると認識してございます。

 まずは、内側のみならず外からのいろいろな脅威、それに対する準備が不十分だったのではないか、そんなことでございまして、まさに御指摘のとおり、我々が考えてきたものを超えるようないろいろな大きな津波が来たということもありまして、実は三月三十日でございますけれども、全国の原子力発電所に対しまして緊急の対策をとれというようなことを指示してございます。

 その中には、これまでの、単に地震のみならず津波、さらにはその津波によってその余波、いろいろな形でサイト内での障害が起きております。そういったことにつきましてもちゃんと配慮するというようなことを指示いたしまして、本当にちゃんとそれが確認されているかどうかというようなことまで、我々は、五月の八日になりますけれども、その確認行為をやってございます。それが、外に対する脅威をどういうふうに我々は今後教訓として生かしていくのかというようなことでございます。

 もう一点の方の、ダメージコントロールをしっかりとあらかじめ考えておくべきであるというような御指摘でございますけれども、そこにつきましても、我々自身、これまでは、原子力発電所の安全確保、法令に基づいての安全規制をかくかくいろいろな形でやってきてございます。これに加えまして、既に今回の福島発電所での災害でも具体的にやってございますけれども、万が一の原子力災害、そういったものが発生したときの影響緩和といった形での対応を我々はアクシデントマネジメント対策と呼んでおりますけれども、そういったものをあらかじめ整備しておったということでございます。

 実際、この福島原子力発電所で起きたこと自身は、消火系配管からの炉内への注水等いろいろな形でやってございますけれども、それも、あらかじめ想定していた作業がなかなか思うように運ばなかったという意味では、まさに先生が御指摘のように、ダメージコントロールをいかにやるのかといった視点から、ちょっと不十分なところもあったのではないかというふうに我々も認識してございます。

 そういったこともございまして、我々、今後、そういったダメージコントロールという視点も踏まえながら、引き続き、原子力安全あるいはさらに防災全体といった形での対応をしっかりとやっていきたいというふうに考えてございます。

福井委員 ありがとうございました。

 大日本帝国憲法、天皇がすべてすべてを総攬するという、その総攬性がなくなったというのが日本の戦後の行政の最も根本的な欠陥であるし、原発の組織、私の場合だったら四国電力の伊方の話も随分聞かせていただいたら、要するに、トータルでコントロールする、コーディネーターとかあるいはプロデューサーというのでしょうか、そういう人がいないんですよ。安全屋というと、電気屋がいて土木屋がいて原子力屋がいて、それぞれ立派な方がいる。だけれども、トータルとして、全体を総攬して毎日毎日考えるという人がいないんですね。これは国交省でもやはりそうなんですよ。国土計画局があるといえばあるんですけれどもね。その総攬性をぜひ取り戻してもらいたい。それぞれの原子力発電所のサイトで、そして中部電力で、東京電力で、それぞれ総攬性を出してもらいたいというふうに思いますので、ぜひ大臣からも御指導いただきたいと思います。

 時間があと二分しかなくなってきましたけれども、最後に、ネガティブな情報という意味で、経産省の中西審議官の方からぜひ教えていただきたいのは、古い資料をひもといてみると、広島も六百メーター、長崎も五百メーター上空で爆発しているものですから、核物質が黒い雨で集中的に降ったところは一カ所ずつぐらいしかないんですね。三カ月後ですけれども、爆心地ではかったら、爆発した瞬間に中性子が通過したというだけで、放射化した瓦れきが出す放射能というのは〇・七マイクロシーベルトなんですよ。〇・七マイクロシーベルトなんです。爆心地で、広島も長崎もたまたま一緒なんですね。三カ月後ですけれども、〇・七マイクロシーベルトです。

 今、福島県の小学校でどうなっていますか。年間二十ミリシーベルト。年間二十ミリシーベルト割る三百六十五割る、屋外が八時間で屋内が十六時間でやると、三・八マイクロシーベルト。三カ月後とはいえ、爆心地の五倍ちょっとの被曝量を子供に強要しているのかということで泣いてやめられた先生もいらっしゃいましたけれども、これは絶対許せないです。

 もちろん確率的な問題でしょう。一千万人に一人か百万人に一人、がんの、白血病の発症確率がふえるという、そういう度合いだと思いますけれども、しかし、かわいい我が子、かわいい孫、ゼロじゃありませんから、傾きは必ずあるんですね、発症確率は必ずふえるわけですから。そういうときにどう考えるのかということを、それはそれでまた次の議論にします。

 きょうのところは、ですから怖いのは、体外被曝という、いきなり爆発したときというのじゃなくて、拡散した放射性物質がたまたま固まっている、あるいは水に凝縮したというのに接して経口被曝するという体内被曝。ですから、爆発したとき、あの水素爆発のときにどうこうというのじゃなくて、拡散した物質と、そしてそれが出すアルファ線、ベータ線、ガンマ線と、たまたま体内被曝したときというのが心配なので、ですから、では、それぞれの人がはかってねというときに、はかる仕組み、ホール・ボディー・カウンターがまだ四十台とかせいぜい百台とかしか日本にないというんじゃ、これはちょっと安心できないわけですね。

 せっかく安心させようとして、そしてふるさとに全員帰そうというときに、では、自分がどれだけ、何ミリシーベルト、何マイクロシーベルト被曝したかというのがわからないというんじゃ、これはもうどうしようもないので、現在のところで結構ですから、中西さんですか、内部被曝量について、計測機械の現状を、ちょっと時間が過ぎちゃったんですけれども、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、そして外部、内部別に、ちょっとわかりやすく解説していただいた上で、今、ホール・ボディー・カウンターはガンマ線しかはかれないけれども、核種がわかるからベータ線もわかることになっているとか、そういう説明をちょっと、二分ぐらいで説明していただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

中西政府参考人 先生今御指摘の件でございます。我々、今回の事故に伴いまして、いろいろな周辺の地元住民の方々、とりわけ子供の方々、女性の方々、そういった方々に対して、放射線の実態把握というのは極めて大切だというふうに認識してございます。

 今先生御指摘のように、放射線の内部被曝、外部被曝という考え方がございます。今回の原子力発電所での事故を踏まえまして、一般の住民の方々につきましては、まず外部被曝がどのような状況になっているのかというふうなことを確認するという意味で、スクリーニングというようなことをやってございます。このスクリーニングにつきましては、既に延べ十八万人の方々が大体チェックをされています。そういった中で、まず外部被曝がどのようになっているのかという確認をいたします。その中で、もしかして内部被曝をやっている可能性を否定できないような方につきましては、さらに、ホール・ボディー・カウンターという、内部被曝も測定できるような対応をとってございます。

 これまでのところ、外部被曝のスクリーニングという形で住民の方々へのチェックをした結果は、内部被曝が疑われるような事例は我々としては承知してございません。しかしながら、先生が御心配になりますように、例えば発電所の中で作業をされた方々、そういった方々は、先ほど申し上げましたような内部被曝の確認もしっかりとやってございます。

 これまでのところ、日本全体として、ホール・ボディー・カウンターという内部被曝を測定するための機械、四十一台ございます。今回の福島原子力発電所でのいろいろな作業の方々がかなりの数に上ってございますので、東京電力の方では、そのホール・ボディー・カウンターをまさに拡充しようというふうな形で、住民の方々の安全面での管理もやりますし、作業員の方々の管理もしっかりやっていきたいというふうに考えてございます。

 それと、最後でございますけれども、やはり今回の住民の方々、長い目でしっかりと放射線の影響というものを管理しなくてはいけないというふうに我々も認識してございまして、現在、福島県立医科大学が中心となりまして、かなり長い視点で、健康管理、放射線の影響の管理というふうな形での調査をスタートするというふうに伺っているところでございます。

福井委員 ありがとうございました。

 時間が参りました。終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日、十一日で東日本の大震災発生から二カ月たちまして、改めて被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになられた方々に対して心から哀悼の意を表したいと思います。

 この二カ月間、政府がさまざまな形で救援活動、そして復旧、そして復興に向けてさまざまな手を打っておりますけれども、やはり現場の感覚からいうと、まだまだ遅いな、こういうふうに思うんですね。

 私もこのゴールデンウイーク期間中、現地へ行かせていただきました。大臣初め政務三役の皆さん等々、何度も現地に入りながら、その現状を把握して的確な手を打っておられると思うんですが、なかなか、現場とこちらの思い、こうやらなきゃいけないと思いながらも、ずれが生じる。それはやはり現場の被災状況が余りにもひど過ぎるということだと思うんですね。

 その中で、今回、東北地方整備局の徳山局長ともお会いして、お話をいろいろとお伺いしました。とにかく現場の人は頑張っていますね。新聞やテレビ、マスコミの報道では、被災をされた方々が本当にみずから頑張っている、そしてまたボランティアの方々、そして自衛隊。ところが、国土交通省の現場で活躍している人たちというのはなかなか注目を受けない。保安庁は何度か報道されるんですけれども、特に土木屋さん、これは全く報道されていない。そういうことを改めて感じましたので、昨日の夕刊フジに、私、隔週でコラムを担当しておりまして、書かせていただきました。

 これはもう釈迦に説法になると思うんですが、ほかの、与党である民主党の委員の方々も知っていただきたいんですけれども、実は、文芸春秋の五月号に麻生幾さんが、無名の戦士たちということで、国交省の整備局のメンバーのことをずっと書いておられます。

 発生して、状況把握をしなければいけないということでヘリを飛ばす。本来であると職員が乗っかってヘリを飛ばさなきゃいけないんですが、もうそんな時間もない。阪神大震災のときは、高速道路が倒れているということは上空から初めてわかったという。こういう状況下で飛び立ったんですけれども、その直後に仙台空港が津波にやられた。もしあれが飛び立っていなければ、状況把握ができなかった。

 この決断もすばらしかったと思うし、その後、震災が起きたときは普通は発災、応急復旧、そして本復旧となるんですが、その応急復旧の手前に、道路を開くという啓開活動に入った。これも本当にすばらしい決断だったなと思うんですね。これは大臣が何度もこの場でもおっしゃられたくしの歯作戦で、まずは四号線と東北自動車道の縦軸を開通させて、そして各市町村につながる十六本の国道を開いていこうと。

 この開くときに当たって、これも確認したんですけれども、ライフラインである電気、ガス、水道がとまった、電話もつながらない、そんなときに随意契約を結んでいる業者にどうやって連絡したか。職員が走ったんですね。整備局の職員が建設会社それぞれに走るわけですよ、電話が通じませんから。それで、中には、被災をされていますから従業員の安否さえわからない中で、重機を出して、では行きましょう、こういうふうにやってくれた方々もいるというんですね。その応じてくれた業者さんもすばらしいですし、また、走った職員の人たち、当たり前といえば当たり前なんですけれども、これはやはり現場でないとわからない。

 さらにその後、これもここの場でも何度もお話しになられたと思うし、そういう発表もされているんですが、翌日には十六本中十一本が開通をするんですね。自衛隊の責任者、自衛隊の活躍というのは、本当に全国の国民から拍手ですよ。でも、その自衛隊の責任者が整備局長に、あの道路が開通していたことによって現地に行けた、本当に助かったという感謝の意を表していたという、これもなかなか知られていないんですね。

 だから、本当に陰でやっている人たちがたくさんいる。私はその一端に触れたわけですけれども、それ以外のものというのは今回の震災でいっぱいあると思うんです。ただ、やはりそういうのをしっかり記録に残さなきゃいけないし、また知ってもらわなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 これは質問じゃなくて、やはり記録というのは次につながりますから、だからそういった部分では、整備局長、局長室に行くと、まだ寝袋が置いてある、毛布が置いてある。三十日間ずっと家に帰らずに、そこで指揮をとっていた。総理もなかなか公邸に帰らない時期もありましたけれども、啓開の判断だとかヘリを飛ばすときの判断だとか、そういうのを見ると、これは菅総理が翌日すぐに現場に行ってしまっただとか、そういうことを考えると、その現地におけるトップ、またはそういう災害におけるトップの行動のあり方というのは、徳山地方整備局長の行動というのはやはり称賛に値すると思うんです。逆に、菅さんはそういうのを学んでもらいたいな、こういうふうに改めて思いました。

 その記録だとかそういうものをきっちりとした形で、特に国交省はよく頑張っていると思うんです、TEC―FORCEを送って、それによって整備局自体の動きがまたさらに拡大できた。こういうことも、整備局だけが知っているんじゃなくて、やはり広く、立法府である国会にも、また国会議員一人一人も、それから、国交省だけじゃないんです、本当はTEC―FORCEみたいなのが各役所すべてあれば、もっとスムーズにいったんじゃないかなと思うんですね。

 だから、ここら辺のところを、国交省としてまとめていくとは思うんですけれども、やはり閣僚のお一人として、よかった部分、もちろん反省しなきゃいけない点もいっぱいあると思うんですが、そこのところをある一定の期間落ちついた段階ではっきりさせて、ほかの各府省庁にもしっかりとそういう形でいい部分は連動させた方がいいと思うんです。その点、これは質問通告していないんですけれども、大臣、どうでしょうか。

    〔委員長退席、田村(謙)委員長代理着席〕

大畠国務大臣 ただいま高木議員から御指摘をいただいたわけでありますが、今回の大震災を受けて、徳山局長を初めとする三千人を超える地方整備局の職員の皆さんが、御自分も大変な思いをしながら、被災をしながらも国土交通省の職員として全力を挙げた、これはそのとおりだと思いますし、特にヘリコプターでの状況確認というのは、私は大変大事な点だったと思います。

 私も会社勤めをしているときに、緊急事態といいますか事故のときの対応というのは、まずは日ごろからの人間関係といいますか信頼関係がないと、非常時のときになかなか一体感を持って仕事はできないというのを感じております。

 徳山局長が一月に赴任をされて、わずか二カ月後にこのような状況に入ったわけでありますが、いずれにしても、徳山局長とその取り巻く関係の皆さんが心を一つにしてこの非常事態、大震災に全力で当たられたということは、これは記録にしっかりととどめなければならないと思います。阪神・淡路大震災のときも、その後、阪神・淡路大震災の記録というのが本にされたり、あるいはいろいろな形で残されておりますが、この大震災についても、御指摘の点を含めて事実関係を正確に残しておくことは、これからの非常時対策、体制を考える上で大変大事だと思います。

 したがいまして、現在、復旧復興に向けてさまざまな動きがございますが、その原点のところに、御指摘の事実関係をしっかりと記録として残すこと、こういうことは国土交通省としてもやってまいりたいと思いますし、他の省庁のところでも、それぞれ所管しているわけですから、そういう意味では、他の省庁についても今日までの事実関係をしっかり残すように、私も対策会議の本部の一員でありますから、しかるべきときにお話を申し上げて、政府全体としてこれまでの事実関係を残すように求めたいと考えているところであります。

高木(陽)委員 今、記録をしっかり残してもらうということで、よろしくお願いしたいと思うんです。

 一つの例、またこれも紹介したいと思うんですが、これはもう大臣は御存じのように、リエゾンですね、フランス語でつなぐという役割。これは、TEC―FORCEがどっと来てくれましたから、それなりに地元の職員が、それぞれ自治体に派遣をした。とにかく連絡役ですね。

 徳山局長が言われたのは、とにかく自治体の首長の横にずっといろと。当時は電話もつながりませんから、衛星電話を持っていった、または国交省が全国から集めたさまざまな通信機器、これを持っていって、被災をした、特に南三陸ですとか陸前高田だとか、翌日、翌々日までどうなっているかわからない、マスコミの報道でようやく全国でわかるような状況のときに、もう既にリエゾンが入って、衛星電話が通じて、徳山局長が一番最初に話しているわけですね。本来であればまず政府なんですけれども、災害対策本部で東内閣府副大臣が入った、入っても連絡はとれていないんですよ。ここが一番大きな問題。

 では、そのリエゾンは何をやっていたかというと、ずっといろ、自治体の会議にも全部出ろ、全部要望を聞けと言われて、そこでどんどん徳山局長のところに来る。それで、大臣が言われた、人間関係がある局長と首長の間ではどんどん言ってくるんですが、なかなか遠慮する人たちがいる。ここまで言っていいんだろうか、国交省にこんなことをお願いしてもいいのかというときに、やみ屋のおやじですと言ったんですね。それを文書につくって、私はやみ屋のおやじですと。それを文書で自治体に送るわけです。そう言われたら、ああ、やみ屋のおやじだったら何でも言っていいんだねということで、例えば仮設のトイレがありませんから始まって、下着がないだとか、避難所ではこれが足りないだとか。

 本来、これは災害対策本部がやるんですよ、内閣府で東さんのところで。やっていないんだ。それを全部、徳山局長、東北整備局がやってくれた。これは検証しなきゃいけませんよ。もし東北整備局がそれをやらなければ、もっと現地の避難所は大変な状況になっていたということがあったわけですね。だから、そういったことも、TEC―FORCE、そしてリエゾンという形で国交省は先端を行っているんですけれども、本来であれば、内閣府副大臣が災害対策の現地の本部長として行ってそういう手を打って、そういう人の派遣を政府を挙げてやらせなきゃいけない。国交省だけで何とか今回はやりましたが、これを政府を挙げてやるようなシステムをつくっておかないと、今後大変になると思う。

 本来なら、総務省だとかそういうのも、自治体からのTEC―FORCEみたいな形でようやく今になっていろいろと連携をしながらやり始めていますけれども、最初の段階でそういう形に入ってくればかなり違っている。いまだに十一万人の方々が避難所にいるわけですね。だから、これを何とかしなきゃいけないなということを踏まえて、今後もそういう記録とともに精査をしていただきたいな、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 その上で、私も現地を見て、えっと思ったのは、かなり堤防が各地でやられている。私は宮城からずっと、仙台から南の方におりまして福島の県境まで、あそこも津波で平地、仙台平野がかなりやられまして、これは防潮堤だとかそういうのじゃない、普通の高潮のための堤防がかなりどっとやられている。そこのところで、応急復旧なんですけれども、コンクリートでつくれないから、土のうを積んでいるわけです。

 その中で、地盤沈下もしている。これからいよいよ、台風一号も発生して日本に今向かっていますけれども、今週はずっと雨の時期が多いという。だんだん出水期になっていきますと、こういう部分がなかなか大変になってくる。この地盤沈下の現状について、まずお伺いをしたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土地理院は、国土に関する調査、測量を任務としており、三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震における国土に与えた影響をさまざまな観測結果をもとに調べております。

 お尋ねの地盤沈下の状況につきましてですが、GPSを使った二十四時間連続観測点の結果がございまして、それによると、宮城県牡鹿半島の一・二メートルの沈下を最大に、岩手県の最大沈下は大船渡市で七十七センチ、福島県の最大沈下はいわき市で五十センチと、太平洋岸の広い地域で沈下を確認しております。

高木(陽)委員 一メートル弱の沈下、そういうふうに聞くといいんですけれども、映像でもよくあるんですけれども、満潮のときに結構海水が市街地の方に来てしまっている。そういう状況があって、この堤防等も、これは国交省だけがやっている話じゃなくて、農水の方もやっていたりだとか、実際いろいろと入り乱れている。そういうような中で、やはり心配なのは、沈下をしているだけではなくて、堤防もかなり壊れている、これをこれから梅雨、台風、そして高潮の時期になったときにどういうふうに対応していくのか。まあ復旧するしかないんですけれども、ここら辺の対応についてお伺いをしたいと思います。

    〔田村(謙)委員長代理退席、委員長着席〕

関政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、今回の震災におきましては、東北から関東地方の太平洋沿岸の非常に広範囲にわたり甚大な被害が生じております。特に、岩手、宮城、福島、この三県におきましては、いわゆる堤防ができているところ、これまであったところ三百キロのうち、百九十キロが全半壊という状況となっております。

 さらに、これらの堤防等の倒壊、水没等に加えて、先ほど御指摘の地盤沈下により平均的には数十センチの沈下をしており、高潮等に対する背後地の安全性が著しく低下しているというふうに認識してございます。このため、当面のまず緊急的な対応、そして本格的な復旧へと順次安全性を高めることが重要と認識しております。

 まず、今回の地震、津波で被災を受けました堤防等の海岸保全施設につきましては、海岸に関係する省、農水省も含めまして、一緒になって検討した上で、当面の対策として、背後地の状況に応じて、まず梅雨期までに盛り土あるいは土のうといったことで海面と陸地の縁切りをします、今海とつながってしまっておりますので。そして、大潮や満潮時でも冠水をしないよう、まず対策を進めているところでございます。さらに、台風期までには、これらが波で傷まないようにということでブロック等で補強をしていく、そういった形で二次災害の防止に取り組んでまいるというふうに考えております。

 さらに、本格復旧につきましては、海岸における津波対策検討委員会、有識者の先生方にも入っていただきましてこれを設置しておりまして、復旧の基本的な考え方を検討しており、さらに被災地で現在進めておられますまちづくり計画あるいは産業機能の復旧復興等と調整を図った上で、抜本的な本格復旧に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 これは応急復旧、そして本格復旧という段階を踏むんですけれども、時間がないと思うんですよね。これはスピーディーにやらないといけないので、とにかく、応急復旧というか、これを急いでもらいたい。

 というのは、まだ被災地が、特に三陸もそうですし、仙台平野もそうなんですけれども、まだ瓦れきが全部除去されていない、そして、それをこれからどうするか、そういった段階のときにもしまた浸水をしてしまった場合に、これが二次災害になる。今までだと、堤防がありましたからそういうことはなかったんですけれども、堤防がもうなくなっている、しかも沈下もしている。だから、そうなってきますと、これからの夏、そして秋にかけて、また想定外の二次災害も可能性としてあるわけですね。一次補正も通りましたし、ここのところは本当に早急に全力を挙げてお願いをしたいと申し上げておきます。

 続きまして、鉄道の復旧状況、これは前回の委員会でも確認をしたんですが、鉄道の復旧の支援ですね。現在、三陸鉄道ですとか仙台空港鉄道ですか、相当やられておりまして、JRも相当やられているんですけれども、その各鉄道の復旧支援状況、これをちょっと伺いたいと思います。

久保政府参考人 お答えいたします。

 三陸鉄道の現在の状況でありますけれども、比較的被害の少なかった北部、これは北リアス線というんですけれども、その一部の区間は運転を再開しておりますけれども、津波によって駅舎あるいは線路流失など甚大な被害が発生しました北リアス線の残りの区間、あるいは南リアス線、これは釜石から南、盛までの部分なんですけれども、これについては現状では運転再開のめどは立っておりません。

 また、御指摘の仙台空港鉄道、これは津波によりまして、滑走路の下を横断するトンネル、これが完全に水没をしました。また、仙台空港駅の指令室、指令室というのは鉄道の頭脳に当たる部分ですけれども、これが浸水するなどの被害が生じております。鋭意復旧作業を進めておりますが、名取というところと美田園、これは内陸部ですけれども、これについては七月末に運転再開のめどが立ち、美田園から仙台空港については、空港の最終的な再開であります九月末を目標にして運転再開を考えております。

 これらの三陸鉄道とか仙台空港アクセス鉄道、こういった復旧につきましては、被害実態を踏まえまして、私ども国土交通省としても、第二次補正予算に向けて必要な支援策について十分に検討を続けていきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 ちょっと時間が限られているので、局長の方の答弁のところは質問を割愛させていただきます。

 前回の委員会でも申し上げました鉄道軌道法の災害の支援スキームだと、こういう災害のときに、四分の一国が負担、四分の一自治体が負担、半分は事業者がやれと。しかも、赤字じゃなきゃいけないとか、いろいろな条件がございまして、三陸だとか仙台空港鉄道等は赤字ですから、これはそういう形では支援できるでしょう。でも、半分を事業者が負担するのは無理でしょうね。だから、新しいスキームが必要なんじゃないか。

 もう一つ、実は常磐線を見てきました。ずっと仙台から南におりまして、亘理から山元のところですけれども、山元町の中浜というところ、ホームだけが残っていた。駅舎は全くなくなっている。そのホームに立ってみますと、電化されている常磐線なんですけれども、電柱がずうっとなくなっているんですね。線路も全部なくなっている。では、ここにもう一回鉄道を敷くんだろうかと。

 まさに、これからの復興会議のもとでのまちづくり、では、どこに市街地をつくっていくのか、こういうことがいろいろと課題になるんでしょうけれども、もしそうやって移る場合、常磐線はJRですから、JR東日本はもうかっているから自分でやってよと財務省は思っているでしょうね。でも、もしそうなった場合に、線路を別に、駅を別につくりましょうと。今、JRも、黒字とはいえ、駅舎をつくるときは地元の自治体がつくる、こういうルールのもとでやっていると思うんですよね。そう考えますと、鉄道自体を移しちゃう、そうなるとそこの土地はだれが買うのか。JRが買うんでしょうね。では、今あるその常磐線の、全く線路も電柱もなくなっちゃった、そこは売れるかというと売れませんね。

 そういうようなことを考えた場合に、復興会議の議論にもよるんでしょうけれども、ここはやはり国交省として、まちづくりを含めた新たなスキーム、枠組み、鉄道というのは一つの象徴なんですね、そうなると、そういう新しい支援スキームというのが必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 御指摘の鉄道の課題でありますが、現在の仕組みでは、四分の一、四分の一、四分の二、こういう形になっているんですけれども、御指摘のように、現地を見るとまことに残念ながら無残な姿でありまして、地元の方からも、原状復旧でいいのかと。要するに、まちづくりというものを考えたときに、いわゆる地震、津波に強いまちづくりというものを考えたときに、鉄道も路線そのものを津波、地震に強い地域に移すことが必要ではないか、こういうような御意見もいただいております。

 そうなってきますと、従来のように四分の一、四分の一、四分の二という形では対応ができないんじゃないかというような状況も生まれてきておりまして、この状況の中で、担当局の方は財務省と水面下でいろいろ話をしているんですが、かなり厳しい、こういう話でありますが、こういうときこそ最終的には政治が決断をすることが必要なんじゃないかと率直に今私は感じております。

 したがいまして、地元の皆さんの御意見を踏まえて、どういう形で国民の足、復興のための大変大事な鉄道の復旧復興を行うか、こういうことについては、その復興の計画というものを見ながら適切に対応することが必要なんじゃないかと率直に今考えております。

高木(陽)委員 大臣も、いみじくも政治がやらなきゃいけないと。おっしゃるとおりだと思います。財務省と相談すると、お金の話から入ると、こんなものは絶対できないんですよ。今回は、お金の話はちょっとおいておいて、何が必要なのか、何をやらなきゃいけないのかから入らなきゃいけないんですけれども、どうも今の民主党政権、財務省に洗脳されているかどうかわかりませんけれども、官邸の話を聞きますと、お金の話から入ってくるんですよ、すべて。そうじゃない。被災をされている方々の立場から物を考えなきゃいけないということを申し上げておきたいと思います。

 あと、先ほど、冒頭の整備局の話でも言いましたけれども、応急復旧工事で東北地方整備局が緊急随意契約で発注した地元の業者、これは一体何社ぐらいあるのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。

小澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の発生後、三月三十一日までの間でございますけれども、東北地方整備局が応急復旧工事で随意契約を行った件数が全部で百十五件ございます。そのうち、東北管内に本店を有する事業者と契約を結んだ件数は九十七件でございまして、会社の数は多岐にわたってございますのでまだちょっと把握できておりませんが、契約状況は以上でございます。

高木(陽)委員 この百十五件、そして九十七件という、まさに地元の業者さんたちが、先ほど申し上げたような道路の啓開だとかをやっていただいた、今も応急復旧等々をいろいろとやっていただいている。これは、その業者がいないと本当に救援活動ができなかったわけですよね。だから、本当に地元の業者さんというのは大切なんだなというのを改めてここで感じるんですね。

 これは、予算委員会のときに雪害の話で僕は大臣にも申し上げたと思うんですけれども、公共事業が減る、いろいろと財政の問題でわかるんですよ。でも、その結果、地元、それぞれの地域、特に地方の業者さんが体力がなくなって廃業していく。こういう随契ができる、災害時に応援できる業者さんが少なくなってくる、重機もなくなってくる、こうなってくると、これは大変なことになるだろうなと。

 だからといって、そのために公共事業を出せという話じゃないんですよ。ただ、こういった中で地域の業者さんが、ただ単に一般競争入札で安ければいいというたたき合いをやって、そうなると、体力のある、地元じゃない中央からの業者さんだけが来て、いざというときに、私は知らないよ、こういうことになってしまったら大変なことになるわけですね。そういうことを考えますと、災害時の復旧工事における地元業者の役割、これを大臣、どう考えておられるか、それをお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 私も、今御質問いただいた件について感ずることがございました。

 三月十一日に大震災を受けて、次の日、その次の日、徐々に大事な大事な道路復旧というのが目に見える形で進んでまいりました。どうしてこういう形で道路の復旧工事が早急に動くのか、この仕組みをいろいろ聞きましたが、まず地元の近くにいる方々が、自分のところも被災しながら、重機を持ち出して、復旧工事に全力を挙げていただいた、こういう話を伺いました。こういうことを考えますと、地域地域にある建設業あるいは工務店の方々の役割というのは非常に大事だと私は思います。

 したがいまして、いわゆる緊急時あるいは非常時を考えたときに、地元の方々というのは、役割あるいは位置づけが、この大震災を経て改めて必要である、この必要性というのは強く私自身も認識したところであります。今後とも、この日本において、地域地域に必要な企業として建設業の方々がある、こういうことを踏まえて今後の対策というものは考えていかなきゃならない、私もそう実感しているところであります。

高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、今大臣がおっしゃっていただいたように、本当に地域の業者さんというのは大切だなと。

 今まで、政権交代してから、コンクリートから人へと。今は言わなくなりました。本当に経済の効率化がすべて正しいのか。やはり、命を守るということが政治にとって一番の要諦。そうなってきますと、コンクリートから人へじゃなくて、コンクリートは命を守る、こういった発想というのもあるわけですね。実際問題、啓開活動をやって自衛隊が現地に行けたことによって、菅総理も最初の会見か何かで、何人助けましたと自慢していましたよね。それができたというのは、まさにそういう人たちがいたからですよ。

 だから、そういうことを本当に、冒頭にも言った、記録もしっかり残していただきたいと思いますし、今後、今の政権の政策、また民主党、与党としての政策として、地元を大切にしていく、こういったことをしっかりとやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうで震災からちょうど二カ月であります。

 四月二十七日、当委員会で私は、浸水、冠水問題について質問しました。被災地では、地盤沈下や堤防崩壊による浸水、冠水被害が甚大であります。そして、そのことを指摘し、海岸堤防など、それぞれの地域に合致した応急対策を直ちに実施し、さらに恒久対策を行わなければならないと提起したところであります。大臣は、まず仮といいますか応急対策をした上で、復旧復興との調整を図った対策を実施することが必要だ、それらは適切に実施されるように努めていきたいと答弁されました。

 短期間ではありますが、この間どういう対策を行い、その進捗状況について報告されたいと思います。

大畠国務大臣 穀田委員の御質問にお答えを申し上げます。

 現状について申し上げる前に、海岸堤防等の被害の状況でありますが、特に岩手、宮城、福島各県の、甚大な被害をこうむったわけでありますけれども、航空写真等から判読したところでは、堤防護岸延長約三百キロメーターのうち、約百九十キロメーターで全半壊が生じているという状況がわかりました。これに加えて、地盤の沈下等も生じており、高潮等に対する安全性は著しく低下しているという状況でございました。緊急的な防護対策を早急に講じていく必要があると考えております。そのため、地域の復旧復興に不可欠な国道、居住可能な家屋が残る集落等が背後に控えている箇所を優先して、緊急的な対策として、梅雨期までに盛り土等により海面と陸地との縁切りを行い、大潮や満潮時でも冠水しないよう対策を進めているところであります。

 なお、現時点で確認しているところでありますが、十三海岸、堤防護岸延長約三十四キロメートルの区間内において緊急防護対策を実施しているところでございます。

穀田委員 前回も海面と陸地の縁切りをするという話はしていましたので、私も再度調査に行ってまいりました。改めて、浸水、冠水対策というのは一刻も放置できないと思ったところであります。

 テレビなどでは、前回も言いましたけれども、ひざ上あたりまで浸水した映像が流されていますが、地元紙は「浸水、やむなき水上生活」、水上生活とまで言っているわけですよね。そして、その見出しで、石巻市渡波地区沿岸部では、一日二回の満潮で約三十世帯が四時間近く床下浸水すると報じています。

 現場の声を聞くと、さらに実態がよくわかります。

 ある高齢者の男性は、毎年十一月に沖膨れがあり、こんな言い方をしているんですけれども、なまってはいるんでしょうけれども、例年一・五倍くらいの水かさになる、ことしはこの調子だと胸までつかってしまいそうだと述べるほどであります。

 理容を営む御夫婦は、毎日水が押し寄せて商売にならない、震災で壊れたボイラーを交換したいが、対策がとられるまで復旧が進まない、やかんで沸かした湯を使っていると訴え、日常生活がまともに送れないと。

 これらの声に耳を傾けて、何はともあれ、実際に解決し切らなければならない。梅雨を迎え、出水シーズンが来る。今でも被害がある。その上にさらなる浸水被害を絶対に起こしてはならない。浸水に対してどう対処するのか、大臣の決意を伺いたいと思います。

大畠国務大臣 穀田議員から、具体的な現地の状況も踏まえて御質問をいただきました。

 その場所については私自身まだ確認はしておりませんが、今のお話を伺う限り、いわゆる縁切りをして、そして浸水しないような対策を実施するということで今御指摘をいただいたような状況を改善することができるのかどうか、ここについては技術的にも検討を進めなければならないと思いますし、復旧復興の対策会議等でも、地盤沈下して浸水している地域について今後どうするか、こういうことを論議していると私自身も聞いております。

 いずれにしても、これから梅雨どきにもなりますから、その地域の方々が毎日毎日、一日二回浸水の被害を受けているというお話、御指摘がございましたが、その方々の立場に立って、今後どういう形でその方々の立場に立った形での対策がとれるのか、こういうことを、先ほどの冒頭に申しましたいわゆる縁切り対策とあわせて、根本的にはどう将来を考えてやるべきなのかということを、国土交通省も考えますし、また復旧復興会議の方でもしっかりと検討して、一つの方向性を出すように努力したいと思います。

穀田委員 実行されることが大事ですので、お互いに現場を、大臣も全部のところを見て回るというのは不可能ですから、そういう問題について提起をしつつ、一つ一つ改善を図っていきたいと考えています。そのことは、石巻市渡波地区では、冠水で万石浦に近い小学校と中学校の登下校すらままならないということまで報道されていて、子供たちにも影響が及んでいることも考慮しなくちゃなりません。この点もつけ加えておきたいと思うんです。

 そこで、もう一つ心配なのは河川堤防です。これから梅雨に入り、秋までには台風も襲ってくるため、河川堤防の復旧も早急にやらなければいけない問題であります。

 そこで、国が管理している河川堤防の被災状況及び応急対策の状況はどうなっているのか、まず御報告いただきたい。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 国が管理しております河川の堤防、いわゆる直轄河川と呼んでございますが、この被災状況と復旧状況について御説明をいたします。

 今回の地震及び頻発するその後の余震により、東北地方のみならず、関東地方においても広い範囲で堤防の被災が生じております。津波による被災に加え、関東でいえば利根川、あるいは東北の鳴瀬川などでは地盤の液状化により堤防がすべったり、あるいは沈下が発生し、東北地方では千百九十五カ所、関東地方では九百二十カ所、合わせて二千百十五カ所の被災を確認しているところでございます。

 この被災箇所については、梅雨期に向け、二次災害の発生を防ぐべく、応急対策を今進めております。このうち、特に堤防の決壊あるいは大規模な崩壊など堤防の機能が著しく損失している五十三カ所については、昼夜兼行で現在作業を進めておりまして、梅雨期までに応急対策の完了を目指しております。なお、この五十三カ所のうち、四十カ所については完了をしているところでございます。

 被災した堤防の復旧は極めて重要と考えております。迅速な応急復旧に引き続き努めてまいりたいと考えております。

穀田委員 私が報告を聞いたときには三十六カ所が終了していたという、それ自身は日々前進していることは結構だと思うんです。

 そこで、今局長から答弁ありましたように、それは国直轄の河川だけですね。住民にとっては、国が管理している河川か都道府県が管理している河川かなどというのは関係ないんですよね。管理、管轄がどこであっても、これ以上の被害は御免だというのが率直な気持ちですよね。

 そこで、その他の河川堤防の被害状況と対策をどのように把握しているか、簡潔にお答えいただきたい。

関政府参考人 国が管理している以外、いわゆる県が管理している河川の被災状況について、対応状況について御説明をいたします。

 県が管理している河川についても今回大きな被災が生じているところであります。現在、各県において被害状況の調査を順次進めておりますが、津波による被害を受けたエリアについてはまだ被害状況の調査というのは必ずしも進んでいない部分がありますが、それ以外の地域についてはおおむね完了したところでございます。四月二十八日時点におきますと、津波エリアでは、宮城県が九割、岩手県が約八割等の状況でございまして、これ以外についてはおおむね完了してございます。

 こうした中で、それぞれの県からの報告でございますが、被災箇所数は約千二百カ所、宮城県が四百八十二カ所、岩手県が百二十カ所、福島県が二百三十七カ所、茨城県が二百九カ所、現時点の数字でございます。

 こういった県が管理している河川につきましても、その被害の状況を踏まえ、二次災害防止のための対策を進めておりまして、特に緊急を要する箇所としては百七十九カ所を見ております。そのうち百カ所では対策を完了し、残りの箇所についても現在鋭意進めておりまして、梅雨期まで、おおむね五月中までには、特に重要な箇所について、緊急を要する箇所については完了するよう現在進めているところでございます。

穀田委員 今報告がありましたけれども、今までも、直した、応急復旧したというのはあるんですが、再度災害という形で必ず起こるものなんですね。ですから、そういうことで数字に満足せずに、やはり梅雨期に対する備えをしっかりするということが極めて大切だということについて改めて述べておきたいと思います。

 次に、鉄道問題について質問したいと思います。

 東北新幹線は全線復旧しましたけれども、在来線、ローカル線の復旧のめどは立っていません。太平洋沿岸に走っていた三陸鉄道や、JR気仙沼、仙石、常磐線、この三つなどは、津波に直撃され、線路や駅舎が流失するなど壊滅的打撃を受けています。先ほどもありましたように、津波に襲われた海岸線にそのまま復旧できるのか、それとも、まちづくりとあわせて復旧するなど、路線の移設が必要な鉄道もあることは大臣の見解でも明らかであります。福島原発事故の避難区域を走る常磐線などは、全く先行きが見えないということもあります。

 そこで、被災地の、三陸鉄道は全部、先ほど三つの路線を言いましたけれども、それだけじゃありませんが、せめてJR気仙沼、仙石、常磐、三つの在来線についての被災状況、三陸鉄道とあわせて、復旧のめど、復旧に向けた取り組みについて、これも簡潔にちょっとお願いしたいと思います。

久保政府参考人 委員御指摘のとおり、三陸鉄道、JR気仙沼線、仙石線、常磐線につきましては、御指摘のとおり、駅舎が流れたり線路が流れたり橋梁が流れたりなど、地震、津波等により甚大な被害が発生しております。

 復旧の状況でありますけれども、三陸鉄道につきましては、被害が少なかった一部の路線については運転を再開しております。気仙沼線についても、内陸部にある線については運転を再開しています。JR仙石線につきましても、仙台市内から先、内陸を中心に、ある部分については運転再開や運転再開を予定しております。また、常磐線につきましても、南の方は上野からいわき市内の駅までは運転再開を予定しておりますし、宮城県内の常磐線北部については、これも内陸部の路線については運転を再開しておりますけれども、それら以外の区間につきましては、現在のところ復旧のめどが立っていない状況にあります。

穀田委員 地域の足として被災者の暮らしを支えてきたローカル線だからこそ、人々の心の支えになるし、復旧復興のまちづくりの象徴にもなります。津波による車の流失などで被害も当然多数に上っているわけですから、公共交通の役割は一層増していると言っても過言ではないと思うんですね。

 ただ、復旧には多額の費用がかかります。改めてここで、鉄道の災害復旧についてはどういう補助制度があるのか、これも簡潔にお答えいただきたい。

久保政府参考人 災害復旧につきましては鉄道軌道整備法という法律がございまして、その法律におきまして、鉄道事業者がその資力のみによっては災害復旧事業を施行することが著しく困難であるときと要件がついておりますけれども、その場合、国は補助率四分の一以内で補助することができるというのが現行の制度であります。

穀田委員 そこで、私は、この現行の補助制度では間尺に合わないとはっきり言って思います。二〇〇五年九月の台風十四号による大雨で橋梁が流失し、さらに土砂流入などで被害を受けた高千穂鉄道が復旧を断念した経過がありました。結果、二〇〇八年に全線廃止された。なぜかというと、復旧費用を自治体などが負担できなかったためだということが当初言われました。こういうことを繰り返してはなりません。

 そこで、JR東日本の在来線についてまず聞きます。JR東日本の清野社長は、津波被害七線区を復活させると表明しているようです。ただ、住民ははっきり言って不安を持っています。政府としても、JR東日本に何があっても約束を果たすように指導すべきだと思うんですが、まず大臣の決意を確認しておきたい。

大畠国務大臣 御指摘のように、清野社長が、今回被災した在来線の復旧について、責任を持って復旧する、こう発言していることは承知しているところでございます。さらに、今回の大震災の復旧復興に当たって、鉄道をもう一度国民の足として利用できるような状況にすることは大変大事な視点でございます。そういう意味では、清野社長の発言というものを踏まえながら、鉄道事業者と地域が一体となって被災地域の復興あるいはまちづくりの構想を踏まえた検討が行われていると思いますし、私ども国としてもこれを後押ししていかなければならないと考えているところであります。

穀田委員 その際に、JR東日本も、実は財政支援を求める要望書を大臣に五月二日に提出していますよね。その中で、各地のまちづくりの計画に沿って鉄道施設を新たにつくる必要があると指摘していますし、新たな用地確保への協力のほか、費用の一部を国や地方自治体が負担する新しい財源スキームの策定を求めていると言われています。

 基本的には、東日本は大もうけしていますから、自力で復旧すべきだとは思いますけれども、住民の足の確保やまちづくりなど、地域公共交通の一つでもあることから、要望は検討の余地があると考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

大畠国務大臣 御指摘のように、鉄道というのは、被災した地域にとっても大変大事な中核的な交通機関でありまして、地域の復興あるいは活性化のためにも非常に大事な位置づけであります。

 今御指摘の点でありますが、新しい支援の要望というものをいただいているわけでありますけれども、地域と鉄道事業者が十分に調整を行った上、いわゆる地域のまちづくりというものと大変密接な関係がありますから、この地域のまちづくりというものと整合性をとった上での復興計画が策定され、そして復旧をする場合には、当然ながら、国としてもこのような取り組みを円滑に進めるための方策を幅広く検討してまいりたいと思うところであります。

穀田委員 そこで、さらに進めますが、三陸鉄道の問題です。

 三陸鉄道は、三陸海岸沿いを走る、北リアス線と南リアス線の二路線を持つ、地域住民の足であります。旧国鉄の特定地方交通線と建設中の新線を引き継いで、一九八四年に全国初の国鉄からの転換第三セクター鉄道として開業しました。以来、地域住民の重要な交通手段としての役割を担ってきました。復旧に百八十億円ほどかかるのではないかというのが地元の意見です。自力では不可能だし、資金が足りず、復旧作業も進められないと地元は訴えています。

 この三陸鉄道は、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定を二〇〇九年十一月三十日付で受けて、活性化、再生の取り組みの最中だったんですね。ですから、この点も含めて、復旧にどう資金援助していくのか、明らかにされたい。

大畠国務大臣 御指摘のように、三陸鉄道の上下分離等を内容とする鉄道事業再構築事業というものの認定を受けているわけでありますが、三陸鉄道の復旧については、被害実態等も踏まえ、国土交通省としても、第二次補正予算に向けて、必要な支援策について十分検討をしてまいりたいと考えております。

 なお、いわゆる鉄道事業再構築事業の認定を受けておりますけれども、今回の震災によって事業の前提条件が変わったことから、その取り扱いについて、復旧後改めて三陸鉄道と相談してまいりたいと考えているところであります。

穀田委員 取り扱いについて再度というのは、趣旨はわかるんですけれども、それは引き続き援助を行うという前提であると考えてよろしいですね。それを確認しておきたいと思います。

 そこで、三陸鉄道というのは、大津波で駅舎だとか線路、鉄橋、さらには列車が流されたりしています。私も見てきました。特に、震災後、線路の上を歩いて移動する被災者が目立ったと言われています。ディーゼルエンジンで走るために、復旧できるところから運行しようということで、社員総出で線路の瓦れき撤去に取りかかり、応援も得て、震災後六日目にして運転を再開しています。停電で信号が使えないために、社員が交代で手旗信号で列車の安全確保をした。少しずつ運転を広げていますが、まだ今約四割しかありません。

 残る不通区間は、橋や高架が流されるなど、復旧には莫大な費用がかかります。地元の岩手県や岩手県沿岸市町村復興期成同盟、すなわち十三市町村は、要望書で、ライフラインの早期復旧、特に公共交通機関、JR、三陸鉄道を緊急要望しています。

 鉄道事業再構築実施計画の認定を受けた事業が甚大な被害に遭い、その復旧が困難になっている。そして、先ほど確認したように、鉄道事業再構築事業についても支援する趣旨ということからしても、また、先ほど鉄道軌道整備法の指摘がありましたけれども、それで言えば、単に民鉄だということでその支援の方向が決まっているわけですが、例えば公共物の破壊がされた場合について支援するというのはもっと支援の率が高いわけですね。ですから、そういう三つの角度からした場合、改めて、今、その補助率を上げるということについては緊急に求められていると思うんですね。

 ですから、私は、今言いましたように、復旧ということがかかっている、それから、もともとそういう実施計画として鉄道事業の再構築の援助をしている、一方では公共的なものだということからすると、本当にこれは補助率を考えて上げていくということをしなければならないというのが結論だと思うんですね。そこの点について踏み込んだことが必要じゃないでしょうか。

大畠国務大臣 御指摘の点でありますが、私も、一部でありますが、鉄道の被害状況については現地で見せていただきました。大変甚大な被害を受けておりまして、これまでの補助率でいいのか、こういう御指摘でありますが、国としては、第二次補正予算というもので対応することにしておりますけれども、この補助率の見直しということも当然含めて、見直しも含めて必要な支援策について十分検討してまいりたいと考えているところであります。

穀田委員 今ありましたけれども、見直しも当然含めてということは大事な点なんですね。

 私もお聞きしましたけれども、東北の民鉄など二十社でつくる東北鉄道協会も、国の補助率を上げることや復旧までの資金援助などを要望しています。

 読売新聞も社説でこのように書いています。

  鉄道の災害復旧では、国と自治体が費用の半分を補助できるが、赤字経営が大半の三セク鉄道が自社の負担分を捻出するのは難しい。このままでは廃線に追い込まれる可能性さえある。

  国は被災した三セク鉄道などを対象に、復旧費の補助率を引き上げる特例措置を講じるべきだろう。JRも被災路線を切り捨てることなく、地域の生活路線復活に全力を挙げる必要がある。

と主張しています。

 先ほど大臣は第一次補正の話をいろいろ言っていますけれども、そこにこういう問題についての考え方と金を全部注ぎ込んだわけじゃないわけですよね。ですから、私は早急にこの方向性を出すことが大事だと。

 といいますのは、現場へ行って話を聞いていますと、大臣、ここからはお互いの話なんですが、要するに、では金を何ぼ負担するかと。補助率を上げる、先ほどありましたように、見直しも含めてと。これはそうなんですけれども、展望が見えないわけですよ。含めてなんという、悠長ではないんですよ、もちろんそれは大臣の立場からすればそのとおりなんでしょうけれども、私どもは、復旧のためにありとあらゆる支援をする、今までの考え方と違って新たな考え方が必要だ。つまり、先ほどもスキームという話が出ていましたけれども、私は考え方の問題だと思うんですよ。

 つまり、もともとそういう活性化のための対象としていた、それが復旧という新たな困難を迎えている。しかも、ほかのところでいえば、公共的なさまざまな建造物その他については補助率は高い。そういういろいろな角度からしてみて、そういう政治方向というのを出すことが光が見えることになるわけですよね。だから、何となくずるずるずるずるかかっていて、今だって一次補正ですぐ手を打っているわけじゃないんですよ、この問題について言えば。問題は、そういう方向性について、やりますというのが今必要なメッセージだというのをこもごも言っていました。

 これは、生活の問題も、なりわいの問題も、私、この間言いましたように、代表質問でも指摘しましたが、いわばマイナスからのスタートじゃなくて、せめてゼロからのスタートにしてほしいというのが大体の考え方の基本なんですね。それともう一つはスピードであり、もう一つは先行きの、大まかでいいから、これをやりますというメッセージが必要だ、この三つが今大事だと思うんですね。ですから、その点について、最後に決意をお伺いしておきたいと思います。

大畠国務大臣 この国土交通委員会でも、各党から鉄道の復旧についていろいろと御提言も含めていただきました。

 先ほど御答弁を申し上げたとおりでありますが、結果的には地域の方々がもう一度安心して乗ることができるような鉄道を復旧させる、これが実現できるように、国としては、先ほど申し上げましたような手順に従って、方向性としては、もう一度鉄道に乗ることができるような形になるように全力を尽くしてまいりたいと思うところであります。

穀田委員 今、最後に、復旧させるということがありましたが、本当にそこは大事なんですよね。それは、復旧させるということが、形はどういう支援の状況があるかとか補助率をどうするかとかあるでしょう。問題は、確固としたそういう立場というのが地元の方々に見えなければなりません。ですから、そのことを私は言っているわけですね。そういう点での努力を最後に改めてお願いして、質問を終わります。

古賀委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 私は、まず最初に、瓦れき処理における国の支援状況について三点質問させていただきたいと思います。

 一昨日から二日間、被災地であります岩手県、宮城県を、社民党、党首を代表として、一緒に視察させていただきました。両県の知事、それから宮古市長、名取市長、石巻市長とお会いをいたしました。復興復旧に向けて切実な要望を受けたわけでありますが、本日は、その視察を通じて、現地の強い要望に基づきまして質問をさせていただきたいと思います。

 瓦れき処理についてでございますが、岩手、宮城、福島の三県だけで、車や船舶を除いて、瓦れきの量が二千五百万トンに上ると言われております。これは阪神大震災の一・七倍です。それから、岩手県の達増知事から報告をいただきましたが、岩手県の瓦れきの量が五百八十三万トン、これは一般廃棄物の十二年分に相当する量であると。それから、宮城県は千八百万トン、一般廃棄物の二十三年分、こういう量であるそうであります。膨大な瓦れきの処理が進まなければ被災地の復興は始まらないわけでありまして、一刻も早い処理が必要だと思います。

 ところで、先ほど来質問があっておりますが、仮置き場、中間処分場の確保、これが非常に困難であるというふうに言われております。特に、処理場の確保ができなくて瓦れき撤去を一時中断しなきゃならぬ、こういうところもあるということもありました。それからもう一つは、特に宮城県石巻市、津波に遭ったところが全くそのまま建ったまま、全壊、半壊含めてかなりの量がありまして解体できない、こういう状況があるわけです。

 そこで、お尋ねしたいのは、この処理につきまして、仮置き場あるいは処分場の確保、国の支援をどういうふうな形で行われるのか、これについて担当局にお尋ねします。

伊藤政府参考人 今般の震災におきましては、先生御指摘のとおり、地震及び津波により膨大な量の瓦れきが発生しておりまして、仮置き場や中間処理施設の確保が非常に重要な課題となっておるわけでございます。

 このため、環境省が岩手県、宮城県、福島県の三県に呼びかけまして、それぞれ、県、市町村、それから国の地方支分部局、関係業界団体などから成る災害廃棄物処理対策協議会を設置していただきまして、課題の解決に向けて国が全面的にバックアップする体制を整備しているところでございます。とりわけ瓦れきの仮置き場の確保でございますけれども、これにつきましては、国有地の提供ということも含めまして、関係省庁とも連携して支援をしているところでございます。

 また、仮置き場に搬入された瓦れきを迅速に処理するために、被災地以外の地域において処理を進めるということも非常に重要な課題だろうというふうに考えております。このため、環境省では、全国の自治体や関係業界団体に対しまして協力要請を行っておりまして、多くの団体から瓦れき処理の受け入れを表明していただいているところでございます。

 今後、関係省庁の協力も得ながら、海運や鉄道などを活用した効率的な輸送体制の確保なども含めまして、県を越えた広域的な処理体制の整備により瓦れきの円滑かつ適切な処理がなされるよう、最大限努力してまいりたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 瓦れき処理については、先ほど質問の中で、仙谷官房副長官が、テレビで放映されましたが、国の直轄で支援を、こういう発言も出ているわけですが、特に、政府がどういう形での支援、直轄で本当にやれるのかどうか。というのは、やはり家の解体、先ほど言いましたように、宮城だけで六万八千戸、この解体は、特にやはりそういう重機あるいは仮置き場、大量な準備が必要であるというふうに思うので、直轄事業に対して本当にどういう形で支援をされる計画なのか。あるいは、他県に要請をするということですが、具体的に動きがあるのか、あるいは他県にどういう形で廃棄物処理を要請していくのか、これについて具体的に答弁をお願いします。

伊藤政府参考人 宮城県知事の方から、仙台市を除くところの県内の災害廃棄物処理について、二次仮置き場までの集積は県と市町村で行い、それ以降の焼却、破砕、埋め立てなどの処理は国で実施してほしい、こういった要望を今受けているところでございます。このような地方自治体の要望につきまして、現在、どのような支援ができるのかということを検討しているところでございます。

 なお、被災を受けていないところの地方公共団体等からは、私ども環境省に直接、どういった支援ができるのか、どういったものをどれぐらいの量処理できるのか、こういったことを具体的に今問い合わせておりまして、それを被災県あるいは市町村に提示して、そのマッチングということをぜひ環境省としてやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

中島(隆)委員 岩手、宮城、それぞれ瓦れき撤去の状況も違うし、対応も、気仙沼ではほとんど済んでいるけれども、宮城の石巻地域は、まさに家が建ったまま、その中にはヘドロが入っている、悪臭が出ている、もう一日も早く撤去してほしいと。現地に行きますと、解体オーケーとカラーのあれで書いて、ほとんどそういう表示が立って、建ったままです。

 これは、宮城県では恐らく、瓦れき撤去は基本的には県が主導して処理をやる、そしてあと二次以降をということをおっしゃるんですが、本当にこの一次、二次を県だけでできるのか、私は非常に不可能だというふうに思うんですね。

 仙谷官房副長官が言われたように、やはり一日でも早急に瓦れき撤去のための支援策をやらないと。協議会ができておりますので、ぜひそういう意向を十分把握して、一日も早く瓦れきが撤去できるような、あるいは先ほど言いました重機、機械、これがもう不足をすると思うんです、六万八千戸ですから。ですから、そういう膨大な解体、瓦れき撤去、これをやらないと復興計画もできないと思うので、ぜひこれは、瓦れき撤去に向けて、協議機関、地元の意向を十分尊重しなきゃなりませんが、できるだけ国の支援をやって、早く撤去していただきたいというふうに思います。

 それから、次ですけれども、堆積した砂、ヘドロの除去です。

 これも、石巻市の亀山市長さんからお聞きいたしました。瓦れき撤去については約九割、ほとんど国の支援で撤去できる。しかし、土砂やヘドロ、これが津波で下水や側溝に大量にたまっているんですね。これを撤去しなければ、次は梅雨、またさらに浸水等の被害をこうむる。これについては自前でやらにゃいかぬ、補助制度がないと。

 ぜひこれは、ヘドロ、砂利撤去も含めた国の全面的な支援をしてほしい、こういう要望があるんですが、これについてどうなのか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいました、例えば公共施設である道路ですとか下水道などの堆積土砂の処理につきましては、自治体が災害復旧事業の一環として行います場合には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律に基づきまして、費用の三分の二以上を国が負担します。そして、今回のような、いわば激甚災害でございますので、このような場合には、特別な法律によりまして、さらに国の補助率のかさ上げ措置が講じられることとなっております。

 なお、実は、津波によって多いのは、土砂が瓦れきの中に混在しているというのもよくあるわけでございまして、先ほどございましたが、これらは、市町村が環境省の災害廃棄物処理事業で処理する場合にはもちろん国庫補助の対象になりますし、また、今回のは実質的にはほぼ全額国の補助ということになると聞いております。

中島(隆)委員 三分の二の補助、瓦れきが入っていれば一〇〇%、そこの判断が、恐らく現地では、ヘドロ、砂利は補助事業だ、こういう受け取り方だと思うんですね。ですから、これだけ大量なヘドロ、砂利が堆積しているわけですから、これも含めて抜本的に考えないといつまでも除去できない、こういう状況だと思いますので、ぜひ、補助をしながら、完全に早くできるような体制をとっていただきたいと思います。

 次は仮設住宅の問題でありますが、これもこれまで質問が出ました。特に現地の声ですけれども、七万二千戸要求で、しかし、先ほど出ましたように、七千五百しかできていない、まだ十二万人が避難をされていると。ですから、この方々を一日も早く仮設住宅に移設する、こういうことが必要だと思うんですが、これについて、借地をやる部分があるから、具体的に土地の確保のめどを含めて非常におくれているんですね。

 ですから、これはもう早急に、用地は農業用地とか民有地を含めてやる、あるいは、仮設住宅の造成敷地、この費用を、家は災害復旧でできますけれども、土地、借地、造成、これについてやはり国が全面的に支援すべきではないかということでありますが、これについてお尋ねいたします。

清水政府参考人 応急仮設住宅の用地に関する件でございます。

 災害救助法によります応急仮設住宅の設置につきましては、通常は公有地を念頭に置いてございます。しかしながら、今回の震災による被害の大きさにかんがみまして、短期間で所要の応急仮設住宅の用地確保が困難な場合、この場合には民有地の土地の借料も認めることとしておりまして、この旨、私ども四月十五日に通知を発出しているところでございます。

 それからもう一つ、公有地、民有地にかかわらずでございますけれども、整地に関する費用につきましては、必要、合理的な範囲内で、諸経費、すなわち権利調査の経費でありますとか、測量、造成設計、盛り土、切り土の費用といったものでございますけれども、これらにつきましても災害救助法に基づきその費用を国庫負担の対象とするという方針にしておりまして、この旨、五月六日に私どもから通知をいたしているところでございます。

 なお、この国庫負担といいますのは、御承知のとおり、最大九割、私ども災害救助法に基づき負担するわけでございまして、残りの地方負担分につきましても地方財政措置によりましてカバーするということになってございまして、実質的な県負担は極小化されるということになっているわけでございます。

 私どもは、この措置の活用が進むよう、さらに引き続き努力してまいりたいと考えてございます。

中島(隆)委員 用地測量を含めて災害復旧で国が見ると。しかもそれが、四月十五日に通知をして、五月六日ですか、連休中に指示されると。もう二カ月たっているんですね。我々が視察をして、当該市の市長さんから要請、陳情書をもらって、補助がない、こういう訴えを聞くわけで、やはりそういう状況では用地を探すにも探せない。こういうところでおくれていることもあると思うんですね。

 ですから、もう少しやはり現地の状況で的確に支援が決まれば、即、全面的に支援をやるから民有地も用地を借りなさい、そういう強い伝達と指示がないと用地の確保も十分進まないんじゃないか。そのために仮設がおくれる、こういうことがあると思いますので、通知されたということでありますので、今後積極的に民有地あるいは公有地の造成等の取り組みをしていただきたいと思います。

 特に、私ども、二カ所避難地を見ました。一カ所は二百名以上、体育館に避難されて二カ月経過しているんです。子供さん、お年寄りの皆さんがおられて、笑顔は出されるけれども、精神的にも肉体的にももう限界に来ているんですね。しかも、部屋は段ボールで仕切ってお互いの生活をやられているんですが、あれではもう限界です。やはり一日も早く仮設の方に移せるようにすべきだというふうに思っております。

 それともう一つ、これは大臣に強く要望しておきたいんですが、仮設も一日も早く入れてほしいんだけれども、一日も早く仕事をしたい、仕事をしなければ我々の生活の目標も立たない、こういう強い要望があるんです。これは一つ、所管外ですけれども、厚生省を含めて、やはり雇用問題と事業復興、一日も早く事業が復興できて仕事ができる、こういう状況をつくってやるということも必要でありますので、仮設住宅と雇用問題、事業再開に向けての復興、これに強くひとつ取り組んでいただきたい。これは要望にしておきたいと思います。

 次に、復興の住宅の土地取得でありますが、これは、民間の建てられるところについては建てかえて早く復興したいという方があると思うんですが、これに対する、住宅の整備の民間に対する支援策、それから公共公営住宅、これについても早急に土地を確保して復興住宅をすべきでありますが、国の負担が四分の三ということです。これも限りなく国の支援で、仮設住宅の問題もありますけれども、早期に復興住宅ができるところはそういうのを整備したいという意向があるわけですので、この四分の三の支援をもっと高めてほしい、こういう要望があるんですが、これについて担当の御支援。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今、仮設住宅の建設、ハッパをかけておるところでございますけれども、一方で、将来を見据えて恒久的に住み続けられる住宅の確保というのが復興の段階では大変重要になるというふうに考えております。

 その中で、自力の再建ということについては、住宅金融支援機構の災害復興融資について、当初五年間金利をゼロにするというような措置を今回の一次補正に盛り込んでいただきました。

 公営住宅につきましては、もともと用地取得、造成費についての補助というのはなかったんですが、今回の被災の状況というのを見れば、例えば高台などインフラの整っていない土地についても活用していかざるを得ないということで、新たに用地取得、造成費を補助対象として、全体として四分の三の補助ということにさせていただいたわけでございます。

 その上で、地方負担というものについてより配慮が必要じゃないかという御指摘については、地方財政措置も含めて、できるだけ地方公共団体が事業をやりやすいようにということで、これは総務省も含めていろいろ相談をしてまいりたい、このように考えております。

中島(隆)委員 仮設住宅は二カ年ということで、その後、復興の計画の中で、今後、住宅問題あるいはまちづくりを含めて考えられると思いますが、やはり公営住宅の復興計画というのはまちづくりの大きな課題です。ですから、早くこれを建設して、安定した住宅に移すということも復興の大きな柱だと思いますので、公営住宅の助成、あるいは民間についても含めて、できるだけの支援策をとっていただきたいと思います。

 それから次に、地方交通の復旧でありますが、これについて、高木議員あるいは穀田議員からも質問されました。私も現地に行きまして、訴えがあるのは、もう何としても、この三陸、JR山田線、これはもう生活線だと。特に通学ですね。高校生の皆さん方が通学で利用できなくて転校する、こういう方々が出ていると言われています。

 そこで、復旧には大変な財源と計画が必要だと思うんですが、私は、復興計画の最重要課題ではないかと。もう今、車がほとんど流失をして足がない、こういう状況ですから、公共交通が最大の、今後のまちづくりと復興には大きな役割だと思います。

 そこで、復興計画の中で、特に最重要課題として、この地方交通、財源も含めてどのような決意で取り組まれるのか、その決意を大臣から求めたいと思います。

大畠国務大臣 中島議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 鉄道の復旧についての決意をという御指摘をいただきました。

 確かに、きょうもこの国土交通委員会の中で鉄道の復旧に関しての御質問を多岐にわたっていただいたわけでありますが、先ほど御答弁申し上げましたように、その被害というものの実態は甚大である、それも、鉄道の線路すら流失してしまった、あるいは駅舎も流失してしまった、こういう状況を私も見てまいりました。

 しかし、御指摘のように鉄道というのは大変大事な国民の足でもありますし、私としては、被害の実態等も踏まえながら、国土交通省として第二次補正予算に向けて必要な支援策を十分に検討してまいりますが、鉄道がまた復旧して、国民の足として、市民の足として使えることができるようになった、こういう結果になるように全力で努力をしてまいりたいと思います。

中島(隆)委員 時間が参りましたので最後の質問は次に譲りますが、罹災証明の関係ですけれども、これは、特にこの証明が滞っている、全く進まないということです。ですから、他の事業所の支援、あるいは民間の方々の支援、協力をいただいて一日も早く、罹災証明が交付されないと支援の補助が受けられないんですね。ぜひこれは緊急に支援策をとっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは五月十一日、あの震災発生から二カ月が経過をいたしました。午後二時四十六分には、またあのサイレンの音が被災地に響くのだろうと思います。本当に、その光景を思うと胸が締めつけられるような思いになります。

 私も連休中、被災地に足を運んでまいりました。これで四回目になります。福島県、宮城県の十市町村を回って、二カ月近くが経過した被災地の状況をつぶさに見てまいりました。石巻市にも再訪いたしまして、津波にやられた石巻の渡波地区に行ってまいりました。あるものを住民の方から頼まれました。今、石巻で住民の方から必要とされているものは一体何か。通告していませんけれども、大臣、これは一体何だと思いますか。

大畠国務大臣 石巻の市民の皆さんが一番求めておられるのは何かということでございます。私もいろいろ報道の情報等も見ておりますが、まずは、安心して住まうことができるということと同時に、将来に向けてどんな道筋で生計を立てるか。いわゆる、先ほどもございましたけれども、仕事でありますとか、あるいは子供たちの通学する学校の場所というのを確保するとか、いずれにしても、被災をされた方々にとっては、被災前の状態の、自分としての歩むべき生活をする場所というものの確立というものが大変大事なのではないか、そのように今想像したところであります。

柿澤委員 大変大きな視点に立った重要な答弁をいただきましたけれども、実は、私が石巻に行って、この渡波地区というところで、とにかく今すぐ必要なので調達してくださいと言われたのは土のうです、土のう。家屋を守って、寸断した堤防の応急処置のための土のうが足りないというんですね。住民の方が石巻市に相談をした。そうしたら、石巻市はもうないと言うんです。そういうことで、帰京して連休明け早々、国土交通省に実は土のうの手配をお願いしました。大した個数ではないんですけれども、そういう状況だということでございます。

 本委員会でも前々から私指摘をさせていただいて警鐘を鳴らしてきたとおり、石巻では、津波の被災地に多くの人が戻って住み始めてしまっているんです。津波でやられて一階が泥まみれになったうち、一階が柱だけになってしまったようなうちに、二階に人が戻って住んでいる。

 ちょうど連休中、NHKのニュースが被災地で流れていて、私も被災地で見ました。それによると、石巻市では、避難所から出ていって壊れたままの自宅に戻って二階で暮らす人が、避難所にいる人と同数の九千五百人に上っているというんですね。

 現地にいる医療関係者から、なぜこんな状態を放置しているんだというふうに再三警告を受けています。そういうところでは、余震による家の倒壊の危険性もある。あれだけの津波でやられたのに、余震による津波で二次被害が発生したら、これはもう目も当てられないというふうにも思います。

 それに加えて、巨大地震によって一メートル近い地盤沈降が起きていて、現場を見ると、海面と地面がほとんどレベルの差がなくなってしまっている、いわゆるゼロメートル地帯になってしまっているわけです。石巻の渡波地区の、さっきも出ましたけれども、万石浦ですか、この地域では、朝夕の満潮時には、人が住んでいる市街地、住宅地に潮が上がってきて、だから土のうが必要だ、こういうことになるわけです。

 先ほど来、堤防等の防潮施設をどういうふうに復旧していくか、こういう議論がありましたけれども、そもそも、こういうところに人が住んでいるという現状をどういうふうに解消していくかという、このような視点も必要なのではないかというふうに思います。

 これから梅雨になって、また台風もやってきます。こんな状態では非常に危ないというふうに思います。今後、こうした状況を解消していくためにどのようにしていくのかということも大臣にお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 ただいま、一番必要なものが土のうであった、こういうお話をいただきまして、その背景に、先ほども御指摘いただきましたけれども、朝晩、満潮時等に住んでいるところに潮が入ってしまう、こういう背景だろうと推測をいたしました。

 ここのところをどういうふうな形にするのか。いわゆる海と陸との縁切りをして、再びそこに潮が入らないような対策をするということが一つ考えられますし、もう一つは、その地域についてはなかなか住み続けることが難しい、こういう判断であれば、潮が入らないようなところに新たに住むというのも一つだと思います。

 このことについては、現在、復興構想会議の方でもいろいろと論議が進んでいるということでございますが、まず大事なのは、地域の方々がどういうことを希望されているのか、まちづくりの観点というのは、やはり地域の、そこに住んでいる方々が、あるいは、いろいろな歴史もあるでしょうし人間関係もありますので、その方々がどういうことを希望されているのか、これが非常に大事だと思います。

 いずれにしても、そういう方々が選択できるような状況を国としてつくり、自治体とも連携をしながら提示していくことが必要なんだろうと現在考えております。

柿澤委員 今言ったような、避難所と同じ数の住民が津波で波をかぶった被災地の自宅に戻って暮らしている、この数が一万人近くに上っている、こういう状況が発生をしてしまっているのも、やはり仮設住宅の設置の進捗状況が現時点でははかばかしくないということが背景にあるんだろうと思います。

 先ほどのNHKのニュースでも、石巻市は、津波で壊れた自宅に戻って生活している住民について、安全だとは言い切れないので、できれば避難所に残って仮設住宅の完成を待ってほしい、こういうふうに呼びかけているということであります。だが、一万戸の仮設住宅を必要とする市の計画に対して、完成のめどが六月までのうちに立っているのはおよそ千八百戸、こういう状況でありますので、被災者からすれば、一体どこで暮らしていけばいいのかというめどが立っていない、そうした方々が大半なわけであります。

 先ほど来、仮設住宅の進捗状況についてはいろいろ質疑がありましたので、少し飛ばさせていただきますけれども、仮設住宅への入居時期がなかなか目の前にやってこなくて長引いてしまっている、こういうことで、今一体何が起きているのかというと、これも一つ、おやっと思うようなことですけれども、待ちに待ってせっかく完成した仮設住宅に入居を案内されて、辞退をするという人が相次いでいるんだそうであります。亘理町で百五十戸、そして名取市でおよそ百戸、山元町で四十九戸、全部合わせると四百から五百戸ぐらいの、入居どうぞと言われて、いや、私は結構ですという辞退者が次々生まれているんです。五百戸という数になると、これは無視できる数ではないというふうに思います。

 仮設住宅の入居辞退の状況と、入居辞退がなぜ起きてしまっているのかということをお伺いしたいと思います。

小林大臣政務官 応急仮設住宅については、竣工して入居準備が整ったところから被災者の方に入っていただく、こういうことを今進めているところでございます。

 そうした中において、応急仮設住宅の応募段階では入居を希望していた方が、個々のさまざまな事情、状況の変化により、最終的に入居に至らなかった、こういう事例があることは聞いております。関係者が限られた状況の中で必死の努力をしているところであり、入居辞退のケースの詳細を把握しているものではありませんけれども、被災三県の県庁から入居辞退事例を具体的にお聞きしてみました。

 幾つかございました。一つは、公営住宅に入居希望先を変えた。二つ目は、民間賃貸住宅に入居先を変えた。三つ目として、自力で居住の確保をした。これは、応急仮設以外のところに自力で確保した。四つ目が、立地条件が少し悪い。これは、通勤、買い物などに大変不便である。五つ目としては、住宅の応急修理等の活用によって自宅に入る、こういうことも理由の一つとして挙げられておりました。さらに、被災地が見える立地なので強いストレスを感じる。こういうことが、県庁の方から報告をいただきました。

 入居辞退者が出た場合には、その市町村において追加募集を行うなど、あきが生じないように今後も努めていきたいと思います。厚生労働省としても、国土交通省や被災三県と連携を密にして、入居を希望される方のニーズにできる限り沿うように配慮して、可能な限り建設計画戸数と入居戸数に乖離が生じないように、適切に対応してまいりたいと考えております。

柿澤委員 せっかく完成した仮設住宅が、入居を案内してみたら生かされないということにならないようにお願いをしたいというように思います。

 また、こういうことが生じるのも、一カ月、二カ月経過して、入居の時期が長引いたことによって自力で探し始めた、あるいは、応急仮設住宅の民間借り上げにシフトして、案内が来たころにはもうほかのところで生活を始めていた、こういうことになってくるからでして、そういう意味では、仮設住宅の設置を速やかに進めていくことが、こうした問題の生じない極めて重要なポイントになるんだというふうに思います。

 長引いているうちにどんなことが起きているかというお話をもう一つさせていただきたいと思います。

 石巻市、旧北上町の十三浜という地区にお兄さんが住んでいる、こういう方のお話を聞かせていただきました。このお兄さんは、津波でもう本当にめちゃめちゃにやられた十三浜地区なんですけれども、そこで壊れた自分の家を建て直して生活をするんだと言って、どうしても聞かないんだそうです。弟さんはとめているんです。電気が来ていない。発電機を使うからいいんだと言っている。水道はどうするんだ。井戸を掘って地下水をくめばいいと。家を建て直すには千五百万円もかかるので、やった上で、後から例えば災害危険地域の設定などをされて、結局出ていってくださいということでは目も当てられないじゃないか、こういうお話を聞かせていただきました。

 これについても、ここに住んでいていいのかどうかということについて見通しが示されないという中で、それぞれがばらばらに自己判断で家を建て直したりということをやり始めている、こうしたことの一つの影響のあらわれだというふうに思うんです。明確な方針が示されない中で、日々の生活は続いていく。こういう中で、国は、先ほどの大畠大臣の御答弁にもありますとおり、地元の意向に任せるというか、尊重するという姿勢ですけれども、自治体の意向そのものがなかなか示されないという中で、戸惑って振り回されるのは実は被災者である住民の方々だということも理解をしておかなければいけないというふうに思うんです。

 今、やはり津波被災地にはもう住めないということで、新しい家を探す人も多い。被災した土地家屋を国で買い上げてくれないとお金がないよ、こういう話もあるんですけれども、今すぐ建てたいということで、適地を探している人ももはや出てきているんですね。そうなると、大体、家を建てる適地というのは、やはり高台ということになるわけです。

 そこで一つの壁に当たってしまうんです。何かというと、そういったところは都市計画法上の市街化調整区域に当たっていることが非常に多いんですね。その市街化調整区域では、住宅が基本的には建てられないわけです。連休の合間の六日には、厚生労働委員会の方の視察で、現地合流して、津波で流された仙台市若林区の特養老人ホーム潮音荘の責任者の方にお話を聞きましたけれども、今、流されてしまった老人ホームの代替施設を建てるべく土地を探しているんだけれども、これもやはり市街化調整区域の壁にぶち当たってしまっている、こういうことなんですね。

 今回、こういうことになると、やはり人々が今までに住んでいたところとは別なところに家を探すということになるわけですから、こうした市街化調整区域について、例えば市街化区域に用途地域を変更したり、あるいは公的機関による土地区画整理事業に限定されている市街化調整区域における開発行為の規制というのを特例的に緩和するなり、何らかの規制緩和や変更をする必要が生じてくるのではないかというふうに思います。

 この点について、国土交通省のお考えをお伺いしたいと思います。

小泉大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先生御指摘いただきましたように、被災を受けた方の住居をいかに確保するかということが今一番大きな問題になっておりまして、しかし、先生が先ほどおっしゃいましたように、地形の特性から、市街化区域内に適当な土地がないということもあります。

 その観点から、仮設住宅以外の住宅でありましても、市街化調整区域内において公共施設がある程度整っている、そしてまた乱開発のおそれのないような移転に適当な土地があれば、地方公共団体の判断で立地を認めることができる旨、四月十九日、通知をさせていただいたところであります。

柿澤委員 これについてはもう通知をしているということでありますが、今回の震災に当たっての各省庁からの通知に共通していることでありますけれども、なかなか自治体の方に周知徹底がなされていない。それで、市に相談すると、ここは市街化調整区域だからだめですみたいなことに今なってしまっているのが実情ですので、周知徹底の方策については、政府を挙げて遺漏のなきようにしていただきたい、こういうふうにも思っているところでございます。

 一つ飛ばしまして、被災地における就労の問題について、ひとつこの委員会で取り上げておきたいと思います。

 厚生労働委員会でも、小林政務官たまたまいらっしゃいますけれども、建設現場への人材確保の方法というのを議論しました。建設業は請負で人材調達しているのが通例だ、こういう答弁をいただきました。これだと、東京で手配師が労働者を集めて被災地の現場に連れていく、こういう形になってしまうんではないかなというふうに私は懸念しております。そういう形になると、むしろ被災地の仕事をよそから行った労働者が奪ってしまう、こういうことにもなりかねないのではないかと思います。結局、復旧復興の事業で潤ったのは東京の企業と労働者だったというようなことにならないようにしてほしいと思っています。

 被災者が義援金や支援金を受け取るだけではなくて、被災者みずからが復興復旧の仕事に携わって、その対価、報酬を受け取る形で生活再建が進むというのが望ましい、いわゆるキャッシュ・フォー・ワークの考え方であります。

 そういう点からいうと、阪神大震災の後の特別立法として、被災失業者の公共事業への就労促進に関する特措法というのがありました。公共事業を請け負った会社が新たに人材を必要とする場合、四〇%以上を被災失業者から雇うことを義務づけたというものです。震災発生からわずか一カ月余りの平成七年二月二十八日に法案が成立をしております。ところが、一年たって調べてみたところ、その時点で、この法律に基づく新規雇用数というのは四十一人しかいなかったというんですね。

 先ほど申し上げたキャッシュ・フォー・ワークの考え方からいうと、このような特別立法は私は今回も必要だというふうに思いますが、政府の方針はいかがであるかということと、また、この阪神大震災の当時の教訓、要は、法律をつくったけれども一年たって四十人しか雇われていませんでしたよ、こういう教訓をどのように生かしていくのか、お伺いをしたいと思います。

小林大臣政務官 今、柿澤委員から御指摘のとおり、阪神・淡路大震災のときには公共事業就労促進法というのをつくりました。特に、特別な技能を持っていない方が就業できるようにということで、四〇%のそういう人を雇い入れる、こういう内容の法律でありました。

 しかしながら、法律の対象者が、今言ったように、特別に技能を持っていない方、こういう方に限定されたこともありまして、今御指摘のとおり、公共事業就労促進法の実績が極めて低調でありました。一年目には、先ほど先生がおっしゃったように四十一名、次の平成八年から一年間は四十名、平成九年三月からは一年間二十四名、合計百五名の就業にしか至らなかった、こういう反省点がございました。

 このため、今回の震災に対しては、「日本はひとつ」しごとプロジェクトに基づいて、地元の被災した方々の雇用を確保するため、より迅速、効率的な、確実な取り組みをしていく必要がある、このように判断をしまして、一つは、当面の復旧事業について地元の建設企業の受注の確保を推進していく、そして復旧事業等の求人をハローワークに提出するよう民間事業者に求める。それと、被災した離職者を対象にした雇い入れ助成金やトライアル雇用などのインセンティブの付与による地元の方の紹介といった地元優先の雇用の取り組みや、雇用創出のための基金事業を活用した雇用創出の取り組みを進めており、引き続き、被災された方々の雇用対策に万全を期してまいりたいと思います。

 なお、地元優先雇用の実績としては、五月六日時点で、復旧工事にかかわる有効求人が二千七百五十三人分確保できた。それと基金事業、これは重点分野雇用創造事業並びに緊急雇用創出事業ですけれども、五月十日現在、約一万四千百名の雇用創出が計画をされている、こういう状況になっております。

柿澤委員 公共事業といえば、まさに建設作業等々が一番の代表格でありますが、こういう形で、阪神大震災のときには、つくった特別立法が必ずしも生かされなかった、こういうことを一つ教訓として踏まえていただきたいということ。

 もう一つ、先日、福島県内の仮設住宅の設置工事をやっている業者、仮設住宅の建設工事を受注している業者が、ほとんどが東京の大手のハウスメーカーになってしまっていて、地元の方々は全く仕事がないということで悲鳴が上がっている、こんなようなことも報道されている状況であります。

 現在、皆さんも視点を持って取り組まれていると思いますが、実効が上がっているのかということをしっかりとレビューしていただいて、本当は大臣に答弁を求めたいですけれども、もう時間も過ぎておりますので、このまま質問は終わらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古賀委員長 次に、内閣提出、参議院送付、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案及び航空法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣大畠章宏君。

    ―――――――――――――

 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案

 航空法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大畠国務大臣 ただいま議題となりました関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案及び航空法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案につきまして申し上げます。

 関西国際空港につきましては、完全二十四時間空港という本来の優位性を生かし、首都圏空港と並ぶ我が国の国際拠点空港としての機能を発揮することが期待されています。

 しかしながら、海上建設により多額の事業費を要した等の理由により、関西国際空港の設置及び管理を行う関西国際空港株式会社は約一兆三千億円もの巨額の債務を抱え、国際拠点空港としての本来の優位性を生かした戦略的な経営や前向きな投資の実行が困難な状況となっております。

 こうした状況を踏まえて、現在、関西国際空港株式会社及び国がそれぞれ行っている関西国際空港及び大阪国際空港の設置及び管理を一体的に行うとともに、両空港に係る公共施設等運営権の設定を適時に、かつ、適切な条件で行うことにより、関西国際空港の整備に要した費用に係る債務の早期の確実な返済を図りつつ、我が国の国際拠点空港としての機能の再生及び強化並びに関西国際空港及び大阪国際空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化及び関西経済の活性化に寄与することを目的として、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣による関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針の策定並びに国の責務及び地方公共団体等の協力について定めることとしております。

 第二に、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理を行う新関西国際空港株式会社の設立、事業の範囲等について定めることとしております。

 第三に、関西国際空港の整備に要した費用に係る債務の早期かつ確実な返済等を図るため、関西国際空港及び大阪国際空港に係る公共施設等運営権の設定を行うために必要な措置を定めることとしております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、航空法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 我が国においては、今後、羽田空港及び成田空港における発着容量の拡大、航空機の小型化に伴う多頻度運航の進展、団塊世代の操縦者の大量退職が予測されており、これらに的確に対応するため、航空運送事業に従事する操縦者の安定的な確保が喫緊の課題となっております。一方、諸外国においては、操縦士資格に係る国際民間航空条約附属書の改正により創設された准定期運送用操縦士の資格制度を導入し、安全性を確保しつつ、航空運送事業に従事する操縦者の効率的な養成を進めているところであります。

 また、我が国における航空事故の大半が操縦者に起因して発生しており、その傾向について改善が見られないことから、こうした状況を改善するため、現在、技能審査が義務づけられていない自家用航空機等の操縦者を対象とした技量維持を図る仕組みを導入する必要があります。

 さらに、航空身体検査証明の有効期間に係る国際民間航空条約附属書に基づき、航空運送事業に従事する操縦者の多くを占める定期運送用操縦士の有効期間の適正化を図る等、航空機の航行の安全を確保しつつ、航空会社の負担の軽減に資するための措置を講ずる必要があります。

 こうした状況を踏まえて、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国際民間航空条約附属書の改正を受け、新たな航空従事者技能証明の資格として、航空会社が主として使用する二人操縦機の副操縦士に特化した准定期運送用操縦士の資格を創設することとしております。

 第二に、操縦技能証明を有する者は、飛行前の一定期間内において、航空機の操縦に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかについて審査を受け、これに合格していなければ、航空機の操縦等を行ってはならないとする仕組みを導入することとしております。

 第三に、現在、操縦技能証明の資格ごとに一律に定められている航空身体検査証明の有効期間について、国際民間航空条約附属書に基づき、年齢、心身の状態等に応じて定めることとしております。

 以上が、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律案及び航空法の一部を改正する法律案を提案する理由です。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

古賀委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


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