第5号 平成24年4月11日(水曜日)
平成二十四年四月十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 伴野 豊君
理事 小泉 俊明君 理事 小宮山泰子君
理事 古賀 敬章君 理事 辻元 清美君
理事 松崎 哲久君 理事 金子 恭之君
理事 山本 公一君 理事 富田 茂之君
阿知波吉信君 相原 史乃君
石井 章君 磯谷香代子君
奥田 建君 笠原多見子君
川村秀三郎君 工藤 仁美君
沓掛 哲男君 黒田 雄君
古賀 一成君 近藤 和也君
坂口 岳洋君 菅川 洋君
高木 義明君 高橋 英行君
津島 恭一君 辻 惠君
道休誠一郎君 中川 治君
橋本 清仁君 畑 浩治君
松岡 広隆君 三村 和也君
向山 好一君 柳田 和己君
横山 北斗君 吉田おさむ君
若井 康彦君 伊東 良孝君
小渕 優子君 北村 茂男君
佐田玄一郎君 二階 俊博君
丹羽 秀樹君 林 幹雄君
福井 照君 松浪 健太君
望月 義夫君 竹内 譲君
穀田 恵二君 中島 隆利君
柿澤 未途君 中島 正純君
…………………………………
国土交通大臣 前田 武志君
復興副大臣 末松 義規君
内閣府副大臣 中塚 一宏君
外務副大臣 山根 隆治君
国土交通副大臣 奥田 建君
国土交通副大臣 吉田おさむ君
復興大臣政務官 郡 和子君
国土交通大臣政務官 津島 恭一君
国土交通大臣政務官 室井 邦彦君
国土交通大臣政務官 津川 祥吾君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 松村 武人君
政府参考人
(警察庁交通局長) 石井 隆之君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 田口 尚文君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 金子 順一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官) 内波 謙一君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 中島 正弘君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 内田 要君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 加藤 利男君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 菊川 滋君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 川本正一郎君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 久保 成人君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 中田 徹君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 長田 太君
政府参考人
(海上保安庁長官) 鈴木 久泰君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 鷺坂 長美君
国土交通委員会専門員 関根 正博君
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委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
田中 康夫君 下地 幹郎君
同日
辞任 補欠選任
熊田 篤嗣君 三村 和也君
津島 恭一君 高橋 英行君
中川 治君 笠原多見子君
橋本 清仁君 磯谷香代子君
谷田川 元君 工藤 仁美君
柳田 和己君 横山 北斗君
赤澤 亮正君 丹羽 秀樹君
徳田 毅君 伊東 良孝君
福井 照君 松浪 健太君
同日
辞任 補欠選任
磯谷香代子君 橋本 清仁君
笠原多見子君 中川 治君
工藤 仁美君 相原 史乃君
高橋 英行君 津島 恭一君
三村 和也君 松岡 広隆君
横山 北斗君 近藤 和也君
伊東 良孝君 徳田 毅君
丹羽 秀樹君 赤澤 亮正君
松浪 健太君 福井 照君
同日
辞任 補欠選任
相原 史乃君 道休誠一郎君
近藤 和也君 柳田 和己君
松岡 広隆君 熊田 篤嗣君
同日
辞任 補欠選任
道休誠一郎君 菅川 洋君
同日
辞任 補欠選任
菅川 洋君 谷田川 元君
同日
辞任
下地 幹郎君
同日
補欠選任
稲津 久君
―――――――――――――
四月二日
尖閣諸島を初め我が領土領海を守ることに関する請願(大谷啓君紹介)(第五四八号)
高尾山トンネルの計画見直しに関する請願(阿部知子君紹介)(第五五九号)
同(重野安正君紹介)(第五六〇号)
同(照屋寛徳君紹介)(第五六一号)
同(中島隆利君紹介)(第五六二号)
同(服部良一君紹介)(第五六三号)
同(吉泉秀男君紹介)(第五六四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第五九七号)
同(笠井亮君紹介)(第五九八号)
同(穀田恵二君紹介)(第五九九号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第六〇〇号)
同(志位和夫君紹介)(第六〇一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六〇二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第六〇三号)
同(宮本岳志君紹介)(第六〇四号)
同(吉井英勝君紹介)(第六〇五号)
精神障害者に対する公共交通機関の運賃割引制度の適用に関する請願(穀田恵二君紹介)(第五九六号)
建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七〇一号)
同(穀田恵二君紹介)(第七〇二号)
同(宮本岳志君紹介)(第七〇三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
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○伴野委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官内波謙一君、総合政策局長中島正弘君、土地・建設産業局長内田要君、都市局長加藤利男君、道路局長菊川滋君、住宅局長川本正一郎君、鉄道局長久保成人君、自動車局長中田徹君、航空局長長田太君、海上保安庁長官鈴木久泰君、内閣官房内閣審議官松村武人君、警察庁交通局長石井隆之君、総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、総務省自治行政局選挙部長田口尚文君、厚生労働省労働基準局長金子順一君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伴野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○伴野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健太君。
○松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。
本日は、お時間をいただきましてありがとうございます。
本日、私は運輸系、特にオートバイ、それからトラックの実運送分野についての質問を行いたいと思います。
この両者は共通点があります。両方とも行政の影響を非常に大きく受ける分野であること、そしてまた両分野とも政治力が非常にない、今まで政治に声を上げてこなかった、そういう面で行政からも忘れられやすいわけであります。
まず、オートバイから入ります。
オートバイは、さきの東日本大震災でも随分と大活躍をしてくれました。しかしながら、被災地において例えば重量税を還付しよう、そういうことを行政も考えたわけですけれども、オートバイの場合はどうだったか。行政の方が最後に、済みません、忘れていましたというのが現実であります。
こういったことはほかの分野でも多々あることであります。こういう当たり前の分野ですから、確かに自動車と比べて国家にとっての優先度は低いかもしれません。しかしながら、スズキ、ホンダ、カワサキ、ヤマハと日本人の名を冠したブランドが、世界各国に本当に細やかに、私もブラジルへ行ってもアフリカへ行っても、どこでも日本の名前を高からしめた、まさに日本のブランドを世界に広げていただいている分野だというプライドを持って、国内でもしっかりと処遇をすべきだと私は思います。非常にこれは不公平がまかり通る分野、当たり前のことが当たり前でないなと私は思うんです。
まず最初に、高速料金について取り上げたいと思うんです。
まず政府参考人に伺いますけれども、大型車というのは当然高速料金が高いわけですけれども、高速の料金体系というのはどういう基準で算出をされるのか、まず伺います。
○菊川政府参考人 お答え申し上げます。
高速道路の料金の体系でございます。車種別に分かれておりますけれども、現在の高速道路料金の車種区分につきましては、昭和六十三年の道路審議会の答申を受けまして、車種間の負担の公平性を図るという観点から、三つの観点、一つは、道路を時間的、空間的に占有する度合いに応じた分担ということで占有者負担、二番目は、道路の建設から管理に係る費用に影響を与える度合いに応じた分担ということで原因者負担、三番目が、道路を利用することによりまして受ける便益に応じた分担であります受益者負担という考え方を勘案して決定しております。
具体的には、軽自動車等から特大車まで五車種の区分、軽自動車等、普通車、中型車、大型車、特大車という五つの区分にしているところであります。
○松浪委員 今、三つの原因を申し上げていただきました。これは非常に妥当性のある理由だなと私も思います。
特に我が国においては軽自動車というカテゴリーが大きいわけでありますけれども、普通乗用車と軽自動車、これは料金が違うわけであります。この違いについて伺いたいと思います。
○菊川政府参考人 お答えいたします。
軽自動車の料金比率につきましては、先ほど申し上げました占有者負担、原因者負担、受益者負担の考え方によりますと、普通自動車を一・〇としたときに、軽自動車の負担割合がそれぞれおおむね〇・八であるということで、道路審議会答申を受けまして、その料金比率を決定いたしております。
○松浪委員 大臣、ここで大変聞いていただきたいことがあります。
乗用車と軽自動車は一・〇対〇・八だという今お答えがありました。大臣、普通乗用車と軽自動車の違いと、それから軽自動車とオートバイの違い、どちらの方が常識的に考えて違いが大きいと考えられますか。一般乗用車と軽自動車、軽自動車とオートバイです。
○前田国務大臣 地元では軽自動車が一番活躍をしているわけですが、多分、軽自動車とオートバイの差の方が大きいんじゃないでしょうか。
○松浪委員 今大臣がおっしゃったことは、全く至極真っ当であります。
しかしながら、この料金体系は非常におかしい。車が一・〇、軽自動車が〇・八、重さだけでいったら恐らく〇・二ぐらいになるんじゃないかと思いますけれども、オートバイも〇・八。占有面積とか受益者負担といいましても、重さだけで考えれば〇・二ですから、常識的に考えて、乗用車の半分かそれ以下、軽自動車の半分ぐらいというのが妥当な線だと思うんですね。
先ほど答弁でありました昭和六十三年はまだETCもほとんど普及していない。最近ではオートバイなんかにもETCが普及している中で、これは常識的に考えて不公平だと思われませんか。また、これはフェアであるべきだと思われませんか。大臣に伺います。
○前田国務大臣 あらかじめこの御質疑の通告を受けていませんでしたので、私のまさしく個人的な考えになりますが、官僚の皆様方が少年時代にオートバイ大好き人間だったかというと、余りそうは思えないんですね、私なんかはどんどんやった方でございますから。
ということで考えると、どうもオートバイの方は、実態的には国民生活の中に広くあるわけです、地方に行けば大きな交通手段になりますし。にもかかわらず、余りそういう面ではしっかりした対応がなされていないのではないかという感じを受けます。
○松浪委員 政府参考人に伺います。
これ、フェアにしていただくことというのはどのようにすれば可能ですか。
○菊川政府参考人 なかなか難しいお話ですが、二輪車につきましては、先ほど申し上げました占有者負担ということからいきますと、やはり基本的に一車線を使うわけでございまして、ほかの車両と同様に、交通安全上必要な車間距離が必要になりますし、それから照明とか標識とか、こういった費用も基本的にはほかの車種と同様であります。それから、法定の最高速度も同じ速度ということで、もちろん今御指摘があったように重さという観点は違いますけれども、基本的に私どもは妥当ではないかというふうに考えているところであります。
○松浪委員 今ここにたくさんの議員の皆さんがいらっしゃいますけれども、今の答弁で納得する人は頭がおかしい。これは重さが違う。道路は原因者負担が一番大きいわけですよ。こんな詭弁を通していて国会とは言えません。これはきちっと対応していただきたいと思います。これでだめなら国交省は常識の通用しないところだ、大臣の常識も通用しないところだということでありますので、この点は、本当にこんな国はないですよ。もうちょっとまともな答弁をいただかないと困ります。
次の問題に移ります。
騒音規制。ちょっと時間がないので早目に行きたいと思いますけれども、オートバイが割を食うというのは、私はこの国土交通委員会で質問して五年ぐらい時間があいているんですけれども、前に私がここで質問したときに騒音規制に関する省令が撤回されて、審議会まで差し戻しになりました。それは、私のロジックで言えば、一足す一が二じゃないからですよ。今の答弁のように、誰が聞いても、国民が聞いてもこれはおかしいと思う答弁だから省令が撤回された。
まず、平成十九年六月の道路運送車両法の施行規則の改正において、これは今申し上げたとおりですけれども、その経緯について、役人の皆さんもどんどんかわっていくので、ついついまたオートバイが忘れられていくんですね。大臣、簡単に、この経緯を御存じいただきましたでしょうか。
○前田国務大臣 議員の御指摘やパブリックコメントを踏まえて方針を改めた経緯があるというふうに承知をしております。
○松浪委員 大臣にそれをお知りいただければありがたいんですが、前回の騒音規制、まさに原因と結果の整合性がないということがこの国土交通委員会で証明されたからそうなったわけであります。騒音というのは非常に難しい問題でして、私が前回ここで指摘をしたのは、規制、規制、規制とやっても、実は規制をする分野じゃなくて、それ以外のところに原因がある。だから、これは幾らやっても効果が出ないんだということを指摘したわけです。
ここで警察庁に伺いますけれども、私は、JMCAの自主規制も随分と進んで、今申し上げたように、二百五十cc以下の、車検のないカテゴリーのバイクのマフラーの規制は難しい。ユーザー目線で言えば、私も乗りますけれども、こうした車検がないカテゴリーのところの規制がうまくいかないから、うるさいバイクがあるなという感じがあると思うんです。
警察庁に伺いたいんですけれども、二輪車の騒音というのはどういう傾向があると把握しているのか。またさらなるマフラーの騒音規制とか、そういうものを今求めているのか。警察庁、簡単でいいので伺います。
○石井政府参考人 警察庁では、二輪車騒音の全体状況に関する統計は持ち合わせておりませんが、二輪車の騒音関係の違反の取り締まり件数は承知をいたしております。
マフラーを外すなどの消音器不備車両の取り締まり、近接排気騒音を測定しての整備不良車両の取り締まり、空吹かしなどの騒音運転の取り締まりに関する件数でありまして、平成二十二年中は四千三百五十件、平成二十三年中では四千三百二十六件を取り締まっております。
○松浪委員 驚くべきことですけれども、どういう傾向か、警察庁は統計がない。また、今ありましたように、はかっているのは近接騒音であります。
近年、特にJMCAの規制なんかでは、いわゆる消音器、バッフルを固着化して外せないようにするというような規制もありまして、自主規制ですけれども、こうしたものを外しているという例もありました。外しているのはもう論外。海外から筒みたいなものも入ってきている。こういうものを規制せずに真っ当なところだけ規制するというのは、私は何かおかしいなと。水虫を治すのに風邪薬を処方しているみたいなものですよ。これは原因と結果が合わない、だから全然効果がないんだということを申し上げます。
ちょっと専門的なことを申し上げますけれども、今我々も、加速走行騒音については海外とのハーモナイゼーションを守ってくれということで随分と国交省ともやって、ハーモナイゼーションという点ではいいんですが、今、ISO362―2試験というものが加速走行騒音で入ってきているんです。これについて問題点を把握していれば教えていただきたい。
○鷺坂政府参考人 お答え申し上げます。
中央環境審議会の騒音振動部会の中の自動車単体騒音委員会より、新車の二輪車の加速走行騒音規制につきまして、実際の市街地走行での加速走行騒音レベルを再現するISO362―2への変更等が今提言されているところでございます。このISO362―2につきましては、環境省においてこれに基づく試験も実施しておりまして、その課題等についても確認を行っているところでございます。
現行の試験法に比べまして、試験をする場合に、進入速度確認のために事前走行による確認が必要であるとか、あるいは、マニュアル車では複数のギア段による事前走行による確認が必要であるということで、試験に要する時間が多少長くなるものと承知はしておりますけれども、ハーモナイゼーションということもあり、また、この試験の実施につきましては可能であり、また問題もないというふうに承知をしているところでございます。
○松浪委員 実は前回規制のときも、私、熊谷の試験場まで行きまして見せていただいたんですが、362―2じゃなくて前の362ですら、アクセル開度、ぐっとそこで、ライダー、プロの方が乗ってもすごくぶれる。だから最後は、テクニックが要らないようにべたあけしてくださいなんという、結構いいかげんなことを現場でやっているんですね。
今回は、もっとこれはすごくテクニックが要ります、入るスピードが一定じゃないですからね。一定といっても、それぞれの車種によって変えなきゃいけない。随分恣意的なものが入るので、前回規制でも、日本の規制は非常に厳しくしていますから、新車ですらチューンナップが必要じゃないかというのが現場のメカニックの意見でありました。
こういうものに使用過程車とかアフターパーツとか、新車でも厳しいものを入れるというのは、私は厳しいと思うんです。第三節、使用過程車等については適用しないという方が妥当だ、最初からこんなリスクのあるものに三節を入れるというのは私は妥当でないと思うんですけれども、どう考えますか。
○鷺坂政府参考人 現在、中央環境審議会の騒音振動部会の専門委員会より提言されているものは、基本的には新車からということになっております。
今後の問題といたしまして、そういったところにつきましてはやはり騒音のレベル等に基づいて、実態調査をいたしまして、その結果を踏まえまして今後検討するということになろうかと思っております。
○松浪委員 先ほど申しましたけれども、実態調査というのであれば、どういうところに原因があるのか、お医者さんであればしっかりと原因を調べていただきたい。平成二十二年四月から新規制が入っているわけですから、これの効果を測定すること、新たな測定方法には問題も多い、そして騒音の原因をしっかりと把握する、この三点がないと、予算を組むにしても、それは無駄遣いと言わざるを得ないと私は思います。
次に移ります。
オートバイ業界は、かつて三百万台つくっていたのが、今三十万台。これはどうしてかというと、まさに官製不況と言われるわけであります。
警察庁による駐禁の取り締まりというのは数年前から始まりました。これによって、都市部の使用にもう嫌気が差している。何で駐車場もないのに駐禁で取り締まられるんだということで、随分これは不公平感があるんですけれども、大臣、ここに相関関係というのがあると認めているのか認めていないのか、端的に伺います。
○前田国務大臣 手元にグラフなんかがあるんですが、駐車違反取り締まりの前に、一九八〇年に高校三ない運動なんというのがあったんですか、そういったようなことだとか、安全のためのヘルメットの着用義務化だとか、いろいろなことがあって、五十cc以下といいますか、原付のところが減ってきているというふうに認識をしております。
○松浪委員 ありがとうございました。
三ない運動については次にまた触れようかと思っていたんですが、それに触れていただいたのは確かにありがたいことで、かつて暴走族がぶんぶんいっていたときと、今、教育現場は違うわけであります。ナイフの使い方は、ナイフを取り上げるよりも教えた方がいい。学校によっては、次にもし二点とられたら、あなたは二カ月間バイクを使っちゃだめよみたいな学校がふえてくる方が私は真っ当だと思いますし、大臣、大変ありがたいところにまで触れていただいたと思います。
本質的な問題に戻るんですけれども、私は昨年台湾に行きました。台湾、台北へ行きますと、もう歩道にはずっとバイクをとめています。ちょっと交差点の三角地みたいなところがあったら、執念のように駐車場をつくっているんですね。本当に、よくこんなところまでつくるなと。
事日本で見ると、私も都内でたまにバイクに乗ります。ほんのたまにですよ、半年に一回ぐらいですけれども、乗りますと、私、違法駐車していますよ。とめるところがないんですもの、本当に。国会議員が違法駐車しないとだめだというぐらい、ないですよ、本当に。情けないなと思うんですけれども。
イギリスやミラノ、これは文化の問題がありまして、ミラノとかそういったところでは博物館の前とかどこでも、これ、二枚目に写真をちょっとつけましたけれども、こういうふうに台湾やヨーロッパではあるということであります。
どうしてこんなことが日本ではできないとお考えか、伺います。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成十八年に道路法の施行令を改正いたしまして、自動二輪車の違法駐車対策を促進するため、道路管理者以外により道路上に設置される自動二輪車駐車場の施設を占用物件として追加したところであります。
具体的な事例としては、二〇〇八年に広島市におきまして、路上空間を活用し自動二輪車駐車場を約二百八十台確保したのを初め、仙台市、渋谷区、新宿区、大阪市等においても取り組みが進んでいるところでございます。
今後とも、路上においても必要な自動二輪車の駐車場の確保を図るよう関係者に広く周知するなど、取り組みを支援してまいりたいと考えております。
○松浪委員 時間がないので余り触れませんけれども、駐禁を入れる前に、本来であれば十分な駐車場を確保して、それで駐禁を入れるというのがフェアな話であります。今言っているものも、ちょっと桁が違いますよね、実際に機能させるには。ですから、これは本当にアンフェアな仕組みでありまして、私なんかは道州制論者ですから、こういうものははっきり言って各地方自治体に任せて、こういう駐車場のつくり方なんというのまで国土交通省が事細かに全国一律にやる必要はないというふうに私は思います。
きょう、ちょっともう時間がないので余り触れませんけれども、改正自転車法。
これにおいては、かつては第一種原付だけ「自転車等」というふうに入れられて、ほとんど車格も変わらない小型が禁止、うちの地元でもそんなふうに張っていることがあるんですけれども、こうした自治体の非現実的な対応につながっている。
国土交通省に厳しいことを言いましたけれども、この辺は、改正自転車法、この自転車法は議員立法で、内閣府で所管されているんですけれども、安全運行については内閣府で持ってもらって、自転車の駐車の部分、オートバイも自動車も、駐車場というものは一律、国土交通省で持った方が私はいいのではないかな、そのための法改正というのはあってしかるべきではないかなと。
随分時間を食ってしまったので、きょうこれは申し上げませんけれども、今まで国交省の各部署が私の部屋に再三来て話をしております。二輪車の法律上の区分と新たな提案。
私はずっと、道路運送車両法と道路交通法の縦割りについて、私、この表をつくってもう四年ぐらいになるんですけれども、これを下の図のような、新たな割りつけをもう一回きれいにし直した方がいいんじゃないか。
それにプラスして、今は電気バイクとかいったものも入ってきているわけであります。特に、パーソナルモビリティーという分野もどんどん出てきていまして、海外であればお巡りさんがぴゅうっと乗ったりとか、大臣もどこか被災地でお乗りになったという話を伺ったんですけれども、これは、これから福祉車両としても随分可能性があります。カモが子供を連れていくみたいに、端末だけ持っていれば、おじいちゃん、おばあちゃんの後ろを、かばんを置いておいたこういうパーソナルモビリティーがついてこられるとかですね。
でも、これは、〇・六キロワットで小型というようなところじゃないんですね。結局、ジャイロを二系統入れるとかそういうことがあって、随分と電力を多目に入れて安全を確保するということもあるわけですから、こうしたパーソナルモビリティー、今、つくばでちょっと実証実験しているぐらいですけれども、私は、例えば西成なんかでも、こうやってお巡りさんがパーソナルモビリティーに乗ってすっと行けば随分と、副大臣も大阪だからよくおわかりだと思いますけれども、そういう使い方もできると思うので、特区でやるべきだと思います。
パーソナルモビリティーについて、大臣、今後あるべき姿とか、それから観光にも非常にいい面があると思うんです。私もドイツに行きましたけれども、みんなぴゅうっと楽しそうに観光客がそれに乗っているんですよね、商店街なんかでも。ですから、そういうものも含めて、ちょっと大臣に御所見をいただきたいと思います。
○前田国務大臣 御指摘のパーソナルモビリティー、セグウェイなんかも含めて、おっしゃるとおりだと思いますね。
特に高齢化が極端に進んでいく過程で、地方都市なんというのは人口も減少していく、そういう中で都市のコンパクト化というのを進めていく過程で、移動手段としては、今までのような自動車を前提にするのではなく、こういった新しいパーソナルモビリティーといったものをうまく取り入れていく必要があると思うんです。もちろん観光の面でも効果的だと思いますし、そこに太陽光パネルなんかも組み合わせていけば、低炭素、コンパクトなまちづくり、新しい観光の広がり、そういったことが可能になるのではないでしょうか。
○松浪委員 大臣、ありがとうございます。
これは日本の風景を変えるものですし、こうしたものが認められているのは、EUも大丈夫、アメリカもほとんどの州でオーケー、イギリスでも動きがある。先進国で日本だけが立ちおくれているという状況があろうかと思いますので、実証実験なんと言わずに、本当に特区、特区でぱしっと進めていただくということをお願いさせていただきたいと思います。
ちょっと、きょうはこのオートバイ・ビジョン、僕が書いたものなんですけれども、民主党さんのユーザー議連と自民党のオートバイ議連でも共同の勉強会をして、私が提案したものを採択していただいているので、今後、非常に多くの分野、警察庁とか国交省、経産省、いろいろ絡んでくるんですけれども、本当に統一的に、このビジョンをやるために一括法でも我々が入れて、一度これをきれいに見直すということを、次の機会にはまた改めて議論をさせていただきたいと思います。
それでは、次の質問であります。
実運送、トラックであります。トラックといっても実運送業界と随分違うわけでありますね。倉庫とセットになっているのか、それともトラック運送だけでしているのか。非常に弱い分野はやはり近年の実運送分野でありまして、もともと私が取り組みを始めたのは厚生労働委員会でありました。非常に厳しい労働条件であるわけでありますけれども、大臣、その認識はございますか。
○前田国務大臣 委員の認識、共有しております。
○松浪委員 物流二法が平成二年に施行されて以来、トラックに関しては大変な規制緩和が行われてきたわけでありますけれども、このよい点、悪い点、簡単に総括していただきたいと思います。
○中田政府参考人 物流二法の効果についてのお尋ねでございます。
平成二年以降、物流二法による規制緩和により、トラック運送事業への新規参入が容易になりまして市場の活性化が図られたほか、利用者ニーズに対応した弾力的な運賃設定が可能となりまして、物流コストの低減につながったという効果があったと考えております。
一方で、参入が容易になった結果、事業者数の大幅な増加が起きまして、それに伴い競争が激化し、経済状態の停滞もありましたけれども、各事業者、大変厳しい経営環境になっており、それがドライバー等従業員の賃金の低下等を生んでいるというふうに認識しております。
○松浪委員 口で言うと簡単なんですけれども、現場は大変であります。
私もきのう、ある記者さんと話すと、もう大変です、実運送じゃないんですと。運送というのは運ぶことですけれども、積み地と着地のサービス、積むときにフォークリフトまで持ち込んで積んであげますよと。例えば、牛乳を運んでいる業者さんなんかすごいらしいですね。お店まで持っていって、古い牛乳を前に入れて後ろに積むみたいな、小さいところはそこまでやる。
これはもはや運送を超えているわけでありまして、過当競争を超えて過当サービスだ。だからこそ、これを私が厚生労働委員会でもともと取り上げたのは、過労死が一番多い業界だ、この社会のひずみ、こういうふうに過労死が一番多くなるまで労働者を苦しめる仕組みのもとは一体何なんだろうかということに取り組むのが我々政治家の仕事であると感じたからであります。
先ほど申し上げましたが、今、大手は倉庫を持って、一部を傭車に入れて、そして実運送の分野は自分たちの分も一部で、しんどくても赤字は吸収できるけれども、運ぶことだけをやっている人たちは全くの過当競争にさらされるということが現実であります。実運送と倉庫業は一体と国交省は認識しているのか、そうでないのか。
○中田政府参考人 お答えいたします。
トラック事業者の中には、今先生御指摘のような、倉庫業など複数の物流の関連事業部門を兼業している事業者も相当数おることは確かでございますが、一方で、小規模事業者を中心としまして、かなりの数のトラック事業者が専業で事業をやっておられる状態でございます。
私ども、トラック輸送の実態に関する調査を昨年いたしましたけれども、倉庫業を兼営しているトラック事業者の割合は決して多いわけではございません。一方で、トラック事業そのものの収支状況は非常に厳しい状況でございまして、各事業者がどういう事業を兼業し、総合的な物流産業の中でどのように収益性を上げていくかということについては、それぞれの事業者の経営判断の問題であるというふうに考えております。
○松浪委員 その調査も昨年していただいているのは結構でありますけれども、現在、やはりそれが実態に合っていないんじゃないかということで、特に小規模事業者に対しては新たな調査をしていただいているということですので、その点は、私は素直に評価をするものであります。調査が実態をあらわしているのかどうかというところは謙虚にもう一度見詰めていただきたいというふうに思うわけであります。
今おっしゃった、実運送部分で赤字が出ても、ほかで吸収するのは当然企業努力だと。通常であればそれは成り立つかと思いますが、この業界においては、これから議論しますけれども、ちょっと違うのではないかなというふうに私は思います。
特に、規制緩和で平成十五年以降、それまでは都市部では十五台以上持っていないといけないという規制があったわけですけれども、これは我々も与党時代だから反省をしないといけないと思いますけれども、五台でいいというふうになった。規制緩和は平成二年から続いているんですが、平成二年は、事業者の数は三万六千少しだった。五台になったことによって今六万を超えている。でも、物流二法施行時に九十八万台だったトラックは一割程度しかふえていない。事業者の数が倍近くにふえて、トラックの数は一割程度しかふえない。当然、業界は細分化されるわけですね。
これを行ってきたのは我々でありまして、こうした面から、これは政治が多層化を、国交省の先ほどの調査も、下請がどこまであるのか、あれは欄を多分七つぐらいまでつくった、七層下請ぐらいまでつくったかと記憶しているんですけれども、非常に、搾取の多層構造、これは奴隷制度かと思うぐらい搾取の構造をつくっている。
国交省によれば水屋の数は減っているというけれども、規制緩和で五台以上まで一律に全部下げてしまったというところに、この多層化を含めた原因があると私は思うんです。これは、逆に、現在の多層化は五台以上にしたことが原因だというふうに国交省は認識していますか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども言及いたしました、昨年実施しました私どもの調査の中で、この下請構造の多層化についても調査してございまして、荷主からの元請事業者の受注貨物全体の四〇%が下請事業者に運送を委託されており、さらに二次下請に対して全体の六・五%が委託されるなど、多層構造になっているのは先生の御指摘のとおりでございます。
この時期、規制緩和で事業者が増加し、小規模の事業者の割合も増加いたしましたけれども、一方で、この同じ実態に関する調査におきまして、小規模の事業者が真の荷主と契約している割合は、より規模の大きな事業者に比べて特に低いものではないという調査結果もございまして、最低車両台数を五台に引き下げたことと下請構造の多層化の因果関係については、私ども、まだ十分にその因果関係があると言うだけの材料を持ってございません。
○松浪委員 さっき申し上げた、今回の調査は、特に零細業者については調査がしっかりなされていないんじゃないかというのは、やはり返答率なんかを見ても、余裕がないところはそういうことになかなか対応できないということからもう一回やってもらっていると思うので、そこはもう一度しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、常識的に考えて、先ほどの数を考えれば多層化するのは当然だし、過当競争になるのは当然だし、そして過当サービスになるのも当然であります。
さっき牛乳の例を申し上げましたけれども、運転手さんがフォークリフトの運転がちゃんとできるのかと聞かれるなんというのはざらに聞くことでありまして、タクシーなんかと比べると、本当に、一体この運賃というのは何なのかなということを思います。タクシー料金の場合は、走行距離とか停車時間によってきれいに分けられるんですけれども、トラック運賃の場合は、荷受け、荷待ち、積み込み、こういうところも全く何も評価をされないところであります。
運賃という点で、トラック輸送とタクシー運賃と一体何が違うのかと私は思うんですけれども、国交省に伺います。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
タクシーとトラックのそれぞれの運賃の性格の違いでございますけれども、タクシーというのは消費者に対する運賃制度でございまして、消費者にわかりやすいように、走行距離でありますとか時間でありますとか、それに応じた運賃を割合に単純な形で設定いたしております。
一方、トラックの方は、多くの場合、企業対企業の関係におきまして、輸送する貨物の重量、種類、それから貴重品であるときには手間が余計にかかる、それ以外、積みおろしに時間がとられる、いろいろな要素を加味いたしまして、企業の間で複合的な運賃を設定されているという状況です。
そういう意味で、同じ運賃でございますが、構造が違うものだというふうに認識してございます。
○松浪委員 これも行き過ぎた話だと思うんですね。民間対民間、普通に聞けばそのとおりなんですけれども、今まで国土交通省が、この平成二年以来何をしてきたのかということをもう一回振り返るべきだと思います。
当時は許可運賃でありまして、タリフが大体あった。それによって随分と、相場観があった。特に、区域も廃止をしていなかったので、タクシーと同じで荷物を運んだら、タクシーも遠くへ行ったら帰りは人を乗せませんよね。そういうようなルールがあったわけですけれども、帰りだから安くていいやというたたき合いの構図をここに入れてきた。そしてまた、許可運賃から事前届け出運賃になって、その次は事後届けになって、最近は原価計算書の届け出までなくなった。ここまでやったら、民間対民間といっても、もうたたき合いになるのは目に見えているわけだと思います。
ですから、民間対民間ですよ、タクシーとは違いますよといっても、やはり相場観というのがどうやっても見えない業界ですから、これでは、過労死が出ているというような現場をちゃんと改善することは全く無理な話だと私は思います。
そうした中で、デジタコの意義というのは大きいと思います。国交省の方はデジタコの導入を進めている。これは、私は率直に今評価をしているところであります。やはり先ほどのタクシーと同じように、今は積み荷をしています、でも、荷待ちでも運転手さんは寝られませんね、ちょっとずつちょっとずつ進んでいくんですから。寝ようと思ってもまた前へ進んでいる。早目に着いたら、おまえら、ちょっとほかを回ってこい。
というふうに、どういう実態か、どういう労働形態であるのかというのが今我々は把握できていない。労働の問題もあるんですけれども、まさにこのデジタコさえあれば、随分と詳しいところまで把握することができるわけであります。
国交省がそれを進めているのは結構なんですが、デジタコもコストがかかるものですし、導入にまで時間もかかるということなんです。私、それに反対するものじゃないんですけれども、それまでの中間的な措置として、事業者の規模別、それから車のトン数別に実験を行って、まず業界を真っ当にするには、せめてこの奴隷制度のような状態でなくするには、相場観をつくるという意味で、そういう実験があってもしかるべきだ、有益じゃないかと思うんですけれども、その点、いかがですか。
○中田政府参考人 デジタルタコグラフにつきましては、車両の速度、走行時間、走行距離等を電子データで正確に記録するものでございまして、運行状況について詳細な分析や統計処理を容易に行うことが可能でございます。
これによりまして、運転時間の正確な把握による過労防止、速度超過、急発進、急減速等を把握することで安全運転指導も可能でございます。あわせて、今先生御指摘のような、輸送に対してどれだけの対価を得るというときの重要な材料になるものというふうに考えてございます。
我々国土交通省では、昨年十一月に導入に関する検討会を設置して、今検討を行っております。現在、このデジタルタコグラフを先行的に導入している事業者もおられますので、そういう事業者の規模別、あるいは保有しておられる車両のトン数別等について、導入した効果の調査を今行っております。その効果を踏まえた上で、また関係者の意見を踏まえながら、今後、対象車両、適用時期等について検討してまいります。
その過程で、今先生が御提案のような、段階的に進めるというようなこともあわせて検討してまいりたいというふうに思っております。
○松浪委員 また、これはどれだけ厳しいかというと、今、若い人は仕事がない、仕事がないと言っていますけれども、ドライバーになる若い人はいない。大型ドライバーの平均年齢はもう五十五歳を超えているわけであります。全体でも五十歳を超えていると言われる中で、本当に若い人は入ってこないわけですね。一部、中型免許の創設が云々なんて話がありましたけれども、私らのような普通免許を持っていても四トン車に乗れたのが乗れへんようになったというのが問題だというんですけれども、こういうことじゃないと思うんですね。
やはり仕事というのは収入がちゃんとあって、未来があって、そしてプライドがあって成り立つと思います。私は逆に、二種免許じゃなくて三種免許みたいなものを創設して、しっかりと、我々のような者が四トントラックに乗れるというのは、乗ったことは皆さん、なかなかないと思いますけれども、乗れるんですね。これは非常に怖いですよ。今、新しい人は乗れないですけれども。
ですから、これは三種免許のようなものを創設してもいいというふうに私は思うんですけれども、いかがですか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
トラック産業で、先生御指摘のように、今、年齢構造は非常に高齢化が進んでございます。その意味で、この産業に若いドライバーが入っていくということが非常に重要な課題でございまして、そういうドライバーがプライドを持って働けるような諸環境を国土交通省として整備してまいりたいと思います。
免許をどういう形にするかにつきましては、道交法の観点で判断されるということだと思いますけれども、そういうことも含めて、どういうことがプライドを持って働けるような環境整備につながるか、考えてまいりたいと思っております。
○松浪委員 さっき申し上げた、もう原価計算書も要らないというようなところまで規制緩和しているわけですけれども、ある程度の相場観をつくるための整備というのは必要だと思いますし、また、この多層構造を、建設業では建設業法でこういうところには規制がかかっているわけですから、私は、できないんだったら実運送基本法でもつくって、こういうところは本当にしっかりと対応していくべきだと思います。
最後に申し上げますけれども、先ほどのオートバイの問題であれ、そしてこのトラックの問題であれ、やはり原因と結果というのをしっかりと見据えないといけない。オートバイでは、私さっき申し上げましたけれども、水虫を治すのに風邪薬は使わないでくださいよと。トラックに関しては、お医者さんなんですから、しっかりと体温をはかって、血圧もはかって、血液検査もやって、そして施策をとっていただきたいということだと思います。
これは省庁を超える分野がたくさんありますから、これこそ我々政治の仕事であると思いますので、我々は細かな専門医ではありませんけれども、総合医として、こういう省庁を超えた分は政治家が主体的に、もし必要なら議員立法でもやっていく分野だということで、これからも大臣に御協力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、伊東良孝君。
○伊東委員 おはようございます。それでは、私は、航空問題等々をやらせていただきます。
今般、離島振興法の改正、あるいはまた離島航路航空路整備法案などを議論されているところでありますが、我が国には数多くの離島があって、そこに暮らす人々がいて、島が守られ、国境が守られ、また、排他的経済水域の総面積が世界で第六位になり、海洋の深さを考慮すれば、全世界で四位という海洋面積を持つ国家になるのであります。
国土交通大臣は、この離島や過疎地と呼ばれる地方が、日本にとって、また都会にとってもいかに大事であるかという点について、どのように認識し、具体的に、平成二十四年度、どのような新たな政策を講じられようとするのか、お聞きします。
○前田国務大臣 離島、そして過疎山村といいますか過疎地、半島等、特に離島については、議員御指摘のように、日本は領土面積は少ないですが、領海という意味では世界第六位だと承知をしておりますし、しかも、海岸線の複雑さといいますか、景観のすばらしさ、離島の多さ、そしてそこに古い文化の起源がある、また過疎地等においてもそうでございます。
といったことで、離島や過疎地を含む地方が、もちろん食料であり、漁業であり、あるいは森林等、そういった日本の基本的な資源の供給基地でもあるというふうにも言えるかと思います。そういったことで、非常に重要な役割を担っております。
二十四年度におきましては、離島法の改正等もありますけれども、こういった離島の交通の確保ということも重点を置いております。今言いましたような離島、過疎地を含めて、地域交通の維持確保ということについては重点を置いているところでございます。
それから、全国的なミッシングリンクといった意味では、新幹線等も含めてミッシングリンクを何とか早くつなぐ、そういった政策を展開しているところでございます。
○伊東委員 お話しのとおり、観光やあるいは農林水産業等々にとりまして、地方が活性化してくる、これは、高規格道路あるいは港湾、空港、さらには新幹線ほか鉄道網の整備など、こうした交通インフラというものが非常に重要だ、こう思うわけであります。また一方で、昨年の大震災から、これらが災害復旧にも大いに寄与した、関係することがわかったわけであります。まさに、地方活性化というのはその地方と中央を結ぶ経済的時間の短縮であるというふうに私は思っているのであります。
しかしながら、離島あるいは過疎地を含む地方にとりまして大きな問題は、交通手段と時間的距離、そしてそれに起因する生活環境の不便さ、あるいはまた、これは生活環境というより医療や教育といった部分にもなるわけでありますし、さらには地域の産業、仕事の少なさ、こうしたものが離島の大きな悩みであります。私は、地方空港、航空路線の立場からお聞きをするわけでありますけれども、便数の少なさ、あるいは主要空港への路線、あるいは運賃の高さ、それらが最大の問題になってくるわけであります。
離島の場合、一部、航空運賃あるいは船賃の補助がなされているわけでありますけれども、押しなべて、それにしても運賃は割高になってまいります。また、航空路線では、一般の地方路線の場合は幹線に比べて非常に高上がりについているわけであります。ここをどう解消していくか。近年、LCCの参入の時代でありまして、随分安い運賃設定がなされているようでありますけれども、これらが、もうかる太い幹線中心ではなく、地方路線にも大いに参入してくれることを望んでいるわけであります。
一方で、オープンスカイということで、運賃も路線も便数も全て民間航空会社の経営判断に委ねられるということになれば、地方路線の充実を図る、あるいは、地方路線が安い運賃そして便数の確保を期待することはますます難しくなると思うのであります。これをこのまま放置して、オープンスカイだからしようがないということであってはならないというふうに思うところでありまして、前田大臣の指導力が大いに必要だ、私はこう思っております。それでなければ地方の衰退はとまらない。
これにどのように取り組むか、お伺いをいたします。
○前田国務大臣 地方航空路線の充実ということについては、委員御指摘のとおりでございます。
国土交通省としても、地方航空路線の維持確保は非常に重要だということで、国管理空港の着陸料の引き下げ、あるいは航空機に対する固定資産税の軽減措置、特にこれは地方便について割引率を大きくしているわけですが、航空機燃料税の緊急引き下げ等を今まで行ってきたところでございます。
こういった中で、厳しい環境ではありますけれども、支援措置というものの充実に努めてまいります。
○伊東委員 なかなか制度だけではならない。もう少し路線の確保あるいは運賃というものに意を用いていただきたいと思うわけであります。
そこでちょっとお伺いをいたしますけれども、日本航空の再生に係る航空局長通達についてお伺いします。
前原政調会長が国土交通大臣であったころ、二年半くらい前でありますが、国交省は、日本航空の管財人である株式会社企業再生支援機構に対し、航空局長通達で、「日本航空に対する公的支援と公正な競争環境の確保について」というのを平成二十二年二月五日に発出いたしました。この通達を根拠に、国交省は、日本航空がいたずらに運賃の引き下げを行うことがないよう指導監督を行っているということであります。
そこで、そのいたずらな運賃の引き下げの定義につきましてお伺いするのでありますけれども、国交省がこの通達をもとに具体的にどのような指導監督を行ってきたのか、お伺いいたします。
○長田政府参考人 お答えします。
先生御指摘の通達でございますが、これは御指摘のとおり、日本航空が会社更生手続開始後の平成二十二年二月に出しました通達におきまして、まさに公的資金を投入して行われる日本航空の再生に向けまして、その取り組みが航空会社間の公正な競争環境を阻害しないようにということで出しておるわけでございます。具体的には、他の会社の運賃を大きく下回ることのないようにということでやっております。
これを踏まえまして、日本航空におかれましても、いたずらに運賃を引き下げることで市場における競争環境をゆがめることがないように、具体的なことで努めていただいているということでございます。
私どもとしては、日本航空が最終的に再建を果たすまでの間、引き続き監視をしてまいりたいというふうに考えております。
○伊東委員 日本航空が全日空を下回ることのないようにという話でありますけれども、国内路線で日本航空と全日空が二社で競合しているという路線はたくさんあります。では、日本航空が、競合する全日空より安くしてはならないということを指導されたとするならば、全日空は、相手が、日本航空が絶対自分より安くしないとなれば、自分で運賃を高値で好きなように設定できるということになるのではないかと私は思うんです。その間、本当にそれが不当な運賃であったかどうか。
さらにはまた、LCCとかあるいは他社の低運賃の会社であればまた話は別でありますけれども、そこに全日空と日本航空の二社しか飛んでいないという路線はたくさん国内に残されているんです。ですから、そこがみんな高値安定で、誰も運賃の主導権を握れないという、まさに全日空一社が好きなようにこれを設定できるということに事実上はなってきたわけであります。
この通達が出されてから会社更生手続の終結までの間、日本航空が全日空を下回る航空運賃を届けた事例は一件もないというふうに聞いております。私の聞くところでは、九月まで、再上場するまで監視をするという話で今局長のお話があったようでありますけれども、これはやはり直ちに廃止すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○長田政府参考人 平成二十二年二月に今御指摘の通達が出されたわけでございますが、平成二十三年の三月二十八日に更生手続の終結が決定をいたしました。
これを受けまして、私どもはその段階で運用上の緩和をしておりまして、基本的に、JALが運賃を引き下げる場合に、それによって全体として収益の向上が見込める、つまり、赤字でありながら運賃の引き下げをすることでなければこれを認めていこうということで、具体的に個々の事例ごとに検証して割引についてされているわけでありまして、日本航空さんでも、例えば一日前割引とか先得割引とか、こういったものを全日空さんに先行してやられている例もございます。
そういう中で現在の運用をしておるわけでございますが、やはり日本航空の場合には公的な資金を受けておりますので、そういう意味で競争環境の確保ということが重要だろうというふうに思っておりまして、今の支援機構の、株式の上場をもって再建終了まで、引き続きそういう緩和された状態での措置を続けてまいりたいというふうに考えております。
○伊東委員 事実上、これはオープンスカイでありますから、それこそ運賃設定は届け出制でいいはずでありますけれども、それを一々全部お伺いしなければならない。公的資金が入っている入っていると言いながら、そういう規制を強めて、場合によっては、これがもう一社の全日空さんのいわゆる価格形成権を助長する、認める、優先させるということであれば、地方路線にとってはこれはやはり大変な問題に実はなるんです。
ですから、何社も入っている、大きなもうかっている路線はみんな安売り競争をやる、地方路線は、高上がりにつく路線の運賃をみんなかぶっているわけでありますから、そうした観点からも、こうした通達はやはり即刻廃止すべきというふうに私は思うところでもあります。
これに関連して航空運賃について質問しますけれども、航空法の第百五条第二項の規定を根拠に、国交省は航空運送業者に対して航空運賃の変更命令を出す権限がある、こう聞いております。例えば、一定の市場支配力を有する航空運送事業者、航空会社が届け出た運賃が新規参入事業者の運賃を下回っている場合、変更命令手続に入るための外形基準に抵触し、航空局長を含めた省内の検討が行われるというルールになっております。
この通達があるため、例えば私どもの北海道において、日本航空及び全日空の運賃は、エア・ドゥあるいはスカイマークの運賃と比較して高どまりの状態にあります。日本航空にしてみれば、先ほどの通達と合わせてダブルの運賃規制がかかっていると言っても過言でないわけであります。
航空運賃の変更命令に関するこのような通達は、不当な競争を防止することを大義に運用されているわけでありますけれども、しかし、日本航空及び全日空の国内航空運賃が高どまりする原因になっているということも指摘されるわけでありまして、この点について国交省の見解をお伺いします。
○室井大臣政務官 先生の御質問にお答えをさせていただきます。
先生御指摘をいただきましたとおり、国内航空運賃は、航空法上、届け出制になっております。航空会社が自主的に決定する、このようにされております。航空法上、届け出された運賃が航空会社間で不当な競争を引き起こすおそれ等がある場合に、国土交通大臣が航空会社に対しまして事後的に運賃の変更を命ずることができることになっております。
御指摘の通達は、大手航空会社が新規航空会社の運賃を下回ることを禁止することを意図しているものではありませんが、現在の通達が大手航空会社にとって運賃引き下げの障害となっている面も否定できないということから、今後、格安航空会社の参入が本格化するのに合わせ、適切に対応できるように検討をしてまいりたい、このように思っております。
○伊東委員 LCCの参入とはいえ、LCCも、全日空の子会社あるいは日本航空の資本が相当入った会社というのも出てくるわけでありますから、形は新規航空会社といっても、その中身の差はいろいろあるんです。例えば、羽田―北九州間でスターフライヤーが飛んでいますけれども、これは一日十二便、革張りのシートで、なかなかいい飛行機だそうであります。そして、日本航空は一日五便であります。ですから、便数において半分以下、そして価格競争がなかなかできない。新規航空会社ということで、日本航空がこれを下回ることができないというようなことであります。
ですから、今答弁ありましたように、これは実際に即して、やはり、その地域の競争原理、こうしたものを働かせるようにしなければならないというふうに思うわけでありまして、これは、国交省の中の意思決定プロセスあるいは総合的判断の内容がブラックボックスで、国民にとってわかりづらいという指摘もあります。このような観点から、この通達は見直すべきと思いますが、ただいまそれについての御答弁もいただきましたので、航空問題の最後の質問にさせていただきます。
この高どまりする航空運賃についてでありますが、先ほど大臣からお話ありましたとおり、航空機燃料税あるいは公租公課、着陸料、航行援助施設利用料等々の見直しも含めて、必要な規制緩和あるいは税制改正等を講ずるべき、こう私は思うわけでありますけれども、この点について再度国交省の見解をお伺いいたします。
○長田政府参考人 御答弁します。
先ほど大臣の方から、いわゆる地方航空路線の充実のために、公租公課という意味で、国管理空港の着陸料の引き下げ、あるいは航空機に対する固定資産税の軽減措置、あるいは三年間を当面目標とした航空機燃料税の緊急的な引き下げ、こういったものを現在行っているところでございます。
先生御指摘の、さらに公租公課を引き下げていくべきではないかということでございますが、実は、その措置によりまして、着陸料はピーク時の六七%、航空機燃料税につきましてはピーク時の四五%まで減少しておるということで、その分エアラインの負担は軽くなっているわけでございます。
一方、空港整備事業費の方は、平成二十二年度二千七十二億円ございましたが、平成二十四年度では七百七十八億円ということで、大変厳しい状況になっておりまして、このまま参りますと、真に必要な事業についても実施することができないというふうなことでございます。
こういうことを総合的に勘案しながら、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○伊東委員 航空問題はこれで終わりまして、この後、前田大臣の選挙関与問題についてお伺いをさせていただきます。
実はここに、前田大臣の署名入りの文書のコピーが私の手元にあります。原本もあるわけでありますけれども、この文書は、今月二日の消印で岐阜県の下呂建設業協会に出された手紙であります。
ちょっと文書を読み上げますと、
さて、来たる四月十五日に行われる下呂市長選挙に、私の年来の同志でもある前衆議院議員の石田芳弘さんが立候補される予定とお聞きしました。
犬山市長時代に敏腕市長として全国に名を馳せた石田芳弘さんの実力は折り紙つきであり、下呂市の為に立ち上がられたことは大変頼もしく感じております。
折しも、観光立国を成長戦略の柱とし、中部地域でも昇龍道プロジェクトと銘打ち、頑張る地域をしっかりと応援いたします。
観光資源、水資源に大いに恵まれ、大きな潜在力を秘めた下呂市において、石田芳弘さんを中心として、新たな試みが生まれてくることを期待せずにはおられません。
貴協会におかれましても、石田氏に対するご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
平成二十四年三月吉日
国土交通大臣 前田武志
とサインがあります。
これは大臣、御記憶ございますか。そして、大臣のサインであることは間違いないですか。
○前田国務大臣 私のサインに間違いございません。
同僚議員から応援メッセージをお願いしたいという依頼がありまして、私ども、日常、地元を含めて政治的な依頼というものは事務所に来るわけですけれども、大臣職でございますから、大臣のところでは一切そういうのは見ていないんですね。週に一回か二回、事務所に立ち寄ってたまっている書類を見るわけでございますが、そのときに、依頼の文書だというようなことでサインをしたことはうろ覚えに覚えているんですが、中身については、どういうことであったかということは全く記憶はありません。
○伊東委員 全く記憶にないということでありますけれども、これは、三月吉日、サインされたのは覚えておられると。
これを郵送されたのが、四月二日の消印の、それも国土交通省の封筒でありました。この国土交通省の封筒をお使いになったというのは大臣の御記憶にありますか。
○前田国務大臣 これはもう全くうちが関与しているわけではございませんでして、同僚議員に言われた文書を、たしか事務所で秘書さんと、うちの秘書が持ってきたのに何かサインしたというところまでは覚えておりますが、要するに、直接そちらへということよりも、依頼を受けた同僚議員のところに渡った、そういう認識でありました。
○伊東委員 この文書の中身は、私の年来の同志である前衆議院議員の石田さん、そして市長時代には敏腕市長としてという、中身もかなり詳しく書かれていた。そして、折しも観光立国を成長の柱として、中部地域でも昇龍道プロジェクトという、国交省のプロジェクトをここに掲げて述べて、そして、この人が市長になってくれればありがたいんだがなというような話でありますよ。
これが、三月吉日で書いておりますけれども、四月二日に投函されている。これは、四月八日の日、告示になっているんですから、告示の二日か三日前に届いている話です。それも、国土交通大臣が下呂市の建設業協会に出しているんです。
これは、御自分の職責、職務上の地位を利用して、あたかも、この中を一生懸命やってくれれば俺たちはおまえたちに予算をつけてやるぞと言っているような中身そのものじゃないですか。こんなことが許されるんですか。これはおかしいですよ。サインをしただけだとか、中身はわからなかったじゃないでしょう。これは、私の年来の同志であるとまで書いているわけでありますから、大臣、これはそんな言い逃れで済む話ではないというふうに思います。どうですか。
○前田国務大臣 私も二十何年かこの世界にいるわけですが、地元のいろいろな政治的な依頼であったり、それから同僚議員の応援頼むよというようなことについては、その間の信頼関係で、まあ、いいよというようなことでやっているケースが多いわけですね。
そういう意味においては、非常に私も、大臣としての立場ということにおいては不注意きわまりないことであったと思いますが、この文書を出してもいいですよというふうに申し上げたのは他の同僚議員なんですね。その他の同僚議員がこういうことになっていたということは、本来ならばきっちりもっと確認をすべきであったのかもわかりませんが、大量のいろいろな依頼文書等に、議員事務所に戻って、週に一度ぐらい整理をするときにやっているものですから、そこまで確認ができなかったということにおいてはまことに不注意であったと思います。
○伊東委員 これは大臣のお人柄とちょっと違う部分でありますので。今、選挙の真っ最中ですよ。まさに真っ最中、あと数日で投票日ですよ、今度の日曜日は。
それではお聞きしますけれども、これは複数の団体に出されているというふうに私どもは聞いているわけでありますけれども、出した先その他について、大臣は御記憶ありますか。
○前田国務大臣 この団体を含めて、全く、どういうところに出しておられるかということは存じておりません。要するに、私のメッセージをその同僚議員が使って後援活動をやっておられるという理解でおりました。
○伊東委員 では、選挙部長にお伺いします。
これは選挙の告示直前の話であります。公示前に選挙運動した者にはどのような犯罪が成立するか、お伺いいたします。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
総務省としては、個別の事案につきましては具体の事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で、一般論として申し上げますと、公職選挙法第百二十九条の規定がございまして、「選挙運動は、」「公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。」という規定がございます。この規定に違反した場合につきましては、罰則の規定がございます。
いずれにしても、個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるべきと考えておりまして、総務省としてはお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○伊東委員 一般論で結構でございます。これは事前運動にひっかかるわけであります。
もう一度、総務省選挙部長に聞きますが、公務員がその地位を利用して選挙運動を行う場合にはどのような犯罪が成立するか、お答えください。
○田口政府参考人 総務省として個別の事案につきましてはお答えを差し控えますが、一般論として申し上げますと、公職選挙法の第百三十六条の二の規定におきまして、国または地方公共団体の公務員等はその地位を利用して選挙運動をすることができないという規定がございます。この規定に違反した場合には、罰則の規定がございます。
○伊東委員 先ほども私お話ししましたけれども、国土交通大臣は日本の建設を所管されておるわけであります。国土交通大臣から大臣の署名入りの書簡を送られた建設業協会、これはびっくりすることでありましょう。封筒が国土交通省の封筒を使っているわけであります。
これは、大臣がサインしてそれを何枚かコピーしたのか、あるいは一枚一枚にサインしたのか、私はわかりませんけれども、先ほど記憶にないというお話でありますから、恐らく、サインをして、そしてそれがコピーをされたのかなという、好意的に解釈すればそうなるわけでありますけれども、関係団体にとって、まさに国土交通大臣から、国交省の封筒に入って、これは全部、大臣の名刺が入ってですよ、そして選挙の応援をしてくれという話でありますから、こんなのは許される話でないんです。もう地位利用以外の何物でもない話でありまして、これはもう、いかがかなどという話ではなくて、私は、極めて重大な責任がここに生じている、こう思うわけでありますけれども、大臣、いかがでしょう。
○前田国務大臣 私自身の不注意ではあったんですが、議員としてのいろいろな依頼事項の処理、依頼も含めて政務的な地元関係の処理等をやっていた中で、一つ、その前から同僚議員から、ひとつ地元の活動に応援を頼みますよということを声をかけられていた、その関連だと思うんですね。
だから、サインをしたようには思うんですけれども、自分としては議員活動の一環としてやったということで、中身についても相手先についても、こういうことになっているということは存じませんでした。
しかし、幾ら知らなかったといえ、結果的にはこういうことになったということについては、非常に私自身も遺憾に思っております。
○伊東委員 ここにいらっしゃる国会議員の皆さん方はみんな、大臣のような、頼まれて応援のメッセージを書いたり電報を出したり、そういうのはもう当たり前のことでやっていることなんです。しかし、大臣という立場で、建設業協会あるいは観光業界、御自分が所管されている関係団体にさっきの文書が出ているんですよ。そして、その中部地区で行われているプロジェクトの名称まで挙げて、これを私は応援しますというお話をされているんですよ。これはもう本当に、まさに大臣としての圧力以外の何物でもない話でありますよ。
中部地区で昇龍道プロジェクトというプロジェクトがあって、これは名古屋からずっと下呂を通って、高山を通って行く方のプロジェクトでありましょう。能登半島からセントレア空港に至る南北の道を竜の姿に重ねてこの地域をPRしている。これはまさに国交省の事業として行われているわけであります。
このプロジェクトを私は応援しますとこの文書の中で言っているんですよ、現実に。それはもうまさに圧力。本当にこれは誰かが書いたのか。大臣、これは御自分で書いたとしか私はどうしても思えなかったんですね。「折しも、観光立国を成長戦略の柱とし、中部地域でも昇龍道プロジェクトと銘打ち、頑張る地域をしっかりと応援いたします。」と、「応援いたします。」と大臣がここで言っているんですよ。これは、同僚に頼まれたとか頼まれていないとかという話ではなくて、あなたが、私はこの昇龍道プロジェクトを応援しますよ、そしてこの市長候補が中心となって新しい試みが生まれてくることを期待せずにおられません、こういう話ではないですか。石田氏に対する御指導、御鞭撻をよろしくお願いしますと。
選挙のわずか数日前にこんなのが来たら、まさに大臣として、国土交通省としての圧力以外、何物でもないじゃないですか。これは本当に、頼まれたとか頼まれていないとかという話ではなくて、私は、大変な問題だというふうに考えているところであります。
大臣、これは、文書をおつくりになった方、あるいは御自分でおつくりになったのか、この辺の経緯についてどのようにお調べになるか、お聞かせください。
○前田国務大臣 全く私はその文書もつくっておりませんし、たしか事務所に立ち寄ったのが、二週間か、三月の末ごろだったんだろうと思うんですね。同僚議員から聞いていたのは、そのうち選挙があるということは聞いておりましたが、まだ間がある。前の、その議員の後援活動というふうな理解でサインをした、このように思います。
しかし、結果的には中身についてはそういうことでありましたし、委員の御指摘というものは厳しく受けとめさせてはいただきますが、まことに不注意であったと思います。
○伊東委員 いや、私は、文書をつくった人、これが大臣であったかなかったかということの確認がきちっととれなければだめだと思うんです。そして、私はサインしただけで、だから、よくそういうことはあるから、それは私の不注意だったで済むのなら、世の中、誰も間違いなんて起こさないですよ、そんなの。
おまけにこのコピーなんですけれども、これは国交省の封筒ですよ。国交省の封筒を使ってこれを出しているんですよ、御丁寧に。
では、国土交通省の封筒を使ってこれを出した人は誰なんですか。大臣、答えてください。
○前田国務大臣 私の同僚議員の依頼でこういうことになったわけであります。お互い議員同士ですから、その辺のところの良識はあるという前提のことであったんですけれども、結果としてはこういうことになって、まことに遺憾だと思います。
○伊東委員 では、大臣、同僚議員が国土交通省から封筒を入手して、御自分で宛名を書いて出されたということを言いたいのでありますか。これは、秘書もしくは秘書官が言われて、国交省の封筒を使って出したものじゃないんですか。
○前田国務大臣 私自身がまだそこまで確認はできておりませんが、私自身は全く存じなかった結果になっているわけですね。これは後刻またしっかり調べさせていただいて、御報告を申し上げます。
○伊東委員 同じことを何回も聞いてもしようがないので、これについて、文書をつくった人、あるいは、それをその同僚議員が持ち込まれたものなのか、あるいはそうではないのか、あなたの秘書がつくられたものなのか、そしてその文書に、一枚だけのサインのものなのか、何枚かサインされたのか。
そして、これが複数枚数出ています。現実にそうでしょう。大臣の名前でいわゆる選挙応援依頼をするわけでありますから、こんなものは一通や二通出したってどうしようもない話でありますから、相当数の影響力の行使できる団体等々に出されているというふうに考えるのが常識でありまして、何通出したのか、どこに出したのか、調べてぜひお答えをいただきたいというふうに思います。
○前田国務大臣 調査の上、お答えさせていただきます。
○伊東委員 かようなことからもおわかりのとおり、頑張る地域をしっかり応援しますと言えば、建設業界あるいは関連業界は、これは選挙を応援しなければ要望が通らないのではないかと考えるのが一般的な常識であります。それだけ国土交通大臣の職責は重たいものだというふうに私は思うわけでありまして、不用意とはいえ、これはまずいと思います。
再度、大臣の報告を後日お伺いしたいと思いますが、理事会で協議の場を設けてもらいたいと思いますが、委員長、よろしくお願い申し上げます。
○伴野委員長 ただいまの伊東委員からの御要求につきましては、後刻理事会等で協議させていただきます。
○伊東委員 それでは、時間が少し早いですけれども、私の質問は以上で終わらせていただきます。
○伴野委員長 次に、富田茂之君。
○富田委員 公明党の富田茂之でございます。
私は、まず前回の一般質疑で質問しました復興交付金について、きょうは末松副大臣に見えていただいておりますので、ちょっと質問をしたいというふうに思います。
前回、千葉県内の市町村から復興交付金の申請がありましたけれども、液状化対策になかなか予算がつかなかったということでお尋ねをしました。その後、末松副大臣は、浦安、香取、千葉ですか、全部回っていただいたというふうに伺っております。
実はきのう、成田市の隣、栄町で統一外の町議選がありまして、私も応援に行って現場を見てきたんですが、応急措置はされているんですけれども、電信柱がまだ二メートル下がったままの地域があったり、なかなか液状化対策が完璧に終わっていない、一年たってもまだそういう状況がありました。
そういった意味で、浦安、香取、千葉の液状化の大変厳しいところを末松副大臣に見ていただいたと思うんですが、前回、三月十四日のこの委員会で御質問して、液状化も大事だというふうに御答弁をいただきました。プライオリティーをつけてやっているので、東北三県を決して優先しているわけではない、プライオリティーをつけてやっているだけで、液状化対策もきちんと復興庁としても取り組んでいくという御答弁をいただきました。
それを踏まえて、視察をされた上で、現場を見られて、今後、復興交付金についてどのように取り扱いをされようとしているのか、お答えをいただければと思います。
○末松副大臣 先日の富田先生の御質問もいただきまして、そこで、千葉県の旭市、香取市、そして浦安市、また千葉県知事ともお会いさせていただきました。
それぞれ、例えば香取市なんかでは、農地の液状化で地下の配管がかなり今壊れているとか、あるいは、これは液状化ではないんですが、近隣都市と上水道を連結するとか、そういった御説明も詳しく聞いたり、あるいは浦安市では、まさしく住宅地の液状化の深刻な被害、これは学校も見てまいりまして、また特に浦安市長さんが困っておられたのは民有地、これは補助金がなかなか出ない、そこを市民の負担、住民の方々の負担をどういうふうに少なくするか、こういったところでもいろいろと悩んでおられました。
そういったところを含めて、私が感想として感じたのは、原状復帰ということだけでいいのか、それから、将来の防災に備えて復興というレベルまでやるのか、そこは大きなお金もかかりますので、そういった意味で、今私ども、復興交付金も無限にあればいいんですけれども、その金の制限がある中、また東北の三県の深刻さ、こういったプライオリティーを考えながら、ただ、液状化についても重要なので、そこはそれなりに市長さん等と細かくお話をしていきまして、そこで個別にお話を今進めている、こういう現状でございます。
○富田委員 前回のときも副大臣の方から、個別的には、それぞれの市町村と具体的に打ち合わせしながら復興交付金の配分を決めていきたいというお話がありまして、今もその方針だということです。
きのう私が行ってきた栄町は、千葉日報に四月五日付で出ていたんですが、今回の二次申請を断念したと。なぜ断念したかというと、「国が基幹事業に掲げた学校耐震化計画を作ったが、最初から対象外と言われお手上げ状態だった」というふうに町の担当者が千葉日報の記者さんに言っているようなんですね。学校耐震化は三次補正でも大分つけていただきましたので、それでできる分はいいと思うんですが、多分、それでかなわないので、復興計画をつくって相談をしたのだと思うんです。
副大臣は、それぞれの市町村の窓口と、きちんと、市町村の状況に応じたような方針でいきたいというふうに言っていただいているんですけれども、現実問題として、現場でこんなふうな話になって断念してしまって、きのう行きまして、うちの議員さんにも聞いたんですが、六月の申請に向けてもう一回再準備するというような話にもなっているんですね。
そういった点、もう少し、現場と大臣、副大臣の意思疎通をきちんと図ってもらう必要があると思うんですが、どうでしょうか。
○末松副大臣 学校の耐震化の話は私も文科省の方と、政務等も含めて、さまざまに議論をしてまいりました。何とか学校の方の補助金できちんとできないのかと。そうしたら文科省の方では、建屋の方であれば補助金の対象になるんだけれども、今言われているのは多分グラウンドですね。グラウンドが結構沈下したり、ぐちゃぐちゃになったりというところ、ここについて交付金で何とか面倒を見られないのか。
そこで、この前もお話ししましたけれども、サンドパイル方式ですか、グラウンドに物すごい数のくいを打って固めていくという手はあるんですけれども、これは費用が非常に膨大になるということもございます。
そこで、一つ一つ市長さんともお話をしているという意味は、例えば浦安市の方で、まずモデル事業的な形でそういった校庭の耐震化もやっていこうかというようなところで今検討が進められている。そういうところから一つ一つやっていかないといけないのかなということを、今、進展させているところでございます。
○富田委員 今の方向性はいいと思うんですが、ただ、復興交付金事業の本体にどういう事業があるかというところに、二番目に学校耐震化と出てきているんですよね。当然、栄町の担当者としては、これは使えるんだということで窓口の担当者に相談したと思うので、そういった点も踏まえて、よく相談に乗っていただきたいと思います。
もう一つ、三月十五日、この前の委員会の次の日に、東日本大震災液状化対策自治体首長連絡会議、関東の液状化の被害を受けた首長さんたちが、前田大臣を初め、また復興担当大臣に要望されたと思うんですね。東日本大震災による液状化被害への対応に関する要望書ということで、かなり細かな項目の要望を、各首長さんが見えて、それぞれの省庁を回って要望書を手渡されました。
私の地元の習志野市の秘書課に聞きましたら、国交省からは三月十五日の要望に対する回答が全部来ているんですよ、きちんと一項目ずつ、これに対してはこういうふうに対応したいと。決して首長さんたちが満足のいく対応ではないんですけれども、国交省なりに考えて、ここまではできます、あとは現場で相談してくださいとか、きちんと来ているんです。
第一項目めが、より使い勝手のよい交付金となるよう復興交付金制度の内容や運用の見直しということで、これは復興庁宛てなんですね。これについては、きのう現在で回答がない。(発言する者あり)おおっと言われちゃ困るんだけれども、こういうふうに書いてあります。
復興交付金は、自由度の高い一括交付金という目的で創設された。この当初の目的に即した運用の徹底、さらには申請作業に伴う被災自治体の事務量軽減に加え、計画対象区域を広く認めること。特に、液状化被災自治体の公共施設はもとより、民間宅地等における液状化被害の調査費を初め、液状化対策費を支援されたい。また、液状化対策は単なる予防的措置ではなく、災害復旧事業とあわせて行うことが復興そのものであり、また、工事の効率性、経済性からも極めて合理的であることを踏まえ、液状化対策事業を五省四十事業の中で明確に位置づけ採択を行われたい。こういうふうに具体的に要望されています。
きのう現在でまだ首長さんたちに回答がないようですから、大事な指摘だと思いますし、この指摘は、今、末松副大臣がこの方向でと言われているのと多分一致していると思うんですね。ぜひこれに対して回答をいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
○末松副大臣 そうであれば大変失礼を申し上げました。すぐに事務方で対応させたいと思います。
ただ、今まさしく、首長連絡会議さんの方からそういった御要望をいただきましたので、昨日、平野復興大臣の方から、運用で、市町村の事務負担の軽減のために数項目の措置を発表いたしました。
例えば、書類の簡素化ということで、申請書類の三分の一を廃止するとか、あるいはエクセルですか、自動計算の導入で全部やって、数字だけ入れれば全部それが自動的に計算されるような仕組みにするとか、あるいは、交付可能額決定通知前に一部事業が本当に緊急だったら、今度はそれをやれるような特例をつくったり、あるいは添付する地図をもうしなくていいとか、いろいろな、皆さんの御要望に応える形に大臣の発表ではしておりますので、そういったことを含めて、すぐさまそれは連絡させていただきたいと思います。
また先ほど、内容について、対象区域を広げるとか調査の拡大をしろと。これは、千葉県で余り予算的に、一次の交付決定のときに伸びなかったのは、調査費というものをまずやって、調査をやっていただいて、きちっと最後実施していただく。この実施というものも含めて、それはもう認めているわけですから、まず調査費というものを、ここは割合丁寧にやってきていると思います。今後ともそれを続けていきたい、さらに強化していきたいと思います。
○富田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
副大臣、もうこれで結構です。ありがとうございました。
次に、都市再生機構の賃貸住宅について、前回もお尋ねしたんですが、前回大臣が参議院の方にとられていましたのでお聞きできなかった分も含めて、ちょっと質問をしたいというふうに思います。
独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会が、三月に、都市再生機構の基本的な方向性を取りまとめました。そのポイントについて、政府参考人の方からちょっと御説明をいただきたいと思うんです。
○松村政府参考人 都市再生機構のあり方につきましては、一月二十日に閣議決定されました独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を受けまして設置されました都市再生機構の在り方に関する調査会におきまして、中間的な整理として、先月末に基本的な方向性が取りまとめられたところでございます。
この中では、政策的な対応が必要な分野と、企業的な経営手法により収益改善が期待できる分野を区分いたしまして、機構の役割を明確化すること。そして、前者につきましては、国や地方等との役割分担を踏まえ、機構が担うべき内容を整理する。後者については、民間の手法を活用しながら収益を上げ、多額の負債を早急に圧縮する。そしてさらに、それぞれの役割にふさわしいガバナンス、組織形態を検討するといった検討の視点や組織の方向性が提示されているところでございます。
今後につきましては、まずは国交省、機構において実態をより的確に把握するための資産評価等を行っていただき、必要に応じ、第三者による内容の検証等を実施し、夏までに組織のあり方について最終的な結論を得ることとされているところでございます。
○富田委員 松村さん、ちょっと確認したいんですが、今の、組織の効率性を向上させるガバナンスの見直しのところで、以前にいただいたペーパーですと、「会社法に基づくガバナンスを活用した政府全額出資の特殊会社や政策目標の下で居住の安定を確保しつつ効率的な運営を図る行政法人等を検討」というふうな記載がありました。
これは、一月二十日の閣議決定では、「分割・再編し、スリム化」ということと、「賃貸住宅の居住者の居住の安定の維持等の必要性を十分踏まえ、国民負担が増加しないよう留意しつつ、会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化を検討し、平成二十四年夏までに結論を得る。」こういうふうになっていたものが、「政策目標の下で居住の安定を確保しつつ効率的な運営を図る行政法人等」が入ってきたということは、特殊会社化だけの方向性じゃない、これまで国交省の検討委員会等で議論されてきた方向性もあわせて検討するんだというふうに理解していいんでしょうか。
○松村政府参考人 お答えいたします。
御指摘のございました閣議決定におきましても、「会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化を検討し、」ということでございます。したがいまして、その文言のとおりだと理解しております。
○富田委員 いや、それプラス、「政策目標の下で居住の安定を確保しつつ効率的な運営を図る行政法人等」も検討対象に入ってきているわけだから、これは、今のままの形、あるいは少し変えた形の独立行政法人なりも方向性の中に入っているんですねという質問ですよ。
○松村政府参考人 そういった方向性も検討の中には含まれておりますし、そうした中で議論が進んでいるということでございます。
○富田委員 この中間取りまとめの中で、ちょっと気になるんですが、二月の衆議院の予算委員会で、我が党の高木陽介議員から岡田副総理にこの件を質問しました。低所得の方とか母子家庭の皆さんとか、本当に家賃を払うのも大変な方たちはしっかり守っていかなきゃいけないというふうに副総理も言われ、他方、収入のある程度しっかりある方もいらっしゃるので、その立て分けが必要だというふうに答弁されているんですね。
優良物件等については処分も検討していく必要がある、負債をできるだけ減らすんだから、そういうふうに言われているんですけれども、例えば、同じ棟の中に低所得の方もいらっしゃるし高額所得の方もいらっしゃる。岡田副総理の話を前提にすると、少し余裕のある人はどこかの棟に全部合わせて、低所得の人は一つの棟に合わせてそこは残すけれども、余裕のある方たちに移ってもらったところは売却するんだというふうにもとれちゃうんですけれども、まさかそんな形で検討会で検討しているわけじゃないですよね。そこはどうですか。
○松村政府参考人 御指摘のように、一つの団地あるいは一つの棟の中にいろいろな属性の方々が住んでおられる、そこをどういうふうに分けていくのかということの難しさなり問題点というのは十分理解して議論が進んでいるというふうに承知しております。
○富田委員 松村さんに余り言っても仕方がないことなので、ぜひ、検討会の委員の先生たちにそのあたりのことをきちんとお伝えいただきたいと思います。
各事業に係る方向性という資料の中に、最後に括弧書きでこんなことが書いてあるんですね。「(機構の賃貸住宅の家賃は、基本的に市場家賃とされているなど、公営住宅等とは政策的位置付けが異なるものであることに留意が必要。)」わざわざこんなことが書いてあります。
これまでこの委員会でも随分議論になってきましたけれども、都市再生機構の賃貸住宅は、本来、公営住宅が担うべき役割を担っているんじゃないか、そういう方向での今後のあり方を検討すべきだというふうな議論もこの委員会で大分されてきました。それなのに、わざわざこういうふうに、「公営住宅等とは政策的位置付けが異なる」というふうに書き込むのはいかがなものかと思うんですが、これは松村さんに聞いてもしようがないので、大臣、どうでしょうか。
○前田国務大臣 内閣府で議論を進めていただいているわけですが、そういうただし書きといいますか、括弧書きがついているということは、確かにUR住宅、旧公団住宅というのは、まちづくりの中で比較的条件のいい、その地域のまちづくりの中心になるようなところが多かったわけですから、多分、都内においてもかなり立地条件のいい、入っている方々は相当の家賃をちゃんと払っておられるというようなことが前提になっているのかなというふうに思います。
○富田委員 大臣はそういう御認識ですけれども、そうじゃない居住者も大勢いらっしゃるわけですね。
その関係でお聞きしますけれども、一月二十四日に全国公団自治会協議会の皆さんが、「UR賃貸住宅を公共住宅として守れ!」緊急国会要請集会というのをされました。各党の代表が全員出ておりますので、この要請を受けて、閣議決定についての決議というのを全国自治協の皆さんがされました。四点あります。
機構賃貸住宅の役割やあり方については、単に「行政改革」「独立行政法人廃止」などの組織のあり方からだけで検討することは間違っています。今後の我が国の住宅政策と、その中での公共住宅政策の位置づけ等を明確にし、機構賃貸住宅の現在及び将来にわたっての存在意義と役割を明らかにすることが必要です。これが第一点。
第二点として、賃貸住宅事業の「全額政府出資の特殊会社化」は住宅の民営化に踏み出すことであり、公共住宅としての性格を大きく損ねてしまうことになります。特殊会社化・民営化には強く反対します。機構賃貸住宅は民営化でなくあくまで公共住宅として継続すべきです。これが第二点。今私が述べたことに沿っていると思います。
第三点として、検討を進めるに当たっては、居住者の居住の安定を確保する施策を、居住者の実態と居住の安定確保に関する国会決議等を踏まえて具体的に示すことが先決です。
最後に、第四点として、内閣府に設ける「外部の有識者」による検討会議には、公共住宅政策の重要性を主張する住宅政策の専門家や居住者代表なども加え、公平な議論が行えるものとするべきです。
この第四点については、残念ながら、検討会議のメンバーには住宅政策の専門家とか居住者の代表は入っていません。国交省の事務方でサポートするということで、そちらからきちんとした情報を上げていただいていると思うんですが、この部分が、これからのあり方を考えるときに、現場からの発想がないとやはりだめだと思うんですね。
松村さんに以前、党の部会でお聞きしたときに、全国自治協の井上事務局長からも御意見を伺いましたというふうにお話がありました。井上さんにも私が聞いたら、たった十五分でしたと。十五分で何が公団住宅の皆さんの思いがわかるんだというような思いがありますので、大臣、この公団自治協の皆さんの決議についてどう思われますか。
○前田国務大臣 もちろん内閣府に対して、今、富田委員が述べられました居住者の居住の安定の維持の必要性、これを十分踏まえて検討が行われるように求めてまいります。
○富田委員 民主党がやられた事業仕分けとか行政刷新の中で、UR賃貸住宅を民間や地方公共団体に売却というような方針が出ていました。
現実問題として、地方公共団体でUR賃貸住宅を売ってくれというところはないですよね。どこも買わない。そういう方向性はわかっているのに、まだ事業仕分けとか行政刷新会議の方向性に引っ張られるというのはいかがなものかな。そういったところはぜひ見直していただきたいというふうに思いますし、各地方議会あるいは首長さんたちから、自分たちの方で引き受けられないからという前提もあるんでしょうけれども、やはり公共住宅としてURの賃貸住宅を残してくれという要請がいっぱい出ています。この点も、ぜひ大臣の方でも検討していただきたいと思いますし、先ほどの御答弁の中にそれが含まれていると思いますから、今後の御検討をいただきたいというふうに思います。
URの賃貸住宅のあり方として、大臣も予算委員会で言われていましたけれども、千葉県の柏市の豊四季台団地、大臣も視察されたというふうに伺っています。野田総理も先般、視察されておりました。
地域包括ケアシステムを実施することによって、高齢者にも住みやすい、そして子育てもしやすい、安心できるまちづくりの中心拠点に、今、この豊四季台団地はなっているんですね。特別養護老人ホームが去年の十月に完成して、ショートステイとか、それにかかわるものもいろいろ動き出したようです。建てかえも、今までは五階建ての全くエレベーターのない、本当に高齢者にとっては大変な団地でしたけれども、最大では十四階建てまで高層化してエレベーターもついて、今、四期、五期の工事に入っているようです。
本来は、こういった例が、国土交通省で行われた検討会の中で、今後のUR賃貸住宅のあり方の柱になるべきものだったというふうに私は思うんですね。
大臣、豊四季台団地を視察されたようですが、国交省として、やはりこれを一つのモデルケースとして、今建てかえがいろいろ出てきていますので、地域を巻き込み、この豊四季台団地の場合は、前の厚生労働次官だった辻さんが東京大学の教授になられて、いろいろなことで柏市とも連携できてこういう形ができたと思うんですが、一つのいい例だと思いますので、視察を踏まえて、今後のUR賃貸住宅のあるべき方向というのをどのように大臣が考えているか、お答えをいただければと思います。
○前田国務大臣 私も豊四季台団地を視察、見学させていただきました。辻先生も御一緒してくださいまして、地域包括ケアというのが、具体的に、UR団地を中心とするオールドタウン化したニュータウンの再生の一番中心の事業になっている、非常にすばらしいことをやっていただいているなと拝見いたしました。
これは、一つは自治体としての柏市が、団地を中心に高齢化が大変進んでいるという危機感、そこが大体似たような年齢層だけでさらに高齢化がかかる中で、もう一度町の再生をやろうという非常に強い先見性と情熱を持っておられた。そこに辻先生のチーム、さらにはUR、この三者の方向性と、私は情熱と言うのですけれども、ああいう初めてのことをやるわけですから、三者の方向が一致して、それぞれが単に自分の任務だとかいうことを超えて、何とかこれを再生させようという熱が感じられました。結果として、非常にいい進み方をしていると思います。
ところで、私自身も問題意識として持っておりますのは、特に大都市圏といいますか三大都市圏、UR住宅が結構あるわけですが、ここが全て高齢化し、程度の差はあれ、この豊四季台のような形になってきている。それを再生する一つの大きなモデルになってくれるのではないかと期待をしておりまして、内閣府はこうやってきちっと決まった検討会をやってくださっているわけですが、そういったことを受けて、国交省においても、もう少し具体的なモデルとして、どういうことが可能かという勉強会をやらせていただいておりまして、そのほぼ中間のまとめなんかも聞いているところでございます。
こういったモデルをぜひ全国に展開できたら、こう思っております。
○富田委員 大臣の方で検討していただいているということで、心強いと思います。
実は、この柏の豊四季台団地は、オリンピックの年、一九六四年に入居が開始されて、総戸数四千六百六十六戸、建設からもう四十五年たっている。現在、約半数の世帯が六十五歳以上の高齢世帯、三割超が後期高齢者の世帯、高齢化率四一%。高齢化の先進地域だと言われているんですね。そういった意味で、本当に今モデル地域として、国交省としてもぜひ、UR賃貸住宅、また、まちづくりという意味で、どういう方向性を持っていくべきかということを検討していただきたいというふうに思います。
松村審議官、結構です。どうもありがとうございました。
次に、先ほども出ておりましたが、航空行政についてお尋ねをします。先ほど伊東議員の方から地方航空路線についてお尋ねがありましたが、私の方からは、ローコストキャリア、LCCについて何点か質問したいというふうに思います。
国土交通省が、平成二十二年五月十七日に成長戦略をまとめられました。この中の最後の方に、戦略の六として、「LCC参入促進による利用者メリット拡大」という大きな項目を立てられていました。
ここで、「世界の航空輸送市場においては、既にLCCが全体の二〜三割を占める状況となっており、LCCが低価格の選択肢を提供することで、観光や親族訪問等の需要の拡大や利用者メリットの拡充につながっている。」と指摘されまして、「LCCが低コスト・低運賃を実現できている背景としては、低コストオペレーションが可能な二次空港やLCC専用ターミナルの使用、空港滞在時間の短縮による高い機材回転率、B737等の小型の単一機材による整備コストの削減、eチケットを中心とする航空券の販売コストの削減、機内サービスの簡素化等、従来型のフル・サービス・エアラインとは全く異なるビジネスモデルによっていることがあげられる。」というふうに指摘しているんですが、残念ながら、「首都圏空港の容量制約、LCC専用ターミナル等の低コストオペレーションを可能とするインフラの欠如、空港整備に使われる公租公課の存在等から、本格的な参入にはつながっていない。」というふうな指摘もされています。
先月、ピーチが参入してきて、八三%の搭乗率だったということで、新たなお客さんの層も開拓されたというふうに思うんですが、国土交通省として、今後、この夏にも成田を基点とするLCCが二つ参入するということも予定されているようです。今どういった支援策を国交省としては検討されているんでしょうか。
○長田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、従来から海外のLCCは参入しておったわけでございますが、この三月一日から、関西国際空港を拠点として、我が国初の国内版のLCCでありますピーチ・アビエーションが運航を開始しております。また、成田国際空港を拠点として、七月にはジェットスター・ジャパン、八月にはエアアジア・ジャパンがそれぞれ運航を開始する予定でございます。こうしたLCCの参入は、訪日外客の増大や国内観光の拡大等、新たな需要の創出につながるというふうに期待をしております。
このために、国土交通省といたしましては、安全の確保が大前提でございますが、オープンスカイのさらなる推進、あるいは航空会社のコスト削減に資するような技術規制の緩和等々、支援を行ってまいりたいと考えております。
○富田委員 長田局長の今の支援策だけだと、多分、LCCというのは日本では失敗すると私は思うんですよ。
なぜかといいますと、四月五日に成田国際空港株式会社がプレス発表して、新しくLCCの専用ターミナルビルを、二〇一四年度中の完成を目指して整備しますというふうに発表されました。その場所も地図等で確認しましたけれども、今、アジアのいろいろな空港は、成田が二〇一四年にLCC専用ターミナルをつくるなんという状況ではなくて、もうはるかに、それを何周も先を行くような感じで、シンガポールのチャンギ空港は、二〇一七年までに年間処理能力一千六百万人の新ターミナルをつくる。実は、六年前に七百万人のLCC専用のターミナルをつくったけれども、こんなものでは足りなくなるから、新たにまたこういうのをつくるとか、マレーシアのクアラルンプール国際空港は、来年四月に、現在の三倍の処理能力、四千五百万人、世界最大のLCC専用ターミナルを建設する。
物すごいスピードで、アジア圏内でそれぞれ、多分LCCのハブを狙ってやっているんだと思うんですけれども、それが、二〇一四年にやっと、今のターミナルの横っちょに小さなLCC専用ターミナルを成田でつくる。こんな程度では需要の喚起なんてとてもいかないと思うんですが、そのあたりはどういうふうに捉えているんでしょうか。
○長田政府参考人 先生御指摘のビジネスモデルでございますが、LCCの場合、サービスを限定すること、あるいは短距離の区間を同一の機材で多頻度に運航するために低い運賃にできるわけでございますが、そのためには、先生御指摘のような専用ターミナルの整備が不可欠だというふうに思っております。
私ども、成田空港につきましては、現在非常に手狭でございますが、ただ、エアラインの要望を聞きますと、今の計画されている場所につくるのが航空機のスポットに近くていいということでございます。そのために既存の施設を改修しながらつくっていくわけでございますが、関西国際空港が大体一年弱でターミナルを立ち上げることに比べますと、成田の場合は既存の施設を改修しながらということでございますので、若干時間がかかっておりますが、何よりもスピード感が大事でございますので、そのあたりはNAAとも相談をしながら、この専用ターミナルの整備が少しでも早く進められるようにやっていきたいと思います。
○富田委員 空港整備にはお金がかかりますので、そういったところへの予算措置もやはり国として検討していく必要があると思います。そういったバックアップはぜひ私たち野党としてもやりたいと思いますので、御検討いただければと思います。
ただ、一点、先ほど局長は安全にも留意しつつというふうに言われましたけれども、ピーチの方で三月二十八日、長崎空港で出発直前に、前方ドアの非常用脱出装置が作動して飛べなくなってしまった。一機でずっと飛んでいるわけですから、機材のやりくりができなくて、結果的に十三便が欠航したというような報道がありました。
なぜそんな作動をしたんだろうと思っていましたら、ある新聞に、「客室乗務員が、地上係員と連絡を取るためいったん閉めたドアを再び開けたところ、既に出発態勢に入っており、非常装置が作動したという。」というふうに書いてあるんですね。この記事を読んで、ちょっと信じられないなと思ったんですけれども、こういう報道に接すると、大丈夫なのかと。
要するに、出発態勢になっているのに、キャビンアテンダントがあけちゃったわけですよね。ドアをあけたので、当然、非常緊急装置が作動しておりられるような形になってしまって、あとはもう回復できなかったということだと思うんです。
新しい航空会社で、なかなか機材を余分に準備するということもできないでしょうし、従業員の訓練に不備があったのかもしれませんが、やはり乗客の安全運航ということを考えると、こういった事故が起きたときに、どういうふうに対処していくのか、航空局の方からもきちんと指導すべきだと思いますし、何よりも安全が第一だ。収益を上げることばかりに走るとこういったトラブルも出ると思いますし、ぜひうまくいってもらいたいと思いますので、LCCが拡大できるように、そういった形の安全面での指導を徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長田政府参考人 先生御指摘の件でございますが、本来出発する間際になりまして、乗客の数が少し合わないということでドアをあけることはあるわけでございますが、その場合には、ロックを一旦外してあければ緊急脱出装置が出ないわけでございますが、そのあたりの乗務員に対する教育が十分でなかったということで、これは、ピーチ・アビエーションに対しましても我々の方から指導しておるところでございます。
また、ちょうど三月の終わりから長崎便、鹿児島便が始まりまして、機材に全く余裕がなかったために、それが一機とまりますと連続して便が欠航してしまった。これはまことに遺憾なことだというふうに思っております。
今後、ピーチ・アビエーションにおきましても機材をどんどんふやしてまいりますので、その中で予備機等も出てまいると思いますし、何よりも安全が大事でございますので、CAだけでなくてパイロットも含めまして、安全の確保には万全を期するよう引き続き指導してまいりたいと思います。
○富田委員 終わります。ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。
久しぶりに一般質疑に立たせていただきますので、多少緊張しておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、先ほどからございます住宅政策、また、私自身ライフワークにしております障害者施策に関して、バリアフリーの関係で質問させていただきたいと思います。
まず一番最初に、本日、忙しい中、中塚副大臣にも来ていただきましたけれども、富田委員が前に質問させていただきましたことに関係しまして、独立行政法人都市再生機構のあり方に関しての質問をさせていただきたいと思います。
独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会、中間取りまとめが出されました。
機構は、前身である旧公団を引き継いで発足した経緯によって、公共住宅的な役割を担っていると考えております。賃貸住宅の居住者の安定が維持されるよう、どのような形、方法で安定維持を目指すのか、その見解をぜひ聞かせていただきたいと思っております。
この取りまとめの中にも、先ほどからも、また今までの質疑の中にもありましたけれども、URの分割・再編を含め、そのあり方が検討されているというのは承知しておりますけれども、居住の安定や経営の維持に配慮する必要性があるのではないか。その際には、URの実態、特に百七十万と言われる居住者の実態を踏まえた対応が必要だと考えております。この点に関しましての御見解をまずお聞かせください。
○中塚副大臣 小宮山委員にお答えをいたします。
先生が御指摘の都市再生機構のあり方につきましては、本年の一月二十日に閣議決定をされました独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を受けまして設置されました都市再生機構の在り方に関する調査会、中間的な整理といたしまして、三月二十八日に基本的な方向性を取りまとめたところでございます。
そこで、この中で、先生が今お話しになられた実態把握、これに何よりも重きを置いてございます。具体的には、政策的な対応が必要な分野、それと、企業的な経営手法により収益改善が期待できる分野を区別しようと。機構はいろいろな業務を行っておるわけなのでありますけれども、機構の役割を明確化するということがまず第一点でございます。
その上で、政策的な対応が必要な分野につきましては、国や地方との役割分担を踏まえまして、機構が担うべき内容を整理するということ、そして、収益改善が期待できる分野につきましては、民間の手法を活用しながら収益を上げて、多額の負債を早急に圧縮すること、さらに、それぞれの役割にふさわしいガバナンス、組織形態を検討する、そういった視点が出されたところであります。
今後、居住者の居住の安定、そして経営の維持の観点を踏まえながら検討を進めるということにいたしております。
その検討に当たっては、現場の実態を把握することが大変に重要だ、そういうふうに考えておりまして、この調査会、第二回が二月二十二日でございましたけれども、機構賃貸住宅における居住者、コミュニティーの現状と都市再生機構に期待する役割について、貴重な御意見を全国公団住宅自治会協議会よりお聞かせいただきました。
今後なんですけれども、今、実は、現場の実態を把握しなければいけないということもございまして、調査会による現場視察等も検討をいたしておるところであります。
いずれにいたしましても、居住者の安定は大変に重要なことである、そう思っております。居住者の実態を踏まえた形で丁寧に検討を進めてまいりたい、このように考えております。
〔委員長退席、松崎(哲)委員長代理着席〕
○小宮山(泰)委員 ぜひ、丁寧に居住者の実態というのを把握していただきたいと思っております。
また、収益の改善と負債の圧縮は大変重要だとは思いますけれども、機構の借金の多くが財政投融資に頼っている現実でもありますし、また、「公営住宅等との政策的な役割分担を前提とした上で、低所得者や高齢者等への必要な支援措置を講ずる場合、政策コストを明確にしつつ、政策コストにかかる機構負担の在り方について再検討。」と記されたり、また、「機構の賃貸住宅の家賃は、基本的に市場家賃とされているなど、公営住宅等とは政策的位置付けが異なるものであることに留意が必要。」と記されてはいますけれども、改めて伺わせていただきたいと思います。政策的な役割分担とはどういう意味なのか。
公団住宅にお住まいの方というのは、ある程度余裕のある方も中にはいらっしゃいますけれども、ある意味、低所得者の方、単身の方、場合によっては外国人の方、被災者の方、さまざまな方々を受け入れ、そして、価値としては、経済的には数値に出ませんけれども、その中で、孤立死を防ぐ、また、自治会の輪をつないでいく。高度成長期に各地から集まって日本を成長させていただいた、そういった方々が、その知恵と不断の努力というものによってコミュニティーをつくっていく。そういう非常に大きな付加価値もつくり上げてきました。
町というのは、さまざまな要因があるからこそ豊かな町であり、通常の民間の、同じような家賃が払える人たちだけが入るようなマンションとかアパートとかとは違って、いろいろな要素があってこそ、このURの公共住宅的な立場というものは非常に豊かであり、そして、ぜいたくとは言わないですけれども、心として豊かさをしっかりと担える。これは私は、本当の意味で公共住宅の理想ではないかと思う面もございます。
必要な支援を講ずるということ、公共住宅的な役割を担っているということの確認をさせていただきたいと思いますので、ぜひ見解をお願いいたします。
○中塚副大臣 先ほども申し上げましたが、機構はさまざまな業務を行っております。例えば賃貸でありますとか、それからあと分譲、さらにはニュータウン事業と、いろいろな業務を行っているわけでありますし、また、そのおのおのの業務については、機構自身がこれからも続けていくもの、あるいは撤退をするものありと、そういうふうに聞いておるところでございます。
政策的な対応が必要な分野と先ほど申し上げたわけなのでありますけれども、機構みずからがやっておられる業務でありますが、その業務が果たして本当に効率的に行われているのか、あるいは、その機構の行っている業務にどれほどのコストがかかっているのか、さらには、その機構の行っている業務にふさわしい組織形態は一体どうあるべきなのかということ、これをこれから方向性に基づいて検討していくということでありまして、機構の行っている業務そのものが、今先生御指摘がございましたセーフティーネット的な役割を担っているということについては、否定はいたしておりませんし、重々承知をいたしております。そういったこともありで、居住の安定に配慮をするということを重ねてこの場でもお話し申し上げております。
今申し上げたようなことを含めまして、慎重に検討を進めてまいりたい、そう考えております。
○小宮山(泰)委員 ぜひセーフティーネットであるという観点を持って議論していただきたいと思いますし、先ほどからありましたけれども、やはり本来であれば、私どもとしては、居住している当事者の方が検討会に入って、長年見ているわけですから、こういった者が入るべきだと思いますので、ぜひこの点も今現在いる検討会の委員にも伝えていただきたいと思います。
さらには、前田大臣におかれましては、ニュータウンの方も視察をいただきましたが、それだけではございません。過去の大臣の皆様方は、大変すてきな、立派な、新しいところばかり見ている傾向がございますので、普通の公団のところもきちんと見ていただいて、本当に創意工夫して頑張って自分たちでコミュニティーをつくり上げている、その実態の姿もぜひごらんいただいて、検討していただきたいと思っております。
また、政策的な対応が必要な分野の法人の経営が厳しくなれば、賃貸住宅の管理の水準の切り下げだったり、家賃値上げとか、そういったことにつながるのではないかという不安がやはり大きくございます。
特に、高齢化が進んでいる中でもあり、年金生活者が日に日にふえているところでもございますので、この点に関しては、機構のあり方検討会については、岡田副総理のもと、内閣府行政刷新会議にて行われているものではありますが、本来の所管大臣として、機構改革に対する御所見をぜひ前田大臣にもお伺いさせていただきたいと思います。
○吉田副大臣 大臣に御質問でございますので、後ほど大臣がお答えされると思いますけれども、私自身が今、小宮山議員言われましたように、公団住宅に住んでおります。小学校へ入るときに森之宮第一団地ができて、すごいなと。中学校へ入るときに森之宮第二団地ができて、これまたすごいなと。西日本一高い団地でございます。私自身が、十数年前、抽せんに抽せんを重ねてようやく当たって入れたのが今の団地でございます。
そして、今御指摘の部分というのは、日々生活をして感じられ、自治会の皆さん初め皆さん方がこの改革について大変御心配をされていること、それは私も一住民としてしっかりと受けとめております。
省としての立場は大臣の方からお答えいたしますけれども、こうして省内にも副大臣として住まいしている者がいるということをぜひとも知っていただきたいと思います。
以上でございます。
○前田国務大臣 小宮山委員、吉田副大臣にお答えを申し上げます。
小宮山委員御指摘のとおりだと思うんですね。七十六万世帯ぐらいが入っているんでしょうか、公団住宅に。これは、大都市圏における住宅としての一番コアをなしていると思います。ここが安定して、ただし、高齢化していくとどんどんどんどん数が少なくなってというようなことじゃなしに、そこに世代循環もちゃんと起こるような、そういう形で町の再生の多分核になっていく、そして、先ほど来御議論がありましたように、地域包括ケアというような、福祉、医療、そういったものも一体となって整備されていく、そういうモデルができてくるように、今、国交省でも研究を重ねているところであります。
結果として、コミュニティーが維持され、そして、低炭素・循環型まちづくりと称しておりますけれども、そのコアとなって、持続可能な町になっていくように努めてまいりたい、このように思っております。
〔松崎(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○小宮山(泰)委員 吉田副大臣の力強いお言葉もあり、また、将来の町の再生の核になるという意味では、URの活用という意味での前田大臣のお言葉もありがとうございます。
今までさまざまな負債をつくってきた、過去の負債をつくり出したというその仕組みは繰り返してはなりません。これから復興していく日本におきまして、このURという組織、また今までの経験というのも活用しなければならない。しかし、その中で、分割・民営化という結論ありきの検討ではなく、住民一人一人と向き合って、住民が不安にならないような検討をぜひ内閣府にはお願いをしたいと思っております。
ということで、中塚副大臣、もし決意があれば、一言いただければ。
○中塚副大臣 自治協の皆さんの御意見も聞きました。また、現地視察ということも今後予定をいたしております。
今、先生からお話がございました。きれいなところ、いいところばかりではなく、いろいろなところを見てくれという御意見であったと思います。そういった御意見をしっかりと調査会の委員の先生方に伝え、慎重に検討を進めてまいりたい、そう思っております。
○小宮山(泰)委員 中塚副大臣、ありがとうございました。どうぞ、次の委員会の方にお向かいください。
この問題、恐らく、前田大臣になられて住宅政策というものに非常に重きを置いている。それはやはり、住宅政策を通して日本の景気も動く、そして、大きな意味で衣食住と言われる人間の豊かさの指標でもあるというふうに感じ取っていらっしゃるからこそ、国交省で、現在、住宅政策というのは、非常に質の高い住宅建築であったり、取得の促進であったり、中古住宅市場とリフォーム市場の整備であったり、高齢者の居住の安定確保と、さまざまなことに意欲的に取り組んでいらっしゃるというふうに確信もしておりますし、この政策には非常に期待をしているところでもあります。
しかし、その一方で、現在、消費税課税の強化を行うために、消費税一〇%増税が挙げられた閣議決定が行われました。この一〇%という数字については、景気への影響が非常に心配されているところでもあります。国交省としては、この分野を成長産業として捉えているとも考えております。消費税が上がった際に、一般にその前後では駆け込み需要の反動、落ち込みが見られるけれども、過去、住宅については反動の落ち込みは一時的なものとしても、その後なかなか戻らないという傾向もあると思っております。
この点に関しまして国土交通省の分析はいかがなのか、ぜひお聞かせいただければと思います。
○川本政府参考人 お答えを申し上げます。
住宅は、通常、数十年にわたって長期に活用されます耐久財でございます。今御指摘ございましたように、税率が引き上げられますと、駆け込み需要と反動の減というものが大きくなるという特徴がございます。また、税率が引き上げられますと当然税込みの価格が上昇いたしますので、実質の購入額を減少させる、そういった影響も出てくるわけでございます。
前回の消費税率の引き上げがございました、その前の平成八年には大幅な駆け込み需要がございました。平成五年から七年の住宅の着工戸数は大体百五十万強であったわけでありますが、平成八年には前年比で一割弱の増で百六十三万戸に達しましたが、その後、平成九年、十年と大幅に落ち込みをいたしました。平成九年には対前年比一七・七%の減、平成十年にはまた一二%の減というようなことになりまして、その後の下方傾向につながっております。
なお、中長期的な住宅建設の戸数につきましては、住宅ストックの状況でありますとか、人口、世帯の動態等いろいろ要因がございます。景気の動向もございますので一概には言えませんけれども、いずれにせよ、税率の引き上げに伴いましては、影響の緩和、平準化といったようなことについての配慮が必要だと考えております。
○小宮山(泰)委員 丁寧にありがとうございます。
お手元に配付させていただきました資料、両面になっておりますけれども、諸外国で住宅政策というものに関しては、このように、アメリカとかは非課税であったり、英国だったらゼロ課税であるとか、住宅取得に際しては、消費課税というのを行っていないか、あるいは軽減税率を適用されている例が大変多くあります。中古住宅の分野においても非課税等にした方がより進むのではないか。
また、裏面には、これは財務省につくっていただいたんですけれども、住宅を新築する場合等では、現在五%でも、ローン借り入れで三千三百万、建物の価格が二千三百万、土地が二千万、耐久消費財が百五十万円で、自己資本一千万でも百四十九万。これが一〇%になると、単純計算でも二百七十一万ともなっていく。こうなっていきますと、本当に冷え込ませてしまうのではないかという懸念がございます。
この点に関しまして、やはり私としては、軽減税率であったり、住宅取得に関しては非課税等、そういった方が本来もっと質のいい住宅を目指せるのではないかというふうに思っております。この点に関しましてお答えいただければと思います。
○奥田副大臣 小宮山議員の方から、各国の住宅税制に関しての詳細な資料を用意していただきまして、ありがとうございました。
これを見ますと、各国の状況の中で、さまざまな制度が適用されているということがわかるかと思います。
今議員の御指摘ありました軽減税率につきましては、さきの閣議決定の中では、単一税率という形で、軽減税率という前提は置かないということを示されておりますけれども、また、住宅税制に関して、では、だから八%だ、一〇%だというわけには当然いかないというふうに思っております。
一般の方々が人生の中で一番大きな買い物をし、また、家庭の支えともなる住宅をより購入しやすいものにしていくということは、私たちの大切な務めであります。また、今、ローン減税だとかあるいは還付だとか、先生おっしゃった軽減税率だとか、いろいろなことがありますけれども、新築、中古あるいはリフォーム、そういったことにかかわらず、より使いやすい、そしてまた住宅の促進というものを図れる制度を目指して頑張りたい。
また与党の方でも検討されるということを聞いておりますので、ぜひまたお力になっていただければと思います。
○小宮山(泰)委員 居住の安定化になると非常に熱が入りまして、本来であれば、バリアフリーの問題、視覚障害の方がホーム転落等しないようにさらに促進をしていただきたいということにお答えいただきたかったんですが、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 岩手の畑浩治でございます。
本日は、被災地議員の立場として、主にJRの鉄道の復旧について質疑をさせていただきたいと存じます。
第三セクター三陸鉄道の北リアス線、つまり北の部分ですが、これが、四月一日に大部分が再開、復旧したところであります。この南の部分も含めた残った部分も、あと二年、二十六年四月に再開、復旧の見込みであります。この三陸鉄道の復旧、再開というのは、地域にとって復旧復興の象徴として勇気と元気を与えていると思います。また、復興が進んでいることのあかしでもあると私は思っております。
ただ、JR東日本の復旧がなかなか難しい。例えば岩手県でいうと、JR東日本の大船渡線、山田線、これがまだ今後が見えない状況であります。そして、岩泉線というのがありまして、実はこれは、東日本大震災の前の土砂崩落で運休になって休止している、そういう線でありますが、これについては、実は三月の末にJR東日本から廃止の方針が示されたところであります。
こういう種々の状況を踏まえて一つまずお聞きしておきたいんですが、JR東日本の鉄道を廃止するとした場合にどのような手続が必要とされるのか、そしてそれに対して国土交通省としては、行政指導する権能、根拠というのはあるのか、お伺いしたいと思います。
○久保政府参考人 御説明申し上げます。
JR東日本線を廃止する場合の手続でございますけれども、まず、一般的に鉄道事業というものを廃止する場合には、鉄道事業法の第二十八条の二という規定がございまして、旅客鉄道につきましては、廃止の日の一年前までに国土交通大臣に届け出るということにされております。実際、廃止される際は、国土交通大臣は、廃止を行った場合の利用者、公衆の利便の確保に関して、関係地方公共団体や利害関係人の意見を聴取することとしております。
さらに、御質問にありましたJR東日本線なんですけれども、こういったJR東日本に代表されます完全民営化されたJR旅客会社、東日本会社のほかに東海会社、西日本会社がございますけれども、これら三社につきましては、平成十三年の完全民営化法に基づきまして、国土交通大臣が指針を定めております。この指針に基づきまして、路線廃止に際しては、国鉄改革後の事情変化等について地元に十分に説明していることが求められており、我々はそのように過去においても対応してきたところであります。
○畑委員 ありがとうございました。
こういう根拠規定があるということで、今後、国土交通省がまさにこのJR東日本の鉄道復旧に対してどのような仲介、調整をしていくか。つまりこれは、以前別の委員会でも申し上げたんですが、国交省の役割が重要になると思うんです。そして、そこで、地域あるいは公共団体との間に立って仲介、調整していく、そのことが重要になると思うんですが、どういう方針でやっていこうと思われているのか、大臣にその方針を伺いたいと思います。
○前田国務大臣 まず、鉄道事業、もうお地元で大変な被害に遭ったわけでございますが、この復旧を決定するに当たっては、津波に対する鉄道の安全運行の確保を最優先課題として考えてまいります。その上で、防潮堤の整備や町のかさ上げであったり、ルート変更の有無、避難路の整備等の対策等、これらの詳細の検討を行った上で、周辺と一体となった鉄道の復旧の具体策を策定する必要があります。
ということで、鉄道利用者の安全確保条件が整った場合には鉄道の復旧が望ましいと考えるわけでございますが、地元との協議の場というものを国土交通省として積極的に支援してまいりたい、このように思っております。
○畑委員 ありがとうございました。
安全の確保のためにコストがどれぐらいかかるか、これも重要ですが、その中で、どうしてもコストがかかるから切り捨てるんだという方向に行くこともあってはならないし、そこはしっかり議論していただきたいと思うんです。
そこで、ちょっと制度面について質問したいと思います。
先ほど鉄道局長から御説明ありましたが、私は、現行鉄道事業法自体に、鉄道事業者の事業の廃止について、行政の関与、指導する余地がほとんどないというのが問題だろうと思っております。というのは、鉄道事業法自体であれば、これは一般法で、廃止する場合には、届け出をすればその一年後には廃止できるんですね。
そして本来、鉄道というのは公共財で、道路と同様のものであります。例えば、民間事業者がやっているものであれば、電気事業法があります、電気事業者。あれは、電気事業を始める場合には、もちろん鉄道事業と同様、許可が必要ですが、やめる場合も経済産業大臣の許可が必要であるというふうになっている。あるいは、国交省の道路の法律であると、道路運送法に基づく自動車道事業者の一般自動車道、これは箱根ターンパイクみたいなものですが、民間企業が道路をやる場合、これは参入は免許になっておりますが、やめる場合には許可が必要である。こういう道路とか電力は供給義務を課しております。実は、鉄道事業についてはそういう規定がないんですね。私は、個人的にこれが問題だろうと思っております。
JR東日本、今まで議論していても、私たちは民間事業者ですから、民間事業者ですからといって逃げるというか、採算ということをまず前面に出す。国交省は、恐らくそれに対しては、民間事業者だからなかなかその指導の根拠がない。先ほどの旅客鉄道法はありますが、これも、やめる場合に、そこを押し切ってまで指導して命令できるかどうかというと、また後の論点ですが、なかなか難しいんじゃないかと思います。
端的に言うと、鉄道事業についても、やめる場合、休廃止の場合も許認可に係らしめることが私は重要だと思っておりますが、そこのところの大臣の認識を伺いたいと思います。
○前田国務大臣 確かに、事前届け出制になって、委員の御指摘するような懸念というものがあるかとは思いますが、実態的にいえば、地元の利便性、公衆の利便性の確保に関して、関係地方公共団体や利害関係人の意見を聴取することが前提になっておりますので、そういう意味で指導をしてまいりたい、このように思っております。
○畑委員 ありがとうございました。
恐らくそういうふうに指導されるんだろうと思いますが、実は、私の問題意識は、その指導の根拠が法律にないんだろうなと思います。
鉄道事業法を見てみましても、公衆の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、実は、通知して一年をさらに早めるということの規定だけなんです。ということは、公衆の利便を阻害するおそれがあると仮に認められた場合であっても、やはり一年後には廃止の効果が発生してしまうという規定になっております。
私はそこはいかがかなと思って、これは中長期の課題だろうと思っておるんですが、その場合、先ほどの旅客鉄道法で、指針で、利用者の利便の確保に関する事項とか路線の適切な維持というのを定めて、必要な助言、指導、勧告、勧告に従わなかった場合の公表、そしてさらに、公表しても直らなかった場合、命令とありますが、ただ、この二つの法律の関係がいま一つわからないんです。恐らく、一般法である鉄道事業法の届け出の効果が優先して、廃止になってしまうんだろうと思うんですが、改めてその二つの法律の関係についてお伺いしたいと思います。
○久保政府参考人 まず、鉄道路線を廃止する場合は、先ほど御説明しましたように、一般法的な鉄道事業法に基づいて一年前に届け出を行うこととされていますが、一方で、JR東日本会社等は、完全民営化された三社でございますけれども、国鉄改革の趣旨を踏まえて配慮すべき事項についての指針が定められております。
これは、具体的に指針は、「国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を関係地方公共団体及び利害関係人に対して十分に説明するものとする。」という形で、完全民営化法に基づきます国交省告示として定められたものであります。ゆえに、JR東日本等の路線の場合は、一般法とともにこの指針が完全民営化を根拠としてかかってくる、こういうことであります。
よりまして、鉄道路線の廃止をJR東日本会社等が行う場合には、指針を踏まえて、国鉄改革後の輸送需要の動向等について地元に丁寧に説明をしていく必要があるということであります。
○畑委員 一点、今の答弁でちょっと確認したいんですが、ということは、すなわち、仮に国土交通大臣が鉄道の廃止はこの状況ではいかぬと思われた場合に、そしてJR法で勧告、公表、命令した場合にはどうなりますか。それでも押し切ってJR東日本が廃止の届け出をした場合、結果として効果はどういうふうなことになるんでしょうか。ちょっとその点を確認したいと思います。
○久保政府参考人 完全民営化されたJR会社の路線の廃止につきましては、昭和六十二年以後の輸送需要の動向、何がどう変わったのかという新たな事情の変化を関係地方公共団体また利害関係人に対して十分説明するというのが指針でございますので、その説明を求めていきたいというふうに考えております。
○畑委員 そういうことで実務的にはしっかり対応していただきたいと思うんですが、私の理解だと、まあ、今はこういうことはないんですが、確かにちゃんと話を聞いて調整していくんですが、JR東日本が民間だということで、例えば押し切って届け出を出した場合には、恐らく鉄道事業法の届け出の効果が優先する、法律的には、たてつけは一般法ですから、そういう理解をしております。そういう理解でよろしいんだと思いますが、何かちょっと違ったらまたお答えいただきたいんですが、これはこれで。法律的にはです、法律的には。
実は、私はそういう法律のたてつけこそが若干問題だなと思っておりまして、今、交通基本法が実は衆議院に提出されております。実は、これが審議されずにいるのは本当に残念でなりません。というのは、今回のような災害からの復旧に対して鉄道事業者の法的義務はいかにあるべきか、これはそういう明確な指針たり得る法律だったと私は思います。
交通基本法は、交通に関する基本理念を定めて、そしてそれを踏まえた国、公共団体、事業者の責務を定めている。特に、この交通基本法案の第十条には、事業者は、「国又は地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力するよう努めるものとする。」というふうにありますので、ここからすると、本当はこの法律の議論とあわせて、また今後、鉄道事業者の規制のあり方というのはしっかりと議論が必要なんだろうと思います。
きょうは私の意見を申し上げて終わりますが、いずれにしましても、これはもう地元の調整をしっかりしないと爆発してしまいますので、そこのところをお願いしたいと思います。
それで、ちょっと個別論に入りますが、JR東日本の岩泉線、これは今、廃止の意向が示されたということを申し上げたので、そのことでお伺いしたいんです。
実は、JR東日本の岩泉線、国鉄民営化の際に、廃止されずにJR東日本に移管されたものであります。なぜ移管されたかというと、代替道路ですね、これが廃止後の代替交通機関たり得ないというそのときの議論がありまして、というのは、国道三百四十号というのは一車線の国道なんですね。くねくね曲がっている。普通のバスが通れないわけです。マイクロバスは通れるわけですが。そういう中で、車のすれ違いもできない、あるいは乗っている人も気持ち悪くなってしまう。そういうことでこういうことになったんですが、実は、その状況が、全く今の状況は変わっていないわけです。
ということは、今回、このJR東日本の岩泉線の復旧なり廃止に当たっては、そのような状況を踏まえた方針の整理が必要だと思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
○津川大臣政務官 今委員から御指摘をいただきましたとおり、JR岩泉線につきましては、国鉄当時に、バス転換、第三セクター化等を図る特定地方交通線の候補ではございましたが、並行する国道三百四十号線の一部区間が代替運送バスの運行が困難と判断をされて、特定地方交通線の承認を見送ったという経緯があるところでございます。
ただ、先生十分御存じだと思いますが、その後の地域の事情の変化というものについても当然会社としても判断をしなければならないところでしょうし、自治体の皆様方、住民の皆様方にもそこは十分に御説明をいただく必要があるところだと思っております。
一つには、この道路そのものが改良されたかどうかというのが一つのポイントでありますが、私どもとしては、当然のことながら、今、交通基本法も出していただきましたが、単に鉄道だけの視点ではなくて、そもそも輸送の動向がどうなっているのかというところをしっかりと把握する必要があるのではないかと考えているところでございます。
○畑委員 そこはこれからいろいろ議論があるんですが、もし廃止するとなれば、これは廃止でいいと私の立場からは申し上げられませんが、並行する国道三百四十号、かなり進んだ部分もありますが、まだまだのところがありますので、最低限、そこのところの整備の方向性のセットも含めた議論が必要なんだろうなと思っておりまして、ちょっとそこは、私の希望というか、お願いを述べさせていただいておきます。
もう一つ、その関係で、JRに対する鉄道復旧の支援ということで、支援の方策、復興交付金に関してお伺いいたします。
三月五日の予算委員会の分科会で鉄道局の次長から、そして三月七日の内閣委員会で津川政務官から、前向きな答弁をいただいて、本当にありがたいなと思っております。この答弁ですと、これまである既存の制度を十分活用することもさることながら、地元の被災地の皆様方の思いを形にする復興をいかに実現するか、その中で、必要とあれば制度そのものも見直しをする、そういった中で議論をさせていただきたいということでありました。
今後、地域の意向も踏まえつつ検討を進めていただけるものと理解しておりますが、そのことはお願いしたいと思いますが、これはこれでおいておいて、本日は、現行制度に基づく支援の可能性についてちょっと確認をしておきたいなと思います。
復興交付金ということなんですが、これは、基幹事業または効果促進事業によって支援できないかという議論があります。財源というか規模がどうかというのは別として、この復興交付金制度の基幹事業または効果促進事業で支援できるかどうかというのは、法制的あるいは論理的に、制度的という意味ですが、そのところはいかがな感じでしょうか、お伺いいたします。
○郡大臣政務官 お答えをいたします。
復興交付金が使えるかという御質問でございましたけれども、復興交付金は、防災集団移転あるいは災害公営住宅整備など、相当数の住宅、公共施設その他の施設の滅失または損壊等の著しい被害を受けた地域の復興のために市町村などが行うハード事業を支援する制度として復興特区法で定められているところでございます。したがいまして、鉄道の復旧事業はこの復興交付金の対象外でございます。
ではありますけれども、御議論になっていますように、鉄道軌道整備法に基づく鉄道災害復旧事業費補助制度を初めとして、別途の制度が措置されておりまして、これで対応するということだろうと思います。
○畑委員 済みません、一つ確認したいんですが、鉄道には使えない、恐らくそのとおりなんだろうと思います、専ら法人の資産を形成するということになりますので。例えばまちづくりの中で、かさ上げするとか、あるいは移転させるとか区画整理をやるとか、あると思うんですが、これは鉄道にお金が入るわけじゃありません。結果的に若干鉄道事業者の負担が薄まる部分があると思いますが、そういう使い方は可能かどうか、済みません、そこのところをちょっと。
○郡大臣政務官 基本的には復興交付金制度の中には入らないということを今申し上げたところでございますが、今、JR線の復旧については、路線ごとに関係者などで構成されます復興調整会議が設置をされているところでございます。鉄道の復旧方針の決定に向けた検討が行われておりまして、先月から復興局もこのメンバーの一員として加わらせていただいております。今後とも、国土交通省と連携をして取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。
重ねてになりますけれども、鉄道の災害復旧に対する支援制度といたしましては、先ほど述べました鉄道災害復旧事業費補助制度がございますけれども、これについては、今のJR東日本は大きな黒字を上げている企業であるということでして、原則はみずからの復旧ということが基本になろうかと思います。
○畑委員 時間も参りましたので、ここで終わらせていただきます。
ただ、まちづくりのところで一部入るという認識は事務方から聞いたし、私もそういう理解だったんですが、ちょっとその点、引き続き議論させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○伴野委員長 久保鉄道局長。手短に。
○久保政府参考人 内陸への路線移転を伴うという、いわゆるまちづくりと一体的にやっていくような場合には、鉄道用地の確保等でまちづくり事業の実施者とJR東日本との間の調整によって必要な措置がなされるよう検討しているところであります。
○畑委員 ありがとうございました。
○伴野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十六分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○伴野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。穀田恵二君。
○穀田委員 私は、日本航空再建問題について聞きます。
日本航空グループの営業利益は、更生計画に示された二〇一二年三月期の目標の七百五十七億円を大幅に上回るとされています。それは御承知のとおりです。日本航空再建の現状についての認識を、大臣にごく簡潔に伺いたい。
○前田国務大臣 日本航空は、更生計画に従い、着実に経営が改善されていると考えております。そして、本年中に再上場を行うということで、企業再生支援機構からの支援を終了することを目指しているところです。
国交省としては、安全運航の確保を大前提としつつ、日本航空において確実な再建が図られるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。
○穀田委員 今お話がありましたように、財務面での経営立て直しは順調と言えるかもしれません。大臣も安全を大前提にと言っていますから、私は、日本航空の真の再生というのは、航空産業としての安全性と公共性の確保が中心問題だと考えています。その角度から見て、日本航空の現状はどうか。
この間、稲盛前会長のもとで行われてきた、利益なくして安全なしの経営手法、企業理念から安全第一という文言が消えた点などを私は何度も指摘してまいりました。利益優先、安全軽視の傾向だとか、会社に対して物言えぬ職場の環境悪化、退職者の続出などが生まれている事実を何回も指摘してまいりました。
その最大の問題が百六十五名の整理解雇であります。会社に対して安全を優先しろと言ったり、さらには体調不良で病気欠勤で休んだら、いずれも、年をとれば順番に解雇の対象になるんじゃないかという不安が今も増長しています。日本航空の真の再生のためにも、この整理解雇争議は早期に解決すべきだと私は思うんですが、大臣は政治家としてどのようにお考えですか。
○前田国務大臣 日本を代表する航空会社なわけですが、一時、破綻のふちに沈むところまで行ったわけです。それをここまで何とか更生してきてくれているわけでございますけれども、航空会社にとって、安全というのは大前提も大前提。しかも、日航の場合には、過去にそういう苦い歴史も背負っているわけでございます。
そういうことにおいては、もちろん国交省としても安全面については一番重点を置いて指導しておりますが、会社においてもこの再建過程で安全ということをおろそかにするような事態があってはならない、このように考えております。
○穀田委員 前回は十月でしたか、やったときには、安全のことは随分短くて、えらい簡単やなと私言いましたけれども、きょう聞いたのは、そういう安全にとっても大事な問題である、この間、何回も私は大臣とやり合ってまいりましたが、その一つの中心問題に、今、整理解雇問題があるわけですね。この問題を解決すべきじゃないのか。この争議について早く決着を見ることが必要じゃないか。
だから、政府として聞いているわけじゃなくて大臣として、政治家としてどうやねんということを聞いているわけですよ。
○前田国務大臣 どうやねんと言われれば、これはもう本当に、せっかくここまで更生してきたわけですから、円満な労使関係という意味で、早く円満な解決をしてほしいと願っております。
○穀田委員 誰しもが円満な解決を望んでいるということですよね。それは当然なんです。
でも、そもそも、この日航の再生計画というのは政府が主導したものであります。企業再生支援機構という国が半分出資している公的機関が、日航の会社更生中は管財人を務め、二〇一一年三月二十八日に会社更生手続を完了した後も経営再建を主導してきました。公共性等を考えて会社を潰さずに、飛ばしながら再建するという方針で、さまざまな手段を講じてきたわけであります。そして、三千五百億円もの公的資金も投入してきました。問題はそこからなんですね。同時に、その中で整理解雇も実施した。これも企業再生支援機構が管財人となって直接決定し、関与してきた。
経過は、私、何度もこの問題について指摘してきましたけれども、二〇一〇年の九月二十七日に整理解雇の人選基準案なるものを示して、十月一日からは年齢の高い労働者を中心にパイロットや客室乗務員を乗務から外し、個別面談で退職を迫っていた、応じなければ整理解雇をちらつかせるというやり方を指摘してきました。これは強要以外の何物でもない。しかも、このやり方は六月時点で構想されていたことが社内文書でも明らかになっていた代物であって、初めに整理解雇ありきと言えるほど無法なものであります。
そこで、この整理解雇も、ある意味では政府の意思として実行されてきたんじゃないかと言えるものだと私は断ぜざるを得ないわけであります。問題は、大臣としては、個人の政治家としては円満解決を望んでいるわけですが、政府としてどういった形で解決しようとしているのか、それについて答えてほしい。
○長田政府参考人 お答え申し上げます。
私どもとしては、日本航空が再生計画に従って再生への道を歩んでいただくということが重要だと思っておりますが、労使関係に関することにつきましては、これは基本的に企業の問題でございますので、行政として関与することは適当ではないと考えております。
また、その上に、この問題に関しましては現在司法の場で争われていることでございますので、政府としてはその推移を見守ってまいりたい、そういうふうに考えております。
○穀田委員 では聞きますけれども、日航は一昨日、新規採用募集を発表しました。客室乗務員を新卒で二百名、既卒で若干名を新たに採用するという内容です。報道では、退職者の補充を含め、組織を安定して運営していくために必要最小限の人材の採用が必要だと判断した、これは日航の広報が述べている理由です。
パイロットや客室乗務員の整理解雇をめぐって係争中にもかかわらず新規採用するというのは余りにも身勝手と違うのか。事業を縮小し、人手が余っていると勝手に首切りをしておいて、気に入らない労働者を追い出して、今になって人手が足りなくなったから補充するというのは全く理解できない。足りないんだったら首を切った労働者を戻すのが先だろう、普通の人はそう思うんだけれども、大臣はどう思いますか。
○前田国務大臣 二つの問題があると思います。
再生過程の日本航空がやっと新人採用を、こうやってふやすことができるようになった。これは事業計画として、将来に向けて、やはり人員はちゃんと養成していかないかぬということがあると思います。
一方で、解雇の問題については、先ほど来申しておりますように、やはり両者において円満に、とにかく会社において解決を図っていただきたいという立場で見守っていきたいし、指導もしていきたい、こう思っております。
○穀田委員 こういう事態を見た場合、補充が可能なほど事業は回復しているということなんですね。つまり、整理解雇四要件の中にもありますが、会社のやり方として、そういう時期というのは、役員の給料を減らすだとか新規採用を控えるだとかいう問題はわざわざ判例の中にもあるぐらいなんです。日航は、今お話があったように、二月に発表した中期経営計画で国際線の拡充など事業拡大を打ち出しています。先ほど、ことしじゅうにと言いましたけれども、七月にも株の再上場を申請する計画もある。しかも、二〇一二年三月末も、二〇一一年末に続いて千八百億円規模の営業利益を上げる見通しなんですね。まるで、会社更生法を適用した破綻会社とは思えない復調ぶりなんです。
そもそも、政府の支援で飛行機を運航しながら再建する、すなわち潰さないということは初めから決まっていたわけなんです。そのときに、そういう航空事業の特殊性から、経験者、ベテランが即戦力として、運航事業者であり、なおかつ技術継承教育者としても私は必要だと思うんですね。
真の再生を図る責任を持つ以上、解決策を指導するぐらいのことはやるべきだ。円満解決を望む、誰だってそんなことは望んでいるんですよ。問題は、政府がやってきたことなんだから、そういうことについて解決策を指導するぐらいのことはやるべきと違うのかということを私は思うんですが、いかがですか。
○長田政府参考人 今御指摘の、整理解雇の問題と新規採用の問題でございます。
日本航空からは、整理解雇は、更生手続の中、余剰人員の存在によりやむを得ず実施した一方、今回の採用再開は、必要な人数をその都度補充するものと聞いております。
更生計画を実施しつつ、一方で中期計画の中では新しく事業拡大ということでございますので、それに必要な人材をどうやって採用するか。そのことにつきましては、個別企業の採用の問題でございますので、国土交通省としては、直接コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○穀田委員 日航で働くパイロットや乗務員が提訴して、整理解雇撤回を求める裁判の判決が、この三月二十九日、三十日に下されました。判決は、更生中であっても整理解雇四要件は適用されると認定しました。にもかかわらず整理解雇は有効であったとして、まさに不当な判決だと私は考えます。どうも納得いかない点があります。
そこで、そもそも整理解雇四要件はなぜできたのか、法理として定められた、意味するものは何か、この点について厚労省に聞きます。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
解雇には幾つかの類型があるわけでございますが、整理解雇は、使用者の経営上の都合による解雇という特徴がございます。そうしたことで、この特徴を踏まえた特有の枠組みによりまして、裁判所におきましても、これまで、解雇権の濫用に当たるかどうか、この判断が積み重ねてこられたものと承知をしているところでございます。
整理解雇につきましては、一般的には四つの事項が考慮されるということが言われておりまして、一つは、人員整理が本当に必要なのかどうかということ。二つ目は、できる限り解雇を回避するための措置を尽くすということ。それから三つ目には、被解雇者の選定の基準が合理的になされているかどうかという点。四つ目として、手続の妥当性。こういった四つの事項が一般的に考慮されて、解雇権濫用に当たるかどうかが判断されてきたものと承知をしております。
○穀田委員 わかりやすく言えば、力の弱い労働者を保護するため、会社が好き勝手に解雇権を濫用しないようにするためのものだということですね。
ところが判決は、更生計画で決めたことだからとして、ことごとく原告の主張を退けました。まるで、会社が更生計画をつくれば、整理解雇しようが何しようが有効だと。企業がどれほど利益を上げていても、再生、再建に必要だと言いさえすれば幾らでも労働者の首を切れることになって、経営上の理由による一方的な解雇から労働者を守るための整理解雇法理というのは、もしこれを許せば根底から形骸化されてしまうことは必定です。
この間、私、集会に参加をしまして、やはり解雇された方々の声を聞かなあきませんよ。首を切られ、ローンが返済できなくなって家を売り払わなければならなくなっただとか、子供の大学進学を諦めてもらうという労働者など、人生設計を狂わされ、生活を守れなくなった労働者たちをどうして救うのか。首を切られた労働者が、今のような、少なくとも整理解雇四要件ということからしても、四つの内容を詳細に点検すれば、そういうことについてあろうはずがない判決だという意味で、控訴して闘うのは当然だと思うんです。
問題は、そもそも、日本航空が労働者の整理解雇、首を切らなければならなかったのかが問われていると私は思います。
裁判で、稲盛氏が二〇一一年二月八日の記者クラブでの講演内容、私はこの問題についても指摘しました、整理解雇の「百六十人を残すことが経営上不可能かといえばそうでないのは皆さんもおわかりになると思います、私もそう思います。」この発言が最大の焦点の一つとなりました。法廷の中でも稲盛氏は、整理解雇は経理上必要なかったとまで、改めて講演の発言を証言しました。
判決をよく見ますと、裁判長も、解雇時、二〇一〇年の十二月に、「被告の営業利益をもってすれば、被解雇者の人件費の支出が不可能ではなかった」と認めているんですね。要するに、誰が考えても、当時解雇は必要がなかったということなんですよ。稲盛氏の発言は、解雇しなくても人件費は出せる状況にあったことを認めるものです。裁判長は、「主観的心情を吐露したにすぎない」、こういう形で判決では片づけているんですね。どう考えても私は理解できません。
判決は、前段で、「原告らが稲盛発言を根拠として人員削減の必要性の欠如を主張することも、理解することができないものではない。」簡単に言うと、稲盛さんの発言からすれば、人員削減の必要性がないという原告の理解も理解できると述べているわけです。これが誰もが理解できる判断だと思うんですね。これを否定する余り、無理やり、理解不能なそういう強弁をしているということになると思うんです。結局、何をやっているのかというと、会社側と稲盛氏を擁護することが目的の判断だと言わざるを得ないと私は思うんですが、大臣はどう思われますか。
○前田国務大臣 委員、これは裁判のことでございますので、私の立場でこの内容について申し上げるのは控えるべきだと思います。
○穀田委員 では、少しかえましょう。
大臣は、二〇一一年十月二十六日の当委員会における私の質問に対して、私はこう質問したんです、経営トップが整理解雇は必要なかったと天下に公言している、それを無理やり整理解雇を強行した、不当だと思いませんかと私は言ったんですね。そうしたら、どう言ったか。今の話を聞いて、「その文脈において聞いている限り、いや、本当に、そういうことでいいのかなという疑念は持ちます。」と答弁したんですね。そのとおりで、大臣も考えたようにおかしいんですよ。
しかも、「主観的心情を吐露した」と。私も念のために、「吐露」とは何だと思って広辞苑で引いてきましたよ。そうしたら、心に思っていることを隠さずに述べあらわすことだと言っているんですね。要するに稲盛さんは、主観的じゃなくて、事実について真実を語っただけなんですよ。
ではもう一度、質問をかえて聞きますが、二〇一〇年の解雇時に、解雇しなければ二次破綻する状況にあったのかという問題であります。
日航の再生というのは、政府として、支援機構を通じて破綻させないことを前提に支援しています。二〇一〇年十二月は、銀行等も債権放棄、リファイナンスに応じて、支援機構も三千五百億円を出資するとして更生計画を承認したわけですよね。稲盛氏は、更生計画に基づいて、人を切ることについてやめるわけにはいかないということを言っているんですけれども、更生計画案には整理解雇の文言はないんですね。私は、銀行等が整理解雇の実行などを求めていたのかという質問をしました。そうしたら、水留浩一管財人は、そこまで求めていないということをちゃんと言っているんですね。
判決は、日航は沈んだ船で、二次破綻を避けるためにやむを得ない措置と言っているんですが、政府として、沈ませないこと、二次破綻させないことを支援の方針として持っており、そういうことを前提にした計画であったはずなんですね。大臣の見解を求めたいと思います。
○前田国務大臣 確かに、更生計画を立てて実際に更生計画を実施し始めたときにどれだけの確信を持ってやっていたか、その辺のところは想像できないわけですが、それまでの経緯を見ると、本当に日航が再生できるのか、非常に厳しい状況だったと思います。
したがって、結果として議員が御指摘になるようなことが、かなり早く回復したというようなところはあったと思いますけれども、中身については、片一方では司法の場で今も挙がっている課題でありましょうし、片一方では、やはり当事者の間で円満な解決をぜひしてほしいと思うわけでございます。
○穀田委員 かなり厳しいというのは、それは更生計画出発当初、誰もが認識していましたよ。だけれども、それを飛ばしながら解決すると。しかも、整理解雇の時点というのは二〇一〇年十二月三十一日なんですよ。そのときに営業利益は、翌年の二〇一一年三月期には過去最高が予想されていたし、その時点でも一千億円を超える利益があるということははっきりしていたんですよ。上回ることは十分可能と稲盛会長自身も言っていたわけですよ。だから、厳しいということと、その整理解雇した時点では沈む船ではなかったんですよ、そんな気配すらもなかったということを言わなければなりません。
もう一つ重要な問題点について述べたいと思うんですね。安全問題についての恐ろしいほどの裁判長の認識不足の問題であります。
何度も私ども共通の認識としているように、絶対安全というのは航空機運航にとって一番大事な問題だということは論をまちません。そして、航空行政にとってもしかりということは異論がないはずです。大臣も、私の質問に何回も、先ほどから言っているように、安全確保がまず第一の条件だと言っていますよね。
そこで聞きますけれども、安全を確保するために、現場、すなわちパイロット、客室乗務員、地上整備等の労働者が重要な役割を果たしていることについては異論がありませんね。
○前田国務大臣 もちろん、各職場の職員はそれぞれの専門分野において重要な役割を果たし、そして全体のシステムとして安全が確保されているわけでございますから、そういう意味では、各専門家、そして職員の方々が安全を担っているということになります。
○穀田委員 今答弁がありましたように、各職場、労働者が担っているということははっきりしています。そうしますと、運輸職場、交通職場の中で、もし物言えぬ状況をつくり出しているとしたら危険だということ、この問題についても私は何回も言ってきたわけであります。
解雇の人選の基準となった病気欠勤基準だとか年齢基準が安全に与えた深刻な影響について、判決は「にわかに想定し難い」と、単なる臆測として無視しているわけであります。この裁判長の感覚というのは恐ろしいと私は思うんですね。
では、ことしになってからの事例について聞きたいと思うんです。骨折した機長が操縦した件が報じられています。国交省は事実と原因をつかんでいるのか、どう対処したのか、簡潔に。
○長田政府参考人 先生御指摘の事案については報告を受けております。
一月二日の旭川発羽田行きのJAL一一一六便の機長は、旭川空港において出発前の機体の外部点検中に転倒して右脇腹を打ったものの、そのときにおいては痛みがおさまったことから打撲と判断し、副操縦士とともに乗務に支障がないことを確認の上、羽田空港まで乗務をしたところでございます。ただ、羽田到着後、飛行機からおりる際に右脇腹に強い痛みを覚えたことから受診したところ、肋骨の骨折が判明をしたということでございます。
私どもとしましては、日本航空から報告を受けまして、運航乗務員による心身状態の相互の確認をより慎重に行うなど、再発防止を徹底するように指導をしておるところでございます。
○穀田委員 ぜひ皆さん、聞いてほしいんですけれども、安全にとって、骨折した機長がそのまま操縦することは問題ないのかということなんですよ。誰が考えたって、肋骨を折った人が操縦している、もしそれを乗っている人みんなが聞いたら、どないなりますかいな。
報道を見ていますと、機長は着陸直後、激しい痛みを覚えて、みずから歩くこともできず担ぎ込まれた、その担ぎ込まれた千葉県内の病院で肋骨骨折と診断されたという。乗っている人にとったら、まさに命がかかっているわけですから、大変なことです。
問題は、当該の機長はなぜそのまま操縦したのか。聞くところによると、機長はMD90の役付管理職と言われています。つまり、欠航して迷惑がかかるために自分が乗った、そういう責任感であったとしたら、それは許されるのか。なぜ交代もせずに黙ったままやったのか。その心理的背景を何と考えるのか。こういった問題をきちんと詰めなければ、事態を本当の意味で教訓にすることはできないんじゃないですか。大臣、そういうことをどう考えますか。
○長田政府参考人 この問題につきましては、事案が発生した直後、日本航空に対して、操縦士あるいは副操縦士について詳しく現場の状況を聞くように指示をしたところでございます。
その結果、機長は、機体の外部点検から操縦室に戻ったころには痛みがおさまったために乗務には問題ないと判断した旨の報告を受けておりますし、当該便の副操縦士も、機長の説明や会話の状況あるいは挙動から業務に支障のない状態であったということを判断して乗務したということを、当該機長あるいは副操縦士からも確認をしているところでございます。
ただし、結果として、そういう事態の状況のままで運航したということは、まことに遺憾であるというふうに考えております。
○穀田委員 その報告だけ聞いて、はいはいと言うわけにいかないんですよ。
そういう事態が、例えば病院へ行って肋骨を折っていたということがはっきりする。そうしたら、普通、肋骨を折っていたときにそれが運航していいのか。それから、そういうことについて、肋骨を折った後で病院へ行ったら、どれほどの痛みがあったのかということについて病院にも聞かなあきませんやんか。問題は、その深刻さについて厳しく点検したのかということを私は聞いているんですよ。そういうことがないんですよ、あなたの話を聞くとやね。聞きましたというような話ですやんか。そういうことで済むのか。
この問題は、私が何度も、言い出しにくい雰囲気があるんじゃないかということを指摘したときに、大臣はこう言っているんですね。そういう言い出しにくい雰囲気が社内の雰囲気にならないよう経営していただくことを期待しておりますと言っているんですね。
期待しておりますでは困るんですよ。肋骨を折って運航していたという事態がはっきりしたときに、その機長の身体状況は本当に運航できる状態であったのかとか、その問題について、どういうふうにそういう選択をしたのかということについて聞かなければ、大臣がおっしゃるような、そういう社内の雰囲気にならないよう経営していただくということにならないじゃないですか。だから、期待が外れている事実が現出しているということに対して、やはり航空の安全にとってゆるがせにできない問題だとして、直ちに事実の把握と解明のための調査を求めたいと私は思っています。
私は、今、絶対安全という責任を果たさせるためには、やはり労働者の状況に対する対策、対応が根本です。したがって、その意味でいいますと、絶対安全という責任を果たすのは現場である、その現場の安全のための取り組みを進めるためにも解雇撤回が必要だということを述べて、質問を終わります。
○伴野委員長 次に、中島隆利君。
○中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。
最初に、三月末をもって終了した東日本大震災に伴う東北の高速道路無料化についてお尋ねをいたします。
例外として、原発事故の避難者が九月まで、沿岸部の被災地での瓦れき処理のボランティア車両が六月まで無料となります。しかし、被災地の復旧復興はまだこれからであります。
さまざまな工事に関係する車両あるいは観光客を呼び戻すためのバスなど、東北の高速道路の無料化は、需要も期待も大きかったのではないかと思います。なぜ三月末で中止されることになったのか、その理由をまずお尋ねいたします。
○吉田副大臣 東北地方の高速道路の無料開放につきましては、厳しい財政状況のもと、平成二十四年度予算が計上されなかったため、被災地支援及び観光振興のための措置を三月末で終了いたしました。
なお、四月一日からは、原発事故による避難者の支援について、強制的な避難を余儀なくされる警戒区域等が依然として指定されている状況等を踏まえ、警戒区域等にもとの居住地がある避難者を対象として無料開放を継続しております。
また、ボランティアを含む災害派遣等従事車両については、岩手、宮城、福島の三県において、津波被災地における瓦れきの撤去等に対象を限定した上で、無料通行措置を継続しているところでございます。
○中島(隆)委員 高速道路無料化が震災発生時の緊急的な措置で、阪神・淡路大震災でもそれほど長期間行われなかったことも理解はしているんです。しかし、今回は、地震と津波、原発事故が加わり、しかも被災地が広範囲にわたっている事情も勘案すれば、もう少し無料化を継続してよかったのではないか、こういうふうに思います。
また、どうしても有料に戻すということであれば、ボランティアの方々の車両は、沿岸部だけではなくて、瓦れき処理にとどまらず、原則無料化を継続すべきではないかというふうに思います。というのは、全国社会福祉協議会が各地で災害のボランティアセンターを通じて把握しているボランティアの数は、減少傾向にはありますけれども、今年二月では一万六千百人に達しています。
これらボランティアの方々の活動を支援するため、自治体で証明の発行を受けたボランティアの車両は活動の内容を問わず無料化すべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○吉田副大臣 ボランティアの方々には、被災地におけるさまざまな活動により、復旧復興に向けた多大なる貢献をしていただいているところであります。
ボランティアを含む災害派遣等従事車両につきましては、震災直後より、関係自治体と高速道路会社との協議に基づいて無料通行措置を実施してきており、震災後の広範かつ緊急的な支援に対応するため、これまでは幅広い活動を対象としてきたところであります。
四月以降につきましては、災害救助のための車両への支援という制度の趣旨を踏まえ、関係自治体と高速道路会社で協議を行い、今なお必要とされている災害救助活動である瓦れきの撤去等を対象に、無料通行措置を継続しているところであります。
○中島(隆)委員 先ほど副大臣の冒頭の答弁の中でも、四月、予算が計上されなかった、こういうことと、今御答弁もありましたように、無料化が自治体と高速道路会社での協議と、こういう非常に、主体的な対応というか、国の責任ある無料化の対応ではないのではないかという気がいたします。
というのは、瓦れき撤去も、御存じのとおり、今、完全処理が六、七、八%。これからの瓦れき処理もたくさん残っているわけですし、本格的な復興も今から始まるわけです。ぜひ国が責任を持って、これらのボランティアあるいは復興に向けての対応について、無料化の問題について十分検討をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
次に、質問の順序を変えまして、都市再生機構の組織見直しへの対応についてお尋ねしたいと思います。
午前中、お二人から質問もありましたが、政府は一月に、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を閣議決定いたしました。その中で、都市再生機構について、会社化の可能な部分については全額政府出資の特殊会社化を検討し、今年夏までに結論を得るといたしております。
これに対して、全国公団住宅自治会協議会の皆さんは、都市再生機構が民営化、特殊会社化されていくことになれば、年金生活者を含め低所得者が都市再生機構の賃貸住宅を利用できなくなるのではないか、こういう大変強い危機感を持っておられます。先日も私、院内集会で公団住宅自治会協議会の皆さんが大変な請願、陳情をされている御意見も聞きました。
この特殊会社化について政府の検討はどの程度進んでいるのか、また、今後の検討の際には利用者である賃貸住宅の住民の意見を十分に聞くべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中塚副大臣 お尋ねの都市再生機構のあり方についてでありますけれども、一月二十日の閣議決定を受けまして、都市再生機構の在り方に関する調査会を設置いたしまして、六回開会いたしました。その上で、三月二十八日に、中間的な整理といたしまして、基本的な方向性というのを取りまとめたところでございます。
その基本的な方向性の中身なんですけれども、まず第一に、機構の役割を明確化しようということでありまして、ポイントは、政策的な対応が必要な分野と、それから企業的な経営手法により収益改善が期待できる分野を区別するということでございます。前者、つまり政策的な対応が必要な分野につきましては、国や地方等との役割分担を踏まえ、機構が担うべき役割を整理すること、そして後者、企業的な経営手法により収益改善が期待できる分野につきましては、民間の手法を活用しながら収益を上げて、多額の負債を早急に圧縮すること、これが視点でございます。さらには、それぞれの役割にふさわしいガバナンス、組織の形態を検討することといたしております。
今後は、まずは国土交通省そして機構におきまして実態をより的確に把握するための資産評価等を行っていただき、必要に応じて第三者による内容の検証等を実施し、夏までに最終的な組織のあり方について結論を得るということにいたしております。
加えまして、先生から御指摘がございました居住者の意見ということについてでありますけれども、この調査会の方で、二月二十二日でありますけれども、自治会協議会の皆さんにお越しをいただきまして意見を伺いました。それからあと、この調査会、今後の予定といたしまして、現地を視察し、より詳細に実態を把握していこう、そういうふうに考えております。
いずれにいたしましても、検討するべき課題はたくさんございますけれども、先生が今御指摘になられたようなことも踏まえながら慎重に検討してまいりたい、そう考えております。
○中島(隆)委員 今御答弁ありました自治会、利用者の団体とは一回なのかどうか。それから、今答弁されました政策的な課題については、国、地方の役割を明確にしながら対応する部分、あるいは企業的な役割で民間に移行する部分ということで今御答弁があったんですが、そういう組織分けを明確にした将来の検討をされるのかどうか。政策的というのは、公的な役割を果たせる組織にされるということなのか。そこのところをもっと詳しく御答弁願います。
○中塚副大臣 先ほど先生が特殊会社化とおっしゃいましたのは閣議決定の文章からである、そう思うわけなのでありますが、この閣議決定の文章にも書いてございますとおりでありまして、「会社化の可能な部分について全額政府出資の特殊会社化を検討」するというふうに書かせていただいております。
そういったことも検討の視野には入っておるわけなのでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、政策的な対応が必要な分野と、あともう一つ、企業的な経営手法により収益改善が期待できる分野、これは区別をしていかなければならないということだと思っておりますし、まず特殊会社化ありきということではなく、今申し上げたような機能に着目をし、その機能に一番ふさわしい組織であるとかガバナンスはどうであるかといったような視点、視座で今後検討をしていくことになる、そういうふうに思っております。
○中島(隆)委員 特に、UR賃貸住宅は七十六万戸、その中に二百万人近くが入居されています。日々生活を営んでおられるわけでありますが、その居住の実態を調べてみますと、六十歳以上の世帯が約七〇%、年金生活者が急増して、世帯年収が三百七十五万円以下の人が七〇%、中でも二百五十一万円以下が五〇%に上る、こう言われております。
先日の集会の中でも、大変厳しい状況、民営化になれば大変だ、こういう危機感を持っておられるわけであります。先ほども大臣が質問に答えられておりました。安心して暮らしていくためにこの居住問題については十分対応する、こういうことも申されておりました。
先ほど、住民との、利用者との意見交換をされたということでありますが、今後、八月まで、結論を出すまで期間がございます。ぜひ入居者の皆さん方の意見を十分聞いていただいて、政策的な住宅課題については、国土交通省が責任を持ってどう対応するのか、やはりそういう方向づけをしながら対応していただきたいと強く要望を申し上げておきたいと思います。
次の質問に移ります。
次は、公共工事の設計労務単価についてであります。
二〇〇〇年と比べまして二割近く低下しているという現状があります。三月二十六日に公表された公共事業の設計単価について伺いますが、全職種の平均で一万六千五百四円、十数年ぶりに前年度比プラスになりました。しかし、額にするとわずか百四十七円であります。〇・九%アップにすぎません。また、二〇〇〇年度の労務単価の平均は二万円を上回っていました。この十年余りの間に二割近く労務単価が下落をしています。
かつて建設業者は、不況期の雇用の受け皿的な存在でありました。現在では、不況の影響をもろに受ける業種になっております。それが労務単価の下落を引き起こしているのだと思いますが、このように低下し続け、極めて低い額にとどまっている労務単価の現状についてどのように認識をされているのか、お尋ねいたします。
○奥田副大臣 委員御指摘の公共工事の設計労務単価の御質問ですけれども、我が国の労働者の賃金全体も同じような傾向を示しております。全産業、そして建設業においても平成十年ごろをピークとして下落傾向にある。
ただ、今の労務単価の方はこの下落幅が少し大きいということも事実であります。この背景には、需要に対して大きく変動する要素をこういう建設業は持っているということ、そして現下の経済状況のもとでダンピングなど企業の利益率を低下させる要因というものが発生し、あるいは多重構造という下請構造のもとでこういった状況が発生しているのではないかと考えられます。
建設産業にしっかりと人材確保、そして技能を承継していただくという点からも、今お話ししましたダンピング防止対策の徹底、そして下請へのしわ寄せの防止を徹底したいというふうに思っております。
○中島(隆)委員 例えば普通作業員の労務単価を見たときに、岩手、宮城の被災県は、労務単価が引き上げられたとはいえ、一万一千八百円であります。神奈川県と比較しますと二千六百円も低いのが現状であります。仮にこの設計単価を日給として二十日間働いた場合、五万円を超える格差があるわけです。
総じて設計労務単価を眺めますと、地域間格差も大変生じております。関東、中部、近畿といった都市部と比較をいたしますと、北海道や東北、九州の各県は大変に低い数字にとどまっています。労務単価に見られる地方と都市の格差についてどのように認識をされているのか、また、どのように今後対応されるのか、これについてお尋ねをいたします。
○奥田副大臣 委員御指摘のように、都市部そして地方というところで賃金格差というものがあるのもまた現実であります。
ただ、賃金水準などの労働条件は、個々の労働者と雇用主の間で決定されるものであり、労働市場、経済の動向などにより異なり、その適否を一律に論じることは難しい課題であるというふうに思っています。ただ、建設業は、地域をしっかりと支え、インフラの維持管理というだけではなくて、社会を維持していくという中でも重要な位置づけであるということを国交省としても認識しております。
今、労務単価の方は予算決算及び会計令というもとで調査をさせていただいておりますけれども、地域をしっかりと支えるという観点から、地域維持型契約方式、新しい契約の方式も自治体に対し提案させていただいておりますし、また、現下のようなデフレスパイラルを脱却するためにも、年に一度の調査というものを、今のような被災地を初めとして賃金の上昇傾向にあるところは小まめな調査をもって、また、一年に一度ということにこだわらず、労務単価を改定させていただいているところでもあります。
○中島(隆)委員 その契約の方式ですけれども、この設計労務単価の留意事項でこういう記載があるんです。「公共工事の工事費の積算に用いるためのものであり、下請契約等における労務単価や雇用契約における労働者への支払い賃金を拘束するものではない。」こういう明記までしてあるんですね。要するに、労務単価どおりに賃金の支払いを求めているわけではない、こういうふうに指摘しているわけです。
今おっしゃったように、労務単価の地域的なバランスを調整するというようなこともありましたけれども、特に下請、孫請というのは、今の建設業者の中ではほとんど重層下請構造になっているわけです。特に、下位の下請に行けば行くほど賃金は減額をされるわけであります。
私も、先日、建設業界の方から聞いたわけでありますが、下請の日給は一万円程度に抑えられている、なおかつ稼働日数が月十五日間ぐらいに抑えられる、一月の賃金が十五万円といった事例も少なくない、こういうこともお聞きをいたしました。こうしますと、年収が二百万に届かないわけですね。公共事業で働きながらも、まさに官製のワーキングプアといった実態であります。
ですから、労務単価を工事費の積算に使うのであれば、下請労働者にしっかり保障していくべきではないかと思いますが、この点についてお考えをお聞きしたい。
それから、特に、公正な賃金、労働を保障するために、これまで大臣に再三お尋ねしてきました公契約法の制定でありますけれども、これまで地方自治体では、野田市、あるいは神奈川の川崎市、相模原市、東京の多摩市、こういうところでは公契約条例が制定をされています。札幌市とか秋田市でも今検討がされているわけです。
前田大臣に、公契約法の制定も含めてどういうお考えか、お尋ねをいたします。
○前田国務大臣 確かに議員御指摘のように、公共事業の発注ということが、元請から下請、孫請というような形で重層的になっていて、段階を経るごとに低賃金になっていく、これは非常にゆゆしき問題だと思っております。
特に、その賃金上の問題に加えて、地元の優良な専門家であったり会社がなかなか事業を受注できないというようなことも聞きます。この面に関しては、発注のあり方について、現状を踏まえた上でもっと工夫が必要だと思っておりまして、時間がありませんので、コンストラクションマネジメントみたいな方式をもっと入れていく必要があると思っておりまして、省内ではかなりそこも方向性を出して研究をしているところです。
それから、公契約のことについては厚生労働省において進められているというふうに承知はしておりまして、これはまたしっかり注意して見守ってまいります。
○中島(隆)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○伴野委員長 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
あしたから北朝鮮の人工衛星の発射予告期間に入ります。報道によれば、予告期間の初日のあすにも打ち上げがあるのではないかと言われております。そんな中でこの国交委員会の一般質疑が開会をされることとなりました。みんなの党は衆議院では外務委員会にも安全保障委員会にも議席を有しておりませんので、きょうは外務副大臣にこちらにお見えをいただいております。
北朝鮮の人工衛星発射計画と時期を一にして、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づく北朝鮮籍船舶の入港禁止措置の一年延長を閣議決定されております。国交省の説明資料を見ましても、拉致問題解決に具体的な行動をとっていない、核・ミサイル問題でも挑発的な行動を繰り返している、さらに、最近でも人工衛星と称するミサイル発射を予告している、したがって入港禁止措置の一年延長が必要である、こういうことが書かれております。しかし、この期に及んで北朝鮮はさらに核実験を計画している、こういうふうにも報道されております。
現状、北朝鮮の今後の動きをどのように見ているか、まず外務省からお答えをいただきたいと思います。
○山根副大臣 今先生御指摘がございましたように、北朝鮮がミサイルを発射した二〇〇六年の七月、その九十六日後でしたか、核実験を行ったということ、そして、二回目のミサイル発射のときも五十日後にやはり核実験を行った、こういうことがございます。
こういう過去を見る中で、マスコミ報道等で、今回もそうしたおそれはないのかというような報道が行われている、こういうふうに承知をいたしているわけでありますけれども、我が外務省といたしましては、さまざまなルートを通じまして情報収集をしておりまして、北朝鮮が今後どういう行動をとるのかということを注視しているわけであります。これらの分析等につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、北朝鮮が発射を行わないように、これからもぎりぎりまで強く自制を求めていきたいというふうに考えております。
○柿澤委員 今回、入港禁止措置の一年延長というのがちょうど時期を一にして行われることになっているわけですけれども、しかし、これから核実験ということに仮になった場合に、ある意味ではさらに一歩踏み込んだ、そうした対抗措置というもののオプションを持たなければいけない、こういうふうにも思います。
核実験を行った場合、あるいは何かさらなる行動に北朝鮮が出た場合に、どういう形での対抗措置のオプションを持つことができるか、こうした検討を政府部内で進めておられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○山根副大臣 私どもとしては、さらに外交的な努力を継続していきたいというふうに考えているところであります。したがいまして、核実験を行った場合の対応という仮定の御質問にお答えするのはなかなか直接的には難しいところがありますが、今日まで既にさまざまな措置というものをとってきているところでありまして、さらなるオプションはということについては、具体的にはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、今まで行ってきた制裁の質と量の面で検討する等々の余地といいましょうか、そういう可能性というのはあるというふうに認識いたしております。
○柿澤委員 この時代、衆議院TVというところで質問、答弁の動画が見られますので、ぜひ、こういう御答弁をされる際には、まなじりを決して、毅然とした、そうした姿勢で行っていただきたいな、こういうふうにも思います。
今、質と量で対抗措置を考えていくという話がありました。しかし、入港禁止措置をやってからは北朝鮮船舶はそもそも入港していない、ゼロなわけですから、質と量を深めていくといっても、もはやオプションとしてはなかなか難しいと思うんですね。そういう点でいうと、今回国交省がとれるオプションというのはそれほどないんですけれども、しかし、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置というのを、この際、一年延長ではなくて無期限延長する、こういう決定をすることが選択肢として考えられるのではないかというふうに私は思います。
つまりは、北朝鮮が、政治体制も含めて国家のあり方、施政方針そのものを根本的に転換しない限り日本は厳しい措置をとり続ける、こういうことをメッセージとして発信していく、こういうことにつながるのではないかというふうに思います。
ちょうど国家指導者が交代をした、こういう状況でもありますので、この入港禁止措置の無期限延長というものをオプションとして持ち得るのかどうか、ここは前田大臣に御答弁をいただくことになっておりますので、お願いをしたいと思います。
○前田国務大臣 委員の言われることは、気持ちはよくわかるわけでございますけれども、入港禁止措置というのは、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると認めるときに一定の船舶の我が国への入港禁止という、まことにこれは特別の措置でありますから、したがって、その実施に当たっては、特定の国、この場合には北朝鮮の対応を見きわめるなど、不断に評価をしながら行っていく、そういうことになっております。それは海洋国家日本にとって当然のことだと思うんです。
したがって、入港禁止措置の根拠となる禁止に関する特別措置法においては、特定の措置について期間を定めることとされており、無期限とすることは現行法上ではできないたてつけになっております。
○柿澤委員 御答弁はいただきましたが、一定の理解はしたいと思います。
二月十七日、予算委員会の集中審議で申し上げたんですけれども、北朝鮮の挑発行為、哨戒艦天安の撃沈事件、延坪島の砲撃事件、たび重なる軍事的挑発を北朝鮮は行っているわけですけれども、それに対する国連での非難決議を安保理常任理事国として反対して、名指しを避けた議長声明に弱めるというようなことをしたり、最近でも、国連決議に基づく北朝鮮に対する制裁活動を阻害してきた、こういうふうに批判をされているのが中国という国であります。北朝鮮を事実上の衛星国家とする中国が北朝鮮に対する適切な責任を果たすよう促す必要があると思いますけれども、見解をお願いいたします。
○山根副大臣 中国は御承知のように六者会合の議長国という立場がございまして、中国が北朝鮮問題に関してこれまでさまざまな努力をしているということについては、私たちとしては評価しているということが一つございます。
その上で、七日に日中外相会議を行いまして、この中で私たちは、中国と今回の事態について憂慮を共有しているということ、そして北朝鮮の自制を求める努力を最後まで行うということを確認いたしているわけでありますけれども、今後はさらに日中間で緊密な連携と協力をしていこうということで一致をしてきているところであります。
○柿澤委員 中国が努力をしていて評価をしたいということでありますが、先ほど質問の前置きとして申し上げたとおり、国連での中国の振る舞いというのは、いわば事実上、北朝鮮の庇護者として振る舞っている。こうした点に国際的な批判もあるわけですので、私たちは、やはりこうした北朝鮮の庇護者である中国がきちんと役割と責任を果たすようもっと促していく必要があるのではないかというふうに私は思っております。
そもそも、北朝鮮問題というのはいわば中国問題であると私は思っております。政治的、経済的にも北朝鮮は中国に依存をしている。先日の予算委員会でも引用しましたけれども、プリンストン大学のトーマス・クリステンセン教授は、近隣の弱体な国家で、しかも同盟関係にあり、経済的に完全に依存している北朝鮮に影響を与えられないとすれば、どうして中国を大国とみなせるだろうか、こういうふうに言っている。そのとおりではないかと思います。北朝鮮の無法な行動が変わらないとすれば、それは中国が適切な責任を果たしていないからだ、こういうふうにみなさなければいけないのではないかというふうに思います。
視点をちょっと変えたいと思います。海洋における国際的な法秩序の維持に日本がどのような役割を果たすのか、こういう問題であります。
南シナ海における東南アジア諸国と中国との領土、領海をめぐる緊張関係が高まりを見せております。ベトナム資源探査船の海底ケーブルの切断事件、漁民の拘束等、中国の強硬姿勢が目立っている。これに対して、一昨年七月のASEAN地域フォーラムでアメリカのクリントン国務長官は、アメリカは、南シナ海における航行の自由、アジアの海洋公共財への開かれたアクセス、国際法の遵守に国家的利益を見出している、こういうふうに表明しております。つまり、南シナ海における国際的な海洋法秩序の維持にアメリカはみずからの国益を見出している、こう言っているわけであります。
日本政府も同様の考え方を持っているかどうか、お伺いをしたいと思います。
○山根副大臣 クリントン長官の発言に対する答弁もさせていただきますけれども、その前に、先ほど中国との関係のお話がございました。私が答弁させていただきましたのは、中国と合意している、日中会談において合意した内容をお話しさせていただいたわけでありますけれども、その日中会談の折に、玄葉大臣からは、今回、もしミサイルが発射をされる場合には、国連の安保理決議に明白な違反をしているということで、国連安保理を含む国際社会が適切な対応をする必要があるんだということを強く述べたということがあることも御披瀝をさせていただきたいと思います。
また、続いて八日に行われました日中韓の外相会議におきましても同様の発言を玄葉大臣からしているということも、あわせて御紹介をさせていただきたいと思っております。
さて、クリントン長官の発言についてでございますけれども、多くの点で共通した認識を持っているということがまず一つはございます。海洋はアジア太平洋地域を直結する公共財であるという認識でございます。紛争の平和的な解決、航行の自由、国連海洋法条約を含む国際法の遵守といった海洋に関する基本的なルールを関係国が尊重することが重要だ、こういった点について、具体的にクリントン長官との認識が一致しているという点について申し上げたわけであります。
以上です。
○柿澤委員 ここはできればもう少しはっきりおっしゃっていただきたかったんですね。海洋国家日本も、もちろん、南シナ海の航行の自由、国際法の遵守、こうした点については日本そのものの国益に違いない、そういうふうにお答えをいただきたかったというふうに思います。これは対岸の火事の問題ではなくて、自分の問題としてやはり捉えなければいけない、こういうことなんだというふうに思います。
さて、先月、ASEAN諸国から政府関係者や有識者を招いて、日本国際フォーラムの主催による第九回日本・ASEAN対話というのが開催をされました。私もパネリストの一人として出席したんですけれども、話はやはり、中国とどう向き合うか、こういう話になるんですね。
ASEAN諸国の関係者との懇談において、日本への期待の声として上がったのが、地震や津波のときの災害時に助けに来てほしい、こういう話でありました。震災を受けて、地震や津波等の災害時の救援の経験を生かした緊急支援を日本に期待する声が高まっている。
しかし、事実上の軍隊とみなされる自衛隊の艦船をこのような名目で派遣するというのは、受け入れ国側の事情からしても困難な場合も多い、こういうことではないかと思います。その意味でいうと、やはり海上保安庁というのがこうした役割を一定程度担えるような、そうした体制を持っておくこと、このことが大事なのではないかと思いますが、前田大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
○前田国務大臣 海外で大規模災害が発生した際の対応については、国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づいて、被災国からの要請を受けて派遣をしております。外務省とともに、海上保安庁、消防、警察等が速やかに職員を派遣して、被災者の救助活動等を迅速に実施しております。
今後とも、被災地の人命救助等のため、最大限に協力をしてまいります。
○柿澤委員 前段に、南シナ海における領土、領海をめぐるさまざまな緊張状況、こういうことを前置きとして申し上げた上でこうした御質問をさせていただいている、こういう点も御留意をいただきたい。まさに今生まれつつある南シナ海あるいは東南アジアをめぐる情勢を踏まえて、日本としてもこうした切り口からの協力関係というものが大事なのではないか、こういうふうに思っているわけであります。
こうしたASEAN諸国との協力関係というのを海上保安庁は着々と築き上げている、このことは評価をしたいというふうに思います。
日本のイニシアチブで始まったアジア海上保安機関長官級会合、先日はベトナムで行われましたけれども、あるいは合同訓練をやったり、各国における海上警察部隊、そもそもそういうのがないところもありますので、そうしたところを養成支援する、こうしたこともやっている。さらには、武器輸出三原則の緩和を反映して、巡視艇をODAで供与する、こんなことも言われております。
日本の国益でもある南シナ海の安全を守るために、東南アジア諸国との連携を深めていくことが求められる、このように思いますけれども、海上保安庁の実質的な指揮官である鈴木長官から御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
海上保安庁は、昭和二十三年に設立されまして六十四年目に入るわけでありますが、アジアの中ではいわば先輩格の海上保安機関だと思っております。
したがいまして、今委員のお話もありましたように、当庁が提唱いたしましてアジア十七カ国一地域の長官級会合というのを毎年開催しております。それから、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどには長年にわたり専門家を派遣いたしまして、海上保安機関の設立や能力向上のための技術的な支援等を行っております。また、大型巡視船も東南アジア地域に派遣して共同訓練を行ったり、あるいは各国の専門職員を日本に招きまして研修を行ったりというような活動をいろいろ繰り広げております。
今後とも、海上保安庁がリードをして、東南アジア諸国の海上保安機関がどんどん能力を向上できるように、当庁としても精いっぱい頑張っていきたいと思っております。
○柿澤委員 大げさかもしれませんけれども、しかし、こうした国会の場面において、大臣、副大臣、また海保の長官、こうした方々がどのような発言をされてどんなメッセージを発信しているかということは、世界の国々も見ていることだというふうに思うんです。そうした状況の中できょうお尋ねをさせていただいたわけですけれども、さまざまな形での御答弁をいただきましたが、やはり、アジアの中での日本の今の立ち位置というものを踏まえて、戦略的に取り組みを進められることを御期待申し上げたいというふうに思います。
残り時間がほとんどなくなってきてしまいましたが、一点、最後にお伺いをしたいと思います。
四月の一日、前田大臣が、新名神の未着工区間について十年越しの凍結を解除して着工する、こういう方針を示されました。馬淵国交副大臣がいらっしゃったときに、凍結区間について整備計画からの格下げもあり得る、こういうふうに言っていたのと比べると、これは明らかに逆コースへの方向転換だというふうに思われます。
凍結に当たって第二京阪開通後の交通状況を見て検証する、こういうことになっていたはずでありますけれども、しかし、事前の交通量予測は六万四千から七万六千台、現状、二〇一一年三月の交通量はその半分の三万五千台でしかない、こういう状況であります。
こうした中で新名神の着工凍結解除をする、これは妥当な判断で、正当化され得るのか、お伺いをしたいと思います。
○前田国務大臣 前提として、第二京阪、一号線の京都と大阪との間のバイパスになるわけなんですが、今議員御指摘のときには、ちょうど去年の三月という時点だったと思いますが、その後の経緯等も含めまして、第二京阪ができてから混雑が期待していたほど解消しない、混雑路というのは東の外郭に次いで多いというようなことでした。その他、BバイCなんかも非常に高い。
これは、もう既に有識者委員会の中で随分と検討を重ねた結果そういう結論を出してくださっている上に、松井大阪府知事、山田京都府知事、嘉田滋賀県知事を初め、地元の首長さん初め皆さん方が、ここに京都縦貫もやがて入ってくる、このままでは大変なことだということで、非常に要請も強かったわけです。
加えて、去年の三・一一の反省から、嘉田知事がこう言っておられました。実は、今の名神の逢坂山のあたり、活断層があって非常に危ない、何とか早く、リダンダンシーという意味でもこれを通ずるようにしてほしいというようなこともありました。
そういう意味において、一つのネットワークをきちっと整備するということも非常に重要かということで、総合的な判断をさせていただいたところであります。
○柿澤委員 ここから、いや、しかしという議論をするはずだったんですけれども、時間がなくなってしまいましたので、ここで終わりたいと思います。山根副大臣、ありがとうございました。
○伴野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十四分散会