第2号 平成24年3月14日(水曜日)
平成二十四年三月十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 伴野 豊君
理事 小泉 俊明君 理事 小宮山泰子君
理事 古賀 敬章君 理事 辻元 清美君
理事 松崎 哲久君 理事 金子 恭之君
理事 山本 公一君 理事 富田 茂之君
阿知波吉信君 石井 章君
石井登志郎君 石山 敬貴君
川村秀三郎君 沓掛 哲男君
熊田 篤嗣君 黒田 雄君
古賀 一成君 坂口 岳洋君
高木 義明君 玉木雄一郎君
津島 恭一君 辻 惠君
中川 治君 橋本 清仁君
畑 浩治君 谷田川 元君
柳田 和己君 吉田おさむ君
若井 康彦君 あべ 俊子君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
小渕 優子君 北村 茂男君
佐田玄一郎君 丹羽 秀樹君
林 幹雄君 福井 照君
望月 義夫君 竹内 譲君
穀田 恵二君 中島 隆利君
柿澤 未途君 下地 幹郎君
中島 正純君
…………………………………
国土交通大臣 前田 武志君
復興副大臣 末松 義規君
内閣府副大臣 後藤 斎君
国土交通副大臣 吉田おさむ君
国土交通大臣政務官 津島 恭一君
国土交通大臣政務官 室井 邦彦君
国土交通大臣政務官 津川 祥吾君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 浜田 敏彰君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 中島 正弘君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 小島愛之助君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 内田 要君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 加藤 利男君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 関 克己君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 菊川 滋君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 川本正一郎君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 山縣 宣彦君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 長田 太君
政府参考人
(観光庁長官) 溝畑 宏君
政府参考人
(気象庁長官) 羽鳥 光彦君
国土交通委員会専門員 関根 正博君
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
向山 好一君 石井登志郎君
徳田 毅君 伊東 良孝君
二階 俊博君 あべ 俊子君
亀井 静香君 下地 幹郎君
同日
辞任 補欠選任
石井登志郎君 石山 敬貴君
あべ 俊子君 二階 俊博君
伊東 良孝君 丹羽 秀樹君
下地 幹郎君 亀井 静香君
同日
辞任 補欠選任
石山 敬貴君 玉木雄一郎君
丹羽 秀樹君 徳田 毅君
同日
辞任 補欠選任
玉木雄一郎君 向山 好一君
―――――――――――――
三月七日
尖閣諸島を初め我が領土領海を守ることに関する請願(今井雅人君紹介)(第一五〇号)
同(川村秀三郎君紹介)(第二五一号)
同(畑浩治君紹介)(第二八三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○伴野委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長中島正弘君、国土政策局長小島愛之助君、土地・建設産業局長内田要君、都市局長加藤利男君、水管理・国土保全局長関克己君、道路局長菊川滋君、住宅局長川本正一郎君、鉄道局長久保成人君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長長田太君、観光庁長官溝畑宏君、気象庁長官羽鳥光彦君及び総務省大臣官房審議官浜田敏彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伴野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○伴野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。望月義夫君。
○望月委員 おはようございます。
それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。
これは大臣所信に対する質問でございますが、幅広くなってしまいますので、それと一時間という時間でございますので、若干その辺は、ぜひひとつ簡潔に内容について答弁いただきたいと思います。
まず、国土の強靱化という言葉を大臣は使っておられるわけでございます。
我々も、実はシャドーキャビネットでこの国のありようについて、最近の震災、それから今後、関東あるいはまた南海・東南海、それから東海といった地震が切迫しているというようなことで、非常に発生率が高くなる、そういう中で、我が国はどういう形を今後とっていかなくてはならないかという、今回の震災は大変つらい、悲しいことでありましたけれども、これを教訓にして我々はその壁を乗り越えていかなくてはいけない、そういうような一つの教訓を受けたのではないかな、私はこのように思っております。
今、震災から一年たつわけであります。復興復旧ということはもう何をおいても、第一としてやっていかなくてはならないんですけれども、この問題につきましては巨大な支出といいますか、これはもう国民全てがそれを許容していただけることと我々も信じております。政府も、そういった意味では一生懸命やっていただきたい、そう思いますけれども、これはすなわち災害が起きての事後復興、そういう形に実はなるわけであります。
しかしながら、これは基本的なことでありますけれども、はるかにそれよりも少ない金額を投入する、計画的かつ賢明な投資を行うことによって、大震災の被害の額というものを大幅に縮減する、小さくすることができる。これは事前復興というような形になると思いますが、これを国家の最優先課題として、人的、物的被害を最小限にするためにどうあるべきか、こういったことを今後考えていかなくてはならない、私はこのように思っております。
ハード、ソフト両面で災害に粘り強い国、都市、まちづくりを、あるいはまた、それによってバックアップ体制の機能の強化した国土を形成するということ、それから、こういう災害に対して十分に耐え得る、そしてまたすぐに回復できるといった都市づくり、国家国民を守るしなやかな国土基盤の構築というものが大切だと思います。
まず、「災害への対応力の高い強靱な国土基盤の構築」と言われている大臣は、これについてどのようにお考えなのかということをお聞きしておきたいと思います。
○前田国務大臣 望月議員の今お述べになったことは、まことにそのとおり、私も共有をしております。
昨年は、東日本大震災という、まさしく千年以上であるかないかというような大震災に見舞われました。加えて、災害の多い年でございました。十二号台風というのは、紀伊半島、アリの熊野詣でで有名な熊野神社が壊滅するような、これまた千年以上の災害なんだと思うんですね。また加えて、望月先生の御地元の浜松、東海から東北、阿武隈流域まで、新潟、福島も水害に襲われた十五号台風。こういった災害が一挙にあの一年の間に起きたわけでございまして、そういうことで、国民の安全と安心を守るという社会資本整備の原点というものを痛切に認識させられた一年であったと思います。
ということで、真に必要な社会資本の整備を着実に推進して、これは社会資本整備審議会の審議において示された、人の命が第一だ、それから災害には上限がないんだ、こういう東日本大震災から導かれた教訓をしっかり踏まえた上で、真に必要な社会資本の整備をしっかりやり、持続可能な強靱な地域づくり、国づくりを進めてまいりたい、このように考えております。
○望月委員 大臣のそのお気持ちというのはよくわかりましたけれども、今、災害には上限がない、こういう話でございましたけれども、我々はこの問題について考え方が若干違うのは、では、具体的にどうかということをこれからお話ししますけれども、公共事業関係の予算を減らし続けているというのが現状だ。後ほどまた数字が出ますけれども、これはやはり真に必要な事業というのをしっかりやっていかなきゃいけないということを考えると、どうも国土交通関係の予算というのが全然伸びていないなと。
そういうようなことを考えると、私たちは、現在の復旧ということではなくて、今の東京の数字ですけれども、次は四年ぐらいの間に来るかもしれない、あるいはまた三十年以内に何%とありますけれども、やはり未来の人たちに対してどうするかということも我々の大きな責任だと思うわけでありますけれども、このことについては、今回、ちょっと予算が少な過ぎるんではないかな。まず、そのことについてお聞きをしたいと思います。
これについては、政権交代以来、さまざまな要因があるとはいうものの、その予算が前年対比で減り続けて、三〇%以上減っている、これが現状であります。もちろん、要らないものはやめましょう、無駄なことはやめましょうというのは事実でありますけれども、では、そんなに無駄なものだらけだったのかと思うと、今回の震災を見れば、これはやはり、国土交通の仕事というのはその場でできるものではない。ほかのことで、お金をここで配ればいいというものではなくて、非常にスパンの長いものでありますから、そのときの大臣初め政府が、さまざまな批判を受けながらもそれを積み重ねていって、いざというときに役に立つ。そういうことを考えると、この二年、三年の公共事業関係予算というのは非常に削減されていて、これでいいのかなという疑問を感ぜざるを得ないような状況にあると思います。
これは、命を守るコンクリートの必要性が今回身にしみてわかったはずでありますけれども、この公共事業の削減というものに対して大臣はどのように考えているのかなと思います。特に今回、全国防災、こういうようなことを考えても、二十四年度予算に対しては反映されていないのではないかな、そういう危惧をしているんですけれども、このことについて大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○前田国務大臣 二十四年度予算においては、もちろん社会資本、特に全国防災も含めて、三連動が言われるような状況でございますから、ぜひ十分な額を確保したいと思っております。そして、二十四年度の要求予算でございますが、その前の年度に比べるとほぼ、何とか前年度対比、確保できたのではないかと思っております。
加えて、地域自主戦略交付金という一括交付金がございます。こちらの方を相当積み増しておりまして、地方分権、地方主権の時代、自治体の方の自由がきく、公共事業等にも使える一括交付金というのを相当積み増しておりますので、そういったものも加えて何とか対応をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○望月委員 今、一括交付金の話が出まして、このことについては私、ちょっときょうは質問するつもりはないんですけれども、これについても、地方に自由度を増したものをというような形で、最初、我が党のときに交付金というような形でつくりましたけれども、これの使い勝手がいいからということで大分ふやしました。
ところが、これをふやし過ぎて、地域が何に使ってもいいというような形の部類になってきますと、これは国土交通の予算として使われるのではなくて、使い勝手がよ過ぎになっていって、実際に国土交通省の関係のものに使われているかどうかという検証をしっかりしないと、実際には足りないところに金を使ってしまって、我々の思うような国土交通関係のものに使われていないのではないか。
金の足りないところは借金返しに使うかもしれない、これはある程度極論でございますけれども。あるいは、ほかのことに使われてしまっていく。そういうふうな形になると、本当に一括交付金という形がいいかどうかというのを検証しないと、これが地方によってうまく使われているかどうかということは、なかなか大変なことだと思う。きょうはこのことについてはちょっと質問を控えさせていただきたいと思います。
ただ、今後急激に増加する社会資本の老朽化、これはもう何回もこういう場で、今回の大臣の所信ということではなくて出ているわけでありますけれども、老朽化というのも、先ほど申しましたように、社会資本をつくってそれで終わりではなくて、維持管理、それから耐用年数というものを考えると、今はちょうどそういう時期に来つつある。この時期をまた一つ間違った方向といいますか、これを外してしまったら、今後、五年、十年たったときに一体どういう状況になるのか。
特に道路橋ですね。道路や橋の問題でありますけれども、五十年以上経過している道路橋というのは、現在は八%ですけれども、これが十年後には二六%、二十年後には五三%になる。こういうことを踏まえての公共投資というものをしっかりとやっているかどうか。特に、各自治体もそうなんですね。国は国でしっかりした国土交通省のやり方があるのかもしれないんですけれども、各自治体に関してはそれ以上の数字が出ております。
そういうふうなことを考えると、十年、二十年というのはあっという間でありますけれども、そういったときには、五〇%以上のものが五十年以上。建設国債でもそうですけれども、五十年ぐらいというのはこういった構築物の耐用年数の一つの限界だと言われておりますけれども、そういうことを考えると、国として、どういうような老朽化対策を今こういう予算の中に反映されて、手を打っているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
それから、財源が乏しい地方に対して、先ほどの一括交付金でやっているから、自由にやってくれているのではないかなと思われれば一番いいんですけれども、結局、こういうものについては後回しになってしまって、そのうちにそのうちにと言っているうちに、五十年以上経過してしまうものが五〇%以上になってしまう。そのときに幾ら予算が必要だといっても、これはもうとても対応できるものじゃございません。国として、こういうような地方の支援というものをどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
○室井大臣政務官 望月先生の御質問にお答えをいたします。
恐らく橋梁のことを言っておられると思いますけれども、もう先生御承知だと思いますけれども、我が国の道路橋は約十五万橋ございます。お話にございましたように、高度成長期に集中的に整備をされましたから、建設後五十年を経過する橋梁が、現在のところは八%でありますが、二十年後には五三%に急増するということであります。
老朽化する道路橋を適切に維持管理していくためには、当然、定期的な検査が必要になってくるわけであります。直轄国道では、全ての道路橋で五年に一回の点検をしているところであります。また一方、地方公共団体においては、特に市区町村が管理する橋梁のうち、平成二十三年四月時点で約三割の点検が実施されていないというような状況であります。
このため、地方整備局等におきましては、講習会や技術的助言を行うとともに、社会資本整備総合交付金を重点的に配分することなどにより、橋梁の点検や修繕計画の策定、修繕、かけかえ事業に対する財政的な支援を行っているところであります。
災害に強い国土の実現のためには、社会資本がその役割を十分に果たせるようにすることが重要であります。道路橋の予防的な修繕を進めることにより長寿命化対策も進めることができる、このような戦略的な維持管理をさらに実施していきたい、このように思っているところであります。
○望月委員 これについてもしっかりやっていただきたいというのは、結局、アメリカ等いろいろな国で、大きな橋が落ちたという例がありますけれども、それにより、事後に使うお金がどれだけかかって、それから、どれだけ国民に迷惑がかかるのか。そういうようなことを考えると、やはり継続的にそういったものについて努力をしていかなきゃいけない、こういうことではないかなと思います。その結果、アメリカ等は道路予算が、もちろん中国は番外ですけれども、毎年毎年ふえて、どんどん使っている、倍々にふえているというような形であります。そういう意味では、日本の国は心もとないなというのが現実でありますので、この辺については、ぜひひとつ国土交通省、しっかりと対応していただきたいな、このように思います。
次に、復旧復興予算の執行率についてお聞きしたいと思います。
東日本大震災の復興費として、今年度第一次、第二次補正予算で積まれた六・七兆円。第三次補正予算というのは最近できたばかりですから、このことについては内容はお聞きしませんけれども、昨年末時点で使われたのは、五五%の三兆七千億円だと報道されております。
国土交通省の関係で見ると、復旧予算額一兆一千五百十四億円のうち、執行額は千二百二十九億円で、執行率は一〇・七%。「公共事業のなかでもっとも予算が大きい道路や堤防、下水道などの災害復旧費(七千六百六十五億円)の執行は三・八%の二百九十二億円。」「被災者向けの公営の復興住宅や、ダムの修理など十六事業の執行率はゼロだった。」こういうようなことが報道されているわけです。
復興庁が衆議院予算委員会理事会に提出した執行状況、これを見ると、国土交通省の予算額二兆一千九百六十四億円のうち、平成二十四年一月三十一日現在の執行額は一兆四千八百二十九億円で、執行率は六七・五%だ、こういうようなことが出ているわけでありますけれども、報道されている数字、執行率一〇・七%はどういう数字なのか、ここについてお伺いしていきたいと思います。
この数字がどういうものかと同時に、実際の復旧復興の執行の現状というものはどんなものなのか。あるいはまた、一日も早い復旧復興というものを国民全ての人たちが願っているところでありますけれども、予算の執行のスピードを上げていくことが肝要かと思われるんですけれども、これについてお伺いしたいと思います。
○室井大臣政務官 お答えをいたします。
少し重複するかもわかりませんが、先生のおっしゃっておられます補正予算の執行状況については、復興庁が一月末時点の状況を統一的に調査をしておりまして、国土交通省については、二次補正予算から三次補正にかけて計上された、先生がおっしゃっておられます二兆一千九百六十四億円の執行率六八%となっておるわけであります。
予算の円滑な執行に向けて、これまでも、直轄事業におきましては、被災地の地方整備局に職員を全国から九十五名の総動員をさせていただきまして、実施体制の確保、強化を図っているところであります。入札、契約手続面でも、事務負担の軽減を図るとともに、適切な規模での発注など敏速かつ効率的な執行を図ってきて努力をしているところであります。
また、被災自治体における執行体制を強化するため、本省の地区担当職員が復興計画や復興事業に関して助言また相談業務を行う、人的、技術的側面からの執行体制の支援を行うこととしております。
東日本大震災からの復旧復興には、国土交通省の総力を挙げ取り組むことが必要であり、復興庁を初め各省庁とも十分な連携をとりながら、予算の迅速かつ効率的な執行を図り、被災地の一日も早い復旧復興に取り組んでおります。
長くなりまして申しわけございません。先生のおっしゃっておる、この復興庁の調査における執行率の六七・五%。
六八%と私は申し上げましたけれども、一月末時点における一次、二次、三次補正については、先生、当然御承知のことでありますが、公共事業等の実施計画の承認を得なければならないものの事業実施計画承認額、公共事業等以外の事業にあっては内示済み額をもとに執行率を算出いたしておるものでありまして、朝日新聞の記事における執行率一〇・七%は、十二月末時点における一次補正予算の支出済み額をもとに執行率を出したものと思われます。
予算執行の最終段階である支出で捉えているため、数値としては低く出ることになるということであります。御理解のほどをお願いしたいと思います。
○望月委員 数字が非常に低いというのは、これは実際にはさまざまなそのときの、お金が出るときとそうでないときとの差があってこういうような数字が出てきたのかなということは今の御答弁でわかりましたけれども、少なくとも第一次、第二次なんというのは本当に数カ月のうちに執行してその結果が出なきゃいけないのに、一年たってこういうような状況であるということ。第三次とかそういうことならわかりますけれども、これについては、もう一日も早く。
それから、お金も仮払いできるものはどんどんする。仕事をしてもらって、その時期が来なきゃ金を払わないなんというようなことではなくて、やはりどんどんお金を、やってもらうからには払っていく。そういうようなことで、実際には一次、二次はもう一〇〇%、九十数%いっていますよ、そういうことでなくてはいけないのではないかなというふうに私は思います。
報道で、特に高台だの、復興計画づくりが大変おくれているというようなさまざまな要因があると思いますよ。それから、自治体がああいうふうに流されてしまったから、人も被害があってそれどころではない、あるいはまた亡くなった人も不幸にしておりますし、人手不足ということは当たり前のようにあるのではないかなというふうに思います。それによって予算の請求ができない。そういうような形の、要するに、書類上できないものだからおくれてしまったなんというような事例がないかどうか、そこら辺の検証。
いやいや、後で金を払うからいいんですよ、そのときにはちゃんと行っていますよとか、そういうことではなくて、本当にお金を払えるような状況になっているかどうか。どんどん、こちらから積極的にどうだろうと。これは普通の事業と違って、復興の予算というのはどんどん、それは地方の経済にも影響してくるし、それから、何もないところでやるんですから、運転資金とかのためにもまた金を払っていかなきゃいけない。そういう意味では、この数字は、ちょっといかがなものかなというようなことを考えます。
そういうようなことを考えると、今、そういうことを手助けするために万全の態勢をとって、人も出しておりますと言いますけれども、我々からすると、やはり派遣する人数、応援に出す人数も一桁少ないのではないかな。あるいはまた、実際の対応状況はどうなっているのかなというようなことをお伺いしてみたいなと思います。
それから、国は、一次的には仮設住宅をつくりました。この仮設住宅というのはとりあえずの建物であって、これで一年たちましたけれども、結局、耐用年数ということでいくと大体二年ぐらいで、二年になったら復興住宅といいますか、公営住宅に移るということが法律的に決まっているわけです。もう一年過ぎましたから、あと何カ月かということになってくるんですけれども、そういうことを考えると、阪神・淡路のときは公営住宅に半数ぐらいの被災者の人が移ったというようなことですから、今回、三万五千ぐらいの公営住宅をつくろう、復興住宅をつくろうという形になっているそうですけれども、これについて、何かそういったものがまだゼロだ、もう一年も猶予がないのにそれがゼロらしいというような話ですけれども、この事実関係はどうなっているのか。
それから、この内容なんですけれども、阪神・淡路に対して、こちらは非常に戸建てというものに対して、やはり地域性があると思いますけれども、そういったことを考えると、この三万五千の復興住宅といいますか公営住宅をつくって、そして、ニーズとしては自分たちが住宅を自分自身でつくりたいというようなことに対して、結局、つくったけれども一万戸余ってしまった、一万二千戸余ってしまった、そういうようなことがないかどうか。そこら辺についての検証はしているかどうか。阪神・淡路と比べて、数が大体これの倍になればいい、三倍でいいんだというような形では済まないと思いますけれども、そのことについてはどのようにお考えですか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
災害公営住宅の建設につきましては、昨年度の何次かの補正予算で必要戸数の計上をいたしておるところでございます。
全体で見ますと、先生御指摘のとおり、まちづくりの計画、高台移転なども含めて、どこに建てるかというところがなかなか固まってこないということもありまして、着工がおくれているのは事実でございます。ただ、福島県の一部や宮城県の一部でも着工が始まりまして、それから、用地が大体確保されて、設計に着手するというところも出てまいりまして、本格的にこれから公営住宅の建設が進むのではないかというふうに思っております。
阪神・淡路大震災のときとの比較の御指摘もございました。
阪神・淡路大震災の場合には、立地場所というのがかなり早目に見つかったということもあって、お話のあった、仮設住宅の建設と並行して公営住宅についても手当てが進んでいったということもあって、かなり立ち上がりが早かったわけでございますが、今回の場合には津波被害ということもございまして、立地の場所がなかなか見つからなかった、仮設住宅の用地もかなり困ったということもあって全体におくれているのではないかというふうに思っております。
仮設住宅が二年というお話がございましたが、法律上、二年ということでございますが、これは各地方公共団体の判断で延長できるという措置も講じておりまして、実は阪神・淡路大震災のときも、最長五年強、仮設住宅を使ってきたということもございます。
ただ、いずれにしても、各公共団体のいろいろな、人的な不足なんかについても補いながら、公営住宅の建設についてはできるだけ促進を図っていきたいというふうに考えております。
それから、地域性のある戸建て住宅に対する要望というようなこともございました。
こういうことについては、公営住宅についても木造の戸建てが建てられるようにする、それから、一定期間たった後は、場合によったら、その木造の戸建ての公営住宅なんかを被災者の方にお譲りすることができるといったような措置ももう盛り込んでおります。それから、早い段階で自力で住宅を再建されたいという方に対しては、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資なんかも用意をいたしております。
いずれにしましても、町の復興の中の鍵となります住まいの復興につきましては、持ち家、それから賃貸、あわせまして後押しをしていきたい、このように考えております。
○望月委員 やはり地域性というものがあると思いますので、そこはよく配慮をして、それから、もちろん災害復旧というものは第一義的なものでありますけれども、これは税金を使うことでありますから、つくったけれども、とても住む人がいなくて、その時期には余ってしまったというようなことがないように、しっかりと、そこら辺のきめ細かな対応をしていくように申し入れをしておきます。
次に、出先機関の問題についてちょっとお聞きしたいんです。
これについては地域主権戦略会議というところで、これはアクション・プラン推進委員会ですか、ここでまた閣議決定をされておるわけでありますけれども、出先機関の原則廃止というような形。
しかし、前田大臣は国交省出身の専門家だということでございますので、国交省がいかに国民のために尽くして、それから職員が全力を挙げて、そういった意味で頑張っておられる。特に人材は、やはりさすがに国だと言われるような人たちが、各地方に行ってそれぞれ活躍をしている。
そういうことですから、我田引水な形ではないんですけれども、大臣が、普通は自分の省庁のそういったものをしっかりと守って、国のありようには我々国土交通省がこういうふうにしっかりやっているんですよということですから、実はそういうものについては、多分、出先機関をしっかり守っていくというような立場だろうと私は思います。それによって国交省で働いている若い職員たちも、やはり誇りを持って仕事ができるということで、ここら辺は、今後の国交省のあり方においても非常に大きな問題の一つではないかなというふうに私は思っています。
ですから、今回の震災対応を見ましても、自衛隊というのはやはり広域ですから、一つの町だとか一つの県だとかいうことではなくて、国土の相当な部分でのこういう災害ですから、いかに広域の仕事というものが緊急か、特に内閣の仕事というのは何が大切かというと、危機管理というものが大切だと思います。そのときに、地方地方でやり方が違う、そういうような形の中で、本当に地方の出先をそんな簡単に地方に移していいものかどうか。こういう問題については、私はちょっと心配だなというようなことを実は感じております。
そういうふうなことを考えますと、地方整備局が今回も活躍してきたことを考えると、平時だとか災害時を含めて、国の関与のあり方というものを基本的に今後どういうふうに考えているのか。また、これについて、結論というのは大体いつごろ、どういうふうに出していくつもりなのかということ。今国会で法案提出を目指すというような形でありますけれども、現在の検討状況と法案提出のスケジュールというものがわかりましたら、教えていただきたいと思います。
○前田国務大臣 委員の御心配、ありがたく受けとめさせていただきますが。
地方整備局の移管ということについては、地方主権改革等の中で、先ほど御指摘のようにアクション・プランということで定められております。これは内閣において、総理を長とし、そして川端総務大臣が事務局長という立場で、今、鋭意精力的に進めておられるところでございまして、今国会中に法案を提出するということになっております。
もう御承知のように、地方整備局というのは、道路であれ河川であれ港湾であれ、あるいは公園であれ、直轄事業ということで、非常に重要な、国の基幹的な施設についてはみずから直接建設もし、そして、その維持管理をやっているわけです。この現場力というのが非常に、大きなブロック地域にとっては根幹になると私は思いますね。そして、それが整備局に統合されているわけですから、この統合力というのもまた非常に大きいわけであります。さらに言えば、あの東北の大震災のときに、東北地方整備局が中心に、オール・ジャパンで応援して示したその即応力。くしの歯作戦などとよく言われておりますけれども、四号なんというのは一日にして通行可能にし、四、五日で北陸沿岸まで十五本の道路を通したというようなことであります。この現場力、統合力、即応力というものがいわば危機管理の基本になっているのではないか、こう思います。
そして、地方整備局というのは、やはり地方自治と非常に親和性を持っております。だからこそそういう対応ができるわけでありまして、発災直後から、過去の経験、技術を蓄積してきた全国の組織であり職員でありそういったものが、例えば排水ポンプ車など全国の機材を集めて提供したりとかいうようなことで、そういう意味では、私は、大きなブロックの自治というところとは親和力もあり、連携して、しかも、その地域の大きな経済等と連携することができるなら、むしろ大きな力も発揮するだろうと期待はしております。
あくまでも、この現場力、統合力、即応力というものを大事にして強めることこそあれ、弱めるようなことをやっては国損になりますよ、しかも、それをオール・ジャパンで、いざというときには連携できるようにしなければなりませんよということは、総理にも、また川端大臣にも申し上げているところであります。
○望月委員 大臣の話は若干安心したというか、内容がちょっとまだよくわからないんですけれども、どちらにしても、地方整備局は大切な部署で、やはり広域的には、こういったものは今後ともしっかりと位置づけしていかなきゃいけない、我々このように思っておりますので、その辺についてはしっかりと対処をしていただきたいと思います。
時間がございませんので、次に、八ツ場ダムについてお聞きしたいと思います。
八ツ場ダムについてはさまざまなことがございましたけれども、この実施については、前田大臣は、前進させるんだ、継続するというような結論を出したということなんです。
官房長官裁定は後ほど聞きますけれども、とりあえず、前田大臣、八ツ場ダムについては今後とも引き続きやっていくという決意をここでちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○前田国務大臣 官房長官が示された裁定をもとに、着実に進めていくつもりでおります。
○望月委員 それをまず聞きたかったんです。
それで、昨日、ダム事業の廃止に伴う生活再建支援法案が閣議決定されたという形であります。官房長官裁定の二つのうち、一つがとりあえずこれでクリアされたのかなということなんです。
これはさまざま、我が党でもそうですけれども、何のことでも賛成も反対もある。しかし、最終的には、責任のある部署の方がこれはやりましょうということでいけば、これは一丸となってやっていかなきゃいけない、そういうことでありますけれども、建設に反対する前原民主党政策調査会長が、国交省予算そのものを了承しかねると牽制し続けているわけですね。それから、これは、政府を支えるべき与党の幹部が公然と反旗を翻してきたというのは事実であります。ここで、官房長官がそれに気を使ったと言ったらおかしいんですけれども、建設反対の民主党の国会議員の皆さんに気を使って官房長官裁定をしたのかなと。
前田大臣は、やりますよと。今までの検証、こうずらずらといろいろなことが書いてあるんですけれども、その中で大きな決断を下したと。実は、これは民主党のマニフェストから見ればマニフェスト違反というようなことになりますけれども、国家国民のために、この二年数カ月、これをとめられて、本当に地域の皆さんはつらい思いをしてきたわけですよ。ここで、二年数カ月たって、それでなおかつ、これでとめてしまうなんてばかげたことにならないように、それは前田大臣がやりますということを決めていただいた。これは私は非常に評価に値する、勇気のあることだと思って、これは評価します。
しかし、まだそういったような形の中で、この二つの官房長官の裁定の一つがある程度クリアした、そういう形でありますけれども、この内容と、それから、利根川の整備計画の策定ということがあります。この整備計画の策定ができなければ、これはやらないのかどうなのか。この策定というものについての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○前田国務大臣 利根川の整備計画でありますが、直轄河川等については整備基本方針というものを流域ごとに定めて、そして、それに基づいて整備計画をつくるわけでございます。
利根川というような、日本を代表するというよりも、首都圏、日本の中枢を流域に持つ、一番守らなければいけない重要な流域を持つこの利根川の整備計画というのは、既にできていないと私はおかしいんだろう、こう思うんですね。整備基本方針というのは平成十七年度に既に示されているわけでありますから、官房長官裁定、これはもう当然その裁定に従って、整備計画もなるだけ早く、今鋭意取り組んでおるところでございまして、整備計画を早くつくりたい、このように考えております。
○望月委員 大臣が、群馬県の長野原町ですか、地元の首長さんたちに説明したときには、その直後の会見で、整備計画が着工の前提条件となることを否定したというようなものが出ているんですよ。そうだと私は思います。整備計画と本体工事の準備を並行して進めるべきだ。整備計画ができるまでなんというようなことを言っていたらいつになるかわかりませんから、やはり整備計画をしながら、並行してこの予算の執行もしていくというようなことが必要だと思います。
それから、それは前原さんがどれぐらい力があるのか、我々は民主党の内部の問題だからわかりませんよ。しかし、これは、八ツ場ダムは箇所づけの話であって、国交省の判断において予算づけをされるべきだということを官房長官も言っているんですから、まあ、この官房長官裁定というのは、気を使って、かえって何だか曖昧にしてしまったんじゃないか、私はこのように思っていますから、大臣は勇気を持って、この問題についてはしっかりと進めていただきたいなと思います。
それから、実は、なぜこの二つが出たのか私にはちょっとわからないんですけれども、この二つのうち今回の生活再建支援法というのは、八ツ場ダム以外の、中止になった皆さんのところの生活再建を決めるということだそうですよね。私は、そうじゃないんじゃないのかな、八ツ場ダムも含まれているのかなと実は思ったんですけれども、そうではない。
そうすると、八ツ場ダムに関係ないというか、八ツ場ダム以外の人たちの生活再建が決まらなければ八ツ場ダムは進めないんだというようなことは、ちょっと何だか矛盾しているんじゃないのかな。逆に、これはうがった考え方をすると、八ツ場ダムが中止になったときに備えてこの法案を先に通していくんだよというのか、何だかわけがわからない、はっきり言って。
一体、何でこれが八ツ場ダムを進める条件になるのかと思うんですけれども、その辺についてちょっと大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○前田国務大臣 もともと、ダムによらない治水というものが民主党の治水計画の中で一つの方針としてあるわけでございまして、実際に、今まで八十三ダムの事業を検証してきた中で、たしか今、二十ダムぐらいまで検証したのでございましょうか、そのうちの六ダムだったかは中止という結論を出しております。
そういったところに対して、ダムをつくるという前提で地元に御迷惑をずっとかけてきた、そういう地元の方々に、何十年にもわたって、生活から、いわば人生まで振り回してきたところがあるわけですから、そういう方々に、たとえ中止になったとしても、つくる前提で今まで何十年にもわたって苦しんできた方々に対する手当てというものを、きっちりスキームをつくる必要があるというのは当然だと思いまして、そういったことをこの機会に法案化するということであります。
○望月委員 それは当たり前のことなんです。中止になったところには、この法案をつくるということはいいことですよね。でも、八ツ場ダムはやるんですから。だから、八ツ場ダムをやるについて、この法案を八ツ場ダムをやる条件にするというのはおかしいと思うんです。やるはずなんでしょう、八ツ場ダムは。大臣はやると言っているんですから。それなのに、やるところに、やらない場合の生活再建支援法を条件にするというのは矛盾じゃありませんか。
やめたところ、やめるところについては、それはもう大変な思いをさせたし、つらい思いをさせたから、これを早くつくりましょうと。これはわかりますよ。それを、やるところの条件に、この法律ができなければ進めませんというような官房長官裁定なんというのは、何だか意味がよくわかりません。どうですか。
○前田国務大臣 その辺のことは、私も直接は確かめておりませんので、わかりません。
先ほど申し上げたような問題意識で、片一方で中止という結論をつけたダムが幾つか出てきてまいっております。問題意識を持っておりまして、そういうところに対して、どう国交省として対応するかということも別途並行して進めてまいったことでありましたから、この裁定を示されたときに、これは可及的速やかに、法案化するのはすぐ目の前、できるぞという私自身は腹づもりを持っておりましたから、はい、結構でございます、こういうことでございました。
○望月委員 大臣のそのわかりませんということが、私もわかりません。
要するに、ほかのダムで、やめたところはこういうものを早くつくってやるというのは結構ですよ。でも、やる八ツ場ダムについて、これを条件とするというのは本当に矛盾で、官房長官裁定は一体何を言っているのかというのが、これはかえって、そういう裁定をすることによって混乱が生ずる。
例えば、やらない場合ということを考えての、やらない人たちのためのことですから、では、八ツ場ダムも場合によったらやらない、やらなかったらこういう法律を使いますよ、そういうふうに、反対派で賛成に回ったけれども、では、もう一回反対してもいいのかなというような気持ちになってしまうんじゃないかなという危惧を生じるから、やはりこの辺はしっかりと、国民の皆さんというか、その地域の皆さんに説明する必要があると思いますよ。
それから、こういったことで迷いが生じるような、それは必要でないダムというものがあるとすれば、そういうものについて検証していかなきゃいけないというマニフェストといったものは、我々自民党だろうが、どこの党がやろうが、不断の努力をして、無駄なものはやらない、必要なものはしっかりとやっていくというのは当たり前のことでありますけれども、やはり政治というものは、そういったものとダムの建設とをごっちゃにしてしまうような、誰かに顔を立てるようなものであってはならない、そういうふうに私は思います。
この官房長官裁定というのは、官房長官が前原氏の顔を立てたというようなことであってはならない、私はこのように意見具申をさせていただきたいと思います。
時間がありませんので次に移りますけれども、首都直下型地震の問題であります。
最近、首都直下型地震というものが非常にさまざま言われてきております。どこでしたか、最近の数字では、四年以内に来る確率が七〇%とか、あるいはまた五〇%に訂正されたとか、さまざまな数字が出ておりますけれども、これについては、数字ですから、あくまでも参考にするということであります。
先ほど言ったように、事前の耐震というものをやっていただくことがいかに大切かということを私が言いたいのは、今回の地震は津波が非常に大きな被害をもたらしましたけれども、阪神・淡路のときのことを考えますと、亡くなった方の四分の三が圧死だ。要するに、うちが潰れてしまって、その下敷きになって亡くなったという方が四分の三ですから、やはりこの東京も、地震が来た場合には相当そういうような被害が出るだろう。
そうしますと、今、百兆円とか二百兆円の被害がそういった場合に出るだろうと言われておりますけれども、それを、耐震とかそういったものについて施策を進めることによって、被害総額あるいはまた人命も相当少なくすることができる。こういうものに対する国のあり方、その辺について、大臣のといいますか、皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。
○前田国務大臣 私も全く同感でございます。
新しい建物については、耐震というのは一応、新耐震ということでなされているわけでございますが、やはり何といっても既設の住宅、建物の耐震性というものを強化しなければなりません。委員御承知のように、住宅の耐震化率を平成二十七年度に九〇%とするというような目標も掲げております。
実は、三次補正において、既設の住宅等を含めて、今住宅のエコポイントというのを復活させておりますけれども、あの中に初めて耐震改修に対してもポイントを、十五万点だったと思いますが、つけるというようなことをやっております。さらに言えば、これから低炭素まちづくり法案というようなものも用意をしておりますが、持続可能なまちづくりという面で、耐震改修というものを制度的に、ちょっと制度化していくのが今のところまだなかなか大変だと思いますが、そういったことも考えているところであります。
○望月委員 時間がございません。ちょっと先に進めさせていただきます。
耐震の問題については、やはりできる限りの先手を打っていただきたいなと思います。
それから、地方の空港のネットワークについて若干お聞きしたいと思います。
最近は、国内航空分野は新規の航空会社の参入だとか、新幹線、これからリニアモーターカーもできてまいりますし、それから高速バス、さまざまな我が国の利便性が図られるというものの、旅客の獲得競争が激化しているというのが実態でございます。そういう意味では、そういう利便性を図れる航空会社があって、利便性がますます向上する、そしてまた大きくなっていく会社もあるでしょう。
しかし、我が国は島国でありまして、そういった意味ではさまざま、需要の少ない地方を結ぶ路線や離島の路線といったものが、日本航空の撤退等で、便数が少ない中で運賃が割高となっていくような形というのも心配され、格差が生じてくる。こういう中で、これからオープンスカイあるいはまた海外のLCCですか、あるいは国内もそうですけれども、そういうような厳しい、激しい競争がこれから起こる。そういう中で経営力が低下する航空会社も出てくると思います。
これについて、国で燃料税とか離島の航空運賃を支援する補助制度というものをつくってきたわけでありますけれども、こういう国管理空港について、今度、上下一体化するというような法案がこれから出てくるわけであります。こういう中で、現在、赤字空港の穴埋め役である空港整備勘定について、なくなるというような話を聞いておりますけれども、国民生活に大切である離島だとかさまざまな必要な路線が維持できなくなるというようなことを考えると、国交省はどういうふうに考えているのか。
そういった意味では、今から手を打っていかなくてはいけないのではないかなということを我々は考えているわけであります。地方航空路線を維持する仕組みだとか、地方の経済を支える赤字空港を支える仕組みというものを考えて、さまざま仕組みを見直していくことが必要ではないかな、我々はこのように考えております。
これまでの手法を超えた施策、仕組み、こういったものを打ち出す必要について政府はどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
○室井大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。
望月先生は、地方航空の維持ということを非常に大切に思っておられます。そこで、我々国土交通省といたしましても、まさに考えは一緒でございまして、国内航空路線の参入、また退出については、航空会社がみずからの経営判断により決定することとなっておりますが、国土交通省としても、地方航空ネットワークの維持は大変重要である、このような認識をしております。
このため、地方路線に係る国管理空港の着陸料の引き下げ及び国内線就航機に対する固定資産税の軽減措置を行うとともに、平成二十三年度からは航空機燃料税の軽減措置を講じているところであります。
また、御心配をしていただいております離島航空路線については、経営損失が見込まれる一定の路線を対象として運航費の一部を補助させていただいております。平成二十三年度からは補助対象経費の制約を緩和し、より使いやすい仕組みとしております。
国土交通省としては、今後も、事業者の経営改善の自主的な取り組みを基本としつつ、このような支援措置を講じることなどを通じて、地方航空ネットワークの維持に資するように、全力を挙げ取り組んでいく所存でございます。
○望月委員 ぜひひとつ、そういった配慮を今後も忘れないで進めていっていただきたいと思います。
実は、震災のときの状況を一つお伺いしたいんです。二月二十七日付の朝日新聞が報じたんですけれども、「三月十一日の東日本大震災の直後、成田、羽田の両空港に向かっていた航空機八十六機が、両空港が閉鎖されたために降りられなくなり、うち十四機は燃料不足で「緊急事態宣言」を」、緊急事態宣言というのを出せば、その場で何よりも早くそこに着陸できるということでありますけれども、「出していた」というようなことでございます。
緊急事態宣言というのは、それは本当に大変なことなんですけれども、多くの乗客の命が危険にさらされたということで、空港の受け入れ体制に不備があったのではないかなと。どこか、例えば成田におりるつもりが、成田がだめだから羽田にしますよと決めておいた、羽田に何かがあったときのために成田にしますよと決めておいた。ところが、こういうような地震が起きたときには、あるいは南海・東南海とかそういったものが一気に起きたときには、特に成田と羽田は閉鎖されるに決まっているんですね。それで、一体どこにおりたらいいのかという中で、これは最長二時間二十分、おりることができなくて空を飛び回っていたというような形なんです。
着陸後に残っていた燃料はどうなっているのかというようなことを聞いたら、これは会社のマル秘条項なので表に出せないというようなことですけれども、どれぐらい残っていたんでしょうかね。もしかしたら墜落寸前だったのかどうなのか。そういうようなことを考えると、こういう緊急時にどういうような対策をとるのか。これは震災だけじゃなくて、台風のときもあるかもしれないし、テロのときもあるかもしれない。さまざまなことを考えると、こういったものが既にできているのかどうなのか、国土交通省にお聞きをしたいと思います。
このときの飛行機の燃料の残量をしっかり国交省が把握しなければ、いざというときには、おりるところがなくて、どこか途中で海の中へ落ちてしまったというような大変なことが起きていたかもしれないということを考えると、我々は背筋が寒くなるような状況なんですけれども、これについて国交省はどういうような見解を持っておられるか、最後にお聞きしたいと思います。
○室井大臣政務官 お答えをいたします。
先生の御心配はごもっともでございます。
今回は未曽有の大震災であり、複数の空港が閉鎖をされました。代替先として決められていた空港も使用できない、このような状況であり、前例のない事態に直面をいたしました。
こうした中で、当時の管制の対応として、代替空港の調整に時間を要するなど、円滑な対応ができなかった面も確かに一部ございました。全機とも幸い無事に代替空港に着陸し、運航上の安全を脅かすような事態は生じなかったわけでございますが、今後、今回の教訓を踏まえ、一度に複数の空港が使用できず、そして着陸地変更の要求が多数生じる事態にも混乱がないよう対応できるように、こうした事態が発生した場合のシミュレーションなどを行いながら検討を進めてまいりたい、このように思っております。
○望月委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、山本公一君。
○山本(公)委員 おはようございます。自民党の山本でございます。
質問をさせていただきたいと思います。
実は、昨年の通常国会、この委員会で、私は、大畠大臣の所信に対する質疑で同じようにこの場に立たせていただきました。三月九日でございました。その折、大畠大臣とのやりとりで記憶に残っておりますのは、お互い年代を同じゅうする政治家でございます、選挙があるからといって、どこまで行っても休日千円割引であるとか、民主党さんは高速道路無料化というような、バナナのたたき売りのようなことはもうやめませんか、お互いやめて、本当に必要な道路というのはつくっていきましょうという議論をしたことを覚えております。大臣からも前向きなお話を当時いただきました。
そして、わずか二日後、震災が起きました。この震災によって、多分、三月九日と違って、この国の国土交通行政というのは、今、最後に望月議員が言われた航空行政に至るまで、大転換をしなければいけない、そういうことになっていったんだろう、そのように思っております。
きょうが十四日ですから、ちょうど国土交通省がいろいろな意味で、あたふたという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、総力を挙げて事に当たっている姿を、私ども、大臣の方からお招きというか呼び出しをいただきまして、国交省の管理センターに行ってつぶさにその状況を見てまいりました。
いろいろな意味で、一年たちまして、今、例えば国会においては復興特で復興に向けていろいろな議論がなされていることは承知をいたしておりますけれども、どうやら先週、国土交通大臣には質問事項がなかったようでございました。一年たって、多分、復興特の最大の関心事は福島の方のいろいろな問題が主になってきたのかなというふうに思ってもおりますけれども、いずれにしましても、震災直後、国土交通省が果たした役割というのは、私は、ある意味で自衛隊に匹敵するぐらい大きな役割を果たしたと思っております。
大臣は、震災後に大臣に御就任をされました。国土交通省の震災直後の初動の状況について、大臣、評価をされるところと、こういうところは今後さまざま起きるであろう予想される事態に対して改善をしていったらどうかというような御所見がありましたら、まずお伺いをいたしたいと思います。
○前田国務大臣 山本公一委員の今のお話、その九日のお話を聞きながら、当時の大畠大臣が当委員会等の議論の中でいろいろと御教示をいただきながら十一日を迎えていたんだなということを想像していたわけでございます。
あの当時、私は実は参議院の予算委員長を務めておりまして、十一日を境に、参議院は非常に厳しい、いわば激突の場であったわけなんですが、その時点で、むしろ国を挙げて、各党各会派が協力して、まずは救出、救援、復旧に当たらねばいかぬというような議論になりました。その後の議論の中でも、国土交通省、特に東北地方整備局、運輸局等が果たした役割について評価をいただくいろいろな場面がございました。
そんなことも含めて、先生方の方が、あの当時、ここでいろいろ御議論を続けていただいたわけでございますから、よく分析も評価もしていただいたと思います。
初動においては、大畠大臣のもとに、緊急災害対策本部を直ちに、たしか四回開催しているようでございますね。全省で情報や対応方針を共有して、一丸となって災害対応に取り組み、あそこからテレビ会議で現地の徳山地方整備局長と連絡をとった。
しかも、私、大畠大臣が非常に指揮官として、総司令官として立派だったなと思うのは、責任は全部自分がとるから、現場の対応については、地方整備局長、自分の判断で直ちにやれというようなことを指示されたようですね。そういったこともあって、TEC―FORCEと言われるような緊急災害対策派遣隊なんかも直ちに組織されたというふうに聞いております。リエゾンも派遣した。こういったのは、被災に遭われた地帯、あの当時の悲惨な状況、混乱ぶりを考えると、リエゾンなどというのもどれだけ心強かったかなというふうに想像をするわけであります。
そして、さらに言えば、事務所ごとに、地域の建設業者、信頼できる優良な建設業者さんと何か協定も結んでいたようでございますね。だからこそ、あのくしの歯作戦というようなことも可能になったんだろうと思います。
そういう意味で、先ほど申し上げたような、国土交通省の、特に現場が持つ、整備局、事務所を通じて持つその現場力、統合力、そして即応力というものは、委員が言われたように、自衛隊にしても、啓開、三陸まで道路がつながらなければなかなか現場に行けないわけでございますから、また、実力部隊ではありますけれども、どういうような作戦で対応するかという、その作戦というのはやはり国土交通省においてTEC―FORCEなんかが中心になってつくったわけでございますから、そういう意味では、私は、評価されてしかるべきであろう、こういうふうに思います。
しかし、これからのことを考えると、やはりああいう大規模な災害になってまいりますと、一地方整備局ではおさまらない。結果としては、あの東北震災においても、オール・ジャパンでTEC―FORCEも出しておりますし、機材なんかもオール・ジャパンで出しております。そういう意味で、直ちにオール・ジャパンで統合できるような、そういうような装置も必要ではないかというふうに反省もしております。
○山本(公)委員 今、オール・ジャパンということを言われましたけれども、まさにあのとき、ある意味で組織的にオール・ジャパンの体制をとれたのは自衛隊と国交省だけだと私は思っているんです。そういう意味において、これからもそういう体制をとっておくのが、この国の国土交通行政にとってみれば、言ってみれば大切なインフラだろうと私は思っております。
それと、もう一つおっしゃっていただいた、やはりあのときの大畠さんが偉かったのは、責任は全部自分がとるからと、どこかの総理大臣と違って、わからないことにしゃしゃり出ていくことはまずなかった。その辺は大畠さんは偉かったなと私は評価しております。
その中で、言ってみれば、さっき望月委員もおっしゃった地方整備局の、地方主権で廃止だというような話が随分出てきておりまして、実は私の四国なんかは、基礎自治体の首長さんは全員が残してくれという強い要望を持っております。もし四国に東北のような震災が起きたときに果たしてということを考えたときに、やはり四国地方整備局は残ってもらいたいというのが切実な首長さん方の思いなんです。知事さん方も、知事が四人おられますけれども、四国の知事は余り地方整備局のことはおっしゃいません。ほかのところについては言われますけれども、余りおっしゃいません。
そういう状況でありますので、先ほど来お話し申し上げたように、一朝有事の際に組織的にオール・ジャパンの体制をとれるのは、やはり整備局であり、また自衛隊だろうと思いますので、そういう観点からも、ぜひ大臣、国土交通省の思い、また国土交通省に期待をする地方自治体の思いをあらゆる場で出していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
何か、何十年以内に何十%の確率で起きますよというような報道が毎日のごとくされている昨今でございますので、地方も身構えております。身構えておる地方に対して、逆に不安になるようなことをあえて政府がする必要はないと思いますので、そういう観点からも、ぜひ国土交通大臣のお立場を強く前に出していただきたいな、かように思っております。
時間がないので、次々質問させていただきたいと思います。
今、東北で、高台移転ということで地元の復興計画が着々と表に出てきております。このことについて、実はちょっといろいろなことで聞きますと、では移転をされる方がもとの土地をどうやって処分するかという話がいろいろと地元で、何といいますか、解決策がないような情報が伝わってきております。
震災前の価格でどうですかという話もあるやに聞いておりますけれども、私は去年、伴野委員長のもとで、国土交通委員会でニュージーランドのクライストチャーチに視察に行きました。あそこは二月に大地震が起きたんですけれども。クライストチャーチのところの復興庁の、あれは次長だったと思うんですが、彼の説明を聞きましたときに、あそこではリーマン・ショック前の値段で買い取ろうとしているんです。つまり、一番高いときの値段で皆さん方手放していただけませんかというような提案をされているそうだと聞きました。
日本では逆に、震災前の値段であるとか、そしてもっとひどいところは震災後の現状の値段であるとか、そういうような話が伝わってきております。
本来のところは、やはり高台に移転するということが主たる目的であるならば、その移転費用も要るでしょう。もう国がある程度面倒を見るというつもりであるならば、ある種の、今のニュージーランドのような発想もあっていいのではないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○前田国務大臣 私自身は、国土交通大臣としてその範囲で申し上げるなら、公共事業用地を取得する場合の考え方に準じてということにどうしてもなります。
ただし、議員も言われておりますように、売却する被災地ですね、住民たちが今までいたその被災地の評価額というのは不動産鑑定士にきちっと評価をしていただくわけでございますが、その評価額というのは、今、例えば津波につかって全く価値がなくなっている土地の価格ということではございません。それが計画に従ってまちづくりをやって復興した場合にあるべきであろうそういう価格を現在価値に引き戻すというような手法でございますから、平均すると七割とか八割だとか、その程度の価格になるというふうにお聞きはしているところであります。
さらに言えば、要するに復興するわけですから、議員御承知のように、交付金であったりいろいろな対応策等をとっておりますから、トータルで考えると、とにかく個人の御負担というのはなるべく少なくするということになっております。
○山本(公)委員 やはり非常時なんです、復興の段階においても。あのときだけが非常時じゃないので、復興の段階においても非常時だという意識を持ったときには、ある種の剛腕がやはり喜ばれるときがあるんだろうと思います。こういう観点もあるということを、実際にやっている国があるわけですから、ぜひ参考にしていただければなというふうに思っております。
ところで、やはりこれは、復興地における話題になったといいますか、我々最初に聞いたときに、えっと思ったのは、いわゆる入札の不調問題です。
御承知のように、四国、九州、まあ全国各地といいましょうか、建設業は今大変な大不況にあります。仕事がない。たまに仕事が出ても、言ってみれば一般競争入札で激しい競争があって、なかなか利益の出るような落札価格では仕事が来ないというようなのが全国的な現状であるにもかかわらず、東北で、事情はよくわかります、いろいろな事情があるんだろうと思いますが、不調が起きてくる。この乖離は一体何だろうと思ってみたりしたのがあの瞬間でございます。
きょうは内田建設産業局長が見えていると思いますけれども、要するに、この問題は東北三県だけの問題ではないという意識を役所は持ってもらいたいんです。この問題はある意味で全国各地の建設産業に波及する問題なんだという意識を役所はぜひ持ってもらいたい。
今回、大臣の所信の中で、建設産業についてはたった二行書いてあります、たった二行。その二行、「建設産業については、国土を守り、生活を支える建設企業の再生や技能・技術の承継等を図り、その再生・発展に取り組んでまいります。」と書いてあるんです。
これは、東北三県だけのことじゃないと思います。東北三県も、実際問題、建設産業がかなり疲弊をしていて、ああいう状況が起きていて、大変今御苦労をされていると思います。政府として、これは東北三県だけの問題ではないですよね、全国的な問題ですよねという意識だけは持っておいていただきたいなと思います。ぜひお願いします。
それから最後に、道路問題についてちょっと、確認といいますか、お願いを申し上げておきたいと思います。
あの東北の震災の後、いろいろな方面から、東北の高速道路が生きていた、生きていた高速道路をうまく有効に使おうではないかという中で、無料開放という言葉で無料化をしました。その無料開放を最初にやった段階では大混乱を生じて、見直しをして、新たにまた無料開放という世界ができていったと思うんですけれども、これは、無料開放して、実際に東北の観光地や何かにお客さんがたくさん行きましたか、台数がふえましたか。道路局長、わかりますか。
○菊川政府参考人 お答え申し上げます。
今お話がありましたように、無料開放、昨年の六月二十日からスタートいたしまして、十二月からは三次補正の予算措置もいただきまして継続をいたしております。
観光などの観点から効果があったかということでございますが、実は、観光施設の入れ込み客数などについてはちょっとまだ十分なデータがないんですけれども、交通量という観点からはデータがございまして、無料開放の前と比較いたしますと、場所によって違いますけれども、平日で二割から八割程度交通量が増加するということで、多くの方々に御利用いただいているということで、地域振興にも一定の効果があったのではないかというふうに考えています。
ただ一方で、交通量が増加いたしますと、どうしてもやはり高速道路の本線での渋滞といった課題も出てきているという状況でございます。
○山本(公)委員 大臣、効果があったとするならば、もう間もなくこれは期間が切れますよね。今後、この扱いはどうされますか。
○菊川政府参考人 今ほど申し上げましたように、平成二十三年度の補正予算で今実施中でございますけれども、大変厳しい財政状況のもとで、平成二十四年度の予算については計上されておりません。
四月以降どうするかということにつきましては、避難者を対象にした支援などについて今やっております措置の見直しを含めて、今、高速道路会社と相談しながら検討している状況でございます。
○山本(公)委員 まだまだ、あの東北の現実を見るときに、全くゼロという世界はちょっと乱暴過ぎるかなという気が私はいたします。さりとて、全国的な一つの不公平感という観点からいくと、ある種の道路というものに対する料金体制というのは今後も見直していかなければいけない状況になってきておりますので、その辺のことについては、根本の背骨だけはしっかりとしながら、四月一日以降、東北の現実に即した一つのいい方法をぜひ考えてもらいたいなというふうに思っております。
○前田国務大臣 今、道路局長がお答え申し上げたとおりでございますが、三党協議というのがございます。それに沿って、二十四年度については予算計上はしておりません。
ただし、有識者会議がずっと検討してくださって、今後の有料道路の料金のあり方についての中間報告といいますか、そういったものを出してくださっておりますから、そういうものも踏まえて今後検討を続けてまいりたい、このように思います。
○山本(公)委員 大臣が言われたように、国交省の有識者会議でも高速道路の料金体系についてはさまざまな提言がなされていることは承知をいたしております。
いずれにいたしましても、ある意味からいったら、さっき冒頭申し上げましたように、国土交通行政の大転換を図らなきゃいけない、もうそういうときに来ているんだろうと思います。八ツ場のダムにしたって、八ツ場のダムをやめることによって、ひょっとしたら一朝有事の際に大惨事が起きるのではないかという議論さえあります。さまざまな高速道路も、同じように、避難路として、また堤防として、いろいろな役割を果たしたということが東北の教訓の中に入っております。
そういう中で、全国的にはミッシングリンクがまだまだあるという状況でございます。私の選挙区ではありませんけれども、高知の太平洋に面したところ、この間からえらい騒がれて、大変大きな津波が来るであろうと言われておるんですが、あそこは高速道路がないんです。切れております、ぶつぶつに。ああいうところに高速道路があったら、多分、そのとき起こるであろう被害は最小で済むのではないかという東北の経験もあります。
そういう意味において、もろもろ含めて道路というものの料金体系というのは全国的にやはり見直していただきたいなと。かつては、道路公団のときは、そろばんに合うとか合わないとかの議論でしたけれども、そういうことじゃないですよね。道路というのは、必要であるならば税金を使ってでもつくっていくのが本筋ですよねということは、やはり東北の教訓だろうと思います。ぜひその観点からも頑張っていただきたいなと思います。
最後に、この前、大臣の所信を読んでおりまして気になったところが実はやはりありまして、「海運・造船分野においては、革新的省エネ技術の導入等を図るなど、世界有数の海運・造船国として国際競争力を強化してまいります。」これもたった二行なんです。今、海洋国家日本において海運、造船がどういう状況になっているかというのは、大臣御存じだろうと思います。もう戦後最悪に近いような状況に今この両業界はあります。
私のところには、選挙区ではありませんけれども、今治造船があります。多分、三年先ぐらいしか船台は埋まっていないだろうと思います。どんどんその先がキャンセルになって、三年のうちにも、もうキャンセルした方がいいといってキャンセルするオーナーさん、船主さんもいらっしゃる。そういう状況で、造船会社も非常に今苦しんでいる。
日本は海洋国家なんですよ。海洋国家から船が、商船隊が疲弊していなくなる、造船所もなくなる、それはやはりおかしいと思うんです。私はずっと言ってきたんですけれども、国家において保護すべき産業というのがあると思うんです。日本という国は、海洋国家、島国。であるならば、国家において何らかの、保護をするという表現がいいかどうかわかりませんけれども、育成するでもいいです、そういう観点が海運、造船の分野にはあっていいんだろうと思います。ぜひ大臣、お心にとめておいていただきたいと思います。
○前田国務大臣 実は、国土交通大臣は、海洋政策担当大臣も兼ねております。
きのうの夜、海洋関係の秋山会長さん、それと放送大学の來生副学長、この方も審議会の座長か何かをやってくださっていますが、お二人に来ていただいて、幹部を集めて勉強会をやりました。
要するに、海洋基本計画の改定の時期が近づいてまいっております。そういう中で、海洋こそ日本の立脚する基盤でありフロンティアであるという観点から、今申された造船から商船隊から離島から、国土交通省がかかわる海事、港湾、海岸、非常に幅広いところを所管しております。そういった意味で、まさしく共有するものを持っておりまして、さらに進めさせていただきます。
○山本(公)委員 ありがとうございました。終わります。
○伴野委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 大震災から一年、被災地の復旧復興に欠かせない被災鉄道のうち、JR線の復旧整備が進んでいません。三陸鉄道は国が支援し復旧のめどは立ちましたが、JR線はまだはっきりしていません。
きょうお配りした資料一を見ていただきたいと思います。黒い実線がありますように、JR山田線、大船渡線についてです。
JR社長らが、軌道を舗装してバスを走らせるバス高速輸送システム、BRTにしたいという旨の発言を行っています。これが鉄道の復旧をやめるという趣旨ならば、私はけしからぬことだと思います。地元の岩手県や市町村は、鉄道の復旧を粘り強く要求しています。特に強く要求していると言えましょう。そして、JRの姿勢に、BRTでの仮復旧が恒久的な措置になりかねないということで反発をしています。
国交省はこの問題をどう把握し、これまでどのように関与してきたのか、報告願いたい。
〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕
○久保政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の山田線、大船渡線につきましては、基本的には鉄道事業者が鉄道による復旧を決定するんですが、まずは安全ということが最重要課題だと思います。すなわち、津波に対する鉄道の安全運行の確保が最優先課題であって、そのために具体的な検討を進める必要があります。
そういう状況にありますので、私ども国土交通省といたしましては、大船渡線、山田線の復旧に向けて、沿線地方自治体、JR東日本会社、東北地方整備局、東北運輸局から成る復興調整会議を設けまして、その場を活用して、早期復旧に向けた自治体とJRとの調整を私どもとしても支援してきたところであります。
○穀田委員 その復興調整会議ですけれども、山田線、大船渡線についてはいずれも十一月に会議を行ったきりで、本来二月に引き続き開催されるべしというのが、いまだ開かれていないわけです。
そもそも被災地の復旧復興のまちづくりというのは、地元市町村の復興計画に基づいて行われ、それを国が支援する、こういうスキームになっているわけですね。鉄道がある地域はどこでも、駅を中心に市街地が形成されてきました。復興まちづくりを進める上で、駅は欠かすことができません。陸前高田市は、線路を陸側に変更してJR線を再建する。大船渡市は、従来のJRの線路と同じ場所で、線路敷部分をかさ上げして第二堤防の役割を果たさせ、その陸側に町を形成する。大槌町も、JRを中心にして集合住宅、商店街を再建する計画になっています。
今局長からお話があったように、いずれも、安全のことを考えながらどうしてまちづくりを進めていくかということで議論して、計画をつくっています。いずれも、鉄道駅を町の玄関と位置づけた復興計画を既に練っています。これがそれであります。
例えば大船渡市などでいいますと、大船渡とそれから盛という鉄道の路線を中心にまちづくりを進める。それから高田市も、大体、線路を移動して、今までは海沿いだったものを上の方、陸側にやって、いずれもそういう形で安全対策を考えながら復興計画を練っています。ですから、その中心的な鉄道の復旧がなければ、こうした復興計画は成り立たない。
政府は、このようなまちづくりと一体になった鉄道を含む市町村の復興計画を支援する、そういう意味で復興交付金など予算をつけたはずです。そうと違うんですか。その辺の基本的姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
○久保政府参考人 先生御指摘のように、鉄道の復旧に当たりましては安全運行の確保が最優先でありまして、そのような観点から、防潮堤の整備だとか、御指摘のような町自身のかさ上げ、あるいはルート変更、奥地、内陸部へ振るといったようなこと、また、ソフトでは避難路の整備等の対策が必要でありまして、そういう要否について詳細な検討を行った上で、町の方でも、今先生からお話しのように一定の方向でプランは練られているんですけれども、周辺と一体となった鉄道の具体的な復旧計画を策定する必要があります。
現時点では、これら路線については、確かにおっしゃるように一定の方向のプランは出されているのでありますけれども、具体的な復旧計画がまだ描けていない箇所がございます。そういうことから、そこの詰めを急ぐ必要がある、このように考えております。その上でさまざまな支援が考えられるかと思います。
○穀田委員 さまざまな支援というお話がありましたけれども、描けている部分が全面的に、全部できるというようなことはないですよ。今、徹夜で地元の市町村は仕事をして、プランを上げては査定庁と呼ばれるところで蹴られたりしているという実態もありまして、本当に大変な仕事をしているわけですよ。
陸前高田市で、我が党議員の、復興計画と公共交通におけるJR線の重要性はいかんという質問に対して、市当局は次のように答弁しています。真の復興には、個々の町の再建とともに、町と町をつないで人や物の流れを再生する地域連携が重要であり、生活再建、産業復興、流通網の強化、域外の交流など、鉄道復興の果たす役割は大きく、また、交通弱者と言われる住民や沿岸地域を訪れる観光客にとっても必要不可欠、このように答弁している。まさにそのとおりなんです。
前田大臣は記者会見で、JRの駅はまちづくりの中心になる施設、まちづくりの支援を通じて相当の支援ができると答えています。線路を従来の場所でかさ上げする、陸側に移転して再建する、駅を中心に市街地化を進めるなどはまちづくりの話であります。したがって、一体となったまちづくりを支援するのか支援しないのか、そのことの根本が問われているわけです。その辺は大臣、いかがですか。
○前田国務大臣 一体となったまちづくりを支援したいと思います。
○穀田委員 一体となったまちづくりを支援する、これはとても大事な観点だし、答弁だと私は思います。
そこで、先ほど一番最初に述べたJRの鉄路の復旧問題については、何が問題の焦点か。それは、JR東日本が鉄路再建を渋っていることにあるわけですね。国は、JRの事業者としての責任を問い、まず鉄道路線の復旧、鉄路再建を明確にすることだと私は考えます。
大臣は、先ほど述べた会見の前半でこうも言っているんですね。やる前から見通しのつかない将来のことについて言うよりも、まず一歩でも二歩でも進めていくことが重要、こう言っているんですね。私は、住民の気持ちを逆なですることだと思うんですね。だって、見通しのつかない将来じゃないんですよ。こういう見通しをしようといって、みんな計画を練っているんですよ。そのときに、将来は必ずやりましょうねという見通しが必要なんですよ。
陸前高田の戸羽太市長は、JRに対して、暫定的だというお話、つまり、BRTが暫定的だと言っているわけですわな、一応。そういうことも言っているわけですから。そういうお話だったので、じゃ、十年後なら十年後に必ず鉄道を復活しますと一筆書いていただいたら私たちは市民に説明しますと言ったら、それはできませんと明言されましたと述べておられるんですね。JR東は、こういうときだけは暫定的だとかいろいろ言っているけれども、肝心なところは明言しないんですよ。こういう問題がある。
私は、JRの態度は、大臣が言っている、まず一歩でも二歩でもなどという話が通用するものでないと。大体、この間JRは何をやっているかということで聞いてみますと、JRのバス代替運行がひどいんですね、これも。高校生が通学する際に、学校の目の前にバス停があっても、JR東日本が駅のかわりのバス停と指定していない場合、通学定期が使えずに一キロメートル先のバス停でおりる不便だとか、すし詰め状態、こういうことがずっとあるわけですよ。このような対応に住民から批判が起きて、JRの言動に不信を持つのは当然ではありませんか。
まして、今のまちづくりの計画が、将来の鉄道建設を前提に既につくられているわけです。先ほど局長は、まだ不十分なところがあるとか抜けているところがあると言っているけれども、大枠はもうできているんですよ。ですから、そういう意味で、必ず鉄道は再建しますということさえはっきりすれば、それまでの期間についての公共の足の確保をどうするかということは広く議論できるんですよ。
私は、国交大臣としてJRに鉄道路線の復旧、鉄路再建を迫るべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○前田国務大臣 穀田委員の今の御指摘の中、高等学校の前のバス停留所でとめないで一キロ先。もともとあったんですか、一キロ。そういうのは初めて聞いたわけでございますが、こういうのはちょっと鉄道事業者としておかしいと思いますね。
今の穀田委員の御指摘でございますが、ここの陸前高田は、あれだけ非常に悲惨な被災をこうむったところであります。そして、大船渡市。一体性のある地域ですね。だから、そこをちゃんとつなぐ公共交通、特に鉄路というものは確保するべきだと思います。
今委員の御指摘等もありますし、私自身も調べてみますが、あの地域の鉄路の確保、そういったことについてはJRにも大きな責任があるわけでございますから、その辺はよく確かめた上で指導をいたします。
○穀田委員 もちろん、この問題については県議会で議論になって、若干の改善はされているわけですよ。だけれども、そういうことをやっているということ自体が不信を生んでいて、要するに、あの人たちは肝心なところを、再建しますと、十年後なら十年後、十五年後でもいいですよ、そういうまちづくりとの関係で一体となったこれをやっておるわけだから、そういうものに応えてやりますというのがないのは指導せなあかんということを私は言っているんですよ。
私は、JRが鉄路を復旧できない理由は全くないと考えています。先ほども述べましたが、大臣は相当の支援ができると言っているわけですから、JRに何でもかんでも全額負担させるというわけではないわけで、線路施設など、ほとんど公費で賄われることもあり得るわけですね。そうした場合、上下分離方式と変わらぬわけであります。
まず、JRは、東日本大震災発生後の四月、被災した東北沿岸七路線については全て復活させる、それから、被災地の復興やまちづくりと一体になって進めていくと表明しているわけですよ。そういうみずからの言動に反すると私は思います。
それから、私、きょう、JR東日本が発行している「トランヴェール」という雑誌を、新幹線に乗りましたらたまたまあったので持ってきました。そうしたら、何と書いているか。これはこういう雑誌なんですよ。
「全国からの応援に応えて完全復旧の道を進む」、どこのことかなと思ったら、「三陸鉄道[北リアス線]」と書いているんですね。そして、文章は、「今年四月には、陸中野田〜野田玉川間の線路も再建され、分断されていた鉄路が田野畑までつながる予定だ。 全線が運休している南リアス線も、今年四月から一部で運転が再開され、平成二十六年には全線の工事が完了する予定だという。」こんなふうにしてJR東日本は大々的に北リアス線の宣伝をしているんですよ。
だったら、皆さん、JR東日本というのは、三陸海岸のすぐれた自然景観を岩手の観光地としてアピールしたいという思いで復旧歓迎と書いたんでしょう。せっかく紹介するんだったら、その先のみずから経営している路線もつなぐようにしていますと言うべきじゃありませんか。ここからは途切れて、JR管理のところはバスですよというわけにもいかぬでしょう。つないでこそJRにもプラスになるわけです。
したがって、被災自治体も被災地住民も望んでいる鉄路の復旧は、公共交通機関であるJRの社会的責任。先ほど大臣も責任があるとおっしゃっていましたから、この問題は、やはり明確に相手が、少なくとも鉄路の復旧については、先ほどありましたように、しないと明言しないというんじゃなくて、すると明言するまではっきり詰めてもらうということを望みたいんですが、いかがですか。
○前田国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、やはりこの三陸の鉄路をつなぐということは復興にとって非常に重要なことだと思いますから、その方向で指導をいたします。
〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕
○穀田委員 きっぱり指導していただきたいと思うんですね。
この問題というのは、先ほど述べたように、見通しが立たないというんじゃなくて、まさに住民はその見通しを求めているわけですよね。将来の希望の光が見える、将来はこういう方向なのだということを確定することが皆さんの復興への意欲をかき立てるわけですね。その意味からいっても、これは決定的だと改めて指摘しておきたいと思うんです。
そのことを確認した上で、次に、整備新幹線の未着工区間の問題と在来並行線問題について述べたいと思います。
整備新幹線の未着工三区間の新規着工を今、決定しようとしています。昨年末、財源の手当てはつきましたけれども、収支採算性、投資効果、JRの同意、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意など、残りの条件について有識者を入れて検討中と言われています。三月中には着工の方向で結論を出したいとしています。
そこで、聞きたいと思うんです。北海道新幹線札幌延伸の件です。
北海道新幹線は、現在、新青森から新函館まで工事中ですが、新函館から札幌まで延ばそうとしています。資料二を見ていただきたいと思います。薄い四角の点線で示しましたが、そのルートは、長万部、倶知安、小樽を通って札幌へ向かいます。つまり、在来線の函館本線に沿ったルートになります。
未着工区間の着工を認可するには、並行在来線をJRの経営から分離することが条件の一つになっている。この函館から札幌までの在来線はどうするのかということについて、扱いは決まっているのですか。
○津川大臣政務官 お答えをいたします。
先生からは決まっているかという御質問でございますが、回答としては、決まっていないという状況であります。
ただ、ちょっと御説明させていただきたいと思いますが、この未着工区間につきましては、総務大臣政務官、財務大臣政務官と国土交通大臣政務官の三政務官によります整備新幹線問題調整会議というものを開催しておりまして、関係する方々あるいは有識者の方々からの意見聴取等々いただいてきたところでございますが、その中で、JR北海道の当時の中島社長から、整備新幹線の未着工区間であります新函館―札幌間を営業主体としてJR北海道が受け入れるときには、函館本線の函館―小樽間を経営分離したい旨の意向の表明があったところでございます。
現在は、そういった意向を受けて、関係自治体、地元で協議をいただいているという状況でございます。
○穀田委員 では、もう少し具体的に聞きたいと思います。
今話がありましたけれども、函館本線の函館から札幌までの区間というのは、どう見たって新幹線ルートに並行して走っているというのが、在来線が走っているのが見えますよね。誰が見たってそうですよね、これ。
この中で、では、小樽―札幌の区間というのはJR北海道から経営分離するという方向なんですね。
○津川大臣政務官 函館から小樽までが経営分離ということで意向表明されておりますから、札幌―小樽間についてはJR北海道が引き続き経営をするということが言われているところでございます。
○穀田委員 逆に言えばそういうことなわけですよね、要するに。
私、おかしいと思うんですよね。地図を見ていただくとわかるんですけれども、函館から札幌まで、新幹線のルートはほとんど在来線と並行なんですね。これは誰が見たってわかるんですよ。なぜこの区間だけ分離しないのか。結局、この区間が黒字路線、ドル箱路線だということかと。津川政務官のお話では、函館から小樽まではというような話をしたとき、逆の方の話をしているんですね、私の方は。そこは、要するにもうかる場所だ、ドル箱路線だからということで、しないということですか。
○津川大臣政務官 これはJR北海道からの意向の表明でありますので、私どもとして説明を受けたことを御説明させていただきますが、まず、この小樽―札幌間というのは、いわゆる札幌の都市圏の輸送を担っている。列車の運行も、札幌、小樽、それから千歳空港の方面あるいは岩見沢の方面、こういった方面の札幌都市圏の運行ということを一体的に、実際に列車の運行も行っているということでございます。
それに加えまして、JRからは、特にこの札幌圏の運行については、拠点、車両基地、これが札幌と小樽の途中にあります手稲の付近にあるということもありますので、この札幌―小樽間については引き続きJRで経営分離をしない形で営業をしていきたい、こういう説明をいただいたところであります。
○穀田委員 もしそういう説明で納得しているとしたら、要するに、都市間の運行だということが大きな理由なんでしょう。簡単に言うと津川さんの説明はそうですよね。いや、津川さんの説明というよりは、相手の説明がそうだということを津川さんは言っているわけだけれども、それで納得しているとしたら、私、ちょっとけったいな話やなと思うんですね。
新幹線の新函館から在来線の函館区間というのは、これは地図をよく見ますと、ぐりっと回っておって、これは並行していないんですね。地図を見たらわかりますけれども、並行していないんですよ、ここだけはぐりっと回っていて。それなのに、JR北海道から経営分離すると言われている。だから、誰が見ても並行している小樽―札幌間は分離せずに、新函館―函館間は並行していないのに分離する。どう見てもおかしい。
そもそも誰が経営分離する並行在来線だと決めるのかということについてお答えください。
○津川大臣政務官 まず、私の考え方か会社の考え方かと先ほどありましたが、先生のおっしゃる問題意識は、私も実は十分によくわかっております。
ただ一方で、並行在来線というものの考え方でありますが、これは従来からの話でありますが、実は具体的に定義があるわけではないところであります。要するに、経営分離をすることとなるものがどういったものであるのかという考え方についてはこれまで整理をしてきたところでありますが、一つには、今先生から御指摘があったように、まさに物理的に並行している区間というものが一つあります。もしくは、JRの旅客会社が現に経営をしている鉄道区間のうちに整備新幹線が開業することで旅客輸送量が著しく低下することが見込まれる路線という、この二つのどちらかということが一つ考え方として整理をされているところであります。
その上で、同一のJR旅客会社において整備新幹線と在来線の経営が二重投資になる在来路線、こういったものが並行在来線に該当するのではないかというふうに考えられるところでありまして、函館と新函館間というものが物理的に並行していないではないかという御指摘であります。これはJRの考え方でありますが、JRの考え方としては、在来線の特急の需要というのがこの区間の需要の中心であって、まさに札幌から函館まで走るJRの現在の在来線の需要が新しく整備をされる整備新幹線に大きくシフトをする区間、そういうふうに説明を受けたところであります。
○穀田委員 今の話を聞いて皆さんわかるように、要するにJRの言い分で決まっているということなんですな、簡単に言うと。あれやこれや言っているんだけれども、JRが著しく困るようなことがあればと。要するに、何でもJRの判断で決まるということですわな、簡単に言えば。私はやはりおかしいと思うんですね。
今話があったけれども、つまるところ、新幹線をつくることによって影響を受ける、影響を受けるということはもうからなくなる。だから、もうかる路線については継続するけれども、もうからない路線は切り離す、簡単に言えばそういうことなんですよ、あれやこれや言うけれども。要するに、最初に物理的に並行しているとか言うけれども、次の方で言っていたように、JRがそのことで著しく打撃を受けたり損をしたりするようなことがということなんでしょう。だから、JR北海道のさじかげん一つで決められるということなんですね。私は大変身勝手な話だと思うんです。
そもそも、新規着工の条件にこんな身勝手をさせる経営分離をなぜ入れたのかということについて簡潔にお答えいただきたい。経営分離の仕組みを入れたのはなぜか。
○津川大臣政務官 一つには、これから整備新幹線を整備していくに当たりまして、これを営業主体であるJRに同意していただく必要があります。その際に、現在経営をしている並行在来線との関係というものについて、JRで、これはまさに企業として判断をしていただく必要があるというのがまず一つであります。
ただ、今先生の御指摘の中で幾つかございましたが、仮に赤字であれば全て切り離していいというふうに必ずしも単純に考えているものではありません。実際に、過去の整備新幹線の開通のときにも、全て経営分離をしてきたというものではないというのがまず一つ。
それから、私どもも、そういったJRの同意と、加えて関係自治体の同意というものも当然重要であるというふうに考えております。手続上は、国土交通省として決定をした後にJRあるいは関係自治体の同意をいただいていくという作業でありますが、先ほど申し上げましたように、整備新幹線問題調整会議、あるいは国交省政務三役によります整備新幹線問題検討会議におきまして、このJRの経営分離の考え方、あるいは関係自治体の同意、関係自治体が同意をされるということは、分離をされた鉄路についての運営のあり方についても含めて国交省として判断をしてまいりたいというふうに考えておりますので、JRの身勝手によって全て決定するものではないというふうに考えております。
○穀田委員 仕掛け、仕組みの話をしているんですよ。同意があるというのは、そんなことは知っているんですよ。だけれども、仮に赤字があればなんて言っているけれども、それは当たり前ですよ。鉄道というのは全部、いろいろあって赤字もあり黒字もあり、プールでやっているわけですよ。それは要するに、黒字路線を放さないというところに特化している実態が北海道の場合あると。しかも、ほかはやはり切っていくということなんですよ。事実じゃないですか。
そして、事は、JRにとって過重な負担かということなんですね。経営分離された路線を担わなければならなくなるのは、利用者である住民や自治体なわけですね。経営分離対象になった地元ではどういう状況か。
函館市や小樽に近い余市町など、沿線住民の反対運動が広がっています。函館市では、経営分離の合意に反対する署名が十一万人も集まっています。時間があれば十八万、十九万集まったと町内会連合の方々も言っているほどなんですね。まさに全住民規模で集まっています。ニセコ町でも余市町でも、有権者の過半数が在来線の存続を求めています。余市の町議会では、経営分離の同意に反対する決議まで採択されていますね。
ところが、こうした住民の声を受けて経営分離に同意しなかった余市町長などに対して、同意しなかったら札幌延伸が認められない、潰す気か、こういった北海道知事や周辺から恫喝まがいの圧力がかけられて、苦渋の選択で同意を表明しているようなありさまなんですね。だから、何かというとすぐそういう話をするけれども、実態はそうなっているんです。
だから、私は、JRにとってまことに都合のいい、身勝手、津川さんは何かというと身勝手じゃないと言うけれども、まさに身勝手じゃないですか。住民や自治体に負担を押しつける、そういう経営分離を条件にするということはそろそろやめるべきじゃないのかということを言っている。
大臣、その辺どうですか。
○前田国務大臣 整備新幹線の認可の条件として、五条件ですか、あって、その中の一つの重要な基本的な条件でありますから、事は北海道だけにはとどまらないと思うんですね。そういう意味では、こういう条件をつくったときの背景等も踏まえて考えると、特にJR北海道の場合には、必ずしもJR東だとかとは違う、経営的に非常に難しい面は抱えていると思います。
加えて、サービスすべき範囲というのは非常に広く、しかも、先ほど来の議論にもありましたように、公共交通として非常に大きな役割を持っていると思うんですね。だから、そういう意味では、持続性ということを考えると、確かに余り過重な負担を強いるようなことをすると持続性という意味でいかがかなというようなこともあって、この五つの条件というのはあらゆる整備新幹線の条件になっておりますので、これは守っていただきたいと思います。
しかし、地元のことについては、在来線をどういうふうに維持するかということについては、これはまた国としてできるだけの支援は講じていきたい、このように思っております。
○穀田委員 最後の方に言っているのは、在来線の方の援助はいろいろしますからというような話になるんだと思うんだけれども、そういう仕掛け自身がおかしいのと違うかと私は言っているんですよ。
というのは、政権交代直後、前原大臣は、並行在来線の経営分離の前提について、現在のあり方はJRにはリスクが低い、いい話だった、覚悟をJRにも求めていかなければいけないということを二〇〇九年の十二月に言っているんですね。
つまり、その負担が大変だと言うけれども、では、JRにとって負担が大変だというんだったら、その負担はどこに持っていくかといったら、結局それは、ずずずずっとこうやって住民と関係自治体が負担するという構図になるわけじゃないですか。そっちは大丈夫なのかということで、その仕掛け自身が私はおかしいと思うし、当時、今述べたように前原大臣もおっしゃっていて、並行在来線の経営責任を自治体だけでなくJRにも負うように求める考えを示していたじゃありませんか。
小樽―札幌間はドル箱だから経営分離しないという、JRにとっては典型的ないい話じゃありませんか。経営分離はJRに赤字路線の切り捨てを認め、もうけを保障する優遇策でしかないと私は考えます。経営分離を前提にすることをいよいよやめるべきだと思うんです。
私は、地域住民の足を守るのは国と自治体の責任であって、公共交通機関であるJRの社会的責任だと。先ほど私は東北の話をしましたけれども、そういう社会的責任なんだ。並行在来線の経営は、JRと自治体に加えて、国が責任を持って経営に当たる仕組みをつくるべきじゃないかと考えますが、そこはいかがですか。
○久保政府参考人 並行在来線を含めまして、地域鉄道を守っていくということは、先生からもお話があった件ではありますけれども、その維持や経営の安定化を図るということが重要な課題であるということは私どもも認識しています。
その観点で、先生は御指摘もされていましたけれども、今年度から支援の強化をしているところでありますけれども、さらに引き続いて、住民の足を守るという観点から、並行在来線の支援については今後も適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○穀田委員 いつも最後に、適切に対処してまいりたいと思いますと。違うんです。私は、仕掛けが間違っておると。
いつも前提条件なんですと言うんだけれども、そんな前提条件をいつつくったかというと、自民党の時代に政府と与党の合意でつくられた話にすぎないんですよ。ですから、そこの根本を見直すべきだと。
当時、政権交代のときに、それらも含めておかしいんじゃないかとあなた方は言っていたじゃないか。それを見直す結果にはならなかったですよ。私は、そこが結局だめなんだと言っているわけですよね。
だから、JRに対しても、整備新幹線の整備に関する基本方針の中で、「並行在来線の維持のあり方」という文書をつくっていましたよ、政府は。その中にも、JRについても経営分離後の並行在来線の維持のために協力と支援を求めていくということを言っているわけですから。
そういう意味でいうと、では聞きますけれども、JRに並行在来線の経営についてどういう協力を要請して、JRはどういう協力をすることになっているんですか。
○久保政府参考人 並行在来線に対しての支援のスキームとしては、例えば、経営分離後の安定的な経営のために、要員の派遣をしてもらうとか運行面での協力をするとか、これは過去において整備新幹線に伴う並行在来線について第三セクターに対しての支援を行ってきておりまして、そのことに対して、私どもとしてもJRに対して指導をしてきたところであり、今後ともそのようにしたいと思っております。
○穀田委員 だから、JRがどういう協力をするのかというのは非常に話が小さいんですよ。金の話というのは国が支援するという話が出るんだけれども、JRにどうさせるんだという話になると、話が物すごく曖昧で小さくなるという、これは皆さん聞いていておわかりいただけると思うんですね。ここが問題だと言っているんですよ。
最後に、私は、ほんまに今、整備新幹線の着工自身を急いでやらなければならないかという疑問を呈しておきたいと思うんですね。
社説では、「着工ありきでなく十分検証を」、これは読売です。「人からコンクリートへ」「新規着工の無責任さ」、これは毎日で、「優先度が高い公共事業か」、こういう批判的論調が出ています。「厳しい財政状況下で消費税を増税しようというときに大型公共事業を始めるというのでは説得力を欠く。」これは南日本新聞です。九十八の空港、格安航空会社の就航など「既存の交通インフラの活用策と合わせて考える必要もある」「今後、老朽化したインフラの維持・更新費が増えるのは避けられないだろう。それだけに新規に着手する事業は徹底的に絞り込む必要がある。」これは日経なんですね。
ですから、大体、未着工区間というのは、先ほど言いましたけれども、〇八年の十二月に麻生内閣のときの政府・与党合意で決めたわけですね。当時、これに対して、政権交代で前原さんは、全くの白紙、自公政権の政府・与党合意にとらわれず整備新幹線のあり方を決めていきたい、ここまで表明しているんですね。ですから、要するに、あのとき約束したことは百八十度変えたということなんですよね。だから、私はそこを問題にしています。
ですから、既にこの間、大臣と予算委員会で、新規の問題についてもさまざま議論をいたしました。私は、この三区間の新規着工を認可するというのは、三兆百億円の大型開発事業を復活させることだと。したがって、費用対効果も乏しく、既存の交通インフラとの調整をどうするかなど曖昧なままやるやり方については、急ぐべきでないということについて最後に申し上げて、終わります。
○伴野委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
きょうは質問順の御配慮をいただきまして、委員長、皆様方各位の御配慮に感謝を申し上げたいと思います。
先日も予算委員会の分科会で気象庁のことを取り上げさせていただいたんですが、きょうもちょっと気象庁に関連して幾つかお伺いをしていきたい、こういうふうに思っております。
三月九日に気象庁が一つの発表をしております。三月十一日、震災から一周年のちょうど二日前に当たります。「東北地方太平洋沖地震を含む津波観測データの分析調査を進めてきた結果、津波発生の監視モニターに利用していた沖合の水圧式津波計を津波警報の発表へ活用する暫定的な技術の目途が立ったことから、平成二十四年三月九日より、津波警報への活用を開始します。」こういう内容であります。
沖合の海底に設置されているケーブル式の水圧計の津波観測データを使って、より迅速かつ的確に津波警報の発令を行っていこう、こういう趣旨だというふうに思います。
これは一見、聞くと、震災を契機に津波観測と警戒体制の充実が図られたようにも感じられます。最初に出た警報が六メートルとかで、それでたかをくくって逃げなかった方々が多く犠牲になったことを考えると、国民の生命を守るという点で、よいことのようにも感じられます。これはそうなんでしょう。
しかし、ちょっと待てよというふうにも思うんです。逆に言うと、気象庁は、せっかく設置している水圧式津波計を監視モニターだけにしか使ってこなかった。監視モニターというけれども、つまりはモニターですから、ただ見ているだけだということではないんですか。なぜ、津波規模の予測や津波警報発令への活用がこの水圧計で行われてこなかったんですか。お伺いをしたいと思います。
○羽鳥政府参考人 お答えいたします。
震源域近傍に設置された沖合水圧計の観測データにつきましては、津波による海面の変化以外に、例えば地震による海底の揺れや、海面と海底の間を反射する海中音波による水圧変化などのノイズが混入いたします。このため、ノイズを除去する技術が必要でございました。このことから、これまで、震源域より離れた場合において、津波の有無の監視のモニターに使用してございました。
さらに、水深の深い地点で観測した津波の高さは、一般的に、沿岸に来襲したときよりもかなり小さいという特徴がございまして、沿岸での高さを適正に推定することが技術的に求められてきました。
これらの二つの技術が東北地方太平洋沖地震の際には確立していなかったということがございまして、震源域付近にあった沖合の水圧式津波計を津波警報の切りかえには活用することができませんでした。東北地方太平洋沖地震では、震源域近傍において、水圧式津波計で、大きな津波とともに地震による海底の揺れ、さらに海中音波等による水圧変化を初めて捉えた例でございます。
気象庁では、今回、この津波観測データの分析調査を進めた結果、沖合の津波計につきまして、そのノイズを除去する技術、沿岸での高さを推定する技術についてめどが立ったということで、先生御指摘のように、今月九日から津波警報への活用を始めることとしたものでございます。さらに今後、関係機関とも連携して、沖合津波観測網の強化に努めるとともに、沖合津波計の津波警報への活用技術の改善に努めることとしています。
また、今般二月七日に、有識者を交えた検討会より、津波警報のあり方について提言をいただいたところでございますが、この提言に沿って、例えば水圧式津波計あるいはGPS波浪計などの沖合津波計の観測データを新たな情報として独立して発表し、利用者に伝えることとしています。
以上でございます。
○柿澤委員 GPS波浪計については、他の委員会での質問で、これをなぜ今回活用できなかったんだ、こういうことが既に指摘をされています。ノイズを除去するための技術がその時点で確立していなかったのだ、こういうことを、いろいろと前置き等を置いて御答弁されたんだというふうに思います。
確かに、気象庁の津波警報改善に向けた勉強会というものの資料を見ますと、水圧式津波計から津波観測データを入手し、参考として利用していたが、それらのデータを使って津波を評価し、具体的に量的に警報に反映させる手法が確立していなかったため、津波警報の更新にはつながらなかったというふうにあります。しかし、政府の地震調査研究推進本部の資料等を見ますと、このことは既に平成二十一年四月の時点で、海域で観測された津波データの即時利用ということで議論の俎上に上っている話なんです。
平成二十三年、現実に震災が起きて、津波に多数の人命が失われて、そうしたら今度は一年足らずで津波警報への活用技術が確立しました。これは、気象庁がそれまでやらずに来たことを、震災が起きて慌てて検討して実施ができるようになった、こういうことじゃないんですか。お伺いします。
○羽鳥政府参考人 お答えいたします。
気象庁としましても、気象研究所等でこれまでも研究開発を進め、沖合の津波計のデータから地震等の規模の推定をする技術というものを進めてございましたが、今般の事例を参考にしまして、暫定的に当面の利用という手法を開発しまして、今月の九日から活用することとしたものでございます。
○柿澤委員 この津波警報改善に向けた勉強会というのを気象庁がやったのも、結果として、震災発生直後に正しい規模の津波警報が発令できなかった、こういう認識に立ってのものだというふうに思うんです。その点で、結局、検討に着手してみたら半年ぐらいで警報への活用手法というのが暫定的にめどがついちゃう、こういうものだったとすれば、私は、この震災発生前になぜこれが実現して、そして活用されなかったのかな、こういうふうにやはり思ってしまうんです。
続けますけれども、今回の震災では、今申し上げたとおり、当初は地震の規模もマグニチュード七・九と発表されました。その二日後になって、マグニチュード九・〇の超巨大地震でした、こういうことで引き上げられたわけです。修正差一・一というのは、これはもう全く違う規模の地震であると言っても過言ではないと思います。津波予測というのは発生直後に計算をされるわけですから、当初はマグニチュード七・九で計算をされていた。だから、実際より低い、例えば六メートルとかの津波警報を出すことになってしまったんだというふうに思うんです。
先ほどと同じ、津波警報改善に向けた勉強会の資料を見ますと、「地震発生約十五分後に計算されるモーメントマグニチュードを使って精度の良い津波予測を行い、津波警報の続報を発表することとしていたが、今回の地震波はモーメントマグニチュードを求めるための地震計の測定範囲を超えたため、モーメントマグニチュードを計算することができず、津波警報の続報を迅速に発表できなかった。」こういうことが記されています。これはどういう意味ですか。
○羽鳥政府参考人 お答えいたします。
地震波には、周期〇・一秒から数秒といった、通常我々が経験する、あるいは建物に被害を与えるような比較的短周期の揺れと、周期数十秒から数百秒といった、体に感じないような極めて長周期の揺れがございます。
気象庁では、速報的に発表することにすぐれている短周期の地震波から気象庁マグニチュードと言われるものを計算しまして、地震発生後三分程度で津波警報を発表するということをやってございます。さらに、正確な規模推定を行うため、長周期の地震波のエネルギーを評価する必要がございますので、この長周期成分を、大体十分間程度でございますが、これを用いて、おおむね十五分程度でモーメントマグニチュードを求めるという計算をやってございました。このため、周期が数十秒から数百秒という地震波も観測可能な広帯域地震計を、先生御指摘の地震計でございますが、整備してきておりました。
この広帯域地震計は、実は非常に高感度でございまして、これまでも強い揺れのために測定範囲を超えたことがございましたが、ある程度震源から離れている場合には国内の観測網で十分観測可能ということで、マグニチュード八程度の地震でございましたら、問題なくモーメントマグニチュードの計算ができてございました。
しかしながら、東北地方太平洋沖地震に際しましては、非常に強い揺れということで、極めて広範囲において広帯域地震計で測定範囲を超えたということで、通常は十五分程度でモーメントマグニチュードが求められましたが、これについて求めることができず、津波警報の更新には活用できてございませんでした。
このことから、気象庁では、巨大地震に対してもモーメントマグニチュードに基づく津波警報の更新を確実に行えるように、本年度第三次補正によりまして、強い揺れに対しても測定範囲を超えにくい広帯域地震計の整備を進めております。
以上でございます。
○柿澤委員 長官、そうじゃないんじゃないですか。
今、御答弁をいみじくもされました。極めて強い地震が広い範囲で起きたので、広い範囲でモーメントマグニチュードが測定範囲を超えてしまった、こういうことであるとすれば、要するに、モーメントマグニチュードが測定範囲を超えたというのは、地震計の針が振り切れたようなイメージなんだと思うんですよ。そうしたことが広範囲で起きているとすれば、今までの観測想定の、さらにそれをもっともっと上回る地震が発生しているということはその時点でわかるはずではありませんか。
にもかかわらず、マグニチュード七・九という想定で津波警報六メートルというのを出して、そして、結果的に、それをいわば信じてしまって津波から十分な避難をすることができなかった人がいるとすれば、これはかなり大きな問題ではないかと思うんですが、もう一回御答弁ください。
○羽鳥政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、これまでに経験がないほど非常に多くの地震計が観測の測定範囲を超えたということで、その時点において、量的にマグニチュードを求めるという技術が確立していなかったために津波警報の切りかえには使えなかったということでございますが、先生御指摘のように、例えば今回の事例においても、やはり三分後に津波警報というものを迅速に発表するというのは極めて重要でございますので、三分程度の間に、マグニチュード八を超える可能性がありやなしやということについて、今回の地震のデータを分析しまして、新たに今、検知手法を幾つか開発してございまして、これをできるだけ早く導入し、三分程度でマグニチュード八を超える可能性というものを検知し、さらに、巨大な津波であるということをお知らせするというふうに津波警報を改善したいと思ってございます。
以上です。
○柿澤委員 ということは、今回、極めて強い地震で、広範囲でモーメントマグニチュードの測定範囲を超えてしまったという事実を踏まえて、現実のマグニチュードがどうであったかはともかく、一旦出した六メーターの津波警報をさらに上回る可能性が高い、あるいはある、こういうことを例えばつけ加えて発令する、こういうようなことをやらなかったというのは、私はやはり一種の問題があった、こういうふうに思うんですけれども、気象庁もそのようにお考えでしょうか。
○羽鳥政府参考人 これまで気象庁では、津波警報の発表につきまして、量的な数値で発表するということでリアルタイムの業務をやってございましたが、先生御指摘のような今回の津波地震による被害を教訓といたしまして、例えばマグニチュード八を超えるような巨大地震につきましては、量的な推定の精度はともかく、非常に高い可能性があるということで、第一報については量的な数値は言わずに、例えば、大津波警報、巨大等の一般的な言い方で注意を喚起するような改善を進めることとするとともに、さらに、十五分程度で、モーメントマグニチュード等あるいは沖合津波計のデータを活用して、実際の量的な数値を言える段階になってからそういうものを発表していくということで、順次、確度を高めた段階で客観的な数値を発表するというように改善を進めることとしてございます。
以上でございます。
○柿澤委員 この問題は、つまり、気象庁は地震直後の時点で、自分たちが発令している警報よりももっと巨大な津波の発生可能性を認識していて、それを警報として発令することができた可能性が現実にあったにもかかわらず、それをしていなかった、こういう問題につながってくるんです。
あした災害対策特別委員会がありますので、このことについては続きを取り上げたいというふうに思っています。
次の質問に移ります。
国土交通省には、社会資本整備特別会計を初めとして、管理する特別会計がある。この特別会計において、外局を含めて一部の国交省職員の給与、人件費が支払われていますけれども、この特別会計から支払われる、外局を含む国交省職員の給与、人件費は、一体、国交省の外局を含めた職員の何%がこういう形で特会から支払われているか、お伺いをしたいと思います。
○津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。
今先生の御質問でございますが、平成二十二年度におきましては、社会資本整備事業特別会計及び自動車安全特別会計から人件費を支払った国交省職員の人数は、全体の職員の四二・六%でございます。
○柿澤委員 驚くべきことに、国交省の職員の四二・六%が、実は人件費が特別会計から出ているんですね。
特別会計から支出されている職員人件費、これも外局含むですけれども、総額は幾らになっていますか。特会別の数字も、念のため明らかにしていただきたいと思います。
○津島大臣政務官 お答えを申し上げます。
平成二十二年度におきまして特別会計から支出した職員人件費は、総額で二千二百九十億であります。
内訳といたしましては、社会資本整備事業特別会計二千百三十一億、そして自動車安全特別会計百五十九億となっております。
○柿澤委員 相当な規模の人件費になっている、こういうことも確認できました。
何でこんなことをやっているんですか。財政法十三条二項では、一般の歳入歳出と区分して経理をする必要がある場合に、法律をもって特別会計を設置する、こういうことになっています。まさに読んで字のごとしなんです。しかし、国交省の職員の人件費を区分経理の対象とする必要が一体どこにあるのかということを思うんですけれども、この点、国交省全てのリーダーであります大臣から御見解をお願いしたいと思います。
○前田国務大臣 先ほど来、地方整備局が議論の対象になっておりましたが、地方整備局というのは、かつては治水特別会計であったり道路特別会計であったり、そういう会計を区分して、その中で事業を直接、直轄事業等をやっていたわけですね。これが社会資本整備特別会計に統合されて、地方整備局等を中心に、この事業をやっている職員の給与は会計区分されてこういうふうになっている。
こういうふうに理解をしております。
○柿澤委員 要するに、地方整備局で仕事をしている人というのは基本的に特会から給料を出しているんだ、こういう御説明ですね。要するに、その意味するところは何なのかということをお伺いしたいというふうに思っているんですが。
○前田国務大臣 要するに、直轄事業というのは地方の負担もいただいているわけですけれども、国が特定の事業を行う場合に、受益と負担の関係や事業ごとの収支を明確にする観点から、一般会計とは別に会計を区分して設けている、このように承知をしております。
○柿澤委員 私は、これは国交省の予算の総枠の姿というのをかえって見えにくくする、そういうものになってしまっているのではないかと思えてなりません。
かつてはもっと特別会計がばらばらにあって、今は社会資本整備特別会計に寄せられましたから、ある種シンプルになったように見えますけれども、かつてはもっとこの点もばらばらだったわけです。そういう形で職員人件費が出ているお財布を分散して、全体像がどうなっているのか見えにくくする、こういう構造がこれまであったように思うんです。その点から見ても、このようなやり方は今後はやはり見直していくべきだ、このように思いますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。
○前田国務大臣 申し上げますと、地方整備局全てを特会化しているわけではないんですね。
出先の事務所は、所長以下、大体全部が特会だと思います、実際に直轄事業をやっておりますから。一方、地方整備局は、局長だとか部長だとか、そういったところは一般会計になっているはずでございます。いずれにしろ、片一方で、受益と負担の関係あるいは事業ごとの収支、こういったものを明確に区分会計する必要からこれを設けているわけでございます。
今委員が御指摘になったような、曖昧にするとかいうような意図は全くございませんでして、もちろん、特別会計改革の基本方針に基づいて、徹底した無駄の排除であるだとか、対象事業の見直しであるだとか、透明性の向上、こういったものには努めてまいります。
○柿澤委員 私は、全く逆方向の考え方も、実はこの点については持っています。
つまりは、社会資本整備という事業が特別会計として区分経理をされていて、そこに人件費を支払われているいわば特会職員がいる。この構造になっているということは、ここを切り離して例えば地方移管を行う、こういう場合においては、むしろ、人、物、金、仕事込みで、セットで移譲するということについては極めて区分けがしやすい仕組みにもなっている。
そういう意味では、私はもちろん地方支分部局の地方への移管ということに積極的な立場ですから、こうした点を生かすとすれば、そうした方向性をスムーズに進めていく上で活用できる仕組みなのかなというふうにも思っております。そういう意味で、国ががっちり抱えながら、このやり方を続けていくということはやはり望ましくないという観点で申し上げているつもりですので、この点も御理解をいただければというふうに思っております。
先ほど、穀田先生からも整備新幹線の新規着工のお話がありました。独立行政法人鉄運機構の財源を使って、三区間の新規着工への予算計上が行われた。現政権による、新規着工の凍結を解除する歴史的な政策転換が行われたと言っていいと思います。
昨年六月、旧国鉄債務処理法改正が行われてその道が開かれたわけですけれども、この法改正の趣旨というのは、私は、震災等を受けて経営のさらに厳しくなったJR各社の支援等をする、こういう趣旨であったというふうに理解をしております。にもかかわらず、整備新幹線の新規着工というような使い方が真っ先に出てくることには大変疑問を感じております。なぜこのような判断をしたのか、お伺いをしたいと思います。
○前田国務大臣 JRの経営が厳しいところへの支援というお話がございましたが、これは、三島、貨物、そういったところへの支援は従前どおり続けてまいる所存でございます。
ただ、昨年の改正により、旧国鉄由来の勘定、特例業務勘定の資金を、北陸新幹線高崎―長野間の建設債務の償還や、並行在来線に対する貨物調整金の交付の財源として活用することで、従来これらの財源に充てていた整備新幹線の貸付料というものを整備新幹線の建設財源に充てることが可能になったということでこのような対応になった、このように承知をしております。
○柿澤委員 御説明はいただきましたが、そもそも、さかのぼると、もともと平成二十三年度当初予算案では、年金国庫負担の二分の一の財源として鉄運機構からのお金を充当する、こういうはずだったように記憶をいたします。それが今度は復興財源として持っていかれてしまって、年金財源に穴があいてしまった。結局、消費税増税が必要ですということになっていった。
私は、法案審議の際にも、消費税増税が必要ですと言うために、意図的に年金財源に穴をあけてこのお金を持っていってしまったんじゃないのか、こういうふうにこの国交委員会で質問をさせていただきましたけれども、案の定そういう展開になっているというふうに思うんですよ。
これは要するに、この間いろいろな、財源のやったりとったりをしてきたわけですけれども、俯瞰してみれば、あたかも、消費税増税を年金財源に充てる、年金財源に充てるはずだったお金は気がついたら新幹線の新規着工に回っている、こういうことでいえば、消費税増税を新幹線の新規着工のお金に回しているかのようなことになってしまっているのではないですか。お伺いをします。
○前田国務大臣 ちょっと何か誤解があるように感じます。
数字のことでございますので、鉄道局長に答えさせます。
○久保政府参考人 先生御指摘の、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定、これは旧国鉄であります。本来の任務は、旧国鉄職員の年金を支払っていくということでありますが、そこの特例業務勘定に、物価の上昇が低いということがあって、将来の年金を計算していくと利益剰余金が生じているということで、二十二年の四月に、行政刷新会議で利益剰余金の部分についての国庫返納という議論があり、最終的に、二十二年十二月二十一日に三大臣で合意をして、一・二兆円は国庫納付する、残りの鉄道由来のお金については鉄道関連施策を実施する。国土交通省としては、その担務は鉄道関連施策の実施というところでありましたので、この年末の予算決着を受けて、先生御指摘の法律を昨年六月八日に成立させていただいて、八月一日から施行しているところであります。
この法律案の内容は、国土交通省の所管であります交通について、経営の厳しいJR北海道、四国、九州、JR貨物に対する支援と、整備新幹線をつくるに当たって過去の借金の償還、そして三つ目に、これまた経営の厳しい並行在来線の支援に充てるというのが、交通政策の三本柱として中身となった法律であります。
○柿澤委員 御説明は御説明でお聞きをしましたけれども、法改正はワンパッケージで行われているわけですので、見ようによってはそういう見方も成り立つということではないのか。私は、それは去年の六月の時点でそういうふうに申し上げているから、さらに申し上げているわけです。
更問いがちょっとあったんですが、時間も来てしまいましたので、質問はここで終わりにしたいと思いますが、気象庁をめぐる問題については明日も取り上げさせていただきます。
ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、坂口岳洋君。
○坂口(岳)委員 民主党の坂口岳洋です。
本日は、質問の時間をいただきまして、まず理事の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
さて、東日本大震災から一年が過ぎました。大臣の所信表明の中にも触れられました。諸先輩たちの質疑の中でも十分に触れております。私からは、ただただ被災者の皆さんへお悔やみを申し上げ、そして、与党の一員として被災地の復興に全力を尽くしてまいりたいと思います。
この震災が起きたときに、東北地方整備局の活躍というものは、私が今さら申し上げることもないかもしれないと思います。特に国交委員の皆様、そして大臣を中心とした政府の皆様も、この整備局の活躍というのはもう十分に御理解、そして心に刻まれていると思います。
組織がすばらしい、それだけではないと私は思う。組織の魂は何かというと、私はやはり人だと思うんです。この整備局にいる人材というものは、使命感を持ち、そして国を守るんだという正義感を持ち、また全国の災害や震災を経験して、そのノウハウを蓄積した人材だからこそ、この大震災の当日、また、この三日間における情報収集、そして判断、行動力というものがあったと私は思います。
きょうは三十分の時間をいただきました。前半部分を、今内閣府の方で議論をされていらっしゃる地域主権改革、要するに、国の出先機関を地域に移譲するというふうな方向でお話がされていらっしゃると思います。前半は、この点についての質問をさせていただきたいと思います。
私自身は、地域主権改革は当然進めるべきだ、閣議決定もされておりますし、まさに地域の声を吸い上げて、そして行政に反映させる、これはもうとても大事なものだと思います。しかし、そこで私が懸念するのは、全ての行政を地域に移譲させる、要するに、移譲させるという言葉はいいですが、責任も全て含めて、義務も含めて地域に渡していいのかというふうな思いがある。これは私の思いだけではなくて、私の地元の市町村の、またそれに携わる人たちの意見でもあるんです。
命にかかわること、特に行政の中で命にかかわること、今回の大震災でも痛感をしました。まさにその部分の行政を地域に移管する。言葉はきれいですが、要するに、国としての最低限の使命であり義務である、国民の財産、安全を守る、この大前提をある意味放棄しているのかな、これは私個人の思いであるんですけれども。出してはいけない、国としてやはり徹底的に守っていく、そういう部分の行政は、地域に移管というものは慎重に考えなくちゃいけないのかなというふうに僕は思うわけでございます。
一つ目の質問でございますが、今内閣府の中で検討されていらっしゃる、出先機関を地域に移管させるという検討。具体的に、国のどの出先機関、行政機能の移譲を検討されているのか、そして、どういった組織にそれを移管させようと検討されているのかをお伺いしたいと思います。
○後藤副大臣 先生御指摘のとおり、今、国の出先機関が担っている役割、それぞれの組織が重要な役割を担っているというふうに思っております。特に、東日本大震災、昨年の台風災害においても、また今般の豪雪においても、いろいろな国の出先機関がそれぞれの役割を果たしました。その中で、昨年の大震災では、先生御指摘のとおり東北整備局が非常に活躍をなされ、昨年の台風災害でも近畿整備局がその役割を果たしました。
国の出先だけが国民の生命と財産を担うのかという点については、やはりそれぞれの組織がそれぞれの役割を使命感に基づいて担うというのは、私は、個人的には、どの組織でもその役割を担うというのはある意味では当然であり、またその必要性があるというふうに思っております。
先生がお尋ねの点で、今、国の出先機関はどのような状況かということですが、決して内閣府だけで検討しているわけではないということについてまず先生に御理解をいただきたいと思います。政府全体で、平成二十二年十二月の閣議決定に基づいて検討を進めているということであります。
地方の発意に基づき、その地域とよく協議、調整をするということが一昨年、平成二十二年十二月に閣議決定をされており、特に、受け皿が整備されている関西広域連合からの御発議の中で、近畿整備局、近畿経産局、そして地方環境事務所、整備局、経産局、環境事務所という三つの組織が、現在、関西広域連合の発議の中で、政府でもそれを前提に検討しております。
そして先生の、受け皿としてどうなのかということは、実は地方自治法の二百九十一条の二に、既に「広域連合による事務の処理等」という項目が法定事項としてございます。「国は、その行政機関の長の権限に属する事務のうち広域連合の事務に関連するものを、別に法律又はこれに基づく政令の定めるところにより、当該広域連合が処理することとすることができる。」という規定がございます。
この規定に基づいて、平成二十二年十二月一日に、関西広域連合からの申し出によって、総務大臣が関西広域連合を地方自治法二百九十一条の二に基づく広域連合として認定をされているところであります。
○坂口(岳)委員 副大臣、ありがとうございます。
同じ山梨ということで、副大臣が、おまえ余り余計なことを言うなよというような視線を投げかけていただいて、逆に励みになりました。
次の質問に行きたいと思います。
今副大臣から話がありました、まさにそれぞれの地域の役割、行為というものがある。その一つとして、私は、基礎自治体の意見、いわゆる市町村の首長の皆さんの意見というものは非常に大事だと思うんです。
地方を守る会というものが三月三日に発足をされました。これは何かというと、全国の市町村、約千七百程度あるんですが、三月三日現在、そのうちの四百四十七の市町村長が加入しているんです。彼らは何を言っているか。
彼らは明確に言っているんです。出先機関、特に整備局。出先機関を副大臣が今おっしゃった広域連合に移管させることはいかがなものか、そのことをはっきり言っているんです。本当は決議文も読みたいところなんですが、まだ二問目の質問で十分たってしまいましたので、この決議文、ちょっと割愛させていただければと思いますが、要するに基礎自治体の意見を聞いてもらいたい。もっと言うと、これは全国の基礎自治体の四分の一ということであります。
この総会においては、総会の代表幹事、会長は相馬市長がやっているんですが、この三日当時は、意見表明として、岩手県の宮古の市長や奈良県の十津川村の首長の方もしていらっしゃいました。私、この両首長が厳しい意見を言うのかなと思ったら、十津川の首長は前田大臣のことを、災害があったときにすぐに来てくれたんだと、ここから始まった。大臣がこれだけ地域を見てくれている、これだけ国がこの小さな村を、この前の本当に千年に一度と言われたときに、大臣が一番初めに来てくれた、そういうふうな話をした。
この大臣であれば市町村の気持ちをわかってくれるだろうというような温かい声が出ているんです。大臣の質疑は、きょうはちょっと求めておりませんが、そういう本当に温かい声がある。そして、彼らは大臣を信用しているんです。大臣であれば大丈夫だ、僕らの市町村の気持ちをわかってくれると信用している。
また、後藤副大臣の地元、山梨も今回、台風十二号、十五号で大変な災害がありました。その中でも、私の知る限り、特に後藤先生の選挙区の首長は全員、私より後藤先生を応援しているんです。そしてまた私が知る限り、その中で全部の首長が、やはり今回の台風のときに、うちは関東整備局なんですが、本当に整備局はよくやってくれたと。
特に、早川町という町があるんです。町長は、辻町長といいます。辻町長は後藤先生の一番の支援者であり、そしてまた、早川町がこの台風のときにでかい災害に遭った、そのときにも後藤先生が一番初めに来てくれた、飲み会で飲むといつも町長はその話をする。その町長が、やはりこれができるのは、出先機関があって、後藤先生が行くとすぐにその出先機関が動いた、フォローに入った、激甚指定も入った。
まさに、私はそれをお伝えしたい。その地元の声、それはもう皆さん、私たち今の与党に対してすごく協力的なんです。そして、今までの活動に対してとても喜んでいる、少なくとも私の知っている範囲では。
そういう中で質問をいたします。
地方を守る会という市町村の首長のこういう意見がある。これは、決議文を読んでいませんが、決議文に書いてある。この広域連合への移管に対して反対の声が上がっているという事実について、どのような見解を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○後藤副大臣 今、坂口先生が御指摘いただいた、三月三日に、地方を守る会の総会で決議がされたということで、決議文を読ませていただいております。
この中のポイントは多分二つだというふうに私は思っています。当然、これから災害が起こる可能性というものを持ちながら、その災害対応にどうするか、住民の皆さん方の安心、安全をどう守るかという視点の中で、国の出先の廃止の問題についても、機関の移行ですから廃止ではないんですが、要するに、基礎自治体の意見を十分に反映してもらいたいということと、拙速に国の出先機関廃止論を進めないようにという、この二つのポイントだというふうに思っております。
既に先生から御指摘をいただいたように、私たちも、基礎自治体、市町村長の皆さん方ともきちっと話をしなければいけないということで、今御指摘をいただいた市町村長の皆さんとも何度か意見を交換しております。当然、基礎自治体が住民生活の一番近い存在にいるわけですから、市町村の皆さん方とはこれからも丁寧に、また十分に議論を重ねながら、御理解をいただけるように対応していきたいと思います。
その一番のメーンは、大きな災害、また中くらい、小規模、幾つかのカテゴリーがあるかもしれませんが、先ほどもお話ししたように、首長の皆さんが責任を負っていただく部分、そして県知事が責任を持つ部分、そして私たち国が責任を負う部分、それぞれ組織の差はあるにしても、それぞれが総合力を出し切って大きな災害に対応するという視点についてはいささかもぶれはありませんので、先生が御指摘をいただいた部分も十分に考慮しながら、これから丁寧に議論を進めながら、そして、国民の皆さん方の安心というものをよりプラスに転じていけるように理解を得るような努力をこれからも続けていきたいというふうに考えております。
○坂口(岳)委員 ありがとうございます。まさに心強い答弁をいただいたと思います。
この前の我が党の地域主権調査会で、東京都立大名誉教授の兼子先生が講演されました。基礎自治体と都道府県の平等の原則というのをおっしゃっている。当然、知事会の意見というのは大事です。知事会の意見もそうなんですが、今回は基礎自治体の意見というものも、聞くだけじゃなくて、そこに入れ込むというようなものもぜひやってもらいたい。
本当は二時間ぐらい質問時間が欲しかったんですが、次の質問に移ります。
二月二十六日、参議院予算委員会で、野田総理がこういう発言をされました。国の出先機関の移管に対して、総理がこういう話をされた。地域の産業振興策に合わせた道路整備を可能とする等々、こういう効果が出る。要するに、国の出先機関、まさに行政を地域と一体化させることによって、効率化するのではないかというような話がありました。私は、そうだと思うんです。
ところが、今進めております仕組みですと、広域連合に出先機関を移譲するんです。野田総理のおっしゃった地域振興というのは、今、これは県がやったり基礎自治体がやっているんです。広域連合が町の商店街の話なんか一切やらないですよ。これは県や基礎自治体がやるんです。広域連合に出先機関を移譲させても、野田総理の言うような一体的なものというのはできないんです。
要するに、いわゆる四重行政は変わらないということ。私は四重行政という言葉は余り好きじゃないんですが、言われている、いわゆる国、出先機関、県、市町村というふうなものが、出先機関がただ広域連合に変わっただけなんです、これ。こんなものじゃ、まさに組織だけつくって魂入れず。
そういう意味では、野田総理も答弁されている形にするには、例えば県が持っている事務も広域連合に統合すべきだ。県の道路や河川や、もっと言うと、僕は基礎自治体が持っているものもあると思う。町道や村道やそういうものを全部一緒にして、そして広域連合で一括する。それであれば私は、ああなるほどと、話はすばらしく納得する。しかし、今の格好のままで、ただ無理やり関西広域連合に移管させるんだ、そうなると、野田総理のおっしゃる方針が、僕はできないと思う。関西で、例えばどこどこ市長がこういう経済対策をやりたいと思っても、広域連合にお伺いを立てて、また同じようにしなくちゃいけない。
時間がありませんので、あわせて話をいたしますが、もう一つ指摘をしたいのは、やはり人材の件なんです。
今、国の出先機関をそのまま丸ごと移譲させるという話がありますけれども、僕はこれこそ危険なものだと思う。人の教育や、もっと言うと、では来年の新規採用はどうするんですかという話になるんです。もっと言うと、今の出先機関には労務人事という部署はありません、国でやっているから。これまた、広域連合に全部丸ごと移管したら、広域連合に労務人事、全ての間接部門をまたつける。金がかかるんです。余計なものがかかる。
こういった、ある意味余計な機関を広域連合というまた曖昧なものにつくることは、僕は違うと思う。人を育てるのはそんな簡単なことじゃない。これは後藤副大臣が一番よくわかっていらっしゃる。人は石垣だと、飲むときにいつもおっしゃっている、人は城だと。おまえもそれをしっかり考えてやれよと、僕はいつも言われています。出先機関を丸ごと移譲する、そうすれば大丈夫なんだというのは余りに暴論過ぎるし、まさに、本当に国を守る、地域を守るという人がこの広域連合にいなくなると僕は思うんです。
そういう意味では、先ほどの質問とあわせまして、人材に関する制度設計に関してどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
○後藤副大臣 先生御指摘の前者の部分につきましては、昨年の十二月二十六日の地域主権戦略会議の中で、広域的実施体制の枠組みの方向性というものを了解した中では、「構成団体の事務・権限を持ち寄ることにより、広域行政をより効果的・効率的なものとする。」という視点は、先生が御指摘の部分も踏まえて、これからさらに細かい制度設計をしていきたいというふうに考えております。
そして、人材の点については、先ほどの繰り返しですが、もちろん、国の機関がそれぞれの専門性に基づいて、さらに時代の要請に合った、また技術開発に合ったいろいろな研修を国交省でも経産省でもやっています。そういう中に、やはり国との人事交流というものも多分仕組みとしては一つ、広域連合にきちっとした事務、権限が移譲された後に、そういうことも当然必要であるというふうに思っています。
専門性を高めるというのは、そこのポジションにずっといるということが大切ではなく、常に新しい知見、新しい技術、新しい能力というものをそれぞれの立場で、これは国、地方を問わずそれぞれの組織が持ち続けて、また、研修という中で国も自治体もそういうことをやっていますから、その交流も含めて、きちっとした人材育成という点については先生の御指摘のとおりだというふうに思っていますので、そういう点についても十分配慮しながら、これからの詳細設計に生かしていきたいというふうに私は思っています。
○坂口(岳)委員 その設計を含め、すぐに慌ててやらなくてもいいと僕は思います。これはじっくりやる。すなわち、東日本大震災の起こる前の、今のスケジュールを固持しなくてもいいと思う。まさに、あの震災が起きて僕らはある意味目が覚めた。そういう意味では、特に整備局を含めて、移管に関してスケジュールを後に回しても、僕は国民の皆さんは怒らないと思う。これはもう一回じっくりと考え直すんだということを説明すれば僕は怒られない話だと思う。地域主権というものをとめるんじゃなくて、ぜひもう一度、じっくりと議論する時間を今後とってもらいたいということをお伝えして、次の質問に移りたいと思います。
次は、二本目の柱、あと七分しかないんですが、大臣のおっしゃる、安全と安心の確保された社会に関して質問をさせていただければと思います。
まさに、全国においての防災、そして大臣がおっしゃる災害には上限がないということ、何としても人命を守るということ、私は力強い所信だなと思いました。この所信を実現するには全国の防災というものが、今、とても不安で厳しいところがある。
うちの山梨でいうと、例えば富士川であれば、富士川は昭和五十七年に大きな災害がありました。戦国時代には信玄堤というのをつくって治水をやるぐらい。今でもまだこの治水対策というものは足りないんです。また、後藤先生の選挙区である峡南地区なんというのは、これはまさに防災計画をつくらなくちゃいけない。これは先生もいつもおっしゃっている。まさにそういうものをつくっていかなくちゃいけない。
この水害対策というものも大事ですし、また、例えば高速道路網のミッシングリンク、これもいろいろ質問が出ていると思います。
道路は、間が抜けていれば、そこから先は逃げられないんです。災害が起きて、みんなが高速に乗って、だあっと逃げようと思ったら確実に渋滞になる。つながらないと意味がない。このミッシングリンクも、我が山梨においては中部横断道というものがある。これも後藤先生の選挙区の道路なんですけれども、これをぜひ国としても、まさにミッシングリンクの解消というものは重要だと思うところでございます。
それに関連しまして、高速道路というものはやはり乗り入れ口がないとだめなんです。例えば僕の地元。高速道路は横に通っているんだ。でも、乗るところまで行くのに山を越えて五キロ、十キロかかってしまう。それでは、高速道路がせっかく近くに通っていても、いざ台風のときに、陸の孤島になったときに高速道路が生かされない。
そういう意味では、スマートインターチェンジ、欧米ではおおむね約五キロ間隔であるという話です。私たちの国土、特に私たちの田舎、私の選挙区でいうと上野原だとか八代だとか甲府だとか、まさにこういったところにスマートインターをあけていただければ、そこの地域の経済、まさに成長戦略的な国土形成も実現できるし、かつ防災においても、陸の孤島になったとしても、そこから高速を通って逃げることができる。スマートインターチェンジというのはコストパフォーマンスとしてもいいと僕は思うんです。これをぜひ、さらに進めていただきたいというふうに思うところでございます。
また、高速道路もそうなんですけれども、一般道路、直轄国道の幹線道路についても、やはり国として、防災もそうですし、交通安全も含め、とても大事な点なんです。
例えば私のところですと、鳴沢村という富士山の麓の村があるんですが、ここは観光客が国道をびゅんびゅん通る。しかし、一本木の交差点というのがあって、ここはどうも入り口がちょっと斜めになっていて、地元の人たちがちょっと出ると、とても危険なんです。観光客で知らない人が来て、どんとぶつかっちゃう。例えばこういう一本木の交差点の改良とか、同じように、精進湖にも入り口の交差点があるんです。また、そのちょっと行った先には都留文大の交差点。
数限りありませんが、本当に地域の皆さんが安心して暮らせる、大臣が所信でおっしゃった点を実現するには、やはりそういうインフラ、かゆいところに手の届く国の手助けというか方針が必要である。
また、大臣のおっしゃっている低炭素・循環型社会の構築に関しても、自転車道なんです、自転車道は私も大事だと思う。
例えば、うちの山中湖に、湖畔通りで自転車道が整備されているんですが、一部この区間がないんです。この区間がもしつながれば、本当に自転車でぐるっと回れる。そうすると、これは環境にもなりますし観光にもなる。まさに大臣のおっしゃる循環型社会を実現する上でも、こういった自転車道の整備。特に田舎。田舎といったって、車じゃなくて自転車で通うことも十分できるんです。こういう田舎の自転車道の整備というもの、うちは山中なんですけれども、そういうところも含めて、やってもらいたいというふうに思うところでございます。
時間がもう一分でございます。その点についてどのような見解か、お伺いしたいと思います。
○前田国務大臣 非常に深い、広い御理解をいただいておりまして、ありがとうございます。
今言われたのは、ミッシングリンクと震災等の反省から、幹線の道路のネットワークをいかに確保するか、そして、それを災害においてもアクセスできるように、高速道路におけるスマートインターチェンジのお話がありました。あるいは都市における低炭素・循環型というようなこと、そしてまた幹線国道における交差点改良のお話、自転車道のお話がありました。
スマートチェンジについては、今、七十七カ所、進めるべく進行中でございます。既にできたところもございます。
それから交差点改良は、そのとおりでございまして、しかし、交差点というのは非常に地価の高いところで、土地利用が高度化していますから、地権者の御了解をいただくというのにも時間がかかりますが、自転車等を含めて、今、七百カ所で計画を進めているところでございます。
○坂口(岳)委員 大臣、ありがとうございました。
最後、一つ思いをお伝えしたい点がありまして、それを最後に要望としてお伝えしたいと思います。
まさに、この震災において、高速道路の重要性が再確認された。高速道路はNEXCO各社において、平成十六年の民営化に際しての附帯決議で、利用者のサービス向上というのは当然大事なんだけれども、高い公共性を有する高速道路の建設、管理を行わなくちゃいかぬとあります。
ぜひ、大臣、このNEXCO各社の経済活動の運営とともに経営手腕を、サービスとともに公共性も、両方加味するような経営手腕を実現するように、今後の大臣の御指導に期待をさせていただきまして、質問を終わらせていただければと思います。
本日は、ありがとうございました。
○伴野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○伴野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中島隆利君。
○中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。
最初に、川辺川のダムによらない治水に関連して質問いたします。
川辺川ダムの建設中止に伴い、ダムによらない治水を検討する場が設置され、二〇〇九年一月に第一回が開催されました。以降、五木村の生活再建をめぐって検討する場の協議の中断期間がありましたけれども、昨年九月に再開されまして、その後、幹事会も二回ほど開かれております。
第九回の検討する場において、直ちに実施する対策と、引き続き検討する対策が確認をされました。直ちに実施する対策として、萩原地区の堤防補強や下流部の掘削、かさ上げ対策未実施地区での宅地のかさ上げなどが決まっています。これらについては、防災機能を高める観点からも、河川整備計画の策定を待たずに、しっかりと進めなければなりません。対策の進捗状況及び今後の工程についてお尋ねをいたします。
○津島大臣政務官 中島先生の御質問にお答えをしたいと思います。
球磨川の治水対策につきましては、平成二十年九月に熊本県知事が川辺川ダム計画につきまして白紙撤回するとの意向を表明したことを受けまして、平成二十一年一月から、ダムによらない治水を検討する場を熊本県と共同設置いたしまして、流域内の十二市町村の参加のもと、これまでに計十一回の会議を通じて議論を重ねてまいりました。
ダムによらない治水を検討する場におきましては、大きくは、直ちに実施する対策、そして引き続き検討する対策、先生が御指摘のことでありますが、治水対策の案を国より既にお示しし、そのうち直ちに実施する対策は、八代市萩原地区の堤防補強や球磨川中流部の宅地かさ上げ等の、これまでに継続してきた事業を中心としております。
例えば、八代市萩原地区の堤防補強につきましては、平成二十二年度までに基礎部分の深掘れ対策をおおむね完了し、平成二十三年度から、漏水対策等といたしまして、鋼矢板の打設等に着手しております。
さらに、球磨川中流部の宅地かさ上げ等につきましては、これまでに十八地区を完成させておりますけれども、平成二十三年度には、藤本地区、大門地区、大坂間地区において整備を実施してまいります。
今後とも、着実に整備を進め、治水対策案の早期の取りまとめに努めてまいりたいと考えております。
○中島(隆)委員 川辺川のダムによらない治水対策については、熊本県の蒲島知事は、東日本大震災を踏まえて、何よりも生命を守ることを最優先にスピード感を持って治水対策を講じるべきであるというふうに述べております。
恐らく、検討される球磨川水系の河川整備計画は、ハード面の整備だけではなく、想定外の災害でも人命を守るための避難対策や防災拠点整備を組み合わせた対策が模索されるだろうと思いますが、知事の言うスピード感を持って策定していくことを求めています。川辺川ダム建設を中止し、ダムによらない治水を実現していく全国のモデルとしてこれまで歴代の大臣は述べておられます。
そこで、この河川整備計画策定作業の現状、あるいは今後の課題、見通し等について大臣にお尋ねいたします。
○前田国務大臣 今までの経緯につきましては津島政務官からお答え申し上げたとおりですが、その検討の場に幹事会を設置いたしまして、この幹事会を中心に議論を進めております。
流域の治水安全度を高めるための施設として、県が管理する市房ダム、御承知のように本川にあるようでございますが、この市房ダムの有効活用や遊水地の整備も含めた治水対策を国、県から提示しているところでございます。特に遊水地についてはかなりの効果があると思われますが、やはり、地権者の同意の取りつけ等多少の時間はかかるかと思います。今、鋭意関係者との調整を行っているところでございます。
この検討する場で取りまとめた治水対策を計画の原案に反映した上で、関係住民からの意見聴取などの手続を経て、平成二十四年度中を目標として策定することとしております。
○中島(隆)委員 今、経過の説明もありましたように、検討する場で検討が始まってもう既に三年が経過をいたします。それから政権がかわりまして、前原元国土交通大臣が二〇〇九年の九月、現地の五木村を訪問され、直接、五木村の村民の皆さん方に、生活再建法を成立させて地域振興並びに生活再建をやるんだ、こういうことを約束されました。それからもう二年五カ月がたっているんです。
今申し上げましたようにこれまで九回重ねられまして、昨年六月には、五木村と県、国の三者で五木村の生活再建の確認がなされております。
そこで、これからのことで今申されましたけれども、生活再建法もこの国会に閣議決定して出される、それから河川整備計画も今からやると。今の答弁では、平成二十四年度中にはということですけれども、先ほど述べられました上流から下流まで含めて、今、もう既に具体的なダムによらない治水が進んでいるんですね。ですから、この進んでいる事業が、生活再建法あるいは河川整備計画をこれからやるんですが、これを議論するまで停滞しては困るというのが非常に地元はあるんですね。ですから、検討する場で議論されて確認された事業、上流から下流まで含めてこれから詰めるところもありますけれども、この課題は並行的にやる、推進するということの確認でよろしゅうございますか。
○前田国務大臣 中島委員に御指摘いただいたとおり、並行して、特に直轄でやれることは今もやっておりますし、それもスピードアップしてやってまいりたいと思います。まさしく委員言われるとおりでございます。
○中島(隆)委員 今の確認で了解いたしますが、特に要望しておきたいと思います。これは、民主党政権になりましてダムの検証が始まって、八十三のダムが今は検証されています。先ほど午前中の答弁でも、六ダムが中止、それに向けて生活再建法を準備しているんだということですので、この生活再建法を早急に成立させて、やはりこれまで五十数年にわたる五木村の生活再建、これはもう大変な状況にありますので、これを早く成立させて生活再建をやるということと同時に、ダムによらない治水対策の事業が、中止するダムでは全国のモデルということですので、改めて大臣は決意を述べていただきましたので、ぜひ全国のモデルとして着実にダムによらない事業を推進していただきたいと強く求めておきたいと思います。
それでは次に、石木ダムの検証報告をめぐる有識者会議の流会についてお尋ねいたします。
去る二月二十二日、長崎県石木ダムの検証報告を審議する予定であった治水対策のあり方に関する有識者会議、ここで石木ダムの反対地権者の方々が傍聴を求めたところ、これに対応の件で流会したというふうに報道されておりました。
確かに、有識者会議の規約では、「原則として非公開」となっております。公開の可否を決めるのは有識者会議自体であると思いますけれども、第十二回の会議からはマスコミには傍聴を認めているという状況であります。
この有識者会議の検証結果によれば、恐らく土地強制収用も危惧されるような、着手に当たってはそういうことも出てくるのではないか、こう地権者は考えておられるわけでありまして、この審議の傍聴を求めるのは当然だと私は思うんです。特に、これからの検証の中でそういう非公開でやるということは、余りにも時代おくれではないかというふうに思っております。密室会議ではないか、こう指摘されても仕方がないのではないかというふうに思うんです。
大臣としては、この流会の事態をどう認識されているのか、それと、審議の公開を求める、この有識者会議にそのようなことを行うような調整をされる意思があるかどうか、そこをお尋ねしたいと思います。
○前田国務大臣 この有識者会議というものは、中間取りまとめというところで決まったスキームでございますね。これは平成二十二年十月でしょうか、ちょうど前原大臣が交代する直前にこういうスキームをまとめられて、次の馬淵大臣から有識者会議というものが始まりました。
この有識者会議が始まるまではその議論は公開ということで、会議が始まってからは、有識者会議の議長、委員ですね、有識者の方々の自主運営ということになったわけであります。そして、その有識者会議において、マスコミにはオープンにするということで、その後、続いているわけでございます。
したがって、委員御指摘の二月二十二日の有識者会議で、四つの補助ダムの、それぞれ検討の場で検討されてきた結果が有識者会議に上がってきて、それを有識者会議の意見を聞くということになったわけですが、これは、今までの手続どおりにマスコミにはオープンにした上でやるということになっていたところ、今御指摘のように、急遽地元の方々が傍聴を希望したというふうに聞いておりまして、多分、その場ではかなり混乱もしたようで、結局は中止に至った、こういうふうに聞いております。結果として静穏な環境のもとで会議が開催されなかったことは、遺憾に思う次第であります。
中島委員は私に、これからこの有識者会議をもっと一般にも公開すべきじゃないかという御指摘なんですが、私はやはり、一つは、そういう経緯を経て委員会が会議の運営について自主的にやっていただいているということと、マスコミにオープンにしておりまして、ここはどういう立場のジャーナリストであれ入っておりますので、やはりここは委員会の自主性をとうとばないと、特に非常に専門的な各分野の有識者のお集まりでございますから、そういう意味では、あくまでも自主性に委ねたい、このように思います。
○中島(隆)委員 この石木ダムの問題についていえば、国土交通委員会で私も何回も取り上げたんです。そしてまた、現地にも何回も行きました。
これは、反対される方、地権者は、三十六年間、反対運動をされているんですね。しかも、この石木ダムの計画の前提となる治水の問題も、利水も非常に問題だと言うが、今もって不信があるんですね。ですから、こういう方々の同意あるいは了解をとるためには、やはり情報提供を十分やるということと、参加をさせてその審議の経過、中身を十分聞いていただく。
そして、最終的にはやはりそういう地権者の方の同意がない限り進まないわけですから、有識者会議に委ねるじゃなくて、やはりそういうことが起こっているわけですから、ぜひひとつ公開の方向で検討していただきたい。これは有識者会議だけじゃなくて、今進めていられる検証会ですね、検証の場、ここもそういう立場をぜひとっていただきたいと思います。
午前の答弁の中でありましたように、八十三の検証のうち、もう二十、検証が済んで、そのうち中止が六だ、こうおっしゃったわけで、あと十四はもう既に建設を進めるという結果になっているわけですね。恐らく、そういう地域でも、こういう流域の市町村、住民の方々はそういう不満があるのではないかというふうに思いますので、今後進められる検証会あるいは有識者会議、この公開については、ひとつぜひ検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
それでは次に、東日本大震災の被災者の高台移転等についてお尋ねをいたします。
この問題につきましては、午前中にも幾人かの議員さんからお尋ねされておりますが、河北新報あるいは東北大が、宮城県沿岸の十二市町村の被災者にアンケートを実施されました。それによりますと、何が一番不安かと尋ねられたら、住まいの再建、移転が七九・三%ということが示されています。しかも、岩手、宮城、福島の三県の仮設住宅の方々、民間委託の借り上げも含めますと、今まだ三十四万人おられるということであります。そこで、この住居の保障の道筋をどうするかが非常に大きな課題だと思います。
そこで、防災集団移転促進事業というのが今行われています。高台移転について行われておるわけでありますが、この土地については、全額国庫負担ということになっているわけであります。その高台移転をする場合に、もとの住宅の宅地、この評価が大変厳しいと午前中にもありました。国税庁の評価では被災前の七割か八割ぐらいではないか、こういうふうに言われていますし、先日も平野復興大臣が、被災前の七割か八割の価格で買い取る方向を示唆されています。
そこで、この買い取りの価格について国交省がやはり指針を出すべきではないか。これは自治体に委ねるということでされているんですが、これの対応について、やはり統一的な価格で買い取るという方向が必要ではないかと思います。この指針を出すべきではないかと思いますが、これについてお尋ねいたします。
○津島大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。
今先生御指摘の防災集団移転促進事業により被災した土地を取得する場合には、公共事業用地を取得する場合の考え方に準じまして、契約時における正常な取引価格で取得することとしております。事業主体である被災自治体が、適切な不動産鑑定評価などを参考に評価、決定することとしております。
その際でありますけれども、インフラ等の復旧状況、あるいはまた被災自治体が作成した復興計画等によりまして、被災自治体によって復興計画やそれに基づいて実施される事業の内容もまちまちであると思います。そのため、移転元の土地の買い取り価格につきましては、事業主体であります被災自治体が、被災状況や復興計画に基づく今後の土地利用の見通し等を踏まえつつ、個別具体に評価、決定していただくものでありまして、国が一律に決定するべきものではないと考えております。
○中島(隆)委員 自主的にやるべきだというようなことでありますが、現状では、岩手県では、住宅再建のための新築費用を県が独自で最大五百六十万円補助する、あるいは宮城県の仙台市では、高台移転で造成した土地を被災者が借りた場合、最大五十年間は地代を無料にするとか、いろいろな負担軽減を自治体独自でやっています。
そういう取り組みの中で、住宅の移転等について、各自治体はそれぞれの都市計画に基づいていろいろやられていますが、非常に格差が出てきているんですね。ですから、こういう格差をなくすためには、やはり国交省として、今後、復興交付金等を通じて、できれば移転補償問題も含めて、国が全面的に指針あるいは支援をやっていくべきではないかというふうに思います。
午前中の自民党の山本議員からも言われたように、震災前の土地価格で買い取ったらどうかとか、こういう意見も出ましたけれども、まずは復興交付金という、あらゆる地域に合った、あるいは支援体制がとれるという課題があるわけですから、そういう部分で国が指針を出して支援をする、それで格差のないようにする、こういうことがあるかどうか、ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
○前田国務大臣 中島委員のお気持ちはよくわかるんです。どの委員もそういう御指摘で、できることはもう何でもやろうというのが国土交通省の立場でございますが、例えて言うと、国土交通省というのはちょっと不器用でありまして、力はあるんですけれども、なかなかそういうきめの細かいところまでは手が届かない。しかし、まちづくりという観点では実力発揮できますから、まちづくりを通じていろいろな手段を講じて支援をする。
加えて、今先生が御指摘のように、各市町村でいろいろと知恵を出して支援の措置を講じておられます。そういった支援措置というようなものをぜひ他の市町村なんかでも参考にできるように、そういう情報を収集して、提供もしてまいります。
そして、何といっても、復興庁と一緒になって、むしろ復興庁の下請になるつもりで、万全のというよりも、できる限りの対応をしてまいる、こういうことでございます。
○中島(隆)委員 特に、防災集団移転促進事業等は国土交通省の所管です。しかし、これに対して特別交付金を活用するにしても、その要件は国土交通省で決められる、非常に要件が厳しいということで、特に特別交付金は使い勝手が悪いという批判があっていますので、ぜひ各地域の住宅移転に格差がないように努力をしていただきたいと思います。
それでは、時間もありませんので、次に予定しておりました公共工事入札不調の問題については、先ほど自民党の山本先生からもありましたので、これは譲りたいと思います。
要望だけ申し上げておきますと、これは東北地方だけではなくて全国的に、人材の不足、資材の高騰、雇用の問題、あるいは工賃の問題、大変大きな問題が出ています。恐らく、本格的な復興が始まったりあるいは住宅の建築が始まると、もっと深刻な問題が出てくると思いますので、これは国土交通省だけではなくて関係省庁、あるいは復興庁を含めて、連携して対策をとっていただきたい。これは要望にしておきたいと思います。
次に、五番目のJR山田線、これも共産党の穀田議員からも取り上げられました。
そこで、私も申し上げたいんですが、民間の三陸鉄道については、我々は超党派で政府に申し入れて、全面的に支援をして復旧する、こういうことになりました。これは非常にいいことでありますが、先ほど来出ておりますように、JR路線については、やはり、黒字を出している、しかも、国としては支援はするけれども独自でという形で、支援策が出ておりません。
特にJR線は、先ほど穀田議員からもありましたように、非常にお年寄りや子供や交通弱者の方々が利用する生活の足ですね。ですから、やはりこれは、当面はバスにしても、将来的にはJR路線、鉄路としてやるべきだと思いますので、国が積極的にJRに求めて、そして足らないところを支援する、こういうことでなければならないと思うんですが、もう一度ひとつ、このJR路線の復旧について御答弁願いたいと思います。
○前田国務大臣 午前中の議論もありました。あの雑誌は何だったですかね、その例も引いておられました。やはり三陸の復興ということについては、三陸鉄道も含めて、JR、鉄路が通ずるよということが前提にあって将来に対してのまちづくりの絵も描けるということについては、私も全く同感でございます。
早速、お昼にも問い合わせたところ、今ちょうど国交省において、そういったところの現状把握の会議といいますか、説明会をやるということになっておりますので、そういうところも踏まえて、将来的にはきちんと鉄路を通すという前提で指導してまいります。
○中島(隆)委員 今大臣が申されていましたように、鉄路として必ず実施できるように支援をするということですので、ぜひそういうことでお願いしたいと思います。
それでは、都市集中の大型公共事業の再開等について大臣にお尋ねをいたします。
来年度予算案は衆議院を通過いたしました。今、参議院で審議中であります。野田総理は、来年度予算案を日本再生元年予算と位置づけました。だとすれば、再生の方向は、政権交代で国民に約束された国民生活第一でなければならないだろうというふうに思います。
ところが、国土交通省所管の予算でありますが、来年度の予算案では、八ツ場ダムの建設凍結を解除したり、あるいは本体工事が来年度予算に計上されております。それから、総額では一・二兆円と見込まれる東京外環道、大都市環状道路の整備が計上されておりますし、二〇一〇年の事業仕分けで廃止判定されたスーパー堤防の復活も行われております。こういう形で、都市部の大型公共工事が次から次に再開されているわけであります。
私は、公共事業全般が悪だと言っているわけではありません。環境に優しい、あるいは生活に密着して地域を再生する事業としては絶対に必要であります。さらに、公共工事の基幹道路を含めて、あるいは港湾も、地域的な港湾で重要な港湾もたくさんあります。
こういうことについて、来年度の予算に盛り込まれた公共工事、私から見れば、人からコンクリートへというような形で転換されているのではないかなと思うんですが、来年度の予算について大臣の見解を述べていただきます。
○前田国務大臣 人からコンクリートと言われて非常につらいわけでございますが、私自身は、考え方としては、治水も、あくまでもダムに頼らない総合的な治水というものを希求するべきだ、こう思っているんです。さらに加えて、東日本大震災の反省というのは、あらゆる各界各層、国民一人一人がその思いを持ったと思いますね。
ということで、国土交通省においても、持続可能な地域づくり、国づくりを目指そう、そして具体的には、低炭素・循環型の社会にしていこう、こういう考え方であります。
今、具体的な例を二、三指摘されましたけれども、ここは非常につらいところでございまして、その具体的な施設というのはやはり大きな機能を有しているわけなんですね。それで、東日本大震災の後を受けまして、しかも、例えば八ツ場一つをとりましても、多くは申しませんが、あのタイの大水害だとか、そして、八ツ場の持っている、ほとんど七、八割方きていて、あと割と短い期間でかなり大きな安全度を増す治水効果があるといったようなこと、あるいは、ミッシングリンクでいうと、外郭環状道路、要するに首都圏の環状道路というのが首都高の一番中心に帰ってくるまでない、関越、中央、東名とつながっていないというようなこと、こういったことから、どうしてもやるべきである事業について苦渋の選択をさせていただいたということでございます。
予算的には、お叱りをこうむるほど公共事業費は削減をしておりまして、二十一年度七・一兆円から二十四年度四・六兆円まで削減をしております。その分は、コンクリートから人へと、子供の教育であり福祉でありということに回しているはずでございます。
○中島(隆)委員 もう時間が参りましたので、一つ外環道だけ例を言いますと、一キロ一千億という膨大な金がかかる事業であります。そういう予算がかかる大事業であります。
時間が来ましたのでここで終わりますが、最後の八代港の問題については、後ほど担当部の方に要請させていただきたいと思います。
以上で終わります。
○伴野委員長 次に、竹内譲君。
○竹内委員 公明党の竹内譲です。
今、コンクリートから人へというお話がありましたけれども、二〇〇九年の政権交代のときに、民主党さんの基本的な考え方は、自民党と官僚から権力を奪う、自民党と官僚機構というものを否定するところから始まったような気がします。そういう意味で、コンクリートから人へ、こういうスローガンを立てられたんだろうと思いますが、私どもはもとから、人の命を守るためのコンクリートであるべきだというふうに主張してきたところでございます。
その意味で、過日の予算委員会集中審議でも大臣には質問いたしましたけれども、新名神の抜本的見直し区間の凍結解除のことにつきまして、まず最初に質問したいと思います。
東日本大震災を受けまして、改めて公共事業を含めて公共的事業の必要性が見直されていると思うんですが、新東名につきましては、ほぼ全線開通の見通しが立ってきた。私は、これを受けて、やはり新名神も全線開通へ向けて動き出すべきだろうというふうに思っております。
資料をきょうはつけております。資料一で、御存じの方も多いと思いますけれども、この抜本的見直し区間というのは、大津と城陽の間と八幡と高槻の間だけが凍結をされておりまして、この城陽と八幡の間というのはオーケーとなって、非常に短い区間ですが過日着工したところです。ですから、この二つの箇所がミッシングになっている。
これは理由があって、上に京滋バイパスというのがあるので三本も要らないんじゃないか、無駄だというような議論が当初あったわけでございます。そこで、最近の、その後の道路状況等、しばらく様子を見るということになっておりました。
その後、この南北の第二京阪道路という幹線が開通をいたしまして、これが今、大変交通量がふえている。と同時に、この周辺の京滋バイパス、旧名神においても、渋滞が今非常にふえてきたというような状況でございます。
私は、この京滋バイパスは確かにありますけれども、東日本大震災の、リダンダンシー、冗長さといいますか、そういう防災対策を何重にも考えていくという必要はあると思いますし、また、京滋バイパスはしょせんバイパスでありますので、これを凍結解除してつなげることによって、非常に新名神全体が意味があるし、防災対策にもなる。かつ、これは凍結解除をするだけで、税金を一円も使わなくて済む。NEXCO西日本がみずからの力で資金調達をしてこういう公益事業をやってくれるわけでありますので、これほど経済効果の高い事業もないだろう、こういうふうに思っておるわけであります。
過日も予算委員会で国土交通大臣は前向きな答弁をいただいておりますけれども、改めてこの国土交通委員会におきまして、その方向性と今後のスケジュールにつきましても御答弁をいただきたいと思います。
○前田国務大臣 新名神のつながっていないところは、まさしくミッシングリンクと言えるかと思います。その機能について、あるいは渋滞の状況というのは、委員も御指摘のとおりでございます。
現在、高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめを踏まえ、渋滞や事故の解消、災害への対応力の向上といった整備効果や、それらの緊急性を精査しているところであり、あわせて地元の要望もいろいろと聞いております。こういったことを勘案しながら、進め方については速やかに検討の結果を出したい、このように思っております。
○竹内委員 ひとつ速やかに進めていただきたいと思います。
次に、コンセッション方式の推進についてということで質問したいと思います。
PFI法が改正されまして、その一つのパターンとしてコンセッション方式ということが法律でも定められたところであります。特に民間の能力を活用した空港の運営を推進することは大事でありまして、無駄なものをいっぱいつくってというようなことをさんざん言われたこともありましたが、しかし、それで済ませてはいけないというふうに思っております。単に各空港の経営効率を改善するだけではなくて、同時に、国、地方の財政再建にも資するような方向性を考えていくべきだろう。
その一つの例として、関西新空港と伊丹空港を一つの会社のもとに統合して、特に関西新空港の運営権を民間に売却するコンセッション方式が導入されたところであります。賛成であります。
私は、この方式は他の空港にも適用すべきだということをこれまでも主張してまいりました。その意味で、国土交通省がこのたび、民間の能力を活用した国管理空港等の運営に関する法律案を出されたことは、評価したいというふうに思っているところです。
そこで、関西新空港のコンセッション方式の現在の進捗状況と、同時に、その他の空港の活性化の検討状況についてお伺いをしたいと思います。
○前田国務大臣 昨年五月に成立しました関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律を受けて、いわゆる改正PFI法といいますか、本年四月一日に新関空会社を設立いたします。七月一日に両空港の経営統合を実施することとしております。これに向けて、既に、設立委員会の開催、両空港の一体的な運営のための基本方針の検討等、必要となる準備を着実に進めているところであります。
いずれにしろ、関空、伊丹を適切かつ有効に活用することにより、経営統合によってこの事業価値を高め、市場環境や景気の動向等も踏まえつつ、できるだけ早期に、コンセッション、管理運営権の契約の実現を目指すこととしております。
○竹内委員 この民間のコンセッションのサウンディング状況といいますか、その辺は何か情報はありますでしょうか。
○前田国務大臣 その他の空港という意味でございましょうか。(竹内委員「その他の空港も含めて」と呼ぶ)
PFI法の公共施設等運営権制度を活用して、民間の知恵を生かしながら、空港ターミナルビルとの一体経営などによって効率的な運営を行うわけであります。それから、今国会に民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案を提出させていただいております。
何度も申し上げておりますように、持続可能な国づくり、あるいはこれから維持管理の時代になってくる、こういうふうに言われておりますが、そういう時代になればなるほど、PFI、少し幅を広げて言えばPPPと申しますか、そうやって、民間の資金のみならず、民間の知識、経営能力、あるいは広げて言えばコンソーシアムを構成することによって、新しい組織としての能力を発揮してこういう社会資本整備を進めていくという方向に立っているところであります。
○竹内委員 そこで、私も、これからの公共あるいは公益事業にはできる限り民間の能力や資金を活用することが大切であると考えております。
きょうは資料二と三を配っておりまして、レベニュー債というのがあるわけであります。特にこれはアメリカでよく多用されているわけでありますが、地方の公営企業とかさまざまな事業に使われているわけであります。
この特徴は、収益事業が中心ですけれども、利用者からの料金を使ってレベニュー債というのを購入する、新型の公債とも訳されていますけれども、その収益からの元利返済で全て賄うというような仕組みになっています。
資料二の上にありますように、地方政府の一般会計の保証を禁止するということでありまして、下の図にありますように、アメリカでは二十兆円以上毎年発行されていて、残高では二百兆円以上になっているというものであります。
資料三を見ていただいたらわかりますように、「レベニュー債とは」というので、こういう公共・公益事業の事業収益を返済原資とする債権のことである。対象事業としては、空港や有料道路、港湾、上下水道、住宅、病院。中には教育研究施設の運営とかNPOへの貸し付けなどにも使われております。
メリットとしては、今申し上げたように、政府による債務保証の禁止である。これによって基本的に無駄な事業を抑制している。それから、財政再建にも寄与している。アメリカでは免税扱いになっておりまして、実質的な低金利で起債できる。また、超長期、二十年から五十年の資金調達が可能ということで、資金繰りが安定する。公益事業の透明性の向上にもつながって、経営実態や財務情報が開示される。
アメリカの具体的な事例としては、コロラド州のデンバー空港やテキサス州の高速道路ネットワーク公社、ニューヨーク市の新ヤンキースタジアムとか、ロサンゼルス市の水道電力局ほか多数あります。発行規模、残高は、今申し上げたとおりであります。
日本でも、先進的に茨城県で産業廃棄物処理施設で調達額百億円を昨年の十月に行ったところでありまして、おかげさまで、県は損失補填を解消できた、安定的な資金繰りによる自律的運営が可能になったということであります。
日本の公営事業の一般的実態としては、経営実態が不透明で財務情報がわかりにくい、人件費が増大していて赤字体質で資金繰りが厳しい、地方債などで調達しているが、返済原資として国の交付税などで補填しているケースも多い、かつ一般会計から補助金を出しているケースも多いというようなことで、このレベニュー債の提案を何度となく今までしてきたわけでございます。
国土交通省と総務省にお聞きしたいんですが、今後、各省において、やはりこういう民間の活力や能力を使った手法も取り入れていくべきではないかというふうに思いますが、各省、お答えを願いたいと思います。
○浜田政府参考人 お答えさせていただきます。
先生おっしゃるように、民間活力の導入に関しまして、総務省としましては、もちろん、各地域の実情あるいは事業の実情というものを考慮する必要はございますが、従来からも、地方公営企業が今の先生のような御指摘を受けることのないように、経営環境の変化に適切に対応するために、民間的経営手法の導入については、これまでも繰り返し、必要があればそういうものを導入していくように要請をしてきたところでございます。
結果として、最初に先生が事例で出していただきましたPFIの事業、こういうようなものは上下水道あるいは病院等で活用されておりまして、二十二年四月一日の数字が今最新でございますが、これで見ますと、全国で四十三事業が展開されておりますし、あるいは、ちょっと先生の御指摘にはございませんでしたが、管理者を民間の経営者にお任せをして管理をしていただくような事業も六百十八事業と、着実にそういうような民間導入が推進されているところでございます。
今、御事例で言われました茨城県の環境保全事業団の百億円のケース以外にも、過去には、東京都の住宅供給公社の方で、いわゆるプロジェクトファイナンス方式の資金調達、まさしくレベニュー債的な資金調達も行われており、地域の実情に合わせて、いろいろな形で民間活力の導入あるいは民間手法の導入というものは推進がされていると思います。
総務省といたしましては、これからも、民間的経営手法の導入に関しましては、地方公営企業の抜本改革の取り組みの中で、必要があればどんどん推進していくように支援してまいりたいと考えております。
○竹内委員 国土交通省はきょうは時間があればお答え願いたいと思いますが、ここは国土交通委員会ですが、やはり総務省は大事だと思うんですよ。総理もこれは大いに猛勉強してやるというふうに言っているわけでありまして、財政再建にやはり寄与していくんですよ。ところが、総務省は全然、初めて聞いたような感じでは困るわけでありまして、大いにこれは研究してもらって、どんどん推進していく、そういうもっと前向きの答弁をもらえませんか。
○浜田政府参考人 お答えさせていただきます。
私の申し上げ方が不十分だったかもしれませんが、総務省としては、今までも、平成十四年あるいは十六年、そして二十一年と、各地方公営企業の方に、民間的経営手法の導入を必要に応じてどんどん推進していただくよう要請しているところでございまして、我々としては、従来からもそういう形で推進しておりますし、これからもその姿勢は続けていきたいと考えております。
○前田国務大臣 確かに、自治体は経営体でございますから、そういう意味ではこういう手法は非常になじみやすいと思いますね。アメリカにおいてはこういうのは徹底しておりますし。
国土交通省におきましても、広い意味でのPPPをぜひもっともっと前進させたい、こう思っておりまして、省内に、プロジェクトチームといいますか、政策官を任命して、PPPを進める、そういうチームを発足させて検討を進めております。
○竹内委員 これで終わりますが、ひとついろいろなものに挑戦をしてもらいたい、このことを申し上げて、終わります。
ありがとうございました。
○伴野委員長 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。
前田大臣、参議院予算委員会に出席とのことで、御退席いただいて結構です。
次に、富田茂之君。
○富田委員 公明党の富田茂之です。竹内議員に続いて質問させていただきたいと思います。
復興庁の末松副大臣に来ていただいていますので、先に質問して、退席していただいて結構ですので。
復興交付金についてお尋ねしたいと思います。
第一次の申請に対して交付決定が出て、宮城県知事が五七%しか認められなかったということでかなりお怒りでしたが、私の地元千葉県、横に林幹雄先輩がいらっしゃいますが、千葉でも浦安市と香取市が、申請した金額に比べて本当に一割にも満たない、浦安に至ってはもっとひどい交付決定額だったということで、かなり両市長は怒られて、昨日は浦安の松崎市長が副大臣のところにわざわざ行かれた。きょうの県紙千葉日報を見ましたら、副大臣が浦安をちゃんと視察してくれるということで、市長も喜んで、それで交付額がふえるんじゃないかというようなことが書いてあったんです。
ただ、この復興交付金の配分方針について、現場の担当者のお話だったと思うんですが、こんな話があったというふうにちょっと聞きました。甚大な被害地域を対象に配分したという説明を香取市の方の担当者が聞いたようで、こういう言い方だと、同じ程度の被害であっても復興交付金制度というのはやはり東北三県優先になるのかというふうに千葉の皆さんは思っているようです。
この配分方針についてはどういう基準でいかれているんでしょうか、まずそこを教えていただきたいと思います。
○末松副大臣 ありがとうございます。お答えします。
まず、三月二日の配分、第一回目をやったわけでございますけれども、内容として、一番プライオリティーが高いということで、緊急性とか生活上の必要性がより高いものから私どもは検討していったわけでございます。
ですから、例えば、生業の再建ということで水産・漁港関連施設とか、あるいは住まいがない方々、住まいの確保ということがまずは最重点でございますので、そういった意味で、災害公営住宅の整備事業とか、あるいは防災の集団移転、これもどのくらいかかるかわからないほど高額な話になりますけれども、こういったものを重点的にやってまいりました。
そこの中で、例えば、まだ事業の熟度が低いとか単価がちょっと高過ぎるとか、そういったものとか、あるいは、何十年来の懸念なのでこの機会に何とかやってくれと、これは自治体の負担がないものですから、そういったものがいろいろと出てきます。そういったところは、私ども、ちょっとそこはプライオリティーとして低くしていっている。
ただ、先生多分あると思いますけれども、千葉の方で、そこの液状化対策、これについては私どもも極めて重要だと思っておりますので、決して三県に比べてプライオリティーが低いというふうに考えているわけではございません。
○富田委員 液状化の話をしていただきましたけれども、そちらの谷田川先生も地元ですが、香取の宇井市長が、千葉日報の三・一一を踏まえてのインタビューでこんなふうに言われています。「単独の自治体でこれだけの面積(約三千五百ヘクタール)で液状化被害を受けたのは、日本でも香取市が一番だと思う。」加えて、「国の施策がどうしても東北三県を向いているように感じる。千葉県も同じように被災地。特別な扱いをしてほしいとはいわないが、液状化はこれからが大変。国が被災地として認定しているのであれば、同等に対応してもらいたい。」こういうふうに言われています。
また、液状化被害が一番ひどかった浦安市の松崎市長も、液状化した地域は再び液状化が起こると言われており、首都直下地震が切迫する中、対策を行わないでもとに戻すだけの原形復旧をやっても意味がないと。今回の交付金は原形復旧には使われないという基準があるようですのでこういう発言になったと思うんですが、国は液状化を理解していない、液状化対策なくして浦安の復興はない、復興交付金がないから対策をやらないということではないが、どこまでできるかの問題になるというふうに松崎市長はインタビューに答えられています。
交付金の詳細をホームページで見ましたが、やはり液状化対策事業が一番後ろの方にあって、どうもやはり本来の復旧復興でやれるんじゃないかというような認定になってしまって、浦安市や香取市が求めるような形での交付金決定に至っていないんじゃないか。両市とも二次申請するというふうに言っていますので、そのあたり、ぜひ詳細に聞いていただきたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○末松副大臣 復旧だけで対応していたら、これは確かに、また来たらまた同じような損害を受ける、これはまずいということで私どもも認識を持っております。
ですから、単純な復旧費でこれを賄おうという、査定は一応しておりますけれども、それ以上に、今度の復興交付金でそれも守備範囲の中に入っているということ、特に私ども、市街地と一体になった道路とかあるいは下水道とか、そういったものも全部面倒を見ようということでやっているところでございます。
そういった意味で、さらにメニューとして、例えば防災対策の事業費とか、あるいは社会資本整備総合交付金とか、あるいは学校関係の交付金とか、そういったものを合わせて、しっかりとそこは、いろいろなメニューの中から浦安なら浦安市とよく話して、その観点から、私も来週、浦安市に行って実際見てくるわけでございます。
ただ、そこのところで気をつけなきゃいけないのは、例えば学校で、浦安市の方から、サンドパイル方式ということで、砂のくいをどんどん打って固める、こういう工法がございます。あるいは、道路で路盤を物すごくかたく固める。全部こういう工事をしていきますと、また事業費がかなり巨額になっていきます。そういったところのプライオリティーづけをやっていくというところから私どもは考えていくということでございます。
ただ、最後は、自治体と緊密に話し合って、いろいろなメニューの中から、自治体が復興ということのニーズに応えるようなことをやっていきたい、私どもはこういうふうに考えております。
○富田委員 ちょっと、両市の要望を伝えておきますが、今副大臣言われたように、何でもかんでも全部交付金でやるというわけにはいかないと思うんですけれども、例えば浦安市の方は、浦安の状況から考えると、復興交付金事業としての液状化対策と災害復旧工事の早期同時施工が必要なんだと。復旧工事の費用でやれると言うけれども、災害復旧工事は、舗装や側溝、縁石など、多くの部分で表層しか対象になっていない。副大臣先ほどおっしゃったように、これで表層だけやって、あとの部分はどうでもいいというわけにはいかないと思うんですね。こういう現状を見ていただきたいと思います。
香取市の方からは、災害復旧補助等を活用する事業は対象外という説明があるけれども、使い勝手のいい交付金制度によって地方公共団体が創意工夫を発揮するというのが今回の交付金の制度趣旨だったはずです。そういうふうなことになると、もう少し弾力的に運用してもらっていいんじゃないかという点と、液状化対策は予防事業だから対象外という説明を受けたらしいんですね。そうじゃないと今言われていますから、やはり地域の実情に応じた復興ができるように、浦安を見に行かれるようですけれども、できたら香取も一緒に行っていただいて、谷田川先生うなずいていらっしゃいますから、副大臣、ぜひ頑張っていただきたいんですが、どうでしょうか。
○末松副大臣 例えば費用の観点からいくと、私ども、復旧だけだったら百九十九億円、一応予算立てをしておりますけれども、さらにそういった根本的な液状化対策を復興でやろうとすると、例えば浦安市から二百八十数億円というのが出ています。ですから、そういったものを、百九十九億円プラス復興交付金で出せるもの、それ以外で何か交付金等で出せるメニューというか、そういったものを踏まえながら現地と話していくということ。
同時に、現地の方も、いろいろな工法で値段に差が出てきますので、そこをうまくいろいろな形で勉強していただいて、そこで一致点を見出して、復興がしっかりやれるように努力していきたいと思っております。
○富田委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
末松副大臣、もう結構です。ありがとうございました。
次に、観光産業における風評被害対策についてお尋ねしたいと思います。
きょうは溝畑観光庁長官に来ていただいていますが、溝畑長官とは、今週の金曜日、秋田で御一緒する予定であります。東北復興観光プロジェクトin秋田という、東北の民間の皆さんが観光プロジェクトで東北を復興しようということで、去年は庄内にも御一緒させていただきまして、長官のすばらしい講演を伺いました。
東北の応援というのはいいんですが、今もお話ししましたように、千葉も被災地です。
先月、我が公明党千葉県本部の県民運動局のメンバーの県議さんや市議さんと一緒に、銚子市と旭市に行ってまいりました。観光産業や漁業がどういう復旧状況にあるのかというのを見てきたんですが、銚子市で、旅館組合の理事の皆さんから、震災以後の営業状況について聞き取り調査を行いました。こんな話がありました。
お客さんは前年度比で六割前後までしか戻っていない。特に団体客の落ち込みが激しい。老人会や子供会等、団体の契約を苦労してとってきても、いざ実行される前に御家族が、そんなところに行っちゃだめだということで反対があって、キャンセルになる事例が相次いでいる。茨城県沖で少しでも大きい地震があったというふうに観測されて、それが報道されると、すぐキャンセルが入ってくる。料理に出した魚について、セシウムは大丈夫なのかというふうにお客さんが尋ねてくる例がたくさんある。こういう切実な訴えを聞いてきました。
銚子でいえば、海岸沿いの旅館が一軒廃業して、犬吠埼に建っています犬吠埼京成ホテルも、業績悪化で、この四月一日から犬吠埼ホテルというふうに名称を変えまして、第三セクターの方で営業するようになります。犬吠埼京成ホテルというのは犬吠埼灯台の横に建っている銚子で一番メーンのホテルですので、そこが営業が立ち行かなくなるというのは、ほかの旅館も推して知るべしというような状況なんですね。
津波の被害があるんじゃないかとか、放射性物質に対する不安等から生ずるこういう観光産業における風評被害に対して、観光庁としては今後どのような対策をとっていかれようとしているんでしょうか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
○溝畑政府参考人 議員御指摘の千葉県の今の観光の状況について申し上げておきたいと思います。
震災や原発の事故によりまして、特に東北、北関東は、まだまだ風評被害、そしてまた、全体的に特に海辺の観光需要の冷え込みは大変厳しいというふうに私どもも認識いたしております。
私ども、昨年夏にかけまして、銚子といすみ市、鴨川の方に行ってまいりました。私が大変衝撃を受けましたのは、特に海辺の海水浴客がほとんど来ない、大変厳しいというお話を聞かせていただきました。
また、実際、インバウンドも、千葉県はやはり、浦安、成田、この周辺が非常に冷え込みが激しゅうございまして、全国的には訪日観光外国人、国内観光は需要回復しておりますが、まだまだ大変厳しい、そういうふうに強く受けとめました。
私どもといたしましては、ビジット・ジャパンの連携事業、これは海外に千葉県の安心、安全をPRする、こういう事業をまず行わせていただいております。また、留学生を使いまして、派遣サポーター事業というのがございます。留学生五十名を、特に風評被害に苦しんでおられます南房総を中心に派遣させていただきました。そしてまた、言語バリアフリー化事業、これは成田空港周辺地域を中心に積極的に事業を行わせていただきました。
私どもといたしましては、東北六県、そして特に北関東、中でも千葉県というのはまだまだ観光需要は非常に厳しいと認識しておりまして、十分に千葉県とも連携をとりながら、国内観光、そしてまたインバウンドの需要回復に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。
○富田委員 今の長官の言葉はすごくありがたいんですが、千葉は北関東に入っていないんですよね。
東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業というのがこの平成二十四年度予算で六億二千四百万ついています。東北地方に対する支援をしようということで、いいと思うんですが、北関東で特に茨城、栃木、群馬の落ち込みが激しいということで、応援しようとこういう事業ができたと思うんですが、今長官言われたように、沿岸部の落ち込みが激しいというふうに言われると、栃木、群馬というのは沿岸部がないんですよ。茨城が入るんだったらなぜ千葉が入らないんだ。利根川を挟んで銚子と神栖市はもう隣同士ですから。
先日事務方に聞きましたら、この事業の中に、商談会・観光キャラバンという、いろいろな海外の市場に行って現地で商談会を開く、そこに対象地の市町村とかあるいは観光事業者に参加してもらうんだ、そういう事業も考えているというふうに言われたんですね。それだったら、少し広げていただいて、東北六県と北関東という中に、こういう機会にはせめて千葉県内の市町村とか、あるいは旅館組合の団体の皆さんとか観光事業者の皆さんを入れていただくと、少しでも風評被害に対する対策になると思うんですが、そういう弾力的な運用というのはできないんでしょうか。
○溝畑政府参考人 議員御指摘の東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業、これは、風評被害の大変厳しいと言われております東北六県、そして、北関東の中で特に、原子力損害賠償紛争審査会、これは二十三年八月に中間指針が出ましたが、その中で少なくとも相当因果関係が認められた地域とされました北関東の茨城、栃木、群馬の三県を加えた県を対象といたしております。
我々のスタンスといたしましては、この指針に基づいて事業を行っておりますが、議員御指摘のように、十分にそのあたりの連携とかそういうところはとっていって、全体として北関東がインバウンドのそういった需要回復につながるような形の対応をしていきたいというふうに考えております。
○富田委員 今長官言われたように、原発の審査会の方で、原発の影響を受けているということで北関東の茨城、栃木、群馬が入ったんですが、ことしの一月十日に東京電力の方で、千葉県の観光産業に対する被害についても賠償しようというふうなスキームができましたので、ぜひこの点も考慮して、千葉県もこのインバウンドの中に弾力的に入れていっていただきたい。いろいろな事業があると思いますので、茨城で切ってしまうのではなくて、千葉県内の業者の皆さんにも声をかけていただいて、参加の機会だけは与えていただきたいというふうに思います。この点はぜひ要望しておきたいと思います。
長官、これでもう結構です。ありがとうございました。
次に、都市再生機構の賃貸住宅の件について御質問したいと思います。
昨年の大臣所信に対する質疑の際にも、URの賃貸住宅の件を御質問しました。独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針について、一月二十日に閣議決定がされました。その閣議決定の中のUR、都市再生機構の部分についてこういう記述があります。
地方都市を含めた高齢化・人口減少社会への対応など本法人の役割の変化に伴い、持続可能なまちづくりを効率的かつ的確に実施できるよう、業務の見直しと併せ、分割・再編し、スリム化することを検討する。
検討に当たっては、外部の有識者から成る検討の場を内閣府に設置し、住宅・都市再生両部門の連携が図られるようにすること、住宅・都市再生の事業による収益が本法人の有する多額の負債の返済に充てられる仕組みとすること等に留意しつつ、本年度中に方向性について結論を得る。さらに、賃貸住宅の居住者の居住の安定の維持等の必要性を十分踏まえ、国民負担が増加しないよう留意しつつ、会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化を検討し、平成二十四年夏までに結論を得る。また、東日本大震災の復興事業の推進に留意しつつ検討を進める。
こういうふうな記述がなされています。
これまでのUR賃貸住宅に対して、国土交通省の中にも有識者の検討会議を設けて、二十二年でしたか、報告書を出していただいて方向性を示されましたが、そこからかなり踏み込んだ閣議決定になっていると思うんです。この閣議決定の意義あるいは問題点というのは、国交省住宅局としてはどんなふうに認識されているんでしょうか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の独法の改革、これは、独法の制度、組織を抜本的に見直して、法人のガバナンスの強化と政策実施機能の強化を新たな目的として新しい制度、組織を構築するということがうたわれているところでございます。
一方で、都市再生機構については今先生御指摘のような記述がなされておりますが、私どもとしましては、かねて大臣も申し上げておりますとおり、七十六万戸の賃貸住宅を供給いたしておりまして、住宅セーフティーネットの役割の一翼を担っておる、さらには、高齢化、人口減少社会に対応して、地方都市を含めまして、都市の中心部などの衰退に歯どめをかけて、賃貸住宅団地を核にして、PPP手法などを使いながら、新たな持続可能なまちづくりを進めていく、そういった新しい役割も期待をされているというふうに考えております。
一方で、この閣議決定でも指摘をされておりますように、機構は現在十四兆円の負債を抱えておりまして、金利の変動などによります将来の国民負担というものを招かないよう、業務を徹底的に見直して効率化していくということが求められておりまして、この閣議決定においても、そういった観点から予断なく組織の検討を行うということがうたわれたものと考えております。
現在、内閣府においていろいろ検討が行われているというふうに承知をしておりますが、当然、機構の果たすべき政策的な役割というものが的確に遂行できるように、さらに、賃貸住宅についてはお住まいの方々が大勢おられるわけですから、そういった方々の居住の安定といったことにも十分配慮しながら、業務の効率化そして負債の縮減といった方向に向けた検討が行われる、そのように理解をいたしております。
○富田委員 住宅局長、今ずっと説明してくれた国交省の考え方というのは私はいいと思うんですが、もともとこの閣議決定の前日に、行政刷新会議の独立行政法人分科会、「独立行政法人の制度・組織の見直しについて」という報告の中で、各法人について講ずべき措置という記載がありまして、その中でも、三千五十億円の繰越欠損金と、今局長が言われた十四兆円の負債と。
十四兆円の負債がある団体を特殊会社化できるんですかね。この負債はどうやってその特殊会社に持っていこうとしているんでしょうか。分割、再編と言っているから、都市再生部門と賃貸部門を分けるという前提だとしても、たしか十四兆のうち十一兆円は賃貸部門での負債でしたよね。最低でもその十一兆円を持って、新しい会社というのはつくりようがないと私は思うんです。何かドラえもんみたいにぽんと出てくるような、そういうことでもない限り、無理に特殊会社化したら、結局、国民負担を求めざるを得なくなる。
ちょっと、行政刷新会議に余りにも配慮し過ぎの閣議決定だったんじゃないかなというふうに思うんですが、そのあたりはどうですか。
○川本政府参考人 御指摘のように、都市再生機構は、機構発足時からの繰越欠損金が現在でもまだ三千億強残っております。発足時は七千億強あったわけでございますが、機構の努力もありまして、半分以下にはなってまいったわけでございます。
私ども、先ほど冒頭委員から御指摘のありました、国土交通省の中に置きました都市再生機構のあり方についての検討会におきましては、一つにはこういった欠損金の問題。さらには、ニュータウン事業、これは平成二十五年度までにいろいろな事業を行って、三十年度までにはもう売り切ってしまって処理をするということにしておりますが、この事業は、地価の下落に伴って相当損が出る可能性もある、そういったものの処理。さらには、負債の金額の大きさを考えますと、完全民営化、いわゆる民間会社にすることは大変難しく、現実的ではなかろうというのが私どもの検討会での結論でございました。
したがって、その検討会におきましては、もし機構の組織を見直すということになれば、政府出資一〇〇%の特殊会社か、ガバナンスを強化した新しい形での公的法人というのが一番現実的ではないかという指摘がございまして、基本的に、先ほど委員御指摘のように、多額の借金を抱えながら民間会社化できるかということについては、私どもの検討会でも割と否定的な意見が多かったということでございます。
今回の閣議決定につきましては、先ほど委員からお話ございましたように、会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社ということで、会社のところに全額政府出資というのをあえて入れておりますのは、御指摘のような会社化の難しさ、問題点ということについてもある程度留意した表現をされたものだというふうに考えております。
いずれにしましても、機構については、政策的な役割を果たしながらこういった負債というものを確実に縮減していくことによって、将来の国民負担を生じないようにしていく、こういった取り組みが重要だと考えておりまして、この点につきましては、私どももこの調査会の席でも申し上げ、これからもそういった方向で検討がされるようにお願いをしたいと思っております。
○富田委員 今、全額出資というところに意味があるんだというふうに川本局長の方からお話ありまして、そのとおりだと思いますし、単純に民営化に突き進んでいるんじゃないと。賃貸住宅にお住まいの皆さんはこの閣議決定が民営化へ大きく踏み出したというふうに思われていますので、そうではないんだということで御安心をいただきたいというふうに思いますし、そうなるように第三者委員会、調査会で確認をしていただきたいというふうに思います。
外部の有識者による検討会議に住宅政策の専門家とか居住者代表を加えてほしいというふうに全国公団住宅自治会協議会の方の決議に書いてあります。こうなればいいなと思っていたんですが、残念ながら、調査会の構成員のメンバーを見てみましたら、住宅政策の専門家とかこういう居住者代表の方は含まれていません。会長はDOWAホールディングスの前の会長の吉川さんで、会社を大きく立て直した功績のある方ですので、立派な方だというのは存じ上げていますが、そのほかの方はマスコミの方とか大学の先生が多いんです。経営の方の専門家とか、あるいは行政の許認可の専門家の先生方で住宅政策の専門家という方は入っていなくて、全部切り刻んでいこうというような感じがメンバーを見るとどうもするんですね。唯一の救いは、「オブザーバーとして国土交通省担当部局が出席」というふうに書いてあります。公団住宅に長く住んでいきたい、高齢化が進んで、そういう中で居住の安定を求めている皆さんの思いを、ぜひ住宅局の方でこの検討会のメンバーの皆さんに伝えていっていただきたいというふうに思いますので、その点は要望しておきます。
それからもう一つ、先ほど局長が国交省の検討会での報告の中で、今後、この賃貸住宅のあり方ということを考えたときに、大臣が予算委員会で答弁されていましたけれども、既存団地のストックを活用し、PPP手法などを活用して、民間の資金、ノウハウを活用したサービスつき住宅、要するに、ニュータウン、オールドタウンの問題を、もう一度高齢者なんかにも優しい地域包括ケアなんかも想定しながら、新しいサービスつきの住宅の供給等を促進するというふうに答弁されていました。これも方向性として示されたんだと。
この一番いい例が、千葉県柏の豊四季台団地で今進んでいる地域包括ケアシステムの検討会だと思うんですね。総理も前田大臣も先日行かれたというふうに聞いていますが、こういう方向で、四十年、四十五年たった古いURの賃貸住宅を再生して、地域を巻き込んで、医療も全部二十四時間の医療がついている、そして高齢者の皆さんが働く場もその周りで求める。豊四季台団地では、農業で就活をしようというようなことを考えているようです。そういった方向に住宅局としてもURを指導して持っていくことが大事じゃないかなというふうに思うんですね。総理も大臣も、視察されて大変感動されていたようです。
千葉市では、千葉市の幸町団地で、高齢者と若い人たち、子育てを支援するためのそういうシステムをつくろうという動きも出ています。耐震化で問題になった棟を全部撤去しましたので、その空き地に特別養護老人ホームとか子育て支援のシステムをつくろうというふうに先日報道されていましたが、住宅局の方としても、URの賃貸住宅はこういう方向で生き残っていけるんだというふうな方向性があると思うんですが、そのあたりは現在どのように検討されているんでしょうか。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のように、URの賃貸住宅団地は、昭和四十年代に建てられたストックあるいは五十年代前半までのストックが大変多いわけでございますが、こういったストックにつきましては、もともと非常に手狭である、さらには、設備も老朽化しておって、更新あるいは建てかえ等が必要になってくるところが大変多くなっております。
団地の再生事業と私ども呼んでおりますが、こういった事業を行う際には、お住まいの方、高齢化も進んできておりますので、例えば病院を併設するとか、あるいは介護施設を併設するとかというような形で、高齢者に優しい、新しい町として生まれ変わらせていくということが大変大事だと思っております。そうした中で、新しい団地については、若年層も入ってくるという格好で、世代間の交流あるいは循環が進んでいくというのが一番望ましいというふうに考えております。
団地の再生、再編事業というものを進める中では、そういった形で、豊四季台のお話が出ましたが、先導的な取り組みというものを参考にしながら、民の力もうまく入れて、医職住が近接した新しいまちづくりというものを進めていきたいというふうに考えておりまして、事例の積み重ね、そして具体化ということについて、これから力を注いでまいりたいと考えております。
○吉田副大臣 今、富田先生のお話を聞いておりまして、実を言いますと、まず冒頭の外部有識者による調査会の件ですけれども、私自身が団地に住んでおりまして、その一員でございますので、どうなるかというのは、極端なことを言えば毎週末帰るたびに団地の皆様からいろいろ憂慮の声、さまざまな御意見を賜っているということ、それが副大臣で担務をさせていただいているということをまずぜひとも知っていただきとうございます。
そして二点目、私の住んでおります団地は森之宮団地といいまして、第一団地は今から四十数年前、私の住まいする第二団地は今から大方四十年近く前にできております。今、富田先生がおっしゃられたことは、まさに私どもの団地も西日本で最初の一番大きな団地と言われましたので、こういうことをぜひとも進めていただきたい。
やはり、高齢者社会がふえてまいります。私どもの団地は結構老人会が活発だというので、わざわざそこへ越してこられる方もたくさんおいでになられる。
公団住宅という、今はURといいますけれども、やはりこの持っているポテンシャルというものを、ぜひともさまざまな部分で、とりわけ、高齢化社会、人口減少、職住近接という部分、そしてPPPという手法も使いながら生かしていく方向にしていかなければならないと思っております。
以上でございます。
○富田委員 吉田副大臣と川本住宅局長に期待していますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、熊田篤嗣君。
○熊田委員 民主党の熊田篤嗣でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、限られた時間ですので、早速質問へと入らせていただきたいと思います。
昨年のあの悲惨な東日本大震災から一年余りが経過いたしましたが、きょうもたくさんお話が出ていましたけれども、被災地はまだまだ苦しみの中にございます。そういった意味で、復旧復興が急務であるということはきょうの御議論の中から言うまでもありませんが、しかし、同時に、私たちはこの大震災という経験から多くのことを学び、将来への備えもしていかなければならないと考えています。
そこで、まずは災害対策についてお伺いしたいと思います。
大臣所信の中で「安全と安心の確保された社会を目指し」とあり、その事例の一つとして、「東京圏の中枢機能のバックアップのあり方に関する検討についても進めて」いくということが述べられていました。具体的には、国土交通省内に東京圏の中枢機能のバックアップ検討会を設け、取りまとめに向けて作業中であるとお伺いしています。
その検討会の目的は、一つには、東京圏の中枢機能のバックアップに関する基礎的な検討、そしてもう一つには、具体的にはバックアップ体制の構築に関する論点と考え方を提示、そして三つ目として、バックアップ場所としての特定の地域を選定するなどの具体的な検討は行わないと聞いています。これで間違いないかということと、現在の検討状況を含めて、まずはお伺いできないでしょうか。
〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕
○吉田副大臣 熊田議員の御質問にお答えを申し上げます。
今議員おっしゃられたとおりでございまして、それで終わればいいんですけれども、検討状況ということでございますので、今お話にございましたように、今月中を目途に、バックアップ体制を構築するに当たり検討すべき基礎的な論点とその考え方を内容とする取りまとめを行う予定でございます。
今お話にございました有識者による検討会は、昨年十二月に立ち上げを国土交通省内で行い、内閣官房及び内閣府と連携しつつ、基礎的な検討を始めているところでございます。
行政中枢機能のバックアップ体制の構築は広く全省庁にかかわる課題であり、その具体化に当たっては、この検討会の取りまとめを踏まえつつ、政府全体として推進されるべきであると考えております。
○熊田委員 ありがとうございます。
今、お尋ねしたとおりということでございましたので、その点に関して言えば、バックアップ場所としての特定の地域を選定するなどの具体的な検討は行わないということで今回よろしいかと思うのですが、しかし、首都直下地震、早晩起こるかもしれないとも言われています。にもかかわらず、基礎的な検討と論点と考え方を提示するだけで、バックアップ場所の選定も行えないというのは余りにも悠長な対応ではないかという気がいたします。
これに関して、民主党内においては首都中枢機能バックアップワーキングチームが立ち上がり、場所の選定も含めて、今検討が進んでいます。また、首都機能のバックアップという意味では、二〇〇五年に危機管理都市推進議連が発足をし、これは超党派でございますが、この中でも検討が進んでまいりました。ここにおいては、首都機能の麻痺ということを前提にして、東京から一定程度の距離が離れていることなどを前提に、大阪も候補地として考えられてきました。今回は、こういった危機管理都市という、副首都の建設という大きなことまではいきませんが、いつ起こるかわからないという首都直下地震に対して早急な対応をしておかなければならないことが主眼だと思います。そういった意味で、この危機管理都市の議論も大いに参考になるのではないかと思っております。
また同時に、日本銀行やNHKなど、こういった機関も、東京圏の本部機能が使用できなくなった場合、大阪でバックアップ体制を立ち上げるとも聞いています。そういったもろもろの事例を含め、また、早急かつ具体的なバックアップ体制の構築が急務であることを踏まえると、府省地方出先機関が集積し、東京に次いで民間中枢機関も集積する大阪にまずはとりあえずバックアップ機関を整備すべきだと私は考えますし、そこに置いた上で、将来的にさらに複数拠点へと広げていくことも可能ではないかと思っております。
ともかく、早急かつ具体的に動いていくこと、もしかしたら、今この瞬間に地震が来るかもしれないわけでございますから、こういった具体的な検討を早急に行っていくことが大切だと思いますが、この場所の選定も含め、どういったあり方で進んでいくのか、そこのところもお聞かせいただけないでしょうか。
○小島政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど吉田副大臣から御答弁申し上げました国土交通省の、東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会の一次取りまとめ案におきましては、首都直下地震等の切迫性に鑑み、早期に実現し得る課題から先行して具体的な検討を開始することが必要という指摘があるところでございます。したがいまして、最小限のバックアップ機能を有する拠点を取り急ぎ設けるということは検討会の趣旨に沿ったものであると考えているところでございます。
しかしながら、これは繰り返しまして恐縮でございますが、場所につきましては、国土交通省の検討会はあくまでも基礎的な検討を行うことを目的としていることから、特定の地域を選定しないこととしておりまして、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、この後、政府全体として検討していく課題であるというふうに認識しているところでございます。
○熊田委員 ありがとうございます。
確かに、先ほどのお話にもあるとおり、国土交通省の中だけで済む話じゃなくて、他省庁との連携が特に大切になってくるんだと思います。先ほど吉田副大臣のお話にもありましたように、内閣官房や内閣府との連携は今の時点でなされているとは聞いておりますが、この先、さらに踏み込んだところが必要だというのは先ほどお答えもいただいたところでございますが、私たちも確認をしている、聞いている範囲で、これは私の所見でもございますが、各省、バックアップ体制と同時に事業継続計画、BCPというんですか、作成はしていますが、それぞれまた、これも基準がばらばらで、機能するかの検証がないまま来ているようにも聞いています。また、各省庁間の体制と意識にも大きな隔たりがあるような気がいたします。
先ほど、政府全体として、今後しっかりと検討していくよう広げたいという趣旨であったと思いますが、ここのところは特に大切なところだと思っておりますので、国交省としては、検討会はいつ最終の答申が出て、それでその先、どういった働きかけをしようとしているのか、具体的なところをもう一度改めて教えていただけないでしょうか。
○小島政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省の検討会は三月二十二日に第五回目を開催いたしまして、その場で二次取りまとめ案を御審議いただきます。したがいまして、そこで出ました意見を踏まえまして、恐らく、最終的な絵姿というのは今月中に何らかの形で取りまとめ、それを受けて、次なるステップで政府全体での検討の場ということに進んでいくのではないかと考えております。
この辺は今後十分に相談しながら、スピードを速めながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
○熊田委員 その辺は相談しながらということでしたが、それは、内閣官房とか内閣府とも今相談をしているということでよろしいんでしょうか。それとも、ほかの省庁も含めて、具体的にそういう話は出ているんでしょうか。
○小島政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど副大臣から御答弁申し上げましたとおり、この検討会には常に、オブザーバーとして内閣府あるいは内閣官房の安全・危機管理担当が入ってございます。したがいまして、もちろん内閣府、内閣官房あたりが中心となって政府全体を取りまとめることになると思いますので、事前の相談という形が十分であるかどうかは別といたしまして、今のところ、内閣府、内閣官房、国土交通省と相談しながら今後のことを進めていくことになろうかと考えているところでございます。
○熊田委員 大変重要なテーマだと思います。そこはしっかりやっていただきたいと思います。
大阪選出だから言うわけではありませんが、大阪も候補地の一つとしてしっかり考えていただきながら、また具体的な場所を決めていっていただきたいなというように、お願いをさせていただきたいと思います。ともかく、早晩起こる可能性も指摘されるこういった首都直下地震への対応が急務であるということで、改めてそのお願いをしたいと思います。
そこで、首都機能のバックアップということも含めて、少し角度を変えてお話をしたいと思います。
我が国の第二の経済集積地、大阪と東京との交通ネットワークは、今言ったお話も含めて、これまで以上に重要性を増してくる。特に、大災害に対するネットワークの多重化というものは非常に重要なものになってくるのではないかと思います。これは国家的、総合的な見地を持って考えていくべきだと考えています。こういったことを念頭に、中央リニアというものについてお伺いをさせていただきたいと思います。
中央リニアは、昨年の交通政策審議会の答申を受けまして、全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備計画が決定した。この理念についての認識の一つとして、先日の予算委員会第八分科会で、奥田副大臣も、「この大動脈というのは、今、東日本大震災から見直されている首都機能のバックアップということについても大きな意義を持つことと思います。」まさしく首都機能のバックアップと絡めて、リニアの重要性を副大臣が答弁をされておられます。
しかし、こういった震災後という大きな環境の変化にあってもなお、JR東海から示された、長期でのファイナンスを第一義に考えた計画、このままでございます。二〇二七年に名古屋、二〇四五年に大阪までの開通となっています。しかし、こういった前提を考えれば、なおさらに東京―大阪間の一体開通の重要性は高まっているんじゃないかというように感じます。確かに、かつての国鉄が政治に翻弄された姿、これを繰り返させてはならないとは思いますが、国家的意義を持つ計画がファイナンスの一点だけで判断されるべきではないと私は考えます。
これもまた、まさしく先日の予算委員会第八分科会での、一体開通に関する奥田副大臣の御答弁ですが、「国としても、中央新幹線の重要性というものは十分に認識しておるつもりであります。JR東海の考え方、あるいは事業に取り組む姿勢とともに、経済社会情勢などを勘案しながら、国としても、しっかりとこの事業の進み方というものを見守っていくとともに、また、とるべき方策、あるべき方策というものも常に考えながら取り組んでいきたい」と。また、さらには「JR東海の方でも、」ということで、「ファイナンスの方を考えての長期計画ということになっております。国としても、関係する自治体あるいは事業者との話し合いのもとでやるべきことがあるというときには、また積極的に関与していくべきだというふうに考えます。」と述べられています。
さらには、交通政策審議会答申の附帯意見で、一つとして大阪までの早期開業のための検討、二つ目としてコストダウンの重要性、こういったことも示されています。
それらも踏まえ、先ほど申し上げました環境の変化、こういったことを前提とした上で、一体開通、私はぜひすべきだと思っておりますが、副大臣の御答弁にもあった、とるべき方策、あるべき方策、積極的に関与、こういったお言葉がありますが、具体的にどういったところを考えていらっしゃるのか。非常に曖昧な表現だと思うんですが、そこのところを少し教えていただけないでしょうか。
○津川大臣政務官 お答えをいたします。
今、委員の御指摘の中で一点、ファイナンスのみでという御指摘がございましたが、この中央新幹線につきましては、御案内のとおり、磁気浮上式鉄道、いわゆるリニア鉄道として初めて国内で、新しい技術として整備をしたいというふうに考えているところでございまして、そういった意味では、まさに技術的な実用化というのも一つ大きなテーマとしてJR東海から御説明がある中で、まず、東京―名古屋を暫定的に早く開通させて実用的な技術の確立を急ぎたい、こういった話があったところでございます。
ただ、今御指摘をいただきましたとおり、まさにこの答申の中で、名古屋までできればそれで完成ということでは決してないと。当たり前の話でありまして、そもそも、私どもとしても、全国新幹線鉄道整備法に基づく手続の中で交通政策審議会に諮問させていただいたときにも、東京圏、名古屋圏、大阪圏を結ぶものとして諮問をさせていただき、そのような形で答申をいただき、整備計画を昨年決定したところでございます。
ですから、その中で、名古屋までの開通というものを見てから名古屋―大阪間というものの整備を考える、あるいは整備をしていくというよりも、名古屋までの整備が進んでいる現在の中にあっても、名古屋以西の部分についていかにして整備をしていくのかということについて、社会的な情勢の変化等を勘案しながら、継続的に早期整備、開業のために検討すべしというふうに言われているところでございます。
具体的には、交通政策審議会の中でも、今後の名古屋までの手続の進捗状況というものを踏まえながら、その先の部分について、まさに技術的な課題をクリアしているかどうかといったことについてなお検討をいただくものと考えておりますし、私どもとしても、まさに関係者、JRのみならず、関係自治体の皆様方の意向等々もしっかりと確認しながら、積極的に参加をさせていただきたいと思っております。
〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕
○熊田委員 先ほども申し上げたとおり、本当に国家の基軸として非常に重要なものだと思いますので、名古屋までと並行して、名古屋以西も並行しながらやっていただけるということでございますが、何とぞ、ここは、一体開通できるようにという思いを改めて強く私としては訴えさせていただきながら、単にそれは東京―大阪間の鉄道が一本ふえるという意味だけではなくて、非常に大きな国家的意義を持つということの中でぜひ御検討を賜りたいということを、改めて要請させていただきたいと思います。
また、こういった一体開通と絡みながらという話になるんですが、中央リニアというものがもし仮にできれば、これは私の考えではありますが、東海道新幹線に大分輸送余力が生まれるんじゃないかと思っています。それができた前提の話ですが、今の飽和状態ですと、十六両フル編成の新幹線じゃないと運び切れないということで無理なんですが、一方で、大阪で今、なにわ筋線という計画がございます。新大阪から難波まで線路をつなげようというものなんですが、これは近畿地方交通審議会答申にもあった計画なんです。
例えばですけれども、ここで輸送余力が生まれた前提に立って、新幹線をこちらに乗り入れさせる。要は、山形、秋田のミニ新幹線方式あるいはフリーゲージトレーン、こういったことができれば、難波を通じてそのまま関空まで行ける。そうなれば、関空発の新幹線で大阪のど真ん中の難波、あるいは大阪にも乗り入れることができ、さらにそこから、輸送余力の生まれた東海道や、あるいは将来的には北陸新幹線など、そういった形で新たな需要喚起にもつながるんじゃないか、こういったことも考えるわけでございます。
この実現可能性、これはまだまだ非常に技術的な困難もあると思いますが、先ほどの中央リニアの開通と絡めながらの話にしかならないと思っています。何が言いたいかといいますと、そういった意味で、交通体系というのは一つ一つ場当たり的にやるのではなくて、総合的に勘案をしながら進めていかなければいけないんじゃないかという一つの例として挙げさせていただいたわけでございます。
そういったことなども踏まえ、先ほど少し関空の話もさせていただきましたが、今後、関空の活性化も一つの、総合的な交通体系の見直しとも絡むと思いますので、こういった見地も含めて、まず、関空アクセスが今どういった検討をなされているのか、あるいは今後どうなっていくのか、今の状況を教えていただけないでしょうか。
○吉田副大臣 熊田議員の質問、大阪のことですので、私、大阪の議員としてはなかなか答えづらい部分がたくさんございますが、せやと心の中で叫んでいる部分もあるということをお含みおきいただきたいと思います。
今お話ございました、関空を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生するための方策として、高速鉄道によって抜本的に関空のアクセスを改善するということ。
ただ、今リニアのお話を申されましたけれども、リニアに関しましては、今のところ、名古屋までが二〇二七年、大阪までが二〇四五年でございますので、中長期というよりも、その次の次世代というんですか、私たちの子供たちか孫の時代の話になってまいりますので、これは今からいろいろと、一つの夢という形の部分でも重要な課題であるというふうなことは認識をしているところでございます。
なお、国土交通省といたしましても、昨年六月に大阪府、大阪市と検討会を実は設置しておりまして、高速鉄道によるアクセス改善の効果等の基礎的な事項について調査を実施しているところでございます。今委員御指摘がございましたなにわ筋線のあり方についても、ただ単に線を引っ張るということだけではなくて、せっかくの事業費を使うことでございますので、さまざまアクセスの可能性を高めることによって、関西国際空港の持つポテンシャルを、より実現性を持つものにしていくという発想でやっているところでございます。
○熊田委員 ぜひ、ポテンシャルを本当に引き出せるような形で御検討いただきたいと思います。
特に、私は、交通と最初の首都機能バックアップという話を絡めてきたわけでございますが、交通というのは単に移動するだけの手段ではなく、国土をどうつくっていくのか、社会をどうつくっていくのか、大変根幹にかかわるテーマであると考えています。
そしてまた同時に、今この国は大変経済が厳しい状態にあると思っておりますが、東京と大阪、こういった二つの拠点がしっかりと推進力として伸びていく、そのためにも、今申し上げました首都機能のバックアップ機能を持っていくこと、あるいはそこと絡めながらの交通体系の整備というのは大変重要なことではないかと思っております。そういった認識を持ちながら、ぜひ進めていただきたいと思うんです。
こういったものを踏まえて、もう一つお伺いをしたいんですが、今申し上げましたように、交通というのは単に移動だけではありません。そういった中で、総合的な交通体系をしっかりと考え、そして進めていくということで、交通基本法というものが法案として今出されていると思います。前の通常国会に出たまま、継続のままになっていると思いますけれども、これは私は非常に重要な法律ではないかと思っています。
この交通基本法というもの、例えばフランスでは、一九八二年にフランス国内交通基本法というものが成立をしました。その後、欧米各国では、この制定がほぼ済んできているように聞いています。そして、それらを含め、まちづくりと絡めながら、交通というもののあり方がしっかりと考え直されてきています。一方、我が国に目を転じますと、今言った状況、法案としては出されながらも継続をしているというところでございます。
この交通基本法案、お伺いしているところでは、国、地方公共団体、事業者、施設管理者、そして国民の責務も定められている。きょう触れさせていただきました課題、特に中央リニアなどは、ファイナンスだけではないということでございましたが、技術的なことも含めてですが、JR東海の企業としての感覚が優先をされているように感じられますが、こういったことも含めて、交通基本法という総合的な見地の中で、しっかりと見直していくことができる可能性も生まれてくるのではないかと思っております。
その意味で早急な成立が求められておりますので、これを、大臣がいらっしゃったら、交通基本法の成立に向けての意気込みというか、思いをぜひということでお願いしたいと思っておりましたが、大臣がいらっしゃらないものですから、吉田副大臣、ぜひ、その思いをお願いしたいと思います。
○吉田副大臣 本当に役不足で申しわけございません。至りませんけれども、決意のほどを述べさせていただきます。
ただ、交通基本法に至るまでは、先ほどのリニアのお話の中で委員触れられましたように、旧国鉄時代に我田引鉄という言葉がありまして、そのことによって、JR東海さんを初めとして、なかなか、こういう国が一緒にやろうということに対して、政治というものに対する少しアレルギーがあるのかなという感じを受けておりました。交通基本法においてはそういうことがないようにということで、この法案成立に向けて頑張っていきたいと思っております。
もう言うまでもございませんが、人口減少、少子高齢化への対応、低炭素・循環型システムの構築、安全と安心の確保、経済活性化や国際競争力の強化等の喫緊の課題に対しても、交通はさまざまな社会経済活動の基盤となっており、果たすべき役割は極めて重要であると認識をいたしております。このため、交通に関する施策を総合的に再構築し、計画的に推進していくことが必要であり、交通に関する取り組みについての骨格となる枠組みづくりが急務となっております。
交通基本法案は、こうした課題に対する取り組みを推進するためのものであり、ぜひ早期に成立させていただきたいと考えております。ぜひとも皆様方、よろしくお願いを申し上げます。
○熊田委員 ありがとうございます。
法案成立は、国交省というよりも、まさしく国会側でどうしていくかということであるとは思いますが、ともかく、くどいようですが、単に交通のあり方ということではなく、あの東日本大震災という非常に大きな災害、そして経験を得た中での国づくりということ、あるいは景気、経済対策、社会としてのあり方、特に少子高齢社会の中での交通機関の重要性、一体的ネットワークの維持ということも含めて、広い視野で進めていただきたいと思います。
そういったことを改めてお願いさせていただきながら、時間となりましたので、私からの質問を終了させていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○伴野委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十九分散会